気にせず気長に待ってるよ
俺が本物の
>>521だけど、短編でいいかのう......
後に引けないくらいの気持ちじゃないと最後まで書けない性格なので啖呵切っといてアレですが……
大して気にしてないから大丈夫
538 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/07(土) 13:39:38.49 ID:In+tfGNw
煽りとかいらないから
少々を事は脳内補正するのでOK!
学年トップを取り続ける男子高校生が、
ふとしたきっかけでオバカなギャル集団と1つの賭けをすることに。
そして賭けに負けてなんでもいうことを聞かなくてはいけなくなった男子高校生は、
夏休みの間「ギャル」としての生活習慣や態度などを徹底的に叩き込まれることになる。
逆に男子高校生が通うはずだった夏期講習などは、
ギャル集団のなかで一番扱いの悪い(そして頭の悪い)子が
強制的に「マジメな男子高校生」風の格好をさせられて通わされることになる。
初日に黒ギャルに変身させられて露出度の高いファッションを心がけるよう努力させられ、
オールでの遊びや援交もどきや乱交パーティーなど『悪い遊び』を覚えさせられた男子学生と、
バカなりに一生懸命夏期講習に通いファッションそっちのけで勉強しつづけたバカギャルの立場や心境は
夏休みでどのように変化していくか・・・・・・
というアイデアだけ天から降り注いできた
書く気力はわかない
541 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/14(土) 12:05:22.87 ID:CBg4wMph
いいね
待ってます
543 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/24(火) 13:11:52.61 ID:n3Bmk6XD
あげ
306 : 306 [sage] 2012/08/09(木) 22:39:16.03 ID:G9w6B++D
同じ歳で大変オテンバなイトコがいて、叔伯父母から
「○(オレ)と逆だったらよかったのに」
「生まれてくるときチンチンを忘れてきた」
とよく言われていた。
それが一般的なたとえ話ではなく、真実だと思っていて、
一緒にプールや風呂に入ろうものなら、もぎとられてしまう、と必死に断っていた。
女の子だと跡取りとしてどうだとか、男の子を産むまで…とか言われていた頃。
で、夢にまで見てしまった。
オレの服を着て、勝ち誇ったような顔をしているその子。
オレは、女の子(その子)の服を着て、赤のランドセル、習字道具、
ピンクの水彩道具箱や体操服の入った巾着袋を持たされている。
「オマエの道具をもって来い」といわれる。
反論すると、
「オマエ、チンチンあんのかぁ?」とスカートやパンツをめくられる。
泣きながら家に帰ると、
「そんな意気地のない子はウチの子じゃないよッ!」と母から、
自分のランドセルやらの道具を放りだされて、ピッシャっと玄関を閉めると言う…。
『夢十歳』
子供のころの話だけど、僕には、「花緒里(かおり)」って名前の、同い歳でとってもやんちゃな従姉(いとこ)がいたんだ。
「きっと生まれてくるとき、チンチンを忘れてきた」
「幸行(ゆきつら)くんと逆だったらよかったのに」
──なんて、実の両親や親戚のおじさんおばさん達からも、よく言われているくらいおてんばでね〜。
あ、ちなみに「幸行」ってのは僕のこと。どっちの名前も『源氏物語』の巻名をちょっとだけ変えたもので、古文の教師をしていたおじいさんが、付けたんだって。
ただ、ね。
大人からすれば、その言葉は単なる笑い話やちょっとした愚痴なんだろうけど、子供時代の僕は、それが物のたとえじゃなく、本気の言葉だと思ってた。かおりちゃん自身、「どうせなら男の子に生まれたかった」って常々公言したしね。
だから、かおりちゃんに一緒にプールや風呂に入ろうと誘われても、「うっかり隙を見せたら、きっとおチンチンをもぎとられちゃう!」と警戒して、ずっと必死に断ってたんだ。
もっとも、数年経って、小学3、4年生になるころには、さすがに一緒に風呂に入れと言われることもなくなって、安心してたんだけど……。
「おい、起きろよ!」
4年生のゴールデンウィークに、篝おじさん(=かおりちゃんのお父さん)の家に遊びに行って、お昼寝してる時、僕はかおりちゃんに乱暴に起こされた。
「ん〜、なに、どうしたの?」
眠い目をこすりつつ、目を開けると……。
そこには、ヤンキースのロゴが入ったユニフォーム風Tシャツと、カーキ色の半ズボンという僕の服を着て、勝ち誇ったような顔をしているかおりちゃんが立っていた。
「え? え?」
対して、お布団の上の僕は、丈の短いシンプルな白いワンピースとレース編みの3つ折りソックスという女の子(たぶんかおりちゃん)の服を着せられていた。
「な、何これ?」
「今日から、あたし……ううん、オレが、六条の家の息子になるから。オマエは代わりにウチの父さん母さんの娘になれよ」
自信たっぷりに、かおりちゃんに、そう宣言されて、寝ぼけまなこの僕もさすがに目が覚めた。
「ええっ!? い、いきなりそんなこと言われても……」
それでも、気弱な性格故か、僕はキッパリ断わることができず、モゴモゴと口ごもってしまう。
「いいじゃないか。オマエは頭がいいし、礼儀正しくて優しいから、よっぽど父さんたちが望んでる「おとなしくて可愛らしい娘」に近いと思うぞ」
僕の態度を脈ありと見たのか、かおりちゃんは、畳みかけるようにそう言うと、強引に僕に赤いランドセルを背負わせ、左の前髪を花飾りのついたピンで留めてから、鏡の前に立たせた。
「え、コレが……ボク?」
鏡の中には、ちょっと困った顔をした、僕と同い年くらいの女の子(にしか見えないボク)が映っていた。
鏡に映る自分を見ていると、なぜか自然と内股になってモジモジしてしまう。
「へぇ……いいじゃん。オマエ、すっごく可愛いぜ」
そんなことを言いながら、かおりちゃんはスカートをめくってきた。
「キャッ! や、やだ、やめてよぅ……」
半泣きになってスカートを押さえるボクを見て、ますますニヤニヤするかおりちゃん。
「ウチの父さんと母さんの許可はもらってるから、今度はオマエん家に行こうぜ」
かおりちゃんに手を引かれて、渋々その格好のまま、歩いて3分ぐらいの場所にあるボクの家に帰ったんだけど……。
「おやおや、すっかり可愛くなっちゃって。おかしいねぇ、うちの子は男の子だったはずなんだけど……」
お母さんまで、ニヤニヤしながら、そんなコトを言うんだ。
「ならさぁ、オレがこの家の子になるよ!」
ここぞとばかりに自分をアピールするかおりちゃん。
「ふむふむ……うん、それもいいかな。「かおる」、今日から、アンタがウチの子だよ」
「やりぃ!」
あれよあれよと言う間に、ボクを置いて話がまとまってしまう。
「じゃ、そういうことだから。アナタも早くお家にかえりなさいね」
お母さんは、そう言うと、あっさりボクを玄関から締めだしたんだ。
途方に暮れたボクは、仕方なくトボトボとおじさんの家に行ってみた。すると……。
「あら、お帰りなさい。どこか出かけてたの、「行幸(みゆき)」?」
至極当然のような顔で、夕霧おばさん──花緒里ちゃんのお母さんが、優しく迎えてくれたんだ。
「あ……うん。ただいま、ママ」
気が付くと、ボクはそんな言葉を返していた。
……
…………
………………
「──という、夢を、昨晩見たんだ」
「だぁっ、散々引っ張っといて、夢落ちかよ!」
朝、ボクの家の台所でボクが朝ごはん食べてる間に、一緒に学校に行こうと迎えに来てくれてた柏木くんが、ガクッとずっこけている。
「ふたりとも、そろそろ学校に行く時間じゃないの?」
話が一段落したタイミングを見計らって、ママがボクらに声をかけてきた。
「げ! そういえば、もう、8時10分だ。ほら、準備急げよ」
「あ、うん、ちょっとだけ待ってて」
慌てて玄関に向かう柏木くんにせかされ、ボクも洗面所に飛び込んで、歯磨きと整髪を済ませる。
鏡の中には、去年の春から通っている星河丘学園中等部の制服を着た、長めの髪を緩い三つ編みにしてまとめた、身長150センチちょっとの「女の子」が写っている。
別にアイドルとか読モになれるほど美人ってわけじゃないけど、クラスの女子の平均くらいにはかわいいって言っても、それほど自惚れにはならないと思う──なかなか胸が育たないのが密かな悩みの種だけど。
「おーい、まだか、みゆきぃ?」
「はーい、いまいくー」
急いで洗面所を出て、玄関で柏木くんと合流。そのまま家を出て学校に向かう。
「ついこないだまで暑かったのに、もうずいぶん涼しくなってきたね〜」
「ま、陸上部の俺としては、涼しいほうが助かるけどな」
そんな雑談をしながら、ちょっと早足で歩く、ボクと柏木くん。
柏木くんは、幼稚園から小2までずっと同じクラスだった幼馴染で、3年生の2学期に家の都合で転校しちゃって、しばらく疎遠になってたんだけど、今の学園の中等部の入学式で再会したんだ。
柏木くんの新しい家がうちの近所なので、部活の朝練がない日とかは、小学校時代みたくボクを迎えに来てくれる。
ただ、子供のころは純粋に友達としてい仲が良かったんだけど、この歳になると、やっぱり多少は男女のそういう関係を意識せざるを得ない。
もっとも、周囲の人──クラスメイトとか、うちのママとかは、ボクたちがとっくにつきあってるって思ってるみたい。ボクの方も訂正する気はないけどね♪
彼にその気がないワケでもなさそうだし、いまは告白待ちって感じ?
(今度のクリスマスあたりがポイントかなぁ……)
それでダメなら、来年のバレンタインにボクの方からチョコと一緒に告白しちゃうほうがいいのかもしれない。
──でも、気になることもあるんだよね。
ボクが一昨年卒業したのは、私立桜庭小学校。卒業証書もアルバムもちゃんと残っているし、今でも時々、仲が良かった子とは電話したりもしてる。
それなのに、柏木くんの話を聞く限りでは、彼が3年生まで通ってたのは市立数紀小学校だったみたいなんだ。
どうしてかなぁ。ボクは彼と違って、転校なんかした記憶はないし……。
(ズキッ!)
あれ、なんだか頭の片隅が痛いような……。
「おい、大丈夫か、みゆき?」
「あ、うん、全然平気」
心配そうな柏木くんの声に、とりとめない考え事を中断して、笑って見せる。
「ホントか? なんか顔色悪いぞ」
「大丈夫だよぉ。あ、でも、もし心配してくれるんだったら……」
「うん?」
「手、握ってほしいなぁ」
「いいっ!? そ、それは……」
たじろく柏木くん。
「あ、でもね、これはボクのワガママだし、柏木くん――ヒョウくんがイヤならあきらめるから」
柏木くんの小さい頃のあだ名(兵衛だからヒョウくん)を呼んで、気弱に目を伏せるあたり、ボクも結構演技派かも。
「ぅー……わ、わかったわかった」
真っ赤なって照れながら差し出してくれたヒョウくんの、暖かくて力強い手を握る。
「じゃ、じゃあ、行こっか」
「う、うん」
彼に手を引かれて歩く通学路は、なんだかいつもより輝いて見えた。
それだけで、さっきまで考えてたコトなんてどうでもよくなるんだから、我ながら現金なものだよね。
彼と手を繋ぎ、満面の笑みを浮かべるボクの脳裏には、すでに先程までの違和感はカケラも存在しなくなっていた。
−おしまい?−
#以上、544のネタに触発されてかいてみました
GJ!
短編ながら綺麗にまとまってますね
Kの人の新作来てた!
551 :
名無しさん@ピンキー:2013/10/09(水) 16:11:06.30 ID:FbEuS+Ga
GJ
552 :
名無しさん@ピンキー:2013/10/19(土) 13:08:19.25 ID:1CAt2TrN
おおいつのまにか
553 :
名無しさん@ピンキー:2013/10/25(金) 15:33:07.85 ID:H1oHJX8s
GJ
反抗期の娘に父親の苦労を教えるため立場交換
俺は反抗期の息子と母パターンのほうが好き
>>554-555 個人的にホモや百合とかは苦手なはずなのに
立場交換のせいで、息子を性的に抱いてしまう父親(母を抱く娘もしかり)とか言う展開がすごく好き
前にあった「キモオタと人気モデルの立場交換」のように、
キモオタと立場交換したグラビアアイドルとかが
かつての自分の立場になったキモオタに欲情してしまうとかもいいなぁ
一度キモオタになって
元のアイドルに戻ったら自分の姿に欲情しまくり
さらに更衣室で他のアイドルの下着姿に欲情して楽しむてのがいいなあ
女同士だからおっぱい触りなんてスキンシップしてハアハアするようになるとか
先日、地下鉄の駅を歩いてたら、江戸川コナン(眼鏡・髪型含む)を12、3歳くらいに成長してリアル化したような少年(?)が、中学の制服らしい紺のセーラー服姿で母親らしき人に手を引かれて歩いていた。
ちなみに、声もアニメの少年声というか、男女どちらにも聞こえるタイプ。肩幅広めで、歩幅も妙に大きくてスカートに慣れてない感じ。
反射的にここのスレの「姉と立場交換された弟」という妄想が浮かんだ俺はもうダメかもしれん。
>>559 「12、3歳くらいに見える」のは立場交換した結果で、
もしかしたら本当はお父さんだったりお兄さんだったりした可能性も!?
二次創作になるけど、最近流行りの「艦これ」の世界を舞台に……
高い艦むす隊指揮適性を見込まれて、スカウト(というかほぼ徴用)
されてきた少年提督(13、4歳ぐらい?)が、その鬱屈から
艦むす達を、まさにゲームの駒のように酷使する指揮を執るようになる。
それなりの戦果は上がっているものの、士気・雰囲気は最悪で、
先輩の提督や上司は、それとなく諌めるのだが
「部下──いえ、部隊の備品をどう扱おうと僕の勝手でしょう」
と開き直り、反省の色のない少年提督。
少年の指揮下にある艦むすは勿論、他の部隊の子たちからも不満が
出始め、「あの提督と一緒に戦いたくない」と言う声が高まる。
事態を憂いた鎮守府司令官は、ついに命令違反のうえ大敗を喫した
少年提督にひとつの罰を命じる。
それは、一ヵ月間、先輩提督の下で、艦むすの立場になって
勤務することだった
……とか、ここでアリかなぁ。
有りだと思います!
元ネタよく分からんから保留
作者が書きたいなら良いんじゃね?
少子化の影響で共学にすることになった元女子高
3年が経ち男子生徒初の卒業生がでる年
だったはずだが何故か卒業していったのは女子生徒のみだった しかも入学した生徒の数と変わることなく
一体この学校で何が行われているのか…
みたいなのはどうですかね?
>>564 今のままだと女装モノか強制女性化モノになりそうだから、
あともうひとひねりあるといいかもね
でも期待!
#>561で言ってた「艦これ」的二次創作です。真面目に書いてたら、説明文がいくらあっても足りない状態になったので、投下にあたり随所をはしょってまとめてみました。
『鎮守府戦線、風強く波高し』(前編)
佐世保鎮守府──横須賀や呉と並んで、いまや世界でも有数の軍港として名高い都市の、中枢部とも言える施設。
その廊下を、白い軍服を着た少年が、足取り重く歩んでいた。
年のころは13か14、未だ15歳にはなっていないだろう。今のご時世、志願者なら13歳から学徒兵として軍に入れるとは言え、その歳で士官用制服をまとっているというのは、いささか尋常ではない背景を窺わせる。
ほどなく目当ての部屋の前にたどりついた少年は、ドアの前に立ち、ためらいながらもノックした。
「入りたまえ」
「──失礼します」
中の人物の許可を得てドアを開け、部屋に足を踏み入れる。
室内は、「鎮守府総司令」というその役職を思えば、いささか簡素ではあるが、それでも少年の居室などとは比べ物にならない程、設備が整っていた。
「風嶋少佐、参りました」
挨拶すると、正面の執務机で何やら書類にサインをしていた人物──この施設の総責任者であり、帝国海軍の中でも重鎮と言うべき地位にある鎮守府総司令官・秋山好之が、書類を脇にどけて少年の方を見た。
年の頃は50歳をいくらか過ぎたくらいだが、長身で恰幅のよい体躯と鋭い目付き、そこに居るだけで緊張を強いられる迫力などからは、いかなる衰えも感じ取れない。
そのことが、目の前の人物が現役、それも一流の軍人であり、司令官であることを物語っている。少年のような俄か仕立てのなんちゃって士官などとは根本から格が違った。
「うむ。御苦労」
視線で促されて、少年は執務机の前に歩み寄る。
「風嶋少佐。なぜ、此処に呼び出されたか理解しているかね?」
穏やかながら威厳のある総司令の声に、気圧されたように目を伏せる少年。
「──はい」
心当たりはあり過ぎるほどあった。
* * *
少年──風嶋一輝(かざしま・かずき)は、わずか3ヵ月ほど前までは、北関東の地方都市で公立中学に通う、ごく普通の中学生だった。いや、そのはずだったのだが……幸か不幸か一輝は、決して「普通」ではなかったのだ。
有意識艦隊同調能力者。そう名づけられた特殊な人間が、数十万人にひとりという割合で存在している。
「人類の敵」と雌雄を決するための最前線で戦う有意識艦──俗に「艦隊むすめ」あるいは「艦むす」と呼ばれる「兵器」を指揮するために不可欠な特殊能力で、彼ら艦むす隊の提督が現在の人類社会を支えているといっても過言ではなかった。
その日、彼を「施設」に迎えに来た山本と名乗る青年士官は、一輝もまた、その有意識艦隊同調能力者であることを告げ、軍に入るか否かの決断を迫ったのだ。
迷うことはほとんどなく、少年は軍に所属することを選択し、そのまま鎮守府へと同行したのだ。
着任当初は、一輝も先輩の気遣いに感謝し、そのアドバイスに耳を傾ける素直な新人だった。
しかし、人の心というものは、その立場によって時として恐ろしいほどに変わるものだ。
身寄りがないこと、華奢な体格と女顔、内気な性格などで、いじめられっ子一歩手前だった少年は、艦むす隊提督という「力」を得たことで増長し、次第に周囲から見ると「鼻もちならない高慢なガキ」へと変貌する。
そして、一輝の傍若無人さは、とくにその指揮する有意識艦──艦むす達に向けられた。理不尽なイビリや任務での酷使を重ねていく。
諸々の不運もあって艦隊内で一輝の言動に異を唱えられる者がおらず、山本大佐ら先任士官の注意にも耳を貸すことなく、一輝はさらに暴走。
ついに先日、「まだ無謀」と止められつつ南西諸島防衛線へ出撃。僅か1戦で旗艦の「神通」を除く5隻の駆逐艦娘が撃沈、彼の元には、2隻の大破した軽巡洋艦娘と、実戦経験のない駆逐艦娘1隻のみが残される結果となったのだ。
彼個人の戦歴としても、そして艦の修理や補充をせねばならない鎮守府としても大きな痛手である。今回は、上司や先輩に制止されていたにも関わらず、独断で出撃を強行し返り討ちに遭ったのだから、なおさらだ。
総司令官である秋山中将としては、彼を厳罰に処さざるを得なかった。さらに間の悪いことに、「懲罰」と言う形で執するのにちょうど良い「実験」の案が上層部から降りてきており、諸々の事を考え合わせて、秋山中将は一輝を呼んだのだ。
* * *
「風嶋少佐。先日の独断専行と作戦の失敗、並びに鎮守府内の士気を低下させた責任を問い、貴官を1ヵ月間の特別懲罰処分とする」
「特別懲罰、ですか?」
聞き慣れない単語に、一輝は首を傾げる。
最悪、一兵卒に降格の上、最前線に送られることも覚悟していたのだが、司令官の口ぶりでは、それとは少し趣きが異なるらしい。
「うむ。鎮守府付属研究所で進められている新兵器開発実験の被験者として協力してもらうことになる。それ以上については、実験が始まってから説明されるだろう」
「そ、そんな……」
要するに、ていのいい人体実験ということではないか!
抗議の言葉を口にしかけた一輝は、けれど首筋にチクリとした痛みを感じるとともに、急速に意識を失い、その場に崩れ落ちる。
「なお、これは任務ではなく、懲罰処分であり、君に拒否権はない」
「もぅ聞こえてないと思いますよ、総司令」
いつの間にか気配を殺して少年の背後に歩み寄り、首筋に即効性の麻酔薬を注射した男性──山本大佐が、溜め息をつきながら床に倒れた少年の元に屈みこむ。
士官学校を優秀な成績で卒業し、180センチ余りの頑健な体躯を鍛え上げた山本にとって、第二次性徴を迎えたかも怪しい小柄で華奢な少年を、お姫様抱っこの体勢で持ち上げることなど、児戯にも等しかった。
「一応、規則だからな……君には、辛い役目をさせて済まないと思っている」
「いえ、問題ありません。むしろ他の人に押しつけて知らぬフリをするよりは、自分の目と手の届く範囲に置く方がいくらか安心できます」
「うむ。よろしく頼むぞ」
「了解しました。微力を尽くします。では……」
* * *
目を覚ました時、手術台のような場所に横たえられ、手足をベルトのようなもので台に拘束されていた。
「──こ、ここは?」
意識を取り戻したものの、どこか霞みがかかったように思考がボーッとしており、うまく考えがまとまらない。
(どうしてこんな所にいるんだろう。えっと、最後に覚えているのは……)
誰か、大柄な男性に叱責されていたような気がする。
「お、目が覚めたのか」
声をかけられた方に視線を向けると、部屋の片隅のパイプ椅子に座っていた、二十歳過ぎくらいの海軍士官制服を着た青年が、立ち上がるところだった。
「ちょっと待ってくれ、今、ロックを外す……っと、その前に聞くが、俺のことがわかるか?」
手術台に歩み寄り、ベルトに手をかけたところで、青年士官が問い掛けてきた。
「えっと……山本大佐、ですか?」
自然とその言葉が口をついて出た。
「ああ、その通りだ。では、自分の名前は?」
改めてそう聞かれたことで、自分が自己に関する一切の記憶を喪失していることに気付いた。
「──その、わかりません」
蚊の鳴くような声で答えると、山本大佐はなぜか安堵したように見えた。
「そんなに気を落とすな……その点については、むしろ予定通りと言ってよい」
? どういうことなのだろう?
自分がいぶかしげな顔をしていたからだろう。
苦笑しながら、山本大佐は現状に至る経緯を説明してくださった。
自分も元々は軍属だったこと。
とある作戦で、周囲の制止を聞かずに勝手な行動をとったことから作戦は失敗し、味方に大きな被害を出したこと。
それに対する懲罰処分として、1ヵ月間、ある実験の被験者となることを義務づけられたこと。
実験の妨げにならないよう、一時的に薬で記憶が消されている(正しくは思い出せなくなっている)が、実験終了時に解毒剤のようなものを投与して、元に戻してもらえること。
そういった事柄を、山本大佐は軍人とは思えぬ優しい口調で説明してくださった。
常識的に考えれば、色々不審な点も多いはずだが、彼の言葉を疑うつもりはなかった。
この人は信頼できる──心の奥で、なぜかそう確信していたからだ。
「ほら、外れたぞ……立てるか?」
「あ、はい」
山本大佐に手を引かれて、手術台の上に身を起こし、台から降りる。
「あ……」
「おっと」
予想外に台が高かったことから目測を誤り、よろけかけたのを、山本大佐が手を引いて抱きとめてくださった。
キチンと糊の効いた染みひとつない──けれど、どこか男臭い匂いと微かな潮の香りが漂う彼の制服の胸元にもたれかかると、なぜだかとても安心できるような気がした。
「どうした? 身体に不調があるのか?」
「あ、いえ、問題ありません」
心配げな山本大佐から、慌てて離れ、しゃんと気をつけをする。
「なら、いいが……おっと、身繕いをするなら、その隅に鏡があるぞ」
せっかくのお言葉なので、それに甘えて少しだけ時間をいただくことにする。
高さ1メートルほどの斜めに立てられた簡素な姿見を覗き込む。
そこには、13、4歳くらいに見える「少女」が映っていた。
身長は155センチ前後だろうか。年齢を考えると背の高さは平均レベルと言えるだろうが、身体つきも手足も細く、女としての成熟は皆目見受けられない。
対して容貌の方は、我が事ながら、それなりに可愛いと言っても、さほど自惚れにはならないだろう。
砂色に近い薄い色の髪は、肩にかかるくらいの長さで無造作に揃え、黒いリボンをうさ耳のような形に結わえている。
服装の方は、改造セーラー服とでも言えばよいのだろうか。青い襟に黒いリボンを結んだ白い袖なしのトップと、膝上20センチの青いミニプリーツスカートを着ている。
そのほか、手には白い長手袋をはめ、足には紅白ストライプのニーハイソックスとダークグレイのハーフブーツを履いていた。
パッと見は、前世紀の同人誌即売会にいるコスプレイヤーのような格好だが、布地も縫製もしっかりしており、着ていて動きやすい。見てくれだけの仮装、というわけではなさそうだ。
そして、こういう服装をしそうな存在について、心あたりもあった。
「……もしかして、私、艦むすなのでしょうか」
「正確には、その「候補」と言うべきかな」
思わず呟いた言葉に、山本大佐が律儀に答えを返してくれました。
「候補、ですか?」
「そうだ。機密に触れるので詳しくは説明できないが、素質のある「人間」に有意識艦──艦むすと同等の能力を身に着けさせるという研究が密かに進められていて、君は、そのテストケースに選ばれたのだと思ってくれ」
本来なら、それは人体実験のサンプルにされたと怒りや悲しみを覚えるべき所業なのでしょう。
しかし、その時の私の心に浮かんだのは、そのどちらでもなく、「歓喜」に近い感情でそした。
──これで、自分も戦える! ○○の仇であるヤツらを自分の手で倒すことができる!!
そんな想いが胸に湧きおこってきたのです。
「私は、山本大佐のもとに配属されるのですか?」
鏡を見つめたまま、私は彼に尋ねました。
「ああ。気は進まないだろうが……」
「山本大佐──いえ、提督」
私はクルリと振り返って姿勢を正し、彼の目をしっかり見つめながら、「私の提督」に向かってピッと敬礼をしました。
「半人前の未熟者ですが、以後、よろしくお願いします!」
-つづく?-
#とりあえず、前編は以上です。ノリとしては、メイドをいぢめていた若き御主人様が、記憶を奪われてメイドの立場にされるようなもの……ですかね。
#ちなみに、記憶処理と着替えは済ませていますが、ヒロイン(?)自身の身体は、男のコのままです。そのヘンの騒動は後編にて。
Kの人乙
GJはよ続き
職業はそのままに、おっさんと女の子の趣味、嗜好、行動、性的扱いなどが交換されるというのはどうだろうか
どうだろうかとか、一体誰に聞いてるんだよ
#相変わらず、このスレ的に美味しい場面をえりすぐって書くのが苦手な私。ともかく、続きを投下します。
『鎮守府戦線、風強く波高し』(中編)
「さて、部隊における君の立場に関してだが……」
「島風」の「着任挨拶」を受理した後、山本提督は、今後の待遇について説明する。
「機密に関わる部分も多いので、すべてを周囲に明かすわけにはいかない。当面、君は「実験試作段階の有意識艦の船魂」として、俺のもとに配属されたことになるので、心得ておいてくれ」
「了解しました。ですが、いくら実験段階とは言え、船体(からだ)の仕様などを何も知らないのは、さすがに不審に思われないでしょうか?」
「島風」の疑問に、提督はニヤリと笑った。
「それは、問題ない。目を閉じて、意識を心の奥底に集中してみたまえ」
曖昧な表現に首をかしげつつも、素直に上官の指示に従う「島風」。
「何か、自分自身の他に親しい存在を感じないかい?」
先ほど同様、何ともはっきりしない内容だったが、不思議なことに、「島風」には、まさにその言葉通りのモノを感じ取ることができた。
「! あ、あります」
「よし。その存在に心の中で近付こうと意識するんだ」
「了解しました」と口にするより早く、「島風」の自我意識は「それ」と重なり、混じり合う。
「──船体基礎スペック……把握。基本兵装……確認。コンディション……オールグリーン。自己診断プログラム、終了しました」
瞼を閉じたまま、普段といささか異なるハイトーンかつ平坦な声で、そうつぶやくと、ハッと我に返って、目をしばたたかせる。
「い、今のは?」
「成功したようだね。「島風」、君の船体の全長と最大速力を教えてくれ」
「はい、全長120.5メートル、最大速力は40.37ノットです」
唐突な提督の問いかけにもスラスラと答える「島風」。
「航続距離と現在の兵装は?」
「速度18ノットで6000海里、現在は12.7センチ連装砲と61センチ四連装魚雷を装備しています……って、提督、これは一体!?」
「簡単にいえば、通常の有意識艦と同様、今の君の意識の一部は、現在建造中のとある船体と同調している。もう少し慣れれば、至近距離からなら動かすことも可能なはずだ」
どうやら、「人間に艦むすと同等の能力を身に着けさせる」という眉唾物の題目は、デマではなかったらしい。
「もっとも、船体の方は未だ試験段階で竣工間近……ということになっているし、半月後に竣工しても、いきなり最前線に出す気はないから、安心してくれ」
「はい」
心情的には、「奴ら」と戦うためにむしろ積極的に前線に出たい気もしたが、一方で、自分が「実験サンプル」であること、数値はともかく自分の戦力自体も未知数であることも理解していたので、「島風」は素直に頷いた。
「さて、本来"人"である君が、ここで有意識艦──艦むすとして暮らしていくうえでの注意を、事前にいくつかしておこうか。
まず、睡眠については、通常の人間と同様、1日6時間程度とって問題ない。艦むすは作戦行動中は睡眠欲をカットする機能も備わってはいるが、逆に鎮守府にいる間、暇さえあれば居眠りしているような娘(こ)もいるからね」
確かに、眠そうにしている艦むすを鎮守府内で目撃したような記憶は、おぼろげながらあったので、「島風」は頷く。
「次に食事について。これも、鎮守府にいるあいだは、皆普通の人間と同じ物を3食食べている」
お茶碗山盛りの弾薬やボーキサイトの塊りをバリボリ貪り食う……などという荒業にチャレンジしなくていいらしいと知って、ホッと胸を撫で下ろす「島風」。
「まぁ、装備が大きく破損した場合などは、自己修復が追いつかずに、入渠(ドックいり)して特別な処置を受ける必要もあるが、君の場合は当面その必要もないだろうから安心したまえ」
「わかりました。それで、あの、提督、おトイレは……」
「うん、それをこれから説明しようと思ったんだ。艦むすもトイレには行くには行くみたいだが、頻度的には普通の人間より少なめだ。
食事をして一定時間後に排泄する──というサイクルができているようだから、そのあたりは少し気を配ってくれ」
「了解しました……じゃなくて、すみません、私、今行きたいんです」
少々はしたないかもしれないが、そろそろ尿意が危険領域に突入しつつあったため、顔を赤らめつつ、「島風」は提督に告白した。
「! あぁ、すまない。そこのドアを開けて廊下に出たすぐ右に、男女兼用の職員用手洗いがあるから、そこを使ってくれ」
「は、はい。あの、それでは、しばし失礼します!」
微妙に内股&早歩きで処置室を出て行く「島風」。
しかし……。
「きゃあああーーーっ!?」
1分後、トイレの方角から黄色い悲鳴が聞こえてきた。
「おっと、しまった。"あのこと"を説明するのを忘れていたな」
* * *
「あの、それでは、しばし失礼します!」
とりあえずそれだけ言ってから、私は急いで部屋を出てお手洗いに向かいました。
(う〜、提督の前であんなコト口にしちゃうたなんて恥ずかしいよぉ)
とは言え、若い殿方の前で失禁でもしてしまったら、それこそ目もあてられませんし、仕方がなかったのだと割り切るしかないでしょう。
職員用おトイレは、男女兼用ということで男性用小用便器と個室がそれぞれふたつずつ並んでいました。
幸い、中には先客は誰もいなかったため、奥の個室に駆け込み、便座に腰かけます。
「ふぅ〜」
大丈夫、漏れそうですけど、まだ漏れてはいません。
念のため個室の鍵が閉まっているのを確認してから、ミニスカートをめくり、少し履き込みの深い白いショーツを下ろしたのですが……。
「こ、コレって……」
なぜかその下にさらに黒い革製の下着を履かされていました。
Tバックという程ではないにせよ、かなり紐に近い面積で、エッチな写真集とかでモデルさんが履かされていた「そういう目的」の下着っぽい感じです。
ただし、股布(クロッチ)の部分だけは多少布地が多く厚めで、しかも中に何か堅いプラスチックのようなものが当てられています。
「! も、もしかして、コレ、貞操帯とかいうものなんじゃあ」
話にしか聞いたことのない器具(?)を連想して戸惑いましたが、幸い鍵とかがかかっているワケではないようなので、このまま脱げば用は足せそうです。
私はレザーショーツの脇に指を差し込み、おそるおそる引き下ろします。
すると、何かショーツのクロッチで押さえつけられていたモノがピョコンと飛び出してきました。
それが何かを理解した瞬間、私の口からは思わず悲鳴が飛び出していました。
「きゃあああーーーっ!? な、なんで……なんで私にオチ○チンがあるのぉ!?」
* * *
トイレに駆け付けた提督は、半ばパニックに陥っている「島風」をなだめすかして、なんとか落ち着きを取り戻させた。
「──グスッ……つまり、私は、ホントは男のコで、だから、その……下にツイてるのも当然だ、っておっしゃるんですね」
「ああ、説明が遅れてすまない。君があまりに自然に女性らしく振る舞うものだから、俺もうっかりそのコトを失念していたようだ」
半ベソをかいている「島風」の手を引いて元の部屋に戻り、頭を下げる提督。
「もぅ、そのコトはいいです。でも、どうして、私、こんな格好をさせられているんですか?」
自分が本来は「男」だと知らされてショックを受けたものの、提督の潔ぐ謝罪されたためね、それ以上は責められない。なので、「島風」は別の方向から質問を投げかけた。
「無論、機密保持のためだ。有意識艦の船魂がすべて「女性形」であることは知っているな?」
「はい。だから、"艦むす"なんて呼ばれているんですよね?」
「その通り。だから、いかに"試作艦"と称していても、「男性形の船魂」がその中に混じっていては目立つし、どこか不審に思われるだろう」
確かに、理屈としては間違ってはいない。
「故に君には、これから1ヵ月間は、その格好で女性として暮らしてもらう」
「そ、そんなこと……私にできるでしょうか?」
両拳を胸元で合わせ、不安そうに目を潤ませながら、提督を見上げる「島風」。本人は意図していないのだろうが、その可憐な佇まいとあいまって、年上に男性には庇護欲をかきたてられずにはいられない仕草だ。
「──大丈夫だ。記憶封印処置と同時に施された暗示で、今の君は自分が女性であることに疑問を持たず、ごく自然に振る舞えるだろう」
思わず抱き寄せたくなる衝動をぐっと堪え、提督は「彼女」の肩に両手を置いて優しく諭す。
「でも……その……スカートの中とか……」
「下着の下に拘束具を着用していただろう。あれを着けている限りは、少なくとも下着越しならバレないはずだ。問題は入浴だが、その点は此方で便宜を図ろう。データ確認のためという名目で2日に1回研究所に呼ぶから、そこでシャワーに入ってくれ」
いろいろ考えてあるらしい。それにそもそも「島風」側に拒否権はないのだ。
「ぅぅ……わかりました。頑張ります」
まだ納得がいかない感じではあったものの、「島風」が頷いたので、提督も内心ホッと胸を撫で下ろす。
軍人としては「佐世保の若鷹」と呼ばれるほどの器量を持つ山本大佐であったが、女性の扱いは専門外だ。
艦むすたちとの交流で、そのヘンも徐々に慣れてはきたものの、基本的に聞きわけがよく精神的にも大人な子の多い彼女らと違い、「泣いている女の子」の相手は流石に手に余る。
(──って言っても、コイツは本来は男なんだがな)
半ば無意識に「よしよし」と「島風」の頭を撫でながら、心の中で苦笑する提督。
もっとも、彼になでなでされて、「えへへ〜」と幸せそうに頬を緩めている様子を見ていると、「彼女」が♂だとは(本来の姿を知っている山本ですら)信じ難いのだが。
* * *
「そろそろ落ち着いたかな? では、君の「同僚」たちを紹介しよう」
提督に連れられて、私は有意識艦待機所と名付けられた施設へとやって来ました。
もっとも、待機所と言っても、実質的には出撃中以外の艦むすの生活の場と言ってもよい場所なので、一般職員などには「艦むす女子寮」などと呼ばれているようですが。
玄関に置かれた呼鈴(ベル)を鳴らすと、くすんだ紅色の着物の上からかっぽうぎを着た小柄な女性が奥の方から出てきました。
「あら、提督、ずいぶん遅かったのですね」
「すまない、鳳翔さん。ちょっとだけ予想外の事があったものでね」
気さくに言葉を交わすと、提督はチラと私の方に視線を向けられました。
(えっと……挨拶しろってことだよね)
「えっと、試作型駆逐艦の「島風」です。これからしばらくの間、こちらでお世話になります。どうぞよろしくお願いします」
私はペコリと頭を下げました。
「まぁ、これはご丁寧に。礼儀正しいお嬢さんですね。私は、鳳翔型1番艦「鳳翔」です。出撃時以外は、こちらの寮母のようなことをさせていただいてます」
ニコッと優しく笑いかけてくださる鳳翔さんは、外見年齢こそ若い(たぶん20代半ばくらい?)ものの、なんだか「お母さん」と呼ぶのがピッタリの暖かい雰囲気の女性で、私は少し緊張が解れたような気がしました。
「今、こちらに何人くらい残ってるかな?」
提督の問いに、ちょっと考え込む鳳翔さん。
「そうですね。第二と第三の子たちは今、遠征中ですから……第一と第四合わせて11人でしょうか。
翔鶴は提督の執務室ですし、摩耶ちゃんはいつものように裏山、鈴谷ちゃんは酒保でお買い物みたいですから……8人残っていると思いますよ」
「ふむ……じゃあ、ちょうどいいか。鳳翔さん、悪いんだけど、翔鶴を呼んで来てくれないかな。俺は、「島風」を仮配属する第四艦隊の子たちに声をかけるから」
そうして、居間に通された私は、まずは6人の艦むすの子たちと、互いに自己紹介することになりました。
「試作型駆逐艦の「島風」です。佐世保で試験を行うことになったので、これからひと月の間、お世話になります。まだ船体(からだ)も未完成の未熟者ですが、どうかよろしくお願いいたします」
慣れてきたせいか、この挨拶の口上にもだいぶスラスラ言えるようになってきました。
「古鷹型1番艦「古鷹」です。一応、第四艦隊の旗艦を務めさせていただいています。こちらこそよろしくお願いしますね」
半袖の白いセーラー服を着た18歳くらいに見えるショートカットの女性──古鷹さんが、礼儀正しく挨拶を返してくださいました。
「長良型2番艦の五十鈴よ。水雷戦隊の指揮ならお任せ。正規配属じゃないのがちょっと残念だけど……わからないコトがあったら、何でも聞いてちょうだい」
五十鈴さんは、白と赤の袖無しセーラー服を着た高校生くらいのお姉さんです。ちょっと勝気そうですが、その分、いろいろと頼りになりそうかも。
「やぁ、僕は白露型2番艦「時雨」さ。これからよろしく」
「こんにちは〜、白露型4番艦「夕立」よ。よろしくね!」
お揃いの紺地に白襟のセーラー服を着た時雨さんの夕立さんは、姉妹艦なのに随分性格は違うみたい。年は、私と同じか、ひとつくらい上かな?
「──ズドラーストヴィチェ、暁型2番艦「響」だ。短い間だけど、同じ釜の飯を食う仲だ。よろしく頼むよ」
外見は私よりひとつふたつ年下に見えるのに、白い長袖セーラー服姿の響さん(ちゃん?)は随分落ち着いた印象の子です。
「あらあら、それじゃあ私が最後かしら」
ちょうどその時、紅白の巫女装束姿(ただし袴はミニ丈)の20歳くらいの女性が、居間に入って来ました。
「翔鶴型航空母艦1番艦の「翔鶴」です。第一艦隊の旗艦で、提督の秘書艦も務めさせていただいます。提督の御用がある時は、ひと声かけてくださいね」
この方も、何て言うかおっとりしてて優しそうな女性です。鳳翔さんが「お母さん」なら、翔鶴さんは「一番上のお姉ちゃん」って感じでしょうか。
それにしても……何と言うか、各人方向性は違うものの、皆さん美人美少女揃いです。ひょっとして、提督のシュミでしょうか」
「──何を考えているか大体わかるが、別にそういう艦(こ)ばかり狙って集めたワケじゃないからな」
「て、提督ぅ、心を読まないでください!」
「いや、最後の方、口に出してたぞ」
「あぅっ!?」
しまった。「島風」、一生の不覚です。
「うふふ、「島風」ちゃんも可愛いですよ」
翔鶴さんがフォローしてくださいますが、グラビアモデルにも滅多にいない程の銀髪美人にそんな風に言われてもフクザツかも。
とにもかくにも、こうして、私の艦むす(見習)生活が、幕を開けたのでした。
#以上。なお、この「島風」が原作と随分性格が違うのにも理由がありますが、その辺りは後編で。
続き来てたGJ!
496kbなので、そろそろ新スレの季節