【創聖】アクエリオンでエロパロ 2【EVOL】

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1名無しさん@ピンキー:2012/11/05(月) 01:52:20.24 ID:du6slLsM
前スレ埋まってしまったので、とりあえずひっそり立てました
気付いた方いらして下さい(何やら続編の噂もあるらしい?)

前スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1327590335/
【創聖】アクエリオンでエロパロ【EVOL】
2名無しさん@ピンキー:2012/11/06(火) 02:02:18.75 ID:tG6etevc
1乙
3埼玉昆布:2012/11/06(火) 17:30:39.79 ID:q9JLLsdR
「モロイの部屋」 パロ分多め、つかパロ

モロイ「さぁ始まりました!ネオ・ディーバ放送室からお送りする『モロイの部屋』!」
モロイ「この部屋では各回にゲストをお招きしてあ〜んなことやこ〜んなことを聞いてみたいと思います!」

ワーパチパチ /キャーモロイサーン

モロイ「OK、OK!センキューセンキュー!それでは栄えある一回目のゲストどうぞ」

パチパチ

***「ど、どうも、これ本当に姿映ってないんですよね?」
モロイ「えぇ声も変えて放送していますので、まず誰だかわかりませんよ」
***「そうですか、よかった〜」
モロイ「まぁ一応呼びやすいようにPNとかお願いします。」
***「PNですか?え〜とじゃあ『浮遊男子』で」
モロイ「ブッ」
浮遊男子「えっどうしたんですか?」
モロイ「い、いえなんでもないです、では浮遊男子さん早速質問コーナーよろしいですか?」
浮遊男子「えぇ答えられる範囲であるなら」
モロイ「では男性でいらっしゃる浮遊男子さんですが、今お付き合いしてる女性はいらっしゃいますか?」
浮遊男子「えぇ!?いきなりストレートですね、きっついなぁ」
モロイ「さぁできれば名前をイニシャルでお願いします。」
浮遊男子「イニシャルですか、え〜とミコノスズシロだから・・・」
モロイ「浮遊男子さん!?」
浮遊男子「あぁすいません!M・Sです、M・S」
モロイ「生放送ですのでうっかりに気をつけてくださいよ。」
浮遊男子「すいません」
モロイ「それではそのM・Sさんですが実際、夜の営みはしてるんですか?」
浮遊男子「うわ、直球ですね、え〜とそうですね、しています///」
ヒューヒュー コノコノー アマタコロスー!!
浮遊男子「なんかギャラリーに、変なのいません!?」
モロイ「気のせいですよ、全くせっかちなお兄さんには退場してもらいました。」
浮遊男子「なんか胃に穴が開きそうですよ;」
モロイ「さて営みをしているとのことですがお好きな体位とかありますか?」
浮遊男子「え〜と、正常位ですかね」
モロイ「ほほぅまたなんで?」
浮遊男子「いゆもは後背位で終っちゃうんですけど、何度かお願いしてやったことがありまして。」
モロイ「ふむふむ」
浮遊男子「正常位をしてる時M・Sと目が合うと彼女『恥ずかしいから見ないで・・・』とかいっちゃって!!」
ヒューヒュー コノコノー アマターアトデゼッタイニコロスー!!
浮遊男子「あの、そろそろいいですか、本当に殺されますよ;」
モロイ「なるほどわかりました貴重なお話ありがとうございます。」
浮遊男子「いえいえ」
モロイ「次回のゲストは『星間飛行』(仮名)さんです。それではさよならー!」

パチパチ
4前スレ674:2012/11/07(水) 02:56:15.82 ID:Shyz9MVX
モロイさん盛り上げてくれてますが…

前スレ途中で埋まってしまい、肝心のラストオチが切れてしまいましたので
僭越ながら再度あげなおします(いつも長くて申し訳ないです)
1.

「重く、高貴な調べ……」

「どうした?シュレード」
ひとしきり演奏し終え、ふと思案顔で呟いたシュレードにカイエンは尋ねた。
「……いや、どうにも気になることがあってね、親友」どこか訳知り顔で微笑む、銀縁眼鏡の奥の悪戯っぽい瞳。

久しぶりにカイエンはシュレードの特別室を訪れていた。頻繁に、というわけでもなかったが、それでも当然、
他の生徒たちよりは、何度かこの部屋に足を踏み入れていたカイエンであった。何よりジンやイズモ同様、奇跡的に
死の淵から生還した彼は、生来の病弱な体質からも、誰よりもその身体バイオリズムの高低の推移を、その後も
注意深く見守る必要性があったのだ。その健康診断のため、時折医療棟(メディカルセンター)を訪れるシュレードで
あったが、それ以外はこうしてカイエンが何度か足を運んで何事もないことを確認する。無論、シュレード本人からは、

……そんなに心配してくれるなんて、正直とても嬉しいよ、親友。でもさすがに……などと、
含み笑いを伴いつつ言われると、つい憮然とした表情になってしまうカイエンであった。

が、それでも……。

「俺が望んだアクエリオンによる至高の調べ……どうやら、それにはまだ続きがあったようだ」
新たな精彩を放ち輝くその瞳。それがなぜだかカイエンは、とてつもなく不安になる。彼自身の【絶望予知】は、
それでもまだ何事も告げようとはしない。そのことがせめてもの救いに思えた。本来なら、こんな能力(ちから)
発動しない方がいいんだが……、

カイエン自身は常々そう思っていた。それでも、それによって時前に回避できることがあるのなら、
そのためのほんの小さな心の痛みなぞ。いや。小さくなどはない、決して。それでもカイエンは、
それによってシュレードを救えるなら、どんな痛みも甘んじてこの身で受けるつもりでいた。

「どちらにせよ、あまり無理はするなよ。病み上がり、とは若干違うが、お前は他のやつと違って、
身体に受ける負担も大きいからな」
「ふふっそうだね、親友。俺が死に損なった本当の理由、それを知るためには、きっとまだ、
御迎えは早いっていうことなんだろうね……」

笑みを含んだ瞳で、どこかまぜっかえすように言うシュレードを見つめるカイエン。こいつは
本当にマジなんだか冗談なんだか解らない所が始末に終えない。そう、本当に怖ろしく……。

「そういえば、ミコノ……さん、正式にエレメントの資格を得られることになったんだって?」
「ああ、本来ならもっと早く資質を認められてもよいようなものだが……、何しろあいつは特別だからな」

ミコノ自身の繋ぐ力=\―それにより何度、他の候補生たちの力が倍増され、窮地を脱したかわからない。
無論、それは皆の絆を深める力でもあった。それは何を隠そうカイエン自身も。その小さくいたいけだった
妹の隠された能力によって、その心の温もりによってカイエンは結局、アマタを許すことにした。それはもっと
以前からのことでもあったし、無論それはアマタ自身のミコノを想う強い熱意が、結局はカイエン自身の心をも
動かしたからでもあったのだが。許すというその言葉そのものが、妹ミコノとアマタの恋仲を認めるということ。
 
 
だが……、ふっと息を吐くとカイエンは言った。

「俺はやはり文字通りの堅物なんだろうか。あいつの、ミコノの幸せを思えば思うほど、余計な考えで
あいつ自身を縛ってしまう」

イズモ・カムロギが提唱した子育て促進令。この学園において幾らなんでも、それは早急すぎる考えだと
カイエンは当たり前に思っていた。そしてほぼ彼のその考えは正しい、それでも。ふとポロン、と
傍らの鍵盤を爪弾くシュレード。そのピアノの和音に滲み出るカイエンの真心=B

「よい音色だよ、親友……」 君自身が本来持っているそれを、俺自身がもっと引き出してあげられたら……。
でもそれは、おこがましい考えなのかい? シュレード……。

「ふっ……、」
ふと口元に込み上げた笑いとともに立ち上がると、カイエンはシュレードに告げた。

「やはり俺は俺の考えで、あいつを守る。堅物≠ネ俺自身には、やはりそれしか出来ないからな」
片手を挙げて部屋から去っていく、その後姿を、シュレードは頼もしいものを見るように、静かな微笑みで見送った。
……ただ少しだけ、その真心に時折、屈折した不協和音が混じるのを不安に思いながら。

      ж

学園の校庭に降り立つアフラ・グニス。一週間の行程を終え、無事ハネムーン先から帰還したイズモとアリシア。
……お帰りなさい!アリシアを抱いて大地に降り立った父イズモを、にこやかな輝く笑顔で出迎えるミコノとアマタ。

「留守中、何事もなくて何よりだ、アマタ」
苦労性で心配性のイズモが、いかにも口にしそうな重々しい台詞に少しだけ苦笑う。もうアルテアとの戦いは
終わったのに。そう……、かつてそのアルテアの最高指令として、あの戦いを敵地であるアルテアで指揮していた
その人が、今ではこうして。

奇しくもそこ≠ヘアマタ自身の生まれ故郷でもある、湖畔に栄えた古代都市ネオ・ランディアだった。
……当たり前か。イズモとアリシアが出逢ったその場所で、彼女はアマタを産み落としたのだから。
近代都市ネオ・クーロンとは異なり、立ち並ぶ街並は古く、お世辞にも開発されているとは言えないが、
それでも街中を網目状にゴンドラの行き交う運河が連なる、その街の趣(おもむき)には格別なものがある。
何もかもが美しく優しく、そして懐かしい……。

「旅行はいかがでしたか?イズモ・カムロギ――いいえ、やはり野暮なことは訊くものではないですね」

アマタとミコノ、二人の背後から歩み寄るクレアに改めて向き直るイズモ。
……ありがとう、ミス(?)・クレア。お陰で妻アリシアと二人、大切な時間を久しぶりに、
ゆったり過ごすことができた。そう、決してもう二度と取り戻すことも叶わぬと思われた、大切な――。

ふふっ。感慨深げなイズモの隣でアリシアが含み笑う。「……?」その意味ありげな微笑みにクレアは、
いつになく訝しげな表情をする。

「理事長、いいえクレアさん……、貴女も御自身のお気持ちにもっと素直になられたら、きっと」
「……っ!?」

アリシア・ソラ。いや、アリシア・カムロギ――この女、やはりエスパー!?いや違う、そう、
ただのレア・イグラー。要するに我々と同じエレメント能力者か――珍しく固まり、押し黙ったままの
クレアの脳裏で様々な憶測が閃く中、アリシア自身は、ただ無心にニコニコと微笑むばかり。

伊達に歳を数百年重ねるばかりで、実は色恋沙汰には不慣れなロ理事長。
さしものクレアも、一つの恋を成就させた女心の深い機微には、到底辿り着けてはいなかった。
2.

『――お兄さま、やはりワタクシは身を引きます。それは何よりシュレードお兄さまとカイエンさまのコトを
思うからこそ……』『ありがとうクレア、やはり君は俺の大切な最愛の妹だよ』『お兄さま、ヒシッ!』

「不動……なぜ、そこで恥ずかしい一人芝居をしているのです!」

理事長室に戻ったクレアは、マジシャンの如し衣装を身に纏った見慣れた大柄の背格好の男が
席に着き、クレアが置きっぱなしにしていった、その恥ずかしい薄い本≠手に、あからさまな
棒読みを声に出し、読み耽っている様を発見するのだった――くっ!私(わたくし)とあろうものが不覚!

シュタッと無駄にテレポート能力を発動して不動の元へと歩み寄り、それを神速で奪い取るクレア。
「こ、こほん!……これはサザンカの私室から没収したもの!決して私(わたくし)自身が元から
所持していたものでは……っ、」顔を真っ赤にしながら、当然の如くそう弁明するクレアを、ふんと
愉快そうに鼻で笑ったかと思うと、不動はあらぬ方を眺めながら、既に別の思考へと至っている。

「アルテア界……やはり神話型の雛形は、その場所に眠っていた……」
ハッとして、まるで別人のような表情の不動を見上げるクレア。

不意に姿の消えた彼が、こうして今クレアの眼前に舞い戻るまでの、この数日間。一体どこで何をしていたのか。
それは知れたことだった。そんな短時間でよくぞそこまで。改めてクレアは、この男の底知れなさを思いやった。
そして形ばかりの我が息子≠ネがら、双星の書を密かに右目に隠し持つ本来のその姿を頼もしく思いつつ恐怖した。
だが、それも既に瑣末なこと……。

「アルテアは既にヴェーガと一体となり、元の姿の地球≠ヨと戻ったかに見えます、が――」
「それは似て非なるもの……アルヴェガ、その新しき名に相応しき新世界の産声……!」

クレアの言葉に呼応し、不動が力強く告げる。「――新たな神話が、この世界(ほし)で目覚める!!」

       ж

アポロニアス……そんな風に呼ばれた時代もあった。何より熱く懐かしいその響きが、彼をふと
神話の時代の自身へと立ち返らせる。まるで幻のように美しく、そして激しい鼓動に満ち満ちた世界。
遥かな時を流れたゆたい、彼はその時間の流れそのものを生きてきた。いつしかその個体の死と
共に自身がそれそのものであったことを忘れ、そして幾度目かの目覚めの度それを思い出し、
その気の遠くなりそうな繰り返しの数そのものが、彼自身の歴史と記憶とになって連なり。

『変わらないな、オマエは……』

その中で二度目≠ノ出遭った――かつて愛した、美しくも激しい、気高き愛しき魂。
はたしてアレは、ただの気まぐれだったのか、それとも本来の己自身が心から欲した
ものだったのか、今となってはさだかではない、が。

愛……、翅無の持つ、その感情に打たれたことだけは確かだ。堕天翅の持つ翅(はね)なぞが、
到底辿り着くことのかなわぬ世界。その魂が息づく人間界に興味を持った。ふっ翅無し、か。
我が種族の証である、その聖なる翅を失ってもなお、惹かれ続けた愚かな魂。
 
 
アポロニアス……そう呼ぶ声が今でも聴こえる。不動・ZEN。今はそう呼ばれ、ここで生き続ける
翅のない、只の翅無の男。不動とは、常にその場に留まり続けること。だからこそ何度生まれ変わり、
その生を受け継いだとて、不動は不動。それは変わらない。そして、かつて機械天使を操り、
故郷アトランディアを滅ぼした反逆の堕天翅は、もういない。が――。

アポロニアス……まだお前は俺を呼ぶのか。一万二千年を二度繰り返してもなお、裏切りの愛を欲し続ける
永久(とこしえ)の聖翅。ケッシテオレヲユルスナ。だから何度も裏切り続けた。お前の愛が途切れるまで、
ずっと……ユルシテハイケナイ。ケシテ。一度の裏切りは、もう決して正すことなどできはしない。
そうだ、俺を憎メ、恨メ、蔑メ。殺セ――だが、それがため罪のない命をも、あまりに多く巻き込んだ。

お前は、此処≠ナ眠れ……そう安らかに。

堕天翅族と翅無族、二万年と四千年を隔てた二つの種族の因縁。それが必然的にアルテアとヴェーガを生んだ。
新たなる愛憎のはじまり。そして、それも終幕――ではなかった。己自身に課した禁を破り、この「アルヴェガ」で
新たなる大地の産声を聴く。生まれる……!我が心臓が再び緋い血を全身に運び始める。それは一度は封印した、
翅無の感情。美しいと云うことの真の意味を悟り、蝶の夢、幻の如し天上界を去った。それは泥と血にまみれた、
躍動する生。生身と生身をぶつけあい性愛にまみれ、そして産まれる生命の息吹。全てが大地と繋がる永久の星の約束。

もう二度と、その名で呼ばれることなどなくとも。

3.

「ミコノ・スズシロ――これよりこの者に真のエレメントたる資格を与える!……前へ」
「はい……っ」

それは要するに一種の洗礼のようなものだった。クレア理事長と学園長が脇に控える聖堂の
壇上に上がり、多くの候補生たちが見守る中、ミコノはネオディーヴァ総司令、不動・ZENの
前へと進み出た。既にイズモとアリシアもハネムーン先から帰還。ネオディーヴァ特別
顧問となったそのイズモも所定の席に着き、皆と同様、その様子を心静かに見守っていた。

一週間前の三組の合同結婚式とは少々雰囲気の異なる厳かな空気が大聖堂内に漂う。ミコノ自身、とても
緊張していた。不動総司令、確かにまだこの人のことは苦手だけど……今はそんなこと言ってられないし。
何より己自身が、やっと正式なエレメントとして認められる厳粛な瞬間なのだ。特別そのことに執着を
持っているミコノではなかったが、それでもアマタたちと同様に、自分自身にもちゃんと自身を活かす
ことのできる能力(ちから)がある――そのことが何よりミコノはとても嬉しかった。

それは皆を繋ぐ力。普段は決して目に見えるものではないけれど。そう、全然目立たないけど。それがあったから、
皆まともに戦うことができた、そうアマタ君は言ってくれた。やっぱりおこがましい、以前も、そして今もちょっぴり
そう思うけど、でも。そうだよ。何よりアマタ君と出会って、私なんか、なんていう気持ちをようやく捨てられた。
必要以上に自分を卑下しなくてもいいんだって、そう皆に、これまでの戦いに教えられたから。だから――。

普段の魔術師風の派手な衣装ではなく、この日不動は、このセレモニー用の厳粛な衣装を身に纏っていた。
それでも、いつもの野生児風なザンバラ髪と右目を覆った眼帯はそのまま。元々大柄で誰よりも背が高いだけあって、
その神話風のヴェールを纏った儀式用の衣装がやけに様になっている。いつもと違うその不動に殊更に緊張させられる。
総司令――このネオディーヴァを預かる頭(ヘッド)であるこの男について、勿論自分は未だに何一つ知らない。
 
 
……と。

不意にミコノは唐突に不動に手を引かれ、その懐へと倒れ込む。『――セリアン』 えっ?

「ミ、ミコノさんっ!」
見守るアマタたちも、瞬間何が起こったのか全く解らなかった。ただ一つだけ判ったのは、
突然ミコノと不動の姿が壇上から掻き消えたことだった。俄かに騒然となる聖堂内。
……し、静かに!静粛にっ!生徒たちのざわめきと女教官のスオミの甲高い声が伽藍に響き渡る。

「おいっ一体何が起こったんだ!?総司令とミコノはどうしたッ」
俺たちの時、こんなことなかったよな――アマタたちと共に学園長と理事長に詰め寄るアンディ。が、クレア
理事長は一人冷静な面持ちを崩そうとしない。その様が妙に現実味を帯びてエレメントたちに迫る。そして――、
「皆、静まるのです……!」そのクレアの鶴の一声で聖堂内は水を打ったような沈黙に支配され、ようやく場が静まる。

しかし、

「一体何の余興だ!イズモ・カムロギ――ミコノと総司令をどこへやった?」
些か険のあるカイエンの怒号が響き、その鋭い眼光を自身に向けられたイズモは若干たじろぐ。やはり貴様と
不動は……、あらぬ嫌疑を掛けられ、イズモはカイエンの前に立ち尽くす。カイエン・スズシロ。ミコノの兄。
……かつてアルテアの長であった己を当然の如く受け入れられぬ者が、やはりここにいた。それが未来のアマタの
花嫁、ミコノの兄であったことも何かの因縁か。が……、お待ちなさい!再び放たれるクレアの凛とした声音が、
対峙する両者の間を分かち響き渡る。ここは無用な諍いは避けるのが必定。

「しばし、お待ちなさい。二人は必ず戻ってきます」

       ж

なんだろう、この感じ。なんだか、とっても懐かしいような気がする。

不思議な温もりに抱かれ、いつしかミコノは一人虚空を漂っていた。
……そばに誰かいる?でも、その人が誰なのか、わからない。

と、水のような流れの中でたなびく黒髪に気がつく。いつのまにかシュシュもいない。ミコノの長い髪はほどかれ、
いつしか素のままの自分自身になっていた。素のまま?――きゃ、あああぁぁぁ!!!不意に視線を俯け、ミコノは
いつしか自分が一糸纏わぬ素っ裸でいることに気付き絶叫する。その大げさな悲鳴でようやく目が覚めたような
気がした。――静まれ。が、見上げると、その穏やかな声の主が再び自分を聞き慣れぬ名前で呼ぶ。

『――セリアン』

緋(あか)い髪、深紅の瞳。その人は不動総司令とは似ても似つかぬ姿をした、けれどとても懐かしく狂おしい
感情をミコノに呼び覚まさせる。その屈強な厚い胸板に抱かれミコノは……、アポロニアス。いつしか不意に
その名を口にしていた。これまで呼んだこともない、聞いたことのない、その名前。なのに――どうしてこんなに。
気が付けば、いつしか両の目から大粒の涙が溢れ出していた。胸の奥が熱い。熱くて苦しくて、切ない。

その人の背には翼があった。そう、一つだけ――まるで引きちぎられた想いの名残りのような、その痛々しい片翼。

アポロニアス、セリアン……、互いをそう呼び交わすと、いつしか二人は唇を重ねていた。

目を開けると、ミコノはその太く逞しい腕に抱かれたまま、ある大地の上に降り立っていた。
ここはアトランディア。生命樹の息づく、神話の世界。……永い永い、口付け。しかし、ぼんやりとした
その視界がはっきりとするにつれ、自分を抱いているのが、先ほどの翼を持った赤毛の大男ではないことに気付く。

『ミコノ・スズシロ――』

厳粛な声音で自分の名を呼ばれ、ミコノはやっと気付く。自身を抱いていたのが不動・ZENその人であったことを。
4.

『ミコノ・スズシロ……お前は本当にアマタ・ソラを選ぶのか?』
唐突にそう訊かれ、ミコノは絶句する。アマタ、くん、を……?『アポロニアスではなく、ポロンを――選ぶのか?』

え?

再びそう尋ねられた次の瞬間、ミコノは両の乳房を乱暴に暴かれ、唐突にその大きな両手に鷲掴みにされる。
や、いやぁっ!……お前は獣と交わった。その罪を、どう償う?ち、ちがう。アマタ君は、獣なんかじゃ!
けれど次の瞬間、ミコノの脳裏にまたしても緋い髪の男が映る。カグラ……君?そして次々と移り変わる
目の前の映像。あれは、アポロ……そしてシルヴィア。

やっと、やっと逢えたの。アマタ君、ううん、アポロ……そして、そう。やっと気付けた。ポロン、アナタに。
……が。そいつは翅犬――冷厳な不動の声色とともに目の前に牙を剥いた一匹の翅犬の姿がよみがえる。
い、やぁあああ!!!

アポロニアス……どうして私を置いていってしまったの? どうして貴方を忘れてしまったの、私。
その暗黒の空間に一人きり残され、ミコノは途方に暮れる。どうして、どうして――その言葉ばかりが、
幾度となく脳裏で繰り返される。

『――やっと思い出してくれたのか、セリアン』

自分をそう呼ぶその人。ああっアポロニアス!再びミコノは差し出されたその腕に抱かれ、
熱い口付けを受け入れる。身体が、熱い。バサッ!大きく拡げられた片翼にそのまま
全身を包まれ、ミコノの裸体は、その抱擁と共に深い記憶の淵へと堕ちて行く。

三度気付くと、そこはアクエリオンのコクピットの中だった。そこで文字通りミコノはアポロニアス、
いや、不動と合体していた。「なかなかに良い締め付けだ……ミコノ・スズシロ」

イヤ……厭なのに、嫌じゃない。すごい、凄くキモチいい……のっ

ズブッズブッと何度も何度も突き入れられ、既にミコノの秘部はそれなしではいられなくなっていた。
本当に……っ、不動、総司令っと、私! あんなに嫌っていたのに。あんなに怖がっていたのに。なのに、
どうして。どうして、アマタ、君……。いつしかミコノの両目から溢れんばかりの涙が零れ出る。だが。

「おおっと、今その名前を口に出さないで貰えるかな、お嬢さん!」
どこかおどけたような、その口振りに静かな怒りを覚えるも、既に身体が言うことをキカナイ。
些か乱暴だが、的確なその愛撫。それは全てを知り尽くしている、そう大人の男の行為である以上の、
底知れぬ大きな何かの力を秘め、しっかりとミコノを抱いて離さない。……翻弄される。熱く激しく。

一体、何万年振りか……敵意を秘めた瞳。そして、ピチピチと躍動する、はねっかえりの若々しい翅無の女の肉体。
瑞々しい、新鮮な生命の息吹。その反抗的な全てが己自身を惹き付けて離さない。そして――。

その天真無垢な魂(こころ)を、こうして蹂躙する心地よさよ。

「ああっ!いいっイイの!不動!アポロニアスッもっと、もっと!」
「――はいよ、お嬢サン」

不動はミコノの片脚を抱えあげ、そのままの体勢で再び自身の巨根を突き入れる。容赦ないその強引な行為に
ミコノの秘所は暴かれ、否応なしに何度でも濡れていく。そして今度は口内で……、力なく不動のソレを咽下
深くまで咥えさせられ、おらおらおらおら!涙目でびゅくびゅくと注がれる熱い白濁を何とか飲み込むミコノ。
――健気だな、だが。

何度か苦行のようなそれを繰り返され、すっかりアポロニアスの性奴隷と化したミコノ。もっと、もっと……。

しかし、そこでミコノのその夢幻(ゆめ)は終わった。暗転。
 
      ж

「どうした、ミコノ・スズシロ……――」ハッとして、その声に目を開けるミコノ。
辺りは不可思議な静寂に満ちていた。ポトン、ふと額に落ちた雫の冷たさに我に帰る。
「不動……総司令!」言うが早いか、ばっとミコノは自分自身の肩を抱いていた
不動のその手から逃れ、じっと立ち尽くして両腕を掻き抱き、その身を強張らせる。

「何か、悪い夢でも見たか……?」
ふふっと苦笑うその表情(かお)は、何事もなかったかのように涼しげだった。気付けばそこは、いつだったか、
不動を探す旅の末に不動と落ち合い、神話型アクエリオンを発見した洞穴内だった。あの時と同じ二人きりの広々と
した空間。なのに……今のミコノは、この男の目の前にいるだけで、息が詰まるほどの息苦しさを感じるのだった。

「どうした――何をそんなに怖がっている?」
「不動……総司令、あなたは一体!?」

思わず叫ぶように発したミコノの声が洞穴内に大きく反響する。何を思い出した……セリアン。不動が一歩足を
踏み出すと、ジリ……、ミコノは思わず背後へと後ずさる。心なしか、その肩が小刻みに震えている。来ないで……、
私に触れないで!思いがけず大声で叫んだその声に、不動は少しだけ哀しそうな表情をした。が、それも一瞬のこと。

「お前のエレメント能力は繋ぐ力……、それが発動し、神話型アクエリオンは息を吹き返した」
そして今また、お前はお前自身の過去へと連なる、ある記憶を思い出した。違うか?その半ば見下したような
訳知り顔が嫌いだった。そう、何もかも全て見透かしているような。もしかしたら、貴方は全部知っていたの?
アルテアが生まれた理由(ワケ)も、その星の不幸も、すべて。

「……アマタ君は、犬なんかじゃない」
ふと俯き震える唇から発せられた、その言葉。いいえ……犬だろうと、なんだろうと!私はっ……!

そうか――では、お望み通り、今此処にそのアマタ・ソラを召還しよう。
「――エレメント・チェンジ!……アマタ・ソラ!!」
高らかな不動の声と共に不動自身の姿がその場から消え去り、代わりにミコノの目の前には、
自身の愛するその人、アマタ・ソラが立っていた。「ア、アマタ、君!?」

「ミコノさん!どうして……っ、それにここはっ!?」
突然の出来事に驚愕し、動揺しつつも、しかし、再び不動の声が響き渡ると、眼前に立ち尽くす
ミコノの肩を無意識に抱き、守ろうとするアマタ。

『ミコノ・スズシロ……お前は今までどんな夢を見ていた?
それは己自身の密かな願望が、姿を変えたものではなかったか?』
「……!? ミコノさん?」

その言葉に思わずミコノの瞳を見つめるアマタ。い、いや……。すると前方を見つめるミコノの視線が凍りつく。
アマタがミコノの視線の先を辿って振り返ると、その先に聳える何本もの巨大な水晶に、鏡のように、
ある映像が映し出されていた。万華鏡のように幾つも、その同じ光景を映し出す水晶のスクリーン。
素肌のまま抱き合い、激しくまぐわう一組の男女。

い、いやぁああああああああああああああああああああ!!!

緋(あか)い髪。そして鋭い眼光。まるで自分の分身であるカグラそっくりだと思った。だが……、
「違う、あれは――」アマタは知っていた。その人物が誰であるのか。神話時代、何より自分自身が、
いつの日も付き従い、そして大切に飼われていた、そう、あれは己自身の主(あるじ)。――アポロニアス。

その片方の翼をもがれた堕天翅に、一糸纏わぬミコノが愛されていた。
  
  
「ミ、ミコノ……さん、」
いや、見ないでアマタ君!……そんな目で、私を!気が狂わんばかりにミコノは叫ぶ。
違う、違うの、アマタ君。あれは私じゃ――ない。そう、私じゃない、の。……私は、『――セリアン』。
ミコノ自身の声に被さり、不動いや、その赤毛の大男アポロニアスの幻が囁く。

ミコノ、シルフィ、シルヴィア……そして、セリアン。真実の名と姿を今こそ取り戻すのだ。

再びその場に現れた不動。その右手が右目の眼帯を外し、閉じていたその眸を開く。
そこに現れる地球――いや、それは新たな星「アルヴェガ」。

5.

「アマタ!?」
ミコノと不動同様、忽然と姿を消したアマタに、再び一同は驚愕するばかりだった。

「クレア理事長、これは一体?今度こそ、このカラクリの説明をして貰おうか!?」
激昂するカイエンを前に、それでもひたすら冷静な態度を崩そうとしないクレア。
「――エレメント・チェンジ」「……?」
「そう、アマタ・ソラはかの地≠ノ召還されたのです――おそらくそこに、不動とミコノも」
「どこだ、そこは!?」
「今は教えられません……、」

くっ!あくまで冷静を装うクレアの襟元を掴むカイエンの手を振りほどき、
「御婦人に乱暴を働くのは、やめて貰おうか?」そう言い放ったのはイズモだった。
「……イズモ・カムロギ、貴様、やはり不動たちと一枚噛んでるのか!?」
「カイエン・スズシロ。貴殿が何を疑おうとそちらの勝手だが、今はミコノたちの
無事を確認することの方が先ではないのか?」「……っ!」

カイエンは悔しそうに苦々しくイズモの手を振りほどく。ミコノとアマタの仲を認めた瞬間から、かつて
敵だったこの男との妙な因縁も同時に始まっていた。俺はなぜ素直に認められない。結局アマタは、こいつの……!
そう、やつは一歩間違えばアルテア側の人間だった。現にあいつと兄弟も同然のカグラは元アルテアの戦士だ。
幾度となく俺たちの目の前に立ちはだかった、元を正せば、そいつもイズモとアリシアの息子。

「イズモ……、」不安げに傍らにいたジンがイズモの腕を取る。
「ジン・ムソウ……、一体なぜ、お前たちは死の淵からよみがえった?お前たちは、何をしようとしている?」
そんな今さら蒸し返した所で答えの出ない事にまでカイエンはこだわる。俺の【絶望予知】でさえ予見できぬ、
アルヴェガの未来。イズモが提唱した子育て促進令のおかげで、妹ミコノは……、一体、真のレア・イグラー
とやらを何人生み出せば気が済むのだ。幸い?この場にいなかったカグラ以外の元アルテア勢である、
イズモとジンの二人ににじり寄るカイエン。

「やめて!やめてください、カイエンさん!」
二人を必死に庇おうとするユノハ。しかし、それ以上は何も言えず、ただ潤んだ瞳を震わせるだけだった。
「ユノハ――……」無意識にそんなユノハに寄り添い、庇おうとするジン。思えば二人は初々しいながらも、
既に夫婦。チッ!思わず舌打ちするカイエン。イズモとアリシアに続く、今は一つの星として機能しているが、
彼らはアルテアとヴェーガを繋ぐ、立派な歴史的カップル第二号でもあった。

「やめておけ、親友――」
しかし、そこにいつ現れたのかシュレードが割って入り、ジンにまで掴みかからんばかりの勢いのカイエンを制する。
「シュレード……、」
「俺自身も彼らと同様、こうして一度囚われた死の淵から奇跡的に舞い戻ったことを忘れてないだろうな?」
そうだ……、アルヴェガの誕生と共に奇跡的によみがえったのは、何も元アルテア側の人間ばかりではなかった。
一度死した同胞たち。ジンの葬儀と共に葬られた哀れな生徒たちの大半も、今こうして。

カイエンは忘れていた。シュレード……、
彼の命をこうして取り戻すことができたのも、そのもう一つの真実なのだと。
 
 
「俺は今一度授かったこの命で、さらなる高みの旋律を必ず響かせる!ミコノとアマタ、
今すぐ二人を迎えに行こうじゃないか!」
「……シュレード」

クレアは、そんなシュレードの熱き心の音色に絶句する。
私(わたくし)は何を……、そうですね。おそらく不動も、こう言うかもしれません。

「恋とは不治の病!ならば、それを癒し、本来の姿に目覚めさせる泉に今こそ、いざ行かん!」
クレア理事長の凛とした声が高らかに聖堂内に鳴り響く。――ビシッ!

「ヘッドはシュレード!カイエン、そしてこの私(ワタクシ)、クレア・ドロセラ!」
……おぅ!とシュレードの宣言に続くクレアの命に活気付いた一同が、それは盛大にコケた瞬間だった。

       ж

『アマタ・ソラ――報われぬ翅犬の記憶を胸に、どう戦う?何を信じる?』
不動の声が残酷に脳裏に響く。不動総司令、もしかしたら、お前は……っ ふふっ気付いたのか、ポロン。
だが、もう遅い。ミコノ・スズシロ、いや、セリアンは既に我が手に――。

気付けば傍らにいたはずのミコノが宙に浮かび、いつしか不動の両手に抱かれていた。「ミコノさァん――ッ!!」
アマタの悲痛な叫びが洞穴内に響き渡る。すると次の瞬間、洞穴の一部が激しい地響きと共に崩れ落ちた。くっ……!
何が起こったのかと土煙の立ち込める周囲を見渡せば、そこには巨大な鋼の剣が差し込まれていた。
「こ、これは……アクエリオン・ゲパーダ!?」

『そこにいるのか、アマタ!』「その声は……シュレード!?」
『アマタ、早くお乗りなさい!』「ええっクレア理事長までっ!」
アマタの驚愕を他所にヘッドであるシュレードはゲパーダのその手にアマタを包み込み、そっと持ち上げる。

「どうして、不動総司令が?」
疑問の声を投げかけるシュレードとカイエンの二人にクレアが答える。
「今は説明している暇はありません。早く不動とミコノを追うのです!」
……と、唐突にカイエンの【絶望予知】が発動する。あれはっ……次元ゲート!?なぜだ、どうして。
それに数秒遅れてアクエリオン・ゲパーダの頭上に夢幻の花びらを開き散らしたような次元ゲートが現れる。
がしかし、それは幻影(まぼろし)。実際は真の入り口が何処に開いているのか定かではなかった。

「おそらくあのゲートの向こう側に不動とミコノはいるはず……、そうでしょう?カイエン」
「ああ。確かに二人の鼓動が聞こえる、いや見える……くそっ!不動の野郎!!」
カイエンの脳裏に閃いた映像に映ったのは、ミコノをしっかりと抱いた不動が、不敵な笑みを残して去っていくところだった。

「はやく!このままでは次元ゲートが閉じてしまう!」
言うが早いかシュレードがその能力を開花させ、カイエンの予知によって察知した場所を特定する。
「響け!美しき渾身のアレグロビバーチェ!!」
そしてクレアのテレポート能力が、その矛先に拍車をかけ、ゲパーダをゲートのすぐ傍まで導く。
「うぉおおおおおお!!!」さらにカイエン機に同乗したアマタが、そのエレメント能力・太陽の翼を力強く
羽ばたかせ……、ゲートが閉じるその寸前、アクエリオン・ゲパーダは、その未知なる空間に吸い込まれていった。
 
       ж

『……なぜ、再びゲートを開いた、ミカゲ』
『ふふっ知れたこと。貴方が追い詰められる様を、私はこれ以上見たくはない』

追い詰められる、この私が――不動は己自身の懐の裡で眠っていたはずの、その者に語りかけた。
いや、違うな。貴様はミカゲではない。ふ、頭翅(トーマ)か。

ミコノ・スズシロ、いやセリアン、貴方はまだあの女のことを……、いいや、それは違うな。頭翅。
何を今さら、私が幾度その言葉に騙されたと思っているのです。やはり貴方は、あの翅無の女のことを。
そうだろうか。三度久しく出逢ったその温もりに、確かにこの心は密かに突き動かされた、だが。

既に俺自身はアポロニアスではないのだ。堕天翅族のその男の魂は、もうここには跡形もない。
では、不動・ZEN……貴方にお尋ねしましょう。ミコノ・スズシロ、貴方は彼女のことを、どう思っているのですか?
そうだな、アイツは――セリアンとは似ても似つかぬ、弱々しい臆病者。しかし、あの頑固さと一途な気の強さだけは。
……どうしたのです、不動。いや、アポロニアス。

ゲートのその先は、一体どこに向かっているというのか。
……アトランディア。そうだ、今は失われし神話の故郷(ふるさと)。
 
6.

不動総司令……、いいえ、貴方は。アポロニアス。

ミコノは薄れゆく記憶の淵で、その確かな温もりを感じていた。かつて私自身≠ェ愛した、愛しいその人。
けれど、既にミコノ自身の心は、かの人の傍にはなかった。元は翅犬だろうと、何だろうと……、
そうだよ、私が愛しているのは、ここで今この時を生きているアマタ君。私はセリアンなんかじゃない。
ミコノ、ミコノ・スズシロ。それに大好きなお兄ちゃん、カイエン・スズシロのれっきとした妹だよ。

それを貴方は――、強引に奪って。何がしたいの?何をしようとしてるの。

どこか痛々しげな、その片方だけの翼。それでもあんなに美しく黄金(こんじき)に輝いてる。
……あの日と同じに。それは私≠庇って傷ついた翼。かつて貴方が私を愛してくれた、立派なその証。
そのただ一つの真実だった想いが、今でも痛いくらいに。

ああ、アポロニアス……!

だけど――、

「ミコノ・スズシロ――、」ふと目覚めると、またしても、その腕の中にいる自分を知る。
「不動、総司令……いいえ、アポロニアス」

「何か不服なことでもあるのか?」
「えっ?」

不動はミコノの心を見透かすように言った。不服――それは確かに。なのに……どうして、
こんなに安心するんだろう。この人の腕の中。さっきはあんなに怖がっていたのに、不思議。
 
 
「あの……、いつアマタ君たちの元へ帰してくれるんですか?」
「そうだな……、もう少しお前の体温(ぬくもり)を楽しんでから、にするか」

少しだけ悪戯っぽい笑みでウィンクすると、閉じたその左目がどことなく泣いているように見えて――、
ううん、それは気のせい?いつのまにか、そのもう片方の右目はいつもの眼帯で隠されていた。
何事もなかったかのように、いつも通りの不動に戻っている。けれど……、
懐かしい、その温もり。今はもう戻ることなど叶わぬ、その二人。

       ж

「不動・ZEN!!」
その二人だけの穏やかな静寂を切り裂くカイエンの怒号。「妹を、ミコノを返せ!!」
カイエン、お兄ちゃん!「ミコノさァァァァーーーーん!!!」 アマタ君!?

シュレードとクレアの強靭なエレメント能力をもってして異空間を行くアクエリオン・ゲパーダ。そして、
そのさらなる強力なエナジー源となる、カイエンとアマタのミコノを思う強い想い。不可思議な力で
個体のまま、ゲート内を行くミコノを抱いた不動は、その四人の暑苦しいまでの清廉な熱き魂を鼻で笑う。
ふっどうにも、真っ直ぐな奴らは苦手でいけない。

「どうする?ミコノ」
「勿論です!今すぐ私を皆の所へ帰してください!」
「――嫌だと言ったら?」

この人はもう……、その膨れっ面ですら愛しくて、不動はクツクツと笑う。悪ふざけは、いい加減にしてください!
それでも不動はもう少し、このままでいたかった。その怒った顔も、なかなか……、だが、ささやかな不動の
その願いは結局、届かなかった。不動は意を決すると立ち止まって停空し、行く手を阻むようにゲパーダに
向き直って立ちはだかり、言い放った。

「カイエン・スズシロ、アマタ・ソラ!ミコノ・スズシロを返して欲しくば、お前たちの
最も大切な者の名を今ここに解き放て!」「……!?」

そ、そんなの決まって――、アマタはすぅっと大きく息を吸うと、ありったけの声で叫んだ。
「ミコノ、さぁーーーーーぁぁぁんんんッ!!!」

くそっアマタに先を越されて、だが……、ミコノ。カイエンは改めて不動に抱かれたミコノを仰ぎ見る。
それはまるで一つの宗教画のようだった。二人の周囲を取り巻く目に見えないオーラ。
それは尋常でない関係に二人があることを否応なしに思わせる。しかし。

それが何だ。アマタを見ろ。あそこまでの真っ直ぐな馬鹿は、あまりお目にかかったことがない。が、しかし。
カイエンはアマタを少なからず羨ましく思った。お前みたいなヤツ、本来ならばミコノをくれてやる価値もないが、
それでも俺は。アマタ・ソラ。俺はお前に出会えてよかったと思う。お前がミコノの愛した男でよかったと、
そんな信じられない思いを今、確かに抱いているのだ。

フン、負けてなるものか――、「ミコノ―――ぉぉぉッッッ!!!!」

その瞬間、傍らのシュレードの幻(ホログラム)が、少しだけ寂しそうに微笑むのをクレアは見逃さなかった。
……シュレード、貴方は。

いいんだ、親友。俺はそんな君の傍にいられるだけで、それだけで、とても嬉しいよ。
最愛の妹ミコノさん、それが君自身が選んだ最高の真実。
 
 
「さあ、親友!それにアマタ!さっさとミコノを奪い返して皆の元へ還ろう!こんな所にもう用はない!」
何かが吹っ切れたようなシュレードの言葉に、ああ!はいっ!力強く頷くカイエンにアマタも続いて返事を返す。
「いくぞ!最強の四重奏ATTACK!!最愛・妹嫁・奪還覇(シスコン・マイラヴァ・カムバック)!!」

「あはっ――」それには、さすがのミコノ自身も呆けた顔で苦笑ってしまった。
っていうか、それ不動総司令にお見舞いしちゃっていいのかな!?「来い――っ!」「え?」
次の瞬間、堂々たる胸板を反らせ、確実に受け止めてやるぜな不動のドヤ顔を振り仰ぎミコノは、
さすがに蒼白(あお)い表情(カオ)になる。……が、それは決して悪い冗談などではなかった。

「うぉおおおおおおおおーーーー!!!」アマタが、カイエンが、そしてシュレードが、クレアが、大真面目な
熱血顔で不動めがけ、その波動を炸裂させる。……行け、ミコノ。ミコノをその腕から解き放ったその瞬間、
不動の微笑みがミコノに、もう呟くことのないその名≠最後に捧げるのだった。
『……愛している、セリアン』

アマタたちの放った波動が見事、不動に命中。熱き魂の真実に不動の執心が砕け散る。

その心意気や、よし……!


それが、四人の目に焼き付いた不動・ZENの最期の姿であった。
 
 
終章 -epilogue-

「で――、次元ゲート内で散ったはずの貴方が、なぜ今ここにいるのです?」
「細かい事は気にするな」

普段通り理事長室にてクレア主導の午後の御茶会に列席する不動。学園の校庭では、奇しくもカイエンとイズモの
二人がミコノを介して発生した互いの因縁に決着を付けるべく、ゲパルトとアフラ・グニスで妹or嫁(アマタの)
奪還対決を行っている最中であった。その世にも空恐ろしい窓外の光景を我関せずと、涼しげな眼差しで眺める不動。

『ミコノは、やはり渡せない――!!』
『何をいまさら!既成事実とやらは、もう作ってあるのだろう!?アマタ!!』
……た、確かにそうなんですケド。って父さん、どうして貴方が。息子である自分の代わりに
カイエンの前に当然の如くしゃしゃり出るイズモに青い顔をして苦笑うアマタ。まさに堅物対決。

『お兄ちゃん!ううん、カイエン、もうやめて!それにお義父さまも……っ!』
『お義父サマだぁ……?』
ハッ、思わず出てしまった(対カイエン的)失言にミコノ自身、蒼白になる。

そのミコノとアマタも、なぜかカイエンがヘッドで操るゲパルトのコクピット内にいた。
いや〜〜半ば強引にミコノさんと一緒に。アマタ君!絶対に止めようね!こんなことにアクエリオンを
使うなんて、お兄ちゃんは人として間違ってる!(というか確実に間違ってそうなのは、それをOKし、
黙認してる総司令と理事長なんですがぁ……、)結局そうミコノに諭されたアマタであった。

「ふっ、今日の茶の味は格別だな……、」
しれっとした不動の台詞に耳を傾けながら、はむっ、クレアはいつも通り好物のチョコドーナツをぱく付き、
何気に傍らのテーブルで原稿の手直しに大忙しのサザンカを横目で見やる。

「ふぇ〜〜〜〜んん、クレア理事長ぉ、やっぱり今日中っていうのは無理ですってばぁ!」
「……そうですか、では私(ワタクシ)が特別にセッティングしたシュレード・カイエンの
ピアノ演奏付き秋の夜長鑑賞会はなし、という方向で」
「はうっ!シュレード様とカイエン様が秋の夜更けに延々とぉぉぉ〜〜〜、その愛のまぐわいを
こっそり眺められる、こってりまったり鑑賞会だなんて、もう死んでもいいっ!」
その言葉を聞いた途端、人が変わったようにハッスルし、再び急ピッチで原稿修正作業に向かうサザンカ。

さすがに今回ばかりは引いてしまったのだろう、本日に限っては学園長も、
そしてドナール・スオミ夫妻も理由をつけて御茶会を欠席。

やれ、サザンカ……!とばかりに、すっかりサザンカを独自の手法にて手なずけてしまった鬼嫁ならぬ、
鬼理事長クレアであった。その理事長席の片隅で華麗に微笑む、小さな額縁入りシュレードの生ブロマイド。
ふふっシュレード、あなたとカイエンとの三人での合体、なかなかにオツなものでしたよ。

『うぉおおおおお!!やはりミコノは絶対に嫁にはやらん――!!喰らえ、爆裂徹甲弾!!』
『くっ倍返しィィ!漢らしくないとは、まさしくこのことだ、カイエン・スズシロ!!
こうなったら奥の手を使うしかあるまい……母星総力戦砲【アルテア・キャノン】(???)!!!』
(どーでもいいけど父さん、学園とこの島っていうか、この星【アルヴェガ】壊すなよ……)

「ふむ、今日の音色は、さすがに少しだけエキサイティングかもね……、親友」
その窓外の爆風に照らされ、いつも通りピアノを爪弾くシュレードの横顔も普段と同様、涼しげだった。

《続》
18埼玉昆布:2012/11/08(木) 15:18:26.98 ID:89WQFDaH
「モロイの部屋・2」

モロイ「さぁ始まりました!ネオ・ディーバ放送室からお送りする『モロイの部屋』!」
モロイ「この部屋では各回にゲストをお招きしてあ〜んなことやこ〜んなことを聞いてみたいと思います!」
モロイ「いや〜第2回です!それでは早速ゲストどうぞ!」

パチパチ

星間飛行「どうも〜星間飛行でっす、キラッ☆」
モロイ「みなさんお気づきでしょうが初の女性ゲストです!」
フーフー イェーイ
モロイ「私も若干テンションが上がってきました。では早速質問コーナー!」
星間飛行「なんでもどうぞー、キラッ☆」
モロイ「では遠慮なく、ぶっちゃけ俺どう?」
ドッ ナニキイテンダヨー ハハハ
星間飛行「えーモロイ君?うーんごめんね!キラッ☆」
ドッ フラレテヤンノー ハハハ
モロイ「OK、OK冗談はこの辺にして〜」
星間飛行「涙目になってるよ?、キラッ☆」
モロイ「グスッ、さてでは次の質問です。」
星間飛行「ほいほい・・・あ、キラッ☆」
モロイ「好きな異性はいますか?」
星間飛行「好きな人か〜、あ、好きなカップルならいるよ。キラッ☆」
モロイ「好きなカップル?例えば?」(そろそろキラッ☆うざいわぁ〜)
星間飛行「シュレード×カイエンかな」
モロイ「は?」
星間飛行「まず二人の肉体比ね、あ肉体比っていうのは攻めと受けのバランス
ってやつなんだけど、シュレードが3で完全に受けね、あぁでもシュレードが攻めって
いううのもオツなんだよね、弱気になったカイエンに「どうした親友?俺がほぐしてやるよ」
見たいなこといってさー!もうたまらんですよ!ジュルル、それでカイエンこの人のギャップが
すごい妄想心をくすぐるの攻めも受けも万能でもう1ヶ月妄想しても足りないくらい。」
モロイ「あのー星間飛行さん?」
星間飛行「一時期ジンくんって子いたでしょ?あの子もなかなか受け度が強いのよ!
あぁカイエン×シュレード×ジンって組み合わせもいい、すごくいい!あぁこの妄想を文面に残したい!
書籍にしたい!それでそれで―」
モロイ「さ、さぁ!時間もそろそろ終わりです、次回は『念力エロス』(仮名)さんをご招待します、それではー!」

パチパチ
19名無しさん@ピンキー:2012/11/08(木) 16:46:40.42 ID:+DoYXKtW
おお投下きとる 乙です
モロイさんがんばれww
20埼玉昆布:2012/11/09(金) 15:23:04.94 ID:R/eC6sxf
「モロイの部屋・3」

モロイ「さぁ始まりました!ネオ・ディーバ放送室からお送りする『モロイの部屋』!」
モロイ「早くも3回目です!いやぁー早いですね。」
ソーデスネー
モロイ「それではゲストの方どうぞ!」

パチパチ

念力エロス「どうも〜よろしく〜」
モロイ「さてなんと連続で女性です!私テンションMAXです!」
フーフー イェーイ
念力エロス「いや〜なんか緊張するね。」
モロイ「ではでは、念力エロスさんの緊張をほぐしつつ質問コーナーいってみましょうか?」
念力エロス「よろしく〜」
モロイ「それでは、ぶっちゃけ俺どう?」
ドッ マタキイタヨー ハハハ
念力エロス「ごめん、タイプじゃないんだ。」
ドッ フラレテヤンノー ハハハ
モロイ「うん、この展開は読めてましたよ。私も学習しますからね。」
念力エロス「目、めっちゃ潤んでるよ」
モロイ「いいんです!次の質問行きますよぉ!グス」
念力エロス「あ、うん」
モロイ「数ある女生徒の中でもファッションに関して、ずば抜けていますよね?」
念力エロス「まぁねこっちの格好の方が楽だし。」
モロイ「私も以前から気になっていたのですが、白いドレスを着てきたことありましたよね?」
念力エロス「え?あぁあれね」
モロイ「あれって乳首どうしてるんですか?いやむしろどこにいったんですか?」
念力エロス「乳首?」
モロイ「だってあのバッテンだけじゃ無理でしょ!?コラした人の画像見たけどバッテンに入らないし!」
モロイオチツケー オモロイ
念力エロス「ふぅーん・・・知りたい?」
モロイ「是非!」
念力エロス「ヒント、エレメント能力」
モロイ「エレメント能力?・・・まさか!?」
念力エロス「そ、わたしのエレメント能力で見えてないようにしてるだけなの。」
モロイ「なんと!見せる服で見せない、新たな露出プレイ!そんな環境を数週間過ごしたんですか?」
念力エロス「まぁね、あの時は迷走してたし、今考えるとすごい事してたね」
モロイ「いやー素晴らしいお話ありがとうございました。」
念力エロス「私もなんかすっきりしたよ。」
モロイ「さぁ!そろそろお時間です。次回は『さかさまさかさ』(仮名)さんをご招待します。」
念力エロス「私もそうだけど、特定しやすい名前だよね、みんな」
モロイ「ゲフンゲフン、それでは次回もまたー!」


パチパチ
21名無しさん@ピンキー:2012/11/14(水) 23:57:23.51 ID:D85RXlnt
俺もあやうくゼシカの乳首を探す旅に出るとこだった
公式的には肌色のインナーみたいなのあててるらしいけど
22名無しさん@ピンキー:2013/02/24(日) 20:20:03.28 ID:FrOpsVxH
保守っとく
23名無しさん@ピンキー:2013/04/17(水) 15:44:56.15 ID:IJEqmysb
保管庫やまとめとかはないんですか?
24名無しさん@ピンキー:2013/04/21(日) 23:41:54.34 ID:8Lce8dTb
前スレの?
ないと思う
25名無しさん@ピンキー:2013/05/04(土) 00:18:40.27 ID:dEgZh3Xv
ドナールのマシンバイブでグリングリンのウィンウィンにされた挙句
子供授かっちゃうスオミ教官の話書いてくれる神をずっと待ってる。
26名無しさん@ピンキー:2013/05/16(木) 15:46:51.34 ID:bBzzoqEo
27名無しさん@ピンキー:2014/01/17(金) 22:26:15.06 ID:RShIGVbN
テスト
28名無しさん@ピンキー
創聖