女装SS総合スレ 第8話

このエントリーをはてなブックマークに追加
300名無しさん@ピンキー:2013/02/26(火) 08:28:44.35 ID:VtNUWoQ0
乙です。このシリーズは際限ありませんねぇ。
次は女装2男装1の外出とか見たいかも
あるいは卒業シーズンに高校時代の制服で……とか
301 ◆fYihcWFZ.c :2013/02/27(水) 19:49:44.51 ID:BO7icE1v
少しネタにつまり気味だっただけに、新鮮なネタありがとうございますー。

今、俊也君が期末試験を前に忙しいので、彼の余裕が出たくらいに投下する予定で書いてみます。
302名無しさん@ピンキー:2013/03/02(土) 10:59:06.33 ID:9EyvWgeg
2月頃、所謂『●』使う荒らしがいて、巻き添えで40位のプロバイダーに書き込み規制がかかりましった。
qb7.2ch.net/_403/madakana.cgi

しばらくは、読めても書き込めない人が多くいると思います。
303名無しさん@ピンキー:2013/03/02(土) 11:05:41.86 ID:9EyvWgeg
>>293-294
そう言うわけで、 書き込み出来る環境を探し出すのが大変なのですよ。
『●』を利用した荒らしですので、解除まで何ヵ月かかるかわかりません。
304名無しさん@ピンキー:2013/03/10(日) 23:44:22.34 ID:OYZXJ5Of
ISP変更するのは難しいよな
305 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 11:54:52.84 ID:Oqay/txQ
なんだか、とても長い3部作になってしまいました。
“『弟はお姉ちゃん』 シチュエーション1”を改題して、その1回目分投下です。

『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 1/9

「なんていうのかな。運命の出会いだと思ったんだ」
 やたらにしつこいナンパだった。おまけに少し電波まで入っていた。
「……ねえ。返事してよ。オレ、そんなに気に喰わない? 名前だけでも教えてってば。君
みたいな可愛いコ、是非カノジョにしたいんだ」

 これまで何人かナンパがきたけど、俺が黙って何も反応しないでいると去っていった。
 なのに、なんでコイツだけはこんなにしつこいんだろう。
 温かい喫茶店から、この状況を(多分)ニヤニヤして見ているだろう俊也が恨めしい。

 今の俺は約10年ぶりの甘ロリ姿。
 172cmの身長に3cmの厚底靴、メイクはギャル系というんだろうか派手目な感じ。衣装は白
とピンクのフリル満載と、客観的に見ればどこのちんどん屋かと思いそうな姿なはずだが。

 このナンパ男の「美人!」「綺麗!」「可愛い!」連呼を聞いているとその気になってし
まいそうなのが怖い。
 自分や身内の「可愛い」評価なんて当てにならないものだけに、その客観的? な感想に
唇がほころびそうになっている自分が嫌だった。

 本気で困惑していると、俊也がやってくるのが見えた。その姿が本当に助け神に見える。
「ごめんごめん、待たせちゃったね!」
 ……まあ、よくよく考えたらこいつが諸悪の根源なわけで、マッチポンプもいいとこだが。
 駆け寄って手を繋ぎ、ナンパ男に軽く手を振って、そそくさとその場を離れる。

 いつもと違い、俊也の目線の位置が俺と一緒だ。
 あのブーツは上げ底なんだろう。それとなくガラスに映る姿で確認すると、黒いジーンズ
に包まれた細い脚が身体の半分を軽く上回って長く伸びて、嫌味なくらいになってた。
 悠里そっくりなだけあって、肌が綺麗で端正な顔立ちは、どこの王子様という感じだ。

「アキちゃん、すごい人気者だったね?」
 その“王子様”がからかう声で言う。
「あれ、罰ゲームかなんかじゃいか? 俊也こそ、女装のときはナンパ凄そうだけど」
「んー。スカウトなら余裕で来るけど、ナンパはあんまり来ないかな」
 美少女すぎて声がかけにくいとかあるんだろうか。

「それにしてもアキちゃん、随分板についてついてるんだね。普通に女の子っぽいよ」
「よせやい。こっちはバレないように必死なのに」
 慣れない厚底靴を履いて、内股になるように、手の振り方も仕草も女の子らしくなるよう
に。ほぼ10年前のことで忘れてると思っていたら、実行できているのが意外だった。

「声は、男そのまんまだけどね」
「俊也みたいに女の声出せないからしょうがない。練習する気もないし、このままでいいよ」
「でも本当に似合ってるって。履歴書の特技欄に、特技:女装って書いてもいいくらい」
 そんな履歴書、激しく嫌だ。

「履歴書にそんなこと書くのは、俊也に任せとくよ」
「僕のほうは、むしろ趣味:女装になるのかな」
 やっぱり嫌な履歴書だった。
306 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 11:56:48.04 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 2/9

 ちょっとしたことで、俊也と賭けをしたのが半月くらい前。
 それに見事に敗北した俺は、今こんな姿で街中を歩くという羞恥プレイを受けている。

 一人っ子だった俺にとって、初めて出来た年齢の近い同性の兄弟。
 そういえば、悠里を間に話すことはあっても、あるいは『悠里を演じる俊也』として話す
ことはあっても、直接俊也と2人だけで話す機会はあんまりなかったからいい機会かも。
 それが、俺が女役での“デート”という場なのは、大いに異議を唱えたいところだが。

 今日も仕事の悠里と朝別れて、その後俊也と2人で一緒に電車に乗って移動。
 (ついでにその時点で、念のため俊也が本当に俊也であることを確認)
 “待ち合わせ場所”が一方的に見える喫茶店に俊也を残して別れ、春の日差しの下、30分
ほど晒され状態でじっと待機。

 ナンパに会う様子をたっぷりと鑑賞されたあと合流し、只今散策中。
 厚い白タイツを履いているとはいえ、膝上20cmの、ふわっと広がるスカート。
 3月の風が吹き込んできて、微妙に寒い感じがする。一応短めの白いコートを羽織ってる
けど、上着の防寒も充分でもないし、少し震えが走る。

「寒いの?」
 その俺を気遣うように、俊也が心配そうな顔で聞いてくる。
「少しね……」
「モデルやってると、11月とかに春物の撮影とかするから、感覚狂ってきてるのかな」

「そういえばそうだっけ。……じゃあ、もう夏物の撮影?」
「うちの雑誌だとそんな感じかな。仕事先で結構違って、1月のビーチで夏服の撮影したと
きは死ぬかと思った。でも他のみんなは平然としてるし、鳥肌立てるな! って言われるし」
 想像を絶する世界だった。

 その世界はともかくとして、寒いと生理現象が来易くなるわけで……俺は困っていた。
「ごめん、トイレ行かせてもらっていい?」
「ちゃんと女子トイレに入るようにね。その格好で男トイレ入ったら変態だから」
 これを言われたくないから困ってたんだが、至極あっさりと断言されてしまう。


 近場の店に入って、女子トイレへそそくさと移動。
(恥ずかしがってたら目立つだけ……堂々としてれば大丈夫……)
 出来るかボケ。
 挙句、ついた女子トイレは行列ができているし。壁とお見合いしながら、じっと待つ。

 昔、連れまわされていた時はどうしていただろう。思い出そうとしていると、後ろにもう
一人女性が並ぶ。つい、まじまじと見てしまうのを止められない。
 身長は170cm越えてるようで、おまけに履いてるヒールも高いから今の俺より背が高い。
タイトなスーツ姿は見事なスタイルを映えさせる、そんなクール系の美人さんだった。

 悠里とタイプの違う美人につい見蕩れてしまったけど、いけない今の自分は女なんだった。
笑顔で会釈されてドギマギして、(たぶん引きつっていたであろう)笑顔を作って軽く返礼。
 ようやく空いたので、半ば逃げるように個室に突貫する。
307 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 11:57:46.60 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 3/9

 ふう、と息をつく余裕もない。男便所には絶対ないピンク色のタイル、ピンク色の仕切り。
 そして自分の纏う白のコート&ピンクのミニスカートが目に入ってきて気が滅入る。
 コートのボタンを外すと、出てくるのはこれまたピンクと白のフリル・レースの山と、盛
り上がる2つの丘。

 前回、Dカップのパッドを入れて、素の胸囲の差のせいで凄い巨乳になってしまっていた
ので、今回は反省してやや控えめのBカップのパッド入り。手触りも重みもリアルな本格派。
 そこから意識をそらしつつ、スカートとパニエをごっそり持ち上げる形でたくし上げ、白
タイツを腿の半分くらいまで下ろす。ショーツも下ろす。

 今は見えないけれど、このショーツもピンク色。フリルが一杯ついたシロモノで、今つけ
ているブラジャーとペアになった一品だ。
 前回の履かせられた悠里のものと違って、あまり伸びないけど手触りがやたらといい。
 便座に腰掛け、俊也から忠告を受けていた『音姫』を探して周囲を見渡す。

 これだろうか? 手かざしすると、流れ出す録音の水音。これが必要と思う女の子の考え
方は理解できそうにないけど、男と女で小の音は違うだろうからまあ助かる。
 なぜか完全勃起状態になっていた俺のモノを無理やり押し下げて、股間に挟んで発射でき
る角度に持っていくのはそれなりに大変だったわけだが。

 それでも用を足し終わると、なんとか勃起状態も収まったので立ち上がって下着、タイツ、
スカート、コートを戻す。変な状態になってないかもぞもぞ確認。
 男なら一瞬で終わるはずの工程が、今は面倒極まりない。
 これまたピンクのドアを開けて個室を脱出。男便所とは違う、妙な匂いが少し辛かった。

 さっきの長身美人さんは、化粧直しをしているところだった。時間をかけすぎたかも。
 洗面台の大きな鏡に、派手な姿の可愛らしい少女が映っている。それが自分であることに
気付いて、“可愛い”と一瞬でも思ってしまったことに落ち込む。
 しかしこれ、完璧に変態行為だ。ばれたらやっぱり犯罪者扱いなんだろうか。

 女の人が出たり入ったり化粧したりおしゃべりしたりしている、男子禁制の女の園。
 目立っているのは確かだけど、男じゃないかと不審がる視線がなさそうなのは助かる。
 白のコートにフリル付きの短めなスカート。付け睫毛までしたギャル系?の化粧。ゆるく
波打つ、茶色の肩にかかる髪(もちろんカツラだ)。
 鏡の中のそんな自分に戸惑いながら手を洗い、エアータオルで水分を飛ばす。

 いつもなら放置するかズボンで拭くだけの残った水分が気になり、ポシェットから細かい
レースと刺繍の入った白いハンカチを取り出し、マニキュアまで塗られた指先を拭う。
 その柔らかい手触りが、微かに漂う香水の匂いが、何よりも雄弁に『あたしは女の子だよっ』
と語りかけてくるようで、なんだかドキドキしてしまう。

 ポシェットの中に入っていて目についた、口紅を取り出して唇にあてがう。初めての体験
なだけに半分以上あてずっぽだ。
 なんとか形にはなったと思うけど、正直良く分からない。

 今度、悠里か俊也に習って、きちんと女の子らしく化粧直しとかできるようにしなきゃ。
出来れば声も女のものを出せるように──って俺、今一体何を考えた?
 一時的な、形だけだと思っていた女装に、心が段々と侵食されていきそうなのが怖かった。
308 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 11:58:45.48 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 4/9

 やたらに長く感じたトイレをげっそりした思いで出ると、俊也が女の子達に囲まれていた。
 美人モデルの姉と瓜二つという、並外れた美貌とスタイルの良さ。今は上げ底靴で“背が
やや低め”という弱点も克服してしまっている。逆ナンパを受けるのもしょうがないか。
 その美少年がこちらに気付き、笑顔でこちらに手を挙げる。

 なんだかドキンとさせられてしまった自分が悔しい。
 右手で女の子達に手を振って別れ、左手を恋人つなぎで手をつなぎ、歩き始める俊也。
 悠里と見分けが付かないくらいに繊細な、華奢な指先。
 その柔らかい感触にドキドキする自分に気付いてドキドキしてしまう。

「まあ、あの美人が恋人ならしょうがないかぁ」「王子様とお姫様って感じで絵になるぅ」
「実は有名な芸能人かモデルの変装だったりして」「ああ、なるほど。それ、あるかもぉ」
 さっきの女の子達の声が、立ち去る背中に聞こえてきて、さらに困惑してみたりもするが。


 四方山話をしながら適当に昼飯をとり、店や街をふらついたり、カラオケに行ったりと、
“デート”を堪能して、7時前、仕事を終えた悠里と合流。
 待ち合わせ場所に、細身の愛らしい姿を見つける。

 俺と色違いでおそろいの、黒のコート、膨らんだ黒と白のミニスカート、黒いタイツの姿。
 いつもは『男としては長め、女としては短め』なショートカットで通している髪は、今は
ウェストあたりまで伸びる、長い黒髪のカツラで隠してある。

 その場所には他にも結構待ち合わせ人がいるけれど、華やぎと可愛らしさで周囲の女の子
たちを軽く圧倒している。
 こちらに気付き、微笑んで小さく手を振る姿に見蕩れる。

「お姉ちゃん、お仕事お疲れ様。……あ、荷物は僕が持つよ」
 悠里が足元に置いていた、大き目のバッグを持ち上げながら俊也が言う。
「今日はどんな仕事だったの?」
 昼間の話もあって、少し気になったので聞いてみる。

「今日は6月号の撮影で、浴衣特集。神社に行って色々着替えて」
「うわ。寒くなかった?」
「浴衣って特に涼しいわけじゃないし、余裕、余裕♪ ……やっぱり浴衣とか気になる?」

「うん、見てみたいな。すごく似合うと思うよ」
 なかなか機会のない和装。でもテレビ画面に映る振袖姿はとても可愛かったし、できれば
そんな姿の悠里を間近で見てみたい。
 ……悠里のふりした俊也の振袖姿なら、近くで散々見たんだが。

「やっぱりそっかー。ピンクが似合うかな? 最近フリル付き浴衣とかミニとかあるもんね♪」
「かわいいの多いよね。アキちゃんにぴったりの浴衣探すの、今から楽しみだ」
「ちょっと待て。なんで俺が女物の浴衣を着る前提の話になってる?! 俺は着ないからな!」
「「えー」」
 抗議の声が見事にハモってしまった。
309 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 11:59:53.86 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 5/9

「百歩譲って女装アリだとしても、何で可愛い系に走るわけ? 違和感ありすぎない?」
「んー。自覚ないのかな?」
「だとすると、無意識のままやってるのか。凄い逸材だなぁ。アキちゃん、女装すると仕草
とか可愛くなるんだけよね。大人っぽい格好すると多分、違和感ありまくりだと思う」

 正直女装しただけで、自分の動作が自然と女の子っぽくなるのは自覚していた。
 10年前、冬子さん(仮)たちに叩き込まれた動作が戻ってきてるのだろうか?
 そんなことをさせられた記憶もないんだが。
 しかしまあ、傍から見てるとそんな感じになっているのか。少しショックではあった。


「何か食べたいものある?」
「なんとなく、パスタ食べたい気分かな」
 悠里の言葉に従い、お洒落なイタリア料理店を探して移動。男モードで一人ではまず絶対
に入りたくない、女性向けの感じの良い店だった。

 適当に注文をしたところで、隣の席の女性2人組から声をかけられる。
「……あの、男の方なんですか?」
「俺のこと? うん、そう。賭けに負けた罰ゲームでね。みっともない格好でごめん」
「えー。うっそー。すっごい美少女で、どこのモデルさんかと思ってたのに」

「女子力で絶対あたしら完敗だよねー。身体細いし可愛いし」
 この2人に比べたら確かに細い部類に入るんだろうか。一人は男子の言う『ぽっちゃり系』、
もう一人は女子の言う『ぽっちゃり系』って感じの女の人たちだ。

「あ、勝手に会話に割り込んでしまってごめんなさい」
「ああ、全然問題ないよ。何なら一緒に食べる? 机くっつけてさ」
 俊也のイケメンすぎる申し出。
 少し話して彼女たちの机が移動して一つに並んだあと、軽く下の名前だけの自己紹介。

「でも雅明さん、近くで見ても全然男だって分かんない。声が男だからびっくりしたもん」
「ひょっとして、悠里さんも実は男とか?」
「私、男に見えるかな?」
「まー、そりゃ、幾らなんでもありえないか。これが男なら、わたし女やめないと」

「俺、そこまで女装似合ってないと思うんだけどな……俊也のほうがずっと女装うまいし」
「あ、分かるかも。っていうか今の状態でも、俊也さん、あたしらよりずっと美少女じゃ」
「瀬野悠里……ってモデル、知ってるかな? 俊也が女装すると彼女そっくりになるんだ」
「んー。ちょっと知らないかなぁ」

「あ、あたし知ってるかも。前、テレビで見て、『この子可愛いなー』って思ってた」
「へー。どんな子だろ。スマホで検索かけていい?」
 そのコメントに、顔を見合わせて同時に吹き出す悠里と俊也。おずおずと手を挙げて、
「さっきはフルネーム名乗ってなかったけど、私が瀬野悠里、本人です」

「「え──────────────っ?!」」
 笑顔で名乗る悠里に、女性2人が思いっきり驚き、店じゅうの注目を引いてしまった。
310 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 12:01:05.81 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 6/9

「うわー。芸能人と直接会うなんて初めてだ……サインもらってもいいですか?」
「さっき、知らないって言ったばっかりなのに」
「いいの! 今日からファンになるって決めた! だって、こんなに可愛いんだもん!」
「うん、ありがとう。……私、読モだし、『芸能人』ってレベルじゃないけどね」

 まあ、メアドとか交換したりもしつつ、そんなこんなで和やか? に食事も終わって。
「雅明、ちょっとこっち見て……やっぱり口紅取れてるかな」

 そう言って自分のウェストポーチから口紅を取り出し、塗り始める。
 長い睫毛に縁取られた大きな黒い瞳に、至近距離で見つめられる。
 白くてほっそりした指先が、俺の唇の近くを往復する。
 気付いたけど、これ間接キスになるんだろうか。なんだかドキドキしてしまう。

「きゃー。絵になるぅ」
「写メ、写メ」
 ギャラリーのことはまあ意識の外に追いやって。


 その2人と別れ、女子トイレで潰れたパニエを直したりしたあと、夜の街を歩く。
 今日は悠里も高いヒールを履いていて、目線が俺と殆ど変わらない位置にある。
 その長身の、甘ロリ&ゴスロリの美少女?2人が歩くと目立ってしょうがない。

 本当は悠里と手を繋いで歩きたいのに、俊也と手を繋いで歩く不条理がきついが。
 店の明かりや照明が明々と照らす夜道。ほとんど黒一色なのにキラキラ輝いて見えるほっ
そりした姿。仕事帰りで疲れているだろうに、歩く仕草は一分の隙も無く可憐で優美だ。
 いつもと違い、長いつややかな髪が背中で揺れるのも目を引く。

「ねえ、カノジョたち、暇してるの?」
 前からやってきた、男性3人組から声をかけられる。なんかチャラくて嫌な感じだった。
「この子、僕の連れですから」
「お、僕っ娘? リアルでは初めて見るけど、なんか可愛くていいよね」

「いや、僕おと……」
「つーか、お前らなんで男をナンパしようとしてるんだよ。眼科行けよ。それともホモか?」
 女と間違えられ困惑する俊也をかばって、男達の前に出る。あえていつもより低い声で。
「「「男……?」」」

「けっ、オカマかよ」「他の2人もそうなんか?」「でもあれだけ美人なら男でも……」
 混乱するナンパ男達を尻目に、2人を手招きして先へと進む。
 今ので俊也と繋いでいた手が離れたので、悠里と並ぶ位置に移動して、手を差し伸べる。
 にっこり笑って、握り返してくる悠里。その柔らかな感触にドキドキする。
 ──それにしても今日はなんだか、ドキドキされっぱなしな一日だ。そんなことを思う。

 あとは適当にウィンドウショッピング。
 ゴスロリの店に立ち寄って悠里と2人で色々あわせてみたり、レディスの店をはしごして
大人びた服を試着して、「やっぱり似合わないねー」とコメントされてみたり。
 そして閉まる店も増えてきたので、3人つれそってラブホテルに入る。
311 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 12:02:11.41 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 7/9

「はぁー。今日は本当に疲れたー」
 コートだけ脱いで、ベッドに腰掛ける。いっそこのまま寝てしまいたいくらいだ。
「お疲れ様。女装外出はどんな気分だった?」
「もう、こりごり。2度とやりたくない」

「そうかな? 結構まんざらでもなさそうだったけど」
「自分がそうだったからって、俺まで一緒にするなよ、俊也」
 俺はノーマルな男で、きちんと悠里という(これ以上ないくらい可愛い可愛い)女の恋人
もいるんだ。女装は無理やりさせられているだけで、趣味でもなんでもないんだ。

 そう思いつつ、同じくコートだけ脱いだ悠里を手招きし、ベッドに呼び寄せる。
「なぁに?」
 と怪訝な顔で聞く悠里の細身の身体に抱きついて、そして半分無理やり唇同士を重ねる。
 ……って、オイ。

「お前か俊也!」
「ピンポーン♪ ……雅明ってば、相変わらず鈍すぎ」
 黒メインで白の飾りが要所要所に入ったゴスロリの、悠里そのものの可愛い姿。悠里その
ものの可愛い声。──でもこいつは、間違いなく俊也だった。

 何時の間に入れ替わったんだ? 晩飯の後は機会がないし、遡って考えて合流したあとも
可能性はなさそうだ。朝、出発時には確認済みだ。とすると……
「俺が、『待ち合わせ場所』で30分放置されてたときか。入れ替わったのは」
「そういうことー。私が悠里ってこと分かってくれると期待してたのになぁ。ちょっと残念」

 じゃあ、今日一日『俊也』と思ってデートしていたのが実は悠里で、合流して色々ドキド
キさせられたりした『悠里』が実は俊也だったのか。……うわぁ。
「浴衣の撮影っていうのは?」
「それは、きちんとお仕事してきたよ♪ もー、ばっちり」

 しかし、一度『確認』させておいて、その後入れ替わり。確か前もあったパターンだ。
 それだけに、見事に引っかかった自分の迂闊さが恨めしい。
「だけど、女装して恥ずかしがってる様子って、なんだか新鮮で可愛くてよかったな。俊也っ
たらそういえば最初からノリノリすぎて面白くなかったし」

「……ボク男の子なのに、こんな格好させられて、すごい恥ずかしいの……」
 外見は芸能界でも上位に入りそうなゴスロリ姿の美少女が、少年の声でもじもじと言う。
 悠里は「似合わなーい」と笑ってるのに、少し萌えてしまった自分が情けない。

「今日は気付かなかった罰として、いっぱい可愛がってあげるからね。覚悟はできてる?
 ……ね、“アキちゃん”♪」
 甘ロリ姿の俺を、俊也そのままの姿の悠里がベッドに押し倒す。

 力関係から言えば、抵抗しようと思えば出来るはずなのに、なされるがままに。
 二人着衣のまま、耳を甘噛みされ、首筋に舌を這われる甘美な感覚に酔いしれる。
「ぁん!……あぁん……ぃやっ……ぁん……はぁんっ!……」
 ピンクの口紅に彩られた俺の唇から、女らしい声が零れ落ちるのを止めることもできない。
312 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 12:03:14.35 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 8/9

 悠里の手が、パニエを持ち上げ、タイツの隙間に入り込み、俺のペニス……は完全に無視
してお尻の穴にあてがわれる。
 優しく、激しく、悠里の細い指先でマッサージされる俺の菊門。
 ローションもつけていないのに、悠里が力を込めると、徐々にその指を飲み込んでいく。

 深く、深く。俺の身体の中に潜り込んだ悠里の指先が、ダイレクトに俺の肉体をなぶる、
まさぐる、もてあそぶ。
 やがて俺の前立腺を探し当て、指先でこね始めるのを感じる。快感が全身を貫く。
 ピンクのスカートに包まれた俺の腰が、おかしなくらいに踊り暴れるのを止められない。

 射精したい感覚があるのに、俺のペニスは絶妙なくらいに何も触れることのない場所にあっ
て、解放されることもない。ただビクビクと空を切るだけの状態。
 それなのに襲い来る快感に、自分という存在すら保つことすら困難になる。

 今日一日だけでも、『これだけはやるべきじゃない』と心に引いていた一線が、凄い勢い
で崩壊していった。それでもなんとか守っていた、本当の一線すら軽く飛び越えそうな恐怖。
 肛門が開き、すぼみ、悠里の指を締め上げるのを繰り返す。
 その度に、腰に、下半身に、全身に電撃のような快感が走り回る。

「うーん、いつもよりずっと反応いいなあ」
 俺の肛門から指を引き抜いて、俊也の外見の悠里が言う。俺はといえば、まだ快感の余波
に支配され、ぜいぜいと喘ぐだけで、何も返事ができない。

 そういえば今はウェストニッパーつけてるから、余計に息が苦しいのか。
 外したい……でもこの服は、背中のファスナーに手が届かない俺一人では脱ぐことができ
ないし、それを2人に伝える余裕もない。
 パッドとブラジャーを邪魔に感じながら、ベッドに仰向けで胸と肩で荒く息をするだけだ。

 そんな俺に、今度はゴスロリ姿の俊也が跨ってくる。
 膝立ちのままずんずん進んで、俺の顔の上にふぁさっとパニエとスカートが覆いかぶさる。
 妙に篭った空気が息苦しさを促進する。真っ暗で何も見えない
 ……と思ったら、俊也自らパニエまでたくし上げて明るくなる。

 まず目に入るのは、正月に使った例の双頭ディルドーの黒光りする竿の部分。
 そしてその上に……ない。
 目に入るはずの俊也の男性器はそこになくて、代わりに綺麗に脱毛したパイパン状態の女
の子の割れ目が至近距離で見える。

「え? あれ? 悠里? ……いや悠里のじゃないな。俊也、いつの間にか手術したのか?」
 混乱する俺に、二人同時に吹き出す。
「違う違う。タックして隠してるだけだって。……今まで見せる機会なかったっけ?」
「気になるなら、今度アキちゃんにもしてあげるよ♪」

 なんだかよく分からないけど、そういうものらしい。
 しかし視界にいきなり俊也のものが入らなくて良かった、と内心思う。見えたら本当に最
後の一線を跳躍してしまうところだった。
 奇妙な安堵をする俺の口に、ディルドーの先端がねじりこまれる。
313 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/16(土) 12:04:08.71 ID:Oqay/txQ
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みA 9/9

「うわ。すごいエロチック♪ アキちゃんフェラチオ上手いなあ」
 頭であれこれ考える余裕がないので、大昔の記憶のままに、擬似肉棒を口でなぶる。
 10年泳がなくても一度身に着けた泳ぎ方は忘れないようなもんだろうか。違う気もするが。

 舌で亀頭部分を擽る、舐め回す。裏筋にそって舌を這わせたり。
 でも作り物の肉棒を咥えられているだけで、これだと面白くなんともないんじゃ……と思っ
てもみるけど、俊也はしっかり興奮しているようだった。

 俺が履いてるスカートをたくし上げ、タイツが降ろされて脱がされる感覚がする。
「やっぱり、脛毛が生えてると変な感じ……雅明、きちんと処理する気ないのかな?」
 悠里の声で、悠里が言う。どこも変じゃないはずなのに、なぜか変と感じる自分が変だ。
 『脛毛を剃ったり脱毛したりしない』──それも、俺の引いてる線のひとつだった。

 反応しようとするけど、喉奥までディルドーを飲み込んでいる今の状況ではそれも不可能。
「ううん、女装のためじゃなくってさ。私、やっぱりつるつるの肌のほうが好きだから」
 そう言えば、悠里との最初のセックスのときにそんなことを言われていたことを思い出す。
 あのときは、「男だからしょうがないだろ」と突っぱねたもんだが。

「彼女のために、脱毛する男性って意外に多いんだってね。前エステで聞いてびっくりした」
 男子高校生である俊也がなんでエステに行っていて、なんでそんなこと知っているのかと。
 ……まあ、こいつの場合普通に行ってそうだけど。
「ね。今度、私のためにきちんと脱毛してくれない?」
 また一つ『(最終ではないけど)越えてはいけない一線』があっさりと突破されていった。

「ちょっと体勢的にきついかな……ごめんね、俊也。少し休んでて」
 悠里の言葉に、俺の口が、漸く俊也のつけているディルドーから解放される。
 粘つく唾液がやたらに糸を引き、俺の着ている甘ロリのフリル部分にべったりと落ちる。
 そんな俺の腰を軽く持ち上げ、今度は悠里が膝立ちでベッドに上がってきた。

 下を見ると、俊也の服のままの悠里が見える。
 まるで宝塚の王子様みたいな、美少年そのものの姿。
 俺の履いているピンクのスカートに邪魔されて見えないけど、ペニバンを装着しているの
だろう。ぬるぬるとした液体を纏った、硬い物体が俺のお尻に突き当てられる。

 ずるずると、俺の身体がそのペニバンを飲み込んでいくのが分かる。
 この3人でのプレイで記憶している中では、一番あっさりと。裂けるような痛みは耐えら
れないほどではなくなっていた。代わりに蕩けるような快感がやってくる。

(まずい。このままだと、『俺』が『俺』じゃなくなる。『アキ』になってしまう)
 麻痺し始めた頭にそんな思いが過ぎるけど、もうなんでそれがまずいのかも理解できない。
「はぁぁぁぁあぁぁん! ……あぁぁぁん! ああ、ああぁぁああんっ!!」
 『アキ』に侵食されかけた頭のまま、悲鳴のような喘ぎをあげる。

 “男”である悠里の肉棒に、ピンクの甘ロリ服姿の“少女”である『アキ』が貫かれる。
 挿入する側ではなく、挿入される側として、何度も何度も絶頂を迎え、よがり狂う。
 今後は、これが日常になるのだろうか。
 自分でそれをどう思うか分からないまま、意識が白い闇に飲まれていくのを感じた。
314名無しさん@ピンキー:2013/03/16(土) 18:30:19.90 ID:UHDQzjgN
この読者モデル3姉弟は、どこまで読者モデル3姉妹なのでしょうか?
男装、女装、どちらも問題ないとか、美人過ぎる。

しかし、アキちゃんは、うかつ過ぎだし。なぜ、義姉弟であり恋人の見分けをしない?毎回?
たっく?ん?確かに双玉は隠れ棒は見えにくくなりますが女の子のとは形は違いますよ?正面から見ても、下から見上げても。
ぱんつをはいていればわかりにくいですが。


私は、個人的には、トイレットは男女別のではなく、男女同室を選ぶようにしていますが?
最近、下手な女装の男が女性用化粧室などで各種犯罪行為を行う事が多く、むしろ男女同室のほうが安全な事が多いですから。
それに、いくら、見た目の姿、服、声、などを換えても身分証や戸籍の性別は変えられませんから。

あと、アキちゃんは、お化粧、ボイスチェンジ、希望します

体毛は剃らなくても、短く切り揃える程度て良いと思います。
ドラッグストアなどで、お手入れ用の鋏、刃渡り5cm位で先端は丸くなって、肌を突き刺しにくいのを販売していますから。
315名無しさん@ピンキー:2013/03/17(日) 11:45:26.68 ID:Ls6FrmYG
タックをして、竿の部分を接着剤やテープでとめて「女の子の割れ目みたい」っていうのは、女装ものでは
お約束みたいなんで気にならなかったけど、

ttp://userimg.teacup.com/userimg/6625.teacup.com/misako/img/bbs/0001490_2M.jpg
ttp://userimg.teacup.com/userimg/6625.teacup.com/misako/img/bbs/0001461M.jpg
ttp://www4.kinghost.com/asian/mokio/girls_delta/646/img/008.jpg
ttp://promo.cravingcarmen.com/stunningpink/012.jpg

そこまで差があるもんなんかな?
316名無しさん@ピンキー:2013/03/17(日) 19:23:09.04 ID:+C3ShHPt
料金はあにぃ、私幹事が負担します
着物姿で一日、そぞろって歩いてくれるだけでOK
愛想や気遣いいりません
料金は、全額返金と、報酬代支払います
男性のみ募集です
年齢問いません


【日時】3月21日 10時〜17時(着物レンタル時間内)
【集合】浅草寺近辺(メールにて)
【必要なお金】私、幹事が最後に支払ます
・着物レンタル代1980円〜3150円+足袋代
・各自お昼ご飯代、おやつ代、お土産代
最後に一人、一万円の報酬を、幹事のわたし、あにぃから支払ます

[email protected]
317名無しさん@ピンキー:2013/03/17(日) 21:29:12.92 ID:romVCY+M
GJ!
毎回雅明振り回す2人が楽しそうでいいなw
318名無しさん@ピンキー:2013/03/18(月) 12:27:06.69 ID:H4UtTX9S
>>315
女の子の画像だけでなく、たっくを行った男の子の画像も有ればわかりやすいと思います。


まあ、漫画や小説などでは
例えばカツラを着けたり、特定の池に入るだけで、背格好や声まで女の子に代わったり、男の子に代わったりしますから、気にし過ぎるのはダメダメですがね。
319315:2013/03/18(月) 22:10:22.28 ID:lB5Tx/4g
ところが>>315の上2つは、中年男性によるタックの割れ目もどきの画像で、下2つが女性の股間の
画像だったりするのです。

……「女の子の割れ目そっくり」と言ってもよさそう、って理解してもええのかな。
320名無しさん@ピンキー:2013/03/19(火) 13:01:16.30 ID:xmr6t9zF
>>319
押さえ込みすぎて恥丘部分まで凹んでるな
321名無しさん@ピンキー:2013/03/20(水) 23:41:46.54 ID:xVqdSwD9
タックすげぇな…
322 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:09:39.91 ID:DzkHsOdn
雅明くんは、そんなに頭が良くなくて、わりと迂闊でうっかり系なキャラクターという設定なんで、そこあたりに
やきもきしていただけるとわりと実は作者冥利に尽きます。

タックについては、「あるはずのものがない」のがメインで、「ないはずのものがある」ほうは比較的意味が薄い
ので、描写少し変えました。ご指摘ありがとうございます。
>>312 は酸欠で意識が朦朧ぎみのところに目の前10cmに放り出されたので見間違えたという理解でお願いします。

自分で女装しても、絶対パスできないのでトイレでばれる心配はないんですが、パス可能なレベルになると
逆に悩みも増えるもんなんですねえ。面白いです。


というところで今回分の投下です。
323 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:12:19.70 ID:DzkHsOdn
1件失念。玲央や悠里の学校には、一応モデルを設定してます。
あまり重要な設定でもないので、分かったかただけ「ニヤリ」としていただければ幸いです。


『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 1/7

 昼食後、悠里の部屋に入ると、俺の恋人が制服を広げて眺めているところだった。
「それ、懐かしいね。どうしたの?」
「うん。後輩の子にお願いしてたのが届いたから」
「さっきの宅配ってそれなんだ。……ってことは、それ悠里のじゃないのか」

 『制服が可愛い』ことで有名な、ちょうど1年前まで悠里が通っていた女子高の制服。着
ていた当時はこの美人の義姉と、恋人同士になれるとは夢にも思っていなかったわけだが。

「うん、私のはこっちに別に用意してあるの♪ ……制服でレズプレイしたくなってね」
「却下で」
「レズプレイしてみたくなってね?」
「却下で!!」
 ……まあ、無駄な抵抗だとは、最初から分かってはいたのだが。


 両親は仕事、明日が終業式の俊也は学校、悠里は一日オフの恵まれた日。
 久々に2人でゆっくりできるかと思いきや。

 エアコンの効いた室内。恋人同士、全裸で隣り合わせに並んでベッドに腰掛ける。
 1年前には想像すらしなかった、1月前までは甘々で天にも昇るような気持ちだった状況。
 でも今は、1週間前とは変わり果てた姿になった自分の身体を見下ろし、ため息をつく。

「うん、雅明、すっごく綺麗になった。……色々、わがまま言ってしまってごめんね」
 悠里がそのほっそりした手で、俺の太腿を撫でながら言う。
 結局エステに連れて行かれて、俺の脚……どころか腕や陰毛や髭までを完全に脱毛されて
しまった。残っている体毛は髪の毛、眉毛、睫毛だけだという。あ、鼻毛もか。

 悠里と俊也の行きつけという美容院にも連れて行かれて、眉毛も、少し伸びていた髪の毛
も、“やや女らしい”レベルで整えさせられた。
 なんと鼻毛も専用の道具で手入れされて、俺の体毛の中では睫毛だけが素のままだという。
 両親とかは特に何も言ってこないけど、はて、どう思われているのやら。

「つきあってくれて、本当にありがとうね」
 とても嫌ではあったけれども、でもその感謝の一言ですべてが吹っ飛ぶ。
「いや、悠里のためならこれくらい何でもないよ」
 それは本心だけど、口にすると自分でも歯が浮きそうな言葉になってしまって恥ずかしい。

「……じゃ、はじめよっか」
 しばらくあって、そう言って悠里が立ち上がる。
 大きいわけじゃないけど形のいい、おわん型の胸がぷるんと揺れる様子に見蕩れる。
 例のピンクでフリル満載のブラジャーを身に着け、後ろのホックを悠里に留めてもらって、
パッドを入れて位置を調整する。

「少しくびれができてきた?」
「1週間程度だと、まだ効果は見えてこないと思うけどなあ」
 俺のウェストのラインに指先を這わせながら、悠里が聞く。
 先週の女装外出以来、美容体操や、肌などの手入れ方法を、俺は俊也を先生に勉強中だ。
324 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:13:40.06 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 2/7

 そのウェストに、これまたピンク色のウェストニッパーを巻きつける。
 美容体操の効果が出ていたのか、先週よりも1段階細い箇所でホックが留まった。
「ショーツは?」
「どうせすぐ脱ぐんだから、今日は最初から履かなくていいよ」
 そうなのか。

 これもピンクのスリップを身に着け、太腿までの長さの黒いストッキングを履く。
 前に2回女装したときとはまったく違う、とてもとても気持ちいい感触がする。
 脛毛を脱毛しただけで、こんなに肌の感覚が変わってくるのかと、少し悩んで気付く。
 そういえば普通のジーンズを履くと、ガサガサした感触がして少しつらいものがあった。

「アキちゃん、綺麗な脚してるよね♪ ネットに写真上げたら、美脚スレの常連になりそう」
「なにそれ?」
「脚フェチの人が集まって、綺麗な女性の脚の写真をアップしてる掲示板のスレッドとか、
そういう写真をまとめたサイトとか……知らない?」

「俺は悠里で間に合ってるから、そういうのはチェックしてないかな。どうせ悠里より綺麗
な脚とかないだろうし。……悠里や俊也の脚なら、いっぱいあがってそうだけど」
「うん、たまに見かける。──そしてこの割れ目ちゃんも、可愛い出来栄えで」
「やめれ。意識しないようにしてたのに」

 先週のラブホテルで見た、『タック』とかいう技術、それが今の俺には施されている。
 一昨日の夜、寝る前に悠里と俊也に呼ばれて、陰毛まで脱毛した下半身をさらけ出して。
 金玉を上にあげて体内に納め、竿を後ろに回して余った皮膚をそれを覆い隠す形で特殊な
接着剤でとめて、男にはありえない割れ目がそこにあるかのような形にして。

 それから丸一日以上そのままで過ごしたわけだけど、“あるはずのモノがない”という感
覚はとても奇妙なものだった。トイレも座らないとできないし。
 おまけに俊也の持つリムーバーとやらを使わないと、解除できないときてる。
「……悠里ってさ、俺を最終的にどうしたいのかな」

「最終的に、って?」
「今みたいに、玉も竿もなくして完全に女にしてしまいたいのか、どうかとか」
「……んー。『私の彼氏』って部分は、絶対守って欲しいかな。だから、女になるのは絶対
禁止。女性ホルモンも当然禁止。それさえ守れば、あとは美人になればなるほど嬉しい感じ」

「よく分からない基準だけど……でも良かった。俺に女になって欲しいとか言い出さなくて」
「私、レズじゃないもん。やっぱり男のほうがいい」
 じゃあさっき、『レズプレイしてみたい』と言っていたのは何なのだろう。

 それはそうとして、女装再開。ブラウスに袖を通してボタンをはめ、スカートをはく。
 青と茶色のチェックでミニのプリーツスカート。ウェストは心配だったけど、ウェストニッ
パーのおかげか割と余り気味だった。ただ、太腿が半分以上丸見えなのが羞恥心を煽る。

「もっと、短くしたいな」
 それなのに、悠里はそんなことを言ってスカート丈を調整する。抵抗も意味無く、結局偽
物の割れ目スレスレまで丸見えで、かがめばお尻が見える超ミニスカートにされてしまう。
325 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:15:12.42 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 3/7

 薄茶系の色をした、可愛らしいデザインのブレザーを身に纏う。
 意外なことに肩がぴったりで、それ以外は少し大きめなくらいだ。
「そういえば、この制服どうしたの?」
「後輩の背の高い子に、『卒業後に、制服がいらないならちょうだい』ってお願いしてね。
身長が確か174cmだったかな。でも、ぴったり合うようでよかった♪」

 俺より背の高い女子高生か……なんだか色々と複雑な気分。
 その少女のものだろう、悠里とは違う女の子の匂いが漂ってきて、不思議な気分になる。
「ネクタイは締めないのかな」
「今日は部屋の中で過ごすつもりだから。外出したいならつけてあげるけど、お外行きたい?」

「この格好で街中を歩くのは、流石に勘弁」
「だよね。普通、この制服着た子は外出しない時間だし、補導とかされそうだし。
 ……アキちゃん、私よりずっと激しく乱れるから、エッチのときネクタイとかつけてると
怖いんだ。何かにからまって首が絞まったら大変だし。ということで、今日はネクタイなし」

 “今日は”ということは、明日以降はありうるのだろうか?
 それに期待している自分に困惑している俺をよそに、悠里がメイクを始める。

「……肌の具合、ずっと良くなってきてるね。追い抜かれないよう、私も努力しないと」
「それはないと思うけどなあ。悠里の肌、すごくきれいだし」
「あら、ありがと♪ でも、この一週間で分かったでしょ。これは努力の賜物です」
「うん。身にしみたよ。『美にかける情熱』って言うのかな。本当、凄いと思ったわ」

 30分ほど化粧が続き、仕上げとしてピンク色の口紅とグロス?が塗られる。
「今日は早く済んでよかった。また2時間コースなら大変だったし」
「お肌の基礎から作らないといけない状態だと、時間がかかるからね。お肌つるつるで化粧
のノリが違うし、前より随分楽になったかな。もっともっと綺麗になってね。アキちゃん」

 素直にこくんと頷きそうになって、慌てて止める。
 一番最後に、前にもつけた、脇の下までの長さの黒髪ストレートロングのカツラをかぶる。
 とりあえず今日はこれで完成形か……と思ったら、耳たぶの後ろに香水をつけられた。

「じゃあ、私も制服着るから、アキちゃんは自分の姿を鑑賞して待っててね」
 今までずっと全裸だった悠里がそう言って、移動式のスタンドミラーをベッドに腰掛ける
俺の目の前に持ってきて、その裏でもそもそと制服を着始める。
 さっきまで平然と裸だったのに、服を着るのを見られるのを恥らう。謎な女性心理だった。

 目をそらそうと思えば簡単にできるはずなのに、鏡に映る“少女”から目を離せない。
 そういえば、ここまでまじまじと女装した自分の姿を見るのは初めてかもしれない。
 鏡の中の少女が、瞬きの少ない、日本人にしては色素の薄い瞳で見返してくる。普段は一
重の目がメイクで二重にされている。それだけでも随分印象が変わるものだと感心する。

 どこかしら危うげな感じが漂う、人形めいた女の子だ。それが俺だと今一ピンと来ない。
 高校生の制服が、『少し背伸びして』いる印象すら与える。そんな、あどけない少女。
 記憶の奥にある“アキちゃん”を思い出させる姿。思春期の、『女としての成長』を迎え
ることのない、永遠の少女。そんなフレーズが浮かんで自分で恥ずかしくなる。
326 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:16:25.47 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 4/7

「うんうん、アキちゃん、すっかり自分に見蕩れちゃって、いい感じ♪」
 着替えを手早く済ませた悠里が、俺のすぐ隣に身体を密着させて座ってきた。
「……そんなことないって」

「素敵な女の子になるためにはね、まず自分自身に恋しなきゃいけないんだ。
 自分で自分を好きになれないなら、他の誰も好きになってくれない」
 そう言って、キラキラした目で俺を見ながら、俺の手の上に手を重ねてくる。
「大丈夫。アキちゃんはとっても素敵な女の子。……だから、もっと自分に素直になって」

 鏡の中に、女子制服姿の2人がいる。
 両親の再婚から1年前までの期間、ずっと憧れだった悠里の制服姿。あの頃より更に一段
と美しさと輝きを増した少女と、恋人として一緒に居られる。まるで夢のような気分。
 男なのに、それと同じ制服を着せられて、その隣に座っている。まるで悪夢のような気分。

「そんなこと言われても、俺、男なわけだしな……」
「『俺』じゃなくて、『あたし』。男じゃなくて、女の子」
「ついさっき、俺に『女になるの禁止』って言ったのに」
「それとこれとは別。ね、今日は夕方までおままごとに付き合って」

 一応、俺が抵抗はしたことは明記しておく。
 もちろん、無駄な努力だったわけだが。

 ベッドの上、互いの容姿や美容の話を皮切りに、悠里を『お姉さま』と呼び、女の子にな
り切って2人で女子?トークを繰り広げる。なんだかそれを楽しいと思ってる自分が嫌だ。
「ね、アキちゃんって好きな人いるの?」
「いますよぅ」

「ね、ね。どんな人?」
 それをお前が聞くか、と一瞬素に戻りかけたけど、言葉を選んで回答してみる。
「……んと、すっごく格好いい人です。すらりと背が高くてびっくりするほど美形だし、外
見だけじゃなくて、あたしなんかよりずっと大人だし、頭いいし、色々努力してるし」

 ニヤニヤ笑いながら聞いている悠里に、少し逆襲。
「そういうお姉さまは、好きな人いるんですか?」
「私の好きな人は、そうね。可愛い子だよ♪ 外見もすっっごく可愛いし、ひねくれている
ふりして根は素直だし、私がいじわるしても、なんだかんだ言って喜んでくれるし」

 あかん。全然逆襲として成立しなかった。
 それにしても俺(俺のことだよな? これ)、そんな風に受け止められてたのか。
 否定しきれない自分が悲しい。
「その子に不満があるとしたら、自分の魅力に気付いてないとこかな」

 そして俺の目を、いたずらっぽい目で見つめてくる。
「ね、分かってる? アキちゃん。これ、あなたのことよ。──私、あなたが好きなの」
 そう言って、俺の身体をベッドに押し倒してくる。
「駄目っ、お姉さまぁ。あたしたち、女同士なのにぃ」
 とっさにそんな言葉が出てしまった自分が信じられない。
327 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:17:23.80 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 5/7

「そんなこと気にしないで大丈夫♪……うふっ、アキちゃん可愛いよ」
 俺の身体に密着する体勢でのしかかってきて、唇を重ねる。
 悠里とは何度もしてきたディープキス。
 でも、自分が受身の状態でキスをされるのは多分初めてのことで。俺はそっと瞼を閉じる。

 微かに開いた唇から入り込んで、俺を求めて来る悠里の舌の感触。それを“受け入れる”
側としての自分に、陶酔めいた感覚を覚える。
 下腹部、俺がもし女だったら子宮がある場所が、なぜかジンジンと熱く感じる。その場所
から、波紋のような、ゆっくりとした快感が全身に伝わっていく。

「くちゅっ、ちゅぴっ……ちゅぱ……」
 こくこくと喉を動かして、注ぎ込まれた唾液を飲む。俺の口の中に進入してきた舌を絡ま
せあい、その舌による愛撫を受け入れる。
 これまで俺主導でやってきたキスが、ただの児戯に感じる絶妙なテクニックだ。

 キスが終わり、唇同士が離され、目を開ける。
 目を閉じる前とは違い、世界がひどく煌いて感じる。空気の粒子一粒一粒がキラキラと光
を放っているような感覚すらする。
 その中で、ひときわ輝いて見える悠里──お姉さま──の美しい笑顔。

「お姉さまぁ……もっとぉ、もっとキスをぉ……」
「あらあら、アキちゃんは仕方のない娘ね♪」
 麻痺しかけた意識の中、理性とはまったく関係ない場所で自分の唇が動き、そんなおねだ
りまでしてしまう。再び重なる、2人の唇。

 今まで記憶にないほどの、恐ろしいほどの幸福感が“あたし”の心を満たしていく。
 閉じた瞼の間から、だらだらと熱い涙がこぼれていくのを感じる。
 最初はゆっくりと、次第に早いペースで腰が、下半身が、脚が、全身が暴れだす。叫び声
が喉からこみ上げてくるけれど、ぴったりと唇を重ねた状態では声にならない。

 お姉さまは、そんなあたしの身体をしっかりと抱きしめてくれた。
 そんな至福の時間が流れたあと、ひときわ大きな快感の波が通り過ぎて、背筋が弓なりに
強張ったのち、全身からだらんと力が抜ける。
 唇が離れる。幸福感と快楽の余韻が残るまま、荒く息を繰り返す。

「キスだけでイっちゃったのね。本当、可愛い子♪……大事な大事な、私のアキちゃん」
 その言葉で、なんだかまた幸福感の波が襲ってきて、自分でも良くわからないまま、お姉
さまの胸の中で泣きじゃくり始めてしまう。
 お姉さまは、そんなあたしをふんわりと抱きしめ、背中を優しくさすってくれた。

 しばらくそんな時間が続いて……そして“俺”は我を取り戻す。
 悠里の柔らかくも温かい2つの丘(今気付いたけど、ノーブラだよこの人)に顔をうずめ
てる自分に気付いて、途端に恥ずかしくなる。

「アキちゃん、もう大丈夫?」
「いや、これやばいよ悠里。こんなの続けてたら、俺、確実におかしくなる」
「ぶぅー。おかしくなっちゃっていいのに」
328 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:18:16.51 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 6/7

 その言葉に反発する自分と、従いたくてうずうずする自分。
 心の中の2つの自分に戸惑う俺をよそに、ベッドの上、抱き合った状態のまま悠里は下半
身を擦り付けてきた。
 『貝合わせ』っていうんだろうか。そんな状態。

 2人ともスカートが極端に短く、下着もつけてない状態だから、何の障害も無く悠里の割
れ目と、俺のまがい物の割れ目がぴたりと合わさる。
 もう既に濡れ濡れになってる悠里のあそこの感触が気持ちいい。
 もともと性感の強い場所を集めて作っているだけに、快感の波がまたぶり返してくる。

 さっきよりは緩やかに、でも着実に自分の身体が登りつめていくのを感じる。
 いつもだったら、もうとっくに射精して終わっている状態。それなのに後ろに窮屈に折り
たたまれた俺のものはそれもできない。
 さっきよりマシだけど、それでも意思とは無関係にまた腰が動き始める。

 その度に新たな快感が加わって、徐々に、徐々に、身も心も蕩けていく。
「あん、はぁん、ぁぁん、はん、あん、ぁぁぁあぁん」
 そんな声をあげて身もだえる俺?あたし?の体を、悠里?お姉さま?がぎゅっと抱きしめ
てくる。その温かな感覚が心地いい。

 何度絶頂を迎えたのだろう。
 射精交じりなら3回くらいが限界な俺の身体は、たぶんその3倍を軽く超える回数の絶頂
を受け入れ、まだ貪欲に快楽を求めてくる。
 その度に、心の奥底に封印していたはずの、『アキちゃん』が解放されていくのを感じる。

 悠里が優しい声で「アキちゃん」と呼ぶのに、つい応えたくなる。
 『雅明』という自分を手放してしまいたくなる。その甘美な衝動を堪えるのが大変だった。
 そんな時間がひたすら続いたあと、身体が離れる。
 なんとか耐え切った自分を褒めてあげたい。

 快楽の余韻に浸りつつ時計を見上げると、3時半を回っていた。
 もう指の一本動かすのも大変なくらいクタクタなのに、不思議な充足感を全身に覚える。
 しばらくそのままで休息が入り、ようやく身を起こす。

 汗まみれでしわの入った女子制服に身を包んだ少女の姿が目に入る。
 膨らんだブラウスの胸に、ピンク色のスリップとブラジャーのラインがくっきりと見える。
化粧はどろどろに崩れてしまっているのに、なぜか可愛らしく思えるその姿。
 それが鏡に映った自分であるということに、何故か誇らしいような気分が沸いてきてくる。

「はい、アキちゃん。どうぞ♪」
「ありがとうございます。お姉さま」
 お姉さまが持ってきたジュースを、ストローで飲む。その冷たさが気持ちいい。

「お姉さま、ジュースを飲むところまで絵になるんですね。きれいだなぁ」
「どんなときでも美しくなるように、心がけて練習しているからね♪ でもアキちゃんも、
すーっごく可愛いわよ。惚れ直しちゃった」
「そんなぁ」
329 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/21(木) 23:19:11.60 ID:DzkHsOdn
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みB 7/7

 ……っておい。なぜ俺はナチュラルにこんな会話をしてるんだ。
 大体、ジュース飲むのにストローなぞ使ったこともないし、こんな風に膝をぴったりつけ
て可愛らしく座って、女の子らしい様子でジュースを飲みたいと思ったわけでもない。
 20歳近い男がやっていいことじゃないだろう。これ。

「アキちゃん、どうしたの?」
「いえ、とっても美味しいですぅ」
 素に戻りかけたところに声をかけられ、笑顔でごまかす。
 そこからまた、しばらくガールズトーク。

 でもさっきよりずっと演技の部分が減っているのは分かる。気恥ずかしさは殆ど霧消して
いる。『アキ』という少女として受け答えをする自分に、新鮮な眩しさすら覚える。
 崩れたメイクをいったん落とし、二人でメイクの練習までしたりもする。
 憧れのお姉さまと一緒に過ごす、幸福な時間。


「……あれ?」
「お姉さま、どうかしたんですか?」
 ペニバンを装着したお姉さまが、あたしのお尻に指を当てる。
 その指を怪訝そうな目で見つめて、ぺろりと舐めたりする。

「ローションじゃないよね、これ。私の愛液でもなし。ひょっとして、これが腸液なのかな」
 不思議そうに呟いていたりする。返事を返そうと思った瞬間、お姉さまの指先が、ほとん
ど抵抗もなくあたしの秘密の穴に潜り込んで来る。
「うわっ、もうトロトロじゃない。締まり具合もいいし、本当アキちゃんのここって名器ね♪」

 2本の指先で、前立腺はあえてさけて、あたしの身体の奥深くを優しく弄んでくれる。
 それでも、あたしの身体は敏感に身もだえして痙攣を始める。
 いやらしく腰が動くのを止められない。いやらしく声をあげるのを止められない。

「アキちゃん、本当に淫乱でいけない娘」
「い、いやぁっ!!」
「こんなエッチな娘、嫁に欲しがる男の人っていないんじゃないかしら……でもいいんだ。
アキちゃんは私がお嫁さんにもらって、大切にしてあげるから♪」

「お姉さまぁ!!」
 その言葉に脳がヒートアップして、またも絶頂を迎える。大丈夫か俺の身体。
 『雅明』と『アキ』。一種の二重人格みたいな状態で、『アキ』のコントロールが『雅明』
にはできなくなってきている。“最後の一線”がもう、完全に崩壊しかけだ。

 ぐいぐいと、硬い擬似肉棒が、そんな俺のアヌスに何度も何度も突きこまれる。
 本当の肉棒でないことのが残念──そんなことを一瞬でも考えてしまった自分が怖すぎる。
 でも襲い来る快楽の嵐に、そんな恐怖すら吹き飛んでしまう。

 実物でなくてもいい。大好きなお姉さまに貫かれる。
 その不思議な充足感があたしの全身を満たしていく。強烈な快感があたしを支配する。
 今日何度も迎えた絶頂。その最大の波が襲ってきて、あたしの意識をさらっていった。
330名無しさん@ピンキー:2013/03/21(木) 23:52:48.22 ID:tl8UJRQz
つC
331名無しさん@ピンキー:2013/03/22(金) 20:54:55.04 ID:nftVEDAi
なるほど、そのスカートの丈ですか。で下着は無しで。
はい、はい、一年以内には、シャツかキャミソールとその丈のスカート、に慣れてくれないかな?
うん、うん、キャミソールかシャツとスカートは同じ生地で、とか、ワンピースそういう短いのも良いかな?

ももはレッグガーターかリボンで足首か膝が出るソックスとかどうでしょ?
で、外出とか良いかも。
天候により外套というかコートは有りで。
ぁ。ばんつだとかぶらしゃーとか、補正のこるせっと、ぼでぃすーつなどは無しで?

あれ?かのん、かおり・しおり姉妹、京アニ版かな?


まあ、あの、
16歳すぎの男の子が女の子の服を着るのに困るのは、腰・ウエスト、や、胸・バスト、ではなくて
ヒップというか、ウエストからマタまでで、
例えば表面上は、お腹側は、おへその位置とか肋骨の一番下の位置が胸寄りな事
背中側は骨盤が男に比べて、左右と後ろに膨らんでいる事。
内面的には、骨盤底筋という、股下から腎臓、膀胱、腸、または女の子の子宮などを支える筋肉か厚みが有る事。
これは、尻尾を動かす筋肉の一部でも有りますの。


本格的に女装したくて肋骨を下から2から4本切り離す人
わんこ、にゃんこみたいに、尾てい骨が長く尻尾があるつもりになり、ゆっくり股下に引き込んだり、背中側に立てたりするトレーニングを行う人
ヒップアップのトレーニングをする人、
などな皆さんがたもいらっしゃいますよ。


私は、平均的の男の子と比べて、肩幅とヒップ周りは有り、チェスト・脇の下周り、バスト、ウエストは細いので、肩幅さえ隠せれば、女性サイズです。
例えば、ズボン、パンツ類は、男性向けで腰で買うとお尻は入りませんし、お尻で買うと、ウエストに引っかからないで、所謂腰パンになります。
しかし女性サイズでは、股間前面以外は問題なく着られますよ。
332名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 01:39:33.29 ID:MjLoGQfn
http://i.imgur.com/wPQTUNu.jpg
これ知ってる人いる?
333名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 08:09:12.64 ID:RKBRnvxV
334名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 14:10:52.76 ID:MjLoGQfn
>>333
ありがとうございます
335 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 18:58:39.72 ID:F4zht4x3
>>300氏のネタからの3連作の最後です……と言いつつ、長くなりすぎたので前・後編化。
超ミニは流石にヒップライン的につらいですね。今回も結構冒険気味です。

『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 1/7

(やっぱり、悠里より脚の綺麗な子っていないよなあ)
 そんなことを考えながら、画面を下に下にスクロール。
 目に入った画像に思わず吹き出す。
 いつの間に撮影されたのか、以前甘ロリ&ゴスロリで街を歩いたときの写真があった。

 首から下しか映ってないから、これが俺だと分かる可能性はまずないとはいえ……
 けどこれ、実際には女装男2人の脚なわけだけから、一種の詐欺行為じゃなかろうか。
 と、そこまで思ったとき、ドアがノックされる。
 「入っていいよー」と声をかけると、部屋着のままの悠里?俊也?が入ってきた。

 仕事の両親と、「春休みだし友達と遊びに行って来る」と出かけた俊也を送り出し、悠里
は仕事で外出の準備中。残った俺はどうしようか迷ってネットを眺めていた、そんな状況。
 もっとも、さっき見送った俊也が本当に俊也なのか、今入ってきた悠里が本当に悠里かは
分からないんだけど。

「あれ、悠里。今日は仕事って言ってなかったっけ?」
「さっきキャンセルのメールが入ってきたの。それで今日もゆっくりアキちゃんと遊びたい
なぁ、って思って来たわけだけど。駄目?」
「どうせなら、雅明として一緒に居たいんだけどなあ」

 一応、言うだけは言ってみた俺の言葉をスルーして、悠里?が目ざとくモニタに映った写
真を見つける。
「あ、これ前外出したときの写真じゃない。どうしたの?」
「美脚スレ検索して適当に見てたら、なんかアップされてたのを偶然見つけてしまって」

「ああ、この間言ってたやつね。どう? 私の脚は見つけられた?」
「今のところはないかな。また今度、暇なとき探してみるよ」
 流石に美脚スレの会話まで俊也に伝えてないだろうし、やっぱりこれは悠里でいいのか。

「それはそうとして、今日は一日一緒に遊びたいけど大丈夫?」
「もちろん」
「じゃあ、お風呂にお湯入れてるから入ってきてね♪ ゆっくり浸かって、綺麗にしてきて」

 PCの電源を切り、言われたとおりに風呂に入る。
 花の香りの入浴剤が入ってる、ぬる目のお湯だった。
 白く濁ったお湯の中、ゆっくりと自分の身体をマッサージする。ほんの少し前とは違って、
すべすべつるつるになってしまった肌の手触りが、情けなくも気持ちいい。

 悠里が喜んでくれるなら、これくらい別にどうってことはないんだけど、でも男としてど
うなんだろう。相変わらず迷子になりっぱなしの俺の心だった。
 悠里に教えてもらったとおりの手順で、全身と髪とを丁寧に洗う。今まで使おうと思った
こともなかった、トリートメントやコンディショナーまできちんと手順どおりに。

 今まで烏の行水状態だったのに、風呂に40分以上かかるのがデフォルトになってきている。
 これが意外に気持ちよくていいんだけど、春休みが終わったら大変になりそうな気がする。
 うちの風呂、悠里と一緒に入れるだけの広さがあれば良かったのになあ。
 風呂から上がってまず時計を見ると、1時間近くが過ぎていた。
336 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:00:35.37 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 2/7

 ふわふわした肌触りのいいバスタオルで、綺麗に全身を拭いていく。
 風呂場に置いてある、等身大の鏡に自分の姿が映る。男とも女ともつかない中途半端な姿。
 悠里(や俊也)と比べると、女らしさやスタイルの良さで完敗だけど、それでもさっき美
脚スレで見た下半身の半分よりは綺麗なんじゃないかな、と思ってしまう。

 股間も相変わらずタック状態から解放されずに男のシンボルは隠れたままだし、ウェスト
は微妙ながらくびれが出てきたように見える。
 試みにバスタオルを胸で巻いてみたら、それだけで女に見えてきてドキドキする……って
なんで今まで悠里がニヤニヤと見ているのに気付かなかったんだろう。

「うんうん、いい感じじゃないの♪ 続けて続けて」
「いや、もういいよ。正直すまんかった」
 慌てて着る服を探しても、用意しておいた男物の下着とかはどこにもない。代わりに置い
てあるのは、悠里愛用のピンク色のバスローブ。

「俺の着替えは?」
「そこに置いてるバスローブ着てね。……別にその格好でもいいけど♪」
 バスタオルとどっちがマシなんだろう。結局バスローブを着てみたけど、激しく後悔。
 自分の風呂上りの肌から漂う花の香り、石鹸の香り、シャンプー類の香り。
 そしてバスローブから漂う悠里の香り。とにかく尋常じゃない世界だった。

「ずいぶん待たせちゃってごめんね」
「私もお肌の手入れをやってたから、気にしないでいいよ」
 ブルーのタンクトップにホットパンツ姿の悠里が、笑いながら応えてくれる。珍しくむき
出しになった、細くて長くてほどよく肉のついた綺麗な脚線美に見とれる。

 用意しておいてくれたスポーツ飲料で喉を潤し、手招きされるままに椅子に座る。
 悠里の細い指の感触を心地よく思いながら、顔のパックに始まり温泉水スプレーやらボディ
ミルクやら、半月前までは名前も知らなかった液体たちが塗り込められていくのを待つ。
 もう少し真面目にやり方を勉強して、悠里にしてあげたいな……そんなことを思ってみる。

 そのまま二人で肌の手入れとかして過ごしたあと、今日の着替えとして差し出されたのは、
もうおなじみになってしまった、女物のピンクの下着だった。
 脚を通すと、慣れたくないのに慣れてしまった優しい感触が俺の下半身を包んでくる。で
も今日は前が格納されてるからフィット感も大違いで、それが余計に恥ずかしい。

 ブラジャーを背中で留めてもらい、パッドを入れ、ウェストニッパーを嵌める。
「少しきついけど、大丈夫かな?」
 前回より更に1段階細い、このウェストニッパーの一番細いところでホックを留められる。
「今はなんとか大丈夫だけど……セックスするとき無茶苦茶息がきついから緩めてくれない?」

「ああ、それ気付かなかった。ごめんね。気をつけるようにするから」
「こっちも先に言っておくべきだった。……でも、これだけ絞っても悠里より太いからなあ」
「これで64cmだから、女の子としても充分細いほうだよ♪ 身長が172cmだと、女性の理想の
プロポーションでウェストが確か65cmだったかな。いい感じだと思う」

 男として、それはどうなんだろう。
337 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:03:06.21 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 3/7

 毎度のピンクのスリップを着て、黒ストッキングを履く。
 そしてまあ、予想通りというかなんというか、渡された(悠里の後輩からもらったという)
女子高の制服一式を着こんでいく。クリーニングに出されて、ぴしっと綺麗になった一品だ。

 まずは白いブラウスを身に着け、スカートに脚を通す。
「今日はスカートは短くしないの?」
「お外歩くから、そのままの長さでいいよ……アキちゃんがしたいなら短くするけど」
 やっぱり外出るんだ。

 だぼだぼだったウェストを調整して、ぴったりのところまで合わせる。青と茶色のチェッ
クのミニスカート。半分以上出た太腿と、スカートの前に並んだ金ボタンが羞恥心を煽る。
 ネクタイをつけて、クリーム色のセーターと茶色のブレザーを羽織る。セーターなしでぴっ
たりだった肩は、少しきついけどまあ無理のないレベルで納まった。

「首とかサイズ大丈夫? きつくない?」
「ちょっときついけど大丈夫そう。肩幅とか喉仏とか目立たない?」
「肩幅は悪くないと思うよ。喉仏は……俊也ほどじゃないけど、気にならないと思う」
 今日はカツラもなしで、悠里より少し短い程度の髪を女らしく整えてピンクのカチューシャ
で留め、薄めの化粧をしてもらい、ごく軽く香水をつける。

 回数を重ねるたびに、段々と女装に抵抗がなくなってきている自分が怖い。
 『雅明』ではなく『アキ』でいることが自然になりつつあるのが怖い。
 今はもう、“アキ”に成り切ってしまってみてもいいんじゃないか。そんな誘惑? に駆
られ、無駄な力を身体から抜くよう、大きく息を吐き出してみる。

 ふと、違和感を覚えた。“俺”ではなく、“あたし”の思考に合わせて唇を開く。
「……お姉さま、じゃないんですね」
「あれ? どこで気付いたの?」
「……なんとなく? というか、何で分からなかったのか不思議なくらい」

「そっかー。雅明は凄い鈍感なのに、アキちゃんは鋭いのね♪」
 悠里の格好をした俊也が、面白そうな顔と声色で言う。
「あのヒト、なんだか鈍感すぎてあたしも恥ずかしいです。……俊也さんのことは、なんて
呼べばいいんでしょう。あたし、悠里さん以外を“お姉さま”って呼びたくないなぁ、って」

「そうね……この状態だと、私も悠里だから……うん、私のことは『悠里お姉さま』って呼
んでくれると嬉しいかな♪ 『お姉さま』のほうが本当の悠里で」
「んー。……分かりました。そうしましょう」

 よく分からない感覚だった。
 まるで鈍感な兄のことを呆れながら話すような調子で、アキが同じ人物であるはずの俺の
ことを話している。

 いつも意識していなかった匂いが気になり始める。同じ香水を使っていても、悠里と俊也
の肌の匂いには違いがある。普段なら、ごく近くで嗅がない限り分からない差なのに。
 俊也と悠里じゃ肌の色あいに微妙に違いがあるし、声にも微かながら違いがある。
 ……女装しているだけのはずなに、感覚まで女のそれに近づいてきているのだろうか?
338 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:04:08.93 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 4/7

 スカートの中を、春の風が通り過ぎる。
 優しい感触と匂いにうっとりとする。
 “アキ”の五感を通じて感じる世界は、これまで慣れ親しんできたものとは大違いだった。
 少し自分の家のドアを離れて、悠里お姉さまが家の鍵をかけるのを待つ。

 あたしと同じはずの女子制服が、段違いでよく似合ってる。ウェストあたりまでのストレー
トの黒髪もきれいになじんでる。
 ちょっとした仕草まで凛として女らしくて綺麗で、本当に絵になる美少女ぶりだった。

「じゃあ、アキちゃん行こっか……どうしたの?」
「いえ、悠里お姉さまってほんと、素敵だなぁ、って見とれてました」
「あらあら……ありがと。でもアキちゃんも充分可愛くって素敵だよ。自信を持っていいよ♪」

 これ、男同士でする会話じゃないだろ……と思わず雅明の素に戻って突っ込みかける。
 その瞬間、なぜかこみ上げてくる羞恥心。
 なんでハタチ近い野郎が、よりによって女子高生の制服を着て、ミニスカート履いて、化
粧までさせられて街を歩かないといけないのかと。近所の人に見つかったらどうするのかと。

「ん? どうしたの? アキちゃん……顔が雅明になってるよ。さっきみたいに成りきって
しまったほうがずっと楽だよ」
 後半は小声で、俊也が囁く。半分やけくそで、アキという名の仮想的な人格に意識を戻す。

「ごめんなさい。悠里お姉さま。……そういえばあたし、ウィッグもパニエもなしでお外に
出るの初めてだから、不安になっちゃって。おかしなところないですか?」
「いや、ぜーんぜん、そんなことないよ♪ さっき鏡で見て確認したとおり、アキちゃんは
とってもとっても素敵な女の子だよ♪」

 その言葉を素直に嬉しく思う自分がイヤ……じゃない。うん、あたしは素敵な女の子。
 今はお姉さま達には敵わなくても、いつか並べるところまで魅力的な自分になりたい。そ
う思うよう、意識を切り替えていく。
 そして、自分のできる一番ステキな笑顔を作って、お礼を言った。


「でね、アキちゃん。これを聞いてみて」
 駅前のカラオケに入り、ドリンクバーで烏龍茶をついで、部屋の席に2人座る。歌でも歌
うのかな、と思っていたところに悠里お姉さまからイヤホンを渡された。
 素直に耳につけて、聞いて思いっきり赤面する。

「アダルトビデオか何かの録音……ですか? これ、エッチの時の女性の喘ぎ声ですよね」
 イヤホンを外しながらのあたしの回答に、悠里お姉さまが、プッと吹き出す。
「うん、そう思うよね。でも外れ。……それ、アキちゃんの喘ぎ声なんだ♪」
「えぇっ? やだぁ──────────っ」

 あたし、ますます赤面。思わず両手で顔を覆ってしまう。恥ずかしい。なんでこんなもの。
「アキちゃん、男の声しか出せないって言ってるけど、実は女の子の声も出せるんだよ。
 羞恥心か何かが邪魔して出せてないだけだと思う。だから今日は女声が出せるようになる
まで、ここで特訓ってことで」
339 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:05:45.06 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 5/7

「うんうん、いい感じになったと思う♪ 聞いてみて」
 それから3時間後、満面の笑みで渡されたイヤホンを再度耳につける。
 少しハスキーで、微かに鼻にかかった、甘い、女の子の声が聞こえてくる。
「まさか本当にこの時間でマスターしちゃうとはねぇ。私もびっくり。その調子で続けてね」
「自分の声を聞く機会って普通ないから、なんだかとっても恥ずかしいですよぅ」

「まあね。……でも女声、私でも1ヶ月習得にかかったのに、やっぱりアキちゃん凄いわ」
「どの程度が普通なのか分からないから、なんとも」
「早くて2ヶ月、普通で6ヶ月くらい? 前どこかで、そんなこと聞いたような。アキちゃ
んの場合、たぶん最初っから出せる状態だったのが大きいんだと思う」

 それは、喜んでいいのやら悪いのやら。
「じゃ、せっかくカラオケだし、女性ボーカルの曲歌ってみよ♪」
 前回、俊也(と思い込んでいた実は悠里)と来たときも、2人して女性ボーカルの曲を歌
わされたものだった。あのときは酷いオカマ声だったけど。

 それが今は、女2人(実は男2人)でごく自然に女性ボーカルの曲を歌っている。
 キーが高めの人は無理だけど、普通の歌手なら音を追える。男の曲を歌うよりむしろ楽か
も。すっかり楽しくなってしまって、悠里お姉さまが
「じゃ、カラオケはこれくらいにして次行きましょ」
 と言ったときには、つい「え────っ」と、抗議してしまった。


 電車で1駅分移動して、ごく軽く遅めの昼食を取り、適当なアミューズメント施設に入る。
 男でいるときには、『女同士ってよく喋るもんだな……』と呆れることも多かったけれど、
その間ほとんどずっと(実は男な)2人で色々話しては、他愛ないことで笑ってあっていた。
 今まで男声で、喋るのに気後れしていただけに、普通に会話できるだけで嬉しい。

 背が高めの超絶美少女と、背が高いそこそこ美少女の組み合わせはやっぱり人目を引くら
しい。そしてそんな視線を、気持ちいいと思ってしまう自分がいる。
 でもいいんだ。自己嫌悪に浸るのはあとあと。今はこの時間を目一杯楽しまなきゃ。
 半分無理やり自分に言い聞かせ、ついつい出たがる『雅明』としての自分を押さえつける。

「あぁーん、また失敗ー」
 クレーンゲームで可愛いぬいぐるみを見つけて、つい欲しくなって挑戦してみる。
 でもお姉さまも余り興味がなかったこともあり、経験値のないあたしのこと、うまくいか
ない。悠里お姉さまも、いいところまではいくけど、やっぱり駄目だった。

 そんなあたし達を見かねたのか、男の子2人連れがやってきて、
「ちょっとやらせてくれないかな?」
 と言ってきた。「どうぞ」と譲ると、真剣な表情であたしの欲しかったぬいぐるみを狙っ
てくれる。……ひょっとして取れるかな? と思ったら、実はあたしより更に下手だった。

「こういうのはね、狙った獲物はちゃんと釣り上げないと、女の子も釣り上げられないぞ」
 呆れ声の、悠里お姉さまのコメントにみんなで大笑いしてみたり。
「ごめんごめん、いい所見せようとして大失敗。慣れないことするんじゃないなあ」
 「そだね」というあたしのコメントに、更に大笑い。
340 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:07:22.29 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 6/7

「ついでにもう一つ、慣れないことしていいかな。……君たち、これからお暇?」
 流石にナンパされるのは怖いと、断りの言葉を考えてると、
「うん、6時までなら大丈夫♪」
 と悠里お姉さまがオッケーしてしまう。

 そのまま立ち話で軽く(あたし達は嘘だらけの)自己紹介。
 やたらと背の高い子たちだった。あたしでも見上げないといけないくらい。特に片方の、
北村とかいう無口でハンサムなほうは身長190cm越えてるんじゃなかろうか。
 もう一人の伊賀と名乗った、愛嬌のある丸顔の子でも多分185cmくらいだと思う。

 元バスケ部だそうで体格も無茶苦茶良くて、この2人に囲まれていると流石のあたしでも、
なんだか自分が小さな女の子であるような気分になってしまう。
 本来1つ年下の少年達に、“年下の女の子”として扱われるのも面白い。
 新鮮な感覚に、口許がほころぶのを止められない。

 ハンサムさんのほうは、悠里お姉さまと並んで見劣りしない美形で高身長。元バスケ部の
エース兼主将で、スポーツ推薦の話もあったのを蹴って、家業の開業医を継ぐために国立大
の医学部に普通に合格したという『何そのチートキャラ』状態。
 本来なら、悠里はこういう人と結ばれるべきなんだろうな、と内心複雑な気分になる。

 取り損ねたぬいぐるみさんに小さく手を振ってお別れして、プリクラコーナーへ。
 ガラスで盗み見ると、男の子2人は、後ろでこそこそ喋ったあと、じゃんけんとかしてる。
たぶんどっちが悠里お姉さまと一緒に写るか勝負なんだろう。失礼な。
 その後、そのチート男に手招きされ、プリクラのカーテンの中に入る。

 あたしの肩に、腕が回される。『この人、全然女慣れしてないんだ』と分かるぎこちなさ。
 ふりほどくのも無粋かと、そのままの格好で撮影を終える。
「北村さん、じゃんけんに負けちゃったの? 残念」
「あれ、じゃんけんばれてたんだ……でも、勝ったのは僕だよ」

 ……え? 反応に困るあたしをよそに、北村さんが2回目のコインを投入。
「アキちゃん、こっち向いて」
 言葉通りに振り向いたあたしの目に、どアップで彼の顔が迫る。約20cmの差を埋めるため
に無理に屈んだ状態で、ちっとも上手くない、それだけに真剣さが伝わってくるキスだった。

 混乱してふりほどこうとしても、いつの間にか背中に回しされた腕が許してくれない。
 シャッター音が流れ、見事にチュープリが撮られてしまう。
 撮影が終わり、腕の力が緩んだすきに、わたわたと脱出。
 どうしよう顔が真っ赤で彼の顔をまともに見ることもできない。

「ちょっと強引すぎましたかね? 嫌われちゃいましたか?」
「いや、これは脈ありと見ました」
 伊賀さんと、悠里お姉さまが無責任に茶々を入れてたりする。

「……あのぉ、北村さんって、彼女とかいないんですか?」
「ずっと男子校で、女の子と付き合ったことはないんだ。アキちゃんみたいにドキドキする
子に会ったこともない。もしよければ、僕の恋人になってくれないかな」
341 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/28(木) 19:08:48.67 ID:F4zht4x3
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-1 7/7

「……嬉しいんですけど、でもごめんさい。あたしにはもう、付き合ってる人がいるから」
「そっか、もう彼氏いるんだ。そりゃそうだよね。こんな魅力的な子に、恋人がいないわけ
ないか。……本当にごめんね」

 それだけ聞いてトイレに逃げ込み、便座に腰をかけて深呼吸。でも、無意識に入った先が
女子トイレだったのは偉いと思ったけど、これから先、“俺”本当に大丈夫だろうか。
 逃げてる最中ちらっと見えた、彼のズボンの前は随分と窮屈な状態だった。
 そして、それを見てフェラチオとかしてあげたいと思っている“アキ”の存在が怖かった。

 ぶんぶんぶんと頭を振って、ついでに小用もして、キスで取れた化粧も軽く直して、よう
やく皆のところに戻る。今自分が男なら、顔も洗ってたところだ。
 まだ彼の顔をまともにみれない。代わりに、じっと見つめる北村さんの視線を感じる。

「アキちゃんの彼氏さんって、今日は一緒にいないのかな」
 伊賀さんが、フォローのつもりなのかそんなことを聞いてくる。
「そのぉ、今日はお仕事中だから」
「へえ。社会人?」

「いえ、大学生なんですけど、モデルの仕事もしてるので」
「うわ凄いねぇ。……ひょっとして、アキちゃんも将来、モデルとか目指してたりする?」
「あたしなんか、とてもとても」
「背高いし、スタイルいいし、顔かわいいし、絶対合うと思うんだけどなあ」


 その男の子2人連れとも6時で別れ、2人で女物の服を買いに行く。
「7時半までに、どれか好きなもの1揃いを選んでね。アキちゃんにプレゼントするから」
 センスを問われる、割と難問だった。172cmの身長に合う可愛い服ってあんまりない。
 色々店を回ったあと、ようやくピンときたものがあった。

 幾重にも重なる、クリーム色のチュールの透けるロングスカート。花咲き乱れるプリント
のロングブラウスの上に、長めでクリームピンクのニットカーディガンを羽織る。
 どこかで見たような、と思ってたら、店長さんに「それ、瀬野悠里ちゃんのコーデよね。
ファンなのかな?」と言われてしまった。

 そういえばこれ(随分昔の話に思えるけど)、撮影でスタジオまで迎えに行った際、悠里
お姉さまが着ているところを見たことのある、森ガールの衣装一式だった。
 「よくご存知ですね♪」と返事したけど、隣に本人がいるので笑いを堪えるのが大変。

 フリルとレースいっぱいのその服のまま、店を出る。道行く人の視線が気持ちいい。
「悠里お姉さま、ありがとうございます」
 お辞儀をすると、途中で購入した可愛らしいイヤリングが耳元で揺れる。その感覚もなん
だかくすぐったい。

 悠里お姉さまも、予め持ってきていた私服に着替える。
 ワインレッドのロングワンピースに赤いボレロ。無地で飾りのないシンプルさが、却って
悠里お姉さまのスタイルの良さと端正な美貌を強調して、女のあたしでも見蕩れてしまう。
 ……本当はどっちも男なはずなのに、どこまでも感覚が狂いっぱなしでいけなかった。(続く)
342名無しさん@ピンキー:2013/03/29(金) 00:56:14.47 ID:EU4ZyVI1
つC
343 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:25:48.75 ID:E0cl5on2
自分でも大暴投気味と思う後半部投下。

『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 1/7

 その格好で、待ち合わせ場所に移動して待つ。
 ナンパ男が寄ってきては、悠里お姉さまが視線だけで撃退することを何回か繰り返したあ
と、ようやくお姉さまがやってきた。

 黒いジャンバー、黒いシャツ、黒いジーンズ。
 黒ずくめの完全に男物の衣装がスタイルの良い細身を強調して、ついぼぅっと見蕩れる。
「待たせちゃったかな? ごめんね」
 謝る身体に飛びつき、キスまでしてしまう。

 ここが往来ということも忘れて──いや、見ている人みんなに、あたしの愛を見せ付ける
ように、濃厚なキスを。……って、ちょっと待ったアキ。流石にやりすぎだ。
 慌てて体を離して、小声で「ごめんね」と謝る。
「いや、嬉しいけど……どうしちゃったの? アキちゃん」

「今日のアキちゃん、本当にびーっくりすることばっかりだったよ♪ ゆっくり話したいか
ら、お食事できるところ行こっか。……俊也、何か食べたいものある?」
 お姉さまの言ったお店に、3人でおしゃべりしながら移動する。

「お姉さま、結局今日はお仕事だったんですか?」
「うん、初めてのTVCMの撮影。流石に俊也にも譲れなくってね。……って色々言いたい
ことあるけどさ、今日は私が悠里ってことばれちゃったんだ」
「ばれたというか……見抜いた? アキちゃんって凄いんだよ♪」

 それから、家での様子、女声の特訓、電車内の様子、アミューズメント施設の出来事やそ
こで会った男の子たち、今着てる服のお買い物の様子までことこまかに解説していく。
 自分の意識をアキに保った状態でも顔が真っ赤になっている。雅明の素に戻ったら穴に埋
まってその穴を爆破したくなるような出来事ばかりだった。

「その北村って人、どんな人?」
 食事も終わって、今日の出来事も説明し終わって。興味津々といった体で、お姉さまが聞
いてくる。
 その言葉に、待ってましたとばかりにプリクラを差し出す悠里お姉さま。

 チュープリもそうだけど、その一枚前の写真とそれに書き込んだ落書きも妙に気恥ずかし
くて、顔を手で覆って脚をバタバタさせてしまう。
「うわ、確かにハンサムだなあ。こうして見るとお似合いの美男美女カップルって感じで、
ちょっと妬けてしまうな」

「そんなこと言わないでくださいよぅ。あたしは──アキも雅明も、お姉さまのものです」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない♪」
 にんまり笑って、あたしの頭を撫でてくれる。顔がとろけそうになるのを止められない。
「雅明はお姉ちゃんのでいいから、アキちゃんは僕に譲ってくれないかな」

 少年の声に戻って、悠里お姉さまが言う。
「あら、惚れちゃった?」
「うん、割と真剣に。だってアキちゃん、可愛すぎるんだもの」
「でも駄目、“俊也”には絶対譲ってあげない。……“悠里”相手なら考えなくもないけど」
344 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:26:42.83 ID:E0cl5on2
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 2/7

 食事を終えて、しばらくウィンドウショッピング。
 途中であたし用の新しい下着を購入したりしたあと、ラブホテルに入る。

「あたし、最初にシャワー浴びてきていいかな?」
 朝に香水とかつけたりしたものの、一日歩き回ったりしてたせいで男の体臭が少ししてる。
なんとなく、それが嫌だと感じる自分がいた。
 シャワーを入念に浴びて、ふと思いついてシャワー浣腸もしてお腹の中を綺麗にしておく。

 バスタオルを胸のところで巻いて、部屋に戻る。
 どうもいけない。意識がアキに傾きっぱなしだ。それを自然にやってしまうこと自体が、
既にかなりやばい。分かっているのに、歯止めがきかない。

 2人にシャワーに入ってもらってる間に荷物を漁り、買ってもらったばかりの可愛いデザ
インのペールイエローのブラジャーだけをつけて、パッドを入れなおす。
 昼間着ていた女子制服を取り出し、白いブラウスと青いチェックのプリーツスカート、キャ
メル色のブレザーを順に身に着けていく。

 スカートのウェストを緩めるのは、少し屈辱だったけど。いつかウェストニッパーなしで
も、昼間のサイズでスカートを穿けるようになりたいなと思う。
 その格好で、更に荷物の中を探す。少しあって、"Remover"と書かれた小さな容器を発見。
 自分の股間につけると、嘘のようにあっさりと、接着された擬似割れ目が解放される。

 久しぶりに見る、『雅明』の姿。
 あって当然のそれは、なんだか少女の股間に生えた男性器のような、あるいはフタナリの
ような、不自然さと違和感と、そして蠱惑的なまでの魅力を放っていた。
 指先で軽くなぞると、恐ろしいまでの快感が全身を貫く。

 そういえばタック状態にされてる間、ずっとオナ禁状態だったことを思い出す。やろうと
思えばできるのだろうけど、なんだかそういう気分になれなかったのだ。
 そこから意識を引き剥がして、今度は自分の持ってきたポシェットを探す。真っ先に香水
の瓶を探して、ほんの少しだけ身体に振り掛ける。女らしい匂いにうっとりする。

 そこまでしたところで、2人が出てきた。
 姉弟で仲良く一緒にシャワー……普通はやらないと思うけど、この2人はそういえばよく
やっている。中ではどんな状態なのだろう。
 さっきのあたしと同じように、2人とも胸でバスタオルを巻いた姿。胸以外は差のない姿。

「あれ、アキちゃん。制服なんて着ちゃって。……それそんなに気に入ったんだ」
「もちろんですよぅ。お姉さまがこの制服着てるのを見て、あたし、どれだけ憧れだったか」
 ……それは『自分で着てみたい』という意味での『憧れ』じゃなかったと思うけど。
「そっかー。アキちゃん似合ってて、すごく可愛いもんね♪ 一緒に通えたらよかったのに」

「今日も、もう一着、制服あるんですよね。どっちが着ます?」
 無言で顔を見合わせ、同時にじゃんけんをする、お姉さま2人。
 あいこが3回くらい続いたあと、悠里お姉さまが勝利。いそいそと、お姉さまの持ち物で
ある制服を着始める。
 その間、手招きされてお姉さまと一緒に、部屋にあった鏡の前に座る。
345 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:27:26.29 ID:E0cl5on2
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 3/7

 お姉さまの細い指によって、再びあたしの顔にメイクが施されていく。
 自分で出来るようになりたいとも思うけど、お姉さまにメイクされている感覚も好きだ。
 肌の色に近いアイメイクとチーク、ピンクのリップとグロスだけの、軽いメイク。
 髪をセットしなおしてもらって、鏡の中を見る。

 『雅明』は認めたがらないけど、なかなか可愛い部類の女子高生に見えると思う。
 これで背が高くないなら、中学生にも見えるかもしれない。
 ……まあ、比較対象がお姉さま達なら、あらゆる点で完敗なんだけど。

「なんかさ、一つ夢が出来ちゃったな」
 鏡の中のお姉さまと自分自身とに見蕩れているあたしを、後ろから軽く抱きしめながら、
お姉さまがつぶやく。首から肩に柔らかな二つの膨らみを感じる。羨ましい感触だった。
「……夢、ですか?」

「うん。アキちゃんと一緒に、モデルとして舞台に立ちたいなぁ、って。……そんな遠くな
い未来に実現できそうな気もするけどね」
「そんな、あたしには無理ですよぅ」
「ルックス的には充分だと思うんだけどな。アキちゃんもっと自分に自信を持っていいよ」

「んーと、そっちよりむしろ……モデルについて知れば知るほど、、とてもあたしにはその
世界は無理だなぁ、って。なんというか、あたしそんなにストイックになれそうにないって
いうか、そんな覚悟はあたしには出来ないなぁ、っていうか」

「そういう部分でも、アキちゃん実は向いてるんじゃないかと思うんだけどな♪」
 女子高生姿になった悠里お姉さまが、ベッドの上で脚をぶらぶらさせながら言う。
 あたしと違って、ノーメイクでも充分美少女な姿。
「一度やってみたらどうかな? あまり身構えずにさ」

 つい頷いてしまいそうになる『アキ』を押しとどめるのに一苦労。
 ほっておいたら俺は、この2人にどこまで連れていかれるのだろう。

 返事に迷う“俺”を放置して、悠里と俊也がキスを始めてる。
 傍目からも分かる、濃厚にすぎるディープキス。鏡合わせのような美少女2人による、一
種のナルシズムの極地。実際には男と女、それも実の姉弟による倒錯的な光景。
 『雅明』がそれに目を奪われている隙に、またもや『アキ』に意識の主導権が奪われる。

 悠里お姉さまの前にひざまずき、短いスカートをめくり、更に下着もめくる。
 無毛の可愛らしい、男のものでは決してない割れ目が見える。
 制服のポケットに入れておいたリムーバーを取り出し、そこに振り掛ける。
 とたんに姿を現す、悠里お姉さまのお○んちん。

 あたしも身をもって経験したけど、割れ目状態だときちんと洗えないから、匂いも溜まっ
て凄い状態になっている。でもその匂いが、あたしを興奮に誘う。

「いただきまーす♪ ……はむっ」
 きゅっと膝を合わせてかばおうとする悠里お姉さまの脚を押さえつけ、唇を近づける。何
年ぶりになるか分からない、“その場所”の味が口の中に広がる。
346 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:28:16.36 ID:E0cl5on2
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 4/7

 本当は回りから徐々に、じらすようにやるのが定石なんだけど、勢いづいたせいか止まら
ない。いきなり完全に、悠里お姉さまの根元までを口の中に入れ込む。
 肉棒の下のラインを、舌で舐めあげる。
 あたしと同じように、悠里お姉さまも溜まっていたのだろうか。それだけで発射の兆候。

 少し残念に思いながら唇を離し、改めてじっくりと攻略再開。
 可愛らしい女子高の制服に似合わぬ、男の子の徴。男の服でも女の子と間違われてナンパ
されることも多い可愛い顔に似合った、やや小ぶりな男の子の証。
 仮性包茎で今は皮かむりのそれを、指先でぷりっとむき出しにする。

 現れた亀頭に、軽く口付ける。鈴口を舌で何度もなぞる。
 溜まっていた恥垢を舐め取ると、なんとも言いがたいチーズに似た味が口の中に広がった。
 タマタマとその周辺へ、指先と舌による責めを繰り返す。

 いつの間にか、お姉さま達はキスをやめていたらしい。
「悠里、スカートをたくし上げてみて」
 お姉さまがそう言うと、今まで頭にかかって少し邪魔だった、悠里お姉さまのチェックの
プリーツスカートがめくりあげられて光が入る。

 見上げると、悠里お姉さまの美しい顔が目に入ってくる。
 お洒落な女子高制服に身を包んだ超美少女が、自ら指でスカートをたくし上げ、股間でひ
くついている完全勃起状態の自分の男性器をあらわにする。
 それはなんとも倒錯的で魅惑的な情景だった。

 あたしを少し不安の混じった顔で見下ろしてくるその顔ににっこりと笑顔を送ったあと、
甘えた上目遣いのまま、グロスの輝く唇で亀頭の部分を優しくくわえ込む。
 もう少し進めて、カリ首の部分をなぞるように舌先を一周させる。
 気持ちのいい部分は知り尽くしている器官。指と舌とでその箇所を丹念に刺激する。

「あ、あ、あぁぁん♪ あっ、アキちゃん、フェラチオ上手すぎ……ゃ、ゃぁぁんっ!」
 指先をそっと伸ばし、お尻の穴にトントントン、と軽く刺激を与えたりもする。思わずの
けぞって快感をあらわにする、ほっそりした身体。
 時には激しく、時には緩め、発射の寸前にいたるまでを何度も何度も繰り返す。

「ごめん、アキちゃん、いかせて……お願い……お願いだから……ぁぁんっ」
 息も絶え絶えに哀願してくれる。そんな悠里お姉さまの様子は珍しい。
「悠里お姉さまぁ、まだまだ大丈夫ですよぅ。もっともっとアキのお口マ○コで、気持ちよ
くなってくださいね」
「アキちゃん、本当にフェラチオ上手だなぁ。悠里も凄い気持ちよさそう。参考になるわ」

 それから十分近く更に経過し、本当の限界が近づいてきた。一気に深く攻め入る。
「バキュームフェラにディープスロート……アキちゃん、そこまで出来たんだ。10歳の男の
子にそんなことを仕込む冬子さんたちって、ナニモノなんだろう」

 お姉さまの解説を聞きながら、悠里お姉さまの身体が快楽のあまりに暴れまわる。
 どれだけ精液を溜め込んでいたのだろうか。あたしのお口を完全に満たし、思わず口を離
したあとも放出を続け、あたしの顔を、髪を、制服を、匂いのきつい粘る液体が染め上げた。
347 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:28:57.23 ID:E0cl5on2
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 5/7

 本当に美味しいとは思わないけど、美味しそうな表情を作って、その液体を飲み干す。
 目の周りだけ最低限指でぬぐって、咄嗟につぶっていた目をあけると、ベッドの上悠里お
姉さまが仰向けに倒れこんでいた。
 短いスカートを押し上げて、まだ勃起状態のペニスがひくつきを繰り返している。

「いや、いいもの見せてもらったわ。……本当、すごかった」
 その悠里の言葉に、“俺”は我に帰る。
 足元を見れば、たった今俺が見事に壊し果てた、『越えてはいけない、最後の一線』の残
骸が散乱してるのが目に入るような気さえした。

「──悠里、俺な……俺、男なんだから」
「うん、知ってる。それは誰よりもまず、私が保証してあげる」
「ありがとう。慰めでも嬉しい。──こんな格好のままで、ごめん」
 返答も待たずに、女子制服の姿のままで、ぎゅっと強く悠里を抱きしめる。唇を奪う。

 フェラで俊也の精液を飲み込んだ直後にキスをして、髪から顔やら制服やらにべったり精
液がついた状態で抱きつくとか……と後悔が脳裏をよぎるけれども、それでも止まらない。
 悠里も少し戸惑って一瞬ひるんだ様子もあったけど、すぐに積極的にハグとキスを返して
くれる。

「……雅明、今までよりずっとキス上手くなってない?」
 唇を離したあと、とろんとした目で俺の目をまっすぐに見つめて、悠里が言う。
「悠里が教えてくれた通りにやってるだけだよ。こないだ悠里からのキス受けてさ、俺のキ
ス下手だったなあ、って反省したんだ」

 もう一度、今度は唇をつけずに舌だけを絡ませあう。同時に指で悠里の股間を弄ぶ。
「……脛毛も髭もなくなって、肌もすべすべになって……本当にごめんね、私のワガママに
付き合わせちゃって。でも私やっぱり、こっちのほうがいいや……」
「悠里が喜んでくれるなら、このくらい別に気にしないよ。やっぱり俺は悠里が好きだから」

 ピロートークと前戯を平行しているような、奇妙な状況。でもその悠里の言葉が、静かに
ゆっくりと、俺の興奮を高めてくれる。
 スカートの裏地に、俺のむき出しの亀頭がこすれて変な感覚がするけど気にならない。
 次第に悠里のヴァギナも、滾々と蜜を湛えていくのが分かる。

「悠里、入れるよ……」
「うん、大丈夫。来て……」
 そういえばいつぶりだろう。悠里の割れ目が、ゆっくりと俺の猛り狂ったままの器官を飲
み込んでいく。当たり前の行為のはずなのに、久しくなかった気がする。

「悠里、やっぱり俺、悠里のお○んこが一番いいや」
「うん、嬉しい……あぁぁっ、ゃだ! そこっ、ああああっ、あぁぁぁん! いやっ!」
 悠里をベッドに寝かせて彼女の長い綺麗な脚を俺の肩に預け、俺はベッドの外から深く貫
く正常位。

 オナ禁の効果もあり、久々の悠里のあそこがとてもとても気持ちがよかったせいもあり、
ほんの一瞬で発射してしまう。それは凄く長くて、凄く気持ちいい射精感だった。
348 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:29:24.89 ID:E0cl5on2
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 6/7

 いつもの俺であれば、ここで一旦萎えて、少しの休憩が入るところ。
 でも今は悠里が全然気持ちよくなってないし、俺もまだまだ続けたい気分がある。
 相棒の感覚を探ると、半勃起状態でまだ繋がっていられそうだった。
 そのままの状態で、改めてピストン運動を開始する。

 見上げると、全裸の美少女をと女子制服姿の少女が百合行為を働いているシーンが見える。
 鏡に映った自分達の姿で、それがとても気恥ずかしい。
 目をそらすために視線を下ろし、悠里の姿に魅入る。激しい快楽ではない。でも着実な興
奮に身を任せて悶えている姿は、神秘的なくらいに美しかった。

 徐々に俺の分身が力を取り戻す。腰の動きを徐々に大きくし始める。
「はぁ……はぁ……ぁん……やっ! ぃやっ! ぁああ! あん! 駄目ぇえっ!!」
 悠里の喘ぎも大きくなっていく。腰のうねりが悩ましさを感じさせる。

「悠里っ、俺っ、悠里が大好きだっ、愛してるからっ、大好きだからっ!」
「ぁぁんっ! まさあきぃっ! 雅明っ! 雅明っっ!!!」
 今までにない一体感を感じる。そんな至福の時間をひたすら繰り返したあと、彼女の昂ぶ
りを捉えて、2人、完全に同時に最後まで登りつめた。


(やっぱり俺、悠里が……女相手がいい。アキはもう俺を惑わさないでくれ。俺はもう、男
となんかやりたくない。俺はアキじゃないんだ。お前の欲求に付き合いたくない)
 床に倒れこむように寝そべり、天井を睨みつつ考える。
 (……雅明、それは違うよ)、と頭の中で“アキ”が抗議するかのように囁きかけてくる。

 ──雅明とアキはいっしょの人物。
 アキの感情は雅明の感情だし、アキの欲望は雅明の欲望なの。
 アキが嬉しいと思ったことは雅明も嬉しいと思ったことで、アキがやりたいと思ったこと
は、雅明もやりたかったことなの。……自分を誤魔化すダシに使わないで──と。

 それに俺は言い返そうとして、……そしてその言葉が余りに図星で事実で言い返せないこ
とに気付かされる。

「アキちゃん、大丈夫?」
 倒れこんだ俺に声をかけてきたのが、俊也でなかったなら少し展開が変わっていたかもし
れない。短いスカートがひっかかる形で、勃起状態のペニスの先端が見えてなければ違って
たかもしれない。

 でも。
(雅明、本当は『あれ』、欲しいんでしょ? 自分に嘘ついちゃだめだよ? 何ならあたし
が代わってやってあげてもいいよ?)
(……おいっ、馬鹿っ!)

 “あたし”の身体を起き上がらせ、俊也の身体をベッドの上に押し倒す。
「アキちゃん、どうしちゃったの?」
 戸惑う“悠里お姉さま”の分身を、騎乗位の形であたしの中に受け入れていく。
 いや、誤魔化しても始まらない。確かにこれは、『雅明』自身も望んでいたことなのだ。
349 ◆fYihcWFZ.c
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みC-2 7/7

 前戯もローションもなかったので、そもそも入るかどうかすら不安だったのに、ずぶずぶ
と根元まで、あたし/俺のお尻は悠里お姉さまの肉棒を迎え入れてしまう。
 引き裂かれる感覚や痛みは微塵もない。ここしばらく受け入れてきたまがい物とは違う、
柔らかくも力強い感触がとろけるように心地いい。

 大きさも硬さも、大昔の記憶に微かに残る感触よりは大人しいものだったけれど、でもそ
れが悠里お姉さまのものだと思えば、愛しさだけが募ってくる。
 デザインが可愛いことで有名な、女子高のキャメル色のブレザーに身を包んだ二人の美少
女たちが、ベッドの上で腰をくねらせあっている。そんな鏡の中の姿に見蕩れる。

 頭で考える必要もない。ただただ、心と躰の命ずるままに、腰が痙攣し、うねり、全身が
揺れるままに任せる。
 腰が前後に、上下に動くたびに、悠里お姉さまが快感の余り熱い吐息をはく。
「あぁぁあん♪ ぁぁぁああんっ♪ ひゅっ、はぁっ、はぁぁあああああんっ♪」

 喘ぎ声が、まるで音楽であるような響きを帯びるのは、悠里お姉さまの一つの特徴。
 愛しい愛しい、悠里お姉さま。
「……そういえば、俊也って前、確か雅明相手じゃできないとか言ってなかったっけ?」

 少し気だるさの残る様子で、陶然とした瞳であたしたちのまぐわいを見つめていたお姉さ
まが、ふとそんなことを聞いてくる。
「い、言ったでしょ? 私っ、アキちゃんに惚れちゃったのぉっ! 雅明は無理だけど、あっ、
あぁん! アキちゃん相手なら、さっ……さ、最後までやりたいのっ!!」

「ゆっ……悠里お姉さまぁっ! あっ、あたし嬉しいですぅぅっ!」
「アキ、アキちゃんのあそこ、よ、よく締まってて、ひだひだが絡み付いてきてっ、吸い込
んでいくようでっ、ぐしょぐしょに濡れててっ、とってもとっても気持ちいいのぉっ!」
「ゆっ、悠里お姉さまのあそこ、あったかくてっ、脈うってて、すっごく気持ちいいのぉ!」

 お姉さまはまだ何か言っているようだけど、もうそれすらも“意味ある音”として聞き取
れない。2人の世界の中、獣のような、悲鳴のような、音楽のような嬌声が絡みあう。
 そのままどのくらい時間がすぎたのだろう。流石に疲れが出てきた。
 2人目で見詰め合って、言葉にすることなく互いの意思を了承。息を合わせる。

 体勢を組み替え、繋がったまま後背位に位置を入れ替える。まるで獣の交尾のような姿勢。
 その状態で最後の最後まで突きこんでも、悠里お姉さまのものは、あたし/俺の最奥には到
達しない。
 それでも自分の肉体が歓喜の声をあげるのを止められない。

「はんっ! あんっ! 気持ちいいのぅっ! あぁぁあぁぁんっ! ぁぁんっ!!」
 全身が快感の波によって翻弄されて止まらない。そしてその最大の波で絶頂を迎えるその
瞬間、恐ろしい量の白く熱く滾る精液が、体内に迸るのを感じた。

 悠里、俊也の演じるもう一人の悠里、それに“アキ”。
 “雅明”はどうも、この3人の気まぐれで小悪魔的な、でも俺のことを本心では優しく気
遣ってくれる美少女たちに翻弄される運命にあるらしい。
 あまりの快感に、いつものように意識が失われる寸前、ふと、そんなことを思った。