【朝ドラ】梅ちゃん先生でエロパロ2

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464名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:+JL2EEis
連投はイカンとずーっと待ってたけどもう無理ぽ
長いの落としたのスレ活性には逆効果だったかなとひそかに凹んでます
職人さん方また何か読ませていただけると嬉しいです どうか頼みます…

>>463
長らくお礼言えずに申し訳ない&ありがとう
465名無しさん@ピンキー:2013/08/19(月) NY:AN:NY.AN ID:aAYtMyl/
>>464
逆効果なんて事はないと思うよ!
喜んでる書き込み沢山あるし自分をはじめ皆嬉しかったはず!
…単にこのスレを見ている職人さんがもういないのだと思います
終わった作品だしスレが過疎るのは仕方ないね…
466名無しさん@ピンキー:2013/08/19(月) NY:AN:NY.AN ID:emb/WxiY
>>465
かなり肩の荷がおりたよ ありがとう
終わった作品…そうなんだよなぁ…
こんだけ話読ませてもらえてありがたかったと思うことにします!
467名無しさん@ピンキー:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:k4LafACm
またまたご無沙汰しておりました。
395でポロリと漏らした「つい面白い方向へ脱線してしまう山梅」を恥ずかしながらコッソリ落としに参りました。
悲しいくらいにエロくなくて済みません。単なる帝都大話になっているかも;

もう少しでノブ梅と広梅が書きあがりそうなんですけれど、足りなくなりそうだったら次スレを立てさせてもらっても
いいでしょうか?
468山倉の夢1:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:k4LafACm
「スプリング、ハズ、カム……?」
「そう。春が来た」
「春が、来た……」
カフェのテラスと言うにはいささか侘しい佇まいのテーブル席で、外套を着こんだ学生服姿の僕の講義を、
セーラー服におさげ髪の梅子さんが熱心に聞いていた。
どんぐりのような目をクリクリさせて、眉間に深いしわを寄せ、頭をフル回転させていると思われる表情が実に好ましい。
拙いながらも懸命な姿勢で勉学に励む梅子さん。君は、そんな風に男性も愛するのだろうか。そんな風に想われる男の、何と幸せなことか。
そう思ったとき、ふと僕の心へ隙間風が吹き込んだ。
「僕には、春が来なかったけれどね……」
髪を弄りながら、軽く俯く。恐らく他には大げさに見えてしまうだろう愁いを帯びた僕の表情を、梅子さんは見つめ続けている。
「あれから、僕の心は凍てついた冬のままなんだよ」
梅子さんの目へチラリと視線を返すと、梅子さんは大きな目を更に見開いてから、赤面して下を向く。
「あれは……。あの時は、突然だったから……、その……」
「確かにあの時、僕は松子さんへ結婚の申し込みをしに行った。
ああ、しかし、君と言う気まぐれなクピドの矢が僕のハートを射貫いてしまった。それ以来、僕は哀れなる恋の奴隷だ」
テーブルの上で左右の指をモジモジと絡ませている梅子さんの両手を、僕は優しく包み込んだ。
「今の、君の気持ちを聞かせてほしい」
「あの、私……」
バラ色に上気した顔を上げ、うるんだ瞳で答えようとしていた梅子さんの腹が俄かにグウと鳴った。
「ごめんなさいっ!私、お腹がすいてしまって」
「ははは。全く構わないよ。好きなものを、好きなだけ頼むといい」
そう言って僕は右手を高く上げ、パチンと指を鳴らす。
すると、店の中から前髪をカーラーで巻いた割烹着姿のマダムが現れ、僕らのテーブルにはふかし芋、まんじゅう、お汁粉、クリームあんみつ、プリンアラモードにチョコレートパフェ、上等な白いクリームのケーキに、色鮮やかなソーダ水などなど、あらゆる甘味が運ばれた。
梅子さんがキラキラと瞳を輝かせ、興奮しているのが分かる。この店も、なかなかやるじゃないか。
「そうやって美味しそうに物を食べている君は、最高に美しい。まるで、天使のようだ」
鼻の頭にホイップをつけて笑う梅子さんを見て、僕は両手を広げて褒め称えた。
「ねぇ、梅子さん。僕はこう思うんだ。これからの女性は、強く、逞しくあらねばならない。
医者を目指すのならまず覚えておいてほしい。生きる事の中にこそ、人間のレゾンデートルがある。生きる事、すなわち愛だ」
梅子さんの鼻へついたホイップクリームを人差し指ですくい、わざと見せつけてから自分の口へ運ぶ。
それを、梅子さんはうっとりと見つめていた。僕は迷わず、立ち上がると彼女の頬へ両手を添える。
「さあ、梅子さん。新しい時代に高らかなファンファーレを鳴らそうじゃないか。いざ、口づけを」
目を閉じ、梅子さんの吐息がかかりそうなほど顔を接近させたとき、ファンファーレならぬけたたましいベルの音が僕の側で鳴り響いた。
469山倉の夢2:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:k4LafACm
「…………時代考証がめちゃくちゃだ……」
だいたい、あの店には今だってあんなメニューはないだろう。
暗くて狭い部屋の中、ぐるぐる巻きの湿気た煎餅布団を抱えて、僕こと山倉真一は目を覚ました。

「ああ、無い」
医局前の廊下に並んだロッカーの中をしばらく漁った後、つい周囲への遠慮がない音量かつ情けない声色の独り言が漏れた。
「どうしたんだい?山倉くん」
ロッカーの蓋を閉めると、陰に隠れるように、更に言うと前かがみになって立っていた松岡さんの顔がぬっと現れた。
しゃがみこんでロッカーの中へ半身を突っ込んでいた僕は、確かに怪しかったろう。
そして、はたから見たらきっと松岡さんも怪しかったに違いない。
「ああ、松岡さん。おはよう」しかし僕はさして驚かずに、まずは朝の挨拶をしてから立ち上がる。
「実は下着を汚しちゃってさ。着替えがあったような気がしたんだけど……」
名残惜しそうにロッカーの方へ視線を向けたまま、頭を掻き掻き松岡さんへ不審な行動の説明をした。
「下着を汚したの?」
「そうだよ。夜勤明けでさ、ちょっと仮眠したらやっちゃったんだよね」
男同士だし、気の置けない友人でもある松岡さんが相手だったったので何気なく会話を進めていったところ、
思いがけず松岡さんがいつも以上に眉間のしわを深く刻み、眼光鋭く見つめ返してきた。
まあ、いつもこんな調子だったかもしれないなと思いながら我らの医局へ入ると、僕の背後へピタリとついたままの松岡さんが、
ガッシリとした体をやけにコソコソさせながら更に近づいてきて耳打ちをする。
「……君、夜尿症?」
「どうしてそうなるのさ」
自分の席へ座ろうとしてズリ落ちかけた体を、僕はかろうじて机へついた両手で支えることが出来た。
「夢精だよ、夢精」
本当に、松岡さんと言う人は優秀な医者でいい人物だけれども、少し変わっている。
しかし、変わっているくらいの方が、研究者としてはいいのかもしれない。
僕は椅子にきちんと座りなおすと、いつもの日常を始めるつもりで書きかけの論文を取り出した。
「ああー、……夢精。……で?」
「で、って?」
思わず振り返ってみたら、自分の席には座りながらも、すっかり体をこちらへ向けている松岡さんと目があう。
僕らは黙って、そのまま何秒か見つめ合った。
松岡さんの日常は、どうやらまだ訪れていないらしい。
「あー、もう勘弁してくれよ。いくら松岡さんだって、そういう時あるでしょ?」
さすがに照れる気持ちも湧いてきて、悶えながら大きな声を出してしまった僕の耳に、思いがけない言葉が舞い込んだ。
470山倉の夢3:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:k4LafACm
「実は、あまり身に覚えがない」
「え?」
僕の目から目玉が落ちなくて、本当によかった。
「だから、以前から興味を持っていたんだ。ぜひ、話を聞かせてくれないか」
訂正しよう。少しではない。変わっている。うっかり松岡さんの生い立ちから現在に至るまでを想像しそうになって、頭を振る。
「相手は誰なんだい」などと問いかけながら目を爛々と輝かせる松岡さんの顔をマジマジと見つつ、一方で僕の頭の中には、
先ほど夢で見た梅子さんが思い出されていた。
恩師の息女にして、僕らの同僚。何よりも、目の前にいる松岡さんとお付き合いをしているらしい、と言う点から非常に言いづらい相手だ。
「松岡さんが、……あまり聞きたくない相手だと思うよ」
僕は言葉を選びながらやんわりと断ったつもりだったが、どうやらそれは松岡さんへ新たな疑問を与えてしまったらしい。
僕から話を聞き出そうと前のめりになっていた姿勢を垂直に起こし、腕を組んでブツブツと独り言を言い始めてしまった。
「僕が、……聞きたくない…………母?」
松岡さんが数十秒の考察の上に導き出した答えが余りにも的外れだったため、僕はうっかりと口を滑らせる。
「違うよ、もう。梅子さんだよ」
しまった、と思ったときにはもう遅かった。
松岡さんは、衝撃的なシーンのシェイクスピア役者のような仰々しさで、立ち上がると頭を抱えて苦悩し始めた。
「梅子さんと……、君が……」
「松岡さん、夢の話だからね?」
たしなめる様に、極々穏やかな声で話す僕の顔を、松岡さんは何故か二度見返してウンウンと頷いた。
「ああ。ああ、そうか。で、君は夢の中で梅子さんと性的な行為に及んだ、と」
「違うよ。性行為なんてなかった。ただ、話をしてただけ」
「えっ?」
「僕が梅子さんの家庭教師みたいな事していたのは知っているでしょ?その時の夢だよ」
それだけは断言しておかなければならない。僕がきっぱり言い放つと、何故か松岡さんはパチパチと目を瞬かせ、何か思いついたような顔をした。
「夢の中で、君が梅子さんとどんな会話をしていたか興味があるな」
夢の中ねぇ……。すっかり観念した僕は、松岡さんの興味を満たすため、記憶の糸を手繰りだした。
が、ボンヤリとしか憶えていないけれど、夢の中の自分は、さすがの自分でも歯が浮くようなセリフを並べていたような気がする。
「あー、それはちょっと言いたくないな……」
ガクリと頭を垂れた僕は、突然間近に迫った質量を感じて顔を上げる。
とうとう立ち上がった松岡さんが、僕の前に立ちはだかるように迫り、分厚い手で僕の両肩をガッシと掴んだ。
「なぜ。君はさっき、性行為はなかったと言った。性行為もなく、夢の中の会話だけでも人は射精することができるのか。
 だとすれば、現実の会話の最中にだって射精できるのだろうか。それは、万人に当てはまるのだろうか。
 ……どんな会話がそれを可能にするのか。山倉くん、もったいぶらずに会話の内容を教えてくれないか」
471山倉の夢4:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:k4LafACm
医学的興味の塊になってしまった松岡さんが次々とまくし立ててくるので、些かうんざりした表情になってしまった顔を摩りながら返す。
「梅子さんとの会話だって、普通の会話だよ。全然性的な話じゃない。たぶん、疲れてたんだと思うよ。
 疲れてる時って、射精しやすいじゃない。それくらいは、松岡さんにだってわかるでしょ」
すると突然大きな音を立ててドアが開き、その方向を振り返った僕らは一瞬ギョッと目を見開いた。
石か岩のように表情を強張らせた松岡さんの横で、僕はサッといつもの顔色を取り戻し、いかにも自然に挨拶をする。
「やあ。おはよう、弥生さん。今日は一段とおきれいで……」
「話しかけないで。汚らわしい」
弥生さんは鬼のような表情でギロリと睨み付けて、それ以上口を開くことを許さないとばかりに話を遮り、僕と松岡さんの前を横切って行った。
自分の席について医学書を開き、身じろぎもせずに目を落とす弥生さんの後ろで、密やかと言うには少々大きな声で松岡さんが話しかけてくる。
「この状況から察すると、僕らの話を聞いてしまったのだろうか……」
「多分ね」
全くひそひそ話になっていない会話を背後で繰り広げられ、弥生さんはさらに苛立ったようで、開いていた医学書を力いっぱい閉じて言う。
「ああ、もう!男の人の頭の中には、そんな事しかないのかしら!」
「それは違うな」僕はすかさず否定すると、弥生さんの横へ椅子とともに移動した。
「仕方ないんだよ、弥生さん。そういう事は男性の機能なんだから。確かに松岡さんの探求心は尋常じゃないけど、
君も医者なら、医学的な観点から受け入れるべきなんだよ」
もっともらしく結論付けられたと僕は思ったのに、なぜか弥生さんは表情を一ミリも動かさず、陶器の置物のように固まっている。
もしかすると、相手が梅子さんだったという部分がまずかったのかも知れない。
僕は最高の笑顔を弥生さんへ向けて言った。白い歯を眩しく輝かせる自分の顔が、自分でも容易に想像できた。
「たまには弥生さんだって登場するんだよ」
僕は最後まで言い切る事ができただろうか。よく分からないうちに、バチンと重たい音が室内に響いて、目の前が暗くなる。
それは、僕の顔と分厚い医学書がぶつかる音だった。
「それ以上言ったら、もう一発お見舞いするわよ」
「ふぁい。済みません……」
弥生さんが乱暴に席から立ち上がり、いちいち大きな音を立てて部屋から出ていくのを、緊張した面持ちの松岡さんと
真っ赤になってしまった鼻を押えた僕はいつまでも見送っていた。

――終――
472名無しさん@ピンキー:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:vsyKUrFz
山倉も松岡も初期は本当に変人だと思ってたの思い出しましたw
夜尿症?に爆笑 絶対松岡は真顔で聞いてるよねww
弥生さんの潔癖さもイイナー   
ほんとGJです!
(ひとつだけ、山倉は松岡を最初から君呼びだったような…記憶違いだったらスンマセン)

次スレについては467さんの作品が入らなかったらやっぱり立てて欲しいです 是非読みたい!
声があがってた光男千恵子をしつこく待ってたりもしたり…そっちは望み薄かなぁ…
473名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:CJwa72Bf
さっそくレスして下さり、どうも有難うございます!
そして、ご指摘も有難うございました;
DVDを見返して、保管庫の方もシレっと直しておきました;
真剣に思い違いをしておりました。うー、恥ずかしい……!

次の作品も期待して頂いて、本当に有難いです。
もう少しと言いつつも、ノブ梅・広梅を同時進行で書いていたりして
もうちょっと時間がかかるかもしれませんが、こっちはエロいのが書けていると思っているので、
落とさせてもらえたら嬉しいです。

光チエはまだ書いた事がないんですけれど、ちょっとDVD見ながら模索してみますね!
474名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:RJgD8lMi
>>471
久し振りにスレを覗いたら新作きてたー!職人さん乙!
山倉はこういう話がほんと合うね〜
(呼び方は確かに松岡くんだった気がするよ)
帝都大メンバーが皆そろうとほんと面白いわ

職人さん、首をながーくして待っていますので、これからも投稿よろしくお願いいたします!
475名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:Mqr44qQH
夜尿症www松岡なら言う、絶対言うw
職人さんいつも楽しい話をありがとね
476名無しさん@ピンキー:2013/09/24(火) 02:12:02.32 ID:SosjVC1c
467=473です。
広梅の方はとうに書きあがっているものの、●持ちでスレ立てが出来無さそうなため、投下を見送っております。
そうこうしている内に、光チエが書けたので繋ぎに落とします。チューと言うほどものもでもないのは有り、エチは無しです。
477初 1:2013/09/24(火) 02:13:09.66 ID:SosjVC1c
「ちょっと、帰りにくくなったね」
「そうだね」
光男がすっかり伸びた元いがぐり頭をグリグリと撫でまわし、「いやぁ」と言って参っている横で、千恵子は何やら嬉しそうな顔をした。
月の明るい、ある夜の事。みかみの前には、深刻そうな顔で縁台に座る梅子と、そんな梅子へ話をする一人の女性がいた。
信郎との浮気が疑われている、雑誌記者の山川だ。
仲睦まじいことで有名な安岡夫婦に立った、ちょっとした波風を、今や狭い町内で知らない者はいないだろう。
その波風の最先端を目の当たりにしては、知らない顔で通り過ぎることなど出来るはずもない。
光男と千恵子は、遠目にも見つからないよう、なるべく他家の軒へくっついて身をかくした。
話し声の聞こえるような距離ではないので、身振りなどから様子を探ろうと、光男は梅子たちの方を注意深く見つめる。
「こんな時に、こんな事言っちゃダメだとは思うんだけど……」
どうしたものかと思案する光男へ、千恵子が語りかけた。振り返ると、千恵子は自分の事を見つめていたようだった。
「光男君と一緒にいられる時間が少しでも増えて、ちょっと嬉しい」
自分へ寄り添って微笑む千恵子の心中を察し、光男もふと微笑み返した。

光男と千恵子は、元々仲が良かったものの、付き合っていたというわけではない。
安岡家の波風に巻き込まれ、少しの間だけ二人で映画に行ったことにされていたが、それまで実際に二人で出かけることなども無かった。
千恵子が工場に顔を出し、二人でその話になって、「ならば」と実際に出かけてみたのが前の日曜の出来事である。
蒲田の駅前で映画を見て、その後喫茶店で話をしただけの事だったが、行ってみると予想以上に楽しい時間を持つことが出来た。
店の子だけあって、千恵子はいろいろ気働きも出来るし、光男はそんな千恵子を可愛いと思ったりもした。
その後、昨日今日と、光男が夜学から帰ってくる頃になると千恵子が近くまで迎えに来ていて、二人で話しながら歩いた。
『もしかして……』と、若い二人が互いを意識するのに、長い時間は必要ないようであった。

「あっ……」
互いに見入りそうになっていた光男と千恵子が、揃って小さな声を漏らす。
山川が突然走ってその場を去り、それを見送るようにしてから、梅子が自宅の方へと歩き出したのだ。
二人は黙って頷き合うと、みかみの前まで歩を進めた。今まで梅子と山川のやり取りがあった縁台が、ポツリと月に照らされている。
千恵子が、ハアッと大きな息をついた。
ようやく思い切り息ができるように感じたのだろう。その事は、光男にも理解できた。何しろ、今の今まで息の詰まる場面を見ていたのだ。
「梅子先生、どうしたかな……」千恵子は、急な展開の、その先を気にしているようだった。
「うん……」光男の頭の中には、信郎の姿があった。
光男は、信郎を社長や旋盤工の先輩として尊敬しているだけでなく、兄のように慕ってもいた。そんな信郎にかけられた疑惑である。
もちろん信郎は否定をしているが、嘘の片棒を担がされた上に、町の噂では信郎が浮気をしたと決まったような話になっている。
真相が知りたい。言葉にする事こそないものの、いつしか光男はそう思うようになっていた。
478初 2:2013/09/24(火) 02:13:46.62 ID:SosjVC1c
安岡製作所が見える、映画館の看板がある角まで来て、二人は足を止めた。
工場の引き戸が開いたままで、中の明かりが入口の前を明るく照らしているのだ。
工場の横にある窓も開いていて、中の様子が少しだけ窺える。梅子も信郎も、中にいる姿がチラリと見えた。
中の様子は気になるが、梅子や信郎に見つかってはいけないし、まだ人通りが無いわけでもない時間だ。
「無理に近くまで行かなくても、これくらいの距離から見ていようか」と問おうとして、光男は千恵子の方を見た。
視線を合わせてきた千恵子の顔が、興奮しているのか緊張しているのか、昂っているようでいつもと違う。
光男の心臓はドキリと高鳴った。そう言えば、さっきからずいぶん千恵子との距離が近い。
「ここで、いいかな」緊張した面持ちになった光男が聞き、光男を見つめたまま千恵子が頷く。
その姿は、もはや街灯の下で語らうアベックにしか見えず、たまに通る人たちも一瞥するがさして気にも留めずに通り過ぎて行った。
「あのね、家の両親って、あんなでしょ。だから、梅子先生たちって、私の理想っていうか、憧れなの……」
光男の方へ体を向けたまま、千恵子が言う。その表情の中に不安の色が見て取れて、光男は千恵子の継ぐ二の句に耳を傾けた。
「だから、もし何かあったらと思うと……。ちょっと怖くなってきた……」
「大丈夫だよ」光男は自分にも言い聞かせるようにして、千恵子の肩に手を置くと、その体を工場の方へと向けさせる。
二人は縦に頭を並べ、窓から見える工場の中で何が起こるのか見極めようと、そろって目を凝らした。
梅子と信郎は、先ほどからくっついて話をしているようだが、何をしているかまではよく見えない。
ちょうど工場の方へ向かう通行人にくっついて、直接中を覗こうか、と考えた時である。
梅子が信郎に抱き付いて、信郎が梅子を抱え上げた。梅子を下ろした後もなお、二人は抱き合ったまま離れないでいる。
それを見た光男の頭の中へ、いつも工場で聞く信郎の声が聞こえてきた。
「こんなもの、直しゃまだ使えるだろ」
信郎も、その父の幸吉も、大概の物は壊れても直して、再び使えるようにしてしまうのだ。
きっと何事もそうなのだろう。普段の生活も、長い人生も、直しながら大切に重ねていって、きっと本当に壊してしまう事はないのだ。
そんな二人の仲を他人がどうのと言う筋合いはないし、そもそもあの二人の間には噂のように他人の入る隙などないのではないか。
「やっぱり、いいな」梅子と信郎の繋がりの深さを改めて確認し、こみ上げるものを感じて視線を向ける。
そんな光男の視線を受ける梅子と信郎は、運悪く抱きあう現場を目撃され、野次馬となった通行人から囃し立てられていた。
「よかった!」千恵子が、心底嬉しそうな笑顔を向けてくる。光男は、そんな千恵子へ軽く屈んで口をつけた。
唇が触れた一瞬と、見つめ合う静寂の間。光男たちのいる街灯の光の中は、工場の前の喧騒から切り離された別の空間のように静かだった。
「何か、強引……」
言葉とは裏腹に、何やら嬉しそうな様子の千恵子へ、光男が右手を差し出す。
「帰ろうか?」
「うん」
二人はそっと手をつなぎ、道を歩き始めた。

――終――
479名無しさん@ピンキー:2013/10/02(水) 00:31:55.83 ID:Ivej18LF
気づくの遅くなったがこの二人に似合う微笑ましさでイイ!
光男千恵子のカプは最終的には光男が動くと思ってたんだ〜
手を取り合っての後姿もハマってると思う
480名無しさん@ピンキー:2013/10/07(月) 00:33:33.62 ID:0zqWaroH
感想有り難うございました!
一応妄想して書いてみたんですけど、こんな初々しい感じ止まりになってしまいました。
私も、光男は芯がしっかりしていると言うか、根が頑固なので、
いくときには男らしくグイグイいくに違いないと思います。
481名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 19:48:15.22 ID:8zyMkwPa
しかしエロパロスレは、あまちゃんに勝ってるんだ・・・
482名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 21:35:48.76 ID:yBJiBO2Q
光男千恵子ゴチでした。
なんかこう、頼れる感じだな光男!

ところで新スレが必要なら挑戦してみましょうか?
職人さんに安心して投下していただきたいし。
483名無しさん@ピンキー:2013/10/16(水) 00:37:15.29 ID:+374gHHW
>>481
どっちも好きだからいいよ。
484名無しさん@ピンキー:2013/10/28(月) 02:32:27.48 ID:zo5+d6uL
482さん
480です。有り難いお申し出を頂いていたのに、長らく気づかなくて済みませんでした。
スレ立て、一応トライしてみます。
だめだったら、お願いしてもよろしいでしょうか。
485名無しさん@ピンキー:2013/10/28(月) 02:50:03.87 ID:zo5+d6uL
次スレ立てられました!!

【朝ドラ】梅ちゃん先生でエロパロ3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1382896091/
486名無しさん@ピンキー:2013/10/28(月) 02:51:19.65 ID:zo5+d6uL
467で「もう少しでノブ梅と広梅が書きあがりそう」と言っていた広梅の方から先に投下します。
が、いつぞや書いた凌辱物の続きとなっております。何とか次回作までで纏められそうなので、苦手な方はどうかスルーしてやって下さい。
あと、「凌辱物がお好きな方に読まれて恥ずかしくないように」という事を目標にしましたので、プレイの内容は酷いと思います。
一応広梅なんですけれど、凌辱調教(広志はそのつもり)なので、後半に第三者も参加します。
劇中の登場人物ではありますが、このスレに登場したことのない人です。ノーマル好きな方は、色々要注意です。
487堕天・弐 1:2013/10/28(月) 02:52:49.61 ID:zo5+d6uL
「弥生さん、お疲れ様」
梅子がお盆の上に熱いお茶と饅頭を乗せて、診療所へ顔を出した。
すっかり日暮れが早くなり、暗くなった通りは人影もまばらで、静かな診療所内には達磨ストーブの火を燃やす音だけが聞こえていた。
「いつも、ごめんなさいね。弥生さんも忙しい時期なのに」
「気にしないで。忙しいと言っても、式は来年だし。結婚後も、今まで通りに仕事を続けるつもりだしね」
弥生は勧められた饅頭を頬張りながら、幸せそうに顔をほころばせた。
結婚式の準備や、旅行の計画、今晩も一緒に食事へ行く話など、晴れやかに山倉との話しをする弥生の顔を見て、梅子は目を細める。
「人を愛するって、相手を思いやるってことよね」
「どうしたの、梅子。何だか様子が変ね」
医者らしく梅子の様子を観察した後、弥生は梅子の耳元まで顔を近づけ「信郎さんと、また何かあったの?」と問いかける。
患者の椅子に座って話を聞いていた梅子は、「そんな事ないわ」と笑顔を見せたもののやはり元気がなく、「心配かけてごめんなさい」
などと言って、更に弥生を心配がらせた。
「ほら。ノブね、例の雑誌に取り上げられてから注文が増えたって言って、とても忙しそうなの。だから、ケンカをする暇もないのよ」
「なら、いいんだけど」無理に明るく振舞おうとする梅子に対し、弥生は複雑な笑顔を返すと、饅頭を置いてお茶をゴクリと飲み込んだ。
「そういえばノブも、今日は給料日後の金曜日だからって、久し振りに工場の人たちと飲みに行くんですって」
梅子が両手をパンと鳴らして空気を引き締めると、山倉さんを待たせても悪いから、今日はもうお終いにしましょうと提案した。
「千恵ちゃんも、上がっていいわ。今日はもう患者さんも来ないだろうし、後は私に任せて」
弥生はチラッと掛け時計を見る。時刻はそろそろ5時45分になろうとしていた。確かに、今日はもう誰も来ないだろう。
「じゃあ、梅子。悪いわね」
弥生がコートを着込んで外へ出ると、木枯らしが吹きつけてきて、思わずコートの襟を立てる。
足早に駅へ向かう途中、安岡製作所の角を曲がる際に何気なく診療所の方へ視線を向けると、中へ入っていく一人の男性の姿があった。
「あれは確か……」弥生は一瞬怪訝そうに顔をしかめたが、強い北風に背中を押されるようにして、自分を待つ山倉の元へと急いだ。

弥生と千恵子を見送った後、火を消そうとストーブの前へしゃがんだ梅子は、ダイヤルへ伸ばした手をふと止めた。
たまに会う弥生だからこそ気づくのか、たまに会う弥生にまで気づかれるのか。――いつも傍にいる人には、自分の様子がどう映っているのか。
そんな思いが頭をよぎり、達磨ストーブの中で揺れる炎をボンヤリ眺めて、ハアッと苦しそうにため息をついた。
本意では無いとは言え、犯してしまった過ち。あの時の彼は魔がさしただけだと思い籠め、蓋をするように閉じ込めた記憶。
けれど、早く忘れなくてはと思う一方で、白衣についたインクの染みのように、その跡はなかなか消えないでいた。
信郎の姿が、網膜の奥へ現れる。胃の底で不安がモゾモゾと蠢き、梅子は寒気を覚えて体をきつく抱きしめた。
「いけない。しっかりしなくちゃ」梅子が両手で頬をパンパンと叩くと、突然ガラッと音がして診療所の戸が開かれた。
「こんばんは。どうしましたか?」
出来る限りの明るい笑顔を作って立ち上がった梅子の顔が、冷たい風とともに入ってきた人物を見た瞬間に凍り付く。
「……広志くん!」
488堕天・弐 2:2013/10/28(月) 02:53:24.00 ID:zo5+d6uL
そこにあったのは、自分に消えない跡をつけた張本人である広志の姿だった。
「ごめんね、広志くん。今日は、もうお終いにしようと思って……」
努めて落ち着いた口調で話そうとする梅子の声が、緊張で上ずってしまう。
「今日は、信郎さんもいないですしね」そう言うと広志は、戸の鍵を内側からかけてしまった。
唖然としている梅子へ、みかみのご主人と世間話をしただけですと言って、広志は重たそうな鞄を持ったまま上がり込んでくる。
「……どうして、来たの……」自分を通り越して診察室へ入っていく広志を目で追いながら、固い声で梅子が尋ねた。
「どうして?」
広志は梅子の目を見つめたまま鼻先で笑い、机の横へ鞄を置くと、梅子の椅子へドカリと腰を下ろした。
「僕たちがやっている事は、治験です。治験の後でどのような作用があったのか、確認するまでが仕事ですから」
広志は胸のポケットから黒い手帳を取り出して中を開き、ボールペンを持って聞き取りを始めた。
「どうですか?体調は。変わったところはありませんか?」
梅子の椅子で足を組んだ広志は、医者然として梅子に尋ね、顔をこわばらせた梅子が別に無いわと答える。
そのまま幾つかの質問をした後で、さてと、と広志は言った。
「今日の分を始めましょうか」
手帳を再びポケットへ戻した広志が薄らと笑い、梅子の瞳が暗くかげる。
しかし、梅子はうつむき加減だった視線をまっすぐにして白衣のポケットの辺りをきつく握りしめると、絞り出すようにして声を出した。
「あ……っ、あのね、広志くん。私……」
「梅子さんは、医師なんですから。1度や2度で治験のデータが取れない事くらい知っているでしょう」
聞く耳など持たないと言いたげな広志は、話しをする梅子の方へ視線を向けることなく、屈んで自分の鞄から薬方を取り出した。
「でも……、こんな事をするとは……」
「治験に協力するといったのは、嘘だったんですか? 梅子さんは僕に、嘘をついたんですか」
診察室の入り口から動けないでいる梅子は、強い渇きを覚えて喉を上下に動かすが、潤う事なくかえって喉が張り付いた。
乾いた梅子の口から発する言葉は掠れ掠れで、広志の強い視線と口調によっていとも簡単に遮られてしまう。
「そんなつもりじゃないの。でもね、広志くん……」
「梅子さん。医療の発展は、多くの臨床試験の積み重ねなんです。誰かの犠牲の上に成り立っているんです。
 梅子さんは人を犠牲にして、知らない誰かを踏みつけにして、上澄みの綺麗な部分だけが自分の物のような顔をするつもりですか」
「そんな事ない!」
梅子は思わず大きな声を出して広志の発言を否定すると、詰め寄るように2,3歩歩み寄る。
広志も黙って立ち上がり、やはり2,3歩歩み寄って梅子と顔を突き合わせた。
二人が黙って睨み合う間で、時計が6時を告げる鐘を鳴らす。
「早くしないと、ご家族が心配して覗きに来るんじゃないですか」
広志はベルトのバックルを手早く外し、ベルト自体をベルト通しから引き抜いた。黒い革のベルトが、広志の左手からブラリと垂れ下がる。
「さっさと始めましょう」
489堕天・弐 3:2013/10/28(月) 02:54:02.86 ID:zo5+d6uL
「広志くん。私、やっぱり……」
広志の右手が、後ずさりをした梅子の細い手首を捉える。梅子は慌ててその手を引き戻そうとした。
けれど、その勢いを利用されて体が半分回転し、広志へ背中を向ける格好になると、体側に両手を添わせた状態で括られてしまった。
革のベルトが前腕に食い込み、上半身の動きを封じられてしまう。
広志の手が梅子のボタンへかかり、抵抗できないまま胸を大きくはだけられ、ブラジャーから引っ張り出された乳房が露出した。
「大声を出したりしたら……。分かりますよね?」抑揚のない声で、広志が背後から呟く。
梅子はハッとして家の勝手口へ通じるドアへ目を移した。
表の戸は先ほど広志が鍵をかけてしまったが、こちらの鍵は開いたままだ。いつ祖母の正枝や子供たちが入ってきてもおかしくない。
「こんな姿を、見られたくはないでしょう?」
梅子の上半身は強引に診察台へ押し付けられ、広志へ向けさせられた臀部もスカートを捲りあげられてすっかり丸見えになっていた。
「……広志くんだって、人に見られたら困るんじゃないの……?」
「僕は構いませんよ。梅子さんと一緒なら、どんなに堕ちたとしても」
荒くなる息を押し殺して気丈に振舞おうとする梅子を一言で突き放すと、広志は口を使って薬方を開き、中から薬剤を取り出す。
そして梅子の下着を膝まで一気に下ろし、キラキラと濡れ光る秘部目がけて薬剤を押し込んだ。
広志が梅子の膣から勢いよく指を抜き、その手で梅子の白くて丸い尻をビシッと叩くと、梅子が「あっ」と辛そうに息を漏らす。
「こんな状況になったのは、梅子さんのせいですよ。あれから梅子さんが、ちっとも僕のアパートへ来てくれないから」
そう言ってまた梅子の尻を叩き、梅子の尻には広志の手の跡が赤く浮かんだ。広志は「お仕置き」と称し、梅子の尻を叩き続ける。
梅子が激しく抵抗しないと見るや、尻を叩く手は休めずに、梅子を押さえつけていた手を秘部に突っ込んで中の濡れ具合を雑に確認した。
そろそろいいかなと言って、広志は赤く腫れた梅子の尻を掴むと、蕩けた梅子の入り口へ亀頭を押し付けて先端だけを差し込む。
早く済ませたかったら自分で動くようにと言われた梅子は、暗涙に咽びながらも、体の中へ広志の陰茎を沈めていった。
「ううっ……、く…っん。あ……んん……ふっ!」嗚咽と愛嬌の混じったような吐息を漏らして、梅子は必死に腰を使う。
尻を叩かれ、締まる膣が広志を咥えて離さない。信郎が激務に追われているせいで寂しい思いをしている体が、勝手に快楽を求めてしまう。
「ほら、しっかり腰を振らないと終わりませんよ。梅子さんだって、邪魔が入らないうちにイッてしまいたいでしょう?」
梅子の両肩を掴んで上体を起こさせ、放り出されたままの乳房を鷲掴みにすると、広志は先端で震える乳首を引っ張って力いっぱい捻りあげた。
「嫌っ!駄目よ。もうやめて……」これ以上責められると、気を遣ってしまいそう。いけないと思っても、快楽の波がそこまで押し寄せていた。
梅子はのけ反って反応し、激しく腰を上下させて「あっ」と一言甲高い声を上げる。尻の動きが止まり、精を搾り取るための痙攣が始まった。
広志は舌打ちをして梅子を縛るベルトを掴み、早駆馬のようにして梅子の腰を強引に動かすと、ヒクつく膣中に欲望の汁を撒き散らす。
全ての精子を吐き出しきった後で、広志がふやけた陰茎を抜き取る。梅子の膣口はだらしなく開いたまま、中から広志の精液がダラリと零れた。
「全く。お行儀が悪いな」広志は意地悪く言い、垂れてきた自分の精子を手のひらで掬って三本の指を使い梅子の中へ押し戻して笑った。
再び流れ出す前に、膝の辺りへ残されていた梅子の下着を引っ張り上げ、ちゃんと飲み込んでくださいよと言い放つ。
そして、ろくに後始末もしないままズボンを履くと、梅子を縛り付けていたベルトを外し、自分のズボンへ通した。
一言だけとってつけたような礼を言って広志が去っていき、一人残された梅子は両手と膝を床について、ガクリと項垂れた。
「どうして、こんな事に……」梅子の膣の中から解けた薬と広志の精液がダラダラ流れ出て、粗相をしてしまったように下着を濡らしていた。
490堕天・弐 4:2013/10/28(月) 02:54:37.03 ID:zo5+d6uL
「いやー、やはりここのカレーは旨い!」
新橋の駅で待ち合わせをした山倉と弥生は、最近山倉が気に入っている、東銀座にあって異国情緒溢れる内装のインド料理店へ来ていた。
「特に、今日みたいに寒い日はカレーを食べると体が温まるね。この香辛料がいいのかな?」
二人の前には、楕円形の銀の皿に盛られた真っ黄色なライスとカレーがあり、山倉の方はスプーンでよく混ぜ込んである。
それを次々と口に運びながら話し続ける山倉とは対照的に、弥生は食も進まず口数も少なかった。
「どうしたの、弥生さん。今日は元気がないね」
とうの昔に気づいていた山倉がついに問いかけると、弥生は強がったりする事も無く「うーん」と唸った。
「元気がないのは、梅子なのよ」弥生はビールを数口流し込んでから、今日会った梅子の様子を山倉へ話し始めた。

「あれ、梅子は」
師走も半ばになったある日。土曜の仕事を終えた信郎が庭から下村の家へ戻ると、正枝が太郎たちと食事の用意をしていて、梅子の姿がなかった。
「何だか用があるって、大学へ行ったわよ。今朝、急に呼び出されたみたい」
「はぁ」茶の間に座って新を膝に乗せた信郎は、正枝の話を不思議そうな顔で聞いていた。

「ここは、どこ!?」見知らぬ、ホテルの客室のような場所で目を覚ました梅子は、思わず声を出した後で悲鳴を上げた。
何も着ていない状態で部屋に一台しかないベッドへ寝かされ、両手首に結わかれた縄で、そのベッドに繋がれている。
「お目覚めですか。時間通りです」と広志が返事をしたのは、自分の足と足の間からで、今まさに膣の中へ薬剤を挿入される所だった。
「広志くん!これはどういう事なの!? 話し合いをするんじゃなかったの?きちんと説明して!」
梅子は罠にかかった野生生物のように広志を睨み付けながら、一方で、本当に何故こうなってしまったのかを思い出そうとしていた。
『梅子さんが悪いんです。それなりの方と結婚していれば、僕だって諦めがついたはずだ。それを、何もあんな……』
『よして、そんな言い方。ノブの事、何も知らないくせに』
ついさっきまでしていた会話が、朦朧とした頭に蘇る。そうだ、確か自分たちは、品川駅前にあるホテルの喫茶店で話をしていたはずだ。
広志から数日振りに電話があり、梅子もきちんと話をするべきだと呼び出しに応じ、喫茶店で話をしているうちに意識を失って、その後……。
梅子の目にぼんやりと、室内にあった椅子の上へ立った広志が、梅子の服やバッグをクローゼット内上部の棚の奥へ押し込み始めるのが映る。
それが終わると、広志は椅子を元の場所へ戻してポケットから豆絞り二本を取り出し、梅子が括りつけられているベッドの端に腰を下ろした。
「話なら、さっきしたじゃないですか。それに、今日はいつもと違うんです。梅子さん」
広志は、ベッドに固定してしまって動く事のできない梅子の頬を撫でながら、「そんな怖い顔をしないで」と言って妙な笑顔で顔を近づけてくる。
「薬の効能を、もっときちんと確認したくて。僕と梅子さんの相性が悪くて、たまたま妊娠しないだけかもしれないですからね。
 今日は別の方に精子を入れていただこうと思っています」
「え……」絶句している梅子の口に、広志は豆絞りを捻って猿轡にして噛ませ、意地悪く笑ってみせた。
「声は出さない方がいいですよ。声で素性がばれてしまうといけないですから」
カッと見開かれた梅子の目も、もう一本の豆絞りで覆い、頭の後ろで結び目を作りながら耳元で囁いた。
「梅子さんも、よくご存知の方です。楽しみにしていて下さい」
491堕天・弐 5:2013/10/28(月) 02:55:19.06 ID:zo5+d6uL
梅子の顔を隠してしまった広志は、いやらしいな梅子さんは、などと言いながらビショビショに濡れてしまった膣の中を乱暴に指でかき回した。
梅子は拒絶の声を上げるが、その抗議は、どんなに叫んでももう言葉にならない。
広志がシッと言って梅子を黙らせると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「静かにしておいた方がいいです。身元がばれてしまうのは、お互いに都合が悪い」
そう言われて梅子は息を止めるように黙りこくり、全身を硬くして訪問者の音を聞いた。
「本日は、お忙しいところを有難うございます」
まずは客を招き入れる広志の声、そして挨拶を交わす年配と思われる男性の声が聞こえる。
「こちらが治験に協力してくださる一般の方です」
二人の足音が、ベッドへ近づいてくる。おそらく二人して、全裸でベッドへ括り付けられている私の体を見下ろしているのだろう。
「薬は既に入っております。後は、先生の精子をたっぷりと女の中へ入れてやって下さい」
広志によって自分が物のように説明されるのを聞き、梅子は体ごと跳ね上がらんばかりに心臓を高鳴らせた。
「先生はお顔が広いですから、万一のことを考え、女には目隠しをしておきました。どうかお取りになりませんように」
広志が念を押すと、一緒にいる男が分かったと答える。やはり、どこかで聞いた事のある声だ。
「それでは、私は終わるまでドアの外におりますので。思う存分お楽しみ下さい。医学の発展のために……」
広志が話し終えるとドアの閉まる音が聞こえ、梅子は無防備な姿で誰だか分からない男と二人きりにされてしまった。
視界を奪われ敏感になった聴覚が、男の服を脱ぐ音まで捉える。
「ふん。商売女じゃなさそうだが、金のためか。それともただの好き者か」
あからさまに人をバカにしたような口ぶりで男から侮辱されていると言うのに、梅子の息はどんどんと上がっていってしまう。
「どちらでも構わんか。しかし、こんな格好で興奮するとは。これは、好き者の方だな」
男がベッドに上がってきたようで、ギシ、ギシ、とスプリングが鳴りベッドが揺れる。
「まあ、せいぜい楽しませてもらおう」
男の声は、もう梅子の顔のそばから聞こえてきた。梅子の頭の中は真っ白になり、相手がどこの誰かなどと考える余裕は無い。
知らない男のベタベタとした手が、梅子の体の上を這い回る。
あまりの気持ち悪さに梅子が体を大きくよじると、男は囃し立てながら更に全身を弄ってきた。
「売女め、どうだ、気持ちいいか」そんな事を言っては、男は梅子の体中をつねったりくすぐったりしている。
『違う! そんなんじゃないわ!』
梅子が逃げようとすればするほど男の興奮を煽るようで、つねる指に力が入り、乳房や尻を平手で叩いてきたりする。
男は叩いて揺らされる乳房の先端を指で数回しごいた後、唾液の溢れる口へ吸いこんだ。
「これは、子供を産んだ女だな。コリコリとして旨いわい」敏感な乳首を男の唇や舌で転がされ、声を殺す梅子の鼻息がどんどんと荒くなる。
その内、男は何か思いついたように梅子の両膝を立たせると、思い切り開脚させて中を覗き込んできた。
「ああ、この泡みたいなやつが薬か。全く、こんな物が本当に効くのかねぇ」
確かにそうだ。アメリカで使われているからと言って、100%の避妊が出来るわけでもない。
まあ俺は実験に協力してやっているだけだからな、と男がイチモツを梅子の膣に突き立てると、梅子の中に衝撃が走った。
492堕天・弐 6:2013/10/28(月) 02:55:47.56 ID:zo5+d6uL
広志の物とも、もちろん信郎の物とも全く違う異物が、自分の内部に入り込んでくる嫌悪感。
径は太いが丈は短く、まるでジャガイモをねじ込まれているようだ。
「年増の割には、…なかなか具合がいい。おおっ、よく締まるわ。ほれ、どうだ、気持ちいいだろう。どうだ!どうだ!」
『ああ、嫌。嫌よ……』 梅子の目を覆う豆絞りが薄らと濡れ、額には脂汗が滲んだ。
梅子が拒否しようとすればするほど、膣壁に力が入ってしまい、ますます男の陰茎の形をはっきりと捉えてしまう。
「いやらしい女だ。そんなに俺の精子が欲しいのか。もっとよがらないと、中に出してやらないぞ」
お喋りな男で、梅子の膣を陰茎で擦りあげている間中、ずっと卑猥な言葉を投げかけてくる。
必死で逃げようとバタつかせる梅子の足を捕らえると、男はあっと言う間に足首を掴んで、高々と持ち上げ開脚させてしまった。
「こりゃ、いい眺めだ。俺のお宝が出入りしているのが、よぅく見えるぞ。ほれ!」
梅子の足を大きなVの字に開いた男は、わざとグチャグチャ音を立てるように、梅子の中を出入りしている。
しばらくすると男は梅子の足を高く持ったまま閉じさせ、左手に両足首を任せて、持ち上がっている梅子の尻を右の手できつく叩いた。
尻への痛みで膣がキュッと締まり、これから受け入れる物を予感して、胎内が震える。数日前、体がそう覚えてしまった。
「俺の精子は濃いからな。メリケンの薬なんか、効かないかもしれないぞ。ほれ、孕め!孕め!!」
興奮しきった男は、大声を出しながら梅子の尻を馬のように何度も叩き、短いストロークで梅子の体を突き上げる。
『駄目!やめて!!』梅子の鼻から、悲鳴が漏れる。それを聞いた男が、いい声だと喜んで、更に激しく腰を打ち付けてきた。
梅子が全身を硬直させると、男は梅子の両足を折り曲げるように覆いかぶさってきて、掴んだ梅子の腰を自分にグイと引き寄せる。
「ほうら、しっかり受けろよ!たーんと出してやるぞっ…!」
ようやく男が最後の言葉を発した時、この男の声の主が、梅子の頭の中に閃いた。
『小学校の…教頭…先…生……』
教頭は梅子の両膝を持ち上げるようにして子宮口を開かんばかりに陰茎を押し付けると、ダラダラと何時までも射精し続けていた。

――「愛してる。梅子さん……」
広志の声で目を開くと、目隠しが外されていてホテルの部屋の景色が見える。どうやら自分を犯した男の姿は、既にないようだった。
「ああ。目が、覚めましたか? 僕が後からチェックアウトしますから、梅子さんは早く服を着て帰ってください」
梅子は整理のつかない頭であたりを見回すと、ベッドの上には既に自分の服とバッグが置かれていた。
「こんなの、愛でも何でもないわ……」
グッタリとした体を起こし、縄の跡がついた手首を摩りながら力なく梅子が言う。広志は一瞬泣きそうな顔をして、梅子の衣類を突き出した。
「……僕は、信じています。いつか、きっと……」
心の中にドロドロと黒いタールが流れ込んできたような気分で、やけに体が重い。梅子はどうにか服を着て、力なく部屋を後にする。
外は、冷たい冬の雨が降っていた。


――終――
493名無しさん@ピンキー:2013/10/28(月) 02:58:13.14 ID:zo5+d6uL
意外とまだ500に届かなかった。調子に乗って、ノブ梅の方も投下します。
光男が同郷の友達や女の子たちと遊びに出かけ、遅くなって怒られた日の昼間のお話です。
そう言えば、行ったことあるのかなーと思う場所があり、書いてみました。エロ有です。
494外 1:2013/10/28(月) 02:59:10.53 ID:zo5+d6uL
ある冬の日の休日。下村家の玄関では、梅子と芳子が、出かける松子夫婦を見送っていた。
玄関扉の磨りガラスから差し込む暖かな日差しの中で、大きな外套を着た松子が大きなお腹を抱えて
靴を履きにくそうにしていると、そそくさと加藤がその靴を履かせてやる。
そんな様子を、梅子たちは上がり框から眺めていた。
「松子、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫よ。少しは動いた方がいいって、お医者様も言っているでしょ?」
心配そうな顔をする芳子へ笑顔で答えると、その隣に立つ梅子へと、松子は目配せをした。
「だけど、もういつ生まれてもおかしくないんですから。無理は絶対にしないで下さいね」
そう医者らしく言う梅子に向かって、松子は「はぁい」と返事をする。
「あの、僕もついてますから。何かあったら、すぐにこちらへ連れ帰ります」
松子の傍らで、下村家へ営業マンとして来ていた頃と変わらない低姿勢の加藤が言うと、芳子の顔がホッと緩んだ。
「そうね。加藤さんが一緒ですもの。大丈夫ですよね」
「だけど、お父さんのいない日で本当によかったわ」と苦笑いをする芳子に「本当に」と松子は微笑み返す。
お昼は外で食べるわね、と芳子に言った松子が、そのままの柔らかな視線を自分の足元へいる夫へ向けた。
「あなた、母の前では本当にいい人みたい」
自分の靴を履かせてくれている加藤へ松子が言うと、加藤は少しおどけた様子で「そりゃないよぉ」と応える。
気分転換に散歩がしたいと言い出した松子が、加藤を呼び出したのは1時間も前だっただろうか。
外光に照らされる松子の幸せそうな顔を、梅子は眩しそうに見つめていた。

「松子さんたち、出掛けたのか?」
梅子が自室へ戻ると、ゴロリと横になって煎餅をかじりながら雑誌を眺める信郎の姿が目に入った。
「うん」と気のない返事をして襖を背に座った梅子は、部屋の中央に置かれたテーブルへ両肘をついて頬をのせる。
松子姉さん、出掛けるのにお化粧をして綺麗だったな。それに、光男君と出掛けた女の子たちも。
寝転がる信郎の向こうにある鏡台は、蓋が閉まっていて自分を映す事はない。
しかし蓋が開いたとしても、そこに映し出されるのは化粧もしていない自分の姿だ。
『私もたまには、おしゃれして出掛けたい』
天気のいい休みの日だというのに、自分はやる事もなく家でボンヤリだなんて……。
何だかとてつもなく世間から取り残されているような気になって、梅子の口から思わずため息が漏れた。
「どうかしたのか?」と間延びした信郎の問いに、「何でもない」と、梅子は再び気のない返事を返した。
ふーん、と横目で梅子の様子を見ていた信郎が煎餅をバリッとかじると、「そうか」と言って体を起こし、
「分かったぞ」と梅子に向かって手にした煎餅の半分をブラブラと揺らしてみせる。
「俺が、光男と一緒に出掛けた女の子たちを見て可愛いって言ったから機嫌が悪いのか」
突然聞こえた信郎の言葉に、梅子はこれ以上ないというくらい眉を八の字に寄せて、口を尖らせた。
「違うわよ、バカっ!」
495外 2:2013/10/28(月) 07:13:57.29 ID:zo5+d6uL
引っかかるものなど何も無く、時間がサラサラと無為に流れ落ちていく。下の階から、時計の音が空しく鳴った。
つまらない。梅子はテーブルの上に置かれた菓子器から煎餅を一枚とってバリッとかじった。
信郎は相変わらず雑誌の記事に目を落としている。
しかし、雑誌をギリギリまで自分に引き寄せていて、梅子の方からは中身が全く見えない。
「何を読んでいるの?」そう問いかけようとした時、信郎が読んでいた雑誌をバサッと閉じて口を開いた。
「ちょっと出かけるか」
「え……?」
それが自分へ向けられた言葉だと理解できるまで数秒間キョトンとした後、梅子は嬉しそうに顔をほころばせて頷いた。

「えらくご機嫌じゃねぇか」
「ふふふ、そう?」
ちょっとそこまでと信郎が言ったのでとっておきの余所行きではないが、お気に入りの赤いカーデガンに今年初めて袖を通し、
ハンドバッグを持って口には珍しく紅をさしている梅子の足取りは、明らかに軽やかだった。
「こんな風に出かけるの、本当に久しぶり」
梅子はニコニコしながら信郎の横へピタリとくっつき、信郎もまんざらではない表情で、二人は初々しささえ漂わせて歩いた。
気が付くと駅までたどり着き、ちょっとそこまでと言っていたはずの信郎が何故か電車の切符を購入している。
「どこまで行くの?」
梅子が尋ねると、信郎は「まぁまぁ、いいじゃねぇか」と言葉を濁す。
何かおかしいなとは思いつつ、せっかくの遠出だからとあまり深くは考えずに、梅子は信郎と一緒に電車へ乗り込んだ。

信郎に促されて降り立ったのは、川崎駅だった。
信郎がたまにお肉を買いに行く場所とか、安岡製作所の取引先がある場所として知ってはいるが、梅子にとっては初めての場所だった。
駅前が賑やかなのは蒲田と同じだけれど、何だか匂いが違う。梅子には、そんな気がした。
道行く男性たちは皆、梅子の全身をジロジロと眺め、隣にいる信郎と目を合わせると、フイと視線を外す。
梅子は信郎の傍を離れてはいけない気がして、スタスタと先を進む信郎の上着の袖を掴み、なるべく地面を見つめながら歩いた。
「ねえ、ノブ……」
いよいよ不安になった梅子が見上げると、信郎はキョロキョロと何かを探しているようで、梅子の問いかけにも気づかない様子だった。
「ねえったら……」
そう言って信郎の腕をつかんだ途端、信郎の歩く速度が上がり、そのまま引っ張られるようにして、ある建物の敷地内へと入っていく。
ブロック塀には何か看板が掛けられていたようだが、とても店には見えない。そこは、うらぶれた旅館のような佇まいだった。
大きな型板ガラスがはめ込まれた引き戸を信郎が慎重に開くと、広めのたたきの奥に薄暗い廊下が続き、その薄暗闇の中からひっそりと
仲居のような恰好をした初老の女性が現れた。
女性が小さな声で「ご休憩ですか」と尋ね、信郎が緊張した声で「はい」と答える。
梅子は訳が分からないまま、信郎とともに建物の中へと通された。
496外 3:2013/10/28(月) 07:14:26.10 ID:zo5+d6uL
「では、ごゆっくり」
梅子たちを部屋へ案内してくれた女性がお茶の道具を用意して去っていくと、信郎はその場にドカリと腰を下ろして、大きく息をついた。
明かりはついているもののやはり薄暗く、湿気てかび臭い部屋で、次の間には布団まで敷いてある。いったい、ここは何なのか。
バッグを持ったまま立ち尽くしていた梅子は、一人で安心したような顔をしている信郎の隣へ膝をつくと、腕を揺すって問いかけた。
「ちょっと、ノブ。何なの、ここは」
「あー。……こういう所だ」
「もうっ。ちゃんと言ってくれなきゃ、分からない」
大きく頬を膨らませる梅子の顔を覗き見た信郎は、自分の頬をさすりながら、面倒臭そうな視線を梅子へ向けた。
「分かった。ここがどういう所だか教えてやる」
「なっ……、何よ……?」
正座をする梅子へ向かい、信郎が胡坐をかいたままジリジリと距離を縮めてくる。
更に、梅子は信郎の長い腕で体を巻き取られ、体と体が押し潰されそうなほど密着しさせられた。
信郎の顔が、どんどんと近づいてくる。さっきの面倒臭そうな顔とは違い、何だか妙に切迫している。
「え……?」
唇と唇が触れあった瞬間、女性があの時に上げる独特な声が、他所の部屋から漏れ聞こえてきた。
流石の梅子にも、ここがどういう場所なのか理解ができて、掌に汗が滲む。
でも、どうしてこんな……。ただ、天気のいい休日に外へ出掛けたかっただけなのに。
自分の心臓の音が、やけにうるさく聞こえる。閉じた瞼の裏が、やたらと赤く見えた。
「痛えっ!」信郎は弾かれたように梅子から顔を離すと、咄嗟に自分の口を手で覆った。
「痛ってーな! 何すんだよ!」
「バカっ!」
驚いている信郎の体を両手で押し戻し、梅子は膨れ面でベーッと舌を出す。
「何するんだは、こっちのセリフよ! こんな昼間から、こんな所で……、こんな……」
「仕方ねぇだろ」
真っ赤な顔で抗議する梅子の手を取った信郎は、「こんなになっちまってるんだからよ」と言って自分の股間に押し当てる。
「きゃっ」
梅子は慌てて手を引っ込め、「知らないっ!」と言ってぷいと信郎に背を向けた。

「知らない。勝手にすれば」
どうすればいいんだという信郎の問いへ、梅子は背中を向けたままぶっきら棒に答えた。
「ああ、そうかよ」
面白くなさそうな信郎の声が、背中越しに聞こえる。
帰るのか、ふて寝でもするのか。背後にいる信郎の行動を感じ取ろうと、いからせていた梅子の両肩が、ビクリと持ち上がった。
「ちょ……っと、ノブっ!」
497外 4:2013/10/28(月) 07:14:55.35 ID:zo5+d6uL
ふり返ろうとしても、身動きが取れない。後ろから信郎にぐるりと抱きかかえられてしまった上に、頭へ鼻先を押し付けられている。
「何……してるのよ……っ」
徐々にずれてきた信郎の鼻先から、梅子の耳元に熱い息がかかり、口から出た文句は甘く途切れてしまった。
「勝手にしてるんだよ」
勝ち誇ったような信郎の声を、耳の穴のすぐ横で聞く。梅子の心臓は大きく鳴り、全身の血管に血が巡って体が火照る。
どうにかその手から逃れようと、梅子が体をよじればよじる程、信郎の腕に力が入った。
信郎の腕をどかそうとしても、その固い前腕筋はビクともせず、かえって力の差を思い知らされてしまう。
信郎は左腕の力を緩めぬまま、右腕をソロソロと動かして、衣服の上から梅子のふくらみを撫でた。
左のふくらみを全体的にクルクルとなぞり、中心部へ向かって収束していく。達した中心部は、指先だけでくすぐられた。
プックリと大きくなってしまった突起が、衣服の下から主張をし始め、信郎の指先に見つかって摘ままれる。
衣服と擦れる感覚も相まって、その先端に鋭い刺激が襲うのを、梅子は息をつめて堪えていた。
信郎が梅子のカーデガンを脱がしていく。梅子は、動かない。
それ以外の物全ての時間が止まってしまったような空間で、信郎の指だけが動き、梅子のブラウスのボタンを外していった。
上から4つ目のボタンが外れると、信郎の手が露出した梅子の柔肌へと這わされた。
右手は左胸、左手は右胸へスルリとブラジャーの中へ滑り込んで、一分の狂いもなく人差し指と中指の股へ突起を挟み込み、
大きな掌で乳房を覆うようにして掴むと、緩急をつけて揉みしだく。
敏感な突起を指の股で圧迫されて、梅子の口から「ああ」と熱い吐息が漏れた。
それでも動かないでジッとしている梅子を追い立てるように、信郎は梅子の突起を挟んだまま指を交互に動かしたり、
人差し指の腹でクルクルと撫でたりしてくる。
小鳥のくちばしの様にした左手で突起が啄まれ、更に身を固くする梅子の腹部を、次なる場所へと向かう信郎の右腕が伝っていった。
「は……っ」与えられる快楽を期待したように、梅子が苦しそうに息をつく。
梅子の膝へとたどり着いた信郎の手が、梅子のスカートの裾から中へ潜り込んだ。
徐々にスカートが捲られていき、その白い太ももが露わになっていくのに、もはや梅子に抵抗する様子はなかった。
すっかり現れてしまった太ももの上を、信郎の長い指が軽くなぞり、核心的な部分へと迫ってくる。
ピタリと背後についた信郎の息遣いから、興奮しているのが分かる。そう感じる梅子もまた、興奮していた。
信郎が下着の所まで到達すると、呼応するように梅子の太ももが自然と開かれ、信郎の指が梅子の形に合わせて上下に動かされる。
「だめ……」
自制が利かなくなってきたことを自覚して、梅子は自分の下半身へ伸ばされた信郎の腕へ手をかける。
「どうして」下着の上から梅子の溝をなぞっていた信郎の指が、隙間から中へと侵入した。柔らかな茂みをぬけて、秘部へ到達する。
「梅子だって、こんなになっちまってるじゃねぇか」
信郎はその指の長さを十分に使って、梅子の亀裂を大きく擦りあげると、梅子の隙間からサラリとした露が溢れてきた。
いくら梅子が声を殺していても、信郎の指が動くたびに溢れる水音が響き、感じている事実を物語ってしまう。
「もう……、だめ……」
梅子は全身から力が抜けるのに任せ、とうとう信郎に体を預けた。
498外 5:2013/10/28(月) 07:15:22.49 ID:zo5+d6uL
静かに布団の上に横たえられて、信郎が覆いかぶさってくる。怖いくらい真剣な顔をするので、梅子は黙って瞼を閉じた。
自分の唇で梅子の唇を割った信郎は、中で戸惑っていた梅子の舌をサッと絡め取る。
「んっ……」
絡めあう舌と舌の上で唾液が混じりあい、梅子の喉がゴクリと鳴った。行き場を求める梅子の手が、信郎のシャツをグシャリと掴む。
頭の中が痺れるような口づけに、梅子も酔い始めている。思えば、キス自体も久し振りだった
里帰り中の松子が隣の部屋を使っているので、夜の営みのないことが普通のようになってしまっていた。
もしかすると、信郎にはずいぶん我慢をさせてしまっていたのだろうか。
唇が離れていく。梅子が薄らと目を開けると、腕を立てた信郎が、側面の壁に向かってもう片方の腕を伸ばしていた。
「なる程。これが仕掛けか」
「ノブ……?」
梅子が様子をうかがうと、ニヤッと笑った信郎は、梅子のスカートと下着を一気に脱がせ、四つん這いになるように促した。
促されるまま壁に向かった梅子は、思わずドキリとする。
不自然な場所にある窓だと思っていたものの、障子を開くと、その内側には鏡が張られていたのだ。
鏡に、髪を乱した自分の姿が映る。中途半端に脱がされたブラウス、ずらされたブラジャーからはみ出した乳房。
だらしなく紅の滲んだ梅子の口から、湿った吐息が漏れる。
鏡の中の信郎は自ら服を脱ぎ捨て、再び男臭い顔に戻っていて、梅子の背に覆いかぶさると、その白い首筋に吸い付いてくるのが見えた。
「あ…」信郎の侵入を、器官が直接感じ取った。自分の見えない場所で、信郎の硬く逞しい物が体の中へ押し入ってくる。
信郎の腕が、後ろから梅子の腹部へと回された。信郎の指が肌の上を軽く滑るだけで、梅子の肌に粟が走り、腹部がキュッと緊張する。
信郎は梅子の腹へ自由な曲線を描いていた手を下へ移動させ、探り当てた秘粒を指の腹でゾロリと撫で上げた。
「ああっ……っ!」
始めて上げる、抑制のない声が自分の耳にも響き、梅子はハッとして目を開ける。
「どうした。もっと声出せよ」
鏡越しに、自分を背後から犯す信郎の視線が、いやらしく絡みつく。
同時に、欲を貪る自分の顔も目に入り、たまらず再び目を閉じた。
「駄目……っ。やめ……、ノっ……あぁっ!」
深く、奥の底まで。信郎は尖った先端で梅子の中を突き刺しながら、長い指を使ってゆっくりと、プクリと膨れた梅子の粒を擦ってゆく。
「声、出せ。梅子……っ」
梅子の吐息には、悲鳴に近い愛嬌が混じりだした。
「やっ……、ああーっ!あっ……やめ……てっ……!」
信郎が律動を止め、後ろから梅子の耳に鼻を擦りつける。熱い息が、耳にかかる。
「やめていいのか?」信郎が梅子の耳元で囁いた。信郎の声はとても意地悪で、鏡に映るその顔は甘く微笑んでいた。
自分の中を押し広げたまま、信郎は動かない。胸の奥がざわついて、妙な寂しさに襲われる。梅子は目を閉じ、掠れた声で懇願した。
「……やめないで……」
信郎は両手で梅子の臀部を掴むと、ひくつく梅子の内部目がけて激しく腰を打ち付け始めた。
499外 6:2013/10/28(月) 07:16:00.66 ID:zo5+d6uL
「あっっ……、ヘン!……ヘンに…なっちゃう……!」
猫のように背を反らせて高く突き出した梅子の腰を方手で抱えると、信郎はもう一方の手を再び梅子との結合部へ回す。
二本の指で淫唇を左右に広げ、曝け出された淫核を真ん中の指で捏ね回しながら、腰の速度を速めて一気に梅子を昇り詰めさせる。
「あああーっ、あーーーっ!!」
梅子の口からは、とめどなく昂った悲鳴が上がっていた。
「梅子っ! いくぞ!」
興奮しきった声で信郎が宣言すると、潮時を感じた梅子の中が大きくうねりだす。
「ああっ、ノブっ! ノブ……、きて…っ!」
信郎は梅子の細い腰を思い切り引き寄せながら、最後に一発、腰をドスンと打ち込んだ。
その瞬間、どこの部屋の誰よりも大きな声を出して梅子が果てると、ようやく満足した信郎は自身の欲望を梅子の体内へと迸らせた。

精を吐き出し切った陰茎を梅子の中から抜き出し、信郎が自分の後始末を始めてもなお、梅子はうつ伏せになったまま動かないでいた。
「……何で、こんな所を知ってるのよ」
枕へ顔を押し当てたままの梅子が問いかけ、「雑誌で見たんだよ」と下着を履きながら信郎が答えた。
なるほど、と梅子は思った。家で熱心に読んでいたのは、こういう記事だったのか。
「何だよ。まだ怒ってるのか」
呆れたように信郎が言うと、梅子が何やら小さい声で返事をして、「えっ」と信郎が聞き返す。
「もうっ。動けないのっ」
顔も向けずに梅子が突然大きな声を出し、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった信郎は、梅子の腹が鳴る音を聞いてプッと噴き出した。
「そう言えば、昼飯まだ食ってなかったもんな」
下着だけを身に着けた信郎が梅子の始末を始めながら、様子を窺うようにして、「何か食っていくか」と話しかけた。
梅子は「ふん」と鼻から息を出し、信郎とは逆の方へ顔を向ける。
「梅子。顔、鏡で見えてるぞ」
信郎がそう言っておかしそうに笑う。鏡の中に、自分の後ろで笑う信郎がいて、うっかり目が合ってしまった。
頬を赤らめた梅子がゴロリと信郎の方へ体を転がし、信郎の足を手で軽く小突いた。
「もうっ、プリンアラモード」
「え?」
「プリンアラモード。ご飯の後に、食べさせて」
梅子が偉そうに言い、信郎が目を細める。梅子も目を細めると、引き合った二人の唇が軽く触れあう。
「たまには外もいいわね」「たまには外もいいな」
同時に声を発した二人は「何よ」「何だよ」と言い合いながら、固く抱き合うと、深い口づけを交わした。


――終――
500名無しさん@ピンキー:2013/10/29(火) 03:34:50.69 ID:dvr+fnEv
投下の途中で新スレに移行するくらいかと思っておりました。
以外に容量を喰わなくて、内心焦っています。
スレ立てのタイミング、早すぎましたね。
本当にすみません。勉強して出直します。
501名無しさん@ピンキー:2013/10/30(水) 00:37:34.02 ID:0KB675FQ
donmai
502名無しさん@ピンキー:2013/11/03(日) 02:56:40.62 ID:I7P8HFj8
>>500
新スレありがとう!

広梅はガッツリ陵辱だったね…読み応えあったよ
ラストのほろ苦がやはりいい
すれ違う心の着地点をぜひ見届けさせてください

ノブ梅は「あー、これこれ」感がたまらなかった

明暗分かれてる梅子どちらも読めて嬉しいような混乱するような、やっぱり嬉しいですw
503名無しさん@ピンキー:2013/11/04(月) 03:30:57.77 ID:SYs6yZLG
500です。感想有り難うございます!

広梅の方は、次くらいには何とか上手いこと纏めたいと思っております。
ノブ梅は、超亀ですが、271さんのレスから妄想を広げさせてもらいました。

さてさて、スレ埋めに一本書いてみたのを投下します。
インターン時代の話で、梅子への妄想シリーズ・篠田編です。篠田目線で、AVっぽい内容になっています。
因みに篠田とは、建造が担当していた気管支炎の患者で、自分は死ぬと思い込んでいたおじさんです。
504元気になった証拠 1:2013/11/04(月) 03:31:54.49 ID:SYs6yZLG
「篠田さん……。これは、かなり熱を持っていますね」
深夜の病室で、卓上ライトの明かりに浮かび上がる下村先生が、困った顔をしてため息をついた。
「今晩は、担当の看護婦がいないんです」
「そんな。頼むよ、先生。こんなになってたら、眠れないよ。ねっ」
俺は病床の上に横たわったまま、顔だけ少し起こして、両手を合わせてお願いをした。
「……しかたない。私が処置します」
一段と深いため息をついた先生は、つき終ると、いつものように柔らかく微笑んでそう応えてくれた。
後光が輝いて見える。俺の顔も、パッと明るくなった。
「本当!? 済まないなぁ」

「それでは、始めます」
「よろしくお願いします」
下村先生が仰々しく言うので、こっちも思わず畏まって応える。
先生のちっちゃい手が、俺の浴衣の裾を恐る恐る開いていく。
覚束ない手つきで、なかなか上手にパンツを下げられないでいる。まったく、何をやらせても可愛い先生だ。
ようやくパンツを下げ終えると、いよいよ先生の手が俺の一物を握る。ひんやりしていて、バカに心地よい。
おっかなびっくり手を動かし始めたので、わざと力んで一物を動かすと、先生は「あ」と小さな声を出して驚いた。
これは、男慣れしていない。想像通りだ。
「なかなかいいよ、先生」
「そ……そうですか?」
俺がちょっと褒めてやると、はにかんで頬を赤らめた。
「本当、本当、筋がいい」
「でも、担当の看護婦ではないので、その……特別な技とかは、ないんですけど……」
「ああ、あの、おっぱいで挟み込むやつ?」
そう尋ねると、先生は顔を真っ赤にして俯いた。先生の中に、劣等感が垣間見える。
まあ、こうやって見ても、確かに大きくは見えない。
「ちょっとさ、おっぱい出してみてよ」
「ええーっ」
興味本位でお願いしてみると、先生は本気で困った時に見せる、思い切りまゆ毛を八の字にした顔になった。
それでも渋々と胸元を肌蹴てくれる。いやはや、何とも親切な先生だ。有り難い。
初めて対面した先生のおっぱいは、確かに小さかった。ツルツルペタンと言うほどではないが、これでは男の物を挟む事など出来ないだろう。
「色が白くて、つるっとしてる。乳首も慎ましやかで、色もいい。先生、こりゃあ、品のあるおっぱいだ」
俺がお世辞を言うと、先生はホッとしたように微笑んだ。
505元気になった証拠 2:2013/11/04(月) 03:33:41.03 ID:SYs6yZLG
「ちょっと、ここさ、それで擦ってみてくれない」
人差し指で、先生の胸の先に小っちゃくついている桜色のポッチを指さした。
担当看護婦が持つ技を持たない先生は、「ええ」と言いながらも、それを承諾してくれた。
小豆の粒程度の小さいポッチが、亀頭の上に擦りつけられる。
豊満な女の胸で挟まれるのとは全く違うものだが、これはこれでいける。
「気持ちいい。気持ちいいよ、先生」
俺の反応が良かった事で気を良くしたらしく、先生は一生懸命に小さな粒を擦りつけてきた。
「なあ、ちょっと触ってもいいかな」
了解も取らないうちに、亀頭の上で固くなってきた小粒を、ちょんと指でつついた。
「あっ……」と可愛らしい声を漏らしたので、調子に乗って摘まんでやると、その手をピシャリと叩かれた。
「もうっ。駄目ですよ、篠田さん」
拗ねたように頬を膨らませる先生も、実に可愛い。
「そうだな。悪かったよ。じゃあ、普通にやってもらおうか」
俺はニヤケた顔をはばかる事も無く言ってやった。先生は、また困った顔になったが、意を決したように頷いた。

「いやぁ、極楽だなぁ」
下村先生の上品そうな口へ、俺の赤黒い一物が出入りしているのを、立てた枕で上体を斜めにして眺めている。
小鳥のように可愛らしい舌で、チロッ、チロッと竿を舐められると、何だかくすぐったくて仕方ないが、それもまた楽しだ。
先生の口は入り口も小さければ中も狭いようで、思い切り頬張っても肥大した俺の亀頭をようやく含むくらいだったが、
懸命に頭を上げ下げする先生を見ていると気分的には満足だった。
ただ、そうは思いつつも、先生の女を試したくて仕方がない。下の口も、きっと小さいだろうな。なんて事を、ずっと考えていた。
「それにしても、篠田さんのここ、大きいですね」
先生が、なかなかいかない俺に疲れたようで、口を外して呆れたように言う。
先生の手の中にある俺の物は、今や鋼の様にガチガチに固まって、幾筋もの血管を立たせ、雄々しく反り返っていた。
「そうだろう。田舎じゃ、オロチの篠田って言われて、ちょっとは名が知れてたんだ」
下村先生の視線が俺の一物へ、熱っぽく絡みつく。俺は、賭けに出る事にした。
「大きさもそうだけど、自慢はこの反りなんだよ。大概の女は、こいつで腰を抜かすほどによがり狂うんだ。……どうだい、先生?」
俺の目を見る下村先生の視線が、トロンとしている。こいつは、分がいい賭けだ。生来の博打好きな血が騒いだ。
「俺のこいつ、試してみないか?」
担当の看護婦なら、まず間違いなく軽くあしらわれる所だ。だが、勝てる勝負と見込んだ俺の勢いは止まらない。
黙って考え込んでいる下村先生へ熱い視線を送り続けていたら、思った通り首を小さく縦に振った。
506元気になった証拠 3:2013/11/04(月) 03:34:40.87 ID:SYs6yZLG
ベッドに上がった下村先生は、下着だけ外した状態で俺の上へまたがった。
その恰好が、ライトに照らされ、隣との仕切りになっている白いカーテンに映し出される。こいつは、特等の影絵ショーだ。
隣の奴は鼾をかいているが、その隣やそのまた隣は分からない。どうだ、羨ましいだろう。優越感が、俺の一物を更に大きく膨らませる。
先生は眉間にしわを寄せて、そんな俺の一物を握り、その目標に向かって慎重に腰を下ろしていく。
先生の緊張している様子につい悪戯心を起こし、ベッドへくっつけていた尻を持ち上げて腰を浮かす。すると、先生の手がスルリと滑った。
中に、入った。亀頭の先へ久し振りに受けた女の感触に、俺も俺の息子も打ち震える。
先生は、短い息をはっはっと吐きながら、ノロノロと腰を進めていく。
「でも、意外だったな。先生、こういう事を経験済みだったんだ」
俺は両腕を頭の後ろで組んで、懸命に俺を受け入れようとしてくれている下村先生を、下から眺めた。
「ああっ……、は…っあはい……。研修で……一度……」
俺が投げた質問に、先生は苦しそうに答えた。この先生は、本当に素直で、いつも一生懸命だ。
またこの、一切の余裕が無いって感じが、そそられる。
「はあ、研修で。医者っていうのは、色々勉強するんだな」
しかし、一度しか貫通していない先生のここは、針の穴の様にきつい。おまけにほぼ処女同然だから、固い事この上ない。
こんな女を抱くのは何年振りだろう。熟した女もいいが、こう言うのも悪くない。青い果実、ってやつか。
俺はその果実の奥の奥まで味わってやろうと、今にも折れそうな細腰を両手で支えて、そっと先生の進む手助けをした。

随分と時間をかけて、先生が体の中にどうにか俺の8割くらいを収めた。
その後上下運動を始めたんだが、ギッタンバッコンとベッドが軋んでしょうがない。
「先生。このままじゃ煩くて隣の人の迷惑になる。立ってやらないか?」
先生はもう物を考える余裕も無いらしく、俺に言われるままに「はい」と返事をした。
「先生、付き合ってる男はいるの?」
挿入したままで移動する滑稽さを気づかせないよう、俺は話をしながら下村先生を誘導した。
「あっ……っ。まだ……いな…い……です」
「へえ。てっきり松岡とか言う先生か、山倉とか言う先生と付き合ってるんだと思ってたよ。あんたたち、仲良いだろ。
特にあの松岡って先生こそ、立派な物を持ってそうだからな」
「わ……分かるん…ですか……?」
「分かるとも。同じ男同士だ。あれは巨根に間違いない。だからさ、今からこうやって色々試しておかないと、
いざ付き合ったからと言って、いきなりやったら先生壊れちまうよ」
そんな会話をしながら、先生の体を支えてやって、二人してベッドから降りた。
さて、どういう格好でしてやろうか。
女を後ろから突きまくるのもいいが、俺の自慢は何といっても日本刀のようなこの反りだ。やはりここは、正面からいこう。
俺と繋がったままの下村先生を窓際に立たせると、尻っぱしょりをしてグンと中を突き上げた。
507元気になった証拠 4:2013/11/04(月) 03:35:34.08 ID:SYs6yZLG
ここぞとばかり、腰を我武者羅に打ち付けないのが大人の男の余裕ってもんだ。
俺は先生を高く突き刺したまま、先生のはだけていた胸元を更に大きく広げると、両方の掌で桃色の小さい乳首を愛撫してやる。
後ろへ伸ばした両手を窓の桟について体を支えている先生は、唇を噛み締めて声を押し殺していた。
俺の中でちょっと意地悪してやろうという気が起きて、腰をかがめ、先生の片方の乳首を口に含んだ。
「はぁっ……!」
先生の口から、熱い吐息が漏れる。流石の研修とやらも、ここまではやらないだろう。
俺は構わずに、口を尖らせて小さな乳首をチュウチュウと吸い上げたり、舌を大胆に動かしてレロレロと舐めてやったりした。
「ああっ、はぁ……っ……」
先生の股から、堰を切ったように愛液が溢れ出てきた。
頃合いだと思った俺は、先生の腰を掴み、膝も使って、大きく何度も突き上げる。
俺の先っぽを、先生の奥にぶち当てる。腰を掴んでギリギリまで引き抜いてから、何度も何度も、奥までぶち当ててやった。
「ああーっ、あんっっ……はぁ……んっ」
「どうだい、先生」
「凄い……です……。篠田さんのあそこが、お腹…の……気持ちいい…所に…あっ……いいっ!」
頬を紅潮させた先生は、うわ言のようにそう呟く。
女が満足していると俄然張り切ってしまうのが、男の性だ。
俺は額に噴きだした汗を拭いもせずに、一心不乱になって腰を動かし続けた。
「あ。……あぁ…篠田……さん……」
見ると、固く閉じられていた先生の目の端から、きれいな涙の粒がポロンと零れた。
「どうしたんだ、先生。辛いのか?」
俺が聞くと、先生は首を横に振った。
「元気に……なられ…て、本当に……よかった……」
俺の頭の中が、白く破裂した。
なんて可愛いんだ。先生!下村先生っ!
「俺が元気になった証拠だ!先生、受け取ってくれ!!」
壊れた機械のようになって、俺は腰を動かした。物凄い勢いで、動かしまくった。
「ああ……あーーっ…そんな……篠田さんっ!……篠田さ……んっ!」
先生が俺の名前を呼ぶ。先生の下の口からは、ジュブジュブと絶え間なく男を出し入れする音が聞こえてくる。
「あっ、先生……!もうっ……もう…出そうだ……っ」
いつの間にか、俺も目を閉じていた。目の前が真っ白だ。先生の喘ぎ声と、自分の心臓の音だけが聞こえていた。
「あぁっ……、避妊具!忘れてた……!篠田さん、ちょっと待って……!駄目です!待って!あ…あっ……ンん……」
「駄目っ!待てない!!ああ、もう出る!!ああっ。あっ……ああ……」
508元気になった証拠 5:2013/11/04(月) 03:37:10.01 ID:SYs6yZLG
ここの所、下村先生にお世話になりっぱなしだよなぁ。
誰もいない外来の待合で、タバコの火をくゆらせながら、思わず苦笑いがこぼれる。
気持ちのいい自慰で果てた後の一服が、肺の中へ重く落ち込んで、深く沁みる。
真っ白いケムリをフーッと吐き出したところで、突然後ろから声を掛けられた。
「あっ、篠田さん。またこんな所で、タバコなんか……」
それは、ついさっきまで自慰のネタにしていた下村先生の声だった。
「ああ……あ…先生。こりゃ……どうも……」
ようやく落ち着いてきた心臓が、また再び早鐘を打ち始める。
「駄目ですよ。夜はきちんと寝ないと、治るものもなかなか治りませんよ」
そう言いながら、先生は空いているベンチに腰掛けて、俺と向かい合った。
俺は、自分の挙動が怪しまれないか、右手に匂いがついたままじゃないか、なんて事を考えてマゴマゴしてしまう。
「篠田さん、本当にお元気になりましたね」
俺の顔をジーッと見ていた先生が、「ふふっ」と笑った。
こんな俺なんかの為に。そう思い、胸がジーンと熱くなる。
元気になって早く女房と子供の所には帰りたいが、命に係わる病気じゃないと知ると、退院するのが名残惜しい。
「下村先生と会えなくなるなんて、寂しいなぁ」
つい口が滑って、心に思っていた事を聞かれてしまった。
すると先生は、「もうっ」と言ってから微笑んで、頬っぺたを膨らませてみせながら立ち上がった。
「バカな事言ってないで、もう寝て下さい。消灯時間、とっくに過ぎているんですから」
立ち去る下村先生の後姿を眺めて、ふとまた息子に元気が戻った事を感じる。
本当に、俺、元気になったな。
最後にもう一度、大きく煙を吸い込んで、俺は灰皿で煙草を揉み消した。


――終――
509名無しさん@ピンキー:2013/11/06(水) 00:37:56.46 ID:ZRlZDqPB
普通の陵辱モノより陵辱感を感じるのは何故なんだろう…
ひたすら上手いなぁ…と感心して読んでるんだけど
過去の流れからこのヘビー路線に他の人がどれだけついてきてるかちょっと心配になってきた
503さんは今筆が乗ってる感じだしこのままいって欲しくもあるんだけど…
新スレでもう少し他の人の意見を聞けるといいなぁ〜
510名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 02:54:46.50 ID:jrg4fd+I
度々済みません503です。
気付くの遅くなってしまいましたが、感想有り難うございました。
凌辱感を感じられるのは、いつも落とさせて頂くノブ梅の幸せ感とのギャップが
あり過ぎるせいですかね。
堕天も、次くらいには本当に完結させようと思っておりますので、
何卒ご容赦を。しばらくしてからポツンと落としたいと思います。
そもそも、堕天・弐を落とし切ってスレ2が埋まると目論んでいたのに、
なかなか埋まらず焦る日々。

スレ埋めに……と思っていたものが、
梅子への妄想シリーズ・重岡助教授編で、更にAVっぽいというか
ハードかも知れない感じでした。危ない所だった…w
いま慌てて別なやつを考え中です。もうしばらくお待ちください。
と言うか、本当になかなか埋められない……。
511名無しさん@ピンキー:2013/11/15(金) 22:46:37.23 ID:r4jyWfDX
職人さん、乙です
続けてくれてたんですね最近気付いた
自分も素人文章丸出しエロ書いてたんだけど、また書いてみようかな?
でも文章力が追いつかないという
いや〜職人さん凄いっす
512名無しさん@ピンキー:2013/11/18(月) 02:47:45.22 ID:C8ojs0cT
しつこくて済みませんが503です。
感想をどうも有り難うございました。そして……
511さん!ぜひ書いてください!
他の職人さんのお話も、ずーっと読みたいと思っておりました。
本当に楽しみにしているので、ぜひぜひよろしくお願いします!
513名無しさん@ピンキー
>>512
ちょっと頭整理して作品観返して(時間ないけど)頑張ってみます