百合カップルスレ@18禁創作板8

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417名無しさん@ピンキー:2012/12/09(日) 11:32:38.32 ID:+bnZxitV
立地条件次第では聞こえるよw
418 ◆7BaqS26D87fW :2012/12/10(月) 23:25:13.47 ID:NqX3z89i
ゆりりんチは壁も厚く庭も広い、という事にさせてくださいw

では5レス分ほどお邪魔します。
419ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:26:23.76 ID:NqX3z89i
美星 百合子。16歳の女子高生です。体重が3kg落ちました。

一週間。もう一週間も沙良と会ってない。
学校にも来ない。電話にも出ない。メールにも返事くれない。
きっと親に止められてるんだ。囚われの姫、塔の上のラプンツェル。

沙良は私のビタミン。私の中の“沙良分”が著しく不足してる。
このままずっと沙良に会えなかったら、私、きっと衰弱して死んじゃう。

でも、どうすればいい?どうしたらいいんだろう?

きっと沙良は私を怨んでる。だって私は…逃げ出したから。

☆☆☆

あの日。
人生最高の時間を過ごしていた私は一気に奈落の底に突き落とされた。

予定より早く帰宅した沙良のお父さんが見たものは、
自宅のリビングで裸の娘を抱く男…かと思えば女。

呆然、驚愕、そして怒り。信号機みたいに青くなったり赤くなったり。
怒りのため真っ赤に上気した鬼の表情で私を追いだした沙良のお父さん。

その時の沙良の必死の声が頭にこだまする。

『止めてよ!お父さん!話、聞いて!沙良の話、聞いてよ!!』

でも私は何も言えなくて。恐怖と絶望と後悔と…
取り返しのつかない失敗をしでかしたという思いで一杯で。

『待って!ゆりりん、行かないで!沙良を置いてかないで!』

私は逃げ出した。立ち向かう事もなく、戦いを挑む事も無く。
沙良のお父さんの怒声に唯々諾々と従ったのだ。

『ゆりりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!』

そして私はいま、怒りを感じている。沙良のお父さんに対して。
両親の帰宅時間が早まる可能性を考えなかった沙良に対して。

でも一番、許せないのは。


沙良に夢中すぎて周りが見えてなかった自分自身。


☆☆☆

夕暮れ、下校時間。
私はいつも沙良と別れる交差点に立つ。
右に行けば私の家、左に行けば沙良の家。
この一週間、毎日毎日、左に向かおうと試みてきた。
でも、ダメ。結局私はタメ息をつき右に折れる。

そして今日も。
左に曲がる勇気を出せないまま私は大きなため息を吐く。
左に向かって歩き出そうと、沙良に背を向けようとした、その時。
420ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:27:04.96 ID:NqX3z89i
「あれ?あんた、確か…?」

少年の声が、私の背に届いた。

「あんた…ゆりりん、だろ?」

私は名も知らぬ少年の呼び掛けにむっとする。
私をそう呼んでいいのは沙良だけ。沙良の声だけ。

「なによ、なんの用?あんた誰?」
「つっけんどんだね、どうも…沙良はなんでこんなのがいいんだか…」

一気に私の頭に血が昇る。沙良だと?
沙良を呼び捨てにしたな?なにこいつ。

「沙良の彼氏候補、その37番だ。よろしく、ゆりりん」

思い出した、こいつは…沙良の「ぴりりっ」だ…!

☆☆☆

眼鏡の奥からヤツを睨みつける。
ほんの少しだけ沙良の心を動かした男を。
沙良の家の方から歩いて来た男を…って!?

「あ、あんた!?いま、どこから…!!」
「ああ、沙良の家に行って来た所だよ」

な、ななな、なんだと!?

「まぁ…ろくに話ししちゃくれなかったけど、な」

話!?沙良に会ったの!?私が逢えないのに!?

「うわ言みたいに、呟いてるくらいで。なんか痛々しかったぜ」
「な、なにを…沙良は、なに、を…」

ずきりと胸が痛む。沙良が苦しんでる?私に逢えないから?
私に逢いたくて、でも家を出してもらえなくて…それで?

いや、それはきっと私に都合のいい妄想。
沙良はきっと私を怨んでる、憎んでる。
その口から出る呟きは…私への恨みつらみ。

「沙良のヤツ、なんか呆けちゃってて、さ…」
「だ、だから!何を話したの!沙良は…沙良は何を!?」
「教えてもいいけど…こういうの敵に塩を送るって言うのかね?」
「塩なんかいらないから話しなさいっ!!」
「女のヒステリーはコワイねぇ」
「早く!話して!お願い…!!」
「お、おい…?」

沙良のお父さんの剣幕に恐れをなした私は沙良を置いて逃げ出した。
あの時は、その状況が怖かった。でもいま一番怖いのは、沙良。

「さ、沙良は…私を…私の事、怒ってる?怒ってるよね、責めてるよね…?」

震えが止まらない。私は怖い。何が怖いって、沙良に嫌われる事。
421ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:27:46.31 ID:NqX3z89i
「ごめん、沙良…ごめんごめんごめん…で、でも私、こ、怖くて…!」
「…謝るなら俺じゃなく、沙良に謝れよな」
「や、やっぱり…!沙良は私を……?」
「沙良がずっと呟いてるのは、さ」

ごくりと喉が鳴る。冷たい汗が背中を流れて行く。

「ゆりりんに逢いたい」
「…え?」
「ゆりりんに逢いたいよ、ゆりりんゆりりん…つってさ、ずっと泣いてんだぞ」

沙良が私に逢いたがってる?逢いたいと思ってくれてる…?

「だから俺、呆れて帰って来たの。沙良は可愛いけどさ…
俺…っていうか男に興味がないんじゃ、どうしようもないや…っておい?」


私は後も見ずに駆けだした。


☆☆☆

呼び鈴を押す。返事は無い。
玄関ドアを叩く。やはり応答は無い。

家人はいないらしい。でも、沙良はいる。いるはずだ。
私は沙良の家の庭へと勝手に入り込み、そして叫んだ。

「沙良ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

二階の窓が開く。あそこが沙良の部屋。

「ゆり、りん…?」

すこしやつれて見える。でも、可愛い沙良、愛しい沙良。
その輝きは少しも色あせなくて、私はその眩しさに眼を細める。

「ゆ、り、り、ん…?」

震える唇から飛び出した言葉は私への愛の言葉…!

「ゆ、ゆりりんのばかぁ!さ、沙良のことなんてどうでもいいんでしょぉ!?」

じゃなく、勇気の無かった私への怨嗟の声、だった。自業自得だ。

「ごめん!でも、どうしてもこれなくて…!ごめん!ごめん!ごめん!」
「やだぁ!こ、こんなに沙良が悲しいのに…!なんで来てくれなかったのぉ!」

沙良の眼からボロボロと大粒の涙が零れる。

「守ってくれるっていったのにぃ!傍にいてくれるって言ったじゃない!
ばかぁ!ゆりりんのばかぁ!きらいだぁ!ゆりりんなんか大っ嫌い!」

胸が痛む。沙良の口から飛び出す『嫌い』の言葉。
それがこんなにも私の胸をえぐる。だから、自業自得だってのに。

私はこの痛みを受け入れなきゃいけない。
でなきゃ沙良を好きだなんて言えない。
言う資格もない、と思う。
422ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:28:27.56 ID:NqX3z89i
と、その時。

「さ、沙良!?何してるの!」

沙良が明け放った自室の窓から身を乗り出す。

「死んじゃうもん!もう沙良、ここから飛び降りて死んじゃうの!」
「バ、バカ!止めなさい!何考えてるの!!」
「うるさい!バカって言うコがバカなんだからね!ゆりりんのバカ!」
「な、何わけの解らない事言ってるの、このコは!」
「ゆりりんと一緒にいられないなら死んじゃった方がいいんだ!!」

その言葉と共に沙良が身を投げる。

「ばかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

私はとっさに沙良の落下地点で抱きとめる。
が、その勢いを殺せず、私は沙良もろともに庭木に突っ込んだ。

「いたた…も、もう…!!」
「い、痛いよぉ…!ゆ、ゆりりん!痛いよぉ!!」
「ばか!私の方が痛いわよ!なに考えてんのよバカ沙良!!
二階から飛び降りたってケガするだけで死ねやしないよ!」
「だって、だって、だってぇええええええ!!」

沙良が私を見上げる。ぼろぼろと大粒の涙を流しながら。

「さ、さび、寂しかったよぉ!うぇぇぇぇえええええええええ!!」
「わ、私だって!沙良に逢いたくて…逢いたくて逢いたくて逢いたくて!!」
「沙良の方が寂しかったもん!ゆりりんなんかより沙良の方がずっと!!」
「そんな事ないわよ!私だって寂しくて寂しくて、ひとりでオナ…んくっ!!」
「ゆりりんのエッチ!ヘンタイ!やらしいんだから!もう知らない!!」
「ご、ごめ…その、あの…あぅ…!!」
「待ってたんだよ?沙良、待ってたんだよ、ゆりりんが来てくれるの!
お父さんたちが学校行けって言っても、沙良はずっと…ずっと!」

と、閉じ込められてる訳じゃ無かった?

「ゆりりんが来てくれるの信じてた!ずっと待ってた!ゆりりんだけを!!」

沙良はぷいっと横を向いたっきりこっちを見てくれない。
その横顔が、耳まで赤く染まっているのは怒りのせい?
それとも…

「ごめん…!」

閉じ込められてた訳じゃない。逢わせてもらえなかった訳じゃない。
私次第だったんだ。私に勇気さえあれば、それで良かったんだ。

バカだ、私は。いつもこうなんだから。

ただ泣いてるだけで何も出来なくて、後悔ばかりしてる。
沙良をこんなに悲しませたのは私自身。逃げ出した私。

だから。

「沙良!駆け落ち、しよう」
「へ?」
423ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:30:11.12 ID:NqX3z89i
「私と一緒に、行こう」
「ゆ、ゆりりん…!?」

どこへ?どうやって!?お母さんにはなんて言うのよ!?
そもそもお金はどうするの?学校は?中退して働くの!?

…という常識的な諸々を、理性の叫びを私は封じ込める。
いま大切な事は沙良。沙良と一緒にいたい。その想い。

もう、逃げたくない。離れたくない。

「もう…離れたくないの!沙良がいないと私…私…!!」
「うん!沙良、ゆりりんと…一緒なら…!どこでも行くよ!」
「ついておいで。ずっと一緒だから!離さない、から!!」
「ゆ、ゆりりん…!やっぱりゆりりんはかっこいい!!」
「バ、バカ!何よ、それ…!」

雨降って地固まる…とか言っちゃっていいかしら?
思わず私の頬が緩む、が。

背後にざわつきを感じ振り返った私の視界には。

「ちょ、沙良!は、離れて!」
「やだ!もう離れないもん!」
「うん、嬉し…って、じゃなくて!ま、周り見て周り!」
「へ…?」

生きるの死ぬのと大立ち周りを演じた私達の周りには。
いつしか野次馬さん達の人だかりができていた。

「さ、沙良!に、逃げよう!」
「だからぁ、沙良はゆりりんについていくってば!」
「わ、解ったから!い、いいい、行くよ!」
「ほ〜い!かっけおち駆け落ちぃ〜!」

こうして私たちは手に手を取り、愛の逃避行へと旅立ったのだ。


<最終回へ続く>
424ユリとサラ(11):2012/12/10(月) 23:30:56.81 ID:NqX3z89i
長々とすいません。次で終わりますのでご容赦を。
425名無しさん@ピンキー:2012/12/11(火) 00:15:50.15 ID:63yABs07
3Pかと思った。
426名無しさん@ピンキー:2012/12/16(日) 18:02:02.93 ID:bgrT6Dq+
最終回待ち
二人とも可愛いなぁ
427 ◆7BaqS26D87fW :2012/12/19(水) 17:34:12.55 ID:+QrJj6yZ
少し早いですが、クリスマスイブの出来事と思って下さい。
というわけで最終回、9レス分です。
428ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:35:16.73 ID:+QrJj6yZ
メリークリスマス!美星百合子、16歳です。
そして今日は愛する沙良の、16歳の誕生日です。

「ゆりりんと!同い年♪ゆりりんと!同い年♪」

スキップしながら歌うように連呼する沙良。ねぇねぇ、すっごく可愛いんですけど?
私と同い年になれるのがそんなに嬉しいのかな?私は沙良が嬉しいなら嬉しいけど。
お祝いするのが私だけでいいのかな?二人だけの誕生日、沙良は寂しくないのかな?

「ゆりりんと二人きりのお誕生日なんて…最高!!」

にへへと笑ってそんな事を言ってくれる沙良。
私も頬がゆるむのを感じる。が、ここは気を引き締めて。

「バ、バカ。そんな呑気にしてる場合じゃないんだからね」
「ほえ?どしたの?ゆりりん」
「だって、私達は…その…」
「おお!そうだね、ゆりりん!」

心得たとばかりに沙良がぶんぶんと首を振る。縦に。

「沙良たちは愛の逃避行の真っ最中!悲劇のヒロインだもんね!!」

※※※

今日は沙良の16の誕生日。そして私たちの駆け落ちは3日目を迎えた。

勢いに任せて“駆け落ち”した私達は、携帯の電源すら切っていた。
沙良と二人っきり。24時間二人っきり。それはもう幸せで一杯の日々。

でも。

二人っきりという事は。これが逃避行であるという事は。
誰にも頼れない、誰も助けてなどくれないという事で。

具体的に言うならば、もう資金が無い。

これから先、どうしたらいいのか?そんな不安が頭をもたげてしまう。

「ゆりりーん!早く早く!!」
「あ…っ」

沙良に手を握られて、引っ張られた。小さな手。柔らかい手。愛しい手。
思わず頬が熱くなる。ずっとこの手を握っていたい。離したくない。

「ゆりりん」
「あ、な、なに?」

沙良の笑顔。上気した頬。寒さのせい?それとも、私の手を握ってるせい?

「ん〜ん!なんでもない!」
「な、なによ、もう…行くよ」
「うん!」

不安なんて振り払え。
いま、私は沙良と一緒にいるんだから。
今日は愛する沙良の誕生日なんだから。

高らかに言おう。メリークリスマス、沙良!ハッピーバースディ、沙良!
429ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:35:57.70 ID:+QrJj6yZ
※※※

私たちはなけなしのお金を出し合って、ケーキと紅茶で沙良の誕生日を祝った。
16歳の沙良、新しい沙良。誰も知らない、私しか知らない私だけの…沙良。
今日この時を一緒に過ごせることに、私はこのうえない幸福感を感じていた。

支払いを終え、財布の中身という現実を見るまでは。

※※※

どうしよう。もう、明日を迎えるだけのお金もない。
住み込みのバイトでも探す?今から見つかるだろうか。
最悪は野宿?せめてキャンプ場でもないだろうか?

「ゆりりん?なにか心配事?」

お店を出てからずっと今後の事を考えて無口になっていた私。
さすがに怪訝に思ったか、沙良が問いかけてくる。

「う、うん…まぁ、ね」
「お金?もう無いんだよね」

気付いてたか。そりゃそうだ。

勢いに任せて駆け落ちしようなんて口走ったバカな私。
そんな私に、何も文句を言わずついてきてくれた沙良。
だから、私が責任取らなきゃ。私が沙良を守らなきゃ。

「だ…!」

大丈夫だよ、沙良。沙良は何も心配しないで。私がなんとかするから。

そう言おうとした。したところで、沙良に機先を制された。

「じゃあ帰ろうか?」
「え…?」
「帰って、お父さんたちに謝ろ?そして、ちゃんとお願いするの」
「沙良…?」
「沙良はゆりりんが好き。一緒にいたい。だから…認めてくださいって」
「沙良…あんた…」
「お父さんたちに怒られても、お付き合いを反対されても、
 ゆりりんは絶対にまた沙良を迎えに来てくれるもん。でしょ?」

沙良の眼が真っ直ぐに私を見つめる。

「沙良、ゆりりんを信じる。そして、どこまでもゆりりんについていく」

決意の表情。真剣な表情。

「離れないよ、ゆりりん。ずっとついてくよ、ゆりりん。大好きだよ、ゆりりん」

沙良は歌うように私の名を呼ぶ。

「ずっとゆりりんの傍にいるよ。ずっと離れないよ。ずっとゆりりんが好きだよ」
「沙良…あんた…沙良…」
「重いなぁって思った?ごめんね。でも、しょうがないんだ」

ぺろっと舌を出す沙良。私が愛した、魅惑的な小悪魔の表情。
430ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:36:39.24 ID:+QrJj6yZ
「沙良は我儘だから。沙良はもう我慢なんてしないから。沙良はゆりりんが大好きだから」

その言葉に幸福感と感動と感謝と…様々な感情が押し寄せて、私は沙良を抱き締める。

「わ…!私だって!!」

声が震える。えいくそ、重いもんか。私だって、同じ想いなんだから。

「は、離すもんか!沙良が…沙良が、好き…っ!」
「うん。ありがとう、ゆりりん」

そして、私の薄っぺらい胸に顔を埋めていた沙良がぼそりと呟く。

「でも…帰る前に…ね?」
「何?何かしたい事ある?」
「お誕生日プレゼント、頂戴?ゆりりん」
「う〜沙良にあげられるもの…いま…何も…」
「違う違う、ゆりりんってば」

くすっと笑った沙良に、ぎゅっと抱きしめられる。

「まだ途中だったでしょ?ゆりりん」
「え、途中…な、なにが…?」
「沙良を…ゆりりんのものに、して?」
「さ…!」
「沙良の全部をあげる。ゆりりんの全部を頂戴。今日こそ…今日だから」

※※※

 夕闇迫る、人気のない公園。

 雑木林の中、草のベッド。

 そこで私達は愛を交わす。

 ここから、新しい私たちを始めるために。

※※※
431ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:37:20.38 ID:+QrJj6yZ
「ゆりりん…キス、しよ?キス、して?」

細かく震える沙良の唇。寒さのせい?それとも…

「怖いの?沙良?」
「怖くなんか無いよ。ちょっと…緊張してるだけ」
「そっか…うん、私も…してる」
「だから、キスして。優しいキス、ゆりりんのキスが、欲しいの」

沙良の気持ちを解きほぐすように。私の緊張が伝わらないように。
出来るだけそっと、優しく唇を重ねる。沙良が舌先で応じてくれる。

「ゆりりんの…唇が好き。優しい吐息が好き。キスする時、髪を撫でてくれるの、好き」

お互いの唇と舌で、お互いの唇と舌を愛しながら、
さっきまで握り合ってた手を、お互いの熱で暖めあった手を、
そっと沙良のシャツの裾から忍び込ませる。

「ゆりりんの…指が好き。優しく触れてくれるの嬉しい。気持ち…いい」

沙良のお腹から胸にかけて、出来るだけ優しく丁寧に指を沿わせる。

「ゆりりんの…声が好き。沙良って呼んでくれる声が好き。バカって言われるのも好き」

もう一方の手を沙良のスカートの中に忍ばせる。
太腿をそっと撫であげ、さすり、徐々に上を目指す。

「沙良はゆりりんの全部が好き。好き。好き好き好き好き……」

キスと愛撫で沙良は、沙良の秘所はすでに熱い蜜を湛えている。
私は沙良のショーツの中に指を潜り込ませる。

「んは…っ!んふぅ…!んくぅ…っ!ゆり、り…んあっ…!はぁ!!」

沙良の割れ目をそっとさすりあげる。沙良の唇から零れる甘い吐息。
私の愛撫に感じる沙良、私の指使いに喘ぐ沙良、艶っぽい沙良。
頬を上気させ、目尻にうっすらと涙を滲ませ、唇の端から涎の筋が零れる。
いつもの明るく無邪気な沙良からは想像も出来ない程、淫らでいやらしい表情。

「ゆりりんの指、素敵…んんっ!沙良、感じちゃう、よ…っ!」
「もっと…もっと感じて。いっぱい、いっぱい気持ちよくなって」
「うん…んんっ!んはぁ…!あ!あ!や、ゆり、り…!んぁぁぁあ!!」

沙良の割れ目に逆手に掌を当てて、溢れだした蜜を掬いあげる。
掬いあげた蜜を沙良の一番敏感な所…クリトリスにまぶしていく。

沙良はひくんひくんと身体を痙攣させ、私のなすがまま。
全てを私に預け、私から齎される快感に身を委ね、溺れる

「んはぁぁあ!き、気持ち、い…っ!ゆりりん…!沙良、いい…っ!」

沙良のシャツの前をはだけさせると、寒さのせいか沙良の肌が粟立つ。
震える薄桃色の乳首をそっと甘咬みすると、沙良の身体がびくん!と跳ねた。

「やは…っ!やん、ゆりり、ん…!咬んじゃ、らめぇ…!」

甘えるような声で言われて、もっとしたくなる。
唇で乳首を挟み込み、もにゅもにゅと愛撫する。
432ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:38:01.61 ID:+QrJj6yZ
乳首とクリトリスを嬲り続けていると、沙良の身体を襲う痙攣が激しくなっていく。
荒い息が止まらず、天を仰いで喘ぎ、悶え続ける沙良。淫らな沙良。いやらしい沙良。

「ゆり、りん…っ!さ、沙良…もう…!あ!あ!あ!んあ…っ!」

切羽詰まった声と表情。もうすぐイく。イきそうな沙良。
その声を聞き、表情を見てるだけで私もイッちゃいそう。
もっともっとその声を聞いていたくて、もっともっと見ていたくて。

私は手を休め、そっと沙良の肌を撫でるだけの愛撫に留める、と。

「やぁぁぁああ!ゆ、ゆりりんのばかぁ!い、意地悪ぅ!ん〜〜〜っ!」

絶頂の寸前で放り出された沙良の身体はひくひくと痙攣し続ける。
断続的な吐息、いやいやと首を振り、身悶える沙良。か、かわいすぎる…っ!

「して欲しい?もっと?ねぇ沙良…して欲しい?」

私はごくりと唾を飲み込み、震える声で問いかける。

「し、して!ゆりりん…!もっとぁ!お、お願い…!と、止めちゃ、やぁぁああ!」
「イきたい?イかせてほしい?」
「イ、イきたい!イかせてぇ!さ、沙良…お、おかしくなっちゃうよぉ!!」
「どうして?どうしておかしくなっちゃうの?」
「だってぇ!イ、イきたいのぉ!イきたくてイかせてほしくて!が、我慢できないよぉ!」

おねだりする沙良、浅ましく腰を振る沙良、イきたくてイきたくて涙さえ浮かべる沙良。
あああ…!愛しい可愛い、もっともっと苛めたい。でもすぐにでもイかせてあげたい…!

「お、お願い、ゆりりん…!い、意地悪しないで…!イ、いかせて!」

うん、イかせてあげる。でももうちょっと見てたい。おねだりさせたい。
私は荒い息を吐きながら沙良の痴態を、溢れる蜜を、いきり立った乳首を堪能する。

「沙良を、イかせてぇぇぇぇ…っ!!」

喉から絞り出すような声で絶叫する沙良。ハッと我にかえる私。
ひくひくと震える沙良のアソコ、敏感なクリトリスへの愛撫を再開。

「んひぁああああああああ!!」

沙良の身体がびくん!と跳ねあがる。突然の激しい刺激に震え、よがる。

「あ!あ!あ!ああああああああああああああああああああああああああ…っ!!」

あられもない絶叫を上げ、沙良が達する。ひくひくがくがくと全身が震える。

「沙良…沙良、沙良沙良…イッちゃった?気持ち、良かった?」
「ば、ばかぁ…ゆりりんのばかぁ…ぐすっ、うぅぅぅ…!」
「可愛い…!沙良、すっごくすっごくすっごく…可愛い…!」

絶頂の余韻に身体を震わせる沙良をぎゅっと抱きしめて、そして…



   私は沙良を、沙良の全部を私のものにする。
433ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:38:42.46 ID:+QrJj6yZ
「ゆりり…んんっ!!ぁつぅ…っ!あぐっ、くぅ…っ!」
「さ、沙良…!や、やっぱり…」
「ダメェッ!!」

手首を掴まれた。強い力で。それは沙良の決意の表れ。
私の指を伝うぬるりとした赤く熱い液体。それは沙良の決意の代償。

私を受け入れてくれた、私に全部をくれた、その証。

「で、でも…い、痛いなら…辛いなら、やっぱり…!」
「沙良、うれし…の!沙良を、ゆり、りんに、あげられた、から…!」

ぼろぼろと涙を流しながら、破瓜の痛みに眉根を顰めながら、
それでも沙良は、健気な沙良は、そんな事を言ってくれる。

そして私の首に腕を回し、引き寄せた。沙良の唇が私の唇を奪う。

「ずっと、一緒だよ?ゆりりん、もう…離しちゃやだよ?」
「うん…!ずっと一緒。離れない、離さないよ、沙良…!」
「うん…!好き…ゆりりん、好きだよ、沙良はゆりりんが一番…!」
「ありがとう…沙良。私を、私なんかに応えてくれて…!」
「えへ…っ。違うよ…ゆりりんが、沙良を、選んでくれたの…!」

沙良と出逢えた、愛し合えた、それはきっと、奇蹟。

いつしか日は沈み、天空にはぽっかりと穴があいたような白い月。
降り注ぐ月光の中、沙良は私に女の子の一番大切なモノをくれた。

「沙良…!」

沙良は私のモノ。そしてもちろん、私は沙良のモノ。

「ゆりりん…!」

私は沙良のモノ。そしてもちろん、沙良は私のモノ。



それは一種の儀式だった。これからの私たちを結ぶ誓い。
私たちは今ここに、永遠の誓いによって結ばれたのだ。



「「ずっとずっと、ずっと愛してる………!」」



死が二人を別つ、その時まで。ううん、死してなお、ずっとずっと永遠に。



※※※
434ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:39:23.19 ID:+QrJj6yZ
「ぁつ…っ!たたた」
「さ、沙良…!だ、大丈夫?」
「へ、平気平気!」

沙良が私の手をぎゅっと握る。とても暖かくて、心が満たされる。
私も握り返す。沙良に伝わるといいな、私の中の、熱い想い。

「ゆりりん…沙良、大人の階段昇っちゃったね」
「う…そ、そうね、うん、16にもなったしね」

沙良は私のもの。私は沙良のもの。二人はこれからも、ずっと一緒。

「さ、ゆりりん!帰ろ?」
「うん。おいで、沙良」

私たちはお互いの手を握り締めたまま、一歩を踏み出す。新しい一歩を。



この先、何が待っていようと、私はもう二度と逃げ出さない。

沙良がいてくれれば。沙良と一緒なら、きっと。



<おしま












「そう言えば…ねぇ、ゆりりん?」

私の手をぎゅっと握った沙良が口を開く。
なによ、せっかく綺麗にシメようと思ったのに。
435名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 17:53:40.46 ID:CfYy4ELn
支援
436ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:55:27.80 ID:+QrJj6yZ
「ねぇ、ゆりりん?どうしていきなり駆け落ちしようなんて言ったの?」

言わずもがな。今更、それを聞く?言わせたいのね?私の沙良への想い。

「もう沙良と離れたくなかったから、ずっと一緒にいたかったから…大好き、だから」

じっと沙良の眼を見つめて、囁く愛の言葉。
我が姫君はうっとりと眼を細め…てはいなかった。
逆にきょとんとした表情で見つめ返される。

「なにも駆け落ちしなくても、沙良はゆりりんと一緒だよ?大好きだもん」
「いや、そうじゃなくて…沙良のお父さん達の反対が…」

あ、あれ?反対、されてたのかな?
確かにあの日(>>413)、私は沙良のお父さんにすごい剣幕で追い出された。

そして私は沙良に逢えなくなった。逢わせてもらえなくなった。
だって女の子同士の恋なんて、認めてもらえる訳がないから。

けど…私は沙良のお父さんにちゃんと向き合った事はない。
ちゃんと自分の想いを…沙良が好きだって、認めて欲しいって伝えた事は、無い。

「あ、あれ?」

ちょ、ちょっと待て。そう言えば…

>>419
>学校にも来ない。電話にも出ない。メールにも返事くれない。
>きっと親に止められてるんだ。囚われの姫、塔の上のラプンツェル。

沙良は携帯も取りあげられ、外にも出してもらえず、閉じ込められてると思ってた。

>>422
>「待ってたんだよ?沙良、待ってたんだよ、ゆりりんが来てくれるの!
>お父さんたちが学校行けって言っても、沙良はずっと…ずっと!」

でも、違った。沙良は自分の意志で閉じこもっていた。
私への電話にも出ずメールも返してくれず…私が来るのを待っていた。

「電話やメールじゃヤだったの。沙良はゆりりんに逢いたかったんだもん」
「あ、あれ?」
「そんなに沙良がゆりりんの事が好きなら…ってお父さんも認めてくれそうだったし」
「は、はい?」

ちょっと待ったちょっと待った!なに、私、あえて茨の道を歩んじゃった?
軟化しかけてた沙良のお父さんの気持ちも知らず、怒りを蒸し返すような行動を?

「ちょ、沙良!?な、なんでそれ教えてくれなかったの!?」
「だって…ゆりりん、かっこよかったんだもん」
「え?は、はい?なにが?どこが!?」

ぺろっと舌を出す沙良。悪戯を見つかった悪童みたいな沙良、小悪魔・沙良。

「ゆりりんって、クールに見えて、ホントは弱虫で泣き虫で…」
「う…!!」

は、反論できません…!
437ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:56:09.17 ID:+QrJj6yZ
「沙良を想ってひとりエッチしちゃう、や〜らしいヘンタイさんで…」
「うぐぅ…っ!!!」

む、胸が痛いんですけど…っ!!

「無愛想なのは弱い自分を隠すため。ゆりりんは仮面をかぶってるの。だよね?」
「さ、沙良…」
「でもね、ゆりりんは沙良にはホントのゆりりんを見せてくれた」

うっとりと眼を細め、眩しそうに私を見上げる沙良。
ホントの私、ヘタレた私を知って、それでもなお。

そんな眼で私を見てくれるの?そんな熱いまなざしを私に向けてくれるの?

「弱虫で泣き虫なゆりりんが沙良のために頑張ってくれた。それってかっこいいよ。
沙良はね、ゆりりんが沙良のために頑張ってくれるのが好き。かっこいいから。
駆け落ちしよって言ってくれて嬉しかった。それだけ沙良が好きって事、でしょ?」

沙良のためなら。沙良と一緒にいるためなら。
私はなんでも出来る。今こそ、心からそう思えた。

「うん…沙良が好き。愛してる。何度でも言える。沙良と一緒にいたい。だから…」
「ね、ゆりりん。一緒にお父さんに謝ってね。一緒に頑張ろ?それで…それでも…」

真剣な光を湛えた瞳。沙良のこんな表情、あまり見ない。

「それでも許してもらえなかったら、今度は沙良が言うね」
「な、なにを?」
「沙良を連れて逃げて…って」

ううん。私は、もう、逃げない。沙良のため、なにより私自身のため。

「大丈夫だよ、沙良。今度は逃げない。沙良を苦しめたり悲しませたり、もうしない」
「んふふ…やっぱりゆりりんはかっこいい。だから、大好き!」



そして私は、私の腕にぶらさがった沙良を引き寄せて、何度目とも知れないキスをした。



<Merry Christmas & Happy END!>
438名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 17:56:42.17 ID:9JWYrlcz
ついに沙良が…今回もエロかわいかった!GJ!
えっこれからまだ何かあるんですか期待
439ユリとサラ(12):2012/12/19(水) 17:56:50.00 ID:+QrJj6yZ
>>426 お待ちいただいただけの価値はあったでしょうか?
>>435 支援ありがとうございます。

それでは皆様、ステキなクリスマスをお過ごしください。
今度は>>358,359みたいなのが書いてみたいなぁ。
もじもじおずおずみたいなの。多分、年越してから。

さ、歳神さま待機モードに入りますノシ
440名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 17:59:45.62 ID:ekyg4U+M
投下途中に書き込んでしまった
甘々でよかったです!何度もニヤニヤさせてもらいました
いいものを見せてもらってありがとうございました!
441名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 18:10:31.45 ID:CfYy4ELn
待ってました!GJ!
これはにやけざるをえないw
二人ともお幸せに!

そして、そうか、そろそろ歳神様の交代の時期か……
442名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 19:25:33.12 ID:pQK60zlr
作者さんは記念日を気にするタイプ(くだんちゃん一周年企画)
沙良の誕生日がイブ(>>332

以上の二点からラストはイブと予想した俺は見事に空振りしたw
良いいちゃらぶ、GJ
・・・と思ってたら最後の最後で実は親が軟化してた、とオチが付いて百合子の残念な可愛さを再認識した
443 ◆7BaqS26D87fW :2012/12/19(水) 19:34:46.71 ID:+QrJj6yZ
>>442
や、ホントはイブに投下するつもりだったんですが、イブは時間なさそうだなーと。
遅れるよりは先行のがいいかなという判断ですw 記念日は大事ですよ、ええ。

GJくださった皆さん、ありがとうございました。また書きますので読んでくださいm(_ _)m
444名無しさん@ピンキー:2012/12/19(水) 23:25:15.82 ID:9Pit1paB
とうとう最終回か…
ゆりりんも沙良もかわいかったなぁ
GJ
445名無しさん@ピンキー:2012/12/20(木) 00:47:36.46 ID:j5kvKplj
百合のすばらしさを再確認できた
GJ!
446名無しさん@ピンキー:2012/12/20(木) 01:22:48.23 ID:hw8NNkAn
この人の書く女の子は本当にかわいいよなあ
次はもじもじおずおずですと?期待を込めて

GJでした!
447名無しさん@ピンキー:2012/12/20(木) 12:16:26.37 ID:am9GCdqS
最高でした!GJ!
448 ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:17:11.59 ID:+W4//LQm
うう……上手な人の後は緊張する……。

えと、歳神娘の続き(?)です。
まさか待ってくれている方がいらっしゃるとは思いませんでした。
感謝とともに投下させていただきます。

あと、今回はまだエロまで行かないです……ごめんなさい。
449歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:21:47.17 ID:+W4//LQm
 辰の歳神たるたっちゃんは、高天原の女神達に大人気の可愛く凛々しいお姉さま。
 巳の歳神たるみーちゃんも、ご多分に漏れずたっちゃんの熱狂的な大ファンです。
 しかも蛇は龍の親戚筋、その眷属である自分は龍でも蛇でもない女神達よりもずっと深

く強く彼女を信奉する権利が、そして義務がある――と考えていました。たっちゃんも、

同じ鱗ある者に慕われる方がより嬉しく感じるはずだ、とも。
 それなのに、ああそれなのにそれなのに。
(よりにもよって、あの性悪うさぎのうーぴょんなんかとステディになっておしまいにな

るなんて!)
 身に付けた綺麗なお着物(みーちゃんは和服少女なのです)をはだけ、長くて艶やかな

黒髪を振り乱し、切れ長の三白眼に怒りの炎を浮かべるみーちゃん。長く伸ばした爪をか
りっと噛んで、その美しいご尊顔を酷薄そうに歪めます。
(くうぅ……これはわたくし達ファンに対する、許しがたい裏切りですわ! ……いえ、

きっとお姉さまはあのあばずれラビットに付きまとわれて迷惑しているだけに違いありま

せん! あの陰険うさぎの事ですから、お姉さまの弱みを握って無理矢理恋人にしたに決

まっています! 待っていて下さいませお姉さま! わたくしがあなたをあの変態バニー
の魔の手からきっと救い出して差し上げますからね!)
 ……思考が完全にストーカーです。今にも「お姉さまどいてうさぎ殺せない」とか言い

出しそうです。少々思い込みが激しいのが、みーちゃんの欠点かしれません。いえ、決し

て悪い子ではないんですけどね。
(それにしても、お姉さまの弱みって何かしら……? そ、それを手に入れられれば、お

姉さまを完全にわたくしのものにできますわね……うへ、うえへへへ……)
 ……悪い子ではない、はずです。多分。ちょっと自信ない。
450歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:25:49.57 ID:+W4//LQm
 さて、そんなみーちゃんですから、たっちゃんとの束の間の逢瀬である年の変わり目が
待ち遠しくて仕方ありません。暮れ行く年末を指折り数えて、今か今かと待ち侘びていた
師走のある日、彼女の元に来客がありました。
 誰あろう、あのにっくきうーぴょんです。
「やほー、みーちゃんおひさー。おお、今日も和装が似合ってるね! それ浴衣?」
「んなっ!? あ、あなた何しに来ましたの!? っていうかどの面下げてわたくしの前
に来やがりましたかこの泥棒うさぎ!! あと、これのどこが浴衣ですか!! これは、
紬です!!」
 きしゃー!
 まさしく牙を剥いて威嚇するみーちゃん。
 そんな彼女とは対照的に、フリルやリボンをふんだんにあしらったピンクの甘ロリで身
を固めたうーぴょんは、少し身を引きつつもにやりと笑って挑発します。
「泥棒〜? なにそれー。別にぃ、たっちゃんは最初から、みーちゃんのものじゃなかっ
たしぃ」
「そ……そんな事ありませんわっ! あなたが変な工作を仕掛けなければ、あの誇り高い
お姉さまがあなたのような下賎な獣と交わったりするわけないでしょう!?」
「だからって、みーちゃんと付き合う事にもならないよね?」
「なりますわ! 鱗ある高貴な霊獣同士、お姉さまとわたくしは結ばれる運命にあるので
す!」
「あ、そー。ごめんねぇ、運命改変しちゃってぇ。でももう、たっちゃんは私なしには満
足出来ない体だからねぇ、くっくっく……。まあそもそも『変な工作』なんてしてないん
だから、最初からみーちゃんにチャンスなんかなかったけどぉ」
「きぃぃぃっ! おっ、おっ、おだまりこの荒淫哺乳類!!」
「きゃーこわーい」
 ちっとも怖がってるようには聞こえない口調でそう言うと、そろそろおちょくるのにも
飽きてきたうーぴょんは本題を切り出しました。
「ふっふー、そんなみーちゃんに朗報だよっ」
「だっ、だまされませんわよ! なぁにが朗報ですか! そうやってわたくしを陥れるつ
もりでしょう!?」
 しかしみーちゃんはかえって身構えてしまいました。この警戒っぷり、もしかしたら過
去に痛い目を見せられた事があるのかもしれませんね。
「まったく、みーちゃんは疑い深いなぁ。そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「育てられた覚えもありませんわ!」
「もー、一々揚げ足取らないでよー。なかなか本題に入れないじゃない」
「だっ誰のせいですか! 誰の!」
「え……? もしかして、私のせいだとでも……?」
「何意外そうな顔してるんです!? 他に誰がいるとおっしゃいますの!?」
「みーちゃん」
「きぃぃ! 一体どこらへんがわたくしのせいだと……って、もういいですわ! その朗
報とやらを聞くだけ聞いてやりますから、さっさと言って帰りやがっていただけませんか
しらねえ!?」
「きゃーこわーい」
 人差し指を額に当てて青筋を立てるみーちゃんに、うーぴょんは再びちっとも怖がって
るようには聞こえない口調でそう言うと、今度こそ本題に入りました。
「えっとねー、みーちゃんにこれ貸してあげようと思って」
 と、うーぴょんが取り出したのは……。
451歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:27:01.96 ID:+W4//LQm
「スマートフォン……?」
「うん。まあアプリ一つしか入ってないけどね。ほら、これ」
「なんですか、そのアプリというのは?」
「あ、知らない? アプリっていうのはアプリケーションソフトの略でー」
「いくらわたくしが機械に疎くとも、それくらいはわかりますわ! どんなアプリかと聞
いているのです!」
「うん、わかってて言ってるよー」
「尚悪いですわ! いいから、とっとと説明!」
「はいはい。これはねー、私の自作のリモコンアプリだよー」
「リモコン……?」
 それも、非常にシンプルなもののようです。何と言ってもボタンが2つしか表示されて
いません。それぞれ【ON/OFF】【イジェクト】と書かれています。
「一体、何のリモコンですの?」
「たっちゃん」
「……は?」
 わけがわからないよ、と目を点にするみーちゃん。そりゃそうです。そんなものでたっ
ちゃんを操れるのなら苦労はしません。そもそもボタンの意味がわかりません。
「【ON/OFF】って何ですか、【ON/OFF】って。OFFにしたらお姉さまの動
きが止まるとでもおっしゃいますの? 【イジェクト】って、そのボタンでお姉さまから
何か出てくるとでも……?」
 言いながら、みーちゃんはその様子を想像してみました。

『えい、スイッチOFF!』
『ああっ、か、体が動かない……っ!』
『うふふ、さあお姉さま、体中を愛して差し上げますわ〜』
 さわさわ。もみもみ。ぺろぺろ。
『ふひぃぃ……っ! きっ、気持ち良いよぉ……っ!』
『続いてイジェクトですわー』
『ああっ! ダメェ……で、出ちゃう……っ!』
 ちょろろろろ……。
『いやぁぁ……っ! と、止まらないよぉ……っ! み、見ないでぇ……っ!』
「『おほほほほ! お漏らしですの? なんて恥ずかしいお方。お姉さまがこんなにはし
たない方だったなんて。もう人前には出られませんわねぇ。でも安心してくださいませ。
わたくしが、一生飼って差し上げますからね。もちろん逃げようとされたら、お仕置きに
衆人環視の中でイジェクトボタン連打、ですわよー?』
『そ、そんなぁ……っ! そんな事しなくたって、私は、みーちゃんの事を……っ!』
『まあ、お姉さまってば……! わたくしも、お姉さまの事、愛してますわ……!』
『ああ、みーちゃん、大好きぃ……っ!』」

 みーちゃんは物凄い勢いでうーぴょんに飛びかかり、スマホを奪おうとしました。それ
をさっとかわすうーぴょん。
「どうして避けますのっ!? わたくしにくれるとおっしゃったでしょう!?」
「い、いや、なんか目が怖かったから……。それに、あげるわけじゃないからね? 貸す
だけだよ、貸すだけ。あと、みーちゃんの妄想はちょっと都合良すぎだよ。たっちゃんデ
レすぎでしょ」
「んなっ!? あ、あなた、心が読めるんですのっ!?」
「最後の方、しっかり声に出てたけど?」
「……っ!!」
452歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:28:06.48 ID:+W4//LQm
 口を押さえて固まってしまったみーちゃんに、うーぴょんは続けます。
「とにかく、話はちゃんと最後まで聞こう? これはねー、正確にはたっちゃんが身に着
けている、全身触手タイツのリモコンだよ」
「……は?」
 またも目を点にするみーちゃん。さっきからうーぴょんに驚かされっぱなしです。今ま
での言動を見て分かる通り、この蛇神少女だって大概暴走キャラなのですが、うーぴょん
がその上を行く虹色暴発娘なので、翻弄されざるを得ないのです。
「お姉さまが、何を身に着けてらっしゃるですって……? ぜ、全身……?」
「全身触手タイツ」
「……」
「あ、全身触手タイツって言うのはねー」
「せ、説明しなくともよろしいですわ、字面でなんとなくわかりましたから……。内側に
触手が生えた、快楽拷問用の全身タイツ――なのでしょう?」
「正解! たっちゃんのために、私が一生懸命作ったんだー」
「あなたはまた性懲りもなく、淫らで卑猥なモノを……なんですかその、まるでわたくし
の嗜虐願望を具現化したような責め具は……はっ!」
 語るに落ちるとはこの事ですね。
 淫らで卑猥な嗜虐願望があると自ら認めてしまったみーちゃんは、顔を真っ赤にしなが
ら取り繕うようにうーぴょんの襟元を掴み、睨みつけて言います。
「そ、それで、そのタイツを今、お姉さまが身に着けてらっしゃるのね!?」
「そだよー」
「い、いったい、何がどうして、そんな事になってるんですの……?」
「えっとねー」
 うーぴょんは去年の引継ぎの時の話をしました。
 再会するや否や押し倒した事。
 散々快楽責めした事。
 挙句、疲れて眠ってしまったたっちゃんに、開発した全身触手タイツを着せた事。
「……というわけで、今年の元旦からずっとそれ着て寸止め責め状態なんだ」
「お、お姉さまを、そんな目に会わせるなんて! なんて、なんて……」
(なんて羨ましい!!)
 みーちゃんは心の底からそう思いました。
(や、やはり十二支の並びが『卯辰巳』ではどうしても不利ですわ……っ! 大歳神様に
お願いして、なんとか卯と巳の位置を入れ替えていただけないものかしら……?)
 多分無理です。
453歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:29:22.26 ID:+W4//LQm
 そんな事を考えながらぐぬぬ顔で悔しそうに睨みつけるみーちゃんに、うーぴょんは
「あ、リアルタイムの映像あるよー。見るー?」
 と言って今度はタブレット端末を取り出すと、たっちゃんの周りに設置したカメラの映
像を呼び出しました。
「ももももちろんですわ!」
 そう言いながらみーちゃんが横から覗き込むと、そこには、もう声も出せず、白目を剥
き、舌をだらしなく垂らし、涎と涙と鼻水にまみれて痙攣するたっちゃんのあられもない
姿が映し出されていました。淫らに蠢く例の全身触手タイツに包まれた首から下は、びく
びくびく……びくびくびくびく……と、まるで陸揚げされた断末魔の魚のように弱々しく
跳ねています。
「お、おおおお……っ!! こ、こ、これはぁ……っ!!」
「うふふ、たっちゃんのこんなアヘ顔、初めて見るでしょー。焦らされ狂っちゃって、も
う、可愛いんだからぁ! でも流石は龍神様、三ヶ月に一回は正気を取り戻すから、完全
に壊れちゃわないんだよー。すごいよねー。まあ、数分もすればまた狂っちゃうんだけど
……って、おっと!」
 快楽無間地獄に堕とされたたっちゃんの姿を映し出すそのタブレットをひったくろうと
するみーちゃん。うーぴょんはその手をかわすと、さっとしまってしまいました。
「ああ、も、もっと見せなさい……っ! いえ、み、見せてください……っ!」
 頭を直角に下げてお願いするみーちゃん。いきなりの低姿勢っぷりです。それほどまで
に今の映像の破壊力は半端無かったのです。もしもどこぞの吸血鬼の成れの果ての金髪ロ
リだったら「ぱないの!」とか発言するレベル。
「もー、みーちゃんはせっかちなんだからぁ。大晦日になれば間近に見られるんだから、
それまで我慢、ね?」
「う、ぐぅ……わ、わかりましたわ……。そ、それで、さっきのリモコンアプリは、お姉
さまをうねうねと苛んでいた、今の全身タイツを操れるんですのね?」
「うんっ」
「……」
「……」
 二人の間に一瞬の沈黙が訪れました。そして次の瞬間、
「とおっ!」
「はあっ!」
 再びリモコンスマホに飛びかかるみーちゃん。それをかわすうーぴょん。
「ええい、渡すならさっさとそいつをお渡しなさい! この変態雌兎が!」
「はいはい、ちゃんと渡すよぉ。だけどその前に説明を聞こうよ、ね? だから落ち着い
て、どう、どう」
「うっさいですわ! その落ち着かせ方が有効なのは、わたくしの、次!」
 みーちゃんの次――と言うのは、つまり午の歳神たるまーたんです。
「えー、それ、まーたんに失礼だよー。あの娘はみーちゃんみたいなヒステリー気質じゃ
ないんだからさー」
 まーたんは物静かでクールな性格なので、こんな風に落ち着かせる必要はあまりないの
です。まあ、そういうキャラこそ怒らせると怖かったりしますが。
454歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:31:35.91 ID:+W4//LQm
「でもみーちゃんが怒りっぽいのも仕方ないよねー。みーちゃんはお一人様が長いから、
欲求不満なんだもんねー。うぷぷかわいそかわいそ」
「んなっ、なぁんですってぇぇっ!?」
「毎日毎日ひとりえっちばっかりじゃ、虚しいでしょー?」
「ううううっさいですわっ! 誰が、そんな……っ!」
「いいじゃん、みんなやってる事なんだから。ひとりえっちは悪いことじゃないよ。みー
ちゃんもひとりえっちしてるんでしょ」
「そ、そりゃあ……することもありますけど……」
「みんなーみーちゃんはオナニーしまくりですよー!」
「しまくりじゃないですわー!」
「うへへへ、たまには私がお相手してあげようかー?」
「うきぃぃぃっ!! おおおおおだまりなさいーっ!! だっ、誰が、あなたのような、
色情狂、なんぞと……っ! はぁ……はぁ……」
 うーぴょんの挑発でさっきから荒ぶりすぎてるみーちゃんは、流石に少々疲れてきまし
た。息を切らせながら、諦めたようにその場に座り込み、うーぴょんを上目遣いに睨みつ
けました。
「わ、わかった、わかりましたわ……はぁ、はぁ……ちゃんと話を聞きますから、さっさ
とおっしゃいなさい……」
「はい、じゃあ、説明するね? このリモコンをONにすると、たっちゃんがイくの。そ
れでOFFにすると、寸止め状態に戻るんだ。ONのままだとたっちゃんずっとイき続け
ちゃうから、イかせすぎて本気で壊さないよう注意してね。それからイジェクトボタンだ
けど、それを押すとたっちゃんがタイツから排出されちゃうから、押すのは全部終わって
からにしようね」
 あらためて言葉にすると、本当にひどい仕打ちです。たっちゃんの尊厳とかそういうの
は全く考慮されていません。いいえ、たっちゃんのものであれば尊厳すら自らの手の内に
置きたい――という心の現われなのかもしれません。それを愛と呼ぶのなら、相当歪んだ
愛と言わざるを得ないでしょう。そう言う意味では、リモコンアプリという形でたっちゃ
んの尊厳をやり取りするこの二柱、実は似た者同士なのかもしれませんね。
 しかしそれだけに、みーちゃんには解せません。そんなたっちゃんの生殺与奪のアイテ
ムを、何故うーぴょんが自分に渡してくれるのか……。何か裏があるとしか思えません。
みーちゃんは、さりげなく探りを入れてみる事にしました。
455歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:36:17.42 ID:+W4//LQm
「あなた、どうしてそのリモコンを貸してくださいますの? お姉さまにいくらでも好き
なだけ絶頂を与えられるそんな素敵アプリ、ただでさえ他の者に渡したくなどないはずで
すのに、どうして恋のライバルたるわたくしに……?」
 ……全然それとなくではありませんでした。もしもみーちゃんに幼馴染がいたら、8時
40分頃に「みーちゃんは昔から遠まわしに聞くのが苦手なのよね」とか言われてしまう
ほどの直球勝負です。
 そんな問いに、うーぴょんは首をかしげて答えます。
「恋のライバル……? みーちゃんは負け犬って書いてライバルって読むの?」
「なぁんですってえっ!?」
「あはは、冗談冗談。そりゃあ私だって、できれば渡したくなんかないよぉ。でも、年が
明けて歳神業務から開放されないとたっちゃんには会えないし、その引継ぎの時に会える
のはみーちゃんだけなんだから、仕方ないじゃない? あーあ、すっかり失念してたよぉ
……このアプリ、それで慌てて作ったんだ。とっても、とーーっても悔しいけど、特別に
このスマホごとアプリを貸してあげる! たっちゃんに一年越しの絶頂をプレゼントする
役は、みーちゃんに任せたよ!」
「む……随分殊勝な言い分ですこと。でも、本当にそれだけかしら……?」
 食い下がるみーちゃんに、うーぴょんはほんのり赤らめた頬に左手の平を当て、うっと
りとしながら言いました。
「うふ、ふふふふ……ほ、本当はねぇ……はぁ、はぁ……私にぞっこんラブなたっちゃん
がぁ、私以外の誰かに快楽をコントロールされちゃってぇ、絶望の中で絶頂を繰り返させ
られるのかと思うとぉ……んっ、そ、それでその時、たっちゃんがどんな顔するのか、想
像するだけで、ああっ、わ、私のここ、もう、こんなにぃ……はぁ、はぁ」
(変態ですわー!)
 右の手をスカートの裾に差し入れもぞもぞと動かし始めたうーぴょんに、頭の上に眼鏡
乗せる勢いでどん引きするみーちゃん。いえ、みーちゃんは眼鏡かけてませんが。しかし
まあ、、みーちゃんとうーぴょんの変態度は正直五十歩百歩といったところですよね。
「わ、わかりました! わかりましたわ! そういう事でしたらその役、謹んでお受けい
たしますわ!」
 みーちゃんは慌ててうーぴょんの申し出を受諾しました。だって、とっととこの話を終
わりにしないと、うーぴょんが今にもこの場で本格的なセルフプレジャーを開始しかねな
い勢いなんですもん。
456歳神娘(卯→辰←巳) ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:37:09.65 ID:+W4//LQm
「はぁ、はぁ……え? あ、うん、よろしくねー。はいどーぞ」
 自慰行為を一次中断し、今度こそスマホを渡そうとするうーぴょん。濡れた指でそのま
ま渡そうとするものですから、スマホにねちゃっと彼女のいけないお汁が付着してしまい
ます。どうやら防水のようですね。
「ちょ……っ! き、汚いですわね! 綺麗にしてから渡しなさいよ!」
「えー。まったく、みーちゃんは潔癖症だなぁ」
「それ以前の問題です!」
「私、みーちゃんのお汁なら喜んでぺろぺろするよ? 舐めてあげようか?」
「んなっ!? お断りですわっ!! あっ、あなたのような見境のないド淫乱と、一緒に
しないでいただけますっ!?」
「わかったよ、もー」
 ハンカチを取り出して指とスマホと拭き拭きし、あらためて渡すうーぴょん。そして、
もう一度念を押します。
「本っっ当に、貸すだけだからね? そのスマホもたっちゃんも、引き継ぎが終わったら
返してもらうからね?」
「わかっています。わたくしとて神のはしくれ、約束は守りますわ」
「お願いだよ? あ、そうそう、たっちゃんを撮影してるカメラは、そのままにしておい
てね。みーちゃんに責められるたっちゃんを見たいからさあ。んじゃあまあ、そういう事
で、しばらくの間だけどたっちゃんへの快楽責めを堪能してねー」
 と、うーぴょんはようやく去って行きました。きっと帰ってからさっきのたっちゃんの
映像で自家発電の続きをするのでしょう。
 みーちゃんはその背中を見送りながら、にたぁ……と、美少女にあるまじきゲスな笑み
を浮かべました。
(くっくっくっく……要はこのリモコンを返すまでに、たっちゃんを私以外考えられなく
なるように調教してしまえばよいのですわ……っ! 幸い、あのばかうさが勝手に一年越
しの下準備をしてくれましたから、あとはこのリモコンを活用して、わたくしのみを永久
に愛するよう、お姉さまに誓約して頂くだけですもの……っ!)
「うーぴょん敗れたり! わたくしの、勝ちですわっ!」
 勝ち誇るみーちゃん。そして左手を腰に当て、右手の甲を唇に添えて
「おーーほっほっほっほ……っ!」
 と、誰もいない空間にお嬢さま笑いを高らかに響かせるのでした。


 年末に続く。
457 ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:37:55.78 ID:+W4//LQm
今回は以上です。
大晦日にまたお邪魔させていただきますね。
では。
458名無しさん@ピンキー:2012/12/21(金) 19:40:48.63 ID:Ho4/tn2t
乙!
今から年末が待ち遠しくてたまらんw
あと十日か、前作でも見返すとしよう
459 ◆DYW6d/nzvM :2012/12/21(金) 19:41:03.37 ID:+W4//LQm
今見たら、最初のとこ改行おかしくなってますね……ごめんなさい。
460名無しさん@ピンキー:2012/12/22(土) 11:54:11.30 ID:FU7i64TS
おおお!待ってました!!乙です!GJです!
たっちゃんはやっぱり大変な事になってるのかあ

私が女の子同士のナニに目覚めて書き始めたのは
たっちゃんとうーぴょんのせい…じゃなくおかげです。
>>230-233あたりはパク…じゃないリスペクトさせていただきました。
大晦日の投下、楽しみにしてます!!
461名無しさん@ピンキー:2012/12/22(土) 14:05:03.58 ID:aTNtJeJr
もう1年経ってしまったのか。GJ
みーちゃんにはうまくいって欲しいな
462名無しさん@ピンキー:2012/12/23(日) 17:14:33.04 ID:j6q9bpKJ
年下攻めがすきだから書くことにしました。投下します
463名無しさん@ピンキー:2012/12/23(日) 17:15:22.47 ID:j6q9bpKJ
 かれこれ数週間前から私は彼女のことばかり考えてきた。
 どうやったら彼女に勝てるのか、何が彼女の弱点なのか、夜も眠れないほど真剣に。周りの人はきっと馬鹿馬鹿しいというでしょうね? 
 でも、私は威厳を示す必要がある。彼女をぎゃふん! と言わせる必要がある。このままじゃ、年上として、主人として、あまりにも情けなさすぎるもの。
 そして、私は一つの可能性に賭けることに決めた。
 賭けに勝って、自分が彼女の主人だってことを証明するんだ。

× × ×

「ちゅーしなさいッ! エリス!」
 私の命令を聞いたエリスは何度か瞬きした後、灰色の瞳で私を見つめてきた。彼女には動揺も困惑もなく、透明な冷静さだけがあった。夜遅くに呼びつけたにも関わらず、髪形も服装も乱れていない。
 一体いつエリスは休んでいるんだろう。
 駄目だ、こんなのでは意味がない。
 寝間着姿でエリスを指差す私が馬鹿みたい。私は、年相応に(まだ彼女は十四歳なのだ! 私より二つ年下なのだ!)頬を染めたり、恥ずかしそうに俯いたりするエリスが見たいのに。
「ちゅー……。接吻のことで、ございますか?」
「そうよッ!」
「何故でしょう、オディール御嬢様」
「理由を話す必要なんて無いわッ! 私がしてほしいから、貴女にさせるだけのことッ!」
「……失礼いたしました」
 エリスは私にお辞儀をする。その動作は一切の隙がなく。嫌味なまでに整っていた。
 いつもと変わらず、完璧。
 エリスは――私のメイドは、まるで時計みたいに精密で、辞典みたいに博学で、剣のように鋭利で、そして石像みたいに美しいのだ。
 何もかも、あらゆる面で(身長とおっぱい以外)エリスは私に勝っている。パパが彼女を私の専属にしてくれた時から四年くらい経ったけれど、未だに私はエリスの弱点が分からない。
 たまにフランクな面を見せてくれるけれど、基本的にエリスは自分が決めたラインを越えようとせず、あくまで使用人として私に接してくる。
 どんなことでも軽々とできながら誇ることも驕ることもなく、私の意のままに動いてくれる。それが私には我慢ならない。
 このままじゃ、私はエリスに仕えて『もらっている』だけになってしまう。エリスの陰でのほほんと生きていくだけになってしまう。
 だから、私はエリスの上に立つ人間として彼女を超えなきゃいけないのである。一つくらい彼女よりすぐれていることがあるって、証明しなきゃ、私は自分を許せない。
 エリスが出来なさそうなことをお願いして、無理やり欠点を見つけ出そうだなんて後ろ向きだって自覚はあるけど、正攻法でエリスに勝つなんて私には難問すぎる。
「一人で眠るのは寂しいから、おやすみの接吻をしてほしいということでしょうか」
 全然違う。
 確かに私はベッドの上だけど! 二年前までしてもらっていたけど! 
「なんでそうなるのよぉ! 私はもう子供じゃないわ!」
「では、御嬢様が望まれる接吻とは?」
「恋人同士がするような、あっつあつなヤツに決まってるでしょう!」
「私が御嬢様に、ですか……ふむ」
 なんだか難しい顔をして、エリスは黙り込んだ。
 お、もしかして奇襲成功? ついにエリスを打ち負かせそうな感じ? 
 この後のプランは考えてある。私は困り果てたエリスのあごをそっと持ち上げて、囁くのだ。『それなら、私がお手本を見せてあげるわ』って。そして震えるエリスの唇を、毎日鏡で練習したテクニックで――
 弾けるような期待感で、私の脈が速くなる。思い描く未来は目の前に!
「使用人としての領分を超えているように思いますが」
「なぁに? 出来ないからって逃げるつもり?」
 私は攻撃の手を緩めない。そんな言葉で誤魔化されたりしないんだから。
 とってもにやけた顔でしかめっ面のエリスを見つめていると、彼女はふぅ、と息を吐いた。
 その仕草には覚えがあった。昔から私が駄々をこねた時、エリスは今みたいな溜め息の後、呆れて諦めて私に一言。
「仕方ありませんね、御嬢様」
 一瞬で十二歳の頃に戻された気がした。
 ベッドのクッションが沈む。エリスが上がってきたせいだ。私の近くまで虎のように彼女が接近してくる。相変わらず読めない表情のまま、息遣いが感じ取れる距離まで。
 な、なによ、やるっていうの? 上等よ!
464名無しさん@ピンキー:2012/12/23(日) 17:17:43.98 ID:j6q9bpKJ
「お気に召さなければ、どうぞお申し付けください」
「いい? エリス? そんじょそこらのちゅーじゃ、満足してあげないんだからね?」
「承知しております」
「さ、さぁ! きなさいッ!」
 訳もなく怖くなって、私は両目を閉じる。そうすれば、大丈夫な気がした。暗転する前の視界で、エリスはうっすらと笑っていた。
 どんなこと、するつもりなんだろう。本で読んだ通りだったら、私――
「御嬢様……」
 わ、頬に手が。少しごつごつしてる。色んなお仕事してるもんね、エリス。うあ、ちょっ、え、なにこれ、熱い。
 これが唇? エリスの、唇? ん! べろ。べろが、口に。わ、私だって負けないもん。私のべろ、絡ませちゃうんだから! 
 うぅ、こんなにぬるぬるでざらざらなんだ。歯ってこんなに硬いんだ。本の中には書いてなかった。
 ああ。エリスのよだれとか、いっぱい入ってきてる。でも、お互い様だよね? 飲んじゃえ。汚いかな? 平気だよね? 
 味はしないな。当然か。ひゃあ。私、すごくやらしい声出してる。だって苦しくって、切ないんだもの。きっとエリスもおんなじ。
 どうしよう。私、エリスの好きなようにされちゃってる。このままでいいやって考えちゃってる。頭がぐるぐるして、どうしたらいいのか分かんない。せっかく練習したけど、意味なかったのかな。
 あれ、どうしてだろ? 呼んでほしい。エリスに、私の名前。あの声でおでぃーるって呼んでもらえたら、きっと幸せなに違いない。
 ねぇ、あなたに命令よ。御嬢様なんて言わないで、ちゃんと名前を呼んで頂戴? お願い、エリス、えりす!
「もう十分でしょうか」
「あ……」
 恐る恐る目を開け、光のある世界に戻る。そこにはやっぱり平然としているエリスの姿があった。口元がよだれでぬるぬるのクセして、何事も無かったかのようにしていた。
「エ……リス」
 うまく息を吸ったり吐いたりできない。
 さっきから私はおかしくなっている。暗闇の中での感触がずっと頭で反芻されていて、体が震える。とんでもないことを、されてしまったのかもしれない。
 しかし、少し頭が冷えてくると冷えた鉛のような感情が、じわりと沁み込んできた。
 また――負けてしまった。
 悔しい、情けない、カッコ悪い、口惜しい!
 私はエリスにキスをして『もらった』のだ。
「ご満足いただけましたか?」
「……まぁまぁ、ね」
「それは良かった」
 精一杯強がってみせたけれど、エリスは気にも留めずにベッドから静かに下りた。乱れた裾を直し、ハンカチで口を拭って、いつものエリスに戻っていく。
 エリスはなにも感じていないのかな。私にあんなことをするのも、仕事の一部だと割り切っているの?
 表に出していないだけで、少しでもエリスの芯が揺れていればいいな。
 くすぶる私にエリスは一礼した。部屋から、退出するつもりなんだろう。
「では、失礼いたします。……その前に一つ、差し出がましいことを申し上げてよろしいでしょうか」
「何?」
「このようなお戯れは感心いたしません。今後はお止しになった方がよろしいかと……」
465名無しさん@ピンキー:2012/12/23(日) 17:18:19.65 ID:j6q9bpKJ
言葉が耳に入った瞬間、私の胸は爆発した。溶岩のような感情が噴き出し、世界を真っ赤に染めた。
 お戯れ、ですって? 
 酷い見込み違いだわ! とんでもない屈辱だわ! 許しがたい侮りだわ!
 私は、このオディールは、どこまでも真剣そのものよ!
 めちゃくちゃな動機かもしれない、不条理なやり方かもしれない、けれど私は本当にエリスを超えたかった。本当の主人になりたかった。
 それを、お戯れだなんて言葉で納得されてたまるもんか!
 咄嗟に、靴下を脱いで、投げつける。手袋の代わりだ。
 力無い軌道を描いて靴下はエリスの胸元に飛んでいった。
 エリスは何度か瞬きした後、灰色の瞳で私を見つめてきた。今度は、幽かに困惑しているように見えた。
「御嬢様……これは一体――」
「決闘よッ!」
「今何と?」
「あなたの主人ではなく、オディール個人として、あなたに決闘を申し込むわ! エリスッ!」
 夜なのに、ついうっかり大きな声を出してしまった。屋敷の人、びっくりしたかな。
 一番間近で私の宣言を受けたエリスは床に落ちた靴下をつまみあげた。決闘に応じるというサインだ。そうこなくっちゃ!
「御嬢様、いえオディール様を、私は侮辱してしまったのですね? オディール様にとって、あの接吻は戯れではなかったということなのですね?」
「ええ! なにより、私は名誉のために誇りのために、あなたを乗り越えなきゃいけないの! そうでなきゃ、私はあなたを使用人として扱うことなんて出来ないわ!」
「では私もただのエリスとして、この決闘……お受けいたしましょう」
 耳に届く返事は、とても力強くて、カッコいいとさえ感じた。
 さっきから御嬢様と呼ばれていない。宣言通りお互いの立場と関係なく、話を進めているというエリスなりの誠意なのだろう。
 私はベッドから身を乗り出した。訳の分からない興奮で私の世界はちかちかしていた
「決闘の方法は、考えてあるの」
「なんなりと」
 あの単語を口にするのは、抵抗がある。想像するだけで恥ずかしくなってしまう。
でも、伝えなければ! これしか勝ち目がない以上、やるしかない!
「×××……×××で! 勝負よッ!」
「なに、それ!」
 まぎれもなく、素の反応だった。
 エリスの砕けた口調を聞くのはこれが最初で最後になるだろう。
× × ×
466名無しさん@ピンキー
言葉が耳に入った瞬間、私の胸は爆発した。溶岩のような感情が噴き出し、世界を真っ赤に染めた。
 お戯れ、ですって? 
 酷い見込み違いだわ! とんでもない屈辱だわ! 許しがたい侮りだわ!
 私は、このオディールは、どこまでも真剣そのものよ!
 めちゃくちゃな動機かもしれない、不条理なやり方かもしれない、けれど私は本当にエリスを超えたかった。本当の主人になりたかった。
 それを、お戯れだなんて言葉で納得されてたまるもんか!
 咄嗟に、靴下を脱いで、投げつける。手袋の代わりだ。
 力無い軌道を描いて靴下はエリスの胸元に飛んでいった。
 エリスは何度か瞬きした後、灰色の瞳で私を見つめてきた。今度は、幽かに困惑しているように見えた。
「御嬢様……これは一体――」
「決闘よッ!」
「今何と?」
「あなたの主人ではなく、オディール個人として、あなたに決闘を申し込むわ! エリスッ!」
 夜なのに、ついうっかり大きな声を出してしまった。屋敷の人、びっくりしたかな。
 一番間近で私の宣言を受けたエリスは床に落ちた靴下をつまみあげた。決闘に応じるというサインだ。そうこなくっちゃ!
「御嬢様、いえオディール様を、私は侮辱してしまったのですね? オディール様にとって、あの接吻は戯れではなかったということなのですね?」
「ええ! なにより、私は名誉のために誇りのために、あなたを乗り越えなきゃいけないの! そうでなきゃ、私はあなたを使用人として扱うことなんて出来ないわ!」
「では私もただのエリスとして、この決闘……お受けいたしましょう」
 耳に届く返事は、とても力強くて、カッコいいとさえ感じた。
 さっきから御嬢様と呼ばれていない。宣言通りお互いの立場と関係なく、話を進めているというエリスなりの誠意なのだろう。
 私はベッドから身を乗り出した。訳の分からない興奮で私の世界はちかちかしていた
「決闘の方法は、考えてあるの」
「なんなりと」
 あの単語を口にするのは、抵抗がある。想像するだけで恥ずかしくなってしまう。
でも、伝えなければ! これしか勝ち目がない以上、やるしかない!
「×××……×××で! 勝負よッ!」
「なに、それ!」
 まぎれもなく、素の反応だった。
 エリスの砕けた口調を聞くのはこれが最初で最後になるだろう。
× × ×

「オディール様の前で脱ぐことになるとは思いませんでした」
「いいじゃない! 私は何回も見られたことあるんだから!」
「まぁ、確かにそうですね」
「なんで敬語のままなのぉ?」
「たとえ対等な立場にあろうと、私は貴方様に敬意を払っておりますので……」
「あ……ありがと」
 キスされた時のように私とエリスは向かい合う。以前と違うのは、私もエリスも服を脱ぎ捨てて、下着だけになっているということ。
 エリスの下着は変わっていた、ショーツは普通なんだけど、胸に白い布をぐるぐる巻きにしているのだ。胸が苦しくなりそう。
「そんな風にしてる人、はじめて見たわ」
「これは東洋の言葉でサラシと言いまして……厚くて丈夫な布で胸部を保護すると同時に、乳房を小さく見せる目的で使われます」
「小さく? なんでわざわざ」
「何かと邪魔なのですよ。大きいと」
「とっちゃうのよね? ソレ」
「もちろんです」
「まさかあなたって……」
 エリスが巻きつけたサラシを外し始めた。布の面積が少なくなるにつれて、次第に彼女のおっぱいは元々の大きさを取り戻していき、ついに私のソレを追い抜いた。
 なんてこと。ここでも負けていたなんて。
「なによそれ、どうなってるのよ……」
「ここ数年で急に成長しまして、私としては身長の方が伸びてほしかったのですが」
 なんだか嫌味に聞こえる。そんなつもりはないんだろうけど。
 腹立ちまぎれに両手でエリスのおっぱいを掴む。
 重たくて、柔らかい。なんなの、これ? 持ち上げられるってどういうことなの?