【ダークソウル】エロパロソウル2【デモンズソウル】
このスレはソウルシリーズでエロい妄想ができる猛者を広く求めています。
>>3-4 エロパロ板のスレってそんな頻繁に書き込みしなくても無くならないよ
前スレ埋まったか
埋まりましたね。再び
>>1乙。
えぇと、キアランちゃんを縛り上げる話でしたっけ?
>>1乙
つまり、キアランちゃんの柔らかで敏感な股関節をさらに揉みほぐしていぢめる話だったかな?
lord's blade ciaran キアラン装備原画来たね
美人を想像しやすいといいなとひっそり期待していたら公式にねじ伏せられました
どう転んでも圧倒的に麗人ですありがとうございます
まぁゲームグラがどうなってもこれで補完できるよuhh
>>10 なんつーか神秘的だな
これでアルトリウスにゾッコンとか胸熱
髪型だけですごい佳人
服装のストイックかつ攻撃的なとこがそそるね
しっかり着てるのにウェストのくびれで女性らしさが出てるのがまた良い
動画ではよく分からなかったけど両手違う刃なのね。パリィ狙ってくるだろうな〜ゾクゾクする
( ゚∀゚)o彡゜みつあみ!みつあみ!
アルトリさんが隙をついて口で解いちまうわけですねわかります
キアランはグラナのような野良敵なのか、それともボスとして登場するのか……
一部ネタバレで
PVでの出現がアルトリ戦の場所なので、まずはアルトリソウルにからむNPCとして出てくるかと期待してる
もちろん返答次第では、プレイヤーを付けねらう敵になるというご褒美(ry
アルトリはもし自分が闇堕ちしたら取り返しがつかなくなる前に自分を始末するよう
事前にキアランに頼んであったと考えてるんだが、まぁ違うんだろうな
アルトリウスに似合うと言われた三つ編み
ダークレイスの群れに引き倒される隙となってしまった三つ編み
まわされて穴が足りないからと代わりに汚された三つ編み
まで妄想した
今更な感じですがPC版のネタバレについては皆さんどう対応する予定ですか?
レスもSSも注意書きありの上、本バレ含みOKでしょうか
注意書きさえ書いてくれれば問題ないよ
上に同じ
早くしてくれ、寒…くはないが全身蚊にさされてしまう
蚊といえば病み村の……
>>10 これってキアランの素顔じゃなくて顔っぽい仮面なんだな・・・
キアラン装備はちゃんと三つ編みも付いてるのに、オンスタ装備と来たら……
オンスタ「赤のポニテはリーダーの証。誰にも渡さん。」
蓮コラ頭の群れにおさげを引っ張られながら暗がりに引きずりこまれ、
ケラケラ笑われながら穴という穴に白くべたつくなにかを注ぎ込まれるキアラン…まで妄想した
やっぱりキアランもでかいんだろうか
でも墓裏の遺体は普通の大きさだったし・・・
等身大だよ逆に何故等身大なんだと言われているよ
神々の中でもかなり小柄な体型なのかもね
しかし確かアルトリウスは神サイズだったよな…
( ^ω^)これは…
a
ギャーギャー喚くキアランを小脇に抱えて走り去るアルトリを想像した
そういう状況オンスタとゴーさんはどうなってるんだw
ちょうど人間とローゼンメイデンに出てくるドールと同じくらいの身長差だから、なんとかヤれる
大きさ的にはまさにロリコンプレイ・・・
オ「確かに僚友としては優秀。しかし女性と見れば初見初期値もたざるものカンストプレイに等しい」
ゴ「そのうち『責任をとることになった』とか言い出しそうでこわい」
ア「責任」
オ「そうだ、よく考えるのだぞ」
ア「よい響きだ…(うっとり)」
ゴ「おい」
オン「二人とも、そこに正座しろ」
アル「(すごすご)」
キア「(しょんぼり)」
オン「誰がキアランを膝に乗せろと言ったか!」
ゴー「もうやだこの四騎士」
アルトリは友達が少ない、という話だから無口なのかと思う
あんなイケメンで心身ともに無限強靭でガチヒーローでもふもふに好かれて彼女までいる完璧超人が友達少ない理由とかそれくらいしか…
「ヒーワズァディアフレェンド」^^
「アンオールドフレンドヒーワズ」^^
「アルトリウスの仲間は誰も助けに来ないのかい!? ろくな友達がいないねぇ全く」
「………クゥン」
>無口なのかと
だろうなぁw 性格的に害のある人とは考えられない
ただ余りに善良すぎて逆にChesterが言ったように面白みに欠ける一面はあるかもね
どうにも回りにキャラ付けしてもらわないといかん扱いだし
純粋で揺るぎないものに間近で対応するのはとても難しいのだ
だから主に動物(ry
キアラン「貴公…『初見初期値持たざるもの難易度カンストプレイ』とはどういう意味だ?もし侮辱しているのなら…」
オンスタ「い、いや愚弄したわけでは…その短剣を下ろせ。短剣は槍とは相性が悪かろう?」
キアラン「…アルトリウス」
アルトリ「?」
オンスタ「やめろ!槍持ちに大剣は!謝るから!」
アルトリウスがスケコマシな上にケモコマシな可能性もあるってわけだな
どっちがアルトリの膝に乗るかを争って、キアランとシフがガチバトルを始めるんですねわかります
ありそうw
ないしバトルしないにしてもお互いに膝に乗りたいのが分かってて、
でもキアランはシフが乗ったほうがモフモフで良いだろうと思って
シフはキアランが乗ったほうが恋人だから良いだろうと思って、
譲り合いしてるとこにアルヴィナが来てさらりと膝の上を占領。
ゴロゴロ喉ならしながらアルトリウスに撫でてもらう様を羨ましそうに見つめるふたり。
あると思います
シフやアルヴィナばかり膝に乗せすぎて、キアランにも頭なでなでしちゃうんだろな。
かさり、と何かが動く音がした。自分より二まわりほど質量の小さな気配。
アルトリウスは月を見ていた。
満月だ。刃に映る満月を見ていた。
そんなとき決まってシフやアルヴィナがすりよってくる。
長らく共にいるうち、どうやら月ばかり見て構ってくれないのが気に入らないらしいと気付いた。
月を見る目を休める気はない。
「よしよし」
だからその姿勢のまま手だけ気配にのべ、指先に柔らかな毛が触れたと同時にそれをわしわしと撫でる。
「…?」
毛が薄い。大きさからしてアルヴィナだろうか。もしや森奥の山猫にいじめられて、毛が抜けてしまったのか?
心配になって斜め後ろに向く。
「、」
キアランがいた。
キアランが寄り添おうとするようにしてすぐ近くにいた。
自分の足元を見ている。顔は分からない。
分かっているのは、自分が今撫でたのは動物ではないということだ。
「き…」
撫でた髪がさらりと滑り、耳が顕になる。
月明かりでよく見えないが、恐らく赤いのではないか。
まるで犬や猫にでもするように、騎士の頭を撫でてしまった。
「……」
プライドの高い彼女なら何をするとはね除けそうだがそうではなかったらしい。
真っ赤になるほどお気に召しただろうか。
「…………」
何かしゃべっている。
キアランの顔から何か聞こえる。
「……う」
「う?」
うわぁああああっ!!!!!
空気を裂くような叫びをあげてキアランはアルトリウスを突き飛ばし、一目散に逃げていった。
「…」
…というとこまでは見えた
そのまま「うわぁああああっ!!!!! 」と完全武装で戻ってくるとこまで想像した
アルトリの尻が危ない! キアランの王の刃装備一式が可愛すぎるなにこの小動物は…
宵闇さんは主人公で鉄板化したように見受けられますが、決して交差することのない悲恋でもあるね
だがそれがいい
病み村の病み人のしがみつきエロすぎるでしょう・・・
あむあむの後押し倒して馬乗りになるとわ
クラーグ姐にも掴み攻撃が必要だな。もちろん人間性が吸われるやつ
グウィンドリンちゃん・・・あぁぁグウィンドリンちゃんかわいいよ
触手で縛って締め付け叩きながらこっち見て!クンクンクンクンクンクンクンハァーハァーハァーハァーハァーハァーハァーハァーハァーハァーキモチイィィィあああぁぁぁぁぁ
腋の匂いが芳しいよグウィンドリンちゃん乳首も甘くて美味しいよペロペロペロレロレロチュルチュパチュパ
ハァハァハァハァハァハァハァハァグウィンドリンちゃんもバッッッッキバキに勃起してるじゃない!!
舐めてもいいよねジュルジュポジュポレロレロペロペロペロレロレロチュルチュパジュポジュポジュルルルルはぁ〜ぁぁあああ美味しいあいいぃぃっちゃうううぅぅぅああああガクガクガクガクガクドピュドピュドピュドピュビュルドプ
ハァハァハァハァハァごめんね先にイっちゃってごめんねグウィンドリンちゃん ンジュルルルポンジュポジュポヌポヌプヌプ
先にイっちゃうなんて僕は暗月失格だよねグウィンドリンちゃんンジュルンジュルジュパジュポごめんねレロレロチュルチュパジュパジュポ
あぁああああぁぁドピュドピュドルドグドクピュ ハァハァハァハァまた先にイっちゃったハァハァハァごめんね・・・ごめんねチュパチュポ大好きだよグウィンドリンちゃん・・・
暗月さん至急処理してくれ
暗月は皆こんな感じなんで
罪人の耳をドリちゃんがどうしているのか気になる
耳でネックレスを作ったりしているのかなぁグヘヘ
マジレスすると由来的な意味で耳塚に埋めてる気はするが
ドリンと言えば太陽の長子を想いながらセルフ触手プレイする薄い本があったな…
それじゃ、萌えねぇな。
壁画のおっぱい姫と、風船おっぱい姫。似てないと思うんだ。
あれ、おっぱい姫と思わせて、
実はドリンの想い人もしくは母親じゃないのかと思ったり思わなかったり。
さて、そろそろ新SSが投下されてもいい頃だが
本スレに貼られてた4chanからの拾い物
データいじって頭装備を取ったらしい
おっさんはやはり人のよさそうな顔をしておるな
そうなのか。情報ありがとう。
本当はやってはいけないことだけど、絶対にやっちゃいけないことだけど
このスレ的には有難いかもしれないと思った俺はダメだな。
ただ、SSだけでなく、できれば物描きさんにも活躍してほしいと思っていたからな。
顔ちゃんと作っているなら、公式で発表してくれてもいいのになぁ。
真鍮たんかわええ…
忍者さんイケメンすぎワロタwwwww
忍者がモロ日本顔でワロタ
>>68 それは確か前から発覚してたはず
>>68 確か名前はアクメリ(ry
いやアメクリスだったかな・・・
師匠はやっぱり、どことなくクラーグに似てるな
ってかリンデちゃんはー?
>>61 あれ、ソラールの髪型ってオールバック?
前貼られた画像は乱れ長髪っぽかったけど
虫に寄生されて乱れちゃったんだろう
キアラン、ハゲなのかよ・・・
アルトリウスの趣味か
マジレスするとガゴ兜とか特定の兜は装備すると
グラが干渉する髪の毛を表示しないようにハゲ扱いになるから
多分これが本当の髪形というわけではなかろう
おそらくキアラン装備もハゲ扱い防具だろうし
ジェレマイアも同じ理由で禿だな
ww ついでに言っておくと、キアランのはNPC召喚時の待機グラの使い回しだ
ビアトリスやミルドレットのサインを触った時と同じ顔 くらべてみ?
ビアは召喚後は別の顔が用意されてたね
・名前を入力してください
→「ああああ」
>>61 一枚目のタルカスやばいだろ・・・・orz
アメリクスに珍歩こすりつけたい
>>82 それは男NPC召喚用の顔、アノロンソラールさんで確認
しかもスキンになってたw
レア様とリンデちゃんも頼む
ショーテル持ちの素顔が微妙なのは伝統か
>>87 レア様かわえええええええええええええええ
ってかリンデちゃん、カタリナの陽気顔じゃないんか
お父ちゃんもカタリナ顔じゃないしな
混沌姉妹全員に顔射したい
姫様は目を開けたら白目むいてるのが残念
盲目であることを示す部分なんだろうけど
なんか描写がうまく行かないのかギャグ顔に見える
超乙!
楽しいなこれ・・・・
なにげにオズワルドがイケメン
シバと忍者は素顔化したら更にホモ臭が増したな
忍者はドーナルみたいな爺顔でよかったと思う。
なぜイケメンにしたフロム。
堀りゲーを認めたとでも言うのか…。
お前らイケメン美人の許容範囲広すぎでしょうがw
シーッ
綺麗どころの女キャラが全部同じ顔に見える
あだち充のヒロインみたい
装備取っ払ったら区別つけられる自信ないわ
多分流用してるきがする
ついでに言うと、ソラールとシバも同じ顔に見える
クラーグ様のおっぱいはq間違えない
同じ顔のベースを元にちょっとずつ変えただけだろ。
どうせなら全員、同じ顔にしとけばよかったのにな。
と、キャラ顔けなしまくったら、さらに絵書き職人が投下しずらいだろうが。
このスレ的にはイラストはタブーなのだろうな。
前にアングル苦心しながらシバの甲冑の中覗いたら、目は青かった気がしたんだがなー
髪は黒いのかー
キアランの顔が待機顔使い回しだとか、もしかしたらフロムは
pc版でプログラムいじるやつ出てくるからって慌てて顔後付けしたとか?
太陽虫ソラールと普通ソラールが角度的に何となく似てない感があるのは俺だけだがな。
普通に髪型変えると人相も変わってくるけどね。
単にフロム社員が作った力作をそれとなく当てただけだったりしてな。
待機顔というかあれこそが男女共に素体なのかと
もう変にいじられた顔よりもいっそ清々しい
その分の手間がアルトリ鎧の磨きこみにでも回されたんだと思っておくよ実際多分そうだろう(棒
だがお祈りキアランは可愛いので許す
キアランの顔とか見えないものを妄想するのが良いのに…
外国のプレイヤーは分かってないな
人物はデータ的に顔のパラメーターが一応必要だから適当に数値が入ってるだけと予想
本来は顔が見えないはずだし間に合わせの不細工なパラメーターが入ってても不思議じゃない
つまりキアランちゃんは本来は超絶美女なので黒霊に輪姦されまくりでFA
なんか平常運行に戻った気がするw >黒霊に輪姦されまくり
だがしかし既にキアランさんのイメージ画像を決めていた俺に隙はなかった
さぁ今夜も夜アノの妄想を楽しもうか
キラアンちゃんの短刀でダークリングをスズメバチスタブされつつ吸精されたい!
ちょっと赤い瞳のオーブ食ってくる
ん〜、キアランは闇霊輪姦かぁ…。
俺はアルトリウスの後追い自害かなぁとか思っていたが。
う〜ん。投下しずらいなぁ…。
墓裏の真相を知るのは月のみですよ…まぁ残照だったかも知れないが
さぁ遠慮はいらないからどうぞどうぞ
愛した男の墓前で孕むまで犯された挙げ句に後追い自害とな?
さておき遠慮せずに投下どうぞどうぞ
お前らキアラン大好きだなw
そんな大それたものじゃないし、ほぼ別物の自己設定自己満足だが
四騎士ネタ、週末にでもぼちぼち投下させてもらうよ。
ピッピー 全裸待機を開始します
頭にはゴーさんの兜を装備しておきます
じゃあ俺は裸に猪頭で待機するわ
ダークレイス凌辱でもアルトリウス純愛でも何でもキアランちゃんなら美味しく頂きます
慈円
慈円:[1155〜1225]鎌倉初期の天台宗の僧。関白藤原忠通の子。
この場合、自演と解釈した方がよさそうだな。
このスレも住みづらくなったものだな。
アンドレイ陵辱だれかお願いします
巨人鍛冶陵辱お願いします!!!
レア様の3穴胸両手髪同時の凌辱をオナシャス
グウィネヴィアがネタにならんなぁ・・・
デカすぎるからか
どう見ても王都は大王や王女サイズの人型がそのまま暮らしてる寸法じゃないな
まぁ偉い人は座ってるだけなのかも知れんが
(そろそろ王の間のグウィネヴィアは幻影ってテンプレに入れて良いんじゃないかな)
週末に四騎士ネタ投下するってほざいた者だが、
俺のフロム脳が膿みすぎて、DLC版に若干関わる感じになりそうだ。
エロに繋げるクダリとして微ストーリ付け加えたのが悪かった。
DLC版購入していないので全くストーリーは分からないが
妄想と想像で安易に自己設定に変えちまったバッタモンだが、どうだろうか?
事故…もとい自己設定については、その旨注釈をつければ問題ないのではないだろか?
自分はDLC分をほぼ網羅していますが大歓迎します
(ほぼというのは、どんな日本語が当てられるかでまた印象が変わってくるのでねw)
iidesuyo
129 :
126:2012/09/23(日) 19:42:27.35 ID:EGP6647L
ありがとう。本当は反対意見も知りたかったけどな。
でも、過疎ってる内に投下してひっそりと消えたいと思う俺が居る。
ごちゃごちゃお膳立てしないとエロ書けないD定で、文章もおぼつかない上
連レスすんなまで投下しても今回はエロに行かないと思う。
中途半端になるが、ご了承願いますです。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
天に光る月は清く白銀に輝く。地に光る月は、暗く不気味に淀んだ。
天を見上げ、その清楚な光に己を浄化させようと、その光を浴びる。
何度とその白き光に己をあてようとしても、天に光る白銀には染まらぬ、己の体。
不気味に、黒く。不気味に、青い。
手を伸ばし天に輝く月を掴もうとするも、ただ、その光を遮るのみ。
光を失い、あわてて手を引く。再び己の体を照らすも、輝くは淀んだ青。
アウトリウスは、月夜を見上げる。ただ、時を忘れ、眠ることすら忘れ。ただ、眠りにつくことを恐れるがごとく。
目を閉じれば、悲鳴が聞こえる。目を閉じれば、見えなくなったものが浮かぶ。
目を閉じれば、目をそらし続けたものが、その拒絶を許さぬ。
ただ救われるは、己が赤く光らぬだけ。今しがた血に染まった己の体のように。
気配がした。アルトリウスは、すぐさまその気配に目線をやる。
不機嫌をあらわにした彼は、無言で相手を威圧していた。その威圧を察したか、気配は行動を失っていた。
「キアランか、何のようだ」
気配の主を見つけたアルトリウスは、声を出した。
不機嫌であった自身の声色が、多少浮つく。否、安堵に近いか。
声色の変化に気づいたキアランは、ようやく行動を続けた。会釈をし、顔を上げずにそのまま口を開く。
「アウトリウス様、ゴーからの伝言です」
彼女の何気ない言葉に、アルトリウスは不機嫌をあらわにした。無性に腹が立つ。
「ゴーからだと?何も人に頼まずとも、自分で言いに来ればいいものを!」
その不機嫌を隠しもせず、アルトリウスは大声を上げて立ち上がった。
圧倒されるほどの長身を目の前にしたキアランは、思わず一歩下がった。
目を見開き、驚愕にも似た表情で彼を見上げるキアランは、思わず息を呑む。
分かり切っていることだが、ここまで大きいのかと、改めてため息すらつくのだ。
でかいだけではない。彼のその美しさに。
いつも傍に仕える身として、彼らの長身は知っている。
戦場では、己の刃は赤子の爪に等しいのだ。自然に自身は常に最前線にて、彼らの前を行かねばならない。
故、こんな間近で彼を見上げることなど、無いに等しい。
だから、見上げてしまった。見とれてしまった。
だが傍に仕えど、決して触れることはできない。彼らと自分は違うのだ。そう、種すら違う。
神に近し者と、名の知れぬただの小人。
たとえ自身の腕のみが、王に認められたモノであったとしても、彼らの傍に居てよい存在かどうかは分からない。
彼女はすぐに目線を下げ、頭を下げる。見とれていた時間は、数秒であっただろうか。
彼に対し、なんて失礼をと詫びる声を発しようとしたが、風に遮られた。
見晴らし塔の頂上であったからか。だが、今日は満月。強風が吹くとはとも思うが、おそらくは。
「女を顎で使うとは、ふてぶてしい」
アルトリウスは階段を駆け下りた。降りながら何やらぶつぶつと言っているが、言葉になっていない。
不機嫌な彼がキアランの鼻先を素通りする。ただそれだけで、彼女は強風に煽られたように声を詰まらせるのだ。
彼の不機嫌に不安を感じたキアランは、すぐに彼を追ったが、彼に追いつく頃にはゴーと合流してしまっていた。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「ゴー!何の用だ!」
一触即発の緊迫した状況に、キアランは慌てふためく。
が、怒鳴るように言うアルトリウスとは正反対に、ゴーは自身の弓の手入れの手を休める事無く、さらりと言った。
「飯だ」
その、たった一言。アルトリウスは、さらに苛立ちを増す。
「はぁ?!たったそれだけかっ!それだけのために人を使わなくても、いいだろうがっ」
声を荒げるアルトリウスだが、ゴーは全く気に留めずに声色もそのままだ。
「俺が言った所で、食いに下りては来んだろう?」
ゴーの言い草に、アルトリウスはさらに不機嫌だ。何をそう、苛立つのか。自身でも分からないが。
その苛立ちを隠すことなど、今の彼にはできないようだ。
「だからと言って、キアランを使うのかっ。小間使いじゃねぇんだぞ!!」
彼の苛立ちは、キアランにとっては不安と同時に、その一言は救いにもなる。
小間使いではないと、言われた。そして、自身が伝言役になったことそのものに、腹を立てている。
同等に扱われている、そう思われている、それに偽りが無い事。
アルトリウスは間違いなく、ただの小人としての自身を、認めてくれているのだと。
まぁそれは、アルトリウスに限った事ではないのだが。
声を荒げるアルトリウスに、というよりは、彼の不機嫌に不安を感じているキアランを見て、ゴーはようやく手を止め言った。
「俺が言うよりも、キアランに言ってもらったほうが、効果的だろ?」
だが、彼の声色が茶化したように聞こえたのか、アルトリウスはさらに大声だ。
「どういう意味だっ!!」
その声に、キアランが顔を青ざめて、二人の間に入る。
「あ、アルトリウス様、どうか落ち着いて…」
その声は蚊が鳴くほどにしか聞こえなかったか、巨漢二人の間に入った所で、止めることなどできるはずもなく。
「ふざけんなっ!!」
アルトリウスはゴーの襟首を掴みあげた。
「落ち着けアルトリウス!キアランを潰す気かっ」
騒ぎを駆けつけたか、イヤでも聞こえる声にオーンスタインが制する声をあげた。
この部屋で落ち着いているのは、人ではない二匹だけ。二匹は小さく鼻をならすと、各々大人しく気ままにくつろいでいた。
オーンスタインの声にハッとしたアルトリウスは、目線を下に向ける。
自身とゴーの間に、キアランの金の三つ編みが見え隠れしていた。それ以外は、己の体が大きすぎて見えない。
キアランは二人を制するために間に割って入ったのだが、相手が大きすぎ、二人の股の間に入ってしまっていた。
場所が場所だけに、キアランは顔を真っ赤にした。だが、潰されることは免れた。意外と柔らかいからだろう。
アルトリウスはゴーから離れ、キアランを見下ろす。
「大丈夫か?」
声を掛けるが、キアランはどうにも何かの感触が頭から離れないようで、赤らめた頬を元に戻せない。
そのため、顔を上げれないでいた。
ゴーは小さく笑っている。どうやら、彼女の赤面の理由に気付いているようだ。
「貴様っ!何がおかしい!!」
「いい加減にしろ!」
再び掴みかかろうとしたアルトリウスに、オーンスタインがさらに声を上げた。
「アルトリウス、貴様が暴れたら大地が割れる。弁えろ!」
その声の大きさに、アルトリウスはしぶしぶ従った。だが、ゴーはその名にふさわしいほどに、豪快に笑った。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「ゴーもゴーだ。茶化すな」
オーンスタインは小さく息を吐く。ゴーは肩を震わせながら声を抑えた。
「こうでもしないと、こいつは言う事を聞かない」
その言い草に、アルトリウスはムッとしたようだが、顔を上げない彼女が気になり、大人しくした。
「アルトリウス。でかい面して飯を食わないとは、ガキではあるまいに」
部屋中央にある座布団(キアランから見れば、布団だが)を引き寄せ、オーンスタインは壁を背にして座る。
グウィン王の四騎士に与えられた部屋と言っても、石造りの個室に座布団だけの簡素なものである。
それでも敵襲に備えての見晴らし塔がある分、その他の部屋とは違うようだ。
だが、何も知らぬ素人が見れば、それは格子の無い牢屋に見えるだろう。
古い竜たちはすでに地に落ち、彼らに立ちはだかる敵は、吹けば飛ぶ小人ばかり。
仕えた王は隠れ、守るべき主を失った彼らは、行き場を無くしていた。
それゆえ今此処にいること事態、彼ら三人にとって、違和感そのものであった。
唯一彼らと小人たちを繋げるは、同じ騎士の一人、彼女の存在である。
「で、食わないのか?」
オーンスタインが指差す部屋の端に置かれたテーブルとは言い難い台の上に、パンと肉のみが大量に置かれていた。
大量に見えるが、彼らには一食分にも満たない。
アルトリウスは、口を尖らせている。何が気に食わないのか、何が苛立たせるのか、それが何故なのか。
分かるが、知りたくは無い。改めて考えたくもなかった。
「ふん。そんなに食べさせたければ、持って来ればいいだろうっ」
まるで子供の反抗期のように、言い捨てるアルトリウス。
その言葉には、さすがにゴーがため息交じりに応えた。
「俺がか?何が悲しくてあんな狭い場所で、むさい野郎にあーんっ、おいしい?ってしなくちゃならんのだ」
ゴーの言葉に再びアルトリウスが声を荒げた。
「はぁっ?!ふざけんな!何があーんだっ。お前、言ってて恥ずかしくねぇのかよっ!!」
荒ぶるアルトリウスに、ゴーはさらっといいのけた。
「今、食べさせて、と言っただろうに」
その二人のやり取りに、今度はオーンスタインが大爆笑。
「何がおかしいっ!」
アルトリウスの矛先はオーンスタインに向けられるが、彼の彼らしくない仕草に意表を衝かれた。
「あはははは、想像した!は、腹が割れるっ…」
そう言いながら腹を抱えて笑う彼を見て、アルトリウスの苛立ちは次第に落ち着いた。
オーンスタインが笑ったのを見たのは、どれくらいぶりだろうか。否、初めてではなかろうか。
「もういい。勝手に食べる」
アルトリウスは座りかけた腰を上げ、オーンスタインが指差した台に寄る。
そして、台の上にあったものを全て手にすると、先ほど居た見晴らし塔に向かった。
先ほどのやりとりはウソのように、オーンスタインもゴーも、無言で彼を見送った。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
一瞬にして静寂に包まれた部屋で、ようやく落ち着きを取り戻したキアランは、遅れて自身も食事を取ろうと、
自分の分を取りに台に寄った。
三人と自身の食事の支度や、此処の小人たち(四騎士へ自国の防衛を依頼した人々)との会話など雑務を務める
彼女は、自然と他の三人よりも忙しく、自身に割く時間も少なくなるのだ。
それに、三人よりも圧倒的に食事量が少ない彼女は、食事時間も少なくてよい。故、最後に食事を取るのだが、
先ほど三人の食事と一緒に自身の分も用意していたはずが、綺麗になくなっている。
おかしいと思うよりも先に、犯人が想像つく。
「どうした?」
彼女の様子にゴーが声をかけたが、その答えがすぐに分かった。
「アルトリウスめ。どれが自分の分か、見たら分かるだろうに」
ゴーのため息まじりの言葉に、キアランは困ったように小さく笑うと、笑顔で言った。
「別に、そんなに腹が減っているわけじゃない。一食くらい、抜いた方が体が軽くていい」
彼女は特にやせ我慢でもなく普通に言ったのだが、ゴーは彼女の眼を見逃さない。
「食事はちゃんと取れ。俺たち以上に動いているんだ。それに今お前に倒れられたら、俺たちは路頭に迷う。
自身の立場をもう少し、重く見てくれないか」
ゴーの目を見て、彼女はハッとする。確かにそうだ。此処は小人たちの国。
未だはっきりとしない、闇のソウルに侵された者たちから逃げ惑う者たちの国なのだ。
彼ら三人以外に、神に近し種は此処には居ないのだ。
「すまない、気をつける」
彼女は小さく答え、頭を下げた。そして、自身の食事を用意すべく部屋と出ようとした。
「何処へ行く?」
ゴーが再び声をかけたが、彼女は振り返り、当たり前のようにゴーに答えた。
「食事を取ってくる」
彼女を呼び止めたゴーは、小さくため息をつくと、困ったように言った。
「何も改めて用意しなくとも、アルトリウスから貰え。元々あいつが勝手に取ったのだからな。遠慮するな」
彼女が自分たちに気を遣っていることは、今に始まったことではない。種族の違いだけではなく、小人という
身分の違いから、そうなってしまうのは仕方の無いことなのだ。
「ありがとう…。でも…」
ゴーの気遣いが分かる彼女だが、今まで当たり前のように小人が下であったのだ。その性はすぐには直せない。
「察しろ」
二人のぎこちないやり取りに、オーンスタインが声を発する。その意味が何なのかは一言では分からないが、
その声は小さくも、その声色は強い。その声色に二人は驚き、彼を見た。
壁を背にして座るオーンスタインは、自身の持つ槍を一度見る。と、それを部屋中央に投げ捨てた。
「おい!何てことをするんだ!王から頂いた武器を貴様!!」
ゴーは彼の無礼な態度に、一瞬だが怒りすら覚えた。それくらい、彼らにとっての王は絶対だ。
だが、オーンスタインの言葉に、それは一瞬に冷める。
「五人、貫いた」
彼の言葉は、重く響く。
「三人はいけるだろうとは、思った。だが、五人だ。一度に、五人も貫いたのだ」
投げ捨てた槍を睨みつけ、オーンスタインは声を抑えて言う。
声を抑えなければ、喚くほどに声を荒げそうだからだ。
「この槍の名は何だ?バーベキューの串か?焼き鳥の串か?」
オーンスタインはさらに、続ける。というよりも、彼の言葉に、二人は何も言えない。
「私は、虐殺を好んで騎士をしているわけじゃない。騎士とは何だ。守るべき王を、仕えるべき王を失って、
何が騎士というのだ。こんなことをするくらいなら、地下墓地にでも行って、虫を潰していたほうがましだ」
自身のこぶしを握り締め、それを見つめる。そして、オーンスタインは、鋭い目線をキアランに移した。
「それとも貴様らは、虫か?」
その言葉に、キアランは声が出ない。悔しいとも、悲しいとも、憤りにも似た感情が、瞬時に渦巻く。
ゴーは、その言葉に憤りをあらわにした。
「その言葉は撤回しろ、オーンスタイン。でなければ今、此処で俺と戦え」
ゴーは腰を浮かして、自身の弓を掴んだ。矢をつがえてはいないが、手を伸ばせば届く所に矢はある。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
オーンスタインは、視線を天井に変えた。そして、つぶやく。
「忘れてくれ」
そして瞳を閉じると、オーンスタインは小さく息を吐いて言った。
「この件が終わったら、私はアノールロンドへ戻る。後は、三人で何とかしろ」
オーンスタインは座布団に座りなおし、壁に寄りかかった。
ゴーは持っていた弓を置いた。そして、今は名が廃れているが、竜狩りの槍を持つ。
オーンスタインの言葉は、ゴーに重くのしかかった。それは、キアランも同じだろう。
彼の槍持ち、改めてその重さを知るゴー。
自身が武器の手入れに使う布で一度、その槍を丁寧に拭くと、オーンスタインに渡した。
オーンスタインは、自身の武器をもう一度見つめて言った。
「もし闇のソウルなる物が、真に王の敵であるならば、アノールロンドに必ず来るだろう。私はソレを討つ」
そして、視線をキアランに向けた。
「私の敵は、王の敵だけだ。小人ではない」
その視線は、真っ直ぐ彼女を射抜いた。彼女はその言葉に返すことができない。
自身も真っ直ぐに、王の敵のみと、答えたいのだが、越えることのできぬ壁が立ちはだかる。
「それは、我々も同じことだ。オーンスタイン。だからこそ、此処に来たのだろう?お前も、俺も」
キアランに代わるように、ゴーは応えた。だが彼女は、その言葉に賛同の意を示せない。
「ああ、そうだ。だからこそ、王より賜わし武器を辱めてまでも、王の敵を討つ」
オーンスタインの声色は、次第に落ち着いた。だが、落ち着くというよりは、弱弱しく感じる。
「キアラン、お前には小人も王の敵に見えるのだろうな」
ふとした言葉かもしれない。何気ない一言であろう、オーンスタインの言葉に、キアランは動揺した。
だが、瞬時に答えは出る。
「もちろんです」
彼女の敵も、王の敵のみなのだ。
だが、オーンスタインは、大きく息を吐いた。呆れているのではない。
その言葉は、重すぎた。
「お前にとっては、敵か。だがその敵が赤子であったら、お前は遠慮なく斬りすてるか?」
キアランだけではない。彼も、オーンスタインもまた、こぶしを震わす。
「お前は、敵である。ただそれだけで、赤子を斬れるか?しかも、大量に。大量にだ…」
「やめろ!オーンスタイン!」
彼の言葉を、ゴーが遮った。
「分かっている。だから、自分の目で本当に敵かどうかを確かめに来たんだ。そうだろう?だから、もう。
これ以上、分かりきった事を言うな」
そして、ゴーはキアランを自身に引き寄せた。
「お前は気にするな。お前の目に映る敵は、王の敵だ。俺たちはそれを知っている」
彼女の隣に居たのだ。彼女がオーンスタインの言葉の重さに、耐えられないのが、よく分かったからだ。
ゴーは震える彼女の肩を、手のひらで包むように抱き、言葉を続ける。
「王は何故、キアランを我らと同じ騎士の座につけたのだ?小人もまた、我らと同じ存在であることを、また、
そうなることをご存知であったからではないのか?」
オーンスタインは、ゴーの言葉に反応するように、視線だけ移した。それだけで、彼女を視界に入れる。
「お前の言葉は、王の意思を愚弄するに同じだ。俺は此処に来た事は、正しい判断だったと思っている」
オーンスタインは、ゴーの言葉を聞き入れる。一句とて、聞き逃さぬよう慎重に。
ゴーの言い分は分かる。今、自身が言った事がゴーの言った事に通じるであろうことも、分かる。
彼女とゴーとの大きさの違いを、オーンスタインは視界の中で判断する。だから、どうしても。
ゴーの手のひらで震える彼女を見て、自身と同じと位置づけるに、抵抗を隠せないのだ。
それでも、王の敵を討つ。それが、今四騎士に残された唯一の道なのだ。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
オーンスタインは、座ったままだが姿勢を正した。そして、頭を下げる。
「無礼を詫びる。だが、許してくれ。私はどうしても、小人を敵とは思えぬ」
頭を上げ、視界に彼女を入れる。彼女の瞳は、驚愕に見開いていた。驚き、そして信じられない。そんな感じだ。
「だからこそ、この件が終わったら、アノールロンドに戻る。だが、逃げはしない。アノールまで来る小人なら
真に王の敵。真に強き者であろう。その時は、全力で迎え撃つ。この槍の名に掛けて、誓う」
オーンスタインは、立て掛けた槍を手にした。それを一度、大きく振る。
それだけで、部屋は大きな渦を一度起こした。
彼女の震えは、すでに止まっていた。
「ありがとうございます。オーンスタイン様」
彼女はその渦の中、頭を下げる。声も明るく。
だが、オーンスタインは、彼女に槍を向けた。
「おい!な、何を…」
心配したゴーが間に入ろうとしたが、それは無駄に終わった。
「今、ゴーが言ったばかりだろう、キアラン。聞いていなかったのか?」
オーンスタインの言う事が一瞬分からない二人だったが、続けた彼の言葉には、大きくうなずいた。
「お前も私と同じように、王の意思を愚弄するのか?私とお前は同じ存在なのだろう?」
オーンスタインは槍を元に戻しながら、言い捨てた。
その声色は、明るい。
「様をつけるなど、今更だ」
オーンスタインはそう言うと、何故か恥ずかしそうに咳払いをした。
「ふぅ…。王は我々を、どこまでも試される方だ」
ゴーは冷や汗を拭きながら、つぶやいた。そのつぶやきは思わず大きかったようで、聞こえた二人は苦笑いだ。
ゴーは置いた弓を手に取り、座布団に座る。そして、半ばくせにもなっている弓の手入れを始めた。
それは、ゴーの心中が穏やかな証拠でもある。
ようやく室内は、元の穏やかな雰囲気に戻った。
これらのやり取りの中でも、冷静でいたシフとアルヴィナは、結果こうなることを事前に知っているようである。
どんなにケンカをしたところで、決して争うことのない四人であることを、熟知しているのだろう。
それは、本人達以上だろう。
「では、食事を取ってくる」
そう言う彼女の声は明るい。もちろん、向かう足は出入り口のドアではなく、室内にある見晴らし塔に続く階段だ。
この部屋は特殊だ。おそらくは、兵舎であろう。
駄々広い部屋にいくつかベッドを並べ、何人かの兵士が寝泊りしながら、交代で見晴らし塔で監視を行う。
今はこうして四騎士のためにベッドなどを取り払われているが、身分の低い者は立ち入ることすらできない所だ。
見晴らし塔と言っても、監視用なので、頂上は狭い。小人でも五人並べば狭く感じるくらいだ。
その頂上で、アルトリウスは座って食事を取っていた。というよりは、無理矢理飲み込んでいた。
その様子が、階段を上りきらないキアランにも分かるくらいだった。
咳き込んではむせ、嗚咽を繰り返す。そして、水で流し込む。
到底、食事をしているとは思えない。何かの罰ゲームのようだ。
キアランは、オーンスタインの言葉を思い出す。今しがたの事だが、忘れる事などできない。
察すること。彼の心中はおそらく、オーンスタインを越えているだろう。
何故ならそれは、彼女が一番知っている。
戦場では、自身の後ろには死体の山が出来上がる。だが、アルトリウスの後ろに続く山は、死体ではなかった。
何かの肉片。もはや、人の形すらしていないものだ。そして、全身を赤く染める彼。
キアランは、頭を左右に激しく振った。思い出したくない。その、光景を振り払う。
そして、あえて足音がするように、階段を駆け上った。
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階段の音に気付いたアルトリウスが、彼女を視界に入れる。
彼と目が合った時、彼女は声を掛けた。
「パンがぱさぱさして、食べにくいのでしょう。水に浸して食べると、食べやすいですよ」
彼女は、アルトリウスが嗚咽を繰り返していることに、気遣かった。
どうかしたのかと、理由は聞かない。その理由を聞いたところで、答えられるものではない。
だから単純に、パンの質を原因にした。
「ただ、おいしさは無くなりますけど。でも、元々そんなにおいしいパンじゃないから」
彼女はアルトリウスの隣に立つ。それだけで、見晴らし塔は満員だ。
「スープを頂いてきたらよかったですが…。皆の食事分ほど確保するには、此処の者たちの負担になりますから」
彼女は小さく笑って、その場に腰を掛けた。ちょうど階段があり、その段差が腰掛け代わりになってよい。
アルトリウスは、何故彼女が此処にいるのだと思いながらも、彼女の仕草をただ、ぼーっと見た。
本当なら何故此処に来たのかと、問うただろう。今すぐにでも彼女に、威嚇に似た感情をぶつけて追い払うだろう。
邪魔されたくない、自身の時間に。決して踏み入ってほしくない、己の中に。
だが、アルトリウスは許してしまった。
本来なら、誰にも見られたくは無い、神聖なこの場での己の身を。
だが、アルトリウスは入れてしまった。彼女を。
何故なら、今。彼は地上の月を見下ろしているから。
天に輝く月は、白銀に輝く。そして、今地上にある月は、金色に輝いた。
そのどちらも、己とは正反対に。静粛に神聖に、清く輝く。金と銀の浄化の色に、己の目は奪われる。
いつもは頭を下げ、彼女の髪色は目立たない。だが、今彼女はアルトリウスを見上げている。
彼女の白い肌と金色の髪が、月の光に淡く照らされ、輝く。
彼女の白い肌は白銀に輝き、彼女の金色の髪をさらに黄金に輝かせた。
「アルトリウス様?どうかなされたのですか?」
自身の目線に彼の目線があることに不慣れなキアランは、声を発した。
不慣れな自分の照れ隠しでもあるが、こんなに真剣にアルトリウスより見つめられたこと事態、初めてだからだ。
察しろと言ったオーンスタインの言葉も気になる。
何かが変だ。それが、悪いものでなければいいのだが、不安が過ぎる。
「あ?ああ。別に…。というか、何故お前がいる?」
ただ、見惚れていただけのアルトリウスは、彼女の言葉に半ば反射的に応え、ようやく今の事態に疑問を持った。
止まっていた時間が、ようやく動き出したように、アルトリウスは視線を天の月に移した。
アルトリウスからの視線が外れた彼女は、そのいつも見る姿と同じ彼の姿に、安堵した。
いつもこうして月を眺め、膝に乗るアルヴィナやシフを撫でる彼の姿は素朴で、およそ神に等しい者が取る行動とは
思えないほど、親しみを感じた。
彼の何気ない仕草はまるで、縁側でくつろぐ翁のようである。
その姿は、彼女をこの上なく安堵させるのだ。
「私の分の食事を取りに来ました」
彼女の声色は明るい。この姿のアルトリウスには、何を言っても気さくに答えてくれることを知っているからだ。
「ん?お前、飯まだだったのか?」
とぼけてるのかと思うくらいのアルトリウスの言葉に、彼女は小さく笑ってハイと答えた。
アルトリウスはそれでも。
「じゃあ、食ってくればいいだろう」
と、まだ分かっていないようだ。
何もこんな所にわざわざ来なくてもと、小さくぶつぶつ言う彼に、キアランは空になっている小さな皿を指さした。
「それが、私の分でしたが…」
と言う彼女の指の先を見て、アルトリウスは思い出した。
「台の上に置いてあったのは、全部俺のじゃなかったのか」
確かに同じ物が二つあったなと言い、頭を掻いた。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「では、私の分は改めてもらってきます。そうだ。もし足りなければ、もっと持って来ましょうか?」
と、キアランはそう言うと、立ち上がる。自分の分が残っていたならば、頂くつもりでいたが、真っ先に食べられて
しまっていては、戻せとは言い難い。
視線と声をかけられ、アルトリウスは目線を再び地上の月に移した。
一瞬その美しさに目を奪われるが、彼女の言葉に答える。
「いや、コレでも十分だ。いや、あ、お前の分を返す。それくらいの方が、ちょうどいいくらいだ」
目を奪われたのは一瞬だったが、心を奪われたのは一瞬ではなかったようだ。
しどろもどろに、食べ散らかした自身の残りを片付けるように皿の上に並べ、転がした小皿の上に分け入れる。
中には、食べかけのパンまで入っている始末だ。
彼女の笑いは苦笑に変わるが、彼の仕草がかわいらしくも見え、アルトリウスの手のひらから、小皿を受取った。
食べかけのパンを見ながらも、彼女はソレを口に運んだ。
指摘してしまっては、かわいそうだと思うくらい、その巨漢に似合わない仕草であったからだ。
「こ、此処で食べるのか?」
階段に腰を下ろしながら、パンを口に運ぶ彼女を見て、アルトリウスはそう言った。
彼女は口の中の物を飲み込むと、アルトリウスを見上げる。
「いけませんか?」
彼女に映る彼の姿は、縁側でくつろぐ翁だ。共に月見の食事を取るのも、風流ではないか。
彼女はそう思い、悪気も無くそう言うのだ。
アルトリウスは、数度首を振った。
「いや、悪くない」
そして、一度首を振る。
「むしろ、良い。そうだな。うん。一緒に食うか」
この、しどろもどろな仕草を、この巨漢は自覚しているのだろうか。
彼女の苦笑は笑顔に変わる。
「はい」
彼女は返事を返し、階段を一番上まで上った。そして、アルトリウスの隣で座る。
アルトリウスは一瞬驚いたが、自身の隣を許した。
彼女にとって、彼の隣はこの上なく安心できる場所である。
時折だが、シフやアルヴィナと戯れていると、アルトリウスの方が隣に座るのだ。
だから、その延長という感じだろうか。
だが、気付かねばならないだろう。今、二人の間には、シフもアルヴィナも居ないのだ。
見晴らし塔は、敵襲に備えた監視用である。その上広い場所ではない。シフとアルトリウスが一緒であれば、
窮屈この上ないからでもあるが、窮屈だからと二匹が居ないだけであろうか。
窮屈な場所ほど、主人と戯れることができるはずである。好んで駆け上がるはずであろうなのに。
ただ、二匹は知っているのだろうか。その野生の感がそう感じ取るのだろうか。
アルトリウスの、この場の彼の、神聖なる事に。それは、誰もが立ち入ることが、できないことに。
彼自身、気付かない事であったとしても、近づき難きものであることに。
だからこそ、彼は許したのかもしれない。無意識であったかもしれない。
この、黄金に輝く地上の月を、手に入れるがごとく。己の手中に。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「遅いな」
静寂の中、オーンスタインがそれに耐えかねたように、言った。
それは誰に問われたものではなかったが、同じように思っていたゴーが答える。
「一緒に食事を取っているのだろう」
各々視線は合わせぬが、会話になった。
「それにしても、遅い」
オーンスタインは、苛立ったような口調だ。
「月でも眺めているのだろう。此処から見える月は、綺麗だからな。それに、今日は満月だ」
「そういう事を言っているのではない」
穏やかな口調のゴーに、苛立ちをぶつけるオーンスタインだが、腰を上げることはしない。
それは、二人をアルトリウスとキアランを、信じている証拠である。
それを知るゴーは、なだめるように言った。
「今、アルトリウスには、彼女が必要だろう」
その言葉はより、オーンスタインを苛立たせたが、彼は息を大きく吐くだけで、それを飛ばした。
その苛立ちは、ゴーにはよく分かった。二人とも、子供ではないのだ。だが、それでもゴーは言った。
「察しろ、オーンスタイン。あいつは俺たちと違って、優しすぎるんだ」
常に最後尾にて、三人の戦いを目にするゴーは、アルトリウスの姿はひどく目に付いた。
肉塊に埋もれる彼の姿は、もはや、人とはいえぬもの。何かの魔物にすら、見えた時もあった。
「何事もなければいい。何事も…」
その言葉は、ゴーの願いでもあった。
「それでも私は、許すことはできない」
オーンスタインは、常に傍に置く自身の槍を、手にする。だが、腰を上げることはしない。
「許されるものではないのだ。決して、許してよいものではないのだ」
種の違い。交わることは決してないはずの、差異。それを許すは、神と人との間を繋げるようなものであろう。
だが、手にした槍が訴える。オーンスタインが目を逸らす、事実を訴えてくる。
今しがた貫いた、赤子の姿を、見せ付ける。
オーンスタインは目を閉じた。認めねばならぬのかと、心中で繰り返す。それは自身に言いつけるようだった。
月を見ながら、アルトリウスはふと思う。というか、気付いた。
先ほどあれだけむせていたのに、今普通に食事ができているということだ。
天の月と、地上の月を見ながら、これほどまでに落ち着いて食事が出来ることに、今は違和感さえ覚えてしまった。
此処に来てからは、初めてのことだろう。
隣で黙々と食事をするキアランを見下ろし、自分よりも食事量が少ないのに、まだ食べ終わっていないのかと、
不思議に思った。そして、キラキラと光る金の髪にも、目が移る。目移りする。
だから無意識に、その髪に手が触れる。
時折自身への視線を感じていたキアランだったが、食事中でもあったし、かといって見つめられたからと、
彼を見上げるわけにもいかない。もし、見上げてしまっては、目を奪われるのは確かだ。
彼の美を目の当たりにして、うっとりしないでいられる自身などないからだ。
だが、さすがに頭を撫でられてしまっては、無視するわけにはいかない。
キアランは食事の手を置き、アルトリウスを見上げた。
「あの…」
どう声をかければいいのか分からない彼女は、言葉を詰まらせた。見上げた彼の表情は、月明かりで逆光になり、
よく分からない。だが、落ち着いた口調で彼の声が降ってきた。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「綺麗だな。金色の髪。ここまで綺麗に光るものなのか」
落ち着いた口調と同時に、彼の大きな手のひらに頭を包まれた彼女は、彼の表情は穏やかなものと察する。
「光栄でございます」
と、彼女は笑顔で応えた。
逆光で彼の表情が分からないのが幸いした。もし、それに気付けば、彼女は地上の闇に飲み込まれていただろう。
彼女の笑顔と明るい声に、アルトリウスはハッとした。
今、俺何をした?そんな感じだが、何をしているかは、イヤでも見下ろす自身の視界に入っている。
何を思ったか、彼女のしかも大人の女性の頭を、撫でているのだから。まるで犬猫を撫でるようにだ。
アルトリウスは慌てて手を引いた。
「す、すまない…」
そして、小さく言う。
「アルヴィナをつれてくればよかったな。あれの毛並みは気持ちいいからな」
と、言い訳というかその場しのぎというか、小さくぶつぶつ言い出す。
「でも、アルヴィナだけつれると、シフがいじけるんだ。でも、シフを此処につれてくると、窮屈だし」
逆光でアルトリウスの表情がキアランに分からないのが幸いした。もし今の表情が分かってしまっては、
こんどはキアランが、彼の大きな頭を撫でてやりたくなるだろう。
「アルヴィナは美人ですからね。私も時々、彼女の毛並みが恋しくなりますよ」
彼女のその、何気ない一言と屈託の無い笑顔は、アルトリウスに小さく刺さった。
アルヴィナを膝に乗せて縁側でくつろぐ彼の姿を、彼女は想像していた。
今彼の表情は、逆光でよく見えないのだ。口調とその言葉から、彼女にはそう捉えられたのだ。無理は無い。
だが、アルトリウスには違った。
「お前は何故、ゴーを呼び捨てにするんだ?」
ゴーとアルヴィナ。同じように話しをする彼女に、何をそう、違和感を覚えるのか。それは、無意識だろう。
だが、彼女は平然と言った。
「それは、王がお決めになったことです」
彼女にとって、今更何故そんなことを言うのか、分からないくらいだった。
王グウィンは、小人である彼女を四騎士に定めた際、ゴーを彼女の下につけた。
それは、彼女の武器は四騎士の中で一番小さく、最前線にて戦う彼女を潔しとしたのだ。
それに対しゴーの武器は弓。敵を目の前にせずとも、敵を打ち落とす。攻撃の範囲外から攻撃する。
彼女の勇ましさに比べ、ゴーは勇ましさに限っては劣ると。
それは、彼女が小人であることに対しての、配慮とも捉えられた。そうせざるを得ないということは、
四騎士と言えど、小人である彼女を快く思わぬ者は、多いということ。
小間使いではないと思う己も、小間使いという単語を使った限り、結局は彼女を下に見ているのであろうか。
四騎士の位が決まった時、ゴーはキアランに敬語だったが、あまりにも違和感を覚えたのも事実だ。
キアランが耐えかねたように、ゴーに敬語を止めるようにと言っていた。それも、覚えている。
ただ、今更。今更、何故それが気になったのか。今まで、これが当たり前であったのに。
嫉妬をしているのだろうかと思えるほどに、ゴーと彼女とのやり取りが、気になる。
何故、今なのか。それが何故気になるのか。苛立ちに似た胸中を隠しきれない。
アルトリウスはまた、無意識に彼女に触れる。
視界に入れた地上の月の、黄金に輝く清楚な光に己を当てれば、己の闇を払えるのかと、無意識が訴えるのだろう。
性急に、それは救いすら求めているように、感じた。
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彼女は再び触れたアルトリウスの手のひらを、両手で包むように触れた。
彼女も、アルトリウスの表情までは知る事はできないが、彼の心境の苦しさを感じていた。
「アルトリウス様…我ら小人のために戦ってくださり、ありがとうございます」
彼女は瞳を閉じ、アルトリウスの手を握った。そして、ほお擦りをするように、頬を彼の手のひらに付けた。
そのまま、小さく口付けをする。
この手が今、魔物のごとく敵をなぎ倒していくお陰で、ここのものたちは、闇に飲まれずに済んでいるのだから。
そしてそのせいで、心優しき彼が、苦しんでいるのだから。
彼女の温もりを手のひらに感じたアルトリウスは、空いていた片手も彼女に触れる。
彼女の頬を両手のひらで包み込むように触れる。
キアランは驚いたように、目を開けてアルトリウスを見上げた。
彼女の瞳を真っ直ぐに見たアルトリウスは、思わず自身の胸に彼女を引き寄せていた。
彼女の温もりを、もっと感じていたかったが、彼女の余りに小さな体を腕に抱いた時、アルトリウスは我に返った。
「礼を言うのは、俺の方だ。ありがとう」
彼女の温もりが、その小さな月の明かりが、彼の心を穏やかにしていく。
そして、彼女の温もりが、次第に熱くなっていくのも感じていく。
「あの、アルトリウス様…な、何を…」
彼女の蚊の鳴く声に、アルトリウスはもう一度我に返った。
「あ、ああ、す、すす、すまない…。いや、その…あ、アルヴィナ…と間違えた。うん」
もっとましな言い訳ができないのだろうか。慌てて彼女から離れ、天の月に視線を戻すアルトリウス。
天の月に視線を戻したことで、アルトリウスの慌てふためく表情がほどよく見て取れる彼女は、大いに笑顔だ。
「では、アルヴィナをつれてきましょう」
キアランは食事の手を置き、立ち上がる。そして、階段を駆け下りた。
「おいで、アルヴィナ。アルトリウス様がお呼びだ」
キアランは階段を降りると、部屋隅で丸まっているアルヴィナに声を掛ける。
アルヴィナはうれしそうに長く一言鳴くと、両手を広げるキアランに飛びつくように抱きついた。
「おい、キアラン。アルトリウスに様とはなんだ」
アルヴィナを抱きあげたキアランに、オーンスタインが声を掛けた。
「あ、で、でも…」
返答に困るキアランに、オーンスタインは小さく息を吐いて言った。
「あいつこそタメ口でいいものを。先ほど言ったばかりだ。此処は小人の国。文句があるなら私に言えと言えばいい」
と、そう言うオーンスタインは頭を掻きながら俯く。
彼には珍しく、恥ずかしがっているようにも見て取れた。
「ありがとう、オーンスタイン!」
キアランは声も明るく、小さく会釈をオーンスタインに返すと、アルヴィナをつれて階段を駆け上がった。
小さく咳き込んでいるオーンスタインに、ゴーがぽかんとした表情で言った。
「おい、オーンスタイン。いいのか?」
その声は呆気に取られた感じでもあった。その表情に、オーンスタインが首を傾げる。
「何がだ?」
オーンスタインの疑問にゴーはため息交じりに言った。
「今のキアランでアルトリウスにタメ口なんて言ってみろ?あいつ、爆死するぞ?」
ゴーの言葉が遅れてオーンスタインの脳裏に入った。
今のキアラン=鎧を脱いで普通の服&アルヴィナのもふもふ効果。
「キアランは、かわいいからなぁ…」
ゴーのささやくような独り言が耳に入った時、ようやくオーンスタインは理解した。
「あ…」
うかつだったと思った時には、時すでに遅しか。
「アルトリウス!アルヴィナをつれて来たぞ」
と、階段上からキアランの元気な声がこだました。
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先ほどまで、仲間に対して嫉妬すら抱いているのではないかと、自己嫌悪に陥っていた所だ。
ゴーに対して、キアランに対して。そして、己の違和感に対して。
たった今しがたのことなのに、己が抱いたこの闇に等しい不安感は、余りにも早くに解決した。
その速さは早すぎたか、爆発する勢いで吹っ飛んでしまった。
「アルトリウス!アルヴィナをつれてきたぞ」
元気よくそう言う彼女の笑顔と、なぁ〜と鳴くアルヴィナの愛くるしいさ。
アルヴィナは単なる猫ではない。黒い森の庭で育った、いわば化け猫の類のものである。
普通の大きさでも、キアランの上半身はある。
アルトリウスには、一体どちらが猫に見えただろうか。
「き、ききキアランっ!な、いきなりなんだっ」
今しがた自身がキアランに対して疑いに近い疑問を投げたばかりだというのに、その直後とも言えるこの変動。
まさか、俺のためにとか。そんな都合の良い事を頭で妄想よろしくなアルトリウスであったが。
「オーンスタインがそうしろと言ったんだ。此処は小人の国だからだと。文句ならオーンスタインに言うといい」
彼女はうれしそうに、そう言った。ただの会話にすぎないのに、彼女はこの上なくうれしそうな笑顔を見せた。
俺の願いを聞き入れてくれたなんて、妄想よろしくなアルトリウスに、オーンスタインという予期せぬ敵が
現実を見せ付ける。
「おぉおおっ。オーンスタイィーンっ!!」
何故ともいわずとも、アルトリウスは階段を駆け下りた。
キアランはアルヴィナと顔を見合わせて、彼の後を追うように下りた。
「ちょ、お、おま、おまっ。何のつもりだっ」
もはや言葉になっていないアルトリウスは、オーンスタインを指指しながらそう言っている。
「きわどい言葉を続けるな。そこはせめて、貴公と言え」
一瞬早く冷静を取り戻したオーンスタインは、平然とアルトリウスに向かい合う。
「な、何がき、貴公だっ、オーンしゅタインっ」
「ほう。世紀の偉才アインシュタインになぞられるとは光栄だな。たまには気の利いた嫌味を言えるようになった
じゃないか。アルトリウス」
「い、嫌味だとっ。オーンしゅタイナーっ」
「ださいし」
言葉にならない慌てっぷりのアルトリウスを軽くあしらうオーンスタインの二人のやり取りは、この上なく面白い。
ゴーは腹を抱えて笑い、キアランはアルヴィナと戯れながらも、笑いを必死に堪えていた。
「い、一体どういう事だっ。と、とりあえず、お。落ち着いて説明してくら、くれないかっ」
「まずは、お前が落ち着け。アルトリウス」
「あ、ああ。そうだな。落ち着く。はぁ…。俺、何言ってるんだが…」
一頻り一人騒いだアルトリウスは、大きく息を吐いてその場に座った。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
「で、何のいたずらなんだ?オーンスタイン」
アルトリウスは深呼吸を一つすると、膝にひじをついてオーンスタインを見上げる。
オーンスタインは腕を組み、座布団に座りなおした。
「此処は小人の国。そして、我々が戦っているのも小人たちの敵だ。闇霊と呼ばれているが、結局は小人だろう」
キアランとのやり取りを話すかと思っていたが、オーンスタインの言葉は二人が思っていたことと違った。
「考えていた。此処の者たちが、我々を恐れているのではないかと。我らは結果として闇霊たちから自分たちを守る
英雄とされているが、その闇霊すらなぎ倒す我らを、此処の者たちの目にはどう映っているのかと」
アルトリウスだけでなく、キアランもゴーも、オーンスタインを見つめ、彼の言葉を聞く。
「安易に考えても、我らは彼らにとって、バケモノに見えているのではないのか。そう答えが出た。では、我々は
バケモノか?違うだろう?だったら、それを此処の者たちに分かってほしいと、思った」
彼は、俯いている。その表情は汲み取れない。
「そんなことはない!此処の者は皆、喜んでいる!」
キアランが、声をあげた。
「私にいつも、感謝の声をかけてくれる。敵襲を恐れ、外出が限られているにも関わらず、我らに食事の用意を
してくれている。確かに、三人に直接声を掛けることはほとんど無いかもしれない。でも、決してバケモノだなんて」
彼女は必死に訴えるように、言った。だが、説得力があるだろうか。
「そうだな。お前は小人だから、言いやすいのだろう」
説得力など皆無だという現実を、ゴーが答えた。
「本当だ!確かめてもいい!」
キアランは、半ば反射的にそう答えた。だが、果たしてそれが可能だろうか。かえって、現実を見せ付けられる
だけではないだろうか。
「やめとけ、キアラン。お前は小人ではあるが、我ら四騎士だ。本当の事を言うとは思えない」
ゴーの言葉は的確で、彼女の言葉は言い訳でしかなくなってしまった。
彼女の悲しみに似た表情を見たアルトリウスは、睨むようにオーンスタインを見る。
「で、オーンスタイン。俺たちはどうするべきなんだ?」
オーンスタインを睨んでも変わりはしないだろう。自身もまた、己がバケモノとして感じているのだから。
ただ、オーンスタインもそれを感じていたのかと思うと、アルトリウスは、怒りに似た感情が湧いてくる。
怒りよりも、くやしさ、くやしさというよりは、悲しみにもにた憤りだ。
アルトリウスの声に、ゴーもキアランも、オーンスタインに目を移す。
彼は、俯いた顔を一度起こした。そしてまた、俯くと、小さく言った。
「笑うなよ」
その声は小さすぎたのか、三人は同時に、は?と短く問うた。
オーンスタインはもう一度顔を上げ、三人にちらりと視線を移すと、さらに小さく言い出した。
「ほら、タメ口って、友達っぽいじゃん?だから、その、お友達作戦でいこうかなぁとか…」
その声は小さすぎたが、彼の言葉を聞き入っていた三人は聞き逃すことなく。
それはそれは、オーンスタインらしくなかったのだろう。
「じゃんって…。じゃんって…」
大事なことなので二回言うアルトリウスに、ゴーは豪快に笑った。
「大賛成だ!そういう事なら、即座に始めよう。なぁ、キアラン」
ゴーはうれしそうに彼女を見た。彼女は笑顔だったが、三人とは違っていた。
「よかった。よかった…」
小さくささやく彼女の目には、涙が光る。アルヴィナが心配して、彼女の顔を舐めていた。
「くすぐったいよ、アルヴィナ。大丈夫。私は、うれしいのだから」
彼女はアルヴィナを抱きしめる。アルヴィナは彼女の顔を見ると、なぁーと鳴いた。
「キアラン、今すぐには難しいとは思うが、我らと小人たちとの距離が縮まるよう、心がけてくれ」
しばらく恥ずかしそうに俯いていたオーンスタインは、顔を上げ三人を見渡す。
「ありがとう。闇霊を追い払ったばかりだ。しばらくは敵襲も無いだろうから、頼んだぞ」
「はい!」
オーンスタインに、キアランは大きく返事を返した。
「しばらくはゆっくりできるだろうが、あいつらは不死だ。動かなくなるまで叩く必要がある。しっかり
休養を取り、次の敵襲に備えよう」
ゴーの言葉に、三人は大きく頷いた。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
その夜、眠りにつく皆の中、アルトリウスはふと目が覚めた。
隣には、野郎二人。そして、シフに包まるキアランとその隣で丸くなるアルヴィナ。
彼女は常に、シフとアルヴィナの間で眠る。
いくら四騎士といえど、女性だ。野郎三人と同じ部屋で眠るのは忍びないと、オーンスタインが配慮した事だ。
シフもアルヴィナも、キアランを気に入っているようで、抵抗なく彼女の枕となり布団となった。
本来の意図とは違い、周囲の者たちは、キアランを家畜と同じように扱っていると、勘違いしている。
それなのに、非難するどころか、賛同の意を唱えるものさえいた。
小さなうわさでしかない。もし、それが本当なら、王が許さないだろう。だが、キアランも自身も、シフと
アルヴィナを家畜呼ばわりしたと、憤慨した事を覚えている。
それなのに、今、自分は二匹と並ぶ彼女に、違和感を覚える。キアランを蔑んでいるのではない。
ましてや、家畜など。ただ、その違和感が、嫉妬にも似た感情だと、思えるのだ。
彼女の隣に、自身がいないことだろうか。それとも…。
いつから、いつからだろうか。こんな感情を抱くようになったのは。
アルトリウスはそう行き着いた所で、大きく首を振った。
眠ろう。これは、悪い夢だ。
そして、硬く目を閉じる。
いつもは眠る事に抵抗をした。恐怖でもあった。目を閉じた瞬間、闇に飲まれるのではないかと。
だが、自然と、眠りについた。それは、深く深く。
「さて、これからどうするよ」
アルトリウスが目覚めた時は、すでに朝も遅く、日が頂点より傾きかけていた。
だが、此処は日の光が入らないのか、常に薄暗い。昨日眠りにつくのが遅かったアルトリウスは、時間の感覚まで
鈍っているようにも思えた。それは、オーンスタインもゴーも同じなようだ。
自身の武器は磨く所が無くなり、シフやアルヴィナの仕草をぼーっと見ていた。
こういうとき、二匹の何気ない仕草が時を忘れてくれるようだ。
だが、アルトリウスは気持ちの良い目覚めを迎えたばかりだ。ただ、何もしないのも退屈でしょうがない。
「かといって、いきなりキアランと並んで、此処の者たちの手伝いなどできないだろう」
オーンスタインが、何度目か忘れたため息を、深くつく。
「俺たちが手伝いなどできるか。邪魔にしかならんぞ」
ゴーは二匹から視線を外すと、自身の弓を手に取った。
武器の手入れかと思いきや、弦をペンペンと弾きだす。ヒマつぶしに彼がよくする行為だ。
今では、弦を指で押さえて弾き、音階まで作り出すくらいだ。
「そういや、キアランは?飯のしたくでもしてるのか?」
部屋に彼女がいないのを、二人に問うアルトリウスだが、二人から哀れみの視線を浴びる。
「お前は食うことしか頭が無いのか。昨日の今日だろう。キアランは自ら此処の者たちの手伝いを買って出た」
オーンスタインの力ない言葉に続き、ゴーがぼそぼそとつぶやく。
「我らの一食は彼らの10人分だ。何の仕事もしないのに、10人分の食事を用意するはずがないだろう」
そして、同時に二人が大きく息を吐く。
どうやら、朝も昼も食事をしていないのだろう。
「まじかよ!じゃあ、俺たち餓死するのかっ」
「大きな声を出すな。敵襲の無い日は一日一食にすると、決めただけだ」
アルトリウスの大声に、オーンスタインは力なく応えた。
確かに、キアランの食事量と自分の食事量とでは、少なくとも倍は違う。
アルトリウスは遅く起きた分、空腹感が大きいのだろう。
「はぁ…。食事くらい、自分たちで用意できないものか…」
と、大きく肩を落とした。
その言葉に、ペンペンと弦を鳴らしていたゴーがふと気付いた。
「そうだ、自分たちで確保すればいい」
弦を弾いていた指を鳴らすと、ゴーは言った。
「城壁の外に、飛竜を見かけた。竜の肉ならば力も出るだろう」
何もしないよりはましかと、二人はゴーの提案に乗った。
144 :
129:2012/09/23(日) 20:08:08.52 ID:EGP6647L
グダグダと長文投下ですまない。結構投下できるのだな。
ここまで投下しておいてエロ無しは駄作の匂いしかしないので、各々スルースキルよろしくです。
次回はまた、週末か…今週中に。
oh! 一気に来てたと思ったら続くんですね。乙&GJでした。
四騎士勢ぞろいで仲良しだとかニヨデレです。先も楽しみに待ってます。
別に前にもキアランのエロ出てたんだし、設定無視の注意書きは冒頭1回でいいんじゃない?
海外の創作SS投稿サイトにもダークソウル物が案外あるもので、嬉しいことです
四騎士を第三者語りで扱ったものなど気に入りました
そしてそろそろ週末ですね、フフフ
週末わくてか
早くしてくれ、1/4ロリは強いけど強靭なしはつらいんだ
ここから前回アップされたキアラン陵辱SSに繋がるのか、と勝手に妄想したら興奮した
ぐすん……
151 :
144:2012/10/01(月) 19:31:31.23 ID:Auh2oABi
いやぁ〜、エロって難しいのな。
週末のつもりが週明けになった上、ようやくエロになるところで力尽きた。
とりあえず中途半端だけど、投下するよ。
楽しみにしてくれてるみたいで嬉しいのだが、残念なデキですまない。
DLCストーリーに関わる可能性もあるが、
あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物なので
各々スルースキルよろしくです。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(あくまで投下主はPC版を知らない自己設定物)
さっそく三人は城門前まで来た。
「ああ、そうか。敵襲が無い限りは此処は閉じていたな」
ゴーが頭を掻いてそう言った。
何もしないでいる事が苦痛であった三人は、何も考えずに城門前に来たようだ。
「意外と狭い門だな。コレだと俺の大剣が二人に当っちまうから、ゴー持っててくれ」
ゴーは、やれやれと言った風に大剣を受取った。剣をゴーに渡したアルトリウスは、辺りを見渡す。
近くに井戸と、その周囲に大瓶が並んでいる。それに目がついたアルトリウスは、瓶を二つ手に取る。
「このエレベータを降りると森に繋がっていたな。水でも汲んでくるよ。さすがにこんな小さな井戸で水汲み
なんてできねぇしな」
城門近くにエレベータがあった。アルトリウスはそちら側に向かう。
「お前にしては、気が利くじゃないか」
城門を見上げていたオーンスタインが、振り返ってアルトリウスを見た。
「おいおい、どういう意味だ?」
と、アルトリウスはオーンスタインに声は掛けたが、そのままエレベータにのり、下へ降りて行った。
「城門を開けるよう、言ってこよう」
アルトリウスの姿が見えなくなると、ゴーがそう言った。城門が開かないと、小人用の出入り口では小さすぎて
外に出ることができないのだ。
「では、私は城門が開いた時に備えよう」
城内に戻ろうとするゴーに、オーンスタインが声を掛けた。彼は槍を構え、何者かが入り込まないよう警戒を強めた。
ゴーは振り返り、来た道を戻ろうとした。が、ふと足元に違和感を感じた。何か小動物が横切る、そんな感じだ。
弓で遠くの敵を打ち落とすのを得意とする彼の戦い方だ。常に周囲の異変には、敏感だ。
たとえ城内といえど、そのクセは直さない。ゴーは無意識に足を止めていた。
「うわっ、ちっさ」
違和感に目線を落としたゴーは、思わずそう声をあげた。
小人の子供だ。三人いるが、一人がゴー視線に捕まり、身動きできない。
二人はゴーの傍を通り過ぎたが、残りの一人を心配して見つめていた。
と、その時、ゴーが膝を落としてしゃがみこみ、子供らに声を掛ける。
「どうした?何かあったのか?」
ゴーが自分たちと同じ位置に視線を落としたことに、恐怖感が薄まったのか、ゴーの視線に捕まっていた子供の下に
残りの二人が寄ってきた。
ゴーが見ていた子供の一人が、震えながらも話しだす。
「あ、の。キアランお姉ちゃんにお花を、渡そうと」
その子供の手には、うっすらと光り輝く白い花が握られていた。
後から寄ってきた二人の子供も、声を揃えて言った。
「いつもお世話になってるから、お礼にと思って」
「森で採ってきたんだ」
子供たちの声は元気ではあるが、小さく震えているようにも聞き取れた。
「ほぉ。それは有り難い。キアランも喜ぶだろう」
ゴーはさらに身を縮めるように屈みこみ、子供の視線よりも自身の視線を下にして、子供の手に握られた花を見る。
大きな顔に大きな瞳に見つめられ、子供はさらに恐縮したが、ゴーはその大きな瞳を細く緩めて言った。
「綺麗な花だな。見せてもらってもいいかな?」
ゴーの声が優しく響いたのだろうか、花を手に持つ子供は大きくうなずくと、ゴーの鼻先に花を差し出した。
オーンスタインは、城門前でそのやり取りを見ていた。
何のためらいもなく小人の前で膝を折るゴーの行為に、違和感を隠せない。
ゴーのその、自身を下にする行為に。
名誉ある四騎士の位を蔑むような、軽んじる行為とも思える行動に、オーンスタインは違和感を持つのだ。
小人が下、そういう考えがどうしても外れない。たとえ王が認めたとしても、それはキアランであったからだ。
自身と同じように勇ましく、そして強い。その潔さに王が認められた、彼女だ。
だが、目の前の小人は違う。ましてや、名も無きただの小人の、しかも子供だ。
弁えろ、そう声を荒げたい衝動すら駆られる自身を、オーンスタインは飲み込む。
此処は小人の国。それだけではない。それは、等しくゴーの生い立ちにも関わること。
ゴーが四騎士となった時、妙なうわさが飛び交った。うわさを信じるほど、愚かな行為は無いが、真実が分からぬ
以上は、偽りとは言い難い事実。
それは、ゴーが奴隷の出ではないか、という事だった。
たとえ巨人の民といえど、神との差はある。奴隷として連れている鍛冶屋の者と、仲が良い事も気になった。
ゴーに問うが、鍛冶の技術を持っていた方が、役に立つくらいにしか話さない。
現にこうして遠征に出た際、武具の修理はゴーが行う。それだけでも、非常に助かっている。
オーンスタインとて、奴隷の者と同じ位置に居ることなど、ありえぬこと。
また、王の護衛として奴隷があてがわれるとは考え難い事。それを言うは、王を疑うことと同じ。
ただ思われることは、王は神と等しき我らの民に差を用いることを嫌われたこと。それを望まれなかったこと。
火の誕生と供に生まれた差異は、我らを脅かす種となるだろう。だが、生まれてしまった差異は、取り戻せぬもの。
だから、奴隷の民を自身の側近、四騎士として平等をあらわされたのではないだろうか。
オーンスタインは、そう答えを自身の中で結論として出していた。
そうでなければ、下賎な輩と己が同等に扱われることなど、虫唾が走るもの。
だが、それと同時に、ゴーのその垣根のない行為がうらやましいとも、思う。
己には、到底できない。
だが、今。ゴーが示すその行為そのものが、我らが行く道の渦中に必要となるであろう。
それでも己には、到底出来ぬ行為。
オーンスタインは苛立ちを隠すようにゴーに背を向けると、城門を見上げた。
彼らのやり取りに、気付かないふりをした。見なかったことにした。そう、決め付けた。
ゴーは指で子供の手に触れると、その先にある花を小さくつついていた。
「なんと、花びら自体が光っているのか。これは珍しい」
ゴーの声は低く穏やかだ。花を持つ子供は、花をさらに前に押し出した。
そして、震える声で言う。
「騎士さま、いつもありがとうございます。これ、お礼です」
その言葉は棒読みではあったが、子供にしてはしっかりとした口調であった。
隣に居た二人の子供は、頭を下げている。
このように小さな子らにすら、気を遣わせる事に、此処の者たちの貧しさをゴーは感じた。
本来なら、このようなことは大人が、しかるべき者がすべきことである。
それが出来ないのは、純粋に貧しいか。それとも、我らが望まれぬ存在であるか、だ。
こんな子供に大人の事情など、分かるわけは無い。だからこそ、この行為は有り難く受けなければダメだ。
「俺が貰ってもいいのかな?キアランに渡すものではないのか?」
それでも、子供相手に腹を探るようなことを、してしまう自身もしっかり大人の事情を抱えているものだ。
子供らは、大きくうなずいてゴーを見上げる。
「この花の茎と葉っぱが、傷に効きます。花びらはそのまま食べると、痛み止めになります。根っこを煎じて飲むと
体が温まります。薬です。だから、騎士さまにあげます。ケガ、した時に、使ってください」
子供にしては、しっかりとした口調であった。
ずっと考えていたのだろうか、それとも、教え込まれていたのか。
それでは、キアランお姉ちゃんという言葉は出てこないだろう。本来なら、キアランに渡すつもりであっただろうが
ゴーに渡したという事は、キアランではなく、四騎士に渡したいという意思であろう。
でなければこの場を去り、キアランを探して渡すはずだ。なにも、ゴーに渡す必要などない。
ゴーはそこまで頭を回すと、小さな花を指でつまんで受取った。
「ありがとう。できればこの花が、役に立たないことを願うよ」
ゴーは小さく笑うと、体を起こす。
「あ、でもその花は、暗がりに置くと光るんです」
「夜、明かりの代わりになって、便利なんです」
体を起こすゴーに、隣にいた二人の子供が必死に声を掛けた。
「ばか、そういう意味じゃないだろっ。ケガなんかしないで、くださいっ」
と、花を渡した子供が、慌てて二人を止めて言った。
「はっはっはっは」
ゴーは純粋に、その子供のやり取りがうれしかった。大声ではないが、声を出して笑う。
「ありがとう。大切にするよ、勇者どの」
そう言った時、二人の子供が驚き、花を渡した子供が首を大きく左右に振った。
だが、ゴーは、子供らを見つめて言った。
「何も敵を前にして戦うばかりが勇者ではない。勇気あるものが、勇者だ」
そして、花を渡した子供に視線を合わせて。
「俺に声をかけるには、勇気がいっただろう?」
と、言うと片目を瞑った。
子供らは大きく首を縦に振った。そして、目を潤ませる。
そして、花を渡した子は肩を震わし、小さく泣き出してしまった。
それを見て、ゴーは確信する。我らは受け入れられたと。ただ、怖がられていただけだと。
ゴーは目を細めてもう一度、片目を瞑って言った。
「お礼ついでに、一つお願いしてもいいかな?」
ゴーの声は穏やかで優しい。
「この城門を開くには、どうしたらいいかな?」
その声に子供らは涙を拭きながら、大きくうなずいた。
「うん。こっちの兵隊さんに言ったらいいよ」
「こっちだよ」
子供らは駆け出した。ゴーは三人の後に続く。彼らの前に立つと、誤って踏んづけてしまいそうだったからだ。
オーンスタインは振り返り、この場を離れる四人を見送る。ゴーを先導する、三人の小人の子供が目に付いた。
これが正しいとは思えない自身の葛藤と、これが正しいのだと認めようとする自身の葛藤が、彼を苦しめた。
子供らと別れたゴーは、城門に行く前に一度、四騎士に当てられた兵舎に戻ることにした。
アルトリウスの大剣と、子供らから貰った花を、置いてくるためだ。
たとえ飛竜相手であっても、アルトリウスの大剣を担いだままだと、矢を番える時に邪魔になる。
それに、これだけ小さな花だと、飛竜の咆哮一つで花びらが散ってしまうだろう。
部屋に入ったゴーは、一瞬時が止まった。いや、一瞬ではない。
ゴーはすぐさま兵舎の扉を閉めると、中央に歩みを進めた。
中央には、無防備に寝転ぶキアランが居た。
早朝より此処の者たちの手伝いを買って出たのだ。疲れ切って眠っているようだ。
自身が座る座布団に横たわり、気持ちよさそうに寝息を立てている。
自分らには座布団でしかない大きさでも、小人であるキアランには十分に布団である。
手足を曲げて丸まれば、しっかり寝そべれるくらいの大きさはある。
それだけではない。
昼下がりまで働いていたのだろうか。その労をねぎらうかのように、彼女は身を清めていたようだ。
僅かに体から、湯気を立たせている。風呂にでも入ったのだろう。風呂上りだからか、着る物も普段着より簡素だ。
それに、濡れた髪が乾ききらずにしなんとなっている。いつもはさらさらと靡く髪も、しっとりと垂れている。
白い肌はしっかりと温もったためか、ほんのりと赤みが差し、火照っているように映った。
ゴーは思わず、彼女の火照った頬を撫でていた。
頬を触られても息一つ乱さない彼女の眠りは、深い。
ゴーはさらに彼女に触れる。しんなりした髪を掻き揚げ、その白い項を見つめる。
彼女は、手足を曲げて横になっている。そのため、豊満な乳房が腕によって潰され、谷間の形はより強調される。
彼女の項に指を這わすゴーの手のひらに、彼女の熱い吐息がかかった。
すぐにでもその熱い吐息を、自身の唇で塞いでしまいたい衝動に駆られるが、ゴーは押さえ込む。
「全く、コレのどこが赤子というのだ」
小さくつぶやく。そのつぶやきは彼女には聞こえない。
いくら四騎士の部屋だからといっても、無防備すぎるであろう。
伝達のために、一般兵が入ってくるやもしれない。
だからといって、疲れきった彼女を起こすには忍びないほど、気持ちよさそうに眠っている。
ゴーはアルトリウスの大剣を邪魔にならないように部屋隅に置いた。
部屋内には、彼女に寄り添うようにアルヴィナが居り、その隣ではシフが毛づくろいをしていた。
「アルヴィナ。おいで」
アルヴィナにそう声を掛けると、アルヴィナは小さく鳴いてゴーの足元に寄った。
そして、キアランを座布団ごと抱えると、見晴らし塔へと上がった。
見晴らし塔に座布団ごと彼女を寝かせる。幸いにも、今日は天気が良く肌寒いことはない。
そして、彼女の枕元に光る花を置いた。
昼間でも薄暗い此処だ。寝起きの彼女がびっくりしないように、明かり代わりに置いておくことにした。
さっそくこの花が役に立つことに、ゴーは苦笑いだ。
「アルヴィナ。キアランを頼んだぞ」
部屋で寝るよりは、見晴らし塔の方がいいだろう。
もし誰かが来れば、足音で彼女が起きるかもしれない。でも、今自身が上ってきても起きないくらい深い眠りだ。
それでも、アルヴィナが危険を察知すれば、彼女を起こす。もし、危険が迫り、誰かが大勢で押し寄せたとしても、
目を覚ました彼女にかなう敵など、はたして居るだろうか。
それでも、彼女に対しては心配性のゴーは、見晴らし塔に続く階段の入り口にシフを陣取らせた。
城門前に戻ったゴーは、城門前で微動だにしないオーンスタインに驚きながらも、苦笑交じりに言った。
「待たせたな」
そして、一風変わった矢を番えると、城門めがけて放った。
甲高い笛の音色と供に矢が放物線を描いて城門に当ったと同時に、城門が開き始める。
「なんだ、それは」
見慣れない音と矢に、オーンスタインが槍を構えなおして言う。
落ちた矢を拾いながら、ゴーは答える。
「非常灯代わりに見張り兵が使用する笛を矢につけただけだ。この音は高いから遠くまで聞こえるらしい。此処の
城門を開きっぱなしにすると飛竜が城内に入る恐れがあるそうだ。なので、俺らが出たらすぐに閉められる」
その言葉に、オーンスタインの顔が曇った。
「おいおい、締め出されるとでも思ったか?」
オーンスタインは冗談とも聞こえるゴーの口調に、鼻息一つで答えた。
「私には出来ぬ芸当だな」
その言葉の意味を、ゴーは深くは知らない。
「ひやぁ〜、こりゃ、思った以上に重労働だ…」
情けない声を出すのは、水汲みに行ったアルトリウスだ。
狭いエレベータを降りるところまではよかったが、何分小人用である。瓶を頭の上と股の下に置いてなんとか
自身が降りれるくらいの狭さだ。それに加え、森に行くまでの洞窟も小人用だ。
瓶が割れないように胸に抱えて四つん這いになりながらの、移動だ。非常に大変である。
水を瓶一杯にすれば、今度は水がこぼれないように移動しなければならない。非常に大変である。
なんとか這いずり出るようにしてエレベータに乗ると、ようやく城門前に戻った。
城門の外では飛竜の咆哮がひっきりなしに聞こえる。
「あ〜、俺もあっちに行けばよかった」
と、今更後悔をしてもと思いながら、一杯になった瓶を両手に持ち替えた時、井戸の周りに小人の女官たちが
ざわついているのが目についた。
エレベータ前でしばらく気付かれないようにじっとしていると、女官たちの声が聞こえる。
どうやら、此処に置いていた瓶がなくなっているのを、心配しているようだ。
子供らが割ったのか。子供の手で割れるほど、小さくはない。もし割ったなら、破片があるはず。誰か盗んだのか。
水が入っているなら盗む価値もあるだろうが、空の瓶を誰が盗むというのかと。もはや、言い争いだ。
それは、巨漢アルトリウスの存在にすら気付けないほどである。
アルトリウスはこれ以上事が大きくならないようにと、大きくため息をつくと、意を決して女官たちの方へ寄った。
「探し物の瓶はコレだろ?」
キアランと同じ。キアランと同じと、頭の中で繰り返しながら、アルトリウスは女官たちに声を掛けた。
「オーンスタインとゴーが飛竜狩りに出かけたからな。俺は水汲みでもしようかと、瓶を借りていたんだ」
自分でも棒読みかよと思うような口ぶりだが、アルトリウスを見上げる女官たちは、凍り付いていた。
それが分かるから余計に気まずいアルトリウスである。
「さすがにな、その。井戸は俺には小さすぎてよ。ほら、俺らがいつも体を洗う滝の水でも汲んできただけだよ」
と、抱えていた瓶二つを、女官たちの前に置く。女官たちは、各々驚きながらも、喜んだ。
だが、それだけではなかった。
「森に行かれたのですか!気をつけてくださいまし。あそこには深淵の魔物が住むと謂われています。たとえ騎士
さまといえど、お一人では決して行かないで下さいませ」
女官の中の一番年寄りが、アルトリウスを見上げて言った。
「あ、ああ。気をつけるよ」
アルトリウスは、彼女の真剣な顔に若干気押されした。
そして、彼女らは何度も頭を下げた。とんでもないことをさせたと、詫びるものもいた。
だが、アルトリウスは自分がやったことだからと、女官たちをなだめてしまった。
本来なら、空の瓶全てを満たしてやろうと思っていたが、思った以上に重労働だというのと、瓶二つでもここまで
頭を下げられては、気まずいものだ。どうしようかと頭を掻いているアルトリウスに、女官の一人がその労を
ねぎらうように言った。
「瓶二つも水を満たして下さり、ありがとうございます。さあ、湯浴みをして体を癒してくださいませ」
瓶といえど、小人にとっては大人の胸まである大きさだ。これを一杯にするには、井戸の桶ではかなりの重労働。
二つも水汲みしなくて済むと、かなり楽になるというものだ。
アルトリウスも、あんな狭苦しい思いを二度はしたくなかったので、女官の言うように従った。
いつもは滝に打たれて体を洗う三人だ。
湯浴みをするには体が大きすぎて湯を使いすぎることもあり、血塗られた自身の体は、滝の激流でもなければ、
綺麗にならないくらいであった。だから、今日初めての湯浴みでもある。
湯船は浸かるには小さすぎたし、湯桶で湯を汲むよりも自分の手ですくった方が多く掬えるのではないかと思う
ほどだ。結局体を洗う程度にしかならなかったが、湯煙で室内はほどよく暑い。
アルトリウスはしばらくサウナを楽しむと、ゆっくりと上がった。
体を洗ったので、オーンスタインたちの飛竜狩りに加わるには気が引けた。
結局ヒマを弄ぶようになるが、アルヴィナとシフの毛づくろいでもしようかと、アルトリウスは兵舎部屋に戻った。
部屋に戻って、最初に目についたのが、自身の大剣である。
何故ここにある?コレは、ゴーに渡したはずだ。
次に、シフが目に付く。そして、目に付くはずのアルヴィナが居ない。
シフは部屋中央でゴロゴロしているはずが、見晴らし塔の入り口に陣取って、伏せている。
何かが変だ。
アルトリウスはそう思った。変というか、いつもと違うのだ。
シフはアルトリウスの存在に気付き、尻尾を振ってよってきた。
アルトリウスはシフの頭を撫でると、シフを軽く手で押して見晴らし塔の入り口より離すと、階段を上った。
見晴らし塔に行くと、アルヴィナが出迎えた。
普段はシフの隣に居るはずのアルヴィナが、一人ここに居ることはまず無いはずなのに。
な〜と、アルヴィナが鳴いた。その声にアルトリウスはハッとした。
ハッとしたが、それ以上に気付く。アルヴィナの隣に居る、キアランの存在だ。
「ただいま、アルヴィナ。しばらく、シフと一緒に居てくれ」
自分でも、今何を言ったか分からないくらいだが、かろうじて普段の自分を演じることができたように思った。
何故なら、アルヴィナはいつもどおりに、な〜と鳴くと、階段を下りていったのだから。
ざわつく胸中を、必死で押さえようとするアルトリウス。
目の前に居るのは、余りにも無防備なキアランだからだ。
何故ここに居る?その疑問よりも、彼女の隣に置いてある花と、ゴーに渡した己の大剣の存在。
ゴーが此処に来た。そして、キアランの無防備な姿。
彼女はただ、疲れて眠っているだけだ。だが、その理由を彼は知らない。
ただ、ゴーに預けた大剣の存在と、地上の月と思えるほどの綺麗な花が、彼女に添えてあることだ。
二人はどういう関係なのか。親しい間なのか。そういう黒い疑惑が、渦巻く。
それ以上に、彼女の無防備な姿が、己を荒立つ。
彼女を好く感情とは、別する、彼女を手に入れようとする感情。
深淵の魔物の存在が、今となって己の中に渦巻く。
やめてくれ。俺は、俺は…。
アルトリウスは何度も己の黒いモノを追い払うように、頭を左右に振る。
「キアラン…」
そして、彼女を呼んだ。
これ以上、自分一人になると、いけない。危険だ。そう、自分自身が自分自身に危険信号を送る。
「キアラン!」
もう一度彼女を呼んだ。彼女のその、地上の月の光で、己の黒いモノを浄化してほしいと。困窮するがごとく。
キアランは、目を開けた。
疲れきってはいたが、しっかりと眠ることができたのだろう。
深い眠りは、時間がたつことによって、浅いものとなっていたようだ。
アルトリウスの押し殺したような声でも、彼女は目を覚ますことができたようだ。
だが、眠っていた方が、よかったのだ。そう思うには、そう気付くには、遅すぎたようだ。
いや、早すぎた。早すぎた目覚めが、彼女の思考を鈍らせた。
「アルトリウス?」
まだ、自分がどういった状況に居るのかが、瞬時には理解できなかった。
どうして今、自分は此処に居るのだろうか。部屋内で寝ていたはずだった。
寝ている状況は全く変わらない。ただ、寝ている場所が違うだけだ。
そして、目の前にいるアルトリウス。
「どうして此処に?」
見上げる彼の視線が自身に向けられていることに、彼女はハッとした。
そして、慌てて自身の服の乱れを整える。
いくら四騎士、仲間同士であったとしても、成人男性に見せてよい格好とは言い難いからだ。
本来は女官が着るような服である。寝巻きとまではいかないが、仮眠を取るつもりで簡素な服を選んでいた。
「着替えてくる」
彼女は立ち上がる。今どうして此処に居るのか。その理由を探すよりも、自身の身を整えることが先決だ。
このままでは、いけない。そのシグナルが彼女に、恐怖に似た感情を持たせた。
だから、いつもよりもずっと、歩みが遅くなった。足が震えていたかもしれない。
アルトリウスに見つめられ、その視線に捕獲されて、身動きすら、ままならないように。
「待て」
彼の隣を過ぎようとした時、アルトリウスの制する声と同時に、キアランは腕を取られた。
「此処にいろ」
見晴らし塔は広くない。彼女とアルトリウスの二人で、すでに満員だ。
彼の隣を過ぎなければ、階段を降りることはできない。素通りすらできず、腕をとられたキアランは、アルトリウス
を見上げた。
まだ、夜ではない。日中も薄暗いとはいえ、今は二人には存在が知れぬ、謎の光る花が、明かりの代わりに二人を
照らしている。その淡い光では、アルトリウスの表情を隠すことまでできなかった。
此処にいろ、そう命じられた彼女の瞳には、アルトリウスの視線がはっきりと映った。
それは縁側でくつろぐ翁ではない。精悍な、成熟した男の目。
その目に射抜かれた瞬間、彼女の動きは封じられる。
声だけでも、あげるべきだ。そうすれば、耳の良いアルヴィナが彼女の危険を察してくれる。
アルヴィナが危険を察すれば、シフが此処に駆けつけてくれるはずだ。
アルトリウスと自身の間にシフが入れば、今の不甲斐ない自分でも、一戦を退けるくらいは出来るかもしれない。
だが、声すらあげることも、封じられる。恐怖すら、感じる。地上の闇に、吸い込まれていく。
今、此処で二人で居ることは、決してあってはいけないことの始まりを意味するというのに。
アルトリウスの腕が、もう一つ彼女の腕を取った。両肩を握られ、彼女は視線をそらすことができない。
「しばらく、俺に付き合え」
アルトリウスの低い声と同時に、彼女の両足が宙に浮く。そして、彼の胸中に捕獲されてしまった。
手に入れた。地上の月を。己の腕の中に、手に入れた。
彼の感情は、欲望を満たした満足感で溢れた。
その心地よさは、自身の闇が彼を満たしていることに気付けないほどであった。
今しがた彼女が眠っていた座布団に、アルトリウスは深く腰掛けた。
見晴らし塔の囲いの塀に寄りかかるように座り、足を投げ出す。
そして、自身の下腹部の上に、獲物を乗せた。
驚いたように目を開き、自身を真っ直ぐに見つめる彼女の震える視線を心地よく受けながら、アルトリウスは黄金に
光る彼女の髪を撫でていた。
しっとりとした彼女の髪は、普段とは違って彼の指を心地よく触った。
幾分濡れた髪は、花の発する僅かな光でも黄金に輝かせた。
普段着よりもラフな女官の服は、首元が大きく肌蹴け、彼女の項を魅せている。そして、豊満な胸元も。
アルトリウスの視線が胸元に移った時、彼女は視線を落として胸元を隠すような仕草をした。
両肩から彼の腕は離れている。彼女はただ、彼の下腹部に跨っているだけだ。
逃げようと思えばいつでも、逃げることができる。だが、逃げることはできない。
察しろというオーンスタインの言葉が、今となってようやくその本意を知る。
今、自分が彼の元を離れたら。そう思うだけで、彼女は恐怖を感じた。
まだ、自分を奪うだけなら、それでいい。拒否を試みなかった、自身にも責任があるのだから。
アルトリウスは、胸元を隠した彼女の手を払うようなことはしない。
右腕で彼女の髪を掻き上げる。それだけで、彼女の首筋がアルトリウスの目線を奪うのだ。
首筋を指でなぞる。柔らかく、僅かに冷たい。見晴らし塔の風にあたって彼女の体が冷えたのか、それとも己の体温
が、必要以上に高いからか。
「思った以上に、綺麗なんだな」
アルトリウスは、彼女に問いかけるとも独り言とも聞こえるように、つぶやいた。ため息も一緒に吐き捨てる。
「柔らかい、な」
彼女の首筋から肩、そして脇、腹となぞるように彼女の体に触れていくアルトリウス。
女官の服は、上下が繋がっていた。下は長い裾になっており、スカートのようだ。彼女の白い足が、長い裾から
はみ出している。
アルトリウスの腕は、彼女の足を捉える。柔らかくほんのりと冷たい。吸い付くようにきめ細かい肌触りは、この上
なく心地よい。
今すぐにでもその長い裾を捲くり上げ、彼女の全てを奪いたい衝動に駆られる。
だが、アルトリウスは押さえ込む。もはや自身の溢れた欲情は抑えがたき衝動であったが、彼女の震える姿が一線を
越えずに留まらせる。
彼女のその、小さな姿が。
まるで、子供のような、その幼い姿が。
だが、目の前に光る黄金色の月は、子供と呼ぶには余りにも艶やかであった。
いや、大人である。成熟した、女性。男を受け入れ、次なる生を繋げゆく女性。
両手で押さえた彼女の胸元でへしゃげる、豊満な乳房は、とうてい子供が成せるものでない。
「はぁ…」
アルトリウスは、深く息を漏らした。その吐息は熱い。
彼女の足を撫でていた腕は、彼女の胸元に惹かれた。胸元を覆う両手に、アルトリウスの手のひらが触れる。
その時、アルトリウスは首を左右に振った。
「すまない。これ以上は…」
手のひらに触れた彼女の腕が、小さく震えていたことに、アルトリウスは少しばかり理性を戻した。
両手を彼女から離して、床につける。
「分かるだろう?キアラン。俺もお前も、子供じゃないから…」
何とか言葉を発しようとするアルトリウス。吐息が漏れ、苦しそうに彼女を見つめる。
キアランはずっと、彼を見ていた。
自分に触れる彼の手のひらの熱さ、そして、苦しそうに吐き出す彼の呼吸。
これ以上は、これ以上一緒に居れば。その続きの言葉は、言わずとも分かる事。
だが、彼女とて成熟した大人である。目の前の、精悍な雄を見て、何も感じないのは正常ではないだろう。
メスを誘うオスの吐息を間近で聞かされ、全身を弄られてまで、何も感じないのはそれこそ異常であろう。
「私も、触っていい?」
彼女のささやく声は、アルトリウスの意表をついた。目を丸くし言葉に詰まる彼に彼女は、もう一度言った。
「私も、あなたに触れたい」
目の前の成熟したオスは、単に男ではない。神に近し種の者。決して触れる事を許されぬ存在。
だが今、それが許される。一線を越えたのは、もはや彼女の方。
誘われて、引き込まれ、その闇に飛び込む。月とは、闇夜に浮かんでこそ、美しく輝くものなのだ。
胸元に留まっていた両手が、アルトリウスに伸ばされた。
アルトリウスは思わず後ずさった。そのため彼女の重心が崩れ、彼の胸に倒れこむ。
「きゃっ」
小さく悲鳴を上げる彼女を、アルトリウスは両腕で抱きしめた。
彼女の豊満な乳房は、己の胸元で潰される。その感触が、アルトリウスの理性を押し潰そうとしていく。
彼女は目の前の胸板に、手のひらを這わした。触ってみたかったものでもあった。
彼も、湯浴みをしたばかりだ。鎧の下に着る薄い布服のみでは、精悍な肉体は隠しきれない。
自分の胸よりも大きな胸筋だが、弾力があって硬いばかりではない。
彼女は顔を上げ、彼の胸板に両手をついて上半身を起こした。
彼女を抱きしめたアルトリウスの腕は、さほど力が入っていなかったので、彼女を簡単に自由にした。
今度は、己が彼女に自由にされる番だ。
アルトリウスは微笑んだ。彼女の恐怖に震えていた瞳は、好奇心に満ちたいつもの彼女の瞳であったから。
彼女は、もう一度彼の胸板を触る。時折体重をかけ、その弾力を感じた。
アルトリウスの視線も、穏やかだ。
時折吐く息は熱いままだが、それでも小さく笑う彼に、彼女の心は穏やかに高まる。
「すごい、大きい」
胸板から腕に彼女の興味が移る。両肩に盛り上がる彼の筋肉に触れながら、彼女はその大きさに感嘆の声を上げる。
自分の顔よりも大きな肩だ。そして、肩から腕、手のひら、指まで触っていく。
大きくて太くて、硬い指。彼女は彼の中指を握った。
「指で握手できるよ」
その子供っぽい言葉に、アルトリウスは小さくフフと笑った。彼女は低く笑う彼に、視線を戻した。
アルトリウスが触れたように、彼女も彼の項に触れる。そして、顎、頬、額、髪と触れていく。
彼の髪もしんなりと濡れており、彼女の指に心地よく触れた。
「意外と、柔らかいんだね」
彼女の素朴な意見に、アルトリウスは目を細める。
その表情は穏やかだが、花の僅かな光は、彼の端正な顔立ちをよく映した。
キアランは、アルトリウスのその美しさに目を奪われる。
いつも、見上げていた彼の、いつもよく見ることがなかった、彼のその顔立ち。
両手で彼の頬を包むように触れる。そして、自身の瞳の倍はありそうな、大きな瞳に自分を映す。
まつげも、およそ男の持ち物ではないように、長い。鼻筋も、自分の鼻ぺちゃと比べられないほど、高い。
惹かれる。吸い込まれるようだ。
アルトリウスも、それは同じ。
手に入れたかった地上の月が、自ら己の手中に飛び込んだ。艶やかで美しい、その月。
彼女の興味はさらに深まる。彼の頬を触れていた指が、彼の唇に触れる。
唇に触れた時、アルトリウスは驚いたように目を開いたが、彼女の指の冷たさが心地よく、その指に小さく
噛み付いた。そして、彼女の手を取り、その手の甲にキスをした。
キアランは驚いた。キスなど、したこともされたことも無い。当たり前といえば当たり前の事だが。
だから、自分以上に彼が自身に惹かれていることを、否応でも知る。
もっと、触れてもいいのか。もっと、触れたい。それ以上に、彼を知りたい。その興味がキアランにも溢れる。
アルトリウスのうっとりとした瞳と、切れ長な視線に見つめられ、胸が高まる。
本当は、触れたいのではない。触れたいだけではない。触れていたいのは、指なんかじゃない。指だけではない。
お互いが求めるは、二人の距離が縮まること。二人の吐息が重なる。
先に瞳を閉じたのは、アルトリウスの方だった。触れた彼女の手を離し、その手で彼女の頭を撫でる。
そのまま、自身に引き寄せるようにも思えるその行動は、一線を越えた彼女に対し、遅れて一線を踏み込む行為。
彼女は押されるまま、瞳を閉じた。
合わさった吐息は、お互いの唇でふさがれる。
161 :
151:2012/10/01(月) 19:51:29.89 ID:Auh2oABi
まだ続くさ。ああ、続くのさ。
これでも、エロだけは最後まで書きたいって思ってるんだぜ。
でも、四騎士には色々と疑問が残るよな。
アルトリウスは深淵で死んだのか、それとも森で死んだのか。
森で死んだなら、何故狼の指輪は的外れな遺体が持っていたのかとか。
ゴーの遺体はどこにあるのかとかね。
DLC版が楽しみだ。
次回、食欲を満たせ!竜狩りコンビと蒼き稲妻たちの戦い!を見てくれよな!
なんてイヤや…いやいいけどやっぱりよくない
まぁそれは冗談でドキドキしますねアルキアはいいものだ…最後まで、続き待ってます
アルトリに従順なアルヴィナとシフが可愛い…
最後までご一緒するぜ
誰かグウィネヴィアネタではよ
もしくはグウィン × シースの娘でもいいぞ
>>164 グウィン×シースの娘って?
その子供がプリシラたんなのかな。それは公式かい?
妄想ネタでしょうな
「外戚に入る」ったって方法は他にもある訳だから
書きたい人がいれば書けば良いと思うよ
>>166 そうだったのか。サンクス。
でも、グウィン×シースの娘というか、ジジィがゆさゆさヤるのは俺にはムリだな。
せめて長子×シースの娘ならまだいいが。
同じ理由でフラン×グウィネヴィアもなぁ…。
フランって火の神だろ?なんとなくグウィンよりも年上のイメージあるんだよな。
実際はどうなんだろ。フラン。
フランはなんか逞しいおっさんなイメージだったな。自分は
でも火が特別な扱いになっているダクソ世界で火の神って、一体何やらかしたんだろうこの人
アナスタシアってフード被ってないけど、顔は人間性に侵されてないのかな
ようするに濃厚なちゅっちゅプレイは期待できるのかな!?
かぼたまの説明文をだな…俺はあれが事実だと思ってるよ
でもそこら辺は個々で好きに捉えていいんじゃないかな
そこは一見普通っぽく見えるけど・・・?
ってことじゃないかと思う
単に見た目がボロボロですってだけじゃなくて、
もっと違うベクトルから大変なことになってるようなイメージ
見た目とかそんなレベルじゃねえというか
見た目がどうだとか言ってんじゃねえ
あのたどたどしくてロリ可愛い声が羞恥に染まることを想像するだけで人間性が満たされるだろ!
かぼたんずっと俯いてたら首こっちゃうよ
マッサージするようへへ
…アルキアまだかなぁ…
免罪の儀式と称して、オズワルドに恥辱プレイをされる女主人公……
とかどうよ
初期設定じゃオズワルドさんってババアだったはずなのになぁ
ババァが良かったなぁだがあの笑いは捨てるには惜しい。フロムもそう思ったのかも知れない。
ひと月以上前から既出ではあるが、追加分も各NPC音声ファイル+txtが大きく出回りだしたね。
また例の如くカットされまくってる…。
arcia arcia
176 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/16(火) 16:18:17.24 ID:aSY1AvzE
不死になると肉体の成長は止まるの?すごく気になります
ぎゃあ、sage忘れ
伝説級のNPCがそれなりの肉体を保ってる様子をみるとそうなんじゃないかな?
ところで祭祀場のかぼたんはやっぱり舌や腱を切られたりしてたんじゃないだろか。
ロートレクに殺されて復活したことで、身体の損傷が治ったんだと思う。
じゃ、じゃあ下の方も…?
レイポした後に殺して生き返らせまくったりしたのかなロリトレク
こうして調教済みの処女スタシアが出来上がった
あの火防女にも世話になったというセリフからして、
いろいろとあったんじゃないかな。
疲れているときにいつもより濃い目のエスト瓶をもらったり
風邪を引いた時にはちみつ入りのエスト瓶のおかゆを食べさせてもらったり色々あったんだろうね
>>175 音声ファイル探しても見つからないや。
はやくDLCこないかな。アルトリウス×キアラン妄想で人間性ゼロになりそうだ・・・。
でも変態プレイで考えるとなぜかソラール×女主が捗るw
ロートレクとフィナ様とアナちゃんの三角関係のやつください!!!
アルトリが黙って座ってるとこにシフがやって来て膝の上に頭乗せて、アルトリがそれ撫でて、
次にアルヴィナがやって来てシフを無理矢理押しやって
自分が膝の上を占領してお腹見せて「さぁ撫でろ」のポーズして、
でもアルトリは無言で膝の上半分までずらして残り半分をシフにあげて二匹とも撫でなでして、
最後にそのやり取りを見てたキアランがやって来てアルトリの膝を見てちょっとどうしようか迷った挙げ句、
アルトリの後ろに回ってでかい背中に自分の小さな背中を合わせて、私の位置はここ、とか言い出して、
それがアルトリの墓の裏にキアランがいる理由になってるSS下さい
アルトリ墓はいいよね。横から見ると墓の前後ではっきりと有様が違うのがわかる。
フロムがそれにどんな意味や含みを持たせているのかは分からないが、何らかの意図はあるでしょう。
普通サイズの剣がザクザク刺さっているのって
あれは墓荒しに来た奴らの墓標なのか
生前すごく慕われていたので献花代わりだったのか
墓石もあるから英雄に何らかの尊敬を示した者たちと、それに墓荒らしも混ざってるのかな。
墓の前面は「伝説の偉大な騎士アルトリウス」の領域だと思う。
英雄、確かに英雄だろうけど、「深淵歩き」のアルトリウスなんだよな。
キアランは王の刃 ゴーは鷹の目 オーンスタインは竜狩り
三人は四騎士としての呼び名で通っているのに、アルトリウスだけは
「深淵歩き」で、古竜との戦いでの呼び名とは違った敬称で呼ばれてるんだな。
四騎士としての呼び名も、かつてはあったと思うのは俺だけ?
あ、でもオーンスタインのは単に武器の名前だけか。
「コイツは歩いただけwwww」ってよくバカにされてたアルトリウスさんだけど
DLCで実は深淵を歩いてすらいなかったことがバレてしまったという
>>189 むしろあの槍の名前はオーンスタインの呼び名からとってるんじゃ?
伝説の、ってのがミソ
もうすぐ分かるけど竜狩りってのは大王の騎士達にとって最高峰の誉れなんだよ
その呼称を竜狩りと言えばオンスタといった風に二つ名として扱われるオンスタさんは凄い人だったんだなぁ
キアランも王の刃と言えばキアランてな扱いだね
実際アプデ前のオンスタはマジで強かった
グッと串刺しになり無理矢理上昇させられて、エネルギーを放出されてビクン
とイったら捨てるように放り出されるあの攻撃に耐えられるのは稀だったよな
もうすぐ皆とDLC分の話も出来るかと思うと楽しみだn
オンスタは人望有りそう、嫌われ者っぽいスモウでさえ死んだ時手添えたりしてるし
キアランが想像以上にいい子で辛かった
ああ、辛かった
想像してたより日本語訳が異様に爽やかじゃないか……
しかも頭装備の説明ときた……はぁ
ちなみに件の没セリフでゴーさんが4行程だがキアランについての話をしている
なあ災厄の指輪ってもしかして感度も二倍になるんじゃ
DLC買ってないけど、どんな感じ?
宵闇の寝息がえろいよ
DLCの宵闇さんの寝顔見てたら
深淵の穴の篝火でいろいろしたくなるな
DLCクリアしたけど宵闇どこで寝てるんだ?
見落としてるのか・・・・?
闘技場行ってて気づいたけどダクソの生身の女の子の声バリエーションなさすぎるよな
デモンズの頃はエロくてバリエーションもあったのに…
確かにデモンズの女の子の声は色っぽかった
エリザベスが最初の会話で「あなた、宵闇姫の想い人ね」とハッキリ言ってきてびっくりしたよ。
狭間で宵闇を助けて「私の国は既に滅んでいました」ってセリフを引き出した後に過去に行った条件で。
それは…まさか女子でも…!
エリザベスの秘薬を使って体力が回復し続けられるのはどうにか利用できないだろうか
>>208 パッチが女子だとハニー呼ばわりしてくるから多分変わると思う
男キャラだとそんなこと言われるのかw
女キャラでは「救い人」だったよ、細かい
話変わるが残光と残滅にニヤニヤした
黄金と暗銀が一対なのはフロム的に鉄板なのな
212 :
207:2012/10/29(月) 18:52:34.89 ID:kUh0Jzad
ちょっ…不安になってきたぞ追加確認報告なしですかあのセリフ消えるの早いんだよなぁ(棒
1stキャラ男と2ndキャラ女で救い人、3rdキャラ男(狭間宵闇との会話進行違う)で確かにそう見えたんだが気のせいなのか…?
213 :
161:2012/10/29(月) 21:26:32.29 ID:JiWBM5gY
空気読めずに投下するんだぜ。
ようやくエロ本番だが、前フリが長けりゃ前戯も長くてすまない。
アルトリウス×キアラン
>>160 の続きだけど、DLC版が出て色々とわかってきたので、
エロシーンまでで終了させてもらうよ。
みんなで仲良く食事シーンまで書いていたが、無意味じゃね?と思って全部書き直した。
長文エロしかない上、最後までイケてないが、投下させてもらうよ。
DLCストーリーに関わる可能性もあるが、 投下主はまだDLC版を知らない
自己設定物なので、各々スルースキルよろしくです。
※DLCストーリーに関わる可能性もあるので、注意!(投下主はまだDLC版を知らない自己設定物)
どれほどの時間、呼吸をふさいでいたか覚えていない。
息苦しくなったからか、お互いの望みが叶った満足感で満たされたからか、ようやく二人は唇を離した。
キアランの両手がアルトリウスの頬を撫でる。その冷たさに、彼が笑う。
キアランが求める彼と、アルトリウスが求める彼女に、差があるのは分かる。
彼女が純粋に触れるだけの欲望に対し、アルトリウスは彼女そのものを得るもの。
彼女は笑う彼の瞳の奥に、自身が浮かぶのを見つめる。
彼が求める自身の体に、彼の熱い手のひらが、這わされる。
ああ、私は。
彼女は求められる彼の瞳を見つめながら、懺悔にも似た感情を覚えた。
私は、踏み入れてしまった。
その感情は、彼に届くだろうか。
私は、罪深い。
彼女の細めた瞳が、悲しみを帯びていたのを、欲に満たされたアルトリウスには読み取れるはずもない。
今度は、アルトリウスの両手が彼女の頬を捉えた。
彼の手のひらの熱さに、キアランは驚く。
触れるだけの自身とは違い、引き込まれる彼女の瞳。その瞳は、閉じられる。今度は、彼女が彼を受け入れる番だ。
それは、覚悟の上か。単なる気まぐれか気の迷いか。おそらくは、後者。
だが、おそらくは、前者が必要となるであろう。
彼が求めるのは、ふさぐだけの触れるだけの口付けではない。
舌を差し込み、弄り吸い上げる、男女のキス。
「う、ふぅっ。んっ」
元々大きさが違うのだ。彼女は苦しそうにうめく。その大きさは、口の中では納まりきれず、喉奥をも弄る。
暴れる彼の舌が、彼女の口から出入りする様は、キスとは言い難い。もはや、フェラチオのようだ。
キアランがフェラを体験したことなど有り得ないが、傍から見ればそう見えるだろう。
苦しさのあまり、キアランはアルトリウスの顔を押しのけるように両手をつっぱった。
ようやくキスから開放された彼女は、両肩で大きく息を吸い、呼吸を乱す。
キスを離されたアルトリウスは、彼女を責めるようなことはしない。本能が彼を支配しているのだ。
その程度を理解できるとは、言い難い。
アルトリウスは離された唇を、彼女の項に這わす。
「あんっ」
キアランは自分自身でも驚くほどに、甲高い悲鳴をあげた。いや、悲鳴ではない。
その声は艶やかに響く、オスを惑わすメスの鳴き声。
「あ、あぁっ。んんっ」
アルトリウスの舌が彼女の項を這いずりまわる度、彼女の呼吸は乱れ、艶やかな声が上がる。
自身でも分からないほどに、全身がざわつく。それは、鳥肌が立つほどのこと。
時折、ちくりとした小さな痛みが、彼女を翻弄させる。
アルトリウスの狂ったようなキスが、彼女の皮膚を傷つけているのだ。
それは赤い斑点のように、模様を付けた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
アルトリウスの獣のような呼吸が、彼女の項にあたるたび、キアランの全身が震える。
「だめ、アルトリウス…。あんっ、あっ」
首筋に這う彼の舌と、体中を弄る彼の手のひらに、キアランは体中から力が抜けていく感覚を覚えた。
だが彼の手のひらが、自身の臀部を撫でたとき、全身が強張る。
「きゃぁっ」
キアランは悲鳴をあげた。無意識だった。でも、その声の甲高さに、自分自身でも驚いたくらいだ。
ああ、自分はやっぱり女なのだと、改めて絶望するのだ。
「キアラン…」
アルトリウスが、喉奥から搾り出すような、低い声でうめいた。その声は辛うじて言葉だ。
その獣の声にキアランはハッとして、アルトリウスを真正面で見つめる。
恐ろしいほどに、美しい獣。切れ長の瞳に捉えられ、彼女は胸が高まる。それは、強制的に。
「我慢できない…。だが、…。いいのか?…」
服の上からでも、彼の手のひらの熱さが分かる。その手のひらは今、自身の臀部を捕らえている。
そして、切れ切れの言葉だが、自身を気遣う声を発している。
キアランは、アルトリウスを見つめているが、何がいいのか理解するのに瞬時では理解できなかった。
それだけ、自身も翻弄されているのだろうと、思う。
何がいいのかと鈍い脳内で思考を巡らせていた時、アルトリウスが大きく息を吐いた。
その呼吸は、深呼吸とは言い難いくらいに、苦しみを感じた。
「どうしたの?アルトリウス。大丈夫?」
キアランは苦しそうに息を吐き出す彼の頬を撫で、声をかけた。
アルトリウスは小さく、違う、と言い捨てると、自身の両手を彼女の臀部から離し彼女の腰を持った。
そして、彼女を若干持ち上げて後方にずらし、彼女を自身の腹の上から下腹部に跨らせた。
それだけで、彼女は理由を知る。
「はぁ、はぁ、もう、おそらくは、もう…。ムリだ…」
アルトリウスの苦しそうな声の理由と、彼の獣のような視線と呼吸の意味。
彼女の臀部、いや、背中にあたるソレ。
キアランは、血の気が引くのを感じた。臀部ならまだしも、背中にまで当たるその大きさ。
ソレを受け入れるには、相応の覚悟と代償が必要だろう。
その、そそり立つオスそのものが今、優しい彼を翻弄させ、変貌させている。
だがその本能という自然行為が、辛うじてアルトリウスを闇という魔物に捕われる事を食い止めている。
闇に堕つ自身の危険信号を、本能に溺れることで、回避する。そのことを無意識に、自己防衛が働いている。
それを止めることができるのは、今。彼女しかいないこと。
そして、その彼女さえも、目の前の獣に翻弄されていること。
だが、本能は理性で抑えることができる。それが、人という動物だろう。
「キアラン、頼む…。逃げてくれ…」
その理性は、闇に飲まれても本能に溺れることはない。それゆえ、彼の優しさが仇となる。
「俺では、もう…。お前を…」
苦しそうに言葉を続けるアルトリウス。キアランはその彼を、間近で見ている。
「お前を…傷つける…から…」
一歩踏み入れたのは、彼女の方なのだ。アルトリウスにその非は無い。無いはずだ。
キアランは、覚悟する。もう、後戻りはできない。たとえできたとしても、その代償は大きい。
それならばせめて、彼の闇を取り払おう。
自身が汚れることで、彼を浄化できたなら。それは、己の命をかけるほどの意味はある。
いや、浄化されるのはむしろ、己自身。神に近し種という史上の存在で、小人という疚しい己の身を浄化させる。
もはやこれは、誉れであろう。
「うれしい、アルトリウス」
彼女のささやくような声は、アルトリウスの苦しみを、瞬時に癒す。
乱れた呼吸は一瞬ほど止まり、苦しみに揺れた瞳は、驚きまん丸である。
彼女は微笑んだ。そして、自身の腰あたりでだらけているアルトリウスの右手ひらを両手で包むように持ち上げ、
それを自身の胸元にもってきた。
そして、そのまま自身の左乳房を押し付ける。
決して触れようとしなかった豊満な乳房に、彼の手のひらがあてがわれる。それは、彼女の意思でもって。
アルトリウスの手のひらは、柔らかな感触と一緒に、トクトクと小さな鼓動を感じ取る。
女官が着る簡素なものといっても、服の上からその鼓動を感じることができるというのは、必然と彼女自身の
高揚が著しいことを、教えた。
「だからもう…。これ以上は…」
細めた彼女の瞳が、潤んでいる。その瞳に見つめられるアルトリウスは、動揺を隠せない。
「これ以上は、言わせないで…」
彼女のささやく言葉は、アルトリウスの苦しみを癒していく。瞬時に、徐々に。
「キアラン…」
自身の声が久々に、人の物になっている事に気付いた。
「キアラン…愛してる」
その言葉ははっきりと、していた。
微笑む彼女のその表情が、満足感から幸福感に変わる瞬間。ふわりと花が咲くように、彼の瞳に映った。
「私も…アルトリウス…」
再びキアランが、アルトリウスを抱きしめた。
「愛してる…」
小さくささやく言葉は、しっかりと人の物。彼女を見つめる彼の瞳もまた、人のものであった。
今度は彼女の方からキスをした。舌を差し入れ、彼を心地よく翻弄する。
アルトリウスのキスと違い、小さな舌では彼の口すらふさぐことはできず、ちゅっちゅっと小さな音を立てる。
まるで、小鳥のさえずりのようだ。
アルトリウスはその感触がくすぐったい。何度も出入りする舌足らずな彼女の舌を、いたずらに甘噛みし吸い付く。
「んっ。んんんっ」
その突然の攻守交替が気に食わなかったのか、彼女は小さくうめくと、アルトリウスの胸に手を突っぱねて
キスを離した。無理矢理離されたようで、アルトリウスは物足りないと、舌をだらしなく出している。
それはエサをおあずけされた犬のようだ。
彼女はそのあどけないとも思えるアルトリウスの表情に、思わず笑った。
その笑顔が柔らかく、アルトリウスはうっとりと目を細めた。
キアランはアルトリウスの頬に、ちゅっと、音を立ててキスをすると、彼が自分にしたように彼の項に唇を這わす。
太い首筋に両腕を回して、彼を抱きしめる。
「冷たくて、気持ちがいいな」
落ち着いた、でも熱い吐息のアルトリウスが、ため息と一緒に声を吐き出す。
アルトリウスは、一度キアランを自身から離すように彼女の肩を押す。キアランは押されるまま彼より少し離れ、
彼の腹の上に座りなおした。
「あまり、後ろに縋るなよ」
低い声で囁くアルトリウスは、小さくうなずく彼女を見つめながら、己の上着に手をかけた。
鎧の下に着る布服だが、下着は着ておらず、一枚取るだけで、彼の隆々たる筋肉が露になった。
普段見上げる彼の肉体美を、間近で晒されては、キアランは自身の胸の高まりを抑えることができない。
思わず、彼のたくましい肉体を触る。アルトリウスはそれを待っていたように、彼女の手のひらの冷たさに、
目を細めて深いため息をついた。
「もっと、いろんな所を触れよ」
彼女の好奇心を煽るような事をつぶやくアルトリウス。深い溜息は、熱く小刻みに震える。
いつでも彼女に喰らいつきたくなる衝動を、心地よく抑えながら、彼女を見つめる。
キアランは、言われるまま、彼の体を触っていく。
胸や腹など、服の上から触っていた部分を、特に触っていた。
脇腹を触ると、少しくすぐったそうに、くぐもった声を上げる。言葉にはなっていない。
彼女はその声に驚いて手を止めたが。
「もっと、触れ」
半ば強制的とも言える、命令のようなアルトリウスの言葉に、彼女は抵抗できない。
再び手のひらを彼の体に這わすが、感触を楽しめるほど、自身に余裕がなくなる。
この情事に陥った事、彼を拒絶できなかった事、拒否を試みなかった事の、その真の理由だ。
愛や情を超えた、何か。恐怖に似たモノ。支配されていく、そのマヒした感覚。魅了。
キアランは、視線をずらした。これ以上、彼と視線を合わせていたら。何か違う感覚が芽生えそうだからだ。
今にも逃げ出したい。そんな、感覚だ。
キアランは視線を落とす。不自然にも見れる彼女の行為だが、アルトリウスはそれに気づけない。
彼自身の感覚も、マヒしているのだろう。
普段の彼では決して、彼女に触れることすらできないでいるほどなのに。
月の魅了か、闇の魔力か。その両方か。
落とした視線に、彼女の興味が湧くモノが映った。
自身の恐怖をかき消すように、彼女はその興味に従う。本来なら、こんな事、思いもしないのに。
「意外と、小さいんだ」
己の興味に従った彼女は、思ったままを口にした。
そして、その興味にあるものに触れた。彼の厚い胸板の中央付近にあるモノ。
自身のモノとは違い、広い胸板にしては小さすぎる、彼の乳首だ。
彼女の興味の赴くままに、その箇所へ彼女の冷たい手のひらが触れると、アルトリウスの声がわずかに上ずった。
その声の高さに、彼女は、感じた事の無い感覚を覚える。
それは、アルトリウスと同じモノ。性的興奮。成熟した男女なら、ごく普通の事だが、彼女はその感覚に不慣れだ。
だから、興味の方が勝つ。
「へえ、触ると固くなる。私と一緒だね」
なでたり、つついたり。そんな子供じみた行為だが、アルトリウスには十分過ぎるほどの刺激。
何度も熱い吐息を吐き、彼女を壊したくなる衝動を抑える。
彼女のあどけない仕草と表情が、より彼を刺激していく。
その衝動を抑えなかったら、自身の思うままに彼女を弄べば、彼女を間違いなく壊すだろう。
だが、今の自身を抑えるのもまた、彼の刺激となる。心地よく、己を抑える。
「もしかしたら、私の方が大きいかもね」
彼女が小さく、フフと笑う。かわいらしい、美しい花をへし折る、そんな感覚。壊したくなる、そんな感覚。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
アルトリウスの呼吸が小さく乱れる。彼女には、その彼の苦しさにも似た興奮が、彼女を誘うように聞こえる。
本来なら、自身を喰らう凶暴な威嚇であることも知らずに。
だから、彼女は誘われるままに。自身の興味に従う。
つんと立った彼の乳首に舌を這わして、キスをする。自身も大人だ。自慰にいたる際に、此処を刺激して
その火照りを慰めたこともあるからだ。
もちろん、女性である。自身の自慰を他に見せる事などないが、今は違う。
彼との情事は、己の自慰を超えることだが、それでも彼の誘う吐息が自身の火照りを促しているのは、違いない。
「気持ちいい?」
彼女の好奇心は、次第に己の本能に近くなる。オスとメスは違うのだが、男を知らぬ彼女は自身を基本にするのは
当たり前の行為か。
見上げる彼女の瞳に、潤んだ瞳を見せるアルトリウスが映る。
低く、大きく息を吐いてアルトリウスは、つぶやく。
「俺は、もっと下がいいんだけどな」
その声は震えて熱い。彼女はその声の意味が分かる。
上半身を起こして彼の腹に座りなおし、彼の腹を撫でる。その手を僅かに彼の下腹部へとずらす。
彼女の頬が高揚しているのが、月の光の代わりをする輝く花の光に照らされ、よく分かる。
自身が言った事が分かっている証拠だ。
アルトリウスは半ば反射的に、僅かに腰を上に突き上げる。
たとえ本能を抑える理性が働いたとしても、肉体は本能に従うものだ。
「きゃっ」
再び彼女の背中に、アルトリウスが刺激を求めるモノがあたった。
いずれは彼を受け入れるだろうと思うと、その大きさに背筋は凍るが、己自身は熱くなるばかり。
キアランは、小さく息を吐いた。
彼を受け入れたい。その思いは、体中に巡る。
自身が濡れる感触を、隠せない。
女官の服がスカートになっているのだから、彼の腹にあたるのは下着のみだ。
すでに濡れた下着が彼の腹にあたっているのだと思うと、キアランの高揚は収まりが効かない。
顔が赤くなる。恥ずかしいという感覚とは、違う感覚に、自身もアルトリウスと同じなのだろうと思うのだ。
今すぐにでも本能に従い、彼を受け入れたい。そんな衝動。
だが、顔を赤らめるだけで何もできない。自分はまだ、未熟だ。
視線を落として顔を赤らめる彼女を見上げ、アルトリウスは自身の抑える衝動が抑えがたきものになる事を感じる。
自身の上で濡れる彼女の感触を感じて、何も思わぬオスなどいないだろう。
アルトリウスの腕は、自然と彼女の股へと滑り込む。
「あっ…」
アルトリウスの手のひらが、彼女の太ももを撫でて中央に向かう。
下着越しに臀部を撫でられ、彼の指がその中央に滑り込む。
「んっ、あっ」
指と呼ぶには太いモノが、布越しに彼女の敏感な部分に触れた。
「濡れてる…」
アルトリウスが興奮気味にそうつぶやくと、キアランは小さく首を左右に振った。
「だめ…」
今更か、彼女の理性が拒否の言葉を綴るが、アルトリウスは本能に従う。
彼の手のひらはさらなる刺激を求め、彼女の下着の隙間に指を差し入れてくる。
「あっ、あんんっ」
濡れそぼった彼女の肉ヒダに、アルトリウスの指が触れた時、キアランの声が甲高く上がった。
肉ヒダを掻き分け、彼女の奥を目指そうとするアルトリウスの指の感触にキアランはさらに首を左右に振った。
そして、彼女の股から生える彼の腕を抱きしめて、潤んだ瞳で彼を見つめる。
「せめて…服を脱いでから…」
息を乱して、切れ切れに言う彼女を見て、アルトリウスはようやく彼女を開放し、腕を彼女の股から離した。
そして無意識にいたずらに、濡れた己の指をしゃぶる。
「アルトリウスっ……ばかっ…」
そう言いながら、震える彼女の赤く火照った顔を見ながら、アルトリウスは小さく笑った。
アルトリウスは、女官の服の裾を捲し上げる。
それだけで、彼女の白い太ももが丸見えだ。
その中央には、今しがた自身の指が犯した、彼女の濡れた領域がある。
それを見ながら、アルトリウスは喉を鳴らした。
スカートといっても、上下繋がっているワンピースのようなものなので、彼女が腕を上げないと脱げないように
なっている。すると、キアランの方が両腕を軽く上げた。
そのままアルトリウスは、剥ぎ取るように女官の服を上に上げる。
すぽっという感じで、女官の服は脱げる。
アルトリウスは邪魔といわんばかりに、その服を階段の方へと投げる。
火照った体に外気が若干冷たく感じたのか、彼女は少し自分を抱きしめるように、両腕を胸あたりで組んだ
そのため、彼女の豊満な乳房がつぶれ、胸の谷間がくっきりと浮かぶ。
彼女の胸は、お粗末な布で隠されているが。
「本当に、俺よりでかいのか?」
と、今度はアルトリウスの興味が彼女を翻弄させる。
彼女の胸で組まれている腕に触れ、ゆっくりと彼女の腕をほどく。
キアランは頬を赤らめながらも、抵抗をしない。
アルトリウスに、己の胸を晒す。
彼女のお粗末な布に手を振れ、それをはがそうと引っ張ろうとしたが。
「待って、引っ張ったら破けちゃうよ」
キアランがそう言って、再び両腕で胸を隠した。アルトリウスはそれを邪魔するようなことはしない。
キアランは、アルトリウスの腕が自身より離れた時、己自身で胸の下着を脱ぐ。
後方の結び目をほどくだけで、簡単に取れる下着。そして、彼女自身の手で、邪魔にならないように、女官の服と
同じ方へ落とした。
少しだけ胸を隠していたが、アルトリウスの強い視線を感じて、キアランは胸元から自身の手を離した。
両腕をだらんと下げ、アルトリウスを見下ろす。
それだけで、彼女の全身は赤く高揚した。彼女の全身が、白銀からピンクに変わる。
それを見たアルトリウスの瞳が、わずかに振るえ、瞳孔の収縮を数度繰り返した。
それは、肉食獣が獲物の位置を正確に把握する際に、無意識に行うものと同じ。
人の種でも、強く興味を持つものを瞬時に目の前にした時に、無意識に行うことがあるという。
今まで、自身しか許したことのない領域に、他が、ましてや異性が、それを乗り越えてくる。
彼女の豊満な乳房に、アルトリウスの手のひらが触れる。
触れただけで、彼女の乳房は形を変えた。
触れるだけでは物足りぬと、アルトリウスは彼女の乳房を軽く握った。
自身の大きな手のひらでは少しの力でも大きな力になるのか、今の自分では力の加減ができないのか、僅かに苦痛に
ゆがむ彼女の表情を見上げ、アルトリウスはさらに欲する。
彼女の乳房を解放すると、その手を彼女の背中に回し、自身に引き寄せた。
そして、乳房の中央で主張する彼女の乳首に吸い付いた。
「きゃぁっ…」
その強さに、思わずキアランは悲鳴に似た声をあげた。悲鳴にしては甲高いが、それでも強すぎる刺激が彼女を襲う。
ちゅうちゅうと音を立てて、彼女の右胸に吸い付くアルトリウスの頭を抱きしめて、呼吸を乱すキアラン。
その乱れた呼吸が、さらにアルトリウスを駆り立てるとも知らずに。
背中に回されたアルトリウスの両腕は、彼女を押さえつけるように強く抱きしめられる。
その右腕がすかさず、彼女の臀部へと降りた。
「あっ、あはぁっ…」
その感触に、彼女の声はため息と供に溢れる。
臀部に下りた彼の右手のひらは、彼女の下着を彼女の膝あたりまでずり下した。
「い、いやぁっ…」
彼女の拒否もきかず、アルトリウスの右手のひらは、露になった彼女の秘所へと滑り込む。
太い指が自身の股を出入りする様は、まるで小人のオスが理性を失ったように彼女との交尾を望んでいるようだ。
「い、いたっ…」
チクリとした小さな痛みが、彼女の右胸でする。アルトリウスが胸に吸い付くだけでなく、噛み付いているようだ。
時折彼の口から漏れるため息は、サカリのついたイヌのように、荒い呼吸を繰り返している。
「あ、ひやぁっ…」
アルトリウスの指が、自身の肉ヒダを擦る。
「だ、だめぇ…」
いつもは花びらに隠れためしべも、己の高揚と供に硬く主張する肉芽となっている今は、ヒダを擦るだけで、その
肉芽ごと擦れていく。
「はぁ、はぁ、はぁ…あっ…」
自慰でもこんなに激しく擦り上げることなどない、自身の一番感じる場所に、アルトリウスの太指が暴れている。
目の前がチカチカしているような錯覚を覚える。だが、彼女のメスは、ある種の拒絶を訴えた。
自身を刺激しているのが、オスではないから。
「いや…。いやっ…アルトリウス…」
彼女はアルトリウスの頭を抱きしめて、上半身と痛みと下半身の耐えがたき刺激に、首を左右に振りながら耐える。
そして、無意識に。自身でも考えた事など無い言葉を、彼女の本能が吐き出した。
「指なんかで、イキたくない…」
それは、彼女が女である証拠か、彼を求める準備が整った証か。
ふと、彼女を責める攻めが止まった。イキそびれた彼女のメスが、物欲しそうにヒクヒクと痙攣を繰り返す。
キアランは肩で大きく息を吐きながら、どうかしたのかと視線を落とした。
上目で彼女を見つめるアルトリウスと視線が合う。はぁ、と熱い息を吐きながら、キアランはつぶやく。
「どうしたの?」
彼女の上ずった声を聞きながら、アルトリウスは目線を細めた。
「あまり、俺を刺激するな」
彼の声もまた、熱いものを感じる。だが、キアランは普通に答えた。そういう所は、まだ彼女が女ではないと言ったところか。
「何故?」
キアランのいつもどおりのあどけない視線に、アルトリウスは小さく笑いながら言った。
「今の俺は、何をするか分からない。おかしくなりそうだ」
彼の言葉か彼の笑みにか、キアランも小さく笑いながら言った。
「もう、おかしくなってるよ。私もあなたも」
そして、彼の頭を愛しそうに撫でながら、抱きしめる。
「だって、こんなことをしているんだもの。だから…」
キアランの熱い吐息が、アルトリウスの頬に触れる。
「アルトリウス…」
キアランの見つめる視線は、アルトリウスを心地よく翻弄させた。
彼は彼女の次の言葉を待たずに彼女の唇をふさいだ。
一頻りキスを楽しむと、アルトリウスの唇は再度彼女の胸へと下りた。今度は優しく、噛み付くことなく彼女の
乳房にキスを繰り返す。その感触がくすぐったくもあり、熱い刺激となる。
キアランは小さく声を上げながら、彼の頭を抱きしめるが、さらなる熱がもどかしく、彼女自身はアルトリウスの
精悍な肉体に縋るように、肌を合わせる。
彼女の小さく冷たい肌が自身の胸や腹に合わさる。しっとりと柔らかい感触。
その感触がさらにほしく、アルトリウスの両腕は彼女の背中に回されるが、彼女が小さく頭を左右に振った。
それは、言わなくてもソコではないと、異を唱えているようにも感じる。
アルトリウスは彼女のその、もどかしい仕草が可愛く、目を細めて笑う。
彼女もアルトリウスの余裕のある表情に、少々不満な表情を見せた。
「どうした?キアラン」
いたずらに、その意を聞くアルトリウス。彼女は耳まで真っ赤だ。
「分かってるでしょっ」
彼女も潔いというか、そういった辱めには疎い分、隠すようなことはしない。
「何が?」
ニヤニヤニヤ。そんな擬音語が似合うアルトリウスの表情だ。
キアランは半ばムスっとしたが、震える視線でアルトリウスを見下ろしたまま、言葉を探している。
どうして欲しいかは分かるのに、どう言っていいかが分からない。
それがよく分かるアルトリウスは、いたずらに彼女を翻弄させている。
彼女から少し頭を離すと、彼女を再度自身の上に座らせる。
アルトリウスの割れた腹筋が、直に彼女自身に触れ、キアランは小さく震える。
彼女の仕草が可愛くて、飢えた肉食獣の目の前で震える子鹿のようだと、アルトリウスの本能が震える。
目の前で小さく上下する胸に、アルトリウスは再度触れる。
アルトリウスは優しく触れただけだが、その力が強かったのか、彼女は僅かに目をしかめた。
アルトリウスはそのまま、彼女の胸を掴んだまま自身に引き寄せた。
痛みを伴った彼女は小さな悲鳴を上げたが、アルトリウスには聞こえない。
「はは、マジでお前の方が大きいかも」
彼女の胸を自身の胸に押し付けて、その大きさを見ていた。
自身が吸い付いて膨らませたとも思える、彼女の乳首を自身の乳首にあてがい、いたずらにこすりつける。
彼女からも、自身からも、熱い吐息が溢れる。だが、彼女の方が呼吸が速い。
「もう、もう、だめ…」
彼女の声も切れ切れに、キアランは何とか声を言葉にした。
「下着を…取りたい…」
声も切れ切れに、ようやく訴えたのが、それだけである。
アルトリウスは熱いため息を深く吐いたが、彼女から両手を離して、彼女を自由にした。
キアランはそのまま立ち上がり、アルトリウスの腹に跨ったまま、自身の下着を取った。
そんな行為、ほぼ女性というか、男性でもそんな豪快とも言える所作などしない。
そこが、キアランのこういった情事に疎い所だと思うが、目の前で彼女の秘所を見せ付けられたアルトリウスは、
ゴクリと喉を鳴らした。
「きゃぁっ」
彼女の小さな悲鳴が聞こえたかと思うと、彼女の重心は大きく後方に倒れた。
頭を打つことは免れた。アルトリウスの大きな手のひらが、彼女の頭を支えたからだ。
だが、次の瞬間、彼女の背は床に押し付けられていた。
背中が冷たくないのは、今しがたまでアルトリウスが尻に敷いていた座布団があるからだ。
彼女の目の前に、アルトリウスの視線が映る。
その視線は、キアランとは合わさらない。
その視線は、もっとずっと下にあった。
その視線の先がどこなのかが分かった時、彼女は小さく声を上げて、その場所を隠そうと、自身の股を閉じたが、
強い力でこじ開けられ、大きく開かされてしまった。
両足をそれぞれアルトリウスに捉われ、潰れた蛙のように、自身を晒すキアラン。
顔を真っ赤にしながらも、自身が喜びに震えるのを覚える。
だらしなく、自身がよだれを垂らす感覚を、抑える事が出来ない。
「処女だ」
アルトリウスの低い声が、火照ったキアランの脳に響く。
「当たり前でしょ」
キアランは顔を真っ赤にしながらも、当たり前の言葉を返した。
だが、アルトリウスには違っていたようだ。
「もし、処女でなかったら、貴様を殺していた」
およそ、情事に似合う言葉とは言えぬ言葉。
その言葉どおりに、アルトリウスの腕が、キアランの首を捉えた。
「穢れた身で四騎士を名乗るなど…。ましてや、俺の前で汚いマ××を晒すなどと、身の程を知れと…な…」
彼の低い声と供に、僅かに絞まる彼女の喉奥。
アルトリウスの強い視線は、彼女を真っ直ぐと見下ろしている。
彼が発した言葉は聞くには恐ろしいモノだが、聞こえたキアランには、違っていたようだ。
アルトリウスの強い視線を心地よく受けながら、彼女は声を上ずらせて言った。
「光栄です。アルトリウス様」
その声は、いつもの、今までのキアランだった。
強さだけではない。小人の身、女性の身であっても、王より勇ましさと潔さを買われ四騎士となった、彼女の声。
彼女もまた、情事に似合わぬ声だ。
迷い無く、真っ直ぐの視線でもって、アルトリウスを見上げる。
アルトリウスはその視線に目を細めた。
「俺も、光栄だ。王の刃とこうして、刃ではなく、身を交えることができるのだからな」
彼が見つめるキアランの、真っ直ぐな瞳から、彼女の身と心を表すかのような、澄んだ涙が一筋落ちた。
「ありがとうございます。アルトリウス様…」
震える声でそうつぶやく彼女を真っ直ぐに見下ろして、アルトリウスは彼女の首から手を離してその手のひらで
彼女の頬を触った。
「様なんて、いらない。もう、俺とお前の間に、差別などないのだから…」
アルトリウスは彼女の頬を両手で包みながら、光る彼女の瞳にキスをし、その唇で彼女の涙を拭った。
彼女が思う彼と彼が思う彼女、彼が求める彼女と彼女が求める彼に、違いはあるだろう。
だが、おそらくは。彼の方がその思いは重いだろう。
こうして、彼女を王の刃を組み敷いているのだから。
223 :
213:2012/10/29(月) 21:43:56.81 ID:JiWBM5gY
とりあえず、ここまで。
長文拙文で恥ずかしい限りだが、最後まで書こうかどうしようかとおもう。
中途エロで終わっているが、DLC版の事を思うと、この続きは止めた方がいいかなと思うんだ。
それと、このスレはハードエロでも大丈夫かい?
ハードといっても体格差が著しいから、グロに近くなるかも。
まあ、この拙文でハードもグロもないけどな。
>>223 おかえりなさい待ってましたキアラン超頑張れ
中途はいかんなぁ…というわけで自分は主に差し障りなければ最後まで(仲良く食事まで)読ませて欲しいです
危ないかなと思う場合は前もって注意書き で良いと思います
>>223 貴公・・・待っていたぞ・・・
>>225 うん
何故かウーラシールの宵闇を現代で殺害していると過去のエリザベスは死んでいる、謎の関連がある人物
エリザベスを見た瞬間攻撃しそうになったのは自分だけじゃないと思いたい
どうにか踏みとどまったけど、危うく殺すところだった…
ベスさんは癒し…触れたら脇を撫でてあげたいふふふふ
ところでキアランの発音だが、キ「ア」ラン だと思っていたら(動画実況の外国人も大体このアクセントで発音する)
正しくは キァ「ラ」ァン なんだね
>>229 ロートレクに犯されたときはきっとこんな・・・
>>229 女主人公ちゃんもこんなエロい声を出してくれればな…
ダクソの敵の掴み攻撃とかえぐいの多くてリョナらせがいがあるのに声が残念すぎるわ
女主人公の声も普通に色っぽいと思ってる俺は少数派なのか?
亡者だったら残念ってのも分かるけど
ロートレク以前にさ、あの檻に入れられる前に白教の連中に色々されてそうだよね、かぼたん
動画で男主人公と女主人公のを聞いたが、男の方がやばい感じだったな
アッー!
236 :
207:2012/11/03(土) 15:40:45.65 ID:+Hf6lduE
言いだしっぺで確認してきたぜ
確定です。しっかり想い人になっていました。別所でも報告がちらほらありますし。
しかし好感度上げゲーになってるとはw(こんな地味な
ゴー装備の横乳やばいな
モロじゃないか
お前がそんな事言うから。
今日一緒にプレイしたゴーコスホストさんの横乳を見ようとして落下死したわくそ。
俺、男主人公にしたけど「救い人」だったような
想われてないのかなーハハハ
ところで前に書いた中途半端な文が出てきた
グウィンドリンとアノールかぼたん
もしかしたらすでに貼ったヤツかもしれないので、そしたらまじすんません
特殊なので苦手なかたはスルーお願いします
「その美しい瞳に私の醜い身体を映さないで下さい」
そう言って、彼女は私の目を塞いだ。
「その清い指に私の汚れた身体を触れさせないでください」
そう言って、彼女は私の手の自由を奪った。
「ん…っ、っちゅ…、ん、んんっ…」
彼女の唇が私の勃ち上がったものに口づける音が聞こえる。
根元から扱きあげ、先端を舌で抉るように舐められるたびに、ぞくぞくとした感覚が腰の奥から込み上げる。
後ろ手に括られたまま、思わず指先に力がこもる。
くちゅくちゅと粘着質な音も、時折こぼれる彼女の声も。
目隠しをされているためか、ことさら私を興奮させる要素となる。
不意に下肢から途切れる感覚。
肩に軽い重みを感じると同時、口内よりも熱く柔らかい中に私のものが埋められていく。
「あっ、あ…待、て…っ」
制止の声も届かないのか、ゆっくりとだが遠慮なく彼女の中に収められた。
彼女の身体が上下に動くと共に、互いの体液が混ざり合う淫猥な音が響く。
「あ、はっ…あ、んん…っ!」
「グウィンドリン、様…どう、か…貴方の想う人を、描いて下さ、い…っ」
途切れながら乞うように甘い声を囁かれる。
想う人、とその言葉を聞き、見えぬ火防女の姿が。
豊満な胸を持つ太陽の王女が、私の身体にまたがりみだらに腰を振る姿になる。
長い髪を振り乱し、頬を染め、私の男根を締めつける。
もっと乱れさせたいと私は下から腰を突き上げ、より深く交わろうとする。
「あ、あっ!そんな、そんなに、したら、グウィンドリン、さま…っ!私、もう…っ」
両手がその胸を揉みしだき、指先で乳首を弾かせている。
手を自由に動かせないのがもどかしい、やり場のない欲をぶつけるように彼女の身体を乱暴に揺らす。
…よく考えたら下半身触手なんだからおかしーんだよな
前にも貼ってたらほんとごめん
大丈夫二週目なだけだ。
口振りからするにエリザベスさんはきっと人間だったと思うんだ…
ウーラシールの民の罪みたいなものによる肥大の影響でキノコになったみたいな…
女の子がキノコって可哀想だよな、キノコないのに(ry
変態プレイが増えていいじゃないか(ゲス顔)
ゴーさん結構お年を召されていたのだな。
古竜の戦い云々ってあったから高齢だろうとは思っていたが、ほぼグウィンと同い年っぽい…。
はぁ…。ゴーさんネタ誰か振ってくれたら書こうかなとか思ってたが…。
そういえば、竜狩りオーンスタイも竜のウロコを貫いたとかあったな。
もしや、オーンスタインもご高齢?
若い頃を書けば問題ない今すぐ構想に取り掛かるんだ しかし神々は何千歳余裕だと思うよ
古竜との大戦が終わって安定した火の時代がどれくらい続いていたかもわからんし
個人的にはゴーさん40〜50代、オンスタ30代手前、アルトリ20代前半、キアラン20代手前 かな
だが没カットを聞くとアルトリは少々青二才臭がしたなぁ
構想ってもなぁ…。キアランはアルトリウスだろうし。
他に誰かあればとネタ振り希望なんだぜ。
ゴーさんはゆっくり優しくスローエチかなとか思うが、いかんせん相手が思いつかない。
でも、没カットって何だい?
>>246 多分没台詞の事だ
没とカット、この場合同じ意味となる言葉を両方とも使ってるせいで
ワケの分からん事になってるんだろうよ
ゴーさんのお相手思いつきません(キリッ
庭に腰を下ろしていたら小鳥がとまりにきそうだなぁ位しか思いつきません
>>247 おほぅ カットには短いシーンって意味もあるんだが、そう受け取られないなら以後気をつけるよ
ググってきた。情報ありがとう。
ゴーさんは諦めて、素晴らしい人が傷心&丸腰のキアランを
アルトリ墓前で美味しくいただくネタの方に取り掛かる事にするよ。
ゴーさん四騎士の誰かかアノロンの鍛冶屋ぐらいしか接点がない
DLC一番のイケメンなのに・・・
邪道でもいい。止めに来たキアランを無理やり頂きますな闇落ちアルトリを誰か・・・!
アル×キアは純愛イメージだが、闇落ちアルトリで陵辱もいけると天啓をうけた
闇落ちアルキアとか最高のご褒美です
右腕右足を大剣でガッチリ押さえ込まれて、
バキバキと装甲を剥がされていくとか美味しゅうございます
>>249 素晴らしいさん×女主なら考えた事ある。
自分より先の時代の技術で挑んでくる闇素晴らしいさんに負けてしまい、
美味しく食べられてしまうとか。
でも良く考えたら王の騎士やらドラゴンもしばき倒す主人公には屁でもないという
事に気づいて考えるのやめたw
初期LV縛りをしていたと考えればよいのではないかな?フフフ
ゴーさんの渋さが好きなので、ゴーネタこっそり支援・・・
素晴らしい人も闇落ちアルキアも全力待機してるよー
自分にも文章力があればなあ、妄想力だけは仕事に差し支えるほどあるんだけど。
マヌス倒した後の篝火の空間でアルトリと勘違いされた
主人公がよいやささんとやっちゃうとか
マヌス時点でアルトリ鎧着られるし有り得るな
アルトリウスのリア充っぷりに嫉妬しそうだ もっとやってください
DLC以降は四騎士が美味過ぎてつらいなあ、
浮気気味でごめんソラールさん
DLCが来ようとも俺はアナスタシアちゃん一択なのだ
決してキアランに浮気などしないそう決して
キアランがシフのチンポしごいてる画像ください
シフが人語を話せたら、それもあったかもしれない。
人語話せるからといっても、アルヴィナとシバ団は無いな。
SSまだか。寒いな…。
ある不死人に殺されたアルトリウスが不死人に転生。
不死の使命を果たすために旅をしている途中、過去のウーラシールに飛ばされる。
そこでアルトリウスに遭遇、殺すと同時に記憶を取り戻す。その後出会ったキアランとなんやかんやあって一発。
過去から戻ってアルトリウスの墓に行ったところで、同じく転生したキアランと再会、恋仲に。
またそこでもう一発して終幕。
というところまで妄想したが、明らかにボリュームがヤバくなるので断念した。
DLCクリアしてからクリアした直後、不死院でアルトリウスが不死となって
空の牢獄に座っていたら、誰でも周回回すだろうな。
周回ホストが増えてマルチも活性化されると思うんだ。
不死となったアルトリウスにアルトリウスのソウルを渡すと
彼自身が不死院から勝手に出ていくので、彼を追うストーリーもできて楽しそうだ。
神が闇のソウルを持った小人に転生か…
面白そうではあるが誇りが犠牲になりそうだ
巨人墓場の巨人骸骨たちは、小人ではないが、不死の体とも違うよな。
あれは、何故なんだろう?犬もでかいし。
神の墓場という解釈も違うよな。
あれは、ゴーさんのような神とは違う巨人たちの末路なんだろうか?
ゴーさんの兜を汚した輩たちの言い分では、ただの巨人扱いしていたから、
身分的には小人というか、人間と同じ部類に蔑まれていたんだろうな。
久々にデモンズをやってユーリアを助けて
公使の帽子をかぶったままで話しかけた時のあのセリフを聞いた
アレしか想像できない内容に初めて聞いた時の衝撃を思い出した
ダクソにはそういう「!?」な台詞なかったなあ…楽しみにしてたのにようフロムよう
レア様を凌辱するぺトがいるだろ
269 :
223:2012/12/02(日) 14:05:02.50 ID:7k+EpKBe
アルトリウス×キアランのエロ書いてたものだが、
DLCクリアしてみて、自身の自己設定があまりにも遠すぎる事に気づいた。
全くかすりもしない内容な上、どうにもキャライメージが遠すぎるんだ。
アルトリウスは闇落ち前がどんな人物だったか分からないので、まだ脳内変換可能だけど、
キアランに関しては…。あまりに遠すぎた…。
元々エロ書くのは苦手だったので、半分書いた所で諦めたよ。
俺のキアランは幼女すぎた…。
>>269 つづきくるかなー?とほのかに期待してたんだが…無理強いは望むまい。
ありがとう面白かった。また何か書けそうになったら宜しく。
スモウが素行の悪さから騎士叙勲されなかったのを見れば、
キアランもアノかぼたんのように精神的に成熟して安定した雰囲気になるのかと想像していた(期待ではない)。
が、実際自分が持った印象は
>>269とは逆で思っていたよりも幼かったな。
一つの言動にしても角度を変えるとコロコロと見え方が変化する歪さが垣間見えて、
その起因を妄想するのが非常にたのしい娘。
アルトリウスはわからん。優しく誠実で勇敢だった感じだが…
もうちょい装備の説明文になにか…しかしそんなものはなかった。
>>269 おつ。SS投下が落ち着いてる中、自分も楽しみにしてた
またネタ浮かんだら待ってるよ
自分のアルトリイメージは剣術馬鹿っていうか、そういういい意味で純朴な感じ…
色事に鈍感でオンスタとゴーさんにキアランが同情されてそうな
ところで昼飯を外で食ってたんだが、横のリア充カップルの男が身長でかくてさ
聞こえた会話で女(小さめ)が「でっかい図体でもじもじするなー」とか言ってて
ええ脳内変換しましたよ何そのアルトリ可愛い 誰かその台詞つかって投下頼む
ダクソ2PV出たね。純粋にダークソウルの続編ではないようだなぁ。
太陽の長子の謎は結局謎のままになりそうだ。
なんとなく小綺麗でコレジャナイ感があるんだが・・・
フロムらしくない・・・
なんだか今までのとは随分雰囲気違うよなぁ…
あまり語られなかったキャラのフォローが入ると嬉しいけど
ダクソ2までにはこのスレ埋まっていて欲しいな。
投下待ってる。
氷と炎の歌のドラマ版みたいな雰囲気だな
アルトリウスの没音声聞いたら、ベッドシーンでも「ぶるうあぁおおおおお!!」とか叫んでそうな気がしてきた…
ダクソ2は長子や4騎士がばりばり現役の話しもいいなあ
ダクソ2の世界観は、ダクソの続編らしいが、
ロードラン以外の世界での出来事らしいよ。
ロードラン以外だから四騎士は難しいだろうけど、長子がもし追放されていた場合は、
あるいは…。無理か…。
幻でないおっぱい王女が出てくるに違いない
おっぱいおっぱい
>>269 そんなことはない!
ずいぶん昔の話なんだから今と多少人格が違ってもいいはずだ!
ビアトリスはまだか
282 :
名無しさん@ピンキー:2012/12/18(火) 23:55:54.45 ID:Bak6y8tu
プリシラさん期待
>>279 あれってやっぱり本物のほうは標準の人間サイズなんだろうか。
…出来れば本物もあのサイズであってほしいんだが
次回作では生身女性の被ダメボイス増やしてほしい
すげぇ短い小ネタ
オチもひたっくれもないけど、師匠の作品が増える事を願って
後セリフだけでサーセン
「さて、今日も始めるか」
「ところでクラーナさん」
「ん、どうかしたか」
「どうして鎧とか武器とか結構替えてるのに、俺だって一目で分かるんですか?」
「亡者どもを蹴散らして一目散にこっちに来る騎士なんてお前ぐらいだからだよ」
「それが普通なんじゃ……」
「さぁな、それよりも始めるぞ。馬鹿弟子には前座の時間すら惜しいからな」
薙ぎ払う炎をくらえー! 乙
ふと思ったんだが、主人公がアルトリウスとキアランの間に生まれた子供じゃないのかと思ってきた
武器の動きとか魔術の覚えとか良さが半端じゃないし、何より四騎士の動きをあれだけ見事に真似るのは幼い頃に近くにいたからかもしれん
アルトリウスがウーラシールに向かった後、主人公にダークリングが生まれた事で追放されて記憶を失った
……こじ付けにもほどがあるな、うん
けどこう思ってDLCプレイすると中々燃えてくる
288 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/02(水) 23:16:41.54 ID:ezrc7Iq2
もうチェスターさんを見るだけでエロスを感じる
女主をスッパにしてコートのみ着せて視姦するチェスターさんまで想像した。
アルトリ前で召喚待ちしてる時に良くねっちょり妄想してるw
エストをチェスターさんに盗まれた女主が返して貰う為にアレされたり、
アイテム半額を賭けたゲームに負けた女主がコレされたり、
薔薇の毒に何故か発情した女主がチェスターさんに馬乗りになって、ソレをソウル絞り尽くすまでサービスしちゃうとかw
291 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/08(火) 03:48:05.82 ID:YFmRufaA
そのネタは…良いな!
なんか…アルトリ前は賢者モードの白を召喚しそうで嫌だなw
夜アノで暗月かぼたんを組伏せて絶対に負けない状態にしてから勝てなかったよ状態のグウィンドリンを見せつけたい
グウィンドリンが人サイズなのは人と神族のハーフで、ダークソウルを持つ人間に太陽の力を持つ神を組み合わせたらどうなるかって実験で、結果は闇の属性を持ちつつ照らす力を持つ色んな意味で歪んだ存在が生まれたと
まぁ蛇足の説明つかないけど太陽の一族で有りながら一人だけ夜なのは相応の理由があるはずなんだ
下半身太りが一番エロいよな
295 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/12(土) 17:16:38.75 ID:VjO4kgNJ
>>289 チェスターさんがそれをまじまじと見て「素晴らしい」とか言ってそう
公王倒したあとに月光蝶行けばビアトリスのサインがあるわけで、時の流れがごっちゃになってるというよりパラレルワールドみたいなのかも知れないと思った
あと宵闇助けたあとはもう過去に居着けば幸せになれるんじゃないかな
297 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/21(月) 12:21:52.13 ID:JFFyb13J
うふ〜ん
俺、普通にゴー×宵闇さんだと思っていたが、
やっぱ男主×宵闇なんだな。
ゴーさんと宵闇ちゃんか…
見た目に和む組み合わせだが、エロパロ的な意味では…難しいな…
それを思うとアルトリとキアランはマシか
でもアルトリはカンストすると最強ダメの大剣だからな(意味深)
グウィンのおっちゃんというか、じい様は、薪の王なんだよな。
火の王はフランっていう人がちゃんと居るからなぁ。
薪って、木だよな。燃える燃料の方だよな。
じゃあ、太陽の長子とか太陽の王女とか、太陽とは違うよな。
太陽は火の塊みたいなもんだし。という事は、太陽はグウィンの奥さんの方なんだろうか。
長子の謎もそうだけど、奥さんに関しては全く何も情報が無いんだよな。
神々は我々と同じように子をなすとは決まっていないよ
それでも、奥さんくらいは居るんじゃね?
シースの娘が嫁に来たとか、そんなレスがあったような希ガス。
俺、キアランを好きになれないんだ。
例の坊主画像がトラウマでトラウマで
そんなことより好きな娘でエロいネタを考えるんだ
>>302 グウィネヴィアが自己紹介するところ、
英語だと「グウィン王と太陽の光の女王の娘です」といってるから居るのは確か
>>307 太陽の光の女王がいるなら、暗月のグウィンドリンさんは腹違いっぽいな。
暗月の女王的な側室の存在もありそうだな。
309 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/18(月) 16:54:31.36 ID:nAJBZq22
【ID】roxas-w-key
【罪状】青偽装の黄色 煽り通信 ステゲー
【階級】中尉
【説明】
野良固定で組んだクアンタ、全く攻め方を知らず格闘ぶっぱ
ここで組むのやめようと思ったがそのまま次の試合へ
その間出てくる黄色回線以下をキャンセルし続けると
次の試合で戦闘始まってからこいつ黄色、開幕から
宜しく通信なしで「青回線とばっかやんな」と煽り通信後その場でくるくる回ってステゲー
その後は敵に落とされて棒立ち、復帰後すぐ覚醒して覚醒技ぶっぱ
可哀想だからもう一回組もうと考えたらこれだよ
ちなみにわざわざ「青回線とばっかやんな」って通信入れてるから
他の人にもこの通信やってステゲーしてるんだろうな
こいつは稀に見る本物のキチガイ偽装の糞回線だから要注意
そういやドリンさんは海外付録画集に乳房のある画が載ってるぽいし
やっぱり両性具有さんなのか? 体つきはそれなりに男性的な筋肉なんだよね
まぁオズワルドさんも初期は老婆画だったし、その画がどんな扱いだったかはわからんな
本当に突然ですが、リロイ×女主 を投稿しようと思います。
最初に幾つか注意事項を。
・リロイさんが喋ります。
・かっこいいリロイさんをお求めの方は残念な結果になってしまいますのでご注意を。
・なんか色々おかしいです。
聖騎士リロイさんではなく性騎士エロイさん×女主 投稿させていただきます。
ある不死の女性は一人で悩んでいた。
近づくと爆発する生首や、神聖武器という特殊な武器で倒さなければ復活する骸骨、棘が生える石像など、様々な物で半ば心が折れかけていた。
ここまで、誰か召喚してしまっては召喚された人に迷惑がかかってしまう、という考えがあったために誰も呼ばずにここまで来たのだが、遂にここでその考えを変えなければならなくなった。
様々な敵や仕掛けで初めて物悲しいと感じてしまった。
七色石を使って下を確認したは良いものの、足が地に着かず滑り落ちて死んでしまったりしていたために落下が怖くなってきてしまった。右側には楔のデーモンが居るわけで近寄りたくない。
辺りを見渡し、下へと恐る恐る視線を向けると、白く光る何かが見える。七色石で確認し、思い切って下へ飛び降りる。
すると、白く輝く物は二つあり、一つはソウルで、もう一つは召喚サインだった。
心寂しさ故に、申し訳ないと思いながらも召喚サインに触れた。
少しして世界が交わる音と、頭に無意識に入ってくる白霊の名前、『聖騎士リロイ』。輝かしい装備に、重々しい武器を持っている姿は、強そうとしか言えない。
お辞儀をしてしたが見えるために一段下りる。すると、車輪骸骨の群れが壁にぶつかったまま回転している。このまま飛び降りると、間違いなく車輪骸骨の餌食になるだろう。
どうしようかと思案していると、リロイが降りて行った。
「えっ!? リ、リロイさん!?」
声が聞こえるか否か定かではないが、リロイは足を止めない。車輪骸骨による攻撃を受けながら、重々しい武器を振りおろした。
すると、車輪骸骨数匹が一発で倒れる。その威力に目を見張るが、リロイも攻撃を受けていることを思い出して自分も降りた。思いがけないところから車輪骸骨が襲いかかってきたために、反応が遅れた。
「きゃあっ!」
女性特有の甲高い声を思わずあげてしまう。しかしその間にも攻撃を受け続ける。もうだめかと思った時、重い武器が振り下ろされた。車輪骸骨は倒れ、何とか難を逃れた。
車輪骸骨を全て倒し、「ありがとうございます」と言ってリロイに頭を下げる。リロイは何も言わず、何もせずどこかを眺めている。
攻撃を受けたことを思い出し、エスト瓶を二口飲む。するとリロイは祈るジェスチャーをする。何事かと思った時、金色の光が包むように現れた。
奇跡、大回復。エスト瓶は私自身の所有物である為に、私が飲んでもリロイは回復できないということを知った。
続けて奥の方へ進む。霧を抜けて降りると、背を向けていた者がこちらを向いた。三つ顔がある、三人羽織どこか禍々しさを感じる。
黒い闇を放ち、三人に分身する。三人居ては不利だと分身を攻撃する。二体の分身を消し、振り向いたその瞬間。三人羽織の体力が一気に減った。
茫然としていると、リロイは間髪入れずに再び攻撃する。二発目で、三人羽織は消滅した。呆気にとられる私だけが残った。
リロイはサインを拾われて溜息をついた。これで何度目だろうか、と。
この場所で何回かサインを残しては召喚され、三人羽織を倒す。倒しても、注ぎ火の難儀を手に入れる事が出来ない。こちらとしては何の得にもならないのだ。
これでサインを出すのは最後にしようと決意する。ここで召喚されても注ぎ火の難儀を手に入れられぬのならば、諦める他ない。
呼ばれた世界で、お辞儀をしてきた女性がいた。別段お辞儀が珍しいわけでもなかったが、いつもしているようにそのお辞儀に応えない。
だが、いつもと違ったのは、その女性が一向に飛び降りる気配がないということ。車輪骸骨が居るが、皆気にせず降りていく。しかし、女性は躊躇っている。
仕方なく飛び降り、車輪骸骨に近寄る。攻撃を受けるが、構わずグラントを振り下ろす。女性の驚いた声を無視して。
しかし、意を決したのか女性が飛び降りてきた。しかし、車輪骸骨が接近し、女性に襲いかかる。その時、甲高い声が響いた。
その声は女性特有のものだが、何故か可愛らしい、と思ってしまった。しかし、車輪骸骨に攻撃されている事を思い出し、慌てて車輪骸骨を倒す。
全て倒し終わったのち、深々と頭を下げてきた女性に驚いた。いちいち頭を下げる者など、いただろうか。
そんな事を思っているうちに、女性はエスト瓶を飲んだ。どうやら進むらしいと判断し、奇跡を使う。体力を回復し、三人羽織を倒そうと進む。びくびくしながら進む女性を、また可愛らしいと思ってしまった。
降りた先には三人羽織が居た。何度も見た姿はもう何も感じない。分身を消した女性に三人羽織が攻撃しないように早めに倒すことにする。
戦っている女性の表情は、真剣そのもの。その表情に、無意識に目を奪われたが、今は戦闘に集中しなければならないと意識を戻し、三人羽織を攻撃した。
三人羽織に苦戦することなく倒し、俺が消える直後まで女性は茫然とした表情を浮かべていた。注ぎ火の難儀を手に入れる事が出来なかったが、その茫然とした表情は可愛かったので良しとしよう。
暗い場所が多い巨人墓地を、頭蓋ランタン片手に歩く女性はびくびくとしており、表情は強張っていた。復活する骸骨よりも大きい骸骨が強い。それなら地下墓地の方が良かったと思う。
何しろ暗い。ここでも心が折れそうだった。何とかたどり着いた巨人墓地の篝火を前に、座ったまま地下墓地での事を思い出す。
あの聖騎士リロイは、何をしているのだろうか。いまだあの場所で召喚サインを出しているのだろうか。あの騎士の事が忘れられないでいた。
ずっとこのまま篝火で休憩して居たいところだがそうもいかない。不死の使命を果たさなければいけないのだから。
ゆっくりと立ち上がり、頭蓋ランタンと武器を持って進んでいく。ふっと明るい場所に出た。明るい崖であった為、頭蓋ランタンは不要だった。頭蓋ランタンの代わりに盾を構えて進む。
すると世界が交わる音が響いた。思わず立ち止まる。
私は誰も召喚していないし、召喚サインを見つけなかった。先ほどの音の原因は、などと疑問を浮かると、印象深い姿が見えた。しかし、その姿は召喚した時とは違い、紅く光っている。
「闇霊……!? リロイさん、どうして!?」
その言葉に、リロイはやはり何も言わなかった。細い崖で、落ちないように注意しながら対峙する。重々しい武器は召喚した時にとても頼りにあるものだったが、今は凶器に見える。
どうして侵入してきたのかという疑問を胸に秘め、やるしかないのかと武器を握る手に力を込めた。
武器を振るうも、盾で防御される。パリィは苦手で、あの三人羽織と戦った時のダメージを思い出してしまい、どうしても防御してしまう。
しかし、近距離で衝撃波が放たれた。威力のある衝撃波によろける。防御もろくにしていない時、近寄ったリロイに殺されるのかとぎゅっと目をつぶった。
しかし、痛みは感じなかった。ふわりと足が宙に浮く感覚を感じ、恐る恐る目を開く。目に入ったものは、リロイが私を抱きかかえているという事実だった。
「え、リ、リロイさん!?」
リロイはそのまま暗い場所へと戻る。安定した地に私を下ろし、近くに私が持っていた頭蓋ランタンを置いた。
背中に感じる冷たい感覚と、私に覆いかぶさるようにしているリロイを見て戸惑う。何故兜を脱いでいるのだろうか。何故私に覆いかぶさるような格好なのか。
疑問に応えるように、リロイは顔を近づけてきた。抵抗するのもままならず、唇と唇が触れ合う。その感覚に、顔が真っ赤に染まった感覚が自分でも分かった。
徐々に深くなる接吻に、息を荒げながら私はリロイを見上げた。不安げな瞳が、さらにリロイの欲を強める。
「リ、リロイさん……?」
真っ赤に染まっている顔も、声も、全てが愛おしいとさえ感じた。リロイは唇を離し、胸を弄る。
小さい喘ぎが巨人墓場に響く。どんなに小さくても、音は大きく聞えてしまう。それが恥ずかしいためか、女性の顔は真っ赤になったまま戻らない。
「んっ……あっ、リロイ、さんっ……」
服を脱がし、直に肌に触れる。胸を弄り、確かめるように見下ろしてリロイは声を発した。男性らしい低い声は、綺麗な声だった。
「何故、侵入したか分かるか?」
「えっ、分から、なっ……」
「召喚されて、貴公が気にかかるようになった。一目惚れというものを初めて体験した。貴公は次にここへ来るだろうと思い、侵入していたのだが……やっと、貴公の元に侵入する事が出来た」
その言葉に、女性は目を見開いた。胸を弄る手を止め、体のラインをなぞりながら陰部へと手を進める。小さく体が跳ね、女性は首を左右に振った。
「待って、リロイさんっ……」
「これ以上、俺は待つ気はない」
「でもでも、心の準備が……」
もごもごとする女性の顔は、明らかに不安に満ちていた。これからする行為が不安なのだろう。その不安げな表情が、俺の胸に刺さるように酷く心に残った。
弄る手を止め、女性に服を着せながら、今回は諦める事にする。
あくまでも『今回は』であり、『次回は』分からない。最初の死者ニトを倒すまでには、必ず最後まで行為を続けようと心に決めたのだ。曲げる気は無い。
「今回は諦めよう。だが、次は諦める気は無い」
口元を歪めてにやりと笑った顔は目を奪われるものであり、印象に残った。
そしてニトに苦戦し、何度も何度もリロイに侵入されて行為を迫られるのは別のお話。
リロイ×女主人公 完結です。
中途半端で申しわけありません。後は読んでくださった皆様の妄想にお任せします。
短い上に読みにくいし話おかしいしと欠点だらけのこの文、読んで下さった方、ありがとうございました。
318 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/24(日) 07:11:42.31 ID:zJtRc+YW
聖騎士鎧を女に着せるとカワイイ
319 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/24(日) 23:11:56.20 ID:pmSdymGw
キアランネタ待ってます
うおおー!
リロイ来てるー!グッジョブ!
久方ぶりのエロにニヤニヤしたわ。
リロイにもガルポジションみたいなイケメンイベント欲しいところだなあ。
三人羽織をすり潰すだけなんてもったいない。
ニト様女の子説! イケメンと化したリロイ
ニト様のとなりにある若干小さめの空の柩には誰が入っていたのだろうか。
もしかしたらリロイさんは、空になった柩に誰かが入っている時の不死なのかも。
そして空になってしまった事を知らずに、彼女(?)を守り続けているのかもしれないとか?
ニトちゃんはもう静かに暮らしたいだけなのに、
三人羽織をはじめ力を盗もうとする連中があとを絶たない。
そのうえ不死の使命がどうとかで命を狙われ怯える日々。
たまに誓約を結びに来る者もいる。
でも友達ができたと喜んでプレゼントをあげると乗り換えられてしまう。
ひどいときは誓約を結んだまま刃を向けてくる始末。
かといって拒むのも怖いので、渋々応じるしかない。
もはやガリガリにやつれ、剣を振るっただけで倒れこんでしまう有り様。
そんな中さっそうと現れた聖騎士リロイさん。
ニトちゃんの姿を目の当たりにして、使命の在り方に疑問を持つ。
やがて彼は賊や不死からニトちゃんを守ることを決意したのだ。
はじめは他と同じだろうと疑っていたニトちゃんも、
リロイさんのいつまでもぶれない姿勢に心を開いていく。
しかし多次元にまたがった永い戦いに、宝具の力も人間性もすり減っていた。
そしてついに力尽きるとき、彼はニトちゃんに心配をかけないよう部屋の隅を選んだ。
ニトちゃんはリロイさんを待ち続け、また懸命に戦うのだった。
そういやオスカーさん(アストラの上級騎士)って需要あるかな。
えろくなんないだろうけど書けそうなんだよね。
エロきてたー!
奇跡:GJの大剣舞
>>323 なにそれ切ない
まさかニト様を女の子として萌える日が来るとは…
326 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/17(日) 02:37:38.18 ID:EoyqPIOD
オスカー?
エスト先輩のことか?
>>326 そうそう、エストくれる人ね。
あの人好きなんだけど出番が短いからかここじゃ見かけないなって。
オスカーっていう名前が確認できるのって海外版の説明書だけなんだよなあ・・・。
takahiro-1022
EXVSの左官シャフに湧いてる雑魚ゆとりである、ヤフー知恵遅れもやってた模様
遊戯厨である、自分のIDをググってるのか知恵袋にあったセーブデータくれくれ質問も消している
階級高い相手と組んで負けそうになれば切断、勝ち確になると覚醒技ぶっぱするアホプレイ、味方になるとネタ通信からステゲー
30と組んで覚醒先落ちすればステゲー、核に自分から突っ込んで諦めてステゲーなどなど
腕もお察しのレベル、家庭勢な上に頭もおかしいゴキブリにお似合いの結末である
329 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 01:55:27.84 ID:ywtdyDlK
>>327 エロは無理かもだけど純愛なら書けるのでは?
ちらりと見た女主人公に一目惚れしたオスカー
↓
一目惚れしたから女主人公に鍵を持った死体を落とす。あ、やばいかっこいいと女主人公も一目惚れ
↓
女主人公が心折れないように先回りして黒騎士全撃破
↓
しくじって大怪我。やべぇもう駄目だという時に現れた女主人公に使命を託し、渡すものは渡す
↓
「じゃあもうさよならだ」とか言うオスカーの兜を優しく取ってちゅっちゅする
あとは二回目にきた時にオスカーさんはまだうっすらと意識があってちゅっちゅするとか。
それいいな!
と思ったけど、初周不死院は常時ゾンビ顔なんだよなぁ…うーん
331 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 13:47:13.12 ID:ywtdyDlK
>>330 じゃあ二回目に来た時しかないね! その時なら生身でいけるだろうし。
でも亡者だろうからなぁ……ソラールの寄生虫バージョンの時見たいならできるんだけどなぁ。。
>>327だけど、実はオスカーさんの没になったネタとロードランの時間軸が歪んでーっていうのを絡めたやつを書こうと思っててね。
もともとライバルキャラだったっていう設定から色々漲ってきちゃって。
本編のあれだけの出番でもかっこいいと思うしすんごい好きなんだけどね。
とりあえずがんばって書いてみるよ、オスカーさん好きがいると信じて・・・。
333 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/25(月) 21:57:51.97 ID:ywtdyDlK
>>332 おおお!頑張って!
全裸で待機してるよ!!
334 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/26(火) 11:23:20.64 ID:G3sORQwg
mizuti_ryu
【罪状】ステゲー
【説明】
スサで開幕クシィのゲロビに当たり古黒のこの瞬間で一瞬で落ちる、その後ステゲー
ニートのゆとりでしかも東方厨、EXVS特有のゴミでバカッターもやってるアホ
オスカーさんの話大筋まとまったけどけっこうなボリュームになりそう…。
後、バグとかが絡んでたりわりとご都合主義じゃね?みたいなことになりそうで正直だいじょうぶなのか心配になってきた…。
後要所要所でえろに発展できそうな場面はあるけどそこまでの勇気が出ないぞ畜生。
仕方ないから不死院でマイダーリンにパリィからの素手スタブ入れたりはぐれのとこに落っことしたりして鋭気を養ってくる。
336 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/03(水) 23:29:43.35 ID:0TyPRf4u
オスカーさんの話投稿させていただきます。
オスカー×女主というよりはオスカー←女主になりそうな予感がしますが…。
とりあえず今回は本編でのオスカーさんの部分のみ投稿させていただきます。
えろくはならないです、ごめんなさい。
337 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/03(水) 23:30:48.53 ID:0TyPRf4u
物語はどこから始まって、どこで終わりを迎えるのだろう。
錆付いた思考はばらばらに砕けた言葉を幾つも蒼穹に浮かべては、ちぐはぐに繋ぎ合わされた電気信号の一瞬の煌きの向こうへと押しやってしまうだけだ。
オスカーは小さな金属音をたて、崩れた天井から差し込む光を見上げた。
精巧だが派手過ぎない金の刺繍の施された青いサーコートは、どれほどの時の間此処に淀んでいたのか判らぬ緑色の水に裾を濡らし、不死人の灰や埃にまみれ所々が黄土色に変色している。
荒い呼吸が傷だらけの銀色の兜の隙間から漏れる音だけが、朽ちかけた石造りの建物の古い空気の中に溶けていく。
小さく身じろぎをして、全身に走る激痛にオスカーは眉根を寄せてくぐもった声を上げる。
既に纏った鎧の重みですら命を削り取っていく枷となっていたが、それでも握り締めた剣と盾を手放せないのは騎士としてのプライドなのか、それとも散々彼が味わった世界の悪意に毒されたためか、生憎オスカーにそれを知る手段などない。
ただ彼は知っていた、これから起こるであろう事、自らの運命と成すべき事を。
遠くでデーモンの唸り声が響く、一拍遅れて金属製の扉の閉まる音。
ここに落ちるまでにできる限り痛めつけておいたが、それでも『今は』そうするよりないだろう、オスカーは小さくため息を吐く。
小さく動く度に痛む肉体に内心で悪態を吐き、遠くからこちらへと近づいてくる足音に耳を澄ます。
かちゃかちゃと金属と革の擦れる音、石畳を蹴り重たそうに歩く足音は、思い描いた通りに歪み外れた鉄格子のすぐ傍でぴたりと止まる。
感じる気配に目を向ける気は無い、壊れかけた体が酷く重いからという理由ではない。
反応がない事で興味が失せたのか、それとも会話を諦めたか、気配はすぐに階段へと足を進め、広場へと続く赤い鉄の扉を開けに向かったようだった。
ほんの僅かな間、再びの静寂がオスカーの耳を劈いたが、重たそうな足音が階段を登り再び此方へとやって来る。
カン、カン、と数回壁を叩く音、ほんの少し視線を其方に向けて見るが、離れていく気配に小さく息を吐き瞳を閉じる。
と、ガラガラという重い何かが転がる音と小さな悲鳴、そして壁の崩れる轟音が不死院に響く。
壁を突き破った所々赤錆びた鉄球と、もうもうと舞い上がる砂煙に小さく首を揺すりほんの少し唇の端を吊り上げる、やっぱり轢かれたか。
遠くで金属のぶつかる音と擦れた声が留まっていた空気を揺るがした、乱暴に扉を揺する音と聊か不機嫌そうな足音が壁に開いた穴から鼓膜を震わせる。
近づいてくる金属と布の擦れる音は、用心しているのだろうかその穴の手前で立ち止まり、そろりと様子を伺うように盾を構えた姿を現した。
パチパチと音を立てて燃える小さな炎の暖かな光を背負った姿は輪郭だけが赤っぽく輝くだけだが、それでもオスカーはそれが待ち人であると確信していた。
強度を増すために溝を付けられた板金の鎧を纏った、干からびた肌の恐らくは女性だろう華奢な体の『誰か』は、オスカーの姿を確認するとゆっくりと歩み寄る。
革のブーツは汚れた水を吸い、体を覆う革と鎖帷子と板金は傷み、錆び、そして真新しい血で汚れている。
オスカー自身の装備よりは鎖帷子やサーコートや板金が少ない分聊か軽いだろう鎧は、それでも女性には重過ぎるのだろう。
重い足取りの女はオスカーのすぐ傍まで歩み寄ると、屈み込んで介抱するようにオスカーの胸に優しく手を置いた。
落ち窪み亡者へと近づいた干からびた女の瞳を覗く、思考回路の壊れた亡者とは違う、黒い眼孔の奥に知性と感情の光が僅かに感じられ、オスカーは兜の下で小さく安堵の笑みを浮かべ、一度呼吸を整えると徐に口を開いた。
「おお…君は…、亡者じゃあないんだな…。」
よかった、漸く搾り出した声は力なく水面に落ちていく。
びくりと女の肩が震える、驚いたように虚ろな瞳がオスカーの顔を見つめた。
「…私は、もうダメだ。…もうすぐ死ぬ。」
死ねばもう、正気を保てない、そう言ったオスカーに女は酷くうろたえた様に息を呑んだ。
それは不死となった者の末路、不死としての死を意味している、女にもそれがどういうことかは理解できるはずだ。
崩れた瓦礫に凭れていた背中にそっと手が当てられる、抱き起こそうというのだろうか、しかし生憎壊れかけた体は言うことを聞かない。
励ますように背中に回された手がとんとんと優しく叩いてくれるが、正直こうして声を上げるのもやっとの状態で、そして今その優しさは酷く心の奥底を引っ掻いてしまうものなので、緩く首を横に振ってその手を制止してしまう。
「…だから、君に、願いがある…。」
胸に掛かる鎧の重みが酷く呼吸を圧迫するので、どうしても途切れ途切れになる言葉をどうにかして搾り出す。
逼迫した喘ぎが紡ぐ言葉の邪魔をして酷くもどかしい。
「…同じ不死の身だ…観念して、聞いてくれよ…」
言葉を発する度に痛む体は、水の詰まった袋のように酷く重い。
折れた骨や傷付いた内臓が悲鳴を上げている。
傷付いた体の奥底から搾り出すように呟かれた言葉に女がはっきりと頷いたのを確認して、オスカーは伝えるべきことを口にする。
力ない声はまるでうわ言のようで、女がはっきりと聞き取れたかは正直言って判らない。
だが、くすんだ銀の女の板金の鎧に移る己の姿を視界の端に映し、それでも全てを伝えるとオスカーは力なく笑った。
「…よく、聞いてくれた…これで、希望をもって、死ねるよ…。」
自嘲の色を含んだ言葉に、女の腕に僅かに力が込められる。
干からびた唇が固く結ばれるのを、霞む視界でオスカーは捕らえた。
だが、すぐに女は俯くと力なくオスカーの体を壁に凭れかけさせ、悲しげな表情のままゆっくりと立ち上がる。
そうだ、それでいい、女にはどうすることもできやしない。
「…ああ、それと…これも、君に託しておこう…」
女が介抱するのを諦めたことを確認してから、腰の革製のポーチから緑色の瓶と鍵を取り出し受け渡す。
それが何かを理解した女は困惑した表情を浮かべる、どうして?と暖かなオレンジ色の光とオスカーの顔を交互に見やる女にオスカーは何も答えない。
無駄なのだ、命の火を受け止める器がひび割れてしまった以上、いくら注いでもあふれ出てしまう一方なのだ。
だから、もはやそれは不要なのだ、女がそこまで理解したかは定かではないが、それでも女がそれをしまうのを見届けると、安堵したようにオスカーは息を吐いた。
「…じゃあ、もう、さよならだ…」
伝えるべきことは伝えたと、オスカーは別れの言葉を紡ぐ。
体は酷く重く、呼吸をするのさえ億劫で、そしてなぜだか酷く寒い。
女が身じろぎをしたのは小さな金属音でわかった。
「…死んだ後、君を襲いたくはない…いってくれ…」
消え入りそうに呟いた言葉に、女は唇を一層強くかみ締めると、俯いたままゆっくりと踵を返し元来た方へ歩いていく。
銀色の板金に小さな火の赤い光が映りこみ、黄昏のように金と赤に染まる背中が酷く美しく見えた。
「…ありがとうな。」
小さく投げかけられた言葉にびくりと女の肩が震える、水音を響かせて女がゆっくりと振り返る。
だがそれ以上言葉が紡がれることもなく、再び女はゆっくりと歩き出す。
足音が離れていくのを確認すると、オスカーは酷く重い腕をゆっくりと持ち上げる。
祝福の施された美しい剣が握られている、ぼろぼろの革の手甲は引き攣ったように震えている。
そっと左手を柄に添え、装飾の施された切先を自らに向けると、一度大きく息を吸い、一息に胸に突き立てた。
搾り出された最後の力は、固い鎧ごと肉体を貫き、傷口から命が流れ出ていくのをオスカーは厭にはっきりと感じとった。
だが不思議と恐れはない、散々味わったはずの死というものには、本能的に付き纏い決して慣れることはなかったのだが。
朽ちかけた体では痛めつけるだけで精一杯だったが、彼女ならばあのデーモンを打ち倒し先に進むことができるはずだ。
それにあのいけ好かない騎士たちが天井から順路に戻るまで、まだ随分と余裕がある。
きっと、彼女はあの呪われた地で、不死の使命を知るだろう。
それは希望ではない、確信だった。
貫かれた脊椎のでたらめな信号がオスカーの体を跳ね上げさせたが、両足はすでにそれを支えるだけの力は無く、流れ出た血と汚水の混じった淀みに膝をつく。
走る激痛と急速に狭くなっていく視界の先で、物音に気付いて引き返したらしい女が自分に駆け寄るのが見えた。
重くて息苦しいので好きではないが、兜を被っていてよかったとオスカーは苦笑する。
両目からあふれ出る熱い物を、女に見られずに済んだから。
伸ばされた腕は届かない、触れる一歩手前でオスカーの体は霧となって散っていく。
意識は冷たく暗い世界に沈んでいく、恐らくこれが『始まり』で『終わり』なのだ。
遠い昔の記憶がふと頭を過ぎる、あの時も確か君は…。
悲しみの記憶とともに笑いあった懐かしい光景が瞳の裏に浮かんでは消えていき、オスカーは小さく微笑んだ。
そう、これでよかったのだ、君は何も知らないままでいい。
そうして、オスカーは心が縦にひび割れる音を聞いた。
どつん、背後で鈍い音がして、階段を登ろうとした足が止まる。
急いで引き返すと、先ほどの騎士が今まさに消えて行くところだった。
胸に突きたてられた刃に目が引き付けられる、水飛沫を上げながら重い足取りで、それでも目いっぱいの速さで駆け寄る。
汚れ、褪せてなお鮮やかなブルーのサーコートが紅く染まり、差し込む陽光が斑に染まった金の刺繍を照らしている。
鎧ごと体を貫いた剣は、柄も刃も流れ出た血に染まりながら銀色の光を眩しいくらいに放ち、消えていく命のように、それは紋章を刻んだ盾の表面を撫でた。
赤と、青と、金と、そして銀の色彩は瞬き一つ分の時間を瞳に焼付け、錆び色の景色に溶けていく。
なんて残酷で、悲しくて、美しい景色なのだろう。
目一杯伸ばした指先が触れようとしたその時、騎士の体は掻き消えた。
どうして、なんで、そんな言葉ばかりが女の頭を過ぎる、倒れる体を受け止めようとしていた腕は、力なく宙を彷徨った。
残されたのは火の爆ぜる小さな音と天井から差し込む光、そして立ち尽くす騎士の鎧を纏った不死の女ただ一人だった。
崩れた天井から差し込む光は、いったいどれほどの間同じ角度でこの場所を照らしていたのだろう。
そして、どれほどの間此処に自分は縛り付けられているのだろうか。
ひび割れた心は酷く曖昧な時間軸の中でアンフィスバエナの様に留まり続ける。
此処で自分は全てを諦め、そして酷い出来の戯曲に自ら幕を下ろした。
それは不出来な役者への、世界からの罵倒なのだろうか。
干からびた体はコントロールを失い、壊れていく世界の中で何もできないままただ此処に立ち尽くしている。
錆付いた空気は酷く埃っぽいが、もはや呼吸すら必要としないこの体にはむしろそれが有難かった。
好き好んで此処に足を踏み入れる生者などそうそういるはずもなく、酷く渇きを訴え続けるこの朽ちた体が生暖かい液体に満ち溢れた何かに喰らいつく恐れはないに等しい。
ぬかるんだ緑色の水が染込んだブーツの履き心地の悪さは既に気にならなくなっていた。
サーコートのどす黒い染みが今し方付いたものであれば良かったものを、などと考える。
考えて、ああ、やはり自分は既に亡者なのだなとすとんと納得した。
血に汚れた剣を強く握り締める、革の手甲は指の関節部分が破れ、切り口は毛羽立ってしまっている。
時の止まった不死院に風が吹く、亡者はほんの少し首を持ち上げて切取られた空を見た。
羽音が聞こえる、ああ、時が動き出す。
亡者は干からびた唇をきつく結ぶ、いつか聞いた足音がやって来る。
どうして此処へ戻って来たのだろうか、それ程此処には大切な何かがあるのだろうか。
理由など知ることは決してないだろうし、その必要も恐らくないだろう。
ただ餓えた体は夕食を終えた後の鍋底の焦げ付きのようにこびり付いた意識と裏腹、新鮮なソウルの匂いに惹かれ足音に向かって歩き出す。
淀みの底の緑色の汚泥がかき回され、変色した革にこびり付いた。
くすんだ銀の肩当から、裾の解れたサーコートから、踏み出す度に砂埃が舞う。
金属と革の擦れる音がする、崩れた壁を潜ったならば、もうすぐ其処にいるのだろう。
ああ、全くこの世界には救いなどなくて、黄昏色の悲しみが不死人の灰に降り積もっていくばかりだ
恐らく、目の前の彼女も同じ事を考えたに違いない。
まだ辛うじて生にしがみ付いていたあの時の不死院で出会った姿ではなく、瑞々しい生命に満ちた、幼さの残る顔立ちの騎士鎧の女。
酷く狼狽したような、驚愕に見開かれた瞳は直ぐに諦めの色を以って伏せられた。
女は固く唇を結び剣の柄を握りなおす。
クレイモア、大剣の中でも軽く扱いやすい細身の刀身は、決別の意を以って亡者に向けられた。
固く結ばれた紅い唇の隙間から微かに嗚咽が漏れるのを、亡者は兜の奥で確かに聞いた。
女が悲鳴のような咆哮を上げる、駆け出す足取りは以前よりも聊か速い。
力任せの斬撃は青い盾に弾かれる、無防備な脇腹に祝福を受けた刃が食い込むが、重い板金に阻まれ致命とはならない。
女の顔が苦痛に歪む、それは壊れてしまった心をぎりぎりと締め付けたが、男というものは理性よりも本能を優先してしまいがちな生き物であるので、そこばかりはどうしようもない。
朽ちてしまった肉体は目の前の新鮮なソウルを求め続けていて、そしてとっくにコントロールを失ってしまっている。
めちゃくちゃに刃を振り回す自身の肉体は、なるほど此処にいる亡者どもと何も変わりはしない。
どすんと蹴り飛ばされた女の背が古い石の壁にぶつかり、女の口から小さな悲鳴が漏れる。
追い討ちをかけようとした直剣はこげ茶色の盾に阻まれ、膠着した力は互いの距離を自然と近づけさせる。
盾の表面に走る大小の傷が光をでたらめに反射する、どれだけの数の悪意を受け止め続けたのだろう。
肉体は渇きを癒そうと足掻き続けているが、罅割れた意識は女の瞳に釘付けになる。
噛み締めた歯が割れてしまいそうなほどきつく歯を食いしばる女の瞳は、差し込む光に照らされて心なしか潤んでいるようにも見えた。
暗い色彩に移りこむ兜越しの赤い光と、吸い込まれるような丸い瞳孔の奥に光る不死の証、亡者は密かに歓喜する。
ああ、彼女もやはり同じ存在なのだと。
そして同時にそれが酷く悲しかった、不死人の末路を彼女に突き付けたのが、他でもない自分であるなどと。
亡者は兜の奥で顔の皮膚を引き攣らせる。
もう少しだけ互いの体内にちらつく呪いの炎の揺らぐ様を見ていたかったが、そろそろお終いにしよう。
亡者は壊れた自我を揺さぶり、切れてしまった操り糸を手繰り寄せようともがいた。
自我による再びの統治を恐れるように、肉体はめちゃくちゃに暴れだす。
無意味な回避行動をとり急に距離を置いた亡者に、女は聊か戸惑いを見せた。
それでも大剣の柄を握る腕の力を弱めることはなく、革の手甲で顔を拭う。
噛み締めた唇の涎と、汗と、目尻を僅かに濡らす塩水の混じった液体が薄く糸を引いた。
ぬらりと光る粘液がほのかに赤いのは、血か、それとも呪いの光に照らされたためかは判らない。
再び亡者が美しい刃を振りかざす、不自然なまでに遠い軌道を描き金の光が淡くサーコートを照らす。
緩やかな滅びの歌が聞こえる、一歩早く動いていたのは女。
塔の描かれた金属の曲面が、刃を持つ手を弾き飛ばす。
亡者の体が大きく仰け反り、どす黒く汚れ傷付いた胸部が顕わになる。
それは既に反射だった、この呪われた世界にしがみ付く女にとってはそれこそが生きる術。
大剣としては細身の刃は厭にすんなりと亡者の胸を貫き、死して尚流れ続ける赤い飛沫に塗れた切先が、青い布を突き破って埃にまみれた空気に震える。
致命の一撃、読んで名のごとくそれは亡者の消えかけた命に届く一撃だった。
貫かれながらこれで漸く終われるのだと、亡者は安堵の息を吐く。
ずるりと引き抜かれる刃の異物感に僅かに肩が震える、壊れてしまった肉体は幸いさほど痛みはない。
力を失った肉体は膝を付く、肌を撫でるこの感覚は自ら命を絶ったあの時と同じだ。
このまま蹴り飛ばされ倒れたまま無様に消えていくのだろう、亡者の自分にはお似合いの末路だ。
干からびた顔の筋肉を引き攣らせるように辛うじて兜の奥で笑みを作る、しかし次に肉体に感じた衝撃は、想像していたものよりはるかに優しかった。
やっぱり、君は優しいな。
こんな状況であるのに、そんな風に思ってしまう辺りやはり自分もただの男なのだろう。
女の呼吸する小さな音がすぐ耳元で聞えるのは女の顔が直ぐ近くにあるからで、それは女が倒れた亡者の体を抱きしめているからで。
ぼんやりと流れ出る血が女の鎧を汚すのではないかと考える、貫かれた胸から液体が流れ出るどくどくと脈打つ感覚を、二人が密着しているせいか厭にはっきりと感じ取る。
他人事のように浮かぶなんて事のない思考は、ふと耳に感じた女の嗚咽と鼻を啜る音でかき消された。
もはや首を其方に向ける余力すらないが、女が泣いているのだということは小刻みに震える体が伝えてくれた。
ふと女の腰のポーチに視線を落とす、今更ながらどこかの森で見た記憶のある白い花が一輪顔を覗かせているのに気付いた。
月明かりの下淡く光る花を見ながら談笑したのはいつだったか。
ああ、そうか、漸く亡者は気が付いた。
女はこれを手向けに此処に戻って来たのか。
力なく垂れた腕が、女に預けた胸が、泥水に汚れた足が白い灰となって散っていく。
身勝手に使命を押し付け身勝手に死に、そして亡者となり命を奪おうとした男に、出逢ってほんの僅かに言葉を交わしただけの男のためにも、君は泣いてくれるんだな。
亡者は消えていく肉体をどうにか操ろうと足掻いた、その拍子に青い盾が左腕をすり抜けて落ちたが、女はそれに気付きはしない。
ごめんな、泣かせるつもりはなかったんだ。
亡者は、オスカーは、お陰で軽くなった左腕を精一杯の力で動かし、かつて女がそうしたように優しく背中を叩く。
ぎくりと女の背が跳ねた、彼女が抱きしめたまま振り返ろうとしたことは身じろぎと衣擦れの音でわかってしまった。
やれやれ、自分はつくづく騎士に向いてないなと消えていく思考の片隅でオスカーは苦笑する。
本当にこれでお終いだというのに、お互いが鎧を身に着けているので体温が感じられないのが少し残念だ、などと考えている自分が少し腹立たしい。
最後に一度だけ、強く女を抱きしめる、すり抜けるように力を込めた腕は灰となり、光の中に散っていった。
遠くで篝火の燃える音がする、寄りかかる重みはとうに消え失せたというのに、膝を付いたままの体は一向に動こうとしてはくれない。
じくじくと斬られた傷が痛み出した、散々埃を吸い込んだ咽の奥がひりついて思わず顔を伏せる。
名も知らぬ騎士の歩いた軌跡を、差し込む光に照らされた緑色の水が描いているのが目に入る。
それは騎士を看取ったあの場所から続いていて、めちゃくちゃな軌跡を描きながら女の足元で途切れていた。
ふと胸元に目をやる、流れ出た血を浴びたはずの板金は、照明の火に照らされてほんの僅かに赤っぽく光るだけで、いつもと変わらない銀色のくすんだ金属光沢に古傷を浮かび上がらせるだけだった。
強く歯を食いしばっても、腹の底から沸く感情ががたがたと下顎を揺さ振るので、言葉にならない嗚咽が涎とともに漏れてしまう。
力を無くした指先から、少し高い音をたててクレイモアが滑り落ちた。
襲いたくはないのだと、行ってくれと記憶の中で誰かが言う。
希望を持って死ねると小さく笑う。
ありがとうと、投げかける。
光の中に消えていく、赤と青と金と銀。
めまぐるしく脳内を走る電気信号の残渣に、隣で笑う誰かの姿が掻き消える。
再びの邂逅の後、残されたのはやはり女一人だけだった。
悲痛な慟哭が牢獄に消えていく、誰も語ることのない騎士の存在を、残された青い盾だけが世界に刻んでいた。
今回はとりあえずここまで。
ゲーム本編内の短い部分ですが、この後から没になった彼のストーリーに踏み込んでいきますので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。
下地のある作品で文章を書いたことはなかったので色々と拙いですが、読んでいただきありがとうございました。
乙です
乙です。とても良かったです!
続き、楽しみに待っています。
乙!物語性のある作品も凄く好きだ!
エスト渡す超重要人物に名乗らせないとか、フロムはオスカーにひどい事したよね
350 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/12(金) 21:55:46.58 ID:zqtJAwiZ
オスカーさんの話続きを投下させていただきます。
今回から没になった設定に踏み込んだ話になります。
相変わらず長いです、レスをかなり消費してしまいますがどうかお付き合いください。
遠くで鐘の鳴る音が聞こえる。
橙色の光を放つ篝火の傍、崩れた壁に凭れながらオスカーは仄暗い空を見上げる。
固く組まれた腕を人差し指でとんとんと叩く、小さな金属音は肌を撫でる冷たい空気に溶けていく。
黒い森の庭とはよく言ったもので、目覚ましの鐘のある古い教会からさほど離れていないにも関わらず、ここは太陽の光が差し込むことは無く、病的な青白い月が欝然とした森の梢を照らすばかりだ。
雲を撫でるように、鮮やかな緑の光が空を舞う。
ほう、とオスカーは溜息を吐く、あれが噂に聞く月光蝶かと遥か頭上の古い石造りの塔に留まる光に暫し見入る。
ゆったりと翅を休める神秘の生き物は、人工物でありながらこの不可思議な森に溶け込み、絵画の様に美しい。
舞い散る淡い光は苛立った心を幾分か鎮めてはくれたものの、結局は何の解決にもなりはせず。
「どうしたものか…。」
深い溜息を吐く、下げられた視線の先には燃える炎と同胞の骨、そしてそれを繋ぎとめるねじくれた剣。
何れは自分もこうなるのだろうかと頭の隅でちらりと考えて、胸の奥底から湧き出る不快な感情に思わず突き刺さった剣を引き抜き投げ捨ててしまいたいという衝動に駆られる。
「…っ、は…。」
思わず肩を跳ね上げ大きく息を吐く、破壊衝動は一先ず押さえつけられたが、酷く後味の悪い感情はいまだ腹の中でのた打ち回っている。
篝火は不死人の命だ、不用意に失う訳にはいかない。
だが、とオスカーは組んだままの腕に力を込める。
悪意に満ちたこの世界で、もう何度も死を味わい絶望に呑まれ、血まみれになりながら這いずって此処まで来た。
それでも死というものへの恐怖は決して消えず、寧ろ一層増していくばかりだ。
何時か、必ず自分は亡者となり人として死ぬこともできぬまま彷徨い続けることになる。
そうして、目に付く者全てに襲い掛かり喰らい付き、何れ動くこともできなくなり人知れず風化していくのだ。
兜の内側で固く瞼を閉ざす、これが夢であればよいのにと考えて、しかし自嘲の意味を以って唇をくっと吊り上げる。
早く終わればいいと何処かで思っている自分がいる、刃に貫かれ眠ったまま世界に幕が下りればいいのに、と。
だけどそれでは駄目なのだ、これが夢ならばきっと『彼女』も夢になってしまう。
悪意が恋人のように擦り寄ってくるこの世界では、出逢った人達が次に会う時には既に亡者であったり、問答無用で刃を向けてくることも珍しい事ではない。
そんな油断できない人間関係ばかりの世界では互いに無関心でいることが身を守る手段の一つではあったのだが、それでも『彼女』は今となっては多分出逢ったその時からだろう、自分からずかずかと此方の領域に踏み込んで来て、当たり前のように言葉を交わし、そして笑うのだ。
この悲劇だらけの世界で得た初めて心を許せる友人を、夢だなどと思いたくはない。
小さく溜息をもう一度、暗い場所にいるせいか自然と思考も闇に引っ張られてしまう。
サーコートの刺繍が赤い光に照らされて瞬く、伝承に有る日緋色金とはこの様な色彩なのだろうか。
瞳の奥がちりちりと疼く、呪いの証が蠢く感覚に、オスカーは再度人差し指で組んだままの腕をこつこつと叩いた。
銀の鎧は月明かりと篝火の間で玉虫色に光る、曲面をなぞる淡い緑の光沢は空を舞う燐粉の色に似ている。
できれば何かに縋り付きたかった、何時だって思考の隅から消えない恐怖を、誰かに預けてしまいたかった。
それでも独りで歩かなければならない、伸ばされた手に縋り付く事はきっと許されない。
何故なら、とオスカーは顔を伏せる、自分は既に自らの使命を故も知らない他人に押し付けてしまっている。
当の本人は寧ろ目的ができたと張切ってはいたが、それでも使命が与えた苦痛はどれほど彼女を蝕んだだろうか。
きつく唇を噛み締める、蒼白い月に嘲笑われているようで、オスカーはそっと寒い色の空から目を逸らした。
自然と肩が小刻みに震える、篝火は目の前で燃えているというのに此処は酷く寒い。
オスカーは歯を食いしばる、自然と眉間に力が入りこめかみの辺りが少し攣った。
「…?」
不意に聞こえてくる草木の擦れる音に、オスカーは伏せていた顔を上げる。
小さな金属音が革のポーチのずれる音と混じって橙色の光に溶ける。
かさかさという音はこの森に潜む人の形をした木の魔物の足音だろうか。
肌を撫でる空気が僅かに震えている。
聴覚だけをそちらに向け、オスカーは凭れた壁に体重をかける。
木の魔物が近くを歩き回るのは別段珍しいことではない、篝火から離れる理由もなければ襲われたところで大した脅威でもない。
じっと耳を澄ませ、音の聞こえる方角を突き止めようと集中する、しかし乾いた音はすぐに遠ざかり、篝火の爆ぜる音が小さく響くのみとなる。
行ったか、と小さく息を吐く、気晴らしにもう一度美しい生き物に目を向けようとして、今度は違う音が近づいてくるのに気付いた。
「オスカー!」
不意にかけられた声に思わず肩が跳ねる、愛剣を収めた鞘がかちゃりと控えめな音を立てた。
まさかこんな場所で声を掛けられようとは、声の主に心当たりの有るオスカーは小さく息を吐き、首だけをそちらに向ける。
「これは、何時ぶりだろうな…。」
君が無事でよかった、そう言葉を発そうとして、思わずオスカーは一度視線を戻した上で身を捩って声の主を凝視する。
ああ、予想外の事態に遭遇した場合本当に人は思わず二度身してしまうものなのだな、などと考えてしまった。
「…えぇと、暫く見ない間にその、随分大胆なイメチェン?をしたんだな。」
あまり女性をまじまじと見つめるのは良くない事だとわかってはいるが、こればかりは許されるだろう。
どういうわけかあるはずのないロックオンカーソルが見える気がする。
兜の下で思いっきり顔が引き攣るのを感じて、オスカーは付き合いの長い重い相方に感謝した。
声を掛けてきたのは、今し方考えていたオスカーの友人その人だった。
それは予想の範囲内であった、自衛の為に不用意に他人と接触するのを避けていたオスカーの名前を知っている人物はそうはいない、ましてやこんな場所にやってきて声を掛ける人など彼女以外に考えられない。
問題は、いつもの騎士装備ではなく今彼女の身に着けている防具が、非常に厭な経験を思い出させる代物だということだ。
「ハベルの装備か、うん、似合うと思うよ君は筋力が必要な武器を好んでいるようだし強靭は必要だからな。」
思わず早口で喋ってしまう、篝火の光に照らされて佇む岩のようなハベルの鎧を纏った彼女の姿は妙に威圧感があった。
此処に来る前に通った不死街の塔で盾ごと磨り潰されそうになったのを思い出す、後ろが壁でなければロックオンしたまま後ずさりしていたことだろう。
オスカーの心情に気付いたかは判らないが、女は盛大に溜息を吐く、不機嫌そうな声が重い兜の隙間から聞こえてくる。
「別に、今亡者だから着てるだけよ。」
クレイモアを担いだまま女は篝火の傍までゆっくりと歩み寄る、灰色の装甲が擦れてざりざりと音をたてている。
湿った土を窪ませながらどすどすと重い足音が響く、岩でできた鎧は恐らく彼女自身よりも重いだろう。
「亡者だから?そんなに気にすることなのか?」
腕を組んだ姿勢を崩さず篝火の傍に座る女に視線を向け、オスカーは首を傾げた。
呪われたロードランでは亡者の姿は日常的に目にするもので、殆どが理性を失くしているとはいえ幾人かは人の心のまま留まっている。
それどころか明らかに生身であっても襲い掛かってくる者もいるわけで、もはや姿が亡者だとか生者だとか考えるだけ無駄な気がして仕方がないと思うのだが。
寧ろ女性が堂々と胡坐をかいて座ることを気にした方がいいだろう、オスカーは頭の中で呟いた。
女は首を少し曲げてオスカーを見たが何かを言うでもなく不機嫌そうに深い溜息を吐くばかりで、どう話を切り出せばいいのか多少の居心地の悪さに小さく身じろぎをする。
背中に当たるごつごつとした石の感触は正直心地良いとは言えない。
女の隣に座って話を続けたいところだが、あからさまに不機嫌な様子では近づくのは躊躇われた。
今日は随分と虫の居所が悪いらしい。
如何ともし難い状況に眉間のしわを深くしていると、不意に女が口を開いた。
「この顔を笑う奴がいるの、貴方と違ってね。」
ふう、と聞こえるように息を吐く女の言葉は吐き捨てるように篝火の向こうに投げられた。
赤みを帯びた黄色い光が、ごつごつとした装甲の表面の細かな凹凸をはっきりと浮かび上がらせている。
「諦めて座り込んでるだけの奴や、いるかもわかんない女神に縋ってるだけの小悪党に言われたってどうってことないんだけどさ。」
不貞腐れたように呟く女に、はあ、とオスカーは気のない返事をする。
女はうんざりしたと言わんばかりに大きな手甲を着けた右手をひらひらと振る、無骨な岩肌に巻きつけられた金具が光を反射するので、オスカーの鎧もリズムに合わせてちかちかと瞬いた。
「下手に生身に戻ると色々面倒だから、戻らない間はこれを着てるのよ、本来なら亡者の方が気楽でいいんだけど。」
あんな奴らに笑われるのは癪なの、不機嫌そうにそう言う女に苦笑する。
火継ぎの祭祀場の篝火で幾度か彼女と会話したことがあるが、彼女が立ち去った後、背後に腰掛けていた鎖を編んだ鎧の退廃的な雰囲気の男に小声で爆発しろという物騒な言葉を投げかけられたのを思い出した。
特に彼と言葉を交わしたわけでもないので、何故そんな言葉をかけられたのかは未だに判らないが。
「まあ、私の場合は初めて会った時君は亡者の姿だったからというのがあるからな。」
組んでいた腕を解きひらひらと振り返す、訝しげに女は首をかしげてそれを見つめた。
大きな兜の隙間から、真っ直ぐな視線がブルーのサーコートを射抜いている。
「ん?どうした?」
女が余りに自分を見つめるので、オスカーは何か失言でもしたかと心の奥で冷や汗をかく。
首周りに僅かに残るこげ茶色の外套の切れ端を留めている鎖がちゃりちゃりと控えめな音をたてるのが、ひんやりとした森の中に厭に響く。
女は少しの間兜の奥からオスカーを見つめていたが、やがて視線を篝火に戻し大きく息を吐いた。
落胆とも呆れとも取れる女の様子にオスカーは密かに首を傾げた、兜越しでお互いの表情は見えないまま沈黙が流れていく。
「別になんでもない。」
少し拗ねた様な声で女は呟くと燃える篝火に手を翳す、黒い精が篝火に吸い込まれ、女の体が淡く光る。
生身を取り戻した女の鎧が僅かに膨らむ、岩のような鎧は体を自然と大きく見せるが、それでもオスカーは華奢な体だと感じた。
軽々とツヴァイヘンダーやクレイモアを片手で振り回す女は、決してひ弱ではないことは理解しているのだが。
女は三度火に黒い精を注ぎ込む、人間性を取り込む度屍の上で踊る炎は勢いを増していく。
注ぎ火の秘儀を手に入れたのか、とオスカーは内心関心した、白教の連中が躍起になって探しているものであるということは聞いていたが、体よく不死となった厄介者を追い払う口実程度にしか思ってはいなかった。
燃え盛る炎を見つめていると女がゆっくりと此方を向く、どうかしたのかと問う前に気まずそうに女が口を開いた。
「着替えるから、あっち向いてて。」
女は木箱からいつも着ている騎士の鎧を取り出していた、オスカーはああ、と小さく返事する。
生身に戻ったのなら姿を隠す必要もない、彼女とて若い女性なのだ、男が傍にいては確かに着替えにくいだろう。
「それじゃあ、私は壁の向こうに行こう。」
此処は席を外すのが妥当だろうと凭れていた背を離し立ち退こうとするオスカーに、女は小さく首を傾げた。
「別にそこまでしなくていいわよ、あっち向いててくれれば。」
先にいたのは貴方だし、女は小さく付け足すと灰色の兜を脱ぎ足元に置く、ごとりと重い音をたてて転がるそれは空洞になって尚不思議な威圧感を放っている。
問答無用で着替えだす女にオスカーはやれやれと溜息を付き、少しだけ位置をずらして女に背を向けると視線を月光蝶に向けた。
随分信用されたものだと苦笑する、見つめる暗い空の片隅で、じっと石造りの塔に翅を休める姿は相変わらず美しい。
火の爆ぜる音と衣擦れと金属の震える音が黒い森に小さく響く。
篝火の光を鎧が跳ね返すので、空を切取る石の壁は灰と赤に斑に染まっている。
幻想的な風景の中で、隣にいる誰かの生活音が酷く心地いい。
衣擦れの音が不意に止んだ、しかしオスカーは巨大な蝶から視線を外しはしない。
迂闊に振り向いてクレイモアの錆びになるのは勘弁願いたい、故に女の許しを辛抱強く待たねばならなかったが、目の前の風景があまりに美しいので然程苦痛でもないのは幸いだった。
「もういいわよ。」
漸く掛けられた声にん、と小さく音を発してオスカーは身じろぎをする、鞘とポーチがぶつかって控えめに擦れた音をたてた。
振り返ればいつも通り下級の騎士の鎧を着けた女の姿があった、いつもと違って少々不機嫌な顔をしていたが。
「やっぱり君はそれを着ている時が一番君らしいな。」
少々安堵の色を込めてオスカーは肩を揺らしくつくつと笑う、それが気に食わないのか女は少し頬を膨らませた。
「どういう意味?」
苛立ったように女は腰に手を当て、兜越しに瞳を覗こうとでもするようにオスカーの顔を覗き込む。
勇ましい彼女の時折見せる子供っぽい仕種は正直とても好ましかった。
サーコートのない彼女の鎧は強く光を反射するので、篝火を背負う女の姿はほんの少し眩しく見える。
質問に答えずただ小さく笑うばかりのオスカーにうんざりしたように女は唇を尖らせ、視線を逸らして小さく呟く。
「まぁ、あたしだってオスカーが違う格好してたら誰だかわかんなくなるだろうけどさ。」
「おい。」
呟かれた内容に聊か脱力すると同時に篝火が爆ぜる、動作は小さくとも身じろぎに伴う金属音は妙に大きく感じた。
徐に女はぱたぱたと体についた灰や土を払いながらポーチの位置を直しオスカーの傍に歩み寄る。
「で、さっきから何を見てるの?」
再び壁に背を預け腕を組むオスカーの顔を、少しだけ背が低いために見上げるように見つめる女にオスカーはん?と鼻を鳴らす。
少し幼い顔の不思議そうな瞳は真っ直ぐに此方を見つめている、その奥にちらちらと呪いの炎が揺らぐのを見て、再び疼く瞳を細くする。
「オスカー、さっきからずっと同じ方ばっかり見てる。此処に来た時も着替えてる時もずっと。」
そう言って女はぽんぽんとオスカーの胸を左手の甲で叩く、埃を舞い上げながらサーコートがたるむぱすぱすという軽い音が板金の上で踊る。
女はよくこうして自分の体に触れてくる、故郷ではこういうタイプの女性にあったことがないので最初はとまどったが、もうすっかり慣れてしまった。
「なんだ、見てたのか。」
何を観察しているのだか、と肩を竦めたオスカーに女は再度不機嫌そうに眉を顰めた。
「当たり前でしょ、着替えてるのに。こっち向いたら崖に突き落としてやろうと思ってたもの。」
さらりと物騒な事を言い放つ女にオスカーは苦笑する、御誂え向きの崖は確かに彼女の背後に広がっている。
声が掛かるのを待っていたのは正解だった、情けないが腕力ではおそらく彼女の方が上だろう。
「だから向こうに行くって言ったじゃないか…。」
溜息とともに呟けばうるさいと強く腕を叩かれた、鎧越しなので痛みはないが衝撃で組んでいた腕が解けそうになる。
さっきから何がしたいのか理解に苦しむが、とりあえず不快ではないので好きにさせようとオスカーは何やら喚いている女から視線を逸らす。
先ほどまでの鬱々とした感情はお陰で吹き飛んでしまっていた。
「それで話を戻すけど。」
少しして落ち着きを取り戻したらしい女は、再度オスカーに問いかける。
「そんなにじっと何を見てたの?」
こんなとこ何もないじゃない、首を傾げる女にオスカーは小さく笑った、そうして組んだままの腕の人差し指だけをぴんと立てて、暗い空の向こうに見える建物を指差してやる。
「月光蝶だよ、考え事をしていたら目に入った。」
相変わらず鮮やかな緑色の光はそこにあった、しかし女は同じ方向を見て、うーんと小さく唸りながら眉を顰める。
廂のように手を額に当てる仕草がほんの少し可愛いので、オスカーは聞こえないように小さく笑った。
「うーん、だめ、こっからじゃ建物と木が邪魔で見えない。」
女はむすっと小さく頬を膨らませた、少しずれた立ち位置が、もしくはほんの少し低い身長が、二人の見える景色を違えたのだろうか。
「ああ、そこじゃ見えないかもしれないな、ほら。」
もう少しこっちに来るといい、そう言って手を差し伸べる、しかし女はゆったりと伸ばされたそれを取ろうとはせず、鋭い視線で訝しげに見つめた。
「何?」
「ああ、足元に石が散らばってるから蹴躓きそうだと思ったんだが。」
言われて女は足元を見る、ここは元々壁に隠れた篝火で周囲には古い石造りの建物の名残が見受けられたが、大き目の煉瓦程の石のブロックが確かにごろごろと無造作に転がっている。
緑がかった灰色のそれらはかつて此処にあった王国の衰退する様を見届けたのだろうか、風化した表面はざらざらとして膝を擦れば布越しであろうとたちまち傷が付いてしまいそうだ。
しかし女は一層ぶすくれた顔になり、差し出された腕をぱちんと払う。
「いいわよ別に、子供じゃないんだし!」
そうしてそっぽを向いてしまうので、瞬き一つ分呆けてから、オスカーは弾かれた腕を顎に添えてさも可笑しそうにくつくつと笑った。
小刻みに揺れる体に合わせて肩当の表面を赤い光が這い回る。
子ども扱いしたつもりではないのだが、子供じゃないと言っておきながら女の言動はまさに子供のそれなので、オスカー自身は微笑ましいと感じていたのだが、当の本人にはどうやらそれが面白くないようだった。
「何よ、馬鹿っ!」
ぷくりと頬を膨らませる女に、とうとう声を上げてオスカーは笑い出す。
女は思い切り眉間に皺を寄せると、オスカーの肩をばしばしと音をたてて叩いた。
「わかったわかった。」
悪かったよ、オスカーは笑いながら女の頭を兜の上からぽんぽんと叩いた、今度はしっかりと確信しての行動だった、それがわかったのかみるみる女の顔が赤くなる。
ぷるぷると小刻みに震える小さな肩が篝火に照らされ鎖帷子をちゃらちゃら鳴らす。
「もういいっ!あたしもう行くから!」
辺りに響く大声をあげ女はオスカーの手を払うと、背中を向けて乱暴に荷物を詰め込み始める、力任せに重い鎧を詰め込まれた貪欲者の烙印がきいきいと錆びた蝶番を軋ませ悲鳴を上げたが、不機嫌な彼女の鬱憤を乱暴に閉められた蓋の音でオスカーに突きつけるよりなかった。
「なんだ、もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
小さく首を傾げてオスカーは呟くが、女はフン、と鼻を鳴らしてそれに答えた。
引っ張り出した道具を乱暴にポーチにねじこみ上からバンバン叩く、小物が溢れそうな茶色いポーチはぱんぱんに膨れてちゃんと閉まっていない。
「誰かさんの頼みごとであたしは忙しいの、じゃあね!」
さっさと荷物を纏めると、女は足早に立ち去ろうとする、しかし疎かになった足元を古い時代から其処にあった文明の名残の小さな欠片がまるで引き止めるように掬い上げたので、小さな悲鳴とともに女の体はバランスを崩しあろうことか崖の方へと傾いた。
しまった、女は思わず目を固く閉じる。
不注意による落下はよくあることだが、今回ばかりはさすがに自分でも呆れるしかない。
急いで詰めたせいできちんと閉じられていなかったポーチから、道具がばらばらと足元にこぼれた。
修理に使う金色の粉が風に舞い、きらきらと薄い帯を冷たい空気に描く。
少しだけ強い風が肌を撫でた、ふわりと体が浮く感覚に鳥肌がたつ。
篝火に戻った後なんと言われるやら、そんなことを考えながら女は落下の衝撃に備えた。
不意に金属と何かがぶつかる音が衣擦れの乾いた音に混じって近づいてくる。
瞼を開きそれが何を示すのかを確かめる前に強く右腕を掴まれ、全身が引き寄せられるのを感じた。
直後全身に軽い衝撃、そして若干の圧迫感と思わず掴んでしまった布の感触。
ほんの数秒女は目を開くことができなかった、困ったように笑う声が耳の直ぐ傍で聞こえる。
「だから言ったじゃないか。」
鎧越しだというのに背中に回された腕が熱く感じるのは何故だろう、ぼんやりと纏まらない思考で女は考える。
うまく状況を判断できない、否、したくない。
だが耳元で聞こえる小さな呼吸音が、掴まれたままの右腕が、嫌というほど自分の今の状況を訴え続けている。
崖に落ちそうになった自分をオスカーが咄嗟に掴んでくれたのだが、勢いに任せて引っ張ったために抱き寄せることになり、そのまま体勢を整えて崖から引き離すために、結果として抱き締めるかたちになってしまったのだと。
「全く、君は相変わらず危なっかしいな。」
間に合ってよかった、抱きしめたままオスカーが笑う。
女は黙りこくったまま指に力を入れる、掴んだ布はオスカーの色褪せた今も鮮やかな青のサーコートだった。
強く掴んでしまったので、緩やかに弛みを作っていたそれは背中の部分に集められ、くしゃくしゃと皺が寄っている。
先ほどとは違う震えが女を襲った、密着する体はそれを確実に相手にも伝えてしまうだろう。
不可抗力で顔を埋めることになってしまったオスカーの胸は汗と埃と篝火の灰の匂いがした、僅かに血の匂いも混じっていたが不思議と不快に思わなかった。
寧ろ酷く安堵している自分が居る、落下せずにすんだという理由ではなく、直ぐ傍にそれを感じることに。
動物の本能的な理由から、命がけで戦う男は女を惹きつける匂いがするという話を、女はぼんやりと思い出した。
「大丈夫か?」
黙ったまま震えている女にオスカーが問いかける、自分に縋りつくほど怖かったのだろうか。
硬直したまま反応のない女の背を優しく叩いてやる、不意に俯いていた女の視線がオスカーのそれとぶつかった。
何か喋るのかと思ったが、女は此方を見つめたまま気まずそうに唇を噛む。
どうした、そう問いかけようとした瞬間、女はオスカーを力任せに突き飛ばした。
緩んだ腕から逃れるように女は後ろへ飛び退く、足元の石はそれを邪魔したりはしなかった。
突然の出来事にオスカーが崩れた体勢を整えようとしている間に、黙ったまま女は駆け出した。
板金の鎧は浅い溝に沿って赤い光をニ、三度ちらつかせると、暗い森の扉の奥へと消えていく。
「あ、おいそっちは…!」
女の向かった先に気付いたオスカーは制止しようと声を掛けたが、走る女の足は止まらない。
追いかけようと一歩踏み出したその時扉に白い霧が現れ封をしたので、外と内とで二人のいる空間が切り離されてしまった。
兜の奥でオスカーは舌打ちをする、かちゃかちゃという足音は霧の向こうへ遠ざかってしまった。
迂闊だった、此処の危険さは十分承知していたというのに。
指の形に皺の寄ったサーコートを整えようともせず、オスカーは黒い森の入口で立ち尽くしていた。
女は黒い森をひたすら走った、妙に早い鼓動で胸が苦しい。
小さな水溜りを蹴り、苔むした倒木を飛び越え、突き出た岩を踏みつけ走る、口を開けば大声で叫んでしまいそうだった。
木の魔物が飛び出して来たが無視をして通り過ぎる、崖っぷちまでたどり着いたところで漸く息が切れて立ち止まる。
荒い呼吸を繰り返し、額の汗を手甲で拭う、吹き付ける風は冷たいが妙に熱い頬はきっと真っ赤だろう。
木に背を預けずるずると擦りながらへたり込む、空になったポーチが地面にぶつかりかさりと小さな音をたてた。
「あ、あはは…、何やってんだろ…。」
思わず零した言葉は酷く震えていた、抱きしめられた感触はまだ残っている。
正直、こんなふうに抱きしめられる日が来るとは期待していなかった。
悔しいが、オスカーは自分の事を異性として意識してくれていないのは承知していた。
友人だと思ってくれているのはとても嬉しかったし、気の置けない関係でいられるのはとても心地良かった。
オスカー自身は使命を押し付けたと後悔しているようだったが、きっと彼は気付いていない。
捕らえられ、何をするでもなく摩耗していく心を抱えて朽ちていく自分の元に現れた騎士の姿は幻のようで、しかしどれほど長い間暗い絶望に沈んでいたかも判らない魂を照らしてくれたのか。
その後傷付き瀕死になった彼に、生きて欲しいと必死で励ましたことが懐かしい。
火継ぎの祭祀場で元気な彼と再会した時は心底ほっとした、まさかその後行方を晦ませるとは思ってもみなかったが。
震える肩を抱きしめる、呼吸は少しずつ治まってきている。
深く溜息を吐いた、担いでいる木箱に視線を落とす。
此処に彼が向かったと、とある鍛冶屋から聞いた。
通り道で顔のないデーモンが邪魔をするので、以前たまたま購入した鍵で開いた見張り塔の扉から此処まで回り道する羽目になったのだが、迷いながら彷徨った森の中で見つけたものがそこにある。
埋めた顔の直ぐ前に煌く金の刺繍を思い出す、彼の匂いを思い出してまた少しだけ頬が熱くなった。
石の兵士と木の魔物に囲まれた誰かの亡骸、淡く光る花に照らされる見慣れた服装に背筋が凍った、もしかしたら、と。
黒い染みの浮いた、切り裂かれぼろぼろになった青いサーコートと、女の物と同じ形だが、しっかりとバイザーの降ろされた少しだけ重い兜を目にして、膝から力が抜けた。
最悪の想像が頭を過ぎり、同時にこれは彼と決まったわけではないという声が胸の内を這い回った。
もしかしたら、また自分は取り返しのつかないことをしたのではないのか、とぐるぐる脳内を巡る思考に吐き気を催した。
呆然とした頭で無意識にそれをかき集め、覚束ない思考と足取りでふらふらと暗い森を彷徨った先で見慣れた背中を見つけたときは心底安堵したものだ。
真っ先に駆け寄って話をしたかったが、同時に複雑な感情が胸の中を這い回ってもいた、どんな顔をして会えばいいのだろう。
亡者であると理由を付けてハベルに着替えてから声をかけたのは正解だった、久しぶりに聞く低く穏やかな声は抱えていた不安を拭い去ってくれたので、それ以外の理由に気付かれることのないまま元に戻ることができた。
もちろん亡者の顔を彼に見られたくないのも事実だった、気にしないと言ってくれたのは嬉しいがこれでも自分は女なのだ、最初に亡者の顔を見られていたのを忘れていたのは正直自分でも痛かったが。
むしろハベルの鎧にドン引きしていたのは意外だった、理由は大体想像がつくとはいえ。
普段落ち着いた物腰のオスカーが珍しく動揺する姿を思い出し、ほんの少し唇の端を吊り上げる。
こっちの気持ちも知らないでのんびり篝火にあたっていたり、恐らく無自覚なのだろうが躊躇いもなく伸ばされる優しい腕にほんの少し苛立ってしまった。
篝火の傍に隣り合って座るその距離で、自然と近づく肩を意識している自分に気付いたのは何時だったか。
気付いて欲しくて此方が距離を詰めても彼は一向に動じないのに、自分はほんの少し彼に近づかれるだけで心臓が口から飛び出しそうになるのが少し悔しい。
きっと、着替える時に立ち去ろうとしたのをさりげなく引き止めたことすら気付いていないだろう、見つけた鎧の主が彼でないことはわかっていたが、それでも彼の姿が見えなくなることが不安で仕方がなかった。
彼が覗き見をするような人でないことは判っていたので着替えそのものに不安はなかった、だから着替えが終わってもほんの少しだけ篝火に照らされる彼の背中を見つめていられた。
何気なく位置を変えた少しだけ広く見える背中が、吹き込んでくる冷たい風を遮ってくれていたのは女も気がついていた。
彼は優しい、女は溜息を吐く。
あくまで友人として彼は手を差し延べてくれているのであって、決してそれ以上の感情を持っているわけではない。
でももしかしたら、などと淡く期待してしまう自分に呆れてしまった。
肩を抱いたままの腕に力をこめる、偶然とはいえ抱きしめられた時のすっぽりと腕に収まる感覚が記憶に酷く甘かったので、頭に血が昇りそうだったとはいえ彼を突き飛ばしてしまったことを今更残念に思ってしまう。
助けられたというのに礼の一言も言ってない事を思い出す、後で謝りに行かなければ。
とりあえず逃げるように此処まで来た以上は先に進もう、女はゆっくりと立ち上がり体の土を払い落とす。
空っぽのポーチに気が付いたが、幸いエスト瓶は手元にあるので一先ず回収は後回しにすることに決めた。
クレイモアを担ぎ上げ歩き出す、月の光が刃に踊り足並みに合わせてゆらゆら揺れる。
かさかさと女を見つけたらしい木の魔物たちが乾いた音をたてて集まるが、力いっぱい振るわれた長い刀身にニ、三体が纏めて薙ぎ払われ、葉を撒き散らしながら吹っ飛んだ。
残りも薙ぎ払おうと女は距離をとる、助走をつけて勢い良く大剣を振るおうとしたその時、世界の交わる音が女の耳を振るわせた。
「え、嘘でしょ!?」
魔物を切り捨てながら女は辺りを見回した、欝蒼とした森は視界が悪く何処に何が潜んでいるのか見当がつかない。
そうだ今の自分は生身だった、他の世界から侵入してくる連中を警戒しておくべきだったというのに迂闊すぎた。
女は舌打ちした、今此処でやられるのは非常にまずい、まずすぎる。
まだ心の準備ができていないというのに、恐らくオスカーがまだ居るだろう篝火に戻されてしまうのは勘弁願いたい。
女はとりあえず森の奥まで逃げようと駆け出した、しかしそんな願いを侵入して来る連中が知るよしもなく。
石造りの建物に逃げ込もうとした瞬間、眩しい光が一瞬森を照らしたかと思うと、強烈な青い光が女の背中を直撃した。
「きゃあぁぁぁっ!」
ソウルの結晶槍、単発式の魔術の中でもっとも強力な一撃が女を射抜いたのだ、一瞬で女の体力は奪われ肉体が灰となって散っていく。
遠くに丁寧に腰を折り一礼をする青い霊体の姿があった、以前助けた姫君と同じ冠をしているのだけが辛うじて見える。
後で覚えてろ、篝火に引き戻されるのを感じながら、女は復讐霊の名前を告罪符に刻み付けた。
今回は此処まで。
ぐだぐだ長くなってしまって申し訳ない。
少しでもオスカーさんが好きになってもらえたらと思ってつい力を入れすぎた結果、色々おかしな方向に行ってますがもうしばらくお付き合いいただけると幸いです。
>>347,348,349
ありがとうございます、全くエロくない上長くなって申し訳ない。
オスカーさんが不死院で死ぬバグと戦いつつがんばります。
竜学院に通うお金が無いビアトリスを援助と騙してハメてしまうのはどうでしょう?
乙カー!
動画でオスカー台詞ボイス聞いてたら「ダイスーン」とか言っててワロタ
全裸待機にいい季節になってきたな!
そういや、変態紳士or淑女のネタないな。
いや、だってあいつら既にあれで完結してるし……
365 :
名無しさん@ピンキー:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN ID:zL5MdYn1
お久しぶりです。
オスカーと女主の話続き投下させていただきます。
ぜ、前回から3ヶ月も経ってるのか・・・。
こんだけかかってるのにほとんど進展してないとかほんとごめんなさい。
あとえろくは一行になりません。
没になったオスカーさんのイベント関連の話になります。
「お帰り、早かったな。」
不死の灰が再び肉体を構築する感覚に震える耳に、困惑したような声が響く。
篝火は変わらず燃えているが、背筋を撫でる空気は酷く冷たい。
女はばつが悪そうに唇を固く結んだ、先ほど思わず突き飛ばしてしまった騎士は先ほどと同じように壁に背を預けている。
彼の兜はフルフェイスなので表情を窺い知ることはできないが、恐らく呆れていることだろう。
酷く気まずい空気に女は溜息を吐く、見えないとはいえオスカーの顔に視線を向けることができない。
もしかしたら、助けてくれたというのに突き飛ばしてしまったことで怒らせてしまったかもしれない。
遠くでかさかさと木の枝の擦れる音がする、木の魔物がうろついているのだろうか。
無言が酷く耳に痛いので、女は小さく息を吸い込み口を開こうとした。
「あのさ」
「悪かったよ。」
吐き出す言葉を遮るように、穏やかな低い声が空気を震わせる。
女はようやく顔を上げる、自らが紡ごうとした言葉を男が呟いたことに眼孔の奥に落ち込んだ瞳孔をほんの僅かに広げながら。
「悪かったって、何。」
オスカーは変わらず壁に寄りかかっていたが、困ったように右の拳でこつこつとこめかみの辺りを叩いていた。
女は首を傾げる、彼に謝られるようなことをされた記憶は無かった筈だが。
迂闊に飛び出す原因となった子供扱いに近い触れ合いは、それでもこの冷たい世界の中酷く暖かいものだから。
「いや、不可抗力とはいえ女性を不用意に抱きしめるべきじゃなかったと思ってな。」
ばつが悪そうにオスカーは呟く、溜息が混じった声は抑揚が抑えられていた。
予想外の言葉に女は目を丸くした、僅かな動きにも干からびた皮膚が強く引っ張られるのを、目の前の騎士は感じただろうか。
少なくとも彼がああしなければ自分は谷底に落ちていただろう、まして助けられた側が乱暴に突き放してしまったというのに、どうして彼が謝るのだ。
気にしてない、そう言おうとした刹那、騎士は再び口を開く。
「お陰で随分君を驚かせてしまったみたいだ、すまなかった。」
胸に手を当て頭を下げる、騎士がする作法的な礼に女はほんの少し眉を顰めた。
腰の小刀が鎖帷子に擦れて小さく音を立てる。
これまでの行動から見ても恐らく育ちが良いのだろう彼はそれが当然なのだろうが、恭しすぎて何処か他人行儀に見える対応がほんの少し女の心を引っ掻いた。
オスカーがあまり他人と接触しようとしていないのは、この地にいる他の不死達から彼の話題がほとんど出てこない事で察していた。
篝火の爆ぜる音が妙に耳に響く。
こうして会話をしていることを考えれば人付き合いが苦手というわけではなさそうだ、だとすれば恐らくは不用意な接触によるトラブルを回避するための選択なのだろう。
それはある意味正しい選択だと女は感じた、散々ろくでもない連中に酷い目に遭わされた身としては。
関わり合いにならなければ、奴らがどうなろうと知らぬ存ぜぬで過ごしてしまえるのだから。
だから、こうしてオスカーが自分と友人のように言葉を交わしてくれるのが、特別だと思えて嬉しかった。
彼が、自分を信用してくれているのだと。
367 :
名無しさん@ピンキー:2013/07/07(日) NY:AN:NY.AN ID:zL5MdYn1
だが、オスカーの無意識であれど聊か他人行儀な仕草は、ほんの少し浮ついた女の心にちくりと針を刺した。
邪険にされることはないが、一方で本当に心を許してくれているわけではないのだと。
そして、それは正しいことだと判ってしまえることが余計に心を引っ掻いた。
目の前の金の刺繍が篝火の光を反射するのが妙に目に痛いので、女はほんの少し俯いた。
「まだ、怒ってるのか?」
「へ?」
不意に聞こえた不安げな声に、女は弾かれたように顔を上げる。
相変わらずオスカーは腕を組んだまま此方を見ていたが、兜越しでも戸惑っているのだということはなんとなく感じた。
「いや、その、君が随分険しい顔のまま黙り込むものだから。」
とんとん、とオスカーは恐らく眉間だろう場所を兜越しに指で叩いて見せる、ここに皺が寄っているぞと言わんばかりに。
女は慌てて眉間を人差し指でぐりぐりと解した、確かにずっと不要な力を掛けていたような気がする。
それを見て小さくオスカーがふふ、と笑ったのは気付かないふりをした。
「別に怒ってないわよ、びっくりはしたけど。」
眉間を揉みながら小さく答える、あまり強く揉むとむーやらうーといった奇妙な唸り声が出てしまう。
「あの時はああするしかなかっただろうし、こっちこそごめん。」
頭打たなかった?揉むのをやめて女は問いかける。
強く拘束されていたのではないとはいえ、筋力を重点的に育てている女は鎧を着た、それもそれなりに鍛えているだろう成人男性を軽々と突き飛ばしたのだ。
状況が状況であるので手加減できたとは言えず、スモウハンマーを片手で振り回せる程度の力で思い切り突き飛ばされた彼が、そこらの瓦礫で身体を打つ可能性があったことに今になって漸く気付いた。
「ああ、大丈夫だ。」
むしろ突き飛ばされた胸の方が重傷かな、オスカーは笑う、冗談めかしてサーコートを叩きながら。
「もう!」
女は思わず吹き出し、聊か脱力しながらオスカーの肩を叩く。
笑いながら痛い痛い、とわざとらしく身を竦めるオスカーに、信用云々という考えはいつの間にか吹き飛んでいた。
こうしてふざけあえることこそが自分にとって重要なのであって、細かい理屈は考えるだけ無駄だ。
オスカーが一緒に居る、それだけでいいのだ。
信用するか否など、結局他者がなんと言おうが本人以外にどうしようもないことで、ならば今はこうしてふざけあえることを楽しんでおく方がいいだろう。
思いのほか笑いが止まらないので、女は肩を揺すりながらオスカーの胸にしがみ付くように身を寄せる、オスカーはそれに少し驚いたようだが、同じように笑いながら女の背中を優しく叩いた。
少しして漸く笑いの治まった女は、ぽんぽんとオスカーの背を軽く叩いて合図をすると一歩後ずさる様に彼から離れる。
肌を撫でる風は相変わらず冷たい。
篝火の赤と月の青が銀の甲冑の表面を撫でる、束の間の沈黙の中、目の前の騎士は厭に神秘的に見えた。
「君もアルトリウスの墓を探しに来たんだろう。」
不意にオスカーは口を開く、紡がれた言葉に一拍遅れて女は頷いた。
「ならもう分かっていると思うが、此処は凶悪な盗賊団の縄張りだ、連中は墓を求める侵入者に容赦しない。」
そう言ってオスカーは封じられていた門の方を見る、先ほどはうまく振り切ったようだが此処からでも数人の姿は薄ぼんやりと確認できた。
木々と闇に溶け込むように特殊な指輪を付けた者たちも恐らく近くにいるのだろう。
「それにどういう訳かやけに強力な青い霊体が引切り無しにやって来る、まあそれは今の君なら多分大丈夫だろう。」
オスカーはそう呟きながらちらりと女の方を見たので、漸く女は今自分が亡者であることを思い出した。
「あ…。」
しまった、といわんばかりにうろたえてから女は慌ててバイザーを降ろそうとする。
わたわたと兜のベルトを緩めようとするが、慌てているため上手くいかずがちゃがちゃと金属音が辺りに響く。
狭くなった視野は、近づくオスカーに気付けない。
「こら。」
漸く金具に指が触れた其の時、不意に伸ばされた腕が女の頬を緩く摘んだ。
「ぷふぇっ!?」
訳がわからず女はオスカーを見る、表情は見えないが、呆れたような溜息が隙間から漏れるのが女の耳に届く。
「気にしないって言っただろう、そんなに信用できないか?」
むにむに、そんな音が聞こえてきそうな勢いでオスカーは女の干からびた頬を引っ張るので、別段痛みは無いのだが女は両手でオスカーの頬を抓る腕を押さえようとしっかり掴む。
ぐいぐいと腕を押しやり顔を背けながら抗議の言葉を挙げようとして、しかし不意に緩んだ頬を摘む指に首を傾げた。
溜息が聞こえる、困ったような、落胆したような色を含んだ吐息だ。
一体どうしたというのだろう、表情が見えないことが酷く不安を煽る。
するりと皮手袋の指が抓っていた頬を優しく撫で、そして腕に篭められていた力が抜けるのを感じる。
同時に女の腕も無意識に離れていた。
「そうか、そうだよな…。」
小さな自嘲の笑いが兜の隙間から漏れる、そうして漸く女は気付いた。
拒絶するような態度が、先ほど女の感じた不安を今度は女がオスカーに与えてしまったのだ。
「まあ、仕方がないか。」
ほんの少し低い声で小さくそう言って少しだけ女から離れようとするので、女は慌ててオスカーに飛びついた。
予想外な女の行動に対応できず、オスカーの体がバランスを崩してよろめく。
倒れないようお互いが踏ん張ったので、鎧同士がぶつかってがちゃりと大き目の金属音を立てる。
「お、おい。」
突然の行動に困惑した声があがる、女は聞こえないふりをするように青いサーコートを強く掴む。
「ごめん、でもそうじゃないの。」
俯いたまま女は呟く、必然的に金色の刺繍が視界に入る。
濃い青の布地には余程接近しなければ分からないが、所々解れや黒い染みがあった。
小さくオスカーが息を吐いたのを感じる、それだけで大いに戸惑っているのだろうことは女に伝わった。
「あのね、信用してないからじゃないの。」
掴む腕に力を篭める、彼が逃げたりしないことは分かっているつもりなのだが。
オスカーは小さく身じろぎをしたが、それはやや不自然な体勢の二人が少しだけ楽になるためだった。
「その、くだらない理由だとは思うのよ、でもね。」
もごもごと口ごもる女を不思議そうな視線が射抜く、未だ小さな不安の色の光が滲んでいる。
ほんの少しそれに申し訳ないと思いつつ、信用して欲しいと思っていてくれたことを小さく喜ぶ自分に女は気付いていた。
だからこそ、くだらないことであろうと伝えておかなければ。
「オスカーは亡者の顔を笑ったり馬鹿にしたりしないって、私分かってるよ。」
そんな奴だったらこんなふうに一緒にいない、女はほとんど抱きつくような形になった腕に力を篭めた。
さっきのちょっとしたアクシデントのお陰で、大胆に接触することの気恥ずかしさは多少吹っ切れてしまっていた。
「でも私だって一応女なの、ぼろぼろでこ汚い姿を見られるのはやっぱり恥ずかしいの。」
うっかり着替えを見られるくらいにはね、女は小さく笑った。
オスカーが小さく身じろぎをした、小さく肩が揺れ、そしてふふ、と呼気が漏れる。
「そうだな、君は女の子だったな、それもそうか。」
良かった、穏かな低音が安堵の色とともに耳をくすぐる。
「すまないな、どうも最近弱気になってばかりで。」
情けない、息を吐きながら呟かれた言葉に女は苦笑する。
ネガティブな感情に引き摺られることは誰にだって起こる事で、ましてこの残酷な世界の中縋ることも叶わない心は疲弊していく一方なのだ。
彼は、自分が彼にそうしたように、ほんの少し女に縋りたかったのかもしれない。
「ううん、気にしないで。」
女は笑った、そうして不安を吹き飛ばしてやりたかった。
「それに信用してなきゃ、そもそもこうしてくっついたりできないもの。」
そう言ってぱすぱすとオスカーの胸を叩く。
「うおっと!?」
言われて必要以上に接触していることに気付いたオスカーは、思わず女の身体を押すように離しながら辺りを見回す。
慌てて距離を離したオスカーに女が不満そうに唇を尖らせたことには、残念ながら気付きはしなかった。
少しだけ強い風が篝火の光を揺らす、同時に二人の顔から表情が消える。
戯れるのはここまでにしよう、そうどちらかが言ったわけではないが。
周囲の空気が戦場に変わる、二人は同時に緊張の糸を纏う。
こうしてじゃれあいに来たわけではないのだ、男も、女も。
「君もこの先に用があるんだろう。」
先に口を開いたのはオスカーだった、低く落ち着いた声が聞こえる。
「協力してみないか、上手くすれば奴らを振り切れるかもしれない。」
何人潜んでいるかは分からないが、そう鋭い視線を森の奥に向けながら呟くオスカーに、女は小さく首を傾げる。
「それはいいけど、オスカーはなんの用事なの?」
不思議そうな視線が兜越しに瞳を射るのを、オスカーは静かに受け止めた。
幼さの残る顔立ちの女は、亡者になって尚その特徴を色濃く残している。
「何、アルトリウスは世界中で有名な存在だ、せっかくロードランに来たのなら所縁の場所を見てみたいじゃないか。」
騎士としては憧れだからね、そういって肩を竦めて見せる、女はそれにふうん、と無関心そうに返した。
オスカーは苦笑する、こういった気持ちは女性には理解し辛いものがあるのだろう。
しかしその笑みも直ぐに消える、薄暗い森は闇を湛えたまま二人を包んでいるのだ。
「そっか、てっきり深淵にでも行きたいのかと思ってた…。」
女は小さく呟く、紡がれた言葉にオスカーは小さく息を呑み、女の口元を見つめた。
一時の沈黙はしかし何かを伝えることはない。
「私は深淵に行く手がかりを探したいの、どうしてもそこに行かなきゃいけないみたいだから。」
女は封印されていた扉を見つめる、暗い森は遥か向こうまで広がっている。
「『深淵歩き』か。」
オスカーの口から零れた言葉に女は頷く、彼の騎士アルトリウスの二つ名、その力に。
「手に入る保障はないし、墓荒らしなんかしたくないけどね。」
女は徐に黒い塊をポーチから取り出す、中身をばら撒いてしまったポーチとは別に入れておいたのは幸いだった。
一息に握りつぶすと、篝火の前に腰掛け腕を翳す。
火の力が身体を駆け巡る感覚に生身を取り戻した肩を震わせ、女は木箱の蓋を開く。
何をするのだろうと腕を組みオスカーは女を見つめる、ちゃりちゃりと金属音を控えめにたてながら、細く長い鞘の直剣を掴み女は立ち上がった。
「はい。」
ぽん、と投げて寄越されたそれを受け止め、オスカーは戸惑いながら鞘から直剣を抜き放つ。
銀色のすらりとした流麗な刃が月明かりに淡く光る、使い古された柄は磨り減り所々黒ずんでいたが、それでも鋭く美しい。
「…これは?」
オスカーは息を呑む、これが業物であることは一目で分かった。
「アノール・ロンドの銀騎士が持ってたのよ、一応強化はしたんだけどちょっと肌に合わなくって。」
よかったら使って、女は土を払いながら呟く。
「別に悪く言うつもりもないけどさ、その、さ…。」
「ああ、分かってる。」
口ごもる女にオスカーは鞘に収めた剣を持たない右腕でこめかみのあたりをこつこつと叩きながら返す。
言うまでもなく女の視線はオスカーの普段扱っている剣に注がれている。
「強敵を相手にするには、これは、多少、火力不足だからな。」
多少の部分を強調する言葉に女は小さくうなり声をあげる、正直多少で済むなら気にはしない。
アストラの直剣、人の世界では上質な武器であるそれは、だがしかし進化するにはすでに限界だった。
他の平行世界の選ばれた不死の中にはこれを好み、これ一本で突き進む者も多いとは聞く、どちらかといえば敢えて困難を背負うという意味ではあるが。
オスカーがそういう不死と同列であるとは到底思えず、強敵が存在すると分かっていながら何もしないのも馬鹿らしい。
オスカーが普段どういうスタイルで戦っているのか見たことはないのだが、直剣を扱っているのならば直剣がいいだろう、と女は手持ちで一番強力なものを手渡した。
きっと、他者との接触を最低限に抑えていたのなら、鍛冶で強化することすら儘ならないだろう。
しかしオスカーは再度鞘から剣をほんの僅かに抜いたものの、溜息とともにぱちんという音をたてて収めてしまった。
「せっかくだけど、これは少し厳しいな…。」
困ったように剣を両手で捧げるように女に差し出し、オスカーは呟く。
「確かに凄いものだが少々重すぎる、これでは振る感覚が変わってしまうし、何より両手でないと扱えそうにない。」
成る程、技量か信仰関連の方が得意なんだ、と返された言葉に女は内心で呟く。
そしてつまり二人の筋力の差は大発火を最速で撃つのに必要な技量分ほど離れている、という事実に気付いた女は戦慄した。
オスカーの筋力が低すぎるのか、自分の筋力が化け物レベルなのかは一先ず置いておくとしても。
「すまないな、せっかくの好意を無駄にした。」
心底困ったという風情の声に、女の意識はオスカーに戻る。
渡した剣は未だオスカーの手にあるが、神に捧げる供物のように横倒しになっているそれは、女の手に戻るべくそこに存在するだけだ。
溜息を吐き、女はオスカーの腕を軽く押し戻す、黒く艶やかな鞘が篝火に赤く瞬いている。
「いい、どうせ私は使えっこないからそのまま持ってて。」
そのうち扱えるようになるわよ、女の言葉にため息を吐きながら、オスカーは銀騎士の剣を受け取った。
両手でならば十分扱える強力な直剣を得て、それでも彼の手はアストラの直剣の柄に伸びている。
溜息が赤い唇から漏れた、単純な火力だけでは推し量れない馴染んだ武器の頼もしさは、女も重々承知していた。
それ以上は武器について言及することを止め、女は扉の先を見つめる。
少なくともオスカーは自力でここまで来たのだ、いつでも救援に向かえるよう注意深く進み、後はオスカー自身の腕に任せよう。
結局のところ、それが今できる一番危険の少ない突破方法だろう。
「それじゃ、行こうか?」
オスカーと顔を見合わせる、闇霊を警戒するように告げた女に、オスカーは小さな皮袋を投げて寄越す。
「落し物だ、それとこれも。」
続けて金色の小さな物体が投げ渡される、掌で小さく金属音を立てるそれに女は首を傾げる。
「ペンダント?」
何の変哲もない金の鎖のペンダントが、篝火と月光にちかちか瞬いている。
表面に細かい傷がいくつもついた装飾も少ない古い装飾品を、女はまじまじと見つめる。
「武器の礼だよ、後はまあ単なるゲン担ぎだ。」
お守り代わりにしまっておくといい、オスカーの言葉に女は小さく笑う。
「そっか、ありがと。」
受け取った皮袋にペンダントをしまい、ポーチにねじ込むと女は扉に向かって歩き出す。
本当は首に下げたかったが、武器に引っ掛けて鎖が切れてしまうのは避けたかった。
「じゃあ、覚悟はいい?」
扉の前で女は問いかける、挑戦的な視線は月明かりに光る銀の鎧と相俟ってどこか悪魔的に見える。
「問題ないさ。」
落ち着いた低音が空気を震わせる、サーコートの金の刺繍が森の闇の中淡く光る。
燃える炎の赤い光が銀の鎧の表面を撫で、青の布地を這い回る。
赤と青と金と銀の色彩は、暗闇の中真っ直ぐに女の瞳を射抜いた。
そうだ、これこそが女の知る彼の色なのだ。
風が凪いだ、それを合図に二人は同時に扉の向こうへ身を躍らせる。
崩れた石の階段から飛び降りると同時に白い霧が空間に封をした。
霧の向こうで消えた篝火の不死人の骨がからりと転がり、二人の足音だけが闇の向こうへ溶けていった。
以上になります。
次回からストーリーが進展しますので、もう少しお付き合いください。
・・・えろなんてなかったんや!
>>365 待ってました!GJ!!
逆にこの進展のなさがオスカーさんらしいなw
375 :
名無しさん@ピンキー:2013/07/14(日) NY:AN:NY.AN ID:YnLlWsew
376 :
名無しさん@ピンキー:2013/08/04(日) NY:AN:NY.AN ID:Kg6B6dnR
女主とオスカーの話続き投下します。
好き過ぎて性的な想像できない症候群によりえろ成分は(ry
オスカー×女主のはずがいつの間にか女主×オスカーっぽくなってる気がしなくもない。
余りにも残酷なこの世界を、それでも愛してしまうのは何故だろう。
淡く光る花を眺めながら、オスカーはぼんやりと霞む思考でもって言葉を綴る。
半透明の盗賊に斬られた左脇腹を抑えながら女の走っていった先に視線を向ける、巨大な金属の門は既に開かれ、白い光に閉ざされている。
傷は然程深くはない、が出血量が多く当分動くことは儘ならないだろう、ずきずきと脈打つように走る痛みに眉根を寄せる。
「…っ、ふ…。」
僅かに身じろぎ、瞬間走る激痛に苛まれ吐息が漏れる、エストを飲むなり篝火に戻るなりしたいところだが、オスカーは女を待つつもりだった。
盗賊たち全員を排除したわけではない、女がこの一帯の主に打ち勝つかどうかも不確定である以上、不用意に動くのは危険だろう。
エストを飲んだ時の炎の光で残っている連中が此方の位置に気付く可能性もある、女の状況を見て対応すべきだろうと痛みに耐えながら静かに時の流れに身を委ねた。
荒い呼吸が冷たい夜の空気に溶けていく、深手を負い不死院で死と女を待っていたあの時を思い出した、あの時は今よりも遥かに苦しい状態ではあったが。
「…っ、は、は…っ。」
痛みから目を逸らすように暗い空を見上げる、病的な蒼い月が梢の隙間からオスカーを照らしている。
ああ、あの時は石造りの天井から漏れる光が酷く眩しかった、生きようともがく事すら諦めていた自分を奮い立たせた、あの下級の騎士の女の背中のように。
「は、はは、は…っ、は…は…っ。」
途切れる吐息から、ふと噛み殺した笑みが零れる。
小刻みに肩が震える、肋骨が上下する度傷が痛んだが、それは今オスカーが生きているという証でもあった。
世界は残酷だ、オスカーは嘲笑する、望むでもなくこの世界に放り投げられ、何れ終わる運命に怯えながら痛みを背負い、そうして静かに眠ることすら奪われ、自らを見捨てた者達の為に人知れず朽ち果てろというのか。
一体自分が何をしたというのだろう、残酷なこの世界で、ただただ必死で生きていただけの自分が、一体なんの罪を犯したというのだろう。
だが、それでも確かに自分は世界を愛したのだ、恐らくは、ただ一人の存在の為に。
そして、きっと、ただ一人の為に、自分は。
風の流れが変わった、弾かれたように顔を上げ霧の掛かっていた扉に視線を送る、遠くに見える霧は晴れていた。
ああ、彼女は勝てたんだな、オスカーは小さく溜息を吐く、崖の向こう、歩くキノコ達の影の中から見慣れた鎧が近付いて来る。
聞き慣れた金属音まじりの足音に安堵する、立ち上がろうかと思ったが、傷の痛みに顔を歪めた。
大きく息を吸う、押し殺したうめき声が口元から漏れる、脂汗が額を流れるのが酷く不快だ。
痛みを和らげることができないのなら、痛みに慣れてしまえばいい、オスカーが不死人になって学んだことの一つだ。
心も身体も、強い痛みが長引けば慣れてしまうものなのだ、それで傷が塞がることはなくとも、意識をせずに済むことはある意味で救いだった。
石橋のある崩れた建物から女が姿を現すのが見えた、慎重な足取りで辺りを見回しながら森の中を歩き出す。
此方を探しているのだろう、オスカーは美しい愛剣を抜き月明かりに刃を瞬かせる、控えめな光がちらちらと微かに木々を青白く照らす。
控えめな合図とはいえ近くにいる盗賊団が気付く恐れはあったが、物音を立てるよりはましだろう。
それに先ほど見た女の実力ならば、時空を超えてやってくる霊体ならばともかく、ここに居座っている連中であれば一人や二人来たところで大した脅威になりそうになかった。
此方に気付いた女が駆け寄って来る、小さく手を振りながら月を背負う影を見つめる、被っていたはずの兜はなく、シニヨンの髪が風に震えている。
ふう、と大きく息を吐く、痛みは治まらないが呼吸は落ち着くことができた、とりあえず会話する分に不都合はないだろう。
「オスカー、大丈夫!?」
開口一番に自分の身を案じた女にオスカーは兜の内側で苦笑する、危険な相手と一戦を交えたのは女の方だというのに。
視線を合わせるように屈み込む女に大丈夫だと笑いかける、兜と森の暗さのお陰で表情は見えていないだろう、そして恐らくサーコートに広がる血の染みも。
「流石だな、ここの主を倒したんだろう。」
君の方は大丈夫か、オスカーの言葉に女は満足そうに頷く、その仕草をほんの少し可愛いと思ってしまった。
兜がないので彼女の表情の僅かな動きもはっきりと見える、ぷっくりとした頬は子供らしさを残しているが、赤い唇はどこか背徳的な色気があった。
「ところで兜はどうしたんだ?」
あまりまじまじと女性の顔を見つめるのはよくないと、とりあえず気になったことをぶつけてみる。
女は一瞬きょとんとした表情になるが、すぐにああ、と垂らした髪を弄りながら答える。
「重いから脱いだのよ、シフだっけ、攻撃が大振りだから懐に潜り込むほうがいいかなって。」
「なるほど。」
そういうものか、とオスカーは呟く、女が内心で実は足甲も脱いでいたんだけど、と呟いていたことを知ることは決してないだろう。
流石に素足を晒した状態で戻れる程女は前衛的ではなかった、少なくともこの男の前では。
「そういう部分に気を配れることも君の強さなんだろうな。」
敵わないな、オスカーは笑う、そこに含まれる自嘲の色に女は眉を顰めた。
彼のことだから、きっと役に立てなかったなどと考えているのだろう。
正直あの細い石橋の上でオスカーが盾になってくれていなければ再び侵入してきた復讐霊の結晶槍が直撃していただろうし、隙を見て背後から致命の一撃を叩き込んでくれたからこそ切り抜けられたというのに。
「別に大したことじゃないわよこんなの、それよりありがと、助かった。」
役立たずなんかじゃない、暗にそう篭めて笑って見せる、そうして屈んだまま手を差し延べ、立つ様に促した。
僅かに差し込む月明かりに照らされた騎士の姿は、どこか儚げだった。
厳つい鎧も鍛えられた身体も、決してそんなものを連想させるものではない筈であるのに。
「そうか、役に立てたのなら何よりだ。」
オスカーは小さく笑う、しかし差し出された腕からさりげなく目を逸らしたことに女は気付いていた。
些細ではあるがまるで拒むような、どこか後ろめたそうな仕草が妙に引っかかる。
「篝火、戻ろう?」
首を傾げ、ほんの少し語気を強めて女は言う、固く結ばれた唇をオスカーは見つめた。
訝しがるような、苛立ったような瞳が、値踏みするようにオスカーを映している。
「私は少し休んでから行くよ、女性をエスコートするのに慣れていないせいか張り切りすぎたみたいだ。」
手をひらひらと振り先に戻るように促す、正直痛みに慣れたとはいえ動き回るには辛いものがある。
エストを使えば早いが炎の赤い光は目立ちすぎる、遠くにいる盗賊どもに気付かれる可能性を考えると、女が離れてからの方がいいだろう。
それに深手を負ったことを気取られたくはなかった、何故そう思うのかは自分でも不思議であったが。
恐らくこれは意地なのだろう、男だ女だなどと言うつもりはないが、きっと自分は彼女に弱い存在だと思われたくはないのだ。
そんなつまらない見栄など、簡単に彼女は引き剥がしてしまうと知っているはずなのに。
「オスカー。」
何時になく強い口調で女が名を呼ぶ、少しだけ低い声にオスカーは固く唇を結ぶ。
兜の奥で浮かべていた取り繕うような笑みは風の音とともに消えた。
追求するような鋭い視線が真っ直ぐ兜の隙間を射抜いている、そうだ、この女にはその場しのぎのごまかしなど効かないのだ。
強く腕を掴まれる、傷の痛みに顔を歪めるが辛うじて悲鳴は飲み込んだ。
衣擦れと鎧の擦れる金属音が厭に大きく聞こえる。
「戻ろう、ね?」
懇願するように女は言うが、その目は拒否を許してはいなかった。
強い視線を見つめ返しながら深く溜息を吐く、彼女と自身の強さを隔てたものは、この覚悟の無さかもしれないななどと思いながら。
「…少しだけ、休ませてくれないか。」
小さく呟くように懇願する、女がそれを認めないことは分かっていた、それでも腹を括れない自分の弱さが酷く苦々しい。
「大丈夫だ、ほんの少し休んだら、すぐに戻る。」
実際エストを飲めば済むのだ、女を危険に晒す可能性がある以上今は好ましくないというだけで。
だが口に出さずにそれを理解しろというのは聊か無理があるだろう、盗賊どもに対する脅威の認識の強さがそもそも彼女と自身では違うのだ。
「大丈夫、だから…。」
呟こうとした言葉が途切れる、月を背負う女の顔が酷く歪んでいるのが目に入った。
思わず息を呑んだ、寄せられた眉根が食い縛られた歯が、そして目尻に溜まる涙が取り繕った言葉を飲み込ませてしまった。
「…めてよ。」
食い縛った歯の隙間から零れるように、か細い声が空気を震わせる。
先ほどの強い語気とは打って変わって、消え入りそうな弱々しい声だ。
女の肩が震えだす、それにあわせてぼろぼろと大粒の涙が零れだした、彼女の大きな瞳が流れ落ちてしまうのではないかと思わせるほどに。
「…やめてよ、もう、そういうのは。」
女は力なく項垂れる、伏せられたため表情は見えないが、零れ落ちる涙と鼻を啜る音が間近に存在している現状で十分に伝わっている。
一体何に辟易したというのだろう、オスカーが問いかける前に縋るように女がオスカーのサーコートを掴む。
「い…ぎっ…、ぁ…っ!」
力任せに引き寄せられたお陰で身体を乱暴に揺さぶられる形になり、途端に走る激痛に絶えていた悲鳴が漏れてしまった。
痛みに弾かれるように背を逸らし、痛みに痛みを上書きして逃れようと無意識に身体が捩れる、吹き出す冷や汗で髪が貼り付く不快さは問題にならなかった。
呻きに女が顔を上げる、そうして右腕がちょうどサーコートがざっくりと破れている部分を掴んでいることに気付き、未だ涙に濡れる瞳を大きく見開いた。
オスカーを押さえつけるように左腕に力を篭め、女はサーコートを引っ張り上げるようにして破れた箇所に顔を近づける、そしてそこにべったりと付いた血糊に気付くと怯えたように肩を跳ねさせた。
またしても女は歯をきつく食い縛った、オスカーは額の汗を拭いたい衝動に駆られながら女の顔を見つめる。
そんな顔をさせたかったわけではないのに。
つくづく自分は愚かなのだと痛感する、ことに若い女性の心への配慮という点については。
眉間の皺は怒りか苛立ちか、それとも失望なのか、判断するのは難しいけれど。
一瞬女が俯いた、何か言葉を発そうとして、しかし唐突に身体が強く引っ張られる、そうして女はオスカーを掴んだまま曲げた肘を勢いを付けて上半身ごと押し出した。
「ぃっ…、が…っ!」
背中と後頭部を強かに樹にぶつけ、オスカーは呻いた。
衝撃でびぃんと枝が震える、濃い緑の葉が数枚はらはらと散った。
女に押し倒されるような姿勢になったことは辛うじて理解できた、しかし頭をぶつけた衝撃で火花が飛び散り視界が定まらない。
衝撃と傷の痛みで身を捩ることもできず、オスカーはただうめき声をあげた。
かちゃかちゃと所々に金属の混じる音が間近に聞こえる、霞む視界では音の正体は掴めず、オスカーは女の行動を理解できない。
なんとか腕を突き上半身を起こそうと力を篭める、後ずさる様に背中を木に擦り僅かに腰を浮かせた時、不意に湿った土を掴む左手に女の右手が重ねられた。
小さな金属音が聞こえた、心なしかほんの少し視界が広くなったような気がする、そう感じた瞬間、女の左腕が背中に回された。
かつん、と布越しに鎧と鎧がぶつかってくぐもった音をたて、同時に胸に軽い衝撃を受ける。
そして、預けられた体重とともに感じたのは。
「…っ、ふ…!?」
息が詰まった、重ねられた手に力が篭められる、視界を取り戻そうと見開かれた瞳は、しかし数秒後には無意識に閉じていた。
温かく柔らかい女の唇が乾いた男の唇に重なる、覆いかぶさるようにして女が口付けをするので、オスカーの顔は自然と上を向いていた。
視界が定まらなかったとはいえ突然の女の行動に全く反応できなかった、押さえつけられたも同然の状態では拒むこともできず、痛む傷と息苦しさに小さくうめき声を上げる。
「ん、…っふ、ぅ…。」
身じろぐオスカーにかまわず軽く女は口を動かし、顎の力でオスカーの口を僅かに開けさせる、直後に歯列をこじ開けるように差し込まれた舌に驚いたオスカーが離れようとするのを、背に回された女の腕が阻んだ。
そうして一拍遅れて口に広がるすっかり馴染んだ味と熱に肩が震えた、同時に脇腹の傷口が心地良い熱を持ち、痛みが和らいでいく。
女がエストを無理やり含ませたのだということを、オスカーはようやく理解した。
こくりと咽が小さく動くのに合わせて口内に少しずつ流れ込む熱よりも、触れる唇のほうが熱く感じる。
重なる唇の隙間から、熱を残したままのエストが顎を伝い鮮やかなブルーのサーコートに落ちる、橙色の光はぽつりと跳ねて胸からオスカーの腿に垂れ、地面に束の間橙の淀みを描くと空気の中に溶けて消えた。
流れたエストの軌跡をなぞる熱に身震いをする、内股を伝う炎の熱が背骨を突き抜けて思考を揺さぶっている。
さわさわと風に揺れる梢の音が響く、熱に浮された身体に、夜の風の冷たさは逆に心地良かった。
「んっ、ぷ、ふ…っ。」
呼吸を確保するためか、僅かに離れた唇から吐息が漏れた、しかしそれも直ぐに塞がれる、ごつごつとした樹に押し付けられる背中が痛い。
オスカーが炎の力を全て嚥下しても女は唇を重ねたままだった、エストの炎が傷を修復していくのを若干の息苦しさとともに感じながら、オスカーは女のするがままに任せた。
彼女がなぜ此処まで強行な手段に出たのかは分からないが、今彼女を拒めば彼女の中の何かが終わってしまうような気がした。
それに、そんな状況ではないのは分かっているのだが、この感覚はそう悪いものではない。
女の行動の理由が分かったところで、オスカーは強張った身体の力をそっと抜いた、抵抗の意思がないことに気付いた女は縋るように体重を預け、腕に篭める力を強めた。
一体彼女は何を見て来たのだろう、何が彼女をこうも自分に縋らせたのだろう。
されるがままになりながらオスカーは考える、今日の女は酷く不安定だ。
だが恐らくそれはオスカーも同じだ、女のように表に出せるほど素直な性根ではないだけで、今尚酷く心は不安で揺れている。
ああ、そうか。
オスカーはすとんと理解した、これは自慰だ、他人の身体を利用した。
不安で不安で堪らなくて、だけど愛に縋ることもできないこの世界で、孤独を抱えるもの同士が己を慰めるためだけに互いの体温を利用しているのだ。
オスカーは内心で自嘲の笑みを浮かべた、女に応えることも拒むこともできない自身が、その事実を肯定している。
しかしこうして鬱々とした感情をぶつけ合うのも悪くはない、二人が見たものが同じであるかはわからないが、せめて今だけは女に付き合おうか。
「ふ…、ん…っむ、ぅ…。」
小さく身じろぐ度に鳴る衣擦れと金属音、そして小さく漏れる声が厭に耳に響く。
扇情的な水音は、女にはどう聴こえただろう。
女は未だ泣いているのだろう、ぱたぱたと生暖かい雫が頬に落ちる、まるで自分が泣いているような感覚に、オスカーは地に突いた手の、未だ女の手が重ねられたままの湿った土を掴む指にそっと力を篭めた。
至って直情的な感情のぶつけ合いを、未だ潜んでいる盗賊連中に見られなければいいが、とぼんやりと頭の隅で考えながら。
そうしていたのは時間にすれば数十秒程だっただろうか、女が腕に篭めた力を緩めたので、オスカーはゆっくりと閉じていた瞳を開く。
女の顔が離れていくのが見えた、同時にオスカーの兜のバイザーを無造作に女が下ろした、先ほど視野が広がったように感じたのは、女が普段そうしているようにオスカーの兜をこじ開けたからだ。
オスカーが言葉を発する前に、女はオスカーの胸に顔を埋め肩を震わせながら嗚咽を漏らした、鼻を啜る音を聞きながらオスカーは辺りを見回す。
遠くからでも目立つエストの光に、女の嗚咽に、残党共が気付いてやって来る可能性があった。
一撃が重くリーチの長い女の武器ならばともかく、火力に劣る直剣のオスカーは、複数の敵に囲まれることは命取りだった、協力して切り抜けるにしても、女の武器に巻き込まれる危険を考えれば、半端な距離では足手まといになるだろうことは先ほどの戦闘で理解していた。
だからこそ女が離れてから回復するべきだと判断したのだが、傷の痛みを誤魔化しながら篝火に戻ることを拒んだ自分の姿は、女にはどう映っただろうか。
ふと聴こえる足音にオスカーは息を呑む、女の背後、段差を隔てたすぐそこに闇に溶け込む半透明の騎士の姿が見えた。
その手にある武器の恐ろしさは今自分に縋り泣く女が教えてくれていた、月明かりに光るクレイモアと鮮やかな色彩の盾は、敵対する者への警告のように存在を主張している。
騎士の存在を伝えようとオスカーは女の肩に手を当て、押しのけようと力を篭める、しかし女はオスカーに縋る腕に力を篭めて抵抗する、腕力は女に軍配が上がるのでそれだけでオスカーは身動きがとれなくなる。
これはまずい、非常にまずい、オスカーはなんとか身じろぎ、せめて振り下ろされるであろう刃から女を守れるよう女の背に盾を持った腕を回した。
少しの間そうして騎士と睨み合いになったが、不意に騎士は刃を下ろし、小さく会釈するとくるりと背を向け立ち去った、半透明なので見え難いが、気まずそうな表情をしているように見えたのは気のせいだろうか、同時に会釈しながら考える。
戦わずに済んだのは幸いだが、なにやらとんでもない勘違いをされた気がする、痛みとは全く関係のない冷や汗に、オスカーは盛大に溜息を吐いた。
静まり返った森に女の嗚咽が消える、青白い月を見上げながらオスカーはぼんやりと考える、生憎女の縋りつくサーコートは固い生地で水を余り吸わないので、涙と涎と鼻水は胸から垂れて腹の辺りの皺に溜まっている。
放置すれば染みになるだろう、少し戻った先に静かな湖があったはず、そこで洗えば済むだろうか。
女性の扱いに慣れていない自分にすすり泣く女を宥めるような気の利いた言葉をとっさに出せるわけもなく、かといって何もせずに居れる程冷淡にもなれず、ただ安心させるように優しく女の背を叩いてやる。
大丈夫だと、自分は生きて此処にいると伝えるように、子供をあやす様にただただ優しく。
革の篭手と鎧の板金がぶつかる鈍い音が小さく森の静寂に溶けていく。
「…嫌なの。」
肩を震わせながら女がぽつりと呟く、弱弱しい声にオスカーは視線を女に戻す、樹に押し付けたままの背が少しだけ擦れて鈍い痛みを感じた。
「また、そうやって、私が選んだ行動で、誰かが死ぬのは。」
嫌なの、嗚咽で途切れる声で女は呟く、縋る指に力が篭められるのをオスカーは感じた、まるで何処にも行くなと言わんばかりに。
一体何処へ行くと言うのだろう、オスカーに女を振り払うだけの力などありはしないというのに。
女に聴こえないように溜息を吐く、姿勢を正そうと身じろげば女は制止するように腕に力を入れるので、安心させるように背中を擦ってやる。
恐る恐るといった風情で女が少しだけ伏せていた顔を上げる、少しだけ腕の力を緩めてくれたので、オスカーは女を抱き寄せるように引っ張りながら少し後ずさり、樹にもたれて座る姿勢になる。
そうしてすっぽりと女を腕の中に収めるように抱きしめてやる、正直片腕を突いて上体を支え続ける姿勢は辛いものがあった、それに女を落ち着かせてやるのに片腕では不十分だろう。
「…何を見た?」
囁く言葉に女の肩が跳ねる、二つの大きな瞳がオスカーの顔を見つめた、互いの呪いの証が瞬く場所が直線状で交わっている。
「君は、何を見て来た?」
何がそうまで君を私に縋らせた、その言葉は飲み込んだ、女が拒絶と捉えればきっと深く傷つける。
女は再び顔を胸に埋めた、充血した瞳は見えなくなるが、震える肩は未だ治まらない涙を訴えている。
さわさわと冷たい風が二人を撫でた、破れたサーコートの隙間から潜り込む冷気がわき腹を擽るのが今は少し心地良い。
ぐずぐずと暫く女は鼻を啜っていたが、顔を埋めたままオスカーの背に腕を回した、そして震える声が歯列から漏れる。
「…ラレンティウスさん、が。」
呼ばれた名前にオスカーは内心で首を傾げる、他者との接触を避けていたせいで、名前と姿が一致しないのだが、火継ぎの祭祀場にいた人物の一人だろうか。
「病み村で見つけた呪術、教えてくれた人知りたいって、その人に会うのが夢だって、だから、場所、教えたの。」
オスカーの胸に顔をこすり付けるようにしながら女は呟く、其の声に滲む後悔の色に口を噤み、オスカーは女の鼻をサーコートで拭ってやる。
女は驚いてオスカーを見上げたが、また直ぐに顔を伏せた、ただ鼻を拭うことに抵抗はしなかった。
「…病み村に行ってみたの、前にね、ラレンティウスさんの着てるのと同じ服が落ちてたなーって、毒沼を歩いていたの、ほんと、何の気なしによ、そしたら。」
亡者になってた、女は続けた、呪術師らしいその男は女のことを忘れ、他の不死人の成れの果て同様ソウルを求め女に牙を剥いたのだと。
「グリッグスも。」
腕に力を篭めながら女は別の男の名前を出す、そういえば魔術が使えるはずなのに素直に部屋に閉じ篭っていた奴がいたと女が言っていた気がする。
「ローガン、彼の師匠を追いかけるって、でも私に全部教えてからにするって、だから、私全部がんばって教わったの。」
女はしゃくり上げながら途切れる言葉を搾り出す、贖罪をするかのように頭を垂れたまま、教戒師のように口を噤む男に縋ったまま。
「ふと思い立って、センの古城へ行ってみたの、やっぱりそうだった、彼と同じ服があった場所で、彼も、亡者になってた。」
「…そうか。」
オスカーは再度優しく女の背を叩く、女は強い、が、どうしたって心は疲弊するのだ、まして人付き合いの良い彼女が知人の死を目の当たりにして、どうして平常でいられるだろう。
女はちらりとオスカーの顔を見た、不安げな瞳はどう言葉を紡ぐべきか迷っているようにも見えた、背中を擦ってやりながら次の言葉をじっと待つ。
女の唇が震えた、さっきまでそれが自分の唇に重ねられていたのだという事実は、今も胸の中で燻っている。
「…嫌なの、私のとった行動のせいで誰かが死ぬのは、もう、嫌なの。」
弱弱しい女の声に小さく溜息を吐く、びくりと女の肩が小さく跳ねたが、安心させるように腕に力を篭めてやる。
君のせいじゃない、そう言ってやれたらどれほど良かっただろう、しかし陳腐な優しさはきっと彼女を傷つけるだけだ、だから言葉ではなくただ仕草で伝える、大丈夫だと。
「オスカー。」
不意に女が名前を呼ぶ、小さくそれに返事をすると、小さな決意の篭った視線がオスカーを射抜いた。
「言うつもりは、なかったんだけど。」
もぞりと女は姿勢を変える、オスカーの肩に凭れるようにしながら、女はそっと右腕を背中に回されたオスカーの左腕に添える。
「さっき、すぐそこでね、遺体を見つけたの、貴方と同じ鎧を身に着けた。」
鼻を啜り女は言う、紡がれた言葉にオスカーはほんの少し瞳を揺らした。
「また、やってしまったのかと思った、何処にも貴方の姿が見えなかったから、死んじゃったかと思ったの、すぐに篝火のところにいるのが見えた時は、心底ほっとしたけど。」
亡者にすらならずに遺体になった人を知ってるから、女は言う、オスカーはそれに小さくそうか、とだけ返した。
「ほっとしたけど、怖くなったの、だってね、ラレンティウスさんもグリッグスも、同じ服を着た遺体の近くにいたから、だから、ね。」
「死ぬかも、しれないと。」
問いかけですらない呟きに女は頷く、敵意に溢れた森の中に残ろうとした男の言葉は、二人の亡者の結末を女に突きつけたのだろう。
時間の流れの捻じ曲がったこの世界では、見つけた死体が知人の未来である可能性は否定できないのだ。
だからこそ、不可抗力とはいえただ抱きしめられただけで酷くうろたえていた女が、こうして唇を重ね、胸に顔を埋めて縋りつく程に、オスカーの死に怯えたというのか。
オスカーはきつく女を抱きしめる、死ぬつもりなど更々なかったが、そんな言葉などかけたところで無意味だろう、それに現に傷付き身動きの取れない状態だったのだ、気休めを囁く資格などなかった。
未だ泣き止まない女にうわ言のように大丈夫だと呟く、女は小さくそれに気のない相槌を返した。
「ごめん、本当は、篝火で会えたとき、泣きそうだった、泣かないようにって、思ってたのに。」
ごめん、女は何度も小さく謝罪する、その背中を撫でながらオスカーは困ったように笑った。
青いサーコートの表面は鼻水と涙と涎でぬらぬらと光っていた、鼻を拭いてやったので大きな皺も寄っている。
「泣いていい。」
オスカーは囁く、女の大きな瞳が兜越しに男の瞳を見つめた、さわさわと風が乱れたシニヨンの髪を撫でる。
「でないと、何時か君は潰れてしまうだろう、私がどれだけ受け止められるかは分からないが。」
そうさせてしまった責任もあるからな、低く笑う、小刻みに揺れる肩に擦れて互いの鎧が控えめに鳴る。
「君は深淵に行くのだろう、それなら頭をすっきりさせないと、悩んだままでは進めないぞ?」
君の方こそ私を一人にしないでくれよ?
冗談めかして呟く、声色こそ悪戯っぽく軽い音だが、それでも紡がれた言葉は目の前の友人に最も伝えたい本音だった。
独りにしないで、などと、縋る資格などないというのに。
きょとんと女は少しの間不思議そうにオスカーを見つめていたが、徐に唇を噛み締める、泣き出すのかと思えば深く溜息を吐き、そして力なく微笑んだ。
「そうね。」
女は傷だらけの革のポーチに手をやる、取り出されたのは青銅色の質素な指輪だった。
きゅ、と音をたてて指輪は女の右手の人差し指に嵌められる、鈍く光るそれを見つめ女は小さく息を吐く。
「迷ってばかりじゃ、だめよね。」
自分の胸の前でぎゅうと握り締める、大きな瞳がゆるく閉じられた、ふふ、と小さく笑いながら、女はオスカーに身体を預ける。
オスカーはそれに小さく笑って返し、手甲を嵌めたままの手で女の頭を撫でてやる、女はどこか満足そうに瞳を細め、小さく溜息を吐いた。
「しっかり、しなくちゃ…、でも…、今、は…。」
少しだけ、そう徐々に小さくなる声で女は呟く、サーコートを掴む腕から力が抜けていく。
「あ、お、おい!」
そうして聴こえてくる寝息にオスカーは大いに狼狽した、泣き疲れたのだろう、激しい戦いの後だということもあって無理もないことだとは思う。
だが此処は盗賊達の縄張りなのだ、何時襲い掛かって来るかもわからない場所で無防備に眠る女を置いていくわけにもいかず、かといってこのまま目覚めるまでここに居続けるのは危険すぎる。
何故か先ほどの騎士は戦わずに見逃してくれたが、今まで他の連中が来なかったのはかなりの幸運だった。
「…共倒れにならなければいいが。」
盛大に溜息を吐き女の武器を担ぐ、高い筋力を要求する武器はオスカーの持てる重量の限界を超えている。
「…何でよりにもよってハベルの盾なんだ。」
小さくごちる、重量過多でよろめきながら女を抱きかかえ、ふらふらと立ち上がるとゆっくりと歩き出す。
覚束ない足取りは不死院をさ迷い歩いたあの時のようだ、土に食い込むつま先を力任せに蹴り上げながら考える。
今襲われればひとたまりもないだろう、一刻も早く森から出なければ、左右にふらふらと揺れながらオスカーは引き摺るように前に進む。
石の階段が見えた辺りで不意に気配を感じ辺りを見回す、確かに視線を感じるのだが闇の中では姿を捉えることはできず、仕方なく警戒を強めながらゆっくりと階段に近付く。
襲いかかるのであれば絶好のチャンスであるはずなのだが、不思議なことに一切の追撃はなく、聊か拍子抜けした気分でオスカーは石段を登りきる。
アルトリウスの墓を狙い森に踏み込む者を襲う盗賊である連中にとって、立ち去るものを襲う必要はあまりないのかもしれないが、ともあれ無事に切り抜けられたことに安堵する。
よろよろと篝火に歩み寄ると、そっと女を石のない場所に寝かせ、担いでいた武器を壁に立てかける。
橙色の光が淡く刃に瞬く、オスカーは片膝を突き暫く篝火が女の輪郭を染め上げるのを見つめていたが、徐にゆっくりと立ち上がるとベルトを緩め、血と乾いた鼻水でごわごわになったサーコートを脱ぐ。
女の着ているものと同じ溝の付いた銀の板金が現れた、細かい傷こそ付いてはいたが、女のそれよりも遥かに状態は良い。
サーコートの汚れた面を内側にして乱雑に畳むと左脇に挟むように抱え、オスカーは溜息を吐く。
破れた箇所を修理するより先に、この先の湖で洗うべきだろう、女と武器を担いで歩いたせいでぐっしょりと汗もかいている、ついでに身も清めた方がよさそうだった。
地面に置いたベルトと短剣を拾おうとオスカーは身を屈める、ぱちりと篝火の炎が小さく爆ぜた。
ひらり、宙に舞う緑色の光にふと顔を上げる、緑の軌跡を辿る様に視線を動かし、眼前の景色にオスカーは唇を固く結んだ。
「…そうか。」
歯を食いしばる、小さく零れた言葉は誰にも届かない。
「見えない、んじゃない。」
ここで女と再会する前の、抱え続けていたあの不快な感情が湧き上がる、気付かない振りをして、目を逸らし続けた現実がそこにあった。
何気なくとった行動一つで他人の生死が決まってしまったのだと、女は泣いた。
女のせいではないと、誰も悪くはないと言ってやりたかった、だが、覚悟のない自分にはできはしない。
そうだ、できはしない、そんな資格などありはしない。
何故なら恐らくオスカーは、既に選択してしまっている。
そして、恐らくそれが導く結末は、他の誰よりも深く女を傷つけるのだろう。
「存在しない、んだ。」
紡がれる言葉は震えていた、拳を握り締めオスカーは立ち上がる、一度だけ眠る女に視線を戻し、静かに湖へと歩き出す。
「…そうだろう?」
君ははぐらかしただけで、とっくに気付いていたのだろう。
世界は残酷だ、オスカーは嘲笑する、世界も、自身も、全てが愚かだと言う様に。
ベルトを拾おうと屈む姿勢は、女の視線より少し低い位になる、そしてオスカーの居た場所は、ちょうど女が着替えていた場所だった。
「とっくに、私たちは別たれていた。」
かさかさと乾いた音をたてて現れた樹の魔物をなで斬りにする、致命とはならなかったが斬られた勢いで姿勢を崩した魔物は、軽い身体が災いし刃先に引っかかるように吹き飛び、谷底に転落して動かなくなる。
見上げた空の片隅に神秘の生き物の羽が見えた、女が見えないと唇を尖らせたあの場所で。
足早にオスカーは湖へ向かう、まるで女から逃れるようにも見えて、オスカーは酷く軋む胸を掻き毟りたい衝動に駆られながらきつく歯をくいしばった。
青白い月が、高い空から二人の不死人を照らしている、孤独な魂が二つ、同じ時の中で揺らめいている。
どれだけ肉体で繋がろうと、同じ時を過ごそうと、一人ぼっちが二人其処に存在するだけで、決して重なることはない。
魔物を斬り捨てながら歩き続ける、刃先に纏わり付いた粘つく樹液を盾の縁でこそげ落とし、視界の端の月に眉を顰めながら。
そうだ、たった一人の為にこの残酷な世界を愛し、そして。
「何処までも、憎むことができたんだ。」
吐き捨てるように呟いた、ふと腰に当たる固い感触に歩みを止める、女に手渡された剣の鞘が、訴えかけるようにオスカーの剣の鞘にぶつかっている。
共に歩むにはあまりに非力なのだと、暗に突きつけた銀の刃に舌打ちをする、引き千切る様に鞘ごと取り外し、崖に向かって振りかぶる。
振るう資格などありはしない、それを得ることも決してない、ただただ己の非力さを象徴するような重く美しい銀の刃が、その煌きが、残酷なこの世界と重なって見えた。
祈りは届かない、何故ならただの不死人に理を捻じ曲げるだけの力などありはせず、英雄などなれないまま誰かに縋ろうともがくことしかできはしない。
「壊れてしまえ、私の世界。」
優しい言葉を呟いた唇でオスカーは呪いを吐き出した、火の消えかけた世界のように、人とはなんとも不安定で不確かだ。
崖の底に鋭い視線を投げかける、月の光は決して届かず、嘲笑うかのような銀の煌きを永遠に封じてくれるだろう、振りかぶった腕の、鞘を掴む指に力を篭めた。
ありがとう、助かった。
「…っ!」
女の言葉が疲弊したシナプスを駆け巡る、笑う女の顔が脳裏に焼き付いている。
オスカーは瞳を見開いた、食い縛った歯が兜の内側でかたかたと震えている、振りかぶったままの腕を力なく下ろし、握り締めた剣を胸元に引き寄せる。
膝が崩れ落ちた、緑色の苔を掻き分けるように湿った土に脚甲が食い込む、震える背中をただ月だけが照らしている。
どうすればいいのだろう、どうすればよかったのだろう、祈るように剣を抱きしめたままそっと零れた問いかけは、冷たい空気に消えていく。
女は気付いただろうか、女の傍で美しい剣の柄を握り締め、そして背を優しく撫でた右腕の人差し指に、女が手に入れたものと同じ青銅色の指輪が嵌められていたことに。
以上です。
ようやく折り返しといったところでしょうか、長くなって申し訳ない。
好き過ぎてえろい妄想ができないのはどうしようか・・・。
ともあれもう少しお付き合いしていただければ幸いです。
チューきた!チューきたで、チュー!!
頑張ってエロまで繋いでくれ!
過疎ってるな…貴公らもっと人間性を捧げようぜ
デモンズの蛮族→ダークの持たざる者で露出度かなり上がったよな
つまり2では…
プレイヤーの全裸解禁か
ダクソで全裸キャラ案があったらしいが、大人の事情で削除されたらしい。
その名残が鴉人の下半身。
あんな感じで不死になった者は生気が取れちゃうという設定だったらしいよ。
だから、2でも全裸は難しいんじゃないかな。
せめて、エッチな下着くらいはあってほしいところだ。
「不死者になるともげるんです!!」って力説してたあの方は素晴らしいと思います
穿かざる者
起たざる物
もげるだけならなんとか案が通ったかもしれないけど、
女性の場合はどうなるんだろ。
不死になると、塞がるんですか?お腹の中はどうなの?って感じでさ。
もげるならギャグで通せたかもしれないけど、真面目に考えるとダメな世界だな。
やっぱもげるんじゃない?裏返ってこぼれてきて
でも胸がもげるのはちょっとな……
グロテスクだな
いやぁPC版の全裸modが羨ましい
画像うpってほしいわ
400 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/09(月) 20:41:17.35 ID:mlzZ2eeB
ダークソウル2に聖騎士は出るのかね。
デモンズの萌えキャラはガル、ダークの萌えキャラはリロイだって女の人(知り合いが)力説してた。あの人2で聖騎士出なかったらどうなるんだろう
やっちまった……orz
あげごめんなさい
a
「ソウルの力を求めるのですね。では、私の中のデーモンに触れて下さい…」
「…ああ」
「―――Souls of the mind key to life's ether…」
「…終わりましたか?」
「…ああ」
「…」
「…」
「…あの」
「…?」
「実は私は、人の心が読めるのです」
「………」
(え?何それマジで言ってんの?ソウルの業ってやつ?じゃあアレか?初めて会った時に乳でけえとか思ったこともバレてるわけ?
というかさっき思ってたし。足パタかわええとか見えそうで見えんとかその汚れた足の裏を舐めて綺麗に(ryとか
むしろ現在進行形でそのおっぱい53をガン見してるんですけど。っべー。マジっべー。グルグル巻きでそのボリュームとかマジっべー。
一度で良いからその黒布であーれーやりたいとか考えてんのも筒抜けか。
実際謝った方が良いんじゃねコレ?ああいやこうやって考えてんのも伝わってるのか。
いやホント正直すまんかった。ただ半分はアンタのその魅力的すぎるおっぱいが悪いんだと言い訳だけさせてもらう)
「…そんなに見ないで下さい」
「…すまん」
(あー揉みてー。吸いてー。挟みてー)
「…さわって、みますか…?」
「…ああ」
(ボオォーレタアァリアアアアァァァァ―――ッ!!!)
心の中のテンションたけぇw
聖騎士もこんなんだったらやばいな
ガル「……。(ぅぅぅううううわああぁああぁぁ!やべやべアストラエアちゃんマジぺろぺろ!
あのでかい胸で真摯な聖女とかやばすぎんだろ!乳首ダブルクリックしちゃうぞ!)」
セレン「…。(ぅぅぅううううわああぁああぁぁ!やばやばアストラエアちゃんマジぺろぺろ!まつげながっ!
髪つやっつや!肌きれいすぎ!なにこの可愛い生き物!そうだ!家の紋章をアストラエアちゃんにしよう!)」
ネーチャンしっかりしろwwww
かぼたんとアストラエア様のダブルパイズリで昇天
100万年も死なない騎士がいました。
100万回も死んで、100万回も生きたのです。立派なトゲの騎士でした。
100万人の人がその騎士を殺し、100万人の人がその騎士に殺されました。
騎士の心は、一回も折れませんでした。
あるとき、騎士は白教に仕える騎士でした。騎士は、聖職者なんて大きらいでした。
聖職者は自分では戦わず、騎士にばかり戦いを押しつけました。
ある日、たくさんの亡者に棒で叩かれ、騎士は死んでしまいました。
あるとき、騎士は太陽の神さまに仕える騎士でした。騎士は、太陽なんて大きらいでした。
騎士の主は、使命を果たそうとせず、他の世界の戦士をいじめてばかりいました。
ある日、戦士に崖からつき落とされ、騎士は死んでしまいました。
あるとき、騎士は王女さまに仕える騎士でした。騎士は、王女さまなんて大きらいでした。
騎士の主は、騎士のことなど目にもくれず、ひとりで先に進んでしまいました。
ある日、主は死んでしまい、騎士もまた死んでしまいました。
あるとき、騎士は月の神さまに仕える騎士でした。騎士は、月なんて大きらいでした。
悪者は、騎士に負けそうになるとズルばかりして、騎士は一度も悪者をつかまえられませんでした。
ある日、悪者の剣がかすっただけで、騎士は死んでしまいました。
あるとき、騎士は古いドラゴンに仕える騎士でした。騎士は、ドラゴンなんて大きらいでした。
体の半分がドラゴンになった人間は、騎士が近づくと吠えておどかしました。
ある日、ドラゴン人間がものすごく大きな声で吠えて、騎士はふきとばされて死んでしまいました。
あるとき、騎士はドクロの王さまに仕える騎士でした。騎士は、墓場なんて大きらいでした。
騎士は不気味な目玉を何個もつぶして、お客さんが来るのを待っていましたが、だれも来ませんでした。
ある日、騎士は退屈になって死んでしまいました。
あるとき、騎士は森の墓守に仕える騎士でした。騎士は、森なんて大きらいでした。
森に入ってきた悪者達は、騎士を何度も何度もいじめました。何日も何日も、毎日のようにいじめました。
ある日、騎士は体をバラバラにされ、炎で焼かれながら死んでしまいました。
騎士は、死ぬのなんか平気だったのです。
あるとき、騎士は闇の蛇に仕える騎士でした。騎士は蛇なんて大きらいでしたが、闇は大好きでした。
騎士は、はじめて自分に仕える騎士になりました。騎士は、自分も大好きでした。
なにしろ立派なトゲの騎士だったので、立派な闇の戦士になりました。
どんな戦士も、騎士にはかないませんでした。
剣をすてて逃げだす戦士もいました。ひざまずいて謝る戦士もいました。崖から飛びおりる戦士もいました。
騎士は言いました。
「おれは、100万回も死んだんだぜ。いまさら、おっかしくて!」
騎士は、誰よりも、自分が好きだったのです。
たった一人、燃える都に住む、魔女の娘がいました。
騎士は、魔女のそばにいって、「俺は100万回も死んだんだぜ!」と言いました。
魔女は、「そう」と言ったきりでした。騎士は、少し腹をたてました。
なにしろ、自分が大好きでしたからね。
次の日も、次の日も、騎士は魔女のところへ行って、言いました。
「貴公は、まだ1回も生きおわっていないんだろ」 魔女は、「そう」と言ったきりでした。
ある日、騎士は、魔女の前で、コロコロと3回宙返りをして言いました。
「おれ、神さまの騎士だったこともあるんだぜ」魔女は、「そう」と言ったきりでした。
「おれは、100万回も………」と言いかけて
騎士は「そばに、いてもいいかい」 と魔女にたずねました。
魔女は、「ええ」と言いました。
騎士は、魔女のそばに、いつまでもいました。
魔女は、家族の話をたくさんしてくれました。美しい妹達とも会わせてくれました。
騎士はもう「おれは、100万回も………」とは、決して言いませんでした。
騎士は、魔女とその妹たちを、自分よりも好きなくらいでした。
騎士は、黒い精をたくさん集めては、病気の妹に食べさせました。
「あいつも、すこしは元気になったかなあ」と、騎士は満足して言いました。
「ええ」と、魔女も言いました。
そして、そっと騎士に寄りそいました。
魔女は、 すこし疲れていました。騎士は いっそうやさしく、魔女をだきしめました。
騎士は、魔女といっしょに、いつまでも生きていたいと、思いました。
ある日、魔女は、母が眠る家の前で、しずかに、うごかなくなっていました。
騎士は、はじめて泣きました。
夜になって、朝になって、また 夜になって、朝になって、100万回も泣きました。
朝になって、夜になって、ある日のお昼に、騎士は泣きやみました。
騎士は、魔女のとなりで、しずかに、うごかなくなりました。
騎士はもう、けっして、生きかえりませんでした。
おわり
「100万回生きたねこ」はマジ名作
>>410 乙でやんす。カーク×グラナか。確かにあの距離は・・・凄く近い
そして祈りボランティアの退屈死吹いたw
>>410 GJ!!あの二人殺せなくなりそうだ
コロコロと3回宙返りをするカークさん…いい…
でもよく考えたら、カークさんに抱きしめられたらトゲが(ry
でんぐり返しではなく、三回も宙返りするとは。
なんてアグレッシブなカークさんなんだ。
カークさんにほっこりするなんてくやしい…
416 :
yyyy:2013/11/03(日) 18:57:45.93 ID:bgFpGQcf
おっぱいいいいいいいい
デカパイイイイイイイイイ最高ううううううう
スレチですがダークソウルの全裸のPCの画像ください!
貴公の人間性も限界と見える
420 :
名無しさん@ピンキー:2013/11/27(水) 00:23:49.57 ID:URGHU2xB
お久しぶりです、オスカーさんの話の続き投稿いたします。
本当に、遅くなって申し訳ない…。
今回もえろくないです、ハイ。
少々長くなりますので途中で投稿が止まるかもしれませんがその時はお待ちいただければ幸い。
物語の終着点は決して変わることは無く、描かれた運命に沿いながら役者たちは進んでいく。
約束された悲しみへ、約束された悲劇へ、歩みを止めることのできないままに。
オスカーは嗤う、誰かが世界は悲劇だと吐き捨てたように、絶望に彩られた景色に呪いの言葉を囁きながら。
女が居た、王の器で燃えるソウルの光に照らされながら、静かに此方を見つめている下級の騎士。
顔は見えない、兜の庇の陰が目元に深い影を落としている、唇は固く結ばれたまま白い肌に赤の色彩を添えている。
「…汝を待っていた。」
ゆっくりと一歩踏み出す、うわ言のように呟いた言葉に女の肩が小さく跳ねた。
固い石畳を踏みしめる音が、薄暗い祭壇にやけに響く。
「愚かな神の下僕、フラムトの駒。」
かつん、かつん、と高い音をたてながら、ゆっくりと女に近付いていく、女の表情は未だに見えない。
赤い光と暗い闇が鎧の表面を撫でる、この光景は、女の瞳にどう映るのだろう。
「私の手で、君を終わらせよう…。」
歩みながらゆっくりと愛剣を抜く、きらりと光る切先に、呟かれた言葉に、女の唇が僅かに開いた。
は、と唇の間から吐息が漏れるのを感じた、しかし再び固く結ばれたそれを静かに見つめながら歩みを止める。
かつてそれが自分のそれに重ねられていたという事実はすでに遠く感じる、口内を、咽を、胸を、内股を伝う熱が脳内を過ぎる。
「そして、真の闇の王に…。」
言葉の終わりと同時に強く地を蹴り剣を振るう、塔の描かれた盾が直撃を阻んだが、切っ先に篭められた魔力が盾を貫き女の腕を走る。
女は歯を食いしばる、切り結ぶことで二人の顔は自然と近付く、漸く見えた女の表情に、オスカーは内心で自嘲の笑みを零す。
目尻に溜まった雫が火の炉の光に淡く光る、困惑と狼狽と、絶望に彩られた瞳に蠢く呪いの証が闇を湛えて怪しく瞬いている。
クレイモアが刃を煌かせ青いサーコートを捉えようと唸りを上げたが、それは容易く紋章の刻まれた盾に阻まれる。
腕力は圧倒的に女のほうが上だった、しかし殺意の無い刃の切っ先など、憎しみと絶望と湧き上がる怒りに塗り固められた男にとって、弾き飛ばすには片腕で十分すぎるほどに弱く脆いものだった。
受けた刃を滑らせるように流し、衝撃でがら空きになった女の腹に刃を突き立てる、バキバキと音をたてて板金の鎧が砕け、女は口から赤い血を吐き咳き込む。
本来祭礼用の意味の強い直剣はそれでも致命傷を与えるまでは行かず、体重をかけて女を石畳に押し倒す、そうして刃を更に深く食い込ませながら捻り、傷口を広げるように抉る。
刃と骨と鎧が軋み、耳障りな悲鳴を上げるのを聞きながら、女の苦痛が長引くように体重を利用して刃を押し込む。
「あ、が…っは…!」
目を見開きながら女は悲鳴を上げてもがく、クレイモアが甲高い音をたてて滑り落ちた。
押しのけようと突き出された腕を左腕で捉え、細い指をへし折る勢いで握り締める、女の左腕は膝で押さえつけた。
恐怖と困惑と苦痛に歪む女の顔は、吐き出された血と炎の赤に照らされ残酷な美しさを放っていた。
「どうして、なんて考えているな。」
顔を近付け囁けば、女の肩が小さく跳ねる、怯えた視線が兜越しに瞳を射竦めるのを内心で唇の端を持ち上げながら見詰める。
嗜虐嗜好があるわけではないが、今のオスカーにとってはそれは酷く好ましいものだった、同時に何処か心の奥底の何かが音をたてて壊れていく感覚にも見舞われるのだが。
しかしそれも今のオスカーにとって些細なことでしかなかった、何故ならばとっくに自分が狂ってしまっていることをオスカーは自覚してしまっている。
何時からこうなってしまったのかなどという思考は、加速していく精神の崩壊を思えばもはや無意味でしかなく、故にそれは純粋な悪意として女に牙を剥いた。
「私達は道を間違えたんだ、最初の火の温もりと神の愛に満ちた、この、残酷な世界で。」
女の指を握る手に力を篭める、押しつぶされた骨が軋み手甲が軋む、ボキリという鈍い音がして女の指の力が抜けるのを感じた。
「い、ぎ、ぁ…あ、あぁぁぁっ…!!」
激痛に悲鳴を上げ女は身を捩る、血と唾液を吐きながらどうにか拘束を振り解こうと暴れだした。
オスカーは兜の内側で暗い笑みを浮かべる、女を力尽くで抱いたなら、きっと同じような表情をするのだろう。
「散々目にした筈だ、この世界に救いなどないと。」
圧し折った指を掴んだまま女の腕を地面に押さえつける、囁く声は酷く穏かで優しい。
それが女の傷を抉るだろうということは承知していた、だからこそいとも容易く突きつけることができた。
女が嫌々をするように首を振る、目尻から零れた涙が石畳に染みを作っている。
「分かっているだろう、自分は誰も救えはしないのだと。」
指を掴んでいた左手で女の首を乱暴に掴む、視線を逸らせないように咽元を押さえ、呪いの証を交差させる。
女の目が見開かれた、蠢く炎の輪が放つ紅い光が、僅かに二人の鎧を照らしている。
「選ばれた不死、不死の英雄、そんな言葉に踊らされて、いい気になって、結局君は誰を救えた?」
ひゅっ、と女が息を呑む、咽元を押さえられているため浅い呼吸でしかないが、呟かれた言葉は飲み込めただろうか。
げぼ、咳と共に吐き出された血が唾液に混じり流れ落ちる、それでも女は歯を食いしばる。
嗚咽も悲鳴も、衣擦れと金属音と爆ぜる炎に掻き消され、互いの血の熱だけが五感に焼き付いている。
「救えるものか、誰一人として、何一つとして。」
呪いの様に呟きながら女を貫く剣を抉る、激痛に女の身体が弓なりにしなる。
「あ、が…っぐ、…げぼ、ご、が…っ!」
肺に溜まった血を吐き、鼻からも紅い雫を噴きながら苦痛に歪む女の顔は、どこか生娘の情事を彷彿とさせた。
ああ、確かにこれは情事だ、消極的な愛を囁きながら互いの体温に思考を埋めて下卑た笑みに肩を揺らす、この野蛮で本能的で陶酔した感覚を齎す行為は。
「諦めてくれ、どの道火は消える。」
囁かれた懇願の声音の優しさに、女の背筋を薄ら寒い風が走る。
紅い光に霞む視界を覆う騎士の顔は、兜に阻まれ伺うことはできない。
「ここで、君は終わるんだ、もう、十分だろう。」
オスカーは低く嗤う、身勝手だとは重々承知していた、女が見た悲劇の発端は、オスカーが彼女に押し付けた彼自身の使命に他ならない。
だからこそ、終わらせねばならなかった、神の威光に満ちた残酷なこの世界の真実を知った今となっては、こうすることでしか果たすことはできなかった。
覚悟は出来ていた、全てを失い、血を吐きもがきながらそれでも縋りつき、這いずりながら生きて、生きて、絶望の中その先に見つけた物さえも差し出す覚悟は。
引き抜いた剣の切っ先がぬらりと赤く瞬く、滴り落ちる血が女の顔に花びらの様に散る様が酷く艶かしく見えた。
痛みに歪む女の瞳が震える切っ先をゆらゆらと追う、咽元に狙いを定めた冷たい光を眩しそうに睨みながら。
オスカーは小さく息を吐いた、このまま腕を振り下ろせば全てが終わるのだ、再び得たものと引き換えに、全てが。
失う覚悟は出来ていた、出来ていた筈だった。
「………っ!!」
胸に走る強い衝撃に肺が潰されて息が詰まった、吹き飛ばされた身体が石畳に叩きつけられる前に腕を突き立て直す。
肋骨が軋み悲鳴をあげたが、咽から込み上げる呻きを噛み潰しオスカーは立ち上がる、視線の先にはよろよろと立ち上がる女の姿があった。
みしみしと不快な音を立てながら抉られた傷が塞がるのを、呼吸を整えながら睨みつける。
不死の呪いは苦痛からの解放ではない、普通の人間であれば致命的な傷ですら完全に生命力の尽きぬ限りは修復できるというだけで、逃れられぬ痛みに摩耗する心が何れは狂気へと染まるのだ。
そう、全てを失う覚悟を決め、全ての障害を斬り捨てながら歩み、最後の最後に刃を振り下ろす事をほんの僅かな時間躊躇った、このアストラの騎士のように。
オスカーは柄を握りなおす、女は口元と鼻の血を乱暴に革の篭手で拭い、口内の血を唾と共に吐き捨てた。
射竦める女の瞳に鋭い光が宿るのを、オスカーはほんの僅かに狼狽した心で認識する。
とうに覚悟は出来ていた筈だった、しかし震える腕が、軋む心が、体中を這い回る熱の残渣が、女に反撃の隙を与えてしまった。
今更何に縋ろうというのだろう、今更何を失うというのだろう、分かっていた、分かっていた筈だったのに。
女が黒い精を握りつぶす、決別の意を以ってクレイモアが煌く、青い盾が甲高い声で歌いだす。
「うあぁぁぁぁぁぁっ!!」
女が獣のような咆哮をあげる、打ち付けられる刃を受け止める腕がびりびりと痺れた。
素早く後ろに転がり距離を取る、即座に距離を詰める女に咄嗟に剣を振り上げれば、切っ先は斜めに女の脇腹を掠り火花を上げた。
「……っ、ぷ…っ!」
どう、と一拍遅れて身体を襲う衝撃と激痛に息が漏れる、強靭任せに捩じ込まれたクレイモアの一撃に身体が仰け反った。
追撃を辛うじて盾で受け止め、女を蹴飛ばし体勢を整える、切っ先の当たった部位に手をやれば、サーコートはざっくりと裂け、板金は変形していた。
皮膚は切れてはいないが、恐らくすぐに内出血でどす黒く変色するだろう、熱を持った患部の痺れるような激痛に、ふう、と強く息を吐く。
腹の中が強く揺さぶられるような不快感に脂汗が吹き出る、恐らく内臓も無事ではないだろう。
斬撃を繰り出した後の僅かな隙を縫って無防備な胴に繰り出された一撃は、もしもオスカーの命が可視化できたとすれば、おそらく三分の一程は掠め取ってしまっている。
鎧ごと相手を叩き潰すために発達した剣であるクレイモアの恐ろしさを肌で感じながら、恐らくは自分のように覚悟を決めたのだろう、もしくは単純に自分を敵として認識したのであろう女の瞳を見つめる。
北の不死院で、火継ぎの祭祀場で、黒い森の庭で見た、幼さの残る顔立ちの、大きめで澄んだ二つの瞳。
オスカーを見つけるたびに喜びに光っていたそれは、今は奥底に燻る呪いの炎を宿しながら、鋭い敵意を宿し涙に濡れて光っている。
女の放つ突きをかわしすかさず両手で掴む剣で薙ぎ払う、祝福を宿した切っ先が女の胸元を掃い、痛みに女が僅かに呻く。
身体を動かすたびに傷の痛みがオスカーを苛んだが、同時にそれはオスカー自身が未だ世界に生かされているという感覚を与えてもいた。
女も果たして感じているだろうか、ふとオスカーは考える、切っ先をかわしながら繰り出す一撃の齎す、この世界では聊か控えめにすら思える痛みの中で、肉体に焼付けられた命を感じているだろうか。
「うあぁぁぁっ!」
女の獣じみた慟哭が、オスカーの意識を引き戻す。
青い盾の表面に食い込む刃を握る女の手が震えているのが目に入った、金属音の向こうにある女の顔は、未だ涙に濡れている。
自然と近付く顔に吐息が交差する熱を掛け合いながら、赤い唇から漏れる小さな嗚咽にオスカーは僅かに肩を揺らせた。
咄嗟に女を蹴り飛ばし距離をとる、互いに盾を構え睨み合う中、ただただオスカーは女の瞳を吸い込まれるように見つめていた。
止め処なく零れ落ちる雫に、まるで心臓を直に握りつぶされるような圧迫感を感じる、あれは痛みに流れる生理的なものではない。
何故女は泣くのだろう、何故、こんなにも胸の奥が苦しいのだろう。
ぱたり
兜の中に響く小さな音にオスカーは息を呑む、心なしか目元が熱い。
ぱたり、ぱたり、何度も何度も小さな音は兜の内側を叩いている、恐らく普段であれば聞き取ることなど出来ないほどのささやかなそれは、厭にはっきりと鼓膜を擽っている。
急に動きを止めたオスカーを、警戒しながらも訝しげに女は見やる、小さく鼻を啜りながら、それでも何かに縋るように。
「…そうか。」
女に聴こえないようにぽつりと呟く、美しい剣を掴む腕が震えているのに今更気がついた。
「それが、君の覚悟なんだな。」
ぶん、と刃を大きく一振りする、それは宙を切り裂くに留まったが、一閃の示す意味を正しく女が汲み取ったことは、縋るような視線が諦めに塗りつぶされていく姿がオスカーに伝えていた。
なんて愚かだったのだろう、オスカーは兜の奥で歪に嗤う、同じ景色の中にさえ存在することの許されなかった二人が、痛みの中に見出した命のその意味を、見出した先の答えを共有することなどできはしない。
今更女の覚悟の意味に気付いたところでオスカーは立ち止まることなどできやしなかった、悲しみを回避するには全てが遅すぎたのだ。
女が駆け出した、騎士は青い盾を構え女を真正面に見る、兜の内側に響く音が酷く煩わしい。
斬撃は青い盾の表面を撫で、空間を染める器の炎の赤に刹那の火花を散らしながら金属音と共にオスカーの腕を這う。
鉛色の空にのたうつ稲光のような衝撃を感じながら、オスカーは女の腹を目一杯の力で蹴り飛ばす、めきりと厭な音がして、女の額に冷や汗が浮かぶ。
けぽ、咽の奥から空気の塊を吐き出し女は呻く、ずるりと滑る地面に足を取られ板金の鎧を纏った身体が傾いた、驚きに目をやれば、先ほど女自身が吐き捨てた血の塊が、革のブーツに踏まれて金箔のように薄く伸びていた。
姿勢を崩した女に騎士が迫る、祭礼用の剣の軌跡が酷くゆっくりに見えた、無意識に腕が動く、女がこの残酷な世界で培った生きるための術が、金属質な歌声を上げて目を覚ます。
両腕で刃を振るう騎士の胴はがら空きだった、そこを目掛けて反射的に繰り出された突き、しかし女は認識していた、姿勢を崩したまま繰り出した突きは一歩踏み込みが遅れている、騎士は既に女の刃の動きに反応していた。
そう、既に反応していた、騎士は女の刃を目で追い、そしてそれが肉薄するのにあわせて自らの刃を片手に持ち替え、そして。
どつん。
暗い祭壇に響く鈍い音、一拍遅れてからりと高い音を立て祭礼用の剣が石畳に跳ねる。
土埃に汚れ黄ばんだ裾の、特徴的な深い青のサーコート、その背から血塗れの金属を羽根を引き千切られた翼のように生やし、騎士の脚が爪先立ちをするように浮く。
「……あ。」
騎士の兜の隙間から溢れる血が女の顔に散る、女が無意識に柄を握る指の力を抜いたので、オスカーはクレイモアに貫かれたまま両膝をついた。
「あ…、あぁ……。」
女の口から小さく意味の無い呟きが漏れる、見開かれた瞳が、オスカーよりも幅の狭い肩が、控えめに衣擦れを立ててわなわなと揺れている。
両手で扱われることを前提とした大振りの刃を、生暖かい血がゆっくりと伝い落ちる、それが二人の足元に掌ほどの染みを作った頃、ずるりと肉に食い込む刀身が重力に従い血だまりに沈む。
それと同時に女の膝が崩れ落ちた、行き場をなくした両腕が宙を彷徨い、オスカーの影を撫でるように指先が冷たい空気を掻き毟る。
「なん…で…、何で…っ!」
わなわなと肩を震わせ女は悲鳴のように声を上げる、困惑に揺れる瞳が赤と青と銀の色彩を映し出す。
片手に持ち替えられた刃は女に向けられることは無く、女の大振りな刃を招き入れるかのようにオスカーの両腕は大きく開かれたのだ、まるで暗い空に羽ばたこうとする傷付いた鳥の翼のように。
「…はは、は…っ。」
丸めた背中を小さく震わせながらオスカーは嗤う、貫かれた傷はずるずると塞がっていくが、皮一枚で繋がった命は最早投石の一つも耐えられそうになく。
兜の隙間から吐き出した血が流れ落ちる、傾いだ身体を女が受け止めた。
「覚悟、は…できていた…、はず…、だったんだが、な…。」
逼迫した喘ぎと共に搾り出された声はオスカー自身への嘲りを存分に含んでいた、力なく凭れかかるオスカーを強く抱きしめ、見開いた瞳を揺らしながら女は小さくオスカーの名を呼ぶ。
「届か、なかった…、思い、知らされた、君の…、姿に…、振り下ろす、腕、を…、躊躇ったあの、瞬間…に。」
もう、勝敗は決していたのだ、力なく騎士は呟く、兜の内側に響く音は流れ落ちる血に混じり暗い空気に冷えていく。
「私…は、愚かだ…、自分…の感情、に…流され…、結局、何、も…出来やしない…、此処…まで、辿り着いた後、で、すら…。」
女の嗚咽が間近に聞こえる、黒い森の庭で女の唇に触れた記憶が目を覚ます、胸元を伝い落ちる橙色の熱を道連れにして苔むした大地に捨てた筈の痛みが、今は酷く懐かしい。
「全て、が…、無駄だった…、結局、私…は…君の、様には…、ただ、君…を、傷付ける事、しか…。」
紡ごうとした言葉は女の両腕が余りに強く抱きしめるので途切れてしまった、兜越しに頬を寄せて女は小さく鼻を啜った。
「…無駄じゃ、ないよ。」
震える声が耳を擽る、首の後ろに回された右腕は優しくオスカーの肩を撫で、左腕はとんとんとあやすように緩く背中を叩いている。
女の掠れた声は、きんきんと甲高い音が暴れまわっている鼓膜にとても心地良く響く、重い体は最早他人の物のようにオスカーの意思を反映せず、力なく女に体重を預けている。
「オスカーがいてくれたから、私は立ち上がれたよ、オスカーがいてくれたから、私も生きようって思えたよ。」
押し潰された息を吐きながらオスカーは耳を澄ます、女の腕が存外心地良いので、気を抜けば眠ってしまいそうだった。
ごつごつした冷たい古い石畳の上であるが、それでも深く寝入ってしまえるだろう、精神も肉体も、それほどにずたずたに引き裂かれ疲弊していた。
「オスカー、貴方がいてくれたから、貴方も戦っていることを知っていたから、私は諦めずに進めたの。」
半ば夢心地で聴こえる言葉は酷く優しかった、焦点の定まらない赤い視界に女の顔は映らないが。
かちゃりと小さな金属音が爆ぜる火の音に混じって聴こえる、身じろいだ女の気配に小さく瞳孔を揺らしオスカーは小さく息を吐く。
何か言葉を吐き出そうとして、しかし不意に重ねられた唇にその努力は徒労に終わる、黒い森の庭で重ねられた時と同じ、温かく柔らかな女のそれが、果実をついばむ小鳥の嘴のようにオスカーに触れる。
互いに血塗れの唇はほんの僅か触れ合っただけで直ぐに離れたが、交わした熱はそれでも指先まで甘ったるく痺れさせ、酷くオスカーの内部を引っ掻き回した。
あの時は、傷付いたオスカーを救おうという気持故の行動だったのだろう、しかし、今女は明確な意思で以って唇を重ねたのだ。
「生きて、オスカー。」
オスカーの口元の血を拭い女は囁く、剣を向けた男に生きろと望むのか、オスカーは疲弊した心の片隅で小さく呟く。
「君…、は、強い、な…。」
自らへの嘲りを歪な笑みに乗せて吐き出す、女はゆるゆると首を横に振る、回された腕に力が篭められた。
「強くなんかない、何時だって怖くて不安で、泣きそうだった。」
女はオスカーの胸に顔をそっと埋める、まるで鎧越しに心臓の鼓動を確かめるように。
「オスカー、身勝手かもしれないけど、貴方が好きなの、貴方でないと駄目なの。」
「何、を…。」
するりと女は再び頬を寄せる、血と埃の匂いに混じって僅かに香るどこか甘い匂いが酷く胸の奥の感情を引っ掻き回すので、オスカーは口を噤むよりなかった。
死の危険が常に身近に迫る人間は異性を惹き付ける香りを放ち、自身もまたその香りに敏感になるという、命を繋ごうとする動物的な本能が思考の端に滲み出す。
馬鹿馬鹿しい、生命としての理を逸脱し死の概念すらあやふやな不死の人間に、生命の本能がどれ程の意味を成すというのだろう。
「確かに私達は道を間違えたのかもしれない、救いなんか無いかもしれないし、選んだ手段が正しいかなんて、きっと誰にも分からない。」
刃の食い込んでいた腹を、過ぎ去った痛みをなぞる様に女が撫でた、目に見える傷は消えても、植えつけられた死の記憶は肉体にこびり付いている。
「だけど、きっと希望はあると思うの、私が燃え尽きるまでの時間で、それが見つかる保障はないけれど、たった一つでいい、多くは望めないのなら、せめて。」
再び女の唇が重ねられる、先ほどの口付けよりもほんの少しだけ長く触れ合った後、女はオスカーの兜の庇を優しく降ろす。
控えめな金属音を無感動に聞き流し、オスカーは石畳の上で小さく息を吐く、皮一枚で繋がった命は冷え切った身体を震わせることすらできない。
「生きて、オスカー、もう一度、人として。」
それだけでいいから、女は懇願するように囁く、紡がれた言葉にオスカーはただ潰れた吐息で答えた。
女は優しくオスカーの身体を抱え、燃える器の傍にそっと横たえさせる、じわりと火の温もりが生命の尽きそうな肉体に再び活力を注いでいく。
「さよなら、オスカー。」
石畳にサバドンを踏み鳴らし、女は歩き出す、その背を首を傾けオスカーは見送る、板金の鎧の表面を撫でる赤い光が酷く眩しかった。
希望はある、女は言った、口の中で反芻しながらオスカーはそっと指に力を篭める。
何が希望だというのだろう、灰の降る朽ちた世界へと向かう背中を睨みながらゆっくりと上体を起す、じゃり、と砂と不死の灰が鎧に擦れて悲鳴をあげる。
女は知らないのだ、オスカーが刃を向けたその先に見た景色を、血に塗れてでも掴もうとした、彼の答を。
君は強い、だが、詰めが少し甘いな。
オスカーは唇の端をくっと持ち上げる、手を伸ばせば届く場所に、彼の愛した剣があった。
革の手甲が使い古された柄に絡む、しっかりと握り締めれば馴染んだ重みが心地良かった。
静かに、静かにオスカーは立ち上がる、女は灰の騎士の幻に霞む階段を降りようとしていた、その背に向かい刃を掲げる、前を見据える女は騎士の刃に気付けない。
半端に回復した体は酷く軋んだ、錆付いた蝶番のようにぎしぎしと鳴る関節が酷くもどかしい。
「ああ、さよならだ。」
オスカーは笑った、憎んでいた、愛していた、悪意と悲しみに満ちた残酷なこの世界で、唯一つ叶えたかった願い、届かなかった覚悟すら背負い歩む、女の背中に震える手で突きつけた刃を振り下ろしながら。
鈍い音がした、灰に霞む階段に踏み出そうとした足が自然に止まる。
胸の奥に湧き上がるざらついた空気が女の腹の底を黒いヘビのようにのたうつ、肌は粟立ち背骨を冷たい風が逆撫でる。
錆付いたブリキ人形のようにぎこちなく女は振り向く、広がる景色に限界まで見開かれた瞳が絶望に彩られ、女の身体を弾き飛ばすように走らせた。
「オスカァァァァァァ!!!」
女は吼えた、目の前で己を酷く主張する色彩が心臓に突き刺さる、胃袋が咽から飛び出しそうだ。
最初に飛び込んだのは深い青のサーコートだ、次にそれを赤く染めあげる鮮血が女の視野に突き刺さる、その飛沫の源は深々と胸を貫く銀色の剣で、その切っ先に炎に照らされた刺繍がくすんだ金色の光を遊ばせている。
オスカーの命が女に流れ込んでいく、崩れ落ちる身体を乱暴に掻き抱き女は騎士の名前を呼ぶ。
兜の内側で唇が震える、小さく聴こえる吐息が不恰好な笑みだと気付き女は騎士の身体を揺さぶった。
「は、はは…っ、無意味、なんだ…、それ、では…。」
君が其処にいなければ。
そう搾り出すように呟いて、オスカーの身体から力が抜けていく。
ごぼごぼと肺に溜まった血が泡となって咽の奥からせり上がって来る、背骨がでたらめな神経の電気信号にがくがくと震える。
急速に狭くなる視野に、呪いの光の蠢く女の瞳がちらりと瞬く、余りに大きく見開かれているので、大粒の涙とともに瞳まで零れ落ちてしまいそうに思えた。
無意味なのだ、激痛がのたうち消え行く思考でオスカーは呟く、たとえこの世界に温もりが戻り、ただの人として再び生きることが叶うとしても、その世界に彼女がいなければ。
だからこそ、オスカーは女に刃を向けた、彼女は強い、オスカーに敗北したとて、必ず立ち上がり再び歩き出すだろう、それまでの僅かな時間があれば全てに手が届いていた。
それで憎まれてもかまわなかった、そうしてでもやらねばならなかった、故に女に敗北したその時、オスカーにできることは速やかにこの世界から立ち去ることだった。
女のいない世界に居座る理由は無く、また人として生きる資格などなかった、女の迎えるであろう結末は理解していたが、結局阻止することはできなかったのだ。
ああ、畜生、畜生、あと少しだったのに、どうしても胸の奥の感情が邪魔をして、彼女に向けた切っ先を鈍らせてしまった。
ああ、何故君なんだろう、私達を見捨てた連中が人として生きるための犠牲に、君がなる必要などないのに。
目まぐるしく脳内を駆け巡る思考を払うようにオスカーは嗤った、使命を託したのは、女を選んだのはオスカー自身だ、その犠牲を女に強いたのは、他ならぬ自分なのだ。
とても寒い、身体を揺さぶる女の手が鎧越しに妙に熱く感じる、悲鳴のような声が酷く悲しい。
泣かないでくれこんな男のために、私にそんな資格などありはしないんだ。
女の嗚咽が遠く聞こえる、最早意識を保つことさえ不可能で、じくじくと流れ落ちる血の生温さが酷く不快で。
しかし、剣に貫かれた傷の痛みよりも、胸の奥底をぎりぎりと締め付けられる痛みが苦しくてたまらなかった、ただただ傷つけるばかりだった自分を、それでも求めてくれた女を裏切った事実がどこまでもオスカーを苛んでいた。
冷えた身体を伝う痛みすら最早感じなくなっていた、急速に闇色に染まっていく思考が終わりを告げている。
どこまで自分は愚かなのだろう、ああ、それでも最後にただ一つ、伝えることが許されるというのであれば。
「…ありがとうな。」
愛してた、最後の力を振り絞るように小さく、小さく呟いて。
かくりと、力なくオスカーの首が項垂れるように横を向く、女はがむしゃらにオスカーの身体を揺さぶった。
何度も何度も名前を叫び、狂ったようにその背を叩き、しかしやがては力なく抱えた騎士の身体をそっと石畳に横たえさせ、ふらふらと立ち上がると頭を断頭台に向かう罪人のように垂れ、脚を引き摺るように火の炉へ歩き出す。
きつく抱きしめた愛しい人の身体から流れ出る血が、酷く冷たいことに気付いてしまったから。
身体が酷く重い、抜け殻のような思考がちぐはぐな記憶をシナプスを介して網膜に映し、突き付けられた現実から女の心を守ろうと無意識の防衛反応を繰り返す。
これこそが亡者が見る世界なのかもしれない、無味乾燥な灰の大地を踏みしめ女は歩く、最初の火に焼かれ硝子のように溶けた岩と樹と死者の灰は、女の足を柔らかく包み迎え入れる。
ただ一つ、この広い世界で唯一つ、何と引き換えにしても守りたかった存在、それを失った今となっては何もかもが無意味なものに成り下がってしまった。
覚束ない足取りは、不意に聴こえる世界の交わる音に引きとめられる、ざくざくと音を立てて踏みしめながら其方を見やれば、敵意に満ちた赤い霊体が朽ち果てた大地から芽生えるように姿を現していた。
平行世界より女を殺しに現れる闇霊、ダークレイス、幾度と無く女の旅路に立ち塞がった赤黒い敵意。
その姿に、女は無感動な心のまま悲鳴を上げそうになった、見慣れたブルーのサーコートの、魔力の篭った紋章の刻まれた青い盾を持った、庇の降りた兜の騎士。
オスカーと同じ、アストラの貴族の纏う上級騎士の鎧。
女を害する侵入者として、あるいは女を救う白い霊体として、この世界に現れた数多の平行世界の戦士達の中では、別段珍しい姿ではない。
だが女の瞳は見開かれたまま釘付けになる、闇霊の振りかざす剣が、女の乾いた思考を大きく揺さぶったのだ。
は、と大きく息を吐いた、きらりと煌く細身の刃、捨てられた都を守る銀の騎士達の剣、黒い森の庭で彼の人に女が投げて寄越した剣だ。
オスカーは最期まで振るうことのなかった、祭礼用の剣よりもはるかに強力な刃が、目の前のオスカーと同じ姿の闇霊の手に握られている。
ああ、そうか、女は唇の端をくっと持ち上げた、闇霊が切っ先を女に向ける、その姿は流麗で、ひたすらに美しかった。
「もう、終わっていいのよね。」
振り翳される刃を迎え入れ女は小さく呟く、先に進む理由など失ってしまったのだ、故に生にしがみ付く必要もなかった。
切っ先が女を斜めに撫でた、降り積もる灰に身体を預け女は微笑む、闇霊の優しい刃の齎す死は無抵抗な女の壊れそうな心をそっと撫でた。
罅割れた心は既に限界だった、恐らくこれが最後の死になるだろう、最早正気を保つことなど不可能に思えた、否、正気でいたいとは思わなかった。
身体が崩れていく、不死の灰に戻り散って行く、これで楽になれるのだ、終われるのだと女は酷く安堵した。
死は怖くなかった、何度も経験しているうちに麻痺したのかもしれなかったが、それでも驚くほどに女は安らかだった。
消え行く女に闇霊は跪き祈る、オスカーではない誰かは、しかしどこか彼のように凛として、美しかった。
どうか安らかに、女は世界へと祈る、滅び行く世界の中それでも彼らは魂の擦り切れるその時が来るまで生きて行くのだろう。
視界は黒く塗り潰された、遠くで硝子が砕けるような音を聞きながら、女は意識を手放した。
どれ程の時が経っただろう、火の爆ぜる音に女は弾かれたように伏せていた顔を上げる。
「ここは…。」
辺りを見回せば、王のソウルが轟々と燃え盛る器が目に入る、其処は火継ぎの祭壇だと直ぐに理解ができた。
それは特に問題ではなかった、女は困惑した表情で燃える火を見つめる、確かに自分は死に、そして終わったはずなのだ。
だが、未だに女はこうして生にしがみ付いている、頬を撫でれば干からびた亡者のそれでなく、瑞々しい生者の肌が革手袋越しに指先に触れる。
そう、生者のまま女は此処にいるのだ、その理由が女にはとんと掴めなかった。
かつん、不意に響く音にぎくりと肩を跳ねさせる、其方に目をやり、女は小さく悲鳴をあげた。
愛しい人の亡骸が其処に横たわっていた、血に塗れ、力なく倒れた亡骸は、女の帰還を待っていたかのように白い灰となり散って行く。
血の赤と、サーコートの青と、鎧の銀と柄の金が、炎に照らされながら掻き消えていく、なんて美しくて悲しい景色だろう。
「……あ。」
女はそろりと右腕を伸ばす、散って行くオスカーの左の掌から、見覚えのある黒い指輪が転がり落ちていた。
それはオスカーと対峙した時女が右の手に、今は壊れて金属のリングだけになった指輪の嵌められている指に嵌めていたはずのハベルの指輪だった。
「……あああ。」
なぜそれをオスカーが持っているのだろう、この壊れてしまった指輪は一体なんなのだろう。
その答えに行き着いた時、オスカーの亡骸は跡形も無く消え、冷たい石畳だけがそこに残った。
「ああ、あ、あ…。」
涙が零れ落ちる、視界が霞み膝が崩れ落ちる。
犠牲の指輪、それは死の齎す不死の呪いの負荷から一度だけ装着者を守る指輪、死によって砕け散り霧散する精神を、一度だけ崩壊から守る力を持っている。
あの時、組み敷かれ、力任せに圧し折られた指、痛みに意識を奪われていた指に、許婚に印を与えるようにオスカーがそっと嵌めた指輪が、その力を失いただの金属の輪となって存在していた。
「うあ、ああ…、あ…。」
理解した、理解してしまった、嗚咽が咽の奥から溢れてくる、乾いた空気にひりひりと痛む咽がそれでも押さえきれない感情を冷たい空気に解き放つ。
炎に縫いとめられた不死人は、死ねば心が崩壊しない限り灰となって篝火に引き戻され、再構築された肉体と共にいつか訪れる精神の崩壊に再び脅えながら生き続けるのだ。
肉体の再構築は瞬時に行われるわけではない、女がオスカーに敗れていたとすれば、再度女が立ち上がるまでにオスカーが目的を果たすための時間は十分にあっただろう。
そう、女は理解したのだ、愛しい人の、ただ一人救いたかった人の、女に剣を向けてでも果たしたかった、最後の願いを。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
慟哭が暗い祭壇の空気を揺るがす、滅びの近付いた世界の中心に取り残されたのは、不死の女ただ一人だった。
以上になります。
えろを書く踏ん切りがつきましたので、次回辺りにえろを織り交ぜたいと思います。
全てオスカーさんの没ボイスが悪い。
長くなりますがもう少しお付き合いいただければ幸いです。
>>433 乙です。続き待ってるよ〜。
なに、太陽を眺めてればあっという間さ
良いねえ。こういう、ゲーム上の設定を上手く演出するのは好きだ
もう続きが来ないのでは…と亡者に成り果てて旅立ちかけたら投稿してくれる主はマジ太陽!
ソラル「太陽を見続けたら目をやられた……」
>>420ですが
いや、ほんとに時間かかって申し訳ない、それもこれも好きな人ゆえにしっかりと魅せてあげられるようなものを書きたいと思ってるからなんだ…!
だがこの人の出番が出番なだけに燃料が枯渇気味でしてね…。
だが2が出るまでには完走させるので、じっくり待っていただきたい…!
439 :
名無しさん@ピンキー:2013/12/08(日) 15:05:16.45 ID:vdXiZTVx
プリシラ姫て人気ないですかね……
>>439 人気はあると思う、ただそのままだと体格差が厳しいんじゃなかろうか。
ケモナーには大人気かもしれん
勝手なイメージだけど、女主人公とのいちゃレズの方が合いそうな気がする
とりあえず弱点は尻尾
なぜ半竜の誓約が無いのか疑問に思うぐらい好きです
443 :
名無しさん@ピンキー:2013/12/09(月) 01:12:43.85 ID:lRZ57zbV
太陽万歳!
プリシラちゃんにくるまりながら絵画世界で暮らしたい
企画当初はメインヒロイン設定だったらしいのにあんまりじゃないか…
放浪の王子リカールが最後たどり着いた絵画世界。
決して触れてはならない彼女の悲しみを自身の運命と重ねた彼は、この地を旅の最後を決めた。
という、夢を見たんだ。
艦これ速報 kancolle 捏造 オワコン ステマ KADOKAWA (´・ ω・`) 偽装 詐欺 架空請求 違法サイト 児童ポルノ 無断転載 個人情報抜きとり
放浪の王子なんて幅の広がりそうな設定だけど、広げるネタがなさすぎてネタにされないリカールさんかわいそう
王子センの古城で止まってるしな。装備はアノールに届いてる(多分)タルカスさんもいるが
___
ノ「:; :; :;7 、_
「ケンタッキー7
! : :l :; :;/::::::;;/
ノ/仁 イ:::::;;/
〉;;::ィ↑>、y
,,―、___>ヘ, へ, ヘ
/\ く 〉::::`〈./|ヽ,ト} 【呪ケのイカ】
〉┘\Y_ 〉:::::ヘ,|_√ 性夜を満喫するイカです。
\:::ヘ_!\ ヽ__::::∨´ヽ, 見たらある意味で死にます。
\::::ヽ、\}_::::∨Y 他の場所にコピペしても無駄です。
\/:: ̄i\_:∨
_>、::`::|\=:ヘ
_/ /`ヽ、::\ヘ
く_,..〆、`ー::| `ト、;::ヘ
ヽ ヽ} `ー-ハ \ ^〉
__>‐〈 く⊥_∨、
^一'''´ ←<"|
`ヽ〉i
(`")
ガルさん満喫中か…ちょっとトマスさんに遠眼鏡返してもらってくる
452 :
サンタ:2013/12/25(水) 18:36:45.07 ID:+KWb849P
昨晩、仕事がてら谷3をウォッチしてきました。
トナカイとの打ち上げも終わったのでレポ投下します。
453 :
『不浄の聖夜』:2013/12/25(水) 18:37:16.41 ID:+KWb849P
「あ……んん、あっ……!」
湿った渓谷の奥深くに艶やかな声が響く。
奏でているのは見目麗しい乙女、アストラエアだ。
彼女は不浄の極まる小さな沼のほとりで身を踊らせていた。
その下には一矢も纏わぬ忠実なる騎士――あるいは男――を組み敷いている。
アストラエアは衣を纏っているが、肩から胸にかけて大きくはだけられていた。
固く露出を防ぐはずの厚布は、いまや女体を彩る装飾と化している。
神と袂を別ったふたりを隔てる道理など、もとよりありはしなかった。
谷の不浄も、長たる彼女とその従者にとってはまるで問題にならない。
故に、有事でなければこうして蜜月の様相を呈することはままある。
それでも聖女の衣装を乱した姿は、未だ背徳的な気配を濃く漂わせていた。
アストラエアはガルに半ば覆い被さりながら、全身を惜しげもなく前後させる。
几帳面に切りそろえられた黄金の髪は、彼女の動きに従って揺れた。
眉とまぶたは蕩けたように緩く下がり、左の目元にある黒子は甘い涙に絶えず濡れている。
美しい碧色の瞳もいまは濁り、焦点はガルにだけ合わさっていた。
上気した頬が緩みきり、品の良い形の唇からはせき止めきれない涎が流れる。
「はぁ……はぁ……!」
平時でも存在を主張している乳房は、外気の下で一層目を惹くように弾んでいた。
フードから繋がる衣装の一部だけが、かろうじて柔らかな双丘を覆っている。
しかし溢れんばかりの瑞々しい躍動を、心許ない布が隠しきれるはずもなかった。
端から時折、朱がかった桃色のつぼみが覗く。
それは傍目からも固くしこっているのが分かるほど、ぴんと膨らんでいる。
また左右とも、つい先刻付けられたであろう唾液の名残が妖しく光っていた。
「んぅ……っ、ふ……」
べったりと地に広がる汚れたスカートの中からは、ぐちゅぐちゅと音が漏れる。
衣に隠されていても、どのような行為に及んでいるかは明白だった。
しとどに濡れた秘裂は、そそりたつガルの剛直に貫かれている。
もしくはアストラエアが剛直をくわえ込み、貪っていると言うべきかもしれない。
それほど熱心に、五体をしならせてしごきあげているのである。
ふっくらと盛り上がった土手がガルに打ち当たる度、淫靡な音色が生まれた。
剛直を縁取るように囲む対の肉びらは、ときにめくれあがり、真っ赤な粘膜を晒す。
合わせ目に隠れた慎ましい肉豆も目一杯に充血し、擦れる度に強烈な快感をもたらした。
「ガル……ガル……っ!」
アストラエアは嬌声の合間、切なげに愛する者の名を呼んだ。
呼応するように突き上げられると、彼女はひときわ鮮やかな歓喜の色を浮かべる。
すると決まって剛直を根元まで飲み込んで、ことさらしげしげとガルの顔を眺めた。
そして一旦満足がいくまで、感触を確かめるようにねっとりと腰で円を描くのだった。
「ひあっ……」
交わり続ける中、ガルが右手をアストラエアの胸へ伸ばす。
気ままに揺れていた果実がぐいと持ち上げられた。
ガルの手は一見した限りだと繊細な印象を受ける。
やわやわと乳房をなで回し、掬い上げ、ときに掴む動きにも、細やかな加減があった。
しかしほとんど人外の大鎚を振るい続けたためか、掌は歪な岩のようになっている。
優しげでありながら修羅の如く、ある種異様な風体でもあった。
「あ、ぁっ……だめぇ……!」
アストラエアは言葉と裏腹に、身をよじって掌へ乳房を押しつける。
暴力的な堅さと慈しみに満ちた愛撫の両面が同居した感覚を、彼女は特別気に入っていた。
ガルも承知しているようで、表面的な拒絶の言葉には構わない。
むしろ言葉を皮切りに、それまで触れなかった突起を指の間に挟み、こりこりと弄んだ。
「ああっ……!」
アストラエアは一際高い歓声をあげ、怯んだように動きを止めた。
直後、何かを堪えるようにぶるりと身体を震わせる。
「い、いけません」
短い震えが収まると、叱りつけるような、自身を戒めるような口調で言う。
「そんなにされては……私だけ……」
続く言葉は羞恥に染まり、消え入るように小さかった。
言い終えるが早いか、またゆっくりと動き出す。
「あなたに、感じて欲しいのです……いつも、辛い思いをさせているから……」
呟く声に、悲痛な響きが混じった。
アストラエアは己の快楽を押さえ込むように、唇をかみしめ、目を伏せている。
454 :
『不浄の聖夜』:2013/12/25(水) 18:37:47.97 ID:+KWb849P
突然、ガルはアストラエアが自らの上半身を支えていた腕を掴むと、強引に外させた。
「あっ!」
驚嘆とともに、アストラエアはぺたんとガルの上に倒れ込む。
彼女は状況を理解するよりも早く、ガルの両腕でがっしりと拘束された。
「ガル……?」
ガルは困惑するアストラエアの唇を口づけで塞ぐ。
「!」
アストラエアは目を見開いたが、すぐに応じた。
舌を絡め合い、ぺちゃぺちゃと水音を立てて唾液を交換する
「ぢゅ……ちゅる……ちゅっ……」
交互に、または競い合うように口内を蹂躙しあう。
延々と続ける内に、避け得ない息苦しさがこみ上げた。
それでも溢れ続ける蜜があまりに甘美で、離れられない。
「ん……ぷ、はぁっ!」
いよいよアストラエアの意識が混濁しはじめたころ、彼女はガルの手で引きはがされた。
彼女は大きく息を付きながら、まだ夢見心地で目を泳がせる。
半開きの唇から、どちらのものとも知れない泡だった唾液がどろりと垂れた。
ガルは彼女の様子を見て意味ありげな笑みを浮かべると、ゆっくりかつ力強く突き上げた。
「あっ……!」
アストラエアは再度驚く。
ふと気が付くと自分を拘束している腕の一方は彼女の腰を強靱に押さえつけていた。
元々力の強い方でもない彼女が、恐るべき膂力を誇るガルに抗えるはずもない。
痛まない程度に加減されてなお、かろうじてもだえることしか許されなかった。
「う、あっ! あっ!」
ガルは容赦なくアストラエアを突き上げ続ける。
彼女自身が主導権を握っていたときとはまるで違う。
一突き一突きがずしりと重く、アストラエアを子宮の奥までしびれるような感覚が襲った。
さらに上体を伏せていることで、腹側へそそりたつ剛直がまっすぐ膣に突き刺さる。
敏感な肉豆も激しく擦れてしまう。
「やっ、あっ……ひっ!」
見るからに乱雑な抽挿だが、アストラエアに痛みはなかった。
もともと水源のように愛液を湛えていた上、すっかり剛直に馴染んでいたからだ。
むしろ視界に星が飛ぶような快感が断続的に襲い来る。
「も、ガ――!」
どうにかなってしまいそうで、抗議の声を上げようと試みた。
「――んむぅ……!」
しかし、顔を向けた途端に唇を奪われる。
さらに背を押さえていた方の腕で後頭部を固定されてしまった。
間髪入れずに舌がねじ込まれる。
「ぢゅるっ、ぢゅるる……」
口づけは彼女が最も好む行為のひとつだ。
否が応でも愚直に受け止めようとしてしまい、泥沼に嵌まっていく。
今回は一方的に口内を舐めしゃぶられ、唾液を次々に吸い出される。
ごくごくとのどを鳴らして飲み干されるのが、ひどくいやらしい情感を煽った。
「んは、あっ! ……っ! んんっ」
限界すれすれで解放されるが、息を継いだと見るや引き戻される。
そしてまた、ガルはアストラエアを隅々まで味わう。
(ああ……これ、私、ガルに、ガルに……)
さながら陵辱されているようであった。
自由も利かず、反抗も許されず、なすがままに嬲られる。
苦しみ、恐怖、快楽。
全てがない交ぜになるなか、それらが甘美で堪らないものに思えてきた。
無論、実際にもたらしているのは愛する男その人であり、根は害意ではない。
その事実をよくよく自覚しているからこその倒錯。
もうどのように扱われても構わないと思った。
アストラエアはぐったりと、身体の力を抜く。
「ふぁ……あっ……あっ……」
惚けたような声だけを漏らし、求められるだけ差し出す。
弛緩した女体は、ガルをより深く受け入れた。
上下の口からとろとろと蜜を滴らせ、愛する者に犯し尽くされる。
455 :
『不浄の聖夜』:2013/12/25(水) 18:38:19.17 ID:+KWb849P
そのうちに、ガルの呼吸がこれまでと違った調子で荒くなりはじめた。
アストラエアは手放しかけの意識でそれに気が付く。
途端にへその下が締め付けられるような感覚が湧きだした。
そして、もう一度膣の奥まで貫かれたとき――
「んっ――っ――!」
アストラエアの視界が真っ白に染まった。
声にならない嬌声をあげる。
身体がびくりと大きく跳ね上がり、膣壁がきゅうとガルを絞り上げた。
ガルも呻く。
「ぐうっ……!」
アストラエアの最も深い場所で、快楽が弾けた。
絡みつく肉ひだの奥に、濃厚な白濁液が注ぎ込まれる。
完全に混ざり合うような、永遠とも思える一瞬であった。
「はぁ……はぁ……」
短くも永い絶頂を越えると、心地よい脱力感が2人に訪れた。
深々と突き刺さったままの剛直はたっぷりと欲望をはき出した後も数度脈動する。
その度に少量ながら、アストラエアの中に新たな白濁が注ぎ込まれた。
膣もそれを促す様にうねうねと蠢く。
余さず搾り取り、出来る限り内に留めるために。
それでも収まりきらない白濁が、結合部からじわりとしみ出す。
「……暖かい……」
アストラエアはじっと一連の感覚を楽しみながら、ガルの胸に頬を載せた。
目を閉じると頭の上を、穏やかな手つきでガルの手が撫でた。
しばらくの間無言でそうしていたが、やがてアストラエアがそっと上体を起こす。
これまでの乱れ方から一変して、静謐な笑みをガルに向けた。
「全く……驚きましたよ。こんなの初めてです」
ガルも続いて上体を起こすと苦笑いして、ひときわ丁寧にアストラエアを抱きしめた。
「お許しください」
アストラエアも、耳元でささやくガルを抱き返す。
「もちろん」
「次は優しくいたします」
「ええ、お願いします」
別に構わないと思ったが、それも楽しみなので頷く。
すると耳元をぺろりと舌が這った。
「ん……くすぐったい」
じゃれているのかと考えて、クスクスと笑う。
しかし何やら様子が違った。
気が付けば膣に収まったままの剛直が硬さを取り戻している。
どきりとすると共に、下腹部でとぐろを巻く精液の感覚が改めて鮮明になった。
「が、ガル……次とは、その……あっ……」
動揺するアストラエアをよそに、ガルは続いて鎖骨の辺りを吸っている。
「闖入者の気配はありませんので」
アストラエアの内心を知ってか知らずか、まじめくさって言う。
「もう……本当に、優しくお願いしますよ」
アストラエアは小さくため息をつき、少々身体を反らした。
乳房の間にガルの顔を埋めさせ、わしわしと頭を撫でてやる。
それから彼女の情欲が再燃するのに、さして時間は掛からなかった。
………
……
…
湿った渓谷の奥深くに艶やかな声が響き続ける。
乙女と騎士が野合に耽る様を前にしても、腐敗人たちは変わらず祈りを捧げ続けていた。
彼らにとって乙女と騎士は、神であり、母と父なのだ。
すなわち、彼らの眼前で行われている行為は、彼らにとって祝福すべきものでしかなった。
悪意に満ちた場所と信じて疑わない人々が見れば、おぞましい儀式にも思えるだろう。
それでも谷の明けない夜には、確かに凪いだ時が佇んでいた。
456 :
サンタ:2013/12/25(水) 18:38:50.03 ID:+KWb849P
以上です。
ビンビンランドさんのスタミナはやはりすごいようでした。
ちなみに何も要らなさそうだったのでそのまま次にいきました。
リロイ「くそっ!ガル!ちょっとそこかわれ!羨まけしからん!俺が伝説だ!」
レアちゃん「見も知らぬ白い霊体が守ってくださったのです」
みたいなのがあったならリロイさんもイカメン枠だったのに…
伝説の聖騎士が闇霊と化して後ろから襲ってくる♂のはマズイですよ!
むしろ巨人墓地(器解除後)がリロイを倒すまで祝われてたなら
ものすごく道中で殺されそうだ。あるいは安定したオフでも祝われスポットとして賑わうかもしれんが
ニトさんの柩の隣にある空の柩に誰かの遺体があったなら、
リロイさんの存在がもっと意味深になってたかもしれない。
あの人って呼び方がエロいよ、アストラエア様
距離の格差といい、そこは線引きしてます感がかえって説得力といい女度を増してる
セレンさんもガルさんが一緒だったと分かった途端にやたらあっさりと納得してるし
あの‐ひと【▽彼の人】[代]
1 三人称の人代名詞。話し手・聞き手から離れた人をさす。女性から自分の恋人や夫をさしてもいう。
ダクソ含めてアストラエア→ガルでしか使われていないのも特別な意図を感じる
上品というか成熟した雰囲気の言葉をあててるけどわりと大胆だよね2人とも
ガルも最愛といってはばからず、ささやかな生活・家庭を守るとかさ
乙女というのも、それで不浄というのだから、
(神に祝福された)婚姻を果たさないまま…的な
もちろん本質的には穢れてないっていうのも含め
最近確信したけど純血DSのモチーフってガルとアストラエア様の(不浄どもに喰われました)
464 :
名無しさん@ピンキー:2014/02/02(日) 16:21:35.52 ID:u+CCTl1T
オスカーさんのお話続き投下します。
えろいれるといいつつ今回もえろくないです。
鈍色の雲から帯の様に漏れる太陽の光を天使の階段と呼ぶのだと、朗らかに笑いながらバケツ頭の男が言う、自身の太陽を探しに来たという同郷らしきこの男は、彼自身が太陽じみた温もりを持っていることは恐らく知らないのだろう。
女がそれとなく呟いていたことを思い出しふと声を掛けたのをきっかけに、こうして取りとめの無い話を続けるのはこの世界に放り出されてから随分と久しかった故か、オスカーはどこかこうしたやり取りが非日常的にさえ思えてたまらなかった。
酷く軋む身体に吐き気を堪えながらオスカーは太陽を見やる、雲越しの光はそれでも酷く目を焼くので、赤い光の走る瞳を伏せてそっと視線を逸らした。
あの時、確かに火の炉で死んだはずの自分がなぜこの祭壇に居るのか、オスカーは太陽に焼かれた暗い視界で考える。
行き着く答えに胃袋が酷くむかつくのを無理やり嚥下しながら穏かな太陽戦士の声を聞く、遠くの空を優雅に舞う赤い翼が遠い昔に見た海の上の鴎のようで、湧き上がる感情を噛み潰しながら相槌を打った。
此処はオスカーが死に行く心を自覚したあの場所だ、女と出会う前の彼の歩んできた道の終着点であり、出発点でもある場所だ。
戻って来た、全ての始まりのこの場所へ。
オスカーは兜の内側でひっそりと眉を顰めた、この事実が希望などではないことを本能的に理解してしまったからだ。
恐らく、これこそが不死の呪いの本質なのだろうとオスカーは心の中で唾を吐く、亡骸だけを置き去りに、閉ざされた物語の世界を定められた滅びへと向かって歩き続けることこそが、不死の呪いの正体なのだ。
物語は変わらず同じ言葉が世界を描いている、読む者によってその世界は色を変えるのだろうが、物語の役者たちは逃れることの出来ない運命を読者の目線と同じ速さで歩むしかない。
不死とは、オスカーを物語に縫いとめて、終わらない世界をぐるぐると回転木馬のようにぎちぎちという金属音と共にただひたすら歩ませる楔なのだ。
朗らかな笑い声につられたふりをしてオスカーは嗤う、恐らくどう足掻いたとしても、自分の結末は変わらないのだろう。
「ああ、そろそろ行かなくては。」
遥か下の今は寂れた不死人たちの集落の名残を見つめながらオスカーは呟く、錆付いた身体がもどかしくて、ぎこちなく伸びをしてみるが、軋む関節があまりにしつこく主張してくるのがただただ不愉快なだけだった。
「貴公、何処へ行くつもりなんだ?」
人の良さげなバケツ頭は何の気なしに尋ねた、オスカーはそれに小さく笑んで答える、彼の言葉を拝借して。
「私の太陽を迎えに行くのさ。」
朗らかな笑い声が祝福するようにオスカーを包んだ、谷底から飛来した赤い竜が青い空を撫でるように横切り、木霊する羽ばたきを背に受けて騎士は歩き出す。
絶望は道の先に待ち受けている、だが、それでもオスカーは歩くことに決めた、せめて『この世界の彼女』が、僅かでも幸福な未来に辿り着ける希望が潰えない限りは。
そう、オスカーが知るのは『オスカーの物語』でしかない、それならばまだやりようはあるだろう。
大烏の羽音と突き刺さるような冷たい空気をその身で感じ、オスカーはは、と白い息を吐き出す。
壁に無造作にかけられた錆び塗れの鍵を引っ掴み、瓦礫を登って崩れかけた天井を歩きながら、ふと腰に提げた剣に目をやる。
もうずっと使い続けてきた祝福の刻まれた剣、その鞘の下に括りつけられた流麗なやや大振りの剣が、何かを訴えるように脚甲に擦れてこつりと鳴った。
「…わかってるさ。」
鞘を結ぶ革紐を解き剣を手に取る、すらりと抜き放てばくすんだ銀の切先がきらきらと冷たい空気に瞬いた。
女と共に歩むには非力すぎるのだと突きつけた刃は愛剣の倍ほどに重く感じた。
ひょう、と水平に一閃し、きらめきを瞳に焼き付けるとオスカーは剣を概念を留めたままのソウルに変え、テクスチャーを貼り付けるように身体に癒着させた。
少しだけ重くなる身体に小さく身震いし、雪の薄く積もった石の天井を歩き出す。
かさりと音を立てて隠れていた亡者がオスカーに飛び掛る、その折れた剣がオスカーの拾った鍵を引っ掛けたところでオスカーは後ろに回りこみ、抜刀した勢いを乗せた突きの一撃で鍵ごと亡者をぽっかりと開いた穴に叩き落とした。
小さく息を吐き、屈みこんで穴を覗き込む、薄暗く不潔な牢の片隅に、蹲る様にして下級の騎士がぽつんと存在している。
騎士がゆっくりと顔を上げる、生気のない亡者の、だがオスカーの良く知っている顔だ。
遠くで鳥の鳴く声が聞こえる、ああ、物語が動き出す。
どしんという音と振動に徐に立ち上がり、のぞき穴をまたいでオスカーは前進する、もうもうと砂埃と霜を舞い上げ、屋根の向かい側で、巨木で作られた槌を持ったデーモンが値踏みするようにこちらを見ている。
オスカーは唇の端を吊り上げる、さあ長い長い物語を始めようか、薄い雪を蹴り軋む身体で駆け出した、鈍色の空に青いサーコートをはためかせて。
二度目の始めましてを越えて辿り着いた黒い森の庭は、やはり蒼白い月の光に寒々とざわめき、白い花が夜風に小さく揺れて、転がる鈴の音のように凛とした光を苔生した岩肌や地面にこすり付けている。
地衣類の蔓延る硬い幹に背を預け、オスカーはアルトリウスの墓標の扉を見つめる、かかる霧の向こうに鳴り響く剣戟の歌声は聞こえない。
とことこと小人のようなキノコ達が暗がりを歩き回っている、赤い傘がひょこひょこと木々の間を縫うように動くのを何の気なしに眺める。
今は襲い掛かられる心配はないが、いずれあの黄金の右腕を持つキノコ人に成長するのだろうかと考えて身震いする、赤黒く光るキノコの群れに追い掛け回されるのは一度きりで勘弁願いたい。
ふと風の巻く気配に墓標を見やる、かかっていた霧が晴れて見慣れた装備の何者かが門を潜るのが見えた。
ひゅ、と咽が鳴る、女の無事を疑っていたわけではない、ただ『この世界の』彼女に接するにあたって聊か慎重さを要するので、激闘を掻い潜った女にかける第一声をどう発声すればよいのかを考えねばならなかった。
この森での口付けも、火の炉での対峙もなかったこと、無論最期に囁いた愛ですら。
進む理由を失くした使命と血腥い恋慕、そして擦り切れくたびれた亡骸と共に『最初の世界』へと置き去りにして、オスカーは此処に存在している。
故に付き合いの浅い知人程度の距離で接することに努める必要があったのだ、たとえ無邪気に向けられる笑顔に今すぐに抱きしめてしまいたいという聊か不埒な感情が湧き上がったとしても。
丁寧に調理された鱈の骨を不意に噛んだ時の様に口内で舌を転がし、金属音とともに近付いて来る女を待つ、今なら鳥の骨だろうと噛み砕いて飲み込んでしまえそうだった。
砂を食むような口内の不快さは恐らく後ろめたさの現われなのだろう、緑化草の葉を丸め軽く持ち上げた兜の庇の隙間から奥歯の間に捩じ込み噛み潰す、苦味に抵抗するように溢れる唾液が舌を滑らかにしてくれることに期待をし、駆け寄る女に視線を向ける。
小さくひらひらと手を振れば、女は鎧をがちゃがちゃ擦りながら勢いよく右手を振って応える、子供っぽい仕草があの時の女を思い出させてそれが酷くオスカーの心を燻らせた。
オスカー!」
ぱっと明るい表情で女は駆け寄る、重そうな騎士の甲冑を着ているが、足取りは驚くほど軽やかで弾む鞠のように思えた。
「勝てたのか、凄いじゃないか、怪我は?」
心配された一声はとりあえずは無難にかけられただろう、木にもたれたまま組んだ腕を人差し指でとんとん叩く。
「大丈夫、エストは十分にあったし、それより見てよこれ。」
女は身体を揺すりながら脇腹の下あたり、丁度板金の無い部分をオスカーに見せた、ざっくりと革のインナーが斬られなまっちろい肌が見えている。
切り口から剥き出しの肉付きの薄い腰と腹にオスカーは頭を抱えて天を仰ぎたくなった、如何せんこの女は無防備すぎる。
信頼されているのだろう、それは素直に嬉しいが、自分は一応健康な男であり、こればかりは彼女に責任はないが、彼女の与り知らない所ですれ違いながらも互いを愛した存在でもあるのだ。
「上手く回避できたと思ってたのに油断してざっくり、手入れしてた筈なのに防具の耐久が大分下がってたみたいなのよ。」
「わかった、わかったから。」
ほらほら、と切れた鎧とついでに肌を見せる女を制止する、あの時の彼女はここまで気安かっただろうかと内心の動揺を隠しながらふと考える。
考えたところで無駄なのは分かっている、目の前の女は『あの時の』女ではないのだ、何時までも過ぎ去った幻を彼女に追い求めるのは、余りにも無礼な行為だった。
「とりあえず仕舞ってくれ、色んな意味で目に悪い。」
第一寒空の下でそれでは風邪を引く、そう説くオスカーの肩を女は乱暴に叩く、力の強さは変わらないように思えた。
「失礼ね、そりゃ自分でもあまり魅力的だとは思ってないけど!」
ぷう、と子供っぽく頬を膨らませて女はオスカーの鎧をサーコート越しに叩く、ぱすぱすという乾いた音とともに不死人の灰や埃が光る花に照らされてきらきらと舞う。
「おい、痛い、痛いって!」
勢いに姿勢を崩しながら抗議する、背中が木に擦れて鎧越しでもごりごりとした感触と鈍い痛みが走るが、女は構わずオスカーの胸を叩き続けた。
「馬鹿ぁっ!」
きゃんきゃんと喚く女に苦笑する、 そうは思っていないので魅力がないと言ったつもりはないが、本人はそれなりに気にしているようだ、女のそういった面は好ましいと思った。
オスカーは小さく溜息を吐き、女の一瞬の隙を突いて脇の下に腕を滑り込ませるようにして抱き寄せる、すっぽりと包み込むようにして軽く板金越しに背中を叩いてやれば、女が小さく息を呑む気配がした。
「そんな風には思ってない、落ち着いてくれ。」
宥めるように背中を撫で、軽く腕に力を篭める、あの時の女を思えば突き飛ばされることも覚悟していたが、ここならば崖下に落ちる恐れはなかった。
ふ、と小さく女が息を吐いた、怒るのかと思えばオスカーの胸に頬を寄せ、少し弛んだ深い青のサーコートを、まるで縋りつくように両手で強く掴んだ。
てっきり暴れたり怒鳴ったりするだろうと覚悟していたのだが、存外女が大人しいので、訝しがる視線を気付かれないようにそっと女の顔に注ぐ。
女は、唇を噛み締めて胸元に顔を埋めていた、目尻に溜まった雫が零れ落ちるのを耐える様に、気丈に幼い顔の眉根を寄せて。
女に気付かれないように小さく息を呑む、唇を重ねた時の女が脳裏を過ぎる、あの時も女はこんな風に眉根を寄せて涙を耐えようとしていた。
「…どうした。」
少しだけ低い声で女に問う、先程まで見せていた子供っぽい仕草や明るい表情が消え、脅えるような、憂鬱そうな色に一瞬で染まる女を、その存在を確かめるように。
女は小さくん、と返す、月明かりが板金の上を這い回り、女の目元に深い影を落としている。
短い睫毛を持ち上げる様に、女はちらりとオスカーの顔に一瞥を投げかける、然程親しい関係でもないくせに急に抱きしめるという、酷く不躾な行為を非難するのかと思えば、するりと両腕をオスカーの背に回し、抱擁を返すように力を篭めた。
子供だって、頼りにならないって、思ってるでしょ。」
不機嫌そうな、ぶすくれた声で女が呟いた、訝しげに見やれば、眉間に小さく皺を寄せた女の顔が映る、互いの呪いの証が放つ仄かな光が板金の上で煌き、女の白い肌が厭に透き通って見えた。
「…何故?」
今になってそんな事を、そう問うオスカーに縋る腕に女は力を篭める、同じように返してやれば、ほんの僅かに安堵したように女が小さく息を吐く。
白くくゆる吐息が静かな空気に溶けていく、衣擦れと板金と鎖帷子の擦れる控えめな金属音が厭に耳に響いた、冷えた深い青のサーコートに頬を寄せ、女は赤い唇をもごもごと動かした。
「…オスカーは、私と話す時、いつも変に気を使ってるでしょ。」
呟かれた言葉に小さく息を呑んだ、やはり女に誤魔化しは効かないのだと痛感する、最低限の接触に留めたとはいえ、それでも女は取り繕った言葉を容易く嗅ぎ付けてしまうのだ。
「言葉を凄く慎重に選んでるっぽいし、なんだろう、よく判らないけど、時々距離を取ろうとしてるみたいに感じるの。」
抗議するような視線に息が詰まる、まるでオスカーを試すような女の瞳は、兜の隙間から呪いの火の蠢く二つの水晶を真っ直ぐ射抜いている。
ちりちりと網膜を焼かれるような錯覚に、オスカーは兜の内側できゅうと目を細めた、きりきりと胸の奥が締め付けられる様で、緑化草の苦味の残る口内で舌を転がす。
この女は勘が鋭すぎる、このような場所では必要な能力であるとはいえ、それはある意味で不幸でもあるのかもしれないとオスカーは思った、何も知らなければ、必要以上の悲しみを背負わずに済むのに。
「…随分と、今日は気分の重い事を言うんだな。」
はぐらかす様に呟く、女の背中を宥めるように叩いてやれば、女は視線を逸らすように顔をオスカーの胸元に埋めた、僅かに埃の混じった髪はそれでも艶やかで美しかった。
「黒い森の夜に引き摺られたのか?」
冗談交じりに苦笑を織り交ぜて囁く言葉に、女は一層縋る腕に力を篭めた、そうして頬を擦り付ける様に身じろぐ、結われた髪が鎖帷子に引っ掛かるのではないのかとオスカーは小さく危惧した。
「…不安なの。」
ぽつりと水滴のように女は零した、確かに引き摺られたのかもね、と力なく笑う、緩く持ち上げられた唇の端は女の白い頬を僅かに引っ張るに留めた。
「不安。」
鸚鵡の様にオスカーは返す、縋りつく女の髪をそっと撫でてみるが、手袋越しでは体温も絹のような髪の質感も分かりはしなかった。
それでも壊れ物を扱うように撫でる腕を休めないのは、不安に揺れる女の瞳が、僅かに安堵したように思えたからだ。
女は笑顔の後ろで感情を押し殺すタイプだと、オスカーは知っていた、先程までの明るい笑顔も振舞いも、噛み潰した不安を隠そうと取り繕っていたのだろう。
そして恐らくは、オスカー自身もまた女の不安の一因なのだろう、オスカー自身が最低限の付き合いに留めたとして、女がオスカーをどう思うかなど結局オスカーにはどうしようもないのだ。
そして、数回会話をしただけの付き合いであるとしても、この残酷な世界で出会った人を簡単に切り捨てられるほど女が冷淡ではないことを、オスカー自身厭というほど知っている。
「オスカー、私ね。」
女の声に撫でる手を止める、視線を合わせれば女はほんの少し寂しそうな顔をするので、背中を優しく叩いて先を促す、すると唇を固く結んでしまうので、小さく苦笑しながら再び髪を撫でてやった。
女は安堵したように顔を伏せ、は、と小さく息を吐いた、かつての自分がそうであったように、孤独に押し潰されそうになっていたのかもしれないとオスカーは感じた。
『あの時の』女はここまで疲弊はしていなかった、この女をそうさせた一端に『あの時』よりも他人行儀な自身の態度があるのかもしれないと気付き、酷く胸の奥が重くなる。
「…私ね、自分のした選択が正しいのか、分からなくなっちゃったの。」
「…選択。」
オスカーの口から零れた自身の言葉から切り出された単語に、女は小さく頷いた、冷たい風が女の頬を撫で、少しだけ寒そうに身震いするのを、尚一層強く抱き寄せてオスカーは見つめた。
張り詰めた冷たい森の空気にサーコートの分厚い布越しに鎧同士が擦れる音が、二人の耳に厭に大きく聴こえた。
「ねえオスカー、もしもよ、貴方がずっとずっと叶えたい夢があって、その終着点が見えた時、そこに辿り着く手掛かりを知っている人が目の前に現れたとして。」
女の言葉にオスカーはボロ布を着た呪術師を思い出した、『あの時の』女の選択で運命が分かれてしまったという不死人の一人の、確か髭の濃い気のいい男だった筈の。
「…その人が、どんな理由であれ嘘をついて貴方を夢から遠ざけたなら、真実を知った時、貴方はどう思う?」
脅えたように女は問うた、オスカーは女の瞳を兜越しに覗きこむ、値踏みするような視線に感じたのか、女は瞳を見開き、そしてばつが悪そうに視線をそらした。
「…君が考えている人間と私の意見が一致するかという保証はないが。」
そう釘を刺し、女の髪を撫でながらそっと視線を合わせる、物語が繰り返されるというのならば、女がこうしてオスカーに内心を打ち明けることもまた決定付けられているのだろう。
「物を伝えるには適切なタイミングがあるものだ、例えそれが相手に幸福を約束するものであっても。」
大丈夫だと伝えるように背中を叩いてやる、それでも女の瞳は震えていた。
「君がどんな理由でそんな選択をしなければならないのか私には分からないが、相応の理由があるのだろう事位は今の君を見ていれば分かる、だから、もしも真実に辿り着いた時、それについて尋ねられたときは、しっかりと真実を伝えて欲しい。」
女は紡がれた言葉に唇を噛んだ、赤い唇が白っぽく変色したのを、徐に髪を撫でていた指でついとなぞると女は瞳を丸くするので、あまり噛むと切れるぞ、と小さく呟く。
「よい結果になる保障はないが、それでも、きっと理解はできるとは思う、だから、今はその時ではないのだと、…ただそれだけの事だったと。」
今はそう思うしかないだろう、そう呟いて女の背を叩く、女は未だ納得がいかなそうにオスカーを見ていたが、宥めるように髪を撫でるとほんの僅かに目を細くした。
「正しいとか、正しくないなんていう判断ばかりで行動するもんじゃない、正しいことが最善であるかはまた別の問題だ、嘘が人を救うこともあれば、突き付けられた正しさが人を追い詰める事もある。」
オスカーは呟きながら、亡骸ごと置き去りにした世界での結末を思い浮かべていた、女の答えを正しくないと言うことはできはしない、だが自身の答えが間違っているというつもりもなかった。
「君は今出来る最善を尽くした、それだけだ。」
そう、あの時の二人がそうだった様に。
「そっか…。」
女は小さく息を吐いた、くゆる吐息は冷たい空気に熱を奪われ霜のように束の間白く揺らいで消えた。
「不安か?」
未だ縋りつく女に問いかける、女はそれに小さく少しね、と返した、冷えた兜の庇が青っぽい光沢を放ち、一方で女の顔に濃い影を落としている。
女の身体が僅かに震えているのに気付く、太陽の届かないこの森は他と比べて一段と寒い、戦いの余韻もとうに冷めたのだろう、外気に晒される面積の広い鎧は女の体温を奪う筈だ。
「…篝火へ戻ろう、ここは少し寒いだろう。」
女を抱き寄せた腕を解放する、ほんの少し寂しげに女も縋りつく手を離した、控えめな金属音が悲しげにちゃりと鳴る。
戻るべき方角を確かめオスカーは一歩踏み出そうとし、しかし不意に女が左腕を捉えたので、がちゃりとサバドンを踏み鳴らして立ち止まる。
「ごめん…。」
振り返れば罰が悪そうな女がいた、それでもしっかりとオスカーの腕にしがみ付くように、女はその力に似つかわしくない細い腕を絡めている。
どうした、と問いかけると、女は暫く言いにくそうにモゴモゴと口を動かしていたが、やがて意を決したように震える声で呟く。
「手、握ってていいかな…。」
遠慮がちに呟かれた言葉に苦笑する、暗闇に脅える子供を寝かしつけるような、そんな在りもしない思い出を懐かしむような感覚が、冷たい世界の中で酷く好ましく思えた。
「勿論だとも、御手をどうぞお嬢さん?」
「…もうっ!」
紋章を刻んだ盾を背負い冗談めかして左腕を差し出す、女は抗議の声を上げはしたが、素直に差し出された手を握り、オスカーに並ぶ様に歩き出す。
少しだけ狭い女の歩幅に合わせながらオスカーも歩く、ふと直ぐ傍で聴こえた不自然な木の枝のざわめきに視線を向ければ、以前も見た半透明の女騎士が此方を見つめていた。
一体何時からそこに居たと言うのだろう、いつでも襲いかかれたはずの騎士は、しかしオスカーの視線に気付くと小さく会釈をする、それに小さく会釈を返し、オスカーは釈然としないまま歩を進めた。
今回は以上です。
次に入れる入れるといっておいて、予想外に長くなってしまったのでえろは次に持越しですすみません。
そこは一応もう書き終わってるので、変わりに描写をもうちょっと濃厚にしておくから許して!
乙でした、面白かったです。
乙カー! 濃厚なエストにも期待
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名無しさん@ピンキー:2014/02/07(金) 20:49:11.04 ID:ibMRbSKq
オスカーさんのお話続きです。
えろ書くの初めてなので緊張した…。
ちりちりと燃える炎に手を翳す、冷え切ったこの世界の中一段と最初の火の加護の弱まった森の空気は、筋肉の躍動を僅かな間停止させた身体を突き刺すように冷ましていく。
不死人の魂を縛り付ける火は不死人の朽ちない躯を礎に燃えている、それでもその熱に酷く安堵を覚えるのは、その火が呪われた者の故郷でもあるからなのだろうか。
じんわりと染込む熱に小さく女は息を吐く、その様子をオスカーは崩れた石造りの壁に背を預け見守る。
重く厳ついハベルの鎧を着た女を思い出した、彼女と今の女は重なりはしないが、ほんの僅かに胸の奥を擽る既視感が過ぎ去った過去の匂いを思い出させてちくりと痛んだ。
「オスカー、座らないの?」
奪われた熱を補充していた女が不意に声を掛ける、まるでオスカーの存在を確かめているようで、オスカーは小さく苦笑した。
「いや、ここで十分だ、それに私が座ると狭いだろう?」
女の周囲には元々建造物の一部だったのだろう、風化しているが形の比較的整った大き目の石が転がっていて、そして直ぐ傍に底は見えてはいるが深い谷が森と不死の街を切り離すように走っている、地面が剥き出しの場所は二人で座るには聊か手狭だった。
女は辺りを見回して頭を掻く、困ったように頬を脹らませる仕草の子供っぽさがオスカーは好ましいと感じた。
「…そっか、どければいいんだ。」
徐に女は呟く、合点がいったとばかりに立ち上がると尻の土を払い、周囲の石を拾い上げ崖下に投げ捨て始める。
「お、おいおい…、何もそこまでしなくても。」
がらがらと響く音に眉を顰めながら声をかける、オスカーが女に近寄ろうと壁から背を離した時、不意に篝火の火が白い煙をくゆらせて萎んだ。
「…っ、火が…!」
オスカーの声に石を纏めて力いっぱい遠くに投げ捨てた女が振り向く、篝火の火が弱まるのは近くに敵意を持つものが存在する証だ、がこおんと一際大きな音が森に響く。
森の魔物か盗賊共か、剣の柄に手を添えオスカーは身構える、しかし数秒の間を置いてぼっ、という音とともに再び篝火は燃え上がり、何処からともなく漂って来たソウルが二人の身体に染込んで行く。
「…点いたな。」
「…何?このソウル…。」
二人は同時に首を傾げる、暫しの沈黙を挟んで、しかし直ぐに女は手の土を払うとオスカーを手招きした、妙に大量の正体不明のソウルの謎は然程重要ではないのだろう。
広くなった地面に二人で座り込む、地面は広くなったといえど元々然程面積はないので、自然と二人の距離は近くなっていた。
別段こうして隣に座る必要などなかったのだが、女はオスカーがそうすることを望んでいたし、それを断る理由もオスカーにはなかった、ましてやわざわざ障害物をどけた後となっては。
石があった窪みを手で均しながら腰を落ち着ける、篝火の赤い光が鎧の表面を撫で、溝の埃や細かな傷を浮かび上がらせている、穏かな沈黙が暫く二人の間を流れた。
は、と不意に女が空を見上げて溜息を吐く、白い吐息が闇に溶けるのをオスカーは静かに見つめた。
「…ここから見えるのね。」
女が呟く、その瞳は未だに不安げに揺れているが、気づかない振りをして女と同様に暗い空に視線をやり、広がる景色にああ、と小さく笑う。
「月光蝶、綺麗ね。」
女の言葉にそっけなくそうだなと応える、緑色に輝く燐粉の舞う景色は確かに月明かりと相俟って非常に美しかった。
さして感情の篭らない返事を女は気に留めた風でもなかった、景色は大して重要ではないのだ、二人にとっては。
「…あの蝶は、何故此処を選んだんだろうな。」
ぽつりと呟く、創造主たる白竜の元を離れ孤独にふわふわと漂う美しい生き物の、幻想的な緑の光はどこか悲しげだった。
「月を見てみたかったのかもね。」
自分の名前の意味を知りたくってさ、女はなんと無しに呟かれた言葉にそう返した、俯き加減の表情は寂しげに曇っている。
「意味…か。」
小さく零すオスカーに女はこくりと頷いた、赤い光が女の白い肌を照らし、血色の良い肌のように見せていた、それでも不安に曇る表情を打ち消すことはできなかったが。
「不死人もそうでない人も、きっと誰だって知りたがってる、自分に篭められた意味、産まれた理由。」
女は呟きながら蹲る肩をぎゅうと強張らせた、オスカーは応えずにそっと女の髪を撫でてやる、ふう、と小さく女は息を吐いた。
「きっと、皆それを探し求めながら朽ちて行くのね。」
あの蝶は月をそれと知っただろうか、オスカーはそう小さく呟く女の短い睫毛に不死人の命の火が影を落とすのを見つめた。
「…きっと知ったさ、だからあの場所で空を見ているんだ。」
オスカーの答えに女は小さく笑った、それでも拭いきれない影が痛々しくてオスカーは唇を結ぶ、こういったことに疎い自分がいっそ呪わしくて堪らなかった。
「…そうね、でもきっと、産まれた意味なんて分かりはしないわ、生きている限り、きっと。」
女は諦めたような調子で言葉を零す、まるで自身がそうであると言うように。
「きっと、皆どこかで心に隙間を抱えて生きてる、空を飛べたとしても、月に届きはしないのに。」
「だからこそ此処にあの花は咲くのかも知れないな。」
オスカーは崖の向こうに光る白い花を見つめた、月明かりに似た淡い光は蝶の放つ光に寄り添うように緩く風に揺れている。
「分かりはしないから、届きはしないから、だからこそ誰もが彷徨いながら寄り添う人を求めるんだ、いつかその意味を知る為に、欠け落ちた何かを求めるように。」
今際の際のあの時の女を思い出す、あの時二人は互いに求め合い、もがいて、しかし結局は別たれるしかなかった。
亡骸ごと未来の世界に置き去りにしたあの女は、果たして今のオスカーのように憧憬に縛られずに生きられただろうか。
再びの沈黙、徐に女がオスカーの手に掌を重ねる、女に視線を戻そうとして、しかし不意に預けられる体重に言葉を呑んだ、篝火が小さく爆ぜて火の粉が冷たい空気に舞う。
女の手が兜に伸びた、小さな金属音と広がる視界、オスカーがそれを意識した時、すでに唇は重ねられていた、女が跨るように身体を預け、左手をオスカーの胸にそっと当てた。
オスカーは眉を動かすことすらせず瞳を閉じた、不死の呪いの本質が繰り返される運命であるというのならば、ここで二人が唇を重ねることも想定されているのだろう。
オスカーは口付けから逃げようとは思わなかった、しかし女に応えるつもりもなかった、何故ならばあくまで今の自分は女の知人でしかなく、またそれに徹する必要があったのだ。
温かな唇が啄ばむ様にオスカーの乾いたそれを食み、舌先が乞うように数度閉じられたままの隙間を突いたが、驚愕に硬直をした振りをして受け流す。
ここでもし、オスカーがほんの僅かに唇を開いてやったなら、温かくぬらりと湿った舌を受け入れてやったなら、きっと女の不安を呑み込んでやれるのだろう、このどうしようもなく胸の奥に燻る腫れぼったい熱を引き換えにして。
やわやわと上下の唇を食み、舌先で隙間を左右についとなぞる、反応を返さないオスカーにじれったそうに女の唇は軽く吸い付く。
ぺろりと唇を舐めてから、女はオスカーの唇を名残惜しそうに解放した。
は、と少しだけ荒い息を吐きオスカーは女を見る、今しがたの行為による興奮のためか、それとも軽い酸欠のためか、白い肌が少しだけ赤みを帯びていた。
右手はオスカーの手に重ねたまま、左腕で縋るようにサーコートを握り締める、脅えた様な、悲しげな瞳がオスカーを見つめている、つい先程まで重ねられていた唇は強く噛み締められて白く色が抜けていた。
「…戯れが過ぎるぞ。」
嗜めるように呟いて自由な右腕で女の肩を押す、女はびくりと震えたが、それでも離れようとはしなかった。
女が何を思ってこんな事をするのか、オスカーは十分過ぎるほど知っていた、知っているからこそ突き放さなければならなかった、軋む心が不快な音を立てて腸の奥底でのた打ち回っていても。
炎の温かな光に照らされた女は美しかった、浮かべる表情は引き攣り、悲しみと失望に歪んでいたが。
「軽々しくするものじゃない、こんな事。」
もっと相応しい相手に、そう紡ごうとした言葉を女の嗚咽が遮った、悲鳴のような擦れた声が耳を劈き、俯いた女の額が胸に押し当てられ金糸の刺繍がくしゃくしゃと縮こまる。
女は、笑顔の裏に感情を押し込める性格だった、そして、限界まで押さえ込まれたそれを暴いてしまうのはいつもオスカーだった。
それすらも運命に綴られているのだろうか、他人事のようにオスカーは思う、矮小な自分に縋る女はどれ程の孤独を背負ったというのだろう、しかしそれをオスカーが知ることは永遠にないのだ。
「触れてよ、オスカー。」
泣きじゃくりながら女は乞う、縋るような声は掠れて上擦っていた、わがままを言う子供のように何度も何度も呟く、縋る指の力が強くなる。
「…君は何を言っているのか分かっているのか。」
呆れを声色に乗せて呟く、オスカーの態度は女を深く傷付けるだろう、だがオスカーは『良識のある』知人として振舞わなければならなかった。
運命は決して優しくは無い、まもなく突きつけられるであろう結末を思えば、女に中途半端に情を与えるわけにはいかなかった。
「不安なの。」
しかし女はそれでもオスカーに乞う、小刻みに震える肩が、項垂れた頭が、擦れた声が、冷え切った世界で数度顔をあわせただけの筈の男を求めている。
「押し潰されそうなの、私がこうして呪われながら生きている意味もわからない、ううん、もう自分が本当に生きているのかさえ疑わしくって、だからきっとこれこそが理由なんだって、オスカーが託してくれた使命は確かにそう思えたけど。」
使命、その単語が女の口から零れ落ちた時、オスカーは兜の庇を下ろしながら眉を顰めた、二人を繋ぐ見えない鎖は、呪いじみた響きを以ってオスカーの心の皹に触れる。
「だけど不安なの、なんだか自分が本当に此処に居るのかすらもあやふやになって、私が消えてしまいそうな気がして。」
そう、それこそ自我が壊れてしまいそうな、女は震える声で呟く、オスカーは小さく息を呑んだ、篝火の光が石の壁を撫でて二人の影がゆらゆらと躍っている。
「オスカー、此処で貴方に会うまで、恐かったの、貴方が居てくれたから、御願い、軽蔑してくれていいから。」
私に触れて、紡がれる女の言葉は推敲もされておらず、脳内の言葉を拾い上げて並べ立てられたちぐはぐなものだった、だが、恐らくそこに嘘は何一つないのだろう、それが酷く痛々しくて、オスカーは瞳を逸らしたくなった。
「助けて、オスカー。」
か細い声で女はオスカーに縋る、小さくオスカーは息を吐いた、呆れたのでも軽蔑したのでもない、悟るよりなかったのだ。
「…離してくれないか。」
拒絶するようなオスカーの言葉に弾かれたように女が顔を上げた、ひゅ、と咽を鳴らす女の瞳は、大きく見開かれたままオスカーを真っ直ぐに射抜いている。
「それで傷付くのは君だ、私は忠告はした。」
世界は何処までも残酷だ、そんな事は分かっているつもりだった、だからこそ女に余計な情を抱かせるつもりなどなく、故に他人行儀な態度に徹することができたはずだった。
女は唇を強く噛み締め、のろのろと縋る指を解く、皺になったサーコートに女の影が落ちる。
左手を押さえていた女の手が離れた時、オスカーは少しだけ腰を引くと、不意に女の腕を掴み乱暴に引き寄せて抱きすくめた。
女の瞳は驚きで見開かれたが、オスカーにそれは見えない、何故ならそうなるようにオスカーは女を抱き寄せたのだから。
「一度きりだ、こんなことは。」
耳元で小さく呟かれた言葉に女の肩が跳ねる、そして数秒の空白を置いて女は小さく頷いた。
予定された結末を思えば、女に余計な情を持たせるつもりはなかった、だが思い知るのだ、運命は何処までも残酷だと。
オスカーは兜の内側で静かに呪いの言葉を世界に吐き出した、既に手遅れなほど女はオスカーに依存していた、恐らくは『あの時の』女もまた既にこの森でオスカーに抱いていたように。
受け入れるしかないのだ、オスカー自身も結局は女の感情を突き放すことも受け止めることも出来ないまま、中途半端に爛れていくしかないのだと。
女の手が、オスカーの下腹部に伸びた。
「……っ、ふ…、っあ…!」
オスカーの肩に掴まりながら女は逼迫した喘ぎを漏らす、ぎちぎちと甲冑同士が擦れる音が二人の吐息に混ざって消える、オスカーに跨るような姿勢で揺さぶられながら、女はオスカーの名前を呼んだ。
オスカーは応えない、存在を確かめなければ不安で押し潰されそうになるから、女は自分を呼ぶのだろう、それは理解していた、だが、否、だからこそ応えるわけにはいかなかった。
黒い森の中で情事に及ぶに到って、二人とも甲冑を身に着けたまま抱き合っていた、革のズボンをずらしただけの姿で、ろくに愛撫もないままオスカーを受け入れた女は眉根を寄せて荒く浅い呼吸を繰り返している。
便宜上は敵襲に備えて直ぐに態勢を整えられるように、との理由でオスカーは甲冑を脱ぐことを拒んだ、女はそれに納得をしたのかは定かではないが了承し、結果二人は板金を擦りあいながら向かい合う形で繋がっている。
「い…っ、う…あ…!」
苦痛の滲む声で女は啼く、まだ男を受け入れる準備が完全に終わっていない秘所を、最低限の気遣いはあれど少々乱暴に揺す振られ抉られているのでそれは当然の事であったが、しかしそれを女が拒むことはないことはオスカーも分かっている。
鎧越しでは互いの体温は伝わらず、結合している場所だけがただひたすらに熱かった、この熱を求めたのは女だ、故に痛みで目尻に涙を湛えその幼い顔を歪めたとしても、女は少しの熱も逃すまいとオスカー自身をより深く飲み込もうと体重をかけることをやめなかった。
オスカーは兜の内側で堅く唇を結び、女の苦痛を省みず、ただ自身の熱を処理するように女を揺さぶることに徹した、本当は鎧を脱ぎ捨てて体温を感じたかった、下肢を走る甘い熱を共有しながら優しい言葉を紡いでやりたかった。
だが、これは単なる自慰だと女に釘を刺した今となっては、微塵も情を感じさせるわけにはいかなかった。
そうだ、自慰だ、オスカーは嗤う、他人の身体を借りただけの自慰でしかないのだ、オスカーも、女も。
孤独な魂が二つ、拠り所を求めてぶつかり合うだけで、決して交じり合うことはできないままに。
「う…、あ、は…っ!」
女の声に甘さが混じりだす、吸い付くような内壁の凹凸の感触を伝えるだけだった女の秘所が、小さな水音と共に抵抗を失っていく。
律動にあわせて編まれた鎖がちゃりちゃりと鳴る、鎧の表面を撫でる篝火の光が吐息にあわせてちかちかと瞬いている。
にちりと粘着質な水音が響く、それがどこから齎された物かを理解したのだろうか、女の耳がさっと赤くなる、オスカーはそれに構わず女の脇を持ち上げるようにして腰を浮かせ、そのまま突き上げると同時に勢いをつけてすとんと落とした。
「うぁ…、っふ…!」
女の背が弓なりに撓る、きゅう、と秘所がオスカーを締め付け小刻みに震える、オスカーは熱い息を吐いた、耳元では嬌声に変わりつつある女の喘ぎが渦巻く風のように響いている。
にちにち、くちくちと音を立てながら、揺さぶられる度に女の秘所から零れた蜜がブルーのサーコートを汚していく、律動が早くなるにつれオスカーの名を呼ぶ女の声は、意味を成さない嬌声へと塗り換わっていく。
火花が散るように目がちかちかと眩む、オスカーはともすれば情を滲ませそうになる己を強く押さえ込みながら、ただただ伝わる快楽を貪ることに集中した、咽の奥がひりついて、兜の内側でごうごうと炎が燃えるような音が鳴る。
滑りのよくなりつつある女の秘所は、まるでその形を覚えようとでもするように絡みつく、ぬとりと纏わり付く熱が酷く心地が良い。
込み上げる快楽に耐えるように、女は眉根を寄せて切なげに唇を噛んだ、しかし突き上げられる度に漏れる吐息にささやかな抵抗は無駄に終わる。
何処を突けば女が嬌声を上げるのか、オスカーは既に理解していた。
情を滲ませない為にも行為は手短に済ませる必要があった、故にそこを重点的に責め、追い上げる。
いささか手荒な律動にも女の身体は順応し、ぱたぱたと雫をオスカーの腹に零しながら与えられる快楽にふるふると戦慄いた。
「い…、あ、おす、か…、あ…っ、は…!」
切羽詰った声で女が呼ぶ、きゅうきゅうと切なげに秘所がオスカー自身を締め上げるので、オスカーもそれにあわせて腰を激しく揺さぶる、だらしなく口を開き女は擦れた声で鳴いた。
激しい動きに鎧同士が擦れ冷たい空気にきりきりと鳴る、まるでオーバーヒート寸前の思考を揺さぶる警告音のようだ。
「い、あ…、は、あ、…うあぁっ!!」
「……っ!」
一際深く突かれた刹那、女は甲高い声を上げて達した、熱をねだるような秘所の締め付けに、オスカーもまた歯を食いしばり精を吐く、ぶちまけられた熱に背を撓らせ、ふるふると身体を震わせて小刻みに女は二度目の絶頂を受け入れた。
くたりと項垂れる女を抱きとめながらオスカーは胸を上下させる、交わした熱の余韻は下肢を甘く痺れさせている。
幸福感も充実感もそこに在りはしなかった、ただ気だるさとじわじわと染込んでくる虚しさが酷く煩わしかった。
冷えた空気の中、汗で張り付く髪の不快さを頭の片隅に追いやりながらオスカーは女の身体を持ち上げる、ぬちりと結合部が糸を引き、こぽりとぬめる体液がオスカーの腹に染みを作る。
行為は終わった、ならば早々に後始末をして、何事も無かったように元の知人という立場に戻らなければ。
「…あ、ま、待って…。」
しかし、離れようとするオスカーの肩を押さえ、荒い呼吸の女が慌てたように制止する、どうしたのかと問う前に女はオスカーにしがみ付く。
拍子に抜けかけたオスカー自身を再び女の秘所が咥えこみ、女はは、と熱い息を零して肩を震わせた、そうして動くわけでもなくただ跨ったまま、しかし結合部は緩い刺激に切なげに脈打ち始める
「…もう少し、このまま…。」
兜越しに頬ずりするように女はオスカーの耳元で懇願する、散々啼いて赤くなった目はどこか虚ろで、しかし湿った熱っぽさを湛えていた。
行為の余韻を感じたいのか、それとも別の理由があるのか、生憎オスカーにそれを知る術はない。
だがそれを許してしまったのは、恐らくオスカー自身もそれを望んでいたからに違いなく、女が望んだから、と責任を丸投げにして抱きしめた身体を沈めさせた。
「…っ、は。」
女は肩を上下させ、熱い息を何度も吐いた、律動を伴わないため強い刺激はないが、じわじわと広がる熱とやわやわと動く女の秘所に、弱い快感が背筋を走る。
熱い息が静かな森の中に木霊する、繋がったまま抱き合ううちに、まるで元々二人が一つの生き物であったかのような錯覚を覚え、オスカーは熱と共に溜息を暗闇に吐いて捨てた。
幻想だ、そんなもの。
心の中で悪態を吐き、オスカーは瞳を閉じる、ゆったりとした快楽の波が引くまでの数十分間、只管に女の吐息と自身の心音に耳を澄ませ、そうして矮小な自身の性根から目を逸らしたかったから。
眠りに落ちた女の身体を横たえさせ、オスカーは気だるそうに身体の土を払う、濃いブルーのサーコートはくしゃくしゃに皺が寄り、土と灰とどちらの物ともつかない体液で汚れていた。
革のベルトを解きサーコートを脱ぐ、汚れは脚甲のズボンにまで広がっており、汗ばんだ身体と相俟って酷く不快だった。
オスカーは溜息を吐く、前回同様近くの湖で身体を洗う必要があるだろう、視線を暗い空に移し顔を歪めた。
「…分かっているさ。」
踵を返し歩き出す、木の魔物が隠れている場所は身体が覚えていた、姿が見える前に暗い森に刃を振る、かさりと軽い音がして魔物は谷底に吸い込まれていく。
苔生した地面は踏みしめる度にぐずぐずと水を滲ませ、冷えた空気は行為の熱を冷まして行く、それ自体にオスカーは別段未練などなかった。
崖沿いの坂を下る、ごうごうと鳴る風を聞きながら堅い岩を踏み、月明かりを背に歩き続ける、広がる景色には何の感慨もない。
きらきらと青い光を放つ水晶のゴーレムたちが、オスカーの姿を見つけ歩み寄ってくる、その硬く力強い腕が振り下ろされる前に、オスカーは両手で構えた愛剣を薙いでいた。
がらんという硬い音と共に七色の光を撒き散らし消えていくゴーレム、その名残を見届けることなくオスカーはゆっくりと湖へ歩み寄る、囲まれさえしなければ今更どうということはなかった。
ざぶざふと水しぶきを上げて湖に身を沈める、腰まで浸かりながら湖の奥へ、入水自殺を望むように奥へ奥へ。
トンネルのように窪んだ突き当たりに差し当たり、オスカーは壁に背を預け座り込む、臍上まで水に浸かりながら、薄暗い水面に視線を投げ出した。
冷え切った空気と冷たい水は一瞬で体温を奪っていく、オスカーは嗤った、人の体温など儚い物だ、一時の情事の思い出など尚更に。
ずきりと腹が痛んだ、小さく息を吐きそろりと板金の上から愛おしげに撫でる、自然と唇の端が釣りあがった。
あの時、女と火の炉で対峙した時、クレイモアに貫かれた腹の傷、置き去りにした世界から持ち込んだ、剣を除いて唯一『あの時の』女の与えたもの。
まるで消えない悲しみのように刻まれた傷、見せられる筈がなかった、何も知らない『今の』女に、オスカーの血腥い恋慕と罪の証を晒したくなどなかった。
オスカーは嗤う、運命は残酷だ、だが知ったことか。
角の擦れて破れた革のポーチから黄色く光るソウルを取り出す、何の躊躇いもなく握りつぶせば、蝶のソウルは悲鳴のようにぱあんと軽い音を響かせ破裂した。
女が美しいと呟いた景色は確かに記憶の中で絵画の様に佇んでいる、たとえオスカーの眼球には暗い空と朽ちた塔しか映ってはいなくとも。
人工物の記憶と命を吸い込みながら、オスカーは暗い空に視線を向けた。
別たれることが運命だというのなら、何一つ叶えられずに死んでいくことがオスカーの物語の結末だというのなら。
「いいだろう、受け入れてやろうじゃないか。」
オスカーは嗤う、ちゃりちゃりと鎖が鳴り、罅割れた声にあわせて水面が波打つ。
女がオスカーに依存することも恐らくは決められたシナリオなのだろう、だが、女は強い。
傷を撫でながらオスカーは瞳を閉じる、オスカーに背を向け火の炉に向かう女の姿が鮮明に浮かび上がる。
無意識に伸ばしたその手は届かない、虚しさを抱えたまま引き寄せた腕は冷え切っていた。
「…だが、全てではない。」
オスカーは嗤った、女の物語にオスカーは必要ない、必要なのは女がこの世界を歩む切欠であり、理由だけなのだ。
女に余計な悲しみを背負わせるのはもうお終いにしよう、ぷかぷかと浮いたサーコートをざぶんと沈め、名残をかき消すようにもみくちゃにする。
覚悟などとうに出来ていた、否、せざるを得なかった、恐れなどない、とっくの昔にわかっていたことだ。
腹の傷がずきりと痛む、その痛みを愛でながらオスカーはのろのろと立ち上がる。
命も力も思い出も、何もかもを投げ捨ててでも、もう一度始まりの地へ。
オスカーは嗤った、自身の声が罅割れ震えていることにも、頬を涙が伝っていることにも気付きはしなかった。
「So, it was you... (やはり君か)」
「I had a feeling... (そんな気がした)」
「I shall destroy you, as fate has commanded me...(運命の命じるままに、私が君を打ち倒そう)」
「Foolish pawn of Darkstalker Kaathe...(闇撫でのカアスの愚かな駒)」
「And fiendish Dark Lord...... (そして残酷な闇の王よ)」
暗闇の中、オスカーは女にぶつけた言葉を反芻する、灰に帰化する肉体にこびり付いた魂が運命に引っ張られる感覚に肩を震わせた。
女の刃に貫かれ致命的な傷を負った身体、再びの死を迎える肉体に女の伸ばした腕が触れる前に、オスカーは自ら祭壇の暗闇に身を投げた。
女の浮かべた表情と悲鳴とが瞼の裏に焼き付いている、古傷に重ねられた痛みは上塗りされたオスカーの罪を物語るのだろう。
闇に呑まれ肉体が崩壊する、磨かれすぎて摩耗しきった心がずきずきと苛む激痛に軋み、やけっぱちの鼻歌を暗い景色に響かせている。
オスカーは闇に手を伸ばした、焼付けられたソウルが、命の記憶がばりばりと剥がれ落ち、肉体の崩壊する速度を加速させる。
オスカーは嗤った、この世界で手にしたもの全てと引き換えに、もう一度、もう一度運命に抗おう。
「これからの君の物語に、どうか光と救いのあらんことを。」
呟かれた言葉と共にオスカーの肉体は灰に還る、オスカーから溢れ出たソウルたちが王の器の炎に光の帯を描きながら流れ込む。
その景色を見るものはいない、女は既に歩き出していた、心寂しい焼け爛れた景色になんの感慨も浮かばないまま。
以上です。
えろまで一年近くかかってる…、本当に遅くなって申し訳ない!
このお話は次で完結の予定です。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
キニ速 気になる速報 噂 管理人 過去 犯罪 前科 住所 違反
キニ速 気になる速報 噂 管理人 過去 犯罪 前科 住所 違反
キニ速 気になる速報 噂 管理人 過去 犯罪 前科 住所 違反
おお、もう続きが!
つ 白くベタつく人間性
待望のエロだああああああああ!
ついに大作も終わりか…。いつも面白く読ませてもらってるよ
491 :
名無しさん@ピンキー:2014/02/19(水) 23:11:56.32 ID:RgBGt+MG
オスカーさんのお話最後の投稿です。
ほぼ一年がかりでしたが、なんとか2発売前に完結できました。
長々とお付き合いありがとうございます。
物語はどこから始まって、どこで終わりを迎えるのだろう。
錆付いた思考はばらばらに砕けた言葉を幾つも蒼穹に浮かべては、ちぐはぐに繋ぎ合わされた電気信号の一瞬の煌きの向こうへと押しやってしまうだけだ。
オスカーは小さな金属音をたて、崩れた天井から差し込む光を見上げた。
精巧だが派手過ぎない金の刺繍の施された青いサーコートは、どれほどの時の間此処に淀んでいたのか判らぬ緑色の水に裾を濡らし、不死人の灰や埃にまみれ所々が黄土色に変色している。
荒い呼吸が傷だらけの銀色の兜の隙間から漏れる音だけが、朽ちかけた石造りの建物の古い空気の中に溶けていく。
小さく身じろぎをして、全身に走る激痛にオスカーは眉根を寄せてくぐもった声を上げる。
既に纏った鎧の重みですら命を削り取っていく枷となっていたが、それでも握り締めた剣と盾を手放せないのは騎士としてのプライドなのか、それとも散々彼が味わった世界の悪意に毒されたためか、生憎オスカーにそれを知る手段などない。
例え知ることが出来たとして、恐らくそれは無意味でしかないだろう、オスカーはふん、と鼻を鳴らす。
三度目の世界、しかし初めてのようにまっさらな世界、あの時と同じ重く弱い身体で、オスカーは此処に居る。
取り込んだソウルも手に入れた物も、何もかもを火にくべて始まりの場所へ舞い戻り、そうして紡がれる運命に刃を突き立てる為に。
ただ、どうしても手放せないものが一つだけ。
そっと脇腹に手を添える、癒着したソウルが剥がれ落ち、優美な剣の形を成す。
「結局、使うことはなかったな。」
ぽつりと呟いた、女に手渡された銀騎士の剣はずしりと重く、全てを捨てたオスカーには手に余るものに戻っていた。
それでもこれを捨てられないのは、きっとまだ何処かで女と共に生きることを諦められないでいるからだろう。
ひたりと冷たい刃を首筋に当ててみる、岩山の頂上の凍った空気と同じ温度の刃は氷のように白いもやを放っている。
くつくつとオスカーは笑い剣をソウルへと変える、 肋骨が揺れる度に酷く痛んだが、それすらも今は愛おしく思えた。
弾んだ息が詰まり咳き込む、痛みに肩が攣り思わず呻いた、残された時間は短い。
恐らくここがオスカーの物語の終わりで、あの女の物語の始まりなのだろう、繰り返される悲劇をここで押し留めることができるのならば、この苦痛も悪くはない。
オスカーは深く溜息を吐く、そうだ、君は何も知らないままでいい。
愛剣の柄を握り締める、ぼやける視界には燃える火の赤い光だけが映る、霞んでいく思考と裏腹に研ぎ澄まされる耳に、聞き慣れた足音が水を蹴り近付いてくる。
遠くでデーモンの吼える声がする、ああ、世界が動き出す。
オスカーは知っていた、これから起こるであろう事、自らの運命と成すべき事を。
足音が近付く、誰かが壁を叩いている。
鉄球が転がった、誰かが不機嫌そうに歩いている。
ああ、ああ、一つの物語が始まり、一つの物語が終わる。
壁の向こうから現れた存在に、オスカーは重い口を開いた。
痛みを感じる程に冷たい不死院の空気は酷く埃っぽく、呼吸を必要としない亡者の肺をこんな時だけは幸運に思いながら、女はゆらゆらとふらつく足で歩き出す。
四角く切取られた薄暗い空に現れた騎士はまるで幻のようで、しかし確かにこの世界に息づく存在であると女は知っていた。
知っているのはそれだけではない、大扉をこじ開け、真っ直ぐに進む、頭上に現れた巨大な影の主が女を捉える前に小さな通路に逃げ込んだ。
化け物の咆哮を聞きながら篝火を点す、座り込めば自然と小さく溜息が出た。
勿論折れて柄だけになった剣で勝とうとするのは聊か無謀であることは承知していた、だが溜息の原因はそれではない。
からんと女の半開きのポーチから小さな金属製のアクセサリーが落ちる、それを拾い上げ、女は炎に照らされながらじっと見つめる。
金色の、なんの効果もない傷だらけな安物のペンダント、しかし女が手放すことの出来なかった唯一のもの。
お守りがわりに、と、優しい騎士のくれた思い出の名残が存在する、唯一のもの。
思い出に縋るように握り締める、手にしたもの全てを火にくべ、再び始まりの場所へ、ただ思い出だけを道連れにして、そうして女は此処に居る。
下腹部がつきりと痛んだ、女はふうと息を吐く、暗い森での情事を思い出す度、あの甘い熱と心を掻き毟る激痛が女の背骨を伝い流れる。
それで傷付くのは君だと彼は言った、その通りだと女は肩を震わせ嗤った、情事の熱が冷めた後女に残された物は、一層増した寂しさと虚しさだけだったのだから。
決して乱暴ではないが、しかし想いの宿らない情事は、彼と女の関係を痛いほど突き付けた。
気遣いが無い訳ではないが決して心は通わない、そんな関係が酷く歯がゆくて、優しさに縋りつくだけの自分が酷く惨めで堪らなかった。
ずきりと胸が痛んだ、板金の上からそっと撫で、女は干からびた唇を噛み締める。
最初の邂逅で、最後に彼の残したもの、火の炉で対峙した時に彼の刃が貫いた傷がそこにある。
情事の際、彼が鎧を脱ぐことを拒んだのは幸いだった、女は思う、懇願したのは自分だが、刻まれた愚かさの証を何も知らない彼に見せたくは無かった。
軋む身体を億劫そうに立ち上がらせ尻の灰を払う、悲しみは癒えないが、それでも女は進まなければならなかった。
今度こそ、今度こそ二人で世界を。
三度目の世界、だけどまっさらな振り出しの世界、僅かでも希望があるのなら、前へ。
遠くに壊れた鉄格子が見える、陽に照らされて座る誰かが見える、ああ、幻のような騎士の姿だ。
僅かな歓喜の奥で沸きあがる悲しみに肩を震わせる、ああ、ああ、ここからまた物語が始まる。
ペンダントを握り締める、埃に塗れた冷たい空気が肌を突く感覚が酷く懐かしかった。
鉄球に跳ね飛ばされぶつけた背中が酷く痛い、犯人の亡者を階段の下に蹴落としながらろくに動かない口の中で悪態を吐く。
毎回忘れて引っ掛かる自分が余計に腹立たしいが、ともかくお陰で大穴の開いた壁の向こうへとゆっくりと歩を進める。
止まったはずの心臓が痛い、そんなはずはないとわかってはいても、やはり何処かで期待してしまっている自分がいる。
ぱしゃりと水を蹴り、閉ざされた空間へ。
そこに佇む騎士は嘗ての記憶と変わらない姿で存在している、悲しくて寂しくて、儚くて美しい、孤独な姿で。
女の近付く気配に騎士が首を此方に向ける、屈みこんでその胸に手を当てれば、こほ、と咽の奥から空気の漏れる音がする、無意識に女は身を強張らせる、次に呟かれる言葉などわかっている筈なのに。
「君は…、亡者じゃあないんだな…。」
びくりと肩が震える、落胆と諦めが胸の中でもぞもぞと震えた、やはり、彼は女の知る彼ではないのだと。
「…私は、もうダメだ。…もうすぐ死ぬ。」
死ねばもう、正気を保てない、続けざまに呟かれた言葉に息を呑む、何時になく弱弱しい騎士の様子に居た堪れなくなり、思わず背に腕を回し抱き起こそうとしたが、全てを捨てた今の身体では甲冑を着た成人男性を助け起す事などできなかった。
代わりに励ますように優しく背中を叩いてやる、大丈夫だと伝えてやりたかったが、長年使われていなかった亡者の咽からはひゅうひゅうと空気の漏れる音しか出なかった。
以前の彼は此処まで弱っていただろうか、そう思考を巡らす女の前で、騎士が首を横に振り制止する、まるで無駄なのだと言わんばかりに。
頼みがある、騎士が搾り出した言葉にそれでも女は頷くしかなかった、ここで伝えられる使命こそが物語の始まりであり、女が全てを捨ててでも戻らねばならない理由だった。
伝え終えた騎士が力なく笑う、始まりの世界の最初の火の炉での彼の最後を思い出させて、それは酷く女の胸を締め付けた、よく見れば彼自身の血で青いサーコートが汚れている。
途切れ途切れの荒い呼吸も、力なく寄りかかる身体も、何もかもがあの時と似ている、忘れることなどできはしない、あの戦いの後の悲しい景色に。
「…よく、聞いてくれた…これで、希望をもって、死ねるよ…。」
死ぬなんて言わないで、吐き出そうとした言葉を呑み込み唇をきつく結ぶ、元から干からびた咽では言葉を紡ぎようがないが。
分かっているのだ、女が彼の絶望を取り払わない限り、無責任に生きてくれなどと言う資格はないのだと。
これも託しておこう、騎士が緑色の瓶と鍵を差し出す、震える手で渡された瓶にはまだ十分なエストが残っていた。
どうして、そんな疑問が湧いたがすぐに思いつく、ああ、騎士は最早生きるつもりがないのだと。
拾ったばかりのブロードソードを握り締め騎士に背を向ける、優しい彼は死後に女を襲うことを恐れていた。
大丈夫だ、そう言ってやれない亡者のこの身が恨めしかった、私が貴方の絶望を払うから。
だから、どうか生きて、私と一緒に。
「…ありがとうな。」
背中に投げかけられた言葉に肩が跳ねる、水を蹴り振り返るが、騎士は天井から差し込む陽の光に照らされながら、ぼんやりと空を見上げて佇むだけだ。
そう、騎士は女を見ていない、衰弱し目が見えないのか、それとも使命を伝えたことで興味が失せたか、それとも伝えた安堵故か、何れかは判断のしようもなかった。
分かっている、彼は女の知る彼ではない、口付けも情事も火の炉での対峙もなかったことなのだ。
祈るように死を受け入れた騎士の姿は美しかった、だが、故に余りにも悲しい情景だった、希望は、死の訪れるその時だけ存在するものではない筈なのに。
こうして使命を受け入れるのも、彼を奮い立たせる為にデーモンに立ち向かうのも、最早三度目の出来事である筈なのに、胸騒ぎが収まらないのは何故だろう。
だが、やるしかないのだ、水を吸った革のブーツを蹴って再び歩き出す、亡者の横たわる階段がそこにある。
待っていて、何度でも私が貴方の絶望を払うから、あのデーモンを倒して、巡礼者の道を拓いて見せるから。
女は歩く、三度目の世界、もう一度彼と生きる為に、今度こそ二人で生きる為に。
かつりと石ころを蹴飛ばし階段に足を掛ける。
どつん
背後で鈍い音がした。
黒い森の篝火に手を翳す、ぼうと燃える火に何の感慨も湧かないままに女は冷たい地面に腰を降ろす。
壁に凭れて空を見ていた騎士の姿を思い出す、冷たい風を遮るようにそっと背後に立ってくれていた優しさも。
世界は記憶と何一つ変わらない、物語は何一つ変わらない、ただ一人の存在を除いて。
左腕の青い盾をついと撫でる、唯一つの希望も与えることの出来ぬまま、騎士は逝ってしまった。
亡者となった彼の姿を思い浮かべた、灰となり消えていく彼の、最後に女の背に回された腕の優しさがずきずきと痛む心の奥を優しく撫でてくれた。
運命に抗おうと全てを捨てた結果が、何も出来ぬまま彼を失うしかないという結末に、女はただ嗤うしかなかった。
騎士の存在を、この世界の誰も知りはしない、恐らくはこの女を除いて、誰も。
きっと、彼を失うことが女の物語の根幹にあるのだろう、それが早いか遅いかなど、きっと世界にとってはどうでもいい事なのだ。
重い腰を上げ、ゆるりと歩き出す、苔生した地面を踏み、月明かりに照らされながら谷の風の歌を聴く。
夜の湖は暗く冷たく、静かで鏡のように星の光を岩肌に映している、古い亡国の姫君と出逢ったこの場所は、いつだって女の心を湖面のように凪いでくれる。
そっとポーチに手を伸ばす、この森に咲く淡く光る花が、花の部分だけ摘み取られて乱雑に詰め込まれていた。
女は勢いよくポーチを振る、花は広く湖面にばら撒かれ、星座を描くように瞬いた。
花は不死院で手向けるつもりだったが、できなかった、二人の物語の墓標はあの牢獄ではないと、亡者となった彼が教えてくれた。
消え行く彼の亡骸を抱え思い浮かんだのは、冷たい牢獄ではなくこの森だったから。
きっと、女も騎士も、最後に意識が眠るのはこの森の中なのだろう、例え亡骸が何処で朽ちようとも。
「さよなら、オスカー。」
ポツリと呟き、女は湖に背を向けた、四つの王のソウルが女の手の中で燃えるように赤い光を放っている。
女は空を見上げた、蒼白い月の光が今はもう居ない騎士の鮮やかなサーコートを思い出させて、酷く愛おしく見えた。
物語は何処から始まって、何処で終わりを迎えるのだろう。
答える者は居ない、暗く冷たい世界に女だけが残されたまま、世界は滅びへと向かっていくだけだ。
その左腕の青い紋章の盾だけが、騎士の存在を刻んだまま。
以上です。
自分でも驚くくらい長くなってしまいましたが、それでも最後まで読んでいただけた方、感想を下さった方々、本当にありがとうございました。
本当は救済ルートも考えていたのですが2までに間に合わないのと、やはりダークソウルの世界観的にこれでよかったなかなと、こういう結末にさせていただきました。
そのうちにまた何か作品を投稿するかもしれません、その時はまたよろしく御願い致します。
ありがとうございました。
>>498 お、おお! 完結乙! 以前のと合わせて読み返しとるでww
新作はもちろん救済ルート…書いてもいいんぢゃよ?
俺も2記念(?)に書いてるネタがあるが完成させるのって大変だわ
まだみんなプレイ中だからか人がいないな
猫かわいいです
クロアーナが身体も売ってくれそう
いま(タダじゃないけど)なんでもするっていったよね?
公爵×フレイディアたん
クロアーナさんのおっぱいは衝撃だった
見た瞬間自分が今やってるゲームがダークソウルなのかわからなくなった
リーシュが美人なら心置きなくおしおきちょめちょめ妄想できたのに・・・おばはんやないか!
いい感じの聖女じゃないと美人にしてもらえないエリザベス現象
師匠どうこうと言ってた気がするし若い頃の話にすればよろしいのよ
しかも無駄にあのおばはん強いから下手したら返り討ちっていうね!
タークが別居中の嫁にボコボコにされて吹いた
ミダといいヴァンクラッドといい、何か今作の男女関係は世知辛いな
デュナビッチはエロい
プレイヤーに固くてぶっとい物をねじ込まれて昇天寸前になる呪縛者たんハァハァ
誤爆()でホストが昇天することもあるんですね。分かります
呪縛者さんに固くてぶっといものを捩じ込もうとして逆に固くてぶっといものを捩じ込まれる女主か。
固くてぶっといものねじ込まれて昇天って封人のことかと思った
封人の鍵のテキスト読んでワロタわ
封人がビクンビクンしてるのは苦しんでるからじゃなくて焦れてるからなんだよな…
普通の人間が封人に改造されるとかだったらおいしい
実は上下逆さ人間で、あの頭っぽい所は下半身で女性かもしれない
というわけで、封人の頭に血が上る心配はないな。一安心。という妄想
ダクソ2中途半端で飽きちゃったからデモンズに戻って
その流れでここ見つけたんだが……ミラルダの口調ってどんなだと思う?
王位に逆らう〜の奴は形式的な独り言みたいな感じもするし
狂気に満ちてるなら荒々しい感じなのかな、とか思いつつ意見募ってみたり
ええい、出来上がったからには投下だ!
※注意
・割とブラックな断罪者ミラルダ(+公使)×捕まる前のユーリアというシチュ
・マトモにプレイしてたのが二年以上前なので設定曖昧
ふと侵入者の気配を感じて、独り言のような唄を紡いでいた口を噤む。
耳を澄ませると兵の倒れる音、炎の音が聞こえ、同時に軽い足音が聞こえてくる。
兵が倒れるということは敵、それも炎を使うとなると魔術師だろうか。
足音は自分と同じ程度のものとなれば女に違いない。女の、それも手練れの魔術師
久々に面白い獲物がかかったなと、高く可笑しげな笑い声が薄暗い棟に木霊する
「王意に逆らう不義者めが……ミラルダの裁きを受けるがいい」
暗い建物から外に出てみれば、丁度最後の兵士が炎を受けて滅する所だった。
弱々しい連中だ。既に人ではないくせに、動きは生きている時よりすこぶる悪いうえ
頭の方も回転が遅いから処刑の手伝いにもなりはしない。
唾を吐き捨てたい気持ちを押さえて、ズタ袋のような頭巾の奥で目を光らせる。
一見すると敵は逃げてしまったようにも思える。兵士は死んだが、女の死体は無いのだ。
しかしミラルダも馬鹿ではない。崖に飛び込んでいくトカゲを見逃さなかった。
あのトカゲはただの奴隷だのには目もくれないが、逃げるということはつまり……
更には、そのトカゲが落ちた時に小さく「あっ」という声がしたのも
耳聡い断罪者には聞こえていた。間違いない、緩やかな坂の陰に相手は居る。
これがまた愚直な兵士なら真っ直ぐに行ってそのまま炎に焼かれるのだろう。
実際、何人も配置していた連中が死んだのはまさにその方法に違いない。
けれども私は違う。奴隷でもなければ馬鹿でもない。
足音を潜めて坂の上まで走って行くと、飛び降りざまに手にしたギロチンアクスを振り下ろす。
やはり相手は女の魔術師。その背をザクリと斬りつけただけで倒れ伏し、死に至らんと目を閉じる。
私は改めてその相手を見た。感じ取れるのは多大な魔術の力と、なにか特殊なソウル。
あまり詳しいことは言えないが、今までの侵入者より特別な感じがして
ふと思い当たったのはあの公使どもだった。前々から気色の悪い連中だったが
最近特に肥えて来たように思う。ともかく、ソウルの扱いが出来るのは奴らか王だけだ。
王にお目通りを願うなど処刑人の自分では恐れ多いし――と、ミラルダは決めた。
魔女が死に身を浸して逃げようとするのを、髪を引っ掴んで繋ぎ止める。
まだ生きているのは確かなのだ。そのまま引っ張りあげると、ひょいと左肩に担ぎ
そのまま奴隷兵士を尻目に進み、ファランクスには目もくれず竜の縄張りに進んでいく。
更に奥へ進んでいくと侵入者への防備を固めた青目の兵士も居たが
こいつも含めて兵士は腰抜けだ。私が通るだけで地下牢への道が開き
じめじめとした石壁の階段を下りていって、そこで女を床に放り投げた。
ごろりと転がった女魔術師が小さく声を上げ、それでようやく公使が一人こちらに気付く。
「侵入者だよ。ソウルを扱えるのはあんたらぐらいだろ、だから連れてきたのさ
どうやら妙な力を持っているようだし……それにあんたら、好きだろう?」
――そう、こいつらは卑下た見た目と変わらない、賤しい性情をしている。
時折見つけた生身の女は欲望のままに汚して何時かは殺してしまうか
飽きた時には私が処刑する。男なら拷問したうえで、というわけだ。
とはいえ今となっては他の連中より人間らしいし、なんとなくソリも合う。
この女を連れてきたのは魔術がどうのというもあったが、女だからでもある。
担いでいて分かる肉の柔らかさ、美貌、そしてまだ汚れていない乙女の気配。
きっと奴らが好きこのんで犯しにかかるだろうと期待していたのも事実であって
それを楽しみにここまで来たのも実のところ本当だった。
公使たちは早速彼女に近付き、一人が顔を押さえて満月草をその口に押し込んでいく。
すると私のつけた大きな傷も次第にふさがってゆき、咳き込む声にも色が戻る。
だが一息つけると思ったのなら大違いだ。既に待機していた公使のグロテスクなペニスが
まだ草を飲みきっていない彼女の口に遠慮一つなく突きこまれるのだから。
奴らのソレは、まるで身体をそのまま男性器にしたような外見をしている
勃起せずともぶよぶよと大きさだけは立派なもので、いざいきり立てば
痛々しいほどに血管が筋を立て、赤子の腕のように充血して女を求めるのだ。
魔術師は悲鳴をあげることも出来ずに涙を零し、喉奥を強引に叩かれて
なんとか意志を示そうと両手の爪で公使の腿を引っ掻くが――無駄なことだ。
しばらくして唾液の量が増え、水音が暗い檻の中に響き始める。
やがて数秒後にはブヨ虫――そんなアダ名で内心呼んでいる――奴が腰を突き出し
久々の生身相手に汚らしい精液を流し込んでいく。
ちょっと突き込みすぎでは無いかとも思う。多分、亀頭は食道をえぐっているはずだ。
胃に直接スペルマを流しこむような行為は、普通の女が耐えられるものではない。
先ほどまで男性経験も皆無だった様な魔術師は喉を直接塞がれる感覚と
押し付けられた陰毛の臭いと感触に目を見開き、ちょろちょろと小便を漏らす。
私はそれをずっと横で眺めていた。他の公使――もう三人ばかり居るのだが
そいつらも勃起を隠そうともせず今か今かと出番を待っている。
これから彼女は陵辱されるのだ、これもう何が起きても変わらない事実だろう
私はまだ手にした重い武器を置くと、仰向けに崩れた魔術師の上に覆いかぶさる。
奴の服を剥ぎ、秘所を露わにし、手で髪を梳いて綺麗に歪んだ顔を撫でてやる。
私には無い女性らしい身体のラインに指を這わせると、本能からか身体を震えさせ
呆けた意識がようやく戻って、口の中の嫌な感覚に表情を暗くする。
私は覆いかぶさったまま目出し頭巾の口元を引き裂いた。後で縫えばなんとでもなる。
そして、ゆっくりと彼女の口元にキスを落とし――躊躇いなく舌を突き入れ、歯列をなぞる。
回復のための草の切れ端、薄汚い精液の残滓、恥垢、それに陰毛で汚された彼女の口内を
じっくりと味わうように舐めとっていって、逃げられないように両手で顔を押さえてやる。
流石に予想外だったのだろう。先ほど自分が殺されかけた相手だと認識した魔術師は
か細い手足をばたつかせてもがくものの、生憎と私の力にかなう同姓などそうはいないのだ。
たっぷり二分ほどもディープキスを味わった頃には、すっかり彼女も息を切らしていて
私の興奮も収まりが付かない所まで来ていた。公使たちはもうガマンの限界とばかりに
私に粘っこい視線を向け、それぞれの巨根を自分で慰めつつ迫ってくる。
私はニヤリと笑って服の裾を上げると、既にぐっしょりと濡れている布を破り
早く来いとばかりに手招きする。クフフ、という笑い声のあと、熱い剛直が
私より先に魔術師を貫き、跳ねたその身体を私が押さえつけてやる。
どうやら女の具合は相当に良いらしい。何度か挿入を繰り返すうちに
その身体から伝わるほど強く精液が叩き込まれていくのを感じる。
私は泣きじゃくる魔術師の悲鳴を子守唄にする子供のように、豊満な胸に舌を這わせる。
ちょうどその乳首を歯で刺激していると、公使の一人が今度は私にペニスをねじ込んだ。
いつも私を先に味わっているやつだ。お互い具合の良さは知っているから
直ぐに二人して上り詰めていく。頭の上で聞こえる悲鳴は一層強くなっていた。
何故か?それは私が勢い余って彼女の乳首を血が滲むほど噛んだからだろう。
甘い快感だけでは面白くない。私は物好きな公使に自分の膣を味あわせながら
他の連中に指図する。一人は私達の前に、もう一人は床に転がれと。
ふと起き上がった私は、背後で身体を支える公使と気持ちばかりのキスを交わす。
その間に先ほど射精していた奴に魔術師を持ち上げさせ、寝転がった公使の上に
下ろすように言った。勿論、それだけでは面白くない――ちゃんと騎乗依で
それも未開発に違いないアナルを使わせるようにしろと熱い吐息混じりに、だ。
菊座に公使の亀頭が当たった魔術師は何が起きるかようやく理解したのだろう。
なんとか逃げようとするが、奴らの力に刃向かえるはずもなく
丸みを帯びた腰を掴まれて強引に野太いペニスを押し込まれていく。
何かが裂けるような音がすると同時に、体重と出血で一挙に根本までがねじ込まれ
女は今度は悲鳴を上げる暇もなく泡を吹いた。そんな身体をしているのが悪いのだ。
私を抱く公使に二、三言告げて、私はまた魔術師と胸を合わせるように彼女を押し倒す。
意識の朦朧とした彼女の胸は柔らかくて、公使の身体の上に横たわると
今度は私の重さでぐにゃりと形を変えた。しかしそれを味わうより早く
私と、私を味わい続ける公使の絶頂が近付いてくる。傍から見れば獣のように
声を上げて私が膣を締め付けると、奴もドクンドクンと重々しい精を最奥で解き放つ。
もっとも、私達はそれで終わりではない――そのまま腰を振り続けろと
常日頃から躾けてある。彼も、他の公使も私のことは肉欲の対象であり畏怖する存在だ。
王の威光を笠に着ても、処刑人には権威も暴力も通じない。私が奴らに指示するのだ。
その命令にしたがって、公使は精液を放ちながら腰を振る。私の狭い膣道は
脈動する奴の肉棒にうめつくされ、白い泡立ちすら見えては来ない。
良さに声を上げながら、今度は魔術の腸内に欲望が解き放たれたのをくぐもった女の声で悟る。
ふと白い腹に手を当ててやると、僅かに膨れてしまっているかのようだった。
魔術師はもはや言葉を意味しないうめきを上げるが、それも直ぐに静かになった。
前に向かった公使の剛直が、再度その喉を貫いたからだ。
今度は先ほどより余程辛いだろう。ただでさえ息を忘れるような責め苦を受けているのに
仰向けの状態でイラマチオ――つまり、整った顔をでっぷりと垂れ下がった
公使の陰嚢が何度も叩くような体勢なのだから。その肉の音が何度かしたあと
再び魔術師は小便を零した。アナルから引き抜いた公使のペニスはその小水で清められ
暖かな感触に奴が気味の悪い笑い声を上げている。
私は残された最後の公使を呼びつけると、その臭いペニスを突きこむように言った。
勿論後ろは開いていないから前――魔術師と同じようにしろと云うことだ。
奴は指示の通りに私の後頭部と顎を抑えると、遠慮もせずに肉棒を喉まで突き入れる。
思わず吐きそうになるがそのまま堪える必要もなく喉を通り越し
奴の亀頭は私の気道を塞いで、ごりごりと純粋な肉の感触を楽しんでいた。
前も後ろもそうして犯される内に、ふと高揚が訪れるのが好きだ。
私は息も絶え絶えになりながら小さく笑い、それを見た公使が喉奥で精を爆ぜる。
同時に魔術師の口を使っていた奴も『飲ませてやる』というように腰を振りたて
音が聞こえるほどの勢いで射精していた。私の膣を貪る公使も二度目の絶頂を迎え
しばしの沈黙の後にずるりと粘液を纏った肉棒が、それぞれの穴から引き抜かれる。
私は深く息を吸って整えると、何事もなかったかのように起き上がって
仕事に戻るためにギロチンアクスを拾い上げる。公使に犯されていた秘所からは
散々に注がれた白濁が滴っていたが、どうせ誰が咎めるでもないのだからいいだろう。
スカートを下ろしてしまえば何も見えないのだ。それに、侵入者を殺すときは
これくらいのスリルがないと面白くない。ただ殺すのはそろそろ飽きてきた所だ。
もっとも、こういう妙な性格だから男性にはすこぶる受けが悪いのだが。
その点、この女は違う。前も後ろも無く、喉の奥まで犯し尽くされ
腹は明確に膨らんで見えるほどの精液を叩きこまれたせいで妊娠したかのようだ。
オマケにひゅうひゅうと息をして時折身体をヒクつかせるのはカエルにも思えてしまって
さっきまでの健気な様子がまるで嘘だ。公使は征服したのが嬉しいのか
単純にその姿が面白いのか、それとも今後のことを考えているのか
こちらもカエルのように喉を鳴らして笑っている。ただ、私には少し羨ましくもあった。
普通の女ならこういう反応をするだろうし、それに――それに今、私は足を上げて
気絶した彼女の腹を思い切り踏みつけ、体内に淀んだ精液を押し出してやる。
意識は戻らなかったが、彼女はとてつもない量の濃厚な白濁を胃液混じりに吐き
裂けた尻穴からは血液と溶けてピンク色の液がどろりと溢れ出していた。
流石の公使も笑わなかった。いや、正確には笑ったまま顔の動きを止めたというのが正しいのか。
――そう。それに、普通の女ならこういうことはしないのだろう。
自分がどこかオカシイのも、今目の前で魔術師がビクビクと跳ねているのを見て
また体の芯が疼いている――そんな人にはない性癖を持っているのもわかっている。
だが改める気はない。私は王のために人の首を撥ねるだけの存在なのだ。
時折こうして楽しむことはあっても、断罪者という栄誉であり烙印である称号は忘れない。
どうせ咎める人も居ないのだ。忠義深い騎士たちもみなブヨ虫どもと同じだし
王自身も私など気にも留めるまい。だからこれでいい。
私は破れた服を縫うための針と糸は何処にあったかと考えながら地下牢を後にした。
……という感じでインスピレーションと自己満足の塊終わりっ!
書いてる途中で目線がミラルダだったり第三者だったりしてるのは目を瞑ってくだちい。
なんとなくミラルダxオストラヴァとかビヨールとか王様とかも浮かんだけど
その辺も気が向いたら勝手に落としに来るかも。そいではスレ汚し失礼!
イイネ!エロいね。乙。そして存外素直なブヨ虫にわらた
最白で生身、最黒で黒ファンでNP(生死独立)が出てくるような所なんだし
城1に紫染の鎧セットやらボロ装備一式が、
IFのビヨールやユーリアのモノでも構わんよねw
当然同じ装備の別人でも構わんという上で。
ジェルドラの宝箱の罠でギリギリ死ななかったが、身動きのとれない女主
「死ねばよかったのに…」と現れたクレイトンが恩を仇で返す、そんな話はまだですか?
その役目はむしろ親切な人向けじゃね。
クレイトンだとR-18でもG方面充填でやりそう。
ペイト手伝うとどうなるん?
宝箱トラップなし?
普通にトラップあるし、死ねば良かったのに、とも言われる
…気のせいか、あの台詞がペイトの声に聞こえる
「死ねばよかったのに」って聞こえたときゾワッとしたわ
グロでもいいから、そろそろ2のSS読んでみたいな(チラッ
初めてだけど投稿しやす
旦那様は大変素晴らしいお方で御座いました。
戦禍に呑まれて記憶と声を失い、亡者のごとくさまよっていた私を保護して治療を施して下さいました。
それだけではなく旦那様は私の記憶が戻るまで使用人として雇い入れて下さったのです。
奥方様も大変優しく麗しいお方でした。掃除をしている私にお茶とお菓子をご馳走して下さり、記憶を取り戻す足しになるならと沢山の本を貸し与えて下さりました。
私は幸せでした。このような暮らしが続けられるのならいっそ記憶なんて戻らなければ良いとさえ思いました。
しかし、その幸せは長く続きませんでした。
お出かけになった奥方様がお帰りにならなかったのです。
使用人総出で探しました。旦那様も一緒に。
1日、2日と捜索が続き、3日目にしてようやく奥方様が発見されました。
生きておられました。確かに息をしております。
ただ、奥方様の背中には巨大な蜘蛛が張り付いていました。太い針のようなものが深々と突き刺さって。
なんとおいたわしいお姿。お召し物は土と血にまみれ、意識は既になく虚ろに目を開けたまま声1つあげず。
屋敷へお運びし、直ちに蜘蛛を切り離す手術が行われました。
手術は成功しましたが、それから2週間経っても奥方様の意識が戻られることはありませんでした。
旦那様は部屋にひきこもりがちになり、日に日に不健康にやせ細っていかれました。
お食事をお持ちしても、前にお持ちしたものが殆ど手付かずでそこにありました。
ある時、私は気の毒でならず旦那様に手記でご機嫌をお伺いしました。
旦那様の落ち窪んだ眼孔に潜む虚ろな目が私の方を向きました。
旦那様は何かを呟きました。私に声をおかけになったのではないように思えましたが、私は恐る恐る近づきました。
すると旦那様は私を押し倒し、私の上に馬乗りになりました。
続いて私の服を乱暴に破り捨て、私のあまり大きくない乳房にしゃぶりつきました。
乳首がねじ切れそうなほど吸われて強い痛みを感じましたが、私はなるべく抵抗しないように努めました。
ひとしきり吸われた後旦那様の手が私の秘部へと伸び、服をはぎ取られて裸同然になりました。
前戯もなく突然挿入され、私は声なくも悶えました。
臀部を伝って血が床に滴り落ちるのが分かりました。
そんな私に構うことなく旦那様は激しく腰を打ちつけ私の中をかき混ぜました。
痛くて、辛くて、でも嬉しく思いました。
旦那様の痛みを、ほんの少しだけ共有できた気がしたのです。
旦那様は最後まで達することなく私に覆い被さったまま眠ってしまわれました。
私は旦那様を抱えてベッドまで運びました。
深々と眠る彼の寝顔は遊び疲れた子供のように可愛らしく、私は思わず彼の頭を二度三度と撫でました。
次の日、旦那様は一変しました。
娘が産まれたと叫びながら屋敷中を駆け回っておられたのです。
怪訝に思った使用人たちが奥方様の部屋を覗くと、そこにはおびただしい血と肉塊、無数の子蜘蛛が。
奥方様に寄生していた蜘蛛の卵が孵ったのです。
旦那様は子蜘蛛を拾い上げて矯声を発して喜びます。
「名前は何がいいだろう。そうだフレイディアがいい。私の愛しいフレイディア。愛する妻の忘れ形見」
これで終わりです
ちなみにタイトルは「使用人ヴァンガル」です
ああ、なるほどなあと思った
見事なフロム脳、GJでした。
初のダクソ2SS、GJ!
ヴァンガルって、首が霧の森で本体がジェルドラにあったオッサンだっけ?
>>535 そうです
主人公は頭(声と記憶)を失ったヴァンガルの胴体です。つまりBLです
BLで思い出したんだが、3Pってどう表記するの?例えばペイトとクレイトンの仲裁に入った女主が「いやっ…いやぁ…そんなつもりじゃ…らめぇ!」
と2人相手に文字通り一肌脱ぐはめになった場合は
ペイト×クレイトン×女主? ペイト+クレイトン×女主?
後者じゃなかろうか
>>537 なにそれ超読みたい
自分はべつに、どっちでも気にしない
クレイトンって頭の中が「ペイトやる!」の一色だし
ペイトがペイティとかの女キャラだったらジェルドライベが美味しかったな
争ってるふりして止めに入った主人公の隙をついて二人がかりでヤってしまおう
的な感じでペイトがクレイトンを言いくるめて3Pみたいな想像はしたことある
>>541 ぜひその想像を文章に…! まぁ自分も似たようなこと考えたことあるけどw
今作男キャラも女キャラもパッとするやつが居ないからなぁ…ここのネタにできそうなキャラが少ない
いや、ただ単に自分の妄想力が足りないだけなのか…
前作で開始数分、出逢って少し会話しただけで退場してしまうあのキャラで延々ストーリー書いたけど、やっぱり今作は難しいなあと思うようん。
むしろアルバさんとかアーロン騎士とか本編にいないキャラや敵の方がいっそ妄想しやすいかなぁ。
そのうちアルバさんで小ネタ書くかもしれない。
ギリガン「ソウルが無かったらカラダで払うんだよ。常識ねえなぁ」
どうしますか?
:手コキ
:フェラ
:本番
という電波を受信した
>>543 アルバとジャーリーの刹那さ爆発ラブストーリーを受信したわ
>>544 マフミュラン「うらやまけしからん!!もっとこっちでやれ!」
あれ?ところでシャラゴアたんに罵倒されながらニャーニャーされたい人は俺だけ?
ジャーリーは後にアルバの内縁の妻化したって構想が多いのかなー自分はまったくの逆だ
あ、エロSSとしては何でも歓迎します
そんな事言われたらまたEROにこぎつけるまで一年かけてくそ長いのだらだら書いちゃうだろ!
今回ボスの方に魅力的な連中が多いから困る。
溜まりの谷から溶鉄城までのボスの繋がりとか。
今回はさすがの考察スレもお手上げみたいだね
こじつけすら満足に出来ない消化不良のストーリー
はたしてエロに繋げることはできるんだろうか
済まないが、ネガキャンしたいだけならアンチスレの方に行ってくれないか?
>>544 の電波をパラボラ受信したったった
ギリガン×女主 投下します
「お前さん、ソウルを落っことすんじゃないよ…」
かつて、この地にたどり着いてときに聞いた老婆の言葉を思い出す。
「そのたびに、お前さんは亡者に近づくんだからね
もっとも…落とすじゃろうがの…数え切れんほど、何度も……」
低く、しわがれた声で笑う様はまさに御伽話に聞く魔女のようだった。
小馬鹿にされているような老婆の顔を思い出し腹がたったが、何より不愉快だったのは…
老婆の予言通り、幾度もソウルを消失させ心が折れかけている自分だった。
土の塔
かつて繁栄した城のふもとにあった場所に、彼女は居た。
どう進めばよいかわからず、何度も罠にかかりながら塔内を彷徨っていた。
溜まりの谷を一望するひらけた場所に出ると、ふと、足元の白い輝きが目についた。
傍目には黒く干からびた死体にしか見えないが、「呪われ人」である彼女にはその遺物の気配を感じ取ることができた。
そういえば、このあたりは探索していなかった。どうすれば下にいけるだろうか。
あたりに足場となるようなものはないだろうか。彼女が辺りを見回していると、男が声をかけてきた。
「お前、この下に行きたいのか?ハシゴあるぜ、かけてやるよ」
びくりと声のした方を振り返ると、白髭を生やした恰幅のいい男が立っていた
「え、ハシゴですか?」
「そうだよ。で、いくら出す?」
恐る恐る返事をした彼女に対して、男はニヤリと笑いながら答えた。
「それは助かりますけど……いくら…?」
「なんだよ、人に世話になろうってんだろうが。気持ちってもんがあんだろ?常識ねえのかよ
まあよ、俺も鬼じゃねえからよ。こんな時くらい安くしといてやるよ。そうだな…」
男はわざとらしく髭をなで、2本の指を彼女の前に立てて見せた
「コレでどうだ?」
「ええと、コレといいますと…」
「あ?しょうがねえな。2000ソウルだよ。2000ソウル!
こんな場所で会ったのも何かの縁だ。大負けに負けて…」
「あ、ありません…」
男の声を遮って、彼女は申し訳なさそうに答えた
「落としました。せっかくの提案はありがたいんですが、あいにく持ち合わせが…」
「本気かよ。あー……」
男は呆れ顔でため息をつき、彼女の顔から足元まで舐めるように眺めた。
「常識ねえなあ、それなら他の方法があるだろ。体で払えよ、カラダで」
黒衣から覗く白い鎖骨、はためくフードから見える桃色の唇、それらは男を十分に欲情させた。
「……え!?やだ、ちょっと、待っ……!」
彼女の返答を待たずに、男は突然彼女の胸元に手を伸ばした。
逃れようとする彼女を抱き寄せ、かまわず胸を揉みしだく。
魔術師用の軽いローブのため、服の上からでも柔らかい感触が伝わってくる。
首筋に顔をうずめると、さらりとした髪が触れ薄甘い香りが嗅覚を支配した。
「ひうっ……う、やめてくださっ……ひゃぁっ!」
男の荒い吐息が耳や首筋にかかり、ぞわりとした嫌悪感が彼女を襲う。
生暖かい舌が這い回り、無骨な掌はローブをめくり肌を直に撫で回し始めた。
胸の突起を指の腹で押しつぶされるように刺激されるたび、彼女の唇から切ない吐息が漏れる。
しかし体を撫でる手が下衣に差し掛かった時、はっきりとした拒絶の声が響いた。
「や、やめてください!も、もう十分でしょう?」
一瞬ひるんだ男の腕から抜け出し、薄く涙の浮かんだ瞳で抗議する。
身をひさぐことへの嫌悪感と罪悪感、得体の知れない男への恐怖もあった。
お楽しみを中断された男は、不機嫌そうな顔さえしたが、無理に襲い掛かることは無かった。
552 :
ギリガン×女主:2014/05/12(月) 19:52:55.90 ID:Pha2zKeX
「なんだ、ここでおあずけかよ。常識ねえなお前。仕方ない。払ってもらった分は仕事してやるよ」
けだるそうにそう言って、男は手持ちの商売道具からハシゴを取り出した。
そのハシゴを広場の端までもっていくと、器用に固定した。
が
「………」
それはハシゴと呼ぶにはひどく短いものだった。
「なんだ、ご不満か?」
「このハシゴ…これだけですか?」
「そりゃお前、払った分だけの仕事だっつったろ」
「ひ、ひどい…」
「あ?ひどいのはどっちだ?こんなになるまで煽っておいてよ」
そう言うと、男は彼女の腕を掴んで自分の股間に押し付けた
「………っ!!な、なんっ……!」
彼女の手には、熱を帯びて硬化した肉の塊が収まっていた。
「常識的に考えれば、もっとマシなハシゴが欲しけりゃどうすればいいか、分かるだろ?」
男の言わんとしている事は理解できたが、そもそも、そのハシゴにそれだけの意味があるのか。
突然のことで頭が追い付かない。顔が熱くなる。
混乱している間にも、男は好き勝手に掌を押し付けて、上下に腰を動かしてくる。
手の中の肉は益々質量を増し、布ごしでもその醜悪な造型を主張している。
「よしよし、常識ってモンが分かってきたな」
男は満足気に呟くと、彼女の両肩を押し下げた。
無理やり力を加えられ、彼女はその場にへたり込むようなしゃがむような体制となった。
「じょう……っ!ふ、んむううぅ!」
ちょうど彼女の顔は男の腰の位置あたりにある。
彼女が顔を上げた瞬間、口内に先ほどまで触れていた肉棒がねじこまれた。
「ん、じゅるっ……っ、う、うぇ…っ」
何をされたか理解した瞬間に嫌悪感が込みあげ、口内から異物を押し出そうと必死で舌を動かす。
しかし後頭部を掴まれ固定されているため、思うように逃れることができない。
ねばつく先端も、亀頭の溝も、ふくれあがった血管の形さえも舌に伝わってくる。
「ぷはっ、ん、ちゅ、じゅっ…はぁっ…んぅ……」
飲み込みきれない唾液が卑猥な音を響かせて、彼女の顎から滴り落ちる。
十分に呼吸が出来ず、意識が朦朧としてきた彼女の喉奥で、肉の塊が一層質量を増したのを感じる。
「………っ!えほっ……はぁっ…はぁ、う、けほっ」
喉に叩きつけられた精液は、全ては口内に収まらず彼女の顔とローブを汚した。
「ふー…、そう、これが常識ってもんよ」
満足そうに身支度を整えると、男は早速ハシゴの準備に取り掛かった。
彼女はしばらく気管を塞がれていたせいで、未だにケホケホと咳こんでいる。
「さて、今度はちゃんと下まで降りられるハシゴをかけてやるからな」
のしのしと、男は長いハシゴを担いで広場の端に移動した。
「けほっ……」
半ば強引に取引を進められ、もはやハシゴなど半分は意識の外にあったが
体を弄ばれてまで手に入れたものなので、彼女はかけられたハシゴを確認した。
「………」
「うん?」
「このハシゴ、確かに下までは降りられそうですが…けほっ」
新しいハシゴは、確かに塔の下まで移動するのに十分な長さがあった。
しかしハシゴの終わりは地面に届かず、途中までしかない。
彼女の身長に少し足した分ほど、ハシゴの方が短かった。
これでは、降りた後に元の場所に戻ることが出来ない。
とは言え彼女は不死であるし、"物理的に"元の場所に戻れないといっても、取る手段はいくつかある。
それでも、完全なハシゴがあるに越した事は無い。
553 :
ギリガン×女主:2014/05/12(月) 19:54:43.66 ID:Pha2zKeX
「…ひどい人」
「だから言っただろ、払ったぶんの仕事をするって」
「……さ、最後まで、すればいいんですね…?」
この展開は、彼女も心の片隅で予想していたのかもしれない。
恐る恐る、男に問いかけた。
「ウハハハッ、本気かよ。いやいや、やっぱり人のためになる仕事は気持ちがいいな!」
「……ち、違います。わ、わたしはただ、ハシゴが…」
顔を赤くして小さく反論する。
何が違うのか、彼女自身よく分かっていなかった。
そんな言葉が口をついて出たのは、無意識に自分が「さらなる要求」を
徐々に期待するようになってきたことを見透かされてると思ったからかもしれない。
「こうですか…?」
促されて、彼女は獣のような姿勢になり男に尻を突き出す
黒衣のローブは着用しているが、下は何も着ていない。
ローブの黒が白い肌と丸みのある尻の色香を強調している。
男は肌の感触を楽しむように、太ももを撫でまわし尻をこねまわす。
やがて再び硬さを持った肉棒を彼女の秘所に当てがった。
「……っ!う、あ、はあっ……」
そこはすでにしっとりと濡れていて、入り口を軽く突くとぬらぬらとした蜜が溢れ出た。
男が腰を進めると、ゆっくりと肉棒が飲み込まれていく。
「ひゃ、あぁ、すごい…はいってきたぁ…」
待ちわびた感覚に肉壁が反応して、男をきゅうきゅうと締め付ける。
「おいおい、ちょっと挿れただけでコレって、常識ねえなお前」
熱をもったぬかるみに捕らえられ、男が息を漏らしながら話しかける
「あ、だって、ん、そんな、少しずつしか挿れないからぁ…」
「そうか、じゃあ激しく動いてやるよ」
言うと、男は一気に腰を最奥まで打ちつけた
「………ッッ!!……ぁ…!」
彼女はガクガクと腰をふるわせ、声にならない声をあげた。
「あ、やっ!ん、ふぁ、あ!あぁっ!」
激しく膣壁をこすられ、あふれた蜜により淫靡な音が響く。
腰を動かしながら、男は彼女の乳房を弄ぶ。掌の形にゆがんだ白い肌あローブの隙間から覗いた。
「ひゃ、だ、だめっ、そんな、いじりなぁらっ、あ、動いちゃ…!」
彼女が何か言っているが、打ち付ける腰の動きに合わせて言葉が途切れるのでよく聞き取れない。
舌足らずの甘い喘ぎ声が男を追い詰める。
「クソッ、もう限界だ」
次第に腰の動きが早くなる。全身の魂を搾り出すような絶頂。
最後に肉棒を胎の深くまでねじ込み、大量の精液をぶちまけた。
「………はぁ、あ、はぁっ…」
彼女は両腕で上半身を支えることが出来ず、塔の石畳に倒れ込んだ。
肉棒を引き抜かれた穴からは、ドロドロと残滓が流れ出ている。
目が醒めると、塔には彼女だけが残っていた。
広場の端には、完璧な長さのハシゴが掛けられていた。
朦朧とする頭で、本当にこれでよかったのか思案する。
いったい常識とは何だったのか。結局非常識な取引をしてしまったように思える。
しかし、もう起こってしまった事はどうしようもない。
彼女は気を取り直して塔の探索に戻ることにした。
しかし、この時の彼女は、後日マデューラの大穴付近で同じやりとりをするハメになるとは知る由もなかった。
以上です。
書きながら白霊呼ばれ待ちしてたら、同じ闇霊に3回くらい犯されました。
常識ねえな…
>>554 パラボラ受信したなら仕方ないよねw 乙
手持ちに2000ソウルもないなら、新しいハシゴ(第二弾)で降りて、
ダークリングで帰れるじゃんって思った俺がいた。常識ねえな俺。
>>554 常識あるSS 乙!
ギリガン!常識ねえのお前だよ!マデューラの穴の淵でフォース決定な!
>>554 素晴らしき常識ある乙
土の塔の墓守さんがどう見ても砂の魔術師に骨抜きにされて良いように利用されてるようにしか見えない
本来の持ち場も忘れるほど魅了されてこき使われてるのに御褒美は与えられず悶々とした男たち
そこにやってくる毒でふらふらの女主人公とかどうなってしまうのかとても心配で夜も眠れない
はぁシース美しい…
鱗ないらしいしすべすべなんだろうな
ペイトとクレイトンのイベントってジェルドラのやつか
初めて見たけど、確かに妄想が捗るな
561 :
名無しさん@ピンキー:2014/05/20(火) 07:19:07.34 ID:IJKYap6q
2で魅力的なキャラはルカティエルと緑衣の巡礼だな
どっちも魅力的で俺の中での2位争いが激しい
1位は勿論愛しいあの子
2ってちょくちょくNPCがプレゼントくれるけど、指輪とか使用済み衣服とか
一体どういう仲なんだよお前ら!といつも思う
露出狂かな?w
不死は全員ドラングレイグに集まるのに敵亡者が男ばっかりなのは女だと
男亡者に集中的に嬲られて早々に消えかけのソウルとかになってしまうからだろうか
>>563 女の子だし汚れたときの替えのお洋服をいくつか持っている可能性が
装備くれるのはさすがに使用済みじゃなくて単なるおそろいだろう
と思ってたけどナヴァーランが装備くれるときに「どこかに血くらいは付いてるかもな」
みたいなこと言うからあっ使用済みなんだ…とビックリした
どうせならその場で脱ぎたてのくれればいいのにと思ったけど
装備くれるの男ばっかなんだよなあ…
ルカティエルさん一式くれるじゃないか
くれた後も服着てるけど
仕方無い、適当にダブってた亡者王国(下級)兵シリーズ装備のロザベナに、
折角手に入れた砂の魔術師の上衣をプレゼントするか
ロザベナもうちょい美人に作って欲しかったな。でも声はすごく可愛いと思う。
カリオン師匠がもっと若ければ師匠とロザベナでなんかネタできたかもしれんが…
というか思い返せばダクソ2のNPCっておっさん&じーさん多いなw
ダクソ1は顔の見えんキャラ多かったから色々想像できたが
ロザベナに装備渡す時のプレイヤーの気持ち=NPCが装備をプレイヤーに渡す時の気持ち
師匠が「器量はいいんだけど、誰だっけあの娘?」とか言ってるから、ゲーム内では美人設定なのかな…
若い?男って誰がいたっけ…
ガラインドークも良いオッサンだし、ヴァンガルは首ないし
だがしかしグレネインは自分がいただいておこう(上級者
ゼニゲバ商人とゼニゲバ聖職者をひっつけるとか。
しかし本当に青年って断言して問題なさそうなのがいねえなぁ。
ラインをヒゲ生えてねえでも少ないというのに。
ナヴァーランではいかんのかい…
表ナヴァーラン「エロくてカワイイ黒魔女装備を流行らせよう」
裏ナヴァーラン「そしてそれを着た女主に侵入して美味しく頂こう」
宮廷魔術師ナヴァーランって語呂が良くて好き
皆様の妄想美味しくいただきました
ペイトクレイトン女主とかナヴァ見たいのぅ・・・
このプリケツは…ベルカの鴉人もとい、オルフェニクス×ソラール!?
ど、どういうことなのだぜ・・・
真ん中でそそりたってるのはソラールさんのソラールさんですか!?
なんですかこれwww
とりあえずゲーム中のモデルはこんなに細かく作られてないから
これ多分わざわざCGモデルとアニメーション最初から作ったんじゃね?w
作った人はよっぽど尻と人外が好きなんだろうなw しかし何故ソラールさんw
これが……人間か……
過去スレに類似した質問があったなら申し訳ないが……
ゴーさんなんで囚われの身になってるんだ?
その気になれば逃げれそうだけど逃げないし(自ら隠居と言っている)
建物の位置や、魔力の満ちた鍵、ウーラシールの白枝を持つ人の飾りをみれば、
どうも、ウーラシール人に閉じ込められてるみたいだし。
深淵堕ちしたアルトリウスを封じ込めるための人柱みたいなもんだったのかな?
何故 エロスレ で聞く?w
ゴーさんがあの場に囚われている理由は
「私?何も面白いことはない」に続く科白をよく考えればなんとなく想像つくと思う
何故 エロスレ で聞く?だと?
ばっきゃろう!ゴーさん×女不死を書いてて詰まったからに決まってんだろ!
いわせんな恥ずかしい!回答ありがとう!
続きの台詞は兎がいなければ猟犬も不要〜だったかな?
それでも、わざわざウーラシールに幽閉される理由がよくわからん。
アルトリウスの見張りというか、友と共に同じ場所で朽ち果てるつもりだったのか?
ゴーの装備の説明には巨人だから蔑まれていたとあるから、
覗き窓潰した兜みたいに、当て付けであの個室に住まわされてたんじゃないかなと想像してる
ゴー×女不死って難易度高そうだな。がんばれよ!
そういえば人面アイテム続投でホッとした。女の子とボイチャできない童貞不死にとっては神アイテムだからな!
カラミット倒せなくてアノールロンドが撤退した後に見張りとかも兼ねて居残り命じられたかなぁ。
鍵?外に出れても落ちる?知らんがな。
DLCで4騎士残り出そうという都合は欲しい回答じゃないだろうし。
ダクソの酸って理想の酸だよなぁ
装備だけ溶かして身体は溶けない
つまり…!
じわじわと窒息死させられるな!
不死だけどね
器用な呪術師ならダガーに酸を纏わせて、ブロック崩しみたいに
ちょっとずつ相手の衣装を剥げそうだな!
クレイトンが女主を襲うならきっとリョナ展開になるんだろうなぁ
じゃあペイトなら無事に解放してくれるのかっていうとそうでもないんだろうね
いや、ペイトこそ最後に口封じすると思う
クレイトンは変態奴隷に仕立てあげるタイプ
あ、奴隷オチか!その手があったな!
ペイトが良い笑顔で徹底的ねっとりと調教。親切だから心折にね。
クレイトンはグリョナ寄りになりそうな調教。斧がきっと悪い
そう考えると女一人旅は恐ろしい世界だな
童貞フェルキンの所に引きこもってるのが一番安全そうな気がする
フェルキンとか女主人公に手握られただけで失神しそうだなww
極めて不器用な恋が始まるかもしれないだろ!w
鐘守の男2人組が獣のように乱暴に女1人を襲ってもぬくもりの火さえあれば長持ち安心
感覚が鈍くなったところを強制回復して一切の逃げ場を封じるぬくもりの火マジぬくもり
ダクソの没ネタに子供版ベアトリスなんてあったのか
うお!なにそれ!何処かに載ってるの?
ジェルドラの例のアレでペイト×女主が書けたので投下
クレイトンルートは…ガチリョナになりそうなので自主規制しました
603 :
ペイト×女主1:2014/06/22(日) 05:00:35.54 ID:WSQswGpJ
輝石街の片隅
住民が異形と化して久しい廃屋に騒音と男の怒号が響き渡る
「い、いきなり切りかかってきて!手を貸してください!」
「こいつ!案外やりやがる!」
女は、眼前で戦闘を繰り広げている二人の男を知っていた
長槍を携えている男はペイト
戦斧で応戦している鉄仮面の男はクレイトン
どちらも絶望と悪意に満ちたこのドラングレイグで出会った者たちだ
長槍の一撃をクレイトンがローリングでかわす
すかさず戦斧で切り上げるが大盾で防がれる
盾を構えながら突き出された槍の切っ先が男の肩を抉った
後ずさった男の衝撃で、廃屋の調度品が倒れ木片の崩れる音がする
「あ、あの」
突然の死闘に直面した女は、この事態に対応する術が見つからず立ち尽くしていた
なぜこの二人が戦っているのか記憶を辿る
確か、クレイトンはペイトに騙されて牢に入れられたと言っていた
必ず見つけ出して殺してやる、と不穏に笑っていたのを思い出した
どちらも手練れの戦士なのだろう、戦況は膠着していた
いや、大盾と長槍のリーチがあるぶんペイトにわずかに分があるようにも見えた
この状況、どちらかに助太刀すべきか
クレイトンの斧が横薙ぎに振られ、ペイトが大盾を保持できず仰け反った
狩猟の森での彼の発言が真実だとすれば、ここはクレイトンに助太刀するのが筋なのだろうか
しかし、クレイトンの粗雑な言動と今までのペイトの態度で考えがゆらぐ
ペイトには今まで、助けられたこともあった
罠や宝に関する助言を貰ったり、白霊として共闘したこともあった
なにより、巨人の森で聞いた「忠告を無視して勝手に罠にかかった戦士」とはクレイトンのことではないのか
しばし逡巡した後、女は触媒を掲げスペルを詠唱した
標的は………
604 :
ペイト×女主2:2014/06/22(日) 05:01:14.77 ID:WSQswGpJ
鋭く練り上げられたソウルが、槍となって鉄仮面を貫く
眼前の仇敵に意識を向けていたクレイトンは、ソウルの槍を避けることができなかった
ミラの騎士団の紋章と堅牢な鎖に覆われた鎧は、斬撃には強いが魔術への抵抗はほとんどない
クレイトンの身体は、薄黒く霧散した
「ありがとうございます」
ペイトは槍を収めながら助力した女に声を掛ける
「何か、ひどい勘違いをされていたのでしょうか…ともかく、何かお礼をしなければ
この先に、私の隠れ処があるんです。私の宝をいくつか置いてあります
お好きなものを持っていってください」
そう言って、ペイトは女に古い鍵を手渡す
「あ、いえ、そんな…お礼なんて。あなたには何度も助けられたので…」
差し出された鍵を固辞しようと女は後ずさるが、ペイトは女の片手を包み鍵を握らせた
「フフフ……遠慮しないでください。これは私の気持ちですから…」
黒衣のフードを覗き込み笑いかける
その言葉遣いは丁寧なのにもかかわらず、女は寒気を感じた
「わ、わかりました。受け取ります。ありがとうございます」
瞳を伏せ返礼する。フードに取り付けられた仮面と身長差のため
顔を僅かに伏せるだけで女の表情は読み取れなくなった
それでは、女は輝石街の奥へと進んでいった
「道中お気をつけて…」
立ち去る女に男が告げる
女は振り向かなかったため、男のその薄気味悪い笑顔に気づくことはなかった
ジェルドラ公の館の手前
這う蟲を斬り伏せて進んだ場所
ペイトが言っていた隠れ処とは恐らくここだろう、と女は廃屋を見上げる
扉を調べるが、鍵穴はない。開かないのは何か重いものが邪魔しているせいだろうか
扉の木材は腐食が進んでいる。これなら斬ってしまったほうが早いと直剣をふりおろす…
「……っきゃああ!……っぷはぁ、けほっ、う、ごほっ」
扉が開かなかったのは大量の砂が室内に流れ込んでいたせいであった
無理に扉を破壊した結果、堰を切ったように砂が襲い掛かってきた
口に入った砂を吐き出し、服を払うころには室内に入れるようになっていた
奥に進むと、ペイトから受け取った鍵が差し込める扉があった
先ほどの砂にやられて、いくらか体力を消耗したらしい。扉が重い
小部屋には、確かに宝箱が二つ並んでいた。わずかに血の香りがするのは気のせいだろうか
女は、恐る恐る箱の蓋に手をかける
瞬間
火薬が爆ぜる音、轟音、女の身体が小部屋の壁に打ちつけられる
わき腹は火傷を負い、皮膚が爛れた
壁に強くぶつけたせいか、右足が思うように動かない
激痛で顔を歪める。何が起きたか考える余裕などない
身動きが取れず倒れていると、背後から足音がした
這う蟲のものでも、バジリスクのものでもない。人間に近い足音
蜘蛛に寄生された住人にしては整った、殺気のない足音だった
605 :
ペイト×女主3:2014/06/22(日) 05:01:45.38 ID:WSQswGpJ
かさりと、砂の地面から杖を拾い上げる音がする
暫しの間を置いて、その杖は小部屋の外に放られ、次に足跡の主は女の身体を物色した
白く細い指から澄んだ蒼石の指輪が抜き取られる
ぴくりと、女の指が動いた
一瞬足跡の主の動きが止まり、次に女のフードに手をかけた
「……う…」
フードを脱がされ、女の視界が開ける
か細く呻きながら目を開くと、そこには見知った顔がこちらを見下ろしていた
「………っ!…あなたは……!」
それは先ほど女が手助けした男、ペイトだった
ペイトは、小さくため息をついて無表情に言い放った
「死ねばよかったのに」
戦慄した
いままでの言動からは想像もつかない冷たい声
自分をここへ来るよう仕向けたのは、この罠にかけるためだったのか
そういえば、この男に会った場面では全て何かしらの罠の近くだった気がする
助言をすることはあったが、決して自分では動かない
そうか、これがこの男のやり口なのか
女が理解した瞬間、自分の行動の愚かさを後悔した
本当に殺すべきは、この男だったのでは
「まぁ、もうほとんど死んでいるようなものですがね。フフフ…」
ペイトの笑い声が癪に障る
「ひっ………う、あ……!」
ペイトはコートを脱がそうと、乱暴にベルトに手をかける
火傷を負ったわき腹にベルトが食い込み、女は悲鳴を上げる
魔力を帯びた黒い布が取り払われ、白い肌が露になる
布切れで覆われた双丘が、痛みに捩る女の動作で揺れた
「あ……くうっ」
喘ぐような吐息と、涙に濡れた瞳は、ともすれば褥に咽ぶ娘のようで劣情を誘った
ペイトの掌が乳房を乱暴に掴んだ
媚肉はひしゃげ、火傷を負ったわき腹の皮膚が轢きつった
「ひぐっ…!う、ああああっ!!」
全身を激しい痛みが巡り、女は獣のような声で叫んだ
「痛だっ……う、あああっ!」
「こうすると、痛みますか」
ペイトが身体をまさぐるたび、悲鳴があがる
それは先の喘ぐようなものではなく、激しい痛みに悶える獣のようなものだった
ふと、ペイトは身体をまさぐるのをやめ女の両腕を背後に纏めた
関節が大きく動くと皮膚もよじれる、女の悲鳴は一層大きなものになった
ペイトは女の両腕を縛り上げると、懐から黄金色の小石を取り出した
「私はね、女性をいたぶって興奮するような性癖は持ち合わせていないんですよ」
そう言うと、取り出した小石を握った
わずかな力で小石は崩れ、エストの光に似た暖かい雫がこぼれる
その雫を女の身体に当てると、爛れた皮膚が本来の滑らかなものへと姿を変えた
ペイトの手が、さきほどまで爛れていた場所を撫でる
柔らかな肌は吸い付くような手触りと仄かな暖かさがあった
女が悲鳴を上げることはない、これで耳障りな声で萎えることはなさそうだ
腕は既に縛ってあるので、逃げられる心配もない
606 :
ペイト×女主4:2014/06/22(日) 05:02:18.03 ID:WSQswGpJ
なにより、この女の頼りである魔術の触媒は既に部屋の外だ。抵抗されたとしてもタカが知れている
「い、いや……」
女は、痛みからは解放されたが恐怖から開放されることは無かった
身体を撫で回す男の手が不快だ
胸を覆う布が取り払われ、突起が爪弾かれる
「っ……!」
突然与えられた刺激に吐息が漏れる
ペイトは感触を楽しむようにゆっくりと、掌で肉を揉み指先で突起に刺激を与える
肌が粟立ち、震える
振り払おうと身じろぎするが、両腕が縛られているため適わない
ペイトは胸を揉む手は休めず、女に圧し掛かり耳を舐めた
「ふぁ……ぁ…!」
ざらついた粘膜による刺激に不意を突かれ、甘い声が上がる
「ああ、そうです。私が聞きたかったのはそんな声ですよ」
ペイトが耳元で囁く
耳たぶを甘噛みし、外耳の硬さを味わい耳腔に舌を捩じ込む
舌は首筋を這い、鎖骨を辿る
双丘の間に啄ばむように痕を残すと、舌先は桜色の突起を犯しはじめた
「っ……!んっ、んんっ……!」
女は耐えようと歯を食いしばるが、押し殺す吐息が余計に男を興奮させる
ペイトは両手で無遠慮に胸を揉みしだき、指で、舌先で突起に刺激を与える
無理やり流し込まれる快感により、女の頬は上気し瞳は薄く涙をたたえてきた
ペイトは身体を起こし女の下衣に手をかける
女はびくりとして、足をばたつかせるが踵を掴まれ無理やりに足を持ち上げられ
下着ごと下衣を剥ぎ取られてしまった
抵抗した拍子に下衣のポケットから白い何かが零れ落ちた
カタンと乾いた音を立てて地面に落ちたそれは、かつてペイトから受け取った白いろう石だった
全てが命を奪いに襲い掛かってくるこの世界
そんな世界で彼女がここまで進んで来られたのは、このろう石があったからだ
これまで数多の霊体に助けられ、また自分も霊体として他の世界の主を助けたこともあった
丁寧に使い込まれたそれは、大地に削られ滑らかに磨り減っていた
「おや…これは」
ペイトがそのろう石に気づき、拾い上げる
「まったく、嬉しいですねえ。私が差し上げたこのろう石を、こんなに気に入ってくださるなんて」
ペイトはろう石を傍らに置き、女の足の間に割って入り両膝を抱え込んだ
露になった茂みの下は、先の愛撫でいくらか綻びを見せていた
「や、やめて…!」
女は必死に脚を閉じようとするが、間に入った男の存在により適わない
ペイトの指先が茂みの先の突起に触れると、女が背を仰け反らせた
構わずに、指の腹で軽くすりつぶす。下の秘裂からは蜜が溢れかけている
「ひあっ……あ、やめっ……ん、んふぅっ…あ……!」
指で刺激するたびに、女が跳ねるように鳴く
溢れた蜜をたっぷり塗りつけて人差し指をゆっくりと挿し込む
指は抵抗なく入ったが、からみつく膣壁が締め付けの良さを暗示していた
浅い所で抜き差しを繰り返し、空いた親指で突起を刺激する
弱い場所を2箇所同時に攻められ、蜜は絶え間なく流れているが、女の欲しい所までは届かない
女は不本意ながら、もどかしさを感じていた
嫌だ、でも嫌だ、こんな男相手に求めたくない、でも……
無理やり流し込まれる快楽のせいで、思考に朧がかかる
「もっと良いものをあげましょうか」
そんな女の思考を読み取ったのか、ペイトはおもむろに攻める手を止めると、白いろう石を拾い上げた
無機物の冷たい感触に、女は身震いする
使い込まれて丸みを帯びた先端は、わずかな抵抗とともに秘裂に飲み込まれた
人の指よりふた廻りほど太く、長いそれは女のもどかしさをいくらか和らげることは出来た
なんども緩急をつけてろう石を挿入される。甘い痺れが背筋を伝う
呼吸は荒く、時折秘裂がひくりと収縮する、限界が近いと女は理解する
しかし期待していた絶頂は与えられることなく、快楽をもたらしていたろう石はうち捨てられてしまった
代わりに眼前の男が滾る自身を露出させ、秘裂に宛がっている
607 :
ペイト×女主5:2014/06/22(日) 05:03:15.26 ID:WSQswGpJ
「あ……、いや…」
消え入るような声で女が拒絶する
「あなたが一言、欲しいと言えば入れてあげますよ」
甘言に心がゆらぐ。それでも女はかぶりを振って答えた
男は薄笑いを浮かべながら、わずかに亀頭部分だけを押し込んだ
それだけで女の身体は熱さに歓喜し、男根を離すまいと壁を締め付けた
焦らすように、先端だけの出し入れを繰り返される
欲しい、もっと奥まで欲しい。熱い楔で抉ってこの火照りを開放して欲しい
「……しぃ…」
欲望に負けて心が折れた
「ほ、欲しい…ッ、あ、ひぅっ…くだ、さ…あ、ああああああああ!!!」
言い終わるのを待たずに、男は女の最奥まで自身を打ち込んだ
待ちわびた快楽に、女は背筋を反らせ、それだけで絶頂に達した
びくびくと腰を痙攣させるたびに、ぬかるんだ膣壁が強く収縮する
男は目眩を覚えるほどの快楽に耐え、男根全体で女を貪る
一瞬にも永遠にも思えるほどの絶頂を迎え、女の目は虚ろに潤み、半開きの口からは涎が滴った
「あ、はぁ……はぁ…はっ…ん…んうっ…んちゅ…」
男は繋がったまま、女の頬を伝う涎を舐め取ると、そのまま唇を犯した
薄紅の口唇を啄ばみ、舌先を絡め歯裂をなぞった後、舌を激しく吸い上げながら腰を動かした
絶頂の後の敏感な状態でさらに犯されるが、悲鳴はくぐもった声にしかならない
身体ばかりがびくびくと跳ねる。髪は額にはりつき、目尻は涙で濡れていた
やっと唇が開放されても、攻めは終わることは無かった
「あっ、ひゃ、…んっ、あ、や、やめっ…そ、そんあしたら、またぁっ…」
折れた心に矜持などはなく、途切れ途切れに雌の泣き声が聞こえる
腰を振る度に水音と女の短い嬌声が混ざり合う
奥を突く度に子宮口がコリコリと擦れる
女の声が意味を成さない喘ぎとなり、二度目の絶頂が近いことを知らせる
男は女の腰を抱え、無遠慮に犯す速度を速める
女の高い声と同時に、ふたたび膣壁が強く収縮したので、男は最奥に熱を放った
根元から、貪欲に精を求めようと圧搾される感覚。限界まで腰を打ち込み子宮に直接精を流し込んだ
輝石街の片隅、廃屋の奥
男は身支度を整えると、気を失って寝息を立てている女に再び雫石を与えた
不死は体力を削りすぎると亡者となる。長く楽しむために必要な事だった
「フフフ……」
男は低く笑うと、廃屋の鍵をかけて去っていった
以上です
ダウンロードコンテンツには新たなエロ要素があればいいなあ
>>608 乙!ペイトのねちっこさがいいな
でもDLCにエロは期待できないだろww
>>608 白くべたつく乙
素晴らしい、クレイトンルートも是非是非
DLCはそこに亡者がいればもうエロ要素と解釈して良いんじゃないだろうか
理性を失っているかつては人間であった敵とか十分エロモンスターだ
>>608 これを待ってた!
こんな出来のいいの読まされたらリョナルートも待機するしかないじゃないか…
DLC追加の新防具とかで放浪騎士と魔女の旅の顛末を語って欲しいわ
なんかダクソ2は妄想が捗らないんだよなぁ…。なんでだろう。
名前のみをカウントしてもNPCの女子率が低いのか?っていうか、もしかしてキャラ少ないのか?
もうこうなったらシャラゴアちゃんで妄想を膨らませるしか…。
クロアーナさんにタダじゃないことしてもらおう。ただしその場だと、お父さんが見てます
>>612 ・ロザベナにお礼をシてもらう
・リーシュにお仕置きする
・ミルファニトと無知ックス
ぱっと思い付くだけでこんだけある
お前の妄想力が足りんだけだ出直してこい
614が妄想力を披露してくれると聞いて
早くしてくれ、雨で寒いんだ
>>615 仕方ねぇな質に文句言うなよ
今から投稿します
希望なんて欠片も無かった。
不死の呪いを解くためにこの地を訪れたが、迫り来る幾つもの試練の前に俺は挫折した。
俺はもう、あと一回死ねば亡者になり果てるだろう。
毎日必死にソウルを集めているのだが、自分の亡者化を食い止める為にその殆どを費やしている。
毎日がその繰り返しなのだ。
ひょっとすると、俺が気付いていないだけでもう俺は亡者になっているのかもしれない。時々そんな恐ろしい錯覚に襲われる。
それも、その感覚は日を増すごとに現実味を帯びてきているのだ。
だが、数日に一度だけ強烈な生を感じることができる。
毎日少しずつ貯めたなけなしソウルを持ってメレンティラの所へ行く。
喉が潰れてもう声は出なくなっていたが、メレンティラはいつものように俺の姿を見るや否や火炎壺を俺に1つ差し出し、俺はソウルを提供した。
住処に戻ってその火炎壺のフタを開け、自身のモノを突っ込む。
内部は油のヌルヌルと絶妙な突起で俺の衰えたモノにも緩すぎずキツすぎず、その快感はまさに無類であった。
快感に溺れている間だけ、自分の呪われた運命を忘れる事ができた。
どれほどの月日がたっただろうか。
いつものようにメレンティラの所へ行く途中、俺は一人の冒険者に切りつけられた。
止めてくれ、俺は亡者じゃない。必死にひねり出したその叫びは自分でも驚くほどの、おどろおどろしいうめき声だった。
頼む、気づいてくれ。近付かないでくれ。
俺は武器を振って退けようとした。
焦って武器を振ったせいか、筋肉が音を立てて断裂した。
それでも武器を振った。それ以外にもう考えることができなくなっていた。
衝撃があった。
視界が歪む。
耳に粘土を詰め込まれたように音が鈍い。
どうなったのか分からない。
あたりが徐々に暗くなる。
なにも見えない。
真っ暗だ。
もう、真っ暗なんだ。
終わりです
>>615 待たせてすまんな。思う存分暖まってくれ
>>615から、わずか3時間で投下だと!?こいつ……できる!
って火炎壺ニーとかソウルレベル高すぎだろwww
いやぁ、GJでした
そしてこのスレにもまだ人がいて安心した
>>620 よくやってくれた
ありがとう…これで…これでなんとか…
…なんとかするよ!
俺もなんか短くても書けたらいいんだけど
623 :
620:2014/07/16(水) 09:42:37.45 ID:Ab19WmoD
>>622 とりあえず思うがままに書いたら意外とそれっぽくなるぜ
俺も本来は読み専だしな
油壷でヌルヌルオイルプレイくらいは考えたことあるけど
火炎壷オナホとかレベル高すぎる
火炎壺w