628 :
接吻3:2012/10/12(金) 02:49:36.68 ID:W28vb6G7
さっとお店の人に声をかけてテキパキと注文する。飲み屋にいるときの信郎はやたら男らしく、梅子は思わず見とれてしまった。
そうかと思えば、幸吉の面影が脳裏を過ぎり、ハッとなる。
「なに百面相やってんだよ」
気がつくと、やってきたビールを信郎が梅子のコップへつごうとしているところだった。
「あ、ありがと」
先についでもらった梅子が信郎のコップへビールをつぎ返すと、信郎は一気にそれを飲んでしまい大きな息をついた。
「映画の内容、憶えてるか?」
「あ…。あんまり憶えてない……」
「俺もだ」
信郎は空いたコップにビールをつぎ、大きく一口煽って、コップを少々乱暴にテーブルへ置いた。
「家を出る時にオヤジが変な事言うから、調子がおかしくなっちまった」
そうして信郎はコップに残ったビールをチビリチビリと飲みながら、幸吉との会話を梅子に話す。
「私もよ。母が、期待してるわって顔で見送るから、何だか意識しちゃって……」
お互い同じような目に遭っていた事が分かり、何だ、と言って笑いあう。
だんだんと饒舌になってきた信郎が、テーブルにやってきた目刺をかじると、目を瞑って得々と話し出した。
「俺も梅子も、もてないモン同士。いい年して、お互い今まででつきあった相手の数が一人ずつだろ。
他に惚れた相手がいた例しもねぇし、この機会を逃すと後がねぇって親が思うのも無理はねぇな」
好きな人くらいいたわよと梅子がムッとして言うと、じゃあ誰だよ、と信郎がバカにしたような顔で聞き返す。
「さ……智司さん…」
「サトシさん……?」
梅子の口から突然発せられた聞き覚えの無い男の名に、信郎は腕を組み、眉をギュッと寄せて考え込んだ。
「あのっ……、松子姉さんの…婚約者の……」
「ああー、松子さんの。居たなぁ。で、それが……?」
信郎が今度はニヤニヤして問い詰めだし、耳まで赤くした梅子が少しうつむいて答える。
「すっ……、好きだったの…」
「好きだったって、松子さんの婚約者だろ?だいたい、梅子そん時いくつだよ?」
「……15くらいだったかな……」
蚊の鳴くような声で梅子が言った答えを聞いて、信郎はおかしそうに声を上げて笑う。
「もう、バカッ。じゃあ、ノブはどうなのよ?」
「おお、俺かー?」
真っ赤になってふくれ面の梅子が信郎に聞くと、信郎はコップに入ったビールへ視線を向けて答えた。
「別にいねぇよ。まぁ、……隣の家にいた一番下の子は、かわいいなと思ったりしたけどよ」
「もぉ。何よ、それ」
本気とも冗談ともつかない信郎の答えに梅子が文句を言いながら、二人の会話は徐々に昔話へと脱線していった。
629 :
接吻4:2012/10/12(金) 02:50:37.62 ID:W28vb6G7
店を出た後、酔いを醒ましながら少しぶらつかないかと信郎が言い、遠回りをしていた二人は神社の前までやってきた。
「子供の頃、よくここで遊んだわね。懐かしいな」
梅子が呟くと、少し寄っていくか、と信郎が言った。
二人は神社への階段を上がり、街灯の明かりが届かなくなるくらいの中腹で腰を下ろす。
あの木に登って梅子が下りられなくなったとか、死んだスズメの雛を信郎が埋めたのはあの辺りだとか言って、二人はひとしきり話した。
「町の明かり、ずいぶん増えたわね」
まぶしそうに夜景を見ていた梅子は、自分の横顔を見つめる信郎の視線に気づき、信郎の方へ顔を向ける。
「よ…、夜になるとけっこう冷えるな」
照れ臭そうに視線を外した信郎が、もっと近くに座れよと言うので、梅子は体の側面がくっつくくらいの位置に座りなおした。
すると再び重苦しい雰囲気が襲ってきたので、それを打ち消すように突然梅子が口を開く。
「あのっ…。咲江さんとも、ここに来た事あるの……?」
「おお……。あんまり盛り上がんなかったけどな…」
ボーっと遠くを見つめながら答える信郎の顔を、梅子はジッと見ていた。
信郎の中には咲江に対する未練のような物は感じないが、その視線の先には何が見えているのか、
知りたい気持ちと不安な気持ちがごちゃ混ぜになり、梅子の心をかき乱した。
自分の知らない信郎の記憶が、ポッカリと開いた穴のような気がして、無性に寂しい。
梅子は信郎の腕に頭をコツンとぶつけ、モヤモヤする気持ちをそっと吐き出した。
「……キスとかも、したの?」
まぁなと答えた信郎の声に、そうよねと言う言葉が出ず、胃の辺りでクルクルと回っているようだった。
「そりゃ、あの時はちゃんと付き合ってたんだからよ。そっちだって、そうだろ?」
「私……」
そう言われて、頭の中に松岡の姿が現れた。ほんの3ヶ月前までは、自分の未来にいると思っていた人。
そう。私もノブも、その時はちゃんと相手が好きだったのだ。
松岡がいて今の自分があるように、ノブにもきっと、ノブの相手や時間があったのだろう。
「お互い大人なんだから、色々あって当然だ」
「うん……」
急に大人らしい事を言う信郎の顔を見上げると、信郎は肘をついて手にあごを乗せ、梅子の様子を窺うようにキョロリと覗き込んできた。
「梅子だって、松岡さんとキスくらいはしたんだろ?」
どうだったかしら。梅子は記憶の糸をたどり、帝都大時代の思い出を手繰り寄せた。
あれは、松岡と二人で宿直をしていた時、前日見に行った映画の話をしていたんだっけ。
『口と口をつき合わせる行為に、いったい何の意味があるのでしょうか。第一、口腔には沢山の微生物や細菌がいる。
……解せないな』
『したくないんですか?キス』
その後何秒間か見詰め合っていたら、急患がやってきて、けっきょくそれきり。
630 :
接吻5:2012/10/12(金) 02:51:36.32 ID:W28vb6G7
「……ないわ」
梅子がポツリと言うと、えぇっ、と信郎が素っ頓狂な声を上げた。
真面目な話をしていたのに急に変な声を出したので、梅子は思わず噴出してしまった。
「それで?ノブはどうなのよ」
「おっ……俺は、一度…だけ」
梅子がわざとジトッとした視線で聞いてみると、焦って目を見開いた信郎が正直に申告した。
ずっと近くで見てきたつもりでも案外知らないものだと、梅子は不思議に思った。
けれど、幼馴染とは言え今まで別々の道を歩いてきたのだから、当たり前と言えば当たり前の事なのだろう。
梅子がそんな事をボンヤリ考えていたら、隣の信郎がモジモジと動き始めた。
「もうやっちまった事はどうにもならねぇけど、これからの俺は全部梅子にくれてやる。約束する。
な…なんなら、この神社に誓ってもいい」
一人で勝手に狼狽している信郎を見て、梅子はクスリと笑う。
「じゃあ、……キスして。誓いのキス」
そう悪戯っぽく言うと、信郎は緊張した面持ちになって固まった。
「もう、酔ってねぇぞ」
「うん。私も」
信郎が急に真剣な顔をしたので、梅子の心臓が一瞬ビクッと跳ねたが、すぐに信郎の大きな体にすっぽりと包まれる。
自然と目を閉じて顔を上げると、少し冷たくなった信郎の唇が自分の唇に触れた。
ジッとして、口と口を合わせるだけの、初めてのキス。
たったそれだけの事なのに、梅子は頭の芯がジンと溶けてしまうような気持ちになった。
信郎の舌先がチョコンと触れ、二人の唇がスッと離れると、信郎にいっそう強く抱きしめられる。
「俺たち、幸せになろうな」
「うん」
しばらく抱き合ってから、二人は手を繋いで階段を下り、そのまま家の方向へ歩きだした。
「何だ。嫁入り前の娘が赤ら顔で帰ってくるとは」
家に帰るなり、茶の間に居た建造が、頬を赤く染めた梅子の顔を見て不愉快そうに言った。
「……すみません」
梅子がしょんぼりして言うと、建造の目を盗んだ正枝がニヤリと笑いかけてくる。
「ちょっと飲みすぎちゃって……」
梅子はお酒のせいにすると、せかしてくれている芳子に従って立ち上がり、頬を押さえながら風呂場へと向かっていった。
――終――
gj!ヤバい凄く良い!萌えました!
自分は恋心自覚から両想いになるまでの感じがツボなんでかなりこういうじれったい感じ好きw
実は、自分もかなりネタ被った作品を書き終わりそうなんだが、どうしようか迷ってる…他にいくつか作品が投下されたら大丈夫かな?
>>625 GJ
結婚前のデートとか最高萌えツボ
蒲田という土地に馴染みがあるから、余計風景浮かぶ
あの神社かこの神社か妄想がとまらねぇええ
>>630 お…ねがい‥
早く…ちょうだ…いw
しまった‥
631だったorz
うわ〜脳内再生でニヤニヤしてしまうわ。ノブ梅和むわ。
>>631待ってます!
>>625 すごいのきてたー!
自分も意識し始めてからプロポーズまでの
二人がすごく好きだったので
こういうシーンが見たかったー
ありがとー!
>>631 楽しみにしてます!
631です。
皆様の言葉に甘えて、投下させて頂こうと思います。
結婚前のノブ梅、初めてのキス。
お付き合い下さい。
「あら、梅ちゃんお出掛けかい?」
医院の休診日、芳子から買い物を頼まれた梅子は、製作所の玄関先で和子にそう声を掛けられた。
「ちょっと夕飯の買い物に」
姑になるとは言っても、和子にとっても梅子は幼い頃から知っている娘のような存在で、これまで通りの関係が続いていた。
「そうかい、じゃあ、荷物持ちが必要だろうね」
「え、いえそんな…」
梅子が断りを入れる前に、和子は奥に引っ込んでしまう。
「ほら、荷物持ちにでも何でも好きに使っておくれ」
少しして、和子は訳の分からないような表情をした信郎を引っ張ってきてしまったのだ。
「そんな悪いですから…」
恐縮している梅子と、微笑みを通り越してにやついている自分の母親を交互に見て、信郎は深い溜め息を吐いた。
「荷物持ちだろ、さっさと行くぞ梅子」
「え、でも…」
「良いから、行くぞ」
そう言ってさっさと玄関を出てしまう信郎に戸惑いながらも、和子に頭を軽く下げて、梅子は信郎の後を追った。
「大丈夫?疲れてるんじゃない?」
急の仕事が入り、安岡製作所がここ数日ほぼ夜通しで作業していたことは梅子も知っていた。
最後に会ったのもその数日前。
「今朝納品も済んだし大丈夫だろ」
微妙にずれた答えに、梅子は信郎の顔を見上げた。
少し眠そうな目をしてはいたが、体調自体に問題は無さそうだ。
「お疲れ様」
「おう」
随分と大人びたように見える横顔は、笑うと急に子供の頃の面影が顔を覗かせる。
その度に、梅子は自分たちの幼い頃から一緒に過ごした日々を想う。
(色々と有ったわね…)
世の中も、自分たちも。
それでも、彼が隣にいることはずっと変わらない。
今までも、きっとこれからも…ー
「何笑ってんだよ?」
「ん〜…一緒に居れて嬉しいなぁって」
素直に口にすると、信郎の気配が少し離れた気がして、梅子は後ろへ振り返った。
「ノブ?」
立ち止まって俯き気味の信郎に近づき、顔を覗き込む。いつの間にか開いてしまった身長差は、こういう時に便利だ。
「ちょっと、顔赤いわよ。もしかして熱じゃ…」
信郎へと伸ばしかけた手を逆に掴まれて、梅子は引っ張られるように信郎の後を着いていった。
「え、ノブ?」
無言で足早に歩く信郎は、梅子が呼ぶ声にも反応しない。
いつもとは違う信郎の態度に、梅子は訳も分からず手を引かれるしか無かった。
639 :
↑続き:2012/10/12(金) 16:36:16.67 ID:y6KM9fXP
少しして人気の無い細い路地に入ると、信郎は漸く足を止めた。
「ノブ…?」
振り返った信郎との距離が、一気に近付いて。
「…っ」
その瞬間は、何をされたのか分からなかった。
唇に暖かいものが触れて、信郎の顔が今までにない位近い。
(キス…した?)
そう理解するのに、数秒掛かった。
「ノブ…い、今の…」
「何だよ」
「な、何って…だって、」
「他の奴等がしてること俺たちもして何が悪い」
照れ隠しなのか開き直ったのか平然とした顔でそう答えた信郎は、梅子に背を向けた。
その背中を見つめていた梅子の表情に、徐々に笑みが広がる。
「ノブ」
梅子の声に振り返った信郎に勢い良く抱き付くと、細身なように見えて鍛えた身体は危なげなく梅子を受け止めて。
その後、慌てたように視線を周囲に走らせた。
「お、おい梅子っ」
人気がないとはいえ、何処で見られていてもおかしくはない場所ではあるのだということを、信郎は今になって思い出した。
「さっきの方が見られてたら困ると思うんだけど?」
上目遣いで見上げると、信郎は言葉を詰まらせる。
「…悪かったな」
「全然」
まだ離れたくなくて、梅子が背中に回した指で信郎のシャツを掴むと、信郎も諦めたように梅子の背中に腕を回して抱き締めた。
「ずっと…側に居て」
あの雨の中での抱擁と同じ言葉。
あの時よりも、更に信郎を愛しく感じる。
640 :
↑続き:2012/10/12(金) 16:38:09.85 ID:y6KM9fXP
そっと目を閉じると、また信郎が近付いてくる気配がして。
唇が重なると、心臓の鼓動はどんどん高まるのに、不思議と心地好い安堵感に包まれる。
(気持ちいい…)
信郎の口付けを受けながら、梅子はその心地好さに酔いしれた。
時間が過ぎるのも忘れる程夢中でキスをして、漸く唇が離れて。
至近距離で視線が合うと、堪えきれずに笑い合う。
「何よ」
「何だよ」
くすくすと笑いながら、信郎が手を差し出してきて。
「ほら、行くぞ」
「うん」
梅子は、照れ笑いを浮かべながら、その大きな手を握り歩き始めた。
ー終わりー
以上です、思いっきりネタ被りしてますが、お付き合い頂きありがとうございました。
>>625 GJー!!
しばらくROMるとか遠慮無用だからどんどん思いついたらヨロ
待ってるZ
初々しいデート読んだら浮かんだので書いてみた
>>631 支援の為に1つ投下するけど練りが足りないからエロはないw
おっと…自分が書いてる間に投下してくれてたんだ。
リロってなくてすまん
と、連投になるけど、SP前夜祭ってことで投下すると書いたから落としておきます
落としたら読ませていただきます
>>641 感想は後ほど
644 :
ノブ的考察:2012/10/12(金) 17:05:08.87 ID:TnqrtVgS
幼馴染みで結婚したことの良さと言えば、昔から家族同然だったからこういうことになるだろうと予測ができるところだ。
特に梅子はすぐに顔に出るからわかりやすい。
でも結婚して初めて知ったこともすごく多い。
・梅子は案外察しが良い。
特に俺が言いにくいようなことを察してズバズバと切り捨てる。
あいつのボケは実は計算なんじゃねぇかと思うことがあるくれぇだ。
・梅子は風呂が短い。
子供たちと入っても自分がカラスの行水だから、さっさと洗ってそそくさ出てくる。
もっと風呂で遊んでやってもいいんじゃねぇかと思うからつい俺は子供たちを引き受けることになる。
・梅子は寝像が悪い。
寝像が悪いと言うより、熟睡しすぎるから箪笥手をあれだけぶつけても起きねぇんだろう。
・梅子は寝つきが良い。
まぁこれは俺にも原因はあるけれど、あいつはとにかく一瞬で寝る。
・梅子は柔らかい。
あいつはの肌は餅みてぇにやらわけぇ。
顎の下の皮をつまんで引っ張ると柔らかいから面白いぐらいに良く伸びる。
触ると気持ち良いし、おもしろいから俺は結構良く梅子の顎で遊んでる。
・梅子はカワイイ。
まぁ、その、なんだ。
夜に関してもあいつは正直で、良けりゃイイと反応するし、物足りなけりゃ違うと要求してくる。
男と女として付き合わなけりゃ梅子のあんな顔は見られなかったんだと思うと、結婚してよかったなぁとつくづく思う訳で…。
おい、俺の息子…反応早すぎ。
それにしても遅くねぇか?梅子…
「ただいまー」
俺は往診帰りの梅子を迎えに、いそいそと階段を降りて行く!
「おかえり。風呂入って温まってこいよ。梅子サン♪」
<おわり>
>>641 GJGJGJGJ!!
リアルにノブ梅あるある
ノブ梅の身長差は非常にオイシイ
こうなると、自分は落とさずに
>>641のをしっかり堪能してもらった方が良かったと反省
ちっと滝打たれてくるわ…
スペシャル前夜祭キターーー
>>644ノブかわいいー!めちゃくちゃGJですよ!梅子は柔らかい…萌えwノブ!幸せ者めw
617の広×梅の作者です。
感想下さった方、ありがとうございます。
萌えを感じて頂けたなら嬉しいです。
昼ドラっていう意見が多くて、ちょっと笑いました。確かにw
もし、続きが書けたらまた投下します。
まだ、わかりませんが…
なんか怒涛にきてるーw
乙です〜
でも時間無くて読めないー苦行かよorz
後でゆっくり堪能します
>>631 きゃーーーっ、甘酸っぱいwwwキュンキュンしたわ!gj
身長差萌えるねぇ。脳内映像化ヨユーでしたw
それにしても、気の利く仲居ばりの気配りができる和子はいい姑だなぁww
個人的に敢闘賞をあげたい。
>>644 寝つきがいい原因が俺www信郎さん、さりげない惚気乙w
物足りなければ違うと要求する梅子が気になるーw
どんな風なのか想像するだけで萌えあがる!gjでした!
広×梅作者さんの次回作も、全力で待機おります!
広×梅、萌えます!
次回作楽しみにしてます!
ノブ梅の初々しい感じが好き
幼馴染なのにドキドキしちゃってる感じが萌える
きゅんとくる
勿論エロノブ梅も好きだけどw
ノブの考察いいねw
梅子の考察も見たいw
他も期待してます
SPで微妙な空気の安岡家を束の間救済計画
エロなし
ほのぼの系ノブ梅です
◆ ◆ ◆
台所では梅子が夕食の後片付けをしている。
居間では信郎がTVを見ている。
仏壇の前には、眠る新と絵本を見ている太郎。
それはいつもの安岡家の風景…
TVから流れてきた曲を聞いた信郎が立ちあがり台所に声をかける。
「梅子終ったか?」
「うん?何?片付いたからそっち行くわ…」
居間に戻ってきた、まだ水気の残る梅子の左手を自らの右手でとり、信郎は梅子の腰をぐいっと引き寄せた。
「ダンスパーティの時、俺たち踊らなかっただろ。」
TVから流れるテネシーワルツの曲に合わせて身体を動かすふたり。
「踊りたかったの?言ってくれたらノブとも踊ったわよ。」
「何言ってんだ。松岡さんとデレッデレな顔して踊ってたくせに」
「ふふふ。ヤキモチ焼いてくれてたの?」
「ヤキモチ?そうだなぁ…梅子の相手をするモノ好きな奴は俺ぐらいだと思ってたから驚いたっていうか…」
「ひどーい」
笑いながら頬を膨らませて見上げる梅子を、信郎は微笑みながら見下ろしていた。
トトトトトトトト
踊る2人に、太郎が駆け寄ってきた。
「太郎も一緒に踊る?」「おう太郎!」
信郎と梅子は同時に手を差し出し、太郎の小さく温かい手を握った。
「新が起きてる時、今度は4人で踊ろうね太郎。」
<おわり>
>>653 乙!ほのぼのノブ梅癒される
エロありも大好物だけどw
今日のSPはノブ梅いちゃいちゃを期待して見たのに
記者が邪魔&うざい&ノブ記者のシーンが多くてイライラした・・・
あと1回で本当に終わっちゃうのに次も喧嘩状態が大半っぽいし残念だなぁ
最後の最後にはいちゃいちゃがあるだろうけどさ
655 :
竹静1:2012/10/14(日) 02:10:35.07 ID:o6AmDV3X
「おはよ、おきた?」
甘い声を聞きながら、俺はうつつの中をまだ漂っている。
朝飯を作る音と匂いが漂ってきて、やっと家に戻ったんだと実感する。
「何時に帰ってきたの?起こしてくれたら良かったのに。」
俺は頭をぼりぼりかきながら、お玉をふりまわす妻をまだぼんやりとした目で眺めていた。
「…1時過ぎ。東京駅を降りてから、1件付き合って別れたんだ。」
親父に似て慇懃な俺の言動は敵をつくりやすい。
でも静子は変わらず俺を受け止めてくれる…
エプロンが似合う…この後ろ姿を見るのは3日ぶりだ。
俺は布団から起き上がると洗面所よりも先に台所に行った。
「もうじき出来上がるから、顔洗ってきてー。」
静子が長い髪を揺らしながらエクボを作って笑顔をみせてくれる。
「今日の味噌汁は何?」
俺は静子を後ろから抱き寄せ、久しぶりに妻の香りを深く吸いこんだ。
「今朝は大根とお揚げ。んっ」
俺はエプロンの下に手を忍ばせ、服の上から彼女の乳房を包んだ。
「朝から何してるの(笑) 顔洗って来て。」
「うーん、嫌だ。」
3日ぶりの静子の香りに俺の下腹は重くなり始めている。
コンロの前で身を固める静子の首筋にキスをしながら、俺はガスを止めた。
「?まだ煮えてないわ。」
静子が驚いて振り返る。
「火がついてたら危ないだろ。ここでするんだから。」
不思議そうな顔をする静子の腰を掴んでこちらに向かせ、俺はロングのスカートの裾を捲った。
656 :
竹静2:2012/10/14(日) 02:12:59.42 ID:o6AmDV3X
「あ、朝だし、台所だし…」
「朝で、台所だから?」
「あ、え、でも…」
止まらない俺の手に戸惑いながらも静子の身体はいつものように反応し高ぶっていくのがわかる。
流し台に寄りかかり、恥ずかしそうに顔をそむける静子が俺を更に興奮させた。
静子の足の間に俺の右足を捻じり込み、右手で柔らかい内股を撫で上げる。
静子は身を捩らせ吐息を吐く。
左手で固く尖った乳首を静子が音を上げるまで摘む。
「あぁん‥」
静子が耐えきれず声を漏らした。
布越しに軽く触れただけでもわかる湿り気。
結婚するとこうして台所で立ったままでもOKになっていく。
その変化が嬉しくて俺は静子を色々な所で抱いてきた。
こんなにこいつの虜になるとは思わなかった。
俺はぽってり厚い唇に舌をからませながら下着の中の茂みを分け花芯を撫でた。
「くっんんっ」
目を閉じて快感に身を捩る静子の前に腰を落とし、俺はゆっくり下着を降ろし、濃い茂みの中にある花芯にもタダイマのキスをした。
…そしてそのままジュルリと吸い上げる。
「くぅ……はぅっ……ん」
可愛い声が降ってくる。
舌を軽く押し当て花芯をくゆらせると、その揺れに合わせ静子の声も揺れる。
固くなっている花芯を舌で舐めまわしながら、俺は秘裂を指で広げた。
溢れ出てくるヌメリを舌に掬い絡め花芯をゾロリと舐めると、ひときわ高い声が降ってきた。
俺はいつものように下から上へ、ペロペロキャンディを舐めるようにゆっくり何度も舐め上げ続ける。
静子はこうされる時が一番早い。
ほら‥もう腰がブルブルと震えだした。
俺は指の先で押し広げ、花芯を曝け出す。
舌先で強く押すと全身をビクリとさせてどれほどの快感なのかを教えてくる。
俺はもっと深い快感に浸してやりたくなるから指で皮を押さえ、核をチュッと吸い上げる。
教えられたように決まったリズムで何度も舐め上げてやる。
「ぁああぁ……っ!」
尻が固く締まり、足は床を強く掴み、両手が俺の動きを止めようとする。
静子が本当にイクのはここから…
俺は速度を上げ、舌先に力を入れて更に舐め上げ続ける。
静子の花芯はどんどん大きさを増し、両脚はガクガクと震えだす。
俺は腰を流しに押さえつけ静子が崩れ落ちないように支えた。
「竹夫さ‥ん」
ようやく俺はくぷっと中指と人差し指を差し入れる。
熱く滾る襞が絡みつくように俺の指を咥えこむ。
静子は花芯だけじゃなく、俺と繋がりながらイキたがる。
だから俺は自分からねだるようになる限界まで入れてやらない。
657 :
竹静3:2012/10/14(日) 02:14:53.62 ID:o6AmDV3X
数日ぶりだからか今日の静子はとても感度が良い。
俺もたっぷり溜めてきた。
手早く下着を脱ぎ捨てると、俺は静子の左足を真横に持ち上げて手で支えた。
静子の腿まで滴らせるほど溢れかえるヌメリに呼びこまれるように、俺は思いきり憤り膨張したソレを一気に深く貫く。
静子の中の形が変わる。
堅く膨張したものは、有無を言わさず静子の中を歪ませる。
「ふぅっ! はっ! ふぁ! ぁぁっ!…むっ!…んっ!っ!」
突き上げ何度も往復する。
一番奥をこじ開けようとするかのように俺は何度も突き上げる。
静子の床についていた足は爪先立ちになっている。
それでも追い詰めたい俺は、両手で静子の尻を抱え流しに浅く腰かけさせた。
ぱんっ!ぱんっ!ぐちゅ!じゅぶ!くぷっ!
時折空気を孕んだ音をさせ、俺たちは繋がったそこから淫靡な音をさせている。
俺は速度を速め腰を激しく上下に振り、集まってくる快感を伝えるためにもう一度静子の花芯を三本の指で撫で上げる。
人差し指と薬指は皮を捲る為、中指は核を擦りあげるため…
「ぁぁぁっもう‥っ‥ぃぁ‥んっっっ」
絶頂を告げる細い泣き声が聞こえ、静子が強張った。
俺はそれを確認し精を胎内に注ぎ込んだ。
…俺たちは繋がったまま、ひたすら喘ぎ冷えた唇同士でキスをした。
<おわり>
以上です
竹夫はねっとり肉感的なセクロスしそうな気がしてますw
それにしても、1週間あの冷え切った茶の間で過ごすのかと思うと鬱‥
ノブ梅!!GJ!
ダンパはほんとノブ可哀想過ぎたので(>_<)
>>654 まったく同感^^;何なのあの記者。
なんか記者に梅子の出番とノブ梅シーン奪われたかんが^^;
嬉しかったのは梅子と弥生のシーンが多かったこと^^;
660 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/15(月) 00:22:06.87 ID:GAJMjNTl
うぶうぶノブ梅キス2作ともかわいい!
竹夫にーさんと静子さんもエロエロでGJ!!!
自分も書けたらいいんだけどなー
SP来週までこのままの雰囲気はモヤモヤしてたまらんので職人さんに仲良しノブ梅をお願いしたいです。。。
661 :
夏の終わり:2012/10/15(月) 02:49:33.85 ID:MttA6Yah
リクエストにお答えして、仲良しノブ梅の短編です。
◆ ◆ ◆
「おーい梅子!まだかー?」
今日は多摩川の花火大会。
まだ小さい新は連れていけないが、俺たちは太郎と梅子と三人で多摩川大橋の見える所まで行くつもりだ。
「はーい!おばあさま、すみませんが新をお願いします。」
「任せて頂戴。太郎、お父さんとお母さんの手を離したらいけませんよ。信郎さん、2人をお願いね。」
「はい。行って参ります!」
太郎は誰に似たのか好奇心旺盛で、どこにでもついて行きたがる。
それじゃってことで、一番近くから花火を見せてやろうと言う話しになった。
「多摩川まで太郎の足だと結構歩くと思うけど大丈夫かしら」
「歩けるよな?太郎?」
「うん、ぼく、おとこだもん」
「フフフフ。そうね、男の子だからがんばって歩いて!」
…結局、打ち上げの音が怖いと太郎は怯え、俺たちは河川敷からどんどん戻ってきている。
おまけに楽しみにしていた肝心の太郎は歩き疲れて俺の背中で眠っている。
「花火の音、まだ聞こえるな…」
「まさか、怖がるとは思わなかったわねぇ。患者さんに花火が見えて音のしない場所を聞いてみるわ。」
「あぁ、頼む。」
「ねぇノブ。今度は上野の動物園に行きましょうよ!あそこなら新も連れていけるわ。」
「そうだな。太郎、本物のキリン見たら喜ぶだろうなぁ。」
幼い頃風呂敷を纏った信郎の背中を追ったように
梅子は今、眠る太郎をおぶった信郎の背中を見ながら家族の待つ家へと歩いている。
色々あった昭和37年の夏が終ろうとしていた。
<おわり>
>>661 GJGJ!!ほのぼの安岡家の日常、和むわ〜。SP後編までの間何とかここの職人さま達のおかげで癒されるよ〜
リクした者ですありがとう!
こんなに早く書いてもらえるなんて思ってなかったw
ニヨニヨ和みました〜
太郎も混じるとさらにかわいい!
ノブ梅はエロもいいけど、こういうなんてことない日常でも萌えるからビックリ。
SP続きも早く見たいけど、ほんとにそれっきりで終わってしまうんだと思うと寂しいなぁ。
竹静もノブ梅もGJ!
竹夫兄さんったらエッチだわw
あの後どうしたのかしらww
駅弁でお風呂直行?
ノブ梅は、職人さんたちが上手くノブを生かした描き方してるから萌えられるのかな…と。
予測、計算、打算を感じない所がノブの良さ。
もはや日常の何気ない風景が全て萌えになるノブ梅なのにSPのノブ梅に萌えないってそれどんな‥
紅白司会が梅中なら、旦那の応援とかあるかもねぇ
竹夫兄さん、朝っぱらから何やってんスかw
台所で着衣プレイとは、マニアックwww
大人のエロ、ご馳走様でした!gj
>>653も
>>661も有難う!!!
ほのぼのノブ梅に癒されながら、後半まで何とか凌ぐわ。
こういう風にイチャついてくれるだけで萌えるんだけど、前半は成分少なめだったね。
何が何でも、後半は萌えてやるんだからw
…ま、まったく!お義父さんが居るのに、なんてこと!
私は、商店街を歩きながらまだドキドキしている。
診療を終えて買い物に行く前、工場のノブに声をかけると、高い確率で「何でもいいから旨いもの」と答える。
今日は「旨いもの」と言いながら手招きするから近づいてみたら真面目な顔して小さな声で「デザートは梅子な♪」ですって!
まったく…
夕飯はレバニラにしようかしら…
はぁ、それじゃバレバレだわねぇ…
おかず、何にしようかしら…
<おわり>
梅子目線の話しが少ないかな?と、書いてみました。
タイトル、前説入れ忘れすみません。
お目汚し、失礼しました。
竹静いいねぇ また濃いのお願いします
いつぞやの広×梅の作者です。
以外に早く続きが書けたので投下します。
話らしい話はなくて、また、しているだけです…。
梅子の自慰、口淫等がありますので、
苦手な方はスルーお願い致します。
こんなの書いておきながら、スペシャルでの安岡家のギクシャクっぷりに
クッション抱えてジタバタ苦悶してました。
人間て勝手だと思います。
多分、本心では信×梅が一番だって思ってるのかな…
皆さんの信×梅を拝読しては、いつも萌えてます。
671 :
続広×梅1:2012/10/16(火) 18:50:41.22 ID:q+ZCycW5
夕方になると、心が乱れる。その理由はわかっていた。
梅子はデスクで書類を書く手を止めて、時計を見た。
もうすぐ、あの人が来る。
*
衝動的に身体を重ねてから、暫く経とうとしていた。
梅子は自分でもその時の事ををどう処していいのか、わからなくなっていた。
それがよぎると、身体の芯から良からぬ熱が湧き出すのを止められず、
夜、眠る信郎と子供達の傍らで何度かひっそりとに自慰に耽った。
(ああ…どうして……こんなに……)
仰向けになって寝間着の上前をめくり上げる。
手を差し入れて肉芽を刺激し、濡れた欲望の入り口を何度も撫で、出入りを繰りかえす。
声を殺して、あの時のあの人の声や、指を思い出しながら。
すると、あっと言う間に"それ"が襲ってくる。
「………あっ……」
半開きの唇からごく小さな声が漏れる。
激しく動悸する胸を左手で押さえながら、梅子は絶頂に身体を何度か震わせた。
自分はもう、おかしくなっている。
わかっているけれども、止める事が出来ない。
672 :
続広×梅2:2012/10/16(火) 18:52:11.78 ID:q+ZCycW5
*
これは仕事だ。
広志は何度も自分にそう言い聞かせながら、蒲田の通りを歩いていた。
一度だけでも、自分は梅子を抱いた。それは神からの褒美だ。
もう、梅子を抱いてはいけない。
向かう道筋に一筋の光もないことは、火を見るより明らかではないか。
非礼を詫びて、いつもの自分に戻るのだ。
安岡製作所の前を通ると、そこには既に明かりが灯っていた。
工員達は帰ったようだが、まだ信郎が一人、真剣な表情で機械に向かっているのが見える。
広い背。日に焼けた肌。筋の浮き出た力強い腕。
そして、何よりも、仕事の成功。
自分にはないものをいくつも持っている。
この人は、毎夜あの人を抱くのだろうか。
それ以上は考えないようにして、広志は重い足を安岡医院に向けた。
引き戸を引くと、奥で一人、梅子がデスクに向かっていた。
「こんばんわ」
「……いらっしゃい、広志くん」
梅子は以前のような笑顔を向けては来ない。
少し眼を伏せ、ゆっくりとこちらへやってくる。
カウンター越しに持ってきた薬を渡し、仕事の話をする。いつもと変わらない応対。
「この書類……ここ、判子が押してないわ」
「あ……そうですね。すいません。今、持ってるから押しますよ」
広志は鞄を開けて判を探す。いつも手間取る事などないのに、なかなかそれは出てこない。
「今度、来た時でもいいのよ」
「そういうわけには」
「大丈夫よ」
広志の手が震える。それを誤摩化すように右手をカウンターに乗せる。
673 :
続広×梅3:2012/10/16(火) 18:52:54.53 ID:q+ZCycW5
「……やっぱり、今度にします」
「ええ」
梅子が微笑んでいる。
広志はその顔を見ると、意を決したように言った。
「……………この間は、申し訳ありませんでした」
「あ………………ううん、いいのよ」
「帰ってから………何て事をしてしまったんだろうって……」
「でも…誘ったのは私だし……」
お互いに、言葉が途切れ途切れで上手く続かない。
広志は、無理に笑顔を作る。
「梅子さんには、信郎さんがいる。素晴らしいご主人じゃないですか。僕なんかに手を出してる場合じゃないですよ」
そう言うと、梅子が急に眉を曇らせた。
「……どうしました?」
「………………………帰ってしまうの?」
「え?」
梅子の人並みはずれて大きな眼が、すがるようにこちらを見ている。
梅子が自分を引き止めようとしている。それは予想していなかったことだった。
カウンターに置きっぱなしになっていた手に、梅子が指を絡め、顔を近づけてくる。
「本当に…………帰ってしまうの?」
「……はい。今日は帰ります」
「それは…出来ないはずだわ。広志くん」
「え」
梅子の肌理の細かい頬は朱に染まり、汚れを知らぬ少女のように可愛い薄桃色の唇が、濡れて光っている。
喉が干上がり、胸が早鐘のように打つ。
駄目だ。
抗えない。
674 :
続広×梅4:2012/10/16(火) 18:54:04.67 ID:q+ZCycW5
梅子は踵を返すと、デスクの方へ向かった。
「ここへ来て……座って」
「…………………………………はい……」
広志が梅子のデスク椅子に座ると、梅子は腰を屈め、唇を重ねて来た。
胸に梅子の諸手が滑ったかと思うと、男にも形だけが残されたそれを撫でられる。
「………う」
接吻から逃れた唇から、くぐもった声が出る。
「ここにはね……男性でも、沢山の神経が集まっているの」
梅子はまるで診察でもしているかのような口調で言うと、
広志のネクタイを緩め、美しい指でシャツの釦を一つ一つはずす。
肌着をめくり上げ、唇を寄せる。
「………え……」
その場所を性的な器官として意識した事などなかった。
今、そこを梅子の可憐な唇と舌に責められている。
しばらく、くすぐったいようなおかしな感覚が続く。
「……あの、梅子さん」
「……何?」
眼を閉じて梅子の舌の感触に背筋を粟立たせる。
聞いてみたい事があった。
「信郎さんにも、こういうことをするの?」
しまった。敬語を使うのを忘れた。
675 :
続広×梅5:2012/10/16(火) 18:55:16.39 ID:q+ZCycW5
*
「………こういうことって?」
「今、僕にしているみたいなこと」
「……しないわ…だって」
梅子はそれだけ言うと、今までより更に丹念にそこを舌で突いた。
すると段々とそこが勃え立ち、広志が身体を強張らせるのがわかった。
続けてやると、遂に小さく、しかしはっきりとその声を上げる。
「……あ……駄目…です…あ……ああ………あぁ…」
それを聞くと、梅子の芯が熱く疼く。
左手でズボンの上から広志の牡を撫で上げ、
右手でまだ唾液の残る胸の突起を弄る。
広志は身体を仰け反らせ、デスクに後頭部を預けた。
「ノブにこんなことしたら……きっと叱られるだけじゃ済まないもの」
捲り上げられたランニングシャツが、すでに汗で湿り気を帯びていた。
その若い男の匂いを嗅ぎながら、梅子は自らの貪婪さを自覚した。
676 :
続広×梅6:2012/10/16(火) 18:56:11.02 ID:q+ZCycW5
*
感じた事のない感覚が広志を苛み、女のような声を上げさせた。
さっきまでの自分の誓いがあっさりと破られ、またこの場所で、今度は自分が梅子に翻弄されている。
胸を弄られ、既に昂まり切ってしまっているそれを撫で回される。
信郎にはこんなことはしないという。何故自分なのか。
しかし、更に明確な形を取り出した快感が、広志の思考を塗り潰していく。
「広志くん……可愛い」
「………やめてください……あっ……ああ……は……」
「もっと、気持ちよくなるのよ」
梅子はそう言うと床に跪き、広志のベルトに手をかける。
抵抗出来るはずもなかった。ズボンを下ろされ、張りつめた物を口に含まれる。
「……う……あ…ああ……」
仰け反って天井を見つめたまま、湿った柔らかいものが、自分自身を愛撫するのをただ感じた。
眼を下方へ向けるのは憚られた。梅子がそんなことをするのを、見たくないような気がした。
しかし、その罪悪感とも背徳感とも言えない複雑な気持ちが、快感を増幅させる事も知っていた。
唇が皮を上下させ、舌が露出した部分を舐め回す。何度も、あの唇が、あの舌が。
と、愛撫が突然止まり、右手をぐいと引かれる。
「私にも触って」
焦ったような声音だった。
逃げる事は許されない。梅子を見なくてはいけない。
広志は身体を起こし梅子の胸元から手を差し入れて荒々しく乳房を揉み、尖りを弾く。
「ああ…気持ちがいい……そのままして……」
梅子が今日はそんなあけすけなことを言うのに驚いていると、手で肉茎をしごかれる。
それは、唇や舌よりもずっと慣れた感覚だ。
「駄目ですよ……それはすぐにいっちゃいます……」
「いってもいいのよ」
「嫌ですよ……だって僕は…」
「………何?」
ああ、そういうことを言いたくない。でも言わなくてはいけない。
それが多分本心だから。
「僕は………梅子さんの中でいきたいんです……」
677 :
続広×梅7:
*
「じゃあ……ここで出来る?」
「はい……してみます」
広志を愛撫しながら極度に興奮していた梅子はすっかり男を受け入れる用意ができていた。
下着を下ろし、デスクに肘をつき、その姿勢を取る。
(こんなこと、ノブの前では、したことない……)
そう思うと梅子の中から更に蜜が溢れ出し、そこをしとどに濡らす。
信雄との行為で、自分で主導権を取ることはほとんどなかった。
妻が自分から求めるなど、はしたないことだと思っていた。
口淫も、求められた時にしかしたことはない。
恥じらいながら受け入れる自分と、その身体を優しく開いて愛する夫。
その関係に満足し、深い快感を得ていた。
どこで、自分は変わってしまったのだろう。
そんなことを思っていると、広志の冷たい手が腰に回る。
「少しだけ……脚を曲げて」
そうだ、身長差が少ないのだ。
背中に夫よりも小さな身体を感じながら、刺し貫かれる。
ゆっくりと広志が動き出した。
「あっ……ああ……ああ……」
潤いに満ちた肉穴は、易々と動きを受け入れ快さを生み出す。
滑るように梅子のそこを出入りする広志の牡は、大きくはないが、硬かった。
「ああ……気持ちいい……いいの…………広志くん……ああ…あああぁ……」
慎みなく口にすると自分の奥がますます締まり、痺れるような快美が襲った。
「梅子さん……それ、もっと言って……」
広志の上ずった声が聞こえ、動きが早まる。
「ああ……っん……………いいわ……気持ちがいいの………して、広志くん。もっとして」