◆ポケモン系のエロパロSSスレです 皆で楽しくマターリ行きましょう◆
※次スレは480KBor950レスオーバを見かけたら、早めに立ててください
【諸注意】
・人×人もしくは人×ポケモン専用スレです
・ポケモン同士及び801は、各専用スレ/他板がありますのでそちらへどうぞ
・題材は基本的に職人さんの自由です(陵辱/強姦/獣姦おk)
・荒らし&アンチへの反応は無用&スルー
・ポケモン板の話題を持ち込まない
・ここの話題を他板に持ち込むことも厳禁
※職人さんへのお願い
・台本形式(フグリ「おはよう」アレッド「よぉ、フグリ」など)は
嫌われるので止めたほうがいいです
・投稿する際には、名前欄に扱うカプ名を記入し、
冒頭にどのようなシチュのエロなのかをお書き下さい
・女体化/スカトロ/特定カップリング等が苦手な住人もいます
SSの特徴を示す言葉を入れ、苦手の人に対してそれらのNG化を促しましょう
※読者さんへのお願い
・SSを読んだ場合、感想を書くと喜ばれるかも
・作品叩きは荒れるので止めましょう
*苦手なカプ&シチュであってもSSに文句を言わず、
名前欄の語句をNGワードに設定してスルーしましょう*
・本人の許可なく投稿SSの続編及び改造は行わないでください
*SSは書いた職人さんの汗の結晶です…大切に扱ってください*
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>>2 を
過去スレ一覧は
>>3 をそれぞれご覧ください
4 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/16(木) 17:08:58.69 ID:cjuVWcsD
>>1 乙
プラチナ時代みたいに小さくなったカトレアお嬢様とBW主人公とかのネタ
が思い浮かんでしまった
5 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/17(金) 00:18:06.87 ID:kK83IntI
6 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:01:32.75 ID:hEV/Khjv
W:シンオウ二人旅 ――217番道路 温泉宿 その後、トバリを経由して北に進路を向ける事数日。昼夜を問わずに車を走らせ続け、蓄積した疲労は二人共ピークに達していた。 そこでダイゴは急遽エイチ湖の近郊にある温泉(兜沼)に車を止めて、体を休ませる事に決めた。ゲームでは雪が絶えない216番道路以北だが、現実ではそんな事は決して無い。寧ろ、夏の暑い時期なので日中の屋外はまるでフライパンの様な有様だった。 未だ明るい裡に温泉宿の部屋を取り、身体を汚す垢を洗い流し、同時に溜まった疲れを温泉に浸かって発散させた。 そんな湯上りホカホカの状態の二人が戻る部屋は同じ。行楽シーズンのピークなのか、部屋は一つしか空いておらず、それは拙かろうとダイゴは他を当たろうとしたが、シロナがそれを止めた。 ……その目に何かを期待している様な妖しい光を見た気がした。 ダイゴはそれに警戒しつつも、結局部屋を取る事にした。自分がしっかりしていれば間違いは起こらない……否、起こさせないと根拠の無い自信に裏打ちされた決断だった。 そうして、数日振りに人間らしい食事を取り、腹を膨らませた二人。ダイゴは日本酒で晩酌をしていて、シロナはそんなダイゴにとある疑問をぶつけてみる。 「ダイゴさんは」 「僕?」 ぐいのみに銚子の酒を注いでいるダイゴ。部屋着であろうジーパンを着て、上に浴衣を羽織っている。下着に浴衣のみのシロナの声に反応すると、彼は顔を向けて来た。 「ダイゴさんは、何れは会社を継ぐんですか?」 「・・・」 大学卒業後の進路。親御さんが大きな会社を経営しているのだ。一人息子であるダイゴはそうなる可能性が高い。それとも、それ以外の生き方を模索しているのだろうか? シロナの質問は只の好奇心だったが、ダイゴの心を揺さ振り、決して触れてはならない何かを呼び覚ますには十分だった。 「っ」 部屋の温度が低下したのがシロナには判った。原因は明らか。目の前の男から放たれている負の波動だった。 「冗談じゃないね」 そうして、口を割ったダイゴの言葉には明確な拒絶とそれ以外の恐ろしいモノが含まれていた。 「あんな魑魅魍魎の世界、金を詰まれても御免さ」 「でも、御曹司ですよね。跡継ぎとかは」 理由は判らないが、ダイゴはデボンと言う会社を嫌っているらしい。今迄顔色を変える所を見た事が無いシロナでも一発で判る憎々しげな顔。まるで呪わしい仇の破滅を願う様な表情はそれだけ恨み辛みが深いと言う事だろう。 止せば良いのにシロナはそのダイゴの触れて欲しくない部分を逆撫でしてしまったらしい。 「俺の知ったこっちゃねえよ」 「!」 それはシロナの知っているダイゴでは無かった。 唯判るのは、ダイゴが尋常で無い憎悪を胸に飼っていると言う事だ。全身に感じる寒気に自分が今、冷や汗でびっしょりな事にシロナは気付いた。 「さっさと潰れちまえば良いんだよ。あんな糞っ垂な会社は……」 吐き出し尽くせぬ胸の澱に苛立った様にダイゴが酒を呷る。しかし、その顔は急に酒が拙くなった様に不機嫌さで一杯だった。 「……御免なさい。興味本位で聞く話じゃなかったですね」 「そうだな」 人間、何が地雷になるか判らない。それを踏んでしまったシロナは早々に謝罪し、場を収めて貰う事にした。そんなダイゴは冷ややかな言葉と視線で彼女を迎え撃った。 『だったら、態々訊くんじゃねえよ、小娘』 ダイゴの顔は確かにそう言っている様にシロナには感じられた。だが、吐いてしまった言葉は飲めないので、シロナはそれに耐え、黙って俯く他無い。ダイゴに対し、僅かの恐怖心を抱いてしまった。 「おい」 そんなシロナの態度に苛立った様にダイゴがシロナを呼んだ。それに顔を上げる。 「一寸付き合えや」 それを見計らってダイゴがシロナに使われていないぐいのみをパスで手渡す。相伴に預かれとのサインだった。
7 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:04:40.60 ID:hEV/Khjv
「あ、お酒……」 「何? 酔い潰れた女に狼藉働く程下種じゃないよ、僕は」 言っている意味は判る。しかし、いきなりそう言われても困る。 シロナは困惑しながらダイゴを見ると、彼はそう言った。……先程の空気は何処に行ったのか、今のダイゴの纏う空気や顔、声色はシロナが知っている普段のダイゴだった。 「それは構いませんけど……お酒は飲んだ事が」 シロナが困っているのはそう言う理由だ。一滴たりとも飲んだ事が無い訳ではない。しかし、好んで酒を嗜む程飲み慣れても居ないし、日本酒の様に度数がある酒は殆ど未知の領域だった。だから、酔ってしまった時の自分に責任を持てない。 別にダイゴに狼藉を働かれてもシロナとしては構わなかった。 「……聞かなかった事にするね」 いや、其処は構えよ。何考えてるんだ、お前。自分を大事にしろ。 ダイゴはそう言って叱り飛ばしたかったが、シロナ相手に大きな効果は見られないだろうから実際に口には出さなかった。 「……ならこれも人生経験だ。それでさっさと潰れて、寝ちまえば良いのさ」 「は、はあ。じゃあ、一寸だけ」 断れるならばそうしたい所だが、ダイゴの機嫌を損ねたと言う引け目があってそれを撥ね退ける事が出来ないシロナは渋々と言った感じにこれを了承。 ダイゴが注ぐ日本酒を抱いた恐怖を忘れる様に一息で呷ると、直ぐにお代わりを要求した。 「……ふう。口当たりが、結構爽やか。もう少し頂けます?」 「ああ。どんどんイってくれよ、シロナ君」 水口の、それでいて淡い甘さと芳醇な米の香りがとても心地良い。その味が気に入ったシロナはダイゴにもっとよこせと空のぐいのみを渡す。 中々酒付き合いが良いお姉ちゃんにすっかり機嫌を戻したダイゴは面白そうに酒を注いでやった。 ――凡そ三十分経過 「んぐっ……っ、ぷはあ」 「し、シロナ君?」 物凄いペースで酒が消費されている。途中から一切言葉を無くし、黙々と酒を呷り続けるシロナの姿に流石のダイゴも不安になってきた。 それ位にして置いた方が…… そんな言葉を掛けて見るも、やはりシロナは止まらなかった。 確かに、万人受けする美味い日本酒ではあるが、飲み慣れない人間が鯨飲すればそれは二日酔いの悲劇を招く。その状態で車に揺られるのはかなりの拷問だろう。しかも明日は船に乗って樺太に渡る予定もある。 これは予定の変更が必要か、とダイゴが考え始めた時、シロナはその動きをピタリと止めて、カクンと顔を下に向けた。 「お、おい? 大丈夫かい?」 「・・・」 「駄目だ、反応が無いや」 その様子が普通じゃないと踏んだダイゴが声を掛け、肩を揺すって見るも、反応が全く返って来ず、シロナは俯き続けるだけだ。 「ダイゴしゃん」 「は?」 さてどうしてくれようと思案していると、突然シロナが口を開く。顔は相変わらず下を向いていてどんな表情かは判らない。 「顔、ゴミ、付いてまふよ……ひっく」 「あ、ああそう。……取れたかな」 そうして、自分の顔に指を指される。俯いた状態でどうやって確認したのか、その秘密を聞き出そうとはダイゴも思わない。 恐らくだが、シロナは嘘を吐いている。又はそれは本当で何かを企んでいる。それに嫌な予感を持ちつつ、ダイゴは浴衣の袖でごしごしと顔を拭うとシロナに尋ねた。 「んー、駄目れふ。こっちに来れ。取ってあげまふ」 「……ええい、侭よ!」 嗚呼、罠の臭いがプンプンする。だが、此処でそれを断っては酔っ払っているシロナが何をやらかすかダイゴは気が気じゃない。 面白半分に勧める冪じゃ無かったと悔やんでももう遅い。ダイゴは腹を括ってシロナに顔を近づけた。 「っ!」 ほら、やっぱり来た! ガシっと両腕で首根っこを掴まれて、離脱が不可能になった。 そうして、顔を上げたシロナ。顔は真っ赤で、その目には獲物を前にして飛び掛ろうとする食肉目の獰猛さを象徴するみたいな鈍い金色の輝きがあった。 その光に目を奪われて動けないで居ると…… ――ちゅう 「!? ……っ! っ……っだあああ! な、何すんだ君は!?」 軽く、触れ合う程度だが確かに唇が重なった。ダイゴは腕の拘束を解いて立ち上がると手の甲で口を拭い、焦った様に叫んだ。この酔っ払い! 通報しますよ!? 「ケラケラケラ! やっらー! きしゅしちゃっらぁ〜っ!」 それをやったシロナは鬼の首を獲った様に喜んでいる。腹を押さえてケラケラ笑い、そしてそのまま後ろにひっくり返った。
8 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:07:00.19 ID:hEV/Khjv
「なっ」 その様子を見てダイゴが絶句。これは大丈夫なのか、と本気で心配を始めた。 「あははははは! あは、はー…………もろきゅう」 「も、もろ?」 そうして、シロナは暫く笑い続けた後、電池が切れた様に一切の言葉を失いピクリとも動かなくなった。 ダイゴは警戒しながらシロナに近付くと、最早脅威は去ったという事を知った。 「くー……くー……んふふふぅ……」 「寝てる」 酒量の限界を大きく逸脱したらしい。シロナは顔をにやけさせながら夢の世界にトリップしていた。 「酒、弱かったんだなあ」 今度から勧める相手には気を遣おう。そう肝に銘じたダイゴはさっさと布団を敷き、酔い潰れたシロナをお姫様抱っこして抱えて、寝床へ導いてやった。 ……その夜。 「――はっ!?」 布団に入って暫くして。ダイゴがうつらうつらし始めた時にそれはやって来た。何者かが布団に侵入し、抱き付いて来ている。 これは物盗りや強盗じゃない。もっと性質の悪い何かだ。そう思い、恐る恐る視線を下へ向けていくと…… 「すー……すう……」 「な、にぃ!?」 ダイゴの顔が驚愕に染まった。いや、決してこの場面を想像しなかった訳じゃあない。ひょっとしたらあるかな位に思い、直ぐに自分で否定した事だ。それが現実に起こっている。 シロナがしっぽりと抱き付いて居た。寝る時は上は裸と決めているダイゴだが、それでも夏の夜にこうも密着されると暑苦しくて堪らなかった。 「・・・」 驚かせるんじゃないよ、全く。ダイゴはシロナの腕を振り解くと、さっきそうした様に姫抱っこでシロナを彼女の布団へ強制送還した。 「恐いなあ、ほんと。何かのホラーショウみたいだよ」 変な所で叩き起こされて、機嫌が悪い筈なのに、何故かそれ以上に自分の貞操が危機に晒されている気がして体を震わせる。 何かそれに伴い尿意を催して来たので、ダイゴは起き上がるとトイレに行って、肝臓で分解した酒を外に放出した。 「だい、丈夫、だな。うん」 そうして、自分の寝床に戻り、闖入者が居ない事を確認して布団を頭迄被り、目を閉じる。今日はもう厄介事は起こらないだろう。そう思ってダイゴは目を閉じた。 「……またかよ、おい」 そうして、日付が変わって少しした後に再び怪異に遭遇する。寝ながらにして、一体どうやって近付き、また布団に潜り込んでいるのかその様を想像して、途中で恐くなった。 これはもう本当に怪談の域。それをやっているシロナはきっと妖怪なのだろう。 「糞が。それならこっちも役得だ!」 だが、その妖怪相手に泣かされっ放しのダイゴさんじゃあない。腕と脚を絡み付かせる妖怪を調伏する様にしっかりと抱き締めてやった。 「ぁん……はぁはあ……ダイゴ、さぁん……」 これには流石のシロナも大誤算。はあはあ悩ましく酒臭い吐息をダイゴの首筋に吹き掛けながら、それでもシロナは眠ったままだ。 「これ、朝が恐いなあ」 即席の抱き枕をゲットしてご満悦の筈が、ダイゴは難しい顔をしていた。 主に、寝て起きた後の言い訳について。それを考えながら、シロナの抱き加減を堪能するダイゴ。女性特有の柔らかさ。鼻腔を擽る甘酸っぱい香り。胸元に押し当てられる乳肉の感触が些か窮屈で、またかなり暑苦しい。 寝苦しさの中、彼是考えている裡にダイゴもまた夢の世界に招待された。
9 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:08:23.79 ID:hEV/Khjv
「……うーん、朝……?」 再び尿意を覚えて目を開ける。窓辺からは光が差していた。時計に目をやると朝の六時過ぎだった。 ……えーと、何か重要な事があった気がするが何だろう。って言うか、何でこんな暑苦しくて、全身が汗でべた付いているんだろう。胸の当たりも重苦しい。 ダイゴは視線を下に下げて全てを思い出した。 「くー……くかー……」 幸せそうな寝顔を晒して眠るお姫様の姿があった。 「はっ? なっ!?」 シロナが自分の胸を枕に寝ている件について。 ……そうだった。昨夜はシロナが酔い潰れて、布団に侵入して来たんだった……! そんな大事な事を何で忘れるのさ僕の馬鹿! ……と、悔やんでばかりも居られない。 ダイゴはシロナを起こさない様に振り解くと、その彼女の姿に一瞬、ドキッとした。 シロナの着ていた浴衣は外れて彼女の布団の脇で皺を作って打ち捨てられていた。 そんなシロナは今、下着……黒い面積の狭いローレグのショーツ以外は全く付けていない。ピンク色の乳首はツンと天井を向いていて、紛う事無きパンイチ状態だった。 「……//////」 そうして、良く見れば自分の胸元にはキスマークと思しき赤い痕が何箇所かあった。 つまり、何か? 粗裸の女を抱いて寝て、更にキスマークを付けられたって事か? ……何時の間にそんな行為が行われたのかダイゴには記憶が無い。考えても全く判らなかった。 「……風呂に入るかな」 取り合えず、放って置こう。自分の責任じゃあ無い。 ダイゴはシロナの浴衣を彼女に上にかけると、更に布団を上から被せた。 そうして、空いたシロナの布団を畳んで部屋の端に寄せると、Tシャツを着て、バスタオルと手拭を持ってトイレ序の朝風呂へと出掛けて行った。 「ダイゴさん」 「何だい?」 旅籠を出て車を北に走らせる。煙草を吸っていたダイゴがシロナの視線に気付いて顔を向けると、シロナは真面目な顔で聞いて来た。 「あたし、昨夜、何かやりました?」 「……覚えていないのかな?」 その顔を見る限り、酒は残っていない様だった。だが、言う冪事は山程あった。ダイゴは顔をヒク付かせながら煙草のフィルターを吸う。すると、シロナは途端に真っ赤に染まった。 「あ、い、いや! その、あの……//////」 「まあ、何も無かったからそれで良いさ」 どうやら、記憶を失っている訳では無いらしい。と言う事はキスの件は覚えているのだろう。その後の事は不明だが。ダイゴとしては、それは無かった事にしたいのか不用意な追求は一切せず、代わりに煙を吐き出した。 「はいぃ……」 それでシロナは叱られている気分にでもなったのだろう。しゅんと項垂れて身を小さくするシロナが何だか普段よりも可愛く見えた。 「しかし、幾らか惜しかったがね」 「! それって……」 そんな気持ちがダイゴにそう言わせたのだろうか。それを聞いたシロナは途端に顔を上げてダイゴに真意を問うた。 「意味は自分で、ね」 「ふ、ふふ……期待、しちゃいますよ?」 だが、やはりダイゴはそれを自分の口で語らない。中々に小賢しいやり方だが、シロナはそれを好意的に解釈する事にした。その証拠に、彼女の瞳の奥には何らかの生臭い情念が確かに宿っていた。 「さて、どうだかねえ」 果たして、これの発言が未来にどう影響するのかはダイゴにだって判らない。しかし、シロナが明確な好意をこちらに向けている事だけは判っている。その瞳が何よりも正確に教えてくれているのだ。 嘘や打算は全く含まれない、濁り、それでいて又、澄んだ女の瞳。 少しだけだが、ダイゴにはそれが嬉しかった。
10 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:09:52.20 ID:hEV/Khjv
――リゾートエリア 別荘 翌日。樺太の南東の端。僻地の極みと言った場所にあるリゾートエリア。誰かにとっては必要な場所らしいが、それにしたって交通の便が悪過ぎる場所だ。 去年と同様に、ダイゴはその場所に来ていた。シロナと共に。 「ほえええぇ……これが件の」 「そ。親父の別荘。完成したから見に行ってくれってね」 案内された別荘地。その一角にある建物の前に連れて来られ、シロナが感嘆の息を呑んだ。建物の規模自体は然程大きくは無い。しかし、敷地は広くてプールだってある。地価の安いだろう樺太だから、金さえ積めばこれ位の別荘を建てるのは朝飯前なのだろう。 「別荘……あたしには遠い世界の事で判りませんが、お金ってある処にはあるんですね」 「あくまで親父の物だ。僕のじゃない。しかし、態々ホウエンから避暑の為に来るには此処は不便だよ」 ホウエン経済界の支配者。デボンの社長が建てた別荘。そりゃあ、金が無いと考える方がおかしい事だ。だが、ダイゴは決してそれを誇らない。自分の功績では無いからと、鼻に付く発言をする事も無かった。 成金には嫌味な人間が多いが、ダイゴはそうではないらしい。シロナはそれだけでもダイゴを評価したかった。大学でそう言った連中を何人か見ていたからだ。 「そうですね。シンオウの人間でもよっぽど用事が無い限り、樺太には渡りませんからね」 「だよね。……君が偶に見に来てくれれば、僕は助かるんだけど」 唯、この別荘にも問題が無い訳ではない。南から北の奥地迄涼む為に態々数日掛けて来る価値があるのかと言う話だ。ダイゴの父が社長である限り、何日も会社を休む事は出来ないだろう。 それでも、この僻地に別荘がある限り、ダイゴはまた父の命で見に来なければいけない。流石のダイゴもそれは遠慮したい所だった。だから、シンオウ在中のシロナにこの別荘の管理を頼みたいダイゴ。 「御免なさい。無理です。無い袖は振れませんので」 「あはははは。はあ。そっか」 だが、シロナは断った。シロナは樺太に来る様な用事は常に抱えないし、未だ出会って十日前後の人間にそんな重たい頼みをされて、それに頷く程シロナは軽率ではない。 彼の言いたい事も判るが、シロナは責任を持てないのでそれを丁重にお断りした。 予想していた答えが帰って来たのでダイゴは乾いた笑いを浮かべてがっくり肩を落とした。 「……何で建てたんだろう」 「……さあ、何ででしょう」 親父の野郎、無駄遣いしやがって。忌々しい建物を睨みながらそんな事を思ってもダイゴは現実には無力だった。呟かれたダイゴの言葉にシロナも首を傾げるしかなかった。金持ちの道楽についてさっぱり理解が行かなかったのだ。
11 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:11:07.41 ID:hEV/Khjv
「さて、じゃあ行こうか」 「え、もうですか」 到着してから一時間と経っていない。敷地周りと何も無い別荘内部を確認した所でダイゴが撤収を宣言する。幾ら何でも早過ぎる。もっとゆっくりしないのかとシロナは言いたいが、ダイゴがその発言を撤回する事は無い。 「確認しに来ただけだから。って言うか、帰る迄、余り時間が無い。さっさと車を返しに行かないとさ」 ダイゴがホウエンに帰る迄、時間が幾分も残されていない。さっさと此処を出なければ船の最終便の時間に間に合わなくなる。端からこの場所で観光を楽しむ気は無いダイゴは一刻も早く樺太から離脱したかったのだ。 「――そうです、ね」 「シロナ君……」 その言葉に別れの匂いを察したシロナが悲しそうに顔を俯かせた。それに対し、ダイゴはどんな言葉を掛けて良いのか判らなかった。 夜。一日でシンオウ〜樺太間の往復と言う強行軍を終えて、二人はキッサキに帰って来た。車に乗り込み、南に進路を取る。 その最中。ぽつりとシロナが零した。 「遠い、ですね」 口元には煙草。真っ暗な窓の外をじっと見詰めていた。ガラスに映ったその表情は暗かった。 「そうだねえ。遠いねえ、樺太は。こっからコトブキ迄は更にだけどさ」 「そうじゃなくて……」 ダイゴにだってその表情の意味は判る。だが、それに敢て気付かない様に見当違いな事を言ってやる。もう遅いだろうが、これ以上余計な情を募らせて別れが辛い物になる事を避けたいダイゴなりの気遣いだった。 しかし、それはあくまでダイゴの勝手であって、シロナにそれが通るかは別の話だ。溜め息混じりに煙を吐くシロナの顔は明らかにがっかりしていた。 「ホウエン?」 「ええ。北と南。……遠いですよ」 別に取り繕う必要は無かったが、シロナの表情を目の当たりにして、どうしてか胸が締め付けられる様だった。だから、ダイゴは正解を言ってやった。 そして、シロナは更に悲しそうな顔をする。うっすらと涙が滲んでいる様なその顔。ダイゴは何かを悩む素振りを見せ、ハンドルから手を放して腕を組む。そうやって少しの間考えた。……考えたが、良い返答は浮かんで来なかった。 「どうにもならんねえ」 「ならない、ですよねえ」 結局、それだけしか言えなかった。堪える様にギュッと目を瞑り、煙草で胸の苦しみを紛らわせるかの様なシロナの姿。 心を揺さ振られるその姿にダイゴは何とか平静な振りを装う。それでも、手を差し伸べたいと言う欲求だけは蓄積されて行く。 『厄介な女に目を付けられた』 そんな事を思ってみるも、胸の高鳴りだけはどうしもようも無かった。
12 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:12:31.86 ID:hEV/Khjv
――コトブキシティ ロータリー前 夕刻。途中で仮眠を挟み、辿り着いたシンオウ最大の都市は、傾いた日差しに晒されて彼方此方に影坊主を伸ばしている。車を返却し、山盛りの荷物を両肩に担いだダイゴは同じく大荷物を抱えるシロナと向き合う。 「明日のこの時間には、未だ空の上かな僕は」 「・・・」 オレンジ色に仄染まる二人の横顔。飛行機の出発時刻は明日の正午過ぎ。凡そ二時間掛けてカントーへ飛び、それから乗換えを行ってホウエンのカナズミ空港へと向かう。 接続便が何時に出るかでそれは変わるだろうが、シロナはそんな事に興味が無い。何とか、再びの別れの瞬間を先延ばしにしたかった。 「さて、僕の十代最後の冒険はこれにて。石はちっとも掘れなかったけど、それでも楽しかったよ。……有難う、シロナ君」 「はい」 終わりを告げる様に図れるダイゴの謝辞。そいつを聞きたくないシロナは耳を塞ぎたい気持ちで一杯だった。そんなどうでも良い言葉を寄越すより、もっと欲しいモノがある。 あの温泉宿での出来事はそれが発露した結果だ。そして、シロナはもう自分自身を抑える事が出来そうに無いし、自重する気も更々無かった。 「で、君はどうする? 僕はもう一泊して明日に備えるけど」 「あたしは」 さて、何と答える冪か。恐らく、この場での受け答え次第で自分の未来が全く変わるであろう事をシロナは予見している。人生の岐路と言う奴だろう。 シロナの腹はとうに決まっている。問題は何処でそれを言うかだが…… 「途中迄なら送ってけるけど? まあ、家の前迄は無理だろうけどもさ」 「・・・」 シロナの家はシンオウ大に程近い場所にあり、バスに乗って十数分と言った場所にある。近いと言えば近いが、ダイゴもバスに乗って迄見送ろうとは思っていない様だ。 此処で要求を捻じ込む冪か。……否、未だだ。未だその時ではない。 「さ、行こうよ。暗くなっちゃうよ?」 出方を伺うシロナ。そして、チャンスが到来。ダイゴが後ろを向いた隙に、シロナはその背後に近寄り、Yシャツの裾をギュッと握った。 「シロナ君」 「ダイゴさん……」 それに気付いたダイゴが振り向いた。 ……もう此処迄来てしまった以上、後戻りは不可能だ。脈打つ心臓が胸を破って飛び出しそうだ。ありったけの勇気を込めて、シロナは頬を桜色に染めつつ、女の魂と心意気をダイゴに叩き付けた。 「奢って、くれませんか?」 「え」 今迄行動していてダイゴは全くこちらに興味を注ぐ素振りを見せなかった。そりゃ、紳士的に振舞われて悪い気は一切しなかったが、それが十日近く続けば拷問に近いもどかしさが募る。 そして、それ以上に女としての自信を無くしてしまいそうでもあった。そちらに気があるのを知っている癖に、知らない素振りをされる。 もうそんなのは嫌だったのだ。 「ホテル、奢ってくれませんか?」 「――」 だから、ストレートに欲望を言葉で伝える。どれだけ想っていても、口に出さなければ相手には伝わらない。別離が避けられないと言うのなら、せめてそれ位は叶えて欲しかった。自分をしっかりと見て欲しかった。 「あたし、このままじゃ……このままじゃ……!」 既成事実と言う名の罠に訴える事。女としては真性に外道な手段。シロナ自身も承知している事だ。しかし、もう彼女には己の体位しかダイゴに対する武器は持っていない。 己の女の肉体を楔として、また鎖としてダイゴを打ち抜き、縛る。 駆け引きと言ってしまえばそれだけの話だが、そんな手に訴える程に、シロナは女としてダイゴに抱き締められたかった。
13 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 01:13:43.16 ID:hEV/Khjv
「――確かに」 「!」 目を閉じて逡巡する事数秒。ダイゴは全てを理解した様に呟くと、また頷いた。その仕草に希望を見た気がするシロナが俯き加減だった顔を上げた。 「確かに、これで終わりにするのはお互いに宜しくない事かもな」 「――っ」 腐れ縁で済ます段階に既に無い事は判り切っていた。 シロナの気持ちについて、ダイゴだって知らなかった訳ではないし、それに蓋を出来る状態では無いと言う事も筒抜けだ。何時からか、女の顔で見て来る様になった彼女を此処迄追い込んだのが自分だと理解している。 それでも知らぬ存ぜぬと通して来たのは、単に余計な事に心を砕き、それにより得られる事象に価値を見出せないからだった。簡単に言えば損得勘定だ。 そして、それ以上にシロナと言う人間を信じられないからこそダイゴは頑なだった。二週間に満たない期間で相手を正しく理解するには無理がある。信じられないから、理解が及ばないから触れるのが怖い。未知の物に人間が抱く根源的な恐怖に似たモノだろう。 だが、それでもダイゴは漢だ。女に其処迄言わせてしまった以上、これを断り、恥を掻かせてしまっては漢が廃る。もう肉体言語に訴えるしかないとダイゴは悟ったのだ。 「それじゃ、君の気持ちについては最後迄責任を持とう。だから、その道楽に付き合う」 顔色を変えず、冷静な振りをしつつ、そんな事をほざく。内心、ダイゴの心は困惑で一杯だった。これ程の短期間で何故こんなに懐かれたのか、首を傾げる。 だが、その目を見る限り、金目当てだとか陥れようとか、何らかの悪意は見られない。そうやって幾度も裏切りを経験している故にダイゴは他人決して心を晒さない。それが付け入る隙になるからだ、 だが、シロナは違う。純粋に抱いて欲しいと、懇願する女の瞳だった。 それに危険が無いと踏んだからこその決断。些かチキンだが、ダイゴ本人としてはその辺りは切実だった。 「道楽じゃあ、無いですよ」 「っ」 そんなダイゴの苦悩を知らないシロナは何だか嘗められた気がして、ダイゴの胸に倒れ込み、そこにすっぽりと収まった。 好き好んでやっているのは事実だが、女の一大決心を道楽などと言う戯言で済ませて欲しくなかった。だから、シロナは潤む瞳に恋心を乗せて、ダイゴのそれを射抜いた。 「女の生き様です」 「それは失礼を」 覚悟を見せ付ける様に輝く金の瞳。確かに、茶化して良い場面ではない。心が決まっているなら、こちらもそれに対する誠意を見せなければ嘘になってしまう。 ダイゴは自分も腹を据えた事を示す様に銀の瞳をシロナに向ける。彼女は嬉しそうに微笑み、体を密着させて来た。
14 :
音ゲーマー :2012/02/17(金) 01:15:03.02 ID:hEV/Khjv
次回、エロパート。今回は早めにセクロスを挟んでます。おまいら覚悟は宜しくて?
埋めネタの余りでGJさせて〜
ダ15を ゲット するなんて さすがだね ボク!
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けっきょく ボクが いちばん つよくて すごいんだよね
After all, I am the strongest and heavy.
カゲ
>>2 けっきょく ボクが いちばん つよくて すごいんだよね
>>24 ウ けっきょく ボクが いちばん つよくて すごいんだよね
プリ
>>6 けっきょく ボクが いちばん つよくて すごいんだよね
ゲン
>>4 けっきょく ボクが いちばん つよくて すごいんだよね
>>467 けっきょく キミが いちばん かわいくて もえるんだよね
\____________________________________/ ○ __ O ´ ` 、 o ´ \ _ ::.∧ ∧ ヾ /::.∧ / 入 ゝ ト.、 ::.::.::.:| ー‐'´ \ |::.ハ ::.::.::.:| / \ l |::.::.| ::.::.:./ ′_,,x≠ \ト、 | } |::.::.| (⌒⌒) 二/ l!〃 N ノノノ二ノ \/ / |//// ///〉ー´ v -─‐ | /`ー 7 / v /,ィ=ミ、 |父x. { / 入 ? / 〃⌒ヾ}} 八爻爻xx ー ' ,. < ーァ ハ [二l二l二l二l ー‐z父爻父人 / ァ /[] ∩ ∩ 八 / / } Yー'′ ハ 〈_ノlo∪ ∪o ー`ー‐く 父爻爻爻X父 ァ |::ゝr 、 、 : : : : : : :.|: : / : : : : : | : : : : ヽ ル::.:| }  ̄ ̄´ 前スレで落とし損ねたシロヒカAA にしても、スレ数400位で次スレってすごいな
そんだけ容量を消費したってことだろうな。 いやいや、音さんを貶すつもりはないよ。寧ろもっとやってくれお願い。
18 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 22:52:24.76 ID:zxvbryps
X:結実 ――トクサネシティ ダイゴ宅 「ちょ、ど、どうなったんすか! 続き! 早く続きをば!」 「落ち着きなよユウキ君。血走ってるよ」 興奮気味にユウキが叫ぶ。良い場面で話がぶった切られた事に鼻息を荒くして、その続きをせがむ。そんなユウキの様子にダイゴは苦笑を禁じ得ない。 「そりゃ、血走りもしますわ! ……しっかし、意外ですね。てっきりダイゴさんがあの手この手で誑し込んだと思ってたのに……」 「どう言う意味さ、それは」 何を考えてる? 若干、顔をヒク付かせたダイゴ。セクシャルな事象に疎かった嘗てのシロナにがっつり調教を施す程、彼だって鬼畜じゃあない。 ……まあ、あくまでその時はの話であって、時を経るに連れてその度合いは増して行くが、それは未だ語るに早い事だった。 「いえ、別に。……そうか。シロナさんの方が先に参っちゃったんですか」 「ああ。未だに判んないんだけどね。惚れるに当たる詳しい理由がさ」 ダイゴにその気は無かった。しかし、結果としてシロナの興味はダイゴに移った。一体何が原因だったのかシロナは杳としてその時の心境を語ろうとしない。男であるダイゴがシロナの女心を解するのは些か無理があった。 「……案外、最初の出会いがあって、ダイゴさんがシロナさんの中で美化されたのでは?」 「それはありそうだけど……体を許すって言うのは突飛過ぎる気がさ」 ユウキが思いを口にする。思い出補正でダイゴの存在が曲解されて、憧れやら逢いたい欲求が恋心と混同された結果ではないのか、と言う事らしい。 一理あるユウキの発言にダイゴは半分だけ同意した。だが、それにしたって自分なんぞに容易く股を開くと言うのは勇者を通り越して愚の骨頂だとダイゴは思っていた。 どう考えてもシロナのそれは自分の安売り以外の何物でも無い愚行だと今ならば断言出来た。しかし、考え様によっては、それはとても失礼な物言いだった。 「初恋って言うのなら、それを引張ってでも成就させたかったんですよ。まあ、それは本人にしか判らない事でしょうが」 「それだけ精神的に苦しかったって事かねえ」 だが、所詮それはダイゴの頭の中での事。その時のシロナの精神状態は判らないが、そうするだけの価値があると踏んだから、彼女はそうしたに決まっている。 抱かれても良いと思った男だからこそ、体を開いた。多分それだけの事だろう。後になっての意味付けは何にもならない事だった。 「で……頂いてしまった訳ですよね、ダイゴさんは」 「ご明察。美味かったよ」 本題は此処からだ。シロナがダイゴを誘い、ダイゴはそれを受けてシロナを喰った。そんな事実が確かに存在するのだ。 「二十歳前のシロナさんを、かあ。……すげえ気になる」 「はは。下卑た話だから詳しくは語らないけどね」 その様子を想像してユウキがぐびっと唾を飲んだ。ユウキとてチェリーでは無いが、あれ程の美貌を誇る女(しかも今より若い)に如何わしい事を施すと言うのはそれだけで下半身が元気になりそうだった。 だが、それをやった益荒男であるダイゴはそれを語りたくないらしい。……確かに、自分の彼女との初合体の場面を嬉々として語る様な奴は余り居ないだろう。 「そんな! 此処迄来て生殺しは酷いですって!」 「そうかい? ん〜、それじゃあ、少しだけね」 此処で話を切られたら行き場の無いリビドーが制御を失う。拝み倒すみたいにユウキはダイゴに話の続きを強請る。 熱意に負けた様にダイゴは頷く。それは話を引張った責任を感じての事だったのかも知れない。 軽々しくオーケーしちゃったけど、ホテルに着く迄はかなり困惑してたよ。 抱く事に不安があった訳じゃない。選択を焦り過ぎたって自責があったのさ。 でも、いざその時になったらそんなモノは吹っ飛んだよ。……何故かって? そりゃあ据え膳喰わぬはって奴だよ。それだけに集中したかったんだなあ。
19 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 22:54:58.85 ID:zxvbryps
――コトブキシティ ビジネスホテル シロナの手を引き、ダイゴは安ホテルのダブルの部屋を手配した。明日の朝、出発の時間が来る迄はこの密室で二人っきり。邪魔は入らないし、やるべき事も決まっている。 「あの」 「・・・」 うら若い男女が個室で二人だけ。セクシャルな流れになるのは或る意味自然の成り行きだ。車の中ではずっとそうだったのに、今迄そうならなかったのが逆におかしい位なのかも知れない。 そして、ダイゴだって今回は逃げるつもりは無い。シロナの挑戦を真っ向から受け止める気だった。心配げに見てくるシロナにダイゴは何も言わなかった。 「しゃ、シャワー浴びて来ますね」 沈黙が痛かったのか、シロナがシャワールームへ行こうとする。事に及ぶ前に身体を綺麗にしたいのだろう。温泉宿からこっち、シャワーを浴びた記憶は二人には無い。相当に汚れてしまっているのは間違い無かった。 「不要」 「きゃっ! ぁんん……ふっ……んっ」 ダイゴがそれを阻止する。腕を引張って引き寄せると、シロナは成す術無くダイゴに捕まり、その唇を奪われた。 先ずはご挨拶の軽めのキス。お互いが喫煙者であるので、その味はほろ苦い。少しだけむずかる素振りを見せたシロナだが、ダイゴが唇を吸うと力が抜けた様に大人しくなった。 「前に言ったろう。汗臭いのは嫌いじゃないって」 「でも、そんなの恥ずかしい……」 抱き締めた時点で判る。煙草臭さに混じり、シロナの汗と体臭が混じった芳醇な匂いが鼻腔を擽る。局部は更に蒸れて豪い具合になっているだろう事は想像に難くない。だが、やはりシロナは女としてそれが恥ずかしいらしかった。 「何故恥ずかしがるね? 寧ろ、君の全部を堪能する義務があるんだけどな、僕には」 「それは……う、ううぅ」 シロナの生の匂いに興味津々な辺り、ダイゴはかなりマニアックだ。シロナとて肌を晒して受け入れる位の覚悟はあったが、まさかそんな事を要求してくるとは思わなかったらしい。 自分の中の恥じらいと格闘している彼女の顔はダイゴにとても可愛らしく見えた。 「観念しなよ。数日風呂に入らない位で人間死にゃあしないさ」 「うぅ〜、わ、判りました。……でも、少し待って下さい」 「うん?」 口元に僅かな笑みを引きつつ、念を押す様に言うとシロナは諦めた。 が、シロナはダイゴの腕の拘束をするりと抜けると、自分の荷物の前に立ち、中身を漁り始めた。何をしたいのか判らなかったダイゴは怪訝な表情をしながらもそれを見守ってやった。 「逃げる訳じゃないです。これが必要だから」 そうして、目当ての物を探し出したシロナの手には黒っぽい何かが握られていた。封が空いていないそれを見るに下着の類だろうか。ダイゴには余り興味が無い。 「良く判らんが……好きにしてくれ」 「ええ」 まあ、本人がそう言っているのだから必要なのだろう。それを止める気は無いのでダイゴはシロナの好きにさせる。すると、シロナは決意に満ちた表情で頷くとダイゴの目の前で服を脱ぎ始めた。
20 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 22:59:24.22 ID:zxvbryps
「「・・・」」 お互いに言葉は無い。ダイゴは感情の無い表情でシロナを見詰め、シロナは全身を赤くして全裸になると、手に持っていたそれを着用し始めた。そして、凡そ一分。 「お待たせ、しました」 「――へえ」 ダイゴの前に立ったシロナの姿に彼は少しだけ表情を柔化させる。馬子にも衣装、と言うのはおかしいが、その姿はかなり扇情的だった。 「随分気合を入れたな。それが君の裃かい?」 「勝負下着、です」 黒いストッキングにガーターベルト。布の面積が殆ど無い黒のブラと以前に見た事のあるローレグのTバック。ちゃんと脱げる様にパンツを最後に履いている辺りは好印象だ。 「ふむ」 「お気に召しませんか?」 何時の間にこんなセクシーランジェリーを揃えていたのか判らないが、そんな物で勝負を挑む辺り、シロナは本気なのだろう。 だが、それを見てダイゴの顔がまた硬いモノに戻った。その心意気は買うが…… 「いや、至極どうでも良い」 「え」 その理由は言葉の通り。興味がそそられない。たったそれだけ。そのダイゴの言葉にシロナの目が点になった。 「高が布切れ数枚でどうにかなるモンじゃないさ。少なくとも僕はね」 「ちょ、一寸待って下さい……自分が馬鹿らしくなって来たんですけど」 勇気ある女性のトライをそんな失礼な言葉で済ませるとはどれだけダイゴの意思は固い……否、枯れているのだろう。一世一代の女の花道を否定された気がしたシロナは涙目だった。 「流石に僕も其処迄は言えないさ。僕も、ガーターベルトはエロくて好きだよ」 「な、なら!」 ダイゴもコキ下ろしてばかりじゃあない。相手の良い部分は褒めるし、フォローも忘れない。交渉事にとってはかなり重要なテクニックだ。 シロナの艶姿。並の男なら蹲って動けなくなる強烈なセクシャリティを発揮するそれにはダイゴだって全くの無反応である筈が無いのだ。実際、かなりエロい。 「しかし! 今、僕は無性に君を裸に引ん剥きたい気分だ! 例えそれが動物的行為と謗られようとも君の一糸纏わぬ姿に魅了されたい! 人間だって動物だ! 美しい女性の裸体に性的興奮を感じて何が悪いっ!!」 だが、ダイゴには確たる欲求が存在し、それに肖る限りはこの程度の色香に惑わされる事は絶対に無い。 どうやら、御曹司の意思の固さは特筆モノである様だ。……そのベクトルは別にして。 「・・・」 一気に捲くし立てられたその言葉。まるで固有結界が発動した様に感じられたシロナはパンツの裾に手を掛けた。 「脱ぎますか? これ」 「いや、結構。効果があると踏んで着ているんだろ? なら、それに肖ってみなよ」 どうも乗り気じゃないダイゴの様子に、いっそ全裸になって、その状態で挑んでやろうかと思ったのだ。 だが、ダイゴはそれを止めた。シロナの頑張りを自分の我侭で無に帰すのは忍びなかったのだ。そして、シロナの腕を取ると再び自分の方に引張った。 「きゃあ!?」 小さな悲鳴と共にまたダイゴの胸の中にすっぽり納まるシロナ。 「あっ――」 その状態でダイゴを見ると、シロナはそれ以外の言葉を忘れてしまった。 「僕に任せてくれる?」 ダイゴは淡く微笑んでいた。そんな顔で言われては誰だってその身の全てを相手に委ねたくなってしまう。勿論、シロナとて例外ではない。 「は、はい……お願い、します//////」 やはり、シロナはそう答える。それが開幕のベルに聞こえたダイゴはそのスレンダーな身体を一瞬だけ強く抱いた。 シロナに勝負を挑まれた!
21 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:02:11.43 ID:zxvbryps
「じゃあ、どうしようかねえ」 十分では無いが時間はある。プレイ内容について熟考するのもこの場合、吝かではない。普段は使わない頭の引き出しを漁り、ダイゴがエロの知識を脳内に巡らせる。 「あの」 そうして、少しの間考えていると、借りて来た猫宜しく大人しかったシロナが恐る恐る呟いた。 「や、優しくお願いしますね……?」 しっかり上目遣いで言ってくるシロナの姿はいじらしく、ダイゴの中のサディスティックな欲求を煽る様だった。 「そんな事は判ってるって。君、初めてだろ?」 「……判りますか?」 だが、その思いは封殺する。その初々しいシロナの様子を見る限り、男慣れしていない事はダイゴにだって判る。そんなお嬢さん相手に身勝手な男の欲望を押し付ける真似はダイゴの男のプライドとエゴが許さない。 「まあね。僕も初めてなんだよね」 「ええ!?」 ダイゴの次の言葉にシロナが吃驚した。そんなまさかダイゴに限ってそんな…… 初めて同士の対決は上手く行く保障が何処にも無い事位シロナだって知っている。道中の始まったばかりだと言うに、シロナの胸は途端に不安に支配された。 「いやいや。童貞って事じゃないよ。初物を相手にするのがって事。慎重にならないといけないだろ?」 「は、はあ、良かった。……経験豊富なんですね、ダイゴさんって」 だが、ダイゴが言いたいのはそうじゃない。何か誤解しているシロナの疑念を晴らす為に説明を付け加えてやった。すると、シロナは自分の勘違いだと判った様で安堵の溜め息を吐く。出来るならシロナは全行程をダイゴにリードされたかったのだ。 「そうでも無いさ。大学入る迄チェリーだった、と言って置くよ」 意外かも知れないがダイゴは性的な事象に於いて、臆病な一面があった。だが、大学に入ると彼はその苦手意識を克服する為に色々と手を尽した。 書物や映像で知識を磨き、それだけでは足らずに風俗をも使って実地に励み腕を上げた。未だに極め尽くさぬ身なれど、ダイゴの女の扱いは二十歳前の小僧にしてはかなりの腕前を誇っていた。 そんなダイゴではあるが、処女喰いは未知の領域。この状況は己の腕が何処まで通用するのかを問われている様であったのだ。 「んっ」 「中々大きいね。肩凝らない?」 喋ってばかりでは先に進まない。ダイゴは背後から抱き抱える形でシロナの大きなおっぱいを丁寧な手付きで触り始める。 触れれば指が食い込む様な柔らかさ。しっとり汗ばんでいるので掌が吸い付きそうな肌触り。加えて、ずっしりと両手に掛かる肉の重圧感。恐らくは90以上あるに違い無かった。 「凝りますよそりゃ……はぅ……ぁ、あっても邪魔、です」 「僕には無いから判らない世界だね。……こっちは、どうかねえ?」 そんな重荷を絶えず背負うシロナ本人はこの脂肪細胞の無駄遣いを快く思っていないらしい。そして、残念ながらダイゴもおっぱい星人では無いので興味を向ける事は無い。 乳弄りもそこそこにダイゴは片手の指をシロナのショーツのクロッチ部分に伸ばす。そして、爪でカリッと芯を持つ突起部分を引っ掻くとシロナが鳴いた。 「ふきゅううううぅぅ!!」 「――おや?」 今迄聞いた事の無い可愛い泣き声。何が起こったのか少しの間、呆然とするもダイゴは全てを理解し、顔面全体に極悪な笑みを張り付かせた。 「――あ」 自分自身、こんな声を出せるのかと口元を急いで覆うも、もう遅い。弱点が露呈してしまった以上、ダイゴがシロナの其処を愛でない道理は無い。 「ふ、ひ、ひひひひひひ……っ!」 「ひぃ」 不気味な笑いにシロナが引き攣った声を漏らす。ダイゴの女の趣味。それはクリトリスが大きくて敏感な女。正にシロナはその趣味を満たすのに打って付けの相手だった。 「成る程ね。其処が、ツボか。……黄金のお触ラーの腕前、とくと見よ!」 「ぁ、や――」 ゴキゴキと十本の指を鳴らし、ダイゴが敵陣地の攻略に乗り出す。戦略爆撃に晒される塹壕の中の歩兵みたいに、シロナはその時が過ぎるのを今は堪えるしかない。
22 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:04:22.33 ID:zxvbryps
「堪らないね、こいつは。自分でも随分と弄ってるな?」 「しっ、知らない……! 知りませんよぅ……!」 布地を横にずらして露出したそれを丁寧に弄る。顔を出したシロナの豆は包皮が捲れ上がった状態で天井を向いて屹立していた。 シロナは元来、自分で慰める時には外性器の刺激を当てにしていた。だが、去年のテレビ報道以来、その回数は爆発的に増加し、散々自分の手で開発されたその部分は小豆並みの大きさになってしまっている。 シロナとしても少し気にしていた部分であり、何だかそれを詰られた気がして顔を恥ずかしそうに左右に振った。 「実に僕好みだよ。涎が出そうだ……!」 「っ……んんっ、ふう、ふぅ……気に入った、んですかぁ?」 だが、ダイゴはシロナを苛めたい訳ではない。小指第一関節の大きさのシロナのクリトリス。弄る度に腕の中で震えるシロナが年齢以上に幼く見えて、もっともっと喘がせて見たくなる。 「こんなデカい豆、自重しろって方が無理だよ。もっと弄れば更に大きく育つかなあ?」 「やだ! やだぁ! 弄っちゃ駄目ですよぅ! あ、んんんぅ……!」 封殺したと思っていたダイゴの欲望が鎌首を擡げる。実に自分好みの身体をしているシロナを好きに開発し、開拓してやりたいと言う衝動を抑え切れなくなりつつある。 指の腹でもどかしい位の速さで円を描く様にくりくりと突起を転がしてやるといやいやと頭を振りながらシロナは甘い喘ぎを漏らした。 「あー、糞。布が邪魔だ。脱げ」 「え……」 とうとう苛立った様にダイゴが零した。クロッチ部分を脇に押さえるのが面倒臭くなったのだ。シロナにその旨を催促すると、彼女は戸惑った。 「もうとっくに洪水だろ。再利用考えるならそれが良いと思うけど?」 「そうですけど……!」 割れ目から滲む透明な汁はかなりの量でベッドシーツに暗い染みを残している。当然、シロナのショーツもその被害を受けていて、放置すればお釈迦になってしまう程の濡れ具合だった。 だから、観念してとっとと脱げと理論的に降伏勧告をするも、シロナの羞恥心がその受諾を容易にさせなかった。 「ええい、先に進まん。脱がすよ」 「ああっ!? ちょ……」 流石に業を煮やしたダイゴが往生際の悪いシロナに止めを刺すべく、その黒い布地を引っぺがし、序にブラのホックも外して殆ど裸の状態に引ん剥いてやった。 「……おお」 「うう……(涙)」 ストッキングとガーターのみになったシロナの姿にダイゴが嘆息する。己の美意識を刺激して已まない女性の艶姿に目を奪われてしまう。 そんな状態にされたシロナは両手で胸を覆って、涙目の恨めしい視線をダイゴに向ける事しか出来ない。 「綺麗なモンじゃないの。恥じ入る事は無いさ」 「ううぅ……ダイゴさんのえっちぃ……!」 パッと見、スレンダーだが、出る部分はしっかり出ていてグラマラス。俗に言うモデル体型と言う奴なのか、そんなシロナの朱の差す白い肌にアクセントの様に映えるガーターの黒がとてもエロい。 そして、取り分け目を奪われるのが、室内の光を照り返す彼女の下半身。そこには髪色と同じ黄金色の薄いアンダーヘアが生えていて、その直下にはそんな美しさとは対極に当たる様なピンク色の大きな肉芽が顔を覗かせている。 劣情以外の感情をダイゴの内部に呼び起こす様な光景だった。シロナは尚も涙目でダイゴを睨むが、その視線がダイゴのスイッチを押した。 「男がスケベで何が悪い!」 「あひいいんんんっっ!!」 ダイゴがシロナを押し倒し、勃起した肉の塊を抓み上げると、力の限り捻り上げる。そして、そのまま乱暴に上下に至極とシロナは歓喜とも苦痛とも付かない悲鳴を喉から搾り出した。 「弄り倒して君のスケベ成分を引き出してやるよ」 「あっ! あっ! あんっ! あんっ! んああああ……っ!!」 チュコチュコシコシコ。クリ豆を苛めるダイゴは耳障りの良いシロナの可愛い喘ぎ声を聞きながら、シロナの耳元で囁く。その顔は愉悦に歪み、恐ろしさを感じさせる暗く冷たい微笑が張り付いていた。
23 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:06:07.55 ID:zxvbryps
――数十分経過 「ひっ、ひう、ぅ……んくっ、ふぐう……ぅ、うああ……」 言葉を忘れてしまった様に泣き喘ぐシロナ。腰は完全に浮いていて、開脚した脚もビクビクと痙攣している。 「良い匂いだね。ほんと堪らねえ。味も絶妙だし……」 「はああああ……ふはあああああ……♪」 頬に流れる涙の筋。口の端からだらしなく零れた涎。天国を垣間見ているであろうシロナを他所に、ダイゴはシロナの下の口にキスをしている真っ最中だ。 塩味の中に混じる酸味。どろっとした白濁した桂冠粘液は彼女が本気で感じている証だろう。肺を満たす穀物が醗酵した臭いとチーズ臭のブレンドはシロナのそこがかなりの上物であるようにダイゴには感じられた。 「…………ふむ」 口元を伝う生臭い汁を拭わずにシロナの様子を見るダイゴ。 荒い息を付き、時折痙攣しては喘ぎ声を漏らし、尻の穴を開いたり窄めたりしながら、白色の本気汁を滾々と溢れさせている。弄り倒された彼女のクリははち切れんばかりに充血して赤黒い姿を見せている。 ……誰から見ても大分出来上がっている状態。これはもう本丸に挑む条件を満たしたのでは、と踏んだダイゴは確かめてみる事にした。 「どれどれ」 「あう」 にゅぷぷ。人差し指を割れ目に差し込んでみた。少しだけシロナが声を上げたがたったそれだけ。特に窮屈さや違和感は得られず、ダイゴの指は容易くシロナの女に飲み込まれる。 今度はもう一本指を増やして半分程埋めてみたが、今度は反応すら返って来なかった。 ダイゴはシロナに対し、気付けを行う事にした。 「それ! お目覚めの時間だよ!」 ――ガリッ 「ひぎゃあ!?」 ビンビンに滾ったシロナの小豆をダイゴは軽くだが噛み潰してやった。その激痛を伴う刺激に死んでいたシロナが絶叫と共に復活を果たす。 「がっ、ぁ、あひぁあああああ――――っっ!!!!」 ダイゴは止まらない。高速で指を抜き差しし、グレフェンバーグと思しき場所を指の腹で擦り捲る。同時に、クリを極限まで吸引してその裏筋を舌先で左右にブラッシングしてやった。 暴れ馬の如く脚や腰をバタ付かせ、悲鳴に近い声を撒き散らすシロナ。割れ目からピュッと噴出した何かの液体がダイゴの顔を汚す。ダイゴは最初それを小便かと思ったが、アンモニアの臭いは無かった。 「んむっ……気付いたかい? 誘ったのは君なんだからもっとしっかりしなよ」 「や、めっ! もう止めてえええええええっ!!」 口を勃起クリから離して、それでもGスポットへの愛撫を止めないダイゴは顔を拭いながらシロナに向けて笑い掛ける。 涙を零しながら中断を懇願するシロナは全身をガクガク震わせて潮をシーツの上にブチ撒いていた。 「え、そう? ……残念」 「はっ、あっ……はああ……ぅ、あっ……」 少し、弄り過ぎた。顔には出さないがそう思ったダイゴは言われた通りにしてやると、シロナはピタリとは行かない迄も、大分落ち着きを取り戻した様だった。 少しの間だけ、身体の震えが止まらなかったが、それもほんの僅かの事だった。
24 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:08:33.64 ID:zxvbryps
「んじゃ、名残惜しいけどそろそろ本番と行こうかね」 「……っ//////」 これ以上、どれだけ弄った所で変わりは無い。そう判断したダイゴは封印していた一物を解き放つ決心をした。 その手初めとして、上に来ていた胸元の開いたセクシーなシャツを脱ぐ。 すると、シロナの視線はダイゴの半裸の上半身に向けられ、魅了された様に目が離せなくなった。 腕の太さから言ってそれ程体格が良い訳では無いと勝手に思っていた。だが、目の前に存在する男の鋼の肉体には女である自分ですら嫉妬する色気が満ちている。 完全な逆三角形で、腹筋は綺麗に割れている。胸筋や背筋ははっきりと見える形でその存在を浮き彫りにし、触れば適度に柔らかそうな印象すら与えて来る。 まるでボクサーの様に絞られた身体の基礎はきっと趣味の石収集の過程で勝手に形成されたモノなのだろう。だが、ダイゴの肉体はシロナを以ってしても目に毒だった。それ程の危険な色気を放っていた。 「? ――――っッッ!!?」 ――ジジィー……ぶるるんっ! そして、ジッパーから飛び出したそれを見てしまったシロナ。今しがた頭に思い浮かべた女の劣情の綺麗に吹き飛ばして戦慄し、今度こそ目を奪われた。 「何だい? 何か珍しいものでも?」 「あ、ぁ……ぅ、嘘……」 それはペニスと言うには余りに太くて無骨、そして長くて大き過ぎた。天を摩す峨々たる怒張。 ――それは正に肉塊だった 「嘘じゃないんだなあ。君にはこいつを根元迄喰って貰う訳だ」 「む、無理です!! そんなの絶対……!」 ハガネール。シロナの頭に自然と単語が湧き上がった。 太さ、長さ、雁の高さ。どれを取って見ても規格外の一物。成人男性の平均的なそれについてシロナは知っていたが、目に映るそれはどう見てもその範疇には収まらない。 子供の腕位は楽にあるそれ。細身のスプレー缶と言った佇まいの肉の槍は青筋を走らせ、ビクビクと透明な先走りを先端から漏らして泣いている。 そんな対戦車ライフルが挿入る訳が無い。シロナは恐怖で涙目だった。 ――ピクッ そんなシロナの反応が癇に障ったのか、ダイゴがまるで親の仇を見る様な凄まじい形相でシロナを睨んだ。 「あー、煩せえ女郎だなあ。そっからは赤ん坊だって出て来んだよ。貴様が責任持って気合で咥え込めや」 「や、止めて……! お、お願いですダイゴさん! 怖いよう……!」 若さ故の過ちか否か。どうにもダイゴは感情が昂ぶると素の自分を晒してしまう弱点があるらしい。平時であるならばこんな戯けた間違いは早々犯さないが、ダイゴだって若いのだ。化け物を見る様な視線を向けられればこうもなってしまう。 前に温泉宿で垣間見た恐ろしいダイゴが降臨してしまった。挿入られる事も勿論だが、そんな怖いダイゴを見るのはもっと嫌だった。 だから、シロナはゆっくりと迫って来るダイゴに、早く自分の知っている優しい姿に戻って欲しくて、頬に涙の筋を伝わせて訴えた。
25 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:11:10.60 ID:zxvbryps
「…………大丈夫。その為に余計に弄ったんだ。君ならきっとやれるさ! 頑張るんだシロナ!」 「ダイゴさん……」 それにハッと気付いてダイゴが平常心を取り戻す。 いかんいかん、変身していた。不用意に相手を怯えさせるのは趣味じゃない。 ダイゴは本丸への門を力尽くでこじ開けるのではなく、シロナ本人に訴えて自分から開けさせる道を選んだ。 ダイゴ自身、自分の竿の大きさについては理解しているのだ。無理矢理やってしまえば、それは禍根を残す結果となる。それだけは決して犯してならないこの場に於けるタブーだった。 「此処で止めても良い。でも、それで後悔は無いのか? 本懐遂げるんだろ? なら、君の女気で俺を魅了してくれよシロナ!」 「!」 何時もの様に君付けで呼ぶ事を放棄し、しかも一人称が僕ではなく俺。 その事がダイゴの心に一歩踏み込んだ証の様に感じられて、シロナは途端に嬉しくなった。 「そう、ですね」 真剣に見据えてくるダイゴの白銀の瞳。 ……一体、何を恐れていたのか。こうする事が当初の望みで、それはもう後一歩の所で叶うのだ。為らば、こんな所で足踏みはしては居られない。必要なのはほんの一握りの勇気と覚悟。たったそれだけ。 「お願いしま……ううん」 蝦夷っ娘として、女として、生きた証を立てさせて貰う! 「来て、ダイゴ!」 「よっしゃあ! もっこすの気概を見せたるけんのう!」 シロナは腹を括り、両腕と両足を開き、ダイゴを招く様にその身体を開く。極上の笑みを浮かべながら。 敬語とさん付けが無くなった事にシロナの想いの深さを知ったダイゴは火の国の漢の魂を刻み付ける為に己の分身をシロナの淫裂に宛がった。 ……彼が熊本人かどうかは甚だ怪しいが、それは気にしたら負けだ。
26 :
イジワルなあなた :2012/02/17(金) 23:12:16.18 ID:zxvbryps
「んんぅっ!」 先端が進入して来た。引っ掛かりや痛みは無く、多少の圧迫感だけであっさりあの巨大なモノの先を飲み込んだ事はシロナ自身としても予想外。女体の神秘と言う奴だった。 そうして、ダイゴは少し進んで膜と思しき抵抗がある場所で一端止まる。 ゆっくり行きたい所だが、それはシロナの苦痛を長引かせる事でもある。介錯を引き受けたならば、情は交えずに一撃で首を落としてやるのが武士の情け。 ……そして、この場に於ける男の優しさと言う奴だ。 ダイゴはシロナの黄金の瞳を一度見て、微かに微笑んだ。 「せーの、新・日・暮里♂っ!」 「んん――――っっッッ!!」 一端腰を引いて、シロナの腰骨を掴み、強いストロークを叩き込む。 ――プツッ 先端に纏わり付く膜の障害を一気に引き千切り、ダイゴのフェアリーエクスプレスがシロナの最奥へと到達した。 「っ、ぐ……貫通、おめでとう」 「は、ぁ、あ……あ、かはっ……」 到達の瞬間からもうシロナの中は熱烈歓迎をダイゴに見舞って来た。その歓迎会に少しだけ呻き、ダイゴはシロナを見る。 涙を零れさせ、大きく息を吸って足りない酸素を体中に行き渡らせている様なシロナの姿。少しだけ胸にきゅんと来たのでダイゴはその労を労う事にした。 「そしてようこそ」 『大人の世界(性的な意味で)へ』 「んっ……♪」 ――ちゅっ シロナの呼吸を阻害する様にダイゴは唇をシロナのそれに覆い被せる。すると、シロナは両手両足全部でダイゴを掻き抱き、嬉しそうに舌をダイゴの口へ差し入れる。 積極的なシロナに多少驚いたが、ダイゴは憚る事はせず、同じ様に自分の舌をシロナのそれに絡み付かせ、唾液を啜ってやった。 感極まった様にシロナの目から大粒の涙が一つ零れた。
27 :
音ゲーマー :2012/02/17(金) 23:13:19.91 ID:zxvbryps
長いから一端切るよ。続きは寝て起きてからでも。
音ゲーマーさん乙っす ハァハァしながら読んでたのに新・日・暮里♂で超笑ったwww 続き楽しみに待ってます!
29 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:03:09.49 ID:xuGCCJa6
「相当キツイだろう事は判るよ。やっぱり、痛いかい?」 「い、いえ……っ、痛みは大丈夫……けど、お腹が、苦しい……」 体面座位の格好でダイゴはシロナを抱き締めていた。苦しげに息を吐くシロナは辛そうに顔を顰めている。 規格外のダイゴのハガネールを咥え込んだシロナは文字通り気合でそれを成したと言っても過言ではない。裂けて血が出ていない事が不思議な位だった。 無論、ダイゴによる入念な前戯がそれに一役買ったのは間違い無いが、未だに男を知らないシロナにダイゴのそれは矢張り大き過ぎた。 膣の伸縮限界に迫る様な容積の肉の柱は子宮を押し潰し、他の内蔵を上に押し上げている。それ故の圧迫感だった。 「そりゃあ慣れて貰うしかないかな。……で」 「あぐっ! くっ……」 破瓜の痛みが和らいだのならば、それで御の字。しつこい位ねちっこく弄った甲斐があったと言うモノだ。しかし、生本番と言うのは只嵌めて終わりではない。嵌めて、その果てにある絶頂目指して駆け抜けなければならない。 試しに、ほんの少しだけダイゴがシロナの身体を竿を中心に揺さぶってやると、彼女の顔には明瞭な苦悶が浮かび、何かを耐える呻きも口から漏れた。 「駄目、か。慣らす必要があるなこれは」 初めて男を受け入れたのならそれも頷ける。男を喰い締めて奥の深い部分で快楽を得るにはシロナの性感は未だに幼いのだ。直ぐによがり狂えと注文を付けてもそう簡単に順応出切る筈が無い。 ダイゴはゆっくり頷くと、本丸の攻略を一端休止する事にした。これ以上を望むならば、シロナが心と身体を開いてくれなければどうにもならないからだ。 「ダイゴ……あたしの事は良いから、動いてくれても」 「そいつは却下。君ばっか苦しい思いをするなんて僕のプライドが許さないんでね。きっちり中逝きを経験して貰うよ」 自分の事は無視して好きにやってくれとシロナが誘惑する。だが、断固としてダイゴは首を縦に振らない。実際、挿入ているだけでも気持ち良いし、動かさない限りは萎える事はあっても暴発は絶対に無い。 何よりもこの場で真っ先に気遣わないとならない事はシロナの状態である。それをおくびにも出さず、ナチュラルにやってのけるダイゴは天然の誑しである可能性が高い。 「気遣ってくれてるの? ……優しいんだ、ダイゴ」 「そいつは勘違いだよ。優しくなんて無い。只の我侭さ」 女の初めては後々迄記憶される重大なメモリアルに成り得るイベント。そんな初めてのシロナの性体験を歪なモノにする事は男として出来ない。 それがダイゴの抱える優しさの正体。本人はどうもそれを認めたくないらしい。 「うん。ずっとあたしの中で勘違いのままにしておくね」 「……好きにしてよ」 そんなダイゴの漢気にきゅんきゅん来たシロナは苦痛を忘れて嬉しそうにダイゴに体を擦り付けた。 フェミニストを気取る気は更々無いダイゴはシロナの好きな様にさせる。シロナの嬉しさを象徴するみたいに、膣肉が蠢動してハガネールも分厚い装甲を削り出す。だが、ダイゴの鋼の装甲はその程度でびくともしない。 逆に、胸板に密着するおっぱいの圧力の方が苦しい程だった。
30 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:05:48.18 ID:xuGCCJa6
――凡そ小一時間経過 「はあ、はあ、ハア、はぁ……はー……っ」 「こう言うのだよな、君が求めていたのは」 シロナを点す為に我慢強くダイゴは粘り続けた。差し入れた一物を萎えさせない様に、細心の注意を払いつつ、愛でる様にシロナを触り、時にはキスをし、ある時は甘い言葉を耳元で囁き続けた。 女のエクスタシーはメンタルな部分に占める割合が多い。やろうとすれば困難極まるそれを見事にやってのけるダイゴは相当な手錬である事は疑い様が無い。 「ん……んぅ……そう、なのかな……」 心満たされれば、自然と身体が開く。シロナの心に訴え続けたダイゴの作戦勝ちだ。 望みは既に叶ったが、本当は一体どう言う風に愛されたかったのかシロナの頭には漠然としたイメージしかない。だが、ダイゴによって施されるそれが何に勝って心地良い事は確かだった。 「実際、塩梅はどうなのさ。さっきからナニが熱持ってる感じがね。放っといたら君に溶かされそうだよ」 最初は緊張して頑なだったシロナの女は今では蕩ける程に泥濘み、結合部から白い粘液が溢れ出ている。孕んだ熱が一物を焼く様で満足に動けないダイゴはかなり窮屈な思いをしていた。 「凄く、ぁ、熱くて……お、お腹が切ないの……! きゅんきゅんって勝手に反応して、疼くの……」 ワナワナと閉じた瞳を震えさせ、シロナは熱い吐息混じりに漏らす。意思を無視するみたいに膣壁と襞がダイゴを奥に誘おうと蠢動している。 簡単に要約すると、もう辛抱堪りませんって所だろう。 「えーと、つまりそれは……」 シロナの言いたい事が何と無く判ったダイゴは先程そうした様に軽くシロナの奥を小突いて揺すってやる。 「ふああああ……♪」 その声と表情が全てを物語る。作戦再開のゴーサインは既に出ていた。 「解れたって解釈させて貰うよ」 だからと言っていきなりがっつく様な真似をしては、それは変態紳士としては二流。最早、落城は時間の問題だと理解したダイゴは最後の仕事に取り掛かる様にゆっくりと腰を動かし始めた。 「んあっ♪ あはっ♪ ふは♪ っあ♪ あはぁ♪」 「良い感じだね。此処迄引張った甲斐があったってもんさ」 トン、トンとリズムを刻む感じで奥側を軽く突く。それに反応してシロナの小気味良い喘ぎ声がダイゴの耳に抜ける。何故か楽器を演奏している気分になるダイゴだった。 「な、なんれ……あらひっ! は、初めてらのに、き、気持ひ良いよぅ……♪」 「そう言う風に誘導したからさ。いや、初めての試みだったけど成功したみたいだ」 惚けて呂律が回っていないシロナ。その顔はだらしなく緩み、涎が口の端から滴っていた。その様子はとても先程迄処女であったとは信じられない痴態だった。 そして、何故かと問われれば、それこそがダイゴの手腕だった。嵌めたまま動かず、緊張が解れるのを待ち、愛撫や言葉でシロナの心に火を点けて、身体がその気になる様に燃えさせた。 ポリネシアンセックスに通じるやり方が実を結んだ結果であり、シロナが経験の無い女でも例に漏れなかったのだ。 「んんふぅ……ふっ、んん♪ くぅうんん……ンッ♪ ンッ♪」 「あー、しょうがないなあ。一気に攻め落とすか」 完全に頭の螺子が跳んでいる様なシロナは最早人語を解す段階に無いらしい。会話がもう成立しない事に呆れる様にダイゴは腰を抜ける寸前迄引張り、渾身のコメットパンチをシロナのパルシェンにお見舞いしてやった。 ――ぶぢゅうっ! 「ッッ――!!?? ぁ、ああ……!」 タイプ相性的に水と氷が相殺し合って、鋼攻撃は等倍計算。しかし、今のシロナはダイゴの計らいで物理防御が裸同然迄下がっている。加えて、この瞬間の為に力を溜め込んで来たダイゴのハガネール。 「ふああああああああああああ――――っッッっ!!!!」 当然、耐え切れる道理は無い。シロナはカッと目を見開き、身体を弓形に仰け反らせ、経験した事の無い激しい絶頂に襲われた。
31 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:11:02.77 ID:xuGCCJa6
「喜んでくれてる様で何よりだね」 「まっ、ちょ、と、止まってえええええ! あらひ、今逝っ! 逝ってるのぉ!!」 ダイゴの口調と顔は柔らかいが、腰の動きは極悪。うねうねと左右にグラインドさせ、上下に竿を操って膣を擦り上げるワイリングをも織り交ぜる。コンボ数は500を軽く突破しているのでボーナスは15万は最低保障される。 絶頂を迎えている最中にそんな派手に動かれては何時迄経っても波が収まらない。エクスタシーの大波に精神を浚われそうになっているシロナは涙を流しながら中断を懇願する。 「結構。その調子で今度は僕を導いてくれ。じゃなきゃ何時迄経っても終わらないよ?」 だが、ダイゴがそれを聞く理由は無い。寧ろこれ位狂った譜面配置の方がダイゴには心地良いので、自分の快楽を優先して腰を高速でピストンさせた。 「あーっ! あーっ!! んああああああーっ!!」 「……話、聞いてる?」 衝かれる度にダイゴの高い雁首が敏感な部分を擦り、全身に電気を走らせて、思考を白く塗り潰す。涎と涙で化粧したシロナの顔は随分と魅力的にダイゴには映る。 しかし、それはあくまで意思疎通が可能と言う前提を経たモノであって、再び言葉を忘れて牝に成り下がってしまったシロナにダイゴが感じ入るモノはそれ以上無かった。 「あ、ぁ……っはあ…………♪」 「返答無し、ね。義理は果たしたから勝手にさせて貰うよ」 一端ピストンを止め、ぺしぺしとシロナの頬を張ってやるも、人間らしい反応は返って来ない。そんな相手に掛ける情けは既に無いと、死刑執行を告げる様にダイゴがフルパワーを発揮する。 「んひぃ……! んぃいいいいいいいいっっ!!」 両手両足の爪でシーツを掻き毟り、びゅるびゅる潮を噴く。普段は綺麗な姉ちゃんなのにこんなケダモノじみた咆哮と姿を晒しては全てが台無しと言うモノだ。既にホテルの個室全体がシロナの放つ生臭い獣臭に満たされていた。 其処から更に数十分経過。ダイゴのハガネールはその質量は圧倒的だが、高い物理耐久が仇となり絶頂迄の道程が果てしなく遠い。もうカウントする事も億劫な程快楽地獄を経験させられたシロナは本当に壊れてしまいそうだった。 「またぁ……! ま、また来ちゃう……来ちゃうよおぅ……!」 「はっ、はっ……あ、後一歩! だけど、そいつが遠いな、糞」 シロナが掠れ果てた声で何とか呟く。身体はもう殆ど動かずにダイゴにされるがまま。 全身汗でびっしょりのダイゴはやっとゲージが点滅した事を悟った。これでもかと言う程シロナの秘洞を掘削し、耕すダイゴは或る意味鬼だった。
32 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:12:27.37 ID:xuGCCJa6
「ダ、イゴぉ……♪」 「し、シロナ」 生まれて初めての目交いがこんなにも濃厚で、心を亡くす程に激しい。もうシロナの魂にダイゴの存在は嫌って位に刻み込まれ、トロトロのメロメロだ。他の男の存在を挟み込む余地が無くなる程に。 牝として服従した事を示す様に、がっちり既成事実固めをお見舞いするシロナは最後の力を振り絞っていた。絶頂に際し迸る男のリキッドを全て飲む為に。 その行動がダイゴの背筋をゾクゾク震わせ、一物の耐久力が一気に削られた。 「で、出ちゃう? 精液出ちゃう? あっつい赤ちゃん汁シロナの中に射精しちゃうの?」 「ああ、そのつもりだ。僕のポリシーだから」 ビクビク震えるダイゴ自身の戦慄きを察知したシロナが涙顔で問うと、ダイゴは頷いた。 是非も無い事だ。抱いた以上は生で膣内射精しこそがダイゴの信念。それは相手が誰だろうと変わる事は無い。だから、ダイゴはシロナに対しそうするのだ。 「妊娠……赤ちゃん……お、お嫁さ、んっ! んんんぅうううううぅ――!!!!」 ダイゴの本気が知れたシロナは種付けされる自身を思い浮かべ、一際大きな絶頂に達する。泣き叫びながら天辺に昇り詰めたシロナは図らずもダイゴの最後のスイッチを押してしまった。 ――ガブッ 「ぐっ!? つ……く、ぅ……っ」 肩口に鋭い痛みが走り、その痛みの中でダイゴは渦巻いていた男の白い欲望全てを解き放つ。 ダイゴのラスターカノン! 急所に当たった! シロナは潮噴いて倒れた! その量は凄まじく、子宮の吸い込みを超えて吐き出される精液が本気汁と混じって結合部から泡と共に溢れ出した。 「ふー、んふーっ、ふぅー……♪」 「……こいつは、可愛いジョニーの分、ってね」 ダイゴの肩に噛み付いたシロナの口からは鮮血が滴っていた。それを啜り、本能的に腰をくねらせる。子宮にびゅるびゅる注がれるゼラチンの様な硬さを持った熱い奔流にシロナは内部から焼かれた。 マーキングされた精液の味と匂いを子宮に覚え込ませる様に深くて長い絶頂をぽろぽろ涙を零しつつ甘受する。 ダイゴはシロナの犬歯が肉を裂いた事による肩の痛みが癖になりそうな程に気持ち良くて、普段よりも余計に精液を吐き出していた。 長い射精の最中、ダイゴは頑張ったシロナを褒める様に噛み付いたままの頭を撫でてやると、彼女は嬉しそうに身を捩り、彼の一物をぎゅっと抱き締めた。
33 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:14:28.93 ID:xuGCCJa6
「シーツが一寸汚れたか。まあ、許容範囲かな」 「くすん……すん、ぐすん……」 シロナと言う城の攻略を終え、ダイゴが埋まっていた破城鎚を抜き放つと、その幹には赤黒い血がべっとりとこびり付いていた。 同時に割れ目からトロトロと溢れ出す少しだけピンク色をしたザー汁とマン汁、破瓜の血のカクテル。それをティッシュで拭いながらベッドに目をやると、少量の赤い染みがシーツの表面に刻まれていた。 これだけ派手にやってこの程度で済んだのなら、十分過ぎる結果だ。実際、それ以外の汁による被害が甚大なのでシーツは引っぺがさないとならないが、それに触れる気はダイゴには無い。 どうしてかは判らないがシロナは洟を啜って泣いていた。 「あー……えっと」 「ゴメン……ゴメンねダイゴ……血が……」 後始末に追われていたダイゴがその手を止めてシロナに注目した。少し待っていると、シロナが辛そうに言葉を搾り出す。無論それは血で汚れたシーツの事ではない。ダイゴの肩にある歯型の事だった。 「え? ああ、気にしないでよ。結構、気持ち良かったから。って言うか、怪我人って意味じゃ、君の方が重症だろ?」 「でも……」 肩の傷についてダイゴは何も言う気は無いし、恨んだりも怒ったりもしない。寧ろ、シロナの経験した痛みを少しでも共有出来た気がして逆に誇らしい気分だった。 だが、シロナは大好きなダイゴを図らずも傷付けてしまった事に大きなショックを受けている様だ。瞳に夕焼けが差す程に泣き腫らしたその色はオレンジ色だった。 「気にし過ぎだ。シロナが満足してくれたなら、それで良いよ。……どうしても気が済まないって言うなら」 「っ?」 後始末を放り出して、ダイゴは小さくなっているシロナの身体を強く抱いてやった。弱々しく泣いている女が目の前に居るのだ。此処で包んでやらにゃ漢が廃る。 そして、ダイゴは戸惑っているシロナの茜差す目を見ながら言った。 「キスの一つでもくれよ。僕はそれで良い」 「そんな事で、許してくれるの?」 要求はたったそれだけ。難しい事は何一つ無い。シロナの中の蟠りを解消するには一番良い方法だとダイゴはそう思った。 実際、それはシロナにとっても簡単な事。だが、その程度で自分の愚行を水に流してくれるダイゴの真意が良く判らない様で、相変わらず不安げな瞳をダイゴに向けた。 「許す許さないじゃ無くて……まあ、そう思いたいならそれで良いよ」 最初から怒っていないのだからこれ以上気にされてもダイゴとしては困る。だから、その辺の解釈はシロナに任せる事にした。 「……欲しいんだよね。心からの君のキスがあれば、傷も直ぐに塞がるさ」 「……うん♪」 納得させる様に付け加えたダイゴの言葉に、やっとシロナは得心が行った様だった。 ダイゴは怒っていない。それ所か、こちらに気を遣ってくれている。底抜けに優しいダイゴに身も心も全てがときめいた。 もうシロナは自分の気持ちを抑えられなくなり、心にある言葉を素直に口走るとダイゴの唇にむしゃぶり付いた。 「ダイゴ……好き……♪」 「シロナ……」 情熱的なキスが連続で降り注ぐ。だが、ダイゴにとってそんな事は瑣事だ。 『ダイゴが好き』 初めて聞いたシロナの明確な好意。その言葉に呪縛された様にダイゴは動けず、シロナの気が済む迄唇を犯され続けた。
34 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:16:28.73 ID:xuGCCJa6
「僕の何処が気に入ったの?」 「さあ? 自分でも判らない。気付いたら、もうどうにもならなくなってた」 後始末を終えて、タオルケットを被って横になる。ダイゴに密着して、その腕を枕にしているシロナ。ピロートークの御題はシロナがどうしてダイゴに執着するのか。 しかし、残念ながらそれはシロナ本人にも皆目検討が付かない事だった。一目惚れとは違う。だが、逢いたいと言う感情は去年からあって、手掛かりを掴んでからそれは変質し、この十日前後で完全に恋慕に変わった。 ……だから、さっぱり訳が判らなかった。 「君、絶対男見る目無いよね」 「ふざけないで。あたしが好きになった貴方がそんな悲しい事言わないでよ」 起点となった感情の正体は判らなかったが、それでもダイゴはシロナが見る目無しだと言う事を信じて疑わない。自分の様な人間の塵芥、ストーンファッカーに心と身体を許す等、並みのチャレンジャーに出来る事では無いからだ。 だが、そんなダイゴの発言にシロナが真っ向から噛み付く。ダイゴが自分の品位を下げる様な事を言えば、そのダイゴに惚れた己の立場が無くなる。抱いた思いを汚される様な言葉は例えダイゴだとしても許せなかった。 「そ、だね。……悪い」 「んもう」 失言に気付いたダイゴが謝罪するも、それに怒ったシロナはプイッと顔を背け、ダイゴに背中を向けてしまった。何と言うか、そのシロナの姿はとても可愛かった。 「……離れたくないなあ」 背中を向けたままシロナが零す。怒りの感情は直ぐに沈静化し、今度はその隙間に寂しさが滑り込んで来た。それを無視する事は出来ない。 「一緒に居たい……」 もう半日もすれば、目の前からこの男は居なくなってしまう。引き止めるのが無理だと判っていても、そんな甘い希望に縋りたい。 願いを叶えて、心と身体で繋がった。それで良いと思っていたのに、今はそれだけでは足りなくなっていた。 愛欲と言う奴は求め始めればキリが無い。例え強欲と罵られ様ともその味を知ってしまったシロナが我慢何て出来る筈が無かった。 「もっと長く……もう少しだけ……」 「そんなに、僕が好きなの?」 シロナの顔は見えない。だが、それでも彼女が涙を必死に堪えているだろう事は予測が付く。だから、ダイゴは訊いた。シロナの自分に懸ける思いを。 「うん……好き。大好き」 飾る言葉が一切無いシンプルな回答。だが、それに滲む女の情念は筆舌に尽し難い。そいつを聞いてしまったダイゴに撤退の二文字は最早存在しなかった。 だから、ダイゴはシロナの思いに対する自分なりの答えを提示してやった。 「そっか。なら、いっそ付き合うかい?」 「うん…………え?」 シロナは内容を確かめず反射的に頷く。そして、何を言われ、何に同意したのか後になって気付いて目が点になった。 「責任云々を言うつもりは無い。順序が逆な気もするけど、それだけ思われて心を動かされないのも如何かと思うんだよね」 「は、はいぃっ!? あたし、とダイゴ? 付き合うって、こ、恋、人?」 ダイゴの言葉は半分以上耳から向こう側に抜けてしまった。只判るのはダイゴと自分の関係が一段階深くなりそうだと言う事。 こんな神展開はシロナにとっては大誤算。まったく予想だにしていなかった。 「ああ。君が望むって言うなら僕もそれ相応な覚悟で当たらせて貰おうかな、と」 「・・・」 一寸だけ落ち着いて、気持ちが整理出来る余裕が出来た。確かにダイゴの言う通り、真っ当な順序を踏むなら、ファックと告白は逆でなければならない。 それを早々に終わらせた今のシロナに怖いモノは無いし、この場で望めばダイゴの恋人と言う地位を確保出来る。 全ては自分の気持ち次第。とんとん拍子に流れる展開に作為的な何かを感じたシロナは警戒したのか、その一言が中々言い出せなかった。 「厭なら聞かなかった事にしてよ。その気が無いのに無理強いしたってね」 何時まで経っても次の言葉が無いので脈が無いとダイゴは感じたのだろう。少しだけ気落ちした声色で残念がる。 「あ、あの」 このままでは時間切れになってしまう。シロナは起き上がると姿勢を正し、正座の格好でダイゴに立ち向かう。 「何?」 その様子が普通じゃないと感じたダイゴもまた、姿勢を崩したまま起き上がった。そして、ベッドの上で二人はお互いを見合う。 「ふ、不束者ですが、よろ、宜しくお願いします……//////」 「……あはは、こちらこそね」 紅葉を散らしたどたどしく言ったシロナは今にも三つ指を付きそうだった。流石に其処迄はして欲しくないダイゴは代わりにぎゅっとシロナを抱き締めてやった。
35 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:18:23.16 ID:xuGCCJa6
――翌日 シンオウ空港 やや早い時間に起きてシャワーを浴びて身支度を整えた。チェックアウトを終えて寝床を引き払い、電車に乗って一時間弱で空港に辿り着く。 ホウエンへの土産を幾つか見繕い、大きな荷物と一緒に宅配業者に預け、身軽になったダイゴはその時が来るのを出発ゲート前でじっと待っていた。 隣を見れば、其処には昨日結ばれた恋人の姿。見送りは別れが辛くなるので遠慮したい所だったがシロナはそうすると言って聞かないので結局ダイゴが折れるしかなかった。 「お別れね」 「ああ。寂しいね」 刻々とその時が近付いている。もうシロナはそれを嘆く真似はしない。只、その刻の到来を遅らせたくて、ぎゅっとダイゴの手を握り締めていた。 「ええ」 「でも、僕にも向こうでの生活があるんだ。君がそうな様に」 ダイゴにもその気持ちが痛い程判る。自分も同じ気持ちを抱えているのだ。交際を決めた翌日にさよならしなければならないのは、酷過ぎる。付き合ったのならば色々とやりたい事は山積みだし、伝え切れていない思いも沢山あるのだ。 だが、それでもダイゴは行かねばならない。シンオウでは無くてホウエンが彼の生活の中心である故に。 こんな事ならば、出会いの初日からそうして置けば良かったと悔いる真似はみっともない事だった。寧ろ、あの下積みがあってこその今の自分達なので、その時の自分達の気持ちを無かった事にはしたく無かった。 「きっと、ダイゴは向こうでもモテるんでしょうね」 「え? ……いや? そう言うのは無いよ。有ってもお断りしてるしね」 遠距離恋愛の初めに付き纏う懸念事項。ダイゴのイケメン具合はシロナ自身がその身を以って確かめた。離れ離れになれば当然、彼に付く悪い虫の存在が気になる。 そんなダイゴは正直な所を言ってやる。自分が石好きの物好きと言う事はキャンパス内でも知れ渡っているし、その趣味を理解して言い寄る女は居ない。 偶にそれを無視して交際を申し込む輩が居るが、それはダイゴの持つ御曹司と言う肩書きが目当てでダイゴ本人を見ようとしない。ダイゴはそう言った連中は問答無用に突っ撥ねていた。 「やっぱり、モテてる……」 「シロナが心配する事じゃ……それよりも君はどうなのさ」 ダイゴの胸中を判らないシロナは少なくとも確かにそう言う女が居る事に嫉妬心を抱いたのか頬を膨らませる。ダイゴはお前も同じではないのかとシロナに訊くと、シロナは胸を張ってそれに答える。 「そいつは御心配無く」 「本当かよ」 少しだけ意外。そして何と無くだが悲しい胸の張り方だとダイゴは苦笑する シロナは自分がモテる方ではないと知っているので自分自身を引き合いには出さない。ヤニ臭くてタッパのデカイ女だから寄って来る男は今迄では粗皆無だった。 「うん、だからね」 「……何?」 こっちについては安心しろ。シロナはそう言いたいらしかった。 不意に、シロナの顔に影が差した気がしてダイゴは眉を顰める。そして語られた次の言葉にダイゴの眉が釣り上がった。
36 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:19:59.18 ID:xuGCCJa6
「あたしは側に居れないから。だから、浮気を咎めるつもりは無いわ。そうなったら多分、あたしもするでしょうし」 「何だそりゃ」 ……お前は何を言ってるんだ? そして、何を考えてる? 嘗めるな小娘。 シロナの胸中に全く理解が及ばないダイゴはあからさまにムッとした顔でシロナを睨んだ。 「何ってそれは」 「試してるつもりかよ。監視の目が無いから自由に不貞を働けって」 明確な敵意を放つ白銀の瞳。それに萎縮したシロナは身を硬くする。随分安く見られたモノだと大仰に両手で失望感をアピールするダイゴ。その目は笑っていなかった。 「い、いや、だって」 「……冗談じゃないよ。そして、感心出来ん言葉だね」 慌てて取り繕う発言をするも、上手く口が回ってくれない。ダイゴの機嫌を損ねる様な発言はそれだけで命取りなのに、またやってしまった。学習能力の無い己の脳味噌を抉り出したい気分に駆られる。 ダイゴは大きく溜め息を吐くと、悲しそうに目を伏せた。 「――」 そして、再びシロナの瞳を見遣るダイゴ。その輝きにシロナは瞬間、呼吸を忘れた。 「君と付き合うって決めた。だから絶対浮気はしねえ。君もそんな事言うな」 ――そんな事になったらお互いに傷付いて、拗れるだけ。お前の選んだ男を信じろ 「……うん。ごめん。少し弱気になってたわ」 ダイゴの漢気が発露し、シロナの胸中の不安を全て吹き飛ばした。 「たださ」 「……え?」 しかし、ダイゴの話には続きがあった。思わぬ増援にシロナが軽く身構える。 「それを実現するには君の協力が要るんだよね」 「な、何?」 何やら、雲行きが怪しい。そして、とても悪い予感もする。どんな要求をされるのか、全く想像が付かないシロナは生唾を飲み込む。 そして、語られたダイゴの要望は以下。 「パンツくれ」 ……実にシンプルで判り易いお願いだった。 「パ!? あ、ええっ!?」 予想の遥か斜め上を行った言葉にシロナは混乱した。 「昨日、汁塗れで汚れたあれが良いな。僕に頂戴よ」 「なななな! 何に使う気よ、一体!」 しかも、態々昨日の残り香が交じる半分お釈迦になったアレを所望するとはかなり高レベルだ。女の下着をどうするかなど訊かなくても判る事だろうに、シロナはお約束の様にやっぱり訊いてしまう。 「逢えない時に君を思い出す。額縁にでも入れて壁に飾ろうかな」 「・・・」 スーハースーハークンカクンカ。 使い道としては間違い(?)じゃない。後は履くか、被るか、それとも染みの濃い部分をしゃぶる位か。 少なくとも絵画の様に壁に飾るのは大きな間違いな気がしてシロナが絶句する。 そんな碌でも無い使い道をされると判っている相手には渡したくない。女物の下着は結構値段が高いのだ。 「無論、只じゃないよ。僕の昨日から履いてるトランクスと交換だ。……それ以外の汚れ物はもう洗濯して送っちゃったからさ」 シロナが渋い反応を示す事は予想済み。だからダイゴも交換条件を引張って来る。それに心の天秤をガクッと揺らしたシロナは抗えない欲望に身を焼かれる。 「だ、ダイゴの……パンツ……(ごくり)」 昨日から着用と言う事はアレか? 行為の最中ずっと履きっぱで、我慢汁やら汗やらその他諸々のダイゴ成分が凝縮されたレア物か!? ……ヤバイ。凄え欲しい。 ……以上、シロナの心の声。 「悪い取引じゃないと思うけど?」 天使の顔をした悪魔が右手を差し出す。要求を呑むなら手を取れと誘惑する。 「――」 ――ガシッ! そんなモノに抗える訳が無い。シロナはダイゴの手を両手で握り締めた。
37 :
イジワルなあなた :2012/02/18(土) 08:21:26.42 ID:xuGCCJa6
「毎度あり。……生装備は落ち着かないね、やっぱ」 「そうなんだ。へえ……」 お互いのパンツ交換を終えた。ダイゴはシロナが荷物から取り出したそれをビニール袋に入れてカーゴパンツのポケットの一つに丸めて捻じ込んだ。 対してシロナは、ダイゴがトイレで脱いで来たそれを直接手渡された。遠目にはハンカチにしか見えない四つに畳まれたそれに興味津々だ。 生装備のダイゴも気になるが、人肌の温もりが残る脱ぎたてホカホカのそれを眺めていると無性に匂いを嗅ぎたい衝動に駆られた。 ……だが、残念。其処で時間切れだった。 ダイゴが乗る飛行機の機内案内のアナウンスが聞こえて来た。直ぐに搭乗ゲートに向かわなければ乗り遅れてしまう。ダイゴは至極当然、シロナに背中を向けた。 「さてと、僕はもう行くよ」 「あ――」 時間はもう無い。そして最早、お互い出来る事は幾らも無い。ダイゴは今度こそシロナに二度目の別れを告げる。 「これが今生の別れじゃない。寧ろ始まりだろ?」 一度だけ振り向き、そう伝えた。 今回は是迄。だが、付き合いを続ける限り、二人の仲は連綿と続いて行く。ダイゴはそう信じたかったのだ。 「ダイゴ」 「え?」 シロナがダイゴの胸に顔を埋め、潤んだ瞳でダイゴのそれを見た。交差する二つの輝き。 ――ちゅっ 白銀の虹彩を網膜に焼き付けながら、シロナがダイゴの唇に軽く口付けした。 「……シロナ」 黄金の瞳は揺れて、零れる涙の粒が別れの悲しみを象徴する。ダイゴはそれを拭ってやろうとは思わない。自分だけに向けられる惜別の情。もう少しだけ見ていたかった。 そして、刻は来た。北と南に分かれて暮らす刻が。 「寂しくなったら、何時でも電話するわ。だから、ちゃんと構ってね?」 「勿論さ。密に連絡を取り合おう。それが長続きの秘訣さね」 お互いに電話番号は交換し合った、後はどれだけ長く続けていくか次第。だが、それについての心配は最早しない。きっと、長い付き合いになる。そんな予感を二人共抱いていたのだ。 「こっちも換えのパンツが必要になったら言うからさ!」 「うん! 何時でも言ってね!」 出発ゲートに消えていくダイゴが最後にそんな戯けた事をのたまう。シロナも手に四つ折したトランクスを握り締めて、涙の混じる笑顔で手を振って背中を見送った。 ……それから数時間後。別れの余韻を引き摺るシロナは自宅へ戻って来ていた。 あたし 恋に落ちてゆく 焦げるような視線 冷たい唇〜♪ 「!」 突如、シロナの携帯電話が鳴る。着信音は例のアレ。発信者を確認すると、直ぐに手に取り通話を開始した。 「も、もしもし? ダイゴ!?」 『そ、僕だよ。早速掛けてみたけど、ちゃんと繋がるんだね」 先程別れた男からの電話だった。時刻的にカントーに着いた辺りだろうか。きっと接続便を待っているに違い無かった。 「う、うん。それで……どう、したの?」 『ああ、言い忘れた事があってさ』』 こんなに早くまた声を聞けた事がシロナには嬉しかった。直接会えないのは寂しいが、それでも恋人の生声を聞けばそれだけで元気になりそうだった。 だが、一体何の用件で電話を掛けて来たのかがシロナには気になる。用が無いのなら別に構わないが、どうにもそれと違う様な気がした。事実、ダイゴには態々電話で言う程の用件があったのだ。 「何、かしら」 『うん、それはね……』 シロナは緊張した面持ちでダイゴの言うそれを聞いた。 「!!? ――マジで?//////」 『大マジだよ。……用件は以上。次に逢う時を楽しみにしてるよ、ハニー』 ――ピッ ツー、ツー…… 言いたい用件を終えて、ダイゴはさっさと電話を切ってしまった。 「……ダイゴの、馬鹿//////」 そして、赤面したシロナが小さく呟く。 ……一体、ダイゴは何を言ったのか? それが後々に意味を持ってくる事は何と無くだがその時のシロナ自身も予想出来た。
38 :
音ゲーマー :2012/02/18(土) 08:25:46.15 ID:xuGCCJa6
遠距離恋愛スタート。 どうでもいいけど、今回の中の人の筆者のイメージについて。 大誤算はスクライドのカズマ、白菜さんはモッコス、又はテラエロスの人。アニメのキャストは無視してくれよ?
今日は静かだな…
40 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/19(日) 22:31:16.33 ID:7bDgbSnl
>>38 エロシーンなのに笑いしか出て来なかったのはあのセリフに全部持ってかれたからだ(笑)
GJ
41 :
イジワルなあなた :2012/02/19(日) 23:48:01.57 ID:sMOjm7fC
Y:恋人は御曹司 ――トクサネシティ ダイゴ宅 「・・・」 ダイゴが話し終わった。ユウキは何かに耐える様に全身をぷるぷるさせて居た。 「ユウキ君? どうしたの?」 「何処が少しですか! 官能小説読んでるかと思いましたわ! あー、身体の一部が痛いよ」 その様子が気になったダイゴが顔を覗き込むと、途端にユウキは大声で叫んだ。その影でいそいそとチンポジを直している辺り、相当に血が巡っている様だった。 「おや、そう? ……じゃあ、ちょっと休憩しようよ。僕も喉が渇いてね」 「お願いします」 少し、喋り疲れたのでダイゴは休憩を告げるとユウキもそれを了承。 「ビールで良いか〜い?」 「はーい!」 ダイゴは冷蔵庫を漁ると麦酒を取り出した。銘柄はオリオ○とサッ○ロ。住人の趣味だった。 ――同刻 ミナモシティ デパート ダイゴとユウキが男臭い薔薇色の空気を醸し出している中、もう一方の主役は百合色の芳しさの只中に居た。 留守番のダイゴに付き合ったユウキ。そして、その一方で買い物に出かけた婦女子達。 話の中心人物であるシンオウ元チャンピオン、現在はダイゴのパートナーとして家に同棲中のシロナ。そして、ユウキのパートナーであるスパッツとバンダナが目を引く女性、ハルカ。 トクサネからそう距離は無いホウエン本土の端のデパート。今は其処が彼女達の主戦場だった。 そんな二人は戦利品の山を小脇に置いて、屋外の喫煙所で休憩中だった。シロナの片手には煙草。もう片手には特盛のアイスクリーム。それに付き合うハルカの手にもアイスクリームと缶ビール。 昼間っから中々に不良だが、二人とも成人しているので咎める者は誰も居ない。 「じゃあ、シロナさんは遠距離恋愛が実って今こうしているんですね」 「そうねえ。実ったかどうかは判らないけど、お互い好き合った結果なのは確かね」 留守番組と同じく、女性陣も昔語りに華が咲いている。ダイゴは兎も角として、ハルカはシロナの来歴について殆ど知らない。だから、それを語ってくれるのはハルカとしては有り難かった。 「凄いロマンチック。遠距離は難しいって聞きますけど」 「人の心の距離は地理的な距離に比例するって理論があるのよね。だから、他人から見ればそうでしょうけど、実際あたしは楽しかったわ」 離れていればいる程に人の心は離れやすいモノだ。いざ逢おうと思えば、その為に消費される交通費と時間は馬鹿にならない。 だから、一度拗れればそれに消費する金と労力が惜しくなる。損得勘定が働いてしまうからだ。二人はその危険性を知っていたので、関係を拗れさせない様に細心の注意を払って遠距離恋愛を楽しんだのだ。 「へえ」 「最初は十日に一度程度。でも、それじゃ足りなくってどんどん増えて。その裡彼の方からも掛かって来て……最後は週三位にはなってわね」 最初はシロナの方からやや遠慮がちに連絡を取っていたが、直ぐにそれだけでは寂しいと気付いてその頻度が増える。そうすると向こうも声を聞きたいと言う欲求が湧いたのか、電話を掛けて来る様になった。 「……電話代、痛そうですね」 「痛かったわねそりゃ。でも、遠くても繋がってるって実感の対価だから、高いとは思わなかったな」 頻度に比例して増していく通信料金に一時頭を痛めていた事もあったが、それも必要経費と割り切れば何も感じ無くなった。今となっては良い思い出だった。 「そうやって、他愛無い話で笑って、悩みの相談に乗ったり乗られたり……一年何てあっという間だった。そしてまた夏が来たわ。因縁の季節がね」 「お二人にとっての出会いと再会。当然、逢ったんですよね」 そして、それを繰り返す裡にシロナの元にまた例の季節がやって来た。付き合い始めてから一年経過しての夏休みだった。 興味津々と言った感じに身を乗り出すハルカはその夏のイベントを是非聞きたい様だった。 「聞きたい? ハルカちゃん」 「お願いします!」 『来いやあああああああ――っっ!』 確認する様に尋ねるとハルカは頷く。訊く迄も無い事だった。 「そうね。じゃあ……」 ハルカの姿を確認すると、シロナは短くなった煙草を灰皿に放り込み、溶け始めたアイスクリームに舌を這わせる。 別に嬉々として話す様な内容では無かったが、シロナは続きをゆっくりと語り出した。 あの人は何時だって唐突な事を言い出すのよね。昔から変わらない。 でも、あたしはそれに振り回されるのは嫌いじゃないの。寧ろ、好きな方。 あの日もそうだった。……あたしに冒険をあっさり決意させたのよ。 惚気るつもりは無いけど、ほんと、我ながら厄介な男に惚れたもんよ。
42 :
イジワルなあなた :2012/02/19(日) 23:50:00.66 ID:sMOjm7fC
ダイゴとシロナが結ばれて一年が経過していた。シロナは考古学の才能を開花させ、若いながらも考古学部のエースとして一目置かれていた。 キャンパス内での名声が高まるに連れ、色々な方面から彼女の引く手は数多となり、彼女の存在は一寸したアイドルの様だった。 背の高さと煙草臭さを除けばかなりハイスペックを誇るシロナは当然の様に異性にモテ始める。だが、既に心に決めた相手が存在する彼女は誘いの全てを断り続けた。 考古学部の姫君の恋のお相手は誰なのか? キャンパス内では多くの憶測が飛び交ったが本人が口外しないので、結局の所それは謎のままだった。 ――シンオウ大 キャンパス内 『そいつは厄介だねえ。こっちにも同様の伝承はあるけど、手掛かりついてはさっぱりな状態さ。君が直接話を付けるしかないよ』 「そうなのよねえ。でもあの門番さん、頭が固いのよね。何を言っても梨の礫よ」 『神話の巨人、レジギガスか。材質が何で出来てるか非常に興味深いね』 「うん。でも現物を見れない事にはこれ以上の進展は難しいわね」 講堂裏手の人が寄り付かないであろう寂れた喫煙所。シロナは煙草を片手に電話中だった。お相手は彼女にとっての王子様である鋼の貴公子。内容は今現在手掛けている自分達の研究について。 気紛れにダイゴが始めた調査だったが、それが自分の興味に共通すると判ったシロナが協力を申し出て、共同研究の形と相成った。 シンオウ創世神話に登場する原初の巨人、レジギガス。その巨体に縄を括り付けて大陸を引張り、シンオウ本土を形作ったと言われるポケモン。 そして、その眷属である岩、氷、鉄の三種の巨人について。 距離が離れているに関わらず、シンオウ地方とホウエン地方には似通った民間伝承が散見出来る。 しかし、その巨人と思しき像が安置されているキッサキの神殿には容易に立ち入る事は出来ず、ホウエンの巨人達については何処に眠っているのかさえさっぱり判らないのが現状だった。 『今直ぐに如何こう出来る話じゃないか。気長にやろうよ』 「うん。あー、悔しいなあ。あそこに入れれば発見があるだろうにさあ」 考古学的、地質学的に非常に面白い題材ではあるが、難問が山積みで二人の研究は中々上手く進まなかった。
43 :
イジワルなあなた :2012/02/19(日) 23:52:05.69 ID:sMOjm7fC
『処でさ、もう少しで夏休みだろ? 今年はどうしようか』 「そうねえ。今年は研究があるからあんまり遊んでられないけど、どうして?」 閑話休題。得られるモノはお互いに無いと判断したダイゴが話のベクトルを変える。今年の夏の予定について。 今迄話に上る事はあったが、仔細については全く決めていない。それをこのタイミングで振って来たダイゴにシロナはその意味を問う。 『いやさ、今年は僕、そっちに渡る用事が無いんだよ』 「え……逢えない、の?」 次いで語られたダイゴの言葉を聞いてしまったシロナはズンと胸が重くなってしまった。一昨年、昨年と続いて今年もシンオウで逢うと思っていたのにそうではない。再会を楽しみにしていたシロナは泣きそうな声を出していた。 『は? 逢うに決まってるでしょ。何の為の長期の休みなのさ』 しかし、矢張りダイゴは期待を裏切らない男である。楽しみにしていたのは彼も同様であり、若い身空で恋人と離れ離れが続くのは心と身体が悲鳴を上げる。だから、夏休み中は絶対にシロナと過ごすと彼は決めている。 「でも、シンオウには来ないのよね? 別荘は?」 『親父が今年こそは避暑に使うって意気込んでるんだよ。流石に面を合わせたくは……否、邪魔をするのは気が引けてね』 「……そう。社長さんが直接見に来るのね」 話を聞く限りではダイゴは父親と一緒に居たくは無いらしい。家族仲が悪いと言う話は聞いた事が無いので、休みの最中に迄顔を見たくはないのだろうとシロナは推測した。 『だから、それについては別の解決策用意してるよ。君の時間を僕にくれないか?』 「え、と……どういう事?」 今回のステージはシンオウではない。別の相応しい場所をダイゴは用意している。だが、察しの悪いシロナは未だ話が見えていない。 『鈍いな。君がホウエンに来ないかって事だよ。君の研究も別の角度で捗ると思うよ?』 「! あ、あたしが九州に渡るって言うの?」 今年は君が移動しろ。……それがダイゴの言う所の今回の夏休みの過ごし方。 それでやっと合点が行ったシロナは慌てて聞き返したが、ダイゴの返事は変わらない。 『そ。こっちにも考古学的に面白い史跡は多くある。飛行機代は負担するから、夏はこっちで過ごさない?』 「――」 夏の盛りは南の大地へ。己の知らない土地。新しい発見と知的好奇心の充足。 青い海。広い空。灼熱の太陽。隣を見ればマイダーリンの姿。抱き付くのも、キスを強請るのも、○○○○も思う侭。 ……だって若いんだもの! この一年どれだけ溜め込んだと思ってるの? 寂しくて、逢いたくて、声を聞くだけで我慢して。それでもずっと独りで自分を慰めて。そんな惨めな生活ともやっとオサラバ! あたしとダイゴのめくるめく濃『以下検閲削除』 『シロナ? やっぱり無理そう?』 「行く行く! 行くに決まってる! こちとら逢えなくて気が狂いそうなんだから!」 急に黙ったシロナに不安を感じ、返答を催促したダイゴだったがその心配は無かった。きっかり0.3秒で即決し、シロナはダイゴの案を呑む旨を告げた。 『じゃあ、決まりな? ……っと、同僚が呼んでる。詳しい日時が決まったらそっちから連絡をくれよ。またな』 「おっけー! 任せといて!」 向こうで用事が入った様だ。ダイゴは話の続きを次回に持ち越す発言をし、シロナはそれに元気に答えて通話を終えた。 ――ピッ ツー、ツー……
44 :
イジワルなあなた :2012/02/19(日) 23:56:44.90 ID:sMOjm7fC
「……はあ。あたしもとうとうホウエンデビューかあ」 シロナは煙草を咥え、火を点す直前に独白する。 てっきりシンオウで逢うと思っていたらまさか自分がホウエンを尋ねる事になろうとは。 自分の意志でシンオウを出た事の無い田舎小娘に大きな決断を迫ってくれた遠方の恋人に感謝の念が湧いて来る。ブレイクスルーを果たす良い切欠を与えてくれたからだ 「でも……ふ、うふふ。楽しみだなあ」 そうして、煙草に着火してシロナはにやけた笑みを張り付かせた。 不安が無い訳ではないし、少し高いが旅費位は自分でどうにかする。だが、それ以上に今迄一年、電話越しでしか繋がりを得られなかった恋人と直接逢える事が嬉しい。 それ以外の何もかもが瑣事に成り下がる程、シロナは乙女回路が覚醒状態だった。 「今のが件の王子様かね?」 「ひゃあ!?」 背後から聞こえた男の声に吃驚したシロナは吸っていた煙草を取り落とした。そうして振り返ると其処には見知った人物が居た。 「な、なななななナナカマド博士!? ど、何処から涌いて……!」 眼光の鋭い老人だった。この人物こそ、ニッポン国の誇るポケモン研究の大権威ナナカマド博士。シロナの考古学、ポケモン研究の師匠であり、シンオウ大に於けるVIPである。 その手にはA4サイズの封筒が握られており、大学に何らかの用事があったのだと推察出来る。 「こら。人をボウフラの様に言うでない。……いや、盗み聞きする気は無かったが、君が余りにも楽しそうなのでつい、な」 「はあ、それは失礼を」 そんな御仁が人の訪れない喫煙所に姿を見せたのはシロナの顔を見に来たからに違いなかった。 厳つい外見に似合わず意外にも子供好きなこの男とシロナは彼女が幼い頃から今迄続く長い付き合いがある。故にシロナの軽口程度は、博士は容易く受け流せるのだ。 「君も青い春を謳歌している様で安心した。てっきり、研究以外に興味は無いモノと思い込んでおったが、杞憂だった様だ」 「あたしだって女です! 若さ故の過ちだ何て、博士にも言わせませんから!」 少しばかり穏やかな表情で博士は頷く。シロナは子供の頃から色恋沙汰には縁遠く、その手の浮付いた話を聞いた事が無かった。 しかし、そんな彼女が男を作ったと言う噂が聞こえて来ては興味をそそられると同時に安心感を博士は覚えた。シロナは華の女子大生。このまま枯らすには惜しいと常々思っていたのだ。 「そんな無粋はしない。……君は儂にとって孫娘も同然。今と言う刻を後悔せずに駆け抜けているなら、それ以上嬉しい事は無いよ」 「・・・」 別に博士は恋愛を咎める気など全く無い。だが、何故かシロナは博士に皮肉られていると感じた様だ。棘がある発言をするシロナを宥める様に博士が言うと、シロナは敵意を向けるのは間違いと思ったのか口を閉ざした。 「さて、ワシはもう行く。……偶にはマサゴの研究所にも顔を出してくれ」 「はい、判りました」 博士はもう少し喋りたかったが、シロナにその気が無いと気付き、早々に退散を決め込んだ。 最近はシロナも自分の研究で忙しいのでマサゴタウンの研究所には久しく顔を出していない。去り際に態々言うのは、案外博士も寂しいからだと勝手に思ったシロナは少しだけ顔を綻ばせて、博士の背中を見送った。
45 :
イジワルなあなた :2012/02/19(日) 23:58:17.11 ID:sMOjm7fC
「……はあ、吃驚した」 結局、火を点けた煙草は碌に吸わないまま無駄になった。かなり強面のナナカマドが背後から気配も無く忍び寄れば大抵の輩は吃驚する。 付き合いの長いシロナでさえ慣れない事は多いし、未だに謎の部分を博士は多く残している。 「こりゃ急いで予定立てないと」 ナナカマドについてシロナが思う事は今はもう無い。それ以上にやるべき事がシロナには山積みであった。 夏季休業迄は凡そ一月の猶予がある。それ迄に抱えている予定を整理し、旅行に必要な荷物を纏め、日程を決めて飛行機を取らなければならない。 そう考えると一月と言う期間は意外に短い。だが、そんな事位でシロナは怯んだりはしない。 「ふ、ふふふ……! 待ってなさいよ、マイダーリン♪」 後少し。もう少しで男旱を抜けられる。 生理後のムラムラする期間に連れ合いが遠くに居て逢えないと言う事態は切なさを超越し泣きそうになる。送られたダイゴのパンツをボロボロになる程酷使したのは己を持て余していた証拠だ。……そんな惨めな生活ともオサラバ出来る。 女盛りのシロナがそれに躍起になるのも仕方の無い話だった。 ――凡そ一ヶ月後 シンオウ空港 そして、あっという間に時計は進み、一月が経過した。 シロナは早朝から出発ゲート前で待機していた。今日は夏季休業の前日でシロナは普通に講義があったのだが、それを無視して朝一番の飛行機に乗る為だ。 因みに出席に関しては友人に代返を頼んでいるので問題は無いが、余り褒められた事では無いのも確かだ。だが、それもシロナなりの気合の入れ方だと考えれば、或る意味仕方無い事と思えてくるから不思議だ。 そんな彼女の荷物はボストンバッグが一つだけ。但し、その中身はバッグの容量限界を超越する程にパンパン。研究資料やら着替え。対決に際し使用する小道具やらが満載だ。シロナはそれを小脇に抱えて、只黙って時が来るのを待っていた。 そうして、出発時刻がやって来て、飛行機内の座席に着き、独り言を漏らした。 「去らば、シンオウの大地」 次いで、テイクオフの瞬間。もう一言だけ呟いた。 「そして、ようこそ。新天地へ」 新たな世界、新たな自分が目の前に開けている様だ。自分と向き合う瞬間が大量にある事が旅の醍醐味の一つ。シロナは無意識的にそれを楽しんでいるみたいだった。 「ZZZ……」 離陸して二十分経たぬ裡にシロナは眠りに落ちた。前日は気が逸って中々寝付けなかった。その反動が現れた所為だった。 そうして、シロナの目が覚めた時、飛行機はランディング直前だった。
46 :
音ゲーマー :2012/02/20(月) 00:00:29.67 ID:3EEwtfLV
徐々に長くなっていく…… 読む方の都合もあるだろうから小出しに行かせて貰うよ。続きは朝までお待ち下さい。
47 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:11:14.06 ID:Qbo1IebW
――カントー国際空港 「えっと……接続便は、こっち?」 先ずシロナは降り立った空港の広さに唖然とさせられた。彼女の道中は半分しか来ていないので、もう半分を行う為に別の飛行機に乗り継がなければならない。 「むうう……広過ぎて判んないよお」 だが、田舎小娘のお上りさんであるシロナにあるのは不安と戸惑いだけだ。通路の案内板を見ると言う事も思い付かず、ふらふらとした足取りであらぬ方向へ向かおうとした。 すると…… 「Hey,where are you going?」 「――What?」 後方から掛かった誰かの声。否、誰かではない。シロナはその声の主を良く知っていた。そして振り返ると、シロナは嬉しさの余り泣きそうな顔になってしまった。 「This way. Come on, honey」 「Oh,w,what are you doing……Darling!」 彼女の王子様であるダイゴがこっちへ来いと合図を出していた。シロナは小走りに駆け寄るとダイゴの胸へダイブする。彼はしっかりと彼女の体を受け止めた。 「よ。Long time no seeってね。驚いた?」 「そりゃ驚くわよ! で、でも何で……」 何時もは電話越しにしか聞けない声。しかし、抱き締める温もりは本物で、息を吸えばやや煙草臭いダイゴの懐かしい匂いがシロナの肺を満たす。 「一刻も早く逢いたくてさ。態々来ちまった。……迷惑、だったかい?」 「そんな訳無い! ……嬉しいわよ、ダイゴ」 上目遣いで訊いて来るシロナにダイゴはそう答えた。北海道の彼女と合流する為に態々九州から関東に飛んでくるとは流石ダイゴである。シロナへの愛がそうさせたのか、それとも単に暇なだけなのかは判らなかった。 「……おっけ。色々と言いたい事はお互い山とあるんだろうけど、此処じゃ往来の邪魔だな。こっちだよ、付いて来なよ」 「うん」 この場合、ダイゴの真意はシロナにはどうでも良い事柄だった。逢えて嬉しいのは確かだし、道を知っている人間に出会えてホッとしている。シロナはダイゴに手を取られて空港の奥へと進んでいった。
48 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:13:49.55 ID:Qbo1IebW
――空港 待合所 「席も隣同士なんだ。良かった」 「ああ、君、随分早くから席取ってただろ? だから、そいつが埋まる前に急遽僕もリザーブしてたって訳だ。準備良いだろ」 ダイゴの航空券を見ながらシロナが呟く。 シロナは一月も前に飛行機のチケットを取っていた。ダイゴは早い段階でそれを聞いていたので、シロナには内緒で隣の席を確保していたと言う訳だ。 「そうね。そのマメな処、あたしも見習いたいわ」 「真似して直ぐに出来るモンじゃない。君は君の生き方を貫きなよ」 「そう、だね。うん」 ダイゴのこの行動がマメなのかどうかは不明だが、シロナにはそう感じられたらしい。しかし、そんな部分を見習われてもくすぐったいダイゴはやや苦笑しながら言うと、シロナもそれもそうだと言った感じに頷く。 「さて」 返して貰った航空券をポケットに収め、時刻を確認するダイゴ。出発時刻迄はやや暫くある。雁首揃えて只待っているだけでは面白くないので、ダイゴは自分の荷物である小さめのショルダーバッグを漁ってある物を取り出し、シロナに問う。 「事前の打ち合わせ通り、アレは持って来てるよな?」 「勿論だけど、まさか」 少し前の話だ。ダイゴがシロナに或る物を勧め、シロナがそれをやり始めた。程無くしてシロナはそれにどっぷりと嵌るが、今回の旅行にはそれを持って来いとダイゴは彼女に打診していたのだ。 「ああ、そのまさか。……一狩り行こうぜ、お嬢さん」 ダイゴがシロナの眼前に突き付けた或る物。……PSP。暇潰しの手段は某狩りゲー。 「・・・」 「何さ?」 ダイゴの申し出に対し、シロナはどうにも乗り気ではないらしい。……と言うか、些か困った表情をしている。気になったダイゴが訊いてみる。 「このネタ……平気なの? 別ゲー持って来るなってゲーフ○に叱られない?」 「そんな事言われてもさあ。だって台本にはこうあるんだよ」 ※余計な突っ込みはノーサンキュー。(作者) 「ちょっと! 問題発言よ、それ! ……了解。付き合えば良いんでしょ」 「最初からそうしてくれれば良かったのさ」 シロナはダイゴの申し出を渋々受け、自分の荷物から愛機を取り出すと、時間が来る迄表面上は仲良く狩りを楽しむ事にした。それしか選択肢は無かった。 ――三十分強経過 「うぐぐぐ……何、これ。凄い屈辱なんだけど」 「悔しがるのは判るけど、悲しいけどこれ、プレイヤースキルの差なんだよね。……乗るよ。続きは上でね」 三つ程クエストこなすと機内案内が始まった。乗る人の列に並びたいダイゴはシロナにゲームの中断を申し出た。自力の差を見せ付けられたシロナは乗る迄の間、終始悔しそうにしていた。 ――ホウエン カナズミ空港 「相変わらずあっちいなあ。君もそう思わん?」 空の上でも幾つかクエストをこなすと、そこはもう火の国だった。二人は空の玄関に足を踏み入れ、これを通過。ダイゴが車を預けた屋外の駐車場へと向かう。 ダイゴにとっては慣れ親しんだ土地。だが、体感温度がカントーとは三度以上違う様に感じられる。 シンオウ育ちのシロナにとってはかなり酷な環境と思しき夏のホウエン。ダイゴはその辺りをどう思うのか尋ねてみた。 「ああっ!? お、乙る乙る! こんなの無理だわよ!」 握ったPSPを離さないシロナは何かと格闘中だ。何と対峙しているのかは訊かないが、もう少し感心を払って欲しいダイゴは少しだけ寂しそうだった。 「……ま、頑張んなよ」 「――あ」 何を言っても無駄と判断したダイゴはさっさと先に行ってしまう事にした。シロナはそのダイゴの動きに気を取られたのだろう。操作を誤りベースキャンプへ送り返されてしまった。
49 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:15:29.84 ID:Qbo1IebW
「さて、今回は時間がたっぷりあるんだよな?」 「ええ。夏は全部こっちで過ごす予定よ。……二ヶ月、位?」 屋外の駐車場で荷物をトランクに放り込み、車に乗り込むとダイゴが尋ねた。シロナは助手席でシートベルトを締めながらそれに答えてやる。 「凄い気合の入れ様だな。家族への言い訳とか、スケジュール調整、大変だったんじゃないの?」 「色々制約は付いたけど、どうって事無いわ。今のあたしは愛に生きるって周りにはがっつり言って来たからね」 聞く限り、夏の全ての時間をシロナはホウエンで消費するらしい。研究で忙しいとか前に言っていたがそれはどうなったのだろうか。 ……きっと愛と肉欲が学業を上回ったに違いない。だが、そいつは訊くだけ野暮なのでダイゴは黙っていた。 「なら、問題は無いな。じゃあ、最初に僕の家に招待するよ。遊ぶにしろ、研究するにしろ拠点は必要だよな」 空を飛んで行ければ楽なのだが、色々と見せたい場所もある事だし、ホウエンが始めてのシロナにそれを勧めるのは憚られる。ダイゴはエンジンを掛けると車を発進させる。 「ダイゴのお家……カナズミ?」 デボンのお膝元と言えばカナズミシティだ。だから、当然シロナはそう思った訳だが事情はやや異なる。 「いいや? トクサネだよ」 「トクサネ……と、トクサネぇ!?」 確かに、ダイゴの実家はカナズミに存在する。だが、それは父親の家でありダイゴ個人の家はトクサネシティにある。 それを聞いた時、シロナは最初聞き違いだと思った。だが、彼女の耳は正常だった。だから余計に吃驚した。 ――トクサネシティ ダイゴ宅 「長い道程、ご苦労さん。狭い家だけど、上がってくれよ」 「お、お邪魔します」 朝一に出たって言うのに辺りはすっかり夜だった。ホウエン南の洋上に浮かぶ鉄砲伝来の地。種子島。只管南に向けて走り、船に乗って漸く辿り着いたのがこの場所だった。 「はあ〜……」 通された居間でシロナが疲労の滲む溜め息を漏らす。流石に疲れている様だ。 「暫く、此処が生活拠点だね。自分の家だと思ってくれよな」 ダイゴの言葉を聞き流しつつぐるっと家の中を見回すシロナ。そんなに広くは無いが、男一人が住むには十分な広さがある。 整理整頓が行き届いている居間の隅には化石やら宝石の原石やらが収められているキャビネットが置かれていた。数がそんなに多くないのは未だ収集の最中だからだろうか。石に余り興味が湧かないシロナはぼんやりとそれを眺めていた。 「このお家、借家なの?」 「いいや? 持ち家だよ?」 少し気になったのでシロナが尋ねてみる。こんな僻地に家があるのも驚きだが、同じ大学生であるダイゴが家を持っているとは思えなかったのだ。だが、ダイゴの答えはシロナの予想を上回るモノであった。 「嘘ぉ!? 建てたの!? ダイゴが!?」 「ああ、地価は凄い安いんだよ、此処。家の代金の方が高かった位さ」 驚いた事にこの家はダイゴの持ち家であるらしい。一体幾ら掛けたのかは判らないが、かなりの額が必要になった事は想像に難くない。 「さ、流石は御曹司」 「違う違う。自分で稼いだ金でだよ。親父の脛を齧った訳じゃないよ」 「そうなの?」 「高校時代は体力作り目的でずっとガテン系のバイトやってた。それの貯金と石集めで拾った宝石やら鉱物を売った金をプラスして土地の購入費用と家の頭金にした。 ……未だローンが少し残ってるけど、直ぐに払い終えて見せるさ」 てっきりツワブキ社長辺りに金を出して貰ったものと思ったがその予想すらも外れた。思いの外、ダイゴはしっかりと自立した大人であるらしい。今迄知っていたダイゴのイメージがシロナの中で崩れていく様だった。 「……凄い。何て言うか、上手く言えないけど、凄いわ」 自分と一つしか違わない筈なのに、ダイゴが何時もより矢鱈と大人びて感じられて仕方が無い。純粋に感心したシロナは尊敬の眼差しでダイゴを見やる。 「はは、凄いのは良いからさ。長旅で疲れたろ? 一寸引っ掛けなよ」 「あ、うん。ありがとう」 自分の彼女に褒められるのがこっ恥ずかしいのか、頭をぼりぼり掻いて照れ臭そうにするダイゴ。これ以上褒め千切られるとくすぐったくて死ぬので、ダイゴはシロナの長旅をを労う為に冷蔵庫から缶ビールを取り出して手渡す。 丁度良い具合に喉が渇いていたシロナは受け取ると直ぐに封を開けてキンキンに冷えた中身を喉を鳴らして飲み干した。
50 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:17:06.47 ID:Qbo1IebW
――翌日 「ぅ、うーん……」 シロナが尿意を覚えて目を開けると、其処はベッドの中だった。昨晩は酒盛りをしていた記憶が少しだけあるが、其処から先の事は全く覚えていない。自分の格好が素っ裸である事に気付くが、ダイゴとナニをした記憶すら無い。 大方、酒に負けてダウンしてしまったのだろうとシロナは決め付けた 「ん〜……」 起き抜けのままの働かない頭で辺りを見回す。壁時計は朝の八時を指している。部屋の片隅にはやや大きめの箪笥と姿見。ドアの近くには作業机が置かれていて読みかけの科学雑誌が置かれていた。 そして、窓辺には額縁に入った自分の使用済みの下着がシロナを睨んでいる。前にダイゴに送ったもので間違いない。それを見ているとダイゴが何を考えているのか判らなくなるシロナだった。 「あれ、ダイゴ?」 それで思い出した様にシロナはダイゴの姿を探すが、自分の隣には寝ていた形跡はあるもののもぬけの殻。シロナは床に綺麗に畳まれていた服を拾い上げ、下着だけをつけて居間へのドアを開ける。 「ああ、おはようさん。飯は出来てるよ。顔を洗ってきなよ」 シロナの存在に気付いたダイゴは読んでいた新聞から目を放し、シロナに朝の挨拶をした。そして、テーブルに用意されている朝餉を指差した。 「ああ、悪いわね。そうさせて貰うわ」 初日からこんなだらけていて良いのかと内省するも、この微温湯に使っている様な緩い空気を気に入りつつあるシロナは結局ダイゴの厚意に甘える事にした。今は未だこれで良いと納得し、洗面所へと消えた。 「頂きます……」 「どうぞ」 本日の献立……焼き魚、おひたし、スクランブルエッグ、浅漬け、お吸い物。 ダイゴが作ってくれた簡単な朝御飯を前に手を合わせるシロナ。彼女は料理が苦手な為、例え簡単でもこうやって料理を作れる人間には純粋に憧れを抱く。 「! ……美味しいわね」 「そう? 普通だと思うけどね」 一口食べてみてこれはとシロナは思った様だ。単純な料理程美味く作るのは難しいが、ダイゴのそれは火の通しや水加減、味の濃さ等基本の部分が驚く程に正確だった。だから美味くない訳が無かった。 本人が注意しない限り男の料理は大雑把になりがちだが、ダイゴのこれはコクとキレが両立した至高の一品。それを作った本人は随分と控えめな態度だった。 「むぐむぐ……おふぁわり」 腹が減っていたのか、シロナは次々に朝飯を口に放り込んでいく。そうしてご飯粒をほっぺに貼り付けながら空になった茶碗をダイゴに差し出した。 「あいあい。洗濯物とかある? あるなら出しといてね」 「はーい」 茶碗に炊き立てご飯を山盛にしてやるダイゴ。主夫稼業が板に付いているのか、飯の後は洗濯に取り掛かる積もりの様だ。外は朝にも関わらずムカ付く位にかんかん照りだった。 シロナは茶碗を受け取ると間延びした返事をして食事を再開する。洗濯する物など、寝室に畳んで置いてある服と今着てる下着位しかなかった。
51 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:18:05.95 ID:Qbo1IebW
――数時間後 トクサネシティ 海岸 正午少し前。洗濯物を干し終えたダイゴは島を案内する為にシロナを連れて海岸に来ていた。肌を焼くお日様は時間と共に眩しさを増すが、海岸近くは潮風が吹いているので何とか過ごせる状態だった。 「海風が気持ち良いわねえ」 「何も無い場所だけど、来年位には賑やかになるんだろうな」 サンダルを脱いで砂浜を歩くと裸足の足裏が焼けた砂の所為で熱い。それを我慢しつつシロナは北では見られないエメラルド色の海面を眺めながら呟いた。 島の案内という名目でシロナを連れて来たは良いが、実際今のトクサネには海以外見る冪場所は存在しない。新名所と成り得るだろう場所は、矢張りあそこ位だろうか。ダイゴは海に背を向けて、丘の上に建設中の大規模な建物に視線を移す。 「あれ?」 「そ。宇宙センター。宇宙(そら)に懸ける想いの結晶って奴だね」 釣られてシロナも同じ物をやや仰ぎ見る。建設中の宇宙センターの薀蓄については旅行雑誌のコラムを見てシロナは知っていた。年内中に工事を終え、来年度を目処に施設を稼動させるらしい。 「航空宇宙学は畑違いだけど、何か浪漫があるわね」 「そうだね。僕達の生活が変わる訳じゃないけどさ」 鉄の塊を宇宙に上げる何てスケールが大き過ぎて地べたを這い回る自分には想像出来ない世界。だが、それでも何らかの浪漫を感じるのは、言葉では言えない衝動みたいな物が胸に湧いている所為だとシロナは思った。 宇宙では先端技術の研究が行われるのだろうが、それが目に見える形で陽の目を見るのは数十年と先の話だろう。変わりがあるとすれば、自分達の島が賑やかになる位な物だとダイゴは冷静な目で建設現場を眺めていた。
52 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:19:51.45 ID:Qbo1IebW
「おーい! あんちゃ〜ん!」 「お? よう」 風が弱くなり、体感温度が増したので遮蔽物の無い砂浜から離脱しようとした矢先、遠くから子供が声を張り上げながら走って来た。 この子供こそ、後にRSEで王者の印をくれる少年である。ダイゴは少年と知り合いなので、片手を上げて挨拶とした。 「何やってんのさ、この糞熱い中。泳いでる様には見えないし」 「うん? 散歩だよ、散歩」 少年はこの熱射病を誘発しそうな酷暑の中、ダイゴが何をしているのか気になったらしい。別に隠す理由は無いのでダイゴは答えてやった 「散歩ってあんちゃん、もう十分トクサネの人間だろ? 海岸に珍しい石何てそうは落ちてるモンじゃねえよ?」 「知ってるさ。だけど、今回は客人が居るんでね。その案内がてらさ」 元はカナズミの人間のダイゴだが、家を手に入れて越してきて以来、彼はすっかりこの島の住人に受け入れられている。 当然、島に散策する価値があるものが無い事は島の人間なら誰だって知っている。潮流で運ばれたゴミの中からお宝を漁る方がよっぽど有意義な程に。だが、ダイゴが散歩に来たのは本当で、その理由である人物を少年に指し示す。 「客人って……おおっ!?」 「こんにちは」 ダイゴの隣の女性に目を遣り、少年は驚いた声を上げると共に目を丸くする。 その女性(まあ、シロナだが)は社交辞令的に顔に営業スマイルを浮かべて軽く会釈した。 「う、嘘だろ……! あの大誤算がこんな綺麗な姉ちゃんを連れてるなんて! 金で買ったのか!? それともエッチな事をして無理矢理……!」 「良し。喧嘩なら買うぞ。構えろや」 「じょ、冗談だよ、あんちゃん! 怒るなって!」 石好きの変人と名高いダイゴだが、この少年も例に漏れないらしい。しかし、後半の言葉は男として馬鹿にされた気がして看過出来ない。無論本気では無いが、少しばかり殺気を乗せたファイティングポーズを取ると少年は縮み上がった。 「あー……えっと、ま、まさかとは思うけど、姉ちゃんって、あんちゃんの?」 「そう。彼女って奴よ」 話の方向を逸らす為に少年はシロナに対し、思っている疑問をぶつけてみた。当然、シロナとしては憚る事は何も無いので正直に答えた。 「・・・」 「おい、どうした?」 その言葉を聞いた少年は絶句し、目を閉じたまま固まって動かなくなった。 「俺、あんちゃんを誤解してたよ。石にしか興味無いって思ってたのに、見えない処で色々やってたんだなあ」 「色々って何か人聞きが悪いね、そりゃ」 感慨深げに少年が漏らす。残念なイケメンだのストーンファッカーだのと呼ばれる事に耐性はあるが、流石のダイゴも無機物である石に欲情出来る程変態の道は極めていない。 だが、ダイゴは並の女には欲情は愚か目もくれない。そんな彼が熱を上げる稀有な女がシロナである。上玉で無い訳が無かった。 「そうねえ。イロイロ、よねえ。ダイゴ♪」 「ちょっ、君も煽るなよな」 話の中心人物がニシシ、と笑っている。因みに、イロイロとは子供には聞かせられないセクシャルに甘ったるくて生臭い出来事が選り取り見取りである。ダイゴも情操教育に悪い話はしたくなかった。 「邪魔して悪かったな。その姉ちゃんにトクサネをしっかり案内してやんなよ。じゃあな」 「ああ。またな」 「バイバイ」 少年の方もこれ以上絡むのは逢引の邪魔になると判ったらしい。撤退を決意すると言葉もそこそこに足早に去っていった。近い裡にどうせまた会う事になるだろうからダイゴにはそれ以上言う事は無い。対して、シロナは少年の背中に軽く手を振っていた。 「元気の良い子ね。御近所さん?」 「そう。偶に糞生意気で殴りたくなるけどね」 「あれ位の歳なら、それ位が丁度良いわね」 興味がある訳ではなかったが、何と無く聞いてみるとダイゴは答えてくれた。どうやら同じ町内会の子供らしく、越して来た当初から妙に絡まれている……懐かれているのでは無く絡まれているらしい。判った情報はそれだけだった。
53 :
イジワルなあなた :2012/02/20(月) 11:20:47.84 ID:Qbo1IebW
「ねえ」 「何だい?」 散歩に戻って十数分後。後ろを歩くシロナが突然、シャツの裾を握って来た。何事かとダイゴは振り返る。 「ん……その、ね」 「何さ。勿体付けるなよ」 良く見ればシロナの頬が若干、赤く染まっている。だが、戸惑った様に言いたい用件を中々言わない。熱い中で歩みを止めたくないダイゴは早く言って欲しかった。 「あたし、あなたに甘えて良いのよね? ……その、こ、恋人として」 「・・・」 知らない土地である事を良い事に自分でもかなり戯けた事を口走ったとシロナは気付いたのだろう。それでも、二人が付き合っている事実は変わらないので、シロナは相方であるダイゴにどうしても確認を取って置きたかったらしい。 そいつを聞いたダイゴは一瞬、呆気に取られた。 「……ハッ」 「あ――」 正気に戻ると同時に笑いが込み上げる。俺の彼女はこんなに可愛いと認識させられたダイゴはシロナの手を取った。 タコだらけでゴツゴツした男の掌が自分の汗ばんだそれに触れた。たったそれだけの事なのにシロナは何故かドキドキしてしまった。 「今更、だろ? シロナ」 「そうだったわね、ダイゴ」 付き合って一年。思えばこうやって手を繋いで普通の恋人らしい逢引をした事すら無かった。だが、今から夏の終わり迄はそうする自由が許されている。 有り余る時間の中、二人の夏は始まったばかりだった。
54 :
音ゲーマー :2012/02/20(月) 11:23:21.78 ID:Qbo1IebW
次回、再びエロ。相当趣味に走った内容だからキャラ崩壊が著しい。 それでも読んでみる?
読んでみたいとでも言えばいいか?
逆に読みたくないって言われたら書かないのか?w ちょっと驕り過ぎだろ
音ゲーマーさんGJ! ・・・なんだけど、ちょっと最後の一言がアレじゃねーかなーと思ってしまう。 投下してくれるのは凄くありがたいんだけどね・・・。
読みたいに決まってるって確信した上での「読んでみる?」だもんなぁ…… 何かエロシーンっぽい言い回しだよな 「もっと激しくしてほしいのか?」「もう、分かってるくせに」みたいな 癖なんだろうけど、それを俺たちに対して使うのはどうかと思うぞww 何はともあれ続き待ってます
59 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:43:38.80 ID:kKtrqnSc
Interval:雌ぬこと遊ぼう シロナがダイゴの家に来て一ヶ月が経とうとしている。 夏の時間が半分程消費された辺りだが、今日に至る迄でダイゴが企画していた遊びの殆どは終了している。 キンセツのゲームセンターで遊び、煙突山に登ってフエン温泉に浸かり、ヒワマキの近くでヒンバス釣りをやってみたり、送り火山で神話の調査を行ってサファリでポケモンを追い回し、サイユウの近くで泳いだりもした。 行っていないのは古代塚や小島の横穴、おふれの石室位だが、それらの場所も近い裡に連れて行く事がダイゴの中では既に決定済みだった。 そんな二人が何をやっているかと言うと…… ――ダイゴ宅 居間 「ちょ、ちょっと! こっち来るんじゃないわよ!」 「落ち着きなって。十分狩れる相手だよ?」 仲良く狩りの真っ最中。クエストは火竜夫婦の同時狩猟。 ターゲットのレイアに追い回されてCynthia(シロナのプレイヤーネーム)はきりきり舞いしている。 対して、Steven(ダイゴのプレイヤーネーム)は余裕の貫禄でレウスを太刀で鱠にしていた。 「無茶言わんでよ! あたしゃ、アンタみたいに廃人じゃないのよ!」 「ええ〜? それって酷くない?」 プレイ時間が廃人と常人を分ける差だと言うのなら、シロナも着実にその域に踏み込みつつある。もう丸三日、二人は家から一歩も出ておらず狩りとファックばかりの生活に浸っている。 「……よっしゃ。One down.One more go,and finish this」 「May day! May day! I need your help!」 ダイゴが一匹を捕獲。後一匹で勝負が決まるのだが、追い込まれたシロナは遂に泣きを入れた。 「あー、全く。下位だよ、これ? そんなちょろい機動に惑わされるんじゃないよ」 「それは出来る奴の理屈だってのよう!」 隣のエリアで交戦中なので救援に向かっても良いが、助けてばっかりだとシロナの為にならないとダイゴは踏んだのだろう。休憩がてら煙草を咥えて吸い始める。シロナの涙目の視線が刺さるみたいだったが、煙草を吸い終わる迄ダイゴはそれを無視した。 「ランク上げに躍起になるのは判るけど、急ぎ過ぎじゃないか? 自力が追い付いて無いよ?」 何とかクエストを終了させ集会所に戻って来た。此処最近の進行頻度は異常で、武器も防具も満足に揃わない状態で狩りに望むシロナは常に死と隣り合わせの状態だ。 しかもシロナ自身のプレイヤースキルはお世辞にも高いと言えないので、カバー役のダイゴにとっても負担が大きい。 些か拙速に過ぎるシロナが何を考えてるかは知らないが、もう少しゆっくりまったりと歩んで欲しいとダイゴは常々思っている。 「判ってるわよ。でもさ、早く着てみたいじゃないの」 「新しい装備?」 シロナもそれについては理解している様だ。だが、譲れない理由があるので彼女も無茶を承知でやっているのだ。その理由と言うのが実に下らない事だった。 「エロ装備よ、エロ装備! ちゃんと聞いてたんだから!」 『エロの代名詞って言やぁキリンだけど、些か見飽きた感が否めないんだよね。僕のお気に入りはレックス足にナルガ装備だね。アレの尻はエロいよ?』 ※2Gが現役の頃の話と仮定して下さい。(作者) 「ああ、だからか」 そう言えば、酒を飲みながらやっている時にポロっと口走った記憶がある気がする。 シロナはそれを覚えていて、その素材を手に入れる為に急いでランクを上げているのだろう。何とも涙ぐましい努力だとダイゴは少しだけ感心した。 「でも一人じゃキツイからさ。こうやって、半ば寄生虫に成り下がっても頑張ってるんじゃないの」 「うーん、まあ、確かに目の保養にはなるんだろうけど、所詮ゲームの中だからねえ」 良く考えればそれはシロナ自身の為でなく、ダイゴの冗談めいた言葉を叶える為にやっていると言っても間違いじゃない。しかし、其処迄されてもぶっちゃけコメントに困る。 それが女心と言うのなら、ベクトルが間違っているとダイゴは冷静に分析する。
60 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:44:47.39 ID:kKtrqnSc
「そんなのよりは、君がリアルで直接何か着てくれた方が手っ取り早いと思うけど」 「!」 「あ」 リアルとゲームを混同してはいけない。それならば、ゲームの中ではなくリアルでシロナに何かを期待……と、其処迄考えてダイゴはまたしても自分が要らん事を口走った事に気付いた。 「うふ。うふふふふふ」 「あー、やっべ」 後悔してももう遅い。シロナの顔には邪悪な笑みが満たされている。何と無く悪い事が起こりそうな予感にダイゴが若干顔を引き攣らせた。 「確かに聞いたわよ? あたしにエロい格好、して欲しいんだ。ダイゴってば」 「まあ、否定はしない。最近、少しマンネリ気味だから新しい刺激があっても良いかなってさ」 ハンターの顔を覗かせるシロナにダイゴは怯む事無く答える。 思い返せば去年、シンオウで初めて犯った時、シロナの気合の入った格好に何か色々と酷い事を言った気がするダイゴ。 しかし、近頃シロナとのそれに飽きが来ているのも事実なので、ダイゴはそれが打開策になるならと正直に言った。 「うんうん、判るよ男の子。あたしみたいな可愛い彼女がえっちぃ格好したら、それだけで嬉しいのよね? お姉さんにはちゃんと判ってるんだから☆」 「……僕の方が年上なんだけど」 お姉さん振りたい年頃か否かは不明だが、何だかとても嬉しそうなシロナに一応突っ込んでやるが全然利いていない。自分で可愛いとか言うなとも言いたかったが、実際最近のシロナは可愛いのでダイゴは言葉を飲み込んだ。 「皆まで言わない。……一寸待ってなさい。こんな事もあろうかと、向こうからちゃんと用意して来てあるんだから」 「お、おい! ……はあ。どうせ、最後には引ん剥いちまうんだけどね」 シロナはゲームを切り上げると何かを取りに荷物が置いてある寝室へと引っ込む。ダイゴは声を掛けるが、彼女は行ってしまった。 これから起こる生臭い展開に心を躍らせる程ダイゴは若くない。 だが、最終的にシロナを裸に剥いて組み伏せる未来だけは見えている。今まで何度も通過した儀式だが、それが無かった事は一度たりとも無かった。そして、ダイゴの予感は外れない。 「お待たせにゃん♪」 あ、野生(?)の化け猫が飛び出して来た。
61 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:46:18.14 ID:kKtrqnSc
「・・・」 「ありゃ、どしたの? おーい、もしもしお兄さ〜ん?」 ダイゴは渋い顔で世にも珍しい二足歩行の食肉目を見ながら、現実を否定するみたいに煙草に手を伸ばす。絶句して何も言わないダイゴを不審に思ったシロナはダイゴの目の前でヒラヒラと手を振ってみた。反応は直ぐに返って来た。 「君、もう少し歳を考えた方gあべし!?」 「未だ若いわよ! 二十歳前の婦女子に何を言うのさ!」 ライターで火を点ける直前にシロナのフリッカージャブがダイゴの顎に入った。煙草は落ちて床に転がり、言葉も最後迄言えないままだった。 「ぅ、ぐ……済まん。大人びてるから、どうしてもトウが立って見えてさ」 「それ以上ほざくと顔面爪で掻き毟るわよ?」 殴られた箇所を摩るダイゴはシロナの顔を見て少し自分の発言に後悔した。どうやらとても怒っているらしい。配慮に欠ける台詞が気に食わなかったのか、爪と牙を剥き出しにして威嚇する視線を送っている。 歳相応に見られたいと言うシロナの乙女心だろう。恐らくそれは男である限りダイゴには解せないモノであるに違いない。 「……で、それって猫? まさか、ニャルマーって奴かい?」 これ以上ボロが出ない裡にダイゴは話を本題に持っていく。今のシロナの格好について。 ダイゴの見る限り、普段アレを致す時のシロナの格好と殆ど違いは無い。敢て違いを指摘するとすれば、猫耳のカチューシャとお尻の辺りに見えている特長的な螺旋型の尻尾だろう。 そんな尻尾を持っている猫型のポケモンがシンオウに居る事をダイゴは思い出した。 「そうにゃのよ? このコスで挑めばお堅い彼氏も一発で燃え上がるって雑誌で紹介してたにゃん」 「何の雑誌だよ、そりゃあ」 雑誌に書かれた記事を鵜呑みにした結果がこれとはお粗末過ぎて笑いすら込み上げない。 語尾に『にゃん』を付けたり、猫宜しくシナを作ってみたりもしているが、端から見ていてどうしても無理してる感が否めなかった。 案外、シロナの持っている大人っぽさが邪魔している所為かも知れないとダイゴは考えた。……考えたが、結局現状は何も変わらなかった。 「その……僕、猫嫌いなんだよね。どっちかと言えばポチエナの方が」 「あ゛? 我侭抜かすな。股間の一物噛み千切られてえのか?」 ひょっとしたら好みの奴が居るかも知れないが、無理してるしてない以前にダイゴはコスプレに興味が無い。それでも強いて好みを挙げるとすれば、ダイゴの場合は犬だった。 だが、そんなダイゴの言葉は自分の努力の全否定とシロナは受け取ったのだろう。喧嘩腰で脅かすみたいな口調で言い放ちダイゴを睨み付ける。 ――ピクッ その瞬間、ダイゴの眦が釣り上がり、青筋の十字路がこめかみ辺りに出現した。 「――んだとこら?」 「あ」 この瞬間、拙いと直感的にシロナは思った。今迄何度か遭遇した事のある怖い状態のダイゴが顕現してしまった。 頻度こそ少ないが、ダイゴは何かの拍子で普段被っている対人用の仮面を落としてしまう事がある。条件は不明だがこうなった状態のダイゴは冗談抜きで危険だとシロナは彼との付き合いの中で知っていた。 ……知っていた筈なのにまた自分から地雷を踏んでしまった。だが、シロナは自分を悔やむには遅過ぎる事を直ぐに理解させられる。 「随分デカイ口叩くじゃねえかよ、雌猫が」 「あ、あのだ、ダイゴさん?」 口調、表情、声色、纏う空気。普段の彼とはベクトルが180度違う様な豹変振り。正にダークサイドだ。刺激すれば命が危ないと踏んだシロナはダイゴを宥めようとするが、良い言葉が思い付かないのか、青い顔で視線を泳がせる。 「良いぜ? 貴様の主人が誰なのか、その身体に徹底的に教え込んでやるよ」 「きゃあっ!?」 そうしている裡に時間切れ。ダイゴはシロナを米俵宜しく軽々と担ぐとそのまま寝室に入っていった。 シロニャに喧嘩を売られた!
62 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:47:59.14 ID:kKtrqnSc
――ダイゴ宅 寝室 「きゃん!」 ――ボフッ 乱暴に放り投げられシロナはお尻からベッドに着地する。黒いオーラを纏うダイゴは上半身を肌蹴ながら、思わず背筋が凍り付く様な視線で上からシロナを見下ろしていた。 「も、もう! そんなに、お、怒らないでよ。只の冗談……だからさ」 「……冗談、ね。俺は女郎に嘗められる事だけは好かねえんだ。覚えとけ、小娘」 愛想笑いを浮かべ、冷や汗を顔に張り付かせたシロナは泣きたくなる気持ちを抑えつつ懸命にダイゴを宥める。 それが上手く行ったのか、少しだけダイゴの空気が和らいだ。 「ご、ごめん。調子に乗ってたわ」 「…………うんうん。素直な娘は好きだよ」 機嫌が戻りつつある事を知ってシロナは平謝りする事がベストな選択と思ったらしい。だから自分の胸中を偽り無くダイゴに告げると、彼は落ち着きを取り戻したのかシロナの知っているダイゴに徐々にだが戻っていった。 「でも……」 ……しかし、それも一部を除いてだ。 「ひっ!?」 そいつを見てしまったシロナは危機が去っていない事を知り、引き攣った声を上げる。 それはダイゴの目で、ダークサイド状態を維持している様に洒落にならない怖さだった。 「きっちりお仕置きは受けて貰おうかねえ。ひゅっ、ひ、ひひひひひひひ……!」 「ひいぃ〜(涙)」 ダイゴの声帯を通過する不気味な声色。それに身の危険を感じたシロナは泣きを入れて這って逃げようとするが、腕を捕まれてしまって逃げる事が出来なかった。 「成る程。この尻尾はクリップでくっ付いてるのか。と、すると……」 「だ、ダイ、ゴ?」 ダイゴが目に入ったのはニャルマーの尻尾。彼女が好んで履いているローレグTバックに括り付けられたそれを外すと、少しの間思案して箪笥の方へと近付いて何かを取り出してごそごそやり始めた。 厭な予感しかしないシロナは心配そうな顔でそれを見ていた。 「えっと、針金とガムテープがありゃ良いかな。後は……こんなもんか」 ダイゴは工具箱を引っ張り出し、取り出した何かに細工をしている様だ。作業自体は直ぐに終了して、ダイゴは出来上がったそれをシロナの目の前にチラつかせる。 「な、なな、何? 何なの、それ?」 それを見た時、何に使うのかシロナは初め判らなかった。だが、何と無く卑猥なフォルムのそれにセクシャルな用途を感じたのか、自分の身を守る様に身体を強張らせた。 「うん? ケツ穴用のバイブ。ニャルマーの尻尾をくっ付けてみた。ちょい不恰好だけど」 「お、お尻!? まさか……じょ、冗談よね? ね!?」 ダイゴはあっさりと正解を語った。長さと太さ共にかなりの容積を誇る疣付きの張り型だ。前の穴にも使えそうな大きさだったが、ダイゴが後ろ用と言い張るのだからそれは正しいのだろう。 だが、そんな事はシロナにとってはどうでも良い。 今迄散々生臭い事をして来たがそっちの純潔を捧げる覚悟は未だシロナには備わっていない。これがダイゴの悪ふざけである事を願いたい状況だったが、残念ながらダイゴは本気と書いてマジだった。 「何を馬鹿な。猫のコスってんなら、尻尾はバイブって相場が決まってるよ。……さ、観念してマンホールを開きな」 「や、やだ! お、お尻何てやった事が……!」 シロナは逃げ出そうと必死にもがくが、その機会は既に失われていた。腰を捕まれて引き倒されて履いているパンツを引っぺがされそうになる。 「だから、開発しようって言うのさ。これ位じゃないと仕置きにはならんからね」 「や、やめ……! 止めてえええええ!」 せめてもの抵抗に叫んでみるモノのその程度でダイゴの魔手から逃れる事は不可能。シロナの下半身を守っていた布切れはあっさりと取り払われた。
63 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:50:25.91 ID:kKtrqnSc
「往生際が悪いね、ぬこさん」 「い、いやああんん!」 尚も逃げるシロナの腰を引っ掴んで拘束し、尻肉を断ち割って汁を滴らせる赤貝とピンク色の菊の花を露出させる。まるで生娘の様に顔を手で覆い恥ずかしがるシロナだが、ダイゴは微塵の情けも浮かべる様子は無い。中々に鬼畜な御仁だ。 「安心しなよ。ちゃんと解してやるからさ」 「ああん! ダイゴのスケベえ!」 本来は排泄器官である窄まりに口を近付けて軽く息を吹きかけてやる。すると吃驚したようにシロナの身体は跳ねて、肛門自体もひくひく妖しく蠢いた。 「聞き飽きた言葉だぜ。……んっ」 「んんぅ……!」 男がスケベで何が悪い。前に言った事がある気がするが、今更そんな台詞を吐いても仕方が無いのでダイゴは指に力を込めてシロナの後ろの穴を押し開く。 ぽっかりと口を開けたブラックホールの淵の部分、肛門の皺の部分に舌を伸ばして円を描く様にゆっくりと舐めてやる。 些かの嫌悪感があったのだろうか、シロナは顔を顰め、唇を噛んでその感触に耐えている様だった。 「どれどれ? 匂いの方はどうかな?」 「なっ、なななな////// 何やってんのよ馬鹿ああああああ!!!!」 ダイゴの取った行動がシロナを慌てさせ混乱の極みへと導く。自分でも恥ずかしい場所に彼氏が鼻を寄せてくんくん臭いを嗅いでいるのだから当然だ。 シロナに羞恥心が僅かでも存在している限り平常心を保つ事は先ず無理だろう。シロナは全身を茹蛸宜しく真っ赤に染めて叫ぶ事しか出来ない。 「ふむふむ。序に味もっと」 「ひいっ!? あ、ああああああ〜〜!!? ちょ、う、嘘でしょ!? やや止めなさいってばあ//////」 ぞくり。 尻の内側に生暖かい感触を覚え背筋を張り詰めさせる。それがダイゴの舌によるモノだと気付いた時、もうシロナは正気では居られなかった。 不浄の穴を執拗に舐めるダイゴ。よもやこれ程の辱めを与えてくるとはシロナには超誤算。正直、ダイゴと言う男を甘く見過ぎていた。 恥かしくて死にそうなのでシロナは中断を懇願するが、イニシアチブを握っているダイゴがその旨を聞き入れる訳が無かった。 「やっぱ君ってば良い匂いだな。味も申し分無し。こいつは珍味だよ」 「馬鹿馬鹿あああああああ////////////」 とんでもない言葉を聞かされて羞恥の涙を零れさせたシロナは生まれてこの方味わった事の無い感情の処理が出来ず、結局の所ダイゴのされるままで居るしかなかった。 「癖になるな、こりゃ」 「ひゃんんっ! ああんんぅ……」 惚れた女のケツの穴を舐める事等屁とも思っていない……寧ろ、それを率先して楽しんでやっているダイゴは相当に修練を積んだ変態で間違いない。 どんな美人であれ、肛門がひり出す場所である以上、其処が汚れと穢れを孕んでいる事は誰だって判る。 そんな場所の饐えた臭いとおぞましい風味を絶品と言っている辺りダイゴはかなりの上級者だ。新しい玩具を得た様にその顔には酷薄な笑みが張り付いている。 「もう一寸堪能しておくかね」 「あ……ぁ、そ、そんな……あ、ああ……♪」 遠慮も憚りも無く、ダイゴはシロナの直腸への穴にむしゃぶり付き、舌を差し入れて頑なさを解しつつ、分泌される腸液を啜り飲み干す。 じゅぶじゅぶじゅるじゅる。味わった事が無い異質な刺激がシロナを襲っているが、その中で嫌悪とは違う何か妙な感覚が芽生えてきて、シロナはそれを持て余してもどかしさを体に募らせていった。
64 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:51:51.83 ID:kKtrqnSc
――凡そ十分経過 「あんっ! あんっ! ああはぁ……」 生まれた感触に蝕まれてシロナは体をピクピクさせて口元から涎を伝わせて甘い喘ぎを漏らしている。その様子を見る限り、最初の方にあった嫌悪感は最早存在せず、寧ろそれに心地良さを感じている様だった。 「ふむ」 滾々と湧き出す生臭い腸汁を啜り、口元をベトベトンにしたダイゴは舌が疲れたので塩梅を確認する為にシロナの尻穴から口を離した。粘着く唾液と汁の混合物が穴の淵とダイゴの口元の間に糸を引いていた。 「んくっ! ……うんんん」 ――ずぶっ 解れたぽっかりアナルにダイゴは人差し指を入れてみた。シロナは少しだけ顔を顰めただけでそれを苦も無く根元迄飲み込んだ。 「んで」 「ひぐっ!? ぃ、痛……痛いよ、ダイゴ……!」 侵入した異物を押し出そうと腸壁がダイゴの指を締め付ける。容量には未だ余裕がありそうなので今度はその状態から更に中指を捻じ込んでみる。 ぶっすり突き立てられた指に多少の痛みを感じたシロナは涙目で振り返り、その旨をダイゴに訴える。今の段階ではこれが拡張の限界らしかった。 「まあ、何とか入るか。じゃあ、ローション使って、と」 此処で漸く小道具の出番がやって来る。シロナの拡張具合と張り型の太さを相談すると挿入するのは難しい所だが、それも他の道具のアシストあれば可能となる。準備が良いダイゴはその辺りも抜かりが無い。 一番太い部分が入り口さえ通過すれば問題無いので、何処からか取り出した乳液をバイブとシロナの尻に入念に塗り込んで滑りを増してやる。準備完了だ。 「お待たせした。きっちり咥え込むんだよ」 「あ、ああ……ま、待って! ちょっと待っ……ひぃううぅううう!!」 挿入に際し、一度シロナの鼻先に突っ込む張り型を突き付けてその大きさを認識させるダイゴ。視界に飛び込むグロテスクな形状に恐怖を覚えたシロナは怯えた声で猶予申請する。咥え込む覚悟なんぞは全く決まっていなかった。 しかし、ダイゴはそれを無視した。そんな戯言を一々聞いていられないと、張り型の先端をシロナの後ろの穴に宛がうと力を込める。 ぬるっとした感触と僅かな引っ掛かりを手に感じ、ダイゴがバイブを更に奥へと突き出すと、シロナは切ない悲鳴を上げてそれを飲み込んだ。 「んで、スイッチオンってな」 「ぁ、がっ!? かっ、はっ、ぁひいんん!!」 間髪居れずにダイゴがバイブの電源を入れる。強さはシロナの事をお構い無しに最初から強。MAXで無い辺りがダイゴなりの慈悲だろうが、それでも尻穴調教が初めてのシロナにとってその強度は過酷だった。 腰に響く振動にシロナはシーツを掻き毟り、体を左右にくねらせる。 「今迄に無い反応。気に入ったのかい?」 「違っ! くっ……し、振動が……! く、くすぐったくって凄い変な感じが……!」 そんなシロナの反応をダイゴは顔色一つ変えずに只管冷静に眺め、抑揚の無い落ち着いた口調で問うた。 黙っていても脂汗が浮かび、歯の根が噛み合わずにガチガチと音を立てる。シロナにはそう答えるのが精一杯だった。 「上手い言葉は浮かばんけどまあ、慣れろ」 「ひゃうっ!!」 冷たくそう言ってダイゴはシロナの腹下に腕を入れて腰を浮かせた。そうして、鈍く唸りを上げる電動コケシの根元を引っ掴んで穴から抜ける寸前迄引張る。 排便と似た感覚がシロナを襲って甲高い声が喉を通過する。 「んじゃま、往くかね」 「んひっ!? ぉっ! おほおおおおおおおおおおっ!!」 仕置きの本番はこれからだ。ダイゴはバイブを強く握り、腕でシロナの腰が逃げないように固定すると凄まじい速度でそれを出し入れし始めた。 疣付きの張り型が穴の淵を通過する度、体に電気が奔る様だった。ダイゴの超速ピストンに我を忘れた様にシロナは仰け反り、天井に向かって顔を上げて吼えた。 「それそれ♪」 「おっ! んおっ! おおおんんんん!!」 ダイゴは嗜虐的な笑みを浮かべ、残像が見える速度で只管ピストンする。シロナが感じている事は明らかで、回数を増やす度に彼女の割れ目からは透明な飛沫が噴出してシーツに染みを作っていく。 腰をホールドされて逃げられないシロナはダイゴの仕置きを甘受する事しか出来ない。目を見開いて涙を零れさせ、だらしなく舌と涎を垂らして獣の如くよがり狂う。形振り構わない感じ方だった。
65 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 00:52:40.47 ID:kKtrqnSc
「おーい? お前さん、猫なんだろ? もっと可愛く鳴いて欲しいね。それじゃ只のケダモノだよ」 「ふ、ふっ、ふう……ふうう……そんにゃ、ころ、言っらっへぇ……」 取り合えず百回程シェイクして、ダイゴはシロナの腰から腕を放すと、シロナは支えを失った様にベッドに倒れ込む。その体は不随意的に痙攣していた。 冷徹なダイゴの言葉に回らない呂律で答えるシロナの顔は完全に蕩けていて、何ともそそる女の表情だった。 「難しいって? ……そうだなあ。猫らしく可愛く鳴けたらもっと気持ち良くしてあげるけど?」 「も、もっと?」 ダイゴとしてはもっとシロナの身体で遊びたい所。だが、喘ぎに品の無い女は好かないダイゴは譲歩してやる事にした。そもそも最初はそう言うプレイだった筈なのでシロナにも華を持たせてやろうと思ったのかも知れない。 その言葉にシロナは明確に反応し、肉欲と期待の入り混じる濁った瞳をダイゴに向ける。 「ああ。未知の領域に連れて行ってあげるよ」 「お、お尻……もう、苛めない? それなら……」 ダイゴはシロナに対しやりたい事が山程ある。挿入前にこれだけ出来上がっているのなら、今回は難易度の高い目交いに挑戦しても良いと考えている。だが、それを成すにはシロナ自身が心を開いてくれないと無理だった。 ダイゴの言葉に対するシロナの考えはこれ以上の尻穴調教は勘弁して欲しいと言う事。それ以外だったら何だってやってやると思っている辺り、本当に恥かしかったらしい。 しかし、彼女にとって頭に涌いたその考えこそが更なる肉欲の地獄への切符だと言う事が本人には気付けない。 「ああ。ちゃんと雌マ○コの奥を開発してやるさ」 「(ごくり)」 ――にやり 意図した訳では無いが、結果的に誘導に成功したダイゴは雄の優位性を示威する様にジッパーを下げてエレクトした自分の一物をシロナの目の前に晒した。 生唾を飲み込むと同時にトロンとした顔になったシロナは雌としての自分の今の立場を示す様に四つん這いのままダイゴに尻を向けた。 「わ、判ったにゃん……ご、ご主人様のぶっといチ○ポでシロニャのスケベマ○コをズボズボお仕置きして欲しいにゃん……♪」 そうして既に洪水状態になっている自分の女に指を這わす。ビラビラを開いて恥かしい部分を丸出しにすると溜まっていた粘度の高い果汁がベッドへボタボタと滴り落ちる。 シロナは本当に畜生に堕した様に、ダイゴを明確に誘う言葉を口にして尻をふりふりと振った。 「……媚びろとは言ってないが、まあ上出来か」 それを見聞きしてダイゴは若干萎えた。其処迄やれと言った覚えはない。 って言うかご主人様って何だ。シロナに飼われたい欲望があるかどうかは知りたくも無いが、少なくともダイゴに女を飼う趣味は無い。 だがしかし。シロナ自身にそれを言わせたという事はこれ以上先延ばしにしても何も変わらない事の証でもある。ダイゴはとっとと先に進む事にする。 一応、尻穴弄りは今回は仕舞いなので、バイブのスイッチだけはオフにしてやった。
66 :
音ゲーマー :2012/02/21(火) 00:56:36.92 ID:kKtrqnSc
長いので切るよ。また朝にでも。 頭の悪い発言をしてしまって申し訳無い。良く考えたら凄い失礼な物言いだな。不快な思いをされた方には謝罪します。すいませんでした。
67 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 11:17:27.25 ID:niKYwlyT
「貴様には並のお触りでは生温い。お触り王の力、その身にしかと刻み付けるが良い!」 気合を入れる様に両腕をグルグル回し、首をゴキゴキ鳴らす。 準備が整ったダイゴはシロナの下腹部に手を伸ばす。 「にゃあっ!? や、やあん! いやんん……♪」 「ふふ。相変わらず立派なクリチ○ポだね。よーく育ってるみたいだ」 ダイゴの指が触れたのはシロナの弱点である肉豆。 去年の別れの後の電話でダイゴがシロナに告げた要件。次に逢う時迄毎日欠かさずクリトリスでオナニーする事。 最初は戸惑ったシロナだったが彼女は律義にその言い付けを守り、結果としてそれがシロナのクリトリスを立派に成長させた。 ダイゴ好みに育ったクリ豆は此処一ヶ月で彼自身の手によって好き放題弄られて親指の爪程の大きさになってしまい、勃起状態ではフードの役割を果たす胞皮から完全に捲りあがっている始末だった。 そんな大きな弱点に指の腹でも触れようものなら、それはシロナにとって甚大な被害を齎す。自然と媚びる様な甘い声が喉を通過して、もっともっとと体が快感を強請るのだ。 腰が勝手に動いてダイゴの指と其処が触れ合う摩擦を大きくする。 「だけど、こいつの出番は来ない。今は……」 当然、ダイゴはそれ位承知だ。弄り倒したい気分に駆られるが今はそれよりも優先する事がある。ダイゴは狙い澄まし自慢のハガネールをシロナのパルシェンに宛がって…… ――じゅぷん! 「こいつのターンってな」 根元付近が埋まる程一気に撃ち貫いた。 「ふみゃああああああああっ♪」 大質量の肉の楔がシロナの陰道を埋めた。その圧迫と最奥に到達した際の内臓に響く衝撃にシロナは玉の涙を零し、実に嬉しそうな猫っぽい喘ぎを漏らした。 「ご、ご主人しゃまの、は、挿入っれきらにゃあ……♪」 「相当、欲しがってたみたいだ。膣内の様子で判るよ」 此処最近はシロナが頻繁にお世話になっているダイゴの御神木。膣自体がその太さや大きさを憶えてしまっている様に熱烈な歓迎を行う。 奥へ奥へと誘うシロナの媚肉の感触はダイゴにとっても馴染み深い物だが、その程度でダイゴの鉄壁の装甲は揺るがない。 「はいっ! はいぃ……! オチ○ポ様素敵ですにゃぁんんぅ……♪」 「? ……そいつが演技じゃない事を願うよ」 突っ込まれてシロナが歓喜しているのは明白だが、些か過剰に演技している気がしてダイゴが訝しむ。猫っぽく振舞うのも良いが、気持ち良い振りをされているとしたら堪らない。深い詮索はしなかったが、ダイゴは何か違和感を覚えた。
68 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 11:20:22.01 ID:niKYwlyT
「さて、今回はこの先を目指さないとなあ」 「ふにゅ?」 今回の目的は何時もの様にズッコンバッコンする事とは趣が異なる。 ダイゴ自身、やり方は知っているが自力でそれに至った事が無いので先行きが些か不透明だ。思案するダイゴに幾許かの不安を感じたシロナはダイゴのハガネールを咀嚼しながらその顔を覗き見た。 「ちょいと無茶する事になるから先に謝っておくよ。ゴメンね、シロナ」 「んっ……っ……? ……♪」 決心した様に頷き、ダイゴがシロナの唇に軽くキスを見舞う。 無茶をすると言っているが、ダイゴが何をしたいのか判らないのでシロナの中の不安は増幅される。でもまあ、さっきの様に尻を苛められない限りは大丈夫だろうと勝手に納得してダイゴの薄い唇を強く吸った。 「動ける? 机迄移動するよ」 「ご主じ……ダイゴ? 何、する気?」 「今に判るよ」 キスを終えたダイゴは一物をシロナの中に埋めたままそう言う。益々訳が判らないシロナは正気に戻ってダイゴに聞き返すが、結局彼はそれだけ言ってニヤリと笑うだけだった。 「そう。其処に手を付いて……もう少し腰を上げてね」 「もう少し……んっ! こ、こう、かなっ?」 寝室の入り口脇に置かれている粗末な作業机。シロナはその角に両手を付き、立ちバックの状態でダイゴを咥え込んでいる。ダイゴは挿入の角度を気にしている様に何度かシロナに腰の位置の修正を求める。 「待て待て……おっけ! どんぴしゃ! 後は……こっちで……っ」 「へっ? へっ!? 何? 何なの!?」 そうして、それを繰り返す裡、ベストな角度を見つけてシロナにその位置の固定を促して一物をシロナの中で動かし始める。 後は任せろと言われても何をやっているか判らない状態で落ち着ける筈もない。シロナは再び大きくなる不安を振り払う様に後ろのダイゴに声を掛ける。 「焦らずに……ゆっくり……っ! せーの、西・日・暮里♂!」 「ぅあ――」 シロナが不安なのも判るが、ダイゴも集中力を切らす訳にはいかなかった。だから、それには答えずに代わりにフェアリーエクスプレスをシロナの奥の奥へと埋没させる。 そうして、シロナは自分で最奥だと思っていた場所よりも更に深い所に侵入ってくるモノの存在を感じ、少し呻いた。 「よっしゃ! 抜けた!」 細くて狭いゴムの輪っかを抜けた感触が亀頭部分に伝わって来た。 それがウイニングラン到達の証の様に感じられ、ダイゴは柄にも無く嬉しそうな声を上げた。 「――あ、あ……? こ、れ……ひょっとして……?」 「ご明察」 対して、シロナは不思議な感覚の中に居た。ダイゴの一物から感じられる圧迫感や熱はそのままなのに、何と言うか心にあった隙間が暖かく満たされている様な妙な充足感や安心感が沸々と胸の中に湧いている。 その正体について何と無くシロナは察しが付いていたが、どうにも怖くてそれを確かめられない。現状を確認しようとしないシロナに現実を見せてやる為にダイゴはシロナの掌を下腹部へ導いてやった。 「う、そ」 「信じられないって? まあ、普通はそうだよね」 掌に触れたのがダイゴの先端である事がシロナには直ぐに判った。恐る恐る視線を下げると、臍の下がぽっこりとダイゴの形に膨らんでいた。 ダイゴはシロナの項にキスを落としながら穏やかにそう零していた。 「え、と……あの」 「こいつが今の処、僕が君に示せる最大の誠意だ。上手く行くか不安だったけど、実際上手く行って良かったよ」 何か目の前の事態が現実離れしていてどうにも頭が働かない。これで痛みの一つでもあれば状況認識が容易いのだが、それすらない。唯、胸一杯の安らぎがあるだけだ。 ダイゴの言葉に偽りは無い。彼が習得している技術の中で最大級の難度を誇るのがこの子宮姦だ。角度調整以前の問題にメンタルの面でお互いが深く噛み合っていなければ到達が不可能な性行の一種の極地。 今迄、ダイゴにはそう言った相手が居なかったのでずっと試す事すら出来なかったが、シロナと言うパートナーを得てやっと今宵成功を収めた。 相手がエクスタシーを得ている状態では子宮が硬くなって逆に到達が難しくなるのだが、それすら撥ね退けられたのは二人の相性が抜群に良いからなのかも知れなかった。 ※現実に実行可能かは問題じゃありません。(作者)
69 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 11:23:14.95 ID:niKYwlyT
「来てる、のね? ダイゴが……あたしの赤ちゃんの部屋に」 「ああ」 本来入ってはいけない場所。だが、それすらも動員し文字通り全身を使ってダイゴを受け入れられた事がシロナには何よりも嬉しい。受け入れるのが女の悦びと言うのであれば、確かにこれ以上の到達点は無かった。 「……じゃあ、始めようか」 「うん………………は?」 シロナに残された最後の布地を取り払う為にダイゴはブラのホックを外しながらシロナに戦闘開始を告げる。ブラジャーは直ぐに外れ、猫耳と尻尾以外、完全にシロナは全裸になった。 シロナはその言葉に反射的に頷いてしまった。そうして二秒程の沈黙を経て慌てて聞き返した。 「いや、嵌めて終りじゃないっしょ? 僕は未だ一発たりとも発射してない。だから付き合ってよ」 「あ、や、いやいやそうだけど! こ、この状態で!?」 当然の成り行きとして、ダイゴはシロナの子宮を用いて射精を行う腹積もりだ。無論、シロナだってそれが判っているが、未知の経験が連続し過ぎてどうにも気後れしてしまっている様だ。 「何の為に此処迄来たのさ。大丈夫。丁重に扱うから安心して未知のエリアに旅立ってくれ」 「大丈夫って何が……っ、ふひゃああああああああああああ!?!?」 そして、此処で中断されては生殺しなのでダイゴは適当に言葉を紡いで腰をゆっくりと慎重に動かし始める。 其処から生み出された言葉に出来ない強烈な快楽に言葉の途中でシロナは涙交じりの悲鳴を上げた。 「おうっ!? こいつは激しい……!」 幹を扱き上げるマン肉と雁首を締め上げる子宮口の相乗効果はダイゴを以ってしても抗い難いものであるらしい。露骨に左右に振られた着地皿が連続する様で、ケツプリするなって方が無理って言える程の身体が嫌がる厭らし過ぎる配置。 だからダイゴは動きを止めざるを得なかった。 「な、にっ……にゃにこれ凄ぉいいいいっっ!! ふごいっ!! ふごいぃぃ!!!」 それ以上に悲惨なのがシロナの有様で、ダイゴが軽く動かすたびに脳裏にバチバチと火花が散って見える様な有り得ない気持ち良さに、まるで一鍵ビームを喰らった様にゲージの殆どが吹っ飛んだ。 「何って……ウテルスだろ? ポルチオ超えてるって話だけど、与太話じゃなかったみたいだね」 「知らない……こんらの知らにゃい……! こ、怖い……ダイゴ怖いよぅ……!」 男である以上女の快楽を理解出来ないダイゴだが、一般的な見識については理解がある。腹膜で得られる快楽が女性では最上と言われているが、子宮で得られるモノはシロナの様子を見る限り超えているのは間違い無い。 舌は回らず、思考は曖昧。蝕む快楽に意識は徐々に刈り取られ、最終的には呼吸も満足にすら出来ない。……そう言う劇薬にも似た快楽だ。体験している本人にとっては確実に地獄だろうが。 そのほんの入り口に立ってシロナは本能的な恐怖に怯える。処女喪失の時もこうやって怯えを見せたシロナだが、今回のこれは前回のそれとは微妙に異なる。 受け入れる事そのものへの恐怖と受け入れた後に生まれた物に対する恐怖の違い。歯を食いしばって耐えれば良いと言うモノでは無い。何故なら、生まれた物は確実にシロナ自身の一部だからだ。 「恐れるな」 「っ」 だから、ダイゴに言える言葉はたったそれだけ。励ます訳でも叱る訳でもない。自分の一部なら自分でどうにかするしかない。 「唯、喰らい付け。そして、飲み干せ。それだけの事さ」 「ダイゴ……」 どっち道、ダイゴが射精を果たす迄、シロナはそれに晒される事になる。避けられないなら、楽な道を行く方が良い。 そいつに流されず、逆に牙突き立てて、食い尽くしてやれば良い。今はこの状態を楽しめとダイゴは言いたいのかも知れない。シロナは何だかそれがダイゴからの挑戦状の様に感じられた。
70 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 11:25:27.67 ID:niKYwlyT
「よっこいせっと」 「きひぃんんぅっ!! は、はっ……ぁ」 ダイゴはシロナの膝裏に手をやって刺さった一物を中心にシロナを持ち上げる。深かった挿入が尚深みを増してシロナの脳味噌にピンク色の霞を掛けた。 ダイゴが駅弁状態に移行したのはベッドに戻りたいからだろう。腰に結構負担が行くこの体位を苦も無くやってのけるとはダイゴは中々足腰が丈夫らしい。長年野山駆け回って石収集を続けて来た賜物なのかも知れない。 「今回はコイツも動員するか。……シロナ」 その途中でダイゴはふと思い付いた。箪笥の横の姿見。折角だから今回は色々試してみようと行き当たりばったりに決めてみる。 シロナの身体を支えているので手が使えないダイゴはシロナに指示を出して姿見を引っ張り出させ、その角度を調節させる。 「っ……っ……これで、良いの?」 「ああ。ご苦労さん」 深い挿入状態で今は体を少しでも動かす度に絶頂しそうになるシロナにとってそれは中々の重労働だった。 手が震えて上手く掴む事すら難しかったが、何とかそれでもダイゴの注文を捌く事が出来た。そんなシロナの労苦を知ってか、ダイゴはシロナを言葉で労ってやった。 「良く見えるな。繋がってる箇所がさ。君はどう思う?」 「……最低よ。でも……でも、気持ち良い……!」 ベッド脇に腰掛けて、繋がっている自分達の姿を鏡に映す。 汗の膜に覆われ、全身を真っ赤に染めて、自分の一番深い場所で男の竿を食い占め、顔に歓喜の涙を伝わせる浅ましい牝が一匹。 そんな女を穿ち、喘がせ、泣かせて鳴かせて玩んで、一番深い場所に到達出来て、安っぽい征服感に酔っている馬鹿な牡が一匹。計二匹の獣が互いの肝を抉り合い、悦に浸っていた。 鏡でも使わない限り、情事の最中の全身像を正しく把握するのは難しい。だが、それを見てしまえば羞恥心が湧くのも自然な事だろう。実際、男であるダイゴだって実は恥かしい。シロナもまたそれは同じだった。 だが、最後にシロナは実に悔しげに涙の筋を張り付かせながらそう呟いた。もっともひくい気分に関わらず、其処に快楽を見てしまっているシロナはもうダイゴと言う男から離れられない運命なのかも知れない。 「なら良い。……動くのは君に任せよう。僕は弄りに徹するからさ」 「きゃあ……! っ、まさか……あたしを試してるの?」 自分の状態を正しく認識しているならば、ダイゴに言う事は無い。漸くお触りの時間がやってきた事を喜びつつ、後はシロナに任せる事にした。 乳に食い込む指の感触に甘い痺れを感じながら、シロナは此処に至って攻め手を放棄するダイゴの真意を測りかねているみたいだった。 「さあ? 君なら判るんじゃないの? 僕の考え位は」 「! ……嘗めないで! あたしは……!」 何時もの如くダイゴは正解を杳として語らない。案外、疲れたから休憩しているだけなのかも知れないが、そんな無駄に意味深に言われれば、大抵の人間は深く考えてしまう。 少なくともシロナには、さっき快楽に恐怖した自分に対し、それに自分の意思で挑んでみろとダイゴが嘲笑っている様に感じられた様だった。 だからシロナは決意した様にキッとダイゴを一度睨むと、目をギュッと閉じて子宮で竿の先端を扱く様にゆっくりとだが着実に腰を上下させた。 「ぐうっ! ぐっ……」 「ふっ……きひいぃ……! ァ、アンタをっ、気持ち良くする位! 訳無いんだからあ!!」 ずっと受身だったシロナが初めて見せた積極攻勢。高密度の虹色の滝が絶え間なく降ってくる様でそれにゲージを喰われ掛けたダイゴだったが、ジェットスティックを恐れない乱打打ちで何とかそれを凌いだ。 「フッ、ならやってみな。……俺の本気を引き出して見ろ!」 「上、等っ……! 絶対溺れさせてやるんだから……!」 何時も好きにされっぱなしと言うのは嫌だ。だから今回はあたしがダイゴを気持ち良くしてやる。 それが今のシロナの行動原理であるが、何と無くそれが果し合いの様に映ったダイゴはシロナを挑発するみたいに言うとシロナもそれをその通りに受け取ったのだろう。 絶えず浅い絶頂が襲う様で、気を抜けば腰が勝手に動く状況ではあるがそれでもシロナは理性をすり減らしながら今夜得た女の最終兵器を使い、ダイゴの装甲を削っていった。
71 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 11:28:06.53 ID:niKYwlyT
「その意気や良しってね。でも、君にはデリケートな場所だ。乱暴にはするなよ?」 「知った、こっちゃ……ないっ! ……わよぉ♪」 子供を孕む宮だから子宮。本来、性行で使う様な場所では無いが、使ってしまったのなら出来るだけ其処に負担を与えない様に使ってやるのが吉だろう。乳を鷲掴み、捏ね回しながら言う言葉では無いがそれでもだ。 何かあってからでは責任取るのが難しいからこそのダイゴの言葉だが、シロナ本人はそんな事情はブッチ無視だ。何が何でもダイゴに勝ちたいシロナの女の執念と言う奴かも知れなかった。 「ううっ!? や、やるねえシロナ……っ」 「んふっ……ふふっ♪ そう、でしょ? 偶には勝たせなさいよ……んっ♪」 普段から最中はダイゴ任せである事が多いシロナが積極的に腰を振って攻め立てると言うのはダイゴにとっては馴染みのない光景である。 必死になって快楽を共有して、気持ち良くしようとするシロナの熱意には思わず絆されそうになるダイゴ。装甲には自信がある彼であっても心に訴える様な真摯な攻撃には強いとは言えない。実際、彼の耐久ゲージは絶賛低下中だった。 自分を褒める様な呻き混じりのダイゴの言葉にシロナは途端に嬉しくなった。今迄はダイゴ主体だったので自分が彼に快楽を与えていると言う実感は得難かったが、今回はそれを明確に感じている。 シロナは快楽で思考を馬鹿に染めつつも頑張って腰を振った。このままダイゴを絶頂に導き、もっともっと褒めて欲しい。……そんな甘い夢を見ている様だった。 「え? だーめ♪」 「にゃっ!? ふみゃあああああああああああ――っ!!!」 しかしながら、現実は常に非情だ。ダイゴがにっこり笑うと同時、突然意図しないタイミングで強い突き上げを喰らったシロナは再び猫っぽい声を上げて悶絶する。今しがた頭に描いた妄想も一瞬で掻き消えた。 「そう……ぅ、簡単に……っっ、譲りたくないんだなあ。……男としてさ」 「やあああぁああぁ!! 意地悪! イジワルぅ!! なんれ動くのようっ!!」 弄りに徹すると言って置きながら、その言葉を守らないダイゴを非難する様に鳴きながら劈く声で喚くシロナ。イジワル過ぎるダイゴの腰の動きに強制的に絶頂させられた。 「おっと、失敬。つい、ね。もっと気張るから許してよ。……ね?」 「いやあああんんん!! ぐちゅんこぐちゅんこらめええええええっ!!!」 男の安いプライドがそうさせた。そんな事言っても女であるシロナがそれを理解出来ると思わないダイゴは言葉の代わりに行動で示す事にした。 天辺に昇ってこれ以上行き場がないのに更にダイゴが腰を打ち付けるものだから、シロナは天井に頭にぶつけている状態なっている。 今の絶頂が下から迫る新たな絶頂に上塗りされる。幾らシロナでもこんな発狂譜面に身体と脳味噌が付いて行ける筈もなかった。 「くううう……っ! こりゃ長くないなあ……!」 「壊れ……あらひ壊れひゃうううんんん!! ゆるひて……もっ、ゆるひ……!」 発狂状態に身を置いているのはダイゴも一緒。ゲージが輝きを失い、代わりに下腹部に溜まっているマグマが開放先を求めて暴れ出した。 速度を徐々に増す串刺しストロークにとうとうシロナは許しを懇願する。涙と鼻水と涎を垂れ流し、嗄れそうな声で必死に訴える。それでもシロナの女はダイゴの一物に尚も牙を突き立てて、一番深い部分で精を飲もうと咀嚼する事を止めない。 「おいおい、違うだろ。終わらせたいなら……んつっ! 僕を搾り取ってからだね」 「ひくっ!? っ――」 思考と体がバラバラの非常にヤバイ状態にシロナは居るが、ダイゴだって止まる事は出来ない。男の絶頂が吐き出すモノである以上、それが成される迄止める気持ちはこれっぽちもない。許す許さないの問題でも無い。 そうしていると、突然シロナの頭がカクンと落ちた。電源が落ちたみたいに一切の動作が無くなり、体をダイゴに預けて動かなくなった。
72 :
音ゲーマー :2012/02/21(火) 11:30:11.43 ID:niKYwlyT
外に出かけてくる。相変わらず長くて済まない。続きは夕方に。
73 :
音ゲーマー :2012/02/21(火) 17:45:02.08 ID:lHes4XEf
「え? なっ――」 そいつが異常事態に感じられたダイゴも中断を余儀無くされた。 まさか、落ちた? そんな馬鹿な。異常興奮による脳貧血だろうか。現状が不明瞭なのでダイゴは下を向いて動かないシロナに呼び掛ける。 「シロナ?」 声を掛けても反応は無い。仕方無しに頬をぺしぺしと張ってやるが、それでもシロナは沈黙したままだった。 おいおい、本当に大丈夫なのか? 自分がそうした癖に反省している素振りは微塵も見せず、緊張感が感じられない言葉を脳内で呟く。 「――ハア」 そうして一分程待っていると、シロナは突然顔を上げて辺りを見回す様に眺めてゆっくりと息を吐いた。 「あ、気付いた?」 「――」 シロナに何が起きたのかダイゴには想像も付かないが、失神を通り越して本当に未知のエリアに渡っていたとしたら大変だ。後背座位では顔が見えないのでダイゴは無理矢理シロナの顔を後ろに向かせる。 忘とした表情で瞳にも生気が無かったが、それも一瞬の事だった。ダイゴの顔を瞳に収めた途端、シロナは破顔し、嬉しそうにダイゴの裸の上半身に体を擦り付ける。 「ご、ごしゅりんしゃまあ……♪」 ……こんな言葉を吐きながら。 「――あ?」 今度はダイゴが混乱する番だった。その表情を見た時、最初別人だと思った。声色も纏う空気もダイゴの知っているシロナのそれではなかった。普通じゃない輝きを放っている彼女の金の瞳を見ているとそれに吸い寄せられる気分になってくる。 男を誘う魔性が憑いている様な淫靡で扇情的な空気がダイゴの肌に不快感と共に纏わり付く。それでも、嬉しそうに笑うシロナの顔は本当に綺麗で、魅了されそうになっている自分に気付いてその誘惑を振り払う。 ……やべ。本当に壊しちまったか? ……否、違う。きっと変なスイッチが入っただけだろう。ダイゴはそう思う事にした。思わなければ頭が変になりそうだった。 「ん〜♪」 「んぬっ!?」 彼是考えているとシロナに先制攻撃を許してしまった。ぶちゅっと言う擬音と共に深く深くキスされた。 「んふぅ……っちゅ、ちゅう、くちゅ、ぷちゅ……あふうう……♪」 「〜〜っ!! ……っ! ぶはっ! はあ、はあ〜……な、何ぃ?」 こんなに激しい奴も出来たのかとダイゴが驚く様なキスだった。ぐっちゃぐっちゃと舌で口腔を掻き回されて、生気や魂やらを吸い取る様に口を犯して来る。 鼻で息をした所で酸素は全く足りず、視界が霞み始めて拙いと気付いたダイゴは何とかシロナから逃れる事が出来た。涎だらけの口元を拭う気すら起こらない。 一体全体どうなってる? まさか欲動(イド)の発露と言う奴なのだろうか。ダイゴには判らない。 「ご主人様☆」 「ううっ」 ダイゴの混乱は他所に、変な方向に覚醒したシロニャさんは本来の仕事を思い出した様に激しく腰を振り始める。先端の敏感な場所が子宮口のリングに引っ掛かり、痛みにも似た刺激を与えて来て、ダイゴが呻きを漏らした。 「シロニャのスケベ子宮……ひもちいいれふかぁ……?」 「えっ……ぁ、ああ。も、勿論。実はもう逝っちまいそうだよ」 艶の乗った媚びた台詞を垂れ流し、シロナは実に活き活きとした顔でダイゴの竿を扱き立てた。 これが普段のダイゴなら『媚びた女は好かん』(`・ω・´)キリッ……とか言う台詞を吐いてシロナを跳ね飛ばすんだろうが、今のダイゴはシロナの発する空気に飲まれているのか、自分の思っている事を素直に喋ってしまう。 「やあん……やぁん♪ 特濃チ○ポザーメンごっくんしたらシロニャ、赤ちゃん出来ちゃいましゅにゃんん……♪」 「えと、げふん! ……どうだろう? でも、君は飲みたいんだろう? 腰が動いてるぞ?」 自分が妊娠した姿を想像して興奮しているのだろうか。顔を手で覆って恥かしそうにいやいやするシロナはどうみてもそれに嫌悪感を持っている風には見えない。それ所か目ににハートマークを浮かべている。 少し落ち着いたダイゴは咳払いすると冷静に突っ込みを入れる。今迄生で何度と無く種付けを行ってきたが、妊娠の兆候すら確認されていない。 そりゃあ、子宮に直に種付けを行えばそうなる確率が上がるのだろうが、少なくともダイゴはそう簡単にいかない事を理解している様だった。 それよりも重要なのは上下左右複雑にグラインドしているシロナの腰の方で、もう子宮で咥え込んでいるにも関わらずそんな動きをするものだから幹の部分が痛みを訴えていた。
74 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 17:47:32.87 ID:lHes4XEf
「はい♪ はいぃ♪ ご主人様の高貴なザーメンっ、シロニャの下賎なケダモノマ○コにお恵みくらひゃい……♪」 「そんな事言うなよ。君は僕の今のパートナーなんだからさ」 シロナは自分を貶す言葉を吐いて、体を熱くしている様だ。『残念な美人』……今のシロナを表現するにはこれ以上ピッタリな言葉はダイゴの頭に思い浮かばない。 (……こいつ、Mか?) 少しだけシロナの本性を見た気がしたダイゴだったが、別に詰ってやる気は起こらない。 寧ろ、そんな風に自分を卑下して欲しくないダイゴは逆に優しい言葉を送ってやった。 そんなのはSに成り切れない屁垂れの言い訳だと考える奴も居るかもだが、シロナ相手に酷い言葉を掛けたくないと言うダイゴのなりの優しさでもある。甘さ、と言っても良いかも知れない。 「ありっ、ありがとうっ、ごらいまふっ! シロニャ感激してまた逝っぢゃいまっず!!」 「うおおっと!? ……くっあ」 だが実際、その言葉が嬉しかったのか、シロナは絶頂を誘発され、涙を零しながら仰け反ってダイゴのジュニアを再起不能にする様な強さで抱き締める。 もうこの時点でダイゴのゲージは空っぽになり、閉店迄の秒読みが開始された。 「もっ、無理だ。注ぐからな? で、でもその前に……」 「ふえぇ? ……あは♪」 このまま果てるのは勿体無い。今回はやりたい事を最後迄やると誓ったダイゴは尻の穴に力を込め、唇を噛んで僅かの延命を図る。 絶頂後の脱力状態で半分放心していたシロナはダイゴがまた何処かから引張ってきた最後の小道具を見て愉快そうに笑った。 「一回、やってみたかったんだよな。今日の記念って事で、記録しておこう」 「写真……ご主人様とあたしの愛の証を残すんですね♪」 ダイゴが手にしているのはデジカメだった。 ダイゴのポケナビ、シロナのポケッチに写真機能は付いていない。まあ、若し付いていたとしても、どうせならちゃんとしたカメラで思い出は残したいモノだろう。例えそれがハメ撮りと言う生臭いモノだとしても。 こう言う場面に於いて、彼の物持ちの良さと周到さは本当に侮れないモノだった。 「簡単に言えば。んじゃ、往くぜっ!」 「あっ! ああっ♪ ご主人さまああああんんんっ!!」 もう話している時間すら惜しかった。蟠る欲望を解放する為にシロナに悪いとは思いつつも乱暴に腰を叩き付けて、射精へのボルテージを高める。その激しい腰使いにダイゴの雄々しさを垣間見させられたシロナは歓喜の表情で咽び泣いた。 「シロナ……っ! 良いかい?」 「はいっ! 来てぇ!! シロニャにいっぱいびゅーびゅーしれぇ!!!」 顔と口には出さないがダイゴも結構な苦境に立っている。もう自分とシロナの境が曖昧で、一物の先端部はシロナに食まれて感覚が殆ど無かった。 だが、その苦労も此処迄だとシロナに種付け宣言すると、シロナもとっくに準備完了と言った具合に叫び返した。 「それじゃあ遠慮無くっ!」 「シロニャを腹ボテのブニャットにしてええええっっ!!!!」 これだけ頑張ったのだから子宮を直接耕すのも吝かじゃない。若し、本当に妊娠したのなら覚悟を決めれば良い。 ダイゴはシロナに射精したかったし、シロナだってダイゴに射精して欲しかった。二人は自分の欲望に素直に従う事にした。 「つお! ……ぅ、く……ぐっ」 「はにゃあああああああああんんんんんんんっっっ――――!!!!!!」 ――ぶびゅっ! びちゃびちゃ…… ダイゴのアイアンヘッド! 急所に当たった! シロナは小便漏らして倒れた! 「は、あっ、っ! し、シロナ! さあ!」 「あー……あはあ……ぁ、あへえ……☆」 尿道を伝うダイゴの白い血液がシロナの最奥へ灼熱感と共に溜まっていく。子種を撒き散らしながらデジカメを構えて、姿見に映る自分達をフレームイン。 絶頂の快楽に意識を半分落としながらも、シロナは何とか自分の姿を綺麗に残したいと思ったのだろう。黄金水を迸らせながら、両手でピースし、だらしなく弛緩した表情を何とか笑顔に変える。そうして、ダイゴはシャッターを切った。
75 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 17:49:22.64 ID:lHes4XEf
「ふーっ、ふうー……ふっ……っ、どうかな」 「ひれいに、撮れてまふかあ?」 蟠っていた相当量の溶岩を放出し切ったダイゴは荒い息を吐き、疲労を顔に滲ませる。シロナの子宮内膜に亀頭を使って直接精液を塗り込みながら、たった今撮った写真を確認する。シロナも出来が気になるのかフラフラしながらデジカメに顔を寄せる。 「……ひゅう。ちょっと表情硬いけど、これはこれで……(ごくり)」 映し出された写真を見て生唾を飲む。 意図せずに撮れてしまった決定的瞬間。俗に言うアヘ顔ダブルピース+放尿シーン。 しかもそれをやってるのがシロナ程の美人だと言うのだから、胸も下半身も熱くなって当然だ。アヘ顔と言うより、寧ろトロ顔と言っても良いそのシロナの表情にはダイゴも思わず目が眩みそうだった。 「あ、ぁ……もう、らめぇ……」 「あ、また!?」 ダイゴはその写真をシロナに見せようとしたが、その直前で彼女は力尽きた。先程と同様に力を無くして、ダイゴの一物を腹に収めたままベッドに倒れそうになるが、ダイゴが体を支えてやったのでそれは回避された。 「馬鹿に……あらひのオマ○ゴ……馬鹿にらっちゃっらあ……♪」 「お、おい!? しっかり!」 うわ言の様に呟いてシロナが落ちた。再び向こう側に渡ってしまったのだろう。今度こそ正気に戻って欲しいダイゴは反応を返さないシロナの肩を揺さ振り続けた。 「――」 「シロナ? 生きてるか?」 今度は二分位掛かったろうか。戻って来たシロナはむっくりと顔を上げて、今度は自分で顔をダイゴの方へ向ける。心配そうに覗き込むダイゴの顔を見た瞬間、シロナの目が見開かれる。 「…………っ! くぬううううう〜〜っ!!!」 悔しげな唸り声を上げた次の瞬間。 ――ガブッ シロナは支えるダイゴの二の腕に噛み付いた。 「あ痛ててててっ!!? 噛むな! 噛むなってば!!」 血が出る様な事は無かったが、かなりの強さで噛み付かれた。そいつが痛かったダイゴはシロナを遠ざけようとするが、未だに下半身で繋がっているのでそれは無理だった。 「アンタ……あたしに何したのよ……? あたしがあんな事口走る訳が……!」 噛み付き攻撃の後に待っていたのは恨み言だった。睨み付ける金色の視線が矢の様に刺さって来るが、そんな事を言われてもダイゴにはどうしようも無かった。 「ええぇ〜〜!? それって僕の所為!? いや、どう考えても台本の所為だろ! 作者に文句を言ってくれよ!」 「うっさい!! こんな辱めをよくも……アンタ、殺すわ! 殺してあたしも……!」 メタ臭い発言をして難を逃れようと試みるも火が点いた怒りを鎮火するには至らない。心中をほのめかす発言をしている辺り、今のシロナは本気なのかも知れない。
76 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 17:51:21.34 ID:lHes4XEf
「……出来るのかい? 唯の小娘に過ぎない君に」 「そっ! ……そんなのはやってみなくちゃさ」 だが、生きるか死ぬかの瀬戸際に追いやられてダイゴだって黙っている訳にはいかない。頭から冷水を被った様に思考を冷静に研ぎ澄ますと、凍て付く視線を投げ付けながらシロナに問い掛ける。 急にクールダウンしたダイゴに怖気付いた様にシロナの言葉の後半は尻すぼみだった。 「無理だな。って言うか、本当に心中して良いの? 君の好きなえっちな事が出来なくなっちゃうよ?」 「!! そ、それは、困るわね//////」 その言葉を聞いて、シロナには絶対無理だとダイゴは確信した。もう脅威に感じる必要は無いので今のシロナにとって切実な部分を問い質すとシロナは顔を赤くして小さく呟いた。 「はいはい。これでも見て機嫌直してよ。結構綺麗に撮れてるよ?」 「〜〜////// さっさと消せ馬鹿ああああああっ//////」 ご機嫌取りにならないと知りながら、さっきの写真をシロナに見せるダイゴはかなり性格が悪い。 自分の恥かしい姿を目の当たりにしたシロナは両目に涙を溜めて大声で叫ぶ。しかし、ダイゴにそんなものが通じる筈も無かった。 「厭だ。こいつは僕の家宝にするって今決めたよ」 「ふ、ふええええええんんっ!! もうお嫁に行けない〜〜!! 全部アンタの所為よおう〜〜!! ダイゴの阿呆〜〜っ!!!」 写真に保護を掛けながら口走った台詞にシロナは憚らずにわんわんと泣き始める。 尻を採掘され、子宮に竿を突っ込まれて、アヘっている自分の姿を写真に撮られた。嫁に行けないと言うシロナの台詞も納得の鬼畜的所業。それを全部やったダイゴは極悪人の鑑だった。 「煩いよ。元はと言えば君が誘って来た癖にさ」 「うっさいうっさい!! アンタ責任取ってあたしと結婚しなさいよね!?」 耳にやかましいシロナの泣き声に流石のダイゴも付き合い切れなくなって来た。全てを自分の所為にして欲しくないダイゴは眼輪筋をヒクヒクさせて努めて落ち着いた口調で話すが、シロナには全く効果が無い。 仕舞いにはとんでもない台詞が飛び出すが、それを受け取る余裕は残念ながらダイゴには無い。 ――ピキッ 「〜〜〜〜っだあああああ!! これ以上駄々捏ねんじゃねよ雌猫ぉっ!!!」 「はううううんんん!!?」 困った時のダークサイド解放。シロナを無理矢理黙らせる為に刺さっていた一物を突き上げて子宮底をぶっ叩いてやった。それには流石のシロナも堪らず、喘ぎ声で言葉を中断するしかなかった。 「今日の俺は絶好調だぜ? 黙らねえってんなら、台本無視してハメ倒してやる」 「ちょっ! ……マヂで?」 シロナの顎を掴んで、鼻と鼻がぶつかる至近距離で恐ろしげな表情と声色でダイゴが囁いた。台本云々には突っ込まないが、未だ続きがあるのかと若干の期待を込めてシロナは聞き返した。 「……フッ」 「・・・」 ダイゴは答えず、鼻で笑っただけだった。 『やだ……きゅんと来ちゃったわ』 その仕草がどうしてか、やたら男前に映ってシロナは胸と子宮をときめかせた。 「…………優しく、してくれるなら//////」 「はあ?」 我慢しても良い事は無いと気付いたシロナは条件を提示する。これ以上泣き言は言わないから、優しく抱いてくれと懇願する様な視線でダイゴを見た。 その思っても見ないシロナの言葉にダイゴは阿呆みたいに口を開けてポカンとしていた。 「だから……続き……」 「…………何だかんだで君も楽しんでるんだな。……良いよ。おいで」 もじもじとしたいじらしいシロナの態度にダイゴはダークサイドモードを強制終了させられた。流石にこんなシロナを組み伏して無理矢理犯すみたいな抱き方をするのはダイゴ自身も嫌だったからだ 今度は出来るだけ、普通の恋人同士の様に紳士的に頑張ろうとダイゴは決めた様だった。 「うん。優しく、可愛がってね……?」 シロナによる涙を溜めた上目遣いでの可愛らしいおねだりの構図。 「っ! ……そう、だね」 ダイゴは不覚にもドキッとさせられた。それが下火なっていた性欲に油を注ぐみたいで、ダイゴの下半身に血が一気に巡り痛みを感じる程だった。 『堪らねえZE!!』 心の中でそう叫びつつ、血涙流しながらガッツポーズ。石と戯れるのも悪くは無いが、所詮は無機物。今はそれよりも恋人であるシロナと遊びたい気分で一杯のダイゴだった。
77 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 17:54:26.44 ID:lHes4XEf
――数時間後 「ふう〜〜! 良く働いたなあ、今日は」 額に浮かぶ汗を拭い、実にさわやかな笑顔を湛えるダイゴ。その白い歯が室内灯に照らされてキラリと光る。 「で、未だするかい? もう一寸なら余裕あるけど」 「・・・」 情事のパートナーであるシロナに呼び掛ける。彼女は割れ目から注がれた精液(凡そ四発分)を溢れさせ、ベッドに沈んだまま一言も答えない。 「シロナ〜? ……ありゃ?」 「・・・」 異常事態が頻発していたが流石にダイゴもおかしいと思った。急いで確認するとシロナは目を瞑った状態で完全に意識を失っていた。一応、息はしていて胸が上下に動いてはいるがそれだけだ。 返事が無い。只の屍の様だ。 両方の頬に刻まれた乾かない涙の痕が彼女の味わった快楽地獄を象徴するみたいでとても痛々しかった。 「…………(汗)」 子宮を苛め過ぎた結果がこれだよ! 別に壊れる程激しく責め立てた訳じゃない。努めて冷静、且つ丁寧慎重に扱った積もりだ。でも、犯っている最中、何度か腕をタップされた記憶があるような無い様な……? ダイゴは顔に冷や汗を張り付かせてどうする冪か考える。だが、現状をどうにかする妙案は浮かばなかった。 「ま、いっか」 ダイゴはそれ以上考えない事に決めると後始末を開始する。シーツを引っぺがして、シロナの小便で汚れた床を拭き、使用した小道具を綺麗にして元の場所に戻した。 そして、疲れた体へのカンフル剤の様に冷蔵庫のビール缶を取り出し、それを飲むとさっさと寝てしまう事にした。その間、シロナは目覚めなかった。 ――翌日 ダイゴ宅 居間 「「・・・」」 無言で二人が向き合っている。ダイゴは床に正座。シロナは椅子に座って冷ややかな目でダイゴの頭を見下ろしている。 「で、さ」 「ハイ。ナンデショウ」 ダイゴは恐ろしくてシロナの顔が見れなかった。ロボット宜しく機械的な受け答えでシロナの言葉をやり過ごそうとした。 「凄くさ、腰が痛いのよね」 「それは……僕の所為、かな。……あはは」 身に覚えが有り過ぎる! 愛想笑いでシロナの追求を逃れようとするも、次の瞬間には逆に追い詰められる。 「何笑ってんのよ」 「……スイマセン」 ほら、やっぱり来たよ。逃亡を許さないシロナの絶対零度の視線で全ての動きは停止する。事の渦中に居るダイゴは甘んじてそれを受けるしか無かった。 「あたしにはアンタ以外に原因思い付かないけど? ……って言うか、途中でこれは拙いって思わなかった訳? 何度もタップした筈だけど」 「それは知ってたけど、続ける冪かなって」 で、シロナ様のお小言。要約すれば、もうちょっと気を配れなかったのかって事らしい。それに対するダイゴさんの受け答えは以上。相手が悦んでいたので中断は出来なかった。 「「・・・」」 金色と銀色の視線が交差する。どちらが悪いのか、正しいのか。シロナもダイゴも睨み合いを続けている裡に馬鹿らしくなって来た。
78 :
イジワルなあなた :2012/02/21(火) 17:55:44.36 ID:lHes4XEf
「ま、良いわ」 「え」 先に折れたのはシロナの方だった。意外な展開にダイゴも母音の一つを喉に通過させる。 「だって、あたしの為に頑張ってくれたんでしょ? 愛そうとしての空回りなら、それは許せるかなって、さ//////」 「……ほっ」 あれだけセクシャルに生臭い展開を経験しながら随分と寛大な処置だ。惚れた女の弱み? ……否、違う。ダイゴの性格や癖をある程度理解した上での選択だろう。 それに安心した様に溜め息を吐くダイゴ。……しかし。 「でも!」 「う」 ビシッと鼻先に人差し指を突き付けられて再びダイゴは迷妄に突き落とされた。 ……じゃあどないせえちゅうねん。 「無茶した事に変わり無いんだから、今日は一日あたしの言う事聞きなさいよね」 「そりゃあ仕方無いけど……腹を切れとか首を括れとかは流石に」 それを言われちゃあ何も言えない。ダイゴは素直にシロナの言葉に従う事にするが、限度はある。これ以外に誰かを始末しろとか、財布の限度を大きく超えた何かを寄越せとか言われても困る。今迄の恨み辛みが積み重なれば、それは在り得る事だった。 「馬鹿! あたしがそんな酷い事ダイゴに言う訳無いでしょうに!」 「まあ、そうだね。……じゃあ、僕は何をすれば?」 が、シロナは些か優し過ぎた。そんな無茶な要求は最初からする気すらない。シロナからのダイゴへの要求は実に簡単な事だった。 「そんなの簡単よ。……デートに行こっ! ダーリン☆」 「ええ〜? 腰、痛いんじゃなかったの?」 がばちょ。正座状態のダイゴの顔にシロナが自分の重たいおっぱいを密着させ、その呼吸を阻害するみたいに抱き付く。 こう言う展開には慣れっこなので、ダイゴは隙間を見つけて気道を確保すると冷静にそう言った。 「気合で耐える。駄目ならダーリンに姫抱っこして貰うから平気」 「……恥かしくない? それ」 腰が痛い事を承知でそれを強請るのはどう言う神経なんだろうか。その皺寄せが自分に回る事は容易に想像出来る。だが、シロナが自分の道を譲るとは到底思えなかった。 「あたしは平気。ホウエンの人間じゃないから」 「僕には羞恥プレイな内容だな、そいつは」 ……まあ、そうなったらなったで一興だ。やってやろうじゃねえか、糞っ垂れ。 「ほらほら。喋ってないで連れて行く。勿論、ダイゴがリードするんだからね?」 「判ったよ。はあ、判った。仰せの侭に、お嬢さん」 「宜しい♪」 ダイゴは抗う事を諦めた。自分の腰の強度を信じてダイゴはシロナの申し出に頷く。すると、シロナは勝ち誇る様に顔に満面の笑みを浮かべた。 ――で、家から出て数歩の所 「――たわばっ!?」 「!」 ――ピキーン! 秘孔を突かれた様な声を上げてシロナが直立不動のまま固まる。何が起こったのか、ダイゴは知りたくなかった。 「こ、腰が……ぁ」 ああ、やっぱり。随分と我侭なボディをお持ちでらっしゃる。ダイゴはさっさと帰りたい気分に駆られた。 「早速、僕の出番な訳?」 「いや未だま……くっ、痛くて、動けないわ……うう」 逢引を強請ったのはシロナの筈なのにこれでは先行きが思いやられる。 幸いにして主導権はダイゴにあるので、彼は彼女を注文通りに抱き上げながら、遠慮無くそいつに肖らせて貰う事にする。 「はあ〜。……近場で良いよね、今日は」 面倒臭い女だと心で悪態を吐きつつ、それでもやっぱりシロナを可愛いと思っている辺り、ダイゴは微妙に素直じゃない。そうじゃなかったら、例え金を詰まれてもダイゴはこんな真似はしない。 「くううぅ……あたしの腰を撃沈した暴れん棒将軍が憎いぃ……!」 「悪うござんした、へいへい」 そして、シロナもダイゴのそんな部分が好きなのだろう。 せめてもの仕返しにダイゴへの恨み言を口走ってみるが、お姫様抱っこされている状態では唯の惚気にしか聞こえなかった。
79 :
音ゲーマー :2012/02/21(火) 17:57:24.93 ID:lHes4XEf
これはもうポケモンの話じゃないな…。今回はこれにて失礼。
すげえ… もう勝てる気がせえへん
82 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:02:07.79 ID:mjrbG213
Z:通い夫のススメ ――ミナモシティ デパート 屋外喫煙所 「……ってな感じかな? あたしの話は♪」 「・・・」 やたらと嬉しそう顔を綻ばせるシロナ。惚気るつもりは最初無かったが、話している裡にどうでも良くなったのだろう。そいつを聞かせられたハルカは砂でも吐きそうな気分になりながらボリボリと鼻頭を指で掻いた。 「? ハルカちゃん? 何よ?」 「えーっと、その……」 ハルカの難しい表情が気になったシロナが尋ねる。ハルカは唯の惚気話だけならば未だ許容出来たがそれで済まない話も語られた事に困惑している。その辺りは自重して欲しかったのだ。 「周りには誰も居ないわ。それに聞きたいって言ったのは貴女よ?」 「そうですけど……」 ハルカとしては聞いてて壁を殴りたくなった位には面白かったが、誰が聞き耳を立てているか判らない状況でそれを言うのは迂闊過ぎるとも思った。 だが、シロナはそんな事を気にしている素振りすらなかった。随分と男らしい態度に呆れながらも感心していると、自分の顔に水滴が落ちてきた事に気付いて空を見上げた。 「……降って来たわね」 「ええ」 厚い雲が空を覆っていて、遠くからはゴロゴロと雷鳴が轟く音が聞こえていた。 暦は八月。今の季節には頻繁にある夕立だった。 「取り合えず、避難しますか」 「ですね」 雨曝しになるのは堪らないので、女郎二匹は戦利品を急いで抱えると建物の中に逃げ込んだ。 ――同刻 ダイゴ宅 居間 繰り返す過ちにこの身を委ねたとしても〜♪ ダイゴのナビが鳴っている。着信音は判る人には判る曲。ダイゴは手にしていた缶ビールを置くと、直ぐにナビに手を伸ばし、電話に出る。 ――ピッ 「あいあい。……ああ。こっち? 土砂降りだけど」 通話しながらトクサネの空模様を実況するダイゴ。天気はあいにくの雨。先程から降り始めた雨は雷を伴って弱まる気配を見せない。 「了解。もっとゆっくりして来ても良いよ?」 相手方の天気も同様に雨らしい。帰還には時間が掛かると告げられてダイゴはこっちの事は気にするなと相方に伝える。 「……え? 厭だって? 判った、健闘を祈るよ」 が、向こうはそう思ってはいないらしい。雨脚が弱まり次第、何とか帰る旨を告げて向こうは電話を切った。 ――ピッ ツー、ツー…… 「奥さん(仮)ですか?」 「ああ。雨にやられて難儀してるってさ」 通話を聞いていたユウキは話していた相手が誰か判っている。一応、語尾に(仮)を付けては見たが、ダイゴは全く気にしている様子は無い。 『シロナは僕の嫁』 ……とか本気で思っているのだろうか? だとしたら大した益荒男だ。それだけ、積み重ねてきた歴史や想いに自信があるに違いない。ユウキは感服した。 「……で、何処迄話したっけ」 「シロナさんが夏に来て、その途中迄です」 ユウキの考えを見通した様な表情でダイゴが聞いてくる。何時の間にやらこの男の話に夢中になっている自分を悔しく思いつつも、ユウキは言った。 「ああ、そうだった。……じゃあ、どうする? 未だ聞く?」 「知ってる癖に。……お願いしますよ」 変に焦らすのは野暮のやる事だと非難めいた視線で続きをせがむ。此処迄来たなら時間の許す限り聞いてやろうとユウキは思った。 「だろうね」 最初からそんな反応は予想していたのだろう。未だ残っていた自分の缶ビールの中身を一息に呷り、ダイゴが続きを語り出す 結末は知ってた。別れが来るってのは最初からお互い承知だった筈なのに。 でも、いざその時が来ればお互いにそいつを先延ばしにする。無駄だって判っててもね。 ……でも、重要だったのはその後さ。 彼女が泣いてるって判って、居ても立っても居られなくなったよ。 僕の柄じゃ無かったけどさ。
83 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:03:56.14 ID:mjrbG213
暦の上で夏はとうに終り、木々の葉が色を変える季節がやって来た。 九月の下旬。別れを翌日に控えながら、二人は裸で抱き合っていた。 ――ダイゴ宅 寝室 「「・・・」」 言葉が出尽くした様に、お互いの喉を通過するモノは無かった。 ……別れが近付く度、零れる涙も拭う涙も量を増していく。そんな中にあって突然シロナは泣く事を止めた。一体どんな心境の変化だとダイゴは知りたい気分に駆られたが、興味本位で聞く事は憚られた。 シロナの気持ちを考えれば軽々しくは訊けないし、それ以前にダイゴも同じ気持ちを抱いていたからだ。 「どうやったら一緒に暮らせるんだろうね」 「……君はそうしたいの?」 ふとそんな事を呟くシロナにダイゴが訊く。期間限定の半同棲生活。熱いのは最初だけで飽きが来れば自然と冷めるものと踏んでいたダイゴだったが、シロナはそう感じてはいなかったらしい。 「やっぱ、今の大学辞めて、こっちに編入するっきゃ無いかな」 「止めときなよ、そいつはさ」 本気でそう考えているのならば非常に厄介な事だ。お互いの生活がそれぞれ別の土地にあるのだから、どうしたって別れなければならない時は来る。 「どうして? やっぱ、迷惑」 「それ以前だよ。君は自分の意思で今の大学選んだんだろ? なら、最後迄横道逸れずに貫きなよ」 ダイゴの持つ固い意志だ。 今の状態を維持する為に、何もかも捨てるのは間違いだし、捨てたら戻らない物も世の中多くある。シロナにそんな選択をして欲しくないダイゴは優しい口調で宥める様に囁いた。 「……実にアンタらしいわね」 「っ」 帰って来たのは感情が無い、低い声色。思わずダイゴが言葉に詰まる。何も滲まない筈のシロナの声だったが、ダイゴはその中に失望の感情を見た気がした。 「それが辛いから言ってるのに、そう言われちゃ頑張らざるを得ないわよね。……あはは」 「シロ、ナ」 乾いた笑いがダイゴの耳に届いた。それが耳に残るみたいで一刻も早く掻き消したかったが、ダイゴにはそれが出来ない。戸惑いながら彼女の名を呼ぶのが精一杯だった。 「たったそれだけの事なのに、あたしには苦し過ぎるよ……」 「……っ」 その声を通して、シロナの精神的な脆さがダイゴには具に見える様だった。この微温湯の生活を知った後にまた独りに戻るのは寂し過ぎる。だから、一緒に居たいと。 その手を掴んで束縛し、ダラダラと肉欲のみの生活を過ごせるのならば、直ぐにでもそうする所だ。だが、そんな真似は餓鬼の我侭と変わらないとダイゴは気付いている。 人並みに生きたいのなら、常識やら自制やら、遵守する物が多過ぎる。群れるのが嫌ならばそこからはみ出せば良いだけの話だが、そんな勇気も無い。 「僕だって……俺だって……っ……」 だから、ダイゴは誰にも聞こえない様にごちる。 離れたくない気持ちだけは一緒だった。 ――翌日 カナズミ空港 待合ゲート 「此処迄で良いわ。有難うね。送ってくれて」 「……ああ」 一夜明けて、別れの日がやって来た。ダイゴはエアームドを使って、シロナを空港迄送ってやった。もう何回か通過した事だからと、お互いに普通の会話に始終しようとする。 「さてっと、次に逢えるのは来年かしらね」 考える程に寂しさが募って動けなくなりそうだった。だから、シロナは心に蓋をする様に言葉を紡いだ。 「それ迄、あたしが生きてれば良いけどね、あはは」 そうやって強がって、無理に笑ってみるがそう簡単に根付いた気持ちは取り除けない。だが、止まる事は許されないので、シロナは作り笑いを浮かべてダイゴに背を向ける。 「じゃあ、そろそろ行くね。また逢「待てよシロナ」……え?」 ゲートを潜ろうと一歩踏み出した所でダイゴの声が響いて、それはシロナを振り向かせた。
84 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:06:00.66 ID:mjrbG213
「流石にさ、そんな状態の君を送り出す訳にはいかないね」 「な、何言ってるのよ。あたしがどうかした?」 真剣な顔付きと声色だった。だが、シロナには呼び止められる理由が浮かばなかったので困った様にダイゴの顔色を伺う。 「……泣いてるじゃないか」 「え――」 そうして語られた言葉にシロナは自分の指を頬に宛がって、涙の筋が伝っている事に漸く気付いた様だった。 「や、やだ! ……ぁ」 「無理しないでよ。……いや、違うな。我慢しないでくれよ」 慌ててそれを拭おうとしたシロナはダイゴに両腕で抱き締められた。胸から空気が抜けるような強い抱擁。ダイゴは辛そうな顔で搾り出すみたいに言う。 「何、言って」 「とぼけんな! 逢えない事が泣く程辛いんだろ!? 僕だって……出来るならさ」 言っている意味が解らなかったシロナはそう言うが、その言葉が気持ちをはぐらかしている様にダイゴには感じられたらしい。だからなのか、ダイゴは真摯な気持ちをぶつける様に叫び、また呟いた。 「! ダイ、ゴ……?」 「でも、現実はそういかないから。だから、辛いなら言ってくれ。何を犠牲にしても飛んで行くから。素直に頼ってくれよ」 ダイゴの様子がさも意外に映ったのか、シロナは少し戸惑っていた。中々心の内を晒さない彼がそんな事を言うのは恋人にも馴染みの無い事だった。 そして、ダイゴは止まらない。胸の熱さを相手方に伝えようと必死だった。 「――」 そんな事を言われて嬉しくない訳が無い。シロナの涙が量を増す。 「で、でも、そんな迷惑を、あなたに」 だが、彼女はそれを振り払う様に呟く。縋るのは簡単だが、それに甘えたくない。これ以上面倒臭い女だと思われたくないシロナの最後の意地だ。 「! 馬鹿が!」 「っ」 だが、そんな言葉でこの男の意志を曲げる事は叶わない。鼻先で怒鳴られたシロナは身体を小さく震わせる。 「迷惑とか言うな! ……他ならぬ俺がそうしたいって言ってんだ。素直に頷いとけ」 「ダイゴ……!」 その後に待っていたのは優しい抱擁。もうこれ以上堪えるのは無理だと悟ったシロナは白旗を掲げ、ダイゴの肩に顔を埋めて啜り泣きを始めた。 「ほんと、格好悪いなああたし。アンタの前じゃ、どうにも女々しくなっちゃって」 「女の子だろ? それが悪いとは思わないけど?」 もう少し強い涙腺が欲しかったと願ってみるも、生まれ付いての泣き虫はどうしようもない。ダイゴに元気を分けて貰った気がするシロナは泣きながらも、何とか笑う事が出来た。 そして、ダイゴはそんなシロナが少しだけ羨ましい。泣きたい時に素直に泣ける様な情緒はとっくの昔に彼の中では死に絶えていたからだ。 「ありがと。でも、もう少しこっちで足掻いてみる事にするわ。どうしても無理ならその時は、ね?」 「ああ。待ってるよ」 やっぱり、この男には敵わない。シロナはそう理解出来たのだろう。涙を拭って身体を離すと、シロナはそう言って改めて笑った。 最後位はやっぱり笑って別れたいと言う気持ちはダイゴも持っていた。何時もの作り笑いじゃない、自然な笑顔を湛えてダイゴは頷いた。 ――ちゅっ 「またね! ダーリン!」 「応! またなハニー!」 この度の逢瀬はこれにて終了。最後に一度だけ軽い口付けを交わすと、シロナはゲートを潜る。ダイゴはその背中を消える迄じっと見ていた。 ――数ヵ月後 季節は師走の上旬。新たな年の幕開けに向けて町行く人々は例外無く皆忙しそうだった。そして、それはダイゴもまた変わらない。 そんなある日、彼は不意に呼び出しを喰らった。呼び出した人間はオダマキ博士。ホウエン随一と呼ばれるポケモン研究家。 デボンコーポレーションが多額の出資を行っている事は知っていたが、ダイゴ自身、博士との接点は多くない。二年前の化石復元装置の折に少し顔を合わせた程度だった。 だが、会いたいと言っている相手を無碍にする程ダイゴも冷酷では無い。空は晴れ渡り、放射冷却で吐く息が凍る程寒い日だったが、それでもダイゴは早い時間からホウエンに於ける辺境の地、ミシロタウンを訪れていた。
85 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:08:38.56 ID:mjrbG213
――ミシロタウン オダマキ研究所 「やあやあ、ダイゴ君。態々ご足労申し訳無い」 「い、いえ、それは構わないのですが」 出迎えてくれた博士は冬の寒い時期だと言うのにハーフパンツと半袖の姿だった。高校生位になる娘さんがいると言う話だが、随分と若い印象を抱かせてくれる。 しかし、どうもそれが年齢に対して落ち着きがない印象をも与えてきたのでダイゴは苦笑した。 「ひょっとして緊張してるかい? そんな顔じゃ福が逃げる。もっとリラックスして」 「はあ」 緊張していると勘違いした博士は肩の力を抜く様にダイゴに訴えるが、その原因が自分にあるとは思っていないらしい。無論、ダイゴは緊張などしていないので適当に話を受け流す。 「こうして会うのも久し振りだね。……どうかね? 大学の研究の方は」 「え、と……ぼちぼち、ですか」 とっとと本題に入って欲しいが今度は世間話が博士の口から飛び出す。今のダイゴは鉱物学と材質構造学を学んでいて、まあ順調に研究を重ねているが話が長くなるので詳細は話したくなかった。 「? 何か要領を得ないね。ひょっとしてトラブルでも?」 「いや別にそんな。……そ、それよりも、一体何の用事で僕を? 僕としては呼び出される理由がとんと浮かばないんですけど」 「随分せっかちだな、君は。そんなんじゃ彼女に嫌われちゃうよ?」 「・・・」 好い加減、察して欲しいダイゴはとうとう自分から呼び出された訳を訊いてみる。 しかし、博士はダイゴの心情を解する素振りすら見せない。マイペースなのは良いがそれに他人を巻き込まないで欲しいダイゴはこうも思った。 ……余計なお世話だ。尤も、流石に口には出さなかったが。 「おっ、と。そんな怖い顔されたこっちとしても困るなあ」 どうやら顔に出てしまったらしい。慌ててダイゴは顔をポーカーフェイスに戻した。 「白状すると、君に会いたいって人が居てね。君を呼んだのはその人なんだよ」 「……博士以外で、ですか」 「そう。会えばそれが誰か判ると思うよ。早速、準備は良いかな?」 「――承知」 話しを聞いてみると、博士では無い誰かが面会を希望したとの事。しかも、博士はその相手の名前を勿体付ける様に言わない。 何だか面倒臭い話になりそうな予感を感じつつも、ダイゴは博士に頷き、研究所の応接室に案内された。 ――オダマキ研究所 応接室 「! あな、たは!」 其処で待っていた人物にダイゴは少し面食らう。全く予想もしない相手だったのだ。 「……君がダイゴ君かね?」 「は、はい。ツワブキ=ダイゴです」 「うむ。儂はナナカマド。弟子のシロナが世話になっている」 それはシロナの師匠だった。話は聞いていたが実際に会うのは初めて。聞いていた以上の強面にダイゴも少しだけうろたえ、身構えてしまった。 「オダマキ博士……これは」 「驚いたろ? オーキド博士を超えるニッポンのポケモン研究会のゴッドファーザーが君に面会を求めたんだ。……で、一体何をやらかしたんだい?」 ホームグランドのシンオウ以外でも大きな権力を持つこの御仁が何故自分に接触を求めたのか、ダイゴには解らない。 「やらかしたって……身に覚えが無いですけど」 「え、それは……それは何とも詰まらないないな」 「おい……!」 オダマキ博士はダイゴが何か悪さをしたのだと勝手に思っていた様だ。しかし、ダイゴには当然記憶に無い事であり、それを正直に告げるとオダマキ博士は実に残念そうな顔した。 ……ふざけんなよ、おっさん。またダイゴの顔が怖い顔に変化しそうだった。 「ゴホン! オダマキ君、若人を弄るのもその辺にしたまえ」 「おっと。失礼しました」 話が進まないと判断したナナカマド博士は咳払いしてオダマキ博士を諌めると、オダマキ博士は悪びれる様子も無くそう言った。
86 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:10:34.69 ID:mjrbG213
「それでだ、ダイゴ君。君を呼んだのは他でもない」 「はあ」 漸く本題に入った。何かもう此処に至るだけで疲れたダイゴは気の無い返事で答える。 「これをシロナに届けてやって欲しい」 「は? な、何故僕が? って言うか、シロナ?」 ナナカマド博士は厳重に包装された小さな箱を取り出してダイゴにそう告げる。そんなのは冗談じゃないときっぱり断りたかったが、自分の恋人の名を聞いて少し心が揺れた。 「適任者が君しか居ないからだ」 「……どうにも、解せません。宅配じゃ駄目なんですか? 態々僕に名指しする意味も判りませんよ」 「中身が業者に預けるのが憚られる貴重な物だと言う事だ。それなら、信用の置ける人間に任せたいのが人の性ではないかね?」 事情がどうにも不明瞭だ。幾ら届ける先がシロナだと言っても、理由も聞かされずにそれを受ける程ダイゴは御人好しじゃない。ナナカマド博士の言葉も説得力に欠けていた。 「信用? ……ハッ。初対面の僕と貴方に信頼関係も糞も無いでしょう。適任者は探せば幾らでも居る筈。他を当たって下さい。何ならご自身で直接……」 「それは無理だ。この後はイッシュに飛ばねばならないのでな」 「それは僕には関わり無い話ですね」 本来北に居る筈のこの男が南にいる事自体がレアケースだ。自分で動けない理由が研究で忙しいからと言うのは理解出来る。しかし、信用が置ける人間……と言う言葉は些か荷物を届けさせる理由としては苦しい。 何か裏があるのは間違い無い。そう思うからこそダイゴは素直に頷かない。 「むう、中々食い下がるな君は」 「貴方の目からは敵意は感じられない。でも、何かを隠している気がする。進んで腹を割って話したいとは思いませんよ」 ナナカマド博士の言葉には事情をはぐらかそうとする意思が見える様だった。そして、何よりもその目。ダイゴはそれが気に喰わないのだ。 「む」 「・・・」 そうして、ダイゴとナナカマド博士は少しの視線で会話した。お互いを探りあう様な目線を交差させて、その様は半分睨み合いだった。 「其処迄読んでいるなら遠慮は要らんな。……ダイゴ君」 「?」 そして、先に折れたのはナナカマド博士の方。言おうとしなかった事情を語ろうと決めた様だった。 「是非、シロナに逢ってやって欲しい」 「……やっぱり」 その理由とやらはやはり、シロナとの接触。ダイゴは彼女の名前が出た時から、半ばこの答えは予想していた。 「普通なら儂も此処迄御節介を焼かない。だが、アレを見てしまえばな」 「アレって……シロナに、何が」 態々、届け物と言う名目を使ったのは、弟子に対する博士の照れ隠しなのかも知れない。 しかし、それをダシにしてでも逢って欲しいと言う事は、事態は逼迫しているのだろうか。シロナに一体何が起きたのか。ダイゴは嫌な予感しかしない。 「別に。唯独りで泣いておっただけよ。……君の写真を握り締めてな」 「っ!」 ナナカマド博士の言葉を聞いてダイゴの表情が一気に崩れた。 「何時の、事ですか」 「儂がシンオウを出る前だから……一週間前だな」 「――」 努めて冷静な素振りで尋ねるが、ダイゴは内心かなり動揺している。そして、言葉を聞いて絶句した。 「で、どうかね。受けてくれるかね?」 「それは―― っ、受けざるを得ないでしょうね」 あの泣き虫なシロナの事だ。それ以前から泣いているに決まっている。辛いなら連絡をしろと言ったのに、無理して耐えて結果師匠に世話を焼かせるとは本当にどうしようもない。ダイゴは決断した。 「おお! やってくれるか!」 「シロナの事だって言うなら話は別ですよ。今からちょっくらカチコミかまします」 これ以上、自分の彼女が周りに迷惑を掛けるのは忍びない。泣かせている側の責任として一刻も早くシロナを泣き止ませる必要が生じている。それはダイゴにしか出来ない事だった。 「へええ。君、見掛けに因らず熱かったんだね。随分意外だな」 「そんなんじゃないですよ。僕は只、僕自身の誓いを履行するだけですから」 少し感心した様にオダマキ博士が見てくるが、ダイゴはそれを誇ったりはしない。その行動が半分、自己満足であると知っているからだ。それ以外に理由を付けるならば、それは彼が九州男児の端くれだからなのかも知れない。 「うむ、ではしっかりと届けてくれ。貴重な代物である事は変わらないからな」 「今のシンオウは雪国だ。滑らない様に履物には注意だよ。……頑張って」 「それでは」 ダイゴは小包を受け取ると、挨拶もそこそこに足早に研究所を出て行った。今から飛行機に乗れば夕方にはシンオウに辿り着ける。急がねばならなかった。
87 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:11:29.82 ID:mjrbG213
――カナズミ空港 「シロナ……待ってろよ」 行楽シーズンからは外れているので飛行機はどの便も空席が目立っていた。窓口に万券を叩き付けてチケットをもぎ取ったダイゴはおっとり刀のまま飛行機に飛び乗った。 全ては愛故に。……等と言う言葉からは縁遠い位置にいるとダイゴは常々思っていたが、今の自分の行動を省みて、それが本当かどうか判らなくなりそうだった。 唯、シロナに逢いたいと言う心だけは真実だったが。 ――カントー国際空港 「あ、しまった」 そして道中半分。中継地点に至ってダイゴは重要な事を思い出した。 「シロナ、今何処に居るんだ?」 今現在の彼女の居場所が全く判らなかった。シロナのアパートの詳しい住所は聞いていないし、彼女が普段大学の外でトレーナー以外に何をやっているのかも聞かされていない。 付き合っている筈なのに色々とお互い知らない事があると気付かされるが、残念ながら何かと議論している余地はダイゴには無い。 「……繋がりやしねえ」 兎に角、無駄足は踏みたくないのでシロナの携帯に電話してみるも繋がらない。未だナナカマド博士が居ると信じてオダマキ研究所にも電話してみたがそちらの方も繋がらなかった。 「参ったねえ」 尋ね人を探して冬のシンオウを彷徨うのは非常に草臥れる事請け合いだ。だが、手掛かりが無い以上はそうしなければならない可能性は高い。シロナが電話に出てくれる事を祈りながらダイゴは接続便を待った。 ――シンオウ空港 「相変わらず繋がらないし。……仕方が無い」 時刻は夕方。日はとっくに暮れて、辺りは暗い。結局シロナが電話に出る事は無く、ダイゴはシンオウに辿り着いてしまった。 もうこうなったら可能性が高い場所を当たるしかないと決めたダイゴはボールをフォルダーから取り出して、開閉スイッチを押す。そして、召喚されたエアームドはダイゴを背に乗せると雪のちらつく夜空へと羽ばたいていった。 「……僕は何やってるんだ? 何やって……」 冷静になって思い返すと自分が随分と馬鹿な事をやっている気がしてくる。だが、そう思っても来てしまった以上は最低でも預かった荷物を届けなければ帰る事が出来ない。 今は兎に角シロナの居場所を突き止める事が先決だ。 ダイゴは決路した。行き先はシンオウ大。シロナの学舎を尋ねれば何らかの情報が得られる可能性が高い。主人の指示を受けてエアームドが進路をコトブキ方面へと向けた。
88 :
イジワルなあなた :2012/02/22(水) 19:13:04.73 ID:mjrbG213
――シンオウ大学 ロビー 辿り着いたシンオウの最高学府。人影は疎らで学生とは殆ど擦れ違わない。 もう窓口が閉まる時間ギリギリだったのでダイゴは急いで学生課に向かい、話しを聞いてみる事にした。 「あの、済みません」 部外者が在学生に用があると言ってもそうそう通るモノでは無いが、ダイゴも火急的用件なので無理を通させて貰う。余り期待しないで使ったが、ナナカマドの名前はやはり効果覿面だったらしい。全館放送でシロナを呼び出す事が出来た。 しかし、その本人がキャンパス内に居ないのではどれだけ呼び掛けても無駄だ。結局、シロナは姿を見せる事は無かった。 「……にっちもさっちもいかんったい」 窓口は閉じてしまった。五里霧中の状態に陥り、ダイゴは途方に暮れる。電話も相変わらず繋がらなかった。 「Hey! Wait a minutes」 「え」 しかし、天はダイゴを見捨てない。彼に話し掛ける人間が一人。 「私、知ってるネ。シロナのlocation」 女だった。英語交じりの片言の日本語。褐色の肌をし、シロナ以上の長身で、黒髪の何やら見た事の無い髪型をしている。此処の学生……なのだろうか。 「シロナ、きっと研究所行ったヨ。今日、Fridayネ」 「Laboratory? と言う事は、マサゴタウン?」 そう言えば、未だに博士の研究を手伝っていると言う話をシロナ本人が語っていた気がする。バイトなのかボランティアかは知らないが、貴重な情報であるのは確かだ。 「Yeah.Probably」 「! 助かったぜお姐ちゃん! Thanks for your help!」 話しを聞き、これならかなりの確率でシロナに逢えると確信したダイゴは礼もそこそこにキャンパスから出て行こうとする。しかし、シロナの友人と思しき学生(?)が興味深そうな視線を投げ掛けていたので、ダイゴは歩みを止めて振り返った。 「オニイサン、シロナのsteadyデスカ?」 「え……あー、どうだろ。所詮ホウエンから飛んで来る位の絆しか無いからねえ」 その目を見て、他意は無い純粋な興味本位の質問だとダイゴは解った。だが、真実を語るのはやや恥かしいので、かなり遠回しな言い方でダイゴは逃げる事にした。それを聞いた学生は少し考え込む様な素振りは見せたが、結局何も言わなかった。
89 :
音ゲーマー :2012/02/22(水) 19:13:56.04 ID:mjrbG213
それじゃ、またな。
乙…
91 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 10:43:35.49 ID:qTtyZsOi
[:残念なイケメン×残念な美人 ――マサゴタウン 研究所前 「着いた。行き違いになってなければ良いけど」 コトブキの南に位置するナナカマド博士の城。室蘭中心部に位置する研究所にダイゴが辿り着いた時、夜ももう八時を回ろうかと言う頃だった。 マサゴはダイゴが今迄訪れた事が無い場所なので空を飛ぶが使えず、結局特急列車に飛び乗るしかなかったのだ。 外から見る限り、電気は付いているし人の気配もしている。ちらつく雪に悴む指先が逆に熱を孕む様に痛みを与えて来る。ダイゴはもうこれ以上寒い中をうろつくのは御免なので、半ば祈る気持ちで研究所の敷居を跨いだ。 「頼も〜う!」 「……はいはい、何か用ですか? こんな時間に」 そうして中に入り玄関で来客を告げると、白衣を着た草臥れた様子の若い研究員が奥からやって来た。 「ナナカマド博士からの届け物です。それで……シロナさんは、いらっしゃいますか?」 「シロナ? ……ああ、彼女なら居ますよ。どうぞ、入って下さい」 遥々ホウエンから持って来た小包を取り出して、ナナカマドのサインが入っているのを確認させると、男はダイゴを研究所の中に案内した。 「……ふう」 矢張り、シロナは此処に居るらしい。一体どうなる事かと冷や冷やしたが、何とか目的は達成出来そうだ。男が入って行った部屋の前の廊下で溜め息を吐いていると、中から話し声が聞こえて来た。 『お〜い、シロナさん』 『何ですか。この状況、判るでしょう? 邪魔しないで』 『そうもいかないの。君にお客だよ。外で待ってる』 『はあ? 馬鹿言ってんじゃないです。第一こんな時間に』 『良いから行きなさい。どうせ煮詰まってるんなら素直にリフレッシュだ』 『……判りましたよ、ったく」 バタバタと慌しい足音が聞こえると直ぐに、やや乱暴にドアが開かれた。眉間に皺を寄せて機嫌が悪そうなシロナが中から出て来る。白衣は着ておらず、黒い上下の服を身に着けていて、それはダイゴが見た事の無い服装だった。 「はああ……この糞忙しい時に何処の誰だってのよ」 「あー、お邪魔だったかな」 ぶつくさと文句を言い、不機嫌さを隠そうとしないシロナを刺激しない様にダイゴは落ち着いた口調で話し掛ける。それに気を良くしたのか、シロナの刺々しい空気が少しだけ和らぐ。 「邪魔って事は無いけどさ。今あたし修羅場ってるから、結構気が、立ってて……」 「みたいだね。……ちゃんと寝れてる? 大分やつれてる感じが」 じっとシロナの顔を眺めると、拭い切れない疲れが滲んでいる印象を受けた。目の下には隈が出来ているし、顔色も良くない。最後に逢った時と大分印象が異なったのでダイゴも心配になってしまった。 「・・・」 「ん? 何? 僕の顔、何か付いてる?」 すると、シロナはダイゴの顔を見詰めて、そのまま固まってしまった。それがどうにも腑に落ちないのでダイゴはその旨を訊いてみる。 「――あ」 漸く、シロナは現状を認識した。 嘘。……ああ、こりゃ駄目だ。堪えられない。ってか、何でこいつが此処に居るのよ。嬉しいじゃないのよこん畜生! ……以上。残念な美人ことシロナさんの心の声。 「んなっ!?」 「……っ! ぅ〜〜っっ!!」 がばっ。抱き付かれると同時に声にならない嗚咽を漏らし、シロナは泣き崩れた。相当に心労を溜めていた事が明白な振る舞いにダイゴも茶化していい場面では無いと思ったのだろう。 だから、シロナが落ち着くまでの間、暫く好きにさせてやった。
92 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 10:49:23.32 ID:qTtyZsOi
「えっと、大丈夫じゃなさそうだな流石に」 「何で……なんでアンタ此処に……」 涙と鼻水で着ているコートの前の一部がびしょ濡れになってしまった。だが、シロナが落ち着いたのなら安い物だとダイゴは思う事にした。シロナは泣き腫らした目のまま至極当たり前の疑問を投げて来たのでダイゴはそれに答える。 「君の師匠からのオーダーさ。泣き暮らしてるからフォローしろって」 「博士が?」 「ああ。届け物も序に預かったけど」 「そっか。そう、だったんだ」 自分が受けた博士からの依頼について、小脇に抱えた包みを指差してダイゴは簡単に説明してやった。すると、シロナは博士に気取られていた事に吃驚した様だった。 「やっぱ、厭だったよな。連絡無しにこんな」 「んな訳無いべよ! ……にしても人が悪いな博士。何もかも知ってたのね。頑張って耐えてたのに、馬鹿みたい」 連絡が取れなかったのも要因にあるが、それでも些か無礼な訪問である事には変わり無いのでダイゴが謝ると、シロナはそんな事はしなくて良いと首を横に振った。 そして、やや照れ臭そうに呟く。現状が師匠に筒抜けだった事について、彼女なりに思う事があったらしい。 「ああ、実に馬鹿だな」 「何よ」 そして、それについてはダイゴも同意見だったので遠慮無く頷くと、シロナは頬を膨らませた。 「無理せず頼れって言ったろ。それで余計に泣いてたら涙が枯れちまうっての」 「だって、それは」 「言い訳は聞きたくない。面子とかプライドとか……もうそんなの気にする間柄じゃないだろうに」 好きでやっている事なのでシロナに対して怒るのはお門違いと言う奴だが、それでもダイゴは無理に強がっているシロナの姿が我慢ならない。 手の掛かる女は嫌いだが、恋仲だと言うのならそれを受容してこそ真の漢だ。その想いは曲げたくないのでダイゴは真剣な顔と言葉をシロナに送った。 「ごめん、なさい」 「良いよ、良いよ。こんなのは僕だって柄じゃ無いって思ってるからさ」 やっぱりシロナは叱られていると思ったのだろう。しゅんと項垂れてしまうが、そんな顔をして欲しくないダイゴは自分を引き合いに出して場を和ませようとした。 「そんな事無いから!」 「なっ! 随分きっぱり言い切るな」 だが、返って来たのは強い反発の声。寧ろ、笑い飛ばして欲しかったダイゴは予想外の反応に思わずシロナに聞き返してしまった。 「あたしがそう思ってる。間違い、無い」 「そ、そうかよ」 随分と独善的な考えだが、そんなに顔を真っ赤にして言われてしまえばダイゴとしてもそれで納得せざるを得ない。実は言われて満更でもないので、照れ隠しの様に赤くなった自分の頬を掻いた。
93 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 10:50:17.71 ID:qTtyZsOi
「一寸待ってて。今日はもう上がるわ」 「良いのか?」 「うん。多分、続けても進展無いから」 これ以上込み入った話は此処では出来無い事だった。今日はもう撤収する旨を告げると、シロナは再び部屋に入って行った。 「お待たせ。……それでさ」 「ああ、何?」 そうして少し待っていると手荷物を抱えたシロナが出て来た。二人揃って研究所を出ると、シロナがダイゴに尋ねる。 「今日の宿とかってどうしてるの?」 「あー、それについてはその……未定だね」 今日のこの後の予定に付いてだった。今から飛行機に乗ったとしてもカントーから先には行けない事は見えていたので、てっきりダイゴは宿を手配しているものとシロナは思っていた。だが、違った。 「何それ。もう宵の口過ぎてるわよ?」 「うっせ。来るのに精一杯で宿迄手配出来なかったんだよ」 「そっか。なら、仕方ないわね」 「だろ?」 シロナに逢う事が第一だったのでその辺の事は準備不足だった。外は相変わらず雪が降っていて、今から宿を探して彷徨うのはダイゴとしても辛い所だ。そして、自分の彼氏にそんな真似をさせる程シロナだって冷たくは無い。 「ならさ、泊まってく?」 一番良い解決策を持っていたので、シロナはそれを使う事にした。ダイゴの為、と言うよりは態々遠くから自分の為に来てくれたマイダーリンを容易く帰したくないと言う女の打算なのだが、それは言わぬが華と言う奴だった。 「は? あ、いや……そいつは」 「って言うか、泊 ま っ て け?」 「――」 準備も無しに婦女子の部屋に転がり込むのはダイゴとしても抵抗がある。だからやんわりと断ろうとしたのだが、途中で言葉に詰まってしまった。 有無を言わせぬプレッシャーを纏い、選択を強制してくる笑顔のシロナの背後に人ならざる何かの影を見た気がしたダイゴは戦慄する。 これを断れば絶対に血を見る。最悪、命すら危ない。女の情念の恐ろしさの一端を見た気がしたダイゴは頷くしかなかった。 「Yes,Your highness(仰せの儘に)」 「やったあ♪ じゃあ、行こっ! ダイゴ♪」 自分でそうさせた癖に、シロナは実に嬉しそうな顔でダイゴの手を取る。そんなダイゴの顔は若干引き攣っていた。 ――移動中 空の上 シロナの寝床に向かって二人は移動中。ダイゴはエアームド、シロナはトゲチックの背に乗っている。雪混じりの夜の空気が高速移動に際して体感温度を著しく下げ、体全体がしばれそうだった。 「君の家ってコトブキだったか? 住所とか知らないんだよね僕」 「そ。入学時から変わってない。詳しくは着いてから教えるから」 実は半分凍り付いていて手足の感覚が希薄になっているダイゴだが、それも少しの辛抱だと頑張って耐えている。流石に雪国育ちのシロナは平気な顔をしていた。
94 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 10:54:58.00 ID:qTtyZsOi
――コトブキシティ アパート シロナの部屋 「入って。散らかってるけど、あんまり気にしないでね」 そうして、やっと辿り着いたシロナの塒。前に聞いた通り大学にやや近い場所で、コトブキ市街の中心からは外れた場所にあるアパートの一室だ。 家賃、交通の便、治安……やや間取りは狭いが女の一人暮らしには十分だと言う理由でシロナはずっと住んでいるらしい。 「ああ。それじゃお邪魔――」 「ん? 何?」 ダイゴはそんなシロナのお宅を最初に訪問した誉れ高い殿方である。履いていた滑り止め付きの登山用のブーツを脱いで、中に足を踏み入れて……否、踏み入れる直前に部屋の惨状を見て絶句した。 「本当に散らかってるね。これ、掃除した方が良くない?」 「こっちの方が便利だからそうしてるのよ。探し物が手に届く処……に無い事も多々あるけど」 部屋は物で溢れかえっていた。ゴミ溜めと言える程酷くは無いが、実際埃は溜まっているし、移動する足場を見付けるのも中々困難な有様だ。一言で言うと、汚かった。 しかも、ベッドの枕の側に丸めてあるあの布製の物体は以前、シロナにあげた自分のトランクスではなかろうか……? どうやら、ちゃんと『正しい』使い方をしてくれている様だった。 「って言うか、脱いだ下着をそのままって女性としてどうかと思うけど」 「え? やだ、欲しいの? 別に良いけど//////」 生活ゴミはきちんと出している様だが、それでも脱ぎ散らかしたパンツやブラが無造作に床に転がっていると言うのはだらしない印象を与えて来る。割とシロナは大雑把な部分があるので少しは覚悟していたが、完全にその上を行かれてしまった。 幾ら急な来客とは言え、その辺りの恥じらいは持って欲しいダイゴ。しかし、シロナにそんな言葉は効果が無いらしい。 「要らない」 「四文字で片付けないでよ……」 もうコメントするのも辛いのできっぱり言ってやる。だが、シロナはそれでは不満らしい。 「腹減った」 「それも四文字……ってお腹空いてる? 何か取る?」 「こう言うイベントって彼女が料理を振舞ってくれたりするもんじゃないの?」 「それは厭味? あたしの腕、知ってるでしょ? って言うか、冷蔵庫が空だから無理」 今度は思った事をそのまま言ってやったが、シロナは料理を作る気は無いらしい。 夏に一度作って貰ったが、その余りの食材の墓場っぷりにダイゴを以ってしても完食する事が敵わなかったヘルディッシュは未だ健在の様だ。最近台所を使った形跡が見られないのは、彼女がそれを気にしているからなのかも知れない。 だが、それはそれ。これはこれと言う奴だ。 「……駄目女」 「え? 何?」 「別に」 ……何と無く判ってはいたけど、やっぱり残念な美人ってレベルじゃ無かったよ。せめて私生活のメリハリ位は付けていて欲しかった……って、僕に言われてりゃ世話無いか。 以上。残念なイケメンことツワブキ=ダイゴさんの心の声 「これ、ダンボールに入れて良い?」 「良いわよ。……って、それは駄目! 今読んでる最中! 机に置いておいて」 「その机に置き場所が……うーん」 何かパズルやってる気になってきた。平面的には勿論、立体的な配置にも些か苦しい程物の量が半端じゃない。その大半が書物なのだが、中には何に使うか判らない奇妙なオブジェや銅鐸のレプリカの様な物が混じっている。 それらが部屋の床の大部分を占領していて座るスペースすらない有様。割と几帳面な方なダイゴがこんな惨状の部屋を放って置ける筈も無かった。 だから、泊めて貰うせめてもの礼にと部屋を片付け始めるも、それは終わる気配を見せなかった。 あーだこーだしていると、シロナが注文した宅配ピザが届けられ、何とか座るスペースを確保したダイゴは其処に座って休憩する事にした。
95 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 10:56:47.80 ID:qTtyZsOi
「それで、届け物って何なの?」 「知らないよ。開けてみれば?」 シロナの興味はナナカマドから託された届け物に注がれている。ダイゴは中身に付いては貴重な物であると言う事しか聞かされていない。ナナカマドがシロナに逢わせる為の口実として用意した物であるに違いないと思っていたので興味は無かった。 「・・・」 「これは……笛か? 随分、古いな。材質は何かの骨? 大半が風化してるけど」 包装を破って中を確認したシロナは無言のまま、固まっていた。 ダイゴはシロナの様子が気になったので中を検める。入っていたのは古ぼけた笛だった。独特の形状をしていて少なくとも千年以上は前の物である事は間違い無い様だが、考古学は専門外なのでそれ以上の事は解らない。 「まさか――」 「え?」 シロナの呟きが聞こえたダイゴは彼女の顔を見る。その顔は少しだけ青かった。 「ごめん、何でもない。……食べよ? 硬くなっちゃう」 「? ああ」 其処で目が合ってしまった。これ以上は聞かれたくないのか、シロナは強制的に話を中断した。気にはなったが、態々訊く気も無いダイゴは言われた通りにピザの切れ端を口に運んだ。 「ダイゴ、明日には帰っちゃうの?」 「ああ。そのつもり……だったけどさ」 腹を満たし、一息吐いた所でシロナが突然訊いて来た。当初の目論見では一泊してそのまま帰る予定だったが、今のダイゴにはもうその気は無かった。 「けど?」 「片付けを半端なまま帰りたく無くなった。バッツリ片を付けて帰る事にしたばい」 ダイゴはそう言っているが、結局理由は何でも良かった。シロナの顔が未だに曇ったままなのに自分を優先して帰る事は憚れたのだ。 「……そう。未だ居てくれるんだ。ありがと」 「別に君の為じゃないさ」 「知ってるよ、ふふ」 些かシロナを甘やかし過ぎとダイゴは思ったが、直ぐにその考えを忘れ去る。自分の都合でそうするだけだとシロナに言うと、彼女はその答えを知っていた様に微笑んだ。 「で、僕は何処で寝れば良いんだろう」 「はあ?」 「はあ? って。布団敷けるスペース空いてないし。まさか立ったまま寝ろとは流石に言わないよね?」 もう日付が変わりそうな時刻だった。 眠気が襲って来ていたダイゴはシロナに尋ねるが、何故かそれにシロナは怪訝な顔をした。寝る以上は床で間違い無いだろうが、その場所が無いのだ。ではその空間を何処に確保するのかと言う話になってくる。 そして、その場所は既にあったのだ。 「あたしの隣空いてるでしょうに」 「……あ?」 ポンポン、とシロナが自分の寝台を掌で叩く。ダイゴはそれが何を意味しているのか判らなかったが、それが判ると一瞬顔を顰めた。 コッチニイラッシャイ。妖怪が舌なめずりして手招きしている様だった。 「問題、ある?」 「いや……まあ、良いか別に」 その厭そうな顔に気付いたシロナが悲しそうな顔をすると、罪悪感が湧いたのかダイゴは何も考えない事にした。どうせ今日はこのまま寝てしまうだけだし、疲れているので何もする気は起こらない。シロナの事は狸の置物だと思えば良いと、心を空にした。 「抱き枕げっと〜♪ 温い温い♪」 「冷たい……そして、呼吸が苦しい」 そうして、寝る準備を終えて狭いベッドに二人して横になるとシロナがダイゴに抱き付いて来る。末端冷え性なのか、シロナの手が裸の上半身に触れる度に凍えそうになるし、体が密着し過ぎていて息苦しい。 「ほれほれ。お兄さんが好きなシロナさんのおっぱいですよ〜?」 「……素直に寝かして」 「ちえっ」 ぐいぐいとお乳が顔に押し付けられると、ダイゴは不機嫌そうに漏らす。その反応を見てダイゴが疲れていると判ったのだろう。シロナは残念そうに舌打ちし、事に及ぶのを諦めた様だった。
96 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 11:00:28.68 ID:qTtyZsOi
次の日。ダイゴは半日を費やして宣言通りシロナの部屋の掃除を終えた。 翌日にはホウエンに帰る気だったので飛行機の切符も取り終えた。 物が無くなって寒々としたシロナの部屋。特にする事も無かったので昼間外に出た時に買ってきた酒を喰らってさっさと寝てしまう事にした。 未だ寝るには早い時間帯だったが、シロナも此処最近は根を詰め過ぎて疲れが取れないらしい。ダイゴが寝る事を決めるとシロナもまた自分の寝床に入り、その場所を昨日と同じく半分譲ってやった。 夏の間の爛れた時間が嘘みたいに二人の間に生臭い空気は存在しない。だがそれでも、互いがその存在を必要としているかの様に二人は抱き合っていた。 「あの笛、結局何だったの?」 「知りたいの?」 「一寸はね。駄目なら構わないけど」 昨日もそうだが、今日もナニをする気は起こらない。だが、このまま素直に寝てしまうのも勿体無い気がしたので、ダイゴは気になっていた届け物に付いてシロナに訊いてみた。 シロナは言うのを戸惑っている感じなので、ダイゴは無理に訊く気は無かった。 「両親のね、形見」 「え……」 「ずっと博士に預けっぱだったけど、このタイミングで返ってくるなんてね」 だが、少し待っているとシロナは話し始めた。最初に飛び出したフレーズでそれがかなりヘビーな内容である事がダイゴには知れた。 「あたしのお父さんとお母さんも考古学者でね。妹が生まれて直ぐに死んじゃった」 「えっと……事故か何か?」 大抵の事にはポーカーフェイスで対応出来るダイゴも、こう言った内容の話題にはどう対処す冪か判らない様だ。だから、正解だと思える様な受け答えを手探りで見付けるしかなかった。 「さあ」 「さあって……」 果たしてそれが正解だったのか否か。シロナの返事は何か他人事の様な響きを含んでいた。 「あたしもあんま覚えてないのよね。って言うか、思い出したくない」 「……アンタッチャブルな質問だったか」 「良いのよ別に。隠す事でも無いし」 どうやらシロナにも色々と単純じゃない過去があるらしい。言うのが辛いならこれで終わりにしてくれても構わないとダイゴは思ったが、訊かれた以上はシロナも話すのを止めなかった。 「……アルセウス、知ってる?」 「創造神、だろ。……待て。じゃあ、まさかアレって」 「そんな事も知ってるんだ。……天界の笛。本物か偽かは知らないけど、お父さんが死んでも放さなかったのがあの笛なのよ」 そして、シロナの口から出た言葉でダイゴはピンと来た。創造神に纏わる神話で笛に纏わるモノは幾つもある。曰く、資格ある者が吹けば、始まりの間へと通ずる路が現れる。ダイゴが知っているのはそんな逸話だった。 そして、恐らくあの笛がそうなのだろう。 「両親が何考えてたのか、未だに判んない。創造神に会うんだって冬の真っ只中出てって、テンガン山で行方不明になって……槍の柱の近くで氷付けになって見つかったわ」 物の真贋は別にして、シロナの両親はその神話を信じていたらしい。 幼い子供二人を残して死地に赴くのは親としては間違っているのだろうが、学者としてはその行動原理は間違いじゃない。その知識欲と探求欲は賞賛に値される程だ。だが、結局彼等は代償に命を失った。 「お父さん達が何を見たのか。命を賭けて迄求めたモノの価値はどれだけなのか。同じ道を辿ればそれが判るんじゃないかって、ね」 「それが君が考古学を学ぶ理由?」 「……なーんてね。馬鹿みたいにシリアスになる話じゃないってね。あたし自身、それに引き摺られたくないし」 ダイゴはシロナが考古学に懸ける想いの一端を見た気がした。死人に引き摺られていると言えばそれだけだが、それを決めて良いのは本人だけだ。少なくとも、シロナには気負いや衒いは見られない。 「……無理、してないか?」 「全然? ……ダイゴはどうなの? 会社を継ぎたくないのは判るけど、どうして地質学? お師匠さんの影響?」 おかしな箇所で強がるのはシロナの欠点だが、この問題に関してはその心配は要らないらしい。そうして、少しだけ安心すると今度はシロナが質問を返して来た。
97 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 11:02:19.76 ID:qTtyZsOi
「まあ、半分はそうだな」 「もう半分は?」 ダイゴは半分だけ頷いた。幼少時から磨いて来た石への想いと実績、そして師であるネムノキ博士からの教えと情熱が彼をその道へと誘ったのだ。だが、それは重要な要素ではあるが決して根幹では無い。 「逃避、だな」 「え」 そして、残り半分。その言葉が今のダイゴの根っ子の部分だった。 「僕が唯一自分で選び取ったんだ。それに、僕は逃げてるんだ」 「・・・」 良い言葉が浮かばない。一瞬だけ見たダイゴの瞳は死んだ魚の様に生気が無く、またハイライトが失われていた。それが何を意味するかシロナには皆目検討が付かなかった。 「悪い。もう、寝るよ」 「え、ええ。お休み」 ダイゴは話を打ち切り、背を向けてしまった。その広い筈の背中が今はどうにも小さく、頼り無く感じられる。何時もなら抱き付く所だが、他人を拒絶する様なオーラがダイゴの全身から出ていてシロナにもそれが出来ない。 ダイゴもシロナも結局、その日はお互いに背を向けて寝る事になった。 ――翌日 「じゃあ、僕はそろそろ」 「うん。気をつけてね。来てくれて、嬉しかった」 出発の朝、挨拶もそこそこにダイゴはシロナの部屋を出ようとした。シロナとしても今回は引き止める気も、泣く様な事もしない。態々来させた上にそんな真似をすれば自分の株が更に下がる事は請け合いだったからだ。 「「・・・」」 だからこそ、気持ち良く別れる為に余計な気は起こさない。お互いにそれは判っている事だった。唯一つの問題を除けば、だ。 「……って、本来ならこの台詞が出る筈なんだけどさ」 「判ってる。判ってるわ。でもね?」 外に行く用意は既に済んでいる、だが、ダイゴは困惑したまま中々部屋から出ようとしない。シロナは複雑な表情を浮かべたまま、窓の外を指差した。 「この天候じゃあ、どうしようもないわよ。ねっ?」 「何だってんだよぉ、ったく!」 コトブキ方面の天候、大荒れ。猛吹雪の為飛行機が飛べません。 憤慨したダイゴは叫びを上げるが、シロナはそれを宥めながらも内心嬉しかった。もう一日。そう、もう一日だけ彼氏と一緒に居られるのだ。悪天候を恨む気は更々無かった。 「諦めなさいな。お金も返ってくるだろうし。……それよりもさ」 「ぞくっ」 「もう一晩居てくれる?」 これだけの吹雪だ。全便欠航も有り得る話だし、外に出るのも辛い状況だ。密室に二人缶詰になる事は決定した様なモノなので、シロナは玄関に改めて鍵を掛けると熱っぽい視線と共にダイゴににじり寄る。 「満喫にでも逃げるかな」 「そりゃ無いべさお兄さん! 今日こそはしっぽりむふふと洒落込みましょうよ! ねっ!?」 此処はシロナを殴り倒してでも外に逃げる冪だろうか。だが、シロナの気持ちも考えればそんな手は使いたくない。だからと言って、このまま留まれば重労働を課せられるのは間違い無い。 『今日こそは』と明確に言っている辺り、相当気合を入れて搾り取ってくるのは目に見えている。……さあ、どうする? 「あーもーあーもー。……好きにしてくれよ、とほほ」 「わーい! 一名様ご案内〜♪」 「むぎゅっ」 結局、それしか道は無かった。白旗を揚げる様にダイゴが両手を上げると、シロナがじゃれて来た。顔を乳で挟まれて息が苦しかったが、今日一日は我侭なお姫様の為に奉仕に徹する事をダイゴは渋々ながら決めた様だった。
98 :
イジワルなあなた :2012/02/23(木) 11:04:12.07 ID:qTtyZsOi
――更に翌日 シロナの部屋で迎える三日目の朝。天候は晴れ。今度こそホウエンに帰れるとダイゴは歓喜していた。 「……何だ、この感じ」 そう、確かに最初はしていた。だが、その時が来ていざ部屋を出ようとすると言い様の無い寂しさに駆られた。 夏の終わりにも味わった感覚。その時は仕方が無いと諦めていたが、今回はどうにもそれが後を引く様で気持ち悪かった。きっぱりすっぱりと気持ちに整理を付けて帰らにゃならんのに、それが出来ない。 「ダイゴ?」 ベッドから起きてタオルケットで身体を隠したシロナが心配そうに見てくる。 「そっか」 ダイゴはシロナを見て全部理解した。この感情こそがシロナを苛んでいたものだと気付いたのだ。 「そりゃあ、泣きたくもなるか」 泣きたくなったら素直に言え。そんな事を言った自分だったが、それが酷く無責任な事の様に思えて腹立たしくなった。 シロナの痛みを正しく把握しない癖に何が頼れだ。決して軽々しく言えない筈なのに、そう言ってしまったのは矢張りそれが他人事だったからだろう。 だが、一端その正体を知ったのならば、その処理の仕方は容易に見える。 お互いに離れられない位に惹き合っている。だが、距離があって逢うのが難しい。一緒に住む事も今は出来ない。 それなら…… 「今回はこれにて。また、近い裡にね」 「行ってらっしゃい。気を付けてね」 今度こそ、シロナの部屋をダイゴは出る。昨日十分にキスされたので、別れに際してのそれは無い。背中を見送る裸のシロナは三日前が嘘の様に晴れやかな顔だった。 ――飛行機内 雲の上 「僕も同じ病気になるなんてなあ」 カントー行きの飛行機の中、ダイゴは自分が今恋を患っている事を痛感していた。逢えない事、触れ合えない事がこれ程辛いとは考えもしなかった。 だが、それはシロナも同じだと考えれば耐える事が出来た。 「でも、今年はこのまま終わらねえ」 しかしだ。ダイゴは今回その気持ちを抑える事はしない。自分の好きにやって何が悪い。だから、ダイゴはそうするのだ。 「最後のサプライズ、くれてやるからなシロナ……!」 ビッグサプライズを思い付いたダイゴはニヤリと笑った。 ――同刻 シンオウ大 教室 「くしゅんっ!」 「What? シロナ、Did you catch a cold?」 「ぐす……I don`t know。何とかは風邪引かないもんよ」 講義が始まる少し前だった。ノートと教科書を広げていたシロナが突然くしゃみをする。隣に居たシロナの同期がその様を見て特に心配する素振りも無くそう言った。シロナも鼻を啜ってその言葉を気にしてない様に振舞う。 「きっと、steadyが噂してるですヨ。背が高い銀髪のhandsomeなオニイサンネ」 「なっ!? な、何で知って……!」 にんまりと笑う同期の言葉に途端にシロナが真っ赤になって慌てる。 「やっぱりネ! 彼、ホウエンから来た言ってました。そうさせたシロナ、悪女だヨ」 「だーかーらー! 何で知ってんのよ! ダリア!」 からかう同期……ダリア(後のルーレットゴッデス。現在は外国語学部に所属)にシロナが激しく詰め寄るが、ダイゴにシロナの居場所を教えたのは彼女なので知っていて当然だった。 だがダリアは性格が悪いのか、シロナの慌て振りを見てケラケラ笑うだけだった。
99 :
音ゲーマー :2012/02/23(木) 11:07:34.84 ID:qTtyZsOi
ゲーム中の描写やテキストから几帳面と大雑把と書き分けてみたけど、作者的にはシロナさんは家事が壊滅的なイメージがある。大誤算はその逆。 皆さんどう思います?
「どう思います?」って聞かれてもここ雑談スレじゃなくね。 作品はすっげー面白いし支援してるけど、なんかもやもやする・・・。
>>100 まぁまぁ
雑談しながら進行もいいんじゃないか
キャラに関する話ならアリじゃないかと思う 俺は、大誤算は必要最低限の家具しか持ってなくて料理も簡素なものだけ作る シロナさんは可愛い持ち物をたくさん持ってるけど整理できてなくて、 いつも料理できない癖に凝ったもの作ろうとして失敗しちゃう そんなイメージ
大誤算は自分のことは何でも自分でやる、几帳面な人だと思う。 シロナさんは頑張り屋で、何でも自分でやろうとするんだけど、失敗しちゃうんだと思う。 恋人のために料理をしようと試みるも、紫色のドロドロの液体とか、黒焦げの塊しかできなくてしょんぼり・・・ とかだと俺的に萌える。
ダイゴさんはすごい細かそう。ベッドにしわ一つでもあったら、本当は文句言いたいけどやってもらったから言えないが、自分でやったら最初からやり直し、みたいな シロナさんはアカギさんに一歩もひかないから、失敗しようが成功しようが、私に文句あるの?ないでしょウフフ だったらいいな
\:舞踏会への招待 ――ホウエン大 キャンパス内 『……話は判ったわ。でも、幾ら何でも唐突過ぎんでしょうに』 「悪いなシロナ。でも今回は意見は聞かない。乗るか反るか、それだけ知りたいんだよ」 シンオウから帰って数日と立たない裡にダイゴはシロナに電話を掛けた。内容はビッグサプライズ決行の為の交渉だ。 『ズルイなあ。そんな事言われちゃ余計に拒めないわよ』 「拒むに足る理由があるなら言ってみてよ」 大筋は出来上がっているが、シロナの了承を取り付けない限りは絵に描いた餅に過ぎない。だからこそ、何とかダイゴはシロナを口説き落としたかった。 『無い。年末はカンナギ帰ってダラダラしてるだけ』 「僕も一緒。実家で何日か過ごして、自分の家で寝てる位だよ」 融通を利かせて欲しいのは年末の予定に付いて。何処の家庭も大体やる事が決まっているのか、二人共大差が無い。だが、ダイゴとしてはそれが寂しいので、年末はシロナと一緒に居たかったのだ。 『ねえ、何かあったの? 何と無く、心配なんだけど』 「寧ろ何も無いからだよ」 『えっと……?』 「だから、理由が無くちゃ逢えないってのは変だろ。付き合ってるのに」 しかし、ダイゴの想いとは裏腹にシロナは冷静だった。突然そんな事を言い出すダイゴに変な心配をしてしまう程に。だが、一端そうすると決めた以上ダイゴがそれを曲げないのは何時もの事だ。だから、正直にシロナに言ってやった。 『そうだけど、この前逢ったばっかりだし、今はもう泣かなくて平気だし……』 「無理に意味付けすんなよ。僕はそうしたいからそうするだけだ。それとも、やっぱり僕何かの面は見たくないか」 声のトーンから判断するに、嫌悪の感情は見られず戸惑いが感じられる。きっとシロナはダイゴに悪いと思って遠慮しているのだろう。 だが、それこそが逢いたくないれっきとした理由と言う奴だ。少なくともダイゴはそう感じたらしい。だから、後半部分は演技ではなく素の状態で悲しい声が出てしまった。 『ち、違うから! あたしだって逢いたいから!』 「なら問題無いでしょ。理屈じゃなくて、衝動で行動するのも悪く無いって思うけど?」 『う、うん』 それでシロナはやっと正直な所を口にした。後は追い込みを掛けるだけなのでダイゴは止めを刺しに行く。こちらの都合に付き合わせるのは申し訳無いが、今はそれに遠慮する場面では無いのだ。 「その為なら、今回は親父の脛齧るのも吝かじゃないって思ってる」 『! あ、アンタ其処迄……』 ダイゴの言葉にシロナが息を呑む。親の金に頼る事を極力嫌うダイゴがそんな事を言うとは槍が降ってくる前兆とも思える。兎に角、何か良く判らないが余程の覚悟を持っているに違いなかった。 「偶にはババンと決めたい。格好付けたい年頃だと笑っても良い。……返答や如何に?」 『……はあ〜。判った。あたしの負けよ。今年は最後迄付き合ったげるわよ』 「よっしゃ! 言質は取った。キャンセルは受け付けないからな」 親の七光りと誹られ様が、今回はデボンの力を利用したって構わない。何時もと逢瀬の毛色を変えるにはそれしかない。 もうダイゴに其処迄言わせた以上、これを断っては女が廃る。シロナはダイゴの申し出に頷くと、その言葉を待っていたダイゴは珍しく嬉しそうな声を上げた。 『で、実際どうする訳? あたしが行くの? それともアンタが来る?』 「どっちも違う。年末はカントーで過ごすぞ」 一緒に過ごすのは構わない。問題なのはどちらが移動するかだ。今迄の様にそうするものとシロナは思っていたが、ダイゴの考えていた構図はそうじゃない。流石のシロナもそれには大誤算だった。 『ああそう……って、今度はカントー!?』 「君、リアクション芸人目指したら?」 『五月蝿いわ!』 電話の向こうでシロナがどんな愉快な顔をしているのか、想像すると笑えて来た。笑いそうになるのを堪えてダイゴが言うと、シロナは怒鳴り返してきた。
――デボンコーポレーション 社長室 昔は半ば遊び場として頻繁に訪れていた場所。今は用があっても寄り付かない、ダイゴにとって反吐が出る程ムカつく場所。ダイゴは其処に居た。父親に話を付ける為だ。 「……ってな訳でさ。金は俺が全部都合する」 「ふむ」 「少しでも安く済む様にウチのホテルの優待券、都合してくんない?」 やると決めたら半端はしない。父親の協力を得る為に包み隠さず話す。 だが、親の脛を齧ると言っても、ダイゴのそれは未だ可愛い方と言える。ダイゴにも安いプライドがある以上、この程度が強請れる限界だったのだ。 「成る程なあ」 「親父?」 息子の話を聞き、父親は社長椅子に座ったままゆっくりと頷く。その様は息子の成長を目の当たりにして、喜んでいる様なはたまた悲しんでいる様な感慨深げな姿だった。 「お前も色を知る歳になったか」 「余計なお世話だよ。で、どうなのさ。駄目なら別に良いけど」 昔は石にしか興味が無かったのに、それ以外の事に情熱を注ぐとはその姿が若かりし頃の自分のそれと重なる。 だが、父親の胸中が見えない息子はそれがどうにも癇に障る。こちらの願いが通るかどうか、それ以外はどうでも良いのでダイゴは答えをせっつく。 「その娘さん、可愛いのか?」 「あ? な、何だよ突然」 すると、ツワブキ社長がそんな事を言い出した。何でそれが今必要なのかダイゴには判らない。 「写真の一枚でもあるんだろう? 見せろ。話はそれからだ」 「関係無いだろ……って、なっ!?」 一体何なのだろう。値踏みでもするつもりだろうか。だとしたら流石に付き合い切れない。ストレスを溜めたくないのでとっとと部屋から出ようと考えたが、何時の間にか背後に社長が居て、ダイゴは悲鳴を上げそうになった。 「気になる。見せろ」 「わ、判ったよ顔を寄せんな暑苦しい!」 幾ら父親と言っても良い歳したおっさんに近くで凝視されては堪らない。ダイゴは負けを認め、名刺入れにお守り代わりに入れてあるシロナの写真を見せてやった。 「これだよ」 「・・・」 社長は写真から目を背けようとせず、じっと見詰めたまま不動だった。 「……このお嬢さん、名前は」 「え、シロナだけど」 写真を見たまま社長が尋ねる。名前位教えても問題は無いので答えてやる。苗字を含めたフルネームでは無く、あくまでも名前だけだ。 「付き合って長いのか?」 「一年半に届かない位」 次は交際期間を聞かれる。嘘は言いたくないので正直に答える。出会いは大学初めての夏休みの時で、付き合い始めたのがその次の年だから、それで正解だ。 「……ダイゴ、正直に言いなさい」 「あ?」 社長は漸く顔を上げて、真剣な眼差しを以ってダイゴに尋ねた。それがどうにも普通じゃない様に感じられたダイゴは少し身構えた。 「幾らで買った?」 「アンタ迄それを言うか!? って言うか父親の台詞じゃねえよそれ!!」 何て失礼な事を言いやがる! そこらのキャバ嬢とシロナを一緒にするな! ……とダイゴは父親に生身のコメットパンチを叩き込みそうになる。 「いや! どう考えてもお前には不似合いな美人だ! これが神の悪戯で無ければそうとしか考えられん!」 「そんなの知るかよ! 本人に聞いてくれ!」 しかし、社長もやるものでダイゴの攻撃に先駆けてミラーショットでその命中率を下げる。思いもよらない言葉に攻撃の意思が削がれたダイゴは結局言葉で言い返すしかない。
「……本当か? まさか、天使!? いや、女神……!」 「親父? 頭大丈夫か?」 どうにも息子の言葉が信じられない。しかし、嘘を吐いている様には見えない。だとすると真実? 本物の天使には羽が無いと言うが果たして……。 ぶつぶつ何かを口走る父親が認知症を発症したのかと息子は生暖かい視線を向けた。 「……死んだ家内を思い出すな」 「え? ……母さんとは似ても似付かんだろ。髪とか顔とか背だって」 「馬鹿者。纏う空気がだ。……そう言う事なら、一肌脱がねばなるまい」 「は?」 あの頃は成功しようと躍起だった。只管働いて、石を掘って、また働いて。そんな折に石よりも価値のあるものを見付けた。偏屈な頑固者で知られていた自分を夢中にさせる程の良い女だった。 だとしたら、血は争えないものだ。この写真の女性からは嘗て妻に感じたのと同じ空気を感じる。それならば、息子が石を放り出して夢中になるのも頷ける話だ。 残念ながら自分好みのタイプでは無いが、息子が昔の自分と同じ想いを今感じているのなら、父親としてそれに応えてやりたかった。 「ダイゴ。後はこの父に全て任せよ。このシロナさんと言う娘さんを立派に社交界デビューさせてみせよう!」 「え? ちょっ! 只、ホテルが安くならないかって相談なんですけど!?」 何か話しがとんでもなく飛躍している。そもそも社交界って何だ? その裡結婚式とか言い出さないだろうなこの人? ダイゴは心配だった。 若し、デボンが本気を出したらそれも有り得る話だから困るのだ。 「この娘さんをお前が選び取るのならば」 「!」 「どの道避けては通れない。……そうだろう?」 突然、シリアスな顔を向けた父親に息子は押し黙る。 どれだけ否定したくてもデボンの社長子息と言う肩書きは変わらないし、捨てる事も難しい。最悪、己の望みと違うとしても会社を継がねばならないかも知れないし、今だって社長代理として会合に出る事も屡あるのだ。 そんな自分と付き合うシロナもまた無関係では居られない。そう言う事なのだろう。 「……俺もシロナもそんな道は選ばねえよ」 「選ばなかったとしてもだ」 「不吉な事言わないでくれよ」 だからと言ってそれに素直に頷く程、ダイゴは老いていない。社長はダイゴの答えを予想していたのか、少し悲しそうな顔をしていた。 何と無く、それが現実のモノになりそうでダイゴは頭を振った。 ――カンナギタウン 村長宅 「成る程ねえ。今年は帰って来れないのかい」 「うん。どうしても断り切れなくてさ。だから、今こうやって帰って来てるんだけど」 師走も中旬を過ぎ、約束の刻限が迫って来ている。シロナは何とか時間を捻出して実家に戻って来ていた。年末は無理なので今の裡に里帰りして置きたかったのだ。 「あーあー、気にせんで良いわい。お前にゃお前の人生がある。寧ろやっと肩の荷が下りた様でホッとしとるわい」 「お婆ちゃん? 何か言葉に棘を感じるんだけど」 何と無く、祖母の言葉に辛辣なモノが混じっている気がする。それは何か? 一々帰って来なくて良いとそう言う意味か? ……だとしたら失礼な話だ。 「もう手の掛かる子供じゃないじゃろ。このまま男の一人も知らず石女になってしもうたらどうしたもんかと思っとったわ」 「なっ!? あ、あたしだって捨てたモンじゃないわよ!? 大体、ダイゴだってあたしにメロメロ……」 嫁に行き遅れた娘がやっと婿を見付けた様なその顔は一体何なのだろうか。まあ、確かに大学に上がる迄は縁が無かったが、今は違うのだ。心配される云われは無い。 その辺りを明確に示そうと彼氏について色々語ろうとする。しかし、直前に邪魔が入った。
「逆。逆。メロメロなのはお姉ちゃんの方でしょ?」 「ちょ、は、話に水を」 シロナの妹だ。情報に聡い者ならば、シロナがどれだけダイゴに骨抜きで、且つトロトロなのか、良く知っている。そして、彼女はその事に付いては少し理解していた。 「寂しくて苦しくて彼氏の写真見ながら泣いてて、いざその彼がホウエンから颯爽と登場したら、その鋼の肉体に牝としての本能を覚醒させて逢えなかった分の劣情を叩き付ける様に腰を振り、泣きながら懇願するの……『ご主人様、もっと♪』って」 『ああ〜ん♪ シロナの雌しべとご主人様の雄しべが合体してるのお!』 『ぶっ『検閲削除』メされて、シロナ幸せれすぅ! ご主人しゃまらいすきぃ♪』 『駄○○○○っ! シロナの○○○○コに××してくらひゃい♪』 『もっとぉ、飲ませてぇ……ご主人様、もっと♪』 「な、なっ! なななな〜〜//////」 ……師走の頭にダイゴが来た時のやり取りが脳裏に過ぎる。その時の自分の姿を思い出すと顔が噴煙を上げそうに真っ赤になった。 誰にも言っていない筈なのに、何故!? 何故知っている貴様! 「ほうほう。こりゃあ、曾孫の顔見るのも直ぐかねえ」 「って、お姉ちゃんはこんなキャラしてないけどね〜……お姉ちゃん?」 どうやら、孫娘は正しく女であり、また青春を謳歌している様だ。これならば放って置いても何れ確実に妊娠すると長老は確信したらしい。 只、妹は姉のそんな姿は想像出来ずに半信半疑だった。聞かされた話しだって、どうにも眉唾だ。姉の普段の姿と話の中の姉とではギャップがあり過ぎるからだ。 すると、姉がワナワナと震えている事に気付いて妹はその肩を揺さ振った。 「――誰に聞いた?」 「えっ……嘘。マジ、だったの?」 姉は顔を上げず、低い声でそう呟く。その様子で只事では無いと気付いた妹は慌てて逃げようとするが、腕を掴まれてしまって出来なかった。 「ダレニキイタ?」 妹の目の前に鬼女が降臨していた。般若のレベルを軽く超えて真蛇の域に到達していそうな強力な奴が。 「ひっ!? ほ、ほらあの人だよ! お姉ちゃんと同期の外国人の!」 「アイツか。日本語下手糞な癖にある事ある事よくも……」 それを見てしまった妹は小便をちびりそうになった。素早さの他、あらゆるステータスががっくり下がった気持ちになった妹は容易く口を割る。それを聞いたシロナはズルズルと妹を引き摺りながら奥の部屋へと消えていった。 「お、お姉ちゃん落ち着いて? 道具は……道具の使用はあぶなひでぶ」 「まあ、悔いの無い様に頑張んな」 一瞬で挽肉になった様な断末魔が聞こえた。本当に殺してしまった訳では無いので長老は別に心配はしていない。 気になっているのはシロナの恋の行方についてだが、長老は取り敢えず、応援してやる姿勢を見せていた。
――数週間後 カントー タマムシシティ 噴水広場 イブの翌日。クリスマスど真ん中で二人は再び出会う事になった。 二人共冬季休業はあんまり長くないので三が日を過ぎれば自動的に流れ解散となる。それ迄の間、拠点となるのが虹色をシンボルとする大都会。 時刻はとうに夜だが、人の群れは絶えない。年末の忙しさとやって来る新年の足音に躍らされる様にこの街は不夜城の如く眠らない。 そんな中ダイゴとシロナはベンチに腰掛けて煙草を吸っていた。 「なーんかさ、あたしってば激しく浮いてない?」 「どうしてそう思う?」 白い吐息に混じる煙が夜の闇に溶けていく。色取り取りのイルミネーションに照らされるシロナの横顔は綺麗で見惚れそうになる。しかし、シロナの発した言葉がそれ以上にダイゴには気になった。 「だって、あたし蝦夷っ娘だよ? 田舎モンだよ? こんなお洒落な場所に居るのが場違いな気がしてくる」 「その理論じゃ、僕も地方のドラ息子って事になるんだが」 「アンタは違うでしょ。家柄とか気品とか。あたしとは何かが違うって思っちゃうわよね」 「そんなもんで人間の価値を計られたら堪んないよ」 どうやら、シロナはこの場所に似つかわしくないと勝手に思っている様だ。若し、シロナがそうなのならば自分自身も同じだとダイゴは言ってやる。 だが、その次の言葉でダイゴは少しだけシロナとの隔たりを意識してしまう。それが気のせいで無いならば、ダイゴにとっては愉快な話では無い。例えシロナであったとしても触れて欲しくない部分でもあった。 「そうかしらね」 「そうだよ。所詮は成金とか、金で買った家柄とか言われてジ・エンドさね」 だが、見詰めてくる金色の瞳には疑念の感情が混じっている。それから逃げ出すのは何と無く癪だったので、ダイゴは言ってやった。 「……そんなもんなんだ」 シロナはダイゴの銀色の瞳に滾る周囲からの理不尽に対する憤りを見た気がした。だが、それを正しく掴みかねている様で、そんな陳腐な言葉しか出て来ない。 「ああ。世の中記号でカテゴライズしたがる人間ばかりでうんざりだよ。君も、実はそうだったりするのかな?」 過去から今迄、何度も通過したやり取り。それに傷付き、また腹立たしい思いをした事も十や二十では利かない。だが、そう思った所で周りの反応は変わらないし、自分でもどうしようもない事だとダイゴは気付かされたのだ。 それに気付かない振りするのも、我慢を続けるのも好い加減に疲れる事だった。 ……君は違うよな? 今迄は面と向かって訊けなかったが、そろそろ明確にしておいた方が良いと判断したダイゴは内心ビクビクしながらもシロナに尋ねた。 「違うと思いたい。でも、自信が無くなるわ」 「何がさ」 返って来たのはダイゴには好ましくない答えだった。
「劣等感よ。……ダイゴが悪いんじゃない。アタシが勝手に思い悩んでるだけだから」 最初は気にしていなかった。だが、付き合う度に自分とダイゴが違う世界の人間だと言う事がまざまざと見せ付けられる様だった。家名とか血筋とか、自分ではどうにもならないモノに憧れ、そして絶望する。 自分と言う女はダイゴと言う男に全く釣り合っていない。そう思えるからこそ、シロナはダイゴの隣に居ながらも孤独を感じている。気にしてはいけない事なのに、それに気付いた時点で苛まれていた。今もそうだ。 「……良いんじゃないか? そう言うのも」 「良くないでしょ。だってあたし……きっとあなたに」 湧き上がった劣等感の影で嫉妬の感情が嘲笑う。所詮は別種の人間だと、恋人へ向けてしまう醜い感情に自分自身が嫌になりそうなシロナ。だが、ダイゴはシロナのそれを戸惑いながらも否定しなかった。 「好き合うってのは同じ何かになる事じゃないだろ。生まれも育ちも違う。そいつが当たり前だ。そうじゃなけりゃ、裸で抱き合う事すら出来やしない」 「・・・」 人間、生まれながらに何かしらの物を背負うのだ。だが、それをどう処理するかはその人間の生き方次第だ。それに縛られ続けているダイゴだからこそ、自分には無い物を持つシロナに惹かれ、こうやって関係を続けているのだ。 「君は僕になりたいのか?」 憧れを持つのも良い。だが、相手の境遇を真似て例えそうなれたとしても、其処に自分自身はあるのだろうか? 答えは否。近親憎悪による破滅しかない。 「違う。って言うか無理」 「なら、今のままで良いだろ。背伸びしたって疲れるだけだって」 シロナだって本当は判っている。性別の時点で既に違っているのだ。同じである必要は無いし、寧ろ違っていなければならない。それが真実だ。 肩書き同士が付き合うのが恋愛じゃない。男と女だからそうしているだけだ。だから、ダイゴにとってそれ以外は余り必要の無い事だった。 「やっぱ冷めてるね、ダイゴって。偶に憎たらしい位に」 「そう言う素振りが得意なの。一番楽なのさ」 「ま、そう言う事にしといてあげるわ」 自分の迷妄の原因である目の前の男について、良くも悪くも思う所が多々あるシロナ。そうやってすっぱり割り切れれば楽なのだろうが、シロナにそれは出来そうに無い事だった。 しかし、ダイゴだって何の苦悩も無い訳が無い。染み付いてきた生き方が発揮されてシロナには冷めて見えているだけだ。 シロナにはそれが何時ものダイゴが見せる表情と変わらずに映ってしまう。シロナがダイゴの根っ子を理解するのは未だ先の話らしかった。
「えっと、やっぱ迷惑だった? こう言うの」 「迷惑って言うかさ、戸惑った」 「・・・」 重たい話はもうしたくない。だから、矛先を反らす為にダイゴは今回の旅行に付いて訊いて見た。結局、無理に誘う形になってしまったし、どうもシロナのテンションが低い事が気になってしまったのだ。 だが、別にシロナは嫌々ながら来た訳では無い。実際、ワクワクしていた。そうで無ければ最初から断っている。その原因は胸に巣食っている戸惑いの感情だった。 「ずっとシンオウ暮らしだったのに、行ける世間が広がって、頭が追いつかないって言うかさ。……判るでしょ?」 急に広い場所に放り出される不安の様なモノだ。出来る事が多くなる反面、何をして良いのか自分でも判らなくなるもどかしさにも似るかも知れない。 ダイゴと付き合ってからそう言う事態が立て続けに頻発している。シロナはどうやらその順応が済んでいないらしい。 「ああ。判る。雪山から密林、砂漠に行ける様になったら最初は難儀するよな」 「……間違いじゃない。間違いじゃないけど、適切でも無い様な?」 マップが判らない。採取場所が不明瞭。クーラードリンク忘れた。クック先生が怖い。 ……まあ、気分的に当て嵌るモノは多々あるかも知れない。 「……じゃあ、未知の大型モンスと初めて対峙する時に感じる恐怖や高揚感? 攻略法を見出した時の喜びと何とか倒した時の達成感とか」 思い出してみて下さい。 稀薄竜、轟竜、迅竜、金獅子、風翔龍、老山龍、雷狼竜、煌黒龍etc…… 初めての戦闘と勝利の瞬間、その時の気持ち。 「近い! 凄いそれに近い! だけど、別ゲーなのが惜しい!」 えっ、解らないって? そりゃ困ったな……(筆者) 「まあ何だ。そう言うのは、閉じ篭ってるのが間違いだったって思えば解決だろ」 「ええ?」 冗談(半分は本気だが)はこれ位で良い。シロナの抱えている不安の正体が見えたダイゴはそれに真っ向から立ち向かう。シロナはそれに一瞬、きょとんとした。 「俺にはあたしにはまだまだ行ける世間がある。こんな処で燻ってる人間じゃない。……そう思えばやれるって気がしてこないか?」 「だ、だってあたしだよ? あたし何かが」 謙遜は美徳かも知れないが、それも過ぎれば自己評価を誤る危険性がある。少なくとも、シロナには眠っている可能性が沢山あると言う事がダイゴには判っている。その開花を遅らせるのは惜しい事だった。 「ほら、それが既に間違いだ。少なくとも君はもっと広い世界で活躍出来る一材だって思うけどね。僕以上にさ」 「そっかな//////」 一つだけだが年上なのだ。偶には先輩風を吹かせてみたいダイゴのアドバイス。 そして、きっとシロナは褒められたい年頃なのだろう。自分の彼氏にそう言われて悪い気がしない訳がない。 「そうだよ。自分を信じないで何を信じるんだよ。そいつについては僕が保証するよ」 「う、うん!」 人生は戦場であって、その場に於ける一番の戦友は自分自身しか在り得ない。シロナはどうもその辺りが不足している気がする。だから、ダイゴは人生を拓く為に必要なそれを提示してやるとシロナは微笑んで頷いてくれた。 「元気、出た?」 「ありがと。大分、軽くなった。……そうだよね。自分の事だもんね。夢はでっかくても、誰も文句言わないし、多少自惚れる位があたしには良いのかも」 「ああ。本当の実力さえ知ってりゃあ、問題無いさ」 旅行に来て迄こんな説教臭い事はダイゴとしても言いたくは無い。それでも、シロナが微笑みを返してくれるならそれも良い。老け込むには未だ早いが、少なくともダイゴはそう思った。 「さて、帰ろうか」 「そだね。冷えて来たし、お布団で暖まりたい気分」 「僕は一寸引っ掛けたい気分だねえ」 時計を確認するともう随分と時間が経っていた。足元の吸殻も結構な量になっている。ダイゴが撤収を告げるとシロナもそれに頷く。ダイゴは吸殻を始末すると、シロナを連れて歩き出した。 「で、今日の宿って何処?」 「ん? あそこ。ウチの系列店なんだよね」 ビルの合間から覗く、背の高い建物。無駄なライトアップを控えた格調が高そうなホテルが彼等の塒だ。 シルフの本拠地の目と鼻の先で商売をやっているデボン随一のサービスを誇るホテル……との触れ込みだが、ダイゴも利用するのが初めての場所だった。
112 :
音ゲーマー :2012/02/23(木) 23:14:41.95 ID:Er8IGGO6
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>>102 ,103,104
ありがとう。終盤に手直ししたい部分があったから参考にさせて貰うよ。
やっぱり、大誤算は几帳面なイメージが多いか。でもシロナさんは……まあ、飯マズ嫁と解釈させて貰いますわ。
>>101 それ以前にここは音ゲーマー専用スレでもないわ
今週のフウロには絶望しましたよ
]:右手に火輪、左手に月輪 ――ホテル 客室 ロイヤルスウィート 「あの、だ、ダイゴさん?」 「な、何でしょうかシロナ君」 ボーイに案内された部屋の入り口で二人は突っ立ていた。引き攣った顔で自分の名を呼ぶシロナにダイゴまた同じ顔で答える。 「ほんとに、此処? って言うか、入って良いの此処!?」 「いや、此処の筈。間違い無い。部屋番号間違ってないぞ」 二人が戸惑う理由は部屋の豪華さだ。二人で使うには明らかに広過ぎる間取り、高そうな絵画や陶器の壷が彼方此方の壁に散らばり、部屋のど真ん中には経費の無駄としか思えない小さめのプール迄存在している始末だった。 シロナの言葉にダイゴは慌てて渡されたカードキーの番号を確認するも、刻まれた番号に間違いは無かった。 「こ、こんな豪華なお部屋初めてで、あたし、何が何やら」 「僕だってそうだよ。ってか、こんな部屋毎日泊まってたら破産するから」 庶民の暮らしが身に沁みているシロナらしい言葉。だが、ダイゴだってそれは同じ。幼少期から普通の暮らしを心掛けて来たダイゴにはこんな部屋は既に異界だった。 「お値段、平気? 凄く怖いんですけど」 「一寸、確認してくる。今回、親父に任せたから間違いじゃないと思うけどさ」 一体、一泊幾らするのだろう。何かの間違いを期待してシロナはダイゴに確認すると、ダイゴは電話をしに一端部屋から出て行った。 「はああ〜」 待っている間、暇なので座るだけなら只だと、備え付けのソファーに座ってみた。座り心地抜群のアンティーク調のマホガニー製のソファー。恐らく値段は数十万円の世界だろう。これだけでもう溜め息が出てしまった。 「ゴメン、ダイゴ。あたしとアンタ、やっぱ違う世界の人間だわ」 お金って、ある所にはあるのね。貧富の差がこれだけ世界を分ける事を思い知ったシロナはダイゴには悪いと思いつつもそう口走った。 「おっけ〜だってさ。暫く、僕達の城だわ、この部屋」 「これが……デボンの本気……!」 戻って来たダーリンの言葉にいよいよ現実と認めざるを得ない。何ともゴージャスな恋でぐうの音が出ないシロナ。一夜にしてラグジャリーな世界に突入した気がして上手く頭も回らなかった。 「いや、どうかな。あの親父の事だ。絶対何か仕掛けてる気が……」 そして、シロナのその言葉は間違いである事をダイゴは知っている。若し、本気だった場合はこんなレベルで済まない事を御曹司の立場から見てきたのだ。寧ろ、こんなものは序の口にも満たないレベルだと言う事も。 「あー、一寸飲まなきゃやってられんばい」 ――ぐびっ 部屋に備え付けのブランデーの瓶を直に呷ると、その余りの美味さにどんどん飲みたい気分に駆られた。 未だ学生の身分である自分達には早過ぎる世界だとダイゴは父親に文句を言いたくなったがその筋合いに無い事を知り、酒と共に言葉を飲んだ。 「あたしにも頂戴」 一寸飲みたい気分はシロナも同じだったらしい。ダイゴはきっちり封を閉めると瓶をシロナにパスしてやった。余り酒に強いとは言えないシロナだが、お互いに今日は疲れているので変な事は起こらないに違いない。きっと、シロナもそう思ったのだろう。 「……もう、寝よ」 「あたしも……流石に疲れた……」 もう遅い時間だったので、適当にルームサービスを頼んで今日はそのまま寝てしまう事にする。悔しいが、運ばれてきた軽食もサービスのクリスマスケーキも絶品だった。 枕もベッドも寝心地が抜群で、昼間は移動に費やして疲れていた二人は一気に睡魔に襲われ、裸で抱き合ったまま眠りに落ちた。 翌日、翌々日共にダイゴが持参した資金(諭吉百人分)を使い二人は豪勢に物見遊山する。遊び歩くとは言っても、学生としての節度と金銭感覚が二人には染み付いているので十人討ち死にさせるのにも難儀する始末だった。 もう途中で金を使う遊びに飽きた二人は自分達にとって最も興味を引かれる場所である博物館や美術館を巡り、実に健全に年末を過ごす。 そっちの方が自分達らしいと言う二人で出した結論だったが、そいつは思いの外効果的で、ダイゴもシロナも双方納得がいく迄楽しめた様だった。 そんな平和に過ごす二人に嵐が着実に近付く。それこそが今回の仕掛け人であるツワブキ社長が容易した最大のイベントであり、またtrapだった。
――年末 二人の部屋 「今、何と?」 「だから、君にも出て欲しいんだよ。ウチの忘年会」 大晦日二日前。二十九日の朝にそれは起こった。ダイゴの突然の申し出にシロナは目が点になった。 「忘年会って、アレでしょ? 毎日ホールを貸し切ってやってる」 「ああ。金融界、政界のビッグネームがわんさかの」 このホテルに滞在してからシロナが頻繁に目にしている催しだった。自分には関係無いと思って遠めに見る事しかしなかったが、まさかそのお鉢が回って来るとは。 「アレ、絶対社交界よね?」 「……かもな」 かもな、ってアンタ。ちゃんとこっちの目を見て話しなさいよ。 ……シロナは焦っていた。 意外な話だが、デボンは一地方の大企業であるにも関わらず、大手のシルフ以上に様々な方面で顔が利く。一説には裏の仕事も手広く展開しているので、様々な分野の要人とコネを持っているらしい。 今迄只の噂だと思っていたが、実際に出席してくれと言われれば誰だって警戒するだろう。少なくともシロナはそうだ。 「いやいやいや。あたしには無理です。駄目です。勘弁して下さい」 「否! 出てくんないと困る! 僕と君で出席するって事になってるんだよ!」 自分の出る幕ではないときっぱりお断りを告げるシロナだったが、ダイゴは夜会の名簿を目の前に突き付けて必死の形相で食い下がる。 「だからって何であたしが!? 無関係でしょうに! こんな催しには一生縁が無い一般人よ!?」 「親父に言ってくれ! 僕だって知らなかったんだよ!」 ダイゴがそうである様にシロナだって必死なのだ。出席して物笑いの種になる事だけは避けたい。だが、今更そんな理屈はどう考えても通りそうに無かった。 「しかも何よ!? このデボンコーポレーショングループ取締役代理って!? じゃあアンタと一緒に出るあたしは何? 何処の誰!?」 「……この際、何でも良い。腹ぁ括ってくんなまし」 自分とダイゴの名前の下にはズラッと凄い肩書きのお方達が勢揃いしている。何処かのCEOや頭取、官庁街の背広組やらその業種は幅広い。もう、これだけで圧巻だし、気が遠くなりそうな世界。 正直、シロナには荷が重い話だが、今の彼女にはそうする必要性が生じている。 「若し、出なかったら?」 「社名に傷が付く。悪ければ株が下がって従業員が大量リストラ……何て事も」 「……!」 Ifの話について一応聞いてみるが、返って来たのは後味が悪くなりそうな可能性。こんな事で尻込みする場合では無いのだろうが、一片でも人の心がある以上、シロナはもう自分の都合で抗う気は失せてしまった。 「良いわよ。やったろうじゃん。でも、あたし、アンタの側から離れないからね。序に一言も喋んないから宜しく」 「ああ。舵取りは僕がするよ。……はあ。親父の野郎、マジだったのかよ糞っ垂れが」 とうとうシロナは腹を括った。盛大に恥を掻いてダイゴを道連れに死んでやろうと本気で考えている。無論、そんな考えはダイゴにはお見通しだった。 以前のやり取りを思い返し、馬鹿な罠を設けてそれに嵌めてくれた父親を本気で恨むダイゴだった。 「今は時間が惜しい。マナーとかんなもんは知らなくて良いけど、兎に角着て行く物だけは見繕わにゃあ」 「やっぱ、普段着じゃ駄目?」 これ以上じゃれている暇は無い。開幕時刻は夜だが、準備には色々と時間が掛かるのだ。今から動かなければ最悪の場合、間に合わない可能性があった。 「阿呆! 今日は俺達がデボンの顔なんだよ! 社員の命が掛かってるってそう思え!」 「は、はい〜っ!」 戯けた事を口走るシロナを叱る様に怒鳴ったダイゴの顔に何時もの余裕は存在しない。しかし、一端やると決めた以上はそれを遂げる事がもっこすの心意気である。 シロナをエスコートして与えられた役目を果たす。ダイゴの中のちっぽけな、それでも立派な矜持だった。
「……ええ、はい。判りました。ではその通りに。お願いします」 こうなる事が予測済みだったのか、ツワブキ社長が事前に段取りを予め組んでくれていた。ダイゴとシロナはそれに乗っかるだけで良い。フロントに電話をしてダイゴは外に車を手配した。 「じゃあ、行こう。ドレスは貸してくれるけど、先ずは君のサイズ計らないと」 仕立て屋との話は既に付いている。後は着る本人を其処に連れて行けば問題の一つはクリアされる。因みにダイゴの着る服に付いては準備が完了していた。 「それで、着る服って誰が選ぶの? 社長さんが予め?」 「え? 君でしょ。センスが試されてるんだと思うけど」 エレベーターで移動中にシロナがそんな事を聞いてきた。流石のツワブキ社長も其処迄は手が回らない筈だ。だからダイゴは素直な意見を口にする。デボンの顔として相応しい着こなしが出来るか否か。今のシロナに求められているモノだ。 「あたし!? 何で!? Why!?」 「……好い加減理解しなよ、シロナ」 ダイゴも今は余裕が無いのでシロナのリアクションをスルーしつつ冷静に対応する。 「僕と付き合う以上、こう言う事も起こり得るって事をさ」 「そんなあ〜」 今迄直接表に出る事が無かった恋人が御曹司である事の弊害だ。だが、もうそれから逃れる事は出来ない。シロナはセレブな世界に既に片足を突っ込んでいたのだ。些か遅すぎたデビュタントかも知れなかった。 ――ホテル パーティー会場 夜。大ホールを貸し切って行われるデボン主催の忘年会。社長代理として適当にスピーチを展開しつつ、多くの参加者の視線を集めるダイゴの姿はとてもではないが石好きのドラ息子とは思えない気品と言うか風格に満ちていた。 彼が着ているのは稲妻のラインが入った特注スーツ。学生生活では滅多に着ないモノだが、それと首元の赤いスカーフがビシッと決まっていて普通に格好良い。 高い身長と端正な顔立ち、冷たく輝く銀髪が男でありながらも危険な色気を醸し出す。その余りのイケメンっぷりは絶滅危惧種と揶揄されても仕方が無い程にセレブな奥様方の注目を集めている。 「それでは皆様、グラスを片手に」 そうして、パーティー開始の音頭を取る為にダイゴは酒の入ったグラスを顔の位置に掲げる。 「忙しかった一年を振り返り、また新たな気持ちで新年を迎える為に!」 一端、間を置いて参加者がグラスを持った事を確認すると、開幕のベルを鳴らした。 「献ぱ」 ……ん? 「げふんげふん! 乾杯!」 ――ゲラゲラゲラ 故意なのか天然なのか、パーティーに相応しくない言葉を吐きそうになった御曹司は改めて言い直すと、方々から笑い声が聞こえて来た。
「っはああ、やっぱ慣れないわなあ、こう言うの」 「献杯は無いでしょ。仏さんじゃあるまいし」 御曹司としての取り敢えずの役目を終えて、ダイゴは避難通路近くの柱の影に逃げ込んだ。其処には今夜の彼のパートナーも人目を避ける様に佇んでいて、ダイゴの姿を認めると労いながらも当然の突っ込みを見舞う。 「けど、笑いは取れた。忘年会なんだから、堅っ苦しい空気は要らないさ」 「まあね。即興にしては中々のスピーチだったわ。格好良いじゃん」 「嬉しくないよ」 本人達は隠れているつもりなのだろうが、電柱宜しく高い身長を誇り、尚且つ特徴的な髪色とそのルックスが嫌でも人目を引いてしまう。耳を欹てれば、気付いた参加者が二人を見てひそひそと噂話している声が聞こえて来ている。 無論、二人はそれを知っているが気にしたら負けなので全力で無視していた。 「若、お勤めご苦労様です」 そんな事をしていると、二人に初老の男性が近付いて来た。身形の良い装いで人柄が温厚そうな小柄な人物がダイゴに労いの言葉を掛けて来た。 「ああ、本当に参ったよ。いや、こう言う事前通達無しの催しはマジで勘弁して。こっちにも都合があるからさ……」 その人物に付いて、ダイゴは良く知っているらしい。普段、年配の方への配慮を忘れない態度を心掛けるダイゴが此処迄気さくな態度を取ると言う事はかなり昵懇な間柄である可能性が高い。 「(どなた?)」 「(ウチの専務)」 気になったシロナはダイゴの後ろの隠れながら耳元で囁く様に尋ねるとダイゴは答えてくれた。 柿小路さん(仮名)と言う名前で、デボン創設前からツワブキ社長に付き従う敏腕営業マン。デボングループ一の忠臣と名高い人物で、ダイゴが幼少期から付き合いがある人物らしい。 「はて? 社長は前々から今日の事は若に任せると言っておりましたが」 「聞いて無かったよ。親父が考えそうな事だけどさ。……僕達、もう帰って良い? 出番は終わりだろ?」 まあ、それが誰であれ、不承不承でパーティーに出ているシロナにとっては余り関係の無い話である事は確かだ。だから、シロナは専務とダイゴのやり取りを後ろからぼんやり眺めている。会話に加わろうとも思わなかった。 「いやいや何を仰る! シルフカンパニーのご機嫌取り、リーグ理事会への挨拶、その他諸々の雑用が残っておりますぞ」 「うーわ、面倒臭。パス一で」 「認められませんな。……して、若? こちらのお美しいご婦人は?」 どうやら、ダイゴの出番は未だ終らないらしい。それを気の毒に思っていると、専務の視線がシロナに向いた。 「えっ」 「ん? ああ、彼女は――」 いきなり話の話題に上ってしまったシロナはダイゴのフォローを期待してスーツの袖をぎゅっと掴んだ。 少しダイゴは考える素振りを見せた。専務が美しいと態々言う辺り、シロナが周囲の目を引きまくっているのは確かな事だった。 黒一色の胸元と背中の大きく開いたパーティードレスは若さとスタイルに余程自信が無ければ着れない類のものだ。 更にスカート部分には大きなスリットが入っていて、其処からにょっきり覗くガーターベルトを装備した脚線美はダイゴから見ても美味しそうに映ってしまう程だった。 しかも、粗スッピンの状態で宝石類も全く付けていないと来ている。それにも関わらず会場の殿方の視線は彼女に釘付けになりつつある。 ……さて、そんなシロナの事を何て言えば良いのだろうか。
「ん〜、ご想像にお任せするよ」 「……ま、妥当な物言いかしらね」 付き合っていて、男と女の仲ですとはっきり言えれば良いのだが、それであらぬ誤解を招きたくないダイゴは如何様にも解釈出来る曖昧な言葉で切り抜ける事にした。少し、それが残念だったのかシロナは誰にも聞かれない様に呟いた。 「ほう? つまり、フィアンセと言う事ですな」 「「ぶっ」」 その言葉に揃って噴出した。話がとんでもない方向に飛躍した。婚約者ってアンタ、穿って見過ぎじゃないのか? 「せ、専務? 彼女とは未だ」 「そ、そうです! あた……私は未だダイゴさんとはそれ程」 当然、二人は慌てて反論した。喋るつもりが無かったシロナも流石に口を出さざるを得ない状況だった。 「皆迄言わない。若には既に心に決めた姫君が居られると社内で噂になっていましたからな」 しかし、言った所で無駄だった。専務はとっくに自己完結し、自分の答えを信じきっているらしい。 しかも、その噂とやらについてダイゴは心当たりが無い。周囲にばれない様にやってきたし、少なくとも会社の人間に喋った事は無い。自分の父親を除いて。一瞬嫌な考えが頭を過ぎったがダイゴはそれを直ぐに否定した。 「そう言う事情でしたらお連れしない訳には参りますまい。ささ、奥方もどうかこちらへ」 当人達を放り出して専務は人のごった返す会場の中心へ行ってしまった。 「「・・・」」 残されたダイゴとシロナはお互いに顔を見合わせて、専務の消えた方向を暫くポカンと見ていた。 「これ、何? ドッキリ? それとも羞恥プレイかしら。何だと思う?」 「さあねえ。……案外、こうやって外堀って埋まってくのかもなあ」 一瞬にして恋人から婚約者にランクアップしてしまった。本人達がそれを認めなくとも、今日の様な大きなパーティーで触れて回られると言う事は、もうそれは覆すのが難しい半確定事項と言っても過言では無いのかも知れない。 「喋らないつもりだったのに、行かないと拙いわよね?」 「だね。適当に話合わせてくれると助かる」 世の中思う通りにいかないものだとシロナはこの後の展開を想像して逃げたい気分に駆られる。しかし、もうそれには遅いと気付き覚悟を決める。そうするしかなかったのだ。 「今日だけ、だからね?」 「ん?」 そして、シロナはダイゴにそっと耳打ちする。それに驚いたダイゴは思わず眼を丸くした。 「だから……ダイゴの、奥さん役をやってあげるのは」 「……はっ! 僕を旦那さんって認めてくれてるんだ!」 「えっ! あ//////」 裏を返せばそう言う事だ。ダイゴの放ったカウンターは今のシロナには大誤算である。真っ赤な顔を手で覆って吐いた言葉を反芻すると恥かしくて死にそうになった。 「何か嬉しいな。ほら、行こうよ一緒にさ」 「きゃっ! ちょ、ちょっと! 心の準備が……!」 そいつを聞いてテンションが上がった気がしたダイゴはシロナの手を引いて、魑魅魍魎の跋扈する世界に足を踏み入れる。思わず転びそうになったシロナを抱き寄せて、周囲に自分達の存在をアピールするダイゴは良い意味で吹っ切れた顔をしていた。 表面上は取り繕って他人を蹴落とす事しか考えない人間ばかりが無駄に多い世界。ダイゴにとってはストレスが多いが、少なくとも今のダイゴには守る冪パートナーが存在している。独りじゃないと思えば何とか乗り切れる。そんな気がしていた。
――ホテル 二人の部屋 恙無くパーティーは終了。自室へ戻った二人は寝る準備をしている。 「あー……何だろ。箱根の山を登ったみたいに疲れた」 「駅伝が何ですって〜?」 風呂上りの濡れた髪の毛をそのままに、パンイチ状態でダイゴはソファーで会場からくすねて来た上物のワインを嘗める様に飲んでいた。普段は飲まないワインだが、やや高めのアルコールが疲れた精神に染み入る様で実にまったりした気分だった。 鏡台に座りドライヤーで髪を乾かしている素っ裸のシロナが何を勘違いしたのかそんな事を言ってきたが、取り合う気が無いダイゴはグラスに酒を注いでそれを飲んだ。 「いや、それにしても」 「ん〜?」 程無くして髪を乾かし終えたシロナが隣に座ってきたのでダイゴはワインの瓶をシロナに渡すと、逆にシロナがバスタオルを渡してきたので濡れた自分の髪の毛をそれでわしゃわしゃと拭った。 「君、ほんと注目度凄かったね。一緒に居る僕が壁の花だったよ」 「偶々でしょ。若い女の人、あんまり居なかったし」 さっきの場面が脳裏を過ぎってダイゴがうんざりした顔を覗かせる。鼻息の荒い野郎の群れに押し退けられて壁際に強制退去させられながら、何とかシロナを庇い切った。 その時に自分が何を口走った思い出したく無いが、それでもシロナに対する誠意は示せたと思うのでダイゴとしてはそれで終った話だった。 「そうかねえ? 君のミリキだと思うけど、気のせい?」 「断じて気のせい。在り得ないってばさ」 ああ言う場で若い女性は貴重なのかも知れない。 隙あらば自分の相方を口説こうとするハイエナの群れに怒りのラスターカノンをお見舞いしたい気分になったのは多少なりとも己が独占欲を持っている証拠だろう。 しかし、あんな場所で周囲に対して無防備だったシロナ。それをフォローするダイゴとしては堪ったモノでは無かった。もう少し、自分の派手さについて理解して欲しいと思うダイゴは優しい彼氏の鑑だった。 「でも、これで君の顔は売れたな。変な噂とか立たなけりゃ良いけど」 「噂? ……ああ。ならさ、真実に変えちゃえば良いだけじゃないの?」 「どう言う意味さ?」 「アンタなら、判るでしょ? あたしの考え位は」 もう今更手遅れではあるが、ダイゴが口走るとシロナは意味深な言葉を発して微笑む。それについて訊くと、返って来たのは普段自分がシロナに対して言っている言葉だった。 「婚約者って勘違いされた時、本当は満更じゃなかった」 「//////!!? げほっ、けほっ!」 シロナが何を考えているか判ったダイゴは正解を語ってやると、ワインを飲んでいる最中のシロナは盛大に咽た。 「適当に言ったけど、図星だったか……そうか……」 「や、あのそれはあの……えと、あう//////」 適当ではなく確信を以って言った言葉だったが、シロナにそれを勘繰る余裕は無いらしい。図体でっかい癖に、真っ赤になって慌てる姿が可愛いの何の。それを見ただけでダイゴは何故か幸せな気分になってしまった。 「ま、今は訊かないよ。それに良い人生経験になったんじゃない実際?」 「そう、かもね」 此処であらゆる手段を講じて口説けば本当に嫁さんとしてゲット出来てしまいそうな気もするが、幾らダイゴでも其処迄急ぐ事はしない。だから、シロナが落ち着く迄待ってやる事にした。
121 :
音ゲーマー :2012/02/24(金) 14:22:02.58 ID:0LpAKIBr
ダイシロ好きの同士がもっと増えないものか… また後で来る。ノシ
ダイゴさんも相手が幅広いな ハートゴールドでコトネもありかと思ってしまった
「ねえ」 「あ?」 煙草に火を点けて一寸待っていると、シロナが言葉を発した。横目で顔を覗き込むと、シロナは真剣な表情でダイゴを見ていた。 「一緒に居て、さ」 「うん」 ゆっくり躊躇う様に訊いてくるシロナ。別に急ぐ事はしないが、どうにももどかしい感じを受ける。しかし、ダイゴはシロナの顔を見ながら、言い終わるのを待ってやった。 「あたし、変じゃ無かった?」 「――」 とても遠慮がちに、そして上目遣いに尋ねるシロナ。 ……今更、そんな事を訊くのか? ダイゴは笑い出しそうになった。その問いに対しての答えも当然あるので、語ってやろうとした。 「あー、その……っ」 「ダイゴ?」 だが、その言葉が喉に痞えた様に出て来ない。何時もの様に顔色を変えずに相手の欲している言葉を掛ければ良い。それが何故か出来無いのだ。 ひょっとして、追い込まれているのは僕の方? ……一瞬そう思って途端にダイゴは頭を振る。在り得ない事だからだ。シロナが心配そうな顔で見てくるが、ダイゴはそれを面と向かって見れなかった。 「だからその……っ!」 普段のダイゴならこんな事で答えに窮する等考えられない事だ。しかし、それが起こってしまった以上、ダイゴが当てにするのは自分の心の声だった。 「綺麗だったよ、シロナ」 打算も計算も含まれない、ダイゴのガチの答え。他人に対し心を晒す事が今迄殆ど無かったダイゴにしては頑張った方だった。 「ほんと?」 「ああ、マジだよ。一緒に居て鼻が高かったよ。周りを惹き付ける位、僕の彼女は綺麗なんだってさ」 その答えに表情を綻ばせたシロナがその仔細を訊いて来る。もう、ダイゴとしても取り繕う場面じゃないので、心に湧いた言葉を素直に並べ立てる。 それが本当の答えとして伝わったのだろう。シロナは本当に嬉しそうに眩しい笑顔をダイゴに届けた。 「そっか……ふふ、そっか!」 「っ!」 ドキッ。心の壁を越え、胸の奥に何かが刺さった様な痛みを感じたダイゴ。意図しないのに心臓の拍動は増して、顔がどんどん赤くなる。それをシロナに見せない様にダイゴは顔を片手で覆い、そっぽを向くと煙草のフィルターを吸った。
「ダイゴが喜んでくれたなら、出て良かった」 「そう、かい?」 幸せそうに微笑むシロナの顔を見ているとまた胸が痛くなりそうだったが、何とか落ち着いたダイゴは再び心に壁を再構築し、一息入れる為に煙草を吸う。しかし、一端皹の入ったATフィールドは以前の様な防御効果は発揮されない。 「でも、二度目は流石に勘弁かな」 「やっぱ、柄じゃないか」 一寸だけ顔を俯かせたシロナは済まなそうにダイゴに言う。だが、ダイゴはそんな事は気にしない。カタギの人間が興味本位で首を突っ込めば、その首を失う世界だと言う事が判っているからだ。 「ん。……月並みだけどさ。ほんと、お姫様になった気分だった」 柄じゃ無いのは知っているが、それでも女の視点から、そう言う展開に憧れていた事は否定出来ない。そして、そんな世界を実際に体験し、王子様と共に舞踏会を駆け抜けた。 流石にダンスを披露する事は無かったが、それでも現実と理想の軋轢について、理解出来た部分は多くあった。憧れたシチュであっても、其処が自分の居場所じゃ無いと言う事だけは把握したのだ。 「でも、やっぱりあたし似合わないって自分で思ってる。泥塗れの埃塗れになって、それでもダイゴと一緒に土を掘り返してる方が、あたしは好き」 だが、御伽噺と違う点は魔法の時間は過ぎ去らないと言う事だ。望めば王子様は変わらず側に居るし、手を伸ばせば握り返してくれる。 夏のホウエンで色んな史跡を二人して巡っていたあの時に勝るモノは無いとシロナは見出した。そして、それは決して金で買える類のモノでは無いと言う事も。 「・・・」 『やべっ……きゅんと来た』 再び障壁を突破された。自分の持つ一般からは外れた趣味に理解を示し、また自分の弱さも含めて一緒くたに包んでくれる様なシロナの微笑み。 撃墜された。そう思える程にダイゴは目の前の女に心を奪われた。 がばっ。気が付けばダイゴは煙草を灰皿に捨てて、裸のシロナを強く抱き締めていた。 「ちょ! ダイゴ、苦しい!」 「悪い。何か衝動が暴走した。……酔ってんのかな」 何かを意図した訳では無い。体が勝手に動いた結果だ。疲れている筈、酒が回っている筈なのに求めたい衝動に火が点いて、下半身の一部がエレクトしている。 ダイゴにしては珍しい荒い抱擁にドギマギしつつ、締め付けが苦しいシロナは非難めいた言葉を浴びせると、ダイゴは腕の拘束を緩めた。 「まあ。なら、もっと酔わせてあげようか?」 拘束を抜けたシロナがダイゴの腰の上に圧し掛かる。そして、裸の胸板にのの字を書くとこう呟いた。 「あたしに」 「ハッ、その台詞、そのまま返すよ」 台本には書かれていないが、もうこの時点でフラグが立った気がする。ダイゴはワインの瓶を呷ると、そのままシロナに口付けし、口移しでワインを嚥下させた。 口の端から零れる血の色をした液体がシロナの乳房に降り注ぐ。熱を孕む下半身に行動を支配された様にダイゴがシロナに覆い被さった。
――元旦 結び島 宝浜 新年初のご来光を拝む為、二人は前日からナナシマに渡っていた。本当ならば灯山に登りたい所だったが、カントー伝説の三鳥が一、ファイヤーが暴れている為、登山禁止の通達が発布され、登る事が出来なかった。 その代替策としてフェリー乗り場の近くにある浜に陣取ってその時を待っている。 「初日の出って、僕見た事無いんだよな」 「あたしも無いわね。つーか、元旦から遠出してお日様見る元気が無いわ」 カントーの人間であっても、態々ナナシマに渡って日の出を拝もうと思う馬鹿はあんまり居ないらしい。シーギャロップには客は殆ど居なかったし、薄暗い浜には自分達以外に人影は疎らで、その殆どが島の住人である事は間違い無い。 「じゃあ、今回は元気が有り余っていた訳だ」 「そうよ。ダーリンにはお胎がポカポカになる位、いっぱい元気注いで貰ってるからね☆」 「あははは……その度に僕は痩せ細って行くよハニー」 下卑た話だが、回数を重ねる度にシロナはどんどん貪欲になって行く。その度に奪われるダイゴの体力は増えていくが、ダイゴ自身もシロナの肉体には嵌りつつあるので、一緒に居る限りは週三位のお勤めは喜んでこなそうと勝手に決めている。 「正直、初日の出を一緒に拝む仲になるなんて、初めて逢った時は思わなかったよ」 「あたしも。こんな長く続いてる何て奇跡だって思える節があるわ」 誰だって未来に付いては未定だ。シロナはあの時の自分の初恋が成就し、敗れずに今日迄続いている事が先ず信じられない。 恋愛感情は時と共に低下し、徐々に冷めていくのが通例だ。それを補う為にはなるべく一緒に居る時間を少なくすれば良いらしい。案外それが長続きの秘訣なのかと思ってしまうが、そのお陰で枕を濡らしているシロナにとって、そんな話は糞喰らえだった。 「奇跡、か。案外、そうなのかもな」 「ん?」 ダイゴはシロナとは少し違った見解を持っている。まあ、長続きもそうだが、出会いの最初を思い出せばそれがどんだけ運命的だったのかと今なら正直に思えるのだ。よっぽどの因縁が無い限り付き合わない様な組み合わせの自分達。 あの出会いが無ければ今日の自分達も存在しない。神の悪戯か、それとも蓋然の問題か。それこそ、シロナの言う通りの奇跡か。何にせよ、議論する様な事では無いので、シロナの視線を無視してダイゴは水平線をずっと見ていた。 「さて、今年も途切れず続く様に宜しくってね」 「はいはい。今年も一杯お世話になるから宜しくしっかり可愛がってね」 東の空が一気に明るくなる。今年最初の陽光に照らされたダイゴは拳を突き出すと、シロナもまた同じ様にして拳を重ねる。一寸恋人らしく無いが、あんまり考えた末の行動では無いので二人とも特に疑問には思わなかった。
「今年の抱負とかって、ダイゴはある?」 「抱負かあ。一応、あるよ? まあ、抱負ってよりは願望だけど」 帰りの船が出る迄にはやや時間が空いている。僻地の元旦なので開いている店は少ないし、宿を取っている訳でもない。時間が来る間、ポケセンかフレンドリーショップで粘るか、それとも火照りの道の脇にある天然温泉で朝風呂を浴びる位しかない。 どうするか決めかねているとシロナが突然訊いて来た。今年の目標に付いては一応立ててあるダイゴは頷く。 「何々? 気になる」 最後の願望と言う言葉が気になったシロナは当然それに喰い付く。一体どれだけ実現困難な抱負を持っているのか訊いて置きたかった。そして、それは確かに難しい事だった。 「ホウエンポケモンリーグ制覇。殿堂入り」 「チャンピオンに君臨!? それは、確かに……でも、手が届くんじゃないの? アンタならさ」 「どうだろ。一応、ランキングの上位には食い込んでるけど、結局アダンさんにだけ勝ててないしね」 夢はでっかく果てしなく。確かにそれはダイゴを以ってしても困難な道。しかし、以前何かの話に上ったダイゴのトレーナーの腕前に付いて、シロナは覚えていたのでひょっとしたら行けるのでは無いかと希望的観測を口にする。 しかし、ダイゴは努めて冷静だった。未だにトレーナーとしては発展途上だし、ルネのジムリであり、同時に親友の師匠でもある水使いに勝てていない事実があるので油断はならないと思っている様だ。 「でもバッジ七つでしょ? それってリーチよね」 「其処からが長いんだよ。チャンピオンロードとか四天王戦とか」 そして、バッジをコンプしてもチャンプを目指す人間は其処からが始まりと言って良い程に道がとんでもなく険しいのだ。其処でリタイヤする人間が多い事をダイゴはちゃんと知っている。 「そう言うシロナはどうなんだ? 君だって」 「あたし? あたしは……駄目駄目っスよ」 自分の事が手一杯で他人を気にする余裕は無い。それでも、目の前に居る彼女の腕前に付いて、ダイゴは何と無く判る。だが、当のシロナはそれを隠す様に視線を泳がせた。 「嘘吐くな。君が相当の手錬れだって目を見りゃ判るよ」 「あー、そう言うのってやっぱり判る?」 目が泳いでる時点で嘘である事は確定だ。ダイゴは他人の目から心情を把握するのが得意なので嘘を見破るのが上手い。あっさりばれた事に驚く様な事はしないが、シロナは早々に白旗を揚げた。 「ま、お互い研究以外でポケモンの話はしなかったけど、隠す事じゃないよな。……強いんだろ、本当は」 「さあね。でも、昔博士の研究手伝う傍らリーグを目指してた事は確かにあるわ」 もう其処迄読まれているなら話さない訳にもいかないと思ったのか、シロナはほんの少しだけトレーナーとしての来歴を語る。 「でも、ナギサのバッジが手に入らなくてね。其処で頓挫してそれっきり。何時かは何時かはって思ってる裡に、ね」 どうやら、中学と高校を跨ぐ間位にシロナはトレーナーとして修行していた期間があったらしい。だが、ダイゴと同じく最後のバッジを目の前にしてトレーナー稼業は中断してしまったとの事だ。 「僕と一緒か。……なら、さ」 「何と無く判るわね、次の台詞」 嗚呼、何やら嫌な予感がする。正直、聞きたくは無いがダイゴはそれを言うに違いない。抗えない運命と言う奴の存在を感じたシロナは溜め息を吐いた。
「競争しようか。どっちが早く頂点に立つか」 「やっぱり。それ、訊く迄も無く本気でしょ」 ほら、やっぱり。もう少しこっちの都合を……否、それは今更だ。態々言う事でもない。 「無論至極大真面目」 「一応、理由も聞いとく」 シロナが気になるのはその理由に付いて。ダイゴが一人でやるというなら応援する立場にはなるが、それに自分を引っ張り込むのは何故かと言う事。 「来年一杯で卒業だからね。先は考えてないけど、節目に何かデカイ事やって置きたいなって」 「そっか。そうだったわね」 それを聞いて合点が行ったシロナ。泣いても笑ってもダイゴが自由な時間を謳歌出来るのは卒業迄のあと一年のみ。シロナには未だ猶予があるが、来年には同じ立場になる。他人事とは言っていられない。 「ここいらで実力を試すのも悪かない……そう思うんだ。でも独りじゃ張り合いがね」 「成る程ね。……良いわ、その話乗った」 だからこそ、ダイゴはその片棒を担ぐ相手として、同じ物を担うパートナーとして自分の力を欲しているのだろう。実力を試すとダイゴは言っているが、シロナにとっても過去のやり残しを清算する良い機会だった。だから、シロナはそれに頷いた。 「お、話が判るなシロナ」 「まあでも、あたしはのんびりやるけどね」 話に乗ってきたシロナにダイゴは嬉しそうな顔をする。まあ、一年余分に時間があるシロナは最初は鈍った勘を取り戻す事に集中する事に決めた様だ。 「おっけおっけ。見てろよ? 絶対、制覇するからな」 「――」 笑顔のダイゴの言葉に、この男は絶対にやり遂げると根拠の無い確信のようなモノが心に湧いてきた。 だが…… 「ねえ」 「?」 湧き上がったのはそんな明るい未来を象徴するものだけではなく、同時に闇を孕む不安の感情。それがどうにも現実のものになりそうでシロナはダイゴの銀色の瞳を見ながら尋ねた。 「あたし達、ずっと一緒で居られるよね?」 「? そう望む限りはそうだと思うけど?」 「だよ、ね。うん」 ダイゴの言葉には不安を感じさせるモノは一切無い。……考え過ぎかも知れない。そう思って湧いた感情を振り払う様にシロナは頷いた。 ――カントー国際空港 三が日はあっという間に過ぎ、二人は空港で飛行機を待っていた。Uターンラッシュで人が塵の様に溢れている。 色々な目に遭ったがお互いに心の底から楽しめたのは確かだ。次は何時になるか不明だったが、きっとまた笑って逢えると二人は信じていた。 「じゃあな、シロナ。約束忘れるなよ」 先にダイゴが旅立つ。南に帰る恋人が笑顔で別れを送ってきた。 「アンタもしっかりね。……また、二人で何処か行こうね、ダイゴ」 だから、シロナも同じ様に笑って答えた。お互いにやる事が出来たのだ。泣いている場合では無かったのだ。 「ああ。『また』な」 そう言って、ダイゴは出発ゲートへ消えていく。 『また』と言う言葉。それが果たされる時は来るのかと不安に思ってしまったシロナはそれを忘れ去る様に歩き出すと、北へ続くゲートを潜ったのだった。 ……それから一年は瞬く間に過ぎた。ダイゴは研究とポケモン修行に余念が無いのか、シロナと都合が噛み合わず、中々逢う事が出来無かった。そしてとうとう電話での繋がりのみで一年を過ごす事となる。 遭いたい気持ちは募り、特にシロナは体が夜泣きする程に酷い状態だったが、日々の忙しさに忙殺され、それを訴える事すら出来なかった。 そうして、シロナが四回生に上がった春。ホウエン大の修士課程に進んだダイゴから遂に吉報が届く。 「よう。ギリギリだったが、約束ちゃんと果たしたぜ」 ホウエンポケモンリーグの頂点、チャンピオンの座にダイゴが就任したのだ。付いた異名は鋼の覇王。ホウエンをその力で手中に収めた嘗ての鋼の貴公子に周囲の人間が畏怖と敬意を込めて付けた二つ名だった。 「次は君だ。待ってるよ、シロナ」 覇王の言葉がシロナの中の闘志を燃やす様だった。 ……同時に、シロナは言い知れぬ不安を感じ、その原因が判らず途惑うばかりだった。
129 :
音ゲーマー :2012/02/25(土) 00:17:57.07 ID:/0n7YD1G
残念なお知らせだけど、イチャラブは終盤までもう無いです。 ここから先は…まあ読んで貰えば判るけどやり過ぎたかもしれない。 それじゃ、また。
]T:悲境の覇王 ――トクサネシティ ダイゴ宅 「とうとうダイゴさんもチャンピオンになったんですね」 「ああ。実際、かなり大変だったよ。僕、個体値厳選好きじゃないから、努力値とレベルで補ってさ」 ダイゴが話を始めてから結構な時間が経過していた。振り出した雨は止む気配を見せず、雨音が耳を打つ。 ユウキの言葉に昔を振り返ったダイゴは懐かしい表情の中に、味わった苦難を滲ませながらそう答えた。 「意外ですね。そう言うの躊躇しないって思ってたけど」 何気無くユウキはそう口走る。一度決めたら一直線。手段は選ばずに冷酷非情と詰られる事も辞さない気概が目の前の男にはあるとそう思っていたのだ。 それに対し、ダイゴは感情が浮かばない声で一言だけ、それでもはっきり呟いた。 「嫌いなんだよ」 「親の期待と少しでも違えば価値は無いって放り出される。ポケモンも人間も、生まれは選べないってのにさ」 果たしてそれは誰に向けての言葉だったのだろう。只判るのは、その言葉にはどす黒い負の感情が混じっている事。ユウキは戦慄し、背筋を伝う冷や汗を不快に思いながら唾を飲み込んだ。 「ダイゴさん……」 「いや、止めよう。今はどうでも良い話さ」 正直、ユウキは怖かった。だが、目の前の男に何て言葉を掛ければ良いか判らない。だから、その名前を呼んでみると、ダイゴはユウキが怯えている事に気付いたのか、纏ったオーラを霧散させると椅子から立ち上がった。 「さて」 ダイゴは流しの下の棚を漁り、高そうな洋酒のボトルを取り出す。 「ちょっとこっから先は、素面じゃ辛いな」 そして、食器棚からグラスと氷を入れる容器を取り出し、冷凍庫の氷を其処に入れるとそれらをユウキの前に置いた。 「君も付き合いなよ。話を聞きたいんだろ?」 「え、ええ。それじゃあ……って! 多いですって!」 さっき缶ビールを飲んだばかりだが、ダイゴが話を続けるにはもっと飲まなければ言えない程ややこしい話らしい。 勿論ユウキに断る理由は無いので、やや遠慮がちに頷くとグラスに並々と酒を注いで貰った。……幾らなんでも注ぎ過ぎな量だった。 あの時は、自分でもどうかしてたんだな。糞餓鬼の鬱憤晴らしさ。 何も感じられなくて、誰も何も自分すら信じられなくて、唯世界が悲しかった。 そうじゃなかったらあんな事、シロナに言える筈も無いんだ。 それでも僕は自分からそう言ったんだよ。 ……シロナを、酷く傷付けたんだ
ダイゴのチャンプ就任を知ってから、マイペースでやっていたシロナは自然とポケモン修行に熱を入れ始めた。 卒論研究は芳しいとは言えなかったが、それでも遠方の恋人の為した道筋を辿る様に、シロナは少しでもダイゴの至った頂に近付く為に努力を惜しまなかった。 そんな彼女に何時の間にか付いた渾名が鬼姫。文字通り鬼気迫る形相で修行を行う姿と普段の美しい姿のギャップが余りにも掛け離れていたのでそう名付けられた。 地道な努力の日々がシロナのトレーナーの実力を高めていくが、時間と比例する様にダイゴからの連絡の頻度は少なくなって行く。 最初、修行に目を囚われていたシロナはその事に気付けなかった。 三日と置かずに連絡をくれていた恋人はまるで熱が冷めた様に沈黙してしまった。 一週間、十日、一ヶ月。シロナの携帯電話が鳴らない間は徐々に伸び、そしてとうとうダイゴからの連絡は夏を境に途切れた。 その事に気付いたシロナだったが、もう手遅れだった。何かあったのは間違いないと自分から連絡を取ってみるも着信拒否でもされている様にダイゴのナビとは繋がらない。 最後には手紙を用いて連絡を取ろうとしたのだが、それでも返事が帰って来る事は無く、シロナは途方に暮れる。 ――何よ、これ。何なの? 未だ連絡が付いていた間に話した内容を思い出そうとしても、頭に霧が掛かったみたいに思い出せない。その時のダイゴに不審箇所は無かったか。声色や話す状態におかしな部分は無かったか。その全ては忘却の彼方だった。 突然にして精神的な支えを失ったシロナだったが立ち止まる事は許されなかった。リーグ本戦が近付く大事な時期で失速し、今迄の努力を無駄にする事は出来なかった。 忘れる事も、足を止めて泣く事も、ホウエンを直接尋ねる事も出来ず、シロナは精心的に過酷な状態に追い込まれながらも、更に強さを求めざるを得なかった。 そして、それが功を奏したのか否か。 年が開けて、卒論発表会を終えた後、シロナはチャンピオンシップを勝利で飾り、全国的にも今迄数える程しか存在しない女性チャンピオンとしてシンオウリーグに君臨する事になった。 だが、シロナは自分の為した偉業については何処か他人事の様な心境だった。勝利し、頂点に昇ったとしても、それを誇れる相手が側に居ない。声を聞きたくても、連絡すら取れない。 ダイゴに逢いたい。チャンピオンになってもそんな簡単な事すら叶えられない自分が滑稽で笑いたくなる程だった。 女帝誕生に沸くシンオウリーグ。大会会場の熱気と人目を避ける様にシロナは外の喫煙所で煙草を吸っていた。 こんな気持ちになるのは久し振りだ。初めてダイゴに会い、再会を焦がれていたあの頃と同じ痛みが胸にある。 だが、その痛みは決して煙草では取り除けない事を理解している。それでも煙草に逃げるのはそうしないと居られないから。 「ダイゴ……」 愛している男の名前が喉を通過する。……逢いたい。こうやって強く念じれば、願いが叶うかも知れない。今迄何度もそうやって願いながら電話を掛け、手紙に思いを託したが、報われる事は無かった。 だが、今日は違うかも知れない。シロナは希望に縋るみたいに携帯電話を取り出す。 すると。 熱いからだ 目覚めてく 吐息の戯れ 微熱の舌先〜♪ 「!」 着信音が鳴り出す。慌てて発信者を確認すると、シロナは歓喜の余り叫びたくなり、また瞳を潤ませた。……ダイゴだ!
「も、もしもし!? ダイゴ!?」 『シロナか。……久し振りだな』 半年振り近くに聞いた恋人の声。一瞬、ダイゴの声の裏に何かの影を見た気がしたシロナだったが、声が聞けた事が嬉しかったのでそんな事は直ぐに忘れ去った。 「うん! うん! ほんとそうよ! ってか、今迄どうしてたのよ!? 心配してたんだからね!?」 『判ってる。済まなくも思ってる。でも、それ処じゃなかったんだなあ』 色々と言いたい事は山と溜まっている。だが、喉を通過するのはそんなどうでも良いやり取り。ダイゴもそれを判っているのか、気持ちが乗らない言葉を返す。 「それでも、連絡位寄越しなさいよね!? それ位は出来たでしょうに!」 『小言は良い。……それよりも』 そんな冷めた口調が気に入らないシロナは語尾を荒げて電話に向けて怒鳴った。これ以上聴く耳持たないと言った感じのダイゴは相変わらず冷めたままだ。今はそんな事はどうでも良いのでダイゴは本題に付いてシロナに尋ねる。 「そうね。ええ。……やったわよ、あたし。遅くなったけど約束、確かに果たした!」 『見事に勝ち上がったな。……頑張ったな、シロナ』 「うん!」 確かに怒るのは後でも良い話だった。シロナは初めて嬉々とした表情と口調でダイゴに勝利を告げると、ダイゴは少しだけ柔らかい口調でシロナを褒めてやる。 もうそれだけで自分の苦労が報われた気がしたシロナは天に昇りそうな気分だった。 『ホウエンリーグも君の話題で持ち切りだ。暫くは祭だな』 「恥かしいけどね、あはは」 恋人に褒められるのは本当に良いものだ。電話でなければ、直ぐに抱き付いて頭を撫でて貰う所だが、そう出来ない事が実に惜しかった。 『チャンプ就任は四月からだったか。……落ち着いたら逢おう』 「ほんと!? やっと逢えるわね!」 そうして、シロナが待ち望んでいた言葉がダイゴから発せられる。今直ぐに逢いたい所だが、お互いに色々と忙しいのでそれは暫くの間お預けだ。だが、その時が来たら、今迄の鬱憤を纏めてぶつけて、序に甘えさせて貰おうとシロナは決めた。 『ああ。……逢いに、行くさ』 「うん! 楽しみにしてるよダイゴ!」 ダイゴの声色は普通にしていれば黒い影を感じさせる韻が含まれている。だが、悲しいかなシロナは普段以上に舞い上がっていた為にダイゴの異変に付いて完全に見落とした。 『楽しみ、か。――そうかよ』 ――ブツッ 「えっ、ちょ、もしもし? ダイゴ? ……切れちゃった。何だかなあ」 ダイゴはそんなシロナに失望した様に通話を終えた。 一方的に切られてしまった電話。不安の影はシロナの見えない箇所で着実に現実を侵食し始めている。 「……でも、待ってるからね」 だが、女の感情が邪魔をしてシロナはそれに気が付かない。 二人にとっての歯車はとうに狂っていた。
――四月 シンオウリーグ本部 雪解けの季節。新たな年度が幕を開ける。シロナはシンオウ大の修士課程に籍を新たに置き、考古学者の卵と地方チャンプと言う二束の草鞋を履いている。 壮行会や新たに選出された四天王との顔合わせは終り、馴れないながらもシロナは立派にチャンピオン稼業に精を出していた。 そんなある日。シンオウリーグを訪れる男の影が一つあった。 「ようこそシンオウリーグへ。此処より先は地獄の細道。途中棄権。途中退出は認められない」 リーグの入り口を守る警備員が能書きを垂れる。何処の地方でも大筋は一緒なのか、話の内容は非常に似通っている。 「それでも先へ進むなら、貴方がシンオウ中を駆け回り集めたトレーナーの力の証、八つのリーグバッジとトレーナーカードの提示を」 男は名刺入れからカードを取り出して警備員に提示する。それを確認した警備員が目を細めた。 「成る程。確かに。貴方が噂の覇王ですな? お噂はかねがね。では、バッジを拝見」 そして、今度は着ているスーツの裏地に縫い付けてある八つのバッジを警備員に見せる。 「ん? これは……」 其処で警備員は気付く。確かに数は八つだが、今迄目にしてきたバッジと形が違う。 「まさか、他地方の? 残念ですが、規定では……」 「退け」 相手が誰であれ、シンオウのバッジを持たぬ者を通す事は罷りならない。入場拒否の旨を告げようとすると、男は警備員を押し退けて奥の部屋へと入って行く。 「あっ、待ちなさい!」 慌てて後を追うも、内側から鍵をロックされて入る事が出来ない。擦れ違い様に非常用のカードキーを奪われていた事に気付いても後の祭りだ。警備員は警報装置のスイッチを押した。 「!」 騒ぎは直ぐに施設全体に伝わる。耳障りな警報音がやかましく鳴り響く中、チャンピオンルームに居たシロナは慌てて壁掛けの内線の受話器を取った。 「何の騒ぎ? 警報が鳴ってるわ」 『侵入者です! 入り口を無理矢理突破して……!』 リーグのエントランスに電話して事実の確認に努めるシロナ。入り口を守っていた警備員は異常事態の発生をチャンピオンに告げる。 「はあ!? 警備は何をやっていたの!」 『申し訳ありません!』 リーグに賊が侵入すると言うのは全国的に見ても例が無い珍事である。金目の物等置いていないし、中に入った所で強力なポケモンを使う四天王に取り押さえられる事は目に見えている。 例えそれらを突破しても最後にはその地方最強であるチャンピオンが待ち構えている。逃げ果せる要素は皆無だし、やるだけ草臥れ儲けである 「良い。取り合えず、状況を教えて。相手の数とか特長とか判る?」 『そ、それが』 だが、若しその侵入した賊が四天王すら問題にしない程の実力者だった場合はどうだろうか? そして、その目的がチャンピオンにあった場合は…… 「?」 警備員は明らかに動揺し、また侵入者に付いて語るのを躊躇っている様だった。その様子が只事では無いと判ったシロナは嫌な予感に身を固くする。 『侵入者はツワブキ=ダイゴ! ホウエンリーグチャンピオン! 南の覇王です!』 「なっ――」 そして、紡がれた名前を聞いてシロナは受話器を取り落とし、呆然と立ち尽くした。
「てめえ、何トチ狂った真似してんだよお……! 許されんぞ……!」 ダイゴは四天王を無視し突き進む。例え緊急時であっても、相手がポケモンを出していない以上、ポケモンを使って無理矢理取り押さえる事は出来ない。 「こんな事、悪ふざけにしては行き過ぎよ。落ち着いて話をしましょう?」 「……駄目です、キクノさん。話が出来る相手じゃないです」 ルールの壁が邪魔になる以上、今のオーバの様に腰にしがみ付いて進路を妨害するか、キクノの様に遠巻きに説得する位しか出来ない。リョウに至っては何も出来ずにオロオロするだけだ。 ――ピッ そして、ダイゴはリフトを上り、くすねたカードキーを使って最後の四天王の部屋の扉を開けた。すると、中には最後の一人であるゴヨウが読み掛けの本を片手に立っていて、不機嫌そうな顔で睨んで来た。 「何の騒ぎですか。落ち着いて読書も」 「ゴヨウ! こいつを止めろ! シロナの処に行かすな!」 何とも暢気な話だが、ゴヨウは今何が起こっているか知らないらしい。しかし、説明する時間は無いのでオーバが引き摺られながら大声で叫ぶ。 「は? ……何やら只事では無い様子。此処は――」 オーバを引き摺って男がズンズン歩いてくる。異常事態の原因を知ったゴヨウは多少手荒な手を使ってでも男を止めようと身構える。 「邪魔だ」 「っ」 だが、無駄だった。殴り掛かる事も大声を張り上げる事もせず、ゴヨウは道を譲ってしまう。 『退かねば殺す』 殺気も怒気も含まない男の銀色の瞳を見たゴヨウは確かにそんな声を聞いた気がした。湧き上がった本能的な恐怖に抗えなかったのだ。 ――ピッ シロナへと続く最後の扉が開かれる。 「貴様も好い加減うぜえよ」 「痛てててっ!」 其処に足を踏み入れる前に、しがみ付いているオーバが邪魔になったダイゴは強い力を込めて、その腕に指を食い込ませる。丁度その部分はツボだったのでオーバは堪らず腕を放し、掴まれた部分を摩り出した。 「ダイ、ゴ?」 そうして上を見上げると、目当ての人物が段差から身を乗り出した下を見下ろしている。……チャンス。 だっ。ダイゴはリフトを使わずにを助走を付けたジャンプで壁を蹴って段差を無理矢理よじ登った。 「ちょ、ちょっと! 痛いわ!」 そして、シロナの腕を引っ掴むと部屋へ押し入る。抗議の声を上げるシロナの声は無視し、ダイゴは部屋の中央にシロナを突き飛ばした。 「メタグロス、やってくれ」 ――ドゴン! 素早くボールを開きメタグロスを召喚すると、閉まった扉に向けて攻撃を指示。瞬間、ドアは拉げて内からも外からも開かなくなる。不完全だが、密室が出来上がった。
「さて」 これで準備は整った。メタグロスをボールに仕舞うとダイゴはゆっくりと振り向く。其処には困惑の表情を張り付かせてよろよろと立ち上がるシロナの姿があった。 「久し振りに面を見たな。二年振りか?」 「ダイゴ、よね? あ、アンタは、何を……」 二年。短い様で長い期間を経て二人は最悪の再会を果たす。以前、冬のシンオウで逢った時にも痩せた印象を受けたが、今回のシロナはそれ以上のモノをダイゴに抱かせた。 だが、それはシロナも一緒だった。顔色は蒼白、頬がこけ、落ち窪んだ眼窩から鈍い銀色の眼光を放つダイゴが自分の知らない人間に見えて仕方が無かった。そう思わせる程に今の彼の姿は病的だったのだ。 「何? 忘れたのかよ。俺は逢いに行くって言った筈だが」 「覚えてるわよ! でも、だからってこんな!」 自分の恋人に対し随分と冷たい言葉を放ってくれる。だからダイゴは大仰に残念がる素振りを見せると、シロナはそれが幾らダイゴでも許容出来ない態度であると思い、大きな声で叫ぶ。 「ああ? どうでもいいだろ、んな事」 「アンタ、変、だよ? ……ねえ、落ち着こうよ。今なら、ドアの修理代とお小言位で済むから。あたしも口を利いてあげるから、ね?」 ダイゴが片目を吊り上げる。同時に喉を通過した皺嗄れた声がシロナの中に言い知れぬ恐怖を生じさせる。顔は心臓が悪い人間が見れば卒倒しそうな凶相だし、一人称がそもそも違う。 何度か怖いダイゴを見た事があったシロナだったが、今回のダイゴのそれは以前のモノとは比べるべくも無い格別な本気のダークサイドモードだ。見ていて明らかに普通ではなかった。 兎に角、刺激すれば何をするか判ったものでは無い。シロナは宥めすかす様に、又は爆弾を処理する様に慎重にダイゴの機嫌を伺う。 「ごちゃごちゃと煩えんだよ」 「!!」 ダイゴに懐柔策は無駄だった様だ。冷たい言葉で斬り付けられるとダイゴはフォルダーからボールの一つを取り出してシロナの目の前に突き出した。 「貴様と戦り合う為に俺は来たんだぜ?」 「な、む、無理に決まってんでしょ!? チャンピオンは公式戦以外では」 「関係無い」 ダイゴの目的。それはシロナと闘う事。だが、シロナは断固として首を縦に振らない。 チャンピオンとして君臨する者には様々な制約が課せられる。その一つに野良試合を含めてリーグの外でのバトルの禁止がある。 非常事態に於いてはその限りでは無いが、今回のダイゴのそれはリーグの中のゴタゴタではあっても、とてもでは無いが受理出来るモノでは無い。 だが、それは所詮管理委員会が決めたルールであり、自分のルールで動いているダイゴを止めるには至らない。 「あるでしょ!? そんなの両方のリーグが「だから関係無えって言ってんだろが!」 シロナは引き下がらない。別地方のチャンプ同士がそう簡単に闘ってはどんな禍根を残すか判ったものではない。 食い下がるシロナに堪忍袋の尾が切れたのか、ダイゴは正気では決して在り得ない様な金切り声を上げてシロナの言葉を遮る。 「貴様は誤解してる。俺はもうチャンピオンじゃねえぜ?」 「は?」 リーグの事を引き合いに出すならば、それに対する解決策は事前に用意してある。決して意図した訳では無いが、ダイゴはそれを言ってやるとシロナの目が点になる。 「辞めて来てやったよ。あんな糞っ垂れな場所はなあ!」 「!? 嘘……」 ゲラゲラと壊れた様に笑うダイゴの姿に思考が纏まらないシロナ。あんなに苦心し、また頑張って掴み取った不動の地位。ダイゴがそれを手に入れる迄電話で何度も話したのでシロナはその苦労をちゃんと理解している。 そんな大切な物をあっさり手放したダイゴの考えが全く理解出来なかった。
「そうさ……皆みんな糞っ垂れだ! どいつもこいつも全員血肉が詰まった糞袋だ! 貴様も一皮向けばそうなんだろう? あ?」 「だ、ダイゴ? あの」 ダイゴの喋っている言葉が理解出来ず、只管狼狽するシロナはどうすればダイゴを止められるか考えるが、それは思い浮かばない。もうそんな段階に無い事に気が付かない程、シロナは焦っている。 「違うってんなら……俺を倒せる筈だよな?」 「! アンタ、一体」 睨み付ける眼光に背筋が凍り付く。……怖い。何を求めているのか、何がしたいのか。相変わらず判らないが、激突が避けられない事を本能が理解する。だが、シロナは懸命にそれに抗う。 「何間抜け面晒してる? 構えろよ。只の挑戦者となら戦えるだろ」 「出来ない! あたしは、アンタと……」 好い加減空気を読んで欲しいダイゴはシロナにその気になって欲しいだけだ。だが、腐ってもチャンピオンであるシロナはどうしたって頷けないのだ。 例え、只のチャレンジャーだとしても、ルールを曲げている以上は闘えない。何よりも、自分の恋人とこんな形で闘うのは嫌だった。 「あー、違ったな。取り押さえたいならどっち道、俺を倒さにゃならんぜ? それが出来るのは今ん処、貴様だけだ」 中々その気にならないシロナに対し、ダイゴは懐から切り札を取り出した。 「っ!?」 「それとも、何もしないでそのまま死ぬか?」 ダイゴの手の中の無骨なそれ。それが何であるか知るとシロナは息を呑んだ。 SIGSP2009 米製の拳銃で抜群の堅牢さを誇るが、9mm口径としてはややデカくて生産が終っている高価な銃である。 一瞬、シロナはそれが玩具だと思ったが、別に偽物である必要性は無いのでそれが本物であると瞬時に理解した。 実際、プラスティックフレームの銃口は今にも咆哮を上げそうだったのだ。 「……どうやら本当に錯乱してるみたいね。判ったわ」 銃を向けられた時点で理解した。恋人に対しそんな真似をするとはどう考えても正気の沙汰ではない。理由は不明だが、ダイゴは間違い無く正常では無いのだ。 為らばどうするか? 答えは決まっている。 「一発ブン殴って正気に戻してあげるわ!」 「イイねえ! その眼差しが俺を貫く事を願うよ!」 最初からこうする冪だったのだ。 ――The war load appeard! 元チャンピオンのダイゴに勝負を挑まれた!
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音ゲーマー :2012/02/25(土) 15:11:01.90 ID:JnRZH1IZ
ダイゴさん御乱心。チャンネルはそのまま。 描写でおかしい部分があるかもだが、そこは見逃してくれ。
]U:鬼姫 「ミカルゲ!」 「エアームド……!」 戦闘開始。各々の先鋒は封印ポケモンと鎧鳥。弱点無しの悪霊♀と物理受けに特化したデボンの鳥♂。レベルの点ではダイゴがやや有利。 北と南の頂点の対決。見物人が誰も居ない事が残念な程の好カードだった。戦闘BGMは章タイトルを参照。 「撒き菱、展開」 「悪の波動よ!」 最初のターン。ダイゴは撒き菱を使用する。入れ替え時に浮遊、飛行以外は割合ダメージを食らうトラップタイプの技。対してシロナはタイプ一致攻撃。効果は今一つだがエアームド自体の特殊防御は薄いのでそこそこのダメージは期待出来る。 だが、特防に数値を割いているのか、思う様に削れない。三割に届かないダメージしか与えられなかった。 「撒き菱ランチャー」 「もう一度! ミカルゲ!」 次ターン。再びエアームドが撒き菱を積む。シロナも同じく悪の波動でダメージを稼ぐ。これで大体半分を削る事が出来たが、例え急所に当たったとしても確定一発に届くか微妙なゲージの残り具合。落とすのに後二ターンは掛かりそうだった 「連続で撒き菱? この戦法、何?」 ダイゴの展開する戦法に付いて嫌な予感がするシロナは手の内を読もうとするが、今迄シロナが経験した事が無い型なので仔細が判らない。しかし、何処かで耳にした事はある気がするのだが、思い出す事が出来なかった。 「これにて打ち止め。仕込みは完了」 「これで今度こそ……っ、流石に硬いわね」 そして、気付けなかった事が明暗を分けるとはこの時点でシロナは判らなかった。撒き菱を積み終えたダイゴはシロナの手を確認するが、残念ながらそれは悪手だった。 他にやる事があるだろと突っ込みを入れたくなったが、其処迄親切心を起こす程ダイゴは甘い奴じゃない。例え相手が恋人であっても、敵対している以上は首を落とさねばならないと言う事を良く知っているのだ。 「……カムラの実、使わせて貰おうか」 「っ!」 やっと体力が三割を切ったのでエアームドが木の実を使用。一度だけ素早さが二段階アップする貴重な木の実だ。これで積み迄後一歩。次でどうにか出来なければシロナは窮地に追い込まれる。 果たして采配はどうなる事やら。結果は直ぐに出る。 「そして一端、羽休めだ。これで命が延びる」 「うわ、止めてよね。嫌がらせそれ?」 此処に来てダイゴは延命を図る。ミカルゲの速さを更に大幅に上回ったエアームドが体力を半分戻した。ダイゴが戦法を磐石にする為の重要な一手。だが、シロナにはそれが嫌がらせにしか映らないらしい。 「……そろそろ死ぬ覚悟は良いか?」 勝負の行方が見えたダイゴは実に詰まらなそうに呟いた。 「そ、そんな脅し、引っ掛からないから! ミカルゲ、お願い!」 「届かない、か。……さて、後は適当に頼むぞ」 もう馬鹿みたいに波動を連発するが、それで落とされるデボンの鳥では無いのだ。ダイゴはとうとう死刑執行を告げた。 「吼える」 防音能力、若しくは吸盤を持たないポケモンを強制的に交代させる変化技。これと撒き菱が合わさればどんな事が起こるのか。小学生にだって判る事だ。 「!? 昆布戦術……!」 「遅い。もう手遅れだ」 此処に至り漸くシロナは自分の迂闊さに気付いた様だった。真っ先に落とさねばならなかった鎧鳥を放置していた事が大失敗の原因。 速いテンポで下から迫る螺旋運指にゲージが徐々に削られ始める。しかし、速さがグーンと上がったエアームドを抜けるシロナの手持ちは一匹も居ない。俊足を誇るガブリアスでさえ無理だった。
――十数ターン経過 「ふむ。こんな処、だな」 「ぐっ、うう……」 シロナの手持ちは壊滅的な程にズタズタだった。幾らタイプ相性で有利と言ってもそれで覆らないレベル迄、バトルの流れはダイゴに傾いている。 悔しげに歯噛みするも、それが流れを変える事は在り得ない。十分に役目を果たしたエアームドを労う様にダイゴが指示を下す。 「鋼の翼。奴に引導を渡せ」 「くう」 交代が連続し体力の八割を喰われていたミカルゲは呆気無く一刀両断された。 「どうする……どうする、あたし……!」 逆転の策が全く見えない。まさか、こんな変化球で攻めて来るとは。力尽くで勝負を決める事が好きなシロナにとっては最も苦手とするタイプだ。 こちらの手持ちで傷が無いのは一匹だけ。それに対し、向こうは後五匹も無傷の戦力を温存している。どうしようもない状態と言う奴だった。 「早く次の生贄出せよ。サクッとぶっ殺すからさあ」 実際、こんなに上手く行くとはダイゴ自身も思っていなかったらしい。だが、相手が術中に嵌ってしまった以上、勝利は揺るがないと確信している様な顔をしている。 その傲慢な態度が鶏冠に来たシロナは半ば焼け糞気味に次を投入した。 「ええい! ロズレイド!」 「アーマルド。奴を始末しろ」 ブーケポケモン♀と甲冑ポケモン♂。相性的には可も無く不可も無いがシロナに勝ち目は無い。それでも怯んでいる場合では無いのでシロナは強気に攻撃を指示するが、ロズレイドは撒き菱にまたやられて瀕死に近い状態だった。 「エナジーボール!」 「門前払いだな。ほい、ステルスロック」 等倍ダメだが、それでもタイプ一致の特殊技。三分の一は削ったがそれで終わりだった。ダイゴは更に性格が悪い事に尚も設置トラップを仕掛ける。シロナにとっては嫌過ぎるダメ押しだった。 「固めに来るわね……! ロズレイド、もう一度!」 「お帰りはあちらだぜ。シザークロス!」 力押しでどうにかなる闘いばかりではないと言う事を好い加減理解して欲しいダイゴだったが、もうそれしかないみたいに攻めて来るシロナに別の意味で敬服しそうになる。 だが、それとこれとは別の話なのでさっくりとロズレイドの命を刈り取り、部屋の出口を指差してやる。だが、ドアは拉げていて外に出る事は残念ながら出来なかった。
「く、糞……こんな事で……!」 「泣き入るの早過ぎだろ? 未だ嬲り足りないんだが」 どんどん状況が悪くなる。シロナは半分涙目だが、ダイゴはそんな彼女の様子を気に留める素振りも無く淡々とした様子で恐ろしい台詞を呟いた。 「悪趣味な奴……! なら、こいつでどうよ! ガブリアス!」 「切り札出したか。では、こっちはボスゴドラだ」 シロナにも意地があるのでサディストに良い様にされて黙っている訳にはいかない。勝てない迄も、せめて向こうの手持ちの首の一つでも奪ってやろうと砂鮫を投入した。 場に出た瞬間、設置トラップで死にそうになったが、木の実を食べてガブリアス♀が何とか持ち直す。それを横目に見つつ、ダイゴはボスゴドラ♂を場に召喚した。 「ボスゴドラ? ……アンタ、嘗めてんの?」 幾ら流れがダイゴにあると言っても、その選択は無謀過ぎるとシロナは思った。ガブリアスはタイプ一致攻撃での四倍弱点が狙えるのだ。通常ならそんな手持ちを前に出すのは愚策だが…… 「もうこの勝負は見えたぜ。一つ位華を持たせても良いかなってさ」 「〜〜っ!! 嘗めんなインポ野郎っ!! ガブリアス! 地震!!」 すると、ダイゴはシロナ相手に挑発を使った。好い加減、ダイゴの態度にキレそうだったシロナはその言葉で沸点が超えたのか、遠慮無く攻撃をぶち込んだ。 地震の衝撃波がボスゴドラを襲い、甚大な被害を与える。岩、鋼タイプのボスゴドラは特にその被害は顕著で、幾ら鉄壁の物理防御を誇ろうともそれに耐えられる道理は無いとシロナは確信していた様だった。 「はっ、はは。どうよ? Sweet dream,jackass!」 地震が収まると其処には倒れ伏したボスゴドラが一匹居た。意趣返しが成った事を確認し、シロナはダイゴに向けて中指をおっ立てた。 「……え?」 「馬〜鹿。安い挑発に引っ掛かりやがって。糞アマが」 しかし。斃れた筈のボスゴドラが何と立ち上がったのだ。今にも死にそうな程の消耗っぷりだったが、彼は生きていた。気合の襷を持っていたのだ。 シロナはまたも策に引っ掛かった事を理解した。 「メタルバースト」 ダイゴが親指で首を掻っ切るポーズをすると、ボスゴドラがそれを放つ。受けたダメージの1.5倍を叩き付けるカウンター技。消耗していたガブリアスに耐えられる道理は無かった。 「な、あ」 「乗せられたって思わなかったのかよ? 貴様、本当にチャンピオンか?」 ゲームではそうでも無いが、実際のポケモンバトルはトレーナー同士の心理戦が占める割合も多い。悪く言えば狐と狸の化かし合いの側面があるのだ。冷静さを捨ててダイゴの挑発に乗ってしまったシロナは自分の首を絞めてしまったのだ。 「う……っ」 手持ちはボロボロで心理戦でも勝目が無い。此処迄追い込まれる負け戦はシロナとしても経験が無かった。しかも、その原因が自分の判断ミスに因る所が大きいと言うのが更に救えない。 もう、叫ぶ元気もシロナには無かった。 「ルカリオ……」 「ネンドール召喚」 波導ポケモン♂vs土偶ポケモン。相性云々以前にルカリオの体力は尽き掛けているので残念ながら勝負にならなかった。 「インファイト!」 「はいはい、無駄無駄。……壁張る必要も無いな。大地の力」 守りを捨てた特攻もタイプ不利と高い防御力に阻まれて、三割も削れない。代償に防御と特防を下げたルカリオに容赦無くタイプ一致攻撃が炸裂する。 効果は抜群。ネンドールは防御特化なので総合的な攻撃力は決して高くは無い。しかし、防御面で元々紙なルカリオには非常に重たい一撃でもある。 予め命を削られていたルカリオはとても無念そうな顔を張り付かせて倒れた。 「――」 もういっそ殺して。自分の愚策で負け戦をしている手持ち達が哀れ過ぎてならない。だがそれでも、チャンピオンとして、否。トレーナーとして勝負を投げる事が許されないシロナにとってこの状況は地獄だった。 歪んだ笑みを顔に浮かべ、静かに笑っている自分の恋人が獄卒に見える程シロナは灰になりそうな気分だった。
「ミロカロス……お願い……」 「ユレイドル」 美の化身たる慈しみポケモン♀と要塞の異名を取るデスウミユリ♂。相性と残り体力を考えるにシロナ側に勝目はやっぱり無い。 「冷凍、ビーム……」 「ギガドレイン、発動。……もう諦めろ。積んだぞ?」 氷効果を期待した効果抜群攻撃。しかし、追加効果は発動せず、阿呆みたいに高い特防値で掠り傷にすら至らない。 転んだだけで死にそうな消耗度合いなのに、容赦無く吸収技を使うユレイドルにミロカロスは干乾びた骸に姿を変えられた。 「未だよ! トゲキッス!」 「じゃあこっちも〆に入るぜ? メタグロス!」 諦めろと言われてそれに頷く程シロナは潔くは無い。最後の足掻きの様に無傷のトゲキッス♂を放つも見えない岩が食い込んで三割弱体力を持っていかれた。 それに対してダイゴが投入したのは彼にとっての切り札である鉄足ポケモン。すっぱり息の根を止めてやる為にそいつを使ってくるダイゴは情けと言う奴を何処かに捨てて来たに違いない。 「波動弾!」 「怯み効果は捨てたか。ならさ、こっちはコメットパンチだ!」 タイプ不一致の等倍特殊ダメージ。止めには程遠い量しか削れなかった。 別にシロナはそれを捨てた訳ではなく、特性が張り切りなので最初から当てにしていないだけだ。まあ、どっちにしたって大差は無いので、ダイゴはメタグロスに全力攻撃を指示した。 「!!」 重たい鉄の拳がキッスに突き刺さり、途端に警告音が聞こえて来る。しかも、尚悪い事に技の効果でメタグロスの攻撃力がアップする。はっきり言って指が釣りそうな状態。どう頑張っても閉店は避けられそうに無い。 此処でシロナは決断を迫られる。次のターンで勝利を奪われるか、道具に頼って時間稼ぎをするか。無論、シロナとしてはこのまま黙って引き下がる気は無いので懐から取り出した回復の薬を使おうとした。 「使っちまうのか? 別に良いぞ?」 「え」 しかし、ダイゴの言葉でシロナの手が止まる。その言葉を聞いてはいけない。いけないのに耳を塞ぐ事が出来なかった。 「どうせ時間稼ぎにしかならんよ。手持ちを長く苦しめる気があるなら、使え」 「……くっ……!」 ダイゴはシロナに再び揺さ振りを掛けた。そして、それは効果抜群だったらしい。 自分の采配ミスでこの状況を生んだのに、これ以上負け戦に手持ちを付き合わせる事は死人に鞭打つ以上に酷い事の様に彼女には感じられた様だ。 シロナは戦意を消失した様に回復の薬を取り落とす。彼女の選択を尊重する為にダイゴはメタグロスに最後の指示を下した。 「叩き潰せ。メタグロス」 神速のバレットパンチがトゲキッスに突き刺さると、飛ぶ力を失ったトゲキッスは地に落ちて動かなくなった。
「――負けね、あたしの」 こんなに一方的な蹂躙はシロナにとっては初めての事。しっかりと落ち着いて対応すればひょっとしたら勝てたかも知れない。だが、それはもう過ぎ去った出来事であり、恨み言を並べても覆らない事だった。 だから、シロナはダイゴに対し負けを認める。就任早々敗北を味わう羽目になるとは思っていなかったが、その相手がダイゴである事は逆に一抹の安心感を抱かせた。 自分の彼氏はこんなにも強いと知る事が出来たからだ。 「音に聞こえた鬼姫もこの程度か。一匹も仕留められないとは」 「見せて貰ったわ。ホウエンチャンプの力……」 だが、シロナがどう思っていようがダイゴには関係の無い話だった。だから辛辣な言葉を並び立ててやると、シロナは悔しそうにするだけで、それ以上何かをする事は無かった。 「しかし、どの道俺の負けだな、この試合」 「え」 ダイゴが口走った言葉にシロナが俯き加減だった顔を上げる。 「四天王無視して挑んだからな。貴様の言う通り、公式戦とは認められんだろ」 「そう、だけど」 公式戦で無い以上、この戦いは私闘であって、リーグの記録には残らない。つまり、シロナの経歴に傷は付かないと言う事である。だが、これだけボコボコにされてノーゲームだと言われてもシロナとしては納得が出来ない。 「だが、レコードに残らずとも、俺が勝負に勝ったのは事実だがな」 「ぅ」 そして、ダイゴの言葉がシロナの傷を抉る。脳裏に刻まれた敗北が更に消えない染みの様に色濃く鮮明に記憶される。 だが、そんなものはこの次にダイゴが吐いた言葉の前では取るに足らない事だとシロナは気付かされる。彼女にとっての真の地獄はこれからだったのだ。 「もう、俺が貴様に期待するもんは何も無え。賞金も要らねえ。さよならだ、シロナ」 「――は?」 冷めた口調でさよならと、ダイゴは確かに言った。別れを告げる言葉。だがそれは一体に何に対してのモノなのだろう。恐らくそれはこの場に於ける別れの挨拶では無い。きっと、それは二人の関係を終わりにするさよなら…… 其処迄思ってシロナは自分の馬鹿な考えを頭から一掃する。そうしたかったのだ。 「聞こえなかったか? ……もう、俺は貴様とは逢わん。その価値も無い」 「や、やだ。ちょ、何言って……」 最初、耳がおかしくなったのかとシロナは思った。だが、有難い事にダイゴは態々付け足して説明もしてくれた。いよいよ破滅の足音を聞いた気がしてシロナはダイゴに手を伸ばした。 嘘よね? 冗談よね!? 聞き違いよね!? そうだと言ってよダイゴっ! 「触んな負け犬が」 「嘘……嘘っ! 厭だ……っ!」 ――バシッ 触れる直前で汚らしい物を撥ね退ける様に強い力で手を叩き落された。好んで体験したくもない絶望的な状況を突き付けられ、可哀想にシロナはパニックに陥った。 「……これでも期待してたんだぜ? 君ならば若しかしてって」 ダイゴは何故か一抹の情が感じられる声色でシロナに対し呟いた。 君に縋りたかった。馬鹿な事をやっている僕を力尽くでも止めて欲しかった。 「でも、駄目だったよ。……だから、貴様は俺の事は忘れろ。俺もそうする」 ダイゴが最後に当てにしたのは同じ頂点の座に至った自分の恋人だったのだ。 だが、ルールを無視して迄挑んだダイゴの目論見は外れ、勝手に抱いた最後の希望にも裏切られてしまった。 だから、もうダイゴはシロナに対し何も求めない。心を砕く事も無いし、情を注ぐ事も無い。もう彼にとってシロナは不要な存在に成り下がってしまったのだから。 「厭だあああーーっ!!」 こんな現実、認められる訳も無い。半狂乱になったシロナは泣き叫びながらダイゴにしがみ付く。だが、もう二人の距離は絶望的な程開いてしまっていた。
「好い加減にしろよ」 互いの温度差を象徴する様に苛立った口調と共にダイゴはシロナの首を掴み上げた。今迄付き合って来たが、手を上げられた事だけは無いシロナはダイゴが見せた暴力的な一面に萎縮して言葉を失ってしまった。 「何も言わんで良いぜ。何考えてるかは判るから。でも奇妙な事にさ、俺、貴様の涙って大嫌いだったんだよね」 「っ」 吐き捨てる様に呟かれた言葉がシロナを酷く傷付ける。 無理をするな。泣きそうなら素直に頼れ。そう言ってくれた昔のダイゴを思い出して、今の言葉との落差に涙が溢れる。 結局、あの言葉は嘘だったのか。態々、慰めにシンオウ迄来てくれたのは何だったのか。自分はダイゴの重荷に過ぎなかったのか。去来する想いは多過ぎて、考えが纏まらない。泣く事しか出来ない。 「周りの同情心誘う為の安っぽい、自分勝手な涙。それにどんだけ騙された事か」 「違う! それは違うよ! そんな事考えて……!」 そんな風に思われていた等知らなかった。しかし、それは絶対に違うとシロナは言い切れる。だって、自分が泣き虫だって事はダイゴも承知していた筈なのだ。今更そんな事を言われてもシロナにはどうしようもない。 少なくともダイゴを利用する為に泣いていたのでは無いとシロナは神に誓って言える。 「いーや、もう騙されない。俺は、自分の自由に生きる。貴様もそうするんだな」 「ダイゴ……待って……待ってよぅ……!」 だが、ダイゴは心を閉ざしてしまった様にシロナの涙ながらの訴えを聞こうともしなかった。そうして、掴んでいた首根っ子を離してシロナを解放するとダイゴは背を向けてしまう。 「付き合い切れんね」 「待って……ねえ! 置いてかないで……」 ショックでへたり込み、立つ事も出来ないシロナは遠ざかる背中に手を伸ばし、必死の声色で訴える。それでもダイゴは振り向く事はせず、シロナを置いて遠くに行こうとする。 もう、ダイゴを繋ぎ止める事は出来ない。そう思ってしまったシロナにダイゴは止めを刺した。 「俺は独りが良い……」 「ダイゴおおおおおおお――っっ!!!!」 シロナの慟哭がチャンピオンルームに悲痛に木霊する。ダイゴの心が動く事は無かった。 ――ガンンッ 「動くな!」 「豪勢なお出迎えだな、こりゃ」 ドアを蹴破って外に出ると、リフトは四天王と大量の警備員によって封鎖され、その先頭にはゴヨウが待ち構えていた。 「大人しくしなさい。チャンピオンダイゴ。素直に投降すれば危害は加えません」 「元、だ。……もう、こっちの用事は済んだ。直ぐに出て行くさね」 これだけの包囲を突破するのはダイゴとしても難しい。下手な動きを見せれば一斉にポケモンを繰り出してくる事も有り得る。そうなっては流石に勝目が無い。 だから、ダイゴは慎重に言葉を選びつつ、脱出の隙を伺う。焦ってはいけない場面だった。 「それで済むと本気でお思いですか? これは確実にシンオウとホウエン両リーグの問題に発展します。どう責任を取るお積りです?」 「決まってらあ。別に何もしない。反省も後悔もな」 無論、はいそうですかと逃してくれる甘い連中じゃない事は承知済み。だからダイゴは危険を冒して四天王を挑発する。怒った時に間違いを犯しやすいのが人間だ。何人引っ掛かるかは判らないがそれは賭けだった。 「無責任な……!」 「何て奴だ! お前、それでもチャンピオンか!?」 「学習しねえな、糞餓鬼。元だって言ってるだろうが」 ゴヨウとリョウが先ず引っ掛かった。キクノとオーバは黙って静観している。最年長のキクノは兎も角、オーバが挑発をかわす事はダイゴにとってはやや意外。人間、見た目では決まらないと言う事なのだろう。 それならば、次はどうだ? ダイゴは尚も挑発を試みた。 「でも、流石に謝罪は形にしないと拙いか。……おい」 「痛」 ダイゴは懐を漁ると金子を取り出しゴヨウの顔目掛けてそれを叩き付けた。諭吉百人。些かサービスし過ぎだが、怒りを煽り嫌な奴に見せるならこれ位が丁度良い金額だった。
「ドアの修理代だ。取っておけ」 「……お金で解決を図るつもりならば、それは」 「厭味な野郎だな、おい! 反吐が出るぜ全く!」 目論見通り、今度はオーバの気を引く事が出来た。残りはキクノだけだが、それに対する解決策もちゃんと用意してある。 「っつーか、俺に感けてて良いのか? 貴様等の大将、今頃大変じゃないかなあ?」 「まさか……貴方、シロナを!?」 引っ掛かった! あろう事か、ダイゴはたった今打ちのめしたシロナ迄も利用したのだ。 血相を変えたキクノが通路を走りチャンピオンルームへ入って行く。邪魔する気は無いので道を譲ってやると、周囲の視線はチャンピオンルームに注がれる。 それが決定的な隙だ。ダイゴは壁面を蹴って包囲を上から突破すると段差の下へ着地する。そして、カードキーで閉まっていたドアのロックを解除した。 「おい、ゴヨウ! あいつ逃げるぞ!」 「じゃあな、阿呆共」 「な、ま、待ちなさい! ……逃げられた」 一早くそれに気付いたオーバが叫ぶがもう遅い。扉が閉じるとダイゴは向こう側から扉をロックする。ゴヨウが悔しげに顔を歪めた。 扉は直ぐに開けられるだろうが、一人を捕まえるのにあの人数は明らかに戦力過多である。後は警備の居ない部屋を入り口迄急いで駆け抜ければ良い。それでオールクリアだ。 「さあて。何処に雲隠れすっかなあ」 だが、問題を起こした事に変わりは無い。ほとぼりが冷めるのを待つ為に何処かに潜伏する必要があるが、それについてダイゴは心配していない。ニッポンの数多くの洞窟が彼の味方だからだ。 しかし、どちらにせよ準備の為に一度ホウエンに戻る必要がある。ダイゴはエントランスのパソコンで手持ちを入れ替えると、外に出て、空を飛べるエアームドに乗って何処かへ飛び去った。 ゴヨウ達がチャンピオンルームに踏み込んだ時、シロナはとても無残な姿だった。 血涙を流し、床に座り込んでダイゴの出て行ったドアを虚ろな目で見ながら、壊れたラジオの様に只管同じ言葉をブツブツ呟いていた。 『捨てないで』 その単語だけがシロナの心を支配していた。
145 :
音ゲーマー :2012/02/25(土) 23:38:21.52 ID:DsP8121k
ダイゴさんがぐれました。シロナさんを泣かせちゃいました。待て次回。
…。
なんだかなあ
コレジャナイ感がぱないな
149 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/27(月) 12:13:42.11 ID:U5nqh5Jx
まだ続くのかこれ。もうみんな飽きてるぜ。他の職人さんはどうしたんだ?息してるのか?
>>149 前スレでは音ゲーマーさんが来ないとスレ伸びないと絶賛してたんだし、何より話終わってないのに評価はできないぜ
それにぶったぎるようになっちゃうから、あんまり良くない
>>149 ぶっちゃけるとこの人以外が書いてももう誰も読んでくれない
他の職人もみんな離れた
152 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/27(月) 17:36:39.53 ID:FtfDxpiW
音ゲーマーさんが来ないとスレ伸びないだの、他の職人はいないのかだの・・・ 前スレからそうだが、お前ら本当にわけわからんな。
この人以外が書いたものは読まれないって…その言い方はおかしい、それじゃ音ゲーマー氏以外が書いたもん以外はこのスレでは評価もされないし読む価値もないってふうに聞こえる そんな流れになった事もないじゃん 流れをぶった切るからよくない、って他のスレでも別の職人による連載作品が、いちどに複数投下されてるなんてザラじゃん。 話の内容はさておき、音ゲーマー氏の態度つうか、空気の読み方に問題あるだろこれ ふつう過疎気味のスレに長編投下したら歓迎こそされてもこんなな空気にはならないって。 誰も投下しない空気を音ゲーマー氏が作っちゃってんだよ。こうも長くなるならせめて完結してから投下するとかあるだろ。
>>153 良く言った。
俺もそう思うぞ。
音ゲーマーさんが悪いわけではないから、これからも投下は続けてほしい。
ただ、だんだんと態度がでかくなってきてるのは確かだから気をつけた方がいい。
ここは音ゲーマーさん専用のスレではないことをわかってください。
]V:決別 ――ミナモシティ デパート 「そんな事が……」 「歳を取る程、脛に傷は増えるもんよ。格好悪い事ばっかりね」 雨脚は強くなる一方。ゴロゴロと雷鳴は引っ切り無しに聞こえていて、天の底が抜けた様な大雨は止む気配が無い。二人は屋内の人影が疎らな狭いベンチに腰掛けていた。 途中休憩を挟んだシロナにハルカは複雑な表情を浮かべる。順風満帆で来ていたのに突然二人に立ち込めた暗雲がこの後の展開を容易に想像させない。 一刻も早く続きを聞きたい気分だったが、語りながら時折辛そうな顔をするシロナにそれを求めるのは酷だった。 「良く、立ち直れましたね」 「四天王のお陰様でね」 普通あんな別れ方を切り出されたら女ならばトラウマに陥っても不思議じゃないし、逆恨みする事だって有るかも知れない。だが、シロナはそうならなかったのだ。 「諦めようとか思わなかったんですか?」 「そりゃ、挫けそうにはなったわ。でも、不思議と恨む気にはなれなかったし、信じたいって思ったのよ、彼を」 「・・・」 そんな或る意味失礼な質問に対してもシロナは臆する事無く答えた。その横顔はある種の達観を感じさせる様な落ち着きを孕み、同時に美しく感じられた。 「そうじゃないと、あたしは彼の女として相応しく無いっても思った。信じない限り、またあたしを必要としてはくれないってね」 相手を恨む事など考え付かない。寧ろ、それを飲み込んで許容する。よっぽど相手を好いていない限りそんな想いには至らないとハルカはユウキとの関係から何と無く理解している。しかもそれを実践するとはどれだけこの女の情は深いのだろう。 同じ女として嫉妬しそうになってしまった。 「強いですね、シロナさん」 「ああ、それは逆。弱いわよ? あたし。ダイゴもそう。見せない様にしてるだけ」 皮肉るつもりはない。純粋に憧れの感情を込めてそう言ってやるとシロナは照れる様子も無くそう告げた。 自分達の弱さに付いて、理解はしていてもそれを他人に晒せるかと言えばそれはかなり難しい事だ。だが、それを隠そうとしないシロナは本当に格好良かった。 「成る程。だから、一緒に居られるんですね」 「当たりよ。ハルカちゃん」 相補性理論なぞ糞喰らえだと思っていたハルカだが、成る程。好き合った上で足りない部分を埋め合っているカップルと言うのも確かに存在するらしい事を知った。 目の前の女と、今は彼氏が一緒に留守番しているあの男だ。 「じゃ、話の続き、良いかしら?」 「はい」 是非も無い。アンタ等の経験した人生の山場を聞かせろ。ハルカはシロナの語りに耳を傾けた。 確信は無かったけどさ。心に暗い影を持ってるって気付いてた。 でも、あたしはそれを聞かなかったし、ダイゴもそれを言わなかった。 きっと何時かは話してくれると思っていたけど、それが間違いだったわ。 無理言っても訊く冪だったし、あたしが真っ先に気に掛けなきゃいけない事だったのよ。 ……今でも自分の無力さが腹立たしくなるわ。 ダイゴはずっと泣いてたのよ。仮面の裏で、ずっと独りで……
ダイゴ襲撃事件から一週間経過。 飯も喉を通らないと言った感じに憔悴していたシロナだったが、何とか普通の会話が出来る程には回復していた。しかし、それでも尚彼女が負ったダメージは大きく、とてもではないがチャンピオン業に復帰出来る状態では無かった。 そんなシロナをどうにかする為に、緊急のミーティングが開かれた。 ――シンオウリーグ本部 会議室 「シロナさん、無理は」 「……平気。お仕事サボる事出来ないから」 リョウが心配そうにシロナの様子を気に掛ける。一応、会議に足を運んだシロナだったが、無理をしているのはバレバレでそれは見ていて痛々しかった。 「でも、その状態では周りの士気にも影響が……」 「……平気だから。ちゃんと、やるから」 言っても無駄だと判っていても、何かしらの言葉は掛けなければいけない。責任感が強いのは結構だが、それで周りのテンションを下げていては頂点に立つ者しては失格だ。だが、シロナはきっと何かしていなければ立ち行かない状態なのだろう。 「どう考えても無理だな、そりゃ」 「ええ。同感ね」 骸骨が人間の皮を被った様な生きる屍状態のシロナにオーバとキクノが哀れんだ視線を向ける。何時崩れ落ちてもおかしくない、そんな状態に変えたあの男に対し怒りの感情が湧いてくる四天王だった。 「しっかし、何なんだよ、あのダイゴって野郎は。突然乗り込んで来て、ウチの姫さんズタボロにしやがってよお」 「デボンコーポレーションの御曹司。嘗てのホウエンリーグの支配者。どうやら、シロナさんとは深い仲だった様です」 オーバの疑問に対し、ゴヨウは殆ど意味が無い情報しか持っていなかった。 実害はドア一枚が壊れただけだし、その修理もダイゴが置いていった金で既に済んでいる。ホウエンリーグとの話し合いも理事会を通じてとっくに終っていた。 だが、それでも心に湧いた不快感は簡単に拭えそうに無い。 一体全体何の目的でダイゴはリーグに乗り込んで来たのか、それが不明瞭だから尚の事感情のやり場に困っている。しかし、それは四天王は愚か渦中の人間であるシロナにだって判らない事だった。 「ちっ、金持ちのボンボンかよ。何にせよ、自分の女こんな風に泣かすなんざ、最低の野郎だぜ。別れて正解だったんじゃねえの?」 何が原因であれ、ダイゴがシロナを傷付けた事だけは弁解の余地が無い。オーバは心の憤りを素直に言葉にする。しかし、その言葉はシロナにとっては許せないモノだった。 「止めて」 心は未だに血を流している筈なのに、シロナは毅然とした態度でオーバを睨み付ける。その金色の瞳だけは未だ死んではいなかった。
「ダイゴを悪く言わないで。それに、未だ終わってないから」 「っかあああ! こんな状態でも未だ庇うってか! アンタ、一途過ぎだろ!」 彼氏を貶すな。そして勝手に終らすな。シロナは未だにダイゴとの事を諦めていない。 そんなシロナにオーバが吃驚した様に叫ぶ。その妄執とも言う冪執着心が男の心では理解出来なかったのだ。 「気持ちは判ります。しかし、もう、彼に貴女への気持ちは無いのでは……」 「それでもっ!」 それはゴヨウも同じだった様だ。引き摺って辛い思いをするのなら、諦めた方が良い。失恋のショックも暫くすれば癒えると遠回しに説得する。 だが、少なくともシロナにとってそんな助言は大きなお世話だった。 「あたしは、ダイゴを信じてる。絶対、何かある筈なのよ。そうじゃなかったらあんな……」 意固地になっていると思われるのは仕方が無い。だが、そうしなければいけない気がシロナにはしていたのだ。 一度疑えば足は止まるし、迷って最終的に信じる事が出来なくなる。そうなってはもう二度とダイゴは戻って来ないとシロナの女の勘が告げていたのだ。 「……そう。そんなに好きなのね、彼の事が」 「はい。愛しているんです、今も」 そんなシロナの想いに付いて、同じ女として感じ入る事があったのか、キクノは確認する様に尋ねるとシロナは胸を張って答えた。その堂々とした姿にはシロナの女としての誇りが滲んでいた。 「じゃあ、貴女がやる事は決まったわね」 「キクノさん」 其処迄腹が決まっているなら、もう道は一つだけだ。キクノはシロナにそれを指し示す。 「シロナ、貴女ホウエンに飛びなさい」 「え、でも」 北で燻っている裡は状況に進展は無い。何かあったとするならば、ダイゴにとっての拠点であるホウエン地方にその鍵がある。其処で情報収集するしかないとキクノは進言した。 無論、それはシロナも判っていた事である。しかし、チャンピオンが地元を離れて行動するのは色々と制約が付く。チャンプになりたてのシロナにとってそれは実現が難しい事だったのだ。 「賛成です。ダイゴさんが何であんな事したのか、判るかも。上手く行けば会えるかもだし」 「賛成。どの道今の貴女ではチャンピオン業は荷が重い。なら、しっかりと彼と向き合い、心を元の状態に戻す冪です」 「異論は無え。ホウエンリーグにゃアイツを知ってる奴位居るだろ? 今回の事、改めて侘び入れさせる序に聞いてくりゃ良い」 「みんな……」 しかし、こう言う時に頼りになるのは仲間の存在である。野郎三人が戸惑うシロナの背中を押してやった。 「賛成多数ね。……こっちは私達が何とかする。貴女は貴女の納得するやり方で決着付けなさい」 「ありがとう」 どうせ年度が動き出したばかりで暫くは暇なのだ。別にチャンピオンが不在であったとしても短期間ならば四天王だけでリーグは何とか動かせる。 だから、悔いを残したくないなら、自分の手で決着を付けろ。キクノのエールを受けてシロナは決断した。 「あたし、行くわ。ホウエンに行って、ダイゴと話してくる!」 翌日。シロナはホウエンへと旅立った。 ――ホウエン カナズミ空港 「ダイゴ……あたし、諦めないよ」 此処に来るのも数年振りだ。あの時は若さと希望が胸一杯で、こんな風に思い悩む何て考えもしなかった。 今は独りきり。頼る物が何も無い状態でシロナは今と向き合わなければならなかった。
――サイユウシティ ホウエンリーグ本部 ニッポンの南の端。ポケモンの楽園と称される美しい島。北の住人であるシロナは最初にこの場所に足を運んだ。空を飛んでのショートカットが使えないので、正攻法の強行軍でシロナはやって来た。 ミナモから休まず波乗りを続けて半日近く。大滝を越えてチャンピオンロードの猛者達を退けてその場所に辿り着いた時、ホウエンに着いてから既に丸一日が経過していた。 「ようこそ、ホウエンリーグへ……って、貴女は!?」 エントランスに足を踏み入れると、警備員が気さくな挨拶を交わして来た。しかし、やって来たのが誰か判ると、途端にその顔が恐怖に歪む。 「ダイゴを出しなさい」 「つ、ツワブキ氏ですか!? こ、この度は我がリーグの元チャンプがご迷惑を……」 一々そんな事に構っていられないのでシロナは単刀直入に用件を伝える。焦った警備員は何を思ったのか、胡麻を擂る様な態度を取って来た。 「ダイゴを出せ!」 それが気に喰わないシロナは大声で怒鳴り付ける。自分でも顔が醜く歪むのが判ったが、こちらも遊びに来ている訳では無いので今は無視した。 「ひっ!? ツワブキ氏は行方不明です! 我々も全力を挙げて捜索中ですが、何処に居るかとんと判らない次第でして……」 「! なら話の判る奴を出せ! なんなら無理矢理突破して……」 鬼の形相に肝を冷やした警備員が恐怖の滲む声色で訴える。これでは話にならないと気付いたシロナはその胸倉を掴み上げて、死山血河も辞さない旨を告げる。 「わ、判りました! ……ミクリさん! 鬼姫です! 北の鬼が攻めて来ました!」 慌てた警備員は転びそうになりながらも何とか床を這って内線の受話器を取ると、それを使って話の判る奴を呼び出す。 「ええいっ!」 しかし、今のシロナにはそんな行動すら目障りだったので警備員の横を通過すると四天王の部屋へ続くドアを思いっきり蹴り付けた。 「ああ、勝手に!? もう少しお待ちを! 今、チャンプが来ますのでもう少しお待ちを!」 「悠長過ぎんのよ!」 電話中の警備員が懇願する様に情けない声を上げるが、シロナは喋る事すら億劫だった。開いたドアに大股で歩を進め、シロナは中に入った。 「おーおー。随分、鼻息荒いねえ。美人が台無しだぞ」 「アンタは四天王?」 踏み入った部屋には男が一人。お洒落な服装をして、モヒカンとは違うが何とも個性的な髪型をしていた。 喧嘩しに来たのでは無いので、シロナは相手に敵意が無い事をアピールした。 「ああ。悪使いのカゲツだ。北に住まう美しき鬼……お前さんがシロナか。ダイゴから聞いてるぜ」 「何か知ってそうね。ダイゴは何処?」 どうやら、ダイゴ伝手に自分の事を知っているらしい。何らかの情報が期待出来ると踏んだシロナは最も知りたいダイゴの居場所をカゲツに尋ねる。 「此処には居ねえ。って言うか、ぶっちゃけ音信不通だ」 「そんな……」 期待していた情報とは違い、シロナは落胆する。頑張って南の僻地に辿り着いたのに屑みたいな情報しか得られないと言うのは骨折り損にしか思えなかった。 「突然だったぜ。一寸前にいきなり辞表出して、俺達の前から消えて、その矢先の事件だった。……まあ、思い当たる節は多々あったがな」 「それは」 「おっと、それは全員から聞いた方が良いな。丁度来たみたいだしな」 しかし、居場所以外の情報については色々持っているらしい。シロナはそれを尋ねようとしたが、その直前に部屋に数人の人間が入って来た。カゲツはそれを顎で指し示すと、シロナは渋々頷いた。
「ホウエンリーグへようこそ。私が現チャンプのミクリだ」 四天王を後ろに引き連れたチャンピオン。珍しい形のベレー帽を被り、ホウエンの頂点の証である白いマントを羽織っている。 嘗ての水のアーティスト。現在の異名は海神(わだつみ)。 ミクリは帽子を取ってシロナに挨拶してきた。 「シロナよ。シンオウチャンプの。……確か、貴方はダイゴの」 「ああ。親友を名乗らせて貰っている。……尤も、今回の件で自信を無くしたがね」 「・・・」 シロナも同じ様に軽く会釈する。ミクリについて、シロナはダイゴから聞いて既に知っていた。十年来の付き合いで曰く、腐れ縁だとか何とか。 そんなミクリはダイゴの自称親友を気取っているらしい。だが、例の騒動で何も出来なかったのか、少しだけミクリは悲しそうな顔をする。シロナは何も言えなかった。 「それよりも今回はあいつが申し訳無い事をした。何かやらかすだろうと踏んでいたが、まさかシンオウリーグでアクシデントとは」 「謝罪は良いわ。それよりもあたしが此処に来たのは」 「判っている。だが、何処に居るかは本当に判らない。足取りさえ掴めない状況だ」 「そう。……判らないならどうしようもないわね。……一寸聞くけど、アイツは何時辞めたの?」 シロナが本当に知りたいのはダイゴの行方のみ。しかし、それはミクリも知らない事だった。 良く考えれば、チャンプを辞めた人間がリーグに居るのはおかしいし、足跡が不明と言う事は故意に人目を避けていると言う事も考えられる。これでは恐らく誰に聞いても直接の足取りを掴むのは難しいとシロナは考えた。 しかし、折角来て何も得られる物が無いと言うのは堪らないので、シロナはダイゴについて判っている情報だけでも訊きたかった。 先ずはジャブからスタート。あんまり重要とは言えない質問だが、出方を伺うには丁度良かった。 「年度末だから、三月の半ばだ。きっちり仕事は収めてくれていったぜ?」 「同じ頃、ルネジムに突然現れて、チャンプ辞めるから引継ぎを頼むと言われたよ」 「ふーん。ちゃんと仕事はしてた訳ね、アイツ」 カゲツ達の話を聞くと、ダイゴは仕事を中途半端に放り出した訳では無いらしい。ちゃんとミクリに後釜を頼んだ辺りしっかりチャンプの勤めは全うした様だ。尚更ダイゴが辞める理由が判らないシロナだった。 「……それで、アイツに何があったの? せめて、それだけでも教えて」 これ以上細かい話を聞く気は失せた。改めてシロナは核心に付いて訊く。 「それは」 「「「・・・」」」 ミクリは何かを語ろうとしたが、途中で沈黙してしまった。語るのを戸惑っている様なミクリに様子に、カゲツ以下四天王の三人が視線で会話している。只一人だけ、最年長と思われる厳ついご老体だけは腕を組んで背中を壁に預けていた。
「一言で言えば、絶望した……と言う事です」 「プリム……それは」 「間違いでは無いでしょう。元々彼にはそう言う面があった」 氷使いのプリムが沈黙を破る。その余りの直球振りにミクリも流石に動揺したが、結局次の言葉に何も言えなくなる。ダイゴについて良く知っているミクリだからこそ、口を噤まざるを得なかった。 「確かにねえ。ダイゴさん、人間嫌いだったもんね」 「フヨウ迄……」 そうして、ゴースト使いのフヨウが追い討ちを掛けた。人間嫌い。ダイゴを象徴するのにこれ以上ピッタリな言葉は存在しない。悲しい事にそれは自称親友であるミクリでも擁護出来ない事だった。 「? どう言う事?」 「……聞いた通りだ。ダイゴは人間に、世界に絶望した。もう誰も信じられない程に」 話がどうも見えない。人間嫌いとか言われても、ダイゴがそうであるとはとても信じられないし、一体それが何で今回の事に繋がるかシロナには判らなかった。 そして、ミクリの言葉がシロナには殊更信じられなかった。 「そんな……大袈裟でしょう」 「そう思うよな。だが、あいつの場合、それが在り得るんだ。Youもダイゴから聞いていないか? どうやって彼が今迄歩んで来たのか」 「大雑把な来歴は知っているけど、どんな風にって……」 何かの間違いである事を願って言葉を選んだが、ミクリの顔からするに恐らくそれは真実であるとシロナには判った。 そして、ダイゴの過去に付いてシロナは掻い摘んだ説明は本人から受けていたが、正直言って知らない部分が多かった。だから、言葉に詰まった。 「あー、そっか。お前さんは聞いてないのか。あいつも付き合ってる女には喋りたくなかったのかもな」 「ダイゴの過去? それが原因?」 合点が行った様にカゲツが頷く。確かに、ダイゴにとっては恥になる話だし、余計な心配を掛けたくないと言うダイゴなりの気遣いであったのかも知れないとカゲツは思った。 シロナの知らないダイゴの過去。予想外に根が深そうな事象にシロナは無性に知りたい気持ちに駆られる。仮にも付き合っているのだ。相手を知るのは重要な事だった。 「原因ってか、まあ根っ子だな。俺等もミクリから聞く迄は知らなかったけどよ」 「何? 勿体付けずに教えて」 「ダイゴは常に肩書きに縛られていたという話さ」 意味深に言うカゲツに痺れを切らしたシロナは答えをせっつく。 仕方が無いと言った感じにミクリは重い口を開いた。
161 :
音ゲーマー :2012/02/27(月) 23:57:28.52 ID:ud0m51v5
えーと…何か済まない。荒れた空気を作っちゃったな。 そっか。俺自身がこの空気の原因か。少し、頭冷やすよ。 勿論、投下は続けるよ。じゃあな。
音さんが悪いって話になってるけど、お前等も体外だろ。空気を作ったってのが氏なら、それを望んだのもここの住人だろ?最初あれだけ持てはやしたんだから。 なのに今になって掌返しって酷いだろ。氏の態度もそうだけど書き手に対し随分読み手が傲慢じゃないか。落ち着こうよ。
誰か別の書き手が作品投下してみんなが反応すれば空気も変わるんじゃない
どうかな。そんな勇者がいたとしてもまともなレスが付くとは思えない。今がそうなんだし。
165 :
名無しさん@ピンキー :2012/02/28(火) 15:10:18.96 ID:hcVfjhad
ランドラル強制オナニー小5優衣ちゃん 福原遥ちゃんみたいな清楚な美小学生がむりやりSEXさせられてるけど、やばいねこれ。 持ってるだけで捕まりそう。
正直 遅いけどSS書いてるよ。完成したと思ったら投下するよ
>>162 読み手側にもマナーがあるように、書き手側にもマナーはある。
もてはやされたからって傲慢になっていいわけじゃないべ、そりゃ典型的な天狗だよ
それにもてはやされたもてはやされたって言うけど、みんなそんな過剰に音ゲーマーさんをもてはやしてたっけ?
「あなたの作品以外読みたくない!」ぐらいまで言っちゃったら「あれだけもてはやしといて」って表現にも頷けるけどさ
掌返しっつーのは大げさだよ、「あれ、おかしくね?」ってのが積もりつもってこうなったように思うけど
一般的には常識とされている、 真実は一つだけ 怒りは自然な感情 戦争・テロは無くならない 死刑には殺人の抑止力がある 虐められる側にも虐めの原因がある 自己チューな人間ほど自己愛が強い などの間違いを解説ちう m9(`・ω・)ビシ 義務教育では教えない最新哲学 感情自己責任論
>>167 同意だわ
つーか最初に歓迎されてGJされたとしても
まさかスレがいくつにも渡って音さんのSSに埋め尽くされるとか誰が予想したよ
こんな状況をそのままにして喜んでる奴がいるなら一種の宗教だぜ
170 :
音ゲーマー :2012/02/28(火) 19:25:34.53 ID:0RlOLLac
歓迎されてる雰囲気じゃないな。流石にこんな流れで投下出来る程図太くは無い。 でも投下した以上は最後まで続けたいんだよな。 結局、俺はどうすれば良いんだ? いっそロダ経由に切り替えようか?読んでくれてる人も居るだろうし、今の占有状態も緩和される筈だからさ。
>>170 …その言葉の端々から漂う「自分に非はない」みたいなのなんとかならんのか。
「お前を嫌ってるから」じゃないよ、「スレの空気を改善したい、書き手も読み手もマナーあるスレにしたい」から厳しく言われてるんだよ
あんたの「歓迎されてる雰囲気じゃない」「図太くない」なんて言い方じゃ、
まるで読み手側がお前のこと単に気にくわなくて叩いてるーみたいに聞こえる。なにが悪いか本当に分かってんのか?
正直、こういう匿名掲示板で投下するの向いてないんじゃないかな。作品が下手とか、そういう意味じゃなくてさ。人柄的に。
サイトとか立ち上げてそっちでやるとか。あと確かピクシブにも同じ作品あげてるよな?そっちじゃダメなん?
>>170 とりあえず今の作品はろだにしてリンク貼って掲載していいんじゃない?
>>171 が言うみたいに出てけってわけじゃないからな
今後も書くときはろだにしてコメントも最低限にしてくれ
あとしばらく他の職人が投下してないからわかんないだろうけど
職人って投下するときはもっと腰低いもんだぜ
多くの職人みたいに自分の作品卑下するのはやり過ぎだと思うけどね
せめて投下するときくらいは敬語で話すとかすればイメージも変わるんじゃねーの?
「またな」とか態度デカすぎだろここはVIPじゃねーんだぞ
音ゲーマーさんの作品好きですので、是非とも最後まで読ませていただきたいです こんな空気になっているのは音ゲーマーさんだけではなく、私達にも問題があるんですよね 書き手側も読み手側も、もっと考えて発言すべきですね・・・ 以後、気を付けます
174 :
音ゲーマー :2012/02/28(火) 22:05:17.68 ID:0RlOLLac
分かりました。じゃあそうしましょう。投下はロダ経由でする事にします。 本文の質に付いては自信があったけど、勘違いしてました。確かに態度も横柄だったし、空気を悪くしてしまって申し訳ありませんでした。今後は言われたとおりにします。 所で、ロダを使うボーダーってどれ位なんです?長過ぎる作品に付いては使用が推奨なのでしょうが、このスレ的に決まりはなかったですよjね? やはり各自が自分の裁量で決めるしか無いのでしょうか?
黒白2に誰も触れないとは…
だって情報が少なすぎるもの それよりはポケナガの方がネタにしやすい
ネタにするにしろどっちもやりにくいんだが
>>176 穴久保絵でこんなに人物の表情が崩れてない絵は初めて見た
最近はこうなのか?
>>174 まだ投下すんのか?いや、良くも悪くも大したガッツだな。賞賛に値するわ。
まあ、ぶっちゃけ続きは気になってるし、案外読んでる人も居ると思う。
そう言えば前回の赤葉の時言ってたな。投下した責任云々って。それが本当である事を祈るよ。待ってる。
文字数?物書きじゃないから何とも言えんけど20〜30k位じゃね?適当だけど。
みんなどのキャラが好き?
フウロさんのおっぱい!フトモモ!
2では再戦あれば妄想の幅が広がるというのに…
>>174 分量的に普通のSSでもろだは使われてるから大丈夫じゃないかね
DLの数でどれ位読まれたか見えるってのが怖くて自分は使ったことはないw
出来上がってるなら早速投下しチャイナ
2は再戦欲しいよね ジムリの曲が八回しか聞けないのはもったいない ゲーム版アイリスとまた戦いたいぜ
BW2ってアイリスがアニメ版に置き換わりそうな気がする
ベル、アイリスの性格がアニメ化するのは個人的にやだなあ カミツレもゲームのままでいいよ なんだかんだで金銀やHGSSのカスミもアニメ化しなかったしその辺は貫いてほしい
187 :
音ゲーマー :2012/03/02(金) 18:32:22.67 ID:5oChahwq
職人少ないのに職人減らすような事してるのはここの住民じゃん
>>188 書いてくれるならどんな奴でも歓迎!ってのはちょっと…
まさしく「読み手にも書き手にもマナーはある」んだと思うし、あんまり狂信的に職人様は神様です!みたいなのもどうかと。それはそれで別の問題起きるよ
注意したら職人が去るかもとビクビクして、マナーが悪かったりする奴を放置してたら逆に息苦しくなりそう。
読み手は投下してもらってるってのを忘れちゃならん。お客さんじゃいけないよ。 だからって書き手も天狗になっちゃいけない。読んでくれる人が作品が生きるからな。 その辺のバランスは難しいけど、もう大丈夫だよな?
フウロちゃんにパイズリしてほしい
193 :
音ゲーマー :2012/03/05(月) 20:12:23.92 ID:MS9zh+Mn
194 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/06(火) 08:45:40.70 ID:jJ1Mimgp
エロパートはまだか
195 :
音ゲーマー :2012/03/07(水) 18:23:30.42 ID:KANPOx93
投下します。エロはこの次。
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/326008.txt チラシの裏→
ダイゴの世間のイメージはニートだの石だので固まってる気がする。それが駄目とは言わないが、俺は格好良いダイゴを書きたかった。シロナについても一緒。
問題なのは頭の中にあるダイシロのイメージを説得力の面でちゃんと表現出来ているかどうか。それは読者様に委ねたい。自分では判らないから。
達美さんと手数王最高。一回聞いてみてくれ。
以上。チラシの裏。
196 :
音ゲーマー :2012/03/09(金) 01:18:43.39 ID:M8ApB2aF
おもらし
小説が見たい
他の世界の自分はエアバトルなる妄想バトルをしてるらしいので試してみた・・・・・・・・。数分後 カミツレ「フウロが浜辺でお漏らしして潮と母乳が噴火してスゴい状態で倒れてる!!!」 シロナら他の女性陣「何事!?」 今日もサザナミは平和です
トウヤ君を人間便器にする妄想したぞ
>>199 のせいで
「一滴でもこぼしたらゼブライカのワイルドボルトよ」
「じゃあ私はアクロバットかなー」
「私のを飲むなんて光栄に思いなさい。こぼすのは勘弁ね」
「む、むぐ゛゛゛」
ポケモンマスター?の道はまだまだ遠い
201 :
音ゲーマー :2012/03/10(土) 04:40:41.31 ID:8s1EV6Uh
>>201 毎度乙だけど、せめて題名でも書いて下さるとありがたい…
203 :
音ゲーマー :2012/03/11(日) 02:46:13.24 ID:jwDHHXM7
204 :
音ゲーマー :2012/03/11(日) 02:49:19.09 ID:jwDHHXM7
今回のこれできっと不名誉な記録が残っちゃっただろうけど、それは流石に無視出来ない。だから、俺はきっとまた帰ってくる。新作と共に。その時に改めて汚名の返上をさせて貰うよ。 それじゃあ、また名無しに戻る。迷惑掛けて済まなかった。 またお会いしましょう。 どうでもいいけどおまけの(生身)スペック 大誤算 本名:石蕗大悟(仮) 身長:188 年齢26(HGSS時) RSE時は24歳。 ストーンゲッターと言う名の地質学者兼御曹司。半ば分裂症なマキャベリスト。残念なイケメン。 レベル82 性格は暢気に見えるが策略家。裏(素)の時は冷酷無比で実は頑張り屋さん。 タイプ:悪(格闘)、鋼 特性:悪運(敵味方共に急所にとても当たりやすい) 戦慄(場に出た時相手の能力を全て下げ、同時にPPを余分に削る) ロイヤルガード(一緒に出撃した場合、自分とシロナへの攻撃を確率で無効化) 武器:SIGPRO、ロングバレルショットガン、携行型ラスターカノン(試作型)、ダイゴ式俺的古武術、ラストエクディシス 手持ち:エアームド♂、ネンドール、ボスゴドラ♂、メタグロス、アーマルド♂ ユレイドル♂、バンギラス♂(ボックス控)、ジラーチ(控)、ギラティナ(控) 白菜さん 本名:碓氷白奈(仮) 身長177 年齢25(HGSS時) DPPt時は23歳 ポケモン考古学者。ナナカマドの弟子。パイオツカイデー(ギリギリ三桁は無い)。残念な美人。 レベル78 性格はダイゴの前では泣き虫。それ以外では無理やり気味な無邪気。 タイプ:電気、格闘 特性:クイックシルバー(高確率で素早さを無視して先制出来る。また、低確率で攻撃を避ける事がある) 守護天使(一緒に出撃した場合、ダイゴと自分の防御と特防を上げ、急所にも当たらなくする) 武器:マカロフ、トミーガン、RPG−7、カンナギ式護身術、鬼哭斬破刀・真打 手持ち:ミカルゲ♀、ガブリアス♀、トゲキッス♂、ルカリオ♂、ロズレイド♀ ミロカロス♀、トリトドン♀、(ボックス控)ディアルガ(控)
205 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/11(日) 15:44:12.68 ID:wLymCYlC
なんでそんな公式でもない設定つけんの?ww なんつーかなぁ……、原作を崩しすぎ。
なんだこれは…たまげたなあ
氏のssは人を選ぶんだろうなあ。前のレッドとリーフの時もこんな感じだったぞ。 力入れてるのは分かるけど、万人受けはしないわな。 まあ、読む読まないは読み手の自由だからまた投下するならそん時は歓迎するさ。 嘗めた態度を取らないって前提だがな。
コテハンは過去ログ読んでSSスレの空気というかノリを見て欲しいがな 言っちゃ悪いが自分のHPかブログに掲載するタイプの作品じゃないの、こういうのは
色々あったけどちゃんと投下し終えたことは偉いって思うよ。次もあって長くなりそうならロダ経由ならば読者も選択が出来るから今回よりはとっつき易いんじゃないか? 不名誉とかあんま気にすんな。次回またエロパートで笑わせてくれよw
>>204 乙です
炭鉱婦にわらったよw
少なくとも自分は面白く読ませて頂きました
次は誰なのかひっそりと楽しみにしてます
>>204 ネタ満載だったなwモンハン、パンツレスリング、エスコンの改変もか?判った俺は勝ち組。
でも、エロでIMIはねーよw俺あれで右腕血だらけになったからな。
次はあの人か…お祈りして待ってるぜ。お疲れさん
なんか公式キャラの名前借りた厨二オリキャラ小説みたいなんだよな
おもらし///
『サヨナラ』 そんな言葉しか残せなかった僕を許してくれ。 そしてどうか、待っていてほしい。 君と僕の思い出の観覧車で。 BW2にNさん出るんでしょうかね・・・。 とにかく楽しみだ!
217 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/14(水) 00:31:36.43 ID:7I3K1/nD
>>204 投下乙。この板のメインである情事や人間の心情の語彙が豊富だったし、面白かったよ。
しかし、愛銃の登場とそれによる過去の殺人の暗示などの設定は、ポケモンの世界感を越えてしまってるなと感じたな。
好き嫌いが分かれるのは確かだけど、ただでさえ過疎なスレで力作を最後まで投下してくれたのは嬉しい。
実際pixivにも投稿してるしな。 最後の最後に厨二設定をずらーっと羅列しちゃうあたりはちょっと勘弁してほしい。 ポケモンじゃなくてもいいんじゃね。
確かにあれは判断に悩むよなw でも俺は嫌いじゃねえや。ギャグだって割り切れば良いんじゃねえの?
221 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/16(金) 17:28:30.91 ID:9NLJ4t0G
そろそろノブナガの野望のフラゲッターが出てる頃だが、 エロパロを語る場所ここでも良いの? 外伝系のだとヒナタのやつとかあったとは思うが、何しろ前例が無い キャラは無双準拠らしいし
//www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25308167
223 :
ホーリエ :2012/03/18(日) 15:42:59.69 ID:KMF/W3sB
ポケナガ発売キタ〜♪(^O^) って昨日かよォ!(゜o゜)
ポケノブのエロパロってここでいいのか? 無双スレな気もするがそれも違うっちゃ違うが…
225 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/20(火) 19:05:01.14 ID:xXGhX5at
バッ婚カフェ誰か持ってない?
226 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/25(日) 02:26:23.43 ID:hZfJ4IKA
キモリ×トウコのR-18SS投下ははここで合ってる?
はい
228 :
キモリ×トウコR-18 :2012/03/25(日) 16:24:19.47 ID:hZfJ4IKA
>>227 ありがとうございます
深夜に荒ぶって二時間程で書き上げた物だから雑
&携帯からなんで改行変だったらごめんなさい
↓↓↓↓↓
先日友人に貰った卵がようやく孵化した。生まれてきたのはキモリの♂。
そのあまりの愛らしさにトウコはとても可愛がった。
そう、とても、可愛がったのだ。
* * *
「トウコちゃんて結構変わってるよね。普通女の子だったらピカチュウとかイーブイのほうが喜ぶのに」
「うるさいなー。トウヤ君こそボックスいっぱいのオタマロとかマニアックだよ」
「えー?オタマロ可愛いよ?と、約束あるからそろそろライブキャスター切るね?」
「了解。じゃ、明日のマルチトレインよろしくね」
「うん、バイバイ」
ブツン、とライブキャスターが切れるとちらちらと様子を伺っていたキモリがすすっとトウコの近くにやって来る。
続きます
遊んで欲しいのかギュウギュウと鳴きながら湿った鼻先を擦り付けてきて、鋭くも愛嬌のある瞳で上目遣いにトウコを見つめる。 「…っあー!可愛い!可愛いなーもー!キモリー!」 愛らしい生き物が、愛らしい仕草で見つめてくる。 そのあまりに威力の高い攻撃はトウコのハートという名の急所に直撃しトウコを狂わせる。 擦り寄ってきたキモリを抱き上げ、キスの嵐を浴びせ、ぎゅっー!と抱きしめる。 やや苦しそうなキモリを優しく撫でながらトウコは悪戯っぽく笑った。 「そうだねぇ、遊ぼっか。いつもみたいに…ね?」 続きます
* * * トウコはすべての衣類を脱ぐとキモリとベッドに腰掛ける。 キモリはさっそく全裸のトウコにじゃれるように飛びつき、長くぬめった舌でなめらかな肌をなめ回す。 温かなキモリの舌が身体を這う度にトウコは悦び身もだえする。 そんなトウコの様子にキモリは、 ご主人様が喜んでるくれてる!嬉しい!もっと喜ばせたい! と、いっそう張り切って丁寧に舌を這わせた。 丁寧に、丁寧に、 くまなく舐め上げていけばある一点でトウコの身体が大きく跳ねる。 「ひゃあぁっ!あぅ、き…きもりぃ、そこ、もっと…!」 そこ、はトウコが一番喜ぶところだとキモリは知っていた。 なのでその要求に素直に答え、そこ…トウコの蜜壷に舌を潜り込ませる。 「あああぁ…あー…ぅんっ、ひうっ!」 ぬちゃぬちゃと卑猥な音をたてながら掻き混ぜれば蕩けきった甘い声でトウコが喘ぐ。 キモリは不思議な味のする愛液を堪能しながら、むにむにと肉を揉むように攻め立てた。
「あぁんっ、キモリ、イイコぉ…。キモリもぉ、気持ち良くなろ…?」 トウコはキモリを抱き寄せると優しくキスをして、その口から伸ばした舌先で、キモリのスリットを優しく舐める。 唾液をたっぷりとたたえた舌で舐めていればスリットから桃色の可愛らしい生殖器が顔を出した。 「ほら、キモリ…おいで…!」 トウコが股を大きく開き穴を広げるようにして見せ付ければキモリは生殖器をそっとそこに宛がう。 そしてゆっくりと、途中からは性急に肉茎がトウコの中に押し入る。 全部入ってしまえば後は野生の欲に付き動かされるままに激しく抽出を繰り返した。 「あっ、あっ、あっ、キ、モリ!」 肉壁をえぐる肉茎。 激しくも奥まで届かないソレにじれったさを感じるも、それ以上の喜びがトウコを満たしていく。 「キモリ!好き!大好き!っーぁ!」 トウコのナカがキツく収縮する。 そのあまりの快感にキモリは熱い白濁を吐き出した。 * * * その後もう一回して疲れ果てたキモリはベッドの上ですやすやと寝息をたてている。 そんなキモリを撫でながらトウコは笑みを深くした。 「ねぇ…進化してジュプトルになったらきっともっと楽しく遊べるよね? 進化してジュカインになったら、もっともっと楽しく遊べるよね? …早くつよくなろうねぇー、キモリ」 トウコはキモリを可愛がっている。 そう、とても、可愛がっている… おわり
>>228 愛が感じられて良かった
GJ!
是非ジュプトル・ジュカイン編もお願いします
233 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/26(月) 12:12:16.98 ID:vbfE5Qfa
age
おつ
235 :
名無しさん@ピンキー :2012/03/30(金) 23:05:05.07 ID:BOoskPWS
ぶっちゃけた話、トウコって小学生だろ? 今時の小学生って、こんな性欲高いのか?
BWの主人公は中学生くらいって設定らしいぞ。 10歳にしちゃあアレは大人びすぎだもんな(汗) 中学生なら、ベルの乳デカいのとかもまあ納得。
小学生とは限らない。そもそも明確な設定がない
現実ではどうだか知らないが、此処は誰かの妄想でできているんだぜ。 あんまり考えても仕方ないだろ。
初代の主人公とライバルは11歳 金銀からは設定なし 10歳なのはアニメ設定でのサトシ、ハルカ、ヒカリ
age
此処でも流石に改造ポケモンの話はタブーだよね?
「いくよ!あんたの理性 ブッ飛ばすから!!」 ホミカさんに理性ブッ飛ばされたいのですが、どうすればいいですか?
知らん
そんな事は俺の管轄外だ
遊戯王スレかと思った
ツインテおっぱい黒ストとか黒白2の女主人公が可愛いすぎて困る。
250 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:04:52.73 ID:FWcDf6Tk
書いたので上げようと思います。タマムシジムのピクニックガールとメタモンの話です。 自分は以前書いたやつこのスレを知らなかったので別にスレたてて投稿してしまった愚か ものでございます。多々稚拙な部分もあると思いますがお暇な方は読んでいただけると嬉しいです。 だんな感想、批評も大歓迎です。
251 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:05:18.10 ID:FWcDf6Tk
「できましたわ」 エリカはそういって手で編んだ花の輪をピクニックガールのアサエの頭にそっと乗せた。白い小さめの花を基調とした外面に一つだけ赤い花が乗っている。アサエはくすぐったそうに目をつぶってその花の冠をかぶる。そんな様子を見てエリカはやわらかく笑った。 エリカとアサエはタマムシシティとヤマブキシティの間にある原っぱに来ていた。彼女たちはタマムシシティのジムで日夜挑戦者たちとともに激闘を繰り返すトレーナー達だった。が今日はジムを休んでいた。 「ふぁ〜〜あ」 エリカは口に手をあてて大きく欠伸をした。日差しが気持ちいい。 傍から見ればこの花をあしらった桃色の着物を着た女の子は少々のんきに見えるかもしれないが彼女はジムを束ねるジムリーダーだった。
252 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:05:48.70 ID:FWcDf6Tk
「お昼寝をしましょう」 エリカは腰のモンスターボールからナゾノクサをだすと膝の上にちょこんとのせて目をつむった。 「もーう、だめですよ、エリカさん。野生のポケモンに襲われたらどうするんですか」 「だいじょ〜ぶですよ。こ〜んなに天気のいい日でしたら、ポケモンの皆様もお昼寝を してるでしょう」 エリカの答えは少々ずれている。アサエは両ほほを膨らませてさらになにか言おうとし たとき、エリカの膝でナゾノクサが跳ねた。エリカとアサエはびっくりしてナゾノクサを見ると当の彼は地面に降りて必死に体をそらしている。
253 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:06:06.72 ID:FWcDf6Tk
「任せろってこと?」 ナゾノクサは胸を張っているらしい。アサエの声を聴くと大きく飛び跳ねた、エリカの顔もほころぶ。 「この子もこういっていることですし」 「むむむ」 アサエは少し悩んだが、ため息をついてうなずいた。 「ありがとう。アサエさん。ぐーー」 と言うが早いか眠ってしまった。アサエは驚きつつ自分の上着を脱いでエリカにかけてやった。アサエは黒いインナーを着ていた。
254 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:06:28.41 ID:FWcDf6Tk
ナゾノクサはエリカの周りをぐるぐると周回し始めた。「警護」しているらしい。元々お一緒に昼寝のためにボールから出したことを考えればエリカとしては不本意かもしれない、だがそのエリカはすやすやと小さく寝息をだして寝ている。 「どーしようかな」 アサエは特に眠たくはなかった。かといってエリカから離れるのも気が引ける。 アサエ「うーん」 アサエは大きく伸びをしてから息を吐いた。とりあえずエリカの見える範囲を散歩しようかとなんとなくあたりを見回す。 エリカが遠くにいた。 「あっあれ??」 あわてて振り向くとエリカは変わらずにそこにいた。アサエは意味が分からない、間違いなく遠くにも桃色の着物を着たエリカが立っている。彼も気づいたらしい、いつの間にかナゾノクサもアサエの横に立って「遠くの」エリカを見ている。
255 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:07:01.23 ID:FWcDf6Tk
「まっ待って。ナゾノクサ、エリカさんを守ってて」 急に「遠く」のエリカが走り去っていく。あわててアサエはナゾノクサに「近くの」エリカを任せて追った。 しばらく追っていくとエリカの体が森の中に消えていった。そこはシオンタウンとタマムシシティをつなぐ街道に隣接した森であった。 多少街道よりも高所にあるためか人はそこを通らない。 アサエは少し迷ってから森に入った。どうしてもあの「エリカ」の正体が気になったのだった。 「はあ、はあ。どこに行ったのかなあ」
256 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:07:36.75 ID:FWcDf6Tk
アサエは乱れた息を整えつつ森を進んだ。森と言っても暗くはない、木々の間から街道から人の声が聞こえても来る。 完全に見失ってしまった。 「なんだったんだろう。あれ」 あきらめてアサエが踵を返した時だった。肩をたたかれた。 アサエは心臓を冷えた手で鷲掴みにされたようになった。後ろにいる、そう体が警告を発していた。 「だっ誰?」 アサエは振り向かない。声だけで聴いたが相手も答えない。 汗が流れる。どうしようかと思考が空回りする。アサエは口にたまった唾を飲み込み、意を決したように後ろを見た。 ピクニックガールの着る膝あたりまで丈のあるスカート。「黒いインナー」ツインテールにした青い髪の上に「花の冠」を被った女の子。
257 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:08:03.90 ID:FWcDf6Tk
アサエがいた。 「わ……たし?あなただ…ムグ」 急に「眼の前のアサエ」がアサエに抱き着いてキスをした。 「むぐ…むぐ」 アサエは目を見開いて驚いた。顔を真っ赤にして必死に自らと同じ姿をした女の子を剥がそうとするが、両手を巻き込んで抱き着かれているため、体をねじることしかできない。 そのままアサエは押したおされた。偽のアサエはさらに強くアサエを抱きしめてきた。 偽のアサエの顔から「右目」が落ちた。 「??!!!」」 アサエは口をふさがれて声が出せない。もがいてもアサエの力では振り払うこともできない。それでもアサエは目の前の自分、いや右目が空洞になった「化け物」から逃れようとして暴れる。いつのまにかアサエの頬に大粒の涙が流れていた。
258 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:08:35.01 ID:FWcDf6Tk
「化け物」は残った左目でじっとアサエを見続けた。口は離さず、抱きしめている両手の力を少しも緩めない。助けて助けて助けてとアサエは心の中で絶叫した。 化け物の左目がぐるんと回った。黒目が上を向き赤く充血していく。アサエは半狂乱になりながら体を動かしたが、現実は少しも好転しない。 左目がゆっくりと化け物の奥に入っていく。すぐに左目も空洞になった。 化け物の口を通ってアサエの口中に何かが入ってきた。アサエは吐きだそうとしたが化け物は口を離さず出すことができない。
259 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:13:07.76 ID:FWcDf6Tk
球体。アサエは口にあるものの形が分かった。 アサエの思考が動く、先ほどの記憶と口の中にある「球体」のイメージを直結する。 (目が、目が口の中に……。いや、いやあああああ) 化け物はアサエの口から糸を引きながら顔を離した。手は離さない。 アサエは叫ぼうとした。だが口の中で球体が ぐちゃり とはじける。ぐにょぐにょした液体がアサエの口の中に広がり、アサエの叫びを吸収した。声は外に出ない。
260 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:13:45.32 ID:FWcDf6Tk
アサエはがたがたと震えた。怖い。アサエの耳には街道から聞こえてくる人の声が別世界のように聞こえる。柔らかい木漏れ日が自然の無常さを際立たせた。 化け物の顔が変わっていった、口が付きでて顔から青い毛が隙間なく広がっていき無くなった筈の目が赤く大きく突き出た。 これが目の前で起こったのだ。気づかないうちにアサエのスカートの中は湿っていた。アサエは声も出せずに泣きじゃくり、顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにして彼女の唯一できる抵抗をした。顔を背けたのだ。
261 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:14:36.50 ID:FWcDf6Tk
化け物の顔はまさしく「バタフリー」になった。体は変わってはいないのだ。人の体をしたバタフリーがアサエの目の前にいた。アサエの脳は臨界点を超えていた、現実に起こっていることを「現実」として処理しない。 泣きながらアサエは何故かうっすらと笑った、彼女には自分が笑っていることもわからない 化け物の背中から羽が生えた。半透明のそれは太陽の光を浴びて七色に光った。
262 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:15:02.68 ID:FWcDf6Tk
アサエは自分の体から圧迫感が消えたことに気付いた。化け物がアサエから手を放して立ち上がった。いや、気づいたというよりも反応したといったほうがいい。 アサエは体を起こして逃げようとしたが腰が上がらない、足にもうまく力が伝わらなかった。それどころか体中がしびれて動かない。
263 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:15:21.82 ID:FWcDf6Tk
化け物はそんなアサエに近付くと、無理やり彼女を仰向けにして口の中に手を突っ込んだ。アサエが口の中で「あの液体」がとれる感触を感じると化け物は手を引き抜いた。化け物の手には紫色の球体が掴まれている。化け物はそのアサエの唾液で濡れた球体を食べた。 (たすけ、よべるたすけ、よべる) アサエは混乱した思考を何とか呼び起こした。そして叫ぶ。
264 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:15:53.03 ID:FWcDf6Tk
「あが、が、が」 アサエはマヒしている。 化け物は彼女を離すときに羽をはやした、それは「しびれごな」をかけるためだったのだ。アサエが立ち上がれなかったのも恐怖のせいだけではない。 気が付いた時にはもう遅い。 「え…がが」 呂律が回らない。ハエの鳴くような声しか出ない。なのに頭だけは徐々に正常に戻っていった。 人は同じ恐怖を受けつづけると心が抵抗する、つまりある程度冷静になる。マヒも体だけのものらしい。
265 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:16:16.54 ID:FWcDf6Tk
しかし、この状況で多少冷静になってもどうしようもない。 (エリカさん…たずけて、たずけて。だれか、だれか) 相変わらず街道からは人の声が聞こえる、時には笑い声すら交じっている。まさかすぐ見上げた先で少女が襲われているとは気が付かないだろう。 アサエは心の中で何度も何度も届かない声を張り上げた。 ずりとアサエは引っ張られた。マヒで振り向けないが。両足を持たれて引きずられていくことは分かった。
266 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:16:46.92 ID:FWcDf6Tk
アサエ「あががあが」 アサエの抵抗は無駄だった。いまやコラッタ程度の力もない。彼女はそのまま引きずられていった。人の声から遠ざかって行く。
267 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:17:20.08 ID:FWcDf6Tk
化け物の正体はメタモンだった。彼は生まれつき他のメタモンたちとは比べようもないほど知能が高かった。一種の天才と言っていいだろう。彼は自らの生まれた場所をでて旅をした。海へ山へ、そして町へ。 いろんなポケモンを見たがそれ以上に人間を見た、彼らはポケモンを使役して戦い、時には不思議な道具を使う。 メタモンは人間に嫉妬した。自分は賢いというプライドが彼にはあった、だが人間のほうが賢い。それが分かるくらいに彼は優秀であることが悲劇と言っていい。 彼は人間になろうと思った、幸い「へんしん」が使える。しかし姿かたちは簡単だが「言葉」はそうはいかない。彼は悩み、そして考えた。 「人間を捕まえて、まねすればいい」と
268 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:17:42.49 ID:FWcDf6Tk
水のせせらぎが聞こえる。アサエが引きずられながら入ってくる視界には、水気を帯びた雑草が茂っていた。水辺の近くにいるのだろう。 急に引っ張っている力が止まった。アサエは「しびれごな」が体中に回りきったらしく、首を動かすこともできない。視界に自分の靴を履いた足が移った。厳密にはアサエのものではなくアサエの形をしたメタモンの足だ。 顔が引っ張られた、無理やりアサエは上を向かされる。アサエがいた。
269 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:19:09.29 ID:FWcDf6Tk
いつのまにか化け物は「アサエの顔」に戻っていた。自分と同じ顔をした化け物とわかっていても、自分の顔を見るのは気味が悪い。アサエは小さく呻いた。言葉にはできない。 化け物は今にも泣きそうな程顔をゆがめた、それはまるでおびえているようだった。 アサエは意表を突かれた。目の前の化け物が初めて感情を見せた、そう思った。 鏡があればすぐにわかっただろう。今のメタモンとアサエはまったく同じ「表情」をしている。化け物はただアサエのまねをしているだけだった。アサエには分からない。
270 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:19:30.47 ID:FWcDf6Tk
「…お……し……て」 メタモンが口を開いた。くぐもっていて聞こえづらいが、アサエにはなにかの「言葉」のように聞こえた。 アサエは驚いた。もしかしたら言葉が通じるのかもしれない。アサエはそう思い、しびれた喉を何とか動かして聞き返す。 「……な、な…な…なん…て?」 「……な、な…な…なん…て?」
271 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:19:51.83 ID:FWcDf6Tk
メタモンはアサエの言った言葉をそのまま口に出して首を傾げた。そして何度か同じように繰り返すとまた言った。 「なんて、なんて、なんて。…もと…お……し……て」 化け物はぐっとアサエに顔を近づけた。アサエは反射的に顔をそらそうとしたがメタモンは両腕でアサエの頭部を掴んで、 無理やり目を合わせた。そしてつぶやくように声を出す。
272 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:20:15.07 ID:FWcDf6Tk
そこでアサエはメタモンが何を言っているのか理解した。彼はこう言っていたのだ。 「教えて、教えて」 アサエは全身が逆立つのを覚えた。自分と同じ姿かたちをした生物が自分に対して、なにかを教えを乞うている。アサエの心の底で警告が鳴った。直感といっていい。 (こいつ、もしかして……あたしのことを。いや、あたしに…) なりすまそうとしているのではないか。 新しく湧き上がってきた恐怖心は先ほどのものとは全く別のものだった、それどころか彼女の短い人生で味わったことのないものだろう。 「自分自身」を乗っ取ろうとするもの、そんなものに会ったことはない。
273 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:20:36.73 ID:FWcDf6Tk
アサエは口を固く閉じ、目を閉じた。メタモンは続ける。 「教えて…教えて…教えて、教えて教えておしえておしえておしえて」 吐息がまじかでかかる。声が耳元で鳴る。反応のないアサエに化け物はさらに顔を近付ていた。 アサエは身じろぎもできず、ただ強く口と目を閉じ続けた。自分の心臓がはじけるように動いているのが分かった。声は必死にかみ殺している。 「………」 何の反応も示さないアサエに戸惑ったのか化け物がだまった。そしてアサエの顔からも手を離した。あきらめたのかとアサエは思ったが、 それには多分に希望が入っている。
274 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:20:53.99 ID:FWcDf6Tk
インナーの中に手が入ってきた。 「ひゃ」 いきなりのことに、目を開けてアサエは声を出してしまった。化け物と目が合う。 「ひゃ」 メタモンはアサエの声の真似をしてから笑った。正確に言うと先ほど見たアサエの笑顔を作った。反対にアサエは驚愕の目でそれを見た。 アサエには自分が笑った記憶など存在しない。彼女の眼にはメタモンの笑顔がとても不気味に映った。ゾワリと背中が冷たくなる。 下手に冷静になり、無駄に抵抗した分だけアサエの中で何かが崩れた。 「ひっひっく、うえええん」 体は動かない。そんなわかりきったことも忘れてアサエは泣きながら暴れた。暴れたといっても赤ちゃんが駄々をこねるよりもひ弱な抵抗だった。
275 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:21:48.05 ID:FWcDf6Tk
たが化け物はアサエが反応してくれたことに喜んでいた。どうやらアサエはこの「殻」(にしては柔らかい)を取ろうとすると反応してくれるらしい。 メタモンはアサエと同じように泣き顔を「作り」、かまわずアサエのインナーを脱がす。脱がされたために万歳をしたような格好になったアサエは ピンク色のキャミソールを着ていた。胸元にフリルをつけたかわいらしいものだ。アサエの年相応に起伏のない体のラインを映し出している。 メタモンは泣き顔のまま、脱がした黒いインナーを観察すると、ポイと投げ捨て。キャミソールの裾に手をかけた。アサエは本能的に声を上げて 、体をよじった。 「やめで、やめで…ぐだざいお願いじます」 「やめで、やめで…ぐだざいお願いじます」 メタモンはまったく同じ口調に声まで似せて繰り返す。そして必死に抗っているアサエを嘲笑うようにキャミソールをずりあげた。アサエのお腹が見えたところで メタモンの手が少しだけ止まる。アサエのへそをじっと見つめてから一気にキャミソールを脱がした。
276 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:22:10.83 ID:FWcDf6Tk
少女らしい体だった。鎖骨の浮いた首元から下は肉がほとんどついていない。少しだけ起伏がついた両胸がアサエの成長度合いを表していた。 アサエは泣いた。羞恥心から真っ赤になって、ただただ泣いた。それしかできない。 メタモンも泣く。アサエからはぎ取ったキャミソールを投げ捨てて声を出して泣いた。 世の中にこんな滑稽な場面もないだろう。同じ姿をした少女たちが同じよう泣いている。それに脱がされたアサエは性的な理由で脱がされたのではなかった。 ただメタモンが利用するために脱がされたのだ。 メタモンは泣きながら、アサエのスカートに手をかけた。アサエは動かない。涙目でそれを見ていた。ただ手を握りしめた。
277 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:22:55.04 ID:FWcDf6Tk
メタモンはアサエからスカートを脱がそうとするがどうしてもアサエの腰に引っかかり脱がせなかった。アサエはベルトをしている。 それが理解できずにメタモンはアサエのスカートをまくりあげた。白いパンツが見えた。布っぽさを感じさせる柔らかい生地でできていて少しだけ膨れたデザインが子供っぽい。 真ん中にはリボンがついている。 メタモンはパンツに手をかけた。パンツの両淵を掴み、さらに指を中に絡ませる。この化け物には人間に対する生物的欲求はない、 観察のための行動意思とインナーを脱がした時のアサエの反応がこの行為を誘発している。 メタモンが一気にずりおろそうとしたその時、 化け物の顔に蹴り、が来た。
278 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:23:58.26 ID:FWcDf6Tk
蹴ったのはアサエである。長い間動かすこともできなかった「手を握りしめた」ことでマヒが薄れていることに気が付いたのだ。 メタモンはアサエの不意打ちにひるんだ。 かといって完全にしびれが抜けたわけではない。なんとか身をよじってから上半身だけをアサエは起こした。 雑草についた水滴が体についた。今は手が動く。それだけで十分だった。 化け物が立ち上がった。なんとなく「怒っている」とアサエは感じた。 アサエは腰のボールを掴んだ。投げられそうにはない。メタモンの目の前で紅白の真ん中にある開閉ボタンを、押した。 一瞬の閃光が走りナッシーが現れる。彼女唯一の持ちポケモンだ。一匹ゆえに強い。 アサエは安堵した。ポケモンがいれば負けない。仮にもタマムシジム門下生なのだ。安心すると、恐怖が薄まり入れ替わりに屈辱と怒り が込み上げてくる。アサエはナッシーに叫んだ。 「そいつ…た…お…して」 言葉は短い、まだ長くは話せないのだ。
279 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:24:26.47 ID:FWcDf6Tk
彼女は不幸だった。今メタモンはまた「バタフリー」になろうと思っていたところだったからだ。あと数秒遅ければ助かっただろう、目の前にバタフリーの顔をした異形の生物がいれば、愛する主人のためナッシーは戦ったはずだ。 まだ、化け物の顔は変わってはいない。驚いて「変える」のをやめていた。 そこには泣きそうな顔を張り付けた「アサエ」が立っていた。 ナッシーは迷う。自分の主人が二人いるのだ。
280 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:25:32.44 ID:FWcDf6Tk
だが、今声を発したほうの「アサエ」は奇妙な格好をしていた。上半身裸で地面にうずくまっている。おかしい。しかも発音も変だった。 化け物はナッシーに近付いて体に触った。ナッシーは困惑した。メタモンは優しい手付きでナッシーを撫でた。 メタモンは実力ではこのナッシーにかなわないことが分かった仮にも野生のポケモンである。つまりメタモンにとってはただ「媚びている」だけなのだがナッシーは別の意味に解した。 労わってくれている。ナッシーはメタモンに体を寄せて撫でやすいように体を屈した。
281 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:25:48.17 ID:FWcDf6Tk
信じられない光景が目の前で起こっている。アサエの目の前で自分のポケモンが自分の顔をした化け物になついている。 「あは、あは…あはは…」 アサエは力なく笑った。笑うしかなかった。ナッシーはそんな「変な奴」を一瞥だけすると化け物に笑顔を向けた。メタモンもナッシーに敵意がないことを理解したらしい。少し撫でてから、目をアサエに向けた。 「ひい」 自然に悲鳴が出た。マヒが抜けかけていることは彼女が震えることに役に立った、それだけしか役に立たない。もう本当にアサエには手がない。
282 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:26:03.35 ID:FWcDf6Tk
メタモンが一歩アサエに近付く。アサエはメタモンから逃げようと、這いつくばりながら逃げた。化け物自体はそんなアサエをしり目に、転がったボールを掴んでからアサエを「まねて」開閉スイッチを押す。ナッシーが消えた。 メタモンはボールを投げ捨てる。もう開ける人間はいない。 力を振り絞って逃げているアサエだったが2メートルも進んでいなかった。メタモンはこの哀れな逃走者にゆっくりと近づいてベルトを掴んだ。ベルトの意味は分からないが、掴むのにちょうどよかった。ただ掴えたアサエが暴れるのがうっとおしかった。
283 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:26:18.44 ID:FWcDf6Tk
「いや、いやだあああ。はなしてええ」 「いや、いやだあああ。はなしてええ」 律儀にメタモンがまねをする。メタモンは顔を「バタフリー」に変えた。暴れるアサエの両腕を後ろ手につかむと口から糸をはいた。アサエの両腕が糸に巻かれて拘束された、これならば時間がたとうと関係がない。 「あう」 「あう」 メタモンが手を離すとアサエは地面に顔から落ちた。両手を封じられて受け身が取れないのだ。化け物はアサエのベルトを掴んで引き上げた。アサエはお尻だけ突き出した格好になる。
284 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:26:57.27 ID:FWcDf6Tk
「ゆるひて。ゆるして」 アサエはがたがたと震え、哀願する。メタモンはちょっと目を動かしてから 「ゆるひて。ゆるして」 無感情にまねた。言葉の意味までわかってはいない。 化け物はアサエのスカートに手を入れて、パンツに手をかけて引いた。特に問題なくパンツをずりおろせたが、足首で靴にひっかかったのでアサエの靴を脱がして からパンツも取り去って、捨てた。アサエの白いお尻が見えた、上半身同様に無駄なぜい肉も必要な肉もついておらず小さくがはりはある。 アサエは地面に顔を埋めたまま嗚咽した。手を縛り上げられポケモンに裏切られ、挙句の果てにはスカートとソックス以外の衣類を奪われ全裸同然にされたのだ。 アサエの考えられる限りの屈辱、羞恥、恐怖が今日一日で味わわされた。彼女の心はズタボロといっていい。小一時間前まではらっぱで笑っていたのだ。
285 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:27:30.97 ID:FWcDf6Tk
しかし、メタモンも困った。やっとアサエがおとなしくなったはいいが、さっきから同じことばかりアサエはしている(泣いている)。そろそろ他のことも覚えたかったが、どうすればいいのかが分からない。 相変わらずベルトの取り方が分からないのでスカートを脱がせないし「教えて」とささやいても、アサエはただ泣くだけだった。 メタモンはふと閃いた。さっきは服を脱がせて反応させたのだ、だったらまだ取れるところがあるかもしれない。メタモンは四つん這いになってアサエを観察した。だがこれ以上アサエに脱がせそうなところはない。
286 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:28:28.32 ID:FWcDf6Tk
アサエはまだ少女である。彼女の考えつく程度のものなどたかがしれていた。そう、彼女は自分の体のことなどほとんど知らない。 メタモンの手がアサエの局所に触れた。 「!!!」 びくりとアサエの体が跳ねた。化け物は喜ぶ。どうやらここを触れば反応してくれるらしい。メタモンはアサエの股の間から両手を入れて無造作に触り始めた。 「やっやめ」 当たり前の話だがアサエは局所を他人に触られたことなどない。化け物の指は冷たく上に人間の指よりも柔らかい、触られるたびに変な感情が湧き上がってくる、声をだしそうになる。
287 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:29:25.89 ID:FWcDf6Tk
「やっやめ」 すこし抑揚がついた声をメタモンは出した。嬉しいことを表すように手だけが動いた、表情はあまり変わらない。指が何かに引っかかった。どうやら「穴」みたいなものがあるらしい。何となく指を入れてみた。 「ひゃう」 アサエが声を上げて鳴いた。 「き、汚いから、や」 顔を紅潮させてアサエは言った、懇願と言ったほうがいい。彼女自身、自分が鳴いた理由がわからない。だが化け物の興味を引くには効果的だった。
288 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:30:30.27 ID:FWcDf6Tk
メタモンはさらに奥に指を入れて動かした。メタモンには見えないがアサエは歯を食いしばって声を出すのを抑えている。顔はさらに赤くなり、目は見開いている。 「あっ」 メタモンが指を抜くと耐えきれずにアサエは声を出してしまった。 「あっあっあっあっ」 メタモンは歌うようにアサエの真似をして、指を出し入れした。 「あっあっあっあっ」 今度はアサエがメタモンを真似するように呻いた。かといって意図的ではない、勝手に声がでるのだ。指が入って抜かれるたびに局所がしびれた、その一瞬だけ頭が真っ白になる。考えが纏まらない。
289 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:32:24.49 ID:FWcDf6Tk
「だめ、やっだめ、なんか、なん、あっ」 「だめ、やっだめ、なんか、なん、あっ」 メタモンは色っぽい声をだすアサエの口調を早口にまねて、指を動かした。アサエの股間からぽたぽたと愛液が落ちる。メタモンにはなんで水が出てくるのか意味が分からなかったが手は止めない、粘ついた愛液のためか滑らかに入れやすい。 アサエは一度指が抜かれて入れられるたびにだす嬌声が少しずつ大きく、高くなっていく。本人に自覚はない。 不意にメタモンの指が止まった。たしかにアサエに他の声を出させることには成功したがもう少しいろんなことをしゃべらせたい。メタモンはアサエの腰を掴んでクルリとひっくり返した。アサエが呻いて仰向きになる。 スカートは履いているが短い為、寝たままだと中が見える。メタモンは顔を寄せて自分が入れていた「穴」を観察してみた。「穴」というよりも股の間にある「切れ目」のような気がする。中はピンク色で湿っている。
290 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:32:50.22 ID:FWcDf6Tk
「はあ、はあ……!?」 アサエは乱れた息を整えると、やっとメタモンの視線に気づいた。あわてて膝を上げ、局所を隠そうとしたがメタモンに両腿を掴まれて左右に広げられた。なんとか閉じようとしてもびくともしない。 そもそもアサエは姿勢自体が不利だった。 顔が熱い。アサエは恥辱といった言葉は知らないが、その意味だけを身をもって知った。 観察しつつメタモンは考える。アサエはこの「穴」に指を入れれば反応した、ならば他の「穴」にも同じように反応するのではないか。 メタモンは顔を上げて、アサエの上半身に目をやった。手を縛られているためアサエは胸を隠せないがメタモンはそこに興味はなかった。さらに上に目をやってアサエの顔を見た。
291 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:33:10.86 ID:FWcDf6Tk
メタモンは見つけた。顔にも「穴」がある。 「なっなに?」 「なっなに?」 メタモンはアサエの腰にまたがってアサエの顔に手を伸ばす。 アサエの口に指が入ってくる。 「ふが!!」 口に入った指がぐるぐると口内を触る。刺激しているつもりらしい。だが思ったよりアサエは反応しない。 ただ、あることに気付いた口の中が湿っていることだ。たしかにメタモンはアサエの真似をしてはいるが見た目だけのことだ。能力や生態には多くの違いがある。 現にメタモンの口は形だけで中は湿ってない。
292 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:33:29.19 ID:FWcDf6Tk
ここにきてメタモンは気が付いた。言葉だけまねしても仕方ないということだ。 アサエは化け物がなにをしようとしているのかは全く分からないが、口に指を入れられるなど不快でしかない。よくよく考えればこの口の中にある指はアサエの膣をかき混ぜていたのだ。 アサエは思いっきり指を噛んだ。ガムのような弾力を感じた。メタモンは驚いて手を出す。 思わぬ抵抗に驚いたメタモンだが、すでに興味は「言葉」から「生態」に移っている。なるほどここに指をいれると反撃するらしい。 メタモンはアサエの顔をさらに観察しようとすると、アサエは顔を背けた。メタモンは「耳」を見つけた。指を入れてみる。アサエは驚いて少しだけ体を動かしたが、それだけだった。
293 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:33:51.47 ID:FWcDf6Tk
メタモンは思い出した。お腹にも穴があったのを見た。体を引いて「へそ」にも手を入れてみた。特に反応はない。 アサエはメタモンの行動の意味が分からなかった。それもそうだろう彼女はメタモンが自分に成りすまそうとして「言葉」をまねようとしている、と思っている。しかし、化け物の興味はすでにそこにはない。 それにともなってアサエとメタモンの認識もかい離し始めた。彼女たちはそう言葉でおもったわけでもないが、無理やりあらわすとこうなる。 アサエは自分のことを言葉の「先生」にされると思っているがメタモンにとってもはやアサエは「実験動物」でしかない。その反応。その生態。なにをすればどうするのか、化け物の頭の中に知識欲ともいうべき物が強くあふれ出てくる。 ゆえにメタモンの意識も広がっていった、まったく興味もなかった場所にも目が行った。
294 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:34:15.18 ID:FWcDf6Tk
アサエの胸の先、その先端だけが色が違う。メタモンは気が付いた。つまんでみる。 アサエの体がビクンと跳ねた。 ああここか。メタモンはにんまりと「笑う」。なんとなくこの表情がしっくりくる。 化け物は両手で胸を掴んで揉む。あまり肉はついていないが、先端にいくほどほのかに膨れていて揉みやすい。メタモンは先端のピンクの部分を重点的に刺激した。 アサエは声こそ出さなかったが、まただんだんと息が荒くなってくる。乳首に刺激が与えられるたびに、身をよじる。口からは涎が流れている。 反応が薄い。メタモンはそう感じた。 「もっと教えて。ねえもっと教えて」 メタモンがしゃべる。最初よりもはるかに滑舌がいい、あきらかに上達していた。
295 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:34:36.93 ID:FWcDf6Tk
メタモンは右手でアサエの顔の涎をすくって、乳首に塗りつけた。そして擦ってみる。 「ああ」 アサエの反応が良くなった。濡らせばよくなるらしい。しかし、メタモンは困った。水がない。近くに川はあるが「こんな楽しいこと」を中断したくはない。 ふと思いついた。アサエに背を向けてメタモンは体を逆向きに変える。 「にゃ」 不意にアサエは鳴いた。メタモンはアサエの股間を舐め始めたのだ。 メタモンは股間に顔を埋めて舌を使って「穴」を舐めた、そこから出る液を吸う。これで水は確保できるし口の中を人間同様に湿らせることができた。メタモンは唾液腺を知らない。 なにかが自分の中を混ぜている、ちゅうちゅうと音を立てて何かが吸われている。アサエは腿で抵抗したが逆に腰を動かすたびにメタモンの舌が奥に入った。メタモンが舌を動かすたびにアサエは感じたこともないような快感が走ることを感じた。気持ちいい。 アサエは自分の頭に浮かんだ不穏な言葉を必死に揉み消す。
296 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:34:57.08 ID:FWcDf6Tk
メタモンが口を離す。 「はあ。はあ、はあ、うっ」 アサエは息を整えようとしたが、何もされていないのに体がうずいた。わけがわからない。 メタモンは体を元に戻して。右の胸に食らいついた。 「やっ!!だめ!!やめて、お願い。お願い。お願い」 メタモンは口の中の水分を舌に絡ませて、たっぷりと塗りつける。アサエは舌が乳首にあたるたびに変になりそうになる。自分じゃない誰かが心の中で嬉しがっている。 右の胸から糸を引いてメタモンが口を離した。すかさず左胸にも食らいつきたっぷりと舌で湿らせた時、メタモンは気づいた。アサエは舌で先端を刺激しているとき よく体をびくびくとさせる。ならこれを続ければいいのではないか。
297 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:39:26.18 ID:FWcDf6Tk
メタモンは左胸も時間をかけて舐めた。やはり先端の部分が舌にあたるたびにアサエの口から声が漏れ、体が跳ねる。なんとなくだが固くなってきたような気もする。 メタモンはアサエの胸を甘く噛んでみた。柔らかい。 ふとメタモンは思いついた。さっき反応した「穴」も同時に触ればもっと「面白い」のではないか。 メタモンの腕がアサエの股間に伸びた。白い肌を伝って「穴」に指を入れ、中をかき混ぜるように動かす。 アサエは声を上げながら足をバタバタと動かし、腰をひねった。抵抗ではない。メタモンに胸を嬲られ股間を触れるたびに勝手に体が動くのだ。 メタモンは口の中で乳首を弄びながら時折何となく吸った。手は休まない。 情事というには稚拙と言っていいだろう。だがアサエは幼い。経験のない体はメタモンの行うその「稚拙さ」に十分に反応してくれた。
298 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:39:51.74 ID:FWcDf6Tk
「ひ、ひえ、はあはあ!!くう、やめて、だめ」 メタモンはやめない。 「ああああ、こうさん、こうさんします、にゃ、にゃんでも、します」 メタモンは降参が分からない。 「おおねがいしまひゅ、あっ、あっ」 仮にアサエの言っていることが分かったとしてもメタモンはやめないだろう。アサエは理解してはいないが もう彼女は「メタモンの持ちもの」だった。戦闘で瀕死に追い込まれるポケモンのようにアサエにはメタモンが飽きるまで嬲られ続けなければならなかった。
299 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:40:09.43 ID:FWcDf6Tk
メタモンが行為をやめたのはそれから数十分後のことだった。立ち上がったメタモンはぴくぴくと痙攣しあたりを愛液でぬらしながら気絶したアサエを冷たく見下ろしていた。腕の糸がほんのわずかだけほつれているのは彼女の無駄な抵抗のあとである。 今メタモンは小さな群れのボスになっていた。メタモンとアサエの小さな小さな群れである。だがボスのメタモンと「奴隷」のアサエ、まるでポケモンとポケモントレーナーの関係だった。違うのは主人がポケモンなことだけだ。 メタモンはアサエの足を掴むと川辺まで引きずっていき水をかけた。 急に冷たい水をかけられてアサエは跳ねを起きた。瞬間メタモンと目が合う。 「ひっ」 アサエは体をこわばらせて身をかばう。
300 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:40:26.19 ID:FWcDf6Tk
メタモンはアサエの肩に手をかけた。 「はなして!!はなして!!」 アサエは体を激しくゆすったがメタモンは無理やり振り向かせる。自分の顔が目の前にある。アサエは体を小さく震わせながら「たすけてたすけて」とつぶやいた。目からはきょう何度目だろう、また涙があふれている。 「教えて」 「はっはいい」 メタモンの言葉にアサエはすぐさま反応した。顔を何度も縦に振る。 メタモンはそんなアサエを冷ややかに見つつ腕をストライクの鎌に変えた。
301 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:41:11.35 ID:FWcDf6Tk
「え、ええ」 アサエの顔から血の気が引いていく。殺される。そう思った。 「ご、ごめんなさい、ごめんなさいい。もう悪いことしません、こ、殺さないで、殺さないで!!!!」 メタモンはアサエの後ろに回り、一閃。アサエの腕から糸が落ちた。呆然とするアサエの前に戻るとアサエのスカートを引いた。 脱げ。そういっているのだろう。 メタモンは鎌を戻していない。アサエは急いでベルトに手をかけて止まった。 彼女にとってスカートは最後の人間としての証しだった。これがなければマンキーと変わるまい。脱がなくちゃ、脱ぎたくない。アサエの頭の中でそう反する二つの考えがせめぎ合う、羞恥心の問題ではない。尊厳の問題だった。
302 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:41:27.00 ID:FWcDf6Tk
バン! メタモンが地をならす。反射的にびくりと体を動かしたアサエは同時にベルトを緩めた、あとはずりおろすだけで脱げるだろう。 怖い、死にたくない アサエは唇を噛みながら立ち上がった。パサリとスカートが落ちる。そこには一糸まとわぬ姿の少女がいた。自分で脱がずに地面に落ちることに任せたのは彼女の精一杯の努力である。
303 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:42:14.53 ID:FWcDf6Tk
メタモンは鎌を縄に変えてアサエの首に巻いた。いつか人間がポケモンにしていた首輪を真似したのだ。 メタモンは笑う、これでこいつは逃げられない。あとはたっぷりとその知っていることとを搾り取ってやろう。 メタモンは笑った。
304 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/19(木) 01:42:43.68 ID:FWcDf6Tk
それから数日、森の中でアサエは自分の知識、語彙、家族、友人。いろんなことをしゃべり続け、そして「実験」として嬲られ続けた。 メタモンにとってこんな幸せな時もなかっただろう、見上げていたはずの人間がいつのまにか自分に組み敷かれあえいでいる。最高の征服感だった。 メタモンはアサエの話の中のタマムシジムに興味を持った、いつかは群れを大きくしたい。えりーととれーなーとやらがアサエよりも大きく強いらしい。 メタモンはそれを「群れ」に加えてやろうと思った。 おわり
乙
306 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/20(金) 09:08:20.32 ID:1S73FGLC
す、すいません。注意書きをよく読んでなかったので 題名とかシュチュエーションとかが抜けてました 申し訳無い
307 :
名無しさん@ピンキー :2012/04/20(金) 19:26:48.57 ID:dXZfGct7
>>304 メタモンが淡々としてて怖かったよ
けどこういうの好きだ。直接よりもエロさがにじみ出てる。
308 :
めたもんじん :2012/04/20(金) 21:31:17.57 ID:tuUV/Lvp
作者です。ID変わっちゃうので「めたもんじん」と名乗ろうと思います。
>>307 ありがとうございます。こわエロを目指したのでそういっていただけると
感無量です。
309 :
めたもんじん :2012/04/21(土) 20:53:53.48 ID:GLUgO8TZ
ひっ人が居ません・・・・・ なんか淋しい
メタモンの無機質な表情に恐怖を感じたのは初めてだ。 過疎だからさ
311 :
めたもんじん :2012/04/22(日) 08:09:26.60 ID:6oZc4BmW
>>310 感想ありがとございます
今回気づいたのですが、批判であれなんであれ何らかの刺激がないと
きついですね・・・・読んでくれた方には本当に感謝しています。
>>306 面白かったです!
メタモンもアサエも性的なことを知らないってところが最高でした
残念なのは、改行がないのとレス分割が頻繁すぎることかな
流れがぶつ切りにならないよう、1レスはもっと長くしてもいいと思います
313 :
めたもんじん :2012/04/22(日) 16:11:06.91 ID:6oZc4BmW
>>312 むむむ、個人的には1レスが短いほど読みやすいかなと思ってましたが一人よがり
だったみたいですね。ほかの職人様を見て参考にしようと思います。
改行はワードで書いてコピペしたので調節の過程で多くなってしまいました、以後気を付けます。
最後に「面白かった」は最高の贈り物です。ありがとうございます。
>>313 レスを区切るごとに、間に
312 :名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 14:30:16.40 ID:ZID3c1cn
というのが入るので、せっかくの話の流れがぶつ切りになってしまう恐れがあります
イメージとしては、CMが頻繁に挟まれるテレビ番組を思い浮かべていただければ
(もちろんそこまで大きな問題ではありません)
次回作も期待しています!
315 :
めたもんじん :2012/04/22(日) 18:15:39.47 ID:6oZc4BmW
>>314 なるほど、わかりやすいです。
・・・じ・・かいさくですか。て、照れますな。
sage
>>304 乙。今まで見た事もないようなSSですごく面白かったです。しかも普通にえっちいし
ただ、次回も投下するなら注意した方が良い点を幾つか…
名前:[ ] E-mail (省略可) : [ ]←ここに「sage」と入れる
スレッドをむやみやたらにageるのを嫌う人も多いんで注意
それから
>>312 の言う通り、ブツ切り投下は読みづらいんで注意
あと、嬉しいのはわかるけど、感想に一々レス返す必要も無し
書き手の顔が見え透いてくるのを馴れ合いと取って嫌う人も多いんで注意
こと、めたもんじんさんは色んな意味で濃いキャラしてるから、
上手く立ち回らんと上の音ゲーマーさんみたく叩きの対象になりかねんぞ
とにかく、作品投下の時以外は名前付きで表に出ないのが書き手のマナー
↑の書き方じゃ上から目線に見えてしまうかもだが、どれも作品の内容以前の問題だから気を付けた方が良いですよ
空気を読まずに珍しくカメックスレス
>>248 逆にアニメに出せるのかと思うわな
もし出てきたらサトシの嫁争奪戦の新手になるかも?
スワマがネジキに見える・・・
BW2の女主人公に期待 発売日が待ち遠しいわ
アクロマさん何か怪しい
BWもの書いてるが、BW2が主流になる前に投下したほうがいいのか
別に大丈夫だww HGSSだろうとそれ以前だろうとウェルカムなんだし
BW2きとるでぇ ネタいっぱいやでぇ
326 :
名無しさん@ピンキー :2012/05/16(水) 21:22:21.33 ID:teRJg9aU
マジか!! ついにカトレアが・・・
いつも感想を送らせていただいている、○○○と申します。
ポケットモンスターリバーストの第57話を拝見しました。
「キュレムVS聖剣士ケルディオ」で大立ち回りを見せる予定のコバルオンとテラキオンとビリジオン――
この3匹がいよいよリバーストに進出ということで、私も喜びに打ち震えております。
さらに、今回のお話しでは、ヤザやフロードといった懐かしの面々が再登場していることから、
グレートガベルが大きく動き出した事実を実感でき、興奮が収まりません。
フロードが育ててきた3人の実力者が姿を現すという次号を楽しみにしつつ、
田村先生と楠出先生のさらなる躍進をお祈り申し上げます。
上記の文章で田村先生と楠出先生に感想を送ってきた。
限られた連載枠の争奪戦に負けぬよう、我々がこの漫画をどれだけ愛しているか、
応援のメッセージという形で編集部の皆さんに伝えよう!
メールフォーム
http://websunday.net//backstage/fanmail.html
マルチもここまで来たか
329 :
人形 :2012/05/23(水) 17:19:14.46 ID:eerEJmvN
注意 ハルカをみんなでいただく話(凌辱に入るのかちょっと不明) ちょっとダイハルが入ってる 「どちらにせよ、貴方の意思は関係ありません」 ハルカの叫びは声にならなかった。どんなに叫んでも荒れる息に阻まれて音にならない。 彼女が飲まされた薬。覚せい剤と呼ばれるもの。この上ない快楽とずば抜けた集中力をもたらす。それだけではなかったが、主に効いたのはそれだった。そして彼女に変化をもたらした薬はそれだけではない。 媚薬。性欲を引き出す薬だ。その方面の商売をしている人たちが使うもの。成人に使う目的だ。それを10代の少女に飲ませた。それだけでもハルカの体にかなりの負担がかかった。息は乱れ、目は潤む。 力の抜けた手足を最後の抵抗とばかりに動かす。わずかに動いただけだった。その手を男がムリヤリ手錠をはめる。 伝説のポケモン。その主がハルカだとどこで知ったのかは解らない。しかし彼らは確実にそれを知っていて、主ごと手に入れようとしている。ポケモンに言い聞かせるよりずっと早いことを知っているのだ。ハルカの意思は必要がなかった。
330 :
人形 :2012/05/23(水) 17:19:52.50 ID:eerEJmvN
「責任は取らせていただきますよ」 一番のリーダー格が見下ろしていた。手に持った細い針をハルカの腕に刺す。 「排卵誘発剤ですよ。貴方みたいな幼い女は不安定でしょうから」 手錠がかしゃりと金属音を立てた。抵抗など無駄と言うように。 排卵誘発剤……どういうことだ。こんなところで、そんなことされて……何を言っているんだ。この男は。責任を取る? そんなこと考えてる場合ではなかった。男たちはハルカの体を抱える。 「連れていきなさい。私も後で行きましょう」 男たちの動きは統率が取れていた。それはまるで軍隊のようだった。
331 :
人形 :2012/05/23(水) 17:21:02.71 ID:eerEJmvN
「では、その体をいただきましょうか」 遠のく意識の中にその声をはっきりと聞いた。リーダー格の声だ。 それを聞くだけでハルカの中に吐き気がこみ上げそうだった。 「まあ、始めですし壊れてしまっては元も子もありませんから」 二人きりの空間。それは無機質だった。 かけられた手錠が壁の金属に固定された。ハルカは手を上にあげた状態で身動きがとれない。力の入らない足を開かせ、銀色に光る刃をあてた。殺される恐怖がハルカにかけあがる。 太腿のスパッツが切り裂かれた。熱い体に冷たい空気が当たる。荒い呼吸の中に一瞬だけ鋭い吸気音。それにかまわずリーダー格の男はすすめていく。 下着も全て切り裂かれていた。ただの布となったそれらは、男の手によって引きはがされる。腹にひやんやりとした風を感じる。 叫びたい。拒否して最後まで力のある限り。男がつかむ足は全く力が入らない。それどころか触れられているところから、甘腐った快感が生まれている。 開いた足の間に男が入って来る。そして。
332 :
人形 :2012/05/23(水) 17:21:58.84 ID:eerEJmvN
その事実はハルカの思考を分離させた。 望んでない行為。心にない男。それが何の断りもなしに自分の心と体を侵略する。内蔵全体が突き上げられる感覚がした。 エラーが起きたかのように、痛みが走る。それすらも何の役にも立たず、男はぐいぐいと中に侵入していくだけだった。 その一方で、奥まで達した時にはすでにハルカには快感となっていた。だらしなく開いた口から、さらに荒い息と快感に打ち上げられる声を発する。 男がにやついているのが見える。ハルカの足をつかみ、遠慮のない突きを繰り返す。 まだ小さな少女であり、男性経験もないような子供に。あっても一度や二度の子供に。根元まで突き刺す。暴力に等しいそれが出入りする。 耐えきれなかった粘膜が切れて、血を流していた。
333 :
人形 :2012/05/23(水) 17:22:40.46 ID:eerEJmvN
それはハルカの本音……涙のようだった。刺されるたびに、手錠がかしゃりかしゃりと鳴る。それと同じくらいにハルカは痛みと快感に喘いでいた。 自分の中に入って来る暴力に絶望していた。 ポケモントレーナーとして冒険していた時。その時に出会った人たち。そして自分のポケモン。 もう二度と触れ合えない。もし会えたとしても前の自分ではない。 ここにいるのは好きでもない男に犯され、それによって快楽をもとめている雌。 こんなはずではなかった。ハルカの中に芽生えた淡い恋心は、確実に一人の男性を求めていた。 その人と一緒に過ごせる日を夢見ていた。そして二人きりで会う時間がたまらなく嬉しかった。
334 :
人形 :2012/05/23(水) 17:23:48.56 ID:eerEJmvN
そんな時間は二度と来ない。 目の前の雄は突き刺すのをやめない。それどころかますますハルカの中に入って来た。もうすでに快楽しか感じない。薬のせいだ。そう言い聞かせながらも体は求めた。 じゅくじゅくと音を立てて突き刺さる。ハルカの体液も男の体液も何もかもが混ざり合っていた。気持ち悪いと感じるのもすでに通り越した。だんだんと早くなっていく男の動きがおかしくみえた。 視界の隅はぼんやりとして、これがこの上ないところなのではと錯覚がした。 体の中に不快を感じた。腹の中が熱いのだ。男がじっくりとそれを堪能しているかのようだった。腹の中に感じる熱いものは広がっていく。 男は動きをとめ、しばらく突き刺したままにしていた。そして我に返ったかのように引き抜く。その先には、白濁液がついていた。ハルカの体からも少しの白濁液が漏れたが、彼女自身はそれを見ることはなかった。 ただ、熱い何かが自分の体からこぼれる感覚はあった。
335 :
人形 :2012/05/23(水) 17:24:27.92 ID:eerEJmvN
「幼い女というのもしまりがよくていいものですね。では、ワタクシはここで失礼しましょう。まだ何人も待ち構えているのでね」 男はそういって再び銀色の刃を取り出した。成長途中の体にはあまり興味ないが、そういうのが趣味なやつもいる。 ハルカの上半身を覆っている服を切り裂き、完全な裸にした。そしてハルカに目もくれず部屋から出て行く。 ドアの外には待機していた男たちが待っていた。彼らを見て、計画通りにやってくれと念を押す。 「今はまだ準備段階です。遠慮は要りませんがね。ただ目的は忘れずに。あくまで今は快楽を刷り込むことです」 その言葉に全員が頷いた。部屋の中にいるハルカには聞こえてなかった。その「全員」が何人なのかなんて知る由もなく。
336 :
人形 :2012/05/23(水) 17:25:13.34 ID:eerEJmvN
「報告があります」 数週間後、朝食の席でリーダー格の男は部下に報告を取らせた。 「なんでしょう?」 「基礎体温が一気に下がりました。おそらく今日が排卵日でしょう」 「そうですか。では今日を含めて三日はさらに人を増やしましょう。もちろんワタクシも行きます」 「それと、すでに覚せい剤の量が増えてきているのですが」 「それは構いません。死なない程度に打って差し上げなさい。唯一の天国を奪ってはいけませんからねえ」 テーブルに並ぶパンやフルーツを見た。どれも新鮮でおいしそうだ。切られたリンゴに手を伸ばす。
337 :
人形 :2012/05/23(水) 17:26:20.02 ID:eerEJmvN
「お願い、打って!」 牢獄にも似た部屋でハルカは叫ぶ。覚せい剤が切れた時の症状だった。 この数週間、覚せい剤を定期的に打たれ、何人もの男に犯され続けた。腕は内出血で黒くなっていた。痣が何カ所もある。 ポケモントレーナーとして旅にまわっていた時の健康的な体とはとても言えなかった。 「おうおう、打ってやるよ。ただしやらせるならな」 体と引き換えに快楽を手に入れる。ハルカの生きる道はそれしか残っていなかった。 そんな中、基礎体温が下がる。これがどういう意味を持っているのか彼女自身わかっていない。 それにその意味通りだとしても、ハルカの膣、子宮、卵管はすでに誰のとも解らない精液であふれていた。手のうちようなどない。 待ち受ける運命も知らずに、ハルカは男に体を差し出す。
338 :
人形 :2012/05/23(水) 17:27:08.27 ID:eerEJmvN
「早く、早くぅ」 男が精を放てば薬を貰えることは学習していた。もう手錠はかけられていなかった。そんなものが必要なくなったからだ。 足を開き、他の男の精液が溢れる箇所をさらけ出す。 「きもちいい、きもちいいのっ」 あのリーダー格の男は一日に2回、ハルカを犯した。彼女はすでに誰に何回されたかなど覚えていない。 ただ、このリーダー格の男だけははっきりと覚えていた。まだ薬が完全に効く前にはっきりと見たからだろうか。 今、ハルカを犯している男が達した。新たな精液が体の中に注がれる。満足した様子で引き抜くと、約束通りにハルカの腕に針を刺す。覚せい剤だ。 「ああ……」 恍惚の表情でハルカは薬が入ってくるのを迎える。この薬さえあればこの悪夢など消え去る。これだけが頼りなのだから。
339 :
人形 :2012/05/23(水) 17:28:24.59 ID:eerEJmvN
「失礼しますよ」 まだ男が出ていってないのにノックがされた。入ってくるのはリーダー格の男だ。 「おや、朝から早いですね。朝食は取りましたか? 食べた方が持続しますよ」 「いえ、まだです」 「そうそう、貴方にも告げておこうと思いますが、今日から三日間はさらに人を増やします」 それだけ告げた。入れ替わるように男は出て行く。リーダー格の男は天国にトリップしているハルカの足を開く。何も言わずにハルカを突き刺した。 最初のような抵抗はほとんどない。ただ、体格の差か狭いのは変わらない。それがまた男にとって快楽をもたらした。 「ああん、あっ」 ハルカは少女とは呼べないほどの艶っぽい声を出して喘いだ。 「ダイゴさん、ああっ、ダイゴさんっ」 初恋の相手だろうか。知らない名前を呼んでいた。男が突き刺すタイミングにあわせて乳房も揺れる。
340 :
人形 :2012/05/23(水) 17:28:48.18 ID:eerEJmvN
ハルカの意思は関係ない。その体とポケモンたちにのみ用事がある。ポケモンたちには言い聞かせてある。「主の伴侶である」と。だからワタクシの言うことも聞かねばならない、と。 だから誰の名前を叫ぼうが助けを呼ぼうが関係のないことだった。機械的にハルカを犯し、そしてポケモンたちを操ることが目的だから。 ここにいない男を想っても現実は刻々と過ぎる。排卵誘発剤により複数の卵子が卵巣より飛び出る。それをいまや遅しと待っていた精子たちがわっと群がった。我先にと卵子を取り囲む。自分と違う遺伝子の精子を倒し、同じ遺伝子の精子と共に飛び込む。 やがて一匹の精子が競争より一歩先に卵子へと入る。新たな生命の誕生の瞬間だった。
341 :
人形 :2012/05/23(水) 17:29:11.92 ID:eerEJmvN
「ご報告があります」 数週間後リーダー格の男は朝食の席で報告を受けた。 「基礎体温が高いままキープされています。おそらく妊娠は確実かと思われます」 「そうですか、ご苦労さまです。これでワタクシと彼女は『配偶者』となるわけですな」 「そうですね。覚せい剤などの方はいかがいたしましょう?生まれて来る子供に悪影響かと思われますし」 「子供には対して興味はありませんが、それがなければ『配偶者』とは認めないでしょうからね。適切な処置をなさい」 「解りましたゲーチス様」
342 :
人形 :2012/05/23(水) 17:29:45.17 ID:eerEJmvN
以上です。sage忘れすいませんでした。
陵辱ですな。 読むのが辛かったがそれはクオリティが高い表れだな。GJ。
346 :
ああああ :2012/06/09(土) 23:00:56.76 ID:iPW0UPf8
むひょおお
347 :
ああああ :2012/06/20(水) 21:23:33.48 ID:Y7zKccUm
みんなかいてくりいい
もうあちこちで載せられてるけど、BW2のデフォ名判明 男主人公→キョウヘイ 女主人公→メイ ライバル→ヒュウ
ライバル→ひひひろしじゃないの? ♀主ストーキングしたりクンカクンカしたり、コイツ将来性あるで
それポケスマで変なやつがつけた名前だから
デフォ名ひひひろしなんてまともな頭してたらありえないってわかるはずだが
352 :
名無しさん@ピンキー :2012/06/24(日) 21:15:50.84 ID:m6RpIeNT
マジレスすんなよw
女の子(おとこのこ)に期待ww
ヒュウメイか……
355 :
名無しさん@ピンキー :2012/06/25(月) 08:59:14.27 ID:7sic5u/J
男主人公:パイナポー 女主人公:ウルトラハッピー ライバル:トウマートウマーネェトウマー
このスレBWが発売されて間もない頃来たっきりだけど めちゃくちゃ過疎ってたんだな。これから盛り上がる?
ダークトリニティ×メイ ポケモン勝負じゃ勝てないとわかったゲーチスの命令で、ヒュウの目の前で犯すとか妄想したわ ヒュウはレパルダス盾に使われてなにも出来ない的な
アクロマが良すぎる。白衣、天才、ピュアな科学者! そんなアクロマさんがメイを実験台にする話が読みたい
♂主人公で始めた俺涙目 BW2の前に書き途中のBWのを何とか投下したい
♂主人公は夏の観覧車があるから勝ち組だよ
ポケウッドの女主人公がかわいい やられポーズがエロいのなんの
観覧車が密室で治安面でも問題とか、社員が言うもんだから 2年の間にトウヤがなんかしたかトウコがなんかされたか両方かと反応したわ
観覧車に一緒に乗るほいくし…今回は大丈夫かと思ったが、またか
364 :
忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2012/06/27(水) 12:50:03.20 ID:CQlDlpZ7
>>362 そりゃ密室でミハルにあんなん言われちゃなぁ
頼りなかったベルが主人公を導く立場になっててなんか胸がじんとしたわ というわけで主導権を握ったベルちゃんがBW2の男主人公の童貞を卒業させるSSをですね…
霊獣フォルムのボルトロスが特性いたずらごころって事は いたずらごころで先制され電磁波を直接、浴びせられたトウコ ボルトロスの舌が全身を舐めまわし乳首をこねくり回し舌が痺れ上手く声を出せないトウコを蹂躙し ついにはトウコの大切な場所を貫くボルトロス ボルトロスが達する度に電撃を浴びせられ満身創痍で意識が朦朧とするトウコ ライブキャスターの留守電にベルやお母さんが向かってる旨の内容があり来ちゃダメ・・・と想いながら再びボルトロスが達した証の電撃を浴びせられ意識が途切れるトウコ 次に目覚めた時はランドロス(何故かお母さんの手持ち)にお姫様抱っこされ介抱されてると言う夢?現実?でトウコが困惑するのはまた別の話
メイちゃんにしろよ
>>368 そうしたかったんだけどメイちゃんことBW2主人公のお母さんはポケセンの元ジョーイが内定らしいから
ゲーフリめ またやりやがったな… もういいや ほいくしのエナツで えろいの 書く (`д´)ノ
女主人公がポケウッドなんかでかわいいと聞いてBW2はそっちでやってたら、 秋の観覧車で地獄を見たわ 1の時は主人公男でやってたから尚更 …いやさ、エロパロ板のこんなスレに常駐してるような人間だってドン引きする事はあるんだぞゲフリめ
追記: もう一度怖いもの見たさで行ってみたらベルたんと観覧車に乗れたぞ ありがとうゲフリ
べるたーん
娘の帰宅を待ち続けるトウコママに迫る毒牙 2年前の恨み。娘を犯す前にアンタからだ!!とプラズマ団に蹂躙されるトウコママ 夫と娘に浴びながら悦楽の中に堕ちるトウコママを救ったのは娘と同じ伝説ポケモンに選ばれた少年で・・・・・
御三家もらうときにそのままベルの胸に頭突っ込みたいと思った 同志はいないだろうか?
アイリスが可愛くなってたな
なぜだろ? メイちゃんのほっぺたを引っ張ってみたい ヒュウは絶対やってると思ってる
ヒュウは年上の幼馴染の立場を利用すればなんでもできるな
379 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/01(日) 02:00:37.20 ID:55Sa8t1Q
まさかのナツメ登場は予想出来んかった
妊婦だ…と チアキさん……
381 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/01(日) 18:40:51.38 ID:HiLLK04q
こっちは女の子でプレイしてるが観覧車がまさかのナツミだったわ どういうことなの…
エレベーターの人「ナデナデ・・・・ここもナデナデ・・・グヘヘ」
383 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/02(月) 03:09:07.54 ID:vlgR7Ike
チャンピオンアイリスはぁはぁ
ちょっと見栄張ってるアイリスかわいいよ
メイちゃんはハルカより巨乳だと思うんだ。
巨乳に見えるのは前作♀主の反動かと
アイドルの娘がちょい病んどるようにしか見えんでござる
「アハハ………」とかやたら三点リーダ多いしな
三点リーダーの多用ぐらい許してあげろよ さすがに半分がだったりすれば考えるが
せやな
今シナリオやっとサザナミタウンまで行ったが移動中の飛行機でベルとフウロとアララギ博士の三大巨乳に囲まれて何もなかったはずがない。
多少小さくても良いと思うよアハハ
そうそう、「多少」くらいはね
395 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/08(日) 23:04:45.18 ID:xtV98MOF
殿堂入りする度にアイリスが「おにーちゃん」呼びしてくるから生きてるのがツラい
四天王クリアしてから気づいたけど、 男主人公にすると、アイリスがお兄ちゃん呼びになるんだな
アイリスは2になってからSっ気出てきた・・・らいいなと思う。
お兄ちゃんに対してSとな
素晴らしい
ポケウッドがおいしすぎる 「乱暴な刑事にやられはしない!」 とか言いつつも何度もつので突かれて結局やられちゃうニューラクノイチかわいすぎ ちんぽには勝てなかったよ…を彷彿とさせるいいシナリオ
401 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/13(金) 19:45:21.09 ID:OL56nII4
アイリス「おにいちゃん、バトル中私のことジロジロ見てたでしょ。どこ見てたの?」 ♂主「えっと..その..胸を..」 アイリス「どうだった?」 ♂主「いや、やっぱりまだ小さいなあって..痛っ、そこはやめてえ!」 アイリス「やめて下さい、でしょ、お・に・い・ちゃ・ん!」 こうですか、分かりません
お兄ちゃんのおちんちん、ちょっと踏んだだけで白いのぴゅっぴゅってしちゃって、なさけなーい バトルもこっちも全然ダメだね、お兄ちゃん
流石に殺意を覚えるな
ちなみに男の子(おとこのこ)の方のデフォ名はキョウヘイね
キョウヘイはやっぱルリとの純愛かな。ルリがヤンデレでもいいけど。
むしろヤンデレシチュしか思いつかない>ルリ
アイドルと一般人の釣り合わない恋愛とか考えてたけど 主人公はチャンピオンでアベニュー経営者でポケウッド・ミュージカルスターだみたいなレスをポケ板ルリスレで見てあーってなった
これはこれで釣り合わないな たかがアイドル程度じゃ
いや、ポケウッドスターが新人アイドルをあの手この手でちょろまかしたって言うスキャンダルをだね、こう意図的に
410 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:22:24.73 ID:5c7SZ9LC
BW2♂主×♀主投稿します ・この二人にも観覧車イベントがあれば良いのにと思って書きました。 ・初投稿なので、色々とご容赦を。 ・改行はした方が見やすいのかしない方が見やすいか分からないので、今回は台詞のみ改行して投稿します。見にくかったらごめんなさい。
411 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:24:48.32 ID:5c7SZ9LC
「うっ…ぐすっ…。ひっく…」 昼さがりのライモンシティ、涼しい風が吹き通るライモンジム近くのベンチで涙を流す少女がいた。 そしてその隣には、その少女をどうしたものかとあたふたする青い服の少年が、焦った顔で少女をなだめていた。 「め、メイちゃん、そろそろ泣きやんでよ」 「ぐすっ。だって、ひどいよ……せっかくもう少しで本気のサブウェイマスターと戦えるってところまで連勝を重ねたのに、先制の爪絶対零度三縦なんて……うぅぅ」 「……そ、それは気の毒だとは思うけど」 メイと呼ばれた頭にあんぱんを乗っけたような髪型の少女はキョウヘイの胸元に顔をうずめ、悲嘆に暮れていた。 キョウヘイにはメイの気持ちはよく分かっている。彼は若いがイッシュ地方のジムを制覇し、チャンピオンリーグを勝ち抜いた歴戦のトレーナーだ。 だが勝ち続ければ勝ち続けるほど、「ここぞ!」という場面で予想にもつかない展開を迎えることは戦いの常である。 幾度となく勝ち続けたトレーナーも、大事な一戦に限って落としてしまうかもしれないし、下馬評を覆すような世紀の大博打に勝ったトレーナーだからといって、再び同じことができるかというとそうではない。 メイを慰めているキョウヘイもまた、バトルサブウェイで相性の悪い相手とカチあって連勝を止められたばかりであった。 相手の大爆発でこちらは手持ちを1体失ったものの、流れそのものは順調だった。 こちらの手持ちは2体。相手は残り1体。追いつめたつもりだったし、負けるとはこれっぽっちも思っていなかった。 ……が、そこからがいけなかった。相手のラストはマッギョ。地面と電気という固有タイプを持つポケモンなのだが、こちらの手持ちはダメージソースが飛行技と怪しい光しかない手負いのクロバット、そして電気技と鋼技のジバコイル。 結局有効打を与えられず、一方的に攻め切られたというわけだ。 そういうわけで、死んだコイキングのような目をして地下鉄を出ようとしたキョウヘイなのだが、何の偶然か同じ時分に同じ目をした少女とばったり出くわした。 その少女はよく見るとキョウヘイ初めてライモンシティを訪れた時にタッグを組んで戦ったトレーナーだったのだから、声をかけずにはいられなかった。 そして現在に至る……
412 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:26:30.73 ID:5c7SZ9LC
「ひっく、うわあああん」 (ううう…僕だって泣きたいのに、女の子に泣かれちゃってそういうわけにもいかない……) 胸板にメイに頭を押し付けられ、わき腹あたりの服を掴まれているので、逃げるわけにもいかない。 どんな思い入れがあるのかは知らないがメイはバトルサブウェイの攻略に精を入れており、何度も挑戦しては敗退してきたのだろう。 それで目標手前で理不尽な敗れ方をすれば、泣きなくなるのも分からなくはない……のだが、ライモンジムの近くには、ピカチュウバルーンや観覧車がある。この時間帯の人通りは少なくないとはいえ、大声で泣かれてはさすがに人目につく。 実際、通りすがった何人かが奇異の目でふたりを見ていたものだ。 ママーアノオネェチャンナイテルヨー シッ、ユビサシチャイケマセン ヒューヒュー、オンナノコナカセテルゼ、ヤルナァアノワカイノ リアジュウバクハツシロ! (し、視線が痛いぞ) 「ぐすっ、あんなの卑怯だよ。せっかく、せっかく、うわあああん」 「そ、それは……」 泣きじゃくっているメイの言葉に、ふと、あたまの中にある男の言葉が甦った。 『最強のポケモンなどいないし、ベストな組み合わせもない。それゆえ勝ち続けることは難しい』 かつてイッシュ地方の頂点に立つ四天王のひとりが口にしていた。 100%勝つ方法などない。だからどんなに確率の高い戦術を考えても、99%勝てるように準備をしても、戦い続ければいずれその1%や2%を引いてしまうということを、キョウヘイもPWTやトレインでこの上ないほど痛感したものだ。
413 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:27:26.99 ID:5c7SZ9LC
「メイちゃん……それは、違うと思うよ」 「ひっく……え?」 「確かに運に頼った戦い方は、それまで積み重ねたものを一瞬にしてひっくり返すものだけど、そのぶんリスクは大きい。そういう戦い方をするには勇気と、どんな結果になってもそれを受け入れる覚悟が必要なんだ。それは決して卑怯なことじゃないし、理不尽なことじゃない」 「それは、そう、だけど……」 「だから、一度失敗したからって泣いてちゃだめだ。何度だってチャレンジしないと」 キョウヘイの口調はキッパリと力強かった。 メイはそんなキョウヘイをしばし無言で見つめていた。 (そうだよ、僕だって何回も運や読みに嫌われたことがあった。それ全部を含めて今の実力なんだ) 日射しから目を守るためにサンバイザーを傾けたが、目に意思の光が宿っていた。 それを見たメイの嗚咽は止まっていたが、今度はキョウヘイをジト…と音が聞こえてきそうな目つきで睨んでいた。 「……キョウヘイくん」 「な、なに?」 「私のこと慰めてくれてたんじゃないの? そんな厳しいこと言って、ちょっと酷くない?」 「うっ、ご、ゴメン……」 「まぁ、いいけど。真っ直ぐに次のこと考えてる君のこと見てたら、いつまでも泣いてるわけにもいかないしね……」 「もう大丈夫なの?」 「そう思うんだったら、もう少し泣かせてくれればよかったのに」 メイはそう言って、手で涙を拭う。 「ご、ごめんってば……」
414 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:28:59.45 ID:5c7SZ9LC
本音を言えば、もう少し浸っていたかったし、愚痴を聞いて貰いたかった。甘えていたかった。 それでも彼女はトレーナーのはしくれ。前を見据える同じトレーナーが目の前に居るのに、いつまでも愚図っているわけにはいかない。 これでも一応、プライドくらいは持っている。 彼とサブウェイで会った時、やはり自分と同じくらい沈んでいるように見えた。キョウヘイも何かしらの理由で途中で負けてしまったのだろう。 それなのに、話を聞いて慰めてくれたのだから、優しい性格なのだろう。 メイは自分の胸の中に温かいものが宿ったような気がして、幾分か心が晴れてきた。 (あ……服、汚しちゃったな) ふと、キョウヘイを見ると、青い服の胸元が濃く染みになっている。メイが泣いた時の涙が付着してしまったのだろう。わき腹辺りが皺になっているのも、強く握ってしまったせいだ。 (んー……) 「えっと、大丈夫なら僕はこれで……」 しゅんと申し訳なさそうにしているキョウヘイをみて、メイはなんだか大胆で意地悪な気分になっているのを感じた。 「よし、気持ちの切り替えは大事よね。私はこれで終わり。次は君の番!」 「えっ、僕?」 「キョウヘイくんも何か予想外のことがあって、うまく勝てなかったんでしょ?」 「そうだけど……」 「私の話聞いてくれたから、今度は私が君の話を聞いてあげるよ。ほら、観覧車に行こっ! 綺麗な景色が見れるよ」 「わわっ、急に引っ張るなよ!」
支援
416 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:34:40.56 ID:5c7SZ9LC
古びた観覧車がゆっくりと昇ってゆく。 金属が軋みが響く密室のゴンドラの窓からは、ヤグルマの森一面に紅葉した木々が見える。風に乗って運ばれる金色の葉が、何ともいえぬ風情を醸し出している。 夏は暑くてとても乗れたものではないこの観覧車も、秋になれば風は涼しく、そこから覗く景色もなんとなく哀愁を誘うものがある。 「わー、景色が綺麗だね!」 「そうだね」 「スカイアローブリッジだ! あっちのはネジ山かな?」 「そういえばネジ山にはまだ行ってなかったな。ネジ山を越えるとセッカシティか……」 キョウヘイとメイが乗ったゴンドラは、頂上付近にあった。 狭い密室で男女がふたりきりだというのに、メイはまるで気負った様子もなく、窓の景色に目を輝かせている。 キョウヘイは彼女のパワーになんとなく気疲れを感じながらも、同じように景色に目をやっていた。 (そういえば、ヒュウのやつどこに居るんだろうな。チョロネコを取り戻すって目的も果たしたし、これから何かすること考えてるのかな……) そんなことを考えていたキョウヘイは、それまではしゃいでいたメイが静かになっていることに気付いた。 「……?」 「…………………よしっ」 「えっと……何?」 「……あのさ。さっきは、慰めてくれてありがとう」 「ん、どういたしまして。でも同じトレーナーなんだから、お互い様」 「うん。……だから、ね。その……」 急にもじもじしながら、何かを言いにくそうに口を開くメイ。 心なしか頬が赤い。 そしてすっとメイの手がキョウヘイの顔の横に伸びてきた。 「お互い様だからね。私も、君のこと慰めてあげようと思って」 「へっ……?」 ぎゅむ! 「………!!!?!!???!」 次の瞬間、メイはキョウヘイの顔に触れたかと思うと、思いっきり抱き寄せた。 そして、年齢の割には豊かな胸の間に力をこめて押し寄せた。 「な……あ、えっ……」 「えへへ……さっき私も胸を貸してもらったから、お返し」
417 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:36:46.67 ID:5c7SZ9LC
「はぅ……ん……ぁっ…」 観覧車が頂点に達したころ―― 結局、抗いがたい触感を振りほどける筈もないキョウヘイは服の上からでもはっきりと存在を主張しているマシュマロのような胸に顔をうずめたまま、女性特有のいい匂いと柔らかさを堪能するかのように、遠慮がちながらもゆっくりと首を動かしていた。 くすぐったいのか恥ずかしいのか、メイは艶っぽい息を漏らした。しかしその原因であるキョウヘイを咎める様子はなく、左手を背中にまわして抱き寄せ、頭に回した右手は後頭部をゆったりとしたリズムで撫でている。 (なんかいいなぁ、こういうの……) メイはそのままゴンドラの座椅子に身体を、キョウヘイごと引き倒した。 くすぐったさに時折身を捩りながら、真っ赤になった顔を逸らして虚空を見上げていた。 行きずりの男の子の顔に、誰にも触らせたことのなかったおっぱい無理矢理押し付けている。本当は物凄く恥ずかしいのに、好奇心と人肌恋しさが上回って大胆なことをしてしまった。 胸の鼓動が速まっているのが聞かれているだろうか。 キョウヘイの顔の動きが激しくなって、興奮に漏れる息遣いが聞えきた。 「柔らかくて、いい匂い……」 「あぅぅ……」 キョウヘイが顔を離すと、メイは羞恥で赤くなった顔を見られないように腕を乗せて目元を隠す。 そんなことは意に介さないように、触れるたびに形をかえる柔らかなふくらみが愛おしくて、すぐさま再び顔をこすりつける。その度に心地よい弾力に包まれて、それ以外のことがまるで頭にない。
418 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:39:10.41 ID:5c7SZ9LC
(キョウヘイくん、赤ちゃんみたい……んんっ) 自分の胸に夢中になっている少年にそんな感想を抱いたメイだが、しかし実際は同年齢で、自分よりもやや背が高い。 そして子供っぽいがどこか凛々しく芯の強さを秘めた顔立ちで、その実彼はイッシュ地方のジムとチャンピオンリーグの激戦を潜り抜けた、まごうことなき英雄なのだ。 自分の胸の中にいる人間がそんな男の子なのだと認識すると、改めて恥ずかしくなってきた。 同時に、臍の下の奥のほうから熱い痺れがこみ上げてくるような感覚に襲われ、無意識にレギンスに覆われた内股を擦らせる。 「あっ……」 再びキョウヘイが顔を離したとき、メイは思わず名残惜しいような切ない声を上げてしまった。 そして見つめ合うふたり。 一瞬の沈黙。そして…… 「触っていい?」 「―――っ」 とうとう来た―― そんな言葉が頭の中を駆け巡って、急に息がつまった。 誘ったのは自分だったが、いざその時になってみるとなんだか物凄いことをしているような気がして怖気づいてしまう。 「あ、あのね。少しだけ待っ……」 「……ごめん。今さら我慢できそうにない」 「え、ちょっ、待っ………やぁっ…んんっ!」 返事を待たず、メイの豊かな胸を鷲掴みにした。
419 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:40:30.51 ID:5c7SZ9LC
「ふぁっ……やっ、んぁ……」 「…………すごい、大きくて、すべすべで……服の上からでも先っぽが立ってるのが分かる…」 「やぁっ……言わないでぇ…」 むにむに むにむにむに…… キョウヘイは無言でメイのふくらみを捏ねまわした。 時に無造作に感触を楽しみ、ときに壊れ物を扱うかのように丁寧になぞる。 頂点の突起を人差し指で小刻みにはじくと、息が切なくなり、強く摘むと痙攣したかのように身体がビクリと反応した。 そんなメイの反応が楽しくて、一心不乱に弄り続けた。 「き、キョウヘイくん……」 泣きそうな声で名前を呼ぶ。 返事の代わりに、乳首を摘んだ。 「ふっ…んん! あっ、あっ……キョウヘイくん! ……服、しわになっちゃうよ……ひゃっ!」 「なら、直接触るよ」 「やっ、だめっ!」 メイは必死で制止するも、言葉虚しく服を捲くりあげられてしまう。 「……っ!」 「すごい、きれいだ……」 ――露わになった少女の肌は白雪のように美しく、陶磁器のような艶があった。 すらっとした臍のラインは細いくびれを際立たせて瑕疵は無い。 そしてそびえたつ双子の山は、絶妙ともいえるバランスで少女の可憐さを醸し出す。 風に吹かれればたやすく揺れそうなほど柔らかい平均より大きいはずのそれは、血色のよさとハリのよさによって全く下品さを感じることはない。 むしろ少女本来の健康的な明るさと生命力を集約したかのようで、見ているだけで眩しさを覚える。
>>410 です
リアルタイムで支援して下さっている方ありがとうございます
更新遅くてすいません
なぜかPCのネット回線が瀕死状態なので、もう少しだけ待って下さい
421 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:50:08.41 ID:5c7SZ9LC
「ひうっ!?」 キョウヘイは淀みのない動きで顔を乳房に近付けると、躊躇うことなくサクランボのような突起を口に含んだ。 そして乳を吸う赤子のように、硬くなった乳首を口の中でいじくりまわした。 「ちゅぱ、ちゅっ……」 「あっ…んんっ! あああっ」 「メイのおっぱい、美味しいよ」 「ふああっ! 吸っちゃだめ…! あっ……舌でぐりぐりするのもだめぇっ!」 いつの間にか呼び捨てになっていることにも気付かず、メイはただ喘ぐほかなかった。 わざらざらとした舌の表面の柔らかさと温かさが胸先を這うごとに、くすぐったさ以上の感覚が込みあがってくる。 反射的にキョウヘイの頭を押さえつけるが、それでも引き離すことは躊躇われて、最初と同じように頭を胸に押し付けるような構図になってしまった。 (うう……なんでだろう。おっぱい吸われてすごくくすぐったいし恥ずかしいのに……なんだか嬉しくて、安心する…) そう感じるのがいずれ授乳するであろう女性に備わった本能なのかメイの性癖なのかは定かではない。 そんなメイの心情を知ってか知らずか、キョウヘイはひたすら胸を吸い続けた。 胸は甘い味がすると書かれていた大人の雑誌を目にしたことがあったが、実際は汗の味でしょっぱく感じる。それでもこの夢のような膨らみを口にすることは、キョウヘイが今まで感じた何よりも甘美な体験だった。 (甘い――うん、本当に甘いんだ。ずっとこうしていたい――) 勢いは激しくなり、胸を吸う音も徐々に大きくなる。 それがメイの羞恥心を余計に煽り、恥ずかしくて何も考えられなくなる。 ちゅぱ、ちゅぱと恥ずかしい水音が、狭いゴンドラ内に響く。 ふたりはもはや言葉を発することはなく、ただ蜜のように甘い時間が流れていた。 長い沈黙、時折発せられる喘ぎ声、そして――
422 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:51:43.92 ID:5c7SZ9LC
「………あっ…」 それまでメイの胸を愛撫していたキョウヘイの手が、膝のあたりにあてがわれた。 レギンス越しに感じる、男の硬い手の感触。だがメイはびくりと身体を震わせた以外に、なんの拒絶も示さなかった。 瑞々しい眼はトロンと恍惚しており、息は荒い。口元に流れた涎にすら気が回らない。 下半身に感じるキョウヘイの手に、期待と好奇心が恐怖心を上回った。 這わされた手が太ももの内側に入り込み、閉じられた脚を割るように、腰の方へゆっくりと上昇してきた。 メイにとってその時間は、スローモーションに思えるほど長く感じた。 「あっ…あああ……」 彼の手がこのまま動きを止めなかったらいずれ、今まで誰も触れたことのない最も秘密の場所へと辿りつくだろう。 (恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいっ―――) あまりの羞恥心に涙が出そうだった。 (触られちゃうんだ……私の一番恥ずかしい所……) まだ大人になっていないあの場所を、大人になっていないのに淫やらしい液体で溢れてしまったあの場所を、男の人に触られて、弄られてしまうんだ――― それでもキョウヘイの手は止まることなく、ゆっくりと、ゆっくりと…… そして―――― 「――――――――――」 がたん! 「「……っ!?」」
423 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:52:15.09 ID:5c7SZ9LC
軽い衝撃に、ふたりは一気に現実に引き戻された。 一瞬頭の中がこんがらがったが、すぐに観覧車が一周してしまったのだということに気付いた。 「……あっ」 「…え、あっ…」 顔を見合わせるふたり。そして 「うわわっ、ごめんっ!」 「う、ううん! こっちこそ……」 ふたりは改めて、今まで物凄く恥ずかしいことをしていたという実感に駆られ、それまでとは別の意味で顔を沸騰してしまいそうなバオップ色になっていた。 メイは急いではだけた服を戻して、観覧車が発車してしまわないように外に飛び出し、キョウヘイもそれに続いた。 (搭乗待ちの人がいなくて本っっっ当によかったぁ……!) キョウヘイは胸をなでおろした。 もし『その』現場を目撃されていたら、生きていけないかもしれない。 ましてやこの場所には、チェレンやベルだけでなく幼馴染のヒュウもときたま訪れるのだから、迂闊の極みだった。 そこから交流関係が広くおしゃべりな母親にでも伝わったりでもしたら――――考えたくもない。 万が一の事態にならなくてよかったと思うと、安堵のせいかどっと疲れが押し寄せてきた。
424 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:55:57.39 ID:5c7SZ9LC
「はぁ…」 腰を折って街路樹に寄りかかるように一息つくと、メイが勢いよく話しかけてきた。 「あ、あの! キョウヘイくん!」 「メイちゃん……えっと、その」 言いづらそうにもじもじするメイ。さっきのアレのせいで、かなり気まずい。 「あのね。変なコトして、その、ごめんね」 「え、あ。いやいやいや、こっちこそ! なんか途中から、歯止めがきかなくなって」 「ううん、私も気持ち良くなって、頭の中が真っ白になってたから……」 「そ、そうなんだ……」 気持ち良かったんだ――それは良かった。って、いやいやいや 「それでね。その……キョウヘイくんのそれ、大丈夫?」 「うっ……」 メイが指差した『それ』とは、キョウヘイのズボンに張ったテントのことである。 メイの胸も年の割に大きかったが、キョウヘイのそれもなかなかのものだ。 木に寄りかかって前かがみになっていなかったら、はっきりと分かってしまう。
425 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:56:56.57 ID:5c7SZ9LC
「時間が経てば、おさまるから……」 「そ、そうなんだ」 女の子相手に何てことを言っているのだろう。 なぜか暗澹たる心持になってきた。 しかし次の瞬間、メイが思いがけないことを言い出した。 「でも、すっきりした方がいいんだよね」 「それは、まぁ……」 「だから、その、ね。もしよかったらなんだけど……キョウヘイくんさえよかったら、私がしてあげようかなー……なんて」 「…………いいの?」 「うん……私が誘ったせいだし、ね」 それに、と付け加える 「やっぱり初めては観覧車とかじゃなくて、ちゃんとした場所でしたいし――」 バツが悪そうに、はにかむメイ。 そして脚をもじもじさせながら、眼を伏せて恥ずかしそうに告白した。 「私も、もう我慢できないの――」 潤んだ眼、上気した頬、溢れ出す女の色気と――黒いレギンスの太ももに垂れた、淫らな染み。 その日、猥雑なライモンシティの繁華街にふたりの男女の影が消えていった……
426 :
キョウメイ :2012/07/15(日) 17:59:09.68 ID:5c7SZ9LC
以上です、お粗末さまでした。 ベストウイッシュを尽くしてないので本番はありません ホントなぜ選ばれなかった主人公に観覧車がないのか
乙&GJ 誘った女の子がいつの間にか男のペースに呑まれて翻弄される系は美しい
428 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/16(月) 03:29:59.30 ID:2QnaXfCJ
GJ!!乙!!最高!! 次はぜひ本番を ほんとゲーム中で主人公同士の観覧車見たかったわ…
GJ!! 折角ちゃんとした登場イベントまであるのにもったいないよね
GJ トウヤ×カトレアかBW2主人公×ホミカを…
なんかカミツレさんはbw2のほうがより好意的に感じる つーわけで 映画界のトップスター×スーパーモデルな bw2主人公×カミツレさんとかどうか
イイネ・
434 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/21(土) 01:17:49.05 ID:qndC6IVl
ルリちゃんはよ
ルリ「ふぅ……お仕事大変だったな……明るく振る舞うのも疲れちゃったよ……」 ルリ「あれっ……。ただ散歩してただけなのに、何でまた観覧車に来ちゃったんだろう……」 ルリ(……また、キョウヘイ君に会えるかな) ルリ「アハハ……何考えてるんだろうね、わたし」 ルリ「って、あの人もしかして……」 チアキ「―――」 キョウヘイ「―――」 ルリ(本当にキョウヘイ君だ! こんな時に出会えるなんて……でも、一緒にいる人、誰だろう……綺麗な人……) ルリ(楽しそうに……何話してるんだろう。近づいてみよう……) チアキ「キョウヘイ君、今日はありがとう。お腹の子も喜んでるみたい」 ルリ(―――――――えっ?) こんな感じか
かーなーしーみのー(ry
438 :
ポケウッドスター♂×カミツレ(BW2) :2012/07/23(月) 18:17:12.05 ID:2ofIaoCC
>>431 できる限り再現してみる。駄作だったら勘弁してちょ
「はーん、キョウヘイちゃんの迫真の演技、よかったわー」
監督が歓声を上げる。
ここはポケウッド。ポケモン映画の殿堂。(注・スクリーンでのポケモン配信はしておりません)
「お疲れ様です、監督。今日は張り切りましたからね」
四方緑のシートの上で、監督に呼び掛けるのは――スター・キョウヘイ。
まだ10代にしてポケウッドの二枚目役者となった売れっ子だ。
「今日はこれでおしまいよ。キョウヘイちゃんは優秀で仕事が早く進むわ」
監督やスタッフへのあいさつを終え、ポケウッドを後にするキョウヘイ。
「今日も疲れた……」
そう言い放つも、ねぎらいの言葉をかけてくれる者はいない。
風が、強く吹いている。
「あら、何感傷的になってるのかしら」
キョウヘイの後ろから不意に声がかかる。
多分、続く
sageを忘れてた…… 「か、カミツレさん!! どうしてここに!?」 「それはこっちのセリフよ。ポケウッドのスターがどうしてこんなところへ?」 二人がいるのは道路の脇の森の奥の奥の奥の奥の川辺である。 キョウヘイがここにいるのは、幼少のころからの遊び場であったからであるが、カミツレがいるには不自然かつ不釣り合いな場所だった。 「ポケウッドの監督にせがまれて映画撮影を申し込まれたのよ。でもあいにく、私のスケジュールにはスキがないから。で、監督たちに追われてここに来たのよ」 「そ、それは大変でしたね……」 「大変なのはお互いさまでしょう?」 そう言うと、カミツレはキョウヘイの方に歩み寄る。 そのあまりの接近具合に戸惑う奥手男が一人。 「ねえ、貴方、スターになったんでしょう。ジム戦以来だわ、あんなに輝く貴方を見たのは」 「スターだなんて、そんなこと……ないです」 「自信を失っちゃだめよ。ショーでもそう。一番大事なのは、『自信』よ」 「あ、ありがとうございます」 「いえいえ、それを教えてくれたのは、ジム戦の時の貴方よ」 まるで子をあやすようなその言葉に、キョウヘイは感銘を受けざるを得なかった。 優しい。自分を愛してくれる。母性のような感覚。 それは錯覚か、幻想か――と、突然カミツレがキョウヘイを抱きしめる。 「貴方はもう子供じゃない。立派なオトナよ」 「そんなんじゃ……ありません」 「そう、なら――――――」 私が貴方をオトナにしてあげる どうしてもオネショタ風になってしまう。 431の望み通りじゃなかったらごめん
望むところだから、もっと欲しい と彼もきっと思っている筈だからだからどうか 主人公受けの方が書きやすいなら是非そっちで
深い森の中、二人の男女の影が水面に映る。 「か、カミツレさん。俺、もう……」 「あら、意外と弱いのね、貴方のココ」 キョウヘイは下の衣類を脱がされ、肉棒はカミツレの口へと入っている。 カミツレはあまりにも口づかいが良く、童貞のキョウヘイには天に昇るような快感だった。 「うっ!ごめんなさい!」 白濁の液がカミツレの髪に、顔にかかる。 「あら、汚れちゃったわ。ねえキョウヘイくん、貴方のその舌でふいて頂戴」 「え、でも……はい」 覚悟を決め、顔を近づけるキョウヘイ。 と、その顔をいきなりカミツレは両手でつかみ、強引に自らの口へと寄せる。 長いキス。最初は戸惑うキョウヘイも、やがてはその行為に真剣になっていた。 「さあ、今度は君の番よ」 カミツレはそういうと、自らのストッキングと黄のショーツを片手で脱がし始めた」 大人びた体躯に似つかわしい、幼児的なワレメ。 股はすでに糸を引いていた。 「ちょ、カミツレさん!!」 「しー、声が大きいと、誰か来ちゃうわよ」 そういうと、上半身の衣類も脱ぎだすカミツレ。 モデルにふさわしい、豊満な胸があらわになる。 「さあ、煮るなり焼くなり、貴方の自由よ」 「カミツレさん、あなた、どうしてこんなこと」 「それを私に言わせるの?」 「で、ですから、こういうのは好きな人とか……」 「ええ、好きな人とよ」 「え――――」
あの日以来、何かが変わった。あのジム戦以来。 絶対的自信をもとに、今まで戦ってきた。 それなのに、彼は易々とそれを砕いた。 それでも、彼は慈悲を忘れなかった。 私に「自信をなくさないように」と。 「偉そうなこと言ってすいません」そう言って彼は去って行った。 それからは、自分を慰める毎日。彼のことばかり考えた。 やがて気づいた。 これは恋だ、と。 「私は貴方が好きよ。誰よりも」 「俺、俺は、……あなたが好きです。俺を好きになってくれたあなたが大好きです」 「ありがとう」 そういうと、二人は強く抱き合う。 そして、互いの性器が干渉してるのを見て、笑いあった。 「じゃ、本番ね」 「今度は俺の番ですよ」 強く答えたキョウヘイの言葉に、初めてを奪われる恐怖は無くなった。 序章、終わり
後篇 キョウヘイは奥手で童貞ではあるが、その手つきはしなやかだった。 右手でカミツレのワレメをいじくりまわし、左手で乳首をまさぐる。 「だ、駄目、そこは、弱いの!」 「だめですよ、カミツレさん。声をあげたら誰か来ちゃいますよ」 先ほどの言葉を返される。いや、形勢が覆される。 戸惑いのなくなったキョウヘイは、徐々に攻めへとまわっている。 カミツレは、男の力というものになすすべもない。 「やめ、吸わないでぇ」 「しー」 先ほどからにこりと笑いながらも手を休めないキョウヘイ。 彼の勢いがこんなにもあったのかと、カミツレは驚愕する。 手のピストン運動は勢いを増し――。 「だ、駄目!イクぅぅ!」 びしゃあ 純水にも似た潤滑剤が勢いよく漏れだす。 痙攣するカミツレを、キョウヘイは強く抱きしめた。 「手だけでイッちゃうなんて、Hな子だね、カミツレ」 「いやぁ、ひどいわキョウヘイ、わかってやってるでしょ」 いつの間にか名で呼び合う二人。 「じゃ、次はコレだね」 そり立つ肉棒をもたげるキョウヘイ。 「ええ、望むところよ」 強がりだとは分かっている。 でも、そんなカミツレが、キョウヘイにはいとおしい。 第二ラウンドは、もうすぐだ――。 終わり。
444 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/25(水) 20:12:00.51 ID:NcqZRhJi
GJ!
GJ!! 自分から誘っておいて弱気になっちゃうカミツレちゃんおいしいです
サザナミタウンの凄腕トレーナー達に犯されるアイリスおいしいれす
447 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/30(月) 19:41:20.77 ID:kGhJiDDc
サザナミタウンに凄腕トレーナーっていたか?
448 :
名無しさん@ピンキー :2012/07/31(火) 22:14:22.28 ID:9fdUqc6K
ジュジュベさまに命のエキス搾り取られたいお
449 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/02(木) 09:00:05.61 ID:cdJTfISY
>>447 前作からの別荘のジムリ&チャンピオン勢じゃないの?
それはさて置きエロパロ的なポケウッドか…ハメ撮り以外だと
最近ポケウッドに頻発する楽屋荒らし
主に出演者の私物が狙われ、酷い時には着替えや下着が盗まれるらしい
ブロマイド屋さん「いらっしゃいいらっしゃい!
さぁさ、ジュジュベ役のエスパーお姉さんナツメに、最近絶賛ブレイク中のメイちゃんの生写真だよ」
「(コソコソ…)あの、裏メニュー、いいですか?」
「(ニヤリ)…あいよ、着替え用の未使用品は50000、撮影直後の染み付き98000ね」
>>447 亀だが、アニポケの話だと思う
カイリューを助けるために発電所に入ったら、
ジュンサーさんが凄腕トレーナーを集めてカイリューを殺そうとした
ポケウッドでAVを撮るのか
モジャンボ仮面に倒されるキルリアガールとか
451 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/02(木) 10:47:01.78 ID:pUG3FDdz
サトシはアニメでは良いとこ無しで、ssでは出番すら無いって主役としてどうなの?
いらんやろエロパロにあいつは
ワロタw
やる気のない奴の戯言などどうでもいい
455 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/03(金) 00:11:59.60 ID:meN4mfr0
>>449 ポケウッドの巨乳エリートトレーナー♀ちゃんのシミ付きならこだいのうでわを出してもいい
デントとカベルネがお互いのビンテージをテイスティングし合うSSか
>>449 ここに摩天楼で貯めた9000000円があるじゃろ
うろ覚えだが、ルリを観覧車に誘う時の台詞 「キョウヘイ君と会えるの楽しみ……だから じゃあ…… また…… あとでね……!」 依存症かヤンデレの素質を感じさせるよな
>>458 キョウヘイがジュジュベにキスする映画をルリが見たらどうなるんだろうな…
ルリはキョウヘイに一途だから、ファンとの握手会が終わった後無表情で手を洗い続けるんだって誰かが言ってた
461 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/06(月) 07:56:29.47 ID:0KEHOdTz
>>459 「……つまりナツメさんとキスすればキョウヘイくんと間接キスになりますよね(グイッ)」
「こうなることは 2ねんまえから わかってたわ ゆりはすきじゃないけど おあいてしましょう」
私もポケウッドに出れば合法的にキョウヘイくんとキス出来るのね…!
ふたりはライブキャスター越しにキスして、観覧車でキスして、隠れ穴の中でキスして、スカイアローブリッジでキスして、セイガイハシティの水上ペンションでキスして、ホドモエシティの高層ホテルで夜景を見ながらキスしてるよ
464 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/06(月) 19:46:31.81 ID:0KEHOdTz
そして
>>449 の噂を聞きつけ自身のブロマイドと使用済みの下着をキョウヘイの楽屋に仕掛けるルリ
465 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/07(火) 02:17:00.40 ID:43wo9mr2
そこはむしろ近年の流行り的に ルリ「これが…キョウヘイくんの…パンツ……くんかくんか!」で
ルリって誰だ
真珠姫のパートナー
ルリの持ち歌のひとつは「ライブキャスターラヴ」 もしキョウヘイと知り合ってから作られたんなら、甘酸っぱすぎるタイトルだよな……
>>466 キョウヘイの彼女候補で一歩間違ったらヤンデレる女の子
470 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/07(火) 19:03:22.80 ID:43wo9mr2
今更ながらトウコやフウロのあのピッチリしたホットパンツ?って思いっきり下着のライン出るよな つまりパンツのラインがモロバレルなまま歩き回るか、 ラインが出にくいような紐とかTバック的な布面積少なかったり生地が薄かったりする下着を付けてるか 少なくともそのどちらかなのは確定的に明らかな訳だ
はいてないのかもしれないぞ
スカートならパンチラ スパッツや短パンならパンツライン丸出しのロマン つまりポケモンの♀主人公は須くエロいということだ
メイちゃんのssはよ
474 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/08(水) 08:04:05.22 ID:T7Vdr+8S
>>472 リーフとかヒカリとか、あのスカートで自転車とかもうね…
うっかり立ち漕ぎなんてしよう物なら…
>>474 ブルマor見られても恥ずかしくない白パンを穿いてるんだろう
476 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/09(木) 08:00:22.59 ID:+0AYzd5y
>>474 初代のサイクリングロードは急勾配の坂になってるよな?
つまりリーフがあの坂を登るには立ち漕ぎは必須な訳だ
つまり坂の下のスキンヘッズやぼうそうぞくは
「ふぅ…俺今日から真面目に働くわ…」
「ふぅ…俺なんかポケモンリーグ目指しちゃうぜ…」
「ふぅ… ぱんちらの ちからって すげー!!…… 」
477 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/11(土) 00:51:27.32 ID:1+kEpXcH
某所でシズイの海パンの日焼け跡の絶妙なズレ具合に 「しょっちゅう海から飛び上がるからズレてるんじゃね?」とあったが つまり海に行ったシズイのあんちゃんを探しに行ったメイちゃんの前に飛び出したが勢い余って 「とあぉっ!(ズルッ)」 「!?!?!?///」 「お?すまんすまん、ゴムが切れよったわー」 というナチュラルなセクハラが…うーん、ネタにはなってもエロパロに繋げ難いな
メイちゃんカワイイカワイイ、 それより、今日夢でさぁ ルカリオ×メイの夢を見た、とうとうここまでくるとはけど何故かスゲー萌えた。 ゲームのストーリーとは全然違うのに、リクエストがあったらここにかく 多分エロじゃない
今日夢で ルカリオ×メイの夢を見た、 その夢のせいでルカリオ×メイにはまりそう、ヤバい、ゲームのストーリーとは全然違うのに、 リクエストがあったらここに書く、 上から目線ですまん
間違えて2回書いちゃった 本音は前の方
もしかして、誰も居ない?
果報は寝て待て
返事がないただの屍のようだ
BW2が発売されてすっかり出番がなくなった前作主人公ズが嫉妬に狂って今作主人公ズを襲う話マダー?
ごめん、 同じ夢を見ようとして寝てた
pixivではヒュウ×メイが人気だな 女の子の主人公と近所の年上の幼馴染という関係がいいんだと 一方キョウヘイはどマイナー……
オーケー ・メイがルカリオにであう ・メイはルカリオをゲットしょうとする・何度も失敗するけど学校がない日は何時もくる ・ルカリオが段々デレル ・ルカリオがプラズマ団に捕まりそうになる (ルカリオのHPが残り少し) ・その頃メイは何時もの道で誰かにヒールボールを貰う(Nに似ている) ・メイがルカリオを発見。ルカリオにキズ薬を塗るけど嫌がられる ・メイがぶちギレる貰ったヒールボールを投げる ・ルカリオあっさりゲット ・メイ、困りながらもポケセンへ ・何とか無事に回復ルカリオ、少ししょんぼり、メイがルカリオを慰める ・メイ、家族に言うメイの家族は嫌がる何とか今日一日だけ止めてもらう、 メイは家族の反応に怒りながらルカリオと風呂に入る ルカリオは思いっきり嫌がる、メイ、無理矢理入らせようとする、その時ルカリオの手がメイの胸にあたる二人とも静かになるその後はメイの部屋でご飯を食べる。 そのまま寝るここで少しイチャイチャコラする ・次の日メイが学校に行ってる間、メイの姉が、ルカリオを無理矢理ゲットしょうとする、ルカリオ、必死で逃げる 姉はルカリオに腹が立ったのかハサミで自分の手を切る、親に言う、親、激怒 ・メイが帰って来た瞬間、メイ殴られるメイの母親、狂う 私のカワイイ○×に!って何度も叫びながらメイを殴る メイ、ドアの方を見ると、おびえる弟とざまぁみろって言う顔をしながら笑っている姉 メイ、またまたぶちギレる母親を押し倒して腹を蹴る。母親ぶちギレ、そこでメイは「知ってるよ、私、アンタの娘じゃない事、なんならお父さんにバラそうか?」 これで母親、慌てる メイは何も言わずに自分の部屋に行き旅の支度をする メイ、黙って出ていく ・メイ、必死でルカリオを探す、雨が降りだす、ルカリオ、何時もの草むらに居た ・メイ、泣きながらルカリオを抱きしめる。メイ、家族の事情を話す。ルカリオ、戸惑いながらもメイの頭を撫る しばらくすると、メイが倒れる ・またNにそっくりな人に助けられる 、メイ、起きる N、突然このルカリオは君に凄くなついているね、このルカリオは君の事が大好きなようだ、と言うルカリオ、思いっきり照れてる メイ、「ルカリオ、ありがとう」と言いながら、泣き出す 雨が止んだから、Nにそっくりの人にお礼を言って家を出る ここで終わる、よく覚えてない所も沢山ある リクエストがあったら登場人物のスペックとかも書く 分かりずらくてごめん
>>488 キョウヘイくんにはルリというお嫁さんがいるからね。仕方ないね。
え?ルリ自体キョウヘイくん共々どマイナーだって?
きせきラッキーと戦わせるよ?
キョウメイとか書きたいんだけどな、なかなか文才が降りてこないな
女の娘×男の娘か
493 :
??? :2012/08/15(水) 12:42:19.11 ID:1z+G5DQW
「キョウヘイ×ルリこそが至高ですよね! メイとかあのホイーガみたいな頭といい、ヒロインに相応しくないと思います」
ルリってポケドルは激務だし家では弟と妹の世話してるから、病んでそうだしストレスも溜まってるよな そんな日に恋しちゃったもんだから、欲求不満の捌け口とストレス解消のために、キョウヘイを想いながらいっぱい1人えっちしちゃってそう
>>489 ありがとう
でもそれ、恋愛要素より、メイの荒れた家庭環境の方がインパクトあるわww
二人が今までの生活で得られなかった愛を、互いの存在のおかげで初めて
知ることが出来たというイイ話なんだけど、姉・母親のキャラが濃すぎてww
カイリュー、破壊光線!!
メイはヒュウとチュッチュしていればいいってコトネ キョウヘイはルリをお嫁さんに迎えてるから
>>498 ヒュウくんだと思った?残念テツくんでした!
今朝急にヒュウ×メイが降りてきたからここに来た俺はどうしたら
今すぐ書け太郎
>>501 おk、遅筆だから今日明日は難しいかもだが頑張る
504 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/18(土) 00:44:15.94 ID:RIbZceBP
「この板が気になって 2ちゃんの とある趣味板 から来ました ▼
もしもこの板で夢を叶えるなら、 BW2女主人公の 我慢ネタを 書きたいな ▼」
>>500 のヒュウメイにwktkしつつソウリュウジムのギミックで思い付いたメイちゃんネタ投下。本番無し。尿ネタなんで苦手な人は注意。
※ (うう…早く倒れてよぉ……!!) ソウリュウジムへの挑戦中、メイは焦っていた。 ジムリーダー、シャガへの挑戦には例の如くジム内のトレーナーを突破しなければならないのだが、 二人目への挑戦で特に考えも無しに防御重視の方を選んだ結果、予想以上に苦戦し、勝負が長引いているのだ。 相手が粘り強く攻めきれないだけなので、こちらが負けるようなことはまずないだろうが、今この時だけは長引くと困る理由があった。
(ト…トイレ……漏れちゃう……!) 今現在、メイはかなり切羽詰ったレベルで催していた。 一人目のベテラントレーナーを撃破した時点で僅かに自覚はあったのだが、その時には既に次の対戦相手に向けて龍の像が動き出した後だった。 たった一回のバトルの間を我慢出来ない程行きたい訳ではないし、 この勝負が終わったらポケセンでの回復も兼ねてゆっくり行けばいい、簡単な話だと気楽に考えていたのだが……
(うぅぅ……こんなことならおいしいみずなんて飲むんじゃなかった……!) 勝負が長引くにつれ、加速度的にメイの膀胱には余裕が無くなっていった。 毎回ジムの入り口でガイドーから記念に渡されるおいしいみずだが、いつもならとりあえずバッグにしまうそれを今回に限って、 強敵と言われるシャガに挑む景気付けとばかりにあろうことかその場で一気飲みしてしまったのだ。 キンキンによく冷えたおいしいみずはとても美味しかったが、それがまさかこんな形で自分を追い詰める羽目になろうとは。
(ま、またみがわり……!?) まもるで粘られ、防御重視という割には高過ぎるオノンドの攻撃や、いばるの自滅で受けたダメージの回復に気を取られている内に、 またもやみがわりを出されてしまった。今回ばかりはあのトボけたぬいぐるみが憎らしくてしょうがない。 (14歳にもなってお漏らしなんて絶対にやだ!早く、早く…!あと少しなのに……!) 相手の手持ちは僅か2体。一体目のオノンドはもう一息で倒せるはずだが、そのもう一息が中々決めきれない。
正直今すぐにでも足元のパネルを押して降りて行きたいが、このジムの仕掛けはチャレンジャーに課せられるルール及び安全性の都合から、 バトル中は龍の頭の昇降パネルがロックされ、反応しないようになっている。 つまり勝つにしろ負けるにしろ一度バトルを始めてしまったら勝負が付くまで降りられないのだ。 いっそのこと降参してしまおうかとも思ったが、たとえ降参でも負けは負け、決して安くない金額の賞金を提出しなければならない。
それに「トイレに行きたいので降参します」などと言い出すのは、 ここまで6つのバッジを揃えて来たトレーナーとして、そして何より年頃の女の子にとっては耐え難い屈辱である。 「もぅ、いい加減にしてぇ!!」 いよいよ考える余裕も無くなってきたメイはヤケクソ気味にダイケンキに交代し、念の為に覚えさせておいたふぶきを連発させる。 ドラゴンタイプには効果覿面だ。
が。 「あーもぅ、なんで当たんないのーっ!?」 こんな時に限って当たらない。命中率70%を今ほど恨めしいと思ったことは無かった。 「当たってよ…!サブウェイじゃあるまいし…!……はうぅっ!!?」 メイの焦りが伝播したかのように狙いの外れたふぶきがこちら側の足元に当たり、その余波のこごえるかぜがメイに吹き付ける。 (つ、冷た…!余計に我慢が……!うぅ〜〜〜!!) 足をトントンさせ、小刻みに跳ねるようにして必死に我慢する。
「集中が乱れているようね。それではシャガさんはおろか私にも勝てないわよ!」 目の前では暖かそうなコートを羽織った女性のベテラントレーナー、タツミがこちらの焦りを見抜いたかのように発破をかけてくるが、こっちはそれどころではない。 (だ、だから…集中、したいんだけど…もういいから早く倒されてよぉ…!)
―――守りを固めて持久戦に持ち込む戦法にはね、 ポケモンだけでなく相手トレーナーの焦りや疲弊による集中力や判断力の低下を狙う意味合いもあるんだよ――― こんな時に何故かトレーナーズスクールでチェレンが語っていた講義の内容が思い起こされた。 相手はこっちの事情など知りはしないだろうが、追い込まれたメイには相手が分かっててわざとやってるのではないかとすら思えてくる。 と、祈るように指示したふぶきがようやく命中し、オノンドを戦闘不能にした。 「やった!あと一体!!――――あ」
チョロ… 「!?……〜〜〜〜〜//////!!!」 電光石火の速さで前を押さえる。 (ち…ちょっと出ちゃった……!?〜〜もうヤダぁ…!) てこずったオノンドを倒してあと一体、というところでほんの一瞬気が緩み、少し、本当に少しだけだがパンツを濡らしてしまった。 暖かい、濡れた感覚が広がるの股間に感じ、メイは血の気が引くわすぐまた頭に血が上るわの混乱状態に陥る。
(だめダメ駄目!!お願いもうちょっと待って!もうすぐ勝てそうなの!勝てるの!!あと少しだから!!!) 思わず股間を押さえて前かがみになったメイにタツミが怪訝そうな表情を向け、慌てて手を離し平静を装う。 幸いパンツまでで止まったのでキュロットに染み出してはいない。外から見ただけでは気付かれることは無いだろう。 (……も、もう、最悪パンツは諦めるしかないかも……うぅ、なんで今日に限ってお気に入りのやつ穿いて来ちゃったんだろ……)
とにかくあと一体だ。もう少しの辛抱、あと一頑張りでこの苦しみから解放される。何がなんでも乗り切らなければ…。 ―――数分後。 「か…勝ったぁ〜〜!!!」 ラスト一体と覚悟を決めたメイの最後の力を振り絞った攻めにより、今までの苦戦が嘘のような短時間で決着はついた。 バトルの終了が確認され、足元の昇降パネルに再び光が点る。 実際には試合開始から一時間も経っていないはずだが、もう丸一日見ていなかったようにさえ思える、メイにとっては何より待ちわびた勝利の証だった。
辛く長い、苦しい戦いにメイは勝利したのだ。 「負けたわ…あれだけの守りを突き崩すなんて。最後の方はまさに鬼気迫る怒涛の攻めだったわね。 貴方ならきっとシャガさんの元へ辿り着けるはず。――で次の相手だけど、この上のトレーナーは右が… 「ごめんなさいポケモンセンターに行って来ますっ!!!」 言うが早いか、タツミの台詞を遮ってメイは分岐点に戻る「→」のパネルを踏んだ。鈍い駆動音を立てて龍の首が下がり始める。
「そ、そう?まぁ大分PPも少なくなっているでしょうし、説明はまた後でも…」 遠くなっていくタツミの台詞はもう耳に入っていなかった。 最後の一体はすぐ倒せたとはいえ、もう我慢も限界に近い。もし次の波が来たら今度はキュロットも無事では済まないだろう。 いや、そのまま決壊するかも知れない。もういつ漏らしてもおかしくなかった。
(下に下りたら、急いで外に出て、自転車…ううん、揺れるから自転車はダメ、ちょっと遅いけど走っていこう… で、真っ直ぐにポケセンに行って、すぐにトイレに入る!大丈夫、絶対間に合う!みんなごめん、その後でちゃんと回復するから!) 「早く降りて…早く…っ!」 今のメイには決して遅くは無い龍の像の動きですら鈍く感じられる。もう飛び降りでもしたい気分だった。ようやく中央の分岐点に着き、一旦龍の首が停止する。 (よし、後は下に降りていくだけ!) 「↓」のパネルを踏んで置けばジムの入り口まですぐだ。
「は、早くもう一回押さなきゃ。よいしょっ、っと、わわっ!」 石像が動いている間も、振動を耐えるよう内股でかがみ気味だった体勢から「↓」のパネルを踏もうとして、思わず足がもつれてしまう。 ――今転んだりしたら間違いなく衝撃で漏らしてしまう! メイは危うく転びそうになった体を根性で捻ってもう片方の足を踏み出し、なんとか踏ん張って転倒を回避した。 カチッ 「ふぅ、危な……へ?」
グゴゴゴゴ… ・・・・・・・ 足元から聞き覚えのある音が響いたかと思うと、再び鈍い音を立てて足場が動き出す。左側に向かって。 「あ、え?なんで、え?ちょ、ちょっと待って、ねぇ…!」 足元を見ると、踏ん張るために踏み出した足が見事に「←」のパネルの真ん中を踏んでいた。 「ま、待って違うの、これは押したんじゃなくて、あのっ、そのっ、ねぇ!!」 言ったところで像が聞いてくれるはずもなく、ただパネルの入力に従って動くだけである。 そうしてついさっきまで死闘を繰り広げたタツミが見える位置まで来るとグイッと後退。絶叫マシンのレールのような「捻り」を付けて後ろに引く。 そう、この龍の像、戻るときは緩やかだが、トレーナーの前に移動する際は……
「…パネル押し間違えちゃったかしら?皆結構やるのよね〜私達も下に降りる時は時々…」 「…………」 まるでスローモーションのように周囲の風景がゆっくりに見える。 こちらの事態を察したらしく向こう側で微笑ましげに笑うタツミを、メイはまるでどこか遠くの世界のことのように見ていた。 メイは彼女に向かってどこか吹っ切れたような引きつった笑顔を向け、―――歯を食いしばった。 せめてもの「わるあがき」に、スカートを掴んだ拳をギュッと力一杯握り締め、そして。 ズ ド ン ! ! ! こうかばつぐんの、「ダメおし」が決まった―――。
――ソウリュウジムは元々トレーナー数が少なく、更に龍の像に合わせ上下左右に分かれて配置されているので、 基本的に各トレーナーは自分の持ち場にいる間、他の場所の様子を知ることは無い。 挑戦者の姿を見るのも、自分と闘う為に真正面に来たその時だけだ。 それに上の方に登っていれば、もう入り口にいるガイドーの位置からは挑戦者がどうなっているかなんて分かるはずもない。 (まぁどれも本当のことではあるんだけど。……どう声をかけようかしら……) タツミはその「真正面に来た挑戦者」にかける言葉を、己の戦法のようにじっくりと考えようとしたが――当分、見つかりそうもない。 ○月×日、ソウリュウジム まるで挑戦者の悲哀を物語るかのように、白い龍の頭部からは金色の涙が溢れ、キラキラと降り注いでいた。
終わり
PCのプロバイダがかれこれ一年近く規制されっぱなんで携帯に取っておいたのをちまちまと。
携帯からのカキコで一回の文章量間違えました。
レス数半分ぐらいに出来たかな…つーかロダに挙げれば良かったのか…色々gdって申し訳ない
>>500 さんのヒュウメイ楽しみにしてます
乙wwwせっぱつまった感じが伝わってきて面白かったwwww
(*´Д`)乙 しかし貯水ポケモンに吸わせるという手もあったのでは
527 :
504 :2012/08/18(土) 02:21:21.50 ID:RIbZceBP
>>526 >ちょすいに吸わせる
ググればログまとめか何かで見つかるかと思いますが、
以前単発で立ったおしっこ我慢シチュのイラスト板にポケモンネタ描いてくれた人がいました
絵柄も中々可愛かったんですが、そのシチュが
本を出してサイン会まで開いちゃうカリスマなアロマなお姉さんがスケジュールの都合で中々トイレに行けない
→追い詰められたお姉さんが近くにいたエルフーンを捕まえ、休憩所でこっそり綿毛におしっこを吸わせようとする
という中々クるシチュでした
>>527 VIPで見たかも
確かおしっこ我慢してたけどトイレ間近まで来た所で漏らしてしまったFR女主人公もあったと思う。
529 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/18(土) 02:48:17.20 ID:RIbZceBP
>>528 あ、そっちは知らないですね
VIPか…探せばまだログあるかな
>>524 乙。
尿我慢好きにとっては最高でした 早く規制が解除されるといいんだが
>>528 のFR・LG♀は最終的に・・・
BW2ランダムマッチでBWを相手にするときトウヤから発せられる強者のオーラは一体何なのか
>>526 貯水もいいが呼び水ポケもなかなかだぞ
トリトドンやユレイドルといった萌えポケが揃ってるからな
女キャラと合わせて絵になる
532 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/18(土) 20:29:21.52 ID:RIbZceBP
とくせい:よびみず(エロパロ) ちかくにいる おんなのこは きゅうにトイレにいきたくなる また、「がまん」が うまく きまらなくなる
533 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/19(日) 08:34:22.13 ID:Z6vI/4pX
以前から「ポケモンのわざってエロいよな?」的なネタスレがたま〜に立ったりしてたが、 その「よびみず」みたいにおもらしネタに使えそうなわざやとくせいも案外多そうだな 初代のポケモンタワーからBW2のストレンジャーハウスまでの心霊スポットと併せれば夏の風物詩の恐怖失禁シチュもイケるで!
お待たせの、早く書け太郎こと
>>500 です。やったー書けたよー
・ヒュウ×メイ。タイトル通り本番は書いてない。しかし無駄に長い
・ポケウッド万能説。自分がまだ楽屋に入れる所まで進めてないのでおかしいところあるかも
・キョウヘイがレギンス男子だからメイもレギンス。Not黒タイツ
・投稿は実は2回目なんだぜ!慣れてなくてスマン
突如鳴ったライブキャスター。受話器越しに、幼馴染の女の子の慌てふためいた様子が伝わってくる。 「わかったッ!ポケウッドスタジオだな。すぐ行くから待ってろッ!」 具体的な状況は何一つわからない。それでも自分を支え助けてくれた大切な人―――メイのピンチに、ヒュウが向かわないわけがなかった。 ヒュウがポケウッドに来たのは久しぶり、かつ片手で数えられる程度だ。強いトレーナーや珍しいポケモンがいるわけでもなく、プラズマ団の情報も集まらない場所だったからだ。 スタジオ受付で呼び止められ、メイの名前を告げると受付嬢は確認いたします、と内線電話をかけた。 「メイさん、お客様が…。はい、そうです。…了解です、お通しします」 教えられた通りにメイの「楽屋」へ急ぐ。 『ポケウッドの新進気鋭女優』というメイの肩書は、本人や周りから聞いたことがあるが、まさか個別の楽屋を持つまでとは知らなかった。その楽屋の前に着いた。一呼吸ついて、ノックと共に声をかける。 「メイッ!オレだ、入るぞ!」 「あ!ヒュウ!!もう来たの?」 先程の電話とうって変わって、やや落ち着いた声と共にドアが開く。少し冷静になったようだ。 「…来たの、とか何だよ」 「ゴメン…こんなに早いとか思ってなくて…」 入って、と促され入ったそこは、ヒュウが思っていたより広く、贈り物の花やきらびやかな衣装、本棚にぎっしり詰まった台本と、まさに「違う世界」を感じさせた。 「まさかオマエがスターとはな…」 「うーん、気付いたらこんなことに、って感じ?運がよかったんだよ。でも…」 メイがちらりとテーブルに視線を落とす。一冊の本―おそらく台本だろう―がある。 「ついに来る時が来た…のかな?」 「詳しいこと聞いてなかったが、コレに何かあるのか?」 「…うん…ついさっきスタジオに置いてあったのを持ってきたんだけど…」 問題のページを開いて見せた。 「…ッ!?こ、これって…えッ!?」 いわゆる、ラブシーン、ベッドシーンが載っていた。TV放映されたら一瞬でお茶の間がフリーズボルトコールドフレアするレベルの。
ヒュウは台本とメイとを見比べる。映画の主演を張れる程度のかわいらしい顔立ち。年相応に発育しつつ、普段トレーナーとして歩き回っているため華奢な身体。普段はほんわかした、だがいざという時はポケモンを守り戦い抜く気迫。 こんな女の子が、そんなシーンを、どんな大スクリーンで。 「(観たい…じゃないッ!)だ、ダメだダメッ!オマエこんなの、出演する気あるのかッ!?」 お兄ちゃんは許しません!とヒュウが詰め寄るが、メイは煮え切らない様子だ。 「でも…せっかく『ピッタリの台本が出来た』ってウッドウさんが言うし、あ、ウッドウさんていうのはポケウッドのオーナーで… じゃなくて、何より映画って色んな人が協力して精一杯作り上げてるんだよ。あたし一人のワガママで撮影出来ないなんて申し訳ないよ…」 「……」 つい最近までうらやましそうに、一足先にポケモントレーナーになったヒュウを見つめていたメイではない。 彼女はすでに「ポケウッド女優」なのだ。 「でも、あたしやっぱり…あんまり知らない人と、その、こういうこと…そもそもやったこと、無いし!」 「…知ってるヤツなら、いいのか?」 「え?」 「穴開けるわけにいかないって言うなら、オレが練習相手になってやるよ」 「ええっ!!?」 誰とも知らない男が、メイに触れるなんて怒りすらこみ上げてくる。 「う〜ん…わかった。プラズマ団の事件の時も『助けろよなッ!』って言ってあたしに頼ってばっかだったもんね。『おんがえし』ってワケね」 「え、いや…そういう意味じゃ…」 「よし!リハーサルよ!」 どうしてこんな天然がチャンピオンだの女優だの何だのやれるんだろう。伝説に認められる人間は何か違うということだろうか。
「よしッ、シーン1…キスシーンか」 「ヒロインから激しいキスを…え!?あたしから!!?」 思わず顔を見合わせるメイとヒュウ。 「女優から、か。仕方ない、来いよ」 「うっ……」 さすがにシーンの頭から自慢のアドリブを飛ばす訳にはいかない。 しばらく逡巡したメイは、ためらいがちにヒュウへ顔を近付け、一瞬だけ唇を合わせる。 「ッ…!」 「んっ!?…ふっ、んうっ!」 ただ触れただけのキスに我慢が出来なくなったヒュウは、 舌をメイの口内に滑り込ませる。 初めての柔らかさと暖かさに、夢中で掻き回した。 「んーっ!んんーっ!」 苦しそうな声と引き剥がそうとハリーセン頭をつかむ手で、ヒュウはようやく顔を離す。 「悪い…いきなりこんな…」 「うう…びっくりしたぁ…今の、何…?」 息を荒く吐きながら、唇の端からこぼれた唾液を拭うメイ。涙目の姿に欲望が煽られる。 「…激しいキスってのは今みたいのを言うんだ。ほら、お手本示したんだからやってみろよ」 「え!?今のを!!?」 「オマエが気持ちいいようにすれば大丈夫だろ」 「うー…」 よくわからない、と言いながらメイは優しく唇を寄せる。 ゆっくりと舌が絡み合った。 「ん…ふう、あ、ん…」 「…ん、ッ…」 鼻から抜ける息が、段々甘い声に変わる。 「は……」 唇を離した瞬間漏れた息が、どちらのものかもわからない。
「メイ、オマエ上手いな…ホントに初めてか?」 「初めてだよ!…ヒュウがアドバイスくれたから、かな?」 メイは恥ずかしそうに身体を離し、再び台本を見る。 「次いこ!シーン2、『ベッドで…?…ぎ声?を上げるヒロイン』」 「読めないのかよッ」 喘ぎ声、だった。 「あえ、ぎ…?」 「…つまり、エロい声だ」 メイの顔が驚愕に揺れる。 「だ、出せないよそんなの!」 「じゃ出させてやるッ!」 「ぎゃー!痛い痛い!」 さっきまでの甘い空気はどこへやら、服の上から胸をまさぐるとメイは悲鳴を上げた。 「もっと色気のある声が出せないのかッ!?」 「だって…膨らみかけだから、痛いの…」 「そ、そうなのか。じゃあ」 ヒュウが黄色いキュロットに手を潜り込ませた。レギンスごしに撫でさする。 「いやぁ!!ヒュウのエッチスケベ変態チカン犯罪者ぁー!!」 「こっちはオマエのためにやってるんだッ!おとなしくしてろッ!」 「だって…あ、う」 ぎゅっと目をつぶって耐える。さっきのキスから違和感を感じている場所を執拗に触られ、頭がぼんやりしてくる。 「んん…やぁ…そこ、もうダメぇ…」 「ほら、そういう声だよ」 「くっ…」 自分が『声』を出しているのが信じられなくて恥ずかしくて、メイは唇を噛み締め我慢する。 「練習にならねーだろ」 一瞬手が引き抜かれ、再びキュロットの中に消える。今度はレギンスごしでない、肌と下着の間だ。 「きゃあっ!あ、あっ?」 「…はは、濡れてる」 「ち、違うもん!これは…汗だよ!…多分。」 とっさに否定したが、汗とは違う熱く湿った感覚はわかっていた。 「ふーん、そっか、タブンネか」 いたずらな手は止まらない。ずっと敏感な部分を弄り続ける。メイはただヒュウにしがみつき、未知の感覚と戦うしかなかった。 「あん、やだ、もうこんな、ゆるしあぁっ、はぁん」 もう立っていられない。メイの身体がずるりと崩れ落ちた。 「はぁっ…もう、もうムリぃ…」 「こらッ、しっかりしろ。…今日は、これでカンベンしてやるから」 ヒュウがすっかり力の抜けたメイのキュロットと下着をずり下げ、床に横たえた。
「んっ、うちゅ、はむっ」 「はッ、そう、先っぽ吸って…う…」 二人は横向きに抱き合いながら、お互いの股間に顔をうずめている。 最後までしてしまったら、メイをただ悲しませるだけな気がした。怖くなって、それでも欲望の収まりがつかないから、こんな形になってしまった。 「オマエの舌、サイコーだな…ん…」 「はひぃっ、指、やめてっ!こんなの、台本に…あぁん!」 「大丈夫、必ず気持ちよくするから。だから、頼むッ…」 メイの脚と膣内が小刻みに震えている。ヒュウもその姿に限界を迎える。 「やっ、あっ、ああっ、も、ひぐっ、や、あああーーーっ!」 「くッ…!あ、は…」 熱いものが溢れ、お互いの顔を汚した。 「ん…あれ…?ヒュウ…?」 「お、起きたか」 ソファに寝かされていたのに気付き、メイがやや混乱した様子で辺りを見る。 「…服着ろよ。あと一応拭いといたけど顔洗っとけ」 「え?ああっ!!」 上はそのままだし下着は履いているが、レギンスとキュロットは床に投げ出されたままで、さっき起きたことが蘇ってくる。メイは真っ赤な顔で慌てて服をかき集めた。 「もうっ!ヒュウのバカバカ!最低!エロ魔人!」 「…いいかげんにしないと、オレは今から怒るぜッ…」 「あー、もう最後どうなったかわかんないし!」 「盛大にイってたぜ」 「…ああそうですー!変態お兄ちゃんにエッチな声言わされてましたー!」 「そっちの言ったじゃなくてだな…」 逆ギレしながら服を整え、洗顔も終えると、メイが言った。 「…あたし、この映画出たくない…」 「は?オマエさっき、出なきゃならないとか何とか」 「…あんな姿、誰にも見られたくないの…」 「…ッ!…ごめんな、ムリヤリ、オレ…」 メイが首を横に振る。 「ヒュウがキレるとイキオイだけで突っ走るクセ、知ってるもん。さて、台本返してくる!…せめて、このシーンはカットしてもらうよう頼んでくるね!」 戻るの遅かったら帰っていいから、とやけに明るく言ってメイが楽屋を出ていく。残されたヒュウは、このまま待つことにした。 (もし、撮影続行なら、このまま抱く) 思ったよりずっと早く、メイは戻ってきた。移動を考えても10分かかっていない。 「どうなったッ!」 「…ゴメン」 ヒュウの顔から表情が消えた。握りしめた手に汗がにじむ。唾を飲み込み、まずはメイの唇を塞ごうと――― 「あたし、台本間違えて持ってきてた!」 「な…ッ?」 「んーと、あの台本は別の役者さんに渡すためにたまたまスタジオにあって、それをあたしが自分の新作と思って…最初にスタッフに聞かなかったあたしが悪いの!…い、怒って、る?」 「怒る以前の問題だッ……」 よくよく冷静になって考えてみたらメイにベッドシーンは年齢的にアウトだ。そんなもの撮影できるわけがない、とスタッフに笑われたと言う 「やっぱ、冷静さ、大事だな…」 ヒュウがきれいな抜け殻よりカッスカスになってしまった。膝をついてうなだれる。 「だ、大丈夫だよ!リハーサルは無事できたわけだから…」 メイが抱き締めてきた。驚いてヒュウが顔を上げると、唇を舐めるようなキスが来た。 「…それに、キスって演技じゃなく好きな人とするのがいいと思うの!これからはいつでも、ヒュウとならラブシーンしてあげる!」 おしまい。
GJ! ヒュウメイは安定してかわいいな
GJ! ヒュウの近所のお兄ちゃんってポジションいいなぁ
ふとアカネがパイズリする話を書きたくなったのだが相手は誰にしたらいいかな スタンダードにHGSS主かそれともイッシュで知り合ったBW主か はたまた全くの別キャラか……意見求む
545 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/22(水) 11:12:20.29 ID:GGUSS68a
>>544 是非bw2主人公でお願いしたい。PWTで対戦して知り合いになる感じで。
アカネっておねショタ属性ありますよね
546 :
名無しさん@ピンキー :2012/08/22(水) 12:27:06.65 ID:BSl4aLU4
>>544 なんとなくマツバさん、時点でツクシくん
前者ならいちゃラブご奉仕系、後者なら年下を責める系のシチュで
やっとホワイト2買えたんだけど エロっつーか萌え的には主人公は男と女どっち選ぶべきなの?
>>547 男主人公にすればルリちゃんに会えたり映画でエリトレ♀とラブコメしたりナツメさまとキス出来るよ。
女の子選ぶと出会い厨につきまとわれるわナツミが再登場するわと男のパラダイスだよ
550 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 13:53:43.00 ID:nfCEBrlZ
久しぶりに投稿してみようと思います。 注意。ちょい凌辱。オリキャラ一人、と言っても名前もないですが。 以前、アドバイスしていただいたには感謝を至らぬ点あればまたご指摘ください。
551 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 13:55:05.21 ID:nfCEBrlZ
ジムリーダーにはもう一つの顔がある。 ブリーダー。軍人。研究者。時には悪の首領。ポケモンのエキスパートたる彼らとて一人一人が人生を持ち、苦悩し、努力しつづけている。 セキチクのジムリーダーたるアンズもその一人だった。彼女は幼いころより父から厳しい修行を課せられたことにより、ある一つの技能を身に付けていた。 忍者。それが彼女の持つもう一つの顔だった。 闇から闇へと飛ぶ。 アンズはあるクライアントより頼まれた尾行を行っていた。ターゲットは一人。闇夜を一人歩く金髪の男だ。 夜ゆえだろうかあたりには人がいない。男は何をしているのかただ一人街中を歩いている。アンズは細心の注意を払いつつ尾行を続けた。 実のところアンズは男の正体も目的も知らなかった。昔からのクライアントに「つけてくれ」と頼まれたのだ。だがアンズにとってそんなことはどうでもよかった。忍者に思想信条は必要ない。父から教えられたことだ。 ただ仕事をすればいい。そうアンズは思っていた。 「……」 だがいささか今回の仕事は退屈だった。男はだらだらと街中を何度も周回するだけで、特に何をするでもなく歩いている。尾行を警戒している様子もなく。ともすれば散歩に見えないこともない。 だがえらく時間が長い。アンズは尾行を夕方から行い、今、夜の12時を過ぎようとしていた。もちろんその間、男は歩き続けたわけではなく。たまに公園のベンチに座り込んだりカフェに入ったりもした。 だが何もない。何もしないのだ。 「……?」 さすがのアンズにも疑問符が頭に浮かんだ。一瞬、尾行対象自体を間違えたのかと思ってしまったほどだ。 彼女は油断していた。足元でパキリと小さな音が鳴った。単に小枝を踏んだだけである。 その「単に」は大きくつくことになるがアンズは音に気付きつつも無視した。
552 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 13:57:16.53 ID:nfCEBrlZ
午前1時。相変わらず男はぐるぐると街中を回っている。アンズの心は徒労感でいっぱいになっていた。もういいかな。そんな忍者にあるまじき言葉まで生まれている。 急に男が道を変えた。それは男がいままで行かなかった道だった。 アンズは喜悦した。やっと進展がみられそうである。 男はゆっくりとした足取りで街中を歩いて行った。時には自販機でおいしい水を買って立ち止まり。アンズをいらいらさせた。 彼女は己が喜悦たり苛々したりしていることを「あたりまえ」に受け止めていた。疲労と自分の行動の意義が分からない徒労感からくる 一種の思考停止と言っていいだろう。もちろん彼女は思考していると思っている。 だが自分の行動を客観的にみられないのはもはや「思考している」とはいえない、ただ感じているだけだ。 やっと男が歩き出す。それに合わせてアンズも動く。すでにアンズに行動の主導権はない。彼女も気づかない。 男がある廃工場の前で立ち止まり、これ見よがしにあたりを確認すると。警戒しながら中に入って行った。 アンズも後を追う、しばらく廃工場の入り口を観察してその屋根に飛び乗った。 見事と言っていい。トタン屋根が音ひとつ立てず彼女を受け入れたのだから。 アンズはボロボロのトタン屋根に穴がないか探した、中をのぞくためだ。しかし、以外にも穴はない。 代わりに一つ窓があった。ガラスはなく縁は錆びついている。 アンズはそこから中を覗いた。薄暗い工場の中に一点だけ明るい区画があった。 あそこに男がいる。姿は見えないが、アンズそう確信した。 アンズは音を立てないよう注意しながらも、窓から侵入した。 奇襲。突如アンズの顔に粉が降りかかってきた。毒、そうアンズは判断した。 アンズは素早く奥歯に仕込んだ「なんでもなおし」の効果を持つ解毒薬のカプセルを噛む。タイムラグはない。瞬間、神速の速さで体制を建て直し。視界の端にいる「男」を確認する。 「きさまあああああああああああああ」 アンズは咆哮し男に殴りかかった。心の底から「いかり」が湧いてくる。 アンズは男の前で何かに阻まれた、じたばたと体を動かすが「何か」がさらに強く彼女を束縛する。 「はなせえ。はなせえええ」 「聞くでしょ?『いかりのこな』は、効かないもんねぇ薬。自分から『クモの巣』に向かってくる程度にはさ」
553 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 13:58:33.41 ID:nfCEBrlZ
話を聞く様子のないアンズに男は語りかけた。傍らには「いかりのこな」の技主だろうかワタッコがいた。男は独り言のように続ける。 「疲れたでしょ。7時間くらいの尾行はさ。君全然休まないからびっくりしたよ、ついさっき小枝折ってくれた時はうれしかった。やっと油断してくれたんだってさ」 「な、なにお」 いかりの形相でアンズは男を睨んだ。だが顔の端に不安がにじんでいた。この男は最初から気づいていたのだ。あの長い尾行も自分を疲れさせるものだったという。事実アンズは男の術中にはまった。 カサリと音が鳴る。アンズが上を見るとクモの糸の先にイトマルがいた。アンズは必死に悲鳴をかみ殺した。腰にポケモンのボールはあるが、取り出せそうにはない。すでに「いかり」はとけている。 「イトマル。両手足を念入りに縛れ」 イトマルは男の声に呼応して動き。アンズの片手片手を念入りに「クモの巣」に括り付ける。両足も同様だった。アンズの心に焦燥が生まれた。 「俺、君とポケモンバトルしても勝てそうにないから。没収ね」 男はアンズの帯に括り付けたモンスターボールをひょいひょいと取り上げて。ワタッコの口に入れると、ワタッコをボールに戻した。鍛え上げたポケモンたちもこうなっては手も足も出ない。 「ちょっと多いけどワタッコの『持ち物』をボールにしてみたよ。ん?意外に平気そうな顔してるね、君」 どうしよう、どうしよう。と少女らしい迷いを飲み込んで、精一杯平静「そう」に顔色を保った。 「あたいはなにもしゃべらないよ」 不安を押し隠しアンズは男の目を見て言い切る。男の顔は柔和そのもので、口の端に出ている笑みはいやらしいというより自然といっていい。少なくともアンズにはそう見えた。 「そ」 男は笑顔のまま。アンズの帯を掴んで、一気に引き抜く。 「……⁉」 当然、アンズの袴は支えを失ってずり落ちる。イトマルの糸で多少開脚した格好のためか膝の上で止まった。白い腿とピンク色のパンツが露わになる。「忍者」とするには少々、綺麗すぎるほど傷一つない肢体。 多少のフリルをあしらったパンツ。男は笑みを崩すことなく、いや一切の表情を変えることなくそれを見た。 アンズは恥ずかしさで腰をくねらせる。いつの間にか泣き出しそう顔をしていた。だがイトマルの糸が下半身を隠すことを許さない。むしろ膝の上で止まっていた袴がわずかに下へ落ちた。 結局のところ彼女は未熟だった。男の策略の感知も、自己の精神支配もできないほどに。 「おかしいなあ」 男は頭をかいてまじまじとアンズの下半身を見た。むにと腿を掴む。そのままなぞるように指を這わせる。 「ぃゃ」 アンズは顔を赤くして、反射的に声を出した。男の指は冷たく、不快感が彼女を襲う。男はアンズの顔をじっと見つめた。 男はアンズの袴の縁に手をかけて足首までずりおろす。無理に下した為、びりびりと音を立てて袴は破れた。着ているというよりひっかかっているといっていい。 忍者という職業柄、日に当たっていないからか、彼女の白雪のような肌が月明かりに映える。 「あーなるほど。ここにいれていたんだね」 男はアンズ自身よりアンズの着ていた袴の残骸に興味を示した。袴の裏側にはクナイや「道具」が仕込んであった。男は手早くそれらを回収すると。自分のコートにしまった。男の目的はそれだった。 アンズはこの期に及んでまだ目の前の現実が信じることができない。簡単と高をくくっていた依頼に失敗し、しかもいとも簡単に捕まってしまった。屈辱感と羞恥心の綯交ぜになった心を制御できず、彼女の目から大粒の涙が流れた。 アンズのパンツの中に男の手が入る。 「やめて!」 男はひとしきりパンツの中を探った後。彼女の「中に」手を入れてきた。後ろも前もである。男は「中で」指をくねらせ、折り曲げ、刺激する。 「ゃあ」 ビクンとアンズの体が跳ね、口から色っぽい声を出した。男の手はひんやりしてる。男はそんなアンズを無視しつつ「行為」をつづけた。アンズのパンツがじんわりと湿る。男は気にしない、存外に優しい手付きではある。 「ここには仕掛けなしか……」
554 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 13:59:44.92 ID:nfCEBrlZ
男は手を抜くと笑顔のまま、つまらなそうに言った。アンズは肩を上下させて、まるで愛玩動物のような目で男を見た。敵意は彼女のなかにある、だがそれをみせることに彼女は怯えていた。それが表情に現れたのだ。 アンズのころころ変わる表情と対照的に男の笑顔は変わらない。 「……じゃあ、そろそろ君の依頼者について話してもらおうかな」 「あ、あたいはしゃべらない。ぜ、ぜったいしゃべるもんか」 アンズは目をつむり声を張り上げる。まさに「必死」であった。 「そ」 男が言い、手を上げると。イトマルが糸を切った。 「いた」 拘束を解かれアンズは地面にしりもちをつく。壁との接点をイトマルに切られた糸はアンズを自由にしたが、かといって粘着力を失ったわけではなくアンズの足に絡まった糸はいまだ彼女の行動を阻害している。 「ひっ」 イトマルがアンズの前に降りた。彼女には対抗する力がない。ポケモンも道具も男に奪われていた。かつてない危機、それが今の状況である。 イトマルがアンズにとびかかり押し倒す。アンズは小さく悲鳴を上げ仰向けに倒された。 そのままイトマルはアンズの右腕を糸で括り横に広げる。 「じゃ、左手もね」 男は腰からモンスターボールを取り出して開閉する。一瞬の光からもう一匹のイトマルが姿を現す。もう一匹のイトマルは右腕と同じように左腕を拘束して横に広げる。 ちょうどはりつけにされたようにアンズはなった。男はアンズの腿に腰を落として、両足の動きを封じる。 アンズはもはや思考すら組み立てることができない。危機。それだけはわかる。 「……おとなしく口を割ってくれたらいいと思うけど」 「やだ、絶対しゃべらない」 男は奥に表情を変えることなく。つまり笑顔のままでクナイを取り出した。先ほどアンズから取り上げたものである。 「……ああ……」 ここで終わるのか。アンズは自分のクナイの放つ鈍い光を絶望とともに見た。謝りたい、謝ればこの男は許してくれるかもしれない。しゃべりたい、クライアントを明かせば自分に価値はない。助かるかもしれない。 だが彼女はそれを許容しない。それをすれば彼女は二度と「彼女」足りえない。修行で培った倫理が誇り高い父の姿が彼女の最後の砦だった。 「や……やりぇ」 恐怖で喉が引きつる。「やれ」の一言すら満足にいえない。だが彼女は言った。最後の矜持、誇りそれを心の葛藤から守りきった。滂沱の涙を流す両目には強い光があった。 しかし、男はそんなアンズの決意をあざ笑うかのようにアンズの黒のシャツにクナイを入れる。 「なっ」 アンズは男の行動に狼狽した。男は手慣れた様子でクナイを彼女の首元まで走らせてクナイを仕舞う。さらに服の切れ目に手を入れて男は服を広げた。中には少しほつれた網のシャツとかわいらしいリボンのついたブラジャーが見えた。 男はまたクナイを取り出した。仮にアンズに何らかの反撃の手段がありクナイを取り返されたら面倒だった。ゆえに男は油断なく奪われないように心を砕きいちいちアンズの手の範囲の外にしまったのだ。男はその表情とは違い一切の驕りを持っていない。 男は網シャツの上からブラジャーの接合部分をつまんで持ち上げた。 「しゃべった方がいいよ」 アンズは顔をぶんぶんと横に振り拒否する。 男は接合部分にクナイを入れて切り裂く。同時に網シャツも切り裂いた。 ポンとブラジャーが左右に開かれた。同時にアンズの両胸も圧迫を失い、わずかに振れて露わになった。まんじゅうのように小ぶりの乳房にピンク色の突起。 「そろそろ、しゃべりたいんじゃないか」
555 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 14:01:14.99 ID:nfCEBrlZ
男は優しい声でアンズに言った。アンズは顔を真っ赤にして男をみた。しゃべりたい、許しを請いたい、もう帰りたい。 (こ、こんなの嘘だ。夢、夢がいい、夢がいい。覚めて、覚めてええ) 男はアンズの胸を掴んで揉んだ。 「意外に固いなあ」 優しげな手つきで、男は揉む。ちょうど男の手のひらに入る程度の大きさだった。 アンズは黙って顔を背けて。歯を食いしばる。 男は気にせずに揉み続け。時には乳首を刺激した。だんだんとアンズの胸の「固さ」が取れて柔らかになる、ピクンとアンズの体が反応し始めた。 「こんなもんかな……」 男はアンズの胸から手を離した。はあはあとアンズは息をして、うつろな目で男を見る。両腕は変わらずイトマルに拘束されている。 「アンズちゃん。これ見てみて」 男の両手には一つづつモンスタボールが握られていた、「なに?」とアンズは疑問を浮かべる、男が「アンズ」と言ったことには疑問も浮かべない。 男がボールを開閉すると二匹のケムッソが現れた。くりりとした大きな目が特徴的なムシポケモンだ。 「こいつにアンズちゃんの胸をしゃぶらせようとおもんだけど」 「!!!!!」 アンズは男の思いがけない言動に耳を疑った。目を見開いて、死んだようになった感情がよみがえる。 「まあ、二匹だから。片方ずつね」 「や……やああああ」 アンズは体を抑えられつつも全力で暴れた。しかし、無意味と言っていい。ポケモンのない彼女は「女の子」でしかない。暴れた拍子に胸が揺れる 男は笑顔でケムッソを二匹掴んで、ゆっくりとアンズの胸に近づけた。 「いや、やめて」 半狂乱になって暴れたアンズだったが、大した効果もなく無事にケムッソのお口にアンズの乳首が入った。 ざらりとした口内の突起がアンズの乳首を刺激する。男はニコニコとアンズを見つつもケムッソが振り落とされないように、アンズの重心を抑える。くびれのついた細い腰をしっかり地面に押し付ける。 かわいらしい下級ポケモンがかわいらしい少女の胸を容赦なく凌辱する。ケムッソの唾液がアンズの胸を濡らす。口内に「囚われた」乳首に至っては言うに及ばない。葉っぱを咀嚼する臼歯が原始的な舌がアンズを「可愛がる」。 「ひゃ、あっ」
556 :
めたもんじん :2012/08/23(木) 14:02:14.00 ID:nfCEBrlZ
と言葉にならない情動が喉を通って出る。アンズはわずかに残した理性で抵抗しようと体を動かすが、体を動かすたびケムッソの中で乳首も動く。そのたびに声が出た。かといって動かなければケムッソはさらに念入りにアンズの乳首を「教育」した。 クチャクチャ 音を立ててケムッソがアンズの胸を引っ張り、食み、吸う。 「クライアントは誰だい。アンズちゃん」 「だ、だれぎゃ、あっ、い、いゆもんか」 最早単なる反射である。アンズはさっき決めたことをただ機械的にかいしているだけだった。 「そっかあ」 男は二匹のケムッソの背を掴んでゆっくりとアンズから剥がす。ケムッソはおいしいのか訓練しているのか、アンズの胸をなかなか離さず剥がすときにざらりとした口内で乳首を「擦る」ことになった。アンズの口から嬌声が上がる。 「はあ、はあ、はあ。あたいじぇったいしゃ、しゃべらない」 回らない呂律を無理やり回し、アンズは抵抗する。男は最初からそうだったがそんなアンズを気にしない。無視していると言っていい。主導権を握っているうちに「少女の戯言」を聞いてやる意味はない。 男はコートの中から黄色い液の入った瓶を取り出した。 「ねえ、アンズちゃんこれなんだかわかるかな」 「……?」 「これね『あまいみつ』。ケムッソの好物」 即座に意味を理解したアンズは今までにないほど暴れた。じたばたと無駄な抵抗をして叫ぶ。 「いやああ。そ、そんなのダメ。そ、そんなことしたらほんとに、ほんとに……あたい」 言葉が続かない。言うべき語彙を彼女は知らない。 「大丈夫。大丈夫。少し媚薬も入れてるしね。はい胸出して」 男はアンズの右胸を抑えて瓶をひっくり返す。ねっとりした冷たい液体が彼女の乳首を甘くコーティングする。男は瓶をはなしてからなじませるように胸をもむ。乳首を捏ねる。 「ギ!!!!!」 アンズの体が跳ねあがる。今までとは比べ物にならないほどの快感。いや、表す言葉があるのだろうか。少なくともアンズの人生にはなかった。さっきまでの話だが。 アンズは「空気を感じた」。そこにあることが分かる。アンズは舌を出して犬のように息をした。思考ができない、自分が認識できない。 「はい、こっちもね」 男は左胸も比喩ではなくおいしく調理した。ただ蜜を塗り染み込ませるだけだが。 「ふふふーん」 「ああああああああああああああああああああああああああ」 楽しげに鼻歌を歌う男とは対照的に、恥も外聞もなくアンズは泣き叫ぶ。泣かないと、叫ばないと、暴れないと意識が持っていかれそうだった。勝者と敗者その姿がそこにあった。 ケムッソがにじり寄った。アンズは涙を流して意味のない懇願をする。 「こないでえええええ。あたい、むり、あたい、おいしくないからああ」 ケムッソにとってはご馳走である。蜜がキラキラとアンズの胸を照らす。甘いにおいがあたりを包む。
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めたもんじん :
2012/08/23(木) 14:04:06.12 ID:nfCEBrlZ 「まて、ケムッソ」 男がケムッソ達を静止する。そしてアンズ目を向けて言う。 「クライアントは誰だ?言えばやめるよ」 天啓。そう言っていいほどアンズには男が優しく見えた。哀れな顔で口をパクパクと動かして男に何か伝えようとした。 「い、いヴもんかあ」 言ってからアンズは後悔する。やだ、もうやだと心が絶叫する。誇りを保つこと。その意味を、辛さを、身を以てアンズは知った。 ケムッソが近付く。アンズが悲鳴を上げる。アンズは男に目で懇願する。 (もう一度、もう一度聞いて) 次は言う絶対言う。そう念じる。 「まて。まだだ、ケムッソ」 アンズの心に喜悦が広がった。聞いてくれる。そう思った。 男はアンズのボロボロになった服を掴んでさらに広げた。白い肩とうっすら肉のついた鎖骨が見えた。 「えっ」 自然、アンズは声を出した。そもそもこの「男」が彼女の思い通りに動いたことなどない。妙な言い方だがアンズにとって信頼できる相手ではない。 「これで舐めやすいでしょ。ところでアンズちゃん。ケムッソってさもう一匹いるんだよね」 パンツが下された。男の影で見えないが確実にアンズの下半身は完全に露わになっている。そして、局所に「ざらり」とした感触。アンズは知っている、身をもって知っている。 見えないもう一匹のケムッソ。アンズの恐怖を新しく上書きする。 「ゆ、ゆるして。もうしませんから……」 「いいよ。ケムッソ」 待ってましたとばかりにケムッソ達がアンズに食らいつく。 「ひゃああああ!!やめでえええええやめでえええええたしゅけてちゅて。おとうああああん。おとうさああああああああああ」 美味し、旨しとアンズの両胸はケムッソの舌が溺愛する。やさしく、激しく。文字通り「餌食」にする。 蜜とケムッソの唾液が混ざる。ハムハムといつの間にか張っていたアンズの胸をほぐす。だがケムッソが舐めるほど、 噛むほどにアンズの乳首はケムッソの口内で反りあがった。ざらざらとした口内の壁に打ち付けられた乳首がアンズの敏感にされた神経を通りアンズの体をびくびくと跳ねあげる。 両の胸がケムッソのおやつにされていたとき。アンズの秘所にもう一匹のケムッソが口を開けてアンズの自前で出した「蜜」を舐める。 「おかわりだよ」 もう一瓶男は取り出してアンズの胸に塗りたくる。ケムッソは狂喜してこの目の前に転がった甘い「ご馳走」を堪能する。ケムッソにとってアンズはその程度の認識でしかない。ポケモンリーグ公認のジムリーダーとは思えないほどに威厳なく。力もない。 そこにはアンズという女の子がいた。 忍者として、セキチクノジムリーダーとしての「アンズ」と同姓同名の女の子。 「ひああああああああああああ」 ただ生理的な現象で支配され。ケムッソのような下級なポケモンにすら「甘い餌」でしかない。 「あだい、あだいもうやべ、やべ、ひっ……ああいやあ」 プライドはボロボロ。心は空っぽ。 「イトマル達も食べていいよ」 もう手足の拘束すらする必要がない。男はアンズのお尻は局所にも蜜を塗る。 夜が明けるまでまだ遠い。