【ドラマ】美男ですねでエロパロ6

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1名無しさん@ピンキー
ここは2011夏ドラマ(金曜夜10時TBS系放送)のドラマ「美男ですね」のエロパロスレです

以下注意事項
☆スレ要領が500KBに行くまでに(480KBぐらいから)、次スレ立てについてご検討下さい

・誹謗中傷厳禁
・荒らしはスルー
・名前欄にタイトル&連番を記入
・カプ名 ●●×○○
・内容についての注意書き (続編・BL・エロあり・エロなし等)
・以前投下した作品の続編の場合は、 >> で以前の作品に安価
・投下終了したら、今日はここまで等の終了宣言
・他の職人が作品投下中は、自分の作品を投下しない (被せ投下禁止)
・ある程度書き溜めて投下 (書きながら投下は禁止)
・sage進行 (メール欄に半角で「sage」と入れる)
・レスする前には必ずリロード
・スレ立ては必ず宣言してから行く。無断で行くのは控えること
・前スレの容量が中途半端に残った場合は書き手読み手にかかわらず埋めること


☆過去スレ
【ドラマ】美男ですねでエロパロ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1315748694/
【ドラマ】美男ですねでエロパロ2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1317418250/
【ドラマ】美男ですねでエロパロ3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319539579/
【ドラマ】美男ですねでエロパロ4
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321544487/

☆前スレ
【ドラマ】美男ですねでエロパロ5
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1324654237/

★エロパロまとめスレ
http://w.livedoor.jp/ikemen-desune
2名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 20:33:55.00 ID:3O240qPo
>>1
スレ立て乙です
3名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 13:36:07.41 ID:z8mBlnn+
スレ立て乙でしす。
そして前スレの終わり間際に素晴らしい作品たちが!
廉さんじゃないけどブチャいニヤけ顔で読んでしまったw
どれも素晴らしいです、短編でもしっかり美男ですねの世界が出来てて
本当にいつも職人さまたちに感服します。
今スレも神作品に囲まれて和やかに過ごせますように。
4名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 13:57:06.65 ID:rlVUX9OU
前スレ>>490-491
いいねぇ。アフリカに発つ前に甘い夜を過ごしたのですね。
あわててチャンネル変えちゃう廉さんとかブチャい廉さんとか情景が目に浮かぶし
計算ミスってる美子も美子らしくて笑えるwww
5名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 14:04:56.45 ID:XkNktnML
スレ立て乙です!
そして、前スレラストギリまでラブラブ&ステキ続編がw
全部すごく良かった! 続き、すごく楽しみに待ってますw

その流れくんでなくて、全くもって申し訳ないんですが…
前スレで投下した『設定違いA.N.JELL』の続き(約1ヵ月後)作りました。
投下します。

廉×美子 エロ無し
前回スレ371〜374 417〜425
6美子の酔い姿 1:2012/02/12(日) 14:07:39.32 ID:XkNktnML
廉と柊、二人で受けた音楽雑誌の取材にて。
その記者からお土産として、故郷の名産品だという焼酎を受け取った。

取材終了後、
「柊。合宿所へ帰るなら、この焼酎持って帰ってくれないか?」
と、廉は柊に声をかけた。
今日の仕事はこれで終わりなので、この後、美子の部屋へ行く予定だったのだが、
それを聞いた柊が提案する。
「だったら、美子と一緒にこれ飲んだら?俺は、普段あまり焼酎は飲まないし。
俺の分、勇気にあげようと思ってるから、廉の分は二人で飲んで大丈夫だよ?」
そう言われて、廉はしばし考える。
(そういえば、俺、美子と一緒に酒って飲んだことないな。)

想いが通じて、美子とつきあいはじめてしばらくになるが、
部屋で手料理を振舞ってもらうことは度々だが、お酒はいつも飲まない。
「じゃあ、これもらってくよ。ありがとな。」
柊に礼を言って、廉は取材場所を後にした。

美子のところへ向かう途中、車を運転しながら廉は考えた。
(アイツって…酒飲んだらどうなるんだろう?)

『酒を飲んでるところ』を見たことはある。
A.N.JELLとしてパーティに出たり、打ち上げに参加した時…
グラスに注がれるワインやシャンパン、カクテル類を、美子は口にしていた。
でも、スタッフや外部の関係者の多い場所で飲みすぎて、酔っ払ったり
体調を崩したりするわけにはいかないので、自然と自制していたはずだ。
だから、そういう場所での美子は、全く酔うこともなくいつも通りの笑顔だった。

(美子が酔っ払ったら…やっぱり笑い上戸とかか?それか泣き上戸…
もしかして、妙に色っぽくなったりするんだろうか?)
ニコニコ笑い続ける美子…
ぽろぽろと涙をこぼす美子…
赤く頬を染めて、潤んだ瞳で自分を見つめる美子…
を妄想するが、実は全部、
『既に自分が見たことがある美子』であることに気づいた廉は、慌てて頭を振る。
(いやいや、そうじゃないだろう?きっと『全く知らない美子』になるはず…)

そこまで考えて、廉は疑問がわいた。
(美子はどのくらい飲むと酔うんだ?アイツの酒の限度ってどうなんだろう…)
7美子の酔い姿 2:2012/02/12(日) 14:08:57.51 ID:XkNktnML
「全然わかりません。」
きょとんとした顔で、美子が答えた。
美子と夜ご飯を食べている途中、『どれくらい飲めるのか?』を聞いたのだが、
廉は、そんな美子の答えに納得がいかない。

「全然ってことはないだろ。今まで飲んだときはどうだったんだ?」
「A.N.JELLに入るまでは修道院にいたので、お酒類は禁止だったんです。
だから、初めてお酒を飲んだのが、入ってからのパーティだったんですけど、
そういう場所ではそんなに飲まないから、量とかってわからないんです。」

(ってことは…完全に酔っ払ったことは今までないってことだよな…)
そう考えた廉は、ふと思いつく。
(美子の酔ったとこが見たい!)
にんまりとした廉は、もっともらしく切り出した。

「なあ美子。もう成人だし、こういう仕事だとお酒のある場所に出席すること
けっこう多いだろ?お酒で失敗しないようにしなくちゃダメだよな?」
「そうですよね。」
「だから、慣れるっていうか…自分がお酒をどの位まで飲んでもいいか、
確認しておくのって大事だと思うんだ。明日はオフだし、俺がずっと横に
いてやるから、このもらい物の焼酎、今から一緒に飲まないか?」
「あの私、焼酎って一度も飲んだことないんですけど…アルコールが強いって
聞いたことあるんですが、いきなり飲んでも大丈夫でしょうか…」
不安そうな美子に、廉はたたみかける。

「大丈夫だ!俺は酒は強い方だから。もし美子が体調とか悪くなりそうだったら、
すぐに俺が介抱してやる。一緒にいて見ててやるから、な?」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
美子の言葉に、ドヤ顔で頷く廉。
(よしよし、いい子だ!)

食事の後片付けを終え、ソファに並んで座った廉と美子。
小ぶりのグラスに半分ほど注ぎ、お互いに手に持って飲み始めた。
(けっこう甘めだな。まろやかでうまい…)
焼酎が久しぶりだった廉は、なかなかの味に満足して一気に飲み干した。
廉はかなり酒に強い方だ。顔は赤くなるのだが、意識はわりとはっきりしたままで
どんどん飲み続けられる。どんな種類の酒でも、特に問題は無い。
8美子の酔い姿 3:2012/02/12(日) 14:10:35.54 ID:XkNktnML
「大丈夫か?」
こくり、こくり…と少しずつ飲んでいる美子の顔をそっと窺った。
「はい すごくおいしいです!私、こんな感じのお酒、好きかもしれません。」
「そっか、なら良かった。」
ここまで自分が誘導してきたのだが、もし美子の気分が悪くなったりしたら…
と、ひそかに心配していた廉は、うれしそうな顔に安堵した。
「よし。次注ぐぞ。」
2杯目を飲み始める二人。

「今、何杯目かな?コレ…」
赤くなった顔でつぶやく廉に、
「えっと、4杯目ですよ。廉さん。」
答える美子の顔色は全く変わらない。
(コイツ、顔が赤くならないタイプなのか…じゃ、いきなり酔ってたりするかも。)
普通の顔色のまま、急に倒れられたりしては非常に困る…
廉は横目で美子の様子を窺い続けながら、5杯目に口をつけた。

(ヤバイ…なんかすげー酔いがまわってきた…)
一体、何杯飲んだんだろう…
口当たりがよくてついつい飲み続けてしまったが、この焼酎、かなりアルコールが
強かったようだ。
廉は朦朧とし始めた頭で、美子の様子を確認する。
こくこくと飲み続けているが…
(あれ?さっきより飲むペース、あげてないか?まさかな…)
自分の目が信じられない廉。負けじと、自分もさらに口をつけた。

部屋の中が、暗くゆがんで見え始めた。
「…美子。残りは今度にして、今日はここまでにしとこうか…」
これ以上飲むのは、お互いに危険だ…廉は切り上げようとするが、
「そうですね。じゃあコレ、最後にしますね!」
美子が笑顔でグラスに注いで、一気に飲み干すのを見て、廉はようやく納得した。
(コイツ…ザルってやつか…絶対俺より酒強い…)

立ち上がろうとしてふらつき、ソファに沈み込んだ廉を、美子は焦って心配する。
「廉さん、大丈夫ですか?あの…あの…シャワーとか浴びますか?」
バスルームでちゃんとしていられるかあまり自信がない…それよりも…
「美子…行くぞ…」
美子の手を握り、なんとか立ち上がって寝室のドアへ向かう。
(せっかく泊まりにきたんだから…今から…『酔って乱れる美子』と…)
『酔っていない美子』の手を引いて、ベッドへ連れていく廉。
9美子の酔い姿 4:2012/02/12(日) 14:12:15.07 ID:XkNktnML
廉は、ベッドの脇で、美子を強く抱きしめて口付けた…
つもりだったが、美子の体にまわした腕には力が入っておらず、
足の力も徐々に抜けて、ふらふらと床に崩れ落ちそうなったところを、
美子にぎりぎりのところで抱きとめられた…


陽の光が差し込み、部屋が明るくなったのに気づいて、廉はゆっくり目を開けた。
「げっ! もう11時?!」
壁の時計を見て慌てて飛び起きたが、頭がふらついてそのまま布団に突っ伏す。
「焼酎飲んで…ちょっと?酔っ払って…美子をベッドに連れてきて…」
記憶がそこから無いが、たぶん美子とは何もしていない…
(俺、酔っ払って、こんな時間まで寝てたのか…)

廉は、自分が今、下着姿でいることに気がついた。
着てきた服は、ベッドの脇にちゃんとハンガーにかけて置いてある。
美子が、自分を脱がせて寝かしつけてくれたのだろう。
「はあ…情けねぇ…俺」
大きくため息をついた。

美子が、そっとドアを開けた。
「廉さん、おはようございます。大丈夫ですか?」
「おお…まあ大丈夫だ。少しふらつくけどな。」
本当は、頭痛もする廉。
「お前は、大丈夫なのか?」
「ハイ 元気です!今日、すごくいい天気なのでうれしくって。
洗濯も掃除も、もう全部済ませちゃったんですよ〜」
(やっぱり、酒に呑まれたのは俺だけか…)
いつも通りの、ニコニコと元気な美子を見て、小さくため息をついた。

「軽く食事作ったんですけど、廉さん、お腹空いてませんか?」
ちょっと小腹は空いた気はするが、まずはアルコールを抜きたい。
「ああ…その前に、シャワー借りるぞ。」
「ハイ、どうぞ。出たらすぐに食べられるように、準備しておきますね。」
まだふらつく足で、廉はバスルームへ向かった。
10美子の酔い姿 5:2012/02/12(日) 14:13:56.25 ID:XkNktnML
その日の夕方。
合宿所へ帰ってきた廉に、リビングにいた柊と勇気が声をかけた。
「お帰り〜 廉さん。」
「…おお。」
美子と付き合ってることは、もちろん伝えてあるが、美子の部屋へ泊まった後に
二人と顔を合わせると、やっぱり少し気恥ずかしい気分になる。
(今日は、何にもしてないけど。)

シャワーを浴びて、美子が作ったご飯を少し食べたが、ここへ帰る直前まで
頭痛が治まらず、ソファでぐったりしていたのだ。
まあ…そんな廉を心配して、美子は、ずっと廉に寄り添って介抱してくれたので、
『オフに二人でずっと一緒にいられた』という意味ではアリかもしれないが…

「ねえねえ 廉さん。今、柊さんと、昨日のもらい物の焼酎の話をしてたんだけど。
廉さんは美子と一緒に飲んだんだよね。アレ、超おいしかったよね?
名産品ってのも納得!でもさ…アルコールすごく強くなかった?」
「やっぱ、そう思ったか?勇気も。」
「うん。口当たりよくてまろやかで〜最初、すごく飲みやすいんだよね。
でも、次の分注いだあたりから、急にふわ〜ってまわりはじめてさ。」

柊の酒の強さは、廉とほぼ同等で、勇気は二人に比べると若干弱いのだが、
それでも、一般的な男性と比較したら、全員が相当酒に強い方に入るはずだ。
その勇気が『酔いがまわる』というのだから、やはりあの焼酎は強かったのだ。
廉は、『自分が弱かった訳ではない』とわかり、ちょっとほっとした。

「グラス3杯目入ったあたりで、急に酔っ払ったみたいになって…昨日は一人で
飲んだから、気分悪くなったらまずいと思って、そこで飲むのやめたんだ。
ねえ廉さん。美子、大丈夫だった?」
「…ああ、大丈夫だ…」
(美子はな…)
勇気と違って、自分は『美子を酔わせたい』一心で飲み続けてしまった。
その結果の二日酔いに、廉はがっくりと肩を落とした。
(結局、『俺の下心』が原因か…)
こんなこと、柊たちには絶対言えない…

「そうか。俺、普段焼酎って飲まないんだけど、そんなにおいしかったのなら、
飲んでみれば良かったかな?」
ワイン派の柊が、二人の話に興味を示した。
11美子の酔い姿 6:2012/02/12(日) 14:15:48.97 ID:XkNktnML
「飲もうよ、柊さん!昨日は、廉さんもいなかったし、柊さんもあの後
出かけちゃったから、俺一人で飲んでて、超寂しかったし。
まだ、たくさん残ってるから、今から飲まない?廉さんも。皆で一緒に。」
さっきまでのつらかった二日酔いを思い出し、廉は躊躇する…

「そうだな、久しぶりにここで飲むか。俺、今から焼酎に合うおつまみ作るよ。」
ためらう廉に気づかず、柊はさらに続けた。
「まだ一緒にちゃんと飲んだことないし、いい機会だから、美子も呼ばないか?」
「あっいいね〜 美子と飲みたい!4人でパーティだ!」

廉は、ギョッとした。
(アホか! 美子と酒なんて…ザルだぞ、アイツ。お前ら、酒の強さ
俺と変わらないだろ?絶対、俺みたいにつぶされるぞ!)
そう言ってしまいそうになり慌てた廉は、なんとかごまかそうとした。

「あ いや。今日はやめとくよ。昨日も飲んだし…明日は、朝イチから歌番組の
収録だろ?演奏とか、歌声に…影響出ても困るからさ。」
「え〜ちょっとくらいだめ?廉さん。」
「いや、だめだ。仕事に差し障る!ちょっとだけっていうなら、二人だけで飲め。」

パーティがしたくてたまらなくなった勇気は食い下がるが、柊は納得したようだ。
「そうだな。美子は女の子なんだから、無理させるのは良くないよ。
勇気、今日は俺たちだけで飲もうか。」
「う〜ん わかった。じゃあ今度。絶対、4人でパーティしようね!廉さん。」
「ああ、そのうちな。」
うまく二人をかわして、自分の部屋へ戻った廉は、大きくため息をついた。

美子が『酒にものすごく強い』ことは、今回よくわかった。
大人だし、飲む機会はゼロではないので、『弱い』よりはいいのかもしれない。
でも『強い』を通り越して、あまりに『強すぎる』のも…
それが広まって、A.N.JELLの美子が〜女の美子が〜と浸透するのは良くない。

(でも、A.N.JELL関連のパーティや打ち上げでは、今まで通り、本人が自制する
だろうし、柊たちと飲む時は、俺が美子の飲む量を気をつけていれば、たぶん、
相手をつぶしてしまうほどは、飲まないだろう。美子本人は、今のところ
『酒が好きで好きでたまらない』という感じではなさそうだから、
まあ…これも俺が一緒にいて気をつけてれば、大酒飲みにはならないと思うし…)

廉が美子のペースについていけず、つぶされる可能性は今後も多分にあるのだが…
「よしっ!これからは、俺ががんばってアイツを見守ってないとな。」
と、妙な気合を入れた廉だった。
12名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 14:22:18.35 ID:XkNktnML
>>11
以上です。
廉さんにすごく申し訳ないことになってしまった…
でもいつか、勇気にはパーティをさせてあげたい。
13名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 22:12:52.86 ID:gsXgbgnV
前スレの短編の方、GJでした!!
私も、あんな感じのも書けるようになりたいなあと思いました。

>>12 ザルな美子か〜新鮮!
じゃあ次回は廉さんを酔い潰して、色々Hなことしちゃう美子とかどうでしょうか…w
勇気のパーティーシーンも読みたいです!!
14名無しさん@ピンキー:2012/02/13(月) 20:57:28.88 ID:WvI9gZkw
前スレ終了間際のプチ短編祭りの皆さま、GJGJでした。

ざる美子、いいですね。
しかし、初回美男はゲロ美子だったw
ゲロ吐きってぐろいから、日本のドラマでは見たことないけど、韓国的
リアリティ追求シーンなんですかね。
15名無しさん@ピンキー:2012/02/13(月) 22:55:40.03 ID:qmiMpOYJ
前スレの方、GJ!ぶちゃカワ笑顔の廉さん想像して萌えましたww

>>12
こっちの美子はザルなのか…酔わせたがる廉さん可愛いww
パーティーしたがりな勇気も可愛い
16名無しさん@ピンキー:2012/02/14(火) 00:45:58.58 ID:ZuRnKlp0
なんとかバレンタインに間に合った!
前スレで、柊×NANA(「笑顔の行方」「わがまま」)を書いた者です。
その世界の2人ってことで、バレンタインの話を書きました。
エロありです。2人以外出てこないので苦手な方はすみません。
17チョコより甘く1:2012/02/14(火) 00:47:18.16 ID:ZuRnKlp0
海外でのPV撮影を終えて、A.N.JELLのは半月ぶりに日本へ帰国した。
フランスの古城や古い街並みの中で今までとは違う魅力を前面に出し、メンバーもスタッフも満足のいく出来になっている。

一度宿舎へ帰ってスーツケースを置いてから、柊は車のキーを手に取った。
NANAへのお土産が入った紙袋を助手席に置き、彼女のマンションへと車を走らせる。
帰国したばかりで時差ぼけもあり疲労も溜まっていたが、柊は約3週間ぶりに会える恋人の顔を
思い浮かべるだけで活力が沸いてきた。

約束よりも1時間以上早く着いてしまったが、少し驚かせようと連絡も入れずに
NANAの部屋の前に立って呼び鈴を鳴らした。
「…はい…!!柊っ?」
インターフォンの画面に映った愛しい人の顔にNANAは驚いて、思わず大きな声を出す。
「ちょっと予定より早く帰り着いて…NANAにすぐ会いたかったんだ」
「おかえりなさい」
微笑むNANAがドアを開けて迎え入れてくれると、強烈に甘い匂いが部屋に充満していた。
「…チョコ?凄い匂いだね」
「まだ片付けてる途中で…散らかってるけどごめんね」
柊が来る頃には綺麗に片付けているつもりだったが、NANAは調理器具を
いくつかテーブルやシンクに置いたままにしている。
「いや、いいよ。チョコ、俺に作ってくれたんだろ?」
「うん。ザッハトルテとチョコババロア作ったから、明日食べてね」
料理やお菓子作りが特技のNANAは、自信作に胸を張った。
18チョコより甘く2:2012/02/14(火) 00:49:24.87 ID:ZuRnKlp0
「時差ボケは大丈夫なの?」
「あぁ、してるけど…今は逆に目が冴えてるから」
「そうなの?もう10時なのに…今夜眠れるといいけど。ハーブティー淹れる?」
帰国したばかりの柊の体を気遣い、NANAはキッチンへ行こうとするが、その腕を柊が掴んだ。
「まだまだ眠れそうにないから…早くNANAを抱きたい」
「もう…やだ、柊…」
「先にシャワー浴びておいで?」
細い腰を抱き寄せ、柊は耳元で囁く。低音の声が体に響き、NANAはゾクリとした。
「じゃあ…そうする」
素直に聞き入れてNANAは柊の頬に手を当てて軽くキスしてから、バスルームへ向かった。
NANAと入れ替わりに柊もシャワーを終えると、その間にキッチンを片付けたNANAが
バスローブ姿のまま、ちょこんとベッドに座っている。
「おまたせ」
一言そう言ってから、柊はNANAの隣に腰掛けた。

「NANAにお土産まだ渡してなかったね」
柊は、持ってきていた紙袋を開ける。
「頼まれてたフラゴナールのアロマキャンドルセットと…これは、俺たちが
泊まったホテルで使ってたブランドのバスタオルなんだけど。ぜひNANAにも使って欲しくて」
「わ、こんなに?ありがとう!」
NANAの喜ぶ顔に、柊は満足げに頷いた。
「これ、本当に肌触りが良くて。メンバー全員、買って帰ったくらいなんだ」
お土産のバスタオルを広げて、柊はベッドの上に敷いた。
「本当ね、気持ちいい〜」
手で触り感嘆の声を上げると、柊はすっと立ち上がってNANAとの距離を近づける。
「…素肌で感じてみて?」
バスローブのベルトをするりと解いて露わになったNANAの白い身体をすぐさまベッドの上に押し倒した。
「柊っ…!もう…っ」
突然脱がされたことを抗議する間もなく、NANAは柊に唇をふさがれる。
久しぶりに味わう恋人の味に、2人はいつも以上に口内を探り合って深いキスを交わした。
19チョコより甘く3:2012/02/14(火) 00:51:04.95 ID:ZuRnKlp0
大判のバスタオルの上で、柊もバスローブを脱いでNANAと素肌を重ねてベッドサイドへ腕を伸ばす。
「ぅ…ん?なぁに…?」
「…NANAのお菓子も楽しみだけど。せっかくだからこっちもバレンタインっぽくね」
「え?どういう…ひゃっ!」
無防備な胸元にドロリとした冷たいものを感じて、NANAは思わず起き上がろうとしたが、柊がそれを制した。
「起きると下に垂れるよ…」
そう言って柊はNANAの肌の上を伝う液体を舐める。
「チョコソース…?!」
「さっきNANAが出してたのを持ってきたんだ」
「ヤダ、ベタベタするじゃないっ」
「俺が全部舐めるから大丈夫」
困った顔のNANAをよそに、柊は丁寧に甘いチョコソースを舌ですくっていった。
そのくすぐったさでNANAは身を捩るが、そうすることで柊の舌が敏感な部分に触れてしまう。
「ぁっ…やっ」
「ここが一番、美味しいよ…」
両方の胸の先端に付いたソースを形になぞらえて舐め取っていくと、みるみるうちにキュっと硬く尖った。
NANAの胸の横から一筋ゆっくりとソースが流れ落ち、新品のバスタオルに
小さく茶色いシミを作ったが、もうそんなことはどうでも良かった。

「あ、んっ…はぁっ…」
自分の身体を柊の舌が這い回り、NANAは何度もぴくりと小刻みにその愛撫に反応する。
再び唇を重ねると、チョコレートの香りと甘さで息苦しくなるほどだった。
「ここには、チョコかけてないはずなんだけど…?」
「やん…ぅ、んっ…ぁっ」
柊はNANAの身体の中心に手を伸ばして、悪戯っぽく笑う。
奥から溢れてくるものを指で掬い、NANAに見せ付けるようにその指を口に含んだ。
「ん、ここも甘い」
「もう、やらしいっ…」
恥ずかしくなってくるりと背を向けたNANAを、柊はすかさず後ろから抱き締める。
「NANAは、全部が美味しいってことだよ」
潤っている秘所にまた指を入れてぐるぐるとかき回した。
更なる快感を求めて、NANAはいつの間にか四つん這いになってお尻を突き上げる。
「あぁっ…んっ、ゃっあっ、ん、やっ…」
既に腕には力が入らず、枕にしがみついていた。
白く美しい背中を見て、柊は再びチョコソースの容器を手に取る。
背中にまたどろりとチョコを垂らされ、それを柊が一気に舐めるとNANAは絶頂を迎えた。
20チョコより甘く4:2012/02/14(火) 00:53:26.62 ID:ZuRnKlp0
手早く避妊具をつけた柊は、やや脱力してうつ伏せになっているNANAのお尻を少し持ち上げてからそのまま挿入した。
「きゃ、あ、んっ…!しゅ、ぅ…んっ」
「う、くっ…はっ…んっ」
久しぶりに侵入した熱い膣内で、柊はすぐに限界が迫っているのを感じる。
上半身を少し屈めて、NANAのうなじや背中にキスを落とした。
柊が腰を前後に動かすたび下向きに大きく揺れる乳房を、チョコのせいでベタベタしている手で揉み、
先端を弄くりながら堪能すれば、NANAの嬌声がより大きくなっていく。
「あんっ…も、ぅ…ちか、ら…入ら…ないっ…!」
「…もう…イ、くっ…はぁっ…」
NANAが膝から崩れ落ち、中に入ったまま精の果てた柊もその上に重なってうつ伏せた。

荒い息をゆっくり整えてから、2人はもう一度軽く口づける。
「柊がこんなことするなんて、ちょっとびっくりしちゃった」
「まぁ、たまには…ね」
意外そうに言うNANAに、柊はにっこり笑って答える。
ベッド脇に置いていたチョコソースは、既に半分以上減っていた。
「あ。バスタオル…さっそく汚しちゃった…!」
「そんなの洗えばいいよ。それより…まだNANAを食べ足りない」
柊は上半身を起こしてNANAを見下ろし、またその胸元に顔を近づけようとするが…。
「ん?っぷ…!!」
唇を手で押さえ、柊は裸のままベッドから降りた。

「柊?!どうしたの…?」
バスルームへ入っていった柊を追いかけてNANAもベッドを降りる。
「チョコで、胸焼けが…」
洗面台で口を濯ぎ、柊はようやくそれだけ言い、NANAはプッと吹き出した。
「もう、自業自得!でも明日、私が作ったお菓子は全部食べてもらうから。もし残したら許さないわよ?」
「わかってるよ…」
笑いながら寝室に戻っていくNANAを見送りながら、柊は食道から上がってくるチョコの味に苦笑した。
21名無しさん@ピンキー:2012/02/14(火) 00:55:05.59 ID:ZuRnKlp0
最後の柊さん、なんかごめんなさいw
では皆様、ハッピーバレンタイン!!
22名無しさん@ピンキー:2012/02/14(火) 00:58:40.42 ID:ZuRnKlp0
うわー!たった今脱字を見つけてしまった。
最初の「A.N.JELLのは半月ぶりに…」は「A.N.JELLは半月ぶりに…」です。
お目汚し失礼致しました。
23名無しさん@ピンキー:2012/02/14(火) 22:55:00.31 ID:HaYQahsr
>>21
GJ!
甘いよ、エロいよ、虫歯になるよ…w
ごちそうさまでした
24名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 00:23:49.41 ID:o8DdAmzt
もう終わっちゃったけどwバレンタインデーネタで短いのを投下します
美男×NANAで、エロなしです
25Which do you like...? 1:2012/02/15(水) 00:25:52.93 ID:o8DdAmzt

「はい美男、これあげる」

バレンタインデーの夜、仕事帰りにNANAの部屋へ行った。
期待していたとおり、NANAは俺にチョコレートを用意してくれていた。
上目遣いに箱を差し出す可愛らしい仕草にグッときて、かなりテンションが上がっていたんだけど…。


───
「ん、美味いよNANA!ありがとう」
「よかったぁ…。喜んでもらえて」
手作りの甘いバレンタインチョコに熱いブラックコーヒー、隣には大好きな彼女の笑顔。
たまらなく幸せなひとときだ。

「今年もいっぱいチョコもらったんでしょ?」
「うん。事務所に山のように届いてるって馬淵さんが言ってた。まだ見てないんだけど楽しみだな」
「他に誰からもらったの?」
「えーっと…。今日一緒に仕事したスタッフの人達だろ、沢木さんと、RINAと、あとは…美子」
「ふ〜ん、美子ね…。手作り?」
「そうらしい。トリュフっつーの?けっこう美味かったぜ」
「へー、そうなんだ…」

NANAの表情が曇ったのに気付いて、ヤバい、と思った。
会話の中で、俺が共演者の女の子の名前を口にしても軽く受け流してくれるのに、
美子の話になるとNANAは何かにつけて張り合おうとする。
俺の妹だってわかってるのに、それでも複雑な気持ちになるみたいだ。
微妙な女心っていうのか?残念ながら、俺には理解不能だ。

「ねえ、美子と私のチョコ、どっちが美味しかった?」
…やっぱりそう来たか。
もし正直に答えるなら、美子のチョコの方が少し甘さ控えめで俺の好みだった。
でもそんなこと、バカ正直に言えるか?無理だろ?
一瞬のうちに頭をフル回転させて考える。
さあどうする俺?どっちって答えるんだ?
「そうだなあ…」
26Which do you like...? 2:2012/02/15(水) 00:28:04.96 ID:o8DdAmzt

*****
「NANAのチョコの方が美味かったよ。そんなの当たり前だろ?」
「ホントに?本当は美子の方が美味しかったのに、私に言えないだけなんじゃないの?」
「そんなことないって!NANAの方が美味いよ!うん」
「あー、ムキになってる!やっぱり美子の方がいいんでしょう!」
「そんな…」
*****


ああ、ダメだ。今までのNANAの傾向を考えると上手く行きそうにない。
じゃあこっちか?


*****
「美子…かなあ」
「ふーん、そう…」
「いや、NANAのもすっげー美味かったんだよ!でもほら、微妙な好みの問題っていうかさ…」
「なんでそんな言い訳するの?そっちの方がよっぽどショックよ!」
「そんな…」
*****


ああ、こっちもダメか…。ええい、もうお手上げだ!
どっちがいいって聞かれても、どっちもいいんだもんな。なんだか考えるのがバカらしくなってきた。
で、俺が出した結論がこれ。
27Which do you like...? 3:2012/02/15(水) 00:30:06.02 ID:o8DdAmzt

*****
「NANA…やきもち焼いてる?」
「べっ、別に!そういうわけじゃないけど…」
「比べられないよ。NANAのも、美子のも、どっちも美味しかった」
「もうっ、そうやって、中途半端な答え…んっ……」
不満げに尖らせた唇を塞いで黙らせる。
NANAの表情がうっとりしておとなしくなるまで、ふっくらとした柔らかい唇をついばんだ。

「ぁん、もう…美男ったら…」
「チョコよりNANAの方がずっと美味しいよ」
NANAの潤んだ瞳を見つめて、ここぞとばかりに甘い声で囁いた。
よし、これでどうだ!
って、思ったんだけどな…。

「あーあ、なんだか上手くごまかされたみたいっ」
NANAがぷーっと頬をふくらませて、まだまだ不服そうな顔をする。
またダメだったか…。どうすりゃいいんだ?

困り果てたような俺の顔をのぞきこんで、NANAがニッといたずらっぽく笑った。
「うそ。許してあげるから、もっとキスして」
はい、というように目を閉じて、俺に口づけをねだる。

NANAのやきもちは、たまにめんどくさい。でも、激しく可愛い。
「わかったよ…。でもキスだけじゃ終わらせないからな」


今日はバレンタインデー。とろけるチョコレートのように甘い夜が始まろうとしていた。
28名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 00:32:13.80 ID:o8DdAmzt
以上です
突然思い立って書いたから、ラストの無理やり感がハンパない…
しかもバレンタインデーネタなのに甘いのじゃなくて、コメディみたいになっちゃったよ。なんでやw
お邪魔しました
29名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 01:38:00.78 ID:Q9LE/qZe
いやいやいやw
NANAってほんとにわがままだよねー
でも可愛いから許せちゃうんだけどw
30名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 09:44:29.70 ID:hV/olJ/u
>>21
わお、柊さんエロすぎる〜なんてこったw
NANAちゃんもかわいい!

>>28
悩んじゃう美男がかわいい!
わがままNANAちゃんもかわいい!

どちらの職人さんもGJGJ!です!
31名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 18:30:18.38 ID:VPN9E3Nx
>>28さん
ご馳走様。美男兄ちゃん、女心を読むのが上手そうだ。
元初恋廉を美子に奪われて、今度は恋人の美男の特別な双子妹の美子って
NANAにとって天敵になりそうだ・・・
 この4人のWデート見たいかもw
32名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 18:33:55.27 ID:Q9LE/qZe
Wデートw
修羅場になったりしてww
33名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 19:38:46.54 ID:Vph/HwK5
せっかくバレンタインでタイミングよく投下してもらったのに。
一日遅く来てしまった…

>>21
柊さんがエロい!バレンタインにはチョコで…て狙ってたんでしょうか。
バスタオルのチョコ、洗っても取れなそうな気がするけど

>>28
美男、気遣いのいい人だ…
NANAがついついやきもち焼いてわがまま言いたくなるのが納得w
34名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 21:50:28.02 ID:I+ouXwSY
Wデートいいねー
ラブラブ廉美子を見て複雑な心境のシスコン美男とか
それを見てスッキリしないNANAとか。
その逆でも面白そう、ブラコン美子にヤキモキする廉さんw
いっそのこと4人で旅行でも行ってくれww
35名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 21:54:52.58 ID:VPN9E3Nx
>>34さん、
ナイスアイディア、ぜひ、書いて欲しいです。
ラブコンシスコン双子にジェラシーで、廉NANAが意気投合・・・で、ドロドロ系にもなりかねんw
36名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 22:25:12.24 ID:I+ouXwSY
ドロドロ系も面白そう!
旅先のコテージで夜うっかり隣の声が聞こえてしまい
少々複雑ながら火がついちゃった2人(どっちでもいいけどw)とか。
妄想は広がるのだけど如何せん自分は文才がなくて申し訳ないです。
職人様に期待します。
37名無しさん@ピンキー:2012/02/15(水) 22:35:17.34 ID:ySwERgoC
意外にNANA美子が仲良くなっちゃって、男どもを放置とかw
38名無しさん@ピンキー:2012/02/16(木) 07:28:14.08 ID:PYg6LqZj
ちょっと空いたら、NANAのラブラブ甘甘〜かわいくてエロくてGJですw
そしてドロドロ待望論?
妄想しようとしたけど、自分では無理…どなたか頼みます…

12です。感想いただいた方、ありがとうございました。
本編のゲロ美子では夢もエロもないよな〜と思って書き始めて、
結局エロ無しになってしまったので、>>13さんの妄想、ぜひいただきたい!

でも、全く酔わないザルな美子が、シラフの状態で自分から進んで
「色々Hなことしちゃう」ようになるには、当分は廉さんの努力・教育が
必要になる気がする…ので、今しばらくお待ちくださいw
39名無しさん@ピンキー:2012/02/16(木) 22:55:15.11 ID:AKOuKDgF
前に美子が酔っぱらって廉さんにエロいことしちゃう話はあったよね。
逆にシラフ美子が酔った廉さん襲うとかすげー興味あるwおもしろそうww
40名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 00:59:15.91 ID:kuOuCKFq
甘いお話が続いた後ですが、アホ話を1つ投下します。
エロなしで短いです。
41インタビュー1:2012/02/18(土) 01:00:41.91 ID:kuOuCKFq
「おい馬淵!!あんなテーマとか聞いてねーぞ!」
「だ〜はっはっは!驚いたか?A.N.JELLも、大人の魅力を世間に知らしめる時期が来たってわけよ」
「だ、だからってなぁ…!!」

雑誌のグラビア撮影とインタビューの仕事をこなしたA.N.JELLの4人。
しかし、そのインタビューのテーマは「愛する人と目指す最高のSEX」。
女性向けの雑誌"yan・yan"の中でも特に若い女性たちの興味を引く
毎年恒例の企画となっていた。
表紙や巻頭のヌードグラビアは最近注目の若手俳優だったが、その後の数ページで
A.N.JELLの4人にも性に関する赤裸々なインタビューの仕事が入ったのだった。
当日まで、雑誌の撮影という以外何も聞かされていなかった4人は、
打ち合わせで初めてその趣旨を知らされた。

「面白かったじゃん。俺けっこう喋っちゃった。またファン増えるかも」
現在、人気急上昇中の美男が調子よく言い放った。
「廉さん、普段からああいうインタビューであんまし喋らないけど、
 今日は一段と無口だったよねぇ〜?まさか、恥ずかしかったの?廉ちゃ〜ん」
「アホかっ!んなわけねぇだろ、バカバカしい…!俺はそーやって
 チャラチャラすんのがイヤなんだよ!」
勇気にからかわれて、廉はムキになって反論する。
「まぁでも、仕事だし。読者は皆、廉のこと知りたいはずだろ?」
柊の冷静な意見に、廉はリーダーとしては何も言えなくなった。
42インタビュー2:2012/02/18(土) 01:01:46.73 ID:kuOuCKFq
記者(以下:記)「まず…皆さんは、どんな風に女性を誘うんですか?」
廉「別に…どうってことは」
柊「まずは食事やお茶でお互いリラックスしてから、徐々にボディタッチし始める…かな」
勇気(以下:勇)「俺はゲームとかで超はしゃいで、笑い疲れた時に一気にマジモードって感じで☆」
美男(以下:美)「うーん、ストレートに言う。今日、いい?って(笑)」
記「それぞれ個性が出ていますね!廉さんは、自分から誘わなくても女性のほうが
  寄ってきちゃうんでしょうか?(笑)」

〜〜中略〜〜〜

記「では、セックスで一番気を遣うところは?」
廉「痛くないか…とか」
柊「言葉です。綺麗とかカワイイとか、まぁそれ以上も色々(笑)相手の気分を高揚させるように」
勇「相手が楽しめてるかどうか!最中でもお互い笑顔で居たいからね」
美「相手の声で反応を見ます。すっごいイイ声出させることでこっちも燃えるし?」
記「なるほどー。廉さんはそんなに激しいんですか?優しい柊さんの言葉攻めも気になりますね〜」
廉「いや、そんな、激しいっつーか…」
美「激しいからって、上手いわけじゃないしね(笑)」
勇「そうそう、女の子には優しくしなくちゃダメだよ、廉さん」
廉「なんでそんな話になるんだっ!?」(一同爆笑)
柊「もうすぐライブも控えてるし、みんな腰を痛めない程度にしなきゃな(笑)」
記「あら、柊さんのほうがリーダーっぽくまとめてくれましたね(笑)」
美「あ〜、でも大丈夫。俺だいぶご無沙汰だから」
勇「実は俺もー!(笑)いつも1人で寂しい夜を過ごしてます!」
廉「誰に、何のアピールだよ?!(笑)」


翌月発売になったyan・yanを、追っかけ三人娘はいち早く購入し、近くのカフェでじっくり読んでいた。
「キャー!けっこう赤裸々じゃない?」
「うん、美男も勇気もご無沙汰って言ってるけど…これってチャンス?なわけないか〜」
3人にとっては思っていた以上に濃い内容だったのか、お洒落なジャズサウンドが
流れる店内に似つかわしくない大きな声を出す。
「きっと廉と柊は、彼女居るってことだよね。でもデキちゃった婚とかはやめて欲しいな…」
「A.N.JELLはみんな絶対ヤダーそんなの!あ、じゃあ…」
廉のファンである美咲は、声を潜めて七海と亜弓にとある提案をし、早速実行に移した。
43インタビュー3:2012/02/18(土) 01:04:01.73 ID:kuOuCKFq
数日後、事務所で打ち合わせをしたA.N.JELLは社長室へと呼び出された。
「お、来たな。You達に、ファンレターとプレゼントが届いてるんだが…くくっ」
急に笑い始めた社長が指差すほうを見ると、ダンボールいっぱいに既に
スタッフがチェックしたものが積まれている。
いつもならば女性ファン特有のキラキラとした封筒などがほとんどなのだが、
この日届いていたのはなぜか、ビジネス用の大き目の封筒ばかり。
しかも、手紙だけではなく何か入れられていた。

「なんか変なもん送られてきた?カミソリとかじゃないよねぇ?」
顔を顰めて、勇気が恐る恐る封筒の1つに手を伸ばす。
「「「「あっ…」」」」
"薄さの限界に挑戦!0.02mmの極薄タイプ"などと書かれた箱。
よくよく見れば、どのファンレターにも1箱ずつコンドームが入っている。
「なんなんだ、これは!」
顔を赤らめて廉が声を張り上げた。
「私の調べた所によると、yan・yanのインタビューを読んだファンの数人が
 『メンバーのデキちゃった婚を阻止しよう!』とコンドームを送ることを提案し、
 それが広まってこういう事態になったそうです。しばらく続くでしょう」
社長秘書の沢木はいつもどおり冷静に言ったつもりだったが、明らかに目が笑っている。

「しっかしこれ…何回分だよって話だよね」
「社長、少し要りません?なんなら沢木さんも…」
「それはセクハラだろ、美男」
こうして勇気、美男、柊も目の前の状況に笑えてきた。
「ったく…だからあんなインタビュー受けたくなかったんだ!」
「送られてきた量から見ても、廉が一番心配されてるってことだな。社長の俺としても同意見だ。
 くれぐれも気をつけるように」
ニヤニヤしている社長へ言い返す言葉も出ずに、真っ赤になった廉は自分宛のファンレターと
コンドームの山を見て1つ大きなため息をついた。
44名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 01:06:06.98 ID:kuOuCKFq
以上です。アホですみません。
数ヶ月前に書きかけて放置していたのを引っ張り出して書き上げました。
この廉さんは美子と付き合ってるけど、まだDTっていう設定のつもりw
45名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 01:24:29.14 ID:ATBIZFoK
>>44
GJ!面白かった
廉さんやっぱりDTかww
柊さんいちいちエロい
46名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 11:57:29.68 ID:nkT+MBnT
>>44
超面白かった!よかった!!
廉さん、激しいって思われてるんだしw
一番たくさんもらったんだから、がんばって欲しいな〜
続きお待ちしております!
47名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 13:23:50.72 ID:uIWCSB78
>>44
いい!GJ!
美子がアフリカいってるころかな?
廉さんがんばって使いきってほしいw
48名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 13:58:28.93 ID:wZOwGwWm
ドラマの世界では本当にこういう雑誌ありそうだよねw
A.N.JELLのインタビュー読みたい。
49名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 14:37:20.31 ID:EXaqxDLJ
こういうインタビューを入れ替わり中にやったら大変そうだ
貞操は結婚初夜まで守り抜くものじゃないんですか?とか美子言いそうww
50名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 14:44:20.79 ID:uIWCSB78
>>49
すごく言いそうw
で、「美男ってうぶで一途でステキ」とか、間違って人気上がりそうw
51名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 14:55:12.50 ID:EXaqxDLJ
>>49
廉柊勇気(処女確定‼)
それは本物美男可哀想だw
52名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 15:01:33.63 ID:EXaqxDLJ
>>50だった
自分にレスしちまった
53名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 07:38:44.13 ID:LGAiOvC9
>>44
廉さん、廉さんかわいすぎだwがんばれ!www
勇気と美男もキャラ立っててかわいい〜柊さんはさらっとずっとエロい人…!

でも、廉さんDT卒業後にインタビュー受けたら、それはそれで面白そうだw
昨日の美子を思い出してニヤニヤしちゃってなんのインタビューにもならないとかw
54名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 07:58:32.82 ID:orzwE2j+
>>44
GJ!
廉さんDTのまま2年放置されてるんだw

>>49
美子ってカトリック? だったら美男だって貞操守らないとw
55名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 13:19:43.26 ID:KcKtV8NT
44です。実験的に書いてみたけど、楽しんでもらえてよかったですw
柊さんにはもっとエロいこと言わせて見たかったけど思いつかなかった…。
廉さん、美子はもう帰ってきてるんだけどまだ手を出せてない設定で。
>>46 続きとか全然考えてないですwでもエロ書けるように頑張る。
56名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 16:29:23.05 ID:tImKP32I
44さんのお話読んで、別方向に妄想が広がりましたw
一気に書き上げたので、完成度かなり低いですが、投下します。

廉×美子 エロ無し
前回投下分>>6-11 一応、続編です。
57グラビア撮影 1:2012/02/19(日) 16:30:24.49 ID:tImKP32I
「…は? 聞いてねえぞ!そんな話!」
「そりゃあそうだ。言ってなかったからな。」
気色ばむ廉に、社長が余裕の表情で返す。

今日、美子が単独で雑誌取材を受けていて、今、都内スタジオへ向かっているはず
なのだが、その雑誌が、男性向けの超人気グラビア誌だというのだ。

「まさか、ビキニ…いや、水着の撮影とかなんじゃねえだろうな?!」
ビキニの美子…のグラビアが、店頭に並んだところを想像して、悪寒が走る廉。
(冗談じゃない!そんなもん、他のやつらの目に触れさせてたまるか!)

「まさか。さすがに、水着のグラビアはA.N.JELLのイメージに合わないだろう。
オレが許可するとでも思ったか?『普段のイメージとは違う美子』っていう設定で、
写真とインタビューで、合計5ページってところだ。」
社長の言葉に、ほっとする廉だが、『普段のイメージとは違う』にひっかかる。

「社長。どういうイメージで撮ってるんだ?」
「さあな。詳しくはその場の雰囲気で…ってところだ。今回は、有名カメラマンが
撮影してるから、いい出来の写真になると思うぞ?廉も楽しみにしてるんだな。」
笑いながら、部屋を出て行く社長に不安を覚える廉。
(そのカメラマンって、普段、水着のグラビアとかで有名な奴じゃないか。
美子は、今、何させられてんだ?)

今日は、一日、事務所で曲作りに励む予定だった廉だが、全く手につかない。
壁の時計を見上げては、『今、美子がどうしてるか』そればかり考えてしまう。
「…えい、くそっ!全然捗らねえ!」
廉は、車のキーと上着を手にとって、事務所を後にして、美子の現場へ向かった。

都内某スタジオ。
廉が、そっとドアを開けて中に入ると、今まさに撮影しているところだった。
だが、ライトの下の美子を見て、目を丸くする。

青い空に草原、という風景で、芝生にぺたんと座って、斜め上から撮るカメラを
見上げる美子…という構図のようだが、着ているノースリーブのワンピースは、
かなりデコルテが開いたもので、着丈も短く、太ももも露になっていた。
(あれ、絶対、胸の谷間見えてるだろ!裾も、下着ギリギリまでまくれてるし…)

カメラマンは、廉の思惑等、全く気づかず、美子に指示を出し続けている。
「美子ちゃん、いいね、その表情!レンズの方、もっとうっとり見つめてみて?」
美子が、ほんのり頬を上気させて撮影されている…
(おいこら!そんな顔、俺の前以外でするな!)
58グラビア撮影 2:2012/02/19(日) 16:31:26.78 ID:tImKP32I
スタジオの隅に、RINAがいるのを見つけた廉は、慌てて詰め寄った。
「おい!あの美子の衣装は、お前が選んだのか?」
「あら、廉、来たの?やっぱり、美子が気になるのねぇ。」
「いいから、答えろ!」
赤くなって言い募る廉に、笑いながらRINAが話しはじめる。

「今の服は、出版社側のスタイリストさんが用意してきた分よ。私の用意した服と
合わせて、他にも5着ほどあるんだけど。今回は、普段の美子と違う、女らしい
色気のようなものを表現したいから…ってことで、あれに決まったの。」
「あれ、胸とか…足とか、見えてんじゃねーか?!」
「うーん、そうねえ…普段の美子に比べると、かなり露出高めね。
まあ、『色気を表現』っていう意味では、ぎりぎり大丈夫なんじゃないの?」
(あんな下着みたい服で、これ以上撮影させてたまるかよ!)
廉はやきもきして、美子の撮影を見続けた。

このセットの分の撮影が終わったようで、周囲のスタッフたちが、セット替えの
準備を次々に始めた。カメラマンにいろいろ指示を受けていたらしい美子が、
廉を見つけて、笑顔で駆け寄ってくる。
「廉さん!来てくれたんですか?」
「あ、ああ。美子、疲れてないか?」
「ちょっと慣れなくて大変ですけど…いい取材にしたいですから、がんばります!」
けなげに笑う美子に、『その衣装は嫌だ』とは言いづらくて、廉は押し黙った。

「桜庭さん。セット準備に時間かかりそうなので、30分休憩入ってください。」
「はい、わかりました!廉さん、休憩行ってきますね。」
笑顔で答えながら、美子はスタジオを出ていった。

「おい、RINA。次の撮影って、後、どのくらいあるんだ?」
「今まで撮ってた分は、まだほんのさわりよ。これからの方がメインね。」
「…ってことは、あの衣装でまだまだ撮り続けるってことか…」
「そうねえ…セットも大きく変わるから、同じじゃなくてもいいとは思うけど。」
「そうなのか?衣装違っても問題はないのか?」
「たくさん撮影した中で最終的に何枚か選ぶから、写真が良ければOKじゃない?」
「ふーん。そうか…」
廉は、ふと思いついて、にんまりと笑った。
(アイツの衣装、やめさせてやる!)

廉は、スタジオを出て、美子の控え室だという、小さな部屋のドアを開けた。
ソファに座ってお茶を飲んでいた美子が、振り返って笑顔になる。
「あ、廉さ…」
美子の隣に座った廉は、美子に最後まで言わせず、強引に口を塞いだ。
美子は驚いて目を見開き、廉の腕にかけた手に力をこめたが、
それにかまわず、強く抱きしめて、深く口付けて舌を捉える。
59グラビア撮影 3:2012/02/19(日) 16:32:55.05 ID:tImKP32I
「…う…ん…」
美子の吐息が甘くなり、廉を押し返そうとする手の力が弱まったのを感じて、
そっと口づけを離すと、美子の胸を軽くもみしだきながら、首筋に舌を這わせた。
「…あん…やだ…廉さ…こんなとこで…」
真っ赤になってささやく美子にかまわず、廉はデコルテをきつく吸い上げる。
「最後までは…しないから…安心しろ…」
ワンピースの裾をまくり、腿の内側をそっとさすりながら、改めて深く口付けた。
(こういう服は、二人でいるときはいいかもな…)

控え室のドアがノックされ、RINAが顔を覗かせた。
「美子。撮影、そろそろ再開するって…ちょっと廉?アンタ何してるの?!」
ソファに座っていた廉が振り返る。
美子は真っ赤な顔で瞳を潤ませて、廉に抱きしめられていた。
「何って…グラビア撮影用の演技指導だろ?」
廉が軽く舌を出して、にやりとRINAに笑ってみせた。

美子が掲載されたグラビア誌が発売になった。
事務所に届いた見本誌を見て、廉はにんまりと笑う。
(演技指導、完璧だな、俺。)

頬を染めて潤んだ瞳でじっと見つめる、艶っぽい美子…
着ているのは、あのミニワンピではなく、少し襟のつまったシャツワンピだ。
全て、この衣装に統一されて掲載されることになったのは…

「ホント信じらんない!廉が『キスマーク』つけるから、用意してあった
美子の服、ほとんど使えなくなったじゃないの!」
「RINAが用意した、あのシャツワンピが、あいつに一番似合ってるから
いいんじゃないか?ほら、いい表情して撮影してるだろ。」
怒りまくるRINAに、腕を組んで撮影を見守りながら、廉が平然と言ってのけた。

『美子本人と、スタイリストのRINAの強い希望』ということで、
後半は、衣装を変更して撮影に臨んだが、『廉の演技指導』のおかげで、
美子の表情が断然良くなったようで、あっというまに撮影は終了してしまった。
前半のミニワンピで撮影した分は、結局採用されなかったのだ。

柊と勇気も、廉の脇から見本誌を覗きこむ。
「うわ〜 美子、なんか色っぽいね〜いつもと全然違う。」
「そうだな、A.N.JELLのパフォーマンスの時とも普段の美子とも違うな。
こういう表情もできるんだ…正直、驚いたよ。」
「こんな雑誌が発売になったら、美子のファン、さらに増えちゃうね。
廉さん、心配でしょ?」
「…ああ、まあそうかもな。」
心配は心配だが…この美子の表情を間近で見られるのは、俺だけだから…
廉は、うんうんと満足げに頷き続けた。
60名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 16:33:38.78 ID:tImKP32I
以上です。
ところで、エロあり、無しの境目ってどこなんでしょう?
61名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 17:08:11.17 ID:KcKtV8NT
>>60
GJ!!現場まで行っちゃう廉さんw過保護…!
しかもキスマークで仕事妨害とはw結果オーライですかね?
エロあり、なしはキス以上があるかないかって話になってたような。
キスマークだけならエロなし、それ以上の愛撫が入るとエロありかな?
62名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 18:09:40.56 ID:dQJuDctK
>>60
面白い!GJ!
RINAにまで廉美子の関係は知られてるのかw
エロの基準はキス以上か否かですかね。個人的には今回の作品はエロなしかと思います。
63名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 23:10:04.32 ID:6k/ezKj4
>>60
まとめサイトの管理人です。
まとめサイトを作る時に同じことを質問したら>>61>>62の回答だったので
それに添っています。
64名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 05:12:03.11 ID:dPrfE8T1
>>60
いい!GJ!
ここの廉さんけっこう手がはやい廉さんですよねw
キスマークで衣装変えさせようなんて、発想がエロいよ廉ちゃんw
ふたりきりでの演技指導のために、好みのミニワンピを買いにいくさまが目に浮かぶようだ。
あんまりお店でにやにやするなよw
65名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 05:19:43.19 ID:dPrfE8T1
バレンタインデーとっくに過ぎてますが、バレンタインネタを投下させてください。
なにせ、>>21さん、>>28さんのバレンタインネタを読み、影響を受けて書いたもので、
要するに書き始めた時点で16日だったという…。
そのあと規制もかかってしまい、時期はずしてしまってすみません。
さすがに1年ほっとくのも忘れそうなので。

エロなし、帰国後の廉美子と美男NANAですが、
RINAも含めた女子3人のトークが中心みたいな話です。
一応、それぞれのカプも出てきます。
その割には長くなってしまったので、お嫌な方はスルー願います。
66Such a lovely girls 1:2012/02/20(月) 05:28:46.26 ID:dPrfE8T1
「バレンタインデー、かあ…」
ふぅ、とNANAがため息をついた。
「え、なんですか、NANAさん、どうしたんですか?」
頬に人差し指を当てかわいらしく悩むNANAを見て、美子が声をかけた。
「美子はさ、どうするの、バレンタイン!」
がばっとからだを起こし、美子の肩をつかむ。
「え、えええ、バ、バレンタイン…?」
「そうよ!あんた、初めてでしょ、バレンタインに廉と一緒にいるの!
まさかバレンタインまで、神様がどうのとか言わないわよね?!」
NANAは去年のクリスマスまでの道のりを思い出しつつ言った。
美子ときたら予想通りというべきか、クリスマスはミサに参加するものだとしか思っておらず、
でもそれは多分普通ではないことはわかっていつつも、どうすればいいのかわからない、といった調子で
NANAとRINAが寄ってたかって、”恋人同士のクリスマスの心得”を1か月かけて教え込んだのだ。
ちょっとやりすぎた感はあったかもしれないが、そのあとの廉の様子を見るに、
おそらくあのくらいでよかったのだ、と、RINAと二人悦に入っている。
「ほんと、大変だったわよ…。廉もよく付き合うわよねえ、こんな世間知らずと」
「NANAさんひどい!」
「冗談よ、冗談。美子はかわいいわよ〜。かわいすぎてムカついてた時もあったけどね」
肩をつかんでいた手を頭にやり、いい子いい子と撫でる。
実際、恋敵でさえなければ美子はかわいらしい。
自分の一番嫌なところも見せてしまっているから、もはや気を遣う必要もないし、
そもそも今となっては…
「もう、NANAさん!意地悪言うとお兄ちゃんに言いつけますからね!」
珍しく強気な表情で美子が言った。
もちろん本気ではなく、懸命に作った表情を笑いを含んだ目が裏切っている。
そう、大事な人の妹だし、なぜだか大親友になってしまった。
「じゃあ、あたしも廉に言いつけてやる!美子はバレンタイン忘れてたのよ、って!」
「忘れてませんよ!」
「…じゃあ、どうするのよ」
「…そこなんですよ」
ふう、と二人はそろってため息をついた。

正直、料理は苦手だ。NANAは思う。
簡単なものをちょっと作るくらいはできるし、美男はそれを喜んで食べてくれるから、
こっそりいろいろと練習中だけれど、お菓子となると勝手が違う。

もちろん、料理は好きだけど。美子は思う。
食事は必ず自分で作るし、廉の「まぁまぁだな」は絶賛に近いこともわかったから
うれしくなって凝ったものもたまには作るけれど、お菓子となると勝手が違う。

「なんとなく、チョコを溶かして型に流し込むだけ、ってのも癪だしねえ」
「癪ってわけじゃないですけど、もうちょっとなんとか作りたいですよね」
「ネットでいろいろ見たけど、どうもいまいちわかんないのよねえ」
などと二人でこそこそ話していると。
「ごっめーん、二人とも、待たせて!仕事が押しちゃってさー」
にぎやかな声で、RINAが現れた。ぱっとその場が明るくなる。
「なになになにー。恋する乙女が二人でなんの話よ?」
「しーっ!RINAさん、声が大きいです!」
自分はともかく、NANAは有名人だ。あまり変な噂が立つと困る。
美子がRINAに言うと、RINAはごめんごめん、とあまり悪びれた様子もなく答えた。
席に着きつつ、小首をかしげる。
「で、何の話?」
67Such a lovely girls 2:2012/02/20(月) 05:29:33.39 ID:dPrfE8T1
さすがに少し声をひそめたRINAに、NANAが言う。
「バレンタインの話です。何か作ろうかなと思ったけど、どうしようかな、って言う…」
「ああ、もうそんな時期ねー」
話し始めた二人からの話を聞いたRINAが、なぁんだ、という表情を浮かべる。
「じゃあ、あたしが一緒に作ってあげようか?」
「え、RINAさん、お菓子作れるの?」
とっさに聞き返したNANAに、いかにも心外だという表情でRINAが言った。
「失礼ねー、何年女子やってると思ってるのよ。…美子は知ってるわよね?」
「あ、はい、差し入れのクッキーとか、とってもおいしかったです!」
A.N.JELLのメンバーだったころ、RINAが持ってきてくれた差し入れを思い出す。
RINAのお菓子に何度心を慰められたことか。
そんな美子の感慨を知ってか知らずか、RINAはNANAにほーらね、と言わんばかりのキメ顔をしてみせる。
「よし!そうと決まれば、うちに行こ!どうせもうあと何日かでしょ、今日つくろ!」
なんだかRINAはノリノリだ。
その勢いで、本日の女子会はRINA先生の簡単お菓子作り教室となったのだった。

「混ぜすぎないでよ、さっくり混ぜるんだからね!」
「さっくりって、どんな感じ?わかんないわよー!」
「こ、こんな感じですか?」
生徒2名のRINA先生によるお菓子作り教室はにぎやかに進む。
「よし、あとは焼いて…。次はトリュフのガナッシュを丸めてコーティングするわよー!」
「この中身、ガナッシュっていうんですね…」
「このまま食べてもおいしそう〜!」
「ほら、手早くしないと、ガナッシュが溶けるわよ!」
ブラウニーとトリュフチョコの二本立てという、なかなか豪華に見える組み合わせだ。
甘い香りが部屋中に満ち、美子はなんだか幸せな気持ちになる。
一生懸命作っていると、廉の顔が浮かんできた。
「廉さん、喜んでくれるかな?」
手をチョコまみれにした美子が小首をかしげる。
「チョコ、あんまり好きじゃなさそうなんですよね…。もらったチョコもいつも私にくれるし…」
RINAとNANAは顔を見合わせた。ぷっと笑い出す。
「それはあんたがチョコを好きだからくれるんでしょ。美子があげたらなんでも喜ぶわよ、廉は」
「そうそう、”ふん、まぁまぁだな”とか言って、ニヤニヤするのよ。目に浮かぶようだわね」
ああ、やってらんないわ〜と言いながら、NANAが大げさに肩をすくめた。
「でもでも!お兄ちゃんもNANAさんがあげたら、なんでも大喜びだと思います」
そんなNANAに美子も反撃するが、NANAは当然ねとばかりにふふんと笑う。
「そりゃそうよ、でなかったら、わざわざこんなことしないもの」
美子はもはや反撃することもできず、黙り込んだ。ほんのり赤らめたNANAの頬には気がつかない。
そんな二人を見て、RINAは笑いをこらえながら思う。

要するにツンデレからどうしようもなく好かれちゃうタイプなのよね、桜庭家の双子は…。
あ、でも、逆もそうなのかな?桜庭家の双子はどうしようもないツンデレ好き、かも?
ま、需要と供給があってるってことで、いっか。

リビングにぺたんと座り込み、RINAが淹れたお茶を飲みつつ、
3人は多めに作ったブラウニーとトリュフを味見してみることにした。
「わ、おいしーい!」
一つ手に取って口に放りこんだNANAが叫ぶと、美子もにこにこしながらいう。
「はい!とってもおいしいです!RINAさんありがとうございます!」
そんな二人を見ながら、RINAは得意げに答えた。
「でしょ、簡単だけど、おいしいのよ〜。あとは自分たちでラッピングしなさい」
「これ、絶対ワインとも合うわよね〜。ねぇRINAさぁん、ワイン飲みたぁい」
ファンならずともとろけてしまいそうな妖精スマイルでワインをねだるNANAに苦笑しつつ、RINAはグラスを用意する。
「妖精NANAがこんなに大酒飲みだなんて、世間が知ったらびっくりするわね」
「えー、そんなに飲まないわよぅ。たしなむ程度でーす」
「嘘ばっかり」
そんな風に盛り上がりながら、ワインを飲んでいると、だんだん話はガールズトークになっていく。
68Such a lovely girls 3:2012/02/20(月) 05:32:48.57 ID:dPrfE8T1
「ところで廉はどうなのよー?」
NANAがほんのり酔ったまなざしで流し目をする。美子はその色っぽさにどきりとしつつ
「どうって、何がですか?」
と小首をかしげた。
RINAが弾けるように笑いだし、NANAもなんだかにやにやしている。
「まぁ、その育ちっぷりをみると、充実してるのはわかるわぁ」
「ですねぇ、最近ますます色っぽくなってるし」
「え、えええ!?い、いいいい色っぽいって?育つってなんの話ですか?!」
おねーさん二人の意味ありげな笑みに話の方向性を悟った美子は、顔を赤くした。
「やあね、言わせないでよ〜」
その間もワインを飲み続けるNANAは完全に酔っぱらっている。
聞かれもしないのに、美男は優しいわよ〜、などと勝手に語り始め、美子に絡む。
「あたしは話したのにぃ〜。美子は話してくれなーい、なんか悲しい〜」
ねぇ、RINAさん!などと絡むNANAをRINAがまぁまぁ、となだめた。
「美子は恥ずかしがり屋なのよ、NANAだって知ってるでしょ?」
そりゃそうですけどぉ、などとNANAは不満げだ。

だが、それでも照れて話そうとしない美子にかまわず、酔ったNANAは話を進め始める。
「うーん、ああ見えて廉は優しそう、じゃ、ありません?」
ああそうね、とRINAも同意する。
「まぁ、絶対美子のいやがることはしないわね」
しないしないー!もうべたぼれだから、むかつくくらいに!などと言いつつ、
思いついたかのように、NANAの顔が輝いた。
「あ、でもー、やってること優しいのに、言葉攻めとか好きそうじゃありません?」
NANAのテンションは、勝手にどんどん上がっていく。
そんなNANAにつられたのかRINAも大きくうなずいた。
「あーそうかもー!そんな感じ、するする!好きそう!」
「それで、案外ベタなこと言いそうだし!」
「でもやっぱりすっごく優しいことしてたりしてねぇ」
「だって、廉って」
「口だけドSだから!!」
きゃーっと二人が盛り上がるが、美子はついていけずおろおろする。
自分と廉の話をされているのはわかるが、いまいち話がわからない。
口だけドS…?言葉攻め…?って、何…?
とりあえず、盛り上がっている二人をぽやんと眺めつつ、
ワインにかまけてまだ残っているNANAの分のトリュフを、そっと口に入れた。
ん、甘すぎなくておいしい…廉さん、喜んでくれるといいな…。
ほんのりワインに染まった頬が、さらに赤くなった自分に美子は気が付いていなかった。
69Such a lovely girls 4:2012/02/20(月) 05:34:12.12 ID:dPrfE8T1
そしてバレンタイン当日。

NANAは楽屋に美男を呼び出した。
そんなことは人目もあるからめったにしないのだけれど。
どうしても今日渡したいけれど、今日は二人きりで会う時間は他になかった。
自分は収録の後、いくつものイベントに出席予定になっている。

NANAの楽屋にひょこっと顔を出した美男は、いかにも期待をしたまなざしでNANAを見る。
見透かされているのがちょっと悔しいNANAは、つん、とあさっての方向を向いた。
美男はそんなNANAの気質をよくわかっているので、わざと甘えたように言う。
「NANA〜、俺、欲しいものあるんだけどな〜」
すでに衣装を身に着けた美男は、すっかり”A.N.JELLの美男”で。
けれども表情はいつも自分にしか見せない無防備な顔。NANAはそのギャップにどきどきする。
そのどきどきを隠したくて、NANAはふぅんそうなの?と冷たく返事をしてしまった。
「ねえ、NANAってば〜」
甘えた声で首に腕を巻きつける美男に、NANAは
「もう!そんな声出して、誰かに聞かれたらどうするの?」
廊下ではトオルが見張ってくれているので何の心配もないことはわかっているが、ついそんなふうに言ってしまう。
「ごめんごめん、誰もいないから、つい、さ」
怒らないで、と美男がNANAを抱きしめた。NANAの声が小さくなる。
「怒ってないわよ…」
そう?よかった、と耳元でささやかれると、我ながら自分の素直じゃなさが嫌になる。
「美男、あのね…」
「ん?何?」
抱きしめていた腕を放し、美男が小首をかしげ、NANAをきょとんと見つめた。
わかってるくせに!と思うけれど、好きになった弱みか、そんな姿がかわいらしく見える。
「こ、これ!」
突きつけるように、美男行きつけのショップの小さな紙袋を差し出す。
美男がテレビ局で持っていてもおかしくないように…NANAなりに考え、その紙袋に入れた。
中には一生懸命きれいにラッピングした小箱。
にっこり微笑んで、美男のために作ったの、って、かわいらしく渡したかったのに。
「あの、これ、…これ、ね」
子犬のようにわくわくした目をする美男を見ていたら、つい。
70Such a lovely girls 5:2012/02/20(月) 05:35:20.53 ID:dPrfE8T1
「これ、RINAさんと美子と、お菓子でも作ろうかって話になって!
ほら、美子は廉にバレンタインのチョコをあげなくっちゃいけないでしょ。
で、たまたま!たまたま、一緒にいたから私も作ったの!」

ああ、やっぱりこうなる!早口でまくしたてながら、NANAは心の中でうなだれる。
なんでこうなっちゃうの…。
「だから、その、」
言いかけたNANAを遮るように、美男がぱっと紙袋を奪い取る。
「ねえねえ、チョコ?手作り?俺にくれるの?」
大きな目をぱちぱちと瞬かせ、美男がNANAを覗き込んだ。
NANAはおもわずどきりとする。
「すげえかわいく包んである〜!これもNANAが自分でやったの?」
「そ、そうよ…」
「うわ、マジでうれしい!ありがと!NANA!」
ぎゅっと美男はNANAを抱きしめる。
「ちょ、ちょ、ちょっと!」
「今食べたいな〜、でも、もったいないから後で食べようかな〜」
「…メイク終わってるもんね。気にしながら食べるより、また後で食べてくれたらいいわよ」
「違うよ、もったいないのは、時間」
???時間?…美男の言葉にNANAが疑問符を浮かべる。
「すっげーうれしいからさ」
ぱっと、美男はからだを放し、にっこりとNANAに微笑んだ。
「お礼に、ちゅーしてあげる!」
そう言うと、美男がいきなりNANAに口づける。
こんなところで?誰かに見られたらどうするの?!と叫ぼうとしたが、あいにく口はふさがれていた。
美男にやさしく口づけられ、そもそもそんな強気も溶けてしまっている。
こわばっていたからだから力が抜けて、ゆるやかにほどけていくのを感じた。
ああ、これだから…。NANAは思う。
こんなふうに、自分をほどいてくれるのは美男だけだから。
だから。あたしは美男が。
唇を放し、にっこり微笑む美男につぶやく。
「…好き」
ぎゅっともう一度美男に抱きしめられた。俺も大好き、とささやかれ、NANAは満たされる。
「チョコはゆっくり食べるとしてー」
ちゅ、ちゅっと、美男が顔中に何度も口づけを落とす。
「いっぱいちゅーしてあげたかったけど、時間ないから続きは今度ね」
いたずらっぽくウィンクをする美男に、NANAは思わず赤くなった。
そんなNANAを見て満足げにうなずいた後、美男が思いついたように言う。
「あ、でもこれ、廉の前で開けないほうがいいよな?」
「あ…そうか、うん、そうね…。美子も同じのを一緒に作ったから…」
「りょーかい!あとでこっそりあけて、こっそり食べるよ」
でも、柊と勇気には合宿所に帰ったら自慢してやろ、などと言う美男の背中を
NANAが真っ赤な顔で、ばん!と叩いた。
71Such a lovely girls 6:2012/02/20(月) 05:38:38.59 ID:dPrfE8T1
仕事を終えた廉は、ひとり合宿所には向かわず、美子のマンションへ向かう。
合宿所からほど近い、セキュリティのしっかりしたマンションに美子は住んでいた。
ほんとは一緒に暮らしたいと思うし、
勇気あたりには
「そのうち結婚するならさっさと一緒に住んじゃえばいいのにー」
などとからかわれるが、まだきちんとしていない状態でなし崩し的になるのはいやだった。
一度、「美子はそんな風に扱っていい女じゃない」
とメンバーに言ったら、ニヤニヤされながら
「誰もそんなこと言ってないよ、廉が真面目なのはよーく知ってるし、ね?」とか
「ほかにそんな風に扱ったことのある女がいたわけでもないのに、よく言うよな〜」とか、
「どーせしょっちゅう泊まってるんだから、ってだけの話だよ、廉ちゃん」などと口ぐちに言われたが…。
うるさい!と叫ぶしかない。自分なりの、けじめというものがある。

いつものように笑顔で廉を迎えた美子は、けれどもどこかそわそわしている。
はじめはさほど気にならなかったが、ずっとその調子の美子にさすがの廉も声をかけた。
「おい、どうした?おまえ、なんかおかしいぞ?」
「え、そそそ、そうですか?そんなことないんですけど!えーと、えーと…」
頬に手をやり、おろおろと真っ赤になる美子。
そのあまりのかわいらしさにくらくらするが、話の途中でいきなり押し倒すわけにもいかず、
とりあえず廉は話を続ける。
「なんだよ、なんか話でもあるのか?」
目の前であわてたまま立ち尽くしている美子の手を引いて、横に座らせた。
そのまま美子の髪を撫で、答えを待つが、はっ!と思い、額に手をあてる。
「…熱はねえな…」
「ありません!ありません!元気です!」
ますますあわてた美子が飛び上がって否定した。その拍子に何かがぽろりと落ちる。
「あ!」
かわいらしくラッピングされた小箱が床に転がった。
ん?廉は眉を寄せる。
「落っことしちゃった…」
しゅーんと、目に見えてうなだれる美子。
そんな美子を見て、やっと今日が何の日でなぜ美子がそわそわしているのかに気が付いた廉。
「おい」
声をかける。
…ここは俺がちゃんと言ってやるべきだろう、とは思ったものの、どう言えばいいのかよくわからず、
しかもなんだか妙に気恥ずかしくなり、廉はあさっての方向を見た。

「…それ、もらってやってもいいぞ」
違う違う!とっさに口に出た自分の言葉に廉はあわてる。
そうじゃなくて…!いや、でも、じゃあどう言えばいいんだよ!わかんねーよ!
それは俺のか?とか?、そのチョコくれんのか?とか?…どっちもおかしいだろ!
72Such a lovely girls 7:2012/02/20(月) 05:40:12.51 ID:dPrfE8T1
だが、美子はその廉の言葉にぱっと顔を輝かせる。
「すみません!落としちゃって…。
でも、あの、これ、バレンタインだから…チョコのお菓子、作ったんです。
RINAさんに教えてもらって、あの、廉さんに食べてほしくて…」
一生懸命言いつのっている美子を見ていると、知らず知らずのうちに廉の顔が緩む。
別に手作りがほしいとか、そもそもチョコがほしいとか、思ったこともなかったが。
だがしかし。美子からのチョコ。正直、うれしかったり、する。中学生かよ、と自分でも思うが…。
うれしいんだから、仕方ない。
「…あけていいか?」
頬を緩めたまま、廉が美子に問う。
「もちろんです!…中身、崩れてないといいんですけど…」
するりとリボンをほどき、星モチーフのラッピングペーパーで包まれた小箱を丁寧にあける。
中から出てきたのはトリュフとブラウニー。
「お、見た目はまぁまぁだな」
ついそんな言い方をしてしまうが、顔が緩みっぱなしなので、美子には廉が喜んでいるのがよくわかる。
美子は嬉しくなって、えへへ、と笑った。
廉がトリュフをひとつつまんで、口に入れる。美子は心配そうにそんな廉をじっと見つめている。
「ん…うまい」
「ほんとですか?!」
珍しく素直な賛辞に美子が驚いたように目を見張った。
「なんだよ、そんなにびっくりすることねーだろ」
「だって、そんな風に言ってもらえると思ってなくて…」
うれしい、よかった…と頬をおさえつぶやく美子を見て、廉はいとおしくてたまらなくなる。
もうひとつトリュフを口に入れ、美子の顎をとらえ、自分のほうを向かせた。
「廉さん?」
そのまま口づける。
びっくりした美子が固まっていると、その隙を突いたように廉が美子の唇を舐め回す。
「ほらな、うまいだろ」
「…チョコでべたべたです…」
真っ赤になって、美子は自分の唇についたチョコを舌でぺろりと舐めとる。
思惑通りの美子の行動に、廉は思わずにやりとした。
「おまえ、俺のこと誘ってるだろ」
「は、はい?」
「そんなエロい顔すんなよ。もうだめだ、おまえが誘ったんだからな」
「ななな、何の話ですか?!」
「…チョコよりおまえが食べたい、って話」
「はーーーーーーーい?!」
耳元で低い声でささやかれ、思わずからだがびくりと震える。
「た、た、た、食べるって…」
「…おまえ、”どうやって食べるんですか?”とか言うなよ?」
「…言おうと思ったんですけど」
はああああ、と廉がついたわざとらしい大きなため息が耳をくすぐり、そのままぱくりと甘噛みされる。
その刺激に思わず声を上げた美子に煽られ、完璧に自分のスイッチが入ったことを廉は自覚する。
「こうやって、だろ。言わせる気かよ。…わざと俺に言わせてるな?おまえ、ドSだろ…」
ここも、ここも、全部…などと甘い声でささやきながら、廉があちこちに手を伸ばす間、
美子はつい最近聞き覚えた言葉を反芻していた。

ドS…この間の話だ。
あれ、私がドSって話だった?…違う、廉さんが口だけドSだ、って…RINAさんたちが…。
…あ…もしかして…。

廉の指が、よそに気を向けている美子を自分のほうに向けようと動き回る。
自分以外のことを考えさせまいと、少し掠れた声で美子を煽り立て、それ以上の思考を美子から奪っていく。
「ほら、もうチョコよりとろとろだぞ…」
そこを優しくまさぐられ、美子は羞恥でからだを染める。
「…やぁ、ん、廉さん、意地悪…」

そのあと、美子は「口だけドS」と「言葉攻め」の意味を自分のからだで充分に理解することになりました。
と、さ。
おしまい。
73名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 05:41:27.49 ID:dPrfE8T1
以上です。ありがとうございました。

バレンタインネタ職人さん方の影響を受けたのでお礼申し上げます。
同じくらいベタ甘になってるといいんですけど。
でも、うちのNANAちゃんは他のNANAちゃんみたいに、素直な料理上手にはなかなかなってくれない…w
なぜだ。

しばらくほっといた「口だけドS」ネタをどうしても入れたかった結果、無理矢理感が漂ってしまいました…。
それと、お気づきの方もいるかと思いますが、某所からお借りしたセリフがでてきますが
そのへんはさらっと流していただけると幸いです。書いてる途中でどうしても浮かんできてしまって…。
すみません。
74名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 06:56:47.50 ID:i5/0A0hK
>>73さん
遅れたバレンタインありがとう!
意地っ張りNANA可愛いよ。美男はNANAの扱い心得てますねw
双子はそろってツンデレ好きなんですね。すごい納得しました。
美男もNANAの意地っ張りに全くめげてないw
75名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 07:58:10.22 ID:m9+qhKr+
>>73
GJ!
ツンデレ美男NANAも口だけドS廉さんも萌え禿げた
76名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 15:20:14.27 ID:C3VWMkov
>>73
とってもよかった〜!ありがとう!!
ニヤニヤしながら読みましたよ。
可愛くて甘かったです。ごちそうさまでした!
77名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 18:05:01.51 ID:FZvrv5WR
>>73
良いです!GJ!
NANAも美子も美男もかわええw
そして「口だけドS」廉さん、すごくいい!大好きだw

全然遅くないですよ〜季節問わず大歓迎w
>>21さんも、>>28さんもだけど、日付とか気にならないので
ホワイトデーネタも期待していいですか?
78名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 18:30:27.46 ID:TITg1aG/
>>73
超GJです!ほんと、日付関係ないよー!ありがとうございます。
NANAちゃんのツンデレ、廉さんの口だけドS、最高です。
桜庭兄妹も上手いこと付き合ってってる感じでイイ!
バレンタインネタを書いた1人ですが、多少なりとも妄想のお役に立てたなら本望ですw
79名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 20:16:41.79 ID:trNELMPD
>>73
GJ!
テンプレ的ツンデレNANA、口だけドS廉さん可愛過ぎる
NANAと美子の関係もほっこりしました
さりげなくNANAの分のトリュフ食べてる美子WW
80名無しさん@ピンキー:2012/02/20(月) 23:19:41.45 ID:xPpxmupp
>>73
いやあ、かわいい。全員めっちゃかわいいです!GJ!
特に美男NANA萌えるわー
自分もツンデレに惹かれるタイプらしいw

>>77
バレンタインデーネタ書いた1人ですが、ホワイトデーのことまで考えてなかったな
できたら妄想してみます。できなかったらごめんなさいw
81名無しさん@ピンキー:2012/02/21(火) 16:59:32.99 ID:AbrrBxAG
>>67
ツンデレに好かれる双子もツンデレ好きな双子、GJ!!!!
NANAのツン、すっごく可愛いです。
ホワイトデーについ期待してしまいます。

>>63
いつもまとめありがとうございます。
エロの基準、難しいですね。
柊さん見たいな人は、立ってるだけでもエロダダ漏れですが・・・そういうのは
エロぽいけど、エロではないんだよねw
82名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 19:20:21.91 ID:6nvslwV1
60です。感想いただいた方、ありがとうございました。
管理人さん、いつもお世話になってますw ありがとうございます。
エロの境目、了解です。
キスの前後…だと認識してたんですが、不安になったので、助かりましたw
>>64
ミニワンピとか?エロめのプレゼント、嬉々として買いにいく廉さん…
いつかどこかで書きたいw

最近、CMをよく見るので、お出かけさせてみたくなりましたw
少々長めですが、投下します。

廉×美子 エロあり
前回投下分>>57-59
83遊園地デート 1:2012/02/24(金) 19:21:33.45 ID:6nvslwV1
ある夜の美子のマンション。
廉がシャワーを浴びてリビングに戻ると、美子が真剣にTVを観ていた。

「何、観てるんだ?」
「廉さん、これ、遊園地で今やってるイベントみたいです。楽しそうだなぁって…」
それは、某有名遊園地の季節限定イベントの特集番組だった。
イメージキャラクターのネズミが、仲間たちと一緒にダンスしている。

「あの女の子が頭につけてるカチューシャ、かわいいなぁって思うんですけど。
あの遊園地の中にいる人たちって、あれつけて歩いてる人、多いのかな?
せっかくなら、カチューシャつけて遊ぶ方が楽しいですよね?絶対。」
美子が指差した先で、『ネズミの耳付きのカチューシャ』をつけた女子高生が、
ネズミとアヒルに囲まれて、一緒にダンスしていた。
(かわいいかも…)
廉は『カチューシャをつけた美子』を妄想して、一人にやける。

「廉さんは、この遊園地、行ったことありますか?」
「いや、俺は一度もない。」
「私も無いんです。いいなぁ…ほんと楽しそう…」
うっとりと画面を見つめる美子を、廉は複雑な心境で見ていた。

「おい、お前たちって、あの遊園地行ったことあるか?」
翌日、美子が別の仕事に行っている間に、柊と勇気にこっそりと聞いた廉。
「あるよ〜 最近は行ってないけど、何度かね。すっごく楽しいよね〜」
「俺は、東京に出てきたころに一度だけかな。」

(やっぱり、二人とも行ったことあるのか…)
廉は、元々、あまりに人の多い場所が得意ではないので、子供のころから
遊園地のようなところに、それほど憧れも興味も無かった。それに今は…

「あっ! もしかして廉さん、美子と行くの?」
勇気が気がついて、楽しそうに言う。
「いや…行くってわけじゃ…」
「え〜絶対喜ぶよ、美子。いいな〜遊園地デート!」
自分のことのようにうれしそうにはしゃぐ勇気に、柊が言った。
「でも…今、廉たちが外に出かけて、もしA.N.JELLってばれたら、大変なことに
なるんじゃないか?遊園地の中で見つかったら、パニックになるかもしれない。」
84遊園地デート 2:2012/02/24(金) 19:22:31.51 ID:6nvslwV1
(そうなんだよな…)
廉は、今までずっと、美子と外へ出かけるのを、意識して避けてきた。
街を歩いていてファンに囲まれたり、食事中や買い物中に店内で騒ぎになったり…
A.N.JELLが有名になるほどありえることだし、美子とのことは公表していないので、
自分たちで十分に気をつけるしかない…と思ってきたのだ。

「でもさ〜 たまにはちゃんと外でデートしたくない?美子も廉さんと一緒に
出かけたいと思ってるだろうし…あっ、変装とかしたらどうかな?」
「そんな、だめだよ勇気。ちょっと変装しただけじゃ、すぐばれちゃうよ。」
「だから、超完璧な変装するんだよ!もう、誰だかわかんないくらいの。」

(『超完璧な変装』ねぇ…)
そんな柊たちの会話を聞きながら、廉はぼんやりと考えていたが…
(そうか!!)
急に思いつき、にやりと笑った。

その日の仕事が終わり、美子をマンションへ送る途中、廉がきりだした。
「なあ、美子。今度、昨日TVで見た遊園地、行かないか?」
「えっ すごく行きたいです!」
美子が瞳を輝かせたが、すぐに表情を曇らせた。
「でも、二人で出かけたら…見つかったりして、まずいですよね…」
外で見つかって騒ぎになったり、公表していない交際が発覚してしまったり…
美子も充分わかっているので、そのままうつむいてしまった。

「いや、大丈夫だ。美子、お前、美男みたいな、男の格好の変装する気あるか?」
「え?お兄ちゃんになるってことですか?」
「ああ、そうだ。今のお前は、美男と変わらないくらいのショートカットだから、
服とヘアメイクで男っぽくすれば、美男のイメージにかなり近づけるはずだ。」
「うまくいくでしょうか?」
「双子の兄がいることは公表してないから、ぱっと見て『男だ』とは思われても、
そこから『A.N.JELLの美子』を連想されることはないと思う。
でも、男装で過ごすことになるから、いろいろ慣れなくて窮屈だろうし、
せっかくの遊園地に男の格好…でお前が大丈夫なら、の話なんだけどな。」

少し考え込んでいた美子が顔をあげた。
「大丈夫です!もし、それで行けるなら、私、廉さんと遊園地行きたいです!」
「じゃあ、今度のオフにな。」
「はい、楽しみにしてます!」
二人は、次のオフまでの準備をいろいろ考えながら、家路についた。
85遊園地デート 3:2012/02/24(金) 19:23:17.68 ID:6nvslwV1
朝からの仕事が終わり、昼過ぎ以降は揃ってオフになった、ある平日。
廉と美子は、事務所の中の、RINAが常駐する部屋へ向かった。
『美子を男装させて遊園地へ行きたい』と、RINAに相談したら、
「私にまかせて!」
と、二つ返事で協力してくれることになったのだ。

「はい、これが美子の服と靴。女性用のブランドで、それっぽく見えるものを
選んだから、サイズもばっちりよ。」
「RINAさん、ありがとうございます!」
美子は、服を受け取り、奥の部屋へ入って早速着替え始めた。

「で、こっちが廉の分。アンタ、背が高いから、これ探すの大変だったのよ〜」
「…は?」
廉は、RINAから手渡された服に面食らった。
「何だこれ?」
「何って…廉が着る女物の服よ〜後、こっちがウィッグと靴で…」
「だから!何で俺が女物着るんだよ?」

真っ赤になった廉に、RINAが言う。
「何言ってるの!廉も変装しなきゃだめに決まってるじゃない。
アンタ、『A.N.JELLの廉』のまま、遊園地行くつもりだったの?」
「俺は俺で、ちゃんと帽子と…」
「そんな帽子とサングラスじゃ、たいした変装になってないわよ。そもそも、
『夢の国』の遊園地でサングラスかけて歩いてたら、人相悪くて逆に目立つわね。」
「だからって…」
「美子は男の子の格好になってるのよ。男の廉と二人で遊園地歩いてたら…
まあ、あんまり見かけない『カップル』かもね。その状況で『廉』ってばれて、
写真誌とかで変に報道されたら、その方が困ると思うけど?」

それは…確かに困る…でも…
「でも…俺が完璧に変装すれば、女装である必要はない…」
言いよどむ廉に、RINAがさらにたたみかける。
「男装した美子と女装した廉が遊園地でデート…なら、見た目に違和感ないし、
二人とも『A.N.JELL』ってばれないじゃない。美子は、廉と遊園地に行くために、
慣れない男装がんばるって言ってるのよ?廉もがんばらなくてどうするの!」
「…」
『美子ががんばってる』と言われると反論できない廉。だからといって、女装は…
86遊園地デート 4:2012/02/24(金) 19:24:07.12 ID:6nvslwV1
「着替え、終わりました。」
奥の部屋のドアが開き、廉とRINAの前に出てきたのは、完全に『美男』だった。
細身のライダースJKにダメージデニム、エンジニアブーツ…
最後に見送った、あの空港での美男そのままで、廉は、改めて双子だと実感した。

「すごいわ、美子!もうほんと、美男そっくりね!」
RINAも感嘆している。
「変…じゃないですか?」
「全然大丈夫よ〜 後は、軽く男性用のヘアメイクするわね。
さあ、廉。次はアンタの番よ。コレ持っていって、そっちで着替えてきて!」
無理やり服を持たされて、廉は奥に追いやられてしまった。

「おい!まだ、これ着るって言ってな…」
慌てた廉の耳に、二人の会話が聞こえてくる。

「RINAさん、廉さんも変装するんですか?」
「そうよ〜 美子が男装でがんばってるからね。廉もばれないように女装するの。」
「廉さん、女装って大丈夫なんですか?」
「大丈夫!ちゃんと廉に合うように、服もウィッグもぴったりなの用意したから。
もしかして。美子は、女装した廉と遊園地って嫌だった?」
「全然、そんなことないです!私、廉さんと一緒に遊園地行けるの、すごく
うれしくて、ずっと楽しみにしてたんです。男の格好した私と一緒でいいって、
廉さん言ってくれたし…二人とも変装させてもらえて、RINAさんのおかげです!」
「ううん、全然!ほんとに、美子は素直でかわいいわよね〜」

「…くそっ…」
美子にそんなに素直に喜ばれては、今さら拒否できない…
廉は、渋々ながら、RINAの用意した服に着替え始めた。

着替え終わった廉に、美子が感激して声をあげる。
「廉さん…すごくすごく似合ってます!」
姿見に映る自分を見て、廉も驚いた。
栗色のゆるいカールのセミロングの髪に、タートルネックのセーター、
ツイードのJK、ロングスカートに編み上げブーツ。
(認めたくないけど…俺、ちゃんと女に見えてる…)
87遊園地デート 5:2012/02/24(金) 19:24:50.26 ID:6nvslwV1
RINAは、自分のセレクトに満足気だ。
「やっぱりね〜 廉の顔立ちは、絶対女装似合うって前から思ってたのよね〜
そうそう、このくらいの明るさの髪だと、色白の肌に映えるし〜」

(この女装、お前が俺にやらせたかっただけなんじゃねーか!!)
RINAに怒鳴りつけたくなったが…
でも確かに、この格好なら『A.N.JELLの廉』とはわからない。
今回の目的は、あくまで『遊園地』だ…廉は、なんとか我慢しようとした。

でも、女性用のメイクはさすがに嫌だ…廉は断固拒否する。
「化粧は絶対にしない!服だけでも、そこそこ女に見えてるからいいだろ!」
「じゃあ、このくらいはしなさい!」
RINAに、軽くパウダーをはたかれて、色つきのリップクリームを無理やり塗られて…
ほんのり染まった唇をへの字に曲げる廉を見て、美子は、楽しそうに言った。
「廉さん、お化粧しなくても充分きれいですから、大丈夫ですよ?」
(全くうれしくないが…美子がそう言うなら…まあいいか…)
RINAに礼を言って、二人は遊園地へと出発した。

廉と美子が遊園地に着いたのは、既に16時をまわった頃だった。
帰るために出口へ向かう人がたくさんいたが、逆に夕方以降に園内に入る人も
多いようで、思っていたよりもたくさん人がいる。

「まずは、どこへ行くんだ?」
「あの…TVで見たカチューシャが欲しいんですけど。」
手近なショップに入って、きょろきょろと店内を見渡した美子は、
目的の品を見つけたようで、店の隅へ一目散にかけていった。
棚にあった、『ネズミの耳に赤いリボンが付いたカチューシャ』を手に取り、
そばにあった鏡を笑顔で覗き込もうとした美子だが、ふいに顔を曇らせる。

「どうした?」
「廉さん。私、今日、男装して来てるんでした。
カチューシャ、こんな男の子の格好には、似合わないですよね…」
(そうだった…)
廉もうっかりしていた。
遊園地へ来るために、お互い男装女装してきたが、
さすがに『リボン付きカチューシャ』を、今の美子がつけるのは…
88遊園地デート 6:2012/02/24(金) 19:25:35.87 ID:6nvslwV1
「美子、こっちのリボンのついてない方ならどうだ?」
『ネズミの耳だけが付いたカチューシャ』を指差す廉。
「さっき、これをつけて歩いている男、見た気がするぞ?」
「あ、でも…たぶん恋人同士とかで、女の人がリボン付きで、男の人がこっちで…
お揃いだったんだと思うんです。私一人だけでこれつけてると、やっぱり変かも…」

横に『リボンつきカチューシャの女』がいたかどうかは気づかなかったが…
(まさか…俺がリボンの方つけるってことか?それは無理だ…)
カチューシャを見比べて困っている廉…を見つめて、美子が真剣な顔でお願いする。

「廉さん。このカチューシャ、一緒につけてくれますか?」
「あ、いや…それは…」
「私がこっちで、廉さんリボン付きで。お揃いになるんですけど…」
「ああ、でも…ちょっと…」

美子は、2つとも手に取って、焦る廉を見上げながら、にんまりと笑った。
「えへへ 嘘です!今日はこれ、お土産に買って帰ります。
男装してない…普段の私に戻った時につけます。」
さっさとレジに並ぶ美子に、真っ赤になって呆然とする廉。
(な…なんなんだ、急に生意気になって!絶対、後で仕返ししてやる!)

人気のアトラクションの列に並んだ二人。
日中程の混雑ではないようだが、30分程、待ち時間があるらしい。
廉は、同じ列に並んでいる人たちに、頻繁に見られているような気がしていた。

「美子。もしかして、俺たちの正体、ばれてるんじゃないか?
さっきから、なんか…すごくじろじろと見られてる気がするんだけど。」
廉が小声で聞くと、美子が言いづらそうに答えた。
「あの、たぶんですけど…身長差があるからだと思います。」
「身長差?」
「今は私が男の人で、女の人の廉さんより15cm位小さいから、目立つのかも…」
「なるほど。」

廉が今日履いている網上げブーツは、慣れない廉でも歩きやすいように…と、
RINAがほとんどヒールの無いものを選んだようだが、美子のエンジニアブーツにも
ヒールが無いので、二人の身長差は縮まっていない。
アトラクション内のガラスに映った二人は…確かに身長がちぐはぐだった。
89遊園地デート 7:2012/02/24(金) 19:26:19.10 ID:6nvslwV1
『男装した美子と女装した廉なら、見た目に違和感ない。』
さっきのRINAの言葉を思い出した廉。
(充分、違和感あるぞ!)
そうつっこみたくなったが…

「美子は、今の俺たちの身長差、気になってるのか?」
「いいえ、全然気になりません!どんな格好でも、関係ないですから。」
美子が笑顔で断言するので、つられて笑顔になった。
(まあ、そうだな。正体がばれなければ、それでいいんだし。)

アトラクションに続けて3つ乗った後。
飲み物を買いに行った美子を、廉は少し離れた場所で待っていた。

「あの、スミマセン。ちょっといいですか?」
廉より若干年上と思われる女性に声をかけられた。
「はい…」
「私、こういうものなんですが…」
彼女が差し出したのは、聞いたことのあるモデル事務所の名前の入った名刺。

「身長も高いし、スタイルもよくて…お見かけして、さっきからずっと
気になってたんですが、モデルとかタレントとか、芸能関係の仕事に
興味ありませんか?時間大丈夫なら、少しお話聞いてもらえると…」
「…はぁ?」
(スカウト! …って女の俺にだよな?)
「いえ…あの。けっこうです…」
「全く興味無いですか?すごく人目を引くし…向いてる感じがするんですが…
あ、もうどこかの事務所に所属して、活動されてます?」

(俺、『A.N.JELL』なんですけど。)
さすがにそうは言えず…あまり近寄られると、ばれそうな気がするので、
なんとか逃げようとしたが、かなりしつこく詰め寄るスカウトに、辟易する廉。
「あの…ほんとにそういうのは…もう、いいんで…」
「今、園内ではちょっと…ってことなら、後日改めてでも!」

「スミマセン!彼女、ボクの連れなので、遠慮してもらえませんか?」
美子が戻ってきて、きつい声色と険しい顔で、スカウトの女性に迫った。
「あ、あの…え?!」
廉と美子を見比べて驚く女性。たぶん、逆身長差カップルにびっくりしたんだろう。
(やっぱり美男そっくりだな。)
詰め寄る美子を見ながら、廉はのんきにそんなことを考えてしまう。
90遊園地デート 8:2012/02/24(金) 19:28:56.27 ID:6nvslwV1
「もう時間ないので!失礼します。」
廉の手をつかみ、美子はその場を立ち去ろうとしたが、廉だけでなく美子の顔も
まじまじと見ていた女性は、もう1枚の名刺を、今度は美子にも握らせた。

「あの、こちらの方と一緒にお話聞いてみる気ありません?
うちの事務所、男性タレントにも力入れてるんです。歌手や俳優の部門も
充実してるから、少しでも興味あったら、ぜひともお二人一緒に!ね!」
「えっ?」
びっくりして、立ち止まる美子と廉に、連絡くださいね〜と言いながら、
スカウトの女性は離れていった。今日は一旦引くことにしたようだ。

「廉さん、私もスカウトされたってことですよね?名刺もらっちゃいました…」
「だな。男として認められたってことじゃねーか?」
そう言いながら、脇のゴミ箱に名刺を捨てようとする廉を、美子が慌てて止める。
「だめですよ、廉さん!いただいた名刺、粗末にあつかっちゃ…」
「じゃあ、お前にやる!でも、それどうするつもりだ?」
「どうしましょうか…」
2枚の名刺を手に悩む美子を見て、ふと廉が気が付いた。

「あ、そうか!その名刺、美男に渡せば?お前をスカウトしたんだから、美男でも
大丈夫だろ。その名刺持って、さっきの人の事務所行ったら、歓迎されそうだぞ?」
「お兄ちゃん、興味あるかな…」
「さあな。でも、いつか帰国した時に渡しとけ。」
「はい。そうします。」
名刺をかばんに入れて頷く美子。

そろそろ閉園間近だが、中央の湖周辺で花火が上がるらしい。
大勢の人たちが、花火を見やすい位置に移動を始めたので、廉たちも歩きはじめた。

「こっちです、廉さん。」
美子が廉の手を握り、人ごみの中で先を歩こうとする。
「いいよ、別に…さっきから、おまえがもみくちゃにされてるぞ?俺の後ろに…」
「だめです!男の私が、女性の廉さんをちゃんとエスコートしなきゃ!」
ちょっと偉そうに言う美子に苦笑して、廉は手を引かれて歩き出した。

すぐ真横の湖で花火が上がり始める。
「うわぁ、きれーい!!」
口を大きく開けて花火を見上げる美子の顔は、花火の光に照らされて、
とてもうれしそうに輝いていた。
(こっちも『花火』みたいだな…)
真上の花火と、真横の美子の顔を交互に見比べながら、廉は幸せな気分に浸った。
91遊園地デート 9:2012/02/24(金) 19:29:55.28 ID:6nvslwV1
遊園地が閉園し、二人は美子の部屋へ帰ってきた。
リビングへ入るなり、TVの脇に、2つのカチューシャを嬉しそうに飾りはじめる美子。

(あんなに喜んでるなら、行ってよかったな…でも…)
廉は、そんな美子を見ながら、すぐさまウィッグを取って、がっくりと肩を落とす。
(疲れた…)
たった半日だったのに、慣れない女性の服と気疲れで、何日分も疲れた気がする。
(アイツ、すごくがんばってたんだな…)
双子の妹のために女装してA.N.JELLに入った美男を、廉は改めて見直した。

着ている服を少しでも早く脱ぎたい…
(シャワー浴びて、昼まで着てた服、着なおすか。)
と、考えていると…美子が後ろから、ドンっと勢いよく廉に抱きついてきた。

「どうした?」
「あの…今日、すごく楽しかったです!廉さんありがとうございました。」
「こんな、男の格好で出かけて、良かったのか?」
美子の髪に手をからませながら聞くと、廉のセーターに手をかけて美子が答える。
「はい、私は全然。それより、廉さんの方が大変でしたよね。女の人になって…
こういう服もすごく疲れちゃいますよね…」
「ああ、まあそうだな。女装はもう勘弁してほしいかも。」
「すぐに着替えますよね?だったら…」
「あ、いや…やっぱ、シャワーは後でいい。そっちで脱がせて。」

寝室の方を顎でさして、にやりと笑いながら、廉が美子にそっと耳打ちした。
「『男のお前が、女の俺をベッドまでエスコートしなきゃ』…なんだろ?」
「は…はい…わかりました。」
美子は慌てて頷くと、廉の手を引いて、おずおずとベッド脇まで連れていった。

この先、どうしよう…
廉の手を握ったまま、照れて下を向いた美子に、廉が吹き出した。
「なんだ、どうした?何、迷ってるんだ?」
そう言って、美子の肩を抱き、勢いよくベッドに押し倒す。
「じゃあここからは、『女の俺』が教えてやる。ちゃんとよく見て覚えろよ。」
廉がドヤ顔で言い放ち、美子はさらに赤くなった。
92遊園地デート 10:2012/02/24(金) 19:30:39.31 ID:6nvslwV1
廉は、美子が着ている『男性風のライダースJK』に手をかけながら、つぶやいた。
「なんか俺…『美男』襲ってるみたいだよな。」
服を順に脱がされていく美子は、『女物の服』を着たままの廉に答える。
「私は…なんか『女の人』といけないことする気分ですけど…」
「なんだお前?もしかして、女とヤリたいのか?」
自分を覗き込む廉の怪訝そうな顔に、慌てる美子。

「い、いえ。とんでもないです!そんな…女の人となんて…他の人もですけど。
私は…廉さんとじゃないと…あの…その…絶対嫌ですから!」
必死で言い募る美子を見て、うれしくなった廉は、美子の手を抑えながら
舌をはわせて、鎖骨をきつく吸い上げた。
「…あ…」
頬を染めて、軽く声をあげた美子の耳元で囁く。
「じゃあ、『よくできました!』の花丸やる。」
鎖骨につけた赤い痕を指でそっと撫でる廉に、美子もうれしくなってうなずいた。

自分が着ていた女物の服を全て脱ぎ捨てた廉は、美子の胸にそっと頬ずりした。
「やっぱ、男装よりこっちの方がいいな…ちゃんといつものお前だからな。」
「廉さんも…」
恥ずかしそうに微笑む美子を抱きしめて、廉は深く口付けた。

(今日の美子、なんか違うな…)
胸の先端を舌で転がしながら、廉は違和感を感じていた。
「…あぁっ…っ…はぁっ…あん…」
まだ胸しか愛撫してないのに、喘ぎ声や吐息がいつもより激しい気がする。
(…すごく敏感になってるような…)

片方の手で腰を抱き、もう一方の手を、そっと美子の中心に伸ばした。
美子の蜜は溢れる寸前まで潤っていて、ほんの少し入り口に触れただけなのに、
「…やっ…」
美子は高く喘いで、激しくのけぞり…廉は驚いて、思わず手を離してしまう。
(なんだ?俺、なんかいつもと違うことしたかな…)
もう一方の胸の先端を口に含んで、廉はしばし悩んだ。

(あっ もしかして『外に出かけた』から?気分的なものって…あるよな、絶対。)
二人とも、外出や目立つことはしづらい環境にいるが、今日は、あえて変装して
出かけた。ちゃんとした外でのデートは初めて、といってもいいくらいだ。
93遊園地デート 11:2012/02/24(金) 19:31:22.31 ID:6nvslwV1
行きたがってた遊園地…
美子のうれしそうな顔を思い出した廉は、舌で先端を撫でながらにやけた。
(まあ、いろいろ大変だったけど…あんなに喜ぶなら、また出かけようかな…)
自分の女装の件は忘れることにして、廉は心の中で頷く。

「…っ…はぁ…ん…廉…さぁ…」
美子が激しい吐息の合間に、廉をかすれた声で呼んだ。
廉は顔をあげ、美子を見下ろした。
「どうした?」
「…あの…なんか、もう…私…」
美子は、瞳を潤ませながら廉を見つめる。

「どうしたい?続けたい?」
胸の先端をそっと指で撫でると、頭を横に振る。
「…じゃあ、もう今日はやめよっか?」
指を止めて廉がそういうと…美子は、少し困った顔をして唇をかんだ。

(それって…もう触ってほしくはないけど、その先なら…ってことだよな。)
美子がそんな風に廉に訴えることも、今まで一度もなかった。
『初めて見る美子』に、廉はさらにうれしくなる。

(昼間の『カチューシャの仕返し』してやるか。)
美子を抱きしめて、耳元に顔を寄せ、廉はわざとささやいた。
「美子…どうしてほしい?俺にわかるように言ってみな。」
「!!」
恥ずかしさと、耳にかかる廉の熱い吐息で、美子が真っ赤になった。
「えっと…あ…の…」
消え入りそうな声で返事に困っている美子がかわいくて、さらに続ける。
「それじゃわからないな…ちゃんと言ってくれなきゃ。」
うっすら涙目になる美子…言葉が続かないようだ。

(いじめすぎたか?)
あまり長く続けて美子に嫌われたくない…廉は、顔をあげた。
「もういいよ、ここまでで。」
ほっとしてちょっとだけ笑顔になり、こくっと頷いた美子に、もう一度だけ…
廉は耳元でささやいた。
「こっちは、『次回がんばりましょう』だな。」
美子が最高に真っ赤になり固まっているのを見て、廉はにんまりとする。
94遊園地デート 12:2012/02/24(金) 19:32:14.28 ID:6nvslwV1
避妊具をつけて、美子の手に指を絡めて組み敷いた廉は、そのまま勢いよく
美子を突き上げた。溢れる寸前だった美子の蜜が、どんどん押し出されて
ベッドに滴り落ちるのもかまわず、美子の中を激しくかき回す。

「…あ…ん…はぁ…んん…」
元々限界寸前だった美子からは、もうはっきりとした言葉は出てこない。
激しく喘いで大きくのけぞりながら、急速に廉を締め付けていく。
「…はあっ…くっ…み…はっ…」
迫りくる快感の中で激しく喘ぎながら、廉は、美子の肩を抱き、腰を持ち上げて、
強く押しつけて揺さぶった。

「やぁっ…あ…んっ…」
「…んぁっ…はあっ…くっ…」
二人同時に大きく息をのみ、びくびくと痙攣し達した後、廉は、力が抜けて
崩れ落ちそうな美子を抱きとめ、ベッドに倒れこまないように、ぎりぎりで耐えた。

廉の隣で微睡んでいた美子が、ふいに目を開けた。
ベッドから起き出して、リビングへ入って行き、すぐに戻ってくる。
「…美子?」
不思議そうな廉の頭に、美子は『耳つきカチューシャ』をスポッとかぶせた。

「えへへ やっぱり廉さんは、リボンの無いカチューシャの方が似合いますよ。」
ニコニコ笑う美子の手から、もう一方を取り上げて、お返しに美子の頭に
かぶせ返した廉は、そのままぐいっと抱き寄せた。
「お前も、こっちのリボンある方がいいな。なんなら、この格好でもう1回するか?」
「いやです!」
きっぱりと断った美子に、廉はムッとする。
「なんで?」
「だって…動いて頭から落ちたら、ベッドの上で踏んじゃって…
カチューシャ、壊しちゃうかもしれないじゃないですか。」
「…ふーん。じゃあ…」

にやりと笑って、自分と美子の頭からカチューシャを外して、脇に置いた廉は、
美子の少し乱れた髪をなでながら、耳元でささやいた。
「外したら、してもいいってことだな?」
目を丸くした美子を掻き抱いて、有無を言わさず口を塞いだ。
95遊園地デート 13:2012/02/24(金) 19:33:00.54 ID:6nvslwV1
翌日。
美子以外の3人は、都内スタジオで、男性向けファッション誌の取材を受けていた。

柊のソロショットの撮影中。
脇で待機する廉に、勇気がにこにこと話しかける。
「廉さん。さっき事務所で、美子から遊園地のお土産もらったよ。ありがと〜!
美子、すごくうれしそうだったね。朝早くから、妙に浮かれてたよ。」
「お、おお。そうか…」
「そういえば。2人で出かけて大丈夫だったんだよね?どんな変装してったの?」
「ああ…それは、まあ。秘密だ。」
口ごもる廉。
「ええ〜 教えてよ、廉さん!ばれなかったんでしょ?俺もそれ参考にしたい。」

勇気なら、意外と似合うかも…?
一瞬そう考えたが、慌てて首を振る廉。
「そういうのは、お前が自力で考えろ、勇気。」

「まあそうだな。どこかへ出かけたいなら、それは勇気が自分で考えなきゃな。」
「ちぇっ…」
撮影を終えた柊が話に加わり、代わって呼ばれた勇気が、カメラの前に向かった。
話がそれて、廉はホッとするが…横に並んだ柊の、意味ありげな視線に気づく。

「…なんだ?」
「…廉って、美子…彼女に、すごく尽くすんだなって思って…」
「な、何言ってんだ?!」
「いや…ほんとに。美子とつきあうまで、お前のそういう部分知らなかったからさ。
新たな一面っていうか…正直、驚いたよ。」
「だから、何が言いたい…」
「でも、大丈夫。勇気には秘密にしとくよ。」

しみじみと語る柊に、真っ赤になって悩みはじめる廉。
(まさか、昨日の女装のこと…柊、知ってるのか?美子には、絶対内緒だって、
ちゃんと言っといたけど…いや、待てよ? さっき勇気が
『アイツが浮かれてた』って言ってたな…それでぽろっと柊に話した、とかか?)

実は、この撮影用の衣装合わせの最中に、『変装の手助けをした』と、
つい口走ってしまったRINAをうまく誘導して、さらに聞き出した柊。

(まさか、女装して美子を遊園地へ連れていくとはね…ほんと、驚いたよ。
でも、A.N.JELLのリーダーが女装して出かけた…ってのは、絶対公にできないな。
廉とA.N.JELLの名誉のためにも、確実に秘密にしておいてやらないと。)

RINAには、自分からさらに口止めをしたので、これ以上広がることはないだろう。
横で狼狽する廉に、柊は心の中で声をかける。
(廉、大丈夫だ。これは『俺だけの』秘密にしておくから。。。)
その柊の含み笑いこそが、今の廉の最大の悩みの元なのだが…
(大丈夫、大丈夫。)
柊は、得意げに笑顔を見せて、一人頷き続けた。
96名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 19:33:52.36 ID:6nvslwV1
以上です。
廉さんには全力で謝罪したい…
そして柊さんも、ちょっと黒くなってしまったw
97名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 20:40:04.10 ID:0X7Pulgm
>>96
GJ!
いいなぁ、2人のカチューシャ見たい。あれバカップルにはピッタリで可愛いよねw
廉さん、渋めの歌舞伎ぽい男顔だが、女装似合うんだろうか、オカマバーのママぽくなりそうな気もするが
RINAさん、さすがです。
98名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 21:07:29.27 ID:XVB+Sr3m
>>96
かわいいかわいい!カチューシャ似合いそう!
RINA姐さんにかかったら、廉さんも負けちゃうんだなw
個人的には花丸とがんばりましょうがツボりました

廉さんたぶん今でもそれなりに女装似合うと思うよ
昔の画像で中の人がミニスカJKみたいなカッコしてる画像見たことあるw
たぶん雑誌のネタ写真なんだと思うけど、めっちゃかわいくて、足も細かった
すげーな某事務所タレって、と思った覚えがw
本編の柊さんももう少しナチュラルな女装だったら、きっともっとかわいかったのにw
99名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 21:09:23.28 ID:XVB+Sr3m
連投ごめん
柊さんがとても柊さんらしい活躍をしてくれてうれしいw

って、書くの忘れちゃった
100名無しさん@ピンキー:2012/02/24(金) 21:56:01.97 ID:/tRrfh3Q
ちょwwまさかの女装廉さんw
でも確実にでかい女と小さい男だよね。その姿でカチューシャかぶって
夢の国でデートしてる姿想像したらめっちゃ笑えるw
多分廉さんは絶叫マシン系に弱くて美子は強そう
101名無しさん@ピンキー:2012/02/25(土) 00:19:55.28 ID:LnTWRsAv
廉さんホーンテッドマンションや白雪姫のとか怖い系もダメじゃないw?
暗いしね。

で、スプラッシュマウンテンの写真では白目向いてそうw
102名無しさん@ピンキー:2012/02/25(土) 03:09:35.25 ID:jwSGn6Za
>>96
かわいい2人をありがとう!!
RINAさん、GJ!有名人は大変だよねぇ。
美男を抱く気分の廉と、女の人とイケナイことする気分な美子w
柊さんの含み笑い、コワイよ〜弱み握られてる感じでいつか脅されそうw
103名無しさん@ピンキー:2012/02/27(月) 01:19:32.79 ID:i5UgQgOb
以前書きました、「ガールズトーク」の世界の続編です。
今回エロなし部分までなんですが、廉×美子、勇気×RINA、そしてもう1組…です。
エロ部分も追々頑張って書きたいと思います。
104ガールズトーク 温泉編1:2012/02/27(月) 01:20:44.72 ID:i5UgQgOb
無事に各地でのライブツアーも終わり、ようやく長めの休暇に入ったA.N.JELLのメンバーは、
社長、馬淵、RINA、沢木、そして美子も一緒に九州の温泉旅館へ来ていた。
なんでも安藤社長の親友の実家だとかで、都会の喧騒を忘れさせてくれる風情漂う旅館だ。
元々こじんまりしたこの旅館には10室ほどしかない為、今回は旅館そのものを貸し切っての慰安旅行となった。

「学生時代、この世界で名を馳せた俺を、舐めるなよぉ〜〜〜ッサー!!」
「おわっ!!くっそー、もう1勝負!!」
安藤社長の豪快なスマッシュが決まり、対戦相手の美男は卓球台に倒れこみながらも再戦を申し込んだ。
「Youはほんとに負けず嫌いだなぁ…よし、徹底的にやってやろう。美男、Come on!」
「望むところだ、今度こそ勝ってやる!!」
ヒートアップした2人と、無理矢理スコアラーを任された馬淵を残して廉と柊、勇気の3人は先に大浴場へと向かった。
「ほんと、付き合ってらんないよ。もうあれ5戦以上やってない?」
「あぁ、美男も上手いけど社長には勝てないかもな」
「そのうち体力勝負になって、美男が若さで1回くらいは勝てるだろ」
呆れ顔で口々に言って、脱衣所を後にすると…。

「みんな生理期間にかぶらなくって、ホント良かったわね〜」
「私は危なかったんだけど、なんとか大丈夫だった」
「せっかくここまで来て、入れないとショックですもんね」
貸切だからと安心して、大きな声でRINA、沢木、美子の会話が男湯まで響いていた。
「あ、向こうに聞こえちゃいますかね?」
「大丈夫よぉ、男どもは卓球に夢中だし。まだまだ来ないって」
気にした美子を、RINAがなだめる。

「あいつら…デカイ声で恥ずかしい…」
「完っ全に油断しちゃってるもんな、まったくRINAさんは…」
やや呆れ顔で、廉と柊、勇気は肩までゆっくり温泉に浸かった。
105ガールズトーク 温泉編2:2012/02/27(月) 01:21:56.45 ID:i5UgQgOb
「愛ちゃん、実家で預かってもらえてよかったわね。久々じゃない?夫婦水入らずなんて」
「そうなのよ〜。でも、愛が居ないとやっぱり寂しいけどね」
聞こえてくるRINAの言葉に、勇気はウンウン、と情けない顔で頷く。
「夜泣きしちゃうとみんなに迷惑だし…けどあたしも1日だけ育児休んで、
 ゆっくりさせてもらおうかなって」
「そうですよ、たまには羽を伸ばさなくちゃ!」
ようやく普通の会話になり、安心した男湯の面々だったが…

「それにしても、子供産んだなんて思えない体型ですね」
「ようやく戻ったのよ、体重。ストレッチとかやってさ」
「やだ、何なの?そのストレッチ」
RINAがなにやら始めたらしく、沢木が驚きの声を上げた。
「膣トレよぉ、知らない?こうやって…」
「チツトレ…?って何ですか?」
「あぁ、締まりを良くするやつ?本当に効くのかしら…」
沢木も湯船から上がって一緒に「イチ、ニ…」と始めたようだった。
「効くかどうかは…今日試してみないと!なんてね〜あははっ」
大浴場に、RINAの笑い声が響く。

「(チツトレ…?締まり…って、まさか!?)」
「(今日、試すって…何言ってんだよ、ホントにもう)」
「(ははっ…楽しみだな、勇気)」
男湯の3人は女湯まで聞こえないような小さな声で顔を見合わせる。

「じゃ、私も今日試してみるわ」
「え?何言ってんの、誰と!?」
「あの、だからチツトレって…なんですか?」
沢木の衝撃発言に、RINAが思わず大きな声を出した。
美子は相変わらず、意味がわかっていないようだ。
「だからね、アソコの締まりがよくなるトレーニングよ」
「アソ…えぇぇ〜〜!!そんなことできるんですね…でもた、試すって…」
ようやく理解した美子の声がだんだん小さくなっていく。
「で、誰とよ?うーん、まさか社長?」
「やだ、違うわよ。実はね、2ヶ月くらい前から…」
沢木もさすがに小声で言っているのか、男湯のほうには聞こえない。
その後の「えぇ〜!!」「そうなんだ!」という美子とRINAの声だけ大きく響いた。
106ガールズトーク 温泉編3:2012/02/27(月) 01:22:47.17 ID:i5UgQgOb
「(オイ、お前ら知ってるか?)」
「(社長じゃないってことは、馬淵さんか、柊さん…)」
そう言って廉と勇気が柊を見遣ると、柊は無言のまま2人から視線を逸らす。
「(お前かっ!いつの間に…)」
「(ちょっと柊さん、聞いてないよ?!)」
驚きのあまり廉と勇気は、柊の肩を叩きながら口をパクパクさせた。
「(まぁ…そういうコトに)」
柊は苦笑しつつも事実を認める。

「ほら、美子も一緒にやりましょ。廉も喜ぶわよ?」
「あ、いえ!私は…」
沢木が誘うが、美子は頑なに断っている様子だ。
「あ、そうだった。廉って早漏らしいから、膣トレ必要ないわよねぇ」
「うわー、そうなんだ…」
「もう、RINAさん!!違いますっ」
RINAは助け舟を出したつもりか、あっけらかんと言い放った。
「早漏でも、短小でも包茎でもないですっ!!」
とんでもないことを言いつつ美子は必死で否定しているが…。

「(違うって!誤解だ!笑うな、お前ら…!)」
「(ごめんごめん…へぇ〜廉さんがねぇ)」
「(廉、もし治したいなら…相談に乗るけど)」
「(黙れ!だから違うって言ってるだろ!)」
ニヤニヤしながら廉を見る2人に、クラクラしながら頭を抱えた。

「り、RINAさんこそ!最近はちゃんとできてるんですかっ?」
話を逸らそうと、美子が問いかけた。
「何よぉ、美子ったら反撃のつもり?」
「できてないって?RINA、まさかあんた達セックスレスだったの?」
「いや、レスってわけじゃ…」
鋭い沢木のツッコミにRINAは言葉を濁す。
「それ、気をつけたほうがいいわよ。子供生まれて途端に
 レス状態になって離婚する夫婦とか居るらしいし」
「バカなこと言わないでよぉ。愛が生まれてちょっとご無沙汰だけど…
 だから今日こそ、頑張るって言ってんの!」
沢木の言葉にRINAはムキになり、声を荒げて宣言した。

「(勇気、あそこまで妻に言わせたらダメだろうが)」
「(子供と奥さんへの愛情はどっちかに傾きすぎると良くないぞ)」
廉は矛先が変わって嬉しそうに言い、柊は心配そうに諭す。
「(もうっ、わかってんだよ。俺も今日は頑張っちゃうもんねっ!)」
改めて今までの自分を反省して、勇気もそう宣言した。
107ガールズトーク 温泉編4:2012/02/27(月) 01:23:27.96 ID:i5UgQgOb
「それで? 柊ってどんな感じなわけ?」
「わ、私も知りたいです!!」
RINAのニヤけた声が響き、美子も興味津々と言った様子。
「そうねぇ…柊ってすごい優しい感じじゃない?でも実は…」
沢木の声がだんだん小さくなり、「えー!」「そんなことまで!?」など、RINAと美子の声だけが聞こえる。
「ふふっ、廉や勇気には言わないでよ?さ、そろそろ上がりましょ」
こうして、女性陣は大浴場を後にしたようだった。

「お前、一体何を…」
廉は顔を赤くして、獣を見るような目つきで柊を見た。
「なんか、すっげーエロそうなんですけどぉ…」
今にも吹き出しそうな顔で笑いを堪え、勇気も柊に視線を送る。
「そりゃ…色々と、ね」
勝ち誇ったようなドヤ顔で、柊は湯から上がって洗い場へ向かった。

「もう一度言っとくが…俺は、早漏じゃないからな」
「まぁそういうことにしとこっか。それにウチだって夫婦の危機じゃないからね?」
廉と勇気がそう言い合っているところに、社長、馬淵、美男が入ってきた。
「いやぁ〜いい汗かいたな!俺に勝とうなんて、10年早いぞ?」
「そうですとも社長!社長のあのスマッシュ、最高です!!」
「くっそー、次やる時は絶対勝つ!」
結局、美男は一度も勝てないままだったようだ。
「あいつらには聞かれなくてよかった…」
「っていうか向こうに早く、俺達が居るって言ってればあんな話…」
「だよな」
物音も立てず、あけすけなガールズトークを全部聞いてしまったことを、今更後悔する廉と勇気だった。
108名無しさん@ピンキー:2012/02/27(月) 01:25:41.84 ID:i5UgQgOb
とりあえず、以上です。
柊さんのエロのハードルを自分で上げてしまった気がしないでもないけどw
それぞれのエロシーンを、薄い感じで仕上げていけたらと思ってます。
いや、濃い〜感じのほうがいいんだろうか…頑張ります。
109名無しさん@ピンキー:2012/02/27(月) 16:57:05.55 ID:WZcrEyxl
>>108
GJ!
以前のお話も超好きでしたw あの後、廉さんどうしたんだろな?って…
結局、訂正できてなかったんだなww
エロは濃い方がいいっちゃいいんですが、今回3組いるから
バランスみて…ですかね?でも、柊さんはすごそうだ…
他2組に比べて、かなり高いハードルっぽいww
楽しみにしてます〜
110名無しさん@ピンキー:2012/02/27(月) 20:15:08.65 ID:xN7xFcUt
>>108
超濃厚ガールズトークGJ! 
RINAさん気合入り過ぎw
沢木x柊、過去最高に妖しいw 仮面や目隠しとかサーカスみたいな曲芸してそうw
確か、沢木さんって、カリナのお姉さんだったよね?

>「(社長じゃないってことは、馬淵さんか、柊さん…)」
忘れられてる、美男可哀相〜、しかもガールズトーク聞きそびれたね。
NANAタンが夜中にやって来て、慰めてくれますようにw

111名無しさん@ピンキー:2012/02/27(月) 23:02:45.16 ID:cRwPqH5G
ついに沢木までエロに参戦ですか。
しかも相手は柊さんで舞台は温泉…もう浴衣姿での乱れっぷりが目に浮かぶw
あ、もちろん廉美子にも期待しておりますww
112名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 08:27:44.26 ID:z6xTaFNu
>>34さんのアイデアをお借りして4人の旅行を書いてみました
廉美子、美男NANA、エロありです
1134人の休暇1:2012/02/28(火) 08:29:31.56 ID:z6xTaFNu
広い海の上にぽつぽつと点在する水上コテージ。
そのうちの一軒に廉と美子はやって来ていた。
以前テレビで見かけた美子が、行きたそうにしていたのを廉は覚えていて、
短い休暇だったが二人でやって来たのだった。
茅葺屋根のコテージはこじんまりとしていて、いかにも隠れ家といった雰囲気。
籐で編んだテーブルをよけると、床には穴が開いていて、部屋から直接海に出られるようになっている。
とりあえず荷解きを済ませ、ベッドの上でのんびりと横たわっている二人に、外から人の声が聞こえてきた。
「結構隣の声が聞こえますね。一軒一軒離れてるのに」
「そうだな。風向きの加減かもしれないな」
少しがっかりしながら、外の気配に耳を澄ました。
「………素敵ねー。うふふっ…」

「今の…日本語でしたね」
「ああ、まずいな…」
せっかく人目を避けてやって来たのに、隣が日本人とは…。
自意識過剰かもしれないが、廉は自分達の素性がばれないかと危惧し始めた。
小さくため息をついた二人に、隣のカップルのはしゃぐ声が聞こえる。
「わあ〜、最高ね、美男!」
「ここにしてよかっただろ?」
「うんっ!美男大好きっ!」

「!!!」
「今の…まさか…」
廉と美子は顔を見合わせた。うそだろ…。廉は小さな声で呟く。
足音を忍ばせてそーっと窓から顔を出してみると、隣のコテージの二人も丁度窓から外を見ているところだった。
そろそろと忍び足でベッドまで戻ると、美子の耳に唇を寄せて内緒話のように小声で囁いた。
「美男とNANAだった。どうしよう?」
「やっぱり!!じゃあ、挨拶してきましょう」
立ち上がって歩き出す美子の腕を、廉は引っ張って引き留める。
「ちょっと待てって!せっかく二人きりになれたのに…あいつらと顔を合わせたくない」
「どうしてですか?」
不思議そうに首を傾げる美子にうまく説明できず、口ごもっている間に美子は窓から顔を出して「お兄ちゃーん」と呼びかけた。

ベッドに横たわったNANAの上に覆いかぶさって、早速唇を重ねている美男の耳に聞きなれた声が微かに聞こえた。
(ん?いや…まさかな)
一瞬唇の動きを止めたが、すぐまたNANAの唇を貪る。
「お兄ちゃーん…」
美男もNANAもガバッと体を起した。
「美子っ?!」
目を見開いて同時に叫ぶ。急いで窓に駆け寄り身を乗り出すと、隣のコテージから美子が手を振っていた。
二人は一度それぞれのコテージから出て、小さな桟橋を渡りお互いに駆け寄った。
ギュッとハグして「どうして、ここにいるのー?」と、これまた同時に声をかける。
1144人の休暇2:2012/02/28(火) 08:30:39.34 ID:z6xTaFNu
しかたなく廉とNANAもコテージから出てきて、はしゃぐ二人を見ている。
若干むすっとしたNANAが「こんにちは」と声を掛けると、廉も不機嫌そうに「お、おう」と返事を返した。
「おい、どうしてここに来たんだよ」
NANAに向かって小さな声で聞く。
「美男がここがいいって言ったのよ」
と、NANAも不満げな声で答えた。
これが双子のシンクロニシティか?と、二人はため息しか出なかった。

コテージにつながるホテルのプールサイドで、並んでデッキチェアに寝そべっている四人。
美男はNANAの背中に日焼け止めを塗りながら、何か囁いて二人でクスクスと笑っている。
(あいつら人前で、っていうか俺達の前でよくあんなにベタベタできるな…)
本当なら自分も美子とイチャイチャしたいのに、さすがに美男とNANAの前では恥ずかしすぎて出来ない。
横では美子が一人で日焼け止めを塗っている。その様子を見かねて美男が声を掛けた。
「美子、俺が塗ってやるよー」
ビキニの紐をほどいて、美子の背中に塗り始めた美男の手つきを見て、廉は頭に血が上ってきた。
(俺がやりたかったのに…余計なことしやがって)
ムカムカしながらふとNANAに目を向けると、「何とかしなさいよ」とでも言いたげなNANAの視線が突き刺さった。

「あー、そうだ、冷たいものでも買ってくるか。美子、一緒に行くか?」
「はいっ!」
立ち上がって水着の上にパーカーを羽織った美子を止めて、「俺が行くよ」と美男が口を挟んできた。
えっ?と戸惑う廉の肩に腕を回して「行こうぜー」と呑気に歩き出す。

男二人が行ってしまうと気まずい沈黙が流れた。わざとらしい咳払いを一つして、NANAが美子に話しかける。
「ねぇ、廉とのせっかくの旅行なんだから、やっぱり二人きりの方がいいわよね?」
「えっ、でもせっかく二人に会えたんだし、四人でも楽しいですよ。お兄ちゃんと旅行なんてしたことなかったし…」
(お兄ちゃんと旅行って…美男は私と旅行してるのよ)
まったくこの兄妹の仲良しぶりったら異常だわ、とNANAのイライラがどんどん高まってきた。

冷たい飲み物を両手に持って、二人が待つ場所に戻る廉と美男。
その途中で唐突に美男がとんでもない事を言いだした。
「廉…あのさー、悪いんだけど…」
「何だよ…」
「いやー、ちょっと照れるんだけどさ…アレ分けてくんない?」
「は?アレって…?」
聞き返しながら自分のグラスのストローに口を付けて、一口すすったところで廉は盛大にむせた。
「ゲホッッ!!おいっまさか、アレって…」
「そうそう、ゴムだよゴム。万が一にもNANAを妊娠させるわけにいかないしさ」
「お・ま・え〜!」
サングラスに隠れた廉の目が吊り上っているのは想像に難くない。湯気が出そうなほど顔が赤くなっている。
「あとで部屋に寄るからさ、頼むよ」
「…わかったよっ」
生々しい頼みごとをされたせいで、飲み物を持って戻った後も、恥ずかしすぎて美男達の方に目を向けられなかった。
1154人の休暇3:2012/02/28(火) 08:32:04.02 ID:z6xTaFNu
夕食後コテージに戻った美男とNANA。
シャワーを浴びてベッドに倒れ込むものの、NANAが微妙にご機嫌斜めのようだ。
「NANA、何拗ねてんの?」
「知らないっ」
結局夕食も四人だった。その間も美男を独り占め出来ず、NANAの心はモヤモヤしたままだった。
唇を重ねようとした美男からぷいっと顔を背けてNANAが横を向いてしまう。
美男はNANAのバスローブを開き真っ白でたわわな乳房に口づけた。
「言ってくれないと…わかんないよ」
両手で強く揉みしだき、指の間からこぼれんばかりの感触を楽しむ。
「…せっかく旅行に来たのに、どうして美子たちと一緒なの?」
乳房を舐めまわしていた美男が顔を上げた。NANAの顔を覗き込んでにまっと笑う。
「なによ…」
「ふふっ、焼きもち妬いてるんだ?嬉しいなー」
「違うわよっ!焼きもちなんかじゃ…あっ」
突然乳首を口に含まれて小さな喘ぎ声が漏れた。
「可愛い、NANA。今日はたくさん愛してあげるからね」
そう言うと美男は夢中で愛撫を始めた。乳首を舌で転がし、同時に乳房を強く揉みしだく。
滑らかなNANAの肌に舌を這わせると、甘い香りが鼻を擽った。
「ん…あっ…美男…」
NANAの中心に指を差し込む。とろけそうなほど濡れたそこは、美男の侵入を待ちわびている。
指先で優しく擦りあげるとNANAは大きくのけぞった。
「みお…お願い…もう、来て」
「もう?どうして今日はそんなに感じちゃってんの?」
避妊具を付けながら美男が囁く。NANAの足を開き、あてがった。
焦らすようにゆっくり挿入すると、NANAは美男の首にしがみつき、自ら腰を浮かせてきた。
「ああっ…んっ」
NANAの背中に両手を回し激しく腰を動かした。
「みおいくっ!あああっ!」
「NANA早いよ。どうしちゃったのさ…」
置いてきぼりをくらった美男は、NANAに締め付けられながら腰を動かし続けた。

一方隣のコテージでは…
美子の足を開いて顔を埋める廉は、今一つ集中出来ないでいた。
隣でも同じ事をしているのは明らかで、気恥ずかしさのせいで没頭できない。
向こうは自分たちの事に夢中で、こちらの事なんか気にもしていないだろうけど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
身近な人間の性的な部分など知りたくもないし、それは美男も同じだろう。
(まして俺の相手は美男の妹だしな…)
「あ…廉さ…ん」
美子の声にはっとして、邪念を払おうと頭を振った。
体をずらして美子に口づける。そのまま自身を握りしめ美子の中心にあてがった。
(あれ…うそ…だろ?勃…たない…)
何度か自分でしごいてみたが、それは一向に反応しなかった。
(まさか…ED?)
背中を冷や汗が伝っていく。
「廉さん?」
美子が不思議そうな顔で廉を見上げてくる。
焦った廉はもう一度美子の足を広げて顔を埋めた。
(指と舌でイカせまくるしかない!)
廉は舌先で美子の敏感な部分を舐め、指を差し込み角度を変えながら内側を擦りあげた。
「ああーっ!んっ…廉さん…いくっ」
美子が何度も達してぐったりするまで、廉は指と舌をフルに動かし続けた。
1164人の休暇4:2012/02/28(火) 08:34:26.36 ID:z6xTaFNu
「NANA、明日違うとこに行こうか?」
「ほんとに?」
「うん。ワガママな妖精さんのご機嫌を損ねたくないから」
「もうっ、美男のバカ」
頬を膨らませて拗ねるNANAを抱きしめる。
「でも、そこが可愛いんだよね。NANAは…」
背後から手を伸ばし乳首をつまみながら、NANAの中心を擦りあげながら言った。
「だから、もう一回してもいい?」
「う…ん、あっ…みお」
NANAの体をうつ伏せて、後ろから勢いよく貫いた。

翌朝コテージに朝食を運んできたスタッフが廉にメッセージを持ってきた。
それは美男とNANAが朝早くチェックアウトしたというものだった。
(そうか…。ん?ってことは…出来るかも)
廉の顔が明るくなり、瞳がキラーンと光った。
今まさに朝食を食べようとしていた美子の腕をつかんで、もう一度ベッドに飛び込む。
「きゃあ!廉さん…ど、どうしたんですか?」
「昨夜忘れ物したからな」
美子の服を急いで脱がし、自分も全て脱ぎ捨てる。
そのまま覆いかぶさり口づけ、胸に指先を這わせる。
「あのっ、廉さんっ、お腹すいたんですけど…」
「うん。俺もすげー飢えてるんだ」
乳首を吸い上げ、中心に指を差し込むと、昨夜の名残りの潤いがあった。
ちらっと股間に目を向けると、昨夜の事が嘘のように漲っている。
(よしよし、あーよかった)
避妊具を装着して一気に突き上げる。
「やっ…そんな…待って」
「はぁぁ…」
深いため息を吐いて美子の中の感触を味わう。
「美子…気持ちいい…っ」
ゆっくり腰を動かした。微かな潤いしかなかったそこが、徐々に溢れぐちゅぐちゅと音を立て始めた。
「あっ…んっ…廉さ…ん」
昨夜出来なかった分を取り戻すかのように、めちゃくちゃに突き上げる。
「はぁ…美子っ…」
ドクドクと放出するたび、廉の腰が痙攣した。そのまま二人とも束の間の眠りに落ちて行った。

「きゅ〜ぐるるる…」
美子のお腹が鳴る音で二人とも我に返った。
真っ赤な顔でお腹を押さえる美子を見て、廉が吹き出す。
「だって…お腹が空いてるんですもん…」
小さな声で言い訳をする美子。
廉は笑いながら体を起して、美子を抱きしめる。

二人はバスローブを着ただけの恰好で朝食が並んでいるテーブルに付いた。
「お兄ちゃんたち、帰っちゃったんですね…」
「ああ、あいつらだって二人きりになりたいだろうしな」
本当は自分が美子と二人きりになりたいのに、そこのところはぼかして廉が言った。
「そうですよね!NANAさんも忙しいし、こんな時くらい邪魔しちゃいけませんよね」
しばらくは黙々と朝食を食べていた美子が、ふと顔を上げて言った。
「また廉さんと二人きりですね」
うっすらと潤んだ瞳が、自分を誘っているように見えて、廉はドギマギした。
もう一度ベッドに誘おうか?でもそれはさすがにやりすぎか?と美子の表情に踊らされて悩む廉だった。
117名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 08:37:48.98 ID:z6xTaFNu
以上です
朝っぱらからお目汚しすみません
廉さん、まさかのED疑惑…ファンの皆さんごめんなさい
お邪魔しました
118名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 20:09:42.41 ID:E8cRqTi0
>>117
GJです!廉さん、繊細だからw
瞳が輝いちゃう廉さんかわいすぎる! 
そして美男、最強だなあ〜
119名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 20:50:35.96 ID:Lwm2yv4Q
いい!GJ!
廉さん、気持ちはわかるよ…
シンクロして喜ぶ双子がかわいすぎるw
そして、同じように不機嫌な廉NANAもかわいいw
双子と結婚したらずっと続くと思うと少しだけ気の毒だが…
120名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 21:26:02.19 ID:oRf/y/h2
>>34で言いっ放しだった者です。
作品にして下さってありがとうございます!
自分でああ言ったものの、あの廉さんがWデートを
受け入れるはずないだろうし…と悶々しておりました。
これなら自然な流れのWデートですね。感動。
廉さん、最後はちゃんと致すことが出来て良かったなあw
121名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 22:13:09.96 ID:6kOrWqQT
>>117
ほのぼろエロW旅行いいね〜
シンクロする双子、不機嫌な廉・NANAに激萌えです。
ED疑惑晴れて良かったね、廉さん。
美子は空気読まないところがいいね、NANAのイライラが可愛過ぎるw
122名無しさん@ピンキー:2012/02/28(火) 23:01:27.39 ID:atF0gHW5
>>117
GJ!!いいなーWデート!
皆さん言ってるけど拗ねちゃうNANAちゃんと廉さんがカワイイです。
最近の廉さんは早漏疑惑にED疑惑…大変だなw
素敵エロもご馳走様でした!!
123名無しさん@ピンキー:2012/02/29(水) 04:40:19.89 ID:X/4UtAzs
いいですね♡♡廉×美子&美男×NANAのW旅行!!
廉さんの美子好きすぎるところがいいですねぇ★☆
124名無しさん@ピンキー:2012/02/29(水) 06:40:59.35 ID:iq2G5Bg8
>>117
偶然のW旅行、いいね。2人になりたいって素直に言えばいいのにね、廉ちゃんw
我が侭妖精さんを掌で転がしてる美男、恐ろしい子。
ぜひ、Wデートもしちゃって下さい。
125名無しさん@ピンキー:2012/03/02(金) 18:47:04.92 ID:ys4J87Mf
96です。感想いただいた方、ありがとうございましたw
女装廉さん、さすがにまずかったか? と思ってたんですが…
皆さんのレスが大丈夫そう?でホッとしましたw

以前の『ザル美子』の続き、書いてみました。
>>13さんのレスでアイデアいただいて、また、廉さん酔いつぶしてますw
いろいろ試行錯誤してたら、完成が遅くなってしまいました…
ご期待に副えてない仕上がりかも…ですが、投下します。

廉×美子 エロあり
前回投下分>>6-11 >>83-95
126酔い醒まし 1:2012/03/02(金) 18:48:18.83 ID:ys4J87Mf
昨日、A.N.JELLの大型ホールでのライブが無事に終了し、明日は丸一日フルで
オフになったので、廉が久しぶりに美子の部屋へ泊まりにきた。
ライブの大成功に満足して上機嫌の廉は、社長からもらった洋酒を美子に差し出す。

「美子、今日はこれ飲むか?」
「そのお酒は何ですか?廉さん。」
「社長の、この間のヨーロッパ出張の土産の、スコットランドの甘いお酒らしい。
牛乳で割ってもいいって聞いたから、お前でも飲みやすいんじゃないか?」
「おいしそうですね。楽しみです!」
二人は夕食後、ソファに並んでその洋酒を飲み始めた。

「キャラメルみたいな味なんですね。珍しいかも…甘くておいしいです。」
「うまいけど…俺にはちょっと甘すぎるな、これは。」
「牛乳、多めに入れて割りますか?甘いの薄くなるかも。」
「ああ、そうしようか。」
しばらく、仲良く飲み続けた二人だが…

「やっぱり甘いかな…これ。」
赤くなった顔で廉がそうつぶやくのを、何度も聞いたシラフの美子。
(水で割ったら、味、薄くなりすぎちゃうよね…なんかいいの、無かったかな?)
キッチンに行って、冷蔵庫や棚を開けて探し始めたが…
(あっ!これならほんのり甘いから、今の洋酒にぴったりかも!)

「はい、廉さんどうぞ。ちゃんと割ったので、甘すぎないと思うんですけど。」
「おお、サンキュ。」
こく、こくと飲む廉を見つめる美子。
「ああ…さっきほど…甘くない気がするな…」
「ほんとですか?良かったです!じゃあ、もっとどうぞ。」
美子は、以前、廉が酔っ払った『焼酎』で割った洋酒を、笑顔で差し出した。

「あれ、廉さん…?」
気がついたら、美子の隣で一緒に飲んでいたはずの廉がぐったりしている。
「廉さん、大丈夫ですか?あの…酔ってるんですか?」
「…ああ…」
返事はそれだけしかなく、廉は真っ赤な顔で、ソファに横になってしまった。

美子が、何回か揺さぶったが、起きる気配はない。だが、寝息はスースーと軽く、
苦しそうな様子ではなかったので、美子は一応安心した。
「大丈夫だよね…廉さん。少ししたら、起きるよね…?」
とりあえず、廉に毛布をかけて、美子は、先にシャワーを浴びることにした。

シャワーを浴びた美子が、部屋着のワンピースに着替えてリビングへ戻ってきた。
「廉さん。廉さーん。」
若干、顔の赤みは引いた気がするが、廉の返事は無い。
美子は、廉の腕をとって、寝室まで運ぼうとしたが…
(だめだ…私の力じゃ、廉さんベッドまで運べない…このまま寝てもらうしか…)
あきらめて、廉のシャツやネクタイ、スラックスを脱がせて、再度毛布を掛けた。
127酔い醒まし 2:2012/03/02(金) 18:49:05.84 ID:ys4J87Mf
「どうしようかな…」
美子は、ソファの廉を覗きこみながら、床にペタンと座った。
(泊まりに来たときはいつも、廉さん、ベッドで抱きしめて眠ってくれるのに…)
急に寂しくなった美子は、横で眠る廉の顔に、自分の顔を寄せた。

「…廉さん、優しい顔…睫毛、長いなぁ…」
そっと廉の頬を撫でて、唇を指でなぞる…
(なんか、ドキドキしてきたかも…酔ったのかな?それともシャワーでのぼせた?)
廉に見とれて目が離せなくなった美子は、廉の頬に軽く触れて口付けた。
そして、慌てて顔を起こす。

「やだ…廉さん、起きちゃう…」
だが、廉が目を覚ます気配は無く、美子は余計に寂しさを募らせた。
(廉さん、ここにいるのに…私、一人でいるみたい…)
廉の寝顔に魅入られた美子は、もう一度、そっと顔を寄せる。
「廉さん、起きてくれないかな…」

美子は、ゆっくり口付けて、舌で廉の唇をなぞり、顔を上げた。
そして、廉の肩先まで掛かった毛布にそっと手を入れて、胸をさする。
「お…起きるかな?」
顔をちらりと見て、廉の表情に変わりがないことを確認すると、美子は、
毛布に顔を突っ込んで、廉の胸に頭を載せて、目を閉じた。
(廉さん、暖かい…)

撫で続けていた手が、廉の胸の先端をかすめた時、美子は一瞬動きを止めた。
(私がここ…廉さんに触れられると…いつもすごく熱くなって、
ちゃんと考えられなくなっちゃうけど…もし私が触ったら、廉さんは?)

美子は、廉のタンクトップの裾から手を入れて、胸の先端をやわやわと触り始めた。
廉が一瞬、ピクッと体を動かし、美子は慌てて指を止めたが、
それ以上、反応することはなく…廉が目覚めた気配は感じられなかったので、
美子は、さらに指で撫で転がし軽くつまみ…ひたすら先端を弄び続けた。

(廉さんは、あまりこういうのは好きじゃないのかな?)
酔いつぶれた廉が起きる気配はなく…美子は軽くため息をついて、指を止めた。
「やっぱり…廉さん、起きないよね…」
胸を撫でていた手を裾から出して腰にまわし、美子は廉に抱きついた。
しばらく指でお腹をそっとつついていたが、ふと廉の腰から下が目に入る。

(胸だけじゃなくって、私…廉さんに触れられたとこ、全部で感じちゃうけど…
廉さんは…どうなんだろ…)
美子は、腰にまわしていた手を、おそるおそる廉の下着の上に載せた。
(こんなことしていいのかな?怒られる?でも…寝てるから、大丈夫だよね…?)
美子は、そのまま廉の秘部をそっとさすり始めた。

最初はそろそろとさすっていただけだったが、若干慣れてきた美子が、
人差し指をすっと滑らしたり、軽く握ってみたりすると…
廉自身が反応し、どんどん隆起するのに、さほど時間はかからなかった。
128酔い醒まし 3:2012/03/02(金) 18:49:58.07 ID:ys4J87Mf
(わっ…どうしよ…私が変に触ったから?廉さん、寝てるのに…)
慌てて手を離した美子だったが、下着越しでもわかるその隆起に、しばし悩む。
(どうしたらいいんだろ…こうすれば戻るかな?)
下着の上から、改めてそろそろと優しくさすってみたが、戻るはずもなく…
途方に暮れて、美子は毛布の中でため息をついた。

しばらく廉を見下ろしていたが、毛布の中に篭る廉と自分の熱にあてられ、
美子は、徐々にぼんやりとし始めた。
(…なんか廉さん…きつそう…だよね…)
ふらふらと廉の下着に手をかけ、そっと下ろす。

(私…今まで…じっと見たこと無かった…かも…)
朦朧とした頭をゆっくりと寄せて見下ろす美子。
そっと手を伸ばして、先端に軽く触れたその瞬間…

「…おい…」
廉が、美子のもう一方の手を掴んだ。
「きゃっ!」
美子は、びっくりして顔をあげ、廉にかかっていた毛布が、はずみで床に落ちる。

「れ、廉さん…起きてたんですか?」
真っ赤になって焦る美子よりも…酔っ払って寝てしまった時よりも…
最上級に顔を赤くして、廉がかすれた声をあげる。
「…起きてた、じゃなくて。お前が起こした、だろ…」

「ちょっと…こっちこい。」
掴んだ手を引っ張って、廉は、美子を自分の方へ呼び寄せようとするが、
恥ずかしさで顔を上げられない美子は、そのままずるずると後ずさり…

「うわっ!」「きゃあ!」
狭いソファの上で体勢が崩れた廉は、床に落ちていた毛布の上に転がり落ちた。
「…いってぇ…」
「すみません、廉さん!大丈夫ですか?」
美子は、慌てて廉を抱き起こした。

顔をしかめたまま、美子に手を伸ばす廉…美子は、その手に答えて体を寄せる。
廉は、片手で美子の顔をしっかりと抑えて口付けると、もう一方の手を
ワンピースの裾に滑らせて、下着をスルスルと下ろした。
驚いて、思わず目を見開く美子。

耳元で廉のかすれた声が響く。
「…お前が始めたんだからな…責任とれ。」

「え…えっと?…あの…はい…」
消え入りそうな声で、こくんと頷いた美子の両腕を引き寄せて、
廉は、床に落ちてあおむけになった自分の腰に、美子を跨らせた。
そして、手を這わし、美子の中心に指をのばして、そっと撫であげる。
129酔い醒まし 4:2012/03/02(金) 18:50:43.60 ID:ys4J87Mf
「…ん…」
美子からあがる小さな喘ぎ声と、既に潤っている部分を確認してから、
廉は、美子の腰を支えて移動させ、徐々に自身を呑みこませていく。
二人は軽く声をあげ、ため息をついた。
美子の腰を前後にゆるく揺さぶり、促された美子が、自分からゆっくり
動き出すのを待って、廉は手を離した。

少しずつ揺らしながら、美子が吐息交じりで囁く。
「…っ…廉さん…嫌…でしたか?」
「…何が?」
「…私が…勝手に…」
「知らないうちに…ってのは…好きじゃない…」
「…そ…ですよね…」
泣きそうになる美子。

「…でも…お前ならいい…嫌じゃない…」
「ほんと…ですか?」
美子が、腰の動きを止めて、廉の顔を覗き込む。

廉は、美子の手を握り、肩に手をまわしてゆっくりと抱きしめた。
「お前ならいい…何しても…でも、酔っ払ってる時じゃなくて…
俺がちゃんと…わかってる時…がいい…」
「はい…」

廉が軽く笑う。
「はいって言ったな?…じゃ…これからは…俺にいろいろしてくれるんだな…」
「えっ…あの、その…」
「だったら…もっと動け…」

廉は、焦る美子の腕をとって、もう一度体を起こすと、腰に手を添えて、
前後左右にさらに強く揺さぶった。
「…やぁっ…廉…さ…」
廉に突き上げられて、揺らされて…自分で揺らして、弾ませて…
より深いところを求めて、美子は急激に乱れていった。

腰を激しく動かし喘ぐ美子によって、廉も今までにない快感に飲まれ始める。
(やばい…すげークラクラする…)
酔いがまわった体に、美子から与えられるさらに強い刺激…
朦朧としながらも、もっともっと快感を貪りたくて、廉も強く突き上げた。

「…あぁ…はぁ…っ…あん…んっ…」
「はぁっ…はっ…んぁ…」
お互いの動きに合わせて、二人の喘ぎ声と吐息がさらに激しくなる。
美子がのけぞってびくびくと痙攣し、廉も美子の締め付けに頭が真っ白になり…
「…んぁっ…はぁっ…く…」
限界に達して、酔いと快感が完全にまわった廉は、意識がどんどん遠のいていった。
130酔い醒まし 5:2012/03/02(金) 18:51:43.09 ID:ys4J87Mf
廉の胸の上に崩れ落ちて、しばらく微睡んでいた美子は、ゆっくりと目を開けた。
(…廉さんも私も…床の上だ…)
毛布にくるまっていれば寒くはないが、このまま床で寝たら、身体が痛くなる。
そっと起きだした美子は、まずは、床に落ちていたクッションに、廉の頭を載せた。
そして、寝室から掛け布団と枕を持参し、毛布を敷き布団替わりにするため、
必死で廉の体を横にずらし、なんとか体勢を整えて、掛け布団を廉の肩まで掛けた。

自分の枕を横に並べ、美子は廉を見下ろして微笑む。
「おやすみなさい、廉さん…」
廉がいつも自分にしてくれるように…美子は、そっと廉を抱きしめて目を閉じた。

「くっそ… また、頭いてぇ…」
陽が高く昇ったころ。ようやく起き出した廉が、布団に突っ伏して嘆く。
「そういえば…なんで俺、こんなに酔っ払ったんだ?あの洋酒もそこそこ
アルコール強いらしいけど、割って薄めたんだし、そんなに量飲んでないのに…」

ミネラルウォーターのグラスを廉に手渡しながら、美子は首を傾げる。
「え…割るのって、甘い味を薄めるため、ですよね?」
「まあ、それもあるけど。そのままじゃ強いアルコールを薄めて飲むためだろ。」
廉はリビングを見渡し、キッチンのテーブルの上に、土産の洋酒の瓶の他に、
見覚えのある別の瓶を見つけて、愕然とする。

「おい。なんで、あの焼酎の瓶がそこにあるんだ?昨日は飲んでないだろ。」
「あの…洋酒の味が薄くなりすぎないように割るのに、いいかなぁって…」
「お前…まさか、俺のにアレ入れたのか?」
「あ、あの。私もちゃんと飲みました…けど…」
「ふざけんな!二日酔い、あの焼酎のせいじゃねーか!!」
廉は、まさかの事実に怒りまくる。

「お前…覚えてろよ!絶対許さないからな。後でお仕置きしてやる!」
「え、嫌です。」
咄嗟に反論した美子をにらむ廉。

「嫌、だと?」
「だって、廉さん…私が何してもいいって、昨日言ってくれたじゃないですか。」
「それとこれは違うだろ!」
「ご…ごめんなさい!廉さん。」
美子は、慌ててキッチンの隅へ逃げていき、廉をそっと窺った。廉は、そんな
美子をすぐに追いかけようと立ち上がったが、ふらついて床に倒れこむ。

前回同様、クラクラするし、当分、この頭痛は治まらないだろう…
(せっかくのオフなのに…くそっ…これ、治ったら…絶対、アイツに仕返し…)
もう一度横になりながら、廉は頭を抱えた。
131名無しさん@ピンキー:2012/03/02(金) 18:53:34.21 ID:ys4J87Mf
>>130
以上です。
廉さんを再度酔いつぶす手段が思いつかなくて、美子がちょっとアホな子にw
132名無しさん@ピンキー:2012/03/02(金) 21:32:15.65 ID:wvX9/+76
>>131
GJ!なんとなく「お仕置き」に期待してますw

そろそろ柊美子が読みたいなーと思ったりしてますが
柊美子書ける作家さん新作是非お願いしますww
133名無しさん@ピンキー:2012/03/02(金) 21:58:19.17 ID:qs05k2dB
>>131
GJ!何だかんだラブラブカップルの廉美子ナイス!
しかしそんなに酔っぱらってるのにちゃんと使い物になる廉さんは
絶倫大王だなw
次作にも期待してます。
134名無しさん@ピンキー:2012/03/03(土) 06:53:58.57 ID:qR0OQTIT
>>130
美子、酒つえー。
「ザル」というよりも、もはや、「ワク(枠)」だね、網目もなしw
135名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 12:30:56.87 ID:NeeergcS
まわってないみたい・・・ですね。
136名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 18:23:33.71 ID:LpEpdAVB
神作品の投下をまったり待ってるよ。
137名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 18:47:19.57 ID:PT7hUx60
それではちょっとお邪魔して

まさかのリクエストにお応えして
告白勇気&柊バージョンです
138告白yuki:2012/03/07(水) 18:49:54.67 ID:PT7hUx60
何々?何でも聞いて。
美子の事?その事か〜。まあ、いいけどさ。
美子に初めて会った時、女の子みたいだな〜って思いました。おしまい。
えっ、これじゃダメ?しょーがないなー。

美子ねー、あ、当時は美男って呼んでたけど、ホントにちょー可愛かったんだよね。
俺、男には興味がないからさ、新たな世界の扉が開いたと思って、マジで焦ったよ。
NANAのスタイリストのトオルにも、そっちの気があるって言われてさ。今まで気付かなかったけど、俺ってそうなの?って。
実は廉さんにも柊さんにも内緒だけどさ、一回だけ美子にキスしそうになった事あるんだよね。
あの時はまだ美子の事、男だと思ってたから、我ながらどうかしてると思ったけど、男でもいいって思っちゃってさ。
柊さんが帰ってこなかったら、キスしてたかも。っていうか、しとけばよかったなー。
美子ってすごいよね、俺達三人を骨抜きにしちゃうんだもん。あれ?骨抜きって言葉、古い?
二人でお化け屋敷に行ったり、カレーを食べに行ったり。最終のバスにも乗ったなあ。
多分俺達、メンバーの中では一番仲が良かったと思うけど、それって美子が俺の事男として見てなかったからなんだよね。
だからさ、廉さんと柊さんとで美子をめぐって恋の鞘当てって言うの?してた時も俺だけ蚊帳の外でさ。
わかってたけどさ。あ…なんか悲しくなってきた。
でも俺、廉さんの事尊敬してるし、美子の事も大好きだから、今は良かったなって思うよ。

あ〜あ、もう一人美子みたいな子、いないかな〜。あ、いたな一人、男だけど。
本物の美男に会った時は、可愛いなんて全然思わなかったよ。同じ顔なのにね。
あいつ、生意気なんだもん。本当に双子か?って思うくらい。まあ、仲はいいけどね。
でもさ、始めっから美男がA.N.JELLに入ってて、美男の妹として紹介されてたら、美子の事好きになってなかったかも。
やっぱりちょっと異常な状況だったから好きになったのかな。ほら、吊り橋効果ってあるじゃん。ちょっと違うかな?
そんな感じで俺の恋は、始まる前に終わりました、とさ。なーんてねっ。
ホントは今でも思い出すと、胸が疼くんだから。責任取ってよね。
139告白shu:2012/03/07(水) 18:52:32.74 ID:PT7hUx60
改めて話そうと思うと緊張するなぁ。
俺、何かで一番になった事ないんだよね、世の中の人ほとんどそうだろうけど。
A.N.JELLでも常に二番手で、そんな事何とも思ってなかったけど…。
何だろう、新しいメンバーが入って、俺達のバランスが崩れたのかな?
その新メンバーっていうのが、ちょっと訳ありの人物だったんだけどね。
俺、早々とそいつの秘密を知っちゃったんだよね。今にして思うと、知ってるよって言っちゃえば良かったなあ。
最初は面白がって陰ながらサポートしてたんだけど、一生懸命な人ってやっぱり惹かれるよね。
だけど彼女は、絶望的に鈍感でさ。全然俺の気持ちに気付かないの。
まあ、仕事に支障が出なければそれでもいいかなって思ってたけど、廉が彼女の事、気にし始めたのがわかったんだ。
その頃からかな、廉の事ライバルとして意識しだしたのは。
バンドの方向性とか、パフォーマンスとかいつも廉中心だったのに、疑問を持つようになったんだ。
元々廉ありきで出来たバンドだったから、当然と言えば当然なんだけど、当時の俺は好きな子の事と、
バンドの事が頭の中でごちゃごちゃになってたんだと思う。
本当に一人で空回りしてたんだな、俺って。
冷静に考えれば彼女が俺に気が無い事はわかりきってたのに、なんであんなに往生際が悪かったのかな?
あんな風な愛し方って、それまでした事がなかったから、やる事なす事裏目に出ちゃって、かっこ悪いよね。
昔はもっとクールに洗練された付き合い方をしてたんだけどね。

きっぱり彼女に振られてすごくショックだったけど、それが彼女の真面目さを表してるんだって思うよ。
俺と廉のどちらにもいい顔するような子じゃないから。だから俺も好きになったんだと思う。
でも二人の付き合いを見てると、人への対し方というか見方が変わったよね。
不器用なほど一途で、傍から見るとじれったくなるほどだけど、二人とも純粋で真剣なんだよ。
廉って今まで女の子と付き合った事あるのかなぁ。ない訳ないよね。でもそう思うほど不器用なの。
俺も今度付き合う時は、真面目で真剣な恋がしたいな。って、もろにあの二人に影響受けてるよね。
もしかして、まだ好きなのかな…彼女の事。
140名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 18:53:18.48 ID:PT7hUx60
以上です
お邪魔しました
141名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 19:38:51.88 ID:PR3Z68Eo
>>137
おおお、すごい可愛い作品ありがとう!
赤裸々告白バージョンいいね〜

勇気君、恋が始まる前に終わったって切ない。
しかし、「異常な状態」だったから、好きになったって・・・当たってるよねw
柊さんの空回りしながらも一生懸命なところすごい好きで胸が痛くもあるよ・・・
せっかくなので、半年経って落ち着いた柊さんに、沖縄でのクイズブーの心境聞いてみたいですね。
142名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 19:44:32.56 ID:dPSkPNeq
>>140
GJ!
そうそう、リクエストしました自分w
柊さん勇気バージョンもぜひ見たかったので書いてもらえてうれしいw
二人ともすごくいい!でも、ちょっと切ない…
二人のその後…はドラマ本編にはないけど、絶対幸せになってほしい…

131です。感想いただいた方、ありがとうございました。
次作…近いうちに小さいのなら投下できるかも…
ネタ思いつくと、出だし〜オチまで一気に書けるんですが、
途中で何かに迷うと、書きたい雰囲気出せずにお蔵入り…とかしてるので、
もっとちゃんと書けるようになりたいww

自分では今のとこ、廉美子しか書けないんですが、
読むのはカプ問わず何でも大好きなので、書き手さんよろしくお願いします〜
143名無しさん@ピンキー:2012/03/09(金) 22:15:05.11 ID:jj3EKH3/
>>140
わー!GJです!
2人ともほんと、こういう心境だっただろうなぁと…。切ない!
でもでも、勇気も柊もホント男前でしたよね。
現実に居たら勇気みたいな人と付き合いたいw

他の職人様の作品も、毎日全裸待機中ですw
自分のは全然進んでないので、頑張りたいです…
144名無しさん@ピンキー:2012/03/10(土) 21:34:19.12 ID:Ljx+D9DN
>>140
いい!GJ! この2人のも見たかった
でも、何かどっちも引きずってる? 切なすぎ…
NANAのも読みたくなりました…いつかお願いしたいw

今は3月で、やっぱり皆さん忙しいよね
以前ほどはココまわってない…
職人の皆さん、ゆっくりでいいのでまたよろしくですw
柊さんも勇気もNANAもw 新しい作品で皆を幸せにしてほしい!
145名無しさん@ピンキー:2012/03/10(土) 22:45:29.07 ID:T6mmsg0c
前スレでRINA×美子を書いた者です
その続編のつもりで書いてみました
まだ途中までしかできてないくせに、どうしても投下したい欲望がムクムクとw
自分の悪い癖とは分かっているものの、勢いに任せて投下します
廉×美子、エロなしです
146After Lesson 1:2012/03/10(土) 22:47:34.72 ID:T6mmsg0c
A.N.JELLのコンサートが終わり、今はメンバー、スタッフ総出の大規模な打ち上げの真っ最中。
達成感に満ちた笑顔で溢れる会場の中に美子の姿もあった。

「美子、ちょっといい?」
メンバーが中締めの挨拶をしている隙に、RINAは美子を会場の外のロビーに連れ出した。
壁際のベンチに座り、
「ここならしばらく誰も来ないから」
と小声で話し始める。

「ね、この前はどうだったの?」
興味津々といった様子でRINAが迫ると、美子の顔が一気に赤く染まった。
「あの…はい…」
美子は恥ずかしそうに頷くことしかできなかったが、そこから全てを読み取ったRINAは
「そうなのね?!あぁ、良かった〜!」
と勢いよく美子にハグをした。
「あれからずっと気になってたの。廉も変に意識しちゃってたみたいだし…」
(そうよ、あの帰り際の廉のぎこちない姿!思い出すと今でも心配になる。
ま、美子が初めてだってけしかけて意識させたのは私なんだけどね)
そう思いながらRINAは心の中でペロリと舌を出す。

「確かに廉さん、はじめは少し変だったんです。なんだか拗ねてるみたいで。
でも…」
ふふ、と美子がうれしそうに目を細める。
「でも、なんだか可愛かったんですよ」
147After Lesson 2:2012/03/10(土) 22:49:36.69 ID:T6mmsg0c

───
RINAさんの家からホテルに向かう車の中。
私が何か話しかけても廉さんは「ああ」とか「そうだな」と簡単な相づちを打つだけで、
自分からは何も話そうとしなかった。

しばらくすると車がホテルの地下駐車場に停まった。
これから私が住む部屋を見つけるまでの間、ここに滞在できるように廉さんが手配してくれた。
ここには廉さんが1人になりたい時に泊まりにくるという。
部屋の中は、私には似つかわしくないほど広くて、高級そうで。
シックで落ち着いた色合いの内装が大人っぽくて、いかにも廉さんの好みらしかった。
スーツケースを運び入れたホテルスタッフが部屋の説明をひととおり済ませて出て行った。
そしてまた、廉さんと2人きりの空間に戻る。

「わぁ、すごい!きれい…」
高層階の窓の外にどこまでも広がる夜景。
くっきりとした光と闇のコントラストに、私はしばらく目を奪われた。
アフリカで見ていたのとはまったく違う景色に、自分が東京に戻ってきたことを実感する。
高揚した気分のままくるりと後ろを振り向くと、無表情な廉さんがソファにどっかりと腰掛けていた。
(なんだか機嫌悪そう…)
そう感じたすぐ後で、コンサートが目前に迫っていることを思い出した。
もしかしたら、そのことで気が張っているのかもしれない。

「もうすぐコンサートですね」
「ああ…」
「私も観に行っていいですか?もし迷惑じゃなければ、ですけど…」
「ああ、来ればいい」
「よかった!じゃあ柊さんと勇気さんと、お兄ちゃんにも会えますね!楽しみです!」
「そうだな…」
廉さんは脚を組んでソファに座ったまま、やっぱり相づちを打つだけ。
目も合わせてくれないし、いったいどうしてしまったんだろう…。
148After Lesson 3:2012/03/10(土) 22:51:37.56 ID:T6mmsg0c

「廉さん…何か、怒ってますか?」
普通に話してくれない様子に不安をかられて、思い切って訊いてみた。
ふっと顔を上げた廉さんの視線が私を捉える。
そしてゆっくりとソファから立ち上がり、窓際にいる私に近づいてきた。
廉さんは私の首元に右手を伸ばし、星のネックレスを手に取ってじっと眺めた。

「アフリカでも星…見てたのか?」
「あ…はいっ!毎晩、降るような星空を見てました。すごいんですよ〜!
本当に手が届くんじゃないか、掴めるんじゃないかって思うくらい、たっくさん光ってるんです。
背伸びして、一生懸命腕を伸ばしてました。あ、でも、やっぱり届きませんでしたけど…。
えへへ、当たり前ですねっ!」

ようやく口を開いてくれたのがうれしくて、ついペラペラと話しすぎてしまったのかもしれない。
廉さんの顔を見たら、何かに納得が行かないようなムスッとした表情をしていた。

「廉さん…?」
「俺には、相変わらず星は見えない」
機嫌悪そうな顔のまま、まあ見せてくれる誰かさんがいなかったしな、なんてひとりごちる。
それから廉さんは次々と不満を口に出し始めた。

「おまえがいなくても2年くらい大丈夫だって、しばらくは耐えてやってたんだぞ」
とか、
「なんでおまえがここにいないんだって毎日毎日思うようになって…わけわかんねーよ」
とか、
「ずっとそばに…俺の見えるところにいろって言ったのに、なんなんだおまえは!」
とか…。

今まで黙っていたのが嘘みたいに、驚くほどの勢いで文句を並べ立てていく。
こんな廉さんを見たことなくて、ポカンとしてしまったんだけれど。
言いたいことは要するに…。
149After Lesson 4:2012/03/10(土) 22:53:38.36 ID:T6mmsg0c

「あの…廉さん…?」
「何だっ?!」
恐る恐る言葉を挟むと、食ってかかるように即答された。
「もしかして…寂しかったんですか?」

ぴたっ、という音が聞こえるほどわかりやすく、廉さんが固まった。

「ば、バカっ!そんなことねーよ!」
即座に顔を背けて思いっきり否定したけれど、その顔はあっという間に赤く染まっていった。
「えへへっ、図星ですね〜?」
素直になれない廉さんがなんだか可愛くて、つい口元がニヤニヤと緩んでしまう。
「こいつ…」
そんな私の顔を見て、廉さんはピクッと頬をひきつらせた。
(あ、怒られる!)
そう思って身構えた瞬間。
「…くそっ。ああ、寂しかったよ!悪いか!」 「きゃっ…」
まるで観念したみたいにそう白状した廉さんに、突然抱きすくめられた。

「まだ…俺のことが好きか?」
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
(そんなこと、言わなくてもわかってるはずなのに…)
「…2年も離れてたんだ。俺だって、そういう言葉が欲しい時がある」
背中に回された腕に力が込められるのを感じながら、まるで駄々っ子のようだ、と思う。
「おまえが好きだ…」
以前空港で、耳元で囁かれたのと同じ言葉。
でも、胸に湧き上がる思いはあの時のふわふわと舞い上がるようなときめきとはなんだか違う。
廉さんの温かい腕の中で、私は自分の居場所を見つけたような幸福感に包まれていた。
「…はい」
「もう、どこにも行くな」
「はい。ずっとここに…廉さんのそばにいます」

軽く重ねられた唇が離れると、廉さんの顔にようやく柔らかな微笑が浮かんだ。
150名無しさん@ピンキー:2012/03/10(土) 22:55:50.87 ID:T6mmsg0c
短いですが、とりあえず今回は以上です
実は廉美子を書いたのが初めてなので、どう思われるのかがちょい不安…
続きは少し先になるかもしれませんが、がんばってみます
お邪魔しました
151名無しさん@ピンキー:2012/03/10(土) 23:28:39.74 ID:Ljx+D9DN
>>150
GJ!
よろしくですってレスしたら、早速職人さん来てくれたw
やったねw
以前のRINAさんのもすごい好きだったので、続編うれしい
廉美子初めて…いやいや全然 すごく2人っぽくて良いです
続き楽しみに待っておりますw
152名無しさん@ピンキー:2012/03/10(土) 23:54:35.28 ID:aJ47z/27
>>150
GJです!
ここでおあずけですか〜
素直じゃない廉さんが可愛い…続き楽しみに待ってまーす
153名無しさん@ピンキー:2012/03/11(日) 07:06:18.73 ID:ag+UKBg5
>>150
なんかドギマギした…(*´д`*)
GJです!続きお待ちしております!
154名無しさん@ピンキー:2012/03/11(日) 07:19:31.36 ID:MEAmMd8A
>>150
GJ!RINAx美子すごく好きでした。あのまま、突入してもOKだったけどw
この廉さんってまだDTそれとも美子にはDT?
廉さん、不機嫌モードも愛おしいですが、取扱難しそうだな。美子以外には取説が要りそうだ。

所で、RINAx美子で、RINAさんがおうち飲みしたお相手って馬渕さん?それとも美男?気になります。まさか社長じゃないよね?
155名無しさん@ピンキー:2012/03/11(日) 14:25:48.64 ID:EuRWAzqs
>>150
GJ!
廉さんっかわいい〜w
この廉さんは完全にDTっぽいけど、どうなんでしょw
続きすごく気になります またよろしくお願いいたしますw
156名無しさん@ピンキー:2012/03/13(火) 21:32:09.99 ID:qTIybJMt
ステキ作品の後で、少々申し訳ないんですが…
ホワイトデーの話を書いたので、このタイミングで投下させてください。
バレンタイン話は書いてないんですが、先月の皆さんのお話が
すごくステキだったので、ホワイトデーネタだけ参加させてほしい…

廉×美子 エロなし
前回投下分>>57-59 >>126-130
157White gift 1:2012/03/13(火) 21:33:34.65 ID:qTIybJMt
3月のある晩。
自分の部屋で曲作りの最中、デスクの上のカレンダーが目に入り…
「もうすぐ、ホワイトデーだな…」
廉は、先月のバレンタインデーのことを思い出した。

A.N.JELL加入後、初めてのバレンタインデーだった美子は、柊や勇気、
スタッフや仕事関係者のために、チョコレートを手作りして朝から渡していた。
そして、リハーサル室にいた廉にも声をかける。

「廉さん。これ、バレンタインのチョコレートです。あの…どうぞ。」
「お、おお…」
仕事関係や、事務所に届くファンレター…毎年、かなりたくさんのチョコレートを
受け取る廉だが、やっぱり美子からもらうのは、全然違う。
若干緊張して、神妙な面持ちになった廉に、美子がそっと囁いた。
「あの…これ以外にも、あるんです。今日の帰り、私の家に寄ってくれませんか?」

そして、その夜。
「バレンタインデーは、愛と感謝を伝える日ですから。
昼間のチョコは感謝を伝える分で、あの、こっちは…愛を伝える分…です…」
廉は、真っ赤になった美子から、手作りのチョコレートケーキと春物のストールを、
別でプレゼントされたのだ。

(俺だけ…特別…)
あの日のことを思い出すたびに、優越感に浸って、ついついにやけてしまう。
毎年、仕事関係者へのホワイトデーのお返しは、多忙ということもあり、
マネージャーの馬渕任せになっているのだが…
「美子の分は、ちゃんと自分で選ばなきゃな!」
廉は、部屋に飾った美子からのプレゼントの空箱を見ながら、気合を入れた。

翌日、仕事の合間に、廉は一人で都内のショッピングモールへ出かけた。
ホワイトデーが近いので、どの店もプレゼント用のディスプレイが華やかだ。
「何がいいかな…」
端からゆっくり歩いて見て行った廉が、ふと足を止めた。
そこは、若い女性に絶大な人気を誇るランジェリーショップで、白いレースが
あしらわれたキャミタイプのワンピースを着たトルソーが、店頭に飾られていた。
158White gift 2:2012/03/13(火) 21:34:27.99 ID:qTIybJMt
(これ…いいな!)
廉は、先日の、グラビア撮影の時の美子を思い出した。
あの時、美子が着用していたのは、丈の短いノースリーブのワンピースだったが、
こちらはランジェリーブランドの服な分、軽く薄めな生地で、露出度がさらに高い。
(美子が着たら…うん、かわいいぞ!)
目の前のトルソーが美子になった姿を妄想し、廉は一人にやついた。

だが…
(店に入って「これ下さい」って言うのは、恥ずかしすぎる…)
店内にたくさんいる客も店員も、全員若い女性ばかりなランジェリーショップ。
もちろん、変装は万全にして買い物に来ている廉だが、さすがに気後れした。

キャミワンピースを改めてじっと見つめる…
(これ、いいんだけど…欲しいけど…)
どうしても、店内に入る勇気が出なかった廉は、後ろ髪を引かれつつもあきらめて、
先へと歩き出し、別の店頭で勧められた品を、購入することにした。

ホワイトデー当日。
美子と約束しておいた廉は、仕事の後、一緒に美子のマンションへ帰った。
部屋へ入って早々に、プレゼントを取り出す。

「美子。これ、バレンタインのチョコのお礼だ。」
「ありがとうございます!今、開けていいですか?」
箱から出てきたのは、アロマキャンドルとボディローション。
「これ、『若い女性に人気の香水の限定版の香り』のだって、店員が言ってた。」
「そうなんですね〜早速、使ってみていいですか?」

部屋の照明を少し落として、美子はキャンドルに火を灯した。
甘い香りが、部屋にふわりと漂い始める。
「うわぁ…すごく甘くていい香り!こういう感じの香り、大好きです。」
うれしそうな美子に、廉も頬が緩む。

「じゃあ、そっちのボディローションも塗ってやる。」
「え?! 廉さんが、ですか?だ…大丈夫です。自分でできます。」
「いいから!」
服に手をかける廉に、焦る美子。

「あ、あの…ボディローション塗るなら、シャワーの後とかがいいんですけど…」
「ん、わかった。それなら…」
廉は、もうひとつの紙袋を上着のポケットから取り出して、美子に手渡した。
159White gift 3:2012/03/13(火) 21:35:11.40 ID:qTIybJMt
「長袖の服だと塗りづらいから、それに着替えろ。」
「…え? 廉さん、これは?」
もらった紙袋の中を覗きながら、首を傾げる美子。
「そっちは…ケーキとストールのお礼だ。」
ちょっと照れて顔を背けた廉に、美子は笑顔になった。
「ありがとうございます。じゃあ、着替えてきますね。」

シャワーを浴びた美子が、リビングへ戻ってきた。
着ているのは…廉が買うのをあきらめた、あのキャミワンピースだ。

「廉さん、ありがとうございます!これ、すごくかわいい〜」
全身を鏡に映し、ワンピースを見下ろして喜ぶ美子に満足げな廉は、
「じゃあ、まずは手出せ。」
腕をとってソファに座らせ、ボディローションを塗り始めた。

腕、足と順に塗り終わり、廉は、改めて美子を見下ろした。
キャミワンピースに包まれて、頬を染めて廉を見上げる美子…
ほの暗い部屋に灯るキャンドルから、ふわりと広がる暖かい香りと、
風呂上りで上気した美子の肌から立ち上る、ボディローションの香り…
その甘い甘い香りに煽られた廉は、美子の両腕をそっと掴むと、
デコルテの開いたワンピースに顔をうずめて、鎖骨を強く吸い上げた。

「…廉さ…」
小さく声をあげた美子の口を塞ぎ、抱きかかえて、隣室のベッドへそっと運ぶ。
廉に腕をとられ、ワンピースの肩紐を落とされた美子が、瞳を潤ませて囁いた。
「あの、廉さん…ワンピ、さっきもらって…着たばっかりなんですけど…」
「…気にするな…後で、俺がもう一度着せてやる。」
廉は、脱がせたワンピースを脇に置いて、深く口付けた。

(やっぱ、似合ってたな…買って正解だ…)
ワンピースを横目でちらりと見て、廉は、心の中で満足して頷いた。
店頭ではためらって買うのを断念したのだが、どうしてもあきらめきれず…
帰ってから、そのランジェリーショップのネット通販を、ちゃっかり見つけた廉。
そこで購入して昨日届き、なんとかギリギリでホワイトデーに間に合ったのだ。

(ネット通販って便利だよな〜 他にも似合いそうなの、あったしな。)
今、自分の腕の中にいる美子に、今度は何を着せてみようか。
(今日はホワイトデーだから、白いのにしたけど…違う色にするなら…)
いろいろな妄想が渦巻いて、抱きしめながら、にやけた顔がとまらない廉だった。
160名無しさん@ピンキー:2012/03/13(火) 21:36:08.74 ID:qTIybJMt
以上です。
ネットって、何でもあるよね…ってことでw
ネット通販を覚えた廉さんの今後が心配…ほんとごめんなさい…ww
161名無しさん@ピンキー:2012/03/13(火) 22:37:13.02 ID:9j+F7KvO
GJでした!
廉さんが買うのをあきらめたワンピを柊さんがプレゼント?
とか思っちゃった…良かった廉さん買えて。
ネットだからランジェリーとかも買っちゃうんだろうなぁ、廉さんw
162名無しさん@ピンキー:2012/03/14(水) 17:38:57.15 ID:eJvcjKyV
>>160さん
GJ!
ネット通販で怪しげな下着やおもちゃ、買いそう・・・
廉さん、芸名じゃなさそうだから、通販の担当者に
あの桂木廉が・・・ってバレバレになるねw

女を探せの時、美男に送った、ストンとした切り替えなしのワンピは
センスが微妙だったのでちょっと不安w
163名無しさん@ピンキー:2012/03/14(水) 22:49:01.97 ID:r61JEVaE
おもちゃといえば、柊さんの方がいろんなおもちゃを駆使してウブな美子に
あんなことやこんなことやりそう…とか思ってた時期もあったなー
どうしても柊さんの方がエロスなイメージがあるのでw
164名無しさん@ピンキー:2012/03/15(木) 20:11:04.54 ID:6BXp/Zhh
>160さん
GJ☆ 廉さんは清楚好きそうだから、白いワンピ、真っ白水着、真っ白下着、買いそうだ。
柊さんは、黒とかヒョウ柄w
勇気は、まぁ普通にショップで買いそうだ。
165名無しさん@ピンキー:2012/03/15(木) 20:26:17.16 ID:G0ZYfjmP
>>163
おもちゃを駆使する柊さん…エロすぎる…でも、すごくやりそうww
それ、見たいな〜
廉さんも使いそうなんだけど、逆にそれで責められるってイメージあるw

>>164
勇気は、ショップに普通に明るく入って行けそうだw
そしてやっぱり柊さんはエロそう…ww
166名無しさん@ピンキー:2012/03/15(木) 22:07:32.75 ID:69WVPbLB
アダルトな店で蝋燭を選ぶ柊さんを妄想した。店員に「恋人への贈り物ですか?」と聞かれて「だったらいいんですけど……。」みたいな。
167名無しさん@ピンキー:2012/03/15(木) 22:27:14.85 ID:G0ZYfjmP
アロマキャンドル≠蝋燭w
使い方がかなり違うよ…ww
168名無しさん@ピンキー:2012/03/15(木) 22:27:55.94 ID:UlZKzcGT
>>166のシーンは非常に興味深いけど、
日本のみならずアジアの大スター・A.N.JELLの柊さんが
そんな店行くのはさすがにナシだろうww
169名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 19:38:35.74 ID:NXQZSEPK
>>166
ちょwww そんな質問する店員嫌だw

怪しげなアダルト通販でグッズ購入する時、
柊さん、偽名使いそう<桂木廉とかね
170名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 19:54:56.95 ID:O7AdcOBk
>>169
柊さんが偽名で頼んだものが合宿所に届いて、
廉さんが自分宛の荷物と思い込んで開けてびっくり ってありそうw
171名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 23:40:51.37 ID:tgQ9MNQK
>>154
150です
RINAさんの家飲み相手はいちおう馬淵のつもりです
ただし小さなフラグを立ててはみたものの、回収は困難を極めるかと思われ…
期待しないでくださいw

>>160
GJです!
廉さん、一度通販使ったら味をしめてハマリそうw

>>169
ちょw 偽名に桂木廉て柊さんブラックすぎるw
いちばん安全なのは馬淵さんの名前使って事務所あてに届けてもらうことだよね
それはそれでまぶっちゃんが気の毒だけどwww
172名無しさん@ピンキー:2012/03/17(土) 03:28:33.25 ID:ba507ybV
流れを切って投下します
廉美子、美男NANAエロ無しです
173深夜の訪問者1:2012/03/17(土) 03:29:32.98 ID:ba507ybV
深夜、ベッドの中でうとうとと眠りに落ちそうになった瞬間、玄関のチャイムが鳴った。
「誰だ…こんな時間に…」
だるそうに体を起してベッドサイドの時計を見ると、日付が変わって1時を回ったところだった。
つられて目を覚ました美子に、お前は寝てろ、と言い玄関に向かった。
インターフォンのモニターを見て驚いた。
そこにはピンクのナイティの上にカーディガンを羽織っただけのNANAが、泣きじゃくって立っていた。

「おいっどうしたっ?」
急いでドアを開けNANAを招き入れた。
NANAは廉の腕にしがみ付いていたが、様子を見に来た美子に気付くと、大声を上げて泣き出した。
「ど、どうしたんですか?NANAさん」
なだめるようにNANAの背中をさする美子。NANAはそんな美子に抱きついてしゃくりあげた。
「美男ったら…ひどいの。もう、あたしの事なんて…好きじゃないんだわ…」
「そんな事ないですよ。お兄ちゃんはNANAさんに夢中ですから」
美子は一生懸命慰めるが、NANAは聞く耳を持たず美子に抱きついたまま泣き続ける。
途方に暮れた美子が廉を見上げると、廉は微かに頷いてキッチンへと行った。

しばらくするとガラスのカップに入れたホットワインを持って廉がやって来た。
「ほら、これ飲め。暖まるぞ」
ソファで美子に肩を抱かれていたNANAが、顔を上げて廉を見つめた。
受け取ったカップには、ご丁寧にシナモンスティックまで添えられている。
「なんか…意外ね。廉がこんな事するなんて…」
NANAは寂しそうに微笑んで一口ワインをすすった。
「美味しい…ふふっ…」
ほんのりと頬を染めたNANAの瞳から一粒涙がこぼれた。
「あたし達…もう…だめかも」
そう言うと一息にワインを飲み干した。

ソファの上でぐったりしたNANAを、廉が抱え上げる。
客間のベッドにそっと横たえられたNANAに美子がそっと布団をかけた。
「私、NANAさんについていますね」
「ああ。じゃあ俺は美男に電話してみるよ」
そう言うと廉は静かに客間のドアを閉めた。
174深夜の訪問者2:2012/03/17(土) 03:30:53.81 ID:ba507ybV
「もしもしっ、NANA?今どこっ?」
「…俺だよ」
「え?あ…廉?」
「NANAは今家に来てる。何があったか知らないが、迎えに来い」
「えっ?どうして廉の所に…。もしかして、まだ廉の事が…」
「バカか、お前。そんな訳ないだろ。俺じゃなくて美子に会いに来たんだよ、多分。
お前と同じ顔の美子に、慰めて欲しかったんじゃないのか?」
「そうか…。わかった。すぐ行くからっ」

それからまもなく廉の家に到着した美男は、廉に案内されて客間のドアを静かに開けた。

眠っているNANAの顔が赤いのはワインのせいだろうか?
微かに汗ばんで寝苦しそうにしている。
「NANAさん、具合悪いんですか?どうしよう、起こした方がいいのかな?」
美子がそっとNANAの顔を覗き込んだ時、NANAがうっすらと目を開けた。
「NANAさ…ん?」
NANAはゆっくり手を伸ばし、美子の首にしがみついた。
「美男…来てくれたのね。ごめんね…」
いきなりNANAに抱きすくめられて、美子の鼓動が跳ね上がった。
「あ…の、NANAさん、私…美子です」
しどろもどろに説明するが、NANAは更に腕の力を強めて美子に抱きついている。
(どうしよう…お兄ちゃんと勘違いしてるみたい…)
違いますっと強く言うのも失礼な気がして、体を硬直させながらもじっとしていた。
「美男、ごめんね…ごめんね」
何度も謝るNANAを見ていると、いじらしくて可哀想で、美子の心に不思議な気持ちが湧き上がってきた。
恐る恐るNANAの背中に手を回して、そっと抱きしめる。
「NANA、もう謝らなくていいよ。俺の方こそゴメン」
美子は少しだけ低めの声で、美男になりきって答えてしまった。
するとNANAは安心したように少し微笑んで、再び静かな寝息を立て始めた。
175深夜の訪問者3:2012/03/17(土) 03:32:03.70 ID:ba507ybV
客間のドアを開けた瞬間に見た光景に、廉も美男も立ちすくんだ。
『お・お・お・おいっ!お前っ!何俺のフリしてんだよっ!』
NANAの目を覚まさないように小声で、しかし強い口調で美男は美子に詰め寄った。
『あ…。ごめんね、お兄ちゃん。でもNANAさんが離してくれないから…』
『は?てか、ありえねーから!せっかく俺が慰めようと思ったのに。もういいから、二人とも出てってくれ』
廉と美子を部屋から追い出し、やっと美男はNANAの寝顔を覗きこむ。
可愛いNANAの寝顔を見ていると、何で喧嘩したのかさえ忘れてしまいそうだ。
「ゴメン、NANA。もう絶対泣かせないから…」
美男は上着を脱いでベッドにもぐりこみ、NANAの頬に何度も口づけた。

深夜の騒動もやっと治まって、寝室では廉と美子がようやく眠りに付こうとしていた。
が、廉はさっき見た光景が脳裏から離れず、ちらちらと美子に視線を向ける。
「どうしたんですか?」
挙動不審な廉の態度を訝しんで、美子が顔を覗き込んだ。
「いや…あの、お前…あっちの気は、無いんだよな?」
「はい?あっちの気って?」
「いやっいいっ。うん。なんでもない」
慌てて話を打ち切り、不思議そうに首を傾げる美子の横顔を盗み見た。
(まさか…な。元はと言えばNANAとはライバルだったんだし。俺の考えすぎだよな…)
廉は頭の中の疑念を振り払い、美子を抱き寄せて目をつぶった。

翌朝、寝不足気味で目を擦りながら起きていくと、すでに美男とNANAは美子の作った朝食を食べているところだった。
「おはよう、廉。昨夜は迷惑かけてごめんね」
NANAは子供みたいに泣きじゃくった面影もなく、ピカピカの笑顔で言った。
「ああ…。それで、喧嘩の理由は何だよ」
「何だったかなー?忘れちゃった、ね!美男。美男が昨夜優しく謝ってくれたから、もういいの!」
その言葉を聞いた瞬間、三人は焦ってきょろきょろと目配せしあった。
「どうしたの?」
「いやっ!何でもないよ、NANA。それより早く行かなきゃ、仕事に遅れちゃうよ」
美男はきょとんとしたNANAを急かして、慌ただしく帰って行った。
「ったく、あいつら…いい迷惑だ。お前も…次は許さないからな」
突然自分に矛先が向いて、美子は仰天した。
「えっ、何がですか?」
「だからっ、俺以外の人間を、その、抱きしめたりするなっていうか…」
ふて腐れたようにそっぽを向いたまま、廉は口を尖らせる。
「だって、NANAさんは女性ですよ?」
「女だって…嫌なんだよ。あんなに優しく抱きしめたりして…」
呆れた美子はハァーとため息をつき、「はいはい」と軽い返事を返した。
「お前今、俺を馬鹿にしただろ?」
「してません」
「いーや、絶対した!」
「してませんったら!」

美男とNANAの喧嘩から端を発した騒動は、どうやら今日も続くようだ。
176名無しさん@ピンキー:2012/03/17(土) 03:36:32.45 ID:ba507ybV
以上です
なんか最後グダグダですみません
お邪魔しました
177名無しさん@ピンキー:2012/03/17(土) 07:15:10.38 ID:WUe3NW7T
>>172
超GJGJ!
微美子NANAもあって素晴らしい♪
廉美男が見た、美子NANAのポジションが気になりますw

ヴァンショーにシナモンティック添える、廉さん、成長しましたね。感慨深いわ。私も飲みたいです。
美男、廉には嫉妬して美子にはヤツアタリで、いいとこないけど、萌え〜。
NANAと仲直り後、お楽しみですね。
178名無しさん@ピンキー:2012/03/17(土) 19:02:00.84 ID:a5oDaxBt
>>176
GJ!
廉さんの対応が大人でステキw って思ったけど、ちょっと騙された…
美子NANAの二人…すごくかわいくてきれいなんだろな〜w

美男NANAと廉美子のその後(仲直り編)見たいですw
179名無しさん@ピンキー:2012/03/19(月) 19:55:03.94 ID:V8ej2RwZ
>>171さん
RINAx馬渕、大人のカップルですね、かなり賑やかw
ぜひ、気が向いたら・・・

>>176さん
拗ねてる廉さんがツボ、美子の「ハイハイ」もその後のやりとりもドラマぽくていい!
NANA美男の喧嘩の原因も気になります。ぜひぜひ仲直り編も・・・
180名無しさん@ピンキー:2012/03/22(木) 23:44:31.23 ID:dcRuWKBn
>>176
GJです!
美男NANAがケンカしたら確かにこうなりそうw
廉さんの拗ねっぷりがとても愛おしいです
181名無しさん@ピンキー:2012/03/24(土) 00:32:33.29 ID:ijfSb93J
>>176
GJ!!
廉美子、美男NANAのカップル大好きだから読ませてもらえて嬉しい
なんだかんだと美子の前では素直な廉さん可愛い〜w
でも前半の廉さんは、カッコよかった!!
廉さんはNANAに嫉妬してるけど、美子は美男が廉さんを抱きしめても全く平気そう
まあ、美子にとっては二人とも身内だからね〜w
182名無しさん@ピンキー:2012/03/24(土) 00:55:38.22 ID:59aohir3
>>176
GJ!
廉さんが拗ねるくらい、いい雰囲気だった美子とNANA…
実写でぜひみたいところですw キレイそうw
結局、喧嘩の原因はなんだったのでしょう? 
この2組の続き(仲直り?)ぜひお願いします!

160です。感想いただいた方ありがとうございました。
柊さんがおもちゃを駆使…ww
書いてみようかと、ちょっと妄想してみたんですが
とてもじゃないけど、私の文章力では無理…エロさ表現できない…w
誰か、書いてくれる方いらっしゃいませんか? 読みたいですw
183名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 18:34:28.39 ID:D4gqpzVv
>>182
柊さんのおもちゃ、ぜひ!
4人の中では一番お似合いそうな気がしますw
おもちゃじゃなくても、学ラン・セーラー服コスプレしても似合いそう。
184名無しさん@ピンキー:2012/03/26(月) 21:57:39.01 ID:C6ybs94e
柊美子見たいなぁ
185名無しさん@ピンキー:2012/03/26(月) 22:06:06.88 ID:Eisj6da0
ここってパラレルワールド設定ってあり?
例えば、ANJが高校の同級生でバンド組んでて、美男が転校してくるみたいな学園ラブコメ
ま、社会人だろうと、学生だろうと、廉さんが美味しいところもってって、柊さんは忸怩たる思いをしそうですがw
186名無しさん@ピンキー:2012/03/26(月) 23:02:48.99 ID:S5xRJNPF
何でもアリだと思います
カモン・カモン・カモンw
187名無しさん@ピンキー:2012/03/26(月) 23:14:35.01 ID:d6VWHpT+
ありw
シリーズ化されて既にいくつか存在してるよw ぜひよろしく!
188名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 00:46:01.28 ID:SF1SJgwk
遅くなってすみません
RINA×美子続編の廉×美子の続きを投下します、ってややこしいなw
エロありです

前回投下分
>>146-149
189After Lesson 5:2012/03/27(火) 00:48:45.97 ID:SF1SJgwk

───
「もう廉ったら…。本当に素直じゃないんだから」
美子の話を聞いて、RINAがクスクスと笑い出した。
「あの、私なにかおかしなこと言いましたか?」
「違うの。ごめんね、笑ったりして」
RINAは首を振って否定する。
「ただ、うれしすぎてパニクっちゃうなんて、あの子らしいな〜って思って」
「うれしすぎて?」
「そうよ。2年間ずっと、ずーっと待ち続けてた美子が目の前にいるんだもの。
きっとうれしすぎて、どうしていいかわからなかったんだわ」
「そっか…。そう思うとなんだかうれしいですね」
少し照れくさそうに微笑む美子を見て、RINAは2人の初々しさをうらやましく思う。
「いいな…。私もまた…」
「え?」
「う、ううん!なんでもない!」
また恋したい。そんな心の声がぽろっとこぼれそうになったのをRINAはあわててごまかした。

「ね、それより続きは?どうだったの?」
「そんな…。この先は、いくらRINAさんでも内緒です!」
「え〜、美子のケチ〜」
「無理ですよ…。だって…恥ずかしいじゃないですか…」
「ふーん。じゃ、廉に聞くからいいもんね」
「ええっ!だ、ダメですそんなの!」
「それなら美子が教えてくれる?」
「あ…その…」
口をパクパク開けてしどろもどろになる美子を見ながら、少し意地悪しすぎたかとは思ったものの、
そこはやはり好奇心が先に立つ。
「ちょっとでいいから、ね?」
「…少しだけ、ですよ…」
「ありがと。やっぱり美子って可愛いわ〜!」

結局、RINAに強引に押し切られた美子は、あの夜の記憶に引き戻されていった。
190After Lesson 6:2012/03/27(火) 00:50:46.71 ID:SF1SJgwk

───
(よかった…やっと笑ってくれた)
遠く離れていた間も毎日思い浮かべていた廉さんの微笑み。
綺麗な顔立ちの中に少し混じるあどけなさが、前からずっと好きだった。

廉さんの顔がふたたび、ゆっくりと近づいてくる。
わずかに伏せられたまぶたからのぞく黒い瞳。
まるで引力があるみたいに引き寄せられて、そっと唇を重ねた。
ついばむような軽い口づけを繰り返すと、通じ合う想いに心がふわりと温かくなって、すごく心地良くて。
でも…。
(RINAさん、もっと違うこと教えてくれた)

唇の隙間からそっと舌を差し入れたら、廉さんがビクッとたじろいで身体を離した。
「おまえ、RINAん家でも…」
「だめ…ですか?」
「いや、それなら…」
廉さんの顔に浮かんでいた戸惑いの色が薄れていく。
覚悟しろ、という小さな声が耳元をかすめた瞬間、舌が深く差し込まれてきた。

(『目を閉じて、唇の柔らかさとか舌の熱さとか…触れている感覚を味わうの』)

RINAさんよりも少し乱暴に口の中を這い回り、粘膜をなぞる廉さんの舌。
上顎に感じるちょっとしたくすぐったさと、絡み合う舌の熱に意識が引き込まれていく。
「…ん、……ふっ…」
吸い付くように触れ合う唇が離れるたびに聞こえる水音がなんだかいやらしくて、恥ずかしくて。
それでも、こうして廉さんと舌を求め合うのをやめることができなかった。

廉さんの唇が下へおりてきた。
息苦しさからは解放されても、首筋をなぞる熱い刺激に吐息が乱れ続ける。
ワンピースのファスナーに掛かった指先が性急に下ろされて、なかば強引に脱がされた。
191After Lesson 7:2012/03/27(火) 00:52:47.61 ID:SF1SJgwk

「あ…」
そのままベッドに押し倒され、勢いでスプリングがきしむ。
シャツのボタンをもどかしそうに外していく廉さんの手。
白いシャツがはだけて、くっきりとした鎖骨が、薄く筋肉をまとう胸が露わになっていく。
初めて間近で見る廉さんの引き締まった身体。
ドキン、と心臓が大きく跳ね上がる。
その音が廉さんに聞こえてしまうんじゃないかと心配になるくらいに。

廉さんがブラのホックに指を掛ける。
胸のふくらみが押さえをなくして、一瞬のうちに柔らかさを取り戻した。

「あ、あの…廉さん、電気……。恥ずかしい、です」
「ダメだ。消したらおまえが見えなくなる」
「でもっ…」
RINAさんの言葉を思い出しながら夢中でここまできたけれど…。
どうしよう。もう胸が苦しくて、顔が熱くてたまらない。
両手で顔を隠して身を固くしているうちに、部屋の明かりがふっと暗くなった。
「初めてだって言ってたからな…」
「ぇ…?」
「…ま、俺も似たようなもんだけどな」
小さくつぶやかれた言葉を気にする隙もなく、唇を重ねられて思考が停止した。

「っ…!」
指先が胸のてっぺんに触れたとたん、ビクッと身体に力が入り、息が詰まる。

(『力を抜いて…。声、出していいのよ』)

大きく息をして身体の力を緩めると、廉さんから伝わる熱を敏感に感じるようになった。
首筋を、胸元を、身体中を指先でなぞりながら、まるで私がここにいるのを確かめているみたい。
長くて綺麗で、それでもやっぱりRINAさんとは違う、男の人の武骨な指。
触れられるたびに、あの時よりずっと大きな快感が背筋を駆け抜ける。
「…ゃ……ぁんっ…」
口の端から漏れていく、自分でも聞いたことがないほどの甘い声。
「ヤバすぎるだろ、その声…」
廉さんの目の色が、少し変わった。
尖った胸の先端に感じる熱い舌先。
舐められ、転がされ、肩先が自然にぴくりと震える。
192After Lesson 8:2012/03/27(火) 00:54:52.04 ID:SF1SJgwk

廉さんの指が脚の間に伸びてきて、襞をやさしく擦りあげていく。
「あっ…や……はぁっ…」
やわらかく触れられると、知らなかった感覚が身体の奥の方からじわりとこみ上げて、
なにかがとろりと溢れ出してくるのがわかった。
「や…なんか、ヘン…」
「おかしくなんかない…。そのままでいいんだ」

つぷり、と濡れた指が侵入して中でうごめき始める。
(あ…なに…?この感覚…)
わずかな痛みと、なぜか胸が切なくなる違和感。
「やだ…いや、廉さ、ん…ぁ…」
逃げ出したいほどもどかしいのに、いつまでもこうしていて欲しくなる。
「あ、あっ!」
廉さんの指先がいちばん敏感なところに触れた瞬間、強い快感で背中がビクッと震えた。

「美子、おまえが欲しい…」
廉さんの真剣な眼差しに射すくめられる。声もなく頷いて、思いを伝えた。

開いた脚の間に廉さんが入り、腰を押し進める。
「いたっ…」
我慢しようと思っていたのに、予想以上の痛みに驚いて思わず声が出てしまう。
「大丈夫か?」
「へーき、です…。だから…」
ためらいを見せる廉さんに精一杯の笑顔を見せて答えた。
無理をしてるわけじゃない。だって廉さんと、ひとつになりたかったから。
「わかった。…少し我慢しろ」
「はぃ……ぁ…んんっ!」
廉さんに貫かれて、涙が頬を伝った。痛みよりも、うれしさの方が大きくて。
「好き…廉さんが…好きです」
「…もう、絶対におまえを離さない。ずっと一緒だ」
溢れ出る涙は、廉さんの唇が消し去ってくれた。

「動くからな…」
廉さんとゆるやかに擦れ合う。最初に感じていた痛みも徐々に和らいでいった。
「あ…あっ…」
「美子…く、はっ…」
廉さんの重みを感じながら、少しずつ奥まで突き上げられるたびに熱い気持ちがこみ上げてくる。
愛する人とひとつになれた喜びが、心を満たしていった。

「はぁっ…も…ぅ、く…っ!」
「あ…廉、さん…れん…ああっ!」
身体の奥でなにかが弾けて、頭の中が真っ白になった。
193After Lesson 9:2012/03/27(火) 00:56:57.01 ID:SF1SJgwk

───
(あれ…ここは…)
ふっと目が覚める。少し眠ってしまったみたい。
横を見ると、廉さんが私をやさしく見つめていてくれた。

「髪、伸びたな」
廉さんの指が優しく髪をかきあげる。
ちょっぴりくすぐったくて、思わず甘えてしまいたくなる。
「この髪型、好きですか?」
「…ああ、似合ってる」
「えへへ、うれしい」
広い胸元に頭を預けて廉さんの鼓動を聞き、体温を感じる。
「汗の匂いがする…」
「…嫌か?」
「ううん。落ち着きます、すごく…」
「そうか」

廉さんの腕に包まれて、その温かさに浸っているうちに、まぶたがだんだん重くなってきた。
「ごめんなさい、また眠くなってきちゃいました…。ふふ、時差ぼけかな…」
「…おやすみ、美子」
廉さんの唇が額に軽く触れるのを感じながら、ふたたび夢の中へ引き戻されていった。


───
「そう…。素敵な時間を過ごせたのね」
「はい。幸せでした、すごく…」
RINAさんの言っていたとおりだった、と美子は思う。
廉さんは私をいっぱい、いっぱい愛してくれた。
抱きしめ合うことであんなに満たされた気持ちになれるなんて、思ってもみなかったけれど。
心も身体も、自分が丸ごと愛されているのを実感できて、本当に幸せだった。

「よかった。美子が幸せになれたなら、私もうれしいわ」
「あの…RINAさん。本当にありがとうございました」
「やだ、お礼なんてやめてよ。それより…」
RINAは美子の耳元に顔を寄せて、思いっきり色っぽい声で囁いた。
「もう少し慣れたら、もっといいこと教えてあげる…」

真っ赤になって絶句する美子を見て、RINAは満足したように目尻を下げた。
194名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 00:59:14.62 ID:SF1SJgwk
以上で終わりです
お付き合いありがとうございました
それにしてもやっぱり廉美子は難しい…。なんでだろ?
「もっといいこと」は今のところ考えてませんのであしからずw
どんなことなのか自分でも気になるw
195名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 07:00:32.88 ID:2xzB0Xrs
>>194
可愛いお話ありがとう。
廉美子可愛いね! 廉さん、ほぼDTぽいけど、一応、未遂経験あるのかw

RINA先生のLessonいいね〜経験値高そうだ。
ついでに(失礼)、RINAさんx馬渕も実践して欲しいです、
が、馬渕が喋り過ぎて、一線越えそうにもないか。
196名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 10:40:16.57 ID:MzgCt/Fl
>>185
学パロ大好きなので大歓迎

>>194
GJ!
もっといいことが気になりすぎる…
RINAさんともっと進んだら、もう廉さんじゃ物足りなくなるかもww
197名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 19:05:29.15 ID:dga46I7m
>>185
それ読みたい!
できれば、制服は学ランセーラーでお願いできないだろうかw
JKよく着てたし、ブレザーはイメージしやすいので
ここはやはり学ラン…全員絶対似合うと思うんだw

>>194
続編GJ! 楽しみにしてた!
>俺も似たようなもん
廉さんの過去が気になったww 何がどこまであったんだ?
いつか、もっといいことの詳細をよろしくw

>>196
ちょwwwww 2年も待った廉さんにその仕打ちは酷だろうw
198名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 23:27:11.04 ID:m/81yi7x
パラレルでも全然OK。待ってます!

>>194 超GJです!廉さん優しい〜。RINAさん、もっといいことって…ガクブルw
このRINAさんも超かわいいので、誰かと恋させてあげて〜!
私も廉さんの似たようなもんってのが気になるわ。
199名無しさん@ピンキー:2012/03/30(金) 21:13:30.84 ID:mi9FSxQS
RINA先生の教えてくれるシリーズいいですね。
実践付で分かりやすそう。
廉さんより上手かもw
200名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 00:55:36.57 ID:Q+t7TlfY
廉と美子の作品新作★☆読みたいです<(_ _)>
楽しみしています(^_^)/
201名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 15:05:55.29 ID:jr13tiX2
うんw 読みたいですw
自分も一応今書いてはいるんだけど、季節物なのにちゃんと間に合うのか、かなり微妙ww
廉美子派だけど、誰の作品でもうれしいので書き手さんよろしくお願いします
202名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 20:03:40.93 ID:HP7ssmEc
自分も「最近寒くなってきたから」を
「最近暖かくなってきたから」に変更して書いてるw
どんだけ時間かかってんだ…
中途半端なのが沢山あってどれも終わりそうにないw
203名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 21:10:33.50 ID:jr13tiX2
>>202
あ、それすごくわかるww
衣装の描写しちゃうと、後程けっこうやばくなりますね…w
中途半端でもたくさんあってすごいです! 季節関係なくお待ちしています
自分の季節物は一度お蔵入りしたものリメイクしてるので
再度お蔵入りしそうな気配濃厚…ww
204名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 21:36:51.58 ID:M/qoEOW7
皆さん鋭意創作中で何よりです!私も1ヶ月ほど前に投下したものの、
続編をなかなか書けないままです…特に誰も待ってくれてないとは思いますがw

どんなカプでも読みたいので、他の書き手の皆さんもよろしくお願いします…!
205名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 21:44:35.99 ID:ahQVvJkU
エイプリルフールネタでいちゃいちゃする廉美子を妄想中
206名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 21:48:55.36 ID:jr13tiX2
>>204
いえいえ、続編待ってますよ〜
読ませてもらうといつも、カプのその後が無性に気になってしまう人間ですw
ゆっくりでいいのでよろしくですw
207名無しさん@ピンキー:2012/04/04(水) 23:44:28.67 ID:H9PczKFm
馬淵×RINAで短いのを書いてみたので投下します
エロのエの字もありません。ごめんなさいw
208Beginning 1:2012/04/04(水) 23:46:32.05 ID:H9PczKFm

A.N.JELLがニューシングルを出すことになり、打ち合わせで事務所にやってきたRINA。
2週間後にジャケット写真の撮影を控えた今日は、その衣装を考えるために
メンバー、社長、馬淵と共に曲のイメージをすり合わせることになっている。


「お疲れさまでーす」
挨拶しながら会議室に入ると、馬淵がデリバリーのメニューとにらめっこをしていた。
「よっ、RINAも来たな。これから弁当頼むけど、お前はどうする?
ミーティング終わったら一緒に食わないか?」
「あ、そうする!私のも頼んどいて!」


───
熱の入った打ち合わせから一転して、今はシンとした会議室の中。
馬淵と2人で弁当をつついていると、話はメンバーの恋愛事情…というか、
そのせいでますます多忙になった馬淵の愚痴になった。

「スケジュール合わせるの大変だよ。廉はともかく、美男はNANAちゃんが相手だからな」
「そうねぇ。そのうち柊や勇気に彼女ができたらもっと大変になるんじゃない?」
「俺の苦労も知らないで、あれこれわがまま言いまくるんだろうな〜。ひー、怖い怖い」
「まあまあ、あの子たちの幸せのためじゃない。頑張んなさいよ〜!」

まったく…相変わらず大げさな顔しちゃって。
でも馬淵の愚痴って、全然嫌そうに聞こえないのよね。逆に楽しんでるんじゃないかって思うくらい。
結局この人、みんなのことが大好きなんだわ。

「それにしてもみんな若くていいわよね〜。ラブラブでうらやましいわ」
馬淵の愚痴につられて、私もつい本音とため息を吐き出した。
このところ、恋愛からはすっかり遠ざかってしまっている自分がなんだかむなしい。
「RINAだって若いくせに、なにオバサンみたいなこと言ってんだよ。
お前だって彼氏くらいいるんだろ?もうそろそろ結婚でも考えた方がいいんじゃないのか?」
「え?結婚?…そんなの大きなお世話よ」
馬淵が私に彼氏がいるって決め付けてることが、やけに胸に引っかかる。
「それに彼氏なんていないし」
可愛げのない、ぶっきらぼうな声しか出てこない自分に少し驚いた。
あれ?
なんで私、こんなにイライラしてるんだろ…。
209Beginning 2:2012/04/04(水) 23:48:37.08 ID:H9PczKFm

「結婚だったらあんたの方が先でしょ?なんでその歳で独身なのよ」
「そりゃさっきも言ったとおり、忙し過ぎるんだっての。RINAだってわかるだろ?」
そうよね。私は知ってる。
A.N.JELLを裏で支え続けるために、あんたが毎日一生懸命頑張ってる姿。

「忙しいし、そもそも出会いってやつがないんだな」
馬淵が何気なく言い放った一言にまたイラっとした。イラっとして…なぜか胸の奥がチクチクする。
やだ。なんなのよ、この気持ち。

…あ。わかった。
私、くやしいんだ。この人に、女として見られてないことが。

でもちょっと待って。よく考えなさいRINA。目の前にいるのは「あの」馬淵よ。
私よりずっと年上でもう50歳も近いのに、うだつの上がらない、冴えない男。
見た目だってぱっとしないし、好みでもなんでもない。お調子者だし、おしゃべりだし、気も弱いし。
でも…。
そんな馬淵には気が置けないのも事実。
この人の前では私、飾らない姿をいつでも無理なくさらけ出せた。
それなら、やっぱりそういうことなのかな…。

「どうしたRINA?さっきから黙ってるけど…」
「新しい出会いなんて、なくていい」
「え?」
意外な答えだったのか、馬淵は箸でフライを持ち上げたままふっと顔を上げてこっちを見た。
なんだか締まらない、間の抜けた表情。やっぱりカッコ悪いけど、絶対に憎めない顔ね。
「だって…もうとっくに出会ってるんじゃないの?」
「は?とっくに、って…」
少しずつ速くなる胸の鼓動を必死に隠して、私は馬淵と目を合わせ続けた。

「あ、いや…。そう、かもな…」
我慢できなくなって、先に目を逸らしたのは馬淵の方。
この人は多分、これで私を意識した。
だってほら、もう耳が赤くなってるもの。

この先どうなるかなんて全然わからないけど…とりあえず今はこれでいい。
そして私は、この人と他愛もない話をしながらふたりで同じ時間を過ごしていくのを想像した。
うん、悪くないかも。
210名無しさん@ピンキー:2012/04/04(水) 23:50:58.19 ID:H9PczKFm
以上です
かわいいRINAさんを目指してがんばってみたけど難しいわ〜
そしてどうしてもこの2人のエロが想像できないw
お邪魔しました
211名無しさん@ピンキー:2012/04/05(木) 19:14:05.15 ID:HDlvKqcX
>>210さん
RINAさん、超☆可愛いよ☆

馬渕さん、すごく運のいい男だ。
こんないい女にアプローチされるなんて、役得すぎる〜
この二人がタッグ組んだら、ANJのプライベートサポート万全だね。
NANA美男も上手くデート組んで貰えるし、廉美子も同棲上手くいきそう。
で・・柊さんは、社長の別荘サウナで傷心を癒やすか。
212名無しさん@ピンキー:2012/04/05(木) 19:51:24.97 ID:UigfTLYA
>>210
RINAさんかわいい〜
でも、策士だ… その気になれば誰でも落とせそうな感じがするw
自分も2人のエロ想像できない…
でも、ラストで出産直前だったからエロがないわけではないんだよなww
もし続きが書けそうなら?よろしくw こちらのシリーズの皆大好きだ!
213名無しさん@ピンキー:2012/04/05(木) 20:07:38.43 ID:5rMypEhO
まぶっちゃんとRINAさんの場合は、
きっとコウノトリさんが来てくれたんだよ
きっとそうだよw
214名無しさん@ピンキー:2012/04/05(木) 22:33:15.76 ID:xBpZszp7
>>210 素敵なお話、GJ!!
今まで、RINAさんと馬淵さんは公式カプっぽいけど少ししっくり来ないなって思ってた。
でもこういうお話を読ませてもらうと、アリ!と思える。RINAさん、もう一歩ガンバレw
もしエロまで妄想が到達した暁には、ぜひ読ませてください!
215名無しさん@ピンキー:2012/04/05(木) 23:20:43.66 ID:a5qkqrWE
>>210
素晴らしいわ〜GJGJ!

RINA姉さんはやはり男を中身でみるよね。
お調子者の出っ歯だけど、周りの人を愛して大切にできるイイ男なんだ、馬渕っちゃんは。

背は馬渕さんの方が小さいのかな?
でもでっかい愛でRINA姉さんを抱いちまえ〜。
216名無しさん@ピンキー:2012/04/07(土) 22:37:05.70 ID:z4fErckD
>>210
GJ!もうとっくに出会ってるんじゃないの?って、殺し文句ですね。
RINA姉さん恰好いいです。この二人原作では赤ちゃんまで生まれたんだっけ。お母さん似だといいんだけどw
217名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 01:26:25.30 ID:jVLOtG+C
>>210
GJです!
RINAさんいい!かわいいですw
あの2年の間に二人に何がどうあったのか、自分もちょっと不思議だったけど
こんな感じで始まってたんだろうな〜って今はすごく思うw
エロ…書けそうならいつかお願いします

春ですねw 暖かくなりましたね〜というわけで
ちょうど今、満開なので、イベントさせてみますw 投下します。

廉×美子 エロあり
前回投下分>>157-159 (美子が正規メンバーの設定違いA.N.JELLVer.です)
218お花見 1:2012/04/08(日) 01:27:42.67 ID:jVLOtG+C
「ねえ、花見しようよ、花見!4月になっちゃったし、もう少しで桜散っちゃうよ?」
勇気がリハーサルの合間に、3人をしきりに誘った。
「勇気さん、どこでお花見するんですか?いい場所ありますか?」
「合宿所の庭の端に、でかい桜が1本あるんだ。今もう、満開なんだよ。」
「そうなんですね〜 廉さん、柊さん、私もお花見したいです。」
美子と勇気の懇願に、柊が頷いた。
「じゃあ、次のオフに花見しようか?全員が揃って夕方からオフになる日が
あったはずだから、馬淵さんとかRINAさんも誘ってさ。廉もそれでいいだろ?」
「ああ。」
「やったぁ〜 すごい楽しみ!」
勇気と美子は、大喜びで花見の計画を立て始めた。

数日後の昼下がり。夕方からの花見に合わせて、美子がA.N.JELLの合宿所に来て、
キッチンで料理を作り始めていた。
この日をとても心待ちにしていた勇気と美子は、念入りに打ち合わせしたようで、
勇気に大好物のカレーをリクエストされた美子は、
「花見弁当は、タイ料理に初挑戦することにしました!」
と言って、レシピと本格的な材料を揃えてはりきっていた。

キッチンの方から、カチャカチャっと調理する音が聞こえてくる。
(美子が合宿所にいるのって、なんか変な感じだな。)
リビングのソファで曲を作りながら、廉は気が付いた。
(そういえば…つきあい始めてからアイツがここ来たの、初めてか。)

この合宿所は、『プライベートも一緒だからこそ、結束力が高まる』を目的に、
元々は男性メンバー3人しかいなかったA.N.JELLのために、社長が用意したものだ。
大きな庭付きの、かなり広々としたつくりの一軒家で、各自の部屋も大きく、
個々のプライベートは、充分確保されている。

ただ、男ばかりで暮らす会社の寮のようなものなので、恋人…どころか、友人だと
しても、女性を合宿所に連れてくるのは、お互いの手前、やはり憚られる。
美子はメンバーだが女性なので、合宿所ではなく、近くのマンションに一人で
住んでいて、今までに合宿所の中へ入ってきたのは3回ほどだ。

でも、RINA同様『ここへ呼んでも差し支えない女性』という意味では、特別だろう。
(美子をここへ呼べて花見できるんだから、俺は柊たちより幸せだよな。)
廉は料理する美子をちらっと見て、一人満足して頷いた。
219お花見 2:2012/04/08(日) 01:28:38.84 ID:jVLOtG+C
キッチンからリビング全体に、だんだんスパイシーな香りが漂い始めた。
廉は、ソファから立ち上がり、調理中の美子を覗きこむ。
「なんか、うまそうなにおいがする。今、何作ってるんだ?」
「チキンのローストの仕込みしてます。チキンも、こっちのグリーンカレーも、
すっごくたくさんスパイス使ってるんですよ。柊さんからハーブわけてもらって、
他にもいろいろ作れたんです。勇気さん、喜んでくれるといいな〜」
「ふーん そっか。」
嬉しそうな美子につられて、廉も頬がゆるんだ。

「ただいま〜廉さん、美子。」
夕方近くになり、日中は仕事があった勇気と柊が、連れ立って帰ってきた。
「美子、料理まかせちゃってごめんね。飲み物とデザートは、買ってきたから。」
「ありがとうございます、柊さん。廉さんが庭の準備してくれたので、
できた料理、順番に運んでもらっていいですか?」

「よおっ 来てやったぞ!」
「合宿所で飲むのって久しぶりなのよね〜」
やってきた馬渕とRINAも加わり、桜の木の下に移動して、花見を開始した。
実は、肝心の桜は先般の雨で、あらかた散ってしまったのだが、皆で囲む宴なので、
『今回はそこは気にしないように!』ということになっていた。

「うん、うまい!タイカレー最高!」
勇気は大喜びで、ゴザ一杯に広げた料理を次々に皿に取った。
「美子、料理ほんと上手ねぇ… 私、今日すごく楽しみにして来たのよ〜
タイ料理初めて作ったなんて、全然そんな風に見えないわ!」
RINAの感嘆に、美子が恐縮する。
「いえ、とんでもないです。今日は、レシピ見ながらゆっくり準備できたから…」
「どれもすごくおいしいよ!美子、ありがと〜 またここに作りに来てよ。」
「はい。私でよければ、いつでも!」

(…おいこら…そんな気軽に…)
チキンを口に運ぶ手が一瞬止まり、ピクッと顔をしかめた廉だが、
(いやいや…深い意味無いし…美子も勇気も仲間なんだから…気にすることも…)
慌てて、チキンを手元のビールで一気に飲み込んだ。

美子の加入前のA.N.JELLの話や、芸能界の裏話など…かなり盛り上がって、
あっという間に時間が過ぎていき、気が付けば深夜近くになっていた。
RINAと馬渕は既に途中退席していて、料理も飲み物も僅かになり、そろそろ花見を
終わりにしようというころ、酒が進み酔った勇気がふらふらと立ち上がった。
220お花見 3:2012/04/08(日) 01:29:32.30 ID:jVLOtG+C
「…よし…美子、踊るぞ!」
「ええ? わ、私は無理ですよ…」
「いいから、いいから…」
美子の手を取ろうとした勇気が、芝生で躓きよろめいて、桜の幹にぶつかり、
慌てて駆け寄った美子の上にも、残り少ない花びらと葉っぱが降り注いだ。
そして…

「ん?美子、肩に何かついてるよ?」
柊に指摘された美子が、自分の肩先を見て…

「きゃあああああ!」
肩についていた『毛虫』に悲鳴を上げた美子は、横にいた柊の腕にしがみついた。
「やっやだ…取ってください〜」
「美子、払い落としたから、もう大丈夫だよ?」
慌てる美子の肩先を軽く払い落として、柊はポンポンと美子の頭を撫でた。
「ほ…ほんとですか…?」
「大丈夫だから、ね?」
背中をさすってなだめる柊の顔を見上げ、美子はそのまま泣き出してしまった。

「美子、ごめん。俺のせいだよね…まだこの辺に毛虫いるかもしれないから、
桜の下の片付け、俺やっとくよ。もう家の中、入ってたら?」
「そうだな、ハーブティー淹れてあげるよ。飲むと落ち着くから。ね?」
「す…すみません…」
勇気に頭を下げて、美子は柊に付き添われて合宿所の中に入っていった。

(…なんなんだ?これは…!)
あっけに取られて、何もできないまま美子と柊を見送った廉。
(…なんでこんなことに…別に気にするも何もない…けど…)
自分の横を千鳥足でふらふらっと歩きまわる勇気を、ついつい急かしてしまう。
「おいっ勇気!ここ片付けるぞ!」
「は〜い…廉さん、なんか怖いよ。」
「何言ってる!もう遅い時間なんだから、さっさとやるぞ!」
美子と柊が気になって、廉は焦って乱雑に片付け始めた。

廉と勇気が庭の片付けを終えてキッチンに入ると、リビングのソファで柊と並んで
ハーブティーを飲んでいた美子が顔をあげた。
「すみません…騒いじゃって…毛虫、ほんとだめなんです…」
「いいよいいよ。ごめんね、美子。もう大丈夫?」
「はい。柊さんにハーブティー淹れてもらったから…落ち着きました。」
221お花見 4:2012/04/08(日) 01:30:25.74 ID:jVLOtG+C
(…くそっ…柊に、か…)
美子が見せた弱弱しい笑顔にも嫉妬して焦った廉は、美子に声をかけた。

「美子、マンションまで送ってく。」
「え、大丈夫です。廉さん、お酒飲んでますよね?」
「別に歩いてでも、タクシーで行ってもいいし。」
「そんな…ほんと大丈夫ですよ?明日も仕事ですから、もう、休んでください。」
「いいから!」

つい大声をあげた廉に、美子が固まり…柊と勇気が、二人をとりなした。
「美子、もう遅い時間だし、その方が安心だから、廉に送ってもらったら?」
「そうそう。俺はもう寝るからさ。廉さん、美子よろしくね。おやすみ〜」
「おやすみなさい、勇気さん、柊さん。」

美子と二人だけでリビングに取り残され、気まずくなった廉は、
「…上着、取ってくる。」
一旦その場を離れようと自分の部屋へ向かい、美子は慌ててそんな廉を追いかけた。

(廉さんの部屋、天井高くて広くてキレイ…)
今まで合宿所に来ても、リビングまでしか入ったことがなかった美子は、
初めて入った廉の部屋に感嘆したが、不機嫌そうな廉の様子が気にかかった。
(やっぱり廉さん、怒ってるよね…また、迷惑かけちゃったから…)

上着を手にし、外に出ようとして、廉は泣きだしそうな美子に驚いた。
「どうした?」
「あの…私、せっかくのお花見、台無しにしちゃいましたよね…
私が騒いじゃったから…そのせいで、終わるのも遅くなっちゃったし…」
「あーもう!泣くな!柊も勇気も。誰も怒ってなかっただろ?」
「でも廉さん…」
「俺は怒ってるわけじゃなくって…」

(まずいな…これは俺のせい、だよな…)
涙ぐむ美子に困った廉は、一息ついてから、さらに続けた。

「あっ 毛虫ついてる。」
「ええ? やだ!取ってください!」
びっくりしてしがみついた美子を抱きすくめて、廉は美子の耳元でささやいた。
「…うそだ。」
「廉さん、ひどい!」
廉は、頬を膨らませて怒る美子の頭に顔を寄せた。
222お花見 5:2012/04/08(日) 01:31:27.88 ID:jVLOtG+C
「悪い…でも今度何かあったら、俺が助けてやるから、先に俺んとこ来い。な?」
「は…はい、わかりました。…ん?…あれ?」
廉の腕の中で頷いた美子は、一瞬考えてようやく気が付き、顔をあげた。

「廉さん、もしかして…さっき柊さんに助けてもらったの、気にしてたんですか?」
「ばっ…んな訳あるか!」
真っ赤になって慌てる廉が急にかわいく見えてきて、美子が笑顔になる。
「ごめんなさい。さっきは私が騒いで取り乱しちゃったから、柊さんにも
たくさん迷惑かけちゃったけど…私が好きなのは、廉さんですよ。」
「だっ…だから!違うって…」
「廉さん、照れてる…首まで真っ赤です。」
「もう黙れ。」
廉は、美子をかき抱いて、無理やり口を塞いだ。

抱きしめた美子の言葉と温もりで、憂鬱な気分が一気に晴れて、ふわふわとした
幸せに浸った廉は、さらに強く抱きしめて、美子の唇を探って舌を捉えたが、
(あっでも、ここ合宿所だ…柊たち、いるからな…)
今日はさすがにこれ以上は…と、ふいに現実に戻った。

(そろそろ送っていかなきゃな…)
だが、離れようとした廉の舌に、おずおずと美子の舌が絡みつき、廉は驚いて
目を見開いた。いつもは廉の舌にすぐに翻弄されて、絡みとられてしまうのだが、
美子自身も意識してのことではなさそうだが、本能的に舌を絡めてきたようだ。

そんな美子のぎこちない舌と息遣いに、完全に囚われて翻弄された廉は、
美子を強く抱きしめ返して、ベッドに押し倒した。
(…やっぱ、ここではまずいよ…な…)
そうわかってはいるのだが、抱きしめた美子の熱さに抗えなくなってしまった。

『自分のベッドで、潤んだ瞳で自分を見上げる美子』
初めて見る光景…
廉は、ここが自分の部屋じゃないような、不思議な感覚に陥った。
でも、美子の服を脱がして、露になった胸のふくらみに口付けた時、
「…あんっ…」
いつもよりひときわ高くひびいた喘ぎ声に、すぐに我に帰った。
(やばっ!)
慌てて美子の口を左手で塞いだ。美子が目を見張る。
(そっか…美子の部屋より、ここの方が響くのか。)
223お花見 6:2012/04/08(日) 01:32:47.37 ID:jVLOtG+C
「柊たちに聞こえたら…まずいから…」
廉の言葉に、こくこくと頷く美子。
(まずいんだから、やめればいいんだよな…わかってんだけど…でも…)
廉は、左手で美子の口を抑えたまま、右手と舌で愛撫を始めてしまった。

「…ん…んん…」
廉の手の隙間から、美子のくぐもった喘ぎ声が漏れる。
思うように声を出せない美子は、真っ赤な顔で荒い吐息を続けていた。

廉は、美子の胸の先端を、舌で撫で、転がし、吸い続けながら、
もう一方の胸を揉みしだいていた自分の右手を、徐々におろしていった。
美子の敏感な部分を探りあて、指でそっと弾くと、別の指をさらに奥に進め震わせ…
くちゅくちゅと聞こえてくる音と、溢れて自分の手に絡まる熱い蜜を確かめた。
「…うぅ…ん…ん…う…」
美子は苦しげに声を漏らし、抑えられた顔の代わりに、体だけのけぞらせる。

(…ずっと口抑えたままだと…美子、苦しいよな…)
廉は愛撫をやめて、自分の手を濡らした美子の蜜を舐め取った。
そして、美子の頬をゆっくりと撫で、涙目になるほど荒かった息遣いが
ほんの少し落ち着いたのを確認して、そっと美子の口から手を離す。
美子は、拘束から解かれた安堵で、廉に少しだけ笑顔を見せた。

服を脱ぎ捨て避妊具をつけた廉は、美子に向き合い、そっと抱きしめ口付けた。
美子も、ゆるゆると廉の背中に手をはわす。
徐々に絡みあう舌の動きに合わせて、廉は、美子の頭と肩にまわした腕に力をこめ、
足を開くように抱きかかえると、自身を美子の中へ押し入れて、腰を動かし始めた。

「…ん…うん…う…」「うぅ…う…ん」
口付けた隙間からこぼれる二人の喘ぎ声…
ベッドが廉の動きに合わせてきしむ音…
二人の繋がった部分から響いてくる卑猥な音…
『この部屋から漏れて、二人の何もかもを聞かれてしまうんじゃないか』
快感の渦に飲み込まれて、心配していたのにどんどん気にならなくなっていった…

美子は、廉の口付けに拘束されたまま、自分の体をビクビクと震わせ続け、
一瞬こわばらせた後、ゆっくりと力が抜けていき…
ほぼ同時に、廉は美子の急激な締め付けに耐えられなくなり、美子を抑えていた
腕をゆるめてしまい…自分で解放してしまった顔をあげて、
「…んぁっ…く…う…」
喘ぎ声を発しながら美子の奥深くに腰を打ちつけ、大きく息を飲んで動きを止めた。
224お花見 7:2012/04/08(日) 01:34:04.06 ID:jVLOtG+C
翌日早朝。
廉が玄関からリビングに入っていくと、2階から降りてきた柊に声をかけられた。
「おはよ、廉。珍しいね、こんな朝早くから。どこか出かけてた?」
「あ…ああ。ちょっと…散歩にな…」
「ふーん そうなんだ。」

実はあの後…
そのまま二人とも眠ってしまい、今、慌てて美子をマンションへ送っていったのだ。
これ以上詮索されないように…
足早に自分の部屋へ戻ろうとする廉に、お湯を沸かしながら柊が聞いた。

「なぁ廉。昨日の夜、『音』とか、大丈夫だったのか?」
「は?! お、音? ななな…何の…」
廉は真っ赤になってうろたえた。
(何の音だ?ベッドの…いや、アイツのあの声か?それとも、まさか俺?)

コンロに目を向けていて、狼狽する廉に気づかない柊が答える。
「この間、友達のバンドに来月発売のアルバムもらったんだけど、それが
すごくいい曲ばっかりでさ。昨日の夜、自分の部屋で大音量で聞いてたんだよね。
この家は防音対策万全だから、部屋同士も外にも響くことはないはずだけど…
夜中だったから、万が一聞こえてて、迷惑かけてたら悪いな…と思って。」

「ぼ…防音対策…」
廉は、開いた口が塞がらなかった。
(…そうだった…)
この合宿所は、『スタジオ以外でも練習や作曲ができるように』と探した家で、
壁やガラス、建具等、あらゆる部分が『防音仕様』になっている。
廉自身も、普段、自分の部屋でギターやキーボードを弾いているので、
そんなことは、十分わかっていたはずなのに…
(なんで、きれいさっぱり忘れてたんだ?俺…)

ガックリと脱力した廉に気づいた柊が声をかけた。
「どうしたんだ?廉。」
「あ、いや…なんでもない…」
「なんか、疲れてないか?」
「…そうかも…さっきの散歩かもしれないな…」
「今日は一日仕事だからな。リラックス効果のあるハーブティ淹れようか?」
「…頼む… 俺、着替えてくるよ…」
ヨロヨロと部屋へ向かう廉の後姿を、
「本当に疲れてそうだな…」
心配そうに見送って、柊はハーブティのキャニスターを開けた。
225名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 01:36:06.41 ID:jVLOtG+C
>>224
以上です。
あまり花見の雰囲気出せてない、というか実は、若干時季ずれてる…
お許しをww
226名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 04:48:04.22 ID:X60vz9ZL
>>225
GJ
声我慢っていいねw萌えた
ラスト柊さんが「実は聞こえてたけどね」っいうのを期待してしまったw
227名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 13:31:50.88 ID:lLTK3Bjm
お花見!いいですねーGJ!
もし毛虫付いちゃっても、廉さん虫苦手だから頼れないだろ、と突っ込んでしまったw
防音のお部屋なのに声をガマンするなんて…ちょっとお間抜けな廉さんがカワイイ。
そして酔って踊ろうとしちゃう勇気がかわいかったです!
エロも好きだけどオールキャラなシーンも素敵でした。
228名無しさん@ピンキー:2012/04/09(月) 20:05:35.57 ID:VaV8yyd+
>>224
GJ!!!
柊さんが普通の扱いで驚いたな。
226さん同様、柊さんは、壁にコップあてて全て聞いてると確信してましたw
廉さん、毛虫で気絶しそうだよね、2話で思いきり直角に倒れてるシーンみたいに。
229名無しさん@ピンキー:2012/04/09(月) 20:05:58.30 ID:/GmGkgYY
>>225
GJ!
お花見いいな〜
バレちゃいけないと思うとかえって止められなくなって燃えるよねw
防音に気付かない廉さん、少し抜けててかわいいです
230名無しさん@ピンキー:2012/04/09(月) 23:50:58.90 ID:WZCdohue
GJ!
合宿所でお花見いいですね〜
毛虫は廉さんムリだろと思ってしまったww
でも今度何かあったら俺んとこ来いっていう廉さん、ステキw

先週嵐が吹き荒れたのをきっかけに、以前投下した「愛の嵐」の続編書いてみました。
231春の嵐1:2012/04/09(月) 23:52:22.27 ID:WZCdohue
来る日も来る日も美子からの連絡を待って、半年が過ぎた。

「俺のそばにいてくれるか?美男」
「まだ、わかりません。でも、いつか…」

そう言って約束らしい約束もしないまま、本物の美男の加入と同時に、美子はA.N.JELLの前から姿を消した。

この半年、新しいアルバムの発表、ライブツアーと仕事は順調すぎるほど順調で、廉は未だかつてないほど充実している。
それだけに、仕事が終わった深夜や、寝つけないまま迎えた夜明け前など、美子の不在が心に冷たい風を吹かせる。
美男はちょくちょく妹である美子の住まいを訪ねているらしい。
その気になれば住所を聞き出して会いに行くことも出来るが、廉は美子から来てくれるのを頑なに待っている。
美子の気持ちを無視して強引に体の関係を結び、自分の気持ちを押し付ける事しか出来なかったあの日々。
もう二度とあんなことはするまいと、廉は固く決心していた。

「わりい〜遅れちゃって。昨夜美子んちに泊まっちゃってさ、寝坊しちゃった」
美男が頭をかきかきリハーサル室に入ってきた。
「えー、美子元気?たまに遊びに来ればいいのにー」
「うん、俺も誘うんだけどさ、そのうちにって言うばっかでさ」
「なーんだよ、水臭いなぁ。あ、俺が美子んちに遊びにいこうかな?」
「それはぜーったいダメ。俺以外は男子禁制だから」
なんだよ、それー、と冗談で落ち込む振りをする勇気と美男の楽しげな会話を、廉は隣でさり気なく聞いていた。
美子の名前が出るたびに心臓が掴まれたようになる。
(美子は何か言ってなかったか?俺の話は出なかったか?)
聞きたい事はたくさんあるのに、それすらも気持ちの押し付けのような気がして、廉は黙り込んでしまった。

テレビ局での仕事を終えて、地下駐車場へと向かう。
車に乗り込みポケットから携帯を出して、美子の番号をいつまでも眺めていた。
今、たった一回タッチすれば美子につながる。しかしそれだけの事が廉にはどうしても出来なかった。
(まだ柊の事が好きなのか?それとも…あんな事をした俺を、やっぱり許せないのか?)
廉はハンドルの上に突っ伏して、後悔の嵐に襲われた。
232春の嵐2:2012/04/09(月) 23:53:38.83 ID:WZCdohue
数日後、合宿所へと車を走らせていた廉は、道路の向こう側に偶然美子を見つけた。
慌てて車を急停止させ、バックミラーで美子の姿を追う。
通り沿いの小さな公園に入って行くのを確認すると、急いで路上パーキングに車を止め、美子の後を追った。
公園内をうろうろし、ベンチに座る美子を発見した。そして、その隣には…柊の姿が。
どうして?という気持ちと、やっぱり、という気持ちが廉の中で交錯した。
美子と柊は穏やかな笑みを浮かべて、なにやら話をしている。
しばらくすると美子の表情が曇り、涙がこぼれ始めた。すると柊は、親指で美子の涙を拭い、肩を抱き寄せた。
顔を覆って泣く美子に寄り添い、柊はいつまでも慰め続けていた。

「そういう事か…」
廉は二人の背後から皮肉めいた口調で吐き捨てた。
振り向いた柊が口を開こうとするのを遮り、廉は二人を罵倒した。
「お前らそうやってコソコソ会ってたんだな。俺の事を陰で笑って、楽しかったか?バカにしやがって!」
嫉妬と怒りと絶望で我を忘れた廉は、心にも無い事を口走ってしまった。
「廉、誤解だ。話を聞いてくれ…」
柊が必死に弁解しようとするが、廉の暴走は止まらなかった。
「もういいっ!お前とはもう関係ない!勝手にしろ!」
美子に人差し指を突きつけ、一語一語相手の胸に刻み込むように言い放った。
美子は呆然としたまま言葉もなく、足早に立ち去る廉の後ろ姿を見送った。

合宿所に戻った廉は、自室にこもりベッドに突っ伏した。
柊に向けられた美子の笑顔が、頭の中をぐるぐる駆け巡り、おかしくなりそうだった。
(俺にはあんな笑顔、見せてくれたことがなかった。つまりは、そういう事なんだな…)
ふっ、と自嘲気味の笑いを漏らして、廉はそのまま眠りに落ちて行った。
233春の嵐3:2012/04/09(月) 23:55:32.04 ID:WZCdohue
突然音を立ててドアが開かれ、目を向けると柊が美子の手を掴んで入ってきた。
「何だよ、お前ら。出て行けよ」
「廉、美子の話を聞いてやってくれ」
背を向けた廉に、柊は懇願するように言った。
「柊さん、もういいんです。私、帰りますから」
「ダメだよ、美子。ちゃんと誤解を解かなきゃ」
二人の仲良さげな様子に苛立った廉は、「うるさいっ、出てけっ!」と怒鳴ると柊の肩を突き飛ばした。
柊の体がぐらつき、はずみでぶつかった美子がドアに強く打ちつけられた。
「美子っ、大丈夫か?」
慌てて美子の体を支え、振り返った柊は廉を睨みつける。
「いい加減にしろよっ!」
柊の拳が廉の左頬に炸裂した。
激しい衝撃でベッドに仰向けに倒れ込んだ廉に、柊が馬乗りになった。
そのまま廉の胸倉を掴んで、揺さぶりながら怒鳴り声を上げる。
「どうしていつもそうなんだっ!いい加減大人になれよっ!美子の気持ちも少しは考えろっ!」
「…離せよっ」
「廉が寂しい子供時代を過ごしたのは、俺も知ってる。でもそれは、美子も同じだろ?
お前はその時の子供のままだ。
美子はいつも周りの人達の事を考えてるのに、お前は、自分の事ばかりじゃないかっ」
「柊さん、もういいの。やっぱり無理だったんです。今さら廉さんの所に戻ろうなんて…」
「えっ?」
美子の言葉の意味が一瞬わからず、廉は呆けたように美子の顔を見た。
「それって…どういうことだ?」
柊は廉の上半身を持ち上げて、美子と二人で会っていた理由を語りだした。

「美子は俺に謝りに来たんだよ。廉の元に戻りたいけど、俺に申し訳ないって。
それなのに、お前は何だ?半年前から少しも変わってない。
関係を結ぶ時も無理やり、今日だって勝手に勘違いして話を聞こうともしない。
それで、美子を守っていけるつもりなのか?」
柊にここまで言われて、さすがの廉も一言もなかった。うな垂れて殴られた左頬を抑えると、唇の端が切れて血が滲んでいた。
「おい…無理やり関係を結ぶってどういうことだよ」
三人はハッとしてドアを振り返った。
そこには真っ青な顔をして唇を噛みしめる美男と、おろおろと落ち着かない勇気がいた。
「いや、美男、それは…言葉のあやって言うか、そういう意味じゃなくて…」
柊が慌てて言葉を取り繕うが、美男は真っ直ぐ廉を見据えて柊の言葉も耳に入っていないようだ。
「廉っ!どういう事だよっ!」
美男は語気を荒げて、つかつかと廉に歩み寄った。
「すまない…俺、無理やり美子を…」
廉が最後まで言い終わらないうちに、美男は「てめえっ!」と叫ぶと拳を大きく振り上げた。
「お兄ちゃんっ、やめてっ!違うのっ!」
咄嗟に美男と廉の間に美子が割って入り、廉を庇った。
「違うの…。好きなの…廉さんの事」
廉にしがみつきながら震える声で言う美子を、美男も廉も呆然として見つめた。
234春の嵐4:2012/04/09(月) 23:57:05.55 ID:WZCdohue
「とにかく、俺は絶対許さないからな。二人が付き合う事もだけど、俺、A.N.JELLを脱退する事もありうるから」
美男は冷たく言い放つと、美子の腕を掴み引きずるように廉の部屋を後にした。
ベッドの上で虚ろな表情で座り込む廉を、じれったそうに見ていた勇気が廉に駆け寄る。
「廉さん、しっかりしてよ。二人を追いかけて、ちゃんと話さなきゃ」
勇気の言葉に我に返った廉は、柊の顔を窺う。
柊は寂しそうな笑みを浮かべて、小さく頷いた。
慌てて部屋を飛び出し、玄関を開けると、既に二人の姿は無く、突然吹き出した強風に木々がざわめいていた。

それからというもの、美男は合宿所に帰ってこなくなり、仕事が終わると美子のマンションに直行するようになった。
現場で顔を合わせても、ニコリともせず、話しかけても返事もしない。
仕事だけはそつなくこなすが、それ以外では取りつく島もなかった。
美子の携帯に電話をしてみると、機械的なメッセージが流れ、この番号は今使われていないことを知らせるだけだった。
廉はこのまま美子に会えなくなるのでは、と焦り、ある日仕事終わりに美男の後をつけて行くことにした。

合宿所にほど近い場所に美子のマンションはあった。
(こんな近くに…)
エレベーターを降りた美男が、外廊下を歩いて行くのを目で追う。
ある部屋の前で立ち止まり、鍵を開けて入って行くのを確認して、廉も後を追った。

廉は部屋の前に立ち、深呼吸を一つしてからチャイムを鳴らした。
「はーい、どちら様ですか?」
インターフォンから流れる明るい美子の声を聴いて、廉の心拍数が跳ね上がる。
「あの、俺…だけど」
ガチャガチャと鍵を開ける音がして、勢いよく扉が開くと、目を丸くした美子が立っていた。
「廉さん…」
「俺、お前と美男に話したい事があって…」
「…はい。上がって下さい」
綺麗に整頓されたリビングには、美子が加入していた時のA.N.JELLの写真が飾られていた。
ほんの半年前の事なのに、遠い昔のような気がして、廉は軽く眩暈を感じる。
「美男は?」
美子に促されてソファに腰かけた廉が部屋を見回す。
「今シャワーを浴びてます。すぐ戻りますから」
廉の前に暖かいお茶を置いて、美子は隣に腰かけた。
久しぶりに二人きりになると、何を言っていいのかわからず、廉はそっと美子を盗み見た。
「あの…」
突然美子から声を掛けてきて、廉は飛び上がりそうになった。
「な、何?」
「長い間連絡しなくて、ごめんなさい。なかなか気持ちの整理が出来なくて、そのうち仕事も忙しくなっちゃったし…」
「いや、いいんだ。別に約束した訳でもないから…俺が悪いんだし」
廉は慌てて返事をして、取り繕うようにお茶をすすり、「アッチィ」と小さく叫び声を上げる。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
平静を装って澄ました顔を作る廉を見て、美子がクスッと笑った。
「何だよ?」
「いえ、何でもないです」
美子の笑顔につられて、廉もぎこちなく笑った。
235春の嵐5:2012/04/09(月) 23:58:44.67 ID:WZCdohue
その時、シャワーを終えた美男がリビングに入ってきて、廉の姿を見て一気に形相が変わった。
「何しに来たんだよっ。帰れよっ!」
廉も顔をこわばらせて立ち上がり、美男の前に進み出ると、突然床に膝を付いた。
「美男。こんな事で許されるとは思ってないけど、それでも謝りたいんだ。すまない」
両手を付いて深く頭を下げる廉。美子はオロオロして廉の隣に跪き、顔を上げさせようとしている。
「美子、そいつから離れろ。廉、そんな事しても無駄だ。一生許さないからな」
低い冷静な声で淡々と語る美男の口調から、激しい怒りが伝わって来る。
そのまま廉の存在を全く無視する美男の態度に、
「廉さん、今日はもう帰って下さい。すみません」
と美子が言いだした。
痺れる足をさすりながら「また来るから」と言い残し、廉は部屋を出て行った。

「お兄ちゃん、私ね、柊さんの事が好きだったの」
一つしかないベッドの端と端に潜り込んで、部屋の灯りを消すと、美子が小さな声で話し始めた。
「でも、自分の気持ちを自覚した途端に、廉さんの思いに巻き込まれて翻弄されちゃった。
ひどい事されたのに、段々廉さんの事憎めなくなってきたの。可笑しいよね」
微かに笑う美子の声が聞こえた途端、美男は体を起して美子を抱きしめた。
「お前バカじゃないの?お人よしにも程があるよ」
「そうだね、バカだね。だけど、廉さんの事、好きなの」
美男は声を上げて泣き出した。
「お前に俺の代わりなんてさせるんじゃなかった。アメリカなんて行くんじゃなかった。ごめんな、美子」
しゃくりあげる美男の背中をさすりながら、美子が続ける。
「謝らないで、お兄ちゃん。苦しい思いもしたけど、もう大丈夫。今は廉さんに付いて行きたいの」
子供をあやす様に美男の頭を撫でると、美男は恥ずかしそうにその手を払った。
「やめろよ。ガキじゃないんだぞ」
「ふふっ、照れてるの?私は美男の妹で、お母さん。美男は私のお兄ちゃんで、お父さんでしょ?」
そのまま体を倒して、寝ころがって向かい合う。
「お前、もし廉に嫌な事されたら、絶対俺に言えよ」
「うん」
「そしたら今度こそ、あいつをぶちのめすからな」
「うん」
「どんな小さな事でも、我慢するなよ」
「うん」
ニコニコと微笑む美子を見て、美男の心の中の嵐も徐々に鎮まって行った。
236春の嵐6:2012/04/10(火) 00:00:00.46 ID:WZCdohue
翌日美男は仕事が終わると、数日振りに合宿所に戻った。
「あれ、美男、今日は美子のとこ行かないの?」
勇気が小声で尋ねると美男は、うん、と頷いて廉の部屋に行った。
「あ…美男…」
しばらく見つめ合うも、一言も発しない美男にいたたまれなさを感じる廉。
しかしここで目を逸らしたら、もう美男から働きかけられる事は無いだろうと思い、廉は美男の目を見つめ続けた。
「美子が、待ってる。…行けよ」
思わず息をのんで、廉は立ち上がった。
「いいのか?」
「言っとくけど、俺はまだ許した訳じゃないぞ。でも、美子の望みだから…」
「ありがとう、美男。本当にありがとう」
急いで部屋を出ると、柊と勇気が心配そうな顔で見ていた。
「柊、今さらだけど、本当にすまなかった。俺、自分の事しか考えてなかった。
勇気、この間聞いてわかったと思うけど、こんな俺がリーダーですまない。
今後のバンドの事は、三人に任せるから、制裁としてリーダーを降りるよ」
柊と勇気は顔を見合わせ、フッと笑った。
「もういいよ、廉。それより早く美子の所へ行ってやれよ」
「そうだよ、廉さん。制裁ってなんだよ。廉さんは、これからもA.N.JELLのリーダーだよ」
顔を上げた廉は、二人の優しさに涙がこみ上げてきた。
「…すまない、ありがとう」
廉は震える声で答えると、涙を見られないように俯いたまま走り出した。

数日前から続いている強風に煽られて、街路樹が激しく波打っている。
廉は逸る気持ちを抑えられず、美子のマンションまで車を飛ばした。
チャイムを鳴らし、ドアを開けた美子を思い切り抱きしめる。
「ごめん…俺、ほんとにごめん」
堪えきれずに涙がこぼれた。
美子は廉を招き入れ、静かにドアを閉めた。

ソファに腰かけ、時を忘れて見つめ合った。
美子は照れて俯くけれど、廉の指が顎を持ち上げ、また見つめ合う。
「恥ずかしいです」
目を逸らすのを廉が許してくれないので、美子はそっと目を閉じた。
それを合図に廉の唇が降りてくる。
体の関係は何度もあったのに、キスはこれが二度目だった。
壊れ物を扱うように、廉の唇がぎこちなく蠢く。
廉の舌先が、美子の唇を促すようになぞると、柔らかく小さな美子の舌が応じた。
お互いを貪るように激しく舌を絡め合い、二度目のキスはいつまでも続いた。

「俺、始めからやり直したいんだ。あんなひどい事をしておきながら、虫がいいかもしれないけど、
手を繋いで散歩したり、映画を見たり、お茶を飲んだり…そんな当たり前の事から始めたい。いいか?」
美子はコクンと頷いた。そして嬉しくて、思わず廉に抱きついてしまった。
「あっ…そ、そういう事は、もう少ししてから…」
「はい?」
きょとんとして廉を見上げる美子が、あまりにも可愛すぎて(まぁ、いいか)と心の中で呟き、廉も美子を抱きしめた。
237名無しさん@ピンキー:2012/04/10(火) 00:04:50.49 ID:ke87Xlg2
以上です
廉美子、エロ無し書くの忘れました、すみません
突っ込みどころ(ありえない展開とか)は多々あると思いますがお許しを
お邪魔しました
238名無しさん@ピンキー:2012/04/10(火) 00:20:40.66 ID:x0hw3L7j
>>237
愛の嵐、衝撃の作品の続編、タイトルの春の嵐ってカッコウイイな。
不器用な廉さん、頑張って☆ 柊さん、ふられて輝いてる、いい男だ。
双子の一つベッドシェアと会話に一番萌えてしまった。男女双子ってほのぼのだけど微エロですね。
239名無しさん@ピンキー:2012/04/10(火) 01:38:01.04 ID:quT/KIRT
久しぶりの廉と美子の作品読めて幸せだぁー!!
お花見も花の嵐も両方ドキドキして興奮しちゃったぁ。
ありがとうございます♡♡
240名無しさん@ピンキー:2012/04/10(火) 07:29:59.12 ID:kgFX9M29
>>237
GJ!
まさか続きが読めるとは嬉しい
レイーポしといてハグにどきどきしちゃう廉さんww可愛すぎだろww
そして仲良しな美男美子も萌え
241名無しさん@ピンキー:2012/04/10(火) 19:59:38.78 ID:1skSqmCk
>>237
GJです!
続き書いてもらえるとは!
以前の話も、何の落ち度も無いのにふられた柊さんと
鬼畜?なのに報われた廉さんが秀逸で好きでしたw
やっぱり廉さんは性格とかキャラですごく得するタイプなんでしょうか?
なんだか中学生の片思いのような廉さんがとてもかわいいw
242名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 00:44:10.19 ID:F4qGpMum
えらく間が空いてしまったのですが…ガールズトーク温泉編(>>104->>107)
の続きを書いたので投下します。
エロあり、っていうかエロの3連発です。
勇気×RINA、柊×沢木、廉×美子のカップルですが苦手な方は読めるトコだけでも
読んでいただければ嬉しいです。
エロ上手く書ける様になりたい…。
243名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 00:44:53.02 ID:F4qGpMum
あ、アンカ間違った。>>104-107ですね
244ガールズトーク 温泉編 勇気×RINA1:2012/04/12(木) 00:47:01.04 ID:F4qGpMum
やや長風呂をしてしまった勇気が部屋の鍵を開けてその奥にある襖を開くと、TVを見ながら
美容液のシートマスクを顔に貼り付けたRINAが振り返った。
部屋には既に布団が綺麗に敷かれている。

「ここに来てまで、そんなのやんなくったって…」
「何言ってんの。温泉でツルツルになったところを更にケアしたら、5歳は若返るんだからね!」
シートマスクを顔から剥がして残った液を顔になじませながら、RINAは力説する。
勇気は、いつも自分との年齢差を気にする妻が可愛く思えて微笑み、その隣に腰を下ろした。
浴衣を着ているRINAは髪を後ろで纏め上げていて、白いうなじが妙に色っぽい。
吸い寄せられるように、勇気はそこに唇を落とした。

「やっ、もう!びっくりするじゃないの」
軽く抗ったRINAにお構いなしで、勇気は後ろからRINAの身体に腕を回し、
首筋にキスして耳たぶを優しく噛んだ。
そしてすかさず、浴衣の衿合わせから手を入れる。
「ちょ、っと…んっ…まだ、スキンケア…終わって、ないのに…」
「早く、シたかったくせに」
ニヤリと笑って、勇気はRINAを布団のほうへとゆっくり押し倒した。
浴衣の帯を解くと、すぐにRINAの美しい身体が見える。
美子たちが言っていた様に出産を経験したとは思えないほど完璧で、
勇気は今更誇らしい気持ちになった。
勇気も帯を解き裸になると、風呂上りで温もったままの2人の身体が触れる部分は汗ばむほどだ。
「んっふ、ぅっ…ん」
唇を重ねて互いの舌を探り合いながら、勇気は胸を揉もうとしたが…
「あ!ダメ、出ちゃうから!」
「え?あ、そっか…母乳…」
出産後はセックスしていなかったせいか、勇気はすっかり失念していた。
「もうちょっとだけ、胸は禁止ね」
「それじゃ…こっちをしっかり頑張りますか」
勇気は身体を下にずらして、手でRINAの脚を左右に大きく広げる。
「あ、ぁっ…」
割れ目に沿って舌を滑らせれば、RINAはビクンと反応して声を出した。
何度も何度も丁寧に舐めていくと勇気の唾液だけではなく奥のほうからじわりと
愛液が滲んできて、敏感な部分はぷっくり膨らんだ。
「やっ…んっ、はぁん…」
久しぶりの快感に身を任せてRINAの声が大きくなっていく。
「…はぁっ…イってもいいよ」
「ぅ、んっ…!!」
ちゅぅ、と強くクリトリスを吸うと我慢出来ずにRINAは背中を仰け反らせ、
脚をガクンと震わせて達した。
245ガールズトーク 温泉編 勇気×RINA2:2012/04/12(木) 00:47:41.77 ID:F4qGpMum
「RINAさん、ほんとコレ好きだよね」
唾液などでビチャビチャになった口元を拭いて、勇気はRINAの頬や耳にキスを落とす。
「うん…なんだか、凄く愛されてる感じするじゃない」
「そりゃ、愛してるもん」
耳元でその言葉を聞いたRINAは微笑んで、硬くなっている勇気のものに手を伸ばして優しく上下に扱いた。
細やかな指遣いに、勇気は「うっ…」と思わず声が漏れる。
「勇気、入ってきて」
「うん、…あ。」
「どうかした?」
急に勇気の動きが止まった。
「え、っと…ゴム忘れてきちゃって」
さて、どうしたものかと勇気が少し考え込んだその時。
「うっわ、ちょっと…!」
素早く身体を起こしたRINAが、勇気の股間に腰を落として一気に自分の中へ挿入させた。
「…っふ、ぅ…」
その包み込まれた温かさと程よく締め付ける快感に、勇気は甘い吐息を漏らす。
「ゴムなんていいから…今日は絶対、勇気とシたいの」
そう言ってRINAは勇気の首の後ろに腕を回し、ぎゅっと抱き締めた。
「RINAさん…」
抱き合ったまま、勇気はRINAの身体を布団に横たえて動き始める。
「あっ…ぅんっ、んっ…ぁ、ん…」
「ぅあ、やっべ…!」
久々のRINAの中をじっくりと堪能するつもりで動いたが、いつも以上の締め付けに勇気はあまり持たずに果ててしまった。

「ごめん、今日は早かった…」
「いいのよ、別に」
膣トレのせいなのか…と、2人はその効果に微笑み合う。
「あ、そういえば今日あたり排卵日かも…!」
RINAが思い出したように言った。
「2人目…デキちゃうかな?」
「それもいいかもね。じゃあ…念の為もう一回頑張ろ♪」
再び抱き合って布団へと倒れこみ、夫婦の長い夜は更けていった。
246ガールズトーク 温泉編 柊×沢木1:2012/04/12(木) 00:49:32.00 ID:F4qGpMum
「俺はちょっと出てくるから、お前は先に寝てていいよ」
風呂上りに同室の美男とビールを飲んでいた柊は、そう言って浴衣の羽織を手にとった。
「こんな時間からドコにだよ?面白いトコあるんなら俺も連れてけよな」
「そんなんじゃないよ」
苦笑しながら手早くビールの空き缶を片付けた。
先程ほぼ皆にバレてしまったことだし、美男にも言っておくべきだろうな…。
そう思って、柊は正直に答える。
「沢木さんの部屋。少し前から、俺達付き合っててさ」
「えーっ!?いつの間に…全然知らなかった」
美男は目を丸くして驚いていたが、すぐに「良かったな!」と祝福してくれた。
そしてまだまだ何か聞きたそうにしている美男を敢えて見ないように、
「それじゃ、おやすみ」とだけ言って柊は部屋を出た。

沢木の部屋をノックすると、すぐに迎え入れられた。
「美男と飲んでたの?」
「うん、ちょっとね」
沢木は軽く笑って許してくれる。
TVでもつけようかとリモコンに伸ばした沢木の手を、柊はすかさず制した。
「やっと2人になれたのに…焦らすつもり?」
「柊…ぅんっ」
振り向いた沢木を後ろから抱き締めて唇をふさぐ。
2人は徐々に正面に向き合うよう体勢を変え、腰を支えてより深く口づけていった。
浴衣に手を入れて胸の膨らみを揉んでいくと、熱を持った身体が汗ばんで柊の手にも汗が滲む。
「暑いな…」
そう言って柊は、部屋の窓辺へと移動し旅館の庭がよく見える窓を全開にした。
やや冷たい春の夜風が部屋に入り込む。
「ほら、ここ持って」
「え?…うん」
窓の手すりを沢木に持たせ、柊は愛撫を再開した。

前がすっかり肌蹴けて素肌の露わになったところに夜風が当たって妙な快感が沢木を襲う。
うなじに口づけられながら乳首を弄くられ、更に柊の手は中心部分に伸びた。
程なくしてぬるぬると潤ってきたところを何度も擦られる。
「あぁっ…ぁんっ…!」
「そんな声出すと、みんなの部屋に聞こえるよ。我慢して?」
「…んっ…ん」
必死に声を出すまいとして沢木は涙目になってきた。
「でもまだ、足りないみたいだね…」
柊は沢木の帯をするりと解き、自分と向かい合わせる。
「弓子は、こうしてあげないと燃えないから」
解いた帯と窓の手摺、そして沢木の手首を柊は慣れた手つきで固く結んだ。
247ガールズトーク 温泉編 柊×沢木2:2012/04/12(木) 00:50:07.27 ID:F4qGpMum
「ぃやっ…」
「イヤじゃないくせに」
腕を上げて縛られ、身動きの取れない体勢になって沢木は脚にも力が入らなくなる。
そこへ、沢木の携帯が鳴った。柊はテーブルに置かれた携帯を取り、通話状態にして沢木の耳に宛がった。
「…はい、沢木です」
『おー、沢木。こんな時間にSorry〜。明日の予定と飛行機の時間をもう一回教えてくれないか?』
「あっ…は、いっ…。10時にチェックアウトしてっ…それ、から…」
『どうしたぁ?You、どっか具合でも悪いのか?』
話をしている間も、柊はその愛撫の手を止めずに沢木の中に指を入れてかき回している。
「いっ、いえ…。くっ、空港に…12時に到着予定でっ…飛行機は13時発です…」
『そうか、Thanks。ゆっくり休めよ?Good night』
通話がプツリと切れたことを確認し、沢木は安堵の表情を浮かべ、我慢していた声を出した。
「は、あっ…ぅ、ぁんっ…!」
「よく我慢できたね…これならどう?」
柊は長い指を細かく動かし、敏感な部分を執拗に刺激する。
「ぃやぁっ…!んんっ…!!」
膝からガクンと震えて沢木は絶頂を迎えた。
瞳には涙がうっすらと浮かび、手首は相変わらず縛られたままで浴衣を乱して自分を見上げる姿を柊は満足そうに眺める。
「いつもクールな美人秘書が…こんな風にされるのが好きだなんてね」
「だって柊が…」
「俺のせいじゃないよ。弓子はこうしたほうが濡れてくるし…感じやすいんだ」
そう言いながら柊は自分の浴衣の帯を解き、それで沢木の目を隠した。
汗ばんだ胸やくびれた腰に舌を這わせると、沢木は先程よりももっと敏感に反応する。
「ほらね、さっきよりもっと…ここなんて、凄いよ?」
「やっ…も、ぅ…わからな、ぃ…あ、んっ!」
視覚を奪われてされるがままだが、沢木の秘所はヒクヒクと震えて柊を誘っていた。
避妊具を着けて、柊は無言で沢木の中へと挿入させる。
「あっん…!柊…ぅ…ん」
急な圧迫感で沢木はやや高い声を出してしまったが、その口を柊の唇が塞いだ。
そして柊は開いていた窓をそっと閉める。
「窓も閉めたから…もっとイイ声出せよ」
「ゃあっ…!しゅ…う…んっも、っと…あぁっ…!」
甘い嬌声と互いの腰を打ちつける音、溢れてくる体液の音が静かな部屋に響く。
「…はぁっ…う、んっ…」
激しい動きで沢木に巻いた目隠しが取れ始めた時、柊は精を放った。

息を整えながら手を縛った帯を解いてやると、沢木は脱力してその場に横たわる。
柊はその艶かしい身体を抱き上げて、敷かれた布団へ運んだ。
「ほんと、弓子はエロ過ぎるよ…」
自分も横になって、柊は沢木の髪を梳く。
「私、昔はこんなじゃなかったわ。柊がドSなのよ」
「俺はこんなに優しくしてるのに?ドSってことはないだろ」
「よく言うわね、ふふっ…」
しかしそんな関係にしっかり満足しているのか、沢木は笑みを浮かべて柊の胸元に頭を寄せた。
…俺だって、昔はこんなじゃなかったんだけどな…。
そう思いながらも柊は、隣で笑う恋人に次はどんなことをしてみようかと瞳の奥を光らせていた。
248ガールズトーク 温泉編 廉×美子1:2012/04/12(木) 00:51:45.11 ID:F4qGpMum
「廉さん、おかえりなさーい」
湯上りで少し肌を赤く染めた廉を、美子が明るく迎える。
勇気と柊へ早漏疑惑を晴らすべく何だかんだと湯に浸かったまま考えを巡らせていて、
廉はすっかり長風呂してしまった。
「お前らなぁ、風呂でデカイ声出してあんな話をするなよ…」
「あんな話…って、えぇっ!ウソ、聞いてたんですか?」
美子は話の内容を頭で反芻して、一気に頬を染めた。
「ったく…おかげで柊と勇気にしっかり誤解されたんだぞ」
「そうですよね…どうしよう…」
廉はため息を1つ吐き、今更うろたえる美子の肩を抱く。
「ま。それにしても、柊が沢木と…ってのもビックリだな」
「でも柊さんは年齢より落ち着いて見えるし、お似合いの2人ですよね」
美子も廉の肩に頭を預けて、2人の距離を縮めた。
「でも、俺達には負ける」
「なぁに張り合ってるんですか?ふふっ」
こんなところに負けず嫌いを発揮する廉に呆れながらも、かわいいな…と美子は思う。
そのまま顔を上に向け、美子は少し伸びをして廉の唇に自分の唇を重ねた。

「美子…」
嬉しい不意打ちにニンマリしたまま、廉は美子を布団へ仰向けにさせる。
「廉さん、ニヤケ過ぎですよ」
「お前のほうこそ、次に俺がすること期待してニヤニヤしてるだろ」
美子はいつの間にか頬が緩み、廉に強請るような眼差しを向けていた。
そして、それにしっかり応える為に廉は深く美子に口づける。
「んっ…ふっ…ぁ」
互いの舌が激しく口内をかき乱し、思わず甘い声が漏れた。
帯を解く時間すらもどかしいほどに、廉は美子の素肌を求めて浴衣の中へ手を入れる。
浴衣がすっかり肌蹴てあらわになった白い裸体に、廉は思わず吸い付いた。
「ゃ、くすぐった…ぁんっ」
身を捩ろうとする美子だったが、その瞬間に胸のてっぺんを吸われてピクンと反応する。
そこを舌先で何度も転がされたり吸われたりするうちに身体の中心がザワザワと疼き始めた。
身体が火照ってきた美子は、自分から身に着けているものを全て脱ぎ去る。
そんな美子の反応を楽しみながら、廉は美子の秘所へと手を伸ばしてそっと割れ目をなぞった。
249ガールズトーク 温泉編 廉×美子2:2012/04/12(木) 00:52:31.98 ID:F4qGpMum
「あっ、廉さ…ぅ、んんっ」
ひたすらに指の腹を滑らせ、なかなか中に入ってこないもどかしさで美子はジリジリと
自分の身体を廉のほうへと近づけていく。
「お前もエロくなったよな」
「そん、ぁっ…こと…ぁんっ」
指にとろりとしたものが伝ってきたのを見計らい、廉は指を中に入れて手早く敏感な部分を擦り上げた。
「はぁ…んっ…!やっ、もぅ…っ!」
目を潤ませて廉の腕を強く握り、美子は快感を全身に感じて達した。
そんな美子を横目に見て廉は部屋の隅に置いていたキャリーケースから避妊具を取り出す。
「…よしっ」
廉は装着後、気合を入れて美子と対峙した。
まだ快感の余韻でぼんやりしている美子に軽くキスをしてから挿入を開始した。
「ぅ…ん、お?」
名器の締め付けに一瞬は身震いしたが、廉はやや落ち着きを取り戻して美子の身体を抱き締めて動き始める。
「あ、んっ…ゃ、ぁあ…ぅん…」
いつもであれば、すぐに果ててしまう廉だったが今日は違った。
緩やかだがリズミカルに動きをつけて、美子の中を出入りする。
美子は初めてしっかりと自分の中に居る廉の存在を感じていた。
「れ、んさんっ…今日っ、すご…い、んっ」
「ぅ、はぁっ…っく、でもや、っぱ…すげぇな…」
美子の中が再び強く締め付けた時、廉は耐え切れず精を吐き出した。

「廉さん、今日はどうしちゃったんですか?いつもより、その…」
「まぁ、俺が本気になれば…このくらいは」
廉は強がって見せたが、キョトンとしている美子の表情に居たたまれず正直に話す。
「お前の身体も、俺の身体も変えようがないからな…コレのおかげだ」
廉が手に持ったのは「ゴク厚!」というキャッチフレーズが箱に大きく載ったコンドームだった。
「便利なものがあるんですね!へぇ〜」
「こんなモノ使ってるとか、あいつらに絶対言うなよ?」
いつものガールズトークで暴露されないよう、廉は釘を刺した。
「言いませんよぉ!あ、でも廉さんがちゃんと10分も持続出来るってことは言ったほうがいいですか?」
「もうこれ以上、余計なことは言わなくていい!…っていうかお前、計ってたのかよ?」
「あ…。えへへ…」
誤魔化すように美子は廉に抱きつき、廉はその柔らかさに負けて美子のおでこにキスを落とした。
250名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 00:55:51.22 ID:F4qGpMum
以上です!
本当は柊さんをもっとエロくしてみたかったけどw力不足です…。
なんか色々出し尽くした感じなのでこれから当分、エロは書けないかもw
お粗末さまでした
251名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 01:09:56.37 ID:TzOTdEBZ
GJ!
いや〜三者三様でいいですねー
柊さんやっぱりエロかったw
勇気のエッチってなんか新鮮で、照れましたw
廉美子はいいグッズのおかげで良かったねw
またエロありエロ無しどちらでも、お待ちしてます
252名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 04:58:10.13 ID:KJhut5uW
>>250
3種エロありがとう!
柊さんが妖しい・・・
廉美子は可愛いな、最後のオチ素晴らしい。
美子タン、時計見てたんだねw
253名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 13:14:37.64 ID:iNt1XZdC
>>250
面白かった〜GJ!×3
温泉に浴衣に布団ってやっぱりエロくてイイですねw
1人になった美男のその後が微妙に気になるところだww
254名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 14:19:54.92 ID:4g+KrbLZ
>>250
GJ!どのカプもエロくてよかったです
十分は持続できたんだね、廉さん!よかったよかった
255名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 19:50:08.50 ID:wysGYQxE
>>250
GJ! 3個読めてすごく得した気分w
廉さんいいもの見つけてきたね
でも「ゴク厚!」に頼っても、実は根本の問題は解決してないぞ〜
俺の身体も変えようがない…いや、何かありそうだ ぜひ研究鍛錬を!

柊さんカプがエロすぎる…怪しいおもちゃが似合いそうな二人だww
勇気RINAさんとこは二人目できそうw 次は男の子見てみたいです
256名無しさん@ピンキー:2012/04/13(金) 18:59:51.26 ID:B56PMjIT
柊さんエロすぎww
廉さん頑張ったね!!
3人らしさが出ていておもしろかったです
257名無しさん@ピンキー:2012/04/13(金) 21:35:23.21 ID:pjhbhBnL
>>250
乙!
3カップル楽しそう。一カップルだけ異様にエロいな。
で、美男x社長、サウナで男同士楽しめるね。
258名無しさん@ピンキー:2012/04/13(金) 23:15:36.43 ID:9Q3Ig3Td
250ですが、感想たくさん嬉しいです。エロ3連発した甲斐があったw
しかしここ最近、自作以外で柊さんのエロが少ないような…
私はもう限界っぽいのでwどなたかぜひお願いします!
廉美子も好きですが、他カプも好きすぎて困る…w
259名無しさん@ピンキー:2012/04/14(土) 23:44:46.82 ID:KenXAEGL
225です。感想いただいた方ありがとうございます!
廉さん毛虫ムリ…ハイ、間違いなくそうだと…w
毛虫に慌てた美子が廉さんにすがるパターンも考えたんですが
『落ちてた小枝で、恐る恐る毛虫をつつく廉さん』が妄想され、
絵的に非常に美しくないので、却下しましたw

そして…聞き耳たてて全部知ってる柊さんww そういうイメージww
(できる範囲で)声我慢した廉美子に免じて今回は許してください…

>>258
いえいえw 限界と言わず、ぜひまたよろしくお願いしますw
自分の場合、エロがエロくならなくて柊さん話書くのはハードルが高くてw
廉美子派ですが、柊さん他書ける方よろしくお願いします〜
260名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 06:53:00.12 ID:sYFyuYEk
『落ちてた小枝で、恐る恐る毛虫をつつく廉さん』
朝から笑ったー、まるっと想像できますww
たかが毛虫にびくつく廉さん
百年の恋も冷めちゃったりしてww
261名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 18:53:47.16 ID:cAAI8KTJ
ヘタレな廉さんw見たいかも
262名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 20:11:47.57 ID:quGXnqSW
合宿所にゴキブリとか出たら廉さんは腰抜かして悲鳴上げそう
263名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 20:35:06.62 ID:JfeLiNcZ
そういえば…
セミで悲鳴あげた美男のとこに全員駆けつけて勇気が捕まえてたけど
廉さんはセミ素手で捕ってあげることはできたんだろうか
264名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 21:52:36.13 ID:K+fMpP0N
美子はむしろ虫平気そうなイメージ
顔に止まってなかったら捕まえて逃がしてたと思うの
265名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 22:25:13.25 ID:K+fMpP0N
廉さんは蚊が一匹部屋に入っただけで格闘してそう
結婚したらゴキブリ殺すのは多分美子の役目だろうな
266名無しさん@ピンキー:2012/04/18(水) 19:19:26.09 ID:tnn19dyG
毛虫、ゴキ…、セミ、蚊
それらと絡むヘタレ廉さん 超読みたいww
誰か書いてほしいw エロ絡まなくても全然アリなんだけどw
267名無しさん@ピンキー:2012/04/18(水) 22:15:28.77 ID:m++D7z5c
つまり蟲姦…?
上級者すぐる
268名無しさん@ピンキー:2012/04/20(金) 20:46:27.01 ID:md/3PFn0
いや、それはちょっとwww
そんな事態になったら、廉さん失神どころじゃすまなそうだ
かわいそうすぎるので、それはやめてあげてww
269名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 17:07:47.84 ID:G6GVwZ3y
>>225さんじゃないのですが、虫と絡む廉さんを書いてみた。
短いですが、廉美子設定、エロなしです。
270春眠暁を覚えず:2012/04/22(日) 17:09:23.47 ID:G6GVwZ3y
窓から、ふわりと春らしい風が部屋に入ってきて廉の頬を優しく撫でた。
一度だけ薄く目を開けるが、またそのまま、眠りの世界へと誘われる。

廉は久しぶりに美子のマンションに泊まることができて、昨夜は会えなかった時間を
一気に埋めるように抱き合い、愛し合った。
普段は控えめな美子でさえ、廉を求める気持ちを抑えきれず…「廉さん、もっと…!」と
何度も愛撫を強請ったのだ。
…あいつも、すっかりエロくなっちまったな…。
互いに満足した後は、火照った身体に下着もつけずにそのまま寝入ってしまい今は少し肌寒い。
目を閉じたまま昨夜の情事を思い出して廉は口元を緩ませていた。

と、その時。そんな記憶を再現するような下半身の感覚に、ピクリと反応した。
太ももの辺りから、徐々に上を目掛けてスッ…と手で撫でられている。
「美子、ちょっとお前…」
それが股間に達した瞬間、廉は目を開けた。
「…ったく、お前は朝から仕方ないな」
嬉しい本心を隠しつつ、自分を求める美子が愛しくて、それに応えようと隣を向く…が。

「ん?あれ、美子…?」
ベッドの隣に、恋人の姿はない。
寝室のドアが開き、エプロン姿の美子が入ってきた。
「あ、廉さん!起きたんですね。ちょうど今、朝食できましたよ」
「お前…今、ずっとキッチンに…いたんだよな…?」
「はい、そうですけど…」
そう言っている間にも、廉の股間から腹のほうへと撫でるような感触が続いていた。
「じゃあ、これ…は…」
恐る恐る廉が掛け布団を身体から引き離すと、コゲ茶色の虫が腹から胸へと這い上がってくる。
「あっ!さっきキッチンに居たゴキブリです!こんなところに逃げてきたんですね」
「ゴ、ゴ…キ…!!」
廉は気を失ってしまい、上半身がベッドに沈んだ衝撃でゴキブリはまたどこかへ壁を伝って逃げ出した。

「さ、朝ご飯にしましょ?…廉さん?!また寝ちゃったんですか?」
…春だし、きっとまだ眠いのね。
そう思って美子は無理に起こさず、静かに寝室のドアを閉めた。
271名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 17:11:14.44 ID:G6GVwZ3y
以上です。
廉さんアホでごめんなさいー!
私の書く廉さんはいつもこんな役回りになってます。すみませんw
272名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 17:40:25.85 ID:eTvB9I7c
>>270
面白いですね
273名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 19:05:58.16 ID:sNVNZ46P
>>271
GJGJ!
廉さんのゴキブリを意外と図太い美子が手でつかんで退治するかと期待したよw
廉さんって打たれ弱そうだし、繊細過ぎるよね、裏ヒロインとでもいうか、
で、柊さんは、影のヒロインですかね。
274名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 21:42:56.80 ID:htCzWfWr
>>271
ゴキと絡む廉さん!GJ!
まさかこれ読めるとは やっぱり気絶するんだww
でも美子!裸の廉さんにゴキが這ってるんだからもっと慌ててw
やっぱり美子の方が強い…廉さんがヒロインで間違いないかと…
275名無しさん@ピンキー:2012/04/22(日) 23:55:56.73 ID:+30j8iy4
廉さんゴキでも絶対に失神しそう!

まぁドラマでも暗い山道やうさぎにビビってた廉さんだし完全にヒロイン、
隣でケラケラ笑ってる美子の方が断然強いよねw
276名無しさん@ピンキー:2012/04/23(月) 20:50:20.96 ID:uMOz9ard
>>270
GJ! 繊細過ぎる廉さん vs シッカリモノ美子、凸凹コンビでいいねw

廉さんってヒロインぽいけど、
最後の方のエピで、
「お前の顔なんて二度と見たくない!!!」って泣いてたのだけは
ヒロインぽくなかった、その直前までチューしたりイチャラブだったのに。姫のご乱心?

277名無しさん@ピンキー:2012/04/23(月) 21:28:02.60 ID:ouOLHwZK
>>271
GJです!
ゴキブリか〜 廉さん一番苦手そう…
「こんなところに…」って美子が冷静すぎて笑ってしまいましたw

>>276
「あなたのこと…今までずっと信じてたのに!ひどい!」って感じの
悲劇のヒロイン属性のような気がします、廉さんww

225です。『虫と絡むヘタレ廉さん』?
自分も、お花見の続きでちょっと書いてみましたww 投下します。

廉×美子 エロ無し
前回投下分>>218-224
278お花見おまけ編 1:2012/04/23(月) 21:29:10.32 ID:ouOLHwZK
合宿所での花見から数日後の夕方、予定よりかなり早く仕事が終わった廉と美子は、
美子の部屋で夕食を食べるため、二人揃って車でマンションへ向かっていた。
ここ数日は陽気の良い日が続いており、廉が車をオープンにして走らせると、
爽やかな風が車内を吹き抜けて、美子の髪をなびかせた。

「うわぁ すごく気持ちいいですねぇ!廉さんと車でお出かけしてる気分です。」
「明日は早朝から仕事だからな…無ければ、このままドライブ行くんだけどな。」 
「全然いいですよ!この間、お花見だってできたし。楽しかったですから!」

(お花見…そういえば、俺の部屋の防音のこと…)
先日の花見の話が出たことで、自分の部屋のことをまだ美子に話していなかったのを
思い出した廉は、美子のマンションの地下駐車場に車を入れた後で切り出した。
「美子、あのな、この間の花見の夜の…俺の部屋での話なんだけど…」

「えっ!? 廉さんの部屋って防音…?」
驚いてみるみる顔を赤らめた美子につられて、廉も赤くなる。
「ああ、悪い…すっかり忘れててな…」
二人揃って真っ赤になってしばらくうつむいていたが、美子が顔をあげた。

「あっでも、廉さんの部屋に初めて入れてうれしかったですから。良かったです!」
笑顔の美子にニンマリとした廉は、美子の肩に手をまわした。
「また時間ある時は、合宿所来いよ。まだ見せてない部屋も場所もたくさんあるし。
俺の部屋でおまえがどんな声出しても、柊たちには聞こえないからな。」
「やだ、もう…廉さんたら、何言ってるんです…」
顔を赤らめて焦る美子を抱き寄せて、廉は口を塞いだ。

廉の顔がそっと離れて、美子はゆっくりと瞳を開けた。そして、廉の顔を見て…
「あっ かわいい〜」
「な、なんだ?」
「頭の…髪の毛の上に、ほら。」
美子の指差した前髪辺りに手をやった廉は、何かの感触に気づき、掴み取った。
そして、その手を下ろしてゆっくりと開き…
279お花見おまけ編 2:2012/04/23(月) 21:30:16.24 ID:ouOLHwZK
「う、うわぁっ!!!」
自分の右手から飛び立つ『蝶』に、廉は悲鳴をあげた。
「アゲハ蝶かなんかですかね〜 こんな都心で見られるなんて珍しいです!」
ニコニコしながら、飛び立つ蝶を目で追う美子に、廉は声を震わせて反論する。
「あ…あれは『蛾』だろ!」
「ええ〜? 蝶ですよぉ。カラフルでしたから。」
「いいや!蛾だ!俺の手見てみろ。黒い粉が残って…」
差し出された震える右手と、真っ青な顔を何度か見比べた美子は、恐る恐る尋ねた。

「もしかして…廉さん、虫苦手なんですか?」
「ばっ馬鹿いうな!そんなことあるわけないだろ?」
「でも、すごく震えてませんか?」
「いきなりで…ちょっと驚いただけだ。蛾の粉ついたし。」
「蛾じゃなくって、蝶だったと思うんですけど…」
「あれは蛾だ!いや、蛾も蝶も似たようなもんだろーが!」

焦って言い募る廉を見て、ハンドタオルを取り出した美子は、廉の前髪をそっと
払うと、震える右手を包み込んで、鱗粉を拭き取った。
「少しは取れましたから。私の部屋行ってシャワー浴びましょ?ね?」
にっこりと微笑みかける美子に、廉はふてくされる。

「お前…俺のこと馬鹿にしてるだろ?」
「してませんよ。今はいきなりいたから、びっくりしたんですよね?」
「あ、ああ…そうだ…」
「私も毛虫だけは絶対だめなんです。昔、お兄ちゃんにいたずらされたことあって…
廉さん、今度毛虫がいたら助けてくれるって言ってましたよね?頼りにしてます!」
「おお…まかせとけ…」

(なんか…うまく丸め込まれた気がする…)
美子に、ハンドタオル越しに右手を引かれて部屋へ向かう途中、廉は自分が
少し情けなくなって、落ち込みそうになったが…
(まあ…とりあえずはいいか…毛虫が出たら、その時はなんとかなるだろ…)
毛虫と遭遇するような事態に今後ならないことを祈ることにした。
(でも当分は、停車中は車オープンにするのはやめた方がいいな…)
280名無しさん@ピンキー:2012/04/23(月) 21:32:59.72 ID:ouOLHwZK
>>279
以上です。
廉さん、今後は虫と絡まないといいねw
最初に書いた自分が言うのもなんですけどww
281名無しさん@ピンキー:2012/04/23(月) 22:07:02.55 ID:uMOz9ard
>>280
gj!
廉さん、2回目放送で、カエルに驚いて、見事に直角に倒れてたっけ。
セミもダメだし、蛾も蝶もゴキブリも毛虫もダメ。
OKなのは、美子だけ?

282名無しさん@ピンキー:2012/04/24(火) 00:44:17.93 ID:N73Xt/p3
>>281
潔癖症だから虫なんてもってのほかじゃない?
魚や動物も苦手そうだよね、ブタやウサギ以外も。
犬も過去に噛まれたことありそうw

OKな動物?なのは美子だけ。それも萌えるけどw
283名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 19:50:51.24 ID:hEoBJV8w
>>280
おまけ編GJ! よかったです!!

>>282
廉さん過去に犬に噛まれたことありそうってww 
美子がよしよししてるのをチラ見して逃げてそうw
廉さんは美子だけOK、美子じゃなきゃダメ!美子だけむさぼり食ってるイメージ
他生物は全然ダメだけどw
284名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 21:26:27.47 ID:A1w6SMs8
>>280
GJ!
前半のいちゃいちゃと後半の落差が激しい…www

>>282
ウサギに噛まれてるくらいだから、廉さんは犬にも噛まれてると思う
たぶん、チワワ・ミニチュアダックスクラスの犬か、仔犬サイズww
285名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 08:41:59.00 ID:n45lF3Mx
廉NANA好きなのにあまりない(ToT)/~~~
誰かもっと廉NANA書いてください。
286名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 10:56:41.49 ID:XPjz7kCs
私は頭が固いのか、原作の流れに逆らえないというか
廉美子は固定されてて、その2人とそれ以外のカプしか妄想できないなぁ。
廉が美子以外と、美子が廉以外とくっつくお話、読むのは好きだが書けない…。
そのせいで妄想の範囲が狭まって、筆が進みませんけどねw
287名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 14:51:53.50 ID:8FU3DCL2
>>286 すごく良くわかります
自分も廉美子ばっかりだけど、たまにはハードな感じでいきたいと思っても
廉美子だとどうしても初々しい感じになっちゃう
もうちょっとエグイ事させようとしてもなんかダメなんですよね
ちなみに自分の中で美子にはNGな事もあります、オ○ニーとかw
でもそれ以外の事は禁を破ってやらせちゃったなー
288名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 22:36:38.31 ID:evGJ4i3S
自分も廉美子しか書けない…ごめんねw
エロパロ(エロ)初心者だから、まだまだ未熟ってのもあるけどww
本編で廉柊勇気が好きになったのは美男(美子)だから
その3人が好きになるのはあくまで美子相手じゃないと話が浮かばないし
美子は廉さんonlyだから…必然的に廉美子の話になってしまってるw

でも、読むのはカプ問わずです。書ける人お願いw
289名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 06:57:08.54 ID:JRab4Tbh
神降臨まったりと期待
290名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 09:48:17.54 ID:6tORnRuU
GWで皆さん鋭意創作中と信じてますw
私も1本くらい書き上げたいなぁ。
291名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 10:52:59.38 ID:ZV62/q7g
皆さん、書いてくれてるといいなあ…
自分、GW後半ヒマなので書きたいのに、今ネタ思いつかない状態ww
思いつくと一気に書く人間なので、こんなの読みたいとか、萌えエピとか
適当にレスいただけるとありがたい…自分の文章力で書けそうならがんばる!
292名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 17:07:38.57 ID:MeMcTX4P
>>291
柊さんネタですが、施設訪問のお絵描き手伝いではいい雰囲気だったのに
あっという間に、ギター弾き廉さんにいいとこ奪われて形勢逆転して不憫だったので
もっと戦略的に美男に近づく、詰めの甘くない、柊さんエピ誰か書いてくれないかな、
まぁ、色々積極的にアプローチするわりに、詰めが甘いのが柊さんの特性かもしれませんけど。
293名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 21:50:24.53 ID:tyACg8yv
どんなカプでもいいんだけど、ドライブデートの後カーセックスなんてどうでしょ?
あと、マスコミに堂々と交際宣言するエピソードとか…。
読みたいものはたくさんあるけど、自分じゃなかなか書けないんですよねw
294名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 22:18:55.22 ID:IELHDAtk
柊美子不足
295名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 22:50:38.20 ID:UADqKS6P
誰かと相部屋エピで、居候相手に柊さんを選んでいたら…
または居候相手に勇気を選んでいたら…

というシチュで書いてくれませんか。なんとなくエロくなりそうな予感w
自分はネタだけならいくらでも置いていけますww
296名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 22:57:23.80 ID:iwcjK3Tg
どなたかNANA美子を
297名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 01:08:56.57 ID:fv0VBzGx
>>293
そういえば…ラストのコンサートでの廉さんの告白は
「マスコミに堂々と交際宣言」ではなかったんだろうか?
このスレでは、うまく話をつないでくれてるから廉美子が幸せになってるけど
実際はどうやってあの場を収めたんだろ? いきなり2年後に飛んだからなww
298名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 02:03:00.76 ID:FwQjyX7P
そうなんだよね。あの場を社長をはじめ皆でうまいこと収めてくれたんだろうけど。
実際、廉さんがどんなコメント出したり会見してたりしたんだろ?って気になる。
世間的には、少し前にNANAと破局したばかりってことになってるしね。
それとよく見かける柊NANAや美男NANAのカプなども、交際宣言とかどうしてるのかなって。
マスコミにバレないようにしてるのもいいし、堂々としてるのもアリかも。
299名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 09:15:47.22 ID:CL+9BLgr
今思うと廉NANA偽装交際、NANAは「お互いプラスになる」みたいな事言ってたけど
NANAファン→ビッチだったのかよ中古には興味ない推し変だわ
廉ファン→廉様を奪ったNANA死ね
ってなってマイナスにしかならないよね現実では
300名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 09:25:58.44 ID:wQntNhtn
原作では柊美子交際の記事は結局お蔵入りになったんだよね
だからその後廉美子が付き合っても問題はあまりなかったと思うけど
日本版は記事出ちゃったからなー
あれが現実だったら同じバンド内で男をとっかえひっかえの美子
非難轟轟だろうなー
301名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 09:43:07.85 ID:xe0ZG5ki
廉NANA中の人が、日本ではアイドルGのメンバーだから
偽装でも交際が発覚したら、かなり叩かれそうだけど
韓国版は俳優が演じてるし、お互いプラスで大丈夫っていう世界観なんだろうね
じゃなければ、コンサート会場で、美子周りのファンに襲われてそうww

廉柊二人とも交際報道出ても、一時的にファンが減るくらいで済んでるから
アーティスト的なイメージが強いんだろうけど
美子は美男の双子妹だから、顔がそっくりすぎてごまかせないよね
あのコンサート後は、マスコミ殺到してると思う
302名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 12:18:32.92 ID:1UZQhW0r
美子も廉も、印象悪くなってしまうよね…日本版は特に。
そこを丸く収めるには、廉NANAは真剣なつもりだったけど、
短い期間にプラトニックな感じで別れたと後日NANAが公表するとか
柊美子の記事も、事実と異なる記事で…とオカッパーズにうまいこと
書いてもらって、廉美子の関係をちゃんと書いてもらうとか…
考えてると、安藤社長並みに頭の痛いお騒がせ連中だw
303名無しさん@ピンキー:2012/05/07(月) 19:34:32.32 ID:nackwk9G
291です。
>>293さんのドライブデートネタ、いただいて書いてみましたw 投下します。

廉×美子 エロあり
304夜空の下 1:2012/05/07(月) 19:35:50.11 ID:nackwk9G
廉と美子は、関東近郊のT山まで夜のドライブに来ていた。
翌日の仕事の入りが、遅い時間に変更になったので、急遽、美子を誘って
片道2時間ちょっとかけてやってきたのだが、山頂は夜景が有名な場所なので、
既に22時をまわった頃合なのに、数台の車が山頂へのラインを順に登っていく。
廉は、しばらく山道を走らせて、視界の開けた駐車場を見つけて、車を停めた。

「うわ〜! すごくキレイ!!」
車を降りた美子が、眼下に広がる夜景に感嘆して、声を上げた。
廉は、美子の笑顔をもっとはっきりと見たくて、美子の肩を抱き、顔を寄せる。
「キレイだな、夜景…今、星は見えるか?」
「星は見えないです。今日は昼間も曇ってて、天気良くなかったから…」
「そっか。星も見えれば良かったんだけどな…違う日の方が良かったか?」
「いいえ、そんなことないです。夜景ステキですから、来れて嬉しいです!」
美子は、自分の肩を抱く恋人に向き合って、頬に軽くキスをした。
廉は、そんな美子の不意打ちに思わず頬が緩み、抱き寄せて美子にキスをしかえす。

静かに美子を抱きしめていた廉は、額に当たった雨粒に気づいて夜空に顔を向けた。
「…雨?」
最初はポツポツとだったが、いきなり激しい雨が振り出して、二人は焦った。

「きゃあ!」
「美子、車入れ!」
慌てて車に乗り込み、車内灯をつけた廉は、後部座席に手を伸ばして、
常備していた大きめのタオルを取り、バッグの中のハンカチを探しているらしい、
びしょぬれの美子にかぶせて、髪の毛をワシャワシャと拭き始めた。

「廉さん、私は大丈夫ですから…廉さんがタオル使ってください。」
「何言ってるんだ!おまえが風邪引くだろう?」
「廉さんだって濡れちゃってますから…これで…」
自分の髪にくるまれたタオルの端を引っ張り、運転席の廉を拭こうとして、
身を乗り出した美子は、体勢が崩れて、廉のひざの上に倒れこんだ。

「す…すみません…でも、タオル…」
「…じゃあ、一緒に拭くか?」
「…え?」
そのまま、グイっと美子を抱きあげて自分のひざに乗せた廉は、タオルを自分の肩と
美子の頭に載せ直して、ニンマリと笑った。
305夜空の下 2:2012/05/07(月) 19:36:25.64 ID:nackwk9G
お互いの髪と肩先をタオルの端同士で拭き始めた廉と美子は、どんどん距離が
近くなり、タオルを頭にかけたまま、自然に抱きしめあっていた。
廉は車内灯のスイッチに手を伸ばして切ると、そのまま美子に口付けた。

雨はさらに激しくなったようで、車内からは外の景色は全く見えなくなっていたが、
廉と美子は、もうお互いのことしか気にならなくなっていた。
深く口付けた隙間から漏れる吐息と、濡れた体から立ち上る熱気で、車の窓は
白く結露し、静かに聞こえてくる外の雨の音よりも、耐え切れず漏らすお互いの
声の方が、車内に大きく響いているような気がした。

廉が美子の胸にゆっくり手を這わせると、廉を抱きしめる腕に力をこめた美子は、
その手の動きに合わせて、ピクっと体を震わせていく。
廉の手が胸から徐々に下りていき、太ももの内側をさすり、美子の中心に指を進めて
下着越しになぞると、美子は熱い吐息を漏らしてさらにしがみついた。

「…んっ…ん…ぅん…」
美子の吐息交じりの喘ぎ声が漏れ響き、廉はそっと顔を離すと、首筋に舌を這わせて
耳元で熱くささやいた。
「美子…もう…すごい濡れてる…」
「やっ…やだ…」
真っ赤になってうつむいた美子の顔を片手でそっと上げて、もう一度軽く口づけると
下着に手をかけてゆっくり下ろして、既に蜜が溢れている中心に指を埋めた。

「あぁっ…やぁ…ぁん…」
廉の指が美子の敏感な部分を弾き、奥に進めて震わせるごとに、美子の甘い喘ぎ声が
狭い車内に響き、くちゅくちゅと溢れて指に絡む蜜の熱さと、廉の耳にかかる熱い
吐息が、廉自身をどんどんくすぐってゆさぶった。

「…もう…やばいな…」
瞳を潤ませて喘ぎ続ける美子に、理性も感覚も麻痺して朦朧としてきた廉は、美子を
ひざから下ろして助手席に戻すと、シートを後方へ倒してゆっくりと体を沈ませた。
自分も助手席に移り、美子の背中に腕を滑り込ませ、後部座席近くまで抱き上げる。

激しい雨の中、駐車場の小さな外灯の光だけがぼんやりと差し込む暗い車内で、
自分を見つめる潤んだ瞳をしっかりと見据えた廉は、ゆっくりと深く口付けながら、
避妊具をつけた自身を一気に美子の奥まで突き上げた。
306夜空の下 3:2012/05/07(月) 19:37:08.16 ID:nackwk9G
「…れん…さ…やぁ…はぁ…んん…」
「…はっ…く…み…こ…はぁっ…」
激しく打ちつける廉の動きに翻弄され、シートから落ちるほど顔をのけぞらせて
喘ぐ美子は、廉の右手と上着にしがみついて遠のきそうな意識を必死で保ち、
そんな美子にどんどん締め付けられて、一気に駆け上がっていきながらも、
後部座席に左手を置いて支えながら、廉はさらに突きまくった。

「…んぁ…れ…ん…だめ…も…」
廉の手を掴む美子の力が徐々に緩まり…
涙目で喘ぐ美子の耳元に顔を寄せた廉は、右手で美子の肩を抱いてささやいた。
「…はっ…みこ…いい…も…いって…」
その言葉にかすかにうなずいた美子は、廉にさらに深く強く突き上げられて、
高く声をあげて息を飲み…そんな美子を見守ったつもりの廉だったが、
急激に締め付けて痙攣する美子に耐え切れず、頭が真っ白になって動きを止めた。

「…はぁっ…はっ…み…」
廉は、荒い吐息で朦朧とする恋人をそっとかかえて助手席に戻し、きつく抱きしめて
自分の息の乱れを抑えると、シートに敷いていたタオルを互いの腰に軽くかけて、
雨の音を聞きながら、ゆっくりと瞳を閉じた…

気が付くと、外の雨はすっかりあがっていた。
廉が運転席からドアを開けると、こもっていた二人の熱が一気に解き放たれる。
助手席側にまわってドアを開け、微睡んでぼんやりしたままの美子の手を引いて
もう一度外に連れ出し、駐車場の端までゆっくり歩いていくと…

「わぁ!キレイ…」
眼下に広がる夜景と、雨がやみ、雲が晴れて現れた星空に、美子が目を見張った。
「星がすごいです!さっきは見えなかったのに…こんなにきれいに見えるなんて!」
「そっか、良かったな。俺には星は見えないんだけどな。」
「そうですよね…すみません…」
廉は、ちょっとしょんぼりとした美子の肩を抱き寄せて耳元でささやいた。
「気にするな。俺だけの星が、今、ちゃんと俺の腕の中にあるから。な?」
うれしそうに自分を見つめる美子の顔をそっと寄せて、廉はもう一度口付けた。
307名無しさん@ピンキー:2012/05/07(月) 19:38:23.46 ID:nackwk9G
>>306
以上です。
『廉さんのあの赤い車で、最後までやれるのか?』 気になったんですが…
HP見ても内装がよくわからなかったので、レ○サスのショールーム行こうとしたら、
近所のとこ、GW中、全部お休みになってました…タイミング悪しwww
というわけで、車内のサイズ感は微妙ですが、そこらへんはご容赦くださいww

292さん以降、レスありがとうございました。
全部妄想してみたんですが、柊さんは行き詰ってしまったので、今回は廉さんで…
できれば、いつか書きたいw
308名無しさん@ピンキー:2012/05/07(月) 19:56:15.61 ID:yaqdQjBu
わーいわーい、廉美子だーw
車の中って、難しそう…
A.N.JELLの廉がまさかのカー○ックス、しかも結構観光客の多いT山w
ばれなかっただろうか? GJでした!
309名無しさん@ピンキー:2012/05/07(月) 23:46:39.90 ID:lITZGWkB
GJ!
カーセックスって萌えるなぁ〜
310名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 00:55:20.52 ID:+nReaEKl
わーい!>>293です!!まさかこんなに早くリクに応えてもらえるとは!
狭い中で、よく頑張った廉さんw美子もしっかり雰囲気に流されちゃって、
いい具合にエロくなってますね。
通行人として、揺れてるレクサスの横からそっと覗きたいですw
そしてレクサスをショールームに見に行こうとする>>307さんw
素敵なドライブデートのお話、ありがとうございます。お疲れ様でした!
311名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 13:31:15.72 ID:EWW0Kl2W
>>307
GJ! 車めちゃくちゃ揺れてそうw
結露で天然スモークってのがいいですね
312名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 23:59:34.38 ID:7yQmQIw+
ageてまでリクエストしてくれた>>285さんにお応えして
廉NANAエロありです
313NANA1:2012/05/16(水) 00:00:52.47 ID:7yQmQIw+
「んっ…はっ……」
全ての欲望を吐き出した後、廉は死んだように動きを止めた。
少しの間余韻に浸っていた廉は、体を起こすとそのまま服を着始めた。
「シャワーも浴びないで帰るの?」
微睡んでいたNANAは、薄目を開けて冷めた視線を向ける。
「ああ。帰ってから浴びるよ」
来た時と同じように、一分の隙もない姿になった廉は、見送らなくていいから、と言い残しNANAの部屋を後にした。
ついさっきまで二人の汗と熱気で温もっていたシーツの中も、今は一人分の隙間が出来てすっかり冷え切っている。

廉は決してNANAの部屋には泊まらない。
いつも突然連絡が来て、こっちの都合などお構いなしにやって来た。
そしてNANAもそんな綱渡りのような逢瀬を楽しんでいた。ちょっと前までは。

あの日。
廉が大勢のファンの前で、美子に告白した日。
自分の気持ちに踏ん切りをつけたつもりだった。祝福さえ出来そうな気がした。
でも、コンサート会場を足早に去る時、誰もが自分を見て笑っているんじゃないかと思った。
沢山の熱心なファンに囲まれ、何をしても受け入れられ、挫折なんてしたことがなかった。
それなのに、本気で好きになった男には、背を向けられた。

それから一年。
実らなかった恋の甘い残り香が消えかけたある日、運命の悪戯か、突然廉と再会した。
写真集が異例の売り上げを記録し、出版社のお偉いさんや関係者を招いてパーティをした時の事だ。
商品であるNANAに対して、露骨に性的な視線を向ける父親ほどの年の男たちにウンザリして
会場を抜け出し、エレベーターに飛び込んだ。
駐車場で車のキーを差し込んだ時、強い力で腕を掴む男がいた。
廉だった。
「お前、運転する気か?飲んでるんだろ?」
「廉…。じゃあ送ってよ」
314NANA2:2012/05/16(水) 00:02:59.50 ID:vbauZN+t
あの時どうしてあんな事言っちゃったんだろ?
そして廉はどうして私を送ってくれたんだろ?
マンションまで廉に送ってもらったNANAは、もう一度信じられない事を言ってしまった。
「上がってお茶でも飲んでいかない?」

ソファに腰かけた廉の前に大きなマグカップを置いた。
濃い琥珀色の紅茶の中にはブランデーを入れてある。
ほんの悪戯のつもりだったのに、廉は気付かずに飲み干してしまった。
「あれ?俺…なんか、酔った?なんで?」
顔を赤くして無防備な廉の様子を見たら、我慢出来ずにソファに押し倒していた。
「NANA…え…何?」
一度だけでもいい。酔って覚えてなくてもいい。ほんの一瞬でも廉を自分の物にしたかった。
廉に唇を重ねながら、NANAは来ている物を一枚ずつ脱いでいった。
自分で自分が信じられなかったけど、頭の中は廉に対する欲望で一杯だった。

めくるめくような時間が過ぎて、お互いに自分を取り戻した時、廉は色白の顔を更に白くしてNANAを見遣った。
「ごめん。俺…どうしてこんな事…」
NANAは一瞬泣きそうになりながらも、無理やり笑顔を作った。
「やだ、廉。そんな真剣な顔しないで。ほんのお遊びじゃない」
その時廉は明らかにホッとした顔をした。
「また気が向いたら来てもいいのよ」
急いで服を着て、そそくさと部屋を出ていく廉に声を掛けた時、廉は微かに頷いたように見えた。

それから、折を見て廉はNANAの部屋にやって来た。
恋人らしい会話もなく、NANAの作った料理にも、廉は殆ど口を付けなかった。
その度にNANAの心は干からびていくようだったが、ベッドに入ると状況は一変した。
まるでNANAの事を愛しているとしか言いようが無いように、廉はNANAを貪った。
(所詮、廉だってただの男なのね)
NANAは自尊心が満たされていくのを感じた。

それなのに、事が終わると廉は、まるで何も無かったような顔をして帰っていく。
二人の間のバランスが崩れつつあるのに、NANAはまだ気付いていなかった。
たった今愛し合ったばかりなのに、もう廉が恋しくてたまらない。
なのに、次はいつとも言わずに廉は帰ってしまう。
NANAは一人取り残された後に、訳も分からず焦燥感を感じていた。
315NANA3:2012/05/16(水) 00:06:05.44 ID:vbauZN+t
「ねえ、NANA、最近お肌の調子がいまいちね。何か悩みでもあるの?」
NANAの顔にファンデーションを塗りながら、トオルが呟いた。
(まったく。そういうところだけ勘がいいんだから)
「別に〜」
内心の動揺を隠しながら、NANAはさり気なく言った。
「あっ、そう言えば!来月帰って来るらしいわよ、あの子が」
「あの子って?」
「あの子よ。廉様の…カ・ノ・ジ・ョ?さっきRINAさんに聞いたの」
「えっ?いつっ?」
「え〜詳しくはわからないけど〜。帰ってきたら事務所をあげてウエルカムバックパーティを開くんですって!」
アタシも行きた〜い、と甘えた声を出すトオルを無視してNANAは下唇を噛んだ。

数日後、もう連絡は来ないだろうと思っていた廉から、久しぶりに電話があった。
(どうして今さら私に連絡するの?彼女が帰って来るんでしょ?一体どういうつもりなのよ)
心の中に葛藤を感じつつも、廉に会えるのがやっぱり嬉しかった。
家中を掃除して、アロマキャンドルを灯して廉がやって来るのを待っていた。
チャイムの音に飛び上がり、勢いよくドアを開ける。
嬉しさと悲しみが混在して目を潤ませるNANAを、廉は不思議そうに眺めた。
「どうした?」
「ううん、何でもない。はやく入って」
ソファに並んで腰かけて、NANAは廉にもたれかかった。
いつもと違うNANAの様子に、廉はありありと違和感を感じている。
会話らしい会話もないまま、二人はベッドに入った。

廉の唇がNANAの胸元に降りてきた。
白くて真ん丸なNANAの乳房に、廉はむしゃぶりついた。
「んっ…」
唇を噛んで声を抑えるNANAに、首を傾げながらも廉は愛撫を続ける。
「我慢しないで、声出せよ」
「う…ん」
(だめよ。口を開いたら、きっと言っちゃう。愛してるって…)
NANAは頑なに唇を噛み、廉の愛撫を全身で感じた。

廉がNANAの中に侵入してきた。
腰を動かすリズムに合わせて、NANAの感情も高ぶってくる。
「あんっ、廉っ、あっあああっ」
(好き、好き、愛してる…)
「お前、泣いてるのか?」
薄明りの中でNANAの頬に光る涙に驚いて、廉が言った。
NANAは大きく首を振った。
「違う…泣いてなんか、ない」
廉の腰に足を巻きつけ、NANAは貪欲に廉を求めた。
「もっと、廉…もっと、愛して…」
廉は小さく頷くと、NANAの全身に叩きつけるように、腰を打ちつけた。
316NANA4:2012/05/16(水) 00:08:02.43 ID:vbauZN+t
うつ伏せのまま視線だけを向けて、身支度を整える廉を見つめた。
「行かないで…」
やっと言えた本音は、顔を押し付けている枕に吸い込まれていく。
「え?何?」
振り向いた廉に、何でもないと首を振る。
「俺、忙しくなるから、当分来れないと思う」
「そう…」
「ごめんな」
そのまま廉は部屋を出て行った。

(わかってる、廉。ごめんなんて、言わないで。今夜が最後なんでしょ?)
ベッドに突っ伏したまま、NANAは泣き続けた。
が、突然立ち上がり、カーテンを開けてベランダに走り出た。
廉の赤いレクサスが小さくなっていく。
時々光るブレーキランプを目を凝らして見つめた。
(昔流行った歌で、5回ランプを光らせると、それは「愛してる」のサインだって言ってたっけ…)
「1回…2回…3回…4回…」
NANAは涙で霞む目を擦って、必死に数えた。
5回目を光らせることなく、廉の車は見えなくなった。
「1回足りないわよ…廉のバカ」
頬を涙で濡らしたまま、NANAはいつまでも廉の車が走り去った方向を見つめ続けた。
317名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 00:11:17.13 ID:vbauZN+t
以上です。
初めてほんとに悪い廉さんを描いたような気がします
NANAちゃん可哀想で、書きながら悲しかったです
お邪魔しました
318名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 02:03:10.80 ID:w004osAi
>>317
GJ!
ある意味、ここのスレで一番悪い廉さんかも、
でも新鮮ですね。
リアル芸能人だし、いかにも、Man-like!!!
NANA恰好いいです。
この後、廉さんの二股がばれて
美男よりも柊さんが激怒しそう、よかったら修羅場編も。。。待ってます。
319名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 05:49:34.59 ID:nZp4RIp5
GJ!!

しかしNANAちゃん…切ねぇ…
この廉さん、どんな顔で美子を迎えるんだろんなあ。
320名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 06:54:21.62 ID:sNR5+wsL
>>317
GJ
しかしこの廉さん、最低だww
321名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 14:57:34.74 ID:iReZtr35
GJ!
NANA切ない…
廉美子派だけどNANAが気になる!続き読みたいです!
322名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 18:56:53.46 ID:YfLabsq7
>>317
GJです! でも…
廉さん、ひどい!さいってー!!
NANAはかわいそうだけど…自分から誘って始めたことだから、仕方ないし、自業自得でもある
でも、この廉さん、何も知らずに帰ってくる美子にしれっとしてるんだろうな
修羅場な続編読みたいです
廉さんとじゃなくても、何かNANAと美子に報われる展開希望!
323名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 19:18:27.28 ID:2JhPWI2F
廉美子派なので。
悪い廉さんは見たくない。
NANAちゃんかわいそうだよ。
324名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 23:26:26.93 ID:kO/yUolm
>>317
GJ!NANAちゃんが…かわいそうだけどお話自体は楽しませてもらいましたw
廉さん、ホント悪い男!!週刊誌にこのネタ売ったろか!って感じだw
でも続編とかあるなら絶対読みたい。

エロパロのスレだから幸せラブラブエロが一番いいんだろうけど、私も
ラブラブからの別れ話とか、そういうのも書いてみたいなぁと思った。
325名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 23:55:28.90 ID:vbauZN+t
317です
やっぱり顰蹙買っちゃいましたね
皆さん不愉快な思いをさせてしまい、すみませんでした

まとめ管理人様 いつもありがとうございます
今回の話はまとめサイトには載せないでいただけると嬉しいです
326名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 01:11:16.56 ID:PLBmqlpT
>>317
GJでしたよ!
自分も廉美子派で、今までこんな廉さん見た事なかったからショックと言ったらショック
だったけど、なんかNANAちゃんだけでなく廉さんからも切なさを感じてきゅんとしました。
寂しい思いをしながら育った廉さんが、美子と出会い、また苦しい思いをして、
せっかく美子と本当に想いが通じ合ったのに遠距離になって寂しかったのかも...って...
「ほんのお遊び」にホッとした廉さんも可愛いと思ったし、ベッド以外ではそっけないところも、
NANAちゃんに気持ちまでは奪われてないようで、それが逆に少し救われたような気がしたし...
廉さん鈍感だし、不器用だし、男だしw...悪いというより弱いのかなってw (相当廉贔屓?w)
NANAちゃんには幸せになって欲しい、そして廉さん、美子を傷つけないで〜!
っていろんな思いにさせてもらってよかったですよ。読ませてもらってありがとうございました!
(長くなってスミマセン)
327名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 07:14:16.59 ID:SIUfbKT1
廉さんの中の人が一ヶ月一万円生活にチャレンジするらしいが全く想像できない…
誰か廉さんの貧乏生活or美子の新婚節約生活を書いてくれないだろうか
慣れない家事頑張る廉さんが見たい
328名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 07:51:42.64 ID:ifzbpGhP
>>325
最低って思ったけど、こういうこともどこかの世界にはあるかもって感じ。
パロディの廉さんだからこそ、顰蹙とかではないですよ
いろいろ読めてうれしいので! ありがとうございました。

>>327
一ヶ月一万円生活…できる感じ全くしないww
廉さんはスターなイメージで、貧乏なイメージ無いなあ
でも、美子の節約生活と家事を手伝おうとする廉さんはなんだかわかる
誰か新婚廉美子書いてほしいですw
329名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 19:38:52.54 ID:b2ykTepG
私も廉美子新婚生活をテーマにしたのを読みたいなぁ。
330名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 19:52:05.84 ID:/NqX/ujd
329さんへ
sage進行でレスお願いw (右上のメール欄に半角で「sage」と入れる)
331名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 20:34:15.00 ID:eMiguGK3
317さん

みんな不快な思いどころか、真面目にしっかりと読んでるんだと思いますよ(^-^)

偉そうにすみません。でも誰も嫌がってないからよかったらまた作品投下を…
お待ちしています。
332名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 20:52:52.95 ID:JMJWBkM1
>>317さんのお話がまとめサイトに載らないのなら自分で保存するつもりですよ!
たまにはこういうテイストの違うものも、最初に注意書きとかすれば全然OKだと思う。
また投下してくれるのを待っています。
333名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 21:32:03.78 ID:mXBELIGf
>>317
GJ、面白かったです。聖人じゃない男ポイ廉さんだったね。やや肉食系?
NANAにはこのあと美男がフォローして子犬のように付きまとう気もする。
しかしこのことが美子に知られたら・・・というか、廉さん自ら告白しそうで怖いね。
もし本当に浮気したとしたら絶対に本命には隠し通して欲しいけど、美子なら本当のこと知りたがるのかね。元シスターだし、
愛とは許すことだから。
334名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 22:47:39.79 ID:PO8rOpdS
この廉さんは美子にもNANAにも愛想尽かされてしまえwwとオモ
柊さんからも殴られてしまえww
なんにせよ続き待ってます
335名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 23:39:04.74 ID:W/ttd/1L
>>325
個人的にはエロパロなんで何でもアリだとは思いますよー。
でも書き手さんが、載せないでほしいってコトなら載せないようにしますね。

最近は、話が少なくなってきたので月2,3回しか更新してないような…
更新は少なくなってますが、先月のPVは6万超えてます。
336名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 07:40:28.85 ID:71sCq4E2
>>335
管理人さん いつもお世話になってます!
できればもっと書きたいけど、最近はなかなかの遅筆で…ww
PV6万超えるのって、そこそこすごいんですか?
自分も、どんな話あったかな? って復習かねて行ってますが
読み直しができるのって、ホント楽しめて助かりますw
337名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 17:35:52.04 ID:NXkMEUjX
>>335
PV6万って凄いですねぇ。
みんな飢えてるのかも。ユニークユーザー何人ぐらいなんだろうね。

ここの話楽しみ過ぎて、本編のエピか二次のエピか分からなくなる。
柊さんの金沢友禅プレゼントなんてハマり過ぎて、本当にドラマでもやってたような気がするんだよね。
338名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 22:22:19.49 ID:i0RlbH6Y
>>337
PV6万ってすごい! みんな気になるんだよね
本編のエピか二次のエピ…うん、ごっちゃになってるわww
最終回なんて、本編は「…は?結局どーなったんだ?」な感じあったから
実は裏であんなことがこんなことが、なここでの話なかったらもっと意味不明だった
ここの書き手さん管理人さんのおかげ! 皆すごくうまくて感心してしまう
339名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 11:55:29.80 ID:N4jfP6wA
需要はまだまだあるのに作家さん減っちゃったね〜。
放送から一年たつんだし当然か。
自分の頭の中は未だにANJメンバーがぐるぐるしてるww
340名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 15:55:55.69 ID:Gpa8Ofu4
>>338
最終回ラスト、CMの後に続くかと思ったらあれが最後で頭真っ白になった。
感動の最終回って煽ったわりに、かなりトーンダウンしたよね、まだ続きがあるようなカットでしたw
私は、本スレとここのスレのネタが被る。加賀友禅って本スレでも話題になってたっけ?
341名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 16:13:15.70 ID:3qc1IiVt
>>340
加賀友禅は本スレでもネタになってたよw
柊さんならそういうもの土産にしてもおかしくないって言われてた
こことドラマ本スレが被るのは当然だね
ドラマ興味なくてここのみにしかいないって人はほとんどいない気する
(この板は特殊だから本スレからここに来る人は多くはないはずだけど)
342名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 18:10:26.41 ID:Gpa8Ofu4
>>341
ありがとう。美男放映当時、本スレ勢いありすぎて全部チェックしきれなかった。
特に柊さん絡みのSTKネタが面白かったね、替え歌まであったような<ひとり(ふたりのぱくりw)
本スレでも加賀友禅の話題になってたのか、驚いたな。
まさか、着物・帯グルグル、アレーなんて話は出てないよねぇ。
343名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 21:16:44.95 ID:3qc1IiVt
>>342
本スレすごかったよね
放送日含んで1週間海外旅行、行っちゃったんだけど、帰ってから慌てて
録画みて本スレ行ったら、スレが2つくらい既に消費されててついていけなかった
替え歌www うまいこと作った人いたね

ところで。
本スレでも加賀友禅ネタ出てたとさっきレスしたんだけど、なんか自信なくなってきた
もしかして自分、何かを勘違いしてたかな…誰かその辺詳しい人いる?
344名無しさん@ピンキー:2012/05/21(月) 03:40:21.87 ID:xv+Q7Nz2
自分も加賀友禅話題になってたと記憶してるけど自信無いやw
345名無しさん@ピンキー:2012/05/22(火) 00:04:59.33 ID:EUpnU0vJ
本スレ21に、しっかり加賀友禅のこと書かれてたよw
346名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 21:19:33.20 ID:4ClRyX86
>>345
ありがとうw どこで話題になってたか、あやふやになってた
そんな昔のことでもないはずなのにww
347名無しさん@ピンキー:2012/05/25(金) 22:11:54.41 ID:ihwQPvTs
NANAの中の人と美男の中の人でパンケーキ屋行ったというのを知って、美男×NANAのデートのお話を思い出した!
写メ載せてツイしてほしかったなーw
久々に読んでこよっと
348名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 00:07:18.53 ID:XNt5Kp8I
美男×NANA書けたので投下します
お家デートな2人です
349Horrible Night??? 1:2012/05/27(日) 00:09:19.25 ID:XNt5Kp8I

(さて、今日は何を観ようかな…)
レンタルDVDの棚の間をゆっくりと巡りながら美男は考える。
(こないだ観たのはアクションコメディ、その前がラブストーリー、その前は…)
NANAの部屋でゆっくり過ごせる時は、映画のDVDを一緒に観るのがお気に入りだった。
以前は映画に無関心だったNANAも、何本か観るうちにすっかり映画好きになり、
今ではその時間を楽しみにしてくれているのがうれしい。
面白かったと喜ぶ顔が見たくて、DVDを選ぶのにもつい力が入る。
(…あ、たまにはこんなのもアリかな。NANAは観たことないだろうし)
ある棚の前でふと足を止める。
ずらりと並んだDVDのタイトルを一通り見回してから、美男はケースを1つ抜き取った。


───
「またDVD借りてきたんだけど、観る?」
玄関でレンタルショップの小さな袋を見せると、NANAの表情がパッと明るくなった。
「あ、うれしい!今日はどんなの?」
「それは観てのお楽しみ。俺好きなんだよね〜この映画」
「ホント?じゃあ早く晩ごはん食べて観よっ!」

そうしてNANAの手料理を楽しみ、2人で夕食の後片付けをした。
「ね、早く観たいな」
「わかった。ちょっと待ってて」
NANAに急かされてDVDが入った袋に手を伸ばす。
中に入っているソフトは最初に選んだものと、NANAが気に入らなかった場合の
保険のつもりで選んだラブコメの2本。
(やっぱりラブコメにしとこうかなぁ。こっちは女の子向けじゃないし。でも…)
これを観たNANAの反応が見たい気もするし、なんて興味も湧いてきてしまい。
ためらいと好奇心を天秤に掛けた結果、最初に選んだDVDを手に取った。
350Horrible Night??? 2:2012/05/27(日) 00:11:24.95 ID:XNt5Kp8I
流れ始めたのは、仄暗く古めかしいトーンの映像。
はじめは何気ない日常を描いていたのだが、時間が経つにつれて次第に無気味な
緊張感が漂うBGMが混ざり始める。
「ねえ美男、これって…」
「ん?どうかした?」
「う、ううん、なんでもない」
照明を落とした薄暗い部屋の中、隣に座るNANAを横目で見やる。
その顔は平然としているようで、実は不安そうなのがありありと見て取れた。
(気付いたみたいだな…)

最後まで迷っていたのは、恐ろしいことにかけては有名なホラー映画だった。
「ダメ!」とか「無理!」って言われるのも覚悟していたけれど、今のところは
最初に心配していたほどの拒否反応もない。
この分ならNANAも大丈夫と踏んで、このまま見続けることに決めた。

────
ある出来事に巻き込まれ、古びた屋敷の中を否応なく歩く羽目になる主人公。
行く手を阻むように立ちふさがる金属製の重い扉にそろそろと手を掛け、
ためらいながらも腕に力を込めて引き寄せて中を覗いてみると…
────

『バタン!』「きゃあっ!」
腕をギュッと掴まれる感覚とNANAの悲鳴で映画の世界から現実に引き戻された。
「えっ?あ、NANA…」
観音開きの窓が風で閉じただけのシーンだったのに、こんなに驚くなんて。
ホラー映画に耐性がないと、効果音ひとつでも恐怖を感じるらしい。
「大丈夫?…っていうか、なーんだ、NANAって意外と怖がりなんだな」
「ち、違うもん!ちょっとビックリしただけだってば!」
軽口を叩いてからかってみると、NANAは少しムッとした様子で言い訳をした。
「だいじょうぶ、大丈夫よ、これくらい…」
そうそう、NANAは弱みを見せるのが嫌いで、必ず一度は強がってみせるんだ。
(あーあ、無理しちゃって…。ホントにかわいいよなぁ)
「我慢しなくていいよ。俺が隣にいるから大丈夫。ね?」
「…うん」
肩に腕を回して軽く抱き寄せると、NANAはようやく素直に頷いた。
351Horrible Night??? 3:2012/05/27(日) 00:13:26.67 ID:XNt5Kp8I
しばらく見続けるうちに、NANAも映画に夢中になったらしい。
怖がりながらも画面から目をそらすことが少なくなってきた。
「美男…怖い…。やっ、きゃっ!」
それでも恐ろしいシーンが映るたびにNANAは美男にしがみついた。
(なんか今日、密着度高くていいかも…)
腕に押し付けられるやわらかい胸の感触。
時折耳元で響く小さな悲鳴。
ふと隣を見ると、少し乱れたスカートの裾から白い太ももがのぞいている。
そこから目が離せなくなり…つい手が伸びた。

「もう…何してるの美男?ふざけないで」
「あ、やっぱりダメ?」
NANAはクスクスと小さく笑いながら美男の手を振り払った。
とはいえ断られるともう一度やってみたくなるのが人の常だ。
いたずらっ子みたいに軽い気持ちで手を伸ばしてはNANAに叱られる。
そんなことを何度か繰り返すうちに、なんだか妙な気分になってきて…。

指先を内ももに沿わせてそっと撫であげると、NANAの声が微かに色づいてきた。
「ぁ…ん…。まだ観てる、のに…」
振り払おうと重なってきたNANAの手を握る。
恐怖でしっとりと汗ばむ手に指を絡ませた瞬間、ベッドの上で快感に悶える
NANAの姿が鮮明に脳裏に浮かんだ。
(まずい…映画どころじゃないかも)
心臓は大きく波打ち、身体の中心がどんどん熱くなってくるのを感じる。
「ぁ…きゃっ!」
追い討ちをかけるように耳を刺激するNANAの悲鳴と、熱くてやわらかい身体。
(ヤバい…もう無理…)
目の前にある白い首筋に口づける。
「ぁっ…」
小さく漏れた甘い吐息に、理性が完全に吹き飛んだ。
352Horrible Night??? 4:2012/05/27(日) 00:15:29.56 ID:XNt5Kp8I
「NANAは観てていいよ」
ソファーの足元に回り込み、NANAの腰を掴んでグッと引き寄せた。
「えっ?!」
浅く座った姿勢になったNANAのスカートをたくしあげてショーツを抜き取る。
「ちょ、ちょっと美男!何するの?!」
驚いて閉じようとするNANAの脚を押し開いて間に割って入り、中心に舌を伸ばした。
「ぁ…美男ダメ…!んっ」
暗くてよく見えない分、より丁寧に舌を這わせると、とろりと愛液があふれはじめた。
「やめ……ぁ…」
抵抗するように、NANAは美男の髪をクシャっと掴む。
その力ない指先を感じながら、鼻先を秘所にうずめて夢中で舐めあげた。
ぷっくりとふくらんだ突起を舌先でつつき、唇でキュッと吸い上げる。
「ぁぅ…んんっ、あっ!」
敏感な場所を刺激するたびに、NANAの脚はピクンと跳ねた。

十分に濡れそぼった入口に指を差し込む。
内ももに口づけながら熱い膣内をかき回した。
「あっ…ぁ、い、やっ」
それは恐怖?それとも快感?
小さな悲鳴と切ない吐息の混ざった喘ぎ声がやけに色っぽく耳をくすぐる。
見上げれば、画面からの光を受けて青白く輝くNANAの顔。
切なそうに眉根を寄せる表情がひどく扇情的で、いよいよ抑えがきかなくなった。
ベルトに手を掛けて下着ごと膝まで下ろし、すっかり固くなったものを露にする。
後で使うつもりでポケットに忍ばせておいたゴムを取り出し、今にも爆発しそうな
分身に被せ、NANAをソファに押し倒して一気に貫いた。

「は…ぁあっ!」
暗い部屋の中でテレビの画面だけが明るい光を放つ。
恐ろしいシーンが次々と映し出される異様な雰囲気の中、夢中で繋がり合った。
「ん、ひぁ…や、あっ、ひゃんっ!」
狭いソファの上で、不自然な角度で突き上げると、NANAはいつもより激しく乱れた。
腰を動かすたびにベルトのバックルがカチャカチャと音を立てる。
服を着たまま行為に及んでいることに今更ながら気が付いて、その背徳感に
背筋がぞくりと粟立った。
「もぅ…んぁ、あ、ああっ!」
「ぁ、NANA…い、くっ…!」
絶頂を迎えたNANAに容赦なく締め付けられて、ありったけの欲望を解き放った。
353Horrible Night??? 5:2012/05/27(日) 00:17:31.32 ID:XNt5Kp8I
事を済ませてぼんやりしているうちに、テレビの画面は真っ青になっていた。
部屋の灯りをつけて、日常に戻る。

「映画…終わっちゃったね…」
乱れた服を整えながらNANAがつぶやく。
「うん…。その…NANAごめん!」
あんな気持ちになるなんて思ってなかったんだけど、なんて必死に言い訳をすると、
NANAは首を振って許してくれた。
「いいの、またいつでも観られるんだから。それと…」
「それと…?」
「初めて観たけど、大好きになっちゃった…ホラー映画」
「ホントに?」
気に入ってくれてよかった〜とホッとしながら、ふと思いついたことがあり。

「ねえNANA、それってさ…観ながらすると気持ちいいっていう意味だよね?」
わざとにやけた笑みを浮かべて、NANAの反応を見た。
「ば、バカっ!違うわよ!映画の話!ホラー映画が面白いって言ってるの!」
思った通りだ。NANAは真っ赤になって否定した。
(へへっ、面白いからもうちょっと…)
「はいはい。NANAってやっぱりエッチだな〜。もう1回観る?」
「もう!知らない!」


この後すっかり拗ねてしまったNANAの機嫌を直してくれたのは、保険に選んだ
もう1本のラブコメディ。
念のために借りておいてよかった…と胸をなで下ろすことになった美男だった。
354名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 00:19:32.12 ID:XNt5Kp8I
以上です
ホラーで密着ってベタだけどいいよねってことでw
おそまつさまでした
355名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 00:30:53.06 ID:9BamNSoW
おお〜、GJ!
ちょうどスレ開いたら投下されてたw
可愛いな、美男NANA
子猫がじゃれあってるみたい(エロあったけどw)
また続きお待ちしてます
356名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 02:15:11.89 ID:vcTwd6Ar
>>354
GJ!
美男NANA本当だいすきだー!
357名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 11:08:30.43 ID:tkUtDqVl
>>354
GJ!
お家デートいいね
廉美子でやったら廉さんのほうが怖がりそうだ
358名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 11:53:54.31 ID:zJqYmgFt
>>354
GJ!!かわいい二人!でもエロいなんて最高w
確かにホラーを怖がる女の子は男にはたまらないかもなぁ。
NANAちゃん可愛い。美男も歯止めのきかない男っぽさがイイw
359名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 12:05:01.58 ID:T0yK1HNu
>>354
GJGJ! NANA美男、かわゆい。
ぜひ2人もしくは、NANA美子にパンケーキデートさせてあげて欲しい。
とっても可愛い並びだと思う・・・とリアルとごちゃごちゃにして済みません。
360名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 14:14:52.90 ID:JI079CA8
GJです!
たしかにホラーは密着度高くてエロいかもww
美男NANAだとやっぱり外デートは行きにくいんだろうけど、でもお家デート十分楽しそうだ
廉さんがホラー見たら、恐怖で固まってそう…エロまで行く余裕ないだろうなww
361名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 15:56:22.27 ID:9BamNSoW
廉さん、ホラー映画でビビりまくりバージョンも見たいw

ちょっと変則的な廉NANAエロ無しです
362ダブルブッキング1:2012/05/27(日) 15:58:01.13 ID:9BamNSoW
「廉さん、今日は仕事が終わったら直接レストランに行ってくださいね。
私の名前で予約してますから」
珍しく美子からのデートの誘いに、廉は朝からワクワクしていた。
一日の仕事をこなして時計を見ると、そろそろ約束の時間。
鏡に向かって髪を整え、廉は足取りも軽くスタジオを飛び出した。

美子は仕事から帰ると大急ぎでシャワーを浴びて、身支度を整えた。
おニューのワンピースに袖を通し、軽くリップクリームを塗っただけで慌ただしく部屋を後にする。
マンション前の道路でタクシーを捕まえ、一息ついたところで携帯が鳴った。
「もしもし?安藤社長ですか?えっ、これからですか?」
しばらく電話に聞き入っていた美子は、「わかりました。すぐに伺います」と言うとタクシーの運転手に行先の変更を告げた。

都内某所のフレンチレストラン。
廉が予約している旨を告げると、「どうぞこちらへ」と個室に案内された。
カチャ
「え?何でお前が…」
部屋の中には小さな鏡を覗き込んで、念入りに化粧のチェックをしているNANAがいた。
「廉こそ…どうして?」
廉は店のスタッフを呼んで予約の確認をした。
「確かに桜庭様で2名様のご予約になってます」
狐につままれたようで事の成り行きが理解できないまま、廉とNANAは顔を見合わせた。
その時、二人の携帯の着信音が同時に鳴り響いた。

『廉さん、ごめんなさい。シゲ子おばさんの具合が悪いらしいので、安藤社長のお宅に行ってきます。
でも、必ず行きますから待っててくださいね』
美子からのメールを見て廉はため息をついた。
「美子から?」
「ああ…」
「あたしも、美男から。おばさんの具合が悪いんですって…」
(一体どうなってんだよ)訳がわからずあれこれ考えている間に、ソムリエがやって来た。
「いや、あの…まだ連れが来てないから…」
「いいわよ、廉。ワインだけでも飲んでましょ」
NANAはやけになって、どんどんワインを持ってくるように言った。
363ダブルブッキング2:2012/05/27(日) 15:59:39.62 ID:9BamNSoW
「美男、美子。来てくれてありがとね。あたし、もう駄目だと思ったから、最後に二人に会いたくてさ」
安藤家の寝室でベッドに横たわるシゲ子は、空涙で二人に訴えた。
「おばさん、どこが悪いんですか?」
美子が心配そうに尋ねると、シゲ子は「ガハハッ!」と笑った。
「それがさ〜、ただの食べ過ぎだって。やだもー、さっきお医者さんに来てもらったんだけど、恥かいちゃったわ」
「ハァ?食べ過ぎ?そんな事で俺達を呼んだの?」
呆れた美男は美子と顔を見合わせて、ガックリと肩を落とした。
すると、シゲ子に寄り添っていた安藤社長が、キッと美男を睨みつける。
「そんな事とは何だ、そんな事とは!さっきまでマイハニーはすごく苦しんでたんだぞ!
たった二人っきりの身内であるお前たちに、一目でもいいから会いたいって。ハニー、可哀想に」
「ごめんね、ダーリン。心配かけて」
いきなり見つめ合って二人の世界に入った安藤夫妻に、美男はげんなりした。
「そーですか。それじゃー、おばさん、お大事に」
思いっきり感情のこもらない棒読みでお見舞いの言葉を述べて、美男は美子の手を引っ張った。
「あのっ、あのっ、おばさん、お大事に」
美男に引きずられながら、美子も部屋を出て行った。

一方レストランでは…
運ばれるままにワインを空けて、廉とNANAはすっかり酔っ払っていた。
「何でー美男が予約したのにー、廉がいるのよ〜!ヒック」
「お前飲みすぎだぞー。つーか、ここを予約したのは、美子なんだって!お前こそ何でいるんだよ」
すきっ腹にワインを飲んだせいで、あっと言う間に酔いが回り、二人は何度も同じ話を繰り返している。
「そーいえば!前にもあったわよねー。外国のぉ、旅行先なのにぃ、コテージが隣同士って!
ありえないわよね〜、ヒック」
「だから、飲みすぎだって!よこせっ」
廉はNANAからボトルを取りあげると、自分のグラスにどぼどぼと注いだ。
「それにしても双子って不思議だよな〜。同時に同じ事考えたりすんのかな〜」
頬杖をついた廉は真っ赤な顔をして、素朴な疑問を口にした。
「んふっ!うふふふふっ!なんか今日の廉、カ・ワ・イ・イ〜!」
「何だよカワイイって…。バカにしてんのかよ…」
廉はふて腐れてそっぽを向いた。
「なーによー、あたしにそんな態度とっていいと思ってんのぉ?
もしかしたらー、将来おねーさんになるかもしれないのに。キャー、恥ずかしい!」
NANAは異常にテンションが上がりまくり、一人で大騒ぎした。
(え?まさか…。でも、ありえなくもないかも…)
廉は今さら気付いた可能性に少し動揺しながら、ワインを煽った。
ボトルを掴んでグラスに注ごうとすると、NANAが横から手を伸ばしてくる。
「お前、もうやめとけって」
「やだっ、もっと飲む!」
二人でボトルを取り合いながら大声で言い合っていると、突然ドアが開いた。
「何やってんの?」
364ダブルブッキング3:2012/05/27(日) 16:03:15.26 ID:9BamNSoW
「あ…」
廉とNANAは真っ赤な顔をして固まった。
「ななな、何って…。お前らこそ、どうなってんだよ?」
美子とデートするはずが、何故かNANAと二人きりにされて、廉の頭の中は?マークで一杯だった。
するとレストランのマネージャーが部屋にやって来て、平謝りし始めた。
同じ日に桜庭名で予約が2件入ったものの、それを1組と勘違いしたための店側のミスだった。
「そういうことか…」
わかってみれば単純な勘違いで、これからもう一部屋用意するのも大変だろうからと、
美男はこのまま2組分の料理を持ってきてくれるように頼んだ。

廉は隣に座った美子の腰に手を回して、抱き寄せる。
「おせーぞ」
「は、はい、すみません」
美男達の前なのに、廉はいつになく積極的だった。
素面の美子はさすがに少し恥ずかしいらしく、体を固くしている。
テーブルの向かい側では、雛に食べ物を与える親鳥のように、美男がNANAに料理を運んでやっている。
「NANAはもう飲んじゃダメだよ。はい、あーんして」
「あー…ん、美味しい」
その様子をぼーっと眺めていた廉は、酔いで何かが吹っ切れたのか美子に向かって口を開けた。
「俺にも、あーん」
「え?はっ、はいっ!」
美子は慌てて廉の口元に料理を運んだ。
もぐもぐと美味しそうに食べながら満面の笑みを浮かべる廉とNANA。
美男と美子は顔を見合わせて苦笑しながら、廉とNANAにせっせと料理を運び続けた。
365名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 16:04:54.09 ID:9BamNSoW
以上です
お邪魔しました
366名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 16:25:16.22 ID:vcTwd6Ar
>>365
可愛かったwGJ
367名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 16:49:58.02 ID:fZe0pure
GJ!!!これまたカワイイ双子&廉NANAw
廉もNANAもお互いの前でデレすぎだー!かわいいw
双子もシンクロしすぎでここまで来ると確信犯なのかと…。
何気にシゲ子&社長がバカップルなのも読めて嬉しいです。
368名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 17:02:27.13 ID:T0yK1HNu
>>365
超可愛い、双子Wブッキング。
美男、面倒見いいね。
NANAは、廉さんの義理姉になる気満々なのね。
自分で言いだして照れてるNANAタン、かわゆす。
素晴らしいお姉様になりそうですw

ところで、これタイトルが少しネタばれしてるけどいいのかな。
369名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 18:09:40.02 ID:tkUtDqVl
>>365
双子のシンクロ率ww
酔った廉とNANA可愛い
370名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 19:53:09.09 ID:JI079CA8
>>365
GJです〜!
これは水上コテージの続編になるんですねw このペアすごく好き!
廉さん、NANAと義姉弟になる可能性気づいてなかったんだww
でも、そのうち結構式とか新婚旅行までシンクロとかありそう…

354さんと365さん、連続してNANAメインでかわいい話読めてうれしいです〜
またよろしくお願いしますw
371名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 18:45:31.47 ID:MlvWvhnh
>>365
GJ!
親鳥な双子w 萌えるわww
この4人のバランスが絶妙で好きです
また何かいいネタ思いついたらぜひ
372名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 19:30:42.96 ID:6BOwpaZ2
可愛い二組だな〜

廉、美子夫婦の話もみてみたい!妊娠発覚とか立ち会い出産で廉さんぶっ倒れるとかw
妊婦美子に過保護過ぎる廉さんとか読んでみたい…
どなたかお願いしますw
373名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 20:32:07.48 ID:KstEPyl+
>妊婦美子に過保護過ぎる廉さん
それすごい想像できるww
家事こなす美子に「そんなことはいいから!」とか言って自分がやってそう、廉さんw
妊娠中じゃなくっても新婚ラブラブいちゃいちゃな夫婦見たいな〜
誰か書き手さんお願いしますw
374名無しさん@ピンキー:2012/06/05(火) 23:07:30.35 ID:GjOHsaT+
保守します。
375名無しさん@ピンキー:2012/06/06(水) 01:07:32.85 ID:QZXVMC2a
柊×美子、突然思いついて書いてしまったラブラブ設定な小ネタ
エロなしです
376Sleeping Beauty:2012/06/06(水) 01:09:40.71 ID:QZXVMC2a
カーテンの隙間から仄明るい光が射し込み、ふっと意識が引き戻された。
(朝…?)

覚醒しきらない意識の中では、身体に残る情事の後のけだるささえも心地良い。
隣では、美子が静かな寝息を立てている。
(ふふ、可愛い…)
やわらかな肌掛けにくるまれた安らかな寝顔はまだあどけなさが残るほどで、
数時間前に快楽に身を焦がしていた姿が嘘みたいに思えてくる。

真夜中の媚薬に誘われ、甘い吐息の果てに眠りこんだ美子は、
まるで老婆の呪いの紡錘を指先に刺して深い眠りに陥ったお姫様。
(俺が悪者か……)
そんなおとぎ話を思い出し、美子を陥れた自分に苦笑する。

それなら、今度は王子様になればいい。
お姫様が目を覚ますために必要なのは、彼女を迎えにやって来た王子様の甘い口づけ。

可愛らしい寝顔をこのままずっと見ていたい気もするけれど。でも。
この世でいちばん愛おしい天使のような笑顔を、100年の眠りの中から呼び覚ますために。

額に軽く手を添えて、前髪をそっとかきあげる。
そしてありったけの愛を込めて、そのやわらかな唇にやさしい口づけを。


「…ぅん………」
眠り姫は軽く身じろいで、少しずつ瞼を開いていく。
そう、ゆっくりと。深い眠りから浮上して。

「……柊さん…」
「おはよう、美子」

さあ、お姫様のお目覚めだ。
377名無しさん@ピンキー:2012/06/06(水) 01:11:47.62 ID:QZXVMC2a
以上です
なんつーか、甘々すぎて書いててこっ恥ずかしいくらいなんですが
柊さんならこんなキモ…いや、ロマンチックなこと余裕で考えそうでつい…w
失礼しましたw
378名無しさん@ピンキー:2012/06/06(水) 08:34:45.33 ID:81DxEw/S
柊さん、お久しぶりw
相変わらずのロマンチックぶりにニヤリです
キモ…くはないw だってこれが柊さんだからw
379名無しさん@ピンキー:2012/06/06(水) 20:31:45.85 ID:zwswxBUP
GJです!
いかにも柊さんだな〜 間違いなく柊さんの脳内は常にこんなかとw
若干キモ… いやいやだいじょぶだいじょぶwww
380名無しさん@ピンキー:2012/06/07(木) 01:57:24.25 ID:N/FTvE40
GJ!虫歯になりそうな柊さんだー!
最後のセリフが「おはよう、眠り姫」だったらキモさ倍増だったけど
そこは抑えてくれてよかったですw
381名無しさん@ピンキー:2012/06/07(木) 19:49:31.12 ID:usokQyiu
>>377
爽やか王子柊さんですねw
最後にとんでもないことしでかすだろうと
壮絶なオチを期待してましたが
とっても普通にイイ奴で驚いたなw
382名無しさん@ピンキー:2012/06/12(火) 17:46:06.35 ID:n96N6e1f
柊さーん、カムバッーク!
383名無しさん@ピンキー:2012/06/14(木) 23:20:04.33 ID:sFAaksW5
書きたい気持ちはあるけど筆が進まない…。
A.N.JELLのメンバーの中の人がそれぞれ今年もずっと活躍してくれてて
嬉しいのだけど、徐々に美男ですねのキャラが抜けてる感じなのが
私の妄想を邪魔しているのかもしれないw見たものに影響されやすいのかなー。
384名無しさん@ピンキー:2012/06/15(金) 07:32:49.37 ID:oJwQ8B5E
自分は逆で、新しい仕事の内容と美男の内容を混ぜて新たに妄想しようとしてるw
でも、元々わりと最近書き始めた方だから、できれば他の書き手さんが
たくさん投下してくれてる状態で、ちょこっと混ざって投下したいww
書き手さん、戻ってきてー!
385名無しさん@ピンキー:2012/06/15(金) 23:04:54.43 ID:cLabhxJf
廉さんが1ヶ月1万円生活に挑戦することになったらとか読んでみたいw
386名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 00:03:53.76 ID:HYXV9YcN
今、1万円生活見てるけど、潔癖症の廉さんにはかなりきついと思う
家事もひとりでこなせそうにない廉さん…を心配して美子が右往左往してそうw
387名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 17:50:33.67 ID:BoQYzO8E
美子右往左往わかりすぎて笑うw
なんとか手助けしようとするも、番組の規定に反するので
何も出来ないという…
そんなぶきっちょな廉さんカワユスでまたまた人気上昇とか?
388名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 19:45:50.75 ID:HYXV9YcN
廉さん、「くそっ…なんでできないんだ?」とかグチってるとこしっかり放送されそう
それを見た視聴者は「A.N.JELLの廉って…意外と不器用なんだね」で、イメージ変わって人気UP
同じく放送見た美子は「どうしよ…どうしよ…廉さん痩せちゃった…」で心配しまくり

こんな感じになるのかな? 読んでみたい…誰か、書ける人お願いしますww
389名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 20:36:56.91 ID:8v/uDBQs
前スレ終盤で投下し始めた廉美子長編、ずっと仕事が忙しくて手付かずになってましたが、最近ようやく続きを書ける状況になって来たので、現在チマチマ作成中です。
前回投下から4ヶ月も経ってしまって、需要あるかどうか不安なんですが…。

まとめサイトの管理人様、いつもご苦労様です。
自分が投下している廉美子長編“君に贈るセレナーデ”ですが、まとめサイト内で一部重複&記載漏れ箇所があるようです。
修正をお願いする事は可能でしょうか?お手数をお掛けして申し訳ありません。
390名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 23:50:30.73 ID:8m11HUGr
>>389
やったああああっ!!

続きを待ってました!
嬉しいです!

あっ、でも焦らずに全裸待機しております。
391名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 23:56:04.11 ID:HYXV9YcN
おw 続き気になってましたw
ゆっくりでいいですよ〜待ってますw 
392名無しさん@ピンキー:2012/06/17(日) 22:56:46.84 ID:S0lOdQGE
>>389
ごめんなさい。
コピペミスかな。
今晩中に確認して直しておきます。
393名無しさん@ピンキー:2012/06/18(月) 07:41:13.57 ID:yUBgQ+5P
>>389
wktk
394名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 01:49:48.61 ID:gMQRf4RJ
>>389さんの新作を待ちながらコッソリ投下します

廉美子エロあり
美子がアフリカから帰って二か月後の設定です
395めざめ1:2012/06/19(火) 01:51:54.05 ID:gMQRf4RJ
ライブの直前、メイクルームでぼんやりとしている廉に、勇気が声をかけた。
「廉ちゃん、何ぼーっとしてんの?美子との事考えてんでしょ?」
ハッとして勇気の顔を見ると、ニマニマ笑った勇気が廉の顔を覗き込んでいた。
「ア、アホかっ!俺はライブの事を…」
「いいって、いいって。今夜も美子と会うんでしょ?いいな〜お楽しみで」
いかにも訳知り顔でニヤつく勇気を睨みつけ、はぁーとため息をつく。
美子が帰国して二ヶ月がたち、周りのみんなは二人がとっくにそういう関係になっていると思っている。
だがしかし。本当の事を言うと、未だにキス以上の進展が無く、廉は内心焦っていた。
(いや、美子は普通の子とは違うし、焦っちゃダメだ。ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで…)

急いで着替えを済ませて、美子が待つホテルへと駆け付けた。
ドアを開けた瞬間、嬉しそうな顔で立ち上がった美子を、強く抱きしめた。
廉に会えて喜んでいるようなのに、抱きしめられると美子はいつも体をこわばらせる。
美子はどうしていつまでも慣れないんだろう?俺の事を怖がっているんだろうか?
少し悲しい気持になって、廉は腕の力を弱めた。

少しだけお酒を飲んで取り留めのない話をして、美子の気持ちがほぐれたところでベッドに入った。
可愛いパジャマを着た美子は、とても二十歳を過ぎたようには見えず、廉も無理をして体の関係を持つことに躊躇していた。
隣に横たわる美子に唇を重ねる。舌を絡めて強く吸い、いつまでもその感触を味わった。
ここまで来るのに二ヶ月かかった。
触れ合うだけのキスで満足していた美子に業を煮やして、強引に舌を差し込んだ時、美子は驚きのあまり大泣きしたのだ。
決して嫌がっているわけじゃなさそうだったけれど、とにかく経験がないだけに、ただただびっくりしたんだろう。
その時は廉も慌てふためいて、美子をなだめるのに必死だった。
今はこうして一緒のベッドで寝るけれども、一体いつになったら一つになれるのか、廉は途方に暮れた。
396めざめ2:2012/06/19(火) 01:53:46.51 ID:gMQRf4RJ
「美子、久しぶりー。ごめんね、なかなか時間が取れなくて。元気にしてた?」
おしゃれなカフェで顔を合わせたRINAは、相変わらずパワフルでカッコいい。
アフリカでの日々の話をひとしきりした後、RINAはニヤニヤしながら話題を変えた。
「ところで、廉とはどうなの?」
「廉さんは…とっても優しいです。うふふ」
RINAは頬を染める美子を見て、「このこのー、うまくいってるのね」と冷やかす。
「じゃあさじゃあさ、あっちの方もうまくいってるの?」
声を潜めるRINAの顔を不思議そうに見て美子が言った。
「あっちって…どっちですか?」
「えっ?」
RINAはきょとんとする美子の顔を唖然として見つめた。
(まさか…何もないとか?え?うそっ)
RINAは気を取り直して質問を変えてみた。
「一緒に寝たりするのよね?ど、どうなの…?」
美子は顔を真っ赤にして俯いた。
「RINAさんたら、そんなこと。そりゃ、時々一緒に…」
「そ、そうよね〜。あーびっくりした」
美子の返事を聞いたRINAが安心したように笑った。
「廉さん、いつも手を繋いでくれるんです。だから安心してぐっすり眠れます」
「えーーーーっ?」
RINAの大声が店中に響き渡った。
「て、て、手を繋いで寝るの?」
RINAの言葉をどう解釈したのか、美子はさっと表情を曇らせた。
「やっぱり、はしたないですか?結婚もしてないのに」
今度こそRINAは空いた口が塞がらなかった。
(これは…いくらなんでも世間知らずすぎるわ。廉ったら、我慢してるのね…)

その頃廉は、リハーサル室で美男に向かってどう切り出そうか考えあぐねていた。
「何?」
美男の生意気な態度にムッとするが、ここは我慢だ。廉は大きく息を吸って、思い切って話し出した。
「お前、女の子と…付き合ったことあるか?」
桜庭兄妹の貞操観を聞きたいのに、直接性的な事が聞けず、思いっきり遠回りに質問した。
「はあ?あるに決まってんだろ。何言ってんの?気持ちワリイ」
廉は思わず怒鳴りつけそうになるのを堪えて、質問を続けた。
「それで…その、セ、セッ…」
(ダメだ、言えない…)
真っ赤になって口ごもる廉を、美男は気味悪そうに見上げた。
「廉、具合でも悪いのか?キモイんだけど…」
そそくさと立ち去る美男の後ろ姿を見て、廉はガックリと肩を落とした。
397めざめ3:2012/06/19(火) 01:56:29.82 ID:gMQRf4RJ
数日後、衣装合わせで事務所にやって来たRINA。腕を組んで、じーっと廉を見つめている。
他のメンバーに聞こえないように、小声で廉に話しかけた。
「廉、ちょっといい?」
空いている会議室で二人きりになると、RINAは単刀直入に言った。
「廉、はっきり言っちゃうけど、美子とまだしてないの?」
「えっ?な、何?」
「ごめんね、プライベートな事なのに。でも、このままだと、全然進まないわよ」
「あ、あの…何言って…」
真っ赤になった廉にはおかまいなしに、眉間に皺を寄せてRINAは続けた。
「美子は今までの環境が環境だから、廉がリードしなきゃ駄目よ。少しくらい強引にいった方がいいと思うの」
言葉も出ない廉を見つめて、「頑張って!」と激励してRINAは部屋を出て行った。
後に残された廉はRINAの言った「強引に」という言葉を噛みしめていた。

いつものホテルのいつもの部屋で、廉と美子はベッドの上で向かい合っている。
そっと押し倒して美子に体を重ねた。
唇を塞ぎ、いつものように舌を絡める。ここまでは大丈夫だ。
そのまま美子のパジャマのボタンを外し、露わになった胸に指を這わせた。
「!!!」
美子が体をこわばらせるのを感じたが、それでもかまわず乳首を捏ね、胸を揉みしだいた。
「や、いや…」
胸の先端を舐め回し、強く吸い上げると、美子の全身が大きく弾んだ。
美子の反応を見て意を強くした廉は、パジャマのズボンをずり下げる。
抵抗する美子の腕を抑えて、右手を美子の足の間に滑り込ませた。
下着の上からゆっくり撫でる間も、口づけを続ける。段々潤ってくるのを感じて、廉の心に喜びが湧き上がってきた。
(やっぱり、多少強引にでもした方がよかったんだな…)
すっかり気が楽になって、廉の肩の力が抜けて行った。
心に余裕が生まれた廉は、美子の下着を脱がせて中心に指を這わせた。
「美子…」
両手で顔を覆っている美子に声を掛け、顔を見ようと手を外した。
美子は唇を噛みしめて、声もたてずに泣いていた。
「美子、どうして…?」
驚いて美子の顔を覗き込むが、美子は顔を背けて返事もしない。
(そんなに嫌なのか?)
急速に欲望が萎えていく。廉は美子の隣に仰向けになって、泣き止むのを待った。
「俺の事好きか?」
廉の問いかけに、美子は無言で頷いた。
「でも、こういうことはしたくないのか?」
廉に背中を向けて泣いていた美子が振り返った。
「こういうことって、普通なんですか?結婚もしてないのに…」
やっぱり強い貞操観念を持つ美子には無理なんだなと、諦めにも似た気持ちになった。
小刻みに体を震わせて泣きじゃくる美子を見て、廉も腹をくくった。
(そうか。しょうがないな。これが美子なんだし、そういう美子を愛したんだから)
「美子、大事な話だからよく聞け。お前が嫌ならもうしない。結婚するまで待ってもいい。
いつになるかわからないけど、お前を一生手放すつもりはないから」
美子は目を丸くして廉を見つめた。嫌われるかもしれないと思ったのに、自分が思う以上に真剣な廉の気持ちを知り、
今度は嬉し涙を流しながら、廉に抱きついた。
お互い素肌のままでぴったりとくっつき、時折廉はむき出しになった美子の肩にキスをした。
398めざめ4:2012/06/19(火) 01:58:51.95 ID:gMQRf4RJ
表面上は何も変化はないが、強い信頼感で結ばれた二人は、今まで通り親密な付き合いを続けている。
仕事が終わると美子のマンションに直行し、そのまま泊まることもしばしばだった。
「最近さ〜、廉さん、美子の部屋に泊まりすぎじゃない?」
少し呆れた口調で言う勇気に、柊は首を傾げて答えた。
「う…ん、確かにね。でもあの二人…まだなんじゃないかな?」
「まだって何が?」
「いや、よくわからないけど、そんな気がする」
ティーカップを口元に運ぶ柊の姿を眺めて、勇気は首を捻った。
「もう〜柊さん、何言ってんのかわかんないよ」

青空学園の庭で子供たちと畑作りをしている美子。
最近ふとした拍子に、あの日の事を思い出す。
廉に胸を愛撫された時、今まで感じたこともないような感覚が全身を貫いた。
そしてその事を思い出すと、何故か体の中心が疼くような切ない気持ちになるのだった。

「その事、廉に伝えた方がいいわよ」
家に遊びに来たRINAに、思い切って相談してみたところ、RINAは真剣な顔で言った。
「でも、なんだか恥ずかしくて…」
「美子、人間だって動物なのよ。体が大人になると自然と異性を受け入れる準備が出来るの。
でも、動物と違うのは、人間は好きな人にだけそういう気持ちになるってこと。
美子がもっとしてもらいたい事があるなら、素直に廉に言うの。きっと廉は望みをかなえてくれるわよ」
真面目な口調で話すRINAは、二人の事を本当に心配しているのがその表情からも伝わって来る。
次に会ったら、廉さんに言ってみよう、美子は決心した。

美子のマンションで夕食を食べた二人は、お風呂を済ませて一緒にベッドに入った。
おやすみのキスをして廉が目を閉じた時、美子はパジャマのボタンを自分で外した。
「廉さん…」
「んー?」
うとうとしている廉の手をつかんで、自分の裸の胸に押し当てた。
廉はパッと目を見開き飛び起きた。
「どうしたんだ…?」
慌てて美子の胸から手を引こうとしたが、美子に強く握られていて出来なかった。
「あ…の、胸だけじゃだめですか?最後までは…怖いから…」
「え?いいのか…?でも、どうして急に…」
恥ずかしすぎて涙を溢れさせながら、美子は必死に自分の気持ちを伝えようとする。
「この前、胸を触られた時、すごく…すごく…」
気持ち良かったとは、さすがに言えなかった。が、廉はすぐにそれを察した。
「本当にいいんだな?」
美子はこくんと頷いた。
399めざめ5:2012/06/19(火) 02:01:13.54 ID:gMQRf4RJ
美子の胸を両手で包み、そっと寄せた。
そこに頬ずりをすると、激しく鼓動が脈打っているのがわかる。
舌先で乳首をつん、と突いてみた。美子の体がぴくんと震える。
優しく揉みしだき、乳首を舌で転がす。廉はこの行為に夢中になった。
片方を強く吸いながら、もう片方を親指の腹で擦った。何度もそれを交互に行った。
「嫌だったら、言えよ」
時折美子の顔を覗き込んで気遣うが、美子は眉間に皺を寄せて首を横に振る。
「だいじょぶ…です」
安心して愛撫を続ける。
「あっ…んんっ…」
突然の美子の喘ぎ声に驚いて顔を上げると、「続けて…ください」と美子から催促された。
心の中で美子の心境の変化に戸惑いながら、廉は続けた。
「あっ…んっ…ああっ」
触れるか触れないかの微かな刺激の後、強く吸い上げた時、美子は抑え気味ながら快感を告げる声を上げ、
廉の頭をギュッと抱きしめ背中を弓なりに反らせた。
(もしかして…イッた?…のか?)
半信半疑で美子を見上げた。美子の体はほんのりと上気して、しっとりと汗ばんでいた。
微かに口を開き、首をのけ反らせた姿は、驚くほど色っぽくて、このまま最後まで行ってしまいたい衝動に駆られる。
「美子…」
廉の声に反応して見つめてくる美子の瞳は、さっきまでの美子とは別人のようだった。
(こうやって経験していくうちに、少しずつ美子も変わっていくんだな。やっぱり、急ぐ必要はないのかもしれないな)
一応の満足感を感じて、廉は美子のパジャマのボタンを掛けていった。
頬にチュッとキスをして、美子と指を絡めて廉は静かに眠りに付いた。

廉が部屋に泊まりに来るたびに、胸への愛撫を受け、美子は自分の体の変化を否応なく自覚するようになった。
結婚するまで貞操を守りたいという気持ちに変わりはないが、一方で廉に対してはっきりと欲望を感じてもいた。
そんな気持ちを持て余した美子は、助けを求めるようにRINAに電話をかけた。

「私、恥ずかしくて、廉さんと顔を合わせられないです」
「どうして?愛する人と結ばれたいって、当たり前のことよ?」
「でも、廉さんは我慢してくれているのに、女の私がそんな事言ったら軽蔑されちゃいます」
「ふふ、バカね美子。廉は美子がそういう気持ちになるのを待ってるのよ。軽蔑なんてするわけないじゃない。
それにね、相手を欲しいって思う気持ちは、男も女も同じよ。二人が同時にそう思うなんて、ホントは奇跡なのよ」
RINAは優しい声で続ける。
「嫌な事は嫌、欲しいものは欲しいってはっきり言わなきゃ。廉は俺様だけど、根はジェントルだから美子を対等に、
ううん、それ以上に大切にしてくれるわよ」
400めざめ6:2012/06/19(火) 02:03:38.12 ID:gMQRf4RJ
ソファに横になってRINAの言葉をぼんやりと反芻する。
そうしているうちに廉に会いたくて、抱きしめられたくて、いてもたってもいられなくなってきた。
美子は飛び起きてアタフタと出かける準備をする。
その時インターフォンが鳴った。
美子は勢いよくドアを開けて廉に抱きついた。
「うわっ、びっくりした。お前、相手を確認してから開けないと…おい、どうした?」
廉はドアをロックすると、しがみつく美子を抱き上げてソファに腰かけた。
「どうしたんだよ、ん?何かあったのか?」
優しく頭を撫でられて、少し落ち着いた美子は顔を上げて廉を見つめた。
「あの…私、廉さんに、我慢ばっかりさせて…あの、私も…結婚するまでって、思って…」
「おいおい、何言ってんだよ。少し落ち着け」
クスクス笑いながら廉は美子の背中を撫でる。
「はい。すぅー、はぁー」
美子は大きく深呼吸した。
「私、廉さんが、ほ、欲しいです」
「え?」
美子の瞳はこれ以上開かないというくらい見開かれて、見る見るうちに涙が溢れてきた。
絶句した廉は美子の目を凝視する。
「うっ、うぇ〜ん、っく、ふぇん、ひっく」
突然泣き出した美子に慌てた廉は、焦って美子を抱きしめた。
「うん、わかった。俺も、お前が欲しい」
言いながらなんだか吹き出しそうになった。こんな事をこんなにきっぱり言葉で言い合うなんて。
(こいつも俺もどうかしてるな。でも、愛おしい、美子)
可笑しくて小さく肩を震わせながら、廉は泣いている美子を抱きしめ続けた。

二人並んでベッドに入ると、廉はニヤニヤしながら切り出した。
「それで、いつにする?」
「えっ?今日じゃないんですか?」
「今日でもいいけど、なんか俺、ちょっと笑っちゃったからな」
「そんな…私が決めるんですか?」
廉はうんうんと頷いた。
美子を抱きたい気持ちは変わらないけど、いざ美子がその気になると、そんなに急ぐこともないような気がしてきた。
なによりこんなに真剣に考える美子を、もう少し見ていたい気もする。
それに性に目覚め始めた美子を、焦らしてみたいという少し意地悪な気持ちもあった。
「そ、それじゃ、考えておきます」
美子は顔を真っ赤に染めて、くるっと廉に背を向けた。
廉は美子を後ろから抱きしめ、静かに目を閉じる。
401めざめ7:2012/06/19(火) 02:10:11.71 ID:gMQRf4RJ
夜中、腕の中の美子が寝返りを打つ気配を感じて、廉は目覚めた。
「ん…どした?」
寝ぼけながら美子を抱き寄せようと腕を伸ばす。
「ん…んっ」
突然美子の唇が押し当てられて、廉は目を見開いた。
「廉さん、今がいいです。今、欲しいです」
はっきりとした声で美子に告げられ、廉の眠気はふっとんだ。
驚いて体を起こして美子を見つめると、美子も真剣な眼差しで廉を見つめている。
その潤んだ瞳を見ると、もうあれこれ考える余裕も無く、廉は美子に覆いかぶさった。

布団を剥ぎ取り美子のパジャマのボタンを外す。
「あれ、手が震えて…」
緊張と焦りでうまくボタンが外せない。廉は軽く苛立ち、勢いに任せて残りのボタンを引きちぎった。
美子に口づけ、強く舌を吸いながら、胸の先端を撫でまわした。
事態の急な展開に少々混乱しながらも、薄目を開けて美子の様子を窺った。
美子はうっとりと目を閉じ、頬を上気させて廉の愛撫を受けている。
廉は少し落ち着きを取り戻し、美子の胸に吸い付いた。
舌先でつんつんと乳首をつつき、乳輪をなぞり、強く吸い上げる。
「ああっ、んんっ」
大きく体を弾ませた後、美子はぐったりと体を弛緩させた。
廉はそのまま美子の下着の中に手を忍ばせた。
淡い茂みをかき分けて、一番敏感な場所を探り当てる。
ぐったりしていた美子が、目を見開いて体を硬直させた。
「美子、ここ、気持ちいいか?」
指にまとわりつく潤いを潤滑油にして、優しくなぞると、美子は涙を溢れさせて頷いた。
左手を美子の肩に回し、何度も口づけながら、右手の動きを続ける。
美子は廉の口づけに応えながらも、体の中心に与えられる快感にのめり込んでいった。
「もっと感じて、美子、我慢するな」
廉の指の動きが速くなるのにあわせて、美子も自然に両足をピンと突っ張り、初めての絶頂を迎えた。
「あっ、やっ…やっ、あああん」
ビクビクと痙攣しながら、美子は再びぐったりと動かなくなった。
402めざめ8:2012/06/19(火) 02:12:06.98 ID:gMQRf4RJ
避妊具を装着した廉が、美子の隣に横たわる。
「今夜はここまでにしておくか?無理しなくていいんだぞ」
廉が気遣って声を掛けると、美子はまたしてもきっぱりと言った。
「ううん、廉さんが欲しいんです」
(よし、じゃ俺も覚悟をきめるか。って、普通逆だよな)
まるで美子にリードされているような、そんな不思議な気持ちになりながら廉は腰を進めた。

「痛いっ…うっ、んんっ」
「大丈夫か?」
心配そうに美子の顔を覗き込むと、固く目をつぶり、唇を噛みしめて、こくこくと頷いた。
廉はゆっくり挿入を続け、全部入ったところで、大きくため息を漏らした。
「美子、よく我慢したな。もう、ここまでにしよう」
美子は痛みに耐えながら、廉の顔を見上げた。
「これで終わりなんですか?」
「いや、そうじゃないけど…。でも、最初からそんな無理する事ないから」
「最後まで…してください。お願いです」
「美子…」
健気な美子の涙を見て、廉の気持ちも抑えがきかなくなった。
美子に口づけながら、ゆっくり腰を動かした。
廉が動くたびに美子は眉間に皺を寄せ、苦しげな声を上げる。
辛い思いをさせたくないのに、美子を気遣う余裕も段々と薄れていく。
「んっ、んっ、あっん…れ…んさ…ん」
「はっ、んぁっ、あっ、美子っ」
廉は夢中で腰を突き上げ、欲望の全てを美子の中に放った。

初めての経験を終えた美子の後始末を、廉は甲斐甲斐しくすませた。
隣に横たわり優しく髪を撫でながら、何度も小さなキスをした。
「ごめんな、辛かっただろ?」
美子は微笑んで首を横に振り、廉の胸元に顔を寄せた。
「幸せです、私。廉さんのものになれて…。廉さんは、どうでしたか?」
「どうって…すごくよかった。俺も、すごく幸せだ」
顔を赤らめて廉が答えた。
「もう一生離さないからな。覚悟しろよ」
美子は瞳を潤ませて「はい」と答え、廉の腕に包まれて、ようやく二人は眠りに付いた。
403名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 02:26:35.82 ID:gMQRf4RJ
以上です
ほったらかしにしてたものに書き足してみました
美子の初体験話も今更かと思ったんですが…
お邪魔しました
404名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 06:02:51.49 ID:wcU7Nvdr
>>403
超、gj!
初々しい美子と優しい廉さん、すっごく原作ぽい。
とっても感動、朝からありがとうございました!
405名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 19:17:45.48 ID:Hr2XLdV1
>>403
ああ…素晴らしい…神降臨…

GJでございました。

二人の深い愛情が胸に迫って感動しました。
406名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 19:27:49.20 ID:D9fzd2UQ
>>403
いい! GJ!
なんか感動した〜w
元シスターの美子だと、やっぱりこれくらいのことはありそうなんだよね
そして、この廉さん! 超やさし〜なw
でも、最初の2ヶ月も合わせてどのくらいの時間がんばってたんだろ?
よく耐えたな! えらいぞ!
407名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 19:38:32.77 ID:SY/FNjii
>>403
朝の出勤前に読ませてもらって、悶絶して会社行きたくなかったw
超〜GJです!初々しい2人、かわいいよー!!
廉さんもちゃんと優しいし、美子も戸惑いながら受け入れて廉さんを欲してく過程が凄くいい。
そして一番の功労者は2人を近づけてくれて励ましたRINA姐さんだね。
素敵なお話ありがとうございました!
408名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 19:56:06.29 ID:XeP0NRDF
>>403
すごくよかった〜!感動しました。ありがとうございます!!
廉さん優しいし、まさにイケメンw 美子はやっぱり可愛いな〜
手を繋いで寝る二人にも萌えましたw
ANJのみんなが出てきたのも嬉しかったです。柊さん密かに気づいてるしw
R INAさんGJありがとう!
409名無しさん@ピンキー:2012/06/20(水) 15:51:11.59 ID:bfIaVpNU
>>403
GJ!! かわいいかわいい!
廉さんやっぱりいい男だなあ。美子も本当にかわいい!
ああ、なんだか幸せだ〜

柊さんがひそかに気づいてて、勇気がまったく気づいてないところがまた…w
408さんと同じくメンバーが出てきたのもすごくうれしかったです。
ありがとうございました。
410名無しさん@ピンキー:2012/06/21(木) 00:51:01.50 ID:0Lr5QSl6
私も>>389さんを楽しみに待ちつつ…なんとか1つ書き上げたので…。
以前から>>17-20と同じ世界で書いてる柊×NANAを投下します。エロありです。
411Dramatic Night1:2012/06/21(木) 00:53:26.86 ID:0Lr5QSl6
「わっ、あと3分!!ギリ間に合ったー!」
豪快に玄関のドアを開けて、スニーカーを脱ぎ散らかして勇気はリビングに走る。
「そんな慌てなくてもお前、毎週録画予約してるだろ」
ゆっくりとブーツを脱ぎながら、廉が呆れたような声を出した。
勇気はすぐにテレビの電源を入れてソファの真ん中に陣取る。
「帰ってきたら、手ぐらい洗えよ」
美男もそんな様子に苦笑しながら手を洗い、冷たいおしぼりを作って勇気へ放り投げた。
「ほら、柊さん!早く早くっ」
手招きされて、柊もとりあえずポットの電源だけ入れてソファに腰掛けた。

ピアノが奏でる切ないBGMの中、スラリと背の高い男と、可憐な美女が部屋で向かい合っている。
男を見上げる女の目には既に涙が浮かんでいた。
『もう…回り道はしたくない。俺たちのことを、誰にも邪魔されたくないんだ』
『だったら…!私もあなたも…何もかも捨てるしかないの?でもそんなこと…っ』
『できるよ。俺たちが一緒に居られれば、何だって…』
女の瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。
男は、それを指で拭った後にそっと唇を重ねた。
すぐに激しい口づけに変わり、男はベッドへ女を押し倒す。
『これからもう俺は、あの家の人間じゃない…。君が望む物さえ何も
買えないかもしれない…それでも、俺と一緒に…?』
『私が欲しいのは、あなただけ…他に何もいらないわ』
優しく微笑む女の首筋に男は顔を近づけて、2人は覚悟を決めた表情で互いの身体を
求め合ったところで、大袈裟な程のエンディングテーマ曲がかかる。
そして2人の恋路を邪魔する周囲の人間が、何かを画策しているシーンへと変わってから、
キャストのクレジットが流れ始めた。主役の若手人気俳優RYOの名前の次に、NANAの名前が流れる。

「も〜〜イイところでまたTo be continuedだよ…」
「これ、ほんと超ベタなんけどハマるよなぁ」
毎週このドラマを楽しみにしている勇気と美男が口々に言い合う。
412Dramatic Night2:2012/06/21(木) 00:54:34.13 ID:0Lr5QSl6
ドラマの舞台は30年ほど前で、主役の大財閥御曹司と恋に落ちてしまう医者志望の苦学生をNANAが演じている。
他のドラマで何度かヒロインの友達役などを経験した後、その美貌と演技力を買われて
今回はヒロインに抜擢されたのだった。
古めかしいセリフや衣装とセット、展開などが却って新鮮で幅広い世代に支持され、
キャストの熱演も相まって前回の視聴率は20%を超えたという。

「あの嫌味な母親より、表向きはイイ顔する親友のほうが絶対怪しいよな」
ドラマが始まった当初は興味が無さそうだった廉さえも、今では一緒に語るほどだ。
「あー!やっとラブラブなのに、もう引き裂かれるのかなぁ、気になる…!」
次回予告を見ながら、勇気がジタバタとソファで悶絶する。
「NANAもすっかり女優だな…柊は嬉しいだろ?彼女が女優ってかっこいいよなー俺も女優と付き合いたい!」
「まぁ、NANAが仕事頑張ってるのは…いいことだと思ってるけどね」
ティーカップを手に、柊はクールに美男の問いに答えた。

「演じられるのは妖精ばっかじゃないんだな」
「いやいや、最後のシーンも表情とかすっごい良かったよ!妙にエロかったし」
廉もひねくれた言葉でNANAの演技力を認め、勇気はすっかりファンになっているようだ。
「あの2人、画になるっていうか…違和感無くて似合ってるよね」
「うんうん。ホントの恋人に見える!」
「主役のRYOってやつ、他にどんなドラマに出てたかお前ら知ってるか?」
「えっとね〜確か去年…」
盛り上がる3人を横目に見て、柊は静かに席を立った。

柊が部屋に戻ると、充電中の携帯がメールの着信を知らせていた。
差出人は、さっきまでTVの中で見ていたNANA。
"お疲れ様!ドラマ見てくれてた?どうだったかな?
私はさっき撮影終わって家に帰ってきたよ♪今日も疲れたけど、楽しかったー!"
柊はメールを確認した後、NANAへ短く返信してから1つ、大きな息を吐く。
そして部屋のキーフックにかけていた車の鍵を取って握り締めた。
413Dramatic Night3:2012/06/21(木) 00:55:47.63 ID:0Lr5QSl6
NANAのマンションに着くと、満面の笑みで迎えられた。
「柊!遅いのに来てくれて、ありがと」
「突然、ごめん…急に会いたくなったんだ」
「ううん、嬉しいから…入って?」
先ほどメールを受け取った後、"今からそっちに行くけどいい?"と、やや強引な返信をしていたが、
NANAは快諾して柊を迎え入れた。

コーヒーを淹れながら、NANAは冷蔵庫からフルーツの乗った皿を取り出す。
「柊は知ってた?コーヒーと、イチゴやキウイを一緒に食べたら疲労回復効果があるんだって」
「へぇ…それは知らなかった」
「深夜ロケの時にね、RYO君が教えてくれたの。確かにちょっと効果ある気がするんだ」
さっきまでTVで見ていた主演俳優の名前に、柊の肩がピクリと反応した。
「撮影、かなりハードみたいだね…ちゃんと寝られてる?」
「うん、大丈夫。最近はRYO君がね、質のいい睡眠を取る食べ物を色々教えてくれて…
 バナナ豆乳がオススメなんだって」
「…そっか」
柊はコーヒーカップに口をつけながら、短く返事をする。
「あ、あとはコレ!」
棚の引き出しから、NANAはアイマスクを出して装着した。
「このアイマスクも、RYO君がくれたんだけど…ホントどこでも寝られちゃ…ぅんっ!」
振り向きざまに、柊はNANAの唇を噛み付くように奪った。
アイマスクをしたまま柊の表情は見えず、深く侵入してくる舌からはコーヒーの味がする。
「ぅ…ふっ…んん…」
NANAは息苦しくなって声を漏らしたが、柊はその腰をしっかり支えた。

「はぁっ…はっ…しゅ…う…?」
数分後、ようやく唇を解放されたNANAは荒い息を整えて柊に問いかけようとする。
しかし、砕けそうな足腰がふわりと宙に浮いた。
「えっ?柊…ちょっと…!」
視界を遮られたまま、NANAはベッドへと運ばれる。
背中にふわりと柔らかさを感じるとすぐに、柊が上に重なってきた。
「ねぇ、急にどうしたの…?」
邪魔になるアイマスクを取ろうとNANAが上げた腕を、柊が掴んだ。
「今の俺を…見ないでくれ」
「何なの…?」
「凄く…くだらない感情で、ヒドイ顔してるから」
そう言って、優しくNANAの身体を抱きしめる。
その胸元に顔を埋めて、柊は少しだけ力を強めた。
414Dramatic Night4:2012/06/21(木) 00:57:00.90 ID:0Lr5QSl6
「柊…ホントにどうしたの?」
NANAは解放された手で、そっとアイマスクを外した。
今日柊に会ってからのことを思い返してみるが、いつもと違う言動をした覚えも無く…。
首を傾げていると、柊の唇がNANAの胸元から首筋へと這い上がってきた。
「ゃっ…ぁっん…」
ゾクゾクと身震いするような快感でNANAは瞳を潤ませる。
その表情が、さっきのドラマのラブシーンを柊に思い出させた。
「あいつに…こうやってされても、同じ顔してたよね」
「あ…いつ、って…」
ようやく、NANAは柊の様子がおかしい理由に思い当たる。
「ヤダ、もしかして柊…!」
緩く拘束されていた上半身をがばっと起こし、NANAは柊の顔と向かい合った。
バツの悪そうな顔をして柊は目を逸らす。
「もう、何変なこと考えてるのよ…あれはもちろん、あくまで仕事の1つだし」
「…わかってるよ」
「…でしょうね」
NANAは、ふふっと柊に笑いかけた。

「そんなに、上手かった?私たちのお芝居」
「勇気や美男は、お似合いだし…ホントの恋人に見えるってさ」
「皆がそう言ってるの聞いて、ヤキモチ焼いちゃったの?」
NANAにさらりと図星を突かれて、柊はあれこれ考えていた言い訳すら上手く出来なくなった。
「ここに来て…顔見て安心しようと思ってたけど…NANAはRYOの話ばっかりするし」
そう言って柊はベッドに仰向けになり、自分の腕で目を隠す。
「いつもクールで優しい、オトナな柊サンがねぇ…」
「自分でも情けないと思ってるよ。…幻滅した?」
腕をずらしてNANAの顔を確認すると、いつも以上の笑顔を向けていた。
415Dramatic Night5:2012/06/21(木) 00:58:04.47 ID:0Lr5QSl6
「ううん…もっと好きになった」
NANAは柊の頬を両手で挟み、覆い被さるようにして口づけた。
さっきの激しいキスよりも、もっと優しく、熱く…触れ合う部分から互いの感情が溢れて伝わり合う。
柊は唇を離して、NANAが着ている軽い素材のホームウェアを慣れた手つきで剥ぎ取った。
家ですっかり寛いでいたNANAはブラも着けておらず、豊満な胸がすぐに揺れながら姿を現す。
「NANA…」
一言、名前を呼んで目の前の柔らかい膨らみに舌を這わせた。
胸の先端を口に含んで味わえば、NANAの身体は小刻みに震えて柊の背中に回した手に力が入る。
同時にもう片方の胸は柊の掌でぷよぷよとその形を変えて、指の腹で刺激を受ける先端は既にピンと尖っていた。
「しゅ…っう…こっちも…!」
しばらく執拗に胸への愛撫を繰り返され、たまらずNANAは柊の手を自分の下半身へと誘う。
ずっと疼いていたそこは、そっと指を滑らせるだけで容易く中へと受け入れた。

「そんなに、こうして欲しかった?」
「ぅ、…んっ…。あっ…ゃんっ…!」
かき回すほどに奥から溢れてくる愛液を長い指で掬い、柊はNANAに見せ付けるように指を舐めた。
「ん、NANAの味だ…」
「や、だ…もうっ…ゃっん」
NANAが羞恥心で顔を赤らめると、すかさずまた指で繰り返し中を擦られていく。
「ほら、ガマンしないで…」
「うん…っ、あぁ…んんっ…ゃ、ぁん…!」
十分に膨らんで、一番敏感になっていた場所を摘まんだ瞬間にNANAは艶やかな嬌声をあげて絶頂に身体を震わせた。
416Dramatic Night6:2012/06/21(木) 00:59:33.52 ID:0Lr5QSl6
やや乱れた呼吸で横たわるNANAに背を向けて、柊が避妊具を装着しようとする。
いつも見る背中がこれまで以上に愛おしく感じて、NANAは身体を起こして後ろから柊を抱き締めた。
「私がこんなにエッチだなんて…誰も知らないのよ?柊だけだから…」
柊の肩に顔を乗せて、前に回した手を柊の胸元へと滑らせる。
そのまま薄く筋肉のついた胸板を撫で回して、敏感な場所を指で刺激した。
「ぅ…あっ…」
いつもはあまり触れられることのない場所で感じる快感に、柊は思わず声が漏れる。
NANAは柊をベッドにゆっくり沈めて、首筋から胸元、腹部へと舌を使って舐めあげた。
「ちょ、待っ…て、NANA…」
「じっとしてて?」
すぐにでも自分から攻めたい気持ちがあったのに、柊はNANAの愛撫に圧倒されて身体に力が入らない。
そして十分に硬く大きくなっているものを、NANAの口で包み込まれた。
「…はっ…ぅ…ん」
じっとり、生温かい感触で上下に動かされて先端から熱いものが滲んでくるのがわかる。
限界が近い…。そう思って柊は何とかNANAを制して起き上がった。

「NANA、凄く…よかった」
「ホント?」
嬉しそうに笑うNANAの口の周りをそっと拭ってあげてから、柊は避妊具を装着した。
2人は微笑んだまま、1つに繋がる。
激しい動きを繰り返し、互いの熱が一番敏感なところから伝わってさらに身体を熱くした。
「ん…んんっ…!はぁっ…ぅ、ん…あっ…しゅ…ぅっ」
喘いでいるNANAの表情は、普段の可愛らしさからは想像もつかないほど淫らで美しいと柊は改めて思う。
そして、そうさせているのが他でもない自分であることが、今更ながら何よりも嬉しかった。
「はぁっ…ふ、っく…、NANA…も、う…!」
「うん…っ、ん、柊っ…!」
精を吐き出してからも、柊はそのまま少しNANAの中に留まった。
色白の柔らかい身体のあちこちにキスを落として情事の余韻を楽しむ。
「くすぐったい…」
NANAはそう言いながらも柊の髪を撫でて、それに応えた。
417Dramatic Night7:2012/06/21(木) 01:00:33.25 ID:0Lr5QSl6
「柊をこんなにカワイイって思ったの初めてかも…」
「子供っぽい、じゃなくて?」
「うん、そうとも言うかなぁ…ふふっ」
繋がっていた身体を離してから、裸のまま寄り添って2人は笑い合う。

「RYO君に妬くなんて笑っちゃう。凄くいい人だけど、あんな健康オタクはあり得ないって感じよ」
「へぇ…」
NANAは、RYOの勧めてくるサプリや健康グッズに関するエピソードを呆れながら語った。
「それにね」
「…うん?」
「私が欲しいのは、あなただけ…他に何もいらないわ」
ニッコリと笑うNANAに、柊もつられて笑顔になりそうだったがハタと思い出す。
「ん?そのセリフって…」
「なーんて。他に何もいらないって嘘よね。愛だけじゃなくて、名誉も財産もちゃんと手に入れないと!」
NANAはドラマでのセリフに自らツッコミを入れて、ちゅっと軽く柊に口づける。
「…それでこそ、俺の好きなNANAだよ」
無駄に嫉妬などしていた自分に改めて呆れつつ、柊もNANAにキスを返した。
418名無しさん@ピンキー:2012/06/21(木) 01:04:40.40 ID:0Lr5QSl6
以上です!
なんかもう、ドラマの設定とかセリフとかが陳腐過ぎてスミマセン。
全然面白く無さそうだわ…w
柊さんにもこんなカワイイ一面があるといいなーと思って書きました。
お粗末さまでした。
419名無しさん@ピンキー:2012/06/21(木) 07:28:50.74 ID:0H6sXN6x
>>418
GJ!!

わーいっっ!柊NANA大好き!!また会えて嬉しいです!!

妬いてるのねっ…妬いてるのねっ…柊さんっ!(エネゴ○くんCMの口調で)
と思いながら読んでましたww
420名無しさん@ピンキー:2012/06/22(金) 00:47:36.19 ID:Fg96EDeZ
>>418
GJGJ!
嫉妬する柊さんかわいいなあ
この2人、相変わらずエロくてごちそうさまですw
そしてベタなドラマにハマる勇気美男が容易に想像できてイイww
421名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 00:30:33.38 ID:6B1CYFHc
>>389です。これから廉美子長編の続き投下します。
待っていて下さった方、本当にありがとうございます!励みに
なります。
廉美子なのに二人とも出ない上、廉さん母や美子両親の過去
まで捏造しちゃってます。
非常に重い展開です。読まれた方のご気分を害してしまったら
すみません…。
今回もエロなしです。

前回までの投下
前スレ458-472

>>392管理人様、修正ありがとうございます。お手数お掛け致しました。

>>403廉さん優しい!紳士的ですごく素敵です。
廉美子の初体験はいつ見ても萌えますww
ほっこりさせていただいてありがとうございました。

>>418大好きな柊NANAを書いて下さる方がいらっしゃって、
すごく嬉しいですww
やきもち妬きな柊さんGJ!ただ、これから投下する自分の柊NANAも
微妙に設定似ちゃってるかも…偶然とはいえ、申し訳ありません。
422君に贈るセレナーデ 16:2012/06/23(土) 00:35:30.48 ID:6B1CYFHc
───

キャンプの集合場所だという最寄り駅まで美子を送り届けると、
柊はその足でNANAを迎えに行った。

「おはよう、柊。あ…、もしかしてパジャマのまま?」
「早くNANAの顔が見たくて」
「ふふっ、だからってそのまま来る?ファンが見たら泣いちゃいそうね」

合宿所からそう遠くはない場所に建つAJエンターテインメントの女子寮。
その洒落たマンションのエントランスから出て来た、赤いチェックのネルシャツに
デニム素材のサロペットを合わせたカントリースタイルな彼女を、愛車の助手席へ乗せて走り出す。
この近辺は治安も良く、建物内セキュリティも整っており事務所に所属する女性タレントはもちろん、
A.N.JELL専属スタイリストのRINAや、社長秘書の沢木も女子寮の住人だ。

新人俳優 三澤時哉が起こしたストーカー事件後、NANAの元所属事務所“fairy・dream”は
すっかり勢力を失い、タレントの多くは別の大手事務所へと移籍したらしい。
事件の被害者である彼女も、裁判が始まる頃には柊と同じAJエンターテインメントに移って来た。
実刑を食らう羽目になった事務所の元社長、荻野は現在服役中。
三澤も同じく塀の中だが、模範囚として罪を償っていると風の噂で聞いた。

「撮影は昨日でクランクアップしたんだっけ?」
「ええ、私のシーンは無事に終わったわ。打ち上げは明後日以降、
オールアップしてからやるみたい」
「そうか、相棒の高梨さんはまだ撮影中なんだね」
「あの人すっごい雨男なのよね〜…一人のシーンは全部雨待ち
ばっかりで押しちゃったみたい。私は晴れ女でホントに良かった!」

移籍して間も無く、これまでの“妖精アイドル”からガラッとキャラを変え、
クールな女刑事という難役で出演したアクションドラマが大当たりしたNANA。
今回はそのスピンオフ企画となるスペシャルドラマで初主演が決まり、
つい昨日まで撮影だったそうだ。
柊は密かに恋愛物でなかった事に安堵していたが、それを口には出さず
彼女の撮影中の思い出話を聞きながら運転を続け、合宿所へ帰宅した。
423君に贈るセレナーデ 17:2012/06/23(土) 00:38:29.18 ID:6B1CYFHc

「お邪魔しま〜す」
「…もう勇気と美男は出掛けたみたいだ」

鍵を開け、しんと静まり返った玄関に入り自分用のスリッパと、最近購入した
NANA専用のピンク色のスリッパを用意する。
靴を揃えて上がった彼女は、乗車の際から持っていた大きな紙袋と真っ赤な
ボストンバックを揺らし、何かを探す素振りで周囲を見回した。

「どうした?」
「もしかして、あの子も出ちゃった?ロケ先でお土産買って来たんだけど…」
「あぁ、美子ならさっき俺が送って行ったよ。NANAとはちょうど入れ替わりになったな」
「え〜っ?!もう、それなら美子も家まで連れて来てくれれば良かったのに!
…久し振りに会いたかったわ」

ひどくガッカリした様子で肩を落としたNANAから睨まれ、柊は眉を垂れ困り顔で笑う。
あの頃、様々な嫌がらせをしていた人間と同一人物とは思えないほど、彼女は変わった。
美子がアフリカに居る頃は定期的に文通をし、帰国してからはお互いの恋について
語り合ったり、一緒に遊んだりしている内、いつの間にか親友と呼べる仲にまでなったようだ。

「ごめん、集合時間ギリギリだったみたいだから」
「…着て見せて欲しかったんだけどなぁ…。これ、絶対似合いそうでしょ?」
「…本当だ、可愛いね」
「ね?私のセンスよ、センス!」

若干拗ねてしまったNANAは頬を膨らませ、紙袋から藍色のポンチョを出して広げる。
背中と裾の辺りに白い星柄がある可愛いデザインを、どうだと言わんばかりに
柊へ見せびらかした。
美子に代わって彼女の“お土産を褒めて欲しい願望”を満たしてやるのは難しく、
努めて優しい言葉を掛ける。

「まぁまぁ、明日の夜には帰るらしいから」
「…そう?じゃあこれは直接渡すわ」
「その方がきっと美子も喜ぶよ」

ようやく機嫌を直したNANAは丁寧に畳んだポンチョを紙袋へ入れ、
リビングのソファに座り一息吐いた。
柊もひとまず安堵し、キッチンまで移動しハーブティーの準備に取り掛かる。
424君に贈るセレナーデ 18:2012/06/23(土) 00:42:03.02 ID:6B1CYFHc

「そう言えば、やけに静かだけど廉も仕事?」
「あぁ、部屋で新曲をアレンジ中のはずだよ。
…防音だから全然聞こえないね」
「ふ〜ん…それにしても、よくあのヤキモチ妬きがキャンプ行きを許したわよね。
私がこの前、美子と遅くまで遊んだ時は目から火が出るくらい怒ってたくせに」

ソファの背凭れに身体を預け、完全に廉を小馬鹿にしたような口調で喋るNANAの、
タイムリー過ぎる話題に柊は苦笑を漏らす。
彼女もキャンプの件は事前に美子から聞いていたのだろう。
蚊帳の外になっていた廉が機嫌を悪くしたのも少し分かる気がした。

「許すどころか…今朝初めて聞かされたみたいで、美子は大目玉を食らってたよ…」
「やだ、何それ。そんな事くらいで怒ったの?
…はー…ほんっと、短気なんだから!」
「美子の事になるとブレーキが利かなくなるからな。心配で仕方ないんだろう」
「束縛がキツ過ぎて、そのうち絶対逃げられるわね…アレは」

好き勝手に言い放題のNANAも、きっと美子を思っての事だ。
柊はそれ以上廉を庇う発言を控え、出来上がったペパーミントの
ハーブティーとチョコレートクッキーを入れた皿をお盆に載せ、リビングまで運ぶ。

「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう」

ムスッと膨れた彼女の表情も、ハーブの良い香りに解されたようで。
湯気が昇るティーカップを持ち、一口飲んだNANAはあっという間に
穏やかな雰囲気に戻った。

「…はぁ、美味しい……やっぱり落ち着くわ」
「温室を手入れしたら、摘み立てのハーブを夕飯に使うよ。
…泊まってくだろ?」

大きいボストンバックを持参した彼女には愚問だったかも知れないが、
念の為に尋ねつつ隣へ腰掛ける。
ほんのり赤みが差す、NANAの頬。

「…うん、今日は柊の美味しいご飯目当てで来たんだもん」
「それだけ?」
「…分かってるくせに、意地悪な人…」

少しだけ上目遣いに柊を見ながら再び唇を尖らせた彼女の、
栗色に光る長い髪に触れ顔を一気に至近距離まで近付ける。
ますます朱に染まる頬を撫で、そのまま顎へ手を添えた。

「俺も…NANAが欲しいよ」
「柊……」
425君に贈るセレナーデ 19:2012/06/23(土) 00:45:04.58 ID:6B1CYFHc

真剣にNANAを見つめれば、大きな瞳を彩る長い睫毛が降りて瞼が閉じられる。
合図と受け取り、柊は魅惑的な桃色の唇へ己のそれを重ねようと、
距離を詰め掛けたが…。
あと寸前の所で人の気配を感じ、すぐに彼女から離れる。

「…?」
「……やっぱり、まだお預けだな」

廊下へ目を向けるとタイミング良く一つの扉が開き、奥から廉が現れた。
朝食時に比べ青白い顔で無表情のまま自分とNANAを一瞥し、
キッチンまで来て冷蔵庫からミネラルウォーターが入ったボトルを取り出す。

「廉、大丈夫か?顔色が良くないけど…」
「…ちょっと疲れただけだ。お前ら、俺の邪魔はするなよ」

柊の心配を余所に、ぶっきらぼうな返事をしつつ鬱陶しそうにNANAを睨んだ廉は、
そのまま部屋へ戻って行った。

「何よあれ!無愛想にも程があるでしょ!」

良い雰囲気を邪魔された挙げ句、厄介者扱い丸出しの態度を受けた彼女が
ソファから立ち上がり、廉の部屋へ向かってアッカンベーを放つ。

「多分、美子が帰るまでああだろうな…。とりあえず荷物は
俺の部屋へ置いて、温室に行こう」
「…そうね、柊もそろそろ着替えなくちゃだし?」
「……あ、ホントだ」

ご立腹な彼女の肩を抱き寄せ、頬にキスをし宥めてやれば。
花が咲いたように可憐な笑みと、己の失敗を揶揄する明るい声が返り
自然と顔が綻ぶ。

自室を目指して階段を昇りながら。
少しだけ、廉の顔色の悪さが胸に引っ掛かっていた。



426君に贈るセレナーデ 20:2012/06/23(土) 00:48:35.23 ID:6B1CYFHc
───


雑誌や新聞の取材をつつがなく終えた美男は、馬淵の運転で都内の
とある高級マンションへ向かった。
もうすぐ日も暮れ、皆が合宿所に帰宅する。
それまでにどうしても確かめたい事があった。

「美男も最近は男の色気が出て来たなぁ〜。さっきの写真、凄かったぞ!」
「…ま、一応これでもA.N.JELLのメンバーだ。女に不自由してねぇもん」
「かーっ、ニクいねぇ!妹はあんなに純情なのに、兄貴はとんだ小悪魔だ!
…でもスキャンダルには気を付けろよ?今はアルバム発売前の大事な時期だぞ」

目的地までの道程、馬淵が美男の写真撮影を振り返り
ハイテンションな物言いではしゃぐ。
それに冗談を返しただけだったが、最後は真面目に
注意されてしまい肩を竦めた。

「分かってるって、嘘だよ。彼女なんか居ねぇから大丈夫」
「ならいいけどな?…はぁ、柊はNANAとの事を隠してるし、勇気も何だかんだで
仕事一筋に生きてるから…本当は堂々と青春を楽しませてやりたいけどよ〜…」
「人気商売だ、その辺は皆割り切ってるよ。不器用なうちのリーダー以外はな」

マンションのエントランス前に停車した馬淵は、およよ…と腕に
顔を埋め泣き真似して見せた。
面倒臭いと思いつつも彼の肩を叩き、そこまで気を揉む必要は無いと告げてやる。

「…美男、お前は本当にいい奴だなぁ!」
「はいはい、じゃあまたな。帰りはタクシーで帰るから迎えは不要だ」
「おう、あばよ!」

すぐに復活し姿勢を正した彼から離れ、シートベルトを外し小さな
ショルダーバッグを持って車を降りた。

「…しっかし、まぁ…高そうなマンションだなー…
さすがは元超人気歌手ってか」

マンションの外観を眺め、口笛と共に皮肉めいた独り言を漏らす。
中の住人をインターホンで呼び出し建物内への立ち入りを許可して貰うと、
立派なロビーを横切りエレベーターへ乗り込んだ。
鏡に映る自身の姿を確認し、髪の乱れなどを整える。
さすがにこのマンションでカジュアル過ぎる服装は悪目立ちするだろうと、
合宿所を出る時に少しフォーマルな黒のジャケットを白いシャツの上へ羽織り、
綺麗目なインディゴブルーのデニムと、有名ブランド製スニーカーの黒を合わせた。
427君に贈るセレナーデ 21:2012/06/23(土) 00:51:40.09 ID:6B1CYFHc

エレベーターを降りて歩くこと数十歩、部屋へ辿り着き再びインターホンを鳴らす。

「…いらっしゃい、美男くん」
「…どーも」

中から顔を出したのは、廉の母…水沢麗子。
一応軽い会釈で挨拶を交わし、そのまま中に入り広いリビングへ通された。

「紅茶でいいかしら?」
「あぁ、別に遠慮なく」
「そういう訳にはいかないわ、大事なお客様だもの」

アイボリー色の大きなソファに腰掛け、キッチンで紅茶の準備をする麗子を眺める。
以前にも増して顔色はあまり良くない。
ピンクベージュのシルク地ガウンを纏う身体は細く、
力いっぱい抱き締めれば折れてしまいそうなほど華奢だ。

「…あんた、ちゃんと食ってんの?」
「…えぇ、最近少し食欲が無いだけで…順調よ。
それに今日は久し振りに美男くんが来てくれたから、元気になれそう」

この部屋を訪ねたのは、今回で二度目になる。
最初は亡き母の手紙を読み、妹から全ての経緯を聞いた後だった。
喉の腫瘍を取り除く手術を受け、リハビリ真っ最中だった麗子から
涙ながらに、ここで謝罪を受けた。

「前は…あんたがワンワン泣いて、ちゃんと話も出来なかったしな」
「…あなたが私を赦してくれると思わなかったから…」
「美子がもういいっつってる話を、兄貴の俺がわざわざ後から
引っ掻き回すのは筋違いだろ?…いずれは皆、親戚になるかも知れねぇんだし」

決まりが悪そうに曖昧な笑みを浮かべる麗子の居るキッチンへ行き、
ティーセットとマカロン入りの皿を載せたお盆を持つ。
困惑気味の彼女を尻目に、客の立場であるのも構わず
リビングまでそれを運んでテーブルへ並べ、勝手に食べ始めた。

「…随分、大人ね」
「大事なモンを守る為なら、男は腹括って生きて行けんだよ。
俺には美子が居たから、今までも…これからも頑張れる」
「…ふふ…。あなた、顔は母親似だけど真っ直ぐで芯が強い所は、
拓海さん…お父さんにそっくりだわ」

428君に贈るセレナーデ 22:2012/06/23(土) 00:54:35.88 ID:6B1CYFHc

麗子はクスクスと可笑しげに笑いながら、懐かしいものを見るような視線を美男に送る。

「俺に惚れるなよ、話が余計ややこしくなるぜ」

香り立つダージリンティーを飲み、口角を吊り上げニヤリと自信満々の笑みで言えば、
麗子はとうとう吹き出した。

リハビリを続けても、老人のような掠れ声になってしまった彼女。
歌手として生きるのは難しく、世間には事実上の引退を宣言した。
ホテル暮らしをやめて此処に居を構え、元々趣味で書いていた小説を出版したところ
好調な売れ行きとなり、最近は作家への転身を本気で考えているようだ。
廉が人々の心を打つ歌詞をスラスラ書けるのも、彼女の隠れた文才を
受け継いでいるからかも知れない。

「ところで、今日は一体どうしたの?」
「…あぁ、あんたに聞きたい事があってな」

笑いを収めた麗子から切り出され、美男はティーカップをテーブルへ置いて
本題を話し始めた。

廉が朝から不機嫌で、美子と口論になった事。
毎年、今日を迎えると必ず荒れてしまう不可思議さ。
それらの原因を突き止め、妹と仲直りさせてやりたいという思い。

一部始終伝えて彼女を見遣ると、思い当たる節があったのか神妙な面持ちで口を開く。

「…そう、ね…今日はあの子にとって最悪のタイミングでしょう…
…私が家を出た日だもの」
「…やっぱりな」

予想に違わない答えを受け、無表情で腕を組みソファの背凭れに体重を預ける。
あの廉が混乱する原因など、妹絡みか母親の件くらいだろうと最初から睨んでいた。

「…まだ、赦される訳無いわよね。あの子を深く傷付けてしまったんだから…」
「……俺には妹が居たけど、アイツは美子に出逢うまで…ずっと孤独だったはずだ。
それがどれほど辛いか、今のあんたには分かるだろ」
「…いくら謝っても足りないくらいだと思ってるわ。どうしたら廉の心を癒せるのか、
ずっと考えて…こんな物を書いてみたんだけど…」

太股辺りで弛んだガウンの生地をギュッと強く握り締め、
俯いたまま肩を微かに震わせていた麗子。
しばらくして顔を上げると、ソファ横の戸棚から原稿用紙の束を取り出し、
美男に渡す。

「これは…」
「…私が小さい時から欠かさず書いていた日記をまとめたものよ」
「…俺が読んでもいいんだな?」
「むしろ、美男くんに感想を聞いてから…没にするかどうか考えるつもりだったの」

重要な役回りを任され、美男は背筋を伸ばし神妙な面持ちで頷き、その一頁を捲った。
目を通していくに従って、悲痛な運命に翻弄された彼女の生い立ちを知る事となる。



429君に贈るセレナーデ 23:2012/06/23(土) 00:57:30.30 ID:6B1CYFHc
━━━

麗子は、物心ついた頃から実の母親にずっと虐待されて育った。
肉体的な苦痛を与えるものもあったが、一番はネグレクト…育児放棄だ。

父親は誰なのかも分からない。
母子家庭で余裕がなかった為に、夜の仕事をする母親。
腹を空かせて待つ幼い麗子を家に放置し、毎晩違う男と飲み歩いていたという。
母親から充分な愛情を得られなかった所為で、根深く心に傷が残った。

そして中学校を卒業してすぐ、奔放なその母は恋人である若い男と心中してしまい、
麗子はとうとう独りぼっちになる。
高校にも行かず、悪い仲間たちとつるんで夜の街を彷徨うようになった、ある日。
ストリートミュージシャンとして路上でギターを弾いていた、美男と美子の父親…
桜庭拓海と出逢った。

“その音色は奇跡みたいに澄んだオーラを放っていて、私の荒んだ心は救われた”

“たった一度聴いただけで、訳も無く涙が溢れて止まらない”

綴られた心情を読み上げ、美男は小さく息を吐いた。

「…父さんとは、こんなに前から…」
「…えぇ。最初に逢ったのは私が17歳の時よ。
彼は小さい頃から音楽の世界を夢見ていたんですって」


拓海の演奏に衝撃を受けた麗子は、その日を境に悪友らと離れ、
彼のファンとして生まれ変わる。
昼間は真面目に働き、夜は定時制高校に通って勉強に励んだ。
その傍ら、拓海がライブを行う日はどうにか時間を作り、足繁く通った。

次第に彼の演奏に合わせて歌いたい、歌手になりたいという欲求が芽生えた麗子は、
持ち前の意地と根性で努力を重ね、定時制高校を卒業して間もなくオーディションに合格し、
歌手デビューを勝ち取る。
同時期に、人気ストリートミュージシャンとして巷で話題だった拓海もまた、
別のレコード会社から誘われ…やがて作曲家への道を歩み出した。

「拓海さんと私は同い年で、お互い夢を追い掛ける仲間でもあったわ。
…私はその頃からずっと、彼に恋をしていたんだけどね」

“拓海さんは私の事、今は友達としか思ってないみたいだけど、
私の声は好きだって言ってくれた。
もっともっと頑張って有名になれば、いつか振り向いてくれるかも知れない。
この声は、私の生きる希望だ”
430君に贈るセレナーデ 24:2012/06/23(土) 01:02:07.77 ID:6B1CYFHc

厳しいレッスンやデビュー後のハードスケジュールをこなし、
歌手としての人気を確立しようと奔走する毎日。
拓海もまた、作曲家としての才能をどんどん開花させていった。
いつしか彼の作る歌でデビューした歌手は必ず売れる、というジンクスが
芸能界全体に知れ渡るほどに。

しかし、己が所属する事務所の社長と拓海の間で、音楽に対する方向性の違いから
些細な言い争いが生まれ、やがてそれは大きな亀裂となった。
拓海の作る歌を唄いたいという望みが、一気に遠退く。

“社長から、もう二度と拓海さんに会うなと言われた。
一時は歌手を辞めようとも考えた。だけど、どうしても夢を諦め切れなくて。
事務所を移籍しようにも、社長の権力は絶対的で…どうする事も出来なかった”

当時の芸能界で絶大な権力を誇っていた社長には逆らえず、麗子は泣く泣く
拓海と会うのを控え、思い入れも薄い歌を唄い続ける。
拓海もまた、社長の圧力により活動の幅を狭められる事態となったが、
彼を助ける術は見付からないまま…時だけが過ぎた。

“私の人気が完全な安定期に入った、25歳の夏。
新人オーディションに合格した一人の少女が事務所にやって来た。
桐嶋沙織さん、19歳。明るい笑顔が特徴の彼女。
その歌声は、聴く者全てを魅了する…まさに天使の歌声だ”

“レッスン場に現れた沙織さんは、とても人懐こくて笑顔が可愛い女の子。
兄弟の居ない私にとって可愛い後輩であり、いつしか妹のような存在になっていった”

デビューを控えた沙織の面倒を見る内、周囲から姉妹と間違われる程の仲となった。
…だが、楽しい時間はあっという間に終焉を迎える。

拓海が作曲した歌を唄う歌手のライブを、たまたま観た沙織。
彼の音楽人としての才能に惚れ込んだ彼女は若さゆえ、あっさりと事務所を辞め
身一つで拓海の元へ飛び込んでいったのだ。
彼に対する麗子の、並々ならぬ想いを知らなかった所為もある。

“拓海さんもまた、沙織さんの天使の歌声に心を奪われたのだろう。
彼女はそれっきり、事務所に戻らなかった。
私の歌は努力の結晶だけど、彼女の歌は天賦の才能。
初めて聴いた時から、本当は気付いていた。勝てるはずがない、と…”

その後、プライベートで沙織と会う機会が出来た時。
彼女と拓海が愛し合っていると知らされ、麗子は絶望する。

自棄になり、毎晩夜明けまで酒に走る日々。
そんな状態を見るに見かねた社長から、廉の父親である桂木氏を紹介された。

著名な指揮者として世界のオーケストラを率い、勇ましく舞台に立つ彼。
元々麗子のファンだったらしく、初めて会った日から積極的にアプローチを受けた。
失恋の傷を抱える隙間に入って来た彼の強引さに押され…
そのうち、酔った勢いもあり一夜を共にしてしまう。

431君に贈るセレナーデ 25:2012/06/23(土) 01:04:26.20 ID:6B1CYFHc

“拓海さんを奪われ、自暴自棄になっていた私は愛してもいない男性と関係を結び、
数ヵ月後…お腹に小さな命を授かった”

“中絶を考えていると打ち明けたが、世界を飛び回るほど有名人の彼は世間体を考え、
決して許してはくれなかった。
溜め息を吐きながら、さも面倒臭そうに「仕方無い、籍を入れよう」と言い放った
彼の言葉が、耳に焼き付いて離れない。
こうして、愛のない結婚生活が始まった”


麗子の結婚はイメージアップに繋がる、と社長の画策により大々的に報じられた。
天才指揮者の妻。誰もが羨むセレブ生活。
次第に大きくなるお腹とは反対に、段々と気持ちが塞いでいく。

ほとんど家にも帰らず、女性の噂ばかり舞い込む夫への愛情など、芽生える余地もない。
初めての出産を控えた麗子を残し、世界中を飛び回る彼を見送る度、
所詮は仮面夫婦なのだと実感する。

“それでも、初めて我が息子…廉を抱いた瞬間だけは、無性に感動を覚えた。
この子を立派に育てなければ。
病室でひとり、そう誓いを立てたはずなのに…”

周囲に子育ての相談を出来る人は居ない。
羨望の眼差しで見られる存在となった今も、麗子はひたすら孤独だった。

幼い時期、母の愛を知らずに育った影響も大きく、我が子をどう教育すれば良いのか、
先の見えない不安が常に付き纏う。
乳飲み子の内は、育児本などで知識を増やして良い母親になろうと頑張ったのだが、
廉が3歳を過ぎた辺りから歯車は狂い始めた。

“悪戯をした事をキツく叱った時。あの子の瞳は怯え、震えていた。
それはまるで、私を拒絶しているような視線で……。
こんなに愛したいと願っているのに、あなたまでこの思いを裏切るの?
気付けば私は、廉に手を上げていた”

泣きじゃくる息子を叩き続け、ふと我に返った麗子は愕然とする。

同じではないか。
娘を産むだけ産んで、気に入らなければ虐待し、勝手に死んでしまった…
最低なあの母と。

以後、廉に接するのが恐くて堪らなくなった。
傍に寄ればまた、手を上げてしまいそうで。
432君に贈るセレナーデ 26:2012/06/23(土) 01:09:14.84 ID:6B1CYFHc

自身の母のようになりたくないと思うあまり、それから間もなく
麗子は廉を避け始めた。
家を空けて夜遊びに興じるのもまた、母と同じ過ちを犯していると知りながら。
ちょうどこの時期、口煩かった事務所の社長が事故で急逝し、
影響力のある人物が居なくなり好き勝手に振る舞う事が出来るようになったのも、
麗子の暴走に拍車を掛けた。
毎晩、芸能界の後輩やスタッフらと朝まで飲み歩く、堕落した生活。

“息子を愛したかった。

だけど、愛し方が解らない。

愛された記憶なんて、何処にもなかったから…”

そして、身も心もボロボロに傷付いた己へ止めを刺したのは、
久し振りに連絡を寄越した沙織の、妊娠報告だった。

昔よくレッスン後に二人で通った喫茶店の中。

麗子の向かい側の席で、一緒に呼んだらしい拓海にピッタリ寄り添いながら、
最愛の人の子を身籠ったと話す彼女。
出産後に落ち着いたら籍を入れ、いよいよ彼の歌で歌手デビュー出来そうだ。拾ってくれる
事務所が見付かった…と、沙織は嬉しそうに笑った。

その、幸せに満ちた微笑みは残酷なまでに美しく、目の前を真っ暗にする。

“喉から手が出るほど欲しくて堪らなかったものを、彼女はいとも簡単に手に入れた。
悔しい。悔しくて悲しくて、辛くて…心が死んでしまいそう。
このまま、二人を幸せになんてさせない。

もう、何もかも…どうにでもなればいい……”

こうして心に“鬼”を宿した麗子は廉を捨てて家を出ると、憎き二人の中を引き裂いた。
麗子との仲を誤解し姿を消した沙織を呼び戻すべく拓海が作った、渾身の名曲
“Miss You”も、隙を見て奪い取った。

…結局、彼は一度も麗子を振り向かないまま病気を患って息を引き取り、
沙織もひとり、寂しくこの世を去った。

残ったものは、印税による莫大な財産と、言い様のない虚しさだけ。


433名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 01:17:21.12 ID:6B1CYFHc
今日はここまでです。
非常に鬱展開ですみません…。

最終回だけでいきなり良い人になった廉母にあまり納得がいかず、
自分なりの解釈と想像でこんな感じになってしまいました。
彼女の過去はここで終わりですが、お話はまだしばらく続きます。
お付き合い頂けると嬉しいです。
(次回はちゃんと廉さんとか出て来る予定ですw)
434名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 05:19:38.15 ID:2CjDf1TG
>>433
なんかね、GJと言う言葉では言い表せないですね
泣きながら読みましたよ
親から子へと愛情を注ぐことで始めて子も誰かを愛することが出来るんだな
廉は親の愛情を受けてないから、美子を愛し始めたことがなかなか自覚できなかったのかな
ドラマはラブコメだったけど、こういう作品を読ませていただくと
「美男ですね」って本当に奥が深いお話だったなと思います
ありがとうございました。長々とすみません
435名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 09:19:27.24 ID:Cm3hcqfE
>>433

…GJ!

続きが気になっていた一人です。なんかはしゃいで全裸待機してたの恥ずかしくなる程の切ない良作。

前作『星をさがして』も大好きで今も繰り返し読んでます。

愛と絶望に生きた水沢麗子の人生…胸がかきむしられるようです。
続きを待っています。
436名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 22:49:08.42 ID:xFaCQxxg
>>433
GJ!最初に柊NANAのお話が入ってて萌えましたww
しかし水沢さんも、色々と苦しんだだろうから…切ないです。
捏造だなんてとんでもない。願わくば、廉パパがもっといい人だったらなと思ったけど。
廉さんを、この日のトラウマから解放させてやってほしい!!
美子がキャンプから帰ってきても無事でありますように。。
437名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 08:12:18.00 ID:y4J6FTib
>>433
GJ!!!
すごい…読みふけってしまいました
水沢さんの壮絶な過去と、それに繋がる廉、美男美子の過去がとても切ないです
続き楽しみに待ってます!
438名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 20:26:57.56 ID:huHNONJg
ちょっと久しぶりに来たら良作が!
皆さんありがとうございます〜w

>>418
やっぱり柊さんは嫉妬してなんぼの人だ!(ほめてるw)
NANAもこういう嫉妬うれしいだろうな〜そしてどんどんエロくなるんですね
おしぼりつくってあげたり、とても気遣いがすばらしい美男に感心しました

>>433
すごいw こういう経緯ほんとにありそう!
放送時間足りなかったけど、こんなところまで本当は描写してほしかったから
自分の頭の中で補完して、これからはリピしますw
廉美子だけじゃなくて、美男も水沢さんも幸せになってほしいな〜
続きもゆっくり待ってますw
439名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 17:25:29.35 ID:OQ6cumE3
>>433
続き待ってました!
ゆっくりでいいので続き待ってます
440名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 06:20:00.30 ID:sKy6a6A4
>>433
続き気になる〜wktkして待ってます

ほんの暇つぶしに廉美子投下します
エロあり?ちょっと微妙ですが、SM風なので嫌いな方はスルーでお願いします
441望み?1:2012/07/01(日) 06:21:20.92 ID:sKy6a6A4
「う…あぁ…」
頭の芯で疼く微かな痛みで、廉の意識は覚醒し始める。
異常なほどの倦怠感と、体の節々の痛み。
(風邪でもひいたか…)
寝返りを打とうと身じろいだ時、自分の体が自由に動かない事に初めて気付いた。
(あれ?なんだ…これ)
重い瞼を持ち上げ、自分を見下ろし、そのありえない状況に廉は目を剥いた。
「どういう事だよ、これ…」

石造りの暗い部屋に跪き、両手は高く掲げられ、手錠のような拘束器具で縛られている。
上半身には何も身に付けておらず、足も裸足のままだ。
さらに足元を見ると、両足首には足枷が嵌められ、それぞれに重い鎖が繋がっていた。
「何だよこれ、おーい、美子っ!誰かいないのか?」
何かの冗談にしては質が悪い。
廉は両手に嵌められた拘束器具をガチャガチャと揺らし、声を張り上げて助けを求めた。

「気が付きましたか?」
聞き覚えのある声が聞こえて、廉はハッと視線を上げた。
自分に向けられたスポットライトの灯りが途切れるあたり。
その暗がりから、美子と思われる女の声がした。
「美子か?一体どうなってるんだ?これはずしてくれよ」
カツン、カツンと踵を鳴らす音が響き、その人物が廉に近づいた。
廉の前に現れた女、それはまぎれもなく美子だった。が…

「お前、何だその格好…。何してるんだ?」
足元から徐々に視線を上げて、美子だと確認してもなお、その現実が信じられなかった。
膝上までの黒革のブーツを履き、黒い革のブラとショーツ、そして手には乗馬用の鞭が。
その格好はまるで…。
「美子、冗談にしちゃやりすぎだぞ。どういうことなんだよ?」
美子はニッコリと微笑んで、廉を見遣った。
「冗談?冗談なんかじゃありませんよ」
そう言うと部屋の隅に垂れる鎖をジャラジャラと引き始めた。
「何する気だ?やめろっ!」
美子が鎖を引くと、それに連動して廉の手首に嵌められた手錠が引き上げられていく。
有無を言わさず立たされ、両腕は高々と持ち上げられた。
「お前、いい加減にしないと本気で怒るぞ!早く下ろせ。なんでこんな事するんだっ」
廉の顔は蒼白になり、瞳の奥では怒りの炎が燃えていた。
442望み?2:2012/07/01(日) 06:22:32.36 ID:sKy6a6A4
「廉さん、これは廉さんが望んだ事なんですよ」
(俺が望んだ?まさか…ありえない)
「お前、何言ってんだ…」
廉の疑問には答えず、美子は手にした鞭をひゅん、と撓らせながら近づいてきた。
「お、おい、やめろ…」
鞭と美子の顔を交互に見ながら、廉は顔を引きつらせた。
「大丈夫ですよ。まだ打ちません。お楽しみは最後に取っておかないと、ね」
美子は鞭の先を廉の首にあて、ゆっくりと下ろしていった。
ひんやりとした革の感触が喉仏から鎖骨を掠め、胸元を通り臍を一周し、下腹部へと下りていく。
こんな状況なのに、廉は思わず息を呑んだ。
微かな刺激がむしろもどかしく、不覚にも廉のものがパンツの中でむくり、と反応した。
「ほら、やっぱり喜んでる」
美子が廉を見上げて微笑むと、羞恥に頬を染めた廉は顔を背けた。
「苦しそうだから、開放してあげますね」
美子はそう言うと、廉のベルトを外し、パンツのジッパーを下ろした。
「やめろっ!やめてくれ!」
廉は下半身を捩って抵抗したが、それも空しく、廉のそれは下着の上からでもはっきりとわかるほど怒張していた。
鞭でその輪郭をなぞると、廉は喉の奥から悲鳴にも似た声を上げる。
「はっぁ…ん、あぁっ…よせっ」
背中をゾクゾクとした快感が走り、廉の体を震わせる。
美子は瞳を爛々と輝かせ、廉の胸に手を伸ばした。
ピンク色の乳首を指先できゅっとつまみ、軽く捻ると廉は全身をのけぞらせた。
「廉さんたら、感じやすいんですね」
邪気のない笑顔で、美子は廉を弄り続ける。
美子の指から逃れようと体を左右に揺らす廉は、眉を寄せ目には涙を浮かべている。
その表情は切なげで、苦痛を感じているようにも、快感に身悶えているようにも見える。
「や…やめ…、ああっ…美子…頼む…」
「もっとですか?」
美子は指先を乳首に押し付けて、ぐりぐりと回転させた。
「ちがっ…はぁっ…んっああっ」
廉はぶるっと体を震わせ、股間のものもビクビクと脈打った。
「ふふっ、可愛い、廉さん。嬉しいでしょう?望みが叶って」
恐怖と快感がないまぜになって、廉の頭の中はぼんやりと霞み始めた。
(俺の望み…だったのか?なんか、そんな気もする…)
廉は考える事が面倒になって、その場の空気に流されつつあった。
撓る鞭を横目で見つめ、恐れを感じると共にそれを待ちわびていたような気すらしてきた。
縋るような視線を美子に向けると、美子は廉の変化をすぐに読み取った。
「思い出したんですね、廉さん」
「あ?ああ、多分…」
廉は何の事か分からないまま頷いた。
「よかった。それじゃあ、ご褒美をあげますね」
(ご褒美?)
期待と不安で廉の喉がごくりと鳴った。
美子は鞭の先端の平たい部分で廉の体をなぞり始めた。
わき腹を撫で、くすぐったさに身を捩る廉を見て楽しそうに笑っている。
脇の下を刺激し、円を描くように胸を擦る。
「はぁ…ん、あっ…美子…美子」
廉の声が湿り気を帯び、哀願するように美子の名を呼ぶ。
次の瞬間…
ひゅん、っと空気を切り裂く音と共に鞭が振り下ろされ、廉の乳首に衝撃が走った。
「あああああーっ!」
443望み?3:2012/07/01(日) 06:23:43.96 ID:sKy6a6A4
「廉さん、廉さん、大丈夫ですか?」
飛び上がった廉は、目の前にいる美子に抱きついた。
「うわっ!美子!あ、あれ?」
「どうしたんですか?なんかうなされてましたけど…」
「え?お前…あれ?」
美子の姿を上から下まで見ると、Tシャツにコットンパンツ、その上にエプロンといういつもの朝と変わりない格好だ。
(な、なんだ、夢か。焦ったー…)
顔を真っ赤に染めて額の汗を拭うと、美子がおでこをくっつけてきた。
「少し熱がありますね。風邪かなー?」
「そ、そうか?そうかも…」
「馬淵さんに連絡して今日は迎えに来てもらいますね。
廉さんはこのままもう少し寝ててください」
美子は布団を廉の肩まで引き上げて、ポンポンと叩いた。

「はぁ〜、まいったな。なんであんな夢見たんだ?」
大きな息をひとつ吐いて、夢を思い出してみる。
『これは廉さんが望んだ事なんですよ』
夢の中の美子の台詞が蘇る。
(ははっ、まさか…。俺あんな趣味ないし……ないよな?)
それでも妙にリアルで快感さえ覚えた夢だった。
(美子のあの恰好、意外と似合ってたかも…。あれ女王様ってやつか?
でもあんな恰好してくれないだろうしな…。って、何考えてんだっ、俺っ)
下腹部に熱いものを感じて、そっと手を伸ばすと、そこはいきり立っている。
(なんでこんなに…。もう、鎮まれって)
なんだか益々熱が上がりそうだったが、あれこれ妄想してしまう廉だった。
444名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 06:26:15.20 ID:sKy6a6A4
以上です
夢落ちでした、すみません
お邪魔しました
445名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 07:01:01.78 ID:HyDdLPk3
>>444 さん 乙乙!

鞭姿の美子・・・想像つかんw
鞭は、柊さんが一番似合いそうな気もしますw
446名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 09:50:05.91 ID:611WLVaB
>>444
GJ!
廉さん…それはきっと廉さんの深層願望だよww
衣装は似合う感じしないけど、美子のS&廉さんMはけっこういけそうですw
447名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 12:15:59.44 ID:JNCNtn/S
>>444
GJ!
M廉さんたまらんww
美子も衣装は着てくれなくても軽い縛りとかソフトなのならやってくれるかもww
448名無しさん@ピンキー:2012/07/03(火) 22:18:37.93 ID:qOpShKVH
柊×沢木を投下します。
>>250さんの柊と沢木がすごく好きだったのでちょっと書いてみました…
少し似たシーンもありますがオマージュだと思って頂ければ幸いです。
エロあり、本番なしです。
449二人の記念日 1:2012/07/03(火) 22:22:16.87 ID:qOpShKVH
午後2時を回った部屋に西陽が差し始めた。沢木は社長室でひとり静かにその時を待っていた。俯いてソファに座り、用意してきた言葉を頭の中で何度も確認していると、足音が近付いてきてドアが開いた。柊だった。
「来てくれてありがとう」と柊に声を掛けたが、彼は返事をせずにドアの内鍵を回した。二人がこの部屋で会うときはこれがルールだ。
「あのメール、何?」落ち着いた、しかし冷ややかさを含んだ口調で柊は言った。
「書いてある通りよ。もう終わりにしましょう、私たち」柊の顔を見ないで沢木は言った。
「どうして急に…?わからないんだ。弓子はもう俺と付き合うのが嫌なのか?説明してくれないかな」
こんなときでも落ち着いて話す柊のことが好きだったんだ、と思い返して、沢木は喉奥からこみ上げてくるものを堪えながら淡々と続ける。
「もちろん、貴方のことを嫌いになったわけじゃないわ…でも付き合い始めたときから、いつかは終わりにしないといけないと思ってた。私と貴方じゃ住む世界が違うもの。社長にも顔向けできない」
「最初から決めていたから、1年経った今日別れることにしたってこと?納得いかないな…俺の気持ちは無視してもいいってこと?」
「…記念日覚えていてくれたのね。私は柊が思ってるよりも自分勝手だし、頑固なの。ごめんなさい。柊には華やかな世界でずっと生きてほしいから、もうさよならしましょう」
450二人の記念日 2:2012/07/03(火) 22:46:16.90 ID:qOpShKVH
「どうしても?」
「...どうしても」
しばしの間沈黙が部屋を包む。その空気に堪えかねた沢木が恐る恐る柊の顔を見ると、
柊は怒っても困ってもいない顔で沢木をじっと見据えていた。
驚いた沢木が目を見開くと、社長のデスクから振動音が聞こえてきた。沢木の携帯電話だ。
取引先との会食を終えた社長からそろそろ電話が来る時間だと思い出して、沢木は急いで立ち上がりデスクに近づく。
と、後ろからグッと手を引かれそのまま強い力で柊に抱きしめられた。
「柊!離して」
「嫌だ」
そのまま彼女が抵抗できないように口を口で塞ぎ、柊は自身のネクタイを外して沢木の両腕を後ろでに縛る。
「弓子が俺と離れたくなくなるようにしてあげる」
そう告げるとまた口付けて今度は舌を彼女の口内に深く差し込み、沢木の舌を追った。携帯電話の着信が切れる。
一瞬のことで拒むこともできなかった沢木は、まさか舌を噛むこともできず、されるがままだった。次第に意識が混濁してゆく。
そんな沢木の反応を見て柊は彼女のタイトスカートをたくし上げ、ストッキング越しの太ももに指を這わせた。
「ダメ!こんなところでやめて...」
体をねじるように抵抗する沢木を左腕で強く抱きしめて、柊はショーツの上あたりのストッキングに爪を立てた。
「おれは今ここで弓子がほしいよ」
音を立ててストッキングに穴を開けると、そのままショーツのクロッチ脇から指を侵入させた。
「やだっ...ダメ...」
尚、抵抗しようとする沢木の口を、柊は再び自分の口で塞いだ。
指はぬかるみを行き来して、沢木の内部をゆるやかにえぐる。
451二人の記念日 3:2012/07/03(火) 22:47:36.75 ID:qOpShKVH
柊の舌と指に翻弄されて立っていられなくなった沢木がよろめくと、それに気づいた柊が彼女を抱きかかえるように一歩二歩と移動してデスクに腰掛けさせた。
「こんなところでダメ…」
理性を繋ぎ止めようとする沢木に
「今更だ」
と答えた柊の指は再び彼女のぬかるみを捉えて執拗に責める。
「はあぁん!」
沢木が思わず声を大きくしてしまったところで突然プルルルル、とデスクの上の固定電話が鳴り響き、二人の動きが止まる。ディスプレイに表示された番号は社長のものだった。
「さっき携帯にも出なかったから今出ないと怪しまれるわ…手を解いて」
涙目で懇願する沢木を、柊はじっと見つめてからクスッと微笑んで受話器を取り、沢木の顔に近づけた。
「…はい、沢木です」
「おお、私だ。you、さっき携帯にも電話したのにどうして出なかったんだ?」
「それはあの…くっ…はぁっ…」
柊の空いている手指は沢木の敏感な突起をそっと擦り上げている。
「ん?どうしたyou?様子が変だぞ?何かあったのか?」
「いえっ…あっ…何でもありまっ…」
快感を堪えながら必死で受け答えする沢木に柊が
「頑張ったね」
と囁いて受話器を自分の耳に当てた。
「社長ですか?柊です。お疲れさまです。俺がさっき事務所に帰ってきたときから、実は沢木さん具合が悪そうで。ソファで休んでてもらいました。熱もあるみたいだし早退させてあげられませんか?俺今日はオフなので車で送ります」
「Oh!そうだったのか、それは大変だ。ぜひ今日は休むようにと伝えてくれ。悪いな、柊。私はこれから別の打ち合わせが入って戻れそうにない。頼むぞ」
電話を切った柊が沢木の腕の拘束を解き、
「これで今日はもう誰にも邪魔されないよ」
と告げると、沢木はキッと睨み彼に平手打ちをした。柊はそのまま俯いた。沢木の目から涙が溢れる。
452二人の記念日 4:2012/07/03(火) 22:49:12.51 ID:qOpShKVH
「どうして、どうしてわかってくれないの…終わりにしたいって言ってるじゃない!」
柊を殴ったことで感情のダムも決壊したように肩を震わせながら泣きじゃくる。
顔を上げた柊はそんな沢木の正面に立ち、彼女の顔を覆う手をどけた。
「弓子、聴いてほしい。俺は弓子に物分りのいい恋人でいてほしいなんて思ってない。俺の前で優秀な秘書でいなくていい。もっと甘えたり駄々をこねてくれればいいんだよ。
1年付き合ってきて、何度となく思ったんだ。きっと弓子は自分と俺との立場の違いに戸惑ってる。自分の方が年上だからってしっかりしようとしてる。
恋人も人付き合いだから互いに気遣うことも大事だけど、俺はそんなに信用できないのかなって寂しく思うこともあったよ。
住む世界が違う、なんて言って簡単に線引きしないでくれ。今日だって俺は自制がなくなるくらい弓子のことを愛してるのに…終わりにするとか、決めないでくれよ」
年下の恋人が真剣に思いを打ち明けてくれる姿に、沢木の目から更に涙が溢れ出す。柊はそれをそっと拭う。
「社長には、きちんと話そう。弓子が良ければ明日だっていい。それくらいの覚悟は付き合い始めた頃からずっと持っていたよ。そうでなきゃ事務所の社長秘書と付き合ったりなんて、俺はできない」
それほどまで自分を思ってくれていたなんて。
沢木は柊のまっすぐな言葉の一つ一つに胸がいっぱいになる。
「本当にわたしでいいの?柊…」
「華やかな世界か…弓子が俺の前からいなくなったら、俺から見える世界は霞んでしまいそうだな」
「バカ」
ぷっと吹き出した沢木に
「ようやく今日初めて弓子の笑顔が見られて嬉しいよ」
と柊は彼女の頭を撫でる。
「ほんとバカよ…社長に嘘ついて人を病人にしちゃうんだから…明日が大変じゃない」
「俺も今日はもう仕事ないから一緒にゆっくりしようよ…さっきの続きもね」
「だからここは嫌だってば!…柊の部屋に行きたいな…」
「いいですよ、お姫様…その代わり覚悟しといてね」
もごもごとした小さな声で甘えた恋人がかわいくてついいじめたくなってしまう柊に、沢木は今日三度目の「バカ」を言ってから口付けた。
453名無しさん@ピンキー:2012/07/03(火) 22:51:40.02 ID:qOpShKVH
以上です。
後半はただのノロケっぽくなってしまいました。
お粗末さまでした。
454名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 01:26:36.06 ID:1APR5wZu
GJ!まさかの柊×沢木のお話!!
いきなり別れ話?って思ったけど後半、甘々でイイですねー。
ストッキング破くの、エロくて素敵。
しかし自分以外でこのカプ書いてくれる人がいるなんて…。
前の話を気に入ってもらえて嬉しいですw
455名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 16:21:55.97 ID:1ANLB7AK
柊さんと沢木さんって、初出の時は「おお、そうきたか〜」と思ったけど
何気に年齢的にもビジュアル的にもアリですよね
少し年上の美人秘書と柊さん、これ以上はないくらいのカップリングでは?
456名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 18:29:15.64 ID:iUjScxUZ
>>453
GJですw
最上級にエロい組み合わせだと思いますw
あの社長の美人秘書なんだから、キャラ的にもおいしい立場だった気がするので、
今となっては、沢木さんの出番とセリフが少なめで残念です
457名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 22:58:46.85 ID:TXpw/nbC
>>453です。
みなさまありがとうございます。
>>454さんは>>250さんでしたか!
わざわざありがとうございます!嬉しいです!

このカプ憧れてましたが、なかなか上手くまとまりませんでした…力関係?が見えずで…
今後も柊×沢木のお話が増えますように。
458名無しさん@ピンキー:2012/07/06(金) 20:21:38.87 ID:O3vo1bBx
夏ですねw 七夕ですねw というわけで、季節物、書いてみました。
『美子がアフリカに行って、約一年経った七夕のころ』
なので、日にち的に今日くらいの設定です。 投下します。

廉×美子 エロあり
459アフリカの空に架かる天の川 1:2012/07/06(金) 20:23:32.33 ID:O3vo1bBx
アフリカ大陸の某国にて。
美子は、ボランティアとして滞在している宿舎の庭で、満天の夏空を見上げていた。
「明日、7月7日…七夕だぁ…」

もう1年近く経った…と考えると、本当にあっという間だった。
去年の9月末に、ボランティアとしてこの地にやってきて、シスター時代の先輩や
現地のスタッフと共に、必死で活動してきた。
慣れないながらに少しずついろいろなことを覚え、現地の人々にも受け入れられ
交流も増えた。今は、毎日がとても充実している、と言っていいだろう。

でも、同じくらい寂しさも日に日に募っていく。
「廉さん…逢いたい…」

コンサートでの大胆な告白で美子を一旦引き止めた廉は、結局、既に決まっていた
アフリカでのボランティアへ、「待ってる」と言って送り出した。
廉本人もA.N.JELLとして、曲の製作やライブ、TV等への出演を精力的にこなして
いるようで、メールからは、以前にも増して忙しくしている様子が伝わってくる。
もちろん、メールとともに写真も送られてくるし、たまの電話で声も聞ける。
それは、毎回とても心待ちにしているのだが、実際に逢えるわけではない。

「でも、まだ1年も経ってない…」
当初から、最低2年以上のボランティアと決めていたので、後1年は帰国できない。
(廉さんもがんばってるんだし、私がここで落ち込んでちゃだめだよね…
七夕の、織姫と彦星もこんな風に会えないんだ。)
天の川のように連なる星空を見つめて、美子はため息をついた。

翌朝。
美子はボランティアスタッフ数名と共に、近くの街まで買いだしに来ていた。
商店街の一角に車を停めて降りると、その脇にある、大きな街からの定期バスの
ターミナルで、なにやら数人がもめているのに気がつく。

「観光客かな?こういう小さな街に来るのは珍しいよね。客引きが群がってるよ。」
「本当ですね。どんどん人集まってきちゃってますけど…大変そう。」
美子たちがその場を離れようとしたとき…
460アフリカの空に架かる天の川 2:2012/07/06(金) 20:24:23.15 ID:O3vo1bBx
「くそっ!誰か英語できるやつ、いないのか?!」
聞き覚えのある声に、思わず足が止まる。
「おい、こら!俺に触るな!引っ張るな!」
慌てて美子が人ごみをかきわけると、客引きにもみくちゃにされている廉がいた。

「廉さん?! うそ…どうしてここに?」
「あ、美子! よかった。こいつら、なんとかしてくれ!」
スタッフと共に、周りの客引きから廉を引き離して、改めて美子は呆然とする。

「びっくりしました…どうして、ここにいるんですか?」
「次のアルバムのレコーディング、内緒にしてたけど、今回はロンドンだったんだ。
予定より早く終了したから、少しだけオフもらって、アフリカまで来た。」
「連絡、くれれば良かったのに…」
「お前を驚かせてやろうかと。」
「驚かせすぎです!」

慣れないアフリカに急遽やって来て、宿泊先等、予定が全くたっていなかった廉を、
美子はボランティアスタッフの事務所へ連れていくことにした。
数名の日本人スタッフの中には、当然、A.N.JELLを知っているものもいて、現れた
廉に驚愕していたが、以前から美子が話していた『日本にいる大事な人』と聞いて
一様に歓迎して、そのままスタッフの宿舎に泊まれるように準備してくれた。

「やっぱり、暑いんだな…」
ボランティアの仕事に休みを入れてもらい、いろいろ案内することにした美子は、
日差しの強さに辟易する廉に、笑顔で振り返った。
「昼間は暑いですけど、夜はけっこう冷えるんですよ。私は毎日のことだから、
暑いの慣れちゃってますけど、廉さんにはつらいですよね?」
「まあ、暑いのは耐えられなくはないけどな。虫とかが寄ってくる方が嫌だ…」
「そうでしたね…今からサバンナの方とかも廻りますけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ!」
「人懐っこくて寄ってくる動物もいますよ?キリンとかシマウマとか。」
「そ、そうなのか?あ、いや大丈夫…のはずだ。」
「何かあったら、言ってくださいね。」
「…お前、俺のこと馬鹿にしてるだろ?」
「してませんよ〜」
461アフリカの空に架かる天の川 3:2012/07/06(金) 20:25:26.39 ID:O3vo1bBx
こんな以前通りのやりとりも楽しくて、美子はうれしくてはしゃいでいた。
でも…

「廉さん、明日ここ出るんですね…」
「ああ。元々、予定外のオフだからな。レコーディングの都合で、もう一度
ロンドンに戻って、柊たちに合流しなきゃいけないんだ。ロンドンからここに
直行便飛んでないし、少し手間取ったから、結局一晩だけになっちまった…」
(もう帰っちゃうんだ…)
横を歩く廉の顔を見つめて、美子の心はざわついた。

その日の夜。
スタッフや地元の子供たち総出で廉の歓迎会が開かれ、盛り上がって終了した後、
二人で庭に散歩に出ることにした。

「今日も星がきれいです。日本よりも空気が澄んでて、はっきり見えるんですよ。」
「そっか。月が大きいのはよくわかるな。」
「一番大きな星は、ここにありますけど。」
美子が胸元のペンダントを振ってみせて、廉も笑顔になる。
廉と美子は、庭の端に座り、夜空に想いを馳せた。

「今晩は七夕ですね。たぶんあれ、天の川です。」
「アフリカに天の川があるのか?天の川は、日本の空のものだろ。」
「いいんです!今、一緒に見てるのが天の川なんです!」
「じゃ、そういうことにしといてやる。天の川の端かもしれないしな、あれ。」
(…七夕と同じ…明日には廉さんはいない…もう、一緒には見られないんだ…)
夜空に顔を向けたままの美子の頬を、涙が伝っていく。

「織姫と彦星は…七夕にしか会えないんですよね。なんか…寂しい…です。」
「美子…泣いてるのか…?」
「すみません…自分で決めてアフリカまで来たのに…ずっとずっと、廉さんに
逢いたくてたまらなくて…寂しかったんです。今日、逢えてすごくうれしくて…
だから、よけいに明日からが寂しい…」
廉は、美子の手を引き寄せると、すっぽりと抱きすくめた。
462アフリカの空に架かる天の川 4:2012/07/06(金) 20:26:33.82 ID:O3vo1bBx
「それは俺だって一緒だ。寂しいし逢いたかった…だからオフ作りたくて、
レコーディングも集中して早く終わらせた。どうしてもここに来たかったんだ。」
「そうなんですか?」
「当然だ!じゃなきゃ、たったの1泊2日でこんなとこまで来ないぞ。」
「…うれしいです!廉さんにそんな風に言ってもらえるの…泣いてちゃだめですね、
私…『明日から逢えない』よりも、『今、逢えてる』ことの方が大事ですから。」
わざとしかめつらをしてみせた廉は、美子の言葉に頬を緩めた。

「その方がお前らしいな。織姫と彦星は1年に1回しか逢えないんだろ?
でも俺たちは違う。お前が日本に戻ってきたら、いつだって…毎日だって逢える。
だから、それまでここでがんばれ!俺だって…美子が美男だったころのA.N.JELLに
負けるわけにいかないからな。誰にも文句言わせない、すごいバンドになってやる!
そのために俺も柊も勇気も、もちろん美男だって命かけてやってるんだ。」
「はい、がんばります!」
涙ぐみながらも笑顔を見せた美子に、廉はそっと口付けて頭を撫でた。

美子の肩を抱き寄せて、しばらく星空を見上げていた廉が、少し身震いする。
「なんか、寒くなってきたな。夜は冷えるって本当なんだな。部屋戻るか?」
手を繋いだまま宿舎に入り、上階の美子の部屋へ送るために、廉に用意された
ゲストルームの前を通り過ぎようとした時、美子の足が止まった。

「あの、廉さん…まだ今、7日ですよね?」
「ああ、22時くらいだな、今。」
腕時計を見た廉を、頬を染めた美子がしっかりと見据えた。
「七夕だから…今はこの1日しか逢えないから…もっと廉さんといてもいいですか?」
「深夜の12時…七夕が終わるまでってことか?」
「違います。明日、廉さんが帰るまでずっと…一緒にいさせてほしいんです。」
驚いて目を見開いた廉の胸に、美子が飛び込んだ。
「…意味わかって言ってるか?」
いつもより低い廉の声が、美子の全身に響く。

(今まで、廉さんとキスしかしたことない…でも、意味はちゃんとわかってる…)
美子は小さく頷いた。
「廉さんの邪魔にならなければ…嫌じゃなければ…」
「嫌なわけないだろ!」
廉は、そのまま美子をしっかりと抱きしめ、ゲストルームのドアを開けて中に入り、
後ろ手でドアを閉めると同時に、美子の唇を奪った。
463アフリカの空に架かる天の川 5:2012/07/06(金) 20:27:39.53 ID:O3vo1bBx
(どうしよう…クラクラする…廉さん…)
廉の舌に絡め取られて…頭の中がしびれて思考がぼんやりと霞みはじめた美子は、
体の力が抜けて立っていられなくなり、廉の胸にしがみついた。

「…んっ…ぅん…」
美子の舌と徐々に漏れるくぐもった声を捉えた廉は、肩と腰にまわした腕に力をこめ
崩れ落ちそうな美子を抱きかかえるように支えると、月明かりが差し込む窓際の
ベッドの端に座らせて、真正面から美子を見据えた。

「本当にいいんだな?」
美子のTシャツの裾に手をかけながら、真剣に見つめる廉…
ちゃんと応えたくて、廉の首に手を廻し顔を寄せ…美子は、頷いて廉の唇を奪った。
そのまま口付けながら、ゆっくりとTシャツをたくしあげて脱がせた廉は、
ベッドに美子をそっと押し倒すと、自分もシャツを脱ぎ捨てて向かい合った。
「…やめてって言っても、やめないからな…」

首筋に舌を這わせ、右手をゆっくり胸の上で滑らせる廉に、急に恥ずかしくなって
逃げ出したい気持ちに囚われた美子だったが、廉の指が胸の先端を掠めた時に
「…あ…」
思わず軽く声をあげて身を捩り、そんな自分に驚いて真っ赤になって瞳を潤ませた。

指が先端を掠める毎に、美子の肌が小さく跳ねて少しずつ上気していく…
廉は、胸を揉みしだきながら先端を指でそっと捏ね、首筋からデコルテへと徐々に
舌を這わせていき、もう一方の胸の先端をゆっくりと舐めて口に含んだ。
「…っ…やん…あ…」
美子の息が荒くなり喘ぎ声が小さく漏れ…廉は舌の動きをさらに強めてみせる。

美子が背中を少し仰け反らせたのを見てとり、廉は胸を揉みしだいていた手を
部屋着のショートパンツと下着の中にするりと入り込ませた。
美子は、目を見開いて思わず足を閉じようとしたが、全く力が入らず…
廉の指が中心を這い、敏感な部分を撫でると、大きく体をびくつかせた。

「あ…廉さ…やっ…ん…」
美子の中にゆっくりと入れた指をくるりと掻き回し、溢れる蜜がくちゅくちゅと
音をたてる度に、美子の体が跳ねて、吐息がどんどん荒く激しくなっていく…
初めて見る美子の仕草に、廉もどんどん掻き乱された。
464アフリカの空に架かる天の川 6:2012/07/06(金) 20:29:03.32 ID:O3vo1bBx
「…れん…さ…っあぁ…んぁ…」
何度か廉を呼んだ声がさらにうわずって、美子は体をこわばらせた。
廉はゆっくりと指を抜いて、自分と美子の服を全て脱がせて避妊具をつけると、
ぼんやりと自分を見上げる美子の肩を抱き、額を寄せた。

「…怖いか?」
怖いとも怖くないとも返事のできないまま、自分をただ見つめるだけの美子…
「痛かったり嫌だったら、ちゃんと言えよ?」
「…さっき…やめないって、廉さん言った…」
「…っ…だ、だまれ!」
首まで真っ赤になって慌てて美子の口を塞ぎ、廉は体を起こして、腰を押し進めた。

「…ぃた…ん…っ…」
突き上げられる感覚と初めて感じる痛みに息を詰め、美子はそっと廉を見上げた。
月明かりに照らされて影になった廉の表情は、美子からは窺い知ることが
できなかったが、今は廉と一緒にいられる…自分の全部で感じられる…
そう思っただけで、涙がこみあげてきた。

ゆっくりと奥まで進めた廉は、涙ぐむ美子の瞳に口付けて頬を撫でた。
「痛いか?我慢できなかったら、言えって言ったろ?」
頭を振って、廉の胸に美子が手を添える。
「ちょっと痛いけど、平気です。嬉しいだけだから…」
「…そんな顔するな。日本に連れ帰りたくなるだろ…」
美子の言葉に廉もふいに涙ぐみそうになり…顔を隠したくてぎゅっと抱きしめる。

しばらく美子の頭を撫でていた廉は、意を決して腰を揺らめかした。
美子は表情を曇らせたが、先程までの痛みからは脱したようで、廉は少し安堵する。

「…はぁっ…美子…はっ…」
「…っ…ん…ん…れんさ…れん…ぁん…やぁっ…」
つらそうな声の隙間に、甘い吐息を感じさせるようになってきた美子が愛しくて…
そんな美子の中でまとわりつかれ、自分自身が急かされている気がして…
余裕も冷静さもすぐに失った廉は、腰を強く押しつけて美子を揺さぶった。
「…んぁっ…はっ…く…う…」
奥まで突き上げると、さらに引き込まれる感覚に襲われ、廉は身震いして脱力した。
465アフリカの空に架かる天の川 7:2012/07/06(金) 20:30:21.58 ID:O3vo1bBx
しばらく微睡んでいた廉は、脇のライトをつけると、美子の額をそっとかきあげた。
「美子、日焼けしてるな。」
「はい、そうだと思います。」
「顔とか肩より、胸の方が白いもんな。」
「!」
美子は真っ赤になって胸を隠し、ベッドの端の掛け布団を手繰り寄せようとして、
焦った廉にその手を制止され、じたばたして口を尖らせた。

「おい、暴れるな!」
「ひどい廉さん!ここだと日焼けは仕方なくて…やだもう、すごく恥ずかしい…」
「悪い…でも、いいじゃないか。ボランティアがんばってる勲章みたいなもんだろ?
それに、顔より体の方が白いのは、俺しか知らないんだから。」
「!!!」

真っ赤なまま固まった美子に噴き出して、廉はきつく抱きしめて耳元でささやいた。
「もっとがんばって、真っ黒になって日本に戻ってくればいい。待っててやる!
俺はずっと変わらないからな…美子、愛してる…」
「…はい!…私も愛してます…廉さん…」
頬を染めて頷いた美子に満足した廉は、掛け布団を手繰り寄せて二人で羽織った。
もう一度、美子にそっと口づけ…揃ってゆっくりと眠りに落ちていった。

翌日。
ロンドンへ戻る国際線へ乗り継ぐための空港まで廉を見送りに来た美子は、
繋いだ手を離せずに、うつむいてしまった。
「美子、また泣いてんのか?お前が泣いてたら、俺、帰れないだろ。」
「…泣いてません。大丈夫です、がんばれます、私。」
「よし!ちゃんと笑顔で戻って来いよ。それまでに、A.N.JELLをもっともっとすごい
グループにして、胸はって空港まで迎えに行ってやるからな。楽しみにしてろ。」
「はい!」
最後に頬に軽くキスをして、廉は美子からそっと離れると搭乗口へ入っていった。

それから1年後の、2013年9月。
美子は、2年間のボランティア活動を終えて帰国することになった。
帰国のための手続きにとまどり、予定よりかなり遅れて日本にたどりついた美子は
到着ロビーを抜けて廉を見つけると、笑顔で駆け寄った。
「廉さん?!」
「遅ーよ!おかえり。」
「ただいま!」
466名無しさん@ピンキー:2012/07/06(金) 20:32:41.63 ID:O3vo1bBx
>>465
以上です。
本編ラスト『空港お迎えシーンの廉さんに「お帰り」以外のセリフがあった』と
以前エキレポで見たことがあるので、それ、使ってみました。
『アフリカにお出かけ廉さん』設定を入れるなら、せっかくなので、
『サバンナで動物に追いかけられる廉さん』とかも書きたかったんですが、
アフリカって実際どんななのか、よくわからなくて断念…ww
467名無しさん@ピンキー:2012/07/06(金) 21:15:45.87 ID:z1Zf1t+y
>>466
GJ!
七夕の夜に結ばれる二人…ロマンチックだなぁ…
しかし廉さん、美子の事になると行動力半端ないねww愛の力だ。

動物に追いかけられる廉さんwww 想像するだけで笑えますね。

素敵な作品ありがとうございました!

468名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 09:30:42.21 ID:zGk05Bvb
>>466
GJ!アフリカでの七夕…素敵ー!
廉さんが終始優しくて、かっこいいっ!!
ドラマ本編の、素敵な補完ストーリーになってますね。
そうか、あの空港の場面で既に二人は深い仲だったのね…ってw
469名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 23:13:32.72 ID:JzZAQ+oN
>>453
遅くなりましたがGJ!
この組み合わせは大人な雰囲気があっていいですよね
後半の甘さも素敵です

柊×沢木でしっとりとエロいの書いてみたいけど筆力がないわ

>>466
七夕の夜、ロマンチックでGJ!
日焼け指摘されて恥ずかしがる美子が可愛いw
アフリカで結ばれて、帰国して、ただいま!って言った時の
美子の気持ちとか想像したらなんだか胸熱w
470名無しさん@ピンキー:2012/07/08(日) 05:49:40.15 ID:PNBUiwNI
>>466
GJ!美子も可愛いし、廉さんが漢ですね。

来年の夏には2人再会なんだね。
七夕と絡めるなんてロマンチック。
サマーバレンタインって感じ?
471名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 23:34:08.31 ID:4XCQ5k2n
>>433です。
皆さん、ご感想ありがとうございます!すごく嬉しいです。
おかげさまで、遅筆な自分もペースアップする事が出来そうです。
そして良作続きで嬉しい限りです。このスレが賑わってると
ウキウキしますww

今から廉美子長編の続きを投下します。今回もエロなしです。
相変わらず事件を起こすのが好きで…廉さんファンの方には
本当に申し訳ないです…。

前回までの更新
前スレ
458-472

現行スレ
>>422-432
472君に贈るセレナーデ 27:2012/07/10(火) 23:40:46.83 ID:4XCQ5k2n
―――

「………」

区切りの良い所まで読み進めて来た美男は、熱くなる目頭を押さえて一息吐いた。

父と母の関係を壊した麗子を、これまで憎んだ瞬間が無かったと言えば嘘になる。
だが、彼女の悲惨な半生を知るにつれ…そんな感情はとうに消え失せていた。
あくまで麗子の視点のみで綴られた過去であっても、紛れもなくこれは真実のひとつ。
廉に孤独を強いた彼女もまた、ずっとずっと独りぼっちだったのだ。

「…これ、少しの間だけ預かってもいいか?」
「え?」
「……アイツらに…美子と廉にも見せるべきだ。
出版するかしねぇかも、決めさせた方がいい」

自分の一存だけでは、この原稿の行く末などとても決められない。
これが世間に知れれば、熱愛騒動からようやく解放された廉は再び、
マスコミに騒がれ渦中の人となってしまうだろう。
それでもいい、自身の出自について公表して欲しいと彼が思うまで、
秘密を預かるつもりだと麗子に説明した。

「…そうね。美男くんに任せるわ」
「……あんたら親子には、もっと話し合う時間が必要だな。
トコトン気が済むまでお互いの考えを言い合って、ぶつかっていくしかねぇよ。
…あんたも廉も、ちゃんと今を生きてんだから」
「……!」

自分たちの両親は既に亡くなっていて、もう会う事も話す事も叶わない。
だからこそ、生きているのに擦れ違ったままの親子を、見過ごしてなるものか。
美男のそんな思いはしっかり伝わったようで、黙って頷く彼女。

「…っと、もうこんな時間か。そろそろ帰らねぇと…邪魔したな」
「いいえ、来てくれて本当にありがとう。気を付けてね」

ふと、腕時計の針が予定していた時刻より進んでいるのに気付き、
美男は原稿用紙を鞄に入れて麗子に会釈をしてから玄関へ向かう。
見送りたい、と自身の後に続く彼女を振り返り、その細い肩を軽く叩いた。

「あんたこそ…そんな細っせぇ体のまんまじゃ、
またいつ倒れてもおかしくねぇだろ。もっとちゃんと食え」
「ふふ…何だかあなたの方がよっぽど、私の息子みたい」
「ばーか。本物の息子だって、口には出さなくても同じように思ってるよ。
廉はそういう奴だ」
473君に贈るセレナーデ 28:2012/07/10(火) 23:44:10.04 ID:4XCQ5k2n

他人の美男ですら心配になるほど病弱そうな今の麗子を、廉が気遣わないはずがない。
自信満々にそう告げたものの、彼女の表情は曇ったままで。

「…あの子の事、よく知らないから…母親のくせに、情けないわよね」

その自嘲的な笑顔を見ると居たたまれなくなり、美男は俯く麗子の右手を
両手で包むように握り込んだ。

「…これから知っていけばいい。生きてりゃいくらでも、いつからでもやり直せる」
「…美男くん…」
「俺が絶対何とかする。…だから、泣かずに待ってろ」

面を上げた麗子の瞳にうっすら光るものを認め、美男は力強い言葉で誓いを立てると、
静かに部屋を後にした。

…悲しい涙は好きじゃない。
この目に止まる人々だけでも、必ず笑顔にしてみせる。
母譲りの歌声と、父から受け継いだ揺るぎない自信さえあれば、
きっと何だってやれる。

確かな己の信条を胸に、決意を固めた美男は大切な鞄を抱え、
真っ直ぐ歩き出す。

歌手になり、生き別れた母と妹を引き合わせてやりたいという、幼き日の夢は破れた。
しかし、A.N.JELLを支えてくれる多くの人々と触れ合い、一時は見失い掛けた自分の
居場所も、新たな夢も掴む事が出来た。

そのきっかけを作ってくれた、廉。
かけがえのない妹の、最愛の人。

「…このまんまでいい訳ねぇ…」


474君に贈るセレナーデ 29:2012/07/10(火) 23:47:00.87 ID:4XCQ5k2n

***


ピアノ教室を終え家政婦の車で帰宅すると、リビングから玄関口まで誰かが言い争う声が聞こえた。
そっと足音を立てぬよう慎重に歩を進め、壁際へ身を隠し中を覗く。

『あなたはいつもそう!どうせまた何ヶ月も帰らないつもりでしょ?』
『家を空けてばかりの君に言われたくないな。
…また今日もあの作曲家の所に行ったんだろう』
『…っ…何よ、先に外で女を作ったのはそっちのくせに!』
『私は不倫なんかしていない。君の被害妄想だ』

久し振りに海外の演奏会から帰った父と、珍しく家に居た母が互いを罵り合っている。
遅れて入って来た家政婦は決まりが悪そうに溜め息を吐くと、荷物を取りに車へ戻った。
廉は身動きも出来ず、両親の口論の渦を ただ見守るのみ。

『…また嘘ばかり吐いて…家庭を顧みないあなたが一番悪いのよ』
『結婚したら仕事をセーブしろと言ったのを忘れたか?私の言う事も聞かず…
廉の面倒もまともに見れない君はどうなんだ。…母親としての自覚は無いのか?』
『…別に産みたくて産んだんじゃないわ!あなたが世間体を気にして、堕ろすなって…
責任取るって言ったから、仕方無く産んでやったんじゃない!!』

…もう、やめて。

声にならない声を心中で漏らし、廉は己の両耳を小さな手で塞ぎ廊下に蹲った。
両親が叫ぶ言葉の意味はよく分からないが、自分が喧嘩の原因だという事は理解出来る。
聞きたくないのに、更なる追い打ちが耳に届いた。

『……こんな事なら、あの時堕ろせと言うべきだったか…』
『今更ね。…あの子さえ居なければ、私は…本当に愛する人と一緒になれたのに』
『…もう、終わり…だな』

諦めにも似た父の呟きと、啜り泣く母。
幼い廉の心が凍り付いていく。


ぼくは、いらない子なの?




475君に贈るセレナーデ 30:2012/07/10(火) 23:50:46.42 ID:4XCQ5k2n


「……っ!」

耐え難い苦痛から逃れるよう目を開けると、辺りは合宿所の見慣れた自室。
いつの間にか机に突っ伏した状態で眠っていたようだ。
窓から西陽が差し込み、室内を寂しげな橙色で満たす。
近くの時計も夕刻を示していた。

「……痛ッ…」

朝から集中力を振り絞って取り組んだお陰で、編曲作業は無事終了したものの。
完成した譜面に目を移した直後、頭が割れそうな程ズキズキと痛み、再び机へ額を押し付ける。
悪夢にうなされた所為か全身は汗だくで、寒気すら感じ大きく身震いした。

ひたすら忘れようと、脳内の引き出しの奥に仕舞い込んでいたあれは…
母が出て行く数日前の記憶だ。

「…最悪だな…」

出来上がったばかりの譜面を適当なファイルに挟むと小脇に抱え、
痛む頭を押さえながら立ち上がる。

…ここに居ればまた、悪夢に見舞われるのではないか。
そんな危機感を払拭するべく、仕事場を事務所へ移す事にした。
覚束無い足取りで部屋を出ようと試みる。

「今日の収録もバッチリでしたね、勇気さん!」
「へへっ…あんなに大ウケすると、頑張ってギャグを考えた甲斐があるな〜」

不意に玄関から物音と共に明るい話声がし、廉は自室から出るのをやめてその場に留まった。

…きっと今の自分は、情けない顔をしている。
こんな姿、誰にも見せたくはない。

息を殺して扉を少しだけ開き、様子を窺う。
先ほどの声の主は、新しくA.N.JELLのマネージャーに加わった一人、芳井という
30代手前の小柄な男と、バラエティ番組の収録を終えて帰宅した勇気だった。
よほど番組が盛り上がったのか、上機嫌な会話は続く。

「これも全部、芳井ちゃんがこんないいものをくれたお陰だね!」
「良く効くでしょう?僕も徹夜続きの時はそれに頼って頑張ってます。
まだまだたくさんあるんで、冷蔵庫に入れておきますね!」

キッチンまで移動した勇気と芳井の手には、小さな瓶が握られていた。
サイズ感や二人の口振りからして、良質な栄養ドリンクのようだ。
廉は霞みそうになる目を凝らして、じっとそれを眺める。

「ホント言うと、朝からあんまり体調良くなかったんだけどさ、皆に心配掛けたくなくて…
芳井ちゃんのコレで元気になれたから、マジで助かったよ」
「勇気さんのお役に立てて良かった。また注文しておきます!」
「ありがと〜!…あれ、そう言えば皆どこ行ったんだろ?NANAちゃんの靴があったから、
柊さんは多分温室で…美男は?」
「あ、馬淵先輩からメールが入ってました。美男さんは取材終わりにどこかへ
出掛けたみたいですが、そろそろ戻るんじゃないでしょうか」

携帯を確認しながら美男の所在を話す芳井の言葉に、勇気は納得顔で頷いた。
476君に贈るセレナーデ 31:2012/07/10(火) 23:56:11.53 ID:4XCQ5k2n

「美男はイマイチ、何考えてるか分かんない奴だからなぁ。廉さんはまだアレンジ中だろうし…
よし、先にお風呂入っちゃおっと!」
「そうですね。明日はレコーディングがあるので、今夜はゆっくり休んで下さい」
「うん。芳井ちゃん、また明日ね〜」

人の善さそうな笑みで業務連絡を終えて帰る芳井を、明るく笑顔で見送った勇気はその足で
二階の自室まで向かい、数分も経たぬ内に着替えを持ってバスルームへと消えた。

「…よく効くドリンク、か…」

やり取りを全て観察していた廉は、独り言を呟きながらようやく扉を開け、力無くフラフラと
体を揺らしながら何とかキッチンに移動する。

この体調不良を一刻も早く改善し、明日帰る予定の美子を出迎えなければ。
彼女がどんなに嫌がろうが泣き喚こうが、部屋に閉じ込めて…もう何処にも行かせない。
どれだけ己の愛が深いのか思い知らせてやる。

大型の冷蔵庫を開けると、さっき見た小瓶が並ぶ。
その内の一本を取り、藁にもすがる思いで一気に中身を煽った。

普段の廉なら、成分表示を見ずに食べ物を口にする事はまず無いが、
酷い頭痛が全ての判断を鈍らせていた。

「…っ…!?…これ…!」

喉の奥に生じた違和感。
それは食道から胃までを走り、やがて全身の震えとなって廉を襲う。
脇に抱えた楽譜がファイルから離れ、床に散らばった。

「…っう……」

立って居るのもままならずガクンと膝が折れ、両手で腹を抱え
背も丸める格好で激しく咳き込む。

「…っげほ、ごほ…ッ…!」

小刻みに痙攣し始めた身体は言う事を聞かず、廉はとうとう固く冷たい床の上に倒れてしまった。

思うように呼吸が出来ない。
開いた口からはヒュウヒュウ、ゼイゼイと喘鳴が響くばかり。
かろうじて、今飲んだ液体を嘔吐してみたが…全てを吐き出せたかも分からなかった。
助けを求め、手を伸ばし空を掴む。

「…み、こ………」

朦朧とする視界の中。
愛しい彼女の笑みが浮かんだのを最後に、廉は意識を手放した。




477君に贈るセレナーデ 32:2012/07/11(水) 00:00:14.20 ID:4XCQ5k2n
―――

温室でNANAと二人きり、様々なハーブの手入れを済ませた柊は両手を腰に添え、
清々しい気持ちで辺りを見渡した。

「…これで全部終わったな」
「結構時間掛かっちゃったわね〜。すっかり日が暮れてる…」

いつの間にか温室内を橙色に染めていた夕陽も沈み、よく晴れた夜空には星が輝く。
NANAと仲睦まじく作業を楽しんだ為に、自分一人でやるよりも余計時間を食ったようだ。

「そうだね、戻って夕飯の準備をしないと。
今日はバジルを使って、ジェノベーゼにしようか」
「大賛成!もうお腹ペコペコで倒れそう〜」
「ははっ…頑張ってくれたNANAには大盛りを用意するよ」
「ヤダ、太ったらどうするの?気持ちは嬉しいけど大盛りはやめて!」

軍手を外し元の場所に仕舞うと収穫したばかりのバジルの葉を持ち、NANAと談笑しながら温室を出て
泥だらけの靴をスリッパに履き替え、合宿所内へ足を踏み入れた。

「…え?何あれ…」

廊下を数歩進んだ所で、ふとキッチン付近に目を遣ったNANAが足を止め、首を傾げる。
温室に行く際は綺麗だった床に、何故か楽譜らしき紙がいくつも散乱していた。
視線を更に奥へ移した瞬間、柊の心臓がギクリと跳ね上がる。

ハート型カウンターキッチンの向こう側。
冷蔵庫前の床を這う、人の手が見えた。

「あ、柊…っ?」

猛烈に嫌な予感がし、無言でNANAにバジルの葉を持たせ、慌ててキッチンへ駆け寄る。

「…ッ…廉!!?」

その光景は、柊の呼吸を一瞬止めてしまう程、衝撃的なものだった。

…廉が、俯せに倒れている。


「ちょっと柊、一体どうし……っ!?」
「廉っ、おい、しっかりしろ!廉!!」

跪き彼を抱き起こすと、乱れる長い前髪に隠された顔が露になり、
傍へ寄って来たNANAも思わず息を飲む。
頬や口元から首筋、指先に至るまで点々と浮かぶ赤い発疹。
呼吸は浅く、酷く苦しげに顔を歪め身体を震わせるその様子は、
一見しただけで重篤な状態だと解る。

「…まずい…NANA、早く救急車を!」
「は、はい!!」

成す術無く呆然と突っ立っていたNANAは柊の焦った声で我に返り、
すぐさま部屋まで携帯を取りに行った。

478君に贈るセレナーデ 33:2012/07/11(水) 00:04:47.92 ID:4XCQ5k2n

「…廉、聞こえるか?廉っ…」

何度呼び掛けても、腕の中の廉はグッタリとしたまま微動だにしない。
支えた背中は燃えるように熱く、汗で湿るYシャツからも熱の高さが窺い知れる。
救急の知識はほとんど無いが、苦しそうな呼吸だけでも解放してやらねばと、
彼の首元を締めるネクタイを解きシャツのボタンを開けた。
白い胸元にまで広がる発疹が痛々しく、柊は何もしてやれない己の非力さを恥じ、
下唇を噛み締める。

脳裏に、まだA.N.JELLがデビュー間もない頃の記憶が蘇った。
アレルギーの原因である“エビ”が入った料理を誤って食べてしまった際、
彼は同じような症状…所謂アナフィラキシーショックで倒れ、入院したのだ。

「…何でまた、こんな…」

だが、あの事件以来アレルギーに関して本人はもちろん、事務所の人間なら
誰もが皆気を付けていたはず。
周囲に目を凝らしてみるが、エビらしき食べ物の形跡は無い。

「…っな、廉さん!!?柊さんっ、何があったの!?」

バスルームの出入口から上擦った声がし、顔を向ける。
部屋着姿の勇気が驚愕の表情で固まっており、柊は眉根を寄せ首を横に振った。

「…っ、分からないんだ。さっき温室から戻ったら廉が倒れてて…
もしかしたら、エビを食べたのかも…」
「エビ!?で、でもどこにもそんなもの……あっ!」

湯上がりの石鹸の香りを纏いながら走り寄った勇気は、冷蔵庫脇に転がる小瓶を拾い上げた。
蓋は無く、中身も空っぽ。
火照っていた勇気の顔色が、みるみる青ざめ始めた。

「まさか廉さん、これを飲んで…?」
「…それ何だ?栄養ドリンクか?」
「う、うん…芳井ちゃんが用意してくれて、俺も今日飲んだけど…でもエビなんて入ってないはずだよ!
廉さんのエビアレルギーは、芳井ちゃんだって知ってるし!」
「分かったから、とにかく落ち着いて。…それ、ちょっと貸してくれないか?」

動転する勇気へ冷静な言葉を掛けてひとまず鎮静させ、栄養ドリンクの小瓶を受け取り、
黄色いラベルの裏に印刷された成分表示を一つ一つ確認する。

「…あった!多分これだ…」

柊は小さな印字の最後、“原材料の一部にカニを含む”という一文に当たりを付けた。
目を丸くする勇気にも、再び小瓶を返して見せてやる。

「…カニ…って書いてるけど…これが?」
「あぁ。エビアレルギーの人は、同じ甲殻類のカニも駄目だって聞いた事がある…」
「そんな…どうしよう、俺が芳井ちゃんにこんなもの用意させた所為で…廉さんが……」
479君に贈るセレナーデ 34:2012/07/11(水) 00:08:56.06 ID:5m9cIJye

自分が関与したものが原因で、廉が倒れてしまった。
その事実に耐え切れなくなったらしく、勇気の大きな瞳から涙が一滴、零れる。

廉の頬へそれが落ちた直後、乱れる呼吸の合間に喉が鳴った。

「…廉、気が付いたか!?」

柊は彼が何か話そうとしているのに気付き、また名を呼ぶが…目蓋は開かない。
どうやら譫言を漏らしただけのようである。
落胆を露に溜め息を吐きつつ、廉の口元へ耳を寄せた。
せめて呟きだけでも聞き取ろうと試みる。

「……、……」

固唾を飲んで己と廉を見守っていた勇気には届かない程の、
微かな声量で紡がれた一言に胸が締め付けられた。

「…そうか…分かった…」

柊はグッと強く廉の肩を抱いて頷く。

「柊さん、廉さんは何て…」

訝しむ勇気に口を開き掛けたその時、静寂を切り裂く救急車のサイレン音が辺りに響いた。
二階からバタバタと階段を駆け降りて来たNANAは携帯を握り締め、玄関口を指差す。

「柊っ、救急車が来たわ!安藤社長は先に病院に向かうって!」
「ありがとうNANA。…勇気、今は泣いてる場合じゃない。
廉に付いて病院に行ってやれ」

社長への連絡という機転まで利かせてくれたNANAに礼を言い、
未だ涙を流しながら廉を見つめる勇気の頭を軽く撫でる。
優しいながらも努めて真摯な口調で、今自分たちが何をすべきなのかを諭す。
すると、勇気は懸命に涙を収めて鼻を啜り、濡れた頬を手の甲で拭って小さく首を縦に振った。

「…ごめん、柊さん…」
「…もう大丈夫だな?」
「うん、俺、責任持って廉さんを病院に連れてくよ!」
「あぁ、任せたよ。…NANA、君も勇気と一緒に行ってやってくれ」

合宿所に到着した救急隊員をキッチンまで出迎えたNANAに、勇気と同行するよう促す。
彼女は面食らった顔で柊を見遣るも、その意図を汲み取ったのか素直に了承した。

「分かったわ。こんな時は勇気さんだけじゃ頼りないもの」
「えっ…NANAちゃん、それは酷くない?」

ようやくいつもの元気を取り戻した勇気とNANAの会話を余所に、柊は救急隊員へ
詳しい状況やアレルギーについて説明し、彼らに全てを託した。
480君に贈るセレナーデ 35:2012/07/11(水) 00:14:54.69 ID:5m9cIJye

担架に乗せられ運ばれていく廉と、心配そうに寄り添うNANA。
そのすぐ後に続いて退室しようとした勇気が、不意に立ち止まる。

「柊さんはどうするの?」
「…俺は、さっき廉に頼まれた事があるんだ」
「そっか…じゃあ、後でね!」

歯切れの悪い己の返事をそれ以上追及もせず、
勇気は廉とNANAを乗せた救急車へと急ぐ。



遠ざかるパトランプを玄関から見送り…耳に木霊する先程の譫言を反芻した。

「…“美子”…か。…やっぱり、廉にはお前が居なきゃダメらしい…」

柊は早足で自室へ戻り、屋敷の鍵と愛車のキー、携帯に財布だけという
最小限の荷物を持って合宿所を出た。

「…っおい、柊!何事だ?」

車に乗る寸前、己を呼ぶ者の存在に引き留められ振り向けば、
今し方帰宅したばかりなのか、タクシーから降りた美男が駆け足で近付いて来る。
途中で救急車と擦れ違ったのだろう。
勘が早い彼は合宿所での緊急事態を察し、らしくない動揺を露に柊へ詰め寄った。

「…廉が倒れたんだ。多分、アレルギーのショック症状だと思う」
「えっ!?…じゃあ、やっぱりさっきの……皆はどうした?」
「付き添いでNANAと勇気も病院に向かってる。
…俺は今から、美子に知らせに行くよ」
481君に贈るセレナーデ 36:2012/07/11(水) 00:16:08.25 ID:5m9cIJye

手短に現状報告をし、運転席のドアを開けるが…その手を美男が掴んだ。
驚いて彼を見ると、澄んだ瞳から放たれた強い視線とぶつかる。

「…妹は、俺に似て頑固なんだ。お前も知ってんだろ?
一度決めた事を途中で放り出すような奴じゃねぇって」
「でも、廉の緊急事態だぞ?いくら美子だって…」
「仕事に対する責任感と、廉を心配する気持ちの板挟みになって…
またツラい思いをさせるだけだ」

柊はそれ以上、反論出来なかった。
確かに美男の言う通り、キャンプの引率者が途中で欠ければ、
子供たちの安全に問題が生じる可能性がある。
奉仕の精神を持ってボランティアに励む美子を無理矢理連れ出すなど、
彼女の立場まで危うくする迂闊な行為ではないだろうか。

「…そうだね、ごめん。軽率だった」

すっかり意気消沈し、ドアを閉めようと手に力を込めたが、
美男は己の腕を掴んだまま離さない。

「美男…?」
「…俺に考えがある。一緒に行こうぜ」

予想外な一言と共にニヒルな笑みを浮かべた美男が、
ポカンと棒立ちになる柊を横目に、そそくさと助手席へ乗った。
彼があんな顔をするのは、決まっていつも妙案が閃いた時。

「…まったく、ホントに面白い奴だな」

眉を垂れ、どこか困惑気味に微笑った柊はA.N.JELLリーダーの無事を祈りつつ、
愛車を飛ばし美男と共にキャンプ場を目指す。


廉が求めてやまない、彼だけの“星”を迎えに行く為に。

482君に贈るセレナーデ 37:2012/07/11(水) 00:19:05.06 ID:5m9cIJye

―――


近くを流れる小川のせせらぎが聞こえる、空気の綺麗なキャンプ場。
都会と違い、見上げた星空は見事なものだが…美子の横顔は冴えない。

「…廉さん……まだ怒ってるかな…」

様々な星たちの中で、一際輝くそれに廉の姿を重ね、大きく溜め息を漏らした。
先程まで子供たちと囲んでいたキャンプファイヤーの跡に視線を戻し、
体育座りの格好で地面へ腰を下ろすと抱えた膝の間に顔を埋める。

引率者として気を張っている昼間はまだ良かった。
皆を寝かし付け終えてホッとした矢先、廉との喧嘩を思い出し頭の中は後悔でいっぱいだ。
何故もっと早く、キャンプの事を打ち明けなかったのだろう。

最近までさほど気にならなかったが、NANAとRINAによれば
彼の束縛度合いは常軌を逸しているらしい。
まるで、本気で美子が居なくなるのを恐れているようだ、と。

「…私は廉さんしか見てないのに…」

シスターになって神へ生涯を捧げる覚悟まで決めた己に、恋という素敵な感情を
教えてくれた廉を裏切るなど、この先も有り得ないと断言出来る。
むしろ、最近は愛し過ぎて彼が他の女性と話すのを見ただけで、
心がざわつき黒くドス黒い衝動さえ自身の中に沸き立ち、戸惑いを覚える節もあった。

「…こんな気持ちのまんまじゃ、やっぱり良くないよね」

ポケットから携帯を取り出すも、画面上には“圏外”の表示。
キャンプ場に居る間は彼へ連絡する手段もなく、ますます深い溜め息が漏れる。
子供たちが寝静まるテントの群れを背に、美子はゆっくり立ち上がると
小川のほとりへ向かった。
もしかしたら、電波が通じる場所があるかも知れない。

「よいしょ…っ、と…」

所々に苔が付いた大きな岩の上へよじ登って仁王立ちし、
携帯を天高く翳したり軽く振ったりしてみる。
だが努力も虚しく、やはり“圏外”の表示から変化はなかった。
483君に贈るセレナーデ 38:2012/07/11(水) 00:24:09.54 ID:5m9cIJye

「……何やってるんだろ、私…」

無性に情けなくなって肩を落とし、鼻先を人差し指で強く押した。

少しでも恵まれない子供たちの力になりたいと、アフリカでの
ボランティアを通じて選んだ、この道。
己の要領が悪い所為で、応援してくれていた廉にまた、嫌な思いをさせる結果となった。

まだA.N.JELLのメンバーだったあの頃。
仕事で沖縄に向かう直前、仲違いしてしまった際の情景を思い出す。
己の顔を二度と見たくないと言い放った、あの哀しげな顔と
今朝の彼がダブる気がして、胸が痛んだ。


「…っ美子!」

―…と、水音しかしない静かな場所で突然、聞き慣れた声が耳に届きパッと顔を上げる。

「…柊さん!?」

薄暗い茂みを掻き分けてこちらへ走り寄る人物が柊であると認め、
美子は目を見開いて驚きを露に岩から飛び降りた。

「良かった、ここに居たんだ…」
「ど、どうしたんですか?そんなに慌てて…」

息を切らし明らかに焦りを帯びた様相で目の前に立った彼を、不思議そうに見上げる。
柊は美子の両肩を掴むと眉間に皺を刻み、目を逸らす事なく話を切り出した。

「…落ち着いて聞いてくれ。……廉が、倒れた」
「……っ!?…廉さん、が…?」
「…あぁ。今も病院の集中治療室で治療を受けてる。元々風邪を引いてた所に、
アレルギーのある物を口にしたから酷いショック症状を併発したんだ。
…正直、危険な状態らしい」
「……そ、んな………」

突き付けられた信じがたい報告に、美子の脳内は真っ白になる。
思わず腰が抜けそうになった所を、柊が支えてくれてどうにか立っていられたが、
身体の震えが止まらない。

何よりも…誰よりも大事な彼が現在、生死の境を彷徨っているなんて。

狼狽し、瞳を潤ませ始める美子の頭を撫でた柊は、これ以上心配を掛けさせまいと
気遣ったのか、さっきより表情を穏やかなものに変えた。
484君に贈るセレナーデ 39:2012/07/11(水) 00:27:56.73 ID:5m9cIJye

「…実は、俺は廉に頼まれてここまで来たんだ」
「…え…?」
「意識は無かったけど、アイツは譫言でずっと…お前の名前を呼んでた」

柊がわざわざキャンプ場まで来た理由を聞いた瞬間、ギュッと強く心臓を掴まれたような感覚に襲われる。

「柊さん…私、…」


「…美子お姉ちゃ〜ん…どこ〜?」

涙を堪え、自分も病院に向かいたいと告げる寸前、茂みの奥から小さな女の子が現れた。
まだ寝惚けているのか、瞼を擦りながら欠伸を漏らすその子は、今日のキャンプで一番美子に懐いていた、
真由美という少女。

「……真由美ちゃん…」

不安気に辺りを見回し、自分の姿を探す幼い真由美を放り出して、ここを離れる訳には…。

廉への想いと、責任感のジレンマで心が押し潰されそうになった、その時。

「あ、美子お姉ちゃん!」
「もう、ダメじゃないこんな所に来ちゃって…
危ないよ?一緒にテントへ戻ろうね」
「うん!」

真由美がこちらに気付くより早く、何処からともなく登場した美子と瓜二つの女性が彼女の手を取り、
テントがある方角へと消えて行った。

「あれは…」
「…美男だ。ここに来るまでにRINAさんの所へ寄って、美子に変装したんだよ」
「お兄ちゃんが…どうして?」
「“妹に3ヶ月も身代わりをさせちまったから、借りは返さねぇとな”…だってさ」

先程の女性が美男だと知り、美子は金魚のように口をパクパクさせた。
2年前…夢を諦め、兄の代わりに男装しA.N.JELLのメンバーとして活動した事を、
ずっと気にしてくれていたようである。

「それと、美男からの言伝てがもう一つあるんだ。いい?」
「あ、はい…」
「…“美子、もっと自分の気持ちに素直になれ。これからは我慢も遠慮もするな。
過去がどうあれ、全身全霊で廉を愛してやれよ”」
「……!」
「…お前たちの間に何があったのか、俺は詳しく知らないけど…
良かったら力になるよ」

柊が発する涼やかな声音で語られた美男の言葉が、一閃の刃となり美子を貫く。
485君に贈るセレナーデ 40:2012/07/11(水) 00:34:07.37 ID:5m9cIJye

亡き父の存在が、廉から母親を遠ざけ…彼を傷付けた原因の一つだった事。
それは美子にとっての負い目で、一度は二人の仲を壊した因縁でもある。

その後、ライブ中に大々的な告白を受けて無事復縁したものの…
廉に対する罪の意識がまだ残っているのを、双子の兄だからこそ美男は見抜いたのだろう。

「……兄の、言う通りです。…私の所為で廉さんが傷付いた事があったから…。
もう気にしてないって言われたけど、心の何処かでは私なんて愛される資格も無いんじゃないかって…怖くて…」

胸元を掴み俯きながら、美子は遂に柊へ本音を漏らした。
想いが通じ合い、身体を繋ぐようになったからこそ感じた、恐怖。

「けど…廉さんはすごく優しいから……時々、廉さんのこと好きになり過ぎて…頭がおかしくなるんです。
大勢のファンを抱えてる人だって解ってるのに、独り占めしたいとか…はしたない事まで思ってしまう…
…私は、そんな自分が許せないんです」

穢れなく純粋に育ったが故、愛の裏側にある嫉妬や独占欲などのドロドロとした感情を持て余し。
彼にそれを気取られまいと必死に隠して、無理をする毎日。
…本当は、苦しかった。

堰を切ったように溢れる悩みを吐露し終え、美子はガクリと項垂れる。

しばしの沈黙の後、頭上には思いの外明るい声が落ち始めた。

「…もし俺が廉なら…それ、めちゃくちゃ嬉しいんだけどな」
「…え……?」

これまで美子の独白を黙って聴いていた柊は、深刻な雰囲気に似つかわしくない微笑みを覗かせながら、
思わぬ台詞を口にする。
目尻に溜まった雫を指先で拭いながら、彼を凝視し更なる意見を窺おうと耳を傾けた。

「だって、それほど愛されて喜ばない男は居ないよ。好きな彼女なら尚更ね」
「でも…!」
「昔の揉め事は抜きにして、考えてみて。
…何でいつも、廉は美子を自分の傍に置きたがるか…知ってる?」
「…いえ……」
「…不安なんだよ。美子の気持ちが見えなくて…
そういう想いを素直に伝えた事、今まで一回でもあったか?」

頑なな美子の胸中を抉る柊の問い掛けが、
帰国してから今日までの記憶をぐるぐると駆け巡った。

指摘されて改めて思い返せば、自分は本当に想うまま、廉を愛せていただろうか?

一緒に目覚めた朝も。
仕事で夜遅くなる時も。
デートの最中も。
ベッドの中でも。

廉は必ず「好きだ」「愛してる」と言ってくれるのに、己は何と返していた?

恥ずかしくて、照れくさくて…ただ彼に抱き着き、
頷く事しか出来なかったのではないか。
486君に贈るセレナーデ 41:2012/07/11(水) 00:36:28.36 ID:5m9cIJye

「……私、馬鹿ですね…本当に…」

有り余る愛を与えてくれる彼に甘え、自らは何も伝え切れていなかったと悟った。

「…廉は不器用だけど、美子への気持ちに嘘は無いよ。
…二人をずっと見守って来たから、俺にはよく分かる」

父の件で抱いた罪悪感と。
恋心の裏に潜む醜い欲を知られ、嫌われるのが怖いという懸念。
…それらは全て、本気で廉を信じられない自分に気付かないようにする為の、
単なる言い訳に過ぎない。

大好きな星をいざ手にしてみれば、あまりにも強いその輝きに目が眩んで、
いつしか本当の事が何も見えなくなっていた。


「…柊さん、私を…廉さんの所に連れて行って下さい!お願いします!!」

美子は深々と柊へ頭を下げ、今すぐ廉に会いたいと懇願する。

もう、迷いは無い。

つまらない意地を張らず、今度こそ想いの丈を打ち明けよう。

「…よし、急ごう!」

再度優しく頭を撫でてくれた柊に続き、キャンプ場を抜けて駐車場まで移動する。
途中、そっとテントの群れを振り返ると自分に代わって引率者の役を引き受けてくれた兄へ、
小さく一礼した。

顔を合わせずとも、その熱い気持ちは伝わったから。




487名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 00:43:59.64 ID:5m9cIJye
今回はここまでです。

ホントに長すぎて申し訳ないのですが、まだまだ続きます。
次回、美子は廉の窮地を救えるのでしょうか。
488名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 00:56:00.62 ID:RB95V1z0
待ってましたーリアルタイムで読んじゃったw
でも…泣!
廉ちゃんはいらない子じゃないよ、いらない子なんてこの世に一人もいないんだよ
美子早く廉の元に行ってあげてーーっ
続き首を長ーくして待ってます
489名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 08:31:22.07 ID:pOuTveLY
>>487
くぅぅーっ 続きが気になる〜〜

深い深い美子の愛を幼き日の廉さんまで届けてやってほしい…
美子…頼んだよ…!

なんのひねりもない感想で申し訳ないけど、面白い!!
続きを楽しみにしています。
490名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 20:05:22.38 ID:QPSpRIQI
>>487
いやー廉さーん! 命の危機じゃないか…
精神的にも参ってる廉さん…普段オレ様な人な分、たぶん本当にもろいんだよね
美子、とにかくがんばれ。いそげ!
周りの皆のステキなフォローに泣けました…特に美男…つらかったよね、いろいろ…

続きGJです!
長すぎなんてことは全くないので、まったりゆっくりと待ってますw
491名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 21:31:25.36 ID:2xEHm7f1
>>487
続き、待ってました!ありがとうございます。
廉さん、しっかりしてー!!美子も1秒でも早く廉さんの元へっ!!
美男もイイ男だなぁ。廉さんを心配して責任感じて泣いちゃう勇気もかわいい。
しっかりもののNANAちゃんや機敏に動ける柊さんもかっこいい!
ほんと、いつも構成のスケールが大きくて凄いです。
私は小さなアホ話しか書けないので尊敬します…!!
492名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 21:46:15.67 ID:h1Rmf3th
>>487
続き待ってました!
美男かっこいいでね!
続き楽しみにしてます
493名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 07:14:05.18 ID:KsZlzmBV
>>487
うう、廉さんがんばれ!美子急げ〜!
マジで面白い
続き楽しみにしています!
494名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 01:29:57.73 ID:zGzG7zpR
美男×NANA投下します
長い、子供っぽい、エロなしという三重苦なので興味のない方はスルーしてください
495Mission 1:2012/07/15(日) 01:31:58.24 ID:zGzG7zpR
それは美子がアフリカに旅立ってから半年が過ぎようとしていた頃のこと──

普段は多忙なスケジュールや時差の関係もあり、なかなか長時間話すことができない
廉と美子だが、今日は久々の長電話。
矢のように流れていく時間を惜しみながら会話を弾ませていた。

「うん、そう…良かった、柊さんも勇気さんも元気そうで。
お兄ちゃんはどうですか?ちゃんとお仕事してるのかなぁ?」
美男とも直接連絡は取っているはずだが、仕事のことは廉に聞いた方が確実と思うのか、
美子は少しからかうようなトーンで兄の様子を訊ねた。

「ああ、ちゃんとやってるよ。こないだも結構良い曲書いてきたし、心配しなくていい。
…あ、でもあいつ最近NANAと口喧嘩ばっかりしてるぞ」
「えっ?どうしてですか?」
「さあな。顔合わせるたびにくだらねーことでギャーギャーやり合ってるんだよな。
ったく、鬱陶しいったら…」
ため息混じりのいかにも面倒くさそうな廉の言葉。
「口喧嘩…NANAさんと……」
美子は少しの間考え込み、口を開いた。

「あの、お兄ちゃんがそういう態度取るのって、NANAさんだけにですか?」
「え?そうだな…NANAだけだと思う」
「そっか、お兄ちゃん…ふふっ」
そう言った後、美子はやけに楽しそうにクスクスと笑い始めた。
電話口から聞こえ続ける小さな笑い声に廉は戸惑い、何事かと声を掛ける。

「どうした?」
「あ、いえ……。あのっ、廉さん!」
「ん?」
「1つお願いがあるんですけど、いいですか?」
496Mission 2:2012/07/15(日) 01:33:58.95 ID:zGzG7zpR
───
「…とまあ、こういうわけなんだ。悪いけど2人とも協力してくれないか?」
ある日の合宿所のリビング。
美男がソロの仕事で合宿所を空けている隙に、廉は柊と勇気を集めて
先日美子に頼まれたことを話していた。

美子いわく、美男は昔から気になる女の子ができるとちょっかいを出さずには
いられないタイプで、ついやりすぎては嫌われてしまうことが多かったのだと。
そしてそんな兄のことだから、今は絶対にNANAに恋しているに違いないのだという。
まるで小学生並みに幼い思考回路だが、子供の頃に培われた性格は大人になっても
それほど大きく変わるものでもなく。
美男の恋を叶えるために協力してほしいと美子が頼むのももっともなことだった。

「そっかぁ、あの2人よくバトルしてると思ったらそういうことか」
まるでお子ちゃまだな、と勇気が笑う。
「NANAもあれで気が強いから負けてないよね。
喧嘩するほど仲が良いっていうし、実は馬が合ってるんだろうな」
柊も2人の無邪気とも呼べる言い争いを思い出して微笑みを浮かべた。
手にしていたカップからハーブティーを一口飲み、テーブルの上のソーサーにカチリと戻す。

「面白そうだから話に乗るよ。それに美子の頼みなら聞いてあげないとね」
「はいはいっ!俺も俺も!」
柊の乗り気な返事を聞いた勇気が勢いよく手を上げた。
「そうか、ありがとう」
2人が快諾してくれたことに廉は胸をなでおろし、ソファの背もたれに身体を沈み込ませた。
美男の手助けをするのはやぶさかではないが、正直なところ何をすればいいのか
思いもよらず、ここ数日頭を悩ませ続けていたからだ。

「助かるよ。俺だけじゃどうしたらいいか分からなくてさ」
「そりゃそうでしょ。廉さん、恋の駆け引きとか疎そうだもんね〜」
「はあ?誰に向かって口きいてんだコノヤロ」
「あれ、図星だった?」
「なんだとぉ?」
彼女のいない勇気に言われるなんて心外な。
そう文句のひとつも言ってやろうかと廉が身を前に乗り出すと、勇気は大慌てで
クッションを顔の前にかざして防御の体勢をとった。

「まあまあ、2人とも落ち着いて」
柊が苦笑しながら宥めに入る。
「美男のことは俺と勇気でなんとかするから任せて。
廉はほら、美子への報告役って大事な仕事があるんだから、そっちに専念しなよ」
「ま、まあな…。それじゃ、頼んだぞ」
柊に上手く丸め込まれて、廉はそれ以上何も言えなくなってしまった。
497Mission 3:2012/07/15(日) 01:36:00.26 ID:zGzG7zpR
「よし、じゃあ柊さん、具体的にはどうしようか?」
「うーん、そうだな…」
こうして柊と勇気は作戦会議よろしく、ああだこうだと盛り上がり始めた。

今の美男の問題点は、素直に好意を伝えることができないこと──
好きな子をいじめてしまう人間に限って本当の心の内は表に出せないもので、
美男はまさしくそんなタイプだった。
NANAを誰かに取られてしまう、そんな焦りを覚えさせない限りは告白まで持っていけないだろう。
そう踏んだ3人―正確にいえば2人だが―は、互いの役割を分担することにした。

そして柊はNANAを担当することに決定。
NANAに近づき、わざと気のある振りをして美男を焦らせる。
一方の勇気は美男の担当になった。
柊とNANAがいい感じだと事あるごとに口にして、さらに美男を追い込んでいく作戦だ。

結局廉は大して口も挟めないまま、あっという間にシナリオが出来上がっていくことに
ただ唖然とするばかりだった。

───

数日後、廉は美子に作戦の途中経過を報告していた。
「柊と勇気がいろいろやってくれてるよ。今のところ順調らしい。
…でも本当にいいのか?いくら兄貴が好きだって言っても、相手はあのNANAだぞ?」
「もー、まだそんなこと考えてるんですか?変な心配しないでください」
2人の間にまだあの頃のわだかまりが残っているのではないか。
そんな廉の心配は、美子に軽く流された。
「それにNANAさん、女の子らしくてすっごく可愛いし、綺麗だし…。
実は私、あんな風に可愛くなりたいなって密かに憧れてたんですよ、ふふっ」
「そうか?なら別にいいんだけどな…」
廉の声にはまだかすかに疑念が混じる。

「…ねぇ廉さん、私が思ってること、聞いてもらってもいいですか?」
廉が案じるのも仕方ないのかもしれないが、誤解があるなら解いておきたい。
そう思った美子は諭すように静かに語り始めた。

「私ね、今とても幸せなんですよ。もちろん、廉さんと遠く離れているのは寂しいです。
毎日毎日、廉さんに会いたいって思ってます。
でもね…たとえ会えなくても、廉さんのことを思い浮かべるだけで私は強くなれる。
どんな時も、何があっても、笑顔になれるんです。
心から愛して、信じられる人がいる、これがどんなに素晴らしいことか…
私に教えてくれたのは廉さんです。
廉さんに出会って、恋をして、そして想いが通じて初めてわかったから…。
だから私は、お兄ちゃんにも素敵な恋をしてほしい。
大好きな人と…NANAさんと幸せになってほしいなって、心からそう思ってるんです」
498Mission 4:2012/07/15(日) 01:38:01.16 ID:zGzG7zpR
柔らかな、それでいて芯の強さを感じさせる美子の声を聞きながら、
廉は椅子から立ち上がり窓際に移動した。
窓の外に果てしなく広がる空を見上げて、遠いアフリカの地に思いを馳せる。
受話器を通して美子の声から伝わってくるのは、温かくて優しい想いだけ。
いびつに固まったままの心を持ち続けているのは美子ではなく、自分自身だった──
そう気付いた廉は自らの小ささを恥じ、無用なわだかまりを手放した。

「…変なこと言って悪かった。俺も応援するよ、美男とNANAのこと」
「ああ、よかった〜。よろしくお願いしますねっ、廉さん」
美子の口調がいつもどおりの弾んだものに変わる。
軽やかな声を聞いて安堵した廉は、数分前の美子の言葉をふと思い出し…。

「あ、そうだ」
「はい?」
「さっきNANAに憧れてるって言ってたけど、そんな必要なんか全然ねーぞ。
おまえはそのままで十分…その……か……」
「か…?」
「…かゎ…」
「かゎ…、なんですか?」
「…だからっ、か………。ああ、もういい!」

深く考えずに話し始めてから、しまった、と思う。
一度濁した言葉は元に戻せず、廉は結局、途中で放り出した。
しかし美子の方が一枚も二枚も上手だったようで。

「えへへ…廉さんて、すっごく『カワイイ』ですねっ」
「…ちっ。…まあ、そういうことだ」
「え〜、ちゃんと言ってくださいよ〜」
「ヤダね」
「もー、今更照れなくてもいいんですよ。ねっ?」
「い・や・だ」


………以下略。
499Mission 5:2012/07/15(日) 01:40:01.85 ID:zGzG7zpR
───
作戦を開始してから1ヶ月ほど経った頃。
柊は予定通りにNANAとの距離を縮め、今では2人だけで食事に出掛けるほど仲良くなっていた。

「なあ美男、柊さんとNANAちゃん、最近なんだかいい感じじゃね?
もうさ、お似合いなんだから付き合っちゃえばいいのに!美男もそう思うだろ?」
「…ふん、柊も物好きだよな。NANAのどこがいいんだか俺にはさっぱりわかんねーよ」
2人のことを勇気が口にするたびに美男は不満そうな態度を見せる。
美男の焦りは日増しに強くなり、限界はすぐそこまで来ていた。

そんなある日の朝食時、柊がついに行動に出た。
「みんな、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
柊は全員が注目したことを確認して話し始めた。
「実は前から、うちに遊びに来ないかってNANAを誘っててね。
で、今夜ここに来ることになったんだけど…」
柊の口からその名前が出た途端、美男の顔色が陰り、表情が強張る。

「それで俺…今日NANAに告白しようと思ってるんだ」
「は?!こっ、こくは、っゲホッ、ゴホゴホ…」
「おい美男、大丈夫か?!」
突然咳込み始めた美男の背中を勇気がさする。

「わりぃ…ゲホッ、大丈夫だから続けて…」
「…わかった。それで、もしもNANAと付き合うことになったらみんなに迷惑を
掛けるかもしれないから、一応確認しておこうと思ってね。…廉、どう?」
「俺に反対する権利がないことくらい、おまえだって分かってるだろ?」
「ふふ…そうだったね。ありがとう。勇気は?」
「そんなの応援するに決まってんじゃん!頑張ってよ、柊さん!」
「ありがとう。じゃあ…美男?」
「べっ、別にいいんじゃないの?てか、そんなこと俺には関係ないし」
美男は強張った顔のまま、柊と目も合わさずに答える。

「…本当にいいんだな?」
どこまでも気のない素振りを見せ続ける美男に、柊はほんの少し苛立って念を押した。
「だからいいって言ってんだろ!勝手にしろよ!」
感情的に大声で吐き捨てて立ち上がり、美男は自室に駆け込んでいった。
ドアを閉める音が驚くほど大きくて、苛立ちの強さを物語る。
500Mission 6:2012/07/15(日) 01:42:02.67 ID:zGzG7zpR
「おい柊、少しやり過ぎじゃないのか?」
美男がメンバーに対してあそこまで声を荒げるのは初めてのことだった。
廉は戸惑ったのだが、張本人の柊はどこ吹く風だ。

「大丈夫だよ。これくらい大きく出ないとあいつは動かない。
荒療治かもしれないけど、時計の針を進めるには少し無茶しないとね」
「確かにそうかも。でもさ、NANAって美男のことどう思ってんのかな?
せっかく告っても振られちゃったらかわいそうだよな」
柊の言葉にあいづちを打った勇気だが、今になって根本的な疑問を投げかける。
「それも大丈夫。NANAはとっくにこっち側の人間だから」
「へ?」
柊は、余裕の笑みを浮かべた。


***
話は1週間ほど前にさかのぼる。
NANAとすっかり打ち解けた柊は、彼女を食事に誘った。
カジュアルだが適度に品のある、洒落た雰囲気のイタリアンレストランの個室で料理を堪能し、
ドルチェとエスプレッソを楽しむ2人。

「ん〜、おいしかった〜!」
「良かった。気に入ってくれた?」
「うん、もう大満足!」
NANAは満面の笑みを浮かべて上機嫌だ。
「ここ、初めて来たけどとってもいいお店ね。もしかして、いつもデートに使ってる?」
「まさか。ここに連れてきた女の子はNANAが初めてだよ」
「ふふっ、嘘つかなくてもいいわよ。でもすごいなあ。こういう所知ってるのって、オトナって感じ。
美男なんかなーんにも知らないんだから。あれじゃ女の子にモテるはずないわよね」

「………ぷっ、くくっ」
柊は突然、肩を震わせて笑い始め、抑えるのにひとしきり苦労した。
「ちょっと…どうしたの?」
「ごめん、でも可笑しすぎて…。もう10回目だよ」
「…なんのこと?」
「君の口から、美男の名前が出てきた回数」

「…?!」
501Mission 7:2012/07/15(日) 01:44:03.45 ID:zGzG7zpR
NANAの瞳はせわしなくあちこちをさまよい、みるみるうちに頬が赤く染まっていく。

「もう素直になればいいのに。本当は好きなんだろう?美男のこと」
「な、なに言ってるの?!誰があんな…」
「好きじゃないなら無視して遠ざければいい。でも君はいつだって美男の相手をしてる」
「それはほら、美男がいちいち突っかかってくるから仕方なく…」
「仕方なく…ね。それならケンカしてる君たちがいつも楽しそうに見えるのは俺の勘違いかな?」
「あ…え、っと……」

言葉に詰まるNANAを前にして、柊はうっすらと口角を上げる。
「今日の美男、めちゃくちゃ機嫌悪くてさ。出掛ける前にさんざん睨まれてまいったよ。
俺と会うこと、それとなく話してあるんだろう?あいつの気を引きたくて、ね。
…まあ、間違ってたら反論してくれてもいいけど」

気持ちを偽ろうとする言葉をことごとく封じられたNANAに残された道はただひとつ、
深い深いため息を吐くことだけだった。

「…あなたって、意外と意地悪だったのね」
「それはどうも。君が意地っ張りで単純なのは思ったとおりだった」
「ぁ…ひっどーい!柊って本当に意地悪!」
「ははっ、ごめんごめん!」
狙いどおりの反応が戻ってきたことに満足した後、柊は真面目な顔に戻った。

「NANA、自信持ちなよ。あいつは君に恋してる」
「…それ…信じてもいいの?」
「ああ、間違いないよ。ただ素直に言い出せないだけでね。
それでNANA、ひとつ提案があるんだけど…」


***
「今日のことはNANAと計画したんだ。わざと嫉妬させてみたわけ」
「なるほどね〜。さっすが柊さん、根回し完璧!」
「だろ?」
勇気のほめ言葉を素直に受け止め、今夜が楽しみだな、と柊は笑った。
502Mission 8:2012/07/15(日) 01:46:06.71 ID:zGzG7zpR
───
夜になり、仕事を終えたNANAがその足で合宿所へやってきた。
リビングでチャイムの音を聞いた勇気が玄関にダッシュしてNANAを迎える。
「いらっしゃーい!ほらほら柊さん!NANAちゃん来たよ!」
勇気に急かされてやってきた柊は笑顔でNANAを迎えた。
「よく来たね。さあ、上がって」
背後に美男がいることをちらっと確認した後、柊はNANAに意味ありげにウインクをひとつ。
そして靴を脱ごうとするNANAの支えにと手を差し伸べた。
「ありがとう。柊ってホントに優しいのね」
コーラルピンクのネイルが映える白い手を柊に重ねようとしたその時。

「…え?ちょっと?!」
美男が突然2人の間に割って入り、NANAの手首をギュッと掴んで庭へ連れ出していった。


「やれやれ、本当に手の掛かる…」
軽い愚痴を吐きつつも、柊はホッとした笑顔を廉と勇気に向けた。
「なあ、うまく行ったってことでいいんだよな?」
「行ったよ!大成功だよ廉さん!美子にいい報告できるよ〜!」
まだ不安げな廉の肩をポンポンと叩きながら興奮気味にはしゃぐ勇気。
「よ、よし、そうだな。…じゃ、後はよろしく…」
「いってらっしゃーい!」
勇気はそそくさと部屋へ戻っていく廉の後姿に手を振りながら見送った。

「じゃあ柊さん、こっちは作戦の成功を祝って乾杯でもする?」
「いいね、そうしよう」

冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを取り出した柊はドアを閉め。
「…あ、そうだ勇気」
振り向きざまに突然思い出したように口を開いた。
「ん?なに?」
「これから美男のノロケ話聞くのは勇気の役目だからな。覚悟しとけよ」
「げっ!カンベンしてよ〜!」
あいつの話長ぇんだよな〜、とひとりごちながら勇気はクシャッとした笑顔を見せた。
503Mission 9:2012/07/15(日) 01:48:14.84 ID:zGzG7zpR
───
NANAの手首をきつく掴んだ美男は、彼女をそのまま庭の大木の所まで引っ張っていった。

「痛いってば!離してよ!」
大きな声を上げて、NANAは美男の手を振り払う。

「いったい何なの?私、こんなことしてる場合じゃないんだけど」
「………」
言いたいことは喉まで出掛かっているのに、言葉にならなくて美男は黙り込んだ。
「…用がないならもう行くから」
NANAはくるりと背を向けて歩き出す。

「待っ…!」「?!」
離れていくNANA。美男はその腕を掴み、強く引き寄せて抱きしめた。


「…どういうつもり?」
「行くな…」
「だからどうしてなの!」
「好きだからだよ!」

悲鳴にも似た、心の叫び。
我を忘れて自分の身体をかき抱く美男の必死な姿に、NANAは言葉を無くした。

「NANAが好きなんだ。あいつに…柊に渡したくない。
柊のことが好きなのは知ってるよ!わかってるけど…俺どうしても…」
抱きしめる腕に力がこもる。

「ね、美男…苦しい……」
「あ!ご、ごめん…」
あわてて腕の力を緩めてNANAから離れる。
拒絶されるのを覚悟しながらNANAを見つめると、意外にも彼女は優しく微笑んでいた。
504Mission 10:2012/07/15(日) 01:50:15.69 ID:zGzG7zpR
「…やっと言ってくれたね…好きだって…」
「……?」
「ずっと…ずっと待ってたんだから」
「……ぇ。えっ?ちょ待っ、え?!だってNANA、柊は?!」
自らの手で柊から引き離して、好きだと告白したにも関わらず。
心の底から望んでいたはずの返事は、美男をこれ以上ないほど驚かせた。

「もう…柊はただの友達よ」
NANAは呆然とした美男の目を見つめたまま、その距離を縮めていった。

「…な、な……?」
NANAの顔はゆっくりと、美男の至近距離まで近づき。
逸らさずに合わせていた目が徐々に伏せられ、まぶたが閉じた瞬間、唇が重なった。
何が起きているのか…分かるけれど、理解できずに美男は瞬きを繰り返す。
緊張のあまり、身体はガチガチに固まっていた。

「…これでもまだ信じられない?」
ふ…と唇を離し、NANAが美男の顔をのぞきこむ。
「あ、の…今の、これって…」
「私が好きなのは、美男」
戸惑う美男に向かって、NANAはきっぱりと言いきった。
「ずっと好きだったのに…。気付かないなんて失礼しちゃう」
「ぁ……」
張りつめていた気持ちが不意に緩む。
美男は大きなため息をつきながらその場にへたり込んだ。

「はは…なんだ、そっか……そう……」
すっかり脱力してしまった美男の隣にNANAもしゃがみこんだ。
「なによ、弱虫。あーあ、強気な美男もカッコいいな〜なんてせ・っ・か・く思ってあげてたのに」
悪態を吐くNANAの瞳は、言葉とは裏腹にとても優しくて。
いつも通りのNANAの様子に安堵した美男の心にまた反抗心が湧いてきた。

「…ふん、悪かったな。だったらお望みどおり、カッコよくやり直してやるよ」
そして美男は先に立ち上がり、NANAに手を差し伸べた。
重ねられたNANAの手を取り、優しく立ち上がらせて互いに向かい合う。
そうして美男は一度天を仰ぎ、大きく深呼吸をして覚悟を決めた。
505Mission 11:2012/07/15(日) 01:52:16.52 ID:zGzG7zpR
「今日のことで痛いほど分かったよ。俺、もうどうしようもないくらいNANAが好きだ。
笑うNANAも、喜ぶNANAも…それに、怒ったり拗ねたりするNANAのことだって
誰よりも近くで見ていたいから…。
だからずっと、俺の側にいて欲しい。いいね?」
「……はい」

真剣な告白を、真剣に受け止め…そして沈黙が訪れる。
あまりにも遅い時の流れに耐えかねて、2人は同時に吹き出した。

「…ぷっ、あははっ」
「ふふっ、なによ真面目な顔しちゃって。そんなキャラじゃないくせに!」
「そっちこそ顔真っ赤だぞ!撮影でもないのに純情ぶるなって!」
「そんなことありませんー。目でも悪くなったんじゃないの?」
「あーそうかもね!でなきゃNANAのことすっげー可愛いとか大好きだなんて思うはずないもんな!」
「…っ!」

(よし、勝った…!)
何も言えなくなったNANAを前に、美男が心の中でガッツポーズを決めたのもつかの間。

「もう……美男のバカっ!」
「うわっ!」
NANAに思い切り抱きつかれて、あっという間に形勢逆転。
「…好き」
たった2文字のカウンターパンチを耳元に食らい、美男は完全にノックアウトされた。

この先もう二度と、NANAに勝てる日なんて来ないのかもしれないな。
美男はそう思いながら強気な彼女を抱きしめて、その柔らかい唇に優しく口づけた。
506名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 01:54:17.13 ID:zGzG7zpR
以上です。おそまつさまでした
こんなに長くなる予定じゃなかったんですごめんなさい
そして廉さんがなんだかカッコ悪いですごめんなさいw
507名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 06:25:32.80 ID:jZ3u2js/
>>506
ありがとう!NANA美男カップル好きです、ツンデレで可愛い☆
廉さんは・・・何もしないところがよかったw

柊さんの洒落た雰囲気のイタリアンレストランの個室って、美男にすっぽかされたところ?
柊さんが演技してるつもりで、NANAに惚れて、目撃STK柊さん再び・・・にならなくてよかったです、ほっとしました。



















廉さん、恰好よくはないけど、結局、美子以外はどうでもいいのかもw、つまり、よかったですw
508名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 06:25:54.78 ID:fo7yHaKI
>>506
いい! GJ!
朝からいいの読んじゃったw
美男NANAもだけど、廉美子かわいすぎ〜w
廉さん全然カッコ悪くないですよ〜美子の方が上手なだけで、逆にいいw
そして柊勇気いいやつだ! 全員登場、ごちそうさまでした!
509名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 20:39:00.44 ID:R+NpOF92
GJ!みんなで恋の応援、楽しい〜!!
素直になれない美男NANAも、強気な美子も置いてけぼりな廉さんも
強力な助っ人柊さん&勇気もみんな素敵☆
そして素直に気持ちを伝えられた美男とNANA…エッチまでの道のりは遠いのかなw
ぜひ、エロな続編をお願いします!!
510名無しさん@ピンキー:2012/07/17(火) 20:49:14.10 ID:uTpTD2dg
>>506
GJです!
美子への報告役の廉さん…大役ww
柊勇気の作戦参謀、すばらしいと思いますw
この知略戦略を美子のときに生かせてたらよかったのにね…
511名無しさん@ピンキー:2012/07/17(火) 21:45:51.96 ID:DVp6Bb1f
>>506
GJ!ここの美男NANA可愛いね、超・ツンデレ vv

>>510
柊さん・・・詰めが甘かったよねー。
初回が一番ラブアタック成功してたというか、あのお絵描き手伝い大作戦以外は
結局全部外したといいましょうか・・・
512名無しさん@ピンキー:2012/07/17(火) 21:59:12.64 ID:p2iVdl5T
丁度去年の今頃ドラマがスタートしたんだなーと思い、
この連休に1話から全部通して見てしまったら一気に美男熱復活w
世界観を壊すことなく作品を書いて下さってる職人さんたちと、
読みたい時にすぐ作品が探せるまとめサイトの管理人さんに
改めて感謝です。
今後も素敵な作品に出会えるよう楽しみにしてます。
513名無しさん@ピンキー:2012/07/17(火) 22:11:06.19 ID:uTpTD2dg
>>511
シャワールームでタオル掛けてさりげなく救出w もかなり成功だったと思う
あれは、普通の女の子なら惚れるレベルw
でも2話以降は
「1話の時に一気に行けば良かったのに…柊さんはスタートダッシュが甘かったな…」
ってついつい思ってたww ごめんね柊さん…
514名無しさん@ピンキー:2012/07/18(水) 01:01:10.11 ID:+Duerzyy
美男始まったときからもう1年か・・・感慨深いね。
ここ10年近くSSなど、特にエロパロなんてほとんど書いたことなかったのに
さっき数えたら20回以上も投下させてもらってたwどんだけ好きなんだよっていう…。
まとめサイト管理人さん、いつも本当にありがとうございます。

柊さん、本編では本当に幸薄くて痛々しい人だったなぁ。
次の恋ではしっかりしてくれ!って思いながら、また妄想にふけってきますw
515名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 17:31:12.90 ID:tVyagTiP
>>506
私的本命カプと言っても過言ではない美男×NANAありがとうございます。ごちそうさまでした。
ほんと可愛くてたまらんです!
516名無しさん@ピンキー:2012/07/24(火) 07:32:23.67 ID:aIETxmeH
もしかして、そろそろ次スレ?
517名無しさん@ピンキー:2012/07/24(火) 13:24:17.88 ID:HVZ/Pgi3
柊sハァハァ
518名無しさん@ピンキー:2012/07/24(火) 17:09:28.69 ID:R2WD8tQ4
>>516
60Kbあるからまだ平気だろ
519名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 17:08:35.88 ID:Ys0jDAoA
廉さんhshs
520名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 21:13:38.93 ID:LW4nxoyz
>>519
hshsって何?
521名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 00:19:12.87 ID:23Cv13Gf
>>520
保守?
522名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 00:45:32.66 ID:vso/xTuh
ハスハス だろ
523名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 21:38:38.69 ID:ImV9QleB
書き手の皆さんのお話を待ちつつ…
そのうち、こんなこともあるかな〜と。小さくこっそり投下しますw
美子他 エロなし
524思い出の写真:2012/08/01(水) 21:40:25.77 ID:ImV9QleB
「ママー、来てー!パパいるよ〜」
美子は、子供たちに呼ばれて洗い物の手を止め、キッチンからリビングへ入った。
子供たちは、どこからか見つけてきた写真の束をリビングの床いっぱいに広げて、
その真ん中でキャッキャッとはしゃいでいる。

「ママ、ほら!パパ、赤い服着てるの。髪の毛くるくる〜」
「しゅう兄ちゃんとゆうき兄ちゃんもいるよ〜こっちはまぶち!」
「もう、だめでしょ?『まぶちさん』でしょ?」

(懐かしいな…)
美子は、写真を手にとって微笑んだ。
あの時…
どうしていいかわからなくなって、『大切な輝く星』をあきらめようとした私に、
「好きになってもいい」って『許可』してくれた…

何年も前のことなのに、一瞬で時が戻って…美子はふいに涙ぐみそうになった。

「あっ!ねえねえ、ほら。みおおじちゃん、変な顔してる〜」
「ほんとだ。おもしろーい!ね、今度これやってほしいなぁ。」
盛り上がる子供たちに見せられた写真には…
「…あ…」
『ブタ鼻をする美男』が写っていた。

(どうしよう。これ、お兄ちゃんじゃなくて、私…)
しばし悩んだが…
(お兄ちゃん、ブタ鼻やってくれる感じ、あんまりしないんだけど…
でも、子供たちが楽しみにしてるからって、前もって頼んどこうかな。)

美子は、写真に埋もれてはしゃぐ『大事な星たち』をぎゅっと抱きしめた。
「パパが帰ってくるまでに、このお部屋をきれいにしましょうね〜
いい子にしてたら、みおおじちゃんもちゃんと遊んでくれますよ。」
「はーい!」
525名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 21:42:32.89 ID:ImV9QleB
>>524
以上です。たいしたオチなくてすみませんww
この子供たちはやっぱり双子のイメージ…両親どっちに似ても絶対かわいいはずw
526名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 21:46:11.32 ID:cEV3frs8
>>525
GJ!
パパにも見えなくちゃね、ブタ鼻w

廉さんファミリーの家には豚ウサギぬいぐるみあるのかな?
527名無しさん@ピンキー:2012/08/04(土) 17:00:25.57 ID:WAc7D9IS
$誌読み返してたら
柊×美子の中の人が近すぎてワロタwww

最近柊×美子不足なので職人さんよろしくお願いします<m(__)m>
528名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 03:11:22.73 ID:6rNfksf6
>>487です。
前回の更新で感想を下さった皆様、本当にありがとうございました!
続き投下までに一ヶ月も空いてしまってすみません…。

これから廉×美子長編の続きを投下します。
いよいよ佳境?今回もエロなしです。

前回までの更新

前スレ
458-472

現行スレ
>>422-432
>>472-486
529君に贈るセレナーデ 42:2012/08/10(金) 03:17:39.92 ID:6rNfksf6


***


…ここは何処だ…?

歩いても歩いても、辺りは真っ暗。


『くそ…っ…』

廉は果てしなく続く暗闇の中を、独りで歩き続けていた。

時折走ってみるが、行き止まりもゴールもない。
混沌とした黒が広がるばかりで、次第に進む事すら億劫になり、
やがて足を止める。

『…何なんだ、これ…』

ここは暗過ぎて、役立たずなこの眼で進路を見付けるのは困難のようだ。
闇雲に歩くのを止め、ひとまず胡座を掻いて座った。


『…ひっく…、グスッ………お母さん…』


静まり返った辺りに、子供らしき者の泣き声がする。

『…チッ……』

酷く耳障りなそれ。
不快感を露に舌打ちし両手で耳を塞ぐと、強く目を閉じた。

『…お母さんは、ぼくを捨てたんだ…』


それでも尚、恨めしげに木霊する呻きは廉の耳を抉じ開け、魂へ語り掛ける。

『……みんな、きっとぼくを置いてっちゃう…』

『…うるさい…』

『…お前なんかいらないって思われてるんだ…』

『…っ…黙れ!!』

激昂して立ち上がり、見えない影を振り払うと再び走り出した。

息を切らし、全力で駆けても己に迫る…漆黒の闇。
530君に贈るセレナーデ 43:2012/08/10(金) 03:20:01.81 ID:6rNfksf6

『…はぁ、はぁ……』


何か、大切な事を忘れている気がする。

暫し走った後、力尽きその場に倒れ込んだ廉は、
延々と広がる星の無い空を見上げた。

『……何も見えない…』

ひとりでは、夜はただ暗い世界でしかない。
…いつも、そうだった。

なのに、穏やかな光を放つ星を見た気がしてならないのは、何故なのだろう。


『…、…』


声にならない声を上げ、天に向かって両手を伸ばす。
早く、ここから出なければ。

本能的に危険を感じて起き上がろうとした時、啜り泣きが響いた。


『…ずっとここに居て?…ぼくをひとりにしないで……』


地底から無数の腕が現れ、藻掻き暴れる廉の全身を掴み、
深淵へと引き摺り込む…。



『…っやめろ、離せ…っ…うぁあああ…ッ!!』









531君に贈るセレナーデ 44:2012/08/10(金) 03:25:32.08 ID:6rNfksf6

―――



「いいお天気…せっかくだし、空気の入れ換えしますね、廉さん」

よく晴れた空を見渡し、広い病室の窓を全開にすると風を通して深呼吸を行う。
爽やかな朝の秋風が頬を掠め、何処と無くどんよりしていた空気が少し軽くなった気がした。

「今日もこ〜んなにたくさん、お花が届いたんですよ!
ファンの皆さんも心配してるんですね…」

安藤社長と親しいという病院長の計らいで割り当てられた、病棟の特別室にはA.N.JELLのファンらから
様々な花や見舞いの品が届き、まるで人気店のオープン祝いさながら。
窓の下を覗けば、最新情報を求めて集まるマスコミらと、泣き崩れるファンたちが
病院周辺に列を成している。

「…廉さんが倒れてから、世間は大騒ぎなんですよ?どのニュースも廉さんの事ばっかり。
芳井さんなんて、辞表を出して泣きながら病室の前で土下座したんですから。
馬淵さんと社長が説得しなかったら、どうなってたか…。やっぱり直接許してあげなくちゃ、
芳井さんも落ち込んだままです」

美子は不自然なほど朗らかにヘラヘラ笑いながら喋り続け、
窓際から離れて後ろを振り返る。
彼の姿を見ると、無理に浮かべた笑みが…あっという間に薄れていった。


「……だから、早く…目を開けて下さい……廉さん…」

白い腕から伸びる点滴の管。
常に新鮮な酸素を肺へ送り込む為の呼吸器。
痛々しい医療器具に繋がれベッドに横たわる廉は、未だ目を覚ます事なく…
その意識を夢の中に沈めていた。


あれから3日が経った。

アナフィラキシーショックによる急激な血圧低下と呼吸不全で、一時はかなり悪化した容態も、
柊に連れられ美子が駆け付けた際にはどうにか落ち着き、廉は一命を取り留めた。
意識を失う前、栄養ドリンクを嘔吐した咄嗟の判断が幸いしたらしい。
あの夜40℃近くまで上がった熱も収まり、いつ目を開けてもおかしくない状態と診断が下された…はずだった。


「…まだ、起きたくはありませんか…?」

ベッドの傍らに置かれた一人掛けの椅子に腰を下ろし、彼の手を握る。
至るところに発生した蕁麻疹も、治療の甲斐あり現在は痕すら残っていない。

あとは意識の回復を待つだけだが、美子がいくら呼び掛けても廉は眠ったまま。
担当医師は“彼の心が、起きる事を拒んでいるのかも知れない”と言って首を捻っていた。

キャンプへ出掛ける前に話した時よりも幾分痩せた頬を、指先で撫でる。
呼吸器の留め具が外れないよう慎重に。
じわりと滲む涙で視界がボヤけ、彼の顔が歪む。
532君に贈るセレナーデ 45:2012/08/10(金) 03:31:30.11 ID:6rNfksf6

「…美子、廉はどうだ?」
「お兄ちゃん……」

静かに病室の戸を開けて顔を出した美男の気配を察知し、慌てて歯を食い縛り平静を装う。

病室に似合わぬ派手な赤いジャケットを羽織り、スパンコールがちりばめてある
黒のタンクトップに細身のブラックデニムをブーツインした、いかにもステージ衣装な出で立ちの兄。
他のメンバー同様、廉が抜けた穴埋めで忙しい仕事の合間を縫って来たらしい。
己の身代わりに引率者役を担ってくれて以来の再会である。


「…全然目を覚まさないの……体は良くなってるみたいなんだけど…」
「そうか…コイツが一番病んでんのは、体じゃねぇだろうしな」
「…?」

思わせ振りな口調で言った美男は、怪訝な顔をする美子の隣に立つと肩に提げた鞄から
原稿用紙の束を取り、目の前へ差し出した。

「…これは…」
「……読んでみろ。廉の母親が書いた手記だ」
「え!?」

手中にあるものが水沢麗子によって書かれたと聞き、目を丸くして兄の顔と交互に見遣る。
文字を少し辿ると、タイトル部分に“愛しいあなたへ”と記されていた。

「廉が倒れた日の20年前は、ちょうど水沢麗子が家を出た日でもあったんだとよ」
「…!!」
「……情緒不安定な時にお前が居なくなって、心のバランスが崩れちまったのかもな」

美男の呟きで、キャンプ行きをあんなに怒った彼の真意が、やっと判明した。

…まさか、母親に捨てられた日だったなんて…。


「私…何にも知らないで、廉さんを独りにしちゃってたの…?」


“嫌な事があると、不思議とお前が現れて馬鹿やって下さるから、心が和むよ”

“お前と居ると、笑って一日を終えられる”


彼が伝えてくれた、嬉しくて幸せな言葉。
それは裏を返せば、『美子が居なければ平静を保てない』という、廉の本心の表れでもあった。

一番傍に居てあげなければならない日、彼を置いて出て行った自分は、なんと罪深い人間なのだろう。

「……廉さん…、すみません…っ…」

後悔と自責の念が波のように押し寄せ、美子は大粒の涙を零しながら点滴に繋がれた
廉の手を強く握り締め、謝罪を繰り返す。
どんなに泣いた所で、彼には届かないのだが。
533君に贈るセレナーデ 46:2012/08/10(金) 03:39:04.70 ID:6rNfksf6

「…こんな美子の声を聞いても起きねぇなんて…
…なぁ廉、いつまでそうしてるつもりだ?…起きろよ、早く」

妹が泣く姿は見るに耐えないと言わんばかりに、廉の枕元へ立った美男は語気を強め、
何の反応も示さない彼を睨み付けて舌打ちし、苛立ちを露にする。

「…ずっとそこに…母親に捨てられた日の中に居座るってか。
…ふざけんじゃねぇ!お前を待ってる美子はどうなるんだよ!!」

廉の両肩を掴んで身体を揺さぶる、そんな兄の無茶な行為を目の当たりにし、
美子も病室という場所を弁えず泣き叫んだ。

「やめて!!…お願い……廉さんに酷いことしないで…」
「…美子…」

美男は大人しく手を止め、衝動を堪えるよう大きく溜め息を吐き、皺が刻まれた
自身の眉間を指先で押さえる。
これまで見た事の無い、兄の取り乱した様子に驚きを隠せず、美子は視線を泳がせた。

「俺は、お前を傷付ける奴は誰であろうと許さねぇ。
…それが例え、廉でもな」
「…お兄ちゃん…」
「…けどよ。お前を笑顔に出来るのは結局、コイツだけなんだろ?
…情けねぇ話だぜ、ったく…」

そう言って眉を垂れながら笑む、鏡写しに瓜二つなその顔は、いつの間にか
優しくて頼もしい兄のそれに戻っていた。

「ごめんなさい…」
「謝るなって。…俺の方こそ、さっきはカッとなって悪かった。
あ〜、やっぱ病人に暴力はマズイよな、うん」

腕を組み鼻の穴を目一杯広げた偉そうな態度で、一応の詫びを入れる美男の悪びれなさが
却って潔く、つい笑みが零れる。

534君に贈るセレナーデ 47:2012/08/10(金) 03:40:34.05 ID:6rNfksf6

「ふふっ、お兄ちゃんったら…」
「…そうそう。コイツにもそんな風に笑ってやれ。
いつまでも落ち込んだ顔してちゃ、お前まで参っちまうぞ」
「もしかして、わざと…?」
「野暮な事聞くんじゃねぇよ。…そろそろ戻るわ。じゃあ、またな」

臭い芝居しちまった…などと、ブツブツ言いながら病室を出て行った兄の背を見送る。

幼い頃、両親が居ない事で虐められた美子を庇い、時には強い相手にも怯まず立ち向かって。
守ってくれたのは、いつもあの背中だった。

「…しっかりしなくちゃ、私も…」

これ以上、美男には頼れない。
これからは、この手で支えていきたい背中を見付けたから。

「…院長様……お父さん、お母さん…どうか、廉さんを救う力を…
私にお授け下さい…」

母の形見の指輪に触れ、廉の手を両手で包み込みながら、目を閉じ祈りを捧げる。

「……諦めない、絶対…」

願い続ければ、夢は叶うと信じている。
挫けそうになる心中に言い聞かせ、美子は兄の置き土産である原稿用紙へ視線を移した。
ここに、彼が抱えている闇を打ち砕く答えがある。

そんな予感がした。

535君に贈るセレナーデ 48:2012/08/10(金) 03:42:46.79 ID:6rNfksf6
***



誰かに呼ばれた感覚で瞼を開く。
周囲の異変に驚いた美子は慌てて立ち上がった。


『……あれ?…真っ暗…』

知らぬ間に眠っていたのか、辺りはもうすっかり暗い。
眉をしかめ頬を掻きながら廉のベッドを振り返ると、視界には何も映らず幾度も目を擦った。

『ここ、病室じゃない…』

最初は目が慣れていないだけだと思い込んでいたが、キョロキョロと四方八方を見渡しても
一面闇に覆われており、方向感覚すら狂いそうで。
ようやく自分が立っている世界が、現のものではないと悟った。

『…夢なのかな……』

独り言を呟き、不安げに肩を竦めた体勢のまま、とりあえず前進する。

涙無しには読めなかった、水沢麗子の手記に書かれた最後の一文。
どうしてもあれを、早く廉へ伝えなければならないのに。
こんな不可解な夢を見ている場合ではない。

しかし、己の頬をつねったり叩いたりしても一向に目覚められず、溜め息が漏れる。


『…グスッ…っうぅ……』

『………!』

しばらく歩いた所で、子供とおぼしき微かな泣き声がし、足を止めた。
目を凝らしてみるも、やはり眼前には闇が広がるのみ。
それでも、耳を澄ませば確かに聞こえるそれを見過ごせる訳もなく…
美子は思い切って駆け出した。

『どこに居るのー!?大丈夫ーっ?』

泣き続ける子供の姿を探して、必死に走る。
段々近付いているのか、声が大きくなるのが分かった。

『…はぁ、…どうしよう、こんなに真っ暗じゃ探せない…』

確実に先程より近付いたはずだが、美子の視界を暗黒が遮る。
廉も、ずっとこんな気持ちで夜を過ごして来たのだろうか。

上がった息を整える為、一旦歩を止めて考えた。
どうすれば泣いているあの子に、自分の存在はすぐ傍だと示せるのか。

『…そうだ…、私の声……』

そこでようやく、己が持つ唯一の才能を思い出す。
皆に認められた…“これ”なら。
536君に贈るセレナーデ 49:2012/08/10(金) 03:46:14.60 ID:6rNfksf6


♪〜〜〜〜


意を決して瞼を閉じ深呼吸した後、美子はおもむろに歌い始める。
A.N.JELLに加入する決め手となった、あの讃美歌を。

あなたを助けたい。
私はここだよ。
だから、泣かないで…。

思いを込めて、最後まで丁寧に歌い切った。

そっと目を開けると、闇を打ち消すかの如く煌々とした星空が広がり、
月光まで降り注いでいる。
茫然と口を開ける美子の背後から苦し気な息遣いがし、すぐさま振り向くと。

『…やっと見付けた……』

月明かりの下で蹲る5歳くらいの男児を発見し、ホッと安堵の息を吐く。
彼と同じ目線になるよう膝を折り曲げ、顔を覗き込んだ。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったそこには、想い人の面影が色濃く…つい息を飲んでしまう。

『…誰…?』
『…私は…あなたを助けに来たの』
『……ぼくを?』

驚きの表情で美子を見上げた彼は、よく見ると何かのトロフィーを抱えていた。
先端部は落として壊しでもしたのか、地面に転がる装飾の欠片が物悲しい。

『これ…』
『…ピアノの発表会で優勝したんだ…
…でも、もういらない…お姉ちゃんにあげる』

男の子は自嘲の笑みと共に吐き捨て、トロフィーを美子へ押し付けた。
土台部分にある“ピアノコンクールジュニアの部 優勝 桂木 廉”という印字に目を見開く。

『……!』

彼の正体を知った途端、麗子の手記にあった“息子を捨てた日”の内容が過った。
居たたまれなくなり、トロフィーごと男の子を抱き締める。

『…お姉ちゃん?』
『会いたかった…』

腕の中にすっぽり収まる肩が強張った。
普通の子供の反応とは違い、抱擁に慣れていないらしく触れ合った肌から緊張感が伝わる。

『…どうして…?ぼくなんて、いらない子なのに…』
『要らない子な訳無いよ!私にはあなたが居なきゃダメなんだから…
…そんな事、言わないで…』

この幼い身体に、どれほど辛い思いを溜め込んで来たのか。
想像しただけで心が痛む。
自身を“いらない”と称し戸惑う、彼の発言を否定すると、
抱いた背中を何度も擦ってやった。
537君に贈るセレナーデ 50:2012/08/10(金) 03:49:06.50 ID:6rNfksf6

『…でも、お母さんはぼくを捨てて…行っちゃったんだ』
『お母さんはね、あなたを捨てたんじゃないの。
しばらく離れようとしたのは本当だけど…また会えるよ』
『……ホントに?』
『約束する、お母さんに会わせるって…。
だから、私を信じて?…一緒に行こう』

少し身体を離し、期待と不安が入り雑じった瞳でこちらを窺う男の子へ、優しく微笑む。
止めどなく流れていた涙は潮を引くよう収まったが、表情にはまだ翳りが見えた。

『…ここから出ても、大丈夫なのかな…
…みんな、ぼくを置いて行っちゃうかも…』
『大丈夫。私がずっと、ずーっと…傍に居ます。
…あなたは、ひとりぼっちじゃありません…廉さん』
『…え…』

名前を呼ばれて固まる彼の頬へ唇を寄せ、満面の笑みを向け…美子は言い放つ。

『……愛してます』


真心を籠めた告白を送り、瞼を閉じて再び顔を近付け、小さな唇に己のそれを重ねた…刹那。

突如、息苦しささえ覚えるほど強い力に抱きすくめられる。
鼻孔をくすぐるのは、慣れ親しんだ愛しい香り。
目蓋を開けてみると、白いシャツを纏う広くて逞しい胸板があった。


『……美子…』


『…廉、さん……』


己をしっかり抱き留める腕と、耳を掠めた甘い声音。

ひたすら探し求めていた、いつもの廉の姿に…美子は込み上げる衝動を堪え切れず、
顔をクシャクシャにして泣き出した。
538君に贈るセレナーデ 51:2012/08/10(金) 03:51:55.62 ID:6rNfksf6

『…廉さ…ッ、廉さん…!!』

『お前の声、聞こえたよ……ありがとな』

しゃくり上げる己の濡れた頬を指先で拭った彼が、白い歯を覗かせ嬉しそうに破顔する。
滅多に見れない無邪気な笑みは美子の心臓を容易く跳ねさせ、また一層想いが膨らんだ。

『…もう、離れません。もし廉さんがまた、こんな暗いところに閉じ込められても…必ず見付けますから』

今日まで、廉から貰う愛情に充分応えられなかった。
本気で向き合って、傷付くのが怖かったのだ。

だが、その身勝手が彼を追い込んだ要因でもあると知った今なら、心を晒す勇気が湧いて来る。

美子は手の甲で少々乱暴に目元を擦り、真っ直ぐな視線を向けた。

『これからは、私が…あなたを守ります』

『…!』

『ひとりで抱え込まないで、何でも相談して下さい。…何でも、です』

それはいつか、彼が己に宣言した科白。
そっくりそのまま返された事に面食らったのか、廉は数回瞬きを繰り返した後、眉を垂れ困り気味に笑った。

『……適わねぇな、お前には…。どこまで俺を夢中にさせるつもりだ?』
『…っん…!』

グッと腰を引き寄せられ後頭部へ手が回ったと同時に、美子の唇は廉によって塞がれる。
この空間が現実のものではないと理解しているが、久しく遠退いていたキスの感覚に、背筋がゾクリと粟立った。

『…っ…、はぁ…』
『美子…一緒に戻るぞ。こんな場所に用はねぇ』
『…は、はい!』

唇を解放した廉と、額同士をくっ付けて笑い合う。


…ふたりなら、絶対に大丈夫。


互いを照らしていた夜空の微弱な明かりが、朝を迎えたように強くなった。

足元からスーッと、目も眩む光の道が現れ彼方へと伸びる。
美子と廉は堅く手を繋ぎ、そこへ一歩、踏み出した。






539君に贈るセレナーデ 52:2012/08/10(金) 03:57:38.28 ID:6rNfksf6


―――



「……ぅ……」

太陽が真上に差し掛かり室内へ光が満ちる頃、廉は重い目蓋を開いた。

見知らぬ白っぽい天井が霞む視界に映り、混乱する脳内を整理出来ぬまま、身体を動かそうと試みる。

「…ッ、…?」

何やら左半身が石のように重く、不思議に思い首を傾けてみれば。

「…み…こ…」

椅子に腰掛けつつ上半身をベッドへ預け、左腕を掴み気持ち良さそうに
スヤスヤ眠る美子が居て、つい口元が緩む。

暗く冷たい闇の底まで飲み込まれた廉の元に届いたのは、慈愛に満ちた天使の歌声だった。
美しい音色で暗黒を薙ぎ払い、光へ続く道となって己を導いた…救いの手。

「…ずっと傍に居てくれたのか…」

顔面を覆う煩わしい呼吸器を左手で引っ張って強引に取り外し、
閉じた瞼を彩る長い睫毛を眺める。

彼女の純粋で暖かな心に触れた、あの誕生日の抱擁と同じく…
否、より確かな愛情が、トラウマに蝕まれた過去をも癒し、乗り越える強さを与えてくれた。

例え、あれが夢であったとしても。
やはり廉の中で、桜庭美子という存在が如何に大きなものなのか、改めて思い知らされる。

「…ん……」

しばらく飽きもせず寝顔を眺めていると、穴が空くほどの
執拗な視線に気付いたのか、美子も目を覚ました。
ぼんやり病室の壁の一点を見つめ、なかなかこちらを向かない寝惚けた態度に
焦れったくなり、悪態を吐く。

「おい、ブタウサギ。いつまでそうしてるつもりだ?」

「……!!……廉、さん…」

呼び掛けられて数瞬後、ガバッと勢い良く身体を起こした美子は、
瞳と口を大きく開けてフリーズしてしまった。
お世辞にも可愛いとは言い難いその表情すら愛しく、廉は顔を綻ばせながら
手を伸ばし、彼女の手首を掴む。
随分と会っていなかったような気がして、意識せず言葉が漏れた。

「……ただいま」

呆けていた美子の円らな瞳がみるみる潤み、透明な雫が頬を滑り落ちる。
ベッドに横たわる廉へ覆い被さる形で抱き着き、まさに感極まった様子で肩を震わせ始めた。

「…おかえりなさい…」
540君に贈るセレナーデ 53:2012/08/10(金) 04:00:38.18 ID:6rNfksf6

華奢な肩と腰を支えつつ、宥めるよう背中を撫でる。

ハッキリし始めた意識に、ようやく自身が倒れた際の光景が蘇って来た。
皆にどれだけ余計な心配を掛けさせたのだろうと、反省を覚える。

「…俺、確か栄養ドリンク飲んで…ブッ倒れたんだよな?」
「はい…そうです。あのドリンクにカニの成分が入ってて、アレルギーのショック症状が出たって
お医者さんが言ってました。…廉さん、あれから3日間も眠ってたんですよ」
「3日!?…はー、どうりで嫌な夢も見る訳だ」

抜けた記憶の中で何が起こったのか知り、呆れ顔で溜め息を吐き頭を抱えた。
すると、泣き止んだ美子は信じられないといった表情で、廉をまじまじと眺め始める。

「…それって…真っ暗な場所から出られなくなる夢…ですか?」
「…!…何で、それ…」
「嘘みたい…。私も、さっきまで同じ夢を見ていたんです。
…暗い世界で廉さんを探してました」
「じゃあ…あの歌も、お前が?」
「讃美歌ですよね!?確かに歌いました!」

こんな事が実際にあるなんて…と、二人は驚きに顔を見合わせた。
互いが語る夢の内容が完全に合致していたのだ。

「…凄いな。俺の夢の中まで入って来れたのか」
「わ、私は何もしてませんよ?ただ…院長様や、亡くなった両親にお祈りをしていただけです。
きっと、皆が廉さんを助ける力を貸してくれたのかも…」

感心しきりな己に対し謙遜の意を示した美子は、母の形見だという指輪を大切そうになぞる。
科学的に説明が付かない奇跡を起こしたにも関わらず、決してでしゃばらない彼女の態度がいじらしく、
廉は満足げに口角を吊り上げた。

「…そういう所がすげぇって話なんだけど」
「はい?」
「何でもない」

面と向かって褒め言葉を伝えるにはどうにも照れ臭く、曖昧に誤魔化し視線を逸らす。
その先、ベッドのすぐ脇に落ちている紙の束を見付けた。

「それは?」
「あ…そうだ!これ読んでもらわなきゃ…。
…廉さんのお母さん、水沢さんが書いた手記だそうです」

ホッチキスで端を止めてあるそれを拾い上げた美子から、神妙な面持ちで手渡される。
予期せぬ母親の話に多少の動揺を覚えながらも、上体を起こした廉は原稿用紙の最初のページから、
順番に目を通し始めた。
541君に贈るセレナーデ 54:2012/08/10(金) 04:04:43.92 ID:6rNfksf6

「………知らなかった…こんな話…」


そこには、己の知らない母の過去があった。

実母から虐待を受けていた幼少期。
心の傷を癒してくれた、若い音楽家に恋をした思春期。
その恋を成就出来なかった無念から暴挙に走り、富と名声を手に入れた代償として、
孤独に苛まれて来た半生…。

これまで会話らしい会話もなかった母に、このような辛い思い出があるなど想像もしておらず。
読み進める度、廉の胸を言い様のない感情が締め付ける。

「私も、読ませてもらって…すごく辛かったです。もし母が居なかったら、父は水沢さんを…」
「……いや、その話はもういい。どっちにしろ、お前の親父さんが母さんを選んだとは限らねぇからな」

落ち込む美子の横顔を見遣り、覆せぬ過去を今更どうこう言うつもりは無いと、気丈に正論を述べた。
以前の自分なら彼女に色々と八つ当たりをしてしまった可能性もあるが、不思議と今は心に余裕が出来たように思う。
憑き物が落ちる、とはよく言ったものだ。

「…ん?」

全て読み終えた矢先、ページが一枚、まだ裏に隠れているのを目敏く見付けた。
点々と水滴の跡がある部分がちょうど貼り付いており、破れないよう気を配りながら
それを剥がし、声に出して文字を読み上げる。

「“…自分の辛い境遇を嘆いてばかりで、母親として何もしてやれなかった私を…
…廉、あなたは一度も見捨てなかったわね。
こんな母でも、求めてくれていたんだと…この年になってやっと解ったの。
求められる事がどれだけ素晴らしいのか…”」


そして、更に数行後。

記された最後の一文を読んだ瞬間。
廉は目頭が熱くなるのを抑えられず、俯いて息を詰まらせた。


“今からでもまだ間に合うのなら。残りの余生は有りのまま、あなたを愛したい。

廉…私の息子として生まれて来てくれて、ありがとう”


「…ッ………」

大きく肩を揺らし、恥も外聞も無く溢れ出した涙を止められず、原稿用紙を抱えてベッド上に蹲る。
そんな廉を、美子の暖かな腕がそっと柔らかく包み込んだ。
542君に贈るセレナーデ 55:2012/08/10(金) 04:07:01.83 ID:6rNfksf6

「水沢さん……お母さんは、ちゃんと廉さんを愛してたんですね……。
愛し方が解らなかっただけで…廉さんは、愛されていたんです」

そう繰り返し、母の思いを代弁する彼女のしなやかで透き通った声が、全身に染み渡る。

他人に弱味や涙を見せないよう、20年間心に張り巡らせた鉄壁のガードが…音を立てて崩れ去っていった。

「…っぅ……ッく…」

何もかもを許し慰め、受け止めてくれる聖母と見紛う、美子の胸元に顔を埋め。
咽が嗄れ、ボロボロになるまで廉の慟哭は続いた。


暗闇の中で泣く幼い自分を嫌な記憶の奥底へ封じ込め、見ない振りをして来た日々。

しかし、もうその必要はないだろう。


…美子が傍に居る限り。



「…私も、あなたを愛してます…」


渇望していた言葉を再度、現実世界でも与えられ。


廉は ただ頷き、彼女の細い身体に縋り付いた。





543名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 04:16:34.88 ID:6rNfksf6
今回はここまでです。
一番書きたかった場面なので、悩みまくった挙句に更新が
遅くなってしまいました…。

廉さんにはこれからも、美子というかけがえのない星を大切にして頂きたいですね。

せっかくのエロパロなので、次回以降はエロあり展開に向けて進めますw
まだまだ続きます…。
544名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 06:07:17.50 ID:UFN+EKJk
うーーー、今回も涙涙でした
廉さん助かってよかった
二人で同じ夢を見るって、絆の強さを感じますね
俺様の廉さんの中に、小さな子供の廉さんがずっといたんだと思うと心が痛むけど
美子の愛で解放されたんだなー
エロ部分も期待してますw
545名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 19:19:22.30 ID:k4oFXTlP
>>543
GJです!
続き待ってました〜良かった廉さん、ちゃんと無事でw
美子の愛の力かな…心の奥底の長年苦しんだ小さな廉さんも一緒に救ったんですね
小さな廉さんにキスする美子、を想像してちょっと萌えましたw

エロも待ってますw
でもお話がずっと続いてほしい気もしてるww
ゆっくりでもいいので、いろいろヨロシクですw
546名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 23:00:58.65 ID:vkoIEMIs
>>543
GJ…涙で画面が霞みます…

よかったなぁ…廉さん。
今までの分、愛し愛される女性二人に包まれて、幸せになれ。

続き、待ってます。
547名無しさん@ピンキー:2012/08/11(土) 00:29:24.64 ID:TbPWRGA8
>>543
いつも、本当にGJです!!廉さん、ようやくトラウマから解放されたね…。
大きな愛で包んでくれた美子のおかげだし、
水沢さんも長い年月を超えて廉への愛を伝えられて良かった。
エロもあるなんて、なんてステキな!!じっくり書き上げてくださるのを待ってます!
548名無しさん@ピンキー:2012/08/12(日) 07:28:31.82 ID:s8bpPE3i
>>543
ああ…なんてGJなんだ
いつもすばらしいです。ありがとう
廉さんが救われて本当に本当に良かった

このお話は廉美子はもちろん、登場人物のすべてに大きな愛が感じられて心を揺さぶられます
続きゆっくり楽しみにしてます!
549名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 21:27:29.86 ID:TkBkEt+M
>>543です。ご感想ありがとうございます!暖かいお言葉を頂いて恐縮です。
携帯でポチポチ打ってるんですが、本当に更新が遅くてすみません。
スマホに買い換え迷ってたけど、更に遅くなるかも知れないからしばらくお預けw
自分は湿っぽい話しか書けないので、職人様!どうか明るく楽しく、エロエロなお話をお願い致します!ww
550名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 21:34:12.22 ID:0YNfR3MY
>>549さん
ありがとうございます。まったり待ってます。

そういえば、今日、NANAの中の人がいいとも出たそうですね。
美男関係者からお花あったのかな。
美男はTBS系だから関係ないか。

NANAと美男はリアル友達でパンケーキ食べに行ったとどこかで読んで以来
パンケーキが食べたくてしょうがない。パンケーキといっても、普通にホットケーキの薄いやつだとしたら、興醒めだけどw
551名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 22:12:07.03 ID:syEbL8Dq
>>549
待ってマースw
おおw 携帯でしたか…
毎回深く丁寧に、しかもじっくり長編なので、PCだとばかり…
自分は完全PC派ですが、読み直す度に手直しばかりでまだまだ未熟…
でもがんばるw とりあえずいくつか放置してるものをなんとかしなくては…

>>550
パンケーキ…美男と柊さんの原宿デートのときのみたいな感じ?
最近、原宿ロケ地巡りに行きたくて仕方がない
以前一度行ってるけど、今度こそハンバーガーの後にパンケーキ、を達成したい!
552名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 22:44:13.66 ID:0YNfR3MY
>>551
原宿お一人ロケ地めぐりデート?

ハンバーガーとパンケーキって、両方粉モノ・炭水化物だから
続けて食べるのは辛いねw

ちなみに赤い靴もお買い上げ予定?
553名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 22:56:09.20 ID:syEbL8Dq
>>552
そw お一人さまでww
ハンバーガーすごいボリュームすぎて、デザートは絶対無理!て前回思った
あんなのよく連続で食べたね、美男…
次回は食べる量考えてなんとかリベンジしたいw
赤い靴の店、どこなんだろう? 行ってみたいけど場所がわからない…
554名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 03:50:58.51 ID:5oZdcn54
美男×NANA、エロあり
>>495-505の続編のつもりです
555Reach 1:2012/08/18(土) 03:52:29.93 ID:5oZdcn54
あの告白の日から数日。
俺とNANAの交際を認め、祝福してくれた安藤社長は「あちらの事務所にもきちんと挨拶するべきだ」と
大人の気遣いを見せ、NANAの事務所の三上社長も交えた会食をセッティングしてくれた。
もちろんPVへの出演依頼というビジネス上の大目的もあったわけだが、話がまとまった後で
交際について切り出すと、俺達の想いが真剣であることを見抜いた三上社長は好意的に
受け入れてくれた。

その後の食事中、いつもより数段速いペースで飲み続けてすっかり酔いの回った三上社長からは、
「NANAを泣かせるようなことがあったら許さない」などと、まるで箱入り娘を嫁に出す父親のごとく
泣きつかれる始末だった。
その他にも柊と勇気、そして馬淵さんからの盛大な冷やかしに少し辟易したものの、終始和やかに
会食は進み、解散の時間となった。
店を出る頃にはすっかり夜も更け、NANAを家まで送り届けるのを皆から任されて、そうなると当然…。

「あの…お茶でも飲んでいかない?」
「え、いいの?」

そして俺は、初めてNANAの部屋を訪ねることになった。


───

「お邪魔しまーす。…へえ、可愛い部屋だね」
「ありがと。今お茶淹れるから、座ってゆっくりしてて」

NANAに勧められるままにソファに腰掛け、ふうっと一息吐いた。
アロマキャンドルの残り香だろうか、少し甘い香りが辺りをほのかに漂っていて、いま自分のいる場所が
どこであるのか、つい意識する。
(NANAの部屋…。2人だけ、なんだよな…)
美子以外の女の子の部屋に入るのは久しぶりで落ち着かず、そわそわと辺りを見回しているうちに
NANAがトレーを手に戻ってきて、隣に座った。

「お待たせ」
「あ、ありがとう…」
小ぶりなマグカップから熱い紅茶を一口すする。
美味しい…のだろうが、落ち着かない気持ちが味覚を邪魔して、味なんてまったく感じられなかった。
556Reach 2:2012/08/18(土) 03:53:47.55 ID:5oZdcn54

「今日、楽しかったね」
「う、うん。三上さんにもちゃんと認めてもらえて良かった」
「そうね…」
「うん…」

緊張感というのは側にいる人間にもすぐに伝わるものらしい。
NANAまで言葉が少なくなり、会話はすべてぶつ切りになる。
(どうしよう…間が持たない…)
そんな気まずい雰囲気から抜け出すきっかけを作ってくれたのはNANAの方だった。

「そうだ、美男に見せたかったものがあるの」
NANAがサッと立ち上がり、本棚の上に置いてあった大きな封筒を持ってきた。
「これ、見本が出来たばっかりなんだけど…。良かったら感想聞かせて」
何だろう、と思いながら封筒から取り出してみると、それは出来上がったばかりの写真集。
抜けるような青空をバックに透明感あふれる笑顔を見せる表紙のNANA。
『Clear』というタイトルにぴったりの一枚だ。

「これ新しい写真集?どこで撮ったの?」
「プーケットに行ってきたの。この空、すごいでしょう?それに海がとーってもきれいだったの!
水平線に夕日が沈むところとか、海がオレンジの光に染まってキラキラしてて…。
もう涙が出るくらいに素敵だったのよ」
当時の光景を思い出したのか、興奮気味に話すNANAを微笑ましく思いながらページをめくる。

白い砂浜の上ではしゃぐ姿や、椰子の木陰から顔をのぞかせておどけてみせたり、
色とりどりの花を見つめてうっとりとした表情を見せるNANA。
この見る者すべてを幸せな気分に誘う笑顔と爽やかさがNANAのトップアイドルたる所以なのだろう。

「いいね。どれもすごく可愛いよ」
「ホント?良かった〜!」
「さすがNANA、”嘘つき妖精”の本領発揮ってとこかな」
「え?!嘘つきなんてひどい!これ撮ってる時本当に楽しかったんだからね!」

さっきまでの緊張感はいつの間にか消え、軽口を叩く余裕も生まれてきた。
幼稚な茶々を入れながら、NANAがぷうっとむくれる姿を楽しむ。
…まあ、そうでもしないと写真の中のNANAがどれもこれも可愛すぎて、自分が鼻の下を伸ばした
間抜け面になってしまうからなのだが。
557Reach 3:2012/08/18(土) 03:55:20.51 ID:5oZdcn54

ページをめくる手を進めるうちに、写真の雰囲気が変わってきた。
波打ち際に立ち、夕日をバックに憂いを秘めた顔。白いロングのキャミソールワンピースの裾が
海水に濡れて脚にまとわりつき、ラインがくっきりと浮き出ている。
大人っぽい女性の雰囲気が際立つ一枚に微かな胸のざわめきを覚えながら、さらにページを繰る。

…瞬間、心臓がドクンと大きく波打った。
斜め上のアングルから撮ったバストショット。
上目使いの表情は、今までの爽やかな写真とは比べ物にならないほどなまめかしく色っぽい。
頬に掛かる乱れた髪に、うっすらと開いた無防備な唇…。
そして何よりも、大きく開いた襟ぐりからのぞく深い胸の谷間に目が引き寄せられてしまう。
(これ、やべぇ…)
知らず生唾を飲み込み、ゴクリと喉が動いた。

「…あれ?」
俺の変化に気付いたNANAが顔をのぞきこんできた。
「な、なんだよ…」
「もしかして、ドキドキしちゃった?」
「んなことねーよ」
軽く虚勢を張ってみたものの、NANAにそんなごまかしが通じるはずもなく。
「でも…ふふ、耳赤くなってるよ」
いたずらっぽく微笑みながらNANAが腕を伸ばしてきた。

「わっ!やめっ!」
不意に耳元に触れられて、あまりのくすぐったさに背筋がゾクリとした。
びくっと身を引いたのを見てNANAが笑う。
「あー、ここ美男の弱点なんだ!」
お気に入りのおもちゃを見つけた子供のように、NANAが面白がって攻めてくる。
背筋がぞわぞわするのを我慢しながら必死で避けるけれど、NANAは意外と手強かった。

「まっ、マジやめろって!ストップ!」
「…きゃ」
堪えきれなくなって無理やり手首を掴むと、バランスを崩したNANAが俺の胸に倒れ込んできた。
あわてて抱きとめる格好になって…すぐ目の前に、NANAの顔。
558Reach 4:2012/08/18(土) 03:56:59.40 ID:5oZdcn54

「……ごめん」
「ううん、だいじょうぶ…」

写真から抜け出してきたような上目使いの表情に鼓動が跳ね上がる。
黒目がちで潤んだ大きな瞳に、白くなめらかな肌、ぽってりとした唇…。
可愛らしさと美しさを絶妙に兼ね備えた稀有な存在。

「写真よりずっと可愛い…」
「それ、本気で言ってる?」
「うん…マジだよ。大真面目」
「……うれしい」

瞳を伏せ、俺の胸に身体を預けるNANAが愛おしくて、ギュッと一度抱きしめる。
それからNANAの頬に手をやり、視線を絡ませて──
唇を重ねるまでに、時間は掛からなかった。

「ん…」
ちゅっ、と音を立てて繰り返すキス。
軽く合わせたり、唇を甘くついばんだり。
吸い付くようにやわらかいのに、跳ね返すような弾力もあって…気持ちよくて止められない。
「…好き」
「俺も…。大好き」
時折見つめ合いながら愛の言葉を交わし、飽きることなく口づけを繰り返す。
ジリジリと熱量を増していく心と身体。
もう唇だけじゃ物足りなくて…NANAのすべてが欲しくなった。

「今夜…泊まってもいい?」
「……嫌だって言ったらどうするの?」
こんな時まで軽く抵抗するNANAがやけに可愛くて、軽く眉根を寄せて苦笑いした。
「相変わらず素直じゃないな」
「だって…美男って困らせると可愛いんだもん」
先に進むのを恥らうみたいに、俺の気持ちをはぐらかそうとするけれど。
そうやって焦らされるとかえって深入りしたくなるってこと、NANAは知ってるんだろうか。
「そっか。でも困ってばかりじゃいられないから……っ、と」
「ぇ…?!」
抵抗する隙を与えずに、NANAをお姫様抱っこする。
「実力行使。いいだろ?」
ふんわりと頬を染めたNANAに、軽くウインクしてみせた。

559Reach 5:2012/08/18(土) 03:58:29.55 ID:5oZdcn54

───

ベッドに2人で腰掛けて、キスしながら互いの服を脱がせ合った。
露わになったNANAの身体を仰向けに横たえて、その美しさにしばし見惚れる。
「もう…恥ずかしいからそんなに見ないでよ」
「ごめん、あまりにも綺麗でつい…」
胸を隠す腕をゆっくりと外し、NANAと身体を重ねた。
自分とは違うやわらかな身体。大切にするとNANAに誓い、口づけを交わした。

うっすらと開いた唇の隙間に舌を差し入れ、粘膜の触れ合うくすぐったさに酔いしれる。
「ふ…、んぅ…」
逃げるようにうごめく舌を追いかけて、息が苦しくなるようなキスをする。
NANAの瞳が次第に熱を帯びはじめ、匂い立つほどなまめかしく姿を変えていった。

唇を、頬から首筋に、デコルテに、そして胸元に、ゆっくりと滑らせていく。
胸のてっぺんにたどり着いた舌先を尖らせて転がすと、そこはみるみるうちに固くなる。
「ぁん…ぁ、あっ」
少し鼻に掛かる甘ったるい喘ぎ声が頭の中を刺激して、欲望をかき立てる。
太ももをすり合わせるようにうねらせるNANAに気付き、指を下に滑らせた。

中指の先を襞に沿わせて優しく上下させると、すでに潤っていたそこからさらに蜜が溢れ出してくる。
指を動かすたびに、部屋中に響く淫らな水音。
白い肌は上気し、ぷっくりと膨らんだ蕾を指が掠めるたびにNANAの身体は小さく震えた。

指をぬかるみに差し込み、ゆっくりと出し入れする。
しっとりとまとわりついてくる壁を撫であげるうちに、喘ぎ声が高くなるポイントを見つけた。
少し強めに押さえつけるように細かく刺激する。

「ぁ…だめ、どうしよ…ヘン、きもちい…ゃ…んっ!」
NANAが切なそうに喘ぎながら首を左右に振り、目をぎゅっと閉じた。
中がひくひくと収縮して指を締め付ける。

「は……、ぁ…、みぉ、わたし……」
快感の波に引き込まれて息を乱すNANA。
本当は落ち着かせてあげたかったけど、もう痛いほど固くなった自分を抑えることができなくて。

「もう、君が欲しい…ぜんぶ…ぜんぶ欲しい」
俺はきっと、熱にうなされたような顔をしていたに違いない。
NANAは何も言わず、ただうなずいてくれた。

「あ…っ!」
「…っ!」
奥まで貫いた瞬間、背中に爪が食い込んだ。
抽送を繰り返すうちに、頭の芯がとろけるような感覚に襲われていく。
不規則に訪れる快感の波。それは次第に大きくなり、やがて飲みこまれて──
「あ…美男、みおっ…!」
きつく締めつけられて、限界を迎えた。

560Reach 6:2012/08/18(土) 03:59:59.09 ID:5oZdcn54

───

隣に横たわるNANAを満たされた気持ちで見つめる。
「好きだよ」
長い髪を撫でながらそうつぶやくと、NANAは小さく頷いた。
「NANA、大好き」
もう一度耳元でささやくと、今度はクスッと何か企んだ微笑みを返した。

「ねぇ、私に言うことはそれだけ?」
「それだけ?って…。そうだなぁ…。可愛い、っていうのはうれしい?」
「まあまあかな。他には?」
「うーん…。綺麗だよ、じゃダメ?」
「ダメ。もっとドキドキするようなこと言って」
「じゃあ…愛してる」
「うれしいけどつまんない」

褒め言葉をバッサリと切り捨てられて、自分の貧困なボキャブラリーを呪う。
お手上げだ。こんな時に気の利いた台詞なんか出てくるものじゃない。

「…ごめん、今はこれしか言葉が浮かばない」
「ふふ…やっぱり美男の困った顔、好き」
「なんだよそれ」
「私が何かわがままなことを言っても、ちゃんと答えようって頑張ってるのがわかるから」
「へ〜、わがままだって自覚は一応あるんだ?」
「もちろんよ。でも、美男はそんな私が好き。そうでしょ?」

本心を言い当てられて苦笑する。
ああ、その通りだよ。わがままだし強気だしすぐ反抗するし猫も被るし。
でも俺には、それが全部可愛くてたまらないんだ。
盲目と言われるならそれでも構わない。恋って、そういうものだから。

「NANA、俺もわがまま言っていい?」
「うん。なぁに?」
「……もう1回したい」

耳元で静かにささやくと、NANAは軽く息を飲んだ。
そして恥じらいを隠すようにむくれた顔をして、チラリと俺を睨みつける。

「…………えっち」

頬を赤らめながら小さくつぶやき、唇を可愛らしく尖らせる。
その唇とゆっくり距離を縮め──

どうやら俺は、ようやくNANAをドキドキさせることに成功したらしい。

561名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 04:00:46.41 ID:5oZdcn54
以上です
美男NANAはついイチャコラさせたくなるw
562名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 07:59:46.03 ID:4UJy+yvo
>>561
NANAたん、可愛い―、GJでした。
見かけ可愛いガールズカップルでいいなvv                                                       

それにしても、美男は無難にエッチまとめるなぁ、何かヲチがあるのは、終さんと廉さんなんだろうかw
563名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 19:36:51.81 ID:hC+mkufK
>>561
GJです〜二人ともかわいいなあw
ずっといちゃいちゃ仲良しでいてほしい
前回の作戦立てた柊勇気コンビ(何もしてないっぽい廉さんも)好きだったので
この仲間内でまた何か事件でも起こしてほしいです

>>562
美男は本編では「ヨロシク」のイメージしか無いので、いろいろスマートな感じするけど
逆に廉さんは「何かあったら変顔MAXでうろたえるんだろな〜」て
リアルに想像できるので、ヲチつけたくなる…気がするよw
564名無しさん@ピンキー:2012/08/19(日) 22:50:11.91 ID:7POlHvFP
美男NANAかわいいw
美男って可愛い顔して男らしいイメージがすんなり想像できるね
今回のNANAは一筋縄でいかない感じw
それもまた美男の心を擽るんでしょうか
よろしかったらまた続きをお待ちしてます

ついでに短い廉美子エロありです
565えろぱろ:2012/08/19(日) 22:55:21.64 ID:7POlHvFP
   「ただいま、美子。今日はちゃんと言いつけを守ってたか?」
   その言葉にビクッと体を震わせた美子は、小さく頷いた。
   廉は美子の腕を取って、ひじ掛けのついた椅子に座らせる。
   スカートをめくると、下着を着けていない美子の下腹部が露わになった。
   「よし。いい子だ」
   廉は美子の両足をひじ掛けにかけて、大きなM字型に足を開いた。
   「ただいま…」
   指で開いたそこに囁きながら口を付けると、美子の体が椅子の上で大きく跳ね上がった。
   いきなり溢れだした体液が、太腿まで濡らしていく。
   「もうこんなにして…お前、ほんとにいやらしいな…」
   ニヤリと笑って顔を上げると、美子は羞恥で真っ赤に染まった顔を背けて唇を噛んでいる。
   「欲しいのか?」
   廉の問いに美子は顔を背けたままこくんと頷いた。
   苦笑いした廉は、しょうがないなと呟いて、隆起した自身を取り出しそこにあてがった。
   先端だけを挿入し、小刻みに腰を動かすと、じれったくなった美子が自ら腰を浮かせてきた。
   「廉さん…もっと…お願い」
   「ふふふっ、エロくなったな、お前」
   自分好みに変貌した美子を見下ろして、廉は思い切り突き上げた。


「ふぅ…」
PC画面をスクロールする手を止めて、廉はため息をついた。
A.N.JELLのメンバーをモデルにして、ファンの有志がパロディ小説を書くサイトがあることは知っていた。
特に気にしたこともなかったが、何の気なしに開いてみて、廉は度肝を抜かれた。

何だこれは…俺って一体どんなイメージなんだよ。
俺はこんな変態じゃねーぞ。美子にこんなことするわけないだろーが。
つーか相手が美子って、バレてるし…。
今読んだ物の他にも、早漏だの、絶倫だの、ふざけんなよ。
俺は、いたって普通だ…と思うけど。

こればかりは人と比べるわけにもいかず、ましてメンバーに聞くわけにもいかないわけで。
もう一度PCの画面に目を戻してみる。

パンツを履かないように言いつけるなんて、無理に決まってるよな…。
美子が承諾するわけないし……って、べっ別にやりたいわけじゃないからなっ!

廉は心の中であれこれ考え、一人で赤くなったり青くなったりしている。

でも、もうちょっと、なんていうか、ケダモノ?みたいに、貪ってみたいというか…。
実際には、美子が「やん」とか「だめぇ」とか言うと、あっさり引いてしまうのが実情で。
アソコだってあんまりじっと見ると、あいつ恥ずかしがって泣いちゃうからなあ。
美子の嫌がることはしたくないし、まだまだ覚えたてだからしょうがないよな。
本当は毎日でもしたいくらいだけど、ソレしか頭にない男だと思われるのも嫌だしな。
よし、もっと色々読んでみて、イメージトレーニングでもしておくか。

廉は再び画面にかじりつき、バラエティに富んだエロパロ小説を熱心に読み始めた。
566えろぱろ:2012/08/19(日) 22:58:44.07 ID:7POlHvFP
以上です
以前こんな設定の作品があったと思いますが
ちょっとお借りしました
お邪魔しました
567名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 07:58:39.33 ID:ry5rhZ/3
>>566
GJ! 朝からワロタw
廉さん、だからここは読まない方がいいってば…
ここだとヲチ担当なんだからさ〜ww
ここお手本にイメージトレーニングした廉さんが実践できるのかキニナル
568名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 18:58:43.90 ID:KbwLGOXq
>>566
GJです!
廉さんがここ見てる…ww そりゃびっくりするよねw
えろぱろ内のじゃない、この世界の美子は純粋で純情可憐なイメージあるけど
もし間違ってこのサイト見つけちゃったらどんな反応するんでしょう?
泣いちゃったりするかな…
廉さんのイメトレ後が自分も気になりますw
569名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 19:01:18.56 ID:KbwLGOXq
連投すみませんww
スレの容量が490KBになってて…大変お手数ですが、次スレたてできる方いませんか?
570名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 22:25:28.83 ID:MBCP4tMf
>>569
宜しくお願いします。新スレたてました。

【ドラマ】美男ですねでエロパロ7
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1345468876/

>>566
廉さん, Good for you!!! 
まとめさんが作ってくれた、エロパロまとめスレで見ると色々区分けもあって為になるよ、美子にもおすすめ、まずはエロ無しからどぞw

このスレにもあった、双子vs廉ナナ Wデートのお話すっごく好きです。
次はぜひとも婚前W温泉ぐらい行っちゃって下さい。
571名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 23:14:40.83 ID:PcSaQX6w
>>566
GJ!廉さんイメトレ頑張れww
そして以前そういう話書いたの私だw
ホント、ここでは廉さんが幸せになる話ばっかじゃなくて、
余計なオチがついちゃうからね〜。

>>570
新スレ立て、乙です!!
572名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 00:31:37.12 ID:tREfK7zt
>>570
乙です。


今から廉さんのためにも、まとめサイトを今から更新してくるw
573名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 20:30:18.58 ID:+qFMGlI5
>>570
スレ立て、ありがとうございました〜w

>>572
管理人さん、いつもお世話になってます〜!
廉さんもまとめサイトの常連さんになっちゃうかもw
そして柊さんは既に常連さんな気がしますww
574名無しさん@ピンキー:2012/08/27(月) 20:23:46.53 ID:83IPBWQa
>>572
まとめ管理人さん、いつも乙です。


ところで新スレって書き込みないと落ちない?
って板によってルール違うんだっけ?
よくわからにけど、とりあえず上げておきました。
575名無しさん@ピンキー:2012/08/28(火) 00:01:44.21 ID:2hSt9Fi0
新スレはとりあえずこっちを埋めてからだな

廉美子はスレ以外でも結構サイトあるから嬉しい他カプはあんまりないからここの職人さんのを楽しみにしております
柊美子のがっつりエロとか最近見ないね〜
576名無しさん@ピンキー:2012/08/28(火) 01:29:06.86 ID:spVG1bw0
>>575
え、知らないけど、日本版美男の二次サイトってあるの?
探そうと思ったこともなかったけど・・・
577名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 00:02:35.84 ID:n3DXuhHA
>>576
結構ありますよ。
量的には本家にはとうてい及ばないけど。
廉美子ばかりで柊美子は見かけない。
578名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 00:15:37.32 ID:Kl5L5clW
ここ以外の廉美子のサイトって名前で検索すると出てくるの?
柊美子か〜書いてみたい気はあるんだけど、エロのレベルが追いつけない…ww
最近見かけないけど、前書いてくれてた方、お忙しいかな…お元気かな…
ここでいろいろ読んで勉強してから、がんばって書いて投下してるので
書き手の皆さん、戻ってきて〜w
579名無しさん@ピンキー:2012/08/31(金) 23:48:06.64 ID:3VsR0Id1
>>578
色々組み合わせて、検索でひっかかりますよ。
ここに載せてた書き手さんぽい方もいましたよ。
580名無しさん@ピンキー:2012/09/01(土) 23:44:26.22 ID:SSTuyso1
>>579
578さんじゃないけど、d!
思いつく単語が少なかったんだけど、いくつか検索できて読みふけっちゃったw
すごく長く続く話とかあっておもしろかったw
でも、自分が見たのはエロパートほとんど無かった。エロでも検索してみたのに
ここのお話(エロ込みでw)大好きなので、書き手さんこれからもよろしくお願いしますw
581名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 06:08:43.67 ID:vNIuPnPU
えー自分も探してみようかな?
582名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 06:24:46.91 ID:ps84d7Ml
いい加減スレチ
583名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 17:30:03.31 ID:vNIuPnPU
それでは短いのをひとつ
スレ残量が間に合うといいんですけど
廉美子エロありです
584喜び:2012/09/02(日) 17:32:46.44 ID:vNIuPnPU
いつまでもこうしていたい。
美子とひとつになってゆっくりと腰を動かし続ける廉は心の中で呟く。
初めて結ばれたあの日から、何回こうしただろう。回を重ねるごとに美子は確実に変わっていっている。
恥ずかしげな風情はそのままだが、快楽を求める貪欲さが増していっている気がする。
女ってみんなこうなのか?
美子が高まるほど廉もつられて一気に昇りつめたくなるが、今日は長くこの状態を楽しみたい。
「美子、気持ちいいか?」
腰を大きくグラインドさせながら、美子を見下ろす。
眉根を寄せたまま頷く美子。快感を感じながらも、絶頂までに至らないもどかしさを感じているようだ。
「イキたいのか?」単調な動きであえてじらしてみる。「どうして欲しいんだ?ん?」
「そ、そんなこと…言えません」
美子の返事を聞いて廉の中に意地悪な気持ちが湧き上がってきた。
「言えませんってことは、何かあるんだろ?どうして欲しいのか言えよ」
愛してやまない美子に対して、どうしてこんな気持ちになるんだろう。
大事に慈しみたい思いと同時に、とことん追いつめていじめたいという相反する気持ち。
すがるような視線を向ける美子を見ると、気持ちが高ぶるのを抑えられなかった。
「ほら、言わないといつまでたってもイケないぞ」
「あぁ…あ…の、も、もっと…」
「もっと?もっとどうするんだ?」
「そんな…」
顔を真っ赤に染めて美子は口ごもる。
(なんだろう、この感じ、ゾクゾクする)
「言えよ、じゃなきゃやめるぞ」
「いや、廉さん…お願い」
意を決したのか、美子はおずおずと口を開く。
「あの…もっと、その、強く…してください」
言い終わった途端、美子の中がキュッと締まる。
(何だ今の?自分の言葉に興奮したのか?)
廉は我慢できなくなってめちゃくちゃに突きまくった。
「あっあっあっあっ、あぁっ」
徐々に背中をのけ反らせイキそうだなと思った時、また動きを止める。
「あぁ…ん、廉さん…意地悪しないで…」
「イキたいのか?」
美子はこくんと頷く。
「じゃあそう言わなきゃな」
美子は唇を震わせてようやく口にした。
「廉さん、い…いかせてください」
廉の心臓がドキンと脈打つ。それと同時に美子の中の廉自身もビクリと動いた。
「わかった、美子…思い切り感じろっ」
美子の片足を持ち上げると、そのまま激しく腰を打ちつける。
角度が変わって感じ方が違うのか、途端に背中をのけ反らせる美子。
「あああっ」
早くもイってしまったみたいだ。
それでもおかまいなしにめちゃくちゃに突きまくる。
大切なものなのに壊してしまいたい。そんな矛盾した気持ちが廉の中に芽生える。
美子は涙を溢れさせながら次々に襲う快感の波に翻弄されている。
何度も何度も中を痙攣させ、つながった部分から泉のように蜜が溢れだして、グチュグチュと卑猥な音を響かせている。
廉も限界が近づいていた。まるで叩きつけるように腰をぶつける。
「美子っ、んっ…はぁっ」
精を放出する。あまりの快感に声を抑えることが出来ない。
美子の上に覆いかぶさり、そのまま美子の頬を両手で挟んで口づけた。
唇を強く吸い、舌を入れて美子の舌を探るが、美子はキスに応じることも出来ないくらい脱力している。
廉は微笑みながら美子の顔中にキスをする。してもしても、し足りない。このまま食べてしまいたいくらいだ。
ぐったりした美子を抱きしめる。じっとしていると二人の鼓動が重なってやがて同じリズムを刻み始める。
美子の中にはまだ廉が入ったままだ。まるで本当にひとつの生き物になったみたいだった。
585喜び2:2012/09/02(日) 17:34:44.84 ID:vNIuPnPU
しばらくして落ち着いた美子がぽつりと呟いた。
「怖かった…」
さすがにちょっとやりすぎたかと思った廉は「何が怖かったんだ?」と尋ねた。
「私…変わりましたよね。するたびに深くなっていくんです。まるで自分の体じゃないみたいです。
このままいったらどうなっちゃうんだろう?」
やっぱり自分でも気付いてたんだな、廉は心の中で頷いた。
「美子、それでいいんだ。何も心配するな」
優しく頭をなでると、小動物のような無垢な瞳を向ける美子。
さっきまであんなに感じて何度も何度も絶頂を迎えたのに、眼差しは何も知らなかった頃のように純粋なままだ。
「おまえは何も変わってない。そのままでいいんだ」
優しく抱きしめて囁く。
「美子、今日はずっとベッドにいよう。腹が減ったらルームサービスを頼んで、
眠くなったら寝て、そして何度も何度も愛し合おう。いいだろ?」
頬を赤らめた美子は返事の代わりにチュッと廉のほっぺにキスをした。
586名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 17:39:55.79 ID:vNIuPnPU
以上です
間に合ってよかった
お邪魔しました
587名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 19:00:30.60 ID:1ststQ+B
>>586
GJです!
廉さん、エロい…ww
でもほんと美子は初々しくてかわいいなぁ
廉さんがいろいろしたくなるのはよーくわかりますw
588名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 23:24:16.49 ID:FnbNb8xh
>>586
GJです!!
美子がかわいい
589名無しさん@ピンキー:2012/09/03(月) 01:18:12.35 ID:ym2OVXP0
>>586
GJ
にやにやした
うぶなのにエロい美子いいですね
590名無しさん@ピンキー:2012/09/03(月) 01:25:23.34 ID:+1wtlAWr
>>586
超GJ
廉さん視点だと美子が可愛すぎて何かに目覚めそうw
591名無しさん@ピンキー:2012/09/03(月) 21:27:51.33 ID:6a35EyzB
>>586
GJ!
美子かわええw
にしても、この廉さんすごいな〜!やっぱり絶倫な廉さ…アワアワww
592名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 16:02:46.71 ID:DGzHVXLB
埋める?
593名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 16:11:20.54 ID:9t2K5P96
今、自分も埋めようと思って来ましたw
良いでしょうか?次スレでもよろしくお願いします!
594名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 16:12:38.27 ID:9t2K5P96
もうちょっとかな?
595名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 16:13:33.48 ID:9t2K5P96
まだまだ?
596名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 16:14:48.08 ID:9t2K5P96
まだ余裕あったのかも…すみません…
597名無しさん@ピンキー:2012/09/09(日) 11:32:46.38 ID:n6KT6WbC
うめうめ
598名無しさん@ピンキー:2012/09/09(日) 11:35:04.45 ID:n6KT6WbC
次スレでもいい作品が読めますように
599名無しさん@ピンキー:2012/09/09(日) 12:55:10.76 ID:TxkkpzTM
うめ
600名無しさん@ピンキー:2012/09/09(日) 14:29:03.90 ID:OIfJlCrm
埋まる?
601名無しさん@ピンキー:2012/09/09(日) 15:39:16.21 ID:AKFb+IBu
埋まらないね〜
500KBだったはずなんだけど…謎…
書き手さんもここに集ってくる皆さんもこれからもよろしくですw
602名無しさん@ピンキー
後少しのような気がするんですが…埋め