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2名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 22:54:24.33 ID:fdX5n+QC
・・・これは擬音スレ?
3名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 05:38:10.49 ID:XavGUn34
どうなんだろうw
4名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 13:54:31.32 ID:UWdckcu9
…ぁッ
5名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:11:28.04 ID:90C0R17N
●序章

「あっ!」と村上英彦は叫んだ。
クスコで最大級に拡張され切った村上英彦の肛門には、干からびてカピカピになった糞がべっとりとこびり付いていた。
瀬内則和はその光景を見た瞬間に思わず顔を背けた。
しかし有田宏和は、嬉々として英彦のケツにむしゃぶりつく。英彦は待ってましたとばかりに宏和を受け入れる。
宏和が英彦のケツの糞を舌で舐めるたびに英彦はうっとりとした表情を浮かべる。
英彦と和弘のペニスは勃起していた。そしてその醜いサトイモを二人の男は互いの体にこすり付け合い、何度も射精を始める。

「気持ち悪い。なんて気持ち悪いんだ」と則和は吐き捨てるようにつぶやいた。
則和は宏和や英彦のようなガチホモでもスカトロイヤーではなかった。極普通のノーマルな性癖の持ち主だ。
そんな則和にとって、目の前の二人のガチホモたちによるスカトロプレイは見るに耐えがたかった。

則和はふと目を背けながら昨日の夜のことを思い出した。場所は木更津の16号線沿いにあるラブホテルだった。
「リバティ・イン」というありきたりの名前のラブホテルの一室で則和は由香里とセックスをしていた。
久しぶりの出会いを惜しむように則和と由香里は相手の体を貪りあっていた。
則和の腕の中で、由香里は昔のように敏感に反応した。
荒々しい愛撫で由香里は幾度も絶頂を向かえ、シーツを濡らしてゆく。
則和もまた由香里の柔らかな肉に夢中に挑んだ。熱く濡れた由香里の襞の中に分け入り、そこで幾度も射精をした。
長い懲役を終え、ようやく吸えた娑婆の空気だった。由香里はそんな則和を暖かく受け入れてくれた。

その夢のような時間と比べて、目の前で行われている二人の醜男たちのプレイは一体なんなのだろうか?
則和は絶望感を感じた。これから自分は英彦に仕えなければならないからだ。
英彦は、このような悪趣味な変態男であっても、この世界ではカリスマなのだ。
この混乱を極めた現代社会で彷徨う数多くの子羊たちは、この村上英彦を心から尊敬し、崇拝しているのだ。

一方則和はというと、つまらぬことで人を殺め、5年の懲役を終え、つい先日ようやく仮出所してきたばかりなのである。
そんな前科者の自分が、すぐにこのような好条件の仕事に就けたのも、すべて宏和の労あってのことだ。
目の前で繰り広げられる英彦と宏和の醜態を目の当たりにしても、則和は好みを言っていられる立場ではない。
そこまで考え則和は我に返った。自分はは何躊躇していたのだろうか?
6名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:13:23.44 ID:90C0R17N
則和もかつてはサッカー選手として鳴らし、若きころは年代別日本代表などさまざまな地位を勝ち得た男だった。
大柄な体格に似合わぬ俊敏性と高い技術をもつ将来を嘱望された大型ストライカーだったのだ。
いずれは日本を代表するような名選手となり、海外の名門クラブへ移籍し、
ワールドカップでの栄光を目指していたのだ。

今となってはそれはもう遠い過去になってしまった。あれからもう10年ちかい月日が流れてしまっていた。
かつて青年だった自分も、今やあと少しで30に届きそうな年齢になっていた。
あのときピッチ上で光り輝いていた自分は、今やもうここにはいない。
まもなく若者とはいえなくなる年齢となる、ただの元殺人犯でしかないのだ。

そう思って改めて目の前の二人の醜男をみた。
目の前で激しく抱き合う英彦と宏和もまた、則和と同様、もはや若者といえなくなっていた。

則和の目の前で、醜い男二人は、排泄物と精液にまみれ、それでもなお果てしない快楽を求め合っていた。
その光景は吐き気を催すほどに醜悪であった。
なぜ自分はこのような醜い光景を見せ付けられなければならないのだろうか?

だがその一方で。彼ら二人は純粋さを失っていないということにも気付いた。
このように醜く、汚物にまみれながらも、彼ら二人の心は純粋な青年の頃といささかも変わっていなかった。

則和は彼ら二人を見ながらそれを悟った。もちろん初めはそのような考えを受け入れることは出来たわけではない。
則和は至ってノーマルな性癖の持ち主であり、そういうノーマルな感性は彼らの性癖を生理的に嫌悪している。
だがそういう生理的なものはともかく、則和自身の考えは徐々に変わっていった。

飽くなきチャレンジを繰り返す彼ら二人の姿の中に自分がかつて持っていた熱情を思い出した。
若き日の則和も純粋にフットボーラーとしての栄光を目指していた。
その目標を達成するためには、則和はありとあらゆる努力を惜しまなかった。
そのときは将来への不安など微塵も感じなかった。なぜなら自分は夢を実現できる、と信じきっていたからだ。
そして高校生ながら飛び級でワールドユース日本代表に上り詰めたのだ。
7名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:14:38.76 ID:90C0R17N
もしかしたらあの日が則和の人生の絶頂だったのかもしれない……いやそれは違う、と則和は首を振った。
飛び級でのユース代表になってしまったあのときから、則和の人生は転落に転じてしまったのかもしれない。
本当に幸せだったのは、ただ純粋に自分の夢を目指して、もがいていた頃だった。
不安と焦燥感に苛まれながら無我夢中で挑み続けていた日々こそが則和の人生の絶頂期だったのだ。
「……そうだったのか」則和は一言つぶやいた。目から涙があふれ出てきたのが分かった。

目の前では相変わらず英彦と宏和がまぐわっていた。だけれども今はそれを見る則和の目は変わっていた。
この醜い二人の男をいつくしむような目に変わっていた。もちろん則和はスカトロホモになったわけではない。
やはり由香里のようなスレンダーな貧乳美女が好みだ。それは絶対に動かない。

則和の目に浮かぶ慈しみの表情はアガペーという無償の愛の光だった。
則和の中では、彼ら二人の気持ち悪さや醜悪さの全てを許せる気持ちになっていた。
則和は英彦と宏和の二人の存在を、自ら受け入れようと思った。
この醜い二人の存在を拒絶せずに真正面から付き合おうと思った。

英彦という一人のカリスマ……そのカリスマを影から支えてゆくのがこれからの自分の仕事だ。
則和はそういう思いに至り、ついにその覚悟ができた。

「則和。頼みがあるんだ」英彦が突然則和に言った。英彦の表情は快楽で歪んでいる。
宏和はそんな英彦の体を抱きしめて頬にキスをする。
覚悟が出来たとはいえ、やはりこういう露骨なホモプレイは則和にはきつい。

だがそれはそれである。則和は答えた。「なんでしょうか英彦さま?」
「則和。そこのテーブルの上にあるムチで、俺と宏和を思い切りしばいてくれないか?」
英彦はテーブルの方を指差しながら言った。

則和はテーブルの方に目を向けた。
するとどうしたことだろうか。たしかにテーブルの上には先ほどまで無かった一本の黒革のムチが置いてあった。

則和は驚いた。やはり英彦はカリスマだった。
このような芸当が出来るのは英彦をおいて他にはいないだろう。
8名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:15:40.26 ID:90C0R17N
「則和。俺からも頼む。遠慮しないで叩いてくれ」宏和もまた則和に懇願した。
則和はテーブルに歩み寄ると黒革のムチを取り上げた。
それずっしりと重かった。しかも表面には幾つもの突起が打ち込まれている。
これで叩かれたらものすごく痛いだろうなと則和は思った。

不思議なことに則和には躊躇がなくなっていた。
先ほどまでだったら則和はこのような行為を拒絶していたかもしれない。
嗜虐の趣味もまた則和には無縁なのだ。

だが今は違った。性癖の問題ではなく、あくまでも己の哲学や使命に乗っ取って行動する覚悟ができていた。
そうである以上、もちろん遠慮などするつもりはない。

「早く。則和はやく俺をひっぱたいてくれ」英彦は苦しそうに言う。
「俺も頼む。思いっきり叩いてくれ」宏和も懇願する。

則和はムチを握り締め二人の方へ歩み寄った。ムチを握る手に力がこもる。
かつて名ストライカーだった自分の実力をここで見せてやろうと思った。
「行きますよ。英彦さま」則和はそう言うと、ほんの僅かに微笑んだ。そして振り上げたムチを思い切り振り下ろした。
9名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:23:08.23 ID:90C0R17N
●第一章

「あっ!」
則和は体を少し動かした瞬間、沸き起こった疼痛に思わず唸った。
昨晩、英彦と宏和のことを散々ムチで叩いたせいか、則和は全身が筋肉痛になっていた。。
もちろん則和はスカトロホモプレイにはまり込んだわけではない。
たんに二人のマゾを満足させるためにムチで叩いただけだ。
なのにどういうわけだろうか。未だかつて無いほど体がだるい。肉体的疲労よりも精神的疲労の方が大きそうだ。

一方英彦と宏和はあれほど則和にムチで叩いたにも関わらず翌朝もとても元気そうだった。
体に傷を負っているはずなのだが二人とも特に痛がる様子もなく、料理番の作った朝食をおいしそうに平らげていた。
「則和。君は朝食を食べないのか?」英彦は聞いてきた。英彦の言葉や表情はいたって平穏だった。

昨晩あれほど悶えて喜んでいたにも関わらず今朝の英彦はそんなことなどまるでなかったかのようだ。
それは同席している宏和もまた同じであった。
宏和は用意されたバターブレッドに固焼きのベーコンを挟んだものをぱくついていた。

則和は笑顔を作った。だが疲労の色はとてもではないが隠しようも無い。
とはいえ今のこの仕事が則和自身にとってもラストチャンスなのだ。英彦の機嫌を損ねるわけにはゆかない。
則和は「いえ、大丈夫です英彦さま。食事をいただかせていただきます」と答えた。
そして則和は目の前の皿の上にあったサンドウィッチを手に取ると、それを無理矢理口にねじ込んだ。
食べながら宏和の視線を感じた。則和は宏和の方を見ると宏和は目つきで「それでいいんだ」と言っているようだった。
何がどうよいのか則和にはよくわからなかったが、英彦の秘書という仕事の出だしとしては上々だと言っているのだと思うことにした。

「ところで英彦。今日の予定はどうなっているんだ?」英彦はコーヒーをすすりながら聞いてきた。
則和は今朝寝起きに確認したスケジュールを即座に思い出す。
今日は基本的に休日であった。忙しい英彦にとっては珍しいことだ。
だが昼過ぎに一本だけ取材の予定があった。
いまやカリスマとなった英彦にある雑誌から女性の記者がインタビューにやってくるというのだ。

則和はそれを思い出し言った。
「はい英彦さま。午後二時に雑誌のインタビューがあります。場所はこのお屋敷の庭園でとのことです」
そう言いつつ則和は来客の準備のための買出しと軽食の用意をしなければならないなと記憶にとどめた。
英彦は「なるほどわかった。午後二時だな」と答え、コーヒーを再び飲み始めた。
10名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:23:44.14 ID:90C0R17N
則和も残った食事を手早くかたずけた。そしてテーブルの上の食器をワゴンの上に乗せて洗い場まで運んでゆく。
ワゴンを洗い場に運んでいく途中、後ろから宏和が追いかけてくるのがわかった。則和は歩みをとめ宏和を待った。
宏和は早足で則和のところに来た。一瞬、何故か嫌な予感がした。
だが、宏和の表情は悪くは無かった。どうやら則和の杞憂だったようだ。

「どうだ則和。この仕事は?」宏和は抑え気味の声で聞いてきた。宏和も色々大変なのだろう。
則和は昨晩の衝撃が未だに生々しく残っていた。
あのような倒錯的な出来事があった直ぐ後に、こんなことを平然と聞いてくる宏和の神経を疑う。
だが則和はとりあえず「悪くはないよ。宏和。とにかく色々面倒を見てくれてありがとう」と答えるに留めておいた。

宏和に対しては色々と聞きたいことがあった。もちろん英彦とのあのような関係についてもだ。
それに宏和が出所したばかりの則和に英彦の秘書の仕事を斡旋した理由も良くわからなかった。
とにかく色々と謎が多すぎた。

それに宏和も昨晩則和にあのような痴態を見せていたのにも関わらず、
今朝はそんなことまるで無かったかのような態度である。
それをこの場で問いただす時間はない。いずれゆっくりと時間をとって聞くことにしようと心に決めた。
宏和は「そうか。よかった」と言うと則和の肩を軽く叩き足早に立ち去っていった。

則和は再び食器ワゴンを運びながら由香里と次に会えるのはいつになるだろうかと思った。
一昨日の夜にあれほど激しく愛し合ったにもかかわらず、もう由香里のことが恋しかった。
直ぐにでも会いたい。そして由香里の華奢で柔らかな体を思う存分抱きたい。
そう考えるだけで則和のペニスは堅くなっていった。

由香里の肌の匂いは刑務所の中で五年間も待ちわびた女の匂いに満ちていた。
とにかくゆっくりできる時間がほしいと思った。
11名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:37:19.06 ID:90C0R17N
●第二章

「あっ!」その女性記者はそう言うと、そのまま絶句してしまった。

「ここにある草花はね、この僕のひり出したウンチを肥料に育ててるんだ。つまり僕のウンチを食べているって訳さ」
英彦は庭園一面に植えてある草花を指差しながら女性記者に向かって微笑んでいる。
ついさきほどまで室内で行われていたインタビューの時には見せなかった笑顔だった。

先ほどまでの英彦はまるで英国貴族のような気品のある紳士的な態度だったのだが、今はまったく別人のようだ。
庭に植えてある作物を指差す英彦の顔には昨晩宏和と倒錯プレイに耽っていたときに浮かべていた狂気が満ちていた。

則和は戸惑った。この場合秘書である自分はどうすればよいのだろうか?
女性記者もまた明らかに動揺していた。突然の英彦の豹変に対応しきれていないようだった。
無理も無かった。女性記者はおそらく20代半ばのまだ若い女性だ。しかも則和が思わず見とれてしまうような美人。
端正なその顔立ちはちょっときつい印象を与えるが、時折見せる笑顔は抜群に美しい人だった。
その女性記者が明らかに引いていた。だが英彦にはそんな女性記者の戸惑いを察している様子はない。

則和は英彦に落ち着いてくださいというべきだろうかと逡巡する。
今までの英彦の秘書や宏和は、こういう場合どう対処していたのだろうか?

突然、英彦は女性記者の手をとると窓を開けて庭に踏み出した。
女性記者は引っ張られ庭へと連れ出されてゆく。
則和も彼らの後に続いて庭に歩みだした。そして英彦の表情を一瞬だけ見た。
英彦の表情は慈愛の情に満ちていた。だけれどもどこか突き抜けている。
それと英彦の目がおかしかった。英彦の目は完全に瞳孔が開いているのだ。

腕を引っ張られた女性記者は「あのちょっと止めてください」と言っていた。何か危険を察知したようだった。
だが英彦にはそんな女性記者の言葉などとどいていないようだった。
則和は迷いながらも、とにかく英彦と女性記者のそばから離れないように急いでついていった。
12名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:39:42.17 ID:90C0R17N
英彦は庭の中ほどにある菜園の前で足を止めた。そこは英彦の自慢の作物が植えられている場所だ。
ちなみにこの菜園はかなり広い。おそらくちょっとした小学校の校庭くらいの広さはあるはずだ。
周りをレンガ詰みの壁で囲われ、目の前の門は鋳鉄の扉で閉ざされている。
その鋳鉄製の重々しい門の上に「菜園」と書かれた樫の木の看板が掲げられていた。
おそらくあの看板の文字は英彦自らが筆をとったに違いはない。いかにも素人くさい下手糞な字だった。

英彦は手早く門の閂を抜き去ると女性記者の手を引っ張ってその中に入っていった。
則和はこれはまずいのではないかと思った。
まさか英彦がこの綺麗な女性記者を襲うことはない。なにせ英彦はホモなのだから。
けれども英彦がホモであることや倒錯した性癖の持ち主であることは、世間は誰も知らない。
もちろんこの女性記者もそんなことを知っているはずがない。現に女性記者は悲鳴に近い声を上げていた。
だがこれだけ広い英彦の屋敷の中からでは外まで悲鳴は届かないだろう。

英彦は菜園の中に踏み込むとずんずんと中まで分け入っていった。
周りには青々と茂った作物が規則正しく植えられていた。
それらはみんな人の背丈ほどの高さまで成長しているため見通しが悪い。
そんな見通しの悪い中を則和は必死に追いすがっていった。英彦の足の速さは尋常ではなかった。
則和は何度も見失いそうになりながらも、女性記者の悲鳴や時折見えるレモンイエローのスーツを頼りに追いかける。
13名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:41:02.50 ID:90C0R17N
そしてついに英彦は足を止めた。そこは菜園のほぼ中央だった。
則和は息を切らしながらようやくその場にたどり着いた。

すると英彦はそれを待っていたかのようにこちらに振り返り言った。
「ほら見てごらん。これが僕の自慢の作物だよ。」
英彦はそう言うとそこに実っている果実の一つを手で掴んだ。
そしてその果実の表面を愛おしそうに撫で回す。

英彦は続けた。「この作物をボクが食べる。そしてボクの内臓で再びウンチとなるんだ。」
則和は意味がわからなかった。一体英彦は何をしようとしているのだろうか?

女性記者は逃げようともがいていた。だが英彦が女性記者の腕をがっちりと掴んで離さない。
女性記者は則和の方に助けを求めているようだ。だが則和はどうしてよいのかわからなかった。
英彦がこの女性記者に対して明らかに害のある行動をとったら、すぐに止めに入ろうと決心はした。
それが人の道だからだ。 だが今はどうなのだろうか?たしかに英彦の行動は異常だった。
でも女性記者を菜園まで連れてきたにすぎないのだ。それに何度もいうが、英彦はホモなのだ。

英彦はさらに続けた。
「ウンチとなったこの作物は肛門から出た後再び作物の肥料となって…それが延々と続くんだよ!
わかるかい記者さん。釈迦の唱えた輪廻転生というのは命と命をウンチで繋いでゆくこと…そうなんだよ!分かるかい!
ウンチは新たな生命を紡ぎ出す全ての生命の源なんだよ!」
英彦の声は最後の方には絶叫になっていた。

則和は唖然としてしまった。
今英彦の言ったことのあまりの馬鹿馬鹿しさに肩透かしを食らったようだった。
女性記者もまた硬直していた。
先ほどまで極めて知的にインタビューに答えていた英彦と同一人物とは思えなかったのだろう。
14名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:41:50.51 ID:90C0R17N
だが英彦は満足そうだった。英彦の目は目の前にいる女性記者や則和を見ていなかった。
それよりもはるか遠くを見つめる目だった。そして英彦の顔に浮かんだ表情は異常なまでの確信に満ち溢れていた。
一体いまの英彦の主張の中にこれほどの確信を抱かせるだけの哲学があったのだろうか?
則和には全く理解が出来なかった。
この菜園に咲き乱れる花たちと同様に、英彦の脳内には色とりどりの花が咲き乱れているのだろうか?

すると英彦は手にしていた果実をもぎ取った。
そしてその果実を怯えて硬直したままの女性記者の目の前に差し出した。

「食べてみる?」英彦はそういった。
果実はどぎつい赤と黄色と青に彩られ、方々で節くれだっていてグロテスクなものだった。
とてもではないが人の食べるものには見えなかった。

だが英彦はそれを女性記者の目の前で割り、一方を自分の口で齧った。
英彦の口から紫色のドロリとした液体が滴り、白い麻のシャツの上に飛び散った。
それはまるで昆虫の体液のように見えた。
女性記者は嫌がって抵抗していた。無理も無い、目の前にあんなものを差し出されて食えといわれているのだ。

則和はそろそろ止めに入るべきではないのかと思った。だが体が動かなかった。
どういうわけか踏み出す勇気が湧かなかった。
かつての則和であったら問答無用で二人の間に分け入っていただろう。
そして英彦のことを殴りつけていたに違いない。
それで仕事を解雇されたとしても後悔はしなかったはずだ。
かつての則和ならばそのようなことで躊躇などしなかったはずだ。
それが理由で則和は人を殺めてしまったのだが。
15名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:51:22.15 ID:90C0R17N
そんな則和をよそに英彦は果物を女性記者の口元に突きつけた。
「これも僕のウンチによって育まれた生命の神秘だよ。これを食べれば、僕と一体になれるんだ!」
女性記者は顔を背けた。暴れて抵抗をするが英彦が腕を掴んでいるために逃れられない。
紫色の不気味な粘液を滴らせた果肉が女性記者の美しい頬に押し付けられる。女性記者は悲鳴を上げる。

則和は歯軋りをした。今こそ止めに入るタイミングじゃないかと自分に語りかける。だが全く体が反応しなかった。
すると英彦が則和に声を掛けた。「則和。彼女がこれを食べてくれるように手伝ってくれ」
英彦がそう言うと同時に女性記者が則和の方を見た。
彼女は明らかに則和に助けを求めていた。目には懇願の色が浮かんでいる。その表情は必死だった。

だがなぜだろうか?則和は彼女の表情を見た瞬間に激しく欲情してしまった。
先ほどまでクールで隙の無かった女性記者が取り乱している。その姿がたまらなくエロティックだった。
クールな理性の鎧の下に隠れた彼女のメスの本性を垣間見た気がした。
取り澄ました表情が崩れ、淫らさがそこから現れていた。そのギャップがどうしようもなくエロかった。

英彦が再び言った。「何をしているんだ則和。君は僕の秘書じゃないか」
その声を聞いた瞬間に則和は我に返った。自分は一体何を考えていたのだろうと慌てた。
女性記者は「助けて。お願い助けて!」と絶叫していた。そんな彼女の視線を避けるように則和は顔を背けた。

すると突然、則和の背後から「全くしょうがないな」と声がした。
同時に則和の肩をポンと何者かの手が叩いた。

宏和だった。朝食の後に帰ったはずの宏和がなぜかそこに立っていた。
「宏和。どうしてお前がここにいるんだ?」と則和は尋ねる。
だが宏和は則和に目も向けずに英彦の方に向かって歩いていった。
英彦はというと「大丈夫。はじめは少し苦しいけど、直ぐに慣れるから」と言いながら、
女性記者の口に無理矢理果物を押し込もうとしている。

女性記者は必死に顔を背ける。
既に顔もレモンイエローのスーツも紫色の粘液でベトベトになっていた。
そんな女性記者を見て、則和は再び欲情をしていた。
綺麗な顔いっぱいに粘液がベトベトとへばりついているのだ。
16名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:53:04.09 ID:90C0R17N
一方、宏和は女性記者の近づくと、いきなり彼女を羽交い絞めにした。
女性記者は必死に抵抗を試みるが、かなりの大男である宏和の前ではどうしようもなかった。

宏和は則和に向かって叫んだ。
「おい則和。今俺たちがやっていることはお前の考えているようなレベルの低いもんじゃないんだぞ!」
宏和はそう言いながら同時に女性記者の顔を掴み英彦の方に向けさせた。
女性記者は悲鳴も上げることができなかった。
これはもはや集団で女性を犯しているのに等しかった。
こんな無体なことが許されるべきではない。だがそれでも則和は動けない。

すると宏和は続けた。
「いいか。これは生命の神秘なんだぞ。俺たちは地球生命の連環を、つまり輪廻の輪を紡いでいるのだ!」
則和は先ほどの英彦の言葉を思い出した。たしかウンチが作物の養分になり、その作物を人間が食べる。
そして人間が出したウンチが再び作物の養分になり、それが延々とつながっているとか。

だからどうした。一体それのどこか神秘なのか?則和にはそのことが全く理解できなかった。
そんなのはただの食物連鎖でしかないのだ。
それを神秘と崇めるのは勝手だが部外者にそれを強制するのは間違いのはずだ。
だが則和は動けなかった。動けないばかりではない。則和は激しく勃起していた。
17名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:55:39.83 ID:90C0R17N
宏和の手が女性記者のスカートに伸びた。そして宏和の手はスカートをたくし上げ、露になった太ももをさすり始めた。
日差しを浴びた女性記者の太ももは眩いくらいにエロかった。特に長い懲役明けの則和にとっては耐え難かった。

すると宏和は「則和。お前はこの女が欲しいのだろう」と言い、大声で笑った。
それに釣られるように英彦も笑い出した。

女性記者はというと、すでに突き出された果物を口の中にねじ込まれていた。
ふくよかな唇は大きく開かれ紫色の粘液があふれ出ていた。
それは異常にエロかった。女性記者は吐き出しそうともがいたが、英彦と宏和に押さえ込まれていてとても無理だった。
「さあ食べるんだ。これで君も生まれ変われるんだ」と英彦は言う。言いながら女性記者の口の中に果実を押し込む。

宏和は言った。「彼女は適性があったんだよ則和。現代病に冒された彼女の中には、我々と同じ性が眠っているんだ」
宏和は一体何を言おうとしているのだろうか?もはや則和には付いてゆけなかった。すると英彦も続けた。
「なあ則和。滅多に取材を受けない僕が彼女の取材を受けたのはこれが理由なんだよ。目的は彼女なんだ」
女性記者は徐々に抵抗を止めた。今まで激しく暴れていた彼女は少しずつおとなしくなってゆく。

「ほらご覧。この通りだよ。彼女も僕らのサイドの人間なんだ」英彦はそういう。
則和には意味がわからなかった。だが女性記者の様子は明らかに変わっていた。
英彦が差し出した果実を今度は自ら食べ始めていた。
相変わらず宏和に羽交い絞めにされてはいたが、逃れようとする素振りはなくなっていた。

最初に差し出された果実を全て食べ終わるころ、英彦は残りの果実を彼女に差し出した。
宏和は彼女を羽交い絞めから解き放ってやると、彼女は今度は自分からその果実を受け取り齧り始めた。
彼女はその場でひざまずき果実を貪っている。
先ほどまでの取り澄ましたクールな美人っぷりからは想像もつかない姿だった。

二人の男はそんな彼女を見下ろしていた。不思議なことに英彦の目にも、宏和の目にも慈愛の情が満ちていた。
先ほどまでの残酷さが嘘であるかのようだ。まるで溺れた幼子を無事救い出したあとのような光景だった。
則和は立ちすくんだままだった。混乱は頂点に達し、まともな判断が下せなくなっていた。

一体宏和はなぜ自分をこのような仕事に就けさせたのだろうか?彼ら二人の目論見は一体なんなのだろうか?
そんな則和に英彦が声を掛けた。
「則和。彼女のスーツが汚れてしまったから新しいものを出してやれ。それとタオルもな」
則和はその声でハッと我に返った。
だが新しいスーツを出せといわれてもそんなものはわからない。
そのスーツをクリーニングに出せということなのか?それとも新しいスーツを買って来いとでもいうのだろうか?

「則和。スーツは西棟の二階の客間のクローゼットにある。
かなりの数の女物の服があるから適当に見繕ってきてこい」
そう英彦が付け加えた。そんなものがあるのかと則和は不思議に思った。
そして則和は「わかりました」と一言言ってその場を後にした。
18名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 17:59:42.68 ID:90C0R17N
則和が戻ってきたとき、女性記者は菜園の中でトランス状態にり狂ったようにグロテスクな果実にかじりついていた。

だが彼女の取り乱しぶりは英彦や宏和にとっても予想以上であったらしい。
彼女は自分から服を剥ぎ取り裸になった。そして実っていた他の果実をもぎり食べ始めた。
英彦は「食べ過ぎると体調を崩すからやめるべきだ」と彼女を止める。
だが興奮状態になった彼女は聞く耳をもたなかった。
果実を石で割ると手づかみのまま中身を齧り滴り落ちた果汁を全身にこすりつけた。
そのまま地面の上で転がりまわり笑い声のような吼え声のような雄叫びを上げ続けていた。

そしてついに彼女は菜園の隅に座り込み放尿をはじめた。
英彦と宏和はそんな彼女の様子を眺めながら、なぜか満足そうに笑っている。
則和はやはりここは何かがおかしいと思った。

「則和。申し訳ないが彼女の体を洗って介抱してやってくれないか?」英彦は言った。
確かに彼女は則和の目から見てもこのまま帰すわけにはゆかないような状態といえた。
「わかりました英彦さま」と則和は答える。
だが彼女の体を洗うということはどこかの浴室を使わなければならない。
すると「則和。さきほどの西棟二階の客室を使え。そこに浴室もあるから」と英彦が付け加えた。
則和は彼女に近づきながら「わかりました」ともう一度答えた。

先ほど訪れた西棟二階の客間の豪華さをふと思い出した。
本館西棟は尖塔つきの四階建てのコロニアル様式の白亜の建物の西翼の端にあった。
正面玄関にあるドリア風の巨大な柱をくぐり、広い玄関ホールを抜けて幅十メートルはあろうかという正面階段を登る。
そこからホールのように広い二階ロビーを西に向かうと、突き当たりにせり出した建物がある。
そこが西棟二階の客間だ。客間といってもそこはちょっとした小学校の体育館くらいの広さがあった。
ウォークインクローゼットだけでも則和が住んだことのあるどの家よりも広い。

ウォークインクローゼットの中には高そうな衣装が数多く吊るされていた。しかもそれは大半が女物だった。
そこで則和は驚嘆しつつもとりあえず女性記者に合いそうなサイズの服と下着を適当に見繕い、
さらにバスタオルやガウンをその辺から適当に引っ張り出した。
どうしてこんなものがこれだけそろっているのかという疑問はとりあえず置いておいた。それはいずれわかることだろう。
そして則和は必要だと思われるものを揃えるとそれを抱えこみ急いで庭の菜園まで駆けていったのだ。

彼女は菜園の隅での放尿を終え別の果実をかじりだしていた。
それはオレンジ色に紺色の縞模様が走るウリのような形の果実だった。
その果実を齧ると齧った場所からピンク色の粘液が飛び散った。
それが巨大な芋虫を齧っているようにしかみえなかった。
則和は思わず顔を顰めた。確かに彼女は美人だ。
だからこそこんな美人が壊れた姿を見るのが忍びなかった。

「則和。早くしないと彼女は風邪をひいてしまうぞ」英彦はそう言う。
確かに肌寒いこの季節に裸のままでいるのはさぞ寒かろう。
意を決した則和は彼女のそばにしゃがみ込むとバスタオルで彼女の肩を覆った。
抵抗されると思ったのだが意外にも彼女は則和の腕の中に身を任せた。
もっとも巨大な芋虫のような果実を齧りながらであったが。

宏和が「ほら則和。彼女はお前のことが気に入っているんだよ」と冷やかすように言った。
19名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:07:08.62 ID:90C0R17N
女性記者の名前は片岡美里といった。年齢は26歳。
大学卒業後に大手出版社の一つである飛騨新報社に入社。 営業部門を経て現在の編集職に落ち着いたものらしい。
本人の証言によれば元々は政治ジャーナリズムを目指していたという。

そういう話を則和はベッドの中で聞くこととなった。
そのとき則和の傍らには美里がいた。もちろん則和も美里も裸のままだ。

……美里をバスタオルで包んで屋敷に連れ戻った則和は、そのまま美里を西棟二階客間のバスルームに連れ込んだ。
先ほどバスタブに湯を張っていたので既に入浴の用意はできあがっていた。
もちろん美里も初めから裸である。だから西棟二階の客間に入るとその足で二人はバスルームへと入っていった。

「さてどうしようか」と則和はつぶやいた。
女と二人で浴室に入ったことは何度もあるが、女性を入浴させるために入ったことなど一度も無い。

つい先日も由香里とラブホテルに入り、そこで入浴しながら二人で乳繰り合ったばかりである。
ちなみに則和は出所後初めての射精をそのラブホテルのバスルームで行った。
由香里の手と口が則和を導いてくれたのだ。
他にも則和は船橋のソープランドや一時期滞在していた堀の内でのソープランドに幾度も赴いたことがある。
そこでは則和は女性に体を洗って貰う立場であった。今のように則和が女性の体を洗う立場ではなかった。

「ふうっ」則和は大きく溜め息をついた。
正直言えば則和はかなり興奮していた。なにせ抜群の美女と浴室で二人きりなのだ。
しかもその美女は全裸で全くの無抵抗。これで平静でいられるほうがどうかしている。
則和は彼女をまず椅子に座らせた。そしてバスタブの湯に手をつけてその水温を手で確認していた。

そのときだった。彼女が突然口を開いた。
「あの。あなたは瀬内則和さんですね?」

則和はバスタブの湯をかき混ぜる動きを止めた。唐突に自分の名前を呼ばれたからだ。
おどろいて則和は振り返った。

すると則和の目と鼻の先に彼女の顔が突然現れた。
則和は思わず「うわっ!」と声を上げてしまった。

「あなたは瀬内則和。つい3日前まで結城刑務所で長期受刑囚として収監されていた殺人犯。
元サッカー選手でユース代表のFW。だけれども船橋でのケンカ沙汰で相手を殺めてしまい逮捕される。
泥酔状態で心神耗弱を主張したものの裁判で認められず。
もちろんサッカーの世界から完全に追放され刑務所に収監。
控訴はしなかったので一審の殺人罪懲役7年執行猶予無しの判決が確定。
まず尾山台刑務所に収監されその後に結城刑務所に移送。
そこで模範囚として刑期短縮が認められ五年の刑期を終えて出所。
現在は村上英彦の個人秘書を勤める。父母既になく兄弟もいない。
現在はかつて交際していた田島由香里という女性と復縁」
則和のまさに目の前で彼女は次から次へと則和のことを話し始めた。

だが彼女の口調は抑揚がなく単調だった。
まるで機械が自動で文字を読み上げているような声色だった。それにやたらと早口だった。
また彼女は全くの無表情だった。喜怒哀楽の表情はまるで無く見開いた目だけが妙に不自然に力がこもっていた。
瞳は何故か爛々と輝いていた。それは無機質な光だった。生き生きとした感じは微塵も感じられなかった。
20名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:07:51.11 ID:90C0R17N
彼女は裸のまま則和の方へ身を乗り出してくる。
則和が驚いて後ずさりをすれば彼女はその分だけ前へと進んでくる。
則和の背中にバスタブのへりが当たった。
同時にバスタブから溢れた湯が則和の背中を濡らす。もう逃げ場は無かった。
溢れた湯は床のタイルの上を流れ則和の尻を濡らす。則和はその濡れた感触を尻で感じながら彼女を見返した。

正確に言えば目を背けることができなかった。則和は鼻先に彼女の吐息を感じた。それはとても甘い吐息だった。
若い女の匂いに混じって恐らくあの果実らしきすっぱい匂いが混じっているのが感じ取れた。
それは腐敗臭とは違う独特の毒気のようなものに思えた。

もはや彼女の目は則和の目の数センチ先にまで迫っていた。
彼女の鼻先は則和の鼻の先にほとんど触れていた。そして唇は則和の唇の上をかすっていた。
それはまるでキスを迫っているようだった。少なくとも則和にはそう思えた。

則和はというとペニスは既に勃起していた。
彼女を浴室に連れ込む時点で則和は充分に欲情を感じていた。
だが今、彼女にこのように迫られ欲情は抑えられなくなっていた。
則和の胸に彼女の乳房が当たる。シャツの生地越しに彼女の乳首の硬さを感じ取れた。
そして彼女はそれをゆっくりと則和の胸に押し付けてきた。則和は思わず「うっ」と唸った。

その瞬間、彼女は則和の唇に自分の唇を重ねた。さらに彼女は全体重を則和に預け倒れこんだ。
則和は体重を支えきれずにあお向けにタイルの上に押し倒された。
すると彼女の太ももが則和の両足を割って入ってきた。
その太ももは則和の勃起したペニスに押し付けられた。
女のモモの肉の柔らかさが則和を更に興奮させた。

彼女は則和にキスをしながら則和のシャツを破った。
唇が離れても何度も則和の唇を求めてきた。もう則和も限界に達していた。

則和は彼女を抱きかかえると今度は自分が上になった。
もう構うことは無いと思った。確かに則和は現在仮釈放中である。
だが今のこの行動は強制わいせつ罪ではないはずだ。
彼女はここまで激しく求めているのだから問題はないはずである。

則和はスーツのズボンを脱ぎ始めた。
それは既に充分に濡れていてベルトを外した後も肌にまとわりつき脱ぎにくかった。
すると則和の下になった彼女が突然手を伸ばしズボンの生地を掴むと力いっぱいそれを破った。
彼女のその細い腕のどこにそんな力があるのだろうかと則和は驚く。
だがそのころには彼女は則和のボクサーショーツを破っていた。

すると則和のペニスが弾けるように飛び出た。それは既に充分に勃起していてもはや爆発寸前であった。
長い懲役の間に溜まった欲情は由香里と一晩過ごしただけでは処理しきれていなかったのだ。

彼女は仰向けのまま則和のペニスを握った。
その感触で則和は果てそうになってしまう。だがそれを堪える。
彼女は則和のペニスを握り締めながら「早く来てお願い。もう我慢ができない!」と吼えるように言った。
その点については則和も完全に意見が一致した。則和ももう耐えられなかった。
そして意を決した則和はそのまま彼女のヴァギナに自分のペニスを突き入れた。
21名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:21:17.92 ID:90C0R17N
……それからどれだけの時間が経っただろうか。
窓の外の空は完全に夜となっていた。半分だけ欠けた月が中天に見える。

則和はベッドの中にいた。則和の下には美里がいた。すでに彼女は自分の素性を話していた。
則和は幾度も美里の体に挑み、美里はその全てを受け入れた。そして今も二人は激しく交わっていた。
広いダブルベッドは二人の激しい交わりで軋む。美里のあえぎが広い寝室いっぱいに響き渡っている。
その美里のあえぎの中に時折則和の唸り声が混じる。そして今夜何度目かのフィニッシュを迎えた。
今回もまた二人同時のフィニッシュだった。

則和は驚いた。美里とのセックスの相性が抜群によかったのだ。
由香里とのセックスも相性がよいものだと思っていたのだが、美里とのセックスの方が格段に上だった。
則和は大量に解き放った。その全ては美里の中に流し込まれた。美里の中は痙攣していた。
全てを出し終えると美里の体の上に崩れ落ちた。体中がバラバラになりそうだった。

則和はしばらくそのままの姿勢で快楽の余韻に浸っていた。
美里もまた則和にすがりついたままそうしていた。
ようやく則和が萎え始めてきたので則和は美里から抜き出た。
抜き去る瞬間、ドロリとした感触が感じ取れた。

そのまま則和は美里の横に仰向けになった。
ベッドの脇にあるワゴンにはすっかり冷め切った夕食が置いてあった。
どうやらこれは、二人が浴室で交わっている間に宏和が運んできたものらしい。
則和は空腹感を感じてはいたものの食欲はなかった。

ワゴンの上にはタバコが置いてあった。それとライターもあった。
則和は手を伸ばすとそのタバコを取り、ライターで火をつけた。
刑務所内ではタバコを吸えなかったために、このタバコはおそらく五年ぶりとなるはずだ。
由香里はタバコを嫌っていたので先日ひさびさに再会したときもタバコを控えていたのだ。

煙を吸うとまるでニコチンが全身の細胞ひとつひとつに染み渡っていくような感じがした。
吐き出した煙はゆっくりと天井にむかって立ち上っていった。天井といっても高さはおそらく4メートルはある。
則和はふとこの天井を掃除するときは一体どうするんだろうかとどうでもいいことを思った。

すると「ねえ、私にも吸わせてくれる?」と美里が言ってきた。
則和が新しいタバコを取り出そうとすると美里は則和の口にくわえていたタバコをぱっと取った。
美里は笑いながら「これでいいわ」と言った。そしてそのタバコを口にくわえるとおいしそうにすい始めた。
22名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:23:12.36 ID:90C0R17N
「美里。聞かせてくれないか?」則和は美里に尋ねた。
美里はタバコを吸いながら「何を?」と尋ね返してくる。

何をといわれても聞きたいことは山ほどあるのだ。
そもそも美里の様子は何から何までおかしかった。

記者として英彦にインタビューをしていたときの美里は、とりすましたクールなキャリアウーマン風の美女だった。
だが菜園で英彦に果実を食べさせられたときの美里は、殆ど獣と言っても良いほどに理性を失っていた。
そして今則和と交わった美里は、濃厚なフェロモンが沸き立つような妖艶な女に変貌していた。
一体どれが美里という女の本当の姿なのだろうか?則和にはわからなかった。

とりあえず則和は聞いてみた。「どうして俺の名前や経歴を知っていたんだ?」
すると美里は一度大きくタバコを吸って吐き出すとこう答えた。
「雑誌の企画で村上英彦のインタビューを載せることになったの。
だけど村上英彦は滅多に取材を受けないことで有名でしょ。
だから今まで幾度も村上英彦のマネージャーに取材依頼をしてきたんだけど、毎回却下されてたの。
だけどつい先日ようやくインタビューに応じると言ってきたんだけど、その際に色々な資料が送られてきたのね。
村上英彦のプロフィールをまとめた書類とか、村上英彦の活動紹介とか、そういうのに混じってあなたの資料があったの。
そこに全部書いてあったわ。あなたの生まれから学歴や職歴とか、サッカーで鳴らしてたこととか全部」

どういうことなのだろうか?なぜ自分の履歴の資料がそのような形で雑誌の編集室に送られたのだろうか?
「なあ、それは殺人事件の話とかも書かれていたのか?」則和は聞いてみた。
「ええ。あなたが船橋で起こした殺人事件の詳細も書いてあったわ。つまらないことで人を殺しちゃったのね」
そういうと美里はクスクスと笑った。
則和はちょっと不謹慎だなと思って顔を顰めたが、彼女はそれに気付かなかったようだ。

「それよりもね、あなた飛び級でユース代表まで上り詰めたって驚いたわ。
同級生や知り合いでサッカーやってる人たくさんいたけど、
そんなところまでたどり着けた人なんて一人もいなかったもん。
そこまでいくには相当厳しい競争を勝ち抜かなければならないでしょ?」
美里がタバコを吸い終えたので、則和はワゴンにあった灰皿を差し出した。
美里は小さくありがとと言い、その灰皿の上でタバコをもみ消した。
23名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:25:44.01 ID:90C0R17N
「俺の経歴なんかが送られてきたことを不思議に思わなかったのか?」
「ちょっとはね。でもあなたは英彦の新規採用スタッフなんだと記されていたの。
だから別に深くは考えていなかったわ」
新規採用スタッフとはどういうことなのだろうか?少なくとも則和は出所以前英彦とは一切面識もない。

刑務所の中で英彦の名の書かれた新聞記事を読んだことがあるものの、別に興味を持って読んでたわけではない。
刑務所の中はとにかく退屈なのだ。
活字であれば六法全書だろうとサンスクリット語の辞典だろうと楽しく読めるくらいだ。

「あなた面白いこというのね」と美里は言った。そしてクスクスと笑い出した。
「でもマネージャーの有田宏和氏とは昔なじみなんでしょ?有田さんから聞いたわ」
確かに宏和とは昔からの知り合いだ。
だが事件の前から少し疎遠になっていた。
刑期を終えるころになって突然宏和からの手紙が舞い込み、さらに話があるとわざわざ面会にきたのだ。
そこで今回のこの仕事を紹介されたのだ。
村上英彦という人物を知っているか?彼の個人秘書の仕事を紹介したいと。

出所後行くあての無かった俺はその話に直ぐに飛びついた。
月給45万円なんて前科持ちが堅気の仕事しようとしてもまず無いだろう。
だが今改めて思えば不思議だ。
一体なぜ宏和は俺にこんな仕事を紹介したのだろうか?
未だに宏和のたくらみがわからないのだ。
24名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:27:32.31 ID:90C0R17N
「なあ、美里は不思議に思わないのか?昼のことも」
「昼のこと?昼のことって何?」美里はあっけらかんと聞いてきた。

昼のことといえばそれはあの英彦の庭園の中にある菜園での出来事にきまっているではないか。
あれを憶えていないというわけでもあるまい。
則和は「ほら、英彦に変な実を食べさせられたことだよ」と聞く。
すると美里は「ああ。憶えているわ。あれでね私、何か本当の自分に出会えたの。」と言った。

どういうことだ?と則和は尋ねようとした。
だが美里はそんな則和の様子などお構いなしにしゃべり始めた。

「女性の自立と自己の探求という現代フェミニズムの命題を自らに課していた私はそれに従っておのれの道を選択し
自らの意思でその道を進み社会的にも経済的にも精神的にも自立的な自己を作り上げようと邁進してきたのだけれど
それを形作るための哲学は未だ不明のままなうえに自らを自己と認識して表現する手段も結局のところ
メディアに喧伝された消費財を消費動向に従って消費するだけのことでしかなくて一見多様性に満ちていると思われていた
個人の自己表現や自己実現の価値もしょせんはただの組み合わせの所作でしかなくそれは自己の存在の証明にはならず
ただ単に活動と消費のパターンを随意に選択する単純な装置でしかない自分しか見出せなかったわけね。
それは自分と自分以外の明確な差異にもならずそこに他人との境界など見出すことが出来ず
ただひたすら漠然とした流れの中で相対的な自分の居場所を見つけてそこに暫定的に留まることしかできず
その居場所もまたすぐに揺らいでしまうほどにもろく結局私の自己を支える根拠にはならず迷いながら
漂流する日々は終わらずそうやって過ごす毎日の中で自己の境界に対する認識はどんどん鈍化し
ただ肉体を持ち呼吸をして食べ物を食べて排泄して組織体の企業の生産単位として活動し給与を得て
それで何かを買い消費して捨てて時折交わりそうやって人生は終わっていくことを悟りそういう人生に絶望しながらも
ただ漠然と生きていく自分に嫌悪感を抱きそれでも何となく今日も生きているのね」

美里はそこで息をついた。ここまで一気に喋りまくったのだ。
このときの美里の声は先ほどシャワールームで則和のプロフィールをしゃべり始めたときと同じく、
抑揚がなく感情もない無機質な声だった。まるでロボットのようだった。

正直則和は彼女の語った今の話のほぼ全てがわからなかった。殆どお経にしか聞こえなかった。
だが、おそらくここに美里の持っていた悩みが満ちていたのだろう。
そしてそれは美里をここまで追い込むほどに深い悩みだったのだろう。
25名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:39:24.56 ID:90C0R17N
美里は一息つくと則和に目も向けずに再び話し始めた。

「そんなことを思いながら私は今年で26歳になって今日もまた再び繰り返しの生活が始まって私は朝起きて朝食を食べ
排泄してシャワーを浴びて着替えと化粧をして家を出て編集部に行って編集長とミーティングをして今日の午後ここに来て
ついにアポイントメントの取れた村上英彦のインタビューを始めてもちろん村上英彦に会ったところで自分の中の何かが
変わるなんて思ってもいなかったしそもそもそんなことで変わる自己なんてものが存在するとも思っていなくって
それ以前に私はここに仕事で来ているのであって村上英彦に接するのに一般人やファンと同じ気持ちであってはならないと
思っていてそうやってここで村上英彦と会って話して話していても特に感銘を受けることなくいつもどおりインタビュー記事を
まとめてそれを原稿に起こしてレイアウトなどを考えて編集長にお伺いを立てて多分村上英彦くらいの人物のインタビューなら
よほどのことが無い限り没になることもないと思っててそれでもインタビューの構成や記事の内容について考えながら
村上英彦に質問し村上英彦もそこで私の質問に対してとても原稿にしやすいような受け答えをしてくれて
これは記事にしやすいななんて思ったりしながらでも村上英彦もこういうインタビューに慣れていて
質問にどう答えるべきかそういう対応方法をすでに持っていてそれに従って記者にも自分にも都合のいいように
答えを作って答えてるんじゃないかと思ったりそういうのは結局は欺瞞でしかないななんて思ったんだけれども
自分が村上英彦に質問していることもありきたりのことでそういう質問もまた欺瞞でしかなくて誰もそういうのに
疑問を持たずただルーチンワークとして企画が立てられ予算が組まれそれが誰かに割り振られ当たり前のように
それが処理されて終わってゆくのだなと軽い絶望感を憶えたの」

美里は再びそこで言葉を切った。則和はやはり彼女の今の話を理解してはいなかった。

だが則和もインタビューのあった部屋にいてそばで聞いていたので、
美里がインタビューのときにこんなことを考えていたのかと驚いた。
インタビューをしていたときの美里は凛として冷静で、とても知的な女に見えた。
確信に満ちた表情を浮かべた美里が英彦に向かって堂々と質問していた姿がとても印象的だったのだ。

美里の語る欺瞞とはもしかしたらああした姿だったのだろうか?
あの端正な佇まいの全てが美里にとっては欺瞞でしかなかったというのだろうか?
26名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:40:27.85 ID:90C0R17N
すると突然美里は体を起こした。そして仰向けの則和の腹の上に跨ってきた。

則和の腹に美里の恥毛のちくちくした感触が伝わる。また美里の秘部の湿り気も感じ取ることができた。
美里は則和を見下ろしていた。その目はまるで睨んでいるようだった。則和は少し怖いと思った。
睨んだその瞳はまるで機械のように無機質だった。
表情ではなく何かセンサーのようなもので則和を分析しているように思える。

則和は美里の目を見上げた。目線を逸らすことができなかった。
恐怖を感じながらも同時に美里に愛おしさを感じていた。
美里は無言だった。だが則和の腹の上に触れている美里の股間がじっとりと濡れてきているのが感じ取れた。
その熱い湿り気はとても淫靡だった。
このような美しい女が濡れてゆくのを肌で感じて欲情しない男などいないであろう。
則和は再び勃起し始めた。

すると美里は再び話し始めた。

「私は私を守るために武装をしてきたの。ジェンダーフリーやフェミニズムの理論で武装して
偏差値と学歴社会の中で戦うために勉学を身に着けてより高いレベルの大学を目指して自立した女として
男社会の中で生き抜くために必要な自分のキャラクターを作ってそのために化粧や服装や物腰や
それに言葉遣いや表情の作り方まで一つ一つ注意しながら作り上げていって今の私になったの。」

そこで美里は言葉を切った。美里は相変らず上から則和を見下ろしていた。
則和を睨みながら美里はじっと黙った。
美里が黙った途端に寝室は静寂が支配した。
遠くから空調の作動する音がかすかに聞こえた。それ以外は物音一つしなかった。

空気はピンと張り詰めて緊張していた。則和は額に汗が浮かんでくるのを感じ取った。
ふと美里の体臭を嗅ぎ取った気がした。
それは若い女の汗の匂いだった。甘酸っぱいような匂いに肌の脂の匂いが入り混じった匂いだった。
その匂いが則和をさらに欲情させた。どんどん膨張してゆく則和のペニスの先端が美里の尻の肉に当たった。

「そして気付いたの。私が守ろうとしてたものなど何も無かったんだってことに。今日。あの菜園で」
そう言うと美里はゆっくりと体をかがめた。
馬乗りの状態から美里は則和の上にのしかかり則和の胸に乳房を押し付けた。
すでに美里の乳頭は堅くなっていた。さらに美里の形の良い乳房が則和の胸板の上で押しつぶされてゆく。

「あなたよ。瀬内則和。あなたに私の取り乱した姿を見られた瞬間に私の築き上げた城壁が完全に崩れ去ったの」
美里は明らかに興奮していた。則和の腹に触れている彼女の性器は熱く濡れ、ますますぐしょぐしょになっていく。
美里の鼻息も荒くなっていた。ぽってりとした唇は僅かに開かれてそこから白い歯と舌の先端が見えた。
その舌は則和の喉を舐め、さらにキスを繰り返しながら頬を舐めた。則和はされるがままになっていた。
27名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:41:57.88 ID:90C0R17N
「あなたに私の理性が崩された姿を見られたときに私の中の何かが弾けたの。
そして私は英彦に差し出された果実を齧りながら幾度も絶頂感を感じ取っていて、
何度絶頂してもどんどん濡れてくるのがわかってそれでも私は自分を抑えることが出来なくなっていて
ひたすらあの果実を食べたの。あの果実は見た目からは信じられないくらいに甘くて美味しくて
でもあなたが服やタオルをとりに行くためにいなくなったら途端に私はどうしていいのかわからなくなって
それで次から次へと果物を食べて身体の奥から湧き上がる自分の激しい性欲をコントロールできずに悶えていて
早く私を抱いてほしいとあなたの名前を叫びながら私はあなたを待っていて英彦とマネージャーがもう少ししたら
あなたが戻ってくると何度も言ってようやく戻ってきたときには私は完全に生まれ変わったの。」

そう言いながら美里は則和にキスをし、愛撫を始めた。
一方則和は激しく勃起していたにもかかわらず呆然としたままだ。

正直言えば「そんな馬鹿な!」という気持ちだった。
ある日突然自分の目の前に美女が現れその美女が自分に一方的に惚れて、
しかもこうもあっさりセックスを求めてくるなんてこと普通はありえない。
そんなのは安物のポルノでしかないではないか。

だが美里は簡単にセックスに流されてしまった。
美里は今日の午後から今までずっと則和の腕に抱かれてセックスに溺れていたのだ。
結局彼女が捜し求めた自我は、則和に醜態を見られることで発見できたのだ。
羞恥心……それを感じ、欲情することが出来たとき、彼女はついに開花したのだ。

美里の身体の反応は素晴らしかった。
まるで則和とぴったり合うようにしつらえたかのように彼女の身体は見事だった。
則和のペニスは完全に勃起し、まもなく美里はその上に跨った。
ペニスは充分に濡れた美里の中に押し込まれ、美里が腰をグラインドするたびに中の粘膜にこすり付けられる。
美里はそのままの姿勢で幾度も上り詰めた。
ようやく則和がフィニッシュを迎えるころには快感で白目を剥いていた。
則和は顔を顰めながら美里の中に解き放ちそのまま眠りに落ちた。
28名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:49:49.56 ID:90C0R17N
「英彦さま。一体どういうことなんですか?」
則和は朝食を食べながら英彦に聞いた。
英彦は新聞を読んでいた。宏和は昨晩おそくに帰ったらしく今朝はこの席にいない。

英彦は新聞紙面から目を離さずに聞き返してきた。
「どういうこととは、何の話だ?」
「何の話とかではないですよ。片岡美里のことです。英彦さまは彼女を一体どうしたんですか?」
則和は今ここで英彦から昨晩美里からも聞けなかった疑問を聞きたかった。
なぜああも理知的な美女が初対面の出所間もない男とのセックスに溺れてしまったのか、それを明らかにしたかった。

「彼女はその、良かっただろう?則和」英彦はそう言うとサンドウィッチの一つをつまんで口に運んだ。
則和は即座に「そういうことではありません英彦さま。なぜ彼女はあんな風になってしまったんですか?」
「あんな風とはおかしな話だな。あれは彼女の本当の姿だよ。彼女にそう聞かなかったのかい?」
美里の話は確かに聞いていた。だが則和にとっては美里の話など殆ど電波じみた独白にしか思えなかった。

「いいか則和。彼女は目覚めただけなんだよ。僕はだな、そのきっかけを与えただけなんだよ」
英彦は二つ目のサンドウィッチを掴むと、それを少しずつ齧り始めた。
則和は英彦の言葉を待ったが英彦はそれ以上何も言わない。
「英彦さま。彼女は何に目覚めたのですか?それときっかけとは一体何のことなんですか?
まさかあの庭の菜園の果実には特殊な薬でも仕込まれていて彼女はそれでスイッチでも入ってしまったんですか?
それとも英彦さまが何か彼女に催眠術をかけたか洗脳を施したかして彼女を狂わせたんですか?」
則和は一気にまくし立てた。

この仕事について四日目だ。確かにわからない事だらけではある。
だがここは明らかにおかしい。常識では理解できないことだらけだ。すると英彦が読んでいた新聞を折りたたんだ。
そして大きく溜め息をつきながらコーヒーを一口飲んで、言った。

「催眠術とか洗脳なんてものはわからないが、もし彼女にそういうのをかけたとするならそれは君がやったんだよ。
もちろん君は自覚が無いだろうけど彼女を目覚めさせてしまったのは則和、きみなんだよ。
僕と宏和はちょっと後押しをしただけだ。
殻にこもった彼女を外に出してやるためにちょっとだけ殻にヒビを入れたことは認めるよ。
だけど殻そのものを突き破ったのは彼女自身だよ。彼女自身が目覚めて殻を打ち破り君を求めて外に出たんだ。」
もうわかっただろうという感じに英彦は言うと、再び新聞を取り上げて記事を読み始めた。

則和は呆気にとられてしまった。自分が彼女を変えた?そんなバカなことがあるか!
そもそも比喩表現だらけで意味が解らない。
自分は一体なんのためにここにいるのか?
もう自分がここにいることが仕組まれたことだということは理解している。じゃあなんのために?

「あとな則和。彼女のような人がこれからもここに来るはずだ。何人もね。
そうした人たちを導くのが君の仕事なんだよ。
本来ならばそれは僕がやることなんだけれど、例えば昨日の片岡美里のような場合は僕には対処できないんだ。
なぜだかわかるだろう。そういう場合には君に出てもらうしかない。君はそれができるから僕に雇われたんだよ」
29名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 18:51:07.22 ID:90C0R17N
則和には意味がわからなかった。
今の話を理解するならば、則和は性的欲求不満の女を満足させるためのセックスマシーンということになるはずだ。
確かに片岡美里のような美女とセックスをやれるのは悪くはない。
だがそういう問題ではないのだ。自分はただの秘書なのではなかったか?

「何だ則和、まだ何か?」英彦は言った。
英彦の顔は笑っていた。おそらく見透かされているのだろう。

「それと則和。毎回美女とセックスができると思っちゃ大間違いだからな。今回はまさに役得だったが。
普段はこんな風にはゆかないからその辺を覚悟しておいてもらわなくちゃならない」
一体英彦は自分に何をやらせようというのだろうか?
それに宏和は何故自分をこのようなことに巻き込んだのだろうか?
おそらくだが英彦や宏和から見て則和にはこれをやる適性があるのだと見込んだのだろう。
もっともそれが何の適性なのか、それに何の仕事をやるのかについては相変らずさっぱりわからないままだが。

「あの、では片岡美里はどうしたらよろしいのですか?」
何を聞いてよいのかわからなかったので、則和はとりあえずそう聞いた。
英彦は「時が来るまで好きにすればいいさ」とつぶやくように答え、席を立った。

まもなく宏和が英彦を迎えに来る。
則和は今日は非番だと言い渡された。昨日の「疲労」を癒すためだそうだ。

そして美里はまだ寝室に寝ていた。
則和は美里のための朝食をトレーに乗せて西棟二階の客間へと向かった。

部屋に入ると、美里はベッドの中ですやすやと寝ていた。
昨晩あれほど熱く交わったので、おそらく美里も疲労困憊なのだろう。
朝食の入ったトレーをベッド脇のテーブルに置いた。
そして軽く頬にキスをすると則和はそのままそっと部屋から出て行った。
30名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:37:00.35 ID:90C0R17N
●第三章

「あ、ここだな」則和はそう言って車を門の中へと走らせた。
ここは、第三参院議員宿舎の第24号館だ。則和は現在一人だった。
則和はつい先ほど、英彦を全日空ホテルの催事場で降ろした。
英彦はそこで密談があるらしい。どのような密談かは預かり知らない。
一方、則和はそのまま車を走らせ、新赤坂にあるここ参院議員宿舎に真っ直ぐやってきたのだ。

正門の前で警備員に名前とアポイントの用件を告げると、警備員はPDAを巧みに操作してそれを確認する。
確認後、駐車カードを取り出して「お車は地下駐車場B3FのDU−24と書かれている場所に止めてください」と指示した。
則和は警備員に一礼して車を発進させた。

参院議員宿舎の敷地内はかなり広大だった。則和はその豪奢さにあっけにとられ、税金の無駄づかいだなと思った。
敷地内のあちらこちらに小銃を下げたフル装備の警備兵たちが散在しているを見た。
ここ最近、都内の方々で都市型のテロ事件が発生し要人の何人もが殺害されている。
おそらくこの厳戒態勢もそうしたテロ対策なのだろうと思った。

よく見れば警備兵たちは則和の車に注意を向けていた。
その目は明らかに警戒の色を浮かべている。
自分はテロリストではないのに則和は何故か緊張してしまう。

もっとも則和はつい先日まで結城刑務所で五年間服役していた身である。
おそらく則和がここに来るとアポイントメントを入れた時点で、
警備担当者は自分のプロフィールの全てを把握していたに違いない。
元殺人犯で現在仮釈放中という履歴は立派に警戒すべき対象といえるだろう。

則和は路面に書かれた来賓者用駐車場への案内に従い車を走らせる。
まもなく巨大な近代的ビルのふもとにたどりついた。
そこには地下に向かって大きく入り口が開いていた。
入り口の脇には警備員の詰め所があった。
そこの警備員が則和の車にむかって地下に入るように手で合図をする。
則和は車内で軽く右手を上げて応じ車を地下へと入れた。

都心にこれほどまでの巨大な施設があることに驚いた。それに地下駐車場の広さも半端なかった。
ここを無料開放したら都心の自動車事情も大きく変わるんじゃないかと思えるほどだ。

「これだけ広いのだから所内での移動も大変だろうな」
則和はそうつぶやき、早めにここに到着しておいて良かった、と思った。

自動車を止めて議員宿舎にエレベーターに向かう。
駐車場内のあちこちに監視カメラがあるのがわかる。
おそらくどこかに警備室があってそこで則和の一挙手一動足をくまなく監視しているのだろう。
則和は緊張しながらエレベーターに乗りこんだ。

指定されたのは議員宿舎第24号館31階3121号室。
そこは千葉県白浜小選挙区選出の社会国家民主連盟党議員・山室浩一郎の宿舎である。
ただ現在は山室は選挙区に帰ってるためそこにはいない。
則和は山室に会いに行くのではなく、山室の第一秘書、熊野陽平に会いに行く予定なのだ。
これは宏和の指示だった。
31名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:37:54.56 ID:90C0R17N
則和は31階でエレベーターを降りた。
するとそこには立派な絨毯が敷き詰められた廊下が広がっていた。
しかもここの廊下の幅はやたら広い。それこそダンプカー二台がすれ違えるほどの広さがある。
則和は再び税金の無駄づかいだなと思った。

3121号室は直ぐにわかった。ご丁寧にも案内表示が廊下の壁に掲示されている。
どうやらここは主に与党系の議員の宿舎であるらしい。
山室議員のほかにも幾人か則和も知っている名前が掲示されていた。

則和は緊張し恐縮しながら廊下を進む。
なにせ則和はつい数日前まで囚人服を着て雑居房で雑魚寝をしていた身なのだ。
ここは国権の最高機関を担う国会議員たちの宿舎なのである。
あの結城刑務所の重犯罪者用雑居房とでは色々な意味で天国と地獄ほどの違いがある。

則和は3121号室の扉の前に立った。
ドアの脇にあるブザーを押そうとして、扉の上方に目立たないように監視カメラがあるのに気付いた。
元受刑者であるせいか則和は監視カメラや監視の目といったものにものすごく敏感になってしまっている。
それはまだ則和が仮釈放中の身であるからかもしれない。
何かちょっとでも悪いことが起きれば直ちに刑務所に戻されてしまう身なのだ。

ブザーを押した。するとインターフォンから若い女性の声がする。「どちらさまでしょうか?」
則和は一呼吸を置き、インターフォンのマイクに向かって言った。
「どうも失礼します。こちらは村上英彦の私設秘書を務めております瀬内則和といいます。
本日の午後一時に熊野さんと面会する予定のものです」
則和がそう言って二秒ほど間があり、扉のところからカチリとこもったような音がした。
そしてインターフォンから「どうぞお入りください」という女性の声がした。
則和はドアを開き部屋に入っていった。
32名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:47:50.55 ID:90C0R17N
そこは秘書室だった。秘書室だけでも広さは大体十畳ほどだろうか。
則和が収監されていた結城刑務所の重犯罪者専用雑居房よりも広い。

調度品は少なく、とても事務的で実用重視のように見えた。
戸棚の上に黒塗りの花瓶に淡い色の菖蒲が一本活けてある。

待合室を兼ねているようであり、部屋にはベージュ色のソファのセットと黒檀のテーブルのセットがあった。
テーブルの上にはシガーボックスと卓上ライター、それに白磁の大きな灰皿がそこに置かれている。
壁際には本棚が並んでおり、様々な書類のファイルが実に丁寧に整理されて保管されているる。

入ってきた扉の正面斜め前ほどにデスクがあり、そこに黒いビジネススーツを着たボブカットの女性がいた。
彼女はパソコンのキーボードを操作する手を止めてデスクから立ち上がり則和に一礼した。
「山室の秘書を勤めております滝田真奈美と申します。瀬内則和さまですね。どうぞこちらへ」
先ほどのインターフォンの声だった。あっさり目の化粧に洗練されたスーツ姿はなかなか素敵だった。

則和は「あの、瀬内則和です。どうもお構いなく」とぎこちなく答えるのが精一杯であった。
滝田真奈美は相当の美人であった。彼女はは則和をソファーの方へ誘い「こちらでお待ちください」と言った。
すれ違いざまに則和は滝田真奈美の仄かな香水の香りを感じ取った。
匂いの種類はわからないがあっさりとした上品な香りだった。

一昨日中、則和は美里と交わり続けていたため、女の肌の香りには少々飽いてたはずであった。
だが、この滝田真奈美には美里には無い独特の上品さには、思わず惹かれてしまった。

「実は瀬内さま、大変申し訳ないのですが現在熊野は外出しておりまして、戻るのは午後二時すぎると申しております。
できればこちらでお待ちになっていただけないかと熊野から言付かっておりますが、
瀬内さまは何かご予定はおありですか?」

滝田真奈美はそう言って則和に頭を下げる。
ふと壁にかけられた時計を見るとちょうど予定時刻の午後一時をさしていた。
あと一時間ばかり待ちぼうけということになる。

「今日の午後の予定は空いてますので大丈夫です。
熊野さんとのミーティングもそれほど時間をとらないはずですし。
よければここで待たせていただきたいのですが」と則和は言った。
すると滝田真奈美は「わかりました。ではごゆっくり」と言った。

則和はソファーの上に座った。クッションの分厚いすわり心地の良いソファーだった。
一方、滝田真奈美はデスクには戻らず秘書室の奥の給湯室に向かった。
給湯室には扉がない。則和は何となく給湯室にいる滝田真奈美の姿を目線で追った。
滝田真奈美はコーヒーメーカーのスイッチを入れ、カップとトレイと砂糖、それに冷蔵庫からミルクポットを取り出した。
則和はそんな滝田真奈美の姿を見続けながら、やはり美人は何をやっても絵になるな、と思った。

すると給湯室の方から「瀬内さま。よろしければテレビをご覧になっててください」と滝田真奈美が言ってきた。
則和はもしかした彼女は自分の視線に気付いていたのかもしれないと思い、少し恥ずかしくなった。
テーブルの上にはテレビのリモコンが置いてあったので則和はそれを取り上げて電源をオンにした。
33名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:51:10.55 ID:90C0R17N
テレビには二日前に起きた第三東横線爆破テロ事件の報道特番が流れていた。
多数の通勤客を載せた第三東横線の上り車両が反政府テロ組織によって爆破されたのだという。
死者24名で重軽傷者は300人超。大惨事だといえる。

画面には上空のヘリから撮影されたと思しき爆破された車両の映像が映し出されていた。
アナウンサーの説明によれば車両は車両内に仕掛けられた荷物で爆破されたらしい。
画面に映し出された車両は、壁や天井の一部が吹き飛び窓が割れていた。
相当爆発力のある爆弾が用いられたのだろう。

「痛ましい事件ですよね。これ」
滝田真奈美はテーブルにコーヒーを置きながらそう言った。
トレーからコーヒーカップを置くカチャリという音が涼しげに響く。
上質の豆を使っているのか香ばしい香りがとてもいい。

「ええ、そうですね。ひどい話です」
則和はそう答えた。

則和は画面を見ながらもコーヒーを用意する滝田真奈美の衣擦れの音を楽しんでいた。
すぐそばで給仕する美女の存在は、出所まもない則和には刺激がありすぎる。

すると突然、則和の携帯電話が鳴り出した。
則和は慌てて携帯を取り出す。

則和の携帯の番号を知っているのは殆どいない。
英彦と宏和、それについ先日、則和と身体を重ねた片岡美里の三人だけだ。
ちなみに由香里にはこの仕事用の携帯の番号を教えてはだめだと英彦に言われている。理由はわからない。

則和は着信画面を確認した。
電話をかけてきたのは宏和だった。則和は電話に出た。

「やあ則和。そろそろ君は山室議員の宿舎にいるころだと思うんだが、違うかい?」
宏和はそう言った。則和にはその宏和の声が何だか楽しそうに聞こえた。
「確かに。今は山室議員の宿舎にいるが。何で知っているんだ?」
「そりゃそうだろ則和。俺は英彦のマネージャーなんだぞ。ところでそこに秘書の滝田真奈美はいるだろ」

則和は滝田真奈美の方を見た。
彼女は既にデスクに戻り事務仕事を始めていた。
すると彼女は則和の視線に気付いたのか此方をちらりと見て軽く微笑んでくれた。
則和も彼女に微笑み返し自然な振る舞いで彼女から目線をそらした。

「ああ、ここに」いるよ、と則和が言おうとした。
すると宏和はその言葉にかぶせるように言った。

「今そこで滝田真奈美を抱いてしまえ。タイムリミットは午後六時までだ」
34名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:54:36.29 ID:90C0R17N
則和は硬直した。宏和が言ったことが現実とは思えなかった。

則和が無言であるので宏和は続けて言った。
「熊野陽平は戻らない。何せ今熊野は俺と一緒にいるんだ。熊野がそこに戻るのは早くて午後六時。
それより前には戻らない。午後一時にアポイントメントを取ったがそんなのはフェイクだ。
つまりお前には午後一時から午後六時までの5時間の時間がある。
その5時間の間は密室の中でお前と彼女は二人きりだ。
しかもそこは参院議員宿舎だ。完全武装の兵士たちに囲まれ誰の邪魔も入らない。後はお前次第だ」

則和は一体宏和が何を言っているのか解らなかった。
「宏和、お前は一体何を」言っているんだと言おうとした。

すると宏和はそれにかぶせるように言った。
「今日の午後六時までに滝田真奈美をお前の女にできなきゃお前はクビだ。」

クビということばに則和は頬をひっぱたかれたような気がした。
そんな則和に畳み掛けるように宏和は言う。
「それだけではないぞ則和。仮釈放も取り消しだ。できなきゃお前は結城刑務所ではなく棚橋刑務所に送られる。
その女をファックできなきゃ今度は棚橋刑務所の特別重犯罪者のマッチョな連中にお前のケツの穴がファックされる。
俺みたいなホモにはちょっとうらやましい話だがね。」
そう言うと宏和は楽しそうに笑った。

則和は「おい、ちょっと待て!」と言った。
声が少し大きくなったのか滝田真奈美がこっちを向いたのがわかった。

則和は声を抑えながら「どうして俺の仮釈放が取り消しなんだ?英彦は何と言ってるんだ?」と聞く。
すると宏和は「全部英彦も知っていることだよ。英彦が手を回せばお前の仮釈放など即取り消しだよ」
と、突き放すように言った。

則和が言い返そうとしたが宏和が、
「ではがんばれ。六時すぎには熊野と一緒に俺もそっちに行くから」と言って電話を切った。

切られた電話を手にしたまま則和は硬直した。一体宏和は何を言っているのか?英彦は本当に承知なのか?
それよりも一体英彦や宏和は自分に何をさせたいのか?則和の頭にはそうした疑問が次々と浮かぶ。

すると「どうしました?」と則和に呼びかける声がした。
それは滝田真奈美の声だった。
滝田真奈美はデスクのところから此方を見ている。
滝田真奈美の顔には僅かだが心配の表情が浮かんでいた。

則和は真奈美の方を見た。真奈美は確かに綺麗な女性だった。
表情も佇まいも上品だ。刑務所上がりの自分とは別世界の女性に思えた。
35名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:57:34.57 ID:90C0R17N
「いえ、なんでもないですよ。こちらの話です」そう則和は返した。
手にしていた携帯電話の電源を切り上着のポケットに放り込む。
そうしながら則和は「すいません声が大きくて。ご迷惑でしたか?」と真奈美に聞く。

すると真奈美は「いえそんなことありませんよ」と優しく微笑んだ。
その真奈美の微笑はとてもかわいらしかった。
則和はこんな素敵な女性を無理矢理奪うなんてことはとてもできないと思った。
何かとても大事なものを踏みにじってしまうような気がした。

だが宏和の話は恐らく本当だと思えた。
英彦ほどの力があれば自分のような仮釈放中の人間など簡単に刑務所に戻せるだろう。
第一自分は今英彦の手元にいるも同然なのだから。
それに英彦と宏和の異常な関係を見ても彼らに常識を求められるとは思えなかった。

すると真奈美は「村上英彦さんの秘書って大変そうですよね?」と聞いてきた。
則和は何をどうしてよいかわからなかった。そしてあまりよく考えずに返答した。
「いえ実はまだ村上英彦の秘書になって間もないんですよ」
「え、そうなんですか?」と真奈美が聞いてくる。

真奈美は村上英彦に興味があるのだろうか?
則和はならばそこを衝こうと思った。 もう破れかぶれだった。

「滝田さんは村上英彦のことを何かご存知ですか?」
そう言っている則和自身英彦のことなど殆ど知らなかった。
せいぜい英彦がホモでありその相手がマネージャーの宏和だということくらいだ。
もちろんそれは世間に公表するわけにはゆかない。

「いえ、それほど知っているわけではないんです。お名前だけは前々から知っておりましたが」
真奈美がそう言っているのを見て則和は思った。彼女を抱こう。
だが無理矢理犯すようなやり方は絶対にしない。
あくまで彼女を口説き落としてこの場で彼女と肉体的関係を持とうと思った。
それで失敗しても構わない。自分は仮釈放取り消しになって悪名高い棚橋刑務所に送られることになっても仕方が無い。

なぜ彼女をこの場で抱き自分の女にしなければならないのかそんなことはわからない。
確かに滝田真奈美は大変魅力的な女性だ。彼女に対して情欲を持つのは男としては当然かもしれない。
だがその情欲を満たすために、また英彦や宏和の謎の目論見のために彼女の人格を踏みにじるわけにはゆかない。

「滝田さん。どうせならこちらでお話しませんか?山室先生や熊野さんのことを色々と聞かせてほしいんですが?」
則和は言った。則和はこの時心の中で「勝負開始だ」と自らに言い聞かせた。
時計を見ると現在は午後1時22分だった。残り時間は4時間38分。
これまでに真奈美を口説き落とし肉体関係を結べなければ自分は棚橋刑務所の重犯罪者の肉便器になるだろう。
36名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 19:59:56.07 ID:90C0R17N
……それから二時間ほど後、則和は滝田真奈美とキスをしていた。

ソファーの上で滝田真奈美を抱き寄せ、ビジネススーツの裾から手を差し入れる。
服の上から見ただけでは想像つかなかったが、滝田真奈美の乳房は意外に大きかった。
それを則和は優しく手のひらで包み込んだ。そして丁寧に撫で始める。

「熊野さんが戻ってきてしまう」と滝田真奈美は言う。
そして則和の腕の中で軽く抵抗する。だがその抵抗が本気ではないのがわかる。
則和はもう一度滝田真奈美と唇を重ねた。同時に真奈美をソファーの背凭れに押し倒す。

先ほど乳房をやさしく包んだ手を抜き去り、則和は滝田真奈美のスカートの裾の中に滑り込ませた。
則和は真奈美の固く閉ざされた両足の間に差し込む。そこでのストッキングの手触りがとても卑猥だった。
真奈美はスカートの上から則和の手を押さえようとする。だが則和は遠慮せずに真奈美の奥へと手を伸ばしてゆく。

「真奈美さん、すごく綺麗ですよ」と則和は真奈美の耳元で囁いた。
則和がそう囁いた瞬間、真奈美の体がフッと反応したのがわかった。

……ここまで持ち込むのに則和はほとんど人間一生分の労力を使っていた。
何せついさきほど初対面だった真面目でお堅い女性を、この短時間でこうまで完全に口説き落としたのだから。

真奈美は外務事務官の娘として生まれ、幼少のころにはスペインやオランダで過ごしていたという。
海外ではアメリカンスクールに通っていたために英語はネイティヴのレベルで使える。
帰国後はある名門女子大付属の女子高に通いそこでバスケットボール部とESS部に入部し部長だったという。
だが意外なことにその後はその女子大には進学せずに国立の女子大学の英文科に進んだ。
当時は英語の教員を目指していたという。その後英文科の大学院に進学しアメリカに二年間留学。
帰国後は山室議員の下で秘書兼通訳として仕事をしている。
それが滝田真奈美の大まかなプロフィールだ。

隙らしい隙が全く見当たらないと思った。途中これはもうダメだろうと何度も思った。
だがその時ちょうど熊野から「帰りがおそくなるので瀬内君にそう伝えてくれ」と滝田真奈美にメールが入り、
それを機にうまいこと流れを掴んだ則和が一気に逆転して押し込んでいった。

則和は全身全霊をかけて彼女を篭絡した。
真由美をついに則和の隣に座らせ、そばで囁きあうようになったあたりで「これは脈がある」と思った。
それでもあくまで冷静に真由美を口説いた。
少しずつ少しずつ褒める。小さなところで冷やかし愛嬌たっぷりな表情であやまる。
則和は別にレディキラーではなかった。女性経験も決して多いほうではない。
だがその経験値全てを費やして彼女を口説きに掛かった。

そしてついに彼女とキスを交わした。彼女にとっては初めてのキスであったらしく彼女は少し目を潤ませていた。
則和にはそれが彼女の初体験に対しての憂いなのか、彼女の中に眠る情欲の現れなのかはわからなかった。

だがこのころ既に則和の方は充分に勃起をしていた。文字通り爆発しそうだった。
それでもなお彼女を完全に口説き落としてから抱く、という決意は揺らがなかった。
正直言ってしまえば、則和はもう真奈美に恋をしていた。犯すなんてとんでもなかった。
それはもう本気の恋だった。だからこそ口説き文句も全て真実の言葉そのものだった。

ついに真奈美は則和の腕の中に身を委ねた。則和がスカートの中に伸ばした指が彼女の下着に触れた。
そこは既にうっすらと濡れていた。真奈美は恥ずかしさのあまり足を閉じようとした。また則和から顔を背けようとした。
だが則和はそれを許さず真奈美に強くキスをした。舌の先で彼女の唇を割った。
それと同時に指先で彼女の秘部の上をさすった。
うっすらと濡れたそこはもう充分に熱くなっていた。真奈美の目から涙が溢れ出していた。
37名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:08:38.86 ID:90C0R17N
則和は真奈美を貫くまで充分に時間をかけた。一枚一枚丁寧に彼女の服を脱がせた。
キスをしながら乳房を揉んだ。耳元で素敵だよと囁きながら真奈美の秘部を優しく弄った。
則和は彼女を醒めさせないように必死だった。真奈美は男を受け入れるのが初めてなのだ。

真奈美を全て剥いて体の隅々までキスをした。最後に真奈美の秘部にキスをした。そのまま唇と舌で秘部を愛撫した。
その時真奈美は大きくあえいだ。真奈美の太ももが痙攣した。真奈美の秘部の奥から生暖かいものが流れてきた。

真奈美を貫く瞬間が来たとき「俺は真奈美を他の誰にも渡さない。俺が全部奪ってやる」と言った。
後で思い出すたびに赤面してしまうようなセリフだった。だがこの時は本気だった。
そうして則和はゆっくりと真奈美の中に分け入った。熱く濡れた柔らかな肉が則和をきつく包み込んだ……。

……どれくらい時間がたっただろうか?

則和はまだソファーの上で真奈美を抱き続けていた。
初めて貫いたときの血でベージュのソファーが汚れてしまっている。
真奈美は先ほどそれに気付いたが、則和は「そんなの関係はないよ」と囁きさらに真奈美を押し倒した。

則和はもう三度も解き放っていた。
真奈美も則和が二度目に解き放ったころに生まれて初めて絶頂に達した。
真奈美はとても痛いといったが、それ以上に則和のことを好きと言った。何度もそう言いながら則和を受け入れた。
そして則和が四度目を解き放ったとき、同時に真奈美も達し、二人はつながったままソファーに倒れこんだ。

則和はしばらく真奈美の中に留まっていた。全てを真奈美の中に解き放ったのちもそのままだった。
真奈美の熱い蜜壷の中で自身がゆっくりと萎えてゆくのを感じてれた。

数分してから則和は真奈美から抜きだした。
そしてテーブルの上にあったコーヒーを一口飲んだ。コーヒーは完全に冷めていた。
ソファーに横たわったままの真奈美が「私にも一口飲ませてくれる?」と聞いてきた。則和はカップを渡そうとした。
だが真奈美は「あなたの口移しでしてくれる?」と言う。
則和は驚いた。つい先ほどまでおぼこだった女が、このとき妖艶な笑顔を浮かべていた。
その真奈美の変貌っぷりに則和は思わず鳥肌がたつ思いがし、同時にペニスが疼いた。

則和はコーヒーを口に入れると真奈美にキスをし、ゆっくり真奈美の口に移した。
コーヒーはおそらく半分くらいこぼれて真奈美の生白い肌の上をサッと流れた。
真奈美は口の中のものを満足そうに呑み込んだ。
38名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:09:15.87 ID:90C0R17N
則和は起き上がるとタバコに火をつけ、時計を確認した。
時計はもう午後五時半になっていた。確かに窓の外の風景は薄暗くなっている。
あと30分ほどで宏和は来てしまうことになる。確か熊野も一緒だと宏和は言っていた。
則和はそろそろ準備しなければと思った。

則和はタバコを吸いながらボクサーショーツとYシャツに手を伸ばした。すると真奈美が声を掛けてきた。
「ねえ則和さん。私たちはもう付き合ってるんでしょ?」そう言って上体を起こした。
そして則和の肩の上に頬を乗せて寄りかかった。

則和は手で真奈美の肩を掴んだ。そして則和は自分に身を寄せる真奈美を見た。
真奈美は裸のままで自分の恥毛の部分を手で隠していた。
この後に及んで真奈美にはまだ恥じらいはあるのだ。
則和は無言で真奈美の恥毛のところに手を伸ばした。真奈美の恥毛は意外に濃い。

「ねえくすぐったいよ。則和さん」そう言って真奈美は笑った。
真奈美の桃色の乳頭が蛍光灯の光を受けて眩しく光った。
則和は真奈美を引き寄せ「もちろん俺たちはもう付き合ってるよ。もう君は俺だけの女だ」と囁いた。

囁いた瞬間に真奈美の体が軽くこわばったのがわかった。
則和の言葉に真奈美は思わず疼いてしまったのだ。その真奈美の反応に則和は再び欲情する。

だがもう時間がない。
則和は「そろそろ熊野さんとか戻ってくるぞ。」と言って真奈美にスカートとブラウスを渡した。
真奈美はちょっと拗ねてみせた。

則和は「週末にまた会おうよ。連絡先は名刺に書いてあるから」と名刺を渡した。
「本当に直ぐに会えるの?」と言うので、「もちろん。君ともっとたくさんの時間を過ごしたい」と答えた。
ベージュのソファーの染みについては「コーヒーをこぼしたことにすればいい」と言ってその問題を片付けた。
39名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:16:26.10 ID:90C0R17N
則和は車で参院議員宿舎を出るとそのまま直進した。
まもなく新赤坂7号線に合流し、その交差点を左折する。

新赤坂7号線は片側四車線の道路だ。
噂では何か有事の際、朱雀門町にある第一連隊本部の戦車舞台が展開するために広く作られたのだと聞く。

そして現在、首都は第三東横線での爆破テロのせいで警戒レベルが引き上げられ、方々に検問がしかれている。
とはいえ則和の場合は英彦から通行許可書をあらかじめもらっていたので殆どフリーパスで通行できた。

新赤坂7号線の方々に装甲車と機動隊が駐在している。
陸軍と首都警察本部の合同で警戒網が敷かれていると宏和は言った。

「で、則和。どうだった?」
後部座席にいる宏和は手帳で何かを書き込みながら聞いてきた。
則和は運転しながらバックミラーを覗き込む。
バックミラーに映る宏和は手元の手帳に目を落としており此方をみていない。

「どうって何のことだ?宏和」則和は少し不機嫌にそう聞き返した。
則和は疲れていた。今も運転していて注意が散漫になりそうだった。

宏和は手帳に何かを書き込みながら「どうって答えるまでもないだろ。滝田真奈美とのことだよ」と言った。
「ああ、彼女とは寝たよ。秘書室でね」則和はぶっきらぼうに言った。
前方の信号が赤に変わりそうだが無理に突っ切る。

宏和はあまり飛ばすなよといいながら「で、彼女とは何発やった?いい体してたか?」と言った。
則和はイラついた。宏和に何か踏みにじられているような感じがした。それに真奈美を侮辱しているように聞かれた。
則和は何も答えずアクセルを踏み込む。これで宏和にも充分自分の不機嫌が伝わるだろう。

すると後部座席から宏和がクスクスと笑う声が聞こえた。
則和はこの場で車を止めて宏和を引きずり出して殴ってやろうかと思った。
だがそれを必死に抑えた。

「それで一体何が目的なんだ?俺は滝田真奈美と寝たよ。だが無理矢理襲ったわけじゃない。
ちゃんと熱心に口説き同意の上で寝た。だがそうさせたのはお前だろ。一体何のつもりなんだよ!」
則和は声を荒げた。すると宏和は「おいおい、あんな良い女とセックスできてなんでそんなに不機嫌なんだ?」という。
それともお前も俺や英彦と同じ性癖に目覚めたのか?なんて冗談めかしたことも言った。
40名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:19:28.35 ID:90C0R17N
それからしばらく無言だった。
則和は今から全日空ホテルまで英彦を迎えに行かねばならない。
それにしても宏和はなぜこんなところにいるのだろうか?
英彦のマネージャーならば英彦と一緒にいるべきではないのか?

「目的は何かと聞いたな則和」宏和はようやく口を開いた。「ああ、目的は何なんだよ。答えろよ」
「目的は今のところまだはっきりとは分からないさ。実は俺にも良く分かってはいない。そのうちわかるんだが」
宏和は珍しく真面目な口調で言った。だが則和には納得が行かなかった。目的なしに女を弄ぶことの意味が。
すると宏和は後部座席から前へと身を乗り出した。

「いいか則和。これだけは言っておく。俺も英彦も遊んでいるわけじゃないんだ。
それはお前も同じだ。ここ数日で二人の女とお前は寝たが、いや由香里というのを含めれば三人か。まあいい。
とにかく片岡美里も滝田真奈美もきっちりとつなげておくんだ。お前とその女たちの関係はただのお遊びではない。」
宏和はそういった。だが則和には全く意味が分からなかった。

ただ宏和が則和が繋げた二人の女を何かに利用しようとしている節が感じられた。
「真奈美と美里。彼女たちを何に利用するつもりだ?」則和は聞いた。

そういえば美里とセックスをした翌朝、英彦が言っていたことを思い出した。
時が来るまで好きにしてればいいさと英彦は言った。つまりいつか何かの時が来るのだ。
それに色々な人間が則和の前に現れるとも言っていた。セックスだけではないと。それらを導くのが仕事だとも。
じゃあ自分は美里と真奈美を何に導いたというのだ?
セックスの絶頂感へか?それじゃ俺はただのセックスマシーンでしかない。

「おい、そろそろ着くぞ。英彦にはもう携帯で報告したから聞かれない限りなにも答えるな。」
宏和はそう言うと後部座席の背凭れにドカリと身を投げ出した。
41名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:23:24.54 ID:90C0R17N
英彦は家に戻ると直ぐに則和を呼び出した。則和は即座に英彦の執務室に向かった。
則和が部屋に入るなり英彦は棚にあったブランデーのボトルを取り出し、テーブルの上のグラスに注ぐ。
二つのグラスのうち一つを則和に差出しソファーに座るよう手で合図した。

則和はグラスを手にしたままソファーに座る。グラスからはブランデーの芳醇な香りが立ち上ってくる。
英彦もまたソファーに座った。どうやら英彦も疲れているようだった。
果たして英彦は則和が滝田真奈美と抱き合ってる間中何をしていたのだろうか?

英彦はブランデーグラスを少し傾け香りを楽しみながら一口、口に含んだ。
お前もやってみろと英彦は則和に促す。則和は見よう見まねでブランデーグラスを傾け一口飲んだ。
少し強めのアルコールが口の中を刺激した。だがその香りはとても心地よいものだった。
こんな素晴らしい酒があるのかと則和は少し感動した。
則和が懲役を喰らう以前に飲んでいた酒は殆ど安酒だったのだから無理も無いかもしれない。

英彦はグラスを手にしながら「すまないが今日のことを聞かせてほしい。どうだった?」と聞いてきた。
則和は答えた。「話は宏和から伺っているんじゃないですか?」宏和は報告しているといったのだ。
「一応成功したという話は宏和から聞いているが。滝田真奈美はどうだったかと聞いているんだ」

則和は少しあきれた。男と女の密会の話を聞きたいなんて何と愚劣なんだと思った。
それに英彦はホモのはずだ。ホモである英彦が男女の交わりの詳細をしりたいというのは変な話だ。
「私が真奈美とどうセックスしたかを詳しく聞きたいのですか?」則和は聞き返した。皮肉のつもりで。

すると英彦は少しだまり、手のひらの中のブランデーグラスをゆらゆらと揺らした。
数秒ほどそうした後、英彦はこちらを見てニヤリと笑った。どうやら則和の皮肉を理解したらしい。
「覗き見趣味のつもりではないんだ。宏和の話だと則和は滝田真奈美を強引に犯したんじゃなくて、
篭絡して合意の上でセックスに持ち込んだということだったんでね」
そう言ってグラスをあおった。そして英彦は口の中でブランデーを転がしてゆっくりと呑み込んだ。

「合格だ則和。君は期待以上の人材だ。それでだ。しばらく君は秘書の仕事から離れてもらうことにする」
英彦は言った。だが則和には分からなかった。自分は一体何に合格したのだろうか?

「秘書の仕事を離れるというのは、クビということですか?」
「いや違うよ則和。君の肩書きはこれからも僕の秘書ってことでいい。そのほうが色々と都合がいいからな。
そうではなくて、しばらく則和は僕のスケジュール管理やら書類整理やら来客の応対なんかの、
そういう煩雑な雑務をしなくていいということだ。 そういうのは全部宏和がやる。
宏和のほうが色々と要領がいいし、どっちにせよ都合がいい。」

「では英彦さま。私は何をやればいいのですか?」
すると、英彦はブランデーグラスをテーブルに置いた。
そしてソファーから立ち上がると執務デスクのところへゆき、引き出しを開けた。
引き出しの中からなにやら書類の束や革の手帳らしきものを掴むとこちらに戻ってきた。
英彦はこちらに戻るとソファーに座りながらそれらをテーブルの上に置いた。
42名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:24:00.58 ID:90C0R17N
「とりあえず、だ」そう言いながら英彦は書類やファイルをめくる。何かを探しているようだ。
ようやく探り当てたのだろうか、一つの封書を取り出すとそれをペーパーナイフで開封し中身を取り出した。

中から出てきたのは数枚のクレジットカードだ。いずれもアメックスのブラックカード。
英彦はそれを則和に手渡して言った。
「これを自由に使え則和。ケチることは無い。派手に使われたところでこっちも別に困らないから」
さらに英彦はカードキーを手渡し、
「これは代官山のマンションのキー。で、これが四谷のマンションと事務所のキー」
続けざまに「これらのキーは車のキーだ。高級外車からランドクルーザーまで七台ほど既に用意してある」
英彦は次から次へと説明しはじめた。

則和は唖然とした。いきなり何をし始めたのかわからなかった。
すると則和はふとおかしなことに気付いた。
ブラックカードの名義は全て則和の名前ではない別人の名前だった。
さらにマンションの権利書類や自動車関係の書類も全て色々な別の名前で書かれている。

「ちょっと待ってください英彦さま。色々と分からないことだらけなんですが。まずこの名前は何ですか?」
則和は聞いた。すると英彦は手を止めて則和の方に向き直った。

「ああ。それは全部君の名前だよ。君の別名。君は瀬内則和でもあり」そう言ってカードの一枚を取り上げた。
「ここにある山崎勇太でもあり、ここにある中根武弘でもあり、まあそういうことだ。」
「その、全く意味が分からないのですが」則和は尋ねる。
すると英彦は「これらの名前は全部住民登録もされてるよ。 それにほら、ここにパスポートもある。
写真は君の刑務所時代の写真を失敬して画像を加工したものだ。
もちろんパスポート自体は外務省発行の正真正銘の本物だ。偽なのは君の偽名だけだ。
それとこれ、これはアメリカ合衆国のパスポートでこっちはルクセンブルグのパスポートだ。
他にもブラジルとか色々あってね」

則和は固まってしまった。出所してまだ一週間も経過していないというのに、これは一体なんなのだろうか?
それよりも背筋が寒くなった。すでに自分が何かしらの権力に巻き込まれてしまっていることを知った。
そしてもう逃げられないということも。英彦ほどの権力があれば仮釈放取り消しなんて余裕なのだ。

すると英彦は顔をこちらに向けてにやりと笑った。どうやら則和の気持ちの動転を察したようだ。
「則和。そんなに不安そうな顔をするな。大丈夫だよお前は僕の仲間なんだよ」
英彦のその言葉に返すべき返事が思いつかなかった。
そして則和は自分がもう自由な人間ではなくなったということを骨の髄まで理解した。

英彦は則和の前でこれらの書類を整理し、ソファーの脇にあった新品のブリーフケースに入れた。
そしてそれらを則和に渡していった。
「僕か宏和から連絡あるまではしばらく遊んでこい。もちろん片岡美里や滝田真奈美とのデートもちゃんとしとけ。
女は男に放っておかれると直ぐに拗ねるからな。とにかく金のことは心配しなくていい。」

そして最後に付け加えた。
「時がきたら則和にもちゃんと仕事をしてもらうからな」
43名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 19:33:08.02 ID:MGO9LOa0
●第四章

「あっ!」則和の巧みな愛撫に、真奈美は敏感に反応してあえいだ。
則和に初斬されてまもなく三ヶ月。真奈美の肉体はかなり開発され、物腰や体つきの女の色香が漂うようになった。

……ここは逗子の海岸沿いにある高級リゾートマンション。
英彦の秘書の仕事を免除されて以降、則和は自由に使える金を有効に用い、娑婆になじむ努力をしてきた。

女遊びももちろん怠らなかった。もともと古馴染みだった由香里とも幾度に渡り密会して交わった。
由香里は則和の女関係を薄々察していたようだが、元来互いに拘束されることを避ける関係であったせいか、何も言わなかった。

やっかいなのは美里だった。美里は完全に目覚めてしまった。
普段はやはりクールで理知的な鎧を纏い、優秀な編集記者として働いていたが、
則和の目の前で、彼女は己の全てを解放しきっていた。
本能のままに則和を求め、誰よりも激しく快楽に溺れる女に変貌するのだ。
だが、則和とのセックスの相性は抜群によい。まるで設えたかのように。

そして今日、真奈美とデートをし、与えられた資金で購入した逗子のリゾートマンションに彼女を誘った。
彼女はレストランでディナーをとっている時点で既に瞳が潤んでいた。
則和は、この20代後半まで無垢のままだった美女を、己の色に染めていることに、満足感を覚えていた。
真奈美の表情やしぐさ、そうした一つ一つが完全に則和の支配の下にあるのだ。男としてこれ以上の幸せはあるまい。

……突然、則和の携帯電話が鳴り出した。
ベッドの上で真奈美を翻弄していた則和は真奈美の中から抜き去り、携帯電話を取るため立ち上がった。
則和に幾度も攻め立てられて真奈美は既に朦朧としていたが、それでも真奈美は離れようとする則和に追いすがる。
もっと愛してほしいと甘えた声で則和に訴えるが則和は真奈美を抱き寄せると思い切り熱いキスをした。
互いの唾液が交じり合いクチュクチュと音を立てる。則和はキスを5秒間ほど続けて唇を離した。
すると則和と真奈美の唇の間で交じり合った唾液が糸を引いた。

則和は真奈美に向かって「電話を済ませたら続きをしてやるから、おとなしくまっているんだぞ」と諭す。
真奈美は潤んだ瞳で則和をジッと見つめながらコクンと可愛らしくうなずいた。
則和は立ち上がりサマースーツの胸ポケットにある携帯電話を取り出した。
着信画面を見るとそこには宏和の名前が出ていた。
則和はそういえばここ二ヶ月ほど英彦や宏和から連絡がなかったなと思い出した。
44名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 19:33:42.87 ID:MGO9LOa0
「宏和か?」則和はそう言って電話にでた。
すると「お楽しみ中だったかな則和。悪いな」と宏和が言った。
何故分かったんだ?と思ったがそんなのを聞くのは愚問だと悟った。
英彦や宏和が自分の情報を得ることなどたやすいはずだ。

則和は「まあな。ところで何の」用だと聞こうとした。
するとその言葉にかぶせるように宏和が「どっちの女だ?それとも新しい女か?」と聞く。
則和は宏和を相変らず下司な男だなと思った。それともこういうタイプのホモは詮索がましいのだろうか?
「どっちでもいいだろそんなこと。それより何の用だ?」則和の声は苛立った。

すると宏和は今までの態度とは打って変って、
「明日の午前十時に第十二大隈埠頭の13番倉庫西口のところまで来い。遅れるなよ」
と極めて冷徹な声で命令をした。

則和は突然の宏和の変化に虚を衝かれてしまった。
直ぐには返す言葉が浮かばなかった。

すると宏和は「今夜ももう滝口真奈美とのセックスもほどほどにしとけ則和。明日来たときに疲労困憊だと大変だぞ」
「おい、ちょっと待てよ」則和はそう言いかけた途端、宏和は電話を切った。
則和は電話を耳に当てたままツーツーという音を聞いていた。

「ねえ則和。どうしたの?」背後から真奈美が声を掛けてくる。
則和は答えなかった。ゆっくりと電話を耳から離し電源を切った。

目を横に向けると湘南の海が見えた。マンションから眺める海面が月明かりでキラキラと輝いていた。
「則和?大丈夫?」後ろで真奈美がベッドから降りてくる気配を感じた。則和は立ちすくんだままだった。
真奈美はゆっくりと近づいてきた。そのまま則和の背中にもたれかかってきた。
「もしかして、英彦のお仕事?」真奈美は聞く。おそらく真奈美も察しているのだろう。

則和は窓の外に眼を向けながら「ああ。そうらしい」と答えた。眼下に広かる湘南の海は綺麗だった。
その綺麗さが則和にはとても残酷に見えた。ものすごくはかないもののように思えた。
45名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 19:42:56.24 ID:MGO9LOa0
……夜が明けた。真奈美は昨晩の激しい情事で完全に疲労していて眠ったままだった。

則和はそんな真奈美を起こさないように静かにベッドから抜け出すとまずシャワーを浴びた。
ここ数日のセックスの匂いを全て洗い流すように体中にボディーソープをつけて丁寧に洗った。

最近の真奈美は則和の性調教のおかげでますます性的に成熟してきていた。
遅咲きであったせいか真奈美の女は乱れ咲いている。それは則和の征服欲を刺激した。

そう考えていたら、則和のペニスが少し充血してきてしまった。則和はやれやれと溜め息をつく。
おちつけ、と自分に言い聞かせた。仕事を終えたらまた真奈美を抱けばよいのだ。
どんな仕事かは知らないが早く済ませてしまおう。

そしてふと、則和は片岡美里のことを思い出した。
美里は半月ほど前に3日ほど自由が丘のマンションで過ごしていた。
真奈美とちがい性的には成熟している美里は、それとは別にセックスは則和と相性がいい。
その美里の肉の感触をふと思い出してしまったのだ。

……確かあの時は、浴室でソープランドっぽいプレイにチャレンジをした。
しかもそれを言い出したのは則和ではなく、美里の方からだった。

美里が以前に見たというアダルトビデオがソープランドものだったそうで、それを試してみたいということだった。
「則和はソープに行った事あるの?」と美里が聞くので「刑務所に入る前に何度かあるな」と答えた。
すると美里は「だったらそれ試してみようよ!」と目を輝かせた。どうやら興味津々らしい。

則和が「美里はまさかソープ嬢になりたいのか?」と冗談めかして聞いた。
すると美里は「私がソープ嬢になったら則和はちゃんと通って指名してくれる?」と笑った。
「ああもちろんだよ。毎日でも通うかもしれないな」と則和が答える。

すると美里は突然則和の前でしゃがみこんだ。
美里は則和のズボンのファスナーを開けるとその中に手を入れボクサーショーツの下の則和自身を探った。
則和自身はまだエレクチオンしていなかったが、美里はそれを手の平でもみだす。中々気持ちが良い。

「ねえ則和。私以外にも女がいるんでしょ?」美里は則和のズボンを脱がせながら聞いてきた。
則和は少しギョッとして美里を見下ろすが髪の毛が邪魔で美里の表情が見れない。
美里は黙ったまま則和自身をつまむとそれに頬ずりをはじめた。美里の頬の感触がとても気持ちよかった。
「あら?答えられないの則和?」美里の声は少し笑っているように思えた。だけれども則和は少し怖いと思った。

則和は言った。「美里以外の別の女性と最近セックスをしたのは認める。性的な欲求は抑えられないんだ。
特に俺のような業の強い人間だと。だけど美里のことを軽んじたつもりはないんだ。すまない」
そう言っている間美里は則和のものを頬ずりしたりキスしたり時折口に含んで舐めたりしていた。
則和自身のそれはだんだん硬くなっていった。美里は言った。「説明くさいのね。男って」
46名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 19:44:45.33 ID:MGO9LOa0
その美里の言葉は、気のせいか少し寂しそうだった。
とたんに則和は美里のことが愛おしくなった。

「……あの美里。」と則和は声を掛ける。
だが美里は無言だった。美里は無言のまま則和を口に含んだ。
美里の舌はとても巧みだった。則和は快感で思わず「うっ」と唸ってしまった。

美里は唾液をたくさん分泌させクチュクチュと高い音を立てはじめた。
始まって二分も経っていないのに則和は終わってしまいそうだった。
すると美里は一旦口から則和を抜き「則和。口の中に出していいよ」と言った。そして再びくわえこんだ。

美里の舌が則和自身を包む。少しざらついた暖かい感触がとても気持ちよかった。
そして則和はまもなく終わった。大きく腰を震えさせると美里の口の中に大量に雫を解放した。
美里は目をつぶっていた。すこし眉をひそめていた。そして美里は頬をすぼめて則和を絞る。
則和はその気持ちよさに少し声を上げてしまった。美里は則和の雫をごくりと全て飲み干した。

しばらく美里は則和を口に含んでいた。解放して二分くらいしてようやく則和を口から放す。
則和はよろめきながらバスルームのチェアの上に腰をかけた。
射精の快楽で思わず眩暈がしてしまったのだ。

一方、美里はシャワーを手にしてシャワーの水を飲み始めた。どうやら口をすすいでいるらしい。
そして美里はシャワーをフックにかけると則和の方に向き直った。

「私は気にしないわ則和。あなたがよその女と寝ても全然構わない。」
美里はそう言った。美里の目は真剣だった。
則和は美里のその表情を見て恐怖を覚えた。
初めて美里と寝たときのあの無表情が今また美里の顔に浮かんでいる。

美里は女性の自立や女性の強さというものと取っ組み合いもがいてきた女であることを思い出した。
美里の精神はさまざまなものや情報の中でもがいてきたのだ。
美里は傷つき疲れ果てそれでも必死に自分を守ってきたのだ。
おそらく則和の知らないところで何度も泣いていたに違いない。
そういう傷を抱えて美里はそれでも前に進んできた女だ。真奈美とは全く異なる女なのだ。

美里は言った。「何人の女と寝ても構わない。でも私を捨てるのは許さないからね。則和」
美里はそう言って則和の目の前で立ち上がった。
美里の裸体は大理石の彫像に名工によって彫られたビーナス像のように美しかった。
則和も立ち上がった。そして美里を抱きしめると美里と唇を重ねた。
つい先ほど解き放ったにも関わらず則和はもう復活していた。

そんなことがあったのは今から半月ほど前だった。
美里はその後ギリシャへ取材旅行に行き一月後に戻るといって日本を発った。
47名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 19:46:47.36 ID:MGO9LOa0
……突然浴室のドアが開いた。
則和が振り向くとそこには寝ていたはずの真奈美が立っていた。

真奈美は裸だった。そして胸と秘部を手で隠しながら浴室に入ってきた。
則和は「やあ、起きたのかい?」と聞いた。
真奈美は少し恥ずかしそうに「おはよう。則和さん」と答えた。
そして則和のものが隆々とそそり立っているのを目にした。

則和はそれを隠そうともしなかった。だが少しやましい気持ちが芽生えた。
この硬直は美里との情事を思い出してのものだったからだ。 だが真奈美はそうとは気づいていない。
則和自身を見た後こんどは則和の目を見上げた。真奈美の目はもう潤んでいた。

そして真奈美は少しうつむくとゆっくりと則和に歩み寄った。そして驚くことに真奈美は則和の前に跪いた。
「あの、私がして差し上げます。まだあまり上手くないかもしれないけど」と消え入りそうな声で言った。
則和は少し唖然とした。確かに真奈美にオーラルテクを教え始めた。だがもう自ら則和をくわえ込むと言い出すなんて。

則和が見下ろすと真奈美は則和のものに手を伸ばした。そして触れた。
真奈美の手が触れた瞬間則和のものは思わずビクンとはじけた。
真奈美の手が則和のものの先端を包む。そして真奈美は目をつぶりながら則和のものにキスをした。
やわらかな唇の感触が気持ちよかった。

則和は「真奈美。ゆっくりとでいいよ」と言った。真奈美はちいさくうなずいた。
そして真奈美の口が則和を包んでいった。則和が果てるのに二分も掛からなかった……。

浴室から出たときはもう時刻は朝八時を回っていた。
あれから則和は再び真奈美を浴室で抱き真奈美を満足させたのだ。
そろそろ出発しなければ宏和の指定した時刻に間に合わなくなってしまう。

則和は冷蔵庫から昨晩の残りのチキンソテーを手早く食べ、オレンジジュースをごくごくと飲んだ。
そして着替えながら「仕事が終わったら直ぐに連絡する。そしたら続きをしよう」と真奈美に声を掛けた。

真奈美は微笑むと「お待ちしています。お仕事頑張ってください」と言った。とてもキュートな笑顔だった。
則和は出発の準備を終えると鉄砲玉のようにマンションから飛び出した。
駐車場に止めてあるBMW6に乗り込むと直ぐにスタートした。
48名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 22:00:13.61 ID:3TzVkleY
マルチ糞野郎乙
手前で削除依頼出しとけカスが
49名無しさん@ピンキー
ほうら出たw