【ドラマ】美男ですねでエロパロ5

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1名無しさん@ピンキー
ここは2011夏ドラマ(金曜夜10時TBS系にて放送)のドラマ「美男ですね」のエロパロスレです

以下注意事項
☆スレ要領が500KBに行くまでに(480KBぐらいから)、次スレ立てについてご検討下さい

・誹謗中傷厳禁
・荒らしはスルー
・名前欄にタイトル&連番を記入
・カプ名 ●●×○○
・内容についての注意書き (続編・BL・エロあり・エロなし等)
・以前投下した作品の続編の場合は、 >> で以前の作品に安価
・投下終了したら、今日はここまで等の終了宣言
・他の職人が作品投下中は、自分の作品を投下しない (被せ投下禁止)
・ある程度書き溜めて投下 (書きながら投下は禁止)
・sage進行 (メール欄に半角で「sage」と入れる)
・レスする前には必ずリロード
・スレ立ては必ず宣言してから行く。無断で行くのは控えること
・前スレの容量が中途半端に残った場合は書き手読み手にかかわらず埋めること


☆過去スレ
【ドラマ】美男ですねでエロパロ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1315748694/
【ドラマ】美男ですねでエロパロ2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1317418250/
【ドラマ】美男ですねでエロパロ3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1319539579/
☆前スレ
【ドラマ】美男ですねでエロパロ4
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321544487/

★エロパロまとめスレ
http://w.livedoor.jp/ikemen-desune/
2金沢へ 8:2011/12/24(土) 00:45:15.55 ID:E7OM5g+i
美子の背中に押し付けていた顔を離し、弱弱しく笑みを浮かべる美子を見つめる。
「それじゃあ・・・俺ももう限界だから・・・後少しだけ・・・我慢してね?」
「・・・はい・・・。」
美子に「にこ」と笑みを浮かべた後、美子の頭を数回撫で
右手で美子の右足を持ち上げ、左手で自らを持ちながら後ろからゆっくりと美子の秘密部分へと侵入させていった。

そして、この時重大な事に気がついた。
(あ・・・ゴム・・・。)
この状況。流石に今から「ゴム持ってくるから」とも言えない。
と言うより、そもそも今回の帰省中は1回もしないつもりだったから一つも持ってきていない。
・・・・と、取り敢えず・・・・限界迎えそうになったら抜かないとな・・・・

時すでに遅しとはまさにこの事。
柊は「もう後には引けない」と思い、そのまま体ごと自らを美子の秘部へと押し込んでいった。

「んぁぁぁ・・・。」
「それじゃあ・・・動くよ?」
「こくり」と頷く美子を確認すると、左手を腰の括れの辺りを掴み後ろから突き上げる様に腰を動かし始めた。

「んぁ!んぁぁぁぁ!ああぁ!」
「ぱんぱん!」と打ちつける音が響く度に美子の嬌声が響き、
美子の秘部は「きゅん」と柊自身を締め付け、それでいて「ぐちゅぐちゅ」という水音を響かせている。
その度に柊自身の鼓動の音も速さを増していく。

「はぁ・・・んはぁ・・・」
「しゅぅ・・・・」
苦しそうな大勢と苦しそうな表情を浮かべながら美子が頻りに柊の方を向いてくる。
「んぁ・・美子・・・足、持ってて?」
持っていた右足を美子に預け、空いた手で美子の首に腕を回し、深い口づけを交わした。

美子と顔を密着させた事によって、「とくんとくん」という美子の鼓動が聞こえ
口の中に侵入させた舌に当たる熱を帯びた美子の舌と荒々しい呼吸、「ビクビク」と小刻みに震える体から美子の状態が手に取る様に分かる。
もう既に限界を迎え、今もう一度限界を迎えようとしている。
そう考えると俺を追い上げる様にだんだんと鼓動が速くなっていく。
そして、何度も体を打ちつける度に「どくどく」という鼓動の感覚が縮まってきて、だんだんと自分自身にも余裕が無くなってくるのが分かる。
けど・・・美子もきっとこんな状態なんだろうな・・・。

「んはぁ!しゅぅ!だ、駄目!!」
口づけを終え、口が自由になってすぐに美子はそう言いながら激しく首を横に振ってきた。
「ぐちゅぐちゅ」と内部が愛液で満たされてきていることから、もう限界なんだろうというのはわかった。
自分にはまだ少しだけ余裕があったから大丈夫だろうと考えながら
「良いよ?イっても。」
と言い、美子を限界へと誘う様に耳元で囁き、腰の動きを更に速くした。
突然勢いが増したため美子は、「ああぁ!ん!あぁぁぁぁ!」と嬌声を上げるとすぐに、「ビクン!」と体を跳ね上がらせて限界を迎えた。

そして、限界を迎えた美子の秘部は柊自身をきつく締めあげる様に「きゅ」と締め付けてきた。
その締め付けに、内部に入れていた柊も欲望を中へとぶちまけた。
その後、美子は内部にぶちまけられた熱い液体が出てくる度に「ビク!」としばらく体を跳ね上がらせ続けた。

互いに限界を迎えると、「はぁ・・・はぁ・・・」と息を整えながら
美子は持っていた右足を離し、両手を壁に押し付けており
柊は美子の秘密部分に自らを抜き去った後、美子の背中に倒れかかる様に体を密着さえつつ
両手で美子の体を支えていた。
そして、互いに深い口づけをしばらく交わし続けた。
3金沢へ 9:2011/12/24(土) 00:45:46.10 ID:E7OM5g+i
全てを終え、もう一度二人はお風呂に浸かり直していた。
「・・・んん・・・。温かいです〜。」
後ろに居る柊によしかかりながら背を伸ばす美子。
一方の柊は窓の外に広がる景色を見ながら
(結局やっちゃった・・・。)と考えながら溜息を一つ吐き捨てた。
その溜息を聞いた美子は「あ!」と何かに気がついたかのように振り返ると
「あの・・・柊さんに聞きたいんですけど・・・。」と遠慮がちに聞いてきた。
外の景色を見ていた柊は美子の声を聞くとすぐに美子の方へと視線を移し
「何?どうかしたか?」と聞いた。
「い、いえ・・・その・・・さ、最後・・・わ、私が・・その・・イッちゃった後
中に何かが溢れるような感じがしたんですが・・・。私、ぽーとしててあんまり覚えてなくて・・勘違いですか?
・・・・?柊・・・さん?」
もじもじとこんな事を聞くのは恥ずかしいと言わんばかりの表情を浮かべながら柊に問いかけたが
美子の言葉を聞き終えた柊は「ぴくり」とも反応を示さなく、その様子に美子は柊の名を呼ぶ。

(・・・・あ。)
そう。柊自身も意識してなかった。最後の直前まで意識していたが
いざ限界を迎え、その意識は全て内部に吐き捨てた欲望と一緒に外へと吐きだされていた。

「・・・柊さん?柊さん!!」
意識を自らの世界に預けていたが、美子の声に我に返る。
「あ、え・・・っと・・な、何の事?」
あからさまな棒読みと美子から逸らされる顔に変に思った美子は
「やっぱり、あの感覚は勘違いじゃないんですか!?」
と身を乗り出して柊を問い詰める。
「えっと・・・い、いや・・・な、何を言ってるのか・・・。」
「柊さん、目が泳いでますよ!!」
「そ、そう?き、気のせいじゃ・・・。」
「絶対気のせいだって言いきれますか!?」
「えっと・・・・」

その後、美子の執拗な問いかけに負けた柊は中に自分の欲望を吐き出したことを白状。
美子は最初の内は驚いて柊に怒っていたが、それは隠していた事に対して怒ってたため
素直に謝ったら意外にもすぐに許してもらえたとか。

そして、さらに先の話だったが、今回の一件で子供は出来なかったとかどうとか・・・。
そうこうして、嵐の様に慌ただしい帰省1日目が終了した。
4名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 00:47:51.68 ID:E7OM5g+i
以上となります。途中の連番ミス及びスレ跨ぎ、そして長文&駄文申し訳ありませんでした!
着物いちゃいちゃなどは次回を予定しております。
それでは、失礼しました。
5名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 00:50:58.44 ID:tM8MBu6N
>>1
スレ立て乙。
まとめページ作ってたら次スレになっててビックリww
これからじっくり読ませていただきます。
6名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 01:03:07.34 ID:4jD4E6uG
>>1
スレ立て乙です
7名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 01:04:50.78 ID:jGgM6xE/
DT柊さんお疲れ様です!&スレ立て乙です!これからゆっくり読ませていただきます〜。
ついに5スレめ!バラエティに富んだカプが楽しめて本当に神たちに感謝してます!
前スレ>>451さんは4スレを立てられた方ですか?
あの廉美子好きすぎて何回読んだか分かりませんwまたこんな素敵なエピをありがとうございます!
廉さんの言葉攻めパワーアップwそして天然小悪魔美子の反撃もキュン度半端ない…
いやー萌!!!!!!!え!!!!!!!
また!是非!お待ちしています。
8名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 05:07:33.97 ID:JtljHxl+
>>4
スレ立て乙です。そしてDT柊さん待ってました!GJ!柊さんの素敵な実家での初のお風呂いちゃいちゃ、最高です。もはや少し前までDTだったなんて感じられないwww着物いちゃいちゃも楽しみにお待ちしてます!
9名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 10:08:15.84 ID:XNfM6mLU
>>4
GJ&スレ立て乙!
お風呂エッチ萌えました!
中田氏して誤魔化す柊さんww
そして意外と鋭い美子w
10名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 10:21:20.32 ID:I491CCb+
DT柊さんお待ちしておりました!!
まさかの一緒にお風呂が読めて大満足w
美子に問い詰められて目が泳いじゃってる柊さん想像したら笑えるww
続き楽しみです。
11名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 14:06:55.19 ID:4jD4E6uG
スレ立て乙&GJ
柊さんエロさが加速してますね

前回スレ386〜392の続きです
廉美子エロあり(ちょびっとだけ)
12永遠の恋人1:2011/12/24(土) 14:07:54.53 ID:4jD4E6uG
仕事を終え帰宅した廉は、駐車場に見覚えのある車があるのを見て舌打ちをした。
「ちっ、あいつらまた来てるんだな」
リビングに入ると、勇気がソファに座って廉のコレクションから勝手に取り出したDVDを見ている。
「あっ、廉さんおかえり」
まるで自宅にいるかのような寛ぎっぷりだ。
キッチンに目を向けると、美子と柊が仲良く並んで夕食を作っている。
「お疲れ、廉。打ち合わせどうだった?」
「ああ、まあな…」
「廉さん、お帰りなさーい」
小走りで廉の元に来た美子の手をつかんで、寝室へ連れて行く。
「何ですか?」
「何って…ただいま」
そう言ってちゅっとキスをした。えへへ、と照れた美子はクローゼットから廉の着替えのスエットを出した。
「そういえば、美男は来てないのか?」
「お兄ちゃんは、お風呂に入ってます」
廉の脱いだ服を片付けながら美子が言った。
(何っ!?あいつは〜、ここを自分の家だと思ってやがるな)
洗面所で手を洗っていると、目の前の棚に見覚えのない歯ブラシやカミソリが置いてある。
最近、帰るたびに奴らの私物が増えている気がする。一体どういうつもりだ。
バスルームのドアが開いて、美男が顔を出した。
「あっ、廉、美子呼んで」
「何で?」
「背中流してもらいたいから」
(はあぁ?ふざけんなっ!いくら双子でもいい歳した大人の男女が…ありえないっ!)
廉はスエットの裾をまくり上げて、バスルームに入って行った。
「貸せっ、俺がやってやる」
美男の手から泡だらけのスポンジを取り上げて、ガシガシと背中を擦り始めた。
「えー、美子がいいのにー」
不満を漏らす美男を無視して、さっさと洗ってバスルームを出ていく。
何で俺が、美男の背中を…廉は不機嫌になってダイニングへ向かった。
テーブルに付いて夕食を食べていると、風呂から上がった美男がやって来た。
「美子ー、俺がいつも使ってるシャンプー今度買っといて。何か髪がキシキシする」
「うん、わかった」
(何だと?お前は美子の亭主か?ていうか、ここに住みつくつもりか?)
眉を吊り上げて美男を睨む廉。柊と勇気はそんな廉を見て、笑いを堪えている。
13永遠の恋人2:2011/12/24(土) 14:09:04.35 ID:4jD4E6uG
夕食を終えて、お茶を飲みながらのんびりしている勇気と美男に、そろそろ帰ろうと柊が促した。
「俺、泊まってく」
美男の一言に廉が目を剥いた。
「そう?じゃ俺たちは帰るよ」
美男の言葉に誰も何も言わないことに廉は焦った。
え?え?え?と思っているうちに、柊と勇気は帰ってしまい、美男は当たり前のようにソファに寝そべっている。
(なんだよ、ったく。ちぇっ、今夜、しようと思ってたのに…)
廉は寝室に引き上げてベッドの上でごろごろしていたが、しばらく待っても中々美子がやってこない。
不審に思ってリビングに行っても誰もいなかった。
そっと客室のドアを開けてみると、美男と美子の二人がベッドに腹ばいになってお喋りをしている。
「何…してんだ?」
同時に振り返った二つの同じ顔。廉は一瞬たじろいでしまう。
「廉さん、これ見てください。お兄ちゃんが撮った写真。すごく可愛いの」
美男が道端で撮った猫の写真を見ているらしい。
「これはスタジオの近所で撮ったやつ。すげーふてぶてしいだろ?」
「ほんとだー、うふふ」
(なんだろ…この疎外感)二人の会話に入り込めず、廉は無言で美男のスマートフォンを見つめる。
兄妹ってこういうもんなのかな、それともやっぱりこいつらが特別なのか?
そんな事を思っているうちに、廉は美男のベッドで眠り込んでしまった。

目覚めると美子の顔が真ん前にあった。
「美子…」
手を伸ばし頬に触れようとして…ギョッとした。
(美子じゃない!)
振り返ると美子は自分の後ろにいた。
(危ないとこだった。ていうか、三人で一夜を過ごしてしまった…いや、誤解を招くな、この言い方は…)
そーっとベッドを抜け出そうとすると、背後にいる美子がしがみついてきた。
ゆっくり体の向きを変えて、美子を抱きしめる。
(さすがにまずいか、美男のベッドで。でも、抱きしめるだけだし…)
そのまま廉はまたうつらうつらと寝入ってしまい、次に目覚めた時にはベッドには誰もいなかった。

ダイニングへ行くと美男と美子は朝食を食べているところだった。
「廉さん、座ってください。すぐ用意しますから」
席に着くと、美男がちらっと視線を向けてきた。
「何だよ?」
「廉…寝言で美子美子うるせーよ。俺、何かされるんじゃないかと思ってマジでビビったもん」
「はあ?う、嘘だっ!」
廉は真っ赤になって否定した。
「嘘だと思うなら、美子に聞いてみろよ。んじゃ、俺仕事あるから、先行くわ」
帰っていく美男の後ろ姿を呆然として見送った。
急いで美子の元へ行って、聞いてみる。
「俺…昨夜寝言言ったか?」
美子はふにゃっと笑って頷いた。
「美子…美子って、何度も。えへへ」
「何もしてないよなっ?お前にも、その、美男にも…」
「してませんよ。どうしてですか?」
廉は、はあーっとため息をついて、体から力が抜けて行った。
14永遠の恋人3:2011/12/24(土) 14:10:32.74 ID:4jD4E6uG
仕事に出かけるまでの時間、ソファに座って美子を抱きしめる。
頬を染めて目を潤ませる美子を、このまま置いて行かなきゃならないなんて…。
すぐにもベッドに行きたい衝動を抑えて美子にキスをする。舌を絡めてうなじを撫でると美子はピクッと体を震わせた。
もう行かなきゃ。横目で時計を睨み、焦りながらも美子から離れられない。
「んーちゅっ、ちゅっちゅっちゅっ!」
最後に大きな音を立てて数回キスして、ようやく美子から唇を離した。
「ごめん美子、行って来る。遅くなるから、戸締り気を付けろよ」
一人残された美子は、とろんとした目をしてソファに横たわり余韻に浸っている。

「もうこんな時間か…」
車内の時計を見ると午後11時を回っている。急いで自宅に帰ると、駐車場に美男のバイクが止まっていた。
(またかよ…)
軽くイラつきながらリビングに入ると、美男と美子の二人はお互いの肩に寄りかかり合いながらテレビを見ていた。
二人が寄り添っている姿を見ると、いつも入り込めないような空気を感じる。自分がただの邪魔者のような気がするからだ。
「廉さん、お帰りなさい」
「あ、廉、帰ってたのか。声かけりゃいいのに」
「あ、ああ、ただいま」
寝室で着替えてリビングに戻ると、ヘルメットを抱えた美男が帰るところだった。
「もう帰るのか?」
「ああ、バトンタッチ!」
廉の肩をぱしっと叩いて美男は出て行った。
(バトンタッチって…。そうか、俺が遅くなるから、美子のそばに居てくれたんだな)
慌てて外に出て、バイクに跨った美男に声をかけた。
「美男っ!ありがとなっ。また来いよっ!」
バイクのエンジンをかけた美男は、軽く左手を上げて返事をすると、そのまま走り出した。

満たされた美子が廉の隣で微睡んでいる。廉にとっての至福の瞬間だ。
美子の髪を撫でると、目を開けて微笑み、廉さん好き、と呟く。
「美男よりも?」
美子の顔を覗き込んで、下らないことを聞いてしまう。
「ふふっ、美男はお兄ちゃんですよ」
無邪気な返事を聞いて、廉は自分を恥じる。
「うん。でもあんまり仲がいいから、時々妬けるんだよ」
変な廉さん、小さく呟いて目を閉じる美子。このまま寝かせるつもりは無い廉は再び覆いかぶさる。
唇を尖らせて美子の乳首に吸い付く。ちうちうちう、と音を立てて吸うと、眠りかけていた美子が覚醒する。
一度堪能した後なので、美子のスイッチが入るのが速い。腰をくねらせて廉にそれとなく催促をする。
それは廉も望む所なので、すぐさま美子と繋がり、ゆっくり腰を回転させて美子の痴態を見つめる。
切なげな吐息を漏らし、濡れた瞳で廉を挑発する美子。廉はまんまと乗せられて動きを速めていく。
こうしていつも、自分が主導権を握って楽しんでいるつもりが、いつの間にか美子に奉仕させられているのに気付く。
美子の体を横に向けて、片足を持ち上げたまま奥深くへと貫く。
持ち上げた足に舌を這わせながら、いつもと違う角度で突き上げると、美子は狂乱した。
「だっ…め、そこ…んぁっ…あたって…るの…あっん…ああああっ」
「ふ…何が…あたってるんだ?」
乱れる美子を見て、少し溜飲が下がる。が、やがてそんな余裕も無くなり、頭の中が真っ白になっていった。

久しぶりに美子を連れて、合宿所へ行った。
美男と美子は芝生の上に座り込んで、なにやらお喋りに夢中だ。
「相変わらず、仲がいいな」
半ば呆れたように柊が呟いた。
「聞いたことない?男女の双子って、前世では恋人同士だったんだって」
勇気の言葉に廉も柊も思わず納得してしまった。
「なるほどね。なんかわかるような気がするな」
柊は何度も頷いている。
(前世での恋人か。じゃあ、俺も来世では美子と双子になるのか?)
それも悪くないかもしれない。いや、でも…廉は思い直す。
(やっぱり恋人の方がいいな。美子を誰かに取られるなんて、我慢できないからな)
廉は微笑みを浮かべて、肩を寄せ合うかつて恋人同士だったかもしれない二人を見つめた。
15名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 14:12:03.54 ID:4jD4E6uG
以上です
皆さん楽しいクリスマスを!
お邪魔しました
16名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 17:22:52.89 ID:tQezkB/6
いやーーーーー!かわいいかわいい!
もう、この二人はなんてかわいいのか…
双子もなんてかわいいのか…
でも廉美子には来世も恋人であってほしいw
ごめんね、美男にーちゃんw

かわいい美子にまんまと乗せられちゃう廉さんほんとかわいいなあ
もう一生奉仕してればいいよw
かわいいお話ありがとうございました!
17名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 17:29:21.42 ID:BSQDM7Xh
>>15
GJ!廉美子も美男美子もラブラブで萌えました
妹に背中流させる兄ww
男女の美形双子ってエロいなぁ。
18名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 17:46:55.38 ID:YM963uuT
>>4さん
スレたて乙です、素敵DTありがとう!
次回の着物と両親との面談、楽しみにしてます。

>>15さん
可愛い双子カップル大好き。廉さん、美男兄さんの背中流してあげたんだ、なんかエロイ・・・
しかも三人で一夜を過ごしたんだね、何もなくて、良かった、のかな?萌え死にそうですw

まとめさんもいつもありがとう。良いクリスマスを!
19名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 19:06:07.72 ID:E7OM5g+i
>>15
ラブラブ廉美子と仲良し双子を同時に見れて大満足w
GJでした!

DT柊です。
クリスマスなので、クリスマスネタで書いてみました。
前半廉×美子 後半はA.N.JELLメンバーという感じで書きました。
エロは無しです。
思いつきで書いてしまったため、今まで以上にまとまりのない文章になってしまいましたが
読んで下さると嬉しく思います。それでは、どうぞ。
20ホワイトクリスマス 1:2011/12/24(土) 19:07:11.80 ID:E7OM5g+i
アフリカに行って2年後、今年ようやく美子が日本に帰ってきた。
文通でしかこの2年間、あいつのことを知る事が出来なくて歯がゆく感じてきたが
空港であいつのいつも通りの笑顔を見たらそんな事は全部吹き飛んだ。
それから、互いに出来る限り一緒の時間を過ごしてきた。

そんな中で迎えた12月20日のことだった・・・・。
合宿所の外の庭で、二人は座りながら星空を見ながら話をしていた。

「廉さんは・・・25日も仕事ですよね?」
「ん?25日?・・・どうかしたのか?」
「え!?そ、そこからですか!?クリスマスですよ!!クリスマス!!」
「・・・あぁ。この時期、ずっと仕事ばっかりだからクリスマスとかあまり意識しねーな・・。」
「んもぅ・・・」と頬を膨らませながら、横で「じー」と拗ねたような表情を浮かべて美子は廉へと視線を送った。
廉は、その美子の様子に少し慌てつつ、固い表情を緩めずにそっぽを向くと
「し、仕方ねーだろ!クリスマスなんて・・・その・・・マジマジと女と一緒に・・・すごした事ねーんだからよ・・。」
と、言葉を発する度に耳や首の辺りを真っ赤にさせて恥ずかしそうに言いきった。

その廉がみるみる赤くなっていく姿を隣で見ていて可笑しいのと、やっぱり廉は自分の知る廉だという事を改めて感じた美子は、
廉に聞こえない様に小さく「くす」と笑みを零した。

しかし、廉はたまたま美子のその様子を「ちら」と見ていた。
「わ、笑うな!く、クリスマスはいつも仕事なんだ!!」
もう何を言っても子供のような言い訳しか浮かんでこない廉は顔まで真っ赤にして、少し怒り気味に大声を上げる。
「あ、い、いや!そ、そういうことじゃなくて・・・その・・・う、嬉しいです!私!」
如何すれば廉の機嫌が直るかと考えながら、視線を逸らしながら言葉を詰まらせたが、そのままの気持ちを廉の目を見て伝える。
その言葉に「何が・・嬉しいんだ?」と表情を曇らせて聞いた。

「だって・・・廉さん・・・。私以外の女性と・・その・・お付き合いした事ないってことですよね?
だったら、私が廉さんの最初で最後の一番なんだって思ったら・・・嬉しくて・・・。」
首に巻いたマフラーに顔をうずめながら身を縮め、マフラーを両手で掴みながら頬を赤らめて廉を上目で見つめながらそう言った。
予想だにもしてない事を言われ、廉の心拍数はだんだんと上がって行く。
「どくん!」と大きく一度響いたと思ったら、すぐに「どくどく」という小刻みな鼓動へと変わり、確実に体中が熱くなっているのが分かった。
今、自分がきっと顔が真っ赤だという事を感じると、恥ずかしさのあまり美子に背を向けて、(落ち着け)と何度も自分自身に言いつけた。
21ホワイトクリスマス 2:2011/12/24(土) 19:07:40.72 ID:E7OM5g+i
なんつうか・・・。2年間でこんなことまで言えるようになるなんて・・・。
正直、驚きも隠しきれないほど感じたが、それ以上に「一番」と言う言葉が何度も心の中で響き、自分が美子と付き合っているという事を再確認させる。
大好きだって・・・再確認させてくれる・・・。

「あぁ・・・たく。お前のせいで、寒かったのに熱くなっちまったじゃねーか・・・。」
背を向けたまま、身を丸くして「ぼそ」と呟く。
一方の美子は、特に何かを意識して先ほどの発言をしたわけではなかったため、廉が如何して熱くなったのか本気で気がつかず
「え!?わ、私・・・何か変な事言いました!?」
と後ろから廉の肩に両手を添え、心配した表情を浮かべながら廉の顔を覗き込んだ。

(たく・・・天然め・・・。)
そわそわする美子の様子から、先ほどの発言が自然と零れた言葉だと悟る。
こういう時、天然は羨ましいということを、美子から多々教わっていた廉。
白い息と一緒に「ハァ・・・」と溜息を一つ吐き捨てた後、少し冷え切った右手で
左肩付近から顔を覗いていた美子の頬に手をそっと当て、動かない様に固定すると勢いのまま、美子の唇を奪った。
キスをされた瞬間、「ビク!」と体を跳ね上がらせたが、すぐに唇に感じる甘い感触に
意識を委ねると目を閉じて行き、しばらくそのままで動かずにいた。

30秒ほどして、唇がゆっくりと離れていく。
最初に見えた美子の表情は、うっすらと瞳を開かせている最中で、その瞳が少しだけ潤んでいて、
キスによるものと外の寒さが厳しいせいだというのが、首に当たる右手から伝わってきた。

キスを終え、すぐに体を「くる」と美子の方へ向け、右手を美子の左肩に回して自分の方へと抱き寄せる。
「廉さん・・・」
寒さ厳しい中、大切な人に抱き寄せられた事による直接温かさと
胸の中に広がって行く間接的な温かさによって、心地よい気持になった美子は
抱き寄せてきた廉の体に、目を閉じながら体をそっと寄せた。
その姿を見られない様に微笑みを浮かべながら見守る廉。

「午後8時・・・。」
「え・・?」
何も言わずにずっと抱き寄せていた廉が、突然口を開いた。
「25日・・・。午後8時に合宿所に来い。・・・待ってるから・・・。」
「それって・・・・」
「クリスマス・・・一緒にやんぞ?良いな?」
「で、でも・・・お仕事は・・・?」
自分のために無理をしようとしてるんじゃないかと嬉しい半面
心配で仕方ない美子は、不安そうな表情を浮かべながら廉の顔を見上げていた。
そんな顔を見た廉は、「ふ」と笑い声を漏らすと、こちらも少し冷えた両手で美子の両頬を軽く摘むと
「良いか。絶対にやるからな!必ず来いよ?」
と言った。
まさか、両頬を摘まれるとは思っていなかった美子は「ぽか〜ん」とした表情で数秒間廉の顔見ると
「は、はい!わ、わかりました。」
と気の抜けた様な声で返事をした後、「こくこく」と小さく頷いた。
「分かればいいんだ。分かればな!」
美子の返事を聞くと、「にこ」と廉にしては珍しく微笑んだ顔を美子に見せる。
その微笑みに自然と美子も嬉しそうに微笑んだ。
そして、両頬から手を離した後、再び美子の体を抱き寄せた後
二人は空に輝く星々を見上げるように見ていた。

「ホワイトクリスマスになると良いなぁ・・・・。」
(ホワイト・・・クリスマス・・・。)
最後に、空を見上げながらぼそりと呟いた美子の言葉に神妙な表情を浮かべて考え事をしだした。
22ホワイトクリスマス 3:2011/12/24(土) 19:08:15.80 ID:E7OM5g+i
そして、時間は流れて12月25日 午後2時。
「ふぅ・・・。よし、やるか。」
合宿所のキッチンで色々な食材を並べてやる気満々の表情で何かにとりかかろうとしている廉の姿があった。

いつも、美子と一緒に居る時は美子に料理を作ってもらう事が殆どだったため
今日ぐらいは自分が何か作ってあげたいと思い、料理を作ろうとしていたのだった。
幸い、美子自身も今日は青空学園での仕事があるから遅くなると言っていたため、サプライズの意味も込めて、作ってあげようと考えていたのだ。

実の所、あの日美子には仕事がある敵なことを言っておきながら、廉には25日にメディア露出などと言った仕事は残ってはいなかった。
ただ、2、3件の作詞の仕事が入っていただけだった。締め切りは12月26日の午前0時まで。

正直、クリスマスの事を忘れていたという言い方は失礼だが、忘れていたため
25日をフルに使えば余裕を持って追われると思っていた廉だったが、
今日の約束のため超高速で仕事を片付け、今日の午前7時に仕事を終えていた。
徹夜での作業だったため、合宿所に帰って来た時は泥沼の様に眠たかったが、
重たい瞼を擦り、気合を再注入して食材などを買いに行き、今に至るのだった。

「さて・・・何から作るか・・・。」
他のメンバーはそれぞれ仕事があるから、今日は帰れないという事はあらかじめ確認済み。
だから、誰かに見られるなどといった心配なく作業をする事が出来る。
料理とかはいつも柊ばかりやっているため、きっと時間がかかると思い、こんな早くから作業開始することにしたのだ。

しかし、それでも時間が足りるのかというほど・・・・
「いってぇ!う、うぉ!ゆ、指切ったぁ!!」
廉は不器用だった・・・・・。

午後3時34分。
合宿所のソファで「ごろん」と寝転がって、どうしてこういう家庭的な事が何一つ出来ないのか心底呆れている最中だった。

「くっそ・・・。まだ何も出来てね・・・。」
ソファから起き上がり、キッチンの方へ目を向けると荒れ放題のキッチンが目に映る。
幸い、殆ど食材は無事で、ただ単純に廉が指を切ってしまい暴れた結果として調理器具などが散乱しているだけだった。
(・・・・はぁ・・・。間に合うか?あいつが来るまで・・・。)
ただただ両手の指に増えていくばかりの絆創膏を寝転がりながら見つめる。
あいつが住んでるアパートに乗り込むわけにもいかず、だからと言って今からどこかレストランを予約するのも何か負けた様な気がして・・・。
それに、合宿所でやるといった手前、今更予定変更なんて言えねーし・・・・。
つかよ・・・そろそろ、あいつと住む新居とか考えた方が良いのかな・・・。

そんな事を考えていると、だんだんと意識は闇の中へと消えて行ってしまった・・・。
23ホワイトクリスマス 4:2011/12/24(土) 19:08:46.11 ID:E7OM5g+i
午後7時32分

「ほら、ここはこうして・・・。あ、美男はオーブンのローストチキンの様子見て?
おい勇気!摘み食いするなよ!たく・・・」
(んん・・・な、何だ・・・?)
キッチンの方から聞こえてきた物音に目を覚ます。
(それより・・・今何時だ・・・って)「あぁ!も、もうこんな時間じゃねーかよ!?」
キッチンに誰かいるのを確認する前に
テーブルの上に置いてあったスマートフォンで現在の時間を確認し、もう約束の時間まで残りわずかな事に気が付き、「がば!」と起き上る。

「うぉ!吃驚したぁ〜。」
「・・は?ゆ、勇気・・?それに・・・。」
「たく・・・。目の離せないリーダーだな・・・。」
「美男?・・・」
「はぁ・・・。ホント、廉は何でもそつなくこなすように思えるのに、料理と裁縫とかはまるっきり駄目だったからな。」
「柊まで・・。な、何で・・お前らここにいんだ?今日は仕事だって・・・。」
本当に、どうしてこの3人がここに居るのかさっぱり分からなくて、目を丸くして3人を「きょろきょろ」と見つめる。
「何でって・・・仕事終わったから帰ってきたんじゃん。」
驚く廉に、美男はいつも通りぶっきら棒に当たり前の事を言った。
「終わったって・・・1晩中仕事だって・・・。」
「あ、あぁ。それ嘘だよ?」
鼻の上にケーキの生クリームを付けながら、「へらへら」笑って勇気が応える。
「う、うそぉ!?」
目を丸くしていて見ていたが、今度は鬼の形相の様に険しい表情で3人を見つめ返す。
「実はさ、20日の時に話していたのを俺が聞いちゃってさ。それでその後、頻りに廉が俺にクリスマスの日の予定を聞いてきていたから
お前が二人に聞きに行く前に、「クリスマスは1日中仕事で帰れない。」って言うようにって言っておいたんだ。」
キッチンから出来上がった料理をソファの目の前にあるテーブルに運びながら、廉の顔を「にこ」と笑って見つめた。

「は、はぁ!?な、何でお前らがそんな事・・・。」
依然、他の3人がどうしてこんな行動をした真意が分からないで居る廉は、ふぬけた表情を浮かべる。
「何でって・・・はははっははは!あぁ〜。廉さん、ホント鈍感!」
「げらげら」と腹を抱えながら大笑いする勇気に釣られる様に、テーブルに料理を並べて柊と美男も「くす」と笑みを零した。
更にどういう事か分からなくなった廉は、「あぁ!意味分かんねぇ!」と怒りながら3人を睨むが、何か言う度3人の笑い声は大きさを増していった。

「はぁ〜。何でって、クリスマスだから・・・っていえばわかるだろ?」
一番最初に笑いが治まった柊は、零れ落ちた涙を拭いながら笑顔を浮かべてそう言う。
それに続く様に美男が
「まぁ・・・。あんたが何か頑張ろうとしてたのは柊から聞いた時から分かったから・・・。」
と言葉を繋げ、最後に勇気が
「廉さんの頑張ろうと思う気持ちを傷つけちゃいけないかなって思って、クリスマスは3人で別の場所で過ごそうって話になったんだぁ!」
と「にこにこ」と笑いながら言いきった。
「けどさ、廉の様子が気になってちょっと戻ってきたら・・・・料理が途中のまんまで、お前が寝ててさ。
悪いとは思ったんだけど、お前も疲れてるはずだから何も言わずに料理を作ることにしたんだ。
お前の頑張りは、両手に巻かれてる絆創膏の数を数えればわかったから・・・。
美子とのクリスマスを最高の1日にして欲しくてさ・・・・。」
少しだけ、今回の勝手な行動に対して罪悪感を感じていた柊は
申し訳なさそうな表情を浮かべながら自らの想いも廉に託すように伝える。
24ホワイトクリスマス 5:2011/12/24(土) 19:10:05.22 ID:E7OM5g+i
「・・・・・・・・・・・。」
3人の好意が身に沁みた廉は、一粒だけ「ぽろり」と涙を零した。
突然泣き出して、驚いた勇気は
「ちょ!れ、廉さん!な、何で泣きだすんだよ!?」
と言うとキッチンから飛び出して廉の近くまで走って行く。
「う、うるさい!な、泣いてねーよ・・・。」
勇気に顔を覗かれて、咄嗟に顔を隠して見られないようにする。
「はぁ・・・。意外と廉は泣き虫だからな・・・。」
そんな廉を、我が子を見守る様な笑顔を浮かべた柊は、丸くなっている廉の隣に腰を下ろすと
「ぽんぽん」と頭を軽く叩き
「頑張れよ?あいつにとって、廉は誰よりも輝いてる存在なんだからよ。
そんな顔、見せられないよな?」
と優しく囁いた。

その言葉を聞いて、廉は伏せていた顔を上げると
「いつも・・・悪い・・・。」
と廉なりの感謝の気持ちの伝え方で3人にお礼を言い、いつもの表情を3人に見せた。
それに対して、3人は顔を見合わせた後に
「ま、俺たちだって廉にはいつも世話になってるしな。」
「そうそう!俺たちに出来る感謝の気持ちってことで!」
「・・・・ハッピーメリークリスマス・・・になれば良いな。」
と笑顔を浮かべながら廉に言葉を贈った。

そんな事をしていると、玄関の扉が「がちゃり!」と開く音が聞こえる。
まさかと思った4人は時計の時刻を確認すると、気がつくと時刻は午後8時2分。
そう。既に美子との待ち合わせ時間が過ぎてしまっていたのだった。
25ホワイトクリスマス 6:2011/12/24(土) 19:11:35.32 ID:E7OM5g+i
玄関の方からは予想通り、美子が若干雪をかぶりながら現れた。
「ずず・・・寒かったぁ・・。あ、皆さん!ハッピーメリークリスマスです!」
何があったか分かっていない美子は「にこにこ」と笑いながら両手にたくさんの飲み物やパーティグッズを持って現れた。

「あ、えっと・・お、俺たちは・・・。」
「あぁ!」
「ど、どうした!?美男?」
「・・・ローストチキン・・・まるこげだ・・・。」
「はぁ!?うぉ!炭の丸焼きじゃん!これじゃあ!」
「えぇ!?お、お兄ちゃん!何してるの!?」
「って、まだケーキの盛り付けもしてない!」
「勇気!そう言いながら摘み食いするな!」
「はははは!はぁ・・。」
「廉さん!笑ってないで皆さんの手伝いしましょう!」
どたばたとしだした皆の様子を見て、珍しく大笑いしている廉の手を掴む美子。
「わ、悪い。ちょっと可笑しくて・・・・。」
「?何が可笑しいんですか?」
どういう事か分かっていない美子は首を傾げながら問いかける。
そんな問いかけに、涙を拭きとりながら「何でもねーよ」と笑いながらそう応えた。
その答えに腑に落ちない表情を浮かべた美子だが、何かを思い出したみたいで
「あ!廉さん!外!雪降ってますよ!!」
と子供のようにはしゃぎながら手を引っ張り、オープンガラスの目の前まで廉を連れて行った。

「雪か・・・。」
「えへへ・・・。」
「ん?どうした?」
外の景色を見ながら照れ臭そうに笑顔を浮かべている美子の顔を覗きこむ。
「こんなに楽しいホワイトクリスマス、初めてです!廉さん、ありがとうございました!」
「・・・・当たり前だ。俺は・・・。」
「廉さん!美子も!!そんな所でラブラブしてないでちょっとは手伝ってよ!」
うまい事決めようとした廉だったが、勇気の言葉にそれを阻まれ「む」と勇気の顔を一瞬だけ睨みつけたが
「すいません!今行きます!」
と返事をし、いきなり腕を引っ張ってきた美子によって、その場で転んで体ごと床に倒れ込んでしまう。
「「「あ・・・」」」
3人は転んだ廉を見て、声を揃える。
「あぁ・・・れ、れんさぁ〜ん。大丈夫・・・ですかぁ?」
床に倒れた廉に、しゃがみ込んで様子を確認する美子。
「いってぇ・・・お前ぇ・・・」
立ち上がった廉は、まず最初に美子を「ぎろ!」と睨みつける。
美子は睨まれて体を「ビク!」とさせ、「きょろきょろ」と忙しなく顔を横に振った後
「ご、ごめんなさい!!!」
と正座して深々と謝罪した。

そんな様子を後ろから見ていた3人は、二人のやり取りに大爆笑しだした。
大爆笑された事は納得がいかなかった廉だが
「たく・・・。もう少し注意しろよ?」
と言うと、美子の頭を「ポンポン」と叩き、廉も笑い出した。
それに釣られ、怒られないか不安だった美子も廉の笑顔に自然と笑みを零した。

その後、5人は最高のホワイトクリスマスを過ごしたのだった。
26名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 19:14:27.34 ID:E7OM5g+i
以上です。最初、廉×美子を貫こうとしたのですが、A.N.JELLのメンバーを詰め込んだらこんなことに・・。
エロに行けなくて&毎度の如くの駄文で申し訳ない!

それでは、失礼しました。
27名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 19:39:15.84 ID:4jD4E6uG
>>26
GJ!
仕事早いですね!!
珍しく廉美子で新鮮でした

ところで
廉さんに料理をさせる、というのを書こうと思ってたのでびっくりです
他の職人様作品にも同様に思うことがあって、不思議ですねw
また、廉美子書いて下さい
28名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 19:40:27.48 ID:4jD4E6uG
sage忘れた
すみません
29名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 20:53:52.65 ID:Rw3ddt4q
>>4 DT柊さんgj!ただ、ひとつお願いしてもいいですか?
「にへら」とか「くちゅくちゅ」っていう擬音語は「」無い方がさらに臨場感出ると思います…
自分も書き手なのでちょっと気になってしまって。
お気に障ったらごめんなさい
30名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 21:18:47.75 ID:E7OM5g+i
>>29さん
アドバイスありがとうございました!
なるほど・・・。擬音語とかは意識しないで「」付けをしていたのでそのような点には気が付きませんでした!
次回以降、その点を注意して書いてみたいと思います。
本当にありがとうございました。
31名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 21:59:22.27 ID:Rw3ddt4q
>>30
いえいえ、こちらこそ差し出がましいことしてしまって。。ただ、DT柊さん文才あってとても秀逸なので、そこだけ直せば完璧だなと思いましたので☆
ホワイトクリスマスのお話とても和やかな気持ちになりました。5人の気持ちはひとつなんですね〜
では今後も期待してますね
32名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 11:22:32.87 ID:aIeuKZHp
廉の事が好きな美子が柊さんに襲われるのは多いが
柊の事が好きな美子が廉に襲われるパターンはないので
書いてたら煮詰まりました
どなたかこの案引き継いでくれませんか?因みにすっごいどろどろにしようとしてました
33名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 17:58:35.93 ID:pl9HukeJ
>>32
DT廉さん?百戦錬磨の俺様廉さん?
エロ柊さんに慣れた美子をどうするのか見物だw
34名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 19:17:23.11 ID:qW5FuQyN
>>32
チャレンジしてみましたが煮詰まったw
長いだけ長くなり収拾がつかない
どうしよう?
35名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 19:55:41.83 ID:jsjNu6hW
>>26
ホワイトクリスマス、サンクスでした。
廉さんと料理・・・ミスマッチでいいねw
柊さんと美男兄ちゃんは料理上手そうだね、手先が器用でエッチそうな2人でもあるw

>>32-34
煮詰まったお料理もいい味出てると思うので、是非UPして下さい。
がっつきが少ない廉さんが本気出すとどうなるのか、見てみたい。
ズルしても勝ちたい!ぐらいの黒モード希望ですw
36名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 21:56:26.18 ID:qW5FuQyN
34です 投下します
>>35 ズルしても勝ちたい! ズルどころか犯ざ…あわわ
37愛の嵐1:2011/12/25(日) 21:57:41.15 ID:qW5FuQyN
「美男、今日は来てくれてありがとう。すごく嬉しかった」
柊のベッドに並んで腰かけた二人は固く抱きしめ合っていた。
レストランの個室で一人美男を待っていた時の不安が、嘘のように掻き消えていた。
「好きだよ、美男」
そっと唇を重ねて優しく吸った。美男は必死に柊にしがみついている。
美男の唇を割って舌を差し込み、口中を探ると、震える美男の舌を捉えた。
絡めるように舌を吸い、胸に手を伸ばす。
「あっ」
小さく声を上げた美男は、ギュッと体をこわばらせた。
「ごめん、まだ早いよね。美男が決心するまで待つよ」

自分の部屋に戻るまでの間、頭の中には柊の顔ばかりが浮かんだ。
初めて会った時から一番優しくしてくれた柊。困っている時はいつも助けてくれた柊。
その柊に今日好きだと言われた。
そして自分が柊に対して感じていた思いも同じものだと実感した。
これが、恋、、なのかな?嬉しい…

部屋の前に着いた時、美男はハッとして足を止めた。
そこには壁に寄りかかって、腕を組んだ廉が立っていた。
「廉さん、あの、お、お休みなさい」
なんとなく気まずくて、そそくさとドアノブに手をかけた時、いきなりその手をつかまれた。
「何…ですか?」
有無を言わさず廉の部屋に連れ込まれた。

驚いて一言も発せられないままベッドに投げ出される。
廉は美男にのしかかりシャツのボタンを引きちぎりブラジャーを押し上げた。
美男の口を左手でふさぎ、右手でズボンと下着を引き下ろす。
ほんの数十秒の間に自分の身に起こったことが信じられず、美男は声も出せなかった。
廉はためらいもせず美男の中心に指を差し込んだ。
「濡れてる…」
「いやーっ、やめてっ!」
「お前を柊なんかに渡さない」
美男の抵抗もおかまいなしに、小さな突起を強く擦りあげた。
「ああっ、いやっ…」
廉は片手でズボンのファスナーを下ろして自身を取り出すと、美男の中心に突き立てた。
「っ…」
激しい痛みと衝撃に美男は目を見開き息を詰めた。
廉も顔色を変えて美男を見下ろす。
「まさか…初めてだったのか?柊としたんじゃ…」
激しく動揺した廉だったが、ここまでしてしまった以上もうどうにでもなれと腰を動かし始めた。
嗚咽する美男を抱きしめながら絶頂へと駆け上がっていく。
38愛の嵐2:2011/12/25(日) 21:59:43.89 ID:qW5FuQyN
美男のお腹の上に吐き出したものを拭き取りながら、廉は美男の顔色を窺った。
顔を背けて泣き続けている美男。
「美男、ごめ…」
バシッと頬を殴られた。
「どうしてっ…こんな事、ひどすぎるっ」
「お前をっ…愛してるから…柊に取られたくなかった」
美男は体を起すと身なりを整え、廉を睨みつけた。
「こんなの、愛じゃありません。絶対、廉さんを許さない」

翌朝、固い表情で俯く美男とは対照的に、柊は晴れ晴れとした顔をしていた。
そっけない美男の態度も、恥ずかしいのとメンバーへの気遣いから来るものだと気にもとめていない。
その夜、美男は自室に鍵をかけてベッドにもぐりこんだ。
カチッ
鍵を開けて廉が入ってきた。
「どうして…」
「残念だったな。俺が何年ここに住んでると思ってるんだ?合鍵くらい持ってるんだよ」
昨夜の恐怖が蘇り、美男の体が震えだす。
「怖がらないでくれ。もう乱暴なことはしないから…」
「いやっいやっ、やめてっ、柊さん、助けてっ」
めちゃくちゃに暴れる美男を結局力で押さえつけて廉が囁いた。
「ほんとに柊が来てもいいのか?昨夜の事はなんて説明するんだ?」
目を見開いた美男の体から力が抜けて行った。

すっかり抵抗する気力を失くした美男の体を隅々まで愛撫する。
どんな場所も漏らさず舌を這わせ、強く吸って痕を付ける。
「愛してる、愛してる…」
腰を打ちつけながらうわ言のように繰り返した。
痛みと怒りと屈辱に唇を噛みしめていた美男が、廉に顔を向けた。
「愛…なんかじゃないです、そんなもの」
心から軽蔑したような美男の表情を見て、廉は頭に血が上った。
「そうかもな…。俺は…誰からも…愛されたことが…ないから」
ハッとして廉の顔を見上げると、いつもの皮肉な笑い顔がまるで泣いているように見えた。
39愛の嵐3:2011/12/25(日) 22:01:52.45 ID:qW5FuQyN
廉から受けた様々な愛撫の痕跡を洗い流そうとシャワーを浴びる。
鏡に映った自分の体を見て美男は目を見張った。
廉に強く吸われた痕が、あらゆる場所に付いていた。
特に乳房と太ももの内側には、数えきれないほどの痕があった。
「ひどい…」
涙を堪えながら全身を洗った。乳首に手が触れた時、ビリッと痛みが走った。
見てみると鬱血するほど痕が付いている。
「うっ…うぅ…」
美男はぺたんと座り込んでいつまでも泣いていた。

「美男、最近元気ないな。どうした?」
柊に顔を覗き込まれて、美男はおどおどしてしまった。
「いえ…ちょっと、疲れてるの、かな?」
そのまま柊の脇を通り過ぎようとした時、肩をつかまれた。
「これ…どうした?」
見るとTシャツの襟ぐりから鎖骨の上にある赤い痕が見えていた。
「これは…あの、えっと…ぶつけちゃって」
しどろもどろになる美男の頭を柊がクシャクシャっと撫でた。
「気を付けないとダメだろ。ほんとに美男は危なっかしいんだから」
こわばった笑いを浮かべつつも、美男は柊と目を合わせられなかった。

深夜になると廉が部屋に忍んでくるようになった。
もう何度こうしただろう。嫌で嫌でしかたがないのに、一方ではどうでもいいような、投げやりな気持ちになった。
今日も廉の好きなようにされ、ただ早く終わってくれることだけを願っていた。
それなのに、美男の体に変化が起き始めていた。
認めたくはなかったけど、廉の体に馴染んできているのが自分でもわかった。
「んっ…あ…ああっ」
自分でも思いがけなく、小さな声が漏れた。びっくりして体を起そうとした時、廉が覆いかぶさってきた。
「お前、感じてるんだろ?我慢しなくていいんだぜ」
「そんなっ…こと、ありませ…んんっ」
また、こんな声が。嫌なのに…どうして…
廉は突き上げながら二人が繋がった部分に指を伸ばして、突起に触れた。
「ああっ…い…やっ…あんっ…」
「ほら、いいんだろ?」
両方の乳房をぎゅっと揉みしだきながら、めちゃくちゃに突きまくる。
「いや、いや、だめっ…んっあああああっ」
美男がイッたのを確認して、廉も最後の力を振り絞った。
はぁはぁはぁはぁ、耳元で廉の荒い息が聞こえる。それを感じた時、美男の体がビクビクと震えた。
そして、涙が溢れて止まらなかった。
「もう、俺のものだ」
違う、私は柊さんの事が好き。
「絶対離さない」
いや、もうやめて。
「愛してる」
愛…?そんなはずない。
頭の中が混乱してもう何も考えられなかった。
40愛の嵐4:2011/12/25(日) 22:04:29.75 ID:qW5FuQyN
スタジオでの撮影が終わり、みんな控室に戻って行く。
その途中で柊に腕をつかまれ、非常階段に連れて行かれた。
じっと見つめられて、美男の不安が募る。
「柊さん、どうしたんですか?」
「この間の痣、どうなった?」
柊の視線が怖い。
「え…もうほとんど治りました」
「じゃあ、こっちの痣はどうしたの?」
シャツの襟をぐっと引き下げられ、デコルテ部分が露わになった。
「いやっ」
慌てて胸元を押さえたが、遅かった。そこには消えかけたものや出来たてのもの、数えきれないほどの痣があった。
「どういうこと?誰にやられた?」
美男は首を横に振り、謝ることしか出来なかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめんじゃわかんないだろっ、美男っ」
「やめろっ」
振り返ると廉が立っていた。
廉は自分の後ろに美男を庇いながら、柊と対峙した。

「俺がやった。もう何度も美男を抱いたよ」
柊の顔がみるみる青ざめていく。
「美男、本当なのか?嘘だよな?美男?」
ふらふらと美男に近づきながら柊が呟く。
「柊さん…ごめんなさい…うぅっ」
泣きながらその場から走り去ろうとする美男の手を、廉がつかんだ。
「柊、悪いがそういう事だ」
階段の踊り場でへたりこんだ柊を見下ろして、廉が言い放った。
41愛の嵐5:2011/12/25(日) 22:05:28.95 ID:qW5FuQyN
廉は常宿にしているホテルに美男を連れて行った。
ベッドに押し倒された時、美男は呆れたようにふっと笑った。
「こんな時でも、するんですか?」
「違うっ!」
美男の体を抱き起して強く抱きしめた。
「美男、俺を愛してくれ。お願いだ」
「私は…柊さんの事が好きでした。それなのに、廉さんが無理やり…」
最後は涙で言葉にならなかった。
「知ってた。お前が柊を好きだなんて許せなかった。だからお前の体を奪ってやろうと思ったんだ。
でも、いくら抱いても満たされなかった。お前の心が欲しい。頼む。俺を見てくれ」
廉の涙を初めて見て、美男は少なからず動揺した。
「最初からそう言ってくれればよかったのに。どうして、あんなひどい事を…」
「知らないんだよっ、人の愛し方を。こういう時どうすればいいのか、誰も教えてくれなかった…」
以前美男を抱きながら、誰からも愛されたことがない、と言った廉の言葉を思い出した。
自分を抱きしめながら溢れる涙を拭おうともしない廉に対して、憐みのような気持ちが湧いてきた。
どうしてこんな気持ちになるの?自分の体を無理やり奪った男なのに。私は柊さんが好きなのに。
体の繋がりの方が心よりも重要なはずがないのに。
気が付いたら美男は、恐る恐る廉を抱きしめていた。
廉はハッとして美男を覗き込んでいる。
「俺を受け入れてくれるのか?」
廉の問いかけに美男は首を横に振りながら、「わかりません、わかりません」と答えるだけだった。

「おーい!ビッグニュース、ビッグニュース!」
相変わらず賑やかな馬淵が練習室に入ってきた。
「来週本物の美男が帰ってくるぞ。いやーよかった、なあ?」
廉、柊、美男が顔を見合わせた。
(お兄ちゃんが…じゃあ私はもうここにいなくていいんだ)
正直言ってほっとしていた。廉と柊の板挟みになって、毎日息がつまりそうだった。
あれから柊とはほとんど口をきいていない。
事務所の廊下で見かけたら、用もないのにどこかの部屋に入ったりして顔を合わせないようにしていた。
今日も柊に見つからないうちに一人で合宿所に戻ってきた。
自分のベッドに腰かけ、ふう、とため息をついた。
「美男」
突然ドアが開き、柊が入ってきた。
「柊…さん」
美男は弾かれたように立ち上がった。
42愛の嵐6:2011/12/25(日) 22:09:06.44 ID:qW5FuQyN
「本物の美男が帰ってきたら、お前どうするんだ?」
柊が長い沈黙を破った。
「わかりません。もう修道院には戻れないし…」
柊はそっと美男に近づき、美男の肩を抱いた。
「俺のそばにいてくれないか?何もかも、無かった事にして…」
涙が溢れてきた。嬉しかった。そう出来たらどんなにいいだろう。だけど…
「柊さん。ありがとう。でも、無かった事になんて出来ません。本当にごめんなさい」
「美男っ!」
背を向ける美男を抱きしめようと伸ばした腕をつかまれた。
「廉っ、離せっ」
「いい加減諦めろ。美男はもうお前の元には行かせない」
争う二人の間に美男が割って入った。
「もうやめて下さいっ!私は…どちらの元にも行きません。兄が戻ったら、もう二人には会いません」
「嫌だっ!嫌だーっ!」
突然廉が泣き叫んだ。むしゃぶりつくように美男を抱きしめ、嗚咽を漏らした。
「美男っ、行かないでくれっ!俺…お前がいないと、生きていけない。美男…美男…」
恥も外聞もかなぐり捨てて、美男にすがりついて泣きじゃくる廉を、柊も美男も呆然として見つめた。
美男の瞳に涙が盛り上がってきた。
「廉さん…」
そっと廉の背中を撫でる美男の姿に、自らの敗北を悟った柊は静かに部屋を出て行った。

「俺のそばにいてくれるか?美男」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で美男に問いかける。
同じように涙でぐしゃぐしゃの美男が答えた。
「まだ、わかりません。でも、いつか…」
美男の言葉に廉は顔を輝かせて、もう一度強く美男を抱きしめる。
「うん。俺、待つよ。でも待つのは苦手だから、あんまり長く待たせないでくれな」
そう言って、何度も美男を抱きながら、一度もしたことが無かった事をした。美男の顔を上向かせてそっと口づけを。
43名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 22:16:55.45 ID:qW5FuQyN
以上です
廉美子エロあり>書くの忘れました すみません
>>32さんのおっしゃるのとは趣が違っちゃいましたね
いつも廉美子でハピもの書いてるので またしても柊さんにすまない事になってしまった
待つのは苦手だから>最後遊んじゃいました
お邪魔しました
44名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 22:56:09.35 ID:wiUKOlPU
>>43
面白い!こういうの好きwなんか昼ドラを見ているようだww
柊さんが幸せだったのは始めの数行だけという、なんともかわいそうな柊さん。。
でも泣きじゃくる廉さんも切ない…
45名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 23:09:33.28 ID:jsjNu6hW
>>43
GJ、元シスター美男には肉食ブラック廉さんに軍配でしたね。
なりふり構わない廉さんと最後の台詞に感動しました、恋愛で待つのが苦にならないのはダメかも。攻め時が大事w
柊さん、気の毒だけど、苦悩が似合うのでOKでしょうw
ある意味、存在のない勇気が一番可哀相かも。
46名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 23:26:18.94 ID:pl9HukeJ
廉さん自己チューw
本作最初のイメージだと本来こういう性格なんだろうな。
バンビヨロヨロに騙されたw
47名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 23:31:23.83 ID:uSOovqak
>>43
今までにないパターンに新鮮さを感じました!
お疲れ様でした!!

DT柊です。またですが作品投下です。
廉×美子 柊と美子が付き合っているという設定 エロありです。
興味本位で書いてみた設定ですが、何とも言えない完成度に・・・。
相変わらずの駄文ですが、それでも良いというかは読んで下さるとありがたいです。
48ただ見てほしいだけ 1:2011/12/25(日) 23:32:53.90 ID:uSOovqak
A.Jエンターテイメント社内の練習室。
演奏の個人練習をしている最中、キーボードの演奏を指導するために美子の隣に寄り添っている柊の姿と
その姿を遠目から見ている勇気と廉の姿が見受けられた。

「ほら、美子?ここはこうだよ?」
キーボードとギターの音が止まると柊の指が楽譜の一点を指差し、その後柊が一度その部分を演奏した。
「あ!ま、また間違えちゃいました。すいません!」
「気にするな。ほら、俺も手伝ってやるからもう一回最初からやってみよ?ゆっくりでいいからさ。」
「はい!」
互いに微笑みを浮かべ合った後、すぐにスローテンポのギター演奏が響き始め、その後に続く様にキーボードの音色が練習室に響き渡っていく。
真剣に楽譜を見ながら演奏をする美子とそれを優しく見守りながら演奏している柊の姿は
端から見ればお似合いのカップルの様に見えなくもない。

そんな微笑ましい光景を少し遠くからドラムのスティックをくるくると回しながら見る勇気と
いつも以上に納得のいかないと言わんばかりの固い表情で睨む廉。
「はぁ・・・。二人とも見せつけてちゃってくれるなぁ。まぁ、不思議と二人の嬉しそうな顔を見てると
こっちまで嬉しくなっちゃうから不思議なんだけどね・・・。って、一人だけそうじゃない人が居た・・・。」
微笑みを浮かべて二人の姿を見ていた勇気だが、すぐ近くでギラギラと柊に対して敵意むき出しで睨みつける廉が視界に入り、一瞬にして笑みが苦笑いに変わる勇気。
それに気がついた廉は不貞腐れた様に
「んだよ」
と表情を緩めることなく、一言だけ冷たく吐き捨てる。
「い、いや・・・廉さん、いつもそんなしかめっ面であの二人見てて疲れないのかな・・て」
阿修羅像の様に歪んだ表情を浮かべる廉に、恐る恐る小さな声で顔色を窺いながら発言する。
と、勇気が言葉を全て言い終えた時、勇気が手に持っていたスティックを床に落としてしまう。

スティックが落ちた時の音を聞きつけ、驚いて美子の体が小さく跳ね上がったと同時に演奏が止まり
柊と美子の視線が自然と勇気と廉の方へと向けられる。
「あぁ・・・お、驚きましたぁ。」
突然の音に何があったか不安だった美子は、音の正体が分かるとふぅと息を吐いて胸を撫で下ろす。
「ご、ごめん!練習してたのに邪魔しちゃったよな?」
床に落ちたスティックを拾い上げ、スタスタと駆け足で二人の近くまで駆け寄る勇気。
「勇気?お前もサボってないでちゃんと練習しろよ?」
若干呆れた様な溜息を小さく出した後、いつもの笑顔で勇気の方へと視線を送る。
「いや・・・ちょっと二人の演奏聞いていたいなぁ・・って思って。俺の演奏の参考にしたかったし!!」
「あ!勇気さん、少し冷や汗出てます!!」
「え!?う、嘘だ!」
勇気を指差す美子の反応に、声では嘘だと言いつつ顔を触って確認する。
その姿に柊と美子は声を揃えて嘘だと言い、勇気は「やられた・・・。」と呟いた後
3人は一斉に笑い声を出し始めた。

しかし、そんな中でも廉は煮え切らぬ想いを抱いたまま柊の事を睨み
その隣で満面の笑みで笑う美子に複雑な思いを抱いたまま、悲しそうな表情で見つめていた。

「・・・あぁ!やってらんね!!」
足を床に叩きつけ、ばん!という大きな音が練習室中に響き渡る。
そして、廉は3人の反応を確認せずに足早に練習室から飛び出していった。

「れ、廉さん!?」
「廉の奴・・・どうかしたのか・・?」
「わ、私、様子見てきます!」
廉の様子を心配した美子は、不安げな表情を二人に見せるも
練習室を後にした廉の後を追う様にして練習室から走って出て行った。

「廉の奴・・何か言ってたか?」
「い、いや・・・俺も良く分かんないんだ・・。」
(廉・・・。)
美子が出て行った後、練習室に残された二人はしばらく、出て行った廉の事を想い
それ以上の言葉を発せず、沈黙だけがその場を包み込んでいた。
49ただ見てほしいだけ 2:2011/12/25(日) 23:33:26.52 ID:uSOovqak
一方、練習室を飛び出した廉は外の駐車場にある自分の車の中にいた。
(・・・・くそ・・・。なんでよりにもよって柊なんだよ・・・・)
柊の横で嬉しそうに笑う美子の姿が脳裏にちらつく。
どうして柊なんだと・・・・。俺じゃないんだと・・・。
その想いはだんだんと、美子に対する「愛」を歪んだ形へと導いていってしまった・・・。

ざーーー
「ち・・・。雨かよ。今日は降水確率0%って言ってたじゃねーかよ・・・。」
つい1、2時間前まで晴れ晴れとした青空が広がっていたのに、一気に土砂降りの様な雨が降り出す。
まるで、この雨が廉自身の惨めさを表しているかというほど最悪なタイミングで。
「はぁ・・・・。今日はもう駄目だ。どっかいくかな・・・。」
車のシートを後ろに下げ、寝転がっていたが、ここに居てもどうしようもない気分に縛られているだけだと感じ
シートを持ち上げ、シートベルトを付けると車のエンジンを掛けた。
そして、車を置く内の駐車場から出そうとした時、車の外に誰かが来た。
「コンコン!」
(誰だよ。こんな時に・・・・。)
面倒だと思いながらも、外から車の窓をノックするそいつの面を拝もうと、渋々窓の外へと目を向ける。
そこには、ずぶぬれになった美子が呼吸を少しだけ荒げながら立っていた。
(は、はぁ?何で・・・お前がここにいんだよ・・・。)
どうしてここまで美子が追ってきたのか分からず、若干焦りを隠しきれない廉は
声にならない言葉を自分自身に言い放つと、車の窓を開けた。

「はぁ・・・はぁ・・・れ、廉さん・・・。」
雨のせいで服がびしょびしょに濡れ、それが体を冷やしているのか何度も小刻みに体を震えながら身を縮めている。
「何してんだ!傘ぐらい持ってこなかったのか!?」
「だ、だって・・・・雨、いきなり・・・降って・・・き・・・ちゃっ・・・」
寒さのせいで、「はぁ・・はぁ・・・」と息を漏らし、辛そうな表情で言葉を発していた美子が、最後まで言葉を言いきる前にその場に崩れ落ちてしまった。
その一瞬を車の中で睨みながら見つめていた廉は美子が崩れ落ちた瞬間、ハッとした表情をすると
「お、おい!!」
と大声で叫びながら車のドアを開け、その場に崩れた美子の体を抱きかかえる。
抱きかかえてすぐにおでこに手を当てると、そこからは平熱とは言い難い、まさに風邪人の熱さだった。
「お前!風邪ひいてんのか!?」
今さっき雨に打たれただけですぐに熱が上がるわけがない。
この様子だと、今朝から・・・・いや、もっと早い段階で風邪をひいていたに違いない。

だが、俺の問いかけに美子は何も応じない。
ただ、廉の中で辛そうな呼吸で息をしているだけで返事は返って来ない。

(急いで・・・病院は駄目か・・・。どこか・・・どこか・・・。合宿所・・・しかないか・・。)
本当の所、今すぐに病院に連れて行きたいが、こいつが女だって事がそれだとばれる。
合宿所なら薬とか置いてあるはず。
そう考え、美子を自分の車の助手席に乗せると、すぐさま自分も運転席に乗り込み
雨が降る街の中、合宿所へと車を走らせた。

途中、苦しそうな表情をしながら美子は何度も柊の名前を呼んでいた。
その声も・・・外の雨の音でかき消されてしまえばと・・・・何度も・・何度も思った。
こいつの異変に、ずっと近くに居たはずの柊が気づかずにほっといた。
やっぱ、俺は・・・どんなことをしてもこいつの側でこいつを守りたい。
外で振り続ける雨は、廉の心に更に深い傷を与え
さらに心の中でメラメラと燃え続けていた怒りにも似た炎を余計に燃えさせてしまうのだった・・・。
50ただ見てほしいだけ 3:2011/12/25(日) 23:33:54.19 ID:uSOovqak
数時間後・・・。

「んん・・・あ・・・れ?ここ・・・どこ?」
目を覚ますと、先ほどまで廉の真っ赤なスポーツカーの目の前に居たはずなのに
移りだした見慣れた天井に困惑する。
「ここ・・・私の・・部屋?あ、つ、つめ・・たい?」
寝そべっていた体の上半身だけを起こし、部屋中を見渡そうとしたが
おでこの上に乗せてあったタオルが一瞬だけ顔に触れ、そのまま真下にあった掛け布団へぼとという音を立てながら落ちた。
未だ自分がどうしてここに居るのかが分かっていない美子は、記憶のかけらを集める様に腕を組みながら前後の記憶を探る。
と、そんな事をしていると美子の部屋の扉が開かれ、その先からお粥と水、粉薬を載せたお盆を持った廉が現れた。

「れ、れん・・・さん?」
「よぉ、起きたか。具合はどうだ?」
「え・・?ぐ、具合?」
涼やかな表情で現れた廉の言葉に、どういう意味か全く分からない美子は
首を傾げると、「ど、どういうこと・・・ですか?」とゆっくりとした口調で聞いた。
すると、廉は「ふぅ」と息を吐いた後、何も言わずに美子のベッドサイドまで歩いていき
「やっぱ、覚えてねーか・・・。風邪だ。風邪。」
と美子のおでこに人差し指をトントンと当てながら言った。

「か・・・ぜ?え?な、何で・・・廉さんがその事・・・知ってるんですか?」
柊にも隠していた風邪の事をどうして廉が知っているのか、まだ理由が分かっていない美子はおどおどしながら小さな声で廉に告げる。
「たく、俺の目の前で倒れたのはどこの誰だ?・・・・よし、大分熱も下がったみたいだな。」
呆れ模様の表情を浮かべながら淡々と言葉を発した廉だが、おでこに手を当て、熱が下がってきた事を確認すると、安堵の表情を浮かべる。
そして、先ほどの廉の言葉で、ようやく自分が廉の事を追いかけて、その後、廉の目の前で倒れた事を思い出した。
「あぁ!あ、あの・・・わ、私・・・ご、ごめんな・・・」
廉に迷惑を掛け、申し訳ない気持を抱き、その場で謝罪しようとしたが、その言葉を途切れさせるように廉が
「良いから。ほら、お粥。これ食って少し休め。」
と、茶碗に盛ったお粥を手渡した。
「で、でも・・・わ、私のせいで・・・。」
「それは良い。今はお前の体が第一だ。それとも、俺のお粥は食えないって言うのか?」
「い、いえ・・その・・・あ、ありがとう・・・ございます。」
わざとらしく少しだけ怒った表情を浮かべる廉に、その廉の行為に感謝の思いでいっぱいの美子は、少しだけ笑みを浮かべると、両手で茶碗を受け取る。
素直に茶碗を受け取った姿を確認すると、にこと見えない様に微笑みを浮かべて美子のことを横で見守り続けた。
51ただ見てほしいだけ 4:2011/12/25(日) 23:34:28.99 ID:uSOovqak
美子がおかゆを食べ終え、薬を食べ終わるまでにここまでの事を色々と話した。
と言っても、伝える事は勇気に美子が倒れてたから、柊と今日の仕事をやってくれと言う事だけだったが。
それを聞くと、美子は何度も「すいません!私なんかのために・・」と、少し弱腰で謝ってきたが、それに対しては何も答えなかった。

答えなかったじゃない。答えられなかった。
本当にお前の事を考えたなら、勇気じゃなくて柊に伝えるべきだと分かっていたから。
もう、止められない。どんな手を使ってでも・・・例え、最低な人間になり下がってでも
お前に俺だけを見させてやる・・・・。

「ふぅ・・・廉さん。ありがとうございました。もぅ・・・大丈夫・・・って・・あれ?」
廉に渡された粉薬を飲んで数十分。美子の体に変化が訪れた。
体の奥深くからどくどくと鼓動が速さを増し、だんだんと体が熱くなっていく。
その熱さが体全体に広がって行くほど、手や足、体全体に力が入らなくなる。
そのため、起していた上半身が、お辞儀をしようと前に倒そうとしたのとは全くの逆側へと倒れて行ってしまう。

ぼふ!

美子の体がベッドの上に沈み込む。
そして、1秒1秒体が時を刻んでいく度に体の自由が利かなくなっていく。
意識がもうろうとして行ってしまう。
「れ・・ん・・・さん?」
直線状に映る廉の姿を捉え、恐る恐るその名を呼ぶ。
すると、その名前を呼んですぐに、廉の体が美子の上に被さっていた布団を剥ぎ取り
パジャマ姿の美子の上に覆い被さった。

「れ・・れん・・・さん・・・?」
もう一度、すぐ目の前に居る人にその名を呼び掛ける。しかし、何度呼んでもその人は返事をしてくれない。
どういう事なのか本格的に分からなくなってくる。どういう状況なのかすら、朦朧とした意識の前では把握できない。それが一層不安感を増幅させる。

そんな中でも沈黙を続ける廉。
窓の外でざーざーと降り続ける雨粒の音だけが照明の付いていない薄暗い部屋中に響く。
そして、その廉がようやく示した最初の反応。

それは、美子の唇を奪うという行為だった。

「!!!」
はっきりとしない意識の中でも、唇に当たる違和感に何があったかはすぐにわかる。
(どうして・・・廉さんが?)
驚きのあまり目を丸くし、どうしてこんなことになっているのか分からなくなる。
(どうして・・・廉さん?)
触れるだけの軽い口づけの間、すぐ目の前で自分の唇を奪った廉に胸の中で何度も叫ぶ美子。
その言葉は虚しく・・・・心の中で響くだけだった。
52ただ見てほしいだけ 5:2011/12/25(日) 23:35:00.48 ID:uSOovqak
口づけを終え、すぐに美子は力の入らない右手で廉の体を引き離そうと手を伸ばす。
けれど、その手は廉の体に届く前に、廉の左手によって阻止される。
「どうして・・・こんなことを・・・するんですか・・・・。」
「・・・・・。」
涙で潤んだ声と瞳に、直視していた視線を逸らした廉。
「どうして・・・。私が・・・柊さんの事・・・好きだって・・・。」
「知ってる・・・。」
「じゃあ・・・どうしてですか!何で、何で!!」
「・・・・・。」
外で響く雨音をかき消すほどに大きな美子の声が部屋中に響く。
そんな美子に対して、廉は小さく「媚薬」と呟いた。

「え・・・今・・・何て?」
「さっきお前が飲んだ粉薬・・・。あれ、薬は薬でも別の薬だ・・・。」
「どういう・・・こと?」
「お前でも分かる様に教えてやる。」
そう言うと、再び美子の体に顔を近づけ、首筋の辺りに口を当てると
真赤な痕がつく様に力強く吸い上げた。
「んぁぁぁぁぁ!!!」
その瞬間、美子の生々しい喘ぎ声が発せられる。

先ほどまで感じていた熱さ。その熱さが廉の行動により数倍にも跳ね上がり、体に強烈な刺激が走りまわる。
それと同時に一定間隔で刻み続けていた鼓動が、掻き乱される様に不安定に、それでいて激しさを増していった。

喘ぎ声が聞こえ終わり、首筋に着いた真っ赤な痕を人差し指で確認した後
廉は悲しそうな表情を浮かべながら美子の顔を見つめた。
「わかったか?柊といつもやってる行為が数倍良くなる薬だ。」
「んはぁ・・・んん・・・。れ、ん・・・さん・・・。」
「・・・・・・・・好きだ・・・。」
「・・・・んぇ・・・?」
廉の言った言葉。その言葉は雨の音によってかき消される。
そのため、美子にはその言葉のほとんどを聞きとる事が出来なかった。

廉は「ふぅ」と息を吐き捨てるとポケットから目隠しと赤い紐を取り出し
それをそれぞれ美子の両目と身動きをとれない様に両手に縛り付ける。
その間、手を暴れさせるなどと言った抵抗を見せた美子だったが、力が入らない現段階では微々たるものにしかならなかった。
53ただ見てほしいだけ 6:2011/12/25(日) 23:35:37.53 ID:uSOovqak
「んや・・・・しゅう・・・さん・・・。」
目隠しをされ、一時的な暗闇の世界が広がる中、愛する人の名を一心に呼び続ける。
その様子を見ていた廉は、落ち着いた口調で、それでいて力強い口調で
「あいつのことなんて・・・・忘れろ・・・。」
と言うと、今も柊の名を呼び続ける唇に深い口づけを交わす。

美子の口の中に滑り込む廉の舌は、逃げ回る美子の唇を確実に追い詰め、しっかりと絡まる様に捉え続ける。
こんな事をされていることに涙を零して意志を表現することしかできない美子は
柊に合わせる顔がないという事と、強引な行為なのにそれに反応する自分がいる事を悔しく思う。
そんな美子の気持ちなどいづ知らずの廉は口づけを交わす間、
美子の身に纏うパジャマを破り捨て、さらにその下に纏っていたシャツもビリビリという鋭い音を立てながら破り捨てる。

「んぁぁ・・・んぁ・・。」
ようやく唇が解放されると、気の抜けた弱弱しい声が外に漏れる。
しかし、媚薬によっていつも以上に敏感に反応する体に意識は追い付いてはいない。
体に走る刺激が強すぎて、ただキスをされただけでも頭の中がぐしゃぐしゃにされて行くのが分かる。
(柊さん・・・ごめんなさい・・・。)
この行為から逃れる術はない。ただただ、涙を零し続けるしか・・・・出来ない。
それが、今の美子の頭の中に残る・・・・唯一の想いだった・・・。

口づけを終え、涙を流している美子の姿に廉はもう胸を痛める事はなかった。今の廉にはここに至るまでの経緯など関係ない。
どんな愛でも、どんな形でも良い。今、俺の目の前に美子がいる。
今、こいつは誰も見ていない。だけど、それで良い。それだけが、今の廉の全てだった。

破り去られた衣服の下から現れたのは、熱により赤みを帯びた双房とその上に立つ頂点だった。
「はぁ・・・はぁ・・・」と息を荒げる美子を一度だけ見ると、廉は左の房の頂点に齧り付く様に吸い始める。

「んぁ!ぃやぁぁ!んんんん!」
吸い上げる際にビクビクと反応させる体と発せられる言葉は全く逆の意味を示していた。きっと、それはどっちも間違っていない。どっちも・・・こいつの意志なんだと。
だからと言って廉は行為を止めようとはしない。
口の中に含んだ頂点を弄ぶように何度もころころと転がしたり吸い上げたり
そして、それと同時に手薄になっている右側の房を右手で鷲掴みに、緩急をつけながら、時折頂点を刺激させていた。
その行動一つ一つに美子は嬌声を上げ、顔を横に何度もふってこの刺激から逃れようとしていた。
(お前は・・・・今、誰の事を想ってる?)
分かりきった問いかけをしながら、それでも自分の気持ちを抑えられない廉は
房から口を離すと、体のいたるところを吸い上げ、真赤な薔薇の花弁のような痕を付けながら下の方へと顔を移動させていく。

「んぁぁ・・・いやぁ・・・しゅぅ・・・さん・・・。」
「言っただろ?あいつのことなんて忘れろって・・・。」
「しゅぅ・・・さん・・・。」
美子の秘部付近からそう告げるが、美子に俺の言葉は届かず、ずっと柊の名前を呼んでるだけ。
その心に・・・俺は・・・居ないんだな・・・・
54ただ見てほしいだけ 7:2011/12/25(日) 23:36:17.02 ID:uSOovqak
分かっていた。こんな事をしても・・・俺が辛くなるだけだって。
歪んだ愛で、疚しい想いで・・・お前を振り向かせられないって・・・わかってた・・・。
けど・・・分かってほしい。これが最後だ。全て終わったら・・・・もう二度と・・・
お前への想い・・・忘れるから・・・。

ベッドの枕付近に出来あがった涙による染みの他に、一粒だけ小さな染みがパジャマのズボンの部分についてすぐに、美子が纏っていたズボンと下着を同時に下ろされる。

脱がされた下着の下に、既に美子自らの愛液によって水浸しになった秘部が露わとなる。
廉は美子の様子を確認せず、何も言わずに秘部にしゃぶりついた。

「ぁぁぁ!んぁ!いやぁぁぁぁぁ!!」
秘部から溢れだす愛液を啜る音とが聞こえると、その後に続く様に美子の絹を裂く様な声が聞こえる。
啜れば啜るほどに溢れ出る愛液を廉は全て飲み干す。その度に美子の体はベッドの上で大きく仰け反る。

愛液を全て啜り終えると、右手の中指と人差し指を濡れる秘部の中へと押し込む。
「んぁ!んぁ!だ、駄目!いや!いやぁ!」
侵入すると、美子は大声で叫び、首を勢いよく横に振っていた。
けど、その態度とは対照的に秘部は俺の指を締め付ける。
内部で指を暴れさせ始めると、すぐさま美子の顔のすぐ横に自分の顔を近づける。

「おい・・・本当に嫌なのか?」
「んぁ!いや!いやぁ!」
「じゃあ・・・何でこんなに濡れてんだ?」
嫌がる美子に、自らのあそこが水浸しである事を知らしめる為にぐちゅぐちゅという水音が響く様に指を激しく動かす。
「んぁ!あぁぁあ!」
「嫌・・・じゃないだろ?いつもされてんだから?」
不敵な笑みを浮かべる廉だが、その笑みが美子には見えていない。
一方の美子は、もう何かを考えて何かを発しているわけではない。
ただ、口から声が溢れ出ているというだけの状態だった。
体は快感に浸り、心までも・・・その快感の虜になりつつある。
もう、何が何だか・・・・・本当に分からぬまま、ただ与えられる刺激に呼吸を荒げて声を出すしか出来ない状態だった。

「んぁ!も、もぅ・・・駄目!駄目!」
秘部から聞こえる音がだんだんと大きさを増していく。
その音の大きさに美子の限界が近付いている事は分かっていた。
「ほら・・イケよ。」
耳元で囁きかける廉。
その言葉に誘導されるかのように、美子はもう一度嬌声を上げると
すぐさま限界を迎え、秘部から大量の愛液がベッドの上に吹き出し、大きな水たまりの様な染みがすぐに出来上がった。

「んぁ・・・ぁぁ・・」
まだ秘部に残る刺激の余韻に浸る美子は、時折甘い喘ぎ声を響かせ続けている。
その姿を見た廉は指を内部から抜き去り、指に付着した愛液を全て舐め上げると
美子の視界から光を奪っていた目隠しを取り、自由を奪っていた紐を解いた。
「んんぁ・・・・。」
目隠しが取れ、目を細めて光を調整する。
大分目が光りに慣れ、目に映った景色は暗い天井だった。
そして、顔を少しだけ上げ、秘部の方へと顔を向けると暗がりに居る黒い影に
「しゅ・・・さん・・・。」と途切れ途切れに名前を呼んだ。
55ただ見てほしいだけ 8:2011/12/25(日) 23:37:18.41 ID:uSOovqak
だが、そこにいるのは柊ではない。そこにいるのは廉だ。
けれど、もう美子にそれを認識するだけの余裕は残されてはいなかった。
半目で虚ろな瞳で廉の姿を柊と間違えるほど、余裕なんてなかった。

「美子・・・・俺は・・・いや、もう良い。何も考えるな。」
何を言ってももう無駄だと判断した廉は、自らの竿を美子の秘部に挿入させ
そして、何度も打ちつける様にして竿で内部を数十分荒した後、自らの欲望を美子の体中にぶちまけた。

途中、既に美子の意識が完全に闇の中へと誘われていっていたが、廉自身も全てを終えるまでそれには気がつかなかった。

(・・・・美子・・・・。)
全てを終え、部屋にあったティッシュで竿に付着した欲望を拭きとり
投げ捨てたジーンズを着直した後に見た美子の姿は酷く汚されたものだった。
両手首に残る紐が縛り付けられたことによる痕に、体中に舞い散る花びらの様に転々と付いている赤い痕。
疲労により苦しそうな表情で眠る姿に、破り去られた衣服が床に散乱している。
そして、へそから胸の辺りにぶちまけられた白き欲望。

「俺は・・・・本当は・・・お前が好きだったんじゃない。
俺を見ないお前に嫉妬していた・・・だけ・・・だったんだな・・・。」
自らの行為を全て終え、自らの愛が歪んだものだと認識した廉は
溢れだす涙を何度も拭き取りながら美子の部屋を飛び出し、雨が降る合宿所の外へ飛び出した。

だが、飛び出したその時・・・・
外で仕事を終え帰ってきた柊と出くわし、そのまま柊にぶつかると、その場に尻もちをついてしまった。

「お、おい・・・廉?大丈夫・・・か?」
雨が降る中、傘を指しながら地面に尻もちをついた廉に手を差し伸べる。
しかし、一向に廉はその手を受け取ろうとはしなかった。
何かがおかしいと感じた柊は、廉のすぐ近くにしゃがみこむと
「何か・・・あったのか?」
と廉が濡れない様に廉の上に傘を移動させた。

「俺・・・あいつの事・・・傷つけた・・・。」
ぽたぽたと髪の毛の先から雨粒が零れ落ちる中、俯きながら廉が沈黙を破った。
何の事を言われたか分からない柊は
「誰を・・・?」と聞き返す。

「美子の事・・・傷つけた・・・。赤い痕を体中に付けて・・・それで・・・。」
「!!!」
弱弱しく発せられた廉の言葉を聞き、怒りを抑えきれなくなった柊は
手に持っていた傘を地面に落とし、両手で廉の胸座を掴むと
「何でそんなことした!!」と声を荒げて追究した。
56ただ見てほしいだけ 9:2011/12/25(日) 23:37:44.77 ID:uSOovqak
「何で・・・・あいつの風邪・・・気付けなかった・・・?」
激怒する柊に、それでも廉は顔を俯かせ、その顔は濡れた前髪によって確認する事は出来ない状態での発言。
「そうじゃない!何であいつに!」
「違う!あいつの側で!!あいつのいつも側に居たお前が、何でそんな事に気がつかなかった!!」
柊は廉の言葉を無視し、怒鳴り声で威圧しようとしたが
それよりも廉の言葉の勢いの方が強く、柊は廉の言葉に気圧される。
その後、パン!という音と共に廉が柊の両手を振り払うと、柊は身を引き
廉はその場にゆらゆらと不安定な足取りのまま立っていた。

そして、雨が体に打ちつける中、前髪の隙間から柊の事を睨みつける廉の瞳が微かに見える。
「何で・・・あいつの事が好きなら・・・あいつの異変に気付いてやれないんだよ・・・。
だから!だから俺が・・・俺の気持ちが・・・あいつを守りたいって気持ちが抜けきらねーんだよ!!」
「!!!」
その時、柊は初めて廉も美子のことを好きだという事に気がつく。
しかし、柊が次に廉に言葉を発する前に、廉は雨が降る中、闇の中へと走り去って行った。

「廉!」
闇の中へと消えていった廉の方向を見ながら名前を叫ぶが、そこに廉の姿はもういない。
柊はどうしようもない想いのまま、地面に落ちた傘を拾い上げると合宿所の中へ駆け込んでいった。

そして一人、合宿所敷地内の樹木の下で蹲りながら涙を流す廉。
ただ、美子に対してした行為に対する後悔と謝罪の念。柊に対する燃え尽きる事のない怒り。

それをただ、言葉にも声にも出来なかった廉が、ザーザーと降り続ける雨と共に涙を零し続けるだけだった・・・・。
57名無しさん@ピンキー:2011/12/25(日) 23:39:11.80 ID:uSOovqak
以上です。どろどろにしようとした結果、どろどろっていうほどじゃない気が・・←
今回も長文&駄文で申し訳ありませんでした!

それでは、失礼したしました。
58名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 02:38:20.19 ID:uT2EUqYk
>>57
まるで昼ドラGJ!!
このあとどうなったのか気になるけど、これ以上は怖くて知りたくない気持ちもw
59名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 11:47:40.42 ID:IzJs8Qfe
32ですが皆さん凄い
廉さんをスッゴい悪くしたいのになんか可愛くなっちゃうんだよなぁ
ブラック廉さんて難しい
そして柊さんは何て苦悩や切なさが似合うんだろうか
60名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 15:16:16.01 ID:ConLoVd0
ブラック廉さん弱さが見え隠れしてて嫌いになれない…
二作品とも続き期待してます!
61名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 20:05:29.35 ID:oX25FmYD
>>43
廉さん、情熱的だ、ここまでがっつくならレイープまがいでもいいような気がしてきた・・・スマン
柊さんなら、真っ白に燃え尽きて恋の敗者になるのも似合うけど、
廉さんは鬼畜な恋でも成就して欲しいのはなぜだろう?!

>>57
いい!!! ぜひ、この悪人(だけど根はいい奴だ)廉さんの続き待ってます。やっぱり廉さんはハッピーエンドが似合うね、プロセスは何でも。

>>59
ブラックプリティ廉さんも是非。いや、柊さんファンなんで、ブラックの横にグレーな柊さんも添えて欲しいw
「柊」と書いて、「愁い」と読みます。「憂い」も似合うな・・・
62名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 23:46:33.60 ID:Y8YvsiHo
>>57
これ、事後の美男の姿を見た柊さんの反応が読みたいw
廉にやられっぱなしの状態のまま気失ってるんだよね>美男
柊さんがその姿見たらショックだろうな〜
63名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 23:53:26.79 ID:uT2EUqYk
>>62
事後の展開が怖いw
柊さんが美子の傷を癒すのか、美子が心に深い傷を抱えたままになるのか…
64名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 00:35:35.90 ID:NAv2ALf+
柊さん、マジで廉さんに復習しに来そう。
つーかこんなバンドが実際あったらちょっとイヤだww
いっそ勇気が漁夫の利的に美子とくっつくトンデモ展開とか面白いかも。
65名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 01:34:25.24 ID:is20zJzu
ブラックな流れの中、すみません。軽い話を書いたので投下します。
廉美子、エロあり。以前に書いてた勇気RINAの設定を持ち込んでみましたw
美子の帰国後、半年といったところでしょうか。
66ガールズトーク1:2011/12/27(火) 01:35:40.21 ID:is20zJzu
勇気とRINAが結婚してから約1年後、待望の女の子が誕生した。
「愛」と名づけられ、A.N.JELLのメンバーや事務所の面々にも可愛がられてすくすくと育っている。
勇気の可愛がり様はまさに親バカ。目だけではなく、耳に入れても痛くないと豪語するほどだった。

美子が帰国してから廉と一緒に住んでいるマンションに、RINAが愛を連れて遊びに来た。
「RINAさん、いらっしゃい!愛ちゃんも!今日もかわいい〜」
「愛ったら、昨日からなかなか寝付かないのよ。美子に会えるのが楽しみだったのかもね〜。ハイ、これ」
来る途中にある有名店のロールケーキを玄関先で渡し、RINAは抱っこ紐を外した。
「私も、すっごく楽しみだったんです!赤ちゃんって本当にかわいい…」
「ま、色々大変だけどね…それよりやっぱりかわいいからさ、頑張れちゃうわ」
そう話していた所に、再度チャイムの音が鳴った。
「NANAさん、いらっしゃい。RINAさんもう来てますよ」
「お邪魔します。あ、RINAさん!愛ちゃん!」
今では美男の恋人となり、美子とも打ち解けたNANAはオフの日に遊びに来ることも多くなった。
そして意外にも子供好きで、愛にもメロメロになっている。
生後数ヶ月にも関わらず、勇気とRINAに似たからか愛は明るく元気に笑うので周りの大人も
自然に笑みがこぼれてしまう。
67ガールズトーク2:2011/12/27(火) 01:36:13.43 ID:is20zJzu
「あぁ〜いいなぁ…私も子供欲しいな」
NANAが愛を抱っこして呟いた。
「私も、欲しいです…」
美子も、愛の顔を覗き込んで言う。
「あんた達は、今すぐってわけにはいかないしねぇ…」
A.N.JELLやNANAの立場を考えれば、致し方のないことではあったがRINAは自分だけ抜け駆けしたような気持ちになり、少しだけ申し訳なく思った。
「ま、若いんだしさ。将来はいくらでも産めるって!」
「そうですね…。私、3人くらい欲しいです」
美子は、将来の自分の家族を思い描いてうっとりした表情を見せた。
「あたしもさ〜、せめて2人は欲しいと思ってんだけどねぇ…」
ロールケーキをフォークで突きながら、RINAは浅くため息をつく。
「勇気さんみたいにいいパパなら育児も手伝ってくれるし、いいじゃないですか。ねぇ、愛ちゃんも兄弟欲しいよね〜?」
NANAが愛に語りかけ、何の問題があるのかと、不思議そうにRINAの顔を見た。
「そりゃ、父親として申し分ないのよ。愛がちょっとでもグズると…すぐ自分があやそうとするし、おむつだって夜中でも替えてくれるし」
「さすが勇気さんですね!」
美子がお茶のお代わりを淹れながら言うと、RINAは突然声を潜めた。
「…でもアイツ。あの最中でも、すぐやめちゃうのよ…」
「「…えっ?」」
68ガールズトーク3:2011/12/27(火) 01:37:44.20 ID:is20zJzu
愛を寝かしつけ、夫婦だけのゆったりした時間が流れる夜。
RINAは台所の片付けを終えて、勇気の待つベッドに潜り込む。
毎日の家事や育児の疲れも、勇気に優しく抱きしめてもらうだけで癒されていく。
「勇気…もう愛、ぐっすり寝ちゃったね」
「そうだね、かわいい顔して寝てる…あ、毛布もう一枚かけとく?」
「大丈夫よ。ねぇ、今だけ…愛じゃなくて、あたしを見てよ」
「RINAさんも、子供みたいだな」
ははっ、と笑って勇気はRINAに口づけた。
同時にパジャマの中に勇気の手が滑り込み、背中からお尻にかけて撫でられる。
腰を浮かして、その手を受け入れていくとすぐに秘所へと到達した。
ぬるりと容易く指が入り、中の壁をかき回されると
塞がれた口のすき間から「あぁっ…ふっ…」と声が漏れる。
「感じすぎだよ…」
「だぁってっ…あっ…ん!」
RINAは久しぶりの快感に身を任せ、少し大きな声が漏れる。
産後に大きくなっている胸元にも温かな舌を這わされながらRINAが絶頂を迎えようとした時。
「…ぁ…うぇ…」
「愛〜どうしたぁ?」
ベビーベッドの中で眠っていた愛が、小さく声を漏らす。
夜泣きというより、身体を捩って少し声が出ただけなのだが、勇気はすぐにその声に反応して
RINAをベッドに残したまま一目散に愛の元へ駆け寄って抱き上げ、あやし始めた。


「って感じでやめたことが…もう続けて5回もあったんだよね…なんか続きする気も失せちゃうし」
RINAは、呆れたような口調で話し終えた。
「いいパパ過ぎるのも、ちょっと問題なんですねぇ…」
「あ、でももう少し愛ちゃんが大きくなれば、大丈夫ですよ」
NANAと美子はRINAを慰めつつ、その状況を思い浮かべて苦笑した。
69ガールズトーク4:2011/12/27(火) 01:38:52.66 ID:is20zJzu
「ま、あたしのことは別にいいのよ。あんた達は?どうなの?」
イタズラっぽい顔でRINAが聞く。
「私は…そっちのほうは相性良いから。お互い忙しくて会う時間が少ないのだけが悩みですよ〜」
NANAはお茶を飲みながら、美子のほうへ向き直った。
「ね、美子は?廉とどうなのよ?」
「ど、どうって…」
昔に比べて、その手の話にもついて行けるようになっていた美子も、
自分達のこととなるとさすがに口に出すのは恥ずかしい。
「ベッドでは廉って、優しい?それとも強引?」
RINAも興味津々の様子で目をキラキラさせて聞いてくる。
「えっと、優しいです…すごく」
顔を赤らめつつも、美子はいつもの廉との夜を思い出して答えた。
「そりゃ〜ご馳走様」
「もう、なんかムカつくんですけど〜」
微笑む美子が本当に幸せそうで、RINAとNANAは笑いながら茶化した。
「あ、でも私…悩みじゃないけど1つ気になることがあって…」
「ん?」
「その…終わるまで、どのくらい時間かかりますか?」
美子が、かねてから持っていた疑問を2人にぶつけた。
「どのくらいかなぁ〜?イチャイチャし始めてから、って考えると…1時間弱?」
「そうねぇ、そのくらいかもね」
ウン、ウンと頷き合う2人に、美子は思い切って尋ねた。
「その、実際に男性と…繋がってからは…?」
顔を真っ赤にして、小さな声を絞り出す。
「あぁ〜そっからだと…10分とか?計ったことないけどそのくらいかなぁ」
「そう、ですよね…」
冷めはじめたお茶を飲み、美子は俯いた。
「え?なになに?もしかして凄く短いの?」
「あ…はぁ…」
「どれくらい?」
RINAもNANAも、身を乗り出して美子に食いついた。
「多分…1分ちょっと、とか。私は、なんだかわからないうちに終わってしまう感じで…」
「まぁ、そういう人も…いるからね」
「あの廉が…なるほどねぇ」
美子から発せられた思わぬ会話に、2人はやや苦笑する。
「あっ、それ以外はちゃんと時間かけてくれるんですけど…!」
「美子、男ってデリケートだから…ましてや廉だし…。
 早漏だとか言っちゃダメよ?自信失くすから」
RINAが真剣にアドバイスした。
「ソウロウ…って言うんですか?そういうの」
「そうよ、あと短小とか包茎もダメよ」
「タンショウ…ホウケイ…」
「あ、それはね…」
スヤスヤと眠る愛の横で、次々に知らなかった言葉を2人に教えられ、
美子は最後に「勉強になりました!」と力強く頷いた。
70ガールズトーク5:2011/12/27(火) 01:40:20.37 ID:is20zJzu
その夜。美子は夕食を食べ終えた廉に、昼間に撮った愛の写真を見せていた。
「愛ちゃん、また少し重くなってて目もパッチリして可愛かったですよ〜」
「こうやって見るとだんだん、勇気に似てきたな」
「どっちに似ても、絶対美人ですよね」
天使のような笑顔を振りまいている愛を抱く美子の写真に、いつかの未来を思い描いて廉も頬が緩む。
「私はいつか、廉さんみたいな男の子が欲しいです…」
「アホか。絶対お前に似た娘のほうがいいだろ」
デジカメの小さなディスプレイを覗き込んでいるため、2人の顔が更に近づく。
「じゃあ、どっちかを作る練習でもするか?」
「え?…ぅんっ」
座っていた廉が立ち上がりながら、美子の唇に自分のそれを重ねた。

デジカメをテーブルにそっと置いてから廉の手は既に美子の服の中へと侵入し始める。
「ぁ…ん」
喉の辺りから鎖骨まで、何度も口付けられて美子はゾクリと震えて力が抜けた。
2人は寝室のベッドへ向かいつつも身に着けている服を1枚ずつ剥ぎ取る。
互いに下着姿になったところで、洗い立てのシーツの上へと横たわった。
「ん…ふっ…ぅ」
美子は覆いかぶさる廉の重みを心地よく感じて、口内へ入ってくる舌の動きに応える。
そして露わになる柔らかな乳房を優しく揉みながら、廉は胸元から徐々に下のほうへ、舌を這わせた。
わき腹やヘソを生温かい感触が襲うと、美子はくすぐったさで身を捩る。
「こら、逃げるな」
「だって…ぁ…んっ」
廉が存在を主張する胸のてっぺんをパクリと咥えて捏ね回すと、美子から甘い声が漏れてきた。
71ガールズトーク6:2011/12/27(火) 01:41:35.95 ID:is20zJzu
廉に時間をかけて上半身を愛撫されると、美子は熱くなった自分の中心がもどかしく、脚をもぞもぞと動かした。
「廉…さぁん…っ」
「…触って欲しいのか」
「あ、えっと…その…」
これまで何度も抱いてきたというのに、まだまだ初々しい反応を見せる美子が愛おしくて廉は
美子の額にチュ、と音を立ててキスを落とした。
それを皮切りに、身体を覆う最後の1枚をするりと脱がせる。
美子が軽く膝を立てて脚を開き、廉が割れ目に沿って撫でるだけでトロリとした愛液が長い指を伝った。
一気に中へ指を入れて角度を変えながら内側の壁を擦っていくと、美子は
気持ちのいい場所に触れた時に何度も嬌声を上げた。
その声を頼りに、廉が手の動きを速める。
「あっ…ぁんっ!あっ…んんっ!!」
ずんずんと襲ってくる快感の波が高くなり、美子は絶頂を迎えてふるふると身体を震わせた。
頬が上気して、とろんとした瞳で見つめてくる美子の艶やかさに、廉は更に欲望を刺激される。
しっとりと柔らかな唇に、再び自分の唇を重ねてから廉は避妊具を装着した。
「…ょしっ、いくぞ」
「あ、はい…」
大きく脚を広げて廉を秘所に受け入れる準備をすると、美子は部屋の時計を横目でチラリと見た。
その瞬間、じわりと廉のものが挿入される。「はぁっ…」という廉の大きな吐息が漏れた。
「美、子…っ、ぅ、くっ」
名前を呼ばれてから、美子は廉の背中に腕を回して抱きつこうとするが。
「ぅ、あっ…!」
びくん、と体が震えて、廉は自分の精を吐き出した。
美子が抱きつく間もないままの時間だった。
さっき、時計を見たときが9時5分…今は、9時7分…。
美子は、やはりかなり短い挿入時間であることを確認した。
72ガールズトーク7:2011/12/27(火) 01:42:24.71 ID:is20zJzu
「やっぱ、ミミズには勝てねぇな…」
「え…?ミミズがどこにいるんですかっ?!」
急に変なことを言い出した廉に驚いて、美子は素っ頓狂な声を上げた。
「あ、いや…。お前の中っつーか」
「私の中?ヤダ、早く出してくださいよっ!!」
焦ってジタバタする美子に、廉はブッ、と噴き出した。
「そうじゃなくて。お前は多分、ミミズ千匹っていう形のモンを持ってるみたいでさ」
「ミミズセンビキ…?」
「お前の中に入ったとき…すっげー絡み付いて動くから、俺が長く持たないんだ」
目をパチクリさせている美子に、真面目に説明する自分がなぜか
恥ずかしくなってきて廉は顔を赤くした。
「って、こんなこと俺に説明させんな!」
「はい…。ん?でも私が原因ってことは、廉さんはソウロウじゃないんですかっ?」
「アホか!違うっ…!って、お前…そんな言葉どこで覚えた?」
まさか美子が、早漏という言葉を知っているとは思わず、廉は驚く。
「あ、ちょうど今日覚えました!でもどうしよう…廉さんがソウロウだって誤解されちゃった…」
「…はぁ!?まさか…お前!!あいつらにっ?」
「廉さん、ごめんなさいっ!!」
怒りと羞恥で呆然とする廉に、美子はひたすら謝り続けた。
「今度ちゃんと、誤解だって言いますから!私がミミズなんとかだから…って」
「んなこと言うな!…でも俺が早漏だと思われるのもシャクだな…いや、しかし…」

早漏だと思われたくは無いが、かと言って再度その類の話を繰り返されることは避けたい。
廉は悶々と、眠れぬ夜を過ごした。
その悩みの張本人は隣で静かな寝息を立てていたが、そのあどけない寝顔をしばらく見つめてから、
廉も静かに瞼を閉じた。
73名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 01:46:59.93 ID:is20zJzu
1ヶ月ぶりくらいに書いてみたらこんなモノにw
廉さんイジメは楽しい…。お粗末さまでした
74名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 08:11:06.09 ID:x1nMXJIV
書き手の皆さんいつもありがとう 全部GJ!
ブラック廉さんもイジメられる廉さんもどっちもステキw

>>73
ここでの柊さんが今どうしてるのかハゲしく気になるw
愛ちゃん&未来のJrたちとの年の差愛とかあったらスゴイ
75名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 09:58:56.04 ID:4k94sIuP
>>73
何気に時計見て確認する美子に吹きました
廉さん、コンドーム2枚重ねたら…あ、いや、何でもないです
76名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 12:38:10.52 ID:4k94sIuP
>>74
愛ちゃん5歳くらいで「柊」呼び捨て
勇気「柊おじさん、だろ」 「でもママは柊って読んでるよ」
柊さん、きゅんきゅん、みたいな…連投すみません
77名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 19:30:09.82 ID:RpyTA2QH
>>73
弄られて本領発揮の廉さんw 廉美子カップル、愛されてる!
みんなに見られて、いえ、見守られれてますね。

ここでの柊さん、まだ産まれてもいない、ナナ美男Jr&廉美子Jr 両手に花、どっちにしようか迷ってるかもw
『柊・おじさん」なんて、嫌だ〜、アイドルバンドは、何歳になっても、お兄さんじゃね?
永遠の二十歳ということで。
78名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 22:17:48.74 ID:VsCU1MRo
>>73
勇気RINAの幸せそうな後日談が見れて大満足w
そして、RINAさんによって色んなワードを覚えさせられた美子に弄られる廉さんww
読んでて和やかな気分になりました!お疲れ様です。

DT柊です。前回のブラック廉さんに感想くださった方、ありがとうございました!
現在、続きを書いているのですが、ブラック廉さんというか柊さんが壊れてしまい
カオス柊さんになってしまいました。暴力振るってしまいましたし←

黒歴史的作品となること間違いなしですが、出来次第投下します。
しばしお待ちください。
79名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 22:41:36.78 ID:LLFsPEag
DT柊さんの話の続き?廉さんもでてくるの?
80名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 22:42:54.13 ID:Hhku3yXn
あーあっ
81名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 22:52:07.43 ID:Hhku3yXn
ごめん 送信しちゃった。
あーあっ廉さん早漏の噂が勇気経由で流れそうだw
恐るべしガールズトークww
82名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 23:08:48.19 ID:X2FpM/Mi
>>73
ガールズトーク7のところ、ふたりで言い合ってる姿想像したらすごい笑ったw
廉美子は可愛いねぇw

>>78
DT柊さんの続きが読める!>>56の続きですかね。待ってますー
83名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 23:45:10.43 ID:qJfERvxs
>>73です。皆さん感想ありがとう!楽しんでもらえて嬉しいです。
この世界の柊さん…新しい恋しててほしいけど、やっぱ将来は歳の差婚ですかねw
>>76さん、それ萌えるわ・・・w
84名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 00:22:03.87 ID:ARdVeoaN
DT柊です。夜分に失礼します。
>>48-56の続きが完成したので投下します。
廉×美子 エロなし カオス柊あり 少しだけ暴力シーンありとなっております。
特に純粋な柊さんファンの方は読まない事をオススメします。
それでもOKだという方は、読んで頂けると嬉しく思います。
85過去と未来 1:2011/12/28(水) 00:23:04.54 ID:ARdVeoaN
「美子!!」
外で振り続ける雨によって体中がずぶ濡れの柊が開かれたままの美子の部屋へ飛び込む。
照明が一つも付いていない部屋。外で振り続ける雨の音が悲しげに響いているのと微かに香る精の臭い。
そして、窓の外で光る雷により一瞬だけフラッシュバックの様に映しだされた光景に柊は息を飲んだ。
何故なら、そこには何も身に纏っていない美子の無残にも変わり果てた姿が横たわっていたからだった。

柊はその姿を目に焼き付けると、一目散に美子が横たわるベッドの横に向かい
美子の近くに辿り着くと、ぐったりと力の入っていない美子の体の下に両腕を潜らせて抱き上げる。

「・・・・しゅ・・・さ・・・ん?」
すると、持ち上げられた僅かな衝撃に意識を失っていた美子がゆっくりと瞼を開いた。

「美子!!大丈夫か!?」
「しゅぅ・・さ・・ん。い、いや!!」
目覚めた美子をそのまま自らの胸の中に抱き寄せようとしたが、美子はそれを拒むように
目を見開くと両手で柊の体を後ろに押し倒し、柊がいる方とは逆の方のベッドサイド側に落ちていた掛け布団を体に巻きつけるように纏う。

「美子・・・・。」
予想もしていなかった美子の行動に情けない声が部屋に小さく響く。
「ごめん・・・なさい・・・。ごめんなさい・・・・。」
虚しく響く柊の声を聞きながら、美子は部屋の隅で小さく丸まりながら小刻みに震えていた。
まだ・・・・廉にされたあの行為が頭の中で鮮明に感覚として残っていたから。
瞳でその行為を見たわけではない。けれど、体中に刻まれた赤い痕が、体中に付着する白き欲望が
誰の助けもない恐怖の時間を再び頭の中に蘇っていた。

大切な人にこんなあられもない姿を見られ、もうどうしたらいいか分からない美子は
部屋の隅で小さな声を出しながら、止まる事のない涙を流し続けていた。
そして、その姿に大切な人を守れなかったという烙印を心に押し付けられた柊は
何か言葉を掛けられるわけもなく、ただ涙を流す美子に近づき、
自分の中に漂う悲しみごと抱きしめる様に抱き寄せ、延々と沈黙を貫きとおした。

もう・・・・俺たちは戻れないかもしれないという・・・・想いを抱きながら。


あれからもう1週間もの時間が流れていた。
もう1週間なのか、それともまだ1週間しか経っていないと言うべきか・・・。
少なくとも、心に深い傷を負う事になった3人にとっては終わりの見えないほどに長い1週間だっただろう。

その間、嘘かと言うほど平穏な日々が続いていた。
ただ、その「平穏」というのは必然的に作られたものだったのかもしれない。

互いの間に深い傷と壊す事の出来ない分厚い壁をあの日の出来事は作り上げてしまった。
3人が3人とも、互いにどういう顔で相手と接すれば良いのか分からないでいたからだ。
特に、廉と美子は異常なほどに互いの存在を避けているように感じられた。

何とかして美子の心の傷を癒そうとした柊だが、美子にとってあの日の出来事は
廉以外でなく、「男性」という存在自体に恐怖心を植え付ける物になってしまった。

そのため、美子は愛したはずの柊の事もこの1週間、自然と距離を置く様に生活を送っていた。

互いに互いを避けた結果、何か大きな揉め事もなく「平穏」な日々が続いていたのだ。

だが、そんな歪められた「平穏」は簡単に崩れ去るのだった。
廉の起こした・・・・たった一つの行動によって・・・・再び。
86過去と未来 2:2011/12/28(水) 00:23:36.32 ID:ARdVeoaN
「なにぃ〜?YOUは自分が一体何をしようとしてるのか分かっているのかぁ〜!?」
A.Jエンターテイメント社長室から聞こえる安藤社長の声は、廉の想いもしなかった行動によって冷静さを失われたものだった。

「・・・・あぁ。わかってるつもりだ。」
社長のデスクの上に置かれた白き封筒。
そこの中に入っていた紙に、「本日限りを持って桂木廉はA.N.JELLを脱退する」という一文だけが書き記されていた。

こんな事を突然書かれてはいくら社長と言えど大慌てしないはずがない。
今、日本どころかアジア中で大人気のA.N.JELLのリーダーが突然の脱退。
そんな事が起これば、マスコミやメディアによって今回の一件を好き放題報道され
最終的には会社に大損害が出るに違いない。
それよりも、今まで我が子の様にここまで育ててきた廉が突然、どうしてこのような事を言い出したのか
社長にとってはそちらの方が深く気になる部分ではあった。

とにかく、社長は全力を持って廉の脱退を阻止しようと説得を試みた。

だが、廉は何度説得されても
「俺自身の力がどこまで通用するか試したい。」
というその一言しか発しない。
こんな言葉の一点張りをされては社長も表情を歪ませ、脂汗を伝わせながら言葉を詰まらせるしか出来なかった。

そして、いたちごっこのようなやり取りに終止符を付ける様に廉は最後に
「本当にすまない。あんたから受けた恩は忘れない。けど、これも俺のけじめなんだ・・・。」
と悲しみと苦しみを滲ませたような暗い表情を浮かべながら、社長室を後にしたのだった。

「廉!おい廉!」
社長室に残された社長は廉の名前を呼んだ後、デスクに置かれた白き封筒を手に持ち
「どうしてお前がこんな事をするんだ・・・。誰よりもA.N.JELLの事を想っていたお前が・・・。」
と言うと怪訝な表情を浮かべ、右手に持った封筒を握りつぶしてデスク付近にあったゴミ箱へと叩きつけた。
87過去と未来 3:2011/12/28(水) 00:24:10.92 ID:ARdVeoaN
(けじめ・・・・。そうやって言い訳をして、俺はあいつから逃げたいだけ。
A.N.JELLを辞めて・・・俺はどうするんだろうか・・・・。)
社長室と階段を繋ぐ通路を歩く中、ふと窓ガラスから見えたあの日とは全く違う青空を見ながら
最後に見た美子の恐怖と涙によって埋め尽くされた表情を思い出し、
自らの右手で胸座の辺りを握ると1分ほどその場にしゃがみこんだのだった。

どうして・・・こんな愚かな事をしたのかと悔みながら・・・。

そして、息を吐き出して心を落ち着かせ、階段を降りようとして立ち上がると・・・・。
すぐ横に真顔の柊が存在していた。

「柊・・・・。」
冷たく睨みつける柊と目が会うと、廉は顔を逸らして俯かせる。
「お前が・・・美子にした事・・・俺は絶対に許さない。」
吐き捨てられた言葉に温かみなどなかった。廉に対する怒りのみがその言葉には含まれている。

柊は廉の腕を掴み取ると、引き摺る様に階段を下へと降りて行った。


だが、その様子を一人・・・・目撃してしまった人間がいた。
桜庭美子。今回の件での一番の被害者。

美子は今日、社長からセカンドシングルの打ち合わせで社長室まで来るように言われていた。
しかし、美子が社長室に辿り着いた時、先に廉が社長と話をしていた。

美子は全てを聞いていた。廉が・・・・A.N.JELLを止めるという事も・・・全て。
その後、廉と社長の話が終わり、廉が社長室から出てこようとしたのを確認すると、社長室の陰に隠れ、去りゆく廉の姿を見ていた。

(廉さんが・・・・辞める・・・?)
だんだんと遠のいていく廉の後ろ姿に、あの日の記憶が蘇っていたが
去りゆく廉さんの後ろ姿が悲しさを纏っているかのように美子には見えていた。

そして、今・・・・柊に引きずられる様にして消えていった廉と柊を姿を目撃し
直感的に何かが起こってしまうという胸騒ぎが鳴り始め、不安のあまりその場に凍り付く様にその場に立ち尽くしていた。
88過去と未来 4:2011/12/28(水) 00:25:03.14 ID:ARdVeoaN
「ん?あれ?美子?どうかしたのか?こんな物陰で?」
不安げに胸元を掴んでいたが、二人がいた場所をずっと遠くから見ていた美子の背後から勇気がやってきて、そっと肩に手を添えた。

「あ!ゆ、勇気・・・さん・・・。い、いえ・・・・そ、その・・・。」
一瞬、心臓が飛び出しそうなほどに驚いてしまい、体を跳ね上がってしまったが
すぐに冷静さを取り戻そうと念じる様に頭の中で問いかけ続けたが、それでも落ち着く事が出来ず
それが言葉と態度に表れてしまい、顔を俯かせながらそわそわと体を横に小刻みに振る。

そんな美子の姿を目の前で見ていた勇気は、何があったのかは分からなかったが
ここ1週間の美子達の様子や、美子の所に来る前に見えた廉と柊の姿、そしてそれを見る美子の姿に、良い事があったわけではないという事は分かっていた。

「ふぅ・・・。」
「あ、あの・・・勇気さん?」
突如、息を吐き捨てた勇気に首を傾げる美子。
「いや・・・。な、なぁ・・・美子?」
「な、何ですか?」
「・・・廉さんと柊さん・・・それと美子・・・何かあった?」
その言葉を言い終えた後、美子は心を読まれたかと思うぐらいに驚き、俯かせていた顔を咄嗟に上げ、勇気の顔を見つめた。
勇気の顔はここに来た時の明るい笑顔とは違い、真剣な表情を浮かべて美子の方へと視線を送っていた。

「な、何で・・・・そう・・・思うんですか?」
「・・・はぁ。3人の最近の様子見てたら分かるよ。廉さんと柊さんとは付き合い長いから、何かあればすぐに分かるし
美子の事だって、まだ長いっていうほどの付き合いじゃないけど、ここ最近の浮かない顔を見たら誰だって分かるよ。」
勇気の言う事は正しい。3人の中で問題が起こったという事は。
けど、勇気にこの問題を言う事は出来ない。言えるはずもない内容だから・・・。

「え・・・っと・・・な、何も・・・・」
何とか話を誤魔化そうと、恐る恐る口を開きだす。
だが、勇気は美子の言葉を全て聞き終える前にもう一度そっと肩に手を添えた。
「2人の事・・・・心配なんだろ?早く行きなよ。このままじゃ、本当に何か起きちゃうよ?
俺には何があったかは分からないから何とも言えないけどさ・・・。美子、ここで二人の所に行かないと後悔すると思う。
だから・・・・何もしないで後悔するより、全力を尽くして後悔した方が絶対いいと思うぞ!!」
「勇気・・・さん。」
美子が見た勇気の顔は優しい笑顔を浮かべていた。その笑顔に美子は少しだけ勇気づけられる。

目を逸らしちゃいけない。辛いけど・・・このままじゃ何も解決できない。
苦しいからこそ・・・・頑張らなきゃいけないんだと・・・・。

「勇気さん・・・・すいません!!」
二人の許へと向かう決心が出来た美子は勇気に一度笑みを浮かべると、深々とお辞儀をし
二人が消え去って行った方へと走り去って行った。

「たく・・・。廉さんも柊さんも・・・。美子に何したか分からないけどさ・・・
女の子にあんな辛そうな表情させるなよな・・・。たく・・・たく・・・・。」
美子の姿が完全に消え去ったのを確認するとすぐ近くにあった壁に倒れかかり何度も壁を握り拳で叩き続けた。

「俺・・・嫌だからな・・・。皆がばらばらになるなんて・・・・。」
勇気自身も何かを感じ取っていたのか、このままA.N.JELLがばらばらになってしまうんじゃないかと不安になってしまい
その場で数粒の涙を5分ほど流し続けた。
そして、涙で汚れた目元を拭きとった後、自分も美子達が消えていった方へと走り去って行くのだった。

笑ったり喧嘩したり、時には涙したり喜びあったA.N.JELLを
自分が好きなA.N.JELLのために。
89過去と未来 5:2011/12/28(水) 00:25:35.08 ID:ARdVeoaN
時は少々遡り、廉と柊があの場を去ってすぐに戻る。
廉と柊は階段を下りるといつもの練習室へと舞台を移していた。


柊は腕を掴んでいた廉を体ごと壁へと叩きつける様に放り投げる。
廉が壁に叩きつけられた時、ばん!!という鈍い音が聞こえるも、二人は眉一つ動かしはしなかった。

廉はずっと虚ろな瞳のまま俯いていただけで
柊もまた、廉に対する拭いきれない怒りをその瞳に秘めながら、優しさのかけらもない冷たい表情を廉に向けていた。

数秒ほどの沈黙の後、先に柊が重く閉ざされていた口を開き始めた。
「何も・・・言う事はないのか?」
「・・・・。」
「そうか・・・・。何も・・・言うつもりはないみたいだな・・・・。」
反応を示さない廉に更に怒りを募らせた柊は、壁によしかかって項垂れている
廉の胸座を片手で掴むと、空いていたもう片方の手で廉の頬を握り拳で力一杯殴った。

「っ!」
殴られた事でようやく何一つ言葉を発しなかった廉の口から声が漏れる。
殴られた部分を廉は手で触れ確認しようとしたが、それを柊が許す事がなく
無数に降りしきる雨霰の如く、腹筋、脇腹、顔を頻りに殴り続けた。
2分近く続いた柊の連打がやむ頃には、廉の口からは血が吐き出されており、練習室の床には生々しい血が床には飛び散っていた。

「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・・。」
呼吸を荒げる柊の顔には廉の口から吐かれた血が微かについており、左拳は何度も殴り続けた結果により内出血を起こしていた。
そして、煮え切らぬ想いを抱いたまま胸座を掴んでいた右手を離し、廉を床へと突き落とした。
しかし、それでも廉は何一つ言葉を吐く事はない。ただただ、沈黙を守り続けていた。

「何でだよ!!何で何も言わないんだよ!!いつまでそうしてるつもりなんだよ!!」
未だ沈黙を守り続ける廉に苛立ちを感じる柊は怒りで表情を埋め尽くし、声を荒げて怒鳴り声を浴びせる。
すると、いままで何一つ言葉を発しなかった廉がようやく弱弱しい口調で言葉を発し始めた。

「・・・・気が済む・・・・わけ・・・ないよな・・・。
けど・・・お前が・・・それで・・・納得いくなら・・・・やり続けろ・・・。」
俯いているせいか前髪によって殆ど顔が隠されていたが、ぽろぽろと涙が床に広がる廉の血の上に零れ落ちていく。
「・・・そうか・・・。なら、気が済むまで・・・・やっても良いんだな・・・?」
黒い笑みを浮かべ廉を見つめた後、血の滲む左手に力を加えると、しゃがみ込んで再び胸座を掴もうとしたその時・・・。

「廉さん!!柊さん!!」

後から追いかけてきた美子がその場に現れた。
90過去と未来 6:2011/12/28(水) 00:27:16.51 ID:ARdVeoaN
美子が現れ、胸座を掴もうとしていた柊の動きが止まり、呆気にとられたような表情を向けると
「み・・・美子・・・。」
と、表情はそのままに、廉に発し続けていた怒声とは違った優しい声で名前を呼ぶ。
だが、美子はその声に反応する事はなかった。
口元から血を溢れ出していた廉の姿に、美子は悲鳴にも似た高い声で廉の名前を呼ぶと
廉のすぐ近くまで駆け寄って行った。

(何で・・・そんな奴の心配・・・するんだ?)

美子の思わぬ行動に言葉を失った柊は、しゃがませていた体を立ち上がらせると
後退りして廉と美子から体を遠ざけて行った。

「廉さん!廉さん!!」
変わり果てた廉の姿に多量の涙を零しながら必死に廉の名前を呼び続けた。
「み・・・・こ・・・?」
微かに残る意識の中、横に目を向けると虚ろな瞳に涙を流す美子の姿が廉にはぼやけて見えた。

「廉さん!!」
「何で・・・ここにお前が・・・?」
「・・・ごめんなさい。柊さんに・・・廉さんが連れて行かれるのを見て・・・。」
「そう・・・か。なら・・・早く出ていけ。」
壁にぐったりとよしかかる廉に寄り添うように肩に両手を添えていた美子だが
近くにいる美子を力の入らない右手で突き放すと、覚束ない足取りで壁を頼りにしながら立ち上がった。
その姿を心配そうに見つめる美子と、納得のいかない表情で見つめる柊。

(美子が・・・何で美子が・・・廉の事見てるんだ?何で・・・俺じゃない?)
今、美子の瞳に映るのは柊ではなく美子を傷つけた廉の姿が映っている。
心身ともに傷つけた相手を・・・・心配そうに見つめている・・・・。
どうしてそんな奴を見ているのか納得のいかない柊の心は今にも爆発しそうになっていた。

そんな柊が睨みつける中、廉は立ち上がると口元から流れていた鮮血を拭い去り、壁に手を当てながら美子の横を通り抜けていった。

そして、最後に美子の横を通り抜けた時、小さな声で
「悪かった。もう、お前の前には現れない・・・。」
と言葉を残すと、それ以上何も言う事なく練習室から出て行った。
91過去と未来 7:2011/12/28(水) 00:27:43.22 ID:ARdVeoaN
廉の血が残された練習室に取り残された柊と美子。
柊は去りゆく廉を睨みながら、去って行った後は表情を緩め、呆然とした表情を浮かべていた美子に近づく。

「美子・・・あんな奴の事、気にしなくて良いん・・・」
パン!!
「っ!!」
優しい言葉を掛け、優しく頭を撫でようと手を伸ばしたが、美子はそれを拒むように柊の頬を平手で叩いた。

「み・・こ?」
打たれた左頬を抑えながら、閉じた瞳を見開いて美子の姿を見つめる。
呆然とした表情を浮かべていた美子だが、瞼を開いた時に見た美子は下唇を噛みながら
涙を堪えながら柊に視線を向けていた。

「廉さんにされた事は・・・・私、絶対忘れられません。
けど・・・だからと言って、廉さんを傷つける柊さんなんて・・・・そんな柊さんなんて見たくなかったです・・・。」
「な、何を・・・?」
何を言われているのか全く理解できずに美子の言葉を耳に入れ続けていた。
「ごめん・・・なさい・・・・。」
溢れだす涙を拭きとりながら、最後にこの言葉を残すと美子は練習室から走り去って行った。

走り去って行く美子を引き留めようと左手を伸ばしたが、その左手に着く廉の血と内出血を起こしている手
そして、最後に悲しそうに涙を流す美子の表情を思い出すと、手を伸ばすのを止めるのだった。

(・・・俺、何したかったんだろう・・・・。)
分かっていた。廉も美子にした行為に対する責任を感じている事を。
自然に消える事のない傷ではあったが、廉は極力美子を避ける様にあいつにあの日の事を思い出させないようにしていた。
そんな中で・・・俺はちゃんとした話しの場を設けることもなく・・・感情のまま廉を殴り続けた。
俺は・・・自分が最低と思った人間と同じ事をしてしまった。
いや、廉の気持ちを気がつかないで美子と仲良く過ごしていた俺にも責任があったのかもしれない。
廉に辛い想いをさせ続けた。そうさせたのは俺たちなんだ。

結局・・・最後に俺は廉も美子すら・・・・失う事になったんだ・・・・。

「俺・・・・何でこんな事をしたんだろうな・・・・。」
きっと、廉も美子に手を出した時に同じ事を思っていたんだ。
如何してもう少しだけ・・・・心に隙間を作れれば・・・・全てを許す事は出来なくて、こんなことにはならなかった。

その場に崩れ落ちた柊は、勇気が練習室に来るまで血が広がる床を何度も泣きながら叩き続けていたのだった。
92過去と未来 8:2011/12/28(水) 00:28:27.11 ID:ARdVeoaN
練習室から出て行った廉はあの日と同じで屋内駐車場の中を歩いていた。
(今日も・・・雨か。数十分前まで晴れてたのにな・・・・。)
廉が屋内の駐車場に入ってすぐに振りだす雨。遠くを見ると明るい雲が見えたので短時間のものだとは思う。
けど、こうも人の心を表すかのように天気は変わるものなのかと廉は黒い雲が広がる空を見上げてそう思っていた。

(柊・・・お前の幸せを奪った事・・・本当に悪かったと思う。だから・・・もう二度と・・・お前と合わないようにするからな。)

罪を犯した人間はけじめをつけなければいけない。柊にとっても・・・美子にとっても
俺がいなくなることで俺の事を思い出さなくて済むようになる。
これが・・・・俺のけじめなんだ。身勝手だというのは分かっている。けど、許してほしい。

自分の車を目指し、歩きながら最後の最後まで二人に対する謝罪で頭の中が一杯だった。
そして、ようやく目の前に真赤なスポーツカーが見えてきた時、
「廉さん!!」
と言う声が聞こえる。

振り返るとあの日と同じでずぶ濡れになった美子が息を切らして現れた。

「何で・・・追って来たんだ・・・・・?」
(もう会うはずもなかったのに・・・・。どうして、最後までお前は俺の前に来る?)
よろよろの廉は壁に倒れかかると弱弱しく睨みつける。だが、美子は睨みつけられた事に気が付かずに廉の側に駆け寄って行き、体を支えた。

「廉さん・・・ずるいです・・・。自分だけ逃げる様に・・・。」
「・・・・・。」
「何で・・・ですか?」
涙を零し、表情をこわばらせながら美子は聞いてきた。
何が「何で」なのか分からなかった廉は、黙ったまま美子の言葉を聞いていた。

「何で・・・A.N.JELL・・・・辞めるんですか?」
その言葉に廉は耳を疑った。
どうしてお前がそれを知っているのかと。社長以外には伝えていないはずなのに。

「お前・・・何で・・・知ってんだ?」
「・・・ごめんなさい。社長室の前で・・・たまたま・・・。」
「・・・そう・・・か。なら分かるだろ?俺は・・・お前の前にはもう居れない。居ちゃいけない・・・。」
涙を零しながら真剣に廉に視線を送る美子とその視線から目を逸らす廉。
そして、美子は一度息をのみ込んだ後小さく頷いた。
だが、それでも美子は廉に食い下がる様に
「辞めるぐらいなら・・・どうして!?どうして私に・・・あんなことをしたんですか!?
私・・・廉さんに・・・何か・・・しましたか?教えてください!廉さん!!」
と涙声で言い放ち、言い終えるとその場に泣き崩れてしまった。

しばらく、その場に外から響く雨音と美子の泣く声が聞こえていた。
93過去と未来 9:2011/12/28(水) 00:28:59.36 ID:ARdVeoaN
「・・・聞こえて・・・なかったんだな・・・。俺の気持ち・・・。」
3分ほどの沈黙の後、壁によしかかっていた体に力を入れた後、廉はしゃがみ込むと泣き崩れた美子の涙を拭きとった。
「廉さんの・・・気持ち?」
「・・・あの日、伝えたかった言葉。お前には届いていなかったんだな・・・。」
「どういう・・・こと?」
「・・・・こういう・・・事だ・・・。」
涙で歪んだ美子の表情に、弱弱しく微笑みを浮かべた廉は美子の両肩に手を添えると
あの人は違い、優しく自分の唇を美子の唇にそっと触れさせた。

その行為に動揺を隠せなくなった美子は目を見開かせるとあの日とは違い
唇から広がる温かな感触に抵抗することなく廉に自分の身を預け、そっと目を閉じた。

唇が離れていくのを確認した美子は見上げる様に廉の方を見つめていた。
廉はキスを終えると壁をうまく利用して立ち上がった後、小さな声で
「お前が・・・好きだ。」と言うのだった。

「れ、れん・・・さん?」
ぽかんとした表情を浮かべて美子は座りながら廉の言った言葉をもう一度頭の中で再生させる。
「お前が好きだ」と言う言葉を。

「悪かった・・・。お前と・・・柊が仲良さそうにしていたのを・・・俺は見ていられなかった。
それが・・・気がつけば嫉妬心に変わって・・・お前を・・・・傷つけた。
もっと・・・もっと・・・お前に俺の想いを伝える方法はあったのに・・・・俺は感情のまま、それを選択した。
お前を傷つけた俺に・・・もうお前を愛する資格なんてない・・・。
だから・・・俺はA.N.JELLを辞めることで・・・・その罪を償いたいと・・・思った。」
話を進めるほど廉の瞳からは涙があふれ出し、それが言葉を途切れ途切れにさせる。
廉の言葉を受け入れた美子は廉が話しだすと、何も言わずに廉の涙を見ないように目を閉じてその言葉を全て聞いた。

そして、廉の言葉が全て言い終わった後も美子は黙ったまま目を閉じ続けていた。
廉は黙ったままの美子に
「俺のせいで本当に悪かった。本当に・・・・。」
と苦しげな表情を浮かべながら言うと美子に背を向け、自分の車の方へと歩いていった。
94過去と未来 10:2011/12/28(水) 00:32:01.68 ID:ARdVeoaN
「・・・廉さん・・・やっぱりずるいです・・・。」
廉が去りゆく中、美子は目を閉じたまま俯いたまま掠れそうな声を出す。その言葉に廉は歩みを止めて美子の言葉に耳を傾けた。

「・・・・でも、廉さんは・・・・私の中で思っていた通りの人でした。いつも私の事を見守っていてくれた・・・優しい廉さん。
けど・・・私はそんな廉さんの気持ちに気が付けず、気がつかない間に廉さんを・・・傷つけていたんですね・・・・。」
「・・・・・」
「私の中で、あの日の事が消える事はないです。廉さんがA.N.JELLを抜けるのも・・きっと止められないって分かってます。
だから・・・廉さん。一つだけ・・・約束してください。」
「・・・・何だ?」
「・・・・・何年先でも良いですから・・・。もう一度だけ・・・私に会いに来てください。もう一度、さっき言った言葉を言ってください。
廉さんの気持ちが・・・・あの日の事を許すようになったら・・・。
廉さんが来るまでに・・・私も、ちゃんと答えを用意して待ってますから。
私にも・・・廉さんを傷つけた償いを・・・させてください・・・・。」
涙声で今にも消えてしまいそうな声だったが、強い意志を感じられる美子の言葉。
何で・・・・お前はそんなに優しい?どうして・・・こんな俺に・・・・優しくするんだ・・・?

背中を向け続けた廉だが美子の言葉に心を揺さぶられる。
もし、本当に美子がそれを望むなら・・・俺にとっての罪滅ぼしは・・・・それなのかもしれない。

「・・・・・約束は出来ない。」
「・・・けど?」
「覚えておく。本当にありがとう・・・・。」

最後に廉は美子に自分が出来る全力の笑みを浮かべると美子にそう約束して、車に乗って後にするのだった。

美子も涙を拭きとると弱弱しい微笑みを浮かべ廉の姿を見送った。
そして、ずっと降っていた雨は二人が笑みを浮かべ合うようになっていた時には
太陽の光が二人を包むように降り注ぐようになっていた。
95過去と未来 11:2011/12/28(水) 00:32:50.52 ID:ARdVeoaN
あの後、廉がA.N.JELLから脱退したというニュースはアジア全土を震撼させた。
結局、誰も廉のA.N.JELL脱退を阻止する事は出来なった。
そして、すぐに美子は本当の美男が戻ってきたためA.N.JELLを後にした。
メンバーの誰にも何も告げずに・・・・一人、様々な国にボランティアへと旅立っていった。

そんな中、年月は流れていき4年後。
美子は日本に戻ってきており、青空学園で日々仕事に勤しんでいた。
一向に日本に戻って来ない廉を待つように、けれどいつか戻ってきてくれると信じて。

そして・・・同じ年の4月。
青空学園近くにある公園には満開の桜が咲き誇っていた。
美子は久しぶりの休暇を太陽の光を存分に体に浴びながら過ごしていた。

「んん〜!今日も良い天気だなぁ・・・・。」
公園にあるベンチに腰を掛け、背を伸ばして空気を吸った。
その時、辺りに強風が吹き荒れ、美子は咄嗟に目を閉じ、頭に被っていた帽子が飛んで行ってしまう。
それに気がついた美子は風が止むと、その帽子を追いかけるように走って行く。
すると、その帽子が前方に居たサングラスを掛け黒いジャケットを羽織った男性がキャッチした。

「すいません!それ、私の帽子です!!はぁ・・・はぁ・・。」
帽子を掴んだ男性に手を振りながら近くまで行くと、上体を前に倒して呼吸を整えていた。
「ほら。もう飛ばされない様にしろよ?」
「あ、ありがとう・・・ござい・・・ました・・・・。」
倒していた体を持ち上げ、帽子を受け取ろうとすると声の主の声に聞き覚えがある事に気がつく。
そんな事を考えながら、手渡された帽子を美子はその相手の顔を見つめながら受け取った。

「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
しばらく、二人の間にはひっそりとした沈黙が広がり、辺りには風の音と風によって揺れる桜の木の枝が揺れる音、舞い散る桜のみが広がっていた。
男は何も言わず別の方向を見ており、美子は受け取った帽子を胸元辺りの位置で両手で持ちながら顔を俯かせていた。

「・・・会いに来たぞ。お前の言うとおり。」
「・・・・え?」
数分続いた沈黙を破ったのは男の方で、その言葉を聞いて美子は首を傾げる。
そして、男性はゆっくりとサングラスを外した。
96過去と未来 12:2011/12/28(水) 00:33:04.26 ID:ARdVeoaN
「れ・・・廉・・・さん?」
その男性は4年前、日本を去った桂木廉だった。
廉はサングラスを外した後も一向に美子の方は見てはいなかった。
4年前の出来事をまだ頭の中に残っていたからだった。

「廉さん・・・来てくれたんですね・・・・。」
「・・・約束だからな・・・。」
「そう・・・・ですよね。」
廉が約束を守り自分の前に現れて少し笑みを零したが、廉の「約束」と言う言葉が重くのしかかり
すぐにその表情は曇って行った。

すると、そんな美子の表情を見た廉は「ふぅ・・・」と息を一つ吐き捨てた後美子の方へと真剣な眼差しを送ると
「まだお前の傷を完全に埋めるだけの力はないが・・・・それでも、やっぱり俺はお前と一緒に居たい。お前が好きだ。」
と、完全に伝える事が出来なかったあの日の言葉を伝えるのだった。

「廉・・・・さん・・・・。」
廉の言葉に美子は手で持っていいた帽子を落とし、少しの間黙り込んだ。
そして、美子が黙っている間、廉は目を逸らす事なく美子の顔を見続けた。
4年前、逃げたからこそ・・・・もう逃げたくないと思いながら。

さーーという音と共に風が吹き、肩近くまで伸びていた後ろ髪が靡く。
そして、それと共に涙がキラキラと宙を舞い、横へと流れる様に輝き続けていた。

「・・・・私も・・・あの日の事を忘れることはできませんでした。
けど・・・・だからこそ、これから・・・・二人で辛い過去も・・・乗り越えたい。
私は・・・・そう思ってます。」
「美子・・・。」
涙流れる中、美子は微笑みを廉の方へと向け、廉の微笑みを確認すると廉の胸へと飛び込んでいった。

「美子・・・・もう・・・離さないからな・・・。」
「・・・・はい・・・私も・・・絶対離れません・・・・。」
廉の腕の中で顔を押し付け、泣きながら笑顔を浮かべる美子ともう二度とはなさいと誓う様に力強く美子の体を抱き寄せる廉。
二人は互いの顔を見合った後、最後に深い口づけを交わした。

辛い過去を・・・・幸せな未来で埋め尽くそうと誓う様に・・・・深く長いキスを交わし続けた。
97名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 00:35:47.74 ID:ARdVeoaN
以上です。取り敢えず、今回の作品は黒歴史確定で本当に申し訳ありませんでした!!
廉さんがA.N.JELL辞めるやらカオス柊さんやら、謝りきれないほど大罪を犯しましたがすいませんでした!
そして、最後の最後に廉さんが幸せになり柊さんが不幸になってしまいました。
やっぱ、完全黒の廉さんは書けない・・・。

続きを考えていなかったため、色んな部分にグダグダな部分がありますがご容赦ください。
それでは、最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました!
失礼しました。
98名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 01:10:03.59 ID:hxUEcnuy
キャラがちょっと違うかもね
まあ乙
99名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 04:53:51.40 ID:vuqRY7ip
>>97
gj!!続きキター!!暗黒の中、勇気が救いでしたw
DT柊さんシリーズ大好きですが、今回はまた違った話が読めてよかったです。DT柊×美子、金沢編全裸でお待ちしてますw
100名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 08:30:13.68 ID:cz8qFDXb
ここまで来るとそろそろ美男×美子が登場しそうw
101名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 08:32:52.15 ID:kqPkZcuX
美男美子ガチ近親相姦キボンヌ!
102名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 08:47:07.97 ID:LTFGcJtC
>>97
いい! GJ!
あの状態からブラック廉さん幸せになってくれてヨカッタw
カオスでもないですよ 柊さんアレは当然だ
一つだけ 美子は…柊さんと付き合う前実は密かに廉さん好きだった
とか? あの経緯で柊さんに怒り廉さん追いかける 天使だな美子w
103名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 12:04:05.80 ID:vNRwLda4
>>101
さすがにそれだけは嫌だ
104名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 12:57:51.77 ID:V7Mxrd8F
まとめ人様いつもありがとうございます。
前回愛の巣の中に出発前夜リンクして下さってて感激しました
廉美子エロありです
105アフターステージ1:2011/12/28(水) 12:58:57.53 ID:V7Mxrd8F
アンコールが終わってバックステージに行くと、スタッフから声が掛かった。
「桂木さん、こっちです」
ステージ衣装のまま、スタッフの先導で通路を走り抜ける。
地下駐車場に着くと黒塗りのバンが4台。その先頭車両に乗り込むと、中にはアンコール途中で席を立った美子が乗っていた。
「廉さん、お疲れさ…」
最後まで言わせずに、美子を抱きしめた。
「美子、終わったーーっ」
「うふふ、お疲れ様でした。すっごくかっこよかったです!」
当たり前だろ、と言わんばかりの廉は、得意げな顔をして美子の頬にキスをした。
そのまま美子の顔を自分に向けて、唇を重ねる。
「んっ、待っ…て、廉さん…だめ」
廉の唇をかわしながら途切れ途切れに美子が囁いた。運転手の存在を気にしているのだろう。
美子の言葉を無視して、廉は熱い息を吐きながらその唇に吸い付いた。
全身汗まみれになった廉から放たれる男の匂いと、熱い息づかいに美子は頭の芯がクラクラしてきた。
「んっ…あぅ…あ…ん」
堪えきれずに声を漏らすと、廉は、ふっと笑って意地悪そうに囁く。
「声出すなよ。聞かれるぞ」
「だって…あっ」
言い訳しようとした美子の体を強く抱き寄せて、再び唇を重ねる。

「着きました」
運転手の無機質な声で、二人は我に返った。
「ありがとう」
一言お礼を言って車を降りると、ホテルの裏口にはスタッフが先に着いていて、エレベーターのドアを押さえて待っている。
美子の肩を抱いてエレベーターに乗り込み、今夜宿泊する部屋に向かう。

部屋に入ると背後から美子を抱きしめた。胸をまさぐり首筋に熱い息を吹きかける。
「廉…さん、シャワー浴びなきゃ。これから…打ち上げが…」
「わかってる…けど、我慢出来ない…」
ライブが終わった後は気持ちが高ぶっているせいか、美子が欲しくてたまらなくなる。
今回のように長いツアーだと、自宅に帰れない日も多く、廉は美子に飢えていた。
美子のスカートの中に手を忍ばせ、下着の上から触れると、そこはじんわりと湿っている。
「だめっ、そんな事したら打ち上げに行けなくなっちゃいます」
「わかったよ…」
廉は渋々美子から離れ、ステージ衣装を脱ぎだした。
黒いタンクトップと革のパンツを脱ぎ、たくさんのネックレスやブレスレットを無造作に外して、廉はバスルームに向かった。
106アフターステージ2:2011/12/28(水) 13:00:21.27 ID:V7Mxrd8F
打ち上げ会場に着くと、すでにメンバーやスタッフが大勢集まっていた。
今日はメンバーそれぞれが招待したお客様もいるため、若い女の子の姿もチラホラと見える。
みんなツアーが無事終了した安堵感で、はじけた笑顔を見せている。
廉は黒いシャツとパンツ、シルバーのネックレスというシックな装い。
美子はストンとした黒の半そでワンピースで、広めの襟ぐりについた白い丸襟が可憐さを強調している。
早速美男がやってきて、美子に軽くハグをした。
廉もにこやかにスタッフと話をしているが、時折美子を見つめて苛立たしそうな表情を見せる。
「早く部屋に行きたい」
美子にしか聞こえないほどの小声で囁かれて、みるみる顔が赤くなっていった。
「美子、飲んでる〜?」
勇気がシャンパンの入ったグラスを持って、美子の隣に腰かけた。
「ありがとう、勇気さん。今日はお疲れ様でした」
久しぶりに飲んだシャンパンは、口の中でパチパチと弾けて美子を楽しい気分にさせる。
「どうだった、今日のライブ。俺のスティック捌き、最高だったでしょ?」
「はい!勇気さん最高でした。ソロの所なんて、すごい迫力でしたね」
しばらく勇気と話し込んでいた美子は、突然体をピクリと震わせた。
隣に座っている廉がスタッフと話しながら、テーブルの下で美子の太ももを撫でてきたからだ。
そっと廉を窺うと、何食わぬ顔をして談笑している。その間も美子の太ももの内側に手を滑り込ませて撫で続けている。
廉の手をギュッと押さえつけると、今度は指を絡めてきた。親指で美子の指の股を擦り始める。
その淫靡な指の動きに、美子は顔を赤らめて俯いてしまう。
「美子、どうしたの?酔っ払っちゃった?」
「そ、そうみたいです」
「じゃあ、ジュース持ってきてあげるね」
勇気がテーブルを離れた隙にさり気なく廉を見ると、ちらっと振り返った廉がウインクを送ってきた。
その瞬間心臓がキュンと跳ねた。今度は美子の方が落ち着かない気持になってきた。
美子の心の内を見透かしたように、廉は微かに頷いて美子の肩を抱いて立ち上がる。
ジュースの入ったグラスを持ってきた勇気に声を掛ける。
「悪い、美子が酔ったみたいだから、先に戻るよ」
「そうなの?わかった。気を付けてね」

部屋に戻るやいなや、すぐに唇を重ねた。
美子の背中に手を回してワンピースのファスナーを一気に下ろす。そのままワンピースを足元に落として下着姿の美子を抱きしめた。
舌を絡ませてお互いに吸い合う音が響く。左手で美子を支えながら、右手だけで自分のシャツのボタンを外していく。
脱いだ服や下着を点々と床に落としながら、ベッドへと近づいて行った。
「待って、廉さん…」
「やだ、待たない」
廉は立ったまま硬直したそれを美子に押し当てる。
美子の腰を両手で強く引き寄せ、すくい上げるように擦りつけると、敏感な部分が捏ねられて快感が広がる。
「あぁっ…んっ…廉…さん…それ…だめ」
廉は美子の体を壁に押し付けて片足を持ち上げ、立ったまま奥まで突き上げた。
ライブ後の廉はいつもこうだ。欲望に急かされるように少々乱暴に美子を扱ってしまう。
「あんっ…廉さん…」
体ごと廉に揺さぶられ、美子は立っていられなくなってきた。
107アフターステージ3:2011/12/28(水) 13:03:18.08 ID:V7Mxrd8F
一度体を離して美子を抱き上げ、ベッドに移動する。
横たわった美子の足を大きく広げて、再び挿入し激しく腰を動かした。
廉が動くたびに外し忘れたシルバーのネックレスが美子の胸をかすめていく。
その冷たくて微かな刺激で、美子の乳首がゆっくり立ち上がっていった。
美子はネックレスをつかんで廉の顔を引き寄せ、キスをせがむ。
舌を絡ませ合うくちゅくちゅという音と、繋がった部分から聞こえるいやらしい音が淫靡なハーモニーを奏でる。
「ふっ…うんっ…はぁ…美子っ、もうっ…いくっ」
美子を抱きしめてめちゃくちゃに腰を突き上げた。
「んっ…やっ…あっあっ…廉っ…さん」
美子が首をのけ反らせ痙攣した瞬間、引き抜いて美子の波打つお腹に精をまき散らした。

「美子、寝るな」
一度果てた後微睡んでいた廉が、美子を揺り起こす。
美子の手を引いてバスルームへ行き、自分が吐き出した精液を洗い流した。
お互い全身泡だらけになってふざけ合う。と、突然廉は美子の手首をつかんで自分のそれを握らせた。
「あっ…」
はっとして廉の顔を見上げると、廉は促すように頷いた。
泡でぬるぬるするそれを、顔を真っ赤にしながらゆっくりしごくと、美子の手の中で段々硬く熱くなっていく。
「美子…気持ちいい…はぁ」
ため息を漏らしながら眉を寄せる廉に、美子もドキドキが止まらない。
自分の手の加減ひとつで表情を変える廉を見ると、美子もまた気持ちが高ぶってきた。
「あぁ…またしたくなってきた」廉が囁く。

ベッドに並んで横たわり美子の乳首を弄びながら廉が聞いた。
「どこをどうして欲しい?ちゃんと言わないと、何もしてあげないぜ」
「そんな…」
「ほら、早く言えよ」
「あの…あ、の…」
美子はさすがに具体的には言葉に出来ず、真っ赤な顔をして廉の手をつかみ、ぎゅっと握った。
その困った顔があまりにも可愛いので、ま、許してやるか、と廉は指を動かし始める。
輪郭をなぞるように美子の中心に指を這わせて、そっと撫でていく。
指を差し込んで内側を強く擦り、親指を小さな突起にあてがってくりくりと回転させる。
「やぁ…あんっ…あっあっ…」
「廉さん、もっと?」
「え…うん、廉さん…もっと…」
「廉さん、そこ気持ちいい?」
「んっ…廉さん、いいの…そこ…気持ちいいっ」
廉に言わされているのにも気づかず、おうむ返しに快感を訴える美子を、微笑みながら見つめる。
108アフターステージ4:2011/12/28(水) 13:04:31.48 ID:V7Mxrd8F
上半身を起こした廉はコンドームを着けて美子を跨らせた。
「美子、好きに動け」
そう言うと自分は美子の乳房を口いっぱいに頬張って強く吸い上げる。
美子は白い喉をのけ反らせ、ゆっくり腰を回転させ始めた。
目を閉じて微かに口を開けたまま無心に腰を動かす美子。
美子の胸に頬をくっつけて目を閉じると、美子の鼓動が響いて一つになったのを実感する。
「んっ…廉さん…気持ちいいですか?」
「ああ、気持ちいいよ…すごく」
「ふっ…嬉しい…」
美子が抱きついてくる。廉も強く抱き返して、唇を合わせた。
上も下も繋がって固く抱きしめ合い、ずっとこのままでいられたらいいのに、と思う。
美子が疲れてきたようなので、体を押し倒して廉が上になった。
高みに向かって腰を強く打ちつけると、廉の動きに連動して美子の可愛い乳房がふるふると揺れる。
その乳房に片手を伸ばし強く揉みながら、突き上げるスピードを上げた。
美子の全身がほんのり桜色に染まってきた。もうすぐだ。
「美子っ…んっ…一緒に…いくっ」
「あっ…ん…廉…さん…あっあっあっ…あぁっ」
しっかりと抱き合ってその時を迎えた。廉の腰がびくびくと痙攣するたびに、あ…あ…と美子は声を漏らした。

「ツアーも終わったし、ようやく休暇だ」
「廉さん、休暇じゃなくて充電期間ですよ」
「わかってるって。どっちでも同じだ。お前と毎日一緒にいられるんだからな。朝から晩まで、ずっと一緒だ」
ワクワクしすぎて子供のようにはしゃいだ廉は、美子の頭に自分の頭をグリグリと擦りつけてきた。
「なあ、どっか旅行行こうぜ。お前どこ行きたい?」
「そうですね〜、あっ、暖かい所がいいです。海のある場所!」
海か…。ここで廉の顔がパッと輝いた。
(海ってことは、水着か…。悪くないっ!どんな水着が美子には似合うかな?つーか、やっぱビキニだよな)
頭の中でビキニ姿の美子を想像しながら、廉の口元がだらしなく緩んでいる。
「廉さん?聞いてるんですか?」
「あっ?ああ、じゃあどこか南の島に行こうな」
これから始まる美子と二人だけの日々を思って、いつまでも廉のにやにや笑いは止まらなかった。
109名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 13:08:11.58 ID:V7Mxrd8F
以上です
この後南の島に続くって感じです
いつも思いつきで書いてるので順番ぐちゃぐちゃですみません
お邪魔しました
110名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 21:09:09.22 ID:KCQRd73/
>>97
黒に近いグレー廉さん、GJ!幸せになってよかった。
カオス柊さん、落ち度がないのに、ふられた・・・それもまた柊さんの持ち味だと思う、いい意味で。
黒廉さんに美子がレイープまがいにされても余り可哀相に思わない、
レイープ加害者側の廉さん、可哀相と思ってしまうのは、エロパロマジック?


>>109
南の島さん、こんにちは。ビキニ美子の登場の経緯がよく分かりました。
ツアー中の廉さん、欲求不満気味だけど、それが曲作りの刺激になって良い曲に仕上がるのかもねw
111名無しさん@ピンキー:2011/12/28(水) 22:53:00.80 ID:+/Dr0FX+
>>109
GJ! 南の島さんいつもありがとうw
美子に頭グリグリ廉さんがかわいすぎる〜
順番は全く気にならないので、いつまでもこの二人読み続けたいw
112名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 00:27:39.22 ID:LAye7sdC
>>97
はあ〜・・・GJ!!読みながら涙が出ましたよ...
純粋な柊さんファンの方は読まない方がいいっていうの
わかりました。柊さんには申し訳ないけど、本当にいつも...w
まあでもあんな廉さんだったからこそ幸せになってくれてよかった
美子も...もうみんな十分苦しんだからね...。
柊さんも幸せであって欲しい〜!!(廉さん派だけど今回ばかりは切実)
廉さんの代わりにANJ引っ張ってくれてるのかな...

>>109
好きです、大好きです!南の島さん!!
いつもありがとうございます。
ラブラブ廉美子落ち着きますw
廉さん可愛い!
自分も順番は気にならないってかむしろ今回のエピは
お得感感じたので、またよろしくお願いします!!
113名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 13:25:45.40 ID:gn0n86ah
DVD-BOXの最終話、ディレクターズカットのところで、RINAさんが
産気づいて馬淵マネがオロオロする場面があった。
>>73さんのガールズトークの話を思い出したら、出産時期もちょうどその頃?
あのお腹の中には、愛ちゃんがいると思うことにするw
本来の設定は、馬淵マネの子なんだろうか…。そういや社長×シゲ子も公式にフラグ立ったなw
114名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 13:52:55.40 ID:PYztkrQV
誰か馬淵RINAを書く強者はいないかww
115名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 13:54:15.23 ID:NSbgancQ
私も追加の映像でなんかの作品とリンクしてるのあってビックリしたけど、なんだか忘れてしまったw
もい一回観たらまた気付くと思うので、その時に書き込みますw
116名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 13:56:59.57 ID:ZblNJUEc
>>114
怖いもの見たさで自分も見たいw
117名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 14:35:32.27 ID:gn0n86ah
馬淵マネ×沢木秘書なら半分まで書いたが、行き詰ったw
118名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 14:44:17.81 ID:PYztkrQV
社長×シゲ子…はさすがに無理か?ww
119名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 14:52:28.91 ID:ZblNJUEc
>>118
…RINA沢木さんなら絵的にイケル気がする…
シゲ子さんはちょっとどうだろ…ゴメンシゲ子さん
120名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 18:58:53.12 ID:pA90YQzW
しげこはエロなしで社長との結婚式にみんながお祝いにとかならいいかも
馬淵はみてみたいw
121名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 19:25:23.50 ID:aklCDjBB
>>116
美男放送時のネタばれスレで、馬渕RINA結婚式?とか、ネタばれがあったけどあれは原作だけなのかな。
美男がベビーベッドシーン云々とか言ってて、それが馬渕RINAの子供か?!って言われてた記憶。

原作見る気はないけど、廉さんと美男のクラスメートとの三角関係の話は再現して欲しかったよ。(柊さん不在シーン?)
122名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 20:00:00.76 ID:pA90YQzW
>>121
幼なじみのエピは、AloneのPVの時だから柊さんはいなかった
エキストラの一人が偶然、美男の親友で美子のことが高校から忘れられない設定だった
ごまかすのに協力したりヤキモキ焼く廉さん見たかった!
123名無しさん@ピンキー:2011/12/29(木) 22:24:10.25 ID:q6DONUwy
そのエピ、立ちしょんべんしつつ、promiseを歌う廉さんも見たかったなーw
124名無しさん@ピンキー:2011/12/30(金) 15:47:09.67 ID:yFa+hJDE
>>123
何それ?
それはお笑いなの?
立ちション・・・って今の時代に見かけない様な気がしますw
125名無しさん@ピンキー:2011/12/30(金) 16:06:09.87 ID:iqAdX2vV
>>124
トイレで立ちションでしょ
126名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 08:41:30.50 ID:cptNfn8o
>>101
大石静先生に頼まないとね、タイトルは、「蜜の味・双子編」

>>122
美男の親友で美子好きの同級生って、いけめんだった?
日本で言うと誰のイメージだろう。困り顔の二宮君みたいな感じを想像した。
127名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 12:02:54.92 ID:8XR4zjKF
>>126
イケメンではなかったよ
素朴で優しそうな感じ
128名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 15:53:05.79 ID:JUurTI70
>>127
>素朴で優しそうな感じ

ニノでいいじゃないかw
129名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 18:38:27.18 ID:BtvKpz9R
同級生、日本版が居たとしたら池松壮亮みたいな感じがいいと思ったなー。
年末年始で却って忙しくて書き手さんたちも筆が進まないかな?
新年も、神作品を期待しています!
130名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 19:37:17.86 ID:sYpmVGQU
頑張ります!
皆さんよいお年を!
131名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 21:31:09.92 ID:ijJ3s02L
DT柊です。年内にDT柊さんの話が完成するかと思ったのですが
無理だったのでDTシリーズのサイドストーリーを書きました。

カプは美男×RINA。 エロなしとなります。
それではどうぞ。
132急接近? 1:2011/12/31(土) 21:35:39.64 ID:ijJ3s02L
美子と柊が金沢へ向かった前日、他のメンバー(廉とNANAは別行動だが、ハワイで合流することになっていた。)達は社長の自家用機でハワイへと目指している最中だった。
ただ、当初は日本時間27日の午前10時ぐらいに旅立つ予定だったのだが、思わぬ吹雪が飛行場を襲い、最終的に同日の午後9時に日本を出発。

おかけで旅立つ前から眠気に襲われてしまっていた一同は、到着するまで静かに眠っていた。

そして、飛行しだしてから6時間50分ほどが経過した。
飛び立った時、日本は真っ暗だったがハワイに到着する頃には外は太陽の光によって晴ればれとしていた。

「うぉぉぉーーー!ほら!美男見ろよ!!すっげー綺麗だぞ!!」
「んんん・・・・勇気・・・うるさい・・・。」
飛行機に乗っていると、窓の外で広がる、透き通っているかのほど綺麗な青い海に
窓に顔を張り付けながら目を輝かせて勇気は見つめていた。
一方の美男は長旅のせいか疲れてしまい、薄い毛布に包まりながら静かに眠りについていたのだが
大はしゃぎしていた勇気によって無理やり起こされた。

「ふわぁ・・・・。で?何が綺麗・・・?」
寝起きバリバリの美男は、重たく垂れさがる瞼を擦りながら欠伸をした。
「だ〜か〜ら!!ほら!!海だよ!!海!!」
美子の両肩を掴むとぶんぶんと前後に体を揺すった後、強引に窓の方へと顔を引き寄せる。
「勇気さぁ・・・少し眠いんだから・・・もう少し・・・・。」
海なんて日本でも見れるものだし、もう少し眠らせてくれと言わんばかりに眉間にしわを寄せながら勇気をちらっと睨みつけようとしたが
すぐ目の前に広がる透明感のある海の色、少し遠くに見える白い砂浜に言葉を失う。
「な?綺麗だろ?」
「・・・・あ、あぁ・・・綺麗・・・だな・・・。」
「よ〜し!ハワイに着いたらすぐに泳ぎに行くからな!!」
「え・・・で、でも・・・少し街の中とか歩きた「絶対一緒に行くんだからなぁ〜!今回は柊さんも居ないんだから、ぜ〜〜ったい!!」
と、ハワイにもう少しで着こうとする中、最初から子供の様にフルパワーで大騒ぎする勇気に
初めて訪れるハワイという地に期待に胸を高鳴らせていた美男は若干困ったような表情を浮かべていた。

そんな姿を、大人たちは微笑ましく見つめていた。

「いやぁ〜。今年は美男が新加入した事だし、ハワイに行く事にして正解だったな。何より楽しそうだ。」
「その代わり・・・・休暇が終わった後には膨大な数の仕事が待ってます。」
まだハワイに到着していないのにアロハシャツとサングラス装備で準備万端の社長に
冷静に休暇の後に待ち構える絶望を突きつける沢木。
「沢木〜」
「な、何ですか・・・?」
真顔の沢木に社長はむっと表情を曇らせた後、指を鳴らして沢木を見た。
その社長に沢木は戸惑いながら声を突っかかられる。
「こういう時ぐらいはオフを楽しんだらどうだ?仕事は仕事。プライベートはプレイベート。
出来る女はしっかりと分けるものだぞ?」
「・・・・す、すいません・・・。」
「まぁ、仕事熱心なのはお前の良い所だけどな。」
社長の助言に申し訳なさそうな顔をした沢木だが、安藤の優しい表情と言葉を聞くと少しだけ微笑むのだった。

まぁ、こっちはこっちで良い雰囲気を醸し出していたのだが・・・・。
一人浮かない顔・・・というより、女の顔で外を眺めているRINA。

(はぁ・・・・。)
隣で大いびきをかいて眠る馬淵の事など気にせず、RINAは珍しく物思いにふける様にぼんやりと外を眺め続けていた。
133急接近? 2:2011/12/31(土) 21:36:12.93 ID:ijJ3s02L
7時間近くの飛行の後、ようやく辿り着いたハワイ。
飛行機から降り、社長専属のガイドによって1週間泊まり続ける社長の別荘に案内され
夕方までプライベートビーチなるものを満喫し、辺りは既に真っ暗となっていた。
途中、遅れてやってきた廉たちも合流し、今は皆でバーベキューを行おうと準備をしていた。
そんな中、RINAの姿が別荘前の庭に居ない事に後から来たNANAが気が付き
美男がRINAの部屋まで様子を見に行ってくれと頼まれ、渋々RINAの部屋の前までやってきていた。

「たく。みんなして俺に押しつけやがって・・・。お〜い。RINA?いるか?」
流石に女性の部屋に入ることに躊躇いがあった美男はノックをし、RINAが起きているかを確認する。
しかし、いくら声を掛けても部屋の中から返事がなかった。
ドアノブに手を伸ばし、回してみると鍵がかかってはいない。
美男は特に悪い事をしているわけでもないのに辺りをきょろきょろと誰もいない事を確認した後、ゆっくりと中へと入って行った。

「RINA・・・いるか?」
「んんん・・・・・」
部屋の扉を閉め真っ暗な部屋の中へと入って行き、部屋中を見渡すと月明かりに照らされながらベッドで眠るRINAの姿が目に入る。
また、その近くにあったテーブルの上に大量の酒。
(RINA、昼間浜辺に来てないと思ったら部屋で飲んでたのか・・・。)

呆れ模様な表情を浮かべるも、すぐにすやすやと気持ちよさそうに眠るRINAに何かがあったわけではないとわかると
安堵の表情を浮かべた美男は寝冷えしない様に薄いタオルケットを被せ
疲れているせいか、外でにぎやかに騒いでいる面々に合流する気分にもなれず、勇気に事情をメールで送った後
RINAが目覚めるまで部屋に備え付けられていたバルコニーで煌く星や輝く海などといったハワイの景色を見つめることにした。
「ふぅ・・・風、気持ちいいな・・・・。」
常時聞こえ続ける面々の声の中、時折部屋中に吹き抜ける風に心地よさを感じる。
風の香りが、ヤシの木が揺れる音が、海が靡く音が、その全てが今まで感じた事のない物。
その一つ一つをRINAが起きるまでの30分近く、他に何も考えずに美男は感じ続けていた。
134急接近? 3:2011/12/31(土) 21:36:45.38 ID:ijJ3s02L
そして、美男がRINAの部屋に訪れて30分が経過した。

「んん・・・んぁれ・・・?っ!いったぁ・・・・。頭がんがんする・・・・。」
ベッドから起き上がったRINAは頭に走る激痛に表情を歪めると頭を右手で抑える。
(あぁ・・・私、お酒飲んで・・・そのまま寝ちゃったのか・・・・。)
ちらっと視界に入った大量のワインの瓶に昼間の記憶を思い出す。
部屋の暗さから既に夜になっている事を把握すると、だるそうに体を立ち上がらせようとベッドから降りようとする。
だが、ベッドから降りて立ち上がろうとした時、まだ酔いがさめていないのか、くらっと体が揺れた後に後ろへと倒れそうになってしまう。
咄嗟に目を瞑るRINAだったが、いくらまっても体に衝撃が来ない。
変だと思ったRINAはゆっくりと瞼を開いていくと、目の前には慌てた表情を浮かべる美男がRINAの体を抱き寄せる様な形で抱える姿があった。

「え・・・あんた誰?」
「・・・・取り敢えず寝ぼけてるか?」
「あ、あぁ!美男ね・・・って、あんた!!な、何で私の部屋に!?」
月明かりを背にしていた美男を一目見ただけでは誰だか分からなかったRINAだったが
声を聞いて美男と分かったら分かったでどういう状況か分かっておらず、ガンガンと頭が痛む中、美男から離れよと美男の胸の方へと手を当てると前に向かって力を入れる。
ただ、酔いのせいなのか力が制御されておらず、思わず美男は体を一瞬だけ体勢を崩しそうになる。
「ちょ!あ、危ないだろ!!少しはこっちの話し聞けよ!!」
「だ、だって!女の部屋にいきなり男がいたら普通驚くでしょ!?」
「だ〜か〜ら!!話を聞けぇ〜〜!!」

いつも以上にパワフルなRINAを説得しようと試行錯誤した美男は、この際強引に話を進めることにした。
食事の時間になってもRINAが来ない事を心配して、代表して自分が来たと・・・。

ただし、RINAの変な誤解が解けるのは10分近くたった後だった・・・・。
135急接近? 4:2011/12/31(土) 21:37:40.09 ID:ijJ3s02L
「はぁ・・・美男・・・ご、ごめん・・・。」
「ふぅ・・・。ホント、少しは話聞いてくれ・・・。頼むから・・・。」
ようやく現在の状況を把握したRINAはベッドに腰を掛けたままバルコニーの方で
ずっと背を向けていた美男に手を合わせながら謝罪をしていた。
美男の方はRINAの大暴れのせいでさらに疲れが増していたが
RINAにも何かわけがあったんだろうと自分の中でそう結論付け、謝罪するRINAにそれ以上何かを言う事もなく、睨んだり疲れた表情を見せない様にしていた。

(はぁ・・・私、恥ずかしい所見られちゃった・・・。美男、呆れてるか・・・。)
だが、逆に自分の方を見ない美男にRINAは不安を抱き、顔を俯かせ膝の上に両手を置いてその手でズボンを少しだけ掴んでいた。
と、そんな陰気な雰囲気が漂う部屋だったが、バルコニー側から風が吹き抜けていくと
その風は部屋の空気を入れ替えたかのように話を急展開へとさせて行った。

「んん・・・おぉ!RINA!!こっち来いよ!こっち!!」
風が吹き終わると先ほどまで背を向けていた美男が珍しく子供の様に目を輝かせながらRINAへと手招きをする。
「な、何かあったの?」
美男のはしゃぐ声にびくっと体を震わせ驚くが、異様なほどに輝く美男の目に何も考えずにバルコニーの方へと歩いていく。
「で、何かあったの?そんなに目輝かせて。」
「流れ星!ほら!見ろ!!」
一度RINAの方へ視線を向けると、すぐに星がきらめく夜空へとその視線を移し
人差し指をその夜空を指差した。
「・・・って、あんたそれ、私が見た時に見たんでしょぉ!?もう見えるわけないじゃない!!」
「あ・・・。そうか・・・・。っい、イタっ!た、叩くな!人の背中ぁ!!」
美男の少し抜けている行動に曇らせていた表情を緩め、美男の話の途中から笑いながら美男の背中を叩く。
美男は叩かれて本気で痛いと感じていたが、それと同じぐらいに安心もしていた。

「いったぁ・・・・。す、少しは加減して欲しい気が・・・・。」
「だ、だって、あんたがあんな間抜けな事するなんて・・・思わなかった・・・から・・・。」
背中を擦りながら痛みを和らげる美男子を余所目にRINAは顔を隠す様にバルコニーの隅にしゃがみながら、笑い声を殺しながら言葉を返していた。
「ま、間抜けって・・・あ、あれはわざとに決まってるだろ!流石に・・・・。」
本当にわざとやったはずなのに、くすくす笑うRINAを見てると恥ずかしくて顔から火が出る思いになる・・・。
ちらちらと笑いながら見るRINAに美男はどこかに隠れたい気分になったが隠れる場所もなく
赤くなった顔を隠す様に顔をRINAから逸らし、目の前の海を見つめた。
そして、気分を入れ替える様に息を吐き、外で吹く涼やかな風を体に吸い込んだ後
ちらっとRINAの方に視線を向け、笑い終えているのを確認するとすぐに視線を海の方へ戻し、口を開きだした。

「だってさ、ハワイに来る前からRINA元気なかっただろ?それの事が気になって。
何あったかは分かんねーけど折角の旅行なんだし、楽しんだもん勝ちだろ?」
「も、もしかして・・・美男、そのためにわざわざ私の部屋まで来てくれたの?」
自然と浮かべる美男の笑顔と言葉にしゃがみながら美男の事を目を見開いて見つめる。
美男はずっと海の方を向いて言葉を発しているため、RINAがどんな顔をしているのかは分からないが
いつもの様な力強い声ではなく、細くか弱い声を聞くだけで何だか調子が狂ったかのように頭を掻きながら照れ隠しをしていた。
136急接近? 5:2011/12/31(土) 21:38:24.33 ID:ijJ3s02L
「・・・RINAが元気じゃないと調子が狂うし、RINAにはいつも良くしてもらってるし。
その・・・たまには俺もさ、何かしてやれないかなって思って・・。ちょ、お、おい!だから笑うなよ!!」
「だって、美男に心配されるなんて思ってなかったからさぁ~。」
「くそぉ・・・心配なんてするんじゃなかった。今年1年分の恥ずかしい気分を今日味わったみたいだ・・・。」
バルコニーに備え付けられていた柵に腕を乗せていたが、RINAに笑われ
柵のすぐ近くで柵を掴み、しゃがみながら蹲ると真赤になった顔を俯かせて隠していた。
そんな美男の姿を笑い終えたRINAは涙を拭き取ると美男に近寄ると隣にしゃがみ込んで
「でも心配されてて凄く嬉しかったし気持ちが楽になった。ありがとう。」
と言うと美男の顔が上がったのを確認するとにこっと微笑みを浮かべた。
その笑顔に一度わざとらしくRINAの顔を睨みつけたが、すぐに表情を緩め笑みを浮かべると
RINAの体を持ち上げる様に自分と立たせ、二人で外の景色を眺めた。

「綺麗ねぇ・・・。私、ハワイって初めて来た。」
ハワイの地に吹き渡る風に髪を靡かせ、その髪の毛を手で抑えつけながらそう言う。
「え?今回みたいにメンバーとかと来た事なかったのか!?」
意外だったのかそれとも予想外だったのか、RINAの言葉に身を乗り出して聞き返す。
RINAは目を丸くしてこちらを見てくる美男に冷静さを失わずに
「社長、世界各地に別荘持ってるみたいで、毎回行く場所違うのよ。」
と淡々と答えた。
「社長・・・って何者?」
「さ、さぁ?私に聞かれても何も分かんない。」
「まぁ・・・それもそうか。」
真剣な表情で考えていた美男だがRINAの言葉に納得すると考えを止めたのか
再び体を目の前へと向けると、「あ!そうだ!」と何かを思い出したかのように声を出す。

「ん?どうかした?」
「そうだ!なぁ!明日、俺とどこか行かねー?気分転換にさ!!」
「え・・・そ、そうねぇ・・・。まぁ、今日の事もあるし私なんかで良いならいくらでも付き合ってあげる。」
「まじ!!よっしゃ!!ありがとう!!おぉ〜!明日が楽しみだぁ〜!」
(美子もそうだったけど・・・美男も頑張りやで思いやり溢れてて・・・兄妹揃って良い子ね・・・ホント。ありがとう。美男。)

母親が子供見守る様にはしゃぐ美男をRINAはしばらく微笑みながら感謝しながら見つめていた。
そして、その二人を星空が静かに見守っていた。何一つ音を立てずに静かに。

すぐ近くでは他の面々が楽しそうに騒いでいたが、この二人がいた空間だけ
同じ場所なのに全く違った場所に居るかのようにバルコニーから見える幻想的な景色と
隣で嬉しそうにしている美男の姿にRINAは一人、そんな事を考えるのだった。
137名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 21:40:35.91 ID:ijJ3s02L
以上です。そして、このサイドストーリーを収集するのはいつになるのやら・・・。
廉さんのサイドもNANAのキャラがうまく書けないからという理由で放置してるし・・。
よし、来年こそは頑張る!←

それでは、良いお年を。
138名無しさん@ピンキー:2011/12/31(土) 23:58:40.05 ID:EYo5KTl+
>>137
GJ!
この二人もいいなぁ〜

職人様方、素晴らしい神作品の数々、本当にありがとうございました!

来年も全裸待機いたします!

よいお年を!
139名無しさん@ピンキー:2012/01/01(日) 02:38:11.18 ID:y5xGM2M8
>>137
GJ!!
美男RINA初めてだけどいい!!なにって美男かわいいなw
今年もDT柊さんシリーズ楽しみに全裸で待機してます!!柊美子の子供にいつか会える事を期待してw


今年も神職人様達の作品を全裸待機します!!
140名無しさん@ピンキー:2012/01/01(日) 19:19:21.27 ID:7FCgduF+
あけおめ!
>>137さん
RINAさんは、ANJ誰とでも上手く絡める姐娯キャラだね。
美男はDVDの2013ANJでもイケメンだったけど、いまいちキャラが分からん。
原作では天真爛漫キャラだったのかな、日本版では不気味な宜しく兄ちゃんだけどw
141名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 02:06:03.06 ID:yTdu6K6m
みなさまあけおめです
美子の帰国後、廉美子と美男NANAが付き合っている設定で投下します
エロなしですがご容赦を
142Jealousy 1:2012/01/02(月) 02:08:11.15 ID:yTdu6K6m
明日は久々の休日というある晩のこと、美子が合宿所に泊まりに来ていた。
ただし今日の宿泊先は廉ではなく、美男の部屋。
いつもなら無理にでも自分の部屋に泊めようとする廉だったが、兄に相談したいことがあると美子が言うと、
嫌がるでもなくあっさりと許可を出した。
普段とは違う廉の様子に違和感を覚えながら、兄と話し合う。


「お兄ちゃん、最近NANAさんとはどうなの?」
「どうって…なんだよいきなり」
「いいから。うまくいってるの?答えて」
めずらしく強い口調で問い詰める美子の様子に、真面目に答えざるを得なかった。
「…仲良くやってるよ、まあ、とりあえず…」
本当は「もちろん」とはっきり答えたかったけれど、歯切れの悪い返事しかできなかった。
「でもなんでそんなこと聞くんだ?」
美子がなぜ俺たちの関係を気にするのか。理由を尋ねると、こんなことを話し始めた。

先日、廉が美子の部屋でシャワーを浴びている時に廉の携帯にNANAから着信があったのを見てしまったこと。
それが一度だけではなく、何度か同じようなことがあったこと。
最近は廉が美子に内緒で誰かと連絡をとっているようであること。
少し態度が素っ気なく、わざと美子を避けるような素振りを見せること…。

「もちろん廉さんのことは信じてるけど…。でも不安でたまらないの」
美子の話を聞いて、思わず大きなため息を吐いた。
「お前も、か…」
「お前もって、お兄ちゃんそれ…」
「ああ。実は俺も、気になってたんだ」

ひと月ほど前からNANAの様子が少しおかしくなった。
俺と話していてもどこか上の空だったり、笑顔がぎこちなかったり。
そう、美子が言っていたのと同じように、廉から電話があったのも気付いていた。
着信中の携帯画面にあった廉の名前…。それを見た時は思わず頭に血が上った。
たまたまだ。たまたま、何か用事でもあったんだろう。
その時はそう思い込むことにしたけれど、さっきの美子の話を聞いたら自信がなくなってきた。

(まさか、廉さんに限って…)
(まさか、NANAに限って…)

「まさか、ね…」
ふたりで顔を見合わせた。
143Jealousy 2:2012/01/02(月) 02:10:14.54 ID:yTdu6K6m

美子と深夜まで話してモヤモヤした気分のまま朝まで寝付けずにいたら、結局10時過ぎまで寝過ごしてしまった。

「ああ、もうこんな時間か…。美子、起きろ」
「んーっ…おはようお兄ちゃん」
「おはよう。コーヒー飲むだろ?先に行って淹れておくよ」
「うん…ありがとう」

顔を洗い、欠伸をしながらキッチンへ向かったが、目の前に現れた光景に一気に眠気が吹き飛んだ。
「えっ……」
シンクの前で、NANAと廉が寄り添って立っていた。
廉の顔を覗き込んで笑顔で話しているNANAを見たら、何かを考えるよりも早く足が勝手に動き出して、
気付いたらNANAの肩を掴んで無理やり振り向かせていた。

「痛っ…何するのよ美男。乱暴にしないで」
「なんでここに…?今日は用事があるって言ってたじゃないか」
「ちょっとね…。彼に誘われたから」
NANAが廉に思わせぶりな視線を向ける。
思わずカッとなり、廉にくってかかった。
「どういうことだ!説明しろよ!」
「説明も何も、NANAが言ったとおりだ。俺が誘った」
至極冷静に、上から目線で話す様子にますます腹が立った。

「廉、おまえっ…」
胸倉をつかんで殴りかかろうとした時、背後から美子の震える声が聞こえた。
「…廉、さん…?どうして…?」
後からキッチンにやってきて、騒ぎを見た美子はショックを隠しきれずにいる。
目にうっすらと涙を浮かべて、部屋へ走っていってしまった。
「美子っ!」
怒りは収まらないけれど、美子のことを放っておくわけにはいかない。
「くそっ!いいか、あとでちゃんと聞かせてもらうからな!」
廉を指さして言い、美子を追いかけて部屋に戻った。
144Jealousy 3:2012/01/02(月) 02:12:20.54 ID:yTdu6K6m
ドアを開けると、すぐそこに美子がしゃがみこんで肩を震わせて泣いていた。
「美子…」
美子の隣に座り、肩に手を乗せる。
「どうしよう…。ねぇお兄ちゃん、どうしたらいい?」
「…ごめん。俺もいま、混乱してる」
いったん落ち着こうと美子の腕を肩に掛けて立ちあがらせ、ソファへと連れて行った。

「美子…泣くな」
何も考えられないまま、泣きじゃくる美子の頭を撫でて慰め続ける。
しばらくそうしていたら、美子が少し落ち着いてきたようだった。

「廉さん…NANAさんのこと好きなのかな…」
「そんなはずない…。きっと何かの間違いだ」
美子の肩を抱いて、自分に言い聞かせるように呟いた。

廉が美子にベタ惚れだってことは、今までのあいつを見てきてよくわかってる。
NANAだって、俺のこと…好きなはずだろ?
でも、廉と話している時のNANAのあの顔。すごくうれしそうだった。
廉だってまんざらでもなさそうで…。
いったいどういうことなんだよ。
考えれば考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになって、訳がわからなくなった。


「美男、美子、大丈夫か?」
ノックの音とともに、柊の穏やかな声が聞こえてきた。
「少し落ち着いたら出ておいで。みんな待ってるから」

柊?なんで柊が呼びに来るんだ…。
それに「みんな」ってどういう意味だ?
まあ、とにかく廉たちと話をしてみないことには先に進まない。
「美子、どうする?嫌なら俺が話聞いてくるけど…」
美子がぶんぶんと頭を振った。
「怖いけど…自分で聞きたい。どんな答えでも」
「わかった。じゃ、行こう」

美子…。
小さい頃は怖がりで、いつも俺の後ろに隠れてばかりだったのに。
強くなったな、本当に。
「大丈夫。何があっても俺が付いてるからな」
美子にそう言って、手をつないで部屋を出た。
145Jealousy 4:2012/01/02(月) 02:14:22.50 ID:yTdu6K6m

(あれ?なんだこの匂い…?)
クンクンと辺りの匂いを嗅いだ。
「…お兄ちゃん。なんだか…いい匂いがする」
「ああ、美子もそう思うか?」
香ばしい香りと、甘い香り。
歩くたびにそのかぐわしさは強くなっていった。

廊下からリビングの入口に差し掛かった途端、勇気の元気な声が響いた。
「せーのっ!」
パン!パンッ!パパンッ!!
クラッカーの破裂音とともに、紙テープがひらひらと舞い落ちてきた。

「えっ?」
美男と美子が同じ顔で目を丸くする。

「ハッピーバースデー!!!」

「えーっ?!」
お互いに顔を見合わせた。

「はいはいはい、おふたりさんはこちらへどうぞ〜」
訳のわからないまま勇気に背中を押され、リビングのソファまで連れて行かれて座らされた。
「え、誕生日って、まだ…」
「いーのいーの。ちょっと早いけど、今日しかみんなのスケジュールが合わないからさ」
勇気があっけらかんと答える。
「ほら、みんな早く座って!乾杯するよ〜!」

「ふふっ、私が今日にしてってみんなにお願いしたのよ。美男、お誕生日おめでとう」
NANAが隣に座って、優しく微笑んでくれた。
「NANA…」
笑顔を見たら張りつめていた気持ちがすっかり緩んで、言葉が出てこなかった。

「おまえもな。…おめでとう」
廉が照れくさそうに美子の隣で呟いた。
「廉さん…ありがとう……ぐすっ」
「なに泣いてんだよ」
「だって…びっくりしたから」
「ふっ、変なヤツ」
ほら、と穏やかな笑みを浮かべて美子にシャンパングラスを渡した。

「みんな、準備できた?」
勇気の音頭で全員がグラスを手に取った。
「美男、美子、誕生日おめでとー!かんぱーい!」
「かんぱーい!!!」
グラスを合わせる澄んだ音と、弾んだ声が部屋中に響いてパーティーが始まった。
146Jealousy 5:2012/01/02(月) 02:16:38.68 ID:yTdu6K6m

「ところでさ…」
デザートのバースデーケーキをつつきながら、NANAに今までの疑問を訊いてみた。
「最近NANAがおかしかったのって、何で?」
「おかしかった?私が?」
NANAはまったく心当たりがないといった風に怪訝そうな顔をした。
「なんか、話しかけても上の空だったり、隠し事もあるみたいだったから…」
「だとしたら、きっと今日のことを考えていたのね」
「あ、じゃあ廉と電話してたのは…」
「パーティーに誘われたからいろいろ相談してたのよ。ふたりのお祝いなんだから当たり前でしょ?」
「今日、廉と一緒に楽しそうにしてただろ…」
「もー、まだ疑うの?美男が喜んでくれるかなって思ったら笑顔にもなるわよ!」

俺たちの会話を聞いて、柊がクックッと笑い出した。
「あの時は驚いたよ。勇気と買い出しに行って帰ってきたら、今にもケンカになりそうだったから」
「そうそう、ふたりとも勝手に誤解してさ。美子も泣き出しちゃうし。ドラマか!って突っ込みたくなったよ」
「まあ、止めるまでもなく部屋に戻っちゃったんだけどね」

(そっか、そういうことか…)
安心したら身体からすっかり力が抜けた。
「NANAごめん、疑ったりして」
「ううん。美男があんなに嫉妬してくれるなんて…うれしかった」
NANAが肩を寄せて、手を握ってくる。うれしくて、その柔らかい手をギュッと握り返した。

デレデレとしたNANAの顔を見て、廉が頬をピクッとひきつらせた。
「フン、おまえいい加減に嘘つき妖精やめろよな」
「やだ!言わないで廉!」
NANAが慌てて廉の言葉をかき消そうとする。
「え?どういうこと?」
「こいつ、おまえにやきもち妬いてほしいからって、わざと俺にまとわりついてたんだからな」
「は…?」
「まったく、危うく殴られるところだったぞ。美子を誤解させるのもしんどかったし…」
147Jealousy 6:2012/01/02(月) 02:18:47.84 ID:yTdu6K6m
「NANAちゃん、昔からあれこれ企むの好きだったよね〜」
「ああ、いろいろひっかき回されて大変だったよ」
勇気と柊もニヤニヤしながらNANAを冷やかす。
「もうやめてよ!お願いだからそんなこと美男に言わないでってば!」

「で、でもっ!」
顔を赤らめてあたふたするNANAを庇うように美子が話し始めた。
「でも、NANAさんがいなかったら私、廉さんとこんな風にはなれなかったかもしれませんよ。
NANAさんのおかげで、私は廉さんへの気持ちに気付けたんですから!」
きっぱりと言い切る美子に、廉の頬が緩んだ。
「もちろん大変な思いもたくさんしたけど…。でも!あの頃のNANAさん、一生懸命ですごく可愛かったです」
「美子…ごめんね。ありがと…」
NANAがか細い声で美子に感謝する。
「それに、いまお兄ちゃんに夢中なNANAさんはもっともっと可愛いです!」
美子がフニャっとした笑顔をNANAに向けると、NANAは真っ赤になって恥ずかしそうな笑顔を見せた。

俺にやきもち妬かせたいなんて…。
子供っぽいけど、そんなNANAがすごく可愛らしくて、ついつい悪戯心が芽生えてきた。
「あっ!あそこに何かいるっ!」
「えっ?!」
大声をあげて部屋の隅を指差し、みんなが視線を逸らした隙にNANAの唇を奪った。

「なんだよ美男、何もいないじゃん……っとぉ〜!」
真っ先にこっちに振り返った勇気が赤面した。
「あーあ、お熱いことで」
「うっせ。こっち見んな」
ポワンとしたNANAの表情に満足して、もう一度軽くキスをした。

「お兄ちゃんだけ、ズルい…」
美子が口を尖らせて廉を見つめる。
「なんだよ…。俺はこんな所でそんなことしねーぞ」
「廉さん…」
「くそっ、そんな目で見るなよ。ガマンできねーだろ」
嫌がる素振りを見せながらも、廉は結局引き寄せられるように美子に口づけた。
148Jealousy 7:2012/01/02(月) 02:20:49.52 ID:yTdu6K6m

2組のカップルがイチャイチャする中、置いてきぼりをくらった柊と勇気はひそひそと内緒話をしていた。
「柊さん…俺たちって淋しくね?」
「そうだな。悔しいからちょっとからかってみるか」
「おっけー」

***
「しゅ、柊さんっ!」
「勇気…いきなりどうした?」
「思い切って言うけど、柊さん俺…前からずっと柊さんのことが好きだったんだ」

(えっ……)
4人とも信じられないといった顔で目を丸くする。

「驚いたな…。まさか、こんな願いが叶うなんて…。勇気、俺もおまえを愛してる」
「柊さん、うれしいよ…」
「勇気…」
腕を伸ばして固く抱きしめ合うふたり。
互いに見つめあい、そのままゆっくりと顔を近づけていった。

(えええええっ………)
4人は完全に固まった。
***

「…ぷっ!」「あははっ!」
柊と勇気がハグしたまま背中を叩きあって大笑いした。
「お、おもしれー!みんなのその顔っ!」「大成功だな!」

「おい…」
廉が真面目な顔で口を開く。
「おまえらを信じた俺がバカだった。A.N.JELLは今日で解散する」
「え?!ちょっと待ってよ廉さん!怒ったなら謝るからさ〜!」
「まさか、冗談だろ?」
「…ノーコメント」

(あーあ、廉のやつ、あんなにニヤニヤしてたら冗談なのがすぐバレるっつーの)
大好きな仲間と恋人に囲まれて過ごせるなんて、最高の誕生日だな。そう思いながら美子の顔を見る。
美子がニコッと微笑み返す。きっと俺と同じ気持ちでいるはずだ。
149名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 02:22:50.59 ID:yTdu6K6m
以上です
新年のおめでたい気分に合わせて(?)ハッピーなものにしてみました
いい一年になりますように!
150名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 02:51:19.25 ID:Hl3yOGgb
>>149
GJ〜みんな幸せそうでほっこりしました!
美男も廉さんも大胆で驚いたな…。NANAと美子も可愛い
勇気と柊さんもほんとに付き合っちゃえよww
151名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 14:26:42.62 ID:cPgw4LwD
>>149
あけおめです!
4人丸くまとまって、しかも即席アーペアのおまけまでw
美男美子双子が仲良し過ぎて、廉NANAがヤキモキする話かなと思ったら逆でした。
柊さんx勇気なら、原作にない、衝撃の結末!!!!!、確か、インタビューで柊役の人が予想してましたw
個人的には、廉柊の方がお似合いの気がしますw
152名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 14:33:25.34 ID:hU7huQxT
>>149
GJ!
特に双子かわいすぎw キスしちゃう美男も見つめてねだる美子もいい!

あけおめでっすw
帰省してて久しぶりにのぞけたら新年からハッピーw
今年も期待して待ってます〜皆さまよろしくです
153名無しさん@ピンキー:2012/01/02(月) 22:30:25.38 ID:J+Wq613h
>>149
年明けからかわいいお話、GJです!
みんなかわいいー。ヤキモチ話はどういうシチュでも萌えますなw

今年も昨年みたいに良作の数々を期待しています!!
154名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 00:41:51.16 ID:IoeDRoDD
>>149
こういうエロなしほのぼの系の話は実写化して見たいなぁと思う今日この頃w
美男の中の人すごい大変だと思うけどww
155名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 09:13:41.62 ID:t4YCZpQa
>>154
同意 TBSさん検討頼むw
ここの書き手さんたちにおまかせすれば
エロ無しで仕上げても良い続編orSPになると思うw
156名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 10:25:49.87 ID:IKnpcasO
流石にそれはない
157名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 10:29:06.46 ID:E8FoPS76
>>151
> 柊さんx勇気なら、原作にない、衝撃の結末!!!!!、確か、インタビューで柊役の人が予想してました

へー。書いてみようかなw
でもシチュがまったく浮かばない
158名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 12:28:39.14 ID:LrA78CpO
新年、明けましておめでとうございます。
今年も1年、宜しくお願いいたします。

作品投下します。
柊×美男(本物) エロなしです。
設定は2年後の大晦日から年明け直後まで書きました。
それでは、どうぞ。
159甘いカフェオレ 1:2012/01/03(火) 12:29:25.97 ID:LrA78CpO
夜空には煌々と輝く月が街を照らしているにもかかわらず、東京の街には雪が舞い散っていた。
酷い吹雪と言うよりも、春に桜の花びらがちらちらと舞う様な弱弱しい感じではあったが、
それがまた趣があると思いつつ、美男は美子から渡された黒のセーターと手袋を見に纏いながらリビングの窓を開き、窓枠の上に座りながら月を見ていた。

この日、A.N.JELLの関係者たちは忘年会を別の場所で行っていたのだが、美男は1次会が終わった時点で抜け出してきた。
・・・・まぁ、理由は2次会以降に縺れ込めば酒に酔っ払ってくる奴らも増えるし、その面倒を見るのが少しだけ面倒くさいからというのが理由だった。

それで、合宿所に戻ってきてから1時間、ずっと月夜を眺めていたのだ。
今年の反省やら来年ことやら、色々考えながら一人、ずっと・・・・。


12月31日 午後11時12分。
「はぁ・・・今年ももう終わりかぁ・・・。早えーなぁ・・・・。」
はぁと息を吐き捨てると白い吐息が外へと広がるが、それはすぐに消えてしまい、何だか寂しく思える。
「やっぱ・・・一人は暇だな・・・。2次会・・・・参加すれば良かった・・・・。」
今更2次会に参加しなかった事を後悔しているのか、もう一度息を吐き捨てると冷える外で
丸く身を縮めるとセーターの腕の部分に顔を押し当てる様に顔を埋める。

そんなことをしていると頬の辺りに突然、ピタッと温かい何かが当たる。
外の気温によって冷え切った頬に当たった温かな感触に、「うわ!!」と声を上げると
その場で体のバランスを崩し、背中から後ろに倒れ込んでしまった。

「いってぇ・・・・。」
「何やってんだ?そんな寒い所で?」
「・・・しゅ、柊?」
倒れ込んだまま目を開けるとすぐ真上にマグカップを持ちながら笑っている柊の姿が見える。
「ほら。いつまで寝転んでるんだ?」
マグカップを床の上に置くと依然、仰向けに倒れこむ美男の手を取り、上半身を起こす。
美男はその手に従われるまま手を握り返し、呆然とした表情を浮かべながら起き上った。
「あ、ありがとう。お前、2次会に参加してたんじゃないのか?」
「ん?あぁ。何か、勇気とか馬淵さんとか大暴れしだしたからトイレ行くって言って逃げてきた。」
「・・・・・・・・。」
いつもの面倒見の良い柊とは思えない行動に意表を突かれたためか、美男は黙り込んだまま柊の事を見ていた。
その美男の視線が胸にぐさりと刺さったのか、少し慌てた素振りを見せた後
「そ、そんな薄情者って言わんばかりな顔でこっち見るなよ・・・。」と苦笑いを浮かべながら美男の様子を窺うように言葉を返した。

柊の言葉を聞いて自分が真顔で柊の事に気がついた美男は申し訳なさそうな表情をすると
「あ、い、いや、別に悪いとかじゃなくて・・・ただ、柊もそういう時ってあるんだなって。そう思うと意外でさ。驚いただけ。う、嘘じゃないからな!!」
とたどたどしい口調で必死になりながら言った。

「そうか。まぁ、もう少ししたら皆も来るだろうし、少しだけ二人で話しでもするか。」
必死な素振りを見せる美男が微笑ましくて笑みを零しそうになったが、笑みをこぼしたら
美男がまたそれに対して怒りだしそうだと思った柊は笑い声を堪えながらそう言うと
床に置いてあったカフェオレの入ったマグカップを美男に手渡し、しゃがんでいた体を美男のすぐ隣に腰を下ろした。
160甘いカフェオレ 2:2012/01/03(火) 12:29:53.97 ID:LrA78CpO
「ん・・・あ、ありがとう・・・ずず・・・少し甘いな・・・。」
「そう?もう少し苦めにすれば良かったか?ずず・・・。んん・・・確かに甘すぎるかも。久しぶりに作ったから失敗しちゃったか。」
「でも・・・・・。」
「ん?」
「これぐらい甘い方が俺は好きだなぁ・・・。」
先ほどまで外に居たためか、口元がぎりぎりセーターから出るぐらいまで顔を縮こませていた美男は、マグカップの中をじーっと見つめながら小さな声で呟く。
そして、その後すぐにもう一口ココアを口に含むと、ココアを飲んだ事によって血の巡りが良くなったのか
少し赤みがかった頬のまま「甘い・・・。」ともう一度小さな声で呟くと柊の方を見て僅かに笑みを浮かべた。

「それじゃあ、また今度もこれぐらいで良いか?」
美男の笑みにこちらも笑みを返す様に微笑みながら柊がそう言うと、はっと我に返ると
自分が子供の様に感じられた美男は顔を逸らし、見栄を張る様に咳払いを数回した後
「んん・・・。も、もう少しに、苦いぐらいが・・・。」と柊の事を横目で数回見ながら言った。

「それじゃあ・・・ブラック?」
美男がブラックコーヒーを飲めないと知ってながら、わざとらしく笑いながら問いかける。
「そ、それじゃあもうカフェオレじゃないだろ!!て、てか・・・俺・・ブラック飲めねーよ・・・。」
「ふふ。知ってる。それじゃあ・・・やっぱりこのままで良いか?」
「ぅ・・・・・。」
柊に1杯食わされた事に気が付き、腹立たしさを感じながらもにこにこと笑みを浮かべる
柊の姿に言葉を詰まらせると、「も、もうそれで良い・・・。」と不機嫌そうな表情を浮かべながら不貞腐れた様な低い声で言葉を返すと
すぐに柊へと向けていた視線を外で舞っていた雪へと視線を移し変えた。
そんな美男の姿に、くすりと小さな笑い声を漏らした柊はカフェオレを含んだ後、自分も外の景色へと視線を向け
しばらく、二人は言葉を交わす事なく時間だけが過ぎて行った。
161甘いカフェオレ 3:2012/01/03(火) 12:30:44.89 ID:LrA78CpO
同日 午後11時50分

「・・・・な、なぁ・・・柊?」
「・・・ん?どうかしたか?」
「い、いや・・・柊みたいな奴ならさ、大晦日に一緒に過ごす相手もいるんじゃないか?
廉でさえ美子と付き合ってるんだし・・・。お、俺なんかと一緒に居てもつまらないと思う・・・・。」
空になったマグカップを両手で持ちながら体育座りのまま、顔の口元ぐらいまでセーターに潜らせながらぼそぼそと声を出す。
「そう?俺は美男と居ても面白いよ?元気だし、おっちょこちょいだし、予想外の行動とかするし・・・。」
「よ、予想外!?な、何だよそれ!?」
底の方に僅かに残っていたカフェオレの入ったマグカップを床に置いた後、口元に指を当てながら話をしていた柊だが
その柊が発した「予想外」と言う言葉に反応した美男は目を丸くしながら身を乗り出して柊を問い詰める。
だが、柊にとってこれもまた予想外の行動の一つだったのか、身を乗り出した美男を見ると
微笑みで表情を更に和らげると小さく「ふふ」と声を漏らし
「そ〜れ。そういうのとか、いきなり自虐的な態度とる所とか・・・」
と美男のおでこに軽く人差し指で触れた。

「こ、これが予想外・・?だって、大晦日なのに男と一緒に居たって詰まんないって考えるのって普通じゃないのか?」
依然、おでこに人差し指が触れられている事は意識していないためか何も言わず
首を傾げると柊の事をじーっと見つめる。
「いや、別に男と一緒に居ても変ではないと思うよ?それ言ったら、俺と一緒に居る美男も変な人になるんじゃない?」
「ま、まぁ・・・それは・・その・・・。」
「そういえば・・・美男はNANAちゃんに告白したのか?」
「は、はぁ!?な、な、な、なに、い、ってんだ!?お、お、俺がN,NANAにぃ!?う、うぉ!!」
突拍子もない柊の発言に美男は顔を真っ赤にして、動揺していたのか
またも体のバランスを崩すと今度は前方に居る柊を巻き込むように倒れ込んでしまった。
162甘いカフェオレ 4:2012/01/03(火) 12:31:22.14 ID:LrA78CpO
「いたた・・・・・」
「み・・・美男?ちょ、ちょっと・・・う、動けないんだけど・・・。」
「・・・んぇ?・・・・あ。」
衝撃のため目を閉じていた目を開くと、柊の胸の辺りに自分の顔があるのが分かり、すぐ真上を見ると見下ろす様にこちらを見ている柊の顔が見える。

この時の柊と美男は美男が柊の胸の辺りに倒れ込み、咄嗟に両手で掴んだ為か柊の左手を力強く掴んでおり
さらに両社の足はどうしてこうなったのかと言うほどに複雑に絡まり合っていた。
端から見れば美男が柊の事を襲っていると思われてしまうような体勢だった。

「あ・・・あぁぁぁ!そ、そ、その・・・わ、悪気はなかっ!い、いってぇ〜!舌噛んだ!」
冷静になり自分たちの置かれた状況を把握すると、先ほど以上に体中が見る見るうちに赤くなっていった美男は
どくどくと高まる鼓動のまま、柊の体から離れるとその隣に足を崩しながら座り
慌てているのかあたふたと頻りに顔を小刻みに振りながら動かす。

「驚いたな・・・。まさか美男に押し倒されるなんて・・・」
美男から顔を逸らすと直視しない様に横目でちらちらと数回見る。
「あ、あぁ!だ、だから!べ、べ、別にお、俺、そんな疚しい気持とかじゃなくて!!」
「俺・・・もう婿に行けないかも・・・。」
「だ〜か〜ら〜!!そう言う訳じゃ」
「責任、ちゃんと取ってくれるよな?」
美男の言葉など何一つ聞いていないのか、切なげな瞳で柊は美男を見つめる。
その視線に不覚にもある種の色気を感じた美男は如何すれば良いのかわからず、ただただ鳴り止まぬ鼓動を抑えつけようと自分の手を胸の辺りに押し付けるが、意識すればするほどに鼓動は速さを増す。
そして、鳴り止まぬ鼓動と柊に対する戸惑い、更に柊の迫真の演技(美男は気がついてないけど)に
「あ・・・ぇ・・い、いや、そ、その・・・。」
といかにもパニック状態と言わんばかりに口からは途切れ途切れの単語が漏れだす。

そんなパニック状態に落ち居ていた美男に柊は最後の追い打ちを掛ける様にゆっくりと美男へと近づく。
「しゅ、しゅう!?い、いや!だ、だから・・・そ、その、い、いや、お、俺が悪いのはわ、分かるけど!こ、こういうのは駄目だと思う!」
「・・・・・・」
大慌てする美男だが、それでも柊は真剣な表情でゆっくりと美男に近づいていく。
「柊ぃ〜〜!!あぁ!!もう!!なるようになれ!!」
責任を取る気になったのか、はたまたやけくそになったのか大声を上げると美男は目を力一杯つぶり、身を縮め、体を強張らせた。

(あぁ・・・来年から俺・・・どうなるんだろう・・・・)
目を瞑る中、自分がどうなるのか途方に暮れるように考えていたが、一向に美男に対して柊はアクションを示さない。
どういう事かと思い閉じていた瞼を開いていくと、先ほどまで自分が持っていたマグカップを持ちながら笑いを堪える柊の姿が目に映った。
163甘いカフェオレ 5:2012/01/03(火) 12:32:06.29 ID:LrA78CpO
「・・・・ぷ。はははっは!はぁ・・・ご、ごめんごめん。」
「・・・え?」
さっぱり状況を理解できていない美男は口をポカンと開きながら虚ろな目で柊を見る。
一方の柊は鳩が豆鉄砲を喰らったかのような表情をしている美男にもう一度大きな笑い声を出した後、零れる涙を拭き取った。
「あぁ・・・。美男が顔真っ赤にしてるのが面白くてさ。ついつい悪乗りしちゃった。」
「・・・・え?」
「全部演技。なかなかうまかっただろ?」
「・・・俺の恥じらいと戸惑い、必死な謝罪を返せ!後、舌噛んだのも!!」
くすくすと笑う柊に更に顔を赤くする美男は怒鳴り声を上げるとそっぽを向き、身を縮め
「もうやだ・・・。柊ってこんな意地悪だっけ?」と小さな声で呟いた。
164甘いカフェオレ 6:2012/01/03(火) 12:32:27.10 ID:LrA78CpO
「・・・・何か・・・・どっと疲れた・・・。」
「俺は楽しかったけどな?」
「・・・・・お前、意外と意地悪だよな。今日初めて分かった。」
満面の笑みを浮かべる柊とは対照的に、むすーっと不貞腐れた表情を浮かべる。
そんな事をしていると遠くから ごーん ごーん と鐘の音が微かに聞こえてきた。

「年・・・明けたみたいだな。」
腕時計を確認して、午前0時0分になった事を確認する柊。
「そ、そうか・・・・。うぅ・・・。まだ体が熱い・・・。」
「ごめんごめん。お詫びに今から年越し蕎麦でも食べないか?正月何だしさ。」
「・・・俺の話聞いてた?体熱いって・・・ぐぅ・・・。」
「・・・お腹、減ったんだな?」
タイミングが悪くお腹の音が鳴ってしまい、どうにも締まらない感じになってしまい
美男はまたも顔を隠す様にセーターの中に潜り込むと、こくりと一度だけ頷く。
「ふふ・・・。それじゃあ、今から作るから少しだけ待っててくれ。」
「わかっ「あれ?柊さんとお兄ちゃん!?合宿所に戻ってたんですか!?」
美男が返答を言い終える前に美男が先に現れ、後から廉がぐーぐーと寝息をたてながら眠る勇気を抱えながら帰宅した。
美男は美男が帰ってくるなりセーターの中から顔を瞬時に出し、何事もなかったかのように黙りだす。
その様子につい10分前の美男の姿を思い出した柊は、笑い声を堪えながら口を手で抑えながらキッチンの方へと向かっていた。

「あぁ?お前ら何かあったのか?何か不自然だぞ?態度が・・・。」
二人の様子が変な事にいち早く気がついた廉は抱えていた勇気をソファに寝かせると
交互に美男と柊の顔を見ながらそう言う。
「い、いや・・・その・・・なんでもない・・・。」
「・・・嘘くせーな。おい美男!何かあった「何もない!!」」
「お、お兄ちゃん?な、何かあったの?体赤いけど・・・」
「あ、い、いや・・・な、何もなかった!うん!何もない!あ、そう言えば俺、ちょっと熱いから、自分の部屋で体冷やしてくる!!」
不思議そうに見つめる美子に顔を見られない様に、床に置いてあったマグカップを持ち上げると美男は自分の部屋へと掛け込んでいく。

その姿を微笑み見つめていた柊に廉と美子は顔を見合わせ、互いに首を傾げた後に
何も言わずにもう一度柊の方を見つめていた。

(はぁ・・・。けど、俺もちょっと危なかったなぁ・・・美男に押し倒された時)
何が危なかったのか。それは柊だけが分かることで、最後に小さく笑い声を漏らすと年越し蕎麦作成を始めるのだった。

そして、部屋に戻った美男はといえば・・・・。


「あぁぁ〜。まさか美子達が帰ってくるとは・・・み、見られてないよな?てか、これ、全員ぐるみのドッキリだったとか・・・。」
若干疑心暗鬼気味になりながらぶつぶつと一人で話していた。

ただ、部屋に持ってきた柊のマグカップ(本人は気が付いていないけど)を見つめると
カフェオレをくれた時の優しい笑顔を浮かべる柊の顔がカップの底に残るカフェオレに映る。

その笑顔を思い出すと「ふぅ」と息を吐き捨て、何だか夢何だか現実何だか分からなくなった
柊とのやり取りを思い出してしまった。

美男は首を横にぶんぶんと振った後、もう一度息を吐き捨て
「柊の意外な一面を知れたってことで・・・・いいか。」
と、自分なりの解釈で柊が行った行為を丸々許すことにした。
まぁ、いつか仕返しはするけどと誓いつつも。

「ずず・・・・やっぱ・・・甘いな・・・。」
最後に、既に冷め切ったカフェオレを全て口に含んだ後に笑みを浮かべ、もう一度息を吐き捨てた。
そして、ドキドキと高鳴っていた胸の辺りに手を当て、もうその音が小さくなっている事を確認すると
皆がいるであろうリビングへと向かうのだった。
165甘いカフェオレ 6:2012/01/03(火) 12:33:45.06 ID:LrA78CpO
以上となります。悪ノリで書いてみましたが、苦手な方がいましたら申し訳ありません。
そして、最初にageてしまって申し訳ありませんでした!新年早々やらかしてしまった・・・。

それでは、失礼しました。
166名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 12:34:57.30 ID:LrA78CpO
連投申し訳ない。
最後、連番間違えてしまいました。
些細なことなのですが、本当に申し訳ありません。
167名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 13:38:38.08 ID:laCHAnjb
あけましておめでとうございます。

たくさん投下されてるww
とりあえず投下してゆっくり読ませて貰います

双子 エロ無しです
168想い出1:2012/01/03(火) 13:39:59.87 ID:laCHAnjb
A.J.エンタテインメントの近所のカフェテラス。
晩秋にしては暖かい日で、店内は若い女性客で賑わっている。
お店の人も心得たもので、他のお客様からは死角になる席に案内された四人は、束の間の休憩を楽しんでいた。
「廉、この間もらったお土産、使ってるよ、ほら」
柊は小さなトルコ石をつなぎ合わせたネックレスを、指でつまんで廉に見せた。
「おう、それ美子が選んだんだ。いいだろ?」
「俺のもっ!ほら、これっ。何にでも合わせられるんだよねー」
勇気も左腕に付けたシルバーのバングルを得意そうにかざした。
「なんかさ、旅行から帰った美子、感じが変わったよね。大人っぽくなったっていうか、色気が出たっていうか…あ、ごめん」
色気と言う言葉に廉が軽く反応したのを見て、勇気は声をすぼませた。

(ま、プロポーズしちゃったしな。みんなにはまだ言ってないけど、やっぱり滲み出るものなのか、色気とか。
体も心も本当に馴染んで、俺達の付き合いも次の段階に進んだって感じか?)
旅先での楽しかった日々を思い出して、廉は口元を緩ませる。

「あ、ちょっとゴメン。電話来た…もしもし」
みんなから少し体を逸らして、美男が携帯に出る。
「おー、お前か。すげえ久しぶりだな、元気だったか?うん。…え?美子に会いたいって…?う〜ん、それはちょっとなぁ…」
聞くともなしに聞いていた廉が、ん?と美男に顔を向けると、美男は更に顔を逸らして声を潜めた。
「いや…まずいんだって。何でって…それは。いや、この話はまた今度な。わりぃ」
そそくさと電話を切ると、廉がじっと見ている。
「誰だよ、今の。美子がどうしたって?」
「ああ、高校の時のダチだよ。久しぶりに会わないかって…」
「美子も一緒にか?なんで美子に会いたがってんだよ?」
「いや〜何でかな?まあ同級生だったし…あ、俺、先に戻るわ」
話をごまかして美男は店を出て行った。

「ねえ、美子って高校の頃モテたの?」
合宿所のリビングでお茶を飲みながら、勇気が興味津々に聞いた。
「まあな。俺に似て可愛いから、へへっ。でもあいつ天然だから自覚してなかったと思う」
柊と勇気は同時に吹き出した。
「確かに、鈍感だよね、美子は」
かつて何度美子にアプローチしても、全然気づいてもらえなかった事を思い出して、柊は苦笑する。
「何回も呼び出されて手紙渡されたんだぜ。勿論俺が全部阻止したけどな」
「ひでーっ!じゃあ、美子は手紙全然読んでないの?」
「うん。何のお手紙だったのかなぁ、なんて言ってさ。ぎゃははっ」
この兄貴、鬼だわ…柊と勇気が内心呆れている事も知らずに、美男は当時の事を思い返す。
169想い出2:2012/01/03(火) 13:41:07.21 ID:laCHAnjb
「美子どこ行ったか知らない?」
いつものように美子を迎えに行くと、クラスメイトの女子が「さっき呼び出されて行ったよ」と教えてくれた。
(またかよ、ったく)
急いで体育館裏へと急ぐ。
生徒たちの間で告白する時にいつも使われる場所は、小さな噴水に西日が当たり、なかなかロマンチックな雰囲気がある。
遠目に美子と背の高い男が見えた。(あいつ、確か、サッカー部のキャプテンだな)
「あの、美子ちゃん…これ、読んでほしいんだけど…」
背の高いその少年は、身を縮めて美子に手紙を差し出した。
他の女子生徒からは絶大な人気を誇る彼も、美子の前ではおどおどして自信無さげに見える。
きょとんと首を傾げて彼を見上げる美子は、そっと手を伸ばして手紙を受け取ろうとした。
「こーとーわーるっ!」
急いで駆け付けた美男は、さっと横から手を伸ばして手紙をかっさらい、少年の胸に叩きつけた。
「桜庭っ、お前関係ないだろっ」
告白の現場を目撃され、しかも邪魔までされた少年は真っ赤になって美男にくってかかる。
「いーや、関係あるね。俺の許可なく美子に声かけんな」
そのまま美子の手をつかんでずんずんと歩いて行ってしまう。
「美男にい、どうしたの?キャプテンが…」
振り返ってみると、彼はうな垂れてとぼとぼと去っていくところだった。美男は立ち止まり、美子の目を覗き込んだ。
「美子、呼び出されたからってほいほいついてくなよ。バカじゃねーの、マジで」
「美男にい、またそんな言葉使って。先生に怒られちゃうよ」
「はあ?言葉って…。お前俺の言ってる事わかってんの?」
呼び出されたから付いて行って、手紙を渡されたから手を伸ばして、まったく無防備すぎる。
「とにかく、男から何か言われたら、まず俺に言え。わかったな?」
「うんっ!」
ニコニコしながら美男に笑顔を向ける美子。美男は軽くため息をつく。ほんとにわかってんだか…。

昔の事を思い返しているうちに、美男はある事を思い出した。
さっき電話をよこした高校時代の友人が、美子の事が好きだと言ったことだ。
誰かが告白しては美男が邪魔しているのを近くで見ていた友人は、卒業間際になってから美男に打ち明けたのだった。
「付き合えるなんて思ってないけど、ずっと好きだったんだ…」
恥ずかしそうに俯く友人を見て、美男は複雑な心境だった。
美子の事もよく知ってるし、すげえいい奴だけど…。美男は、どうしていつも告白の邪魔をしてきたのかわかった気がした。
相手が気に入らないとかじゃない、美子を誰かに取られるのが嫌だったんだ。
急に黙り込んだ美男を見て、友人が慌てて行った。
「気にしないでくれ、美男。俺も卒業したら遠くに行っちゃうし、もうすぐお別れだからちょっと言ってみただけだよ」
美子ちゃんには言うなよ、と一言言って彼は去って行った。結局卒業してから今まで一度も会うことは無かった。
あいつ、今頃電話してくるなんて、まだ美子の事好きなのか?
170想い出3:2012/01/03(火) 13:42:53.67 ID:laCHAnjb
二人が高校に入学した時、美男と美子は注目の的だった。
男女の双子は珍しいし、二卵性でありながらそっくりというのが珍しかったせいもある。
しかも二人とも超美形で、並んで歩いていると、通り過ぎる人がハッと息をのむほどだった。
しかし美男は顔に似合わず男っぽい性格で、美子を守るためもあるのだろうが、いつも鋭い視線であたりを睨みつけていた。
そんな態度でいたため上級生に目を付けられることもあり、一度見知らぬ連中に体育館用具室に呼び出されたことがあった。
「おい、桜庭。お前、入学したばかりなのに、生意気なんだよ」
周囲をぐるりと取り囲まれて、小柄な美男は精一杯虚勢を張った。
「ふんっ、一年坊主によってたかって、情けねえ奴らだな」
「何だとっ!」
逆上した上級生が目配せをして、美男に飛びかかろうとした、その時。
「美男にい…何してるの?」
用具室のドアが開き、美子が顔を覗かせた。
上級生たちの間を縫って美男のそばまでやって来た美子は、状況がわかっていないので笑顔を浮かべている。
美子まで巻き込まれるっ、と焦った美男は周囲の上級生たちの顔を見てびっくりした。
みんな一様に顔を赤らめて、美子に見惚れている。
その中のリーダー格の少年が一瞬ハッとしてから、美男をもう一度睨みつけた。
「とにかく、あんまり調子に乗るんじゃないぞ」
捨て台詞を残してみんな引き上げて行った。
そう言えばあの連中、あの後美子の私設親衛隊みたいになって、勝手に美子の身辺を守ってたっけ。へへっ、懐かしいな。

数日後、美男と美子、そして友人の三人の姿がとあるレストランにあった。
思い出話に花を咲かせて賑やかな笑い声が響く。
美男がお手洗いに立って、二人きりになった時、彼が思いきったように口を開いた。
「俺…美子ちゃんの事、ずっと好きだったんだ」
二つほど離れたテーブルに座っている客がビクッと身じろいだ。
「ごめんね、突然こんな事言って。でも会うのは今日が最後かもしれないから、言っておきたくて…」
驚いて目を見開いた美子が「最後ってどういうことですか?」と尋ねた。
「うん、仕事で外国に行くことになって。いつ帰って来るかわからないし…ほんとごめん。驚いたよね?」
俯いた彼を見つめる美子は、首を横に振りながら小さく微笑んだ。
お手洗いから戻った美男が席に向かっている時、挙動不審な男の姿が目に入った。わざとらしく新聞(!)で顔を隠している男。
(廉っ?あいつ、何してんだよっ!)
全身黒ずくめでご丁寧にサングラスまでかけたその男は、周囲の華やかな雰囲気の中、異様な空気を放っていた。
(つーか、逆に目立ってんだけど。ったく、俺が一緒なのに、そんなに心配かよ?)
笑いを堪えながら席に着いた美男は、また三人でお喋りに興じた。
171想い出4:2012/01/03(火) 13:44:37.29 ID:laCHAnjb
「じゃあ、お前も元気でな」
レストランの前で美男と友人は握手を交わした。
「うん、美子ちゃんも元気でね」
差し出された手のひらを美子が握った。
その手を強く引っ張られて、美子は友人の胸にしっかりと抱きしめられてしまった。
「ちょっ!おまえっ…何してんだよっ」
一瞬で美子の体を離した彼は、いたずらっ子のようにエヘヘ、と笑った。
「ごめんっ!でもこれで思い残す事はないよ。ありがとう、二人とも。じゃーな」
大きく手を振りながら彼は去って行った。ポカーンとして突っ立っていた二人も、慌てて手を振り彼の姿を見送った。

「ただいまー」
美子の声を聴いた廉は、弾かれたように立ち上がった。
リビングに入ってきた美子を力いっぱい抱きしめる。
「きゃ、廉さん。どうしたんですか?」
「美子…おかえり」
ソファまで美子を連れて行って、抱きしめたまま寝そべり、腕も足も美子に絡ませる。
「廉さん、手を洗わなきゃ、うがいも…」
「いいからっ!」
廉の体から放たれる熱で、外気で冷えた美子の体が段々温まってくる。
「楽しかったか?」
「はい、とっても。懐かしかったなぁ、うふふ」
廉はやきもきした気持ちを隠しながら、ほんのり頬を染めた美子を見つめる。
「それで…なんか、その、言われたりしちゃったのか?」
「廉さん、どうして知ってるんですか?うふふ、実は、好きだったって言われちゃいました。エヘヘ」
「へ、へぇ〜…。そ、それで?」
「それでって?それだけですよ」
(いやいやいやいや、あるだろう、抱きしめられたのが。秘密にするつもりなのか?)
「白状しろよ。ほら、早く」
美子の耳たぶを噛むように、囁き声で問い詰める。
「やっ、くすぐったい。あっ、そう言えば、別れ際にぎゅってされちゃいました…」
廉の瞳を申し訳なさそうに見上げて、告白する。
「で?どうだったんだ?」
「どうって、何がですか?変な廉さん。もしかして、やきもち妬いてるんですか?」
「バ、バカ言うな。俺がやきもちなんか…」
微笑んで自分をじーっと見上げている美子を見て、廉はやきもきしていた自分がばかばかしく思えてきた。
(ま、いいか。美子の気持ちが揺らぐ訳ないしな…)
美子の顔を上向かせて、ちゅちゅちゅっとキスをする。ニッコリ微笑んだ美子をもう一度強く抱きしめた。

A.N.JELLの4人はリハーサル室で練習の合間に雑談をしている。
「昨日どうだった?」
「んー?楽しかったぜ。やっぱ、昔のダチはいいよな。長く会わなくても気持ちが通じるっていうかさ」
「だよね〜。そいつって今何やってんの?」
ドラムのスティックをくるくる回しながら勇気が聞いた。
「なんか、NGOっつーの?発展途上国に行って支援活動するみたい。美子もそういう事に興味あるからすげー食いついてた」
離れて座っている廉が、ピクッと反応した。
「それよりさー、昨日のレストランに変な奴がいてさ。ぷぷっ、イタリアンの店で、新聞読みながら飯食ってんの。うけるっ」
横目で廉をちらっと見ると、慌てて目を逸らしている。
「えー?一人で?何それ?変態じゃない?」
美男と勇気が「ギャハハッ」と爆笑した。
「ぅ、あー、お前ら、そろそろ練習再開するぞ」
耳を真っ赤にした廉が3人に声を掛ける。
「はいはい、ぷっ」
狼狽えた廉を見て笑いながら、美男はキーボードの前に立った。
172名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 13:55:08.22 ID:laCHAnjb
以上です

今年もゆっくり書ければいいな、と。
お邪魔しました
173名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 20:42:11.24 ID:OdfbfkVB
>>149
おめでたい、このメンバーで定期的にANJ同窓会やって欲しいね。
そのうち4人は親戚になるわけですがw(場合によっては柊さんも?)

>>165
魔性柊さん、GJ! 美男相手ならアリだと思いますw
柊さん→美男→NANAの三角関係、誰か書いてw

>>172
挙動不審な男に惚れました〜ビジュ想像出来そう。
美男鬼兄もいい味出してますね。
そういえば、自分、男女双子に一回も出会ったことないよ、二卵性でも似てるものなんですかね?
174名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 00:21:49.00 ID:RQ69PlS/
>>173
感想ありがとうございます
普通二卵性だと全然違う顔ですよね
同級生にいました。男×男でしたが
兄弟だし、なぜそこまで違うのか、そのほうが不思議です
あっ、男×女もいたなー  結構似てた
175名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 01:03:13.32 ID:pVZeitZR
>>165柊美男いいね、柊さんにドキドキしちゃう美男可愛い!
柊さんはやっぱエロい

>>172
シスコン美男も黒ずくめstk廉も萌えるww
自分の同級生には超美形なモテモテ双子姉妹がいました
そっくり過ぎて最後まで見分けがつかなかったww
176名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 07:47:56.20 ID:4h/HJn69
皆さんGJ! たくさん読めてウレシw

>>165
柊さんってやっぱりスゴイ エロいw
誰とでもうまくいけてしまいそうな不思議な人だ

>>172
もしかして南の島さん続編ですか? 違ったらスマソ…
韓国Verの美子同級生登場のとこで、たぶん廉さん
こんなstk風になるんだろな〜と思ったらワロタww
男×女双子が身近にいるけど、顔は似てても身長差があるから
美男美子みたく入れ替われるくらい似てるのは奇跡かもしれんw
177名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 13:02:23.71 ID:RQ69PlS/
>>176
あっ、そうです。
また書き忘れた。すみません
178名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 21:52:48.01 ID:Ret2douw
>>172
美男と勇気「ギャハハッ」に萌えましたw
STK廉さん、無駄に素敵なオーラをまきちらしそう。
ここは、STK専門柊さんに倣わないとねw
179名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 23:23:47.62 ID:ufaWdUkr
>>177
続編じゃないなら名乗る必要ないよ〜
あんまり名乗りすぎるのも荒れる元だしね
180名無しさん@ピンキー:2012/01/06(金) 19:36:49.26 ID:1rakoD2k
純粋でかわいい美子のイメージしかないんだけど…
「実は百戦錬磨の美子がDT廉さんを襲う!」
的な話を見てみたいw 廉さんの夢オチとかでも可
お暇なときに書いてくださる方いないだろうか…
自分で書ければいいんだが 文才がなさすぎる…
181名無しさん@ピンキー:2012/01/06(金) 20:40:53.62 ID:UI0PtrVo
>>180
いいなそれ読みたい 淫乱なシスター見習いww
182名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 01:02:01.15 ID:5cjU2Wf2
職人様の投下を待つ間に、173さんのレスで思いついたことを少しだけ
特にこれといったシチュもストーリーもありません。暇つぶしにどうぞ
183Triangle:2012/01/07(土) 01:03:17.84 ID:5cjU2Wf2
─ 柊 ─
気付いてもらえる愛だけが、愛じゃないと思う。
気付かれてはいけない愛だってある。
だから伝えるつもりはない。
あいつの心を乱したくないから、ただ見つめることしかできない。

スタジオで収録を待つ間に美男と話す。
その間も、美男の視線は幾度となくNANAのいる場所をさまよう。
彼女が好きかなんて訊ねたことはないけれど、その想いが、戸惑いが、手に取るようにわかる。

NANAは可愛い女の子だ。
わかるよ。それが自然で、当たり前のことだから。
そんなことわかってる。だから、辛い。


─ 美男 ─
恋は落ちるものだと誰かが言っていた。
たぶん落ちてしまったんだと思う。初めて彼女を見た瞬間に、驚くほどあっけなく。

NANAの頭の中に僕がいないことはわかってる。
彼女の視線を辿れば、そこにはいつも柊がいた。
今この瞬間も、柊の目の前にいる僕のことなんてきっと気にも留めていないんだろう。

どうして神様は僕に時間を与えてくれなかったんだろう。彼女しか見えなくなる前に。
何も知らなかった頃にはもう戻れない。だから、辛い。


─ NANA ─
どうしてなのかな。

美男と話している柊の瞳にまた吸い込まれてしまった。
いつも優しくて穏やかな柊が、美男だけに送る熱っぽい眼差し。
こっちを見て。その瞳のまま、私だけを見つめて。
そう念じ続けていたら、ふと目が合って胸がトクンと跳ねた。
でも、その穏やかな微笑みはいつも通りの柊で。

どうして美男だけなのかな。

みんなに優しいなんて、誰も特別じゃないのといっしょ。
柊は私に優しい。だから、辛い。
184名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 01:04:52.51 ID:5cjU2Wf2
以上です
お邪魔しました
185名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 13:40:41.25 ID:l9xw9Rx7
>>184
互いに報われない三角関係、イイ!!GJ!
短い中にこれだけ色々と詰め込めるのが凄いなぁ。
私も柊NANAとか妄想したいんだけど、なかなか上手く動かせない…。
186名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 16:06:00.03 ID:Bg1/ULf6
>>184
全員切なくて悲しくなる…
187名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 18:14:07.14 ID:nYyD5+un
みんな切ない……
勇気の話少ないから、どなたかお願いできないだろうか
秘密のバスで運命の出会いとかみてみたい
188名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 20:59:03.31 ID:UDj6jFRP
>>180さんの話を聞き書いてみました。
想像していたものとは違うかもしれませんが、楽しんでもらえればうれしく思います。
カプは 廉×美子 エロあり です。
それでは、どうぞ。
189淫夢 1:2012/01/07(土) 21:00:32.77 ID:UDj6jFRP
「廉さん、おやすみなさい。」
「あぁ。おやすみ。」

廉の部屋の照明が薄暗くなっており、ベッドの中で二人は互いに笑みを浮かべ合うと
美子は廉の体にすり寄る様にくっつくと静かに眠りに着いた。

すぐに眠りに着いた美子の寝顔を笑みを浮かべたまま見つめていた廉。
しかし、廉はそんな美子の寝顔に何か焦りを感じているようだった。

実は、廉と美子は今まで一度たりとも交わり合ってはいない。口づけ以上の事は何一つ出来ていなかった。
実質、こういう風に過ごす様になったのだって僅か2ヶ月程度しか経験してないから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
けど、文通を入れると2年以上は付き合っている。
このまま進歩なしで良いのだろうかと言う思いがあったのだが、どうにもその一歩を踏み出すきっかけが見つからないまま、2ヶ月近く何もなく生活を送っていた。

(・・・・・・けど、こいつ・・シスターだろ?ってことは・・・こいつだってやったことないわけだし・・・俺も・・)
ぼんやりとしながら眠る美子の事を見ていて、何をふしだらな事を考えているんだと思った廉は一人で顔を真っ赤にしていた。
そして、美子が起きない様にその場で小さく顔を横に振った後
「まぁ・・・そんなに急ぐ必要ねーよな・・・。」
と言い、「ふぅ・・」と小さく一息ついた後に自分も眠ることにしたのだった。
190淫夢 3:2012/01/07(土) 21:02:16.66 ID:UDj6jFRP
「んん・・・・はぁ・・・。やっぱ眠れねー。寝る前に変な事考えたからか?」
夜遅くに目覚めた廉。今が何時か確認しようと起き上ろうとしたがどうにも体が起き上らない。
と言うより、自分の体の上に何かが乗っかっているように感じられる。
(布団の上・・い、いや違う。その下・・・直に俺の体の上・・・か?)
上に掛けていた布団を剥ぎ取ると、ニコニコと笑みを浮かべる美子がすぐ目の前に現れた。

「み、美子!?お、お前・・・何してんだ?」
何が乗っかっているのかは隣に美子がいない時点で分かったはずなのだが、廉は気が付いていなかったのか
中から美子が現れると目を丸くし、あたふたしながら目を泳がせていた。
一方の美子はだんだんと赤くなる廉の顔を見つめ、笑みを浮かべると唐突に話しだした。

「廉さん、寝る前に何考えてたんですか?」
「な、何って・・どういう事だ?」
「だって廉さん、寝る前に一人で顔真っ赤にしてたじゃないですか。」
「は、は!?お、お前、み、見てたのか!?」
にへらと笑うと一度だけ頷く美子を見て、目を覆う様に右腕で両目を隠す。
(あ、あいつ・・・ちゃんと寝てたよな?やっべ・・・。何か恥ずかしくなってきた・・・。)
だんだんと熱くなる胸の鼓動を押し隠そうと念じるが、突然に突然が重なりそれらが相乗効果かのように互いの威力を高め、それが鼓動を何倍にも跳ね上がらせた。

だが、廉が考え事をしている中でも美子はその場で何もしないという訳ではなかった。
「廉さん?心臓からドクンドクンって音が・・・・」
胸の辺りに耳をくっつけ、目を閉じながらその音に意識を集中していた。
その言葉に目を塞いでいた右腕を退け、上半身を起こして美子の姿を目にした廉は
もう今どうなっているのか分からないほどに意識がばらばらになり、美子の姿を呆然と見ているだけだった。

そして、美子は放心状態に近い廉の姿を見てニコッと笑うと何も言わずに廉の両頬に両手を添え
ゆっくりと廉の唇を奪い、少し強引めに閉じられた口の中へと濡れる舌を滑らせるように侵入させた。

何があったか分からないでいた廉はすぐ目の前にある美子の顔、口の中で蠢く不思議な感触に言葉を失ったが
廉の防衛本能が咄嗟に自分の舌を捉えようと暴れる何かから逃げようと抵抗する。
だが、驚きのあまり逃げていたが、だんだんとその感触に慣れ出し始めたのと
艶っぽく輝く美子の表情に心を奪われたのか、数秒間逃げ回していた舌の動きを完全に停止させると美子に捉えさせた。

舌の動き止まると美子の舌が絡まり、執拗に何度も絡みながら、時折舌を吸い上げたりしてきた。
「んん・・・。」
自分の口の隙間から溢れる少し高めの喘ぎ声。これが自分の声かと耳を疑うような甘い声が漏れる。
初めて感じる感覚と初めて見る大切な人の大人びた表情。そして、初めて与えられた刺激。
それらによって、廉の正常だった意識はだんだんと熱を帯び、正常な判断を下す事が出来ない状態へと陥っていった。
191淫夢 3:2012/01/07(土) 21:03:01.74 ID:UDj6jFRP
「んはぁ!はぁ・・・はぁ・・・。」
数分間にわたる口づけから解放されると、少々息を荒げ、額に微かに汗が滲んでいる。
汗を腕で拭いながら、込み上げてくる熱い何かを抑えようと意識しながら呼吸を整えようとしたが、それ事を美子は許してはくれない。
「廉さん・・・私、もう我慢できません・・・。」
そう言うと廉の言葉を待たずに美子は身に纏っていた衣服全てを脱ぎ去り、体に何も纏っていない状態になるとベッドに仰向けに横たわった。
汗を拭うために美子から目を逸らしていた廉は、次に見た美子の姿を見てもう訳が分からなくなっていた。

(これ・・・ゆ、夢・・なのか?)

あられもない姿をした美子を目の前に、美子とは思えない行動に今いる次元が夢か何かかと疑い始める。
けど、夢かどうかを疑ったが思い当たる節が色々とありすぎて現実なのかもしれないという考えが廉の頭から消えない。

仮にも元シスターのこいつがこういう行為を率先してやろうとするだろうか?
神に仕える身だぞ?一応・・・・。
けど、もうこいつもシスターじゃない。歳も歳だからこういった行為に興味がないとは言い切れない。
いや、もしかして・・・・俺が何一つしようとしなかったから本当に我慢できなくなったとか・・・。

考えれば考えるほど深みにはまりさらに混乱し出したのか、頭を抱えながらその場で項垂れた。

「れん・・・さん・・・」
現実と空想の世界の狭間を漂う廉の意識を掴むように美子は廉の名前を弱弱しく呼ぶと
頭を抱えていた廉の右手を掴み、自分の方へと引き寄せる様に引っ張った。
この時、体に力が入っていなかった廉の体は美子の僅かな力でバランスを崩してしまい、結果的に美子の上に覆い被さる様な形となってしまった。

「あ、い、いや・・・」
改めて今置かれている自分の状況を再確認したのか、すぐ真下に居る美子の姿に
顔や耳、首の辺りまで真っ赤にした廉はすぐさま美子の方から顔を逸らす。
「そ、その・・・お、おれ・・あ、いや、だ、だから・・・。」
戸惑う廉の姿に美子は小さく笑い声を漏らした後、廉の首に両腕を回し顔を近づけ
「廉さん・・・顔、真っ赤ですよ?」
と色っぽく囁くと今度は軽い口づけを交わし、ベッドへ体を落とすと、廉の両頬に手を添え、顔を胸の辺りまで誘導させた。
192淫夢 4:2012/01/07(土) 21:03:36.54 ID:UDj6jFRP
どういった反応を示せばいいのか分からない廉は呆然とした表情で誘導されるがまま胸まで顔を移動させられたが、これからどうするか。
女性との付き合いは美子が初めて。女遊びなどしない廉からすれば知識0の状態で裸の女性の胸を見せられても如何すれば良いのか分からない。
だからと言って「分からないから無理。」だなんて言ったらそれもそれでプライドが傷つけられたようで逆に恥ずかしい。

(や、やるしか・・・ないのか・・・?)
ちらっと美子の様子を窺うように視界に美子の顔を見ると、美子は俺の行動を待っているのか
口元に右手の人差し指を当てながら顔を逸らしていた。
「・・・ふぅ・・・。」
息を一つ吐き捨てると覚悟を決めたのか、目の前にある胸の頂点を何も考えずに口に含んだ。

「んぁ!・・ぁぁ・・・。」
控えめに触れたつもりだったが、切れの良い高い声が美子から聞こえ、その声にすぐさま口を離した。
「んん・・・つ、続けて・・・。」
不安そうな表情で美子を見つめていた廉だが、恍惚な表情を浮かべてそう言った美子の姿に再び頂点を弄り始める。

最初は口の中に含んだ頂点を控えめに弾くだけだった。
けど、そうするだけで美子は艶っぽい喘ぎ声を出し、体を反らし、ビクビクと反応させ
心音がだんだんと速度を増していくのが分かった。そして、それが「気持ちいい」っていうものだと。
それも、力を強く入れるほどそれが強い物になるのだと。

もっともっと乱れる美子の姿を見たいと思った廉は控えめに動かしていた舌の動きを止め
ちらっと赤みを帯びた肌で声を上げる美子を見た後、頂点を力強く吸い上げた。
「んぁ!ぁああ!れん・・・さんん!!ぁぁあ!」
突然の刺激に今まで以上の嬌声を上げ、その声を堪えようと人差し指を噛みながら声を押し殺そうとしたが
それでも耐えきれず、口を開いて再び大きな喘ぎ声が部屋中に響く。

その声に廉自身も驚いたのか、一度体をビクッと気がつかれないほどの小さな震えをした。

吸い上げ終えた後口を離すと淡いピンク色だった頂点が少し赤みがかっており、その部分を一度指ではじいた後、顔を美子の所まで近づけた。

「美子・・・ど、どうだ・・・?」
「ん・・・き、気持ちいです・・・。あ、んん・・・で、でも・・・そ、それじゃ嫌・・。」
先ほどの強い刺激がまだ頂点に残っているのか、微かに掠める程度しか触れない部分に走る
微小な刺激が歯がゆい美子は少し恥じらう様に身を縮めた後、頂点を弄っている右手を掴み
自らの最も重要な部分の真上まで運んで行った。
193淫夢 5:2012/01/07(土) 21:04:05.27 ID:UDj6jFRP
「そこが・・・良いです・・・。」
真上へと運んだ手の力が抜けると美子の手はするりと落ちる様にベッドへ沈む。
一方の廉は一瞬だけフリーズした後、美子のその部分と顔を交互に行き来するように何度も見た。

(え・・・そこが良いって・・・ど、どうすりゃいいんだ?)
当然、女性経験のない廉は美子の秘部へと指を運ばれても如何すれば良いのか分からない。
ようやく胸の辺りが気持ちいいと理解したばかりで、やっぱりほぼ無知識に等しい。
そのため、若干動揺し始めていた廉の右手の指はぴくぴくと小さな反応を繰り返し続けていた。
「ごくり・・・」
廉から生唾を飲み込む音が聞こえる。こんな部分を初めて見れば無理もない。

(と、取り敢えず・・・・こんな中か?)
そのまま制止していても状況が変わらないと感じ、体ごと美子の秘部の近くへと移動させ
意を決して恐る恐る人差し指で秘部に侵入させていった。

最初に触れたその部分はどういう訳か既にびしょびしょに濡れていた。
そして、指は何にも抵抗される事なく、というよりも内部が指を飲みこんでいるかのようにどんどん力のほとんど入っていない指が中へと入って行く。
その指が奥深くへと入って行くほど、美子は表情を歪め、その声はだんだんと高さを増していった。
その声は先ほど胸の頂点を弄っていた時に発せられていたものと殆ど同じような感じ。
(そうか・・・・。ここも気持ちいいってやつなのか・・・。)
不思議そうな表情を秘部へと向けながら真剣に見つめながら廉は、ここもさっきと同じと言う事を理解する。

「んはぁぁ・・ん」
人差し指が全て入りきると気の抜けていく様な声が美子から漏れる。
廉は取り敢えず動かせば何かしろのアクションがあると思い、中にある指を無我夢中で内部で掻き乱す様に上下に動かし始めた。
「ぃあぁ!んぁ!ぁぁぁ!」
すると、動かし始めてすぐに美子から今日一番の嬌声が上がり、腰を浮かせ始める。
ただ少し動かしただけでこれほどの反応。すぐさま廉はここが先ほどの胸と同じ部類ではあるが、それ以上に敏感な部分だと悟る。
そうと分かると、廉は単純な思考で1本よりも2本の方が良いだろうと考え、中指もその中へと入れ、人差し指と真逆の動きをさせ始める。

「ああぁ!!んぁあ!れ・・・さんん!!」
苦しそうな表情だが、それでも美子の内部は抜かれる事を強く拒んでいる。
それが美子自身が「気持ちいい」と思っている証拠であるとわかっており、廉は指の速度を弱めはせず
一気に追い込むように速度を速めて行った。

動かすほどに秘部からは厭らしい水音と美子の声が響き、指の動きに合わせるかのように美子は腰を浮かせたり沈めたりしている。
(こういう事されると良いんだな・・・・。)
廉は快感の虜となっている美子の姿を見つつ、この行為に自分自身も虜になって行くのだろうかと思いながら指を動かし続けていた。

そんな時間も5分ほどすればあっという間に終わってしまう。

「あぁ!い、イク!!廉さん!!だめ!!あぁあ!!」
その声が言い放たれると美子は体を大きく跳ね上がらせる。それと同時に内部に何か液体が溢れてくるのが分かる。
そして、大きく体を跳ね上がらせた後、何度も小刻みに体を震わせ、「はぁ・・はぁ・・・。」
と辛そうな表情をしながら胸の辺りを上下に膨らませて呼吸をしていた。
194淫夢 6:2012/01/07(土) 21:05:13.82 ID:UDj6jFRP
指を抜き去ると指に絡まる少しねっとりとした液体。そして、その指が抜き去られた秘部から溢れ出てくる良く分からない液体。
どういったものなのか分からない廉はとろとろと溢れ出て、ベッドの上に零れ落ちていく液体を数秒間無心で見続けた後
美子の様子が気がかりになり、美子の顔の近くへと体を近づける。

「美子・・・大丈夫か?」
心配そうに美子を気遣う廉に対して、言葉を発するのは辛い美子は弱弱しく笑みを浮かべると小さく頷き
両手が廉の事を求めるかのようにぷらぷらと宙を舞い始める。
その動きにすぐさま何を語っているのか廉は分かり、美子の体の下に両腕を潜り込ませ
抱き寄せる様に美子の体を座りこませると美子は廉の腕の中で嬉しそうな笑顔を浮かべた。


「廉さん・・・。私ばっかりじゃ申し訳ないですから・・・その・・・寝そべってくれませんか?」
「ね、寝そべるって・・・こうか?」
「はい。それじゃあ・・・失礼します。」
廉の体から離れ、廉の体がベッドに横たわると廉の開かれたまたの隙間に座りこむ。
何をしだすのか神妙な表情で見つめていたのだが、見ていると美子が自分のズボンに手を掛けるのが見える。
「お、お前!ま、まさk」
流石に無知識の廉と言えど、そこまで見てしまえば何をされるのか分かったみたいで
美子の動きを制止させようと動こうとしたが、既にその時にはズボンに掛けられていた手が下着ごと下ろされていたのだった。

(おいおい・・・こ、こんなことまでされるのか?)
別に特別不思議な物でもないが、そのそそり立った部分が他の人間に見られているかと思うと
今まで生きてきた中で一番の恥を感じた廉は顔を逸らして右腕で顔を覆い隠していた。
だが、その時に止めれるなら止めるべきだったのかもしれないが、目を離したのが最後だった。
195淫夢 7:2012/01/07(土) 21:06:21.40 ID:UDj6jFRP
目を逸らしている間、何だかその物体を握られている様な感触が伝わった後、すぐさま先の方から何か温かな物が触れているような感じがした。
「んぁぁ・・・ん・・。」
そこには、自分の上に跨るかのように竿を秘部へ収めきり、頬を赤らめて火照りのせいか
微かに汗を流しながらにへらと表情を和らげる美子の姿が目に入った。

「お、おい!お、おま・・ちょ、い、いきなりか!?」
まさか、いきなり本番まで行くとは思ってもいなかった廉は目を丸くし、震えた声で竿があった部分を見た後、美子の顔を見つめる。
「んぁ・・・。それじゃあ・・・動きますね・・・。」
しかし、美子は廉の言葉に返答することなく、ただ恍惚とした表情を浮かべた後、前後に腰を動かし始めるのだった。

「んああ!」
美子よりも先に廉の高い声が部屋に響く。
(な、何だ・・・これ?体が・・どくどくと熱くなってくる。意識が・・・はっきりしない・・・)
天を仰ぎ見ながら嬌声を上げる美子に意識を集中させる隙もなく、自分の体の異変に戸惑う廉。
(つか・・・体の中で何かが駆け巡るかのようだ。やばい・・・。何か悔しいけど・・・
こいつ・・・俺より絶対やり慣れてる。・・・・。)
初めてなのだから、美子の動きがうまいなど分かるはずもないのだが、少なくても素人の動きではないというのは分かる。
動きに緩急をつけることで刺激に強弱を与えたり、円を描く様に巧みに腰を振ったり・・・・
どう考えても素人がマネできない様な動きを素早くやってのける。
(シスター・・・だったんだよな?風俗嬢・・・とかそんな所で働いてたんじゃねーのか?)
色々と頭の中で考えていたが、だんだんとその考える余裕すら無くなって行っていた。

限界が近づいていたから・・・。

「んぁ!れ・・さん?どう・・ですか?」
苦しそうに天を仰ぎ見ながら喘いでいた美子は涙で潤んだ瞳で廉の状態を確認してくる。
「ぁぁ・・・ぃい・・・。」
何だか、自分が責められてるようで恥ずかしい想いを抱いた廉は真っ赤な顔を逸らすと
小さく掠れそうな声で気持ちが良い事を告げる。
その顔を見ると小さく微笑み、一息ついた後、体を上下に激しく動かし始めた。

「あぁぁ!れ、れんさん!んんんん!!」
「はぁ!んぁ!」
そして、その激しい動きに二人は限界を迎える。
どくどくと先の方から溢れだす自分の液体を美子の秘部は締め付け、絞り取る様に全て飲み干した。

しばらく、互いに熱を帯びた鼓動を抑える様に呼吸を整え続けた。

「はぁ・・・はぁ・・・・。」
「んぁ・・・・れん・・さぁ・・ん」
廉の竿を中から抜き去り、廉の体にくっつく様に倒れかかる。
「れんさん・・・女の子みたいでしたね・・・・・。」
「んはぁ!?ば、馬鹿言うな!!」
「もしかして・・・初めてでしたか?」
「ん!?んなわけ・・・。」
弱弱しく笑みを浮かべる美子の顔を見ると、どうしても恥ずかしさが倍増するのか
またも顔を逸らした後、小さな声で「わりぃかよ・・・初めてで・・・。」
とぼそりと呟く。

「んん・・・でも・・・凄く・・・気持ち良かったですね・・・。」
顔を逸らす廉の顔を引き寄せる様に自分の方へ向かせる。
「ま、まぁ・・・それは・・・。」
「ふふ・・・それじゃあ・・・おやすみなさい・・・。」
「・・・え?」
196淫夢 8:2012/01/07(土) 21:07:36.11 ID:UDj6jFRP
がば!!

起き上ると辺りはまだ真っ暗で、時計の針は眠り始める前から30分ほどしか経っていなかった。
「・・・・へ?ゆ・・・・ゆ・・・め?」
口を開け、呆然と辺りを見渡す。横ですやすやと眠る美子の寝顔もベッドの上も何もなかったかのように寝る前のままだった。

「・・・はぁ・・・疲れる夢だ。」
先ほどの出来事全てが夢だった事に気が付き、どっと疲れが体中に圧し掛かる。
「・・・・・・けど・・・もしかして・・・あの夢・・・美子の願望だったりな・・・。
いや・・・俺の・・・か?」
流れる汗を拭いながら、幸せそうに眠る美子にあれは美子のメッセージだったのかもしれないと感じる廉。

この2ヶ月、互いに仕事で忙しかったため、そんなに話とか出来てなかった。
そういう事を踏まえて、寝る時ぐらいは一緒にと思って二人で寝る様になったが
それでもベッドに入るとすぐに眠る俺に対して、美子が夢にまで出てきて訴えかけてきたのかもな・・・。

「まぁ、やっぱりそこまでは考え過ぎか。・・・俺の願望って言うのは多分事実だけど・・。」
薄暗い照明の灯る部屋。その部屋の窓の外から入ってくる月明かりを微かに浴びながら眠る美子の頭を軽く撫でる。
「んん・・・れん・・・さん・・・・。」
撫でると美子はもぞもぞと体を縮めた。

「ごめんな・・・寂しい思いさせて・・・・。」
答えは本人に聞かないと分からないが、それでもあれが偶然のものではないと感じた廉は眠り続ける美子の頬に軽く口づけをする。
そして、夢の中で起きた大騒動に紛れて、下着の中で溢れだした液体を洗い流すため
急ぎつつ、それでいて物音を立てない様に着替えを持つと部屋を出て、足早に浴室へと向かうのだった。
197名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 21:09:03.25 ID:UDj6jFRP
以上です。最初、注意不足で連番ミスしてしまい申し訳ない。
美子に責められる廉さん・・・。これもありだと書いてて思いましたw
廉さんはSもMもできる万能キャラですね←

それでは、失礼しました。
198名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 22:46:21.76 ID:Bg1/ULf6
>>197
180です ま、まさかこんなすぐに読ませていただけるとはw

すごい! すごいよ美子!! 期待以上だww
風俗嬢だったとか疑っちゃう廉さんw かわいいな〜Mが似合う〜
美子に襲われた廉さんが、その夢?を忘れられず
次は自分から美子を襲っちゃう…な展開も実は妄想してたので
この後廉さんがどうしたか 後日談も気になるw

自分で書けずついついリクしてしまったんですが…
すごく良いもの読ませていただきました ありがとうございます!
199名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 02:35:58.36 ID:PJjMddwL
廉美子エロあり
設定等特にないです
200二人だけの夜1:2012/01/08(日) 02:37:11.54 ID:PJjMddwL
「うつ伏せになれよ」
廉さんに物のように扱われるのが好き。
乱暴な言葉とは裏腹に、宝物のように私を扱うのを知っているから。
気持ちが高ぶっているせいで、その声が微かに震えているのがわかるから。
廉さんの目、怒っているように見える。それも、私に欲望を感じているからだと、今ならわかる
肩をつかまれて、うつ伏せにされる。次は何をされるんだろう、と少しだけ不安がよぎる。
頭の下の枕を外されて、腰の下に差し込まれる。僅かばかり腰が持ち上げられて、無防備なお尻が晒される。
私の足を少し開いて、背後から廉さんが入ってきた。

「はぁっ、んっあっ…あっん…あっあっ」
ざわざわと全身に鳥肌が立つ。
背面にぴったりと体を密着させて廉が動き始める。不規則な廉の呼吸が美子の耳に届いた。
「れ…ん、んっやっ…あんっ…あっあっあっ」
廉は腰を動かしながら、美子の肩を噛んだ。仄かな痛みが快感のアクセントになり、美子は体を震わせる。
あまりの気持ち良さにこの思いを廉に伝えたいのに、なす術のない美子は空しく目の前に広がるシーツをつかんだ。
「美子……美子……」
廉もうわ言のように囁きながら、シーツをつかむ美子の手を握り、指を絡めた。
強く抱きしめて美子の動きを封じ、廉の動きは激しくなる。
「あっん…い…く…あっあっ…れんっ…ぁぁあああっ」
「俺…もっ…んっ…はっ…っく…」
同時に達した二人の体から力が抜けていく。中で廉がびくびくと動くたびに、美子の背中の皮膚が粟立った。

目を閉じて朦朧としたまま、手のひらをベッドに這わせた。
少しうとうとしちゃったみたい。廉さん?どこ行ったの?
いくらシーツを探っても廉には届かず、小さな不安が芽生え始めた。
その時、指を束ねてギュッと握られ、手の甲に唇をあてられた。ハッとして目を開けると廉の顔が迫り、キスをされる。
冷たいキス。驚いて目を丸くすると、廉の口から氷のかけらが滑り込んできた。
ひんやりして気持ちいい。自分の口の中で溶けていく氷を楽しんでいると、よこせとばかりに廉に奪われる。
そうやって何度も互いの口の中で氷を行き来させると、二人の口元から冷たい水が滴ってくる。
「うふふっ」
「ふふっ、なんだよ」
相手の口から垂れる冷たい水をすすりながら、少し笑い合う。
直接体を繋げて、激しい快感を貪るセックスも素敵だけど、こんなお遊びのような行為も二人だけの夜の秘密の楽しみだ。
調子に乗った廉は、もう一つ氷をつまむと、美子の胸に滑らせた。
「ひゃっんっ、冷たいっ」
思わず身を縮ませる美子。廉はするすると氷を滑らせた後、すかさず熱い舌を這わせる。
胸の先端に氷を押し付けると、弛緩した乳首がきゅっと立ち上がった。氷を口に含んだまま、乳首を強く吸い上げる。
「冷たい…廉さん…んぁっ…ああーっ」
ふざけていただけのつもりなのに、いつの間にか廉の表情は真剣になっている。
結局いつも疲れ果てて眠りにつくまで、愛の行為は続いていく。
201二人だけの夜2:2012/01/08(日) 02:39:08.83 ID:PJjMddwL
仕事で深夜に帰宅した廉は、バスタブに浸かって疲れをほぐしていた。
「美子ーっ、ちょっと来てくれ」
大きな声で美子を呼ぶ。
「はい。何ですか?」
バスルームを覗いた美子に、少し偉そうに言った。
「あー、お前も、入れ」
「え、でも…私はもう入りましたから」
顔を真っ赤にして美子は行ってしまった。
「おーい、美子―っ、美子ちゃーん…美子タン…おいっ、こらっ、ブタウサギッ!!」
「聞こえてますっ、もう」
「なあ〜、入れよ〜。恥ずかしいならいっぱい泡立てとくから」
廉は早速バブルバスの容器を手に取り、ジャブジャブとバスタブに注いでいる。
「…わかりました。じゃあ、向こう向いててくださいね」
美子はいったんドアを閉めて服を脱ぎだした。
そっとバスルームに入り、シャワーで軽く体を流して、素早くバスタブに滑り込んだ。
廉が振り返り向かい合うように座るとニッと笑った。

泡でいっぱいのお湯の下で手を伸ばし、美子の膝をつんつんとつついた。
「なんですか?」
「なんですかじゃなくてっ。こういう時はイチャイチャするもんだろ?」
拗ねたように口を尖らせて、美子の顔を覗き込む。
ええっ? っと驚く美子の両足をつかんで、ずるずると自分の方に引っ張った。
キスをしながら美子の胸に手を伸ばした。軽く揉みながら乳首を引っ張り、指先で捏ねまわす。
「あんっ…」
「ほらっ、気持ちいいくせに…」
したり顔で廉が言うと、美子は真っ赤になった。その恥ずかしそうな顔を見て、廉もその気になっていく。
左手の泡を洗い流して、美子の前に人差し指を突き出した。
「舐めろ」
言われるがままに廉の指を口に含んだ。目を閉じて、舌を絡ませ、無心に舐めまわしている。
廉は美子に気付かれないように、そっと股間に右手を伸ばし、それを握った。
美子の舌の動きに合わせるように、ゆっくり自分でしごき始める。
頬を紅潮させて舌を使う美子の顔を、じっと見つめる。美子は今、自分のモノを舐めている、そう思いながら右手を動かした。
「んっ…あっ…美子っ」
美子の口から指を引き抜き、抱き寄せる。右手の動きは激しさを増して、お湯が波打っている。
「んぁっ…あっ…うあぁぁっ」
「廉さん、どうしたんですか?」
驚いて顔を覗き込もうとした美子を強く抱きしめ、首筋に顔を埋めた。
「動かないでっ…くれ…はっ…はぁ」
お湯の中に全て吐き出してしまった廉は、肩で息をしている。
「もしかして、自分で…したんですか?」
美子の目に涙が溢れてきた。
「どうしてですか?私じゃダメなんですか?」
「ちが…う、お前に、あんな事、させられないから」
「あんな事?…って、もしかして、あの、く…口ですること、ですか?」
廉も、口に出してしまった美子も、恥ずかしくて俯いてしまった。
「いや、あの…もう、いいから」
話を終わらせようとして、廉は顔を背けた。その時、廉のそこに美子が手を伸ばしてやんわりと握ってきた。
202二人だけの夜3:2012/01/08(日) 02:40:22.77 ID:PJjMddwL
「ぅあっ…やめろっ」
「嫌です。廉さんに気持ちいい事してあげたいんです」
それをつかんだまま廉をバスタブの縁に座るように誘導する。廉の足を開いてその間にしゃがみこみ、泡を洗い流した。
「お、おい…やめろよ、そんな事しなくていいから…」
廉の言葉を無視して、いきなりぱくっと咥えた。
「んっはぁ…」
何の知識も無い美子は、がむしゃらとしか言いようのない勢いで、それをしゃぶり始める。
緩急をつけて徐々に盛り上げるなどのテクニックが無い分、廉は一気に快感の渦に叩き込まれた。
「待っ…て、美子っ…いくっ、もうっ…でるっ!」
美子の頭をつかんで2、3度腰を突き上げ、次の瞬間引き抜いた。美子の顔をかすめて、白濁したものが飛び散っていく。
「んっ…はぁ…はぁ…」
縁に腰かけたまま美子の頭を抱きしめた。美子は目の前でまだぴくぴく動いているそれを、ペロッと舐めた。
「やっ…め、はぁぁ…」
「なんか…苦いです、ね?」
「ね、って、お前…」
バスタブに勢いよく飛び込み美子を抱きしめ、強く唇を吸った。
(ほんとだ…苦いんだな)美子の口に微かに残る自分の味を確認して、廉は苦笑した。

長風呂でホカホカになった二人は、ベッドにごろんと横になった。
「ふう、のぼせちゃいましたねー。…廉さん…何してるんですか?」
「んー?」
廉は美子の脇にかがみこんで、パジャマのボタンをぷちぷちと外している。
「今日はもう、いいんですよ。廉さん、いっぱいしたし…」
「やだ。やる。お前をいかせてないし…」
「………」
美子の胸をはだけて、乳首を口に含んだ。ちゅーちゅーと音を立てて吸っている。
若干呆れていた美子も、実際に愛撫されると感じてしまうわけで、途端に吐息を漏らし始めた。
「あぁ…ん…ん……あれ?廉さん?」
顔を起して廉を覗き込むと、廉は美子の乳首を咥えたまま眠り込んでいた。
「うふふっ、可愛い、廉さん♡」
子供のような廉の寝顔を見ていると、美子の口元が綻んでくる。
湯冷めしないように廉の体に毛布を掛けて、廉の頭を撫でながら、美子も静かに眠りに落ちて行った。
203名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 02:50:44.57 ID:PJjMddwL
以上です
エロに始まりエロに終わるという感じで書いてみました
お邪魔しました
204名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 04:12:06.04 ID:BXfEKasi
最近DTさんと南の国さんばっかりだね…
205名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 05:29:16.64 ID:jqK7j1uO
えっ書いてくれるだけでありがたいんだけど…。

>>203
GJ!
美子が大好きな廉さんに萌えました!
また作品お待ちしてます
206名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 09:45:43.74 ID:HaAtSgiQ
わー、朝からいいもの見せていただいた!
年末年始も新作いっぱいで超嬉しいよ〜

>>203
GJです!
南の島さんの美子は母性もあってエロくて好きだな〜
島でも廉さんの服水洗いしてたしw
そしていつも、廉さんが美子に一生懸命できゅんとします

>>204
文才があればとっくに披露してるw ここで読ませてもらうだけで幸せ
207名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 11:22:08.56 ID:JZBz3RxC
神作品の後で出しにくいですが、柊×美男(美子)書きました
エロありです
208柊×美男1:2012/01/08(日) 11:23:13.61 ID:JZBz3RxC
「俺はお前だけを見てるのに……」
美男はまだ自分の気持ちに気がついていないようだ
だけど俺には美男が廉に惹かれていっているのが分かりたくないのに分かってしまう
「どうすれば俺だけを見てくれるんだ…」
次の日の夜。
「柊さんの話ってなんだろう?」
大事な話があるから部屋に来てほしいとの柊からのメールに美男は柊の部屋に来ていた
「ごめんな急に呼び出して…ハーブティーいれたからよかったら飲んで」
「ありがとうございます!」ハーブティーを美味しそうに飲む美男を見ながら柊は話だした
「俺、気がついてるんだ。美男が女の子だって…」
「えっ?何言って…ぼっ僕は男です!」
「馬淵さんと話てるの聞いてしまったんだ。
それにこんなに可愛くて華奢な身体してる男はいないよ?」
そう言いながら柊は美男の肩をそっと撫でた
柊に触れられた途端に電流のような物が美男の身体を走った
(なんか身体が変…ぞくぞくして熱いっ)
2092:2012/01/08(日) 11:24:36.83 ID:JZBz3RxC
「あんっ」
思わず美男から声がもれる「どうしたの?美男、変な声だして」
「なんか変なんです。身体が熱くて…柊さんが触れたところが特に…」
顔を赤らめ答える美男の背中を無言で柊は撫であげたびくっと美男が身体を震わせる
「もっと俺に触って欲しい?」
「はい…なんだかもっと柊さんに触られたいです」

柊は美男の手に手を絡める「勇気や廉にはそんな気持ちになったことある?」
「なっないです」
「美男は俺が好きなのかもね。もっと触って欲しくて身体が熱くなるのは相手が好きだからだよ」
そう告げると瞳を潤ませる美男にキスをし、だんだんと舌を絡ませていく
しばらく美男の舌を堪能すると唇を離した
「あっ」
美男の口から残念そうな声が漏れる
「物足りない?相当俺のことが好きなんだね。」
恋愛経験もなくこんな風に身体が熱くなるのも初めての美男
(こんな風になるのが恋なの??分からない…でももっと柊さんに触って欲しくて堪らないっ)
「もっと触って柊さんっ。私…柊さんが好きなのかもしれません…」
「そうだよ。美男は俺が好きなんだ!俺も美男が好きだよ…」
ベッドに美男を押し倒し、首筋に舌をはわす柊
「あっ柊さんっ」
手を服に入れ素早くホックを外し、胸の突起に吸い付いた
「あぁぁっ」
美男の身体を初めての感覚が襲う
「柊さんなんか変っそれだめっ」
「ぞくぞくする感じ?それ気持ちいいんだよ。気持ちいいって言ってみて」
突起を甘噛しながら下着の中に手を忍ばせ、太ももをなであげる
「やあんっ柊さん、気持ちいいっ
でもこれ以上は赤ちゃんできてしまいます」
涙を流して快感に堪え可愛いことを言う美男に柊はくすっ笑いながら
「大丈夫だよ。美男を気持ち良くするだけ。赤ちゃんができることはしないから」
2103:2012/01/08(日) 11:25:32.82 ID:JZBz3RxC
「それに…このままじゃ辛いだろ。こんなにぐっしょり濡れててここ熱くて堪らないんじゃない?たくさん濡れてるから綺麗にしてあげるね」
美男の下着を下ろすと顔を埋めて舌をはわせ優しくなめあげる
「柊さん恥ずかしいですっあんっだめっ柊さん!」
あまりの気持ち良さに意識が朦朧としてきたのか、やっだめっとそればかり繰り返す美男、だんだんと声が高くなってくる
「やぁんっなんかくるっ」
「いっていいよ美男っ」
柊が敏感な部分を責めながら指を入れ突き上げる
「柊さんっ気持ちいいっ」
そう叫び身体を震わせると美男は意識を手放した

「まさかこんなに効くなんて…驚いたな」
意識を無くした美男を見つめながら柊は呟いた
今日、美男に入れたハーブはびやく効果のあるものでハーブ仲間と冗談半分で購入した物だった
純粋な美男のことだ好きだからこうなるといい続ければ信じるだろう。
どんな方法だろうと俺は美男を手に入れる
211名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 11:25:57.84 ID:JZBz3RxC
以上です
ありがとうございました!
212名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 12:54:05.04 ID:FiuimKcp
>>204
遅筆なのでぼちぼちですが、そのお二方じゃない私もたまに投下させてもらってるよ。
すらすら文が出てくる方が羨ましいな〜。

>>211
媚薬のハーブ!柊さん…策士ですね。美男、このまま信じちゃうのか…。
しかしハーブ仲間っていうのにちょっと吹きましたw
213名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 20:00:29.30 ID:DHwfeduO
>>211
GJ
洗脳柊さんワロタww
柊さんならやりかねない…と思ってしまったww
214名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 20:08:44.69 ID:WuNaqtEi
3連休にいっぱい更新ありがとうございます!

>>184
失恋ANJ。美男→柊←NANAなら、柊さん上手く二股やりそうだけどw (美男はあたふたして無理でしょうw)

>>198
限界廉さんの夢・・・実現しますように。いやでも、美男=風俗嬢過去を疑うところが妙にリアルw

>>202
絶倫廉さん?命令口調に萌えますw

>>211
ブラック柊さんGJ! ハーブ仲間って妖しい外人さんでしょうか、気になりますw
215名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 16:15:06.96 ID:44OV6Jkp
書き手さんいつもありがとうw
自分でも書きたいけどうまくまとめる文才が無い
いつかは出してみたいけど 今は皆さんのを楽しませてくださいw

>>184
切ない…NANAは柊→美男に対する疑問はわかないの…?
>>197
責められる廉さん もっと責められてもOKだw 美子ガンバレ!
>>203
廉さんの命令口調 自分も好き〜美子の方が結局上手な感じがする
>>211
ブラックだ…レイプまがいのことした時よりこの柊さんの方が黒く感じる…
216名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 18:02:24.76 ID:dI+otisK
>>210
ハーブに媚薬効果あったのね。
今までで一番効果的な「驚いたな」で驚いたよw
これで柊美男まとまったら、廉さんの立場は・・・w
217名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 18:28:24.50 ID:w6573sv+
うわっ!感想頂けるとは…ありがとうございます
廉のファンだよ…と洗脳する柊さんをヒントにしましたw
ハーブ仲間は、柊さんがハーブblogを書いていてそこで出会った人達をイメージしてみましたw
218名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 18:46:59.37 ID:dI+otisK
>>217
ハーブblog、芸能人肩書きは偽ってマニアックに運営してるのか。
身元バレしたら、媚薬どころじゃなくなるねw
廉のファンだよ洗脳は失敗に終わったけど(『お前は俺の歌を歌う特別な人間だ』・・・だっけ)
言葉よりも薬で洗脳する方が効果的みたいだねw
219名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 19:20:41.74 ID:jYWWwJPi
>>211
柊さん凄いw凄くエロくて黒いww
この柊さんなら美子も洗脳で簡単に落としてしまいそうだと感じました。
というより・・・媚薬ハーブとか・・・こえぇーーww

>>189-196の続きが出来ました。
次回、エロに行って終わりになると思います。
カプはないのですが、話し的には廉さんと柊さんの話メインという感じです。
完成度は毎度のこと高くないですが、読んでいただければ嬉しく思います。
220過剰反応 1:2012/01/09(月) 19:21:27.74 ID:jYWWwJPi
「あ、あの・・・廉さん?」
A.N.JELLメンバーと美子が楽しく食事をしている中、廉はじっと美子の顔を見つめていた。
「・・・れ、廉さん?わ、私の顔に何かついてますか?」
いつまでも見られ少し気恥ずかしくなり、頬を赤らめてちらちらと廉の方を見る。
「・・・・あ?あ、い、いや、き、気にすんな。何でもない。」。
「さては廉さん・・・変な目で美子の事見てたりして・・・。」
冗談半分で言った言葉に美男が廉に敵意むき出しの視線を送ったが、その視線が廉に届く前に、廉は飲みかけていたコーヒーを吹き出した。 
「ぅぅ・・・。」
「廉さん!?だ、大丈夫ですか!?こ、これで!」
「あ、あぁ・・・悪い。」
口を抑える廉は手渡されたハンカチを受け取り、「ごほごほ」と咳をしながら口元辺りを拭き始め
美子は下にぶちまけられたコーヒーを急いで拭き始めた。

「あ・・そ、その・・・冗談だよ!!廉さんも冗談通じないなぁ〜。」
すぐ目の前で若干赤くなっていた目でギラギラと睨みつける廉に、目を泳がせながら慌てて言葉を取り繕うと
「さ、さぁ〜。きょ、今日は休みだからどっか出掛けるかぁ〜。ほら!美男!!
美子も!そこ拭くの廉さんに任せて早く出かけるぞ!!善は急げだ!!」
とはしゃぎながら二人を捕まえると逃げる様に合宿所から出て行った。

「たく・・・勇気の奴・・・。いきなりあんなこと言うな・・げほげほ・・。」
汚れた口元を拭き終わると一気に静かになったリビングで「ふぅ」と息を吐き捨て、手に持っていたハンカチを広げて顔の上に被せた。

(あぁ・・・・。昨日のあれが抜けきらねー・・・・・。)

美子の顔を見ると子供の様な明るい笑顔と夢で現れた艶っぽく誘惑する美子。その二つが重なってしまう。
そうなると、昨日感じた熱い感覚が、指に絡まった液体の感触が鮮明に思い出される。
そして、体がどんどん熱くなってぼんやりとしてしまった。
はぁ・・・・。どうすりゃいいのか・・・・さっぱりわかんねぇ・・・・。

そんな事を考えていると顔に被せていたハンカチが突然ふわりと浮かぶ。
「どうした?悩み事?・・・って、勇気たちは?」
そこには柊がすぐ隣の席に座っており、強張った表情を数回突っついていた。

「柊か・・・いや、ちょっと・・・。」
「ん〜。察するに、昨日の夜に何かあったんじゃない?」
立ち上がろうとしたが、柊の言葉に意表を突かれてしまい、まだ濡れていた床に足を取られその場で転んでしまった。
「お、おい・・・廉・・・。大丈夫・・・じゃなさそうだな・・・。」
転んだ廉はテーブルに置いてあった食器皿ごと巻き込んでしまい、頭の上からその皿を被せていた。
苦笑いを浮かべながら見ていた柊は廉に手を貸すと、シャワーを浴びる事を勧め
廉は表情を歪めながら浴室へと走って行った。
221過剰反応 2:2012/01/09(月) 19:22:24.25 ID:jYWWwJPi
廉がシャワーを終えリビングに戻ると、散らかっていたリビングは綺麗になっており
テーブルの上には淹れたてのハーブティーと茶菓子、そして外から入りこむ光を浴びながら優雅な一時を満喫している柊の姿が見えた。

「廉、戻ったんだな。ほら、ハーブティー淹れたから飲まないか?」
ティーカップをテーブルに置くと、ソファに腰を下ろしていた柊が手招きする。
「ん・・・おぅ・・・悪い。」
頭に被せていた濡れたタオルをキッチンのチェアの背もたれに掛け、柊が座るソファに廉も腰を下ろした。

こぽこぽこぽ

「はい。今日はリンデンとジャーマンカモミールをブレンドしてみたんだ。きっと心が落ち着くと思うぞ?。」
「ん・・・・。悪い。・・・・うまいな。それに、少しだけ力が抜けた気がする。」
「ホントか?まぁ、そう言ってもらえると淹れた甲斐もあるから嬉しいよ。」
優しく微笑みを浮かべる柊に廉も少しだけ表情を緩め、ゆっくりとハーブティーの香りを楽しみながらティーブレイクを満喫するのだった。


「ふぅ・・・それで、大分落ち着いたようだからさっきの話し・・聞きたいんだけど。」
空になったティーカップを廉がテーブルに置くのを確認し終えると、手を組みながら前に屈み込み
緩みきった表情をしていた廉の顔を覗きこむ。
「ぅ・・・・。」
痛い所を突かれたからか、それとも忘れていたのか分からないが苦虫を噛んだような苦々しい声を上げると目を逸らし
「き、昨日・・・な、んか・・・あったか?」
と力の入っていない声で誤魔化すと、さっさと部屋へ戻ろうと立ち上がろうとした。

しかし、今度も逃げるのは成功せず、手首を掴まれすぐにまたソファへと体が沈む。
そして、横を見ると不気味なほどに満面な笑みを浮かべる柊の顔が・・・・。
「わ、分かった!分かったから・・・だから・・・その笑顔止めろ!ぎゃ、逆にこえーよ!」
「そう。なら良いんだ。けど・・・次逃げたら・・・・」
「分かった!逃げねーし離れねーから手を離せ!!」
恐い笑顔を浮かべる柊に迫力負けした廉は手を離されると少し後退り
ティーポットに残っていたハーブティーをカップに淹れて一気に飲み干した。

(昨日今日と・・・精神蝕まれてるような気がする・・・)
またもどっと疲れがたまった廉は「はぁ」と溜息を吐き、如何わしい夢を見た。
自分がどういう状況なのかと言う事を柊に問いかけた。
222過剰反応 3:2012/01/09(月) 19:22:53.13 ID:jYWWwJPi
「・・・欲求不満じゃない?やっぱり。」
真顔で頷いた後、廉の顔を見てそう言う。
「は?よ、欲求・・・」
「溜まってるんだろ?そんな如何わしい夢を見るってことはさ。」
「だ、だから・・・何が?」
にじり寄る様に柊に近寄った廉は不思議そうな表情を浮かべた。
「率直に言うなら・・・性欲?」
わざとらしく廉に問いかける様に言うと、近くまで来ていた廉は「せ、性欲ぅ!?」と
目を丸くしてすぐに顔を真っ赤にさせた。

(廉・・・なんかすごく驚いてるけど・・・。俺としてはこういう事に廉が疎いという新事実に驚いてるんだけどな・・・。)

まさか、こんなにも廉が疎いと思っていなかった柊としてはもう少し遠回しに伝えてあげるべきだったと思いつつも
口をパクパクさせて意識を手放してる廉の姿を苦笑いしつつ見ていた。

しばらくして、ようやく廉が意識を取り戻したけど、まだ熱が取りきれていないのか
それても昨日見た夢とやらを思い出していたのか、顔は真っ赤で軽く触れると風邪人じゃないかと思うぐらいに熱かった。

「ま、まぁ・・・そんなに意識する必要ないと思う・・・って言いたいけど・・・
意識してるから困ってるんだったけな・・・。」
「そういえばよ・・・何でお前が昨日の夜の事知ってたんだ?
は!お、おい!まさか、あの風俗嬢みたいなのはお前たちのドッキリだったんじゃねーだろうな!?」
慌てて放たれた廉の言葉に自分が聞き間違えたかと思った柊は、「ん?」と首を傾げた後に
「風俗・・・嬢?」と横目で廉の顔を見ながら聞き返す。
柊の言葉に、廉はついつい夢の中での話を切り出してしまった事に気が付いたのか、すぎに取り乱し始めた。
「あ、い、いや・・・ふ、風速どう?」
「・・・・はい?」
渾身の誤魔化しに微笑みながらも白い目で見られる視線が廉の胸に突き刺さる。
「っ!!あぁ!な、何でもねー!!今の話しは無しだ!!どうせ、たまたま階段から降りてきたら俺の姿が目に入ったとかだろ!?さ、こ、この話はもう終わりだ!!」
「ちょ、お、おい!?廉、待てよ!」
廉の言ってる事はあってるのだが、焦りを隠しきれていない廉はすぐさま恥ずかしい想いを抱いたまま部屋へと掛け込んでいった。

(まぁ、廉も男なんだし・・・・自分で何とかするだろ・・・。)
部屋へと逃げ込んだ廉の姿にそれ以上の事は突っ込まないでやろうと思った。
「風速どう・・・・流石に無理があるだろ・・・。」
真赤な顔で必死に言う廉の顔を思い出しながら、柊はくすっと笑い声を漏らすと
ティーカップなどを片付け始めた。
223過剰反応 4:2012/01/09(月) 19:23:26.09 ID:jYWWwJPi
一方、部屋に逃げて行った廉の方は・・・・。

バタン!!
「はぁ・・・はぁ・・・。あぁぁ・・・・変な事言っちまったぁ・・・。」
閉じた扉を背にしていた廉はその場に滑り落ちるように座りこむと真赤になった顔を俯かせた。

(俺が・・・意識しすぎてんのか・・・・・。やっぱり。)
顔を少し上げると目の前に自分が作ったブタウサギが目に入る。
(ブタウサギ・・・・。そう言えば・・・俺、2年前は何も考えてなかったな・・・。)
立ち上がり、飾る様に置いてあったブタウサギを掴んで持ち上げる。
(意識しすぎる必要はない・・・か。)
2年前、美子に抱いた汚れもない「愛してる」というその想い。
ようやく落ち着きを取り戻した廉はその事に気が付くと、一度ぎゅっとブタウサギを抱きしめる。
そして、ブタウサギを手放した後に小さく息を吐き捨てると、何だか体の無駄な力が抜けるのを感じた。

「何事も初心が大切・・・・。そうだな。何一人で混乱してたんだか・・・・。」
無理に背伸びする必要もなければ変に意識する必要もない。
ただ、思ったまま、感じたまま・・・・それを言葉と行動に示せば良い。
そして、ようやく自分の中で決心がついた廉はこの日の夜、行動を起こすのだった。
224名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 19:25:07.35 ID:jYWWwJPi
以上です。
それでは、失礼しました。
225名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 21:03:49.82 ID:TTd4m7A3
>>224 GJGJ!!!!

くおおおおおーーーっ! 続きが気になる!!

余裕のある大人な柊さんにモヘ。
柊さんてばどんな役回りも似合ってしまう不思議なキャラ・・・


続きを全裸待機いたします!
226名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 22:15:03.73 ID:dI+otisK
>>224
廉さんファイト!
柊さんがブラックな導きをするかと思いきや、期待を裏切ってw
ホワイト柊さんでした〜
続き楽しみです。
227名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 22:49:24.73 ID:/bpoee07
>>224
廉の動きを想像してるとコントみたいだったw
228名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 23:00:00.44 ID:BBVYY3y5
>>224
柊さんまるで廉さんのパパのようだw
混乱極まってる廉さんかわいいです
229名無しさん@ピンキー:2012/01/10(火) 09:44:53.27 ID:z1wAfMHq
慌てて真っ赤な廉さんが想像つくww
廉さん行動に移せるのか!?
続き楽しみにしてます
230名無しさん@ピンキー:2012/01/10(火) 20:00:10.77 ID:PlhhgDtb
>>224
度々すみませぬ 180ですw
こんなすぐに続編書いていただけるとは〜 ありがとございます!
うろたえてまともに対応できない廉さんw
美子風俗嬢説が消えない廉さんww
この後、廉さんがどうするか 続きが楽しみすぎです〜
231名無しさん@ピンキー:2012/01/10(火) 23:11:23.17 ID:G/zN0cl4
うろたえる廉さん可愛い〜!続きが気になります!
ホワイト柊さんにドキッとしてしまった…STKが無ければこんな真っ白なイメージしかなかったかもww

柊NANA最終回を年内に更新出来なかったのが心残り…なるべく今週中には投下出来るよう頑張ります!
ああぁ、時間が欲しい…!
232名無しさん@ピンキー:2012/01/10(火) 23:29:00.93 ID:EEjmZ8Sm
>>231

あああ〜嬉しい〜

柊×NANA好きです〜待ってましたよ〜。
でも気長に待ちます〜。
あ〜楽しみだ〜〜
233名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 00:32:51.05 ID:hNIWhqsF
柊×美子のエロ、エロオンリーの駄駄文です
ストーリーほぼ無しですみません
234攻める美子:2012/01/11(水) 00:35:05.30 ID:hNIWhqsF
「うっ」
柊は生暖かな感触に驚き目を覚ました

ヌプヌプと音を立てながら美子が柊を咥えこんでいる
「美子!おまっ何やって・・・っ」
「柊さん気持ち良いですか?」


メンバーに内緒で付き合い始めて数ヶ月、蓮と勇気がいない隙に合宿所で逢瀬を重ねたが
同じグループではスケジュールをずらすことも難しく
騒ぎを気にして外にデートに行くことも出来ない二人
なかなかタイミングの合わない合間、愛し合えたのは数回だった。

昨晩は蓮と勇気がロケ地に前ノリしたため美子と二人きりになれた・・・
仲良くキッチンに並び、簡単なディナーを作り楽しい時間をすごせた
が、あまりの喜びに二人ともはしゃいで合宿所のリビングで飲み潰れてしまったようだ
突然の感触に飛び起きた柊が目にしたもの、美子の姿、柊は自分の目が信じられなかった
235攻める美子2:2012/01/11(水) 00:35:54.18 ID:hNIWhqsF
「美子!こんなリビングで本当やめて、やめ・・・っ」と腕を伸ばし制止しようとするも
ソファー横になっている柊に覆いかぶさっていた美子は体を脇にずらし行為を止めようとしない
止めないどころか更に柊を責め立てる。
舌を尖らせてチロチロと鈴口を舐めたり喉の奥まで咥えては戻し
頭と手を同時に動かし続ける
236攻める美子3:2012/01/11(水) 00:36:39.00 ID:hNIWhqsF
「嫌ですか?柊さん気持ち良くないですか?」
「きもちいっ・・・ちがっ何でこんなことっ、しなくてもいいのに」
(でも、気持ち良い。どうすればいいんだ・・・弱ったな)

「あ゛ーあっー」「駄目だ美子、そこ敏感」
「ここですか?柊さんこの段になってるところでふか?」
と言いながらペロンと根元から一度舐め上げると
先ほどの場所まで舌を這わせチロチロと回転させた

「あ゛ーーーー」「ちょとっ駄目っ出る!出ちゃう」
「いいんでふよ、出してください柊さん」
太さと硬さを増し美子の口には大きすぎるサイズの柊自身を
ほお張っては擦ってを繰り返し
美子は嬉しそうに下のほうから柊の顔を見上げる


青く筋がたち限界の近づいた様子のそれを確認すると
美子の頭の動きが速度を増した

「も、も駄目っ!」
柊の体全体が一瞬硬くなり
ビュルッと音を立て白い物が勢い良く飛び出た

「うわぁぁ、こんなに出るんですね!
 柊さん気持ち良かったってことですか?柊さん?」

ズボンをズリ下げられたあられもない姿の柊は
嬉しそうな美子の目を見ずに言った

「美子、酷いよ、こんなやりかた」

そこでは初めてはっとした様子の美子は
汚れた柊の体と服を拭き終わるとか細い声で呟いた
「すみません、柊さん。私、私・・・」

立ち上がり去ろうとする美子の腕を柊が掴んだ
237名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 00:40:20.61 ID:hNIWhqsF
すみません、改行が上手く切れてなかったー
柊の仕返し編まで書こうと思ったんですが力と頭が足りませんでした…
重ねてお詫びします。
238名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 00:46:17.61 ID:WvazozeP
文章云々より、さすがに廉さんの漢字間違えちゃだめだよー。
気をつけてね。
239名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 01:22:33.18 ID:RZjpdVSJ
>>231
待ってますぅうう
240名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 21:21:13.83 ID:POoc3Lq1
241名無しさん@ピンキー:2012/01/11(水) 21:23:32.99 ID:POoc3Lq1
>>237途中で送信しちゃったスマソ
どんまーいwもしかして柊早い?
242名無しさん@ピンキー:2012/01/12(木) 23:00:04.44 ID:lOLPq/T2
>>237
えっ、柊の仕返し編超気になるw
是非読みたいのにー
243名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 07:28:11.69 ID:4weh9iZn
DT柊さんシリーズ、まだかなー…
244名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 18:21:58.89 ID:A8kAcNN6
>>237
ちょww美子超積極的すぎるww
自分的には柊さんの仕返しも気になるけど、美子の突然の行動も気になったりw

>>243
本当に申し訳ない!!待ってくださってる方がいらっしゃったとは・・・。
現在、煮詰まりつつも少しずつ書いている最中なので、もう少し、出来れば1週間以内には
投下したいと思います。本当に待たせてしまい申し訳ありませんでした!!!

>>220-223の続きが出来たので投下します。
廉×美子 エロあり です。ちなみに、最後におまけがあるのですが
おまけの方は蛇足ですので、興味がある方は読んで下さると嬉しく思います。
245初挑戦? 1:2012/01/13(金) 18:24:15.91 ID:A8kAcNN6
午後9時48分

じゃぁーーーーー。

食事を終えた廉は、一目散に浴室へと駆け込むと壁に両手を当てながら上体を倒し、頭からシャワーを浴びていた。
(・・・・やるなら今日。昨日の感触がまだ脳内に残ってる今しかねーよな・・・。)
降りしきるお湯の中、目を閉じて神経を集中させて始める。
(2年前の時の告白の時と同じぐらい心臓の鼓動が速くなっているのが分かる。
無理はさせない。ただ、それでも男としていずれは成さなければいけない事だ。)

きゅっ

蛇口を閉め上体を起こすと、濡れる前髪を後ろへと掻き上げ湯気で微かに曇るガラスを見つめる。
「よし・・・。」
自分の中に迷いがない事を自分自身の力強い瞳を見て確認すると廉は浴室を後にし、部屋へと戻って行った。
246初挑戦? 2:2012/01/13(金) 18:25:03.22 ID:A8kAcNN6
同じ頃、食事の後片付けをしている柊の許に手伝いで美子が来ていた。

「ホント、美子が居てくれると助かるよ。勇気と美男は後片付け手伝ってもらおうとしても
いつも勇気の部屋に逃げて行って手伝ってもらえないからさ。」
キッチンのシンクで汚れた食器を洗いながら苦笑いを二階の方へ向けた。
「いつも合宿所で生活させてもらってるんですから、これぐらいは当然の事ですよ!
それにしても・・・お兄ちゃん、柊さんのお手伝いしてなかったんですね・・・。今度きつく言っておきます!!」
洗い終わった食器を拭きながら隣に居る柊に微笑んだ後、兄の事を考え、少し怒り気味の表情を浮かべる。
「そうか。美子から言ってもらえれば大丈夫だな。よし、食器洗いも終わりだ。美子、ありがとう。」
「いえ!気にしないでください!それじゃあ、私はお部屋の方に戻りますね!」
「わかった。それじゃあ、お休み。」
「柊さん、お休みなさい!」
互いに濡れた手をタオルで拭くと美子は軽く一礼し、キッチンを後にした。
しかし、何かを思い出したのか部屋の方へ走って行った後、すぐにまた柊の許へと戻ってきた。

「み、美子?どうかした?」
てっきり部屋へと戻ったのかと思ったが、すぐまた自分の所へ戻ってきた美子に少し驚いたのか
ハーブティーを飲もうと持っていたティーカップを危なく落としそうになる。
「あ、ご、ごめんなさい。その・・・柊さんにお聞きしたい事があって・・・。」
いつにもまして真剣な表情・・・というより神妙な表情が柊を捉える。
「何?俺で答えられる事なら何でも答えるよ?」
「すいません。その・・・ふうそ・・ぞ?だっけ・・えっと・・・あれ?何だっけ・・・。」
うまく思い出せないのか途中で言葉を詰まらせ、眉間にしわを寄せながら考え始めた。
(ふうそ・・・ん?あれ・・・もしかして・・・。)
「ん〜」と声を出しながらおでこに指を当てて考えている美子が一体何を聞きたいのか、その言葉が浮かんだ柊は
「それってふうぞく・・・じゃない?」
とまさかと思いながらも恐る恐る美子に聞く。
「あ!それです!柊さん凄いですね〜。それで・・・それってどういう意味なんですか?」
(・・・・この様子からすると・・・廉、寝言で言ってたんだな・・・。きっと・・・。)
廉らしからぬ無防備な発言に昼間の顔を真っ赤にしていた廉の姿を思い出した柊は
口を右手で塞ぐと美子に背を向け、くすくすと口から漏れる笑い声を抑えようと必死になっていた。

「あ、あの・・・柊さん?大丈夫ですか?」
突然笑い出した柊が心配になった美子は後ろから回り込み、柊の顔を覗きこむ。
「あ、あぁ・・・ごめんごめん。ちょっと思い出し笑いしちゃって・・・。」
依然笑いが表情を埋め尽くしている中、目を開いた瞬間に零れた涙を掬いあげると「ふぅ〜〜。」と力強く一息外へと吐きだした。

(廉・・・ごめん。こういうことも自分で何とか出来るよな?無意識だったとはいえ
自分の責任なんだから何とかしろよ?)

「ん〜そんな言葉聞いた事ないなぁ・・・。何かの専門用語じゃない?廉なら知ってると思うから後で聞いてみな?」
「そうですか・・・お時間とらせてしまいすいませんでした。」
「いや、こっちも役に立てなくてごめん。それじゃあ、今度こそお休み。」
「はい!」
最後に微笑みを浮かべ合った後、今度こそ美子は廉の部屋へと駆け込んでいった。

一方、キッチンに残された柊はハーブティーを淹れた後、リビングのソファに座りこむ。
「明日・・・廉に何て言われるかな。恐いけど、ちょっとどんな顔するか気になる。」
恐いもの見たさと言うものなのか、恐いと言いつつもニコニコと笑いながら柊は明日がどうなるか待ち遠しく思いながら、窓の外に見える満月を眺めながらハーブティーを口にするのだった。
247初挑戦? 3:2012/01/13(金) 18:25:58.43 ID:A8kAcNN6
そして、美子がリビングから戻ってきた後の廉の部屋では・・・・・

「廉さん?何してるんですか?」
部屋に入ってすぐに作業用デスクの椅子によしかかりながらパソコンと睨めっこをしている廉に、気になった美子が近づこうとする。
すると、すぐさまそれに気が付いた廉はばん!とノートパソコンを閉じ
「な、お、おま、戻ってたのか!?」
と美子が部屋に戻っていた事に気が付いていなかったのか血相を変えて美子の顔をガン見しだした。

「あ、今さっき食事の後片付けが終わったので。」
廉の慌てぶりに吃驚し、少しそわそわした様子を見せる。
その様子に、自分が驚いたせいで美子を困らせた事に気が付くと立ち上がり
「そ、そうか・・・。悪い。ちょっとぼっとしてて・・・・。」
と言い、美子の肩に手を添え微笑んで美子を落ち着かせた。

「ふぅ・・・・。」
「?廉さん?」
改めて、こういう風に意識するとドキドキしだす。だなんて言えるはずもない廉は
息を一つ吐き捨てると何も言わずに美子の手を取り、ベッドサイドへ腰を下ろさせる。

「もしかして私、お仕事の邪魔しちゃいました?」
物言わぬ廉に先ほどの事を本当は怒っているのではないかと不安になり身を縮める。
「いや、仕事じゃない。ちょっと個人的に調べ事をしてて。それで、誰もいないと思ってたから、気が付くとお前が居て少し驚いただけだ。」
心配そうにこちらを見上げてくる美子の頭を優しく撫でた後、そのまま体ごとそっと抱き締めた。

美子も廉のその言葉とすぐに広がる温かな廉の感触に心を落ち着かせたのか、廉の体を抱き返すと
そのまま胸に顔を押し付け、安心しきった表情のまま静かに目を閉じる。

(・・・・・さて・・・これからどうすればいいのか・・・。)
まだ何一つ、夢の中のスタートラインにすら立てていない状況。
抱き寄せた体から香る美子の香りとすぐ下に視線をずらすと安住の地を見つけたと言わんばかりに安らかに目を閉じる美子。
それらを五感から感じ取ると、このまま何もなくても良い様な気がしてくる。
このまま、普通の幸せをこの先もずっと二人で過ごせれば良い様な気がしてくる。
248初挑戦? 4:2012/01/13(金) 18:26:30.56 ID:A8kAcNN6
「美子・・・。」
自分の胸の中にいる人の名前を呼び、抱き寄せていた腕で顔を持ち上げると廉は流れに身を任せる様に美子の唇を奪った。
(廉さん・・・。)
既に唇がふさがった後でその名を呼ぶ事が出来なかった美子は目を閉じたまま、頭の中で嬉しそうにその名を呼ぶとぎゅっと寄せていた体を更に密着させる。

(そういや・・・最近、美子とこういう事も出来てなかったな・・・。)
閉じる瞳の中、ここ最近の互いの関係がうまくいっていなかったのではないかと考えだす。
何かと言えば仕事だとか何だと言って美子の声にあまり耳を傾ける事が出来ていない。
そんな中でも、美子は何一つ文句も言わずに俺と一緒にいてくれたっけか・・・・。
当たり前・・・とか、思い始めていたのかな・・・・。

どさ!

考え事をしている中、廉の手が美子の体をベッドの上へと沈ませる。
けれど、考え事をしていた廉はおろか、甘い一時に心を奪われている美子もそんな事に気が付かず、口づけを交わしたままだった。
そして、無意識のうちに廉の舌が固く閉ざされていた美子の上唇と下唇の間をなぞり始めた。

「んんん・・・。」
固く閉ざされていたのも束の間で、なぞられ始めるとすぐに美子の唇は廉の舌を受け入れ
廉の舌はそれを確認すると滑り込むように中へと入り込み、美子の舌を捉える。
「んぁぁ・・・・。」
互いの粘液が絡まり合った舌が絡みつく度、美子から甘い声が漏れていく。
だが、それでも廉はその声に反応することはなかった。

(はぁ・・・。まぁ、別に出来なくたって支障はないよな・・・。これからは、もっと美子との時間、大切にしないとな・・・。)

幸せそうな美子の姿を思い浮かべながら、口づけよりも先なんて無理にする必要はないだろうと思う廉だが
その考えは瞳を閉じた後に待ち構えている状況によってすぐにぶち壊されることに、廉はまだ気がついてはいなかった。


「んん・・・ん?」
唇が離れていくのが分かり、ゆっくりと閉じていた瞳を開き、手放していた意識を確実に戻していくと何やら舌の辺りに違和感を覚える。
そして、完全に目を開ききった時、廉は何が起こったのかを直感的に悟った。

「んぁぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
目の前には目を閉じながら呼吸を乱し、顔を赤く染めながら舌の先の部分だけを出している美子。その舌の先から何かに繋がる様に伸びる細長く光る糸。
そして、自分の舌もまた外へと解き放たれている事。

(ま、まさか・・・・俺?)
夢の中で行われた濃厚な口づけのシーンが頭をよぎり、それを自分が無意識のうちにした事に気が付いた廉。
普段の廉なら慌てふためき正常な判断が出来ない状態に陥ること間違いなしなのだが、この時の廉はどうにも違った。

(流れに任せて・・・・。それなら、ここから先だって流れに身を任せれば・・・。)
偶然の産物であるこの状況。完全に行為自体を諦めていたはずの廉は逆にこのまま流れに乗ればと考えていた。
249初挑戦? 5:2012/01/13(金) 18:28:10.40 ID:A8kAcNN6
「美子?」
廉の呼びかけを聞くと、目を開いてぐったりとした様子で美子が廉の方を見る。
「れんさん・・・何か・・体がぽかぽかして・・・変な感じです・・・。」
「苦しくないか?」
「んん・・・体がじんじんして・・・熱くて・・・わからない・・・。」
初めて感じる感覚なのか戸惑った表情を浮かべつつも体をむずむずさせている。
これが夢と同じ状況なのか確認しようと考えた廉は、少し冷えていた指をそっと首の辺りに当てた。

「ゃ!」
すぐさま美子の口から歯切れのよく透き通った高い声が聞こえ、体がビク!と反応した。
(やっぱり・・・。)
触れた部分から伝わる熱さ。高い声。そして、なにより美子の反応。これらが廉に確信を持たせ、次の行動を決定させた。

「美子・・・今から良い事してやる。」
「良い・・・こと?」
ぽけーっと廉の事を見だした美子にすかさず廉はもう一度、先ほどと同じ口づけを交わす。
「んんん・・・。」
時に緩やかに、時に激しく、動きに緩急をつける様に舌を絡めていくと口の中で美子の呼吸がだんだんと荒くなっていくのが分かる。
それの反応一つ一つを今度はしっかりと捉えながら、廉は美子の胸を身に纏っていた服の上からそっと掴む。

すると、触れられた瞬間に胸を触れた手からドクン!という音が伝わってくる。
そして、胸に触れた手でゆっくりと揉み始めるとドクドクとその鼓動が速さを増していくのが分かり、美子が廉の体にしがみ付いてくる。

「んんん!ん!」
一つ。また一つと刺激を与えてやるとその刺激を拒むようにくねる体と、抵抗するように力が籠って行く手。
しかし、刺激に耐えきれずに口づけの途中で出来る隙間から漏れだす甘い声に、廉自身は美子がこの行為を嫌っていないという事を理解し
だんだんと廉の自身にもエンジンもかかり始める。

「あぁぁ・・・。」
自分の舌に絡まっていた美子の舌を強引に引き離すと、美子から寂しげで力の入っていない声が広がる。
口づけを止めた廉は、美子の上体を起こすと纏っていたカーディガンと真っ白なワンピースを脱がし、すぐに美子は下着1枚の状態になる。

「んぁ・・・はぁ・・。」
まだ微かに刺激を与えただけなのに美子の表情はぼんやりと意識のはっきりとしていない様子で
うるうると潤ませた瞳がうっすらと開かれて、天を見つめているだけだった。
250初挑戦? 6:2012/01/13(金) 18:28:55.23 ID:A8kAcNN6
そんな美子の体を廉は起こし、上体を自分の体によしかからせる。
「美子・・・どうだ?」
「ぞくぞくして・・・熱くて・・・どうなってるのか・・・わからないです・・・。」
呼吸を乱しながら首の辺りに吹きかかる廉の吐息にすら反応しているのか、話しながらピクピクと小刻みに体を震わせながら身を縮める。
その姿を見ていた廉は初々しく反応している美子を愛らしく思い、笑みを浮かべると
首筋の辺りに舌を這わせ始め、後ろから両胸を掴み揉み始める。

「ぁん!!ゃぁん!!んんんん」
(こういう風に反応するってことは・・・こいつ、初めてなんだな・・・。俺と同じで)
同じ初めてを共有し合えてるのが廉にとってはたまらなく嬉しい事なのか、美子を弄ぶ
手の動きがどんどん激しさを増していき、揉んでいた胸の頂点を両手が摘み始める。
「んゃ!だ、め!それ!!いゃ!んんん!!」
頂点を摘まれると力強く首を横に振り、口元に添えていた自分の指を噛み始めた。
その姿を見た廉は即座に指を離すと、美子が息を荒げて廉の顔を見て
「んぁ・・・ぃゃ・・・・。」と行為を途中で止められて納得がいかないのか、甘えるような声を出し、じっと見つめてた。

しかし、廉はその甘えるような仕草をする美子を敢えて突き放す様に睨みつける。
「駄目だ。指なんて噛んだら痕が付くだろ。」
「だって・・・れんさんにされたら・・・頭が・・・変に・・・なるから・・。」
それでも、潤んだ瞳でじっと見つめられ廉も負けたのか、「はぁ」と息を吐き捨てると表情を緩めた。
「我慢しなくて良い。大きな声出しても扉閉めてるから聞こえねーし、誰も見てない。
変になっても俺がちゃんと受け止めてやるから。だから、声を出すの我慢すんな。」
「んん・・・・・。」
まだ恥ずかしいのか、躊躇するように表情を曇らせ、顔を俯かせたが
廉に優しく撫でられ「な?」と優しく微笑みながら言われ、美子はゆっくりと首を縦に振った。

と、ここで赤くなっていた美子の左手の人差し指を見て何かが閃いた廉は左手を掴むと
「じゃあ、この左手はしばらく俺が監視してやる。」
と言うと赤い痕が付いた部分を艶っぽい表情で弱弱しく舐め始め、右手が抵抗しない様に右腕を前面に回し、縛り付ける様に力を加えると自由を奪った。

「んぁぁ・・・それじゃ・・・駄目・・・。」
先ほどまでくどいほど鋭い刺激が体を駆け巡っていたせいか、緩やかに舐め上げられる事によって伝わるピリピリと微弱な刺激に満足がいかず、むずむずと体を動かしそれを主張する。
だが、廉はその主張をことごとく無視し、執拗に指先から根元へと舌を絡ませ続けた。

「ぁあ・・・れ・・んさん・・・。それじゃ・・んぁぁ・・・。」
けれど、舌を絡ませ続けるうちに満足いかない表情は恍惚とした表情へと変わって行き
だんだんとその刺激を受け入れ、整い始めていた呼吸が再度乱れ始める。
「はぁぁん!れ・・んさ・・ん!」
足を閉じ、左側にある廉の顔から顔を逸らし、左手をピンと伸ばしながらビクビクと体を震わせ、気の抜けていた胸の頂点を固く立たせていた。
251初挑戦? 7:2012/01/13(金) 18:29:36.57 ID:A8kAcNN6
ようやく指先から伝わる微弱な刺激でも満足しだした美子だが、三度廉は慣れ始めた頃に執拗に弄っていた指先から口を遠ざけた。
「んん・・・れんさん・・・意地悪・・・しないでください・・・。」
指先に微かに残る温もりを見た後、その更に後ろ側に居る廉の顔を不服そうな表情で見つめる。
「わかった。もう意地悪しねーから。そんな顔すんな。な?」
「・・・分かりました・・・。」
廉の優しい微笑みを見るとそれ以上言葉が出なくなる美子は渋々頷くと、廉は優しく頭を撫でてくれた。
それが少しだけ嬉しいと思いながら、美子もにへらと笑みを浮かべると廉は美子に軽く口づけをし
美子の上体をゆっくりとベッドに沈め、最後の下着をずり下ろし、自らも纏っていたバスローブをベッドサイドに放り投げると一息ついた。

(ふぅ・・・。美子、初めてだから痛がるよな・・・・。)
今すぐにでも入れろと言わんばかりに固く腫れあがって主張し続ける自らを見た後
胸の辺りで両手を握りながら目を閉じている美子を気遣い、そちらへ視線を移す。

「美子、もしかしたら痛いかもしれないから、痛かったら無理しないで言えよ?」
「ん・・・・はい・・・・。」
返事と同時に頷く美子に覚悟を決めた廉は、熱を帯び、今にも暴れ出しそうな自分自身を握り
美子の入口付近を指で数回掻き乱し、濡れている事を確認するとゆっくりと内部へと侵入させていった。

「んぁ!ぁんんんん!!」
まだ先の方が入っただけだが、美子はシーツを力一杯掴み、下唇を噛みながら辛そうにしている。
するすると入ってはいるが、美子の内部から体に伝わる痛みはその様子を見れば尋常じゃないということだけは分かっていた廉は
慎重に、それでいて痛みを与え続けない様に急ぎつつ自分自身の全てを収めようとした。

「あぁ!んぁぁぁ・・・・。はぁ・・・はぁ・・・。」
ぽろぽろと涙を数粒流しながらも、ようやく全てが収まりきると体を前方へと倒し、美子の様子を窺う。
「美子・・・平気か?」
廉の気遣いに言葉を発するのが辛いのか、こくこくと何度も縦に首を振り続ける。
「動いても良いか?」
「ぅ・・・ん・・・・。」
「じゃあ・・行くぞ?」
最後に美子から零れ落ちた涙を拭き取り、深い口づけを交わすと美子の横腹を掴み
少しずつ内部に入れた自分自身を引き抜いていった。
252初挑戦? 8:2012/01/13(金) 18:30:43.31 ID:A8kAcNN6
「ぁぁ!ゃ!んぁぁ!!」
(っ!締め付け凄いな・・・・。)
ずずずと内部の肉壁が廉自信を縛り上げる様に引き抜こうとすると締め付けてくる。
それだけで廉の竿から熱い刺激が込み上げて、一気に追い上げられていく。
しかし、それに負けることなく廉は竿の部分に力を加え、肉壁からの抵抗を押しのける様にぎりぎりまで引き抜くと、力一杯体ごと叩きつける。

「あぁ!!ぃい!!」
「っく!んあぁぁ・・。」
引き抜き、叩きつけを繰り返し、ぐちょぐちょに濡れる内部を荒し続けると美子は顔を後ろへ目一杯逸らし、嬌声を何度も上げる。
廉は廉で激しくなる鼓動のせいか、呼吸を荒げ、顔を赤くし、汗をだらだらと流しながら腰を必死に動かし続ける。

(あぁ・・・やばい・・・。これ)
本能の赴くままか、速度を増せば増すほど込み上げてくる快感が大きさを増し、それを求める様に廉の腰の速度は素早さを増していく。
そして、その速度が速さを増す度に苦痛に表情を歪めていた美子の顔も気持ちよさそうな表情へと変わって行き
声のテンポが速くなり、声のトーンも高さを増していく。
それがまた、廉の五感を辿って廉自身を追い上げていく。

世の中にこんなにも至福の一時があった事にもっと早く気が付ければと、廉は思いながら
一心不乱に腰を打ち続けたが、美子は体力的にも限界を迎えそうになっていた。

「んぁ!れ・・・さん!駄目!もぅ・・変になっちゃう!!あぁぁ!」
まだ一度も限界を迎えていなかった美子は何度も繰り返される廉の猛攻に耐えきれなくなり
ビクビクと体を震わせた後、大きく体をのけぞらせ、廉の限界を迎える間もなく、限界へと達した。
美子の声に勢いよく竿を引き抜くと美子の秘部から大量の愛液が溢れ出し、真下のシーツへととろとろと零れ落ちていき、やがてその部分に大きな染みが出来上がった。

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・。」
若干、放心気味なのか美子は辛そうに呼吸を整えるのに精一杯なのかピクリとも動かない。
一方の廉は竿に絡みつく美子の愛液がベッドの上に零れて行くのを見ながら、美子の出入り口がひくひくと開いたり閉じたりしているのを見ていた。
それはまるで廉自身を誘惑しているかのように感じられ、いても立ってもいられなくなった廉は
竿を力強く握ると美子の様子を確認せず荒々しく内部へと竿を侵入させる。
253初挑戦? 9:2012/01/13(金) 18:31:38.63 ID:A8kAcNN6
「あぁぁ!!」
「美子・・・もう少しだ。我慢しろ。」
これ以上は美子も辛いのは承知の上で、廉自身も自分の処理を素早く行うためか
最初から高速で腰を振り始め、内部で自らを限界点まで追い上げていく。

(さっきより締め付けは緩いけど・・・やっぱ、狭いな・・・・。)
美子が限界を迎え、無駄な力が入っていないせいか、スムーズに内部を荒す事が出来る。
けれども、廉もその内部の感触を味わう隙がないほど限界手前まで来ているため、今回も必死に腰を振り続ける。

「あぁ!あぁ!んぁあ!」
もう何か行動を起こす事も考える事も出来ない美子は与えられる刺激に声を出すことしかできない。
廉自身もそれほど余裕がないのか、苦しそうに表情を歪めながら上体を前へと倒すと美子の体の下に両腕を潜り込ませる。
すると、美子も弱弱しくではあるが廉の首に手を回し、廉の事を求める様に体を寄せてくる。
それに応える様に廉は美子の体を抱き寄せると深い口づけを交わしながら腰を振り続ける、

「んぁぁ!美子!」
口づけを終え、顔を大きく上に上げると体中から汗が周りに飛び散る。
「れん・・・さぁああ!!」
口が自由になった美子も嬌声を上げ、しがみつく様に廉の肩を掴む手の力が強くなる。
「んぁぁ!」
そして、鋭い声が上がると今まで激しく動いていた廉の動きがぴたりと止まり
廉から飛び出した欲望を美子の内部で解き放った。

「はぁ・・・んはぁ・・・。はぁ・・・」
「ん・・・み、こ・・・。」
内部で廉の欲望が溢れる間、ピクピクと体を震わせていたが、ようやく全部飲み干し終えると
閉じていた目をうっすらと開き、廉に小さな笑みを浮かべると美子は静かに眠りに着いた。

「はぁ・・・はぁ・・・・。ありがとな・・・美子・・・・。」
静かに眠りに着いた美子の体をぎゅっと抱き寄せると廉は頬に軽く口づけをし
自らによって汚れた美子と自分自身、そしてベッド回りの後片付けへと移るのだった。
254初挑戦? 10:2012/01/13(金) 18:32:16.15 ID:A8kAcNN6
それから30分後・・・・。
(ふぅ・・・まだ頭がぼんやりする・・・。)
シーツを取り換え、美子の汗を拭き取り、自分の纏っていた少しだぼだぼのバスローブを着せ
自分はシャワーを浴び直し、今ベッドの中でぼんやりと先ほどの行為を思いだしながら
隣で気持ちよさそうに眠る美子の顔を見ていた。

そして、指に残る美子の温もりや秘部の感覚、艶っぽく喘ぐ表情。
昨日のこの時間までは夢だけのものだったが、ようやくそれらが現実のものになり
気恥ずかしく思いながら、何だか真の意味で一つになれたのだと実感し、心躍らせた廉は
月明かりで黒く輝く美子の髪の毛を嬉しそうに撫でた。

「やっぱ・・・見といてよかった。」
静かに眠る美子を起こさぬように注意しながら、作業用のデスクの方へと目を向ける。

何故、あれほどまで緊張してがちがちだった廉が本番であそこまで出来たのか・・・。

実は、美子が来る直前まで廉が見ていたのはそう言った行為に関する物を真剣に見ていたのだ。
動画やら行為の説明やらを真剣に見ていたため、美子が入ってきた時にあそこまで驚いて隠したのだった。

「でも、流石に美子が入ってきた時は焦った。見られたかと思ったからな・・・。」
まぁ、無事に終わった今としてはどうでも良いことだから、気にする必要もない。
そう思った廉は起こしていた体を静かにベッドへと戻そうとした。
だが、廉が色々と動いたためか、眠っていた美子が瞼を擦りながら目覚めてしまう。

「んん・・・・廉さん・・・。おはおうございます・・・。」
寝ぼけているのか、まださっきのが残ってるのか、少々呂律が回っていない。
「美子・・・起こしたか?悪い。」
「んあれ・・・?まだ夜・・・・あ・・・れ?私、どうして廉さんのバスロー・・・・あ!!」
ダボダボのバスローブにどうして自分がそれを着ているのか記憶があいまいだったが
左手の人差し指に残っていた赤い痕を見て、事の全てを思いだした美子は素早く廉に背を向けると
「あ、えっと・・・あ、あれ?」
とどう誤魔化そうかと困りながら、真赤になった顔を身を縮めて隠していた。

「美子・・・。」
廉の小さな声が薄暗い部屋に響くと、すぐに廉の腕が美子の体を捕らえ、そのまま自分の体の方へと寄せる。
自分の目の前にある廉の掌にそっと手を添えた後、背を向けていた体を廉の方へ向け
何と言えば良いのかわからない状態のまま、廉の事を上目で見つめる。

「・・・・これからは我慢するな。何かあったらいつでも俺に言え。
俺が忙しい時、何も言わずに側で支えてくれた。だから、お前も何かあったら俺に言え。
それと・・・・いつもありがとう・・・。」
照れ臭いのか、最初の力の籠った声とは全く逆で、最後の方は頬を赤らめ、顔を逸らしながらぼそぼそと話した。
廉の気遣いが身に沁みたが、それと同時に廉の照れ臭そうな仕草にくすっと笑い声を漏らしてしまうと
「わかりました!」
と廉の顔色を確認し、慌てながら明るい笑顔と声で廉にそう答える。
どうにも最後に笑われたのを納得のいかない表情で見つめていたが、楽しそうに笑っている美子の姿に、すぐさまそんな事はどうでもいいことだと思い
釣られる様に廉もまた美子に笑顔を浮かべると耳元で「愛してる」と囁き、月明かりが見守る中、二人は深い口づけを交わすのだった。
255初挑戦? おまけ:2012/01/13(金) 18:33:33.04 ID:A8kAcNN6
だが、ここで終わるかと思いきや廉にはまだ一つ、難関が残されていた。




「んん・・・えへへ・・・・。」
廉に甘える様に体にピタッとくっつくと布団の中で丸まった。
まるで猫の様に擦り寄ってきた美子の頭を「やれやれ」と思いつつも満足そうな表情で撫でていた。
「あ!そうだ!!廉さん、お聞きしたい事が・・・・。」
「何だ?改まって・・・・。」
「あの・・・ふうぞく・・・って何ですか?」
「ぶ!!げほげほ・・・」
何で夢でもあるまいし美子の口からその言葉が出てくるのかが信じられない廉は
「うぅぅ゛・・・・」と唸りながら口を抑えて咳を出し始める。
「れ、廉さん?!だ、大丈夫ですか!?」
いきなり暴発し出した廉の背中を心配しながら擦る。
「ごほっ・・・それ・・・誰から聞いた・・?」
咳のせいで少し充血気味の目で美子を見ると美子はビクッと体を震わせた。
「あ!いや・・柊さんが廉なら知ってるってい、言ってたので・・・?廉さん?」
(しゅうめぇ・・・・。変な事吹き込みやがってぇ・・・・・)
悪鬼のように表情を歪めながら頭の中で柊の顔を想像しながら、明日になったら覚悟しろと念じながらしばらく、廉はその場で丸まりながら咳をし続けた。

ただ、廉の耳にはその後何度も美子が言っていた
「廉さんが寝言で言っていた。」
と言う言葉は聞こえてはおらず、その言葉を聞くのは廉が柊を阿修羅像の様な表情で問い詰めた後の事だった。

一方その頃、部屋で眠っていた柊はその頃・・・・。

がば!!

「・・・・何か今、体中に寒気が・・・・。風邪かな・・・?」
そう思いつつも、何やら思い当たる節がある柊は「まさかな・・・。」と苦笑いを浮かべると明日起こるであろう事態を想像しつつ、再び眠りに入るのだった・・・。
256名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 18:36:31.24 ID:A8kAcNN6
以上です。前回、感想くださった方々ありがとうございました!
そして、いつも通りの長文&駄文にお付き合いくださる方々もありがとうございます!

それでは、失礼しました。
257名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 21:54:37.74 ID:13foAeCL
>>256
GJ!自分もひそかにDT柊さん金沢編2日目待ってますw
前にリクエストに答えてくださったり結構ありがたい存在です。

てか廉美子初々しくて可愛いわ〜
やっぱり事前学習万全でするんだねww
258名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 23:09:15.21 ID:U87gyoLx
>>256
180です〜 続き待ってました〜
美子主導で責められる夢を見たDT廉さんが
実践では果たして何をどうする気なんだろ?って思ったんだけど
なるほど…事前学習…ねw 成果バッチリだ廉さんww
廉美子ふたりともかわいくて幸せでほっこりしました〜

改めまして。書いていただいてありがとございます!
見たいシチュ&アイデアはけっこうあるのに
文章構成力がイマイチな自分ww
自分の妄想以上のステキ廉美子見せていただけて大満足ですw
259名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 01:10:33.99 ID:r/Tbern1
長らくお待たせ致しました。
柊×NANA、最終回を投下します。

神作品を読む時間が無いため、今夜は投下のみで
失礼します・・・。

前回までの更新分
前々々回スレ
412-421
474-477
647-654
前々回スレ
123-133
前回スレ
59-76
408-420
260星をさがして65 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:18:14.51 ID:r/Tbern1

───


「…ん……」

耳に届く小鳥の囀り。
窓の外から差し込む朝日が部屋を照らし、NANAは誰に起こされるでもなく
自然に目を覚ました。

幸せな夢を見ていた…そんな気がする。
熱くて優しい愛に包まれ、泣きたくなるくらい胸がときめく、夢。

「…柊……?」

そんな幸福を与えてくれた愛しい人を求め寝返りを打ったが、
隣には誰も居なかった。
途端に不安が胸を襲い、NANAは完全に微睡みから覚醒し身体を起こす。

「痛……」

下腹部にまだ少しだけ鈍い痛みが走った。
視線を落とすと、己の身体は純白の光沢を放つシルク製バスローブに
包まれている。
汗ばんでいたはずの肌や下肢に不快感は無く、知らぬ内に清拭されたようだ。
バスローブの合わせ目から除く胸元には、昨夜 柊によって刻まれた
赤い華が咲き乱れており、情事の痕跡は色濃い。
しかし、肝心の彼が居ないのだ。

「どこ行ったのよ…」

…好きな人の腕枕で目覚めるのも密かな夢だったのに。
NANAは心中でブツブツ文句を垂れ、ベッドから降り来客用スリッパを履き
部屋を出た。ひんやりとした空気を保つ人気の無い廊下を歩き、
階段を降りて一階へ移動する。
ふと、ハーブとおぼしき良い香りが鼻孔を掠めた。

「柊…居るの?」

キッチンから物音がし、NANAは恐る恐る声を掛けた。
冷蔵庫の中を覗いていた柊がすぐさま振り向く。

「おはよう、NANA。調子はどう?」
「…あ…おはよう……もう大丈夫よ」
「そうか、良かった」

爽やかな朝の光に満ちたキッチンで微笑む柊が眩しくて、思わず俯いた。
白無地のロングニット一枚に、ボトムは部屋着であろうシルバーグレーの
ゆったりしたスウェットパンツ姿。
その白っぽいシルエットを締める、黒のエプロンがよく似合っている。
彼の周りにだけ草原の風が吹き抜けるような錯覚まで起こり、
慌てて首を左右に振り己の妄想を散らす。

「すぐに朝ごはん作るね。あ、先にシャワー使う?」
「いいの?じゃあシャワー借りても…って、私何も持って来て
無かったんだった…」
261星をさがして66 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:20:38.89 ID:r/Tbern1

シャワーを貸してくれるという有り難い申し出に飛び付き掛けたが、
よく考えてみれば着の身着のままで合宿所を訪れた為、携帯やハンカチなどが
入った小さなバッグ以外の荷物は持ち合わせていない。
残念そうに肩を落とすと、作業を中断した柊が何かを手にキッチンから
歩み寄って来た。

「はい、どうぞ」

目の前へ、謎の大きな紙袋が差し出される。
面食らいつつそれを受け取り、中を覗けば…。
新品の下着、オレンジ色のカジュアルなパーカートレーナーと
細身のデニムに加え、歯磨きセットや試供品の洗顔料、化粧水など宿泊に
必要な全てが揃っていた。

「…え?これって…」
「俺が用意したんじゃないんだ。…多分、馬淵さんとRINAさんが…」

瞬きを繰り返すNANAへ、柊は更にポケットからメモ用紙を取り出して見せる。
四ツ折りになったそれを開いたところ、黒のボールペンで走り書きしたような字で、
こう記されてあった。

『お邪魔虫はみんな連れ出したぞ〜!柊、いい夢見ろよ!!
恋のアバンチュールプロデューサー☆馬淵より』

目が点になったまま更に下方へ視線を移す。
赤いペンで書かれた可愛らしい字もそこにあった。

『ブラのサイズ、キツかったでしょ?ごめんね〜!これはトオルにちゃんと
サイズを聞いて用意したから、安心して着替えてね。柊と仲良くやんなさいよ!
うふふ…(*^^*) 恋する乙女の味方 RINA』

全て読み終えると同時に、NANAは顔を引き攣らせメモを床に落とした。

「な…、何よこれ…」
「俺が起きた時にはもう、誰も居なかったよ。リビングのテーブルの上に
その書き置きと紙袋があって…
二人の気遣いは嬉しいけど、さすがにちょっと恥ずかしいね」

道理で人の気配がしなかった訳だ。
262星をさがして67 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:24:51.79 ID:r/Tbern1

昨夜NANAと柊が愛を確かめ合う中、マスコミの目を盗み合宿所を訪れたらしい馬淵とRINA。
野性の勘でも働いたのか、自分たちの間に生まれた恋を成就させるべくお膳立て
してくれたようである。
廉、勇気、美男の三人は馬淵に連れ出され、今頃はホテルにでも宿泊しているのかも知れない。

ここまで露骨なお節介を受けては、恥ずかしさを通り越して苦笑いが漏れる。

「…とりあえず、シャワー借りるわね…」
「あぁ、自由に使って」
「ありがとう」

ドッと疲れが出た気がして、NANAは頭を抱えながら柊が開けてくれたドアを潜り
バスルームへ向かった。

…これからどんな顔をしてあの人たちに会えばいいのか。


***



シャワーを終え、用意された衣服に着替えてドライヤーを拝借し、
長い髪を乾かす。
洗面台の鏡に映るすっぴんの自分。
素顔を晒すのは少し恥ずかしいが、昨夜全てを見られた彼相手なら良いか…
と、己に言い聞かせ歯を磨いてからバスルームを出た。

キッチンで相変わらず作業している柊とすぐ目が合い、
はにかんだ笑顔を向けてみる。

「シャワーありがとう、あなたはいいの?」
「俺はもう済ませたよ。それより朝ごはん出来てるから、ここ座って?」

食欲をそそる甘い匂いが漂い、NANAの腹の虫が小さく鳴った。
263星をさがして68 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:27:45.34 ID:r/Tbern1

「いい匂い…」

柊が引いてくれたカウンターキッチンの椅子に腰掛け、その香りから朝食メニューを
探ろうと鼻に意識を集中させる。
クスッと小さく笑みを漏らした彼は、程無くして白い皿を目の前に置いた。

「はい、どうぞ」
「わぁ…美味しそう!いただきま〜す」

お洒落なカフェのメニューにあってもおかしくない、本格的なフレンチトースト。
NANAは腹の音が更に大きく響くのを声で誤魔化し、ナイフとフォークを柊から受け取り
早速、一口大に切り分けたそれを頬張る。
シナモンの香りと砂糖の甘味が口内に広がり、目を閉じ感嘆の溜め息を吐いた。

「ん〜、すっごく美味しい!お店の味みたい!」
「ふふ、良かったらこちらもどうぞ?…お嬢様」
「ぷっ…やだ、あなたが執事の真似なんて、様になり過ぎ!」

料理を褒められ気を良くしたのかティーカップをNANAの前に置いた柊が、
いきなり即興で執事とお嬢様設定らしい小芝居を始める。
思わず吹き出し、すかさずツッコミを入れてからレモンの良い香りを放つ
ハーブティーを口にした。

「…美味しい…レモンティーみたいにスッキリした味ね」
「レモングラスっていうハーブを使ったんだ。覚醒作用があるから
朝にピッタリだよ」
「そうなんだ…」

さすがに詳しい柊からお茶の効能を聞き納得の表情で頷いた後、何処か遠くを
ぼんやり眺める。
事務所に入る前、趣味でハーブを育てたりガーデニングを楽しんでいた頃を
思い出したからだ。

荻野社長に出会い、彼の命令通りに動いたお陰で、確かに人気も収入も得たけれど。
所詮、今となっては全てがまやかしだった。
結果的に三澤という一人の青年の人生まで狂わせてしまい、一体自分は明日をどう
生きて行けば良いのだろう。

「私…これからどうなるのかな……」

昨夜 柊に慰めてもらったが、思いの外NANAは心に深手を負っていた。
先程までの談笑は立ち消え、重苦しい空気の中でポツリと呟く。
ティーカップをテーブルに置き、俯いて柊の言葉を待った。
264星をさがして69 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:30:38.97 ID:r/Tbern1

「…NANA……うちに来ないか?」

頭上に落ちて来たのは予想していた慰めの言葉などではなく、
突拍子無い一言。
NANAは弾かれたように顔を上げ、大きく目を見開いた。

今のはまさか、プロポーズ…?

「え…えぇっ!!?」

カーッと顔面が熱くなり、椅子から立ち上がり動揺を露に意味もなく
手足をバタつかせる。
昨日気持ちを自覚して、夜に初めて結ばれて、朝になったらいきなり求婚??

そんな急展開、おとぎ話でも絶対に有り得ない。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って?柊、落ち着いて?」
「俺は落ち着いてるよ。NANAこそ、とりあえず座って深呼吸してみたら?」

再び椅子を引いてくれた柊に促され、視線を泳がせながら
元の場所へ腰を下ろす。
とにかくバクバク五月蝿い心臓を鎮めるべく、ハーブティーを飲んで
息を吐いた。

「…あ、あなた自分が何を言ってるか分かってるわよね?」
「もちろん。この前からずっと考えてたんだ。NANAにとって、
きっとそれが一番いいだろうって…」
「…そんなに私のこと…」

隣の席に腰掛けた彼から真摯な眼差しで見つめられ、鼓動は
鎮まるどころか余計に早まる。
そこまで本気で考えてくれているのなら、このまま何もかも捨てて…
柊の胸に飛び込んでしまいたい。

「……私で…いいの?料理は苦手だし、お裁縫だってあんまり
出来ないけど…」
「うん。だってそんなの撮影にはあんまり関係無いと思うし」
「……は?撮影…?」

彼の意思を再確認しようと自分の欠点を挙げて質問したが、
返って来たのはこれまた予想外の単語で、NANAは首を傾げた。

265星をさがして70 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:33:08.21 ID:r/Tbern1

「うちの事務所、AJエンターテインメントには看板を張れる女優が居ないって、
この前社長が漏らしててさ。良かったらうちに移籍してみないか?」

ニコッとアイドル顔負けの素敵な笑顔で言う柊。
NANAはかろうじて乾いた笑みを作りつつ、心中ではプロポーズだと
勘違いした数分前の己を盛大に恥じた。

「…そう、ね……うん、移籍させてもらえたら嬉しいわ…」
「じゃあ社長には俺から話しておくよ。…もう二度と、
君に嫌な思いはさせないから」

気恥ずかしさから曖昧な返事をしてしまったが、冷静になれば柊の
申し出がどれだけ魅力的な事であるか気付き、NANAは深々と頭を下げる。

「…ホントにありがとう」

垂れた頭をふわりと撫でる、優しくて頼れる手。
この手に掴まれば、もう絶対に大丈夫な気がした。

「俺の目の届く所に置いておきたいっていう、単なる我が儘なんだけどね。
…あ、早く食べなきゃ冷めちゃうよ」
「うん、いただきます」

湯気が消えかけているトーストを頬張り、キッチンに戻った柊が
洗い物をしている姿を眺めて幸せに浸る。
すると、何処からともなく耳心地の良いメロディーが流れ始めた。

「これって確か…」
「Miss You…廉の着メロだ。携帯忘れて行ったのかも」

それは、今や日本人なら誰もが知っているであろう程に売れている、
廉のソロシングル曲だった。
柊は濡れた手をタオルで拭き、音の鳴るリビングへと向かう。
彼を目で追いつつ、自分の歌を着信音設定する廉のナルシストっぷりに
NANAは込み上げる笑いを必死に我慢した。
266星をさがして71 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:36:13.34 ID:r/Tbern1

「やっぱり忘れてる。…もしもし、美子?久しぶり」

リビングのソファから携帯を拾い上げた柊が、そのまま廉の代わりに電話に出る。
どうやら相手は、アフリカに居る美子らしい。
…なるほど、あの着信音にも納得である。

「廉が携帯忘れて出払ってるから、うん……え?
そんなニュースになってるのか…まだテレビも何も見てないんだ」

美子と話す柊の声で、NANAも今回の事件がどう収束したのか気になり、
フレンチトーストを急いで完食するとティーカップ片手にリビングへ移動し、
テレビをつけてニュースにチャンネルを合わせた。

『続いてのニュースです。
芸能事務所“fairy・dream”の代表取締役社長 荻野啓蔵容疑者が今日未明、
所属する女性タレントのNANAさんおよび、未成年の少女らに対する売春強要、
脅迫容疑で逮捕されました。
荻野容疑者は警察の調べに対し「全て私がやりました」と、容疑を認める
供述をしたとのことです。
なお、荻野容疑者は会社の資金を私的に使い込んでいたとの内部告発もあり、
背任容疑でも捜査が進むとみられ…』


「……逮捕、されたんだ…」
どこの局にチャンネルを合わせても、荻野が捕まったというニュース
ばかりが報道されている。
昨日逮捕された三澤の自供と押収された証拠によって荻野の容疑が固まり、
家宅捜索を経て逮捕に至ったとの事だった。
社長室に飾られた絵の裏に隠し金庫があり、そこには今まで脅迫した女性タレント
と売春させた男たちのリスト、更には横領に利用したと疑わしき架空名義の口座通帳
などがあったらしい。

「あぁ、今ニュースを見たよ。でもみんなに怪我は無いし、
美子は何も心配しなくて大丈夫だから」

空になったティーカップをテーブルに置きテレビ画面へ釘付けになっていると、
柊が冷静に美子を宥める声が響く。
海外からネットニュースでも見たのか、これほどの大事件にA.N.JELLが関わったと
なれば、さぞかし心配している事だろう。
NANAは美子の、泣きそうに歪んだ顔を思い浮かべた。
いつもそんな顔をさせていたのは、自分だった。

「うん、廉には後で架け直すように言っ…
…NANA?どうした?」
「…電話、代わってくれない?」
267星をさがして72 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:39:55.38 ID:r/Tbern1

後味が悪いまま別れた切りになっていた美子。
このままでは、柊と胸を張って付き合えない。

NANAは意を決して柊に手を差し出し、廉にフラれてから
一度も話していない彼女との会話を望んだ。

「分かった。…美子、ごめん。NANAが話したいって」

驚いた様子で目を見開いた柊だったが、こちらの真剣な眼差しに気圧されたのか
美子に事情を話し、そのまま携帯をNANAへ引き渡す。

『…あ、…NANAさん、お久しぶりです……』
「お久しぶり…美子、さん…」
『あの、ネットで事件の記事を見たんですけど…大丈夫ですか?』
「うん。柊が助けてくれたから…」

いざ耳に携帯を当てると戸惑いがちな口調で挨拶され、NANAもぎこちなく挨拶を交わす。
だが焦れったい物言いは元来苦手な為、遠回しに話すのを早々に諦めいきなり
本題を切り出した。

「…それでね、私…柊と付き合う事になったの」
『え…えぇっ!?柊さんと!?』
「だから、もう廉にちょっかい掛けたりしないわ。あなたは安心して
ボランティアに専念しなさいよ」
『は…はい!頑張ります!』

つい美子に対して偉そうな物言いになってしまい、チラリと柊を見遣ると
「もう少し優しく接してやったら?」と目で合図される。
咳払いを一つ零し、軽く深呼吸してからNANAは続けた。

「これをきっかけに、生まれ変わろうと思うの。今回の事で自分の
間違いにも気付かされたし…」
『…NANAさん…』
「……あなたにずっと、言えなかったけど………その…
あの時は、ごめんなさい」

受話器越しに美子が息を飲むのが分かる。
プライドの塊のような己から謝罪を受けるなど夢にも思わなかったはずだ。

「…ただ、美子さんが羨ましかった。私と同じように本当の姿を隠して世間を
騙してるのに、何で廉はあなたを選ぶのか…それがずっと憎らしくて、悔しくて…
…悲しかったわ」
『…すみません、NANAさん…私こそ、知らない内にあなたを
傷付けていたんですね…』
「ううん、もう大丈夫。こんな私でも好きだって言ってくれる人に
出逢えたから…」

隣を見れば、柊の穏やかで優しい笑みがすぐ傍にある。
素直に謝ったNANAを褒めるよう、そっと肩を抱いてくれた。
268星をさがして73 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:42:20.40 ID:r/Tbern1

『…NANAさん、柊さんなら絶対大丈夫です。私もお二人を応援します!』
「ふふ、ありがとう。…そうだ、日本に戻って来たら一緒に買い物にでも行きましょ?
あなたいつも変な服ばかり着てたじゃない。私が直々に女の子らしいコーディネートを
教えてあげるわ」
『え、あれ、変な格好でしたか?』
「自覚無し?ダメよ、そんなんじゃ。廉をいつまでも夢中にさせるには
女を磨かないとね」
『は、はいぃ!頑張ります…』

漏れ聞こえた会話に笑いを堪える柊を尻目に、NANAは美子との仲が雪解けを迎えて
心底ホッとし、清々しい気分になった。
こんな風に、飾らず話せる女友達が出来たのは初めてだ。

「じゃあまた…」
『あ、あの!』
「ん?」
『……今日、兄から写真付きのメールをもらったんですけど……』

そろそろ通話を終えようかという所で、美子が歯切れ悪い口振りでモゴモゴと
何かを訴え始めた。
訳も分からず首を捻りつつ彼女の話に耳を傾ける。

「それがどうしたの?」
『…その写真の事で…廉さんに伝えて欲しい事があって……』
「え?」

至極言いにくそうにしながらもどうにか己へ伝わった、美子から廉へのメッセージ。

通話を終えてすぐ、廉の携帯に転送された問題のメールを見た瞬間…。
NANAはその意味を把握し、込み上げる笑いを我慢出来ず小一時間ソファに
突っ伏す羽目となった。




269星をさがして74 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:45:59.66 ID:r/Tbern1
────


「いやいやいや、実にWonderful!Excellentだ!!
これはすごい反響だぞ〜!」
「社長っ、全てのワイドショーは荻野容疑者の逮捕と、
柊の活躍をドドーンと紹介してますよ!!」

昨夜は馬淵に無理矢理ホテルへ連れ出された挙げ句、朝っぱらから
AJエンターテインメントの社長室に集められた、A.N.JELLのメンバーたち。
安藤社長の高笑いと、馬淵のハイテンションなやり取りをソファに腰掛けたまま
げんなりした顔で見送っていた。
安藤は今朝発行されてから飛ぶように売れているスポーツ誌を広げ、
仁王立ちでふんぞり返っている。

「ぬはははは!!!“A.N.JELLは悩める女性の味方!
正義のヒーロー藤城柊、NANAを華麗に救出!”素晴らしい見出しだ!」

カメラアングルがバッチリ決まった、柊の一本背負いの写真と共に出口らが
書いた記事が一面に掲載されており、内容は全てA.N.JELLにとって追い風と
なるものばかり。
昨夜まで烈火の如く怒っていた安藤も、打って変わってこれには上機嫌である。

「沢木、あっちはどうなった?」
「はい、社長。株式会社Sararaですが…逮捕された三澤容疑者の証言で、彼の実父だと
暴露された田沼社長は、責任を追及され辞任の意向を示しているそうです。
息子を思い毎月多額の養育費を送っていたようですが、その金を元に三澤は
荻野に取り入ったと…」

秘書の沢木が安藤へ、柊の新CMのクライアントになるはずだった
株式会社Sararaの現状を語った。
当然、この騒ぎでCMの話など立ち消えになるはずだ。
社長室の空気がみるみるクールダウンしていく。

「うーん…親心もちゃんと子供へ伝えなければ意味が無いからなぁ。
金以外に愛情を表せなかった田沼さんの過ちも否めないだろう…」

親子のボタンの掛け違い、隠し子という立場で虐げられて来た三澤の暴走…
それらは既にマスコミの報道でも大々的に晒されており、彼らのこれからを
思うと皆の胸が痛んだ。
270星をさがして75 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:48:32.95 ID:r/Tbern1

「まぁまぁ、お前たちは人助けをしたんだ!
そんな暗い顔をする必要は無いぞ」

深刻な面持ちで黙ってしまったA.N.JELLの三人を、安藤が努めて明るく
励ましながらスポーツ誌を皆の目の前のテーブルに置いた。
廉はそれを手に取って広げ、柊が三澤を撃退した瞬間の写真を何となく
眺めた。

「ねぇ廉さん、俺もここに居たけど柊さんの動き、すごかったよ。
何か、プロっぽいっつうか…柊さんがこんなに強いって知ってた?」

隣に座っていた勇気が手元を覗き込み、内緒話をするボリュームで
話し掛けて来る。
廉は小さく鼻で笑うとスポーツ誌を適当に畳み、また机の上に放った。
どうせこの記事を書いたあの記者三人組も、後々柊に丸め込まれて
追加取材は出来なくなるだろう。
彼らと手を組んだあの夜、廉にだけ「用が済めば即、同盟は解消するよ」
と言った、柊の微笑みを思い出すと些か寒気がする。

「…だからアイツとは喧嘩したくねぇんだよ」
「…へ?」
「別に。それより美男、お前さっきから何やってんだ?」

勇気の質問をうやむやにしたまま、向かいの席に座り携帯をいじっている
美男を軽く睨む。
この一大事に暢気なものだと言ってやろうと口を開くより早く、美男は
ニヤリと口角を吊り上げ腕を伸ばし、携帯の液晶画面を廉へ突き付けた。

「見ろよ、柊のファンの数。記事が出てから数時間でこんなに増えてるぜ?」
「な゛っ…!ちょ、貸せ!」

慌てて美男から携帯を引ったくり、画面を注視する。
それはA.N.JELLのファンクラブの人数割合を示すグラフだった。
ライブで美子に告白して以来、激減した廉のファンも徐々に回復していた
はずなのに、今や柊ファンを表す青色が半数以上を占めている。
勇気も画面を横から見て口を開いたまま驚きの声を上げた。
271星をさがして76 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:51:00.07 ID:r/Tbern1

「すげぇ…柊さんスゴすぎ!」
「おー、さすがは美男!もう知ってたのか。この記事とワイドショーのお陰で、
ファンクラブの入会希望者が殺到したんだ!柊は一躍時の人だなぁ〜」
「一時的にサーバーダウンするほどアクセスが集中しました。回復した現在も、
入会者が増え続けています」

ワナワナと肩を震わせ歌舞伎役者のような睨み顔で画面を見つめる廉をさておき、
馬淵は得意気に柊を褒め称えて小躍りを始め、冷静な沢木の説明が後に続く。

「柊さんのCMのオファーですが、以前より申し出があった“星美堂株式会社”
から、脚本も演出も全て最高のクリエイターを揃えるのでぜひともお願いしたい
…と、つい先程連絡がありました」
「ほっほーぉ…星美堂は老舗中の老舗でプライドも高いが、
そこまで下手に出たか」
「社長!柊をいっぱいCMに出してA.N.JELLをもっともっとメジャーに
しましょう!!」

結局、柊のソロCMの話はかねてより依頼のあった星美堂株式会社に決まりそうだ。
社長と馬淵は沢木が示した資料を見て、勝者の笑みを浮かべる。
…恐らく、ギャラも最初の提示額を大幅に上回っているに違いない。

廉は細く狭くなった自身の赤いグラフに呆れ顔で溜め息を吐き、美男へ
携帯を返した。
直後、不意に着信音が鳴る。

「もしもし…何だ、お前かよ。…え?…ちょっと待って」

電話に出た美男からチラチラとこちらを窺われ、廉が訝しむと再び携帯を
手渡された。

「何だよ?」
「柊の携帯からNANAが架けて来た。お前に話があるんだってよ」

特に話す気の無い相手からの着信を不思議に思いつつ、とりあえず電話を
代わる事にする。
272星をさがして77 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:53:27.26 ID:r/Tbern1

「何の用だ?」
『あら、まだ私にそんな態度を取るなんて…あなたもまだまだ子供ね』
「切るぞコラ」
『待って、あなたがうっかり携帯を忘れたりするから、私が美子さんの伝言を
預かったんだからね?ちゃんと聞きなさいよ』
「み、美子から架かって来たのか!?」

相変わらずの不遜な態度に苛立つのも束の間、NANAの口から美子の名前が出ると
廉は一気に焦りを覚えた。
慌てて上着やズボンのポケットをまさぐるが、己の携帯は出て来ない。
どうやら彼女の話は本当で、同時にあの着信音も聞かれてしまったようだ……。
嫌な汗が背を伝う。

『でね…、今朝方、美男からメールで潜入捜査の時の写真が
送られて来たんですって』
「…はぁ…それがどうした?」
『それを見た美子さんの、廉に対するメッセージよ』

やっぱりマナーモードにするべきだったかと内心で反省しつつ、覇気の無い状態のまま
NANAの話を促す。

「勿体振らずに早く言えよ。美子は何だって?」

『……“同じ顔だからって、浮気しちゃダメですよ!”』

「………は?」
『じゃ、それだけ。写真は美男に見せてもらうのね』
「あ、おい…っ!」

訳の分からない伝言を残したNANAは一方的に通話を切ってしまい、廉の耳に虚しく
ツーツー…という音が木霊する。
ふと、視線に気付き正面を向くと美男が無表情でじっとこちらを見ていたが、
廉と目が合った途端に彼の能面顔は小悪魔っぽい笑みに変わった。

まさか、この男…美子に余計な事をしたのだろうか。

「…美男、お前…美子に何の写真を送った?」
「さぁな。自分の目で確かめてみろよ」
「チッ…何なんだよ…ったく…」

生意気な美男を咎めるより、問題の写真とやらを確かめるのが先決。
廉は彼の携帯を勝手に操作し送信済みメールをチェックした。
一番最新、美子宛の画像付きメールを開く。
273星をさがして78 柊×NANA:2012/01/14(土) 01:55:43.23 ID:r/Tbern1

『件名:潜入捜査

本文────

美子そっくりに女装した俺を見た瞬間の、廉(マヌケ面)ww

お兄ちゃん自分の貞操が心配だよ。

美子早く帰って来て襲われる』


添付画像は、紛れも無く己の顔。
美子にしか見えない美男に見惚れて頬は赤らみ、口は半開き…
我ながらマヌケ面と称されても文句を言えない程、ひどい表情である。

「よく撮れてるだろ?出口から隠しカメラを借りてさ。最近はヘアピン型
なんてのもあるんだから、ビックリだよな」

そのまま固まってしまった廉から素早く携帯を奪い返した美男は、今まで見た事も
無い満面の笑顔で悪戯の成功を喜ぶ。

廉の脳内でブチッ…と何かが切れる音がした。

「み〜〜お〜〜……てめぇ!!もう絶対許さねぇ!!!」
「うわわわっ、廉さんっ、落ち着いて!!」

ソファから勢い良く立ち上がり彼に掴み掛かろうとするも、勇気に後ろから
抱き着かれて止められる。
皆が突然始まった廉と美男の喧嘩にアタフタし始めた矢先、素早く社長室の
ドア付近まで逃げた美男は、鼻息荒く怒りを露にする廉を振り返り様、
携帯のカメラでまた写真を撮った。

「ぶっ!…今のお前の顔、超ブッサイクだぞ!
これも美子に送らなきゃな」
「…っ、こんの、性悪極悪野良猫男が!!勇気、離せ!
一発殴らせろーーっ!!」


廉の雄叫びが社長室に響き渡る。

美子という愛すべき星を得た代償は、あまりに大きかった……。



この先、付き合い始めた柊とNANAが所構わずイチャイチャし、
遠距離恋愛中の廉にストレスを与え…
美男の耐え難いドSな悪戯に悩まされる羽目になるのは、
また別のお話。


274名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 02:07:23.81 ID:r/Tbern1
以上です。

4スレに渡って長編を投下して来ましたが、読んで下さった皆様の
暖かいお言葉をいただけた事が一番の原動力となりました。

A.N.JELLで2時間サスペンスが見てみたい!という安易な発想から
生まれたこの長編。マイナーCPで不安もありましたが毎回感想を
いただけてとても嬉しかったです。
ぶっちゃけ普段はBLばかり書いてる自分にとってNLエロはハードル
が高く、かなり悩みましたw

そして柊NANAなのに最後は廉さんで締めてみましたww
初回からここまで読んで下さった皆様へ、心からの感謝を込めて・・・。
本当にありがとうございました!
275名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 03:16:32.48 ID:YRCsmphB
>>274
投下予告の書き込みをちょうどのタイミングで見たので、wktkしながらお風呂とか済ませてきましたよっとw
長編乙でした。
しっかりストーリーがあって、読み物としてすごく良かったです!
まじGJでした!
276名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 03:59:13.74 ID:tghsgelF
>>274
お疲れ様でした〜!
セリフや情景描写がとても好きで読むのが楽しみな作品でした!
シリアスからコミカルまで素晴らしいです!

気が向かれたらまた書いて下さい。
ありがとうございました!
277名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 04:15:26.05 ID:3WqlWOZZ
>>274
長期間に渡って投下、本当にお疲れ様でした!
細かな表現とかが素晴らしくて、読んでいるとついつい物語内に引き込まれるようでした。
それに、長編なのに話しがだれることなく続いたのも凄いと思いました!
本当にお疲れ様でした!

最後ですが、本当にお疲れ様でした!
278名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 07:56:34.67 ID:3WqlWOZZ
DT柊です。やっとこさ続編が出来ました。
柊×美子 エロあり 本番無し となっております。
それと、強引ですが今回で金沢編は終了となります。
毎度のこと完成度は低いですが、読んで下さると嬉しく思います。
279happy new year 1:2012/01/14(土) 07:58:36.37 ID:3WqlWOZZ
2011年 12月31日 午前11時21分

「んん・・・・。あ゛ぁ・・・。まだ頭が少し痛い・・・。」
目覚めると既に窓の外は明るく、時計を見ればお昼まですぐだという事が分かる。
流石に実家に帰ってきたとはいえ、こんなにだらしない生活を送っていてはしょうがないと思いつつも、体はそうは思ってはいないようだった。

「んん〜。美子は・・・・って、流石にもう起きてるか。」
畳の敷き詰められた部屋を見渡すも、すぐ隣に布団を引いて眠っている美子が居ないことなど
隣に引いてあった布団が部屋の隅に畳まれているのを見れば一目瞭然。
ただ、昨日も同じぐらいの時間に目を覚ましたが、美子は部屋の中に居たため、一体どこに行ったのか気になりつつ、柊は纏っていた浴衣を脱ぎ、若干掛け布団の外の寒さに身を震わせながら、急いで着替えると布団を畳み、部屋を後にした。


ぎしぎしと歩く度に音が出る床を歩きながら柊は依然として頭を抑えていた。
(はぁ・・・。一昨日・・・いや、昨日の早朝までか・・・。祝い事とは言え親父の晩酌に一晩中付き合わされたのはなぁ・・・・。)

そう。柊の頭の痛みは二日酔いによるものだった・・・・・。
280happy new year 2:2012/01/14(土) 07:59:18.06 ID:3WqlWOZZ
・・・・・時間は遡り 12月29日の夜の事・・・・・

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
(どうやって切り出したものか・・・・。)
部屋中を支配する沈黙のせいか誰一人として言葉を発しない。隣で座る美子も緊張のせいか、表情を固くしていた。

(やっぱ・・・俺から言わないといけないよな・・・・。)
「あ、あの・・・親父。」
「・・・・・・・・・・・・。」
柊の声に目を閉じ、ピクリとも動かない父親。
柊自身も恋人を紹介するなど言うのは初めてのため、緊張のためかごくっと部屋に居る者
全員に聞こえるような大きな音で息を飲んでしまう。

それでも、腹を決めると目の前に座る父親の目を真剣に見つめ
「俺、この桜庭美子さんと結婚を前提で付き合ってるんだ。」
とどんよりと漂い続けていた沈黙を破り捨てる様に力強い口調でそう言う。

すると、その言葉を聞いた父親はようやく目を開き、一度美子の顔を見つめ
その後、視線を横へとずらして実の息子の柊の方へ顔を向けると、柊の事を数秒間睨むように見つめ続けた。

父親の視線に美子は圧倒され背筋を伸ばして体を強張らせ、何か言うべきなのかと落ち着かない素振で柊の方へと視線を向ける。

一方の柊もこんなに威圧感に溢れる父親を見たのは自分が上京すると言った時以来だと思いつつ、テーブルの下に隠れる握り拳にじんわりと汗が広がって行くのを感じていた。

「ふぅ・・・・。まぁ、そう固くなるな。美子さんも肩の力抜いてください。」
だが、意外にも柊の父親は鬼の様に表情を曇らせていたが、そう言うとすぐに表情を緩め
手元に置いてあったお猪口に酒を注ぎ、その酒を一口で飲み干す。
「二人の気持ちの強さは態度見れば分かる。だから、その二人が結婚を望むなら
私は父親という立場でもあるが、一人の人間として二人の幸せを祝福する。」
「親父・・・・。」
「桜庭さん・・・・。」
「は、はい!!」
「まだまだうちの息子は未熟な点も多々あると思いますが、どうか、これからもよろしくお願いします。」
「い、いえ!こ、こちらこそ、お許しくださり本当にありがとうございました!!」
その場でお辞儀をする父親に美子も机のすぐ横に出て深々とお辞儀をする。
(ようやく・・・いや、やっとスタートラインに立てた。大変なのはこの先だけど、頑張らないとな・・・。)

そう思いながら、「親父、ありがとう。」と告げると柊もまたその場で深々とお辞儀をし
今まで育ててくれた父親に感謝の意をそのお辞儀に込めた。

「あら〜。その様子だともう終わったみたいね〜。ささ、皆さん。堅苦しいのはこれまでで
これからは二人の門出を祝福しましょう?今食事運びますね〜〜。」
そして、タイミングを見計らったかのように母親の楓が和やかな空気と共に客間に現れると
まるで風の様にすぐまたその場からぷら〜と消え去って行く。
「あ!お母様!!私も運ぶの手伝います!!」
「あら〜。お客様だからゆっくりしてくださっていてくれれば良いのに・・・・。
けど・・・少し量も多いですしお願いできます?」
食事を運ぶという楓の手伝いのため、まだ少し固まり気味だった美子もようやく安心したのか
そそくさと立ち上がると、楓と共に客間を後にした。

この後、宴会の勢いでどんちゃん騒ぎが始まったが、そのどんちゃん騒ぎが全ての元凶。
まさか、泥酔した父親に捕まるとは思わなかった柊は泥船に浸かるかのように翌日の朝5時近くまで酒の相手として、べろんべろんに酔っ払った父親の苦言やら何やらを耳にタコが出来るぐらい聞かされた。
281happy new year 3:2012/01/14(土) 08:00:23.10 ID:3WqlWOZZ
そして、今に至るという訳だった。
(はぁ・・・・ホント、酒癖を除けば誇れる親父なのに・・・。)
ぶつくさと目を閉じ、呟きながら長い廊下を歩く柊。すると、目を開いた彼の足がある部屋の前でピタリと止まった。
「俺の・・・部屋・・か・・・。」
自分の部屋自体、もう何年も使ってないからドアノブには微かに埃が溜まっていた。
その埃をふーっと吹き飛ばした後、ドアノブに手を掛け、ぎぃぃと鈍い音を立てて開いた木製のドアの先にある部屋の中へと柊は入って行った。


一方、美子はといえば・・・・。

「うわぁ・・・・。凄い・・・。」
「ふふ。良かった。喜んでもらえたみたいで。」
楓の仕事場である着物屋の方に足を運んでいた。
美子は子供の様に店中に飾られていた色とりどりの着物に心を奪われる様に、次から次へと見つめていく。
その目はまるでビー玉の様に丸く開かれ、小さな子供がおもちゃ売り場で大はしゃぎしているようにも見える。

「ふふ・・・。あ、そうだ。美子さん?試しに着てみない?」
嬉しそうに着物を見ていた美子に微笑みを浮かべながら見ていた楓は、美子に着物を着る事を勧める。
「え、で、でも・・・これ、売り物ですよね?私なんかが着ちゃったら・・・。」
「良いのよ〜。1着ぐらいどうってこともないから。それに、未来のお嫁さん何だから
遠慮なんてしなくて良いのよ?さ、好きなのがあったら何でも言って?着つけは手伝ってあげるから。」
遠慮がちに戸惑っていた美子だが、優しく微笑む楓の調子に丸め込まれたのか
ふわふわとした口調に誘われるように「それじゃあ・・・」と店中を見渡した後
目の前にあった白地にうっすらと淡い桃色が添えられ、赤とピンク色の大きな花が無数に飾られていた着物を指差した。

楓は指差した着物をすぐさま持ち上げると美子の手を取り
「それじゃあ、柊にも見せてあげたいからすぐに着つけに入りましょ?」
と言うと何だか嬉しそうにうきうきしながら美子を店の奥の方へと連れて行った。
282happy new year 4:2012/01/14(土) 08:01:08.31 ID:3WqlWOZZ
その頃、柊は自分の部屋で古き思い出に浸っていた。

「何も変わんないなぁ・・・・。そう言えば、実家に帰って来たのって4年ぶりぐらいかぁ・・・・。」
部屋の中は外のドアノブの埃と違い、しっかりと綺麗に掃除されていた。

本棚に詰められている趣味の一環で始めたハーブやら花の本を手に取りながら
「そうそう。これとか昔、変な花だとか言ってたなぁ。」
と一人、くすくすと笑みを零していた。

そして、その本と同じ場所に置いてあったぼろぼろになった音楽雑誌やギターの本が置いてあり
柊はそれらに目を向けるとぱらぱらっと流す様に目を通し始める。
(懐かしいなぁ・・・。学生の頃、バンドやりたくて初めて買った本がこれだったっけ・・・。)

今を走る自分の原点。ここから、自分の新たな道が始まったんだ。
毎日毎日、明け方までギターの練習して、必死の思いで演奏繰り返して、上京して・・・。
そして、廉や勇気とA.N.JELLとして活動が始まって・・・美子と出会えて。
もしあの時、この本を手に取ってなかったら、俺はまた別の道を歩いてたんだな・・・。

そう思うと何だか感慨深くなり、ぽろりと涙が雑誌の上に零れ落ちる。
静かにその零れ落ちた涙を拭き取り、雑誌を閉じると部屋中の空気を体中に吸い込み
その後、それを全部外へと吐きだした。

「この本・・・東京に持って帰るか。」
自分の中のバイブルといっても過言ではない雑誌を抱え、最後にもう一度自分が多くの時間を過ごした部屋に別れを告げ、柊は部屋を後にする。
と、ここで部屋の扉を閉めた時、ひらりと雑誌の合間から何かが床に落ちて行った。
「ん?何だ?これ・・・・ぷ。懐かしいなぁ・・・・。」
少しは時の部分がぼろぼろになっていた写真を掴むとくすりと柊は笑みを零し、後で美子に見せてあげようと思いながその写真を再び雑誌の中へと忍び込ませて歩きだした。
283happy new year 5:2012/01/14(土) 08:01:36.95 ID:3WqlWOZZ
(もう12時か。それにしても・・・美子、どこにいったんだろう・・・・。)
長々と続いた廊下から下へ続く階段を歩きながら腕時計で時間を確認しつつ、一向に美子と合わない事に少々疑問を感じる。
(まぁ、お袋とどこかに出掛けたのかもな。お袋、何か嬉しそうに美子と話してた気がするし・・・)
いずれ戻ってくるだろうと思いながら柊は階段を辿り、1階に辿り着くと客間を目指して玄関の前を素通りし様とした。
すると、タイミング良く玄関の戸が開き、誰かが来たのかと思った柊は玄関の方へと目を向ける。

「・・・・美子・・・?」
そこには美子に寄り添うように惚れ惚れとした表情を浮かべる母親の姿と、見事に着物を着こなす美子の姿が目に映った。
「あら〜。柊。調度良い所に!!ほらほら!美子さんに着物着せたら・・・・」
何やら楓が大はしゃぎで話をしていたが、柊にその言葉は届いてはいない。
その意識は全て、目の前の着物姿の美子へと向けられていたからだった。

綺麗に後ろで丸まらせた髪の毛。
端正な顔立ちにうっすらとアクセント程度で施された化粧。
そして、何より自分が思っていたイメージ以上に着物を着こなす美子の姿。
全くもってこんな状況を予想だにもしていなかった柊からすれば、盆と正月が一斉に来たかと言うぐらいな出来ごとに
心を奪われ、その美しさに言葉を失い、ぼんやりとその姿を見つめているしか出来なかった。

「あ、あの・・・・どうですか?柊さん?」
「え!?あ、えっと・・・・綺麗。凄く綺麗だ。」
初めて着物に少し恥じらう様にちらちらと柊の方に視線を向ける美子。
心を奪われていた柊は美子の声に我に返ると少々慌てながら、ごく普通な感想を述べる。
「それだけですか?」
いつもならその言葉だけでもうれしそうに微笑む美子だが、何とも気の抜けた柊の声に
説得力が掛けたのか、口を尖らせて柊の方をむすっとした表情で見つめ返す。
だが、柊はそんな事はお構いなしに美子に近寄ると母親の目の前だという事も気にせず、着物に皺が付かないようにそっと抱き寄せると
「今年最後のサプライズで驚いたよ。けど、本当にすごく似合ってる。」
と耳元で囁きかけ、すぐさま体から離れた。

その言葉に美子はほんのりと赤くなった顔を柊から隠す様に背を向けると
「な、何だか・・・まじまじと見られる凄く照れ臭いです・・・。」
ともじもじと身を縮めながら改めて柊に言われた言葉を脳内再生していた。


「はぁ〜。やっぱ二人は若いわね〜。」
そんな二人をす右手で顔を支え、左手で右手の肘を押さえながら見ていた楓が、隙を見て言葉を挟む。
最初からいたにもかかわらず楓の声を聞くなり二人は楓の顔を見つめた後、互いの顔を見つめ
先ほどのやり取りを丸々見られていた事を理解するとその場で顔を赤くし慌てだした。

「ふふ。若いって良いわねぇ〜。」
二人の熱々ぶりに羨むかのような微笑みを向け、更に慌てだす二人に自分にもこんな時期があったのかぁ〜。と思いながら見つめる楓。

「あ、え、ぅぅ・・・・恥ずかしい・・・。」
「ふふ。それじゃあ、二人の邪魔しない様に私は夜に向けての仕込みに入るわね。それじゃあ。」
初々しい二人に最後に微笑みを向けると、楓は履物を脱ぎ、すたすたと廊下の奥へとすぐに消えていった。

そして、その場には顔を赤くした二人だけが残された。

「・・・・あ、あのさ・・・取り敢えず、部屋に戻ろうか。流石にこれ以上、誰かに見られたら恥ずかしいし。」
「そ、そうですね!!」
二人の意志は取り敢えず、これ以上誰にもこんな姿を見られない様にするということで合意したのか
美子も履物を脱ぐと柊がそっと差し出した右手に手を預け、足早に2階へと上がって行った。
284happy new year 6:2012/01/14(土) 08:02:21.16 ID:3WqlWOZZ
「はぁ〜・・・・。心臓が爆発しそうでした〜。」
「まぁ、爆発はしないけどね。」
足を崩し、柊の体によしかかりながら安堵の表情を浮かべる美子にしれっとツッコミを入れる。
「例えです!例え!!」
頬を膨らませて柊をじーと睨むが、くすくすと笑みを零す柊の姿に心をすぐに落ち着かせ
美子も柊に体を預けると表情を緩め、満面の笑みを零し始めた。

「けど、まさかいきなり着物姿で現れるなんて予想してなかったから驚いたな・・。」
「楓さんがお店の案内をしてくれるって言ってくれて、それで店の中で着物を着せてあげるって言われたので・・・。」
(なるほど。お袋、店案内をだしにしたな。やたらと着物着せたがるからな・・・・。)
実のところ、幼少のころに自分も無理やり着物を着せられた。・・・っという事実があるが
それを言えば、きっとこの先も金沢へ来る度にその話を思いだされるのが落ちだと思った柊は
その事を胸の中にしまうと美子へと視線を移し、着物を纏った美子の肩からなぞる様にだんだんと指先を下へと下ろしていく。

「んん・・・しゅうさん・・・駄目・・。まだお昼ですよ・・?」
肩を伝い、その指が胸の辺りを捉えるのを感じるとまだ明るいうちからやる事に抵抗のある美子は
体をなぞる柊の指から逃れようと柊の手を掴む。
「だって・・・こんな美子の姿見たら・・・我慢できなくなっちゃった。」
指の進行を阻まれると耳元で軽く息を吹きかける様に囁き、一度首筋を軽く吸い上げる。
「あぁ・・・ん・・だめぇ・・・しゅ・・さん・・・。」
駄目と言いつつ、だんだんと美子もスイッチが切り替わってきたのか、むずむずと柊によしかかりながら体をくねらせ
進行を阻んでいた手の力が抜け、その手がぶらりと垂れると体の向きを横にする。

「んぁぁ・・・ん・・。だめです・・ぁぁ・・ん。」
「少しだけだから。ね?それなら良いだろ?」
ピクピクと既に体はモードが切り替わったかのように柊から与えられる刺激一つ一つに反応しだす美子は
柊の言葉にこくりと小さく頷くとキスをせがむかのように、首筋を優しく吸い上げる柊の方へ顔を向ける。
それに気が付いた柊はそっと頭を撫でた後に首筋を下から舐め上げ、その先にあった美子の唇を奪うと荒々しく舌を絡めて口内を犯し始める。
そして、美子もまた自分が求めていた味が口の中に広がると柊の纏っていた黒地のデニムパーカーを掴み、暴れ続ける舌の動きに自らも合わせ始める。

「んんん・・・。」
うっすらと美子の顔を見ると、先ほどまで極度に拒んでいたのが嘘の様な表情が浮かんでいる。
それを確認すると、柊は口づけを交わしながら着物の帯に手を掛け、するりと帯を糸も簡単に解く。

「んぁ・・・着物・・・だめ・・・。」
ぼんやりとしてきたのか、殆どが一語文で、密着する体を頻りに離そうとする。
多分、着た着物を崩すと自分では後で着直せないと思ったのか、それとも皺になるから駄目だと思ったのか。
ともかく、そのどちらかを言っているのだろうと思った柊は
「大丈夫。優しく扱うし、俺も着物屋の息子。着つけの一つや二つぐらい出来るから。」
と美子の不安を取り除く様に告げると、美子の手の力がすぐに抜け、行為を受け入れ始めた。
285happy new year 7:2012/01/14(土) 08:03:03.28 ID:3WqlWOZZ
キスを終え、纏っていたパーカーを脱ぎ、シャツ一枚になると美子の背中を自分の方へと向けさせる。

そして、美子から剥ぎ取った帯を手にし、美子の両腕を後ろで束ねるとその手を帯で縛り上げる。

「んん・・動けない・・・。」
後ろで腕が束ねられたため、思う様に動けない美子は座りながらもぞもぞと動き始める。
柊のちょっとした意地悪に潤んだ瞳で解いて欲しいと訴えようとするが、そうする前に柊が先手を打ち
首筋を音立てながら吸い始め、着物の中に忍ばせた両手が美子の両房を弄り始めていた。

「あぁ!んぁぁ・・・。」
火照った体に少々冷え切った柊の指先が時折頂点を掠め、その後にじんじんと残る僅かな感覚と
絶えず首筋から伝わる温かな刺激にどんどん美子は乱れ始め、腕を縛られていたことなどすぐに頭から消えていく。
だが、幾ら経っても柊は一向に自分が気持ち良いと思える部分を触れてはくれない。

「んん・・・しゅぅ・・・?」
「どうしたの?そんな物足りなそうな顔して?」
柊の言う事はピンポイントで当たっており、美子は「もっと・・。」と小さく消えそうな声でそう言うと
胸の辺りに一度視線を向けた後、再度柊の方に甘えているような視線を向ける。
だが、柊はそうも容易く要求を呑んではくれず、とぼける様に顔を逸らすと
「何がもっとなの?」と言いつつ、わざとらしく房の頂点を両方同時に掠める。

「ぁあ!それ・・。」
「ん?これがどうかしたの?」
意地悪そうに笑みを浮かべながら、今度は一瞬だけ頂点を力強く摘む。
すると、美子は弧を描く様に体を反らせながら声を漏らした後、またもじわりじわりと無くなって行く感触に歯がゆさを感じ始め
「それが良い・・。」と縛られていた手を握りながら羞恥に顔を染めつつ訴えかけた。

必死に顔を赤らめ、今にも零れ落ちそうなぐらいに潤う瞳を後ろから見た柊は
「良いの?まだお昼なんだよ?」と最後にもう一度、意地悪な問いかけをして美子を追いこむ。

「だって・・・んん・・・柊さんが・・・意地悪するから・・・気持ち良くなちゃうんですよ・・。」
「良いよ。してほしいならいつまででもして上げる。」
素直に白状した美子を見、頭を数回軽く撫でた後、望み通りに柊は右手でビンビンに立ち上がった頂点を弄り始め
また、空いた左手で大っぴらに開かれていた足の間にある濡れ始めていた部分を下着の上からなぞり始める。
286happy new year 8:2012/01/14(土) 08:03:49.12 ID:3WqlWOZZ
「あぁ!んんぁぁ!!」
先ほどまでと違い、体中から湧き上がるぞくぞくとした熱い刺激が美子を襲う。
体の自由が利かず、弄ばれるかのように体を刺激させられるが、その刺激を求める体に既になってしまっている。

今年、一番の変わった部分と思うと恥ずかしさを覚えるが、ずっとずっと大切な人の側に居られるこの時間を、美子はたまらなく愛していた。
例え、淫らで恥じらいの欠片すら感じられない行為だとしても、それでも、大切な人が側に居てくれるだけで、美子の胸の中は満たされて行く。

「ゃぁぁ!んぁぁ!!んん!!」
ちろちろと頂点が上下に弾かれる度、弄られている割れ目から愛液が染み始め、下着に黒染みを浮ばせ始める。
それを見計らってか、柊は耳元に口を近づけると
「もうとろとろだよ?それに、こんなに大きな声、誰かに聞こえてるかもよ?」
と囁き、美子の顔の目の前で自身の愛液によって親指と人差し指の間で糸を引いているのを見せられ、それによって更にドクン!という大きな音共に、呼吸が荒さを増す。

「ゃぁんん・・・。」
「着物着て喘いでるといつも以上に色っぽくなるね。どう?いつもと違う?」
執拗に頂点を摘まれる中の問いかけに、正常な反応を示す事が出来ぬ事など分かっているが
それでも呼吸を乱すために、口数を多くさせようと企む柊の企みに美子は一息飲み込むと、その勢いで首を縦に振る。

流石に苛めすぎたかと美子の反応を見て感じた柊は美子の体を抱きかかえ、壁によしかからせると
下着を脱がせ、太ももを両手で掴んで広げると、既に水浸し状態になっている秘部に
舌をピンと立たせると少しずつ中を荒す様に舌を入れていく。

「あぁ!!んゃぁ!!!」
敏感になった秘部からぬるりと温かな感触を持った物体が中を荒し始めるのを感じ
咄嗟に開かれていた足を閉じようとするも、柊の力によってそれは阻まれ、強烈な刺激を受け入れるしかなくなる。

うねうねと入口付近で出入りを繰り返しながら動き続ける舌が、的確に美子の気持ちいい部分を感知し、その部分を執拗に責めこんでくる。
そのためか、微かに残っていた美子の正常な意識もだんだんと正常ではなくなっていく。

「あぁ!んんん!いや!!だめ!!あぁぁ!!」
そして、秘部の最も敏感で固くなっている部分を弄り続けていると、美子が突然体を強張らせ
柊の顔を挟み込むように両脚を閉じ、最後大きな嬌声を部屋中に響かせると、大きな震えを一つ、その後に細かな震えを無数に繰り返し続けた。

「んぁぁ・・はぁ・・はぁ・・・。」
限界を迎えた後、内部から溢れ出る愛液をジュルジュルと厭らしい音を立てながら全て飲み干すと
柊が壁に力なくぐったりとよしかかっていた美子の自由を奪っていた帯を解くと体を支える。

「しゅぅ・・・」
「美子・・・・。」
快感のあまり、途中から柊の顔を見る暇もなかった美子は目の前に広がる優しい笑顔に弱弱しく笑みを浮かべる。

「美子、疲れただろ?少し横になってろ。今、布団引くから。」
美子を気遣い、部屋の隅に畳んであった布団を出そうと立ち上がった柊だが、その柊の動きを美子は手を掴んで止める。
「美子・・・?」
「柊さんの・・・近くで寝たい・・・。」
ちょっとした美子の我儘。いつも自分が我儘に付き合ってもらっているのだから、これぐらいの我儘は聞いてあげないとな・・・・。
そう思った柊は美子の若干汗で濡れる体をタオルで拭き取り、行為を始める前の状態に美子を戻すと
自らの体を壁によしかからせ、美子の体を開いた足の間に収納する。
「んん・・・柊さんの近くが一番落ち着きます・・・。」
美子は柊の手に手を添え、幸せそうに微笑みを浮かべるとすぐに眠りに着いた。
「美子・・・おやすみ。」
そして、その姿を柊は次に美子が目を覚ますまで、ずっと見守り続けた。
287happy new year 9:2012/01/14(土) 08:04:45.64 ID:3WqlWOZZ
12月31日 午後11時57分

「んん・・・ふわぁ・・・。」
「美子、おはよう。」
「あ、柊さん・・・おはようございます・・・。」
重たく垂れさがる瞼を擦り、柊の方へと顔を向けると力の入っていない笑顔を浮かべる。
柊は美子の頭を軽く撫でると、気持ちよさそうに美子は体を伸ばすと、柊の体に吸いつく様に体を寄せる。

「さっき、お袋が食事持ってきてくれたから、二人で食べようか。」
「あ、私が寝てたせいで・・・柊さん、すいませんでした!!」
「いや、元はと言えば俺が悪いんだから美子は気にする必要ないよ。あ、そうだ。
美子に見せ様と思った写真があったんだ。えっと・・・あった。ほら、見て。」
申し訳なさそうに謝罪する美子の意識を別の方向に持っていこうと思った柊は昼間
自らの部屋で見つけた少しぼろぼろになっていた写真を美子に手渡す。

そこには今よりも少し時を遡ったのか、まだ幼さの抜けきらない廉と勇気の姿が映っていた。
「うわぁ・・・二人とも今よりももっと若いですね!これ・・・もしかしてデビュー当時の写真ですか?」
首を傾げて問いかける美子に柊はこくりと頷く。
「へぇ〜。廉さん、今も昔もむすっとした表情ですね〜。」
「俺にとってはそこからが始まりだったんだ。」
「しゅう・・・さん?」
「廉と勇気と出会って、A.N.JELLを結成して、がむしゃらに活動して・・・。」
柊は遠い過去を見る様な哀愁漂わせるような表情を浮かべながら淡々と話しをしだす。

「最初は全然売れなくて、正直止めようと思ったことも何度かあった。けど、今になって辞めないでよかったって心の底から思ってるんだ。」
「そうですよね!諦めずに頑張り続けてたんですからね!」
「あぁ。みんなで頑張り続けてきた結果、今があるんだから。それに美子にも・・・」
「え?私・・?」
柊の発言が途中で切れ、どういう意味なのだが分からず、不思議そうな表情を浮かべながら首を傾げる。
そんな美子の頭の上に優しく頭を添え微笑んだ柊は、息を一つ吐き捨てると最後の言葉を言い放ったと同時に、108目の除夜の鐘の音が外で響いた。

「お前と出会えて、本当に良かったって・・・。」
その言葉を聞いて、美子は柊の手に添えていた手をぎゅっと握り、身を縮めると一瞬だけ満面の笑みを浮かべたが、すぐに表情を曇らせると
「柊さん・・・いっつもずるいです・・・。不意打ちでそんなこと言わないでくださいよ!」
と少々怒り気味で柊を圧倒する。

「え?!お、俺が悪いのか?今の?」
まぁ、こんな返答が送られてくる事など微塵も思ってなかった柊は案の定、驚きを隠しきれず、焦り始めた。
「ふふ・・・。冗談ですよ。いつも意地悪されてるお返しです!!」
あたふたとどうしたものかと慌てていた柊の姿を満喫した美子は、嬉しそうに笑うと立ち上がり、窓際まで走っていくと、くるりと振り返った。

「柊さん!雪ですよ!!た〜くさん降ってます!!」
何を見に行ったと思ったら金沢に来た時同様、外で深々と降り続ける雪を見て大はしゃぎしだした。
やれやれ・・・っと思いながら、座り続けたために少し痛む体を奮い立たせると美子の許まで歩いていく。

柊が近くまで来た事を確認しきると窓の方へ体を向け、窓枠部分に手を乗せ、身を乗り出し始める。
288happy new year 10:2012/01/14(土) 08:06:03.01 ID:3WqlWOZZ
「もう2012年か・・・・。」
「早いですね。1年。」
「本当だな。はぁ・・・・美子がアフリカに戻ったら・・・今年1年はまた寂しくなるな・・・。」
外で輝く雪景色を見ながら、もう少しで再び離れ離れになってしまうと思うと、この景色がずっと目の前に広がり続ければ良いのにと悲しさを覚える。
美子もその事に気が付くと少し寂しげな表情を浮かべ顔を俯かせるが、薬指にはめていた指輪を見るとすぐに顔を上げるとにっこりと笑った

「大丈夫ですよ?アフリカも日本も同じ地球内ですから!!それに、アフリカに帰ったらたっくさんお手紙書きます!」
「・・・・そう・・だな。そうだよな。同じ地球内だもんな。ふふ。やっぱ、美子といると
不思議と力が溢れ出すよ。本当にいつもありがとう。そして、これからもよろしくな?」
「はい!!私の方もこれからもよろしくお願いします!」

金沢へ帰れば再び二人は離れ離れになる。けれども、その先に待つ未来を信じ、二人は再び互いの意思を確認し合うように笑みを浮かべ合う。
そして、そっと寄り添うように互いに身を寄せ合うと深く長い口づけを・・・交わし続けた。

二人の思い出の様にキラキラと輝く雪景色を背にしながら・・・。
その思い出はきっと・・・色あせる事はないと思いながら・・・・・。

「んん・・・へへへ・・・。」
「さ、お腹も空いたからご飯でも食べるか。」
照れ臭そうな仕草を見せていた美子にそう言うと、お腹を空かせていた美子は置かれていた食事へと駆け寄って行った。

柊もゆっくりと歩きながら、ふと携帯のフォト画面を見つめた。
(この写真も・・・いつかこの日の事を懐かしめる日まで・・・・取っておこう。)
「柊さん?早く食べましょ〜?」
「あぁ。わかった。」
一度だけ撮った写真を見つめた後、美子の呼びかけに携帯をポケットの中へとしまい込んだ。

すやすやと満足そうに眠る2011年、最後の美子の写真。
今日みたいに・・・・この写真の事を懐かしめるその日まで・・・頑張ろうと誓い。

そして、物語は2013年へと舞台を変える・・・。
289名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 08:07:28.56 ID:3WqlWOZZ
以上です。終始、強引なまとめ方をしてしまいましたが申し訳ない。
それと、長期間にわたり待って下さった方々、本当にありがとうございました!

それでは、失礼しました。
290名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 08:45:10.07 ID:u3RirDdm
>>274
GJ!!!
超大作の完結おめでとうございます
毎回楽しみにしてました!
柊NANAは確かにマイナーかも知れないけど可愛い二人に萌えました!
お疲れさまでした!
291名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 14:57:45.65 ID:ztHEdyNb
>>289
乙です!
自分もDT設定の柊さんが読みたい!と書き込んだひとりですが
こんなシリーズ化した大作を書いていただけるとは思ってなかったw
柊さん幸せになれてよかった〜ww
また作品投下してもらえたら嬉しいです。
292名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 15:21:26.11 ID:wBU+ASAw
全部GJ! 書き手さんいつもありがとうw
>>274
サスペンスな長編ステキでした〜
柊NANAも周りの人たちもすごく「らしくて」すぐに目に浮かぶw
全員幸せになってくれるといいな〜
最後まですごくおもしろかったです! またよければ披露してくださいw

>>289
かわいいお着物姿の美子想像してニヤニヤw
着物の帯ほどいて…なのはやっぱ男の夢・ロマンなのかww
次は美子帰国後? 楽しみにしてますw
293名無しさん@ピンキー:2012/01/15(日) 09:50:26.35 ID:DL43vqWz
>>289
超GJです!!同じくDT柊さんシリーズを待ち続けてる一人ですw
金沢編、終始ニヤニヤでした!柊さんのお母さん可愛い人だなーw
美子帰国後の話も気長に待ってます!!ウェディング姿もハネムーンの話もベビー誕生まで勝手に脳内盛り上がってますw
294名無しさん@ピンキー:2012/01/15(日) 19:15:43.33 ID:yC3gC5mP
>>289
GJ!柊美子、安定してますね。とても元DTには思えない柊さんw
2人事実上の婚約?
指輪はアフリカ帰国後かなー、そして柊美子には、空港グルグル(幻)がくるんでしょうか?!
295名無しさん@ピンキー:2012/01/15(日) 19:30:18.25 ID:jXg2fqr5
>>274

ああ〜素晴らしい〜
GJGJ!そしてお疲れ様でした。

このお話のNANAがすごい好きでずっと楽しく読ませていただきました。
そして、またまとめサイトで繰り返し読む予定です(^^)

気長に待ちますので、この続きや廉×美子とか期待しちゃっていいですか…?
296名無しさん@ピンキー:2012/01/16(月) 01:45:50.31 ID:d1W7cASe
大作キテター!!柊NANAも柊美子も乙です!

>>289
自分もひそかにDT柊シリーズのファンですwww
次はどんな展開になるのかな?幸せな柊美子が読めていつも胸が暖かくなってます。
297名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 16:06:43.42 ID:y1/Dc3H4
回ってない
298名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 21:16:00.49 ID:g/3Owm4s
回ってないよ(゜o゜)
299名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 21:17:47.78 ID:g/3Owm4s
廉と美子に会いたいです(>_<)
300名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 21:47:14.66 ID:VQPC6KUV
柊さんの15年後が知りたいです。
ANJ、唯一の独身メンバーの気がするよ。
抱きたい男NO1、老若男女から熱い支持のモテ期到来。
301名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:04:44.91 ID:L3tC4Ddr
>>300
それ見たいw
その頃には中学生前後の廉美子Jr.がいるかもしれないしw
302名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:31:52.91 ID:V3dew+jD
>>300
15年後・・・・想像しようとしてもできなかった;;
けど、>>301さんが言ってたことを考えると、美子似の子供にドキッとしてる柊さんが想像できてしまった・・・←

夜分に失礼します。DT柊です。
>>279-288の続きが出来ました。 柊×美子 エロなしです。
後、もうネタがほとんど尽きてしまったため、ぐだぐだになってしまいましたが
その点については目を瞑ってくだされば幸いです^^; それでは、どうぞ。
303帰国 1:2012/01/20(金) 22:32:44.18 ID:V3dew+jD
2013年 9月23日 午後5時25分。

前の日に、ようやくコンサートの全日程を終えたA.N.JELL。連日のコンサートの疲れが残っている中、柊は空港にいた。
駐車場の奥の方に車を止めるとシートに深々と座り直し、赤く染まり始めた空をバックに今すぐに空港へと着陸するだろう飛行機に目を向けた。

「少し早かったか。」

そのままの姿勢で腕時計を視線を阻むように目の前に翳し、時間を確認するとシートを下げる。

(やっと・・・帰ってくるんだな。)
流れてゆく雲を見つめ、2年前も同じような天気だったと思うと懐かしさが込み上げてくる。

2年なんて考えられないほどに長い物だと考えていたのに、その2年後がもう訪れている。
いや・・・・もうじゃないな。正直、今日と言う日を迎えたからこそ早いとか思えるかもしれないけど実際の所、俺にとってこの2年はとてつもなく長かった。

A.N.JELLとしての活動は毎日充実していたが、私生活の方は心に穴が開いた様なほど退屈な日々だった。
唯一、美子から届く手紙を読むのと、その手紙に返事を書く時だけが数少ない心の隙間を埋める事が出来たが、本当にそれ以外の時間はお粗末な生活だった。

とにかく、一人の時間が虚しくて仕方がなかった。

まぁ、そんな事を話したらきっと笑われるか大げさですよとか言われそうだし、自分でもまさかこんなことになるとは思ってもいなかったから、この事は話さないけど。

けど、ようやく・・・そんな日々から抜け出せるんだ。


「さて・・・そろそろ降りてくると思うし、行くか。」
飛行機が空港に着陸してから10分程度。そろそろ美子が空港内に入っただろうと思った柊は
シートベルトを外し、車から降りると体を伸ばし、改めて再会できる事を実感すると嬉しさが込み上がってきたのか、微笑みながら空港へと歩き出そうとした。

と思ったのだが、微笑んで前へと歩こうとした瞬間、突然目の前が真っ暗になった。
「あ、あれ?」
何事かと思い辺りを見渡すが、真っ暗なので何が起こってるのかなんて分かるはずもない。すぐにその事に気が付いた柊は一息吐いて落ち着くと、背中に何かが当たっているような感じがする。
そして、それが背中、肩、目の辺りと繋がりを持っている一つの物だと意識を集中させ気が付いた。
304帰国 2:2012/01/20(金) 22:33:28.66 ID:V3dew+jD
柊はぶらりと宙を彷徨っていた腕で視界を奪っているだろう目の前の物体を掴むと、そっと下へずらして自らの視界を確保した。
「んん・・・・眩しい・・・。」
目の前で沈みかけている夕日が眩しく、何度か瞬きをして光の量を調節する。
「ふふ・・・。」
そんな事をしていると聞き覚えのある明るい笑い声が後ろ・・というよりも、右耳のすぐ隣辺りから聞こえてくる。
「美子!」
目を見開き、笑い声に反応するように振り返ると、そこには柊の肩甲骨辺りに顔を乗せ、抱きつきながら笑っている美子の姿があった。

「しゅ〜さん!お久しぶりです!!」
「あ、あぁ・・・久しぶりだな・・・。」
「ん?どうかしました?ぼんやりして・・・・。」
ぼんやりとした表情の柊に、美子は首を傾げて問いかける。
「あ、いや・・・・。」
(思ったより早かったなぁ・・・。駐車場で待っててとは言われたけど、驚かそうと入口付近で待って様と思ったのに・・・)
何だか、自分がドッキリをしかけられたみたいな気分に、若干残念な表情を浮かべそうになったが
その気持ちをすぐに押し殺すと後ろで抱きつく美子の体を軽く持ち上げ、美子の方へ向くと、そのまま抱き締めた。

「しゅ、柊さん・・こ、こんな所じゃなくても・・・」
「美子・・・お帰り・・・。」
場所が場所なため、誰かに見られたらと思うと頬を赤らめ恥じらう美子だったが、耳から聞こえる優しい声とすぐ横で目を閉じ、微笑みを浮かべながら力一杯抱き締めていた柊の様子に
釣られる様に自分の中で溢れだしそうになっていた気持ちが外に溢れ出したのか、柊の胸に顔を埋め、抱き返すと
「ただいま・・・・。」
と柊にしか聞こえないぐらいの小さな声で呟くと安らぎの表情を浮かべ、しばしの間、久しぶりの柊の感触を体全体で感じ続けた。

ごぉーーー

1分近く抱き締め合っていたが、空を飛び立つ飛行機の音を合図にしたかのように、その音を聞くと二人は体を離した。

「取り敢えず、長旅お疲れ様。話したい事は一杯あるけど、今日は疲れただろうから、まずは合宿所に戻ろうか。」
そう言うと、柊は美子の返事を聞き、手に持っていた荷物を後部座席に乗せ、美子を助手席に乗ったのを確認し、自分も運転席に乗ろうとした。

すると、運転席に乗ろうとする前にRINAさんから電話がかかってきた。
(RINAさん?どうしたんだろう?)
気になりつつ、電話に出るとすぐに「がしゃーーん!」という大きな音が聞こえ、咄嗟に右耳を塞いだ。
「っ!!RINAさん?どうかしたんですか?今、何か割れる音が聞こえたんですけど・・。」
「あ、あぁ!!柊!繋がってたの!?ごめんごめん。今、ちょっと馬淵が足滑らせてグラスとか落としちゃって〜。」
「そ、そうでしたか・・・。それで、何か用事だったんじゃ?」
「そうだそうだ!!こっちの準備、後1時間ぐらいかかりそうだからどこか寄り道して来てくれない?悪いけどさ!あぁ!そこぉ!!さっさと破片片付けなさいよ!」
電話しつつ、多分後始末の手際の悪さに怒ったんだろうと最後の言葉を合宿所の風景を想像しながら苦笑いを浮かべて聞いた柊。
それ以上悲惨な音を聞いていると、絶対準備が終わるまで戻ってくるなと言われた言いつけを守れそうにないと感じ
今すぐにも帰ってあげたいほど心配だったが、ここは皆の気持ちを無駄にしたくはないと返事を返すとすぐに電話を切り、溜息を吐き捨てた後車に乗り込む。

「あの・・・何かあったんですか?」
車に乗り込んですぐ、電話の様子を車から見ていた美子が不安そうに聞いてくる。
「あ、いや、RINAさんにちょっと頼まれてた事があったんだけど、やっぱ良いってだけ。」
「良かったぁ〜。何だか、凄く疲れた様な顔してたので・・・・。」
(まぁ・・・疲れるという点では間違ってないかな・・・。不安だし・・・。
女性陣が居るとはいえ・・・・いや、うん。大丈夫だろ。・・・・多分。)

考えれば考えるほどに不安が込み上げてくるが、それを隠す様に安堵の表情を浮かべる美子に笑顔を返し
数回頭を撫でると、「行きたい場所があるから」と言って、美子を連れて目的地へと車を走らせ始めた。
305帰国 3:2012/01/20(金) 22:34:01.68 ID:V3dew+jD
美子はやっぱり、長旅の疲れが残っているのか走り始めてすぐに眠ってしまった。
そりゃ、飛行機での長時間の移動だと退屈だから逆に疲れるよな。とか、色々考えたけど、
安心しきった寝顔をしている美子を見て、本当に戻ってきたんだなと実感しつつ、その事に喜びを感じながら10分が経過した。

「ふぅ・・・。着いた・・・けど、無理に起こす必要はないか。」
時刻は5時54分。夕日はだんだんと地平線へと沈み始めており、茜色に染まりかけていた空は完全に染まっていた。
柊が行きたいと言っていた場所と言うのは、2年前、美子がアフリカに行く前に訪れた浜辺だった。
(クリスマスの時に帰って来た時もここには来たけど、殆ど景色とか楽しむ暇はなかったから、改めて二人でここに来たいと思ってたけど、また別の機会でも良いか・・・。)
ぐっすりと眠っている美子を起こす事など柊には出来ず、それならそれで静かに眠るその姿を見守っているだけでも良いかなと
柊は沈みゆく夕日と燦然と輝く海に目を向けた後に美子の寝顔に視線を移すとそう思った。
自分にとって、どんな物よりも輝き、1年中輝き続ける・・この星を。


「んん〜。少しぐらいなら窓、開けても大丈夫か。」
美子の方を見ていたが背を伸ばした後、空気の入れ替えのために運転席側の窓を少し開ける。
「気持ちいい風・・・」
窓を開けてすぐ、心地よく涼やかな潮風が顔を掠める様に車内に吹き渡る。
色鮮やかな景色と清々しい風に心を奪われるように微笑みを浮かべていたが、一方で車内に吹き渡る風が頬に当たり、それによって美子が目を擦りながら目を覚ましてしまった。
「んん・・・あ・・・れ?もう着いたんですか?」
窓の外の景色を見ていた柊も、もぞもぞと物音を立てる美子に気が付くと振り返り、申し訳なさそうな表情を見せると
「悪い。気持ち良く寝てたのに起しちゃって・・・。」
と言い、起き上ろうとしていた美子を気遣う様に手を差し伸べ体を起こした。
起こされた美子は大きく背筋を伸ばし、深呼吸をすると完全に目覚めたのか目をしっかりと開き、暗い表情をしていた柊に対して満面の笑みを浮かべ
「大丈夫です!!飛行機の中でも少し寝てきましたし、そんなに気にしないでください!!」
と力強い元気な声で柊にそう言うと、窓の外の景色が見えたのか、すぐさま車から降りて行った。

「うわぁ〜。海だぁ〜!!懐かしいなぁ〜。」
車から降りた美子は何も考えず、目の前に広がる海に導かれる様に砂浜へと走って行く。
(やっぱり・・・美子は変わらないな・・・。)
走り去って行った後に車から降りた柊は、元気に砂浜ではしゃぐ美子に昔のままだと感じると何故か不思議と安心したのか、小さく息を吹き出し、気持ちを落ち着かせると美子の後を追うように砂浜へと走って行った。
306帰国 4:2012/01/20(金) 22:35:40.64 ID:V3dew+jD
午後6時7分。

「んはぁ〜〜。久しぶりに思いっきり遊びましたぁ〜。」
短時間ではあるが、海を満喫した美子は柊と並ぶように座りながら、海を眺めていた。
「はぁ・・・帰国したばっかりなのに元気だな。ほら、コート。落としてたぞ?」
「あ、ありがとうございます!うわぁ・・・砂まみれ・・・。ワンピースもスカートの部分、少し濡れちゃいました・・。」
「そりゃ、コートと靴脱ぎ捨てれば砂だらけにもなるし、足だけ海に浸かれば濡れるのは仕方ないだろ?」
自業自得、と言わんばかりに少々呆れ模様で苦笑いを浮かべていた柊が目に入ったのか、手渡されたブラウンのショートコートを胸の中で抱きながら身を丸くさせ
「だって、久しぶりに海に来れて嬉しかったんですもん・・・。」
と口を尖らせながらぼそぼそと小さな声でそう発した。
「はいはい。それじゃあ、今年の内にもう一回海に行こうか。今度はちゃんと水着持参で」
子供の様に拗ねる美子を宥めるような優しい口調で柊はそう言うと、丸くなった美子の頭を撫で、微笑むとそのまま肩に手を回して美子の体を抱き寄せた。
「んん・・・そうですね!絶対行きましょうね!指きり!」
柊の言葉を聞き、仏頂面だった表情はすぐにいつもの笑顔に戻り、小指を突き出してくる。
その指に自分も指を突き立て、指切りを終え、手を戻すと甘えたいのか体をぴったりとくっつけてきた。

「懐かしいですね。2年前、私がアフリカに行く前日にもここに来ましたよね・・・。」
だんだんと赤さが抜け、暗くなっていく空とゆらゆらと揺れながら輝く海をぼんやりと見つめる。
「後、クリスマスの時もな。まさか、一人でこんな寒い所で待ってるなんて・・・最初は本当に驚いたよ。」
「ふふ。そんな事もありましたよね!!あれからもう1年以上も経つのかぁ・・・。全然実感湧かないです。」
「俺も。これから、また美子がアフリカ行っちゃうんじゃないかって思う。」
そう言うと、体を抱き寄せていた柊の手の力が少し強まり、表情が少しだけ不安げな表情になった。
「夢・・・じゃないですよ?柊さん・・・。」
その不安を取り除くかのように暖かな声でそう言うと、にっこりと笑い再び視線を目の前の海に戻した。
「・・・あぁ。夢じゃないな。これは・・・・。」

正直、これが全て夢なんかじゃないかと思う時があった柊。けど、それは自分が心のどこかで不安を抱いていたのかもしれない。
そう。自分自身が美子を幸せに出来るのかっていう不安が・・・。

けど、そんな不安ばっかり抱いても仕方ないよな。一つ一つ、二人で乗り越えていこうって誓ったんだ。二人で・・・。
だから、気持ちだけでもずっと、誰よりも強く持ってないといけないよな・・・。
307帰国 5:2012/01/20(金) 22:37:12.43 ID:V3dew+jD
心に漂っていた霧を振り払えたのか、清々しいほどに爽やかな笑顔になると、美子の名前を呼び、振り向いた美子の唇をそのままそっと奪った。

懐かしい味。懐かしい香り。懐かしい感触。
その一つ一つを胸に刻み、帰って来たんだと互いに互いの存在を意識しながら、口づけを交わし続けた。

「んん・・・」
口づけを終え、唇が離れるとすぐに美子が照れ臭そうに身を丸くさせ
「何だか、今までで一番恥ずかしくて一番嬉しいキスな気がしました。」
と恥ずかしそうに頬を赤らめ、嬉しそうに表情を緩めた。
その言葉に、柊も初心に帰ったというか、出会った当初の初々しさを感じたのか
納得した表情を一瞬浮かべると、小さな笑みを零しながらこちらも照れ臭そうに美子から顔を逸らしたのだった。

「ふぅ・・・。そろそろ帰るか。大分暗くなってきたし。」
だが、すぐに約束を思い出したのか、息を吐き、冷静になるとそろそろ帰る事を勧める。
「わかりました!」
立ち上がろうとした美子だが、「裸足だと危ないだろ?」と平然とした表情を浮かべる柊がそう言い
お姫様抱っこをされ、車まで連れて行かれた。
最初、恥ずかしくて抵抗を示していたが、その抵抗も数秒すればころっと意見が変わったのか、静かになって身を縮めてきた。
(あれだけ遊んで、元気だなぁ・・・。)
若干、昨日の疲れもあったが、明るく話をしだす美子を見てるこっちも元気を分けてもらっているかのように自然と笑顔が浮かび、美子の事を見守っていた。

車に着いて、運転を再開させるとすぐに美子は眠ってしまった。
車で良く眠れるな・・・とか思いつつ、時折美子の顔を見ていたが、心細かったからこっちに戻れて安心したのかな?と色々と考えながら合宿所まで車を走らせた。

そして、合宿所に到着したのは午後6時48分。RINAから連絡が来てからちょうど1時間ぐらい。

灯りの灯っていない合宿所に、準備が終わったんだなと判断した柊は眠る美子を起こし
後部座席に積んでいた荷物を手渡すと、美子と合宿所の中へと入って行った。
308帰国 6:2012/01/20(金) 22:38:00.75 ID:V3dew+jD
「ふわぁ〜。合宿所・・・真っ暗ですね。皆さん、お仕事ですか?」
リビングに着き、照明の電源を探す柊に眠そうに瞼を擦りながら聞く。
「ん?まぁ、仕事って言えば大切な仕事かな。」
そう言いつつ、リビングの電源を探していると突如として外の照明が灯りを灯す。
美子は照明が灯る音にビク!っと体を反応させ、何事かと気になると荷物を階段の手前に置き、オープンガラスを開け庭へと走って行く。
すると、美子が庭へと足を踏み入れると今度はぱん!という音がいくつも重なる様に響き渡る。

きょろきょろと辺りを見渡すと空から無数の紙テープや紙吹雪が舞い落ちてき、視線を並行へ戻すとたくさんの料理と皆の姿が見えた。

「え?こ、これは・・・?」
突然の事でぽかんと不思議そうに皆の顔を見ていると、一番に勇気が元気よく美子の許へ駆け寄り
「美子!!おっかえり〜〜!!」
とこれまた元気よく美子に声を掛ける。
「ゆ、勇気さん?」
「おい!勇気!何一番乗りしてんだよ!ここは一番に兄貴との再会で喜ばせる場面だろ!?」
どうにも、一番乗りを奪われて納得がいかないのか、後ろから腑に落ちない表情浮かべながら勇気の肩を掴むと、ぎゃーぎゃーと大騒ぎし始めた。
「はいはい。うるさい男子ども〜?喧嘩ならあっちでやりなさい!美子も困ってるじゃない!」
そう言いながら、美子の目の前で大騒ぎしていた二人を横に押し退け、颯爽とRINAが現れ
更にその後ろからNANAに引き摺られる様に少々恥ずかしげな表情を浮かべた廉も現れる。
「美子さん、おかえりなさい。」
「・・・取り敢えず、元気そうだな。」
「廉さん?NANAさん?え?ど、どういう・・・?」
まだ、この集まりがどういう意味を示しているのか分からない美子にRINAが説明を入れる。
「ん?見て分からない?今日は美子が帰ってくるってことだから歓迎会兼ねてのパーティしようって話になったの。どう?驚いた?」
依然、戸惑っているのかぽかんと気の抜けた表情をする美子の事を笑顔で覗きこむように見ていたRINAに気が付くと、リビングの方から歩いてきた柊に困惑した視線を向ける。
その視線を向けられた柊は優しく微笑むと美子の頭に軽く触れ
「そういうこと。黙っててごめんな?」
と片手で合掌のポーズをとりながらそう言ってきた。

「皆さん・・・。」
胸元辺りに添えていた両手をきゅっと握り、顔を伏せて零れそうになった涙を力強く瞼を閉じることで止める。
そして、ふぅと息を吹き出すと顔を上げ、満面の笑みを浮かべると
「皆さん、ありがとうございます!!」
と少々潤みが加わった声で感謝の気持ちを伝えると、その場に居た一同は笑みを浮かべ
「さぁさぁ!皆揃ったみたいだし、パーティのスタートだぁ〜〜!!」
と芝生に倒れていた勇気の一声が響くと、賑やかな声が響き始めた。

その後、すぐに忘れられていた馬淵さんが割ったグラスの代わりを持ってきて、本格的にパーティが始まる。
美子も久しぶりの再会で全員と会話が弾み、その楽しそうに笑う美子の姿を柊も自分の事の様に笑顔を浮かべながら過ごし、忘れられない1日を最高の仲間たちと共に過ごした。
309帰国 7:2012/01/20(金) 22:39:20.12 ID:V3dew+jD
そして、時間は過ぎていき午後11時53分。
夜も更け、パーティも終幕したのか、リビングのキッチンではせっせと後片付けをしている柊の姿が一人、そこにはあった。

パーティが終わると、酒に弱いのにたくさん酒を飲んで酔っ払った美男をRINAさんが部屋へと運び
廉とNANAちゃん、勇気たちには準備を頑張ってもらったという事もあり、自分一人で片付けると言って皆を部屋に戻し
手伝うと言ってくれた美子にも、長旅で疲れているだろうと言い俺の部屋で寝かせた。
そして、1時間近く掛けて食器などの片づけを一人でこなし、残るは食器を洗うだけとなっていた。

「ふぅ〜。今日はいつも以上に洗い物が多いなぁ・・・。」
泡立った洗剤が付着する食器が、次から次へとお湯を浴びて綺麗になって行く。
すると、手に持った皿を横のスペースに置こうとすると皿がひゅいっと浮ぶ。
如何したものかと横を見ると布巾を持った廉がすぐ横に立っており
「手伝ってやるよ。」
と相変わらずのぶっきら棒な言い方で柊に言うと、柊の洗った食器を次々吹き始めた。
「廉・・・わざわざありがとう。」
「気にすんな。一人でやるより二人でやった方が早いだろ?」
「まぁな。」
柊の笑みに横目でその顔を見ると、小さく笑みを零しながら片付けの続きを始めた。

その後片付けも終わり、時刻は翌日の午前0時13分
「はぁ〜。終わった終わった。」
ソファに腰を下ろし、しばしの休憩に入る。
「ほら。さっきあんまり飲んでなかったみたいだから1杯付き合え。」
ソファによしかかってすぐ、キッチンの方から二人分のワイングラスとワインの瓶を持ってくる廉。
「晩酌に付き合えか・・・廉と飲んだら後が怖いからな・・・。」
苦笑いを廉に対して向けながらそう言うと
「酔っ払うほど飲まねーよ。第一、さっきの残りだからそんなに入ってない。」
と苦笑いを無視するようにワイングラスを柊に押し付けると、グラスにワインを注いだ。
「ん。サンキュー。」
「お前・・・何かさっき、不安そうな表情になってたよな。たまにだけど。」
継がれたワインを飲もうとグラスに口を付けたが、廉の言葉を聞くとその動きを停止させ
ワイングラスをテーブルの上に乗せた。
「・・・やっぱ、廉には見られてたか。その様子だと、多分勇気も?」
「あぁ。つうか、あいつが一番にそ気が付いてた。ホント、体中に目が付いてんじゃねーか?あいつ。」
「勇気、そう言う所は敏感だから。」
「・・・だな。で?何かあったのか?美子と・・・」
「いや、特に問題はないけど・・・俺自身の問題かな・・・。」
問いかけた廉に、先ほど言っていた不安そうな表情を浮かべると、手を組みながら屈みこむ。
310帰国 8:2012/01/20(金) 22:39:50.58 ID:V3dew+jD
「ちょっとだけさ・・・」
「はぁ・・。どーせ、結婚するにあたってあいつの事を幸せに出来るかどうか不安・・・とかだろ?」
言葉を詰まらす柊だが、すぐに問題を廉に指摘されると驚きながら一度だけ頷く。
「たく、昔からちょっとした所で悩む癖あるよな。お前。」
「参ったよ。よくわかったな。自分の中で悩んでも仕方がないって分かってるんだけど・・・
やっぱ、結婚なんて初めてだし、色々考えると不安が先立つばかりで・・・・。」
廉の回答に意識していたとはいえ、そこまで見られている事にやっぱり長年一緒にいると少しの変化で見抜かれるんだなぁ・・・と思いながら、力強い口調で話す廉に視線を向ける。
「あれだ。俺もどうこう言える立場じゃねーけど・・・出来る出来ないじゃなくてやるかやらないかだろ?不安なのは分かるが。」
「廉・・・・。」
「俺だって、いつかあいつと結婚とか考えてるけど・・・今はそこまで深く考えないで
一つ一つ出来る事やろうって思って頑張ってんだ。だから、お前も。気持ちだけでも前向けとけ。美子だって、不安そうなお前の顔見てたら辛いだろうしよ・・・。」
「・・・そうだな。ホント、いつも頼りになるな。ありがとう。」
「そりゃ、俺だっていつもお前には世話になってる。困った事があったら、一人で抱え込むなって、お前が言ったんだから、お前もそうしろ。良いな?」
念を押す様に指を指しながら睨みつけてきた廉に、圧倒されつつ弱弱しく返事を返すと廉は納得したのか嬉しそうに笑いながら息を吐くと、グラスのワインを一気に飲み干した。

(ありがとうな・・・・。廉も勇気も心配してくれて・・・本当にさ・・・。)
そんな廉を見ながら柊はもう一度、心の中で廉と勇気に対して感謝の言葉を贈った。
一人は自分の迷いに気が付いてくれ、もう一人は自分の迷いを断ってくれた・・・大切な友に対して。

「ん?何だ?」
「い〜や。何でもない。」
微笑んで自分の事を見てきた事に首を傾げて表情を曇らせていた廉を余所目に、注がれたワインを柊も飲み干すと、何やら先ほどの言葉を思い出したのか、にやりと意地悪そうな笑みを浮かべ
「そう言えば・・・あいつと結婚?誰の事?」
とあからさまに分かっていると言わんばかりの言い方で廉に聞く。
それに対して、廉がすぐに顔を真っ赤にして誤魔化そうとあたふたしだし、小一時間ほど柊に捕まっていたのはまた別のお話だった・・・・・。
311名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:42:05.41 ID:V3dew+jD
以上です。
この先は今回よりもさらに時間がかかると思いますが、出来次第投下させていただきます。
それでは、失礼いたしました。
312名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 23:05:23.71 ID:L3tC4Ddr
>>311
リアルタイムで読めた! ラッキーだ自分w
もう皆幸せで、帰国したらこんな感じ絶対ありそうでいい! GJです!
いつもありがとうw 続きも待ってます

>>302
廉美子Jr…瞳キラキラニコニコの美子似なのか
すらっとしたツンデレ美少女な廉似になるのか…柊さんはきっと美子似一択w
いっそ二卵生の双子の美少女なんてどうだろう
313名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 07:02:12.93 ID:KZyiC3Jl
>>311
帰国後キター!!GJ!!!
ほんと幸せ話にニヤニヤが止まらないですwww
この後は久しぶりに会えた二人の熱い夜が始まるわけですねw
続き全裸で待ってます!なにげに、水着で海に行った二人も気になる…柊さんの事だから色々大変なことになりそうだwww
314名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 08:48:01.79 ID:RQQjuuCx
>>311
投下乙です!

>>312
二卵性美少女双子なら、見た目と性格が入れ違いってのもいいなあ…
瞳キラキラ愛らしい美子そっくりのツンデレ美少女ちゃんと、
すらっと色白美人な廉さんそっくりの天然美少女ちゃん
さあ、柊さんが選ぶのはどっち?!www
315名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 13:59:18.85 ID:GyRwcPQu
>>311
乙です。
このDT柊さんの話の終着点が気になる。てか、金沢編で終結かと思ってたw
やっぱり結婚→ラブラブな新婚生活→Jr誕生…的な流れなのでしょうかww
それはそれで激しく読みたい!
316名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 04:26:18.31 ID:hfi16JFn
>>311
投下乙です!
DT柊さんシリーズにお疲れ様ですを言う前に、続編投下があって嬉しいです!(勝手に前回が完結編だと勘違いしてましたw)
自分は柊美子書けないので、いつも楽しく読ませていただいております。
色々なお話をスピーディーに書けるって本当に凄いです!その才能が羨ましい…w


>>274です。
皆様、柊NANAのご感想ありがとうございました!
ちょうどドラマ1クール分、3ヶ月間で書き上げた作品で、燃え尽きた感があり…
しばらく投下は見合わせようかと思っていましたが、DVDを見返すとやっぱりまた妄想が浮かび始めていますw
次は本命CP、廉美子の執筆中です。
遅筆なのでまた長くなるかも知れませんが、投下出来る時が来たらお邪魔させていただきます。
317名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 15:09:41.36 ID:Rhb/hcVc
>>316

超大作お疲れ様でした。
次は廉美子物とのこと、首を長〜くして待ってます
318名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 16:17:03.63 ID:yzVEDF1n
廉美子の作品読みたいです。
待っています!
319名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 17:15:53.04 ID:QnUZtGaj
>>311
DT柊さん、乙です。そしてGJ!!!
廉と柊の二人の関係に激しく萌えましたっ。
続きを気長かつ楽しみに待っております。

>>316
廉×美子っ!
嬉しいです!!今からニヤニヤして待ってます!
320名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 20:53:22.54 ID:CIIwR1Rc
>>316
柊NANAもその合間の遠恋廉美子も 全員大好きですw
廉美子の新しい作品、うれしいです〜待ってます〜

自分もいつか披露できるようちょっとがんばってみます
文才イマイチなんですが 書いてくれてる皆さんにできれば続きたいw
321名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 20:44:21.28 ID:9KM3sh7/
>>320さん
頑張って。
自分も下書き書いてみたけど、翌日読み返すと、なんか自己満足作品ぽくて
没にせざるを得なくなったw 
あらためて、ここに投稿してくれる職人さん&まとめさんに大感謝です。
322名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 21:25:04.23 ID:s8mqDtWD
みなさん、制作お疲れ様です!!毎回楽しみにしてます。
321さん、文にできることがすごいです、
せっかくなので是非作品投下してください。
作品待ってますー
323名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 21:55:48.79 ID:SoFgNJNo
>>321
320です〜 うんがんばるw
おとといくらいから早速ひとつ書いてはみたけど
書こうとした元ネタがどこかへ行った上にオチもない
ボツ ってか書き直し必須… いつも書いてくれる皆さんは偉大だ
今度は違うネタでいくつか書いて…練習して出直してきますw
324名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 22:05:41.42 ID:Majy7vYD
320さん

あんまり待っちゃうとプレッシャーになるかなと思うんで
こっそり気長に待っていますよ〜。
自分がいいかなと思う作品ができたらぜひ投下を!

ファイティン!
325名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 22:48:35.44 ID:UUIOI4Pn
>>323さん
作品、楽しみにしてます!
難しく考え過ぎず、自分の頭で浮かんだイメージをありのまま書けば
きっと納得のいく作品ができますよ!

偉そうに色々書いてしまい申し訳ありませんでした。
それでは、失礼します。
326名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 22:58:41.43 ID:9KM3sh7/
>>325
妄想してる時はニヤニヤしてて楽しいけど、
実際に話を書きだすと、なんか恥ずかしいんだよね。
妄想を上手くOUTPUTする方法ってありますか?
327名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 23:24:20.15 ID:UUIOI4Pn
取り敢えず、何でも良いから頭に自分が良いなと思うシチュエーションとかを
仕草だとか考えずに思い浮かべて、後から中身を膨らませていくというのはどうですか?

うぅ・・・あまり力になれなくて申し訳ありません。
328名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 01:32:01.50 ID:p9K4zp1Q
軽い気持ちで書き始めたら、行き詰まりながらなかなか完成しなかったけど
ようやくある程度まで出来上がったので投下します。
柊×NANAで、エロなしです。
329笑顔の行方1:2012/01/25(水) 01:33:08.70 ID:p9K4zp1Q
A.N.JELL宿舎の広い庭での、バーベキューパーティ。
夏の間、4、5回は勇気や馬淵が張り切って開催するのがここ数年の恒例だった。
今夏、初めてそれを経験する美男が「ヤローばっかじゃつまんねぇじゃん」と言い放って、
今まで紅一点だったRINAに一発殴られた。
「あ、そうだ。あいつ呼ぼうぜ」
そう言うなり、美男が電話をかけたのはNANAだった。
「あいつ、明日ちょうどオフだからトオルも連れて来るってさ」
春に番組での共演以来、2人が思いのほか仲良くなっているのは他のメンバーも知っていたが、
3人が意見する間も与えずに、美男は軽く言ってのけた。

その後も、仕事も暇ではないだろうに誘えば毎回、NANAはやって来る。
"みんなの妖精"を演じずに、自分らしく居られるこの場はNANAにとってかなり居心地の良い場所になっていた。
そのうち元々人懐こい勇気はもちろん、廉でさえ、嘘つき妖精でもなければ特に悪女でもないNANAに対して
メンバーやRINAと同じように接するようになっている。
しかしただ一人、柊だけはNANAが自分に対して明らかに距離を保ったままでいると感じていた。
330笑顔の行方2:2012/01/25(水) 01:33:46.25 ID:p9K4zp1Q
「何これ?うっそ、手作りなのぉ?!」
いつものように一通りバーベキューも花火も終わった頃、RINAが大きな声で驚いた。
「シュークリーム?美味そう〜食っていい?」
「NANAの手作り?すげーじゃん」
その声に反応して、勇気と美男もその近くに寄っていく。
「中は、バニラのアイスクリームよ。一応、これも手作りで」
「へぇ〜お前にも、妖精演じる以外に特技があったんだな」
自信作をちょっと得意気に言いながら配るNANAに、廉が意外そうに言って受け取った。
「ちょっと廉!そんなこと言うならあげないから!返しなさいよっ」
「うるせーな。一応、特技だって認めてやったんだよ」
そんな中へ美男や勇気、馬淵も加わって「美味い!」だの「天才!」だのとワイワイ盛り上がっているところへ、柊は苦笑しながら近づいた。
「あっ、どうぞ・・・」
柊に気付き、NANAが慌ててシューアイスを1つ手渡す。
「ありがとう。いただきます」
大きく1口齧ると、サクサクの皮と優しい甘さのバニラアイスが良く合っていて、有名店で買ったと言っても信じそうな出来栄えだった。
しかし先ほどまでの自信はどこへ行ったのか、NANAは不安そうに柊の反応を窺っている。
「うん、すごく美味いよ。甘さもちょうどいいし」
「良かった…」
柊がそう言うとNANAは、はにかんで花がこぼれる様な笑顔を見せた。
口に広がる甘さや香りと相まって、柊はその笑顔で幸せな気分になる。
さすが、みんなの妖精。本人が演じなくても、元々はそういう素質を持った子なんだな…。
そう思って柊が微笑み返すと、なぜかNANAはすぐさま美男のところへ走り去った。
「柊〜美味そうに食ってるな!柊が、シューアイスを愛する?なんっつってー!だはははは!」
NANAにまるで避けられてしまったような寂しさには、馬淵の寒いダジャレですら多少は救いになる。
しかし、なぜいつまで経っても俺にはああいう態度なんだろう?何かしたか…?
いつだって、さっきみたいに俺の前でも笑えばいいのに。
納得いかない柊はシューアイスの残りを2口で頬張り、ぬるくなったお茶で流し込んだ。
331笑顔の行方3:2012/01/25(水) 01:34:20.08 ID:p9K4zp1Q
「ねぇ、今の…どうだった?!」
NANAは柊の前から美男のところへ駆け寄って聞いた。
「まぁ、笑顔はいい感じだったけど…もう少しさり気なく立ち去れよ」
「だって!柊さんがすっごい優しく笑ってくれて…ドキドキしちゃって普通に立ってられなかったんだもん!」
そう言ってNANAは、少し赤く染まる自分の頬を両手で押さえる。
「ハイハイ。せっかく俺が演技指導してやったのに…あ。でも、効果あったみたいだね」
「え…?」
振り返ると、柊がじっとNANAと美男を見ていた。
美男はNANAの肩を抱いて、耳元で囁く。
「あとは思い切って今夜、色仕掛けしちゃえば?」
「もうっ!出来るわけないでしょ!」
「あいつ、多分ムッツリだからイケると思うんだけどな〜」
「ちょっと。そんな人じゃないわよ、やめてよ!」
NANAは真っ赤になって、ニヤニヤしている美男の頭を叩いた。
「NANA〜。今、柊さんがすっごい切なそう〜な顔でそっち見てたよ?」
そう言いながらトオルがRINAと共に近づいて来た。
「やっぱりあんたのこと、意識してるのかも。今日ここに泊まってさ、押し倒せばイケるかも…」
「RINAさんまで、何言うんですか!今よりもっと嫌われちゃう…」
そしてNANAが振り向いた時には、既に柊の姿は無くどうやら部屋に戻ったようだった。
332笑顔の行方4:2012/01/25(水) 01:35:35.20 ID:p9K4zp1Q
しばらく姿の見えない柊を不審に思い、馬淵が勇気に声をかけた。
「ん?柊はどこ行ったんだ?」
「さっき、悪いけど先に部屋に戻ってる〜ってさ。なんか暗い顔してたけど、どうしちゃったんだろ」
いつもなら、最後まで一緒に片付けてくれるのになぁ…と勇気がボヤく。
「もしかして、誰かが作ったモン食って、腹壊してるかもな」
NANAのほうを見ながらニヤニヤして廉がわざとらしく言った。
「そんなはずないじゃない!バカ言わないで!」
「そうよ、廉。NANAに失礼でしょうが」
廉の失礼な物言いにNANAが憤慨し、RINAも廉を咎める。
ただ一人、その失言の裏を鋭く読み取った美男は廉と同じくニヤリと笑った。
「今頃、部屋で腹痛と闘ってるかもな〜かわいそうな柊。誰か薬でも持っていってあげたら?」
「あぁ〜、だったらやっぱり…原因作った人だよねぇ?NANA〜」
美男の言葉で察したトオルも、いつもの甘えた声で言う。
「えっ?ちょっと待って…あの…」
「俺の部屋に、薬箱あるよ!ほら、早く来て!」
戸惑うNANAの肩を後ろから押して勇気は宿舎の2階へと連れて行った。

勇気が部屋の奥にある薬箱を取り出し、NANAに差し出す。
「はい、これ。思い切って気持ちを外に出さないと何も変わらないよ?」
「勇気…。私に、できるかな」
「嘘つくよりも、本心言うほうが勇気要るからね。頑張れよっ」
明るく励まして、勇気はまた皆のいる庭へと勢いよく階段を駆け降りた。
333笑顔の行方5:2012/01/25(水) 01:36:39.96 ID:p9K4zp1Q
NANAが意を決して、柊の部屋のドアを2回ノックする。
「勇気か…入れよ、片付けだったら後で俺も…、え、NANAちゃん…?」
「ごめんなさい、私です」
てっきり勇気だと勘違いしていた柊は、NANAの姿に目を見開いた。
「あの、具合が悪いのかなって…それで…薬を」
「えっ?別に、大丈夫だけど…」
「そう、ですか…」
会話の続かない2人の間に、気まずい空気が流れ、NANAは俯いてしまう。
「他に、なにかある?」
柊の表情を見ないままのNANAには、その言葉が異様に冷たく聞こえた。
涙腺が膨らんで、目の前が少し滲む。
「柊さんは、私をまだ許してない…ですよね」
「許してない…?って、何を?」
「私にずっとよそよそしいし…他の皆みたいに話しかけてくれないし」
NANAの声が震えているのを聞いて柊は焦った。
「何のことを言ってるんだ…?」
「去年、私が廉と美子にしたことも…あなたにしたことも、まだ許してくれないんでしょう?当然だけど、だから…」
1年前、廉と美子を別れさせようとして無理やりに柊をけしかけた…あの日のことだった。
「ちょっと待って。その…いつまでも打ち解けてくれないのは、俺じゃなくてNANAちゃんだろ?!」
思いがけないNANAの言葉に、柊は語気を強めた。
「私は…!ずっと…」
NANAは大きな瞳を潤ませ、顔を上げてそのまま高ぶる感情を言葉にした。
「ずっと、皆みたいに仲良くしたかったの…。いつの間にか、好きになってたから」
ついに思いを伝え、祈るような気持ちで柊の反応を待つが、しばしの沈黙が落ちる。
「ごめんなさい、迷惑でしたよね…」
そう言ってNANAが耐え切れずにドアを開けて部屋の外へ出ようとすると、柊がその腕を掴んだ。
334笑顔の行方6:2012/01/25(水) 01:37:39.53 ID:p9K4zp1Q
「離して…」
「俺たち、お互いになんか誤解してたんだな」
ふ・・・と肩の力を抜いて柊は言葉を続けた。
「こう見えて、俺ってけっこう根に持つタイプでさ。イヤなこともなかなか忘れられないんだけど」
NANAは、なぜか穏やかな声で言う柊の意図がわからずに掴まれた手を離そうとした。
しかし、更に強く握られて動けなくなる。
「でも、NANAちゃんにされたことは…正直すっかり忘れてた。普通なら、今でも許せてなかったかもしれない」
「それじゃ、どうして…」
「廉や勇気みたいに寛大じゃない俺が許せた理由に…ようやく気付いたよ」
柊は掴んでいたNANAの腕を、一気に自分のほうへと引き寄せて抱きとめた。
爽やかな香水の匂いが柊の鼻をくすぐる。
「柊さん…」
「俺も、NANAちゃんのことが好きだからだ」
柊の速い鼓動がNANAにも伝わり、互いの触れている部分が異様に熱く感じられた。
「ほ…んとに?」
「アイドルとか妖精とかじゃなくて、ここで素直に笑ってるNANAちゃんが好きだ」
柊の腕の中にいるNANAは、そのまま柊の顔を見上げた。
「それに、俺にはなかなか笑ってくれないからてっきり、美男のことが好きなのかと…」
「美男はイイ人だけど、同性の友達みたいな感じで…なんだか姉妹って感じもするかも」
ふふっと軽く笑うNANAに、柊は微笑み返した。
「私も、そうやって笑ってる柊さんが好き」
カワイイことを言ってくれるNANAがたまらなく愛おしくて、柊は少し背を屈めて同じ高さに目線を合わせた。
NANAは急に至近距離に顔が近づいて、びくりと身じろぎする。
「…もっと近づいてもいい?」
その柊の声の艶やかさに圧倒されて、NANAは赤くなった顔を一度、こくりと動かすことしかできなかった。
335笑顔の行方7:2012/01/25(水) 01:38:07.39 ID:p9K4zp1Q
そっと触れ合うだけのキス。音も立てずに、2人は数秒で唇を離した。
「ちょっと照れる、ね…」
「うん、すごく」
顔を見合わせ苦笑いする。
そしてどちらからとも無く、庭で待っているメンバーの元へ歩き出した。
「でも案外、柊さんってニブいのね」
「え?そうかな…」
そう思われる覚えがなく、柊は首を捻る。
「私が柊さんを好きだってこと、言わなくても皆にバレてたのに。結構私ってわかりやすいみたいよ?」
「え?じゃあ気づいてなかったのは俺だけだったのか…なんか情けないな、俺」
階段を降りて並んで歩くと互いの手が触れ合い、2人はそのまま手を繋いだ。

「あ!2人ともこっちに来てるわよ」
階段を降りている姿を、RINAが目ざとく見つけた。
「手まで繋いでるぅ〜!NANA、やったね〜☆」
「おぉ〜上手くいったみたいだな!」
トオルも勇気もニンマリして、2人に向かって手を振った。
「よーし、また乾杯だ!!今日はいい夢見られそうだぜ〜」
馬淵は張り切って、残っているビールをコップに注ぎ始める。
「お前は、大丈夫か?」
馬淵からビールを受け取った廉が、美男に声をかけた。
「は?何がだよ」
「こういう時はイイ人ってのも、しんどいモンだろうからな」
大きな目を見開いて廉を見るが、美男は一つため息をつく。
「それじゃあ、改めて〜「「「カンパーイ」」」」
柊とNANAが合流してまた盛り上がり始めた。
「俺はこれでいいんだよ、ほっとけ」
「…乾杯」
美男と廉は、コップを少し上に掲げて一気に飲み干した。
336名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 01:41:02.24 ID:p9K4zp1Q
以上です。なんか、2人をカップルにするための序章みたいになってしまった。
今度はエロで、この2人の続編を書けるといいなと思ってますが難しい…。
お粗末さまでした。
337名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 02:18:36.38 ID:ehvFq7f5
>>336
超絶GJ
この一言に尽きる
338名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 06:52:02.10 ID:rIv0pU4b
>>336
いい!GJ!ありがとうございます。
NANAちゃん超かわいいし、柊さんも切ないからかっこいいのバランスが絶妙!
他のキャラもすごくよくて、楽しかったー!
こんな続きありそう、って思った。

優しいイイ人美男と、意外と鋭い廉さんに乾杯w

続きお待ちしています!

339名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 07:11:44.41 ID:jMVPaSOF
>>336
GJ!
嫌な役回りだったけど、実はちゃんといいこだったんだよね〜NANA
柊さんも他のみんなもらしくてすごくいい
美子が戻る前にさらに進展しそうなのがwktk 楽しみに待ってますw

340名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 20:33:52.51 ID:pGc9J7Au
>>336
素敵〜!GJ!
柊×NANAいいよねぇ。もう大好物w
続き楽しみに待ってます!
341名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 21:58:12.45 ID:ycQFmAtq
>>336

ええわぁ〜〜〜GJ!
もう二人が悶絶かわいくて床をごろごろしちゃったよ。

そして あああ〜〜美男〜〜〜せつねぇ。
この美子と同じ顔をしているけなげな美男に 廉ちょっとグラッとくる
ってな展開いかがでしょう?
342名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 22:26:12.25 ID:IHcr0/lC
>336
健気で調子のいい美男とNANAもいいカップリングだけど、お友達モードなんだね。

>>341
で、落ち込んだ美男を慰めるのが、廉さんなのかw 驚いたなw
これ、浮気になるの?
343名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 23:05:15.51 ID:fUy911tq
思いつきで書き始めたものですが…投下します
廉×美男(一応?) エロなしです
話的にはドラマ本編5話あたりになると思います
344元通り?1:2012/01/25(水) 23:07:29.15 ID:fUy911tq
美男が廉の部屋にやってきて数日が経過した
おばのシゲ子に美男の部屋を譲ることになり、
『本当は双子の妹の美子である』ことを知っているという理由で
美男が廉の部屋での相部屋を選んだわけだが…
美男自身はこの状況にあっという間に慣れてしまったようだ
布団の中からひょっこり顔を出して「廉さん おやすみなさ〜い」と
言ったとたんに、すぐにスースーという寝息が聞こえる
(アイツいつもすげー寝つきいいよな)
部屋の端にいる居候を見やると廉も布団に潜り込んだ

「おいっ!起きろよ廉!今朝は社長に呼ばれてんだぞ」
ぐっすり眠っていた廉は、いきなり布団の上にダイブされ咳き込んだ
「美男!てめ〜何する…」
飛び起きて美男をにらんだが、違和感を感じて口をつぐむ
そこにいたのは確かに美男だった
ショートカットに大きな瞳、Tシャツにゆるめのパンツの部屋着
でも何かが違う…どこが?

「ホント時間ねーよ 先準備して行くからな」
美男がいきなりTシャツを脱ぎ始める
「ちょっ お前こんなとこで…」そこまで言って廉は驚きで固まった
Tシャツを放りだしてタンクトップに手を通す美男
(胸が無い…)
細身ながらがっしりとした腕まわり どうみても男の体つきだ
345元通り?2:2012/01/25(水) 23:09:08.69 ID:fUy911tq
「美男、お前何で…?」
「は?外出るんだから着替えるに決まってんだろ」
「じゃなくてお前男…」
「さっきからおかしいぞ廉 まだ寝ぼけてんのか」
憮然とした美男が部屋を出て行き、一瞬間をおいて廉も慌てて後を追った

リビングには既に身支度を済ませた柊と、朝ごはんをちょうど
食べ終わったらしい勇気がいて、美男と楽しそうに話している

「廉おはよ 今日は珍しく起きるの遅いね」
「廉さんがオレより遅いって珍しいね〜」
「さっきから廉寝ぼけっぱなしなんだぜ!」
「普段は美男の方が朝は弱いのにね」
(ってかそいつ美男じゃねーよ 誰なんだよ 男だぞ!)
そういいかけて黙る廉。
(美男が男なのは…当たり前だ 美子が入れ替わってることは知らないんだし)
結局、廉が何もいえないまま3人はリビングを出ていった

「廉 どうしたんだ?ちゃんと聞いてるか?」
安藤社長も怪訝そうだ 「ああ 悪い社長…」
打ち合わせ中だが、どうしても美男のことが気になってしょうがない
「この後TV収録だからな しっかりしてくれよ廉」
誰かに相談することも、面と向かって美男を問い詰めることもできない
(とりあえず今日の仕事はちゃんとこなさなきゃな)
気を取り直して、集中しようとしたが…
346元通り?3:2012/01/25(水) 23:11:13.37 ID:fUy911tq
収録の合間の雑誌のインタビュー、そしてグラビア撮影の時間
「まだ8月なのに、秋冬物の衣装って暑くて大変だよな〜」
撮影の終わった衣装をあっという間に脱いで裸でスタジオ内を
うろうろする美男…を、ついつい目で追ってしまう廉
(いかん オレって男の裸に反応してるんじゃないか? やべ)
結局まともな仕事にならない
(あいつに何があったのか、やっぱりつきとめないと…)

なんとか?今日の仕事を終え、A.N.JELL全員で事務所へ戻ってきた
明日は生放送の音楽番組があるため、リハーサル室へ入る
自分の譜面台に向かい、新曲の楽譜に触れた時、廉の脳裏にひらめいた
『alone』
そうだ オレがあいつじゃないとって思ったあの曲…

「美男 今から『alone』を歌え」
「え?明日は新曲だよね オレのソロ、すぐに披露する予定ないんだけど」
「いいから歌え! レコーディングの時と同じように」

美男がヘッドホンをつけてマイクの前に立った
柊と勇気は廉の後方に座り、廉は腕組をして美男を見つめる
美男が歌い始める

(そう この声だ 『alone』はこいつじゃないと歌えないって思った…でも…)
347元通り?4:2012/01/25(水) 23:14:18.44 ID:fUy911tq
合宿所に戻り、廉は部屋でPCの前に座っていた
ドアが開き、風呂上りの美男が入ってくる
「廉 風呂お先!今空いてるから入ってきたら?オレもう寝るよ 今日は疲れたぁ」
「おい お前は一体誰なんだ?」
美男の方へ向いて座りなおして静かに問いかける
「は? 何言ってんの廉」
「お前美男じゃないだろ いや 正確にいえば美子じゃない」
「美子って何?」
「お前の双子の妹だ お前にかわって今までここにいた」
「双子なんていないよ オレはオレだ 美男だよ」
廉は立ち上がり美男の腕をつかんだ
「ごまかすな さっき『alone』を歌わせたろ たしかにお前は完全な美男だ
声もオレが知ってるあの声だ ちゃんと歌えてた でも違う
この間のレコーディングで気持ちをこめて歌ってた…あの歌声はお前には出せない」

しばらくの間、一言も発しないままお互いににらみあった
美男が口を開く
「双子の妹が…美子がいたとしても美男はオレだ 身代わりならなおさらだ
オレがオレの居場所に今いるだけだ おかしいのか?廉」
「ダメだ! 今までいたのは美子だ お前は美子にはなれない!」
つい大きな声で言ってから 廉は自分で驚いた
(オレって 美男じゃなくて美子の方を認めてるのか?)

美男がニヤっと笑い、自分の腕をつかんでいる廉の腕をもう一方の腕でつかむ
「へ〜 廉がそんなこと言うとはね〜そうかそうかw
でも、今日オレの裸にもクラクラしてたくせにねぇ」
「ばっ そんなわけあるか!」廉は真っ赤になりうろたえるが
美男はつかんだ腕を離さず、そのまま廉のベッドに押し倒した
「相部屋なんだし、今晩はこのまま一緒にいてあげてもいいよ〜美子の代わりにね」
「何?! ってかやっぱり美子はいるんじゃねーか! おい離せ!」
廉がもがいても男の力なのか 簡単には離れず…
348元通り?5:2012/01/25(水) 23:16:53.92 ID:fUy911tq
息苦しくなって廉はガバっと起き上がる
「?」
ベッドにいる自分…の胸元辺りの掛け布団の上に誰かいる
「み 美子だよな?」すやすやと眠っている美子 美男ではない
周りを見回して…今が「昨晩」であることを確認する
(…全部夢か…)どっと疲れが押し寄せる
今なぜか布団の上にいる美子は、いつかの「寝ぼけてた」と同じ感じか?
起こすのも気がひけて、薄い毛布を美子にかけて廉はベッドの端で眠ることにした

(あんな夢を見た理由はわからないけど、がんばってる
美男を美子本人として認めてやるべきかもしれないな
いつか本物の美男と入れ替わる日が来る それまでには…な)
「いつも通りの美男」に戻っていたことに幸せを感じて目を閉じる

「ん?じゃあ、あの夢の美男はなんだったんだ?
もしかして…兄貴の方は本当にあんな性格なのか?」
本物美男が来た後の自分の苦労をちょっとだけ想像して悪寒が走ったが…
とりあえず当分は忘れることにして、廉は無理やり眠りについた
349名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 23:21:44.23 ID:fUy911tq
>>348
以上です
オチ微妙ですみません…書いてる間にまとまらなくなってきたw
そしてエロは無理だった…もっと精進してがんばります
350名無しさん@ピンキー:2012/01/26(木) 11:34:26.11 ID:i2w701WH
GJ!
すごく面白い設定でした!
あのまま廉美男(兄)のままでも見たかったかもw
351名無しさん@ピンキー:2012/01/26(木) 19:14:50.34 ID:XyNGFDQK
>>349
ちょっとファンタジーな感じかと思ったw
今度は昼間は美男なのに夜は美子になって、エロ…なんてのも希望!w
352名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 12:30:11.98 ID:a0PuOnw/
更新なくて寂しいです。私に書く文才があればいいのですが…
みなさんの作品すごく楽しみにしています!!
353名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 16:08:18.69 ID:kITbUQq1
349ですw
感想レスくれた方ありがとうございました
351さんの妄想いいですな〜
書きたいけど…最後まで仕上げられるか自信ない〜特にエロw

>>352
自分、文才とか構成力とかさっぱりなんですが
何度もリピして、ここでいろいろ読ませてもらっているうちに
いろいろ脳内妄想ネタが増えてきたので、勢いで出しちゃった人間です
今は違うネタで作成中w 書いてると無駄に長文になるので
ちゃんと校正できたらいつか出します 完成度はかなり低い予想…

同じく皆さんの作品楽しみにしてます〜
すっごいエロいのを読んでみたいww
自分が書くとパロディ部分にやたら力が入ってエロがおろそかに…w
354名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 16:38:53.43 ID:pVZbxE8K
この前柊NANAを書いたら最近その2人の妄想が止まらないんですけど、ほんとは
廉美子が大好きです。どなたかぜひ…!
NANAを妄想するにあたって、こじはるちゃんの画像とか漁ってたらセクシーな
水着とか下着画像いっぱいあって妄想がすごい膨らんだwエロい体だー。
355名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 16:51:23.14 ID:kITbUQq1
>>354
おお もしやこの間の柊NANAさんw 続き楽しみにしてます
NANAちゃんスタイルいいしかわいいし ステキだ
ファッション誌で普通にモデルしてるときの表情もエロめで好き
自分も廉美子ファンなのでぜひどなたか…エロいのをw
356名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 21:04:28.91 ID:PRcEUtHl
>>353
ファンタジー双子GJでした!
廉美子結ばれて、美子がアフリカ行ってから、美男とバンド組む廉さんが妄想で苦難かもねw
つうか、柊さんも勇気さんも失恋からまた美男(♂)とモヤモヤモードになりそう。
自分はエロなくても充分楽しいです。ぜひエロ無しで、誰カップルでもいいのでおながしまつ。
357名無しさん@ピンキー:2012/01/29(日) 22:42:58.18 ID:le/3tiVc
続きってやっぱり書いた作家さん本人が書かないとだめですかねぇ。
まとめサイト読み返してたら、話が尻切れトンボになっちゃってるのがいくつかあって、
続きが気になるので、誰か続き書いてもらえないかなぁと思いまして…
358名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 00:26:47.65 ID:It5nbT/Q
>>357
さすがに、話の続きを他の人が…てのは変だと思うし書こうと思える
書き手さんも、なかなか居ないと思うけど。
そういった感じの話が読みたいなってことなら、軽くリクエストすれば
優しい書き手さんが書いてくれるかも?
いや、それより自分でぜひとも書いてみてください!
359名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 01:19:30.36 ID:j9VTTgn3
>>187さんのレスをヒントに勇気ネタを書いてみました
お気に召していただけると良いのですが…
途中までですが投下してみます。エロなしです
360Intoxicated 1:2012/01/30(月) 01:21:25.41 ID:j9VTTgn3
(あれ?珍しいな…)
いつになく重い心を抱えながら勇気が秘密のバスに乗り込むと、最後尾のいつもの席には先客がいた。
長い髪の女。眠っているのか、窓に頭を預けたまま動かない。
髪の毛が邪魔になって顔は見えないけれど、服装を見る限りではまだ若そうだ。
仕方なく反対側の窓際に座り、窓の外に目を向けた。
走り出したバスに揺られながら、昼間の出来事を頭に思い浮かべる。


「もうガマンできない!なんで美男にひどいことするんだよ!おまえサイッテーだ!」
「なによ!勇気まで美男、美男って…もういいわよバカっ!」
今にもこぼれ落ちそうなほど涙を浮かべた目で俺を睨みつけ、NANAが部屋を出て行った。

美男につらく当たるNANAを偶然目にして、ついに面と向かって怒鳴りつけてしまった。
(なんだよ…。どうしてNANAが泣くんだよ)
正義感が強くて率直なのは自分の長所だと思ってる。
でも女の子を泣かせるのは俺のいちばん嫌いなこと。だからあいつの涙を見た時は、正直ショックだった。
(あーあ、なにやってんだ俺…)
あれから数時間が過ぎて夜になっても、NANAの泣き顔が何度も目の前をちらついて離れない。
(でも悪いのはあっちだろ?ぜんっぜん意味わかんねーよ)
頭も心もずっとモヤモヤしたままで、少しでも早くこんな気持ちから抜け出したくて…。
「ちょっと出てくる」
合宿所にいたメンバーにそう言い残して、このバスへやってきたのだ。


バスは夜の街を淡々と走り続ける。
スッと糸を引くように流れていく街の灯りが、心を硬くするネガティブな感情をほんの少しずつ、薄紙をはがすように連れ去ってくれた。
大丈夫だ。これでまたいつもの自分に戻れる。
窓の外の景色が移り変わるにつれて、そう思えるようになってきた。

凝り固まった首を大きく回す。
ふぅ、と息を吐きいつもの席にふと目をやると、女はバスに乗り込んだ時のまま身動きもせずに眠り続けていた。
どこかで降りる気配もないし、こんな夜中に1人でバスに乗っている姿が妙に無気味に思えてきた。
(まさか…幽霊とか?!)
背筋が一瞬ゾクッとしたけど、そんなのありえないことで。
(バカだな、俺…)
そんなことを考えて苦笑いしていた時、突然急ブレーキが掛かって身体が前に投げ出されそうになった。
「おわっ!」「きゃ…」

『大変失礼いたしました。ただいま動物が飛び出したため、やむなく急ブレーキを掛けさせていただきました』
361Intoxicated 2:2012/01/30(月) 01:23:00.33 ID:j9VTTgn3
「あっぶねー…」「いったぁぃ…」
声のする方に目を向けると、女が膝を押さえていた。突然の衝撃に驚いて目を覚ましたらしい。
「だっ、大丈夫ですか?」
心配になり、思わず隣に移動して声を掛けた。
「ん〜?だいじょぶ、でぇす…」
奇妙な口調で答えながら彼女がこちらを振り返る。
左手で大きく髪をかきあげて、ようやくその顔を見せると……
俺の口は、ポカンと開いたままふさがらなくなった。

「……NANA?!」
なんでここにいるんだ?てか、酒くさっ!
「あー、勇気だ〜。ふふ、なぁんでぇ、こんなとこーにいるのかな〜」
NANAは呂律の回らない調子でヘラヘラと答えた。
「ちょ…酔ってんのか?!どうしたんだよ、おまえこそ何でこんなとこ…」
「まさかね〜、ほんとぉに会えちゃうなんてぇ、ウケる〜」
「ウケるって…」

NANAがどうしてここにいるのかってことは置いといて、とりあえず早めにどうにかしないとマズそうだ。
窓の外を見て終点が近いことに気づき、ホッと胸をなで下ろした。


バスが終点に到着して静かに停車した。ブザーが鳴り、ドアが開く。
「ほら、降りるぞ」
NANAの腕を肩に回して立ち上がらせ、だらんと力の抜けた身体を引きずるようにバスを降りた。
停留所のベンチに一旦座らせたものの、ぐったりとして1人では動けそうにない。
こんな状態のまま、ここに置いて帰るわけにはいかなかった。

近くのタクシープールから車を回してもらい、NANAを無理やり車内に押し込んだ。
「ちゃんと帰れよ」
後はドライバーに任せて別れようと思ったのに、NANAの手は俺の服をぎゅっと掴んでいた。
「なにしてんだよ、離せって」
「んふふ〜、ひとりじゃ帰れないもぉ〜ん」
(ったく、しょーがねーな…)
彼女が自分のイライラの素とはいえ、邪険にするのはさすがに気が引ける。
大きなため息をひとつ吐いて、乗りかかった船だと観念した。

「わーかったよ、この酔っ払い!おまえん家どこだ?」
362Intoxicated 3:2012/01/30(月) 01:24:48.18 ID:j9VTTgn3

タクシーがマンションの前に停まり、NANAの身体を支えて車から降ろした。
「なあ、もうここまで来れば大丈夫だろ?早く部屋に行って寝ろ」
肩に回していた腕をほどいて身体を離したのだが。
「えへ、だいじょぶ…じゃ、ないよぉ?」
NANAの足元はまだおぼつかなくて、支えを求めてしなだれかかってくる。
「しっかりしろよ。俺もう帰るぞ」
「やーだぁ〜!んふふ、勇気おんぶしてー!」
「はぁっ?!」

なんで俺がそんなことまで…。
くっそー、後で思いっきり文句言ってやる!

「あーーーもう、わかったわかった!乗れっ!」
イラっとしながらもNANAを背負ってみたら…背中に押し付けられる柔らかい感触に胸がドキっとした。
(やべっ、けっこうデカい…)

いやいやいや、そんなこと考えてる場合じゃない。部屋まで送ったらすぐ帰る、帰るぞ!
あわてて首を振り、頭の中から雑念を追い払った。


玄関のドアを開けて中に入る。
靴を脱ごうとNANAを床に降ろすと、彼女はもうすやすやと眠ってしまっていた。
(やけに静かだと思ったら、こういうことかよ…)
「おいNANA、起きろ」
肩を軽く揺さぶっても一向に目を覚ます気配がなくて、思わずため息を吐いた。
このままじゃ風邪を引いてしまう。
面倒だけれど、とりあえず寝かしつけてから帰ることに決めた。

靴を脱いで廊下に上がり、床に寝そべるNANAに改めて目をやった。
膝上までまくれあがったスカートの裾から白い太ももがチラッとのぞいていて…。
目が、しばらくそこに釘付けになった。

(もう…なんでいちいち意識してんだよっ!欲求不満なのかな。情けない…)

「あーもー、めんどくせー!」
わざと大声を出し、気を紛らわせてからNANAを抱き上げた。
363Intoxicated 4:2012/01/30(月) 01:26:13.62 ID:j9VTTgn3

「よっ、と…」
リビングのソファに一旦NANAを降ろした。
「どこだよ、ベッドルーム…」
部屋をグルッと見渡す。
白とブラウンで統一されたインテリア。ところどころにピンクの小物が散りばめられてアクセントになっている。
アロマキャンドルの香りがふんわりと漂う、とても女の子らしい部屋だった。
「なんかここ、落ち着くな…」
この空間で仕事の忙しさを忘れ、リラックスして過ごすNANAの姿が想像できるようだ。
リビングから繋がるドアを開けるとベッドが見つかった。
よし、ここだ。

もう一度NANAを抱き上げてベッドまで運ぶ。
風邪を引かないようにきちんと布団を掛け、明かりを消して部屋を出ようとしたその時。

「…ぅん……勇気…」
「なに?」
返事をしたけれど反応がない。
寝言だな。
「それじゃ、帰るからな」
「…好き…のに…バ……勇気のバカ……」
「……は?」

(好き?俺の…バカ?)

「…気付い…よ…」

「あの…NANA、起きてる?」
電気を点けて一旦ベッドのそばに戻ってはみたけれど、NANAが起きている気配はまったくなかった。
やっぱり、寝言…?

好きって言ってたな。きっと廉さんのことだ。
もしかして…廉さんとうまくいかないのが酔っ払った原因?
だとしたら、こいつはこいつで苦しんで、あんなに荒れているのかもしれない。
俺にだって何もかも忘れてしまいたい時があったから、少しはNANAの気持ちが分かる。
すぐに帰ろうと思っていたはずなのに、NANAの様子が気になってなんとなく帰りそびれてしまい、
目を覚ますまでリビングで待つことにした。
364名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 01:27:11.24 ID:j9VTTgn3
今回はここまでです
続きはなるべく早めに投下できるようにがんばります
365名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 21:01:10.75 ID:7aU7lYaK
板が不安定でようやく来られた。
こんなステキ作品があがっていたなんて…!
何かが始まるワクワク感が甘酸っぱくてキュンキュンする〜〜
全裸で続きをお待ちしていますw
366名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 21:38:15.20 ID:8uv3skYJ
>>364
GJ〜!
勇気って本当にいい奴だw NANAもかわいい
この後どうなるのか楽しみにしてますw
367名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 21:47:13.60 ID:qbck6Pk6
>>364
朝読ませてもらって感想書こうと思ってたのに繋がらなくてヒヤヒヤした!
GJです!勇気はやっぱりかわいいなぁ。NANAちゃん、もっと誘惑しちゃって!
時系列的には、まだ美男=美子の頃ってことかな?続き楽しみに待ってます!
368名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 22:06:00.98 ID:WRCXA6un
>>357
まずその書き手さんにお願いしてみたら?
本人さんが頼むならいいけど、いきなり他の書き手さんに頼むのはどうかと思うよ
369名無しさん@ピンキー:2012/01/30(月) 23:18:36.38 ID:BpC0czv/
>>358
>>368
やっぱそういうもんなのかー
投下当時のレス見るとひとまずここまで的な感じに書いてあるから、ご本人様から
続き投下していただければ一番いいんですけどね。
ちなみに自分は作文苦手なので書き手になるのは無理っすw
素晴らしい作家さんたちの作品読んでひたすらニヤニヤさせてください。
370名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 07:30:10.75 ID:HM+pkPao
A.N.JELLの新メンバーが元々「美子」だったら…
という設定で書いてみました
廉×美子 エロ無しです とりあえずw
投下します
371女性メンバーの加入 1:2012/01/31(火) 07:31:58.38 ID:HM+pkPao
A.N.JELLに女性の新メンバーが加入することになった
メンバーとの会食中にいきなり『決定事項』として社長が伝える
廉、柊、勇気の3人は反発するが
「女性ボーカル&キーボードがいた方がバンドの音楽性も幅も広がる」
「デビュー当初は女性ファン多数だったが、今は知名度も人気もあがり
幅広いファン層になって男性ファンも多いので、女性メンバーもあり」
「今まで事務所では男性タレントメインだったが、これを機会に
女性タレント・アイドル・女優を手がけていきたい」
と並べたてられ、最後は
「社長は俺だ!」で押し切られてしまった…

社長室での初対面
「新メンバーの桜庭美子だ」
「…ヨロシク…」
帽子を目深にかぶり一言挨拶する美子
(…愛想ないな〜コイツ)
どうしても加入に納得がいかない廉はその場で歌うことを強要するが
美子の天使のような歌声に引かざるをえなくなる
加入が決まり、新メンバー発表会、新曲発表とどんどん慌しくなった

雑誌のグラビア撮影の日、廉は空いたスタジオで一人で休憩していた
そこへ入ってきたのが、スタイリストのRINAと美子
RINAは手に次の分らしい衣装を持っている
(もしかして、あいつここで着替えるつもりなのか?)
女性が一人だけなので、美子はいつもいろいろ気を使っている
廉は覗きと思われても困る、と慌てて椅子の陰に身を潜めた
372女性メンバーの加入 2:2012/01/31(火) 07:33:24.42 ID:HM+pkPao
「ねえRINAさん やっぱりブラジャーってつけなきゃだめ?」
「だめよ〜絶対 女の子の格好してるんだから必要よぉ」
「う〜ん こんな窮屈なもの、女ってよくつけてられるよな」

(は?)廉はいま聞いた美子の言葉の意味がわからない
(あいつ…ノーブラ派ってやつなのか?)
出るに出られず耳をすませていると、信じられない言葉が聞こえてきた

「男ってばれちゃだめなんだから!ブラもパットも絶対外さないでよ」
「でもさ〜元々美子は大して胸ないよ 双子だから俺は知ってるw」

(お 男? 双子って…)
唖然としている間にRINAだけ部屋を出て行った
我慢できず、美子の前に出て問い詰める
「美子!お前が男って一体どういうことだ!」

ごまかしきれずあきらめた美子が説明し始めた
「行方不明の母が…元は歌手だったことがわかって、シスターを
めざしていた美子が歌手になって母の行方を捜したいって言い出した
それでA.N.JELLの女性の新メンバーに応募して合格したんだ
でも、今はまだシスターの修行中で海外にいて、デビューにあわせて
すぐに帰国することができなくて…合格を取り消されないように
双子の俺が美子の身代わりで今だけここにいるんだ」
「そんなごまかしが通用すると思ってるのか?」
「新メンバーに応募した時は美子本人の声でデモテープを作った
社長との面接は俺だ でも俺たちは顔も声もそっくりだから
今だけ俺がここにいても、美子が帰国次第すぐに入れ替わればわからない」
373女性メンバーの加入 3:2012/01/31(火) 07:34:48.46 ID:HM+pkPao
廉は最初、納得がいかなかったが…
『父を早くに亡くし、双子二人だけで生きてきたこと
美子とそっくりだというこの双子の兄の歌声も十分すばらしかったこと
妹のために慣れないだろう女装でバンド活動を続けようとしていること』
それを考えて、後少しだから…という身代わりの件を了承することにした
「お前たちはちゃんとバンド活動していく覚悟あるんだろうな?」
「もちろんだ 母親のこともあるけどA.N.JELLのために歌いたいんだ」

『美子』が実は双子の兄の『美男』であるとわかってから
改めて普段の様子をみていると、やはり男だな…と思えてきた
最初の挨拶が愛想なかったのも、男とばれないように
あえて口数を減らしたかったからのようで…
無理に「ワタシ」と言ったりはしているが、振る舞いがガサツだ

双子の秘密を知ってしまった手前、男とばれないように振舞う美男が
ついつい気になってしまうので、廉は結局手助けをしてしまう
そうしているうちに、美男が少しずつ廉に慣れてきたようだ

二人でいる時間が増えてきたのを見て、勇気がからかう
「廉さんと美子って…な〜んか怪しくない?」
「んな訳あるか!」「絶対無い!」
二人そろって否定するが、身代わりの秘密は詮索されたくない…
結局黙りこんでしまい、そんな廉たちを見て柊も勇気もニヤニヤ笑った
374女性メンバーの加入 4:2012/01/31(火) 07:36:27.39 ID:HM+pkPao
美男は、亡き父親と同じく音楽関係の仕事をしたくて、少し前まで
海外にいたらしい。楽器にも海外の音楽事情にもかなり精通していて
二人だけでいると音楽の話に没頭して、ついつい時間がたってしまう
(こんなことしてるから、柊たちに誤解されるのか…)
そうわかってはいるのだが、音楽の話で盛り上がれる美男が気に入って
廉は最近、美男に作曲やアレンジの相談をするようになっていた

「なにやってんだ?アイツ」
廉が時計を見てイラつく
今日は二人だけ揃ってオフだったので、新曲のアレンジの相談を
したくて、合宿所に美男を呼んでいた
女の『美子』は合宿所に住むわけにいかないので、普段はすぐ近くの
マンションに住んでいるのだが、美男が約束の時間になっても来ない
…と思っていたら玄関ドアのチャイムが鳴った

ドアを開けるなり「お前遅ーよ!」とにらんだが
いきなり怒鳴った廉を見て固まる『美男』…瞳がうるうるしている?
「なんだ どーした?」
違和感を感じて黙る廉に、涙を指でおさえてニッコリと笑って…
「すみません…ちょっとびっくりしちゃって 桂木廉さんですよね?
初めまして!美子です。兄の美男がお世話になってます」

本物の美子がいきなり登場した
375名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 07:42:35.00 ID:HM+pkPao
>>374
今回はここまでです
カプ廉×美子 なのに、ここまでに美子ほとんどいない…
スミマセン 次はちゃんと美子ターンでw
できればエロまで行きたい…がんばってまた来ます
376名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 09:52:23.48 ID:sCw0yMUV
>>375
面白い!!
妹の為に女装してANJELLにってww
いやぁ〜逆パターンって全然頭になかったけど、ありだねww
美子ターン&エロ楽しみにしてます。

逆パターンちょっと本当にドラマで見てみたい。
美織ちゃんなら出来そうw
377名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 11:12:53.90 ID:uE+Le5ZL
なんだかサバが落ち着いてないのかなかなか来れず、
やっと来れたら、こんな神作品達が!!! 宝箱や!!!!

>>364
いいっ!! NANAちゃんめっちゃかわいい!!
惚れた弱みで勇気にメロメロになる彼女が見たいなぁ。

>>375
そうきたか!! やられた!! 面白い!!!
私は廉×美子派でこれからくる美子ターンが楽しみなんだけど
不思議と廉×美男でいっちゃってほしいと思う自分がいる。


このドラマどの組み合わせでもしっくりするね。
職人さんたちの神技 ゆえだなぁ。いつもありがとう。
そのうち美子×馬淵とかありそうだ・・・かなりの純愛でw

378名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 20:07:25.23 ID:tMH25uyu
>>375
美子ターンなくても充分に堪能してしまったw

美男・廉がいい感じでw 勇気柊じゃないけど、からかいたくなります、
廉さん、美子が現れなければこのまま2人いい感じになりそうなw
379名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 20:50:16.15 ID:RkCRunb4
>>377
廉さんを振って馬淵を選ぶ美子


…とか想像したら吹いたw
380名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 20:57:39.70 ID:tMH25uyu
>>379
ちょww
普通に、廉と上手くいかなくなって(廉母との確執云々)で、
馬渕マネが優しく、手練手管で慰めて・・・愛育むって設定では?
年齢差知らないけど、前に、社長x美子カップリングがあったけど、それよりは、自分的には
まだ大丈夫w 社長は離婚の痛手とか、生々しすぎるのでw
381名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 21:13:27.59 ID:nNzEh6XA
個人的にNANA×美子、RINA×美子もアリだと思います
BLエロはあったけど百合エロはまだないし
382名無しさん@ピンキー:2012/01/31(火) 21:16:17.46 ID:vKBKtgAe
>>364
>>375
ふたつとも面白かった!続き楽しみ!
合わせて&簡潔ですまない。
383名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 00:46:39.68 ID:BxD0hupi
>>375 GJ!美子登場する前まででも十分楽しめた!!美男&廉かわいいw
続き楽しみにしています。

その他カプ好きとしてはいずれ挑戦したいかも!?<馬淵×美子
社長美子書いたの私です、お目汚し失礼w
384名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 19:20:34.20 ID:BucKoYBJ
>>383さん!
あなたでしたか!
社長×美子の意欲作!好きですよ!エロかったのがまたいい!

異色カプ好きとの事で
社長×RINA とか 馬渕×沢木 とかいかがでしょう!?
沢木さんなら柊さんとも合いそうだな…
385名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 20:33:54.41 ID:5ou6yabl
原作見たことないけど、馬渕xRINA 結婚したんだっけ?
日本版だと年齢差ありすぎるか。

>>382
NANAx美子、みたい!
NANAの執拗な意地悪も実は・・・秘めた想いからとかw
386名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 22:08:00.06 ID:PfQQlGK/
>>384
実際、馬淵×沢木はちょっと構想を以前練っていた…お蔵入りだけどw
その他カプ書くのは好きだけど、廉美子がほんとは大好物です。
百合エロは自分じゃ書けないが読んでみたい。
387名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 22:58:08.73 ID:/KU6VvIU
勇気×NANAの続きです
すいません、前回設定書いてませんでした
もう勇気にも美男=美子だとわかっている&NANAは美男にあれこれ意地悪中な設定です
長文になっちゃったので分けさせてください。エロなしです

前回投下分
>>360-363
388Intoxcated 5:2012/02/01(水) 23:00:10.93 ID:/KU6VvIU

───

ふと気が付くと目の前にNANAがいて、俺の顔を覗き込むように見つめていた。
「?!」
慌てて身体を起こしてしばらく辺りを見回し、そしてようやく自分が今どこにいるのかを思い出した。
どうやらNANAが起きるのを待っている内にソファで寝てしまったらしい。
知らない間に身体に毛布が掛かっていた。
「俺、寝ちゃったのか…ごめん」
NANAがコクンと頷く。
「その、おまえ…もう大丈夫か?」
彼女はもう一度、何も言わずに頷いた。

部屋着に着替え、ラグマットの上にペタンと女の子座りをしているNANA。
その姿はなんだかひどく心許なくて、小さく見えた。
自信なさげに伏せた目からは、可愛らしいアイドルの顔も、その裏側の小憎たらしい顔も想像できない。
それは俺が初めて見るNANAの表情で、なんだか新鮮な驚きだった。

「…こっち、座るか?」
NANAはまたひとつ頷いて俺の隣に少し距離を置いて座り、クッションを胸に抱えた。

酔いが覚めたら絶対に文句言ってやろうと思っていたのに、そんなことすっかり忘れてしまっていた。
NANAも黙ったまま何も話そうとしないから、どうしても気まずくなる。
沈黙が続く重い空気に耐えられなくなって、口を開いた。

「あ、あのさ。毛布…ありがとう」
NANAが軽く頷く。
「すぐ帰るつもりだったんだけど、迷惑掛けちゃったな」
今度は首を左右に振った。
「なぁ、なんでさっきから何も言わないわけ?」
彼女は何も言わずに俺の顔をチラッと見て、クッションに顔をうずめた。
なぜか、泣きはらした後のような赤い目をしていた。
「ま、いっか。気が向いたら話せよ」
そう声を掛けると、NANAはクッションに顔を押し付けるようにしてもう一度頷いた。
389Intoxcated 6:2012/02/01(水) 23:02:12.05 ID:/KU6VvIU

それにしても、改めて考えるとすごい状況だ。
成り行きでこうなったとはいえ、NANAの部屋で2人きりだなんて。
最近は嫌なヤツだと思うことが多かったけど、今のしおらしい姿を見ていると可愛らしいとさえ感じる。

もともとは大ファンだったんだよな…。
あの頃は裏の顔があるなんて知らなくて、雑誌やテレビで見る天使のような笑顔に純粋に惹かれたんだっけ。

(あーあ、いつもあんな風にしてれば可愛いのにな。そしたら俺だって今頃…)

 『NANAちゃん、俺と…付き合って下さい!』
 『……はい』

(そうそう、ちょっぴり照れたように俺に微笑みかけるんだ。くーっ、かーわいいっ!)

妄想した勢いで隣を見たら、NANAとバチッと目が合ってしまった。
恥ずかしすぎて大慌てで目をそらしたけれど、胸がバクバクして止まらない。
(しっ、静まれ!俺の心臓!)
自分の身体の一部なのに、どうにもコントロールできない鼓動。
それでもなんとか制御しようと、必死にその方法を考えて…。
「ちょ、ちょっとキッチン借りるからな!」

何か温かいものでも飲んで落ち着きたかった。
冷蔵庫にあった牛乳でホットミルクを2つ作り、NANAにもマグカップを差し出す。
「勝手に悪いと思ったけど…。飲みなよ、落ち着くからさ」

お互いに黙ったままホットミルクを少しずつすすった。
熱い液体が喉から食道を通り抜け、胃の中をじんわりと温める。
さっきまでの激しい鼓動も次第に収まっていった。
390Intoxcated 7:2012/02/01(水) 23:04:13.24 ID:/KU6VvIU

「ふぅ…」
温かいものを飲むと自然とため息が出てしまうのはなぜなんだろう。
そんなことをぼんやりと考えていたら、隣から小さな声が聞こえてきた。
「あったかい…」
マグカップを両手に抱えてNANAがつぶやいた。
深い息と一緒に、胸の奥につかえていたNANAの言葉も戻ってきたみたいで、なんだか少しほっとした。

「やっと喋った」
「…うん」
「どうしたんだよ。なんか変だぞ」
「勇気…」
「何?」
「ごめんね、迷惑かけて」

思いがけないNANAの言葉に正直うろたえた。
何で今日はこんなに素直なんだろう?
素直すぎてかえって気味が悪いくらいだ。

「いいよ、謝るとか…らしくないことするなって。そうだNANA、変な寝言言ってたぞ!」
「え…?」
「好きとか、バカとか、気付けとか」
「ぁ………」
NANAが耳まで真っ赤になって、またクッションに顔を押し付けた。
「バッカだよな〜。それ廉さんに言うことだろ?俺に言ったってしょうがないじゃん!カッコわるぅ〜」
わざとらしく大げさにからかうと、NANAは顔を伏せたまま首を左右に振った。
「違う…」
「はぁ?何が?」
NANAがクッションから顔をガバッと上げて、真っ赤な目で俺を睨みつける。
その真剣な顔に気圧されて怯んだ瞬間、NANAが俺の胸元を掴んでいきなり顔を近づけた。
391Intoxcated 8:2012/02/01(水) 23:06:14.29 ID:/KU6VvIU

「?!」

不意に押し付けられたNANAの唇。
何が起きているのかまったく理解できなくて、ひたすらまばたきを繰り返す。
ほんの数秒後、NANAは俺の胸を突き飛ばしてベッドルームへと駆け込んで行った。

「な、なんだよ今の…」

鼓動はめちゃくちゃに乱れ、押し付けられた唇の固い感触がジンジンと痺れるように残っている。
そんな…嘘だろ?


しばらく経っても寝室から出てこないNANAが気になり、ドアをノックしたが返事がない。
耳を澄ますとすすり泣くような声が聞こえ、急いでドアを開けた。
「…NANA?」
「来ないで!」
暗い部屋の中で、NANAはベッドの足元に座り込んで泣いていた。
その姿を見たら勝手に足が動き、気付いたらNANAのそばにいた。

「大丈夫か…?」
なぐさめないと、と肩に手を伸ばしたけれど、NANAはそれを拒んだ。
「勇気が好きなのは美男なんでしょう?!あたしのことなんかほっといてよ!」
なんとかなだめようとしても、じたばたして言うことを聞いてくれない。
「NANAっ!」
仕方なく両肩を無理に掴んで大声を出すと、NANAはビクッとたじろぎ、ようやく暴れるのをやめた。
涙を溜めた目で俺を見つめる。
392Intoxcated 9:2012/02/01(水) 23:08:23.86 ID:/KU6VvIU

「なあ、落ち着けよ。どうしたんだ」
「前に見かけたのよ…偶然、勇気があのバスに乗ってたところ。すごく切なそうな顔して…」
「えっ…?」
(もしかして、あの時…)

夏の終わり。
この前、俺がバスに乗っていた時だ。
もう美男のことは諦めよう。あいつには廉さんがいるんだから。
そう考えて、この気持ちを吹っ切ろうと思ってた。
NANAの言うとおり、切なくて、苦しそうな顔をしていたんだと思う。
実際、すごくきつかったから…。

「不思議なの…。胸が苦しくなって…それからもう勇気のことしか考えられなくなっちゃって…」
…全然気付かなかった。
ずっと、NANAは廉さんが好きなんだって思ってたから。

「勇気にあんな顔させる美男が許せなかったのよ!だから、だから…」
だから…美男にあんなことを。
そっか。俺のせいだったんだな。

「勇気に怒られて、ヤケになってお酒飲んで…。バカよね、私…」
NANAの目から大粒の涙がぽたぽたとこぼれ落ちる。
「泣くなよ…」
NANAの頭を引き寄せ、左胸で受け止めた。
あふれ出す感情の雫が服に染みこみ、その熱は皮膚をすり抜けて胸を締めつける。
素直な心をさらけ出してくれたNANAに真剣に向き合おう、そう思った。
393Intoxcated 10:2012/02/01(水) 23:10:37.59 ID:/KU6VvIU

「NANA、よく聞いてほしいんだけど…」
NANAの瞳をしっかりと見つめて話し始めた。

「俺は、美男のことを守りたいと思ってる」
「やめて!そんなの聞きたくない!」
NANAが必死に耳を押さえる。
「いいから最後まで聞いて!」
耳から手を引き離し、抵抗できないように手首をギュッと握りしめた。

「美男を守りたいのは、あいつが仲間だからだ。それ以上の気持ちは…もうないよ」
「え…」
「俺さ、1人になりたい時にあのバスに乗るんだ。そうすると、心をリセットできるから。
NANAが俺を見たのはたぶん、美男のことをあきらめようと思ってた時だよ。
確かに切なくて、苦しかったけど…。もう、あいつへの想いは吹っ切ったんだ」
「そんな…。じゃあ私…」
「そう、だからこれ以上美男にあんなことしなくていいんだよ。俺はもう、大丈夫だから」
「…本当に?」
「本当に!」
そう言ってニカッと笑ってみせると、NANAの表情がみるみるうちに呆然となった。

「もう…私って本当にバカ!勝手に勘違いして、美男にひどいことして…」
NANAが首を振りながらため息を吐く。自分で自分に呆れてしまったようだ。

「勇気…私のこと、嫌な女だって思ってるでしょ?…軽蔑していいからね」
ぐすっと鼻をすすり、手の甲で涙を拭いながらNANAが言う。
「軽蔑なんかしないっつーの。でも、美男には今度ちゃんと謝れよ」
「うん、そうする…」
「よしっ」
素直に頷くNANAの頭を、手のひらでポンポンと軽く叩いた。

あのNANAの態度は、愛情の裏返し。
それがわかったら、彼女のことが急に愛おしくなってきた。
自分のことをこんなに想ってくれる人がいる。それだけで、心が満たされる気がした。
394Intoxcated 11:2012/02/01(水) 23:13:11.95 ID:/KU6VvIU

「少し、遠回りしちゃったみたいだな」
「え?」
「俺、単純だからさ。はっきり好きだって言われた方がわかりやすいっていうか、その、うれしいっていうか…」
話し始めてから、まるでNANAに告白してるみたいだって気が付いた。
急に照れくさくなって、うまく話せなくなった。
「それにおまえ、素直にしてると…やっぱり可愛いし…」
そこまで言って、言葉に詰まる。
顔が熱い。

「かわ…いい…?」
「うん…。超、可愛い…」
ドキドキしながら小さな声でつぶやくと、NANAの耳が真っ赤に染まった。

「うれしい…」
そう言いながら、俺の胸にNANAがふわりと飛び込んできた。
ごく自然に、まるでここがずっと前から自分の居場所だったみたいに腕の中に収まる。

「好きよ、勇気。…ギュッてして」
「う、うん」
ためらいがちに背中に腕を回して、NANAの身体を抱きしめる。
やわらかくて、あったかくて…ずっとこうしていたくなった。

「ねえ、勇気」
「ん?」
「このまま…いっぱい抱きしめて…」
「あの…NANA、それって…」

少し照れくさそうにNANAが頷いて、俺の胸に顔を埋めた。
断る理由なんか、どこにもなかった。
395名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 23:15:12.82 ID:/KU6VvIU
とりあえずここまでです
続きがんばります!
396名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 23:19:44.34 ID:PSdyOuOQ
きゃーリアルタイムで遭遇!
すごくイイです、ドキドキするーー!
次はいよいよ…ですね。勇気がんばれよw
楽しみにお待ちしてます。
397名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 23:28:33.52 ID:QV5BDdWu
>>395
自分もリアルタイムで読んじゃった!GJ!
勇気の話が読みたかったので萌えました。
勇気×NANAいいねーかわいい!次回はエロ突入ですかね。待ってますw

ちなみに密かに勇気×美子の可愛らしい話もみたいな〜と思ってるので
誰か書ける書き手様よろしくお願いしますw
398名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 23:44:58.48 ID:PfQQlGK/
>>395
やったー続きが!!勇気もNANAも超〜かわいい!GJ!
やっぱり素直な2人がいいね。かわいいのにエロいの期待してますよ!
399名無しさん@ピンキー:2012/02/02(木) 05:58:18.89 ID:2qLJW7iO
>>395
やだ!続き超楽しみ!!!
400名無しさん@ピンキー:2012/02/02(木) 11:13:34.22 ID:FByCAjDc
>>395
ぐはっっ!! なんてかわいいんだ!!! NANA!!!
『ギュってして』なんて言われたら、もおおおお全力で抱きしめるっちゅうねん!!
ほーーれーーてーーまーーうーーがーーなーー!

悶えつつ全裸待機っす!
401名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 01:58:39.21 ID:FPxx85oC
先日投下した柊×NANAの続編(というか、その数ヵ月後のお話)を書きました。
エロ以外が長くなりましたが、エロありです。

前回投下分>>329-335  です。
402わがまま1:2012/02/03(金) 02:00:31.68 ID:FPxx85oC
A.N.JELLは、秋に半年ぶりの新曲をリリースして、そのプロモーションで忙しく活動をしていた。
昨年美男が加入してから初のアルバムも2ヵ月後に発売が決定しており、TV番組出演や雑誌の取材
その後予定しているライブツアーの打ち合わせなど…安藤社長はここぞとばかりに仕事を詰め込んで4人をフルに働かせている。

「さすがにそろそろ、休み欲しいよな」
「ほんと。そろそろアラームかけずにゆっくり寝たいよ」
雑誌のインタビューとグラビア撮影を終えた帰りの車の中で、勇気が愚痴って美男もそれに賛同した。
「お前ら弱音吐くなよ。もうしばらくは続くからな」
「わかってるって。ま、昨日のトーク番組でまた俺のファン増えてるみたいだしヨシとするか」
リーダーらしく渇を入れる廉だったがその声に少し疲労が見える。
美男はファンの支持数チャートをモニタに映したまま、1つ伸びをして瞼を閉じた。
しばらくして最後部の席に座っていた勇気も寝息をたて始める。

ブブブ…と携帯が震え、同じくまどろみかけていた柊はディスプレイに表示された名前を見て瞬時に眠気が飛んだ。
「NANA?…うん、大丈夫だよ。今、待ちなんだ?」
柊は、少し前に仕事が終わったとメールを送っていたのだった。
「あぁ、うん、そうそう。今、みんな寝ちゃってる」
出来るだけ声を絞り、つかの間の会話を楽しむ。
しかしNANAの出番が近づいたらしく、柊は電話を切ろうとした。
「え?ここで…?皆も居るし…いや、そうじゃないけど」
焦って、やや声が大きくなる。
「おい、そろそろ起きろー。着くぞ〜」
運転していた馬淵が、振り返って声をかけた。
重い瞼をこじ開けつつ、モゾモゾと勇気も美男も、いつの間にか眠っていた廉も体を起こす。

「もう出番なんだろ?そんなこと言ってないで…。わかったよ」
諦めたような口調で、柊は横を向いた。
「愛してるよ…」
極力小さな声だったが、既に目覚めていた他のメンバーが聞き逃すほどではない。
「じゃあ、頑張って」
そう言って電話を切ると、柊は自分に向けて突き刺さる視線で悪寒を感じた。
「あー、やってらんね〜」
「ほんとほんと。甘ったらしくて虫歯になりそうだね」
「いや、これは…その、仕方なく…」
美男と勇気に責められ、柊は慌てて弁解の言葉を探す。
「NANAは一度言い出すときかないからな。参ったよ…」
「だからって、さすがに俺らの前では慎め。今日だけは聞かなかったことにしてやる」
「ごめん、気をつけるよ」
廉にも釘を刺されて、柊は素直に謝った。


「私も、愛してる…」
柊との電話を切った後、NANAはそっとつぶやいた。
「もぉ〜、NANAだけ幸せそうでズルい〜いつもワガママ言っちゃって」
「何よ〜いいじゃない。柊は優しくって何でも聞いてくれるの。あんたも早く彼氏見つければ?」
通話中は誰も居なかったはず控え室にトオルがいつの間にか戻っていたが、NANAは悪びれもせずに言い放った。
「でもね、最近お互いに忙しくてなかなか会えないから。柊に会いたいなぁ…」
NANAさん出番です、とスタッフが声をかけに来てNANAはスタジオへと急ぐ。
「アイドルと人気アーティストか…大変そう。僕は普通の彼氏見つけようかな」
多忙な2人に同情し、一人になった控え室でトオルは衣装を片付け始めた。
403わがまま2:2012/02/03(金) 02:03:44.73 ID:FPxx85oC
その1週間後、ようやく柊とNANAの時間が合った。
柊は夕方に仕事が終わり、翌日は12時からの仕事が入っていたが、NANAは翌日はオフ。
約1ヶ月ぶりに恋人のマンションを訪れた柊は、ドアが閉まった瞬間に出迎えたNANAを抱き締める。
「会いたかったよ…」
「私も。ほんとに寂しかったんだから」
柊のぬくもりを感じて抱き締められたまま、NANAはわざと口を尖らせた。
「寂しい思いさせて、ごめん」
その柔らかい体を包む腕に少し力を入れると、NANAもそれに応えてより強く抱き締めあった。

翌朝、柊は目覚ましの鳴る前に目を覚ました。
目の前でまだぐっすりと眠っているNANAの顔に頬がほころぶ。
昨夜の甘い情事の余韻なのか、多少の気だるさが残った体をなんとか起こした。
NANAを起こさないようにそっとバスルームでシャワーを浴び、部屋に戻るとNANAも起き上がっていた。
「おはよう、よく眠れた?」
「うん、柊は?疲れ、取れたかな」
「NANAと一緒に過ごせただけで、すっかりね」
髪も乾かさないまま、バスローブ姿の柊はNANAを抱き締めて口づける。
起き抜けのぼやけた頭に、優しいキスが心地よくてNANAは「もっと…」とねだった。
「これ以上は、ダメだ。途中で止める自信ないからね」
「止まらなくてもいいのに…」
少し拗ねたように言うNANAの頭を撫でてから柊は身支度を整え始めた。
その間、NANAは柊の為にパンを焼いてコーヒーを淹れる。

「今日も、仕事が済んだらまた来たいんだけど…」
「うん、もちろん!夕飯作って待ってる」
軽い朝食を摂りながら2人はにっこり微笑み合った。
幸せな朝。柊とのこんな時間がもっと欲しい…。NANAは心からそう願う。

一度宿舎に戻り、他のメンバーと合流してからTV局へと向かう予定の柊は、時計を見てハっとした。
「ごめん、もう行かないと」
「…」
「NANA?どうした?」
急に黙り込んだNANAに、柊は優しく問いかける。
「行ってらっしゃいって、言ってくれないのか?」
「…やだ。もう少しここに居て」
「NANA…夜また来るから。…ね?」
そっと頭を撫でて髪を梳いてあげると、NANAは潤んだ瞳で柊を見つめた。
「そう…だけど…でも」
「あんまり困らせるなよ。そんな顔見たら出て行けなくなる」
しばらくNANAを抱き締めてから、柊は「じゃあまた」と玄関へ向かったが…。
そこには、あるべき柊の靴が無い。
靴箱を開けるが、そこにはNANAの靴が綺麗に並べられているだけだった。
「NANA?俺の靴…どこに?」
「もう少し居てくれないと、出してあげないから」
「…わかった。もう少しだけだよ?」
404わがまま3:2012/02/03(金) 02:05:03.17 ID:FPxx85oC
NANAのワガママに柊はいつもと同じように根負けし、TV局へ直行するからと、馬淵へ連絡をした。
しかし、そうしても時間の猶予は15分ほどのもので、柊はその間NANAを抱き締めて
顔の至るところにキスを落とす。
ちゅ、ちゅっと軽い音がする度に、NANAは却って寂しさが募る。
「柊…」
タイムリミット間際で、NANAは自分から柊の唇を奪った。
まるで貪るように、ソファで柊に跨って舌をねっとりと絡み合わせる。
「んっ…ふっ…な、なっ!」
柊はその誘いに負けそうになるが、なんとか理性を働かせてNANAを引き離した。
「もうさすがに、行かないと。いい子で待ってて…?」
「柊…やだぁ」
ふぅ…と1つため息をつき、柊は立ち上がった。
「もう行くよ。NANA、頼むから」
「ヤダって言ったら…?」
しぶとく粘るNANAに、柊はいつもより少し低い声で言った。

「NANA。俺をガッカリさせないでくれ。見損なったりしたくない」
優しい声色しか知らなかったNANAは、聞きなれない口調にたじろぐ。
「靴を、出してくれ」
いくら売れっ子であっても現場に遅刻することがどれほどに迷惑をかけることになるのか。
そんなことはNANAも同じ業界に居る者として十分にわかっていた。
NANAは隠していた柊の靴を出し、玄関で揃える。
柊は何も言わずに、玄関のドアを開けてNANAを一瞥してから仕事へと向かった。


わかってる…自分が子供だってことは。
まるで駄々っ子のように柊を困らせて、怒らせて。
それでも尚、一緒に居たい気持ちを止められなかった。
NANAはそんな自分の正直さがイヤになるが、それだけ彼を欲している自分をキライになれない。
大げさかもしれないが、柊と付き合うようになって初めてこの世界で生きている喜びを実感できるようになっていた。
ごめんなさい、と…せめてメールだけでもすべきかもしれないが、今朝の柊の重い声を思い出すと少し怖くなる。
きっと、優しく許してくれるはずなのに。

今夜も来ると約束したことを、何の連絡も無いまま破るような人ではない。
きちんと顔を見てから謝ろう。そうすれば心からの笑顔を見せて許してくれる。
そう決意し、NANAは柊を迎えるべく夕飯の買い物へと出かけようと厚めのジャケットを羽織った。
405わがまま4:2012/02/03(金) 02:06:18.87 ID:FPxx85oC
スタジオでのトークとライブ演奏の収録は順調に終わり、A.N.JELLのメンバーは衣装を脱いで私服へと着替えていた。
「んじゃ、お疲れさまー!」
いち早く着替え終わった勇気は今夜久しぶりに昔からの友人と会えるらしく、勢いよく控え室から飛び出していった。
「俺は次、行ってくる。お疲れ」
廉は単独の雑誌の仕事が1件あり、馬淵と共に次の現場へと向かう。

「柊は?これからまたNANAんトコ?」
「あ、あぁ…まぁ」
「なんだよ、歯切れ悪いな。まさか喧嘩でもしたか?」
美男は、いつもと様子の違う柊に首をかしげる。
それを聞きつけて、RINAも2人のそばへ駆け寄った。
「柊でも喧嘩したりすんの?何なの、原因は」
「RINAさんまで…参ったな。いや、喧嘩ってわけじゃなくて、ただちょっと叱ったっていうか…」
思わぬ追求に、苦笑しながら柊は答えた。
「あいつ、ワガママだからなー。柊も苦労するよね。じゃ、お疲れっ」
話を振っておきながら、美男はさっさと控え室を後にした。

「RINAさん、その…自分が悪いことして怒られた場合、次に会う時ってどう接してもらいたい?」
「そうねぇ…変にいつも通り優しくされると、謝るタイミングを失くしちゃうわね。それに、調子に乗ってしまう気もする」
RINAは、柊とNANAのことを想像しながら考え込んだ。
「ある程度、ちゃんと謝れるまでは少し厳しくしたほうがいいわね。
 ちょっとお仕置きしちゃうとかね?結局うやむやにするのが一番良くないし」
「厳しく…お仕置きか…」
「ま、あんた達なら大丈夫だと思うけどね。頑張りなよ」
柊はRINAに力強く励まされて、NANAのマンションへと向かった。


柊がNANAの部屋に着いたのは夜7時を過ぎた頃だった。
どんな顔をしてNANAが迎えるのか…自分はそれに対して、どうすればいいのか。
あぁでもない、こうでもないと何度も頭の中でシミュレーションしていたが、
ドアの前に来れば早くNANAの顔を見たい気持ちが勝る。
呼び鈴を鳴らすと、数秒の間の後すぐにドアが開いた。
「柊…来てくれたのね」
「あ、あぁ…」
「入って。ご飯出来てるから温めるね」
NANAはすぐにキッチンで料理を温め始め、とりあえず柊はリビングのソファに腰掛けた。
次々にテーブルにはNANAの手料理が並べられ、間違いなく美味しそうな匂いが柊の食欲を掻き立てた。
406わがまま5:2012/02/03(金) 02:07:40.75 ID:FPxx85oC
柊が食卓につくと、NANAは少し俯いたまま柊の顔を見ない。
「NANA。食べる前に…今朝のことだけど」
「うん…」
「俺だって、お前のワガママは何でもきいてやりたいと思ってるよ。
 でも、出来ることと出来ないことくらいはある」
「ええ…わかってる」
柊はいつもより少し強い口調で、NANAもその言葉を1つ1つ噛みしめる。
「NANAと仕事は比べたくないし、比べられるようなものじゃない。それはNANAも同じだろ?」
「…うん。私も、そんなの無理…」
「だったら。もう今日みたいなことはしないって約束してくれ。…いい?」
「約束するわ。柊、ごめんね…ごめんなさい…」
俯いていた顔を上げ、しっかり柊の顔を見てNANAは素直に謝った。
「よし。それじゃ、冷めないうちに食べてもいい?」
「もちろん。どうぞ」
そして2人はいつもと同じように笑顔で夕食を楽しみ、一緒の時間を過ごせることに喜びを感じた。


翌日は朝からNANAにロケの仕事が入っていたのでシャワーを浴びた後、2人は早めにベッドに潜り込んだ。
風呂上りのボディソープやシャンプーの良い香りと互いの微かな体臭が混ざり合い、
それだけで普段のベッドが極上の空間に変わる。

「しゅぅ…」
甘えた声で、NANAはキスを求め、柊もそれに応えた。
唇が重なり、そのまま抱き合って深いキスへと変わる…いつもであれば。
しかし柊は、2度だけ軽く柔らかなNANAの唇をついばんだだけで仰向けになって目を閉じた。
「おやすみ、NANA」
「おやすみ…なさい」
きっと仕事で疲れてるのね…。そう思って、NANAは拍子抜けしてしまった自分を納得させようとしたが、
柊を求める体は中心から少しずつ疼いている。
柊の反対側に顔だけ逸らして、その疼きを考えないようにNANAも瞼を落とした。
407わがまま6:2012/02/03(金) 02:09:12.98 ID:FPxx85oC
数分後、NANAがまだ寝付かれずに少し体勢を変えると、寝巻きにしているパイル地のルームウェアの裾から
柊の手が侵入してくるのに気付いた。
「柊…?…あっ…」
NANAのほうも向かず、目を閉じたまま左手だけNANAの上半身をまさぐっている。
その手はすぐに豊満な胸元へと達し、やわやわと揉み始めた。

やっぱり、柊もホントはHしたかったのね…。NANAは嬉しくなって、柊の手の温もりと動きに身を任せた。
しかし一向に激しく愛撫する気配も…キスする気配すらなく、柊の手はNANAの乳房を優しく触っているだけで、
敢えて乳首を刺激することもない。
「柊…ねぇ、もっと…」
もどかしくなったNANAは、体を起こして柊の顔を見るがまだ無表情のままだ。
「どうかした?」
柊はようやく目を開けて、NANAと向き合った。

「柊…今日は変よ?いつもと違う」
「そうだね、いつもと違うことしてみようかって」
「…どういうこと?」
わけがわからず、NANAは眉を顰める。
「NANAも、Hしたい?」
「あ、うん…」
「じゃあ今日は、NANAがリードして?好きにしていいから」
まっすぐNANAを見つめて、柊はニッコリと微笑んだ。
「えぇっ?そんなの…」
「俺のワガママは、きいてくれないのか…?」
普段は年齢よりも落ち着いている柊が、子供のように甘えた口調で言うのが
何ともかわいくて、NANAはふふっと噴き出した。
「じゃあ…柊はじっとしててね?」
横たわったままの柊の腰を跨いでから、NANAは長い髪を耳にかけた。
408わがまま7:2012/02/03(金) 02:10:37.76 ID:FPxx85oC
柊は微笑んだまま、下からNANAを見上げる。
だんだん顔の距離が近づいて、首筋にはサラサラと彼女の髪が当たってくすぐったかった。
「柊…大好きよ」
唇が触れる寸前に、NANAは素直な気持ちを言葉にする。
さっきしてもらえなかった濃厚なキスを、今度は自分から。
柊に覆いかぶさって口づけると、自分の唾液が彼の口内に侵入していくのがわかる。
息苦しいほどに舌と舌を絡ませて角度を変え、歯列をなぞって唇に吸い付くと互いの頬が上気していった。
「はぁっ…ふっ…んっ」
「ん…はっ…ん」
十分にキスを堪能した後、NANAは柊の上着を脱がせる。
全部脱ぎ終わる前に、我慢できずにNANAは程よく筋肉のついた胸板に唇を寄せた。

「柊の体って…すごく好み」
まずは耳の下から首筋、鎖骨までをペロリ…ペロリと舐めながら、片方の手で乳首を玩ぶ。
「はっ…ぅ、ん」
敏感な部分を弄くられて柊は思わず声を出した。
「感じてくれて嬉しい…」
「NANA…っ!」
今度はもう片方の乳首を執拗に舐める。ざらりとした舌の感触で柊は体中が熱くなってくるのがわかった。
NANAは自分も服を脱いで下着姿になり、柊も下着だけの格好になる。

「もう、こんなに大きくなってる…」
柊のボクサーパンツの中で、窮屈そうに盛り上がっているものをNANAはそっと指で撫でた。
「解放してあげなきゃね…」
NANAがその最後の一枚に手をかけると柊は腰を浮かして脱ぎ捨てた。
「それ、NANAのせいでこんなになったんだけど…?」
柊がおどけて言うと、NANAは艶のある笑みを浮かべる。
「じゃあ、責任取ってあげようかな…」
2つの玉を指先でコロコロと転がしながらそう言った後、NANAは髪をかきあげて、そそり立っている柊のものを口で包み込んだ。

生温かいNANAの口の中で上下に刺激され、先端の特に敏感な場所を何度も舌の先で舐められる。
じゅる…じゅび…と、NANAから漏れた唾液が音を発して、2人はこの卑猥な行為にますます没頭していった。
「な、なっ…ん…ぁっ」
強い刺激を何度も受けて柊は限界が近づいていたが、それを察したNANAは動きを止めて顔を上げる。
口の端から垂れている涎を手の甲で拭う姿が何とも色っぽくて、柊はすぐにでも自分で押し倒したい衝動に駆られた。
「ちょっと待ってて?」
ベッドサイドの棚からいつも使っているコンドームを取り出す。
「それは、俺が…」
柊がそう言う間にNANAはするすると器用に装着させ、自分も下着を全て脱ぎ捨てて全裸になった。
「じっとしててって、言ったでしょ?」
にこりと笑ってNANAは軽く柊に口づけると、座っていても見事に上を向いている柊のペニスを自分の中心へと飲み込んだ。
409わがまま:2012/02/03(金) 02:13:17.70 ID:FPxx85oC
柊に愛撫を受けていないはずなのに、NANAの秘所は既にトロリと潤っていて
わずかな抵抗だけで柊を奥まで難なく誘い込む。

「ぅ、…あっ…」
先ほどのフェラチオよりも、さらにNANAの熱さを感じて声が出る。
素肌で感じるNANAの乳房の膨らみも、鼻をくすぐる女の香りも、
そして繋がっている部分に受ける最高の刺激も。柊はその全てに酔いしれた。

「柊っ…んっ…きもち、いいっ…?」
「うん…っ、いい、よ…NANA…!」
上で腰を動かしているNANAの額に汗が浮かび始め、密着している部分も汗ばんでいる。
「もう…じっと、してられない…!」
「えっ…?…きゃっ」
快感を得るほどに、柊はされるがままの自分に我慢できなくなった。

「今度は、俺の番だ…」
繋がっている部分はそのままに、深くキスをしながらNANAを組み敷いた。
目の前でぷるりと揺れている2つの胸をやや強く揉んでその手触りを楽しむ。
するとNANAは、柊の腰に自分の脚をしっかりと巻きつけてより密着させた。
「ゃ、ぁっ…んっ…ん、あっ」
NANAの細い腰を持ってぐいぐいと出し入れを繰り返し、摩擦の快感が互いを襲う。
のけぞる白い首筋に見惚れながら、柊は締め付けてくる膣内で溜まっていた精を吐き出した。

「はぁっ…はっ…ん…」
NANAの胸元に頭を乗せて、柊は彼女の体を抱き締める。
「柊…?ぁんっ…!」
幸せな行為の余韻に浸ろうとしていたNANAは、不意にまた胸へ愛撫を始めた柊に驚く。
NANAは胸のてっぺんを口に含まれ、舌先で転がされた。
それと同時に、既に愛液でびしょびしょに濡れそぼった秘所へと柊の指が侵入する。
「柊っ…?ど、した…の…んっ、ゃっ」
2本の長い指が、NANAの中の一番良い所に何度も当たっていた。
「やっぱり、こうやって…NANAが感じてるところを見たいんだ」
「あ、んっ、やっ…ん」
NANAの奥からはまだ愛液が溢れてきて柊の手を濡らす。
胸と膣内を同時に攻められて喘ぐNANAは、最後に膨らんだクリトリスをクニクニと捏ねられ
頭の中が真っ白になって達した。
その後も柊の巧みな愛撫は続き、NANAは何度も何度も絶頂を迎えて最後はクタクタになるほどだった。


ようやく柊がNANAを解放したのは、最初に「おやすみ」と言ってから約3時間後だった。
行為の余韻を残すベッドの中は、疲れ果てた2人を柔らかく包んでいる。
「ねぇ、柊…今日はどうしちゃったの?いつもと違うこと、なんて」
「あぁ、実は…NANAのワガママに、お仕置きしようかなと思って」
「え〜?何なの、それ」
柊の腕枕に頭を乗せて、NANAはケラケラと笑った。
「最初は、素っ気無くHナシって思ってたけど…NANAが横に居るって思ったら俺のほうが我慢できなくて」
「柊ったら、えっち…」
「次は、NANAに全部させようと思ったけど、それもやっぱり我慢できなくてさ」
「じゃあ、お仕置きにならなかったわね」
苦笑いして欠伸をする柊に、NANAはにっこり笑いかけた。
「おやすみなさい」
「おやすみ」

すぐに寝息を立て始めた柊の顔を見つめながら、NANAは「こんな素敵なお仕置きがあるなら、また何かワガママ言っちゃおうかな…」と
心の中でつぶやいた。
410名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 02:17:34.99 ID:FPxx85oC
以上です。最後、タイトルに8を入れ忘れてしまいました。すみません。
無駄に長くなってしまい、読みづらいかもですが…なんだかんだとラブラブな
2人を書きたかったのです。
そろそろバレンタインのネタとかもいいですよね。かなり遅筆なのですが挑戦したいです。
411名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 03:51:25.67 ID:O5X01Yzk
>>410
ラブラブGJ
切なく泣けるのもいいけど、甘々はやっぱいい!
こっちまで幸せになるわw
412名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 17:24:10.41 ID:ExjCQmLX
>>410
GJ!お疲れ様でした。その後の2人が読めてすごく嬉しい〜
柊さんもNANA ちゃんもラブラブでエロくて可愛いくて最高です
ごちそうさまでした
413名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 21:47:34.73 ID:52K1ZABC
>>410
GJ!!柊さん好きなので久しぶりにエロが読めてよかった
バレンタインいいね。その後のホワイトデーネタまで期待してしまうww
414名無しさん@ピンキー:2012/02/03(金) 23:35:34.21 ID:TuK7cJRa
>>395 >>410
すごい! どっちのNANAもエロくてかわいすぎで「あり」なんてw
勇気と柊さん どちらを応援したらいいのか迷うんですが
両方ともGJです 続きお待ちしてます〜w
415名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 00:15:55.47 ID:u+ud6xr4
>>414
どっちを応援って…別の世界のお話だしw
でもNANAちゃんは相手が誰でも似合う感じだよね。
最近、かわいいNANAちゃんが多くていいですな。
416名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 13:40:07.38 ID:uqt0BtEq
先日、廉美子で美男に女装させたものですw
感想いただいた方ありがとうございました!
美子ターンで続きができたので、投下します

廉×美子 エロありです
前回投下分>>371-374
417女性メンバーの加入 5:2012/02/04(土) 13:41:39.98 ID:uqt0BtEq
「最近の美子、超かわいくなってない?」
勇気がひそひそささやく
「ああ 最初は愛想があまりない感じだったけど、今は違うよね」
柊は、スタジオの隅でスタッフとニコニコ話している美子をみて頷く
「やっぱさ〜廉さんとうまくいってるんだよ! ほら! 女の子は
恋するとキレイになるっていうしw 別人みたいにかわいいもん」

(ってか別人だろ!)
二人のひそひそ話が聞こえて、廉が心の中でつっこむ
美子は、美男と入れ替わってしばらくは慣れぬ環境に戸惑っていたが
元々素直で順応性も高かったようで、今はほぼ完全に馴染んでいる
世間一般の評価も高いようで
「A.N.JELLの歌も演奏も以前より断然良くなった」
「新メンバーの美子がどんどんかわいくなっていってる」
と、もっぱらの評判だ
美子目当ての男性ファンで、ファンクラブ会員数が急増している話も聞く

「廉は…美子に照れてる感じがするけどね 特に最近」
柊の言うとおりだった
美男から、美子のことをいろいろ聞いてはいたのだが
実際に本物の『女の子』になったことでかえって意識してしまい
廉は以前のように話しかけられなくなってしまったのだ
(違う違う!今までが『美男』だったからちょっと…慣れてないだけだ)

一方、美子の方は少し落ち込んでいた
美男から『秘密を知った廉がいろいろ気遣ってくれる いい奴だ
音楽の話やバンドの将来などすごく話が弾んで楽しい』
と何度も聞かされ、美子は誰よりも廉と会うのを楽しみにしていた
美男に替わってようやくA.N.JELLに加入できたのだが
美子が話しかけても、廉とはそれほど話が弾まないような…
(私ではバンドの役にたててないかも お兄ちゃんの方がよかったのかな)

廉と美子の二人だけになった時 廉が口を開く
「アイツ…兄貴は今どうしてる?」
「あっ お兄ちゃんは今は一応、私のマンションにいます」
「一応って?」
「また海外で音楽の勉強とかしたいみたいで、知り合いと連絡とったり
渡米の準備したりで忙しそうなんです 部屋に戻って来ない日もあって…」
「そっか…」
結局話が続かず沈黙に耐えられなくなり、廉は美子のそばを離れた
(あーくそっ 美男の話じゃなくて!美子と話ができなきゃダメだろ、俺)
(私、廉さんにまだ認めてもらえてないのかな もっとがんばらなきゃ)
二人してため息をつくが、お互いに気づかない…
418女性メンバーの加入 6:2012/02/04(土) 13:42:50.20 ID:uqt0BtEq
美子のソロデビューが決まった
廉の作曲だが、美子が自分から志願して作詞した曲で
恋する女の子の切なさが伝わる、かなり良い出来に仕上がった
感極まって涙をためながらレコーディングする美子…
そんな美子を見て、駆け寄って抱きしめたくなるのを抑える廉
(俺…美子のこと好きなんだろうか いや違う違う違う たぶん でも…)
廉は一人で延々と悩み続けた

美子のレコーディングの出来栄えに、大満足でメンバーを集めた社長
「ソロのPVは、美子の歌に負けないくらいすご〜く力いれなきゃな!」
『美子主演、メンバー総出演』で恋愛ドラマ仕立てにしたいらしい
「美子が恋する男性役は…誰にしようか…?」
社長が決めかねていると、密かに目を合わせてうなずいた柊と勇気が
「はい!俺にやらせてください」「俺がやりたいです!」
同時に立候補した
(な 何?)廉はうろたえる
(あいつら…美子の恋人やりたいのか?ってか もしかして二人とも…)

『最近の廉と美子は以前ほどうまくいってないんじゃないか?』と
勘繰った柊と勇気が、実は廉を煽ったつもりだったのだが
廉はさっぱり気づかず、いまさら二人のように立候補もできない…

「誰がやってもいいんだがな…よし 美子、お前が選べ」
社長は、相手役を美子本人に選ばせることにした
悩む美子…息を飲む廉…二人の顔を横目でそっと見比べる柊と勇気…
「廉さんで、よろしくお願いします」
一瞬笑顔になり、ハッとしてすぐにポーカーフェイスでごまかす廉を見て
柊と勇気は笑いをかみ殺すのに必死だった

PV撮影の日…
ポンチョ風のコートにふんわりとしたミニワンピ、ヒール付きのブーツ…と
いつもと全く違う衣装の美子
普段のA.N.JELLでは、全員の色身やテイストが揃うようにしつつ
RINAがそれぞれの個性に合わせた衣装を用意しているのだが
最初『美男』だったこともあり、いつもの『美子』は少年っぽい感じで
ごつめのパンツ、エンジニアブーツ等、女性らしくない衣装が多いのだ
419女性メンバーの加入 7:2012/02/04(土) 13:43:52.41 ID:uqt0BtEq
(やばい 今日のアイツ、やけにかわいいな)
そういう廉は、白いシャツにカーディガン、チェックのパンツに
細身の眼鏡…と、どこかのおぼっちゃま風
普段の趣味と全く違うのだが、今回は『落ち着いた男性』という設定らしい
(廉さん 似合っててとても素敵です!)美子も密かに喜んでいた

「おい なんで俺を選んだんだ?」
撮影の合間に、ずっと気になっていたことを美子に聞く廉
「あの…撮影のコンセプトとか設定とか事前に聞いてたので…
恋する相手の人が『無口で大人な人』だったので…廉さんに…」
消え入りそうな声で答えた美子に、廉は愕然とした
(無口って 美子の中で俺ってそんなイメージなのか?
そりゃあ勇気と比べたら、俺は全然違うけど…でもそれって
柊よりも俺のほうが美子と全くしゃべってないってことだよな…)
「…ふーん…」
ちょっと肩を落として離れていく廉をみながら、美子はそっとつぶやく
「大人で頼りがいのある…廉さんに恋する役を私がやりたかったんです…」

社長が、脚本になかった『廉と美子のキスシーン』をいれると言いだした
「話題性だよ、話題性」ということらしい
PVの監督はもちろんちゃんと別にいるのだが、このソロ&PVにかなり
気合の入っている社長は、監督そっちのけで指示を出し続けている
結局、社長のごり押しで決定し、二人はカメラの前に立った

廉は『美子とキス』という状況に、芝居とはいえ一瞬うれしくなったが
すぐに『無口だから選んだ』という美子の言葉を思い出す…
カメラが回る直前、廉は美子に小声で言った
「俺なんかとキスなんて嫌だろ? 大丈夫だ お前にキスはしない!
わからないように直前でやめるから…心配しなくていい」
「!」
美子は目を見開いた(廉さん…私が嫌いなんだ)
420女性メンバーの加入 8:2012/02/04(土) 13:45:05.25 ID:uqt0BtEq
カメラが回り始める…
廉は美子の肩にそっと手をおき、徐々に近づくカメラの死角に入るため
自分の体と顔の位置をわざと変えようとして、美子に顔を寄せ…
息を飲んだ

廉を見上げる美子の瞳からどんどんこぼれる大粒の涙
ここで言うはずだった台詞が出てこない廉
「お前…なんで…」
それだけ言うのがやっとだ
美子は廉に背を向けて嗚咽をこらえて走り去り、撮影を見守っていた
柊と勇気が慌てて後を追ったが、廉はその場から全く動けなかった


【美子の瞳から大粒の涙 あふれる涙をこらえきれず走り去る…
その姿を驚きの表情で見送ることしかできない廉…静かに流れるサビ】

街頭の大型ビジョンに映る美子のソロPVを、運転席から廉は見上げた

結局、キスシーンは無くなった
カメラが捕らえていたあの美子の涙、廉の表情のインパクトを
生かしたつくりで、曲の良さとともにPVはかなりの話題になっていた
あちこちで頻繁に流れるPVを見るたびに、廉は唇をかみ締める…

あの後…柊たちに付き添われて戻ってきた美子は
赤く腫らした目で…でもギリギリの笑顔で廉に向き合った
「あの…いきなりでちょっとびっくりしちゃって…スミマセンでした」

それからの美子は前と変わらない明るさで過ごしているようにみえる
でも…
「あれって…俺が泣かせたってことなんだよな たぶん」
思い出すたびに胸につきささり、廉はどうしていいかわからなくなる
そして、ようやく『想い』を自覚する
「美子をこれ以上泣かせたくない 絶対! 俺 やっぱり美子が…」
421女性メンバーの加入 9:2012/02/04(土) 13:46:13.49 ID:uqt0BtEq
ソロ曲が好評な美子に…との依頼で、廉と二人で受ける取材の日
待ち合わせの場所に美子が現れない…時間が迫り廉が焦っていると
「お待たせしてスミマセン」
衣装もメイクも済ませて廉の隣に並んだのは…美男だった
(おい!お前なんでここに? アイツはどうした!)
廉が小声で問い詰めると、美男は前を見据え無表情のまま答える
「後で話すから…今はこのままで頼む」
それ以上何も聞けない雰囲気に呑まれて、廉は口をつぐんだ

廉は美子のマンションのチャイムを押した
しばらくして目を赤く腫らした美子がドアを開ける
「廉さん…」
「さっき美男に事情を聞いた」
美子の瞳からまた涙がぽろぽろとこぼれた

今日、取材前の時間…マンションにおばが訪ねてきた
ずっと母の行方を捜してくれていたのだが
『実は既に亡くなっていた』ことがわかり、伝えにきたそうだ
それを聞いた美子は気が動転して取材にいける状態ではなくなり
美男がもう一度身代わりで現れた ということだった

しばらく泣き続けていたが、少し落ち着いた美子は
ソファの隣で見守っていた廉を見つめた
「廉さん スミマセンでした 今日の取材…」
「大丈夫だ 美男が来てちゃんと終わったから」
「お兄ちゃんにもまた迷惑かけて…お母さんに会いたくて
いろんな嘘ついてA.N.JELLに入ったのに…私、なんにもできなくて…」
また涙があふれる美子をたまらず廉は抱きしめた
美子が目をみはる

「なんにもってことはないだろ?お前は今、自分でがんばってるんだから」
「でも…お兄ちゃんは何でもできて…A.N.JELLにはお兄ちゃんの方が…」
抱きしめていた腕をゆるめて、廉は美子をじっと見つめた
「美男は確かにいろいろできるかもな 俺もアイツと話すのは楽しい
でもA.N.JELLに必要なのは『桜庭美子』だ 兄貴じゃない
俺がそばにいてほしいのも…お前だ」
422女性メンバーの加入 10:2012/02/04(土) 13:47:19.70 ID:uqt0BtEq
廉の真剣なまなざしに、美子の顔が一気に赤くなる
「あのあのっ それってどういう…」
廉はもう一度美子を抱き寄せ、耳元でささやいた
「お前が好きだ…俺のそばにいてほしいし、俺はお前のそばにいたい」

一瞬の沈黙の後、美子は廉の体をゆっくりと抱きしめた
「私も廉さんが好きです 廉さんのそばにいたいです
支えてくれる人のために…廉さんのためにA.N.JELLでがんばりたい」
廉は美子に額を寄せて、瞳を捉える
「これからは…俺がお前を守ってやる」
美子の頬にそっと手をそえて口付けた

最初は軽い口付けだったが、気づかない間に深くなっていった
美子は廉の舌の動きにあわせて息を乱し始め、抱きしめる腕に力をこめる
美子の紅潮する頬と潤んだ瞳を見ながら、廉は片手を美子の胸の
ふくらみにそっと沿わせた
一瞬ビクっとしたが、美子の息遣いに嫌がっている風は感じられず
甘い吐息と抱きしめた美子の熱さに、廉は理性も意識もゆらぎはじめた

(ここじゃだめだ…)
美子の部屋は初めて来たが、リビングのソファじゃなくて…
廉はそっと顔を離して美子を抱き上げると、リビングの脇のドアの前に立つ
たぶんこの奥が…
「ここ 開けてもいいか?」
「あっ はい…大丈夫…です」
片手でそっと開けると、やはり美子の寝室だった
きれいに整えられているベッドに美子をそっとおろす

美子はいつもとは違う熱いまなざしの廉を見つめ
廉は吸い寄せられるように美子の瞳に軽くキスして囁いた
「美子 このまま…一緒にいてくれるか?」
「はい…廉さん」
廉は美子は強く抱きしめ、深く口付けながらベッドに身を横たえて
ワンピースのファスナーに手をかけた
423女性メンバーの加入 11:2012/02/04(土) 13:48:43.12 ID:uqt0BtEq
美子のワンピースもブラも取り去り、廉は自分が着ていたシャツを脱いだ
美子は真っ赤になって身を捩り隠れようとしたが、廉はその手を押さえる
いつかの美男の言葉を思い出す…
『元々美子は大して胸ないよ』
「…そんなことないじゃん…」
「え…なんですか?」
ぼそっとつぶやいた廉の言葉が聞き取れず、聞き返した美子に困って
真っ赤になった廉は、ごまかすように胸の先端に口付けた
「…あ…」
美子が軽く声をあげる

廉の手がゆっくり胸のふくらみを揉みしだき、舌先が先端を転がす
「あ…ん や… …はぁ…」
(…私の声? 廉さんが触れたとこが熱くて…我慢できない…)
美子は、自分が変わってしまう感覚に圧倒されて甘い吐息で喘いだ
最初、恥ずかしくて少しでも隠したい…としか思えなかったのに
廉がそっと離した美子の手は、少しでも確かな何か…
まずはシーツをつかもうとして、力が入らないのか空を切った

「ああ…ん…ん はぁ…ん…」
美子の甘い喘ぎ声…話し声とも歌声とも違う、少しかすれた高い声
『A.N.JELLの美子』の歌は多くの人を魅了する でも…
「俺の…だ…」
美子自身も美子の喘ぎ声も甘い吐息も…全部俺だけのものだ
『誰にも渡さない 聞かせたくない もっともっと聞きたい 喘がせたい』
廉は初めて見る美子の全てを得ようと、指と舌先の動きを早めた

「あ…あん…廉…さ…」
美子の手が宙をさまよっている
廉はその手に指をからませ、顔をあげて深く口付けて舌を絡ませた
「俺は…ここにいるから」
もう一方の手を太ももから徐々にそっとはわせていく
既に充分潤っていることを確認し、敏感な部分を探しながら撫であげた
424女性メンバーの加入 12:2012/02/04(土) 13:50:21.92 ID:uqt0BtEq
「ああっ…あん…あ…ん…ぃやぁ…」
美子の息がさらに荒くなり、かすれた喘ぎ声が高く響く
廉が首筋に舌をはわせ、どんどん溢れる熱い蜜の源を
こじ開けるように指を進め、全てを絡めとるように動かすと…
「…あ…ん…や…あぁ…」
一瞬、美子が大きく息を飲んだ
そして繋いだ手に力をこめ、荒い息遣いのままぐったりと動かなくなった

(達したか…)
自身も既に限界が近い気がする でも…『初めて』だよな?…
廉は甘い吐息を吐き続ける美子の耳元に顔を寄せた
「痛いかもしれないけど…少しだけ我慢できるか?」
こくっとうなずいた美子の頬に軽くキスをすると
避妊具をつけてそっとあてがい、腰をゆっくり押し進めていった

美子の瞳からまたもや大粒の涙…唇をかみ締め息を詰めている
(絶対泣かせたくないって思ったのに…また俺のせいか)
廉は動きをとめ、美子をもう一度そっと抱きしめた
「ごめんな 大丈夫か?」
美子は、つらそうな顔のままこくこくとうなずき、廉の腕をつかむ
意を決してさらに押し進めた廉は、奥まで到達したことを感じ
涙ぐむ美子に深く口付け、舌の動きに翻弄されて美子の息遣いが
変わるのを待って、ゆっくりと動き始めた

最初の貫かれた痛みが薄れ、徐々にかすれた喘ぎ声を発し始めた美子
「あ…あん…ん…れ…さ…」
既に廉の名前がまともに呼べなくなっている
でも廉も荒い息で喘ぎ始めていて、ちゃんと答えられない
「はあっ…ん…み…こ…はぁ」
片手で美子の腰を押さえ、もう一方の手は美子の指にからませ動き続ける
より強い快感を得たくて、美子の深いところに無我夢中で打ち付けると
「…あぁっ…」
美子がひときわ高い声と激しい息遣いでのけぞった
廉は朦朧とした意識で、ぐったりと達した美子をなんとか確認したが
「んぁっ…」
自分の喘ぎ声も、自身の動きが止まって開放しそのままふわりと
美子に崩れ落ちた感覚もわからないまま、静かに暗闇に落ちていった
425女性メンバーの加入 13:2012/02/04(土) 13:51:38.35 ID:uqt0BtEq
美子はゆっくりと目を開けた
「…」 
ぼんやりとした頭で軽く横を見て、廉の寝顔に息を飲む
(…そうだ 私さっき…)
慌てて背を向けて真っ赤になった顔を隠す美子に、廉は後ろからささやく
「美子 こっち向いてくれないか?」
おずおずと顔を向けた美子に、廉はそっと額を寄せた
「これからは、俺がお前の一番近いところにいてもいいか?」
「お兄ちゃんよりも…ですか?」
廉はちょっと困った顔をする
「美男には勝てないかもしれないな…でも美子をちゃんと守りたいんだ
そばにいてくれたら…俺は何でもできそうな気がする」
「はい、わかりました よろしくお願いします」
美子が笑顔でうなずき、廉は美子を抱き寄せて口付けた


廉と美子は、美男を見送るため空港に来ていた
改めて音楽関係の仕事をしていくため、再渡米が決まったのだ
「まあ、まだまともに仕事できる立場でもないんだけどな」
美男が笑う
「お兄ちゃん気をつけてね 無理しないでね…」
涙ぐむ美子の頭をなでて、美男は肩を抱いて言った
「何泣いてんだよ 大丈夫に決まってるだろ? それよりも!
美子こそがんばれよ、A.N.JELLで もう歌手なんだからな!
何かあったら絶対連絡してこいよ アメリカだからすぐ帰国は
無理かもだけど…でも今は廉がいるから… 美子を頼む、廉」
「ああ まかせてくれ」
廉がうなずく

「美男 お前といられてすごく楽しかったよ 刺激になった!
美子の身代わりなんてものじゃ全然なくって…仲間っていうか
家族…弟みたいっていうか いつか一緒に音楽やろうな」
「ああ!絶対」笑いあう二人

時間になり、美男は搭乗口へ向かった
が、数歩歩いたところで、見送る廉と美子の方へ振り返った
「あ そうだ廉」
「なんだ?」
「さっき 俺のこと弟みたい…とか言ったろ それは間違ってる!
俺は双子の『兄』だからな 今度会ったら俺のことは『お兄様』と呼べ!」
廉と美子が真っ赤になったのを見届けると、くるりと振り返り
後ろ手に手をヒラヒラと振って美男は搭乗口へ消えていった
426名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 13:57:36.96 ID:uqt0BtEq
>>425
以上です
いろいろ強引にいっちゃったとこが…そしてエロ難しいww
次はもうちょっと修行してまいります
427名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 19:09:53.74 ID:p05RlRo/
>>426
続き待ってました!
この設定でも全然違和感無いですね
むしろ廉美子が一緒に音楽続けていくほうがいいかも…
生意気な美男もかわいい!
428名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 20:07:37.66 ID:KhZAgXIt
>>426
GJ!
廉さん、もどかしい、美男とは打ち解けたのに、美子にはツンデレw
しかし、気持がつながったその途端に一気にエッチとは、この廉さん、かなり
経験豊富か、耳年増かどっちだろうw

そして、監督そっちのけで、PV仕切る社長、ノリノリでいいですね。
429名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 22:18:28.62 ID:iGRZ/CHD
>>426
ほんと、最後までやっちゃうなんてこの廉さん、やり手だわ!
廉も美子も美男も、みんなかーわーいいー。エロも素敵でしたよ!
この世界でのお話、もっと読みたいです。勇気や柊にもっと2人をイジってほしいw
あ、前回からだけど1つ気になったのが…句点があったほうが読みやすいかなって。
もし何か事情があるのなら、余計なお世話ですが…すみません。
430名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 23:40:12.35 ID:uqt0BtEq
426ですw
感想いただいた方、ありがとうございました!
完全な初心者なので、いろいろレスもらえると参考になりますw

>>428
DT廉さんor絶倫系廉さんのどちらかに特化してエロ描写する余裕が全く
なかったので、その辺は「曖昧な廉さん」にしてありますw

>>429
そう、句読点なんですが…
実は、最初に書き始めた部分に句読点入れなかったんですが、
有り無しどっちがいいのか後々すごく迷って、結局無しにしたんです。
絶対読みやすいですよね…次からは有りで書きます。ありがとうございます!
この設定の廉美子でよければ、たぶん続き書けると思います。
ネタはいくつかあるので、完成度高めてまた来ますw
431名無しさん@ピンキー:2012/02/05(日) 21:18:33.50 ID:ALRtJc3p
>>426
廉さん、やる時はやる男だね、それまでのウジウジが嘘みたいにw
美男兄ちゃんと美子と廉さんの三角関係になるかと思ったら、美男兄ちゃんアッサリ認めたね。
そのうち、3人で旅行でも行って欲しいな。
432名無しさん@ピンキー:2012/02/06(月) 00:40:06.93 ID:CIpahezT
勇気×NANAの続きができたので投下します
エロありです

今までの投下分
>>360-363
>>388-394
433Intoxcated 12:2012/02/06(月) 00:42:09.73 ID:CIpahezT

「わ、わかった!…けど…」
(やばい、心臓が口から飛び出しそうっ!)
「ちょっとごめん!5分待って!」
NANAの身体から腕をほどいて、あわててベッドルームを飛び出した。

リビングのソファに腰掛けて、少し冷静になろうとした。
流れにまかせてあのまま…っていうのが男としてはスマートなのかもしれない。
でも、いくらなんでも急すぎて…正直ビビった。
確かにNANAは可愛くて、魅力的で。
好きだって言われたのもうれしいし、俺も、好きになっちゃったみたいだし…。
身体だってもう、素直に反応してる。
ほんのちょっと勇気を出せれば進めるんだ。そう、それだけ。

(確か冷蔵庫の中にビールが入ってたはず…)
缶ビールを取り出してプルタブをプシュッと開け、缶のまま一気にゴクゴクと飲み干した。
「うしっ」
こんな覚悟をするなんて、初めての時以来かな。
気合いを入れて臨むのも変な話だけれど、こうでもしないと緊張に飲み込まれてしまいそうだった。


寝室のドアを開けた。
まだ夜明け前、やわらかな月明かりが差し込む薄暗い部屋で、NANAはベッドの縁に腰掛けていた。
「よかった…。嫌われちゃったのかと思った」
「ごめん、不安にさせて」
床に膝立ちになりNANAと向き合い、目を見つめてそっと手を握った。
少し汗ばんでしっとりした彼女の手から緊張が伝わってくる。
たぶん、俺の手だってNANAに負けないくらい熱くなっているに違いない。
434Intoxcated 13:2012/02/06(月) 00:44:10.57 ID:CIpahezT

「本当に…いいの?」
NANAが頷いた。
俺を見つめる彼女の瞳は真剣で、その想いに応えたいって心の底から思った。
「…わかった」
後頭部に右手を回してつややかな髪に触れると、NANAが一瞬ビクッとたじろいだ。
「怖い?」
「ううん…なんだか急に、ドキドキしちゃって…」
「そっか。俺と一緒だな」
へへっ、と笑いかけると、NANAも優しく微笑んで、そのまま目を閉じた。
少しぎこちない仕草で顔を引き寄せ、そっと唇を重ねる。
さっきの強引な口づけとは全然違う、やわらかくて愛おしい感触に、胸の奥が甘く疼いた。

なのに。
NANAが「あれ?」と訝しげに眉をひそめる。

「ねぇ、勇気…もしかしてビール飲んできたの?」
(バレたか…。まあ、当然だよな)
「その、ほら…あれだよ!おまえが酒くさいから対抗しようと思ってさ…」
「えっ?!ごっ、ごめんなさいっ!」
急な展開にビビってたことを悟られたくなくて、変な理由をつけてごまかしてみたら、
NANAは慌てて口を両手で押さえて目を白黒させた。

やれやれ、さっきまでの甘いムードはどこへやら、だ。
でもヘンな緊張感もなくなったし、こんな展開も俺らしくていいかもしれない。

「嘘だよ、気にすんな。でももうあんまり飲み過ぎんなよ」
NANAの両手を口元から外して、もう一度軽く口づけた。
「うん…。でもキスしたらまた酔っちゃいそう」
「ははっ、酔っちゃえ酔っちゃえ!アルコール移してやるっ」
「やだ、勇気ったら可笑しい……んっ…」
クスッと笑いを漏らすNANAをベッドに押し倒し、堰が切れたように深いキスを繰り返した。
温かくて少しざらっとした舌を絡み合わせる。
音を立てて、吸い付くように密着する粘膜の感触に酔いしれた。
435Intoxcated 14:2012/02/06(月) 00:46:17.34 ID:CIpahezT

「…ん、っ…はぁっ」
乱れる呼吸の中で服の上からNANAの胸を触ると、豊かな乳房のてっぺんがツンと尖っていた。
(やべ、ノーブラ、だ…)
理性が崩れ、NANAの身体の柔らかさにのめり込んだ。
部屋着の裾から手を差し入れてまくり上げ、露わになる白い肌のあちこちにキスを落とす。
数分後には、2人の服も下着もすべて床に落ちて塊になっていた。

尖らせた舌先で固くなった胸の先端を転がす。
「…ぁ…ん…」
NANAの口から漏れる切なそうな吐息に、気持ちが高まっていく。
脚の間に手を伸ばすとそこはもう温かく濡れていた。
指先に蜜をつけて、襞を優しく上下になぞる。
「ん…、あ、あっ」
小さくふくらんだ蕾を押しつけるように刺激すると、NANAがビクッと身体を震わせた。

熱くなった中心に指を差し入れる。
中で抜き差しすると、くちゅっと響く水音が耳の奥をいやらしく刺激した。
「すごいよ…。どんどん濡れてくる…」
「ん…やだ、そんなこと言わないで…やん…!」

指を曲げて中を探る。
「あんっ!ん…そ、こっ!やぁっ!」
NANAのいちばんいいところを見つけた。
細かく擦りあげるように刺激を続けると、首を激しく振って切なそうに悶える。
「……っ…!」
NANAは大きく息を吸い込み身体を固くして…一気に脱力した。
「ぁ…はぁっ、はぁっ…」
息が落ち着くまで大切に抱きしめて背中をさする。
震える身体が愛おしくて、首筋に何度も口づけた。
436Intoxcated 15:2012/02/06(月) 00:48:19.68 ID:CIpahezT

「ん…勇気…」
胸元に移動して愛撫を続ける俺の頭をNANAの手が包み込み、髪をくしゃっとかき乱す。
「もう、ほしい…。ひとつになりたいの」
「俺もだ…NANAが欲しいよ」
身体を起こして、NANAの脚の間に移った。
(あ、ゴム…)
持ってないことに気付いて少し躊躇した様子を見せると、NANAが首を振った。
「大丈夫…ピル、飲んでる…。きて…」

NANAの膝を立たせて大きく脚を開く。
痛いほど熱くなったものをNANAの真ん中にあてがい、一気に奥まで貫いた。
「あぁっ!」
「すげ…気持ちい、いよ…、NANAっ」
中が熱くて、粘膜が密着して、頭の中がとろけそうな感覚に襲われる。

「勇気…んっ、ゆ…うき…ぁ…あんっ」
腰を打ち付けるたびに、うわごとのように俺の名前を繰り返し、背中に爪を立てる。
チクリとする背中の痛みも今は心地いい。
もっと声を聞きたくて、NANAに感じて欲しくて、夢中で腰を動かした。

「ひゃぁんっ!ん…あっ!」
少し角度を変えて突き上げると喘ぎ声が高くなり、中がきゅっと締まった。
もう、限界が近づいていた。

NANAの手を握って指を絡ませ、頭の中が真っ白になるまで突き上げる。
「や、ぁ…ゆう…もう、おかし…く、なりそうっ!あ!ああっ!」
「うっ、く…あっ…!」
高い声を上げて、NANAが俺を強く締めつける。
そうしてあふれる欲望を、ぜんぶ吐き出した。
437Intoxcated 16:2012/02/06(月) 00:50:21.52 ID:CIpahezT

───

「そういえば、まだちゃんと言ってなかったな…」
ベッドの中で甘い余韻に浸りながらつぶやいて、少しだけ身体を起こした。
「?」
不思議そうに言葉を待つNANAの顔を見つめる。
「こうして隣にいるのに、なんか今更って気もするけど…。俺、NANAが好きだ」
「ぁ…」
「NANAのこと、もっと知りたい。だから俺と付き合って…俺の、彼女になって下さい!」

ようやく気持ちをはっきりと言葉にできた。
けれどNANAは何も答えず、代わりに目に涙をいっぱい浮かべた。

「え…ちょっと、NANA…?」
「ごめん、なさ…うれしくて…」
NANAは少しだけ俺の胸で泣いて、顔を上げた。
「ありがとう勇気…大好きよ」
赤い目をしたNANAが、ちょっぴり照れたように微笑んだ。

現実に手に入れた笑顔は想像の何十倍も、何百倍も可愛くて…。
胸が痛いほどキュンとなった。

「やっぱり…NANAって超〜可愛い!」
満面の笑みを浮かべて、NANAの頭をくしゃっと撫でた。
「やめてよ、照れちゃうじゃない…」
顔を赤くするNANAをギュッと抱きしめる。
ほっぺたに優しくキスをして、そして目を閉じた。
東の空がうっすらと白みはじめ、もうすぐ朝を迎えようとしていた。
438Intoxcated 17:2012/02/06(月) 00:52:28.20 ID:CIpahezT

───

ベッドサイドの携帯電話が鳴る。
寝ぼけた目をこすり、画面を見た。美男…?

「…もしもしぃ…?」
「勇気さん!どこにいるんですか?早く戻らないと仕事に遅れちゃいますよ!」
「えと、NANAの…」
「え?NANA…さん?」
美男の少しおびえた声を聞いて…一気に目が覚めた。
「な、なななな、なんでもないっ!夜遊びしてたら帰りそびれただけっ!すぐ帰るよ!」

あわてて服を着てリビングに向かうと、やっぱり少し眠そうなNANAがいた。
「おはよう。コーヒー飲むでしょ?すぐ淹れるね」
「ありがとう。でも飲んだらすぐ行かなくちゃ」
「仕事?」
「うん。さっき美男から電話来て早く帰れって起こされたよ。きっとNANAがいじめたお返しだぞ」
「やだ…」
NANAが苦笑いする。
「今度一緒に謝りに行こうぜ。あいつならすぐわかってくれるよ」
「うん…ありがとう」

大急ぎで洗顔を済ませてリビングに戻り、NANAからマグカップを受け取る。
熱いコーヒーにふーっと息を吹きかけて冷ましながら、急いで飲み干した。
「ごちそうさま!じゃ、俺行くから!」
「あのっ!勇気…」
「ん?」
「行ってらっしゃい…」
NANAが俺のそばにやってきて、目を閉じる。
優しく抱きしめて、幸せな気分に浸りながらチュッと唇をついばんだ。
「行ってきます!」
こうして俺は、これ以上ないサイッコーの気分で朝の光の中に駆け出した。
439名無しさん@ピンキー:2012/02/06(月) 00:54:33.33 ID:CIpahezT
以上で終わりです。お粗末さまでした
最後のレスは入れようかどうしようか迷ったんですが、
どうせ書いたんだから入れちゃえ、とw
お付き合いありがとうございました!
440名無しさん@ピンキー:2012/02/06(月) 01:14:33.63 ID:xRO/odM1
>>439
うーわー!続きだー!GJです!!
H前にドキドキしてビール飲んじゃう勇気とか
いたした後に告白し合う2人とかめっちゃかわいいよー。
最後のも読めて嬉しかったです。
もしまたこの世界の2人とか書いてくださるならぜひ!お願いします。
441名無しさん@ピンキー:2012/02/06(月) 03:49:47.66 ID:Ln8xH6t/
>>439
勇気の書き方すっごい想像出来た上手い!
ビール一気本当勇気っぽいw
もちろんNANAちゃんも大好きよとかの〜よがリアルに脳内再生された!
442名無しさん@ピンキー:2012/02/07(火) 18:37:19.85 ID:87qFnAjM
美男もNANAもRINAさんも、3人ANJ男誰とでも相性良さそうなのがすごいね。
色々パターンありそうだ。

百合ってわけじゃないけど、女・美男xNANAがちょっと見てみたいですw 

443名無しさん@ピンキー:2012/02/07(火) 19:25:52.58 ID:302VPK0e
>>439
可愛い勇気NANAGJ!

NANA×美子でなんで廉は私よりこんな女を!って嫉妬していじめてるうちに
美子の方を好きになっちゃうみたいなのが読みたい
経験豊富なRINA姐さんが美子の処女を貰うのもアリだと思います
444名無しさん@ピンキー:2012/02/07(火) 19:30:41.45 ID:87qFnAjM
>>443
わ、それいいね、RINAx美子

ちなみにここのスレ的には経験豊富なそうな紳士が意外とDTだったりするんですがw
DTRINAって可能性もあり?
445名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 00:58:28.72 ID:K3QgGVyf
>>443さんのレス読んで、RINA×美子にチャレンジしてみました。
エロありです。貰ってないけどw
446Lesson 1:2012/02/10(金) 01:00:30.82 ID:K3QgGVyf

「悪いな、よろしく」
「いいのよ廉。任せといて」

美子がアフリカから帰国する日だというのに、A.N.JELLは目前に迫ったコンサートのリハーサル。
当然廉だけ抜け出すわけにもいかず、代わりにRINAが空港まで迎えに行くことになった。

たくさんの人でにぎわう空港内。
RINAは到着出口の自動ドアから次々と出てくる人の波に目を凝らした。
「あっ、来た来た。美子ー!」
「あ!RINAさーん!」
RINAが大きく手を振ると、それに気付いた美子がパッと笑顔を弾かせて駆け寄ってきた。
きゃーっ、とお互いに歓声をあげながらハグをする。
「元気だった〜?へぇ〜、髪伸びたわね。ちょっと女らしくなったみたい」
「ふふ、そうですか?ありがとうございます!RINAさんも、相変わらず綺麗ですね」
「そーお?ありがとっ」

お腹が空いたという美子のリクエストに応えて和食レストランに行った。
最近オープンした美味しいと評判の店で、噂に違わぬ料理を心ゆくまで堪能し、
そして夜に廉が迎えに来るまで、RINAの部屋でゆっくり過ごすことになった。


─────
柊にもらったハーブティーの香りを楽しみながら、笑顔で話に花を咲かせる2人。
美子はアフリカでの暮らしぶりについて、臨場感たっぷりにRINAに話してきかせ、
RINAの方はこの2年間のA.N.JELLや兄の美男の様子などを話し、美子を喜ばせた。

「なんだかあっという間だったなぁ…」
「でも2年は長いわ。よく頑張ったわね」
えらいえらい、と美子の頭を撫でて褒めてあげた。
「これでようやく廉に会えるのね。我慢してた分、楽しみでしょ?」
「はい。でもちょっと…緊張します」
恥ずかしそうに口元をモゴモゴさせる美子が可愛くて、ちょっといじりたくなった。
447Lesson 2:2012/02/10(金) 01:02:53.01 ID:K3QgGVyf

「いいなぁ、2年ぶりの恋人との夜か…。ひさしぶりのHだから、きっと燃え上がっちゃうわね」
「ええっ?!そんな…まだ…」
美子が真っ赤になって下を向き、消え入りそうなほど小さな声でつぶやいた。
「え?ちょっと待って!アフリカに行く前にしたんじゃないの?」
美子はうつむいたまま、首を左右に振る。
「やだ、信じらんない!廉ったらよくガマンできたわね…」
RINAはそこでハタと気が付いた。
「ねぇ、もしかして美子…初めてなの?」
美子は小さく、コクリと頷いた。

(驚いた。この子、あまりにもウブで、世間知らずだわ…)
この程度の会話でさえ恥ずかしがって身を固くする美子が少し心配になり、
RINAの心に余計なお節介を焼きたい気持ちがムクムクと湧き上がってきた。

「美子…教えてあげるわね。ちょっとこっち来て」
「え?でも…」
戸惑いを見せる美子の手を引いて、ベッドルームへ向かった。


「初めてでも、ある程度の知識はあった方がいいと思うの。今までに廉としたこと教えて」
「キス…しました」
「キスにもいろいろあるでしょ?そうね、例えばこんな挨拶みたいなのとか…」
RINAはふっくらとした美子の唇に口づけて、軽く押し付けた。
「?!」
「どう?恥ずかしがらないで、正直に答えて」
「こんな感じ、です…」
「まさか、本当にこれだけ?」
「…はい」
「ここから先、なんにもしてないのね?」
美子は何も言わずに頷いた。

(これじゃ、何もわからないまま終わっちゃうじゃない…!)
RINAは思わず大きな溜息を吐いた。
「ちゃんと教えた方がいいみたいね」
「えっ?教えるって…?」
「一生に一度のことだから、美子には素敵な時間を過ごして欲しいの。
だから恥ずかしがらないで。…いいわね?」
「…はい」
美子は覚悟を決めたように頷いた。
448名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 01:04:54.13 ID:K3QgGVyf

「廉は…そう、最初に美子を抱きしめてキスをするわね」
美子の細い身体を抱き寄せて顎に指を掛ける。
顔を上に持ち上げて親指で下唇をそっとなぞり、さっきのような軽いキスをした。
かすかに震える身体から、緊張が伝わってくる。

「目を閉じて、唇の柔らかさとか舌の熱さとか…触れている感覚を味わうの」
角度を変えながら美子の唇を音を立てて何度もついばみ、隙間から舌を差し込む。
歯列に舌先を沿わせ、粘膜をなぞり、ねっとりと舌を絡ませた。
「ん…、RINAさん…息、できな…い」
「息が苦しくなるくらい、頭の中が痺れちゃうくらいしてみて…」
呼吸が荒くなり、美子の顔が徐々に赤らんでいく。
感覚をつかんだのか、美子の舌もやわらかく動き始めてRINAの口内を刺激した。
「いいわ、すごく上手…」
唇を離すと、唾液が細い光の糸を引いた。
濃厚なキスに、いつしかRINAの方も快感を覚えるようになっていた。

「次…服を脱がせようとするから、うまく出来るように協力して」
口づけを交わしながら美子のワンピースのファスナーを下ろす。
「雰囲気を壊さないで…廉のも脱がせてあげてね」
美子はRINAのブラウスのボタンを外して脱がせ、下着姿にした。
互いにブラを外し、その胸を露わにする。
「恥ずかしい…。RINAさんみたいに、女らしくないし…」
美子は腕を組むようにして胸を隠した。
「大丈夫。美子の身体、きれいよ。廉はきっと夢中になるわ」
美子の首筋にそっと触れ、そのまま肩、二の腕と手のひらを滑らせてから邪魔な腕を外す。
胸のふくらみの薄桃色の先端がツンと上を向いていた。

美子をベッドに座らせてまたキスを続ける。
唇、頬、顎、首筋…。
白く滑らかな肌のいろんなところに口づけながら、美子の身体をベッドに横たえた。
美子の真上に覆い被さるようにしてお互いの乳首だけを重ねる。
「あっ…」
前後に動き、かすかに触れ合うくらいの力で擦り合わせると、そこがキュンと固く尖っていった。
449Lesson 4:2012/02/10(金) 01:07:12.29 ID:K3QgGVyf

「廉は美子の身体中を触るし、キスするわ。でも逃げちゃだめよ。ぜんぶ、感じ取るの」
美子の鎖骨に舌を這わせる。
右手で乳房を包み込み、人差し指と中指の間で乳首をキュッと挟んだ。
「んんっ…」
美子が切なそうに顔をしかめて息を詰める。
「力を抜いて…。声、出していいのよ。その方が廉も感じるから…」
小ぶりだが形のいい、弾力のある胸を揉みしだき、乳首を口に含んで舌で転がした。
「あっ…、ん…ぁんっ」
「素敵な声してる…。そう、もっと廉に聞かせてあげて」
美子の吐息混じりの小さな喘ぎ声が、2人きりの部屋を満たしていった。

「そして、ここ…」
ショーツの中にスッと指を差し入れる。
「やっ!RINAさ……っ……」
抵抗しようとする美子の頭を抱え、唇を重ねて少しの間黙らせた。
ショーツに指を掛けて膝までずらし、脚の真ん中を手のひらで包み込む。
中指で、温かく湿った襞を優しくなぞった。
「なんか、ヘンな感じで…、ん…」
「少し濡れてきたわ。でも、廉にいじってもらったらもっとよくなるから…」
今はこれだけね、と入り口だけを指先でやわらかくほぐし、中指の第一関節まで挿れた。
「は…ぁっ。んっ…!」
少しふくらんだ蕾を親指で押さえつけると、美子がピクッと身体を震わせる。
「ここから先の痛みと気持ちよさは美子だけのものよ。全身で受け止めてね」
「はい…」

「私じゃ、廉の代わりにはなれないけど…」
RINAは美子の上に跨って覆いかぶさり、身体を重ねた。
軽く圧力を掛けながら円を描くように恥骨を押し付ける。
ひどくもどかしくて中途半端に甘い快感が、RINAの子宮に届いた。
「どう?ここ…美子も疼いてる?」
美子の下腹を撫でて問いかけた。
「あの…ソワソワして…んっ…、ヘン、です…」
「そう…。ならもう大丈夫ね。きっと気持ちよくなれるわ」

美子の身体を抱きかかえて起こし、キスをして頭を撫でた。
「このままじゃ物足りない…でしょ?」
顔を赤らめた美子が小さく頷いた。
「その物足りなさは、きっと廉が埋めてくれる。いっぱい、いっぱい愛してもらうのよ」
RINAはそう美子にささやいて、最後にギュッと抱きしめた。
450Lesson 5:2012/02/10(金) 01:09:14.57 ID:K3QgGVyf

─────
夜になり、廉が美子を迎えにやってきた。
リビングの入口で言葉もなく見つめ合う2人の姿を見て、RINAがおどけた素振りを見せる。
「お邪魔でしょ?しばらく2人だけにしてあげるから、チューでもなんでもご自由に〜」
「なっ?おいRINAっ!」
廉の少しあわてたような声を背に、RINAは5分間だけベッドルームにこもった。

「もういいかな…?」
RINAがリビングに戻ると、美子がさっそく顔を赤らめている。
そしてもう一方の廉は…胸元まで、美子以上に真っ赤に染まっていた。
(ふふっ、美子って素直だわ〜。教えたこと、ちゃんとやったのね)
RINAは思わず吹き出しそうになるのを必死にこらえた。
「じゃあ…今日はありがとう」
「どういたしまして。気をつけて帰るのよ。あ、廉、ちょっと…」
玄関先で廉を呼びとめ、内緒話をする。
「美子、初めてなんだって。今夜はゆっくり、大事にしてあげるのよ」
「あっ…ああ…。わかった…」
廉の動きが途端にぎこちなくなる。
「もう…男でしょ?しっかりしなさい!」
RINAは廉の背中をバンっと叩いて送り出した。


(あーあ、誰もいなくなっちゃった…)
RINAは突然、こんな夜にひとりで過ごさなければいけない寂しさに襲われた。
誰か、夜に気兼ねなく呼び出せる友達いないかな…。
そう考えて、真っ先に頭に浮かんだ相手に電話を掛けた。

「廉が美子を迎えに来たわ。仕事終わったってことよね?今から家で飲まない?」
『おっ、いいね〜。でも珍しいなぁ、家飲みなんて』
「おつまみ足りないから何か買ってきてくれない?」
『はいよ〜。30分位で着くと思う』
「はーい。じゃあね」

(シャワーでも浴びとこうかしら…)
あいつとは絶っっっ対に何もないけど…念のためよ、念のため!
頭の中でそう呟きながら、RINAは急いでバスルームへ向かった。
451名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 01:11:16.60 ID:K3QgGVyf
以上です。すみません、3にタイトル入れ忘れました。
これって百合っぽくなってるんだろうか?ムズいっす…
452名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 01:19:39.70 ID:ani966fo
RINAさんすごいーーー!!!
ドキドキしました
続きの廉美子もお願いしますw
453名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 07:52:02.69 ID:8/GTqjPX
>>451
おおすげー GJ
実は百合チックなのとか、BLはちょい苦手と思ってたんだが
これは全然ありだw RINAっぽくて良い良いw
ぜひ続きを頼みます
454名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 12:01:42.78 ID:TVcTpHjQ
>>451
すごい! よかったー!
廉さんと美子のことを想ってるRINAさんが伝わるから
エロいけど暖かい感じ。ほんとRINAさんぽい!
尚更次の廉美子が楽しみです。よろしくお願いしますw
455名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 18:05:18.72 ID:/M9TWvYs
>>451
GJ!!
RINAさんのエロくて優しい手解き最高です!
ラストは馬渕??出来れば続きも見たいです
456名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 19:20:09.64 ID:OJn/mdee
>>451
443です
GJGJGJ!!最高です、こういうの待ってた!
RINAさんと美子の関係がすごくいいです
リクエスト答えて頂きありがとうございました
457名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 21:35:53.19 ID:1ER8nhHo
またしばらく来れない内に神作品が・・・!
ラブラブ&甘いお話の流れを止めてしまって申し訳ありませんが・・・
以前長編投下していた、柊NANAの続編となる廉美子長編を投下
します。(また長編かいw)
今のところエロ無しです。
相変わらずシリアス展開中心、視点の切り替わりも激しく読みづらいこと
この上無いかと思いますが、もしよろしければお付き合い下さい。

廉さんヘタレ注意報発令中。結構な鬱展開です。
そして廉さんの過去を捏造しまくりなので、苦手な方はご注意下さい。
458君に贈るセレナーデ 1:2012/02/10(金) 21:41:41.81 ID:1ER8nhHo

ひやりと冷たい風が吹く並木道。
遠ざかる、大好きな背中。


─…ー…っ…!



「廉さ〜ん、朝ですよ〜!」

「…ん……」

「そろそろ起きないとすぐお昼になっちゃいますよ?」


耳元で己を呼ぶ、鈴を転がしたような美しい声。
暗い暗い場所に沈んでいた自我が、現実へと引き戻されていく。

「七時に起こせって言ったの、廉さんですよ〜」

慣れ親しんだ呼び掛けで、まだ疲労を訴える身体とは逆に、意識の大方が覚醒し始める。

「…あと五分…」

それでも敢えて子供染みた返事をし、ふかふかの枕に顔を埋め抵抗してみる。
微かだが、ズキッと頭の芯が一瞬痛んだ。
寝不足になるような事をしたからか。

「もう、廉さんったら…」

案の定、困った様子で呟く美子。
既に廉は今の時点で目を覚ましていたが、バレないよう目を瞑ったまま
小さく口角を吊り上げた。

昨夜はあんなに激しく二人で愛を育んだというのに、彼女の元気は底無しだ。
自分より早く起きて身支度するとは、なかなか侮れない。
今度は本当に足腰を立たなくしてやろうか…と、朝からふしだらな事を考える。

「…そんなに起きて欲しいのか?」
「え?…きゃっ!?」

パチッと瞼を開き、身を屈めてベッドに顔を寄せていた美子の腕を掴むと力任せに引き寄せ、
あっという間に己の胸元へ抱き込んだ。

「れれ、廉さん?!」
「……おはようのキス、してくれないの?」

ファンの女の子が聞いたら卒倒してしまいそうなほど、低く甘い声音で美子に問う。
大きな瞳を更に見開いた彼女は首筋まで肌を真っ赤に染め、悔しげに
頬を膨らませて俯いた。

「…ずるい。ずっと起きてたんでしょう?」
「お前が居なくなると目が覚めるんだよ」
「だって…朝ごはん…っん、…」
459君に贈るセレナーデ 2:2012/02/10(金) 21:43:16.64 ID:1ER8nhHo
ブツブツ文句を垂れる唇を、問答無用で塞ぐ。
鮮やかな緑色の長袖シャツに黄色を基調とした明るいチェックのエプロンを重ね、
下はタイトなデニムという活発そうな出で立ちの美子。
細い肩と腰を抱き込んで唇に何度か吸い付けば、みるみる大人しくなり
身体の力が抜けていくのが分かった。
廉は大層気を良くし、唇を解放してやると口角を吊り上げ美子の額に
己の額をくっ付けたまま囁く。

「また柊に作らせればいい…」
「…ダメですよ、この前も柊さんにお任せしちゃったし…」
「NANAが来るとこっちだって迷惑被ってんだ、お互い様だろ」

生真面目に朝食当番を全うしようとする美子を強引に説得し、このまま
ベッドの中へ引き摺り込む算段な訳だが。
突然、足下で金属をガンガンと叩く大きな物音がし、慌てて美子から離れ
布団を剥いで飛び起きる。

「な、何だ!?」
「…お、お兄ちゃん…」

ベッドの下方には、無表情で冷たい視線を廉に送る美男が仁王立ちしていた。
上下黒のスウェットという軽装で右手にお玉、左手にはフライパンを持って。

「朝っぱらからイチャイチャすんな。っつうか、今日は俺と美子が朝飯当番なんだよ。
さっさと起きて美子をこっちに渡せ」

至極面倒臭そうな物言いの美男から睨まれ、眉間へ皺を寄せ不満げに唇を尖らせた。
料理上手な美子とは正反対で、彼の作る物はいつも“どうすればこんな味になるんだ?”
と、ツッコミたくなるほど破滅的に不味いからである。
この間は彼と、合宿所へ遊びに来ていたNANAが夕食当番を買って出たのだが、
全ての料理がゲテモノ風の見た目、未知の味に仕上がっており…
トラウマになるのも当然と言いたい。

「…お前も当番かよ。コイツ一人で充分だろ」
「大丈夫ですよ、味付けは全部私がやってますから」
「…美子、いつまでも起きない奴なんか放って、早く来い。
みんな腹空かせてんだからな」

美子の無意識に酷い一言に臆する事なく美男は再度お玉でフライパンを叩き、
けたたましい音を響かせながら先に部屋を出て行った。

460君に贈るセレナーデ 3:2012/02/10(金) 21:45:03.59 ID:1ER8nhHo
「…すみません、廉さん。朝ごはんの準備して来ますね」
「……あー…しょうがねぇな。ったく…」

申し訳無さそうに眉を垂れ頭を下げる美子に、これ以上無理強いする訳にも行かず寝癖の付いた頭を掻きながら、
渋々ベッドを降り両手を高く上げて背伸びをする。
すると、ベッドを挟んだ反対側に降りた彼女がちょこちょこと走り寄って来て、
いきなり廉に抱き着いた。

「ん?」
「…えへへ、今日もお仕事頑張って下さいね!」

下を向き視線を合わせた瞬間、うんと背伸びをした美子の唇が己のそれと重なり、目を見開く。
驚き硬直する廉から素早く離れた彼女は赤く染まった頬を隠すよう、
俯き加減にそそくさと部屋から逃げて行った。

「…この俺に不意打ちとは…」

奪われた唇を右手で押さえ、美子と同じく首筋や耳朶まで肌を紅潮させ、ポツリと呟く。
これまで幾度か身体の関係を結んでいても、彼女の初々しさは変わらない。

「…くそっ、ブタウサギ!可愛い奴め!」

何やら頬の筋肉が緩みっぱなしになるのが分かり、衝動のまま
部屋の片隅に置かれたブタウサギのぬいぐるみを抱き締め、
再びベッドにダイブしゴロゴロと身悶える。

「…早く二人きりになれねぇかな…」

ひとしきり暴れて疲れた廉は広い部屋の天井を見上げ、独り言を呟いた。
同時に安藤社長の暑苦しい顔が脳内へ浮かび、眉を寄せ重苦しい溜め息を吐く。


461君に贈るセレナーデ 4:2012/02/10(金) 21:46:40.68 ID:1ER8nhHo

美子が帰国してから二ヶ月。
二人は他のメンバーと一緒に、未だA.N.JELLの合宿所で暮らしている。

アフリカでボランティア活動に励む彼女を待つ間、ライブでの大々的な告白騒ぎで迷惑を掛けた
安藤社長に対し詫びの意味も込め、舞い込む仕事を着実にこなし成果を上げてきた。
しかし、美子が帰国したらすぐに二人で暮らしたいという申し出は受け入れて貰えなかったのだ。
A.N.JELLのファンに男性や子供、年配層も増えたとはいえ、やはり大多数は女性。
柊とNANAが交際を内密に隠す最中、廉も目立つ行動は慎むよう命じられてしまった。

“お前たちはまだ若い。とりあえず合宿所でメンバーと寝食を共にしろ。
本当にお互いの意思が固まった時は、また直談判しに来い”

…迫力たっぷりに安藤からこう告げられ、反論出来ず今に至る。

「…お互いの意思…ね」

上体を起こし、強く抱き締めた所為で耳の辺りがくたびれたブタウサギの顔を見つめる。
美子を愛する気持ちに揺るぎはないが、安藤の言うお互いの意思とは…
恐らく“結婚”の二文字なのだろうと思うと、廉は些か戸惑いを覚えた。
いずれそうするつもりとはいえ、今はまだ結婚に関して良いイメージを持っていない。

芸能界に身を置いて数年、熱愛から結婚に発展して程無く破局してしまったカップルを、何組も見て来た。
それに何より幼少期の暗い過去がずっと、根深い部分に付き纏う。

孤独の中で育った己に、暖かな家庭を築く事など出来るのか…?

「廉さーん、朝ごはん出来ましたよー!」
「…あ、あぁ、すぐ行く!」

思いに耽っているとキッチンから美子の声がした。
一旦考えるのを止めて返事をしながらベッドを降り、ブタウサギを元の場所に置いて部屋を出ようとする。

その時、ふと…カレンダーの日付が目に入り、廉はビクリと肩を震わせた。
忌まわしい記憶が、一瞬でフラッシュバックする。

「…チッ…」

何故、今までずっと失念していたのだろう。
約20年前…母は己を置き去りに家を出て行った。


今日は、廉が捨てられた日だ。

462君に贈るセレナーデ 5:2012/02/10(金) 21:47:41.95 ID:1ER8nhHo

───

「お兄ちゃん、そこのお塩取って?」
「ほらよ」
「ありがと」

アルバム発売に向けての新曲作成を大詰めに迎え、丸三日間スタジオに籠り切りだった廉が、
久し振りに戻った昨日。
たっぷりと熱い夜を過ごした所為で少々腰が重い気がするも、休んでいる暇は無い。
兄に指示を出しつつ、良い香りの漂うキッチンをフル稼働させて朝食作りに励む美子。
今朝の献立は二種類の具を楽しめるホットサンドだ。
その中身は、ハムにチーズとトマトソースを合わせたピザ風味と、
煮リンゴにシナモンを加えレーズンをトッピングした甘いもの。
ポタージュスープとシーザーサラダも付けて洋食セットにした。

「今日は忙しいんだろ?朝飯くらい、俺一人で作っても良かったのに」
「…お兄ちゃんの料理を食べられるのって、多分お兄ちゃん本人だけだよ…」
「……」

美男の気遣いに顔を引き攣らせて言うと、彼はそれ以上何も意見しなくなった。

A.N.JELLの合宿所には、メンバーらが当番制で家事を行う掟がある。
ソロ活動が多忙な者はその間免除となるも、暇が出来れば自主的にやるのが暗黙のルール。
二年の遠距離恋愛生活を経て帰国した美子もまた、その例外ではなく朝からせっせと働いていた。

「お〜っ、美味そう!」
「…今日はホットサンドか。さすが、美子は手が込んでるね」

寝間着のままリビングのソファの定位置へ腰掛けた勇気と柊は、
テーブルに並んだ朝食メニューを眺め、食欲をそそる匂いに期待いっぱい瞳を輝かせる。
起床後間も無く洗顔と歯磨き、寝癖直しを済ませたようだが、気分はまだ
リラックスモードといった所か。
463君に贈るセレナーデ 6:2012/02/10(金) 21:49:13.57 ID:1ER8nhHo

「たくさん食べて下さいね!」

料理の出来栄えを褒められ、美子は嬉しそうに笑みを零しポタージュスープが
入った皿をキッチンから運び出した。

「俺と美子が早起きして作ったんだ、残すんじゃねぇぞ」

テーブルにスープ皿を置く美子に続き人数分のスプーンとフォーク、
サラダが入った大きなボウルを持って来た美男は、相変わらず可愛げのない口調で言う。
同じ顔をしていながら二人の性格は全く異なり、それがどうにも滑稽だったようで。
勇気と柊は一瞬顔を見合わせて思わず吹き出し、俯き加減になると小さく肩を揺らした。

「ぷぷっ…美男は味見と盛り付け“だけ”担当だろ?」
「…勇気、お前には俺が作った杏仁豆腐をデザートで出してやるよ、特別にな」
「すいませんごめんなさい遠慮します」

どうにか笑いを収めた柊とは違って美男をからかい始めた勇気だったが、
彼の絶対零度の微笑みと共に止めを刺され、あえなく白旗を上げて降参する。
美男の手料理をまともに食べたら最後、半日はトイレとお友達になるのが必須なのだ。

「お兄ちゃん、勇気さんに意地悪しちゃダメだよ。早くこれ運ぶの手伝って?」
「…分かったよ」

キッチンへ戻った美子は勇気に対する兄の失礼な物言いに
呆れ顔で注意し、彼を呼び付けた。
大事な大事な妹に滅法弱い美男。
大人しく指示に従い、淹れ立てのコーヒーが入ったマグカップと
サラダの取り皿をお盆に載せ、リビングへと運ぶ。

「お砂糖とミルクはどうします?」
「あ、俺はどっちも!」
「ありがとう、俺は砂糖だけで大丈夫だよ」

コーヒーに追加する物の好みを尋ねると、勇気はミルクと砂糖の両方、
柊は砂糖だけとの回答があった。
それらを手に、小走りでリビングまで移動する。
464君に贈るセレナーデ 7:2012/02/10(金) 21:51:24.98 ID:1ER8nhHo

「はい、どうぞ。…えっと、お兄ちゃんと廉さんはブラックだよね」
「あぁ。…それにしても遅いなアイツ。二度寝してんじゃねぇか?」

勇気と柊に砂糖とミルクを必要分手渡した所で、美男が
いつまでも顔を見せない廉を訝しむ。
普段から割と寝起きのいい彼にしては珍しく、美子も少し心配になった。

「俺、寝坊する廉さんなんてまだ見た事無いよ」
「…このところスタジオに缶詰めだったからな。きっと疲れてるんだろう」
「…ちょっと見て来ますね。皆さん先に食べてて下さい」

作曲の苦労を間近で見ていた柊が信憑性ある語り草で言えば、
余計に美子の不安は煽られ ひとまず様子を見に部屋へと向かう。

「廉さん、大丈夫ですか?」

扉の前に立ち数回ノックをしてから声を掛けたが、返事は無い。
やはりまだ寝ているのだろうか。

「入りますよ〜……あれ?居ない…」

そっと中へ入ると、先程まで少々寝乱れていたベッドは綺麗に整っており、
廉の姿も無かった。
不思議に思い辺りをキョロキョロ見回す。

「…どこ行っちゃったんだろ…」
「呼んだか?」
「えっ!?れ、廉さん!ビックリしました…」

気配無く背後からいきなり彼の声がし、心臓が止まりそうなほど
驚き目を丸くして振り向く。
廉は美子のすぐ後ろ、開きっぱなしの扉に凭れ掛かる形で立って居た。
寝間着から早々に着替えて身支度も済ませたらしく、
糊の利いた白いYシャツに黒のベストとスラックス、グレー掛かった
渋いパープルの細身ネクタイという私服が彼の
キリッとした印象を際立たせ、思わず見惚れてしまう。
465君に贈るセレナーデ 8:2012/02/10(金) 21:52:24.02 ID:1ER8nhHo

「何だ?」
「あ、いえ…あの、今までどこに?」
「…顔を洗ってただけだ。寝惚け面をアイツらに見せられないし」

口を半開きにしたまま固まった、その理由を悟られないよう即座に話題を変えると、
思わぬ言葉が返って来た。
どうやら廉は、美子以外の人間に気の抜けた格好を見せたくないらしい。

「そうだったんですか。でも、皆さんあんまり気にしないと思いますよ」
「アイツらは良くても、俺が気にするんだ」

交際前と変わらぬプライドの高さと潔癖症に、つい苦笑が漏れた。
彼はA.N.JELLのメンバーと一つ屋根の下で暮らしてもう二年半ほど経つはずだが、
皆へ100%気を許している訳ではないように見える。
現に、水沢麗子が廉の実母だと知っているのは自分を除き、メンバー内では
兄の美男だけだ。
全てを晒け出す必要は無いにせよ、家族同然の皆に寝起き姿くらい
見せてもいいような気がする。

「…あれ?でも…、前は寝起きのまま…皆でご飯食べてたような…?」

大股に歩いていく広い背中を眺めながら、美子は一人首を傾げた。

この時はまだ、廉の小さな異変に気付く由もなく…。




466君に贈るセレナーデ 9:2012/02/10(金) 21:53:46.38 ID:1ER8nhHo


「いただきます」

A.N.JELLのメンバー全員、朝の身支度を完了させた廉もリビングに座した所で、
美子は彼の斜め向かいの席へ腰掛け朝食を食べ始める。
ホットサンドの具は皆同じだが、廉の嫌いな物にならないよう気を付けた。

「ん、美味い美味い!」
「美子の料理はいつも優しい味がするね」
「当然だろ、俺の妹だぜ?」

延々と妹自慢を繰り広げそうな美男はさておき。
元気にガツガツと朝食を頬張り満面の笑みを浮かべる勇気と、
穏やかな微笑と共に味を楽しむ柊から手料理を絶賛され、
美子の気分はすっかり上昇する。

「ありがとうございます。そう言ってもらえると頑張って良かったなぁって、
嬉しくなりますね」

彼らに笑顔を向けて応えた後、どんな評価が下されるのか一番気になる廉へ、
そっと視線を移してみた。

「…ま、それなりに美味いんじゃないか」

甘い方のホットサンドを一口食した廉が、目を逸らしたまま言う。
やはり素直に褒めてはくれないが、初めて手料理を食べさせた時よりも
遥かに良い感想を受け、心底ホッとした。

「良かったです、廉さんのお口に合ったみたいで」
「…ふん」

まるで昭和の頑固親父に、貞淑な妻といった会話内容。
周りが笑いを堪えているとも知らず、美子は廉の食事風景を
飽きる事なく眺めながらスープを飲む。

彼の母親は、小学校へ通う頃にはもう居なかったと聞いた。
しかし廉の食事マナーは完璧で、尚且つ普段の口の悪さとは裏腹に、
ふとした時現れる所作の美しさからも育ちの良さが滲み出ている。
著名な指揮者である彼の父が、余程しつけに厳しかったのかも知れない。
自分と兄も施設の院長に基本的な礼儀作法などを習ったが、
ごく一般家庭に育った子と大して代わり映えしないレベルだと自覚している。
一朝一夕では身に付けられぬ上品な佇まい…それもまた廉の魅力だろう。

「廉さんは今日もスタジオ?」
「いや、アレンジは家でやるつもりだ。早く出来れば今日中に
事務所へ持って行くけどな」
「そっかぁ…俺はレギュラー収録だし、美男は雑誌の取材だろ?
柊さんは…」
「昨日までCM撮ってたから、今日はオフだよ。温室を手入れしようと思って
NANAも呼んであるんだ」
467君に贈るセレナーデ 10:2012/02/10(金) 21:55:42.25 ID:1ER8nhHo

各々食事をしながら今日のスケジュールを話す。
最近になってますます個人での仕事が増え、半年ほど前から馬淵の下に
若手男性サブマネージャーが新たに三人加わり、メンバーのバックアップも万全。
“やっと俺にも部下が出来た!”と、美子の帰国パーティーで酔った馬淵が
騒いだ事は記憶に新しい。

「美子は…確か、泊まりがけで出掛けるんだっけ?」
「あ、はい。修道院の施設で毎年ある行事なんですけど、
今回は青空学園の子供たちと合同でキャンプに行くんです」
「みんな喜ぶだろうね。くれぐれも危ない目に遭わないよう、気を付けて?」
「はい、柊さん。ありがとうございます」

柊らしい気遣いの一言を有り難く受け取り、頭を下げる。

美子は現在、青空学園の非常勤職員として働く傍ら、自分が生まれ育った
施設の孤児たちの為、ボランティアにも励んでいた。
休みの日は合宿所の家事をこなし、子供と接する上で必要な
保育士資格を取得するべく、勉強も欠かさない。
兄に代わってA.N.JELLのメンバーとなり芸能活動をしていた時期と同じく、
忙しい日々である。

「…泊まりがけ…?何だそれ、俺はそんな話聞いてねぇぞ」

楽しく談笑しながら食事を続けていると、斜め向かいの席から低い
唸りにも似た不機嫌極まりない声が届き、皆一斉に廉を見遣る。
ホットサンドを完食した彼は腕を組んで美子を真っ直ぐ見据え、
眉間に深く皺を寄せていた。

「あ…、すみません…
昨日お話ししようと思ってたんでけすけど、その……」

ここで初めて、己の失敗に気付く。
キャンプで子供たちを引率するはずだった職員の一人が、一昨日から
酷い風邪でダウンしてしまった為、急遽代わりにその役を引き受けた事を
廉へ報告し忘れていたのだ。
作曲中は迷惑を掛けまいと、直接会った時に伝えるつもりが…
昨夜遅く帰宅した彼の成すがままベッドに雪崩れ込んだ所為で、
結局言えず終いのまま。
どうすればこの場を丸く収められるのか分からず、
しどろもどろになる美子を見た廉は、眼光鋭く睨みを利かせた。

「言いたい事はハッキリ言え」
「…すみません…で、でも急に決まった事なんです!明日の夜には
戻りますし、そんなに遠い所じゃありませんから…」
468君に贈るセレナーデ 11:2012/02/10(金) 21:57:31.68 ID:1ER8nhHo

事後報告を嫌う彼。
言い訳染みた己の返事に、みるみる顔を強張らせていく。
勇気と柊は剣呑になりつつある二人のやり取りを目の当たりにし、
いつでも仲裁に入れるよう固唾を飲んで身構えた。

「…あの、私…」
「……そうか、分かった。さっさと何処へでも行けばいいだろ」
「っ…、廉さん!」

彼の機嫌を直そうと必死で言葉を考えてみたが間に合わず、
席を立った廉は冷たい一言を残して自室へと向かってしまった。
無情にも勢い良く閉まる扉。

「うわー…めっっちゃ機嫌悪いね…」
「…気にする必要無いよ。虫の居所が悪かっただけだと思う」

廉のあんまりな態度に勇気が思い切り顔をしかめ、柊は慰めを言いながら
美子の肩を軽くポンポンと叩いた。
それでも、先程まで受かれていた気分は一気に急降下し、今や地上へ
激突したような錯覚さえ感じる。

「私…またやっちゃった…」

下唇を噛み締めて俯き、後悔の念を込めた呟きを零す。
これでは恋人関係になる前と同じではないか。
廉を苛立たせる己の鈍感さが、悔しくて堪らない。

「…美子、そろそろ出なきゃ遅れる」
「…でも、廉さんが…」
「……今は放って置けばいい。ああなったらもう、
話しても余計こじれるだけだ」

二人のいざこざを今まで静観していた美男から冷静に告げられ、
溢れそうになる涙を必死で引っ込めた。
用意した料理をペロリと平らげた兄はソファから立ち上がり、戸惑う妹へ
近寄ると肩まで伸びた髪をクシャクシャッと撫でる。

「お前が帰るまでに、アイツの頭は俺が冷やしておいてやるから…安心しろ」
「…お兄ちゃん…」
「子供たちの為の仕事をするなら、どんな時も笑顔を忘れちゃダメだ。
…院長様が俺たちにしてくれたようにな?」

普段あまり人前で笑みを見せない美男が、男前にそう言い放ち優しく微笑む。
兄の諭した通り、とにかく今は出掛ける準備をしなければならない。
この仕事を選んだのは自分なのだから。

「…ありがとう、お兄ちゃん。廉さんの事…お願いね?」
「あぁ、気を付けて行って来い」
「片付けは俺らがやるから大丈夫!」
「美子、集合場所まで俺が送るよ。すぐ用意しておいで?」
「はい!」

やはり頼りになる、たった一人の肉親である美男と、A.N.JELLの仲間たち。
兄にギュッと強く抱き着いて全てを託し、名残惜しげに身体を離すと
片付け役を勇気と交代し、足早に自室へ向かう。
食事を終えた柊も、まだ寝間着姿にも関わらず車を回しに
玄関まで急いでくれた。

469君に贈るセレナーデ 12:2012/02/10(金) 22:00:28.33 ID:1ER8nhHo

────

窓の外、柊の車に乗り込み走り去って行く美子を黙って見送る。
悔しげに歯噛みし、拳を強く握り締めて。

「…っくそ……!」

窓から離れた廉は部屋のカレンダーを掴むとゴミ箱へ勢い良く投げ入れ、
舌打ち混じりに吐き捨てた。

ベッドに腰掛け頭を抱えれば、目蓋の裏に先程の美子の顔が過る。
今にも泣きそうな、傷付いた表情。
あんな顔をさせたい訳ではなかった。

ただ、今日だけは…。
暗い気持ちになると、独りでは何も出来なくなる。
美子と離れていた二年間、今までこの日をどうやって乗り切っていたのか、
もう思い出せない。

母との仲は現在、和解へ向かっているはずだが、実際の所まだ二人きりで
食事すら出来ていない。
毎年この日を迎えると必ず、心の奥底に沈めたはずの過去に
悩まされてしまい、微妙な関係のまま止まっているのが実情だ。

今朝も、そうだった。
美子が居たから忘れていたけれど。
あの情景が悪夢となって現れた。

***

『お母さん!…行かないで!』

『ぼくのこと、嫌いになっちゃったの…!?』

季節が秋から冬へ移り変わろうとしていた頃。
幼い廉が呼び止めても振り向く事なく、彼女は姿を消した。

母親らしい世話など焼かれた覚えも無ければ、暖かく抱き締められた記憶すらない。
むしろ、父に似ているという己へ冷たく当たる事の方が多かった。

一緒に暮らしていた頃。
母から愛されたくて、振り向いて欲しくて…
廉は同じ年代の子供よりもずっと早く、大人びた子になった。
聞き分け良く父の言い付けを守り。
度々家を空ける母に代わって家事を行う家政婦が困らないよう、我が儘も言わず。
物心付く前から受けていた英才教育でも常に優秀な成績を収めた。

特に音楽、三歳で始めたピアノに関しての才能は目覚ましく。
小さな指が攣ってしまうほどの猛練習を毎日繰り返し、五歳になる頃には
一度耳にした楽曲を完璧に弾きこなす天才振りを発揮し、神童と呼ばれるまでになった。
このままピアノを続け、大きな発表会で1位を取れば、母は褒めてくれるだろうか。
今度こそ父と仲直りし、笑顔で抱き締めてくれるかも知れない。

淡い期待を込めて臨んだステージ。
観客の中に彼女の姿は無かったが、それでも見事な演奏で
クラッシックピアノの難曲を弾いた廉は、周囲の期待通り優勝した。

470君に贈るセレナーデ 13:2012/02/10(金) 22:02:12.79 ID:1ER8nhHo
『お母さん…喜んでくれるかな…』

ワクワクとした期待感と立派なトロフィーを胸に抱え、家政婦の車で
慌てて帰宅したその日の夕刻。
黙々と荷物を纏める母と出くわした。

『…お母さん…?』
『…廉、私はもうここには帰らないわ。あの人だって、
愛してもいない妻と居るのは苦痛みたいだから』

まだ五歳の廉に、母の意図を丸ごと理解するのは不可能だったが、
“帰らない”という言葉が何を意味するのかは朧気に分かった。
小刻みに震える身体を奮い立たせ、キラキラと輝くトロフィーを
母へ差し出す。

『…ぼく、発表会で優勝したんだよ!
お母さんに、これあげる!…だから…』

いかないで…目尻から零れ落ちそうになる雫を堪え、懸命に笑顔を作る。
母は一瞬ピクリと眉をひそめ、こちらへ目もくれず
スーツケースを抱えて背を向けた。

『…あなたは…父親と同じね。クラッシック音楽しか愛せない、
冷たい人間なのよ』
『え…』
『……じゃあね』

冷酷な台詞を置いて、母が出て行く。
躊躇い無く閉まる扉を呆然と眺め、廉はトロフィーを取り落とした。
涙が溢れて止まらない。

『…お母さ、ん……お母さん!!』

金縛りに遭ったように動かない役立たずの足に鞭打ち、玄関を飛び出し
並木道の中を遠ざかって行く、母の背へ泣き叫ぶ。

だが、どうしてもそれ以上追い縋る事は出来なかった。
“お前なんか要らない”と、振り払われるのが怖くて。

あの日から、大好きだったクラッシックの曲は…二度と弾けなくなった。


471君に贈るセレナーデ 14:2012/02/10(金) 22:03:44.61 ID:1ER8nhHo


「………」

記憶の波を漂う思考を遮断し、忌々しげに溜め息を吐くと譜面が並ぶ
デスクまで移動する。
椅子に座りペンを持ち、昨日書き上げた曲を眺めた。

こんな日は仕事に打ち込むしかない。
起床時より僅かに感じていた頭痛が、段々と酷くなっている事から目を背け、
編曲作業に取り組み始める。

もしここに美子が居れば、きっとまたドジな失敗をして己の心を掻き乱し、
やがて和ませてくれるだろうに。

「…美子……」

くったりと耳が折れ、元気の無い印象のブタウサギを振り返り、
掠れた声で愛しい名を紡ぐ。
素直に“行かないでくれ”と言えなかった自分に反吐が出そうだ。

廉は譜面と向き合いながらも、全く何のアレンジも浮かばない現実に、
自嘲的な笑みを漏らした。


472君に贈るセレナーデ 15:2012/02/10(金) 22:05:30.65 ID:1ER8nhHo
−−−

「廉さん、いきなりどうしたんだろ?
最近はあんな風に怒ったりしなかったのに…」

マネージャーが迎えに来るまでの間、勇気は
キッチンで洗い物をしながら美男に愚痴る。
目に入れても痛くないほど愛する彼女が、外泊するという話を
己だけ聞かされていなかった…それは確かに嫌かも知れない。
されど、たかが一泊である。
美子に対して、理不尽な怒りをぶつけたようにしか見えなかった
廉の態度は理解し難く、無意識に眉根がググッと寄る。

「……心の傷は、そう簡単に治るモンじゃねぇからな…」
「へ?…ごめん美男、水の音でよく聞こえなかったんだけど…」

泡だらけの皿を濯いでいると、リビングでテーブルを拭きながら話す美男の
声は聞き取り辛く、一旦水を止めて彼に近付いた。

「…なぁ、勇気…気付いてるか?」
「えっ、何を?」
「廉の機嫌…去年も、一昨年も……
最悪になる日があっただろ」
「あー…そう言われてみれば…
…いつも秋の終わり頃は不機嫌だったかも…」

指摘を受け、よくよく思い返すと腹を空かせた猛獣並に不機嫌な廉が
居たのは、決まって同じタイミングだった気がする。
首を捻り腕を組んで考え込む勇気の前を、使い終えた布巾を持った美男が
横切り、リビングの壁に掛かったカレンダーを指差した。
示された先は…。

「……それが、今日だ」

彼の涼しげな双眸と淀み無い口調に、確信めいたものが見えた。

473名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 22:11:08.25 ID:1ER8nhHo
今回はここまでです。
これ以上の投下は次スレに行ってしまいそうなので・・・

素直にラブラブな廉美子を書けなくてすみません。
しばらく続きます。
474名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 23:23:19.07 ID:ani966fo
GJです!!
待ってましたよww
廉君可哀想で泣けました
次は 昨夜はあんなに激しく二人で愛を育んだ
   今度は本当に足腰を立たなくしてやろうか
   ↑この辺詳しくお願いしますwww
475名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 23:38:26.91 ID:OJn/mdee
>>473
GJ!
ちび廉さん可哀想だなぁ…切なくなりました
廉母も最終話で急にいい人になったwけど、そう簡単には許せないよね
続き楽しみです
476名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 23:44:36.19 ID:j4qB84II
めっちゃ大作続いてたー!!やったー!
>>451
RINAさん、かっけー!!GJ!素敵なレクチャーご馳走様です。
最後は馬淵さんですね?Hな気分のまま、勢いで…!?ってのもいいかもw

>>473
星を探しての世界ですね?待ってましたよー!廉美子もGJです!
ちょっぴり切ないシーンもさすがです。引き込まれました。
美子が帰ってきてからのラブラブに期待していますー!
477名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 07:08:50.60 ID:Qgg0nUZs
>>473
GJ!続きが楽しみ!
廉さんの心情を想像して切なくなった…
478名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 10:36:21.22 ID:r3ZUjbBP
>>451
RINAさん、オトコマエ!このまま少し突き進んでもいいかもw
美子、廉さんが物足りなく感じたりしてw
最後、馬渕さん?かなり気になる、RINAx馬渕、見たい。泥酔なのか、寄ったフリなのかw

>>473
GJ! 廉さんママ、5歳の廉さん、置いて出ていくなんて・・・
人間不信になりそうだよね。
しかし、クラシックな廉さんもいいですね、廉さん元ヤンぽいイメージでしたがw
高尚な廉さんも素敵です。
479名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 13:44:26.21 ID:3O240qPo
>>473
GJ!
以前の柊NANAも大好きでしたw 廉美子うれしいw
昨夜はあんなに激しく二人で愛を ←何したんだ?廉さん…
廉さん過去を捏造、なんて全然ですよ。すごくリアルに脳内再生された
続き楽しみにしてますw

ところで。
そろそろ500KB近いので、どなたかスレたて準備できる方いますか?
自分、できなくて申しわけないです。
480名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 18:42:44.02 ID:9yh5uYz/
>>479
教えてくれてありがとう。全然気にしてなかったよ。
もうあの夏から半年経つんだね・・・
スレたてしてみたよ。

★次スレ★
【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1328953174/

ヨロシク↓( by 美男兄)
481名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 19:34:04.63 ID:cDc4blQj
スレ立てありがとうございます
じゃあ、埋めていきましょうか!
482告白miko:2012/02/11(土) 19:38:46.93 ID:cDc4blQj
わー間違った
短いものを投下します

A.N.JELLに加入した時、とにかく女だとばれないように必死でした。
言葉遣いや立ち居振る舞いなど、気を使うことが多くて毎日くたくたになりました。
しかも廉さんは私の事嫌ってたし、お前なんか認めないって、はっきり言われましたし。
兄の居場所を確保しておかなきゃって思ってたから、目の前が真っ暗になりました。
すごく廉さんの事が怖かった。でも、いつのまにか好きになっちゃったんですよね。

それまで周りには優しい人しかいなかったし、両親はいなかったけど施設でも修道院でもとてもよくしてもらってたから、
廉さんみたいに怖い人に会ったのは初めてでした。
いつも廉さんの目に怯えてなんとか迷惑を掛けないように頑張っていましたけど、私ってドジだから失敗ばかりして。
でも、廉さんって本当はすごく優しい人なんです。それがわかってくると今までマイナスのイメージしかなかった廉さんの、
いい所ばかりに目が行くようになって自分の気持ちを抑えるのが苦しかったです。
男としてA.N.JELLにいるわけだから、好きだなんて言えないし、それに、男の人を好きになったのも初めてだったから、
どうしていいのかわからなかった。
兄も遠くにいて相談できなかったから、院長様にお話を聞いてもらったりして、あの頃は辛かったなあ。

廉さんて自分のやりたい事、やりたくない事がはっきりしてるんですよね。
だから時には冷たい人だなんて思われることもありますけど、それは誤解です。
ぶっきらぼうで誤解を解こうともしないから、益々誤解されるんですけど。
でも、メンバーやスタッフ、ファンの皆さんの事を心から大事に思っているし、とっても暖かい人。

一度色々あって別れかけたことがありました。自分達ではどうしようもない事で、私はもう諦めてました。
その時廉さんが自分の今まで積み上げてきた物も、将来も失くすかもしれないのに、私を追ってくれました。
嬉しくて、申し訳なくて、涙が止まりませんでした。
その後二年間、私は日本を離れましたが、二人にとって大事な時間だったと思ってます。
お互いに自分の心を見つめて、相手がどんなに大切な人か再確認できましたから。
今はとっても幸せです。支えながら、支えられながら生きていけたら嬉しいなって思ってます。
483告白mio:2012/02/11(土) 19:42:09.00 ID:cDc4blQj
三か月ぶりに日本に帰って来た時、状況は大きく変わっていた。
美子が頑張ってくれたおかげで、A.N.JELLにはすんなり入って行けたけど、その肝心の美子に恋人が出来ていた。
俺がいない間に恋人だなんて!あの美子が!
いつも俺の後ろに隠れて小さくなってた美子が、俺に無断で恋人を作るなんて信じられない。
しかも相手は、「あの」桂木廉だ。
無愛想で、怒りっぽくて、傍若無人で、俺様で、皮肉っぽくて、意地悪で、そりゃ顔はちょっとはいいかもしれないけど。
とにかく、あんな奴に美子は絶対に渡さない!そう思ってたから、美子のアフリカ行きは、むしろ大歓迎だった。
二年間も離れてたら、絶対ダメになるに決まってる。そう思った俺は高をくくっていた。それなのに…

二人は細々とメールや電話や手紙で連絡を取り合いずっと続いていた。
廉が美子から送られてきた手紙を、嬉しそうに読み返しているのを何度も見かけた。
少し顔を赤らめて嬉しそうに手紙を読んでいる廉を、俺は苦々しい思いで見ていた。
仕事が終わっても遊びにいくそぶりもないし、周囲に女の匂いはしなかった。
つーか、遊べよ。いい若いもんが、体に悪いぞ。
さりげなく合コンに誘ったりしても、一切拒否られた。
まずいな〜と俺は思ってた。美子は一途な奴だから、自分から別れることはないだろうし。
だから廉が待ちきれなくて浮気をするとか、他の女に乗り換えるとかしてくれないと、このまま続いちゃうじゃん。

一度、美子のどこがいいのか聞いたことがある。
お前兄貴のくせに、そんな事もわかんないのか?とでも言いたげに俺を見た後、廉は言った。
「素直で、正直で、一生懸命で、可愛くて、優しくて、思いやりがあって、しっかりしてるのに泣き虫で…」
「わかったよ、もーいいよ」
呆れた俺が途中で口を挟むと、廉は恥ずかしさのせいか首まで真っ赤にして、怒ったような顔をしてぼそっと呟いた。
「でも、そんなの全部関係ない。ただ、好きなんだ…」
ちぇっ、わかってんじゃん。
その頃から俺は少し廉の事を見直した。

二年ぶりに帰って来た美子は少し逞しくなってた。こいつは昔からそんな所があった。
いつも俺の陰でめそめそ泣いてたくせに、妙に腹が据わってると言うか、開き直ると強いと言うか。
でも可愛いのは相変わらずだ、俺に似て、へへ。
二人は最近いつも一緒だ。やっぱりちょっと面白くない。
俺やメンバーに一応は気を使ってるつもりらしいけど、ラブラブオーラが半端ないんだよ。

そうこうしているうちに、なんと二人で暮らしたいなんて言いだしやがった。
嫁入り前の娘が同棲なんてとんでもない!と言いたい所だけど、結局押し切られちゃうんだろうな。
廉の様子を見てると多分大事にしてくれそうだし、その点は心配してないけど、ちょっと寂しい。
もうお兄ちゃんは必要ないのか?

二人の引っ越し祝いに新居に行ってきた。
合宿所に近い場所だし、会おうと思ったらいつでも会えるけど、改めて俺から自立したんだなと思うと、なんかつまんなかった。
美子も廉も本当に嬉しそうで、幸せそうだった。ほんとなら喜んであげなくちゃいけないんだけどな。
帰りの車の中で少し泣いちゃったのは美子には秘密だ。
柊と勇気は気づいてたみたいだけど、知らないふりをしてくれた。いい奴らだよ、あいつらは。
妹の事で泣いちゃうなんて恥ずかしいけど、俺もそろそろ妹離れしなきゃいけないのかな。
484告白ren:2012/02/11(土) 19:44:48.90 ID:cDc4blQj
美子がいなかった二年間、正直言って我慢してたという実感はない。
俺だって男だから、女を抱きたくなることだってある。でも美子以外の女には何も感じないんだよ、本当に。
女を抱きたいというより、美子を抱きたいってこと。照れるけど。
元々女にはそんなに興味がなかった。と言ってもゲイじゃないよ、勿論。
そんなことより音楽が一番だったから。もっとうまくなりたいし、いい曲作りたいし、それだけで頭が一杯だった。
何度か付き合ったこともあるけど、何かめんどくさいなっていうのが正直な気持ち。
やれ記念日だとか、メールの返信が遅いとか、普通に仕事してる男ならそんなに応じてられないだろ。
こっちにはこっちの都合もあるし、元々時間の不規則な仕事だしね。
そんなんで結局いつも自然消滅みたいな感じかな。
デビューして結構名前が知られるようになってからは、余計女からは遠ざかったかもしれない。
A.N.JELLの桂木廉だからって近づいてくる女も多いし、そんな女にうっかり手を出したらキャリアが台無しだろ?
勿体ない?そうかな?グルーピーみたいな女に声かければ、そりゃ入れ食い状態かもしれないけど、毎晩違う女と寝るなんて異常じゃないか?
そんな事してると、自分じゃ気が付かなくても、雰囲気が荒んで曲作りにも影響出そうな気がするけど。
美子はね、ここだけの話だけど、最初大っ嫌いだったんだよね、ふふっ。信じられないだろ。
出会い方が普通じゃなかったし、とにかく目障りでしょうがなかった。
ルックスも特に好みのタイプってわけじゃなかったし、ほんと、不思議だよな。
いつも視界に入れないように無視してたんだけど、それでもチラチラと目に入っちゃうんだよね。
そのうち段々と気になるようになってきて、いつのまにか好きになってた。
ライバルがいたのも大きいかもな。何とかしないと取られると思って焦っちゃったし。
そういう意味では奴に感謝だな。自分でもいつから好きになったのか、自覚がなかったから。
とにかく一生懸命なんだよ、美子って。素直だし、正直だし。
世間知らずで守ってあげなきゃっていうふうに見えるだろ?ところが意外とああ見えてしっかりしてるんだよ。
時々こっちが驚くくらい強いところを見せるよ。だって、いろいろ紆余曲折があってやっと結ばれたのに、二年間もアフリカに行ったんだぜ。
普通、行く?びっくりしたよ、俺も。
でもあいつが決めた事だし、あいつにも本当は夢があったから俺も反対はしなかったけど。
一緒にいたのが三か月でそのあと二年間離ればなれって普通じゃ考えられないよね。
しかも三か月一緒って言っても、実際付き合ったのは一か月ちょっとくらいだし。
でも不思議と不安は無かったな。むしろ美子も頑張ってるんだから、俺も頑張ろうって思えたよ。
二年後美子が帰って来た時、A.N.JELLが落ちぶれてたらかっこ悪いだろ?
美子をイメージした曲もたくさん出来たよ。どの曲かは秘密だけど。
でも、メンバーには冷やかされるね、毎回。すぐわかるみたい、また美子ソングだって。
二年ぶりに会った美子はやっぱり少し大人になってた。その過程を見られなかったのは最高にくやしいけど、これからは一生一緒だから。
あ、美子が来た。じゃ、これで。今の話、美子には内緒な。
485名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 19:49:48.23 ID:cDc4blQj
まだ埋まらないか〜
以上です
486名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 19:55:36.07 ID:C5GwKyvt
>>480
スレ立て感謝。ありがとう。

そして職人様方、ありがとう。

埋めのお手伝い
487名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 20:05:55.54 ID:3O240qPo
>>480
おお、ありがとうございます!
お願いしたら、すぐにやってもらえたw

>>485
GJです
3人ともいい!柊さん勇気Ver.もちょっと読みたいw
488名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 20:37:12.58 ID:fZ2UW2DW
>>480
スレ立て乙!!

>>485
そういうの新鮮でイイ!みんなぶっちゃけてるしカワイイよ〜。
柊&勇気バージョンもよろしくですw
489名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 20:52:27.07 ID:lyRbVtZO
>>480
乙!半年たっても美男愛は冷めないぜ

>>485
GJ!きゅんときました
490美子の旅立ち:2012/02/12(日) 10:00:29.56 ID:eNOSywGH
まだ埋まらないみたいなので短いのを一つ

成田からの帰り道、馬淵の運転する車の中は静まり返っていた。
柊は窓から空を眺め、時折ため息をつき、勇気は目を潤ませている。
廉と美男は真っ黒なサングラスをかけていて、その表情はうかがえない。
「おい、お前ら、なんだよ〜黙りこくっちゃって。二年なんてすぐだって。元気出せよ」
馬淵が明るく話しかけても誰も返事を返さない。
「ったく…。だらしねえなぁ。美子は笑顔で元気に旅立ったってのに。
それにしても今日の美子は綺麗だったなあ。なぁ、そう思わねえ?」
隣の勇気に話しかける。
「なんか色っぽくなったっていうかさ。な〜んかあったのかなぁ〜?」
わざとらしい言い方をして、バックミラーで廉に視線を送ってくる。
え?、顔を上げると柊も勇気も美男も廉の顔を見ている。
「なっ何だよ…」
徐々に赤くなっていく廉の顔を見てみんな「ハァー」とため息をついた。

(確かに綺麗だったな。瞳がキラキラして。一人一人とハグして、大きく手を振って、涙も見せずに行った。
あんなに泣き虫だったのに。なんか、女ってすげえな)

廉は事務所に行って遅くまで仕事に没頭した。
ツアーも終わったばかりだし、特に急ぎの仕事があったわけではないが、美子のいない合宿所に帰りたくなかった。
「あ〜のどが渇いたな〜」
ぽつりと呟いたあと、はっとしてドア脇の窓を振り返った。
「いるわけないよな…」
美子が水やら蛍光灯やらを宅配してくれた日のことを思い出す。
自嘲気味な笑いをもらすと廉は帰り支度を始めた。

合宿所に戻るとみんな自室に引き上げたのか明るいリビングには誰もいなかった。
見慣れたリビングがガランとして見えた。
そのまま自分の部屋に戻る。上着を脱いでベッドに寝ころがり、目を閉じると昨夜のことが脳裏に浮かんでくる。
たった一日前のことなのに、ずっと昔のことのように感じる。
小柄だけどのびやかな美子の肢体、初めて感じる体の奥から湧き上がる感覚に恐れを感じながら、懸命に廉に応じようとする美子。
その表情の一つ一つを思い出すとたまらない気持ちになってくる。
「美子」
小さな声で呼んでみる。ベッドに突っ伏すと美子の残り香が鼻をくすぐる。
すぐ隣に美子がいるような錯覚にとらわれたまま廉は静かに眠りについた。

以上です
491アフリカからの便り
遅い夕食を済ませてのんびりとくつろいでいるA.N.JELLの4人。つけっぱなしのテレビを見るともなしに見ていた。
「…ニュースは以上です。続いては今日の特集です。アフリカのギニアでボランティア活動に励む日本の若者をご紹介しましょう。」
皆一斉に画面に目を向ける。リポーターに紹介されている数人の若者の中に少し日に焼けた美子の姿があった。
「わーっ、美子だ!廉さんっ美男っ美子だよ!美子!」
勇気が驚きの声を上げる。皆思わず身を乗り出して食い入るように見つめた。
「廉さんっ録画!録画!」
廉はあわててリモコンを掴んだが、焦っているせいでチャンネルボタンを押してしまった。
「チャンネル変えてどうすんだよー」
勇気は廉からリモコンを奪い取ると録画を開始した。
画面ではリポーターが一人一人に活動の内容を聞いている。
医師として現地の子供たちの感染症予防のための活動をする人や、
道路や橋などを整備するための作業・指導を行う人などに続いて美子の番になった。
「私は子供たちの食事のお世話とか、日常生活の衛生管理や、あと少しだけお勉強も教えたりします」
「驚いたな、でも元気そうで良かったよ」柊に続いて勇気も「うんうん!ほんとーに良かった」
廉と美男は無言のまま見入っている。
と、画面はビデオに切り替わり活動の様子が流れ始めた。
美子が子供たちと手をつなぎ歌っている。また教室らしき所で算数を教えているのだろうか、黒板に数字を書いている。
しかしよく見ると…「15+8=22」
ん?「アホかっ間違ってるだろーが!」思わず廉が叫んだ。
先輩のシスターらしき人に指摘されてエヘヘと笑う美子。それを見た美男が顔を真っ赤にして「あいつ、恥ずかしすぎる」と呟いた。
場面は変わって、ボランティアの人たちの交流の様子になった。
日本人だけでなくいろんな国から集まっているようだ。美子も皆と仲良くやっているらしい。
ここで廉はあることに気付く。美子の隣にいつも同じ男がいるのだ。
馴れ馴れしく肩を組んだり、頭を撫でたりしている。どうやら道路や橋を作っていると言っていた男だ。
「なんだあの男は!」廉が言うより早く美男が叫んだ。
「うちの美子に馴れ馴れしくさわるんじゃねえ」
内心(そーだ、そーだ)と思いつつも、露骨に嫉妬するのもみっともないと思い、廉は平静を保っていた、つもりだった。
「廉さん…顔怖いよ…」勇気が笑いをこらえながら廉を見ている。
柊は「美子は可愛いからなぁ、あの男の気持ちはわかるよ」といたずらっぽく笑って廉の神経を逆なでする。
「柊っ!お、おまえふざけんなっ」廉は目をむき柊を睨みつけた。

「それでは最後に、日本のご家族や友人に向けてメッセージをどうぞ」
リポーターに言われて一人ずつカメラに向かって話し始めた。
美子の番がきた。廉は無意識にこぶしを握りしめ画面を凝視する。
「お兄ちゃん、わたしは元気です。お兄ちゃんも頑張ってね」
え?それだけか?美男を見ると、横目で廉をちらっと見て、フフンと勝ち誇ったように笑った。
「それから…」それから?皆身を乗り出す。「それから、合宿所の皆さんも頑張ってください」
合宿所の皆さんか…。
「まぁしょうがないよね。A.N.JELLの皆さんとか、廉さんとか言うわけにいかないもんね」
勇気はうなずきながらひとりごちる。なーんか面白くない気分の廉だったが、番組終了間際の映像を見てはっとした。
カメラに向かってみんな手を振っているのだが、美子は胸元の星形ネックレスを指でつまんで、シャラシャラと振っている。
それを見た途端、廉は口元がニヤつくのが抑えられなかった。それを見て勇気が一言。
「廉さん…笑顔がブチャいよ」

以上です