キモ姉&キモウトの小説を書こう!part40

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744名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 07:00:47.00 ID:455IYbt6
風見さん、もう別の小説サイトで発表する方がいいかもね。

あと、風見風見と粘着してる糖質は
早く病院に行け。ウザい。気持ち悪い。
745名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 09:57:48.80 ID:asNCox8U
>>744

ある意味その風見って人を宣伝してるつもりなのかもね。>>742
熱烈なファンとか?

いずれにしろ「糞構ってちゃん」だって事はわかるね。
746名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 10:24:18.06 ID:0fEeDQwl
>>745
風見自演するな屑
747人格転生 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 11:50:12.98 ID:TYMCT2Sl
投下します。
748人格転生10 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 11:52:33.58 ID:TYMCT2Sl
由衣と一緒に学校から帰ってきてからテレビを観ながらリビングでくつろいでいた。
ソファで俺の横になってウトウトしている由衣。
そろそろあいつとの交代時間か。

「由衣、眠いか?」
「ふぅ…う、うん…」
「そっか。でも日記はちゃんと書いとけよ」
「うん…んにゃむ…」

いつものようにリビングの棚にある真っ赤な日記に手を伸ばし今日の出来事について書き始める。
表情は眠そうだが真剣だ。こういう懸命なところは見てて可愛い。

「ふあぁ…また明日起こしてね、お兄ちゃん…」

そのままテーブルに日記を置いてソファに寝転がる。

「わかった。おやすみ」

そのまま眠りにつく由衣。
あいつを迎える準備をする。
と言っても気構えだけだが。

―こんばんわ、兄さん

由衣と同じ姿の妹が俺にそう呼びかけた。


 〜人格転生〜


「ふわぁ…ご飯ですか?」
「ああ」

いつものようにあくびをしてから尋ねてくる。

「…食前?」
「そうだよ」
「わかりました」

起き上がりキッチンに向かおうとする。

「兄さんも一緒にするんですよ?」

目の前の冷静な口調で俺に問いかける由衣とまったく同じ姿をした人物。
由衣のもう一人の人格、美里由利(みさと ゆり)。
正真正銘の天才である。こいつは由衣と同じ姿形はしているが中身はまるで別物だ。
何しろIQテストなどの知能検査の類や学力試験で望みの点数を出せる能力がある。
高校受験の時は由衣に風邪ということで無理やり休んでもらって、特例の試験を夕方に受けさせてもらった。
まあ法律上は問題ないし同一人物だからいいのだろうが。

「わかってるって。でも昨日のカレーがまだあるぞ」
「捨てちゃいましょう」
さらに由衣の長所の運動神経などはほぼ変わらない。
だが由利が言うには細かいところも含めると運動能力に関しては由衣の方が上だとか。
前に由衣の撮影された体育祭のビデオを観てそう言っていた。

「もったいないだろ」
「いいんです。昨日は私が起きるのが遅かったら、作ってくれたんでしょう? あの子と一緒に」
749人格転生11 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 11:55:06.52 ID:TYMCT2Sl
由利は由衣のことを、あの子、と言う。このように性格も仕草も口調もまったく違う。
由利は由衣のような奔放さは一切ない。合理的で感情の起伏が少ない。

「だけど、まだ残ってるしさ」
「私は兄さんと一緒に作りたいんです。ダメですか?」

と言っても例外がある。俺に関することに異常な執着をみせる。
他人が見れば由衣もブラコンらしいが、それは当てはまらないと思う。
なぜなら俺は世話を焼いているだけだからだ。
当てはまるとすれば由利みたいなのを言うんだと思う。
由利は手段を選ばずに俺にくっついてくる。

「じゃあカレースパゲッティにしないか」
「そんなに私と料理を作るのが嫌なんですか」
「そうは言ってないだろ」
「麺を茹でるだけじゃないですか、つまらない」

まあ、その茹でるだけができない奴もいるけど。
膨れた顔をしているが、それも由衣とはぜんぜん違う。
もう髪のツインテールを外してストレートに下ろしている。
さっきキッチンに入るときも少しだが軽く化粧もしたりしていた。
表情も全く違う。由衣にはまったくない緊張感というのがある。

「サラダもつければいいんじゃないか?」
「なんで兄さんは簡単な料理を選ぼうとするんですか」

いったいどうしろと?

結局、予定通りカレースパゲティとサラダになった。

今、俺と由利はテーブルで食事をしている。
あのあと結局ぶつぶつ言いながらも由利と一緒に料理をした。

由衣と由利のことについて改めて考える。

 多重人格。正式名称、DID乖離同一性障害。

由衣と由利の病名だ。ちなみに戸籍上は由衣になっている。
多重人格は幼児期のトラウマで発症するものとされている。
トラウマから逃げるために別の人格を創りだす、と。
ただ由衣たちに限ってはこの説には当てはまらないと思う。

「兄さん、何を難しい顔をしてるんですか?」
「別に」

確かに初めは由衣だけだった。由利の存在に気がついたのは俺が物心付く前だった。
両親が死んだ時期と重なるが、それが由衣に影響を与えたとは思えない。
それだったら俺もなにかしか心に傷を負っているはずだからだ。
別に過去に何かトラウマがあったとも思えない。

「おかわりはいりますか?」
「ん、たのむ」
「はい。うふふ…」

小学生低学年の頃までは由衣の一人遊びだとおもっていた。
ちょっと性格がおかしなことになる時もあったが別に違和感なんかなかった。
そう、由利は「最初からいた」。変な表現だがこう表現するしかない。
そもそも由衣と由利のどちらが美里由衣なのかも疑問だ。
紛らわしいから「由衣」と区別するために「由利」という名をつけただけだし。
750人格転生12 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 11:58:03.92 ID:TYMCT2Sl
「ごちそうさんっと、さあてPCでもするかな」
「ごちそうさま、では私もやります」
「じゃ俺テレビみるわ」
「何が何でも私といたくないんですね」
「違うって。つか先に日記みろよ」
「あ、忘れてました」

そして二人が交代する時間が決まっている。
夜寝て朝起きるときと夕方に寝て起きた時だ。
交代がどういう仕組みで起こるのかはわからない。

「片付けはあとでしておきます」
「サンキュ」

このことを知っているのは爺ちゃんと俺だけだ。
両親が知っていたのかはわからないが多分知っていたんだろうと思う。
他のみんなは知らない。愛理やさつきちゃんたちも知らない。
由利も夜にあの子らに会うと、由衣の振りはするが、ほとんど喋らなくてニコニコ微笑んでるだけだ。


リビングに置いてある俺と由利の共用PCでネット巡回をする。
ちなみに由衣はPCを使えない。使うどころかまた破壊されてもおかしくない。
32型の液晶テレビも横にあるが、繋げているのでそちらでも見ることができる。

「兄さん」
「何?」
「この『きれいな人』って誰ですか?」

日記を見ながら由利が尋ねてくる。なんかイライラしてるみたいだ。

「知らない人かな…たぶん」

あの人のこと忘れてた。俺の勘が正しければ、明日来る家政婦さんの可能性が…

「たぶん?」
「ああ、知り合いになる可能性もあるから」
「どういうこと?」

でも由利のことだ絶対に反対するに決まってる。

「いや、ごめん。なんとなく会った気がしただけだからマジでよくわかんない」

誤魔化したほうがいいと判断する。まだ決まったわけじゃないし。

「デレデレしてたって書いてるわよ。それに愛理さんとさつきともずいぶん仲がいいみたいね」
「まあ仲はいい方だと思うが」

由利も愛理とさつきちゃんと会ったことはあるから面識はある。
彼女らとの付き合いは俺たちが高校に入ってからなのでバレていないはずだ。
夜に二回ほど会ったことがあるが微笑んで一言もしゃべらずに誤魔化していたし。
でもあのふたりはかなり勘がいいから、家に招待したら100%に近い確率でバレるだろう。
固定電話も俺が取るようにしてるし、由衣の携帯のデータには俺しか入れてないしチェックもしている。

「ほら、あの子からのメッセージもあるわよ」

由利が日記を俺に見せてくる。由衣たちにプライバシーというものはない。

「えっと…」
751人格転生13 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 12:04:25.45 ID:TYMCT2Sl

おにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好き
おにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好き
おにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好き
おにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好きおにいちゃん大好き
おにいちゃん大好きおにいちゃん大好き…

5行ぐらいに下手な字で書かれているのが目に付く。引くよなぁ。
でも由衣が書くとヤンデレ風というより、小学生を相手に見てる気になってむしろ微笑ましくなってしまう。
あとは普通に今日の出来事が書かれていた。

「私も負けないように書こうかしら」
「なんて?」
「兄さん愛してるって。あの子は31回書いてるから私は倍の63回書くわ」
「やめてくれ」
「冗談よ」

マジで洒落にならない。由利が書くと達筆だし本気でドン引きするだろう。
俺たちはテレビを観てから寝る準備を整える。

明日は土曜日で休みだ。たぶんあの人が来るんだろうな。
朝に来るか夜に来るかで違う対応を取らないといけない。
どうすればいいんだろう。その理由である由利に目をやると訝しげにこちらを見た。

「どうかしましたか」
「なんでもない」

ホントどうしたもんか…
752人格転生 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/19(木) 12:05:50.45 ID:TYMCT2Sl
投下終了です。
753名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 12:21:05.93 ID:Uyc6WWzD

書き手の好きなように投下するのがいいよ
754名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 12:29:54.13 ID:dqf4eiIe
多重人格キモウトか・・・
一粒で二度おいしいな
755名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 12:47:15.01 ID:F55tpOYv
>>752
風見駄作投下すんなカス
756名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 12:53:07.94 ID:jx9YL2op
GJ
多重人格妹でキモサ2倍
続き楽しみです
757名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 13:10:57.53 ID:aG0SWYgv
>>752
乙乙
758名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 19:07:16.49 ID:Q2yEt/q6
>>752
GJ
759名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 19:09:20.44 ID:m8kmmo2N
風見自演して
GJ、乙乙だらけじゃん
760名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 22:18:57.55 ID:lRCvLY4L
gj
なかなか味がある作品でびっくりだわ


風見はこれなんかよりも全然酷いw
761名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 22:21:14.28 ID:JvSq4Kn5
風見死ね屑
762名無しさん@ピンキー:2012/01/19(木) 23:01:59.50 ID:rh+cAYVZ
>>752


お約束すら守れない輩のレスなんて、
気にせず、がんばってくれ
763名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 01:29:12.25 ID:+mYekHRM
gj
多重人格キモウトとは楽しみ
人格色々あるキモウトとか最強だろ
764名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 01:33:48.06 ID:YK2ZdqQw
>>739 レスありがとうございます
765名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 10:01:48.84 ID:lDIX1Eog
風見氏ね
766名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 11:10:31.38 ID:SbFWsb5C
GJです。
アホの子だと思っていたら別人格があったとは。
ですが31回の倍でしたら62回なのでは?
767 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 11:44:28.21 ID:ETtsFxCZ
由利は無意識に2進数で考えているようです。
でも正確な答えじゃないですね。
指摘ありがとうございます。

11111 = 31
111111 = 63

早ければ今日。明日には投下できると思います。
60行で4レスか5レスが一話の区切りになると思います。
768人格転生 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:00:21.36 ID:ETtsFxCZ
投下します。
769人格転生14 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:02:14.76 ID:ETtsFxCZ

朝が来た。ベッドから起き上がる。支度をしてから由衣を起こしに行かないといけない。
ああ鬱だ。あの家政婦さん来るんだよな。帰って下さいとか言えないよな。
どうするどうするどうするどうするどうする
どうするどうするどうするどうするどうする
ああ昨日の由衣の思考が移った。マジでどうしよう。

爺ちゃんからは絶対にうちで働いてもらうように言われている。
なんでももう契約済みだとか。そして信用度もお墨付きらしい。
どの筋からなのかは言わなかったが、とにかくプロ中のプロらしい。

今日は休日だし由衣は起こさないでいいか。ほっておこう。

ん? リビングから声がする。

なんだ泥棒か!

急いでリビングに行く。

「いや〜それでね。お兄ちゃんったらさ〜愛理さんに怯えちゃってたの〜」
「はは、そうなんですか。でも、お嬢様も面白い方ですね」
「そうかなあ、お兄ちゃんほどじゃないよ」
「それで、続きを聞かせて下さいませ」
「なんだったっけ?」
「お兄様が怯えながら愛理様になんと言ったのですか、です」
「そうそう、あのね…」

俺はリビングに入った瞬間コケた。
まるで芸人のように鮮やかに前へ倒れた。
単に足が引っかかったんだけど。

「おはよう! お兄ちゃん!」
「おはようございます、ご主人様」

開いた口が塞がらない。
いったい何が起こってるんだ? 眼の前でお茶してるふたりはなんなんだ?
そもそもなんで由衣が起きてる? 今日は台風か?
それにメイド服を着たポニーテールにカチューシャの女性は誰なんだ?

「お兄ちゃん。おはよう、は? お・は・よ・う」
「ちょっと来い」

俺は由衣を引きずってキッチンの奥に連れ込む。

「えへへ、どうしたの?」
「えへへじゃねぇ! なんで起きてんだよ!」
「起こしてもらったの」
「誰に?」
「あの人」
「あのメイドさんか?」
「うん」

ゆっくりと由衣を問い詰める。
770人格転生15 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:03:26.41 ID:ETtsFxCZ

「どうやって起こしてもらったんだ?」
「外から『きーん!』って音がしたから起きた」
「それから?」
「窓開けたらあの人がにこにこ笑ってた」
「で?」
「玄関向かって指さして、こっちに向いてウィンクしてた」
「それで玄関のドアを開けた、と?」
「うん!」

由衣は満面の笑みで頷いた。

「うん、じゃねー!!」

由衣にチョークスリーパーをかけた。

「ぐぐぐ…ぐるじい…やめで…!」

ちょっと弱めてやる。

「お前な、もしあの人が強盗とかだったらどうすんだよ」
「ぜぇぜぇ…そ、それはないよ」
「なぜだ?」
「だ、だってメイドさんだもん」
「は?」

言ってる意味がわからない。とうとう頭逝っちゃったか? 元から逝ってたけど。

「メイドさんが泥棒なわけないよ」
「ちょっと待て。メイド服着てたのか?」
「うん」
「朝っぱらから?」
「うん、日の出だったから綺麗だったよ」

想像してみる。朝焼けを背に家の前で佇むメイドさん。シュールな光景だ。
だが、そんなことはどうでもいい。

「俺が問題にしてるのはお前が知らない人を家に上げたということだ」
「知ってるよ」
「はぁ?」
「昨日ぶつかった人」
「…」

言葉を失う。俺は由衣を羽交い締めにしつつ、そーっと首を伸ばしてリビングを伺う。
こっちを向いて微笑んでる。その姿を観察する。こちらに会釈してきた。
俺もガン見しつつ会釈を返す…確かに昨日のあの人だ。気が動転してて気づかなかった。

「おい」
「なになに?」
「おまえにちょっと質問がある」
「いいよーでも腕どけてー」
「おまえの返答による」
「あうう…早く言ってよぉ」
771人格転生16 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:04:25.11 ID:ETtsFxCZ

今日はあの人だったからまだいいが、別の人だったら大問題だ。
こいつが下手したら強盗でも来客として招待する可能性がある。

「よし。今日の例に例えるぞ。スーツ姿のイケメン君が朝方に玄関のドアの前でウロウロしていたとする」
「イケメンってお兄ちゃんみたいな?」
「何気に嬉しいこと言ってくれるな。今度小遣い増やしてやる」
「やったあ!」
「話を戻す。そのイケメンスーツ君が困ったことがあるから玄関を開けて欲しいと、由衣に言ってきた。さあ、どうする?」
「う〜ん。なんで玄関を開けて欲しいのかな?」
「家の財産が目的かも知れん。だが純粋に何か困ったことがあるのかも知らない」

つーか質問を質問で返すな。余計に難しくなるだろうが。主に出題者側が。
これはお前の防犯意識を計るテストなんだ。

「ドア越しで話してみるよ」
「そうか」

なんでコイツはここまで質問にのめり込めるのだろう。

「そいつは財布を無くしたから電車賃を貸してくれと言ってきている。どうする?」
「うーんうーん…! 開けないっ!」
「おお偉いぞ! 兄ちゃんは嬉しい!」
「やった! あたし勝ったんだね!」

由衣は万歳している。アホだなあ。

「でもその人はこう言ってきたんだ『俺、俺だよ、ここ開けてくれよ』」
「えぇっ? 俺って誰?」
「『君の兄だ』と言ってる」
「ええ!? 早く開けて助けないと!!」
「アウトーッ!!」

側にあったスリッパで思いきり由衣の頭をはたく。スパーンという音がした。

「あうぅ!!」
「なんで一瞬でオレオレ詐欺に引っかかってんだよ。相手は『君』って言ってるだろ。俺がおまえを『君』って言ったことあるか?」
「うう、ない…ぐすん。うえぇん、ええぇぇん…」

ヤバイ、本気で泣かせてしまった。リビングからの視線も気になる。

「ごめん。言い過ぎたよ。今度からは気をつけてくれたらいいんだ」
「ぅぅ…違うよ…お兄ちゃんを間違えちゃった自分が恥ずかしいの…ぐす…えぇん…ごめんなさい」
「いやだから、悪いのは俺だから。第一、俺だったら声でわかるもんな」
「うぅぅ…でも…」

全力でフォローするしかない。確かに質問も曖昧だった。マジですまん。

「今日はさ。これからのこともあるし、あのメイドさんと3人で紅茶とケーキ買ってきて家で家族会議…じゃなかった、楽しくおしゃべりしようぜ。ほら、クオリアのケーキ買ってきてさ」
「う…うん、わかったよ…ぐす…でもそのケーキ今食べてるよ」
「へ?」
「メイドさんが持ってきてくれたから一緒に食べてたの」
「…そ、そうか」

もう驚かない。驚かないったら驚かない。
俺は由衣の手を引いてリビングに顔出した。
772人格転生17 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:05:27.97 ID:ETtsFxCZ

「あの…はじめまして。美里良也と妹の由衣です。よろしくお願いします」

そう言うとメイドさんは椅子から立ち上がり深々とお辞儀をしてから髪をかきあげながら顔を上げた。

「はい。改めて紹介させていただきます。姫乃メイド協会から参りました如月薫(きさらぎ かおる)と申します。こちらこそよろしくお願い致します」
「…姫乃メイド協会? …姫乃?」
「わーい! メイドさんだメイドさんだ!」

由衣は喜んでいるが。俺はそのメイド協会とやらの名前に引っかかった。
あと如月にも…

「おい由衣」
「なぁにお兄ちゃん」
「ちょっとメイドさ…如月さんと話させてくれるかな?」
「うんいいよ」
「じゃあテレビでも観ててくれ」
「うん」

俺はキッチンの上のリモコンを操作して土曜の朝の子供向け番組にチャンネルを合わせる。
ちなみにリビングの方は32型だがこちらは26型のテレビ専用だ。音量を少し小さめに設定する。

「あの、如月さん」
「はい、ご主人様」
「すみません、とりあえずご主人様はやめてもらえませんか?」
「はい、では坊ちゃまで」

背筋がひやりとした。勘弁してくれ。

「いえ、それもやめてもらえると」
「では良也様と」
「それも」
「良也さん」
「うーん、普通に良也でいいですよ」
「雇用主に対して呼び捨ては困ります。敬意を持って仕えさせていただく身としては呼び捨てとは大変失礼に当たるかと存じます。それにわたしにもプロ意識と言うものがあります。そのへんを考慮に入れて貰えたら大変嬉しいのですが」
「でも、ご主人様はちょっと」
「では良也様と」
「わかりました。それでいいです」

この辺が妥協点だよな。ってなんか凄い妥協させられたような気がするんだが気のせいか?

「あと、こいつのこともお嬢様とか呼んじゃダメですよ。つけあがりますから」
「了解致しました。由衣様とお呼びします」

由衣はテレビに集中している。確か料理戦隊マイだったか。よくこんなに必死になれるもんだ。まあ確かに主人公のマイは可愛い。きっといい子役を使っているんだろう。

「爺ちゃんから聞きました。俺の学業の負担を軽くするために来てもらったとか」
「さようでございます」
「どの辺りまで聞いてるんですか?」
「とおっしゃいますと?」

言いにくいなぁ。この人もかなりやりにくい相手だ。
由衣の人格について知ってるか聞きたいがどう聞けばいいんだろう。
くそ。でも住み込みで働くと契約済みらしいから隠しても仕方ない。

ふとテーブルを見ると赤い日記が目についた。
ケーキの箱が大きくて視角になり見えなかったのだ。
俺は日記を手に取る。
773人格転生18 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:07:23.45 ID:ETtsFxCZ
こういうときだけ律儀に読むなよ! こいつ朝は読まない日の方が多いのに。
昨日も読まなかったはずだ。由利との交代で支障がでる場合があるため毎朝読むように言ってあるが、普段は忘れることが多いのだ。帰ってきてから書くときだけ読むことがほとんどである。

「由衣はこれ読んで何か言っていましたか?」
「いいえ特に。何かとはなんでしょうか」
「例えば夕方や夜のこととかを…」
「特に聞いておりませんが」
「そうですか」

ため息をつく。なるほど由衣も少しは考えているらしい。見直したぞ由衣。

「あ、そういえば『由利ちゃんはなんで怒ってるんだろう』と言っていました」

前言撤回。楽しそうにテレビを見てる由衣をグーで殴りそうになる。
由利は絶対に反対するぞ。どうすんだよ?
ああ、もう話すのも面倒くさい。嫌でもわかるんだから夕方まで黙っておこう。
ここで話しても由衣がいるし余計な混乱を招くだけだ。

「それと如月さん」
「薫と及び下さい」
「じゃあ薫さん」

今度は話術に引っ張られないぞ。

「なんでしょう」
「そのメイド服どうにかならないんですか?」
「何か問題でもございますか」

そう言って自分の服を見る薫さん。
完全にコスプレというより完璧な洋式のメイド服。
カチューシャに黒のタイトな服にエプロン。
しかも綺麗な人なのでその道の人が見たら萌え死にしそうだ。

「ああ、和装の方が好みでしたか」
「そういう問題じゃありません!」

いや、それも見たい。見たいけどダメだろうそれは。
今日もその格好で朝に家の玄関にいたらしいし。
とにかく目立つのはまずい。

「もう少し普通の服はないんですか?」
「ああ、なるほど」

薫さんは服を脱ぎだす。
774人格転生19 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:08:44.49 ID:ETtsFxCZ

「だああああああ!! なにしてんすか!?」
「落ち着いて下さい。エプロンを取っただけです」
「あああ…びっくりさせないでくださいよ」

ああ。寿命が縮まる。

「お兄ちゃん、うるさいよぉ」

テレビを見ながら由衣に注意される俺。
俺、なんか悪いことしたかなぁ?
あとでいじめてやる。

「これでどうでしょうか」
「あ。確かに普通ですけど、メイド…服…ですよね?」
「ええ。でも外に出ても違和感はないでしょう」

まあ確かに。ひらひらの白いエプロンと派手なカチューシャを少しカジュアルな白いブラウスとシックなカチューシャに変えただけだがずいぶんと印象が違う。
それでもメイドの体裁は保ってる。なんかこだわりでもあるのかな。

「あのそれでは本日より家事を承らせて頂きます」
「あ、はい。お願いします。それでは家を案内します」
「お願い致します」
「そんなかしこまらなくていいですよ」
「はい。ありがとうございます」

結局その場は収めて薫さんに家の案内する。
夕方のことを考えるとさらに欝になるのだった。
由利は怒る。絶対怒る。どうしよう。
775人格転生 ◆qtuO1c2bJU :2012/01/20(金) 17:09:31.55 ID:ETtsFxCZ
投下終了です。
776名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 19:21:36.84 ID:c4XtiXzW
風見死ねでちゅ
777名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 19:32:04.71 ID:RqsyaoUj
seyana
778名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 19:56:11.12 ID:K9OZ1Vcg
>>774GJ!
もう一人の妹がどう思ってるのか…
779名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 20:05:00.01 ID:E/93C8hz
>>775
風見断筆宣言はやく
780名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 21:48:58.51 ID:VnetyCIA
自演が痛々しいな…本人どんな気持ちなんだか
781名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:19:58.46 ID:aMaKIUIr
>>775
投下乙

>>780
キモウトに監禁されたいんだよきっと
782名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:23:03.29 ID:bzFTK9FI
>>768
GJです。
掲示板荒れるから、名前出すのやめない?
783名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 22:27:54.22 ID:RqsyaoUj
風見の自演だらけだな
784名無しさん@ピンキー:2012/01/20(金) 23:58:09.26 ID:K9OZ1Vcg
優しい姉が弟に女が近づくと豹変するとか良いよね
785名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 00:52:22.10 ID:5kkzF1Qm
サキュバススレにキモ姉出現
786名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 01:21:56.74 ID:DFb+2tRD
サキュバスでキモ姉とか胸熱
きっとついついチャームで弟くんを性奴隷にしちゃうのかな
787名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 03:32:45.24 ID:j8rSkKB3
>>782
釣り?
788名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 10:34:00.99 ID:yIYc+APs
>>775
乙乙!
789名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 11:34:40.32 ID:/j24/NwV
ガキは投下が無くならなきゃわかんないのかよ

スルーできる住民素直に尊敬するわ
790名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 14:56:20.09 ID:YBIl1zqo
ちょっとサキュバススレ行ってくうわなにするやめろ姉ちゃ
791名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 14:59:52.07 ID:XpRRIb+A
おい!>>790がヤラれたぞ!
792名無しさん@ピンキー:2012/01/21(土) 21:53:19.76 ID:xq+VMTRF
風見にか?
793名無しさん@ピンキー
ツンデレキモ姉とか良いよね
いつもツンツンしてるのに弟が他の女と一緒だと嫉妬しちゃうんだよ
それでもツンツンしちゃって弟に恋人と聞い日の夜中に部屋に入ってきてキモクデレるんだ