ドラマ妖怪人間ベムでエロパロ

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743名無しさん@ピンキー:2012/03/13(火) 04:39:46.89 ID:+CdxiKDv
>>682のネタでも書いてみた
744過程 1/2:2012/03/13(火) 04:40:22.03 ID:+CdxiKDv
闇が全てを押し包んでいても、人ならぬこの身この目ならわずかなりと視覚は出来る。
寝台すら湿るほど今夜のベラはベムの執拗な愛撫を受けて、目も眩みそうになっていた。大体いつも
こんな風ではあるけれど、やはり今夜のベムは何かが違っている。
どことなく焦っているようにも思えるのは決して気のせいではないだろう。
「や…っ」
何度目かの挿入で寝台ごと揺さぶられながら、霞みそうになる意識を必死に繋いで目の前の肩に
手を伸ばした。ざらりとした鱗の感触が指先にある。
「…ベム、あんた…何か変だよ」
答えはなかった。今夜はもう随分長いこと交わっているというのに、没頭しきっているようだ。
「ね、え…もう…」
懇願のように声を繋いでとんとんと拳で肩を叩き続けていると、ようやくベムが伏せていた顔を上げた。
銀髪の奥から覗く眼差しは妙にぎらついている。
「何だ、ベラ」
「どう、したんだい。今夜は…」
そう尋ねた途端に、闇の中では判然としないが表情は苦渋に満ちたものに変化したようだった。
「それを、言うのか?」
「何のことだい」
「あまり反応がないようだったので、気になっていた。ベラ…お前は感じているのか?」
「はあ?」
思ってもいない事態に、思わずベラは素っ頓狂な声を上げてしまった。
「今夜はそれが気にかかっていたので、何とかお前をもっと快くしようとしていた…どうなんだ、俺は
お前をちゃんと快く出来ているか?」
「あ、そ、そんなこと…っ」
答えられる訳がない。ベムの愛撫にはいつも意識が飛びそうになるほど感じている。ことに今夜は
より念入りなだけに何度も呆気なく達していた。それがこの男には分からないのだろうか、と泣きたく
なるほどだった。
「あたしにはそんな、ことっ…」
ふるふるとかぶりを振りながら、どうしてもそれが言えずにいるベラをどう勘違いしたのか、頬を撫で
てくるベムの声が無情なほどに冷たく降る。
「そうか…まだそれほど快くないのか…それなら快いと言うまで続けるぞ」
「えっ!」
745過程 2/2:2012/03/13(火) 04:40:53.74 ID:+CdxiKDv
これはとんでもないことになってしまった、と思った。続けざまの行為でもうベラは精根尽き果てようと
している。これ以上続けられたら、正直どうにかなってもおかしくなかった。
中断されていた行為が再開されると、これまでにない激しい快感がベラを襲った。ベムは断続的に突き
上げながらも、指先が焦れったく膨れ上がったクリトリスを捏ねてくる。濡れきっているだけにたやすく
指を受け入れてしまう自らの身体が恨めしい。
「やぁん!」
挿入されている時に、そこを触られるのは本当に勘弁して欲しかった。あまりにも快過ぎて、苦しくて、
どうしようもなくなる。
「…今までよりは、ましなようだな。ベラ」
ベラの反応に気を良くしたのか、ベムの手管はより濃密なものになった。ついさっきまでのどこか性急
で乱暴ですらある遣り方は一変して、丹念にしてより繊細なものになる。一体どうしてここまで手を尽く
そうとするのか、それが本当に分からない。
分からないまま、ただ翻弄される。
この男の手なら、どんなものであってもベラは燃えるのだ。なのに伝わらない。身体だけはこんなに
繋がっているのに、互いの心がまだついて来れずに一方通行のまま交錯している。それを上手く説明
出来るのであればどんなに良いだろう。
「ベラ…俺はいつもお前のことばかりを…」
「…あぁ…あんたは、いつも、勝手なんだからっ…」
それでも闇の中、二人は互いに妥協点を摺り寄せながら今夜も最高に昂り合っていく。いつの日か
真にいざり溶け合う時まで。




746名無しさん@ピンキー:2012/03/13(火) 11:47:07.80 ID:dz0xZn66
GJ!!
>>682を書いたものだが小説化してくれて嬉しいですw
747名無しさん@ピンキー:2012/03/14(水) 07:28:10.91 ID:bVYfbqR4
GJ!
ベムはクソ真面目に色々なテクを探求するんだろうな
748名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 11:01:52.09 ID:xR7hp0so
質問 ベムたちは精神が昂ると変身するのに、セックスしても大丈夫なのはなんでですか?

答え それだとエロが成立しないからです
749名無しさん@ピンキー:2012/03/19(月) 00:02:54.03 ID:S3RNmE5l
小春メイン、エロなし
何となく不調
750望洋少女 1/3:2012/03/19(月) 00:03:53.49 ID:lLviGGBu
全てにおいてとりとめがなくて苛々する、自分の未来がまだ分からないのは心許ない。
前途望洋にして周囲には霧立ち込め、足元すら見えない感覚がある。
きっとその前には断崖絶壁があるのだろう。
だから何となく怖くて先の一歩が踏み出せない。
小春の心情を的確に表すなら、こんな感じだ。

朝から曇りがちだった空は、午後になってからいよいよ暗く澱んできている。もうじき温い雨が降るの
だろう。
「ボーヨー、ボーヨーーー」
ひっきりなしに車が行き交うのを眼下にしながら、歩道橋の上でぼんやりと小春は一人立ち尽くして
いた。自分でもどこから湧き上がってくるのか分からない焦燥や、怒りが説明のつかない言葉となり
口から飛び出る。
「ボー…」
ふと、空しくなって溜息をついた。
今のところ、特に何が不満な訳でもない。
ほんの少し前まではクラスの女子たちに無視されたり無意味に嘲笑されることが多かったが、相手に
しなかったこともあって今はかなり収まった。それに、中心となって小春を何かと攻撃していた連中は
どうやら集団万引きをやらかしたようで、誰が主犯なのか罪のなすり合いをしている最中だ。しばらく
他のことになどとても目が向かないだろう。
そんなものでしか身の内から湧き上がる衝動を発散出来ないなんて、幼稚なものだ。しかし、自分も
結局は似たようなものだと小春は自嘲する。
誰もがみな、この時期には幾度とない迷走をするのかも知れない。
自分の本当の有り様を見つけようとして。

指が冷えてきた。
雨が降る前にそろそろ家に帰ろうかと思い始めた頃、不意に肩を叩かれた。
「何してんだい」
不躾な声には覚えがある、あの女だ。
案の定、振り返ればベラが腕組みをして片眉を上げていた。
「別に何も」
「そうかい、随分長い間ここにいたようだねえ。そんなに眺めはいいのかい?」
「…んな訳ないじゃん」
「はははっ」
751望洋少女 2/3:2012/03/19(月) 00:05:20.79 ID:lLviGGBu
何がおかしいのか、大声で笑った後ベラは飴を一つ差し出してきた。
「やるよ。さっきあんたんちに行っててねえ、日出美に貰ったんだ」
「そう…ありがと」
手の中にあるのはセロファンにくるまれた醤油飴だ。今はもういない祖母はこれが大好きだったことを
思い出して、鼻の奥がつんと痛くなった。
それにしても、相も変わらず気ままなものだ。また何がしかの用件があって祖父を訪ねたとは思うが、
それがベラたちに限っては大抵家族三人連れというのが気に障る。
いつもその様子が幸せそうで何ひとつ悩みなどなさそうで、気に障る。
「…何だい、ここからだと車ばっかりじゃないか。面白くないねえ」
隣に立って車の流れを眺めていたベラが、早くも飽きたのか呆れたように言い放つ。そりゃあんたは
退屈だろうねと胸の中で呟いて、その場を立ち去ろうとしたのだが、止められた。
「お待ちよ」
長身のベラが不服そうに眉根を寄せている表情は、迫力がある。
「あんたは何だっていつもそんな顔なんだい、もちっと笑ってご覧よ」
「…それは無理」
自分でも説明のつかない色々な感情に苛まれている今は、あまり心から笑えそうになかった。この女
やその家族たちには到底理解出来ないのだろうが。
本当に、世の中は混沌としていてどうなっているのか分からない。自分がどんなことをしたいのか、
どんな自分になれるのか今も分からないでいる。こんなことで良いのだろうかと思いながら日々が
過ぎていく。
この世の中で自分だけが不要な人間になってしまったように感じて、ぶるっと身震いをすると、黙って
小春を見ていたベラがその長い指でするりと頬を撫でた。
「えっ…」
「時を焦る必要はないよ、あんただって人間なんだから」
そう言って、背を向けるとさっさと歩き出した。
人間なのは、当たり前。そう言葉を返そうとしたのだが、何故か小春の口は開かなかった。何故だか
その後ろ姿がとても寂しそうだったからだ。
そんな筈はない、あの女には家族がいていつも三人で仲良く幸せそうにしている。寂しそうに見えた
のはただの気のせい。
「あ」
追い掛けようとした小春の耳に、遠くで高らかに鳴るクラクションが聞こえた。ベラの青いマントが一瞬
大きな翼のように翻る。
752望洋少女 3/3:2012/03/19(月) 00:05:58.40 ID:lLviGGBu
それから少しして三人が突如として消えた後、あの時のベラの言葉の意味がようやく理解出来たよう
に思えた。
人間ではなかった三人がどれだけ人間となることを切望していたのかも含めて。
だからといってまだ小春の将来への悩みが完全に払拭された訳ではないが、人間であることの幸せ
だけは実感出来るようになった。

前途望洋にして周囲には霧立ち込め、足元すら見えない感覚はいまだある。
しかし目の前の断崖絶壁は現実のものなどではないのだから、必要ならばこの足で地を蹴って飛び
越えよう。それが今の小春の心境だった。




753名無しさん@ピンキー:2012/03/19(月) 22:12:52.71 ID:iu7oYTgl
小春ちゃんきたーー!!!ありがとうございますGJ!!!
こんな小春ベラ望んでました・・・!!!
小春ちゃんの心情がよく伝わります・・・!!!!
754名無しさん@ピンキー:2012/03/19(月) 22:31:26.55 ID:paql1knW
GJ!
小春とベラの距離感が好きだ
ベム達に会って一番変わったのは小春のような気がする
755名無しさん@ピンキー:2012/03/22(木) 00:02:00.39 ID:hhfCROyw
春だね
食べられる草がいっぱい生えているだろう

ところでベムたちにとって食べられる草と、そうじゃないものの線引きって
どこかな
人間と変わりないのかな
同じだとしたら山菜はもちろん食べてるだろう
だけど山菜はそのままじゃとてもじゃないがマズい
湯がいたり灰汁を取ったり結構手間がかかるんだけど、もしかしてそのまま…?
756名無しさん@ピンキー:2012/03/22(木) 06:01:16.31 ID:4soaqhL/
そのままだろうなあ
757名無しさん@ピンキー:2012/03/22(木) 09:34:00.75 ID:WgvcYuJA
まずい草を食べた後の口直しにベラを食べるベム
758名無しさん@ピンキー:2012/03/23(金) 23:53:37.04 ID:BQ/zV7+A
タケノコはまだ土から出てないものなら柔らかくて生でも食えるが、
食べ頃を見計らって掘ってるベムたちはちょっと嫌だw
759名無しさん@ピンキー:2012/03/24(土) 11:29:03.26 ID:JdAlgmY7
>>757
ベムたちが春の味覚を(生で)食する
ちなみにほぼ全てが生で食えるもんじゃないので、苦いしえぐい

「…毎年のこととはいえ、慣れないもんだねえこりゃあ」
「にがーい、これ食べるの?」
「仕方ないだろう、人間が食べるものはあたしたちが食べられない筈がないんだ」
半泣きになりながらしぶしぶフキノトウあたりを口にしているベロを横目に、ずっと
何も言わずに箸を運んでいるベムが気になるベラ
「あんたは平気なのかい」
「…ああ、まあな」
しかし実はベムも山菜の苦さに若干キレていた

その夜、寝台で眠りかけていたベラに手を伸ばしてくる
「ベラ、しようか」
「…ちょっと、眠いのに…」
あまり乗り気ではないベラの反応をよそに、すっかりその気になっているベムは強引に
事を進めてくる
「夕食は随分苦かったからな、お前なら甘いんだろう」
「あ、あたしは食べ物じゃないよ」
身体を撫で回されながら、次第に追い上げられていくベラは必死で抵抗するが当然
ベムは聞いちゃいない
「お前だって、苦そうだっただろう。それなら」
「それとこれとは、全然別…ってばっ…やああっ」
ベラ陥落



簡単に書いてみた
760名無しさん@ピンキー:2012/03/24(土) 11:46:20.08 ID:JdAlgmY7
もちろん山菜が出ている間は、ほぼ毎日こんな遣り取りがあるに違いない
桜が咲いたら夜桜見物のついでに
梅雨のシーズンは雨が降るからと籠りっきりで
夏は暑いからアオカンだろう
秋になったら食べられる木の実や果物がいっぱいあるからその合間に
そんな感じで一年が巡る
761名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 00:03:40.86 ID:G+ktsYdl
ところで保管庫はどうするの?
762名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 06:04:58.26 ID:9iedtes3
>>760
ようするに一年中セクロス三昧ですねw

>>761
結局誰からも反対意見なかったし全部保管してほしい
763名無しさん@ピンキー:2012/03/26(月) 23:44:55.98 ID:MBqhXoFO
保管賛成

またエロないけど書いた
テーマは「今夜も思い悩むベムさん」
764零非(ぜろにあらず) 1/2:2012/03/26(月) 23:45:47.07 ID:MBqhXoFO
今宵の月は夕月。
新月から四日目の、とても細い三日月だ。
ゆえにこの夜を満たすほどの光度はさほど感じなかったが、人ならぬ身の自分たちにとっては良い
塩梅なのかも知れない。

今夜のベラは早いうちから眠りに就いている。
このところ暖かくなってきたこともあって、一日中転がり回って遊んでいるベロに付き合っているせいで
相当疲れているのだろう。当人のベロはもちろん言わずもがなで、日が暮れた直後から泥のように寝
入っている。
一人取り残されたベムは特に何もすることがなく、ただ二人の安らかな寝顔を交互に見遣りつつ佇む
ばかりだった。
それが理由でもないが、このところの様々な変化についてつい考え込んでしまう。
もちろん、ベラとの関係についてが主だ。
人間であれば血縁上決してそうあってはならない関係でもある。これまで全てにおいて人間の成す
ところに準拠して生きてきた自分たちにとっては大変な禁忌の筈だった。しかし、そこまで切羽詰った
心境でもないのは、やはりまだ人間ではないからに違いない。
人に憧れながら、都合の良い部分だけ人外の規格に縋ろうとする己の浅ましい狡さ。それはまさに
人間そのものなのではないかとも思った。
人間に対する純粋な思いと、このところ自覚する己の汚さを天秤にかければ、かなりの比重で自分は
人間に相違ないのだろうと思う。
はっきりした答えは結局出なかったのだが。

「ン…」
今更、埒もないことを考えているとベラが寝台の上で寝返りを打った。
暑いのだろう、被っていた布から頭だけでなく肩までが露出している。仕方がないものだと思いつつ
近付いて布をかけ直そうとしたベムの手が、はたと止まる。
不意に触れたベラの肌の感触が、あまりにも滑らかだったからだ。これまでにも幾度となく抱いてきた
女の肌だ。もう何もかも知り尽くしていると自負していた筈なのに、まだ想像外の余地を残している
ことが感慨深い。
深い眠りの中にいるベラの頬を起こさないようにそうっと撫でると、一瞬花がほころぶように綺麗な
笑みが浮かんだ。一体どんな夢を見ているのだろう。そう思うだけで、今夜は閉じ込めていた淫らな
ものが頭をもたげてくる。
「ベラ」
765零非(ぜろにあらず) 2/2:2012/03/26(月) 23:46:23.91 ID:MBqhXoFO
答えなど期待せずに呼びかけてみたのだが、意に反してベラは目を閉じたまま一層笑みを深くして
声にならない淡い何かを唇から発した。
一体、何を言おうとしたのだろう。自分には決して知ることの出来ない夢の中が無性に気になって、
頬を撫でていた手が離せない。
「お前は」
何も不満はないのか、と言おうとして言葉は喉の奥に消えた。
ベラに対するこの自分でも形容し難い感情は、きっと生まれたその日から持っていたのだろう。全くの
零ではなく、一か二か、とにかく微少ながらもこの身の中に確実にあった。それが今は一体どこまで
増えているのか想像もつかない。
十、千…あるいは万の単位かも知れないし、もっと多いのかも知れない。
増大するきっかけになったのは、もちろんこの人間なら有り得ない筈の関係だ。ベロに対する親愛の
情とはまた別の、優しくしたい、慈しみたい、喜ばせたいというこの思い。
それをベラも同様に感じていれば嬉しいのだが、それを問う気はなかった。心の中だけは自分でも
解明することが困難だ。気になるのはやまやまだが、いつかそれはおのずと知れることを期待する
しかない。
それよりも今は、こうして触れられることにささやかな喜びを感じるばかりだ。こんな夜には湧き上がり
かけていた淫らがましいものは相応しくない。そんな思いで懸命に封じ込める。
しばらくはこうして静かに寝顔を眺めていたい。
ベラは相変わらず夢の中で子供のように微笑んでいた。




766名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 02:38:56.89 ID:WtTCJrYf
もういっちょ、ベラ側でも書いた
767零非(ぜろにあらず) 二:2012/03/27(火) 02:39:30.55 ID:WtTCJrYf
いただきますと言ってから、あーん、と大きな口を開けてベロは出されたどら焼きにかぶりつく。
「あんまり行儀悪い真似するんじゃないよ」
子供らしいと言えばそれまでだが、どこでも遠慮のないのが困りものだ。一応ベラはベロの母親、と
いうことになっている。躾が悪い親だと思われるのはやはり嫌だった。
「うん、だーいじょうぶっ」
変な手振りをして、ベロはおどけた。
「まあまあ、いいんですよベラさん。子供は子供らしいのが一番」
緒方家の家政婦、町村はお茶を勧めながらほほと笑う。
ベムは今日一緒にここには来ていない。もしいたとしても、いつも眉間に皺を寄せて考えごとばかり
しているベムのことだ、鬱陶しいと感じてしまうだろう。
それに、今日は町村とただの雑談をしに来たのだ。女同志だから何かと通じる話もある。ベムが人間
の知り合いたちと出かけたりするように、ベラもまた話し合う相手ぐらいは欲しいと思っている。
町村曰く、ガールズトークというものだ。

「へえ、そうなのかい」
「そうなんですよ。だから私はその手を振り払って…」
話に熱が入ったのか、思い出話をしている町村はすっかり自分の世界に入ってしまっていた。適当に
相槌を打ちながら冷めてしまったお茶を啜るベラの横では、ベロが三個目のどら焼きを手にしている。
「ベロ、いい加減にしな」
「ちぇーっ」
口を尖らせて手を離すベロの口元を拭いてやりながらも、ベラはここにいないもう一人のことを考えて
いた。どこに行くにも三人だった筈なのに、あの男は今どこにいるんだろうと。
「あ、またあんたたち」
そんな物思いに入りかけた時、この部屋の主である小春の声がした。
「あ、小春お姉ちゃん。こんにちはー」
ベロは無邪気に手を振った。さすがにその様子を見ては怒ることも出来ずに、小春はどさりとベッドの
空いている場所に座る。
「邪魔してるよ」
「…ふん、こんなとこ、何が面白いんだか。あんたたちも暇だねー」
小春はまだ不機嫌を装った顔を崩さないまま、菓子鉢からどら焼きを一つ手に取った。以前は何かと
荒れていたようだが、このところは穏やかになって何よりだ。

ベムはどこに行ったんだろう。
特に不安というのでもないが、ふわふわとした不快な感情が身の回りに纏わりついて消えない。それ
はいつもあの男が近くにいない時に限って感じる。
「ねー、ベラ」
ベロが何か話しかけてくるのを適当にあしらいながら、この感情の根源は一体何かとベラは必死で
考えていた。以前なら側にいないとしてもこれほど気に掛けることなどなかった。やはり全ての始まり
は男と女になってからだったのだ。
しかし、以前の自分を振り返ってみても全くその感情がなかった訳ではない。ごくわずかではあった
にせよ、ベムに男を感じることは確かにあった。
癪なことだが、四六時中あの男のことを考えてしまうのは当然のことなのだろう。
「なあにボーッとしてんの、そんなに旦那が気になる?」
突然、小春が心底呆れたような声を出した。ほんの短い時間ではあるが、何もかもが留守になって
いたらしい。一瞬慌てもしたが、自分の気持ちが分かった以上気分は晴れやかだった。
「そりゃあそうさ、ふふふっ」




768名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 11:18:45.08 ID:RETrvgNr
GJ!
ラブラブですな
769名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 17:51:35.64 ID:WtTCJrYf
BD到着
メイキングの「駄目だ、俺たちの新しい生命を見せては…」な台詞に萌えた
そして燃えた
もうスレも終わりだってのに、何か書きたくなるだろ
770名無しさん@ピンキー:2012/03/27(火) 20:29:58.83 ID:vJz82I/t
GJ
ネタ思いついたらぜひ書いてください!

そういえばもうすぐスレが500KBだから次スレか
だいぶ前に次スレ立ってたけど早すぎたのかもう落ちてしまったようだ
またスレ立てないと
771名無しさん@ピンキー:2012/03/28(水) 19:17:30.99 ID:SsugNMk5
立てたぞ、ベラ
このスレが埋まり次第、次に行こうか

http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1332929681/
772名無しさん@ピンキー:2012/03/28(水) 20:46:00.58 ID:Ke25xQlv
>>771
乙!
773名無しさん@ピンキー:2012/03/28(水) 22:58:19.57 ID:wJARJKXn
フッ… l!
  |l| i|li ,      __ _  ニ_,,..,,,,_
 l|!・ω・ :l. __ ̄ ̄ ̄    / ・ω・≡
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;
          ;  _,/.,,,//  / ヒュンッ
            /・ω・ /
            |  /  i/             こ、これは乙の軌跡じゃないんだからねっ!
           //ー--/´
         : /
         /  /;
    ニ_,,..,,,,,_
    / ・ω・`ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、
774名無しさん@ピンキー:2012/03/29(木) 13:28:37.57 ID:52PoygJD
短いものならもう一つ投下出来るかな
775ツキミルフタリ:2012/03/29(木) 13:29:21.91 ID:52PoygJD
春の気配は不思議と心を浮き立たせるものがある。
そういう気持ちでいるからこそ今宵の半月は余計に白く、くっきりと美しく映る。
「ベロはどうしたんだい」
夜でもそれほど冷え込まなくなったのを幸い、廃船の上で月見と洒落込んでいたベラの言葉に船底
からゆっくりと昇ってきたベムがやや哀しそうに首を横に振った。
「そうかい、仕方ないねえ子供は」
「無理に起こすのも可哀想なので、そのまま寝かせた」
「それがいいよ、寝損ねて機嫌を悪くされたら後が面倒だ」
さらりと言葉を返すベラの隣にベムも座って同じ月を見上げる。長く生きてきたとはいえ季節が移ろう
のは嫌いじゃない、その変化を感じることで人間に近い存在であることを自覚していたい。いずれは
人間になれるかも知れないし、そうならないかも知れないが最初から胸の中にあるこの願望だけは
忘れたくなかった。

「ベラ」
しばらくは会話すらなかったが、不意にまっすぐ月を見上げていたベムが口を開いた。
「俺たちが生まれてからこれまでの間に、あの月はどれだけの満ち欠けを繰り返したんだろうな」
淡い月光を受けてベムの銀髪が発光しているかのように、さあっと鮮やかに輝く。
無心に今宵の月を見ている横顔はまるで子供のようだ。
「さあね、想像もつかないよ」
うっかり見惚れていたことを悟られないように、わざとぶっきらぼうな声を出す。しかし、死というもの
のない自分たちにとって、常に死と隣り合わせのまま短い生をがむしゃらに疾走する人間はあまりに
眩い。まるで月が太陽に焦がれるように。
「あんたは」
つられるようにベラが口を開く。
「今まで生きてきたことを後悔、は…してないだろうね」
思わず口籠ってしまったのは、この街に辿り着いてから二人の関係が変わってしまったことも関係
している。やはりベムがそれをどう思っているのかが気になった。
しかし。
「もちろんだ」
迷いのない言葉と横顔が、ベムの内面の全てを雄弁に物語る。終わりのない生命を授かったことは
決して幸せなことではなかったが、人間が抗えないこの無限の時間の流れの中で、何もかも終わり
になるその時までこの男と共にいられるのはベラにとって大きな救いだった。
きっとベムもそうに違いない。
半月を見上げながら寄り添う二人の指先が、緩く絡まった。




776名無しさん@ピンキー:2012/03/29(木) 20:32:27.60 ID:b3/uu+87
近親相姦か
777名無しさん@ピンキー:2012/03/29(木) 21:01:55.51 ID:dY49a1wl
GJ
やっぱりベムベラいいな
778名無しさん@ピンキー:2012/03/29(木) 21:19:48.12 ID:DByiO3Je
近親相姦と言えば近親相姦だけど少し違うんだよな。
上手く言えないけど、同じ細胞から生まれたけどそれぞれ別々の妖怪人間というか。
人間の兄弟とは違う。
だから容姿もそれぞれ全然似てない。
779名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 01:08:36.44 ID:ZiqsTkwJ
なんだい、もう勃っちまったのかい
ってベムに言ってほしい
780名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 01:11:59.44 ID:DFKvanKD
それベムでいいのか?
俺はベラに言って欲しい
781名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 02:21:37.04 ID:ZiqsTkwJ
>>780
すまん言い方が悪かったw
ベラ様がベムに向かって「もう勃っちまったのかい」と言う所を見てみたい
と言いたかった
782名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 19:43:11.14 ID:Di9MM0Bs
もうちょっとスレが残っているので、書いてみた
783夜の隙間:2012/03/31(土) 19:44:05.89 ID:Di9MM0Bs
宵月の夜はうららかに更けゆく。
天窓から半分だけの月が見えているのが何となく不思議で、けれど嬉しい。人間だけではなく自分
たちまでも守護されているように思えるのは、きっと気のせいではないのだろう。

ベロの無邪気な寝姿を眺めているベムの横顔がいつもより穏やかに見えて、寝台に寝転んで頬杖を
ついていたベラはふと目を逸らして身を起こす。つい見惚れていたのを気付かれていないのが幸い
だった。
やがて完全にベロが寝入ったのを確かめてからベムが隣に腰を下ろした。
「静かな夜だな」
腕を回して抱き寄せられることに、もう何の違和感も感じなくなっている。それだけ短い間にこの関係
に馴染みきってしまったのだろう。このようなことなど最初は互いに何も知らず、とにかく手探りのまま
夢中でここまで来た。
「そうだね」
首筋に頬を寄せて薄い服の上から手を添わせれば、この男が持つ能力を象徴する逞しく硬い筋肉が
ぐっと引き締まる。
その反応に急に身体の芯が疼いてくらりと目眩を覚えた。
すぐにでも、この男が欲しい。
首筋に舌を這わせては緩く噛んでいる間、細い銀髪がするんと頬を撫でた。途端に、抱き締めている
腕の力が強まる。
「お前は、今夜も」
「…あたしが、何…だい?」
「とても良い匂いがするな」
ベラがそうであるようにベムもまた興奮を覚えている。これまで辿ってきたことが二人を押し上げて、
今や手順など必要ないぐらいどんな時でもあっさりと男と女になれる。
人間も、そうなのだろうかとふと思った。
しかし何となくそれをこの男に気取られるのは悔しい。そんな気持ちはまだ残っていた。
あくまでも今夜はこの身の内部から突き上げてくる激情に任せたい。この男を翻弄したい。わずかに
感じる体臭を嗅ぎながらも、もう一度傷跡すらない首を噛む。
そのまま、片手をベムの股間に滑らせた。案の定、一度も触っていないというのにそれは革生地の
下で硬く張り詰めている。
「何だい、もう勃っちまったのかい」
分かりきっていることだったが、もはや何一つ隠しだてのない関係だ。自分に欲情してこれほどまで
昂っているのを間近にすれば、戸惑うよりも嬉しい。そして共に愉しみたい。
「そんなことは、当たり前…だろう?」
そんな声がしてずっと首筋に伏せていた顔が引き上げられ、間近でじっと凝視されながら唇が重ね
られた。互いの瞳に映るものはもう一つだけになっている。
その間も硬い股間を撫でていた手をベラが休めることはなく、熱く隆起しきったものを引きずり出す
のにさほど手間はかからなかった。
直に握ると指がひどく熱くて火傷をしそうだ、それほどまでに普段は物静かで穏やかなこの男が興奮
しているのかと思うと、更に身体がもどかしく疼く。
今夜は一体どこまで燃え上ってしまうのか、想像もつかなかった。

そんな二人を天窓越しに半分の宵月が眺めている。




784名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 19:51:52.70 ID:ZiqsTkwJ
ktkr
さっそく要望通りのセリフが入った小説ありがとうございますw
785名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 00:46:55.03 ID:kh+PwXcs
埋めるよ!
786サクラサクヒヨ:2012/04/01(日) 00:47:25.26 ID:kh+PwXcs
街がその花の色に淡く染まる頃、大概風が強く吹く。
それまでの何かを全て浚うかのように、引き換えに新しいものをもたらすように。
人間が築いているこの世界の概念はあまりに複雑怪奇で、それに倣うのは実はあまり好むところ
ではない。人間の真似をしていると頭がこんがらがりそうになるのだ。
ベムはよく我慢しているものだと思う。

その日も朝から風が強かった。
そしてその花が一斉に散る。
淡い花の色をした吹雪が街を包む光景は嫌いじゃなかった。無機質な場所が一気に明るくなった
ようで嬉しくなるからだ。
少し前を歩いていたベムが何を思ったか空を見上げ、振り返る。
「ベラ」
不意に手を伸ばされて、一体何がと身構えたベラの髪に細い指先が触れた。どうやら髪に花びらが
ついていたらしい。
「風が強いな」
「本当に、そうだね」
この風に飛ばされたりしないように、しっかりと手を握っていたベロが二人をきょとんと見上げて目を
丸くしていた。そしてベムが掴んでいた花びらを見つけてにこにこ笑う。
「ねえねえ、これから色んなお花が咲くね、嬉しいね」
無邪気なベロの言葉に、思わずつられて顔が綻んだ。ベムも穏やかな笑みを浮かべて何度も幼子の
頭を撫でる。
「そうだな、三人でまたたくさんの花を見よう」
ベロが大好きな、花咲き溢れる季節はまだ始まったばかりだ。




787名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 02:15:24.00 ID:0zhuywlV
ほのぼのしてて良いな
788名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 02:43:02.54 ID:LfWD+xDG
映画の一場面に是非取り入れて欲しいぐらいの美しさ
789名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 03:05:33.65 ID:0zhuywlV
妖怪人間ベム映画化してほしい
790名無しさん@ピンキー:2012/04/01(日) 07:20:32.95 ID:rJkKWPGl
夜桜の下でセックスとかロマンチックかもしれん
791ベロ:2012/04/01(日) 10:10:35.71 ID:+xna0RWz
毎晩寝たふりしなきゃいけないオイラの身にもなってよ
アンアンうるさくて眠れないよ
792名無しさん@ピンキー
ふと思い出したけど今日はエイプリルフールじゃねーか
エイプリルフールのこと知って何か嘘ついて相手が真に受けてしまってケンカになってしまうけど
最終的には無事誤解がとけて仲直りにセックス
っていう(おそらく)王道っぽい展開で何か小説を書こうと思ったけど俺には絶望的に文才がないから無理だわ