1 :
名無しさん@ピンキー:
ドラマ版「妖怪人間ベム」の登場人物のエロ&萌えスレ
百合も有り。
おお期待あげ
ベラ様(*´Д`)ハァハァ
5 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/09(水) 02:59:13.51 ID:VqXVAy0h
キャラが限られるw
ベム×ベラ、ベラ×小春、ベロ×優以、ベロ×ベラ、夏目×堀ちえみ、レオナ×ベラ、レオナ×小春
辺りか
やっと妖怪人間ktkr
下の方から出る白い涙で人間になれるというガセネタをつかまされて
浴びてみるベラ様とか…
ベラ様が精液集めに奔走するっていうネタはやっぱり定番ですな
藤林丈司
ベラ×小春が見たい
11 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/09(水) 22:58:07.44 ID:AZVpuOJ4
ベロに性教育するベラ
ベロが寝た後、人間らしくなるための勉強として毎晩セックスをするベムとベラ
「ん〜…?あれ?ベムもベラも裸で何やってんの?」
「!!!!お、起きたのか…」
「こ、これはねえ、人間らしくなるために必要なことなんだ!あんたはさっさと寝な!」
「じゃあオイラもやる!」
「何言ってんだい!子供にはまだ早いよ!」
「ずるいよ!オイラだって人間になりたいんだ!子供扱いして仲間はずれにするなんて酷いよ!
オイラ達は一緒に生まれた存在なのに…」
「「うう…………」」
「人間になった時ちゃんとできなかったら恥しいだろう」
と言ってクソ真面目に練習するベム。
人間でもちゃんとやったことない者が大勢いることを彼は知らない
若い男女があれだけ長年一緒にいて一度もヤった事なかったら逆におかしいもんな
いや一応近親相姦なんだよな
妖怪人間がどんな倫理観を持ってるかは知らんが
「俺達がやってしまったら本当の獣になってしまう」とか悩んでたりして
ベラ小春の百合期待
一応、生殖器はあるのか?
一応外見上は人間の男女の体裁を保ってるから、形としてついているだろう。
ただ実験体として生まれた訳だから生殖機能はないな。
ヤるだけなら大丈夫にしても、あのベムの性格考えるときっちり人間の決まり
ごとや倫理観に従おうとするに決まってる。
ベム面倒くせー!
しかし、それだからこそ何か書いてみよう。
昨日の放送でベロがいなくて二人っきりの夜になった時
ヤり始めるのかと思った
実際は会話すらろくに成立してなかったけどなw
会話に困るならセクロスで場を繋ぐのが大人ってものだろ!!
ベムがそんな気の利くことする訳ない
23 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 01:56:19.86 ID:SYQCuvvK
ベラに押し倒されたら別に抵抗しないだろう
いやでも、「兄弟」って認識なのかな?
兄弟といえば兄弟だけど人間の兄弟とはまた感覚が違いそう
容姿も全然違うし血が繋がってるというのとは少し違うし本人達には近親相姦的な感覚はなさそう
性欲は種族を存続させる為の本能
不死身なら性欲なんか起きない つか無いのでは
とベタな発言してみるテスト
06年版アニメのベラは人間の男と恋に落ちてヤってたぜ
性欲くらいはあるんじゃねーの?
性欲なんてなくても相手をイかせたいと思うのが恋心さ
ベラはドSのイメージだったけど4話の押しに弱い一面を見て意外とMなんじゃね?と思った
小春あたりが強引に迫ってきたら「ちょ、ちょ、えええ!?」ってそのまま流されてしまうんじゃね?
何を書いていいのか分からないけど、一応途中までの習作。
気が向いたら続き書く。
31 :
其の夜 1/2:2011/11/14(月) 00:12:24.38 ID:nyTvj3jP
ベロが家出をした。
生まれてからこの方、ずっと三人で過ごしてきただけに何が起こったのかと気にはなっているが、
あれこれと空しく気を揉んでも仕方がない。
「本当に仕方のない子だねえ…」
二人だけになってしまうと、途端に間が持てなくなる。ベラはずっと苛々したままで時折獣のように
住処にしている朽ち果てた廃船をうろつき回る。
「ああ、もう!」
そんなベラの様子に構うこともなく、ベムはただ成す術なく黙って座り込んでいるだけだ。この閉塞
した夜にベロが戻って来る手立てなど思いつく筈もなく、ますます無口になるばかり。
鬱憤を吐き出すことも出来なかったベラが、そんな態度に遂にブチ切れた。
「あんたのそういうトコ、大っ嫌いなんだよ!いっつもそんなじめじめしてさ。よくあたしやベロに黴が
生えないもんだと感心するよ」
「…そうか、済まない…」
気の利いたことの一つも言えないベムの態度が更に怒りを加速させたのか、船内をうろついていた
ベラがどっかりと隣に座った。
「あんたのその頭には何が詰まってんだい?ガッチガチの石か泥としか思えないねえ」
そう言いながら俯いているベムの銀髪を指で掬い上げるとこめかみの辺りをつつく。
「かも、知れないな…」
「大体、あたしたちが人間になれる保証なんてあるのかい?あるとしてそれはいつなのか先が見え
ないのはもううんざりなんだよ。あんたは人間の真似事ばっかりしてるけど」
その言葉に、初めてベムが顔を上げた。
「真似事じゃない、人間になれる日だって必ず来る。だから決して無駄なことじゃない」
「へええ」
退屈な夜の長い時間をすっかり持て余していたのだろう、ベムの返事にベラはわずかに目を細めて
面白そうな顔をした。何か楽しい遊びを思いついたような表情だった。一語一語言い聞かせるように
発する言葉はどこか熱を帯びている。
「あんたさあ、人間はこんな夜に何をしてるか分かってんのかい?そんなに人間のすることに従い
たいってんなら、ちゃーんとその通りにしないとね」
32 :
其の夜 2/2:2011/11/14(月) 00:13:33.51 ID:nyTvj3jP
「えっ…」
何を言われているのか、すぐには分からなかった。
ただ、人間の房事はこれまでにも何度か偶然目撃することがあったので、男と女とはそうするもの
なのだろうとは思っていた。だが、不完全な妖怪人間である自分たちでは新たな生命を生み出す
ことが出来ないのも分かっていた。だから性的欲求もほとんどなく、行為自体にも興味がなかった。
しかしベラの方はそうではなかった。ベムほど人間を盲信している訳ではない反面、女であることが
影響しているのか積極的に人間の男と関わろうとしていた。変身に繋がる感情の昂りさえ抑えて
いれば、人間の女としてはかなりの美女だ。男には困らなかっただろう。それが恋という感情にまで
発展することは一度としてなかったが。
「そういう野暮さが、一番嫌いさ。いいからあたしに付き合いな」
暗がりの中でもはっきり分かるぎらついた目をして、ベラの歯が挑発するようにベムの耳をぎりっと
噛んだ。
「! よ、せっ…」
鋭い痛みが耳に走った。まるで噛み千切ろうとでもしているようだ。
ベラがこんなことにも好戦的なのは当然知っていたが、まさか矛先が自分に向くとは全く考えて
いなかった。必死で逃れようとしても腕を回されていて離れられない。
「こんなことは、正しくない。俺たちは元々同じで」
「それがどうだってんだい」
間近でベラがせせら笑った。長い黒髪が情念そのもののようにさらりと肩に落ちている。
「あんたのその取り澄ました顔も大嫌いだよ。人間の倫理観なんざ、人間になってから後生大事に
すればいいのさ。今のあたしたちには泥水以下だね」
「し、しかし…」
「お黙りよ!」
短く叱咤した瞬間、近かった顔がふっと笑む。
「何だい、あんたも男なんだねえ」
股間に滑り込んでいた手が、わざとらしく昂りかけているものを撫でた。
続くかも
も え た
きたあああああああああああ
続きも読みたいです!
続きが見たい
>>31 映像が脳内変換されたぜ!!
べラさんが主導権握ってるってのが
激しく萌える!是非続いて欲しい〜
37 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 13:19:23.61 ID:ZO19y5Ue
おいら、あやしいもんじゃないよ・・・・・・
エロってんだ!
不覚にもフイタ
ベロがエロだとするとベムはエムだな
>>31-32 品行方正であろうとするベムがらしくていいので
続きをお願いします
続きがくるまで全裸待機
早くエロ人間になりたい
41 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 20:15:54.55 ID:G0pojIQq
この前抱き合ってたからな
次回はセックスまでいくだろう
おおSS来てた!超GJ続き待ってる
>>18 生殖能力ない→ベラは月経ない→生理痛で寝込む小春にオロオロ
まで受信した
ざわり、と全身が総毛立つ気がした。
自分でも滅多に触らない箇所でもある。安易に快感に流されてしまったら経験のなさから一気に
溺れきってしまいそうで、それだけは絶対に避けたかった。
それがベムの己を保つ矜持でもあった。
しかし、それも今あっさりと崩されかけている。
「や、めろっ!」
本気で拒絶するのが面白く見えるのか、ベラの方はますます興が乗ってきたようだった。ぺろりと
舌舐めずりをする顔が妙に婀娜っぽい。
「ふふんっ」
再び、耳に舌を這わせてきた。今度は噛みつくこともなく、ただ念入りに形をなぞるように。その上で
二度と抵抗などされないようにというのだろう、股間に触れている手の力が強くなる。指先がうねうね
感度を誘い出す為に絡みついて動いているのが分かった。
「っ…」
決して何も感じずにいようと決めているのに、身体が震えた。堪えようと目を閉じても今更無駄な
ものになっていく。
舌を這わせながら耳元で囁く声が淫靡さを増す。
「どうだい、悪くないだろう。あんただってただの男さ。人間であろうとなかろうと、肝心要の根っこ
だけは同じ。そんなに難しく考える必要なんてないんだよ…」
「っ、う…」
夜の冷気がぴりっと震えた。
ますます昂ぶってくる一物の熱を感じ取った白い指が、躊躇なくスラックスから引き出して直接握り
込んできた。幾らなんでもここまで好き放題されるのはたまったものではない。ぼんやり霞みかけた
意識を奮い立たせて声を荒げた。
「いい加減に、しろっ…」
このまま一緒にいたら、確実にまずい事態になる。早く外に出なければと立ち上がろうとした瞬間、
急に身体の自由が利かなくなった。
「えっ…!??」
そのまま無様に床に倒れて始めて、手首が何かに戒められていることに気付いた。
しなやかに、しかし頑強に拘束するそれは、ベラの鞭。
「甘いね、ベム」
腕を組んで薄く笑うベラは、ひどく楽しそうだった。この退屈極まりない夜に絶好の玩具を見つけた
ことが嬉しくて堪らないのだろう。
「ベラ、そこまでしてこんなことを…」
冷たい床に転がったベムは、あたかも支配者のように冷たく見据える女に恐怖を感じながらも勢い
に呑まれないように声を上げた。
「ああそうさ。あたしはその気になっただけ。そして今、ここにいたのがあんただったからさ。それの
何が悪いのかい?」
決して緩まない鞭に腕の自由を奪われているベムの側に屈み込むと、慈愛の眼差しをもって優しく
頬を撫でてきた。
「あたしの鞭のこういう味も、悪くないだろ」
「もう、これ以上は…やめろ」
「ふふふふっ」
完全に玩具を弄ぶ心積もりになっているベラの赤い舌が、夜目にも鮮やかだ。食われる、と思わず
身構えてしまうほど怖気走る表情で唇を噛み合わせながら、剥き出しになったままの一物に再び
指が這う。
「…はっ」
唇が離れてすぐ、快感のせいで堪えきれない声が漏れた。何もかもベラの掌の上で操られている
のが不快で仕方ないが、ここまで煽られてしまっていては決して逆らえない。それを感じ取ったのか
ベラが喉で小さく笑った。
「雄になりな。あんたみたいに堅物で杓子定規な奴ほどこういうのを覚えるとスキモノになるのさ」
「お、れは…そんな、ことは」
それでもあくまで抵抗を見せるベムを見下ろして、ベラの舌が握っていた一物の先端を見せつける
ように舐め上げた。
「ぅあっ…やめろ…」
「ここは随分立派におなりだねえ。よくそんなことが言えたもんだ」
せせら笑いながらも、手の中でそそり勃っているものに丁寧に舌を這い回らせる。ひどく扇情的な
場面ではあったが、ベムにとってはひたすら混乱するしか残された手立てはなかった。
「ふ、ふっ…」
しばらくして、ようやく満足のいく硬度になったらしい。一度立ち上がったベラは女王のような表情で
悠然とマントとドレスを脱ぎ捨てて、見事な肢体を晒した。
「よ、せっ…」
何をされようとしているのかぐらい、幾ら経験がなくとも分かる。しかし女が男を襲うなど一度として
目撃したことはなかったので、やはり混乱するばかりだ。唯一自由になる足などこの場から逃れる
為の力になりはしない。
「覚悟をおしよ、ベム」
女王が奴隷に告げる。
暗がりの中で女が髪を完全に解いて跨り始める。真っ白な内腿に垂れ落ちているのは、女が潤み
出すという分泌液だろう。
「やめろ、ベラ!」
必死で身を捩って最後の抵抗をするベムの姿を、女王が許容する筈もない。
「お黙り」
その声と共に、最も敏感になっている一物が熱く柔らかいものに呑み込まれる感覚があった。これ
までのどの感覚とも違う、身も心も蕩かされてしまいそうな甘美な快感に頭が真っ白になってしまい
そうだった。
「くっ」
無意識に唇を噛む。
これがヒトの本質であるのならば、こうして知ることは人間化することに繋がるのだろうか、と次第に
霞んでいく思考の中でぽつりと考えた。
「あ、ぁ…」
何とも艶めかしい声が長く続く。
「すごいねぇ、あんた…」
全てを膣内に収めきってから、髪を振り乱してベラが舞い狂う。身動きをする度に自在に収縮する
膣壁に揉まれて、全く耐性のないベムは堪えきれずに達してしまいそうになった。
「ダメだよ」
しかし、直前で食い止められる。
「そう簡単には終わらせないよ、せっかくあんたがこうして付き合ってくれてるんだ。まだまだ時間を
かけて愉しまないとねぇ…」
凄絶なまでの目で見下ろすベラの顔は、今まで見たことがないほど美しかった。
「た、のむからもう…」
「あんたもあたしのモノさ。せいぜい女の快味を堪能するがいいよ」
くっと唇を歪めて笑うと、再びベラは腰を使って快感を絞り上げ始める。翻弄されていることすらも
既に頭のどこかで許容していることをベムは悟った。
それを洗脳というのか、慣らされているというのかは判然としないままだった。
途端、膣内がぎりっと締め上げられた。
「余計なことは、考えないで愉しみな」
冷酷と慈愛を併せ持つ女王の視線が突き刺さった。
結局、ベラの気が済むまで散々に弄ばれ、最後の最後で吐き出した精液の一滴までもその肢体に
潜む艶めかしい襞にすべて呑み込まれた。
戒めが解かれた後も指一本動かすことも出来ずにぐったりしていたベムの隣で、女王は優雅に
笑みながら髪を梳いている。
つつ、と頬に指が滑ってきた。
「疲れたようだねえ」
「…当たり前だろう」
「でも、快かっただろう?違うとは言わせないよ」
くすくす笑う声がいつまでも耳に残る。
言葉が返せなかった。
正直、交わっている時の快感は何もかもを押し流すほどだった。だからといって快かったと認めて
しまうこと、自分の矜持が崩れてしまいそうな気がしてただ押し黙る。疲れ切っている今、他に何を
すればいいのか分からなかったのだ。
「こんな時まで野暮天だねえ、あんたは」
呆れたような口調だが、満足しきっているせいかベラの表情は妙に晴れやかだった。
翌日、ベロは戻って来た。
以前と同じような三人の生活が再び始まったように見える。
しかし、女王の権限を味わったベラにとっては新しい愉しみが一つ増えたことになった。
あの夜のことを何も知らないベロが無邪気に遊びに出かけている間、ベラは気が向けば当然の
ように誘いかけてくる。
「ねえ、付き合っておくれよ」
言葉こそ差し障りのないものだが、拒否など想定もしていないだろう。実際、甘やかに耳を噛まれ
ればたちどころにスイッチが入ったように身体が疼く。
「そう、だな」
肯定も否定もせずに、この女の前で振る舞うことなどもう出来なかった。それでも頑なに顔を逸らす
ベムを眺めて、ベラは楽しげに笑った。
「ふふふっ、あんたもスキモノになっちまったんだねえ」
全てを手に入れた女王が、お気に入りの玩具を優しく抱き締める。
終
ktkr
GJ!
>48
寝る前に覗いて良かった…!
>女王が奴隷に告げる
この文で鼻血を噴いて変身しました
女王様アイテムの鞭も大活躍で
最高のベラ様、ありがたやありがたや
ベラ様(*´Д`)ハァハァ
ベムうらやましす
>>44 ベラベム美味しくいただきました!!
べムの硬派なイメージをここまで
壊さずエロパロにしてくれるとは
さすがです!!
続きキタ━━━━!!
GJ!!
素晴らしい
勢いで一気に書いたので、ベラがマント着用だったりベロが翌日戻って来てたりと
間違いが多いのが心残りだけど、許してちょ。
短いけど後日談、ベロ視点なのでエロはない。
家出から戻って数日。
ベロにも何となく感じ取れる二人の変化があった。
「ベムー、優以ちゃんに綺麗な石貰ったー」
とある夕方、戦果を手にして勇んで廃船に戻ったベロが見たものは、急ごしらえの粗末な寝台の
上で横になって寄り添っているベムとベラの姿だった。互いに腕を回して抱き合い、まるで一つの
影のように見えた。
「何してるの?」
咄嗟に発した無邪気な言葉にベムはかなり慌てたように見えたが、ベラの方はといえばいつもの
ようにゆったりと身を起こして長い髪を掻き上げただけだった。
「…羨ましいかい?大人になればこんなイイことを誰でもするのさ」
「よ、余計なことを言うな」
今にも消え入りそうなベムとは裏腹に、ベラはまるで挑んでくるような眼差しで微笑んでいる。何か
あったのは明らかだったが、それがどんなものであるかベロにはよく分からなかった。
「あの、もしかしてお邪魔虫?」
子供ながら雰囲気を察したせいで何となくここにはいない方が良い気がして、ひとまず出て行こうと
したのだが思いがけずベムから声が上がった。
「ま、待て。もう暗くなるだろう、危ないから一人で出歩くんじゃない」
寝台から立ち上がり、後を追って来るつもりのようだった。
「お待ちよ」
短くベラが引き留めたのが見えた。しかし、逃れるように振り返ることもなく言葉を返している。
「夜に子供を一人にさせられない」
「そうかい、じゃあ行きな。この埋め合わせは後でたっぷりして貰うからね」
意味深長な台詞を残して、ベラはひらりと手を振った。
この時期は日が落ちるのがとても早い。
廃船の近くの埠頭をベロとベムは手を繋いで歩いていた。ただ押し黙ったままで。
今日の夕日は驚くほど大きく赤く、そして心に染み入るほどに美しかった。
「ねえベム」
「何だい」
「さっき、イチャイチャしてたりチューしてたよね。あれって何だったの?」
握った手がわずかに汗ばんだように思えた。ベロはただ見た通りのことを聞いただけだったのに、
それがベムにとっては触れて欲しくなかったことだったらしい。いつも紙のように白いベムの顔が
今は妙に青白く見える。
「…ベム、どこか悪いの?」
「そんなことはないよ」
「それじゃあ」
無邪気な追求からは逃れられないと悟ったのか、ベムは生真面目に口を開いた。
「…ベラと仲良くしてただけだ」
「今まで仲良しじゃなかったの?」
「今まで以上にもっと、かな。似たことがベロにもあるだろう」
「うん、優以ちゃんや優以ちゃんママとはもっともっと仲良くなりたい。その方が楽しいもん」
「そういうことかな」
正面を向いて歩いているベムの顔は、今日も静かだ。でも何故だかどこかに嘘があると思った。
いつも静かな声、きちんと話を聞いて頭を撫でてくれる大きな手。
ベロにとっては父親のように優しいベムが、嘘をついてまで守りたい何かがあるのは少し興味が
あったが、詳しいことは分からない。
「ベロ、あの夕日があんなに赤いのは何故なのか、分からなくても綺麗だと思えるだろう?」
沈みゆく夕日のあまりの鮮やかさを前にして、ベムは足を止めた。
「うん、すごく赤いね。トマトを潰したみたい」
まるで染まってしまいそうに赤い夕日の素晴らしさに、ベロも素直に感想を口にした。
「そうだな。あの夕日はとても赤い。お前がそう思えるのなら、それが正しいんだよ」
そうなのかな。
答えを丸投げされるのは不安でベムを見上げてみると、長い銀髪に隠れて表情はほとんど分から
なかった。
もしかして、こういう曖昧なことが案外人間の世界の本質なのかな、とも思う。
下手なベムのごまかしに騙される振りをするのも、この際必要なのだと。
終
乙!
エロパロのはずが、なんだか穏やかな気持ちになりましたw
ベムがベムでベロがベロでいい感じ
ベロは何十年も生きてきたのにそういう事に関する知識はないのだろうか?
ああ見えて意外と詳しかったら面白いw
興奮したら妖怪になっちゃうから興味あってもできないんじゃ
そうか、ベムの顔が青白いのは人間でいえば顔が赤いってことなんだね。
ベム可愛いよ。
お邪魔虫てwかわいいよベロ
ベラは処女なのか非処女なのか
前者で確定してる
俺の中ではな
恋に憧れてる所は純情な処女っぽいけど
常に谷間をアピールする服を着てるのは男を知ってそうでもある
まあ純情だろうとヤリマンだろうとベラ様が最高なのは変わらないがな
妖怪から人間の姿に戻った時、つい血が騒いで…ってことはないのかな
ちょうどいい感じに半裸状態なのに
あの半裸姿はエロイ
事後っぽい
エロいよな
ベラはもちろん、ベムまでやたら妖艶だ
男だってのに
小春とベラの関係が百合に見える
次回はついに人間の男と絡むのかベラ
俺も半裸で待機するか
ベラたんのおっぱいの谷間がたまらん
生殖能力はないだろうけど、もしベラが子供産んだりしたら途端にベムは躾に
厳しいおとんになるな。
公共マナーもきっちり守らせ、もちろんペットボトルの分別も完璧に。
鼻ギュッしたのを見たベラが「なんだい?さっきのあれは」
とか言いながらまたベムを責めるんですね。
しかしふたりとも妖艶だな…
森の中のシーンが非常にエロス
今日ちまちま書いてたものがようやく完成した。
しかし
>>76のもいいな。
そのうち書きたいと思いつつ、投下。
79 :
混沌 1/3:2011/11/20(日) 22:17:24.42 ID:lFsRlvD1
ごぷり、と水面に泡が浮かぶように眠りに陥っていた意識が急に鮮明になる。
既に忘れてしまっているが、また悪い夢でも見ていたようだ。
額に浮いた汗が妙に気持ち悪く、拭おうとして何かを掴んでいるのに気が付いた。闇の中でベラの
腕が輝くように白い。
「…何の真似だい?」
寝台の傍らで屈むような体勢のベラが、腕を掴まれて憮然としている。
「いや…俺にも訳が…」
「全く嫌になるねえ。あんたがやたらうなされてるから様子を見てたら、いきなりこれだよ」
「…済まないな」
夢の内容はもう覚えてもいない。しかし悪夢であったことは確かなようで、無意識のうちに差し伸べ
られた腕に縋ったのだろう。
「寝惚けるのも大概にしなよ、このところずっとそれだ」
「ああ…」
まだぼんやりしている頭の中を整理出来ないまま、船内に視線を彷徨わせている間ベラは呆れた
ように見下ろしていた。その指が顎にかかって持ち上げられる。
「ちゃんとあたしの目をご覧、もうすっかり眠気が飛んじまったから相手になって欲しいものだねえ」
「相手?」
「なぁにいつものことだろ」
別に何でもないことのようにベラは誘いかける。気紛れな言葉はいつ向けられるか分からないとは
いえ、こんな暗い夜にまた突き放されるのは正直怖かった。
また覚えてもいない昏い夢の中に引き摺りこまれそうなのが嫌だった。
まだ摑んでいる腕を引き寄せながら、目を伏せて言葉を吐き出す。
「…分かった」
元々、この女の声音はひどく魅惑的な響きを持っている。人間にとっての麻薬のように遅効性の毒
となって感覚を麻痺させる。夜にこうして囁かれるのは危険そのものだった。
それでも、今のベムは一人で夢に悩まされるよりベラに側にいて欲しいと望んでいる。全く何も知ら
なかった頃とは異なる展開だった。
「おや、随分素直だこと」
女の指が顎から唇にするりと滑る。
80 :
混沌 2/3:2011/11/20(日) 22:18:48.14 ID:lFsRlvD1
「お舐めよ」
促すように指が蠢いた。
もはや、さして抵抗もなく要求を呑む。指に吸い付いた途端にベラの忍び笑いが聞こえた。こんな
夜中に戯事に没頭しているのは、すべて嫌な夢のせいだと理由をつけて指を舐め続ける。遊びの
続きのように。
それだけでも頭の芯が痺れる気がするのは、ここ最近の経験からなのだろう。
「…もういいよ」
従順に従っていることで気分が良いのかベラの声が優しい。口から指を抜いて額の角に口付けて
くる。一連の動作が子供をあやす母親のようだと思った。
「あんたはホント面倒臭いねえ…だけど、それだから面白いよ」
そう言いながら身を起こしていた寝台に並んで腰を下ろすなり、銀髪を掻き上げて強引に目を覗き
込んでくる。
「訳の分からないものに、怯えなくてもいいんだ」
「…」
「しっかりおし、あたしやベロがいつもいるじゃないか。それじゃ不安かい」
「そうだな…」
甘く痺れる声音に惑乱されながら言葉を返した途端、唇が塞がれてもう何も言えなくなってしまう。
噛まれるように重ねられた唇の熱がじわりと脳髄を浸してゆく感覚に浸っていく合間に、舌が絡め
捕られて痛いほどに吸い上げられる。
「っ…」
なのに決して不快ではないのが不思議だった。またこんな風にたやすく手玉に取られているのは
分かっていても、やはりこの女の手管には溺れるしかない。
「…ふふふっ」
わずかに離れた唇の間から、悩ましい笑みが漏れた。それがまたくらりと惑わせる。長い間知らぬ
ままになっていたことが、こんな風に補完されていくのは奇妙で頭がついていかない。しかしこの上
ない魅惑でもあった。
「…どうだい?ベム」
からかい気味に尋ねられてもすぐには答えられず、しばらく口籠るだけだった。
81 :
混沌 3/3:2011/11/20(日) 22:19:27.17 ID:lFsRlvD1
悪くはない、かも知れない。
そう言おうとして口を開いた瞬間、船内の隅でもう一つの影がむくりと起き上がった。
「…船、揺れるから眠れないよぉ…」
ベロが目を擦りながらとことこと歩いて来る。思わず寝台から降りて駆け寄ると、ほっとしたような
顔が向けられた。
「……安心していい、眠れないのなら側にいるから」
永遠の幼子の頭を撫でながら再び眠りに就かせようとする間、意外なことに放っておかれたままの
ベラは文句の一つも言わずにいた。
「ベム」
隅の寝台でやっとうとうとし始めたベロは、お気に入りのおもちゃを握ったまま傍らのベムに声を
かけた。
「どうした?」
「せっかくいいトコだったのに、邪魔しちゃったね」
「…子供はそんなことを、気にしなくていい」
間に合わせのように答えながら、先程からの行為がまだ途中だったことを思い出して身体が熱く
なるのを感じていた。ベラの性格からすればこれからしばらくの間、もしかしたら夜が明けるまで
翻弄されるに違いない。
終
>>79-81 案外耳年増かも知れないベロたん萌え…
でも「永遠の幼子」って切ないなあ
ベラが妖艶すぎてベムがうぶすぎてどうしていいかわからん
ありがとうございました
GJ!
ベラはやっぱり母性が溢れてる。
そんで今日は「いい夫婦の日」だ。
おベラよしのおフェラよし
思ったんだけどさ。
ベムのトラウマである、数十年前の闇討ちの村に移住した時は一応夫婦とその子供と
いう形態で住み着いたんだよね?
それで何もなかったって、ベムどんだけh
エロパロ的には、ベムとベラはいつもエロいことヤってると思う。
廃船の中でベラが座っているベムの股間にうずくまってフェラしてて、いつベロが
帰って来るか分からないから気が気じゃないベムは、気持ちがいいんだけど止めよう
として必死。
「もう、やめろ…」
もちろん本気じゃないことを知っているベラは、ストロークしながら上目使いでエロく
様子をうかがってる。
「なに言ってんだい、アンタだってこういうの好きだろ?」
「そんな下世話なことは言うな」
とか何とかやりとりしている最中に、お約束のベロがある意味絶妙に空気読んでて
帰って来る。
「ただいまー」
メチャクチャ慌てるベムと、平気なベラと、またかって感じのベロ。
んで翌日、夏目の娘と遊んでいる時にポロポロ暴露するベロ。
「大人っていっぱいやることがあるんだね」
夏目の娘も意外とその手のネタは平気な感じ。
「そりゃそうかもよ、ベロくんのパパとママって若いし美男美女だもん。まだ
ラブラブなの当たり前。うちなんて今でもだよ」
「そうかなあ」
なんて会話を平気でしてたりな。
ドラマを見ている最中も妄想が止まらない。せっかくいいドラマなのに。
87 :
どえす:2011/11/24(木) 22:20:20.82 ID:WF2S+WVQ
ベラがMなのはないのかww。
ベラはSとM両方いけると思う
>>87 その妄想を是非書いてくれハアハア
ドSベラ様はもういるから、Mもいれば完璧。
90 :
どえす:2011/11/25(金) 18:04:54.37 ID:jTsBWSsw
書きたいのだが文章力がなくてね
誰かいい感じなドМなベラ様も書けないかな?
もちろん ベムはドSでwww。
おはよーかい♪
ドSベラ書いた職人だけど、ドSベムも書けそうな気がする。
何事もチャレンジだ。
よし、全裸待機開始だ
だから服は着ろw
正直、キャラ崩壊させずにエロ書くのって大変ではあるけど、その分どうエロに
持っていくかやりがいはある。
しかも今まさに放送しているドラマだし。
今日はベラの恋愛話なので新たな一面が見れることを期待
95 :
どえす:2011/11/26(土) 22:24:42.20 ID:mQqUF4eq
やっぱベラはSなのか?
でもSがMになる瞬間は最高に萌える。
でも俺が想像するベラは
やっぱMだなww。ハアハア
今回、間違いなくベムはドSだったなw
ベラの恋バナでネタが出来ると思ってたから、これはいい材料になった。
早ければ明日の深夜ぐらいにドSベムの話は投下する。
全裸待機だ
今回のベムはSにしか見えなかったw
ベラの情熱的?な告白はなんか見ているこっちが恥ずかしくなったな
今週の(も?)ベラ様可愛すぎた。
同じく全裸待機しとく
ベムベラはいいのう……
女王様ベラと朴訥ベムもいいけど
セクロス時に普段の関係が逆転して攻め立てるベムと翻弄されて不本意ながら感じてしまうベラも見てみたい
もう夫婦でいいよこの二人は頑張って励んでくれ
同じく全裸待機
好きになった山崎じゃない田中さん(役名忘れた)と…は無理だから
彼を思いながらベムとっていうのもアリかもなあ
ベラ様は乙女でありながらカッコよくあって欲しい
101 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/27(日) 00:25:50.25 ID:nV9+OBYR
エロイベラ様全裸待機
今回は久々に三次元でゾクッとするような冷たい目を見ました。
ここ最近の流れと今回の放送でSベムに目覚めそうです。
Sベム×Mベラ心よりお待ちしています。
全裸待機はもう寒いので靴下くらいは履かせて下さい。
だから何度も言ってるだろう、寒いから服着ろ。
靴下も思う存分履けw
ベラが殴られた時レイプシーンを期待してしまった
105 :
どえす:2011/11/27(日) 10:36:09.03 ID:O+X8VDdp
案外 服を着てやっている方が
隠れたエロさがあるのでは??
ドМベラ様期待ww。
じゃあ自分はベムの帽子着用でお待ちしています。
ベラってMでツンデレで乙女で男っぽくてカッコよくておベラ良しで
鎖骨がいいと思うんだ。
ベラ様処女派
>>104 同じく。
「やめっ…んっ…。やめなっ…て言ってんだろ……あっ…」
てな感じでベンチに押し倒されて無理矢理。
書いたよ。
勢いだけが全てさ。
今日は満潮だったという。
波が船底を打つ音が低く響いている。
ベラはいつまでも眠れずにいた。
少し前に人間に恋をして手酷い目に遭ったことがあったが、完全に振り切ったつもりでも心のどこか
にまだ重く暗い塊がこびりついている。血の跡のように。
人間など、裏切られるだけだと思っていた。必ず泣くと思っていた。なのに優しくされれば当たり前の
ように心が揺れる。
そして結局、もっと傷つく羽目になった。
そんなものだと思ってはいても、やはり新たな傷はざっくりと心を切り裂いたままだ。
「…くだらないねえ」
乱れる気持ちを嘲笑うようにわざとそう言ってみても、空しさは消えない。
「寝ないのか?」
端の方でベロを寝かしつけていたベムが近付いてきて首を傾げた。
「あたしだって、そんな夜もあるさ」
「そうか…」
さして興味もないのかそれとも眠いのか、ベムはさっさと自分の寝台に戻って横になった。少しは上辺
だけでも慰めて欲しいと期待していた気持ちがどこかにあっただけに、拍子抜けするぐらいだ。
今まで随分長く生きてきたが、この男の腹の中だけは本当に読めない。本当に元は同じ細胞だったの
かと勘繰りたくなる。そもそも、普段から無口無表情ときては内心を探りようもない。
「…あんたさあ」
八つ当たりだというのは分かっていた。
それでも、今夜のベラは胸の中のもやもやした気持ちを吐き出してしまいたかった。
「いつも一体何考えてんだよ。何もかも分かってるって顔してさあ」
「特に、何も。ただ人間になれる方法を探しているだけだが」
「はんっ!」
眠そうに嫌というほど聞き慣れたことを返すベムの表情は相変わらず怜悧だ。しかし、その奥に何か
ゆらりと妖しく揺らめくものがあったのを、今夜のベラは不覚にも見逃してしまった。
「そう言い続けて、もうどれだけ経ったんだい?」
「こればかりは仕方がないだろう」
「あんたはいつもそうだ、そんなお題目ばかりだよ。そんなものに振り回されてきたあたしやベロは
いい迷惑だ」
「…迷惑?」
やや癇に障るものがあったのか、ベムが寝台から身を起こした。
「ああそうだよ。あたしはねえ、いっつもあんたのそういうトコが嫌いなんだ」
「そうか…」
白い顔がわずかばかり神経質そうに歪んでいる。しかし、普段から無表情なベムのことなのでそこに
何の意味が隠されているのかは推し量れなかった。
「あたしは、もう…たくさんなんだよ!あんたも、あんたのお綺麗な理想論も」
「…黙れ!」
今まで静かにベラの激昂を受け流していたベムが、堪りかねたように立ち上がって真正面から目を
合わせた。ランプの仄かな灯りが対峙する二人の横顔を映し出している。
「…へえ、怒ったのかい。珍しいことだ」
ぱしゃん、と一際大きい波の音が耳に響いた。
「ベラはそんな風に思っていたのか」
いつも静かなベムの表情が、一瞬苦しげに歪んだ。
「ああ、あんたにはずーっとね」
本当は全然思ってもいないことだった。ただこの苦しさをどうにかしたいだけだったのだ。それが思い
もかけない方向に転んでいくことなど予想すらしていなかった。
至近距離で一度鋭く睨みつけたベムの手が、少し抗うように空を掻いた後ベラの首元をぐっと締め
上げた。
「ちょっと、何するんだい」
咄嗟のことに、驚いて目を見張ったベラの前でベムは薄く笑ってでもいるのか、硬く強張った表情を
ふっと緩ませた。それはいつものようにこちらの気持ちを和ませる暖かいものではなく、ただひたすら
冷たい。
こんな表情は、今まで見たことがなかった。
「そうか…分かった」
ぞっとするほど低い声が喉から絞り出される。
「な…何がだい。いいから早くお離しよ」
「離さない」
長い銀髪の奥で刺さるほど鋭い視線がゆらりと揺れている。まるで蒼い炎のように。その言葉がベム
自身の意を決することになったのか、首にかかっていた手がドレスを強引に引き下げた。
「…やだっ」
一体この男は何をしようとしているのか。頭がついていかないうちに、剥き出しになった両の乳房を
大きな手が捏ねる。
「馬鹿なことをするんじゃ…やだって」
更に抵抗をしようとしたベラだったが、それを制するように抱き締められて唇を塞がれた。決して技巧
がある訳ではない勢い任せのものなのに、妙な熱を感じて頭の中がふっと真っ白になった。
「ン…」
それでも腕を突っぱね、ベムの胸を叩いて懸命にこの乱暴な抱擁から離れようと足掻くベラの身体が
突然ふわりと床から離れた。傍らの寝台に運ばれたのだと分かったのは、廃船の真っ暗な天井が目に
飛び込んできたからだ。その視界に、じっと見下ろしているベムが映る。
「な…んのつもりだい、まさかあんた」
初めて、この男に恐怖した。あくまでもベムの表情は冷たく静かなままでいるというのに。
「…今日は満潮だったな」
不意に、そんなことを口にした。
「そ、それが何だっての」
「潮の満ち引きに影響を与える月は、人の精神にも何らかのものをもたらす。それは人間にだけと
決まったことではないだろう?」
「だから何を言って…」
自分の置かれている状況に、何をどうしたらいいいのか分からない。そのうちにも痛いほど捏ね上げ
られていた乳房に吸い付いてきた。
「や、やだって…もうおやめったら…」
本心から怖かった。なのに振り払えない。女の力と男の力の圧倒的な差を感じてますます震え上がる
しかなかった。
普段は影のように物静かなこの男が、これほどのとてつもない激情を隠しているなどと今まで考えた
こともなかった。全くその素振りさえ見せなかっただけに長年一緒にいたベラも見誤っていた。
力加減すら知らない手が片方の乳房を揉み、爪を立て、もう片方は柔らかな曲線に舌を這わせて思い
余ったように噛みつく。乳首をきつく噛まれた時はあまりの痛さに本気で殺されるかと思ったほどだ。
それほどに、今のベムは止められない。
妙に獣じみた吐息が肌にかかるのさえ、怖かった。
「ね、ねえ…こんなこと、やめ」
「…その言葉にはどういう意図があるんだ」
弄っていた乳房から顔を上げたベムの目が、静かに笑った。
その暗く冷たい笑みに、心臓を掴まれた気がした。最初はただの八つ当たりだったとはいえ、この
男を本気で怒らせてしまったのだ。もうどうされようと文句は言えない。
そこまで心は追い詰められていた。
「ベラ」
竦み上がるベラの頬を、大きな手が撫でた。その時だけは優しいいつものベムだった。
「お前は、今まで知らなかっただけだよ。俺のことを」
「そんなの、今更…」
「だからこうしてる」
乱れかかった髪を撫でてくる手が、またすぐに乳房を掴んだ。普段以上に冷静な顔で荒々しい愛撫
を繰り返すこの男が、既に平静ではないことがベラの心を惑わせる。
「あぁぁ…い、やあ…」
乱暴に肌を撫でる手が、ドレスの裾を割ってまだ誰にも明かしたことのない場所に直に触れた。荒い
愛撫を受けて敏感になっていた身体がひくりと反応するのが分かる。まさかこのままこの男に何もかも
貪られ、犯されてしまうのかと更に恐怖が募った。
「もっ、もう終わってったら!」
「ベラ」
着ていた服が邪魔になったのか、床に脱ぎ捨てたベムが薄く笑う。
「…全てはこれからだろう?」
くっきりとした切れ長の目が確信的に細められる。
「ぁああ…」
寝台の上でもう逃げることも出来ずに、ベラは喘いでいた。力では全く敵わず、眼差しに射竦められて。
その下肢にベムは顔を埋めて敏感な女の部分を余すことなく舐め続けていた。抵抗すら忘れてしまい
ぼんやりと霞んでいく頭の隅で、何だか足首が痛いと思った。足首を掴んでいる手の力のあまりの強さに、
人間であるなら痣が残るだろうなと考える。
「ひゃっ!」
夜の冷気ですっかり冷え切っているというのに、汗ばんだ肌が震える。最も敏感になっているクリトリス
を爪の先が掠めた。
「そ、こやだっ」
「そうか」
反応からして感じていることは分かっているのだろう、ベムの声は相変わらず静かだ。指先が女の
内部を探るように擦っていて、時折ノックするように曲げられるのが感じ取れた。どこがどう感じるか
確かめてでもいるように。
恐怖から竦み上がっていたベラの身体が、乱暴ながらも時間をかけた愛撫に蕩け始めていた。
「随分な濡れようだな」
喉の奥で転がるような声が降る。
こんな筈じゃない。
この男は、こんなことはしない。
今までそう思い込んでいたことが全て覆された衝撃も加味されて、余計に感度が増す。心がついて
いかないのに身体だけがこんなに煽られていることが恐怖で、そして不思議だった。
「あ…」
混乱の極みに陥っているベラを見下ろして、ベムが笑みを隠した。
散々蕩かされた部分が熱く熟れている。そして膣口にひどく硬いものが当たる感触があった。
「これが嘘でも真実でも、あるがままになればいい」
こんな時でも妙に静かな言葉を吐いて、ベムが侵入してきた。
「んっ…やだぁっあああっ」
膣壁が男の一物で切り裂かれる。加減のない突き上げが恐怖以上に激痛をもたらし、もう何も考え
られなくなってしまった。
今度こそ、殺されると思った。
「どこまでも、一緒だ」
ひどい苦痛に息も絶えだえのベラの唇が、優しく吸われた。腰を使いながらも覆い被さってきたベム
の手がもう一度頬を撫でる。まるであやされているようで、涙が零れ落ちた。縋るように何度もキスを
求めると、欲しいだけ与えられて嬉しくて目眩がするほどだった。
「くっ、あんた、は…」
「何だ」
「ホント、何から何まで、あたしと、同じなんだね…」
抱き締められ寝台が軋むほど揺さぶられながら、ベラは泣いた。内部の粘膜が擦り上げられる感覚
にせいせいと喘ぎながら、それでも必死で目の前の男を見た。腕を回してしがみついた。ついさっき
まで分からなかったものが、こうしているだけで全部繋がったのだ。
何故、ベムが怒ったのか。そしてこんな風になったのか。
身体の中でも、潮が満ち引く。
「ふ、ふふっ…」
目の前で、自分と同じ鱗で覆われたベムの肩が揺れる。元は一つだった男だ。それがまた一つに
なっただけのことだ。だからこうなるのはごく当然のことに思えた。
「何を笑う」
「あんただってさ…」
「そうだな」
次第に早まっていく律動に不意に息が詰まりながらも、見交わす目の中に自分の顔が映っているのが
嬉しくて仕方がない。またキスを続けているうちに、ベムの喉が急に反った。
「…一度、終わるぞ」
どうやら達してしまいそうなのだろう。頷いて出来るだけ身体の力を抜くと、内部を押し潰しそうなほど
何度も激しく突かれてメチャクチャに暴れられた。
「やぁ、あっ、もうっ…」
弱く声を上げたその時、熱く滾るものが流し込まれた。
「やあああっ!」
もう、何も考えられない。
寝台の軋みなどもう気にならなくなっていた。
ほんの数分か、それとも長い時間か。
ベラが目覚めた時、既にあの熱気は消え失せていた。もしやあれは夢だったのではと思いながら
寝台から身を起こすと、ベムが足元に俯いて座っていた。
「…あんた」
「起きたか?」
声をかけるとまるで何もなかったような言葉が返された。それが無性に腹立たしく、近付いて思いきり
頬を張り飛ばす。
「よくもあたしを!」
腹立ちは到底収まりそうもなかった。だが、ベムは抵抗もせず物も言わずに顔を背けたままだ。それが
不思議と泣いているように見えた。これではベラの方が理不尽になってしまう。
「ふ…ふん、後悔でもしてるんならあんなこと、最初からしなきゃ良かったのに」
やはりこの男は、何を考えているのかさっぱり分からない。思いの全てを呑み込んであえて寡黙を
通している。そこにどんな意図があるのか、きっと永遠に知ることはないだろう。
けれど。
自分と同じ鱗のある肩を持つ男だ。
この関係は必然だったのだ。
そう思うと、あれだけの怒りが消えていく気がした。とはいえそれで今夜のことをあっさり許すつもりも
ない。しばらくは勝手に悩み続ければいい。
「あんたほどの馬鹿もいないね」
ふっと笑みを漏らして、ベラは以前一つだった、そしてまた一つになった男に手を差し伸べた。
終
仕事はええ!GJ!
Sなベムと押されるベラも良いものですな
半レイプktkr
GJでした
ベムは本来激情の人だよね
たがが外れると抑えがきかなくなるタイプ
しかしいつどこでこんなテクニックを覚えたのか
んでもってベラ様の処女喪失…良かったっす!
121 :
どえす:2011/11/28(月) 17:32:28.14 ID:k+YZVjOE
いやー。
ドМベラ様、いいねハアハア。
朝には処女膜再生…か
>>121 うん、君が喜んでくれればそれでいいや。
その為にチャレンジしてみたし。
まあ以前、別のスレでドSキャラ書いてたんで何とかなった。
マジでドラマのあのエロい二人のビジュアルがなけりゃ、ここまで妄想しなかったよ。
ついでに。
>>91で宣言した時ははっきりした状況を想像してなかったけど、その日の放送で
ホント偶然にドSなベムと恋する乙女なベラが見られたので一気に想像膨らんで
書けたよ。
そういうことって、あるんだね。
文章力あってイイナー
自分が書くとすげーチラ裏な話になってしまう(´・ω・`)
>>123さんは普段から結構文章書くんですか?
ありがとう。
文章力というか、エロ妄想力かなw
元々色々なスレで職人やってたから、書けそうなネタだとすぐに反応する。
ベムベラは何というか、俺にとってド直球のツボなんだよ。
ベムベラいいなあ
またエロパロ板に張り付く日が来ようとは‥‥
妙にエロスが漂うコンビですな
二人とも人外、美貌、そしてある意味背徳の関係だからメチャ映えるね
ベムのタッパがちと足りないのは御愛嬌
>>122 >>130 ありえなくもないな…
でもベラがちと可哀相だぞww
妄想力かー…
確かにあの二人はいろんな条件が揃ってるから
なんともいえない艶っぽい雰囲気が出るのかもね
自分もいつか形になったら投下しよう
本スレかなり回転速いし、こっちもいい感じに盛り上がるといいな
この前の話で、人間の姿に戻ったベムが怒りと興奮冷めやらず妙にハアハアしてたから、
てっきりそのままベラと致してしまうかと思った
「あいつ」って言ったのに萌えた
>>129 確かにそうなんだけど、でも177センチの女と比べられてタッパが足りないって言われるのもきついぞw
せめて亀があと5センチ高くて杏が5センチ低ければまだ見れたのになあ
プロフィールやwiki見たけど杏は174cmじゃね?
亀梨は171cmかな?
ベッドの上じゃ身長差なんて関係ないよ!
ってベロが言ってた
ベロ、どうしてそんなこと知ってるw
身長差、最初はちょっと気になったけど、
今はあの差がいい感じに思う。
なんかバランスいい。
いや女のほうが大きいの激ツボw
ナナオとレボリューションぐらいまで行くとちょっとやりすぎだけど
>>134 いや、ごめん。
男がタッパ足りないのも結構いいかなって、あの三人のショット見てたら思ったんだ。
ベラの気性を引き立ててるからね。
男より背が高くて気が強くてキレると怖いベラが
攻められて焦らされて弄ばれてビンビンに感じちゃうのがいいんじゃないですか!
どSの皮をかぶったどMの美しき女王様とか最高ですよ!
ベムベラで純愛もいいと思った。
ベムがベラの恋を応援しているみたいな事を言いながらも変に目を逸らしたり、
直後に夏目の所に行ったりしたのは、動揺してた?
一つの細胞から分かれた存在だから、近親者としての想いしか持ってないと
思っていたけど、いざ他の男に取られるかもしれない…
人間になったら、ベラが自分じゃない他の人間に行ってしまって
離れ離れになってしまう?ということに思いが至って動揺してた?と
想像すると、ベムベラで純愛美味しいです。
まあ、ベムは人間になることしか考えていない奴だから、恋なんて感覚は今まで
持ってなかったかもね。
だからベラが明確に人間に恋をしているのが分かってからのベムの行動が妙に
ズレてたのは、そういう思いもあったりして。
>>141 同じ事思ったよ
ベムベラで久しぶりにカプ萌えした
ベムがベラのベラベラをベロベロ
人間になったら困らないように、人間の常識や決まり事を知り守ろうとするベム。
でもペットボトルの分別は最近まで知らなかった。
性知識も人間にとって必要なものだけど、どれだけ知ってるかな。
146 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/01(木) 16:25:51.64 ID:d1nGAHEn
>人間になることしか考えてない
なんかワロタ
受験生が、超難関校へ入学できたのに呆然としてしまうように
いざ人間になれた日には
大きな目標を失って、さてどうしよう?になりそうだ
何十年も一緒だったのに、いきなり一人になるのもしんどいな
そのまま三人で人間の家族になるんだろうか
人間になったら、それまでの記憶がなくなってしまうならちょっと切ないな
エロパロと関係ないね、スマソ
くだらないレスでageてしまった、申し訳ない
一話を見返してみたら食事シーンでベラがベムの頬の草(?)を取って食べる所で萌えた
>>147 いやいや、結構核心を突いていると思うよ。
三人は長い間、人間への憧れだけで生きてきたから、人間になりさえすれば全て
満たされると思ってるんだろう。
ベムみたいなタイプは特に、もし人間になったとしたら「こんな筈じゃなかった」と
失望しそうだ。人間なんてそれほどいいものじゃない。それは人間だから分かる。
だけど清濁呑み込んで生きていくんだよ、みんな。
ベムたちはそういう現実に立ち会ったらこの先、どうなるのか心配でならない。
とか真面目なことを考えつつ、妖怪形態から人間の姿に戻った時にはどんなセクースを
するんだろうと想像してしまう。
さぞかし激しいだろうなあ。
予告のベムがこの上なくSっぽくて、もうどうしよう
このスレの流れ的にも最強ドSベムが定着しそうな感じだ
最強ドエスも萌えるしベラ様にドS責めされても萌えるしどうしよ!!
えすでもえろでもない長めの小ネタで申し訳ないですが
お好みでなければ華麗にスルーで
153 :
あいさつ:2011/12/02(金) 02:12:47.92 ID:5ROagdTa
「ただいまー!」
軽快な足音が帰ってくる。
「ねえ、聞いて聞いて。おいら、優以ちゃんにキスされちゃった!」
「…えっ…」
「はあ?!」
「お父さんに聞いたの。ベロ君たち、あたしの落とした石をすごく一生懸命探してくれたって」
「…だって…、優以ちゃん悲しそうだったから」
「でも、誰にでもできることじゃないよ。嬉しかった。ほんとにありがとう」
優以は並んで座るベロの頬にちょん、と唇で触れる。
「わぁ!」
ベロは目を丸くして頬に手を当て、優以の顔を見た。
「──これって、恋?」
くすっと笑って優以が答える。
「ちょっと違うかな。とっても嬉しいときのあいさつ?ありがとうじゃ足りないから。
お父さんとお母さんも時々やってるよ」
「へえー。何かおいらも嬉しくなっちゃった」
「それに…ベロ君のほっぺおいしそうなんだもん」
「えへへ」
二人は顔を見合わせて笑った。
154 :
あいさつ・2:2011/12/02(金) 02:15:00.97 ID:5ROagdTa
「……というわけなの。ねえ、とっても人間っぽいでしょ」
ベロは満面の笑みを浮かべて話し終える。
「なるほど、あの暑苦しい男の娘らしいっちゃらしいねえ」
ベラが片頬を緩めた。
「…良かったな、ベロ」
ベムが優しくつぶやく。
「うん!だから、おいらたちも真似してみようよ」
今度は自分の思いつきが楽しくて、満面の笑みはなかなか消えない。
「ん?!」
ベラは眉根を寄せ、ベムは無言で小さく眉を上げた。
ベロはととと、とベラの側に行くと、
「ベラ、いつも食事の用意してくれてありがと」
そう言って頬にちゅ、と唇を当てた。
「あ、ああ……。どういたし、まして」
次にベムの傍らに寄ると、
「ベム、いつも怒らないで助けてくれてありがと」
と言って、白い頬に同じようにキスをした。
「ベロ…」
ベムは暖かな笑みを浮かべる。
それからベロはなぜか口を真一文字に結んで、ベラとベムを交互に見る。
その意図が分かってベムはふ、と静かに笑った。
「ベロ。俺たちといてくれて、ありがとう」
「そうだねえ。ありがとう」
頬に二人からのキスを受けたベロは、ふたたび満面の笑みに戻る。
「ふふふ、くすぐったい。くすぐったいけど、嬉しい!」
155 :
あいさつ・3:2011/12/02(金) 02:17:55.49 ID:5ROagdTa
ためらいがちに呼び鈴を押すと、扉が開いた。
「おっ、なんか予感がしてたんですよ。当たったなあ」
「こんにちは、パパさん」
「たびたび甘えてしまって…すみません…」
ベムが帽子に手を添えて頭を下げる。
「何言ってるんですか!ほら、入って入って」
明るい声に引き込まれるように二人は部屋に入る。
「今日も男だけでお好み焼き。すいませんね代わり映えしなくて」
エプロンをつけながら夏目が言う。
「いや…そんな…」
「あ、でも今日はね、風呂沸いてるんですよ。良かったら入ってって下さい」
「お風呂?すごーい!おいらたちいつも水浴びだから、お風呂なんて忘れてた」
「でしょ!この前なんで気が付かなかったかなと思って。どうぞ遠慮なく」
「おいらたちなんかが入って、本当にいいの?」
「いいも何も、みんなで入っちゃう?…いや、そんな広くないな…ゴメン」
「な…夏目さん…」
ベムの瞳が潤む。
これは現実だろうか。
こんな奇跡のような幸福があっていいのだろうか。
自分に、この幸福を享受する資格はあるのだろうか。
気持ちが昂ぶらないように、ゆっくりと深呼吸をする。
156 :
あいさつ・4:2011/12/02(金) 02:19:55.04 ID:5ROagdTa
「…何と…お礼を申し上げていいのか…」
やっとの思いで言葉を絞り出した。
──もしかしたら、こういう時こそ…。
しばらく沈黙したのち、その形の良い唇が微かに尖る。
しかし、ベラに臆病と揶揄されるほどの用心深さが、彼を逡巡させた。
「パパさん、ありがとう!」
ベロがぴょんと飛び上がって夏目の頬にくっついた。
ベムは目を見開いて固まる。
「おっとと、びっくりしたあ」
「ありがとうのあいさつだよ。優以ちゃんに教えてもらったの」
得意そうに笑ってベロは夏目を見上げる。
「ゆ、優以に?そうなんだ…。でもこういうの男同士じゃあんまりやらないかな…ははは」
「……えっ」
白皙が凍りつく。
「え、どうしました?」
夏目がきょとんとベムを見た。
「いや…何でもありません…」
早鐘を打つ胸を押さえて、彼は自分の用心深さに安堵の息をついた。
157 :
あいさつ・5:2011/12/02(金) 02:23:42.42 ID:5ROagdTa
「恋…、恋する気持ち…ってのは、うん、悪くなかったねえ」
テーブルに頬杖をついてベラが頷く。
「また来てるし。…え、でも『悪くなかった』って、…もしかして終わっちゃった…の?」
小春はちょっと心配そうにベラの側に座った。
ちらりと小春を見て、ベラは寂しげに笑う。
「それはいいんだよ。自分が間違いなく恋をしていた、それだけで、さ」
「……大…丈夫?」
「全然」
「…ならいいけど……」
ベラの傷心を感じ取ったのか、小春の方が辛そうな表情を浮かべた。
ベラは思わず苦笑する。
「どうしてあんたがそんな顔するんだい。…だけど……」
小春の頬にそっと唇を寄せる。
「え、な、何?」
小春はびくっと体を震わせた。
「ありがとうのあいさつだよ。知らないのかい?」
ベラの大きな目が小春の瞳を覗き込む。
「え、えっ…?」
「あんたはいつも腹を割って話をしてくれるじゃないか。感謝してるよ」
紅い唇が、小春の柔らかな頬から耳元にゆっくりと移動する。
「あ…っ」
「ずいぶん可愛らしい声を出すんだねえ」
くくっと小さく笑いながら、ベラは耳元で囁く。
「…あ、そこだめ、弱いのっ…!」
小春は目を閉じ、肩をすくめてふるふると震えた。
「っていうか…、あいさつ…じゃないと思う……」
息を乱して切れ切れに訴える。
「そうかい?何だかあんたの反応が面白くってさ…」
唇から舌がのぞいて耳朶をなぞる。
「…あぁ…っ、…な…に、それ…」
「わたくしも参戦してよろしいでしょうか」
いつの間にか家政婦がいる。
「キスと愛撫にはいろいろと種類がございます」
「なるほど、そうじゃないかと思ってたんだよ。やっぱりがーるずとーくは盛り上がるねえ」
「…ち、違う…でしょ…!…や、ちょっと、まっ、待って……!」
(了)
う、うん…ほのぼのしてて良いけど、
ほんのりやおい風味じゃないかなこれは…?
おいらの心が汚れてるだけ?
オチすらなかった…
失礼しました
百合風味なオチに萌えました
ベラの恋が終わったって小春が聞いたら
不倫疑惑、もしくは離婚秒読み疑惑なんじゃ?
菜穂子、家政婦、小春あたりで心配してそうだ。
菜穂子 「ベラさん物足りないのかしら?ベムさん淡白そうだし」
家政婦 「いやいやああいうタイプが実は、ほほほ。」
小春 「・・・なぜそんな話を女子高生の部屋でするの!?」
菜穂子 「でもベラさん激しそうだから。物足りないんですきっと。
あっちゃんに、ベムさんにアドバイスをするように言ってみます」
小春 「アアアアアドバイスって、ななななにを・・・///」
家政婦 「ああ、お二人ならイロイロとアドバイスできそうですよね。ほほほ」
菜穂子 「ええ、私たち百戦錬磨ですから!」
小春 「だだだだから、なに言ってんの!?!”#$%&’」
そのアドバイスを実践してみるベムベラ小説期待
ベロがかわいすぎました
GJ!!
ベロが可愛すぎて癒された…
166 :
どえす:2011/12/02(金) 21:30:58.80 ID:XYVXC7F7
書いた。
いつものように、なんか方向がそれた。
「いやー、学生の頃のなおちゃんはホンット可愛かったんですよ、今でも可愛いけど。なんでどうにか
気に入られたくて色々やったなあ…」
「はあ、そうですか」
「そうなんですよー、大変だったんですからぁ」
とある日の夏目家。
今日もきっちり昼ご飯目当てに訪れたベムとベロは、この意外な展開にやや呆然としていた。てっきり
いつものように鼻歌でも歌いながら食事の支度をするとばかり思っていた夏目は、今日はやたらハイ
テンションで惚気ている。
偶然にも、今日が結婚記念日だったらしい。
夏目の妻が今ここにいないのは幸いだった。もしいたとしたら全く同じテンションになっていただろう。
「惚れた弱みって奴ですよねー、ところでベムさんはどうなんですか?」
「は?」
いきなり話を振られて、すぐには何のことか分からなかった。夏目は言いにくそうに下を向いて鼻の脇
を掻く。
「あー…そうですね。ベラさんとのことですよ」
「……はあ」
「なおちゃんが言うんですよ。どうも、その…ベラさんが満足していないんじゃないかって」
「…」
「あ、いや。違うのであればいいんですけどね。結構ベラさんもなおちゃんたちにはオープンに話して
いるみたいなんで、つい気になっちゃって」
「…それはご心配をお掛けしまして」
時刻は真昼。話題としては相応しいものではない。なのにこの人間の友人は一体何を言っているん
だろうといつ何時も常識人たらんとするベムは頭が混乱しそうになっていた。どうやら女たちは顔を
突き合わせてはガールズトークなどというものをしているらしい。その日の話の種はこの間のベラの
恋の話に関することだったらしく、夫婦を装っている自分たちにも思いがけず飛び火した格好になって
いる。
「ねー、お腹空いたー」
すっかり待ちぼうけを食わされているベロが、声を上げる。
「あー、ごめんねベロくん。すぐ作るから」
宥めるように慌ててガスコンロに点火する夏目の姿を見遣りながら、ベムは若干不愉快な気持ちで
被っていた帽子を押さえる。
ピキッと、袖の下で皮膚が少しだけ硬化した。
仄かなランプの灯りがゆらゆらと二人分の影を映し出している。
「…ちょっ、とっ…」
いつもとは違うタイプの愛撫に、違和感を覚えたベラが逃れようとしていた。狭い寝台の上でベムは
乱れかけた銀髪を裸の肩に流す。
「どうした」
「どうしたじゃないって…こういうの、あんたらしくないじゃないか」
「そうか」
いつもなら…と口に出しかけてベラは口を噤んだ。人間になる為の探究心が尋常ではないベムは、
当然この手のものにもやたらと詳しい。肌を合わせるようになってからというもの、つい溺れ込んで
しまうほど濃厚で執拗な愛撫を受けるのが当たり前になっていたので、今夜のように触るか触らない
ぐらいの緩い愛撫は、正直物足りない。
もちろん、そんなことは絶対に言えはしないのだが。
さらりさらりと羽が撫でている程度の感触を首筋や胸に感じているのは、妙なものだ。まるでゆっくり
焦らされているようで身体が疼いてくる。
じんわりと、下腹部が熱くなってきた。
「こういうのも、悪くないだろう?」
男の腕が巧みな角度でベラを抱き直して再び汗の浮いた首筋に舌を這わせた。
「ア…」
思わず、甘い声が漏れる。
こんなことで性感が煽られてしまうなんて、思ってもいなかった。そんなベラの過剰になっていく反応
を満足げに見ながら、ベムの長い指先が硬くしこり始めた乳首を軽く押し潰す。
「やああっ!」
腕の中で、ベラの身体がびくびくとしなった。
「ほら、感じているじゃないか」
「ち、がうって…あんた、やっぱ今夜は変っ…」
もう頭の芯まで痺れそうになって、こんなのは違うと必死で声を振り絞る。しかし憎らしい男は平然と
言葉を返すだけだ。
「でもないさ、色々とアドバイスを受けたので実践しているだけだ。たまには別の遣り方も効果があると
分かったのは収穫かな」
「はあぁ??」
おかしいと思った。
明らかにベムの遣り方ではない愛撫は、確かに思ったほど悪くもないのだが、こんなことに第三者の
介入があるのは我慢出来ない。
「そんなこと、入れ知恵したの誰だい!」
「夏目さんだよ」
「あンの唐変木があ!!」
今の今まで昂っていたのもすっかり忘れて、ベラは怒号を上げた。既に寝入っているベロが起きる
かも知れないという考えは、もう頭にはなかった。しかしそんなベラの怒りもどうということはないのか、
ベムはいつもの調子だ。
「女同士になった時、随分あけすけに俺たちのことを言ったのはベラだろ?」
「それはっ…」
一瞬、言葉に詰まった。確かに女同士で集まっている時にうっかり口が滑ったかも知れない。
「だったら俺も夏目さんの言葉を聞くまでだ。違うか?」
「そ、れとこれとはっ…」
とんでもないことになった、と頭の中がスパークしかける。こういう時のベムは冷静に見えるが、実は
静かにメッチャ根深く怒っているからだ。下手をしたら何日もネチネチ絡まれる。そんなベラの不安を
どう感じ取ったのか、教え聞かせるように一語一語やたらゆっくりと口にした。
「不用意に、こんなことは人に言うな」
「分かった、分かったからっ…」
この怒涛の怒りを何とか逸らせようと慌てるベラだったが、その慌てようが余程面白かったのかすぐに
ベムは機嫌を直したようだ。頑固な眉間の皺が消えている。
「それならいい」
何とか収まったとほっとした直後、強引に寝台に押し倒された。
「えっ、ちょっと」
「…ここからは、いつもの遣り方でいく」
既にベムはガチ本気モードだった。何が何だか分からないうちに痛いほど首筋を吸い上げられた途端、
身体の芯がきゅうっと疼く。このざわめく感覚を、ずっと待っていたのだ。
改めて、熱い夜が始まる。
その後、一週間ほど夏目はベラにぶつぶつ悪態をつかれたという。
終
また小説来てたあああああああ
GJ!!
大久保が逮捕されたあの日、ベラは最後までいつものベラだった。
「後悔はしちゃいない」と言い切った顔は晴れ晴れしていたし涙なんて一滴も流さなかった。
でも同じ細胞から分かれた身であり、何十年も離れず一緒に居続けたベムには、ベラが誰にも言わない苦しみを抱えたままだということをわかっていた。
真夜中、ベムは気配を感じふと目を覚ます。
暗闇の中目をこらすと、ベラが寝台に座ったままぼんやりと虚空を見つめている。
「…どうした。眠れないのか」
小さく声をかけると、反応して振り向いた女は渇いた笑顔で応える。
「別に。ただぼんやりしていただけさ。平気だからお眠りな」
ベラがあの男のことを考えていたのだろうということは何となくわかった。暗闇の中一人きりでいるベラはいつもよりずっと頼りなく儚く見えた。
胸が締め付けられるように痛くなり、そして急に恐くなった。放っておいたら女はそのまま消えてしまいそうな気がした。
居ても立ってもいられず、起きあがるとベラのそばによって腕を伸ばし、ベロが家出から帰ってきたあの日のように彼女を抱きしめるとベラはくすぐったそうにくすくす笑った。
「なんだいやめとくれよ、あたしゃベロじゃないんだよ」
「……夏目さんが言っていた。寂しいときにはこうするんだ、と」
「ふん、馬鹿にするんじゃないよ。あたしはこれっぽっちも寂しくなんかないさ。それともあんたの方が寂しいとでも言うのかい?」
人間のように温かいベラの体を抱き締めていると、ベムは今まで感じたことのないような落ち着いた気持ちになるのを感じた。今までこんな気持ちになったことはなかった。
この街に来て夏目一家や教授たちに出会ったことで、初めて恋というものを知ったベラと同じく、いつの間にか自分自身も前と変わって来ているのかもしれないとベムは思う。
ベラが大久保に対して正直になったように、自分も今感じていることを正直に表現してみようと思った。この気持ちはいったい何なのか知りたかった。
ベラの体に回していた腕をゆるめると、そっと唇を重ね合わせる。
ベラは一瞬止まった後、弾かれたように体を離そうとしたがベムはベラの腕をつかんだまま離さなかった。
「な、何するんだい馬鹿!お離しよ!」
目を吊り上げてベラが叫んだが、ベムはものともせずいつもの静かな目で真っ直ぐベラの目を見て言った。
「俺には恋というものはわからない。でも、それでもお前の悲しみを知りたい。俺たちは同じ存在だったはずだ。お前の気持ちを引き受けたいんだ」
手を振りほどこうとしたベラの動きが止まる。挑みかかるような目の奥に迷いが見え隠れしていた。
「寝ぼけてんのかい?あんたなんかにそんなことわかる訳ないじゃないかこの朴念仁」
「ベラ、頼む…。少しだけ時間をくれ。お前を、知りたいんだ」
もう一度口づけ、今度は舌を侵入させた。ベラは暴れるかと思ったが予想外におとなしかった。
「ハッ、やっぱりあんたは寝ぼけてるんだねえ。やれるもんならやってみなよ。でもあたしの心はあたしのものさ」
「…そうさせてもらう」
ベラを静かに横にさせ、首にキスを落としながら身体をたどる。鎖骨を舌でなぞるとベラはわずかに身動ぎした。
そのままワンピースを脱がせていく。裸でいても三人とも気にしたことなんてなかったが、今夜見るベラの身体は、もぎたての果実のように瑞々しく滑らかに見えた。
仰向けになった彼女のお腹は真っ平らで、ぽつんとある臍がまるで芸術作品のように見事だった。
噛みつきたいのを我慢して、右の乳首を口に含み舌で転がすとベラの吐息が漏れる。左の乳房を揉みながら右手を彼女の下半身の茂みに滑りこませると
「アッ」という声が上がった。
割れ目を指でなぞるとじんわりと愛液が滲み出してくる。
「あ…っ、ベム、やっぱり、おやめよ…んっ、いや、こんなの…んあっ」
湧き出る源泉に指を差し込むとぬるりと吸い込まれて、理性が飛びそうになる。今すぐにでも既に固くなった自分のものをその中に収めたかった。
歯を食いしばって耐えながら指でまさぐると、小さな突起に触った所でベラの身体がビクンとはねた。
「いや、いやっ!あっ、やめとくれ、ねェもう、堪忍しておくれよォ、あっ、んっ、ああん!」
「いや、なのか?そうじゃないだろう?こんなになってるじゃないか。そうなんだろう?」
ベラが身をよじって足を閉じようとしたので少し頭に血が上った。上った血は絶対に女を逃しはしないという凶暴な気持ちになる。
無理矢理ベラの足をこじ開けると、割れ目にそって舌でなぞり上げ、舌先で敏感な突起を何度も押しつぶした。
今まで誰にも見せたことのない場所にベムの顔があると思うとベラは羞恥で気が狂いそうになった。
「あっ、ああ、やあっ、だめ、だめだってば、あっ、あっ、あああっ!!」
執拗にそこを攻めるとベラの嬌声と共にどんどん愛液が溢れ出す。開ききった足の間からベラを見ると汗をかいた肌が波打っていた。
そしてだんだん声の間隔が短くなっていったかと思うと、それまでより一段と高い声を上げたベラの身体が弓なりに反った後ビクビクと痙攣する。
すぐにだらしなく身体が弛緩したが、女の部分は充血し、ベムの唾液とベラの愛液でてらてらとぬめっている。もう限界だった。
ベムはもどかしそうに服を脱ぐと、今までないぐらい大きく立ちあがった自分のモノをベラの膣口にあてがう。
そのままお互いの息が触れそうなぐらいそばでまっすぐベラの目を見ながら言った。
「ベラ、お前が悲しいのなら俺も悲しい。でも、お前の哀しみは誰にも渡したくない。俺たちは本当はひとつだったんだ。今だけは、俺のことを見てくれ…」
ズズッとベムのものがベラの中に入っていく。ベムの腕を握りしめたベラの指が皮膚に食い込んでいた。
「んっあっあっあああっああ、ベム、ベム…ッ!!」
ベムが腰を叩きつけるたびにグチュグチュと淫らな音がしてそれが二人を更に煽った。
ベラの声が泣き声に近いものになっていった頃、額に汗を浮かべたベムの動きが早くなっていった。
「…ベラ、すまない…くっ…俺は、もう……」
「あっあっベム、ベムあたしも、ああっ、いっ、一緒に…!」
ベムが力いっぱいベラを抱きしめると、ベラも爪を立てすがり付く。
全身で愛おしさを感じながら中で果てると、最後の一滴まで絞り取るようにベラの内壁が絞めつけた。
息を整えていると、ベラの目尻から一筋の涙がこぼれ落ちた。
何だかその涙と一緒にどす黒い苦しみが一緒に流れて行ってしまったような気がして不思議と胸がすっと楽になったので
もしかしたら今までの悪人たちが流した涙にも人知れぬ苦しみがあったのかもしれないと思った。
一人でベンチに座っていた時も、あの男に殴られた時も出なかったのに、おかしなモンだねェ、とぼんやりと考えていると
ベムがベラの涙をぺろりと舐めとってしまったので、まったくこいつはあたしの何もかもを全部持ってっちまうつもりなのかいと少し呆れた。
ベムには恋というものはどんなものかという知識はない。だからベロに対してとは違うベラに対する気持ちが何なのかわからない。
少なくとも、今は。
すげえええ!!GJ!!!
エロ切なくていいね。
179 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/03(土) 22:51:22.52 ID:2BNQlRMU
闇にか〜くれてSEX~_~
180 :
どえす:2011/12/03(土) 23:47:48.80 ID:2wzlGA6l
最高。
これで今日は寝れる。
投下祭りktkr
GJです!
うわ。
ドラマのベムスレなんてあったんだ。
しかも投下されてる作品がみんなレベル高い。すげー!
全部読んだ
みんな上手いな
自分も何か書きたいけどネタが思い浮かばん
ベラたんの腋ペロペロ
投下します。ベム×ベラ。エロ成分は少なめで、一部流血と痛い描写あり。
過去と現在が交錯しながら進みます。
やたら長い上に、思いっきり過去ねつ造しています。
闇色の枝葉が、屋根のように厚く頭上を覆っている。
隙間から覗くは三日月。月光は冴え冴えと青く、冷たく、その微かな光は周囲の闇を
かえって深めていくようだ。
湿った風がびょうびょうと強張る顔を打ち、膝まで生い茂った草は急く足に絡まる。
凝らした目の先は、ただ闇。分け入っても分け入っても果てのない、闇色の森が続くばかりだ。
この目をもってしても見通すことができないほど、木々は黒く、藪は厚く、そして闇は深く立ち塞がり、
自分たちを拒んでいる。
それでも足を止めるわけにはいかない。
逃げなければ。
早くここから逃げなければ。
躓きながら、前へ、ただ前へと足を進める。
片腕にしがみついたベロは、すでに足が動いていない。気を失ったかと思ったが、途切れ途切れに
聞こえる押し殺した泣き声が、かろうじて意識を保っていると告げている。
隣を走るベラの呼吸はふいごのようだ。だが汗にまみれた白い肌も、炎を吐くような息遣いも、周囲の闇は
呑み込み、ともすればその姿さえ見失いそうになる。
ふいにベラが足を止めた。つられて自分も立ち止まる。同時にとうとう力尽きたか、ベロがその場に倒れこんだ。
小さな体を引きずりながら、振り返る。
闇より黒いベラの影の向こう、枝葉に埋もれた急な山道のはるか下に、ぽつぽつと揺れ動く明かりが見えた。
明かりは揺れながら数を増やし、道とも呼べない道を、ゆっくりと、だが確実に、こちらへと近づいてくる。
ここまで追ってきたのか、と思う。
早く逃げなければ。
どこへ?遠くへ。人間が、手に手に得物を持ち自分たちを攻め立てる、あの優しかったはずの人たちが、
追ってこられない所まで。
できれば誰にも忌み嫌われることのない、悲しみのない安息の地まで。
だがそんな場所がどこに?
強い風が吹き抜け、ざわりと闇が騒いだ。
傍らのふいごのような息が、突然乱れた。ぜいぜいと耳障りな音が、うめきを含んで大きくなる。
細い月明かりの下、ざわざわと草が、枝葉が、そして目の前のベラの影が、震え、蠢き、大きく歪んだ。
「ベラ」
絞り出した声は、自分のものとは思えないほどしゃがれていた。
「……ベラ」
乾ききった口は開くことさえ苦しかったが、もう一度繰り返す。
いびつに曲がりかけていた背骨の動きが、ぴたりと止まった。
数回肩を震わせ、振り返る。ベラの目はぎらぎらと底光っていたが、その白い顔に歪みはなかった。
視線がすっと逸れる。無言のまま大股に歩みよると、ベラはぶら下がっていたベロの体を奪うように掴んだ。
歩きながら小さな体を肩に担ぎ上げ、振り返りもせず走り出す。
一呼吸遅れて後を追う。わずかな光のせいで一層濃い闇を、切り裂くようにもがくように走る、
闇より黒く三日月より細いその背を。
どこへ行くのか。どこへ行けるのか。そんな場所はあるのか。
ベロは完全に気を失ったのだろう、ピクリとも動かない。だが細い泣き声だけは、途切れながらも
その喉から漏れ続けている。
ベラの息はいよいよ荒い。しゅうしゅうと威嚇するように吐き出されるその奥に、ベロと同じ響きを
聞き取ってしまうのは、きっと自分の耳が疲労でおかしくなっているからだ。
天を見上げる。重く暗い木々の帳の彼方、三日月は細く、だが冴え冴えと輝き続けている。
その光さえ自分たちを追い立てるように思え、無意識に身をすくませ、目を伏せた。
月はただ、青い。
錆だらけの廃船の窓から、早朝の日差しがさんさんと降り注いでいる。
窓の向こう、四角く切り取られた秋の空は高く広く、雲一つない。今日もいい天気になるのだろう。
明るく照らされた廃船の船倉、居間兼食堂兼寝室のその場所で、つつましくも山盛りの朝食を食べながら、
ベムはちらりと隣を伺った。
同じタイミングで顔を上げたベラが、目が合ったとたん、ぎゅっと眉間にしわを寄せた。
促すように小さく顎をしゃくられ、視線を移す。
二人の目線の先ではベロが、箸と皿を抱えたまま何やらうんうん唸っていた。
不器用な手つきで一口食べてはうーんとうめき、また食べては首をかしげる。顰めた眉も重々しく、
その様はまるで小さな哲学者だ。
注目しろと言わんばかりのわざとらしいしぐさに、ベラの眉間のしわが深くなった。
「うるさいねえ。ご飯中に唸るんじゃないよ」
「うん」
このやり取りも三回目だが、相変わらずの生返事だ。ベラの口から呆れたようなため息が漏れる。
あんたも言っておやりよと睨まれ、ベムも静かにベロを見下ろした。
「ベロ。……行儀が悪い」
「うーん」
「もう。何回おんなじやり取りするんだい」
またため息をつき、ベラが箸をおいた。しょうがないねえと呟きながら、食卓に肘をついてずいと身を乗り出す。
覗き込んでくる不機嫌な顔を、ぱっと見上げたベロの口元が、嬉しそうにつりあがった。
「まったく面倒な小技覚えたもんだね。わかったよ、何が言いたいんだい?聞いてあげるから早くお言いな」
「えーどうしよっかなー。聞きたい?聞きたい?教えてあげようかな、どうしようかなー」
「自分が言いたいんだろ!いいからさっさと」
「ベラ……行儀が悪い」
「あんたもうるさいねえ!」
「あのねあのね……赤ちゃんってどこから来るか知ってる?」
波に押されて船が傾き、ぎいっと軋んだ音を立てる。
川べりからちゅんちゅんと、雀の鳴き声が聞こえた。
ベラの視線が一瞬、ベムに流れた。同時にベムもベラを見る。
同じタイミングでさりげなく目をそらす。無表情に瞬きを繰り返すベムの横で、ベラがふんと顎をしゃくった。
「どこって、母親のお腹からだよ。お腹の大きい女の人見たことあるだろ。人間も猫も犬も熊も狸もみーんな、
母親から生まれるのさ」
「それはそうだけどさあ」
口をとがらせベラを見上げると、ベロも箸をおいた。腕組みしたベラと、一人箸を持ったままのベムを
交互に見て、また口をとがらせる。
「そうじゃなくて、だからどうしたら赤ちゃんがお母さんのお腹に来るかだよ。ベラ知ってる?」
「どうって……だからその、ええい面倒くさいね!」
口ごもって天井を仰ぎ、いらいらと髪をかきむしるベラの姿に、ベムも箸をおいた。
楽しげに輝くつぶらな瞳を、まっすぐ覗き込む。
「ベロ。どうしてそんなことを思ったんだ?」
「あのねー、こないだ図書館で読んだ絵本にね」
「あんたまた図書館なんか行ったのかい。昼間は行くなっていっただろ」
「ちゃんと日曜日にだよ」
「ならいいけど。平日の昼間に行くと、職員がいろいろうるさく話しかけてくるからね」
「ガッコードウシタノって聞かれるもんね。大人はいわれないのにずるいなあ」
「それがなきゃ、あったかくていいところなんだけどねえ。まあ大人も連日居続けると、妙に優しいような
生あったかいような目で見られるけど」
「……あれは、何故だろうな」
「ねえ、話戻していい?」
ちっと小さく舌打ちして、ベラがまた髪を掻きはじめた。
なだめるようにそれを見つめ、続いて自分に向き直ったベムに、ベロはにこにことうなずいた。
「それがね、あかちゃんはどこからくるのって絵本だったんだけど」
「……そんな本があるのか」
「うん。でね、それによると、赤ちゃんってお母さんとお父さんが夜に仲良くしてると来るんだって」
「はん。ストレートだねえ」
「ベラ。……ベロ」
「でもそれだけ?って思うでしょ?おいらなんか納得いかなくてさあ。だから優以ちゃんに聞いたら……
どうしたの!?」
とたんにぐはっとむせこんだベムに、目を丸くしたベロの肩を、あわてて割り込んだベラがつかんだ。
「こら!他人になんてこと聞いてんだい!」
「なんで?聞いちゃダメなの?」
「だ、だめっていうか」
「でも優以ちゃん教えてくれたよ?」
ぎょっと目をむいたベラを見上げ、にこにこ笑いながらベロは自慢げに胸をそらした。
「赤ちゃんってね、お父さんとお母さんの好きと好きがくっつくとできるんだって!」
都合が悪くてなかなか来れない時もあるけど。
でも二人がすごく仲良くしたとき、好きと好きがうまくくっついたら、お母さんのお腹に
赤ちゃんができるんだって。
すごくない?おいらびっくりしちゃった!と、一人拳を突き上げるベロの前で、ベラががくりと崩れ落ちた。
長い裾をずるずると引きずり、食卓に突っ伏して大きくため息をつく。肩の鱗が朝日を艶やかに弾いた。
「それで納得するのかい……もはやあんたにびっくりだよ……」
「だってすごいよ、好きと好きがくっつくんだよ?てことは、赤ちゃんって好きの塊なんだよ!」
「はいはい。あんたが正解」
「……よかったな、ベロ」
苦笑に似た笑みを浮かべたベムに頭を撫でられ、ますます嬉しそうにうなずくと、ベロはだってさあ、と
伏せたままのベラの腕をゆすった。
「おいらずっと不思議だったんだ。赤ちゃんってどこから来るんだろうって。人間も犬も猫も狸も熊も、
なんで赤ちゃんといるとあんなに嬉しそうなんだろうって。好きがくっつくからなんだね。好きの塊だから、
赤ちゃんってあんなに可愛いんだ。やっとわかった!」
「ああはいはいそうだね。……畜生、なんか小学生に負けた気分だよ……」
「赤ちゃんってすごいなあ!」
しみじみ呟いたベロの顔は、朝日よりも明るく輝いている。
突っ伏したベラの背中に飛びつき、邪険に押しのけられても負けずに、おいら赤ちゃん見たくなっちゃった、
どっかにいないかな?と揺さぶるベロを、ベムは微笑んだまま抱え上げた。
足をぶらぶらさせながらベムを見上げたベロの顔が、何かを閃いたかのようにまた輝いた。
「ねえ、おいらと優以ちゃんでも赤ちゃんできるかな?だっておいら優以ちゃん大好きだもの」
小さな体を下ろそうとかがみかけたベムと、溜息を吐き続けていたベラの動きがぴたりと止まった。
沈黙が船倉に落ちる。
瞬時に冷えた空気に気づき、首をかしげたベロの目の前で、ベムの笑みがすうっと消えた。
「……俺たちは、駄目だ」
「えーなんで?子供どうしだから?」
「……俺たちは、人とは違う。俺たちには子供も……何も成せない」
うっそりと身を起こしたベラが、乱れた髪の間からベムを見た。
髪の影でほのかに光るその目とは視線を合わさず、ベロを下ろすと、ベムはその場に膝をついた。
不満そうに口をとがらせた顔をまっすぐ見上げ、首を振る。
「俺たちは、駄目なんだ」
穏やかだがはっきりとしたその言葉に、ベロの顔からも笑みが消えた。
ゆっくりうつむき、そっかあ、と頭のツノを掻く。
「おいらたち妖怪人間だもんね。人間の赤ちゃんは人間じゃなきゃできないよね」
「……ベロ」
「ダメなのかあ。……あーあ、早く人間になりたいな」
妙に明るくそういうと、ベロはさっさと自分の席に戻った。箸をつかみ、今度は黙りこんでぱくぱくと
朝食の続きをかき込みだす。
いつもよりペースの速い食べ方をしばらく見つめ、ベムも腰を下ろした。同じく箸をとり、器に手を
伸ばしながら、そっと隣を見る。
ベラは何も言わない。視線に気づいているだろうに、かたくなに前を見つめ、指先で髪をいじるだけだ。
いつも鋭く、揺るがないその目に落ちた一片の影を、無言のままベムはただ見つめた。
雲が流れてきたのだろう。窓から入る日差しが一瞬途切れた。
それだけでひどく薄暗い船倉に、食器の触れ合う音が小さく響いている。
走って走って走り続け、心臓が破れると思うほど走ったところで、唐突に視界が開けた。
眼前には、藍色の夜空。はるか彼方に細い三日月。木々が倒れ重なりあい、切り開かれたその小さな空間は、
朽ちかけた木の根と岩が絡み合った、ひどく殺風景な空間だった。
根に足を取られたか、前を走っていたベラの体が大きく傾いだ。担いだベロごと岩に叩きつけられそうに
なったところを、何とか腕を伸ばして支える。
支えきる力もなく、そのまま一緒に倒れ込んだ。
帽子が跳ね飛ぶ。自分が下敷きになることで二人への衝撃は抑えたが、代わりに背中に鋭い痛みが走った。
岩が刺さったか、木の根に貫かれたか。漏れかけたうめきを飲み込んで、腕の中の体が転がらないように抱きとめる。
ベラももう、動く力がないのだろう。気絶したベロと重なり、ひきつった呼吸を繰り返すばかりだ。
ぐったりと重く、胸にのしかかる二人の体は焼けるように熱く、同時に汗にまみれて冷たかった。
回る視界に月が青い。
隠れるものもない場所で、眩しいほど冴えた月光は容赦なく自分たちを照らし出す。
目を背ける気力もなく、ただぼんやりと見つめていると、胸の上でベロがまた、小さく泣き声を上げた。
無意識にその肩を撫で、同時に周囲を探る。さすがにもう追手の気配はなかった。
疲労のあまり、感覚の乏しい手足に、尖った岩が食い込んでくる。
汗とは違うもので、背中がじわりと濡れるのを感じる。傷は少々深いようだ。
だがこんな傷など、痛みなど、すぐに癒えて消えるだろう。今までと同じように。
やがてずるずると、ベラが身を起こした。
滝のように乱れ落ちた髪に隠れて表情は伺えない。ずり落ちたベロをつかみ、這うようにして
近くの岩陰に引きずっていく。
重みが消えたことで、急速に背中の傷が癒えはじめた。少しは平らな場所にベロを寝かせたベラが
戻ってくるころには、どうにか起き上がることができる程度には。
よろめきながら近づいてきたベラが、数歩手前で崩れるように座り込んだ。
破れほつれたマントが風をはらんで膨らむ。山道を走るうちに裂けたのだろう、ぼろぼろの靴の奥に見える
足の先は、爪が剥がれて緑の血があふれていた。
振り落ちる月の光の中、ただうつむいて向き合う。
風に混じって耳に触れたそれに、思わず顔を上げた。
細く、しゃがれた、ベロのものとは違うそれは、すぐ目の前から聞こえていた。
「……なんで、駄目なんだろうね」
絞り出された声は、ひどく震えていた。
「村の連中、みんな呑気で、頭もよくなさそうだったしさ。ちょっとくらい関わっても、ばれないだろうと
思ったんだ。もしかしたら……ばれても、大丈夫じゃないかって。そんなはずないのに。間抜けな話だよ」
「……」
「結局こうさ。いつもこうなっちまう」
「ベラ」
かすれ震えたそれが、自分の声だと気づくのに少し時間がかかった。
弾かれたようにベラの顔が上がった。乱れた髪の中で爛々と光る眼は、怒りと、もう一つの感情で燃え滾っていた。
微かな戸惑いが胸をよぎる。こんなベラは見たことがなかった。
「教えとくれよベム。あたしらなんでいつも、こんな目に合わなきゃならないんだい。あたしたちのいったい
何が、そんなに駄目だっていうんだい」
「……ベラ、俺たちは」
「ああわかってるさ。あたしたちの血は緑だ。傷ができてもすぐ治る。年も取らない。死ぬこともない。
それどころかちょっと気を抜きゃ、ああなっちまう。そりゃ怖いだろうさ、あたしが人間でもね!」
ぎりぎりと岩くれをつかんだベラの手が、大きくひび割れた。乱れた髪から覗くこめかみに、鱗が広がる。
炎のような吐息が月光を震わす。だがそれすら周囲の闇は呑み込んでいく。
「だけど、あたしは!……あたしは」
鋭い爪が岩を貫いた。風とは違う動きで髪がざわざわと蠢きはじめる。
何かに押されるように手が伸びた。ひび割れ固くなり始めた腕をつかんだ自分の手も、いつの間にか無数のひびに
おおわれていた。
常に冷たく整っていたベラの顔が、歪んで引きつっている。いつも力強く響く声が、震えている。
否。本当は、ずっと隠してきたのだろう。小さなベロをかばい、臆病な自分を叱咤し、誰より強いふりをして、
そうして胸の奥で一人、ずっと耐えてきたのだ。
背中の傷が、ひどく痛んだ。
だがそれよりもはるかに深い傷が、ベラの白い胸に開いているのが見えた。
傷は深く、癒える気配もなく、溢れる血は止まることなくその身を、炎を吐く口を、爛々と輝く目を、
濡らし続けている。
「……人間になりたい……!」
きっと、今までも。
傷が燃えるように熱くなった。それ以上に、腹の底が熱かった。
背骨の奥から何かがせり上がってくる。それは怒りに似ていた。悲しみにも似ていた。だがそのどれとも違った。
どうして、どうしてと繰り返す。答えのないベラの繰り言は、そのまま自分の思いだった。
なぜ駄目なのか。どうすればいいのか。どこへ行けばいいのか。いつまで続くのか。
人間ならば持たない苦しみだろう。では今湧き上がるこの感情も、人とは違うものなのか。
何が違うのか。なぜ駄目なのか。
人間になりたいと、人間のように生きたいと、願っているだけなのに。
そうだ、ただ、人間のように。
月が青い。その輝きに感情が引きずられる。
疲労が拍車をかけた。とどめることすら思いつかず、腕をつかむ手に力を込める。
白い顔が苦痛に歪むのが見えたが、構わず引きずりよせて抱きすくめる。
腕の中で、細い骨がぎしぎしと軋んだ。
うめき声をあげて、ベラの爪が背中に食い込んだ。爪は癒えかけた傷を裂き、また血が噴き出したが、
もう痛みは感じなかった。
尖った顎をつかみ、衝動のまま無理やり引き上げて口づける。
技巧も何もわからない。ただ感情のまま唇に噛みつき、舌をとらえて吸い上げる。何度か舌を噛まれたが、
やはり痛みは感じず、傷もすぐ消えた。
舌を抜き、震える目元に、首筋に、胸元に、繰り返し歯を立て舌を這わす。見えない血を拭い取るように。
ようやく口を離した時には、すっかり息が上がっていた。体は離す気になれず、抱きすくめたまま顔を覗き込む。
ベラの顔は、意外なほど静かだった。
目を見開き、どこか不思議そうに自分を覗き込んでいる。
そろそろと腕が上がった。殴られるかと思ったが、爪が触れないように指の腹で、目元を拭ってきただけだった。
乾いた目じりを何度かこすり、やはり不思議そうに自分の指を見下ろす。
その額はひび割れ、そして目の奥にはまだ、二つの感情が熾りのようにくすぶっていた。
またじりじりと、腹の底が熱くなった。
どうにかしてやりたいと思った。それ以上にどうにかしたかった。自分の中に渦巻く、この得体のしれない衝動を。
どうすればいいのか。
人間ならば、どうするのだろう。
駄目だろうか、人のように。自分たちにはできないのか。
ふいにベラの目に力が戻った。挑むような輝きに射すくめられ、力の抜けた腕を振り払われる。
両手で顔をつかまれる。頬に爪が突き刺さり、噛みつくようにぶつかってきた牙に唇が裂けた。
ひるんだのは一瞬で、もう一度強く抱き返す。首に回され締め上げる腕の力に、頭の芯が痺れた。
夢中で噛みつき、噛みつき返され、舌を絡めて貪りあう。とうとう息が切れて唇を離しても、足りないと
ばかりに追われてまた口づけられ、背骨が震えた。
抱き合ったまま立ち上がる。よろよろと後ろに下がったベラが、引きちぎるようにマントを脱ぎ捨てた。
青い月光が、腕全体に広がった鱗に弾かれ、鈍く散った。
鋭敏になった聴覚に、自分とベラの呼吸と鼓動の音が触れる。耳鳴りに似たそれは重なり合い、やがて一つに
なって世界を埋めた。
荒い息を吐きながら腕をとり、強く引いて岩場を飛び越える。伸びた爪が鱗に触れ、数枚削いで剥ぎ落したが、
それすら気づいたのはずっと後になってからだった。
どこまでも追ってくる光から逃れるように、深い森が生み出す闇の中に飛び込む。
湿った匂いとともにまとわりついてくるそれは、ひどく居心地がよかった。
続きはまた後日。
良かった
続きに期待してるよ
ドSベムの続き書いたけど、キス止まりになった。
とりあえず投下。
「ベムー、これは?」
今日も変わらず三人揃って公園で草を摘んでいる。
何か真新しいものを見つけたのか、ベロが一掴みの草を持ってベムの方に駆け寄って来た。穏やかに
微笑むベムは、握っていた草をちらりと眺めてベロの頭を撫でてから静かに言い聞かせた。
「これは、食べられるけどとても苦い。我慢出来るかい?」
「んー…苦いのは嫌だなあ。でも食べられるなら贅沢言えないよね」
「無理はしなくていいんだよ。だけど、これは胃腸にいい。食べても損はない」
「じゃ、オイラ食べる。ちょっとぐらい苦くても平気だよっ」
元気なベロの笑顔に引き寄せられたのか、ベムも頬が緩んだ。
「ベロはいい子だな」
子供には限りなく優しいベムの笑顔を間近で眺めながら、ベラは何となく気分が曇っていく。
「そうだろう、ベラ」
なのに急に話を振られて、何を言っていいのか分からなくなった。
「え、あ、ああ…そうだねえ」
やっとのことで苦し紛れに言葉を返すが、ベムの方は平然と受け流しただけだった。
その態度が数日前の出来事全てを、何もかもなかったことにしているとしか思えないのが不愉快で
叫び声を上げたくなった。
天空の月が一層の陰りを深めている。
軽い苛立ちをずっと抱えていたベラは眠れずにいた。
どうして、あの憎らしい男はベロに対するような笑顔を直接見せてくれないのだろう。そう思うだけで
腹立たしくて仕方がない。
鬱々としたまま寝台から降りると、その足は眠るベムの方に向かう。
狭い寝台の上で寝入っている姿はあくまでも穏やかだ。何のわだかまりも見えない。それがベラを
胸苦しくさせる。
「…っ」
何故か知らないが、辛い。辛くて苦しい。
それは全部この男のせいなのだと思うと、堪らなくなった。
「…あんたなんか」
引っぱたきたいのを我慢して、鼻をつまんでやる。何も反応がなかったので手を放して額に、頬に、
唇にとキスを落とした。
もう、どうなっても知るものか。
思わず、張り飛ばしたくなって腕を上げた途端、不意にベムが目を開いた。
「…何のつもりだ」
「あ…」
「何のつもりだと聞いている」
寝台から身を起こして腕を掴んでくるベムの力に圧倒されながらも、ここで負けてなるものかとベラは
必死で睨みつけた。
「…あたしはねえ、女なんだよ」
「それは分かっている」
「この間みたいな、あんなことされたら女として我慢ならないんだよ」
「…だろうな」
あくまでも平然としているベムに、怒りが増幅していく。ランプの灯りもない真夜中はあっさりと腹の底を
割らせてしまう。
「あんたなんか…」
妙に悔しくなって踵を返そうとすると、急に視界がぐるりと回った。ベムが腕の力を強めて寝台の上に
抱き込んできたからだった。
「あ…」
至近距離で見るベムの目はまるで射手そのもののようにベラを捉える。一度完全に囚われてしまった
ことがベラの身を竦ませた。
「お、はなしよ…」
「嫌だ、と言ったら?」
この前のように怒っているのではと思うほどの真剣な目に、ベラはすっかり萎縮してしまった。それほど
暗闇の中のベムは迫力がある。
「あた、しは…」
ようやく絞り出した声は、あえなく喉の奥に消えた。開いた唇の間に入り込んできた舌が呻きも叫びも
何もかもを消す。一度だけ、抵抗を示そうとベムの胸を叩いたが、巧みなまでに口腔内を探られ舌を
吸われて頭がくらくらと酩酊してしまう。
「ン…」
噛み合わされる唇の角度が変わる度、息を継ぐように濡れた声が漏れる。こんな風に丹念に扱われる
なんて想像もしていなかった。どうせこの男はまた乱暴に心も身体も一緒くたにひっくるめてベラを引き
裂くとばかり思っていたのだ。
高揚する気分と共鳴するように、身体が蕩けてくる。
胸の辺りに手が蠢く感触があった。どうやらベムもその気になっているのだろう。真夜中を言い訳に
して、キスを続けながらベラはドレスを肩から落とした。さらり、と滑る衣擦れの音に一瞬止まった手が
再び動き始め、あらわになった乳房を掴む。
「ぁあぁ…」
行為としてはまだほんの序盤だというのに、触られてもいない女の芯が早くも疼き始めている。もしや
こんなに丁寧に扱っているのも、最初からこの男の企みだったのではないかと思うほどだ。
しかし、そんなことはもうどうでもいい。
ベラは喉を逸らして送り込まれてくる唾液を飲み込んだ。人間に憧れるベムが、人間のするように女を
扱うのは当然のことだ。何も怖がる必要などない。
暗闇の中で、男に悟られないようにくすりと笑う。
「ベラ」
しかし、その密やかな笑みの気配すらベムは感じ取ったようだった。離れた唇の間を紡ぐように軽く
窘める声。
「こうなるのは、分かっていただろう?」
乾いた髪が頬を撫でる。
「…当たり前じゃないか。今更何を」
「ならば、躊躇はしないぞ」
唾液で濡れた唇を撫でてくる指先をきつく噛むと、返礼とばかりに耳を噛まれた。この男との戯れは
きっといつもこんな感じで続くのだろう、と思いながらもベラは腕を伸ばして憎らしくも愛しくもあるベムを
抱き締めた。
「あんたなんか、大嫌いなんだからね」
そんな言葉をどう受け取ったのか、肌を探り続けるベムは平然としてあっさりと言葉を返す。
「そうか」
夜の深度は戯れる二人にとって限りがないように思えた。このまま、二度と浮かび上がれなくても
構わない。
終
>>185 映像が浮かぶようだ
続き楽しみにしてます
(*´Д`)ハァハァ
ベラは一旦火がつくと情熱的だから性欲も激しい
ベラのあのムチは夜のプレイにも利用できるな
ベラの鞭はエロいよ!
ベムのステッキも手首を拘束するのに使えそうだ
最初、記憶をなくして倒れてた森の中で「何だこの女は?」「何だこの男は?」と
なった筈なんだけどな。
あんないい女が側に倒れてたら、とりあえずヤるだろ。
ちょうど服も脱げてるしな
どうせならベムだけじゃなくてベロの筆おろしもしてあげなよベラさん
ベロ「おいらゆいちゃんとがいいな〜」
・・・気が早いぞ、ベロ
突然だが、興奮しても妖怪化しない訓練だと言ってベロを(性的に)じらしまくる鬼畜ベムという電波を受信した
妖怪人間でもオナニーするの?
生物である以上、性衝動はあると思う
ベムのように常に過剰なほど欲求を抑えているタイプほど、一度覚えたら反動が
大きいというけどね。
このスレの作品はみんなすごいし大好きだから、ドラマのベムベラで映像化して欲しいと思った。
絶対無理だけどな!
静まっているので、もそっと投下
拘束もなければベロも1ミリも絡んでないし、ひたすら暗いけど
220 :
自白 1/6:2011/12/10(土) 02:12:59.53 ID:/+M00iWh
人間は、そんなに弱いものなのか
罪から逃れるために、さらに罪を重ねるなんて
苦しんでいるのは自分だけ、とでも言うつもりか…?
221 :
自白 2/6:2011/12/10(土) 02:20:11.14 ID:/+M00iWh
ふいに物音で目が覚めた
視線をやると、少し離れた場所で寝ていたベラが身体を起こして、ぼんやりと長い髪をかき上げている
そうしておもむろに立ち上がると、マントを乱暴に羽織って外に出て行った
つい反射的に後を追ってきたものの、ベラはどんどん漁港から離れていく。やがて、鬱蒼とした
森の中へと足を踏み入れた。ここは以前にも来たことがあったが、ベロがなんか嫌な感じがすると
気味悪がったのでそれ以来一度も来ていなかった場所だ。生い茂る草木に加えて、さきほどまで
降っていた雨の匂いと霞が感覚を狂わせる。いくら自分が人間以上の能力をもっていると云えども、
うっかりしているとベラの姿を見失いそうだった
ようやく深い森を抜けると、そこには一面の湖が広がっていた。こんな場所があるなんて知らなかったが、
ベラの方はというと、すたすたと歩いていき水際にすとんと腰を下ろした。何か考え込んでいるようだった
…声を掛けてもいいのだろうか
もう何十年も共に生きているのに、よく話す奴なのに、彼女が何を考えているのか時々わからないことがある
いや、情けないと思うが、最近はそういうことが頓に増えた気がする
そんなことを考えていると、おもむろにベラが立ち上がった。するりとマントが肩から滑り落ちたが、そんな
ことは気にも留めず彼女はそのまま沖のほうに向かって歩き出した。次第に深さが増し、身体がどんどん沈んで
いく。ただならぬ雰囲気を感じ取り、思わずそちらへ駆け出した
胸まで水に浸かったあたりでようやく追いついたが、腕を掴まれたベラはひどく驚いた様子だった
気づいていなかったのか…?
訝しんでいると、急にその身体が自分に重ねられた。その細い肩越しに見えたぼやけた橙の月とふわりと香った
ベラの甘い匂いに、一瞬夢でも見ているのかと思ったが、耳元に届いた声で一気に現実に引き戻された
「殺して」
小さかったが、確かにベラの声だった
途端にしなだれかかった身体が重くなり、もう声をかけても一切反応しなくなった
ここにいてはいけない、と本能的に感じ取り、気を失ったベラを抱きかかえてひたすら走った
222 :
自白 3/6:2011/12/10(土) 02:27:46.56 ID:/+M00iWh
すっかり濡れ鼠になった二人は、どうにか人目につかずに廃船までたどり着くことができた
ひとまずベラを寝床に横たえ、火種を探す。こんなに寒いのは恐らく水に濡れたせいだけではない
だろう。古ぼけたランタンに火を灯し、濡れてまとわりつく服を脱ぎながら、先刻の出来事について
考えた。何故ベラはあの湖に向かったのか、何を考えていたのか、あの声の主は本当にベラだったのか…
「ベム」
不意に声を掛けられて、止まるはずのない心臓が止まるのではないかという位驚いた
「ベラ…気づいたか」
ゆっくりと上体を起こして辺りを見渡すベラの表情は、暗がりでよく読み取れない
「悪いねぇ、何だか迷惑を掛けて」
とても悪びれてはいないような調子でぽつりと呟いたベラは、立ち上がって自分も服を脱ぐと、
適当な場所にそれを干しに行った
…いくら身内だからといって、素っ裸になってウロウロ歩くのはいい加減にやめて欲しい。ちょっとした
感覚が彼女には欠如していると思う。しかし、兎に角いつもとさして様子の変わらない彼女に少しだけ
安心して自分の寝床に戻り腰掛けた瞬間、いつの間に近づいてきていたのか、急に強い力で抱き竦められた
というより、彼女が羽織ってきた分厚い毛布に自分ごと包められた
「こっちのほうが暖かいだろ」
「おい…!」
いや、確かに暖かいがこの状況はおかしいだろう。明らかに自分のものではない体温や肌の感触が直に
伝わってきて、とても落ち着いて暖を取っていられるような状況ではない
「おい…離せ」
「このところおかしいんだよ」
「…は?」
こちらの焦りなど完全に無視して、ベラは自分の身の上に起きた“おかしなこと”について話し始めた
223 :
自白 4/6:2011/12/10(土) 02:31:23.10 ID:/+M00iWh
「あの男、大久保って居ただろ」
「…ああ」
思い出したくもない、大勢の人の命を奪い、夏目とその家族を苦しめ、挙句ベラまでも傷つけた男
「最後にあいつに殴られてから、ずーっとこの辺が痛むんだ」
ベラは自分の右のこめかみあたりを指さして、淡々と続ける。変に抑揚のないその声からは、いつもの
力強さは感じられない
「傷はとっくに治ってるっていうのにさ……ひどいときは頭痛だけじゃない。あの時のことを思い出すとさ、
なんていうんだろうねぇ、こう、右半身が痺れたみたいに感覚が薄れちまって…どうしようもなく
だるいんだよ」
そんなこと、全く気づかなかった。身体の不調なんて自分たちには縁の無い話だと思い込んでいたから
話を聴きながら、頭の中ではもうひとつの声がぐるぐると駆け巡っていた
“やはりベラは格好いいな”
どうして決めつけてしまったのだろう
“ベラは強いから”“ベラなら大丈夫”
いつ、誰が、そんなことを言ったのだろう
―――彼女を傷つけたのは、あの男だけじゃない…
「あっ…悪かったね、変なこと言って…そんな顔するんじゃないよ……」
思いつめた様子の自分に気づいたベラは、少し焦ったように肩を小突いた。いつも通りのそんな
仕草にさえ、今は胸が締め付けられるばかりだった
どす黒く重い塊が、腹の底に沈んでくる。耳の奥がじんじんと痛い
追いつめてしまったのだ
だから、やはり、先程のあれは…
かつて、自分とベラの間にこんなにも暗い空気が流れたことがあっただろうか
消え入るような声がした
「今日だけ」
「…」
「今日だけ、抱いてよ」
最後の助けを請う言葉に聞こえて、深く考えることもなく、衝動的に抱きしめていた。以前ベロに
そうしたように。けれど、腕の中のベラはあの時のベロよりもさらに小さく儚い存在に思えた
224 :
自白 5/6:2011/12/10(土) 02:33:54.20 ID:/+M00iWh
ランタンから届く光の中で、線の細いベラの肢体がぼんやりと浮かび上がる。鎖骨を柔らかく噛めば
わずかに肩を竦ませ、上体の輪郭をなぞれば草木のように美しく撓った
合わせた肌の柔らかさに、凍えていた気持ちが少しずつ解れていく。こっちの方が暖かい、確かに
そうかもしれない
指の動きに誘われるように、両の肢がひらき、最も柔らかい場所に触れる。それはとても神聖なものに
感じた。だからこそ、破瓜の瞬間の緊張に包まれた空気と苦しそうな呼吸に、自分まで息が詰まって
泣いた。この女にとって、もう本当に取り返しのつかない事をしたのだ。しかし一方で、その痛々しい
様に確かに感情の昂ぶりを覚えている自分がいる
弱い、弱い、愚かな自分
生まれ出た醜い感情を振り払うように、赦しを請うように、涙が滲んだ目尻に口付けを落とした
辛そうな呼吸のなかにも少しずつ艶が含まれてくると、いよいよ熱とベラ自身の匂いに酔わされてくる
理性などほとんど失った状態で、ぐちゃぐちゃに混ざった感情をただひたすらにぶつける。ベラはベラで、
与えられる感触全てを余すことなく中毒者のように貪る
ランタンの火はいつの間にか消えていた
暗闇の中でお互いの感覚だけを頼りに、その行為はどこまでも哀しいものだったように思う
朦朧とした意識の中で終わりを予感し始めた頃、間に合わせの寝台が軋む音と荒い息遣いが聞こえる
だけの空間で、ふいにベラが口を開いた
「ねえ、ベム…」
「…」
「あたし、さっき死にたいと思った。生まれて初めて」
225 :
自白 6/6:2011/12/10(土) 02:36:36.52 ID:/+M00iWh
船の中がぼんやりと明るくなってきた。日が昇り始めたのだろう
散々泣き腫らした眼が重い
夜中の熱情は既に消え去り、腕の中に小さく収まった身体からは、今は柔らかなぬくもりと静かな
鼓動が伝わってくるばかりだ
ほとんど無意識に口を開いた
「ベラ」
「ん…?」
「起きているか…?」
「ん…」
「…俺はあの時、お前が殴られたあの夜、」
「…」
「初めて人を殺したいと思った」
それまで閉じられていた目蓋がゆっくりと開き、大きな瞳がこちらを見据えた
その表情は嗤っているようにも、悲しんでいるようにも見えた
終
GJ
寝る前に覗いてよかったぜ
あー結局エロ少なくなった…
朝読んじゃった人、なんか後味悪くてすいません
御粗末様でした
GJ
お互いの感情が切ないな。
GJ!
ひたすら切ないのも、すごくいい。
全体の雰囲気が美しいね。
シリアスいいねーGJ!
さてもうすぐ放送だ
正座待機
今日放送される話は、かなり色々とバレてくるらしいので楽しみ。
内容によっては祭りだな。
今日もベラがエロかった
続きです。ちょっとだけエロ描写。それ以上に流血描写あり。
めちゃくちゃ長い。
あれはいつのことだったか。まだ車も高い建物もほとんどなく、集落を少し外れれば緑の里山と
澄んだ小川が、どこにでも当たり前のようにあふれていたころ。
夏だった。真昼だった。じりじりと焦げつくような日差しの中、休める場所を探して山道を歩いていた。
まとわりつく草いきれに、ベラは煩わしげにマントを跳ね上げ、肘まで袖を捲ったベロの腕には、
汗の筋がいくつもできていた。
朽ちかけた炭焼き小屋を見つけたのは、太陽がちょうど中天を外れたころだったと思う。
山道の脇に張り出した崖の頂上。藪に覆われ、忘れられたように立つ古ぼけた小屋。
あれ、いいんじゃないのかいと弾んだ声にうなずき、熊笹の藪をかき分けながら三人、近づく。
中で動く人の気配に気づいたのは、入り口にたどり着くはるか前だった。
人がいては入り込むことはできない。あからさまな落胆を浮かべたベラとベロを促し、道を戻りかけ、
だが何かが気になって振り返る。
微かな物音、空気の揺らぎ。温度の差異と、細い声。
人の気配がする。けれどそれは、これまで町の片隅や道端で見知ったものとは、少し違う気がしたのだ。
二人も同じことを感じたのだろう。見返した顔には、自分と同じ戸惑いが浮かんでいた。
無言の相談の末、音を立てないよう気を付けながら藪を進みだす。
微かな声は泣き声に似ていた。もしかしたら怪我や病気で、困っているのかもしれない。
小屋の入り口は戸もなく、破れた筵が下がっているだけだ。身を潜め、後ろから乗り出す二人を
制しながら、小屋の中を覗き込む。
真昼とは思えないほど薄暗い小屋の中は、蒸し暑く、すえた臭いで満ちていた。
物もほとんどない、狭い土間の片隅で、何かが蠢いている。
最初に気づいたのは、それが白い、女の体ということだった。
全裸だ。丸々と太り、びっしょり汗にまみれたその上に、浅黒い男の体が覆いかぶさっている。
男の体は大きく開いた女の足の間に入り込み、もぞもぞと緩慢に動いていた。
腰が動くたび、ぬかるみをかき回すような湿った音が響く。胴に絡んだ太い女の足がひきつり、
汚れた足指が切なげに空を掻いた。
二人とも競うように顔をこすりつけ合い、やたらと口を吸いあっては、切れた息の下で時折、
何かを囁き合っている。
男の動きが大きくなった。先ほど聞こえた細い泣き声が、また女の喉から上がった。
一瞬、自分が何を見ているのか理解できず、思考が止まった。
動くことも忘れて、ただただ呆然と筵の隙間を覗き込む。
中の二人は、見られていることに全く気付いていないようだ。佳境に入った男の動きに女が大きく
のけぞり、拍子にこぼれた真っ白な乳房が、ぶるんと汗を跳ね飛ばした。
突然、ごんと鈍い音とともに、目の前に火花が飛んだ。
呪縛が解けるように体が動いた。あわてて振り返れば、きょとんと見上げるベロの両目を
片手で塞いだベラが、ものすごい顔で拳を振り上げていた。
鬼の形相と、頭蓋骨が割れたような痛みに、ようやく頭も働きだす。
自分も急いで両手を伸ばし、小さな耳を押さえた。何かを言いかけた口は、開いた拳でベラが塞ぐ。
不満げに暴れる小さな体を二人がかりで無理やり持ち上げ、できるだけ音を立てないよう用心しつつ、
そっとその場を後にした。
熊笹が風に揺れる。乾いた音に混じって聞こえた一際高い声に、今さらながら背中に汗が噴き出した。
暑さも忘れて山道を駆けに駆け、峰を丸ひとつ越えたところで、ようやくベラがベロを放り出した。
わっと叫びながら一回転し、無事着地した小さな体を尻目に、二人並んでその場へ座り込む。
炎天下の山道は砂埃で真っ白だったが、気にする余裕もなかった。
ベロが駆け寄ってきた。そばをぐるぐる歩き回り、二人してひどいよ、耳が痛くなっちゃった、などと
しばらく文句を言っていたが、そのうち、心配そうに元来た道を伺いだした。
あの人たち、置いてきちゃってよかったの?けんかしてたんじゃないの?
不安の浮かぶ声に、ベラが手を振って、いいから、と吐き捨てた。
喧嘩なんかしてないから気にすんじゃないよ。
だって。女の人苦しそうだったよ。
違うって言ってるだろう。ったく真昼間っから、人間てのは暇なもんだね!
同意も否定もできず、立てた膝に顎をおいてひたすら息が整うのを待つ。
ベロの眉が不審そうに寄った。ちらちらとこちらを見やり、二人ともなんかおいらに隠してない?と
首をかしげる。
答えようとして、言葉に詰まった。
自分たちの間に隠し事を作るつもりはないのだが、ベロにそのことを言うのは何故かはばかられた。
うまく説明できる自信もない。自分自身が衝撃でいっぱいいっぱいなのだから。
ベラも同様なのだろう。ぷいと顔を背け、やたらと眉を吊り上げて遠くの山をにらんでいる。
知識はあった。獣のものも見たことがあった。だが人間の交わりを目の当たりにしたのは初めてだった。
人間はああしてまぐわうのか。
睦み合いとはああしたものなのか。
驚きと同時に、別の思いが胸に湧き上がってきた。
知識はあった。獣のものも見たことがあった。だが人間の交わりは、そうして知っていたものとは
全く違うように思えた。
手を握り頬を寄せ、何よりも大切だといわんばかりに抱きあい、体も呼吸も感情すら重ねるように
交わるあの二人は、苦しげなのに、ひどく幸せそうに見えた。
人間にとって交合とは、子供を産むためだけのものではないのか。
誰かとあんなにも近づき、分け合い、与え合うことができるものなのか。
人間には、そんなことができるのか。
不満を抱えるのにも飽きたのか、ベロがそばの木に登り始めた。
最近凝っているらしい、いかに格好よく飛び降りるか、という遊びを始めたベロを眺めながら、
ベラも立ち上がった。
服をはたく音にまぎれ、いつまでびっくりしてるんだい、と呆れたような声が飛ぶ。
だが、顔を上げることはできなかった。
驚きよりも、戸惑いよりも、奇妙な気恥ずかしさよりも強い思いが胸に満ちる。
誰かとあんなにも深くつながれる、そんな手段を持っていることが。そんな感情を捧げ、また
応えてくれる相手がいることが。
人間が。
ひどく、うらやましかった。
駆け抜けた足の下、小枝がばきりと鈍い音を立てた。
微かな月光さえ通さぬほど生い茂った枝葉の底、真夜中の森はどこまでも暗く、自分の指先も見えない。
巨木にぶつかり、藪に体中を裂かれ、全身から血を流しながら、それでも止まらず走り続ける。
何かに追い立てられるように。
掴んだベラの腕は恐ろしく冷たい。息遣いだけが変わらず、炎を吐くように熱かった。
息の奥からは、血のにおいがした。
呼吸のたび、生臭くすえたにおいが胸に満ちる。人間とは違う血のにおい。
草木を枯らし鉄を腐食するそれを、こんなにも甘く感じるのは、腹の底が熱くなるのは、
同じものが自分にも流れているからだろうか。
ぎしぎしと背骨がきしむ。額が割れそうなほど痛んだ。
それすら甘い。
倒木を飛び越え踏み出した途端、苔で足が滑った。視界が大きく傾いて、横ざまに倒れかかる。
だが握った腕に崩れた体勢ごと引き上げられ、そのままそばの巨木に叩きつけられた。
肺が圧迫され息が詰まる。詰まった息もろとも、唇が冷たい唇に呑み込まれた。
舌を食いちぎらんばかりに噛みつかれ、血が吹き出す。口を開いて噛みつき返し、唸りながら
溢れた血をすすりあった。
絞め殺さんばかりに絡みつく腕を振り払い、鱗で滑る肩に爪を立て、引き離して体を入れ替える。
頭上で闇色の枝葉がざわめく。勢いがつきすぎたか、ベラがうめき声を上げたが、構わず
押し付けた木ごと抱きしめた。
走る間に作ったのだろう、間近で見るベラの顔には、大きな傷が開いていた。
血塗れのそれに舌をこじ入れる。
癒えていく感触を味わいながら、肩に手をかけ、鱗もろとも服を引き裂く。
闇の中、ほの白く光る胸元があらわになった。
乳房がさらされた瞬間、ベラが微かに息をのんだ。底光る眼が戸惑うように宙を泳ぐ。
だがためらいは一瞬だった。すぐに両手を伸ばし、ベラは見入る自分の顔を掴んで乳房に押し付けた。
頬から伝わる感触に気が遠くなる。この女の肌はこんなに冷たかったか。こんなに滑らかだっただろうか。
傷一つない、傷だらけのそこに牙を立てる。のけぞったベラがはじめて、甲高い悲鳴を上げた。
柔らかい二つのふくらみ。いっそ食いちぎりたいと、凶暴な衝動が湧き上がる。
食いちぎって噛み破り、その奥に開いている傷に、舌を這わせたい。
ざわざわと何かが背骨を駆け上がる。耐えて抑え、牙でできた傷を舐めとる。
傷は舌の先であっという間に癒えたが、癒えるそばからまた牙を立てた。
苦痛だけでない動きで、ベラの体が震えた。肌にまとわりつく服の残骸を、自らの手で剥ぎ取っていく。
流れ落ちる長い髪に半分隠された顔は、どこか陶然として見えた。
戒めていた腕を外し、両手で乳房をつかむ。張りつめた肉に指がめり込み、朱鷺色の乳首が上を向いた。
それにも牙を立てる。薄い皮膚がぷつりと弾け、溢れた血は、やはり甘かった。
鱗をまとった白い腕がぎこちなく伸びた。乳房をつかむ手に触れ、爪痕を残しながらじりじりと動き出す。
指先が袖をたどって襟元まで伸びた。爪をひっかけ、勢いよく下へと降ろす。
服がぼろきれに変わり、同時に裂けた胸から血が噴き出した。
白い手の動きは止まらない。片腕で乳房をまさぐる頭を抱え込み、もう一方の手はさらに下へと延びて、
服の隙間から股ぐらへ忍び込む。
いきり立ったそこをひどく優しく握られて、がくりと膝から力が抜けた。
木を背にしたベラの体に思わず倒れ込む。冷たい指は離れない。ゆるく握ったまま根元から先端までさすられ、
それだけの動きに、喉の奥からうめきが漏れた。
耳元で、吐息のような笑い声が聞こえた。
指が動くたび、背骨を電流が駆け上がる。肩の鱗に噛みついて声を殺し、乳房を握っていた手を目の前の
細い腰に伸ばす。
ぼろぼろに裂けて腰にまとわりつく服の、長い裾をたくし上げ、その奥へ手を押し込んだ。
下着を爪で引き裂き、反射的に閉じかけた足の間に指を突っ込む。
初めて触れたそこは、血とよく似た熱いもので濡れそぼっていた。
まとわりつくぬかるみと襞をかき分け、指先の感覚だけでとにかく奥へ進む。ベラの視線がまた泳いだ。
止めたいのか、促したいのか。陰茎をさする指の動きが速くなった。
鼻が触れ合うほどの距離で、互いに目を見据えながら無言で指を動かす。もうどちらのものかもわからない
荒い呼吸音が闇に広がっていく。
耐えきれなくなったようにベラが唇に噛みついたのと、いちばん深い場所に指が呑み込まれたのは、
ほぼ同時だった。
白い喉が苦しげに鳴った。指が離れ、腕がしがみつくように首に回る。
解放感は逆に焦燥を呼んだ。呑み込まれた指から伝わる感触が拍車をかける。
そこは熱かった。狭かった。進むことを拒むように締め付けてくるのに、奥はどこまでも深かった。
この女の体にそんな場所があるなど、想像したこともなかった。
背骨がきしむ。額を割って角が伸びるのがわかった。視界が揺らぎ、全身が震えだす。
血がたぎる。
あれがくる。
膨れ上がる感情を押しとどめ、開いた足の間に体をねじ入れた。
指を抜く。抱きしめた体は恐ろしく冷たく、自分以上に震えていたが、逃げようとはしなかった。
足と足が触れ合い、腰が重なり、そしてとうとう深い場所がつながった瞬間、のけぞったベラに
首筋を噛み裂かれた。
血が噴き出し、気が遠くなる。意識を保つため、同じ場所に噛みつき返した。
皮が破れ、肉がえぐれ、牙の先端が頚骨に触れる。すすりきれず溢れた血は口からこぼれ、
足元の草に落ち、ゆっくりと枯らしていった。
包み込んでくる感覚に、無意識に腰が動いた。狭く硬い場所を押し開き、奥へ、奥へと体を進める。
快楽などはなかった。あったのはどうしようもない焦燥だけだった。
もっと深い場所へ行きたい。深いところへ触れたい。知りたい。この衝動の答えを。この生の意味を。
欲しい。知りたい。欲しい。
苦しみも悲しみも、弱さも跳ね除ける、ゆるぎない確かなものが。
交わった場所からは血が流れていた。それは細く、だが決して途切れることなく流れ続け、自分とベラの
体を汚し続けている。
咆哮が闇を裂いた。切迫した呼吸が聞こえる。これはベラのものか、それとも自分のものか。
肩をつかむベラの手に力がこもった。その手の中で、乾いた音を立て骨が砕けた。
血のにおいが充満した闇の底、光のかけらもないこの場所で、抱きしめた体だけがほの白い。
月のようだと思った。
これ読みたい、と差し出された本を見て、ベラの眉間に大きなしわが寄った。
小さな町の図書館は、夕暮れともなれば学校帰りの子供でごった返し、ちょっとしたお祭り騒ぎだ。
特に一般の閲覧室とは階の異なる児童室は、本を借りるもの返すもの、何を借りるのどれが面白いのと
言い合う子供たち、パタパタ走り回って親に叱られる幼児や注意する職員の声などで、かしましいこと
この上ない。
どうしても本が読みたい、と言い張るベロが、また変なものに手を出しはしないかと心配でついてきたはいいが、
あまりの騒々しさにベラは少々閉口気味だった。
おまけにベロが抱えた本ときたら。
「……たまひよブックス、最新妊娠大百科……どっから持ってきたんだいこんな本」
「ニンシンって、赤ちゃんがお腹に来ることでしょ?これ赤ちゃんの本じゃないの?」
「ろくに漢字も読めないくせに、なんでそんなこと知ってんだい。ていうか、いつまでこだわってんの」
ぺし、と軽く頭をはたき、どうせ難しすぎて読めないよ、と肩をすくめる。むくれた顔で頭をさすり、
じゃあベラ読んでよ、とマントを引っ張るベロに、ベラはまた肩をすくめた。
「なんであたしが。ほら、とっとと返してきな」
「えー、やだ!これ読みたいよ!」
「大きい声出すんじゃない行儀の悪い。あんたじゃ読めないって言ってるだろ」
「やだ読む!読む読む読むぅ!」
「ええいもう、うるさいねえ!」
じだんだ踏み始めたベロを小脇に抱え、ついでにそばの棚から適当に一冊抜き取ると、ベラは大股に
歩き出した。
普段なら目立つ二人も、閉館間近の図書館の喧騒にはかなわないようだ。肩を怒らせ歩き去る
藍色のマントに、注目する者は誰もいなかった。
等間隔に何列と続く低い書棚の奥、人気のない窓際のソファにベロを座らせ、ベラはほら、と
手にした絵本を突き出した。
「それお寄越し。かわりにこれでも読んでな」
自分の持ってきた本を抱きしめながら、不機嫌にそれを見上げたベロの目が、あれっと瞬いた。
白地に、くしゃくしゃと茶色や黒の線で描かれた表紙をしばらく眺め、赤い題字へ視線を移す。
「ひゃく、まん、かい、い、きたねこ」
「どこで区切ってんの」
「おいらこれ、読んだことある」
「え、そうなのかい」
「うん。だからいい。おいらはこっち読むの」
凛として言い張る甲高い声に、ベラの眉が跳ね上がった。
負けじとベロも眉を寄せる。睨み合う二人の背後で、空調の低いうなりが空気を揺らした。
ぎらぎら見据えるきつい視線もなんのその、引く気のない顔をぷいと背け、無言で薄い雑誌を
めくりはじめたベロに、とうとうベラはため息をついた。
「勝手にしな」
二人掛けのソファの隣にどん、と腰を下ろし、いらいらと髪を掻きあげる。
面白くない、一人で帰っちまおうかねと嘯く声もどこ吹く風、ベロは口を引き結びページを
めくるばかりで、顔を上げようともしなかった。
ソファに深く背を預けたり、起き上がって天井のシミを数えたり。暇つぶしにもそのうち飽きて、
ベラはまたいらいらと髪を掻きあげ横を睨んだ。
ベロは本に没頭している。わからない字でもあるのか時々首をかしげているが、読むと宣言した手前、
ベラに聞くのはプライドが許さないらしい。視線は雑誌に落ちたままだ。
本当に頑固ものぞろいだようちの男どもは、と溜息をつき、いらいらついでに手元の絵本を睨みつける。
大勢の手に渡ったのだろう。古びた本はあちこちに手垢が付き、角も擦り切れ台がはみ出していた。
何気なく表紙を開いてみる。中の紙も黄ばんで、一部は糊がはがれかけていた。
線の太い挿絵と、子供向けに漢字の少ない文章を流し見ながら、一枚、また一枚と、暇に任せて
ページをめくる。
ぬるい空調がベロの、頭の上に一束立った髪を揺らしていった。
遠い喧騒の中から、近づいてきた小さな足音が棚の角を曲がった。
窓際のソファへと進みかけ、そこに陣取り本を読みふける二人の姿に気づいたのか、ぴたりと止まる。
踵を返してパタパタと、足音はまた喧噪の中へ戻っていった。
ついに最後のページをめくり終え、大きく息をつくと、ベロはようやく顔を上げた。
つまらなそうに眺めていたベラと目が合う。にっこり笑って高々と本を掲げる自慢げな顔に、
ベラの口元がにやりと吊り上った。
「読んだよ!」
「へえそう。で、どうだったんだい」
「……赤ちゃんの写真が可愛かった」
ぷっと吹き出され、丸い頬がぷうと膨れる。にやにや覗き込む意地の悪い視線に、だって!とベロは
足をばたつかせた。
「漢字いっぱいで難しいんだもん!よくわかんない言葉ばっかりだし!」
「声は小さく。ほらごらん、あたしの言った通りじゃないか」
「……ねえ、サトガエリシュッサンってなに?」
「知らないよ。さ、もう帰るからね」
ベムがお腹減らして目を回してるよ、と促すベラに渋々うなずき、だがベロはふと顔を上げた。
白い手に、無造作に抱えられた絵本を見つめ、ねえ、とその手を引っ張る。
「ベラは面白かった?」
「は?……ああ、これかい?」
手にした本をちらりと見やり、ベラは肩をすくめた。
「ぜんぜん」
「そう?おいらはすごく好きだけどな」
「はん、どこがだい。あたしゃちっとも」
「だって、すごく幸せな話じゃない」
あどけない声に含まれた真摯な響きに、返しかけた言葉が詰まった。
隣を見下ろす。本をつかむ手がひょいと持ち上げられた。白い腕の下をくぐり、小さな体が
空いた隙間に入り込む。
細い腰にぺたりとくっついて、ベロは古びた絵本を手に取った。
「だってすごく好きになってさ、好きになってもらえてさ。それだけでも嬉しいのにさ、
ずっと一緒にいられたんだよ。最後まで」
汚れた表紙を撫でる手は、ゆっくりとして、ひどく優しげだった。
「ひとりぼっちじゃなくなったんだよ」
汚れたページをめくる細い指先を、頑是ない顔を、ベラは黙って見つめた。
幼い子供の丸い頬。黒く澄んだその目の奥に潜む、気が遠くなるほど長い長い時間を。
「おいら、こいつがうらやましい」
ゴーグルを乗せた頭がひょいと上がった。絵本を指さし、子猫かわいいね!と笑うベロに
微笑んで、ベラは肩に置いた手に力を込めた。
強く引き寄せ、小さな体をマントの影に包み込む。何がおかしいのか、けらけら笑う甲高い声を
もう制することなく、異形の証を隠すゴーグルに頬を寄せた。
笑い声がぴたりとやんだ。息がかかるほど近くにある白い顔をしばらく見つめ、それからベロは
そっと手を伸ばし、長いまつげに縁どられた目元に触れた。
柔らかい手のひらが、絵本を撫でた時よりずっと優しいしぐさで、乾いたそこを何度かこする。
不思議そうに自分の手を見つめ、もう一度ベラを見上げ、ベロは小さく首をかしげた。
「ねえ、恋したときってそうなれた?」
「さあね」
無邪気な問いに笑って、ベラは抱えた体をゆっくり揺すった。
赤ん坊をあやすような動きに、ベロがくすぐったそうに身をよじった。
笑い声に耳をすましながら、長いまつげを静かに伏せる。
溜息が、ぬるい風にまぎれて消えた。
「……あたしも本当は、うらやましいと思ったよ」
閉館を告げる音楽が、空調に乗って低く流れていく。
館内の喧騒はいよいよ高く、だがそのざわめきも、片隅で身を寄せ合う二人にはひどく遠かった。
ひときわ強く吹き抜けた夜半の風に、梢がざわめいた。
張り巡らされた枝葉が揺れ、闇の底にほんの一瞬、細い月光が差し込んだ。
僅かな光に照らされて、乱れた下草と、白い肌が浮かんで見えた。
長い髪を辺りに散らし、仰向けに横たわったベラは目を開いていた。ぼんやりと虚空を見つめる
その目に、先ほどの光はもうなかった。
腕を覆った鱗も消えていた。いつも通り額の一部と、肩に残るだけだ。
傷も癒えている。頬も首筋も、腕も胸も元の滑らかな白さを取り戻し、血の跡さえ残っていない。
いまだに血を流しているのは、開いた足の間だけだった。
まとわりつく服の残骸に隠され、その奥は定かには見えない。
ほの暗い、闇がわだかまっているだけだ。
足元に座り込み、ぼんやりとその光景を見つめる。
自分の体にももう、傷はなかった。とうに癒え、角も鱗も消えている。
すべて消えていた。血のにおいも、衝動も、背骨のきしみも、腹の底を焦がす熱さも焦燥も。
消えていた。何も残っていない。
空っぽだ。
本当になにも、何一つ、残っていなかった。
何ができると思ったのだろう。
体をつなぎ、血をすすりあい、深い場所を暴きあって、それでどうなった。
何が知れた。何を成せた。何が残った。
何もだ。
当たり前だ、届かなかったのだから。
届くはずがないのだ、真似事の交わりでは。
そうだあれは交わりなどではなかった。ただ我を忘れ、分け合うことも与え合うことも忘れ、
衝動をぶつけ合っただけだ。そんなものが交わりと呼べるはずもない。
形だけ。自分たちは人間の真似をしただけだ。
何を知れると思った。どこへ届くと思った。
こんなことで、いったい何ができると思ったのだ。
よろめきながら、ベラが身を起こした。
長い髪に隠れて表情はわからない。顔を伏せたまま決してこちらを見ようとはせず、
ぼろきれと化した服をかき集め、緩慢に身にまとうと、自分の肩を抱いてうずくまる。
白い手が震えている。だんだんと大きくなるそれを見つめながら、だが動くことはできなかった。
風がまた梢をゆすった。一枝のざわめきは枝から枝へと伝播し、やがて山全体へと広がっていく。
心まで震わすようなその中で、木々とは違う音が一筋、感覚に触れた。
立ち上がった自分の気配に気づいたか、ベラの顔が上がった。
見返す余裕もなく、途切れ途切れのそれに耳をすます。不審そうに見上げていたベラの目に、ふいに
光が宿った。
木にすがり、立ち上がったベラと初めて目が合った。乾いたそれはすぐ逸れ、藪を透かすように
闇の奥へと向けられた。
鱗の浮いた肩が、大きく震えた。ひび割れた唇が、ベロ、と形作る。
全身が総毛立った。
どこをどう走ったかも覚えていない。闇を掻き枝葉を払い、藪を押しのけ裸足のまま走り続け、
倒木と岩で作られた空間に出た時には、月はもう大きく傾いていた。
闇の中から身を乗り出す。月光は青く、そして身がすくむほど眩かった。
月に照らされた岩の上。遮るものの何もないその場所に、ベロはいた。
固く丸くうずくまり、震え続ける小さな体。その体のどこから出るのかと思うような声で、
ベロは泣いていた。
わめくように、引き絞るように。うずくまった手の中に、ぼろぼろのマントと帽子を抱えて。
遅れて闇から這い出てきたベラが、硬直したように足を止めた。
月のせいでなく足がすくんだ。崩れそうなそれを叱咤し、何とか一歩、前へ進む。
足元で岩が崩れた。微かな音に、ベロが顔を上げた。
腫れ上がった顔。とめどなく涙をあふれさす目は、人とは違う形に変わっていた。
ぼんやりとこちらを見ていた顔が、くしゃりと歪んだ。ひくひくとしゃくりあげるその手には、
マントと帽子が握られたままだった。
もう一歩、足を進める。痛いほどの月光の中、小さな体が立ち上がるのが見えた。
「……おいてかないで」
ひきつった息の下、絞り出された声に、呼吸が止まった。
「なんでもするからおいてかないで」
零れ落ちた涙が、マントと帽子にしみ込んでいく。
隠れることもできない光の下、またうずくまった体は本当に小さく、今にも消えそうだった。
「ひとりにしないで……」
ベラが走り出した。鋭い岩に足が裂けるのも構わず、倒木を越え岩を這いあがる。だがそばへ
辿りついたところで、動きが止まった。
手を伸ばせば触れられる、その場所で立ち尽くす。うずくまって泣く子供に、かける言葉さえなく。
むき出しの肩が震えた。うつむいた細い体を、長い髪が闇のように覆う。
握りこんだ手のひらから、血が溢れるのが見えた。
足元でまた、岩が崩れた。
「……そんなつもりじゃなかった」
絞り出した声は、ひどくかすれていた。
聞こえなかったのかもしれない。ベロは顔を上げようともしない。
それでもそれしかできず、言葉をつづける。
「そんなつもりじゃ、なかったんだ」
空しい繰り言は月に呑まれ、意味を孕むことすらできず消えていった。
冴え冴えとした月光が岩場に落ちる。
触れあうことのできない自分たちに、光だけが触れていく。
岩の上の影すら重なることなく、いつまでもばらばらのままだった。
「ベムさんじゃないですか!」
オレンジの夕日で満ちた公園に、明るく響いた声にベムは振り返った。
公園の入り口で、いつもの背広を着た夏目がバタバタと腕を振っていた。
座り込んでいたベンチから腰を上げ、帽子を押さえて頭を下げる。刑事らしくなくどたどた駆け寄ってきた
夏目は、よかった、会いに行こうと思ってたんですよ、と笑った。
「何か、事件でも」
「いえいえ、そういうわけじゃなくて!」
満面の笑みの中、声にわずかな焦りを感じて問いかけてみるが、穏やかに首を振られた。
まあまあどうぞと誘われて、元のベンチに二人で腰を下ろす。
子供が遊ぶには遅い時間、夕暮れの公園はすっかり人気がない。
風に揺られた古いブランコがキイキイと、きしんだ音を立てるばかりだ。
「あれ、ベラさんとベロ君は?」
「……ベロが、図書館に行きたいというので」
「ああ〜、図書館……」
ベンチにかけたはいいが、夏目はやはり落ち着きがない。きょろきょろと妙に辺りを見まわしたり、
何かを言い出しかけて口ごもる様子に、不審よりも不安になった。
だがどう声をかけていいかわからず、顔を見つめるばかりのベムに気づき、苦笑とともに夏目は頭を下げた。
「や、すみません誘っといて。実は俺、ベムさんに謝らないといけないと思って」
「謝る……?」
「ええと、優以がですね、ベロ君に変なこと言っちゃったみたいで。そのう、赤ちゃんがどうこう……」
「あ」
即座に朝の話を思い出し、ベムはあわてて顔を伏せた。
帽子を押さえて動かないベムの姿に、あ、もう聞きましたか、と夏目は小さく笑った。
「俺も夕べ聞いたんですけど。赤ちゃんがどうやったらできるかベロ君に教えてあげたー!なんて
言うもんだからもう、思いっきりお茶吹いちゃいましてね。むせてむせて大変でした」
「いえ、こちらこそ……ベロが、すみません」
「いやいやいや!子育てしてたらねえ、絶対避けられない話題ですからねこれは!」
「……はあ」
「だからこそ各家庭で方針があると思うんですけど、優以のせいでベムさんちのそれがぶれちゃったら
いけないと思って。本当すみません。大丈夫ですか?」
「はあ……いえ……はい」
自分たちの過去も関係も話したが、どうも夏目はベロのことを、人間の幼い子供と同じに考えている節がある。
子供のままなのは確かでも、年齢だけなら夏目よりずっと上なのだが。
けれど化け物のようにではなく、ことさら特別視するでもなく、そんな風に思ってくれる夏目の気持ちが、
ひどく嬉しかった。
「聞きました。子供は、好きと好きがくっついて、生まれると」
「あ、それね!昔、なおちゃんがそう教えたんです。けどそろそろ学校で性教育始まるし、もうそれじゃ
通らないかなーとか、でもある意味間違いでもないしなーとか、うちでもいろいろ悩んでて」
「とてもいい答えだと、思います。……俺たちでは、思いつくこともできませんでした」
「え?」
「俺たちは多分、そういう風には生まれていないので」
帽子のつばを上げ、微笑んだベムの顔を数瞬見返し、夏目は開きかけた口を閉じた。
眉根を寄せ、瞬きもせず自分を見つめる夏目の真面目な顔を、ベムも戸惑って見返した。
暮れかけた日が呼んだ風が、静まり返った公園を吹き抜ける。砂埃がオレンジの光をくすませ、並んで座る
二人の靴を汚した。
遠くで電車のベルが鳴っている。
「赤ちゃんってね、俺、好きと好きがくっついた好きの塊だと思うんですけど。でもそれって単に
最初のきっかけってだけとも思うんですよ」
ふいに笑って夏目が切り出した言葉に、ベムは思わず瞬きした。
ベロと同じことを言っている。
ベムの戸惑いに気づかぬように、穏やかに笑いながら夏目はうなずいた。
「赤ちゃんもね、大きくなるまでに嫌なこととか、悲しいこととか、ちょっとは悪いことも覚えていくじゃないですか。
でも楽しいこととか、いろんな好きって気持ちもたくさん覚えて、人にあげられるようにもなるわけですよ」
夕日の最後の一片が、鮮やかに夏目の顔を照らし出した。くたびれた中年男の、少年のようなまなざしが、
陽光よりも明るくまっすぐベムに注がれる。
「きっかけなんて、本当にきっかけってだけだと思うんです。それより生きてくうちに得たいろんなものを、
自分の中に蓄えて、積み重ねて……そうやって赤ちゃんは、人間になっていくんじゃないでしょうか」
日が落ちた。
少し遅れて、街灯に灯がともる。ベンチの片隅、ぽつりと落ちた白い光の中、まじまじと見つめるベムの視線に、
夏目は照れたように笑った。
「あっ、すみません変な話して!よくわかんないですよね、俺、説明下手で!」
「夏目さん」
「本当にもう、報告書の文面もわかりにくいってよく上に怒られてて」
「……ありがとう、ございます」
膝に手をつき、深々と頭を下げたベムに夏目の目が丸くなった。
沈んだままなかなか上がらない頭を、いやいやそんなと肩をつかんで無理やり引き上げる。それでも何度も
下がるベムの顔を何とか上げさせると、照れ隠しのように笑いながら夏目は立ち上がった。
「そろそろ帰りましょうか」
「はい」
「また遊びに来てください。ベロ君も、ベラさんも。今度はお好み焼きよりうまいもの作りますから」
「……充分です」
「いやいや、もっといろいろ作れるんですよ実は!」
どたどたと忙しなく公園の入り口まで駆け、それじゃあまた、と片手をあげた夏目に向かい、ベムは
もう一度深く頭を下げた。
しばらく待って顔を上げる。夏目はまだ同じ場所で、笑ってこちらを見ていた。
今度こそそれじゃ、と去っていく後姿を、立ち尽くし見送る。
まばらな街灯は夜道のすべてを照らしてはいなかったが、それでも夏目の後ろ姿だけは、薄闇の中いつまでも
浮かんで見えた。
あと一回。
続きはまた後日。長くてすみません。
GJです!荒々しいのに悲しい感じ、なんだか寒い夜にぴったり
「100万回生きたねこ」好きですw
続き待ってます
長い所かずっと読んでいたくなります
続き楽しみにしてます!
GJ
長い話も大歓迎です!
続きも楽しみにしてます
GJ!
独特の疾走感ある文章がどんどん読ませてくれるので好きです。
続き、楽しみにしています。
神職人のいっぱいいるスレだなぁ…
続き楽しみにしてます
GJです!
引き込まれる文章が素晴らしい
続きを楽しみに待ってます!
神作品の次に、相変わらずなものを投下。
ドSベムで一日過ぎてしまったけど皆既月食ネタ。
歯の根も合わないほど寒い夜だった。
天空には冷たく冴えた赤い満月が、まるで置き去りにされたようにぽっかりと浮かんでいる。
どこか不吉なものすら感じさせるそれは、何となく自分たちに似ているように思えた。何も生み出せず、
その光とて何者をも温め育むことのない異質さが特に似ている。
その夜はたまたま皆既月食だということで、そんな赤い月が徐々に欠け始めていた。
「ああ、あんな月を以前にも見たねえ」
特に月食見物と洒落込んだ訳ではないが、廃船の甲板に座り込んだままベラはしみじみと呟く。
「そうだな、確かあの時は」
相変わらず、生真面目にベムは答えた。
「ふふふっ」
覚えていたのか、この無粋極まりない男がとベラはおかしくなった。
やたらと長く生きてきただけに、そんな話は幾らでもあった。しかしそれが何になるだろう。ただ無為に
生きているだけなら、最初から生きてもいないと同じような気がしている。
生まれ落ちて様々なものを覚えながら成長し、伴侶を得て子を成し短い生の中で自分に出来うること
を精一杯やりきって世を去る。そんな当たり前の人間の営みの円環から完全に弾き出されている自分
たち三人とは、一体何なのだろう。
考えても詮無いことばかりが次々と頭に浮かぶこんな夜だからこそ、欠けゆく赤い月でも眺めている
のがお似合いだった。
「今夜は本当に、寒い夜だねえ」
「しかし、それだからこそ月が綺麗に見える」
「あんたにそんな洒落っ気があるとは、思わなかったよ」
それには一言も答えず、ベムは立ったまま静かに欠ける月を見ていた。
「…ベム」
あまりにも静かな時間が続いたせいか、話し相手が欲しくなったベラが遂に口を開いた。
「今夜は血が騒がないのかい?」
「何のことだ」
「分かっている癖に、よく言うよ」
ベラは立ち上がると挑発するようにベムを鋭く睨んだ。一度その気になったら屁理屈に近い理由を
捻り出してでも手を伸ばしてくるこの男のことだ、今夜もまた何かそれらしいことを言うかと思いきや
今のところはその気配もない。
どこか期待しているのはともかくとしても、このまま無駄に時間を過ごしたくはなかった。
廃船が停泊しているすぐ脇の道路を、誰かがやはり月食見物の話題で盛り上がりながら通り過ぎて
いく。人間たちから忘れ去られた廃船の上では二人の妖怪が黙ったまま視線を交わしていた。そこに
わずかな淫靡の色が差す。
どろりと澱む海の色のように、ベムの眼差しが普段のものとは明らかに別の性質を纏い始めたのを
察して、ベラは武者震いなのかぶるっと震えた。
今夜は自分から仕掛けたことだから、何も怖くはないと心に念じながら。
「ベラ」
唇にベムの指が触れた。
「お互いにそうなら、躊躇はいらないな」
顔が近付いてくる。その瞬間、何故か魂の底まで怖気が走って後じさりをしてしまった。
「…こ、こんなところでかい?」
そのまま背を向けて逃れるように目の前にあった錆びた柵を掴む。しかし、もう遅かった。両肩を掴む
手に異様なほどの熱を感じて、反射的に目を閉じる。耳に流し込まれる声が更に熱い。
「ベロがやっと寝ついたばかりだ。起こしたくないだろ?」
「それはそうだ、けどさ…」
「ここなら、月が見られる」
だけど、と反論しかけた途端右耳の後ろを舌でなぞられて息を呑んだ。この男はとうにベラを征服して
いる。何をどうすれば黙らせられるかぐらい、いともたやすいのだろう。それが悔しい。だけど手中に
ある感覚は不快を感じつつも悪くはなかった。
それが男と馴染んできた女の情というものなのだと思った。
「あ、ゥ…」
背後から抱き締められて息が詰まる。そのまますぐに顎を掴まれ唇を求められて、瞬時に頭の中が
甘く蕩けてしまう。こればかりは人間と寸分違わぬ感覚に違いない。
「ベラ」
「ベム、あんたはずるいよ」
「そうか」
「あたしを、こんな風にして…」
返答のように両乳房がドレスの上から掴まれた。するすると肩から落ちていく生地の感触が緩い。
「ぁああ…」
足元がふらついて、必死で柵を掴んだ手に力が籠る。
「ベラ、月がとても冴えて見える」
気楽な男は、直に乳房を揉みながらうなじを噛んだ。それがまた堪らない。
「…こんな、時に何をっ…」
「月と、女は同じだからな」
耳元で囁く低い声が妙に魅惑的だった。無意識に身を捩りながら腕の中から逃れようと足掻くベラの
内腿を、溢れ出た愛液が重く伝い落ちていく。
もちろん、そんな変化をベムが見逃す筈もなく、ドレスの裾が乱暴にたくし上げられてまだ触れられても
いなかった疼き始めている女の部分に指を差し入れられる。
思わず身体が跳ねて、握っていた柵にぎりぎりと爪が食い込んだ。
「や、だ…」
本当に、この男はどこまでベラという女を知り尽くしているのだろう。何本もの指が委細承知しきった
ように濡れきった襞を分け、とうに充血しているだろう膣内を突き上げながら、その合間に敏感になって
いるクリトリスを抓む。
性感までも掴まれているのは、さすがに恥ずかしい。そしてやはり怖い。こうして抱かれているうちに
自分が別の何かになってしまいそうなのだ。
死ぬことなど決してない筈なのに死の恐怖すら感じた、最初の夜の喪失の痛みを思い出して肌が
ぞわりと泡立つ。
「あ、ぁ…乱暴なのは、嫌だってばっ…」
「乱暴になんか、しない」
ベムの声はあくまでも優しい。声音だけなら普段と何ら変わりないのに膣内を掻き回す指の動きは
ひどく熱い。快感のあまり何度も意識が飛んでしまうほど性急になっているのも妙だ。
喘ぎながらも必死で柵を握っていた片手を後ろに回し、腰に密着しているレザーパンツに覆われた
ベムの股間を探ると、もう硬く張り詰めたものが革越しに感じられた。覚束ない手でファスナーを開くと、
解放された肉棒を思いきって握る。そろそろと扱くとまた生き物のように震えて大きくなった。
ひどく熱くて、まるで手が焼かれそうだった。
「…あんた、熱いね」
「お互いに、だろう」
勃ちきったものを握られたことで更に興奮したのか、膣壁を擦る指の動きも早まっていく。こんな場所で
なんて絶対嫌だったのに、それすら余計に煽られてしまう一因になっていた。
一番深いところを、巧みな指先が突く。
弾かれたように身体が震える。
「こ、んなトコじゃ…あああッ…!」
もう限界だった。
剥き出しの乳房をあられもなく震わせて、背筋をしならせながらベラは達してしまった。ドレスを腰に
纏わりつかせたままがくりと甲板に膝をついて荒い息をつくしかなかった。しかし汗ばんだ頬にベムの
指が滑る。
「ベラ、まだだ」
「そんなこと…」
達したばかりでろくに身体に力が入らない。柵にもたれてぼんやりと見上げた月は、先程よりは大分
欠けていた。月ならぬ月が冴えざえと浮かぶこの夜は、人ならぬ妖怪たちにとってまたとない夜なのだ
ろう。lunaticなどという言葉もあるが、何も影響を及ぼされるのは人だけに限ったことではない。甲板
にベラを横たえる男の眼差しがあまりにもまっすぐで、思わず魅入られた。
「ベラ」
「…ベム」
男を待ち受ける部分にぐいと硬いものが押しつけられた。さっき扱いていたあの熱い一物だと思うと、
堪らない。上擦りながらも甘えるような声が口から漏れた。
「…早、く…」
「分かった」
絶え間なく溢れ出している愛液を先端に纏わりつかせながら、ベムのものが膣襞を裂く勢いで入って
きた。
「やあああっ!!」
挿入の衝撃は何度経験しても慣れることがない。原始の恐怖もやはり感じながら、男の腕の中で身を
くねらせてベラは何もかも忘れて声を上げた。
唯一、慣れてきたのはこの充実感だ。いつも取り澄ました顔をして、腹の中では何を考えているのか
分からないこの男が、こんな時ばかりは別の顔を見せるのが、いい。
人であろうと妖怪であろうと、生命あるものは全て交わる時にケダモノに成り下がるのだ。
「ベム、あぁ…あたし…」
旋律を刻むように体内でうねりつつ押し寄せる波に耐えながら、甲板に髪を擦りつけてベラは必死で
喘いだ。耳に届くものが果たして岸に打ち寄せる波なのか、自らの身体から滴る水音なのかもう何も
分からない。
「あたし、あんたと…ずっといたい」
はらりはらりと零れる涙すら、意識すらしていなかった。
「そうだな、ずっとだ」
「一人になんかしたら、許さない…」
これまで、ベラが一人だったことなど決してなかった。常にベムとベロが側にいたし、それだからこそ
寂しさだけは感じずにいた。
なのに、今は何故かとても寂しい。満たされているのに寂しい。女として全てを捧げたこの男がもし
いなくなったら、と思うだけで胸が塞がる思いだ。こんな風に感じてしまうのも、あの忌まわしい赤い月
のせいに違いない。
「…ベム、忘れたらひどい、からね…」
「決して忘れないさ」
乱れきった髪を撫でる手はやはり優しい。こくりと頷いてからベラは男に強く抱きついた。
またあの目も眩むような絶頂が来そうになっている。今度は一緒に達せそうだった。
指先がとても冷たい。
赤い月はあと少しで完全に闇夜に隠れてしまいそうだった。
ベムに抱かれて夜空を見上げるベラの顔は、まるでベロのように幼い。長い銀髪に隠れて見えない
ベムの顔が気になって、つい覗き込んでしまう。
「こんなに寒い夜なのに、あんたは平気なのかい?」
「…さあな」
意外に平気そうではあった。
「こんな夜に、あたしなんかに付き合うことはなかったんだ」
「そうでもなかったが」
噛み合うような、合わないような会話をぽつりぽつりと続けながら、それでも二人は並んで長い間甲板
に座り込んでいた。
やがて、月の欠片は暗闇へと消え去り、顔を見合わせた二人は物も言わずに唇を求め合った。また
懲りずに交わることになるのかも知れない。
終
GJ!
押されるベラ様も良いものですな
次々と投下されて嬉しいです
GJ!!
何この良スレ
GJ!
切ない感じのベムベラが堪らない
GJ!
GJ!
エロ切ないのは大好きだ。
第1話の食事シーンでベムがほっぺに葉っぱつけてたけど、あの位置があまりにも
不自然すぎて見る度に吹くw
お前、ベラに構って欲しいからわざとやっただろ
取ってもらって嬉しそうな顔だったしなw
5話の食事シーンでベラに顎を持ち上げられた時もなんか嬉しそうだったな
あれはにやけるのを耐えてる顔に見えた。
もっとスキンシップすればいいのになあ。
ベロを挟まず手を繋ぐとかベロの代わりに膝にのせるとか。
んなもん土曜9時の健全な時間に流せるかw
何かの記事で「ベムとベラはお互い意識しあってる関係という設定」と書かれてたがマジか
>>274 ネットの記事で紹介されてたのを見たけど中身は無茶苦茶な記事だったよw
コレ書いた奴絶対ドラマ見てないだろっていうぐらいのw
でもベムベラはまさに人間離れした美人同士で一緒にいるだけでも見とれるよ
最終回までに一回でいいからベムとベラの絡みが欲しいなあ
出来ればボディタッチありの
肩とか抱いてくれればもう言うことはない
制作さん、頼むよ一発!
276 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/15(木) 00:14:38.17 ID:OHo0Y8h4
あるといいね。
あったらそれはそれで色々と驚くが、目の保養になる。
美男美女はそれだけで妄想を喚起させるよ。
そういう思いが滾ってるからこのスレでは結構なレベルの良作が出揃ってる
んだろう。
見た目もだけど、二人の間に漂う
空気がいいなあと思う。
普段はベロが緩衝材になってるけど、
なんか緊張感があるような、でもべつに
それがいやでもないような。
四話の、二人きりだと間の持たない感じとか
すごい好きだ。
278 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/15(木) 00:43:36.94 ID:OHo0Y8h4
あれ良かったね。
お前ら倦怠期の夫婦かよwと思った。
あと、7話の「なりたいんだ…つまようじに」「ハァ?」「…いや……」とか
会話が全然続いてないけど、それでも二人の間にある信頼感とかが滲んでて
結構好きな場面だ。
無視せず、ちゃんとつっこんでくれる
ベラは優しいと思ったw
ベラは「またこいつ変なこと言ってる」
と思ってたのかね。
そしてベムは
「また変なこと言ってると思われてる」
と思ってたんだろうか。
>>277 4回の二人きりのシーンは
ベムが寒くなったから、二人きりだし暖めあおうと話を切り出したつもりだったのに
ベラが気付かず「ああ、冬だからねえ・・・終わっちまったじゃないか!」と話を切り上げたので
困ってしまったベムは・・・という展開を妄想するとこのスレにふさわしくなるな。
あれは直前の夏目との会話からして絶対抱きしめる流れだと思ったw
>>280 ついでにツンデレベラさんは本当は気付いてなかったわけじゃなくて
照れてツンツンしただけなのに、ベムがあっさり引いてしまったから
デレるタイミングを逃して内心ジタバタしてたらかわいいなぁ
ベムもベラも人外な美しさがあるな
ベムはちょっと背が低いが半裸綺麗だし
ベラは文句なしに綺麗だね、芸術的な色気
手を握りたいのに握れない、初デートの中学生かw
まあそういう手管は学ぶ余裕もなかったろうしな。
百年童貞と百年処女だし。
>>282 「あんたに期待したあたしがバカだったよ」はそういう意味かw
なんか今日は賑わってる!
前投下したやつがあまりに救いようがないんで、続きの小話書いてみたよ
「自白」の後日談。エロ無しですすいません。本当に中学生みたいなベムベラ
日常が、少しずつ戻ってきたように思う
頭が痛くなったり、吐き気がしたりすることもずいぶんと減った
少し変わったことといえば、今自分の隣に座っている男との距離が不思議な形で縮まったということだ
―――とても不思議な夜だった
一度死にかけ、けれどもこの男によって救われた
明けの明星が輝きだすころに放たれた言葉は、独白とも告白ともとれた
ぼんやりとした意識の中で、人間の何たるかをまたひとつ悟ってしまった気がした
次の日の朝は何事もなかったように、穏やかで暖かい日だった
しかし、ひどく後悔している様子のそいつを立ち直らせるのには、少々時間がかかった。同胞を抱いて
しまったことへの自責か、或いはまたしても自制が利かなくなった己に対する羞恥か、その両方かも
しれない。とにかくその日からしばらくの間、ベムはすっかりしおれてしまって、事あるごとに
「すまない」と謝ってきた
自分の方はというと、正直そこまで苦しむことはなかった。むしろ、ベムが絶望を共有しようとして
くれたことが、彼なりに、真っ直ぐに愛してくれたことが嬉しかった
“あの時あんたが抱いてくれたから、あたしは今こうして生きていられる”
そう告げることによって、ベムはようやく納得してくれたようだった
それにしても…もう少しくらい靡いてくれてもいいのに
いつものように何か考え込んでいるベムを横目で伺いながらそう思った
手にはあの古い新聞記事。いつものことだ
あの夜から全く何もないわけではない。関係をもつことは何度かあった
しかし、誘うのはいつも自分のほうだった。ごく稀にあちらが求めてくるときは、大抵何か思い悩んで
いたり、苦しんでいたりするときだ
今日はベロは夏目の家に遊びに行ってしまった。この時間だから一緒に食事でもさせてもらって
いるのだろう、おそらく当分は帰ってこない
それだというのに、
そういう雰囲気にわざと持っていってやっているというのに、
この男は指一本触れてくれさえもしない
この少し優し過ぎるところ、鈍いところ、なんとかならないものだろうか
格好つけているつもりなのか
…自分のことなど、どうでもいいのだろうか
なんだか空しくなって、少し不貞腐れたように、ぴくりともしないその肩に寄りかかって難しい事を
考えている瞳を覗き込む
するとようやくこちらの視線に気づいたのか、黒く澄んだ眼がこちらを捉えた。それから急に片方の掌で
頭を抱え込まれた。唇が額の辺りを掠めて、身体が一瞬小さく跳ね上がる
「蝋梅か…?」
「へ?」
「いや…今日は香りが違うと思ったんだ。いつも金木犀の香りをさせているから」
「……」
「もう、そんな季節になったんだな」
自分たちは、普通の人間よりも環境の変化に敏感だ
風の音、土の匂い、空の色の移り変わり、
自身は何も変わらないが、季節が廻ると、この世界にはそれまでとは全く違う時間が流れ始める
これは、本来なら持ち併せる筈のなかった永い生の時間と超人的な能力によって、自然と育まれてきた
感覚だ
思い返すと、今日の昼間にベロと連れ立っていつもの公園に出かけたとき、危なっかしく走り回るベロを
追いかけて、大樹の下を何度かくぐった。新しい花をつけたあの樹が、香りを残していったのだろう
しかし自分でも気づかなかったというのに、この男は…
付いてると呟きながら、いつの間にか髪に絡まっていたらしい薄く黄色い花弁を、そっと取り去って
くれた
こんな些細なことさえ愛しく思えて、先程のもどかしい思いなどどうでもよくなってしまう
相当重症だ…
自分自身に呆れながらも、離れてしまった手が淋しく感じて、今度は自分から指を絡めて悪戯半分に
その耳元でそっと囁く
「ねえ、あんたはどっちの香りが好きかい」
不思議そうな顔をしてベムはこちらを見返してくる
それでいい
臆病で、鈍感で
それでもあたしは、
そんなあんたがやっぱり好きなんだ
終
ちょっと前に書いたからなんか季節感とか色々おかしい…
ベムベラが好きすぎて生きるのがつらいけど寝ます
GJ
萌えた
GJ!沁みますた
ふたりとも不器用だなあ。それがすごくらしくていい。
GJです。
GJ!
こういうもどかしい雰囲気もいいね。
それでも根底でしっかり気持ちは繋がっている感じが堪らなく素敵。
GJ!
二人の間に流れる空気が伝わってきて素晴らしかった。
8話で東郷を殺そうとした(本気かどうかはわからないけど)ベムを
ベラが止めようとしなかったのは、やっぱりベムを信じていたからだと思うんだよね
咄嗟にベムを止めようとする身体を抑えて堪えているように見える
心も体も通じ合っているからこその信頼、さすが熟年夫婦
二人が一緒にいるだけでエロ妄想が溢れて止まらなくて辛い
ベラを殴った大久保に今までにないくらい本気でキレたベム
東郷を襲うベムを止めなかったベラ
二人の絆や信頼関係が感じられるな
最初にごめん。
なんか冬っぽい話を書いてたらエロ忘れた。
298 :
澱の中 1/3:2011/12/16(金) 00:30:05.92 ID:AGjRaemJ
夜の冷気がしんしんと雪のように降り積もっていた。冬もいよいよ本格化しているのだろう。
ベロは珍しく体調不良を訴えて、日のあるうちから隅で寝入ってしまっている。
死などとは無縁の妖怪の身体とは言えども、やはりたまには不調なこともあるにはある。ベラのように
傷そのものはすぐに癒えても精神が大きなダメージを抱えているように。
この日も廃船の中で何なんだろうねえ、と何度目かの愚痴を吐き出すばかりだ。
「何なんだろうねえ、あたしたちはさあ」
答えるべきベムも、今日ばかりは陰鬱な表情で俯くだけだ。
「これじゃ、死ぬことよりも辛いだけじゃないか。人間なら死で全部終わるってのに」
「そうかも知れない…けれど何が正しいかは誰も分からない」
やはりこの尋常ならぬ寒さは二人の精神にもいくばくかの影響を及ぼしているのだろう。ベムの横顔
を見るともなしに眺めているうちに、妙に切なくなった。
「ねえ」
狭い空間の空気の流れが変わる。
「あんたは、辛くないのかい?」
こんな風に話を切り出したことは今までなかった。ベムは垂れる銀髪の間からちらりとこちらを見て、
大きく溜息をつく。
「…どう、言えばいいのかな」
何事もやたらと考え過ぎるこの男のことだ、口にする以上の様々なものが渦巻いて言葉の糸口すら
見出せないでいるのだろう。
いつもなら苛々してせっつくところだが、今日のベラは寒さのせいか寛容になっている。
「あんたの、話したいようにすればいいよ」
どのみち、こうい時には頼みのラジオも数日前に乾電池が切れたままで、ウンともスンとも言わない
ままだ。
「辛いとは、思いたくない」
ようやく口を開いたベムの声は、言葉とは裏腹に凍えるようだった。
「そう、かい」
共に同じ時を生きてきたベラだからこそ分かるものがある。しかし今更わざわざ蒸し返すこともない
ものばかりだ。それでも、やはりその時々で心が痛むことはあるのだろう。人間には終わりがあっても
死のない妖怪の自分たちには、その痛みが永続するだけのことだ。
身分や立場などの差など問題ではなく、人間には必ずいつか完全なる終わりである死が訪れる。
それだけは、本当に人間が羨ましかった。
299 :
澱の中 2/3:2011/12/16(金) 00:30:58.28 ID:AGjRaemJ
冷気が降る。
ワインの中に積もる澱のように。
それがこの空間の中に佇む二人の何かを狂わせていた。
「あんたは、本当に言葉を選べないんだねえ」
「それしか、言えないだろう」
「貶している訳じゃないよ」
言い争いたい気持ちなどもちろんなく、ベラは妙に寂しさと人恋しさを感じてベムの隣に座った。元々
体温の低いこの男のことだ、それで特に温まる訳でもないが側にいるだけでも気持ちがわずかずつ
落ち着いてくる。
ベラはことりと身体を傾けて、もたれかかった。
「こうして、いてくれないかい?」
「別に構わない」
無粋な男はそれで何をするでもなく、ただ相変わらず俯いている。
別に、それでいい。
何をして欲しい訳でもないのだから。
冷気が降る。
時が散る。
二人は長い時間静かに口を噤んでいた。
心が少しずつ落ち着いてきている。
思えば、こんな風に二人で過ごしたことなど今までなかった。いつもベロが間にいたし、それで何とか
間が保っていたのも大きい。
こうしてただ無為にも思える時間を共に過ごすことが、何故か気持ちに安穏なものをもたらしてくれる
なんて思いもしなかった。長い時間共に生きてきたというのに。
ベラはもたれている男に、更に力をかけてみる。身じろぎひとつしなかったベムが初めて頭を動かして
こちらを見た。
「どうした?」
「…別に何も」
「そうか」
会話そのものはいつもの空回り気味なものと変わらない。
それでも、今日ばかりは言葉の端に様々な感情が去来しているのが分かった。
300 :
澱の中 3/3:2011/12/16(金) 00:31:28.57 ID:AGjRaemJ
こんな寒い夜は、二人で寄り添っていればそれでいい。
言葉に出来なくとも既に互いに分かっている。
降り積もる澱の中で、ベラは目を閉じて今度こそ眠りに落ちる為に男の腕の中に身を寄せた。どんな
言葉すら不要な濃密なる思いが今、この狭い空間には満ちている。
ベラ、と声にならない呼びかけが聞こえた気がした。
終
GJ
二人の雰囲気が良い
GJ!
ベムベラが互いを必要としてるのが堪らない
ところで、みんな知っているかい?
ベムとベラの服についているボタンは同じものなんだ。
服装は全然似てないけど、あれもペアルックなんだよ。
さり気ないペアルックか、いいねえ
ベムがベラの裸を見た件
ベラもベムの裸を見てる件。
研究所の中では裸でうろつきまわってたんだろうな。
「人間は、服を着なくてはいけないらしい」
「なんでだい面倒くさいね」
裸で外に出ようとするベラ。
必死に止めるベムベロ。
しかし、最初にベラの裸をチラ見して、すぐにベロの方に顔が向いてたぞ
このムッツリめ
ベラ「焦らされるのは大嫌いなんだ」
が卑猥な意味に聞こえる
>>309 自分もそこで淫らな想像をしてしまった。
ベラ様ハアハア
ベムが「そうだな」とか言い出したら
どうしようと思ったw
ベラの背中とおみ足が美しすぎる
ベムが最初に見た異性の裸はベラのだから
他の女性のを見ても反応しなさそう
>>309 いいね、エロいよ。
次に書く話のエロ場面にその台詞入れる。
ついでにベムの返しもw
>>311 > ベムが「そうだな」とか言い出したら
> どうしようと思ったw
自分は逆で「・・・そうでもないだろう?」を連想したw
ベラ様のグーパンか鞭が飛んでくるなw
ベロベモぽかーん。
ベモはぽかーんならいいけどな
ベラ「焦らされるのは大嫌いなんだ」
ベモ「そうでもないでしょう?嘘はいけません。知ってますよ?私はずっと見てきたんですから」
ベムベラ「??・・・っ!!! うがああああーーーー///(変身)」
だったらベロ大混乱
何だかドラマ始まった当初に比べて夫婦っぽさがより強くなったような気がするよ
ベロに対する父性・母性が感じられるようになったからかな
三人の役者さんの関係がすごくいいのがわかる
ベロが地面に絵を描き終わるのを待ってる二人とかお父さんとお母さんにしか見えないw
そして半裸が出たことでエロがより妄想しやすくなったハァハァ
逆身長差のある男女のセクロスはやっぱり何らかの工夫があるんだろうか?
あんな美しい二人の性交だったらエロというより芸術的な情景になるのかもしれん
昨日の放送を見て書いてみた。
エロがなんか物足りないけど、ごめんよ。
半裸の二人は美しいね、いいね。
それはいつの時か分からない。
気が付くと視界に青白い光を感じた。
取り戻した記憶の最初の情景は、思った以上に感慨のないものだった。その頃、自分自身がどれだけ
醜い姿をしているのかも、まだはっきりとは自覚していなかった。
ただ、人間の姿を取って目の前に現れた女だけは、妙に鮮やかに目に焼き付いている。
長い黒髪に縁どられた小さな顔に、真っ白な肢体と長い手足。比較対象など他になくとも、何の知識も
なくとも、美しい女だと思った。
それが一番最初の日の始まりの記憶でもある。
冬の淡い日が傾きかけた公園で、ベロは今日も無邪気に優以と遊んでいた。
ベラは時折注意をしながらも、決して目を離さずに見守っている。
「それで、決心はつきましたか?」
隅でペンキのやや剥げかけたベンチに座っている夏目が、側で立っているベムに話しかける。
決心、というのは数日前のことだ。あの謎めいた胡散臭い男から告げられた人間になる方法にはどう
にも納得がいかないまま、返事を保留している状態でいる。
「…いえ。やはりあの男の言うことはいまだ信用出来ない気持ちです」
「そうですか」
「あなたは、どうなのですか?」
今度はベムから話を振った。途端に夏目は溜息をついて黙り込む。普段の姿からは伺えないほどに
痛々しい表情だった。
人間になったら是非ともこうありたい、そう思っていた男の憎しみのあまり変貌してしまった顔を知る
だけに、つい何も言えなくなってしまいそうになる。
それでも、単なる慰めと取られても構わないから言葉をかけたかった。それだけで気持ちが昂るのを
誤魔化すように、俯いて目深に被った帽子を押さえた。
「人間が完全なものでないことは、分かっています。その上で、俺は夏目さんほど刑事に向いている
方などいないと思っているのです」
「…あ、ありがとう、ございます…」
「いえ…」
男二人はその後上手い会話が続かず。結局何も言えなくなってただ黙り込んでしまう。傍から見れば
随分滑稽なものだろう。
「人間って…」
しばらく経って、周囲が暗くなってきた頃、夏目がようやく口を開いた。
「そんなに良いものじゃないですよ、ベムさん」
「…ええ、そうですね。それでも…」
ベムは遠くで変わらずはしゃぎ回っている子供二人を見つめて、目を細めた。大人になることのない
ベロの無邪気な笑顔にはいつも癒されてきた。あの男にどんな形で答えを出すとしても、せめてベロの
為に決して後悔のない選択をしてあげたいと思うばかりだ。
「俺たちは人間になりたい。そしていつかこの生を人間として終えたいのです」
目尻から零れ落ちそうになる涙を堪えて、ベムは澱みなくそれだけを言った。
「済みません、変なことを言いました。あなた方は、本当に長いこと人間になる方法を探していたという
のに」
「いえ…お気になさらず」
偏見と言うつもりもないが、どのみち夏目が自分たちを理解していようと決してそれだけは分からない
ことなのだろう。最初から人間として生まれ死ぬことを約束された身では、人外の者の思いは想像も
つかないに違いない。
こればかりはどうしようもないことだ。
「ベムー」
そろそろ遊び疲れたのか、ベロが手を振っているのが見えた。
「ねえ、あのおじさんには今度いつ会うの?」
その夜、眠りにつく間際にベロは無邪気でこの上なく残酷なことを言った。きっとあの男の言ったこと
など半分も理解していないのだ。
悪を取り入れることで人間になる。それが一体何を意味することなのか言葉を読むことなど出来ない
のも仕方がない。ずっと子供のままだったのだから。
「そうだな…ベロは早い方がいいかい?」
「んー…人間になれるんなら、オイラ明日でもいいよ」
「そうか」
髪を撫でられると気持ちがいいのだろう、そのまますうすう寝入ってしまったベロの可愛い寝顔を眺めて
いると、何故かこのままでもいいような気がしてならなかった。今までずっと三人であてどない旅を続け
ながら人間になる方法を模索していたというのに。
まさか、今になって気の迷いが出てきているのかと混乱をしてしまう。
むしろ迷わせているのはあの男の言葉の内容ではあるのだが。
ランプの灯では文字すら判別出来ない、例の新聞記事をぼんやりと眺めながらベムはまとまりのない
思考を結び、霧散させていた。
果たしてあの男の言うままに人間になることが、自分たちにとって良いことなのかどうか。
あれだけ切望してきたことだというのにこの期に及んで、と己が情けなく感じるほどだ。
「…また何か考え込んでいるのかい?」
視界に灯がちらついて眠れないのか、ベラが近付いてきた。目の前で白く細い腕が翻る。
「ああ…済まないな」
「あの男がほざいていたことだね」
「…そう、だ」
「ったく、よりにもよってとんでもないことを突き付けてくれたモンだよ」
ベラはどっかりとベムの隣に座ると、無造作に長い黒髪を掻き上げた。甘い髪の匂いと肌の匂いが
むせるように濃密で、あえて閉じ込めていた淫心を刺激されるようだ。それを悟られまいと必死で下を
向く。
「ねえ」
これまでの口調とは打って変わった声が、鮮やかな唇から零れた。長い指先が顎を撫でる。
「埒のないことばかり考えてるよりも、もっといいことがあるよ」
唇を寄せるベラの表情が妙に妖艶で、肌の匂いもまた一層艶めかしいものになる。
昔ならともかく、この女の肌身を知った今となっては誘いに応じることでどんな歓楽が待っているのか
が分かる。それは既に身体の芯がざわざわと騒ぐほどに魅惑的だった。
「今は、忘れちまいな。すっかり、何もかも」
唇が噛み合わされ、手が柔らかな胸の膨らみに導かれた。肌理の細かい薄い肌の手触りはあまりに
心地良く、誘われるままに指先を滑らせ、剥き出しになった乳房のまろやかな線をなぞる。
唇を貪り合いながら脳裏に蘇るのは、最初の記憶の中の白く輝く姿だった。
あの女が、この世に生まれてすぐに何の理屈も必要なく美しいと感じた女が、ここにいる。
この女に対して湧き上がるばかりのこの感情が何という名前なのかはまだあまり分からないが、とにかく
これまで長い間感じていたものとは全く別のものであることは確かだ。
この女によってもたらされたこの謎めく感情が、自覚してもいなかった自分の知らない面を次々と暴き
出す。それがおぞましいような、何故か心躍るような、そんな思いだった。
「さあ…あんたもだよ」
一段と艶めいた声が熱い吐息と共に唇にかかる。
額や頬に唇を落とされながらも、ベラの手が服をたくし上げて直に肌に触れてきた。長い指先が巧みに
蠢いて更に緩やかに刺激を加えていく。
「余計なものなんか忘れちまえば、その先に答えはあるものさ…だろう?」
魅惑の声が空虚な心の中にすとんと落ちる。そうだろうか。本当に望む答えはあるのかと思いながらも
次第に惑乱されていく。
この女とこうして陶酔の時を過ごしているのであれば、他のことなど一切遮断出来そうだった。
「ふふ…」
媚薬の声が感覚麻痺を誘導する。それがもう快いと感じていた。
快感のあまり霞みゆく意識の最後に振り仰いだ天井は、あくまでも黒々として闇夜のように見える。
人が人でなくなる日がいつか来たとして、人に憧れ人になろうとする気持ちを捨てたらそこで自分たち
は終わるような気がした。何といってもこれまでの苦悩の年月を無駄にはしたくはないのだ。
とはいえ、いよいよ答えを出そうという今になって、最後の選択を考えあぐねている。
終
>>318 正常位の時抱え上げられたベラの長い脚をベムの指先やキスがなぞる姿を妄想した
古代ギリシャもびっくりの芸術品でした
GJ!
9話後のベムの苦悩がもう・・・ねぇ
素晴らしいベムベラをありがとうございます
>>318 >>324 自分も妄想してみたらあまりの美しさに
興奮して眠れなくなってきた
>>318 >>324 美しすぎる場面だ、もう寝なきゃいけないのにハアハアしちまう。
妄想だけじゃなくて実際にも美しい二人だもんね。
327 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/20(火) 00:37:40.23 ID:Aqg+ViJ3
なにこの良スレ、萌えまくった
今、全部読んだ
スレ数からすれば作品投下数が多いね、すごいよ
たくさん読めて幸せ
誰かまとめサイト作ってくれ
ください
今週で終わっちゃうとかwwwwwさみしいよ‥‥
もうドラマを見ながら
『こいつら昼間はこんなスカした顔してるけど
きっと真夜中には真っ暗な船内でベムとベラが一糸まとわぬ姿のまま抱き合って
唇を貪り舌を絡めそれぞれの銀髪と長い黒髪が重なり合ってサリサリと音を立て
そのうちベラの身体をなぞっていたベムの指がだんだんと下に降りて行って
それがベラの女の部分に差し込まれるとベラは思わず息を呑み目を閉じて
ベムが差し入れた指をゆっくりと、しかし少しずつ速く動かすと
そのうちその部分がクチュクチュと淫靡な音を立て始め
快感に震えながら呼吸を荒くするベラが負けじとベムの男の部分を握るとそれはもう固く大きくなっていて
我慢できなくなったベムが強引に自分自身をそのままベラの中に(ry
とかやってるんだろ!?お熱いねお二人さん!!それ見せろよオラァ!!!』
とか考えられなくなっちゃうじゃないですか!やだー!
あと本放送が終わったら投下も減るんだろうなと思うとそれもさみしいよ‥‥
投下神様がたどうか放送終わったあとも何卒宜しくお願いします
>>332 同じようなエロいこと、いつも考えてるよw
あの美しいビジュアルがあるのは強いね、すごく妄想しやすい。
今のところは誕生当日、裸で見つめ合っていた二人が何となくそのまま…ってのと、
変身が解けた後で、血が騒ぐからお互いに鎮める為にヤるのをよく思い浮かべてる。
あ、ちなみに職人の一人。
ドラマはもう今週で終わるけど、まだまだ妄想が溢れてて止まらない。
だから放送が終わってもしばらく気が済むまで投下したいので、温く見守っててくれ。
あそこまでエロツボがストライクゾーンな二人はいないんだ。
素晴らしい妄想だ
ぜひ小説化してくれ
なぜかエロティックな雰囲気を持ってる二人
ベラはパンツスーツで髪型ポンパドールにしてちょっと男性的に
ベムはユニセックな黒トップスとタイトなパンツ、髪は下ろして中性的な感じで
そんな感じで倒錯的な絡みが見たいんです
きっと美しいと思うんです
両方ともボーダレスな魅力があると思うんです
エロい人誰か企画してくれないか
なんかエロのないアホな話が出来た。
元々は7話で山田のナイフをベムの血が腐食させたことから発想したけど、ただの
訳分からんものに。
真冬とはいえ、日差しのある日中は暖かい午後の公園。
食べられる草を摘みがてら無邪気に遊ぶ子供たちを見守っていたベムは、ベロと優以から質問責め
に遭っていた。
「ねー、優以ちゃんの友達が先生に怒られてお腹が痛くなったんだって」
「うん…それどうして?どこか悪いんじゃないかな」
子供たちにはそういう微妙な心身の不調の訳が分からないのだろう。人間ではない上にその時の
事情も完全には分からないとはいえ、ベムは手を止めて顔を上げ、丁寧に子供たちにも分かるように
自分の理解している範囲で説明を始める。
「優以ちゃん、怒られた時にその子は理不尽だと感じて怒りを覚えていたかい?」
「うん、多分。有り得ないって言ってたもん」
「しばらく怒りは収まらなかったのかな」
「うん…ずっと機嫌悪かった」
「じゃあ原因ははっきりしてるよ、ノルアドレナリンだ。安心していい」
友達がもしかしたら大変な病気なのではないかと心配していたらしい優以はその言葉にほっとした顔
をしたが、やはり腑に落ちないものがあるようだった。しきりに首を傾げている。
「…でも、どうして?」
「ノルアドレナリンはね、怒りを覚えると脳内や交感神経からたくさん分泌される毒性のある物質なん
だよ。所謂、覚醒物質だから『怒りのホルモン』とも言われている。以前はその性質的に青酸ではない
かという説もあったけどね」
「じゃあ、誰かに怒っていたりするとお腹の調子が悪くなったりするのってそれなの?」
「多分」
そこでようやく優以は笑顔を見せた。
「…そっかあ。だとしたら、あんまり怒るのって身体にも心にも良くないんだね。自分で毒を作るってこと
だもん」
夏目にそっくりな人好きのする笑顔で、優以はにっこり微笑む。賢く、優しい子だと改めて思った。人間
にどれほど裏切られようと、人間の中にはこういう者たちもいることが分かるからこそ、懲りずに同じ
ことを繰り返し続けるのだろう。
それしか、自分たちにはすることが出来ない。
そんな感慨に浸っていたベムに、飽きっぽい子供たちはまた次の質問を浴びせかけてきた。
「じゃあ、赤ちゃんはどうやって生まれてくるの?」
「で?」
深夜、ベラは見るからにノルアドレナリン大分泌状態でむくれていた。
「あたしをオチに使うんじゃないよ。で、何て言ったんだい。答え次第によっちゃ」
「ちゃんと答えたさ。そういうものは曖昧にしておいてはいけないからな」
「ああもう!」
またとんでもないことを、とベラは頭を抱えて寝台に倒れ込んだ。そんな様子を不思議なものでも見るようにしながら、ベムは思い出したように話し始めた。
「種の繁殖に際して男性側から放出される精子には男の要素を形成する因子のものと、女の要素を形成する因子のものの二種類がある。女性の膣内は酸性であり、精子は酸に弱い性質があるが、女の要素を形成する因子のものの方が若干耐性がある…と」
「そんなモン、子供に分かるかい!」
まるでその時現場に居合わせてでもいたように、ベラは堪りかねたのか声を荒げた。
「普通、そういうモンは親が教えるんだよ。あんたは何も言わなくていい。変なこと言うと間違った方に
知識がついちまうよ。大体何で人間のそんなことまで」
「変なことなど、言ったつもりはない」
ベムはあくまでも大真面目だった。子供たちに聞かれたことだから自分なりにきちんと答えたつもりだし、
それが間違っているならまだしも、正しいのであれば咎められる覚えはないと思っていた。
なので今夜のベラの態度には何となく不機嫌になる。
「…俺たち妖怪では、酸性とアルカリ性の濃度は異なるかも知れないな」
「えっ?」
「とくと試してみようか、ベラ」
「ちょっと待っ…やだああああ…!!!」
その夜の絶叫は一際長かったという。
ベムさんとベラさんは、今夜も大層平和です。
終
>>336 それすごくいい!
書いてみたいけど結構難易度高そうだ…
>>337-339 吹いたわww 7話のあの描写からここまで膨らむってすごいな
自分人間だけどそんな細かい知識知らなかったよ、ベム…
GJ
ベム物知りだなw
GJ!
ベムが真剣な顔して背筋はまっすぐで
立て板に水のごとく喋る姿が想像できたw
果たして、その説明で子供たちは納得したのかw
そのまんまな内容の割に行為については一言も触れていないから、案外普通に
性教育レベルで収まりそうだな
ベラ様が長い髪を乱しながら喘ぐ姿はたまらなく色っぽいと思います
あなたの尻穴・・・何だか乾いてますね
終わっちゃったー…
妖怪たちに会えなくなると思うと寂しいものがあるけど
とにかく無事に終わってよかった
最終回に合わせて書いてたもの一本投下します
「クリスマス、何買ってもらおうかなぁ。ベロ君は何もらうの?」
「クリスマス?」
時は師走も半分を過ぎた頃、夏目の家でこうして穏やかに過ごすことももはや習慣のようになってしまった
ああもうすぐまた1年の区切りがつくのだと思い、窓からすっかり寒くなった快晴の空を見上げた
「そうだねえ、ベロは何が欲しいんだい?」
クリスマスプレゼントの話題に珍しくベラが興味を示し、傍らのベロに尋ねている
「おいら?もちろん、早くにんげ…」
「それ以外で」
ベロがうっかり口を滑らせたときのベラのぴしゃりとした制止も、もはや御手の物となった
「え〜…なんだろう、おいらそんなに欲しい物無いよ…」
「いいから、何かあるだろ」
「ベロ君偉いねー」
「んー…」
難しい顔をして考え込んでいたベロの表情が急にぱっと輝いた
「あっそうだ!おいら、電車に乗ってみたい!切符を買って、長い椅子に座って、おっきな窓から景色を
見て…」
「え…?ベロ君、電車乗ったことないの…?」
まずい何か言い訳をと思った瞬間、それまでニコニコして他愛の無い話を聞いていた夏目が助け舟を出して
くれた
「…ぁあ!!じゃあベロ君、クリスマスは一緒に電車に乗って遊びに行かないかい?優以と菜穂ちゃんと
僕と…」
「えっ、本当に?やったー!!」
思わぬ展開になったが、ベロのこれまでに無い位喜んでいる様子にはこちらも満たされた気持ちになった
「なんだかすみません、気を遣わせてしまって…」
「いや、いいんですよ。優以も喜んでたし、こっちも大人数のほうが楽しいんで」
帰る道すがら、前方を手をつないで歩くベラとベロを眺めながら送りに来てくれた夏目と話を交わす
こちらの状況を読み取ってくれたことも、自分たちでは与えられない贈り物をベロに約束してくれたことも、
感謝してもしきれなかった
「それに、たまにはベラさんとゆっくりなさるのもいいんじゃないですか?」
「え…?」
「いや、最近ベラさんもそうなんですけど、お二人ともお互いを見る目が変わったなーって思って
優しくなったっていうか、夫婦っぽいっていうか」
「そう…ですか?」
気づかれたのだろうか、自分たちの関係の変化を。そんな素振りは見せたことも無い筈なのに
「あ…すいません!俺、なんか本当お節介で…」
「いえ、あの…ありがとうございます」
自然と顔が綻んでいたらしく、夏目にくすりと笑われた
ベロがいないせいか妙に静かな空間の中、外界の光がようやく差し込めるだけの小窓から外を見つめて
いたベラがふいに呟いた
「…なんだか月がすごいねえ」
自分もつられて外を見る
暗闇にぽっかりと浮かぶ美しすぎるそれは、極寒の澄んだ空気も手伝って怖いくらいに強い光を放っていた
「ねえ、ちょっともう少し近くで見てこないかい?」
「今からか?」
「大丈夫だって。ベロは泊まりだし、今夜は人間どもも浮かれて街に出ちまってるさ」
こちらの返事も聞かぬまま、ベラはさっさと甲板に上がろうとしている
小さくため息をついて、仕方なく自分もその後を追った
「ああ、もうさっさとしな。鈍臭い男だねぇ…」
「ベラ、そう焦るな」
月の位置を気にしながら小高い丘をずんずん登っていくベラを、息を切らしながら追いかける
妙だ。ベラはこんな寒い日はいつだって一歩も外に出たがらないのに
満月は人の気を狂わせるなどとよく言うが、今夜の彼女の高揚した気分もこの月によって呼び起こされた
ものなのだろうか
そんなことを考えながらひたすら歩みを進めていると、急にベラが足を止めた
「見て、すごい」
いつの間にかそれなりの高さまで登ってきていたらしい、眼下に広がるのはいつもとは大分様相を変えた
街の景色だった。色とりどりの電飾と人々の笑い声。冷えた空気に混ざって立ち上ってくるのはソーセージか、
あるいは焼き菓子の焦げたバターの匂いだろうか。いずれにしても自分たちがこんな賑わしい空気とは
無縁なことに変わりはないのだが
しばらく二人とも黙ってその場に佇んでいたが、そのうちにベラが再び歩き出した。今度はお互いに
無言のまま
ようやく開けた場所に出た。わずかに高い場所に登っただけで遙か上空の月に近づくわけもないのだが、
それでもやはり先ほどよりもその存在がはっきりと大きく見えた
少し離れた位置からベラが自分を呼ぶ声が聞こえる。どうやら特等席を見つけたらしい
それは、今はもう使われていない線路脇に打ち捨てられた古い列車だった。腐敗して今にも外れそうな扉を
そっと押しのけて中に入ると、長椅子に二人並んで腰掛けた。ここからだと硝子の割れた窓から満月が
ちょうど真正面に見える
「あの子、なんで電車に乗りたがったんだろ…」
ベラの声が突如沈黙を破った
「…堂々と景色を見ながら移動できるからじゃないか?」
「ああなるほどね。まあいつもは荷台に隠れながらだからねえ」
「何故ベロのほしいものを気に掛けていたんだ?」
今度はこちらから質問を投げかける
「え?そりゃあ…あんた、あげられるものならと思ってさ…」
「そうか」
「なんだい、何かおかしいかい」
「いや、いつもはそういうことに無関心だから」
ふん、あたしにだってそのくらいの優しさはあるよ、そう呟いて外の景色に再び目を奪われる
「あ、雪…」
小さな綿のような塊が静かに降り始めていた
寒さがさらに強まる
さすがに堪えてきたのか、ベラがこちらに身を寄せて冷えた手を取り、甲に頬を寄せてきた
そのまま口付けを促されてやはり冷たい唇をそっと重ねる。すぐに離れてしまうのが惜しいらしく、小鳥が
啄むように何度も小さく繰り返す。後頭部に手を添えられて無造作に結わえた髪が解かれると、そのまま
ゆっくりと埃っぽい長椅子に押し倒された
「ねえ、暖めてよ」
そう発したベラは、月明かりに照らされて久しぶりに穏やかな表情を見せていた
答えるようにこちらも結わえられた長い黒髪を解いていく。髪飾りがカシャリと小さく音をたてて床に
転がった
首筋に歯を立てられると冷たかった身体が少しずつ熱を帯びてくるのがわかる。もどかしそうに服の裾を
捲り上げられるのがわかり、一度身体を起こして自分から脱ぎ捨てた。露になった鎖骨に再び甘い痛みが
走ると、合図のようにベラの襟元にも手を掛けた
背骨から腰のあたりにかけてをなぞっていた指先が臀部を辿って内腿に到達する。緩やかだった手の
動きに少し力を加えると、期待していたように腰が浮いた。耳元にかかる息が熱い
ようやく中心に指を埋めた頃にはベラは既に限界を超えそうだった。濡れそぼった中を押し分けて好い
ところをほんの少し強く擦っただけで、身体がびくりと大きく跳ねた
肩口に口を押し当てて声を殺していたその顔をこちらに向かせる。こうして声を抑えるのは普段の習慣だ
ベロにこんな色事を見せるわけにはいかないから
「早いな…」
「馬鹿…あんたが、焦らすから……ちょっと、や…んっ」
すっかり息の上がっているベラを抱えなおして上に跨らせる。自身が柔らかく飲み込まれ、気が遠のきそうに
なる。慣れない体勢にベラは明らかに戸惑いを見せているが、ちょっとした悪戯心と己の欲望が理性に
勝ってしまった
「やっ…」
聴かせろと言わんばかりに口元を押さえる手を半ば無理矢理に剥がした
「や、だっ」
全て見られてしまうこの状況が羞恥心を煽っているのだろうか、いつもより相当過敏になっているようだ
一度溢れてしまった声は押し止められずに、うわ言のように唇から零れ続けた
「ん…や…ぁあっ」
澄み切った夜の空気に、濡れた声と淫猥な水音だけがやたらはっきりと響く
ぎこちない動きに刺激され、こちらもあまり余裕がない
ふと、荒く上下する首筋を華奢な指がなぞっていった。このまま首を絞められるのだろうか。もし死ねるの
ならば、殺されるのならばこの女に…
そんなことを一瞬思ってしまった。しかしその指はただ皮膚の上を緩やかに不安定に滑るだけだった
「あんた…白いね。女みたい」
それは褒めているのか、貶しているのか
問う前にベラを床に横たえると、その細い褐色の腰を掴んで再び突き上げた
紅潮した頬と潤んだ眼に大人と子どもの両方の貌を見た気がした。この女をこんな風に仕立ててしまったのは
紛れも無い自分なのだと思うと、言いようの無い優越感を覚える
「ベム…っ、もう…」
「ああ…」
遠くのほうで電車が走り去っていく音がする
「あっちで走ってるやつもさあ…」
何をするわけでも無いただ緩慢に流れる時間のなか、腕の中で包まったマントのほつれた部分を弄りながら
ベラが呟く
「いつかはこいつみたいにおんぼろになっちまうんだねえ」
そうだ、人が歳を重ねて老いていくように
物も古くなり、朽ちていく
「でも、」
するりと抜け出して立ち上がると、彼女ははっきりと言い放った
「こっちはこっちでいいんじゃないかね」
お月さん綺麗に見えるし、と言いながらベラはごそごそと脱ぎ捨てられた服を漁り出した
その細い腿を先ほど放った欲望が白く伝っていく。自分がしたことだというのに急に気恥ずかしくなって
思わず目を背けた。しかしベラの方は特に気にも留めず、流れ出たものを軽く拭うとさっさと服を身に着け、
残りをこちらに投げてよこした
「ほら、さっさと着な。寒いし、もう行こう」
とことん気まぐれな奴だと思う
しかし、その潔さが心強いところでもある
否、その強さに頼りすぎてはいけないのだ
また、いつ彼女が弱ってしまうかわからない
そうなる前に護らなくては、
その美しい瞳が二度と深い悲しみの色に染まらぬように
終
今振り返ったら月のくだりとか「え?○○したことないの?」みたいな会話とか
若干今日の話と被ってるとこあるけど、完全に偶然ですw
キャストの方々、制作・スタッフの方々、そしてこのスレの住人が素敵な
クリスマスを過ごせますように
自分は明日も朝から仕事なんでそろそろ寝ますorz
GJ!GJ!
最終回とリンクしすぎで思わずウルッときてしまった
胸に沁みるベムベラをありがとう
よいクリスマスを
いいねえ
GJ!
GJ!
最終回を見たばかりだから、日常の三人に感慨深いものがあるよ。
仕事頑張って。
クリスマスパーティした後セクロスするベラ達を見たい
最終回に号泣しながら、アホのぼのな話を一つ。
エロくはないがクリスマスなのでお許しを。ぎりぎり間に合った。
358 :
冬の朝 8-1:2011/12/25(日) 23:53:28.84 ID:GmotBDvt
錆びた廃船を、せせらぎが緩やかに打っていく。
ようよう東の空が染まり始めたばかりの冬の早朝。人気のない港は凍るような風が
吹くばかりで、動くものもなく、しんと静まり返っている。
夜の闇は遠く、だが朝焼けにもまだ早い時間。
対岸の街明かりも心なしか薄い。
そんな黎明の空気の中、外と変わらないほど冷えた廃船の船底に、黒い塊が盛り上がっている。
船底の片隅、入り口から一番遠い一角にできた、こんもりとした塊。
その正体は布だった。マントや上着、普段はそれぞれが敷布に使っている布など、そこにある
ありったけが積み重なり、小さな山を形成している。
その真ん中で、何かがもぞりと蠢いた。
寝返りを打つようにあっちを向いたりこっちを向いたり、しばらくもぞもぞしていた
それは、やがて端を目指してゆっくり動き出した。
動きにつられて布がずれ、隙間から銀色の髪がちらりとのぞく。
やがてその髪の横から、ベロの小さな頭がぴょこりと飛び出した。
吐く息も白く染まるほど寒いのに、丸い頬はつやつやで、うっすら汗まで浮かんでいる。
むき出しの腕も鳥肌一つない。
ぷはあ、と大きく息をつき、顔を仰ぐと、ベロは布の山からもぞもぞと這いだした。
とたんに奥から伸びてきた白い手が、小さな体をぐいと引き戻した。
しんと冷えた船内に、きゃあ、と明るい悲鳴が響く。
ばさばさと布がめくれる音に、笑い声が重なる。だが、しいっと鋭い声とともに、
それはぴたりと止まった。
まだ星明りの残る、明け方の空より暗い船内。静まり返った闇の底に、くすくすと小さな笑い声が、
今度は二人分響いた。
「こら。どこ行く気だい湯たんぽ一号」
引き戻された布の中、温かく湿ったそこから顔だけ出したベロを、同じく顔だけ出したベラが軽く睨む。
寒いじゃないかと眠そうな声に、ベロは額の汗を拭って見せた。
「だって暑いんだもん」
「いいじゃないかあったかくて。湯たんぽ二号はおとなしくしてるだろう」
「そりゃ、最初はいいけどさあ。あとおいら湯たんぽじゃないよ」
「なに言ってんだい。あんたもベムも、あたしの湯たんぽだよ」
359 :
冬の朝 8-2:2011/12/25(日) 23:54:04.13 ID:GmotBDvt
胸元にぎゅうと抱き込まれて、ベロがまたきゃあ、と笑い声をあげた。
じたばた暴れる体を、だから静かにおしったら、とベラが抑え込む。自分の頭を透かすように
上がったベラの視線につられて、ベロも後ろを振り返った。
暴れたせいでずれた布の中から、銀色の髪と白い顔が覗いていた。
片腕をベロへ、もう一方をベラへ、抱えるように伸ばしたベムは、一連の騒ぎも知らぬ気に
ぐっすりと眠っていた。
間近で、すうすうと微かな寝息を立てる顔を、しばらく二人で覗き込む。
やがて視線を戻したベロが、先ほどより小さな声で囁いた。
「よく寝てるね」
「呑気な顔してるよ。ま、動きもしないし湯たんぽとしちゃ優秀だけどね」
伸ばされた腕に頭を乗せ、あくびをしたベラの腕の中で、ベロはまた首をひねって後ろを見た。
ついでに手も伸ばし、高い鼻に触ってみる。
閉じた目は開かない。寝息ひとつ乱さず眠り続けるベムをしみじみ眺め、首をかしげる。
「起きないなあ」
「起きろって言えば起きるさ」
「別に起こしたいわけじゃないよ」
ぺたぺたと頬や額を触り続けるベロの手を、半分閉じた目で見ていたベラが、ふん、と小さく
鼻を鳴らした。
「外で物音でもすりゃ、すぐ目を覚ますくせにさ。どうなってんだかねまったく」
「そばでおいらたちがしゃべってても、全然起きないんだよね。なんでだろ」
「あんただって横で騒いだって起きないじゃないか」
「そんなことないよ!」
「あるさ。こないだだって……」
「こないだ?」
「……なんでもない」
「ベムとベラで騒いでたの?」
「なんでもないっていってるだろ!」
「いいけど。でもそれならベラだって、横でおいらとベムが話しててもずっと寝てるよ」
「なに言ってんだい。あたしはそんなに鈍くないよ」
「寝てるよ?でもこのくらいしゃべってたら、さすがに起きると思うけど」
「そりゃ、普通はね」
「……ベムって変だよね」
「……あんたそれ、目ぇ覚ましてる時に言うんじゃないよ」
泣くよ、と低い声に、うん、と神妙にうなずき、ベロはようやく手を引っ込めた。
さすがに冷えた腕をさすりながら、顔をベラに、背中をベムにくっつけて横になる。
布の中で、ふいに伸びてきた手が小さな体を抱え込んだ。
360 :
冬の朝 8-3:2011/12/25(日) 23:54:44.54 ID:GmotBDvt
えっ!と声を上げたベロを見下ろした途端、枕にしていた腕に肩を引き寄せられ、ベラも
ぎょっとして顔を上げた。
先ほどよりずっと近く、ほとんど触れそうな位置まできた白い顔に、もう一度目を剥く。腕の中の
ベロと視線を交わし、あわててまた二人でその顔を覗き込む。
ベムは眠っていた。寝息も閉じた目も穏やかな表情も、先ほどと少しも変わっていない。
僅かに口を開け、ぐっすりと眠りに落ちたままだ。
固唾をのんで寝顔を見守り、全く起きる気配のないことを確認して、ようやくベラとベロは息をついた。
「ああびっくりした。起きたかと思ったじゃないか」
「寒かったのかなあ」
「寝てるだけなのに人騒がせな男だよ。こっちの目が覚めちまった」
睨みつけても相手は深い眠りの中だ。平穏な寝顔が妙に癪に障る。
太平楽な顔して、と睨む鋭いベラの目が、ふと光を宿して瞬いた。
「……いたずらしてやろうか」
見上げたベロの顔がぱっと輝いた。
互いにうなずきながら顔を見合わせ、にやっと笑うと、二人一緒にまたベムの顔を覗き込む。
「さあて、どうしてやろうか」
「顔にらくがきは?」
「それはこないだやったしねえ。鼻でもつまんで……も、効かないし」
首をかしげ、布の山から手を出すと、ベラは眠るベムの頬にぺたぺたと触れた。
僅かな動きに顔が揺れて、ただでも近かった鼻の先が触れ合う。ベラの顔にふと、微笑みが浮かんだ。
だがすぐ、見上げるベロの視線に気づき、あわてて顔を戻す。
さりげなく手も引っ込め、ベムにとっては理不尽な理由でまた睨み、だがその顔にまた、にやりとした
笑みが浮かんだ。
「ベロ、面白いことしてやろうか」
「え、なに?なに?」
「まあ待っといで。きっと飛び起きるから」
にやにやしながら、ベラは引っ込めた手を伸ばした。布の上でなく、今度は奥に向かって。
わくわくと見上げるベロの背中を撫で、そのままどんどん下へおろす。小さな体に熱を分けるように、
ぴたりとくっついた男の平らな腹をたどり、指先を服の隙間に突っ込んだ。
触れた素肌は眠りに温もって、いつもより熱く感じる。
無意識に微笑む顔を引き締め、あくまで作業の動きでベラは手を進めた。
「……なんでこう、こいつの服は……きっついねもう。よく寝られるよこんなんで」
「なにしてるのベラ?」
「もうちょい……よし」
「ねえってば」
「いいから。あんたはとりあえず、前向いといで。どうせすぐだから」
気になるのか、起き上がって振り返ろうとするベロの頭を無理やり胸に押し付け、ひたすら手を動かす。
不満そうに見上げはしたが、前後から迫るぬくもりが心地いいのだろう。ベロはすぐおとなしくなった。
ボトムをくつろげ、こじ入れた手で隙間を広げる。服の奥は肌と同じく、いつもよりずっと熱くて、
だがいつもとは違い無反応なままだ。それがなんだかおかしくて、ベラは笑った。
しかしその先は、笑っていられない状況だった。
361 :
冬の朝 8-4:2011/12/25(日) 23:55:28.84 ID:GmotBDvt
空の色が変っていく。闇色から濃い藍色へ、藍色から紫へ。夜明けの訪れとともに海の方角から
吹きはじめた風が、水面に複雑な模様を描いていく。
一日のうちで一番静かで、いちばん気温が下がる時間。
だがそんな冷え切った空気の中、必死で手を動かすベラは、なぜか額に汗を浮かべていた。
「……いくら寝てたって、もうちょいこう、あってもいいんじゃないのかい……ちょっと、なんでさ!」
耳元でぶつぶつ呟き、睨みあげても、ベムはぐっすり眠ったままだ。ベラとベロを抱き込み、
静かな寝息を立てる以外はぴくりとも反応しない。
そう、体中のどこも。
三人分の体温で暖まった布の中は、僅かな動きでも汗が出るほどだ。ベロを抱えているから余計のこと、
すでに手は汗まみれになっている。
しかし、常より滑らかに動くその手をもってしても、ベムの眠りを覚ますことはできずにいた。
一応腰骨を撫でたり、無理やり内股まで手を伸ばしてくすぐってみたり、拙いながら手を変え品を変え
やってはいるのだが、ベムの反応は無情だった。
待たせっぱなしのベロは、すでに夢の世界に戻っている。白い胸に頬をくっつけ、すやすやと穏やかに
眠る姿はいつもなら笑みが浮かぶところだが、今は何故か憎らしい。
「こんなに頑張ってんのに、失礼な男どもだねほんとに!」
八つ当たり気味に吐き捨て、元凶をにらみあげる。ほのかに明るくなってきた船内で、銀の髪に
縁どられた顔は、ベロ同様穏やかなままだった。
いい加減疲れた手を止めて、溜息をつく。
溢れる敗北感が疲労を倍増する。いっそ引っこ抜いてやろうかい、と物騒な考えに憑りつかれながら、
まとわりつく髪を首を振って払う。
動いた拍子に、目の前の顔に額が触れた。
冷えた肌が汗ばんだ額に心地いい。もう一度ため息をつき、頬や額にペタペタ顔を押しつけてみる。
すうっと熱が引く感触に、いらいらも引いていった。
いいかもう、疲れたし、ベロも寝ちまったし、と気を取り直す。夜明けは近いようだが、もう少し
眠れるだろう。
乱した服はそのままにしておこう。起きて少しは驚くがいいさ。
顔を離してベロを抱えなおし、伸ばされた腕に頭を置いて目を閉じ、だがベラはまた顔を上げた。
息が触れるほど近い場所で、静かに眠り続けるベムを見つめたその頬に、微かな微笑みが浮かんだ。
ちょいと首を伸ばし、唇に唇で触れる。
すぐに離してふんと笑ったベラの目が、次の瞬間ぎょっと見開かれた。
黎明の紫に染まった船の底。
僅かな光に、深い陰影を刻むベムの顔の中で、うっすら開いた双眸がベラを見つめていた。
362 :
冬の朝 8-5:2011/12/25(日) 23:56:05.10 ID:GmotBDvt
いつもより細く、紗がかかったように無感情な黒い目に、反射的に体を引く。
だがすぐ、首に回った腕に遮られた。
あわてて離れようとするが、ベロを抱えていることもありうまく体が動かせない。焦っているうちに
無言で近づいてきた顔をとりあえず睨み返し、今さら起きるなと文句を言うため口を開く。
額に額が触れた。
先ほどまでは冷たいだけだったそこには、今はほのかな熱が宿っていた。
視界いっぱいの黒い目が、静かにベラを見つめている。どこかぼんやりとした表情は、普段はある陰もなく、
眠りに落ちているときと同じ、ただただ安らいだものだった。
開いた口を閉じる。いつの間にか、文句は口の中で消えていた。
しばらく触れたままだった額が、微かに動いた。ひどくゆっくりと額を摺り合わせ、少し離れて同じ場所に
次は唇で触れる。それはそのまま瞼に、頬に、そして、こめかみに浮かんだ鱗へと滑っていった。
何度も繰り返される、じれったいほど緩やかな動きに、ため息が漏れた。
鼻が触れる。溜息ごと包むように、唇が触れ合った。
乾いたそこを擦りあわせ、やはりゆっくりと、形を確かめるように何度もたどる。燃えるような熱さも、
貪るような劣情もない、ひたすらに穏やかなその動きは、まるで眠気を誘うようだ。
心が凪いでいく。
暖かな空気と体温に包まれ、重くなっていく瞼を開いて、ベラは正面の顔を見つめた。見返してくる目も
やはり、口づけと同じほど穏やかなままだった。
抱き込む腕がゆっくりと、ベラの髪を撫でていく。
その動きが心地よくて、ベラも腕を伸ばした。銀色の髪を撫で返し、指先で梳きながらそっと引き寄せる。
胸の中で、うぎゅ、と小さな声が上がった。
ベラの背中に、先ほどとは違う汗が吹き出した。
あわてて髪を掴んで引きはがし、触れ合うほど近かった体を押しのけながら、胸元を覗き込む。
ベロは眠っていた。少しだけ苦しそうに眉根を寄せていたが、恐る恐る背中を撫でてやると、またすぐ
穏やかな表情に戻って、眠りの底へと帰っていった。
盛大にため息をついてから、もう一度あわてて、今度は正面を見上げる。
ベムも眠っていた。
先ほどまで確かに開いていたはずの目は、今はすっかり閉じていた。先ほどと同じ、穏やかな表情で、
けれどもうぴくりとも動かず、深い寝息を立てている。
髪を撫でていたはずの手も止まったままだ。
まるで、一度も起きてなどいないかのように。
呆然とその顔を見つめ、ベラはそろそろと手を伸ばした。ぴたぴたと平手で頬を叩いてみるが、やはり
反応はない。
「……寝ぼけた……?」
ぽつりとつぶやき、手を引っ込める。
日が昇りかけているのだろう。船底に、白い光が広がっていく。それに照らされ、鮮やかさを増していく
銀の髪を、ぼんやり見つめ続けていたベラの眉が、唐突に寄った。
なんだいそりゃあ!とひっくり返った絶叫に、錆びた船の外壁がびりびりと震える。
それでも二つの寝息は、穏やかなままだった。
363 :
冬の朝 8-6:2011/12/25(日) 23:56:39.44 ID:GmotBDvt
廃船のヘリに、冬の陽光が眩しく反射している。
すっかり明るくなった船底の片隅、物にあふれた狭い一角に座り込んだベムとベロは、そろって
無言のまま、対の一角を見つめていた。
入り口に近いそこでは、椅子に腰かけたベラが、やはり無言で髪を梳かしていた。
いつもよりかなり荒っぽく、髪を梳くというよりブラシを叩きつけるような動きだ。がしがしと
怖いような音を立てて髪を梳かし続けるベラの顔は、普段よりはるかに目がつり上がり、音に
負けないほど恐ろしかった。
奇妙な緊張感と沈黙に耐えきれなくなったか、ベロがちらりとベムを見上げた。同じく見下ろしたベムが、
そっと屈んでベロの耳に口を寄せた。
「……ベロ。ベラは、どうしたんだ?」
「おいら知らないよ」
「だがなぜ、起き抜けからあんなに機嫌が悪いんだろう……」
「わかんない。さっきは機嫌よかったけど」
「さっき?」
首をかしげて見下ろすベムに、あちゃ、と小さくベロが呟く。
だが、すぐにまあいいやとうなずいて、今度はベロが伸びあがり、ベムの耳元に口を寄せた。
「あのね、さっき明け方にね、おいらとベラだけ目が覚めたの」
「……寒かったのか」
「暑かったんだよ。でね、ベムだけよく寝てるから、ベラがいたずらしようかって」
数瞬、ベロを見下ろし、ベムははっとして額を押さえた。ベロがあわてて違うよと首を振る。
「今日はらくがきしてないよ!」
「……油性ペンはやめてくれ……」
「してないってば。ベラがなんかするって言ってたんだけど、でもおいら途中で寝ちゃったから」
わかんないんだよね。
腕を組んで首をかしげるベロに、そうか、とうなずき、ベムはまた正面に向き直った。
髪を梳くベラはこちらを見ようともしない。だがその細い体からはごうごうと、怒りのオーラが炎のように
吹き上がっている。
戸惑いを隠せない顔で見つめるベムの袖を、ベロがちょいちょいと引っ張った。
「ベムは起きなかったの?」
「いや……俺は朝まで一度も」
「でもベラ、ベムが飛び起きることするって言ってたよ」
「……そうか」
「どうしちゃったんだろ」
不安な目で見上げるベロの頭を軽く撫で、ベムは怒りに燃えるベラを見つめた。
やがて、意を決したように立ち上がると、そのままゆっくりと、ベラのほうへと歩き出した。
364 :
冬の朝 8-7:2011/12/25(日) 23:57:31.00 ID:GmotBDvt
隣に立ち、だが無言のままのベムを、ベラは最初は無視していた。しかし、一分たち、五分たっても
そのままなことに逆に苛立ってきたらしい。とうとう大きくため息をつくと、立ち尽くすベムを
ぎろりと睨みあげた。
「鬱陶しいねえ!なんだい、言いたいことがあるなら言えばいいだろ!」
「……ベラ、教えてくれ」
「はあ!?」
「俺は何かしたのか?」
直立不動のベムを見上げるベラの目が、ぎらっと輝いた。恐ろしいほどのその光にも体勢を崩すことなく、
ベムはいつも通りの無表情だ。
その奥に、ベラとベロだけがわかる不安と焦りがあるのは見て取れる。
だが同時に、明け方に見た顔がどうしても重なってしまい、むしろベラの怒りは燃え上がった。
「何か?なにかってなにさ?」
「何かしたなら謝る。だが覚えていない。だから教えてほしい」
「……覚えてないって?」
「ああ」
「……さっぱり?」
「ああ。夕べ寝ている間に、俺はお前に何かしたのか?」
ベムがきっぱりうなずくと同時に、ベラの手の中でブラシの柄がびしっと音を立てた。
隅っこで様子を見ていたベロが飛び上がる。気遣わしげにそちらを見て、視線を戻したベムの背が、
ぎくりと強張った。
「なにか?……別に、なあんにも。なんにもしてないさ。あんたはね」
まとめる前の長い髪をぞろりと垂らし、隙間から覗くベラの目は先ほどの百倍輝いていた。
視線だけで燃やし尽くされそうだ。初めて命の危険というものを感じ、一歩下がったベムの代わりに
ベラが立ち上がった。
「な、ん、に、も!してないさ!なああああんにも!」
「だが」
「うるっさいねえ!何にもしてないよ!だから怒ってんだろこのトウヘンボク!」
「え?」
「寝るなら寝るでおとなしく寝てりゃいいんだよ!なのにあんな……こっちがバカみたいじゃないか!」
「……ベラ」
「あああもう腹の立つ!やっぱり引っこ抜いてやりゃあよかった!」
「ベラ、すまない話が」
なおも無謀な話し合いを続けようとするベムの腕を、奥から風のように駆けてきた小さな手が掴んだ。
「おいらたち、朝ご飯とってくるね!」
いつの間にかゴーグルをつけ、ベムの上着と帽子を抱えたベロにぐいぐい引っ張られ、よろめきながら
ベムも走り出した。
本気を出しているらしく、体に似合わない力は抵抗もできない。なんとか振り返ってはみたが、ベラは
肩を震わせながら、向こうを向いたままだった。
躓きながら階段を駆け上がり、外に出る直前で帽子だけかぶる。なおも引っ張り続けるベロが、
咎めるように見上げてきた。
365 :
冬の朝 8-8:2011/12/25(日) 23:58:22.69 ID:GmotBDvt
「駄目だよベム、ああなったらベラは話なんか聞かないんだから」
「……そうだな、すまない」
「でもなんかあったみたいだね。おいらが寝た後かな。本当に覚えてないの?」
「……さっぱり」
「なにを引っこ抜くんだろう?」
甲板に顔を出した途端、冬の風に顔を打たれた。ちぎれそうなほど冷たいそれに、ベロが寒い!と
悲鳴を上げる。
無言で差し出した上着に笑って首を振り、ひょいひょいと船を下りていくベロをベムも追った。
船上に広がる空は、どこまでも澄んだ冬の青だ。天気はいいが、今日も寒くなるだろう。
「夜までには機嫌なおるといいなあ」
寝るとき寒いのやだし、とつぶやいたベロの言葉に、ベムは船を振り返った。
錆びた船はいつもと変わらぬ、ひっそりとした佇まいだ。とても内部に、爆発しそうな怒りの塊を
抱えているとは思えない。
「もしかして、一緒に寝るのが嫌なのか……?」
ふと思いついて口に出した言葉に、ベロが驚いた顔で大きく首を振った。
「それはないよ。だってベラ、ベムは優秀な湯たんぽだって言ってたもん」
「そうか」
「ベムは嫌なの?」
「そんなことはない」
呟いて、自分の腕を見下ろす。
寒さしのぎに共寝した夜の間、ベラがずっと枕にしていた腕だ。
髪が、頬が、その体が、ずっと触れていた。
「……そんなことは、ない」
腕を見つめていたベムの頬に、刷いたような笑みが浮かんだ。
まじまじと見上げるベロの視線に気づき、すぐ表情を改める。ぎこちなく逸らされた視線に、
何度か首をかしげたベロの脳裏にふと、明け方、ベラが浮かべていた微笑が蘇った。
なんだか今のベムとよく似た笑い方だったな、と思うが、口には出さなかった。
「おいらもベムは優秀な湯たんぽだと思う」
「そうか。……俺は、ベロも優秀だと思う」
嬉しそうに笑い、ちょろちょろと辺りを駆け回るベロの手を握り、ベムはゆっくり歩きだした。
吹く風は冷たいが、こうして寄り添っていれば、充分暖かい。
明るい空を見上げ、日差しに目を細めながら、ベムはまたつぶやいた。
「……湯たんぽ以外に、なにかすればいいんだろうか」
「うーん。布団でも拾ってくる?」
すっかり昇りきった日差しが、道に大小二つの影を引いている。
穏やかな冬の日は、まだ始まったばかりだった。
終
GJ
三人ともかわいいなw
GJ!
ベロをあいだに悪戯しちゃうベラもベラだけど
まったく反応しないベムもね・・・
もったいないぞベムw
ニヤニヤしてしまう三人をありがとう
GJ!
なんて可愛い三人なんだ、そしてベムはもうちょっと何とかしろw
こんな時間に投下。
クリスマスには特に絡めなかったけど、最終回を見て自分なりに書いてみた。
>>324の場面を念頭に入れつつ最終回でのベムの台詞も使いたかったのでこんな
感じに。
それと時系列に沿えば新月の一日前の筈だけど、満月の夜設定。
369 :
融月光 1/6:2011/12/26(月) 01:52:27.64 ID:laiR0VtG
「この間、研究所で面白いものが見つかった」
ベムはそんな意味深長な台詞だけを吐いた。
つい興味を持ったせいで現地に連れて行かれた時には、既に深夜を回った時刻になっていてとても
寒く、マント一枚しか纏っていない肩や指先がたちまち冷たくなった。
肌を刺すほど空気がきんと凍てついていることもあるのか、見上げた満月はあくまでも白く真珠のよう
に輝いている。
午後から優以と遊んでいたベロはそのまま夏目家で夕食を御馳走になり、また泊めて貰うことになった
と大はしゃぎだったので明日の朝迎えに行くことにした。
「気楽なモンだねえ、あの子ってばさ」
「まあ、いいだろう。楽しみを取り上げるのは気の毒だ」
「…そりゃそうだけどさあ」
月光で蒼く照らされた山道はいつもここを通る時とはどことなく違って、別の景色に見える。人が時折
見せる裏の顔のように。
以前ならただ闇雲に人間に憧れ早く同じものなりたいと願ってきたが、この街で夏目家、緒方家の者
たちと関わっているうちに人間の様々な面を見るようになった。もちろん人間になりたいという気持ちは
依然変わらないが、人間とは何と難しいものだと頭を抱えそうになる。
「寒いか?」
何度も通っているせいですっかり見慣れた木立を抜けると、ベムが立ち止まって振り返る。
「寒いに決まってるだろう、こんな時間に」
「…済まないな」
これっぽっちもそんなことは思っていない顔で、ベムは呟く。
月の光に照らされていつもの表情すら違って見えるのは気のせいてせはないのだろう。
研究所に通って来るのはもう何度目か。
病的なほど几帳面なベムと遊びがてら何でもやるベロのお陰で、最初に立ち入った時は雑然とした
廃墟だったが今では棚も机の上も床も綺麗に片付いている。始めの頃は何か緒方博士の手掛かりに
なるものがあればという思いだったらしいが、さすがにそんな都合の良い話はない。
それなのに、今になって一体何があったのかとベラは半信半疑のままベムの後をついて行く。
「…本当に寒いねえ」
時折かじかむ指先に息を吹きかけながら、それでもこの男に従っているのは何故なのだろうと自分の
変化が無性におかしくなった。
370 :
融月光 2/6:2011/12/26(月) 01:53:03.33 ID:laiR0VtG
二人が歩を進めるごとに木の床が軽く軋んだ。
整然と片付いた研究室の一角で、ベムが煤けた棚の抽斗から一枚の紙を取り出す。
「見せたいと思ったのは、これだ」
「…?」
あまりにも色褪せているのでそれが何なのか、最初は良く分からなかった。よく眺めているうちに昔の
写真なのだと気が付く。鮮明ではないが和装の女性が佇んでいる。
「これが誰なのかは分からない。博士の妻であったのか恋人なのか…しかし興味深いだろう?」
正直、訳が分からなかった。
元々ベムはこういったことに興味を持つ性質ではない。ごく最近になって人間と関わり、人間たちに感化
されていくことで、こんな見も知らぬ者の色恋にまで関心を持つようになったとしか思えなかった。
いや、自分たちの存在を考えれば最も近い者であり、必ずしも『見も知らぬ者』ではないのだろう。こんな
ことででも何か糸口を探そうとしているのが分かって、ベラは何となく切なくなった。
「へえ…家族を捨てた形でこんなトコに籠っていた男がねえ…」
「研究に没頭しながらも、心のどこかでは思う女性がいたのだろうな」
「人間てのは、全く面倒臭いモンだ。奥さんにでも恋人にでも、会いたきゃ会えばいいのにさ」
茶色く退色した写真を机の上に置いて、ベムは窓に近付いていった。ここからも窓越しに輝くばかりの
満月が眺められた。眩しいと言いたくなるほどの光が室内に満ちていて、寒さすら一瞬忘れかける。
ベムの銀髪が月明かりを受けて妖しく輝いた。
「そういう、面倒で厄介な存在だと分かっていても、変わらず人間に焦がれる…俺たちが生まれた発端
がそもそも何であったのかすら、知らずに生きてきたからな」
常に手放さないステッキを壁に立てかけ、いつも過剰なほど目深に被った帽子を取り、髪を解いたベム
が軽く頭を一振りしてからまっすぐにベラを見た。
「……!」
滅多に見ない鋭い視線に、瞬時で心が射られた。
わざわざ理由をつけてでもここに誘い出したのは、それだったのかと思った。
ただ行為に及ぶだけなら廃船内でも甲板でも出来る。しかし、あえてここでするのは自分たちにとって
とても特別な意味が込められている。一切説明のないままのベムの思いが、何故か今夜はストレートに
伝わってきた。
何か言おうとして、ベラは唇を噛む。
今更、余計な言葉など不要になっていた。
371 :
融月光 3/6:2011/12/26(月) 01:54:01.16 ID:laiR0VtG
凍てつく寒さはもちろん感じている。
だが、胸の中が燃え盛っていて止まらない。
ベムの真摯な眼差しに煽られるように、ベラはマントを外してドレスを脱いだ。奇妙なことにこれほど
寒いにも関わらず、鳥肌すら浮かなかった。それを見届けてからベムも上着を取り、服を脱いでいく。
やがて月明かりの下、二人の裸体が妖しいまでに白く浮かび上がった。
生まれたその日に戸惑いながらもお互いに視線を交わしていた頃そのままで、時が巻き戻ったような
錯覚を覚えてしまう。
黒髪をといたベラの頬を、裸足で歩み寄ってきたベムの大きな手が撫でた。触れるだけのキスを何度
も繰り返しながらも、手の動きは止まらずに鎖骨から肩、乳房へと滑っていく。
「ぁう…」
指先で乳首を緩く抓られて、不意に声が漏れる。
それがきっかけになったように激しく唇を貪られて息が止まりそうになった。もう、この男の手も唇も、
身体に触れているものは何もかもが熱い。快感に浸る為に閉じていた瞼を開くと怖いほどに見つめ
続けている眼差しとかち合う。
ああ…やはり、と心の中が安堵感で満たされた。
この男は以前何度目かの交わりの時、『ずっと一緒にいる』と言ってくれた。
人間であればそれが心からのものであっても、必ずしも真実にはならない。経過する年月の間に思い
も環境も変化して『心ならずも』になるのが普通だ。
けれどこの男ならそれもないに違いない。
同じ遺伝子から成る血が永劫の先までもきりなく呼び合う、この男なら。
「…ベラ」
急に唇を離したベムが、わずかに低い目線から見据えてきた。
「お前は…美しいな」
「…え?」
普段は気が利かないにも程があるこの無粋な男の言葉が、今夜の妖しい魔法のせいか不思議と
心に響く。ベラもまた普段の虚勢は打ち捨てて素直にはにかんだ。
「あ、りがとう…」
今夜ばかりは、お互い何かに取り憑かれているようだ。
それならば何もかもをあの月のせいにしよう、ベラはたった今そう決めた。
372 :
融月光 4/6:2011/12/26(月) 01:54:34.42 ID:laiR0VtG
二人が着ていたものを敷き詰めても、横たわると床の異様な冷たさが直に伝わってきた。それでも
抱き締めてくるベムの腕や身体の熱がかなり緩和させる。
とはいえやはり羞恥から無意識に身を捩って抱擁から逃れようとするのが不満なのか、容赦なく肌を
噛むベムの手が捏ね回していた乳房から離れて薄く肋骨の浮く腹、下腹と下がっていった。
「ぁ…」
待ち受ける快感を想像して甘い声が上がる。
しかし、手は一番触って欲しい箇所を通過して腿、膝、足首と更に下がる。一体何をするつもりかと
身体を浮かしかけたベラを制するように、片脚が持ち上げられて細い爪先が軽く噛まれた。
「うぁっ」
ぴりっと痛みが脚に走る。怯んだ隙を突くように歯を立てていた爪先を舌で撫で、唇が触れた。全く
未知の感覚に竦みながらも何が待っているのかと期待している自分がいる。何度も抱かれている
というのに、その都度変化する手順が不安でもあり、反面胸が躍るのだ。
人間ならずとも、女とはこんな風に悩まされるのだろう。
そのうちにも、芸術品を愛でるが如き丁寧な仕草でベムの指先がするすると脚の線をなぞり、その後
を唇が追う。時折銀髪がさらさらと撫でていった。
「や、ぁ…ぁ」
これまでとは違って微かな触感とはいえ、されたことのない行為は既に昂ぶっている身体を更に燃え
上がらせてしまう。余計な声が漏れないようになるべく声を抑えているつもりでも、もう今となっては
無駄のようだった。
この男にされることは、全て受け入れてしまう。全て感じてしまう。
風の中でそよぐ柳の枝のように抵抗なく甘受することを覚え込んだ身体が、女としての悦びを貪欲に
貪ろうと悶えている。
以前なら浅ましいと思った女の本能に支配され、ベラも陶酔していた。
「ベム…あんたが欲しい…」
真っ白な腿に吸い付き束の間の痕跡を残していたベムは、その声に顔を上げて乱れた銀髪を掻き
上げた。男でありながら、かつてないほど壮絶に妖艶な顔をして。
「…俺もだ」
そのまま滑らせる指が、遂に一度も触れられていない女の芯を捉えた。憎らしく動く指先で限界まで
充血しているだろうクリトリスを掴み、転がす。
待ち焦がれていた刺激を与えられ、背筋にびりびりと快感が突き抜けていった。
もう堪らない。
373 :
融月光 5/6:2011/12/26(月) 01:55:07.77 ID:laiR0VtG
「あああっ!」
あえなく絶頂に駆け上がろうとしたベラだったが、無情にも直前で止められた。
「…まだ、早いぞ」
開かれた脚の間に身を置いたベムが短く窘め、すぐに柔らかいものが敏感になりきっている箇所へ
と触れる。
「ひゃぁんっ…」
そこが舐め上げられているのだと知覚するのだけは、まだ多少の抵抗があった。自分の身体とは
いえ、あえて刺激を与えられないことで昂ぶっているからこそ恥ずかしい。決して目を合わせたりない
ようにくしゃくしゃになった服を握り締めながらベラはただひたすら喘ぐ。
はあはあと息を継ぐ度に形の良い乳房が大きく上下した。
溢れ出ているだろう愛液を舐め取っている濡れた音が長く響いて、それもまた羞恥を誘う。目を閉じ
ても耳を塞いでも、徒労に終わった。そんなベラの肢体を眺めながらも、巧みな指先が膣壁を強く擦り
上げ、欲しかった刺激を与えてくる。
「んんっ」
自分でもほとんど触ったことのない女の箇所が、この男に簡単に手なづけられて暴かれる。侵入者
を拒む膣襞の一枚一枚ですら自在に捌いて、女の秘密の奥の奥まで。おぞましい、浅ましいとまだ
心のどこかで感じはしても、この先の快感が思考の全てを浚っていくのだ。
「…ベラ、いいな」
隠したいものを全て暴き終えてから、ベムが身体を乗り出して間近で見つめてきた。さっきまでは射る
ような眼差しだったのに、今は吸い込まれそうに深い色をしている。
「ん…早くおいで…」
互いの頬を撫でる手が一層の熱と焦燥を帯びた。腿に硬いものが当たる。ベムもまた同じほどに
昂っているのが嬉しかった。
また…あの法悦がやって来る。
挿入の補助をするように片脚を立てると、その勢いを受けてベムの身体が捻じ込まれた。
「あぁ、んっ…」
焦れったく膣口を捏ねる先端がひどく熱い。
「ね…早く」
普段であれば絶対に言わない言葉だった。それが今夜ばかりは淫らな熱に浮かされて、男を誘って
いる。垂れた銀髪の奥で、薄い笑みが見えた気がした途端、緩やかに侵入してくるものの圧倒的な
体積に悲鳴が上がった。
374 :
融月光 6/6:2011/12/26(月) 01:55:42.60 ID:laiR0VtG
「いやあああ!」
まさかここまでこの男が興奮しきっているとは信じられなかった。それほどに膣内を犯す一物は凶器
となって最も奥まで突き当たる。
「そうだ、ベラ。ここでは声など抑えなくてもいい」
全てを収めてから激しく突き上げてきたベムが、ひどく優しい声で唇を吸う。敷き詰められた服など
もみくちゃにしてしまう勢いでベラは絶叫を上げて悶え狂い、ベムの腕の中で身をくねらせて喘ぎ続
けた。
「あぁ…ベム、あたし、死…」
しばらくは忘れかけていた恐怖が、まざまざと蘇った。死のない自分たちにとって有り得ない死が
すぐ近くにあるようで、思わずベムに縋りついた。
「どこにもやらない、ベラ」
宥めるように顔中に降らせてくるキスが今は嬉しい。やがて終わりのないほど舌を絡ませ唾液を啜り
合い、ケダモノと化す二人の姿があった。
熱が引いた後は寒さが立ち戻ってくる。
それでも服を身につけることもせずに二人は窓の外で煌々と輝く月を眺めていた。
ベムだけではない、人間と関わることで変化しているのはベラも同じだ。まだこの街に来て日も浅いが
そんな日々は満更悪くないと思えている。
けれど、もうじき終焉を迎えるような気がした。何もかも。
同じ予感があるのか、髪を撫でてくるベムの手が何だかぎこちない。この穏やかな時間を幸せと言う
のであればせめてもう少しだけ続いて欲しいと思った。
この豊穣の月夜は、名前のない男と最後の戦いをする数日前のこと。
終
GJ!
素晴らしくエロい
ここは優秀な職人さんが多い、なんという良スレ
>>357 三人でくるまって寝てるとかかわいすぎる
>>368 あの青い光の中で肌を合わせてるんですよね...美しいすなぁ
はーこんな良質な作品たちをタダで読めていいんだろうか
GJ!
二人とも美しすぎる
そして堪らなく切ない
>>357 >>368 GJであります!
コメディもシリアスも似合うベムベラが愛おしくてたまらない
二人が好きすぎて辛い
>>368 それでいいと思うよ。
現実世界での最終回は新月の一日前だけど、ドラマの世界だしね。
たまたま満月のクリスマスってことになってるみたいだから、合ってる。
ミタスレでこんなの見つけた。
168 :名無しさんは見た!@放送中は実況板で:2011/12/26(月) 21:30:12.85 ID:i7eS0ESwO
>113
満月のクリスマスだったから、三田が阿須田家と別れた日と、ベムが夏目と別れた日が同じって事だよね。
同じ市内の同じ時期に起きた物語だったと印象付けたかったんだろうね
>>357 起きないくせに口づけで発動する寝ぼけのエロいこと
天然エロなベムさんの本領発揮って感じでツボりました
油性ペンで何を書かれたのかも気になったり
何かエロのない、ぽやんとした話が出来た。
383 :
星に願いを:2011/12/28(水) 01:09:13.48 ID:dQbKq9aj
「あ、流れ星だ」
夏目家に遊びに行った帰り道、ベロはきらきらした目で夜空を見上げている。
「えーと、願い事は何がいいかな…」
ひい、ふう、と指を折っているところを見ると、流れ星に願いたいことが幾つもあるに違いない。
「まずは先に決めておかないと、星が流れ終えてしまうよ、ベロ」
ベロと手を繋いで歩いているベムの横顔は、今日も穏やかだ。この街に流れ着いて以来、何故か
人間の知り合いが増えた。子供のベロは遊び相手が出来たからともかくとして、ベムもそのお陰か
色々と影響を受けまくっている。
今まであえて人間に関わってこなかったというのに、危険だ。ベラの思いはただそれだけだ。迂闊に
人間を信じたばかりに三人ともどれだけ過酷な目に遭ったか、もうこの極楽とんぼな二人は忘れて
いるに違いない。
「あんたたちには、付き合いきれないね」
相手にしているとつい感化されそうで、ベラはさっさと帰途の歩を進める。
「あー、また流れた」
ずっと後ろで、ベロの無邪気な声がした。
「ねえ」
ベロがようやく寝付いた頃、ベラは何となく気になっていたことを尋ねた。
「あんたは星に何を願ったんだい?」
寝冷えをしないようにベロの身体をしっかりありったけの布でくるんでから、ベムはようやく答えた。
「…特に、何も」
そういえば今までベム自身が何を望んでいるのか、一度も聞き出せたことがない。人間になったら
何をしたいのかも、食べたいものも、何一つ。欲が全くないのかとも思ったが、別にそうでもないのだ
ろう。面倒臭い男だと思った。
「そうかい」
やや不貞腐れながらも、ベラはこの憎らしい無粋な男の背に悪戯っぽく身をもたせかけた。
「あたしはねえ…あんたの腹の中が知りたいよ」
どうせ今度も碌な返事がないに違いない。そう高を括っていたのに、ベムはわずかに顔を背後に向け、
とても小さな声で呟いた。
「…知っているのかと、思っていた」
生憎と、ベラにはこんな無口な男の腹の底を見られる能力はない。
「馬鹿言うんじゃないよ」
「そうか…」
何となく噛み合わない会話がぽつりぽつりと続く。もしかしたらほんの少し歩み寄ろうとしているのかも
知れないのだが、それはどうでも良かった。
ただ、こんな形ででも会話が続くのは嬉しい。相手のそういう面がやたらと気になるのは不思議なもの
だと初めて感じていた。
今夜はこれからどうなるのだろう。
終
GJ!
二人のつかず離れずな感じがいい
>>380 >同じ市内の同じ時期に起きた物語
三田さんも見ればよかったな
>>383 この距離感がすごいリアル
いいなあ、GJ!
亀は今回の役作りにおいて、人間ではない妖怪らしさを出すために
すね毛もギャランドゥも剃ったらしいが
だとしたら妖怪さん達は下の毛は無いということなのか
ベムもベラも下はツルツルということか
それはそれでエロいな
想像したら人外エロっぽいのがそそるわ
そりゃ、あのローライズなぴったりパンツじゃねえ…うっかりってこともある
かも知れないし
脇毛も生えないよな妖怪は
なんかIDがちょっとベムっぽいw
>>368を書いている時思ってたことや、最終回後の三人はどうなったのかなど、
色々ありったけブッコミで書いてみた。
エロもがっつりやりたかったし。
でもなんかまたしてもベラごめんよ。
昨日までは光の爪痕のような細い月が昇っていたのに、今夜は真っ暗で何もない。
冷たい、寂しい夜だった。
人間たちの生活の営みが一時的に止まる時間帯、ビル街の一角で怪しく蠢く影があった。
ビルの隙間、壁にもたれているのはベムだった。人間たちの前から姿を消してから一ヶ月と半もの
時が経っていた。その腕には癒えかけている大きな傷がある。
「大丈夫かい?」
傍らではベラが腕組みをして様子を伺っていた。どうあっても人間を助けなければ気の済まないのは
分かっている。傷などものの数ではないことも。それでも、傷つけば当然痛みは伴い心も苛まれる。
それでもなお、この道を選んだ男の哀れさを感じずにはいられない。
その時、長いこと俯いていたベムがゆらりと顔を上げ、静かに呟く。
「血が、滾るんだ…」
眼差しに危険なものが宿っているのを、ベラは見逃してしまった。はらりと解けた銀髪の奥で鋭く輝く
目がすうっと細められる。
「ベラ」
突然後ろから抱き締められ、近くの壁に押し付けられる。混乱しながらも暴れたのだが力はとても
追いつかなかった。そのままドレスの裾が乱暴にたくし上げられ、閉じられた膣内に指が侵入してきて
荒々しく掻き回していく。
「ちょっと、やだってば!いきなりは…あぁああっ!!」
あまりのことに精一杯抵抗したのだが、そんなことは関係ないとばかり強引に、濡れても慣らしても
いない箇所に既に昂ぶっていたものがずるりと擦れた音をたてて押し入ってきた。まだ乾いている
粘膜が擦れて引き攣れる感覚がひどく辛い。
「ぁ…ううぅっ…いた、ぃっ…」
無意識に涙が零れた。
以前なら強引ではあっても、こんな強姦まがいの行為に及ぶことなどなかった。激痛と恐怖で軋む
身体が竦み上がる。手をついていた壁に必死に爪を立てて耐えるベラの耳に、ひどく荒く熱い息が
かかる。
「ぁああ…もう、やだぁ…」
「済まない、ベラ。でも止められないんだ…」
恐ろしく真剣な声が耳を焼く。メチャクチャに動かれて酷く悶え苦しみながらも、ベラは衝動を抑えら
れないベムに憐れみを覚えていた。
濡れてもいない箇所を無理に切り裂きながら、引きつ進みつしてようやくベムの一物が膣の奥までを
満たしていく。勢いが増幅していくばかりの一物の先端が突き当たりをぐりっと擦りつけた。
「はぁぅうっ…」
痛い、苦しい。なのに逃げられない。悪戯に壁を掻きむしりながら、ベラは必死でこの責め苦に耐え
続けていた。ベムが何に悩んで苦しんでいるのかは、心が引き裂かれるほど分かっているからこそ
完全には拒絶出来ない。
強引な挿入でどこかが傷ついて血塗れているのだろう、急に内部の滑りが良くなった気がした。その
助けを借りて更に激しく突き上げられる。
「嫌、いやあぁっ…」
髪を乱しながら耐えるベラの息が次第に上がっていく。苦痛は依然として続いているが、じわりと快感
が生まれ始めているのが分かるのだ。ぐちゅり、と突かれる度に濡れた音が響く。きっと愛液が滲み
始めているのだろう。こんな風に手酷く扱われてまで快くなってしまうなんて、信じられなかった。
「あぁぁ…」
「くっ」
空しく指先が空を描いているうちに、突然ベムの動きが止まる。同時に熱い迸りが内部を叩いた。
やっと終わった、と安堵するベラだったが憎らしい男は身体を離そうともせず、むしろ荒い息遣いで抱き
寄せて首筋を吸い、乳房を乱暴に探ってくる。
まだ続ける気なのだと、魂の底までが冷えた。
「ベラ…ベラ…顔を、見せてくれ」
熱い囁きが耳を蕩かす。
竦んでいた身体がその熱でわずかに緩む。恐怖感が薄れているのを読み取ったのか、繋がったまま
身体を反転させられた。
「うぁあっ!」
背中に壁の凍てつくような冷たさが伝わってくる。しかし目の前で怖いほど真剣に見つめてくる男の
眼差しに、何も感じられなくなりそうだった。こんな情欲を叩きつけるしか出来ないベムの心情を何とか
理解しようと、回らなくなりかけている頭を巡らす。
この男には、庇護するべきベロは別として、もう自分しかいないのだから。
なまじ人間と長く関わってしまったこともあり、失うことに恐れを感じていることだけは肌越しに伝わって
きている。
そんな悲痛な眼差しから目が離せない、離してはいけない気がした。
「…ベラ」
「ベム、あんたは哀しいね…とても哀しい…」
「それは、言わないでくれ」
「危惧はしないでいいよ…あたしは、永劫あんたの側にいる女なんだから…そうだろう?」
まだ膣内に収まっているベムのものが、その言葉でぐっと硬度を増した。現金な男だ。
しかし罪悪感を感じずに済むのであれば重畳、というところか。只でさえ些細なことで悩みがちなこの
男には、あまり気を煩わせて欲しくなかった。
「あんたも、ホント面倒臭いねえ…」
両手で白い頬を挟み、顔を近付けて口付ける。冷たい唇の端に血が滲んででもいたのだろう。妙な
味がした。あれだけ乱暴に女を抱きながら、自分でも苦しんで血を流すなんて何と不器用で馬鹿な男
なのだろうと、急におかしくなった。そこにこの男の真実がある。
こんな不甲斐ない男だからこそ、離れる気になどなれないのだろう。
「したい時は、こんな風にいつでも付き合ってやるよ。ベム」
ベムの唇の血を舐め取って笑いかけると、おずおずと舌が返事のように唇に触れ、すぐにベラの舌に
絡みついてきた。
膣を犯す一物はもう勢いをすっかり取り戻している。
「何度でも…ね。あたししか、あんたを鎮められないんだよ」
再び血が噴き出すほど強く男の唇を噛んでから、舌先でなぞってベラは笑った。
生まれてから数十年と、ベムやベロとあてどない旅をしてきた。
その間、変な話だがベムとの間に性的なものは本当に何もなかった。
どのみち同じ細胞から分裂した同志だからと、ベムの目の前で水浴びや着替えをしても特別何とも
思わずにいた。ベムもきっとそうだったに違いない。
それが、この生まれ故郷の街に偶然やって来てから色々なものが変化していった。
親しくなった人間たちに囲まれているうちに、もともともあった人間への憧れが希望になった。その為
生物本来の本能が自然と喚起させて、生殖能力は皆無にも関わらず突発的に性的欲求が生まれた
としか思えない。
その証拠に、ベムとこんな関係になってからそれほど経ってはいない。最初のきっかけ自体もあまり
思い出せないほど些細なものだ。なのに身体が繋がればいつの間にか心までが繋がる。陰と陽の
如く男と女として悦びを感じ合ったことはやはり特別なのだ。
人間になるという希望を自ら捨ててからのベムの変化は、こんな本能的なところに最も顕著に表れて
いるのがつくづく哀れだと思う。
よくよく考え、納得して得た結果とはいえ、やはり心のどこかでは忸怩たるものがあるのだろう。
簡単に割り切れない気持ちは分かる。
二度と戻れないことを知りつつ選択したこの運命を、今更後悔などしていないことも。そして、それでも
どうしても思い出してしまうことすら。
ベムやベラならそれでいい。
しかし子供のベロはそうたやすくいかなかった。
二度と会えない優以を今はまだ思い出すのか時折寂しそうな顔をする。寝ている最中でさえ、顔を
歪ませてうなされるように何度も名前を呼ぶ。不憫なものだ。
しかしいずれ時が来れば忘れてしまうのだろう。今までもそうだったように。
「あぅっ…」
何度目か、もう分からなくなるほどだった。
突き上げられる度、壁に髪を押し付けてベラは切なく喘ぎ続けている。この夜、時を忘れたようにベム
は欲望を叩きつけ、吐き出してはまた一物の勢いが立ち戻った。体位を変えることすらもどかしいのか、
立ったままの体勢がずっと続いていてベラもさすがに疲れきっている。なのに求められれば女の本能
が悦び応えるのだ。
一度も抜かれず繋がったまま情交と射精が長く続いているので、膣内に収まりきれない精液と愛液が
混ざり合って白い内腿をたらたらと伝い落ち、足元に淫らな溜まりを作っている。
「…ベラ」
疲れも見せずに求め続けてくるベムの、抱き締めてくる腕がとても熱い。親しくなった人間たちと接して
いた頃には絶対に見せなかった顔をして、隠しだてする必要のなくなった素を出しているのであれば
嬉しいと思った。
「あぁ、んっ…ベムぅ…あた、しっ…」
「ベラ、ずっと、だ…」
「ン…そんな、こと当たり前、だって…」
壁に縫いつけられるように組み合わされた互いの指が、硬く絡み合う。こんなにも強く求めてくる男が
永遠に側にいるのであれば、それは女にとって最高のことに思えた。そう思うだけで、疲労などもの
ともしない情欲が再び湧き上がってくる。
空いているもう片方の手でベムの銀髪を子供にするように撫でた。やや乱れた髪の下で、何故か
戸惑うような色が眼差しに浮かぶ。
難儀なことだが、やはりまだどこかに罪悪感の欠片を隠しているのだろう。
「…もっと、あんたが欲しい…」
わざと繋がっている部分をするすると指でなぞって、ベラは挑発的に笑った。そこはもうどちらのもの
か分からない体液で濡れそぼっていて、二人の鼓動がそのまま伝わっているようにどくどくと脈動して
いた。
「幾らでも…やる。ベラ…」
ベムは鼻先を擦り合わせて囁きながら、唇を重ねてきた。この先どれほどでもこんな夜はあるに違い
ないが、今はとにかく少しでもたくさんこの男を感じていたかった。
与えられる快感に酔い痴れたくて、ベラは目を閉じる。
冬の夜長とはいえ、妖怪二人が逢瀬を愉しむ時間はそれほど長くない。
気が付けばそろそろ空の一角が白み始めている。もう人間たちの時間が始まろうとしていた。
「…さあ」
身支度を終えても名残を惜しむようにしばらくベラを抱き締めていた男は、空の色の変化を見遣って
身を起こした。
「そうだね…」
ベラもまた慣れたことのように差し出された手を取る。
また夜までは身を潜めるしかないが、そんなものは気にならない。日が落ちて深夜になれば、この男
の本能が再び咆哮するのだろう。それを考えるだけで、早くも女の芯が疼き始めている。
「ねえベム」
しかしひとまずは心身を鎮める為に、ベラは以前聞きかじったことを話し始めた。
「ちょっと前、緒方の爺さんに聞いたことがあるんだ。地獄を極楽にする方法ってのをさ」
「…何だ、それは」
さすがにベムもそれは知らなかったらしい。やや食いつきが良かったのは面白い。えへんと胸を張り
ベラは得意げに言葉を続けた。
「要は気の持ちようってこと。どんな状況であってもその中にいる限りは現実だからね。だったら少しは
楽しいと思えれば得だろ?」
わずかに面食らった顔をしながら少しの間首を傾げていたベムは、やがて得心したようにベラの身体
に腕を回した。
「そうだな、ありがとう…」
とだけ言って。
特に何の意図もなく言っただけだが、ベムがそれで少しでも救われたと思っているのであれば何より
なのだろう。
冬とはいえ、晴れ渡った日中はそれなりに暖かい。
人間たちは今日も何も知らずにそれぞれの『普通の日々』を継続している。それだけをずっと切望して
いたのに叶えられなかった妖怪たちは、ビルの上から見るともなしに平凡な営みを眺めていた。
「呑気なモンだねえ」
傍らではしゃいで遊ぶベロを見遣りながら、髪を風に流してベラは愚痴った。
「あたしたちにとって、人間になるってことは何だったんだろう…」
屋上の貯水タンクから飛び降りてきたベムは、それに答えず指先で風に舞っていた髪に触れてくる。
本当に、どこまでも無粋で愛想のない男だ。
「まあいいさ」
ベラは誰にも聞こえないように呟く。
長年の念願だった人間になるという希望はあえなく潰えたが、この男との間にはまだ男と女の命題と
いうある意味大きなものが残されている。完全に解き明かすまでにはかなりかかりそうだが、なあに
時間は腐るほどある。
いつかはこの男への気持ちが何であるのか、分かるに違いない。腹の底の読めないこの男の本心も
また同じこと。
この先の道行きがどれだけ長かろうと、まずは気の済むまで生きてみよう。何も結論を急く必要はない
のだ。
この世の全てが終焉を迎えたとしても、きっとこの男の側にいる。
「どこまでも行こうじゃないか、ねえあんた」
さらりと笑いかけて胸にもたれてみると、無粋な男の腕がぎこちなく抱き寄せてきた。全ては何もかも
これからなのだろう。地獄など幾らでも極楽になる。
終
397 :
どえす:2011/12/29(木) 23:23:42.13 ID:KZr7WX2m
>>391 GJです!
不器用でせつない二人だけど、希望を持てるラストでなんか安心した
確かにベムは溜まったものがはじけたらかなり荒々しいことしそうだな
GJ!!
切なくてエロい所が良い
GJ!
ドラマはとうに終わったというのに
この二人に対する熱が一向に冷めなくて困る
エロくて耽美でほのぼのなベムベラハァハァ
三次元でこんなに「耽美」「妖艶」という言葉が似合うカップルは珍しい
403 :
358:2011/12/31(土) 05:36:02.35 ID:yRASvTnu
確かにあんまりだったので何とかしてみたら、今度はベムががんばりすぎた。
リベンジ冬の朝。エロあり。
>>381 「肉」「草」「ベラベロ合作、ベムの似顔絵」
お好きなものをどうぞ。
鉄板の上でへらに押される、お好み焼きの気分で目が覚めた。
眼前に広がるのは、見慣れた廃船の天井だった。
錆に覆われた無機質な鉄の天蓋は、深い夜の闇に溶け込み、縦横に走るパイプの形さえおぼつかない。
視界の片隅、入り口に近い一角だけが、漏れ入る月明かりにほの白かった。
まだまだ朝は遠いようだ。なぜこんな時間に目が覚めたのか、と、半分眠った頭で考えたベムの額を、
汗が玉となって滑って行った。
額に触れる空気は、きんと尖った真冬の温度だ。だが、体は異様に熱い。
というより、暑い。
不思議に思いながら、首だけ起こして自分の体に視線を向ける。
長い黒髪と、ツノの生えた小さな頭が、胸の上に重なるようにして乗っていた。
マントや上着や、ありったけの布を重ねてその中にくるまり、三人で寄り添って眠るのは、
寒さをしのぐために昔からやっている冬場の夜の過ごし方だ。
今夜は特に冷え込んだから、確かにいつもよりしっかり身を寄せて眠りに落ちた。
だが、二人そろって自分の体に乗り上げなくてはならないほど、寒かったのだろうか。
もう一度首を起こして辺りを見回す。よく見れば、上掛けの山がずれて腰のあたりまで落ちていた。
誰かが寝ながら蹴ったらしい。そのせいで体が冷えたのだろう。
おそらくベロか、それとも意外に寝相の悪いベラか。
どちらにしろ、気づかず寒い思いをさせてしまった。
自責の念に駆られながら、ベムは手を伸ばして二つの頭を撫でた。
胸の上に腹ばいになり、頬をぺったりくっつけたベロは、ほかほかと温かかった。
上半身を乗り上げ、ベロを抱きしめるように腕を回したベラの体も、どこも冷えてはいない。
少なくとも今は寒くはないようだと安堵し、ベムはずり落ちた布の山を押しのけ身を起こした。
重いというほどではない。
だが、とにかく暑かった。
ベロの体を落とさないよう抱え、もう一方の手でベラを支えてそっと引き離す。眠りに落ちた体は
弛緩していて、いつもよりずっと柔らかく感じた。
起こさないように気を付けて横たえ、その隣にベロを下ろす。もう十分暖かいのだろう。いつもなら
寝ながらでも擦り寄っていくのに、ベロは大の字になってすやすや寝息を立てている。
眠る二人を丁寧に布で包み、ようやくベムは息をついた。
せせらぎが緩やかに船を揺らしていく。
隙間から忍び込む月光は細く淡く、だが闇に慣れた目には十分すぎるほど明るかった。
なかなか引かない体のほてりを持て余し、冷えた空気に身をさらしながら船倉の中を眺める。
うっすらと浮かび上がる食卓や椅子、ベロのおもちゃたちを見まわして、何度目か眠る二人に向けた
ベムの視線が、ふと止まった。
山のように重なった布の奥。
細く開いたベラの双眸が、ぼんやりベムを見つめていた。
船を打つ波音だけが響く船内で、しばらく無言で見つめ合う。
やがて、一つ大きく欠伸をすると、ベラがのそりと頭を持ち上げた。
「なにやってんだい湯たんぽ二号」
咎めるような囁きに、ベムは黙ったまま数回瞬きをした。反応が気に入らなかったか、ベラの眉根が
小さく寄った。
ちらりと隣を見下ろして、ぐっすり眠るベロの姿にその頬が少しだけ緩む。だがすぐ表情を改めると、
ベラは寝ころんだ状態で手を伸ばし、ベロの横の床をトントンとたたいた。
「そんなとこ座り込んで。寒いじゃないか、さっさとお戻り」
「……暑いんだ」
「なに言ってんの。いいからお戻りったら」
「いや……」
「お、も、ど、り」
有無を言わせぬ口調に負けて、ベムは腰を上げた。音を立てないようにじり寄り、示された場所へ
横たわる。
布の中に体を入れないことを不審に思ったらしく、ベラが睨んできた。
「なにしてるのさ」
寒くないのかい、といらいら呟く。
「……だから、暑いんだ」
「どこがだい、こんなに寒いのに。ほらすっかり冷た……」
白い手が伸びた。ベロを挟んだ向こう側、困ったように見返すベムの額に、温かい手のひらが触れる。
触れた途端、ベラの目が見開いた。
「なんであんた、汗なんかかいてるの」
「……いや、だから」
「頭までびっしょりじゃないか。え、なんだいこれ。気持ち悪いねどうしたのさ」
きつい口調とは裏腹に、焦りを浮かべた顔でベラが身を起こした。汗ばんだ顔をぺたぺたと撫でまわし、
それでも気が済まないのか、すやすや眠り続けるベロを越えて、無理やり横に乗り込んでくる。
ベロが潰れないよう、あわててベムは体をずらした。だが、空いた分だけベラが押し入る。仕方がないので
また後ろへとずれる。
ぐいぐい迫るベラに押されて、ベムも横になったままどんどん後ずさった。
とうとう端まで追い詰められ、船倉の壁に頭が当たった。ごん、と鈍い音に、一瞬意識が遠くなる。
その隙に、ベラが顔の上に覆いかぶさってきた。
長い髪が垂れて頬をくすぐる。髪が作る影の中、見下ろしてくる目は真剣な光を帯び、同時に不安で揺れていた。
「具合でも悪いっていうんじゃないだろうね。……それとも、変な夢でも見た?」
「……ベラ」
「なに、どうしたの。言ってみな」
囁く声と、頬を撫でる手が、ひどく優しい。
いつの間にか、ベムの額から汗は引いていた。代わりのように冷たく湿ったベラの手を取る。
それでも手は離れない。細い指先が、忙しない動きで目の下を撫でた。
壁に沿って身を起こし、向かい合って座り込む。覗き込んでくる大きな目に、こっそりため息をついて
ベムは口を開いた。
「本当に何でもない。暑かっただけだ」
「でも」
「寝ていたら、お前とベロが俺の上に乗ってきた」
「……」
「それで、暑くなったから、涼んでいた」
それだけだ、と囁いた声に、ベラの目が丸くなった。
まじまじと見つめてくる顔を、いたって真面目にベムも見返す。やがて、丸かったベラの目がすっと細くなった。
握っていた手がふり払われた。ぐっと固められた拳が、鋭く頭上に振り下ろされる。
ごん、と、本日二度目の鈍い音が頭の中に響いた。だが予想していたので、特に衝撃は感じなかった。
黙ったまま顔を上げる。長い髪の向こうから覗く目は、先ほどとは違う光でぎらぎらと輝いていた。
「……紛らわしいことするんじゃないよ!」
「ベラ。声が大きい」
「この寒いのに大汗かいてたら驚くにきまってるだろ!理由があるなら、なんでさっさと言わないんだい!」
「……言おうとは、したんだが」
「わかりにくいんだよあんたは!」
「すまない。気をつける」
小さく頭を下げたベムをぎらつく目でにらみつけ、ベラはぷいと顔をそらした。その視線が、背後で眠る
ベロへと流れる。
ベロは起きる気配もなく、平和な顔ですやすや眠り続けている。夢でも見ているのか、可愛い声で何かつぶやき、
小さな体はそのまま布の山の中へ潜っていった。
視線が戻る。無表情に受け止めるベムを、いらいらと髪を掻きむしりながら睨んでは目をそらし、それを何度か
繰り返した末、ベラはふいに目を伏せた。
うつむいた肩に、髪が流れ落ちる。わずかに漏れ入る月明かりが髪の上で弾けて広がり、まるでそのものが
光を放っているように見えた。
輝きに魅入られて見つめるベムの目の前で、細い体が傾いた。
胸に、とん、と軽い衝撃が落ちた。うつむいたベラの額が胸に触れている。顔が伏せられ表情は伺えないが、
触れた場所はひどく熱かった。
しばらくの間、流れる髪と滑らかな背中の線を見つめていたベムの手が、ぎこちなく上がった。
少しだけ身をかがめ、腕を伸ばし、強張った背中に触れる。びくりと震えたそこを不器用に包み込み、
さらに手を伸ばして白い肩を鱗ごと撫でれば、額と同じほどの熱さが手のひらに伝わってきた。
肩を、髪を、背中を、たどたどしく何度も撫で続ける。やがて深いため息とともに、ベラが身じろいだ。
細い指が首に触れ、おずおずと背中まで辿った。顔は上げず、こちらもぎこちない動きで座り込むベムの足の間に
入り込み、そっと寄り添ってきた体を、ようやくベムは両手を回して抱きしめた。
胸が触れ合い、肩が重なり、背中に触れていた手が頭を抱え、互いの頬が首筋に触れる。
どうにか抱擁が完成した瞬間、二人の口から同時にため息が漏れた。
錆びた船底を、濁った水が流れていく音が聞こえる。
夜半の風が、外壁の錆を揺すっている。ベロの寝息は規則正しく穏やかで、深い眠りの底に落ちたままのようだ。
いつも以上に鋭くなったベムの聴覚に、雑多な音が触れていく。
抱きしめた体の奥、普段より早い鼓動の響きも。
はじめこそ妙な緊張感に包まれていたが、こうして抱き合ってしまえば、辿りつくまでのぎこちなさなど忘れたように
体は馴染んだ。伝わる暖かさに、だんだんと心が凪いでいく。それに合わせて、体からも強張りが抜けていく。
こちらも落ち着いてきたらしい。最初よりずっと穏やかな鼓動に戻ったベラが、少し強く抱きしめてきた。
「……あんまりびっくりさせるんじゃないよ」
耳元で、ぼそぼそと低い声が聞こえる。
「……すまない」
「なにが起きたかと思っただろ」
「ああ」
「夜はおとなしく寝るもんだよ」
「ああ」
「ったく。おかげでらしくない真似しちまったじゃないか」
「そんなことはない」
ぱっとベラの体が離れた。やはり無表情に見下ろす顔に、いらいらと眉がつり上がる。
何か言いたげに口が開いた。そこから言葉が出る前に、ベムは大きく首を振った。
「そんなことはない」
「は?どういう意味……」
「ベラはいつも優しい。俺もベロも、ずっと昔から知っている」
虚を突かれたように黙り込み、ベラの目が大きく見開いた。無表情に、だが真剣に見つめるベムの顔を
ぽかんと見ていたその目が、ふいに泳いだ。
闇の中、視線があちこちへ流れる。こちらは揺るがないベムの視線に、またいらいらと髪を掻きむしり、何かを
言おうとして続かず、ついに黙り込んだベラの口から、やがて大きなため息が漏れた。
「そういうの、どこで覚えてくるんだい」
「……俺はなにか、おかしなことを言ったか」
「あんたはいつも変だよ」
きっぱり言い切られた言葉に、ほんの少しベムの目が見開いた。
そうか、と低い声はいつも通りの無表情だが、その奥に悄然とした色が浮かんでいる。
小さくうつむき、黙り込んだベムをしばらく眺め、だがとうとう耐えきれず、ベラは噴き出した。
「もう。本当に困った男だねえあんたは」
押し殺した声で笑いながら、白い手のひらがベムの頬をぺちぺちと軽くはたいた。戸惑って顔を上げたところで、
今度は両手で頬を挟み込まれる。
いちいち気にしすぎなんだよこの小心者、と厳しい言葉を吐いても、あやすようにさする動きは、やはりひどく優しい。
闇の中、低い笑い声がひそやかに流れていく。それはわずかな月明かりよりもずっと鮮やかで、真冬の冷気を
押しのけるほど暖かかった。
ベムの胸に、ふいに何かがこみ上げてきた。
ひどく悲しいような、苦しいような、それでいて熱いような。それが何かと感じる前に、手が動いた。
頬を撫でる手を握り締める。ベラの笑い声がぴたりと止まった。
言葉が浮かばず、無言で顔を覗き込む。見上げてくる目は少しも揺らいでいない。いつものように力強く、
そしていつものように、優しかった。
少しの力で、頬に触れた手は抵抗なく外れた。そのまま顔を近づけても、ベラは目を背けようとはしなかった。
頬に唇が触れた瞬間、微かな強張りを感じた。だがそれも一瞬で、すぐ力は抜けた。
滑らかな頬に何度も触れ、そのままずらして唇に触れる。重なったそれはきつく閉じていたが、とても暖かかった。
ゆるく手をつなぎ、口を引き結んで唇だけ擦りあわせる、拙い口づけを繰り返す。
心が凪いでいく。ただそれだけのことに、満たされていく気がした。
だが、満ちたと思った心は溢れ、零れ落ち、瞬く間に大きな川となって流れ出した。満たされてもなお、胸の奥から
こみ上げる何かが、その流れに拍車をかける。
流されていく。心も、体も。すでに知っている、もっと深く満たされる場所へたどり着こうと。
つないだ手を片方だけ外し、ベムは細い背中に触れた。服の上から華奢な背骨の線を撫で上げれば、ぼやけるほど
間近にあるベラの目が、驚いたように瞬いた。
唇が離れる。逃したくなくて追いかける。呼吸のためか、微かに開いた口をふさいで舌を差し入れた。
唇よりずっと熱く、湿った口内の感触に、首筋の毛がざわりと逆立った。
忙しなく瞬きをつづけるベラの、長い睫毛が頬をくすぐる。それでも繰り返し上顎や揃った歯列を舐め続けるうち、
やがて濡れた舌の先が、おずおずと応えるように触れてきた。
たどたどしく絡まる舌が、闇の中濡れた音を響かせる。音に引きずられ、背骨の奥が熱くなっていく。
息が上がっても離せない。交わる吐息に心が燃え出す。上がり続ける熱に押され、ベムは口づけたまま抱いた体に
自分の体重をかけて、ゆっくりと床に押し倒した。
漏れ入る月光から一番遠い船倉の奥。錆びた床に広がる髪は、その一本一本が細い光の糸のように見えた。
魅せられ、夢中で貪り続けるベムの頬に突然、暖かな指先が食い込んだ。
強い力で顔を押し上げられ、絡めていた舌が抜ける。
とたんに肺を満たした冷たい空気に、ベムははじめて自分が窒息寸前だったことに気づいた。
「……も、この馬鹿、苦しいって……」
むせこみながら呼吸を繰り返すベムを、ベラが真下から睨みあげてきた。こちらもぜいぜいと息を荒げ、
よほど苦しかったのか、目まで潤ませている。
瞬きに押され、頬を一筋、涙が零れ落ちた。
ざわりと、また背骨が熱くなった。
「ちょっ……」
濡れた瞼に唇を押し付ける。薄い皮膚の感触を味わい、頬を撫でながらそのまま滑らせて額に、浮いた鱗に
舌を這わせる。
はあ、と深いため息を漏らした唇をまた貪り、おとがいをたどって首筋に歯を立てた瞬間、ベラの体がぎくりと強張った。
反射的に顔を上げる。腕の中から、丸くなった目が見上げていた。
高い波に、船が大きく揺らいだ。骨組が立てる軋みの中、しばらく無言で見つめ合う。
「……する、の?」
探るような声に、低く答える。
「駄目か」
「い、いきなりぐいぐいくるね」
ベラの目がまた泳いだ。駄目っていうか、と口の中でもごもご呟きながら、天井や船の入り口、ベロを包んだ布の山と、
忙しなく視線をうろつかせる。
返答を急かすことなく、ベムはただ、つないだままの手に力を込めた。
軋むほどの熱が、背骨の中を駆け回っている。他の誰にも感じない欲が、今にも溢れそうなのを感じる。
心と体の薄い皮、一枚下を、熱い衝動が今にも突き破らんばかりに蠢いている。
満たされたいと思う。重なり、交わり、つながるあの幸福を、また分け合いたいと思う。
それでも、拒まれれば耐えるつもりでいた。
肉の交わりは女の負担が大きいことは知っている。ベラがまだそれに慣れず、苦痛と恐れを感じていることも。
それでもいいんだという、その言葉が嘘とは思わない。けれど。
満たされたいと思う。だがそれ以上に、大事にしたい。
もう決して、傷つけたくないのだ。
ふと、さまよっていたベラの視線が戻った。
無表情に見下ろすベムの目を見つめたその目が、細くなった。唐突に睨まれ、戸惑うベムに、ベラのきつい視線が
突き刺さる。
「今なんか、つまんないこと考えてただろう」
「……いや、特には」
「嘘お言い。あんたがそういう顔するのは、たいていつまんないか余計なこと考えてる時だよ」
ぺちぺちと平手で頬をはたきながら睨む目は厳しかったが、つないだ手の甲を撫でる指先の動きは、優しかった。
くすぐるような動きに、熱が煽られる。だがそれ以上に、心が安らいだ。
「……すまない」
「は?」
「いやならいい」
ぽつりとつぶやいた言葉に、ベラの眉が跳ね上がった。珍しくも辛抱強く、先を促すように顎をしゃくられ、口を開く。
「いやならいいんだ。無理は、させたくない」
「……やっぱりつまんないこと考えてた」
盛大にため息をつき、もう一度ぺちん、と頬をはたいたベラの手が、首に回った。勝手に人の気持ち決めてんじゃないよ、
と、すごむ声は、怒りがにじんでいるのに、なぜかひどく甘く聞こえた。
強く引き寄せられ、胸の上に倒れ込む。体重をかけないよう、片手で自分の体を支えたベムの耳に、低い囁きが触れた。
「つまんないこといちいち気にして考えすぎんのは、あんたの悪い癖だよ」
「だが」
「うるさいねえ。……そりゃあまあ……でも最近じゃ一応、なんていうか、それなりに……」
「え?」
「うるさいっていってるだろ!」
白い手が銀髪を掻きあげた。額を、そこに生える異形の証を、暖かな指先がゆっくり撫でさする。
指を追って唇が触れた。瞼に降り、頬に触れ、緩やかに不器用に唇を吸う。
鼻先が触れ合う距離で見上げる目が、潤んでいる。ゆるく頬を撫で、どこかうっとりとベラは笑った。
「……いやなわけないじゃないか」
つないでいた手を離し、両手で横たわる体を抱きしめる。
強く抱き返され、そうしてはじめてベムはその体が、燃えるように熱くなっていたことに気づいた。
月の光も遠い闇色の一角。冷え切った夜の空気の中、その場所だけが熱く湿っている。
ひきつった息を途切れ途切れに漏らす唇に、ベムは何度目か自分の唇で触れた。呼吸を妨げないよう触れるだけにとどめ、
代わりに、開いた足の間に入れた手を動かす。
繊細で熱い粘膜の感触。じわじわとにじみはじめた蜜をまとい、指に絡みつく襞は温かく、つつましやかに震えていた。
熱に引きずられそうになる体を押さえ、襞の上、膨らんだ芽を指先で転がす。手を挟み込んだ内股がびくりとひきつった。
大きくまくり上げた裾から伸びた足が、闇の中白い。
首にしがみついていた腕が緩んだ。物言いたげに覗き込んでくる濡れた目元に口づけ、繰り返し指の腹で芽を撫でる。
歯を食いしばり、ベラが大きく首を振った。頭を抱えた指が、銀の髪をつかんで強く引っ張る。
「そこ、やだって……」
「そう、か?」
「やだよ、あ……だから、ああっ」
拒絶の言葉と裏腹に、また奥から蜜が溢れだした。
忙しない呼吸に、はだけた胸のふくらみが揺れている。乳房の頂で、硬く立ち上がった朱鷺色の先端を口に含み、
指の動きに合わせて舌で転がす。
またベラが首を振った。
「そこ、も、やだっ」
「……どこならいいんだ」
「そんなの、あたしが知るか!」
涙の浮かんだ眼で睨まれ、ベムは思わず動きを止めた。
いつもこうだ。拒まないのに、拒まれる。だがそれに従えば、結局苦痛を与えてしまう。
心と体が重なり合い、つながる喜びを、ベラも求めていると知っている。
だから、それでもいいんだという言葉が、嘘でないのも知っているけれど。
傷つけたくはないのに。
途方に暮れた顔で見下ろすベムを、さすがにばつが悪そうにベラが見上げた。白い指が頬に触れ、あやすようにくすぐる。
「いいからもう……大丈夫だから。おいでよ」
きつく目を閉じ、横を向いたベラを見つめながら、白い足をゆっくりさする。自分の体を挟んで大きく開かれた両足は
冷気にさらされ冷たく、いつもよりずっと白く見えた。
その間に、闇がわだかまっている。
夜の光では定かに見えない。ほの昏く、柔らかく、湿った。自分だけが知る、自分だけが拓ける闇が。
背骨が軋む。抑えがたいほどの熱を孕んだそれを鎮めるため、まとったままだったシャツに手をかけ脱ぎ捨てた。
冷気に肌をさらしても熱は引かなかった。むしろいっそう膨れ上がっていくようだ。
横を向いたままのベラに覆いかぶさる。素肌が触れ合う感触にベラの目が開いた。おびえた色を隠しきれず
見上げる頬を撫で、額を擦りあわせ、目を覗き込みながら、ベムはもう一度開いた足の間に手を入れた。
ぬるつく襞をかき分け、肉芽に触れる。円を描くようにこねる動きに、ベラが喉の奥で、ひっと悲鳴を上げた。
震える手が、足の間で動くベムの手をつかんだ。
「や、やだって、いってんのに!」
「ベラ」
「どうして、もう……あ、あ、やめ……」
「ベラ、本当に嫌なのか」
息をのむ音が聞こえた。
荒い息が唇に触れる。呼吸の源に唇で触れ、離れて、ベムは真上から濡れた瞳を見つめた。
「いつもそういうが。……教えてくれ。本当に、いやなのか」
真剣な声に、一瞬つり上がりかけた眉根が、困ったように寄った。
おずおずと視線がさまよう。
やがて、諦めたようにため息をつくと、ベラはぼそぼそつぶやいた。
「……だって……変、な、声が出るし」
「変?」
「……あんたはやたら見るし」
「……駄目なのか」
「当たり前だろ。あんな、みっともないったら……」
「そんなことはない」
きっぱり言い切った声に、今度こそベラは絶句した。
ぽかんと見上げるベラを見つめ、何故そんな顔をするのかと内心首をかしげながら、ベムは滑らかな頬を撫でた。
「少しも変じゃない。できるなら、俺はずっと見ていたい」
胸の下で、白い体が大きく震えた。
濡れた瞳がいっそう潤んだように見えた。だがもう一度覗き込む前に、伸びてきた手にしがみつかれ、
顔は隠れてしまった。
「……だからあんたほんとに、どこでそういう……」
「ベラ?」
「ったく。小心者の卑怯者ってのが、一番たちが悪いよ」
「……それは、俺のことか」
「あんた以外に誰がいるんだい」
素肌の感触が心地いい。どこもかしこも滑らかなベラの肌は汗ばんで、まるで吸い付くようだ。
熱を分けたくて、抱きしめる。柔らかく抱き返され、冷たいと思った体の底から伝わる熱さに、ベムはため息をついた。
暖められているのは、自分のほうかもしれない。
「ねえ、あんた以外に誰がいるの」
耳に唇を押し付け、笑いながら囁く声に、背筋が震えた。
止まっていた指の動きを再開する。溢れ続けるぬめりをすくい、膨らんだ肉芽に塗りこめるようにこすれば、
触れあう体が大きくおののいた。
だがもう、拒絶の声は上がらなかった。
ひきつる呼吸に合わせ、愛撫をつづける手をとらえていた指が離れた。それはぎこちなく奥へと伸びて、平らな腹の下、
ボトムを押し上げるベムの足の間を、そろそろと撫で上げた。
苦しいほどいきり立つ場所を白い手が撫でまわす。たどたどしい動きが逆に予期しない刺激を生んで、思わず喉が鳴った。
片手で抱き合い、片手で互いを慰め合いながら、何度も唇を重ねる。
愛撫の指を一本伸ばし、ベムはさらに奥を探った。襞の中はまるでとろけたように濡れそぼっている。その最奥、
いつも硬かった深い場所も、今は蜜にまみれてすっかり柔らかく、呼吸するかのようにひくついてさえいた。
慎重に触れる。指は何の抵抗もなく、呑み込まれるように根元まで入った。
はあ、と熱い吐息がベラの口から漏れた。
肉芽を撫でながら、ゆっくりと指を抜いてまた入れる。抵抗は全くない。動きを喜ぶように、熱い肉が絡みついてくるだけだ。
それは指を増やしても変わらなかった。
動きに合わせて細い腰が揺れ始めた。深い場所で円を描き、浅い場所で指を曲げ、そのたびに違う色を含んだ悲鳴が
喉の奥で上がる。
聞いたことのない艶やかな声に、背骨がきしんだ。奥歯を噛んで衝動に耐え、ベムは間近の顔を見つめた。
「ベラ。ベラ、どうした」
「……わかん、な」
「ベラ」
「わかんない、って……あ、あ、なんで、こんな……」
首を振り、見られたくないのか逸らされた顔を追い、頬に口づける。
そろそろともどった視線に、今度は唇に口づける。悔し紛れか噛みつかれたが、痛みは感じなかった。
やがてベムの体を挟んだ内股が、間断なく震えだした。
呼吸を荒げ、必死に声を殺しながら、濡れた目が何かを言いたげに見上げてくる。無言で問いかけても応えはなく、
ただ目の中にある微かな怯えと、戸惑いと、見覚えのない光が増していくだけだ。
なだめたくて目元に口づける。その拍子に指が、触れていた肉芽を強く押した。
びくん、とベラの体が跳ね上がった。
一瞬硬直し、すぐ弛緩する。深い息をつきながら目を閉じたベラの手が、ずるずると肩を滑り、床に落ちた。
今まで見たことのない反応に、こちらも硬直したベムの下で、閉じていた双眸がゆっくりと開いた。夢から覚めたような
顔でぼんやり見上げるベラの頬に、恐る恐るベムは触れた。
「どうしたんだ」
「……さあ」
「ベラ」
「なんだったんだろ。でも、なんだかすごく……」
ぼんやり呟いたベラの頬に、うっすらと笑みが浮かんだ。
ひどく穏やかな微笑みに、引き寄せられるように口づける。軽く吸いあって離れた時、ベラの目の中にはまた、
見覚えのない光が宿っていた。
床に落ちていた手が上がった。見下ろす頬に触れると同時に、こちらも力の抜けていたもう一方の手が、まだ自分の中に
埋まったままのベムの手に触れる。
「ねえ」
強く引かれて指が抜けた。蜜をまとわりつかせ抜けていく指の動きに、ベラの息がまた荒くなった。
熱く柔らかなそこから離れるのをためらい、ベムは手を止めた。半端な位置でとどまった指に、ベラがむずかるように
首を振る。頬を撫でまわしていた手が、いらいらと髪を引っ張った。
「……ベム」
濡れた目で見上げられ、懇願の響きを含んだ声でささやかれ、背骨が燃え上がった。
埋まった場所から指を抜き、濡れたそれでボトムをくつろげる。引き出した自分自身も、かつてないほど熱く硬直していた。
横たわったまま首だけ起こし、陶然とした目でベラが見つめている。
一瞬たりとも離れない視線に、見られるのがいやだといったベラの気持ちが少しわかった気がした。
だが同時に、見られたいとも思う。
情けなさも無様な様も、これまでもずっと見られてきた。何もかもを知り、知られてきたと思った。
だがまだ知らないもの、見たことのないものが、互いの中に存在している。
もっと見たい。見られたい。知りたい。知られたい。分け合いたい。そしてつながりたい。なにもかもで。
ベラの目の中には、この瞬間にはいつもあった恐れも不安も浮かんでいなかった。ただ貪欲に待ち望む色があるだけだ。
それも今まで、知らなかったものだった。
白い足を開き、腰を抱いて体を重ねる。待ちかねたように伸びた腕に頭を掻き抱かれた。
焼き尽くされそうな熱に耐えぬいて、ゆっくりと押し入った体の中はやはり柔らかく、濡れそぼって歓喜に震えていた。
半ばほど呑み込まれたところでいったん引き、突き上げる。繰り返す動きに、ベラの体が大きくのけぞった。
片手で口を押えているが、呼吸とともに漏れ出る声は止めきれない。さまよう目を見かねて抱き寄せると、
口を押えたまま強くしがみついてきた。
混乱を示すように、体の中も激しく蠢いている。やわらかく開き、それでいて強く銜え込んで離れない。絡みつく
肉の感触に、ベムの口からも耐えきれずうめきが漏れた。
暗い船倉に荒い息遣いが二つ、ひそやかに響く。
いつの間にか、隙間のないほどぴたりと下肢が重なっていた。こんなに深いところまでたどり着いたのははじめてだ。
触れたことのない最奥は溶けそうなほど熱く、ともすれば意識が焼き切れそうになる。
ベラは大丈夫かと心配になり、突き上げを緩くして顔を覗き込む。
抱き寄せた腕の中、口を押えたベラは、ぼろぼろと涙をこぼしていた。
見上げる目が見たこともないほど頼りない。思わず動きを止め、見つめるベムの肩に頭を寄せると、ベラは子供のように
泣きじゃくりながら、そこに顔を摺り寄せた。
少しの戸惑いと、それを凌駕する感情が胸にこみ上げた。
悲しいような、苦しいような。気を抜けば声となって溢れそうなそれを押さえ、腕の中の体をただ強く抱きしめる。
さまようベラの手が背中に爪を立てた。その痛みさえひどく甘い。
抱いた体を揺すりあげ、突き上げる。合わせて動くベラの腰が大きく震えた。波のように震えるその間隔が
だんだんと短くなっていく。
流されていく。溢れた感情が作り出した大きな流れに、心も体も引きずられ、呑み込まれていく。
一際大きくベラの体が震えた。また全身が硬直する。同時に強く締め付けられ、ベムも絡みつく肉の中に
すべてを吐きだした。
溢れるものを今度こそ抑えず開放する。目のくらむような幸福感に全身がつつまれた。
満たされていく。かつてないほど深く。
先ほどよりずっと長く固まっていたベラの体が、ようやく弛緩した。眠りに落ちた時のようにくたくたと崩れ落ちた
体を支え、そっと横たえる。
触れるだけの口づけをして、顔を覗き込む。意識があいまいなのか、ぼんやりとしたままだったが、ベラは少し
笑ったようだった。
その目は穏やかで、同じように満ち足りた光で溢れていた。
涙が出そうになった。
船倉に朝の光が満ち溢れている。
冬の陽光は弱いが、今朝は風もなく、幾分気温も高いようだった。
つつましくも山盛りの朝食を口に運んでいたベロが、ふと顔を上げた。向かいで目を合わせたベムに、
昨日寒かったの?と首をかしげる。
「なぜだ?」
「だって起きたらベムとベラ、すごくくっついて寝てたから」
おいら、真ん中でつぶれるかと思ったよ!と無邪気な声に、ベラがごほっとむせこんだ。
「……そうだったか?」
「うん。おにぎりになった夢見たもん。おかかの気持ちがよくわかった」
「……そうか」
「あったかかったけどね」
また食事に戻ったベロをしばらく見つめ、ベムはちらりと視線を横に向けた。
ベラは自分の器を見つめたままだ。知らぬ気に箸を動かすベラから目を戻し、ベムも食事を再開した。
「でも夜中は、おいらもちょっと寒かったかな」
黙々と食べ続けていた二人の箸が、ぴたりと止まった。
無表情に顔を上げたベムが、またベロを見つめた。
「……寒かった、のか?」
「たぶん。水まんじゅうのあんこになった夢も見たから」
「……」
「おいしそうだよねあれ。一回食べてみたいなあ」
箸をしゃぶり、しみじみとつぶやいたベロの器に、ベラが自分の器からつまみあげた草をぽいと放り込んだ。
きょとんと見上げたベロに、なんだか不機嫌な顔で顎をしゃくる。
「お食べ。それ好きだろ」
「え、いいの?これベラも好きでしょ?」
「いいからお食べ」
それだけ言って食事に戻ったベラを、瞬きしながら見ていたベロの器に、今度はベムが同じ草をつまんで
移した。
「どうしたの二人とも」
「いいから」
二人同時にそう言われ、また首をかしげながらもベロは箸を取り直した。
「よくわかんないけど、ありがとう」
嬉しそうに食べ始めたベロを見たベムの眉が、少しだけ考え込むように寄った。
日差しにあふれた船の中、食器の触れ合う音だけがしばらく響く。
「ベロ」
低い呼びかけに、おかわりしようかどうしようか悩んでいたベロは顔を上げた。
ベムと目が合った。無表情な中にも思いつめた色を浮かべ、まっすぐこちらを見つめるベムに、
ベロは思わず自分の器を見下ろした。
「……もう食べちゃったよ?」
「ベロ、すまない」
「え、なにが?」
「以後、気を付ける」
「なにを?」
ベムが固まった。
ベロに見えない視界の端で、ベラの目がぎらっと輝いた。
数瞬、自分の箸の先を見つめ、ベムはようやく考えながらも口を開いた。
「……時間配分……?」
「なんの?」
どむ、と鈍い音とともに、食卓の上の器が跳ね上がった。
ベロとベムも腰を浮かす。白い拳を固め、食卓に叩きつけたベラが、怖い顔で二人を見回した。
「あんたら、ご飯は黙ってお食べ!」
今度口きいたら外に放り出すよ!と、なぜかこれはベムのほうだけ見て吐き捨て、猛烈な勢いで
食事を始めたベラに、ベロとベムも黙って箸を持ち上げた。
「……ほんっとに、つまんないことばっか考え込んで!」
「黙って食べるんじゃなかったの?」
ぎろりと睨まれ、あわててベロは口を閉じた。
今はおとなしくしていたほうがよさそうだ。話の続きは、あとでこっそりベムに聞こう。
それにしても、朝はずいぶん機嫌よかったのにな、とベラを眺め、まあいいやとベロは食事を再開した。
波の穏やかな、冬の朝だった。
終
GJ!
このスレの作品本当クオリティ高いな
>>404 うわーーーすごい!ぞくぞく来た!
二人の触れ合い(肉体的にも精神的にも)が綺麗過ぎて泣きそうになったよ
エロいのにすごく詩的だ
文章も上手いし、長いけどちゃんとまとまってるし、普段から書いてる方なんでしょうか?
ブラボーです!次回作も楽しみにしてます
>>404 ベムが頑張った!GJ!!
感情の揺れ具合が繊細ですごくいいな。
おかかの気持ちがよくわかったってのがかわいいw
年末で浮かれた気分だというのに、こんなの書いてた。
テーマとしては「死」、おまけにエロもない。
自分の思考もうやだorz
穏やかな陽光が降り注ぐ日中、甲板に出て外を眺めていたベロが突然素っ頓狂な声を上げた。
「あれ何?今日はお祭りがあるの?」
近くでうらうらと日光浴を楽しんでいたベムとベラは、その声に近付いてベロの見ていた方向に目を
やる。しかし、それは決してお祭りなどではなかった。
喪服と呼ばれる黒い服を着た人間たちが、老若男女の別なく長い列を成してどこかに向かっている。
整然と歩を進めながらも誰もが沈痛な表情をしていた。
日常から逸脱したあまりにも異様な雰囲気に、これまで長く生きてきたベムも思わず息を呑む。
「…それは十年前の事故で亡くなった人たちの慰霊祭だったんでしょう。確かにこの時期でしたから」
翌日、いつものように廃船にやって来た夏目は、ベムたちが見た異様な行列の話にあっさりと答えて
くれた。何でも、十年前にこの街の近くの駅で大きな列車事故が起こり、数十名もの死者・重傷者が
出たという。
そういえば、最近はあまり見かけないが昔ならば何度かあのような雰囲気の長い葬列を見たことが
ある。
死とは誇らかに生を謳歌する人間たちにとって最大最悪の恐怖でもあるのだろう。だからこそみんな
あれ程沈んだ顔をする。人の死に直面して誰もがいずれ死に臨むのだと思い知らされるのだ。
それは不幸なことではなく、むしろ幸せなのだと知ることもなく。
死とは、それほどに畏怖すべきものだろうか。
「何考えてんだい」
いつものようについ考え事に沈んでいると、ベラが不愉快そうに声を荒げた。
そういえば自分たちの兄弟だと名乗ったあの得体の知れない男の言動には、どこか不吉なまでの
狂気の匂いがした。報われぬ人生を送る人間たちをより不幸へと導き、自らもまた奇妙な願望を語る
あの名もなき男の本音は、恐らく死を夢むものだったのか。
そう考えれば奇妙な言動の辻褄は合う。
あの男は言った。
自分たちにも死ぬ方法があると。
傷口から体液をステッキに吸い取らせれば、完全消滅が出来るのだと。
しかし果たしてその方法が自分たち三人にも適用されるかどうかは分からない。もし出来るとしても
今はまだその時期でもない。
何よりも、人間になれるかどうかの命題が目の前に横たわっている。
あの男は良くも悪くも死による魂の救済の方法もあると、そう言いたかったに違いない。告げられた
言葉の全てを信じることはとても出来ないが、死はそれほど怖くも悪くもないもののような気がして
いる。
人間は誰もが皆、いつか死ぬ。
それは生まれた時から決められていたことで、誰も逆らえない。覆すことなど出来ない。それまでの
生の中で培ってきたものを全て捨てて自我ごと無と帰すのは、確かに恐怖なのだろう。
しかしそれは死が必ず来ると分かっているからだ。
決して訪れない者からすれば羨望以外の感情は持ち得ないことだ。
「…そっかあ、お祭りじゃなかったんだね。オイラ勘違いしちゃったよ」
日差しの良い日がしばらく続いている。
ベロは錆びた甲板に石でがりがり傷をつけて悪戯書きのようなものをしている。最近凝っている遊び
らしい。
「良く覚えておくんだ、ベロ。それを迂闊に言ったりしたら失礼に当たる人もいる」
「うん、そうだね」
ベムの言葉に素直に頷きながら、ベロは何か良く分からない模様を懸命に描いている。好きな食べ物
や花のつもりなのだろう。本当に、穏やかな日だ。
それでも今日もどこかで誰かが生まれ、そして死を迎えている。最後の日まで決して途切れることの
ない営みの脈動は、全て人間たちの為にあるものであって自分たちには関わりがない。
こんな日にはそれをつくづく痛感するのだ。
「余計なことを考えるのは、もうおよし」
苛々したような声が、闇の中から降る。
「思索しても、仕方がないじゃないか。だろう?」
頬を滑る白い手が悩ましく目に映った。考えても仕方のないことを延々と思い巡らす無駄を、ベラは
好まない。人間になれたとしたら死について考えるのも当然視するだろうが、今はまだそうではない
のだから仕方がない。
冬にしては暖かい日が続いていることもあって、日中思いきり遊んでいるベロはもうぐっすりと寝つ
いている。
「ホントにあんたは辛気臭いねえ…」
誘惑を含んでしなだれかかる身体から、微かな日差しの匂いがした。緩く抱き寄せると猫のように
くぐもった笑いが喉から零れる。妖怪であることに関係なく、この女には不思議と溢れ出るような生
そのものの輝きがあった。
ここしばらく、散々死について考えてきたというのに、それが嬉しかった。そんな気分のままに女の
誘いに応じて髪を撫で、頬を撫でる。
またしてもベラの意味深長な笑いが聞こえた。
夜明け間近、欲望を発散し尽くした女はさっさと自分の寝台に戻って行った。
「…あたしゃ無意味な禅問答は御免だよ」
そう言い残して。
覚えてもいないが、やはりまだ頭の隅にあったことを時折口にしていたのだろう。自分でも難儀な
性分だとは思う。
そして今日も人間の営みは続いていく。人間たちは死を忌み嫌い悪いものと決めつけている。何より
も恐ろしいものと。
そしてどこかで必ずある葬列を陰鬱な思いで眺めているのだ。
それが充分に分かっていても、使者を弔う列はやはりパレード。
生を精一杯楽しみ、かつ懸命に生きた人間を祝福する賑々しい祭列。
過去現在未来に渡って三人の妖怪たちを取り残しながら、毎日この世のどこかで繰り広げられている
のは喜ばしいことか、悲しむことか。
人間になる決意は、まだつかない。
終
使者 ×
死者 ○
乙です!
最後の対決前の緊迫した空気をすごい感じる
こういうの見るとベムベラベロは三人で、仲間がいて本当に良かったなあと思う
GJ
続々と小説投下されてて嬉しい
おまいら、あけおめことよろ。
早速エロ書きたかったけど、また不発だ。
でも元旦の今夜は上弦の月なので、それ関連で書いてみた。
タイトルはもろに今夜の月齢。
せめて姫始めな二人を書きたかったよ…。
船底を叩く波の音が時折聞こえた。
人間たちはこぞって新しい年が始まったと浮かれていて、この甲板からも日中からずっと近くの公園
での賑わいが漏れ聞こえてくる。何か盛大な催し物でもあったのだろう。
三人はあれからも時々この廃船に戻って来ていた。
どのみち人間たちから忘れ去られてる場所だ、寝倉にするには何も不足もない。ただ、三人がここに
いたことを知っている夏目だけはまだ何度か通ってきている形跡があった。
最初に焼け焦げた帽子、髪飾り、ゴーグルがひっそりと置いてあるのを見た時のベムの様子は、まだ
忘れられない。
血が滲むほど唇を噛んで、必死に慟哭を耐えていたからだ。
もし人間になっていたとしたらもっと良い友人になれたかも知れない相手を自ら引き離し、完全に袂を
分かつ決心をしてから以後、耐えてきたものが溢れ出したのだろう。
酷なようだが、それは時が解決することだ。
いずれ思い切らなければ、長年の人間になりたい願いを絶ってまで人間たちを守る存在になった意味
がない。
とはいえ、こちらの事情を知らない夏目は訪れる度に何か置いて行く。ベロの好きなお菓子だったり、
絵本だったり。
今朝気付いた時は小さな鏡餅が申し訳なさそうに置かれていた。
「あたしたちに正月ねえ…らしくもない」
「しかし、夏目さんらしいな。律儀だ」
そんな時だけ、ベムはわずかに嬉しそうな顔をした。交流が途切れていないことが救いになっている
のだろう。
そればかりは、咎める道理もない。
今宵、満月に向かう上弦の月がぽっかりと低い位置に浮かんでいる。
今日の人間たちの営みは深夜にかけてまだ当分続くらしい。昼からの賑わいは一層大きなものに
なっている。
ならば人目を忍ぶ妖怪たちが束の間の逢瀬を愉しんでも、何の罪科もある筈はない。
ベラは冬の短い日が落ちる前から、言葉ひとつ発せられないほど強く抱き締められていた。
凍えるほど寒いこともあって、肌越しにじんわりと伝わってくるベムの体温が心地良い。ただそれだけ
のことなのに、胸の中に熱い塊が生まれ、止めどなく膨れ上がっていくのが分かる。
抱き締めている腕の力も、強まりこそすれ決して緩まなかった。こんな風に人間の恋人たちのように
過ごすなんて、ほんの少し前まではなかったことだったので当のベラも信じられない気持ちでいる。
ほんのわずかな期間に人間たちと関わったことの影響は、いまだ二人の間にも続いていた。
そういえばベロを船の中に放っておいたままだったことを思い出したが、今のこの雰囲気の中に浸る
ので精一杯になっていてすぐに忘れてしまう。
波の音が今夜は妙に大きい気がする。
しばらくの間閉じていた瞼を開くと、目の前に銀の髪が見えた。人恋しさのあまりベラに縋っている
何とも厄介な男の渇望に付け込むのも、今夜ぐらいは構わない気がした。ありふれた日常の幸せを
失くしたのはベラも同じなのだから。
寂しいのであれば互いに傷を舐め合うのもまた悪くない。
そんな思考に陥るのも、また親しかった人間たちの影響か。別にそれほど哀しい訳でもないのに溜息
がほうっと漏れた。暗い夜空に白く息が立ち昇る。
「…辛いのか?」
不意に、ベムが声をかけた。
「そんな訳ないじゃないか」
いつも変に気を遣い過ぎるこの男に余計なことを考えさせたくなかった。宥めるようにおずおず背中
に腕を回す。
「あたしは、あんたの決意を尊重するよ。いつだって」
「そうか…ありがとう」
先程まで沈んでいた声音がやや復調したように思えた。顔を擦り寄せ冷たい唇を指でなぞると、妙に
乾いた感触があった。
それがこの男の精神の疲弊を感じさせて、そちらの方により切なさを感じてしまう。
「あんたって奴は、ホントに…」
抱き合ったまま見上げた雲のない夜空には、鏡の欠片のような半月が昇っている。この男の髪の色
に似た月だった。
幾つもの偶然が重なって失敗作として生まれた三人とはいえ、あの得体の知れない男のように、この
世にただ一人きりで生まれることがなくて良かった、と改めて思った。
寿命というものがないのであれば尚更だ。
この人間たちの世界が今後どんな風に変貌しようと、どれだけ傷を受けようと、支え合うことぐらいは
出来るのだから。
「ホントに厄介だね。でも、そんな時の為にあたしもベロもいるんだろ」
ベムの乾いた唇が、何か言おうとしてわずかに動いた。しかし声は耳に届かない。ああ面倒だと思い
ながらも少しでも潤す為に舌でなぞり、唇を重ねた。深く噛み合わせている間も、男の瞼は閉じられる
ことなくずっとベラを見ている。
人間たちの預かり知らぬこの場所で、二人は込み上げる寂しさを癒そうとしていた。
月明かりに水面がちらちらと輝いている。
指先も身体も冷えきるほど寒いにも関わらずこの甲板から動こうとしなかったのは、視界の端に人間
たちが賑わい楽しむ場面が見えていたからだ。
この日の夜が人間たちにとって特別なものなら、それは妖怪にも同じことであって欲しかった。わずか
な関わりまでを切り離されたら、この先の道行きはとても辛いものでしかない。
「…んっ」
触れる髪も頬も唇も、外気に晒されている部分はどこも冷たい。けれど絡み合う舌だけが燃えるよう
に熱かった。
「…ベラ」
ようやく本来の熱が立ち戻ったのか、ベムの眼差しに生気が宿っている。同時に淫靡な色も兆して
いた。
それでいい、どのみちこの先三人きりで生きていくのだ。この男が安易に悩んだりしたらこんな風に
慰めれば済むこと。その為に自分は存在するのだとベラは思う。
「済まないな…」
「今更、あんたの面倒臭さなんて慣れっこだよ」
夜中の寒さに震え上がりながらも、これから肌を温め合うことになる男の腕の中に収まって当然の
ように答えた。
半分の月は更に高く昇っている。
これからどれだけの満ち欠けを眺め続けることになろうとも、ベムとのこの関わりだけはもう変わる
ことはないのだろう。
終
>>404 クソ真面目にして情熱的な愛し方、勝気ながら乙女な反応に萌え、
「時間配分…?」の天然に吹いた
>>421 有限の命に憧れる三人の寂寥感が本編同様何とも辛い…
>>428 揺れ動くベムさんを慰めるベラ姐さんが大人でカッコヨス
お年玉ざっくざく気分だありがとうございます
作品のクオリティが高いから職人さんのレベルも高いのかな
GJ!GJ!
新年そうそう素晴らしい作品をありがとうございます。
この歳になってお年玉がもらえるとは思わなかったよ
あらためてベムベラが自分にとってどストライクなんだと実感したよ
GJ!
新年早々投下も絶好調だな、さすがはベムスレだ
クオリティがパネェ
なんか、ベムは最初の頃に一通り体位を試しまくって、やっぱり正常位が一番だと
思ってそうな感じだなw
ベラは体勢が不安定でさえなけりゃ、どんなのでもいい感じっぽい
435 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/03(火) 09:28:32.74 ID:i3VFkq7S
>>434 48だっけか?全部やるのか、さすがだなベムww
真面目に体位について勉強してから試しそうだな
そりゃ、人間への探求心パネエもんな
人間がやってるものはその通りにしてみたくなるんだろう(全部が全部そうして
いる訳じゃないが)
中にはどう考えても無茶なものや、絶対気持ち良くなりそうもないのもあるけど、
それでも試してみてたり
そんであまりにも無茶な体位にベラが怒って変身しかけたりしたことも、きっと
一度や二度はあった筈だと思う
真っ最中に変身したらどうなるんだろう。
穴と棒あるのかな。
10話では布にくるまっただけの全裸のベラが変身した時
胸らしき2つの膨らみはあったよね
穴と棒はあるかも知れないけどもしかしたら形状が結構変わってるのかも
まあ、一応生物でもあるので穴と棒ぐらいはあるだろう
形状そのものは謎だけど、服などで隠れてたからなー
ところで、何か訳の分からないものを書いているところ。
「もし緒方博士が急逝することもなく、三人が完成作として誕生したら」という
もしも話だ。
展開的に最初に書いた話に似てるけど、ごめんよ。
一応エロのない前振りが長いんで、その部分だけ先に投下しとく。
エロ部分は後で纏めるつもり。
鳥が空を切って飛び、この世を謳歌するように高く鳴いている。
したたるばかりの緑の木立ちから吹き渡る風が心地良く、つい眠ってしまったようだった。
読みかけの本をふと地面に取り落としてしまい、木にもたれていたベムははっと正気に返る。
遠くでベロのはしゃぐ声が聞こえた。
今日も、とても穏やかで優しい時間が続いている。生まれてからずっとこんな日が柔らかな音楽の
ように続いているので、これからもずっと永遠に続いていくような気がしている。
そんなことを考えていると、すぐ近くで誰かの気配がした。
「何を、しているんだい?」
視界に青いドレスの裾が映る。ベラだった。
「蔵書室の本棚に興味深い本があったので、借りて読んでいた」
見上げるまでもなく返事をすると、気のない声が返ってくる。
「ふーん」
探るように片眉を上げ、ベラは隣に座った。退屈になって話し相手でも探していたのだろう。
「博士はどうしている?」
「ベロの相手をして遊んでいるよ、全く呑気なモンだね」
「そうか…」
再び本を開くベムの顔を覗き込み、ベラは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「毎日毎日四六時中そんな分厚い本ばっか読んで、よく飽きないねえ」
「興味深いからな。博士の蔵書はどれも俺たちの生誕の原始に繋がっている」
言いながらベムは膝の上に置いた茶色い表紙の本を大切にそうっと撫でた。生まれてすぐの頃から
奥にある広大な蔵書室に入り浸って、目についたものは片っ端から読破してきていた。いつも優しく
造詣深い緒方博士が所蔵するだけあって、どの本も内容は少し難しいが胸の中に沁みるようだ。
『ベム、君は私に良く似ているね』
数日前に博士は目を細めてそう言ってくれた。
『着眼点が実に面白い、若い頃の私を見ているようだよ。そのまま健やかに成長していっておくれ』
そう言って貰えるのは嬉しかった。博士がどのように思って三人を作り出したのかはまだ分からない
のだが、褒めて貰えるとこの世に生まれてきた意味があったのだと実感出来る。
ベム・ベラ・ベロの三人は人間ではあるが、博士の研究によって生み出された人造人間だった。
人間とは本来男と女の性が結びついて、女の胎内で精子と卵子が結合し受精に至って初めて誕生
する。自分たち三人はその過程を省いて博士の手によって誕生した。
普通の人間との違いがあるとすれば、本当にそれだけだ。
生まれ出た時の博士の賞賛と激励の言葉は、今でもまざまざと思い出せる。
『君たちは申し分のない人間にして、私の芸術作品だよ。この世に生まれたことを大いに誇りなさい。
そして自らの人生にとって必要なことを進んで学びなさい。それが君たちの大きな糧になる』
人間の第一段階である赤ん坊の状態から生を始めていない三人が人間として自立し生きていく為
には、まだ学ばなければいけないことが多過ぎる。
生まれ出た研究所とその周辺の森は精神がまだ成熟しきれていない三人の家であり学び舎であり、
唯一のエデンだった。
いまだここから一歩も外に出ていない三人にとって、外の世界がどんなものであるのか、また他の
人間たちがどんな風なのかは想像すらつかなかった。
しかし博士を見る限り、人間とはとても優しい生き物なのではないかと思っている。
「『生物始源』…ねえ、あたしには小難しくてさっぱりだ」
ベムが読んでいる本の題名をなぞって、ベラは盛大な溜息をつく。うーんと伸びをして背にしていた
木にもたれかかった。
「作られた俺たちもまた、他の全ての種族に繋がっているのだと思えるから面白いぞ」
すっかり退屈しきっているベラに構うこともなく、無心に文章を追い続けていたベムの目前にひらりと
白い手が翳される。
「つまんないねえ」
「ベラ、何をするんだ」
含蓄のある内容に引き込まれていたところだったので、遮られて思わず声を上げてしまった。反応が
あったことに気を良くしたのか、ベラは顔を近付けてくる。
「たまには休みなよ、毎日そんなじゃ目も肩も痛めるだろ」
「そんなことはない」
「全くあんたって奴は、堅物だこと」
くすくすと笑いながら、ベラはするりするりとベムの顔を撫でる。退屈しきっているせいか新しい遊びを
思いついたら簡単に諦めてはくれない。この女の性格はこれまでのことで既に嫌というほど思い知ら
されたので、纏わりつかれたら観念をするしかなかった。
ベムはぱたりと本を閉じて地面に置いた。
「ベラ、いい加減にしないか」
呆れたように言い放つと、艶めく黒髪の中できらきらと輝く瞳が一際妖しく光を放った。
「あたしたちは人間…なんだろ?」
「そうだ、博士が命を与えてくれた」
「人間なら、人間たちがすることをそっくり真似なきゃね」
訳の分からないことを言いながら、ベラの指がなまめかしく頬と唇に触れてくる。この女の美しさには
心ならずも魅了されているところがあったので、悪い気はしない。だが、生来の生真面目さが過剰に
制御をかける。
一つの細胞から分裂した者同士なら、それは血縁だからだ。
人間の良識では、それは最も禁忌とされている領域でもある。
終
あ、うっかり終わりをつけてしまった。
もちろん、まだ続くよ。
続き楽しみにしてます!
こういうのも面白いね
続きが楽しみです
放送終わっても投下してくれる神がいるなんて、幸せだなァ・・・
続き書いた。
ちょっとだけ悪の心を持ってる二人の感じが出てるといいな。
けれど。
禁忌とは、すなわち甘美な誘惑への扉だ。
だからこそ禁じられているにも関わらず人間たちは心惑わされ取り返しのつかない領域に足を踏み
入れる。人間がそうであるなら、姿形を模した自分たちがそうならないという保証もない。
現に、目の前の女の甘い誘いに気持ちが揺らめいている。悟られまいとして必死に押し留めながら
地面に置いた本の表紙を指先で探った。頼りない心の依代をその感触に求めるように。
「…そんなことをしたら、俺たちは罪を犯すことになる」
「罪、だって?」
「そうだ、知っているだろう。俺たちはそれを許された関係ではない」
「もちろん、知っているさ」
擦り寄る女は一層婀娜な笑みを浮かべて、服の上から胸を撫でてくる。
「でもねえ…ここでは意味のないことなんだよ。ベム」
悪戯っぽい口元が、急に邪悪さを感じさせる印象になった。そのまま唇を重ねられる。何が起こった
のか頭がついていかないうちに、ベラはしなやかな動作で膝の上に乗った。見下ろされる形になって
初めて、取り返しのつかない事態になりかけていることに気付く。
遥か上空で名も知らぬ鳥の声が高く響いた。
「あたしたちはここでは、生まれたばかりで何も知らない『罪なき幼子』さ。博士はそう言ってただろ。
人間たちが跋扈する外の世界ならともかく、ここなら許されることがあるんだ。それが」
ベラは言葉を続ける前に勿体をつけるようにぺろりと下唇を舐めた。
「『交歓』さ」
「交歓…?まさか」
「ふふふっ…」
何とか引き離そうとするのを嘲笑うように、ベラは背後の木に手をついてぐっと顔を近付けてくる。蛙
をねめつける蛇のようにその視線は容赦がない。そして妙に淫靡だ。
「あたしとあんたが最初から成人型として生まれた訳は、そういうことだよ。博士がそこまで意図したか
どうかなんてどうでもいい、肝心要なのは…身体の相性ってことさ」
ベラに手を取られて、胸の膨らみに導かれた。布越しでも充分なほどのまろやかさを感じてただただ
戸惑うしかない。生まれてすぐにこの女を見て以来ずっと、この豊かに張り詰めた見事な乳房に触り
たいと秘かに思っていたことを見透かされたようで、思考が追いつかない。
「…あんたには、もっと触らせてやるよ」
より淫らさを増した眼差しで、ベラは笑った。
危険、とさっきからずっと脳内信号が出ている。
知識も経験もないことながら、それがどれほど罪深いことかは分かっている。なのにこの女の目に
囚われてしまって逃れられないのだ。
いや、逃れてしまえばそれで済むのにずるずると理由をつけて避けている自分がいるのを、ベムは
感じていた。
「人間てのは、厄介だねえ。幾つも決まり事を作っておいて、それに縛られる。馬鹿らしいと思わない
かい?ここなら人間のいる場所から隔絶されてる。罪は、罪じゃないんだよ」
「罪じゃないと…?そんな馬鹿な」
「馬鹿は、あんたさ」
逃れたい、逃れたくないと混乱しきっているベムを眺めながら、ベラは真っ白に輝く乳房を露出して
触れさせた。指先にしっとりと吸いつくような肌の手触りが一瞬にして血潮を沸騰させる。
「人間だって、あたしたちだって、所詮は只のケダモノさ。男と女で生きているなら、こんなイイことを
しなきゃ勿体ないだろ」
また唇が重なる。知識でだけなら知っていた男女の愛戯の技巧をまさかこんなところで経験するなど、
考えてもいなかった。
「口、開けな」
やや苛ついたような声がする。ただ触れるだけでは足りないらしい。言われた通りにすると舌が口腔内
に入り込んでくる。驚いて固まっている舌を探り当てて絡みついてきた。無意識に呼吸が止まる。その
状態でどれだけ経ったのだろう。ようやくベラが引いた時には、完全な呼吸困難に陥りかけてしまって
いた。
「…は…ぅっ…」
あまりの苦しさに何度も深呼吸を繰り返すベムを見て、ベラは呆れかえったように、しかし奇妙な慈愛の
眼差しで見つめてくる。
「何だい、息止めてた?ホントあんたは手間がかかるねえ」
「…仕方がないだろう」
「そうだね、これから慣れればいいさ。じっくりと」
まだ膝の上に乗ったままだったベラは、いよいよ本格的に事を進めようとしきりに身体を撫でていた
手を舌に滑らせて股間に押し当てた。
「…男と女はね、ここで感じ合うんだよ。上っ面の知識なんかじゃ絶対に分からないことを知るのに、
何の躊躇もいるものか」
既に興奮してきているのかベラの声音が甘く上擦っている。心を奪われかけている女のそんな媚態
を含んだ様子に、ベムもまた今までにない類の激しい衝動を覚えていた。
やはり元は同じ細胞のせいもあるのか、そんなところはすぐに通じてしまうようだ。おずおずと髪を
撫でるベムの手の感触に、嬉しそうにしているのが初めて可愛いと思った。
「あんたも…満更でもないようだね。良かった」
「ここでは、許されることなんだろう?」
「ああそうさ。あたしたちならね…だってここは他の人間たちが来ない」
「…聖域、か」
自分の意志で触れた乳房の感触に、そろそろ制御が効かなくなってきている。元々それほど自制心
は強くない。ただ、持って生まれた性格の生真面目さがそうさせているだけだ。
「ふふ…悪くないだろ。もっとしたいだろ」
「…すぐにか?」
「こういうものは、思い切って最後までするものさ。ほら」
ベラの手が、まっすぐにベムの股間を掴んだ。自分でも触ったことのないものが硬い布地の下で確か
に脈打ち始めている。ただの知識としてなら、知っているのだ。男女が交わる時にはこれをどうする
のかぐらいは。
しかし、経験のなさのせいで本当にこの女と交われるのかどうか。それが分からない。それでも、今
望むと言うなら試してみたくなった。本音を言えば、ベラの身体をもっと確かめたい。
「ねえ、これをあたしにおくれよ。あんただって、すぐにそう思えるようになるさ…男なんだから」
甘く懇願するようにベラが耳元で悩ましく囁く。既にかなり緩んでいた自制心が、そこで完全に焼き
切れた。
「…ベラ、お前が…欲しいよ」
「あたしだってさ……ね、これが本当の男と女ってモンなんだよ。だったらお互いに歓楽を尽くして愉し
まなきゃね」
頬を撫でてくる手の感触が心地良い。ベラの言葉が全て単なる詭弁だとしても、構わなかった。折角
こうして生まれてきたのなら、男と女の形で関われる誰かがいる方がいい。
そう思っただけの話だ。
しなやかな手に導かれて引き出されたものが、外気に触れて引き攣れたように震える。自分の身体
の一部とはいえ今までまともに目にしてもいなかったが、正直醜悪で滑稽な形状だと思った。欲望
そのものを体現しているようで、やはり直視は出来ない。
それでも、ベラは愛おしそうに何度もゆっくりと扱く。それが刺激になってまた半透明な薄皮の下で
欲望が滾った。
「…あんたのこれ、もうこんなに大きくなったよ。そんなにあたしが欲しいかい?」
「あ、当たり前だろう…」
「男だから、かい?」
「そうだ」
どう返していいのか分からず間に合わせのように言葉を濁すだけのベムの前で、世にも美しい女は
腰に引っ掛かっているだけの形になっていたドレスを脱ぎ捨てて生まれた日のままの姿になった。
午後の眩しい日差しの下で、肌理の細かい肌がより艶やかに目に映る。
膝立ちになった後また片手で一物を扱きながら、もう一方の手でベムの手を取った。一体何をするの
かと思えば、自分の股に誘ってくる。交わるのが二人の作業であるなら、その前段階もまた一人だけ
するのでは意味がない。とはいえ女のそこなど形状などの知識がせいぜいで、ほとんど何も知らない
も同然だった。
「ここ、なのか?」
「そう、ここに触って…」
やはりそれには羞恥が伴うのか、ベラの表情がやや硬い。なのについ見惚れてしまうほど熱く熟れて
いて一層美しい。もっとそんな顔が見たくて、導かれる通りに手を差し入れた。驚くほど柔らかいそこ
に指が触れる。
「あぁ…」
漏れ出る声が熱い。
複雑に入り組んだ襞の奥に、もっと柔らかくもっと熱く濡れそぼった場所があった。一物が扱かれる
動きに合わせるように指を動かそうとしても、幾らでも奥に入っていく。きりがない。女の身体の中には
こんなに深く謎めいた場所があるなど、知らなかった。
「や、ぁあんっ…」
ぎこちない指の動きにすら感じてしまうのか、ベラはしきりに髪を振り乱して甘い声を上げる。腰が
むずむずと耐え切れずに蠢いている。真っ白な肌にうっすらと汗が刷いているのが何とも艶めかしい。
もう、ベムも我慢が出来なかった。
「済まない、ベラ…」
急に身体が熱くなって、着ていた服を脱ぐ。そしてベラを抱き締めると先程覚えた通りに唇を吸い、
乱暴に舌を絡めた。柔らかい乳房がしきりに揺れている。
少しの間その素晴らしい身体を探ってから、比較的柔らかい下草の密生している場所に押し倒した。
宝石のように黒い瞳がまっすぐに見上げてくる。
「…あたしは生まれてすぐにあんたを見て、気に入ったんだよ…やっと思いが遂げられる」
「俺も、だ。ベラが一番に目に入ってから、忘れられなかった…」
「…ふふっ、じゃあ丁度いいじゃないか。あたしたち」
もう一度唇を重ねながら、脚の間に身体を割り入れた。その勢いでもう限界まで膨れ上がっていた
ものを握って女の場所にこじ入れる。
「うぅっ…」
ベラの白い喉が苦しそうに反った。やはり痛みがあるようで、なかなか奥まで突き立てることが出来
ない。それでも少しずつ宥めるように濡れきった内側と馴染ませるようにしていくと、ようやくわずか
ずつ呑み込まれていった。
「ベラ…」
「ん…大丈夫」
苦しげに挿入に耐えているベラの頬を撫でる。受け入れている膣内が少しずつ緩んでくる。時間を
かけて腰を進めるうちに、何とか全てを収めることが出来た。まだそこは熱いだけで柔らかく蕩けては
いないが、それでも充分に粘膜同志の擦れ合う感覚は甘美で魅惑的だった。
労わるように少しずつ腰を進め、引き、動き出す。その度にベラの喉から引き攣った声が漏れたが
途中で止めることなどもう出来なかった。
そうして固い内部を宥め、擦り上げているうちに、手で扱かれているだけで限界を迎えそうになって
いた一物が早くも弾けそうになる。
意識すると、もうどうしようもなくなった。焦るように何度も強引に突き上げ、やっと少し柔らかくなって
きて蠢き出した膣内の感覚を楽しんでいるうちに、不意に内部が引き絞られる。
「あぅぅっ…」
ベラの肌がわなないている。どうやら先に達してしまったようだった。その激しい感覚が内部に何度も
断続的に伝わってきて、ベムもわずかに遅れて頂点を駆け上がった。
先程とは別の鳥が、しきりにさえずっている。
日差しもかなり淡くなってきた。
「ベムー、ベラー!」
今日も元気なベロの声が近付いてくる。しかしベムは眠気のせいか目を開くことが出来なかった。
「どこ行ってたんだい、あんたたち」
膝枕で目を閉じているベムの髪を撫でながら、ベラは木にもたれて今まで遊んでいたベロと緒方博士
を迎える。仲良く手を繋いで現れた二人は、花冠をどっさりと頭に乗せている。
「えーとね、いっぱい遊んでた」
「済まないね、ベラ。ベロと遊び始めたら止まらなくて」
「でね、でね。博士といっぱい花冠作った。ベムとベラにもおみやげー」
ベロは無邪気に笑いながら白い花冠を二つ、ベラと膝の上のベムの頭に乗せた。
「…ありがと」
ベラは気まずそうに笑う。
「ベム、もう寝てんの?」
不思議そうに覗き込んで、ベロは首を傾げた。そんな他愛もない疑問に答えるように、ベラは事も
なげな言葉を返す。
「そりゃそうさ。こんな小難しい本ばっか読んでるんだ。疲れもするだろう」
「ベラ」
緒方博士が穏やかな声で声をかけてくる。
「あと二時間ほどで夕食にするから、それまでベムをこのままゆっくりと寝かせておくれ。私の本など
読んでいたらあまりにも身体に毒だ」
「…分かったよ」
「お願いするね」
そうして、またベロと手を繋いで研究所へとのんびり歩いて行く。今日ここで何があったのかは二人
とも気付いていない。気付かせることは決してしない。
「ベム」
急にベラが話しかけてきた。
「あたしたちの秘密が露見しない限り、ここは聖域のままだね」
そうだな、と答えたつもりでベムは重い瞼を開く。人間に課された禁忌も、人間が知る最高の快楽も、
二人は今日一日で全て知った。
それは終末の匂いを残してまだ尾を引いている。
ここは二人にとって唯一のエデン。
幼く愚かな罪を呑み込んだまま緩やかに明日も続いて行く。
終
455 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/06(金) 00:26:57.44 ID:n9zsrj7m
GJ
ちょっと変わってていいね
GJ!!
457 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/07(土) 00:14:02.67 ID:P6zpLG+g
GJです!
あのさ、誰だか分からんが職人さんの作品の一部をアンチスレに貼るな。
何の嫌がらせだよ。悪質にも程がある。
それで気分悪くして、もう二度と投下してくれなくなったらどうすんだ。
わざわざ書かなければあんなとこ誰も見てないのに。
アンチスレって動いてるんだ!
アンチの悪戯なら458みたいに「善意で」当該スレにて報告する人がいると計画通りって感じで万々歳だろうね
投下してくれなくなったらどうするんだ、って普通にそれが狙いだろアンチの嫌がらせなんだから
数人しか住人がいないようなのに全くよくやるよアホらし
隔離スレの基地外なんかほっとけ
461 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 07:43:12.26 ID:4GaPWsc1
GJ
人間verでもこの二人だと神秘的だね
GJ!
隔絶された地で戯れる美しい二人って、やっぱ絵になるな
463 :
358 :2012/01/08(日) 14:24:01.18 ID:kNfDJ5sY
冬の朝の連作でベロ編。
エロなし。三人でいちゃいちゃしてるのが好きなんだ。
やたらと眩しくて目が覚めたのに、降り注ぐのは陽光ではなく、白く淡い月の光だった。
古びた廃船の、完全には閉まらない扉の隙間から漏れ入る光が、ちょうど顔にあたっている。
雲一つない空にかかる半月は明るく、強すぎるその光に消されたか、周囲にあるはずの星は見えない。
晴れた夜空に、月光ばかりが鮮やかだ。
きんと冷たい風に前髪が揺れる。
しばらくぼんやりと月を眺め、ベロは寝ころんだまま首をかしげた。
なんでお月様が見えるんだろ?
今日もひどく寒かったから、いつも通り入り口から一番遠い船の奥に集まって、ベムとベラと三人で、
しっかりと抱き合いながら眠ったはずなのに。
目をこすりつつ起き上る。ベロの上から、藍色のマントがずり落ちた。ベラのものだ。
とたんにむき出しの腕を冷気がこする。
あわててはがれたマントを体に巻きつけ、今度はちゃんと目を開いて、ベロは船の中を見回した。
真夜中の船内は、淡い月光のほか灯もなく、しんと静まり返っていた。
ひそとも音の立たない闇の底、暗い床にてんてんと、何かが落ちているのが見える。
足元で丸まっていたものを、そっと拾い上げる。ベムの上着だった。
頭の上、入口に続く階段にも布が引っ掛かっている。ベラが普段、敷布に使っているものだ。
目を凝らしてよく見れば、ほかにもベムのものやベロのもの、三人が持っているありったけの布が、
床のあちこちに散らばっていた。
吹き込む風に首筋が冷たい。ベラのマントを頭からかぶり、おいらまたやっちゃったのか、とベロは小さく
首をすくめた。
寒い夜、三人でくっついて眠るのは暖かくていいが、ある程度時間がたつと、今度は暑くて仕方なくなる。
野宿ならともかくこんな、屋根も壁もある場所ではなおのこと。本来、自分たちの体は、人間より
ずっと寒さや暑さに強いのだ。
けれどもベムとベラは、少しでも寒くなればすぐ一緒に寝ようとするし、寝たら寝たで必ず、ベロを真ん中にして
頭から布をかぶせてくる。
湯たんぽ扱いするベラはもちろん、ベムも結構寒がりだとベロは思う。
おかげでどうしても夜中に暑さで目が覚めたり、寝ぼけてこんな風にごろごろと、あちこちに転がる
羽目になるのだ。
でもこんなところまで来たのははじめてだ。たいていはちょっと抜け出しただけで、どちらかが気付いて
連れ戻しに来るのに。
真っ暗な船の奥を透かして見れば、壁際にうっすらと二つの影が見えた。
どうやら二人はまだ眠っているらしい。
掛け布を全部持ってきてしまったみたいだから、相当寒い思いをしているだろう。しょうがないなあと
ため息をつき、ベロはマントにくるまったまま立ち上がった。
ベムの上着だけを拾い上げ、抜き足差し足で二人の元へ向かう。背後から差し込む月光が床に長く影を
引いたが、それもすぐ船内の闇に飲まれ、消えてしまった。
マントの裾を引きずりながらそろそろと近づき、だがそばまでたどり着いたところで、ベロの足が止まった。
ベムとベラは眠っていた。
掛け布も湯たんぽもなくなって、よほど寒いのだろう。二人でしっかりと抱き合って。
胸にベムの頭を抱え、銀の髪に顔を寄せて眠るベラの顔は穏やかだった。いつも目元にあるきつい光も、
今はかけらも見当たらない。
ベムはベラの胸のふくらみに頬をくっつけ、片腕で腰を抱き、すうすうと寝息を立てていた。
その顔に、常に浮かんでいる憂いも今はない。母親に抱かれた子供のように安心しきった寝顔だった。
しばらく二人の寝顔を見下ろし、ベロはそうっとその場に腰を下ろした。
顔に触ろうと手を伸ばしかけ、だが思い直して自分の膝を抱え、顎を乗せる。
二つの寝息はゆったりと規則正しく、途切れる気配もなく続いていた。
しみじみと顔を覗き込む。
ばらばらに寝ているとそうでもないけれど、こうして三人で一緒に眠るとき、二人はいつもこんなふうに、
とても穏やかな顔になる。
暖かいからだろうか。昔からそうだった。
でも近頃、特にそう思うのは何故だろう。
だってベムとベラは、最近なんだかすごく仲がいい。
別に、前は悪かったわけじゃない。
ベムは口に出さないけれど、いつもベラを大事にしていたし、ベラもなんだかんだ言ってベムのことを
とても信用しているのを、ベロは知っている。
別にそれが嫌なわけでもない。第一、喧嘩されるよりは仲良くしてるほうがずっといい。
喧嘩といっても大抵の場合、ベラが一方的に怒るのをベムが聞いて、そのうちベラが勝手に機嫌を直すだけだが。
それは今もよくあることで、そういう意味では前と何も変わらない。
ベロが除け者にされているわけでもない。ベムとベラはいつでもベロを気にしてくれるし、ベロもいつでも二人が好きだ。
二人だけで話していることはよくあるけれど、それも以前と同じだ。今の場所からどこかへ行くための方法とか、
人間との関わり方とか、いろいろな禁止事項とか、ベロには考えてもよくわからないことを、二人で決めてから
教えてくれるのは、前からよくあることだった。
だから別に、何が変わったわけでもないのだけれど。
ベムもベラも何も言わないし、ただのベロの気のせいで、本当は何も変わっていないのかもしれないけれど。
寝息を立てたまま、ベムが少しだけ身じろぎした。
眠りながら、ベラの手が動いた。白い指が、抱えた銀の髪をゆっくり撫でる。
二人とも、目覚める気配はなかった。
膝を抱えて二人の姿を見ているうちに、なんだか鼻の奥がかゆくなってきた気がして、ベロは鼻の頭を掻いた。
かゆみはおさまらない。どうしようと思いながら、かぶったマントを体に巻きつける。
ベムの上着も膝にかけてみたが、夜の冷気は布の隙間から入り込み、小さな体をしんしんと冷やした。
ベロにはわからないことがたくさんある。
そんなときは、いつもベムかベラが教えてくれた。教えられてもわからない問題は、二人が解決してくれた。
それでいいと思っていたし、仕方がないとも思っていた。
だって自分には、わからないことが多すぎる。
きっと、わからないとさえ気づいていないこともある。
何も気づかないまま、ベムとベラが黙って解決してくれたことも、多分今までいくらもあるのだろう。
ベロの体は子供のままで、どうやら頭の中も子供のままで、それはこんなに長く生きて、いろいろなことを
知ったと思う今も、変わらないものらしい。
知るだけでは、見るだけでは、わかれないことがたくさんある。
たとえば人間の子供なら、いずれ成長して大人になればわかるようなことも、ベロにはずっとわからないままだ。
これもそんなことの一つなのかもしれない。
だから、仕方がないのだ。
ベムとベラが何も言わないのは、それが言われてもベロにはわからないことのときだ。
自分が知らなくて、ベムとベラだけがわかっていることなんてたくさんある。
それでいいと思うし、仕方がないとも思うのだけど。
ずっとずっと長い間、三人で生きてきた。
三人はいつも一緒で、この先何が起ころうと、それは変わらないのだと思っていた。
ベロの裸足の足に、床から冷気が這い上がってくる。
我慢できない冷たさではないはずなのに、なんだかひどく寒いと思った。
ベムとベラは互いの体温を分け合うように、しっかりと抱き合って眠っている。入り込む隙間などないほど
かたく、しっかりと。
それはベロが掛け布を持って行ってしまったから、寒くてそうなっているのであって、そんなことはよくわかっている。
わかっているのだ。けれど、でも。
ただ。
二人で目を合わせて笑うことが増えたみたいだとか。
並んで立つ位置が、なんだかずいぶん近くなったなとか。
ベラの手や体が、前より柔らかくなった気がするとか。
夜中に目が覚めると、ベムがじっとベラを見つめていることがあるとか。
ベムの話をするとベラが、ベラの話をするとベムが、ときどき見たことない顔で笑ったりとか。
最近増えたそんなことが、ただ、なんだかひどく。
(ずるいなあ)
胸の中、もやもやと渦巻く何かを言葉にしてみる。
だが、いざ言葉に変えると、それは何となく違う気がした。
そうじゃない。そうじゃないけど、じゃあなんなんだろう。うまい言葉が思いつかない。
こういうときって、なんて言ったらいいんだろう。
自分は本当に、わからないことだらけだ。
(ずるい、のかなあ)
もう一度考えてみても、やっぱり残る違和感に、ベロは自分の膝ごとベムの上着を抱きしめた。
足元で、眠るベラの目がゆっくりと開いた。
少し大きな波に、船がきしんだ音を立てる。
最初は見間違いだと思った。だが改めて見返しても、先ほどまで深い眠りに落ちていたはずの目は
確かに開いていた。
灯り一つない船倉の闇の底、浮かび上がる白い顔の中。朧に光る二つの瞳が、ベロをじっと見上げている。
まだ夢の淵を漂っているのだろう。いつもより細く、紗がかかったようなその目を、ベロもぼんやり見つめた。
ベラの顔がふとほころんだ。
ひどく穏やかに微笑みながら、片手を伸ばす。白い手がベロの頬を撫でた。
冷え切った頬ににじむような、暖かい手のひらの感触。思わず瞬きをしたベロに構わず、頬や額を
緩やかに撫でていたその手が、突然止まった。
ベラの眉根がすっと寄る。かすれた声が低く囁いた。
「……どうしたんだいベロ」
同時に、ベラの腕の中で眠り続けていたベムの目が、かっと見開いた。
銀の髪が夜のしじまに舞い上がる。寝起きとは思えない勢いで跳ね上がると、ベムは空中で素早く体を反転させた。
床に手をつき、腰を落とした低い体勢で周囲を睥睨する。緊張と警戒をみなぎらせ、闇を透かす両の目が、
僅かな光に鋭く輝いた。
だがすぐそこに、戸惑ったような色が浮かんだ。
瞬きを繰り返しながら、不思議そうに船内を見回すベムの横で、寝ころんだままのベラが大きく欠伸をした。
のそりと身を起こし、ぽかんと見上げるベロの顔を、今度は平手でぴたぴた叩く。
「氷みたいじゃないか。なんだいこんなに冷たくして……ん?」
ベラの視線が、ベロが被った自分のマントに落ちた。続けて膝の上の上着を見下ろし、少し離れて床に散らばる
布を見回す。
ようやく状況に気づいたらしい。ベラの眉があきれたように寄った。
「あんたまた転がったのかい」
ほんとに寝相が悪いんだから、とぶつぶつ言って、ベラが立ち上がった。歩きながらベム、と小さくつぶやくと、
そのまま床の上の布を拾い出す。
眠そうにふらふら歩くベラを見送ってから、ベロはそっと背後を伺った。
こちらもやはり眠そうな顔で、床に座り込んだベムが見つめていた。
銀の髪はぼさぼさで、束となって顔にもかぶさり、なんだかちょっと情けない姿だ。だが目が合うと、
無表情だった頬にふと、刷いたような笑みが浮かんだ。
無言で伸ばされた両手に従い、ベロはマントと上着を引きずって、胡坐をかいたベムの膝の上に腰を下ろした。
下からじんわりとぬくもりが伝わってくる。いつの間にか、すっかり冷えていたらしい。温かいベムの足に
足の裏を乗せると、大きな手に後ろから肩を撫でられた。
触れた場所がじわりと暖かくなる。
かぶったマントを通して、背中にも体温が伝わってくる。ゆっくりと、体の中まで染み入るように。
「もう、こんなとこまできて。危なっかしいったら」
ぼんやり見守る二人の視線の先、船の入り口にある階段のあたりで、ベラが肩をすくめるのが見えた。
ばたばたと拾った布をはたきながら、首を伸ばして声を上げる。
「あんたそのうち海におっこっちまうよ。この寒いのに、拾いに行くベムの身にもなってみな」
濡れ鼠二人分、拭うもんなんかありゃしないよ、とごちる声に、ベロは思わず後ろを振り返った。
目を見開き、ぱちぱちと瞬きを繰り返すベムと目が合った。
しばし無言で見つめ合う。やがて無表情のまま、ベムが力強くうなずいた。
「大丈夫だ。ちゃんと行く」
「うん」
うなずき返し、でも、とベロは続けた。
「なるべく、落っこちないようにするね」
「……そうだな。そのほうがいい」
ベロの言葉にしみじみとうなずき、ベムは少しだけ笑った。
布を拾ってはばたばたとはたくベラの手元で、舞い上がった埃が月光を反射している。
破片状に増えた光が、夜の船内を照らしだす。ちかちかとした輝きは、暗がりに慣れた目にはひどく眩しかった。
こんな明るい月の夜を、ずっと前にも見たことがある。
唐突に思い出す。あれはいつだっただろう。
びょうびょうと吹きすさぶ風。青白い光に黒く浮かぶ岩の影。
周囲を覆う木々、また木々。重なり合って覆いあって、その奥は光さえ届かない。この目をもっても
見通すことのできない、深い深い闇の底。
きりきりと、体の芯を締め付ける岩の冷たさ。肌身を切り裂く風の響き。
真夜中の空は月一色。
梢が生む痛いほどのざわめきの中、煌々と照らし出す青い光に包まれて、立ち尽くし空を見上げていた。
たった一人で。
「ベロ」
強く肩を引かれ、ベロはひょいと上を見上げた。びっくりするほど近くに、逆さまになったベムの顔があった。
銀の髪が、ベロの顔まで落ちかかる。無表情なその顔に、常にはない強い焦りを見出し、それにこそ驚いて
ベロは瞬きした。
「なに?」
「どうした」
「なにが?」
意味が分からず首を傾げたベロに、闇より黒いベムの目がゆっくりと瞬いた。
外れない視線に少し困って、けれどなぜか目をそらせず、ベロもベムを見つめた。
遠くでばっさばっさと盛大に布をはたく音がする。どうやらベラは気に入ったらしい。音に合わせて視界の端に、
何度も光がちらついた。
肩に置かれた手にわずか、力がこもる。その手は暖かかった。どうしようもなく暖かかった。
ベラに届かないほど小さく、またベムが囁いた。
「……どうした」
低くかすれた声は、手と同じほど暖かかった。
また鼻がかゆくなった。掻く代わりに、大きく息を吸い込んでみる。よすぎるはずの鼻には、けれど今は
何のにおいも伝わってこなかった。
においの代わりに、もやもやしたものがもう一度、胸にこみ上げてくる。今度こそ言葉にできそうな気がして、
ベロは口を開いた。
「ベム」
「なんだ」
「あのねえ、おいらねえ」
肩を抱く手に力がこもった。見下ろす目は揺るがない。闇より黒い、だが闇にはない暖かさを秘めた目。
促すように瞬くそれに押され、言葉が漏れた。
「おいら、寒いんだよ」
やっと形になったと思ったのに、言葉にするとそれは、やっぱりなんだか違うように思えた。
さっきよりはずっと近い。だけど違う。何が違うのだろう。それがわからない。
どうしてわからないんだろう。
仰向いているのに疲れて、ベロは首を戻した。目線も下に落とす。かじかんだ小さな手が見えた。
何十年も見慣れた。見始めた時からずっとそのまま変わらない、変わることのできない手が。
「……なんか、すごく寒いんだよ」
ほんの少し間をおいて、頭上で溜息のように、そうか、とつぶやく声が聞こえた。
肩に置かれていた手が外れた。うつむいたベロの目の前で、ベムの手がゆっくりと伸びるのが見えた。
背中に触れるぬくもりが大きくなる。ベロのものよりずっと大きな手のひらが、不器用に、力強く
小さな体を引き寄せ、抱きしめた。
背中から、腕から、足元から、暖かさが伝わってくる。抱きしめる力は強すぎて痛いほどなのに、
緩めてほしいとはどうしても思えず、ベロはただうつむいてベムの腕を握った。
「そりゃあそうだろうさ。外見てごらん。晴れてるのに雪でも降りそうな寒さだよ」
頭上から降ってきた声に、ベロは顔を上げた。適当に折りたたんだ布を抱えた呆れ顔のベラが、目の前に
仁王立ちしていた。
「あんたもう足でもくくっときな。あたしゃ冷えた湯たんぽなんかごめんだからね」
厳しい口調で言いながらも、畳んだ布を広げ、ベロを抱えたベムごと巻きつけて端を結ぶ。それを何度か繰り返し、
出来上がった巨大な蓑虫を満足げに眺めて、ベラはもう一度あくびをした。
ごろりと床に寝転がり、眠そうな顔で腕を伸ばす。
「ほらおいで。寝るよ」
ごそごそとベムが動いた。隙間から手を出し、一番外側の布を外すと、そっとベラの上に掛ける。
別にいいのに、とつぶやいたベラになにも言わず、ベムもベロを抱えたままその場へ横たわった。
隙間から出たままのベムの手がベラに伸びた。いつものように肩を抱えたベムの腕にいつものように頭を乗せ、
すっかりおさまったベラの頬に、かすかな笑みが浮かんだ。
微笑みながら、白い手でベロの顔に触れる。先ほどより冷えて、埃くさい手が何度も頬を撫でた。
見上げた目は眠そうで、だがやはりとても優しかった。
胸の中から、また何かがこみ上げてきた。
「……湯たんぽじゃなきゃだめ?」
ぽつりと言葉がこぼれる。ベラの眉が跳ね上がった。
「はあ?」
「湯たんぽならいい?」
「なにいってんだい急に」
戸惑ったようにベロを見た目が、ちらりと上を向いた。ベムは何も言わない。無言で見上げていたベラの顔に
困惑の色が浮かんだ。
けれど、もう一度見下ろしてきたその顔には、先ほどと同じ微笑みだけがあった。
「……なんでもいいから、早くあったかくおなり」
頬に触れていた手に、胸元へ引き寄せられる。ベラの胸はいつもと同じように暖かかった。
ぐるぐる巻きの中から手だけだしてしがみつく。抱きしめる力が強くなった
背後から、大きな手が頭を撫でてきた。ゆっくりと髪を、そこに生える小さな角ごと撫でまわすベムの手も
とても暖かかった。
冷たかった手足が、体が、芯からじんわりと温もっていく。
寒い夜、三人で眠ると暖かい。
寒がりのベラとベムは、いつもやたらとくっついてくるから、そのうち暑くなるけれど。
一緒だと、やっぱりとても暖かい。
ずっと昔からそうだった。今もそうだ。
でも以前は、ベムはベラを腕枕なんかしていなかった。ベラももっと離れていた。こんな風に寝ながらひそひそ話したり、
二人で頭を撫でてくれたりもしなかった。
そういえばベロも、どんなに寒くても、膝に座ったり、抱きついたりはしていなかったと思う。
今では当たり前のようになっているそんなことが、当たり前になったのはいつからだろう。
いつの間に当たり前だと思うようになったんだろう。
自分たちは、やっぱり何かが変わったのかもしれない。
だけど、こうして伝わる暖かさは、ずっと昔から同じままだ。
だったらやっぱり、本当は何も変わっていないのかもしれない。
体が温まっていくにつれ、急速に眠気が襲ってきた。
瞼が重くて開けていられない。ベラの胸に顔を埋めると、触れた場所から笑いの振動が微かに伝わってきた。
髪を撫でる動きに、引き込まれるように意識が沈んでいく。
頭の上でひそやかな声がする。二人で何かを話していると気づいたが、もうおかしなもやもやは浮かんでこなかった。
それより眠くて眠くて仕方ない。
一度大きく欠伸をして、前後から挟み込むぬくもりの中、ベロはゆっくりと意識を手放した。
寒さはいつのまにか、すっかり消えていた。
471 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/08(日) 15:23:15.90 ID:4GaPWsc1
いいねいいね!!
こうゆう3人の雰囲気が大好きですドストライク!!
3人にはいつまでも3人で幸せでいて欲しいよね・・・!!
GJ!
じんわりと染み入る感じがいい!
三人の距離感がいいわ
GJ!
ずっとこんな感じで、くっついて寝てたんだろうなあ。
ささやかな幸せを大事にしている三人が素敵だ。
GJ!GJ!
くっついて寝る三人が好きだ
いつも素晴らしい作品をありがとうございます。
三人が生まれてすぐのころは微妙な距離で寝る時も離れてたんだろうな
それが徐々に近づいていったと思うだけで胸が熱くなる自分は
今年もベム達に夢中だ
素晴らしく心が温まる作品の後に、訳の分からないもの投下するよ。
テーマは「ぶっちゃけるベムさん」。
シリアスなようでいて、多分ギャグ。
ギャグだと思う。
ある日の朝食時のこと。
いつもと変わりなく黙々と箸を運んでいたベムは、ベロがじっと食べるのも忘れて自分を見ていること
に気付いた。
「どうしたんだ、ベロ」
「んー…えへへっ」
どうも会話も弾まない。
ベロは何か企んでいる時の癖で、妙に勿体をつけているのだ。
「行儀が悪いねえ、早く食べちまいな。片付きゃしないよ」
そういう態度をされると食事がすぐに終わらないのは分かっているので、苛々しながらもベラは急かす
のだが、こうなってしまうとベロの聞き分けはとりわけ悪い。
その上、突然二人が仰天するようなことを言い出したのだ。
「あのね、オイラももっとベムやベラと仲良くしたいな」
「えっ」
言うなり、とことこと歩いて来て腕を伸ばし、ベムにぎゅっと強く抱き着いてきた。
「ベロ、何だ」
「こういうこと、するんでしょ」
子供ながら抱き着いてくる力は凄まじい。何が何だか分からないでいるうちに、ベロの舌がぺろっと
頬を舐めてきた。
「…ベロ、食事時にふざけるのはやめるんだ」
行儀が悪いからと窘めたのだが、ベロは懲りる様子がない。以前ベラとの関係を『仲良くする』と説明
したのを子供なりに解釈して、おまけにどこか曲解もしたらしい。
「オイラちっともふざけてないよ。ベムとベラがいつもやってるようなことすれば、もっと仲良くなれるん
だよね?」
ついこちらが罪悪感を持ってしまうほどきらきらした瞳で見上げてくるベロの表情からしても、これは
冗談でも遊びでもないようだ。
「いいから、早く食べてしまうんだ」
「えー、つまんないのっ」
目を三角にしながらも何とか怒りを耐えているベラの手前、まずは食事を終えてしまうことを急かす
しか今のベムには出来なかった。
ベロは渋々椀の中の草を箸で摘み上げている。食事が終わるのはまだ先になりそうだ。
良い天気がしばらく続いている。
場所を近くの公園に移して、草を摘みがてらベムは根気良くベロと話を続けていた。ベロは日差しが
気持ちいいのか、ごろごろと側に転がって日光浴をしている。まるで猫の子だ。
「ベロはどちらとも充分仲良しだから、ああいうことは必要ないんだよ」
「えー、じゃあ何でベムたちはしてたの?前は仲良くなかったの?」
「そういう訳でもないが、ベラとは言葉で話す以上にもっと仲良くしたいと思うからかな。そしてベロ
とならちゃんと腹を割れているから、言葉そのものは短くても通じ合えていると俺は思ってる」
「うーん…そうなのかなあ」
どのみち行為そのものは何度か見られるという失態を犯している。だから今更誤魔化すことはせず
に真正面から説明してみようと試みたのだ。
もちろんそんなもので簡単にベロが納得するとは思っていないし、現実も似たようなものだ。しきりに
首を傾げながら近くに生えていた草に咲く小さな白い花を指先でつついていた。
「…ベムにとってベラとオイラとは何か違うってこと?」
「違わないよ、だけど違うことがその中にはある…意味が分かるかい?」
「んー、全然わかんないっ」
子供のベロが理解しきれていないのは仕方のないことだ。だが世の中にはこんなことなど幾らでも
ある。人間であるならば生きているうちはもっとたくさん降りかかってくるだろう。
この世の中の物事の全てが白か黒か、あるいは有りか無しか。そんな簡単に収まる図式では到底
測れないのだ。そんな、白くも黒くもあり、また有りでも無しでもある混沌の世界の中に、妖怪である
ベムたちも間違いなく在しているのだ。
もちろん、己の心の内の混沌たるものやベラに対する気持ちにも、ベム自身まだ明確な回答が出て
いる訳ではない。
ベロが混乱するのも当然だ。
まだ地面に転がっているベロの髪を撫で、なるべくゆっくりと言葉を選ぶ。
「今すぐ答えを決めることはないんだよ。でも良い機会だからよく考えてみて欲しい。俺がベラもベロ
も大好きなのは昔から変わらない。そこにある違わないものと、違うものの『違い』を見極めるんだ」
「…うん、そうだね。そうする」
納得しきれていないながらも、長く考えているのは不慣れなのかベロはあっさりと答えた。答えを出す
為の時間はこれから充分過ぎるほどある。その間に少しでも実になる答えを自分で導き出して欲しい
と思った。
「じゃあ、『行く』とか『行きそう』って何?ベムとベラ、どっかに行っちゃうの?」
「……ベロを置いて、どこにも行かないよ」
答えながら、卒倒しそうになるのを必死で堪えて帽子の下で気付かれないように目を閉じた。本当に
良く見られているものだ。一つ何とか回答を示しても、次から次へと提示される質問にはこの先正直
ついていけそうになかった。
「ベムー」
地面に転がる遊びに飽きたのか、がばっと起き上ったベロはまた急に抱き着いてきた。
「せっかく摘んだ草が飛び散るじゃないか、ベロ」
「オイラ置いて行っちゃやだよ!」
二人で行為に耽っている姿に置いてきぼりにされた気分になっているのを思い出したのか、腕の力
はぎりぎりと強くなる。
「安心していていい、俺たちはベロを置いて行かないから」
「…ホント?」
あと少しで泣きそうになっていた顔が、ぱあっと輝いた。やはり簡単に答えの出ない問答よりはこう
いう遣り取りの方が納得しやすいようだった。
「本当だよ、信じて欲しい」
「うん、分かった。ベム大好き!」
また抱き着いてくるベロの力には辟易しながらも、それなりに疑問は解決したのだと思った。
思いたかった。
少し日が高くなる頃、夏目と優以の親子がやって来た。
「あ、ベムさんたちもいらっしゃったんですね」
夏目はまだ休暇中らしい。
「ベロくん、遊ぼう!」
「あー、優以ちゃん!」
優以は仲の良いベロを見つけて、早速明るい声をかけてきた。もちろんベロも弾かれたように優以を
見てキラキラした笑顔になり、転がるように走って行った。
「…子供はいいですねえ」
はしゃいでいる二人を眺めながら、溜息をつきつつ夏目が近付いて来る。
「ええ、本当に」
草摘みは一旦止めて、ベムは立ち上がった。先程の問答でやたら頭が疲れてしまったので、目眩を
覚えそうになった。
少し雑談をしていると、何か思い出したのか優以と夢中で遊んでいたベロが走って来た。
「ベムー!」
「どうした、ベロ」
「あのねあのね、ベムの言ってた違わないものと違わないものの『違い』って、なんか分かった!」
「そうか、言ってごらん」
「ベムとベラは大好きで、優以ちゃんは大大好き!そういうことだよね」
遊んでいる間も、それなりに考えていたのだろう。ベロの健気さが嬉しかった。
「そうだね、よく分かったな」
「えへへー」
褒めてやると、得意そうに鼻を擦りながらまた優以のところへと走って行った。
「あの、何のことですか?」
二人の遣り取りが読めていない夏目が首を傾げた。
「ええ、まあ些細なことですが…」
この人間の友人にはとりあえず差し障りのない部分ぐらい教えても良いのではないかと思ったので、
今朝からの出来事をかいつまんで話した。
「そうなんですか…子供ってみんな同じなんですね」
「みたいですね、困り果てています」
遊ぶ二人の子供たちを眺めながら、大人たちはわずかに途方に暮れている。子供が大人の生活を
垣間見るのは別に間違ったことではない。ただ、そこには大人たちの油断がある。
「どうしても、そういうことには興味を持ちますからね」
「まあ、その辺は俺たちにも悪いところがありますので、何とも…」
「でもいいんじゃないですか?」
急に夏目がおどけたような声を出した。
「誰もがいつか通る道、ですよ」
「……俺たちは日が浅いものですから…」
「は?」
驚いたように顔を向けた夏目に、ベムは一番まずいことを言ってしまったのではと思ったのだが、
もう遅かった。こうなったら腹を括るしかない。ステッキを握る手に力が入った。
「この街に来てからなんです、何もかも。ですからベロがああいうことを言うとは思ってもみなくて…」
職業柄察しが良いのか、そんな短い言葉で夏目はベムが言わんとすることを呑み込めたようだ。
「…それも、ベロくんが通る道なんですよ、ベムさん」
薄い筋雲が浮いている空を見上げながら、呟くように話す夏目の声はとても優しい。ベムにとっては
未知の領域の答えを幾つも持っているのだろう。それが羨ましかった。それを知る為にだけでも人間
になりたいと思った。
「そう、なんでしょうね…」
遠くでベロが手を振っていた。
「ベムさんはね、ベラさんとずっと仲良くしているのが一番なんです」
ベムの代わりに笑顔で小さく手を振り返しながら、夏目はそんなことを言う。それが有り難かった。
「俺はね、なおちゃんがいつも一番好きで可愛いと思っています。ベムさんもそうでしょう?」
いつも睦まじいこの夫婦が羨ましいと思っていた。違う違わないと理屈を言っていても、結局のところ
夫婦和合こそが家庭の根幹なのだろう。
何だか、とてもベラに会いたくなった。
「ね、ベムさん」
夏目の無邪気な笑みに、頬が少しだけ緩んだ。
「ええ、とても可愛いと…思っています」
終
481 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 00:15:12.78 ID:kW98ctpB
日曜出勤で疲れた心と身体が……癒されましたヾ(❤´д`❤)ノ。o゜。*ΤНДЙК'S*。゜o。ヽ(❤´д`❤)ノシ
GJ!
シリアスなのにギャグwGJw
「イク」ってwwベロに聞かれてるしwww
ベムさん自重・・・しなくていいっすw
卒倒しかけて目を閉じるベムさん、
すべてを夏目さんに告白相談するベムさんモエス
普通のヤンパパにしてあげたかった…(違
GJ!
ベム、お前って奴は…w
べむとべらにせいよくがあってもいいじゃない
にんげんじゃないけど
みつを
このスレ投下が多くて
しかもどれも良作でほんと幸せ
職人さんたちごち!
まったりとBLUE MOONの続きを待ってる
あれすごく好きだ
本当に投下は多いわ良作揃いわで何度も読み返してはニヤついてるオレきめぇw
これからも全力で職人様方の投下を待ってる
ベムベラ最高!
ベムベラは本当にいいね。
何というか、ドラマが終わってもこうして妄想を喚起させられるものがあるから
堪らない。
てなことで、短いけど投下。
最近は自分の中のベムが訳分からんことになってる。
淡い月の光が天窓から降り注いでいる静かな夜。
じりじりと身の内を焼くような熱に苛まれているせいで、ベムはなかなか寝つけないでいた。寝台に
横になっていても一向にやって来ない睡魔を待ち侘びるばかりで時間だけが悪戯に過ぎる。
湧き上がる熱の原因など、知れたもの。
ベラと抱き合うようになってからというもの、身に覚えのある熱く、悩ましく、どこかおぞましい疼きが
夜毎襲い掛かるようになっていたのだ。
生まれてから数十年もの間、人間になることばかりを願って生きてきたこともあって色事には一切無縁
のままでいた。自由に生と性の悦びを愉しんでいる人間たちと自分たちは別で、同じように愉しみたい
と思うのであれば、まず人間になることが先決だろうとずっと思っていた。
他の思考など一切ある筈もなく、ただそれだけを望んで。
なのにこの街に辿り着いてからというもの、どういう縁か知らないが人間の知り合いが何人も出来て
長年の憧れがもしかしたら、とも思えるようになった。それがずっと隠していた様々な欲を誘発したの
かも知れない。
それは元々同じ細胞だったベラも同様だったようで、芽吹く種子の殻を弾くようにどちらともなく手を
伸ばし、自らの物とは異なる形の身体を知った。それは知らずにいた頃からは想像すら出来ないほど
甘美で官能的で、五感全ての機能すら奪われても良いと思えるほどだった。
知らないままでいるならともかくも、知ってしまった後ではその感覚から逃れることなど既に不可能で、
人ならぬ身をもってしてもこうして悶々と懊悩するしかない。
肉欲、とは良く言ったものだ。
ベラによって極上の女の味を知ってからというもの、全ての感覚の上からあの素晴らしく悩ましい肌の
感触が離れない。
まだ日が浅いこともあって、のぼせているに違いない。
堪りかねて寝台から降りると、ベラの眠る方へと目を向けた。
こちらの気も知らず、ベラは身じろぎすることもなくいつも被っている布をきっちりと身体に巻きつけて
すうすう寝息をたてている。今夜はことに寒いので、辛うじて額の一部が覗いているだけだ。
傍らではベロが寝相の悪さを発揮して、四方八方に腕を伸ばしたまま寝入っている。今夜は多分目を
覚ますことはないだろう。
「…ベラ」
小声で読んでみたが、もちろん何の反応もない。
近付いて布の上から身体を撫でると、眠りの中でも何か感ずるものがあるのか、わずかな身じろぎを
した。
「…何をして、いるんだい」
不意に被っている布の奥から声がした。
眠そうな目が恨めしげに開いている。ベラの目が覚めてしまったようだった。さすがに困惑しながら
下手な言葉で言い繕おうとするベムだったが、そんなものはとうに見抜かれていた。
「…別に、何もない」
「嘘をお言い」
声は不機嫌そうだったが、その反面仕草はどこか色香に満ちて誘うものがあった。布の下から現れ
出でた白い首筋が匂い立つように美しく、必死に隠している劣情が爆発しそうだった。
寝台から身を起こした女の黒髪が麗らかに零れる。
「…眠れないのかい?」
「ああ、まあ…な」
「難儀だねえ、あんたも」
ふっと微笑む唇が夜目にも赤かった。
「来る、かい?」
布をめくっておいでと手招きする仕草につられて、つい歩を進めるともう一つの夜に丸ごとくるまれて
しまった。
つまらない理屈など一切不要の、夜が始まる。
終
GJ!!
492 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/13(金) 03:43:41.32 ID:SLYb5G4I
GJ!
ベムがなんだかかわいいです!
GJ!
ベムが悶々としてるのがいい。
なぜ続きがないんだ
GJ!
だが続きを全裸で待機だ!風邪引く前に早く下さい!
>>493-494 ェェェェェ(゜Д゜)ェェェェェ
これで終わりのつもりで短くしたのに、やっぱ続き書かないかんの?
明後日ぐらいに投下する話でまたガチエロ書きたかったけど、待たれてるんなら
とりあえず続ける。
でもガチエロも書く。
ベムベラならいくらでもネタが出てくるんだよマジで。
496 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/14(土) 10:17:04.46 ID:d6+URGoF
最低限な話、作者様方に了解を取ってから依頼するべきじゃないか?
保管されたくないって人もいるかもしれないだろうし
先走りすぎ
保管庫なんてあるんだね。
でも、問題ないんじゃないかな。
スレが落ちたら職人さんたちの神作品が見られなくなる。その前にしかるべきところに
保管しておきたいだろうし。
引っかかるところがあるとすれば、職人さんたちの承諾がないことぐらいかな。
それが気になってるんだろ?
連投スマン
>>497のスレッドに↓が書かれてるんだが…
※収蔵依頼に関して
まずスレ内で合意を取り付けて下さい。
とりあえず先走って保管依頼したヤツ、このスレ内でお伺いをたてろ!話はそれからだ!
出来れば保管してほしいな
まだ500だしね。話し合いする余裕はある。
ところで職人さんの承諾ってどうやってとるんだ?
もともと保管庫のあるところしか見たことないんで
よくわからないんだが、本人証明とかどうすんの?
「保管庫に入れて貰いますけど反対意見はありますか」
くらいでいいんじゃね?
続き書いたから投下する。
これでやっと寝られるー。
この悩ましい闇の中は二人きりで、何も躊躇をする必要などない。
そうなれたのはつい最近のことで以前はもっと臆病でいたのが嘘のようだ。
いざり寄り、離れて、恐れをなしながらもまた近付いていく。知らぬものに踏み込む時はいつも怖くて
足を踏み入れるのさえためらった。
しかし、ベラとの間のことは少しずつ分かってきている。怖さはまだ少し残っているものの、以前ほど
のものではない。何よりも望んでいた艶めかしい肌身を知っているからだ。
「ふふふっ…」
さすがに狭い寝台の上ではいつ落ちるか分からない、と一旦床の上に移動はしたものの、くるまれた
布の中で再び温みを取り戻したベラはあえかな声で笑う。抱き込まれて密着してくる身体の温みが
伝わってきて目眩がしそうになった。
完全な闇にいるベムは正気を繋ぎ留める為に目を閉じる。
「…つまらないものを取り繕うのは、およしよ」
闇の女王が全てを見通したようにくつくつと喉で笑った。身じろぎの度に甘やかな肌の匂いを感じてしまうから
堪らない。この狭い闇の中はいたく魅惑に満ちていた。
頬に当たる乳房の柔らかさをもっと確かめたくて指を滑らせ、肌触りを愉しむうちに髪を梳くように手が何度も
撫でてくる。
人間はこの感覚を、胎内にいるようだと言うのかも知れない。何とも安らいで心地の良い思いだ。それでも、
一度湧き上がった情欲は消えることなく身体を灼いている。
「ベラ、お前は…どうなんだ」
「言うまでもないね、あたしはいつもあたしのままさ」
緩くベムの髪を撫でながら、ベラは当たり前のように答える。この女はいつもこの通りに言動の芯が通っている
のが羨ましいばかりだ。
「あんただって、そうだろ。ベム」
その思いを見通したように、ベラは断定してくる。その言葉がいつも迷いがちになり気持ちが横道に逸れてしまう
ベムを元に引き戻す。やはりこの女は中身までもが格好良く出来ている。
「…そうなのかな」
「ん、もうっ!」
やはり逡巡するばかりでなかなか次に進みそうもないベムに焦れたのか、ベラが身体をずらして額に、角にと
滑らかな唇を押し当てた。途端に身体の中の熱がじわりと立ち戻る。むずかる子供のように柔らかな乳房に頬
を摺り寄せたまま纏わりついているドレスを引き剥がした。
するり、と肌の上から薄い布が落ちていく。目を凝らしても何も見えない狭い闇の中、ベムも身に着けているもの
を脱いでいった。
二人の間にある邪魔なものはこの闇から全て追い出して、何も考えずに愉しむ為に。
指先にベラの長い髪が触れた。
絡みつかれて法悦の先へと誘われる妄想に一瞬囚われ、貪り合っていた唇に歯を立てた。痛みを覚えたのか
ベラはわずかに身を固くしたが、特に怒る様子もなく腕を回してしがみついてくる。唇が離れる度に漏れる吐息が
湿っぽく熱い。
「は…っ」
何も見えない闇の中だが、きっとベラは一目で欲情してしまうほど淫蕩な表情をしているのだろう。それを目に
出来ないのは何とも残念だったが、あえて触感のみで交わるのもそう悪くはなかった。視覚が遮断されている
からこそ余計に他の感覚が研ぎ澄まされ、馨しく変化を遂げている肌の香や滑らかな手触りだけでいつも以上
に興奮を覚えている。
「ねえ、もっと…触って」
吐息だけで囁く声が、甘く蕩けている。
闇の底、全てを押し包む法悦まであと少しだった。
音を立てながら乳房に吸いつき舌先で乳首を何度となく捏ねつつも、ゆっくりと下腹を撫でていた片手を股間へ
忍ばせる。途端に汗ばんだ肌がわななくのが分かった。
「触るだけで、いいのか」
「…分かっている癖に」
どこか甘えるような、これまで聞いたことのない声音が耳朶を撫でる。それに誘われて指先がもっと
柔らかく敏感に刺激を求めている最奥に辿り着いた。汗を刷いているだけではないしっとりとした湿り
が指先を濡らす。
「あ、ぁ…」
ベラは震えながら一層強く縋りついてきた。髪の匂いがより濃くなる。
「任せて、くれるんだろう?ベラ…」
「ん…当たり前、じゃないか…」
もっととねだるようにもじもじと腰を摺り寄せてくるのが堪らなく嬉しい。やはり同じだけ昂りきって感じ
ているのが指を濡らすもののぬめりで察せられた。見えなくても、何度も指で舌で確かめた女の深部
は幾らでも分け入ることが出来る。
「ぅくっ」
最も刺激を欲しているクリトリスを抓み、指先で強く擦り合わせるだけで細い喉から嬌声じみた呻きが
零れ落ちた。
「ここが、いいんだろう。ベラ」
「…ンっ…い…」
交わるのは同意とはいえ、あまり大きな声が上がらないように布の端を噛んでいるのだろう。ベラの
声は重くくぐもる。それをいいことに、その敏感になりきっているものをしばらくいじり、これから自らを
受け入れるべき膣内を緩やかにほぐしていきながらも悩ましい女の反応を愉しんだ。
こうして交歓の時を過ごす度に、膣壁はより柔らかく蕩けてベムを再現のないほど奥へと引き込もう
とするかの如くうねり出す。まるでベラの本音がそこにあるようだった。
ならばもっと暴きたい。ずっと知らないでいた長い時間をすぐにでも埋めたいと気が急く。
「アぁ…ベ、ムっ…」
もう限界まで追い上げられて、ベラは堪えきれなくなったようにそろりと片手を伸ばしてすっかり硬く
勃ち上がったベムの一物に触れてくる。冷たく細い指先の感触に一層高まってしまい、先走る醜態
から咄嗟に逃れようとぶるっと震えた。
力弱く扱く手の動きに、また一物が硬度を増す。
「ンんっ…こんな、熱いなんて…」
ベラの声はもうすっかり濡れそぼっていた。
布にくるまったままで始まったこの交わりが、じき一点に駆け上がろうとしている。ぬるぬるに蕩け
きった膣口に切っ先を擦りつけ、溢れ出てくる愛液を纏わりつかせている間に二人は鼻を擦り合わせ
啄ばむように唇を重ねた。
「…ベラ、お前にしか、こんなことは」
「ぁ…そんな、こと…分かって…」
泣いているのか感極まっているのか分からない震える声が耳を蕩かす。片手で乱れきった長い髪を
撫でながら、ベムはなるべくゆっくりと結合を待ち受ける内部に侵入していった。
ベラの喉から嗚咽のような声が引き攣れながら漏れる。
何度も経験したことだ。多分もうそれほど痛みもないに違いない。それでも何度も受け入れている
とはいえ、女である限り挿入されれば衝撃があり、恐怖も感じる。女という生き物は人間であれ妖怪
であれ理不尽な思いをしている。それをなるべく優しく解きほぐすのは男の役目だ。そこで初めて相互
理解が生じる。こちらが思うほどのものを相手も返してくれる。
いずれベラも自分を、と頭の隅で考えた刹那、小さな叫び声が上がった。
「やぁっ…」
ゆっくりとはいえ膣壁を擦りながら奥の突き当たりまでを犯されるのは、やはり耐えかねるものがある
のだろう。宥める為に口付けるとベラの唇がわななくように震えていた。
「きついのか…?」
「う、うん…構わないでいいよ、あたしは、平気…」
健気に答えるベラの目尻からは、きっと涙が流れている筈だ。胸が一杯になりながらベムは少しずつ
動き始めた。拒むでもなく受け入れている膣内が女の悦びに目覚めて思うさま引き絞ろうとしている。
このうねりに呑まれることなく緩急をつけて突き上げ続けるうちに、ずっと声を抑えていた筈のベラが
妖しい変化を遂げた。完全に快楽に浸りきっているのかベムの身体を挟んでいる両膝が立ち、逃しは
しないというように脚が背中で交差する。
「…ベ、ム…あたし、あんたが…」
「ベラ?」
言葉の続きを尋ねても、もうベラは何も答えなかった。身をくねらせ悩ましい声を上げながら乱れきり
射精を促す。無意識の中でも、快感だけを貪るのはさすがに辛いのだろう。
「…くっ」
思案する必要もなく、すぐにベムにも終わりが訪れようとしていた。あまりにも激しい快感がもっと長く
愉しみたい気持ちを削り取る。一足早く忘我に陥っているベラの身体をしっかりと抱き締めると、次第
に動きを早めていく。
「やぁ、ああーーー!」
膣壁の最も感じる一点を擦った途端に、身を震わせてベラが高く鳴いた。その直後に恐ろしい勢いで
蠢き出す膣内に揉まれて、ベムもまた呆気なく果ててしまった。
この交わりでどれだけ激しい快感を感じたのか分からない。ただ、随分長く精液を放出している感覚
があったのは確かだ。
ベラはまだ微かに震えたまま失神に陥って、それからしばらく戻って来なかった。
月の光は変わらず静かに降り注いでいる。
二人はしんとした夜の冷気の中で一枚の布にくるまったままで、言葉を交わすこともなしにただ寄り
添っていた。
時折見交わす眼差しの中に互いの姿を認めては微笑む。それだけだった。
あの時ベラが一体何を言おうとしたのか知りたい気もしたが、それは特に今必要なことでもないのだ
ろうと思い直した。
今夜の月は、きっと暈がかかっているのだろう。
終
あ、忘れるとこだった。
俺の書いたものなら別に保管庫に入れても構わないよ。
てか、あの保管庫に昔書いたのも結構入ってるし。
他の職人さんはどうだろう。
意思確認が出来るといいんだけど。
続きktkr
GJ
511 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/15(日) 10:44:19.28 ID:AphvNTTA
GJ!
続きありがとうございました!
なんなんだエロなのに二人とも可愛いのはなんなんだw
お互いの好きが伝わるので凄く好きです!!
続きキタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─!!
GJ!ほんとエロなのにかわいいなw
これで服が着れるぜ!
あともう何日か待って作者からの反対意見が出なかったら保管してもいいんじゃね?
>>513 それでいいと思う。
そして投下して寝る。
見るも恐ろしい妖怪の姿に変身するのはいつも望んでのことではない。
感情の昂りが高じればいつどのような時でも訪れかねないものだ、生まれた時からずっと。
拒んでも逃れようとしても否応なく、このおぞましい運命は三人を嘲笑い続けていた。
ベムは妖怪の姿が本来のものだと思っているようだが、果たして普段の人間形態と妖怪態と一体
どちらが自分たちにとって本当の姿なのだろう。
三人の製作に関わった博士亡き状態で生まれたこともあり、全ては最初から闇の中だ。もしかして
博士の意図しない要素も幾つか入り混じったのかも知れないが、それもまた今となっては追求する
術もない。
「…ふうっ…」
変身が解けた後、いつもベムは放心したように立ち竦む。
望まぬものに変貌してしまったことを悔いてでもいるようだ。とはいっても、いまだ変身に繋がる感情
の昂りを抑えることは出来ない。長年生きてきた三人でもそれだけは叶わなかった。
「ベム」
肩に流れる髪を掻き上げて、ベラは様子を伺うように近付く。
「…大丈夫かい?」
俯いたままで身動き一つしないベムの横顔は、乱れた銀髪で遮られて何も見えない。普段以上に
精神が消耗しているのかと気遣いながら再び声をかけようとして、気付いた。
この男は、全てに耐えている。
自らの忌まわしい運命に、妖怪に変貌する昂りに、身の内から突き上げてくる動揺と困惑に。
これまで幾度となく望まぬ変貌を遂げてきたというのに、拒み続ける精神がまだ状況を受け入れて
いないのだろう。哀れなものだと思う。
ベラもまた似たようなものなので自嘲の笑みが浮かんだ。
「……ベラ」
不意にぼそり、と呟く声が聞こえる。
「何だい?」
特に気に留めることもなく尋ねたベラの前で、ゆっくりと顔を上げてこちらを見たベムの表情が妖しく
歪んだ。いつもであれば絶対に見せない貪欲で卑猥な眼差しがベラを捉える。
途端にぞくりと背筋に歓喜にも似た怖気が走った。この異様な雰囲気にはこれまで何度も立ち会って
いたから良く分かる。
「鎮めて、くれないか」
決して逃れられない声がベラの性感を縛り上げた。
これがどのような意味を持っていることかは、取りあえずどうでもいい。
人間の常識の範疇などでは到底囚われないものが既に二人の間にはある。この男がそう望むので
あれば応じるだけだ。そうでなければ精神が脆いところのあるこの男はきっとどこかが壊れてしまう
だろう。
それだけは避けたかった。
何よりベラも変身が解けた後の身の内にある激情を鎮めたかったのだ。
「ベロ」
心を決めたら後は早かった。
傍らにいるベロを手招きすると、すかさず耳打ちをする。
「いいかい、どうやらベムは具合が良くないらしいんだ。あたしは様子を見るから、あんたは外に出て
おいで。びっくりするものを見たくなければね」
耳打ちをされてベロは一瞬固まったが、こくこくと頷くなり一目散に外へ飛び出して行った。別に邪魔
にする訳でもないが、わざわざ浅ましい姿を見られたいとは思わないから仕方がない。
「済まないね、ベロ」
きっとしばらくは一人でつまらない思いをするだろうと気の毒に思いながらも、ベラの気持ちは目の前
にいる男に向いていた。
「…あんたはホントに因果だねえ……」
思わず知らずのうちに募る激情が身の内から溢れ出て背に流れる髪を揺らした。この男を救いたい、
何もかも分け合いたい、それよりも理屈抜きで今この時を愉しみたい。緩やかに歩みゆくうちにもう
それだけしか考えられなくなっていた。
「俺の方こそ、済まないな…ベラ。いつもお前に頼りきっている」
間近で見る銀髪の奥で揺れゆく表情は、先程の妖しさとは打って変わって素に戻っていた。子供を
宥めるようにゆっくりと頬を撫でると、安心させたくて笑いかける。
「ふ、ふっ…今更何を水臭いことを。あたしがあたしでいるように、あんたもそのままでいなよ。自分を
見失ったら本末転倒だ」
「…そう、だな」
抱き寄せられるままに身を添わせると、承諾と受け取ったのか背骨が軋むほどに強く抱き込まれて
息が詰まった。ベムの上に降る哀しみも募る激情も全部自分のものにしたい。それでこの男の苦しみ
が少しでも癒えるのならば。
「…苦しいよ、ベム」
嫌な訳ではない、むしろ嬉しく思いながら腕を伸ばして剥き出しになっている肩の鱗に触れた。自分と
同じものがここにある。それが無性に気分を落ち着かせた。
そんなベラの纏っているものが何の前触れもなく胸元から剥がされる。
「…っ」
一瞬動揺したが、いつものことだ。どのようなことがこの先起ころうとも、この男の気が済めばそれで
いい。抵抗もしないベラを眺めているベムの手が両乳房に伸びて、乱暴に揉み始めた。
「…た、っ…」
思わず発した声を殺すように顔を逸らしながら手の甲で口を塞ぐ。それが男の隠していた興奮を誘発
したのだろう、もう一枚、腰に纏わりついていた布きれを剥ぎ取りながら、強引に二本の指が何の準備
もない膣内をぐいと突いた。
「あ…や、っ」
声を上げながらベラは必死で抱きつく。怖いのは最初のうちだけだ、と自分に言い聞かせながらも
決して離れようとはしなかった。それに乗じるようにベムの指先がじっくりと乾いた膣内を押し広げて
間断ない刺激を与えていく。馴染みきった愛撫だけに、そこが愛液で充分に潤うのはそれほど時間
もかからなかった。
「…ベム、好きにしていい、から…」
返事はなかった。密着している身体がとても熱い。恐らくはもうすっかり激情に囚われきっているの
だろう。変わらずに抱きかかえている片腕の力に支えられて、ベラは不安定になりかけている体勢
でも何とか離れずに済んでいた。
そのうちにそろそろ頃合になったのか、濡れた音を立てて指が引き抜かれる。
もう一度強く抱き締められ耳朶をなぞるように唇を這わされて、じんわりと身体の奥が熱くなってくる。
その変化を眺めながら一段と低い声で感覚を麻痺させるように囁いてくる男が、驚くほど真剣な眼差し
で覗き込んできた。
「…ベラ」
「ン、何…」
「いいな」
とうに分かりきっていることを、わざわざ聞いてくるこんな無粋な男だ。これまで苛々することも激昂
することも幾らでもあったのに、そんなものは全部溶け崩れて霧散した。その経緯の先に今の二人の
関係がある。
「…幾らでも…」
するりと鼻を擦り合わせながら唇を触れ合わせる間にベラは目を閉じた。この先に待ち構える運命が
決して良いものでなくても、この男だけを見ていればそれでいいのだと思う。
「ぅっ…」
膣奥までを一気に突かれて、喉が掠れた。
床の冷たさが最初のうちは気になったものの、次第に乱されて何も分からなくなっていく。涙で滲む
視界に薄暗い天井とベムの銀髪が映る。もう少しで快感に浸りきってしまうその前に、もう一度だけ
顔が見たかったのだが、叶わなかった。
「あぁ、あ…ベム…」
抵抗のように、とん、と肩を叩くと一瞬だけ男が顔を上げた。
熱の籠った視線がぶつかる。
「どうした?」
ベラの全てを征服しているこの憎らしい男は、こんな時だけやたらと逞しく見えるから悔しい。目尻
から零れる涙を追うようにわざと視線を外す。
「…あんたなんて、大嫌い…」
「そうなのか、だが俺は」
「え?」
何を言おうとしたのだろう、と聞き耳をたてるベラだったが突然内部をいっぱいに満たすものが引き
抜かれ、強引に身体が反転させられた。
「やだっ、何、を…」
あと少し、というところで中途半端に昂ったままの身体は碌に力が入らなかった。強制されるままに
四つん這いの体勢を取ったところで再び背後から押し入られる。突き当たる箇所が違うだけで、また
異様なほどに高まっていくのが分かった。
「ああっ!」
こんなケダモノのような恰好なのに、気持ちがいい。不自然な体勢なのがまた、膣壁を引っ掻き回
されるようで堪らない。
腰を完全に押さえつけられ、嵐のように突き込まれて濡れた声を上げ続けるベラは、今度こそ何も
かも忘れてしまった。
事後の目覚めは急に訪れた。
けれど目を開く気にはなれない。寒さを感じさせないようになのか、ベムがしっかりと抱き締めていた
からだ。
もう少しこのままでいるぐらいのわがままは、きっと許されるだろう。
眠っているふりをして身じろぎながら、ベラは交わっている間に脳裏を掠めた考えを少しずつ思い出し
ていた。
感情の昂りであの姿に変身するのであれば、どうして男と女の交わりを持っている間は何も起こら
ないのだろうと。もしかしたら今の人間態こそが本来の姿なのかも知れない。とは言っても今更どう
にもならないことだ。
人間になれればそれらは全て悪い夢だったと笑い飛ばせるのだろうか。それとも別の悪い夢が用意
されているのか。それもまた今のところは分からない。
今はまだ実体のない
きっかけだけは、掴みかけている。それは一体どんな運命の先に繋がっているのだろう。
「ベラ」
いきなりベムが呟いた。
目覚めたことを気付かれたのかと思ったが、そうでもないらしい。
「何が俺たちにとっての正解なんだろうな…」
ベムも迷っている。
そんなことは、きっと誰も分からないよ。
答える代わりに寝惚けた振りをして裸の胸に頬を摺り寄せた。
この男が何者であろうと、恐らくはお互いに誂えられた存在なのだ。でなければどうして最初から
成人として生まれようか。博士の意図がどうだったのかは関係ない、とうに亡き今は自分たちで勝手
に解釈すればいいことだ。
誰も分からないことでも、その答えを見つける為に一人ぼっちじゃないんだろ。
唇の端に笑みを浮かべながら、ベラは静かに瞼を開いた。
終
GJ!!
ベムベラいいな
>>520 それ、トリップじゃなくてIDをトリップ風に改変しただけだよな。
>>500 物事の順番が確かに違う気はするけど
あそこの保管庫に収蔵されれば安泰だと思う
山田なら一言かけてから行ったろうに
524 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/16(月) 19:19:53.85 ID:DNsdPS/j
GJ!!
いつもすてきなベムベラをありがとうです!!
この話、ベロにはばれてないのかしら・・・とちょっと気になった。
マル・マル♪ モリ・モリ♪ みんなたべ〜るよ ツル・ツル♪ テカ・テカ♪
Λ_Λ /´)_(`マ Λ_Λ Λ_Λ _Λ_Λ_
(´・ω・`) (( (´・ω・`) ,, (´・ω・`) (´・ω・`) ) )・ω・( ( ,,
(( /つこ/ ,, / / (( ( ∩∩ノ " と ノつ (( `/ /´
しーJ しーJ しーJ しーJ しーJ
あ し た も 〈 ワン! 〉 晴れるかなー♪
∩ΛΛ∩ Λ_Λ Λ_Λ .Λ_Λ
(´・ω・`) (´・ω・`) (´-ω-`) (´・ω・`/´)
/ / /ニ⊃⊂ /ニ⊃⊂ <,i /´
しーJ しーJ しーJ しーJ
GJ!ベラの包み込むような優しさがいいね
>>513一週間くらいは待ってみたら?職人さんのOK出たのってまだ一人だけだろ?
>>520トリップとIDの区別もつかないとは・・・早漏なだけはあるな
>>523保管してもらうならあそこの保管庫のルールを守らないのはダメだと思う
ルールを守らないってのは保管拒否されても仕方ないレベル
あ。
確認したつもりだったのに抜けがあった。
5/5
× 今はまだ実体のない
○ 今はまだ実体のない 浅い夢の中にいる。
ついでに。
>>524 そりゃバレてると思う。
廃船の中でも騒々しいしさ。
ベロは一応100年以上生きてるから二人がしている行為が何なのか理解したうえで知らないフリしてあげてる可能性もある
「おいらも優以ちゃんとやりたいな」
途端に食ってた葉っぱを吹くベムとベラ
和やかな朝食の場であった
ベムとベラがウッフンアッハンしてる影で
ベロ「チッ、あいつらまたヤってんのかよ…気遣うこっちの身にもなれや」
532 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/17(火) 02:33:28.37 ID:huw37+Gt
ベラの下着ってどんなのかな?・・と想像した
ノーパンノーブラ
534 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/17(火) 06:03:26.13 ID:gk6ASyvZ
やっぱりベロにはばれてるのね・・・w
ぇぇ子やベロ・・・(ノД`)・゜・。
>>532 あの変身といた後の布きれが下着だと想像してる
キスかセックスをしている所をベロに見られてしまうシチュエーションが見てみたい
ベロ「オイラも混ぜて!」
ベムとベラ。
最終回からちょっと経った頃の話。
今回は前半で微エロ。
保管庫、自分もOKです。
538 :
春宵 5-1:2012/01/17(火) 15:29:44.72 ID:JxDECT99
川べりでレンゲの大群が揺れている。
せせらぎと呼ぶには速い流れが、川面に浮かぶ尖った岩に白く弾ける。澄んだ水は細かな霧となって辺りに満ち、
岸辺の温度をいよいよ下げていた。
季節はすでに穀雨の頃だが、山奥のこと、風はまだ雪解けの冷たさだ。だが、川岸を覆う木々の鮮明な緑は、
今が春もたけなわであると告げていた。
レンゲの薄紫の中に一点、二点、黄色い塊が萌えている。タンポポだろう。花の隙間を縫うように、無数の蝶が
飛び交っているのも見えた。
気流に乗って、はたはたと舞い飛ぶ蝶を追い、小さな体がぴょんと飛び上がった。けれどその手に触れる前に、
白い影はふわりと空へ去ってしまった。
さほど悔しそうな様子も見せず、きゃっきゃと笑い声をあげると、ベロはまた別の蝶を追って地面を蹴った。
春の青空に、くすんだ赤色が吸い込まれる。テントウムシみたいだとふと思い、ベラは小さく笑った。
視線を感じて隣を見る。無表情に見つめるベムと目が合った。
川べりの石の上に、不自然なほど姿勢よく座っている。こっちはトンボかねと思った瞬間おかしくなって、
思わず吹き出したベラを見たベムが、戸惑ったように瞬きした。
人の世を離れて数か月。一つの望みを失い、別の望みを得て数か月。
拠点は生まれ故郷の街に置いていたが、三人は少しずつ、他の場所にも移動を始めていた。
元の街の情勢が落ち着いているのも、大きな要因だった。夏目は相変わらず元気に刑事を続けているし、
教授や小春の生活も変わりない。だから、そろそろここ以外にも目を向けてはどうか、と話し合ったのだ。
終わりのない生を、人を救うために使うと決めた。すべてを救おうなどとおこがましいことは考えていないが、
行動範囲を広げれば、この手に掴めるものも増えるかもしれない。
一月ばかりかけていくつかの街を回った後、少し離れたある街を次の目的地として挙げたのはベラだった。
これまでと同じように、ベムも反対することはなかった。
いつも通り歩いて向かう途中、人目につかないようにと山へ入った時も、何も言わなかった。
だが、立ち入り禁止の札を越え、獣道を歩きはじめたあたりで、さすがに困惑の表情を浮かべた。
本当にここであっているのか、という問いかけに、たまにはベムも休まないとだめだよ、といったのはベロだった。
人を救いたいと思う気持ちに、三人とも偽りはない。
もともとベムはそれが顕著だったが、あの日以来、表情や行動に、いっそ思いつめたような必死さがでてきていた。
不眠不休で街を駆け回り、呼吸も忘れたように人の気配を追い続ける。ひたむきを通り越して執念すら感じる
その姿に、ベラとベロが無理やり休息を取らせたことも一度や二度ではない。
生きる目的は大事だ。だが、だからと言って四六時中、そのためだけに気を張り続けていては、不死身のこの身も
心ももたない。気を緩ませることも必要だ。
一夜の眠りではもう足りない。できるなら少し長く。
もちろん言い聞かせたところで、ベムは簡単には納得しないだろう。ならばだまし討ちにしてでも。
かくしてベラベロ合同発案のベム休息計画は、少々ずさんかつ強引に遂行された。
お願いだから息抜きしてよ、とベロが懇願し、あんたそのうち頭爆発するよ、とベラが脅し、それでも渋るベムを
文字通り襟首掴んで引きずって、この山奥の沢にどうにか落ち着いたのは、昨日のことだ。
山を選んだ理由はただ一つ。奥まで行けば人がいないから。
人間と関わらずに過ごすのは、今のこの国ではずいぶん難しい。
539 :
春宵 5-2:2012/01/17(火) 15:31:12.10 ID:JxDECT99
蝶を追いかけるのにも飽きたらしい。ベロが川岸に座り込んだ。魚でもいるのか、じっと川面を覗き込む姿に、
落ちるんじゃないよと一声かけて、ベラは横を見た。
ベムは空を仰いでいた。まだ冷たい風に、銀の髪がそよいでいる。
帽子を取っているところを見ると、少しはくつろいでいるのか。だが表情はまだ硬い。
日差しに細められた目の中を、雲が流れていく。視線は動かない。空を見ているようで、物思いにふけっているのだろう。
人も獣も通わぬ山奥へ、強制的に連れ込んで丸一日。さすがに諦めたか戻るとは言わなくなったが、それでも
ベムは気づけばこうやって、一人きり何かを考え込んでいる。
休めというのに、相変わらず困った男だ。
手を伸ばし、ベラはその頬を軽くはたいた。弾かれたように振り返った顔を、今度はゆっくり撫でてみる。
指先で、額に生える異形の証に軽く触れる。戸惑った顔の中、目元が少しだけ緩んだ気がした。
「また何か考えてる」
「……すまない」
「頭使うのおやめったら。ぼけっとしてりゃいいんだよ、そのために来たんだから」
ちっとは気を抜きな、と、もう一度はたいて手を下ろす。つられたように降りたベムの目が、ゆっくりと瞬いた。
「大体あんたは思い込み過ぎるんだよ。今だってつまんないこと考えてたんだろう」
「……そうでも、ないが」
「嘘お言い。顔見りゃわかるさ」
ベムはうつむいたままだ。きつい言葉を投げかけても、もう返答もない。また自分の思考に陥っているのだろうか。
なんでこっちを見ようとしないんだろう。
なぜかひどくイライラして、ベラはその顔をぐいと下から覗きこんだ。
黒く深い目と目が合った。
真夜中の色だ。この男の目はいつもこんな色をしている。
「決めたのはあたしもベロもだ。……自分だけしょい込んでるような顔するんじゃないよ」
低い囁きに、その目がわずかに見開いた。
瞬きひとつせず、じっと見下ろしてくる目をベラも逸らさず睨み返す。
「そんなつもりはない」
「どうだか。何でもかんでも一人で抱え込みゃあいいと思ってんだろ。悪い癖だよ、いい加減直しな」
闇色の瞳の中に、ひとかけらの感情が浮かんだ。困惑とも、怒りともとれるそれに、場違いな安堵を覚える。
緩みかける口元を引き締め、ベラはことさら挑発的に眉をしかめて見せた。
「言っとくけどね、あたしは自分のことはなんでも自分で決めてるんだ。あたしのことを勝手に決めるなんざ、
あんたにだって許しゃしないからね」
「……それは」
「いつだってそうさ。誰かに丸投げしたことなんか、一度だってない」
川べりを風が吹き抜ける。身を切るような冷たさは冬の日を思い出させた。
あの日。闇の中、三人きり。無言で駆けたあの夜も、こんな風が吹いていた。
「忘れるんじゃないよ。あの時、杖を握っていたのは、あんた一人じゃないんだ」
闇色の目が、大きく見開いた。
言いたいだけ言って身を起こし、空に向かって伸びをする。ベラが視線を戻しても、ベムはうつむいたままだった。
春の日差しを反射して、銀の髪が眩いほど輝いている。明るいのはこんなところだけだと呆れた気分で見つめ、
ベラは頭を振って大きくため息をついた。
「ああもう面倒くさいったら。やっぱりあたしがやりゃよかった……」
「それはない」
迷いもなく返された言葉に、じろりと隣を見下ろす。
落ちかかる銀の髪の間から、ベムがじっと見上げていた。
その目に、先ほどまでの暗さはなかった。久しぶりに見る穏やかな視線に、一瞬言葉を忘れたベラを見つめ、ベムは微かに笑った。
「俺がさせない」
「はあ?」
恫喝に似た疑問符に答えず、ベムは立ち上がった。
一際強く風が吹いた。川べりのレンゲが波のように揺れる。巻き上がった銀の髪の向こう、その顔にもう笑みはなかった。
だが黒い双眸は、穏やかな光を宿してまっすぐ前を見つめていた。
540 :
春宵 5-3:2012/01/17(火) 15:32:44.87 ID:JxDECT99
線の細い体を睨みあげるベラを見下ろし、ベムは少し身をかがめると、ゆっくり手を伸ばした。
大きな手のひらがベラの白い頬をつつみこんだ。指先が目元を柔らかく撫で、額の横に生える鱗をさする。
ひどく、優しい動きだった。
突然のことに硬直したベラを見て、もう一度微笑むと、ベムはすっと手を放した。
傍らに置いていた杖を取り上げると、何事もなかったかのように踵を返し歩き出す。
川岸で、今にも転がりそうなほど身を乗り出すベロの元へ向かうベムを、ベラは茫然と見送った。間一髪、小さな体を抱え上げ、
何かを話しかけている姿をしばらく見つめ、はっとして自分の頬を押さえる。
「なんだいあれ。わけのわからない……」
罵ったつもりが妙に甲高い声になってしまい、悔しまぎれに小さく舌打ちする。
ベロと手をつないで歩きだした後姿をまた睨み、だがすぐ面倒になって、ベラは自分の膝に顔を伏せた。
まだ高い春の陽が、柔らかく降り注いでいる。
風は冷たいが背中はぽかぽかと暖かい。マントが邪魔になって跳ね上げれば、陽光はむき出しの腕も暖めてくれた。
だのになぜか、日差しの当たらない頬のほうが熱い。
頭を振って気をそらし、先ほどのベムの顔を思い出す。
穏やかで、落ち着いた目をしていた。あの男のあんな顔を見るのは久しぶりだ。きっとベロも喜ぶだろう。
思うと同時に聞こえた高い笑い声に、ベラは顔を上げた。
川岸に群れ咲くレンゲの中を歩きながら、ベロが懸命に何かを話している。見下ろすベムは無表情だが、なんとなく
目元が緩んで見えた。
ベロが遊ぶ姿を見るのも、随分と久しぶりだ。
それを言うなら自分もそうだ。こうしてのんびり花や空を眺めたのなど、何か月ぶりだろう。
ベムを休ませるのが目的だったのに、ここに来てからいつの間にか、自分やベロのほうがくつろいでいる。
冬のあの日以来、自分たちの日々はがらりと変わった。覚悟はしていたし受け入れているつもりだったが、やはり
どこかで気を張っていたのだろう。
どうやら余裕をなくしていたのは、ベムだけではなかったらしい。
生きる目的は大事だ。だが、だからと言って四六時中、そのためだけに気を張り続けていては、不死身のこの身も
心ももたない。
これからも三人、果てのない長い時を生きていくのだ。たまにはこんな日があってもいいだろう。
薄紫の花を縫って歩く二人を見つめる、ベラの顔にかすかな笑みが浮かんだ。
ベロが立ち止った。ベムの腕を引いて何かを言っている。二言三言話し、ベムが屈んだ。
その背中にベロがひょいと飛び乗る。歓声を上げて空に手を伸ばす小さな体を揺すりあげ、また歩きだした後姿を、
ベラはぼんやり見送った。
春の陽が暖かく体を包みこむ。だがやはりそれ以上に、頬が熱かった。
熱を帯びたそこに無意識に触れる。自分の指の感触は、否が応にも先ほどの手のひらを思い出させた。
あんな風に触れられたのも、久しぶりな気がする。
暖かい手のひらが頬を包む。目元を撫で、鱗に触り、ゆっくりと髪を梳く。不器用な指はいつも優しい。
いっそじれったくなるほどに。
首筋から肩をたどり、たどたどしく背中に触れる。腕を回して抱き返せば、応えるように力が強くなる。
ぴたりと重なった肌の合間で、体温が溶けていく。一つになりたいと願うように。
そういえば、長いことしてない。
春の陽気につられてぽかりと浮かんだ言葉を反芻し、ベラははたと顔を上げた。
ベムはベロを背負い、相変わらずゆっくりと歩いている。平和な後ろ姿にほっとすると同時に、湧き上がってきた
妙ないたたまれなさに、ベラはがしがしと髪を掻きむしった。
何考えてるんだか、と嘯いても、蘇った感触は消えてくれない。いらいら動く指の先で、細い髪が乱れて流れ落ちた。
541 :
春宵 5-4:2012/01/17(火) 15:33:51.23 ID:JxDECT99
頬に触れるのさえ久しぶりだから、当然それ以上に触れ合うことも、久しくなかった。
ましてや交わりなど。街の様子を見がてら、元のねぐらである廃船に泊まった夜、一度か二度、あったくらいだ。
あの場所では、三人で眠る夜には、ベムも以前のように穏やかな顔になったから。
だが近頃は、船に戻ることすらほとんどなかった。夜も昼もなく街を駆け巡り、それに伴い張りつめていく精神に
そんなことを考える余裕はすっかりなくなっていた。
最後はいつだったか。確かひどく寒い冬の夜だった。ああそうだ、それまではただ抱き合い、つながるだけで
満足だったのに、あの日はびっくりするような変化が起きたのだ。まあ確かに、少し前から兆候はあって……。
だから何考えてるんだい!と心の中で自分を怒鳴りつけ、またベラは頭を掻き毟った。
視線を感じた。
ばさばさになった髪の隙間から、恐る恐る川べりを覗く。ベムとベロがきょとんとした顔で見詰めていた。
背中にどっと汗が吹き出した。
眉根を寄せたベムが、ベロを背負ったままこちらに近づいてくる。あわてて来るなと手を振れば、足が止まった。
しつこく見つめてくるのに、しつこく手を振り続ける。やがて諦めたか、ベムは様子を伺いながらもまた歩き出した。
ほっとして膝に顔を埋める。
ちょっと情けない気分になった。
交わるようになったのは、最近の話だ。
はじめはそんな気はなかった。感情の行き場を探しているうちに、そうなっただけだ。
無口でくそまじめで、臆病なくせに頑固で、どうしようもなく優しい。あの男に対して、自分の中に漠然としたものが
存在しているのは、昔から知っていた。
ベロに抱くものとよく似たそれが、何なのか理解したのは、あの町を訪れてからだ。
これまでにないほど人と関わり、感化されるうちに、それまで知らなかったことをいくつも知った。
たとえば触れ合うこと。触れ合うことで肌から肌へ、言葉より雄弁に伝わるものもあると知った。
伝えることで、思いはさらに深まった。それをまた互いに伝え合い、共感し、自分たちはどんどん変わっていった。
一つの変化は新しい変化を呼ぶ。その流れに乗って、心の中で曖昧だったものも形をとり始めた。
確信したのは、恋と呼ぶものを知り、敗れた後だ。
知ったからこそ分かった。それは恋ではなかった。もっと広く、深く、暖かく、魂を満たすものだった。
そんな風に思っていたのかと、自分に驚いたのを覚えている。
最初はわかっただけで十分だった。心はとっくにつながっている。それでいいと思っていた。
けれど相手も同じものを抱いていると知り、向き合った時、そこには心以外にもつながる手段があった。
だから手を握った。頬を撫で、抱き合った。唇で触れ合い、それでも足りなくて二人、恐る恐る体をつないだ。
これが正しいのかどうかわからない。所詮は人ならぬ身が、人間の真似ごとをしているだけなのかもしれない。
だが一度知ってしまえば、もう手放すことなどできなかった。
他の誰にも感じないし、交わしたいとも思わない。求め、求められ、分け合い、つながり、満たしあう喜びは、
伴う苦痛や恐れを凌駕するほど、甘美で幸福だった。
最近知り始めたあの感覚には、まだ慣れないが。
だってどうやって慣れろというのだ。体も頭も感情もごちゃまぜになり、膨れ上がっていくようなあの不安に。
止めることもできず引きずられ、なにがなんだかわからなくなって、泣くしかなくなる情けなさに。
耐えられるだけ、痛みのほうがまだましだ。
大体ベムが悪いのだ。じれったいほど丁寧に触れる割には、やたらとしつこい。もういいからと何度言っても、
少しでも反応を見せるところを探し続け、この体からなんとか快感を引き出そうとする。
一番最初がひどすぎたから、いまだに傷つけるのではないかと気にしているのだろう。大きなお世話というものだ。
傷ついたのはそっちも同じだろうに。
そんなことを考えなくてもいい。つながることで満たされると、今はちゃんと知っているのだから。
本当に、それだけでよかったのに。
おかげで、あんなものを知ってしまった。
542 :
春宵 5-5:2012/01/17(火) 15:34:58.07 ID:JxDECT99
指が触れる。手に顔に背中に腕に足に乳房に。不器用に、だが確かな意思をもった動きに、普段は気にもしない場所が
熱を帯び始める。
薄い皮膚の下に、熱がこもりだす。触れ合う肌ももう熱くて、同じものを感じていると教えてくる。それがまた
血を滾らせる。
首筋を這う舌の感触。柔らかなそれを、顔を引き上げて自分の口に引き込む。荒ぶる息が絡まり合い、乾いた唇が
唾液にぬめり、その感触に肌が粟立っていく。
濡れて熱い、粘膜を、貪ってもっと、喉の奥まで。じりじりと背骨がきしむ。足りなくて、もっと欲しいと奥へ。奥へ。
それだけでは足りないと。
割り開かれた足の間、蠢く指。一点を恐る恐る、執拗に嬲られ、熱が下腹にたまっていく。
勝手に揺れだす腰を見下ろした、闇色の目の中に浮かぶ炎。見たことのない顔、きっと自分も同じで。
そんな場所があるとも知らなかった、体の奥へ。指が。ぬるつく、粘膜を、かき分けて、深く。
耳を押えたくなるような声が。
耐えきれないように喉を鳴らし、足の間に体が入り込む。勝手に動く腰を押さえて、足が触れ合う。肌が重なる。
膝を割り開かれ、眼下にさらされ、けれど感じるのは羞恥でもおそれでもなく。
欲しい、早くと、頭の中はもう一杯で。
体温が溶けあう。
溶ける。滲んで、溢れて、止まらない。溶けていく。
その場所を押し開き、入り込んでくる圧倒的な熱の塊。違和感は瞬間的に溶け、代わりに湧き上がる焼けつくような
焦燥。指先が痺れていく。背中が勝手に反り返る。
もっと奥へ。もっと。
性急に突き上げられて引きずられて、もうわけがわからなくて。
しがみついた腕の下、震え粟立った肌の、その下で滾る熱に。
ただ、声が。
穏やかな春の昼下がり、冷たい風を押しのけて響き渡った絶叫に、ベムははっとして振り返った。
河原で、先ほどと同じ石に座ったままのベラが、自分の膝に顔を突っ伏していた。
一見、転寝でもしているようだが、肩や背中が異様に硬直している。
ざわりと背筋を駆けのぼった緊張を押し殺し、周囲を探る。人も獣も気配はない。今までと何も変わらない、
山奥の春の風景だ。
それが却って不安を煽った。
驚いたのか、無言で首にしがみつくベロの腕を撫でながら、ベムは走り出した。
一足飛びに花畑から河原へと降り立ち、座り込むベラの傍らに跪く。肩に触れようとして、そこが微かに震えていることに
気づき、手を止める。
「ベラ」
低い呼びかけに、ぎくりと肩がはねた。顔は上がらない。
「ベラ、どうしたの?」
背中から滑り降りたベロの不思議そうな声に、もう一度肩が跳ね上がる。
奇妙な緊張感に包まれた三人の上に、春の陽が柔らかく降り注いだ。
言葉をかけあぐねてじっと見守る二人の前で、唐突にベラが立ち上がった。長い髪が垂れさがり表情は伺えないが、
やはり全身が強張っている。
首を傾げたベロが一歩、前へ出た。マントの裾をつかもうとした小さな手から、逃れるようにベラが後退した。
そのままじりりと後ろへ下がっていくベラの口から、しゃがれた声が漏れた。
「……みずあびしてくる」
「え?」
「頭から水かぶってくる!」
跪いて見上げるベムのほうは一度も見ようとせず、踵を返すと、ベラは勢いよく走りだした。
何度か石に躓きながらも沢を飛び越え流れを逆走し、あっという間に上流へ消える。ぽかんと見守るベムとベラの上を、
無数の蝶がひらひらと通り過ぎて行った。
手を下ろし、ベロがベムを見上げた。丸くなったつぶらな目を、いつもより早い瞬きを繰り返すベムが見下ろす。
「いっちゃった」
「……そうだな」
「どうしたんだろ?」
「さあ」
目を見合わせて首をかしげ、だがすぐベロは顔を上げた。春の空いっぱいに舞う蝶の群れに、歓声を上げて走り出す。
ちらりと上流へ視線をやり、ベムもその後を追って歩き出した。
遠くまで気配を探っても春の山に異常は感じない。ベラの行動はよくわからないが、放っておいても大丈夫だろう。
「髪の毛洗いたかったのかも」
大きな石の上でぴょんぴょん跳ねながらベロが呟いた。
「ずーっと街の中にいたから、ほこりまみれだって言ってたもん」
もう一度ベラの去った方角を振り返り、続けてベムはベロを見た。陽光に細い髪が輝いている。よく見れば、それは
ところどころ、白っぽくなっていた。
少し考え、石に座り込んだベロの傍らに歩みよる。
「ベロ」
「なに?」
「俺と水浴びしようか」
ベロの顔がぱっと明るくなった。うん、とうなずき、立ち上がったベロの頭を撫でたベムの頬に、刷いたような
笑みが浮かんだ。
「火を、おこしてからな」
「そうだね、ベラも戻ってきたら寒いもんね」
「ああ」
「ベラも一緒にすればよかったのに」
「……そうだな」
連れ立って歩きながら、ベムは空を見上げた。
水色の春の空を雲がひとかけら、流れていく。吹く風は冷たいが、日差しは明るく、温かい。
心が凪いでいく。
ぬくもりはさりげなく、いつもそばにある。どんなに寒い夜も、身を切るような冬の日も、終わりのない長い生の中でも。
それだけは決して、なくなることはないのだ。
目の前の低い位置を、蝶の群れが飛んでいく。
ベロがまた、きゃあきゃあと笑い声を上げた。
続
GJ!
ほのぼのなのに切なくて、だけどとても優しくて涙が出そうになった
この三人の未来に幸あれ
続き楽しみにしてます!
廃船の中は狭いから、あんなとこでヤってたら確実に音は響くしベロもなかなか
寝つけないだろうな
だからといって外だと「偶然」夏目家や緒方家の誰かが通りかかるな、きっと
案外町村さんが行動を完璧に把握してそうだ
ベラ「ベロがいるし外でヤろうよ」
ベム「ああ」
夏目「あれ?ベムさ〜ん!こんにち…わあああ!!?」
ベム「な、夏目さん…!」
夏目「す、すいません!何も見てません!俺帰りますね!」
ベラ「……ったく、間の悪い男だねえ…。じゃあ気を取り直して…」
小春「きゃああ!?真っ昼間から外で何やってんのよ!このバカ夫婦!」
ベラ「小春!?」
緒方「おやおや、若いって素晴らしいね。邪魔しちゃ悪いから僕らはこれで失礼するよ」
ベム「…続けるか…」
ベム「……視線を感じる……」
町村「あらあらバレてしまいましたか」
ベラ「あんた何ジロジロ見てるんだい!」
町村「ホホホ、どうぞ私の事は気にせずに続けてくださいな」
「何なんだろうね、あたしたちは。男も知らず、女も知らない。ベロなんてずうっと
その機会もない」
そこで、お互いに「こいつでいいか」と思ったベムとベラであった。
549 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/18(水) 21:43:56.12 ID:RN0+UMr6
GJ!!
ベラの心情がぐっときました・・・!!
日出美さん・・・www気にせずとか 無理だからwww
写真とか撮るなよ 撮ったら売ってくれ幾らでも出すww
ドラマ観てて思ったけど廃船の中のベラ様がやたら艶めかしいのはベムを誘ってんの?
そうとしか考えられないだろ
後半あたりから船の中でも髪を下ろしてたのは、男を知ったからさ
552 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/18(水) 23:05:31.91 ID:RN0+UMr6
男を知った女は髪を下ろすのか・・・メモメモ
髪をかき上げるベラさんとかホント艶めかしいな・・・。
腋がたまらない。
あれを間近で見てたベムが欲情するのも無理はないな
ベムですら欲情するベラの艶姿…ゴクリ。
短いしエロもないしついでに台詞も一切ないけど、たまには騒々しくない廃船の夜を
書いてみた。
555 :
抱擁:2012/01/19(木) 00:23:16.29 ID:oHfo9zp/
夜の静謐なる冷気がこの廃船の中にも湛えられている。
何となく眠る気になれずに寝台に横たわったままのベラの爪先もやたらと冷たい。ごろりと寝返りを
打って視界を別の方向に変えると、やはりまだ眠らずに座り込んで俯いているベムの姿があった。
相変わらず、埒のないことを考えているのだろう。つまらない男だとも思いながら、ベラの頬はふっと
緩む。
そんなことは生まれた時から分かっている。けれど何もかも周知だった筈のこの男にもベラが知らず
にいたものがたくさんあって、それを知ったことが嬉しい。
以前ならそんな風に感じることもなかっただろうと思えば、また感慨も深くなる。
ベラは寝台から降りて一人きりでいる男に近付いていった。肩に乱れかかる髪を掻き上げながら。
気配を感じたのかベムが顔を上げた。
何を考えていたのかは知らないが、どことなく憔悴したような表情が痛々しい。恐らく長い間そうして
すぐに解決することのないことばかりを逡巡していたのだろう。
伸ばした指が銀髪に触れた。そのままベロにするように何度も撫でる。
何か言おうとしたベムに、唇の前で指を一本立てた。
こんな夜は言葉なんか不要だ。
今夜はとても寒くて寂しいから、この男の温みが欲しい。自分の温みを与えたい。爪先までも冷たい
のだ、ただそれだけでいい。時にはこういう夜があっても良いだろう。
二人、腕を伸ばす。一つと一つに離れた身体を温め合う為に掻き抱き合う。
哀しむとも慈しむともつかないベムの眼差しの色が夜の冷気をわずかに忘れさせる。二人で過ごす
ことの意味はこの馴染んできた安らぎにある。
名前を呼ばれた気がしたが、空耳だろう。至近距離にあるベムの唇は少し開いただけで声など一言
も発していない。
今夜は呼ばれずとも側にいるから、何もいらないのだ。
この冷気が心の中まで忍び込んでしまわないように、隙間もなく抱き合っていれば。
緩い温みで眠りに誘われそうになってきた頃、今度は本当に声なきまま名前を呼ばれた。耳に寄せ
られた唇からわずかな吐息がベラの名前をほろりと零す。
目尻に溜まっていた涙がつられるように零れた。
終
GJ
寒い夜は二人で暖めあえばいいよ
6話を見てたら、変身解除後のベムがやたらハアハアしてた
ブサ男への怒りが収まらないからというのは分かってるけど、やっぱここはひとつ
血がたぎって欲情してたと解釈しときたい
きっとあの後ベラとヤったんだろうな
それ以後のベラが妙に妖艶なのはその為だろう
失恋して傷ついたベラを見て思わず激しい想いをぶつけてしまうベム
ベラは恋を後悔してないと言いつつも自棄になってしまいベムに抱かれる
そして新たな愛が…
そういえば廃船シーンでベラが髪をおろすようになったのは6話の最後からだっけか
そう。
しかも最後の最後の場面でわざわざベムの目の前に座って、谷間を強調してる。
誘ってるな
そこで思ったけど、あの顔の赤いオッサンはよく二人がアンアンやってる場面で
来なかったよな
タイミングによっては出くわしてもおかしくなかったのに
一応奴なりに空気読んだか、それとも弟たちがヤってるのを見たくなかったか
ベモは悪の心を持ってるわけだから影でコッソリ覗き見してたんでは
「お邪魔しますよ」
「…お前……」
「なにこんな時に来てんだい、全く大した出歯亀だねえ」
「この時間なら確実にいると思いましてね」
「だから帰んな、あんたなんかとする話はないよ!」
うん、意外と話が続かないな
こうならなくて良かった
ベモ「私も混ぜてくれませんか?」
「断る」
「ふざけんな、いいから帰りなって」
「お邪魔してはいけませんよ、ほほほ」
いつの間にかいた町村さん
てか、夏目さんが廃船を突き止められるんなら、探偵スキルが尋常ではない町村さん
なら絶対三人がどこに住んでいたかぐらい、分かっていた筈だ
9話を見てたが、生まれたてのベラがエロいにも程がある
足なげーし背中きれーだしでもう完璧なスタイル
568 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 00:59:02.42 ID:+eMJaO5e
>>567 その姿を真正面から見るベム
絶対勃〇してたに違いない
だから画面には映らなかったんだよ
第一話最初の場面からイメージ。
短いけど投下。
571 :
予兆 1/2:2012/01/25(水) 01:23:04.17 ID:5E9hHg2/
羊が微かに鳴いている。
旅立ちの夜はいつも寂しい、そして妙に切ない。
荷台に揺られているベラもベロも妙に無口で、またこんなことにつき合わせてしまった後悔の念が湧き
上がる。
『あんたのせいで』
ベラの冷たい眼差しが痛いほどに突き刺さる。きっと心中で責めているのだろう。それについてはもう
一切弁解のしようもない。しかしこのあてどない旅に至る最初の一歩を踏み出した時から、矜持だけは
決して曲げないつもりでいた。
『困っている人を見過ごさない』
それが為に、どのような苦境に陥ろうとも。
これまで幾度、いや幾百度、こんなことが続いてきたのだろう。
そして今後どれだけ続いていくのだろう。
いずれにしてもはっきりと分かるのは、いつも自分が面倒事に首を突っ込み、ベラとベロを巻き込んで
しまうことだ。
それだけは本当に済まないと思っている。
そんな懺悔と困惑を抱えつつも、また何処かの新しい街に辿り着いた。
この季節、夜明けの時刻はとても遅く、ベラとベロの二人は荷台で揺られて眠り足りないせいか瞼は
ひどく重そうだ。
ひとまず落ち着いた近くの公園で疲れきった二人を休ませると、そのまま監視を兼ねて傍に座り込
んだ。
港が近いのか、白い海鳥が声高く鳴きながら飛んでいく。
まだ薄暗い空を見上げているうちに、このところよく感じる奇妙な圧迫感を感じた。
これまで自分の中では有り得なかったものが感覚として形になる、まざまざと意識的なものになる。
到底認められないと思っていたのにどんどん感覚下で際限なく膨れ上がるそれは、ずっと抗い続けて
いた自らのおぞましい性衝動だった。
人間にありがちなものは、決してまだ自分たちにあってはならない。
根拠もなくそう信じ込んで生きてきた。
いずれ人間になるまでは不相応なものだと意識的に封じ込めて、経験一つせぬままに。
572 :
予兆 2/2:2012/01/25(水) 01:23:33.14 ID:5E9hHg2/
泥のように眠るベラの横顔が目に入った。
生まれたその日に見た時よりもずっと、美しさと気高さは輝きを増している。もし人間であったとしたら
相応の楽しい人生を歩んでいたことだろう。そして既に生を終えていたかも知れない。
数十年の時を経ても色褪せることなく更に美しいというのは、果たして幸か不幸なのか神ならぬ身
では誰にも分からない。
同じく眠りこけているベロの頬を撫でた後、ついでと腹の中で言い訳をしながらベラの頬にも触れる。
感触を感じたのか、わずかに身じろぎをする。その様子に何故か動揺した。
途端に、身体の芯が疼き出す。
はあ、と息を吐いた。突き上げる身の内の疼きはもう止まりそうもない。そろそろと手を動かして自身
を引き出すと、外気を受けてまた硬くなった。
何をしているのだろう、と自分でも思う。これまででもほとんど触ったことなどないというのに。まして
慰める羽目になったことなど、一度としてなかった。
それでもまだ誰も目覚めてはいない時刻、何も知らぬまま眠っているベラとベロを横目にしながら
何とか衝動を抑える為にだけ一層昂りゆく自身を握り、擦る。
「……っ」
うっかり声が出そうになって、ぎりぎりのところで堪えた。そのまま本能のままに静かに擦り続ける。
どこをどうすれば、など全く分からない。
そのうちに先端から吐き出されたものがべっとりと手を汚したが、何とかあの忌まわしい衝動は処理
出来たようだった。
なのに、胸の中にどろりとした欲が残ったままになっている。
いつか見た淫らな夢の中で、ベラを抱いたことがあった。いつも気丈な顔しか見せないこの女が、あの
夢の中では甘く蕩けた表情で縋りつき、悩ましく身をくねらせてねだっていた。誘われるままに自身を
突き立てて互いに暴き合い、官能の限りを尽くした。
あの夢は、きっと自分が隠している卑しく汚い本性なのだろう。ずっと仲間として生きてきた女をそんな
風に見ている浅ましさを、決して気付かれてはいけない。
なのに、覗いてしまった今ではもう後戻りは出来そうになかった。
訪れたばかりのこの街で何かが変わろうとしている。
そんな気がしてならない。
終
GJ
自慰だけで我慢せずに自分の気持ちに正直に生きるんだ!ベム!
うん、正直になっちゃったから、今ああなったと思う
575 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/25(水) 20:07:04.09 ID:gil00o8X
GJ!
正直なのはいいことだ!!
むしろ今は「正直過ぎるだろ」と
百年童貞だった分の反動がきてるんだな、きっと
ずっと溜め込んでるのは良くないよねやっぱ
あー、またガチエロ書きたい
>>555 亀レスだけどGJ
最後の二文に胸が詰まりました
リメイク版アニメが今、無料配信されてる。
最初から少しずつ見ているんだけど、この前ベラ様の恋バナの元ネタになった話も
あった。まあアニメ自体が子供向けなんでサラッと流してたけどなw
それとアニメなりのベムたちの出生の秘密的なエピもあったけど(サキュバスの見せた
夢ということになってるけど、案外真実かも)
錬金術師の妻子の肖像画がベラとベロそっくりだった。
保管庫管理人さんから「ひとまず保留」というお返事来てたね
作者さま方の異議がなければあらためてドラマの部屋に収蔵依頼してはどうだろうか
その後の投下もあるから追加でお願いして…
そうだね。
今のところはまだ結論が纏まってない。
しばらくはまだ先延ばしにして他の意見を募ってもいいと思うよ。
職人の一人としては、保管賛成。
てなことで短いものを一つ書いた。
「うちはアパートだから猫も犬も飼えないけど、これならって思ってるの」
三人で夏目家に遊びに行ったある日、ベロと遊んでいた優以はそう言いながらとある映像を見せて
くれた。その画面の中では赤い小さな魚がひらりひらりと水の中で優雅に泳いでいた。
魚など只の食料で、食べてしまえばおしまいのものではないのか。
そう思ったベラだったが、空気を読んでとりあえず口を噤んだ。
ちなみに隣に座っているベムは置物よろしく、訪問してからほとんど目立った言葉を発していない。
赤い小さな魚は映像の中でとても生き生きと泳いでいる。
話を聞く限りではどうやらこれはあくまでも観賞用で食べる為の存在ではないようだが、人間とは随分
おかしなものを作るとも思った。食用などに利用することなくただ眺めて楽しむ為にのみ、今現在でも
品種改良を重ねているなどまさに愚の骨頂ではないか。
しかし、それを言ってしまえば人間が関わっている娯楽の全てが全くの無意味になる。妖怪であるこの
身では理解出来ないことだが、人間は短い人生の中で最大限に楽しむことも大切にしているらしい。
そのわずかな一端がこの赤い魚だというのなら、何となく分からないでもなかった。
透き通るような鰭をゆったりと動かしてひらりゆらりと泳いでいる赤い魚の姿は、確かに心が癒される
気がして、思わず食い入るように見つめてしまう。
生きている時間の中で楽しむことは、生きる為に必要なことをしていると同じかそれ以上に、有意義な
ことなのかも知れない。
人間が生きている世界というものは、意外と難しいものなのではと思い始めてきた。
余談だが、こういう魚を飼いたいと夏目夫妻に言った優以の提案はあっさり却下された。生き物全てが
『キヤク』とかいう決まり事に抵触するらしい。
「ねえ」
帰り道、ベラは少し前を歩いているベムにだけ聞こえるように声をかけた。
ベロは優以に貰ったおもちゃに夢中で、かなり先の方を一人でずんずん歩いている。一刻も早く廃船
に帰って遊びたいのに、二人がのんびりと歩いているのがもどかしいようだ。そんなベロの姿を遥か
遠くに見ながら、ベラは探るように尋ねる。
「人間として生きるって結構面倒そうだけど、あんたはそれでもなりたい?」
ずっと黙り込んでいたベムにも色々と思うところはあったのだろう。しばらく反応すらなく黙り続けてから
船に辿り着く頃に言葉を返してきた。
「…お前がいるのであればな……」
この男にとっての自分は、あの赤い透き通るような魚と同じようなものなのかと思うと、何となく嬉しい
気がして頬が熱くなる。
終
タイトルはとある金魚作家の作品から
女は全て男にとって金魚でありミューズだと思う
582 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/27(金) 23:32:44.62 ID:FrLyaX5N
なんだか新鮮で可愛いベムベラですねGJ
表現が綺麗で好きです!
アニメリメイク自分もみているけど
親子なベラベロもよかったが、エロイシーンじゃないのに茨にとらわれてるベラがなんかエロかった・・・エロかった(2回目)
583 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/28(土) 02:23:53.56 ID:5iFIdlEy
この日の夜は2人とも燃えたに違いない
燃えたよきっと。
その辺はまた改めてガチエロで書きたい。
ベムベラのエロはいいね、期待してるよ
書いた。
投下するよ。
夏目家の人間たちはいつも仲が良い。
大きな悲しみが過去にあった分、余計にそうあろうとしているのもあるとはいえ、元々がみんな楽天的
な気性の家族なのだろう。
「今夜は寒いしお鍋にしたので、どうぞたくさん召し上がって下さいね」
自分たちのように得体の知れない者たちのことをどう説明されているのか、夏目の妻はいつも朗らか
に迎えてくれる。それは本当に有り難い。ベムもお気遣いなくと恐縮しつつも、優以と遊びたがるベロを
言い訳にするように何かと来たがる。それだけここはとても居心地が良いのだ。
「ベロくん、この間新しいゲーム買って貰ったから一緒に遊ぼうよ」
「うん!」
食後、子供たちは早速テーブルを占領してゲームを始めた。男二人は進んで皿洗いを買って出て台所
で何かと話し込んでいる様子だ。
「もう、あきちゃんたらお父さん友達が出来たのがそんなに嬉しいのね」
呆れたように笑いながら、夏目の妻はソファーでくつろぐベラにコーヒーを勧める。確かにそのようだ。
一体何を話しているのか時折『ええっ!』『そうなんですか』と大袈裟に驚いている夏目の声が聞こえて
くる。普段からぼそぼそとした物言いのベムの声は、残念ながらどんなに耳を凝らしても聞き取ることは
出来なかった。
「本当に、ベムさんたちとお友達になれて私たちは嬉しいの。だからこれからも遊びに来て下さいね」
まだ人間の気持ちを完全に汲み取れるとはいえないが、この夏目の妻の言葉や表情からは建前らしき
ものが一切感じられなかった。そしてどこか懇願に似たものも入り混じっている。
「あ、ああ。あたしたちで良けりゃあね」
これまで生きてきて本当に様々な人間を見てきた。そのほとんどの出会いは裏切りと侮蔑で終わった。
しかし中には和久井のような全くの善人もいることはいる。この夏目家の連中もそうなのだろう。
人に裏切られたからといって人を裏切ることなど決して出来ない妖怪の自分たちにとって、こんな風に
心を返してくれる人間たちの存在はまさに救いでもあった。
皿洗いと片付けが終わったのか、ベムが戻って来て隣に座った。
相変わらずどんな時でも姿勢を正してまるで置物のように、と思っていたその時、傍らに投げ出していた
ベラの片手に触れてきた。誰にも気付かれないように。
「……!」
緩く指が絡まされて、はっとベムの顔を見たが何事もないようないつもの真顔だ。
なのに、指先から伝わるものは、欲情。
この男は、他人の家にいる今この時でも既に劣情に囚われている。
「ベラさん、コーヒーもう一杯いかがですか?ベムさんもどうぞ」
頬が熱くなるベラに気付くこともなく、夏目の妻は変わらない笑顔で応対していた。
結局、ゲームが面白くて止まらないからとベロは夏目家に泊まりたがった。もちろん優以ももっと遊んで
いたかったのか同意した。夏目夫妻は無論言わずもがなである。
「じゃあ、今夜一晩ベロくんを預かります。お二人もどうかご心配なく」
「お言葉に甘えてしまい、申し訳ありません。ではよろしくお願いします」
玄関を出てドアを開いた時、突然居間からベロが飛び出てきてベムにがばっと抱き着いた。
「どうした、ベロ」
訝しむように首を傾げたベムを見上げて、ベロは人懐こい顔でにぱっと笑う。
「これから、イチャイチャだね」
「えっ」
「なっ…何言うんだい、この子は」
突然言われたことがすぐに頭に入って来ず、つい声が大きくなる。
「だーって、ベムとベラ、ここんトコいっつも仲良しなんだもん。だからもっといっぱい仲良くすればもっと
嬉しくなるよね」
邪気のない笑顔で言われて、また頬が熱くなった。
「…あんたは本当に、嫌な子だね」
「子供がそんな気を遣わなくていいんだ」
気まずさを吐き捨てるベラと律儀に言葉を返すベムを交互に見ながら、ベロはもっと笑顔になった。
「オイラベムもベラも大好きだもん、お二人さんを邪魔しない日もあってもいいかなって」
そう言って無邪気に片手の親指を立てて見せる。
そんな三人の遣り取りを眺めている夏目家の三人も、静かに微笑んでいた。
凍てつく星もない夜空に、これから満月になりゆく半月がぽっかりと浮かんでいる。
廃船までの道のりは決して長くはなかったが、身も心も燃え上がっていた。何かと激情しがちなベムに
途中で事を始められたりしないかが気になっていたとはいえ、それはとりあえず杞憂に終わった。
今夜はベロがいない。何も逸る必要はどこにもないのだ。
その代わり、船の中に入った途端にずっと身の内で燻っていたベムの欲情が牙を剥いた。
帽子の下の顔は何を考えているか分からないことが多い、この男の欲情を傍で見ていたベラもまた
これから何が起こるのかを知り尽くしているだけに同じほど疼いている。
強く強く抱き締められて反射的に目を閉じた。
「…ベラ」
淡い月明かりだけが天窓から差しているこの空間で、思いのたけが籠った声が漏れる。低く脳髄を
浸すような声がじわりと性感を掴んだ。
堪らない。
乱暴なほど唇を貪られ舌を絡ませ合いながら、その狂おしい男の激情を受けてベラも変化を遂げつつ
あった。縋るように服を握っていた手がもぞりと動いてその下にある肌を探り始める。いつ見ても妙に
この肌は青白く皮膚は薄いが、その下には確かに妖怪態を思わせる躍動の筋肉が息衝いている。
これが、ベラをいつも惑わせ乱してしまうのだ。
黙ったままするりと手を滑らせて、まだ革生地の下にあるものを撫でる。夏目家にいた時からずっと
欲情を隠していただけに、それはもうすっかり硬くなっていた。
これが、欲しい。
そう思った途端に脊髄を駆け抜ける熱で、足元が頼りなくふらつく。鼓動が否応なく早まっていくのを
感じながら腕を伸ばしてベムの帽子を落とし、束ねている銀髪を解いた。さらりと広がる銀の糸の一本
一本が絡みついてくるような印象すらも堪らない。
もう耐えきれなくなって撫でているだけだったものを革生地から引き出した。手の中に掴まれた一物は
刺激を感じて更にぐっと硬度と大きさを増した。
「…あんた、ずっと我慢していたんだねぇ…」
口付ける合間にわずかに離れた唇の間で、呟く声が闇に溶ける。このまま扱いているだけでも充分
そうだったが、それだけではとても足りない。
ゆるゆると扱き続けながらベラは床に膝をついて、手に握っているものを改めて間近で眺めた。何度
目にしてもいまだに見慣れることはないが、こんな醜悪なものに女はいつの時代も蕩かされる。妙に
悔しくなって手の力を強めてやった。
同時に、これの持ち主が驚いたのか低く呻くのが伝わってきた。
「したくて仕方ないのは、あんただけじゃないんだよ…」
直に反応が返って来るのが面白くなって、ますます熱を帯びてきた一物に舌を這わせる。醜悪なもの
には変わりないが、ひとときの玩具ぐらいにはなる。そしてこの果てることのない身体の疼きのままに
弄り抜ける。
男と交わる一連の行為において女が主導権を握れる機会はそうはないのだから、楽しくならない筈が
ない。
「ふ、ふっ…」
根元から先端まで、何度もねっとりと舌でなぞり上げるだけで握っている一物は際限なく膨張し、硬く
なっていく。この男の滾る血潮が全てここに集まっているのではと錯覚するほどだ。興が乗って来た
ベラは舌先で先端の形を追いながらも少しずつ口腔内に含み込んでいく。
「ン…グッ…」
根元を指先で緩く扱き、喉奥まで深く咥え込むとベムの手が髪を撫でた。やや乱暴な手つきなのは
相当限界にきている証だろう。
「ベラ…」
含んだまま舌を当て唇を窄めながら頭を上下させていくうちに、ベムの手は急いたようにベラを引き
剥がそうとしてきた。
いつも自分ばかり好き勝手しておいて、そうはいくものか。
玩具を取り上げられそうな子供のようにベラは何となく不機嫌になった。
予想外に大きくなったせいで咥えているのも大儀になってきた一物から口を外すと、また新しい遊び
を思いついてマントとドレスを肩から落とす。
「…ねえ、こんなのは、どうだい…」
言うなり、今口から外したばかりのいきり勃った一物を両手で持ち上げた乳房で挟んだ。
「っ…ベラ、やめろ…」
口でされるのとは別の刺激が堪らないのだろう、またベラの髪に手がかかる。それを無視して乳房の
間で何度か擦るうちにどろりとした濃い精液が肌の上に垂れ落ちた。しかし只の先走りだったようで
ちらりと見上げるとベムは必死で耐えている。
これまでに見たこともないものを幾つか見られたことで、ようやくベラは機嫌が直ってきた。その上に
お互いもう余裕がなくなってきている。ベラも内腿をとろとろと濡らす愛液の感触を感じていた。
まだ今夜は指一本触れられてもいないのに、淫らなものだと胸の中で嗤う。もうそんな風に感じて
しまう身体に変えられてしまったことすら考えるだけでも疼いた。
「…ね、これはあたしのモンだ。だから思う存分…しておくれよ」
もう少しも我慢出来なくて足元に落ちたドレスを蹴り飛ばして側の寝台に誘う。濃い欲望しか宿して
いなかったベムの黒い目の中に妙な戸惑いと混じりっけのない情愛が浮かんだように見えた。
「……そうだな、ベラ」
頬を撫でられる感触にひとりでに頬が濡れるのを感じたが、次の瞬間に脚を割られて腰を深く突き
入れられた。内部の粘膜が激しく擦り上げられる感覚に情けない声が上がる。
「ひゃ…ぁあんっ…」
慣らされてもいない箇所だったが、充分過ぎるほど濡れていたお陰で何とか挿入の苦痛は感じずに
済んだ。それでも見たこともないほど猛り狂うベムの勢いに手もなく押し切られて、やっとのことで繋い
でいる意識が呆気なく引き千切られそうだった。
首筋に顔を埋めているベムの吐息が乱れる髪を湿らせる。苦しくて寝台を必死に掻く指先を逃さぬ
ようにと強く握られ、もうどこにも逃げられそうになかった。
二人分の負荷の上に激しく動かれて、寝台が今にも壊れそうにぎしぎしと軋んでいる。
「ベラ…ベラ…」
「やぁ…ああ…ベム、あん、た、今夜、はっ…」
普段のように挿送に緩急をつけることも忘れたのか、ただ湧き上がる欲望をそのまま強引に叩きつけ
てくる。それなのに膣内部は柔らかく蕩け、どんな突きを繰り出されても悦びに震えてベラの意を離れ
てまで淫らに侵入物を締め上げる。
こんなにまで身体が燃え盛っているのは、初めてだった。
「あ、ぁああっ…」
溢れる涙がこめかみを髪を濡らしていく。寝台に縫い付けられ、こんな激しい欲望を受けてベラは今
にもこの寝台と一緒に壊れてしまいそうだった。
それなのに、感じている。気持ちがいい。
それほどにこの男に馴染みきっていることが嬉しかった。握られている手を何とか握り返そうとして
いた時、ベムの突きが一層激しくなってその間隔が短くなってきた。
また流される。
「やぁっ…」
必死で抵抗するベラの上で、ベムが咄嗟に息を詰めた。と同時にあれだけ荒れ狂っていた身体が
硬直する。どうやら達したらしい。あまりの激しさでベラはその時を逸してしまった。
「ベラ…済まないな」
しばらくして顔を上げたベムはどこか打ちひしがれたような顔をして、熱くうねる膣内から身を引こう
としていた。しかし、その服を掴んでベラは押し留める。
「…まだ、だよ」
垂れた銀髪の奥で、驚いたように目が見張られた。弾む息の下でベラはにっと笑って見せる。
「まだ、あたしはイってないんだ…あんただけなんて、ないよねえ。それに」
銀髪を一房掴んで引き寄せる。
「あんただって、まだ…足りないだろ?」
頼りない寝台よりは、と二度目は床の上に布を敷いて始めた。
まだけりがついていない身体が重く纏わりつく快感でだるいほどだ。それでも、求められれば嬉しい。
そして更なるものを期待してしまう。
なのに本能なのか挿入される度につい身体は緊張してしまうのだ。
「ぅっ…」
「大丈夫か?」
心配そうに覗き込む顔に、嘘は見えない。
「ン…気にしないでってば」
精一杯笑いかけると、急にベムは体勢を変えてきた。それまでずっと天井を見ていたのが床に変化
する。男の上に跨る形になっていることに気が付いて、身体中が急速に火照る。
「ちょっと、やぁっ…」
文句の一つも言おうとしたのに、下から思うさま突き上げられて意識が飛びそうになった。中途半端に
放り出されていた身体に再び情欲が戻る。
両乳房を焦れったく捏ねられ、繋がった箇所やクリトリスを執拗に弄られる感触が、ベラを切ないほど
喘がせた。
「あんた、なんか…あぁあっ……」
悪態のような言葉が空しく漏れるばかりで、身体は欲望を貪欲に追って突き上げられる動きのまま
淫らがましく腰が動いた。ゆらゆらと人形のように揺れながら、ベラは恍惚の表情を浮かべて男に
操られる通りに快感に浸りきっていた。
揺れが次第に大きくなっていく毎に髪が舞い上がり、汗をうっすら刷いた乳房が反り上がる。
この夜は、どれだけでも放埓になれそうだった。
夜は思った以上に優しい。
全てが終わった後も、二人は何となく眠らずにぽつりぽつりと言葉を交わしながら月明かりの漏れる
天窓を眺めていた。肩が冷たくなってくるまっている布を引き寄せるベラの隣で、ベムは大仰に溜息を
ついて寝返りを打つ。
「何か、気になっているのかい?」
「…いや、別にそんな、ことは…」
何かを誤魔化すようにベラを抱き寄せて目を閉じるベムの顔が、妙に哀しい。そして同じほどに滑稽
に思えた。多分気を遣ってくれたベロのことでも考えているのだろう。
全くもう、とこんな時でもあくまで野暮なこの男に寄り添いながら、ベラは朝目覚めたら何をしようかと
悪巧みを幾つも考え付く。
まずはとびきり苦い草を摘んで、いの一番にベロを迎えに行こうと。
子供の癖にあたしたちに気を遣うなんて早いよと胸の中でひそりと笑った。
終
GJ!
エロイっす!
GJ!福君の声で「これから、イチャイチャだね」余裕で再生されるw
GJ!
ベロ、君はどこまで二人のことを知ってるんだw
どちらかがヤキモチやく話も見てみたい
597 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/01(水) 19:39:30.88 ID:LgCuip6u
GJ!
ベ ロw
ヤキモチもいいねみたいみたい!!
ベラは普通にありそうだから、どちらかといえばベムかw
大久保のマンションで楽しそうに笑ってるベラを見た時のベムの反応は妬いてるように見えた
ベラが大久保宅で部屋を片付けソファーの上を空けたのを見て
「ああそこで始めるんだね・・・」と思いこんだベムは
ベロに見せられないから「行こう」と言ってその場を離れた
と妄想していた
ついでに
その誤解を知って「あたしゃそんな軽い女じゃない!」と怒り出すベラ
「恋人ではない自分とはしてるのに、好きな男とするのがいけないことなのか?」
と、きょとんとして訊ねるベム
そんな質問されたベラ様は自分の気持ちに大混乱
混乱中のベラを抱きながら
「俺はベラとこんな関係になってからはベラだけだ」
と嫉妬気味に呟くベム
事が終わってわれに返り「こんな関係になる前に何があったんだい!」
と嫉妬するベラ
まで妄想した
が、書いてる暇がない
601 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/02(木) 20:39:35.74 ID:OaJ9SlZS
>>600 素敵すぎる妄想!どっちも嫉妬してるのがいいと思う
幾らでも待つ!!是非小説化希望!!!
>>600 いいねいいね、読んでみたいから書いて欲しい
俺は映画や小説でよくありがちなネタで書くつもり
>>600 素晴らしき妄想バンザイ
暇ができたらぜひ書いてください
>>602 全裸待機させて頂きます
>>603 お約束だけど様式美だからやるよ
最近寒いから服着ろ
ベムとベラがキスする時を想像してみよう
ベムがちょっと低いのは仕方ないとして、うっかり誰かに見られたら確実に
(ノミの夫婦だ)(男ちっちぇーw)と思われるに違いない
何となくベムが気にしてたりしてな
案外ベラのほうが気にしてヒールを脱ぐかも?
607 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 00:39:46.89 ID:ZjpsXClh
ベムが背伸びしてキスw
いやそこまで身長差はないからw
ほとんどは横になってからなんだし
亀梨171cmで杏174cmだからヒール無しだと3cm差だな
610 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/04(土) 03:07:09.18 ID:MfcZLhQm
ベムがヒールを履けば万事解決だね
妖怪だから背の高さとか気にしてなさそう
ベムが人を殺しかけたのは一話、六話、八話
そのうち本当に衝動でつい殺りかけたのは一話だけだった
六話はかなり殺意あり、八話に至っては自分が殺ると宣言した上で実行しようと
してた(本気かどうかはともかくとして)
思えばベムはいつも冷静であるようだけど、その意識は相当危うい
多分あのままだったら近いうち必ず罪人を殺してた可能性がある
妖怪人間の自分を自覚して良かったな、ベム
クールに見えて感情的になって暴走しやすいキャラってのはエロパロ向きのキャラっぽい
嫉妬話書いた
でもエロは最初だけになった
615 :
最深 1/6:2012/02/06(月) 00:33:57.17 ID:54VpYDjg
「あぁ……っ」
闇の中で、ベラの滑らかな白い喉が反った。
「うぅっ…」
つい見入ってしまった不意を突かれるように膣壁がぎりぎり締め上げられたせいで、溜め込んでいた
精をありったけ吐き出す羽目になってしまった。糸の切れた人形のようにがくりと力の抜けた身体を
抱き締めると、無意識だろうか、張りのある肌が微かに痙攣した。
「ベラ…大丈夫か」
さすがに答えはなかったが、うっすらと開いた瞼の下の眼差しが鋭い。急に剥き出しの背中が冷たく
感じた。
「…あ、あんたは…」
形の良い唇がぎこちなく動く。
言葉の続きを聞きたかったが、そのままベラは悔しそうに眼を逸らしてしまった。推察するに、最初の
頃とは変わったと言いたかったのだろうか。闇でも艶めいている黒髪を撫でながら、無理もないだろう
と言葉が胸の中で燻る。
確かにこの女を抱くようになってからの内的変化は自分でも感じている。
もう少し、もう一度とこの浅ましい欲求は次第に強くなっていく。何もかもを独り占めしたい余り、ベラが
不意に他の誰かを見ることも、他の誰かがベラを見ることも我慢出来そうになかった。この女の美しさ
に魅了され惑わされる男など現れないことを祈っていて、愕然としたこともある。
今までに経験したこともなかったその忌まわしく膨れ上がる感情は一体何なのだろうと、思案する暇
などその時には微塵もなかった。
多分ベラに関しては余裕を失っているのだろう。
この関係になってから、元々が未知のことばかりで内心は慌てふためくばかりなのが何とも滑稽で、
それにも増して惨めな心持ちだった。
日差しが暖かいこともあり午後の微風がゆったりと吹き抜けていく。
いつかの懐かしい時間を切り取ったような、そんな穏やかで優しい雰囲気がこの緒方家には流れて
いた。
当主は風変わりな生物学の教授だが専門外である心理学にも妙に詳しいようで、その面には未だ
疎いままのベムにとってはまだ理解出来ずにいることを、ここで分かりやすく教えてくれのは有り難
かった。
そして得体の知れない自分たちのような存在を、緒方はいつも当たり前のように迎えてくれる。
616 :
最深 2/6:2012/02/06(月) 00:34:44.47 ID:54VpYDjg
「それで、今日の用件は何だい?」
老いた賢者そのもののように緒方は優しく促す。
まずはここ最近感じている疑問を解消しようと、ベムはソファーから身を乗り出した。
「ええ、実は感情の変化についてなのです」
「ほう」
何が琴線に触れたのか緒方は興味深そうに微笑んで、膝の上で大人しく鎮座している栄太郎の頭を
撫でた。いつも悪戯者の栄太郎は今日は機嫌がいいのか、丸い目を見開いてきょろきょろ周囲を見回
しているだけだ。
その様子を眺めながら、ベムは口を開いた。唇が妙に乾いている。
「このところ、それまでに経験したことのない感情に囚われがちになっています。恥ずかしながらどちら
かといえば負の感情なので、それを律することが出来ずにいることに戸惑っていまして」
一緒に座っているベラとベロに悟られないように話すのは大変だったが、幸いどちらもまだ察しては
いないように興味のない顔をしている。
聞きながら緒方はゆったりと椅子に身を凭れかけ、指を組み直して口を開いた。
「ベムくん、君も知っているだろう?七つの大罪のことは」
「…どこかで聞いたことはあります」
確かに、全く知らない訳ではなかったが、これまでは縁遠いものと思い込んでいた。
「人は誰しも傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲といった欲を大なり小なり持っている。それが
罪へと導く源に成り得る。つまり、人はそれだけの欲にまみれながら心の均衡を取って日々を生きて
いくということなのだね。しかしそれは思うほど並大抵のことじゃない、故に犯罪に走る者もいる」
「そうですね、難しいものです」
その言葉に反応するように、栄太郎が顔を上げてベムを見た。
「人間というものは、げに弱くて愚かしいものなんだろうね。だからこそより良いものになろうと懸命に
足掻いて成長してきた。これまでの長い進化の歴史の原動力になったのは、案外そんなものだと思う
んだよ」
全てを知るように現代の賢人は穏やかに笑いながら、そう言った。
「そうなのかも、知れませんね」
何となく気持ちが満たされる感覚を覚えて、ベムも少し笑う。
本当に、人間とは不可解ではあるが魅力的な存在だった。ほとんどが百年にも満たない人生の中で、
一体どれだけ必死に知恵を巡らし出来うる限りの手を尽くして自らを律し高めていくのだろう。いずれ
行く先には死が待っているとしても、それすらも超える。
そういう人間の強さと凛々しさを心から羨ましいと思った。
617 :
最深 3/6:2012/02/06(月) 00:35:23.36 ID:54VpYDjg
「…何だい、随分黴の生えそうな話題だねえ」
二人が長々と話し込んでいる間、置いてきぼりにされているベラはつまらなさを感じたのか頭をがり
がりと掻きながらベロを連れて居間から出て行ってしまった。恐らく、いつもそれなりに話の合う家政婦
の町村と話をしたくなったのだろう。退屈だと癇癪を起こさないだけましと言うべきか。
ベラたちが消えたのを見計らってから、緒方は急に悪戯っ子のような顔になった。
「さて、ベムくん。君が囚われている感情というのは七つのうちのどれなのかな?」
「…えっ?」
不意に話を振られて、言葉に詰まってしまった。随分間の抜けた顔をしているだろうなと思う。
「話の内容からして、嫉妬…だね?」
「……いえ、それほどでは…」
視線を避けるように帽子を一層目深にする。淡い午後の日差しが妙に熱いと感じた。
「自覚があるのかい、なあに結構なことだよ。人は自らが囚われしものに気付かぬまま無為に時を
過ごしていきがちだ。それに比べれば君はまだ救われている」
「そうなのでしょうか」
「あくまで私見ではあるが、恐らくはね」
穏やかながらも全てを見通しているような緒方の言葉は、いつも胸に沁みる。もしかしたら自分たち
が人間ではないことも見抜かれているのではとたまに思うことがあるが、それはないようだ。ただ、
何かが違うという違和感を内心では持っている。それは確実に感じた。ただ、ゆかしい調度品に囲ま
れた居間で、この当主は特に対峙することもなく静かに佇んでいる。それが何となく嬉しい。
「さて」
そろそろ大人しくしているのに飽きてきたらしい栄太郎を宥めながら、緒方はいつものように静かな
口調で呟いた。
「あんな美しい奥さんがいるのであれば、嫉妬の情を持つのはごく当たり前のことだよ。それが、この
栄太郎が属する猿族と人類の決定的な違いだ。私は栄太郎のシンプルで根源的な感情の発露を
好ましいと思っているが、人間特有の複雑この上ない感情の組み上げられ方にも心から快哉を送って
いるんだよ。この進化の結果を面白いと思わないかい?」
その言葉を理解しているのかいないのか、栄太郎が高く鳴いた。
「そう、なのですね…当たり前、だと」
「もちろんだよ、人間の感情と同様のものは他の種族では決して有り得ない。あるとすれば…それは
ほぼ人間と言っていいだろうね。脳の構造からしてそのように複雑な感情など、人間以外では到底
処理しきれないことが既に証明されている」
「そ、そうでしたか……」
618 :
最深 4/6:2012/02/06(月) 00:35:51.35 ID:54VpYDjg
大罪かどうかは別として、自分には嫉妬など決してないものと思っていた。元々他人のことに興味は
持たない性質だ。なのに言いようもなくこの感情ばかりが増大してしまったことが、心を戸惑わせて
いる。
だから、ここに来たのはそんなことはない、普通のことだと背中を押して貰う為だった。
けれど、この感情は人間特有のものだと言われたことが無性に嬉しい。
その夜、何故か一切物も言わないまましばらく外に出ていたベラは、濡れ鼠になって廃船に戻って
来た。
「あー、ベラ、びしょ濡れー」
ぽたぽたと水滴を落としているにも関わらず妙に平然としているベラが異様だったのか、ベロが気遣い
ながらもびくびくしながら両手一杯に拭く為の布を抱えて近付いた。
「…悪いねえ、ベロ。ちょいと水浴びがしたくってねえ」
ベラはどこか上の空で、ごしごしと濡れた髪を拭きながら間近で見上げているベロの頭を撫でた。
「ベラ、一体どうしたんだ」
尋ねても、この女はベムを見ようともせずに目を逸らして何も言おうとしなかった。この間からずっと
こんな感じで心がさっぱり読めない。
「ベラ」
「……うるさい」
それでも声をかけると、濡れた黒髪の下で堪りかねたように頑なな言葉が返ってくる。
「あたしは、あんたなんて大嫌いだ!」
「…そうか」
震える声を絞り出しながら、ベラは一瞬鋭くベムを見た。そこにどんな感情があるのか全く読めずに
いるベムをよそにさっさと船を飛び出して行く。その後ろ姿を追いかけながら、思わず声が上がる。
「どこへ行くんだ!」
行き先が全く分からないことが不安にさせた。これは追わなくてはいけない、でなければ二度とベラを
捕まえられないような気がした。
我を忘れて追い掛けようとしながら振り返ると、薄暗い空間にベロがぽつんと不安そうに立っている。
逸る気持ちを必死で抑えて屈み込み、縋るように見上げてくる頭を出来るだけ丁寧に撫でた。ベラに
心を囚われてはいるが、このいたいけな幼子を決してないがしろにしているつもりもなかったのだ。
「これからベラを連れ戻しに行くから、いい子で待ってるんだ」
「…うん、分かった」
涙ぐみながらも懸命に笑うベロがいじらしく、もう一度頭を撫でてから立ち上がる。
619 :
最深 5/6:2012/02/06(月) 00:36:21.50 ID:54VpYDjg
ベラを思うと心が騒いだ。
しかし冷静さを辛うじて取戻し、手にしているステッキを壁に打つ。
打音が響いて共鳴し合い、数限りない枝葉のようにその先にある音を引き連れて増幅していくのを
聴覚の奥で感じながら、わずかなベラの気配を捉えようと目を閉じて懸命に心を研ぎ澄ました。
少し離れた公園・大きな木の下・水飲み場。
音のみでも次第に絞れてくる対象から、ベラの居場所が特定されてくる。
ベムにはもう迷いはなかった。
「ベロ、すぐに戻って来るからな」
言うなり、身を翻す。
天空にはもうじき満月になりゆく月が昇っていた。
「ベラ!」
共鳴音だけを頼りに跳躍をしながら駆けていくと、導かれる通りにその公園の象徴ともなっている木の
下でベラはひっそりと佇んでいた。
「…何の用だい」
駆け寄って来るベムを見るなり、俯いて身体を抱きながらベラは目を合わせることなく吐き捨てる。
その表情は昼間以上に硬く、何もかもを拒絶しているように見えた。
「まだ髪も身体も全然乾いていないんだろう、この寒い中に飛び出したりするな」
「あたしに命令するんじゃない!」
寒いのか声を震わせながら、ベラは差し伸べる手も声も全部撥ねつけた。一体、どうしたというのだ
ろう。戸惑うばかりのベムの前で、一層震える声が叫ぶように上がった。
「あんたが…あんたが全部悪いんだ!」
それが、この色々とわだかまっていたものを全部吹き飛ばしてしまう。もしかしたらと思っていたものは
一気に確信になった。
「ベラ、お前も…なんだな」
「何のことさ、あたしはいつだって自分の好きなように」
敵意さえ感じさせるほど鋭い眼差しの奥で、子供のように危うい不安が揺れていた。噛まれても構わ
ない覚悟で冷たい唇を指先でなぞると、意外にも目線が一瞬逸れる。
「こんなに、冷え切っているじゃないか」
「それがどうしたんだい、この野暮天…」
髪に手をやるが、やはり生乾きのままで凍ってしまいそうなほどに冷たい。やはりベラも胸の中にある
感情が何なのか、分からずに苦しんでいるのだろう。
620 :
最深 6/6:2012/02/06(月) 00:36:54.19 ID:54VpYDjg
「ベラ、俺は…」
「う、うるさい。あんたなんかどこへなりと行っちまえ!」
大きな木を背にして、ベラは依然目を伏せている。自分でも知ることのない心を見せるのがまだ躊躇
われるのだろう。ほんの数時間前までベムも同じだった。
この女を身も心もひっくるめて何もかも独り占めにしたい、心の内すら全てあからさまにして欲しいと
望む浅ましさをベラもまた持ち得ているのであれば、それを救えるのはベム自身だけだ。
「お前は、俺だよ。その感情は俺にもあるものだ。だから惑わなくていい、恐れる必要も」
「…何、を…」
より身体を寄せて唇を触れ合わせた。一瞬硬直した身体がまだどこかへ逃れようと木肌の表面を
ずり上がる。宥める為に髪を撫でると、唐突にはらはらと綺麗な涙が頬に零れた。
「あんたは、いつもずるいよ…」
「そうかもしれない、でも嘘は決して言わない」
冷え切った身体を強く抱き締めると、諦めたような安堵のような溜息が漏れた。それがベラの精一杯
の虚勢に思えてようやく気持ちが緩やかなものになる。
この浅ましくも真摯なる感情の為に互いに黒い罪を背負おうとも、それは自分に全部被せてくれれば
それでいい。ベラのものであるのなら喜んで抱え込む自信があった。
最も他人が暴きにくい、そして心の最も深い場所にあるこの感情は、何よりも今の自分たちにとって
どんなに醜かろうと人間に近いものに思えて仕方がない。
おずおずと、ベラの腕が背中に回ってくる。この凍てついた身体にもうじき熱が点ろうとしていた。
終
言うまでもなく、ありがちネタってのは「七つの大罪」ね
意外とどんな物語にでも使われてる
GJ!!
ベムだけが嫉妬に悩んでると思いきやベラもか・・・
初めて感じる感情に振り回される二人が良いし栄太郎の使い方もうまい!
寝る前に覗いてみたらテンション上がった
また明日から一週間頑張れる
素晴らしい作品をありがとうございます。
623 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/06(月) 23:12:12.30 ID:XGW5AfD8
GJ!
嫉妬話いいね!お互いがってのが素敵!!
「兄貴、ベラ姐さんはチョーいい女だけど、たまには別の女も見た方がいいっスよ」
と山田に無理やりAV見せられるベム
その結果、何かやらかしてベラにメチャクチャキレられる、というのが降ってきた
↑
何やったんだ、ベムw
そんなものは見ないとか言いながら気になって横目でチラチラと見るベム
夏目も加わって山田の家でAVを見るベム
AVを見ながらベラが一番綺麗だとか思っちゃうベム
野郎三人でAV見てたらいつの間にか夏目とベムのノロケ大会になり疎外感を感じる山田w
>>624 素敵な妄想ネタをありがとう
山田w
確かに女いなさそうだもんなぁww
ベムベラより
山田ベラのがいいな
>>624 AVで観たマニアックなプレーをベラに要求してめちゃキレられるベムを想像したw
緊縛プレイとか?
是非やってみてほしいなw
その場合
山田が緊縛される姿が脳裏を過ぎった
山田かよw
それじゃベムで
みんな忘れてないか?
このスレの記念すべき一発目のエロは、ベラ様によるベム緊縛プレイだったことを
ベムベラはアニメで変換してる
どっちの方だよw
リメイク版ならまだしも、旧作だったらかなりのツワモノだ
そもそもアニメのベムベラをドラマの2人に変換してるのか
それともドラマのベムベラをアニメのほうに変換してるのか
ドラマのベムとベラが好きすぎてアニメのベムとベラも愛しい
旧作もリメイクも
黒人のおっさんと白い肌のベラが絡まってるのが見たい
>>635 旧版アニメの絵柄はいかにもホラーアニメって感じでエロ向きじゃないけどベラ良い女だし結構エロいぞ
そうか
実は昨日旧作の第一話見てたんで、まだ馴染めてなかった
これから見続けたらいい女なんだって分かるかな
642 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 22:18:07.21 ID:qV+9DyXW
旧作もリメイクもいい女だぞ保証する
旧作の虫が苦手なベラも可愛かった
643 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/10(金) 22:19:32.29 ID:qV+9DyXW
忘れてた
漫画は3種類あるけど、ベラがベムに恋してる設定のがあってだな、それも可愛い。
リメイク版はずっと見てる
洗濯に勤しんでたり料理中に爆発させたり、妙に可愛いよな
>>642 虫にビビる所も良いけど、そのあと鏡の前で笑顔でポーズとるのもカワイイw
以前ニコ動で見た時もそのシーンのコメがベラ萌えコメでやたら盛り上がってたw
>>644 かわいいよなw
たまに爆発させたりドジするけど2006年版ベラは家事が得意で家庭的っぽいな
ドラマの不器用なベラも可愛いけど
破れてたクマのぬいぐるみを繕っている場面では、ドラマ最終回の「何でだい!」な
ベラ様を思い出して吹いたw
648 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 08:52:26.94 ID:/JxzhnDI
アニメベラがフリフリエプロンを着てたので、ドラマのベラにも脳内でフリフリエプロンを着せてみたり
裸エプロン
AVネタがちょっと前に出てたので
山田の部屋で、男だらけのAV鑑賞会
テーマは「ベムさんも下ネタをかます」
無暗に良い姿勢で正座をしたままテレビの画面を見ているベム
「夏目さん、これは何ですか?」
「この女性はどうして顔にかけられているのですか?」
などといちいち隣にいる夏目に尋ねる
「あー、これはモザイクといってですね、色々とはっきり映るといけないのでぼかしているんです」
「現実ではやっちゃったら女の人に怒られますけど、まあこういう作品のお約束でして」
と、これまたいちいち律儀に答えるので集中出来ない夏目
そんなうるさい二人をちらちら横目にしながら、スナック菓子を食い散らかして画面に集中しようと
する山田
「兄貴、こういうのあんま見ないんですねー、まあらしいっちゃらしいけど」
「…その必要がない」
画面を見ている状態で真顔で答えるベム
「……まあそうだけど、たまにはってこともあるでしょーに」
「実際の方がいい」
しらっと言うベムに、素人童○の身を心秘かに嘆く山田だったりした
まあ中の人がこの前下ネタ連発してたんで、ベムさんもありかなと
GJ!
早く帰ってベラで実践する気満々のベムが浮かんだw
>>651 絶対やらかすだろうねw
ちょっと続く
山田、何とか気を取り直す
「じゃあ、兄貴はどういう女が好みっスか?童顔とか、巨乳とか」
「何を言っているのか分からないな」
やっぱり真顔で答えて、とても楽しんでいるとは思えないベム
その横でまたも律儀に説明している夏目
「あの、童顔っていうのは…」
それをにこやかな顔できっちり最後まで聞いてから、目線だけ山田に向ける
「今更言うまでもないだろう」
山田、今度こそ玉砕
怖いので絶対言えないが、心の中で「リア充もげろ」と叫んだという
ついでに
ベム、何かに気付く
「ところで、夏目さんはどうしてここに」
「いやあ、こういうものは家ではなかなか見られませんのでハハハ」
「夏目さんも、大変ですね」
「お互いに色々と、というところです」
その後、AVでやってたことを真に受けたベムによってベラが大変なことになったかも知れない
今度こそ終わる
653 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 08:53:00.76 ID:Og/6azrz
AV実演の話を誰か小説化・・・・・・しませぬか・・・
今は嫉妬話のベラ編書いてるんで、来週やる
何かネタになりそうなAV(変な企画ものじゃない奴)探してる途中
655 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/12(日) 14:38:49.11 ID:Nxscs7IP
2人がやってるのを山とか自然がありまくってる所でみたら
神様とか精霊とかと勘違いしそうだ
書いたけど、びっくりするほどエロがない。
まあこの次のエロ話でこれでもかと盛るんで、まあいいか。
怒りにも似た鬱々としたものがずっと、胸の中で出口も見出せずに渦巻いている。
溶けた鉛の塊を呑み込んだように言いようのない黒い熱が重苦しく身体の中にある。
月さえも雲に隠れた夜、ベラは眠れずにいた。何が不満という訳でもない筈なのに何かがひどく気に
障って仕方がない。
その原因が分からなくて苛々するばかり。
こんな気分の夜に限って変に敏いあの男が察してしまったらしいのは、厄介なものだ。
次第に足音が近付いてくる。
「ベラ、眠れないのか?」
被っている布の上から触れてくる手の感触が、妙に扇情的で余計に腹立たしくなる。あまりにも煩わしく
感じて無視をするつもりだったのに、感情に反比例して心が逸りだす。
それを隠すように努めて低い声を絞り出すのがやっとだった。
「…あたしに、触るんじゃない」
「今日はずっと機嫌が良くないようだったが、怒っている、のか?」
手の感触が軽くなった気がした。もしかして傷つけたのかと思わず罪悪感を覚えてしまうほどに、その
触れ方は頼りない。
「そんなこと、あんたに何の関係があるんだい」
「俺は、何かしたのか?」
「…してないよ、あんたは何も…何ひとつね」
顔を上げて寝台から起き上っても、この暗闇の中では顔すら鮮明に見えない。なのに悄然としている
様子のベムの表情だけは感じ取れた。
実際、この男はベラを傷つけるようなことなど何もありはしない。生まれた最初の日からずっと。最近
どことなく気に障ることが多いのは全部ベラの勝手な怒りからだ。なのにその原因が分からずにいて
苦しい。こんな言葉に言い表せない気持ちを抱えているのは自分らしくないと分かっていても、一層
思考の狭間に陥ってしまうばかりだ。
なのに、この男が側にいるだけでより心の内は燃え上がる。奥で燻っているものも醜く凝るばかりで
もっと苦しくなった。
「俺はどうすれば、いいんだ。教えてくれ、ベラ」
押し殺したような声にぐっと胸を掴まれた。何でこの男までが苦しい思いをしているのか、それも一切
分からない。今夜は本当に不可解なことばかりで混乱するしかない。
「あたしを…追い詰めるな、それが分かれば苦労はしない」
自分が不甲斐なくて無性に腹立たしく、がりがりと頭を掻いていると暖かい胸に抱き止められた。
「何する…」
「多分それは俺のせいだ」
「……違う、あんたなんかこれっぽっちも関係」
「ない、のか?」
ないよ、と言おうとした唇が痙攣したように動きを止める。離さないように強く抱き締めているベムが
静かに泣いているのが分かったからだ。
「またあんたはそんな風に…」
この男はいつもこうだ。今夜のベラ以上に、いつでも一人で何か悩みを抱え込んでいる。何も言わず
にいるのはさぞかし苦しいだろう。今夜はそれが痛いほど分かった。
「馬鹿な男だよ、本当にあんたは」
ベラ自身ですら形容出来ないこの感情を、自分のことのように受けてしまうベムの愚直さはいかにも
この男らしい。きっとどんなものにでもそうなのだろうと思うと、わずかだけ荒れ狂っている気持ちが
静まってきた。
「あたしは、勝手に一人で腹を立ててるだけだよ…」
抱き締める腕の力が更に強くなった。髪が撫でられる。
「それでも、俺のせいだ」
「それが馬鹿だって言ってるんだよ」
玩具を手放さない子供のようなベムを宥めるように、あえて逃れようとはせず背中に腕を回して様子
を伺う。先程よりは少し落ち着いてきたように思えた。
元はといえば、この黒い感情の発端は何だったのだろう。
扱いに困るほど優し過ぎる男の暖かい腕の中で、ベラはゆらりゆるりと忘れかけていたことを思い出
していった。固く絡まった鎖が解けていくように。
胸に引っ掛かったのはある日の小春の一言からだった。
『あんたの旦那、さっき見たよ』
緒方家にベロと寄っていた時、帰宅した小春が何気なくそんなことを言った。
『へえ、どこでだい』
『そこの角の公園。なんか難しい顔して杖を近くの木に叩いていたと思ったら、あっと言う間にどっか
行っちゃっててさ。単独捜査か何か?あんたたちも大変だよねー』
多分小春は何気なく言っただけだろう。自分たちを探偵だと思い込んでいるのだからそれも当然だ。
しかしベラからすれば、そんな迂闊な姿を見られていたベムの呑気さが何となく許せなかった。そして
自分の知らないうちに他の女の目に入っていたことも。
仕方のないことだと分かってはいる。
その出来事そのものはすぐに忘れてしまったが、それ以後も妙な胸苦しさが続いていたので不愉快
な気分が重く残っていたのだ。こんな誰にでも優しい反面まっすぐな男が、もし何かの拍子で別の誰か
に興味を移したりしたら…とは考えたくもなくて、ずっと気持ちに蓋をしたままだった。
この男の優しい声も仕草も抱く時の力加減も、全部自分のものだ。
そんな意地がいつからか分からないうちに凝り固まっていたのだろう。身体を繋ぐことで生じる感情は
確かにあるとはいえ、ここまで変化を遂げるとは自分でも思ってもいなかった。経験のないことだから
それも仕方がない。
それでも、ベラは最初から何がどうなってこんな堂々巡りばかりの物思いに至ったのか、全部を知り
たかった。
夜が深くなる。
とうに寝息をたてているベロの穏やかな寝顔が、被っている布から覗いていた。
「…あんたも、随分と厄介な性分だねえ、あたしなんかが一緒だったばっかりに」
「そんなことは、ない」
避けようのない冷気が積もりゆくごとに気持ちが澄んでいくのが分かった。水の中の澱が次第に凝って
周囲が透明になっていくように。
「お前から目を逸らしたことなんて、一度もない」
ベムの声が冷気と共に降る。
そんなことは、最初から分かっていた。
なのにつまらない些事で心が煩わされたのは、ただの気の迷いとは思えなかった。きっとこの男に
関するものは最近になって何もかも初めて尽くしが続いていて、ひたすら舞い上がっている。
とにかくこの気持ちが安定しないままなのだ。
特に何の意図もなくても、この男が他の女の目に留まるのは嫌だ。何気なく彷徨わせた視線の先に誰
がが映るのも癪に障る。
この醜く膨れ上がるものは一体、何という感情なのだろう。
これまでにないことばかりが心の中に増幅していって、日毎に苦しい。
しかし野暮にも程があるにも関わらず、心の中を読んだようにそれを緩和するような言葉を呟くのだ、
この男は。
それだからこそ余計に戸惑いながら、心が躍る。
「ベラ、俺はこれからも」
「…あたしだって、そうだよ」
さっきまで痛いほどだった抱き締める腕の力が、いつの間にか緩くなっている。ベムの方もそれなりに
気持ちが落ち着いたと見える。
「今更、なんだ。あんたのことばかり考えてる」
「ベラ」
また力が強くなった腕の中で、ベラは身じろぎながらベムの首筋に顔を摺り寄せて薄い皮膚を軽く
噛んだ。そのまま舌を伸ばして淡い傷口に這わせる。
「ねえ、あんたをもっと教えておくれよ…」
顔の判別など到底つき難い闇の中、正面から見据えた男の目の光だけが一瞬煌めいた。身体を
繋いでこそ生じる感情があるのであれば、それはこんな二つ身では決して分からないことだ。ようやく
にして知り初めたこの男に対する醜くも悩ましい情の奥底をもっと知りたい。そして自分の思いその
ものを見据えてみたい。
正しい段階が何であるかなど分からないまま、ベラも自分なりにこの理解ならざる最悪の混沌と向き
合おうとしていた。
「あたしのことも、もっと知って欲しいんだ」
寝台の上、腕を回して掻き抱いた男は一瞬強張った後で、再び背骨が悲鳴を上げるほどきつく抱き
締めてきた。
きっとこれから抱かれるのだろう。
この身体の一番奥で滾っているのはあらゆる感情の源。心の深部にまで確実に繋がっているそこに
早く触れて欲しい、もっとあからさまにして知り尽くして欲しいと懇願のような気持ちが急激に激しく
湧き上がった。
月が隠れた夜は、心の内を何もかも暴いていく。
終
GJ!
エロ話も楽しみにしてます
662 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/13(月) 20:51:11.15 ID:pmapnW0V
GJ!
かわいいです、ベラ・・・・ww
二人がヤってる間、絶対ベロは気付いてるよな
船の中狭いし声響くし
ベロの可能性無限大だなw
ベロになって覗きたい
ベロならいつも覗き放題だしな
位置的にもバッチリだ
ベロ「ねえねえベラ〜なんで昨日の夜ベムのチンチン食べてたの?」
ベロ「いつもオイラのこと子供扱いするけどベムだってベラのおっぱい吸ってたし赤ちゃんみたいだね」
669 :
名無しさん@ピンキー:2012/02/19(日) 16:00:28.76 ID:moYSX7tb
しかも確信犯っぽいベロ
年とらない設定改変だけど、
昔から色々見てて「ベムとベラはらぶらぶだもんねぇ」なんて無邪気に言ってたベロが、23くらいに成長してベラに言い寄る所まで妄想した けど文才皆無だorz
欲情した顔で「あの頃毛布にくるまりながらどんな気持ちだったか分かる?」とかなんとか言ってなかば強引に押し倒すんだけど、触り方がめっちゃやさしくて繊細、みたいな
ある意味ベロ最強だなw
最終的には3Pか
兄弟で3Pw
ベロが成長したら、きっとベムよりデカくなるだろう
ベム、うかうかしてられないぞw
あそこもベムより大きくなっちゃうわけだな
なあに、ベムにはテクがあるさ
先にベラをメロメロメロウにすればいいんだし
ベムって凄く上手いか凄く不器用かのどちらかのイメージがある
うむ
興味のあるものには物凄く凝るし探求心もありそう
ベラを喜ばせようと思ったらそりゃもうアレコレと調べ尽くすだろう、性的に
ベロに襲われそうになったら
ベラが拒むだろw
ベラはビッチじゃねぇぞ
ベムは真面目だからなあ
セックスに関しても笑えるくらい真面目に勉強してはず
セックスの最中、ちゃんと自分はベラを気持ちよくさせる事が出来てるのか真面目に尋ねるベム
気持ちいいけど恥ずかしくて言えないベラ
気持ちよくないのかと心配したベムはベラが気持ちいいと言うまでありとあらゆる手段を使って気持ちよくさせるのであった
ベラもベムが気持ち良いか気にしそうだ
ベムに気持ちよくなって欲しいあまりにベムのアナルにまで触れるベラw
ベラはフェラが上手そう
やっと書けるようになった
そろそろこのスレも終わりそうなんで、AVネタのエロ話を前半だけ投下
様子見ないと
見上げれば夜空に浮かぶ月は随分細い。
あれは夕月か。
「いやあ、すっかり遅くなっちゃいましたね」
帰宅の途に就いているベムと夏目の二人の他には、もう街に人影もない時刻。身を縮めるほど冷え
込んではいるが、身体の中は妙に熱い。
先程までずっと、山田の部屋で観ていたもののせいだ。
「…お気になさらず」
「でもまあ、つい見入ってしまいましたね、ああいうのは満更嫌いでもないですから」
きっちり巻いたマフラーの首元を寒そうに押さえながら、夏目は照れたように笑った。
「不思議なものですね」
「え?」
「性欲は本能と言いながら、どうして人はそれを殊更に隠そうとするのでしょう。その反面であのような
ものが普通に流通しているのは何故ですか?」
少し冷静になってみるとベムにとっては分からないことばかりだ。だが、それが人間の世界というもの
なのかも知れない。
「さあ何故なんでしょうね、それはきっと人間でも分かりませんよ。でもそれでいいじゃないですか」
つい理詰めで考えようとするベムに、夏目は特に誤魔化すでもなく笑って見せた。
「…そうですね」
正も負も全て無条件で呑み込む。それがこの混沌とした世界に生きる人間というものなのだと思うと
何となく納得出来た。多少辻褄が合わない程度のことはありがちだから何も問題がない。
そんなことを考えながら歩いているうちに、夏目との分岐路に辿り着いた。白い息を吐きながら夏目は
いつもの快活な顔でからっと笑う。
「じゃあ俺はここで。ベムさん、おやすみなさい」
「ええ、ではまた。おやすみなさい」
大切な家族のいる元へ戻って行く夏目の後ろ姿は、いつも嬉しそうだ。そんな姿を見ると心の中まで
暖かく満たされていく気がする。自分ももしかしたら傍目にはそう見えているのなら嬉しい。今は素直
にそう思えた。
大切な存在がいるのはベムもまた同じなのだから。
時刻からしても、既に二人とも寝入っている筈だった。
声はかけずにそのまま寝台に入るつもりで足音を忍ばせて廃船内に入ったベムだったが、空間内
には灯り続けていたランプのせいだけではない妙に湿った熱が籠っていた。その上、香気にも似た
ひどく甘い匂いを感じる。
もぞりとベラが横たわる寝台が動いた。
「ン…」
どうやらベラは眠ってはいなかったようだ。それどころか、ベムが不在の間一人で慰めていたことが
分かる。そして、まだベムが戻って来たことをまだ知らない。
それを悟った途端に、身の内でずっと燻っていた欲望に急激に火がついた。
「ベラ」
頭からすっぽりと被っている布を引き剥がすと、驚いて目を見張っているベラと目が合った。
「…あっ」
「何をしていたんだ」
「…べ、別に何、も…してなんか」
必死でベムから目を逸らそうとしているベラの姿は乱れていた。今まで一人でいたというのに乳房は
露出しかけていて、肌は汗ばんでいる。そして、布を剥がした瞬間に立ち昇った匂いは、戻って来た
時に感じたものと同じだった。
甘く嗅覚を蕩かしかねないその匂いは、ベラの欲情が高まった時に湧き上がる。肌から発散され、
体内から溢れる愛液から発散され、入り混じって男にとっては媚薬そのものの特有の香気となって
いるのだろう。
あまりにも扇情的で思わずごくり、と喉が鳴った。
「ベラ、俺のことを考えていたのか?」
「…し、知らないよ。あんたなんか…」
ベラはしどろもどろになりながらも、乱れきった姿を直そうと胸元を隠している。それがまた欲情を
そそるものがあった。
「済まなかったな、戻るのが遅くなった」
「だから、何だっていうんだい。別にあんたが何をしてようとあたしは関係ないよ」
「お前を寂しがらせてしまった」
「…馬鹿なことを!」
醜態を見られてしまったという羞恥からか、ベラはいつもよりも乱暴な物言いをする。しかし、もう全て
見抜いているベムにとってはそんなところも可愛いとしか思えなかった。
「もう待たなくていいんだ」
流されまいと必死で顔を背けているベラに構うことなく、膝上までたくし上げられているドレスの中に
手を入れた。とうに熱く疼いて濡れそぼっている女の中心が新しい刺激を感じたのか、柔らかな襞が
待ちかねたように指先に吸いついてくる。
もっと、奥にある更に柔らかく更に濡れた場所をより探り尽くしたかった。
「う…っ」
焦れたそこに感じる刺激が快いのだろう、ベラの声音が変わった。拒んでいる振りをして従順に与え
られるものを受け入れているのが分かる。それがベムの身の内に燻っている欲望すらも一気に解放
していった。
「ベラ、今夜は我慢しない。だからお前も…」
一刻も早くこの身体を思いのままにしたい気持ちを宥めるように、肩を抱きながらも指で一気に奥まで
突いた。途端にベラの身体が気の毒なほどびくびくと震え、跳ね上がる。
「やだああっ!」
「嫌、じゃないんだろう?素直になるんだ」
一人でいるのが寂しいからと自慰までしていたというのに、まだ抵抗を残しているこの女の頑なさを
溶かしてしまいたかった。匂うような白い首筋に舌を這わせながら、完全に蕩けきっている膣内を何度
も擦るように突いているうちにベラが悩ましく変化を遂げていく。
「あ、ぁん…」
抵抗そのものはまだわずかにあるものの、与えられる快感が自我をも確実に揺らがせているようで
甘い吐息をつきながら縋りついてくる。その反応に否が応でも心臓が高鳴った。
今すぐにでもこの女を征服しなければ、どちらもおかしくなってしまいそうになっている。
「ベラ、いいのか」
「…ん、好きにしていいよ…あたしもう」
黒髪の匂いも肌の匂いも、いよいよ甘く誘っている。
堪らなかった。ありったけの欲情が全ての感覚を支配しきっていて、熱を帯びた柔らかな身体を寝台
に倒すと膝裏に片手をかけた。
「お前は…どこまで惑わせるんだ」
指で探っていた膣襞が奥から引き込むように蠢いて絶え間なく愛液を零している。目が眩むほどの
感覚のままに両脚を限界まで開かせて刺激を欲しがっている女の部分を眼下に晒した。淡いランプ
の灯りに照らされたそこは妖しくぬらめいている。
「そ、れはや、だってばっ…」
弱々しく抗う声は艶やかに濡れている。もう一度、喉が鳴った。溢れる愛液を一度舐め上げてから
より深く顔を埋めて舌を差し入れた。
「…あ、ぁあっ…」
快感に潤む声が高く上がる。
「何もかも、俺のものだ」
指だけではなく舌でも、この女の最も敏感なものを弄りたかった。欲望の赴くままに貪り抜いて互いに
愉しみたいと心から思った。
まだ意外と余裕ありそうだな
後編は明日投下予定
良い!
続き楽しみにしてます
>>686 キテタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─!!
ここの住人に焦らしプレイとはっ!全裸待機中だ!
風邪ひく前に後編たのむっ!
ずっとパンツ脱いで待ってます
もしや神は規制中?
投下しようとしていきなり規制、というのもよくある話だ
まあ待とうではないか
俺もPCは書き込めるがスマホは規制中だ
でも規制されててもPINK板には書き込める
神はPINK板も規制されてるのか
規制中だか何だか知らんが、とにかく書き込めなかった
PCの不具合かと思ったが違った
なんかようやく投下出来そうかなと
深夜の冷気は一層厳しくなっているというのに、ここだけは関係ないようだった。
「アぁ…んっ…」
横たわっているベラの剥き出しになった乳房が、尋常ならざる快感のせいか一瞬背筋が反って突き
出された。何と悩ましい姿なのだろうか。目にしているだけで欲情がいや増していく。
女の最も敏感な部分を曝け出してまで、それでもまだ必死で声を抑えているベラが何もかも振り捨て
て狂おしく悶える様をもっと見たくなった。
「ベラ…お前の好きなようにしていい、ここでは誰も咎めない」
驚くほど柔らかい濡れた襞とは対照的に、目の前で震えているクリトリスはまだ残っているベラの自我
そのもののように硬くしこっている。
戯れに何度も舌先でねっとりと転がすと、一層声音が甘く高くなった。
「や、あぁぁんっ…」
互いに我を忘れて咆哮を始める頃合いが近付いている。この先の快感を待ち受ける襞が攣るように
震えた。おぼつかない手を動かして収まるものを求めている一物を外気に解放すると、意志を持って
でもいるように猛々しく牛の角のように反り返った。
まだ頭に被っていた帽子が勢いで床に落ちる。
暑さを感じて上着を脱ぐと、ランプの灯の届かぬ暗がりでひどく物欲しげな双眸がぎらぎらと見上げて
いた。
「…我慢はしないぞ」
甘い吐息を零して耐えているベラの膣口が、とうに快感の限界を超えたのか淫らに襞をめくり上げて
愛液の濃度を増して誘っている。目の前のあまりに素晴らしい痴態を堪能するつもりでいたのに、ベム
も既に限界を迎えていた。
急激に身の内を突き上げてくる激情が身体の芯を駆け抜けた。物も言わずにとろとろになったそこに
硬い先端を押し当てる。
「ひぁんっ!」
唐突に刺激を感じて、ベラが甘い声を漏らした。それがより欲情を掻き立てられて引き込まれるように
奥まで一気に突き入れた。膣口こそひどく狭くてきついのに内部を突き進むと何ひとつ抵抗を感じない
ほどに柔らかくぬるりとした感触が一物を包み込んでいく。
まるで突き当たる先など全くないかのようで、思わず息を呑んだ。この獣の如き猛々しい衝動に制限
がかけられなくなる気がした。
「あ、あぁん…ベム…っ」
なまめく肌から汗をほとばしらせてしきりに喘ぎ続けるベラの肢体は凄絶に美しかった。ぷつり、と何
かが途切れた気がして、もう何も考えられなくなりそうなのが自分でも怖いと思った。
途端、先刻まで見ていた映像の中の女が唐突に脳裡に蘇ってベラと重なった。しかし、どこの誰とも
知れない女よりも、目の前で媚態を見せるこの女の方が遥かに美しく艶めいている。こんな時に他の
女の姿を思い出す浅はかな己を必死でなじりながら、ベムは思考と感覚と性感の全てを今この衝動
に注ぎ込んだ。
あんな風に、ベラが身も世もなく悶え狂ったらどんなに嬉しいことかと懇願しながら。
「やぁっ…」
そんなベムの思惑に気付くこともなく、ベラはぽろぽろと涙を流しながら髪を振り乱していた。
激しい性感に生き物のように蠢く膣壁が一気に引き絞られて射精を促す。それを何とか遣り過ごし
ながらも、寝台がぎしぎしと軋むのも気にせずに柔らかにしなる女体を思うさま突き上げまくった。
「やぁんっ、あああっ…っ」
衝動のままに突く度に濡れた声が甘く零れる。
膣内の壁が驚くほど妖しく収縮して、合間に痙攣を繰り返している。互いにもう限界を迎えようとして
いるのが分かった。
「…ベム…」
わずかに繋いでいる正気の狭間から、ベラが必死で手を伸ばしてきた。背中に絡みついてくる長い
腕がひどく熱い。
「あ、たし…っ」
回らない舌が必死で言葉を繋いでいた。それがあまりにも健気で、一気にこの激情を爆発させようと
ベムは更に動きを早めて追い詰めていく。寝台に繋がれて喘いでいるベラの黒髪がまだわずかな
抵抗を見せるように乱れ流れている。それが情念のようで見入ってしまいそうだった。
頼りなく周辺を彷徨う眼差しがかち合った瞬間、とてつもなく強烈な射精感がせり上がってきて、ぐっと
息を詰めた。目の前でゆらゆらと揺れている魅惑的に色付いた乳房を両手で握り、捏ね上げながら声
をかけた。
「ベラ、もう、いくぞっ…」
「あ、んん…ベムっ」
啜り泣くベラが返事のように反射的に背中に爪を立てた。ぬめる膣壁が別の生き物と変貌して、一気
に引き絞りにかかっている。今度は、その誘いを受けて間合いを計りながら突きの力加減を変えて、
最も奥の奥までを渾身の力で突き上げた。
「ひゃぁんんっ!」
蕩けるような声が細い喉から絞り上がり、汗を刷いた身体が瞬時に硬直した。
先にベラの方が達してしまったらしい。同時に膣内の凄まじい収縮が一物を襲う。まるで男に真っ向
から挑んででもくるようなその内部の動きに任せて、ベムも溜め込んでいたものを全て吐き出した。
「うぅっ、くっ…」
激しい快感と共に思った以上に長く射精が続いていく。内部をたっぷりと満たすものの感覚に、いまだ
深く喘ぐベラの表情が歪む。
「…ん…あ、あんた…」
肩で息をしながらもわずかに正気を取り戻したベラが、まだ身体を離さないベムをきっと睨む。
「何だ、ベラ」
「あんたに、あんなトコ見られるなんて…」
何故か妙に悔しそうな顔で、ベラはそのまま目を逸らした。
「何を、だ」
「だ、だからあたしが一人、で…してるトコさ…あんな醜態、みっともないったら……」
それだけ言ってしまうと、もう目を合わせないように横を向いた。
そんなことを気にしていたとは、思いもしなかった。
「俺のことを考えていたんだろう?綺麗だと思ったぞ」
「…何をそんな…」
ベラはまだ拗ねたように寝台の上で横を向いて顔を隠しているが、あの乱れ姿は実際、本当に美し
かった。そしてこの女がそこまで自分を思っていたことが嬉しかった。
「あんなお前を見たんだから、俺は際限がなくなりそうだった、今もな」
「…あぁっ」
まだ身体が繋がっているせいか、膣内にある一物が再び隆起し始めたのを感じ取ったベラが反応
するように身じろぐ。その刺激を受けて、内部で勢いを取戻しつつあったものが柔らかく暖かい壁に
揉まれて再び硬く反り返るのが分かった。
「俺は、もっとお前としたい」
「そ、そんな、ことを…」
「お前は、どうなんだ」
「えっ…」
子供のように幼い、戸惑うような眼差しが見上げてきた。
「あ、あたしは…」
考え込んでいるのか、長い睫の下の視線があやふやに移ろっている。
「どう、なんだ」
明確な答えを迫っている訳でもないのだが、つい責めているような口調になってしまう。ベラは短い
時の中で出来うる限りの逡巡をしたのか、ちらりとベムに視線を合わせてから決意したように鮮やか
に色付いた唇を開いた。
「あ、当たり前じゃないか…その気にもならない奴になんて、指一本も触らせないよ…」
「そうか、俺もだ…こんなことは、お前にしかしない」
言いながら唇を噛むように重ねた。
人間にとってこの行為は子を成す為の大切なものであり、また互いの距離を縮めてより親密になり、
良い関係を築く上でも必要であることは分かっている。それは何も成すことの出来ない自分たちに
とっても、また同様なのだと思った。
ベラの腹に子が宿ることはなくとも、こうして少しずつ自分たちは様々な理解を重ねている。それが
見えない成果というべきなのだろう。
そう思えるだけで、また繋がっている箇所が熱を帯びた。
「…あんたは、こんな時だけやたら口が上手いね。全くもう、たちが悪いったら…」
呆れたように笑って身を起こすベラの唇をもう一度丹念に吸った。濡れた舌を絡めれば唾液すらも
甘い。
「ンン…ッ」
身を捩りながら抱き着いてくる身体にも熱が再び籠る。戯れのように埋まったままのものを軽く抜き
差しするだけで肌が細かく震えた。
「あぅ…ベム…」
そんなことを続けているうちに、緩くだが確実にまた互いの身体に快感が生まれ始めていた。あの
目も眩むような激情のるつぼの口がすぐそこでぽっかり開いている。入り込んだら、もう身も心も焼き
尽すほどの灼熱を迎えるだけだ。
この女も、共に立ち会うそのめくるめく時を望んでいるのだ。
「ベラ、一緒にいこう」
「あ…ンッ!」
無理に身体を起こさせると、刺激で驚きで一杯に見開かれた目にまた涙が滲んだ。膣内で一物の
勢いが完全に戻ったのをいいことに、二度三度と強引に突きながら互いを向い合わせる形にさせた
からだ。乱暴に扱われて間近で荒い息を吐く女の顔が悔しそうに歪む。
「こ…んな、のは…」
「どんな風にでも、してやろう。ベラ」
不安定な寝台の上であることも忘れて、ドレスを腰に纏わりつかせたままのベラの身体を思いきり
下から突き上げた。先刻よりも容赦なく。
「やだって…あっあっ、あああっ!」
ベラの中にある正気など粉砕する勢いで緩急など関係なくメチャクチャに突き続けるうちに、目の前で
あられもなく身をくねらせるベラの表情が妖しく変化していく。放つ汗と共に肌から立ち昇る香気がより
強く華やかになっていくのを感じて、ベムも正気を飛ばしそうになった。
「ベラ、ベラ…もっとお前の真実を見せるんだ」
それでも必死で揺さぶっていると、遂にベラが咆哮する。ベムによってこれ以上ないほど妖艶な生き
物と変貌し、自ら腰を振りたてて快感を貪り始めた。
闇の中で、うねり狂う黒髪が妖しく蠢く。
「やぁあああんっ!!」
一声甘く高く鳴いたベラは、ベムを寝台から床に引き摺り落とすなり繋がったままのものを千切らん
ばかりに絞り上げた。
「ぅぅっ…」
そのあまりに激しい勢いにうっかり情けない声が漏れて、ベムはぎりぎりと唇を噛む。上に跨った形
のベラは思う存分に腰を振って快感を欲しいままにしていた。それでも足りないとばかりに、ゆさゆさ
動きに合わせて揺れていた乳房を両手で掴み、激しく揉む。
頼りないランプの灯りに照らされて、それはひどく扇情的な光景だった。
「ああっ、はぁあああんっ!」
全身を快感に浸して喘ぐベラの腰を掴むと、固定したまま再び下から突き上げた。爆発的に感度の
上がった身体がわななき震える。悩ましく見下ろすベラの眼差しが一瞬、不安そうに揺れた。
「ベラ、もっと欲しいんだろ」
男の上で浅ましいほどに脚を開いているその中心で、放っておかれているクリトリスがもどかしげに
表皮の影から覗いていた。指先で抓んで何度もしつこく擦ると、淫楽を貪っていたベラの身体が何か
が切れたようにがくがくとぎこちなく痙攣する。
クリトリスを擦りながら突き上げる度に、ベラの喉が痛々しいほどに反った。
「あ、あ…ゃああんんっ」
「もっと、やろう」
「あ…ベ、ベムっ…もっ、と、もっと…ぉっ…」
甘い声に誘われるように、上で揺れている乳房をがっちりと掴んで滑らかな感触を愉しみながら揉み
続けるうちに、またベラに限界がやって来たようだった。内部の引き絞りが強くなった。
そうは、いくものか。
今の快感をより長く持続させる為に、ベムはまた無理に体勢を変えた。一度、わざと一物を引き抜い
てから快感の為に動くことも出来ないでいるベラの片脚を持ち上げて大きく開き、その狭間に身を差し
入れて獲物を待ち受ける膣内に再び挿入した。
「ぅっ…」
わずかな間とはいえ、達する寸前で放り出されたことでベラの身体は異様に昂っていた。硬い肉の
感触を感じた途端に貪欲に膣壁が蠢いて奥へと引き込もうとする。あまりに甘美で悩ましいこの快感
から、もう逃れられそうもなかった。
「ベラ、お前だけだ」
「…ン、何、を今更っ…」
冷たい床を指先で掻きながらも、ベラは迫り来る頂点の予感を期待しているのか弱々しく啜り泣いて
いた。
その柔らかな身体を何度も突いているうちに、それは唐突にやって来た。今度はベムが先に狂おしく
うねり狂う膣内で果て、そのわずか後にベラが放たれる精の刺激で達してしまった。
「あ、ああああっ!!」
その瞬間の叫びはとても凄まじかったが、幸いこの空間の中で眠るもう一人は気付かず深い眠りの
中にいるようだった。
「…あ、ベム…」
達してから少しして、はあはあと肩で息をしているベラが床から起き上って身をもたせてきた。凍える
ほどに寒い夜だというのに、ここだけは妙に湿った熱が籠っている。そしてベラの肌から匂い立つ香
はずっと強いままだ。
興奮冷めやらない、というところなのだろう。
宥めるように肩を抱きながらも額や頬に唇を降らせているうちに、少し鎮まった筈の熱が戻り始めて
いることに気付いた。
ベラが欲しいと望むのであれば幾らでも行為を続けたかった。ベムもまた際限のないほどにベラを
求めて止まない。こうなることが決まっていたかのように。
「ベラ、寒いのか?」
ずっと押し黙っているのでもしやと尋ねても、女はぎこちなく微笑んで首を横に振るだけだった。この
静かなひとときはしばらく続くのだろうか。
それとも、何かのきっかけでまた二人燃え上がるのだろうか。
終
言うまでもないけど、
>>700での1/9は1/6の間違い
そんで全裸待機してた奴、ホンマごめん
きたああああああああああああああ
待ってました!!!
濃厚なエロスktkr!
GJ!!
もう一つ
ベムが戻ってくるちょっと前の自慰ベラ
「ベム遅いねー」
夜もすっかり更けた時刻、ベロはベラの膝の上でうとうとしながら目を擦る。いつもベムに寝かしつけ
られているので帰るのを待っているのだ。
「そうだねえ、でもいつ帰るか分からないからあんたはもう寝ちゃいな」
「…うん、そうする…」
眠る間際にベムがぽつりぽつりと語る物語の続きが気になっているベロは不満そうだったが、夕食後
にふらりと出かけたまま戻って来ないあの男が今すぐに戻って来る保証はどこにもない。
ベムはどこに行ったのだろう。
このところ、人間の知り合いが増えたせいか自分たちに何も告げずに出かけることが多くなった気が
する。全く癪に障ること甚だしい。
今夜は相当に寒い。
にも拘わらず布にくるまって寝台に横になるなり、ベロはすぐにすうすうと寝息をたて始めた。よほど
疲れていたのだろう。こんなになるまでベムを待っていたのだ。
そんな幼子の心根が不憫だと思った。
帰って来たら気が済むまで文句を言ってやろうと決意しながら、ベラも自分の寝台に寝そべって目を
閉じた。ランプの灯はつけたままにして、今夜はもう寝てしまおうと思っていたのに身の内が妙にざわ
めいている。下腹の底を這いずっているむず痒いような、焦れったいような感覚が忌々しい。
以前なら決して感じなかったそれは、間違いなくベムとの交わりによって知ったものだ。一度感じたら
最後、抱かれでもしなければ鎮めるのはひどく難儀だ。
よりによって、あの男がいない時にこうなるのは予想外過ぎて恨めしいばかり。血が滲むほど強く唇
を噛みながら、しばらくは自分の身体を抱き締めて震えることしか出来なかった。しかしそれで収まる
筈もない。
「…ンッ」
こうして横になってベムの愛撫を思い出しただけで、条件反射のように身体が疼いてきた。いつもの
夜であれば何かとベラに触れたがるあの男のことだ、こんなことばかりは察しの良いのを利用して
理由をつけては抱きに来るのだろう。普段はその勢いに任せてさえいれば良かった。
なのに今夜はいない。
「たく、どこ行ったんだよ…」
がばっと布を被ってくるまってみても、このままではとても眠れそうになかった。そろそろと熱を帯びた
乳房を揉みしだき、ドレスの裾を割って疼いているそこに指を差し入れる。刺激を待ち望んでいる襞
が喜んで指先を呑み込むのが分かった。
あの男がいつもここをどうやって探り、弄っているのか、思い出しながら触れていってもとても同じよう
にはならなかった。むしろ、身体が勝手にその先のもっと激しい快感を欲しがって更に疼く。
「や、だっ…」
必死で指を根元まで差し入れ、膣奥を探り、クリトリスを抓んで転がしても、あの男がしていることの
半分にも満たない満足しか得られないのがもどかしい、腹が立つ。どうして自分の身体でありながら
自分ではどうにもならないのだろう。
むしろ、あの男の手管にこの身体がとうに馴染みきっている。
自分は、これほどに浅ましい女だったのかと絶望するほどだ。だが、今はこの疼きを鎮めるのをまず
優先するしかない。嘆いていてもあの男はまだ戻らないのだから。
また、身体の奥がズキンと疼いた。
「あ、もう…」
何もかも思い通りにならないことに、涙が零れた。
ベムがここにいないことも、抱かれないことも、何もかもが癪で腹立たしくて、そして寂しい。このまま
どれだけ放っておかれるのだろうと考えることすら恐ろしかった。
自分がこれほど悩んでいるのに、呑気なあの男はどこで何をしているのだろう。ベラの思いなど全く
知らぬまま間抜けな顔で笑っているに違いない。
苦しい、悲しい。
色々なものが頭の中を巡ってとりとめがつかなくなった。疼きを抑えきれないまま乳房に爪をたてて、
声を殺すしか今のベラには出来なくなっていた。
その時、突然被っていた布が引き剥がされる。
「ベラ」
驚いて見上げると、あれだけ帰宅を待ち続けていたベムが立ち尽くしていた。
もしかしたら、自分でしていたことを気付かれたのではと瞬時に頬が熱くなる。なのに、それ以上に
抱かれたくて堪らなくなった。
凍えるほどに寒いこの夜、灼熱の時が近い。
終
ベムがどこに行ってたか、ベラは知らん方がいいなきっと
またまたktkr!
ベラかわいいよベラ
715 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/07(水) 04:43:48.88 ID:r2JtbEiL
GJ!!
ベラかわいい〜〜〜!!
GJ!
エロいわ可愛いわで二度美味しいな
妖怪人間は人間より体力も精力もあるだろうし毎晩長時間やり続けても平気
ベラの処女膜も元通り
>>719 いまだにそういう誤解ってあるんだな
意外と血は出ないモンだよ、そりゃ痛いだろうけど
うん、やった
でも誰も血なんか出なかったよ
俺もその辺気になってたんで調べてみたけど、大昔で栄養状態が悪い頃だったら
たまにそういう女がいたってだけの話だ
今はもういないけど、若いころ遊びまくってた宇野千代ってバーさんが初体験
した時の赤と黒の話なんてのもあるしな
個人差あるんじゃね?
昔つき合った子は血出てたし
そりゃ個人差はあるわな
何せ女の粘膜はすぐ傷がつく
初めての挿入は女が2回は痛がって断念
その後成功してシーツに血が付いてた
女って大変だな
なんでお前らの体験談を語るスレになってんの
729 :
一願望 1/4:2012/03/11(日) 01:48:00.80 ID:kw9fzGEp
今夜は波が高いようだ。
船をぱしゃんと高く打つ音でベラは不意に目覚める。狭い寝台の上でまどろみながら寝返りを打とうと
緩く身じろいでいると、何か柔らかいものが耳を撫でた。
「う、ン…」
何度も耳を舐めてくる舌が頬に滑ってくる。こんな時間だというのにまたあの男がその気になっている
のだと思うと正直迷惑だった。
「…ベム、あたし眠いんだってば…」
良い気持ちでまどろんでいるところを邪魔されて少し不愉快になりながら、ベラは男に背を向けた。
これもまたいつもの遣り取りで、それでも愛撫を繰り返されれば結局は応じてしまうのが分かりきって
いる。
なのに。
「ベラ」
囁いて来る声は、ベムのものではなかった。
「…えっ?」
まさかベム以外の男が触れてくることなど、今までも今も全く考えていなかった。そうだとしたらこの男
は何者で一体どこから来たのだろう。この男がベムではないと知った途端、眠気も何もすっかり吹っ飛
んでしまい、代わりに激しい動揺が訪れた。
咄嗟に寝台の上で身を屈めてその手を拒絶するしか、今のベラには出来なかった。
「…あ、あんた誰っ?あたしに触るんじゃないよ!」
ランプの灯りもない暗い空間だったが、暗さに慣れた目には確かに男の黒い影がベムとは確実に違う
ことが分かった。ベラよりわずかに小柄なベムに比べればその背格好は随分と大きい。
「ベラ、怖がらないでいいよ」
「ふざけるんじゃない、早くここから出ておいき!」
すっかり取り乱しきっているベラは、心のどこかでベムの助けを期待していることにまだ気付いては
いない。
「ベラ、分からない?オイラだよ」
大きな黒い影はとんでもないことを言った。
「…何を馬鹿なことを」
「いきなり大人になっちゃったけど、ベロだよ。だからそんなに逃げないで」
そんなことは有り得ない、あってはならないことだとまだ動揺が続いているベラの髪を撫でながら、
ベロを名乗る男は優しい声を出す。
730 :
一願望 2/4:2012/03/11(日) 01:48:41.00 ID:kw9fzGEp
「オイラは、ずっと大人になりたかったんだ。その願いを神様がほんのちょっとだけ叶えてくれたんだ
と思ってる」
「…大人に?」
「うん。オイラ、ベムとベラが羨ましかったんだ。大人で何でも出来てさ…そのうち、夜になったら二人
がイチャイチャしてるのたまに見てしまうと堪らなかったよ」
髪を撫でる手が肩へと滑ってくる。ベラを怖がらせまいとするのかあくまでも優しい手つきに、奇妙な
ことだが心が解けてくるのが分かった。こんな風に触られることすらもベム以外には許せない筈だった
のに。
「お、おやめ…あたしは」
「そんなにベムがいい?オイラはずっと大人になってベラとこうしたかったよ」
耳元で囁く声が一段と深くなる。肩を撫でる手がすっと胸元に下りて直接乳房を触ってきた。大きな
手の感触は思った以上に心地良くて、そんな自分の思ってもいない変化にベラはまたわずかに取り
乱しかけた。
一度快感を知ってしまうと、女は求めてくる手から逃れられないのだろうか。
「ベロ、おやめ…」
宥めようとする声が、情けなく震えてしまう。
「夜のベラは昼間よりずっとずっと綺麗なんだよ…ベムとしている時のベラの顔ってすごくウットリして
いてさ。でも、そうさせてるのがオイラじゃないのは何だか悔しかった」
何がどうなってあの小さなベロが急に大人になったのか、それは分からないままだがとりあえずどう
でもいいことだ。今はこうして一人の男として求めてくる手を何とか回避しなければ、あまりにも女と
して情けないではないか。
「あ、あたしにそんな気はないんだよ、ベロ」
なのに、優しく乳房を愛撫してくるベロは頑ななままの心を不思議と解きほぐしていく。手の熱によって
温められた乳房に頬を摺り寄せながら、掻き口説く声が異様な熱を帯びる。
「ねえベラ、夜になって二人がしてるのを見ているだけのオイラの気持ちが分かる?」
「…ベロ」
「無理やりなのは、嫌なんだ。でももしかしたらひどいことしてしまうかも」
どうやら、急に大人になったことでベロにも幾つかの迷いはあるらしい。急に肌を撫でている手の力が
荒くなった。息が上がりかけていたのを鎮めながらも、ベラは手を伸ばしてベロの頬に触れてみた。
唇が細かく震えているのが感じ取れる。
「ベロ、あんたはベムが好きかい?」
「…うん、大好きだよ。ベラもね」
「ベムはあたしを『特別』なものにしたんだ。あたしにとってもベムは『特別』なんだろう。だから、ああ
いうことするのさ。他の誰かじゃ代わりにならないんだよ」
731 :
一願望 3/4:2012/03/11(日) 01:49:17.39 ID:kw9fzGEp
「それはオイラじゃダメってこと?こうして大人になっても?」
「ああそうさ。あたしはね、ベムに操を立てときたいんだ。女ってのはそういうモンだよ」
冷たい頬を何度も撫でると、ベロも自分なりに納得したのか声の波が静かになった。
「…そっか、それがベムたちの『好き』ってことなんだね。オイラの『好き』とは違うんだろうなあ」
「それはあたしも何とも言えないよ。ただ、ベムとあたしはもうお互いしか見えない」
「…うん」
さっきまでの勢いが急に失せ、大きな身体が離れたのを感じてベラは身を起こした。これで何とか元
の小さなベロに戻って欲しいと願いながら。
しかし、ベロはしばらく押し黙ったままじっとベラを見ている。この暗がりでもぎらぎらした光がそこには
あって、底知れない恐怖さえ感じるほどだった。
「ベラ…」
不意に絞り出された声と共に、異常な力で寝台に押し倒された。
「ベロ、何するんだい」
「それでも、オイラはベラとしたいんだ!」
何かが振り切れたように、ベロが覆い被さってきた。これはあの小さな子供ではなく、只の男でしか
ないことをベラははっきりと思い知らされた。
「いやあああ!」
激しい恐怖に囚われて、ベラは声を限りと絶叫した。
突然ぷつん、と全てが切れてしまう。
船の中には明け方の薄日が差し込んでいてしんと静まり返っている。どうやらあれは全部夢だった
らしい。
「…何だい夢か、全く…」
本当にとんでもない夢を見たものだと溜息をつく。床から身を起こしかけたベラは隣で眠っているベム
の寝顔をつくづくと眺めた。乱れた銀髪の下で、いつもの眉間の皺もない顔は穏やかだ。夢の中には
現れてもくれなかったこの男に、それでも何か期待してしまうのは女の傲慢だろうか。
「…あんたは平和だねえ」
ここはひとつ鼻でも抓んでやれと手を伸ばしかけたその時、二人がくるまっていた布の中から小さな
頭がぴょこんと飛び出した。
「えへへー」
「…ベロ、あんたどうして」
「んー、寒かったしベムとベラがあったかそうだったからお邪魔しちゃった」
「仕方ない子だねえ、あんたは」
732 :
一願望 4/4:2012/03/11(日) 01:50:35.07 ID:kw9fzGEp
がしがしと乱暴に頭を撫でてやると、得意そうな顔がにっと笑った。そうだ、ベロはこれでいい。今は
まだ無邪気な子供のままでいいのだ。
もしかしたら、あんな夢を見てしまったのはこれが原因かも知れなかった。
「…」
二人の大きな声に、ベムも目を覚ました。ベロがここにいることにやはり驚いたようだったが、昨夜の
寒さもあってそれほどの違和感も感じていないらしく、視線がゆっくりとベラとベロの顔に流れる。
「二人とも、おはよう」
「うん、おはよー、ここにいるとあったかいね」
にこにこと笑うベロにつられるように、ベムも笑顔になった。
「そうだな」
少しいつもとは違うが穏やかな朝が始まった、と思っていた時に突然ベロがベラに抱きついてきた。
「ベラのおっぱい、大好き」
昨夜は寒さを理由にベムと共寝をしたので、くるまっていた布の中では何も着ていない。剥き出しの
乳房に顔をぎゅっと押し付けて赤ん坊返りでもしたようにベロが甘える。本当に仕方のない子だと苦笑
しつつも頭を撫でていると、嫌でもあの夢の中を思い出させることを言い放った。
「ねー、ベラ。オイラがいつか人間の大人になったら、ベムとしてることしようね」
終
ベムが人間になることを選択しなかったのは、案外こんなことが理由かも(嘘)
GJ!!
最後無邪気に甘えてるのかと思いきや…ww
734 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/11(日) 11:24:27.73 ID:fo5WgeVI
GJGJGJ!!!
最後のベロが可愛すぎます!!!!!
このスレ的にはベラの初恋の相手×ベムはどうなん?
間違えた、ベラの初恋の相手×ベラだった
ちなみに大久保のことね
俺的には大歓迎
740 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/12(月) 00:01:37.07 ID:Z70BdlSd
実は大久保ベラ待ってます。
小春ベラとかも。
全裸待機です。
ここはエロパロスレなんだから、どんな組み合わせでもいいんだよ
まずは書いてごらん
742 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/12(月) 16:22:14.26 ID:BQunEShc
744 :
過程 1/2:2012/03/13(火) 04:40:22.03 ID:+CdxiKDv
闇が全てを押し包んでいても、人ならぬこの身この目ならわずかなりと視覚は出来る。
寝台すら湿るほど今夜のベラはベムの執拗な愛撫を受けて、目も眩みそうになっていた。大体いつも
こんな風ではあるけれど、やはり今夜のベムは何かが違っている。
どことなく焦っているようにも思えるのは決して気のせいではないだろう。
「や…っ」
何度目かの挿入で寝台ごと揺さぶられながら、霞みそうになる意識を必死に繋いで目の前の肩に
手を伸ばした。ざらりとした鱗の感触が指先にある。
「…ベム、あんた…何か変だよ」
答えはなかった。今夜はもう随分長いこと交わっているというのに、没頭しきっているようだ。
「ね、え…もう…」
懇願のように声を繋いでとんとんと拳で肩を叩き続けていると、ようやくベムが伏せていた顔を上げた。
銀髪の奥から覗く眼差しは妙にぎらついている。
「何だ、ベラ」
「どう、したんだい。今夜は…」
そう尋ねた途端に、闇の中では判然としないが表情は苦渋に満ちたものに変化したようだった。
「それを、言うのか?」
「何のことだい」
「あまり反応がないようだったので、気になっていた。ベラ…お前は感じているのか?」
「はあ?」
思ってもいない事態に、思わずベラは素っ頓狂な声を上げてしまった。
「今夜はそれが気にかかっていたので、何とかお前をもっと快くしようとしていた…どうなんだ、俺は
お前をちゃんと快く出来ているか?」
「あ、そ、そんなこと…っ」
答えられる訳がない。ベムの愛撫にはいつも意識が飛びそうになるほど感じている。ことに今夜は
より念入りなだけに何度も呆気なく達していた。それがこの男には分からないのだろうか、と泣きたく
なるほどだった。
「あたしにはそんな、ことっ…」
ふるふるとかぶりを振りながら、どうしてもそれが言えずにいるベラをどう勘違いしたのか、頬を撫で
てくるベムの声が無情なほどに冷たく降る。
「そうか…まだそれほど快くないのか…それなら快いと言うまで続けるぞ」
「えっ!」
745 :
過程 2/2:2012/03/13(火) 04:40:53.74 ID:+CdxiKDv
これはとんでもないことになってしまった、と思った。続けざまの行為でもうベラは精根尽き果てようと
している。これ以上続けられたら、正直どうにかなってもおかしくなかった。
中断されていた行為が再開されると、これまでにない激しい快感がベラを襲った。ベムは断続的に突き
上げながらも、指先が焦れったく膨れ上がったクリトリスを捏ねてくる。濡れきっているだけにたやすく
指を受け入れてしまう自らの身体が恨めしい。
「やぁん!」
挿入されている時に、そこを触られるのは本当に勘弁して欲しかった。あまりにも快過ぎて、苦しくて、
どうしようもなくなる。
「…今までよりは、ましなようだな。ベラ」
ベラの反応に気を良くしたのか、ベムの手管はより濃密なものになった。ついさっきまでのどこか性急
で乱暴ですらある遣り方は一変して、丹念にしてより繊細なものになる。一体どうしてここまで手を尽く
そうとするのか、それが本当に分からない。
分からないまま、ただ翻弄される。
この男の手なら、どんなものであってもベラは燃えるのだ。なのに伝わらない。身体だけはこんなに
繋がっているのに、互いの心がまだついて来れずに一方通行のまま交錯している。それを上手く説明
出来るのであればどんなに良いだろう。
「ベラ…俺はいつもお前のことばかりを…」
「…あぁ…あんたは、いつも、勝手なんだからっ…」
それでも闇の中、二人は互いに妥協点を摺り寄せながら今夜も最高に昂り合っていく。いつの日か
真にいざり溶け合う時まで。
終
GJ!!
>>682を書いたものだが小説化してくれて嬉しいですw
GJ!
ベムはクソ真面目に色々なテクを探求するんだろうな
748 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 11:01:52.09 ID:xR7hp0so
質問 ベムたちは精神が昂ると変身するのに、セックスしても大丈夫なのはなんでですか?
答え それだとエロが成立しないからです
小春メイン、エロなし
何となく不調
全てにおいてとりとめがなくて苛々する、自分の未来がまだ分からないのは心許ない。
前途望洋にして周囲には霧立ち込め、足元すら見えない感覚がある。
きっとその前には断崖絶壁があるのだろう。
だから何となく怖くて先の一歩が踏み出せない。
小春の心情を的確に表すなら、こんな感じだ。
朝から曇りがちだった空は、午後になってからいよいよ暗く澱んできている。もうじき温い雨が降るの
だろう。
「ボーヨー、ボーヨーーー」
ひっきりなしに車が行き交うのを眼下にしながら、歩道橋の上でぼんやりと小春は一人立ち尽くして
いた。自分でもどこから湧き上がってくるのか分からない焦燥や、怒りが説明のつかない言葉となり
口から飛び出る。
「ボー…」
ふと、空しくなって溜息をついた。
今のところ、特に何が不満な訳でもない。
ほんの少し前まではクラスの女子たちに無視されたり無意味に嘲笑されることが多かったが、相手に
しなかったこともあって今はかなり収まった。それに、中心となって小春を何かと攻撃していた連中は
どうやら集団万引きをやらかしたようで、誰が主犯なのか罪のなすり合いをしている最中だ。しばらく
他のことになどとても目が向かないだろう。
そんなものでしか身の内から湧き上がる衝動を発散出来ないなんて、幼稚なものだ。しかし、自分も
結局は似たようなものだと小春は自嘲する。
誰もがみな、この時期には幾度とない迷走をするのかも知れない。
自分の本当の有り様を見つけようとして。
指が冷えてきた。
雨が降る前にそろそろ家に帰ろうかと思い始めた頃、不意に肩を叩かれた。
「何してんだい」
不躾な声には覚えがある、あの女だ。
案の定、振り返ればベラが腕組みをして片眉を上げていた。
「別に何も」
「そうかい、随分長い間ここにいたようだねえ。そんなに眺めはいいのかい?」
「…んな訳ないじゃん」
「はははっ」
何がおかしいのか、大声で笑った後ベラは飴を一つ差し出してきた。
「やるよ。さっきあんたんちに行っててねえ、日出美に貰ったんだ」
「そう…ありがと」
手の中にあるのはセロファンにくるまれた醤油飴だ。今はもういない祖母はこれが大好きだったことを
思い出して、鼻の奥がつんと痛くなった。
それにしても、相も変わらず気ままなものだ。また何がしかの用件があって祖父を訪ねたとは思うが、
それがベラたちに限っては大抵家族三人連れというのが気に障る。
いつもその様子が幸せそうで何ひとつ悩みなどなさそうで、気に障る。
「…何だい、ここからだと車ばっかりじゃないか。面白くないねえ」
隣に立って車の流れを眺めていたベラが、早くも飽きたのか呆れたように言い放つ。そりゃあんたは
退屈だろうねと胸の中で呟いて、その場を立ち去ろうとしたのだが、止められた。
「お待ちよ」
長身のベラが不服そうに眉根を寄せている表情は、迫力がある。
「あんたは何だっていつもそんな顔なんだい、もちっと笑ってご覧よ」
「…それは無理」
自分でも説明のつかない色々な感情に苛まれている今は、あまり心から笑えそうになかった。この女
やその家族たちには到底理解出来ないのだろうが。
本当に、世の中は混沌としていてどうなっているのか分からない。自分がどんなことをしたいのか、
どんな自分になれるのか今も分からないでいる。こんなことで良いのだろうかと思いながら日々が
過ぎていく。
この世の中で自分だけが不要な人間になってしまったように感じて、ぶるっと身震いをすると、黙って
小春を見ていたベラがその長い指でするりと頬を撫でた。
「えっ…」
「時を焦る必要はないよ、あんただって人間なんだから」
そう言って、背を向けるとさっさと歩き出した。
人間なのは、当たり前。そう言葉を返そうとしたのだが、何故か小春の口は開かなかった。何故だか
その後ろ姿がとても寂しそうだったからだ。
そんな筈はない、あの女には家族がいていつも三人で仲良く幸せそうにしている。寂しそうに見えた
のはただの気のせい。
「あ」
追い掛けようとした小春の耳に、遠くで高らかに鳴るクラクションが聞こえた。ベラの青いマントが一瞬
大きな翼のように翻る。
それから少しして三人が突如として消えた後、あの時のベラの言葉の意味がようやく理解出来たよう
に思えた。
人間ではなかった三人がどれだけ人間となることを切望していたのかも含めて。
だからといってまだ小春の将来への悩みが完全に払拭された訳ではないが、人間であることの幸せ
だけは実感出来るようになった。
前途望洋にして周囲には霧立ち込め、足元すら見えない感覚はいまだある。
しかし目の前の断崖絶壁は現実のものなどではないのだから、必要ならばこの足で地を蹴って飛び
越えよう。それが今の小春の心境だった。
終
753 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/19(月) 22:12:52.71 ID:iu7oYTgl
小春ちゃんきたーー!!!ありがとうございますGJ!!!
こんな小春ベラ望んでました・・・!!!
小春ちゃんの心情がよく伝わります・・・!!!!
GJ!
小春とベラの距離感が好きだ
ベム達に会って一番変わったのは小春のような気がする
春だね
食べられる草がいっぱい生えているだろう
ところでベムたちにとって食べられる草と、そうじゃないものの線引きって
どこかな
人間と変わりないのかな
同じだとしたら山菜はもちろん食べてるだろう
だけど山菜はそのままじゃとてもじゃないがマズい
湯がいたり灰汁を取ったり結構手間がかかるんだけど、もしかしてそのまま…?
そのままだろうなあ
まずい草を食べた後の口直しにベラを食べるベム
タケノコはまだ土から出てないものなら柔らかくて生でも食えるが、
食べ頃を見計らって掘ってるベムたちはちょっと嫌だw
>>757 ベムたちが春の味覚を(生で)食する
ちなみにほぼ全てが生で食えるもんじゃないので、苦いしえぐい
「…毎年のこととはいえ、慣れないもんだねえこりゃあ」
「にがーい、これ食べるの?」
「仕方ないだろう、人間が食べるものはあたしたちが食べられない筈がないんだ」
半泣きになりながらしぶしぶフキノトウあたりを口にしているベロを横目に、ずっと
何も言わずに箸を運んでいるベムが気になるベラ
「あんたは平気なのかい」
「…ああ、まあな」
しかし実はベムも山菜の苦さに若干キレていた
その夜、寝台で眠りかけていたベラに手を伸ばしてくる
「ベラ、しようか」
「…ちょっと、眠いのに…」
あまり乗り気ではないベラの反応をよそに、すっかりその気になっているベムは強引に
事を進めてくる
「夕食は随分苦かったからな、お前なら甘いんだろう」
「あ、あたしは食べ物じゃないよ」
身体を撫で回されながら、次第に追い上げられていくベラは必死で抵抗するが当然
ベムは聞いちゃいない
「お前だって、苦そうだっただろう。それなら」
「それとこれとは、全然別…ってばっ…やああっ」
ベラ陥落
簡単に書いてみた
もちろん山菜が出ている間は、ほぼ毎日こんな遣り取りがあるに違いない
桜が咲いたら夜桜見物のついでに
梅雨のシーズンは雨が降るからと籠りっきりで
夏は暑いからアオカンだろう
秋になったら食べられる木の実や果物がいっぱいあるからその合間に
そんな感じで一年が巡る
ところで保管庫はどうするの?
>>760 ようするに一年中セクロス三昧ですねw
>>761 結局誰からも反対意見なかったし全部保管してほしい
保管賛成
またエロないけど書いた
テーマは「今夜も思い悩むベムさん」
今宵の月は夕月。
新月から四日目の、とても細い三日月だ。
ゆえにこの夜を満たすほどの光度はさほど感じなかったが、人ならぬ身の自分たちにとっては良い
塩梅なのかも知れない。
今夜のベラは早いうちから眠りに就いている。
このところ暖かくなってきたこともあって、一日中転がり回って遊んでいるベロに付き合っているせいで
相当疲れているのだろう。当人のベロはもちろん言わずもがなで、日が暮れた直後から泥のように寝
入っている。
一人取り残されたベムは特に何もすることがなく、ただ二人の安らかな寝顔を交互に見遣りつつ佇む
ばかりだった。
それが理由でもないが、このところの様々な変化についてつい考え込んでしまう。
もちろん、ベラとの関係についてが主だ。
人間であれば血縁上決してそうあってはならない関係でもある。これまで全てにおいて人間の成す
ところに準拠して生きてきた自分たちにとっては大変な禁忌の筈だった。しかし、そこまで切羽詰った
心境でもないのは、やはりまだ人間ではないからに違いない。
人に憧れながら、都合の良い部分だけ人外の規格に縋ろうとする己の浅ましい狡さ。それはまさに
人間そのものなのではないかとも思った。
人間に対する純粋な思いと、このところ自覚する己の汚さを天秤にかければ、かなりの比重で自分は
人間に相違ないのだろうと思う。
はっきりした答えは結局出なかったのだが。
「ン…」
今更、埒もないことを考えているとベラが寝台の上で寝返りを打った。
暑いのだろう、被っていた布から頭だけでなく肩までが露出している。仕方がないものだと思いつつ
近付いて布をかけ直そうとしたベムの手が、はたと止まる。
不意に触れたベラの肌の感触が、あまりにも滑らかだったからだ。これまでにも幾度となく抱いてきた
女の肌だ。もう何もかも知り尽くしていると自負していた筈なのに、まだ想像外の余地を残している
ことが感慨深い。
深い眠りの中にいるベラの頬を起こさないようにそうっと撫でると、一瞬花がほころぶように綺麗な
笑みが浮かんだ。一体どんな夢を見ているのだろう。そう思うだけで、今夜は閉じ込めていた淫らな
ものが頭をもたげてくる。
「ベラ」
答えなど期待せずに呼びかけてみたのだが、意に反してベラは目を閉じたまま一層笑みを深くして
声にならない淡い何かを唇から発した。
一体、何を言おうとしたのだろう。自分には決して知ることの出来ない夢の中が無性に気になって、
頬を撫でていた手が離せない。
「お前は」
何も不満はないのか、と言おうとして言葉は喉の奥に消えた。
ベラに対するこの自分でも形容し難い感情は、きっと生まれたその日から持っていたのだろう。全くの
零ではなく、一か二か、とにかく微少ながらもこの身の中に確実にあった。それが今は一体どこまで
増えているのか想像もつかない。
十、千…あるいは万の単位かも知れないし、もっと多いのかも知れない。
増大するきっかけになったのは、もちろんこの人間なら有り得ない筈の関係だ。ベロに対する親愛の
情とはまた別の、優しくしたい、慈しみたい、喜ばせたいというこの思い。
それをベラも同様に感じていれば嬉しいのだが、それを問う気はなかった。心の中だけは自分でも
解明することが困難だ。気になるのはやまやまだが、いつかそれはおのずと知れることを期待する
しかない。
それよりも今は、こうして触れられることにささやかな喜びを感じるばかりだ。こんな夜には湧き上がり
かけていた淫らがましいものは相応しくない。そんな思いで懸命に封じ込める。
しばらくはこうして静かに寝顔を眺めていたい。
ベラは相変わらず夢の中で子供のように微笑んでいた。
終
もういっちょ、ベラ側でも書いた
いただきますと言ってから、あーん、と大きな口を開けてベロは出されたどら焼きにかぶりつく。
「あんまり行儀悪い真似するんじゃないよ」
子供らしいと言えばそれまでだが、どこでも遠慮のないのが困りものだ。一応ベラはベロの母親、と
いうことになっている。躾が悪い親だと思われるのはやはり嫌だった。
「うん、だーいじょうぶっ」
変な手振りをして、ベロはおどけた。
「まあまあ、いいんですよベラさん。子供は子供らしいのが一番」
緒方家の家政婦、町村はお茶を勧めながらほほと笑う。
ベムは今日一緒にここには来ていない。もしいたとしても、いつも眉間に皺を寄せて考えごとばかり
しているベムのことだ、鬱陶しいと感じてしまうだろう。
それに、今日は町村とただの雑談をしに来たのだ。女同志だから何かと通じる話もある。ベムが人間
の知り合いたちと出かけたりするように、ベラもまた話し合う相手ぐらいは欲しいと思っている。
町村曰く、ガールズトークというものだ。
「へえ、そうなのかい」
「そうなんですよ。だから私はその手を振り払って…」
話に熱が入ったのか、思い出話をしている町村はすっかり自分の世界に入ってしまっていた。適当に
相槌を打ちながら冷めてしまったお茶を啜るベラの横では、ベロが三個目のどら焼きを手にしている。
「ベロ、いい加減にしな」
「ちぇーっ」
口を尖らせて手を離すベロの口元を拭いてやりながらも、ベラはここにいないもう一人のことを考えて
いた。どこに行くにも三人だった筈なのに、あの男は今どこにいるんだろうと。
「あ、またあんたたち」
そんな物思いに入りかけた時、この部屋の主である小春の声がした。
「あ、小春お姉ちゃん。こんにちはー」
ベロは無邪気に手を振った。さすがにその様子を見ては怒ることも出来ずに、小春はどさりとベッドの
空いている場所に座る。
「邪魔してるよ」
「…ふん、こんなとこ、何が面白いんだか。あんたたちも暇だねー」
小春はまだ不機嫌を装った顔を崩さないまま、菓子鉢からどら焼きを一つ手に取った。以前は何かと
荒れていたようだが、このところは穏やかになって何よりだ。
ベムはどこに行ったんだろう。
特に不安というのでもないが、ふわふわとした不快な感情が身の回りに纏わりついて消えない。それ
はいつもあの男が近くにいない時に限って感じる。
「ねー、ベラ」
ベロが何か話しかけてくるのを適当にあしらいながら、この感情の根源は一体何かとベラは必死で
考えていた。以前なら側にいないとしてもこれほど気に掛けることなどなかった。やはり全ての始まり
は男と女になってからだったのだ。
しかし、以前の自分を振り返ってみても全くその感情がなかった訳ではない。ごくわずかではあった
にせよ、ベムに男を感じることは確かにあった。
癪なことだが、四六時中あの男のことを考えてしまうのは当然のことなのだろう。
「なあにボーッとしてんの、そんなに旦那が気になる?」
突然、小春が心底呆れたような声を出した。ほんの短い時間ではあるが、何もかもが留守になって
いたらしい。一瞬慌てもしたが、自分の気持ちが分かった以上気分は晴れやかだった。
「そりゃあそうさ、ふふふっ」
終
GJ!
ラブラブですな
BD到着
メイキングの「駄目だ、俺たちの新しい生命を見せては…」な台詞に萌えた
そして燃えた
もうスレも終わりだってのに、何か書きたくなるだろ
GJ
ネタ思いついたらぜひ書いてください!
そういえばもうすぐスレが500KBだから次スレか
だいぶ前に次スレ立ってたけど早すぎたのかもう落ちてしまったようだ
またスレ立てないと
フッ… l!
|l| i|li , __ _ ニ_,,..,,,,_
l|!・ω・ :l. __ ̄ ̄ ̄ / ・ω・≡
!i ;li  ̄ ̄ ̄ キ 三
i!| |i  ̄ ̄  ̄ =`'ー-三‐ ―
/ ; / ; ;
; _,/.,,,// / ヒュンッ
/・ω・ /
| / i/ こ、これは乙の軌跡じゃないんだからねっ!
//ー--/´
: /
/ /;
ニ_,,..,,,,,_
/ ・ω・`ヽ ニ≡ ; .: ダッ
キ 三 三 人/! , ;
=`'ー-三‐ ―_____从ノ レ, 、
短いものならもう一つ投下出来るかな
775 :
ツキミルフタリ:2012/03/29(木) 13:29:21.91 ID:52PoygJD
春の気配は不思議と心を浮き立たせるものがある。
そういう気持ちでいるからこそ今宵の半月は余計に白く、くっきりと美しく映る。
「ベロはどうしたんだい」
夜でもそれほど冷え込まなくなったのを幸い、廃船の上で月見と洒落込んでいたベラの言葉に船底
からゆっくりと昇ってきたベムがやや哀しそうに首を横に振った。
「そうかい、仕方ないねえ子供は」
「無理に起こすのも可哀想なので、そのまま寝かせた」
「それがいいよ、寝損ねて機嫌を悪くされたら後が面倒だ」
さらりと言葉を返すベラの隣にベムも座って同じ月を見上げる。長く生きてきたとはいえ季節が移ろう
のは嫌いじゃない、その変化を感じることで人間に近い存在であることを自覚していたい。いずれは
人間になれるかも知れないし、そうならないかも知れないが最初から胸の中にあるこの願望だけは
忘れたくなかった。
「ベラ」
しばらくは会話すらなかったが、不意にまっすぐ月を見上げていたベムが口を開いた。
「俺たちが生まれてからこれまでの間に、あの月はどれだけの満ち欠けを繰り返したんだろうな」
淡い月光を受けてベムの銀髪が発光しているかのように、さあっと鮮やかに輝く。
無心に今宵の月を見ている横顔はまるで子供のようだ。
「さあね、想像もつかないよ」
うっかり見惚れていたことを悟られないように、わざとぶっきらぼうな声を出す。しかし、死というもの
のない自分たちにとって、常に死と隣り合わせのまま短い生をがむしゃらに疾走する人間はあまりに
眩い。まるで月が太陽に焦がれるように。
「あんたは」
つられるようにベラが口を開く。
「今まで生きてきたことを後悔、は…してないだろうね」
思わず口籠ってしまったのは、この街に辿り着いてから二人の関係が変わってしまったことも関係
している。やはりベムがそれをどう思っているのかが気になった。
しかし。
「もちろんだ」
迷いのない言葉と横顔が、ベムの内面の全てを雄弁に物語る。終わりのない生命を授かったことは
決して幸せなことではなかったが、人間が抗えないこの無限の時間の流れの中で、何もかも終わり
になるその時までこの男と共にいられるのはベラにとって大きな救いだった。
きっとベムもそうに違いない。
半月を見上げながら寄り添う二人の指先が、緩く絡まった。
終
近親相姦か
GJ
やっぱりベムベラいいな
近親相姦と言えば近親相姦だけど少し違うんだよな。
上手く言えないけど、同じ細胞から生まれたけどそれぞれ別々の妖怪人間というか。
人間の兄弟とは違う。
だから容姿もそれぞれ全然似てない。
なんだい、もう勃っちまったのかい
ってベムに言ってほしい
それベムでいいのか?
俺はベラに言って欲しい
>>780 すまん言い方が悪かったw
ベラ様がベムに向かって「もう勃っちまったのかい」と言う所を見てみたい
と言いたかった
もうちょっとスレが残っているので、書いてみた
783 :
夜の隙間:2012/03/31(土) 19:44:05.89 ID:Di9MM0Bs
宵月の夜はうららかに更けゆく。
天窓から半分だけの月が見えているのが何となく不思議で、けれど嬉しい。人間だけではなく自分
たちまでも守護されているように思えるのは、きっと気のせいではないのだろう。
ベロの無邪気な寝姿を眺めているベムの横顔がいつもより穏やかに見えて、寝台に寝転んで頬杖を
ついていたベラはふと目を逸らして身を起こす。つい見惚れていたのを気付かれていないのが幸い
だった。
やがて完全にベロが寝入ったのを確かめてからベムが隣に腰を下ろした。
「静かな夜だな」
腕を回して抱き寄せられることに、もう何の違和感も感じなくなっている。それだけ短い間にこの関係
に馴染みきってしまったのだろう。このようなことなど最初は互いに何も知らず、とにかく手探りのまま
夢中でここまで来た。
「そうだね」
首筋に頬を寄せて薄い服の上から手を添わせれば、この男が持つ能力を象徴する逞しく硬い筋肉が
ぐっと引き締まる。
その反応に急に身体の芯が疼いてくらりと目眩を覚えた。
すぐにでも、この男が欲しい。
首筋に舌を這わせては緩く噛んでいる間、細い銀髪がするんと頬を撫でた。途端に、抱き締めている
腕の力が強まる。
「お前は、今夜も」
「…あたしが、何…だい?」
「とても良い匂いがするな」
ベラがそうであるようにベムもまた興奮を覚えている。これまで辿ってきたことが二人を押し上げて、
今や手順など必要ないぐらいどんな時でもあっさりと男と女になれる。
人間も、そうなのだろうかとふと思った。
しかし何となくそれをこの男に気取られるのは悔しい。そんな気持ちはまだ残っていた。
あくまでも今夜はこの身の内部から突き上げてくる激情に任せたい。この男を翻弄したい。わずかに
感じる体臭を嗅ぎながらも、もう一度傷跡すらない首を噛む。
そのまま、片手をベムの股間に滑らせた。案の定、一度も触っていないというのにそれは革生地の
下で硬く張り詰めている。
「何だい、もう勃っちまったのかい」
分かりきっていることだったが、もはや何一つ隠しだてのない関係だ。自分に欲情してこれほどまで
昂っているのを間近にすれば、戸惑うよりも嬉しい。そして共に愉しみたい。
「そんなことは、当たり前…だろう?」
そんな声がしてずっと首筋に伏せていた顔が引き上げられ、間近でじっと凝視されながら唇が重ね
られた。互いの瞳に映るものはもう一つだけになっている。
その間も硬い股間を撫でていた手をベラが休めることはなく、熱く隆起しきったものを引きずり出す
のにさほど手間はかからなかった。
直に握ると指がひどく熱くて火傷をしそうだ、それほどまでに普段は物静かで穏やかなこの男が興奮
しているのかと思うと、更に身体がもどかしく疼く。
今夜は一体どこまで燃え上ってしまうのか、想像もつかなかった。
そんな二人を天窓越しに半分の宵月が眺めている。
終
ktkr
さっそく要望通りのセリフが入った小説ありがとうございますw
埋めるよ!
786 :
サクラサクヒヨ:2012/04/01(日) 00:47:25.26 ID:kh+PwXcs
街がその花の色に淡く染まる頃、大概風が強く吹く。
それまでの何かを全て浚うかのように、引き換えに新しいものをもたらすように。
人間が築いているこの世界の概念はあまりに複雑怪奇で、それに倣うのは実はあまり好むところ
ではない。人間の真似をしていると頭がこんがらがりそうになるのだ。
ベムはよく我慢しているものだと思う。
その日も朝から風が強かった。
そしてその花が一斉に散る。
淡い花の色をした吹雪が街を包む光景は嫌いじゃなかった。無機質な場所が一気に明るくなった
ようで嬉しくなるからだ。
少し前を歩いていたベムが何を思ったか空を見上げ、振り返る。
「ベラ」
不意に手を伸ばされて、一体何がと身構えたベラの髪に細い指先が触れた。どうやら髪に花びらが
ついていたらしい。
「風が強いな」
「本当に、そうだね」
この風に飛ばされたりしないように、しっかりと手を握っていたベロが二人をきょとんと見上げて目を
丸くしていた。そしてベムが掴んでいた花びらを見つけてにこにこ笑う。
「ねえねえ、これから色んなお花が咲くね、嬉しいね」
無邪気なベロの言葉に、思わずつられて顔が綻んだ。ベムも穏やかな笑みを浮かべて何度も幼子の
頭を撫でる。
「そうだな、三人でまたたくさんの花を見よう」
ベロが大好きな、花咲き溢れる季節はまだ始まったばかりだ。
終
ほのぼのしてて良いな
映画の一場面に是非取り入れて欲しいぐらいの美しさ
妖怪人間ベム映画化してほしい
夜桜の下でセックスとかロマンチックかもしれん
791 :
ベロ:2012/04/01(日) 10:10:35.71 ID:+xna0RWz
毎晩寝たふりしなきゃいけないオイラの身にもなってよ
アンアンうるさくて眠れないよ
ふと思い出したけど今日はエイプリルフールじゃねーか
エイプリルフールのこと知って何か嘘ついて相手が真に受けてしまってケンカになってしまうけど
最終的には無事誤解がとけて仲直りにセックス
っていう(おそらく)王道っぽい展開で何か小説を書こうと思ったけど俺には絶望的に文才がないから無理だわ