【ドラマ】美男ですねでエロパロ3

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421名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 18:09:29.48 ID:D7J4i33L
以前、廉さんの沖縄プロポーズの話をかいたものです。
二人の結婚式前夜の話を書きました。カップリングは特になくエロなしです
では投下します。
422結婚式前夜:2011/11/17(木) 18:10:29.75 ID:D7J4i33L
ANJ合宿所…
「あれ?美男と美子は?」
「あいつらは今日はしげこ叔母さんの家だ。」
「え〜そうなんだ!独身最後の夜にと思ってパーティーの準備してたのに!」
と廉の答えに少し残念そうな勇気
「じゃあ久しぶりに三人で飲むっていうのはどう?
みんなで飲もうと思って
美味しいワイン買ってきたんだ。」
「さすが柊さんっ!廉さんもこっち来てワイン空けるよ〜!」
ご馳走に美味しワイン3人はほろ酔い気分で会話は美子との出会った頃の話しへ…
「そういえば、美子が酔って廉さんにゲロチューしたことあったよね!」
「勇気…その話はするな!思い出したくもないっ!」あの時の口の中の感覚を思い出し身震いする廉
「俺、あの時美子の介抱しててもしかして女の子?って気がついたんだよね」
ワイン片手に思いがけない告白をする柊に驚く廉と勇気。
「えぇ〜!柊さんそんな前から気がついてたんだ!
俺、被写会まで全く気がつかなかったよ
あっちの世界の人間だったのかってすごく悩んでたのに…」
423結婚式前夜2:2011/11/17(木) 18:11:16.92 ID:D7J4i33L
「あっちのって悩んだって勇気お前も美子のこと好きだったのか!?」
「やっぱりね。俺はなんとなく気がついてたよ」
勇気の発言にそれぞれの反応を見せる二人
「美子には廉さんしか見えてなかったから勝ち目なかったけどね〜
美子と出会ってから廉さん変わったよね
表情豊かになったし前はどこか壁を感じたけど俺や柊さんにも曲の相談とか頼ってくれるようになってすごく嬉しい
それに美子の笑顔は廉さんといるときが一番輝いててキラキラしてる
美子のこと幸せにしてあげてね」
真剣な目をして廉を見つめる勇気
「俺達にとって美子は大事な妹みたいなものだから…よろしくな、廉」と柊。
「あぁ、美子は俺が幸せにする。お前達の思いに約束するよ。」
廉は力強い声で二人に誓いをたてたのだった
424結婚式前夜3:2011/11/17(木) 18:12:09.64 ID:D7J4i33L
しげこ宅では…
「あしたはいよいよリーダーと美子の結婚式かぁ
亡くなった兄がいたらどんなに喜んだか…
明日に備えてゆっくり休むんだよ。お休み」
「おばさんありがとうございます!」
二人で過ごしたいだろうと同じ部屋にひかれた布団に横になる美男と美子
「こんな風に隣同士で寝るのは久しぶりだね。
お兄ちゃん」
「あぁ…美子ほんとに廉と結婚していいのか?」
「えっ?」
美男の言葉に驚く美子
「廉は無愛想だし口は悪いし素直じゃないしめんどくさい男だ。
俺達の両親とのこともあるだろ」
「でも私…」
「でも美子は廉が好きなんだろ?
あいつがお前を大切に思ってるのも見てればわかる
不器用だけど悪いやつじゃないしな。
……幸せになれよ美子。」最後呟くように言われたお祝いの言葉に胸がいっぱいになる美子
「ありがとうお兄ちゃん」
それ以上会話はなかった二人だが朝まで手を繋いで眠ったのだった。
425名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 18:13:37.49 ID:D7J4i33L
以上です。
駄文ですみません!
ありがとうございました。
426名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 18:22:46.15 ID:24KcEATL
今日は豊作だあ 朝から楽しませてもらいました
427名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 18:29:09.66 ID:iNZt8hMr
ほんとうに豊作で嬉しい!!!
ドラマが終わってもここで番外編?を読めるだけでとても幸せな気分になれます
職人さま方、いつもありがとうございます。
これからも楽しみに作品をお待ちしています!
428名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 19:43:41.53 ID:5pQVf0jc
美男NANA、絶好調ですね。柊さんが伏兵?いきなり美男を抱きしめた色気だだもれです。ご馳走様。

廉美子、どれも美味しい。甘酸っぱいというか、読んでてほんと照れるわ。見てはいけないもの見てるような。
中学男子がエロ雑誌読んでる気分ってこんな感じなんですかね。
429名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 21:35:41.02 ID:3FKPOOR4
いつのまにか良作祭り!!柊美子も廉美子もGJ!!
>>392
DT柊さんシリーズのファンです。美子、やはりアフリカに行ってしまうのか…切ないけど素敵なお話でした!マフラーと靴の件も待ってます。美子が戻ってきて幸せな二人がまた見たい…!
430名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 22:27:15.16 ID:NwAfeMia
職人さん方、みなさま乙です…!
もったいないので1日1作ずつしか読まない…くっ…!
431名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 22:52:07.00 ID:23diPHja
今日は作品も住人さんもいっぱいですね!!
1度に全員出てきたみたいでうれしいです♪毎日こうだといいのに!

>>425
わぁ!結婚前夜よかったです。結婚式も読みたいです♪
432名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:07:55.53 ID:r+S45q/O
最近廉美子カポー不足だったので、一気にお祭りすごく嬉しいです!
職人様方、どしどし続編お待ちしてます。
433名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:08:53.74 ID:ds2J85Nl
>>378
美男NANA女装デート萌えます!
イチャイチャし過ぎると百合っプルだと思われてNANA美子ビアン疑惑の記事書かれそうww
434名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:15:27.81 ID:nL09Yp5g
ふと気が付けば残り50kb!本当久々の祭りだね!
この調子で次スレでも盛り上がっていけたら良いね
435名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:20:59.14 ID:KEU+bHal
何時の間にやら祭り!
廉美子久しぶりにいっぱいだー(涙)うれしい!
2人のバカップル大好きです。
>>418さんのとてつもない大逆襲、見、見たすぎる…!
436名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:54:48.79 ID:TYQtwhWf
この流れに乗って誰か勇気×美子も書いてあげて!!
まとめサイト見てて、勇気作品の少なさに思わず涙が…
想像しづらいのは分かるけどねw
437名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:55:55.87 ID:O40SYPLz
うわわわ!ちょっと来れない間にすごい祭りになってる!!
神作品が増えて幸せです〜!
特に大好きな廉美子がどれも甘酸っぱくて
ニヤニヤしてしまいますww
>>367
柊NANAを書いてる者です。
遅筆で本当にすみません。待っていて下さって嬉しいです!
現在、鋭意製作中ですが大量更新になりそうなので、
次スレに投下した方が良いかと考えています。
438名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:55:58.05 ID:23diPHja
>>418さん
そうですよ!逆襲してください。
いちゃもんや愚痴スレのことなんか気にしないで!
応援しますよ!!!
439名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 00:01:50.90 ID:3vrz9azx
祭りにのって、最終回からつながる廉×美子を投下させてください。
エロあり、ライブ告白シーンのあたりから始まります。

スイートルーム話があるから、最終回直後の話は需要ないかなあと、
書きかけのものをずっと放置していたのですが、
(まぁ自分が満足しちゃってたから、もういいやと思ってたのもあるんですが)
そろそろDVDも出るし、発売記念ということで?最後まで書いてみました。
皆さんに影響を受け、いろいろお借りしてる部分もあります。

長くなってしまったので、お嫌な方はスルーしてください。
440Sweet Beat1:2011/11/18(金) 00:03:06.94 ID:3vrz9azx
「いいか、よく聞け…愛してる」
涙を流した美子が、すがりつくように首に腕を回す。
美子の思いが伝わってきて、応えてくれたことがうれしくて、
思い切り抱きしめた。
まるで初めて抱きしめたような喜びが胸にこみ上げる。
そうだ、自分は初めて美子を抱きしめたんだ。
過去のすべてをわかったうえで、本当の心で抱きしめた。
これが、俺たちの始まりなんだ。

ライブでこんなことをしでかして、
まずいと言うことくらいはわかっていた。
それでも、今を逃したらもう二度と会えないから。責任は俺が取るから。
からだを離すと美子が泣きながら微笑んでいた。その笑顔にほっとする。

花火が鳴り、会場が一気に歓声に包まれる。
と、会場の明かりが消えた。
客席が一瞬にしてしんとなり…ざわつき始める。
暗くなると廉には何も見えない。
けれど、廉にはわかっていた。
…ここからが"A.N.JELLの桂木廉"としての勝負だ。
姿のよく見えない美子の手を握り、ささやく。
「ライブが終わったら会おう。待ってろよ」
「はい、廉さん…」

数時間後。
廉と美子は湾岸のイタリアンレストランにいた。
「うわー、こんなきれいなとこ、初めてです!
見て、廉さん!レインボーブリッジも東京タワーも見えますよ!!
高いところだと、さっきともぜんぜん違って見えますね!」
あ、あっちにはスカイツリーが!などと夜景にはしゃぐ美子を
廉はちょっと複雑な思いで見つめる。
「皆さん、本当に素敵なお店を知ってるんですね、すごいなあ」
何気ない美子の言葉に廉は目を上げる。ちり、と胸が疼く。
「皆さん、って他に誰かとメシ食いに行ったのかよ」
頭に浮かぶのは、この店をよく知ってる仲間。美子は振り返り、答える。
「え、だって、前にNANAさんに連れて行ってもらったお店も素敵だったし…。
あの時は…それどころじゃなかったですけど…」
「ああ…あの時か…」
あの、わけのわからない3人での打ち上げ。途中まで最悪だった自分の誕生日。
今思えば、ずっとどこか奥のほうで意識していたものが明確に形作られた日だった。
感慨深げにつぶやいたあと、またふとひっかかる。
「そういや、夜中にケーキ屋行ったよな。結局売り切れてたけど。
あの店、自分で調べたのか?」
ふるふる、と美子が首を振った。
「私が雑誌で調べてたら、柊さんが教えてくれたんです」
やっぱりか、と思う。あいつは、ほんとに…
黙りこくった廉に、美子が不思議そうに聞く。
「それが、どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。さぁそろそろ座れよ、持ってこられなくて困ってるだろ」
あ!という表情で美子が席に着いた。
「すみません…」
「ま、初めて来たヤツの反応には店も慣れてるだろ。これだけの夜景だからな」
などと言いつつ、廉は事務所を出てくる前の会話を思い返す。
441名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 00:08:38.59 ID:+p8yeAnw
*
「廉!」
ライブ後、事務所で社長と今後のことを話し合い、それなりの結論を得て待たせてあった美子のもとへ急ごうとしたとき。
後ろから柊が声をかけてきた。
「なんだよ…」
「美子に、よろしくな。あとさ、ここ」
メモを差し出す。
「余計なことかと思ったけど、予約取っといたんだ。
おまえライブのあとずっと社長と話してて、暇なかっただろ?
これからどこか行くのも目立つだろうし、ここなら大丈夫だから。ゆっくり美子と話してこいよ」
メモには見覚えのあるイタリアンレストランの名前が書いてあった。
「前にみんなで行ったことあったろ?美子はまだいなかったころだけど。
おまえのアレルギーのこともちゃんとわかってくれてるし、いろいろ融通もきくから心配ないよ」
もしかしたらマスコミに追いかけられるかもしれないことを言っている、と廉は思った。そういう意味でも、きちんとした対処のできる店。
「柊…」
「あ、でも他考えてたらごめん、そしたらキャンセルすればいいしと思ってさ」
そういう意味でも融通きくんだよね、と笑顔で柊が言う。
「いや、考えてなかった。…ありがとな」
珍しく素直に、廉が言った。
「夜景もきれいだし、きっと美子も喜ぶよ」
「ああ…そうだな」
悔しいが、柊には男として敵わない部分がある、と廉は思った。会えることに気が急いて、そこまで考えが及ばなかった。
それを見透かしたように、柊が言う。
「やっぱり廉には敵わないよな、あれは、おまえにしかできない。
それに、そのあとのことも。いろんな意味で、驚いたよ」
「いや、でもあれは、」
言いかけた廉の言葉をさえぎり、柊が廉をせかした。
「ごめん、引き止めて。美子が待ってるよ。早く行って安心させてやれよ」
「あ、ああ、そうだな」
くるりと背を向け、歩き始めた廉に、あ、そうだ。と、まるでついでのように、後ろから柊が声をかける。
「俺、レストランしか取ってないからな?その後は自分で取れよ?」
「はぁっ?!」
廉が振り返る。柊が見たこともないような、いたずらっぽい顔で笑っている。
「今日、帰ってこないだろ?俺、そこまでは面倒見切れないから」
「おい、柊!」
真っ赤になる廉に、ひらひらと手を振って見せ、柊は去っていった。
なんなんだ、なんなんだ…。柊のヤツ…。…てか…でも、そうだよな。
肌を赤く染めたまま、廉は携帯を取り出した。
そんな廉の後姿をそっと確認し、柊は小さく笑う。

うん、これでいい。美子も廉もきっと幸せになる。
…俺は、大丈夫。よかった。

*
「今日…このあと、どうする」
食事の後言った廉に、美子はきょとんとし、小首をかしげる。
「どう…って、なんですか?」
「なんですか、っておまえ…」
まったくわかっていない様子の美子になんと切り出したものか廉がためらっていると、
「あの、あの、廉さん」
美子が一瞬顔を伏せ、思い切ったように廉を見つめる。
「スケジュールとか、廉さんの。だ、大丈夫なら、私…。…もう少し、一緒にいたい、です…」
今までずっと一緒だったから…なんだか寂しくて…とささやく美子に、廉は愛おしさを感じる。
けれど、廉のその沈黙から何か勘違いをしたのか美子は慌てて言葉を続けた。
「あの、でも、明日も忙しいんだったら…それに、今日ライブだったし、廉さん疲れてるんだから、帰って休んだほうがいいですよね!
私、そしたら、青空学園に帰りますし…」
あわあわと言い募る美子を廉がぎゅっと抱きしめる。
「たく、おまえは…。こういうときくらい気を遣わずに素直に言えよ」
美子が目を見開いている気配を感じながら、廉が言った。素直に、か。それはむしろ俺のことだよな、と思いながら、ささやく。
「俺も、一緒にいたい。…二人で、過ごそう」
442Sweet Beat 3:2011/11/18(金) 00:10:25.95 ID:+p8yeAnw
*
実際、スケジュールはあいていた。と、いうか、あけられたのだ。
次の美子の便が出るまで3日。
その間に入っていた本来のスケジュールは馬渕がうまいことさばき、残り3人に振った。
3人は文句も言わず、引き受けたという。
「見たか!オレの敏腕ぶり!」
がっはっは、とドヤ顔の馬渕を思い出す。
もちろん、3日後の美子の飛行機も馬渕が取ったものだ。
「しかも、3日目はちゃんと午前中だけ、残りの3人も空けといた!
出発の日には他のメンバーとも会えよ。あいつらだって、美子に会いたいだろうし」
独り占めしたいのも、わかるけどさ!と肩をバンバンたたかれる。
「美子の便は夕方だから、午後からはまたおまえのスケジュールだけ空いてるからな」
ちゃんと空港まで見送りに行ってやれよ!とウィンクされ、
廉はいつもの憎まれ口をたたこうとしたが…
それだけの作業をライブ中から今までの間にやってくれたのか、との思いに駆られ、
憎まれ口を引っ込める。
「わかってるよ。…ありがとな、馬渕」
馬渕はちょっと驚いた顔をし…それから優しく微笑んだ。
「ほんとはさ、美子に渡したチケットの番号を俺が覚えてさえいれば済んだ話だって、社長に怒られてさ。
"YOU、全部ライブ終わりまでにできないとこれだぞ!"ってね。
だから必死でがんばったわけよ、俺は!」
そう言って、お魚さんのえさになるポーズをしてみせる。
ぷっと笑い出した廉によしよしと頷き、びしっと人差し指を突きつけた。
「でも、たまには素直にお礼言っちゃう廉ちゃんもかわうぃーぜっ!いい夢見ろよ!」

*
ホテルは廉がよく使うところで、ここも融通がきく。
エグゼクティブフロアは最低限の人間にしか会わないで済むし、
そもそもきちんとしたところは客のプライバシーに必要以上に立ち入ることはない。
部屋に入ったとたん、美子はさすがに緊張したように、からだを硬くした。
「なんだよ」
いきなりのその態度を見て、ちょっとおかしくなる。
今までだって、散々自分の部屋で一緒に過ごしていたのに。
さすがにホテルともなると緊張するらしい。
別にソレだけが目的なわけではない。
いや、もちろんそういったことを考えないといったら嘘になるが、それよりも、自分は美子と過ごしたいだけだ。…多分。
「一緒にいたいって言ったのは、おまえだろ」
一応ちょっとは意識してんのか、と美子をからかう。
「いいいいい、意識ってなんですか?!」
声まで真っ赤にして叫ぶ美子を、ちょっといじめてみたくなる。
「そりゃあ、男と女がこういうとこにいたら、することはひとつだろ」
「!!!!!」
ぎゅっと抱きしめる。
さすがに美子も嫌がりはしないが、あからさまにからだを強ばらせた。
冗談が過ぎたかと廉は少し反省する。
「ばーか、言ってみただけだ。別に無理にはしねえって」
まあ嫌がられるとさすがにちょっと傷つくけどな、と笑って見せる。
美子はそんな廉を見て、申し訳ないと思った。ついてきたのは自分だ。
一緒にいたいと望んだのは自分だった。その先にあるものも、うすうす感じながら。
「ご、ごめんなさい、廉さん、嫌とかじゃなくて、なんか、意識しちゃって」
「やっぱり意識してんじゃねーかよ。ま、おまえにしては上出来だ。
意識したのも認めないとなると、それも困るからな」
あ、それと。付け足しのように廉が言う。
「意識したからって、豚鼻すんなよ。むしろ、気持ち高ぶらせとけ」
わざと意地悪そうな顔をして見せた廉を見て、美子が真っ赤になった。
443Sweet Beat 4:2011/11/18(金) 00:12:24.79 ID:+p8yeAnw
*
美子が興味深げに部屋の中をあちこち見ている間に、廉は事務所で確認したものをこっそり枕元に置いた。
一応な、一応だ…。ぶつぶつとひとりでつぶやく。

出掛けに声をかけてきたのは、柊だけではない。
柊いわくの「その後」についての通話を終え、歩き出した廉に走ってきて声をかけたのは勇気だった。
「廉さん、廉さーん!」
今度は勇気かよと思いつつ、振り返る。
「あのね、廉さん、これ!」
箱を差し出した。
綺麗にラッピングされた包みには、ショコラ専門店のロゴが入っている。
メッセージカードがついているのか、小さな封筒がくるりと巻かれたリボンの中に差し込まれていた。
「ん?なんだこれ」
「チョコなんだけど。ここのチョコ超〜おいしいんだよ!
前に差し入れでもらった時、美子がすっごい気に入って食べてたから。
さっき事務所の人に頼んで買ってきてもらったんだ。美子と食べてよ、どっかで二人で話すときにでもさ」
にっこりと勇気が笑った。
「美子、チョコ食べると、気分落ち着くみたい。
女の子ってさ、甘いもの食べると幸せになるみたいだから…」
と、言葉を切り、急に意味ありげに表情を変える。
「変な緊張も、ほぐれるかもしれないし?」
いかにも含みのありそうな勇気の言い方に、廉は首を赤くした。
「な、なんだよ、変な緊張って!意味わかんねぇ」
「やだなあ、廉さん。廉さんが変な緊張しないでよ」
「してねえし!」
慌てて言い募る廉を、はいはいといかにも適当に勇気がなだめる。
「せっかくだから、今夜はゆっくりしてくるでしょ?
そのときにさ、二人で食べてよ。俺からの、差し入れ」
「…わかった」
屈託のない勇気の笑顔を見て、廉は素直にうなずいた。
「美子によろしくね」
じゃあね、いってらっしゃい!とひらひらっと手を振った勇気がきびすを返した。
去っていくと見せかけ、くるっとポーズをつけて振り返り、にやりと笑う。
「あ、でもその封筒はひとりで見たほうがいいよ、絶対美子が変な緊張するから。
あと、追加分は自分でね〜」
疑問符で眉を寄せた廉が意味を聞く前に、勇気はだだだーっとにぎやかに去っていく。
「何言ってんだ、あいつ…」
そうひとりごちて、カードにしては厚みのある小さな封筒をリボンの下から取り出し、開けてみる。
「!」
そこに入っていたのは、銀色のパッケージの小さな包み。これは…
「…っ!アホか!余計なお世話だ!つーか、5つもいるか!!」
声まで羞恥に赤く染まった廉の叫びが廊下に響いた。
その声を廊下の隅で聞いた勇気は大爆笑する。

だって廉さん焦ってつけるの失敗しそうじゃん。俺の親切なのになー。
…うん、やっぱ俺、大丈夫だ。よかった。
444Sweet Beat 5:2011/11/18(金) 00:13:53.00 ID:+p8yeAnw
*
一応、だ、一応。別に無理にしようってわけじゃない。
などと一人でぶつぶつ言っていると、いつの間にか、美子が後ろに立っていた。
「廉さん、私、聞かなくちゃいけないことがあるんです」
美子が真剣なまなざしで言った。
そのまなざしは、まっすぐで揺ぎ無く覚悟を決めたような。
よこしまな気持ちなど、一瞬吹き飛ぶ。

廉は、来たな、と思った。美子が、あの後のことを気にしないはずがない。
秘密を抱えたままA.N.JELLとしてやってきた美子が、あのライブでの行動がどんな影響を与えるか、考えなかったはずがない。
いや、むしろ、自分自身の経験から最悪の状況も想像しているはずだった。
本当はもっと早い段階で話そうとも思っていたが、二人になってからきちんと話したほうがよいと思い、ここまで引っ張ってしまった。
美子は自分に気を遣って話せないのかもしれないと、気にやんでいたに違いない。
自分から切り出せなかったことに、ほんの少し後悔をしつつ、せめて話の口火は自分が、と思う。
「あの後、どうなったか、だろ」
その真剣なまなざしのまま、美子は頷いた。
「私は、あの後警備の人に連れていかれて、ずっとRINAさんがついていてくれました。
でも、すぐ別の場所に移ったから、会場で何があったかはぜんぜんわからないんです」
社長から聞いていたとおりだった。美子にはRINAがいるから何も心配しなくていいと、社長はバックヤードに戻った廉に何度も言った。
「…RINAはなんて言ってた?」
「RINAさんは…」
そこで言葉を切り、思い出したように美子はくすりと笑う。
「"さっすが廉よねえ、ありゃあ他のヤツにはできないわー。美子はいい男選んだわよ"って…」
RINAの真似をしたつもりなのか、ほんの少し声を張る。
廉は照れ隠しにふん、と笑って見せた。
「それと…廉さんを信じろ、って。あと、A.N.JELLを思う社長を信じろって」
俺と社長、なあ…。廉がひとりごちる。社長にはやられたな、と思いながら。
そしてぽつりと話し出す。
「あの後…照明が消えて、おまえが連れてかれた後…。もう一回"Miss You"が流れたんだ…」

*
明かりが消え、美子が連れて行かれ、廉は覚悟を決めた。
しかしこの暗さでどうやって戻ろうか、と一瞬思案したとき…
なぜかステージに照明がつき、スクリーンが下りてきているのが見えた。
…スクリーン?今日使う予定あったか?
観客の視線は自然とそのスクリーン移った。戸惑った廉の手が突然引かれる。
目の前には事務所のスタッフがいて「廉さん、こっち。今のうちです」と誘導された。
そしてステージ上には姿を見せずに、勇気の声が会場に響く。
「A.N.JELLソロプロジェクト第二弾!桂木廉のソロ曲"Miss You"でした!
みなさん、どうでしたかー?!かっこよかったでしょーう?!」
その煽りに沸き起こった歓声で、会場が割れるようだ。
「ではこれから、そのプロモーションビデオをご覧いただきます」
これは柊の声。ソロ?PV?何の話だ?移動しながら廉は戸惑う。
「初披露をファンの皆さんの前でできることをうれしく思います」
優しく語り掛けるような柊のアナウンスに会場のボルテージは最高潮。
廉のソロなの?シングル出るの?PV初披露だって!超ラッキー!などとあちこちで声が上がる。
「それでは、どうぞご覧くださーい!」
って、次は美男かよ。なんなんだよ。
聞き覚えのあるイントロと歌声が流れる。
"Miss You"だ…しかもこれ、さっきのじゃねえか…。
耳のよい廉には、流れ始めたそれがさっき自分が歌ったものそのままだということがすぐにわかる。
振り返ってそのPVとやらを見ようと思ったが、廉はバックヤードに押し込まれ、会場との扉をばたりと閉められた。
445Sweet Beat 6:2011/11/18(金) 00:15:59.04 ID:+p8yeAnw
「YOUは…まったく…」
社長が額に手を当て、困ったヤツだといわんばかりの表情をする。
「…わかってる。俺が悪かった。責任は取る」
「命をかけてるって割には簡単に言うんだな、YOUは」
自分の言葉の軽さは廉自身がよくわかっていた。
責任は取る。もちろんだ。でもどうやって?
わからない。だが、逃げるつもりもない。
そう伝えようとすると、眉を寄せていた社長の顔がふっと緩む。
「まぁ、とりあえずこれを見ろよ、もうすぐラストだ」
そういって、モニターをさした。ステージ上のスクリーンと同じ映像が流れている。
「そうだ、ソロとか、PVとかって、何の話…」
「いいから、見ろって。力作なんだから」
言いかけた廉をさえぎり、社長がモニターに顔を向けさせる。
曲はちょうどラストのサビの部分だった。
映しだされているのはひとりでたたずむ制服の後姿。
「え、俺?」
カメラが横顔に切り替わり、遠くを見つめ…うつむく。その横顔はまさしく自分。
「これって…」
「そうだ、"alone"のPVのときにとった映像だ。オフショットも入ってる。
おまえ一人のところだけをつなぎ合わせるの、結構手間だったんだぞ」
ほとんどNANAちゃんとのシーンだったからな、と社長が言う。
「やっつけの割には、よくできてるだろ。
そろそろ渾身のラストシーンだな、感動間違いなしだ」
はぁ?と言おうとして、そこに映し出された姿に絶句する。
「こ、こんなのいつのまに撮って…?あ、いや…」
霧のようなエフェクトの向こうで、照れくさそうに微笑を浮かべる姿。
白いワンピース。ショートの髪。小首をかしげ、うつむく。
それは幻想のようにふんわりと消え、また、自分の後姿。そして曲が終わる。
会場がしんと静まり…わぁっと歓声に包まれる。
その余韻に割って入るかのように、事務所の広報スタッフが廉のソロの説明を始めた。
PVの一般公開はいつから、発売予定はいつ…コンセプトは…。
客席からはいちいち悲鳴のような歓声が上がる。
廉はそれをまるで別世界の出来事のように聞いていた。
「てか、さっきの白いワンピース、もしかして…み」
「あったり!俺、俺、俺でーす!」
いつの間にか真横に来ていた美男がはいはいはーいと手を上げる。
「やっぱりおまえか!」
思わずいつものノリで叫ぶ廉。美男が、廉の首に腕を絡ませる。
「れーん、一瞬マジで美子だと思ったな?
一瞬でも廉でさえそう思ったなら完璧だな〜。社長、ミッション成功だろ?」
「ああ、やっぱりYOUはパーフェクトだな」
…頭痛が…。廉は思わず額を押さえる。
「ほんとにさぁ、パーフェクトすぎて、俺引いたもん」
「驚いたよ、ここまで似せるとはね。笑い方とかそっくりだ」
勇気と柊が口々に言った。
いや、それはいいんだが、つまり、これはどういうことだ?
「つまりな、廉」
社長の目は見たこともないほどやわらかい。
「この場合、責任を取るべきはそもそもライブ前におまえを美子のところへ行かせた俺だ。
ライブ直前に曲を変えることを許可した俺だ。
おまえがどういう行動をとるか予測できなかったのか、と思われても仕方のない俺だ」
「社長…」
「でな、廉。大人はずるいんだ。ここをビジネスチャンスにしようかなと思ったんだよ」
446名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 00:17:04.11 ID:+p8yeAnw
社長の声が遠くから聞こえるように、廉には思えた。
穏やかな表情のまま、社長は言葉を続ける。
「このPVは、そのために、おまえが曲を変えると言ってすぐに作った。
美男の"alone"と対にして、おまえの"Miss You"をソロとして打つ。
おまえのあれは、A.N.JELLの歴史に残る、そのプロモーションだったんだよ」
「社長!俺は!」
意味を理解し思わず叫ぶ廉を、社長は手で静止する。
「わかってる。おまえはそれをよしとはしない。隠すのは性に合わないって言うんだろ。
これはただの時間稼ぎだ。美子がアフリカにたつまでの。
YOUは、出発前の美子を騒ぎの渦中に放り込むつもりか?」
廉は黙り込む。
「もちろん本当にソロシングルは出すさ、ますますA.N.JELLの名はあがるだろう。
こんなタイプの歌も歌えるのか、ってな。
おまえの曲じゃないから、ファンには新鮮に聞こえるだろうし、
古い人気曲だからこれまでとは違うファン層も広がるだろうな。
でも、それとおまえが会見やらインタビューやらで話をするのは、また別の話だ。
そうしたいとおまえが言うなら、時機を見てちゃんと設定すればいい。
美子が出発して、すぐあとでもいいんだ。おまえがそうしたいなら」
たまには年長者の意見も素直に聞けよ、と言われ、廉はうつむく。
「それと水沢麗子さんだが、おまえか美男なら喜んでこの曲を譲るとおっしゃっていた。
本来は美男のものなのだろうが、美男さえよければおまえでも、と」
知っている。社長はすべて知ったのだ、と廉は悟った。
横でいつのまにかまじめな顔をしていた美男が、首をすくめて廉に言う。
「俺は、べつにこの曲にそんなに執着ないから、廉にやるよ。
てか、廉が美子にやるんだったら、結局俺らのとこに帰ってきてることになるしな」
おまえは、この曲を美子のためだけに歌ったんだろ?と美男が問いかける。
その真剣なまなざしに、思わず廉は頷いた。にっといたずらっぽく笑う美男。
「じゃあ、おまえにやる。俺は、いーらないっ」
「商談成立だな」
社長が言った。
「とにかく、しばらくでいいからこのプロモーションに乗れ。
で、とりあえず今は思いっきりライブしてこい、誰にも文句言わせないように」
ばん!と思いっきり背中をたたかれ、廉は思わずむせた。
「っ!なんだよ…」
「じゃ、広報のプレゼンも終わったみたいだし、そろそろ出ようか」
「いくよ、廉さん!」
「リーダー、ぼーっとしてんなよ!」
柊と勇気、それに美男にも肩をたたかれ、廉はどこか自分が安堵したのを感じていた。
壊れなかった、自分の大切な居場所。
結局は社長の手の中か、と思わないでもないけれど。
混乱した気持ちの中、考えていた。
事は自分が思った方向とはまったく違うほうにいきそうだ。
でも、それに乗ってみるのもいいのではないか、と。
447Sweet Beat 8:2011/11/18(金) 00:17:57.33 ID:+p8yeAnw
*
「じゃあ、廉さんの"Miss You"がCD化されるんですか」
「うん、そういうことになった。でも、俺はごまかすのは好きじゃない。
だから、おまえがアフリカに行ったらすぐにちゃんと話すことにした。
曲を売るための話題づくりって言われるかもしれないけど、例のほら、記者の3人組…」
インパクトがある割には名前が出てこない。
すぐに事務所にアポを取ってきた彼らはなんだか妙に感動していて、
「二人に不利のないような記事にするから、絶対自分たちにインタビューをさせてくれ」と頼んできたらしかった。
その時点で、要するにバレてんじゃねーかよ、と思わないでもなかったが…。
「とりあえずはあいつらに独占インタビューってことにして、そのあと状況を見て会見するかもしれない」
廉が美子をまっすぐに見つめた。
「心配すんな。おまえが帰ってきたときに誰にも文句言わせないように、全部ちゃんとやる」
「廉さん…」
美子がうつむく。
「私のせいで…また廉さんに迷惑を…」
「だからそれを言うなって」
うつむいた美子の頭をわしわしとわざと乱暴に撫でた。それからぎゅっと抱きしめる。
「これについては俺が勝手にやったことだからな。
正直社長の考えにはびっくりしたけど…。おまえに迷惑がかからなければ、それでいい」
と、からだを離して、
「ま、おまえが俺に迷惑かけてんのはいつものことだろ。
そもそもおまえが俺をおいていこうとしてんのが、一番迷惑かかってんだからな」
と、冗談めかして言った。

「…PVのラストシーンて、お兄ちゃんが女の子の格好をしてたってことですか?」
ふと思い出したように美子が言った。とたんに廉が渋い顔になる。
「…あれ、なあ…」
「よくお兄ちゃん、そんなことしましたね」
小首をかしげて言う美子を見て、あのラストシーンの仕草は本当にそっくりだった、と思い返す。
「社長がさ、美男に言ったんだと」
「なんて?」
「"YOU!一度くらい逆をやってみなよ!男だろ!"って」
ピシッと指を向ける。
美子がくすくす笑い出した。廉さん、社長の真似上手ですね、初めて見ました。などと言いながら。
「それで、ミッション、なんですね」
「美男が言うにはさ、おまえは3ヶ月やっただろ。1回くらいで文句言ったらおまえに負けたみてぇで悔しいなと思ったらしい」
「…お兄ちゃんらしいです」
負けず嫌いなんですよ、お兄ちゃんは昔から。と美子がちょっと笑う。
「やるとなったら完璧主義ですしね。そういうとこ、ちょっと廉さんと似てます」
「俺と?どこが?…てか、おまえブラコンかよ」
急におもしろくなくなった廉がぶすっとして答える。
美子はやきもち焼きなところも似てるとおかしくなるが、また廉がすねると嫌なので「そんなことないですよ、廉さん」とだけ答えた。
448Sweet Beat 9:2011/11/18(金) 00:19:03.99 ID:+p8yeAnw
*
「俺が廉に言いたいのはさー」
ライブ終わりに美男が、廉に言った。
「美子を大切にしてくれよな、ってことだけ」
冗談めかしたように首に腕を絡ませながらいう美男の目に、本気の色を見る。
うるせーよ、当たり前だろ、と言おうとして…廉は言葉を変えた。
「わかってる。…大切にする」
廉の表情を見て、納得したように美男が頷いた。
が、真剣なのは一瞬でまたにぃっと笑う。
「よっぽど寂しかったら、おにーちゃんがまたワンピース着てあげるから」
首筋をつつっと指でなぞられ、廉は真っ赤になる。
「アホか!いらねえよ!うるさいんだ、おまえは!」
「なんだよ、照れんなよ、あれ大変だったんだぞ〜。
俺、着替え終わってたのに全部メイクもしなおしてさー」
そう言って、ふふっ、と例の美子の仕草のまねをする。
だからやめろって!と廉はまた叫んだ。
「俺のシーン入れたのなんか、おまえが歌ってる最中だったんだからな」
「そんなにぎりぎりかよ。よく間に合ったな」
「…でも、社長はおまえが会場に美子を探しに行ったときから考えてたみたい。
もしかしたらその前からかも。
なんか事務所に電話したりして、指示出してたみたいだった。
多分…美子が見つからなければ、おまえがあの曲を歌うだろうと思ってたんだろうな」
すべてを知った社長なら、そう思ったとしてもなんの不思議もない。
もともと機を見るに敏なタイプだし、人の心理も読む。
豪快に見えて、細かく気を遣うタイプだ。
おそらく自分が美子のところへ行ったことを知って、その時点であらゆる方向で手を打ったのだろう。ソロだのPVだのはそのうちのひとつに過ぎない。
かなわねーな、と廉は思う。
「ま、とにかくさ」
美男が廉の肩をたたいた。
「かなりの大騒動の末、くっついたわけだ。ほんと、大事にしてやってくれよな」
うるせーな、と言いたいところだったが、そのとおりなので黙り込む。
「それとさ…」
そう言って、美男は廉の耳に口を寄せた。やめろよ、と言おうとしたところへ、一言。
「あいつ、絶対初めてだからさ。…"優しくしてね、廉さん"」
美子の声色でいわれ廉は耳元まで真っ赤になった。とっさにいつもの毒舌も出てこない。
美男は、「このくらい言わせろよなー、かわいい妹をやるんだからさっ」などと言いつつ走っていった。
「美男、おまえ、ふざけんなよ!」
突然走り出した美男と突然叫んだ廉を、スタッフが怪訝な顔で眺めていた。
廉の叫びを背中に聞きながら、美男は思う。

美子はバカ正直だ。でも、廉もカッコつけてるだけで実はいい勝負だ。
同じくらいバカ正直な男なら美子を任せられる。
…廉で、よかった。
449Sweet Beat 10:2011/11/18(金) 00:20:32.88 ID:+p8yeAnw
*
「廉さん?」
美男にいわれたことを思い返して、思わず黙り込んだ廉を不思議そうに美子が見ている。
「どうかしたんですか?」
「あ、いや…なんでもない」
言えるか、どいつもこいつもそんなことばかり言って俺を煽ってる、とか!
つーか、そもそも煽られなくてもそんなことで頭いっぱいの俺だ、とか!
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
廉は、意識しまくっている自分を自覚する。
さっきから美子に対して余裕ぶったことを言っているのは、この自意識の裏返しだ。
わかってる。わかってるから、落ち着け、とりあえず、落ち着け。なんかないか、別な話!なんか…
「あ、そうだ」
「はい?」
突然思い出し、廉は鞄からがさごそとかわいらしいラッピングの箱を取り出した。
不思議そうに美子がそれを眺める。
「わ、かわいい箱…。あー!これ!チョコですよね!」
見覚えのあるロゴに、ぱっと美子の顔が輝く。
その表情を見て、勇気の慧眼に廉は感心した。
そうかこの店のチョコか、覚えておこう。そんなことを思いながら、正直に言った。
「差し入れだ、勇気からの」
「勇気さん?あ、前にバラエティにふたりで一緒に出たとき、いただいて食べたんですよ。
すっごくおいしくって…。うれしい。これ、食べていいんですか?」
包みに手を伸ばそうとする美子を静止し、廉はぺりぺりと包装をはずした。箱を開け、うやうやしく美子に指し示す。
「いくつでもどうぞ、美子さん?」
「やだ、廉さんってば。一緒に食べましょう」
幸せそうに微笑む美子を見て、廉もなんだかうれしくなる。
「前に食べたときも、本当においしくて廉さんと一緒に食べたいなって思ってたんです。
勇気さんと、持って帰って4人で食べたいねー、なんて話してたんですよ」
そう言って、ひとつ頬張る。
「おひしひ…」
「おまえ、口に入れたまましゃべんな」
えへへ、すみません、と美子が笑う。
もう一個食べちゃお、と言って、もうひとつ口に入れた。
「廉さんもどうぞ」
「ん、とりあえず俺はいいや。おまえ好きなだけ食えよ」
チョコを食べてる美子を見てるのがなんだか幸せだから、とは恥ずかしくて言えなかった。
「廉さんも食べたらいいのに」
「いいって」
「なんでですか」
言い募る美子に対して本当のことが言いにくい廉は、雰囲気読めよ!と八つ当たり気味に思う。
ふと、ちょっとしたいたずら心が芽生えた。
「じゃあさ、味見させろよ」
「もちろんです!」
笑顔で箱を差し出した美子から、さっと箱を取り上げ、チョコをつまんだ指をぺろりと舐める。
「な、な、なんでですかー!?」
思わぬ行動に美子が真っ赤になって叫んだ。
「チョコの味見ですよね!?なんで、指…」
叫ぶ美子に澄ました顔で廉は答える。
「いや、チョコついてるかなあと思って」
「ついてませんよ!溶けてないですから!ここ、そんなに暑くないです!」
混乱のあまりとんちんかんな返答をする美子がかわいくて、もっと意地悪をしたくなる。
「あ、そっか。指じゃなくてこっちだったか」
そう言って、すばやく口付ける。
あ。と言って、美子のからだがかたくなり…一瞬後、力が抜けた。
甘いチョコの香りと美子の香りが入り混じって、廉の欲に火をつける。
「美子…これじゃ、味がわかんねえ…」
ほんの数ミリ唇を離し、廉が言った。額をこつんと当てて、じっと見つめる。
「もっと、ちゃんとしたキスじゃねえと、チョコの味わかんねえな…」
「廉、さん…」
熱い廉の息に触れ、美子の息も熱くなる。
450Sweet Beat 11:2011/11/18(金) 00:22:22.64 ID:+p8yeAnw
もう一度、そっと廉が口付けた。美子は目を閉じる。
触れるだけの穏やかなキス。
どんなに自分が美子に触れることを望んでいるか。
どんなに自分が美子に触れて欲しいと思っているか。
もっともっと美子に伝えたい。感じてほしい。
「うん、確かにうまいな、このチョコ…。もっとよこせよ」
チョコのせいにして、廉は頭の後ろに回していた指にそっと力を込めた。
本当にチョコの香りの残る美子のふっくらとした唇を吸う。
美子はびくりとからだを震わせた。
そのやわらかな感触を自分の唇で確かめるかのように、廉はゆっくりと美子の唇を吸い上げる。
美子が何かを訴えるように口を開きかけた。
廉はその隙を見逃さず、しかし、そっと優しく舌を差し入れる。
美子は驚いたように目を見開いたが、廉の舌に翻弄され、何も言えなくなった。
すべてを味わおうとする廉の貪欲な舌は、美子の何かをこじ開けていく。
「んんっ…」
思わず漏れる声に驚いた。これ、私の声?
廉はその声を聞き、腰にまわしていた腕に力を込めた。
ぐっとからだが密着し、廉の熱がからだからも舌からもダイレクトに伝わってくる。

どうしよう、これ、好きかも…
美子はくらくらする頭で考える。私、チョコに酔ったのかな。
もっと、してほしい。もっと、廉さんを感じたい。
でも…こんな私、いやらしい、って思われないだろうか。
身動ぎをした美子に気がついたのか、廉がそっと唇を離した。
「あ…」
美子が名残惜しげに唇を見つめる。もっと、このままでいたかったのに…。
「…どうした?」
ぼんやりと見上げる美子に、廉が尋ねた。嫌だったのか?と不安になる。
「廉さん、廉さん…」
美子がそっと廉の頬に手を添えた。
「私のこと…嫌いにならないでくれますか」
その言葉に、廉はどきりとする。やはり嫌だったのだろうか。
「美子、もし、嫌なんだったら…」
今、無理強いするつもりはない、と言おうとして、美子の言葉にさえぎられる。
「私がいやらしくても、嫌いにならないでくれますか?
廉さんに触ってもらってどきどきして、…もっと触ってもらいたい、って思ってるって言っても」
まじめな顔でそんなことをささやく美子に、おかしさと愛おしさを感じた。
そっと頭を撫でる。天然でこんなことを言うんだから、たまったもんじゃない。
「バカだな、そんなふうに誘われたら、途中で止められないぞ」
「っ!私、誘ってなんかっ…」
「誘ってるだろ、味見じゃなくて、もっとしろ、ってな」
わざと、さっきよりも強引に腰を抱く。
あ、と声を漏らして、自分の胸に崩れ落ちた美子にニヤリと廉が笑って見せる。
「そんなかわいいこと言って、ただで済むと思うなよ」

さっきのキスとは比べ物にならないくらい、激しく舌がうごめいていた。
美子の頭は真っ白になる。
なんとかそれに応えようと思うのだけれど、廉に必死でしがみつくのが精一杯だ。
廉はそんな美子がかわいくて、もっと自分にしがみつかせたくて、
美子の口内の隅々まで味わいつくす。
「んんんっ」
時々、漏れる声が廉を刺激した。
腰の手を徐々に下に滑らせ、太ももから背中のラインを撫で上げると、
美子はこらえきれないように声をあげた。
色づいた声に、廉は煽られる。もっともっと聞きたい。
その気持ちに急かされ、いきなりワンピースの裾をたくし上げると、美子はぎゅっとからだを硬くした。
さすがに煽られすぎて急いだかと、廉はそっと裾を降ろす。
顔を離し、美子を見つめた。裾にかかっていた手のひらを持ち上げ、美子の髪を撫でる。
451Sweet Beat 12:2011/11/18(金) 00:25:19.25 ID:+p8yeAnw
「できるだけ、優しくしてやる」
言葉とは裏腹な、熱くたぎったまなざし。その中に浮かぶ廉の優しさを見つけ出し、美子は胸が熱くなる。
「廉さん…」
「でも、どうしても嫌だったら言え。無理やりしたいわけじゃない。
俺はおまえに触れたいけど、おまえがどうしても嫌なら、待ってもいい」
素直な廉の言葉に、美子は涙が出そうなほど穏やかな気持ちになった。
「さっきは、私が誘ったから途中で止めない、って言ったのに…」
美子の言葉に、廉は耳を赤くする。
「なんだよ、そんなこと言うなら、嫌だって泣き叫んでもやめねーぞ」
くすくすと美子は笑った。
「嘘です、廉さんはそんなことしませんよ」
「わかんねぇだろ、俺だって男だからな」
ぶすっとむくれたような表情で言う廉に、愛おしさを感じる。強ばる気持ちが解きほぐされていく。
この気持ちを、ちゃんと言葉で伝えなくては。
「怖いです」
そっと廉の腕に触れながら、美子が言った。
「初めてだし、その、そういうこと、ちゃんとは知らないし、怖いです」
「美子…」
「でも、廉さんが触れたいと思ってくれるように、私も廉さんに触れたい。
さっき、…その…触ってもらってうれしい、って思ったのもほんとです。
その続きにあるものなら、廉さんが私を思ってしてくれることなら、
私は廉さんと一緒にそこに行きたいです。怖いけど、廉さんとなら…」
まっすぐに、廉を見つめた。ちゃんとこの気持ちは伝わっただろうか…。
不安に思う美子の前で、廉が赤くなり、横を向いた。
「おまえ、やっぱり天然小悪魔だろ。おとなしい顔して、近づくとこれだ…」
ぶつぶつとつぶやく廉。
「え?え?私、よくないこと言いましたか?」
「だーかーら!これ以上俺を煽んな!たく、おまえは!」
「え?え?」
戸惑う美子の手を引き、廉はベッドへいざなった。
一気に押し倒してめちゃくちゃにしてしまいたい衝動を押さえつけ、そっと壊れ物を扱うように、美子を横たえる。
「ほんとに、もう止めねえからな」
視線だけで、くらくらする。
ちょっと掠れた声にどきどきして、おかしくなりそうになる。
「…はい、廉さん…」
美子は目をそっと閉じた。

「あ、ああ…ん、んん…はぁん!」
首筋からゆっくりと降りてきた廉の舌が、ふくらみの先端を捉える。
口付けを交わしている間から、ふんわりと形のよいそのふくらみを廉は手の中で遊ぶように転がし、揉みしだいていた。
気がつけばすべて素肌をさらされ、そんなことを受けている自分。
それだけでも美子にとっては感じたことのない恥ずかしさとからだに漂う甘みを引き出す動きだったのに、
それに加えて先端にしっとりとした感触を感じたものだから、思わず声を上げてしまう。
その声は、廉の熱さをますます高めていた。媚薬のように、美子の声は廉の欲望を煽っていく。
ふくらみのやわらかさと対照的に、その先端は徐々に存在を主張し始めた。
舌先で感じる変化に、廉は満足する。
さらに執拗に舌で転がすと、美子がびくりと体を動かした。
「感じてるのか?」
思わず廉が聞くと、美子は真っ赤になる。
「わ、わかんないですけど…びくって、します…その、そこ、あの…な、舐められると…」
「ふぅん」
舐められる、とか、やらしいこと普通に言うなよ!この天然小悪魔!と思いながら、廉は平静を装う。
「じゃあ気持ちいいんだな、これ」
そう言って、さらに舌を這わせようとすると、美子が小首をかしげる。
「これ、気持ちいい、ってことですか…?」
「俺は女じゃねぇからわかんねーけど…そうだと思うぞ」
「そうなんだ…。廉さん、私、気持ちいいです」
頬をほんのりと桜色に染め、潤んだ目で美子が廉を見上げる。
…この天然小悪魔をどうしてくれようか。廉はさらに激しく先端を攻め始めた。
452Sweet Beat 13:2011/11/18(金) 00:51:41.18 ID:+p8yeAnw
「あ、あん、廉さん、いやん、はあ…んっ」
からだ中がおかしくなったみたいだ、と美子は思った。
触れられているふくらみのその先が気持ちよいはずなのに、
そこだけではなくて、もっと奥のほうからなにかじわりとしたものがこみ上げる。
廉から与えられる刺激がからだの中で何かに変換されて、一番深いところに熱さと疼きを与えている。
「廉さん、変です…」
それを言葉に出してみる。
「変?どうした?」
「なんか…おなかの、奥のほうがじわってくるんです…はぁ、ん、胸も苦しい…」
だから、奥のほうがじわってくる、とか言うな!
冷静に突っ込みたい気分と、その言葉でダイレクトに煽られる欲情と、
純粋な美子へのいとおしさで、廉は頭の中がめちゃくちゃになる。
「俺を好きだからだろ」
「え?」
「俺を好きだから、胸が苦しいんだ」
「そっか…そうですね…」
「奥がじわってくるのは…」
そう言って美子の膝に手をかける。そっと足を開かせる。
「俺を欲しいからだろ」
「っ…そんな…」
一瞬強ばって閉じようとした足は、廉の手によってこじ開けられた。
美子が顔をそらす。それには斟酌せず、廉はそっとそこに指を伸ばした。
「ああ!や、廉さん、そんなとこっ…!」
触れられたことのない、自分でも見たことのないところに
廉の視線と指を感じ、美子は言いようのない羞恥に包まれた。
「ほら、もうこんなに濡れてる…」
すでにとろりとしたものを纏わせているそこを、廉の指が撫で上げる。
「なんで、濡れるかくらいは知ってるか」
「あ…は、はい…なんとなく、は…」
「気持ちいいからだろ、それと…俺を受け入れるためだ」
あ…と美子が声を上げる。
そうか、この不思議な感じは、廉さんを受け入れるためなんだ。
気持ちいいのも、廉さんを受け入れるための準備なんだ。
未知の刺激が怖いのに、もっと、と思うのは、だからなんだ。
それなら、怖くない。それなら、もっと感じたい。
「なら…もっと、こんなふうになったほうがいいんですね…」」
その言葉に、廉は頭の奥がしびれ、理性がぶっ飛ぶほどくらくら来た。
優しくしようと思っているのに、煽られた本能が性急に指をそこに差し入れる。
今まで何も受け入れたことのないそこは、きつくて、だが強引に進めると廉の指を締め付けた。
「痛っ…」
美子が声を漏らす。廉は、ゆっくりと、しかし確実に指をおし進める。
奥まで入りきったところで、美子に声をかけた。
「わかるか、俺の指がおまえのここに入ってる」
違和感からか軽く眉を寄せる美子に、廉がそういうと美子は
「はい、なんだか…変な感じです…痛いし…」
と答える。
「我慢できないくらい痛かったら言えよ」
そう言って廉は指をそっと動かし始めた。
初めは苦しそうにしていた美子の顔が緩み、徐々に甘い吐息を漏らし始める。
くちゅくちゅと音を立ててあふれ出し始めたそこを廉は指先で感じる。
「あ、ああ…ん、はん」
美子の吐息に煽られ、指が速くなる。
あふれ出たとろりとしたものを別の指に擦り付け、廉は美子の一番敏感なところに触れた。
すでにぷっくりと形を示し始めていたそこは、廉にこすられ立ち上がる。
「あああああ、や、はぁん!廉さん、そこ、…痛い…」
「ここか…」
美子はいやいやをするようにからだをよじった。
刺激が強すぎるのか目には涙を浮かべている。
廉は、動かしていた指を止めた。
そっと涙を唇で吸い頬を摺り寄せたあと、微笑んで美子を見る。
453Sweet Beat 14:2011/11/18(金) 00:52:50.33 ID:+p8yeAnw
「指だと痛いんだな?」
そう言って頬にひとつ口付けを落とすと、開かせた足をさらに押し広げ、
そっとそこに口付ける。
「や、だ、廉さん!だめ!」
廉はその敏感な芽に舌を這わせた。
刺激が強すぎないよう、できるだけやわらかく包み込む。
「だめ、だめ…ああん、廉さん、そんなとこ、だめ…」
美子が必死で訴えた。
恥ずかしさと感じたことのない疼きで頭がおかしくなりそうだ。
潔癖症の廉さんが、そんなところに、そんなことするなんて…信じられない。
舌を這わせていた廉がちょっと笑って言った。
「なんで?どうしてだめなんだ?」
「だって、廉さん、そんなところ…汚い…」
真っ赤な顔でいう美子に、廉は涼しい顔で答える。
「俺がしたいんだから、しょうがねぇだろ。それに、綺麗だ。だから気にすんな」
そう言って、再び舌を這わせ、優しくそこにキスをする。
「ああん!」
優しいキスは少しずつ熱を帯び、指の動きとあいまって美子のからだを追い詰めた。
くちゅくちゅとした水音と、聞いたことのないような自分のいやらしい声が、美子をどこかへ連れて行く。
「や、やん、廉さん、どうしよう、なんか、変ですっ…!」
そのまま甲高い甘い声を上げ、美子は足をがくがくと震わせた。
奥から何かがあふれ出すのを感じると同時に頭の中が真っ白になった。
ひくひくと息づくそこをみて、廉は美子が達したことを知る。
あまりのかわいらしさと甘やかな声に、自分ももう限界が近いことを感じた。
必死でこらえ、美子の頭をそっと撫でる。
「おまえ、ほんとにかわいいな」
美子は荒い呼吸で、答えることもできない。

「そろそろ、大丈夫、かもしれねえな…」
廉がひとりごちた。頭が真っ白な美子にはその言葉は届かない。
息を乱し、頬を染めている扇情的な美子を見て廉はいろいろな思いがあふれ出した。
「…美子」
「は、はい…」
「痛かったら言えよ。つーか、多分、すげえ痛いんだと思う…
でも、俺はおまえを俺だけのものにしたい。俺たちがしてるのはそういうことだ。
…できるだけ優しくする。ちょっとだけ、我慢できるか」
そこまでまじめに言う必要があるのか、と自分でも思わないでもなかったが、
これは大切なことだ。
今まで、きちんと伝えてこなかったから、傷つけ、すれ違い、自分も傷ついてきた。
美子が伝えてくれた気持ちに、ちゃんと自分は応えなくてはいけない。
「私が、廉さんだけのものに…?」
潤んだ瞳でまだぼんやりとしたように美子が言う。
繰り返されると、とたんに自分の言ったことが恥ずかしくなり廉は真っ赤になった。
「いや、俺のもの、っつーか…」
「…うれしい」
美子がゆっくり微笑む。
「私、廉さんだけのものになれるんですね…」
まださっきの快楽の余韻が残っているような、ゆるゆるとした仕草で美子は廉に抱きついた。
「私を、廉さんだけの、ものにしてください…廉さんが…欲しいです」
今度こそ廉の余裕と理性はすべて吹き飛んだ。
「欲しいのは俺も同じだ。逃げんなよ、おまえは俺のものだ」
454Sweet Beat 15:2011/11/18(金) 00:55:41.39 ID:+p8yeAnw
自分でも驚くくらいに質量をもったものを、美子のそこにあてがう。
と、ぶっ飛んだ理性の破片が警告を発した。
「あ、でもちょっと待て」
「え?」
目を瞑って覚悟を決めていたような表情の美子が、廉の言葉に戸惑い目を見開く。
あぶないところだった、これからアフリカに向かう美子に、危ない橋を渡らせるわけには行かない。
この場合勇気に感謝すべきか、と思いながら、枕元にこっそり置いておいた小さな袋を破った。
「目ぇ瞑ってろ。こっち見んなよ」
美子に言うと、その中のものをとりだした。美子が素直にもう一度目を閉じる。
「廉さん?」
なかなかうまくできない自分にいらだちながら、戸惑う美子に声をかける。
「俺はさ…おまえとなら、いいなって思うけど…今はそのときじゃないからな」
さっきまでの掠れた声とは違う廉の優しい声色に、美子は思わず目を開いた。
「こっち見んな、って言ったろ」
振り返った廉が頭を撫でる。照れたような顔がとてもかわいくて、美子はうっとりする。
「すみません…」
「でも、このあとは俺だけ見てろよ」
「…はい」
言って、美子はもう一度覚悟を決めた。
455Sweet Beat 16:2011/11/18(金) 00:56:37.17 ID:+p8yeAnw
ぶっ飛んだ理性がちょっと戻ってきたことで、廉に少しの余裕が生まれる。
あぶねーとこだった、あのままだったら優しくするとか無理だった…。
そんなことを思いながら、再びそれをあてがって、美子に声をかける。
「痛かったら、言えよ」
もう一度そう言って、腰をゆっくりと推し進めた。
「あっ…痛っ…」
美子が眉を寄せる。必死で痛みに耐えているのがわかる。
いったん動きを止め、美子の気をそらすように頭を撫でた。
「息を吐け、力抜けよ」
自分もすぐに持っていかれそうになりながら、廉は美子に声をかける。
言われたとおり細く細く息を吐く美子に、廉はどうしようもない愛おしさを感じる。
が、それとは別にもっと押し進めたい衝動も湧き上がるのを感じていた。
どうしようもねえな、男ってのは。
痛い思いなんかさせたくないのに、泣き顔も見たい。
優しく口付けを落としながら、ぐっと腰を押し付けると美子が声を上げた。
「あっ…廉、さん…」
「ほら、全部入ったぞ、わかるか」
必死で耐えながら、美子がうなずく。
「わかり…ます…」
そのままぎゅっと抱き合った。
本当は、もうすでに自分自身も限界で、めちゃくちゃに腰を動かしたいけれど。
それよりも美子を抱きしめてやりたくて。
「痛くないか」
「痛いですけど…大丈夫、です」
けなげに答える美子がいとおしい。
「愛してる…」
耳元でささやくと、美子が苦しそうな表情に微笑を乗せる。
「私も、愛してます…生まれてきて、よかった。廉さんと会えて」
それは俺のセリフだ、と廉は思った。
おまえに会えて、初めて生まれてきてよかったと思えたのに。
だからこそ、母親と向き合うこともできたのに。
「おまえ、この状況でそれは反則だぞ…」
美子のからだに体重をかけすぎないよう、気をつけて美子を抱きしめた。
「どうして…ですか、…本当なのに」
言い募る唇をふさぐ。これ以上何か言わせてたまるか、と思う。
深く口付けると、美子は声を漏らした。
「んんっ、はあ…」
そのまま激しく舌を絡めると、美子の腰がほんの少し揺らめいた。
廉は唇を離し、熱い息を美子の耳に吹きかける。
「動くぞ…」
ゆるゆると腰を動かすと、貫かれる痛みに美子は始めは苦しそうに息を詰めていたが
徐々に甘い声を上げ始める。
その声だけで上り詰めそうなところを耐え、廉は美子の中を擦り味わう。
「あ、あ、あ。廉さん、廉さんっ…!」
美子にはもう余裕はない。
けれど下から見上げる廉がいつもとは違う顔を見せていることに満たされる。
汗をしたたらせ自分の上で動いている廉は、どうしようもないくらいいとおしかった。
「廉さん、廉さん、廉さん…」
もう意味のある言葉は発することができない。
大好きな人の名前を呼んで、いやらしくあえぎ声を出すだけだ。
けれど、廉もまた余裕はなかった。
美子の甘く色づいた声で名前を呼ばれるだけで、すべて吐き出してしまいそうになる。
その前に、と廉は思う。
これだけは伝えておかなくては。
自分自身の乱れた呼吸に邪魔されながら、廉はささやいた。
「俺もおまえだけのものだ、美子…」
「れん、さん…」
きゅっと美子の中がしまり、美子は長く甘い嬌声を上げる。
同時に廉もまた、美子の中ですべてを解き放った。
456名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 00:58:12.73 ID:+p8yeAnw
途中ですが新スレ立てました。
ほんとにすみません、ぎりぎり足りるかと思ったら甘かったorz

【ドラマ】美男ですねでエロパロ4
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321544487/
457名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 01:09:13.69 ID:W59Oqn7F
>>456
投下に加えてスレ立てまでなんて、二重に乙です!
こんなに素敵な投下が相次ぐなんて、驚いたな…
458名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 10:47:55.72 ID:s/t/+gkG
良作ばかりですごいっ!
久しぶりに廉美子がたくさんで嬉しい
スレ立て乙です!
459名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 20:37:02.45 ID:87M3JJIx
>>456
スレ立て乙そして超GJ

こっちのスレまだ書き込めるみたいだけど埋めなくて良いのかな?
廉美子も沢山だし、しかもどれもこれも良作揃いですごく嬉しい!
460名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 20:39:00.08 ID:87M3JJIx
あと1KBだと???
461名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 20:41:23.97 ID:87M3JJIx
埋め
462名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 20:46:38.21 ID:87M3JJIx
埋め
463名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 20:46:57.91 ID:87M3JJIx
埋め
464名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:32:50.41 ID:Xx5EfXEq
465名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:33:18.47 ID:Xx5EfXEq
うめ
466名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:33:28.70 ID:Xx5EfXEq
うめ
467名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:34:02.70 ID:Xx5EfXEq
埋め
468名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:37:07.83 ID:87M3JJIx
埋め
469名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 21:37:23.06 ID:87M3JJIx
埋め
470名無しさん@ピンキー
うめ!!!!!