2 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/27(木) 23:43:32.61 ID:nHknBdVL
3 :
夢の跡5:2011/10/29(土) 20:08:54.21 ID:37Ij+s2J
ウエストの辺りから短パンの中にも手を入れられて、尻をまさぐられる。
尾てい骨から割れ目の部分に長い指が触れるだけで、美男は中心が熱く震えた。
「すべすべしてて…かわいい尻だな。見せてみろ」
「えっ?やぁ…っ」
くるりと向きを変えられて短パンを膝の下まで下ろされ、美男は尻を突き出すような格好になった。
白くなめらかな丸い尻をあらわにしたところで、社長は割れ目の始まりに舌を這わせる。
生暖かい舌の感触で力が一気に抜けてしまい、美男は上半身を支えていた腕を伸ばして
うつ伏せになった。
社長は指を割れ目に沿わせて、既にテラテラと光る秘所に指を挿入した。
下半身がビクリと動くが、お構いなしに中を擦って膨らんできたものを指の腹で弾いて刺激する。
「ぁっ…!!な、に…これ…んっゃぁあ…ん」
初めて味わう快感に、美男は意識を保つのでやっとだった。
「いい反応だ…これはどうだ?」
可愛らしい反応に、社長は嬉しくなりますます刺激を強める。
「あぁぁ…っん!」
豆のように大きくなった場所を舐め上げてから吸い付くと、美男は体をくねらせて絶頂を迎えた。
ぴくり、ぴくりと震える秘所に、社長は自身のものを後ろからゆっくり挿し込んだ。
やや強い抵抗を感じるが、それと同時にものすごい快感が社長を襲う。
「んっ…い…たぁ…」
「く…はぁ…っ」
鈍い痛みを感じ、美男は体を強張らせた。それでも、ゆっくり侵入してくるものを
徐々に受け入れると、優しく頭を撫でられる。
「お前は優しいな…こんな俺を慰めてくれて…」
「社長…」
背中や肩にキスを落とされ、下向きになってぷるぷると揺れる乳房を
撫でるように触られていると痛みは和らぎ、膣の中からまた愛液が溢れ始めた。
骨盤の辺りを両手で支えた社長はだんだん激しく前後に動き、それに合わせるように
美男も内股に力が入って、容赦なく締め付けた。
「あっ…ぃ…ぁん…はぁっ…んっ」
「は…ぁっ、んっ…くっ…ぅっ!」
精液を出す直前に中から抜き去り、美男の背中の上に吐き出した。
どろりと流れる生温かい液体を、美男は素早くティッシュで拭き去った。
「しゃ、ちょう…」
振り返ると、社長はソファの反対側に仰向けになっている。
無防備に下半身をさらけ出したままの状態で、また寝入ってしまったようだった。
美男は、先ほど自分の中に入っていたものがやや小さくなっているのを興味深く覗き込んだ後、
そっと社長の下着とスウェットを腰の位置まで上げてあげた。
そしてグラスだけをシンクに片付けて、美男は部屋へと戻る。
かなり酔いの回った頭で、どうかしていた…というのは自分でもわかっていた。
でも、あんな社長の姿を見てどうしても慰めたかった。ほんの少しでも。
それに今夜のことは、夢…なんだから。朝、目覚めても何も変わってなどいない。
美男はそんなことを思いつつ、まだ痛む下半身を意識しないようにベッドに入った。
4 :
夢の跡6:2011/10/29(土) 20:09:46.41 ID:37Ij+s2J
翌朝。美男の部屋を家政婦の石崎がノックした。
「あの〜美男さん、お迎えが来られてますが…」
思い切り二日酔いの美男が部屋のドアを開けてダイニングルームへ行くと、
仏頂面の廉がコーヒーを飲みながら待っていた。
「れ、廉さん!?どうして…」
「うっわ、酒くせー!昨日どんだけ飲んだんだよ、お前は!」
「大きな声出さないでください…まだ頭が痛くって…」
ガンガンと響く廉の怒鳴り声に、美男は両手で頭を抱えた。
「ったく。ほら早く着替えろ。帰るぞ」
「…え?どこにですか?」
「俺の部屋に来い。ここじゃ、いつかボロが出るぞ」
「廉さん…!ありがとうございます」
まだ寝ている社長はそのままに、石崎にだけお礼の挨拶をして美男は合宿所へ戻った。
「えっ?帰った!?そうか、廉が迎えに来たのか…」
社長が起きると、石崎から美男が帰ったことを伝えられた。
「社長、1日だけだったけどお世話になりました。すみません」という伝言メモがテーブルに置かれている。
社長はぼんやりした頭で、昨夜の夢を思い出した。夢にしては、やけに生々しい気もするが…まさか…。
「いや、まさか…な」
しかし夕べからなぜか心が軽くなり、仕事への情熱も…生きる活力もみなぎってくるような気持ちになっていた。
「サウナの準備を頼みます」
石崎に言いつけてから、体内のアルコールを抜くために梅干入りの熱い番茶を啜った。
以上ですー!すみません、やっぱり容量オーバーでしたね。
ギリいけるかなーと思ってたけど…。
長編を書かれてる皆さん、これでいつでも心置きなく投下してくださいw
>>5 今までにない二人に新鮮さを覚えました。
しかし、社長ともあると柊さん以上にやり手って感じがしますw
それと、誰得かはわかりませんが前スレのDT柊さんの続きを投下させていただきます。
先に言いますとエロありですが本番無しです。
そして、既にDT柊さんの面影すら感じられない作品になりましたが、読んで頂けると嬉しく思います。
8 :
練習? 1:2011/10/29(土) 21:57:58.10 ID:U0I6KmMM
「んぁ!しゅ、柊さん!!ぃぁ、駄目!柊さん!!」
・・・・がば!!
ベッドで眠っていた柊は、突然起き上がった。
「また、夢か・・・・。」
ハァ・・ハァ・・と息を切らしながら柊は目を覚ます。
何だか、最近同じ夢ばかり見る。
どんな夢かというのは、目隠しされている美子にあれやこれやと俺が厭らしい行為をしているという夢。
この夢のせいで、ここ最近はなかなか眠ることが出来ない。
柊は立ち上がると、汗で濡れた体を洗うために浴室へと向かった。
あれから1週間。
俺が美子に告白した後、多少強引気味に美子としてからもう1週間が経過していた。
あの日から、少しずつではあるが俺は美子と一緒にいる時間が増えた。
俺にとって、その時間は幸せなものなのだが・・・・
ただ、あの日以来一度も何もしていない。
何もというのは行為もそうだが、口づけすら交わしていない。
まぁ、俺も美子もA.N.JELLとして活動している時間の方が圧倒的に多いのが一番の理由だ。
特に、新メンバーとして美子が加入してから今日まで、グループでの活動が大幅に増えた。
そうなると、必然的に廉や勇気と活動することが多くなるから二人だけの時間を作るとなると、相当厳しくなる。
それに、いつどこで誰に見られているから安易に行動することも出来ない。
だから、俺と美子は普段のちょっとした何気ない打ち合わせの時間などに個人的な話をする程度しかできていなかった。
唯一の二人っきりで居られると思われた合宿所でも、廉たちがいるというのもあるが
美子自身が帰ってくると、仕事での疲労のせいなのかすぐに眠ってしまう。
そんな美子に無理やり押しかけても、美子の疲れが解消されず仕事に支障が出るから
この1週間何も手を出すことが出来ないでいた。
ただ、あの日の感触が時折と言うよりも、頻繁に指先に感じ、頭を駆け抜ける。
美子の温かな肌、ぬるぬると濡れていた秘部。快感で染まる表情と喘ぎ声。
そんなムラムラばかりが日に日に募っていく。
多分それが毎晩、夢として現れるのだと柊はシャワーを浴びながら考えていた。
シャワーを浴び終えた柊は、浴室の扉を開ける。
既に、外の景色は少し明るくなっており、その事に1日の始まりを感じる柊。
「ふぅ」と一息つくと、冷たい飲み物が飲みたくなり冷蔵庫のあるキッチンに向かう。
すると、キッチンに向かう途中、玄関の方から扉が閉じた音が聞こえた。
誰か出て行ったのかと気になった柊は、玄関まで向かい扉を少し開けて外を見ようとする。
すると、扉の隙間から美男と馬淵さんの声が聞こえた。
こんな時間に一体どうしたのかと思い、咄嗟に扉を開くのを止め、扉の向こう側の声に意識を集中させる。
「馬淵さん、毎日すいません・・・。」
「いや、気にすんな気にすんな!もともと、悪いのはこっちなんだからよ!
ささ!誰かに見られたら面倒だから、早く行くぞ!」
二人の話が終わると、車のエンジン音が聞こえその車は合宿所から出て行った。
完全にエンジン音が聞こえなくなると、柊は玄関の扉を開ける。
そして、車があったであろう場所まで向かうと何かファイルのようなものが落ちていた。
中にはA.N.JELLで演奏している合曲の楽譜が入っていた。
しかも、楽譜にはきめ細かに注意書きの様なメモがたくさん書いてある。
「美子・・・。」
楽譜を再びファイルに戻すと、自らの車へと向かい合宿所を後にする。
時刻は3時43分。辺りは少し明るくなってきていた。
9 :
練習? 2:2011/10/29(土) 21:59:16.57 ID:U0I6KmMM
「それじゃあ、ここ一帯の通路は立ち入り禁止にしておくからな!」
「馬淵さん、いつもありがとうございます!」
馬淵さんは、「にか」と笑うと親指を立てて何も言わずに部屋から出て行った。
「ふぅ・・・今日も頑張るぞ!!」
そう言うと、部屋の床に置いておいたカバンから荷物を取り出す。
時刻は4時05分。
ここはAJエンターテイメント社内の練習室。
美子は毎朝、メンバーのだれよりも先に来て練習をしていた。
美子自身、自らの技術不足は痛感している。
その技術不足を少しでも補うためにという理由で毎朝練習をすることに決めていた。
だが、カバンの中を探っていると楽譜がない事に気がつく。
・・・・合宿所に忘れてきちゃった・・・。
どうしよう。また取りに行く?けど、もう取りに行ってたら時間が時間だし・・・
だからと言って、練習しないわけにも・・・・。
美子はその場にしゃがみ込むと頭を抱えていた。
すると、立ち入り禁止にしていたはずの練習室の扉が開く。
開くはずのない扉が開かれて、驚く美子は扉の方へと視線を向けた。
「しゅ、柊さん・・・・?」
練習室の扉を開けると、しゃがみこんでいる美子の姿が見えた。
多分、合宿所に楽譜を忘れてきたことに気がついたのだろうと、すぐに柊は悟る。
そして、美子は俺が入ってきたことに気がつくと、驚いた表情をして俺の名前を呼ぶと近づいてきた。
「ど、どうして・・・ここに?」
やっぱり、ここに来てることは他のメンバーには秘密の様で不思議そうにしている。
「実は・・・・これ渡しに来たんだ。」
手に持っていたカバンから、美男の求めている物を取り出す。
すると、美子は「あ!」と声を出すと手に持っていた楽譜をゆっくりと受け取った。
「これ・・・」
「合宿所の前で、馬淵さんと話してるの聞いて・・・・
それで、車があった所に行くと楽譜が落ちてたんだ。ごめん、盗み聞きしちゃって。」
「あ、謝らないでください!寧ろ、感謝してるんですから!ありがとうございました!!」
そう言うと、深々とお辞儀をする美子。それに対して、「気にしないで?」と柊は笑みを返す。
「でも、どうして一人で練習してたんだ?俺なら、いつでも付き合うのにさ。」
「そ、それは・・・その・・・。」
俺の言葉に、美子はその場でもじもじと身を縮めて顔を少し赤くしている。
その姿を見てこっちが言葉を言おうとしたのだが、美子は俺よりも早く言葉を発する。
「み、皆さんに迷惑掛けたくなくて!こんな朝早くから練習すると大変ですから!」
先ほどまで、顔を赤めていた美子は既にその顔には赤みが消えていて
ニコニコと笑いながらこっちを見ている。
その言葉に、少しだけ寂しさを柊は感じる。
多分、「二人っきりだと恥ずかしいから。」とか言ってもらいたかったんだろうとか自分自身で思う。
けど、美子からそう言った言葉をこの場で聞けなかったのは良かったのかもしれない。
だって、美子は少しでも上達するために練習に来ている。
そんな美子の頑張ろうという気持ちを、その一言を聞くことによって、俺は壊してしまう自信があったからだ。
って、こんな自信は必要ないだろ・・・・。
10 :
練習? 3:2011/10/29(土) 22:00:42.84 ID:U0I6KmMM
そんなことを考えながら、美子の言葉を受け止めた柊はすぐさま自分の担当であるギターの準備をしだす。
ギターの準備をしだす美男が慌てて柊に
「しゅ、柊さん!私なんかに付き合わなくて良いですよ!!」
と言うと、座りながらギターのチューニングをしている柊に近づく。
「でも、一人で練習するにも限界があるだろ?大丈夫。俺の心配は良いから練習しよう?」
美子の言葉を聞いて、後ろに立っている美男の方を向くと微笑みを浮かべる柊。
その微笑みに安心感を感じる美男は素直に柊の気持ちを受け取り「ありがとうございます!」と笑いながら言う。
そして、二人は演奏の練習を始めた・・・・。
練習室に響き渡るキーボードとギターの音色。
無論、練習室は防音対策がされているためその音色は外へは聞こえない。
そう、どんな音も外には聞こえない。
時刻は5時12分。
練習を始めてからかれこれ1時間ぐらいが経過した。
「んん〜〜。」
柊と演奏の練習をしている美子は、楽譜を見ながら難しい表情をしている。
「どうした?美子?」
柊は、楽譜と睨めっこしている美男を見るとキーボードの近くまで行く。
「さっきから、ここの部分がどうもうまく出来なくて・・・。」
そう言うと、首を傾げながら楽譜を指さす美子。
「ちょっとやってみて?」
「はい・・・。」
♪〜〜♪〜♪〜〜
「どう・・ですか?」
心配そうな表情をしながら美子は隣にいる柊を見る。
「ん〜・・・ちょっと見てて?」
そう言うと、柊は美子をキーボードの前からどかすと自らキーボードを演奏しだした。
♪〜〜♪〜♪♪〜〜
「凄い!柊さん、キーボードも出来るんですか!?」
自分が出来なかった部分を、何なくやり遂げた柊を見てきらきらと目を輝かせて美子は柊を見る。
「少しだけやってただけだけどね。美子も練習すればすぐに出来るようになるよ。」
美子の真剣な眼差しに、少し照れ臭くなり頭を掻きながら柊はそう言うと
「それじゃあ、今度は美子がやってみて?」
と、美子の右手を掴むと美子をキーボードの目の前に連れてきて自らは美子の後ろに立つと、両肩に手を添える。
すると、美子は心の中で一瞬「ビク!」と反応するのと同時に心臓の鼓動が高まる。
ど、ドキドキしてきちゃった・・・・。
自分の後ろにいる柊に、どんどん体が熱くなってくる美子。
耳元に噴きかかる柊さんの息。時折、首に触れる親指。そこから伝わる温かさ。
そのせいか、キーボードに添えていた手が全然動かなくなる。
意識が、私の後ろにいる柊さんに集中しちゃって体がうまく動かない。
11 :
練習? 4:2011/10/29(土) 22:02:08.06 ID:U0I6KmMM
「美子?どうしたのか?」
ドキドキしていた美子は、柊の声によって意識を取り戻す。
「え?あ、い、いえ・・・ちょっとぼーとしちゃってて・・・。」
「そう?なら良いんだけど。それじゃあ、さっきやってみた所弾いてみて?」
「は、はい!」
さっき、柊さんに見せてもらった演奏も今の状況のせいで忘れちゃった・・!
心の中で、焦ってしまいどのように弾いたのか忘れてしまった美子はおろおろとしていた。
そんな姿を、後ろから見ていた柊は「くす」と笑うと美男の耳元に近づき
「ドキドキしちゃって忘れた?」と耳元で囁く。
その言葉に「ドキ!」とした美子はキーボードに添えていた手を離そうとする。
けど、後ろに立っている柊が美子の手の上から自分の手を添えて体をさらに密着させる。
柊さんの温度を直に感じる。柊さんの体が私と密着している。
それだけなのに、どんどん体が熱くなっていっちゃう・・・・。
後ろから美子の姿を見ている柊。
石像のように「ぴくり」とも動かない美子に柊は
「今日はもうここまでだな。」と壁に掛っていた時計を見ながら美男に言う。
ようやく、動き出した美子は辺りをきょろきょろして「え?も、もう・・ですか?」
と言う。
柊は、美子が動き出したのを確認すると
「練習しすぎても頭に入らないよ?時には、息抜きだって必要だ。」
と、自分と同じ方を向く美子を上から見ながら言う。
その言葉に「そ、そうですね・・・。」と美子は小さな声で言うと、柊の手が重なっている自分の手をキーボードから離そうとする。
すると、柊は美子の右手の指と指の間に自分の指を滑り込ませて「ぎゅっ」と握る。
突然、自分の手が動かなくなって驚く美子は後ろを振り返り、柊を見つめた。
「しゅ、柊さん?」
「その代わり、別の練習でもしようか。」
「何の・・・練習ですか?」
どういう意味だかわからない美子は、柊の顔を見ながら首を傾げる。
微笑んでいた柊は、手を握っていた右手を離すと、美子の頬に手を添える。
こんなに近くに柊さんの顔がある。ドキドキしすぎて体が火照ってきた。
今、絶対頬赤くなってる。こんな顔、誰にも見られたくないって思うのに・・・。
けど、どうしてだろう。柊さんの顔をずっと見ていたいって気持ちの方が大きい。
久しぶりな柊さんとの二人だけの時間。もっと、近くで柊さんに触れていたい。
無意識のうちに、美子は手が添えられていた左手を握り返していた。
握り返されたことに少しだけ驚いた柊だが、温かな美子の手を更に強く握り返す。
しばらく、見つめ合う時間が続く。言葉も何も交わすことはない。
けど、何も言わなくても今なら互いの気持ちが伝わる様な気がした。
そして、沈黙を守りながら柊の顔が美子の顔に近づく。
美子は何も言わず瞼を閉じ、柊を受け入れた。
12 :
練習? 5:2011/10/29(土) 22:03:33.12 ID:U0I6KmMM
軽く触れ合うだけのキスをした後、柊は頬に添えていた右手を離す。
けれど、美子は遠ざかっていく柊の唇をずっと見つめていて、何だかその唇が恋しく感じた。
そして、込み上げてくるドキドキを抑えるため、美子は上唇で下唇を噛んだ。
目の前で顔を赤くする美子の姿を優しく見守っていた柊は、口を開きだした。
「さっき、何の練習をするか聞いたよね?」
「は、はい・・・。」
微笑んでいる柊に対して、美子は頬を赤らめながら少し俯くと、柊を上目で見つめる。
すると、柊は美子の瞳を右手で覆い隠すと「体力強化のための練習」と微笑みながら言う。
いきなり、視界が真っ暗になり驚く美子。そのため、「うわ!」と驚きが声となって表れた。
けれど、美子はすぐに柊の言った「体力強化のための練習」について考えだす。
体力強化のための練習・・・?
えっと・・・例えば、ランニングとかそういうのかな?
普段、通常の状況ならばこういうのが体力強化のための練習なのだと思う。
けれど、色々と考えている美子に柊は耳元で「それじゃあ、目瞑って?」
と、右手で美子の瞳を覆い隠しながら囁く。
「え?め、目ですか・・?」
どういうことなのか、さっぱりわからない美子は柊がいると思われる方を向いて言う。
「そう。ちゃんと出来たらご褒美あげるからさ。」
表情は分からない。けれど、いつも通りの明るく優しさの籠った声が耳のすぐ近くから聞こえる。
「ご褒美」が具体的に何を意味するのかは分からない。
けど、何となく私の体はその答えを知っているように感じた。
あの日の記憶が、その答えを知っているように感じた。
若干、戸惑ったが美子はゆっくりと瞼を閉じると「閉じました。」と柊に告げた。
その事を確認するためなのか、今まで感じていた柊の手の感触が遠ざかる。
感触が無くなってからすぐに「それじゃあ、絶対に俺が良いって言うまで目を開けちゃ駄目だからね?」と言う。
その言葉に美子は
「もし・・・開けちゃったら・・・どうなるんですか?」と問いかける。
柊は「ん〜〜」と少し考え込んでから
「練習の進み具合にもよるけど・・・ご褒美は無くなるからね?」と言った。
「わ、わかりました。」
美子がこの言葉を発した後、少しだけ離れていた柊の体が再び美子の体に密着する。
そして柊は、ずっと美子の手を握っていた左手を更に強く握ると首筋をなぞるように舌を這わせた。
突然、体を駆け巡る刺激。
その刺激に思わず「んぁあ!」と声を出してしまう。
けれど、あの日も同じようにされたのに今日の刺激は全くの別物。
何でこんなにも、今日感じる刺激が激しく体を駆け巡るのか分からない。
だけど、私はその刺激が嫌じゃなかった。もしかすると、ずっとこうして欲しかったのかもしれない・・・。
13 :
練習? 6:2011/10/29(土) 22:04:35.49 ID:U0I6KmMM
美子の意識が、首から感じる刺激に神経が集中している中
柊は右手を上着の中へと巧みに潜り込ませていく。
そして、お目当てものの近くまで到達すると首筋から舌を離し、耳元へと顔を近づけた。
美子は、首の辺りに感じていた温かな感触が遠ざかると「んぁぁ・・・。」と声を漏らす。
そんな美子に柊は「変な気分?」と囁きかける。その言葉に「こくり」と美子は頷く。
「嫌?」と聞くと、今度は首を小さく横に振る。
美子の反応が素直だったことに、「ふふ」と耳元で小さく笑うと
「それはね・・・「気持ちいい」っていう気持ちなんだよ?」と耳元で囁く。
「き・・・・きも・・・ちい?」
途切れ途切れに柊から教えてもらう言葉を美子は言う。
「そうだよ。」と柊が言うと、サラシの巻かれていなかった胸を掴む。
「ぁん!」
「今、体の底から込み上げてくる熱いもの。それが気持ちいいって気持ちだよ?」
確かに、柊さんに胸を掴まれた時体に刺激が走ったと思ったら体の底から熱い何かが込み上げてきた。
これが・・・気持ちいいっていう気持ち?
その気持ちをまだ素直に受け止めることが出来ない美子は、握っていた左手で柊の左腕の服の袖を掴む。
すると、柊はその左手で美子の肩を掴むと美子を抱き寄せる。
一瞬、何があったか分からない美子は「ビク!」と体を震わせる。
そして、柊が胸を掴んでいる手の動きを止めて「気持ちいい?」と耳元で囁くように問いかける。
羞恥に顔を赤く染めていた美子は少し間を開けた後、ゆっくりと頷く。
その事を確認すると笑みを浮かべ、止まっていた柊の手が再び動き出した。
「ぁん!んんぁ・・!」
胸の頂点を執拗に摘んだり、クリクリと動かしたりとする柊。
その感触に初めてされた時よりも敏感に体を反応させ、喘ぎ声を上げる美子。
いつどこからどのタイミングでくるかわからない。何をされているのか正確に知ることが出来ない。
それがより一層想像力を高め、体を駆け巡る刺激をより一層強くする。
14 :
練習? 7:2011/10/29(土) 22:05:43.26 ID:U0I6KmMM
「美子・・・こんなに体反応させて・・・厭らしいね。」
胸から伝わる刺激の他に、耳から伝わる柊の吐息と発する言葉が更に美子を追い上げる。
柊の言葉一つ一つが美子の中の「恥ずかしい」と言う気持ちを大きくさせ、それがそのまま刺激として体を駆け巡る。
「んぁぁん!しゅ、しゅ・・ぅさん!!」
体が大きく震えあがるたびに美子の体はどんどん熱くなっていく。
それを呼吸の乱れから感じる柊は胸を弄りながら、ずっと耳元で美子を追い上げる。
「こんな厭らしい姿、誰かに見られたら恥ずかしいだろうね・・・・。」
「んぁ!・・ぃぁ・・」
「でも、そう言うのも良いの?・・・体ビクつかせてさ・・・。」
柊の胸の中で乱れる美子は、柊の言葉に首を横に振り意志を表現する美子。
そんな美子を更に柊は追いこんでいく。
「ほら、美子の乳首。こんなにビンビンになってるよ?」
そう言うと、上着の下で立っている乳首を人差し指で弾く柊。
「ん、いゃ!あぁぁ!」
「美子の体もこんなに熱くなっているし・・・俺まで熱くなってきちゃうよ・・・。」
耳元でそう囁くと、軽く首筋に舌を当てて上から下へとなぞる。
そして、美子の喘ぎ声が更に大きくなり防音加工されている練習室内に響く。
見えないからこそ、柊さんの放つ一言一言に敏感に反応しちゃう。
恥ずかしくて、誰にも見られたくないような私。
それなのに、言われる度に触れられるたびに込み上げてくる「気持ちいい」って言う感情。
恥ずかしい姿を見られて恥ずかしがっているはずなのに・・・・。
それなのに、体の中に広がる安堵感。きっと、相手が柊さんだからなんだ・・・。
暗闇の広がる世界の中で、そんなことを考えていた美子。
柊は、肩を掴んでいた左手を離すと美子のベルトを外し、
ファスナーを下ろすと、身に着けていたジーンズの中へと手を潜り込ませる。
その時、美子が乱れた息の状態で精一杯の力を振り絞り言葉を発する。
「んはぁ・・・しゅ・・ぅさぁ・・ん」
柊は、下腹部付近に潜り込ませていた手の動きも、胸の頂点を執拗に弄っていた手の動きも全てを停止させて美子を見る。
「どうしたの?美子?」
「はぁ・・ん・・しゅ、柊さんの・・・」
そこで美子の言葉が止まると、目を強く瞑りながら息を一つ飲み干す。
「美子?・・・俺がどうかした?」
上着に潜り込ませていた右手を抜き取り、優しく頭を撫でてやる。
頭に軽く触れるだけでも、美子の体は小さく震え小さく声を漏らす。
それでも、美子は力を振り絞り声に出して自らの想いを伝える。
「柊さんの・・・顔が・・・見たい・・・。」
小さな声だったが、美子の言葉には強い「想い」が感じられた。
15 :
練習? 8:2011/10/29(土) 22:07:03.33 ID:U0I6KmMM
美子は想いを伝えると、下腹部付近に感じる柊の腕に手を伸ばし、その腕を弱弱しく握る美子。
美子のそんな姿を見た柊は微笑むと、右腕を美子の肩に添えるように置くと
「しょうがないな・・・良いよ?」と耳元で優しく囁く。その言葉を聞くと、美子の瞼はゆっくりと開かれていった。
最初に目の前に広がったのは天井の照明。
久方ぶりの「光」に美子の目は慣れていないのか、しばらく目を細めていた。
そして、30秒ほどして目が慣れたのか自分の耳元で囁き続けていた柊の顔を視界に捉える。
「しゅ・・・うさん・・。」
そこには、私が暗闇の広がる世界の中でずっと求めていた人の優しい表情があった。
優しい微笑みを浮かべる柊さんの顔。ドキドキしてるのに不思議と安心感が胸の中に広がる。
ずっと、刺激を与え続けられる中でこの「笑顔」が見たくてしょうがなかった・・・・。
美子は柊の名前を呼ぶと一粒、涙を流す。
柊は優しい微笑みを絶やさずに右手で美子の頭を撫で続けた。
「しゅぅ・・・さん・・・。」
「ごめんな。恐かったのか?」
美子を心配した柊は、美子にそう言うが美子は首を横に振った。
「柊さんが・・・側に感じられたから・・・恐くありませんでした。」
心配している柊に対して、美子は弱弱しくではあるが笑みを浮かべる。
柊はその笑みに自らも笑みを返すと、「それじゃあ、体力強化の練習もそろそろ終わらせようか?」と言い、下着の中へと右手を潜り込ませた。
ようやく整いきった息だったが、愛液によって更に敏感に反応するようになっていた
秘部の割れ目の中に柊の指が侵入すると「ぃぁぁん!」と声を出し、再び呼吸を荒くする。
柊の指が動くたびに「くちゅくちゅ」と卑猥な音が奏でられる。
その度に、美子は大きく体を反らし体を震わせ声を張り上げる。
柊は、何も言わず美子の横顔を見つめ、ただ下腹部に侵入した指を動かし続ける。
一方の美子は荒くなった呼吸をしながら、うっすらと開く瞳で柊の顔を見る。
「んんぁ!しゅ・・う・・ん!」
柊の優しい微笑みを捉えながら、込み上げてくる快感に表情を歪ませる美子。
「美子・・・もう少しだからな?」
快感に歪んだ表情を見た柊は、締め付けられていた部分を抜き差ししていたが
その行動を止め、中指と人差し指の第二関節部分を動かして美子の内部で暴れさせる。
「ぁぁ!だ、駄目!柊さん!んぁあ!」
突然、激しい衝撃が体を駆け巡った美子は柊の体に縋り付く様に自らの体を寄せると
柊の胸元を掴む。
柊は何も言わずに美子を見つめる。
「あぁ・・ぁあ!んぁぁ!」
下腹部の割れ目は「びちゃびちゃ」と響く厭らしい音を奏でる。
その音は柊の指が動くたびに発せられ、音が出るたびに美子の呼吸は荒さを増し
それと同時に色っぽい喘ぎ声が聞こえ、体を「ビクビク」と震わせる。
そんな時間も終わりが近づいていた。
16 :
練習? 9:2011/10/29(土) 22:08:01.20 ID:U0I6KmMM
「んぁぁ!しゅ、柊さん!!」
突然、美子の声が今まで以上に大きなものへと変貌する。
流石に今まで沈黙を破っていた柊も、大きく体を反応させる美子の姿と声を聞いて
「そろそろ限界?」と悟ったかのように耳元で囁く。
美子は柊の言葉に顔を赤く染めながらも何度も頷いた。
「それじゃあ、そろそろ終わろうか?」
そう言うと、左手で右手の手首を掴み、右手に力が入りやすいようにする。
そして、今まで以上に指の動きを激しくさせた。
「んぁぁ!!駄目!だ、駄目!んぁぁあああ!!!」
柊の指の速度が素早くなってすぐに、美子の割れ目から大量の愛液が飛び出し
美子はその場でしばらく、何度も小刻みに体を震えさせる。
「ハァ・・・ハァ・・・んぁ・・」と整いきれていない呼吸をしている美子は
足に力が入らなくなってしまし、柊の体によしかかる。
そして、虚ろな瞳で柊の顔を見つめ「柊さん・・・。」と名前を呼ぶ。
「美子・・・。」柊も、美子の名前を呼ぶと二人は瞳を閉じて深い深いキスをした。
17 :
練習? 10:2011/10/29(土) 22:12:57.21 ID:U0I6KmMM
時刻は5時52分。
既に、外は太陽の光によって明るくなっていた。
そんな中、美子と柊は体を寄せ合い、練習室の壁によしかかるようにして座っていた。
美子は柊に対して若干拗ねたような口調で話をしていた。
「柊さんの意地悪・・・。」
ぼそりと柊の横で眉間にしわを寄せて言い放つ美子。
柊は、美子の様子に困惑した表情を見せながら頭を掻いていた。
「み、美子・・・そ、そんなに怒るなよ・・あ、あれはさ・・・」
「あれは・・・何ですか?」
困り果てた表情で話す柊の言葉を完全に聞かずに、美子は「むす」とした表情で言葉を入れる。
何も言えずに困る柊に美子は更に話を続ける。
「私が目を瞑ってる間、柊さんに色々されて・・・・それで、耳元で恥ずかしいことばっかり言われて・・・・どれだけ恥ずかしい想いをしたと思ってるんですか・・?」
「むす」とした表情は既になく、体育座りをしながら腕で顔を隠す美子。
顔を隠す美子を見た柊は、「ふぅ」と息を一つ吐くと「だってさ・・・・。」
と言い、左手を美子の体の後ろに回し方を掴むと、体を抱き寄せる。
それに対して、顔を伏せていた美子はゆっくりと柊の方へと顔を向け
「だって・・・・?」と見つめながら柊に問いかける。
恥ずかしそうに顔を反らして柊は
「その・・・久しぶりに・・美子と二人っきりになれたから・・・。」
と言うと、少々顔を赤くしていた。
そんな柊の恥ずかしがる姿に「ふふふ」と笑みを零して笑う美子。
柊は、「な、何が可笑しいんだ?」と少し動揺しながら美子に聞く。
美子は笑うのを止めて、柊の方を見ると「怒ってないですよ?」と笑いながら言う。
てっきり怒っているものと思っていた柊は「え?」と戸惑いを声に出して表した。
「柊さんに意地悪されて、私も少しお返しをしたいな・・・って思ったんです!!
けど、柊さんが顔を真っ赤にしてまで私の事想っててくれたってことはちゃんとわかってますから!」
そう言うと、柊の体に自らの体をよしかからせるように寄せた。
柊は笑いながら「一本取られたな。」と言うと、美子を抱き寄せる手の力を強め更に体を密着させる。
美子は柊の腕の中で体を縮ませ、柊の顔を見つめる。柊も美子の顔を見つめると
「美子・・・大好きだよ。」と言う。
美子も少し恥ずかしそうに顔を俯かせた後に
「私も・・・です。」とぼそりと呟いた。
ただ、柊の言った「ご褒美」。そのご褒美の内容が気になったが、
美子は柊にその事は聞かなかった。それは、また別の日に聞こうと考えたからだ。
そして、美子は「ちらり」と柊の顔を見た後柊の腕の中で静かに瞼を閉じた。
この後、二人はしばらく沈黙を守ったまま幸せな時間を過ごした。
以上で終わりです。
何か、美子が柊さん色に染まっていくような作品になってしました;;
そして、相変わらずの長文&駄文で申し訳ありませんでした!
>>18 GJ!まさかDT柊さんの続きが読めるとはw
練習室の壁に寄り掛かって体育座りとか、本編での「俺は忘れられたのか…」のシーンを思い出してしまった
ご褒美の内容が気になるので「別の日」の話是非よろしくお願いしますw
前スレ埋まったんですね!
>>5 GJ!異色カプ好きですw
社長と美男!て思ったけど、違和感なく楽しめました!
美男、興味深く覗きこんでるしw
>>5 最初カプ表記見たときは、え?と思ったけど、おもしろかった!
社長の過去とか、名前のくだりとか、すごくよかったです。
自分も「興味深く覗き込む美男」に興味を惹かれましたw
あと、迎えに来た廉さんがツボ!かわいいなあ、廉さんw
>>18 柊さんはやっぱり柊さんだなぁ。
優しいけど、強引w
最後の美子に意地悪、っていわれて困ってるとこがすっごくかわいかったです!
前スレ504さんの「廉の指と美子の声」からヒントをいただいて書いたものを
投下させてください。
ちなみにスイートルームさんではないです。
本当は、スイートルームさんをお待ちしたほうがいいのかとも思いましたが、
短いし、ま、いっかーと思ってw
多分、こういうのを期待してらしたわけではないと思うのですが…
全編ほぼお互いのモノローグなので、お嫌な方はスルーしてください。
アフリカの夜は暗くて、零れ落ちそうなほど星が輝いている。
この空は東京にもつながっていて、きっとあの人も空を眺めている。
指。
廉さんの、指。
ピアノを弾くときの優しい指。
ギターを奏でるときのはねる指。
五線譜にペンを滑らせるときの自信に満ちた指。
その指が私のからだを変えていく。
どうすれば、もっとその指を感じられるのかと。
そればかりを思い、求めて、声を息を漏らしていた気がする。
廉さんの指が、私のすべてを溶かしてしまう。
この指が、廉さんの指だったらいいのに。
美子は自分の指を眺め…そっと唇に触れた。
細く長く少し神経質そうな、廉の指先を重ね合わせた。
舌で指を湿らせると、つっと首筋をなぞる。
その指は鎖骨を通り、胸のふくらみを掠める。
ためらいながらその先端に触れると、甘い疼きがはしる。
「あっ…」
思わず声が出る。月明かりの中、廉の切なげな顔が浮かんだ。
息を漏らし、声を抑える。
指はわき腹を流れ、そのままそこにたどり着く。
いけない、こんなことをしては。
頭の片隅で、自分の理性が、それを止める。
でも…
心の中で、自分の思いが、それを欲している。
そこに触れる。さっきよりも強く、奥がじんと疼く。
廉さんは、こんなふうに…
思い返し、指を動かす。
切なくあふれ出るものは、そのまま報われず流れていく。
あの甘やかな指を、知らなかったころにはもう戻れない。
廉さん…。
会いたい――
東京の夜は明るくて、地上のネオンばかりが星のように瞬いている。
この空はアフリカにもつながっていて、きっとあいつも星を眺めている。
声。
美子の、声。
初めて聞いた時の讃美歌を歌う澄んだ声。
自分の声で俺の歌を歌いたいと言い切った凛とした声。
誕生日を祝ってくれたやわらかな声。
その声が俺を狂わせていく。
どうすれば、もっとその声を聞けるのかと。
そればかりを思い、求めて、指を舌を動かしていた気がする。
美子の声が、俺のすべてをこじ開ける。
この音が、美子の声だったらいいのに。
廉はピアノを眺め…そっと指で奏でた。
高すぎず低すぎない艶やかな音は、美子の吐息のようだ。
中空の美子の首筋にそっと指を這わせる。
その指は鎖骨を通り、胸をふくらみを掠める。
白い肌が目の前をちらつき、甘い疼きがはしる。
「んっ…」
思わず声が出る。月明かりの中、美子の切なげな声が耳に響いた。
息を漏らし、その声を味わう。
指はピアノを離れ、そのまま自分自身へと向かう。
あいつを、穢していることになるのだろうか。
頭の片隅で、自分の理性が、疑問を呈す。
でも…
心の中で、自分の思いが、それを促す。
そこに触れる。さっきよりもはっきりと、それが主張する。
美子は、あんなふうに…
思い返し、耳に甦らせる。
切なく立ち上がったものは、そのまま報われず吐き出される。
あの甘やかな声を、知らなかったころにはもう戻れない。
美子…。
会いたい――
以上です。お粗末さまでした。ありがとうございました。
アフリカ行く前にしちゃってたら、こんな夜もあったかなあ、と妄想。
逢ひみてののちの心にくらぶれば 昔はものをおもはざりけり
とは、よく言ったもんだ。
…きっと前スレ504さんはかわいいイチャイチャをお求めだったと思うんですが、
ほんと、すみません。
連投すみません、カプ表記はともかく、エロありなし書くの忘れたorz
廉×美子、エロは…なし、になるんですよね、これ。
保管庫入れていただくとしたら、どう表記していただいたらいいんだろう。
ほんとすみません。でもキスもしてないから、なし、ってことでお願いします。
社長x美男、面白怖かったですw 社長やり手すぎて怖いというか。
廉さんお迎えに和みました。こういう時こそ、柊さんが行けばポイントUPだったのに、何やってんだろうねw
DT柊x美子、DTとはいえ、さすがのエロ魔人でした。この後、何事もなかったように4人でバンド練習するんだろうか・・・
ところで、前スレにここのアドレス(次スレ)はって誘導した方がいいのかなと思ったけど、容量OVERで書込出来ないんだね。
あのまま、社長x美男の続き待ってる人いないといいけどw
>>18 DT柊さんの続き待ってました!!この二人、可愛いすぎるwww
次回は是非、ご褒美の回を期待しますw
>>26 遠く離れた2人が想い合うのが切なくてイイ!GJ!
指と声かー、一度でも知っちゃうと忘れられなくなっちゃいますよね。
素敵なモノローグありがとうございました。
>>25 前スレ504です。
なんか感動しちゃいました。
今後ろで◯極大陸が流れているからもあるのかw
詩的な素敵なパロ、ありがとうございました。
32 :
HEART 20:2011/10/30(日) 21:53:59.16 ID:z3b6UCqT
NANAの部屋から大急ぎで駅に向かい、出発間際の新幹線に駆け込んだ。
「おかえり美男。間に合ってよかった」
「ただいま…」
息を切らせて空いていた柊の隣の席に座る。
美男の呼吸が少し落ち着くと柊が耳打ちしてきた。
「NANAの所に行ったんだろ?後で詳しく教えろよ」
「あ…うん」
帽子を目深に被り、腕を組んで目を閉じる。
緊張感からの解放と新幹線の揺れに、すぐに意識を持って行かれた。
大阪での仕事が終わり、今夜はこのまま1泊することになっている。
柊の提案で、久しぶりにメンバー4人でゆっくり飲もうという話になった。
「馬淵さんコンビニ行くよ〜!ビールいっぱい買うから手伝って!」
「お前ら、明日も早いんだからあんまり飲みすぎんなよ!」
こうして美男の部屋に集合して、男子会が始まった。
仕事の話から、美子のこと、他愛もないことなどいろいろ話し、話題は美男とNANAのことに移った。
33 :
HEART 21:2011/10/30(日) 21:56:15.96 ID:z3b6UCqT
「みんな今日はごめん!本当に悪かった!」
「お前なぁ、間に合わなかったら殴ってやろうかと思ったぞ」
「まあまあ、もういいじゃん廉さん、ちゃんと戻ってきたんだしさ」
少しイラっとした様子の廉を勇気がなだめる。
「それより美男、NANAのところに行ったんだろ?どうだった?」
「どうって…まあ…」
柊の質問に美男が顔を赤らめて口ごもる。
「その様子だと、そんなに悪くないみたいだな」
「で、その…NANAの方はどんな感じなんだ?」
NANAを振った人間としては少し気になるのか、廉が真顔で聞いてきた。
「まだわかんないよ。NANAの気持ち、聞いてないし…」
「うっそ?!おまえ何しに行ったんだよ!」
勇気があきれた顔をする。
「しょうがないだろ?時間なくて、自分のことだけで本当に精一杯だったんだから…」
「何にもしなかったの?ほら、抱きしめるとか、チューするとかさ?」
「…したよ。両方…」
「えっ?!」
3人が驚いて一斉に美男を見た。
(なんだよこいつ…意外と手、早いんだな…)
「驚いたな…それでも分からないって、どういうことだよ?」
「俺、今まで自分から告ったことないから自信ないんだってば!それにキス…した後のNANA、ボーっとしてて反応薄かったし…」
(なのに、かなり鈍感…)
3人とも同じことを考えて、目を見合わせてうなずいた。
34 :
HEART 22:2011/10/30(日) 21:58:22.57 ID:z3b6UCqT
廉が口を開いた。
「なあ美男、NANAは嫌がってたわけじゃないんだろ?」
「たぶん…」
「ふん、だったら気付け。あいつ、分かりやすい性格してるんだから」
「…そうなのか?」
「あー、もういい!お前のハッキリしない話聞いてるとイライラするから寝る!」
立ち上がってそそくさと部屋に戻ろうとする廉の背中に、勇気が声を掛けた。
「廉さん、美子によろしくね〜!どうせ電話しに行くんでしょ?」
「う、うるさい!ほっとけ!」
廉はドアをバタン!と閉めて出て行った。
「廉さんだって分かりやすいじゃんねぇ。恋バナしてたら美子の声聞きたくなったんだよ、きっと」
「面白いよな、廉も美男も」
「悪かったな…」
その後もしばらく3人で話し続けたが、美男は1日の疲れと酔いのせいで椅子に座ったままウトウトし始めた。
「ほら美男、ちゃんとベッドで寝ろよ。風邪引くぞ」
「んー………」
「仕方ないな。勇気手伝って」
すっかり眠りに落ちた美男を2人でベッドに寝かしつけた。
「さてと、俺らもそろそろ部屋に戻るか」
「そうだね。あーあ、廉さんも美男もいいな〜。俺も幸せになりたい」
「なんだよ、勇気にはトオルがいるだろ?」
ため息をつく勇気に向かって、柊はわざと真面目な顔で言った。
「柊さん…冗談でもそゆこと言うのやめて…」
狙い通りに勇気が泣きそうな顔になったのを見て柊が笑う。
「ごめんごめん、悪かったよ」
(幸せ、か…。俺は…まだしばらく恋はいいや…)
35 :
HEART 23:2011/10/30(日) 22:00:25.39 ID:z3b6UCqT
あれからしばらく美男とNANAが会う機会はなかったものの、メールや電話を欠かすことは1日もなかった。
今日何してた?とか、内容は他愛もないことばかりだけれど、そうする時間が2人にはとても大切なものになっていた。
「NANA、今度いつ空いてる?」
「ちょっと待ってね…明後日なら、夕方から空いてるわ」
「よかった、俺も大丈夫。じゃあ明後日…部屋に行ってもいい?」
「ん。待ってるね」
「あのさ、もうそろそろ俺のこと好きになった?」
「ふふ、どうかなぁ?…まだ内緒!」
合宿所の玄関でちょうど外から帰ってきた柊と出くわした。
「あ、おかえり」
「ただいま。あれ?美男はこれから出掛けるのか?」
「ちょっとね…。NANAの所に行ってくる」
「そうか、よかったな。今日はちゃんと気持ち確かめてこいよ」
「うん…そうするよ」
「…あ、そうだ美男、ちょっと待ってて」
柊はそう言うと急いで部屋に向かった。
そしてすぐに戻って来ると、美男のデニムの前ポケットにいきなり手を突っ込んだ。
「ぅわっ?!どこ触ってんだっ!」
「美男にプレゼント。返すなよ。じゃあな」
赤面する美男をよそに、柊はニヤっと笑みを浮かべて部屋へ戻っていった。
「何なんだよ、ったく…」
ポケットから取り出してみると、ゴムが……2つ。
「ちょ、柊っ!まだそんなんじゃないっつーの!」
36 :
HEART 24:2011/10/30(日) 22:02:28.09 ID:z3b6UCqT
NANAの部屋の前に立つ。
一度深呼吸をしてから、今日は落ち着いてチャイムを押した。
ドアが開き、NANAが久しぶりね、と言って笑顔を見せた。
「これ、一緒に飲もうと思って…」
美男がよく冷えたシャンパンの入った袋を差し出した。
「ありがとう!うれしいな。ね、早く上がって」
リビングに入ると、ローテーブルの上にはNANAの手料理が並んでいた。
「わ、すげぇ…」
「いまシャンパン用意するね。先に座ってて」
NANAがさっき美男にもらったシャンパンの瓶とグラス、ナプキンをトレーに乗せて運んできた。
それをテーブルに置くと、美男の左側にそっと腰掛ける。
「俺が開けるよ」
美男は慣れた手付きでナプキンをシャンパンの蓋に被せ、クッと瓶をひねる。
ポンと軽く音がして蓋が開いた。
グラスに注がれたシャンパンが細かな泡を立てる。
NANAはグラスを持ち上げ、灯りに透かしてキラキラした光を楽しんだ。
「きれいな色…」
「さ、飲もう」
グラスを合わせると高く澄んだ音がした。
「ん、これおいしい!」
「気に入ってくれてよかった。それよりこの料理、NANAが作ったの?すごいよ!」
美男の屈託のない笑顔を目にすると、NANAの胸がドキドキと騒ぎ出した。
もう、言っちゃおうかな…。
NANAは心を決め、少し美男の方を向いて座り直す。
ソファに並んだ2人の膝が軽く触れ合った。
37 :
HEART 25:2011/10/30(日) 22:04:32.80 ID:z3b6UCqT
「あのね美男。ずっと言ってなかったことがあるの」
「ん?」
「ちゃんと顔を見て言いたかったから、黙ってたんだけど…」
少し言いよどむNANAの顔を、美男は不思議そうに見つめた。
美男のまっすぐな視線にNANAの顔が上気する。
「私ね、美男のことが好き。大好き…」
思い切って上目遣いで言ってみたものの、やっぱり恥ずかしくなってすぐに顔を伏せる。
顔が火照って、美男の目をまともに見ることができなかった。
………。
しばらく経っても美男の反応が何もない。
不思議に思って顔を上げると、美男は顔を赤らめて固まっていた。
「…やだ、ちょっと美男っ!聞いてるの?!」
NANAに腕をバンッと叩かれ、美男はようやく我に帰った。
「あ、あぁ、ごめん…。今の、ホント?」
「もうっ、恥ずかしいからこの話はもうおしまい!…ねぇ、それより、冷めちゃうからはやく食べよ?」
「うん…」
「今日は何がいいかわからなかったから、適当に作っちゃったんだけど…。今度は美男の食べたいもの作るね。何が好き?」
「……NANA」
「なぁに?」
「何?じゃなくて…俺のいちばん好きなもの……NANAが食べたい」
美男の言葉に、NANAの心臓が撃ち抜かれた。
とりあえず、今回は以上です。
続きがなかなか浮かばなくて苦しい。
寸止めな感じで失礼します…
>>38 GJ!
わざと真面目な顔でって、柊さん鬼畜ww
NANA乙女で可愛い!電話したくなっちゃう廉も可愛い〜
密かに勇気トオルもうまくいっちゃえばいいww
>>38さん
美男xNANAすごく好きです。2人とも超チャーミング!4人の男子会シーンがすごく好き。
美男は手が早いよね、なのに女心が分かってないのね。
しかし元(or現役)DT廉さんから、鈍感呼ばわりされようとはw
柊さん、失恋の傷が癒えてない=新しい恋に動かないところに、萌えてしまいました。
>>38 あぁっ!いいところで・・・!!GJです!!
男子会、私も大好きー。あの4人揃うの想像すると和む。
かわいい美男NANAのエロエロな続きを期待してますw
>>38 GJ!!!相変わらずこのカップルは可愛いすぎる!
個人的にはNANAの相手は美男が一番だと思う
しかもDT柊さんの続きあるし!!連投すみません
>>18さんGJ!!
DT柊さん続き密かに期待してましたw
ご褒美が気になる…w
>>38 そんな…生殺し…!w
ふたりとも可愛すぎるー萌えるー!
>>38 かわいい!NANAと美男はちょーかわいいね
でも本当に美男てば手がはやいwww
柊さんがいろんな意味でツボでした
>>38 柊さん、何気にキーパーソンだ。
前のポケットからゴム突っ込むって、エロすぎるw
NANAのもったいぶりがもっと見たい。もっと美男を焦らしてやってw
>>38さんの書く勇気好きだ!
超かわいーよ!
書くのうまいなぁ。
ゆっくり味わいつつ続き楽しみにしてます。
双子の話です エロなしです
49 :
双子:2011/11/01(火) 04:55:37.71 ID:p6Tahb7Y
海に向かって張り出したテラスで、廉と美子はのんびりとした時間を過ごしていた。
日差しは強いが、爽やかな風を受けるとさほど暑く感じない。心からリラックスしている美子を見て、連れてきてよかったと廉は思った。
その時、美子がはっとした表情で胸を抑えた。虚空を見つめて、シャツの胸元をぎゅっと握っている。
「どうした?」廉は美子の顔を覗き込んだ。
「お兄ちゃんが…」廉の問いには答えず、突然立ち上がると部屋の中に走って行った
「美子っ」慌てて廉も後を追う。
美子は携帯を取り出すと、美男の番号を押す。
「…電波の届かない場所にあるか、電源が入っておりません。…」
携帯からは機械的なメッセージが流れてきた。
「一体どうしたんだ?」美子の肩をつかんでこちらを向かせると、美子は真っ青な顔をしている。
「お兄ちゃんに、何かあったかも…」美子の言葉に廉は怪訝な顔をした。
「それ、どういう…」廉を遮り今度は馬淵に電話する。呼び出し音が鳴り続けるだけで馬淵はでない。
A.N.JEJJが充電期間に入ったため、事務所のスタッフも長期の休暇を取っている。廉は事務所に電話してみたが、やはり誰も出なかった。
「美子、落ち着け。一体どういうことなんだ?」美子をソファに座らせて、廉は問いかける。
50 :
双子2:2011/11/01(火) 04:57:00.53 ID:p6Tahb7Y
「…私たち、昔からお互いに何かあると、なんとなく感じるんです。でも、さっきみたいに強く感じたのは初めてで…」
美子の話に廉は驚きを隠せなかった。
「そんな事って…本当にあるのか…」廉は信じられない思いで美子を見つめた。
美子の瞳から涙が溢れてきた。体を震わせながら声もたてずに泣いている。
廉は美子の肩を抱き、励まし続ける。自分自身にも言い聞かせるように。
「大丈夫だ、美子。美男に何か起きたりしない。絶対大丈夫だから」
深夜になるまで、廉は電話をかけ続けた。なのに、誰一人として連絡がつかなかった。
「くそっ、どいつもこいつも何で電話に出ないんだ」イラついてつい大声を出した廉は、はっとして美子を振り返る。
美子はソファに座ったままうな垂れている。目の前にはとっくに冷めてしまった夕食が手つかずで残っていた。
廉がホテルの内線電話で二言三言話したと思ったら、やがてルームサービスがやって来た。
テーブルの上の冷めた料理を下げて、代わりに大きなマグカップに入ったホットミルクを持ってきた。
「美子、これ飲め」ふーふーとミルクを冷ましながら美子の口元にカップを近づけた。
美子は首を振るが廉は頑としてきかない。
「ダメだ。何も食べてないだろう。せめてミルクだけでも飲め」
何も食べていないのは廉も同様だったが、とにかく美子の体が心配だった。
51 :
双子3:2011/11/01(火) 04:58:45.96 ID:p6Tahb7Y
結局一睡もしないで夜が明けた。ソファで毛布にくるまって美子を抱きしめたまま東京からの連絡を待ったが、メッセージを入れていたにも関わらず、誰からも連絡はなかった。
「朝になっちまったな…」廉が呟くと、美子がふっと顔を上げた。
真っ赤に充血した目で廉を見上げている。
「とにかくもう一度電話してみるよ」廉が携帯を取り上げたとき着信音が鳴った。勇気からだ。
「勇気かっ、今美男がどこにいるか…」焦って話す廉の耳にのんきな声が聞こえてきた。
「廉さ〜ん、グッドモーニング。俺今どこにいると思う?」
「えっ何?そんなことより美男は今どこだっ」美子も廉の腕をぎゅっとつかみ携帯に耳を寄せている。
「なんだよ〜朝から機嫌わり〜の」と言うとプツッと電話が切れてしまった。
「おいっ、勇気、勇気っ」切れた電話に向かって大声を上げる廉。その時…
ピンポーン、と部屋のチャイムが鳴った。
「誰だよ、こんな時に…」勢いよくドアを開けると、そこにはピースサインをした勇気と片手を上げておはよう、と挨拶する柊と、そしていたずらっぽい笑顔の、美男がいた。
「美男…」呆然として廉が呟くと、美子が部屋から走り出てきて
「お兄ちゃんっ」と叫ぶと美男の胸に飛び込んだ。
「なんだなんだ、どうした、美子?」
状況が飲み込めず目を白黒させる美男。美子は美男に抱きついたまま泣きじゃくっている。
52 :
双子4:2011/11/01(火) 05:01:20.12 ID:p6Tahb7Y
ソファに寄り添って座る美男と美子の姿を、廉たち3人はテラスのベンチから眺めている。
「きっと飛行機がエアポケットに入って急降下した時のことじゃない?あの時は俺も死ぬっって思ったもん」
「それにしても、驚いたな。双子って本当にそういうことがあるんだな」柊が感に堪えない表情で言う。
「なんにせよ、無事でよかったよ。ていうか、お前ら来るなら来るって連絡くらいしろよ」
「サプライズだよ、廉ちゃん」と言うと勇気は部屋に戻り美男たちと何か話している。
「廉さーん、みんなで食料買ってきてここで作ろうよ。キッチンもあるし。ゲストルームもあるみたいだから、しばらく泊めてね」
廉は内心、えっ、と思ったが「それじゃ合宿所と変わらないだろ。しょうがねーな」と苦笑する。
久しぶりにA.N.JELLと美子の5人が顔を揃えて、楽しい夕食になった。
美子は嬉しそうな顔で、片時も美男のそばを離れない。
「妬ける?」柊が笑いを含んだ声で、廉に尋ねる。
「まあな。でも、しょうがない。あいつらは生まれる前から一緒だからな」廉も笑って答える。
柊たち3人がゲストルームに引き上げようとした時、廉は美男を呼び止めた。
「おい、美男。おまえ今夜は美子と寝ろ」
「いいけど、いいの?」
「ああ。今夜だけだからな。それから…お前絶対に美子より先に…あ、いや、なんでもない」廉は言いかけた言葉を飲み込んだ。
美男は廉の顔をじっと見ていたが、ニヤッと笑うと「わかってるって」と答えた。
以上です お邪魔しました
>>53 GJ!
でも「おまえ絶対に美子より先に…」なんなのかがわからないww
美男を心配する美子、美子を心配する廉さんにきゅんときました
妬ける?と聞いちゃう柊さんも、廉ちゃん呼びの勇気もかわいい
「美子より先に死ぬな」ってことじゃない?
>>53 GJです〜!
廉さんの愛し方が大人になってるのがすごくよかった
美子が廉さんとの恋で胸がはりさけそうになってた時
美男も遠くでキュンキュンきてたりしたんだろうかw
>>55 ああそっか、そうだよねd
先に寝るなかな?と思って、意味わかんない、と思った自分バカス…
読解力ゼロでごめん
廉さん、かっこいいな…
>>53 廉さんが大人〜頼れる恋人だね。
ノンキな勇気が可愛いけど、リアルならいらっとするかもw
馬渕マネはどこ行ってたんだろう。
>>55 胸はりさけても、命に別条ないし、しかも実は両思いだからねw
兄ちゃんキュンしてないんじゃね?むしろ、妹盗られる胸騒ぎかもw
>>53 GJです!兄を心配する美子。
その美子をしっかりと支える廉さんにほっこりしましたw
更に、仲良くしてる双子にキュンとしました。
>>53 GJ〜!
やっぱこの双子萌える
廉美子もよかったです
DT柊を書いた者です。
続きができましたので投下したいと思います。
説明は必要ないと思いますが、柊×美子で今回はエロなしです。
エロないのに長いですが、お付き合いくださると嬉しく思います。
前回
>>8-17
61 :
大切な物 1:2011/11/01(火) 21:33:52.81 ID:aHuRjLdQ
あれから更に2週間が経過した。
あれからと言うのは、美子と一緒に早朝から演奏の練習?をしてからだ。
この2週間で2つの事件が起こった。
まず、1番の事件と言うのは美子の正体が廉と勇気にばれたこと。
もっと正確に言うならば「ばれた」という言い方よりも「ばらした」という言い方が正しい。
残り2ヶ月。美子が美男としてやっていくには、廉と勇気の協力が必要となる場面があるかもしれない。
それに、いずれどういった形でもばれるかもしれないという事を考えると、早い段階でメンバー内だけにでも知らせておいた方が良いんじゃないか?と二人で話し合った結果として、二人に真実を告げた。
勇気はその事を聞いた瞬間、驚いたかと思うと「やったーー!!」とガッツポーズをしてぴょんぴょん飛び回った。
そして、一方の廉も大激怒されるかと思いきや、意外とすんなりとその事実を受け入れていた。
最初は、「お前が・・・女?」と疑念の目を向けていたが、すぐに「お前の頑張りは認める。だが、少しでも弱音を吐くようなら社長に言いつけるからな!」と素直にではないが、美子の事を受け入れてくれた。
まぁ、その後2人で事務所内の通路を歩いている時に、
「何で早く言わなかった?」とか、「美子が女だって嘘ついたことは許さない」とかぶつぶつと呪いの言葉をかけられているかのように、ずっと言われ続けたのには何にも言い返さないで、落ち着くまで聞かされた。
廉は硬派で曲がったことが嫌いだからこそ、美子や俺が美子の正体を隠していたのが許せないんだろうというのは聞いてて分ったが、
ただ、あいつ自身も美子が精一杯頑張っている姿を見ていた1人として、
あいつなりに美子を認めたというのが、美子に言った言葉には込められていることも俺は分かっていたから、廉の話を微笑みながら聞いて
「はぁ・・廉も素直じゃないよな?」と歩きながら肩を叩いた。
すると、廉は俺を睨み「何笑ってるんだ・・・?」とまたも別の方向へと話が進み、その後1時間ぐらい廉の話に付き合わされた。
これが1つ目の事件。
そして、2つ目の事件・・・・というよりも
これは事件と言うよりか・・・・まぁ、何というか俺にとって事件レベルの「悩み」が発生したことだ。
62 :
大切な物 2:2011/11/01(火) 21:35:13.02 ID:aHuRjLdQ
美子が女だという事を言った時から、最悪のケースは予想出来たが、廉と勇気が急に美子に迫る様になった。
だが、それは仕事の時よりも、合宿所にいる時の方が多かった。
勇気は、美子と仲良さげにはしゃぐようになったというか、美子を意識しているようにも見えるし、
女だって嘘をついていたことを許さないと言った廉も、ちょくちょく美子にちょっかいをするようになった。
そのくせ、俺が美子と2人で話をしていると、どこからともなく2人の視線が冷たく背後に感じるようになったため、今まで以上に2人で居る時間が減った。
廉と勇気が起きている状態で美子の部屋に入ろうものなら、それはもう激しく食い止められる。
美子が後2ヶ月やっていくためとはいえ、言わなきゃ良かったとも思うが、これも美子のためだから何とも言えない。
美子の心がどこかへ行かないとは思うのだが、やっぱりあの時渡しておくべきだったかな・・・。
と思いながら、ポケットに入れている小さな箱を見つめる日々が続いた。
そして、今に至るという。
ぼんやりとこの先どうするかを部屋で考えていると、「こんこん」と扉から音が聞こえる。
その音を聞いてすぐに扉の方へと目を向ける。
すると、扉の向こうから「柊さん・・・起きてますか?」と美子の小さな声が聞こえた。
「起きてるよ。どうかしたか?」
閉じられた扉の向こうにいる美子に声を投げかける。
俺の声を聞いた美子は「失礼します・・。」とあまり大きな音をたてないように静かに部屋に入り、扉を閉めた。
その後、美子はベッドに腰掛けていた俺の近くまで来る。
近づいてきた美子に俺は「ここに座りなよ?」と、自分のすぐ隣を右手で「ぽんぽん」と叩き、座るように誘導する。
美子はそれを見ると頷き、俺のすぐ隣に座り顔を俯かせる。
63 :
大切な物 3:2011/11/01(火) 21:36:30.72 ID:aHuRjLdQ
突然の美子の来訪。いつもなら、夜に訪れる場合は一言言われていたが今日は何も言われていない。
何があったのか気になったけれど、すぐにそこを聞きはしない。
まず、今の状況を確認することが大切だからだ。
「勇気と廉は?」
「勇気さんは、さっきまで元気に動き回っていたんですが・・・疲れちゃったのか寝ちゃいました。」
「廉は?」
「廉さんも、少し大きめな荷物を持って出て行きました。今日は用事が出来たから帰れないって。」
「そうか・・・・。それで、どうかしたのか?」
ある程度、状況を把握してより深い部分を聞いても問題はないと判断し、本題へと移った。
しばらく、美子は顔を俯かせたまま何も言わないでいた。
表情を目で捉えようにも、表情が見えないほどに顔を俯かせているため確認出来ない。
なので、このまま何も話してくれないと何があったのか本当に分からない。
けれど、それじゃあ何にも解決しないと柊は口を開き始める。
「美子?何かあったのか?俺なら、何でも聞いてやるからさ。」
と言うと、柊は顔を俯かせる美子の頭を優しく撫でる。
今の美子は、何だか何かに怯えているように柊には見えたからだ。
すると、頭を撫でられた美子は俯かせていた顔を柊の方へと向ける。
そして、すぐに柊の胸元に自分の顔を押し付けて涙を流していた。
柊は、頭を撫でていた手を離しそのまま美子の肩に手を回すと抱き寄せる。
抱き寄せられると美子は、何も言わず柊の体に腕を回すと抱きしめてきた。
抱き寄せた体は、何度も小刻みに震えている。そして、腕の中で美子は涙を流し続けていた。
美子に何があったのか気になる柊だが、美子に発言を急がせるようなことはせず
「落ち着いたらで良いから・・・ちゃんと涙の理由、教えて?」
と優しく言うと美子には見えてはいないが、微笑みながら左手で頭を撫で続けていた。
しばらく、美子は柊の温かな腕の中で涙を流し続けていた。
64 :
大切な物 4:2011/11/01(火) 21:37:29.42 ID:aHuRjLdQ
時計を見なければどれぐらいの時間が進んでいたのかは分からなかった。
薄暗い部屋に広がる沈黙が何時間も続いているようにも感じられたし、たった数秒の出来事のようにも感じられた。
それぐらい、部屋に広がる沈黙は深く重たく広がっていた事を認識させる。
時計を見ると、たったの3分程度しか経過していなかった。
あっという間だと言えばそうでもあるし、永遠と言えるほど長くも感じた。
その3分間の間に俺の腕の中で泣いていた美子は涙を止め、落ち着きを取り戻していた。
抱き寄せていた体を少し離し、お互いに話しやすい体勢にすると美子に再度何があったのか問いかける。
美子は、柊の事を上目で見つめると「・・・笑わないでくださいね・・・。」と不安げな表情で見つめた。
「あぁ。笑ったりなんてしないから・・・話してみて?」
不安げに見つめる美子に、微笑みを返す柊。
その微笑みを見て、美子は何があったのかを話し始める。
「その・・・昨日、恐い夢を見ちゃって・・・・。」
「恐い夢?」
「それで・・・その・・・。」
そこまで言うと、美子の言葉が止まる。
「それで・・・どうしたの?」
止まった美子の言葉を聞くために問いかける柊。
美子は一度、柊から視線を逸らすと小さな声で「・・眠れなくなっちゃいました・・・。」
と恥ずかしそうに顔を逸らしてそう言った。
柊は、美子に何があったのか分かると「何だ・・・良かった・・・。」と声を漏らす。
美子は柊の言葉を聞くと「え?・・・」と不思議な表情を浮かべて柊に視線を向けた。
そして、そんな美子に安堵の表情を浮かべると胸を撫で下ろした。
「美子が震えてずっと泣いてたから、何かとんでもないことが起こったと思ってさ・・・。」
「柊さん・・・心配掛けてすいません・・。」
深々とお辞儀をする美子に、
「いや、気にするな。怪我とか誰かに何かされたとかじゃなくて本当に良かったよ・・・。」
と言い、満面の笑みを浮かべると優しく頭に手を置いた。
「しゅ・・うさん・・。」
小刻みに何度も震えていた体は、既にその震えを止めていて、美子の表情には明るさが戻っていた。
「けど・・・恐い夢見ちゃって寝れないなら、1人で寝させられないな・・・・。」
と、真剣な表情をして座りながら小さな声で呟く。
美子は柊の言葉を聞きとれなかったみたいで「?どうかしましたか?」と柊の顔を覗きこむ。
そんな美子に笑いながら柊は「じゃあ、今日は一緒に寝ようか?」と提案をした。
65 :
大切な物 5:2011/11/01(火) 21:38:42.91 ID:aHuRjLdQ
「え・・・・ふ、2人で・・・ですか?」
「そう。2人で。」
特に恥ずかしげな表情を見せていない柊に対して、美子は顔を真っ赤にさせていた。
そして、柊の隣でそわそわと落ち着かない素振をする。
「け、けど、だ、だ、誰か来たら・・・。」
「部屋に鍵掛ければ誰も入らないよ?」
「で、でも・・・わ、私・・・。」
2人で寝る。今まで数回、2人で寝る以上に恥ずかしい事をしたのに
何故か、一緒に寝るという事がそれらとは違った恥ずかしさを覚えさせる。
(ふ、2人でって・・・しゅ、柊さんのベッドで・・・ってことだよね?)
「2人」というワードがどんどん美子の頭の中を駆け巡り混乱させる。
そして、どんどん頭の中で変な映像が流れ体を熱くさせる。
色々と考え事をしていた美子は何か思いついたのか両手を広げて合わせる。
「あ、あぁ!わ、私が柊さんの部屋に布団を持ってくれば!」
その場で何度も頷く美子に柊が、「運んでる時、勇気に見られたら大変じゃないか?」
と冷静に美子がしようとした行動の危険性を指摘する。
「ぁ・・・そうか・・・。」
自分の中で名案だと思っていたのか、明るい表情だったのが、すぐにまた悩める表情へと変わった。
そして、ずっと美子の様子を見ていた柊が「そんなに嫌か?」と悲しげな表情で美子に言う。
柊の姿を見た美子は、どうすれば良いのかわからなくて慌てて言葉を発する。
「そ、そんな!い、い、いあ、いやとかじゃなくて・・・その・・・。」
「・・・・?」
「その・・・ふ、二人で・・・同じベッドに寝るのが・・・は、恥ずかしくて・・・・。」
だんだんと発する声を小さくして、自らの胸の内をさらけ出す美子。
そんな美子に「ふふふ」と笑みを零し笑う柊。
美子は「わ、笑わないでくださいよ!!」と言うと、頬を膨らませて柊を見つめる。
「はいはい。あ、もうこんな時間か。そろそろ寝ないとな・・・。」
柊は、美子の訴えを軽く流すと掛け布団の中に潜り込み、眠る準備をしていた。
「しゅ、柊さん!まだ話し終わってません!!」
「み〜こ?このままだと眠れないぞ?」
少し意地悪な言い方で美子を誘う柊。
美子は若干、やけくそになっていたのか、「わ、わかりました!」と顔を真っ赤にさせながら言うと、柊のすぐ横に潜り込んでいった。
66 :
大切な物 6:2011/11/01(火) 21:39:25.15 ID:aHuRjLdQ
かれこれ1時間。
柊さんと一緒に眠り始めてからもう既に1時間が経過していた。
確かに安心はできる。だから、状況的には眠れるはず。
けれど・・・・
天井を眺めていた顔を少し右に倒すと、そこには眠っている柊さんの顔が目の前に現れる。
「すぅすぅ」と静かな寝息を立てながら眠る柊さんがすぐ側にいると思うと、ドキドキして眠れない・・・・。
あぁ・・・・院長様。私はこれから如何すればいいのでしょうか・・・・。
再び天井に視線を戻した美子は目を瞑ると、掛け布団を顔まで掛けるとドキドキが鳴り止みと何度も祈った。
一方、柊自身は最初は眠っていたのだが、つい15分ぐらい前から目を覚ましていた。
ただ、美子がどういう反応をしてどういう行動をするかが気になっていたから
わざと眠っているふりをして、薄眼で美子の様子を眺めていた。
この15分間、そわそわした素振りで何度も自分の事を見てくる美子に愛おしさを感じていた。
柊が起きていることなど、分かるはずもない美子は掛け布団から顔を出し、柊の顔がある方に顔を向けていた。
暗いからばれることはないと思ったが、柊は美子の顔が自分の方に向けられると目を閉じる。
美子はずっと、柊から少し離れるような位置で横になっていたが、少しずつ柊へと体を寄せて行く。
そして、柊に近づくと「じー」っと穴が開くぐらい柊の顔を見つめる美子。
(柊さん・・・寝顔も優しい表情なんだなぁ・・・)
初めて見る大切な人の寝顔。
その寝顔は安心感を覚える事が出来る大人びた表情にも見えるし
まるで疲れ切った子供がぐっすりと眠っているようにも見えた。
そんな事を柊の寝顔を見て思う美子は「くす」と小さく笑う。
「・・・・何一人で笑ってるんだ?」
目を閉じて小さく笑っていた美子の耳に柊の声が聞こえる。
「え?」という声と共に瞼を開くと、うっすらと瞼を開いている柊の姿が視界に入る。
「しゅ、柊さん!?お、起しちゃいましたか!?」と驚いて、柊のいる方とは逆の方に体を動かそうとベッドに手を置く。
けれど、柊は美子の体がベッドから離れた一瞬に、左手で美子の左肩を掴み、動きを止める。
67 :
大切な物 7:2011/11/01(火) 21:40:09.37 ID:aHuRjLdQ
「動いちゃ駄目・・・。ね?」
柊のいつもとは違う少し高めの声に、美子は一瞬「ドキっ!」とし、持ち上げていた体を再びベッドに沈める。
「あの・・・柊さん?お、起しちゃいましたか?」
先ほどは咄嗟の事だったとはいえ、大きな声で発してしまったが、今度は小声で話す美子。
不安そうな表情で見つめる美子に、柊は真剣な顔をして「起きちゃったよ?」と少し機嫌悪そうに低い声で言う。
美子は、その言葉を聞くと「ご、ごめんなさい・・・」と弱弱しい口調で柊を見ながら言う。
そんな美子の様子を見て、真剣な表情からいつもの微笑んでいる表情に戻る。
「って言いたかったけど、実は結構前から起きてたんだ。」
「・・・え?・・・起きてた?」
柊の「起きてた」と言う言葉に首を傾げる美子。
そして、すぐにそれが何を意味するか理解し頬を赤らめる。
「お、起きてたって・・・・ずっと?」
「ずっとではないけど結構前から。」
「え・・私がそわそわしてたのは?」
「うん、見てたよ。」
「じゃ、じゃあ・・・わ、私がしゅ、柊さんに近づいたのも当然・・・。」
「気がついてたよ。すぐに目を閉じたから、何があったのかは分からないけど。」
・・・・・・・・は、恥ずかしい・・・・・・・。
ずっと私の行動を柊さんに見られてたって思うと顔から火が出そうになる。
うぅぅ・・・・。どうして、柊さんと2人っきりになるといつも、私が予想した以上に恥ずかしい想いをさせられるんだろう・・・・。
赤らめた頬を膨らませて、そっぽ向く美子。
「何か・・・最近、柊さんに意地悪され続けてる気がします・・・。」
「でも、本当に15分ぐらい前だよ?俺が起きたの。」
「けど・・・起きてるなら・・・起きてるって言って欲しかったです。」
「どうして?」
「その・・・・。ね、眠れなくて・・・話しがしたかったから・・・。」
ぼそぼそと小さな声でそう言うと柊の方を向き、掛け布団の中にある柊の右手首にそっと両手を添えて見つめる美子。
「話し・・・か。じゃあ、少しだけ話しよう?」
柊はいつもの微笑みを浮かべると、肩を掴んでいた左手で頭を撫でる。
美子はまだ少し頬を膨らませていたが、頭を撫でられると瞼を強く瞑り、柊の体に自らの体を密着させ、1回頷く。
68 :
大切な物 8:2011/11/01(火) 21:41:47.16 ID:aHuRjLdQ
今まで差し込んでいなかった月明かりが、窓から差し込んでくる。
おかけで、美子が部屋に入ってきた時よりも明るく、より鮮明に互いの姿を捉える事が出来るようになっていた。
「柊さんは、どうして・・・私の事を好きになったんですか・・・?」
抱き寄せられている美子は、柊の顔を見上げるようにして見つめていた。
「い、いきなりどうしたんだ?そんなこと聞いてくるなんて・・・。」
突然の美子の質問に、驚きを隠せない柊は、恥じらいを隠すために美子から顔を逸らす。
「えっと・・・その、柊さんみたいな優しい人だったら・・・
私よりも良い人とお付き合いすることだって出来たんじゃないかって思っちゃって・・・。」
それを聞くと、柊が視線を美子の方へ戻す。
その時、既に美子の顔は俯いていてその顔を見る事が出来なかった。
美子を選んだ理由か・・・・。
うっすらと開いた瞳をその場に残し、柊は自らの意識を「心」の中へと沈めて行く・・・
反応のない柊が気になった美男は、俯かせていた顔を再び柊の方へと戻すと
「柊・・・さん?」と途切れ途切れに柊の名前を呼ぶ。
「理由か・・・。」
ぼそりと小さな声をぼんやりと美子のいる方向ではなく、奥に広がる闇に向かって投げ放つとそのまま話を続ける。
「直感・・・じゃ駄目?」
「え・・・?」
「最初に何か具体的な理由があったわけじゃない。ここが良いとか、こういう部分が好きだとかはなかった。」
柊は、ずっと自らの部屋の扉を見つめて言葉を言い放っていく。
しかし、次の言葉を発する前に柊は視線を自分を見つめる美子へと移した。
「けど、初めて美子を「女性」として見た時、今まで感じた事のない感覚が胸に芽生えた。」
「感覚・・・?」
「うん。胸の奥底から湧き上がる熱い何かが・・・。
その時から、美子の事が好きになったんだと思う。他の誰でもない・・・・お前を。」
全てを言い終えると、美子に向けていた顔を微笑ませる柊。
けれど、その顔はすぐに赤みを帯び、抱き寄せていた手を離すと、
体ごと美子のいる方とは別の方へと向けられる。
そして、頭を掻きながら
「慣れないのに・・・こんなきざっぽい事言うもんじゃないな・・・・。」
と、照れながら美子に言葉を漏らす。
69 :
大切な物 9:2011/11/01(火) 21:42:21.85 ID:aHuRjLdQ
背中を向ける柊に、美子は目を瞑りながら笑うと「ふふふ」と笑い声を漏らした。
柊は変なこと言ったのかと思い、「そ、そんなに笑うなよ。」と少し恥ずかしそうな声で言う。
「す、すいません。だって、柊さんが顔真っ赤にしてるのが子供みたいで・・・」
笑いを止めると、少しだけ零れる涙を拭きとるとそのまま言葉を繋げる。
「けど、私もその気持ち・・・わかります。」
「え・・?」
「その・・・柊さんの・・直感って・・・。」
美子に背を向けていた体を戻し、美子の方へと視線を向ける。
美子は、視線を逸らす前と何も変わってはいなかった。
そして、美子と目が合うと美子は微笑みを浮かべる。
「私も・・・最初、具体的にどこって言うわけじゃなかったから・・・・。」
「美子・・・。」
「けど、柊さんに告白されて・・・私自身、柊さんと同じ気持ちになりました。」
言い終わると顔を俯かせ、そっと柊の右手首を掴んだ美子。
その手は強く、絶対に離さないという意志を体現させているかのようにも感じられる。
柊は、左手でそっと美子の手を離していくとそのまま左手で離れた手を捕まえる。
一瞬、体が震えるのを美子の手を伝って感じる。
それだけじゃない。美子の温度が、美子の鼓動が、全てがこの手から伝わってくる。
そして、それら全てを俺は離したくないと思う。
一生、誰にも渡したくないと何度も心で思っている。
こんなにも、人は人を好きになれるんだ・・・・。
手を握られて、美子は俯かせていた顔を見上げる。
そして、柊は握っていた手をゆっくり離し、上半身を起こしてベッドサイドによしかかる。
手と手が離れる瞬間、美子の指が離れて行く自分の手を追い求める様にも感じた。
不安そうな表情をして、握っていた手を柊の方へ突き上げて「しゅう・・・さん?」と寂しさが籠った声で呼ぶ。
70 :
大切な物 10:2011/11/01(火) 21:43:51.36 ID:aHuRjLdQ
「・・・・美子・・・受け取って欲しい物があるんだ。」
横になる美子の体を起こし、ベッドサイドへよしかからせる柊。
そして、ベッドサイドに置いてあった赤くて小さな箱を美子の目の前に持っていく。
「受け取って・・・欲しい物?」
柊の顔を一度見てから、目の前に現れた箱をずっと見つめる美子。
「この前言ったご褒美・・・覚えてる?」
美子は柊の言葉に首を傾げると、頭の中の記憶を片っ端から掘り起こす。
そして、その言葉が練習室での出来事の際に言われた事を思い出し小さく頷く。
「あの時、ご褒美って言い方しか思い浮かばなかったんだけどプレゼントって言う方が良いかな・・・。」
そう言うと、柊は手に持っていた箱をゆっくりと開く。
「うわぁ・・・綺麗・・・。」
箱の中からは、月明かりによって銀色に輝いている指輪が入っていた。
美子は柊から箱を受け取ると指輪全体を見渡す。
そして、ふと美子の視線が中央に輝く宝石のある部分を映す。
よく見ると、その宝石が埋め込まれている部分をよく見ると星型の窪みの中に埋め込まれていた。
それだけではない。その星の右斜め上の方からも、更に小さな宝石がまるで流れ星の軌跡を描くかのように並べられていた。
「しゅ、柊さん・・・・これって・・・。」
「そ、その・・・美子が星が好きだからって言うのと・・・もう一つ、理由があって・・・。」
そこで柊の言葉が止まる。
両手で箱を胸の辺りで持ちながら、柊の顔を美子は見上げたが、一方の柊は視線を斜め上の方向へと向けていた。
けれど、すぐに視線を美子の方へ戻し、小さく一息吐くと美子の名前を呼ぶ。
「まだ先の話だし、気が早い気もするから、今渡しても仕方ないのかもしれない。
けど、美子には俺の気持ちをずっと持ってて欲しいと思って・・・・。」
「柊さんの・・・気持ち・・・?」
美子が持っていた箱を閉じ、それを両手で包み込むように持つと柊の両手がそっと、美子の両肩に添えられる。
一瞬、添えられた手に目を向けた後、美子は黙って柊の顔を見つめる。
71 :
大切な物 11:2011/11/01(火) 21:45:18.30 ID:aHuRjLdQ
数秒ほど2人の間に沈黙が広がるが、両肩に添えられていた柊の手がゆっくりと離れ
指輪の入っている箱を持つ美子の手に重なる。
「俺の想いはずっと、美子にある。今も、これからも・・・ずっと。」
「しゅ・・・柊・・・さん?」
美子の手に重なる柊の手の力がだんだんと強くなっていく。
しかし、美子はそれに気がつかず、ただ柊から視線を逸らすことなく見つめ続ける。
「だから・・・俺の想いが籠ったその指輪を・・・持っていて欲しいんだ。
例え、どんな事があっても・・・。俺の気持ちはその指輪に全て込めたから・・・。」
「しゅ、柊さん・・・それって・・・。」
柊の言葉が何を意味するのか。鈍感な美子でもすぐにその答えに辿り着く。
その答えに辿り着いた美子は、突然すぎることでおろおろとして驚きを隠しきることが出来なかった。
そんな美子に真剣な表情をしていた柊は、いつも通りの笑顔に戻ると
「さ〜て、もう夜も遅いから眠ろうかな・・・。」
と、赤らめた顔を見られないようにするかのように再び布団の中へと潜っていく。
美子は、慌てながら
「柊さん!あ、あの・・・わ、私も・・!」
と、自分の想いを言いきろうとしたが、柊の反応は既になかった。
ただ、目の前で目を閉じて横になっている柊の姿があるだけ。
「もぉ〜!柊さん!!私の話も聞いてください!!」
と、心の内を全て述べようとしていたが聞いてもらえなかったため、頬を膨らませて柊の方を見る。
しかし、少しすると怒っていた表情が微笑身に変わり、「・・・ふぅ。」と息を漏らす。
その後、自分の手の中にある箱を開き、指輪を取りだした。そして、その指輪を左手の薬指へとつける。
指輪は美子の薬指にぴったりとはまり、
月明かりを浴びさせると、きらきらと夜空に輝く無数の星々に負けないぐらいに輝いて見えた。
そして、その指輪を見ながら「私の気持ちも・・・ずっと・・・変わりませんから・・・。」
と言うと、眠っているふりをしているのだろう柊の方へと顔を向け「にこり」と笑みを浮かべた。
その言葉を言った瞬間、目を閉じている柊の顔が少し微笑んだように美子には見えた。
指輪を指から取り、元あった箱の中へと戻すとベッドサイドに置き、美子も柊の眠るベッドの中へと潜り込む。
「柊さん・・・おやすみなさい。」
美子は、柊の寝顔にそう言うと布団の中にある柊の手を握り、瞼を閉じて眠りに就く。
それから、2人は1度も目覚めることなく朝まで眠り続けた。
しかし、その眠っている間二人の手は離れることなく、ずっと握られ続けていた。
まるで、互いに互いの事を愛し続けるという気持ちが表れているかのように、朝までずっと握られ続けたのだった。
以上で本当に終わりです。
流石に、もうDT柊さんのネタが思い浮かばない;;
そして、最後まで長文&駄文で申し訳ありませんでした!
それでは、失礼しました。
>>72 DT柊さん、エロ成分控えめですね。大人しく添い寝したんだ。驚いたな。柊さんが勇気と廉さんのラブアタックwから
美男を守り切りますように、せめてこの話の中だけでも。
一応テンプレ読んだけど質問いいですか?
タイトル必須?
ゴミ付きOK?
NGワードは?
以上です。お願いします。
>>72 GJ!ご褒美はそれかぁ〜
てっきりエロい方向のご褒美かと思ってたぜ、一応エロパロスレだしねw
柊さんが幸せになってくれてちょっと泣けたよ…
>>74 まとめサイト作ってる側からすると、タイトルあったほうが管理しやすくて
嬉しいです。
>>76 タイトルあった方がいいんだね!
あとは気にしなくていいのかな?ありがとー
まとめ管理人さん、いつもありがとうございます!
私も投下する時作品にできるだけタイトルつけるようにします。
しかしなんか書くネタ探し中。皆さんの萌えシチュとかあれば教えてほしいっす。
>>72 GJ!!めちゃくちゃよかった!このまま幸せがいつまでも続きますように…
>>75 実は、最初の時はご褒美=エロ系だったのですが
指輪エピ入れたら見事にエロ消えました;;
誠に申し訳ない・・・。
幸せで爽やかな柊さんのはずなのに
思いを込めた指輪と聞くと呪いの指輪…を想像してしまったW
DTでもエロいことしてなくてもやっぱSっぽさがでてしまう柊さんw
面白かったのでまた書いてください!
あっちのご褒美もし浮かんだら読ませて下さい
つか、読みたいです〜www
>>78 ノーマルすぎるけど、デレデレな廉さんが見たいです。
廉さん達に双子が生まれ
こどもに美子を取られて
拗ねる廉さん
やたらと双子の女の子の方を可愛がる柊さんw
とかみたいです。
86 :
HEART 26:2011/11/02(水) 20:14:31.11 ID:GC2TQ5Gz
美男がNANAの頭を胸元に引き寄せて抱きしめた。
ドクンドクンドクン…。
美男の速い鼓動がダイレクトに伝わってくる。
「NANA…こっち向いて」
美男はNANAの顎を指でクッと持ち上げ、ゆっくりと唇を合わせた。
「ん…」
またあの感覚。少し遠慮がちとも思えるくらいの優しい口づけ。
目を閉じたままゆっくり、何度も何度もついばむように唇を合わせると、シャンパンのほのかに甘い香りが鼻の奥をくすぐる。
「NANA、もう一度聞かせて。俺のこと…好き?」
「…好きよ」
「本当に?」
「本当だってば…。ねぇ、もっとキス…して…」
美男の指がNANAの髪を耳元から掻き上げる。
さっきまでとは違う、熱を帯びたキスに変わった。
「は…んっ……ぁ…」
息ができないくらいに激しく唇を、舌を求め合う。
頭の芯が痺れておかしくなりそう…
「ん…美男、もう…ここじゃ嫌…」
「俺も…そろそろヤバいみたい…」
美男がNANAの身体を抱き上げ、ベッドまで運んで行った。
87 :
HEART 27:2011/11/02(水) 20:16:33.27 ID:GC2TQ5Gz
ドサッとベッドに下ろされ身体が弾む。
美男がジャケットとインナーを脱ぎ捨て、上半身を露わにした。
時計と指輪を外してサイドテーブルに置くと、NANAを抱き起こしベッドの脇に立たせる。
腰に両腕を回し、NANAの身体を柔らかく抱きしめた。
初めてNANAを意識したあの夜。ひとりで欲望を募らせていた。
「ずっと、こうしたかったんだ…」
耳元で囁くと、また息苦しくなるようなキスを繰り返した。
唇を貪りながら、NANAが羽織っていたカーディガンを床に落とす。
ワンピースからのぞく胸元のラインが柔らかくて艶めかしい。
首筋に舌を這わせながら小さなペンダントを外し、背中に手を回してワンピースのファスナーをゆっくり下ろした。
着ていたものを脱がされ、舌で首筋や鎖骨をなぞられると足に力が入らなくなってベッドに座り込んだ。
美男の指がブラのホックを外していく。
窮屈に押さえつけられていた胸がぷるんと弾んだ。
ベッドに仰向けに倒され、美男が上に跨がってきた。
「すごく、きれいだ…」
耳元に吐息混じりの囁き。首筋に熱い刺激を感じて小さな声が漏れる。
「ぁん…」
NANAの声は可愛い。鼓膜をくすぐる甘い刺激に、下半身が疼く。
上気して赤く染まった肌に指を這わせると、そのラインが一瞬だけ白く浮かび上がってまた色を取り戻す。
鎖骨、肩、腕、胸…
滑らかで、弾き返されるような感触に夢中になる。
美男の指が身体中を這う。
触れられるたびに背中がゾクゾクして、身体の中心が熱くなる。
敏感になった胸の先に美男の唇を感じると嫌でも固く尖ってしまう。
美男の指と舌がそこを離れようとしなくて、じわじわと押し寄せてくる快感から逃れられない。
>>80 GJ! エロない柊さんですが、基本・エロ魔王なので柊さんなら何もしなくてもベッドに一緒にいるだけで、美男が妊娠しちゃいそう。
>>78 美子と付合ってた昔の同級生が、美男(♀)と廉さんに、美子への思いを告げて、廉さん(と柊さんも?)が
ヤキモキするエピがあったけど、日本ドラマではカットだったので、ぜひ、エロパロで再現おながいします。
ところで
>>74さんの『ゴミ付』って何?
89 :
HEART 28:2011/11/02(水) 20:18:37.96 ID:GC2TQ5Gz
「んやっ…ぁん、や、みおっ…」
NANAが首を振って悶える。
もっと…もっと声が聞きたい。俺の名前を呼んで欲しい。
ここに触れたら…NANAはどうなってしまうだろう。
みお…
身体中が、あなたを求めて神経を研ぎ澄ます。
いちばん感じるところを擦る指先に、身体の震えが止まらない。
「NANA…すごく濡れてる…」
「ぅん…だって、みぉ、ぁん…あ…そ、こっ…」
「もっと…いいかな…」
指を中に入れた。
ぬるっとした熱い感覚。この場所でしか味わえない。
なんで俺こんなことしてるんだろう。
なんでNANAはこんなになっちゃってるんだろう。
NANA…気持ちいい…?
なんで私、こんなになっちゃってるの?
なんで美男は、私をこんなにおかしくさせるの?
「ん…み、ぉ…、やだっ…や…ぁ」
いやだ。でも、いやじゃない。逃げたい。でも、感じていたい。
美男…すごく、気持ちいいよ…。
でも、まだ足りないの。もっと、もっと欲しい…。
NANAの中が、まるで美男の指が離れるのを拒むように締まる。
90 :
HEART 29:2011/11/02(水) 20:20:39.18 ID:GC2TQ5Gz
「俺、もう…もっと…」
「ん…あたし、も…いっ、ぃや、ぁ、はっ…やぁんっ」
NANAに軽い絶頂が訪れた。
「…ぁ…っ…」
NANAが身体を震わせている隙にデニムと下着を脱ぎ捨てる。
そうだ、柊にもらったやつ…
ベッドの縁に腰掛けて包みを口で引きちぎり、着けようとしたら後ろからNANAに腕を掴まれた。
美男の腕を掴んだまま、NANAが首を振る。
「え…?」
想像以上に強い力で引っ張られてバランスを崩し、美男はベッドに仰向けになった。
「…みぉ…まっ、て…」
「うぁっ…!」
NANAに握られて、鋭い快感が頭を突き抜けた。
美男の手の中から小さなものを奪う。
本当は邪魔なものだけど、最後の最後までずっと一緒にいたいから、いい。
指と口で、固くなった美男に被せた。
「んぁっ…くっ…」
なんだよこれ。
ヤバすぎる。
「みお…はやく…」
NANAの目も、声も、無防備な身体も、心も、全部。
「好きだ…NANA…」
91 :
HEART 30:2011/11/02(水) 20:22:41.37 ID:GC2TQ5Gz
身体を起こしてNANAを強く抱きしめ、まるで噛みつくように乱暴なキスをする。
歯が当たるのも構わない。止められない。
夢中になってNANAを押し倒す。
「はぁっ…ん…、みお…もう…」
「…いくよ…」
「ん、ぁっ…はぁ…んんっ」
「…あ、…くっ」
こんなに、気持ち良かったっけ…セックスって。
緩やかに腰を動かすたびに快感が背中を走る。
こんなに、気持ち良かったかな…セックスって。
ゆっくりと突き上げられるたびに波が押し寄せる。
「ぁん、はっ、あ、あんっ、ふっ…ん、ん、あ、やっ…ぁ、んっ」
美男が少しずつ速いリズムを刻み始める。
NANAの声のトーンが高くなり、止まらなくなった。
もう何も考えられずに夢中で繋がり続け、スピードを上げる。
「あ、んっ!ん…み、ぉ、あっ!あ、いや、やぁっ、あ!ん、みお、っ…!」
NANAが背中を緊張させると、美男も熱いものを吐き出した。
乱れた呼吸が整うまで、繋がったまま快感の波に身をゆだねる。
熱はなかなか引きそうになくて、このまま漂うことにした。
「ね、こうしてると、あったかくて気持ちいいね…」
足を絡めながらNANAが囁く。
「うん…しばらく、このままでいようよ…」
92 :
HEART 31:2011/11/02(水) 20:24:48.76 ID:GC2TQ5Gz
ほんの少しのまどろみから目が覚める。
隣にいるNANAは、浅い夢の中にいるようだった。
目の前に、大切な人の顔がある。
なんて幸せなんだろう…。
美男がNANAの髪をふわりと撫でる。
「ぅん…」
ふっと目が覚め視線を上げると、美男が優しく微笑んでいる。
目の前に、大切な人の顔がある。
なんて幸せなんだろう…。
「美男…大好き…」
「俺も…」
そっと唇を合わせる。
「ねぇ美男、もう…お腹いっぱいになっちゃった?」
「え…」
NANAが甘えた声で聞いてくる。
正直、すげー腹減ってるけど…。
NANAの言葉は、どうやらそういう意味じゃないらしい。
「まだ。もっといっぱい食べたい…」
後で、柊に何かお礼しないといけないな…。
もう1つ残っているプレゼントの存在を思い出しながら考える。
「…どうかした?」
「いや、何でもない…」
「ん…」
2人はもう一度優しいキスから始めて、甘い感覚に落ちていった。
93 :
HEART 32:2011/11/02(水) 20:26:50.37 ID:GC2TQ5Gz
―
後日。スタジオにて練習中のA.N.JELL。
曲合わせが一通り終わり、廉がペットボトルの水を飲みながら休憩していた。
壁際の椅子に座る廉の所に勇気がこっそりやってきて、ひそひそと小声で話し出す。
「ねぇねぇ廉さん、柊さんから聞いたんだけどさ…」
「ん?」
「こないだの夜、美男帰って来なかっただろ?」
「ああ」
「あいつあの日、NANAのところに行ってたんだって。おまけに柊さんにもらったゴム、2つとも使ったらしいぞ」
「は?ゴムって…?」
「ちょ、鈍いな廉さん!コンドームだよコ・ン・ド・ー・ムっ!」
ぶっ!ゲホッ、ゴホ、ゴホッ…
廉は口をつけていたペットボトルの水を吹き出した。
「おい廉、大丈夫か?」
「何やってんだよ…」
キーボードの所で話していた柊と美男がちらっと廉のことを気にしたが、またすぐに2人の会話に戻る。
「なんか信じらんないよな〜。あいつマジで手ぇ早いんだな。びっくりした」
「…ゴホッ…、2つ、だぁ?」
(…俺なんかまだ1個も使ったことねーぞ…、くそっ)
「よく考えたら柊さんもエロいな、人にあげるほど持ってるなんてさ。俺なんか最近ぜんぜん買ってないのにな〜。あーうらやましい!」
よーし、美男にどんなだったか聞いてこよっと!…なんて、お気楽な調子で勇気が美男の方に行った後。
美男の顔を見て、美子を思い出す。
(休みが取れたら…アフリカにでも行ってみるか…)
ペットボトルの水を飲み干して立ち上がった。
「よし、休憩終わり。続き始めるぞ」
以上で終わりです!
長々とお付き合いいただいてありがとうございました。
後日談はオマケなので、読み飛ばしていただいて結構ですw
>>94さん、
GJ! 途中で変なレス入れてしまって済みませんでした・・・
NANAが呼ぶ、「みお」って、平仮名だと可愛さ倍増ですね、美男は手が早い、本能で動く野生の男ですかね。
後日談も良かったよ、廉さんがアフリカに行く時も柊さんは同じプレゼントするのか、気になるw
>>94 GJ!
本当にNANAかわいいなあ、美男もかわいい〜
いやあ、幸せになってくれてよかった
後日談も読み飛ばしてなどやるものかw
他メンバーもすっごくかわいいから、絶対読むぞw
廉さん、アフリカ行け行け!ww 多分柊さんくれないから、自分で買えよw
かわいいお話ありがとうございました!
>>78 美子に迫るも天然ボケにやられて
上手く自分のペースに持ち込めない柊さんとか
>>94 GJ!お疲れ様でした。
最初から改めて読み直しちゃったよ。
(まとめさん、本当にありがとう。感謝してます。)
上手いなぁ〜脇キャラもいい味出してるし。
しかし、2コにそんな意味があったとはw
私も柊さんは廉さんにはあげないと思うw
おそらく業務用100コ入とか買い置きしてると思うけどwww
>>94 二人のやりとりに胸が熱くなりました!
そして、柊さんから渡された2つとはまさか2回戦を示唆していたとはw
後日談、しっかり読みました!
廉さんのリアクションに笑わせていただきましたw
まだDTだったのか・・・w
GJ&本当にお疲れ様でした!
息抜きがてら作品投下させていただきます。
一応、前スレ641-642の続きというつもりで書きましたが、あんまり繋がってる要素はないかも・・。
前半部分は柊さんと廉の会話で、後半部分は美男×勇気となっております。
100 :
憧れ 1:2011/11/02(水) 22:31:45.48 ID:EV4LrwlY
テレビ局の控室でA.N.JELLメンバーは、次の番組の収録まで休憩を取っていた。
控室では、柊と廉が色々な話をしていた。
「ふぅ・・・。今日もなかなかハードだなぁ・・・。」
「そりゃ、新曲披露やらライブの打ち合わせやら同時に重なれば忙しいのも当たり前だろ?」
「まぁ、忙しいのは嫌いじゃないから良いけどさ。」
廉の「忙しい」と言う言葉に、得意げな表情をしている柊。
その表情に、「ぴくり」と眉を動かした廉は柊を見ると
「ほぉ〜。それじゃあ、もっと仕事増やすか?」と言う。
「い、いや・・・遠慮しとくよ。廉から頼みごとされて簡単に終われた事ってないから・・・。」
柊は苦笑いを浮かべて、廉に言葉を返すと「仕事なら山ほどあるからいつでも言えよ?」と言うと、不敵な笑みを浮かべた。
ここ最近、A.N.JELLメンバーの仕事の多さは尋常じゃない。
新曲披露。1週間後に迫るライブの打ち合わせや楽曲の最終仕上げ。その他盛りだくさん。
メンバー全員が忙しかったが、ずば抜けて廉の仕事の多さは他のメンバーとは比べ物にならないほど多かった。
そのせいか、最近は美子ともろくに会話できていないようだった。
だから、柊の「忙しいのは嫌いじゃない」と言う言葉に過剰反応したのだと思う。
「はっは・・・。」
柊は何か、踏んではいけない爆弾を踏んでしまった事を悟り苦笑いを続ける。
けれど、控室全体を見渡すと違和感を感じ「そう言えば、勇気と美男は?さっきからいないようだけど・・・。」
と話を逸らすように廉に告げる。
話を切り換えられて「むす」と表情を曇らす廉だが、すぐに控室内を見渡す。
部屋の扉に目を向けた後、再び横に座っている柊に視線を戻し
「知るかよ。俺はあいつらの保護者じゃないんだぞ?」と言い放つ。
しかし、柊は話を振っておきながら廉の言葉をあまり聞いていなく
「まぁ、トイレかどっかに行ったんだろう。」と首を傾げて言う。
その後、しばらく部屋に沈黙が漂った。
101 :
憧れ 2:2011/11/02(水) 22:32:49.39 ID:EV4LrwlY
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・おい。」
先に沈黙を破ったのは廉の方だった。
柊は廉に「ん?どうした?廉?」と素の表情で廉に聞く。
「・・・何か・・・喋れよ・・・。」
「・・・・え?」
「話すネタ・・・ないんだよ・・・。」
ぼそぼそと小さな声で何やら色々と言葉を並べている廉。
そんな廉に「くす」と笑う柊を見て廉は、「な、何笑ってんだよ・・・。」と横目で柊を見る。
小さな笑い声を出し続けていた柊は、「す、すまん・・・。ちょっと意外だったから・・・。」
と、廉の顔とは逆の方向を向き、腹を抱えて笑い声を堪えていた。
「わ、悪かったな!意外な事しちまってよ!」
顔を真っ赤にさせて、大声で柊の方へと声を出すと「たく!」とそっぽを向いた。
柊は笑いながらも、廉のこの2年近くでの変化を嬉しく思っていた。
今まで廉はあまり感情的にならないというか、自分のありのままを他人に見せるような奴じゃなかった。
それが、美子と出会い、少しずつ自分に素直になり、メンバーともコミュニケーションを取るようになって・・・。
そんな事、A.N.JELLが出来たての頃の廉からは想像も出来なかったのに、
その想像すら出来なかった「桂木 廉」が目の前で見れて、柊は何だか嬉しく思えた。
こんな最高のバンドでこれからもずっとずっと・・・何十年も色々な物を積み重ねていければと、柊は廉を見ながら思っていた。
笑い声を止めると、柊はそっぽを向く廉の方に視線を移し
「廉・・・・。」と改まった表情で言葉を投げる。
先ほどとは違った声に、廉は柊の方を向き「な、何だよ・・・改まって・・・。」
と困惑した表情を浮かべる。
柊は廉の前に右手を出すと、「これからもよろしくな。」と力の籠った声で廉に言う。
「・・・お、おぅ・・・。」
状況の分かっていない廉は、差し出された右手に自分も右手を差し出すと、1度だけ強く握手を交わした。
握手をしていた手を解くと柊は
「そう言えば、美子とは最近どうなんだ?」と唐突に話を切り出す。
「は、はぁ!?な、何でそんな話になんだよ!?今日のお前、何か変だぞ?」
突然、美子の話しに切り替わったせいか、顔を真っ赤にして柊に「ぎゃーぎゃー」と文句を言い続ける廉。
二人の騒がしいやり取りは勇気と美男が帰ってくるまで続いた。
102 :
憧れ 3:2011/11/02(水) 22:33:20.93 ID:EV4LrwlY
一方、勇気と美男はA.N.JELLの控室のある
通路の突き当たりにあった休憩所のガラス張りから、二人並んで外の景色を眺めていた。
「・・・・・・・。」
「ん?どうした美男?元気ないぞ?」
ぼんやりと暗がりに輝く建物の明りを見つめていた美男の目の前で、何度も手を振って反応を待つ勇気。
しかし、語りかけても何をしても反応を示さない美男に勇気は
「お〜い!桜庭美男〜!!起きてるかぁ〜?」と耳元で大きな声で言う。
流石に気がついたのか、大きな声に耳が「き〜ん」となった美男は耳を手で塞ぐと
「そんな大きな声出さなくても聞こえてる・・・。」と呆れた表情で勇気を睨む。
しかし勇気は、「んだよ!その大きな声出すまで何一つ反応しなかったくせによ!?」
とぶーぶーと頬を膨らませて文句を言う。
勇気が何をしていたかよく覚えていない美男は、「え・・・何かしてたのか?」
と、つい思いを言葉として表してしまう。
「はぁ・・・やっぱり聞いてないのかよ!!」
「いや・・・その・・ごめん・・・。」
若干機嫌を損ねている勇気に謝ると、どうして良いか分からずに窓の外へと視線を逸らす。
けれど、勇気はその場で「ふぅ」とため息をつくと
「何かあった?珍しく声掛けても何しても反応なかったからさ・・・。」と美男を心配した。
「・・・いや・・・特に何かあったわけじゃなくて・・・。」
いつもの癖か、帽子を深くかぶろうと頭に手を当てるが今はステージ用の衣装。
そのため、帽子など被っているわけもなく、その手が空を掴むように何度か開いて閉じ手を繰り返し、美男は上を見上げる。
「ぷ!」
美男が空を掴む姿に声を漏らす勇気。
その勇気を「む」とした表情で美男は睨んだが、笑っている勇気の姿を見てなんだか複雑な気持ちになる。
な、何でだよ・・・。この前から何でこいつの事ばかり意識してんだ・・・俺・・・。
無邪気に笑う勇気の姿を見て、熱くなる自分自身に戸惑う美男。
心臓の鼓動はその姿を見るたびに高鳴り、正常な判断が出来なくなる。
何がどうなっていくのか分からなくなる。
勇気の笑っている姿を見ていた美男は、その場で顔を俯かせた。
笑っていた勇気は、美男のそんな姿を見ると少しずつ笑いを抑えて行く。
「み・・・美男?ど、どうした・・?」
「・・・・・」
「ご、ごめん。笑いすぎたか?」
「・・・・・」
美男の反応がなく、困り果てた表情をして辺りを見渡す勇気。
「えっと・・・その・・・。」
美男の横でおろおろとしている勇気の姿を横目で見ていた美男は、小さな笑い声を発する。
「み・・・美男・・?」
「・・・・・面白い・・・」
「へ・・・?」
美男の突然の発言に訳が分からなくなった勇気は、首を傾げて美男を見る。
そんな勇気を、美男は残すように何も言わずに後にする。
「お、おい!美男!たく、訳分かんねーの・・・・。」
一人、控室へと向かう美男の姿を微笑んで見ると
「待てよ!美男!」と言いながら、勇気も美男の後を追うようにして向かった。
・・・憧れ。
今はそういう風にしておこう。
俺も、あいつみたいに素直に笑ったり、泣いたり、怒ったり・・・・。
出来るようになりたいな・・・・。あいつみたいに・・・・。
そんな事を考えながら、美男は後から来た勇気に見えないように笑みを零した。
以上で終わりです。
それと、昨日投下したDT柊さんの話になるのですが
最後と言っておきながら、エロご褒美について話が出たので
相当時間がかかるかもしれませんが書かせていただきます。
終わる終わる詐欺及び無駄な報告申し訳ありませんでした。
>>94 GJ!萌えすぎて剥げそうw
NANAを立たせて抱きしめるところがめちゃくちゃツボ!うまいわぁ。
>>99 後ほどゆっくり読むぜ!
>>103 エロご褒美くびを長くして全裸で待ってますw
>>78 萌シチュかぁー…柊美子でこんにちは赤ちゃんネタかなw
>>63 >「勇気さんは、さっきまで元気に動き回っていたんですが
↑なんてワンコ的表現www ツボりました。
>「廉さんも、少し大きめな荷物を持って出て行きました。
↑どこ行ったwwこの世界の廉さんはどなたかいい人がいるのか…??
やっと、最新作までまとまったー。
タグも動くようになったし…でも携帯からは見にくいかも。
>>88 ここでそれは聞かない方がいいと思う
大人しくググりなさい
>>103 廉さんと柊さん、いい関係だなー。
こんな2人の下でのびのびやってる美男と勇気の年下組もまた微笑ましい。
お疲れ様です。
萌えるかどうかわからないけど、DT勇気とか。
DT柊さんがありなら勇気もありってことでw
たぶんDT勇気と美子ならすごくかわいいだろうねww
みんなの萌えどころ、私もそういうの全部読みたいw
でも書くときってドラマの内容上、廉美子がテッパンすぎて廉と美子の他の
カップリングをなかなか書き出せないなぁ…。どういう時系列なのかとか考えすぎて。
それはそれで別の世界だと考えて割り切るしかないかー。
柊さんと美男がいい感じで何かいいことしてて、それを廉さんが目撃する話がみたい。
偶には廉さんにも目撃させてあげてw
廉さんは柊さんみたくしょんぼりして顔色悪くするんじゃなくて、ヒステリー起こして美男に逆切れかなw
こんな時間にすみませんが、投下させてください。
カプは廉×美子でちょいエロありますが、本番はありません。
アフリカに行く前にちょっと時間があって、結ばれてから4,5回めの朝…的な感じです。
前にあった朝の2人があまりに可愛かったので、拡大版みたいな感じで書いてみました。
タイトルは「夜明けごろ」で。
ちょっと長いですが、次から投下します。
114 :
夜明けごろ:2011/11/04(金) 18:14:55.47 ID:sT/LTFrQ
瞼に感じる空が、目を瞑ったままでも分かるほど明るくなった。
美子はうっすらと目を開ける。
ホテルの大きな窓の外は、日の出前のうす紫色へ向かう途中の空だった。
「ん・・・」
ゆっくりと視線を隣に向けると、廉が目を閉じたまま寝息を立てている。
(ふふ・・・廉さん、こどもみたい・・・)
初めて寝顔を見た日からちっとも変わらない。
まあ、ふたりですることはだいぶ変わったのだが・・・
少し体を起こして廉の顔を眺めていた美子は、前の晩のことを思い出してふるふると顔を振った。
(だめだめ、顔見ると恥ずかしくなっちゃう・・)
投げ出されている廉の手に目をやる。
昨日あんなに乱されたのは、なんといってもこの指のせいだ。
(もーう・・)
白くて細長い指にそっと触れる。
触れた瞬間、鼓動が大きくなる。
(あーだめだめだめだめ!ドキドキする!!)
初めて手を取られた時のドキドキがよみがえる。
(シャ、シャワー浴びよう)
気づけば昨日の夜のまま、ふたりとも何も着ていない。
美子はそっと素足を床に下ろした。
床に散らかった服をベッドの端に乗せる。
(廉さん、最近脱がすのうまくなったよね・・・)
そう、女物の下着を取る手つきに戸惑いがなくなった。
前の晩にそのことをふと廉に言ったら、首まで赤らめて
「あほか!変なとこに感心すんな!」
と言いつつ、口の端を上げて得意げな表情になっていた。
なんて思い出すだけでも恥ずかしくて身が竦む。
人間がいちばん恥ずかしいのはこんな時間かもしれない。
美子は両手で顔を包んだまま、そそくさとシャワールームへ向かった。
115 :
夜明けごろ:2011/11/04(金) 18:15:42.49 ID:sT/LTFrQ
日の出まではもう少し時間があるらしい。
照明をつける気にもなれず、窓からのうす明かりだけで美子はシャワーを浴びた。
温かいお湯で、甘い夜が流れていく気がする。
「っ・・ふふ・・・」
昨日の夜を思い出して、美子はくすぐったいような気持ちになり、思わずにやけた。
ようやく廉を受け止められるようになってきた、気がする。
感じるとか、気持ちいい、とかも分かってきた、気がする。
それに・・・
これまでは廉に身を委ねてきたけれど、昨日は初めて、自分から、少しだけ、求めてみた。
「廉さんが、欲しい、です」
今は絶対に言えない、思い出すだけでも恥ずかしいけれど、昨日は薄暗い中で廉の素肌の胸に頬をつけて(目を見たら言えそうにないので、)そんなことを言ってみた。
その時の廉のピクリとした緊張、見上げた時の廉の表情、「み・・美子?」と言った上ずった声、ひとつひとつが鮮明に思い出せる。
そして・・顔をうずめてそれを口に含んだ時の廉の
「・・・ぁ・・」
という喘ぎももちろん、耳に残っている。
「え、あの・・・男の人のを、ですか?」
それを聞いたのはRINAを手伝って衣装倉庫の整理をしているときだった。
さすがに口に出せず、赤くなってしまった美子にRINAはうんうんと頷いて、
「あーやっぱりやったことないわよね、廉も(DTだったし不器用そうだし)させなそうだもんね〜」
「いや・・あの・・」
「美男(は結構遊んでそうなのに)と兄妹でそういうこと話さなかった?」
「は、話しませんよ!お兄ちゃんとは修道院に入ってから会ってなかったし・・・」
「そうよねー、シスターだったんだもんね、ごめんごめん、変な話しちゃったわね」
RINAは笑って、視線を衣装に向けた。
美子も衣装を手にとったのだが・・
「でも・・それって男の人は気持ちいいんですか?」
RINAは待ってましたとばかりに棚に手をついて、キメ顔で振り向いた。
「かーーなーーりーー、ね!!」
「り、RINAさん・・・」
気がつくと口に出していた。
「やり方、教えてください!」
RINAは感に堪えないというように激しく首を振った。
「まっっっかせっなさーい!!ああん、ほんと美子は可愛い子ねー!あんたとこういう話ができるようになるなんて、姐さん嬉しい!!」
116 :
夜明けごろ:2011/11/04(金) 18:17:03.79 ID:sT/LTFrQ
というわけで、さすがにいざそれを前にすると少々怯んだが、
「いつも私ばっかり、先に訳わかんなくなっちゃうから・・お返しです!」
意を決して懸命にやってみた、のだけれど。
「・・美子」
そんなに時間もたたないうちに廉が肩に手をかけてきた。
「廉・・さん・・?」
口を離して廉を見上げると、
「あ、も、もう、いい・・」
(やっぱり・・あまり気持ち良くなかったのかな)
口を開いて顔にシャワーを浴びせながら、美子は思った。
シャワージェルの花のような香りに包まれ、白いバスローブを着てシャワールームから出た。
(お水飲もうかな・・・)
窓から見える空は先ほどよりも少し明るくなったけれど、まだ日の出前の青白さだ。
白く光る星がいくつか散らばっている。
ペットボトルとグラスを冷蔵庫から出し、窓から空を見上げる。
(修道院にいた頃は・・もうミサに行かなきゃいけない時間・かな・・)
ついこの間のことなのに、すごく遠くに感じる。
(こんな朝を迎えることがあるなんて思ってもみなかったなぁ・・)
そう、今は・・
美子はベッドの方へ目を向けた。
その人は、美子がベッドを離れた時とは少し向きを変えて、相変わらず子供のような顔で目を閉じている。
(院長様・・こんなに人を愛しいと思うことがあるのですね)
そっとベッドサイドに腰掛け、サイドボードにボトルとグラスを置いて顔を覗き込む。
吸い込まれそうになる。
同時に胸の奥が高鳴る。
思わず顔をそらして鼻に人差し指をやると、
「おい」
起きぬけにしてははっきりした声がする。
「れ、廉さん・・」
振り向くと、不満そうにこちらに目を向けている廉がいた。
前髪を下ろしている顔は昼と比べて幼い。
「ごめんなさい、お、起こしちゃいましたか・・?」
廉は気だるそうに体を起こして、美子の膝に頭を乗せ、下から美子を見上げた。
「何も言わずにいなくなんなよ・・目が覚めた時にお前がいないとやなんだよ」
拗ねた子どものように口を尖らせる。
思わず美子はふにゃっと笑顔になった。
「廉さん・・ほんとにこどもみたい・・・えへへ」
「うるせ・・」
廉が手を伸ばして、美子の髪に触れる。
「シャワー、浴びたのか・・?」
「は、早く目が覚めちゃったんです・・」
気だるい廉の様子に、なぜか体が少しずつ熱くなってくる。
あの指が耳に触れる。
耳がジンジンしてくる。
「水、飲みたい・・」
「あ、ど、どうぞ・・」
ボトルを廉に渡すと、廉はゆっくり起き上がって、キャップを開ける。
膝の上から一気に熱が失われたような、物足りないような気持ちで美子は廉の背中に目をやった。
117 :
夜明けごろ:2011/11/04(金) 18:17:57.14 ID:sT/LTFrQ
冷たいボトルのキャップを開けて、口を付ける。
(こいつ・・昨日はどうしたんだ?)
何度かそういうことをしてきたが、最近の美子は慣れてきたのか時に少しだけ積極的になる。
昨日の夜、なんと口を使おうとしてきた。
さすがにぎこちなかったが、
(やばかったあれは・・口って結構・・なんつーか・・)
あの場所とは違う感触で、不意に耐えられなくなりそうになった。しかもあれに手を添えたまま、こちらを伺うように見上げた美子の顔が、扇情的すぎた。
(どこで吹き込まれたんだあんなこと?まさか・・柊か勇気のやつが・・?あ、ありえない!つーか許さん・・・あ、美男か・・?いやいや、無難にRINA辺りか・・)
喉を鳴らして水を飲みながら、記憶を蘇らせてしまい、体が熱くなる。
美子の方をちらりと見ると、美子は水に目を向けていた。
少し開き気味の唇とまだ上気している肌。
起きぬけの気だるさと、まだ明けきらない空の薄明るさが、かえって体の奥を熱くした。
「飲むか・・?」
廉が少し顔をこちらに向けて言った。
声にまだ夜の続きのような艶っぽさがある。
「あ、はい・・」
しかし、こちらに体を向けて渡すようなそぶりを見せておきながら、廉はまた口をボトルに付けた。
子供っぽいと笑ったから怒ったのだろうか。
「もー、廉さんてば・・・」
手を伸ばしかけたまま美子は頬を膨らませる。
廉はそんな美子を目だけでちらりと見て、ボトルから口を離すと、美子の肩を抱いて唇を重ね、唇から水を流し込んだ。
「んっ・・・ん・・」
こくり、こくりと冷たい水をなんとか喉に通す。
一筋、二筋と溢れた水は首を伝って胸の間まで滴っていった。
「・・・っ・・はっ・・」
「どうだ、・・味は?」
美子は抱いている肩も上下するほど荒く息をしている。
「つ、冷たいです・・・」
「・・こぼれてる」
廉は美子の首にちゅっと軽く唇を付けて舌で筋をなぞった。
「ぁ・・」
美子の肌は花のような香りがして、潤っていて、熱い。
(なんか・・風呂上がりっていいかも。・・あ?やべ・・・)
生理現象なのか、欲求なのか、あれも熱い。
そのまま美子を抱きかかえるようにベッドに横たえて、胸の方にまで舌を滑らせた。
118 :
夜明けごろ:2011/11/04(金) 18:21:23.09 ID:sT/LTFrQ
息が苦しいのか、廉の唇に感じたのか分からないけれど、心臓がどくんどくんと鳴っている。
廉の指が肌を滑り、バスローブの開きが大きくなる。
露わになる胸のふくらみを舌先がゆっくりなぞり、突起を柔らかい舌が包む。
「・・・ぅん・・」
指はそのままバスローブの帯の結び目の端にかかった。
「れ、廉さん・・」
「・・・なんだ」
「もう朝、ですけど・・・」
確かに、そろそろ空も白んできた。
廉はちらりと窓の方に目をやり、むすっとしたような顔で美子に向いた。
「・・知るか。・・お前が悪い。」
「私が・・?何でですか?」
(こいつ・・こういう時には何も知らなそうな顔しやがって・・・)
「何でって・・な、なんだよ、昨日の・・口のは」
「口のって・・あ・・」
「いきなり、あんなのするから・・・」
「え、でも廉さん、途中でもういいって・・だから、上手くできなかったのかと思って・・・」
「う、上手くとかそういう問題かよ!あんなこと、どこで覚えたんだよ・・」
「そ、そんなの言えないですよ・・恥ずかしいじゃないですか・・」
「ほぉーう・・・えらくなったもんだな、ブタウサギのくせに・・」
なぜ自分が悪いのかはよく分からなかったが、廉の手が、体が熱いことに美子は気がついた。
「廉さん、・・もしかして」
「あ?」
「気持ち良かったんですか?・・・ふぇ、ふぇらっていうの」
廉は目を見開いて、美子から少し体を離した。
顔だけでなく、首や胸までがだんだん赤く染まっていく。
「それは、・・その・・・まあ・・」
「ほ、ほんとですか?」
「つーか・・むしろやばかったから途中で止めたんだよ・・・」
「やばい・・?」
「・・だーかーらー、・・いっちまいそうだったんだよ!なんだよ、お前、初めての時は脱がしただけで震えてたくせに、そんな・・ことまで・・」
「は、初めての時はしょうがないじゃないですか、こわかったんです!」
「だから、そんな奴が、いきなりフェラなんかしてみろ、驚くだろーが!」
廉の顔はまだ赤い。
美子はいったん言葉を切り、体を起こして廉を見つめた。
廉の前髪に手を伸ばし、軽くかき分ける。
「・・いっちゃいそう、でしたか?」
「・・」
前髪から出た廉の目は、熱を帯びている。
「廉さんにも・・気持ち良くなってほしくて・・・いつも私ばっかりだから・・」
「ばか・・お前ばっかりじゃ、ねえよ・・・」
美子の指が頬をなぞる。
唇へ下がってきた指を、廉はそっと唇で挟んだ。
ちゅ・・と音をさせて吸う。
「廉さんの唇、熱いです・・」
「お前の指も・・」
美子の頬に手のひらを当てて、親指で唇をなぞる。
「私も・・唇熱いですね・・・へへ」
「もう、朝だぞ・・」
言いながら廉は美子の唇に深くくちづけた。
散らばった星の光はまだかすかに瞬いている。
空はもう少しだけ、日の出を待ってくれるようだ。
以上です。
番号ふるの忘れた…すいませんすいません
1〜5です。
朝にもう一回おねだりする廉さんが書きたかったのですが、なんか普通にイチャイチャしてしまいました。
しかもフ○ラ未経験て…十代かよ!って感じですが、お許しください。
2人にはわちゃわちゃしながらいろんな技wを覚えていってほしいなぁww
長文、駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
>>119 うわ〜ん!こういう廉美子読みたかったんだ…超嬉しいよ!GJです!!
初々しいけどしっとりした雰囲気がたまらん
膝枕廉さんとか、教えてあげたいRINA姐さんとか、ツボ突かれまくり…!
>>119 GJ!超萌えました
廉さんも美子も可愛すぎる。ニヤニヤしました。
>>119 あわわわ!!何て素敵な廉美子なんでしょう!
もうニヤニヤが止まりませんwwGJです〜!!!
自分も柊×NANAの続きを今から投下します。
前スレで感想下さった皆さん、ありがとうございました。
本当に嬉しいです。
さすがにエロパロスレで長編エロなしも気まずくなって来た
ので、今後エロ入れようか悩み中…(余計長くなりそう…)
前回までの更新分(前スレ)
412-421
474-477
647-654
太陽が身を潜め、夜空に星が輝く午後9時。
都内の高級ホテル“Venus Hotel”の最上階に位置する有名フレンチレストランのVIPルームに会した6人。
入り口から向かって左側の席に安藤社長と柊、それに馬淵が座る。
長方形のテーブルを挟んだ反対側へ荻野社長と三澤、そしてスポンサーの田沼社長が腰掛けた。
上質なシルクのテーブルクロス上にはキャンドルライトが灯り、天井からは豪華なシャンデリアの光がキャンドルを邪魔しない程度の明るさで降り注ぐ。
大切な人とのデートなら心踊るであろうこの状況下、柊の胸中には“計画遂行”の文字があるのみ。
「いやいや、今日はお集まり頂いてありがとうございます。うちの新人の三澤が、A.N.JELLの藤城さんと共演出来るチャンスとあって、本人もやる気に満ちておりまして…なぁ、三澤」
「はい!僕、皆さんの大ファンなんです!今日はお会い出来て本当に嬉しいです!」
互いの簡単な自己紹介もそこそこに、三澤は人好きする笑顔で立ち上がり柊に握手を求めた。
秋らしい臙脂色を基調としたチェックシャツにベージュのジャケットを羽織り、ボトムは嫌味の無い焦げ茶のスラックスという地味目な出で立ち。
背格好は柊とほぼ変わらないくらいに見える。
対する柊は濃紺シャツの上へシルバーに近いライトグレーのジャケットを合わせ、黒の細身なデザインのスラックスを着こなしている。
芸能界ではタブーとされるタレントの衣装被りも無く、他の4人はさぞかし安堵しているに違いない。
「ありがとう、A.N.JELLを応援してくれて」
この好青年を絵に描いたような男が、本当にNANAのストーカーなのか…?
同じく席を立ち穏やかな笑みを返し、喜んで彼との握手に応じてやる。
「藤城さんのラップが凄くカッコいいなって思って、カラオケで挑戦するんですけどやっぱり僕には難しいんですよね…」
照れ笑いを覗かせながら如何に自分たちのファンかを語る三澤を、馬淵はすっかり信じ込み柊の肩をポンポンと叩いた。
「カラオケまで歌ってくれてるなんて、本当にファンなんだなぁ。柊、良かったじゃないか!」
男性ファンにここまで言われるとお世辞でも嬉しいのが常だが、あの話の後では嘘臭く感じてならない。
「…あぁ、三澤君となら楽しく仕事が出来そうだね」
しかし、柊はそんな腹の内を微塵も感じさせない返事をする。
今この場で彼らを追及しても、何の意味も無いのだ。
「まぁ、仕事の話は追々…まずは食事を楽しみましょう」
コース料理のオードブルが運ばれて来た所で、営業スマイルを顔面に貼り付けた安藤が皆の注意を上手く料理へと向かわせた。
彼は内心、この会食も乗り気ではなかったらしい。
老舗化粧品メーカーからのオファーもある以上、なかなか契約まで踏み切れないのも無理はない。
「そうですな、まだ今日はたっぷり時間もある」
一際偉そうな荻野がナイフとフォークを持つと、田沼と三澤も食事を開始した。
柊は皆が談笑する間、柔和な表情で聞き役に回りながらも、目の前の3人をじっと観察していた。
この中では田沼が一番年長者のようだが、安藤より少し年上に見える荻野の話し振りからして、力関係は五分といった所だろうか。
一方の三澤は、田沼とほとんど会話も無く、荻野や馬淵、柊に話し掛けて来るばかり。
実の親子らしき部分が全く窺えない。
何か、相手がボロを出す切欠を作らねば探りを入れるのは難しいようだ。
柊はメインディッシュの牛フィレ肉と鮑の網焼きを食しつつ、水で口内を潤してから三澤を見遣る。
「…そう言えば、三澤君は彼女とか居るのかな?」
「…え?」
「そういう事は、これから仕事に関わって来るだろうから聞いておきたくて」
NANAのストーカーの件に関し、カマを掛けるにしては直球過ぎた気もするが、三澤の瞳が一瞬揺れるのが分かった。
「はっはっは、藤城さんはまだ若いのに冗談もお上手だ!まだ駆け出しの三澤に、彼女なんか作る余裕はありませんよ」
すぐさま柊の問い掛けを笑い飛ばした荻野が、話をうやむやにしてしまう。
「ふふ、そうですよね。変な事を聞いてすみませんでした」
そう言いながら三澤を一瞥すれば、不気味なほどジッ…と、こちらを見つめている彼と目が合った。
「…僕にもし、彼女が出来た時は…絶対に手放しません。どんな手を使っても傍に居ますよ…きっと」
口元に薄笑いを浮かべて宣言する三澤の眼は、全く笑っていない。
柊の顔からも笑みが消えた。
「いやぁ〜、三澤君は一途なんだな!今時の若い子にしては珍しい!」
空気を全く読めない馬淵が呑気に三澤を褒めると、また先程までの優しげな瞳に戻った。
「なかなか古風な考え方と言うか、そういう所も気に入ってましてなぁ…」
年代物のワインに舌鼓を打っていた荻野は、ほろ酔い加減で赤らんだ顔を三澤に寄せて彼の肩を抱く。
新人俳優がここまで社長に気に入られているとは、余程の何かがあるのか。
「ちょっとすみません、御手洗いに…」
柊は自然な動きで席を立ち、赤ら顔の男たちに軽く会釈して一旦退室した。
一般客らが食事を楽しんでいる広いテーブル席内を突っ切る際、窓際の眺めが良い席に座る男女へ目線を送る。
男は小さく頷き、女も微笑みながらVIPルームの出入口を見張り始めた。
その正体は…眼鏡を掛け前髪を下ろした廉と、女装姿の美男である。
当初の打ち合わせ通り途中退席した柊を見送り、再び張り込みに意識を集中する。
数時間前、彼が出口と手を組みたいと言い出した時は本当に驚いた。
通常ならパパラッチと芸能人は、追う者と追われる者の立場にある。
頭でも打ったかと心配になったが、彼の横顔から鬼気迫る何かが滲み出ているのを察知し、意見する気は失せてしまった。
スポンサーとなる企業が信用に値するか否か確かめるつもりか、それとも…。
何はともあれ仲間の一大事を見過ごす訳にも行かず、結局は柊に協力する事態となっている。
出口も始めは大層驚いた様子を見せたものの、自分たちが立ち入れない領域にまで踏み込み調査をすると言う
柊の申し出を魅力的に感じたようで、同盟はいとも簡単に成立。
彼らはひとまずA.N.JELLの追っかけ取材を中断する事と、NANAに関わる全ての情報提供を
惜しみ無く行うと誓った。
廉の熱愛騒動が収束した最中、ネタが尽きていた他のマスコミらを出し抜く絶好の機会に飛び付くのも無理はない。
『…廉、何か動きはあったか?』
「いや…まだだ。そっちはどうだった?」
耳に装着したイヤーモニターから柊の声がし、廉は黒のジャケットの袖口に付けたカフス型マイクを唇へ近付け、小声で現在の状況を説明すると共に中の様子を尋ねた。
『…普通に見た限りじゃ分からないかも知れないけど、三澤からは変な不気味さを感じた』
「お前の勘はよく当たるんだったよな…怪しまれないよう気を付けろよ」
『了解。仕掛けは1つ取り付けたから、残りは今からやるよ』
「分かった、また後でな」
無線を使った柊との会話を手短に終え、廉は小さく息を吐いた。
…まさか己が、こんな探偵めいた事をする羽目になるとは。
警察顔負けの小型無線機やその他諸々、探偵物のドラマで登場しそうな装備一式は全部、
出口ら記者3人から渡されたものだ。
パパラッチとして日々駆け回っている彼ら。実は密かにスパイや探偵へ憧れを抱いており、
趣味でこういったグッズを揃えたらしい。
今までA.N.JELLの取材には一切使用していないと断言していたが、想像すると少し背筋が寒くなる。
「…ねぇ、廉さん。そんな怖い顔してるとバレちゃいますよ?」
ふと、向かいに座る美男から声が掛かり正面をチラリと見遣る。
何だかますます、胸糞悪くなった。
「…お前な、その格好で美子の声真似はやめろ。鳥肌が立ちそうだ」
「えー、どうしてですか?廉さんだって最初は見惚れてたくせに〜…」
「う、うるさい!どうしてもだ!…ったく、RINAのやつ無駄に気合い入れやがって…」
廉をからかう事が愉しくてしょうがないといった態度の美男に苛立ち、頭を抱えて一層深い溜め息が漏れる。
三澤の話は伏せ、廉にドッキリを仕掛けるという嘘の説明でA.N.JELL専属スタイリストのRINAを騙し込んだ美男。
意気揚々と変身の手伝いを引き受けた彼女の手によって、美しく可憐な女性に化けたのである。
健康的な肌に映える清楚なクリーム色のドレスワンピース。
膝丈スカートから伸びる細い脚は薄い黒のストッキングを纏っており、脛毛隠し対策はバッチリだ。
美子と違いしっかりした肩幅を純白のショールでカバーし、胸元には何か詰め物でもしているのか
確かな膨らみがある。
極めつけは頭に被ったロングストレートヘアのウィッグに光るヘアピン。
何処で見付けたのやら、廉が以前美子へプレゼントした物に似たタイプで、
視界に入ると余計胃がムカついてしまう。
カップル設定で変装、という話で仕方無くクローゼットから地味な服を見繕い、
ダークグレーのシャツに黒のセットアップスーツを合わせただけの自分より、
遥かに目立っているのもどうかと思った。
「廉さんってば、また私の胸ばっかり見てる…エッチ」
「なっ、ば、誰が見るか!アホ!」
美男がわざと色っぽい流し目で言い放った台詞を慌てて否定し、
ずり落ち掛けた黒縁眼鏡の位置を指先で整える。
…実際、女装を終えた美男とホテルのロビーで再会した時…
美子とあまりにそっくりなその風貌を見た瞬間、不覚にも胸が高鳴ってしまった訳で。
どうにも調子が狂う。
「ふふ、美子が廉に惚れた理由がちょっと分かった気がする」
「…はぁ?」
「お前と居ると…色々面白いからな」
いつもの口調に戻った美男から唐突な事を言われ目を丸くする。
「何だそれ。俺はあんまり冗談も言わないし、面白いタイプじゃないぞ」
廉は己に下された思わぬ評価へ真面目なツッコミを返し、フォアグラのソテーを切り分け
一口頬張った。
「…まぁ、俺らは双子だし。美子が好きなものは自然と気に入っちまう。
…だから、お前も好きだ」
「…っ!!ごほっ、げほ…」
“好き”という単語が飛び出した途端、喉が詰まり思い切り噎せる。
咳き込んだ所為で目尻にジワリと生理的な涙を浮かべながら水を飲み、
美男を睨んだ。
「…お前な〜…、絶対からかってんだろ!」
思い返せば、カメラやファンの前以外ではほとんど笑わないポーカーフェイスを貫く美男は、
こうして廉と二人きりになると何故か自然な表情で会話をする。
美子がブタウサギなら、この男は“気まぐれ野良猫”といったところか。
普段は愛想を振り撒かないくせに、気に入った人間にだけ懐く姿がまさしくだ。
更に文句の一つでも言ってやろうかと口を開くより早く、美男が声を発する。
「ふ……でもさ、いずれは義理の弟になるかもしれない奴が、廉で良かったなとは本気で思うよ」
散々からかった後にそんな一言を添えられては、ぐうの音も出ない。
「………そうか」
廉は美子をいつか生涯の伴侶に…と心に決めている為、彼女の兄から交際のお墨付きを貰うのは
素直に嬉しかった。
「…廉、誰か出て来そうだ…」
そうこうしている内、不意にVIPルームの扉が開くのが見えた。
一気に二人の間へ緊張が走る。
「…!……奴等だ…柊、三澤と田沼が出て来たぞ」
『こっちは終了した。…二人ともトイレに向かってるか?』
現れたのは三澤と田沼。廉と美男は怪しまれぬよう客に混じって食事をしながら彼らを監視する。
どうやら田沼はトイレに行ったようだが、三澤は反対方向の出入口へ足を向けた。
「トイレは田沼一人だ。三澤は店を出て行った」
『…すぐそっちへ戻る。美男、頼んだぞ』
二人の行き先を聞いた柊から、廉と同じくイヤーモニターを装着している美男に合図が下される。
次の計画を実行する時が来た。
「よし…俺の出番だ。廉、他の奴が追って来ないよう見張っててくれ」
「…あぁ、絶対無茶すんなよ?」
「心配しなくても大丈夫。もう二度と鼻を折るようなヘマはしねぇよ」
美男は席を立ち、廉へ男前なウィンクを決めて三澤の後を追った。
少しばかり、クリーム色の慣れないパンプスが歩きづらそうではあるが。
店を出た三澤の後を追い、美男は1階にある人も疎らなカフェテラスまで足を運んでいた。
壁際に凭れて身を隠し、左手に提げた小さな黒のハンドバッグに手を突っ込む。
中に仕込んだイヤーモニターの受信機にある周波数切り替えスイッチと録音ボタンを押し、
数メートル先で木製の手摺に背を預けている三澤へ視線を移した。
彼がスラックスのポケットから携帯を取り出し、何処かへ電話し始めたのが見える。
「…こんなんでホントに大丈夫か?」
昼間、出口に教えられた通りならばもうすぐ聞こえて来るだろう。
柊が三澤と握手する際、彼の腕時計に取り付けた超小型盗聴器の音声が…。
『……もしもし、こんばんはNANA様。秘書の田中です』
「…ビンゴだ…」
左耳に響くのは、声色を低めに変えた三澤の話し声だ。
美男は息を殺し彼の様子を窺う。
『…えぇ、承知していますよ。接待の件を知るのは社長と私、それに荻野氏の3人だけです…ご安心を』
電話相手の声までは拾えないが、名を呼んでいた事も踏まえ確実にNANAだ。
夜目の利く美男は三澤の顔面に薄気味悪い笑みが浮かぶのを認め、無性に腹が立った。
『…それより…社長の言い付け通り、今日の収録でも他の男性と親しく話したりしていませんよね?
社長が機嫌を損ねればどうなるか…』
社長…とは恐らく田沼の事だろう。
三澤は何らかの理由で実父の秘書を騙り、NANAに脅迫めいた電話をしている。
彼女のスケジュールが変更になっていなければ、今日は勇気も収録に参加している
クイズバラエティ番組に出ているはず。
チラリと目を遣った腕時計は午後10時半を過ぎており、早々に撮影が終わったと予想出来た。
『…それは良かった。社長もお喜びになるでしょう。
…ではまた、金曜日に…』
通話を終えた三澤は閉じた携帯を眺め、ニヤリと口端を吊り上げる。
そろそろ最後の仕掛けに取り掛からねば。
彼が使用していたのと同じ機種、更に同じストラップ付きの携帯をハンドバッグから
出した所で、再び音声が耳に飛び込んで来た。
『…くっくっく………社長、か…そんなもの最初から居やしないのに』
「…!?」
『……NANA、誰にも渡さないよ……君は僕のものだ…』
腹の底にまで響き渡る、低く邪悪な意思を持った呟きを耳にし、美男の全身に鳥肌が立つ。
……あの男、狂ってる…。
このまま奴をタコ殴りにしてやりたい衝動に駆られたが、田沼や荻野がNANAにどう関与しているのか
分からない今、下手に単独行動は出来ない。
美男は沸き立つ怒りを抑え込むとそのまま突進する形で走り出し、
三澤が携帯をポケットに仕舞う前に横から思い切りぶつかる。
「うわ…っ!?」
「きゃっ…!!」
突然物陰から走って来た美男と衝突し驚いた三澤は、目を瞑り咄嗟に携帯を落とした。
短い悲鳴を上げつつ、素早くその携帯と用意して来たダミーのそれを入れ替え、
いかにも申し訳無さそうに眉を垂れ三澤の手元へ差し出す。
「痛たた……何するんだ!おま…、え…」
「本当にごめんなさい!私、すごく慌てていて…お怪我はありませんか?」
衝撃を食らった左腕を擦りながらこちらを睨もうとした彼は、顔を見るなり口を開けたまま固まった。
どうせ美しく変身した自分に見惚れているのだろうと、内心で馬鹿にしながらも
美子を参考にドジでお人好しなタイプの女性を演じる。
三澤の身を案じる振りをして腕にベタベタ触り、さりげなく
柊が取り付けた盗聴器も回収した。
「あ、いや…僕は大丈夫。君の方こそ平気?」
「大丈夫です。もう、慌てるとすぐ周りが見えなくなっちゃって…
私ったらバカだわ…本当にすみませんでした!」
これ以上話していてはバレてしまう可能性がある。
急に優しい態度になった三澤を気色悪く思ったが表には出さず、謝罪の言葉と共に
彼の手へダミー携帯を持たせ、すぐさまその場を走り去った。
急いでフロントの端にある身障者用トイレへ駆け込み、先程入れ替えて持ち出した三澤の携帯を開く。
二つ折りタイプのそれにはロックが掛けられていて、なかなか中を確かめる事が出来なかった。
「…流石に一筋縄じゃ行かねぇか…」
彼の誕生日やオーディションの開催日など、出口から仕入れた情報を元に
4桁の数字を次々入力するも、一向にヒットしない。
だが、聡い美男は焦らず冷静に考えた。
「…そうか、ストーカーなら…」
NANAに対する異常な執着心を垣間見た光景が脳裏を過り、記憶を頼りに彼女の誕生日を打ち込む。
「……またまたビンゴ」
予想的中、ロックは解除され自由に操作が可能となった。
用意していたmicroSDカードを挿入しアドレス帳やメール、画像データなどを全てコピーし終えると、
用済みとなった携帯を返却する為、元来た道を引き返す。
「…あれ、君はさっきの…」
最上階のレストランへまた戻るつもりかエレベーターホールで待つ三澤と出くわし、慌てて駆け寄った。
「ごめんなさい!私またバカな失敗を…間違えてあなたの携帯を持って来ちゃったみたいなんです…」
「え!?…あぁ、ホントだ…」
携帯を見せながら謝れば、三澤は驚きの表情でポケットからダミーを出して開き、
待受画面から自身の物ではないと確認する。
「偶然、同じ携帯だったから見間違えちゃって……」
「…中は見てないよね?」
「えぇ、ロックが掛かっていたから私のじゃないって気付いたんです。重ね重ね本当にすみません…」
僅かに警戒心を覗かせながら携帯の交換に応じた三澤へ、何も知らない体で深々と頭を下げた。
美男の迫真の演技が功を奏し、彼は笑顔で「あんまり気にしないで」と
好青年らしい一言を残し、到着したエレベーターに乗り込んで行った。
「……偽善者め」
三澤が居なくなった空間でポツリと独り言を漏らし、
美男は入手した大きな手掛かりを持ってホテルを出る。
暫し歩いた所の脇道に停車していた黒いバンへ乗った。
中には出口と、そして収録を終えてからすぐに駆け付けたという勇気が待機していた。
「うっわ…美男、超可愛い〜!…あっ…、じゃなくて!だ、大丈夫だったか?」
美男の女装姿をこの日初めて見た勇気は一瞬ウットリと顔を蕩かせたが、すぐ我に返り
首を左右にブンブン振って、キリッと真剣な面持ちになる。
「あぁ、ちゃんと戦利品を持って帰って来たぜ」
相変わらずの能面めいた無表情で言い放ち、手掛かりの数々が入ったハンドバッグを渡す。
「…す、すげー…」
「ほぉー…いやはや、我々よりよっぽど探偵に向いてるんじゃ…」
感心しきりな二人を余所に、美男はいつものポーカーフェイスを微かに崩し、
ニヒルに笑った。
────
「…さて、これで手掛かりは揃ったな。…みんなありがとう」
柊は、己の我が儘の為に奔走してくれた全員へ礼を述べる。
それぞれが任務を終えて合宿所内に集結する頃、時計の針は深夜に差し掛かっていた。
リビングのテーブルを囲むように座るA.N.JELLと、取材を済ませて合流した記者3人組。
苦労して掻き集めたネタを卓上に置き、1つずつ検証していく。
まずは柊が会食中に仕掛けた盗聴器。
VIPルームと男性用トイレの二ヶ所に設置し、前者は自身で、後者は後に廉が回収したものだ。
録音はバンに積んでいた受信機で行なっており、そのデータをノートパソコンに移して再生する。
VIPルームでの他愛ない会話には特に問題点は無い。
だが、荻野もトイレに立った際に馬淵と二人きりになった安藤が、
fairy・dreamの黒い噂について不安を漏らし始めた。
『社長、今日すぐに契約する訳じゃないんですか?』
『あぁ…ちょっと気になる話があってな…。荻野社長が女の子たちに“枕営業”をさせてると…』
『えぇっ!?ホントですか?』
リビングに居た全員が顔を見合わせる。
ビジネスの匂いに敏感な安藤が、何故今回の契約をここまで渋るのか…本当の理由が分かった。
『先月、fairy・dreamからうちに移籍したいと言って来た子が居ただろう?』
『あ、はい…確かモデルの日向エリちゃん…でしたっけ』
『理由を聞いたら“荻野社長に接待をしろと言われた”と、泣きながら訴えてな…。それを拒否してから一気に干されたそうだ』
『…そりゃ酷い…』
“接待”と言えば聞こえは良いが、実際は枕営業の事を指す。
安藤も最初俄に信じがたかっただろうが、日向エリの話に嘘は無いと判断し移籍手続きを進めてやっていると言う。
『証拠が無いとどうする事も出来んしなぁ…』
『…じゃあ、もしかして今回も…』
『この契約の裏で、密かに泣いてる子が居るかも知れないと思うと…』
…と、ここで柊が帰って来て安藤と馬淵の話は中断された。
「……俺がトイレから戻った時、二人共やけにソワソワしてると思ったけど…
こんな話をしてたのか…」
「柊に心配掛けないように黙ってたんだろ。…にしても、
荻野って奴は最低最悪の狸ジジイだな」
柊は頭を抱え何も知らなかった自身を恥じ、廉がぶっきらぼうな口調でそれを宥める。
パソコンを操作していた記者の一人、馬場が皆をぐるりと見渡し音声を切り替えた。
「では、次にトイレの分を流します」
VIPルームに近いトイレへ盗聴器を仕掛けたのは、ワイン好きな荻野が必ず会食中に
アルコールを摂取し、何か本音を漏らすかも知れないと睨んだからである。
記者の取材により彼らの身辺や嗜好をほとんど把握した上で、今回の潜入捜査を行った。
「…ずっと見張ってたけど、田沼と荻野は入れ違いで入って行ってたぞ」
廉の言う通り、柊が盗聴器を仕掛けて出て行った後、田沼の肉声が響いてから荻野もやって来た。
『やぁ、荻野さん。…相手は手強いですねぇ…』
『なかなか安藤社長も首を縦に振りませんなぁ…まぁ、焦らずじっくりいきましょう』
田沼と簡単に挨拶を交わした荻野は、彼が出て行った直後に用を足しながら独り言を呟き出す。
『…ふん、田沼のハゲめ。こっちはあのNANAを差し出してやると言うのに、あんな“はした金”で
済むと思うなよ…』
「……!!」
トイレでの目ぼしい音声はこれだけだったが、充分過ぎる手掛かりとなった。
「…なんて奴だ…」
「これは…スキャンダルどころの騒ぎじゃありませんぞ…」
「どう考えたって立派な犯罪だよ!」
残る、美男が手に入れた三澤の声も全員で聞き終え…皆口々に荻野と三澤へ怒号を飛ばす。
「……許せない…絶対に…」
柊は怒りのあまり、身が震えるのを感じた。
これほど他人に激しい憤りを覚えたのは生まれて初めてだった。
「……柊!お前、血が…!」
下唇を噛み、キツく強く握り締めた拳の隙間から、ポタリと鮮血が零れ落ちる。
廉にそれを見咎められ、柊はようやく自分の掌が傷付いている事を知った。
「……三澤は多分、荻野が女性タレントに以前から枕営業をさせているのを嗅ぎ付け、
NANAを自分の物にする為に利用したんでしょう」
「父親をダシに荻野をそそのかして、NANAを嵌めたって所ですね。
…恐ろしい男たちだ…」
勇気が救急箱を持って来て柊の掌を手当てする間。
馬場と橋本が盗聴器の情報を元に、三澤の企みについて推理を披露した。
「じゃあ、今すぐこれ持って警察に…!」
「やめろ。…盗聴は違法だ。これは全部、法的証拠にはならねぇよ」
警察に頼ろうとした勇気を美男が淡々とした物言いで制する。
記者ら3人も苦々しい顔で頷いた。
潜入捜査で得た手掛かりは違法手段を用いたもので、明るみに出ればここに居る全員が
罪に問われてしまう恐れがあるのだ。
「そんな…NANAちゃんが危ない目に遭うかも知れないって分かってるのに…
どうすればいいんだよ!」
このまま黙って見過ごす事など出来ないと、熱く叫ぶ正義感の強い勇気。
そんな彼の肩に、包帯を巻かれたばかりの右手を置き…
柊は穏やかな笑顔を見せる。
瞳の奥に、底知れぬ闘志を燃やして。
「…捕まえよう、俺たちの手で…」
そう言うと、美男が採取したデータが入っているmicroSDへと手を伸ばした。
今回は以上です。
またまた間違って上げてしまい、申し訳ありません…。
次回こそラブな展開まで進めたい!
うわぁぁー!サスペンスな感じの雰囲気に…!つか美男が超カコイイ。
デキる男って感じだね。廉さんからかわれてるのがかわいい!
柊さんの活躍を期待しています。続き楽しみ。待ってます!
>>134 廉と美男の会話にニヤニヤしてしまった。
まとめサイトのログみてると25%くらいで携帯ユーザーいるんですが、
携帯ユーザーさんたち、まとめサイトちゃんと見れてるのかな??
SBの自分は、タグ一覧から「その他」が抜けてちゃんと見れてない。
>>136 管理人さん?いつも乙です。
「出来れば」なんだけど、これから鳥付けて欲しいかも
自分ドコモだけどちゃんとまとめサイト見れるよー。
>>119 廉美子すごく良かったです!!!
dkdkキュンキュンさせて貰いました!
>>134 読み応えもあって好きです!
柊さんとNANAが無事結ばれるの期待してます!
>>137 トリ面倒…スマソ。
ドコモがちゃんと見れてるならいいや。
25%の約半分がドコモユーザーだから。
>>139 auもタグ一覧に「その他」がないかも。
でもページ一覧から見れば問題なし。
廉美子、初恋エロスですな
大人しそうだけど芯はシッカリモノの美子は結婚したら主導権握りそう〜素人なのにツワモノだよねw
本スレで盛り上がってる柊さん妄想デート
観覧車ファーストキス篇が読みたいです〜
すみません、投下します。
柊×美男(美子)柊さん幸せVer.のDT柊さんエロありです。
時期は美男が赤い靴を履いた日で、柊さんは完全DTではありません。
名前は美子でもいいんですが、柊さんの「みお」の発音が好きなので、美男にしてます。
宜しくお願いします。
144 :
月夜1:2011/11/05(土) 21:04:13.49 ID:AMcpWDpz
美男は、廉との言い争いを思い出してため息をついた。
近づけたと思ってたのに…
わかってくれてると思ってたのに…
『俺はチャラチャラした奴は大嫌いだ』
あんな風に思われてたなんて。
はぁ----と何度めかのため息のあと、美男の視線がふと止まった。
赤い靴。
それを見ながらぼんやりしてると、昼間の記憶が浮かんでくる。
柊さんが好きな人のために買った靴。
無理矢理だったとはいえ履いてしまうなんて、柊さんには悪いことをしてしまった…
なのに、柊さんは許してくれた上に優しく言った。
「似合ってたよ。女の子に戻ったら履くといいよ」
でも、この靴…どこかで見たような気がするのに思い出せない。
「可愛い…」
美男は自分の言葉にはっとした。曖昧な記憶が断片的に浮かんでくる。
ショーウィンドウに飾られた赤い靴。
思わず目に止まって口にした一言。
まさか!?ドキドキと胸が高鳴る。
「確かめなくちゃ…」
美男は胸に靴を抱えると部屋を飛び出した。
「柊さん、いいですか?」
「美男…どうした?」
胸元の靴に視線を落として苦笑いをすると、柊は美男を部屋に招き入れた。
「こんな時間にすみません。でも私…」
「とりあえず、座ったら?」
窓辺に向かって置かれたソファーに柊は腰をおろす。
ダークブラウンとオフホワイトで統一された部屋の中、所々に置かれた小さな緑が落ち着きを与えてくれる。
美男は小さく深呼吸して柊の横に座った。
「ビール飲んでたんですか?」
「うん、眠れなくて…」
「あ…」
少しの沈黙のあと、美男が思いきって切り出した。
「あの、柊さん…この靴もしかして…」
美男の言葉を柊が遮る。
「ショーウィンドウの前で、俺の好きな人が可愛いって眺めてたんだよ…
頑張ってる彼女を見てたから、俺はただ喜ばせたくてさ…」
自嘲気味に柊が笑う。
「驚くだろうけど、嬉しそうに笑ってくれると思ってたんだ」
やっぱり、あの時の靴…
でも…それより柊さんの好きな人って…美男はぎゅっと目を閉じた。
「すぐ渡すつもりだったんだよ?でも、携帯が鳴って…」
あっ!…美男の記憶が繋がった。
「…柊さん…いつから知って…」
「秘密。教えない」
柊は目を閉じて少し微笑んだ。
145 :
月夜2:2011/11/05(土) 21:05:24.76 ID:AMcpWDpz
痛い…胸が痛くてたまらない。
『後ろを向いて、真っ直ぐそのまま歩いてごらん…』
覚えてる…今ならその意味がわかる。
でもあの日の私は、その言葉を無視して廉さんの所へ駆け出した。
そして今日、あの靴をあんな形で履いてしまった…
『似合ってたよ。女の子に戻ったら履くといいよ』
そう言ってくれた柊さんの気持ちを考えると、せつなくて胸が苦しい。
謝りたいのに、涙が溢れて声が出ない。
私は柊さんを傷つけてた…
「美男、泣かないで…」
「柊さ…ん…」
「俺はお前に笑って欲しくてその靴を買ったんだ…だから、泣かないで」
そう言うと、柊がそっと美男の頭を撫でた。
柊の手の大きさと、温かさが伝わってくる。
今まで、気付かなかった…
いつもこんな風に、私は優しく頭を撫でられてたんだ…
美男の瞳からまた涙がこぼれ落ちた。
「廉と喧嘩でもした?」
美男の涙が止まるのを待って、柊が口を開く。
「えっ…」
「さっきビールを取りにキッチンに行ったら、言い争う声が聞こえたから」
柊の問いかけに、美男は何も答えず首を横に振った。
…今までと変わらない気遣いに胸が痛い。
なのに胸の奥は、柊さんの優しさに触れて熱くなる。
なんだろう…この気持ち…
「美男、見てごらん」
俯く美男に柊は微笑みかけると、窓の外を指差した。
「今日は雲が多くて星は見えない…」
顔を上げると、月明かりに照らされた雲が妖しく光って見えた。
「ねぇ…美男」
柊が優しく美男を抱き締める。
「柊さん…?」
「星見て泣くくらいなら、星なんか見なければいいよ」
甘い声と柊の身体の震えが美男に伝わる。
…柊さんは、まだ私を見てくれてるんだろうか?
たくさん傷つけて、今までずっと気付かなかったくせに、このまま感じていたいと思ってしまう。
この大きな優しさに包まれる安心感は、なんて心地いいんだろう…
今頃気付いても遅いかもしれない…でも、伝えたい。
「柊さん、ごめんなさい…今まで気付かなくて、たくさん傷つけて…」
柊が美男の顔を覗き込む。
「どうした?」
「星に手が届かないからって、私は泣いてばかりでした。
そんな私を、柊さんは全部包んでくれてたのに…」
涙を浮かべながら、美男は真っ直ぐ柊を見つめた。
「もし、柊さんが許してくれるなら…私」
美男は柊の背中に手を回し、ぎゅっと抱き締めた。
「私は柊さんの隣にいたいです」
「…いればいいよ。俺はお前を悲しませたりしない。約束するよ」
美男の想いを柊が優しく受け止めた。
146 :
月夜3:2011/11/05(土) 21:06:33.71 ID:AMcpWDpz
「おいで…美男」
柊はベッドに腰掛け手を伸ばした。
月明かりを背に、美男がゆっくりと自分の方へ歩いてくる。
柔らかい身体を抱き寄せると、美男の胸の高鳴りが柊の耳に響いた。
「怖い?」
「はい…正直、少し怖いです」
「どうして?」
柊は顔を上げて美男を見た。
「私…初めて…なので…」
恥ずかしそうに顔を背ける美男に、柊は笑いかける。
「俺も…怖いよ。美男と同じだから…」
美男が首を傾げ少し考える。
「あっ、あの…そ、それは…」
「美男、恥ずかしいから、それ以上言わないで…ね?」
あ…と小さく声をあげると、美男は慌てて俯いた。
柊はくすりと笑ってから、そんな美男の顔を覗き込んだ。
「美男…俺にキスしてくれないかな…」
「え…」
突然の言葉に美男が固まった。
甘い声が頭の中で繰り返し響いて、ドキドキする自分に気付く。
私にキスして欲しいって…
柊さんが思ってくれてる…
どうしよう…嬉しい。
「柊さん…」
自分が無意識に微笑んでることに気付かないまま、美男はこくんと頷いた。
戸惑いながら、美男の手がゆっくり柊の頬を包み込む。
柊さんが受け止めてくれるから大丈夫、美男は自分に言い聞かせた。
指先の震えと、微かに触れる柔らかい美男の唇を感じて、柊の心は満たされていく。
多分、自分からキスしたことなんかないはずなのに…
何も言わずに微笑んで、震えながら俺にキスしてくれた…
「夢みたいだ…」
柊が呟くと、美男が嬉しそうに微笑んだ。
「今度は、俺がしてあげる」
そう言って柊は美男を抱き締めたまま、ベッドに倒れこんだ。
147 :
月夜4:2011/11/05(土) 21:08:03.52 ID:AMcpWDpz
柊さんのキスは温かくて優しい…
美男がふわふわとした心地よさに包まれていると、不意に唇の感触が消え、変わりに柊の声が聞こえてきた。
「美男…俺でいいの?」
目を開くと心配そうな柊の顔が見えた。
「どうしたんですか?」
言葉の意味が分からず、美男は戸惑う。
「本当に…俺でいいのかなって…不安なんだ」
「柊…さん…」
美男の胸がずきんとした。
本当に私でいいのかな?
手を伸ばす柊さんに近づきながらそう思ってた…
その不安を消してくれたのは柊さんなのに。
望んでくれる嬉しさと、受け止めてもらえる幸せ…
柊さんにもあの幸せな気持ちを感じて欲しい…
そうしたら、不安なんかなくなるはずなのに。
「柊さんはさっき、私の不安を消してくれましたよ」
「…俺が?」
柊には何のことだかわからない。
「だから、今度は私が腕を広げるんです」
「え?」
「あ…でも…違うのかな…私だけなのかな…」
一人で呟く美男を見て柊が苦笑いをする。
「美男?…話が見えないんだけど…」
「柊さん、私にキス…してください」
「え…?」
混乱した柊の頭の中に、不意討ちのような美男の言葉が響く。
腕の中では、美男が真剣な顔で自分を見ていた。
『望んでくれている』
ああ…こんな気持ちなんだ…凄いね、美男。
柊はゆっくり微笑んだ。
「キスは…さっきしたけど?」
「えっ!?そっ、そうじゃなくて…あの…あれ?…」
腕の中で恥ずかしそうに慌てる美男を、柊は愛しそうに包み込む。
「わかってるよ…美男。さっき、俺にキスしてって言われて嬉しかったんだよね?」
「…っ!」
伝わっていたことに気付いて、笑顔になった美男が何度も頷く。
「もう1回言って?」
「私に…キスしてください」
「何度でもしてあげるよ」
柊はその柔らかい唇の感触を、自分の唇と舌で何度も味わった。
少しずつ強く唇を押しあて、僅かな隙間から舌を差し入れる。
美男の舌に絡ませていると、徐々に美男がそれに応えようとしてるのが感じとれた。
『俺でいいんだね…』
柊は心の中で呟いた。
148 :
月夜5:2011/11/05(土) 21:09:01.36 ID:AMcpWDpz
美男は火照った身体に戸惑っていた。
「はぁ…はぁ…」
自分の息遣いだけが聞こえて、身体に力が入らない…
下半身の疼きを感じながらも、美男は自分の身体に何が起きたかわからなかった。
「美男…入れるよ」
「あっ…」
脚が大きく開かれ、まだ疼いているそこに温かいものが触れた。
ぬるぬるとした感覚と一緒に、何かが少しずつ入ってくる。
思わず息を止めた美男の身体に力が入った。
「んっ!…痛っ…」
美男の声を聞いて、柊は咄嗟に身体を離す。
「ご、ごめん、大丈夫?」
美男が大きく息を吐き出した。
「…ご、ごめんなさい…私…」
「いいよ、気にしないで。それに…無理しなくていいんだよ?」
柊がそっと美男の頬を撫でる。
「俺はここまででも凄く嬉しかったし、満足してるから」
「で、でも…」
「慣れてるから気にしなくていいよ」
柊の優し気な微笑みが美男を包み込む。
…もう少し我慢できそうな感じもするのに。
受け入れたくて仕方ないのに…いくら慣れ…て?
「…あ、あの…柊さん」
「どうした?」
「慣れてるって…何にですか?柊さんも初めてなんですよね?」
無邪気な美男の質問に、頬を撫でる柊の指先が止まり、視線が泳ぐ。
「あ、あのね…美男」
あたふたと慌てる目の前の柊が、少しずつ赤くなっていくのがわかる。
「な、なんて言えばいいのかな…恥ずかしいな」
美男はそんな柊を見てくすっと笑う。
「柊さん、赤くなってますよ。…可愛い」
美男の言葉に柊の顔が一層赤くなる。
「柊さんの慌てるとこ、初めて見れて嬉しいです」
「美男…お願いだからこれ以上俺をいじめないでくれる?…参ったな…」
少し笑った後に大きく息を吐くと、柊は思いきって話し出した。
「俺…俺さ、相手に我慢させるくらいなら、自分が我慢した方がいいんだ…わ、わかるかな?」
柊を見上げながら、美男は少し考える。
「…さっきみたいに?」
「そう、さっきみたいに。今までも何度か…こういうことはあったんだけど…」
「こういうこと?」
柊が苦笑いをする。
「さっき俺が美男にしたようなこと」
あ…身体に残る感触を思い出す美男の中に、小さな疼きが広がっていく。
「だから正確に言うと、ここから先が…」
「初めてなんですよね?…まだ誰ともしてないことですよね?」
美男が嬉しそうに微笑みながら、柊の腕をぎゅっと掴んだ。
149 :
月夜6:2011/11/05(土) 21:10:02.18 ID:AMcpWDpz
腕を掴んだまま美男は身体を横に向け、柊と向き合う。
「私はさっき、柊さんにたくさん初めてのことをしてもらいました」
「美男…」
「だから…今度は私が柊さんに初めてをしてあげ…ん?…教えて…??…んー」
気持ちを伝える言葉がうまく見つからず、美男が困った顔をする。
「あの…柊さん…伝わりました…か?」
心配そうに聞く美男の背中に手を回し、柊は身体を引き寄せた。
自分の胸元に顔を埋める美男が愛しくてたまらない。
「伝わったよ…なんとなく?」
えっ?と顔をあげた美男に、柊のからかうような笑顔が見えた。
その顔を見て美男も笑う。
「俺に、教えて…」
美男の耳元で柊が囁いた。
唇から首筋へ…首筋から胸元へと、柊の唇と舌が時折音を立て動いていく。
大きな手は背中から腰を撫で上げ、柔らかな胸をすでに揉みあげていた。
「あぁっ」
柊の唇が小さな突起を包み込んだ。
温かい舌が絡み付き、ゆっくり何度もそれを弾く。
その度に身体が震え、無意識に声がでてしまう。
「んっ…はぁ…んんっ…柊さん…」
身体の中で、じんじんとした塊が動き回っているような感覚がもどかしい。
柊は美男の脚を大きく開かせると、再びそこに唇を押しあてた。
舌先をくねくねと動かしながら、長い指を優しく中へと押し込んでいく。
「んんっ…あぁ…」
さっきより一段と艶っぽい声が柊の耳に響いた。
一度いってるせいなのか、緊張感が溶けたせいなのか、美男の反応が明らかに違う。
小さな舌の動きにも身体をくねらせ、指先の刺激に素直に声をあげる。
その一つ一つが柊を駆り立てていく。
「美男、どこがいい?」
内側を乱す指先を曲げ、少しずつ動かしながらそこを探し出す。
「んっ…はぁ…はぁ…んぁっ!…」
美男の声と共に一瞬、押さえ付けている脚がビクッと動いた。
「見つけたよ。…じゃあ、どっちがいいかな?」
柊は中に入れた指先を一点に集中させると、もう片方の指先で美男の蕾を剥き出しにした。
柊の舌がそれに触れた瞬間、美男の身体が震え出す。
「んぁぁっ…あっ…あぁ…」
喘ぎ声と共に指が締め付けられ、いやらしい音が大きくなっていく。
柊は舌先に力を込め、さらに蕾を掻き乱した。
「あぁっ…柊さんっ…柊さんっ…んんっ、んぁっ…!」
柊の指を強く締め上げ、美男の身体がびくっ、びくっと痙攣した。
指を抜くと一緒にトロトロとしたものが流れ出す。
「綺麗だよ…美男」
頬を紅く染め、肩で大きく息をする美男を見ながら、柊は再びゴムを自身に被せた。
「もう…やめないよ」
そう言って、まだ力の入らない美男の腰をぐっと引き寄せた。
150 :
月夜7:2011/11/05(土) 21:13:28.02 ID:AMcpWDpz
「力抜いて…」
ゆっくりと自身を美男の濡れた秘部にあてがい、ぬるぬるとしたそれを擦り付ける。
「柊…さん」
「美男…少しだけ我慢してくれる?」
頷いた美男に優しく微笑みかけると、柊は一気に美男の中に入っていった。
「んあぁぁっ!…んんっ…」
柊の予期せぬ侵入に、美男の身体がのけ反った。
痛みと初めての感覚に震える美男に、柊は顔を近づける。
「…美男、大丈夫?お前が落ち着くまで待つから…」
そう言って、柊も初めての感覚に身を委ねる。
「あぁ…温かい…」
柊の吐息が頬に触れ、美男はゆっくり目を開く。
痛みが和らぎ、受け入れている感覚をはっきりと美男も感じとる。
「柊…さん…」
美男は両手を柊の背中に回した。
『繋がってる…』
口には出さないまま、二人は同じことを思い、お互いを全身で感じあう。
少しずつ動き出した柊の身体に、美男は必死にしがみついていた。
痛みとは別の感覚が、美男の身体に芽生えてくる。
「んっ…あっ…あぁっ…」
「あぁ…美男…」
柊はたまらず声を出す。
まとわりつく美男の内側に惑わされながら、徐々に強く、深く何度も打ちつける。
「んぁっ…んんっ…あぁっ!」
もっと感じてたいのに…
美男の表情をもっと見ていたいのに…
早く欲望を吐き出してしまいたくなる。
美男の身体を揺さぶる度、その思いが強くなって我慢ができない。
『もう…限界かな…俺』
柊は美男の蕾に指を伸ばした。
「あぁんっ…あっ…柊さんっ…」
指先を強く押しあて、少し弄っただけで、美男の中がきゅ---っと柊を締め付けた。
「うっ…美男凄いよ。こんなに締め付けてくるなんて…あぁ…」
「あぁんっ!…あんっ…んんっ…あぁ…っ」
美男の喘ぎ声を聞きながら、柊も絶頂へと駆け上がっていく。
「んぁっ…っん…あぁっ!!…」
今までとはまったく違う感触が、柊に一気に絡み付いた。
「…あぁ…美男、っく…っ!」
柊が思うより早いタイミングで、欲望が放たれた。
柊はぐったりとした美男を抱き締める。
「柊さ…ん」
美男も腕をまわしてそれに応えた。
「…俺、いかされた気が…」
柊が小さく呟く。
「え?…何か言いました?」
「いや…なんでもないよ…ただ幸せなだけだから、気にしないで」
ずっとこのまま…そう想う二人を、月明かりが優しく包み込んでいた。
以上です。ありがとうございました。
幸せVer.を書いてる途中にDT柊さんの話題が出てたので、入れてみたけど…無謀でしたw
柊さんの幸せもDTも難しい…
>>151 GJ!初々しさ溢れる感じが良い!
柊さんは、テレビ版の印象が強すぎて幸せもDTも書きづらいですよね;;
>>136管理人さん。まとめいつも乙です。
>>151さん
幸せ柊さんGJです!靴のエピ大好きなので嬉しい!
あんなに欲しそうに見てた靴なのに本編では思い出さない不思議。
前スレでピンの話を書いた者です。
大変亀で申し訳ないですがその節はGJありがとうございました。
続きを明日あたり投下したいと思ってます。
>>151 優しい柊さん素敵!
美男の心遣いもまた可愛い!
>>140 auユーザーさんありがとう。
とりあえず、トップに注釈を追加でいれておきます。
au,sbでなんで見えないのかは謎。
>>151 gj!!良かった…柊さんが幸せになれた。柊さん美男、お幸せに!!
初めてで天然テクをもつ美男…恐ろしい子!これから柊さんは美男を喜ばせる為に研究するわけですねw
>>151 GJです!幸せな柊さん…涙が出そうw
途中までは経験済みだったんですね。最後まで出来てよかったー!
しかし、過剰にヤキモチ焼いてしまったが故に柊さんへ乗り換えられた廉さんが
ちょっぴり気の毒な気もしてくる…。まぁいいかw
>>151 読み返して気付いたけど、珍しく柊さんに対して美男が嫉妬やいてるのが可愛い!!
『ここから先は私だけ』みたいに嬉しそうな美男可愛いー!
>>151原宿で柊があと一歩の所で美男とご対面出来そうなのに置き去りにされる、悲しい場面なのに一番大好きなシーンです。
今回のお話は柊ヲタの私の柊×美男、赤い靴エピと悲願叶った感涙ものでした。心より感謝します。
>>151 柊さん、DTだけど、いざとなると、手が早い気もする。交際期間なくいきなり心よりも身体にいっちゃうタイプかw
この後、美男の気が変わらぬうちに、金沢に連れて行って、ご両親に会わせて友禅お土産にサービスしそうだ。
柊さん、とりあえず求めてみてOKなら続行、嫌がられたり、痛がられたらあっさり引きそうw
やれる時は手も早いしエロいこともするけど、やれなくても別にいいみたいな感じがする。
イメージは、性欲少なめだけどやたらエロいw
前スレのピンの話の続きを投下します。
期間が開きすぎて忘れられてるとは思いますが…
>>25さんのお話の中の手や声というワードに触発されて書いてみました。
・柊×美子
・エロあり
美子は道を歩いていて突然後ろから、肩をぽんと叩かれた。
振り替えると懐かしい人物がそこにいた。
「美子〜久しぶり〜」
美子の頬が緩む。
「…RINAさん!」
相変わらず個性的な服装と濃いメイクだが、とてもよく似合っている。
「時間ある?ちょっとお茶でもしよーよ」
RINAの提案で二人はすぐ近くのカフェに入った。
飲み物を手に互いの近況を語り合う。
一通りそれが済むと話題は段々とガールズトークに移っていった。
「どお?最近柊とは?」
RINAが興味津々といった様子で美子に尋ねる。
「え…?」
「うまくいってるのか、どーかってことよ」
「あ…はい。とても優しくしてもらってます」
恥ずかしそうに微笑む美子。
「ふーん、優しくねぇ〜」
言いながらRINAはニヤリと笑った。
「ま、あいつならベッドの中でも優しそうだもんね」
瞬間美子の顔が真っ赤に染まる。
「何よ、その反応は…」
「私たち…その…。いえ、何でもないです」
美子の様子に何となく察しがついたのか、RINAは驚いた顔をした。
「もしかして…まだ?」
「…はい」
「ええー!!」
「ちょっ…RINAさん声大きい」
「だって…!だってよ!?付き合ってどれくらい?」
「…もうすぐ半年です」
RINAは再度驚くと共に言葉を失ったようだ。
「…あの…RINAさん?」
ばんっ!とテーブルを叩く音が辺りに響く。
「ちょっと美子、それ本当?」
「…はい」
「ありえない!ありえないわよ〜柊だって子供じゃあるまいし…」
RINAはそう言ってから、はっとしたように口をつぐんだ。
「…ごめん、二人には二人のペースがあるもんね。今言ったこと忘れて」
「RINAさん…いいんです。謝らないで下さい」
「……」
何となく沈んでしまった空気を取り繕うようにRINAが、話題を変える。
「ね、美子。何かデザート食べない?あたし甘いもの食べたくなっちゃった」
「あ、いいですね!食べましょう」
美子は笑顔をみせる。
しかしその笑顔にいつもの弾けるような明るさはなかった。
カフェから出た美子は歩きながら、RINAとの会話を思い返していた。
頭には自然とあの日の光景が浮かんでいる。
三ヶ月前ピンを見られたあの日、結局柊はあれ以上なにもしてこなかった。
ただ二人ベッドで抱き合って過ごした。
その時、どうして廉からもらったピンを持ち続けているのか。
美子はつたないながらも一瞬懸命伝えたつもりだった。
柊は静かに話を聞いてくれた。
美子はそれに安心していた。
自分の気持ちは柊だけに向いていると、分かってもらえたと思っていた。
しかしあの日以降、柊は一度も身体を求めてきたりはしなかった。
キスは交わしても、それから先はいっこうに進む様子は見せない。
それでもキスの後、時折柊がみせる切なげな表情に美子は気が付いていた。
触れて欲しい、その指で。抱き締めて欲しい、その腕で。
そして…
喉元まで出かかって言えずにいる思い。
それが美子の中でどんどん大きくなっていった。
「…柊さん」
愛しい人の顔を思い浮かべ、美子はぽつりと呟いた。
柊は髪を直してくれるRINAの視線が、いつもと違うことに気付いていた。
「RINAさん、何かありましたか?」
「えっ…?」
「いや、何か俺、やけに見られてるんで…」
「えっ、そんなことないわよー。あはははー」
乾いた笑いが控え室に響く。
柊はRINAをじっと見つめた。途端にRINAはうっと声を詰まらせる。
「…いや、あれよ。今日美子に会ってね」
「えっ?美子に?」
「ぐ…ぐーぜんよ、偶然!」
RINAは慌てたようにそう言うと、意味ありげな視線を柊に投げかけた。
「ずいぶん…我慢強いのね。驚いたわ…」
「え…?どういう意味ですか?」
「いや…だってもう半年でしょ?普通は耐えられないわよー」
ほんとありえない…などとぶつぶつと独り言を呟くRINA。
「何が…半年何ですか?」
「だから…、あっ、あたし社長のところ行かなきゃ!柊、もうセット終わってるから!今日も完璧よ〜」
突き刺さる柊の視線から逃げる様にして、RINAは慌ただしくその場から去っていった。
一人控え室に残された柊はRINAの言葉を反芻していた。
我慢強い?半年?加えてRINAのあの態度。
「ああ…」
ようやく意味を理解して苦笑する。
柊は美子の部屋でピンを見つけたあの日、自分を抑えることが出来なかったことを悔やんでいた。
ずっと、ずっと大切にしてきた美子。
それなのに、あんな真似をして泣かせてしまった。
柊はあれから美子に触れるのが怖くなっていた。
抱きたい衝動に駆られても、その度に美子の泣き顔を思い出してしまう。
あの時美子は「大丈夫」と言ってくれた。
しかし、それが美子の本心なのかどうか、柊には自信がなかった。
美子に嫌われたくない…日が経つにつれ、その思いだけが強くなっていく。
鏡の中の自分を見つめて、柊は小さくため息をついた。
165 :
初めての夜3:2011/11/06(日) 22:50:33.85 ID:PlvBhBOJ
その日の晩、美子は珍しく柊の部屋を訪れていた。
廉が今海外で撮影していることは美子も知っていた。
しかし、自分がここにくると陽気に出迎えてくれる勇気の姿が見えない。
「あれ?勇気さんは?」
「ああ、今日は飲みなんだって。帰ってこないかもって。さっき連絡きた」
「…そうなんですか」
二人はテレビを見たり、話をしたりしてのんびりと過ごしていた。
久しぶりのデートということもあって、時間が経つのが本当にあっという間だった。
ふと会話が途切れた瞬間柊は美子にそっとキスをした。
始めは優しく、そしてそれは徐々に熱を帯びていき、二人の吐息が部屋に響いていく。
美子は身体の力が抜けていくのを感じていた。
このまま抱き締めて欲しい…そう思った瞬間、唇は静かに離れた。
「美子、そろそろ帰った方がいい、送っていくよ」
時計を見て柊が言う。その言葉に美子の表情が曇った。
美子の胸に淋しさとせつなさがつのっていく。
柊とのキスで身体は熱をもってしまったかのように火照っている。
その熱はいつもそれ以上拡がることもなく、自分の中で燻り続ける。
じりじりと身を焦がされるような感覚に、美子は思わず胸の辺りを押さえた。
ふいに目が熱くなる。
「…美子?」
急に黙り込んでしまった美子に柊は訝しげな視線を向ける。
「どうしたの?」
そう言って美子の顔を覗き込んだ瞬間、柊の鼓動が跳ねた。
美子の瞳は涙でキラキラと光り、今にも溢れだしそうだ。
ついに涙が一筋頬を伝う。柊は思わずそれを指で拭った。
「柊さん…私…」
美子が静かに口を開く。
「胸が苦しくて…自分でもどうしていいか分からない…」
「…美子」
柊の鼓動は早い速度で鳴り続けていた。
美子は視線を彷徨わせた後、何かを決心するように唇をきゅっと結んだ。
真っ直ぐな瞳で柊を見つめる。
「…柊さんに…触れて欲しいんです。私…柊さんのものになりたい…!」
「…!」
柊は頭を殴られたような衝撃を覚えた。
自分が何を言われたのか一瞬理解出来なかった。
美子の視線に射ぬかれ、痺れたように身体が動かない。
「…ごめん」
ようやくそれだけ口にすると、たまらず美子を自分の胸に抱き寄せた。
「俺ってほんと、ばか」
「えっ?」
「美子にそんな思いさせてたのに気付かなくて…ほんと、ごめん」
「…そんな…、柊さん、いいんです」
「いや…自分にあきれてるよ」
柊はそう言って美子の背中に回した腕の力を強めた。
「俺もずっと美子を抱きたいって思ってたよ。だけど…前に美子を泣かせちゃったから…臆病になってた」
「…柊さん」
二人は抱き合ったまま静かに互いの鼓動を感じていた。
166 :
初めての夜4:2011/11/06(日) 22:54:45.03 ID:PlvBhBOJ
しばらくして、柊の腕の中で美子がくすっと笑った。
「柊さん…すごいドキドキしてる」
「…美子だって」
気が付くと二人は自然に唇を重ねていた。
ちゅっ、ちゅっと軽いキスを繰り返すと、柊は僅かに空いた隙間から舌を滑り込ませた。
かき回すようにして美子の口内を侵していく。
控えめながら美子もそれに応える。
舌と舌が絡んで唾液が交ざり合う水音が、二人の体温を更に高めていった。
唇が離れる頃には、美子の息は乱れ頬は真っ赤に染まっていた。
「柊さん…」
見上げるその瞳は、誘うようにしっとりと濡れて光っている。
唇も唾液でぷっくりと艶めいている。
普段の美子からは想像もつかないほどの色っぽさだ。
柊はごくっと息をのむと再び美子を抱き締めた。
耳元でそっと囁く。
「ほんとに…するよ?」
美子は小さく頷いた。
薄暗い部屋のベッドの上に、二人の姿はあった。
床には衣服が無造作に置かれている。
「あっ…」
素肌をなめらかに動く柊の唇に美子は思わず声を出した。
くすぐったいのに、それだけじゃない何かが身体を駆け巡る。
自分の口から出る声が、恥ずかしくてたまらない。
柊は美子の胸に顔を埋めて柔らかな膨らみを愛撫し始めた。
手のひらで膨らみを撫で回し、ぴんと尖った先端に吸い付く。
「…やっ、柊さ…ん…っ…、あっ…」
美子の唇からは可愛らしい喘ぎが漏れ聞こえる。
その声は絶えず柊の欲情を煽り続けていた。
自分が美子に触れている。声をあげさせていると思うと
嬉しさと歓びに、柊は気がどうにかなりそうだった。
「…美子、可愛いよ。本当に…」
「あっ、あんっ…」
柊は空いている腕を伸ばして美子の太ももを優しく撫でた。
新たな刺激に美子の身体がびくっと跳ねる。
「敏感だね…」
「だって柊さん、あっ…!」
突然、柊の唇に声を塞がれる美子。
すぐに熱い舌が口内を動き回り、息も出来ないほどの激しさに頭が真っ白になる。
「んっ…んんっ」
柊はキスを続けながら美子の下着に手を掛ける。
さほど抵抗を感じることもなく、するすると下着は足首まで降りていった。
指はそのまま秘所に触れる。
そこは溶けるように熱く、蜂蜜のような液体であふれかえっていた。
「嬉しいよ、美子。えっちな液でびしょびしょだ」
唇を離して柊が言う。
「…!」
恥ずかしさのあまり美子は声も出ない。
しかし、指が密をすくって秘所の突起に触れた時、堪えきれないように再びその唇から喘ぎが漏れだした。
「あっ、あんっ…だめっ、柊さん…そこ…だめぇっ」
「どうして?気持ちいいだろ?」
「っ…気持ち良すぎて…おかしくなっちゃう…」
「いいんだよ、おかしくなって」
長い指が秘所に呑み込まれたかと思うと、ゆっくりと出し入れを始める。
繊細ながらも執拗に中で動く指。その指遣いは確実に美子の快感を積み重ねていく。
美子はもう何も考えられなくなった。
167 :
初めての夜5:2011/11/06(日) 22:57:56.89 ID:PlvBhBOJ
「あっ、あっ、ああっ…!」
いつの間にか指は二本に増えていた。
柊は美子の様子を見ながら、更に愛撫を続けていく。
反応の良かった箇所を擦りあげながら、その上にある小さな丸い突起に唇を寄せた。
舌先で何度もなぞり、時折優しく吸い上げる。
「やっ…もう、だめぇっ…!」
目の前で快感に喘ぐ美子が愛しくてたまらない。
同時に自身の欲望も限界まで張り詰めていた。
「…美子、いきそう?」
「わかんなっ…あっ…ああああっ…!」
一際高い声をあげて美子は達した。びくびくと身体を震わせる。
脱力する美子の傍らで柊はやさしく微笑んだ。
「…気持ち良かった?」
「…はい、でも…私…?」
まるで何が起こったのか分かっていない様子の美子。
柊は下着を脱ぐと手早く避妊具を身につけた。
「…美子、もう我慢出来ない。いれていい?」
そう熱っぽく耳元で囁かれ、美子は柊を見た。
「…!」
そこには、全裸の柊が欲望を晒したまま強い眼差しを自分に向けていた。
初めて見る男性の部分に思わず目を逸らす。
本当にあれが自分に入るのかと、ここまできて不安になる。
鼓動は鳴り響き、ますます体温が上がっていくような気がした。
整わない息で美子は言った。
「はい…でも…あの…私、初めてで…」
言葉の途中で柊が遮る。
「分かってる。優しくするよ。でも…痛かったらちゃんと言って?」
「はい…よろしく…お願いします」
柊がくすっと笑みをこぼす。
「よろしく…って 」
「…あ、変でしたか…?」
「いや、美子らしいよ」
柊はそう言って美子の頭をくしゃっと撫でた。その仕草に不安げな美子の表情が少し和らぐ。
「柊さん…大好き」
「美子…俺も。俺も大好きだよ」
二人は見つめ合った。
互いの瞳に自分たちを映しながら、幸せな気持ちに満たされていった。
しかし、柊の欲望がふいに美子の太ももを掠めた瞬間、美子ははっとした顔をした。
少し困ったようにおずおずと口を開く美子。
「…あの…柊さん、…その…当たっているんですけど…」
「えっ…?あっ…」
柊は慌てて美子から離れた。
「……」
しばしの沈黙が二人を包む。
その空気に耐えきれなくなった柊が、窺うようにチラと美子を見た。
「…えと、…その…いいかな?」
「は、はい…」
168 :
初めての夜6:2011/11/06(日) 22:59:16.47 ID:PlvBhBOJ
柊は美子の足首を掴むと足を大きく広げた。
固くそそり立った欲望を秘所にあてがい、ゆっくりと身体ごと沈めていく。
「…っ!」
美子は痛みに眉を寄せる。
指とは比べものにならない質量を持つものに、身体を貫かれる感覚。
息をするのもままならない。
苦悶の表情を見せる美子に柊の動きが止まる。
「美子…大丈夫?」
「っ…大丈夫です、続けてくださいっ…」
痛みに耐えうっすら笑みさえ浮かべる美子の姿に、柊は胸が張り裂けそうだった。
そっと美子の髪に触れる。
「ごめん…もうすぐだから」
「はい…」
美子の様子を見ながら、再び身体を沈めていく。
長い時間をかけて、ようやく柊のものが全て美子に挿入された。
「入ったよ、美子」
柊の声に美子は顔を上げた。切なげに目を細める柊がそこにはいた。
「俺たち、ひとつになれたよ」
「はい…」
じんじんと身体の最奥が痛む。
頭が霞み掛かったようにぼんやりとしている。
柊とひとつになれた喜びが何とか美子の意識を保たせていた。
「…嬉しいです、柊さん」
「俺も…ありがとう、美子」
柊はそう言って美子の中に入った余韻を感じていた。
そこは熱く、きつく締まっていて動いたらすぐにでも達してしまいそうだった。
もうしばらくそのままでいたかったが、込み上げる衝動を柊は抑えることが出来なかった。
「美子、動いてもいい?」
美子が頷いたのを確認すると柊はゆっくりと腰を動かし始めた。
少しの引き戻しだけでも凄まじい快感が柊を襲う。
「くっ…」
きつく閉じていた美子の唇も、柊が腰を打ち付ける度徐々に開いていって、やがて喘ぎ声に変わっていった。
「あっ…あっあっ」
つながっている箇所から聞こえるいやらしい水音が、ますます二人を昂ぶらせていた。
同時に柊の律動も激しさを増していく。
「…ごめん、美子。俺、もたない…っ」
美子が言葉の意味を捉えるより前に、柊は避妊具の中に大量の精を放った。
「はぁっ、はぁっ…」
流れる汗がぽたっと落ちて美子の肌を伝う。
粗い呼吸を繰り返しながら、柊は言った。
「ごめん…あんまりにも気持ち良くて…俺…」
ばつが悪そうな顔をみせる柊に、美子は穏やかな微笑みを向けた。
「柊さんが、気持ち良くなってくれて私、嬉しいです」
「美子…」
「それに…私も気持ちよかったです…」
そう言って恥ずかしがる美子が可愛くて、つながった姿のまま柊は美子の額にひとつキスを落とした。
「…次は覚悟しといてね」
独り言のように呟く柊に美子が不思議そうな顔をする。
「えっ?何ですか?」
「…何でもない」
その夜、二人は愛しい人の存在を隣に感じながら、静かに眠りに落ちていった。
以上です。
タイトル入れ忘れたのに途中で気が付きましたorz
ちょいS柊さんを書きたかったのに、テレビのイメージが強すぎてダメだったw
前の話がぶつ切りだったので、続きが書けて良かったです。
>>169 わー!超GJです!ようやく1つになれて良かったねー!!
悪気の無いRINAさんの発破かけもホントにありそうでイイw
セリフも全部脳内変換できるほど特徴捉えてましたよ!
しかし最近、柊さんが次々に幸せになっていく…良いような悪いようなw
>>169 前回のピン話好きでした!途中でやめた柊さんせつなかったな〜
でも無事結ばれてよかったー 最後の言葉が気になるので
ちょいS柊さんもお願いしますw
柊さんよかったね!おめでとう!
幸せ柊さんもいいけど久しぶりにせつない柊さんもよみたいw
>>169 ピンの続きキター!!GJ!!!柊さん幸せになれて感涙!この柊美子も可愛すぎるwww
今後スイッチ入って美子を攻める柊さんに期待w
>>169 GJです!やっぱり幸せな柊さん読めるとうれしい
次、覚悟しておきますw
最近たくさん、かわいい美男や幸せな柊さんを堪能できたので、今度は廉さんに
頑張ってもらうべく、廉×美子を書いてみました!エロありです。
白く透き通った肌に、薄いブラウンの短髪、深い緑色の瞳、高く通った鼻筋。
背もすらりと高く、逞しい体つき。
「ミオ!!」
彼は艶やかなバリトンヴォイスで、美男の名前を呼んだ。
「アンソニー…?!」
「ミオッ!!」
近づいてきて抱き締め合い、ずっと会いたかったと互いに再会を懐かしんだ。
夕方、急に合宿所に現れた訪問者はアンソニー・ハミルトン。
現在、アメリカで絶大な人気を誇る25歳のミュージシャンだ。
昨年日本でもドラマで楽曲が使用されてから人気が爆発し、新曲のプロモーションと
ライブのために、昨日来日したばかりだった。
「もう6年くらい前なんだけど、俺達が居た施設の院長の、知り合いの息子ってことで
2週間くらい滞在してて…まだアンソニーもデビューする前だったけど、お互い
音楽好きってことで意気投合したんだよね」
「へぇ…デビュー前から知ってたのか、凄いな」
「俺、全部CD持ってるし!!会えるなんて、超ラッキーだよ!美男、サンキューな」
柊と勇気は、アンソニーと美男の繋がりに素直に驚き、はしゃいだ。
美男は、英語で柊と勇気を紹介し、アンソニーはにこやかに「ヨロシク」と握手を求める。
しばらく経って廉と美子が、久しぶりのデートから帰って来た。
「アンソニー!?」
「ミコ!!」
ただいま、も言わないうちに美子はアンソニーと抱擁し、互いに両頬へ軽くキスした。
早口の英語で再会を喜ぶ2人に、廉は呆気にとられる。
美子から廉を紹介されると、アンソニーは廉に挨拶して握手を求めた。
「Nice to meet you…」
突然のアンソニーの出現に戸惑いながら、廉も挨拶を返した。
美男・美子とアンソニーはダイニングで昔話に花が咲き、他の3人の居るリビングには、
軽やかな英語と笑い声が聞こえている。
「忙しいだろうに、わざわざ訪ねて来るほど親しい間柄だったなんて、本当に驚いたよ」
「美男も水臭いよなぁ」
柊と勇気は、先ほどまで片言の英語でアンソニーと交流を図っていたが、廉だけはいつも以上に
ムスっとした顔のまま、あまり話をしていなかった。
「あいつ…ちょっと馴れ馴れしくしすぎじゃないか?」
「あー、廉さんヤキモチ?美子にベタベタしすぎってこと?」
「アメリカ人なんだから、あのくらい普通だろ。気にするなよ、廉」
「ふん…俺は部屋に行っとくからな」
そう言って不貞腐れたまま、廉は自室へと戻りそのイライラを書きかけの五線譜にぶつけた。
その1時間後、アンソニーが帰るから、と勇気に声をかけられ、渋々玄関で見送った。
帰り間際も、美子にしっかりハグをして頬にキスをしているのを見て、廉の機嫌はますます悪くなる。
しかも美子を抱きしめたまま、アンソニーは廉のほうをチラチラと見ていた。
「…レン、マタネ」
アンソニーは、がっちりと握手をしたまま廉の目をじっと見つめて、口角を上げて不敵に笑う。
こいつ、まさか…!?
廉はキラキラした目で彼を見る美子を横目に見て余計に不安が募った。
みんなで見送りを終えて、美子も廉と一緒に部屋に入った。
「出かけてる間、何度もお兄ちゃんが"早く来い"って電話してくるから、何事かと思ってたら…
凄いサプライズでした!」
「…そうだな。そりゃ良かった」
どうでも良さそうに言う廉には全く気づかず、興奮気味に美子が続ける。
「彼が忙しくなってから連絡もなかなか取ってなかったけど、今回日本に来る前に
A.N.JELLにお兄ちゃんが居るって知ったんですって!」
「あぁ、なるほどな」
「アンソニーは本当に優しいし、かっこいいし、笑うとかわいいし…もちろん音楽に関して天才だし。
完璧な男性って、ああいう人のことを言うんでしょうね〜」
「はいはい、そうですか…」
悪気も無くアンソニーを賞賛し続ける美子に、何か自分が皮肉を言われているような気がして廉は居心地が悪くなった。
「も〜。廉さんも曲作りのこととか、もっと一緒に話せば楽しかったのに…」
「どーせ俺は、お前らみたいに英語も話せねぇし、あいつみたいに優しくもねぇし?」
「あ、英語は院長様に小さい頃から将来のためにって厳しく教わって…アフリカでも
役に立ったんですよ?ちょっとした通訳くらいなら出来るんです」
「ふーん…良かったな、そのおかげで愛しのアンソニー様とちゃんと話が出来てさ」
刺々しい廉の言葉に、ようやく美子も気づいた。
「あの…廉さん。もしかして…」
「…なんだよ?」
「ヤキモチですか?」
「・・・ア、アホか!!誰がそんなもん…!」
廉の体を、ふわりと美子が抱きしめた。
「えへへ…なんか嬉しいです」
「だから、違うって…」
「アンソニーは、凄く素敵な男性ですけど…私の初恋は廉さんだし、それは今もずっと継続中です」
廉を抱き締める腕の力が少し強くなった。
「だから、変な心配なんてしないで?私の心は、これからも廉さんのものです…っん!」
言い終えるや否や、廉の唇が美子の唇をふさいだ。
突然のキスに驚くが、美子は嬉しくなって自分からも舌を絡ませる。
荒い息のまま深い口付けを繰り返しながら、ベッドへ横たわった。
唇をいったん離して、もう一度抱きしめあう。
「俺はお前を信じてる。けど…時々、まだ怖いんだ」
「え…?どうして?」
「今、こうして一緒に居るのが幻で、いつか遠くに行ってしまわないかって…」
「廉さん、私はもうどこにも行きません。ずっと、そばに居ます」
廉の体を受け止めるようにして、美子は廉の耳元で優しく囁く。
「あ、いや。時々だ、ほんの、時たま…」
途端に自分の言った言葉がひどく子供じみていた気がして、廉は慌てて言った。
「廉さん、かわいい…」
ちゅ、っと音を立てて美子からキスすると、それを皮切りに廉の手が美子の服の中へと入り込んだ。
廉の手は、美子の素肌を優しく撫でながら、あっという間に下着も剥ぎ取る。
もう幾度と無く重ねてきた互いの身体は、次にどう動けばいいのか声に出さなくても
わかるようになっていた。
次々に着ているものをベッドの脇に脱ぎ捨てて、肌触りの良いシーツの上で深いキスを繰り返す。
廉は美子の胸の膨らみを揉みながら、その先端を口に含んだ。
舌先でころころと転がしながら、もう片方は2本の指で摘まんで少し力を入れる。
「あんっ…んっ」
敏感な部分を口や指で刺激され、美子は甘美な声を漏らした。
十分に乳房を堪能した廉は、首やデコルテの辺りに舌を這わせながら、美子の太ももを
押し広げて中心をまさぐった。
とろりと濡れているそこへ、ずるりと一気に指を押し込むと、美子は脚を震わせて反応する。
「美子…今日はいつもに増してすげぇぞ、ここ」
「そんなことな…ぁっ…んっ、ゃぁ…」
廉の長い指で内側をあちこちと擦られて、そこから体中へ熱が駆け巡った。
身を捩ってみるが、どうにもならない感覚に美子は身を任せるほかない。
「やっ、あっ…れ、んさ、んっ…!!」
大きな快感の波が美子を襲ったのを見届けて、廉は奥から溢れてきた愛液が絡みつく指を
ゆっくりと引き抜いた。
やや脱力していた美子は身を起こし、いつものように自分ばかり愛撫されたのが少し悔しくて。
ベッドに腰掛けて避妊具をつけようとする廉を制した。
「…どうしかしたか?」
「え、っと…ちょっとだけ反撃です」
「はぁ…?っ…!」
廉の首筋をペロリと舐めてから、そのまま舌を下ろしていく。
乳首まで美子の舌が達した時、廉はピク、と震えた。
「やっぱり…廉さんもココ、弱いんだ…」
「ちょ、っと…まてっ…ん…」
美子は、自分がされるのと同じように片方は口の中で転がし、もう片方を指で弄くった。
みるみる廉から力が抜けていくのを見て美子は嬉しくなる。
「…良かったですか?」
「お前…!不意打ちすんなよ…」
「えへへ…廉さん、かわいかったです」
「ったく…。ここからは俺も容赦しないからな」
そう言って廉は、素早くゴムを装着して美子を仰向けにさせ、ぐっと中へ押し入った。
美子は腕を廉の肩に乗せ、脚を出来るだけ閉じてより廉の体に密着する。
こうして繋がった瞬間に、廉が見せる柔らかく無防備な表情が美子を幸せな気分にさせた。
1回、2回と廉が自分のものを引抜き、また挿入すると卑猥に響く接合部分の音が静かな部屋にやけに大きく響く。
「ふっ…ん、っ、ぅ…ん、く…」
「あぁっ、ぁん、ゃ、ん…はぁ…あっ…」
その激しい動きで、美子もますます廉にしがみつく様に力を込める。
美子が廉の体に絡めた脚の内側を締めた後、廉は動きを止めて精を吐き出した。
ベッドの上でそっと廉の髪を梳きながら、美子はふふ、と笑った。
「なんだ?」
「今日の廉さん、かわいかったな〜って。ヤキモチ焼くし、不意打ちに慌てるし…」
「アホか、調子に乗るな!」
ムキになり顔を逸らす廉に、美子はまた一層の愛おしさを感じてぴったりとくっつく。
その柔らかさに降伏し、廉も機嫌を直して美子の頭にキスを落とした。
「あ、それに言い忘れてたけど、アンソニーは男の人が好きみたいなので…私は全然、心配ないんですよ?」
「お前、それを早く言えよ!ったく、心配して損した」
しかし、帰り際に見せたあの眼差しは何だったのだろう?
妹のような美子を、ヨロシクってことなのか…。
「えへへ…だって廉さんがかわいくて、つい。アンソニーも、廉は凄くキュートだねって言ってくれました!」
「そーか…。ん?それって、まさか…!?」
「…え?」
廉は、胸に湧き上がる疑惑が勘違いであることを祈りつつ、美子をその腕にきつく抱きしめた。
以上です。 時系列書くの忘れてましたが、アフリカから帰ってしばらく経ってるとこです。
美子も廉も、だいぶセックスに慣れてきてる頃、ってことで…。
とりあえず廉にヤキモチ焼かせたかっただけですw
>>182 GJ!やきもちを焼く廉さんが可愛らしかったです。
それに、自分から首筋をなめる美子が自分的にはツボりましたw
私も作品投下します。
DT柊×美子 エロありです。
前回
>>61-71 前々回
>>8-17
「んん・・・」
柊の部屋で一夜を過ごした美子は、窓の外から差し込む朝日で目を覚ます。
眩しい光が自らの瞳の中に溢れんばかりに入り込んでくるため、それを防ぐために左腕で影を作ると、まだ眠りについていた柊の方へと顔を向ける。
柊の寝顔に向かって微笑みを浮かべた美子は、柊を起こさないように上体を起こし、
一晩中握られ続けていた互いの手をゆっくりと解いた。
そして、ベッドサイドに置かれていた小さな赤い箱を手に取るとその箱を開き、中に入っていた星型の指輪を見つめ
「夢じゃ・・・ないんだよね。」
と、改めて昨夜の事を思い出し、「えへへ・・・。」と頬を少し赤らめ、指輪を見ながら笑みを零した。
「んん・・・・もう・・朝・・・か・・・。」
美子が昨夜の余韻に浸っている中、物音に反応したのか眠りについていた柊も起きる。
柊は右手で目を擦ると、上体を起こし、「んん〜」と言う声を出しながら腕を上にあげ、背を伸ばした。
起き上った柊に気がついた美子は、背を向けていた体を柊の方へと向けると
「柊さん、おはようございます!」
と背伸びをしていた柊に、満面の笑みで挨拶をした。
目を閉じていた柊も、ゆっくりと目を開け、美子の姿を捉えると
「んぁぁ・・。美子・・・。おはよう・・。」
と言い、まだ完全に目が覚めていないのか大きな欠伸をした後、ぼんやりとした表情の中、力を振り絞って微笑みを返した。
そんな眠そうにしている柊の姿を見た美子はベッドから降り、部屋の扉の前まで行くと
「柊さん!早くしないと、先に行っちゃいますよ?」
と振り返った後、にやにや笑いながら柊に言う。
柊はその場でもう一度背を伸ばして一息つくと、ベッドから降り
「わかったから、先に行くなよ?」
と言うと目を右手で擦った後、笑みを浮かべると美子の元まで行き、二人でリビングへと向かった。
「ハァァ〜。今日も良い天気だなぁ〜。何か良い事ないかなぁ〜。」
A.N.JELLメンバーの誰よりも早く起きた勇気は
リビングのソファに座りながら、雲一つない青空を笑顔で見ていた。
そんな事をしていると、2階から誰かが下りてくる音がする。
勇気はいつも通り柊が下りてきたのだと思い、階段の方へ目を向けると柊に朝の挨拶をしようとする。
「柊さん。おはよ・・・?」
しかし、階段から降りてきたのは柊ではなく美子だった。
(え?何で、美子が下りてきたんだ?美子の部屋は1階だし・・・)
予想外の事が起き、どういうリアクションを取ればいいのか分からなく、口を開いたまま首を傾げる。
階段から降りてきた美子も、リビングにいる勇気に気がつくと
「あ、ゆ、勇気さん!!」
と、美子は目を丸くして勇気を見つめた。
「美子・・・?どうしたんだ?そんな所で止まって・・・あ・・。」
そして、美子の後を追うように下りてきた柊も勇気と遭遇し、数秒間、誰も動かなかった。
あの後、勇気に二人の関係を簡単に説明した。
勇気も最初の方は「うぉ!」だとか、「えぇー!!」と言った感じに驚いていたが、話し終わった時には
「そうだったんだ。二人とも、おめでとう!」
と笑みを浮かべながら、二人の幸せを祝福してくれた。
勇気の言葉に二人は少し照れ臭くなり、顔を見合わせると頬を赤くし、その後、二人はすぐに顔を逸らした。
そんな姿を目の前で見ていた勇気はくすくすと笑いながら
「何か、見てるこっちの方が恥ずかしくなってきちゃったよ・・・。」
と、二人に影響されるかのように頭を掻きながら頬を赤くしていた。
恥ずかしそうに顔を逸らしていた柊は、時計に目を向けると何かに気がついたのか
「あっ!」と声を出しながら立ち上がった。
勇気と美子は驚くと、いきなり立ち上がった柊の方へ目を向ける。
「柊さん・・・どうかした?」
「あ、いや・・もう朝ごはんの時間かって・・・。今から何か作るから、二人とも寛いでいてくれ。」
「あ、私も手伝います!」
キッチンへ向かおうとした柊に、美子も立ち上がって手伝おうとする。
「いや、今日は俺がするからゆっくりしてて?」
「・・・はい!わかりました。」
先に微笑みを浮かべていた柊に、美子も後から笑みを浮かべると、腰を再びソファに下ろした。
そんな二人の姿に、「初々しいなぁ〜。」と笑いながら小さな声で呟いた。
柊が朝食を作っている間、勇気と美子は色々な話を展開させていた。
「柊さん・・・優しいもんなぁ〜。」
「勇気さん、どうかしましたか?」
「いや、やっぱり女の子って柊さんみたいな優しい人が良いのかなぁ〜って思って・・・」恋に関する疑問を真剣な表情で美子に話しかける勇気。
そんな勇気に、美子は微笑みながら
「そんな事ないと思いますよ?」
と明るい声で勇気に言った。
「本当にそう思う?」
「はい!勇気さんみたいな明るい人が好きな人やクールな人が好きな人、人それぞれ好きになるポイントは違うと思います!」
「・・・そうだよな!」
勇気は美子を見るといつもの笑顔を浮かべていた。
笑顔の勇気を見た美子も、勇気の笑顔に応えるかのように笑みを返した。
「何二人で話をしてるんだ?」
そんな話をしていると、朝食を持ってきた柊が二人の前に現れ
リビングのテーブルの上にトーストと、サラダやらスクランブルエッグが盛りつけられたお皿を二人の前に置く。
「美子に恋の悩み相談してもらってたんだぁ。ね?美子?」
「相談って言えるような答えは返せませんでしたが・・・・。」
「へぇ〜。勇気の悩みか。誰か好きな人でもいるのか?」
「そ、そんなの柊さんには関係ないじゃん!」
「あ!勇気さんの顔赤くなってる!やっぱり好きな人いるんですか!?」
「もぉ〜!美子までそんなこと聞いてくるなよぉ〜!」
とこんな感じで、朝食を食べている間も勇気の好きな人は誰かという話やら
美子と柊の恋愛話やら、色々な話で3人は盛り上がった。
そして、時間が経つのはあっという間でその日の夜。
柊はリビングで、一人ハーブティーを飲んでいた。
昨日の今日というわけで、まだ美子と一緒に寝た際に見た寝顔が頭から離れない。
まるで子供のようにすやすやとした寝顔だったのだが、時折潤う唇に色っぽさを感じていた。
そのせいなのか、指輪を渡した後に意識の闇の中に入るのに2時間かかり、今日の寝坊に繋がっていたのだ。
そんな事を考えながら柊は
「最近・・・美子とキスもしてないな・・・。」
と、昨日見た美子の唇を思い出しながら、ぼんやりとした表情で自らの性欲を外へと放った。
すると、美子たちの部屋がある通路の方から扉が閉じる音がした。
柊は、その音に反応し振り向くと、廉が奥の通路から歩いてきた。
「廉・・どうしたんだ?そんな荷物持って・・・。」
奥の通路から歩いてきた廉は昨日美子が言っていたように、少し大きめな鞄を持って出てきた。
柊の存在に廉も気がつくと、途中で足を止め
「柊か・・・。いや、ちょっと野暮用がな・・・・。」
と、少し困った表情を浮かべながら柊の方を向きながら顔を俯かせた。
そんな廉の表情を見た柊は「何かあったのか・・・?」と心配そうな表情を浮かべ廉に聞く。
廉は、少しためらった後、柊の顔を見る。
「いや、本当に個人的な用事だ。気にするな。」
そう言うと、歩みを止めていた足を再び動き出させ、玄関へ歩いて行った。
「何かあればいつでも言えよ?」
玄関へと向かう廉の後ろ姿に、珍しく大きな声を出して言葉を投げかけた柊に
廉は足を止めると、柊の方を向き「ああ、わかった。」と言い、再び歩いて行った。
「廉・・・どうしたんだろう・・・。何もないなら良いけど・・・。」
一抹の不安を、廉の後ろ姿から感じる柊はハーブティーの入っていたカップを手に取ると
キッチンにあるシンクまで行き、
カップを洗うとふと、美子の部屋ある奥の通路に目が行く。
そして、気になった柊は覗きこもうと冷蔵庫近くから身を乗り出そうとした。
「柊さん・・・何してるんですか?」
すると、後ろから美子の声が聞こえ、勢いよく後ろを振り返る。
「み・・・美子!?」
「ふふ・・・どうしたんですか?そんなに驚いちゃって・・・。」
目を見開いて驚く柊に、美子はくすくすと笑いながら柊の顔を見ていた。
「い、いや、そ、その・・・・」
動揺のせいか、うまく言葉が繋がらない柊の様子を、美子は首を傾げながら見つめる。
そして、そんな美子の姿を目で捉えると尚更、恥ずかしさのあまり
「美子の様子が気になったから部屋を覗こうとした。」
何て言いだしにくくなる。
本当に、どうしてああいう時だけ強引なぐらいに積極的になれるのか、自分でも不思議に思える。
もう、俺と美子は赤の他人と言う関係ではない、深い関係になっている。
なのに、どうしても美子の無邪気に笑う姿や恥じらう表情を見ると、こっちの方が恥ずかしくなる。
そうなると、今度は頭の中で何をどうすればいいのかわからなくなってしまう。
「柊さん・・・?柊さん!!」
と、いつまでも意識の中で考えていると、目の前で大きな声で自分の名前を呼ぶ美子に気がつく。
その声に反応するかのように一瞬、「ハッ!」とした表情をした後に「ご、ごめん。」と言う。
そんな柊の様子を見た美子は頬を膨らませると
「柊さんって、私と一緒にいる時良くぼんやりしてますよね・・・?」
と少し声のトーンを下げて柊に言った。
「そ、そう?」
「そうですよ!いっつも私が話しかけたりするとぼんやりと考え事してますし・・・。」
美子は、柊に向けていた顔をそのまま下へとずらすと寂しそうな表情をする。
何と言うかこんな事を思うのも何だが、こういう時、女性との付き合いが多いほど有利だなぁとか考える。
そうすれば、好きな人の前でも常時冷静さを保てるのだから・・・。
けれど、それは単なる言い訳なのかもしれない。ただ単純に、美子を俺は愛しきれていないのかもしれない。
恥じらいのあまり、ちゃんと美子の事を見れていないのかもしれない。
恥じらいを捨てろとは言わない。
けど、ちゃんと見てやっているという事を体現するなり言葉として表さないと、いつか勘違いされて傷つけてしまうかもしれない。
いつまでも奥手じゃ駄目な気もするよな・・・。男としてさ・・・。
息を一つ、外に出さずに飲み込んだ柊は「美子・・・」と小さな声で呟くと
俯いていた美子の顎を右手で持ち上げて、美子の顔が見えるようにする。
「しゅ、柊さん!な、何するんですか!!」
まだ機嫌を直していない美子に、柊は真剣な表情を浮かべたまま、左腕を美子の体に回して抱き寄せると、いきなり口づけを交わす。
驚いたのか、美子は一度目を見開かせたが、すぐにその目を閉じていく。
お風呂上がりのせいか、抱き寄せた腕からはしっとりとした肌の感触と、時折触れる髪のから水滴が伝わり
触れ合う唇からは、温もりと潤い、そして微かに口の中から漏れる美子の呼吸を感じる。
久しぶりに触れた唇に、もっともっと触れていたい。感じていたいと思うが、その気持ちを今は押し殺し、ゆっくりと唇を離していった。
唇が離れて、最初に見た美子の姿は首を傾げて自分を見ている姿だった。
「美子。俺・・・・・・」
「・・・」
「美子の目の前に立つと・・・頭の中でお前のことばっかり考えてぼーっとしてたんだ・・・。」
いつもなら、美子の顔を直視してこんなことは言えない。
けど、言わないで大切な人が傷つけるなら、しっかり相手を見て言葉にしないといけない。
決意を固めて、自分の胸の内を曝け出した柊なのだが、美子は首を傾げたままピクリとも動かない。
柊は、自分の話をちゃんと聞いてもらっていたのか気になり
「み、美子・・・?話、聞いてる?」
と、ぼんやりと首を傾げている美子と視線を合わせて言う。
しかし、美子は首を傾げたまま微動だにしない。可笑しいと思った柊は肩を「とんとん」と軽く叩いた。
すると、美子が「うわ!」と言う声と共に、その場で跳ね上がる。
それに驚いた柊も、体を「ビク!」と震わせた。
「あ、あれ・・しゅ、柊さん・・・?わ、私・・・ど、どうしちゃったんですか?」
状況が分かっていないのか、辺りを「きょろきょろ」見ながら慌てて柊に問いかける。
「え、み、美子・・・・話・・・聞いてた?」
「は、話・・?何の・・話ですか?」
・・・・聞いてなかった。
決心するような事でもないけど、自分の中ではとても恥ずかしい部類に入る事を告白したのに
肝心の美子の意識が飛んでいたのか話を丸々聞いてはいなかった。
嬉しかったような悲しかったような・・・複雑な気持ちだ・・・。
何だが言葉にし難い感情を抱く柊は「ははは・・」と苦笑いすると、横にあった冷蔵庫にもたれかかり、目を閉じて息を一つ吐いた。
そんな柊を見ていた美子は、
「え、え?しゅ、柊さん?何か大事な話をしてたんですか!?」
と、冷蔵庫にもたれかかっていた柊のすぐ横に立ち、困惑した表情を浮かべていた。
「い、いや・・・特に重要な事じゃないから・・・気にしないで・・・。」
冷蔵庫に前傾姿勢でもたれかかっていた柊は、そのままの状態で弱弱しく言葉を吐いた。
美子は柊の様子を慌てた素振りで「え・・・えっと・・・」と声を漏らす。
そして、「よ、よし!」と頷きながら小さな声で言うと、
「しゅ、柊さん!わ、私、しゅ、柊さんにしてあげたいこ、事があ、あるんで来てください!」
と、どうした訳か動揺なのか緊張なのかもわからないが、噛み噛みの言葉で柊に告げると
柊の手首を掴み、自分の部屋へと無理やり引っ張っていく。
突然、自分の体が冷蔵庫から離れて驚いた柊は、美子の方を見ると
「み、美子!?い、いきなりどうしたんだ!?」
と言いながら、何も答えない美子に連れて行かれるような形で、美子の部屋へと入っていった。
美子に強引に連れてこられる形で、俺は美子の部屋に入った。
美子は、俺を完全に部屋の中に入れると扉を閉める。そして、そのままの勢いでベッドの上に正座で座った。
これから何が起ころうとしているのかさっぱり分からない。
ただ、何でかわからないけど、部屋に入ってからずっと美子がそわそわしている。
何と言うか・・・頬を赤らめてるのは良いとして、何だか頻りに辺りを「きょろきょろ」と見ている。
キスのせいなのか?けど、キスしてすぐの時は今みたいな感じではなかった。
寧ろ、キスをした後・・・そう。俺に「何かしたい」って言った辺りから今の様になったんだ。
扉の前で立っていた柊は、ベッドに座り込む美子に近寄ると
「美子?俺にしたい事って・・・何?」と、少し顔を俯かせていた美子と同じ目線になる様にしゃがみ込んで聞く。
美子は横目で柊を見ると、恥ずかしそうにもじもじとして
「あ、あの・・・柊さん・・・?」と、小さな声でゆっくりと声を出した。
「ん?どうかした?」
「そ、その・・・わ、私の前に・・・立ってくれませんか?」
「え?・・・た、立てばいいのか?」
そう言うと、美子に言われるがままに柊はその場に立ちあがる。
美子は、上方にある柊の顔を正座した状態で下から見上げると
「あ、あの・・・お、男の人って・・・・されると・・・んですか?」
と、所々聞き取れないぐらいの小さな声で柊に言う。
当然、重要な部分を聞きとれなかった柊は美子の顔を見ると
「何て言ったの?よく聞こえなかったけど・・・・。」と言う。
その言葉を聞くと美子は、見上げていた顔を一度元の位置に戻す。
よく見ると、美子の膝の上に乗せられている手は力強く握られていて、小刻みに震えている。
それを見た柊は、立ちあがっていた体を再びしゃがみ込ませて、美子と視線の高さが同じになると
「どうしたの?美子?」
と、微笑みを浮かべて美子の顔を覗きこんだ。
その顔を見た美子は、一度だけ顔を俯かせた後、すぐにまた柊と顔を合わせると口を開きだした。
「お、男の人って・・・そこがい、一番・・・そ、その・・・き、気持ちいい・・んですか・・?」
その言葉を発すると美子は、羞恥のせいなのか顔を一段と赤く染め、目を強く瞑った後
ゆっくりと右手人差し指が俺の体の一部を指差した。
そこは美子が指摘した通り、男にとって最も敏感な部分がある所だった。
流石に、どうしていきなりこんな事を聞いてくるのかと驚いた柊は
「え、あ、いや・・・えっと・・・どうしてそんなこと聞くんだ?」
と、少々頬を赤らめて美子に先ほど放った言葉の真意を問質す。
すると、美子は閉じていた目をゆっくり開き、その目が柊の姿を捉えると言葉を発し始めた。
「あ・・・あの・・・・その・・何て言えば良いんでしょうか・・・」
「え?」
「そ、その・・・お、男の人は・・・えっと・・そこを・・い、いじら・・・れると・・き、気持ちいいって・・・聞いて・・・。」
(・・・・・・・え?)
柊は、美子の言葉をして美子の言った「したいこと」というのが何となく頭の中に浮ぶ。
ただ、どうして美子がその事を知っているのか。そして、一体情報源はどこなのか。
取り敢えず聞きたいことは山ほどある。けど、今聞いたところできっと口を割ってはくれないだろう。
それなら、どういう経緯であれもう流れに身を任せるしかないんだろと腹を括る。
ホント、世の中何があるか分かんないよな・・・・。
「・・・ま、まぁ、十中八九というよりも・・完全にそうだよ。」
柊は顔を逸らすと、頭を掻いて恥ずかしそうな素振りをした。
「だ、だから・・・わ、私で・・・しゅ、柊さんを・・その・・み、満たしてあげたくて・・。」
「み、満たす?」
「あ、えっと・・・・い、いつもは・・私が・・柊さんにされてるけど・・・たまには私から・・・って思って・・・。」
その言葉を全て言い終わると、美子は柊に向けていた視線を瞼を閉じることで遮断させた。
そして、色々と考えた柊だが、取り敢えず拒む理由など一つもないと判断するとしゃがみ込んでいた体を立ち上がらせる。
「それじゃあ・・・・こんな言い方するのも変だけど・・・お願いしても良い?」
美男は、柊の言葉を聞くと何も言わず、ただ小さな頷きを一つした。
しかし、ズボンを脱がせようと右手を宙に浮かせたのだが、
目の前にある存在を過剰に意識すると「ドキドキ」と胸の高鳴りを感じる美子。
私から言った手前、後には引けないのだけど・・・・。
何しろ、こんなことなんてしたこともないから、実際にやるとなるとやはり「不安」が付き纏う。
「上手に出来るか?」とか、「もしうまく出来なかったら」とか、そう言った不安が目の前の存在に触れる事に対して「恐怖」を覚えさせ、中々第一歩を踏み出せない。
もうずっと前から、私の右手は宙に浮いている。
けど、その手は私と柊さんの間で「ピクリ」とも動かない。
前に進めることも、後ろに引く事も・・・・。ただ、二人の間で小さく震えているだけ・・・。
そんな美子の姿を見ていた柊は、しゃがみ込むと
「美子?無理しなくて良いんだからな?」
と微笑みながら、宙に浮く美子の右手を両手で包み込むように強く握る。
「わ、私、無理なんて、し、してません!!」
「・・・無理しないで良いよ?不安も戸惑いもあるなら・・・強要はしない。」
「しゅ、柊さん・・・。」
微笑んでいる柊の手は優しさが溢れている表情とは対照的に、とても男らしく強く握られている。
けれど、その手から伝わる「温もり」は凍りつくように張り付いていた「不安」を少し和らげていった。
「・・・・柊さん、ありがとうございます。けど・・私も・・・」
言葉を全て言い終わる前に、美子は握られていた右手に力を入れて前へと推し進めると
柊のズボンに巻かれているベルトへと手を伸ばし
「私も・・・柊さんのために・・・何かしたい・・・。」
と、少し涙を浮かべる瞳でありながらも笑顔で柊の顔を見つめる。
その表情を見た柊もまた、微笑みを浮かべて
「わかった。けど、本当に無理はしないでくれよ?」
と言い、美子の頭を軽く撫でると再び立ち上がった。
美子は「はい!」と返事をすると、柊の身に纏う下着を一枚一枚脱がせていった。
下着全てを脱ぎ終えさせると、自分が今まで生きてきた中で、一度たりとも見た事のない物体が現れる。
美子は、一度目を閉じると恐る恐るその物体を右手で掴んだ。
すると、その物体を掴んだ瞬間に柊さんの体が少し揺れたような気がした。
けれど、美子はその反応一つ一つを捉える余裕がないほどに、目の前にある物体に意識を集中させていた。
(えっと・・・た、確か・・・次は・・・擦るんだっけ?)
頭の中で、次にすべき行動を思い浮かべると掴んでいた物をゆっくりと前後へ動かしていく。
「ん・・・」
動かしだしてすぐに、柊から小さな声が漏れ
それに気がつくと、心配になった美子は動かしていた手を止め、柊の顔を見上げる。
柊は、閉じていた瞳をうっすら開き、美子の顔を見ると
「大丈夫だから・・・続けて?」
と言い、微かに笑みを浮かべると美子の頭に手を添えた。
温かな柊の手が頭に添えられると、美子は何も言わず視線を戻し、再び物体を擦り始めた。
先ほどよりも擦る速度が上がったために、柊は「んあ・・・」と声を漏らし、うっすらと開いた目で美子の姿を捉えた。
初めて自分以外の人に触れられている部分から、ゆっくりとだが刺激が伝わってくる。
このゆっくりさが何とも言えないぐらいにもどかしい。
けれども、そのもどかしさを補うぐらいに大切な人の熱をその部分から感じると考えると
何だか、いつも以上に体が熱くなってきている・・・・。
すぐ下で、その人が懸命に自分の物を弄っているのを見ると、少しずつだが感覚が鈍っていく・・・・。
「んあぁ・・・ハァ・・ハァ・・。」
まさか、美子がここまで上手にこういう行為をするなんて・・・・驚いたな。
初めのうちは、ゆっくりとした動きだったのに
その手の動きは本当に少しずつだけども速度を増してきている。
そして、時折先端部分に触れる指が更に熱くなる体を高ぶらせる。
ホント・・・驚かされるばかりだ・・・美子には・・・・。
「柊さん!?な、何かで、出てきちゃいました!と、トロっとしてる液体が・・・。」
擦っていた美子の手が止まり、突然先から出てきた液体に驚く美子。
「大丈夫・・・だからさ・・・続けて?」
柊は、少し呼吸を乱しながらも美子に微笑みを浮かべて言う。
そんな姿を見た美子は心の中で
(これって・・・き、気持ちいいってことなのかな?)
と思い、擦っていた手の動きを止めると目を閉じ、息を一つだけ外へ出した。
すると、目をうっすらと開けると口を開け、目の前の物体の先端部分を口の中へ含んだ。
その時、既に柊の視線は美子ではなく、直線状にある壁を見つめていたため、美子が自分の物を口に含んだ瞬間、何が起こったか分からなかった。
「んん!み、美子・・!?」
突然、生温かい何かが俺の重要部分の先の方に纏わりついた。
何が起こったかと思い、下にいる美子の姿をすぐに見る。
そこには、自分の物を咥えている美子の姿があった。
「み、み・・こ。そ、そんなことまで・・・っく・・しな・・くて・・・」
必死に美子の行動を止めようと、右手が美子へと伸びて行こうとする。
けれど、頭は拒否しようとしているが、俺自身の体は素直だ。
咥えている美子の顔が動くたびに、体内から込み上げてくる刺激は、今まで味わってきたどの刺激よりも熱く感じる。
そして、常に刺激され続ける先端部分に時折触れる美子の舌が更に体の中で熱い刺激を駆け巡らせる。
その刺激を体は拒絶していない。寧ろ求めている。
それを体現しているかのように、伸ばそうとしていた手がだんだんと美子から遠ざかる。
そして、天井を見上げると遠ざけた右腕で両目を覆い隠した。
(あぁ・・・何か、頭の中がほんのり熱い・・・。美子も・・・こんな気分になってたのかな・・・。)
腕の隙間から僅かに見える天井を見ながら、ただ伝わってくる刺激を柊は受け止め続けた。
何度も先端を咥えた状態で顔を動かしたり、たまに咥えていた口を先端から離すと、手を使って擦ったりと・・・・。
やっていることは単純に擦る→咥えるの繰り返し。そう、その繰り返し。
ただそれだけなのに、だんだんと自分が追い込まれているのが分かる。
今はもう、僅かな刺激を与えられるだけでも限界に達しそうな状態になっている。
けど・・・・このままじゃ・・・何か納得がいかない。
そう。限界を迎えるなら二人で・・・・・。
「んあぁ・・・・」
既に、与えられる刺激で限界を迎えようとしている柊。
「み・・・美子・・・ちょ、ちょっと良いかな・・・?」
完全に乱れている呼吸で、咥え続けていた美子の動きを制止させるために柊は声をかける。
その声を聞き、美子は咥えていた物を離すと「ど、どうかしましたか・・・?」と言い、不思議そうな顔をして柊を見上げる。
すると、柊は美子の両肩に手を添えると、「ぐっ」と前方方向に力を加えて美子を背中からベッドへと沈める。
「しゅ、柊さん!?」
いきなり、ベッドに押し倒された美子は目を見開いて柊を見つめる。
美子に覆い被さるような形だった柊の体は、ゆっくりと美子の体へ近づき
美子に負担がかからないように、本当に僅かな隙間を作ると自らの顔を美子の顔の横へ下ろした。
そして、顔をベッドに沈めていた柊は、すぐ隣にある美子の頬辺りに右手を添えた。
「しゅ・・・柊さん・・?」
横にいる柊さんの顔を見ようにも、うまく顔を横に倒す事が出来ない。
それに、耳元からは柊さんの荒々しい呼吸が。
柊さんの手からは今まで感じた事のないような激しい鼓動と熱が伝わってくる。
もしかしたら、私は柊さんに大変な事をしてしまったのかも・・・・。
美子は、横で乱れた呼吸をしている柊の事が心配になり
「わ、私・・・いけないこと・・・してしまったんですか・・・・?」
と、不安によって出てきた涙をその目に少し溜めながら天井に向かって放つ。
「・・・そんなこと・・・ないよ・・・。」
「え?・・・・」
自分の行った行為が悪い事なのかと思い、戸惑っていた美子の横から柊の声が聞こえる。
更に、その声が聞こえたと思ったらすぐに「がさがさ」と柊さんの顔が動いているのを感じる。
そして、同時に覆い被さっていた体が柊さんの顔があった方へと移った。
美子は、恐る恐る隣にある柊の顔の方へ顔を倒していく。
そこには、左腕でおでこを覆い隠しながらも微笑みを浮かべている柊の姿があった。
「ハァ・・ハァ・・驚いたな・・・。」
「柊さん・・・?」
「まさか・・・こんなに・・なるなんて・・・。」
うっすらと見えていた柊さんの瞳も、その言葉を発した後に左腕によって隠される。
そして、そのすぐ後に頬に添えられていた右手が肩を掴み、体を抱き寄せる。
美子は、何も言わずに柊の顔を見続ける。
すると、掴まれていた肩から手が離れ、どんどん美子の体の下の方へと移動していく。
何も言わずに、ただ腕だけが移動している事が不思議に思った美子は柊の名を小さな声で呟く。
柊は、その声を聞くと自らの顔を美子の顔にくっつけた。
突然の柊の行動に、美子は目を瞑ると体を「ビク!」と反応させる。
その後、ゆっくりと瞼を開き柊を見つめた。
「・・・ずだったから・・・美子に・・・うびあげないとね・・・。」
呼吸が完全に整っていないせいか、小さな声でぼそぼそと声が聞こえる。
全ての言葉を聞きとる事が出来なかった美子は、「何て言ったんですか?」と聞く。
柊は、顔を覆い隠していた左手を退けると
「上手・・だったから・・・美子にも・・ご褒美上げないとね・・・。」
と言い、一瞬笑みを浮かべたと思うとすぐに柊の唇は美子の唇を捉える。
そして、先ほどから移動していた右手は美子の下着の中へ潜り込んでいった。
互いに呼吸がだんだんと乱れて行く。
特に、美子に至っては柊との深いキスと同時に自らの秘部でも、特に刺激が強い部分を執拗に触られていた。
「んん・・んぁ・・。」
秘部の固くなっている部分を何度も摘まれたりして、何度も体を小刻みに震わせる。
そして、刺激が体内を駆け巡るたびに甘い声が、キスの最中に出来る隙間から漏れる。
柊は、必死に自分の首に腕を回して堪えている美子の姿を見ると、口内で絡め合っていた下をゆっくりと離す。
柊の唇が離れて行くと、今まで塞がれていた美子の口から「んぁぁんん!」という声が出て、離れて行く柊の体にしがみつく。
「あぁぁ!だ、駄目です!んんん!」
秘部の中で暴れる柊の指によって、美子自身も限界を迎えようとしていた。
それは、内部で指を暴れさせている柊が一番分かっている。
少しずつだけど指に絡まる愛液が量を増し、動かすたびに溢れ出す「びちゃびちゃ」という音が大きくなっていたから。
そして、その限界に一生懸命目を瞑って堪えている美子を見ると、動かしていた指の動きを止め、内部から指を引き抜く。
美子は、指が素早く抜かれると喘ぎ声をあげ、うっすらと瞼を開き
「しゅ・・・しゅ・・うさん・・・だめ・・・。」と小さな声で言うと、先ほどまで自分の中で動かしていた右腕を掴む。
「駄目・・なんでしょ?だから止めてあげたんだよ?」
「んん・・・ち、違う・・・。」
「何が違うの・・・?」
微笑みを浮かべながら耳元で囁いていると、美子は柊から顔を逸らし恥ずかしそうな素振りをして
「・・・と、止め・・・止めないで・・ください・・・。」
と言い、瞼を「ぎゅ」と強く瞑った。
「もう・・・我慢できない・・・?」
美子は、柊の問いかけに込み上げてくる恥ずかしさを堪えて小さく頷く。
「・・・俺もだよ。」
そう言うと、柊は立ち上がり、脱ぎ棄てられたズボンのポケットからゴムを取り出し
それを取り付けると、美子の身に纏っている下着を強引に全て脱がす。
そして、内部に自らを侵入させる前に美子に軽く口づけすると自らの物を握り、ゆっくりと侵入させて行った。
「んぁぁぁ・・・。」
「美子・・・大丈夫?」
柊の問いかけに、美子は「こくり」と頷く。それを確認すると、柊は腰を動かし始めた。
「ぁああ!しゅ、しゅ、うさ、んん!」
「ハァ・・くっ・・み、美子・・・。」
腰が打ちつけられる度に呼吸が荒くなる。けれど、俺自身も長くは持ちそうにない。
先ほどの美子の行動、侵入している部分が動くたびに漏れる愛液の絡まる音、そして艶っぽい声で喘ぐ美子。
それらが更に自分自身の感度を良くし、先ほど限界手前で止めた自分自身を追い込み
すぐにでも限界を迎えようとしていたからだ。
けど、それは俺だけじゃなくて、美子も同じようだった。
直立にしていた上半身を前方方向に倒し、美子に近づくと美子が自分から俺の首に両手を回し顔を近づけると
「柊さん・・・わ、私・・・も、ぅ駄目・・・。」
と、美子自身も限界である事を告げてきた。
俺は、自分自身も限界だったが最後の力を振り絞って笑みを浮かべ
「美子・・・もう我慢しないで良いよ・・・?」と言うと、腰の動きを激しくさせる。
「んぁ!だ、駄目!駄目!んぁぁ!!」
動きを激しくしてすぐに、美子は限界に到達した。
そしてその瞬間、秘部が「きゅ」と締め付けられる。
「っ!イ、イク!!」
それにより限界を迎えようとしていた俺も全てを吐き出した。
限界を迎えた後、俺は美子の方へぐったりと倒れ込み
「美子・・・ありがとう・・・。」
と、小さな声で呟き美子の背中に両腕を潜り込ませて強く抱きしめた。
美子は、限界を迎えたせいかうまく話せないようだったが、何も言わず笑みを浮かべると
俺の背に手を回して抱き返してくれた。
そして、互いに顔を見つめるともう一度口づけを交わした。
あれから30分ほど経過した。
汗やその他もろもろによって汚れた体を綺麗にするために別々にシャワーを浴び
俺の部屋に二人で、部屋にあったソファに身を寄せ合って座っていた。
「本当に驚かされたよ・・・・。」
「え・・?何がですか?」
「いや・・・美子にあんなことされるなんて思ってもみなかったから・・・・。」
そう言うと、美子の顔を覗きこむ。
美子は俺と顔が合うと顔を俯かせて、身を縮めて恥ずかしそうにもぞもぞしていた。
「だ、だって・・・柊さんの・・・何か大切な話を・・・聞き逃してしまいましたから・・・その・・・お詫びしないといけないと思って・・・。」
先ほどの状態のまま、美子が「ちら」と横目で頬を赤らめながら俺の顔を見る。
そして、俺は美子の言葉を聞くと右手を握り、口元に持ってくると小さな笑い声を零す。
「わ、笑わないでくださいよ!わ、私だって・・・その・・一生懸命やったんですから!」
「けど、お詫びにしたって・・・他の事でお詫びすれば良かったのに・・・。」
俺は込み上げてくる気持ちと笑い声を堪えながら言葉を発する。
言葉を発した後に美子の顔を見ると、気がつくと膨らんでいた美子の頬が小さくなっていて、再び顔を俯かせていた。
「あ、あれは・・・・ああしたら・・その・・・喜んでくれるって聞いたから・・・。その・・・。」
先ほどの行為の話をするのは恥ずかしいのか、何度も俺の事を横目で見ながら美子はそう言う。
(ん?そう言えば、本当に誰からその事聞いたんだろう?)
ずっと疑問に思っていたことが、ちょうど話題になった事に気が付き
「ねぇ・・その事、誰に聞いたの?」と尋ねた。
「そ、それは・・・・その人の信用にかかわるので秘密です!」
(何か、うまい事回避されてしまった・・・。誰から聞いたのか気になったのにな・・・。)
美子の回答にこれ以上聞いても多分教えてもらえないと悟り、何も言わずに顔を窓の方へと向けた。
「あ、あの・・・柊さん?」
美子に名前を呼ばれて、窓に向けていた顔を再び美子の方へ戻す。
「ん?どうした?」
「その・・・わ、私・・・・う、うまく出来ましたか?」
何が「うまく出来た」のか、突然すぎてなんだか分からなかったがすぐに、先ほどしてもらった行為の事を思い出す。
心配そうな表情を浮かべ、上目で見つめる美子に
「んん〜〜・・・・あれは予想外だったなぁ・・・。」
と、ぼそりと呟く。
「え!わ、私・・・やっぱり・・駄目・・でしたか・・・?」
「・・・ホント、何であんなに上手なのかってぐらいに追い込まれた。」
俺の言葉を聞いて、そわそわしていた美子だが、俺の言葉を聞いて目を丸くして見つめてくる。
俺は笑いながら冗談交じりに
「ねぇ・・・あれ、もしかして練習とかしてたの?」
耳元に顔を近づけて、小さな声で囁く。すると、美子の顔が突然離れる。
そして、その美子は俺から20センチぐらい離れたところで
「あ、え、そ、え?」と、顔を真っ赤にして忙しなく体を「きょろきょろ」としていた。
(あぁ・・・これ、多分してたな。)
美子の尋常じゃない慌てぶりを見て、言葉を聞かなくても答えがわかった柊は
きょろきょろと体を動かしていた美子の左肩を左手で掴むと、強引に自分の方へと抱き寄せる。
「しゅ、柊さん・・・あ、べ、別に・・その・・練習とかは・・・。」
腕の中で、恥ずかしそうに顔を赤くし身を縮めている美子。
「まぁ、それは良いか・・・・。何か、言いたくなさそうだし。」
柊は、意地悪そうな笑みを美子に向けた。
その笑みで、柊が何もかも見透かしている事に気がつくと
「もぉ・・・柊さんの意地悪・・・。」
と、頬を膨らませて柊を見た。
そんな怒っている美子の頭を軽く撫でながら
「でも、正直本当に危なかったよ・・・。」
と、小さな声で囁きかけた。
「え・・・?何が・・・ですか?」
何が「危ない」のか、今はまだ分からないだろう。まぁ、もっと二人で色々経験すれば「危ない」の意味も分かると思うよ。
そんな事を心の中で美子に投げかけると、柊は不思議そうに首を傾げている美子に
「何が危ないのかは・・・秘密」と言い、軽く頭を撫でる。
美子は少し納得していない表情を浮かべるも、すぐに甘えるように柊の体に体を寄せ目を閉じる。
そして、頭を撫でていた手を美子の背中に回し更に強く抱きしめると
(これから・・・もっともっと同じ時間を一緒にいよう・・・。)
と、目の前で嬉しそうに笑っている大切な人を見つめながら思うと自らも瞳を閉じた。
しばらく、二人はその場で抱き合って互いにただ一つの事を思う
この幸せがずっと、ずっと続きますように・・・と。
「ぶえくしょん!!っああ!さっきから誰かが俺の事噂してんなぁ!」
「ま、悪口でも言われてるんでしょ!あんたの事だから!」
「あぁ?俺に限ってそんなわけあるかよ!」
「はいはい。そんな事より、あんたこの前美子に何教えてたの?」
「えぇ?いやぁ〜。実はさ、美子が・・・・・・・・ってわけよ。」
「まぁ〜ぶぅ〜ちぃ〜?」
「な、何だよ!いきなり!こええじゃねーかよ!」
「あんたね、美子はあんたと違って純粋で素直なの!そんな事聞くわけないでしょ!?」
「い、いや、だ、だから、・・・・」
「無理矢理美子に変なこと教えた罪、ただじゃ済まないよ!」
(ぐぎ!ばき!)
「ぎゃーーーーーーーー!!」
次の日、馬淵さんは怪我のためお休みしたとかしなかったとか・・・・。
以上です。
ネタがなさ過ぎて、もうやけくそになってますw
毎度の如く長文&駄文、及び今回は色々と申し訳ありませんでした!
>>182 GJ
ヤキモチ廉さん可愛い!
乳首責めする美子に驚いたな…廉さんは受けも似合うww
>>199 幸せ柊さんGJ!
美子にそんなことまでしてもらって、本当にここの柊さんは幸せ者だな…
>>182 ひゅうーい!!
GJです!!!
ついに美子にまで受けな廉さん来たーww
お返しっていって可愛いことする美子は魔性以外の何物でもないなw
>>199 お疲れGJです!
後日談笑ったw
柊さん…ここは柊さんの楽園だね(涙)
>>182 GJ!そっちかよwww
この廉美子、ものすごく可愛くて大好きです!
>>199 GJです!
美子の魔性っぷりがすばらしいw
>>182 かわいい〜廉x美子
焼きもち廉さん、かわいいな。美子は小悪魔系?
>>182 廉さんおめ!ほんと、ここは楽園です。
馬渕マネ、美子とどんな会話してんねんw リナさんGJ!
んー、今日はGJな作品がいっぱいで萌える…
>>182 廉さんのヤキモチ本当に可愛いな〜
こんな美子なら離れられないのも納得w
>>199 柊さんおめw
練習しちゃう美子がかわいいw
以前美男×NANAを書いた者です。
レスいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
超嬉しいよ!です。
今回は勇気×美男(美子)を書いてみました。
エロなしかつブルーな感じなので、お嫌いな方はスルーしてください。
206 :
Reset 1:2011/11/07(月) 22:54:15.54 ID:s9DbZpOq
夜の東京を1台のバスが走る。
たった1人の車内。いちばん後ろの左端の座席に座り、勇気は焦点も合わせず外の景色に目を向ける。
無機質な高層ビル群、一定の間隔に植えられた街路樹、柔らかい光を投げかける街灯、途切れ途切れに流れる車のライトの筋、残業で疲れた様子のサラリーマン、幸せそうに腕を組んで歩くカップル…。
速いリズムで次々と勇気の視界を通り過ぎていく。
1人になりたい時にはこうしてバスの定位置に座り、流れていく景色を見ながら心に溜まったものを流していくのが勇気の習慣になっていた。
きっと今日もこれでリセットできる。
そう思っていたのに、頭に浮かぶのは廉が好きだときっぱり頷く美男の姿ばかりだった。
「えっ?美男が好きなのって…廉?!」
馬淵の言葉を耳にして頭に血が上り、美男の姿を見たら問いたださずにはいられなかった。
でも結局、答えはたった一つだった。
悔しくて、悲しくて、辛くて、心が痛くて…。
どうにもならない感情がぜんぶ入り混じって吹き出して、気が付けば歯を食いしばり外に飛び出していた。
「俺じゃだめなのか?」
勇気は答えがわかっている問いを幾度となく頭の中で繰り返していた。
『止めてください!……勇気さん…!』
バスを追いかけて走る美男の姿が勇気の視界をよぎる。
停留所でもない所でスピードを落としてバスが止まるとドアが開き、美男が乗り込んできた。
「勇気さん…」
どうして来たんだ。今はおまえの顔なんて見たくないのに…。
「邪魔するな…。降りてくれ」
聞いたこともないような静かな声できっぱりと美男を拒否する勇気は、近づこうとする美男の方に決して顔を向けようとはしない。
眉間に皺を寄せたその顔の口元は切なそうに歪み、目にはうっすらと涙が溜まっている。
すでにバスは走り出していて、もう降りるにも降りられなくなった美男は勇気と少し距離を置いて座席に座った。
バスがゆっくり走る中、長い沈黙が続く。今の勇気には美男の気持ちを思いやれるだけの余裕が全くなかった。
勇気は降車ボタンを押し、無言の圧力で美男を遠ざける。
バスがゆるやかに停留所に止まり、ドアが開いた。
「…降りろ、美男」
そしてまた、1人だけの車内。もうすぐバスが一周する。
そしたらリセットするから…。
いつもの停留所でバスを降り、気分を変えたくて深呼吸をしようとしたけれど、胸を開くことができなかった。
きっと今日も乗り越えられると信じていたのに、いつもの自分に戻れない。
俺って、こんなに弱かったのかな…。
207 :
Reset 2:2011/11/07(月) 22:56:19.86 ID:s9DbZpOq
明るくて爽やかで、カッコいいのに面白い。誰からも愛されるキャラクターの持ち主、A.N.JELLの本郷勇気。
そんないつもの自分を無理やり演じきって収録を終え、合宿所に帰ってきた。
リビングでくつろいでいた3人に目もくれず、すぐに部屋へと向かう。
「勇気さん…」
「おかえり。…勇気?どうかした?」
「何でもない。おやすみ」
背中を向けて歩き出すと、背後から小さな声が聞こえた。
「なんだよ、今日あいつ機嫌悪いな」
(廉さん…あんたのせいだ)
部屋のドアを閉めると荷物を床に放り投げ、上着とTシャツを乱暴に脱ぎ捨ててベッドに倒れ込んだ。
何も考えられず、しばらくベッドの上でぼんやりしているとノックの音がして、外から美男の声が微かに聞こえた。
「あの、勇気さん…大丈夫ですか?」
「…ごめん、ほっといてくれ」
「でも、心配なんです。勇気さんを1人にできません…」
美男がドアのそばから離れる気配がない。
勇気はけだるく重い身体を無理やり起こし、ドアを開けた。
「わかったよ。それで気が済むなら入って」
美男を無視したまま入口に背中を向けてベッドに腰掛け、背中を丸めてうつむく。
長い沈黙。普段ならこんな状態、とてもじゃないけど耐えられない。
それでも口を開くことができなくて何も話せずにいると、ベッドが軽く沈む感覚がして、背中がふわりと温かくなった。
美男…?
208 :
Reset 3:2011/11/07(月) 22:58:25.50 ID:s9DbZpOq
美男は勇気の背中を包むように優しく抱きしめ、肩甲骨のあたりに顔を預けていた。
みぞおちの前に回された腕に自分の右腕を重ねて美男の手を握りしめると、体温を感じて気持ちが少し落ち着いた。
そうして初めて、勇気は自分の背中が少し濡れていることに気がついた。
「美男…泣いてるの?」
「い、いえっ、ごめんなさい…」
美男は身体を離して涙を拭い、勇気と微妙な距離を置いてベッドの端に座り直した。
「私…勇気さんの涙を初めて見ました。さっき勇気さんが帰って来たのを見ても苦しそうで、あの秘密のバスでもリセットできなかったんだなって…このままじゃいけないって思いました。
…本当はここに来ちゃいけないんだと思います。勇気さん、きっともっと苦しくなるから…。でも、辛そうで見ていられないんです。私のわがままかも…しれませんけど…」
美男の言葉に心が締めつけられ、勇気は強く瞼を閉じる。
そうして一息吐くと、ためらいがちに口を開き、小さな声で話し始めた。
「俺は…美男が好きだ」
「……」
「お前がA.N.JELLに入ってから、すぐに最高の仲間になった。けど、いつからか俺の中で美男はただのメンバー以上の存在になってたんだ。
だから…お前が女だって知った時は本当にうれしかった。俺は、ずっとお前を想ってた…」
うつむいたままだった勇気が顔を上げ、真剣な眼差しで美男を見つめた。
「でも、俺じゃだめなんだね」
「…ごめん、なさい…」
美男の瞳から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちてくる。
いつも一生懸命で、大変なことがあってもひとつひとつ乗り越えてきた美男。
そんな美男が、きっと辛いだろうに、俺に真剣に向き合ってくれている…。
「謝るな…」
美男の頬に手を伸ばし、次々と溢れ出てくる涙を親指の腹で拭いながらその温かさを感じると、さっきまでの怒りにも似た感情が少しずつ浄化されていった。
今はただ美男が愛おしくて、無意識に腕が伸びていた。
美男を抱きしめそのままベッドに身体を倒し、目元に口づけて涙を消し去る。
「勇気さん…」
「このまま…もうちょっとだけ」
「…はい」
美男の温かい身体を腕の中に包み込んだまま、どれくらい時間が過ぎただろう。
勇気の心に美男への愛おしさだけじゃない、別の感情が芽生え始めた。
209 :
Reset 4:2011/11/07(月) 23:00:39.15 ID:s9DbZpOq
「美男、その…廉さんとこういうことは…?」
「いっ、いえ…」
美男が恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「そう、じゃあ…」
やめておこう。腕の中の美男を解放して、自分の部屋に戻るようにうながした。
「おやすみなさい…」
出て行こうとする美男の姿を見て、再び勇気の心が激しく痛み出した。
やっぱり、離したくない…。
閉じる寸前のドアに手を掛け美男の腕に手を伸ばし、力いっぱい引き寄せて抱きとめると、その勢いにまかせて美男をベッドに連れて行き押し倒した。
「きゃっ…」
美男は驚いて小さな声を上げ身体を固くしたが、勇気の顔を見て何かを感じ取り、抵抗することはなかった。
「勇気さんの目…まだ悲しそうです。もう一度、笑ってほしいのに…」
そう呟く美男の瞳の方がもっと悲しそうで、勇気は一瞬でも邪な気持ちに襲われた自分を恥じた。
「なぁ美男…俺…どうすればまた笑えるようになるのかな…」
美男の前で初めて弱音を吐いた。
勇気の目から溢れ出した涙が一粒落ちて美男の頬を濡らす。
「勇気さん…」
「泣くなんてかっこ悪いけど、俺どうしても…おまえのことすぐに忘れるなんて出来ないよ…」
身体は重なり合って、熱い体温も息遣いもすぐそばに感じて、今すぐにでも美男を抱くことができるのに。
それでも、これ以上進んだら美男の心を傷つけてしまうから。
進んでも、戻っても、逃げ場はなくて。心を激しくかき乱す葛藤に苛まれる。
210 :
Reset 5:2011/11/07(月) 23:02:50.13 ID:s9DbZpOq
「…抱いて、ください」
「え…?」
「勇気さん…私を抱いてください」
想像もしなかった美男の言葉に耳を疑った。
「おまえ…いま自分が何を言ってるか分かってるのか…?」
「勇気さんは…いつも明るくて…。私を元気にしてくれた。勇気さんがいなかったら…私は…くじけてしまっていたかもしれません」
「美男…」
「こんなに悲しそうな勇気さんを、やっぱり1人にはできません…。こうすることで少しでも勇気さんの笑顔を取り戻せるなら、私…」
美男の目からは今にも涙が溢れそうになっていた。
「もういいよ美男。何も言わなくていい…」
美男の献身に勇気の苦しみが溶けていく。
小刻みに身体を震わせる美男をそっと抱きしめ、心を決めた。
1…2…3…4…5…6…7…8…9…10。よしっ。
頭の中で10秒数えてから、ガバッとベッドから飛び起きて口角を上げ、笑顔を作った。
「よ〜し、リセット終わり!」
「勇気さん…」
「いいか美男、俺のこと気にするなら、気にしないでくれ。…あれ?日本語おかしい?…まぁ、そうじゃないと俺は、いつもの俺に戻れない」
そう言って笑顔を見せる勇気の目を見て、美男はきっぱりと頷いた。
「もう俺は大丈夫だから、部屋に戻れ」
「はい」
立ち去ろうとする美男の背中に声を掛ける。
「美男、もう一度だけ…おまえを抱きしめてもいいかな」
「…はい」
美男の背中に腕を回して柔らかく、まるで壊れやすいものを扱うように慎重に、大切に抱きしめる。
少しためらった末に、美男の柔らかな唇に優しく、最初で最後のキスをした。
「美男…廉さんと上手くいかなかったら、承知しねーからな」
勇気は美男の耳元でそう囁くと、身体を包む腕に力を入れ、想いを込めて美男を強く抱きしめた。
そしてふっと息を吐くと身体を離し、自分でドアを開け美男の背中を押して外に送り出した。
後ろ手にドアを閉め、背中をもたせ掛けたまま床に座り込む。
「…じゃあな、美男」
溢れ出る涙を拭おうともせず、勇気はひとしきり肩を震わせて泣いた。
以上です。
ドラマで見せた勇気の表情が印象的で忘れられなかったので書いてみました。
男らしい勇気を目指してみたけど、ちょっと女々しくなっちゃったかもしれません。
ハッピーエンドじゃないのも、たまにはいいかな、とw
>>211 勇気x美男、爽やかだけど哀しい。勇気、一番男らしいよ。
柊さん大好きだけど、廉さんがいなかったら、美男は勇気と付き合ってたかも・・・(スマソ)
うわわ、全員分か!(廉さん、柊さん、勇気って意味において…)
すごい、贅沢な夜だw
>>182 廉さんのやきもち、大好物だw
美子はかわいいし、美子にかわいがられる廉さんもかわいい!
超GJ!
>>199 最近の柊さんは幸せ続きでうれしいよ。
こっちの美子もかわいいなあ〜
しかし、まぶっちゃん・・・何吹き込んでやがるw
>>211 勇気…切ないなあ、勇気。
でも、そこで抱かないところが勇気だと思った。
男らしいし、さわやかだし、かわいいのに、切ない…。
これ、もし柊さんなら(ry
あ、誰か来たみたい…
おぉ!今日いっぱい作品投下されてる!!
しかも積極的な美子にDT柊さんに勇気×美子とか、全部自分が読みたかったやつw
>>211 実際のドラマのセリフが散りばめられててすごい。GJ!
でも切なくて泣ける…
>>211 勇気はイイなぁ…ほんと、リアルだったら一番付き合いたい男だw
切ない心理描写、セリフも相まって凄くよかったです。GJ!
>>182 廉さん、美子の手の上で転がされてるな…
>>199 DT柊さんの世界の廉さん、何してるのか超気になる。
2日連続で大荷物…
>>211 勇気、やっぱりイケメンだー。
まとめ人さんの仕事が早くて感動したw
続編がちゃんとリンクになってたりとか、超見やすいよー!改めてありがとう。
改めて美子の逆ハー実感w
自分は廉美子好きだけどみんな合うね。
自分も廉×美子派だけど
現実的に考えたら勇気が
一番いい男だなぁ
本スレで馬淵とRINAがくっつく予定だったって
書いてる人いたからみてみたいかもw
馬淵の恋愛難しいだろうけどw
以前出発前夜、美子の秘密を書いたものです
ご感想を下さった皆様ありがとうございます
まとめ人さんもありがとうございます
また廉美子エロありです
221 :
美子の声:2011/11/08(火) 11:20:09.42 ID:jcrYpVGS
「美子、ちょっと来てくれ」
キッチンにいる美子に廉が声を掛けてきた。
「はーい」
廉が作曲や練習用に使っている南向きの部屋に入った。
「これ歌ってみてくれないか?」ヘッドフォンを渡しながら廉が言った。
「はい」
A.N.JELLの活動を美男に引き継いで二年以上が経っていたが、廉と暮らすようになってから時々こうしてデモ用の音源に仮歌を入れることがあった。
何度かメロディを聞いてから歌入れを始める。といってもまだ歌詞はないのでハミングでだが。
♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪
「やっぱりいいな…お前の声。美男に似てるけど少し柔らかくて」
美子のヘッドフォンをはずしながら廉が後ろから抱きしめる。
「今度の曲もすごく素敵ですね。お兄ちゃんが歌うんですか?」
首だけ捻って廉を見ながら美子が言った。
「ああ、多分な…」もう廉の関心は美子の首筋だけになっている。唇をあてて、舌でなぞっていく。
「あん…廉さん。ダメです」美子は体を捩って逃れようとするが、それも本気じゃない。
追いかけたり、逃げたり、かわしたり、そういうのが二人の間で一種の儀式のようになって、気持ちが高まっていく。
「逃げるなよ…」チュッチュッと首筋にキスを重ねながら、美子の唇を追う廉。
「やん、ダメ…あんっ」捕まるのはわかってるのに、少しだけ抵抗してみる美子。
廉はそんな美子に煽られて、強引になっていく。
美子の体を自分に向けて、持ち上げるように抱きしめる。美子は爪先立ちのまま、廉の口づけを受けている。
「ううん…あぁ…ん」美子の口から甘い声が漏れてきた。「廉…さん」
廉は服の上から美子の胸を揉みしだいた。美子は立っていられなくなり、廉の首に腕を回した。
部屋の中には二人の荒い息遣いとくちゅくちゅと舌を絡め合う音が響いている。
「ダメ、こんなところで…」美子は下半身に手を伸ばした廉をたしなめる。
「そんなこと言うなよ、もう我慢できない」廉は静かに美子を床に押し倒した。
222 :
美子の声2:2011/11/08(火) 11:21:47.64 ID:jcrYpVGS
翌日、事務所のレコーディングスタジオにA.N.JELLの四人が集まった。
次のアルバムを、それぞれが作ってきた楽曲をたたき台にして、形作っていくためだ。
みんな真剣な顔でそれぞれの曲を聴いている。一曲聞くごとに色々感想や意見を言い合って段々曲の輪郭が出来上がっていく。
次の曲が流れた。女性の声でハミングしている。
「あれっ、これ美子?」勇気が声をあげた。
「ああ、美男に歌わせようと思って、声が似てるからイメージつかもうと思ってな」
「いいね〜。久しぶりだな美子の歌声」柊も心地よさげに聞いている。
「俺が歌うんだったら、キーを下げた方がいいんじゃね?」
「それよりさ〜高いところはファルセットで歌ったら?」
みんな口々に言い出した。廉はメモをとったり、楽譜に何か書き込んだりしている。
不意に三人ともピタリと口を閉ざした。ふと顔を上げると三人が固まって唖然としている。
「なんだ?」問いかける廉の耳に聞きなれた声が聞こえてきた。
逃げるなよ…
やん、ダメ…あんっ
ううん…あぁ…ん
ダメ、こんなところで… チュッチュッ
「おぅわああああああっっっ!!」
慌てて音を止めた。顔も耳も首も真っ赤にして三人を見ると、みんなサッと顔をそらした。
「きゅ、きゅ、休憩!!!」
廉が部屋を出ていく。三人は顔を見合わせるが、ドギマギしてさすがに言葉がなかった。
「廉のヤロ〜、許さねえ」美男は拳を握ってぶるぶる震えている。
こういう時には一番頼りになる柊も、視線をうろうろと泳がせて平静さを保とうと必死だ。
勇気に至っては、体をモゾモゾさせて「俺、ちょっとトイレ…」と席を立ってしまった。
「トイレって、ちょっ、勇気お前っ」美男は逆上している。
結局そのまま廉は戻ってこなかった。
223 :
美子の声3:2011/11/08(火) 11:24:23.35 ID:jcrYpVGS
とりこんだ洗濯物を抱えて美子がリビングに入ると、ソファに廉が腰かけていた。
「廉さん?帰ってたんですか?」美子は洗濯物を置いて傍に駆け寄った。
「お、おお」顔を赤らめる廉。
「どうしたんですか?顔が赤いけど…」美子が廉の顔を覗き込む。
物言いたげに美子をじっと見ていた廉が、いきなりがばっと美子をソファに押し倒した。
「廉さん?…」
「…美子が歌った曲を聴かせた…」美子の頭を撫でながら廉が言った。
「はい…」
「みんなすごくいいって…」耳たぶを噛んで、熱い息を吹きかける。
「嬉しい…です。あ…ん」
「曲が…終わった後…」シャツのボタンをはずして、前をはだける。
ブラをずり上げて、両手で乳房を包んだ。
「あん…廉さん。イヤ…」
「美子の声が…して」両方の乳首を交互に舐める。
「あ・あ・あん…」美子は段々言葉が耳に入らなくなってきた。
「聞かれちゃったんだよ…」舌に力を入れて、乳輪をなぞった。
「んんっ…何を? あんっ」
「だから…お前の…声」乳房を強く揉みしだく。
「はぁぁん…声…って?」
「…その…俺としてる時の…声」乳首を強く吸いながら、美子の顔を見上げる。
「あああっ…んんっ…え?…ええーっ?」美子が目を見開いた。
「…ごめん。あれも録音されてて…」目を伏せて謝る廉。
「うそ、うそ…」美子の顔が真っ赤になった。
慌てて起き上がろうとするが、廉に押さえつけられる。
「みんなに聞かれたんですか?もう、恥ずかしくて会えないっ」
全身真っ赤に染めてじたばたする美子を、ぎゅっと抱きしめて「ごめん」と謝る。
「でも、お前が悪いんだぞ…」胸を揉みながら廉が言った。
「どうしてですかっ…」廉の愛撫を止めようと手を押さえつけて美子が叫んだ。
「だって、お前の声…そそられるっつーか、我慢できなくなるんだよ」
廉は美子のスカートの中に手を入れ、下着の上から敏感な部分を撫でている。
「そんなっ…ああん」抗議したいのに体の中心から鋭い快感が広がり、美子は喘いでしまう。
224 :
美子の声4:2011/11/08(火) 11:25:31.33 ID:jcrYpVGS
美子の反応に乗じた廉は、下着の中に手を入れて直接美子の突起を擦った。
「あっあっあっ…廉さん…ずるい…」
廉は美子の下着を引き摺り下ろしてスカートを捲り上げる。そして美子の中心を指で開いて、突起を刺激し始める。舌を押し付け回転させ、唇をすぼめてちゅうっと吸った。
美子は頭の中が真っ白になって、もう何も考えられなった。快感の波に身を委ねて喘ぎ続けている。
「いや…いや…あああっ…い…い」美子の声に廉は苦笑した。
「どっちだよ…いいのか?」
廉はズボンを下ろして自身を取り出した。先端で何度か美子の中心をなぞってから一気に押し込んだ。
「あああっ…んんっ」
美子の中がギュッと締まる。ゆっくり楽しみたい廉は眉を寄せて、こらえている。
「美子、そんなに…締め付けるなよ」
廉は歯を食いしばって押し寄せる快感が引いていくのを待っている。
「だって…だって…」美子は廉の首に腕を回してしがみついている。
両膝で廉の腰を挟み、自分を擦りつけようとするが、狭いソファで思うように出来ない。
廉は美子を抱きしめて腰だけを微かに動かしている。
「美子…いいか…ん?」わざとゆっくり動いて美子をじらす廉。
そのくせ言葉では美子を煽っていく。
「ほら、これ好きだろ?」美子の小さな突起を押しつぶすように恥骨を擦りつける。
「あ…ん…あ…ん…」廉の耳元で美子はひっきりなしに喘ぎ声をあげる。
可愛くて甘い声、愛し合う時は少し掠れてその艶を増していく。
「お前の声聞いてると、ほんとたまんないんだよ」
廉は美子の口をふさぐ。美子の舌をとらえて絡め合い、唾液を交換する。
廉は美子の片足を肩に乗せて、本格的に動き始めた。ソファがぎしぎしと軋む。
「美子、もっと声出せ…」
スピードを上げて突きまくる廉。美子の中がきゅうっと締まってきた。
「あんっ…あああっ…れ…ん…」美子が達したのを感じて廉も駆け上がる
直前に引き抜いて、美子のお腹の上に精を吐き出した。
225 :
美子の声5:2011/11/08(火) 11:26:41.56 ID:jcrYpVGS
興奮が収まるにつれて、廉は明日の事を考えて憂鬱になった。
「明日行きたくねーな…」ぽつんと呟く。
「もう、廉さんが悪いんですからね。私だって今度会う時どんな顔したらいいのか…」
「そうだ、明日一緒に行こうか?恥ずかしいことは早めに終わらせた方が…」
いい事思いついたとでも言いたげに、廉が明るい声を出したが、
「い・や・で・す!」と直ちに却下された。
「頼むよぉ、美子」廉は猫なで声を出して甘えている。
「だめです!」美子は取りつく島もない。
「冷たい事言うなよ…」美子の胸元に手を伸ばしながら言うと、美子はくるっと背を向けて「いや!」とつれない返事。
廉は美子を後ろから抱きしめて背中にキスをしながら「なあ、いいだろ?美子」とお願いし続けた。
以上です。
またメンバーを巻き込んでしまった。
お邪魔しました。
Angelメンバー祭りキター!!廉美子も柊美子も勇気美子もGJ!!!
ネ申作品いっぱいで幸せだなー
柊美子派だけど、勇気が一番いい男な気がするw
>>226 ちょwwGJ!!
柊さんと勇気カワイソスww
美子の喘ぎ声は確かに色々やばそうだ…
>>226 ぎゃー!メンバーに聞かれた!いやむしろ最後まで聞いて欲しかったw
前回のも今回のもすごく面白かったです!!GJ!
しかし何なの、この豊作っぷりw嬉しすぎる。
>>226 今回のも前回のも廉さんがっつきすぎワロタwwGJ!
これはかなり恥ずかしいww
>>226 ちょww廉さん、一体何というものを録音してるんですかww
柊さんと勇気、喜んでいいか悲しんでいいか複雑な気持ちだろうなぁww
GJでした!
>>226 爽やか路線かと思いきや、エロい、想像働かせると一番エロいよ〜
廉ちゃん、翌日、美子同伴でメンバーに会うのは、「美子をおかずにするのを、許可する!」てこと?!
これ、言わなくても問題ないことですが
>>232さんの、「美子をおかずにするのを、許可する!」に爆笑してしまったw
それはさておき、短いですが作品投下します。DT柊さんのサイドストーリー的な物です。
出演は廉さんソロでエロなしです。前回の荷物を持った廉がどこに行って何をしているかを書きました。
その目に映る星は、どんなに手を伸ばしても掴むことは出来ない。
この世で俺が確実に瞳で捉える事が出来る数少ない「星」。
けれど、その星を・・・・俺は掴めない。
そう・・・・絶対に・・・・。
闇夜を照らす月明かりによって、赤黒く輝くオープンカーが都市部から離れた海岸沿いの道路を走っている。
運転手は・・・桂木廉。
そう、二日連続で合宿所を後にした廉は何か用があるわけでもなく、意味を持たない大きな鞄を持って、暗闇が広がる外の世界を一人走っていた。
ただただ合宿所に居たくない。何も考えたくない・・・。
そんな「闇」を心に抱えたまま一人、終着点の見えない闇の中を走り続けていた。
途中、運転に疲れた廉は車を脇道に入り、外灯の下に止めると車から降りた。
「何かあればいつでも言えよ?・・・か。」
助手席に積んでいた少し大きめな鞄を見つめると、柊の言葉を思い出す。
「言えるわけ・・・ねーよ・・・。」
少しの間、目を閉じた後に鞄を開くと、中にはその大きさとは裏腹にほとんど何も入ってはいない。
というよりも、ただ一つだけ月明かりによって銀色に輝く星のネックレスだけがぽつんと置いてあるだけだった。
そのネックレスを掴むと、しばらくネックレスをぶら下げて月明かりを存分に浴びさせる。
(こいつも・・・・もう意味のない物か・・・・。)
ぼんやりと目の前で輝くネックレスを見ながら、虚しい想いを募らせる。
このネックレスが本当に渡したいと思う相手に届く事はない。
そう、だからこそ「意味を持たない鞄」なのだ。
自身の虚しい想いを、拭いきれない未練を詰め込んだ・・・くだらない鞄。
こんな物、置いて出掛ければいいのにそれが出来ない。
気がつくと意味もなくこの鞄を手に取り、そして何度も中に入っているネックレスを見つめる。
そして、また虚しくなる・・・。
こんな日々がずっと続く。俺が変わらない限り。
だが、忘れようとすればするほど、ただ一人の女性の姿ばかりが頭をよぎり
その度に、この鞄に投げ捨てた、渡せずのままのネックレスの事を思い出す。
俺は・・・・まだ縋り続けたいのかもしれない・・・・。
このネックレスに込めた想いに・・・。
まだ認めたくないのかもしれない・・・・。このネックレスをもう渡せないという事実を。
手のひらからぶら下げていたネックレスを手繰り寄せ、ネックレスの星を掴むと
「ざー」と波の音が響く夜の海の砂浜に足を付ける。
そして、月が波によってゆっくりと揺れて映る黒い海へと歩いて行く。
暗闇だと、俺の世界はぼんやりとしか見えなくなる。
例え、夜空で星々が宝石のように光り輝いていても、月が煌々と明るく照らしていようが
俺の目にはその形をはっきりと捉えるは出来ない。
けれど、ぼんやりとしか見えなくてもどこから海でどこまでが砂浜なのかは歩いている砂浜の感触、波の音の大きさ
それと、殆ど意味を成さないが、それでもぼんやりと波によって海が歪むのを捉える目によってはっきりとわかる。
けど、あいつの姿はぼんやりとじゃなくはっきりと見る事が出来るのに、掴む事が出来ない。
それが、夜空の星と同じ部分だな・・・。
自らの五感を頼りに海の近くまで歩いて行くと、再び手の中で握っていたネックレスをぶら下げると空に掲げてその形を目の中に映しこむ。
「掴めない・・・か・・・。掴める距離にお前はいつもいる・・・。」
手の中にある星と、自分の想い人を重ねて言いきれぬ気持になる。
「人を好きなるって・・・・こんなに辛いんだな・・・・。」
込み上げてくる感情。愛しい・・・。それでいて悲しいこの気持ち。
そして、溢れ出る想いから逃れる事が出来ず、その鎖に今も縛られ続けている。
ネックレスを眺めながらそんな事を思うと、空に掲げていた星を下ろし、胸の辺りの高さで手を止めるときらきらと輝くネックレスを上から見つめた。
けれど、手の中でずっと輝き続ける星を見ているとあいつの満面の笑顔が浮かび上がってきた。
「その最高の笑顔を・・・俺は作れないんだよな・・・。」
そう。この笑顔は俺とじゃない。
あいつは、あいつの大切だと思う人と一緒にいる事が幸せで、その時に満面の笑みを作る事が出来る。
そして、俺のこの想いを伝えれば・・・きっとあいつのその笑顔を奪ってしまう。
わかっている。だからこそ、俺自身も俺自身の気持ちと決別するべきだ。
本当にあいつを想うなら・・・これからは、あいつを想う一人の人間として見守ってやればいい・・・。
それ以上の感情とは・・・・もう、さよならするべきなんだ・・・。
僅かに笑みを浮かべながら手の中の星に涙を一粒零し、手を強く握ると海に向かってネックレスを投げ捨てた。
(じゃあな・・・。俺の恋・・・・。)
投げる瞬間、心の中で静かにそう言い聞かせ、自らの恋に幕を下ろす。
投げ捨てたネックレスが放物線を描きながら海へと落ちて行く。
ネックレスは、月明かりを浴びてキラキラと輝き、まるで夜空を駆ける流れ星のように感じられる。
海へと落ちて行くその流れ星を見つめながら、一つだけ祈りを込める。
いつまでも、大切な人が笑顔でいてほしい・・・と。
「ぽちゃん」という音が奥の方から聞こえる。
海へ飛び込んで行った音を確認すると再び夜空を見上げ、目を閉じると右目から一粒の涙が頬を伝って零れ落ちた。
その涙を拭きとり、もう一度自らが放り投げた星が沈む海を見て弱弱しく微笑むと
外灯の下に置いてきた車へと戻っていく。
そして、車に乗り込むと既に空になった鞄を掴み
「今度はもっと良い物、詰めてやるからな。」と言い、助手席に置くと車をバックさせて正規の道路へと戻す。
全ての「闇」に答えを与えることは出来ない。
けど、今日消し去った「闇」は俺にとって大きな鎖だったようで、ここに来る前よりも気持ちが楽になっていた。
苦しく、悲しかった心が今は不思議なぐらいに清々しい。
それはきっと、胸に閊えていたもやもやを全て払いのける事が出来たからだろう。
まだ、俺にも人生は残されている。
だからこそ、次の人生に向かうために大きく息を吐き出し、新たな出発の意味も込めて、まだ見ぬ道へと車を走り出させた。
この先に・・・何が待つのかという思いを抱きながら・・・・。
短いですが、以上で終わりです。
廉さん、星のネックレスをこのような物に使ってしまい申し訳ない・・・。
駄文ですが、読んでくれた方々ありがとうございます。
それと、いつも作品をまとめてくださるまとめさん。
本当にありがとうございます!
>>236 GJGJ!
廉さんがどこへ行っているのか気になっていました。
こんな切ないことになっていたなんて・・・
柊さんの幸せはうれしいけど、廉さんにも幸せになってもらいたいなぁ。
美子がふたりいりゃいいのになと真剣に思ってしまったよ。
作品を投下してくれる職人さん方!ありがとう!楽しいです!幸せです!
まとめ人さん!ありがとう!大好きな作品をまとめて繰り返し読める幸せ!
>>226 声を聞かれるなんてw
廉さんはがっつきすぎだしウケたw
>>236 廉さん彼女の所にいってるかと思ったら…
美子に片思いだったんだねこんなせつない夜をすごしてたとは
>>236 GJ!!廉の行き先気になってました!切なくて綺麗な情景が目に浮かんだ!鞄に話し掛ける廉、可愛いw
DT柊さんシリーズ大好きなので、サイドストーリー読めて幸せ!
まとめサイトいつも更新ありがとうございます!
>>231 あほかっ!美子をおかずになんて廉さんが許可するわけないだろww
>>236 あああネックレスが…
廉さん切ない…
エロなし、カップリングも無し(と言っていいはず)で投下します。
廉の部屋に、美男が居候中の出来事。
242 :
床上手1:2011/11/08(火) 22:33:02.95 ID:RFlKj/yA
目覚まし時計を止めて、カーテンを開けると廉は眩しい日差しに目を顰める。
そろそろ、起きなければ。今日も、忙しい一日が始まる。
まずはシャワーを浴びるため部屋のドアを開けようとしたが、キッチンのほうから聞こえてくる
2つの声に、ノブを回すのを躊躇った。
「ほら、しゅぅ…コレ…イイ具合になってるわ…」
「うわ…RINAさん、…すごい特技だな…」
「ふふっ…でしょー?…これが…床上手?なんて…」
「…はっ…上手い…な…RINA…ん、…もイイ?」
半開きのドアからキッチンまでの距離はそれなりにあるので、2人の声はくぐもって途切れ途切れであったが…
ハッキリと聞こえてきた「床上手」の言葉に、廉は身を固くした。
柊と、RINA?!こいつら、何やってんだ!?この朝っぱらから、しかもキッチンで…!!
寝ぼけた頭が一瞬にしてクリアになり、怖くてドアを全部開けることが出来ない。
いや、まさか。あの2人がデキてるとかいう話は聞いたことがない。
そうだ、何かの聞き間違いだろう。
廉がそうこう思っているうちにも、ドアキッチンからの声は聞こえ続ける。
「ん…ほんと…上手いよ、RINAさん…一緒に…」
「この歯…が…たまらないのよね…」
今度は何なんだ?!歯ぁ!?なんだ、柊のアレに歯を立てるってことか?
マジで痛ぇだろ、それ…。いや、気持ちいいのか?
243 :
床上手2:2011/11/08(火) 22:34:26.69 ID:RFlKj/yA
悶々と駆け巡る己の妄想にツッコミながら、ドアノブから手が離せないまま直立不動の状態になった。
「廉さん、おはようございます〜」
もそもそと布団から出てきた美男に、廉はギクリとする。
「お前、もう少し寝てろ…」
「え?どうしてですか?もう起きないと…ほら、早くそこ開けてくださいよぅ!」
「バ、バカ!声がでけェ!今はダメだ…。お前には刺激が強すぎる」
「へ…?」
キョトンとした顔の美男に、説明することも出来ずに廉は1人で焦った。
「いやいや、何もあってたまるか!とにかく、あと10分寝とけ…いいな?」
「はぁ…」
あまりの廉の睨み方に少しビビり、美男は言われたとおり再び布団に潜った。
廉は再び、キッチンの声に神経を集中する。
「オレ…っちゃいそう…」
「いいわよ、柊…ふふ」
「ホント…?ありが…RINA…ん」
「しっかり…あっ…なさいよね」
柊…もうイっちまうって言ってんのか…?
それに、柊なら…って何だよ!?今日は特別?
付き合ってもないのに、今日だけって?
「あー…これ…何…いでも…イけそうだ…抜群の相性だし…」
「いいわ…イっときなさい。あん…もっと…ったほうが…イイ…」
何回でもイける?そんなにRINAはアレが上手いのか。
相性か…やっぱりそういうのも大事なのかもしれんが…。
「廉さ〜ん、もう起きて朝ご飯食べましょうよ」
美男が起き上がり、ノブを持ったまま動かない廉をよそに思い切りドアを開いた。
「ちょっと待て!おい、美男!!」
部屋を出て、すたすたとキッチンへ向かう美男を止められず、廉は開いたドアの内側にしゃがみ込んで頭を抱えた。
「わ〜。RINAさん、凄いですね!!」
「でっしょー?こういうの、けっこう得意なんだよね♪アンタもやってみる?」
「いいんですか?教えてください!」
RINAと美男の嬉しそうな声がはっきり聞こえる。
美男、なんで嬉しそうなんだよ!?そいつに変なこと教えるな、RINA!!
止めに行こう。そう思いつつも、廉は部屋の外に出る気になれない。
244 :
床上手3:2011/11/08(火) 22:35:15.48 ID:RFlKj/yA
「勇気さん、おはようございます!」
「おはよう〜。お、RINAさん、何それ〜?」
2階から勇気も降りてきて、元気にキッチンへと向かったようだった。
ここは一体どうなってるんだ…?こんな不埒な場所だったはずはないのに…。
お前らは一体、どうしちまったんだ…?そんな節操のない奴らじゃないだろ…。
廉は脱力した体を、どうにか立ち上げてふらふらと部屋の外へ出る。
下を向いたまま、誰の顔も見ようとはしていない。
ようやく姿を現した廉に、RINAが話しかける。
「おはよう〜廉。…今日、なんか変よ?どうかした?」
「お前な、自分の胸に聞いてみろよ」
「え?あたし、何かしたっけ?」
RINAは何を言っているのかわからず、眉根を寄せた。
「と、床上手だとか言いやがって…」
そこまで言ったところで、RINAは「あぁ!」と頷いた。
「廉も食べたかったんだ〜?あたしの、ウマイわよ♪」
「おっ、お前がそーいう女だったとはな…」
廉は、男なら誰でもいいのかと思われるような発言に眩暈がする。
「…え?何よ、あたしにちょっと位そういう一面があってもいいじゃない!」
「あってたまるか!」
「はぁ…?」
RINAは意味がわからずに他のメンバーの顔を見るが、みんな「?」状態だった。
その時、少しツンとくる匂いが廉の鼻を掠める。
ようやく顔を上げると、4人の前のテーブルの上にある漬物が発している匂いだとわかった。
「廉さん、RINAさんの床漬けすっごく美味しいですよ?食べないんですか?」
「…廉、1つ食べてみろよ」
ポリポリと、よく漬かった胡瓜を食べながら美男と柊が言う。
「俺も食べてみる!んん…超〜美味いよ!RINAさん、凄いじゃん」
「ありがと〜勇気。そうか。誰かさんは、どうせ食わず嫌いよねー?別にいいけど」
食べもせずに自慢の床漬けを否定されたRINAは、嫌味っぽく廉を見た。
「お、お前が紛らわしいこと言ってるからだろうが!!」
あまりにひどい勘違いで恥ずかしくなった廉は、そう言い捨ててバスルームへと逃げた。
245 :
床上手4:2011/11/08(火) 22:35:44.20 ID:RFlKj/yA
さて。キッチンで実際に交わされた会話とは…?
「ほら柊、これイイ具合になってるわよ」
「うわー床漬けか。RINAさん、意外だけど凄い特技だな…」
「ふふっ。そうでしょー?でもこれが本当の床上手?なんてね〜」
「あはは、上手いこと言うなぁ…RINAさん、こっちもいい?」
「うん…ほんと…美味いよ、RINAさんも一緒に食べようよ」
「この歯ごたえが、ほんとたまらないのよね、コリコリして」
「俺、これ全部食べちゃいそうだよ」
「いいわよ、柊に気に入ってもらえたし…今日は初漬けだけど、特別に全部あげるわ」
「ホント…?ありがたく頂くよ。RINAさん」
「しっかり、味わいなさいよね」
「あー…これだけで何杯でもご飯いけそうだよ。これと抜群の相性だしね」
「いいわよ、おかわりいっときなさい。あんたはもう少し太ったほうがイイと思うし」
ただ、それだけのことだった…。
以上です!前回の未経験(眉毛抜き)に続いて、こういう役回りはいつも廉さんにwごめんよ。
かなり前に別ジャンルで書いてたのを、美男ですね風にリメイクしてみました。
神作品の多い中、こんなんで失礼致しましたw
>>246 ちょwww
GJすぎるwww
固まって動けない廉、頭を抱える廉、不埒な場所発言www全部ツボでしたw
>>246 GJ!わろたww
昨日は萌え作品たくさん読めて、今日はちょっと笑える作品が多くて
もうこのスレ楽しいw
>>246 GJ!!吹いたww
ドアノブ持ったまま固まる廉さんかわゆす
>>236 廉さん、誰かと幸せになってるのかと思ったら…セツナス…。
でもこの状況ならまだ廉さんDTのままなのかと思ってしまいました。
ゴメンナサイ。
ほんと、美子が2人、いや勇気のためにも3人いればいいのにww
廉さんはこういう勘違いが似合うww
可愛いな〜
>>246 GJ!オチを見るまで全然分からなかったwうまいなー
廉のそんな節操のない奴らじゃないにフイタ
幸せあり、せつないのあり、楽しいのありで充実してますね。職人さんありがとー!
まとめさん、いつもありがとう。すごく読みやすい、てか、読み耽ってます。
>>236さん
廉さん、打たれ弱そう、読んでて心が痛いよ。
失恋・傷心は柊さん担当の方がいいかも、自分柊さんファンだけど、原宿SSTKで耐性ついてるし。
廉さんと美子の未来の話を短いですが書いてみました
投下します
今日はクリスマスイヴ
「ねぇ〜ママ!サンタさんくるかな?」
「僕は車のおもちゃが欲しいなぁ」
「二人ともとってもいい子だからサンタさんきっときてくれますよ!」
ピンポーン
「誰だろ〜パパかな〜」
こども達が走って玄関に向かいドアを開けると…
「めっメリークリスマス!いい子のお友達にプレゼントもってきてやったぞ」
「わぁ〜サンタさんだぁ〜ママサンタさんが来たよ」突然のサンタの訪問に喜ぶこども達それぞれプレゼントをもらい大はしゃぎ
「サンタは他のやつの所にも行かないといけないから帰るな。
ママととっ特にパパの言うことをよく聞くんだぞ。
分かったな?」
「うん!サンタさんありがとう。」
その日の夜…
「こども達すごく嬉しいそうでしたね。
廉さんありがとうございました」
「まさか俺がサンタのふりをする日がくるとはな。
でもあんなに喜ぶなら来年もまたやってもいいぞ」
こども達の寝顔を見ながら優しく微笑み合う二人だった
以上です
廉さんはいいパパになりそうだし、
もうすぐクリスマスなので書いてみました
257 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:55:43.29 ID:Fetdn1lY
ついに子供が誕生して未来の話が投稿しましたね。
廉さんパパと美子ママの話もっと読みたいです★☆
ツンデレサンタが可愛い!
ちょっとドモリ気味廉さんサンタが可愛いw
廉さん自身サンタが来てくれるなんて
楽しいクリスマス過ごした経験ないだろうから戸惑いながらも、
子供達の為に白髭貼って一生懸命サンタやってるかと思うと胸キュンだ〜
廉美子ファミリーいいね。義理のお母さんが怖そうだけどw
この二人は結婚しても、あの豪邸合宿所に住んで子育てしたらいいよ。
柊さんが子供(♀)の世話は手伝ってくれる。ゆくゆくは2人の義理の息子になるやもしれん。
ちょwww廉さんまんまなサンタww
かわいすぎる
しかしすらっとしたサンタだなー
大変幸せでよろしい…かわいすぎてキュンとくる
で、子どもたちは双子なのかな、やっぱりww
美子が我が子にすら丁寧語なのもかわいいw
思えば、美子の言葉使いが綺麗なのも
このドラマが好きな要因だったな…
ちょっとぶっきらぼうな廉サンタも素敵!
>>261 想像するとなぜか双子(しかも男女)設定になるw
そして双子の女の子のほうを柊さんが妙に可愛がり、
廉さんは、子育てをがんばる美子に相手にされなくてイジケると…。
廉美子の子供と柊さんの話が出る度に砂の城を思いだす…
廉美子の設定ですが、エロなしでちょっとした小話を書いてみました。
美子は、アフリカから戻って別の場所で働いてる頃ってことで。
この日はA.N.JELLの全員がオフだったので、夕食は美子を交えて庭でバーベキューをすることに。
みんなでわいわい用意をして、一通り食べ終わった後に花火を楽しんでいた。
ちょうど、勢いよく動き回るねずみ花火が全部終わった時、勇気が言う。
「俺さ〜、初めてちゃんと給料もらった時に、ねずみ花火を大人買いしたんだよね。300個くらい」
「え〜?何それ、なんでそんなのを…?」
「もっと他に買うものあるだろ」
美男と廉が、口々に言った。
「小さい頃から、なぜか俺んちではねずみ花火は3個まで!って決められててさ。
思う存分、やってみたかったんだ。今思えば、単に親が怖がってただけだったみたい」
「あぁ…なんかわかるな、そういうの。俺も、欲しかったCDとかまとめ買いしたかも」
柊が同意すると、美子も1つ思い当たることがあった。
「あ!それなら私もありますっ!」
「へ〜美子は物欲とかあんまり無いのにな。何買ったんだ?」
「えっと…あの、こんぺいとうなの…」
自分を良く知る兄ですら意外そうに聞くと美子は少し、はにかんで答えた。
「こんぺいとう…?って、あの砂糖のお菓子…?」
「あ、はい、それです!」
「うーん、でも俺のねずみ花火よりも、なんで?って感じじゃん」
不思議そうに首を傾げて勇気が聞く。
「そういや、お前んちに大量に置いてあったな。そんなに好きなのか?」
廉は、美子のマンションのキッチンにある戸棚を思い出した。
綺麗な色の小袋に入った金平糖が、戸棚の一角を埋めているのだ。
「好きっていうか…見たり食べたりすると幸せな気分になれるんです。
小さい頃のこと、思い出せるし…」
「あ!!お前まさか、あの時のこと…まだ忘れてなかったのか?」
美男は美子の言う思い出を、自分も思い出して苦笑いした。
「どんな思い出なんだ?聞かせてくれる?」
はしゃぐのはもうお終いとばかりに、線香花火を配りながら柊は美子に言った。
「私達は6歳くらいで…施設に入って間もない頃なんですけど…」
美子は、微笑を浮かべて話し始めた。
267 :
こんぺいとう2:2011/11/11(金) 01:03:18.51 ID:BnhO+HbE
美男と美子の居る施設のすぐそばにある市民ホールで、著名な指揮者がオーケストラを率いてチャリティーコンサートを開くことになった。
施設の子供達も特別に招待され、亡くなった父の影響なのか…音楽が大好きな双子はわくわくしてホールへ向かうと、
入り口で綺麗な女性が小さな袋に入ったものを子供達に渡している。
「はい、あなたたちもどうぞ。演奏中は、静かにしててね?」
「「ありがとう、お姉さん」」
行儀良くお礼を言い、もらったものを見ると星のような形で色とりどりの金平糖だった。
美男はホール内の席に着くと、もらった金平糖を早速口に入れる。
「甘くておいしい…美子も食べろよ」
「やだ!食べるのもったいないもん…」
美子は美男が美味しそうに食べ続けるのを横目で見ながらも、じっと我慢した。
コンサートでは招待した子供達向けにモーツァルトの「キラキラ星変奏曲」なども演奏され、
美男も美子も楽しむことが出来た。
市民ホールのロビーで、院長先生が点呼を取った後に関係者らしき人と話している。
「美子、まだその金平糖食べないのか?」
「うん、大事に取っておいて、毎日少しずつ食べるんだもん!今日は1粒だけ…」
えへへ…と、美子は小袋の中から1粒取り出して口に入れようとする。
と、その時だった。
室内だと言うのに、ローラースケートを履いて走ってきた少年が美子と美男の間をすり抜ける。
「あっ!!」
驚きのあまり、美子は持っていた金平糖を手から離してしまった。
袋の口も開いていたため、袋から全部の金平糖が零れ落ちてロビーの床に無残に広がる。
「…ぇっ…ふぇ…えっ、ぇ〜〜ん…私の…」
「美子、泣くなよ…」
美男が美子を慰めている間に、ロビーにいた職員が掃除機を持ってきて全部吸い取ってしまう。
「ひっ1つも…ひっ…た、食べて…ないのにぃ…」
泣きながら、美子は床に落ちた金平糖が片付けられていくのを見ていた。
「お前、美子にごめんなさいしろよ!!」
美男は、自分よりもいくつか年上であろう少年のそばに行き、精一杯凄んだ。
「ふん、そんなとこ居たお前らが悪いんだろ。俺は急いでんだ」
「なんだよ、それ!」
「そんなの、泣くほどのもんじゃないだろ。また買えば?」
謝罪どころか、悪びれる様子もない少年に美男がまた何かを言おうとするが、
院長先生に促され、美子と一緒に帰路についた。
268 :
こんぺいとう3:2011/11/11(金) 01:04:41.08 ID:BnhO+HbE
「うっわ、最悪じゃんそのガキ!!」
「…躾がなってないな」
そこまでの話を聞いていた勇気と柊が、口々に言った。
「そうなんですけどね…ふふっ」
美子は、意味深に微笑む。
「しかし、どこがいい思い出なんだ?嫌な思い出の間違いだろ」
呆れたように言う廉に、美男が「まぁ、続きを聞けよ」と諌めた。
施設に帰ってからも、美子は金平糖のことで泣きべそをかいたままだった。
先生や友達がいくら慰めても、効果なし。
「今度先生にお願いして、おやつに買ってもらおうよ」
「…あれが良かったんだもん…ぐすっ」
「美子〜」
美男もお手上げ状態で、美子はその日の夜まで泣き続けていた。
その翌日、施設の庭にあるベンチの隅に座り、友達が遊ぶのを眺めていた美子はやはり金平糖のことが頭から離れない。
赤、白、ピンク、黄色、水色、黄緑色…一体、どんな味がしたんだろう。
美男兄ちゃんは、甘くて美味しいって言ってた。こんなことなら、先に全部食べておくんだった…。
今は、お父さんが居た頃のように何でも「買って」なんておねだりすることは出来ない。
そんなことを考えていると、近づいてくる人影が1つあった。
「お前、昨日の泣いてた奴だよな?」
「…えっ?」
「同じ顔してるから、どっちかわかんねぇよ」
目の前には、昨日のローラースケートの少年だった。
施設にいるみんなが着ているような洋服ではなく、いかにも高そうなブランド物の装いで、
居心地悪そうに立っている。
「ひっ…く…ぅぇ…え…」
昨日のことが思い出されて、美子はまた涙が溢れ始めた。
「ちょっ、いきなり泣くなよ!」
「だって…ぇっ」
少年に対して何とか言ってやりたいのに言葉が出てこず、美子はもどかしくてまた泣いた。
「お、お前が昨日そんなに泣いてたから…返しにきたんだ」
そう言うと、彼はポケットから小さな袋を取り出した。
それは、昨日美子が失くしたのと同じ袋に入った、同じ色とりどりの金平糖。
何もかも、昨日のとおりだった。
「ど、どうし…て…ぇ?ぐすっ」
「こんなのが、そんなに大事なんて思わなかったんだよ。だから…」
バツが悪そうに、顔だけ背けて美子にその小袋を持たせる。
「俺の分、お前にやるっつーか…返してやるよ」
「…いいのっ?ほんとにいいの?」
「お、おう…。元はお前のだろ」
泣き顔から、美子はたちまち笑顔を見せた。
そしてもらった小袋から金平糖を1粒取り出して、口に含んだ。
「美味しい…」
もう何粒かを取り出して、少年に差し出す。
「はい、少しだけあげる…」
「いらねぇよ」
「いいから!あげる…」
金平糖を彼の手に握らせて、美子はもう1粒、口に広がる甘さを味わった。
269 :
こんぺいとう4:2011/11/11(金) 01:05:25.08 ID:BnhO+HbE
「それで、金平糖は私の大好物になったんです」
にっこりと笑って、美子は話を終わらせた。
「ふ〜ん、最悪な奴かと思ったら意外といい奴だったのか。わざわざ持ってくるなんて」
「でもなんか素直じゃないな、その子…子供のクセに少しひねくれてたのかもね」
勇気や柊は、微笑ましいエピソードだが素直に謝ることの出来なかった少年について感想を述べる。
「あいつ、どんな大人になってんだか。きっとあの時と同じで、目つきも悪くて、
人に謝ったりするのも苦手なままだろうな〜」
「三つ子の魂、百までって言うしね」
「言えてる。ちゃんと社会を渡って行けてんのかな」
「それは言いすぎですよ〜」
美男をはじめ、勝手に少年の行く末を心配していた。
「でもさ、美子はそれが初恋だって言うんだぜ?可笑しいよな?」
「初恋だなんて…そんな大層なものじゃないけど、思い出すとあったかい気持ちになれるの」
美男と美子は、ふふっと笑い合った。
「ん?廉さん、どうかしたんですか?」
先ほどから発言しない廉を不思議に思った美子が、声をかける。
「あ〜美子の初恋の話なんて聞きたくなかったんだ?ぷぷっ、廉さんって、オコチャマ!」
勇気が茶化すと、廉は「んなわけあるか!」とだけ言った。
指揮者の父に連れられて行ったチャリティーコンサート。
市民ホールでローラースケート。泣いている女の子。金平糖。訪ねて行った施設…。
「…俺だ」
「「「「え?」」」」
「それは、俺だ…。間違いない」
廉の、遠い記憶が蘇った。
母が家から出ていき、あまり馴染みのない父と暮らすようになった頃。
母に捨てられたことで、毎日イライラとした日々を過ごす廉は、いつも傍若無人に振舞って厳しい父に叱られた。
金平糖の件も、父に目撃されてこっぴどく怒られ、渋々、美子の居る施設に謝りに行かされたのだった。
「そう、言われてみれば…廉さんっぽいよね。こう見えて実はいい奴、とか…」
「うん、目つきは悪くて…謝るのも苦手だよな」
「一応、社会は…渡って行けてるかな…うん」
勇気、柊、美男が先ほどのコメントそのままの廉を見て頷く。
「お前ら…言いたい放題言いやがって…」
「あれが、廉さんだったなんて…!こんな偶然、あるんですね」
運命的な過去に、美子は妙に感激していた。
「ふん、昔も今も、俺に惚れちまう運命ってことだろ」
「うっわ、クサイ!!廉さん、それ自分で言うのはクサイ!」
得意気に、さらりと言いのけた廉に、勇気が大げさに突っ込んだ。
突っ込まれて急激に恥ずかしくなり、廉は耳まで真っ赤になる。
「でも、やっぱり運命…ですよね。えへへ…」
男達は、そう言ってはにかむ美子の笑顔に、これ以上何も言えなくなった。
そして花火も終わり、みんなで金平糖のような夜空の星を見上げた。
以上です!こんな昔話があったらいいかも。と思いました。
最初、タイトル入れ忘れてすみません。
あぁ、A.N.JELLと一緒にバーベキュー&花火がしたいw
>>270 超GJ!!!
ローラースケートを履いた少年に吹いたwww
まさかとは思ったけどやっぱりw可愛くて素敵なお話ありがとうございました!
>>270 GJ!!
ローラースケート少年もイイけど、美子の家のキッチンの戸棚の中まで
把握してる廉さんもイイw
>>270 GJ!定番エピだけどやっぱりいいね〜運命の人てw
ハーフパンツ履いてるローラースケート少年しかもうイメージできないw
>>264 ちょwヒラフだよね?wまさかここで砂の城なんて…驚いたな。
>>270 GJ!
ベタでいいねぇ!
廉さんサンタに感想ありがとうございます
不器用な廉さんには
サンタのふりはあれが精一杯でしたw
美子の初恋話いい!
小さい廉さんと美子が頭に浮かんだ
GJ!
ローラースケートな廉さんカワユスwww
廉美子はベタが合うな〜なんだか幸せだ
とか思いながら幸せにニラニラ読んでいたはずが、
後日その話をしながら金平糖を食べさせあっちゃったりなんかして
ラブラブエッチシーンに突入する妄想をしてしまった…
お許しください、院長様!
>>270 GJ!!
得意げな廉さん吹いたww
かわいーのう
そして美男と美子の関係もえーのう
270です。最初はスケボーとかキックボードとかにしようかと思ったけど
廉の中の人といえばローラースケートかと…wみんな反応してくれて嬉しい。
廉さんの父親が指揮者っていうのは本当の設定だったので使ってみました。
>>276さんの妄想、しかと受け止めましたw
>>255 GJ!
廉サンタ、ぎこちないけど可愛らしいw
>>270 廉さんの新スタイル「ローラースケート少年」、爆笑しながらにやにやしながら読みました!
こんな子供の頃から出会っていたとは・・・驚いたな。←
そして、作品投下します。
話は
>>234-235の後日談となります。カプは廉×NANAでエロなしです。
280 :
空っぽ 1:2011/11/11(金) 15:06:31.13 ID:SQ9//0PD
2週間の間、確かにあいつのことを過度には意識しなくなった。
同じ空間に居てもそれほど気にしなくもなったし、あいつを見てもドキドキもしなくなった。
けど、胸にぽっかりと開いたどでかい穴は・・・・・何だ?
某テレビ局地下休憩所。壁一面が灰色で味気のない感じが広がっている。
基本的に、テレビ局の地下に休憩所があったとしても、殆どの人間は上の階にある休憩所を利用する。
だから、こんな地下の休憩所を利用する人間なんて本当に限られた人間しか来ない。
そんな中、廉は一人ソファに仰向けになりながら横になっていた。
この日、A.N.JELLは番組の収録があった。
ライブの告知やら、美男のソロデビュー曲「alone」のお披露目やらと色々と話はした。
けど、何故だか仕事に集中する事が出来ない。この2週間ずっと。
ぽっかりと開いた穴に常に風が吹き抜けているようで、まだ何かが燻っているように感じられた。
「・・・あぁ!たく!何かイライラする!!」
険しい表情を浮かべ、横にしていた上半身を起こすと、怒鳴り声のような大きな声が誰もいない休憩所に響く。
その後、大きく息を吐き出すと、険しい表情のまま何もなかったかのように再びソファに横になる。
(はぁ・・・・何してんだ・・・俺?)
険しい表情が和らぎ、天井の照明を見つめ続ける。
(何でこんなにイライラしてる?何でこんなにも気が散る?)
あの日以来、俺はあいつを見守るだけに集中してきた。
それは、俺が自分自身で出した決断であり、そうすることが一番だから。
けど、胸の中に開いている穴は何だ?どうしてこんな気持ちになってる?
こんなにも・・・一人で居る事を「苦しい」と思う日々は幼かった頃以来だ・・・。
281 :
空っぽ 2:2011/11/11(金) 15:07:51.76 ID:SQ9//0PD
「あら、珍しい人がいるものね。」
突如、自分の右側から女性の声が聞こえた。
その声の方向を見ると、今最も会いたくない女がいた。
「・・っち、んだよ・・・嘘つき妖精・・・。」
目の前にいたのは、アイドルのNANAだった。
面倒な奴が来たと心で思った廉は溜息を吐くと、向けていた視線を天井に向ける。
「ホント、愛想ないわね。あなたって。」
「うるせぇーな・・・。」
無愛想な口調でNANAに言い放ち、そんな廉を見たNANAは、廉に向けて息を一つ吐き捨てると、廉の後ろにあるソファによしかかる。
「おい・・・何でそこに座ってんだ・・・。」
「良いじゃない。ここはあなた専用じゃないでしょ?」
ソファによしかかっていたNANAは、体の向きを廉の方へ向けると、上から覗き込むように廉を見た。
その姿に、もう一度舌打ちをした廉は
「・・・何か用か・・・?」と、睨みながら言う。
「別にぃ〜。ただ、何かあなたの様子が最近変だと思って、何があったか聞いてやろうって思っただけよ?」
今の状況を考えると、笑みを浮かべるのは場違いだとも思われるが、敢えて廉を挑発する意味合いを込め、NANAは廉に笑みを浮かべた。
当然、NANAはこの行動に対して、廉がまじめに受け止めるはずもないと思っていた。
しかし、先ほどまで強張った表情で睨みつけていた廉は、その言葉聞いてだんだんと表情を悲しげな表情へと変えていく。
「ちょ、ちょっと・・・廉・・・?」
・・・・メンバーでもないこいつが、俺の様子が変な事に気が付いてるんだな・・・・。
柊にも、勇気にも、あいつにも気がつかれないようにやってるつもりだったのによ・・・。
たく、どこまでも面倒で・・・・タイミングの悪い奴だ・・・。こいつは・・・。
282 :
空っぽ 3:2011/11/11(金) 15:08:21.06 ID:SQ9//0PD
NANAの発言以降、だんまりを決め込む廉。
「・・・な、何よ!いきなり黙りこまないで!私が悪いみたいな空気になってるでしょ!?」
慌てて誰か来ないか辺りをきょろきょろしているNANA。
それでも、廉は一向に口を開くことはおろか、何一つ反応を示さない。
ただ虚ろな瞳をうっすらと開いているだけで、何も言わず、何も語ろうとはしない。
「も、もぉ!訳わかんない!」
NANAは、この場にいるといずれ誰か来た時に誤解されると思い、ソファから立ち上がると廉が横になっているソファを横切り、その場を後にしようとする。
けれど、廉の横になっているソファを横切った瞬間、左手首を掴まれ進行を阻まれる。
NANAは、振り向いて「何するのよ!!」と言うつもりだったが
気がつくと横になっていた廉の体は立ち上がっており、NANAの体を後ろから抱き締めていた。
さっきまでピクリとも状況が動かなかったのに、ここに来ての急展開。
NANA自身、その展開についてこれてはいなく、頭の中が真っ白になっていた。
それでも、どういうつもりかを問質してやろうと思っていたNANAは、自らの右肩付近に置かれていた廉の顔を見た。
けれど、NANAは言いかけていた言葉を廉の姿を見たと同時に胸の中に押し込めた。
そこには、いつもの自信に充ち溢れた桂木廉の表情はなかったからだ。
いつも上げられている前髪は完全に下ろされており、目の辺りは完全に見えない。
それでも、廉の心境を捉える事が出来ない目から零れ落ちる数粒の涙でわかる。
何があったかは分かりはしない。けれど、廉にとって悲しくて辛い事があったのは、NANAでもすぐに悟る事が出来た。
憧れ・・にも似た複雑な感情を抱いていた相手の初めて見る姿。
その姿に、NANA自身の胸も締め付けられるように激しい痛みを覚える。
「廉・・・・。」
横で涙を流す廉の手にNANAは何も言わずに手を添えた後、しばらく何も言わないでそのまま抱かれていた。
そして、添えられた手の温かさと、抱きしめている人の温もりに廉は、誰にも見せたことのない泣き顔をしばらくNANAに見せ続けた。
283 :
空っぽ 4:2011/11/11(金) 15:08:52.34 ID:SQ9//0PD
5分後
先ほど、廉が横たわっていたソファに、今は廉とNANAが並んで座っていた。
「ハァ・・・。ホント、あなたには驚かされたわ。」
「・・・・・。」
前髪を下ろし俯いたまま、何も語ろうとはしない廉。
そんな廉を見ていたNANAは、ソファから立ち上がる。
「・・・何があったかは聞かない事し、ここは何も見なかった事にするわ。」
「そうか・・・。」
「ただ、一つだけ言わせて・・・。」
「・・・何だ・・・?」
「たまには・・・自分の弱さ、誰かに打ち明けなさい。」
悲しげな表情を今だし続ける廉に、NANAは心配そうな表情を浮かべる。
そして、その後NANAは持っていたカバンの中から紙とペンを取り出し、自らの携帯の電話番号とメールアドレスを書いた紙をテーブルの上に置く。
廉は、それを見るなりテーブルに置かれた紙を手に取り
「何だ・・・これ?」とNANAに聞く。
NANAは今まで見つめていた廉の顔から顔を逸らすと
「そ、それは・・・は、話すつもりになったら、あ、あなたの話、聞いてあげなくもないわよ・・。」
と、終始ぼそぼそと小さな声で廉に告げる。
(・・・・・弱さ・・・か・・・)
手に取った紙をぼんやりと眺めた後に、いつもの強気な口調で
「気が向いたら使ってやるよ。」と言った。
(まったく・・・素直じゃないわね・・・。)
心の中で、NANAは廉にそう思っていたが、廉がいつも通りに戻った事を嬉しく思う。
そして、廉がソファから立ち上がり休憩所を後にする際、NANAの肩に手を添え、顔を近づけると
「・・・ありがとな・・。」
と、照れ臭そうに「ぼそり」と呟き、その場を後にした。
NANAは、その言葉に「ドキ!」とし、すぐに休憩所から出て行く廉の後ろ姿に目を向ける。
「何よ・・・素直に言えるじゃない・・・。」
NANAは、廉の後ろ姿を見つめながら、手が添えられた肩に手を添え、しばらく彼が残した温もりの余韻に浸っていた。
以上で終わりです。
最近、柊さんと美子ばっかり書いてたせいか他のキャラがどんな感じだったか忘れかけてます;;
それと、もうDT柊さんネタが尽きてしまったので誰かネタをくださると激しく喜びます。
今回も無駄な話及び駄文で申し訳ありませんでした。
それでは、失礼します。
>>284 廉NANAいいよー!切ないけどNANAの良い部分が浮き彫りになるなこの設定!GJ!!
DT柊さん物語ファンとしてはクリスマスの幸せ柊美子や、柊さんが美子を攻める話も読みたいですねwww
美子が柊さんに嫉妬する話も読みたい!この美子なら柊さんに嫉妬してくれそうw
>>284 自分もDT柊さんシリーズファンです。ネタを置いていきたいところですが思いつかない…
というか、よく考えたらDT柊さんってすでにDTじゃなくなってるよねw
新しいDT喪失ネタとして、本編8話あたりの柊美子でドライブデート中に
ムラムラして思わず助手席のシートを倒してしまうDT柊さんとかどうでしょうww
>>286 確かにもうDTじゃないww
でもDT柊さん、DT卒業した途端エロそう。
S的だし、色んな場所で美子襲ってそうww
廉さんと美子の家族の話を書きました
みなさんの意見をみて廉さんが拗ねてる話です
投下します
「美子…」
廉が話かけようとした時
「ママ〜ちょっときて〜」
こども達の呼ぶ声がして
美子は走っていってしまった。
「ちっ」
こんな調子で最近はゆっくり話もできない
こどもが寝てから…と思っても双子の世話で疲れて
いる美子はこどもを寝かしつけながら一緒に寝てしまうことが多かったのだ。
「俺の話はどうでもいいのかよ」
と廉がぶたうさぎに話かけていると…
「廉さんさっきなにか言いかけてませんでしたか?」突然、美子が表れて驚き慌てる廉。
「こっこども達はどうした?」
「二人ともお昼寝しちゃいました」
「そうか、いや新曲ができたからお前聞きたいかなと思って…」
「新曲聞きたいです!今日は久しぶりに星を見ながらファンミーティングしませんか?」
美子の言葉におもわずニヤケそうになりながらも
「お前がどうしてもって言うならやってもいいぞ!」と偉そうに答える廉
「はい!楽しみです!」
実はぶたうさぎに話かける所を聞いていた美子
(廉さんったらこどもみたいでカワイイ)
と微笑みを浮かべたのだった
以上です
ありがとうございました!
291 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/12(土) 00:14:28.21 ID:ASXpZdrQ
面白い!!廉パパ&美子ママもっと読みたい★☆
>>289 GJ
ぶたうさぎに話しかける廉さん可愛すぎるだろww
美子の声書いた者です
ホンワカ話みんなよかったです
廉美子エロなしですが、本編とは設定が違います
よかったらどうぞ
彼らの名はA.N.JELL。
メンバーは、スーパークールなバンドのカリスマ、桂木廉。頑固な俺様キャラだが、才能・人気ともにグループ1を誇る。
藤城柊。暴走する廉を時に諌めるバンドの良心。優しさと哀愁を兼ね備え、CMからも引っ張りだこのNo.2.。
本郷勇気。抜群のリズム感を持つ、自称歌って踊れるドラマー。音楽以外にも活動範囲が広いグループ1の社交家。
桜庭美子。超キュートなバンドの紅一点。みんなの妹的存在だが、歌唱力は廉をも凌ぐと評判のグループの歌姫。
「実は、おまえらにドラマの話がきてるんだ。ま、まあ聞け。タイトルは『美男ですね』
男装した女の子がバンドに入って恋が芽生える、まあ、ラブコメだな」
「イケメンですねって、すげーセンス」廉がバカにしたように鼻で笑った。
「でも、面白そう。俺達の役はどんなのですか?」柊が社長に質問する。
「それがプロデューサーが面白がってな、どうせバンドの話だから、バンド名も役名もそのままでやろうって言うんだ」
「じゃあ、役作りとかあんまりしなくていいんじゃない?」勇気がホッと胸を撫で下ろす。
「そうだな、お前らを想定してあて書きするらしいから、そういう意味じゃあまり苦労はないかもな」
社長は立ち上がって詳しい説明を始めた。
「バンドの設定は現実とほぼ同じだ。そこに、新しいメンバーとして加入するはずの男が怪我をして急遽その双子の妹が入ってくる。
男の振りをして頑張るうちに、メンバーの一人と恋に落ちるってわけだ」
「陳腐な話。くだらねー」廉は呆れたように吐き捨てる
「れ〜ん、そう言うなよ。ラブコメなんてそんなもんだろ?それでいかに視聴者を引き付けられるかが勝負じゃないか」
相変わらず毒舌な廉を社長がたしなめる。
「それでだ、ヒロインは当然美子だ。で、恋に落ちる相手は…廉、お前だ」
「えっ、俺?」廉が目を見開く。「柊じゃなくて?」
他のメンバーも驚きの表情をしている。
「おいおい、それじゃ面白くないだろ。それに廉はリーダーだしやっぱり順当にヒロインの相手役はお前だろ」
柊と美子は顔を見合わせて肩をすくめている。
それじゃ面白くないと社長が言ったのには理由がある。柊と美子は実際に恋人同士だからだ。もちろん世間には内緒だが。
「来月には台本が上がってくるから気合い入れろよ」社長がにこやかに言い放った。
「来月って、もう決定事項かよ」廉が食って掛かる。
「そうですよ〜」社長は澄ました顔で言うと、部屋を出て行った。
「廉さんと恋か〜」合宿所のリビングで美子が呟いた。
「何だよお前、ため息なんかついて。こっちだってやりにくいんだよ」
廉が眉をしかめて文句を言う。
「大丈夫だよ、美子。みんなで頑張ろ」柊は美子の肩を抱いて頭のてっぺんにキスをした。
「おい、柊。お前美子に振られる役なんだから、今から役作りとして美子にベタベタするの控えたらどうだ?」
廉は意地悪そうにニヤリと笑って柊をからかった。
柊は廉の言葉にはおかまいなしに、美子の頭を撫でている。
「みんなはいいよな〜。出番が多くて。廉さんと美子は出ずっぱりだし、柊さんの役も美味しいよね。俺だけチョ〜出番少ないんだけど」
勇気がぶつぶつと愚痴を言ってる。
「いいだろ?お前バラエティに出まくってんじゃねーか。俺なんか呼ばれたことねーよ」
廉の言葉に勇気が思わず噴き出した。
「だって、廉さん、バラエティじゃ使えないでしょ。あっわわ」
廉に睨まれて勇気が首をすくめた。
撮影は順調に進んでいる。今日は美男の大事な指輪を池に投げ捨て、それを必死に探すシーンだ。
「美男っ」倒れた美男に駆け寄り抱き起す。
「願い続ければ、夢は叶うんです」涙を流して廉に抱きつく美男。
(あれ、こいつ意外と胸が…いやいや…何考えてんだ俺?)
カットがかかり美子をちらっと見ると、びしょびしょの服が体に張り付いて、体のラインが丸見えになっている。自分も白いシャツが濡れて、乳首が透けて見えているが。
ふと視線を上げると、美子と目が合った。が、美子はスッと目をそらした。
(あれ、今の、何か…)
深く考える間もなく、次のシーンのために移動する。ロケバスの中で廉が話しかけた。
「お前、よくあんなに涙が出るな。ほんと感心するよ」
「自分でも驚きです。でも普段から涙もろい方かも。エヘヘ」美子は照れ臭そうに笑った。
「何かさ〜廉さんと美子の役ってキスシーン多いよね…どう?どう?その辺は、柊さんとしては」
勇気が興味津々で柊に話を振った。
「どうって、別に。ドラマだし…全然気にしてないよ」柊は余裕の表情だ。
廉と美子は一瞬顔を見合わせて、一拍遅れて笑い出した。
「お前考えすぎだろ。ばかばかしい」廉は勇気の言葉を一笑に付した。
(あれ?)柊は一瞬微妙な空気を感じた気がしたが、みんなの笑い声にかき消されて、いつの間にかそれを忘れていった。
「じゃ、美男がここで泣きじゃくる。廉さん、美男の肩を抱く、ね。じゃ打ち合わせ通りによろしく」
スタートの声がかかる前から美子は気持ちを作っていたのか、ずっと悲しげな表情をしていた。
重要な場面だから廉も声はかけず、じっと美子の様子を見守っている。
美子が泣き出した。迫真の演技だ。廉がそっと近づき美子の肩を抱いた。
「おかあさんがっ、おかあさんがっ…」
「わかった。もう何も言うな…」
美子の演技に引っぱられるように廉も役にのめり込んで、美子の肩を抱く手に力が入る。
カットの声が掛かると同時に監督が駆け寄ってきた。
「美子ちゃん、最高だよー。演技初心者とは思えないよ。やっぱり歌の表現力がハンパないから演技もこなせるんだねー」
監督は上機嫌で美子をねぎらった。
「ありがとうございますっ」お礼を言う美子の瞳からは涙が流れ続けている。
合宿所の自分の部屋で廉はため息をついた。
ベッドに入ってもなかなか眠れなかった。毎日早朝から深夜まで撮影が続き、体は疲れているのに神経が研ぎ澄まされて目が冴えるばかりだった。
ぼんやりと天井を見つめていると、今日の美子の姿が浮かんできた。
顔をクシャクシャにして泣きじゃくる美子。水玉のワンピースを着た美子。
「あいつのあんな恰好、初めて見たな…」
ステージではみんなと同じようなパンツスタイルだし、私服もアメリカンカジュアルっぽい服ばかりで、ワンピースなんて、ましてロングヘアなんて…
「結構可愛かったな…」ぼそっと呟いてからはっとした。
「何言ってんだ俺は、ありえないありえない!美子は柊の彼女なんだし…」
あわてて否定した廉だが、胸がドキドキするのが抑えられなかった。
「何なんだ、一体…」
イライラして起き上がった廉は、水を飲みにキッチンへ向かった。
その頃、柊の部屋では柊と美子がベッドの上にいた。
「んっ…あ…」美子の口から甘い吐息が漏れている。柊は美子の舌を強く吸いながら、胸をまさぐっている。そのまま下へ伸ばした手を美子が止めた。
「柊さん、ダメ…」
「どうして?」かまわず服の上から美子の秘所を探る柊。
「いやっ」美子は体を捩って柊の手から逃れた。
「美子…」柊は驚いた表情で美子を見つめている。
「疲れてるの、明日も早いし…ごめんなさい」美子は申し訳なさそうに俯いている。
「そうか…わかったよ」柊は理解を示したが内心動揺していた。
自分の部屋に戻って行く美子を見送りながら柊はため息をつく。
(今まで俺の誘いを断った事なんてほとんどないのに)
視界から美子が消えると柊はドアを閉めた。
階段からパタパタとスリッパの音がして、廉は音のする方に目を向けた。
「美子?…げほっごほっ」廉は飲みかけの水を吹き出して大きくむせた。
「廉さんっ、大丈夫ですか?」美子は急いで駆け寄り、廉の背中をさすった。
「げほっ…ああ…大丈夫だ」
廉は階段の上をちらりと見ながら言った。「柊…か?」
廉の問いに美子は真っ赤になって小さく頷いた。
微妙な空気が流れて焦った廉は、冗談めかした調子で美子をからかった。
「なかなかお盛んだな。ラブラブで羨ましい限りだよ…ははっ」
最後の笑いは尻すぼみになってしまった。美子は一瞬ムッとした顔をして、
「そんなんじゃありませんっ」と一言言い捨てると自分の部屋へ走って行ってしまった。
「なんだよ…あいつ」残された廉は一人バツの悪い思いをして俯いた。
朝から雨が降っている。A.N.JELLの四人は控室で天候の回復を待っていた。
なんとなくピリピリした空気が漂い、勇気は三人の顔を見渡した。
「ねえ、なんかあったの?暗いよ〜みんな」
「別に」三人の声が重なる。
「何だよ〜そんなとこまでハモッちゃって。それより今日はキスシーンだね。緊張する?」
美子は肩をピクッとさせ、廉は眉を吊り上げて勇気に怒鳴った。
「うるさいんだよ。集中してるんだから少し黙ってろ!」
「…すいません」謝りながら勇気はぷーっと膨れてそっぽを向いてしまった。
廉と美子の様子を見た柊は、心の奥に小さな不安が芽生えるのを感じた。
「美…」話しかけようとした時、スタッフがやって来た。雨が上がったらしい。
廉と美子が出て行った。
柊は離れた場所から撮影を見守った。段取りを確認しているのか何度もキスをしている廉と美子。柊の心の底がちりちりと炙られていく。
本番が始まった。美子の後を追って腕をつかむ廉。美子はそれを振りほどき言い争う二人。
立ち去ろうとした美子を振り向かせて引き寄せ、いきなりキスをする廉。
さまざまなアングルから撮るため、驚くほど長い時間唇を合わせている。
「カットォォ」廉と美子が離れた。柊も思わず深く息を吐いた。
廉と美子は無言のまま控室に戻って行った。柊はちょっと意外な気がした。
いつもの二人ならこういう時、照れくささを隠すために、ちょっとした冗談や軽口をたたくと思ったのに。
廉はトイレに直行した。大きな鏡の前に立ち、自分の顔を眺める。
視線は唇へと向かう。さっき美子の唇に触れた…俺の唇。
「これは、ドラマだ、ドラマだ、ドラマだ…」頭を振って自分に言い聞かせた。
美子は控室に戻った。誰もいない控室でソファに身を投げ出す。
指先で唇に触れる。さっき廉さんの唇に触れた…私の唇。
「なんでドキドキしてるんだろう…」小さな声で自分に問いかけた。
翌朝廉が控室に入ると、メンバーと共演者のNANAがお喋りをしていた。
NANAが立ち上がって廉に挨拶をする。
「桂木さん、おはようございます」
美子の敵役のNANAだが、素顔はとても素直で可愛い子だ。
「NANAちゃんてバラエティとかでよく見るけど、ドラマは初めてなの?」
勇気がNANAに話しかける。
「前に一度だけ、小さな役でしたけど。ふふっ、初めてだったから、恋人役の役者さんをほんとに好きになっちゃって」
「あ〜そういうのよく聞くよね。実際付き合っちゃう人もいるし。廉さんの事も好きになっちゃったりして」
「えー、恐れ多いです。私にとって桂木さんは神様みたいな人だから」
勇気とNANAの何気ない会話が、廉、柊、美子三人の胸に小さな棘となって刺さった。
その日の撮影が終わって美子は柊が運転する車で合宿所に向かっていた。
「美子、どこかで食事でもして行く?」柊が明るく話しかけた。
「う〜ん、あんまりお腹すいてない」疲れているのか、美子は元気がない。
「そうか…」
会話も弾まないまま、合宿所に着いた。
車を降りて歩いていく美子の手をつかんで、柊は美子を抱き寄せた。
「柊さ…んっ」美子の唇をふさいだ。
美子を強く抱きしめて唇を貪る。舌を絡め取り執拗なほど吸い上げた。
美子は息を荒くしている。両腕を徐々に柊の背中に回して、口づけに応えている。
唇を離すと柊の胸に顔を埋めて、呼吸が整うまでしばらくそうしていた。
「俺、美子の事 、信じてるから…」
突然の柊の言葉に美子は体をこわばらせた。見透かされている、と思った。
柊は体を離すと「ほら、行くよ」と何事もなかったように笑って前を歩いて行った。
車を降りようとした廉の目に、キスをする柊と美子の姿が飛び込んできた。
固く抱き合って口づける二人を見て、廉の胸の奥がチクッと痛む。
「俺、やっぱり、美子の事…」
廉は認めざるを得なかった。美子が好きだという気持ちを。
そして、認めたところでどうなるものでもないことも、わかっていた。
美子は柊の恋人で、A.N.JELLのメンバーだ。
命を懸けるとまで誓ったこのバンドを、自分の我儘で壊すわけにはいかなかった。
廉はシートに体を横たえて、気付いたばかりの自分の想いを封印するように目を瞑った。
ドラマの撮影もいよいよクライマックスに突入した。
ライブ会場を借り切って、大勢のエキストラを入れた、大がかりな告白シーンだ。
美子への気持ちを切々と語るうちに、現実とドラマとの境が消えて、たまらなく切ない気持ちになってきた。
「願い続ければ星もつかめる、そう教えてくれたのはお前だ。…愛してる」
万感の思いを込めて最後の台詞を言った。
涙を溢れさせた美子を抱きしめる。美子の体温や、熱い息づかいを全身で感じた。
このまま時が止まればいいのに…そう思った時、カットの声がかかった。
打ち上げは大盛りあがりだった。
撮影に使ったクラブを借りて、スタッフ、キャストの全員が、達成感や一抹の寂しさを感じながら飲んで歌って楽しんだ。
みんなの騒ぐ声を背にして、廉は一人屋上に上がった。
屋上の手すりに寄りかかって、真っ暗な空を見上げる。
「ふっ、星なんか見えないじゃねーか…」明るすぎる東京の夜空では星は見えなかった。
背後に気配を感じて振り向くと…美子がいた。
ゆっくりと廉に向かって歩いてくる。廉の胸が高鳴った。
「廉さん…私、私」美子が涙を溢れさせた。
「美子…お前…」
「わ…私、廉さんのことが…」
(俺のことが?…って、まさか…うそだろ)美子の思いもしなかった言葉に廉は動揺した。
「私…廉さんのことが…す」
「それ以上言うな」廉は自分の気持ちを押し殺して美子の言葉を遮った。
「美子、よく聞け。お前の気持ちは、錯覚だ」
「錯覚…?」
「ああ、そうだ。一生懸命演じたから、現実との区別がつかなくなっただけだ」
「そんな…こと…ありません」廉の冷たい言い方に美子は傷ついたようだった。
「そうなんだよ。恋愛ドラマなんかやってると、よくあることだ」
「でも…でも…私…」言葉を続けようとする美子に廉はぴしゃりと言った。
「お前には、柊がいるだろ」
美子はハッとした。柊への気持ちと廉への想いの狭間で心が揺れ始めた。
「お前の居場所は俺じゃない。柊の元に帰れ」
美子の背中をぽんっと叩いて送り出す。美子は2、3歩歩いて振り向いた。
廉は優しく微笑んで、頷いた。応えるように美子も頷いて、そのまま戻って行った。
美子の姿が見えなくなると、廉は屋上の床に寝ころがった。
「あーーー」ため息とも泣き声ともつかない声を出すと、涙がこみ上げてきた。
「ごめんな、美子…」唇を震わせて小さく呟く。
今にも泣きだしそうな自分を抑えて、廉は無理やり笑顔を作った。
…今は辛くても、きっといつか忘れられる。
「…大丈夫。俺は…スーパークールな…バンドの……カリスマ、う…桂木廉だからな」
廉は屋上で一人、笑顔のままとめどなく涙を流し続けた。
以上です
箇条書きみたいな文章ですみません
お邪魔しました
GJ!
読み進めるたびにドキドキした!
続きが読みたい
GJです!
なんか色々考えてしまうw
けど苦しい・・・
美子を想って泣く廉さんに萌えでした☆
美子の声のガッツキ廉さんも好きでした!
ありがとうございます!!
本編と設定が違ってもやっぱり柊さんがフラれて切ない話かー
と思ったら、最後の廉さんカッコよすぎ!超GJ!!
柊さん派としては、ここでも振られなくて本当によかったと
思ってしまった・・・・・・
テレビ版とはまた違ったA.N.JELLにドキドキしました!
そして、リアル柊さんと付き合っている美子を想って突き放す最後の廉さんがカッコイイ!
GJでした!
そして、その神作品の後に作品投下することをお許しください。
>>286さんにいただいたドライブデートの際の話を利用して作りました。
カプは柊×美男でエロなし及びDTではありません。
それでもokな方は、読んで頂けると嬉しく思います。
306 :
夢幻 1:2011/11/12(土) 15:50:55.76 ID:N04mCngy
「私に出来ることはありませんか?」
その一言から始まった今の状況。
ただ単に、俺が渡せずに車の中にしまっていた事が悪いのに、美子は俺の事を気にかけてわざわざ来てくれた。
「それじゃあ・・・少し付き合ってくれないか?」
「はい!」
美子を車に乗せてどこかに行ったところで、どうにかなるわけでもないのにそのまま合宿所を後にした。
そして、俺は今も美子を乗せて、帰宅ラッシュで激しく車の行き交う道路を走り続けていた。
ぼんやりと一人で走ってた方が・・・・色々と楽なのにな。
合宿所を出た時には、まだ太陽の光が辺りを照らしていたが、
だんだんと街からは明るさがなくなっていき、朱色に近い色の空が忙しなく移動する人々の上には広がっている。
そんな中、俺は今だ美男を車に乗せて連れまわしていた。けれど、美男は何一つ嫌な顔を見せずに俺に付き合ってくれていた。
この時間まで、俺たちはそんなに会話を交わすようなことはしなかった。
けれど、運転しだした最初の頃、美男は俺の赤いハイヒールを勝手に履いてしまったことに対する謝罪を何度もしてきた。
「気にしないで良いから。」と言っても、美男は申し訳なさそうに謝ってくる。
何を言っても謝り続けていたから、俺はこの前の新聞の記事の話を切り出し、理由を話して
「一緒に両親の所へ行ってくれないか?」と美男に頼んだ。
美男はそれまで困惑した表情を見せていたが、その事を頼むといつも通りの笑顔に戻り
「はい!」と元気よく返事をしてくれ、それ以降はハイヒールの事は口にしなくなった。
それ以降、俺は美男の顔を見ることも多くを語る事もなく、今の時間まで運転し続けていた。
二人の時間が嬉しいのは事実でもっとたくさん話したい事はあるのに、
複雑な気持ちを抱いていたせいか、何も話す気分にはなれなかったからだ。
新聞記事に載っている写真の女性は美男で、インタビューで話しながら心で思っていたのも美男。
そして、あの赤いハイヒールを渡したいと思っている相手も美男なのに・・・。
けれども、美男はその全てを「他の誰か」と認識している。
だから、今回の金沢への件もきっと誤解を解くために行くと思っているんだろう。
こんなにも近くにいるのに、こんなにもお前を想っているのに・・・。
この胸に宿る気持ちをお前に気づいて欲しい・・・。
「美男・・・。ちょっと運転疲れたから、休憩していいか?」
流石に2時間近く連続で運転していたため、大分疲れが溜まっていた柊は、少しうとうととしていた美男に声をかける。
眠そうにしていた美男は柊の声を聞くと目を擦りながら
「あ、わかりました。」ととろんとした瞳で柊を見ながら、弱弱しくそう伝える。
柊はそれを聞くと、すぐ近くにあった脇道に入り、その先にあったあまり使われていなさそうな駐車場に車を止める。
そして、すぐに眠そうな美男に対して
「さっきので起しちゃったか?」と心配そうな表情を浮かべて美男を見つめた。
「あ、ぁ・・だ、だい・・じょぅぶ・・で・・。」
と、うっすらとあった意識で美男も柊に言葉を返そうとしたが、全て言い終わる前に美男は眠りについてしまった。
すぅすぅと寝息を立てながら眠ってしまった美男を見た柊は、微笑みを浮かべた後
「俺に付き合わせてごめんな。」とぼそりと呟いた後に、軽く頭を撫でる。
そして、シートを倒すと意識は暗闇の中へと潜り込んでいった・・・。
307 :
夢幻 2:2011/11/12(土) 15:51:24.95 ID:N04mCngy
「んん・・・」
声を出しながら、体を伸ばして瞳を開くと、辺りは既に真っ暗だった。
「・・・俺も、寝てたんだな・・・。」
まだ寝起きのせいか、視界がはっきりとしない。
目を覚ますために手で目を擦り、「ふぅ・・。」と息を吐き出すと倒していたシートを元に戻し、横にいる美男に目を向けた。
子供のような寝顔をしながら眠る美男に微笑みを浮かべながら見守っていた柊だが、
その寝顔に胸の高鳴りを感じる。ドキドキと高鳴る鼓動。
胸にそっと手を当て、その鼓動が自らの物であることを確認すると
「こんな状況で・・・二人っきり・・・。」
と、今ある状況をまじまじと受け止め、少し顔を赤くした。
けれど、すぐに頭の中に描いた厭らしい妄想を振り払うように頭を振る。
そして、目の前にいる美男は俺の彼女でもなんでもないという事実に表情を曇らせ、胸に当てていた手を一度握ると、そのまま下へと下ろしていった。
(そう。この想いはきっと幻想でしかないんだ・・・。)
零れ落ちた一粒の涙を拭き取ると車のドアを開け、外へ出た。
周りにはいくつもの建物が軒を連ねていたが、その殆どがすでに光を失っている。
ただ、建物の陰になっているこの場所に差し込むのは月の光のみ。
ここが本当に都市部に近い場所なのかと思うほどに静かな空間で、柊は深呼吸をして
高まる鼓動を抑え込もうとした。
すると、助手席側の扉が開いた音がする。
柊は、開いた助手席側へと歩いて行くと、眠そうに目を擦った後に体を伸ばして深呼吸をしていた美男の姿があった。
「美男・・・眠れたか?ほら、これやるよ。」
「あぁ・・しゅ、柊さん・・・。ありがとうございます。私、いつから・・?」
まだ眠気が取れきれていない美男は柊から眠気覚ましのシュガーレスを受け取ると、
それを口の中に入れ、ぼんやりとした目で柊を見る。
柊は微笑みながら美男を見て
「ここについてすぐにだよ?ホント、長々と付き合わせて悪かった。ありがとう。」
と言い、頭に軽く手を添えた。
「き、気にしないで・・・う、うわぁ!」
ふらふらとした足取りで柊の近くに行き、言葉を発しようとした美男だがすぐ近くに落ちていた石に躓いてしまう。
そして、その体は目の前にいた柊の腕の中に倒れかかるような形で収まった。
突然の事で、一瞬目を閉じた美男だがすぐ柊に倒れかかった事に気がつくと顔を真っ赤にし
「あ、あ、あの、す、すい、すいません!!」
とドキドキを隠しきれない口調で柊に伝えた。
柊は何も言わず、ただ目を閉じたまま転んだ美男を受け止めていた。
308 :
夢幻 3:2011/11/12(土) 15:51:57.06 ID:N04mCngy
せっかく、もう少しで高まっていた鼓動が静まりそうになっていた。
けど、こんなことになると・・・お前を愛おしく思えてしまう・・・。この手を離したくなってしまう。
高鳴る鼓動と同時に苦しい想いが・・・たくさん溢れ出そうになる・・・・。
やっぱり・・・俺は・・お前が好きだ・・・・・・。
美男の体をそっと支えているだけだった両手を美男の背中に回すと、その腕に力を加えて
不安定な足取りをしていた美男の体を強く抱きしめる。
離れようとしていた美男は、突然自分の体が柊に引き寄せられるように密着した事に驚いた。
「あ、え・?しゅ、柊・・・さん?」
「・・・お前が・・・好きだ・・・。」
「え・・・?」
「ずっと・・・美男が好きだった・・・。」
突然の告白。美男の頭の中では何があったか分からないのと、ドキドキが同時に押し寄せてきていた。
柊の腕の中でそわそわとどうしたらいいかと考えていると、左肩付近にあった柊の顔が離れ、そのまま美男の唇を柊は奪った。
どうなるかなんてもう考えてはいなかった。
ただ、もう自分自身の心の中にあった想いを抑えきることは出来なくなっていた。
どこまで時間が許すかは分からないけど・・・時間が許される間だけは・・本当の俺でいさせてくれ・・・。
唇を離すと、目を丸くしている美男の姿が見える。
その美男は俺の視線に気がつくと、体を「ビク!」と小さく震わせ見つめ返してきた。
「しゅう・・・・さん??」
まだ何が起きたのか分かっていないような表情を浮かべていた美男の手を掴むと、後部座席のドアを開ける。
座席には赤いハイヒールが置かれていて、一瞬動きを止めるがすぐにハイヒールを座席の下に置き、
シートが下げられて真ん中と後ろの座席が繋がっている所に抱きかかえた美男を寝かせた。
そして、俺は美男の上に覆い被さると横になっている美男の両手の指の間に手を滑り込ませて体を近づけた。
「柊さん・・・?わ、私の事が・・好きって・・・?」
柊の行動に何一つ拒む事なく身を預けていた美男が、うるうるとした目をしながら柊に言葉を放つ。
そんな美男の姿に胸が締め付けられたが、それでも柊はそれを表情に出す事なく真剣な表情で
「そのままの意味だ・・・お前が好きだ・・。」
と真下にいる美男の言葉を返した。
「で、でも・・柊さんには・・・他に好きな人が・・・。」
「それは・・・嘘だ・・・。」
「嘘・・・?」
「本当に好きなのはお前だ。他に好きな人なんていない・・・。」
「え・・・?で、でも・・・そ、それじゃあ・・あの靴は・・・・あ・・・。」
状況を一つずつ整理していっていた美男は、昼間に自らが履いた真っ赤なハイヒールの事を柊に聞こうとして何かに気がつく。
「あれ・・・あの時・・新宿で私が見てた・・・。」
そう。あれは院長様に会いに行った日に、廉さんを待っていた時にたまたま見つけた赤い靴。
それを柊さんが持っていて、その靴は柊さんの好きな人に渡そうと・・・していて・・・。
309 :
夢幻 4:2011/11/12(土) 15:52:36.33 ID:N04mCngy
「思い出してくれた・・・?あの靴。」
あの日の記憶を思い出していた美男に、少し苦しそうな表情を浮かべて柊は美男を見ていた。
「柊さん・・・もしかして・・ずっと・・私の事・・?」
「・・・・・」
美男の問いかけに、柊は何も言わず目を閉じると小さく一回だけ頷いた。
「あの靴、あのまま渡せないままでも良いと思ってた。けど・・・お前があの靴を履いた時、正直嬉しかった・・・。
例え、自分が望んだ形ではないにしろ、あの靴がお前の手に渡って・・・凄く・・凄く嬉しかった・・・。」
「柊さん・・・・。」
「けど・・・お前の心の中に・・・・俺がいないのは分かってた・・・。
だから、靴を履いている姿を見て嬉しくもあり・・・苦しくもあった・・・・。」
今まで向けられていた柊の顔が、その一言を言った後、苦しそうな表情を浮かべると美男から顔を逸らした。
ずっと・・・柊さんは私を見ててくれた。
けど、私は柊さんの気持ちを分かってあげられなくて・・・・。
それで、こんなにも柊さんを苦しめて・・・・。
美男の瞳から零れ落ちる無数の涙。美男は柊に握られている右手を強引に解き放つと何度も涙を拭きとる。
けれど、何度も拭きとっても涙は零れ落ちて行くばかり。
柊さんの気持ちも分からないで、ずっとずっと苦しめていたと思うと胸が締め付けられて苦しい思いが広がる。
「しゅ・・ぅさん・・・。ごめん・・なさい・・。」
涙を何度も拭き取りながら、涙声で柊に何度も謝る美男。
柊は、美男にそんな思いをさせてしまいさらに苦しい気持が溢れ出そうになるが
力を振り絞って微笑みを浮かべると美男の頭を優しく撫でた後
「謝らなくて良いよ・・・。」と小さく囁きかけた。
「で、でも・・・ぐす・・・柊さんの気持ち・・・。」
「もう・・・何も言わなくて良い・・・。本当にごめん・・・。」
自分がこうさせた事に深い罪悪感を感じながらも、涙を流し続ける美男を柊は抱きしめる。
美男はただ、柊の腕の中で涙を流し続け、「ごめん・・なさい・・・。」と謝り続けた。
柊は下唇を歯で噛みながら小さな声で、「大丈夫・・・これは夢だから・・・。」と囁いた。
美男はその言葉に「え・・・?」と涙声で問いかけるように声を出す。
すると、だんだんと意識が遠のいていく。
先ほどまでしっかりとあった意識がだんだんと奥へと引きずられていくように・・・。
美男は遠のく意識の中で、目の前にいる柊の手を掴み「い、いゃ・・」と深い眠りにつく事を拒むが、その抵抗も空しくすぐに深い眠りについた。
310 :
夢幻 5:2011/11/12(土) 15:53:03.19 ID:N04mCngy
柊は、美男が眠りについた事を確認すると美男にシートベルトを付けると後部座席から降り、運転席に戻る。
そして、先ほど美男にあげたシュガーレスが入っていた入れ物をポケットから取り出す。
「睡眠薬・・・か・・・。」
自分も美男にあげるまで、シュガーレスと思っていたが、渡した後に入れ物が違う事に気がついた。
そして、すぐに美男に渡した物は睡眠薬であるという事に気がついていた。
それは、本当に眠れない時に何度か使用した事がある物で、どうしてポケットに入っていたのかもわからない。
けれど、だからこそ、美男に自らの思いを伝えたのだ。
(卑怯なやり方だけど、美男にとって「夢」である方が良いんだ・・・。)
本当は睡眠薬を渡すまで、美男の思いを否定してでもあの先までやるつもりだった。
この終わり方が本当に良いのかもしれないし、あるいは、この行動を後で悔やむ事になるかもしれない。
けれど、美男にとってはこの「現実」が「夢幻」であったほうが良い。
そう。この俺の気持ちも伝えた。だから、この想いも儚く散りゆく幻で良い。
俺自身も、長い間儚い夢の中を彷徨っていた・・・。それで良い・・・。
自分の中で、綺麗事を何度も言い聞かせる自分に嫌気が差しながらも、
それでもそうある事を後ろですやすやと眠る美男の姿を見ながら望む柊。
そして、後ろで眠る美男に一言
「目が覚めたら・・・きっと、目の前にはあいつがいてくれるからな・・・。」
と、心の中で美男の想い人の姿を浮かべ、微かな笑みを零しながら数粒の涙を零しながら言った。
しばらく自らの心を照らすように降り注いでいた月明かりの中、一人涙を流し続けた。
そして、涙が止まるといつもの笑顔に戻り、長い眠りの中にいる美男の姿を見ながら
「さぁ・・・帰ろうか・・・。」と言い、車を走りださせて合宿所へと帰って行った。
次の日、美男は必死に昨日の出来事の事を聞いてきたが、俺は真実を伝えることなく
「美男、途中から寝ちゃって。それで、合宿所に着くまでずっと寝てたよ?」
と、偽りの真実を伝えた。美男自身、記憶が曖昧なせいか、それを聞くとそれ以上の追究はしてこなかった。
その後、柊も美子もあの日のドライブの事を鮮明に思い出す事はなかった。
美子はあの後、廉と結ばれ、今は二人で幸せな生活を送っている。
幸せそうな美子の姿を、今の俺は疚しい気持も何もなく見守る事が出来ている。
ただ、時折部屋の衣装棚に大切にしまわれている赤いハイヒールを見ると、「夢」として葬った記憶が微かに思い出される。
もしあの時、「夢」としてじゃなくて現実として全てやり終えていたら・・・俺と美子はどうなっていたのだろか・・・と。
それは、俺が唯一過去に残した未練なのかもしれないが、同時に唯一残された掛け替えのない思い出なのかもしれない。
この先も「夢と幻」として刻み続けるだろう・・・儚い日々の大切な・・思い出。
以上で終わりです。
お二方、ネタ提供ありがとうございました!DTでなかったことだけはお許しください;;
そして、他のネタは後日書かせていただきます。
それでは、このような駄文にお付き合いして下さった方、ありがとうございました。
失礼いたしました。
>>300 angel別バージョンGJです!
最後の廉切なかっこいい!!この設定では柊さんがフラれなくて安心した自分w
面白かったです!!
>>300 GJ!どきどきしました
自分も柊さん振られなくてよかった、と思ったww
>>311 美子を犯っちゃう系なのかと思ったら、柊さん切ない…!!
GJでした
>>169です。
読み返してみると説明っぽい分が多くて自分でゲンナリしますが
GJありがとうございました。
ちょっとS柊?もどきを書いたので投下しますね。
たいしてエロくもないような気がするけどこれが自分の限界なのでw
・柊×美子
・エロあり
315 :
二度目の夜:2011/11/12(土) 22:33:52.05 ID:kW0qiHYS
ふかふかした廊下の上を美子は歩いていた。その少し先を柊が行く。
二人が柊の部屋で一夜を明かしてから、一月ほど経ったデートのその日。
食事をして、ドライブをして。
信号で車が停車した時ハンドルに手を掛け、前をみた姿勢のまま、ふいに柊が口を開いた。
「今夜、遅くなっても平気?」
「あ、はい。連絡いれれば大丈夫だと思います」
「そっか」
柊はそう言ったきり、黙ってしまう。
「…あの?」
不思議に思った美子が声をかけると、熱っぽい瞳の柊と目が合った。
あ…と美子は口を開く。しかし、それは以上は声にはならない。
車内に沈黙が満ちていく。
「今夜…美子を抱きたい」
突然耳に届いた声に、美子は驚くと同時に顔を赤く染めた。
「…だめ?」
その声に黙って顔を左右に振ることしか出来なかった。
そうして今、二人はホテルの廊下を歩いている。
「ここだ」
柊に言われて美子はドアの前に立った。カチャリと音がして柊が中に促す。
「うわぁ…」
美子は思わず声をあげた。大きな窓の向こうには煌びやかな夜景が広がっている。
駆け寄って窓に張りつくようにして、うっとりとその景色を眺める。
本当に綺麗…色とりどりの光に目を奪われ、自分がどうしてここにいるのかを一瞬忘れる美子。
しかし次の瞬間窓に反射する柊の姿に気付き、はっとした表情をみせた。
急に現実に返って鼓動が早い速度で鳴りはじめる。
「お茶でも…飲もうか?」
「そっ、そうですね」
柊の声に振り返り美子は慌ててそう答えた。
柊は部屋に備え付けてあったポットとカップで手早くお茶を入れる。
カチャカチャと食器の触れ合う音が部屋に響く。
テーブルの上にニ客のカップが置かれた。白い湯気が立ち上ぼり、よい香りが漂う。
「美子、はいったよ」
「はっ…、はい」
美子は柊の座るソファーへと足を向ける。
そのぎこちない足取りに柊はくすっと笑みをこぼす。
二人はソファーに並んで座り静かにカップを口へ運んだ。
「あ…美味しいです」
美子は一口お茶を飲むとそう口にする。
「そう、良かった」
目を細めて穏やかに微笑む柊。
温かいお茶を口にするたび少しずつ美子の緊張も解けていく。
カップが空になる頃には、ようやくこの広い部屋の作りに目が行くようになっていた。
あっちはどうなっているんだろう…と部屋を探索したい気持ちが芽生えてくる。
美子がカップを起きソファーから立ち上がった瞬間、突然強い力が美子の動きを封じ込めた。
えっ…と思う間もなく柔らかいもので唇が塞がれる。
キスされている…美子がそう思った時には柊の舌が口内に入り込んでいた。
316 :
二度目の夜2:2011/11/12(土) 22:35:00.78 ID:kW0qiHYS
二人の息遣いと唾液が交ざり合う水音が部屋に響いていく。
柊はキスを続けたまま美子を腕に抱き、強引にベッドの方へと足を進める。
どさっと倒れこむようにして二人の身体はベッドに沈み込んだ。
「…し、柊さん待ってください」
あまりの展開の早さに美子はそう口にするのがやっとだった。
しかし柊は美子の身体をベッドの上に押さえ付けたまま、その身体をまさぐりだした。
するり、と服の中に手を滑らせて簡単にブラのホックをはずしてしまう。
そのまま、服ごとブラを上にあげて美子の胸に顔を埋める。
大きな手が膨らみを撫で回しその先端を口に含む。
美子の身体がびくっと跳ねた。
じわじわと拡がっていく快感を感じながら、美子は柊の身体を撥ねのけようと腕に力を込める。
部屋には眩しい灯りがついたままだ。
「柊さん…だめ」
柊は何も答えない。代わりに美子の唇をキスで塞ぐ。
少し身体を浮かせて腕を伸ばし美子のスカートを捲り上げる。
顕になった白い太股を撫でながら淫らなキスを繰り返した。
美子は足の間に熱が一気に集中していくのを感じていた。
太股を撫でる指は優しく繊細で、くすぐったいのと快感とが内混ぜになる。
柊は下着の上から秘所をそっと撫でた。そこはすでに下着越しでも分かるくらいにしっとりとしている。
次の瞬間、指は美子の下着を脱がせようとしていた。
美子は驚き目を見開く。
手足をばたつかせ抵抗を試みるものの、柊の重みにそれはほとんど意味のないものだった。
「だっ…だめっ!」
美子が声を挙げた時には下着は膝あたりまで下りていた。
恥ずかしさにうっすら涙を浮かべる美子。
そんな美子を見て柊はようやく自身の暴走に気付いたようだ。
「…ごめん、余裕なくて」
そう言うとベッドから起きあがろうとするが、美子がそれを阻む。
美子は柊の服の裾を掴んで小さな声で言う。
「…あの…灯りを消してください」
消え入りそうなその声に柊は黙って頷いた。
照明を落とした部屋に美子の喘ぎ声が響く。
何度目か分からない絶頂に美子の意識は朦朧としていた。
柊は自身の欲望を避妊具の中に吐き出した後も、美子への愛撫を止めない。
「もう、だめっ…柊さん」
長い指が、蜜で溢れかえる秘所の中で動く。美子の弱い箇所を的確にこすりあげていく。
「ああっ…!」
絶頂にびくびくと震える美子の身体を柊は抱き締めた。
二人の長い夜が更けていく…
以上です。
何か自分の話の中で柊さんいつも謝ってることに今気が付いた。
ピンの話を書いた時はまさかここまで書くとは思ってもみなかったよw
お付き合い頂いた方、ありがとうございました。
318 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/12(土) 23:12:36.45 ID:rqxYhHj7
偶然見つけて読んだけどドキドキして面白い!
ここに載ってる小説?まとめたサイト欲しい
>>311 ドライブデートネタ置いていった者ですが、仕事早いですねw
ありがとうございます。他のネタも楽しみにしてます。エロ満載希望w
最近柊×美子が多くて、このスレ内では柊さんに幸せになって欲しいと
願っている自分としてはうれしい限りですww
>>318 まとめサイトあるよ。
>>317 余裕ない柊さんGJ!!
前回、覚悟しておいて発言の柊さん、執拗に攻めてるww
女慣れしてそうなのに、美子にはがっつく柊さんいいわー。
>>317 GJ!! この柊さんピンの時から思ってたけど、なにげにエロいんだよねーw
やってることとかじゃなくて浮かぶイメージが。
「今夜、遅くなっても平気?」でいい画が浮かんだw
322 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 05:53:35.36 ID:L+sifB3p
まとめサイト知りたいです!
どうやったら見つけられますか?
>>299 廉美子双子、GJ!ぜひ、次回は柊オジサン登場させて下さい。
>>300 もうひとつの美男ですね、妙にリアルでいい意味で生々しくて、ドキドキしました。
空気読まない勇気可愛いし、自分を抑える廉さん恰好いいけど、この後、柊さんが余計な画策して、結局、廉美子になる悪寒。
>>311 柊さん、切ないよ。でも踏みとどまってこそ、ドMの柊さんらしい気がする。
>>314 柊x美子二度目、微エロでも本領発揮ですね、柊さん。色々と台詞がツボついてます。
>>311 切ないね。でもあそこで踏みとどまるのが柊さんなんだよね。GJ!!
>>317 ピンシリーズ面白かったよ。この柊さんエロい。鼻血でそうだw GJ!!
流れも空気も丸無視で今から話を投下します。
エロなしで、時系列は6話あたりの廉と美男が相部屋になって美男が熱を出して倒れる数日前の設定です。
4人がそれぞれに片想い?的な雰囲気なのでカップリングは特にないです。
廉が美男から誕生日の祝いに贈られた抱擁と祝福の言葉の礼にブタとウサギのぬいぐるみを改造して
桂木廉オリジナルのブタウサギ人形を美男へと贈った?その数日後。
美男はご丁寧にブタウサギ専用に椅子を用意して(元は廉の部屋にあったものだから廉の物なのだが)
朝起きた時は「おはようブタウサギちゃん」そして出かける時は「行ってきます!」帰ってきたら「ただいま!」
そして…寝る時は「お休みなさいブタウサギちゃん」と一々挨拶をしている。
(ぬいぐるみに話しかけるなんて幼稚園生かよ)と廉も初めは馬鹿にしていた。
ある夜───
廉はいつも通り、取材やらツアー構成の打ち合わせやら衣装合わせなどといった細々とした仕事を淡々とこなし、
早々に一人合宿所に戻って頭に浮かんだ新曲のフレーズを形にするべくギターをかき鳴らしたり、
キーボードをああでもないこうでもないと叩いては譜面と睨めっこし1人ぶつぶつ呟いていた。
「…やっぱちげーなー。んー…どっちが良いんだ?…なあ、お前どう思う?ブタウサギ…ってあれ?!」
人間のブタウサギ…いやもとい美男はまだ合宿所に帰って来てない。
それならばどのブタウサギかと言うと…そう。
廉はつい無意識で美男のようにブタウサギのぬいぐるみに話しかけていのだ。
「わっ!!…何で俺までぬいぐるみに話しかけてるんだ?…ったく……こいつめっ!」
誰もいないのに思わず顔を赤らめた廉は、その羞恥心からか
思わず自作のブタウサギ人形に1発パンチを入れそうになったが・・・。
ちょっと傾げている首に真っ黒のつぶらな瞳…つん、と立ちあがった2つの耳…
そして、その愛くるしい容貌からは似てもにつかないブタ鼻のついたブタウサギをじっと見ているうちに
…握った拳のやり場に困り廉は思わず苦笑してしまうのだった
(俺、ぬいぐるみ相手に何ムキになってるんだ…)
「おい、お前のご主人さまはまだ帰ってこないみたいだな!しょうがねーから俺が相手してやる!」
ぶん!と振り回すような勢いでブタウサギを抱き上げ、ベッドに寝転んだ。
「なあ…お前のご主人さまは何であの豚鼻を俺の前でやるのか…お前は知ってるのか?」
目が合う度にむにゅうーっと音がしそうな勢いで潰れていく美男の鼻…
廉は同じようにブタウサギの鼻を人さし指でむにゅーっと押さえながら独り言を漏らす
最初は美男が自分を馬鹿にしているんだと思って腹が立って仕方がなかった…でも何かおかしい。
別に美男に悪態をついた訳でもないし、廉がとてつもなく恥ずかしい事をやらかした訳でもない。
…でも、ふとした瞬間に困ったような表情で美男はあの豚鼻をする……
(何だ…何なんだ…本当に分かんない奴…)
「ああー!もう腹が立つ!!………って俺が何で。…あいつの事なんか考えてんだ?
あああーーーーー!!!!やめやめやめ!………寝るか。」
廉はそう吐き捨てるように言うと、ブタウサギを無造作に放り投げ…ようとしたが、
作った張本人である為か自分の心情を吐露したせいか、妙な愛着心が沸いてきてしまい…
誰もその場にいないのを良い事に廉はそのままブタウサギをぎゅっと胸に抱きしめると、
首の傾げたブタウサギからふんわりと…かすかに優しい石鹸の香りがした…。
………美男の香水の匂いだろうか?
(いやいやいや!あいつがそんな小洒落た物を持っているはずがない。馬鹿馬鹿しい!寝る!!)
「…ブタウサギが一匹…ブタウサギが二匹……ブタウサギが三匹…ブタウサギが四匹……
……ブタ、ウサギが………ひゃく、にじゅう………───────」
本来ならば羊が一匹羊が二匹…と数えるはずが、何の気紛れかブタウサギの数を数えて寝入ってしまった
廉は不思議な夢を見た…いや、それは…廉からしてみれば悪夢と言えば良いだろうか
廉は草原の真ん中に1人ぽつんと立っていた…その格好は…
何故か本物の豚に追いかけられた時に着ていたダサいジャージ姿で…
(おれはなんでこんなところにいるんだ??)
と思ったその時に…
『れーーーんさーーーーーん』
と美男の自分を呼ぶ声が聞こえてくる…けれど振り返っても美男の姿は…どこにもない。
それなのに『れんさーーーーん』という声は段々と大きくなっていく。
(何だ…何なんだ???)
『れーんさーん!!!!ここです!!ここーーー!!!うへへへー!!!』
(えっ……)
辺りをきょろきょろと見回した先に廉が見たものは………
なんと、美男ではなく美男位の大きさの……ブタウサギのぬいぐるみだった。
ぬいぐるみのくせに動きがいやに俊敏で、ぴょーんぴょよよよよーんと擬音が聞こえてきそうなリズムで
廉の許へとスキップしながら近づいて来る…手には…廉の死ぬほど大嫌いな人参とほうれん草を手にして…
(ギャアアアアアーーーーー!!!!!!)
あの日豚に追いかけられた時のように廉は叫び声をあげながら猛スピードで駆け出して
ブタウサギから逃げようとしたが、思うように走れない…その間にブタウサギはどんどん近付いてくる…
『れんさーーーーんまってくださいよーーーーーーうふふっうふふふふっ』
(うーわーーーーー!!!!!!!やめろーーー!!!くるなああああ!!!!)
ちょっと首の傾げた巨大ブタウサギが廉に追いつき『うふふ』と笑った瞬間──
廉は飛び起きた。寝汗で体が少しだけ湿っている……
「わ…っ…!!!!!……何だ……ゆ、夢か…って何で俺がこんな夢を見るんだ!!!うわー!!」
信じられない!!とか気持ちわりー!と喚きながら頭をかきむしっていると…
すぐ隣から「んんー……」とくぐもった声が聞こえてくる…
(……え……まさか……や…!!まさか…な…そんなはずは……でも…)
何だかとてつもなく嫌な予感がする。おそるおそる廉が横を振り向くと…
案の定、廉のすぐ隣には美男がブタウサギのぬいぐるみを抱いて爆睡していた
(何でそうやって勝手に人のベッドに潜りこんで来るんだ!この野郎!!!)
「……おい、何でまた俺のベッドで寝てるんだ?こら!!!図々しいんだよ!!!起きろ!!!」
「んんーーーーや、だあー…やめてよ…おにいちゃ……むにゃむにゃ……」
「……誰がお兄ちゃんだ…ったく!!ここはお前の寝床じゃない!出て行けブタウサギ!!」
廉は苛々しながらも美男を肩に担いで美男の寝床…いや布団へと運ぼうとした時、
美男が一つ大きなくしゃみをした。
「ぶっへっく、しゅ…っ」
「……ほんとにブタみたいな鳴き声だな…」
廉は思わず吹き出してしまったが、ある異変に気が付いた…美男の体温が異様に低いのだ。
腕をそっと取ると、かすかに鳥肌が立っている…。
(風邪か?)
そっと美男の額に手を触れると廉の思い過ごしだったのだろう…熱はなくかすかな温もりが手に伝ってくる。
けれど、クーラーの真下にある布団で寝てしまったら、確実に風邪をひいてしまうだろう。
「………しょーがねーな…ったく。次同じ事やったら金取るからな!…ブタウサギめ!!」
顔をしかめて悪態を付きつつも廉はクーラーのリモコンを手にし、設定温度を2,3度、上げてから
美男の体に布団をかぶせてやると、美男の眉とまぶたがぴくぴく…っと動いた
「……んー…ぅー……れ、ん…さん…」
「………起きたのか……おい、早く自分の布団にもど……」
「そん、なに…たべ、れませんよ……何で……ZZZZZ」
「はっ…?…寝言かよ。ていうか!!!腹立つ!!なんつう夢見てんだよお前!!」
自分が美男に食べ物でも分け与えている夢でも見ているのだろうか?
(いや、俺はそういう事はしない!嫌いな食い物以外は…)
(ていうか!…俺ってそんなに性格悪い男って思われてんのか…?)
廉は盛大なため息をつき、美男に背を向け自分も布団をかぶり無理矢理目を閉じると
再び聞こえてくるのは美男のブタの鳴き声のようなくしゃみ…しかも…何回も
「ぶしゅっ…ぶしゅっ…ぶっへっっっくしゅ…っ…んんんんーんぁー…」
「………ぬいぐるみなんか抱いてるからくしゃみが出るんだろ!…馬鹿なやつ!」
顔をしかめつつ廉がそう言いながら美男の腕から無理矢理ブタウサギを取り上げると……
ぬいぐるみで暖を取っていたのか、はたまた手持無沙汰で寂しくなったのか分からないが
「んんんー…」とまたくぐもった声をあげながら廉の胸に顔を寄せてくるのだった
「……おい!!!お前調子に乗ってるといい加減……」
廉は自分の領域を侵される事や自分のペースを乱される事が大嫌いな人間で。
出会った頃からそうだったが、こうして無遠慮にずかずかと侵入してきて滅茶苦茶にして行く美男に苛々して仕方がなかった。
(ちょっと優しくしてやればすぐにこうやって調子に乗りやがる)
いい加減にしろと怒鳴りそうになった瞬間、廉は美男の顔を改めて見てはっと息を呑んだ…。
「……すげー疲れた顔……してる……」
いつもふにゃふにゃ笑って明るく元気に装ってはいても、そこはやはり「芸能界」という特殊な世界で
美男からしてみれば元は無縁の世界のはずなのに、兄の身代わりとして慣れない環境の中で日々忙殺されている。
顔色はやけに青白く、目の下にはうっすらと隈が浮かんでいる。
無理もない。もうすぐソロデビュー曲が発売されるにあたってプロモーション活動や雑誌の取材。
ソロだけでなくて、バンドとしての活動やリハーサルや月刊の音楽誌の連載なども沢山ある。
ちょっとした空き時間はぱっと出来ても、そもそも休みは皆無に等しい。
さらにここ最近の様子では寝る時間でさえ多く取れていないはずだ。それに、美男は廉や柊、勇気とは違う…
身代わりとか偽物とかそういう問題ではなくて「女」なのだ。体力だっていつまで持つか疑問だ。
こうやって、つい優しくするからつけ上がるんだって分かってはいるけど…
だからって放っておく訳にもいかないし…でもどうしてやれば良いのかよく分からない。
少しのためらいの後、廉は美男の頭にそっと…そしてゆっくりと触れた。
すると…美男は嫌がるどころか、うっすらと笑みを浮かべながら更に廉の体に身を寄せてくるのだった…
廉は苛立ちを覚えるよりも先に混乱していた。
返事が返ってくるはずなど無いのに自分の胸の中ですーすーと寝息を立てる美男にそっと声をかける。
「…なあ、何でだよ…何で…こんな事するんだよ……だってお前……柊の事が…好きなんだろ?」
ただ思ってる事を正直に口に出しただけなのに、何故こんなに胸が苦しくて…ずきずきと痛むのだろう?
「Alone」のレコーディングをしたあの日の…柊に抱き締められ涙を流す美男の姿が脳裏に浮かんでくると
再びずきずきと胸が痛み出す…その理由…思い当たる節はある…けれど…
(そんな事考えたくもない。絶対に認めたくない。)
廉はぎゅっと目をつぶりぶんぶんと頭を横に振って何とか平常心を取り戻したのだった。
「しかし、まあー…好きでもねー男を抱き枕代わりするとはな!!しかも俺様を!!…ったく!!」
自分がとてつもない勘違いをしている事つまり「美男の本当に好きな人は廉」という事など廉が気付くはずもなく。
かすかな美男の温もりを感じ、その寝息を聞いているうちに廉もいつの間にかそのまま寝入ってしまったのだった。
翌朝────
勇気は廉と美男を起こそうと、廉の部屋へと向かっていた
「廉さーん?美男ー?朝ごはんもうすぐ出来るよー!今朝はねー柊さん特製のチーズオムレツだよ!
れんさーん?…みおー?…まだ寝てんのー?遅刻するよー?って…………!!!!!」
勇気は廉の部屋の扉を開けて愕然とし、まるでムンクの叫びのようなポーズで固まってしまう。
それも無理はない。紫地の薔薇のプリントの入った耽美な雰囲気がむんむんと漂う布団をかぶり
…廉が腕枕をして…その横に美男が廉の体に抱きつくようにして2人ともすやすやと…
それはそれは気持ち良さそうに寝ているのだ。
どこからどう見たって事を済ませた恋人同士が迎える朝にしか見えない!!!!!
でも!!美男は男だ。それなのに…何故2人はこんな事に?一緒のベッドで仲良く眠っているのだろう?
「これは……一体どういう………?」
勇気の頭の中でお得意の妄想劇が繰り広げ始められる。
♪もわもわもわもわもわわわわわわーん♪
『美男!!…だから何度も言っただろう!俺たちは男同士なんだ!
いくらお互いに想い合っていたって俺たちが結ばれる事なんて絶対に無理なんだよ!!』
『廉さん!ぼくは…男が好きなんじゃなくて廉さんが好きなんです!!だから…だからお願いです…』
『美男…?』
『僕を…拒まないで!!…嫌わ…ないで』
(涙を流し抱き合う2人)
はたまた…??
『廉さん…?』
『美男…!!俺はもう自分の気持ちを抑える事が出来ないお前が好きだ!!』
『廉さん…嬉しいです…僕も…僕も廉さんの事がっ…』
(そして…そのままベッドに倒れ込む2人)
「まさかー!!!!違う!!!そんなはずない!!!…なーにやってんだよおおおおおーーー!!!!!」
勇気の悲鳴にも似た叫び声で廉はぱっと目を覚まし、自分の置かれている状況を思い出し我に返り慌てふためくが。
時既に遅し…鬼のような形相をした勇気が仁王立ちで廉を見下ろしている。
「ち、ちちちち違うー!!こ、ここここれは誤解だって!!誤解なんだってば!!!!!」
「何が!!!!……どう違うって言うのさ…だって俺…見たもん!!!」
「み、見たって……何をだよ!!」
「2人が抱き合って眠ってる所をだよ!!…いやー知らなかったなぁー廉さんも『こっち側』の人間!!だったなんて!!」
半分冗談で半分は本気で言ったのだろう。
勇気はなんとも言えない困ったような笑みを浮かべながら左の手の平を口元にかざす…
そう。最近勇気につきまとっているNANAのヘアメイク担当のあっち側の人間のトオルが良くやるあのポーズだ。
「なっ…!!!そ、そんな訳…ないだろ!!!!」
「へえええええーどーなんだか……」
廉の額に冷や汗が浮きはじめる…必死で弁解しても、勇気の誤解が解けるどころかその疑いの目線は
ますます鋭さを増していく…その目線から逃げるように廉は美男の顔を覗きこむと…
自分の危機的状況?だというのに美男は相変わらずブタウサギをぎゅうっと抱きしめ気持ち良さそうに寝ている。
(ああ、やっぱり…一緒のベッドなんかに寝かせるんじゃなかった…)
よりによってメンバーに美男と一緒に寝ている姿を見られるとは…桂木廉…一生の不覚……。
潔癖症な上に完璧主義者な廉は激しい後悔と自己嫌悪におそわれ、その負の感情の矛先が結局美男へと向けられる。
「おい!!!!ごるぁ!!!!!てめー!!!!!いい加減起きろ!!起きやがれ!!!」
美男は本当は女だとは分かっているし、本当はこういう事はするべきではないと分かってはいる。
(けれど、何としてでも勇気の誤解を解かなければ!)
廉は美男の背中を思いっ切り蹴飛ばしベッドから突き落とした。
「ちょっ…廉さん!」
勇気が廉に窘めるように声をかけるのとほぼ同時にゴン!!という鈍い音が部屋に響くと
美男の「ううー……ぃっ…たあー」という小さなうめき声が上がる
「おい、二度も俺様の寝床に間違って入って来るとは良い度胸してるじゃねーか!居候!!」
床にうずくまって痛さのあまり悶絶している美男を上から見下ろしつつ廉が恨みの籠った口調で言うと
勇気が困ったような顔で美男の許へと駆けよる…
「なーんだ!そうだったんだー!もーそういう事なら最初から言ってくれれば良いのに!美男大丈夫?」
「…ぇっ…勇気…さん?あ…ああ!あ、あのご、ごめんなさい!わ…じゃない!
ぼ、僕…また…寝ぼけてて…あの…そのー…ぇええええーっと……」
ようやく寝ぼけた状態の頭も覚醒しつつあるのか、自分の目の前で眉を下げ心配そうな表情をしている勇気と
頭上から自分の事を物凄い形相で睨んでいる廉をおそるおそる見上げるうちに事態を把握した美男が慌ててその場に正座する。
何やら頭上から槍でも降って来るのではという程の廉の鋭い視線を感じ、美男はブタウサギをぎゅっと抱きしめうな垂れた。
「れ、廉さん!ほ、本当にごめんなさ…じゃなくてすみません!本当にすみませんでしたー!!」
「…謝って済む問題か……ったく…本当に図々しい奴!!!いい加減にしろよ!!」
「ま、まあまあー疲れてたんでしょ?しょうがないよねー美男も忙しかったし!
それにしたってさ!廉さんは怖いよねー!ねえねえ!だからさー美男、今からでも俺の部屋にくればー?」
何も知らない…そう美男が本当は女だって事など知らない勇気が廉に抗議の視線を送りながら
美男を自分の部屋に誘おうとする…が2人の口から意外な言葉が飛び出す。
「「ええ!!!」」
「え…って。っていうか何で廉さんがえ!とか言うのさ…あー!!やっぱ廉さんアレか!!」
再び勇気の心の中に疑いの念がもわもわもわーんと広がって行く
(やっぱアレでしょ?あっち系の人なんでしょ?廉さんも!…じゃあ俺も…素直に認めちゃおっかな…)
「待て!!!違うって言っただろ!!ふざけんな!!!!!」
「どーだかねー!!!ぎゃははは!!!廉さんいがーい!!!」
「てめー!!!!」
「???」
慌てふためいて勇気に詰め寄る廉と、いひひーとしたり顔で笑う勇気を不思議そうな顔で美男が見つめていると。
そこへ柊がのんびりとした穏やかな口調だけれどいつまでたってもやって来ない3人を心配し廉の部屋の中へと入ってくる。
「おーい、朝ご飯出来てるんだけど…皆何してるんだ?」
「あ、柊さん!!!聞いてよ!もー!!廉さんがね?………」
勇気がたまらず何も知らない柊に事を説明…いや言い付けようとしたが、
またまた白目をむいて鬼のような形相をした廉に気圧されて口ごもってしまう
何も分からない柊は廉の顔を窺うようにそっと眺めながら困ったような笑みを浮かべる。
「廉が……どうしたって?」
「いや……な、なんつうかそのー……」
「な、なかなか起きないからさ!ぷ。ぷぷぷプロレスごっこ!!してたんだ!!
で!!!!俺がー寝起き襲ったから廉さん…怒っちゃって」
勇気はとっさに苦し紛れの嘘をついたが、今度は美男が「ええええ?」とでも言いたげな顔をするので、
間に挟まれ悶絶した勇気は(何で俺が!!)と思いつつも黙ってろ!と美男に必死に目配せを送る。
いつもと違う3人の様子に何かを察した柊だったが、くすっと笑みを浮かべ平静を装う。
「朝からそんな運動して大変だな。なあ、オムレツ冷めちゃうからさ…皆も早く来て一緒に食べようよ」
「そうそう!今朝はね?柊さん特製のチーズオムレツなんだよ!廉さんも「これは」大好きでしょ?」
「…う、…ま、まあ…な…」
「美男は食った事あるっけ?…って!お前男のくせに何抱いてんだよ」
勇気が思わず素っ頓狂な声を上げると、今度は美男が慌てふためくのだった…
廉から贈られた大切な宝物であるヘアピンを柊や勇気に見られないように
ブタウサギの耳元を隠すようにぎゅっと抱きしめると勇気の顔が更にしかめっ面になっていく。
「そのぬいぐるみ…誰から貰ったの?寝る時まで一緒なんて…すげーな!男のくせに」
「ぇ…っとこれは…その…」
「あーもしかして!!!!………彼女から貰ったとか?!!」
(そっか…美男も男だもんなー彼女の独り1や2人?くらいいるよなー…だよねーそうだよねぇー)
勇気の頭の中でまた勝手に妄想劇が繰り広げられそうになった瞬間、仏頂面をしていた廉が重い口を開いた。
表情は険しいのにその口調はまるで困った美男に助け舟を出してあげるかのような優しいものだった。
「……お前の妹の代わり。なんだろ?それ……」
「…あ。……は、はい…そう、なんです………」
(前から薄々感じていたけど。廉も、美男が女だって…もしかして…いや…もう気付いているんだな…)
柊は廉と美男の顔を交互に見るうちに何とも言えない複雑な気持ちになったが、平静を装って笑顔で美男に語りかけた。
「そっか…美男って妹がいたんだな」
「は、はい!そうなんです…」
「えー!!ねえねえどんな子?どんな子?名前はなんていうの?」
「み…みこ…」
「で、みこちゃんはいくつなの?どこに住んでるの?どんな子なの?ねえねえ教えて教えてー!」
「えええーっと…ふたご……です。えっと…ええええーっと…あああああのー・・・・…」
「勇気!だから朝飯が冷めるって言ってるだろ?」
「あ。そうだった…ごめんごめん!でも、後で教えて?」
「はぁ……わ、分かりました……」
勇気に矢継ぎ早に質問されまたまた困ったように眉を下げてしまう美男に今度は柊が助け舟を出してやるのだった。
ふと視線を廉の方へと向けると、3人の会話など興味など無いとでも言いたげに
クローゼットの中から着替えやタオルなどを取り出し身支度の準備を始めている。
(………)
「じゃ、じゃあ俺たち先に行ってるから。2人とも早く来てねー!行こう柊さん」
「あ、ああ……」
複雑な表情をしている柊の腕を勇気が無理矢理引っ張って2人が出て行くと
再び部屋には廉と美男が2人きりになり…重苦しい気まずい雰囲気が漂い始める。
「れ、廉さん……」
「何だ」
背中を向けたままの廉に遠慮がちに美男が声をかけると、返ってくるのはつれない冷たい声
こんなに近くにいるのに…その背中がとても遠くに感じる。
近くにいても決してこの手に掴む事も触れる事さえも出来ない光り輝く星のようで…
朝日が当たるその背中が眩しくて溜まらない…美男が思わず目を細めると、廉がゆっくりと振り返った
「おい……何も用が無いんだったら出てってくれ……着替えるから」
そう言うと、すぐに廉はまた美男に背を向ける…
「あ!す、すみません……じゃぁ…先に行きます…ね?」
胸が苦しくて、ずきずきと痛んで思わず涙が溢れてしまいそうになるのを悟られないようにそっと廉に背を向けると、
床に転がったブタウサギのぬいぐるみが心配そうに自分の顔を見上げているような気がした。
(どーしたの?みこぉー、げんきないじゃーん)
とブタウサギに言われたような気がして…美男は気持ちを入れ替えるべく、うっし!!と気合いを入れ無理矢理笑顔を作る。
「えへへっ……おはよう!ブタウサギちゃん!」
今日は特別サービスー!とか訳の分からない事を独りごちながら
美男がブタウサギの鼻にちゅっとキスを贈るのをこっそりと眺めていた廉の心臓が一度だけどくんと音を立てた。
美男の指がブタウサギの耳に付いたヘアピンを一度だけそっと撫でてからくるりと振り返るのを見て
廉も慌てて再び背を向けまたごそごそとクローゼットを物色…するふりをした
「れんさーん!遅刻しますよ?早く早くー!!!」
「あ……」
廉が何かを言うよりも先に美男はパタンとドアを閉めて出て行き…
ぱたぱたという美男の軽快な足音がだんだんと小さくなっていく
「な、何で……何で俺がドキドキしてんだ………??……っ…・・はぁっ……?」
胸が高鳴る理由に訳も分からず廉は顔をしかめながら椅子の上にちょこんと座っているブタウサギの前にしゃがみこむ。
「え……いま…おまえ……しゃべっ…た…か?」
廉がおそるおそるブタウサギに話かけると、ブタウサギの瞳がくるりと回る…
「いやいやいやー!ま、まさか…なっ…!ははっ…は………」
(おーい!れん!だからあー!もっとみこにやさしくしてやれよーう。
すきなんでしょう?みこのことー!!ほんとうにしゅうにとられちまってもいいのかい?)
「えええええええー!!!!うそだ!!!ありえない!!!!!ぎゃああああああああ!!!!!」
ブタウサギがしゃべった事に対する悲鳴なのか?
それとも自分が美男の事が好きだと指摘された事に対する拒絶の意味での悲鳴なのか?
分からないが廉がけたたましい悲鳴をあげながら洗面所へと駆けだしていくのを
つぶらなふたつの瞳でじっと眺めていたブタウサギはしてやったりとでも言いたげに「うへへー」とひとつ笑みを漏らした…
かどうかは定かではないけれど…神様かはたまた地上に舞い降りた天使の悪戯か。
廉と美男…いや美子の想いを代弁した事には間違いはない。
(お、おれがっ…?俺が美男の事を好き!!!だと?!うそだー!!ありえない!!!!嫌だー!!)
「うわああああああああ!!!!!!」
『もー廉さんうるさいよー!!ご飯冷めちゃうから早く来てって言ってるのに!!』
『まあまあ…ゴキブリかなんかでも見たんだろう?ああ見えて廉は小心者だからなー』
『えっ!!!そうなんですか?』
3人のそんな会話も耳に入っていないのか…
(これは夢だ!そうだ、昨日の夢の続きだ!!ありえないありえない!!!)
廉は顔を真っ赤に染め、そんな事を頭の中で思いながら冷水で顔をバシャバシャと洗い流すのだった。
おわり。
以上で終わりです。
改行とかおかしい所があって読み辛いかも知れないです、すいません
そしてまとめサイト管理人さんいつも乙です。その節は無理言って申し訳ありませんでした
これからも大変だとは思うけど頑張ってー!影ながら応援してるよー
あと、またまた申し訳ないのですがこの話も保管庫には入れないでおいて下さい。
ではー
>>333 スイートルームさんですよね?
萌えすぎて気づきました!
GJです!!
萌!!!!!!!!え!!!!!!!!
柊さんも勇気も可愛いしリアルですね。
仁王立ち廉さんと勇気見たすぎる!
なるほど・・・。読んでて滅茶苦茶上手だなぁって感服しながら読んでたら
まさかのスイートルームさんだったとは・・・。驚いt(ry)
>>333 滅茶苦茶GJ!もうGJと言い足りないぐらいにGJでした!
どの表現を取ってもリアルで、脳内再生余裕でしたww
ブタウサギに翻弄されまくる廉さんや、勇気にあっちの人間と間違われたりした所に大爆笑しつつ、
美子を想う廉さんにドキドキしっぱなしでした!
本当にお疲れ様でした!
うわぁ〜スイートルームさん降臨!!
すっごく面白かったです〜流石スイートルームさんだ〜。
あの、廉美子のアフリカの夜のお話はどうなったでしょうか?
密かに待ち望んでおります。
>>333 まとめ入れないようにしておきますね。
勇気の妄想が始まる「もわもわもわもわもわわわわわわーん」がいいw
まとめサイト?探したけど見つかりません泣
どなたか探し方教えてください…
>338
探してないでしょう?すんなり出てきます。
何故住人さんがスルーしてるのか考えてください。
皆触ってすまん。目に余っちゃってorz
340 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 04:17:56.79 ID:AFWzegTb
すいません。探し方変えたら見つけられました。ありがとうございました。
>340
いい子だ!ブタウサギ!
>>333さん
廉さん、ツンデレMAXですね♪ ここまできてもまだ恋愛感情認めないって凄いね。
ところで、今340KBだけど、次スレは500KB手前ぐらいで立てるんだよね?
次スレテンプレにはまとめサイトHP入れた方がいいのでしょうか?
>>300 です
感想を寄せて下さってありがとうございます
廉美子の子供話可愛いですよね
脳内で勝手に廉男(れお)くん、廉美(れみ)ちゃん呼びしてます
>>342 残り160kb?
目安としては10レス以上超える超大作が4、5作入るか入らないか位ってとこ?
スレ立てはまだ早いんじゃない??480kb位で良いような気するけど。
まとめは管理人さん次第じゃない?
別にググればURL普通に出てくるんで、まとめサイトもテンプレに追加
しちゃえばいいと思いますよー。
まとめサイトの管理人より。
>>317 ピンの続編キター!!GJ!!
車運転しながら美子を誘う柊さん、ツボですwww
ピンの続編、また良かったらお待ちしてます!
>>345 まとめさん、いつも本当にありがとうございます。お世話になってます。
>>343 もうひとつのA.N.JELL、廉さんが大人だ、バンド解散の理由ってリアルでは大抵、女性問題らしいので良かったw
振られないだけに、別の意味で、柊さんが哀しいね・・・
既にDTじゃないですがDT柊の人です。
続きが完成したので作品投下します。
カプは柊×美子 エロあり
若干、筆者が暴走した感がありますが気にしないという方は読んで下さると嬉しく思います。
それと、今回もオマケありです。オマケの方は台詞重視でこっちの方が読みやすいと思われw
あれから更に1ヶ月が経過していた。
「あ、柊さんが出てる・・・。」
ソロの仕事が入っていた美子は、収録前の控室で柊が出ている番組をたまたま目にする。
美子は収録が始まるまで、ずっとその番組を見ていた。
というよりも、その番組に出ている柊の事を無意識のうちに目で追い続けていた。
しばらくして、美子自身も柊の姿をずっと目で追っている事に気がつくと、誰もいない控室で頬を赤く染めていた。
「あ、え、あ、あの・・・・。」
誰もいないのに控室で一人、きょろきょろしながら声を発する美子。
そして、誰もいない事を確認すると胸を撫で下ろし、再びテレビに映っている柊の方へと顔を向ける。
(私・・・柊さんと・・お付き合いしてるんだよね・・・。)
と、テレビの向こう側に映るスーパーアイドルと自分が付き合っているという事を改めて実感すると、
鞄の中に忍ばせていた指輪を見つめ「えへへ」と言いながら笑みを零す。
けれど最近、柊に対して複雑な気持ちを抱く事がある。
それは、テレビで柊を見ていた今日も起こってしまった。
「柊さん・・・。この女の人と仲良さそうに話してるなぁ・・・。」
指輪を鞄にしまった後、テレビの方へと目を向けると楽しそうに共演者の女性と話をしている柊の姿を捉える。
美子は最近、仕事だとは分かってはいるが柊がテレビで他の共演者の女性と
仲良さげに話をしている姿を見ると胸が締め付けられるような感覚に陥ってしまう。
その度に心の中で、
(仕事なんだから・・・仕事なんだから・・・。)
と思い、その気持ちを和らげていたのだが、今日だけはその気持ちを和らげる事が出来なかった。
番組の司会者が言った冗談雑じりの一言が、何故か頭から離れなかったから・・・。
「何だか、お二人とも仲良さそうにお話しして、まるで恋人みたいですね。」
その言葉をはっきりと耳で捉えてしまった美子は、ぼんやりとした目で画面を見ながら
(恋人・・・みたい・・・。)
と、画面に映る二人に言いきれる想いを抱いきながら、胸の辺りに添えていた手を強く握る。
そもそも、こんなにも美子が柊と他の女性が一緒にいる事を意識するのには理由があった。
今から1週間前。偶然、柊の電話を美子が聞いてしまっていたのだ。
「いや、だから・・・その埋め合わせは今度するから。え?今度じゃなくてちゃんと明確な日時を言えって?困ったなぁ・・・。」
「それじゃあ、2週間後の日曜日で良いだろ?・・・・場所はいつもの場所で良い?・・・。」
良く分からないが、ただ電話の向こう側から一瞬だけ聞こえた大声が、男性の声とは違ったのだけは聞き取れた。
今度会う?柊さんが・・・他の女性と・・?いつもの場所・・・?
その日の事が、今の美子の心の中で疑念を生み、柊と女性が一緒にいる姿を見ると胸を痛めていた。
そして、胸に突き刺さるような痛みに美子は時折、深い悲しみを抱きながら一人涙を流していた。
そんな事を考えていると、控室の扉の向こう側から
「桜庭美男さん、そろそろ収録の時間です。」というスタッフの声が聞こえる。
美子は、その言葉を聞くと慌ててテレビの電源を落とし、その声に向かって
「わかりました!」と元気よく言葉を返し、控室を後にした。
けれど、テレビ局の通路を歩きながらも頭によぎる先ほどの言葉。
その言葉を振り切る様に何度も頭を振り、「今は忘れよう・・。」と何度も頭に言い聞かせていた。
美子がそんな事になっているとは全く知らない柊も、美子の異変を何となくだが感じ取っていた。
(何か・・・最近、美子が冷たい気がする・・・。)
真夜中の合宿所。そのリビングのソファにハーブティーを飲みながら寛ぐ柊の姿があった。
(俺が話しかけても一言二言話したらすぐにどこか行っちゃうし、部屋に入ろうとすれば鍵掛けられるし・・・。)
考え事をしながらハーブティーを飲んでいたが、つい考え事に更けすぎたせいか、
気がつくとカップの中は空になっており、2、3回空のカップを傾けた後、「あ・・」とカップを見つめ、空である事を確認する。
(俺・・・美子に何かしたか?)
「ハァ」と声を出しながら、外へ息を吐き出すと空になったカップを置き、思い当たる節を片っ端に漁り始める。
しかし、柊自身思い当たることなどなく、すぐに記憶を漁る事を断念し、ソファの背もたれにもたれかかる。
「美子・・・・。」
如何したものかと思いながら、天井を見つめて美子の名前を小さな声で呼ぶ。
「柊・・・さん?」
すると、その声に反応するように、美子の部屋に繋がる通路の方から美子の声が聞こえる。
ソファにもたれかかっていた柊は、すぐさま立ち上がり後ろを見ると、やはり美子がそこにはいた。
「美子・・・。」
「あ、そ、その・・・失礼しました!」
美子は柊の姿を見るなり、慌てて自室へと戻ろうとする。
けれど、柊は美子の名前を今度は大きな声で呼び、美子の動きを止める。
自室へ戻ろうとしていた美子はその声を聞くと、ゆっくりと後ろにいる柊に視線を向けて
「ど、どうかしましたか?」と、何事もなかったような表情をする。
(ちょっと強引な方法だけど・・・また逃げられたら堪ったものじゃないからな・・。)
柊は、美子に近づくと何の前触れもなく美子の体を抱き上げて自分の部屋へと向かう。
いきなり抱きあげられた美子は、抱き上げられると柊の名前を何度も呼び、必死に離れようとした。
けれど、男の柊と女の美子とではその力に雲泥の差があり、美子の抵抗も空しく、すぐに柊の部屋の中へと連れこまれて行った。
美子をベッドの端の方に下ろした後、俺は自室の部屋の鍵を掛け、美子の隣に腰を下ろす。
そして、「むす」と機嫌の悪そうな表情をしている美子の顔を覗きこむ。
「美子・・・あのさぁ、一つだけ聞いていい?」
「な、なん、何ですか・・?」
美子はいつもより低い声でそう言うと、身を強張らせて柊を睨むように見てきた。
そんな美子を目の当たりにし、少しだけその威圧感に身を引かせる。
「い、いや・・その・・お、俺・・・美子に何かしたか?」
「どうして・・・そう思うんですか?」
「だって、ここ最近・・・妙に美子が俺を避けてるような気がするし。
それに、今も・・・凄く険悪な雰囲気を漂わせてるから。」
隣でいかにも「不機嫌です。」と言わんばかりの表情をしていた美子に、自らの胸の内を曝け出す。
美子は柊の困り果てた表情をしばらく「じー」と穴が開くほど見つめた後、
「身に覚えがないなら・・・自分で考えてください!!」
と言い、「ふん!」という声と共に、「むすり」とした表情のまま柊から顔を逸らした。
「仕方ない・・・・ちょっと手荒だからあまりやりたくなかったんだけど・・・・。」
依然、機嫌を良くしてはくれない美子の様子に、柊も痺れを切らしたのか
その場に立ちあがり、美子のすぐ目の前に行くと美子の両手首を掴み、ベッドへと押し倒す。
いつもの美子なら、何の抵抗もなく柊を受け入れてくれたのだが、
流石に機嫌が悪いせいなのか、まだ自由を奪われていない両足をばたつかせながら抵抗した。
「柊さん!そ、そんなことしても、わ、私・・は、話しません!!」
顔を真っ赤にして、ギラギラと敵対心を剥き出しにしているような目で柊に視線を返す。
しかし、柊はそんな美子に全く反応せず、ただ言葉を発し続けていた美子の口を自らの口によって塞いだ。
薄暗く部屋を照らす照明の中、ベッドの上で深い口づけを交わす二人。
しかし、その胸に宿っている想いはそれぞれ別々の想いだった。
柊は美子の事を誰よりも愛し、その想いだけを抱きながら美子に口づけをしていたが
一方の美子は、今までに感じた事のない胸の痛みからか、ぽろぽろと涙を零しながら
柊の事を拒絶したいという思いと、柊の側にいたいという二つの気持ちの狭間を漂っていた。
(辛いです・・・柊さん・・。この胸の痛みは・・どうして止まってくれないんですか・・・?)
口づけの際、柊に声にならない思いを投げかけながらも
閉じられた瞳の中でただ込み上げてくる痛みに涙を流すことしか出来なかった。
ゆっくりと唇を離し、閉じていた俺自身の瞼を開くと美子は涙を流していた。
(どうしてだ?美子・・・。どうして、お前は泣いてるんだ・・・?)
(まさか・・・俺の事・・・嫌いになった・・のか・・・?)
上から見える美子は、身を縮めながら小刻みに震わせ、
瞳からは深い「哀しみ」が溢れ出てきているかのように無数の涙が零れ落ちていた。
そんな姿に、柊は今までに感じた事のない「不安」を覚えていた。
「美子・・・・。」
震える美子の背中に両手を回すと、状態だけを起こして美子をそのまま抱きしめる。
(このまま一緒にいたいのに・・・。この温かさに包まれると・・・苦しくなる・・・。)
抱きしめられた美子は、胸の辺りにあった両手で柊の体を強引に離れさせようと力を加える。
一瞬、柊の体は後ろの方へと倒れそうになったが、すぐに腕に全力を込めると
「美子・・・・教えて・・・。何があった?俺・・・お前の事・・・離したくない・・・。」
と言い、美子に真剣な眼差しを向けながら、小さくも力の籠った声で美子に言った。
「けど・・・柊さんは・・・もう、私と一緒に・・・居たくないんですよね・・・?」
柊の腕の中で「ぐすぐす」と泣きながら、涙声で柊に告げる。
けれども、美子の言葉を聞いた柊は「ん?」と真剣な表情を緩め、考え事をしだした。
(えっと・・・・俺が・・美子と一緒に居たくない?)
「美子・・・どういう事・・・?」
先ほどまでとは打って変わって、表情を和らげながら美子に問いかける。
「だ、だって・・ぐす・・こ、この前・・お、女の人と・・・電話してるの聞いちゃって・・・。
それで、埋め合わせ・・・とか・・ぐす・・いつもの場所・・・とか・・・。」
(え?ま、まさか・・・それって・・・。)
「その日から・・・柊さんが・・・テレビで・・女の人と一緒にいると・・・胸が痛くなって。
だから・・・私、どうしたらいいか・・・わからなくなって・・・。
柊さんに嫌われちゃったのかって思うと・・・・凄く・・凄く・・胸が張り裂けそうで・・・。」
涙を流しながら苦しい表情を浮かべている美子は、恐る恐る柊の顔へと視線を移すが
その柊自身は、呆然とした表情をしていた。
「柊・・・さん・・・?」
「あ、あの・・・・美子?」
涙は止まり、少し荒い息遣いをしながら見つめていた美子に対して
柊は頭を掻きながら「まいったな・・。」と思いつつ、美子から顔を逸らした。
「そ、その・・・。美子が言ってた電話って・・もしかして1週間ぐらい前?」
「・・・そう・・・です。」
(あぁ・・・やっぱり、あの日の電話のせいか・・・・。)
その日の事を話そうか躊躇したが、誤解を解くためには止むを得まいと思いながらも
この後に待ち構えるだろう美子の対応をどうしようかと考えながら口を開いた。
「じ、実は・・・・その電話・・・お袋からだったんだ・・・。」
「え・・・?」
(柊さんの・・・お母さん・・・?)
どうにも状況を掴めていないのか、美子は口を「ぽかーん」と開けると首を傾げた。
いきなりの事で、すぐに状況を掴めていない事を、美子の様子を見て悟る柊はさらに言葉を繋げる。
「実はさ・・・その日、お袋がこっちに遊びに来る事になってたんだよ。
けど、あの日は仕事がいきなり入ってきただろ?だから、その事の話をしてたんだ。」
「え・・・?だって・・・え?う、埋め合わせって?いつもの場所って?」
「それは、お袋がこっちに来た時に行くイタリアンのお店があって、今度そこに連れて行くってことでその場は許してもらったんだ。」
柊の言葉を聞いた後、しばらく「え?」と言いながら、呆然とした表情を浮かべたまま柊の事を見つめていた。
「えーーー!!じゃ、じゃあ・・・私・・・勝手に勘違いして・・・。」
自分がどういう事をしていたかと悟ると、羞恥のあまり頬を真っ赤に染め
両手で顔を隠すと、そのまま顔を俯かせた。
(わ、私・・・。勘違いで柊さんに嫉妬しちゃって・・・・・。)
まさに、穴があったら入りたいといった状況。
美子は今日というほど、誰もいない場所に逃げれたらと思ったことはなかった。
(は、恥ずかしい・・・。今すぐこの場から消え去りたいよぉ・・・。)
恥ずかしさのあまり、柊の顔を見る事が出来ない美子。
そんな美子を柊は声を出さずに笑っていた。
そして、笑うのを止めると今度は柊がわざとではあるが、機嫌の悪そうな表情を浮かべた。
「あーあ。何か傷ついたなぁ・・・。」
(や、やっぱり柊さん・・・怒ってるよね・・・。)
「俺、美子の事ずーーっと気にしてたのにさぁ・・・。
だから・・そんな悪い美子には・・・ちょっとだけお仕置きしちゃおっかな・・・。」
柊のその言葉を聞き、美子は俯かせていた顔を上げ
「え?」と不思議そうな表情を浮かべながら柊の顔を見つめた。
柊は、何の前触れもなく美子の両肩を掴むと再びその体をベッドへと沈め、休む暇も与えず深い口づけをした。
いつもの優しい感じはその口づけからは感じられず、荒々しい柊さんの舌が私の舌に乱暴に絡まり
時折、柊さんの口その物が美子の舌を捉え、力強く吸い上げてくる。
今までに感じた事のない柊さんの荒々しさと、突然の行為の始まりに戸惑いがあるのに
だんだんと呼吸が荒くなっていく。体が熱くなっていくのを感じる事が出来る。
先ほどまでこの行為を拒絶していたのに、今はそれを受け入れたいと思う自分がいる。
こんな気持ち、抱く事が恥ずかしい事なのに・・・。もっと、触れて欲しい・・・・。
「んん・・・。」
瞼を「ぎゅ」と瞑りながら口づけをしている美子の表情を僅かに開いた目で捉えていた柊は、
肩を掴んでいた右手を上着の中に潜らせると、胸を強く掴んだ。
それと同時に、美子の体は大きく跳ね上がり、「んぁん!!」と高い声を上げながら顔を歪ませる。
そして、柊は執拗に交わしていた口づけを止めると美子のすぐ隣に顔を置いた。
美子は「ハァ・・ハァ・・」と息を乱しながら横にある柊の顔を
うっすらと開いた瞳で捉えると、喘ぎ声を堪えながら柊の名を呼ぶ。
しかし、そこに柊のいつもの微笑みはなく、代わりに冷徹な表情を浮かべて美子を見る柊の姿があった。
「しゅぅ・・さん・・・。」
「駄目だよ?そんな強請る様な声を出しても、今日は笑ってあげないから・・・。」
冷たく冷え切った柊の指が、美子の胸の頂点に辿り着くとすぐにそこを刺激せず、その周りを円を描く様になぞり続けた。
触れそうで触れられない指。触れて欲しいけど、その指はわずか数ミリ離れた場所を何度も回り続けている。
そんな思いを微かな刺激と共に感じる美子は、柊の左手を掴んだ
「んぁ・・・ふ、触れて・・ください・・・。」
「何に?」
美子の要求を聞くと、一瞬だけ胸の頂点を弾く様に触れる柊。
「んぁぁ!・・そ、そこに・・・触れて・・くだ・・さぃ・・・。」
瞼を強く握り、込み上げてくる羞恥心を堪えながら言葉として表現する美子。
「そこって?どこ?ちゃんと言ってくれないと分かんないよ?」
しかし、柊は惚けるように美子に言い、何度も触れて欲しいと思う部分を掠る様に時折触れるだけしかしない。
けれどその度に、美子の体の中で刺激が走り「ドクン!」と大きな鼓動が響き渡る。
そして、閉ざされる口の中から艶っぽい喘ぎ声が籠ったように外へ伝わる。
もどかしい刺激に体を小刻みに震わせている美子を見て、見えないように笑みを浮かべると
「良いよ・・・。触って欲しいんでしょ?」
と表情とは裏腹に、冷たく吐き捨てるように言い放つと、美子の頂点を親指と人差し指で摘む。
指の感触が触れて欲しいと思った部分に触れると、美子の閉ざしていた口を開かせ、
「ぁああ!!」という喘ぎ声を部屋中に響かせた。
「どう?美子?こうして欲しかったんでしょ?」
さっきまで、焦らす様にその周囲しか弄っていなかった指が執拗に頂点のみを刺激する。
強く摘んだり、弾いたり、掠る様に触れたり。
その一つ一つに美子は体を熱くさせ、声を上げ、体を何度も震わせる。
こんな事をされている事に対する羞恥心と、それでも触れて欲しいという快感を求める気持ちの狭間の中で、自らの体を震わせ
ただ、与えられる刺激に素直に従うように美子は小さな頷きを何度もしていた。
そんな美子を見ていた柊は、上着の中で触れていた手を抜き去ると、何も言わずに一度だけ頭を撫でてやる。
美子は少しだけ体を「ビク」と反応させ柊を見ようとしたが、それよりも先に柊の言葉がそれを阻む。
「そんなに良いなら・・・もっと良い気持にさせてあげる・・・。」
そう言うと柊は、美子の身に纏っていた上着を脱がせる。
その間、触れられていた指は離れ、一時的に刺激から解放されていた美子だが
目に映る自らの姿に恥ずかしさを抱き、目を閉じると顔を横へと向けて直視しないようにした。
そして、顔を逸らす美子の耳元に柊は口を近づけた。
「今更・・・恥ずかしくなったの?」
美子を追い上げるように低く小さな声で囁くと、顔を美子の胸の辺りまで移動させ
先ほどまで執拗に右手で弄っていた頂点を口の中に含んだ。
「ぁあぁ!んぁ・・!」
ずっと冷たい指で弄られていた部分に、温かな感触が広がる。
ぴりぴりと感覚を失いそうになっていたその部分は、柊の口の温もりによって再び感度を蘇らせ、激しい刺激を伝わらせる。
「んんぁ!しゅ・・・ぅ・ん!あぁ!」
頂点に絡まる様に這う舌。その舌に纏わりつく唾液が頂点に触れる度に纏わりつき
より感度を高め、軽い刺激ですら体を大きく仰け反らせるほどの刺激を伝わらせる。
その刺激を受けるたびに、自らの秘部からどんどん愛液が零れ濡れて行くのを感じる。
そして、一つ一つを意識すればするほど、その勢いは激しくなる。
けど、不思議と心地よい気分だった。
だって・・・・この刺激に不快感はなかったから・・・・。
何度も弾いたり吸ったりしていた柊。
行動一つ一つに声を上げ、過剰に反応させる美子を上目で捉えると
右手でズボンの上から秘部をなぞり始める。
「んぁぁぁ!」という声を上げると、柊の手の動きを止めるべく、自らの両手でその右手を掴む。
柊は、美子の手に動きを阻まれる事なく、中指で秘部の溝の部分を的確に捉え
その部分を行ったり来たりするようにしてなぞっていく。
衣服の上からという事で、大した刺激ではないはずなのに、
美子の体は既に些細な刺激ですら敏感に捉えるようになっており、首を振りながら刺激を拒絶する素振りを見せる。
舌で弄ぶように弄っていた部分から舌を離し、美子の顔を左手で強引に自分の方へ向かせると、
今まで向けていた冷たい表情から一転し、微笑みを浮かべた。
「しゅぅ・・さん・・。」
ずっと顔を見る暇もなかったのだが、柊の笑顔に安心感を覚える美子。
それまで強く掴んでいた右手の力をゆっくりと離していき、自ら柊へと体を寄せる。
「ごめんな・・・。ちょっとだけ意地悪しちゃって。怒ってるか?」
柊の胸に顔を押し当てていた美子に問いかけると、美子は嬉しそうな表情を浮かべて首を横に振る。
その姿に、柊は何も言わずに左手で頭を撫でると
「けど・・・まだ、俺のわがままに付き合ってくれ・・・。」
と小さな声で囁きかけ、ズボンを脱がせ下着の中へと右手を潜り込ませると
割れ目の部分を親指と中指で広げ、人差し指で露わになった最も敏感な部分に触れた。
「んぁぁ!ん!んんぁぁ!」
「どう?美子?」
「んぁ!んんん!」
刺激の強さに涙を数粒こぼしていたが、美子は大きく頷いた。
「美子・・・そんなに良いんだ?これ?」
そう言うと、柊は親指で触れていた部分を人差し指を加えて摘んだり擦ったりする。
柊の言葉とその刺激に体を大きく反応させ、乱れた息で美子は何度も喘ぎ声を上げる。
そんな美子を、柊は左腕を体の下に潜り込ませて右肩を掴むと、震える体を支えるように抱き寄せた。
それと同時に、秘部の敏感な部分を弄っていた指が離れ、人差し指と中指が中へと侵入させる。
「ぃあ!ぁあ!はぁぁん!」
既にびしょびしょに濡れる秘部は軽く動かすだけで卑猥な音を奏で
その音が響くと、秘部の内部が締め付けられ抜こうとしても抜けないぐらいに力が入った。
「美子・・・もうこんなになってるよ?それに、美子のあそこ。俺の指離してくれない・・。どうしてだろうね?」
耳元で囁く柊の言葉に、美子は涙を溜めた瞳をうっすら開き、恥ずかしさに頬を真っ赤に染め、柊を見つめる。
何も言わずに見つめる美子に、小さな笑いを零した柊は
「どうしたらこの指が抜けるか・・・やってみてあげる・・・・。」
と言い、内部に入る指を上下に激しく動かし始める。
「あぁ!い、ぃゃ!だ、駄目!んん!!」
動かしだすと、美子の甲高い声と美子の秘部から「びしゃびしゃ」という水音が響き、
その度に下着の中に愛液が付着し、どんどん濡れている部分がシミとなっていく。
高鳴る鼓動、体内を駆け巡る刺激、奥底から込み上げる愛液。
それらが内部で暴れる指が動く度に高まり、美子の体を限界へと誘っていく。
「んん!しゅぅさん!駄目!ぁぁ!い、いゃ!」
内部を掻き回されて、限界を迎えようとしている美子は柊の右腕にしがみ付き
もう限界であるという事をアピールする。
しかし、柊は美子の秘部が一瞬緩んだのを感じると、限界を迎える美子の内部から
勢いよく自らの指を抜き去り、下着から指を出した。
「ハァ・・ハァ・・・ンハァ・・・」
肩で息をする美子は、限界を迎える直前で引き抜かれ秘部に残る柊の指の余韻に浸る。
しかし、浸れば浸るほどその指が恋しく、限界を迎えられない事に歯がゆさを感じる。
自分がまさか、こんなにもこの人の虜になるなんてと驚きを感じながらも、
今は目の前にいる想い人の姿を虚ろな目で捉えることしか出来なかった。
「ほら・・・美子・・。見える?これ、全部美子から出たんだよ?」
そう言うと、引き抜いた指を美子に見せる柊。
美子は、柊の指に絡まる液体が自らの最も恥ずかしい部分から出たことを痛感すると
向けていた視線を瞼を閉じることによって、直視しないようにする。
そんな姿を見た柊は意地悪そうな笑みを浮かべ、耳元で
「もう限界なんでしょ?」と囁きかける。
美子は込み上げてくる恥ずかしさに、少しだけ躊躇ったが、目を強く瞑ると小さく1回だけ頷いた。
「ハァ・・ハァ・・・ンハァ・・・」
肩で息をする美子は、限界を迎える直前で引き抜かれ秘部に残る柊の指の余韻に浸る。
しかし、浸れば浸るほどその指が恋しく、限界を迎えられない事に歯がゆさを感じる。
自分がまさか、こんなにもこの人の虜になるなんてと驚きを感じながらも、
今は目の前にいる想い人の姿を虚ろな目で捉えることしか出来なかった。
「ほら・・・美子・・。見える?これ、全部美子から出たんだよ?」
そう言うと、引き抜いた指を美子に見せる柊。
美子は、柊の指に絡まる液体が自らの最も恥ずかしい部分から出たことを痛感すると
向けていた視線を瞼を閉じることによって、直視しないようにする。
そんな姿を見た柊は意地悪そうな笑みを浮かべ、耳元で
「もう限界なんでしょ?」と囁きかける。
美子は込み上げてくる恥ずかしさに、少しだけ躊躇ったが、目を強く瞑ると小さく1回だけ頷いた。
「それじゃあ・・・・自分でイってみたら?」
柊は美子の右手を掴むと、先ほど自分が弄っていた秘部のある所まで誘導する。
「や・・・ゃりかた・・・わ、分からないです・・・。」
目を閉じながら、美子は弱弱しく柊にそう言うと、秘部から手を遠ざける。
すると、柊が耳元で
「けど・・・・今日は俺、美子の敏感な所・・・もう触ってあげないよ?」
と不敵な笑みを浮かべながら囁く。
その言葉に、遠ざけていた手の動きが止まり、閉じていた目が笑みを浮かべる柊を捉える。
そして、何も言わず涙目で訴えかけるように柊を見つめた。
それでも柊は頑なに意見を変えようとはせず
「俺は問題ないよ?けど・・・このままじゃ・・・美子・・辛いまま終わっちゃうけど?」
と、恥じらいを捨てきれない美子の行動を促す様にゆっくりとした口調で囁く。
美子は「どくどく」と鳴り止まぬ鼓動の中、再び強く目を瞑るとぎこちない動きで
下着の中へと手を忍び込ませ、秘部の割れ目の中へと人差し指を入れて行った。
「んぁぁ・・。」
自分が想像していた以上に秘部は濡れていて、力を入れなくても簡単に指が中へと飲み込まれていく。
奥の方へと飲み込まれていく度に、先ほど感じた胸の高鳴りは強さを増し、体は再び熱さを取り戻す。
「ぁぁ・・んん!」
奥まで完全に入りきったのを確認した柊は、
「後は・・・自分の思うように動かせば良いよ。」と囁きかける。
その言葉を聞き、美子は内部に侵入させた指をゆっくりと動かし始める。
「んぁぁ!ん!ん!」
「どんな感じ?美子?」
「んぁぁ!・・ん!ハァン!」
柊の問いかけに美子は何も答えず、ただただ指を動かすことに意識を集中させていた。
聞こえていないのだと悟ると、柊は小さな声で
「厭らしいね・・・・美子。」と言い、美子の首筋に舌を這わせた。
柊の言葉に反応したのか、はたまた首筋に走る刺激に反応したかは分からないが
美子はそのすぐ後に、体を大きくのけぞらせ声を高らかに響き渡らせた。
そして、だんだんと指を動かすスピードが速さを増していった。
「んん!ぁ!ん!しゅぅ・・・さんん!だ、駄目駄目!」
もう限界なのか、美子の秘部からは「くちゅくちゅ」という水音が大きさを増してきており、
何より、自ら指を動かしていた美子が首を何度も横に振りながら、俺の左手を力強く掴んでいた。
「美子・・もうイキそうなんでしょ?」
と言うと、言葉の意味を理解してかは分からないけど大きく頷く。
「んぁあ!だ、駄目!んぁぁ!!」
そして、頷いてすぐに声が聞こえたと思ったら、美子の体が大きく震えあがり、
指の動きが止まった後、何度も小刻みに体を震わせていた。
そんな淫らな美子の姿に俺自身も限界だった。
「美子、お疲れ様・・・だけど、俺も限界だから・・・。」
意識のもうろうとしている美子は、「ハァ・・ハァ・・」と息を整えているだけで
既に柊の言葉に反応はしていなかった。
なので、俺は少しだけ美子の息が整うのを待つことにした。
2分程すると美子の意識も大分戻ってきたのか、胸に埋めていた顔を上へと向けると俺の名を弱弱しく呼ぶ。
「美子・・・あと少しだけだから・・・ね?」
そう言い、美子の頭を軽く撫でると、「ビク」と体を震わせたが何も言わずに頷いた。
それを見てから軽いキスを1度交わした後、美子の最後に残された下着を脱がせる。
そして、ベッドサイドに置かれていたゴムを取り、衣服を全て脱ぎ捨てた後に大きくなった竿の部分に取り付ける。
右手で竿を強く握り、侵入前に一度美子の方へ微笑みを浮かべた後、そのままゆっくりと中へと入れて行った。
「んぁぁ!ん!はぁぁあん!」
少し休ませて、感覚が戻ったのか再び美子は大きな喘ぎ声を上げる。
そして、全て入りきると美子の秘部が俺の竿を強く締め付けてきた。
息を一つ吐きしてて、上体を身を乗り出す様に前へと倒し、ベッドに手をつくと
「それじゃあ・・・・行くよ?」
と一声かけた後、最初から激しく動かし始める。
「んん!んぁぁ!ぃゃ!」
締め付けの強い秘部に何度も出たり入ったりする度に、自分が追い上げられていく。
今日、既に1度限界を迎えているから締め付けも弱いと思っていたら大間違い。
締め付けは今までで最も強くて、腰を動かすたびに竿にかかる負荷は尋常なものではなかった。
そのため、込み上げてくる刺激もいつも以上で5分ほど激しく動かしているだけで汗が止まらなくなるほどだった。
「んぁん!しゅ・・さん!駄目!い、イ・・・くん!」
「み・・・こ・・んぁ!お、俺も・・・そろそろ・・・駄目みたいだ・・・。」
互いに荒々しい呼吸をして、限界を迎えようとしていた。
柊は、美子の背中に両手を潜り込ませ持ち上げると、美子の口の中に乱暴に舌を入れる。
美子も、侵入してきた柊の下に縋る様に何度も舌を絡める。
そして、舌と下とが離れた瞬間、
「んぁ!あぁぁん!い、イぁ!」と、甲高い声と共に美子は本日2度目の限界に到達した。
そのすぐ後に柊も
「んぁ!イク!!」
と力強い声を上げると、欲望をゴムの中へと吐き捨てた。
柊は限界を迎えた後、美子の体に倒れ込むように体を密着させ、
美子の顔を右手で自分の方へと向けさせると、もう一度深いキスをした。
それから1時間後。
いつも通り、二人は別々にお風呂に浸かるなりシャワーを浴びるなりし終え、美子の部屋にいた。
「うぅーん・・。まだ体がだるいです・・・。」
「まぁ、1日で2回もイケばだるいのは仕方ないんじゃないか?」
「そもそも・・・柊さんが悪いんじゃないですかぁ・・・・。」
そう言うと、美子は「むす」とした表情をし、頬を膨らませて柊を見ていた。
「えっと・・・どうして俺のせいなんだ?」
「だって・・・。私の異変に気が付いてたなら・・
もっと早く言って欲しかったです・・・。本当に辛かったんですから・・・。」
と言い、今度は寂しそうな表情を浮かべ、顔を俯かせた。
柊は見えないように微笑みを浮かべた後、軽く頭に触れた後
「けど、何度も話聞こうとしても美子が俺の話聞いてくれなかっただろ?」
と言うと、「にや」と笑いながら横目で美子を見た。
その言葉に、美子は膝の上に置いていた手を握り、身を縮めた後
「あ、あれは・・・その・・せ、精神状態がふ、不安定で・・・だから・・その・・。」
ともごもごと恥ずかしそうに何だか言いなれない言葉を並べ始めた。
その姿に「くすくす」と小さな笑みを零した柊。
「そうだな。そういう事にしとくよ。」
笑い声を堪えながら、口元を握った右手で押さえながら美子を見つめた。
美子は柊の様子を見ると、顔を真っ赤にして
「もぉ!柊さんの意地悪!!」
と言い、またも頬を膨らませるとそっぽを向いて機嫌を悪くした。
そんな美子の姿に、柊は「やれやれ」と思いながら息を一つ吐きだした。
「けど、少しだけ驚いたよ。」
そっぽを向く美子の背中に、投げかけるように柊が唐突に言葉を放つ。
「・・・え?何がですか?」
何の事か気になり、先ほどまで機嫌を悪くしていた美子はそれを忘れ、首を傾げて柊を見た。
「いや、美子がさ・・・その・・・嫉妬するなんて・・・。」
そう言い終えると、今度は柊が美子から顔を逸らし、頭を右手で掻いていた。
「あ、あれは・・・その・・だ、だって・・・柊さんが・・・す・・・。」
恥ずかしそうに身を縮め、言葉を途中で止める美子。
柊は頬を真っ赤に染める美子の顔を覗きこむと
「す・・・何?」と笑みを浮かべながら問いかける。
「す・・・凄く心配だったからです!」
「え・・?」
「だって柊さん、たまに何しだすか分からない時ありますから!!心配になったんです!」
と言い、笑みを浮かべながらうまいこと誤魔化した。
「えっと・・・それだけ?」
「はい!ん?柊さん、もしかして別の事考えてたんですかぁ〜?顔、真っ赤ですよ?」
にやにや笑いながら美子が柊の顔を指さしながらそう言う。
柊は、「え!?」と言うと、近くにあった鏡を覗きこむ。
それを確認すると、「嘘ですよ?やっぱり変な事考えてたんですか!?」
と笑いながら柊を茶化す様に言った。
「はは・・・ホント、美子は悪戯好きだな。」
鏡を覗きこんだ後、再び美子の横に腰を下ろすと顔を赤くして頭を掻いていた。
その姿を、美子は笑いながら隣で見ていた。
「なぁ・・・美子・・・。」
しばらくして、柊が改まった声で美子の名を呼ぶ。
「どうかしましたか・・・?」
「・・・・いや、これからもずっと一緒だからなって言いたくて。」
そう言うと、膝に置かれていた美子の両手を包むように自分の両手で握る。
その言葉と行動に胸の中が温かくなる美子は、満面の笑みを浮かべると
「はい!ずーーっと一緒です!」と言葉を返し、最後に一度だけ口づけを交わした。
(後・・・1ヶ月か・・・。1ヶ月後、俺と美子はどういう道を歩くんだろう・・・。)
一緒にいるという事を伝えたかったのも事実だが、それとは逆に1ヶ月後
本当の美男が帰ってきた時、美子と俺がどうなるのかという一抹の不安を抱いていた。
けれど、その想いごと今は目の前にいる美子を誰よりも近くで愛していよう・・・。
夜が更けながらも、深い口づけを交わす二人。
柊は、一抹の不安を抱きながら美子の背中に左手を回し、右肩を優しく掴んでそっと抱き寄せた。
そして、それに応えるように美子もまた、柊の体を強く抱きしめた。
次の日 A.Jエンターテイメント社 通路
「柊〜さ〜ん!早く行きましょう!!」
「美男、そんなに走るなよ。」
練習室に走って向かう美子とそれを追う柊の姿を勇気と廉は微笑ましく見つめていた。
「ここ最近、二人とも険悪なムード漂ってたけど、元に戻ったみたいで良かったよね?」
「ん?ま、まぁ・・・グループとしてもメンバー間の関係がうまくいってなかったら何かと困るからな・・・。」
「んもぉ!廉さんも素直に心配してたって言えないの?」
「うるせぇ!あいつらに何があったって、俺たちにはどうしようもないだろ!?」
「あ、やっぱ廉さんも気になってたんだ!廉さん、意外と優しいからなぁ〜。」
「は、はぁ!?勇気、それ以上茶化すんならただじゃ済まねーぞ!?」
「おぉぉ・・・廉さん怖!それにしてもさ、俺も美男みたいな恋人欲しいなぁ〜。廉さんもそう思わない?」
「んぁ?お、俺は・・・別に・・・。」
♪♪〜♪〜
「あれ?廉さんの電話、鳴ってるよ?」
「ん・・・?」(がさごそ)「あぁ・・・」
ピ!
「何だ、こんな時に・・・え?こっちには関係ない?たく。んで、何の用だ?」
「あ!ちょ、ちょっと!?廉さん!?まだ話終わってないから〜!」
トイレへ入っていく廉の後を追う勇気。
そして、トイレ入り口付近で電話の内容を聞いてしまう。
「・・・今日か?・・・夜・・・空いてる。んだ?ぼんやりとしてるように感じるって?
そ、そりゃ・・・その・・なんつうか・・お、俺から電話したかったっていうか・・・。
わ、笑うな!と、とにかく、また後で電話する!じゃあな!」
ピ!
「・・・おい、勇気。お前・・・盗み聞きしてたな・・?」
「あ・・いや、というより、廉さん?さっきの電話・・・え?」
「・・・・・・・。」
「ま、まさか・・・廉さんも・・・?」
「・・・・ばれたなら仕方ねーか。そう言う事だ。お前も頑張れよ」
そう言うと、肩を軽く叩きトイレを後にする廉。
勇気は口を「ぽかーん」と開けた後、我に返ると
「えーーー!れ、廉さんも!こ、恋人ぉ!?何だよ!?みんなして!くそぉーー!」
しばらく、車内を走り回る勇気の姿を確認する人がちらほらいたとかいなかったとか。
一方、練習室前に到着していた美子は馬淵さんとばったり出くわしていた。
「いやぁ〜。美子、最近どうだ?調子はよ?」
「は、はい!御蔭様で順調です!」
「そうかそうか〜。ん?それよりお前、前に俺が教えたやつ、どうなったよ?」
「え?・・・教えてもらった・・・。」
「何言ってんだ!?あれだよあれ!ほら、柊にって言ってたやつ。」
「あ!あっ・・・あれって・・・そ、それは・・・その・・・。」
馬淵の言葉に顔を真っ赤にして口をもごもごさせる美子。
そんな中、柊も後を追うように練習室前に到着する。
「あれ、馬淵さん?こんなところで何かあったんですか?」
「おぉ!柊!いや、別に何もないよな?な?美男?」
「は、はい!別に何もありませんよ!!」
「・・そうか?何か、顔赤い気がするんだけど・・・。」
「き、き、気のせいですよ!!ね、馬淵さん!?」
「お、おぉ。別に変なことなんて教えてn・・・・」
「こぉぉらぁぁぁ!!まぁ〜ぶぅ〜ちぃ〜〜!!」
「ひ!り・・・RINA・・・・!?」
話をしていると、鬼の形相で迫るRINAが走ってくる。
馬淵はそれを見ると慌てだし、「じゃ、じゃあ、お、俺は先行くからな!!あばよ!!」
と言い残し、遠くへと走って行った。
「たく!あのエロオヤジ!また美男に変な事吹きこんでたんじゃないでしょね!!」
「り、RINAさん・・・ど、どうかしたんですか?」
「あ、美男!!またあの変なオヤジに変な事吹きこまれなかった?」
「え・・・変な事・・・?」
「って、よく見たらあんた、顔赤いじゃない!あいつぅ・・。やっぱり変な事吹きこんだのね!!」
「あ、あの・・・RINAさん?馬淵さんは何も・・・。」
「良いのよ、美男?あんなエロオヤジのこと庇わなくても。柊?美男の事、頼むわね。」
「えっと・・・RINAさんは?」
「もちろん、あのエロオヤジ追うに決まってるじゃない!それじゃあ!くぉぉぉららぁぁ!!」
そうして、嵐のように現れたRINAさんは再び鬼の形相を浮かべながら、馬淵さんが走って行った方向へと去って行った。
「美男・・・?前に教えてもらった事ってな〜に?」
「え?あ、も、もしかして・・・聞いてました?」
何も言わずに笑みを浮かべ頷くと、美子は顔を更に赤くし俯かせた。
(あぁ・・・。美子にあれ教えたの、馬淵さんだったんだ・・・。)
ようやくあの日の疑問が解決した柊は、「くすくす」笑いながら美子を見た。
「な、何が、お、可笑しいんですか!?」
「い、いや・・・別に・・・・。」
「絶対何かありますよね!!何で笑ってるんですか!?」
必死に問質してくる美子を片目に、柊は何も言わず笑い続けた。
「んもぉ!言わないと怒りますよ!?」
「はいはい、また今度言ってやるから。」
「あぁ!そうやってはぶらかさないでください。」
そんなやり取りをしていると、馬淵さん達が走り去って行った方向から
滝のように汗を流し、息を切らせた廉がよろめきながら歩いてきた。
「お、おい・・・何だ、あの鬼の形相で走って行った生物は・・・。」
「あ、廉・・・。RINAさん達にあったのか?」
「RINAぁ!?あ、あの鬼がか!?」
「ま、まぁ・・・色々あったんだと思うよ。馬淵さんとRINAさん・・・。」
そう言うと、ちらりと美子に視線を向け小さな笑い声を零す柊。
この後しばらく、美子とのいたちごっこのようなやり取りが続いたのは言うまでもなかった。
以上で終わりです。
こんな長い駄文をまとめるまとめさんにはいつも感謝しております。
それにしても、嫉妬する美子書くの意外と大変・・。美子って嫉妬とかしないタイプだと考えてるから;;
今回も長文&駄文&無駄な会話をしてしまい申し訳ありませんでした。
それでは、失礼しました。
>>363 嫉妬する美子キター!!以前リクエストした者です。こんなに早く大作を書いていただけるとは…!!GJ!!!
嫉妬美子、泣いちゃうとこが可愛いすぎるwww
しかも廉に恋人の気配までw
展開に目が離せませんw
>>363です。
ちょっと訂正入れます。
>>361、最後の方の「車内」→「社内」
>>362、「必死に問質してくる美子を片目に」の「片目」を「余所眼」です。
てか、何故に片目って書いたし。
見落としばかりで本当に申し訳ありません。
ぎゃーー!またも変換ミスしてしまった!?
「余所眼」の「眼」は「目」です。
細かいことですし、わかってる方の方が多いと思いますが一応報告を。
連投及びお見苦しいところをお見せしてしまい本当に申し訳ない!!
あぁ・・・自分の注意力の無さが腹立たしいです・・・。
>>363 GJGJGJ!
柊さんエロいわーーーっ!Sな言葉の数々・・・たまりませんな。
あっ文字のミスはお気になさらず、脳内変換でモウマンタイ。
お話にドキドキしながらすっかり引き込まれてしまいました。
あと、柊×NANAを書いてらっしゃる職人さま、
毎週末全裸待機しておりますが、なかなか降臨してくださらず、
風邪ひきそうです〜〜〜
お忙しいとは思いますが、続きを心からお待ち申しております。
>>363 GJです!嫉妬する美子にSな柊たまりません。
文中の「むす」とする美子が可愛くて好き!
>>363 まとめサイト管理人です。
今夜中(多分)にまとめサイトに
>>365-366の修正してアップするつもり
ですが、9の下部と10の上部のダブってる所も勝手に修正してよいですか?
嫉妬美子かわいいなぁ。
柊さんはやっぱりSだwww
一番気になるのは、廉さんだけどwww
この世界の廉さんはDTなんだろうか。
>>363 超GJ!美子に自分でやらせちゃう柊さんエロいわ〜w
もう最初DT設定だったのが信じられないww
でも美子とラブラブで幸せそうでよかったです。
>>94です。
美男×NANAの続き(?)を投下します。
長くなりそうなので今回は途中まで。エロなしです。
ある日の練習スタジオ。
休憩中の勇気が真剣な表情で女性ファッション誌を読んでいるのが気になって、美男が声を掛けた。
「勇気、さっきからずーっと読んでるけど、それ何?」
「ああこれ?女子の考える理想のデートって記事があってさ」
「へぇ、そんなの興味あるんだ?」
「まあね〜。一応リサーチしとかないと、好きな子ができた時に困るだろ?」
「そういうもの?」
「そりゃそうだよ。女の子の目ってけっこうシビアで怖いしね。ま、こんなの彼女持ちのお前には関係ないけどな!…っと、ごめん、お前たちまだ外で会えないんだっけ…」
「…うん」
美男とNANAの関係を知っているのはごく一部の人間だけで、まだ世間には公表していなかった。
正確には、公表出来ないと言った方がいい。
NANAが廉と別れたということになってからまだほんの数ヶ月。
新しい恋人ができるだけでも大騒ぎになるのに、なんといっても今度の相手も廉と同じバンドのメンバーだ。
「清純派アイドル」のはずのNANAにもA.N.JELLにも、マイナスのイメージがつきまとうのは明白だった。
ただ、この恋は2人にプラスになっているようで、NANAは最近急に綺麗になったと評判だし、美男の人気も急上昇して、今では他のメンバーを脅かすほどになっている。
互いの事務所の社長も交えて話し合って、そんな良い状態の今だからこそ、2人には気の毒だけれど公表はもう少し待とうという話に落ち着いて今に至る。
お互い納得はしているものの、仕事で会ってもわざとよそよそしくしないといけないのは切ないし、美男がNANAの部屋に行くにもマスコミの目が気になって神経を使う。
「NANAとデートかぁ。してみたいけど、まだ難しいよな…」
少し顔を曇らせながら美男がため息を吐く。
なんだか可哀想だな…なんて思っていた勇気の頭にパッとあるアイデアが浮かんだ。
「…なぁ美男、俺いいこと思い付いちゃった〜!ちょっと待ってろよ」
勇気が鼻歌混じりに携帯を取り出し、電話を掛け始めた。
「もしもーし、RINAさん?あのさ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」
一方NANAは、美男のことで相談に乗ってもらっているうちに仲良くなったRINAの部屋を訪れていた。
テーブルの上にはNANAのお土産のケーキと紅茶、そして件のファッション誌。
「ねぇRINAさん、最近デートとかしてる?」
「んも〜!私が今フリーだって知っててそういうこと言うかな?」
「ふふっ、ごめんなさーい」
NANAがペロッと舌を出して首をすくめた。
「アンタはいいわよね〜、大好きな美男といくらでもデートできるんだから!…っと、ごめん、まだ付き合ってることバラしてないのよね…」
「うん、まだ一度も外で会ったことないの…。ねぇ、これってすっごく淋しくないですか?」
あれから美男は、忙しい毎日の中でも2人で過ごせる時間を見つけては部屋に来てくれる。
一緒にいられるのは本当に幸せだし、美男にはすごく…愛されているとも思う。
でもそうじゃなくて。
私の世界は小さな部屋の中だけじゃない。
外に出て2人で遊んだり、買い物したり、食事したり…普通のことがしたい!
これってワガママなのかな?
「あーあ、美男とデートしたいなぁ」
フォークでケーキをつつきながらNANAがため息を吐く。
「人気がありすぎるのも大変ね…。でもほら、もうちょっと我慢すれば思いっきりイチャイチャできるわよ!もう少しの辛抱だから頑張りなさい!」
「うーん、それはそうなんだけどぉ…」
まずい、久しぶりにNANAがイライラしてきた。そう思い始めたRINAに助け舟を出すように携帯が鳴り出した。
「ごめんNANA、ちょっと待っててね。もしもし…勇気?どうしたの?え?私いまNANAと一緒にいるわよ。…まぁ!こっちもちょうどそんな話してたところよ!」
RINAと勇気の会話はひとしきり盛り上がり、なんだかワクワクした雰囲気が漂っている。
「ああ!そうよね〜、アンタたまにはいいこと言うじゃない!わかった。思いっきり可愛くしてあげるから任せて!うん、じゃあね〜」
電話を切ったRINAが得意げな顔でNANAを見る。
「ねぇ、何の話?」
「NANA、アンタの願い叶えてあげるわ。私に任せなさい!」
RINAが力強く宣言した。
「ちょっと待て勇気…さっきRINAに何て言った?」
「ヘ?だから美男が美子になればいいんだって」
「…はぁ???」
「女の子同士で手ぇ繋いだり、腕組んで歩いたりしてるの、けっこう目にするぞ。それでいいじゃん!」
それってまさか…
「じ、女装しろってか?!」
「RINAさんもすっげー乗り気でさ、衣装とメイクやってくれるって!どーだ、完璧な計画だろ?」
「ちょっ、ゆぅ……」
勇気の思いっきり得意げな顔を見たら、美男はそのまま何も言い返せなくなってしまった。
そんなわけでデート当日の朝。
RINAが合宿所に洋服とメイク道具一式を持ってやってきた。
正直なところ美男はこの展開にまったく納得していない。
しかし他のメンバーやRINAが面白がってけしかけるのが鬱陶しかったのと、何よりもNANAが「それでもいいからデートしたい!」と強く言うので、結局断ることができなかった。
「さぁ美男、可愛くしてあげるからね〜。ほらほら、早く部屋に行きましょ!」
「RINA、やっぱり面白がってるだろ…」
しぶしぶ部屋に招き入れると、RINAはまるでスイッチが入ったようにテキパキと準備を始めた。
ベッドの上に次々と服を並べ、テーブルにはメイクボックスを広げて、準備万端である。
「じゃあ美男、とりあえず上脱いでこれ着けて」
「えーっと………」
たくさんのレースで飾られたピンク色のブラを渡されて言葉に詰まる。
「ほら、恥ずかしがってる場合じゃないの!ちょっと貸して!」
RINAはなんの躊躇もなく美男の腕に肩紐を通し、ホックを留めた。
「美男は細いからなんとか大丈夫かな。ちょっとアンダーがきつくて苦しいと思うけど我慢しなさいね」
そう言いながらRINAはカップの部分にパッドを詰め込んで形を整えた。
「いてて、女の子っていつもこんなにしんどいもの着けてるのかよ…。これ、俺に買ってきたの?」
「え?私のよ。今度下ろそうと思ってたんだけど、美男にあげるわ」
RINAは会話をしながらも次々と仕事を進めていく。ベッドに洋服を取りに行った隙に美男がぽつりと呟いた。
「NANAの方が大きいな…」
「ちょっと美男っ、今すっごく失礼なこと言わなかった?」
「な、何も言ってないよ!」
うわ、RINAって地獄耳。絶対聞こえないように呟いたつもりだったのに…。
「ふーん、まあいいわ。はい、じゃあ次これ着てね」
RINAに洋服を渡されるまま次々と着替えていくうちに、どんどん女の子らしくなっていく。
ボートネックの薄いカットソーの上から広めのオフタートルのゆったりしたロングニットに膝丈のスカート、タイツ、ロングブーツ。
ヘアメイクも終わって鏡を見ると、そこには見覚えのある…いや、それ以上に女らしい美子の顔があった。
「え…これ、俺?」
「どお?可愛いでしょ〜」
RINAが満足そうな顔で微笑んだ。
その頃リビングでは、他のメンバーがワクワクしながら美男の変身を待っていた。
「美男、どんな顔して出てくるかな〜。楽しみだね!」
「双子だからある程度想像は付くけどな。廉、美男に惚れるんじゃないの?」
「んなわけあるか!バカなこと言うな」
「いや、わっかんないよ〜!あいつ絶対可愛くなるもん。俺も好きになっちゃうかも〜」
「…勇気、お前やっぱりあっちの世界に…?」
「違ーう!そういうことじゃなくて!」
3人があれやこれやと盛り上がっていると、美男の部屋からRINAが出てきた。
「ほらほらそこの男子!何騒いでるの!」
(来たっ!!!)
3人とも一斉に振り向いて、目をキラキラと輝かせてRINAを見つめる。
「美男、みんなお待ちかねみたいよ。恥ずかしがってないで出てきなさい」
おずおずと緊張した様子で美男が現れると、3人の動きがピタッと止まった。
(うわ…。まるっきり、美子じゃないか…)
「ちょっと大人っぽい雰囲気に仕上げてみたんだけど、みんなどう?気に入った?」
(やばい、可愛すぎる…。てか、綺麗…)
「んも〜、誰か感想の1つや2つくらい言いなさいよ!これだから男ってつまんないのよね…」
RINAはブツブツと文句を言っていたが、口に出さなくても3人の顔はほんのりと赤くなっていた。
「それにしても驚いたな…。想像以上に綺麗だよ」
「うん、美男!超可愛いよ!ほらほら、廉さんも何か言いなよ〜」
「あ、あぁ…。綺麗…だな…」
「廉…顔が真っ赤になってるぞ」
「う、うるせぇっ!マジで可愛いんだからしょうがないだろ!お前らだって一緒じゃないか!」
メンバーからやたらと綺麗だの可愛いだのと褒められて、なんだか胸の奥がこそばゆい。
少し照れた様子の美男にRINAが声を掛ける。
「どう?可愛いって褒められるのって嬉しいでしょう?」
「まあ…悪くないかな」
「ねえ美男、NANAのこと、いーっぱい褒めてあげなさい。女の子ってね、好きな人から可愛いって褒めてもらえるとどんどん綺麗になっていくものなのよ」
美男はRINAの言葉の意味をきちんと受け止め、コクンと頷いた。
外出するのには柊が車を出してくれた。
合宿所からしばらく走り、待ち合わせ場所に着くとそこにはもうNANAの姿があった。
NANAは柊の車を見ると、嬉しそうに小走りしてやってきた。
「おはよう、NANAちゃん。ちょっと待たせちゃったかな」
「ううん、いま来たところよ。柊、今日はありがとう」
「どういたしまして。さ、早く乗って」
柊に後部座席のドアを開けてもらい、車に乗り込もうとしたNANAが一瞬固まった。
「…え、やだウソっ!え???ほんとに、本当に美男なの???」
「お、おはよう…NANA…」
美男の隣に座ってからもNANAのテンションは上がりっぱなしだ。
「ん〜美男ったら!すっごく可愛い〜!もう、びっくりしちゃった!」
「よせよ…恥ずかしいだろ…」
「ふふっ、顔が真っ赤よ。ほんとに女の子みたいで可愛い!」
NANAが美男の腕に抱きついて身体を預けてきた。
お互いの手のひらを合わせ、指を絡ませて握り合う。
「でも、こうやって手を握るとやっぱり美男だってわかる。うれしいな…」
「NANA、会いたかったよ」
「ん、私も…」
2人の唇が触れ合いそうになった瞬間、運転席から柊の咳払いが聞こえてきた。
「ゴホッ…えっと、そろそろ車出してもいいかな…?」
2人は大慌てで身体を離して言った。
「お願いします…」
車に乗っている間、美男とNANAはずっと手を繋ぎ、幸せそうに笑い合っていた。
柊は2人の姿をバックミラーで見ながら微笑ましいような、うらやましいような、そんな気分になる。
しかし柊には美男の姿を見るとどうしても気になってしまうことがあり、車を目的地近くの地下駐車場に停めると美男を外へ呼び出した。
「NANAちゃん、少しだけ美男を借りてもいいかな?」
柊に車を降りるように促されて、NANAから死角になる壁際に連れて行かれた。
「柊、何か話でも…?」
言葉も終わらないうちに、不意に身体を強く抱きしめられた。
「柊っ?!なにすんだ!やめ…!」
驚いて抵抗する間もなく、耳元に熱い吐息を感じる。柊の囁く声が聞こえてきた。
「…お前、車の中で脚開きっぱなし。座る時は脚閉じろよ。男だってバレる」
「お、おぅ…」
この状況はかなりおかしいけど、一応アドバイス…してくれているんだよな?
抵抗する気が失せて身体を預けていると、柊の唇が「みこ」という言葉を描き、顔が近づいてくる。
さすがにこれは、ヤバい。
美男は力を込めてなんとか腕を振り払い、目前まで迫った柊の唇から逃げた。
「お、俺は美子じゃねえっ!」
「…知ってるよ。冗談だ」
「…冗談に聞こえない」
顔を真っ赤にした美男を見て柊は口の端を上げる。
「人間、驚いた時には素が出るからな。お前はもっと女らしくした方がいい」
「わかったよ、気を付けるから…」
ったく、状況に似合わないことばかり言いやがる…。
柊の奇妙な色気にあてられて、美男の速い鼓動はなかなか収まろうとはしなかった。
「さ、戻るぞ」
「ああ…」
柊に背中をポンと叩かれ、美男はようやく自分を取り戻して歩き出した。
車に戻るとNANAが待ちくたびれて退屈そうな顔をしている。
「もー、2人とも遅ーい!何してたのよ!」
「ごめんNANAちゃん、こいつまだ男のクセが抜けてなさそうだから、女の子の心得ってやつをちょっとね…アドバイスしてたんだ」
柊は何事もなかったかのように平然とNANAに微笑みかける。
「そっ、そうなんだよ。俺、脚開いちゃったりしてるみたいでさー。気を付けるよ」
動揺を隠そうとして少し声が上ずったけれど、NANAにはなんとか気づかれずに済んだようだ。
「そう、ならいいけど…。なんだか柊ってそういうことに詳しそうよね」
「ふふ、そんなことないよ。さあ、もう行っておいで。今日は思いっきり楽しんで来るんだよ」
車から降りて手を繋いで歩き出す2人。柊に向かって嬉しそうに手を振るNANAに、小さく手を振り返した。
「幻、だったな…」
もう忘れないと、美子のこと…。
柊はひとつ大きくため息を吐き、もと来た道へと車を走らせ始めた。
とりあえず、今回はここまでです。
肝心なのはこの後なのに、まだほとんど書けてません…
気長にやっていきますのでよろしくお願いします。
女装の美男キター!!ってわくわくしていたら、最後に柊さんってば…w
そうですよね、人気芸能人同士のカップルはデートできず辛そうだ。
美男がお化粧ばっちりのまんま、エロいことしちゃう展開ですかっ?!
続きほんとに楽しみにしています。こちらも気長に待たせていただきますね!
>>378 まままま…待ってましたぁあああああ!!!
ああもう超GJです。
続きが楽しみだ…はぁあああ。
この美男とNANAまじで好きすぎる!
>>378 GJ!テンポ良くて好きです!
美男NANAかわいい〜柊さんせつない…
続き気長に待ってます!
>>369 いつも感謝しております&遅れましたが、修正ありがとうございました!
廉さんDTかはいつかサイドストーリーで語れれば語りたいと思ってます。
それまで、しばしお待ちください。
>>378 GJ!女装美男とか、ありそうでなかったからにやにやしっぱなしですw
そして、そんな美男に美子を重ねる柊さんが切ない!
続き、ゆっくりお待ちしております。
383 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 03:51:22.63 ID:23diPHja
>>363さんもコテトリ付けたらいいのに!
作品も多いしまとめもカテ作って欲しいくらいです♪
>>378 超超!GJ!です!
ほんと、378さんのNANAと美男はかわいい〜
いつもきゅんきゅんします
女装見た三人のリアクション最高!
送迎柊さんの奇妙な色気にあてられちゃってのエロ展開か?!ww
楽しみにしています!
眠れないからと言って張り切り過ぎて丸々一本完成してしまった。
ホント、驚いたn(ry
DT柊の人です。朝からおはようございます。
投下頻度が滅茶苦茶早いですが、続き出来ました。
柊×美子 エロなしとなります。
3週間もの時と言うのは意外とあっという間に過ぎてしまうものだ。
いつも通り、練習室で練習を行っているA.N.JELLメンバー。
そんな中、柊は一人練習する美子の姿を見ながら、
(後・・・1週間・・・か・・・。)
と、美子がA.N.JELLとして活動できる期間が殆ど残されていない事を痛感していた。
「よし、少し休憩にする。各自、しっかり休めよ?」
廉の一声が部屋中に響くと、勇気は体を伸ばしながら外へと出て行き
美子は小走りでぼんやりといていた俺の所まで近づいてきた。
「しゅ〜うさん!休憩ですよ?」
「あ、あぁ・・・そうだな。何か飲み物でも飲むか?」
にこにこと笑っている美子に微笑みを返す柊。その笑顔に美子も「はい!」と返事を返した。
そして、二人で練習室を後にしようとした時、廉が
「柊・・・悪いんだがちょっと話がある。今、良いか?」
と、部屋を後にする柊を止めるように問いかけた。
「廉?あ、あぁ・・良いけど。美男?先行ってて。すぐ後追うから。」
何を聞かれるのか分からず、不思議な表情を浮かべながら柊は廉を見た後
隣にいた美子に視線を返し、そっと背中を押して美子を部屋の外へと出すと扉を閉めた。
「廉・・・どうかしたのか?」
「・・・・・・」
「どうした?何かあったんなら遠慮なく言え。」
しばしの間、顔を俯かせていた廉は柊の言葉を聞き、顔を上げる。
「あいつの・・・美男の話なんだが・・・。」
「え?・・・美子の?」
「いや、あいつの兄貴の話だ。」
「あぁ・・・。来週復帰する美子の兄貴?それが、どうかしたのか?」
「いや・・・・多分、美子から聞いてると思うんだが・・・。
美男の帰国が、一週間早まって明日になったって・・・。それだけだ。」
(え・・・?美男が明日・・・戻ってくる。)
初めて聞く事実。廉の放った言葉にしばらく目を見開いて呆然と立ち尽くす柊。
その様子を見ていた廉は、
「お前・・・聞いてなかったのか?それ、美子から聞いたんだぞ?俺も勇気も。」
「え?・・・それ、いつの話だ?」
「4日前ぐらいだったはずだ。」
(何で・・・美子。何で俺には伝えてくれなかった?もしかして、何も言わずに俺の前から去るつもりだったのか・・?)
未だ廉の言葉を信じる事が出来ない柊。
あと1週間あると思っていた気持ちが一気に追い込まれ余裕が無くなっていく。
そして、何で美子が俺だけに伝えてくれなかったのかが辛く、心に大きな傷を負わせる。
目を閉じて目の前に立っていた柊を見ていた廉は、何も言わずにその場に立ち上がると柊の肩を掴み
「今日はもう休みにする。だから・・・今日1日あいつの側にいてやれ。」
と言い残し、練習室を後にした勇気が向かった方へと走って行った。
柊は去っていった廉の心遣いに対して、「ありがとう。」と小さな声でお礼を言うと
あの日、胸に宿った「一抹の不安」が大きさを増している事に気が付き、そのまま胸を掴むようにして目を閉じ続けた。
そんな事をしていると、飲み物を持った美子が廉とは入れ替わりで戻ってきた。
「柊さん!はい!飲み物!・・・?柊さん・・・?どうかしたんですか?」
「あ、あぁ・・・・美子。い、いや・・・。今日はもう練習終りだって。聞いた?」
柊の問いかけに、美子は首を横に振る。
「だから、今日は二人でどこかに出かけないか?こんな機会、あんまりないからさ。」
「良いんですか?本当に?」
突然の事で、少し戸惑う美子は柊に迷惑が掛るんじゃないかと思いながら小さな声で聞く。
その問いかけに、柊は笑みを零しながらそっと頭に手を添えると
「たまには外に出て気分転換しないとな?」
と言い、そのまま頭を撫でてやる。
美子は嬉しそうに身を縮めると、「ありがとございます!」と一言お辞儀をしながらそう言った。
「それじゃあ、早く行こうか。」
そう言うと、二人は練習室を後にして、美子が美男として過ごす最後の休日を二人で過ごすことにした。
「うわぁ・・・。何か、街の方に来るのって初めてな気がします・・・。」
あの後、一度合宿所に戻った二人は互いに変装を施し、都内の街中を二人で見て回っていた。
いつもは移動中の車の中などで見て回る程度しかしていなかったせいか、美子は辺り一面を見渡すようにぐるぐると回る。
そんな姿に、柊は「くすくす」と笑い声を漏らすと
「美子?早く行くぞ?」
と言い、宙にぶら下がっていた右手を握った。
その握られた手を見た美子は、自然と笑みを零し
「えへへ・・・。何か、柊さんと一緒に歩くって照れ臭いですね・・・。」
と、頬を赤らめながら柊に告げる。
「そうか?別に俺は何ともないよ?」
「え!?な、どうしてですか!?」
「いや、どうしてって言われても・・・。」
(いつも、あんなに乱れてる美子見てればこれぐらいで恥ずかしくもなくなるよな・・・。)
慌てふためいていた美子を見つつ、溢れだしそうな言葉を飲み込むとまた小さな笑い声を上げる。
その姿に美子は、頬を少し膨らませ
「あぁー!柊さん、また一人で何か考えてますね!」
と少し機嫌を損ねた様な態度を見せ、「ふん」と顔を逸らす。
「まぁ、まぁまぁ。それより、せっかくの休日なんだから満喫しないともったいないぞ?」
そっぽを向く美子の手を強引に引っ張ると、街の中へと歩いて行く柊。
「あ、あぁ!しゅ、柊さん!!」
体がいきなり思ってもいなかった方へと引っ張られ、引きずられるように歩く美子だったが、
柊の後ろ姿に胸が温かくなると、握っていた手を強く握り返し、走る様にして柊の隣へと体を寄せた。
柊はその美子に優しく見守るような視線を向けつつも、「最後」という言葉が何故か頭から離れないでいた。
その後、二人は色々な場所を歩いた。
ショッピングモールやブティック、それこそ美子の気の向くのならどこへだって行った。
美子は見る物全てが新しいものだらけなのか、まるで子供の様にはしゃぎながら見て回っていた。
そんな美子を、変な言い方だけど子どもを見守る父親みたいな気分で俺は見ていた。
そして、日も暮れかけていた頃、美子が一つの店の前で「ぴたり」と動きを止める。
「この赤い靴・・・可愛いなぁ・・・。」
目に留まったのは、店のショーケースに並べられていた真っ赤なハイヒール。
美子の止まったことにすぐに気がつかず、少し前の方まで歩いていた俺は、
美子が隣にいない事に気がつくと振り返り、美子が足を止めていた店の前まで歩いて行く。
「美子・・・どうかしたか?」
ショーケースを見つめる美子の視線の先にある物を見る柊。
「あ、あ、いえ!な、何でもないですよ!?そ、それじゃあ早く行きましょう!」
慌てたそぶりを見せる美子は、そう言うと走って車がある駐車場まで一人走って行った。
「あ!美子!?はぁ・・・。ホント、子供みたいに動きが予想できないなぁ・・。」
走っていく後ろ姿を見ながら、苦笑いにも似た笑みを浮かべる。
そして、美子を追おうと思ったが、もう一度ショーケースの方へと目を向けると少し足を止め、走って店の中へと入って行った。
「柊さん・・・遅いなぁ・・・。」
車の中で、一人先に柊の帰りを待つ美子。
美子は車に積んであった鞄が目に入ると、その鞄を手に取り中に入っていた赤く小さな箱を取り出す。
そして、中に入っていた指輪に手を掛け、左手の薬指に着けると沈みゆく夕日と重ねるように指を掲げる。
「柊さん・・・。」
車内に広がる想い人の名前。開かれていた瞳を閉ざし指輪をはめると、胸の中へ抱く様に手を持ってきて
「ごめんなさい・・・。けど、顔を見たら私、うまく言えそうにないから・・・。」
と、小さく掠れそうな声を出し、鞄にしまっていたマフラーに一瞬目を向けると、一粒だけ涙を流した。
すると、車の後部座席の扉が開かれる。美子は扉の開く音を聞くとすぐに涙を拭きとる。
「ごめん、ちょっと欲しい物があって買い物してきちゃった。」
柊は、買った物を椅子の上に置くと扉を閉め、運転席の方へと乗る。
「い、いえ!気にしないでください!」
美子は溢れだしそうになった想い全てを押し込むと、笑顔を向けた。
「ホント、待たせて悪かった。じゃ、最後の目的地に行くか。」
笑顔を向ける美子の頭を一度優しく撫でると、車のエンジンを始動させると車を動かしだす。
そんな中、柊自身も明日、美男が帰ってくるという事をどうして言ってくれないのか
苦しい想いを抱きながら車のハンドルを強く握り、最後の目的地へと向かって行った。
「綺麗な海と星空ですね〜。潮風も気持ちいいですし・・・。」
程よく吹く風に、美子は背を伸ばした後に大きく一つ息を吐き捨てる。
都市部から大分離れた所にある海岸。今日、最後の目的地はこの海だった。
辺りは既に暗くなってきており、地平線の向こう側に僅かに顔を出している夕日の光が
うっすらと辺りに微かな光を与えているだけだった。
その微かな光が海を「きらきら」と輝かせ、それに合わさる様に空の上で燦然と輝く無数の星々が幻想的な世界へと誘うような感じがした。
この幻想的な世界で、ずっとずっと時が止まればと・・・心の底から願っていた。
海岸のすぐ近くに車を止めて、車の近くから海を眺めていた二人。
柊は隣に居た美子の肩に左手を回すと、何も言わずに力一杯抱き寄せる。
美子も抱き寄せられると何も言わずに柊へと身を寄せた。
その時、辺り一帯に強い風が吹きつけた。美子はその風が吹くと、柊にしがみつく様に顔を体へと押し込んだ。
そんな姿に、何も言わずに微笑みを浮かべると
「お前が本当に美子として戻ったら・・・きっと綺麗にその髪を靡かせるんだろうな・・・。」
と、自分の胸に宿る不安をさりげなく外へと解き放つ。
「柊・・・さん?どうかしたんですか・・・?」
微笑んではいるが、その声に明るさがない事に気がついた美子は顔を上げると
すぐ上にあった柊の顔を見上げるように見つめる。
「・・・・明日・・・なんだろ・・・?」
「え・・・?何が・・・ですか・・・?」
「・・・美男が・・・帰ってくるの・・・・。」
微笑んでいた表情は、その言葉を言うにつれてだんだんと悲しげな表情へと変わっていく。
そして、その悲しさを体現するように美子の体を抱き寄せる力がより一層強くなる。
ただ、柊に心は「どうして言ってくれなかったのか?」という気持ちが埋め尽くしている。
柊の心中を察した美子は、向けていた顔を俯かせると
「ごめんなさい・・・。」と、涙を一粒零してそう言った。
「美子・・・。泣かなくて良いよ。美子が俺に言わなかったのは・・・理由があるんだろ?」
「・・・・柊さんの顔を見ると・・・自分の決意が揺らぎそうだったから・・・。」
「・・・・・言ってみて?大丈夫。俺は、どんなお前でも受け入れるから・・・・。」
抱き寄せていた美子の頭を、右手で何度も落ち着かせるために撫で続ける柊。
美子はしばらくその安心感に浸った後、零れ落ちていた涙を何度も拭き取って止めた。
「・・・私、明日お兄ちゃんが帰ってきたら・・・すぐにアフリカに行こうと思ってるんです。」
「・・・アフリカ?」
「はい。私、何も知らずにこの世界に入って、
この広い世界にはまだまだ私の知らない事がいっぱいあるって分かったんです・・・。」
「けど・・・如何してアフリカなんだ?」
「私が修道院に居た時のシスターの先輩が、アフリカでボランティア活動をしてるって聞いて。
だから、私もそのお手伝いをしたいと思って・・・。」
「そう・・・か。」
真実を聞けて、その真実が悲しいものであったのだけど、
それ以上に胸の中に立ちこめていた霧はだんだんと晴れて行く。
そして、そうすると決めた美子の背中を誰よりも強く支えてあげようと思った。
柊は今にも泣きそうな美子を何も言わずずっと見続けた。
「けど・・・柊さんの顔を見て・・・その事を言おうとしたら・・・。
私の・・・決意が・・・ぐす・・揺らいじゃいそうだったから・・・。
だから・・・後で手紙で・・・全部伝えようって・・・思って・・・ごめんなさい・・。」
そして、その言葉の途中限界になったのか腕の中で「ぽろぽろ」と無数の涙を零す美子。
そんな美子を両手で抱きしめると、
「俺こそ・・・無理に聞いて悪かった。けど、ちゃんと話してくれてすっごく嬉しかった。ありがとう。」
と美子には見えないが、優しく微笑みを浮かべ美子を力一杯抱きしめる。
美子は柊の温もりを体全体に感じながら、涙を流し続けた。
しばらく、辺り一帯には波音と風が微かに拭く音だけが響いていた。
あれから少しだけ時が流れた。
少しと言っても、先ほどまで微かに顔を出していた夕日がもう見えなくなるぐらい沈んだだけ。
二人は車の近くで立っていたが、砂浜の方まで行き座りながら身を寄せ合っていた。
「アフリカ・・かぁ・・・。一気に遠くなっちゃうんだな・・・。」
「・・・・・・・・。」
柊の言葉に、美子は何も言わずに耳を傾けていた。
「けど・・・・・・。」
「けど?」
「どんなにお前が遠くに居ても、どんなに年月が流れたとしも・・・俺はずっと待ってるから。」
「柊さん・・・。」
「美子を思い出したくなったら空を見上げて、アフリカのある方を向いて
この空がお前がいるアフリカまで続いているって想いながら・・・待ち続けるよ。」
(本当は引き止められるならずっと側に居させた。けど、美子が決めた事なら・・・。
大切な人が決めた事なら、それを笑顔で送り出してあげるのが・・・優しさなんだろうな・・。)
空を見上げてながらそう思った柊は、美子方を見ると笑顔を浮かべる。
美子もその笑顔に涙を零しながらも満面の笑みを浮かべ
「はい!私も柊さんの事、毎日想い続けます!この夜空に広がる星と、
柊さんからもらった大切な星を見ながら・・・・ずっと柊さんの事を想い続けます!」
と言い、左手に着けていた指輪を空高く掲げ、指輪の星を「きらきら」と輝かせた。
柊は嬉しそうに空へと指輪を掲げる美子の姿を見ると、そっと美子の顔を自分の肩の近くに置き
「美子・・・・愛してる。」と一言だけ囁いた。
美子もその言葉を聞くと目を閉じ
「私も・・・ずっと、ずーーっと柊さんだけ見てますから・・・。」
と幸せそうな表情を浮かべ、柊にもう一度自分の想いが変わらない事を告げる。
そして、夜空の星々が見守る中、二人は深い深い口づけを交わした・・・・・。
同じ想いを抱きながら、確かにある隣の人の感触を感じていた。
ただ・・・愛していると・・・胸の中に想いながら・・・。
大丈夫。また笑いあったり喧嘩したり・・・・。
そんな当たり前の日々がいつかまた訪れる。
この空の下で、二人が生き続ける限り・・・・絶対に。
それまで、互いにそれぞれの道を精一杯生きよう。
いつかくる再会の日を夢見て。
以上です。
何か、アフリカに旅立つという割にはあっさりと終わってしまった感が;;
ま、これはこれでありですよね?とか自分の中で言い聞かせてますw
因みに、読み終わって予想できると思いますが、マフラーとハイヒールは別の機会に登場予定です。
今回も無駄な会話をしてしまい申し訳ありませんでした。
それでは、失礼しました。
300です
392さん やっぱりアフリカ行っちゃうんですね
幸せなのに切ないです
だらだらと長い話ですが少しずつ投下します。
394 :
南の島で1:2011/11/17(木) 10:37:29.59 ID:PiXJXzfm
「おーい美子、帰るぞー」
砂浜で波と戯れる美子に声をかけると、「はーい」と答えて美子が走ってくる。
廉が見立てたオレンジ色のビキニを着た美子は、いつにも増して可愛く見える。
小ぶりなバストを揺らして走る姿を見て、それが自分のものだと思うと自然に口元が緩んでくる。
水着の上に白いサンドレスを着た美子と、海岸のすぐ目の前にあるホテルに戻った。
先週からA.N.JELLは充電期間に入ったため、廉は美子を連れて某国にあるリゾートに来ていた。
元々日本人観光客が少ないうえに、シーズンにはまだ早い時期なので人目を気にせずのびのびと過ごすことが出来る。
ホテルの部屋に戻ると、壁一面のガラス窓から光が降り注ぎ、眩暈がするほど眩しかった。
「シャワー浴びようぜ」美子のサンドレスを脱がせながら廉が言った。
わずかに抵抗しながら、「え…廉さんお先にどうぞ」と美子が言う。
それには答えず、ビキニの肩ひもを少しずらして「やっぱりちょっと日に焼けたな」と美子の手をつかむと、バスルームに引っ張って行った。
結局一緒にシャワーを浴びることになったのだが、さすがに目のやり場に困る二人。
自分が言い出したくせに廉は自分ばかりシャワーを浴びて美子の方を見もしない。
一通り自分の分が済むと、赤い顔をして美子に向き直る。
「お前の番だ」ぶっきらぼうに言うと美子の腕を引いて、シャワーの真下に立たせた。
「は、はい」まずシャンプーからと思い手を伸ばすと、廉が先にシャンプーボトルを取って美子の頭に盛大にかけていく。そのまま美子には何もさせずに、シャンプーを始めた。
「廉さん、シャンプーかけすぎです。前が見えない」
大量の泡が美子の頭から首筋を伝って全身に広がっていく。廉はまるで犬でも洗うように少々乱暴に洗っている。
「お湯出すぞ」勢いよく栓をひねる。降り注ぐシャワーでどんどん泡が流されていく。
やっと開けられた美子の目に、楽しそうに笑って美子の頭をすすぐ廉が映った。
なんだか恥ずかしさが消えて、美子も楽しくなってきた。
395 :
南の島で2:2011/11/17(木) 10:39:07.32 ID:PiXJXzfm
「次は体だ」ボディソープを手に取り泡立てていく。
「廉さん、ボディタオル使わないんですか?」美子が首をかしげて尋ねる。
「おまえ何も知らないんだな。手で洗うのが一番肌にいいんだよ。おまえは少し日焼けしてるからこれでいいんだ」
モコモコになった泡を美子の体にすべらせながら廉が言う。
首から背中、腕へと優しく洗っていく。美子の手を上にあげて脇を洗うと美子はくすぐったいのか体をよじる。
「小さい頃お父さんに洗ってもらったのを思い出すなぁ」
廉を見て微笑むと、廉も微笑み返してくる。
もう一度ソープを泡立てると今度は胸を洗いだす。力を入れずに優しく手のひらをすべらせる。
廉には性的な気持ちはなかったが、肌をすべるかすかな感触が美子の中心に小さな灯をともした。
乳房をクルクルとなでられると乳首がだんだん固くなっていくのが自分でもわかった。
廉の手が乳首をかすめたとき思わず、ぁっと声が出てしまった。
恥ずかしくてうつむくと、泡だらけの廉の手が美子の顎をつかんで上を向かせる。
「おまえ…」ふっと笑って美子の唇にチュッとキスをした。かすかに顔を赤らめてまた洗い始める。
ウエストからさらに手が下がっていく。足の間に手を伸ばそうとした時さすがに美子は抵抗した。
「廉さん、あの…そこは」
「砂が入ってるかもしれないだろ。中まで洗わなきゃだめだ」
「あの、自分でやりますから…」
「そうか…じゃ自分でやれ」と言ってそのまま美子の正面に立ったままだ。
「あの…あの…向こう向いててください」 「いやだ」間髪を入れずに廉が答える。
「そんな…」泣きそうな顔をして廉を見上げる美子。
「だ・か・ら、俺が洗ってやる」たっぷりソープを泡立て美子の前に跪いた。
「美子、俺の肩につかまってろ」美子の足を少し開かせるとそっと洗い始める。
ベッドでは結構強引なこともするが、ここは丁寧に扱わなければと真剣な顔になる。
指を差し込み中に入っているかもしれない砂を掻き出すように上下に動かす。
廉の肩をつかむ美子の手に力が入ってきた。見上げると美子が唇を噛んで声を殺している。
そのまま両足まで洗い終えシャワーで全身流していく。
中を流すためバスチェアに美子を座らせ「美子、足開いて」と言うが美子は頑として開かない。
「中の泡を流さないとダメだろ」 「…いや」 「しょうがねえなぁ」
無理やり美子の足を開いてその間に座り込みシャワーをあてる。強めの水圧であてると美子はビクッと体を震わせた。
指で入り口を開き奥の襞までよくシャワーをあてる。美子は顔を背けて唇を噛んだままだ。
「なんか、ヌルヌルがとれないな」廉は言ってしまってから自分の言葉の意味に気付いた。
「あ…そうか…」
美子は顔を真っ赤にして息を荒くしている。
廉は指で美子の入り口をぐいっと開いて舌を差し込んだ。奥まで舌を伸ばしてかき回す。
突然のことに美子は「ああっ」と叫び頭をのけぞらせた。
「石鹸の味がする…」それでもかまわずかき回し続けると、奥からどんどん蜜が溢れてきた。
「あ…美子の味になってきた…」 「れ…ん…さん…」
今度は指を差し込み内側を擦りながら、突起に舌を貼り付け回転させながら圧迫する。
「あっあっあっあっ…」美子は足をピンと突っ張らせ絶頂を迎えた。
もう一度全身をシャワーで流してようやくバスルームを出た。
足元のおぼつかない美子を大きなバスタオルでくるんで拭いてやる。
廉にもたれかかる美子はとろんとした目でされるがままだ。
部屋に戻ると夕陽で全てが金色に輝いていた。この島で一番美しい時間だ。
二人ともバスタオルを巻いただけの姿でソファに腰かけて冷えたシャンパンで乾杯する。
一口飲んだ美子は頬を紅潮させて、廉に言った。
「廉さん、あの…私だけで…、廉さんはいいんですか?」
「ん?ああ、バスルームじゃ危ないからな。俺、抑えがきかなくなるから」ふっと笑う廉。
「そのかわり、今晩は覚悟しとけよ。泣いても許してやらないからな」
ふざけて美子を睨むと美子は恥ずかしそうにこくんと頷いた。
396 :
南の島で3:2011/11/17(木) 10:40:35.30 ID:PiXJXzfm
すっかり日が暮れた頃、二人は着替えてホテルのレストランに向かった。
手をつないで歩く二人。こんなことが本当に嬉しかった。
日本では人目があって中々出来ないことだから。
テーブルに着くと美子の希望を聞きながら、廉がてきぱきと料理を注文する。
「わぁーおいしそうー」
運ばれてきた料理を見て美子は歓声を上げる。ワインで乾杯して食事を始めた。
夢中で食べている美子を見ると、唇の端にソースが付いている。廉は体を乗り出してソースを舐め取り、ついでに美子の唇に濃厚なキスをした。驚いて目を見開く美子。
「れ、廉さん、みんな見てます」
周りのテーブルの外国人客が微笑ましそうに二人を見ている。
「気にすんな」しれっとしている廉。
「なんか意外です。人前でキス…なんて。もっとクールな印象があったから。あっそういえばチャラチャラした奴が嫌いだって言ってましたよね」
廉は飲みかけたワインを吹き出しそうになりながら
「バ、バカ、これはチャラチャラじゃなくて、お前を…あ、愛してるからに決まってんだろ」
顔を赤らめて怒ったように言う。それを聞いた美子も、頬を染めて「フヘヘ、はい」と返事をした。
食事を終えた二人はエレベーターに乗り込んだ。ほろ酔い気分の美子はもたれかかって廉を見上げる。廉は硬い表情でまっすぐ前を向いている。
(どうしたんだろう?何か怒ってるのかな)美子の胸に急に不安が湧き上がってきた。
エレベーターの到着音が響き扉が開いた。
「廉さん?」声をかけると廉は「あ、ああ」と答え美子の肩に腕を回して歩き出した。
無言のままの廉に美子の不安が増してくる。
397 :
南の島で4:2011/11/17(木) 10:42:15.18 ID:PiXJXzfm
部屋に入ると廉はいきなり後ろから美子を抱きしめる。胸を強くつかみ、スカートの中に手を入れ、首筋を強く吸った。
「待…ってください。シャワーを…」 「そのままでいい。もう我慢できない」
そう言いながら美子の胸を揉み、下着の中に手を入れる。
「ほら、おまえだってこんなになってる」
中をクチュクチュとかき回され美子の体に一気に火が付いた。
「俺が言った言葉、覚えてるか?覚悟しとけって言ったろ?」
廉の口から出る言葉と熱い息、微かに首筋に触れる唇の感触。全てが美子の感覚を刺激する。
腕を引っ張り寝室へ連れて行く。ベッドに押し倒すとワンピースの裾が大きくめくれた。
廉は躊躇なく美子の下着を引き摺り下ろす。自分もズボンを下げ、前戯もなしで挿入すると、そのままめちゃくちゃに突きまくった。
「れ…んさ…ん、待って…あっあっあああああん」
ビクッと大きく体を震わせると美子は早くもイってしまった。それを見届けた廉も限界まで耐えると美子の中から引き抜いて精を放った。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」美子の隣にどさっと横になり、荒い息を吐く廉。
少しして落ち着くと途端に自分に対する嫌悪感が湧いてきた。美子に対してこんな排泄みたいな行為をしてしまった。服を着たままろくに愛撫もせずに挿入して果てるだけ。
隣の美子を見ると一筋涙を流しながら真っ直ぐな瞳で廉を見ている。
「ごめん…美子」
ワンピースの胸元まで飛び散った自分の精液をふき取り丁寧に服を脱がせていく。その間、美子はずっと無言で廉を見つめている。
(怒ってるのか?ってそりゃそうだよな)落ち込みながら、自分も全て脱いで美子の隣にそっと横たわる。声がかけられずに美子の肩に触れ親指でスリスリした。
「廉さん」突然名前を呼ばれて体が固まった。「な、何だ?」
「謝らなくていいんですよ。廉さんの気持ちわかってますから」 「美子…」
「あんなに私のこと…求めてくれたってことですよね」 「………」
「私は廉さんだけのものだから」
廉は体を起こすと、美子の上に重なりチュッチュッチュッチュッと何度もキスをした。
「ごめん…美子…ごめんな」
今度こそ優しく愛してあげようと思った廉は、長い長いキスから始めた。美子の首筋から肩、鎖骨を優しく撫でながら唇を吸う。美子のリズムに合わせてゆっくり舌をからませる。
乳房を手のひらで包み先端をチロチロと舐めると美子が甘い吐息を漏らし始めた。
廉は、もっと感じさせてやる、と心の中で呟き美子の足を大きく開いた。
舌先をとがらせ小さな突起をなぞると美子の体が大きく跳ねた。
「んんっ…ああぁ…ん」
シーツをつかみ体をのけ反らせている。中に指を差し込み内側をなぞっていく。その間も突起を舐めたり吸ったり舌先で弾いたりと愛撫を続ける。
「あああっっ…や…んんっ」美子は中を痙攣させた。指を入れている廉の掌までびしょびしょになるほど蜜が溢れてきた。
「美子…気持ちいいか?」抱きしめて囁くと美子は何度も頷きながら、声にならない声で「廉さん…廉さん」とうわ言のように繰り返す。
避妊具を着けて美子の中に挿入する。しばらくそのままで中の感触を味わう廉。まだ軽い痙攣を続けているそこは、廉をやわやわと締め付けて思わず声を漏らしてしまいそうだ。
動き始める廉。ゆっくり優しく、そして段々と強く激しくなっていく。角度を変えたりグラインドさせて、美子がいっぱい感じるように腰を動かす。
それは同時に廉の性感も高ぶらせていき、再び自分を抑えられなくなってきた。
「美子っ、俺…もうっ…」頭の中が真っ白になり、激しく腰を突き上げる。美子は声も出せないほど快感の波にのまれ、二人同時に昇りつめた。
微睡む美子をそのままにして廉はキッチンへ行く。大きなグラスにたっぷりの氷水を入れて寝室へ戻り、一口飲んだ後、美子の体を抱き起こした。
水を口に含んで口移しで飲ませていく。美子はコクコクと喉を鳴らして飲み干した。
「もっと飲むか?」頷く美子にもう一度口移しで飲ませる。
そのまま美子の唇を吸い、口の中を探り、美子の舌を捉えて優しくからめ取る。
そうしていると、自分の中にもう一度欲望の兆しが芽生えるのを感じたが、これ以上したら本当に美子を壊してしまいそうで廉は思いとどまった。
美子はもう眠りに落ちる寸前だ。腕枕をして、そっと抱き寄せる。すると美子は反射的にくるっと体を丸めて廉の胸の中にすっぽりと納まった。
眠っているのに本能的に安全な場所が分かっているみたいだ。廉は思わず微笑んだ。
「おやすみ…俺の美子」美子の頭にキスをして廉も深い眠りに落ちて行った。
とりあえず以上です
オレンジ色のビキニは以前どなたか書いていたのが美子に似合うなあと思って
流用させていただきました ありがとうございます
改行とか変になってしまってすみません
お邪魔しました
>>378 GJ!!
美男×NANA続きお待ちしてましたー!
描写が丁寧でリアルだし頭の中で想像しやすかった!
美男の女装姿可愛いんだろうなーww
続きも気長にお待ちしてます!
連投スマソ
>>397 久々に廉美子キタ!!
廉さん大人というか男っぽくてかっこいい!
最後の俺の美子に萌えたぎりました!ありがとうございました!
あとこれは個人的な願望だけど、廉美子もっと読みたいです。
最近少ないから寂しい。職人さんお待ちしてます!
398です
廉美子エロあり 表記忘れてすみません
続きです
402 :
南の島で5:2011/11/17(木) 12:45:54.11 ID:PiXJXzfm
「んん…美子?」
目覚めつつある廉は、無意識に隣に手を伸ばす。が、シーツが広がるだけで美子がいない。
(ん?あれ?美子?)頭がぼんやりしたままでシーツの上をパタパタと探る廉。
その時美子が元気に寝室に入ってきた。
「おはようございますっ。廉さん、起きてください」
「う〜ん、もう少し…」シーツをかぶって潜り込もうとする廉に
「ダメです。もうお昼ですよ」と美子が廉の肩に手をかける。
その瞬間、廉は美子を抱きしめるとベッドの中に引きずり込んだ。
美子の頬に自分の頬を擦りつけて「ん〜まだ起きたくない」とぐずる廉に
「ダメですったら!起きて朝ごはん食べましょう」
と言って廉の腕を振りほどくと、美子は寝室を出て行ってしまった。
しぶしぶ起き上がってシャワーを浴びに行く。さっぱりとしてテラスに出ると、大きなパラソルの下にテーブルがセッティングされていて、簡単な朝食が用意してある。
気持ちのいい風を受けながら朝食を食べ、隣を見ると美子がいる。最高の気分だ。
「ほら、また口の横にジャムが付いてるぞ」
指を伸ばして美子の口元からジャムをすくい取りその指を舐める廉。エヘヘと笑いながら美子が言う。
「廉さんって、なんかお父さんみたい」
「えっ俺が?何で…」
「だって、私のこと子供みたいに扱うんですもん」
「そりゃあ、お前はまるっきり子供だからな。当然だ」
偉そうな表情で言うと美子は頬を膨らませて「どうせ、子供ですよ」と拗ねてしまった。
廉は美子を抱き寄せて、耳元で囁く。
「だから俺が大人にしてやったろ?」
「それは…そうです…けど」
顔を赤らめて呟く美子の首筋に唇を寄せようとする廉を美子は必死に止める。
「ダ・メ・で・す!今日はこれからお出かけしましょう」
「めんどくせーなー、部屋でゴロゴロしてよーぜ」廉は魂胆見え見えなことを言う。
「せっかく外国に来たのに、もったいないです。こんなにお天気もいいし」
それでもあーだこーだと出かけたがらない廉に業を煮やして美子が言う。
「もうっ、一体外国まで何しに来たんですか?」
「sex」きっぱりと言い切る廉、でも耳が赤くなっている。
美子は唖然として廉の顔をまじまじと見つめる。廉もさすがに恥ずかしくなって
「わかったよ、お出かけしましょうねー、ブタウサギちゃん!」と冗談めかして言った。
403 :
南の島で6:2011/11/17(木) 12:47:47.76 ID:PiXJXzfm
ピンクのノースリーブシャツと白いショートパンツ、それに麦わら帽子をかぶった美子はまるで少年みたいだ。すんごく可愛い、可愛いけど…
「お前、その格好で行くのか?」 「はい?ダメですか?」
「ダメに決まってんだろーが。そんなに肌出して」
廉はクローゼットを開けてゴソゴソと探していたが、「よし、これに着替えろ」と若草色のワンピースを出した。膝丈のシンプルなものだ。
「えー、もっと動きやすい服がいいです」不満を漏らす美子だったが廉にじろっと睨まれて首をすくめる。
地元の市場をぶらぶらと冷やかして歩く二人。珍しい果物や大きい魚を見るたびに「わぁーすごーい!」とか「これなんでしょうね?」とか一々反応が大きい美子。
お店の人たちも美子に対してフレンドリーに色々話しかけてくる。それに対して美子も「へぇー」とか「ふぅ〜ん」とか返事をしている。
「何を話してたんだ?」と聞くと「さぁ〜、よくわかりませんでした」と美子。
「アホかっ!お前はほんっとにバカだな」 「そんな言い方しなくても…」
美子はまたしても拗ねて一人で歩いて行ってしまった。廉はため息をつくと、後を追いかける。
その途中花屋を見つけてくちなしの花を一輪だけ買った。
「美子」
振り返った美子の耳の上にくちなしを挿す。
「わぁ、甘い香り」目を閉じて顔を揺らして香りを楽しむ美子。
廉はその頬を両手で挟み口づける。その時ぽつぽつと雨が降ってきた。あっという間に大降りになり島特有のスコールになった。
まわりの露店は次々と店じまいをし、人々の姿が消えてゆく。道路に残されたのは廉と美子だけになった。髪も服も体に張り付き全身ずぶ濡れだ。目も開けられないほどの大雨の中相手を見失わないよう抱き合う。
美子の後頭部を押さえ、腰に回した手をぐっと引き寄せる。美子も廉の首に両手を回し、強い力で抱きついている。
やがて雨が上がり、再び露店が開き始めた。見ると濡れているのは廉と美子だけだ。
「帰ろう」廉の言葉に素直に美子も頷く。手をつないで微笑み合いながら二人はホテルへ帰って行った。
404 :
南の島で7:2011/11/17(木) 12:50:55.01 ID:PiXJXzfm
二人は服を着たままバスルームに飛び込んだ。キスをしながらお互いの服を脱がせ合うものの、濡れた服は中々うまく脱がせられない。気が急いた廉は勢い余って美子のワンピースを破いてしまった。
美子は一瞬、あ、と気を逸らしたが、廉はよそ見は許さないとばかりに、美子の頬をつかんで自分に向かせる。舌をねっとりとからませ、お互いの唾液を交換する。何度も角度を変え、唇を、舌を、口内を探り尽くす。
シャワーを浴びながら長いキスを交わした二人は体を拭くのもそこそこに、寝室へと向かう。その間も一瞬たりとも唇を離さない。
美子の体を支え、あちこちにぶつかりながら、留守の間に綺麗にメイクされたベッドに倒れこんだ。
部屋の空気が湿るほど熱い息を吐きながら、長いキスが続く。
「う…んんっ…」塞がれた美子の唇から、吐息が漏れる。廉は両手で美子の乳房を持ち上げるように寄せると両方の乳首を交互に愛撫する。舌を尖らせ乳首を押し潰したり、赤ん坊のように吸いながら強く揉みしだく。
「あぁっ…ああん…んんっ…」美子は既に高ぶり始めている。右手を美子の秘所に伸ばすと、もうそこはびしょびしょになっていた。
「すごい…濡れてる…美子」耳元で囁くと、美子は恥ずかしそうに「いや…言わないで…」と顔を背けた。
美子の中から蜜をすくい取り秘所全体に塗りつける。指を中に埋め込み親指を突起にあて同時に攻めると美子は体を大きくバウンドさせた。
廉は体をずらすと、美子の足を大きく広げて中心を舐め始める。突起をなぞり、舌を押し付け、中に舌を差し入れる。部分的に刺激した後、秘所全体を大きくべろりと舐めると、美子は絶叫した。
「ああっっ、あーーーっっ」太ももをがくがくと震わせ中を痙攣させる。次々溢れてくる蜜を廉は全て舐め取った。
ぴちゃぴちゃと音を立てて舐め続ける間も、美子のそこはヒクヒクと蠢いている。
廉は美子を抱き起こすと、自分の上に跨らせた。廉の意図が分からない美子は不安げな顔をしている。隆起した自身に避妊具を着けると、美子に握らせた。こわごわ握ったものの、どうしたらいいのか分からず美子は目で廉に問いかける。
「それを…自分で、入れて…その…動いて」
「えっでも…」躊躇う美子に「早く」と促す。
覚悟を決めて美子は少し腰を浮かせた。目をつぶって廉の先端を自分の中心にあてがい、恐る恐る腰を沈めていく。
「はぁぁ…んんっ…あぁ」全部美子の中に納まったみたいだ。廉は美子の腰を支えて「美子、動いて」と催促する。
ぎこちなく腰を動かし始める美子。下から見上げる廉は初めて見る美子の扇情的な姿に興奮して思わず自分も下から突き上げる。
「もっと動いて」廉に言われるまま夢中で動いているうちに、美子は自分の感じやすいポイントを見つけたらしかった。
中心にある小さな突起を廉に擦りつけるように腰を動かすと、頭をのけ反らせて喘ぎ声を上げる。廉は下から手を伸ばし、美子の乳房を揉みしだいた。
「あんっあんっ…あああぁ…」中がギュッと締まったかと思うと美子が廉の上に倒れこんできた。
「ハァ、ハァ、ハァ」荒い息を吐く美子の背中に手を回すとじっとりと汗ばんでいる。
「気持ちよかったか?」廉の問いかけに美子は頷くことしかできない。
「そうか。じゃあ、俺の番だ」と言うと美子を抱いたまま体を起こし体勢を入れ替えて、美子を組み敷いた。そのまま出し入れを始める。イったばかりの美子は息も絶え絶えだ。
(毎日何回もイって、大丈夫かな?)
廉は今さらな心配をしながらも動きを止めない。それどころか、徐々に加速し叩きつけるように腰を突き上げる。
「あぁっ…はぁ…美子…んんっ…はぁ…」動きに合わせて廉の口からも声が漏れる。
「ああぁっ…あんっ…れん…れん…しん…じゃう」
ビクビクッと体を震わせて美子はもう何度目かもわからない絶頂に達した。
無意識に廉を呼び捨てにしている美子の腰をつかんで廉も放出し、美子の上にくずおれた。
405 :
南の島で8:2011/11/17(木) 12:53:08.15 ID:PiXJXzfm
「美子、大丈夫か?」心配そうに美子の顔を覗き込むと、美子は廉の首に腕を回してしがみついてきた。
「どうした?ん?」
「廉さんが…ひっく…好き…好き…」泣きじゃくりながら美子は繰り返す。
廉は美子を抱きしめて「わかってる…だから、泣くな」と頭を撫でた。
子供のように泣きじゃくったのが恥ずかしいのか、美子はシーツで顔を隠して目だけを覗かせている。
廉は美子の髪を撫でたり、シーツを下ろして美子の鼻を豚鼻にしたりしてちょっかいをだしている。
ふと廉が言う。
「さっき俺の事、なんて呼んだか覚えてるか?」
「え?…廉さん…です」
「れん…だ」
「?」美子は首をかしげる。
「れ・ん!」
「呼び捨てにしたんですか?私が?」
「ああ…」廉はさも可笑しそうに微笑んで答えた。
「すみません…」
「いや、いいんだ。むしろ嬉しいっていうか…もう一回呼んでみろよ」
「…恥ずかしいです…」
「いいから、ほら、早く」
「…れん…」
廉はクシャクシャな笑顔で美子を抱きしめた。
とりあえずここまでです
お邪魔しました
>>406 超GJ!!
ありがたいことにon timeで読ませていただきました!
自分も廉美子好きだから嬉しいです。
続き楽しみにしてます!
>>406 GJ!!
私も廉美子好きなのでとってもよかったっす!
でも、柊×美子は普通に読めるのに、廉×美子になると
なぜか恥ずかしくて顔が赤くなってしまいますわ。
>398
廉×美子大好きな自分としては嬉しいです!
有難うございました
今後は美子ちゃんは廉さんの事廉て呼ぶのかなー??
廉美子よかったです!
続き楽しみにしてます。
DT柊です。
新しく作品書いたので投下します。
カプは廉×美子 エロありとなっています。
初めて廉美子書いたので、お見苦しい作品となってしまいましたが読んで下さると嬉しいです。
412 :
酒の力 1:2011/11/17(木) 15:54:37.89 ID:wu47MulF
「ふわぁ〜あ・・・あれ・・・?私・・・何で廉さんの部屋で寝てるの・・?」
目覚めると、そこは廉の部屋のベッドだった。
美子は紫色のシーツを掴みながら起き上ると、頭ががんがんと痛むのを感じる。
その痛みに、「いったぁ〜。」と声を上げ、掴んでいたシーツを離し、頭を押さえこむ。
そんな事をしていると部屋の扉が開かれ、廉がペットボトルに入った水を持って現れた。
「よぉ、ようやく起きたか・・・。このブタウサギ!」
寝起きの美子の顔を見るなり廉は顔を真っ赤にさせ、持っていたペットボトルを美子に向かって放り投げる。
そのペットボトルをキャッチし損ねた美子。
ペットボトルは鈍い音を立てると、そのままベッドの脇に転がり落ちる。
「れ、廉さん・・・ど、どうしたんですか?・・・そんなに顔真っ赤にさせて・・・。」
まだ痛む頭を押さえながら、ベッドの脇に落ちた水を拾うと、そのペットボトルを胸の辺りで保持した。
「・・・まさか、あれだけの事しておいて・・・覚えてないのか・・・お前?」
「・・・え?わ、私・・・何かしたんですか・・・?」
(馬鹿野郎!・・・と言いたいが、多分こいつ自身・・・本当に覚えてねーんだろうな・・・。)
昨日の状況が状況だったがために、怒るに怒れない廉は「ハァ」とため息を吐き捨てると
自らのベッドに腰を掛け、「話・・・聞くか?」と美子の思いを聞く。
美子は恐る恐る「こくり」と小さく一回だけ頷くと、廉の隣に座った。
「ま、まぁ・・・あ、あれだ。取りあえず、お前・・・頭痛まないか?」
「え!?な、何で廉さん分かるんですか!?」
「・・・・やっぱりか・・・。お前、昨日の夜グレープジュースと間違ってワイン飲んだだろ?」
「え・・・っと・・・よく覚えてません・・・。」
必死に頭の中を探ったが、記憶が曖昧すぎて何も思い出せない美子は首を傾げる。
「昨日、キッチン見に行ったら封の切られたワインボトルが置いてあった。しかも空の。
だから、お前は間違えなく飲んだんだ。」
「へぇ・・・そうなんですかぁ・・・・。」
真剣な表情を浮かべて話す廉に、美子はぼんやりとした表情を浮かべて話を聞いていた。
その表情に何だか自分が馬鹿にされているように感じた廉は
「お前、さりげなく俺の事馬鹿にしてないか!?」と睨みつけながら言う。
美子、廉の言葉を聞くと耳を塞ぎ、「大きな声出さないでください!頭痛いんですから・・・。」
と耳を塞いでいた手をすぐに頭へと持っていき、頭を押さえていた。
廉はそんな美子の姿を見ると小さな声で、「わ、悪かった・・。ついカッとなって・・・。」と渋々美子に謝罪する。
「そ、それに・・・き、記憶がないから、そう言われても・・・どう反応していいか分からなくて・・・・。」
「・・・じゃあ当然、俺にあんなことしたことだって覚えてないよな・・・?」
「え?わ、私・・・まだ何かしたんですか?」
「当たり前だ。酒飲んで酔っ払ってただけで俺はこんなに怒らねーよ!!
たく、わかった!全部話してやる!お前がしたこと全部な!!!」
美子の方を一度「ぎろ」と睨みつけた後、真っ赤になった顔を逸らすと
廉は昨日の夜、この部屋の中で起こった事を淡々と話しだした。
413 :
酒の力 2:2011/11/17(木) 15:55:43.62 ID:wu47MulF
昨日の夜・・・・・。
廉はキーボートと譜面を交互に睨みながら作曲の仕事をしていた。
「ここは・・・・こうか?いや、あいつが歌うなら少し音程上げても・・・いや、けどな・・・・。」
ぶつぶつと一人、呪文を唱えるように譜面に齧り付く廉だったが
どうにも思った通りの曲が出来ず、譜面を取ると乱暴にぐしゃぐしゃにし、ゴミ箱へ放り投げる。
「止めだ止め!これ以上やっても今日は無理だ!」
デスク付近の椅子から立ち上がった廉は、風呂に入る前に少し横になろうと思いベッドの上で仰向けになって横になる。
「ハァ・・・むしゃくしゃする・・・・。」
思いの他、今回の作曲がうまくいっていなかったのか歯ぎしりを起こす廉。
イライラしていた廉だが、その廉の部屋に客が訪れる。
それが、べろべろに酔っ払っていた美子だった。
「うぁれ〜?なんでぇ〜廉さんが私の部屋に居るんですかぁ〜〜?」
ノックもなしに突然入ってきた美子に驚いた廉は、体を「ビク!」と跳ね上がらせると
扉の向こうから現れた美子を、目を丸くして見ていた。
「お、おい!美子!!勝手に俺の部屋に入ってくる・・・なっていうか・・お前・・・」
「ん?なんれすか〜〜?廉さぁ〜〜ん?」
ふらふらと覚束ない足取りに、呂律がうまく回っていない口調。そして、滅茶苦茶赤くなっていた頬。
「お前・・・酒・・・飲んだのか?」
「じー」と薄目で睨むように美子の顔を見つめる。
「お酒ぇ〜?何ですかぁ〜〜?それぇ?
わたしぃ〜、緑色のぉ、瓶に入った紫色のぉ〜ひっく!あれぇ・・・なんでしたっけぇ?」
(多分、紫色の液体飲んでって言いたかったんだろう・・・。てか、それが酒だ!)
ただ、これ以上何を言っても無駄だと思った廉はベッドから立ち上がると
「ほら、お前の部屋はあっちだ。戻るぞ。」
と言い、ベッドのすぐ近くまで来ていた美子の体を支えながら扉の方へと誘導しようとした。
けれど、美子はそれを頑なに拒むと
「ここで寝ます〜。」と言い、目の前にあった廉の体を押し倒す様にベッドへと沈みこんだ。
倒れる瞬間、廉は「うぉ!」と低い声をあげた。
「いってぇ・・・おい!いい加減にし・・・ろ・・・」
廉は美子の行動に怒鳴りつけようとしたが、目の前で「にへら」と焦点の合っていない目で笑っている美子の顔を見て、だんだんと声を小さくする。
(や、やっべ・・・。こんな状態なのに・・・俺、ドキドキしてる・・・。)
いつも子供のように無邪気に笑う美子なのだが、今日の笑みには酔っ払ってるせいか色気を感じる。
そして、それと合わさる様に女の美子に押し倒されたという事実が、胸の高鳴りを更に高めた。
414 :
酒の力 3:2011/11/17(木) 15:57:33.28 ID:wu47MulF
ドキドキしすぎて言葉が出ない廉。
そんな廉の事など気にせず、美子は廉の体の上で体を擦り寄せていた。
すると、廉の重要な部分が美子の体によって擦られる。
高鳴る鼓動のせいなのか、既に固くなっていた部分を擦られた廉は「んぁ!」と鋭く高い声を上げる。
「あれぇ〜?廉さぁ〜ん。廉さんのここぉ、何か変ですよぉ〜?」
そう言うと、ズボン越しから固くなった部分に人差し指で触れる。
「ば、馬鹿!そ、そんなとこ、さ、さわん・・な・・・。」
「でもぉ〜、廉さん、凄く辛そうですよぉ?辛いんじゃないんですかぁ〜?」
「そ、そう言う・・・問題じゃ・・・って、人の話を聞け!」
美子は廉の話などこれっぽちも聞いてはいなく、既にズボンを脱がし終えた後だった。
「うわぁ〜。何か、凄いですよぉ〜?廉さぁ〜ん。」
(こ、こいつ・・・本当に酔っ払ってんのか?い、いつも俺が苛めてるから仕返しでもしようとか思ってんじゃねーのか?)
※苛めるというのは、夜の営みの事です。
美子の的確な責めに、この酔っ払いが演技じゃないんだろうかと思えてくる廉。
しかし、全くそう言う事はなく、美子は本当に酔っ払っていた。
「廉さぁ〜ん。凄いですよぉ〜。何度も触ってたらぁ、固くなってぇ、何か濡れてきちゃいました〜。」
あの後も何度拒絶しても、美子はへらへら笑いながら、俺の固くなったあれを弄る事を止めはしない。
人差し指でそれこそ的確に、敏感な部分のみを集中して責めてくる。
(てか、こいつ・・・・どこでこんなの覚えたんだよ・・・。
しかも、恥じらいもなく濡れるだの固くなるだの言いやがって・・・。
もしかして・・・・・本能的にか?だったら、こいつに酒飲ませたら・・・まずいな・・・。)
こんな事を考えていたが、美子に触られ続けている間、ずっと廉は小さな喘ぎ声を漏らし続けていた。
「んぁ・・・んん!はぁ・・」
美子の執拗なほどの攻撃に、徐々に大きな声を漏らしていく。
そんな廉の姿を見た美子は、神妙な顔をして廉の顔を覗きこんでいた。
「??廉さん?顔、真っ赤になってますよぉ〜?どうしたんですかぁ?」
(ど、どうしたって・・・お、お前が弄ってるせいだろ!)
と声を出して言いたかったのだが、追い上げられているからか声がうまく出ない。
ただ、右腕で目元を隠して息をどんどん荒くしていくことしかできない。
「あぁ〜。もしかしてぇ〜気持ちいいんですかぁ〜。」
「ば、馬鹿言うな!んなわけ・・あ、あるか!」
「ほんとぉれすかぁ〜?」
そう言うと、美子は下着越しから固くなった部分を人差し指で上からなぞる様に動かす。
それに対して廉は「ゃ・・め!」と声を振り絞って出すと、美子の動く手を掴もうとする。
けれど、美子は意外にもその手をすぐに離す。
廉は少し残念な気持ちを抱いていたが、それでもこれ以上はないと思い、安堵の表情を浮かべた。
415 :
酒の力 4:2011/11/17(木) 15:58:40.98 ID:wu47MulF
正直なところ、別にこう言うのが嫌いと言う訳ではない。
い、いや、その、せ、責められるのが好きってわけではない!!
こういう行為全体の事だ!ただ、自分だけが一方的にやられるってこんなに恥ずかしいんだな・・・。
しかし、美子の指の感触の余韻に残念と思っていたが、今日の美子には常識は通用しない。
美子は指を離した後、「にへら」と笑うと、「やっぱり〜、きついれすよねぇ〜。」
と言い、下着に手を掛けるとそのまま下へとずり下ろした。
「ば、馬鹿!だ、だから・・・あぁ!もういい!勝手にしろ!!」
美子にパンツをずり下ろされ、羞恥のあまり大声を出して行動を制止させようとしたが
やけくそになったのか、(ここまできたらとことんやられてやるよ!!)
と、何だか良くない方向に吹っ切れてしまい、真っ赤な顔をベッドに沈み込むぐらいに逸らす。
(あぁ・・・。俺、今男としてのプライド捨てちまった気がする・・・・。)
今後、この日の事を思い出すと恥ずかしくて顔から火が出るんだろうなとか考えながら
今はもう、美子に自らの体の全てを委ねた。
酔っ払っていた美子は笑みを浮かべながら廉の固くなった部分を掴むと、何の躊躇いもなくそれを口の中へと含んだ。
「んんぁ!」
固くなった部分の先端に美子の口の温かさが伝わってきて声を上げる。
先ほどまでの刺激を甘口だと考えると、これは激辛レベルと言うぐらい刺激が強すぎる。
ベッドのシーツを強く握りながら、自らがされている行為を考えてるとその刺激が更に自分を追い詰める。
美子は、そんな廉の事など気にせず最初から手加減無しで固くなった部分を
顔を上下に激しく動かすことで刺激させる。
「んぁあぁ!んんん!」
ただされるがままの状況。廉は美子が行っている事を直視することは出来なかった。
直視してしまえば、恥ずかしさのあまり蒸発してしまいそうだったから。
それでも、耳を伝って聞こえる「ちゅぽちゅぽ」という美子の口から固くなったあれが出てくる音や、
「ぬちゅぬちゅ」という自らの液体と美子の唾液が混ざりあって濡れるあれを、
手で上下に動かす音、それらの行動によって生じる直接的な刺激によってだんだんと追い込まれていく。
「んぁ!やめ・・んん!」
声を発した所で、美子の勢いは治まる事を知らず
それどころか、寧ろ俺が声を上げ、体を小刻みに反応させるたびに勢いが増していっているような気がする。
(くそ、こいつ・・・天然のSかよ・・・。)
「どくどく」と高鳴る鼓動の中、ぼんやりとした意識の中で廉は美子の恐ろしさを痛感していた。
けれど、そんな事を考えている余裕もだんだんと無くなってきていた。
そう。廉自身の限界がすぐそこまで近づいていたからだ。
416 :
酒の力 5:2011/11/17(木) 16:00:39.76 ID:wu47MulF
「ハァハァハァ・・・ん!み、美子!く、口!」
見ないと決めていた美子の行為なのだが、自らが限界を迎えようとしていた今
このまま美子に咥われたままの状況だと、美子の口の中で限界を迎えてしまう。
声を振り絞って訴えかけたが、美子は「とろん」とした目で、こちらを上目で見ているだけ。
そして、激しく出し入れされるその光景を見たその時だった。
「んぁ!く、ち・・・んん!イク!」
廉の訴えは間に合わず、そのまま廉は美子の口の中で限界を迎え全てをぶちまけた。
出した瞬間、体を大きく反らし、その後は小刻みを何度も続けた。
そして、一番心配だった美子の方だったのだが・・・・。
「ごく・・・。」と、目の辺りを右腕で覆いながら息を整えていた廉の耳に何かを飲み干す音が聞こえる。
ぐったりと倒れていた体をだるそうに起こした廉は、美子を見るなり慌てて美子の両肩を掴み
「お、おい!ま、まさか・・・お前・・・・。」
と驚愕の表情を浮かべながら美子の事を見ていた。
「ん〜。何か、変な味がします・・・。」
(間に合わなかった・・・・。)
廉のぶちまけた物を全て飲み干したと聞くと、廉は右手で髪を掻きあげ、そのままおでこを掴むと、恥ずかしさのあまり言葉を失う。
そんな廉を、美子はまた「にへら」と笑いながら見つめていた。
「廉さ・・・ん・・。んんん・・・・。」
すると、すぐに美子は目の前に居た廉に倒れかかってきた。
倒れてきた美子を受け止めた廉。
「おい!美子!変なもん飲んだから、変になっちまったか!?」
本当に何が起こったか分からなかった廉は、美子の肩を掴むと意識があるかを確認する。
「すぅ・・・すぅ・・・んん・・・。」
「何だ・・・寝ただけかよ・・・・。たく・・・・。」
美子の無事を確認すると、「ふぅ」と小さく息を吐き、ティッシュで濡れていた自らのあれを拭き
取り敢えず、ベッド脇に脱ぎ棄てられていた衣服を身につける。
そして、かなり気が引けたのだが、ベッドサイドに置いてあった水を口に少量含むと
自分自身の欲望によって汚れた美子の口に深いキスをして、中を洗浄するように舌を動かした。
キスをし終えると、半分近く入っていたペットボトルの水を全て飲み干す。
「ぷはぁ・・・。たく、何で俺が俺自身のあれで汚れた口を洗浄しなくちゃならねーんだよ!」
「ハァ」と大きなため息をついて、ベッドでのうのうと眠る美子を一瞬だけ睨みつけたが
すぐに美子の気持ちよさそうに眠る寝顔に、笑みを浮かべるとすぐ横に腰掛けて頭を優しく撫でる。
「もう・・・酒なんて飲むなよ?良いか?ブタウサギ。」
聞こえはしないのだが、眠る美子に呟く廉。
その声に美子は「んんん・・・・。」と声を出し、寝返りをした。
「よし、今日はこの辺で勘弁しておいてやる。」
美子の微かに零れた声を、自らの問いかけに対する返答とした廉は
まだ赤みの抜けきらない頬にキスをすると、汗で汚れた体を洗い流すために浴室へと向かって行った。
417 :
酒の力 6:2011/11/17(木) 16:02:44.67 ID:wu47MulF
「どうだ?思い出したか?」
ようやく思い出したくもない恥ずかしい出来事を全て言い終えると
大きく息を吐き捨て、赤くなった顔で隣に座っていた美子に視線を向ける。
「・・・?おい、美子?美子!!」
「!!う、うわぁ!!れ、廉さん!!い、い、い、ういあ、今のは、話・・・う、う、嘘ですよね!?」
「がくがく」とその場で震えていた美子は、廉の話した言葉嘘である事を祈る様に廉を見つめる。
「こんな壮大な嘘、つけるわけねーだろ!てか、嘘なら俺だってこんなに顔赤くしてねーよ!!」
「う、うわ!わ、わ、わわ、たし・・・な、なんて事を・・・す、すいませんでした!!」
動揺のあまり、挙動不審状態の美子は噛み噛みの言葉を発し終えた後、
その場に立ちあがり深々と礼をしようとしたのだろう。
しかし、手に持っていた口の開いたペットボトルが、力の入っていない手のせいか
立ち上がった瞬間下に落ち、美子のズボンとベッドのシーツ、そして廉の体全体にかかってしまう。
「うぉぉ!」
「れ、廉さん!あ、あの、その・・」
「お前ぇ・・・・・」
「あ、え・・そ、その・・・全部含めてすいませんでした!」
「いい加減にしろーーーーーー!!!!!」
廉の大声は、合宿所内全域に響き渡った。
その声をリビングのソファに座って聞いていた勇気と美男。
そして、キッチンで朝食を作りながら聞いていた柊の反応は・・・・。
「うぉ!な、何事!!」
「廉の部屋から聞こえたみたいだけど・・・。」
「あぁ。ってことは・・・・美子がいるの?」
勇気の言葉に「ピク!」と反応する美男。
柊は作っていた料理を皿に盛りつけながら
「あれ?昨日は美男の部屋に美子が寝る予定じゃなかったっけ?」
と、深々と帽子をかぶる美男に問いかける。
「・・・・昨日、俺の部屋に来なかったよ。美子・・・。」
「ってことは・・・廉さんと二人っきりだったってわけかぁ〜。」
「けど、廉のあの怒り様・・・ただ事じゃないぞ?」
柊の言葉に三人は顔を合わせた後、奥の通路にある廉の部屋をリビングから覗く。
すると、すぐに廉の部屋の扉が開き、ズボンを濡らした美子が先に部屋から飛び出してきて
その後を追うように、全身びしょ濡れの廉が美子を追いかけるようにして出てきた。
三人は、それを見るとすぐに覗きこんでいた体を元あった場所に戻す。
「廉さん!ごめんなさいーーー!!」
「駄目だ!!今日だけはぜってぇーゆるさねーー!!」
「きゃーーー!!」
二人は嵐のように現れると、すぐさま二階へと消え去って行った。
柊たちは二人が去ったのと確認すると、再び顔を合わせた。
「・・・・と、取り敢えず・・・喧嘩するほど仲が良いってこと・・・で良いかな?」
「・・・・それで良いと思う。というより、それが良いと思う。」
何があったか分からず、その先を聞くのを恐いと思った勇気と柊は苦笑いを浮かべ合う。
だが、美男は一人廉に対して、「メラメラ」と密かな闘志を抱いており
「美子を泣かせたら・・・絶対許さねーからな・・・。」
と呟くと、開いた右手に握った左手を叩きつけ「パン!」という大きな音を立てる。
そんな美男をその場に居た二人は、しばらくの間宥める作業で大忙しとなった。
そして、屈辱的行為を二度もされた廉によってこの日の夜
美子はとてつもない大逆襲を受けたのだった。
以上です。休みだからって書きすぎてしまいました;;
たまには他のカプを書くのも気分転換になって良いなぁ〜。
今回もこのような駄文を見ていただいた方、ありがとうございました。
それでは、失礼しました。
>>406 超!!GJ!!
南の島に来てやりたい事はセックスとはっきり言える廉かっこ良いな。それに無駄に上手いしw
やっぱり自分も廉美子好きだから、廉には美子の1番輝く星みたいな人であって欲しいと思ってるから
すごく理想に近い廉美子だった!ありがとう。もし良かったらこれからも続き書いて欲しいです。
>>406 美子かわいい!廉さんかっこいい!
続き楽しみです♪
>>418さん
こっちの廉美子もいい!
以前廉美子書かれてましたよね!
中途半端になってる柊さんのおかゆも読みたいです♪
以前、廉さんの沖縄プロポーズの話をかいたものです。
二人の結婚式前夜の話を書きました。カップリングは特になくエロなしです
では投下します。
422 :
結婚式前夜:2011/11/17(木) 18:10:29.75 ID:D7J4i33L
ANJ合宿所…
「あれ?美男と美子は?」
「あいつらは今日はしげこ叔母さんの家だ。」
「え〜そうなんだ!独身最後の夜にと思ってパーティーの準備してたのに!」
と廉の答えに少し残念そうな勇気
「じゃあ久しぶりに三人で飲むっていうのはどう?
みんなで飲もうと思って
美味しいワイン買ってきたんだ。」
「さすが柊さんっ!廉さんもこっち来てワイン空けるよ〜!」
ご馳走に美味しワイン3人はほろ酔い気分で会話は美子との出会った頃の話しへ…
「そういえば、美子が酔って廉さんにゲロチューしたことあったよね!」
「勇気…その話はするな!思い出したくもないっ!」あの時の口の中の感覚を思い出し身震いする廉
「俺、あの時美子の介抱しててもしかして女の子?って気がついたんだよね」
ワイン片手に思いがけない告白をする柊に驚く廉と勇気。
「えぇ〜!柊さんそんな前から気がついてたんだ!
俺、被写会まで全く気がつかなかったよ
あっちの世界の人間だったのかってすごく悩んでたのに…」
423 :
結婚式前夜2:2011/11/17(木) 18:11:16.92 ID:D7J4i33L
「あっちのって悩んだって勇気お前も美子のこと好きだったのか!?」
「やっぱりね。俺はなんとなく気がついてたよ」
勇気の発言にそれぞれの反応を見せる二人
「美子には廉さんしか見えてなかったから勝ち目なかったけどね〜
美子と出会ってから廉さん変わったよね
表情豊かになったし前はどこか壁を感じたけど俺や柊さんにも曲の相談とか頼ってくれるようになってすごく嬉しい
それに美子の笑顔は廉さんといるときが一番輝いててキラキラしてる
美子のこと幸せにしてあげてね」
真剣な目をして廉を見つめる勇気
「俺達にとって美子は大事な妹みたいなものだから…よろしくな、廉」と柊。
「あぁ、美子は俺が幸せにする。お前達の思いに約束するよ。」
廉は力強い声で二人に誓いをたてたのだった
424 :
結婚式前夜3:2011/11/17(木) 18:12:09.64 ID:D7J4i33L
しげこ宅では…
「あしたはいよいよリーダーと美子の結婚式かぁ
亡くなった兄がいたらどんなに喜んだか…
明日に備えてゆっくり休むんだよ。お休み」
「おばさんありがとうございます!」
二人で過ごしたいだろうと同じ部屋にひかれた布団に横になる美男と美子
「こんな風に隣同士で寝るのは久しぶりだね。
お兄ちゃん」
「あぁ…美子ほんとに廉と結婚していいのか?」
「えっ?」
美男の言葉に驚く美子
「廉は無愛想だし口は悪いし素直じゃないしめんどくさい男だ。
俺達の両親とのこともあるだろ」
「でも私…」
「でも美子は廉が好きなんだろ?
あいつがお前を大切に思ってるのも見てればわかる
不器用だけど悪いやつじゃないしな。
……幸せになれよ美子。」最後呟くように言われたお祝いの言葉に胸がいっぱいになる美子
「ありがとうお兄ちゃん」
それ以上会話はなかった二人だが朝まで手を繋いで眠ったのだった。
以上です。
駄文ですみません!
ありがとうございました。
今日は豊作だあ 朝から楽しませてもらいました
ほんとうに豊作で嬉しい!!!
ドラマが終わってもここで番外編?を読めるだけでとても幸せな気分になれます
職人さま方、いつもありがとうございます。
これからも楽しみに作品をお待ちしています!
美男NANA、絶好調ですね。柊さんが伏兵?いきなり美男を抱きしめた色気だだもれです。ご馳走様。
廉美子、どれも美味しい。甘酸っぱいというか、読んでてほんと照れるわ。見てはいけないもの見てるような。
中学男子がエロ雑誌読んでる気分ってこんな感じなんですかね。
いつのまにか良作祭り!!柊美子も廉美子もGJ!!
>>392 DT柊さんシリーズのファンです。美子、やはりアフリカに行ってしまうのか…切ないけど素敵なお話でした!マフラーと靴の件も待ってます。美子が戻ってきて幸せな二人がまた見たい…!
職人さん方、みなさま乙です…!
もったいないので1日1作ずつしか読まない…くっ…!
431 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 22:52:07.00 ID:23diPHja
今日は作品も住人さんもいっぱいですね!!
1度に全員出てきたみたいでうれしいです♪毎日こうだといいのに!
>>425 わぁ!結婚前夜よかったです。結婚式も読みたいです♪
最近廉美子カポー不足だったので、一気にお祭りすごく嬉しいです!
職人様方、どしどし続編お待ちしてます。
>>378 美男NANA女装デート萌えます!
イチャイチャし過ぎると百合っプルだと思われてNANA美子ビアン疑惑の記事書かれそうww
ふと気が付けば残り50kb!本当久々の祭りだね!
この調子で次スレでも盛り上がっていけたら良いね
何時の間にやら祭り!
廉美子久しぶりにいっぱいだー(涙)うれしい!
2人のバカップル大好きです。
>>418さんのとてつもない大逆襲、見、見たすぎる…!
この流れに乗って誰か勇気×美子も書いてあげて!!
まとめサイト見てて、勇気作品の少なさに思わず涙が…
想像しづらいのは分かるけどねw
うわわわ!ちょっと来れない間にすごい祭りになってる!!
神作品が増えて幸せです〜!
特に大好きな廉美子がどれも甘酸っぱくて
ニヤニヤしてしまいますww
>>367 柊NANAを書いてる者です。
遅筆で本当にすみません。待っていて下さって嬉しいです!
現在、鋭意製作中ですが大量更新になりそうなので、
次スレに投下した方が良いかと考えています。
438 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 23:55:58.05 ID:23diPHja
>>418さん
そうですよ!逆襲してください。
いちゃもんや愚痴スレのことなんか気にしないで!
応援しますよ!!!
祭りにのって、最終回からつながる廉×美子を投下させてください。
エロあり、ライブ告白シーンのあたりから始まります。
スイートルーム話があるから、最終回直後の話は需要ないかなあと、
書きかけのものをずっと放置していたのですが、
(まぁ自分が満足しちゃってたから、もういいやと思ってたのもあるんですが)
そろそろDVDも出るし、発売記念ということで?最後まで書いてみました。
皆さんに影響を受け、いろいろお借りしてる部分もあります。
長くなってしまったので、お嫌な方はスルーしてください。
「いいか、よく聞け…愛してる」
涙を流した美子が、すがりつくように首に腕を回す。
美子の思いが伝わってきて、応えてくれたことがうれしくて、
思い切り抱きしめた。
まるで初めて抱きしめたような喜びが胸にこみ上げる。
そうだ、自分は初めて美子を抱きしめたんだ。
過去のすべてをわかったうえで、本当の心で抱きしめた。
これが、俺たちの始まりなんだ。
ライブでこんなことをしでかして、
まずいと言うことくらいはわかっていた。
それでも、今を逃したらもう二度と会えないから。責任は俺が取るから。
からだを離すと美子が泣きながら微笑んでいた。その笑顔にほっとする。
花火が鳴り、会場が一気に歓声に包まれる。
と、会場の明かりが消えた。
客席が一瞬にしてしんとなり…ざわつき始める。
暗くなると廉には何も見えない。
けれど、廉にはわかっていた。
…ここからが"A.N.JELLの桂木廉"としての勝負だ。
姿のよく見えない美子の手を握り、ささやく。
「ライブが終わったら会おう。待ってろよ」
「はい、廉さん…」
数時間後。
廉と美子は湾岸のイタリアンレストランにいた。
「うわー、こんなきれいなとこ、初めてです!
見て、廉さん!レインボーブリッジも東京タワーも見えますよ!!
高いところだと、さっきともぜんぜん違って見えますね!」
あ、あっちにはスカイツリーが!などと夜景にはしゃぐ美子を
廉はちょっと複雑な思いで見つめる。
「皆さん、本当に素敵なお店を知ってるんですね、すごいなあ」
何気ない美子の言葉に廉は目を上げる。ちり、と胸が疼く。
「皆さん、って他に誰かとメシ食いに行ったのかよ」
頭に浮かぶのは、この店をよく知ってる仲間。美子は振り返り、答える。
「え、だって、前にNANAさんに連れて行ってもらったお店も素敵だったし…。
あの時は…それどころじゃなかったですけど…」
「ああ…あの時か…」
あの、わけのわからない3人での打ち上げ。途中まで最悪だった自分の誕生日。
今思えば、ずっとどこか奥のほうで意識していたものが明確に形作られた日だった。
感慨深げにつぶやいたあと、またふとひっかかる。
「そういや、夜中にケーキ屋行ったよな。結局売り切れてたけど。
あの店、自分で調べたのか?」
ふるふる、と美子が首を振った。
「私が雑誌で調べてたら、柊さんが教えてくれたんです」
やっぱりか、と思う。あいつは、ほんとに…
黙りこくった廉に、美子が不思議そうに聞く。
「それが、どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。さぁそろそろ座れよ、持ってこられなくて困ってるだろ」
あ!という表情で美子が席に着いた。
「すみません…」
「ま、初めて来たヤツの反応には店も慣れてるだろ。これだけの夜景だからな」
などと言いつつ、廉は事務所を出てくる前の会話を思い返す。
*
「廉!」
ライブ後、事務所で社長と今後のことを話し合い、それなりの結論を得て待たせてあった美子のもとへ急ごうとしたとき。
後ろから柊が声をかけてきた。
「なんだよ…」
「美子に、よろしくな。あとさ、ここ」
メモを差し出す。
「余計なことかと思ったけど、予約取っといたんだ。
おまえライブのあとずっと社長と話してて、暇なかっただろ?
これからどこか行くのも目立つだろうし、ここなら大丈夫だから。ゆっくり美子と話してこいよ」
メモには見覚えのあるイタリアンレストランの名前が書いてあった。
「前にみんなで行ったことあったろ?美子はまだいなかったころだけど。
おまえのアレルギーのこともちゃんとわかってくれてるし、いろいろ融通もきくから心配ないよ」
もしかしたらマスコミに追いかけられるかもしれないことを言っている、と廉は思った。そういう意味でも、きちんとした対処のできる店。
「柊…」
「あ、でも他考えてたらごめん、そしたらキャンセルすればいいしと思ってさ」
そういう意味でも融通きくんだよね、と笑顔で柊が言う。
「いや、考えてなかった。…ありがとな」
珍しく素直に、廉が言った。
「夜景もきれいだし、きっと美子も喜ぶよ」
「ああ…そうだな」
悔しいが、柊には男として敵わない部分がある、と廉は思った。会えることに気が急いて、そこまで考えが及ばなかった。
それを見透かしたように、柊が言う。
「やっぱり廉には敵わないよな、あれは、おまえにしかできない。
それに、そのあとのことも。いろんな意味で、驚いたよ」
「いや、でもあれは、」
言いかけた廉の言葉をさえぎり、柊が廉をせかした。
「ごめん、引き止めて。美子が待ってるよ。早く行って安心させてやれよ」
「あ、ああ、そうだな」
くるりと背を向け、歩き始めた廉に、あ、そうだ。と、まるでついでのように、後ろから柊が声をかける。
「俺、レストランしか取ってないからな?その後は自分で取れよ?」
「はぁっ?!」
廉が振り返る。柊が見たこともないような、いたずらっぽい顔で笑っている。
「今日、帰ってこないだろ?俺、そこまでは面倒見切れないから」
「おい、柊!」
真っ赤になる廉に、ひらひらと手を振って見せ、柊は去っていった。
なんなんだ、なんなんだ…。柊のヤツ…。…てか…でも、そうだよな。
肌を赤く染めたまま、廉は携帯を取り出した。
そんな廉の後姿をそっと確認し、柊は小さく笑う。
うん、これでいい。美子も廉もきっと幸せになる。
…俺は、大丈夫。よかった。
*
「今日…このあと、どうする」
食事の後言った廉に、美子はきょとんとし、小首をかしげる。
「どう…って、なんですか?」
「なんですか、っておまえ…」
まったくわかっていない様子の美子になんと切り出したものか廉がためらっていると、
「あの、あの、廉さん」
美子が一瞬顔を伏せ、思い切ったように廉を見つめる。
「スケジュールとか、廉さんの。だ、大丈夫なら、私…。…もう少し、一緒にいたい、です…」
今までずっと一緒だったから…なんだか寂しくて…とささやく美子に、廉は愛おしさを感じる。
けれど、廉のその沈黙から何か勘違いをしたのか美子は慌てて言葉を続けた。
「あの、でも、明日も忙しいんだったら…それに、今日ライブだったし、廉さん疲れてるんだから、帰って休んだほうがいいですよね!
私、そしたら、青空学園に帰りますし…」
あわあわと言い募る美子を廉がぎゅっと抱きしめる。
「たく、おまえは…。こういうときくらい気を遣わずに素直に言えよ」
美子が目を見開いている気配を感じながら、廉が言った。素直に、か。それはむしろ俺のことだよな、と思いながら、ささやく。
「俺も、一緒にいたい。…二人で、過ごそう」
*
実際、スケジュールはあいていた。と、いうか、あけられたのだ。
次の美子の便が出るまで3日。
その間に入っていた本来のスケジュールは馬渕がうまいことさばき、残り3人に振った。
3人は文句も言わず、引き受けたという。
「見たか!オレの敏腕ぶり!」
がっはっは、とドヤ顔の馬渕を思い出す。
もちろん、3日後の美子の飛行機も馬渕が取ったものだ。
「しかも、3日目はちゃんと午前中だけ、残りの3人も空けといた!
出発の日には他のメンバーとも会えよ。あいつらだって、美子に会いたいだろうし」
独り占めしたいのも、わかるけどさ!と肩をバンバンたたかれる。
「美子の便は夕方だから、午後からはまたおまえのスケジュールだけ空いてるからな」
ちゃんと空港まで見送りに行ってやれよ!とウィンクされ、
廉はいつもの憎まれ口をたたこうとしたが…
それだけの作業をライブ中から今までの間にやってくれたのか、との思いに駆られ、
憎まれ口を引っ込める。
「わかってるよ。…ありがとな、馬渕」
馬渕はちょっと驚いた顔をし…それから優しく微笑んだ。
「ほんとはさ、美子に渡したチケットの番号を俺が覚えてさえいれば済んだ話だって、社長に怒られてさ。
"YOU、全部ライブ終わりまでにできないとこれだぞ!"ってね。
だから必死でがんばったわけよ、俺は!」
そう言って、お魚さんのえさになるポーズをしてみせる。
ぷっと笑い出した廉によしよしと頷き、びしっと人差し指を突きつけた。
「でも、たまには素直にお礼言っちゃう廉ちゃんもかわうぃーぜっ!いい夢見ろよ!」
*
ホテルは廉がよく使うところで、ここも融通がきく。
エグゼクティブフロアは最低限の人間にしか会わないで済むし、
そもそもきちんとしたところは客のプライバシーに必要以上に立ち入ることはない。
部屋に入ったとたん、美子はさすがに緊張したように、からだを硬くした。
「なんだよ」
いきなりのその態度を見て、ちょっとおかしくなる。
今までだって、散々自分の部屋で一緒に過ごしていたのに。
さすがにホテルともなると緊張するらしい。
別にソレだけが目的なわけではない。
いや、もちろんそういったことを考えないといったら嘘になるが、それよりも、自分は美子と過ごしたいだけだ。…多分。
「一緒にいたいって言ったのは、おまえだろ」
一応ちょっとは意識してんのか、と美子をからかう。
「いいいいい、意識ってなんですか?!」
声まで真っ赤にして叫ぶ美子を、ちょっといじめてみたくなる。
「そりゃあ、男と女がこういうとこにいたら、することはひとつだろ」
「!!!!!」
ぎゅっと抱きしめる。
さすがに美子も嫌がりはしないが、あからさまにからだを強ばらせた。
冗談が過ぎたかと廉は少し反省する。
「ばーか、言ってみただけだ。別に無理にはしねえって」
まあ嫌がられるとさすがにちょっと傷つくけどな、と笑って見せる。
美子はそんな廉を見て、申し訳ないと思った。ついてきたのは自分だ。
一緒にいたいと望んだのは自分だった。その先にあるものも、うすうす感じながら。
「ご、ごめんなさい、廉さん、嫌とかじゃなくて、なんか、意識しちゃって」
「やっぱり意識してんじゃねーかよ。ま、おまえにしては上出来だ。
意識したのも認めないとなると、それも困るからな」
あ、それと。付け足しのように廉が言う。
「意識したからって、豚鼻すんなよ。むしろ、気持ち高ぶらせとけ」
わざと意地悪そうな顔をして見せた廉を見て、美子が真っ赤になった。
*
美子が興味深げに部屋の中をあちこち見ている間に、廉は事務所で確認したものをこっそり枕元に置いた。
一応な、一応だ…。ぶつぶつとひとりでつぶやく。
出掛けに声をかけてきたのは、柊だけではない。
柊いわくの「その後」についての通話を終え、歩き出した廉に走ってきて声をかけたのは勇気だった。
「廉さん、廉さーん!」
今度は勇気かよと思いつつ、振り返る。
「あのね、廉さん、これ!」
箱を差し出した。
綺麗にラッピングされた包みには、ショコラ専門店のロゴが入っている。
メッセージカードがついているのか、小さな封筒がくるりと巻かれたリボンの中に差し込まれていた。
「ん?なんだこれ」
「チョコなんだけど。ここのチョコ超〜おいしいんだよ!
前に差し入れでもらった時、美子がすっごい気に入って食べてたから。
さっき事務所の人に頼んで買ってきてもらったんだ。美子と食べてよ、どっかで二人で話すときにでもさ」
にっこりと勇気が笑った。
「美子、チョコ食べると、気分落ち着くみたい。
女の子ってさ、甘いもの食べると幸せになるみたいだから…」
と、言葉を切り、急に意味ありげに表情を変える。
「変な緊張も、ほぐれるかもしれないし?」
いかにも含みのありそうな勇気の言い方に、廉は首を赤くした。
「な、なんだよ、変な緊張って!意味わかんねぇ」
「やだなあ、廉さん。廉さんが変な緊張しないでよ」
「してねえし!」
慌てて言い募る廉を、はいはいといかにも適当に勇気がなだめる。
「せっかくだから、今夜はゆっくりしてくるでしょ?
そのときにさ、二人で食べてよ。俺からの、差し入れ」
「…わかった」
屈託のない勇気の笑顔を見て、廉は素直にうなずいた。
「美子によろしくね」
じゃあね、いってらっしゃい!とひらひらっと手を振った勇気がきびすを返した。
去っていくと見せかけ、くるっとポーズをつけて振り返り、にやりと笑う。
「あ、でもその封筒はひとりで見たほうがいいよ、絶対美子が変な緊張するから。
あと、追加分は自分でね〜」
疑問符で眉を寄せた廉が意味を聞く前に、勇気はだだだーっとにぎやかに去っていく。
「何言ってんだ、あいつ…」
そうひとりごちて、カードにしては厚みのある小さな封筒をリボンの下から取り出し、開けてみる。
「!」
そこに入っていたのは、銀色のパッケージの小さな包み。これは…
「…っ!アホか!余計なお世話だ!つーか、5つもいるか!!」
声まで羞恥に赤く染まった廉の叫びが廊下に響いた。
その声を廊下の隅で聞いた勇気は大爆笑する。
だって廉さん焦ってつけるの失敗しそうじゃん。俺の親切なのになー。
…うん、やっぱ俺、大丈夫だ。よかった。
*
一応、だ、一応。別に無理にしようってわけじゃない。
などと一人でぶつぶつ言っていると、いつの間にか、美子が後ろに立っていた。
「廉さん、私、聞かなくちゃいけないことがあるんです」
美子が真剣なまなざしで言った。
そのまなざしは、まっすぐで揺ぎ無く覚悟を決めたような。
よこしまな気持ちなど、一瞬吹き飛ぶ。
廉は、来たな、と思った。美子が、あの後のことを気にしないはずがない。
秘密を抱えたままA.N.JELLとしてやってきた美子が、あのライブでの行動がどんな影響を与えるか、考えなかったはずがない。
いや、むしろ、自分自身の経験から最悪の状況も想像しているはずだった。
本当はもっと早い段階で話そうとも思っていたが、二人になってからきちんと話したほうがよいと思い、ここまで引っ張ってしまった。
美子は自分に気を遣って話せないのかもしれないと、気にやんでいたに違いない。
自分から切り出せなかったことに、ほんの少し後悔をしつつ、せめて話の口火は自分が、と思う。
「あの後、どうなったか、だろ」
その真剣なまなざしのまま、美子は頷いた。
「私は、あの後警備の人に連れていかれて、ずっとRINAさんがついていてくれました。
でも、すぐ別の場所に移ったから、会場で何があったかはぜんぜんわからないんです」
社長から聞いていたとおりだった。美子にはRINAがいるから何も心配しなくていいと、社長はバックヤードに戻った廉に何度も言った。
「…RINAはなんて言ってた?」
「RINAさんは…」
そこで言葉を切り、思い出したように美子はくすりと笑う。
「"さっすが廉よねえ、ありゃあ他のヤツにはできないわー。美子はいい男選んだわよ"って…」
RINAの真似をしたつもりなのか、ほんの少し声を張る。
廉は照れ隠しにふん、と笑って見せた。
「それと…廉さんを信じろ、って。あと、A.N.JELLを思う社長を信じろって」
俺と社長、なあ…。廉がひとりごちる。社長にはやられたな、と思いながら。
そしてぽつりと話し出す。
「あの後…照明が消えて、おまえが連れてかれた後…。もう一回"Miss You"が流れたんだ…」
*
明かりが消え、美子が連れて行かれ、廉は覚悟を決めた。
しかしこの暗さでどうやって戻ろうか、と一瞬思案したとき…
なぜかステージに照明がつき、スクリーンが下りてきているのが見えた。
…スクリーン?今日使う予定あったか?
観客の視線は自然とそのスクリーン移った。戸惑った廉の手が突然引かれる。
目の前には事務所のスタッフがいて「廉さん、こっち。今のうちです」と誘導された。
そしてステージ上には姿を見せずに、勇気の声が会場に響く。
「A.N.JELLソロプロジェクト第二弾!桂木廉のソロ曲"Miss You"でした!
みなさん、どうでしたかー?!かっこよかったでしょーう?!」
その煽りに沸き起こった歓声で、会場が割れるようだ。
「ではこれから、そのプロモーションビデオをご覧いただきます」
これは柊の声。ソロ?PV?何の話だ?移動しながら廉は戸惑う。
「初披露をファンの皆さんの前でできることをうれしく思います」
優しく語り掛けるような柊のアナウンスに会場のボルテージは最高潮。
廉のソロなの?シングル出るの?PV初披露だって!超ラッキー!などとあちこちで声が上がる。
「それでは、どうぞご覧くださーい!」
って、次は美男かよ。なんなんだよ。
聞き覚えのあるイントロと歌声が流れる。
"Miss You"だ…しかもこれ、さっきのじゃねえか…。
耳のよい廉には、流れ始めたそれがさっき自分が歌ったものそのままだということがすぐにわかる。
振り返ってそのPVとやらを見ようと思ったが、廉はバックヤードに押し込まれ、会場との扉をばたりと閉められた。
「YOUは…まったく…」
社長が額に手を当て、困ったヤツだといわんばかりの表情をする。
「…わかってる。俺が悪かった。責任は取る」
「命をかけてるって割には簡単に言うんだな、YOUは」
自分の言葉の軽さは廉自身がよくわかっていた。
責任は取る。もちろんだ。でもどうやって?
わからない。だが、逃げるつもりもない。
そう伝えようとすると、眉を寄せていた社長の顔がふっと緩む。
「まぁ、とりあえずこれを見ろよ、もうすぐラストだ」
そういって、モニターをさした。ステージ上のスクリーンと同じ映像が流れている。
「そうだ、ソロとか、PVとかって、何の話…」
「いいから、見ろって。力作なんだから」
言いかけた廉をさえぎり、社長がモニターに顔を向けさせる。
曲はちょうどラストのサビの部分だった。
映しだされているのはひとりでたたずむ制服の後姿。
「え、俺?」
カメラが横顔に切り替わり、遠くを見つめ…うつむく。その横顔はまさしく自分。
「これって…」
「そうだ、"alone"のPVのときにとった映像だ。オフショットも入ってる。
おまえ一人のところだけをつなぎ合わせるの、結構手間だったんだぞ」
ほとんどNANAちゃんとのシーンだったからな、と社長が言う。
「やっつけの割には、よくできてるだろ。
そろそろ渾身のラストシーンだな、感動間違いなしだ」
はぁ?と言おうとして、そこに映し出された姿に絶句する。
「こ、こんなのいつのまに撮って…?あ、いや…」
霧のようなエフェクトの向こうで、照れくさそうに微笑を浮かべる姿。
白いワンピース。ショートの髪。小首をかしげ、うつむく。
それは幻想のようにふんわりと消え、また、自分の後姿。そして曲が終わる。
会場がしんと静まり…わぁっと歓声に包まれる。
その余韻に割って入るかのように、事務所の広報スタッフが廉のソロの説明を始めた。
PVの一般公開はいつから、発売予定はいつ…コンセプトは…。
客席からはいちいち悲鳴のような歓声が上がる。
廉はそれをまるで別世界の出来事のように聞いていた。
「てか、さっきの白いワンピース、もしかして…み」
「あったり!俺、俺、俺でーす!」
いつの間にか真横に来ていた美男がはいはいはーいと手を上げる。
「やっぱりおまえか!」
思わずいつものノリで叫ぶ廉。美男が、廉の首に腕を絡ませる。
「れーん、一瞬マジで美子だと思ったな?
一瞬でも廉でさえそう思ったなら完璧だな〜。社長、ミッション成功だろ?」
「ああ、やっぱりYOUはパーフェクトだな」
…頭痛が…。廉は思わず額を押さえる。
「ほんとにさぁ、パーフェクトすぎて、俺引いたもん」
「驚いたよ、ここまで似せるとはね。笑い方とかそっくりだ」
勇気と柊が口々に言った。
いや、それはいいんだが、つまり、これはどういうことだ?
「つまりな、廉」
社長の目は見たこともないほどやわらかい。
「この場合、責任を取るべきはそもそもライブ前におまえを美子のところへ行かせた俺だ。
ライブ直前に曲を変えることを許可した俺だ。
おまえがどういう行動をとるか予測できなかったのか、と思われても仕方のない俺だ」
「社長…」
「でな、廉。大人はずるいんだ。ここをビジネスチャンスにしようかなと思ったんだよ」
社長の声が遠くから聞こえるように、廉には思えた。
穏やかな表情のまま、社長は言葉を続ける。
「このPVは、そのために、おまえが曲を変えると言ってすぐに作った。
美男の"alone"と対にして、おまえの"Miss You"をソロとして打つ。
おまえのあれは、A.N.JELLの歴史に残る、そのプロモーションだったんだよ」
「社長!俺は!」
意味を理解し思わず叫ぶ廉を、社長は手で静止する。
「わかってる。おまえはそれをよしとはしない。隠すのは性に合わないって言うんだろ。
これはただの時間稼ぎだ。美子がアフリカにたつまでの。
YOUは、出発前の美子を騒ぎの渦中に放り込むつもりか?」
廉は黙り込む。
「もちろん本当にソロシングルは出すさ、ますますA.N.JELLの名はあがるだろう。
こんなタイプの歌も歌えるのか、ってな。
おまえの曲じゃないから、ファンには新鮮に聞こえるだろうし、
古い人気曲だからこれまでとは違うファン層も広がるだろうな。
でも、それとおまえが会見やらインタビューやらで話をするのは、また別の話だ。
そうしたいとおまえが言うなら、時機を見てちゃんと設定すればいい。
美子が出発して、すぐあとでもいいんだ。おまえがそうしたいなら」
たまには年長者の意見も素直に聞けよ、と言われ、廉はうつむく。
「それと水沢麗子さんだが、おまえか美男なら喜んでこの曲を譲るとおっしゃっていた。
本来は美男のものなのだろうが、美男さえよければおまえでも、と」
知っている。社長はすべて知ったのだ、と廉は悟った。
横でいつのまにかまじめな顔をしていた美男が、首をすくめて廉に言う。
「俺は、べつにこの曲にそんなに執着ないから、廉にやるよ。
てか、廉が美子にやるんだったら、結局俺らのとこに帰ってきてることになるしな」
おまえは、この曲を美子のためだけに歌ったんだろ?と美男が問いかける。
その真剣なまなざしに、思わず廉は頷いた。にっといたずらっぽく笑う美男。
「じゃあ、おまえにやる。俺は、いーらないっ」
「商談成立だな」
社長が言った。
「とにかく、しばらくでいいからこのプロモーションに乗れ。
で、とりあえず今は思いっきりライブしてこい、誰にも文句言わせないように」
ばん!と思いっきり背中をたたかれ、廉は思わずむせた。
「っ!なんだよ…」
「じゃ、広報のプレゼンも終わったみたいだし、そろそろ出ようか」
「いくよ、廉さん!」
「リーダー、ぼーっとしてんなよ!」
柊と勇気、それに美男にも肩をたたかれ、廉はどこか自分が安堵したのを感じていた。
壊れなかった、自分の大切な居場所。
結局は社長の手の中か、と思わないでもないけれど。
混乱した気持ちの中、考えていた。
事は自分が思った方向とはまったく違うほうにいきそうだ。
でも、それに乗ってみるのもいいのではないか、と。
*
「じゃあ、廉さんの"Miss You"がCD化されるんですか」
「うん、そういうことになった。でも、俺はごまかすのは好きじゃない。
だから、おまえがアフリカに行ったらすぐにちゃんと話すことにした。
曲を売るための話題づくりって言われるかもしれないけど、例のほら、記者の3人組…」
インパクトがある割には名前が出てこない。
すぐに事務所にアポを取ってきた彼らはなんだか妙に感動していて、
「二人に不利のないような記事にするから、絶対自分たちにインタビューをさせてくれ」と頼んできたらしかった。
その時点で、要するにバレてんじゃねーかよ、と思わないでもなかったが…。
「とりあえずはあいつらに独占インタビューってことにして、そのあと状況を見て会見するかもしれない」
廉が美子をまっすぐに見つめた。
「心配すんな。おまえが帰ってきたときに誰にも文句言わせないように、全部ちゃんとやる」
「廉さん…」
美子がうつむく。
「私のせいで…また廉さんに迷惑を…」
「だからそれを言うなって」
うつむいた美子の頭をわしわしとわざと乱暴に撫でた。それからぎゅっと抱きしめる。
「これについては俺が勝手にやったことだからな。
正直社長の考えにはびっくりしたけど…。おまえに迷惑がかからなければ、それでいい」
と、からだを離して、
「ま、おまえが俺に迷惑かけてんのはいつものことだろ。
そもそもおまえが俺をおいていこうとしてんのが、一番迷惑かかってんだからな」
と、冗談めかして言った。
「…PVのラストシーンて、お兄ちゃんが女の子の格好をしてたってことですか?」
ふと思い出したように美子が言った。とたんに廉が渋い顔になる。
「…あれ、なあ…」
「よくお兄ちゃん、そんなことしましたね」
小首をかしげて言う美子を見て、あのラストシーンの仕草は本当にそっくりだった、と思い返す。
「社長がさ、美男に言ったんだと」
「なんて?」
「"YOU!一度くらい逆をやってみなよ!男だろ!"って」
ピシッと指を向ける。
美子がくすくす笑い出した。廉さん、社長の真似上手ですね、初めて見ました。などと言いながら。
「それで、ミッション、なんですね」
「美男が言うにはさ、おまえは3ヶ月やっただろ。1回くらいで文句言ったらおまえに負けたみてぇで悔しいなと思ったらしい」
「…お兄ちゃんらしいです」
負けず嫌いなんですよ、お兄ちゃんは昔から。と美子がちょっと笑う。
「やるとなったら完璧主義ですしね。そういうとこ、ちょっと廉さんと似てます」
「俺と?どこが?…てか、おまえブラコンかよ」
急におもしろくなくなった廉がぶすっとして答える。
美子はやきもち焼きなところも似てるとおかしくなるが、また廉がすねると嫌なので「そんなことないですよ、廉さん」とだけ答えた。
*
「俺が廉に言いたいのはさー」
ライブ終わりに美男が、廉に言った。
「美子を大切にしてくれよな、ってことだけ」
冗談めかしたように首に腕を絡ませながらいう美男の目に、本気の色を見る。
うるせーよ、当たり前だろ、と言おうとして…廉は言葉を変えた。
「わかってる。…大切にする」
廉の表情を見て、納得したように美男が頷いた。
が、真剣なのは一瞬でまたにぃっと笑う。
「よっぽど寂しかったら、おにーちゃんがまたワンピース着てあげるから」
首筋をつつっと指でなぞられ、廉は真っ赤になる。
「アホか!いらねえよ!うるさいんだ、おまえは!」
「なんだよ、照れんなよ、あれ大変だったんだぞ〜。
俺、着替え終わってたのに全部メイクもしなおしてさー」
そう言って、ふふっ、と例の美子の仕草のまねをする。
だからやめろって!と廉はまた叫んだ。
「俺のシーン入れたのなんか、おまえが歌ってる最中だったんだからな」
「そんなにぎりぎりかよ。よく間に合ったな」
「…でも、社長はおまえが会場に美子を探しに行ったときから考えてたみたい。
もしかしたらその前からかも。
なんか事務所に電話したりして、指示出してたみたいだった。
多分…美子が見つからなければ、おまえがあの曲を歌うだろうと思ってたんだろうな」
すべてを知った社長なら、そう思ったとしてもなんの不思議もない。
もともと機を見るに敏なタイプだし、人の心理も読む。
豪快に見えて、細かく気を遣うタイプだ。
おそらく自分が美子のところへ行ったことを知って、その時点であらゆる方向で手を打ったのだろう。ソロだのPVだのはそのうちのひとつに過ぎない。
かなわねーな、と廉は思う。
「ま、とにかくさ」
美男が廉の肩をたたいた。
「かなりの大騒動の末、くっついたわけだ。ほんと、大事にしてやってくれよな」
うるせーな、と言いたいところだったが、そのとおりなので黙り込む。
「それとさ…」
そう言って、美男は廉の耳に口を寄せた。やめろよ、と言おうとしたところへ、一言。
「あいつ、絶対初めてだからさ。…"優しくしてね、廉さん"」
美子の声色でいわれ廉は耳元まで真っ赤になった。とっさにいつもの毒舌も出てこない。
美男は、「このくらい言わせろよなー、かわいい妹をやるんだからさっ」などと言いつつ走っていった。
「美男、おまえ、ふざけんなよ!」
突然走り出した美男と突然叫んだ廉を、スタッフが怪訝な顔で眺めていた。
廉の叫びを背中に聞きながら、美男は思う。
美子はバカ正直だ。でも、廉もカッコつけてるだけで実はいい勝負だ。
同じくらいバカ正直な男なら美子を任せられる。
…廉で、よかった。
*
「廉さん?」
美男にいわれたことを思い返して、思わず黙り込んだ廉を不思議そうに美子が見ている。
「どうかしたんですか?」
「あ、いや…なんでもない」
言えるか、どいつもこいつもそんなことばかり言って俺を煽ってる、とか!
つーか、そもそも煽られなくてもそんなことで頭いっぱいの俺だ、とか!
いやいやいやいや、そうじゃなくて!
廉は、意識しまくっている自分を自覚する。
さっきから美子に対して余裕ぶったことを言っているのは、この自意識の裏返しだ。
わかってる。わかってるから、落ち着け、とりあえず、落ち着け。なんかないか、別な話!なんか…
「あ、そうだ」
「はい?」
突然思い出し、廉は鞄からがさごそとかわいらしいラッピングの箱を取り出した。
不思議そうに美子がそれを眺める。
「わ、かわいい箱…。あー!これ!チョコですよね!」
見覚えのあるロゴに、ぱっと美子の顔が輝く。
その表情を見て、勇気の慧眼に廉は感心した。
そうかこの店のチョコか、覚えておこう。そんなことを思いながら、正直に言った。
「差し入れだ、勇気からの」
「勇気さん?あ、前にバラエティにふたりで一緒に出たとき、いただいて食べたんですよ。
すっごくおいしくって…。うれしい。これ、食べていいんですか?」
包みに手を伸ばそうとする美子を静止し、廉はぺりぺりと包装をはずした。箱を開け、うやうやしく美子に指し示す。
「いくつでもどうぞ、美子さん?」
「やだ、廉さんってば。一緒に食べましょう」
幸せそうに微笑む美子を見て、廉もなんだかうれしくなる。
「前に食べたときも、本当においしくて廉さんと一緒に食べたいなって思ってたんです。
勇気さんと、持って帰って4人で食べたいねー、なんて話してたんですよ」
そう言って、ひとつ頬張る。
「おひしひ…」
「おまえ、口に入れたまましゃべんな」
えへへ、すみません、と美子が笑う。
もう一個食べちゃお、と言って、もうひとつ口に入れた。
「廉さんもどうぞ」
「ん、とりあえず俺はいいや。おまえ好きなだけ食えよ」
チョコを食べてる美子を見てるのがなんだか幸せだから、とは恥ずかしくて言えなかった。
「廉さんも食べたらいいのに」
「いいって」
「なんでですか」
言い募る美子に対して本当のことが言いにくい廉は、雰囲気読めよ!と八つ当たり気味に思う。
ふと、ちょっとしたいたずら心が芽生えた。
「じゃあさ、味見させろよ」
「もちろんです!」
笑顔で箱を差し出した美子から、さっと箱を取り上げ、チョコをつまんだ指をぺろりと舐める。
「な、な、なんでですかー!?」
思わぬ行動に美子が真っ赤になって叫んだ。
「チョコの味見ですよね!?なんで、指…」
叫ぶ美子に澄ました顔で廉は答える。
「いや、チョコついてるかなあと思って」
「ついてませんよ!溶けてないですから!ここ、そんなに暑くないです!」
混乱のあまりとんちんかんな返答をする美子がかわいくて、もっと意地悪をしたくなる。
「あ、そっか。指じゃなくてこっちだったか」
そう言って、すばやく口付ける。
あ。と言って、美子のからだがかたくなり…一瞬後、力が抜けた。
甘いチョコの香りと美子の香りが入り混じって、廉の欲に火をつける。
「美子…これじゃ、味がわかんねえ…」
ほんの数ミリ唇を離し、廉が言った。額をこつんと当てて、じっと見つめる。
「もっと、ちゃんとしたキスじゃねえと、チョコの味わかんねえな…」
「廉、さん…」
熱い廉の息に触れ、美子の息も熱くなる。
もう一度、そっと廉が口付けた。美子は目を閉じる。
触れるだけの穏やかなキス。
どんなに自分が美子に触れることを望んでいるか。
どんなに自分が美子に触れて欲しいと思っているか。
もっともっと美子に伝えたい。感じてほしい。
「うん、確かにうまいな、このチョコ…。もっとよこせよ」
チョコのせいにして、廉は頭の後ろに回していた指にそっと力を込めた。
本当にチョコの香りの残る美子のふっくらとした唇を吸う。
美子はびくりとからだを震わせた。
そのやわらかな感触を自分の唇で確かめるかのように、廉はゆっくりと美子の唇を吸い上げる。
美子が何かを訴えるように口を開きかけた。
廉はその隙を見逃さず、しかし、そっと優しく舌を差し入れる。
美子は驚いたように目を見開いたが、廉の舌に翻弄され、何も言えなくなった。
すべてを味わおうとする廉の貪欲な舌は、美子の何かをこじ開けていく。
「んんっ…」
思わず漏れる声に驚いた。これ、私の声?
廉はその声を聞き、腰にまわしていた腕に力を込めた。
ぐっとからだが密着し、廉の熱がからだからも舌からもダイレクトに伝わってくる。
どうしよう、これ、好きかも…
美子はくらくらする頭で考える。私、チョコに酔ったのかな。
もっと、してほしい。もっと、廉さんを感じたい。
でも…こんな私、いやらしい、って思われないだろうか。
身動ぎをした美子に気がついたのか、廉がそっと唇を離した。
「あ…」
美子が名残惜しげに唇を見つめる。もっと、このままでいたかったのに…。
「…どうした?」
ぼんやりと見上げる美子に、廉が尋ねた。嫌だったのか?と不安になる。
「廉さん、廉さん…」
美子がそっと廉の頬に手を添えた。
「私のこと…嫌いにならないでくれますか」
その言葉に、廉はどきりとする。やはり嫌だったのだろうか。
「美子、もし、嫌なんだったら…」
今、無理強いするつもりはない、と言おうとして、美子の言葉にさえぎられる。
「私がいやらしくても、嫌いにならないでくれますか?
廉さんに触ってもらってどきどきして、…もっと触ってもらいたい、って思ってるって言っても」
まじめな顔でそんなことをささやく美子に、おかしさと愛おしさを感じた。
そっと頭を撫でる。天然でこんなことを言うんだから、たまったもんじゃない。
「バカだな、そんなふうに誘われたら、途中で止められないぞ」
「っ!私、誘ってなんかっ…」
「誘ってるだろ、味見じゃなくて、もっとしろ、ってな」
わざと、さっきよりも強引に腰を抱く。
あ、と声を漏らして、自分の胸に崩れ落ちた美子にニヤリと廉が笑って見せる。
「そんなかわいいこと言って、ただで済むと思うなよ」
さっきのキスとは比べ物にならないくらい、激しく舌がうごめいていた。
美子の頭は真っ白になる。
なんとかそれに応えようと思うのだけれど、廉に必死でしがみつくのが精一杯だ。
廉はそんな美子がかわいくて、もっと自分にしがみつかせたくて、
美子の口内の隅々まで味わいつくす。
「んんんっ」
時々、漏れる声が廉を刺激した。
腰の手を徐々に下に滑らせ、太ももから背中のラインを撫で上げると、
美子はこらえきれないように声をあげた。
色づいた声に、廉は煽られる。もっともっと聞きたい。
その気持ちに急かされ、いきなりワンピースの裾をたくし上げると、美子はぎゅっとからだを硬くした。
さすがに煽られすぎて急いだかと、廉はそっと裾を降ろす。
顔を離し、美子を見つめた。裾にかかっていた手のひらを持ち上げ、美子の髪を撫でる。
「できるだけ、優しくしてやる」
言葉とは裏腹な、熱くたぎったまなざし。その中に浮かぶ廉の優しさを見つけ出し、美子は胸が熱くなる。
「廉さん…」
「でも、どうしても嫌だったら言え。無理やりしたいわけじゃない。
俺はおまえに触れたいけど、おまえがどうしても嫌なら、待ってもいい」
素直な廉の言葉に、美子は涙が出そうなほど穏やかな気持ちになった。
「さっきは、私が誘ったから途中で止めない、って言ったのに…」
美子の言葉に、廉は耳を赤くする。
「なんだよ、そんなこと言うなら、嫌だって泣き叫んでもやめねーぞ」
くすくすと美子は笑った。
「嘘です、廉さんはそんなことしませんよ」
「わかんねぇだろ、俺だって男だからな」
ぶすっとむくれたような表情で言う廉に、愛おしさを感じる。強ばる気持ちが解きほぐされていく。
この気持ちを、ちゃんと言葉で伝えなくては。
「怖いです」
そっと廉の腕に触れながら、美子が言った。
「初めてだし、その、そういうこと、ちゃんとは知らないし、怖いです」
「美子…」
「でも、廉さんが触れたいと思ってくれるように、私も廉さんに触れたい。
さっき、…その…触ってもらってうれしい、って思ったのもほんとです。
その続きにあるものなら、廉さんが私を思ってしてくれることなら、
私は廉さんと一緒にそこに行きたいです。怖いけど、廉さんとなら…」
まっすぐに、廉を見つめた。ちゃんとこの気持ちは伝わっただろうか…。
不安に思う美子の前で、廉が赤くなり、横を向いた。
「おまえ、やっぱり天然小悪魔だろ。おとなしい顔して、近づくとこれだ…」
ぶつぶつとつぶやく廉。
「え?え?私、よくないこと言いましたか?」
「だーかーら!これ以上俺を煽んな!たく、おまえは!」
「え?え?」
戸惑う美子の手を引き、廉はベッドへいざなった。
一気に押し倒してめちゃくちゃにしてしまいたい衝動を押さえつけ、そっと壊れ物を扱うように、美子を横たえる。
「ほんとに、もう止めねえからな」
視線だけで、くらくらする。
ちょっと掠れた声にどきどきして、おかしくなりそうになる。
「…はい、廉さん…」
美子は目をそっと閉じた。
「あ、ああ…ん、んん…はぁん!」
首筋からゆっくりと降りてきた廉の舌が、ふくらみの先端を捉える。
口付けを交わしている間から、ふんわりと形のよいそのふくらみを廉は手の中で遊ぶように転がし、揉みしだいていた。
気がつけばすべて素肌をさらされ、そんなことを受けている自分。
それだけでも美子にとっては感じたことのない恥ずかしさとからだに漂う甘みを引き出す動きだったのに、
それに加えて先端にしっとりとした感触を感じたものだから、思わず声を上げてしまう。
その声は、廉の熱さをますます高めていた。媚薬のように、美子の声は廉の欲望を煽っていく。
ふくらみのやわらかさと対照的に、その先端は徐々に存在を主張し始めた。
舌先で感じる変化に、廉は満足する。
さらに執拗に舌で転がすと、美子がびくりと体を動かした。
「感じてるのか?」
思わず廉が聞くと、美子は真っ赤になる。
「わ、わかんないですけど…びくって、します…その、そこ、あの…な、舐められると…」
「ふぅん」
舐められる、とか、やらしいこと普通に言うなよ!この天然小悪魔!と思いながら、廉は平静を装う。
「じゃあ気持ちいいんだな、これ」
そう言って、さらに舌を這わせようとすると、美子が小首をかしげる。
「これ、気持ちいい、ってことですか…?」
「俺は女じゃねぇからわかんねーけど…そうだと思うぞ」
「そうなんだ…。廉さん、私、気持ちいいです」
頬をほんのりと桜色に染め、潤んだ目で美子が廉を見上げる。
…この天然小悪魔をどうしてくれようか。廉はさらに激しく先端を攻め始めた。
「あ、あん、廉さん、いやん、はあ…んっ」
からだ中がおかしくなったみたいだ、と美子は思った。
触れられているふくらみのその先が気持ちよいはずなのに、
そこだけではなくて、もっと奥のほうからなにかじわりとしたものがこみ上げる。
廉から与えられる刺激がからだの中で何かに変換されて、一番深いところに熱さと疼きを与えている。
「廉さん、変です…」
それを言葉に出してみる。
「変?どうした?」
「なんか…おなかの、奥のほうがじわってくるんです…はぁ、ん、胸も苦しい…」
だから、奥のほうがじわってくる、とか言うな!
冷静に突っ込みたい気分と、その言葉でダイレクトに煽られる欲情と、
純粋な美子へのいとおしさで、廉は頭の中がめちゃくちゃになる。
「俺を好きだからだろ」
「え?」
「俺を好きだから、胸が苦しいんだ」
「そっか…そうですね…」
「奥がじわってくるのは…」
そう言って美子の膝に手をかける。そっと足を開かせる。
「俺を欲しいからだろ」
「っ…そんな…」
一瞬強ばって閉じようとした足は、廉の手によってこじ開けられた。
美子が顔をそらす。それには斟酌せず、廉はそっとそこに指を伸ばした。
「ああ!や、廉さん、そんなとこっ…!」
触れられたことのない、自分でも見たことのないところに
廉の視線と指を感じ、美子は言いようのない羞恥に包まれた。
「ほら、もうこんなに濡れてる…」
すでにとろりとしたものを纏わせているそこを、廉の指が撫で上げる。
「なんで、濡れるかくらいは知ってるか」
「あ…は、はい…なんとなく、は…」
「気持ちいいからだろ、それと…俺を受け入れるためだ」
あ…と美子が声を上げる。
そうか、この不思議な感じは、廉さんを受け入れるためなんだ。
気持ちいいのも、廉さんを受け入れるための準備なんだ。
未知の刺激が怖いのに、もっと、と思うのは、だからなんだ。
それなら、怖くない。それなら、もっと感じたい。
「なら…もっと、こんなふうになったほうがいいんですね…」」
その言葉に、廉は頭の奥がしびれ、理性がぶっ飛ぶほどくらくら来た。
優しくしようと思っているのに、煽られた本能が性急に指をそこに差し入れる。
今まで何も受け入れたことのないそこは、きつくて、だが強引に進めると廉の指を締め付けた。
「痛っ…」
美子が声を漏らす。廉は、ゆっくりと、しかし確実に指をおし進める。
奥まで入りきったところで、美子に声をかけた。
「わかるか、俺の指がおまえのここに入ってる」
違和感からか軽く眉を寄せる美子に、廉がそういうと美子は
「はい、なんだか…変な感じです…痛いし…」
と答える。
「我慢できないくらい痛かったら言えよ」
そう言って廉は指をそっと動かし始めた。
初めは苦しそうにしていた美子の顔が緩み、徐々に甘い吐息を漏らし始める。
くちゅくちゅと音を立ててあふれ出し始めたそこを廉は指先で感じる。
「あ、ああ…ん、はん」
美子の吐息に煽られ、指が速くなる。
あふれ出たとろりとしたものを別の指に擦り付け、廉は美子の一番敏感なところに触れた。
すでにぷっくりと形を示し始めていたそこは、廉にこすられ立ち上がる。
「あああああ、や、はぁん!廉さん、そこ、…痛い…」
「ここか…」
美子はいやいやをするようにからだをよじった。
刺激が強すぎるのか目には涙を浮かべている。
廉は、動かしていた指を止めた。
そっと涙を唇で吸い頬を摺り寄せたあと、微笑んで美子を見る。
「指だと痛いんだな?」
そう言って頬にひとつ口付けを落とすと、開かせた足をさらに押し広げ、
そっとそこに口付ける。
「や、だ、廉さん!だめ!」
廉はその敏感な芽に舌を這わせた。
刺激が強すぎないよう、できるだけやわらかく包み込む。
「だめ、だめ…ああん、廉さん、そんなとこ、だめ…」
美子が必死で訴えた。
恥ずかしさと感じたことのない疼きで頭がおかしくなりそうだ。
潔癖症の廉さんが、そんなところに、そんなことするなんて…信じられない。
舌を這わせていた廉がちょっと笑って言った。
「なんで?どうしてだめなんだ?」
「だって、廉さん、そんなところ…汚い…」
真っ赤な顔でいう美子に、廉は涼しい顔で答える。
「俺がしたいんだから、しょうがねぇだろ。それに、綺麗だ。だから気にすんな」
そう言って、再び舌を這わせ、優しくそこにキスをする。
「ああん!」
優しいキスは少しずつ熱を帯び、指の動きとあいまって美子のからだを追い詰めた。
くちゅくちゅとした水音と、聞いたことのないような自分のいやらしい声が、美子をどこかへ連れて行く。
「や、やん、廉さん、どうしよう、なんか、変ですっ…!」
そのまま甲高い甘い声を上げ、美子は足をがくがくと震わせた。
奥から何かがあふれ出すのを感じると同時に頭の中が真っ白になった。
ひくひくと息づくそこをみて、廉は美子が達したことを知る。
あまりのかわいらしさと甘やかな声に、自分ももう限界が近いことを感じた。
必死でこらえ、美子の頭をそっと撫でる。
「おまえ、ほんとにかわいいな」
美子は荒い呼吸で、答えることもできない。
「そろそろ、大丈夫、かもしれねえな…」
廉がひとりごちた。頭が真っ白な美子にはその言葉は届かない。
息を乱し、頬を染めている扇情的な美子を見て廉はいろいろな思いがあふれ出した。
「…美子」
「は、はい…」
「痛かったら言えよ。つーか、多分、すげえ痛いんだと思う…
でも、俺はおまえを俺だけのものにしたい。俺たちがしてるのはそういうことだ。
…できるだけ優しくする。ちょっとだけ、我慢できるか」
そこまでまじめに言う必要があるのか、と自分でも思わないでもなかったが、
これは大切なことだ。
今まで、きちんと伝えてこなかったから、傷つけ、すれ違い、自分も傷ついてきた。
美子が伝えてくれた気持ちに、ちゃんと自分は応えなくてはいけない。
「私が、廉さんだけのものに…?」
潤んだ瞳でまだぼんやりとしたように美子が言う。
繰り返されると、とたんに自分の言ったことが恥ずかしくなり廉は真っ赤になった。
「いや、俺のもの、っつーか…」
「…うれしい」
美子がゆっくり微笑む。
「私、廉さんだけのものになれるんですね…」
まださっきの快楽の余韻が残っているような、ゆるゆるとした仕草で美子は廉に抱きついた。
「私を、廉さんだけの、ものにしてください…廉さんが…欲しいです」
今度こそ廉の余裕と理性はすべて吹き飛んだ。
「欲しいのは俺も同じだ。逃げんなよ、おまえは俺のものだ」
自分でも驚くくらいに質量をもったものを、美子のそこにあてがう。
と、ぶっ飛んだ理性の破片が警告を発した。
「あ、でもちょっと待て」
「え?」
目を瞑って覚悟を決めていたような表情の美子が、廉の言葉に戸惑い目を見開く。
あぶないところだった、これからアフリカに向かう美子に、危ない橋を渡らせるわけには行かない。
この場合勇気に感謝すべきか、と思いながら、枕元にこっそり置いておいた小さな袋を破った。
「目ぇ瞑ってろ。こっち見んなよ」
美子に言うと、その中のものをとりだした。美子が素直にもう一度目を閉じる。
「廉さん?」
なかなかうまくできない自分にいらだちながら、戸惑う美子に声をかける。
「俺はさ…おまえとなら、いいなって思うけど…今はそのときじゃないからな」
さっきまでの掠れた声とは違う廉の優しい声色に、美子は思わず目を開いた。
「こっち見んな、って言ったろ」
振り返った廉が頭を撫でる。照れたような顔がとてもかわいくて、美子はうっとりする。
「すみません…」
「でも、このあとは俺だけ見てろよ」
「…はい」
言って、美子はもう一度覚悟を決めた。
ぶっ飛んだ理性がちょっと戻ってきたことで、廉に少しの余裕が生まれる。
あぶねーとこだった、あのままだったら優しくするとか無理だった…。
そんなことを思いながら、再びそれをあてがって、美子に声をかける。
「痛かったら、言えよ」
もう一度そう言って、腰をゆっくりと推し進めた。
「あっ…痛っ…」
美子が眉を寄せる。必死で痛みに耐えているのがわかる。
いったん動きを止め、美子の気をそらすように頭を撫でた。
「息を吐け、力抜けよ」
自分もすぐに持っていかれそうになりながら、廉は美子に声をかける。
言われたとおり細く細く息を吐く美子に、廉はどうしようもない愛おしさを感じる。
が、それとは別にもっと押し進めたい衝動も湧き上がるのを感じていた。
どうしようもねえな、男ってのは。
痛い思いなんかさせたくないのに、泣き顔も見たい。
優しく口付けを落としながら、ぐっと腰を押し付けると美子が声を上げた。
「あっ…廉、さん…」
「ほら、全部入ったぞ、わかるか」
必死で耐えながら、美子がうなずく。
「わかり…ます…」
そのままぎゅっと抱き合った。
本当は、もうすでに自分自身も限界で、めちゃくちゃに腰を動かしたいけれど。
それよりも美子を抱きしめてやりたくて。
「痛くないか」
「痛いですけど…大丈夫、です」
けなげに答える美子がいとおしい。
「愛してる…」
耳元でささやくと、美子が苦しそうな表情に微笑を乗せる。
「私も、愛してます…生まれてきて、よかった。廉さんと会えて」
それは俺のセリフだ、と廉は思った。
おまえに会えて、初めて生まれてきてよかったと思えたのに。
だからこそ、母親と向き合うこともできたのに。
「おまえ、この状況でそれは反則だぞ…」
美子のからだに体重をかけすぎないよう、気をつけて美子を抱きしめた。
「どうして…ですか、…本当なのに」
言い募る唇をふさぐ。これ以上何か言わせてたまるか、と思う。
深く口付けると、美子は声を漏らした。
「んんっ、はあ…」
そのまま激しく舌を絡めると、美子の腰がほんの少し揺らめいた。
廉は唇を離し、熱い息を美子の耳に吹きかける。
「動くぞ…」
ゆるゆると腰を動かすと、貫かれる痛みに美子は始めは苦しそうに息を詰めていたが
徐々に甘い声を上げ始める。
その声だけで上り詰めそうなところを耐え、廉は美子の中を擦り味わう。
「あ、あ、あ。廉さん、廉さんっ…!」
美子にはもう余裕はない。
けれど下から見上げる廉がいつもとは違う顔を見せていることに満たされる。
汗をしたたらせ自分の上で動いている廉は、どうしようもないくらいいとおしかった。
「廉さん、廉さん、廉さん…」
もう意味のある言葉は発することができない。
大好きな人の名前を呼んで、いやらしくあえぎ声を出すだけだ。
けれど、廉もまた余裕はなかった。
美子の甘く色づいた声で名前を呼ばれるだけで、すべて吐き出してしまいそうになる。
その前に、と廉は思う。
これだけは伝えておかなくては。
自分自身の乱れた呼吸に邪魔されながら、廉はささやいた。
「俺もおまえだけのものだ、美子…」
「れん、さん…」
きゅっと美子の中がしまり、美子は長く甘い嬌声を上げる。
同時に廉もまた、美子の中ですべてを解き放った。
>>456 投下に加えてスレ立てまでなんて、二重に乙です!
こんなに素敵な投下が相次ぐなんて、驚いたな…
良作ばかりですごいっ!
久しぶりに廉美子がたくさんで嬉しい
スレ立て乙です!
>>456 スレ立て乙そして超GJ
こっちのスレまだ書き込めるみたいだけど埋めなくて良いのかな?
廉美子も沢山だし、しかもどれもこれも良作揃いですごく嬉しい!
あと1KBだと???
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梅
うめ
うめ
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うめ!!!!!