【キノの旅】時雨沢恵一総合スレPart?【アリソン】

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205名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
こんばんは24です。久しぶりにアップしてみます。
シズキノしかかけないのでご容赦ください。

 ベンチの背もたれの後ろに駐車された、銀のタンクを持つモトラドが声を出した。
「キノ、いつもの言えばいいじゃん」
 キノと声をかけられたベンチに座った旅人が振り向いて聞く
「いつもの?なんだい」
「シャワーとベッドのあるちょっと安くていいホテルにはやく行きたいんですって」
 キノは顔を赤くした。
「エルメス、今ここでそれをボクが言ったらダメなの、判らないかい?」
「なんで、ここに来る直前まで言ってたのに」
 キノの隣に座っている青年が言う。
「それは、失礼。
 キノさんは旅で疲れているんだから当たり前だね。
 じゃあ、いいホテルを紹介するよ」
「ありがとうございます。シズさん」
 バギーを取ってきます、とシズと呼ばれた青年が飼い犬である大きい犬を連れてベンチを立って去る。
 ほっとキノが安堵のため息をついて、エルメスと呼んだモトラドの横に立って行き、ポカンとタンクをたたいた。
「キノ、ひどいなぁ」
モトラドが言った。
206名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
205 続き
「シズさんが、良いほうにとってくれたからいいようなものの、そんなのハシタナイと思われるよ」
キノが言う。
「シャワーとベッドのあるホテルに行きたいってハシタナイかな」
 キノは怒った顔でモトラドを見る
「……ごめん、そうかキノ」
「そう」
「ちがう意味に取られたら、とんでもなくハシタナイね」
「そのとおり、国に入って真っ先にシズさんに会えたのはいいんだ。
 けど、いつものそれをシズさんに言って意味を取り違えたらとんでもないことになる」
「でも」
「?」
「キノはそういう気持ち、ちっともないの?」
 キノはちょっと困った顔になった。
「うん、実は、……あるかな」
 キノは口元を押さえてちょっと首をかしげて考えるしぐさをする。
 ベンチの側の木の梢がゆれて、木漏れ日がキラキラと光った。
「でも、シズさんに呆れられるのはイヤだよ」
「そりゃそうか」
「そうだよ。
 だから、とりあえず『今日の夜食事をごいっしょしましょう』って言ってみる」
「うん、それは穏便だね」
「それで、なごやかに食事が出来たら、そのときにがんばって誘うよ」
「がんばってねキノ」
 キノがエルメスの言葉にうなずいてきゅっとこぶしを握る。
 そして振りかえって驚いた。
 足元に毛足の長い白い大型犬がしっぽを振って座っている。
 さっきシズといっしょに居た飼い犬だ。
「陸君!……いつからそこに?」
 陸と言われた大型犬が答える。
「キノさんがモトラドをたたいた時からおりました」
 シズさんは?と問いかけながらキノが視線をあげると、陸の後ろの程近くに立っていた。
 シズは申し訳なさそうな顔をしていた。
 キノが帽子のひさしに手をやって下を向いた。
「……ごめんなさい」
207名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
206 続き

 シズがゆっくりキノのそばに歩いてきた。
「キノさんあやまることはありません。
 こちらこそすまない。立ち聞きするつもりはなかったんです」
 シズはこわごわとキノの肩に手をのせて、下を向いたままのキノが嫌がらないのを確かめてから、そっと抱き寄せた。
 耳元に顔をよせて小さい声で話す。
「今すぐキノさんを私の家に連れて行っていいですね」
 キノが小さくうなずく。
 シズはエルメスの荷台の荷物を、手早くバギーに乗せかえ、エルメスの後部にキノを座らせてエンジンをスタートさせた。
「陸、バギーの荷物番を頼むよ」
 シズは陸に声をかけると返事をまたずにエルメスに乗って走り出した。
「しっかりつかまっていてくださいね」
 シズはキノが身体に回した手を軽くたたきながら声をかけた。
208名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
207続き
 久しぶりのシャワーを念入りに浴び、キノは用意されていたシャツに袖をとおした。
「わ、大きい……」
 肩も袖もまるで大きさがあっていない。
 洗面所の鏡に写った、だぼだぼのシャツを着た自分の顔を見て、髪をもう一度ゴシゴシとタオルで拭いた。
 先ほどの自分の失態を思い出して、恥ずかしさに顔が赤くなる。
 タオルをタオルかけにひっかけて、廊下に出てすすむ。
 さきほどシズが居たリビングには誰もいなかった。
 キノは、ふっと息をはいてシズの部屋の前に立った。
 ちょっとドアをにらんでから、小さくノックをする。
「どうぞ」
 部屋の主の声がした。
 ドアを開けると、シズはTシャツにジーンズの姿でベッドに腰掛け新聞を読んでいた。
 窓のレースのカーテンからは太陽光が入ってきていて、清潔な部屋を照らしている。
 シズはキノに顔を向けてにっこり笑うと、膝の上新聞紙を畳む。
 キノはドアをひいた姿勢のまま動けなくなった。
「バギーに荷物を置いてきてしまったので、代わりにと思って俺のシャツを出したんですが、やっぱり大きすぎますね」
 新聞紙をサイドテーブルに投げるように置き、シズが言った。
 キノは、やっぱり動けないでいた。
 シズはちょっと考えるようにした。
 それから両手を広げて
「キノさん、おいで」
 と言った。
209名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
208続き
 キノは小さくうなずくと、部屋に入りシズの側に行く。
 キノが手の届く位置に来たところで、シズはキノを手で引き寄せてゆっくりと抱き寄せた。
 されるがままに抱きしめられ、キノはシズの首におずおずと手をまわした。
 シズはキノを、抱き上げて自分の膝の上に座らせ、キノの髪をやさしく撫でた。
「シズさん、ずるいですね」
 キノがつぶやく。
「え?」
 シズが驚いて身体を引いて、キノの顔を見た。
 頬を赤らめてキノはシズを下からにらんでいる。
「俺がずるいんですか?」
 不思議そうな顔でシズが聞いた。
 キノはうなずいて額をシズの肩に押し当て、そのまま、ぼそぼそと話した。
「ボクはこんなに恥ずかしいのに、シズさんはいつものままです」
 シズはキノの言葉に、驚いた表情をした。
 どう答えたらいいのか考えているようで、次の言葉まで間が空いた。
「……キノさん、俺がいつもどおりに見えているとしても、実際はそんなことはないんですよ」
「さっきボクが入ってきたとき、普通に新聞を読んでいたじゃないですか」
210名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
209続き 
「ああ、新聞……」
 シズは、新聞か、とつぶやき、はははと軽く笑った。
 キノが顔をあげてシズを見た。
 シズは頭をかきながら言った。
「広げていただけで、文字は全然読めませんでした」
 キノを膝に乗せたまま、腕を伸ばして先ほど置いた新聞を取る。
 そして自分でそれを見て、また声を出して笑った。
「なにがそんなにおかしいんですか?」
 キノが不服そうに聞いた。
 シズはキノに新聞を渡す。
 競馬新聞だった。
「シズさん競馬をするんですか?」
 シズは首を振った。
「それより日付を見てごらんよ」
 キノが新聞の印字を見る。
 一月前の新聞だった。
「なんですか?これ」
 キノが不思議そうにシズに聞いた。
「ティーが同級生から押し花を教えたもらったときに使った新聞紙です。
 サイドテーブルの花瓶を包んでしまうのに使おうと思って、ここに持ってきてたんだ」
 シズはキノの手から新聞を取るとまたテーブルに置いた。
 そしてキノの肩を抱いて話す。
「キノさんがこの部屋にくるのを待っているとそわそわして落ち着かなくなって、
とりあえず新聞を読んでるフリをして自分をごまかしてただけなんだ。
 文字が目に入らないから、『一ヶ月前の競馬新聞』なんて意味の無いものを眺めてたのに気付かなかった」
 キノが噴出した。
「あはは、本当に意味が無いですね」
「うん」
 シズはキノの笑顔をまぶしそうに見る。
「君と、こんなふうにしているのに、俺が冷静で居られる訳がないよ」 
211名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
210続き
 「そうですか、なんだかボクばかりのぼせてるみたいで恥ずかしかったんです」
 キノがシズの肩におでこをくっつけたまま言った。
 シズはちょっと迷ってからキノを抱き上げ自分の膝の上からベッドに下ろした。自分の服を脱いで椅子の上に置いた。
 キノをかき抱いて、ため息といっしょにつぶやいた。
「キノさん、会った時すぐにでも抱きたかったんだ」
 キノは、シズの首に腕をまきつけて言った。
「ボクも」
 シズはキノのあごを抑えて、キスをした。
 舌で唇をなぞると、キノが口を薄く開いて受け入れる。
 キノの小さな歯並びを舌で確かめてから、ゆっくりと中に押し入る。
 やわらかい唇の感触と、小さな舌のぬめりと動きに、ちょっと電気が走ったような快感を感じた。
 ちゅっと吸い上げて、顔を離すと上気したキノの表情を見る。
「シズさん」
 黒い潤んだ大きな眼がシズを見上げている。
「うれしい」
「俺もうれしいよ」
 もういちど唇をふさいで、深いキスをする。
 キノはのどを鳴らしてシズを受け入れる。
 シーツの上にキノの身体を横たえて、シズはシャツの上からキノの身体をまさぐった。
 細いからだは熱くなっていて、手のひらの動きに敏感に反応する。
 胸をまさぐると、乳首が硬くあたった。
 つまんで転がすと、キノはビクリと身体を振るわせる。
 シズはキスを終わらせて、顔を離してキノを見る。
 キノは恥ずかしそうに眼をそらした。
「脱がせていい?」
 キノは眼を閉じてうなずく
212名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
211続き
 シャツのボタンを二つあけて、手を差し入れる。
 やわらかい胸のふくらみをさぐりながらまたキスをした。
 手の動きにあわせて、キノの息が上がってくるのがわかる。
 硬くなった乳首をまたつまむと、ビクンと身体が跳ねる。
 シズはキノの着ているシャツのボタンを全部はずし、前をはだけるとキノの上に覆いかぶさった。
 両手でキノの胸を揉んで、キスを繰り返す。
 キノが荒い息をはきながら、シズのキスに応える。
「キノさん」
 シズはキノの顔から唇を離すと、キノの胸に唇をはわせる。
 シズが動くたびに、キノは身体を震わせた。
 シズはキノの胸をすくう様に持ち上げると、乳首に吸い付く
「あっ」
 キノは、我慢しきれず声を出した。
 シズはキノの声に促されるように、胸へ執拗な攻めはじめた。
 舌と唇と歯で、甘噛みをし、なめ、ねぶり、両手でなぶる。
 キノはシズの髪の毛に手を入れ、くしゃくしゃとかき回し、嬌声をあげた。
213名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
 強く乳房を吸い上げると、キノがひときわ大きな声を出し、指がシズの髪の毛のなかで硬くなる、そのあと全身が硬直した。
 シズはキノの顔を見た。
 眼をつぶって、息をとめている。
 すぐに弛緩がやってきて、シズの下でキノの身体から力が抜けた。
「キノさん?」
 頬に手を当てて声をかけると、キノは眼を薄く開いて、恥ずかしそうに笑った。
「久しぶりで、気持ちよすぎました」
 キノはくっくと声を出して恥ずかしさに笑い出した。
「ごめんなさい、ボクばかり……」
 そんなことないよ、シズは笑って謝るキノに頬をよせる。
 笑って上下するお腹を撫で、太ももに手をはわせる。
212続き
 汗ばんで熱くなった肌。
 キノがふうと息を吐くのにあわせて、シズはキノの膝を割って開き、自分の右足を割り込ませる。
 キノの脚の間に手を差し入れ、指をはわせると、キノはまたビクリと小さく痙攣した。
 キノは脚を閉じようとキュッと力を入れたが、既にシズの脚が間にあって、閉じられない。
214名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
213続き
 「シズさん」
 キノが小さく呼ぶ。
 ふっと息を吐いて
「キノさん」
とシズが応えた。
 シズの手はキノの核心を分け入って、指でひだを分け、なぞり始めている。
 シズは、顔をキノの胸に寄せて、ゆっくりとなめ始めた。
「いやっ」
 身体の敏感な部分を2ヶ所同時に刺激されて、キノが叫んだ。
 シズが顔をあげて、キノに聞いた。
「痛い?」
 キノは首を振る。
「痛くは無いです、でも刺激が強すぎて、変な声がでちゃう」
 シズが笑った。
「たくさん、声を出してください」
 言いながら、指の動きは止めない。
「え、でも、あっ」
「キノさんの声、聞かせてください」
 ほら、と言いながら、胸の乳首をきゅっとつまんだ
「ああっ」
キノが声を出した。
「イイコだ」
シズがほめてキスをした。
「どこが感じるのか、声で探っているんです。
 だから、どんどん声を出してください」
 言いながら、シズは胸の攻めを再開する。
 キノは、首を振り、イヤイヤをしながらシズの攻めを受ける。
 右手は外側をなぞるのをやめ、指が身体の中に入り始めている。
215名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
214続き
「中がこんなに熱い」
 シズがつぶやくのが聞こえキノは恥ずかしさと快感でおかしくなりそうになる。
「シズさん」
 キノが息のあいまに呼ぶ
「ん?」
「ボクも、なにかしたい」
 シズは、キノの手を取って導いて、自分のものを握らせた。
 そしてため息をつく。
「キノさん……とても気持ちいい」
 キノは相変わらず、シズのそれにまだ慣れない。
「シズさん、これ大きい」
 驚いてつぶやいている。
 シズはちょっと笑ってキノのほおにキスをし、差し入れた指を出し入れしはじめる。
 キノが指のうごきにあわせて小さな嬌声をあげはじめた。
 手の動きに合わせて、腰をくねらせる。
 シズの手のひらに柔らかい肉の感触のほかに小さくあたる部分がある。
 シズはちょっと不思議に思って手のひらのあたる部分を見た。
 キノの陰核が硬くとがって当たっていた。
 キノは無意識にその部分を手のひらに擦るように当てて来る。
 動きに合わせて、こねるようにしてやると、嬌声が大きくなった。
 シズの手のひらは、キノのせいでだらだらと濡れていく。
 ぬめりを使って指を熱い壁に擦るようにし、手のひらで外側を刺激する。
 キノの手がシズのそれからはずれ、シズの右手に添えられた。
「キノさん?」
 シズがキノを見ると、キノが眉根を寄せ歯を食いしばるようにして、シズの手のひらを自分に押し付け、指をめり込ませるそのまま手を脚ではさんでぎゅうっと締め付けた。
 と、しぼるような声をあげ、全身を緊張させた。
 あごをそらせ、両足脚をしめつけ、足の指がぎゅうぎゅうと丸まる。
 シズはキノの絶頂の姿をうれしさと不思議さの交じった気持ちで眺める。
「この人でもこんな風になるのだな」
 耳朶を打つ声が細くなり、緊張が解けて、キノは身体を緩める。
 小さい声で「ああ」と言いながらシズの首に腕をまわし、時折起こる痙攣を抑えるように腕に力をいれてきた。
 シズも左手でキノのビクビクと震える身体を抱きとめる。
 シズがゆっくりと指を抜くと、蜜がさらに滴り落ちた。
216名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:lhI8qafq
今日はここまで……。
217名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:UUwc8wPU
お疲れさまです
218名無しさん@ピンキー:2013/08/26(月) NY:AN:NY.AN ID:VWb6LdG0
おお乙ー

規制解除されたから俺も投下しようかな…
219名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:3xJVxRCR
215続き
 上がった息を整ようと呼吸しながら、キノがシズを見て聞いた。
「シズさん、今指を何本入れたんですか?」
 ああ、指は一本です。
 え、一本ですか?
 はい、いつも一本しか入れていません。
 意外でした。でも充分きつかったように思うんですが。
 シズは微笑んでキノに聞いた。
 いいですか?
 キノは、不思議そうな表情をしてから、問われた意味に気がついて、うなずいた。
「さっきからボクばかりすみません」
 シズは身体を離しながら笑った。
 キノさんに感じてほしいからがんばっているんですから、謝らないでください。
 良かったですか?
 はい、とても……。
 キノはベットから降りるシズを眼で追う。
 シズが恥ずかしそうにしたので、キノはシズが用意をしている様子を見るのをやめ、シーツで身をくるんで背をむけた。
 キノさん、いいですか。
 シズがベッドに上がり、キノのシーツをめくる。
 キスをしながら、キノの脚に身体をわりこませた。
「キノさん」
 名前を呼びながら、シズは腰を落としキノの身体に押し入る。
 シズは、中の感触に身震いした。
「熱い」
 キノは眼をつぶって、息を吐きながらシズの身体を受け入れる。
 思いのほかするすると入ってくるそれがキノの中で強い圧迫感を持つ。
 両手をシズの肩に回し、その圧迫感に耐える。
 シズは、腰を落としきり、キノの奥まで自分の身体を埋め込んだ。
 ゆっくりとため息をついてキノを見る。
 キノはつぶっていた眼を開いた。
「キノさん」
 シズがもう一度名前を呼んだ。
 キノはうなずいた。
「とても、気持ちがいいです」
 シズはキノに口づけする。
220名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:3xJVxRCR
219続き
 ただ、中に入っただけなのに腰に熱い塊ができたようになってシズは困った。
 動いてしまえば、直ぐに終わりそうな気にまでなってくる。
 キノの上気した顔を見ていると、ますます興奮が高まる。
 キスをして、表情を見えないようにし、そっと動き始める。
 浅い動きのはずなのに、キノが小さくだが、声をあげる。
 キスでふさいだ唇からあがる抑えた嬌声に背筋がゾクゾクとして、シズは動きが深くなる。
 キノと結びついた部分は、熱い沼のようで、奥へ進みたい欲望のほうが勝ってしまう。
 根本まで埋め、その柔らかさを堪能しまた攻め入る。
 深くすすむと、キノの声が甘くなり、だんだんすすり泣きのようになってきた。
「キノさん?」
 シズが顔を離して、キノの表情を確かめる。
 切なそうに眉根をよせているが、涙は見えない。
 名前を呼ばれたため、キノは眼を開く。
 潤んだ黒い瞳から焦点が合わない視線をシズになげる。
「泣いてるみたいな声が出てしまいます」
「いい声だ……」
 キノが戸惑っているようなので、シズは笑いかける。
 ただ、シズ自体もすぐに終わりそうで苦しい。
「キノさん、背中、いいかい?」
「?」
221名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:3xJVxRCR
220続き
 シズはキノを抱き上げ、うつぶせにして腰を抱いた。
 今まで最中に体位をかえたことなどなかったので、キノは戸惑った。
「シズさん?」
 シズは後ろからキノを貫く。
「あーっ」
 初めての感触にキノが驚き声をあげる。
 シズは思いのほか強い快感に戸惑った。
 少しでも長くと思ったのに、背中から抱くと快感がますます強い。
 動けなくなって、息を吐きながら、キノの背中に口付ける。
「あ、シズさん、…ふ、深すぎます」
 キノが小さい声で言うのが聞こえた。
 うん、とシズが答える。腰を引いて、打ち付ける。
 キノが甘い声でうめいた。
 その声で、シズは自分の動きを抑えられなくなった。
「キノさ……ん」
 欲望のままに、深く、強くキノの身体に打ち込み始める。
「シズさん、深い、あ、奥まできてる……ん、ん」
 シズの動きに翻弄され、小さな身体を震わせながらキノは全てを受け入れていく。
 シズの顔からキノの背中に汗が落ちる。
 ぎしぎしとベッドのスプリングがきしみ、シズの動きがますます大きくなっていく。
 動きに合わせて、キノの身体の中もますます熱くなっていく、キノはその熱が耐えられなくなりそうになってきた。
「は」
 シズが大きく息を吸った。
 キノを抱き起こし、両手で胸を包んだ。
 ふーと息をはき、キノから身体を離す。
 はぁはぁと息を切らしているキノの身体を再び仰向けに横たえ、シズはキノに覆いかぶさる。
「やっぱり、キノさんの顔を見ながらが、いいな」
 荒い息の合間合間にシズが苦しそうにボソボソと言った。
 大きな声を出すと、終わりそうな気がしてシズは声を出せなかった。
 キノは焦点の合わない目のままでシズを見上げて少し笑った。
「シズさん、照れてますか?」
 シズが笑った。
「うん、恥ずかしいよ」
 二人は身体を重ねたまま笑った。
222名無しさん@ピンキー:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:3xJVxRCR
今日はここまで……。

>>217
ありがとうございます。
>>218
ありがとうございます。
投下楽しみに待っています。
223名無しさん@ピンキー:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:rIvUxVQA
221続き
 シズはキノの足首をつかんで開き、また身体を埋める。
「あ、シズさん」
 キノは不安そうな声を出し、シズの肩をつかむ。
「苦しい?」
 シズがキノの顔に顔を寄せてたずねると、キノは首をふった。
 はぁはぁと息を荒げながら、言葉を出す。
「あの、シズさん、入っているんですよね?」
 シズは、自分が彼女とつながっている部分を見る。
 彼女の蜜と、自分の体液でぬめり光っているそこに、自分のものが根本まで埋まっていた。
 キノが息をするたび、ちいさくその部分もゆれている。
「ボク、見えないので……」
 ああ、そうか。……ほら。
 シズはキノの手を握って、その部分に導く。
 キノの細い指が、シズと彼女の身体のつながった部分をなぞった。
「あぁ!すごい」
 自分の体にシズが埋め込まれているのを確かめて声を出した。
「本当に入っている……」
 シズは、キノが本気で驚いているのが、ちょっとおかしかった。
224名無しさん@ピンキー:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:rIvUxVQA
223続き
「キノさんの中、とても気持ちが良いです」
 耳元で言うとキノが息をふっと吐いてから笑った。
「ボクもこうして抱き合っているの、とてもいい」
 シズは彼女に深いキスをする。舌を吸い上げ、上あごを舐め、唇を軽くかむ。
 キノは荒かった息をますます荒くする。
 キノの興奮にあわせ、シズも熱くなり始める。
 シズは、キノの身体に自分を打ちつけはじめた。
 ゆっくりにしようと思いながら動き始めた筈が、抑えきれずに大きな動きになってしまう。
 身体から受ける快感で頭がいっぱいになってきた。
 キノはシズにしがみつきながら、だんだんに動きを合わせ腰を動かし始める。
「シズさん……熱い」
 キノが吐く息の甘さに、シズは眼が眩むような気がした。
 いつも冷静なキノが汗を流し、乱れて、自分に腕をまわし喘いでいる。
 シズは、胸がいっぱいになった自分の中の感情を探り、彼女の今の姿を見て湧いた気持ちを言葉にする。 
「キノさん、好きだ」
 キノはシズの動きに翻弄されながら、閉じていた眼をうっすらと開ける。
 そして、切れ切れに言葉を出す。
「シズさん、ボクも」
 波のように揺らされながら、キノはシズが全身に与えるあらゆるキスと愛撫を受ける。
 指がなぞり、唇があたる部分はそのたびチリチリとした小さな快感となり、キノは溺れたように息をつぐ。
 シズにつかまり、また手を離し、相手の動きを受け入れ、与えられる行為を感受し、咽の奥から甘い声をもらす。
 キノは上を向いているのか、下を向いているのか判らなくなりながら、シズの身体の感触を愛おしく感じ、求める。 
 あぁ、と小さく喘ぎ、キノはのけぞった。
 首をいやいやをするように振ってシズの肩に手をかけ、息を吐いたあとやっとで続きの言葉を出した。
「シズさんが好き」
 少しでも長く、彼女の様子を眺め、中に留まっていたいと思っていたが、声を聞いてシズの限界が来た。
「キノさん!」
 キノの名前を搾り出すように声にすると、大きく身体を打ち付ける。
「あー!」
 シズの動きに合わせてキノが嬌声をあげる。
 キノの中で、シズがひとまわり大きくなり激しく動く、その力強さに、快感に翻弄されていたキノも頂点に達した。
 キノはシズの身体を乗せたまま、背をそらし身体を硬くする。
 シズは、自らのほとばしりのためにゆっくりとした動きに変わった。
 キノに視線を投げながらシズの頭の中は真っ白染まる。
 シズのあごから汗がしたたり、キノの胸にパタパタと落ちていった。
 全身の筋肉を硬直させシズは苦しげな声をあげる。
 キノはまぶたに光が走るのが見え、自分ののどからすすり泣くような声が出るのをどこか遠くで起きている事のように聞いた。
 シズの声が切れるのと同時に、シズはキノの上に落ちてくる。
 キノはまだすすり泣きのような声を出し続けていた。
 シズの汗で濡れたほおがキノのほおに当たる。
 キノは、シズの髪に自分の指をゆっくりと入れて、髪をくしゃくしゃにした。
 しばらくしてキノの身体がやっとでゆるみだした。
 シズは身体を起こし、キノにキスをした。
「大好きだ」
 ため息といっしょにもう一度言った。
 
225名無しさん@ピンキー:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:rIvUxVQA
223続き
「キノさんの中、とても気持ちが良いです」
 耳元で言うとキノが息をふっと吐いてから笑った。
「ボクもこうして抱き合っているの、とてもいい」
 シズは彼女に深いキスをする。舌を吸い上げ、上あごを舐め、唇を軽くかむ。
 キノは荒かった息をますます荒くする。
 キノの興奮にあわせ、シズも熱くなり始める。
 シズは、キノの身体に自分を打ちつけはじめた。
 ゆっくりにしようと思いながら動き始めた筈が、抑えきれずに大きな動きになってしまう。
 身体から受ける快感で頭がいっぱいになってきた。
 キノはシズにしがみつきながら、だんだんに動きを合わせ腰を動かし始める。
「シズさん……熱い」
 キノが吐く息の甘さに、シズは眼が眩むような気がした。
 いつも冷静なキノが汗を流し、乱れて、自分に腕をまわし喘いでいる。
 シズは、胸がいっぱいになった自分の中の感情を探り、彼女の今の姿を見て湧いた気持ちを言葉にする。 
「キノさん、好きだ」
 キノはシズの動きに翻弄されながら、閉じていた眼をうっすらと開ける。
 そして、切れ切れに言葉を出す。
「シズさん、ボクも」
 波のように揺らされながら、キノはシズが全身に与えるあらゆるキスと愛撫を受ける。
 指がなぞり、唇があたる部分はそのたびチリチリとした小さな快感となり、キノは溺れたように息をつぐ。
 シズにつかまり、また手を離し、相手の動きを受け入れ、与えられる行為を感受し、咽の奥から甘い声をもらす。
 キノは上を向いているのか、下を向いているのか判らなくなりながら、シズの身体の感触を愛おしく感じ、求める。 
 あぁ、と小さく喘ぎ、キノはのけぞった。
 首をいやいやをするように振ってシズの肩に手をかけ、息を吐いたあとやっとで続きの言葉を出した。
「シズさんが好き」
 少しでも長く、彼女の様子を眺め、中に留まっていたいと思っていたが、声を聞いてシズの限界が来た。
「キノさん!」
 キノの名前を搾り出すように声にすると、大きく身体を打ち付ける。
「あー!」
 シズの動きに合わせてキノが嬌声をあげる。
 キノの中で、シズがひとまわり大きくなり激しく動く、その力強さに、快感に翻弄されていたキノも頂点に達した。
 キノはシズの身体を乗せたまま、背をそらし身体を硬くする。
 シズは、自らのほとばしりのためにゆっくりとした動きに変わった。
 キノに視線を投げながらシズの頭の中は真っ白染まる。
 シズのあごから汗がしたたり、キノの胸にパタパタと落ちていった。
 全身の筋肉を硬直させシズは苦しげな声をあげる。
 キノはまぶたに光が走るのが見え、自分ののどからすすり泣くような声が出るのをどこか遠くで起きている事のように聞いた。
 シズの声が切れるのと同時に、シズはキノの上に落ちてくる。
 キノはまだすすり泣きのような声を出し続けていた。
 シズの汗で濡れたほおがキノのほおに当たる。
 キノは、シズの髪に自分の指をゆっくりと入れて、髪をくしゃくしゃにした。
 しばらくしてキノの身体がやっとでゆるみだした。
 シズは身体を起こし、キノにキスをした。
「大好きだ」
 ため息といっしょにもう一度言った。
 
226名無しさん@ピンキー:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:rIvUxVQA
あれ、二重投稿してしまいました。ごめんなさい。
227名無しさん@ピンキー:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:rIvUxVQA
224続き
 身体をよせて二人は少し眠った。
 シズが目を覚ますと、キノが大きな眼でシズを見ていた。
「起きてましたか?」
「いえ、今さっき起きたばかりです。
 それまでぐっすり寝ていました」
 シズはキノの肩を抱いて言う。
「旅の疲れもあるでしょうからゆっくり眠ってください」
 キノはうなずいてから、もじもじとした。
「あの、シズさん」
「はい」
「いつも最後とても苦しそうなんですが、苦しいんですか」
「最後?」
「はい、最後に唸り声を出して……」
 シズは『ナンてことを言うんだろう、この娘は、』と恥ずかしくなった。
「キノさん、俺が苦しそうに見えてたんですね」
 キノは真面目な顔でうなずく。
 シズは『キノさんは、どこまで知らないんだ』と困った。
「あの、あれは……」
 キノは真剣に聞いている。
 シズは恥ずかしさに赤くなり、キノを抱きしめ自分の顔を見られないようにしてから言った。
「とても強い快感で、そういう表情になってしまうんです」
 キノはシズの髪を撫でた。
「そうなんですか?
 それなら安心しました。
 ……苦しいんだったら申し訳ないなって思ったんです」
 シズはキノの答えに、はははと声を出して笑った。
「ボク、バカみたいな事、言ったんですか」
 キノが聞いた。
 シズは身体を離し、問いかけるキノの顔を見てまた笑って言った。
「知らないとそんなふうに思うんだなって。
 それが可愛いくて笑っただけですよ」

おしまい。お粗末様でした。
228名無しさん@ピンキー:2013/08/31(土) NY:AN:NY.AN ID:VIleEO2T
おつー ごちそうさま
229名無しさん@ピンキー:2013/09/05(木) 13:50:57.05 ID:df2+TI7t
ほす
230名無しさん@ピンキー:2013/09/07(土) 22:50:39.16 ID:saeCuKzV
乙!
231うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
232名無しさん@ピンキー:2013/10/10(木) 19:49:49.60 ID:D4TZNmrF
仕方ない。
リニューアル版も買うか。
16冊だから1万近い出費だ。
233強制移住の国:2013/10/14(月) 01:47:45.40 ID:3vhzWhNs
見渡すかぎり一面の平原に伸びる道を、一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。
「ここは走りやすいね、キノ。湿度も温度もちょうどいい」
「ボクもそう思うよ、エルメス。汗をかかないで済むに越したことはない。」
キノと呼ばれた人間が、エルメスと呼ばれたモトラドと話をしている。
「ねえキノ、そろそろ次に行く国の情報を話す頃だよ?」
「それが、あまり情報を得られなかったんだ。でもその情報を得られなかった理由にちょっと引っかかってる」
「どうして?誰もその国に行ったことがないとか?誰も入れてくれないとか?それともすでに滅びているパターン?」
「何でも、その国を訪れた旅人は、一度入国すると、二度と国から出てこないらしい」
「それ、まずくない?監禁されてるって事でしょ?」
「そう思って、ボクもこの国は見送ろうかと思ったんだけど、その次の国はどこかで燃料補給しないと届かない距離なんだ。
だから、どうせなら寄っていこうと思って」
「なるほど。監禁は怖いけど、動けなくなるのはもっと嫌だから、そうするしかなさそうだね」
雑談をしながら代わり映えのない平原をひたすら走り続けて、キノとエルメスは城門の前に到着した。城壁はとても長く、どこまでも続いている。
キノは城門の百メートルほど前でエルメスを止める。
「すごく大きい国みたいだね、キノ。広すぎて、旅人はみんな道に迷って、みんな出られなくなるとか?」
「そうだといいんだけど、たぶん現実はそんなに甘くない」
「なあんだ、気づいてたのか」
エルメスにまたがったまま雑談するキノは、城壁の上のほうをしっかりと確認していた。
そこには、機関銃の着いた監視カメラが、等間隔にいくつも配置されていた。
「全部、赤外線カメラ付きのすごい高性能な奴だよ。その気になったら、この距離からでも寸分の狂いなくキノの頭を狙撃できると思う」
「確かに、そう簡単に脱出するのは困難みたいだ」
「どうする、キノ?あの銃に狙われたら、ぼくの足じゃぜったいにかわしきれないよ。キノにモトクロスの技能があったとしてもね」
「あれだけ高性能な監視カメラを作れるんだから、装甲車くらい作れるさ。ちょっと借りればいい」
「まったくもう、ちゃんとぼくを載せられるやつにしてよね?」
呆れるエルメスを、どこまでも楽観的なキノが発進させた。
234強制移住の国:2013/10/14(月) 23:56:13.74 ID:3vhzWhNs
城門をくぐったキノとエルメスは入国審査を受けた。
入国審査官は軍服を着た若い男性で、パースエイダーを腰につけていたものの、特に変わったところは無い。
キノは審査官の指示通り、書類に記入をした。年齢、身長、体重、持参品、重病経験など、記入事項は一般的なものだった。
しかし、一つだけ、いつも書いているのに、書くべき場所がない事項があった。
「あの、この書類、滞在予定日数がありませんよ?」
「ああ、お気になさらず」
軍服を着た入国審査官は笑顔でキノに答えた。
全ての記入を終え、キノが書類を提出すると、入国審査官が説明を始める。
「それでは旅人さん。この国では、政府が指定する決まったところに滞在してもらう事になります。その場所までは係の者が案内しますので、モトラドさんと一緒にどうぞ」
城門を抜け入国すると、気だるそうな警察官と思われる中年の男性が一人、パトカーに乗ってキノを待っていた。
「ああ、旅人さんだね。宿まで案内するよ。このパトカーにモトラドは載せられないから、走ってついて来な」
警察官はパトカーから降りもせずそう言って、発進した。キノは慌ててエルメスにまたがり、それを追う。
パトカーは片側三車線の広い道路を軽快に走った。国境が近いからか、交通量は少なかったものの、走って行くにつれ自家用車がどんどん増えてきた。
周囲は農地だが、ちょっと遠くを見渡せば小さな集落、あるいはビルの並んだ都市区画も見える。
「そうとう発展した国みたいだね、キノ」
「そうだね。これだけ農地があれば食料は十分あるだろうし、自動車がたくさん走っているということは、経済と科学技術が十分発展している」
「問題は、これからどこへ連れて行かれるかだけど」
「それは着いてみないとわからない。なるようになるさ」
パトカーは広い道を一時間くらい走った後、都市に着いた。賑わう商店街、工場、学校の区画などを抜け、住宅街に入り込む。
何度か住宅街の細い路地を曲がり、パトカーは前庭付きの、きれいな平屋の家の前で止まった。
「立派だねー。宿にしては豪華すぎる。別荘地みたいなものかな?
「いや、ここはどう見ても住宅街だよ。まあホテルみたいにエルメスを室内に入れなくて済むのは便利かな」
「ひどい」
キノとエルメスが感想を言い合っていると、警察官がパトカーから降りてきた。
「着いたよ。ここがあんたの家だ。これは書類な。土地の権利書とか、国民番号とか」
「土地の権利書?国民番号?一体どういう事ですか?」
普通旅人には与えられないそれらを訝ったキノが質問する。
「何?あんたら、移住しにこの国へ来たんだろ」
「え?」「へ?」
キノとエルメスが素っ頓狂な声をあげて驚く。
「知らないのか?この国には、移住目的以外での入国は認められない。一度入国したら死ぬまでここに住み続けてもらう」
「そんな説明、受けていません」
「そう言われても、俺の仕事はあんたを送り届ける事だけだ。文句があるなら国民移民局に言ってくれ。じゃあな。騒動は起こすんじゃないぞ」
終始面倒そうだった警察官は、まともに取り合う気もなく、パトカーに乗って行ってしまった。
「どうする、キノ?この国に移住するの?」
「そうだなあ。とりあえず、昼食を食べられるところを探そう」
235名無しさん@ピンキー:2013/10/15(火) 23:31:22.84 ID:1+a80+uP
キノは荷物を置いた後、エルメスに乗ってダウンタウンに出かけた。
モトラドをレストランの中に入れる習慣は無さそうだったので、屋外のテラス式の店を選んだ。
キノはハンバーガーのような、パンで挟んで肉を食べる料理と、この地方特産というとうもろこしのスープを頼んだ。
「おいしい。食材の鮮度がちゃんと保たれてる。携帯食料には絶対に付かない魅力だ」
「それは、この国の農業のクオリティが高いってこと?」
「いや、それもそうだけど、新鮮な野菜を素早く配送し、適切に保存出来ている、ってことだ」
「つまり科学技術と経済が発展してるって事、それ、ちょっと前にも言ったよね」
「それくらい重要な事なんだよ」
雑談を交わしながら、キノはハンバーガーの味をゆっくり楽しんだ。噛むたびに肉汁が口の中で溢れ、すべてキノの胃袋にあますことなく吸収された。
「ねえキノ」
「うん、ありがとうエルメス。気づいてるから」
キノは、食事を楽しんでいたが、その視線は料理ではなく、もっぱら別の物に向いていた。
一人の老人が、キノよりは控えめなメニューを、ちびちびと食べていた。
その手は徐々にスピードを失い、ついに止まり、老人は手先から全身にかけて痙攣しだした。
「あの人は倒れるね」
エルメスが他人ごとみたいに、呑気につぶやく。
「うん、倒れるね」
「そして、近いうちに死んじゃうね」
「そうだね。顔に黄疸が広がってる。そう長くはないだろう」
キノとエルメスの予想通り、まもなくして老人は倒れ、他の客や店員が救助活動を始めた。と言ってもできるのは応急処置だけで、その老人が今まさに死のうとしていることは明白だ。
「あんた達、この国に新しく来た移民の人?」
野次馬として騒動を鑑賞しているキノとエルメスに、若い男が話しかけてきた。
「いえ、定住するつもりはありません。あと二日で出国する予定の旅人です」
「あーそうなの。みんなそう言うよ。でも最後はこの国に定住するんだ。そしてあの病気で死ぬ」
「あの体が震える病気は、この国特有のものなのかい?」
エルメスが興味なさそうに聞く。
「ああ。交通事故でもない限り、国民のほとんどはあの病気で死ぬ。あの年寄りはいいけど、若くしてかかる場合だってある」
「そりゃ大変だねー」
「旅人さんも覚悟しといた方がいいよ。どうせこの国で死ぬことになるんだろうから」
若い男はそう言い残してその場を去った。
「どうにかしてこの国を出ないと・・・」
老人が救急車に載せられるさまを見ながら、キノがつぶやいた。

家に戻ると、玄関の前でスーツの中年男が一人立っていた。
「いやあ、待っていましたよ。ようこそこの国へ。私は国民移民局の者です」
人当たりの良さそうな中年男は笑顔で名刺を差し出したが、キノは受け取らずに、
「移民するためにここへ来たのではありません。ボク達は明後日にも出国します」
中年男は対して困った顔もせず、笑顔のままだった。こういう旅人の扱いに慣れているらしい。
「申し訳ありませんが、この国の法律で、一度入国した人間は移民してもらうと決まっているのです。文句は裁判所にでもどうぞ。まあ移住して三年は市民権が制限されますので、その後になりますが」
キノは何か言おうとしたが、やめた。
「それよりも旅人さん、明日の昼ごろ、旅人さんの今後の運命を左右する、重大な来客がありますので、その時間は絶対に家に居てくださいね。会っておかないと後々面倒な事になりますよ。では、私はこれで」
236強制移住の国:2013/10/17(木) 00:54:06.61 ID:/Gn+6pM0
翌朝。
キノはいつも通りの時間に起き、いつも通り何度か抜き撃ちの練習をした。
「お客さんを撃つことがないといいんだけどねー」
背後にいたエルメスが突然そう言って、キノは驚き、パースエイダーから手を離しはしなかったものの、抜いた直後の照準を大きくずらしてしまった。
「どうしたのさキノ、そんなに驚いて」
「エルメスがこんな時間から起きているなんてね」
練習を終えた後、キノは昨日買い込んでいた食材を使って朝食を作った。調味料をたくさん買う金が勿体無かったので、卵とベーコンを焼いただけの、まずく作りようのない料理だった。
それから少し暑かったので、真っ白なシャツと黒い長ズボンに着替える。
「お昼まで何するのさ、キノ。無視したらまずいんでしょ?」
「この国に関する資料がこの家にあるから、それを読むよ。国の中を見て回れないのは残念だけれど、今は無事に出国する事だけを考えないと。三日以上かかってもそれが最優先だ」
キノは家の本棚にあったいろいろな本を読みあさった。まずこの国の地図帳を読み、かなり複雑で高企画な道路網が張られていることを知った。
それから簡単な歴史書を、要点だけかいつまんで読んだ。それによるとこの国はいくつかの小さな国が結集したもので、国力を増大するため移民を積極的に受け入れ続けた結果、今のような広大な国になったらしい。
国内には広い農地があり、鉄鉱山や製油所などの資源もあり、工業も発達している。国内で必要なものをほぼ全て取り揃えている稀有な国であることもわかった。
歴史書だけでは時間が余ったので、少しだけこの国でよく読まれている小説などにも目を通したが、キノには退屈だった。
午前11時ころになって、キノは何があっても大丈夫なように、再びパースエイダーの抜き撃ち練習をした。その他自分の防衛に必要な準備はひと通りやった。

来客は、ちょうど正午にやってきた。
家の中にいたキノとエルメスは、かなり馬力のある車のエンジン音が、ちょうど玄関の前で停止するのを聞いた。
「来たね、キノ」
「ああ、悪い人じゃなきゃいいんだけど」
まもなくチャイムが鳴り、キノは腰のパースエイダーを確認した後、玄関のドアを開けた。
「こんにちは」
対面したキノとその客人は、思わず言葉を失った。
「シズ、さん・・・?」
「そういう貴方は・・・キノさん?」
そう、キノを訪れたのは、緑のセーターを着た、一度生命をかけて戦った相手でもあるシズだった。
シズの後ろには、さきほど聞いた馬力のあるエンジン音の元と思われるバギー。そのバギーの中では、シズを追うためバギーを降りようとしている、白いふさふさした毛を持つ大型犬・陸を、銀髪の少女、ティーが上から押さえつけて静止していた。
237名無しさん@ピンキー:2013/10/19(土) 23:43:14.83 ID:WDe3Q2HC
支援
238強制移住の国:2013/10/21(月) 00:58:28.80 ID:HXBNwf7H
「とりあえず、お話は昼食を食べながらにしませんか?」
シズと玄関で対面してから十五秒後にお腹をぐーっと鳴らしたキノが少しはにかんで言った。
「それなら是非、私の持ってきた食材を使ってください。この国に到着してすぐの方だと聞いたので、食材があった方がいいと思いまして」
シズはそう言ってバギーから大きな木箱を降ろした。米や色とりどりの野菜、それに調味料など、完璧な食材が揃っていた。
「じゃあ、ボクに料理させてください」
「いいのですか?旅の疲れがまだあるでしょうから、私がやってもいいのですよ。ただキノさんの料理を食べてみたいという気持ちはあります」
何となく顔全体が緩みながら話すシズを、ティーは陸の背中にもたれたまま、黙って聞いていた。
「あーあ。シズさん、どうなっても知らないよ」
エルメスがどうでもよさそうに一人、つぶやく。

一時間後。
テーブルに座るシズとティーの前に出された料理は、すべてもとの食材の色彩を失っていた。極端に辛い臭いや、甘い臭いがしてシズの嗅覚を苦しめた。
「どうぞ。ボク一人では食べきれないので、いくらでも食べてください」
「は、はあ・・・」
シズは料理を一種類ずつ口にして、そのたびに苦悶の表情を噛み潰し、それから意を決して一気に食べた。
ティーはおそるおそる料理を口にしたあと、
「・・・」
無言で、皿をお座りして待つ陸に差し出したが、
「流石にそれは失礼かと」
と陸に宥められ、机の上に戻した。
「美味しい野菜ですね」
「え、ええ、良い野菜に間違いはありません」
すでに味覚を失っているシズは、キノの言葉だけを信じて話を合わせる。
「どうしてシズさんは、こんなに美味しい野菜をたくさん持っているのですか?」
「実は、この国に移住しようと思っていまして、今日で約一ヶ月になります。この街からだいぶ離れた農村部で、主に農業をやっています」
「強制的に?」
「は?何のことでしょう?」
初めて、シズが意外な表情をした。
「僕達は、ここに三日間しか滞在しないつもりだったのに、この国に入国したら、絶対に移住しなければならない、なんて言われたんだよ」
エルメスが軽く説明すると、
「ふん、後先考えないポンコツ機械が」
陸が反論したが、
「あのさ、一応言っとくけど、入国するのを決めたのはキノだからね」
そうエルメスが補足すると、シズは陸の横腹を蹴っ飛ばし、陸は壁まで吹っ飛んだ。
「いくら忠実なお前とてキノさんの侮辱は許さん」
「ま、まあ、後先考えていなかったことは事実ですし」
突然豹変したシズに、キノは若干驚いて言った。
「私達は入国する時、いつも移住を前提で交渉するんです。だから旅人が強制的に移住させられるなんて気づかなかったんだと思います」
「なるほど。では何故今日、ボクの家に来たのでしょう?」
「実を言うと、私にもよくわかりません。昨日の夕方、国営移民局の役人が来て、これを持ってここに行くように、とだけ言われました。とにかく行ったらわかる、これは移民の大事な勤めだ、と」
シズは以前刀を提げていたはずの腰から、腰巾着を取り出してキノに渡した。
「これは何でしょう?」
キノが怪訝そうに腰巾着を観察する。
「わかりません。ここの家に居る人に開けてもらえ、としか」
「開けてみましょう」
キノは腰巾着の紐を引き、袋を開いたあと、
「・・・っ」
突然、真っ赤な顔になって、椅子から床にふらっと倒れた。
239名無しさん@ピンキー:2013/10/25(金) 22:32:39.37 ID:oB/kLhWN
薬か?Hなグッズか?
240名無しさん@ピンキー:2013/12/05(木) 05:58:35.30 ID:sUA+eqEd
いったいなんだったのだー!
241名無しさん@ピンキー:2013/12/06(金) 12:31:13.93 ID:DzOjrbZt
>>240
何が?煽りとかじゃなく
242名無しさん@ピンキー:2013/12/10(火) 01:36:25.74 ID:YCcvRdOd
243名無しさん@ピンキー:2014/02/03(月) 20:32:47.48 ID:kc4zWo9w
ブラフ・シューペリア SS100がリファインされて売られるらしいね
http://dailynewsagency.com/2013/11/25/brand-new-brough-superior-ss100-z1j/
850万かぁ
喋るなら家を売ってでも用立てるんだけどなぁ
244名無しさん@ピンキー:2014/03/22(土) 16:06:22.32 ID:09qR87bI
アリソン
245名無しさん@ピンキー:2014/03/22(土) 23:50:13.82 ID:yMUTGxrT
246名無しさん@ピンキー:2014/03/24(月) 15:02:08.80 ID:ywY5RRGW
アリソン
247名無しさん@ピンキー:2014/03/24(月) 22:47:08.89 ID:KtlfoNrS
248名無しさん@ピンキー:2014/03/24(月) 22:56:48.22 ID:MErP8eFp
大きな
249名無しさん@ピンキー:2014/03/24(月) 23:14:47.02 ID:diYwsaXa
大砲ね
250名無しさん@ピンキー:2014/04/01(火) 18:00:51.34 ID:II33oc2y
ほす
251名無しさん@ピンキー:2014/04/29(火) 10:59:04.11 ID:oaFxzIww
保守
252名無しさん@ピンキー:2014/05/01(木) 21:41:39.67 ID:rAgnD0T3
デロリアンといい復刻がさかんだな。もれなく高いけど
253名無しさん@ピンキー:2014/06/23(月) 21:22:28.00 ID:2SyZ3Q68
ベット 仰向け 首絞め 心地よい 大きく前かがみ
254名無しさん@ピンキー
おーい