牙狼<GARO>でエロパロ

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940名無しさん@ピンキー:2012/07/17(火) 16:48:03.00 ID:O3ffIsHM
くちゅぐちゅと隠微な音が部屋に響く。
彼女の白い、細い指が花弁を蜜壺をいじる。

あっ、はぁっ……うん、あはっ…あっ

声にならないような濡れた嬌声は、隠微な水音に
かき消されるのであった…


一人でいたすを書いてみた。これが精一杯ですw
改めて職人さんの偉大さを汁。
941名無しさん@ピンキー:2012/07/19(木) 22:41:56.53 ID:wYUScbdQ
>>940
書くのはなかなか難しいよね
妄想しても上手い言葉が見付からなかったり
942名無しさん@ピンキー:2012/07/21(土) 11:01:13.26 ID:MjcvrK+P
スレ終わるまでにもうひと花咲かせていただきたいものよのう
943名無しさん@ピンキー:2012/07/21(土) 11:40:27.17 ID:KY0SaVzC
>>940 燃料投下感謝! 

色んな職人様カモン。
944名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 21:17:09.57 ID:SYuNcRpp
今日レンタルで最終巻まで見終わった
少年の日の歌を流すのは卑怯だろ、と涙を流したけど一番の原因は終わってしまって悲しいっていう喪失感なのかも

劇場版まで待てないぜ。

魔戒方師達が集まってたシーンを見て思った妄想

鈴だって子供じゃないもん!
と行きたがっても、翼と邪美に諭され子供扱いされたことが許せなかった鈴
じゃあ兄いと邪美みたいなことすればいいんでしょ!
って、日向か暁に迫る、、、みたいな
945名無しさん@ピンキー:2012/07/24(火) 10:21:09.98 ID:VZ5ELtTs
9話最後でカオルが着てた服、ジーパンだったのか…
946名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 03:09:15.32 ID:K3E0QK8o
牙狼では3人でいたすシチュエーションが思いつかない…
想像力が貧困な自分の脳みそが憎い…
947名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 03:29:57.94 ID:2dcGiWkn
三人ネタは二つほどあっためてはいるけど、今書いてる別のが終わらないと手を出せない
というか二つも思いつく自分のねじの飛びっぷりがヤバイ
・レオミオシグマで3P
・術or秘薬の失敗で鋼牙もしくはカオルが分裂しちゃっての鋼カオ鋼またはカオ鋼カオ
とかいくらでも妄想し放題だぜw
この二つだと書き方次第でコメディもシリアスもこなせて鬼畜方向以外にも妄想しやすい気がする……のはネタ段階だからで
いざ書くとなるとまた難しいんだろうなあ(´・ω・`)
948名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 03:48:21.33 ID:ISzH87gt
以前あった特撮作品総合には3人でってあったね
カオル、シルヴァ、零と鋼牙、カオル、零だったかな

>>947
待ってます
レオミオシグマとか嬉しい
949名無しさん@ピンキー:2012/07/25(水) 20:22:19.08 ID:EUY07x4X
>>948
零カオルシルヴァ覚えてる〜。シルヴァが人間体になって、って話だったよね。
…で、その流れのまま、鋼牙カオルザルバとかどうよ!と妄想した記憶が。
950名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 02:53:20.48 ID:uhp4SCNB
神待ちの間に勇気を出して初投下してみようかと
初めてなのでいろいろご容赦下さいとしか

鋼牙xカオル 2期9話の後的なもの
特殊なことはないです

気の利いたNGワードが出てこないので
『003-02』で
間違いがあったらごめんなさい
951003-02 1:2012/07/26(木) 02:56:22.33 ID:LunPVEIC
帰宅した鋼牙にちょっと悪戯をしたら機嫌を損ねてしまったようだ。
先日のリベンジで観劇に誘ったが全く相手にされず、鋼牙は自室に行ってしまった。

あれから1時間も過ぎたというのに、鋼牙が部屋から出て来る気配がない。
様子を見にカオルが書斎に入ると、机の上の台座にザルバがいた。
近付いて「鋼牙は?」と尋ねると、疲れたから部屋で休むと言ってそれきりだという。
眠ってしまっているようだと聞き、ちょっとした悪戯心から足音を立てないようにドアに近付いてみる。
鍵のかかっていないドアを開けて覗き込むとベッドに鋼牙が倒れ込んでいるのが見えた。
少し休むだけのつもりだったのか、珍しくコートも脱がずに寝入っている。
コートくらい脱げばいいのにと呆れながら、そっと鋼牙の隣に寝そべって彼の寝顔を覗き込んだ。
余程疲れているのか起きる様子がない。
今なら何かしても起きないんじゃないかとカオルは更に顔を近付けた。
普段は恥ずかしくて、ちょっと怖くて自分からキスをしたりしない。
あとちょっと…というところで、
「お前は何をやってるんだ?」
鋼牙が目を覚ましてしまった。
カオルがびっくりして慌てて顔を離す。
「お、起きたの? よく寝てるなぁと思って…」
「寝込みを襲う趣味でもあるのか?」
「〜〜〜」
赤くなって言葉に詰まっていると、不意に視界が変わった。
仰向けに寝かされ、鋼牙が覆い被さる姿勢になってカオルを見下ろしていた。
少し眠ったことで機嫌も直ったのか、いつも通りの彼だ。
カオルの頬に手を添え、優しく唇を塞ぐ。
何度もキスを繰り返す中で、鋼牙の手がカオルの腿の辺りを撫でる。
腹部に力がかかり、金属が擦れる音が聞こえた。
ベルトを外し、鋼牙がカオルのジーンズを脱がせようとしている。
「ん…鋼牙…」
「嫌か?」
こういった事は何度かあったが、鋼牙が帰って来てからは初めてだった。
しかしまだ夕方の時間帯だ。
「まだ早いよ…」とカオルが言うより先に、
「すぐに終わらせる」
「ぁん…っ」
カオルの腰を浮かせ、ジーンズを下着ごと脱がせた。
背中を弄ってブラジャーのホックを外し、キャミソールごとたくし上げる。
露になった色素の薄い乳首に吸い付き、反対側の乳房も掌に収めて捏ね回す。
指先で秘裂をなぞるとカオルが鋼牙の身体の下で腰をくねらせる。
「いや…ダメ…ダメ……」
拒絶を口にするくせに、身体は愛撫をねだる。
カオルの身体の正直さが鋼牙には可笑しかった。
「嫌ならやめるが?」
「ぃ…意地悪し…ないで…!」
ベッドではついカオルを泣かせたくなる。
更に指に少し力を込めると、堪らずにカオルは鋼牙の首にしがみついた。
952003-02 2:2012/07/26(木) 02:59:03.06 ID:LH3/Bir4
吐息混じりの甘い喘ぎ声と滲み出る蜜に誘われるように、カオルの女の部分へと指を埋めて行く。
中を弄り、何度も抜き挿ししていると量を増した蜜が溢れ出す。
それを秘裂の奥に隠れた芽に塗り付けた。
「ふぁあんっ!」
自分の声の大きさに慌てて口を噤むが快感の波は止まらない。
「鋼…牙…ダメ…ふぅ…んっあ…や…鋼牙ぁ」
更に指で乳首を擦り上げるとカオルから悲鳴のような嬌声が上った。
カオルは涙を滲ませ、荒げた呼吸を整えようと大きく息を吸う。
扇情的な姿に鋼牙はベルトを外し、いい加減窮屈さを覚えていた自身のものを解放した。
震えるカオルの足を開かせて腿を押し上げる。
淫らに濡れた入口に硬く屹立した男性自身を宛がう。
まだそれほど慣れていないカオルの身体を気遣うようにゆっくりと腰を進めた。
絡み付くような生暖かい肉の圧が心地いい。
漸く全てをカオルの中へ埋めると唇を重ね、舌を忍び込ませた。
カオルもそれに応えるように鋼牙の舌先に触れ、互いに絡ませ合う。
混ざり合い、どちらのものともつかなくなった唾液をカオルが嚥下したところで鋼牙が身体を起こす。
「…大丈夫か?」
カオルが頷くと鋼牙は腰を引き、今度は一気に突き入れた。
「ぅんっ!」
突き上げられた衝撃にカオルが呻く。
再び引き抜き、突き入れる動きを速度を変えながら繰り返して行く。
さっきより大きな声が出てしまいそうで、カオルは手の甲を口に押し当てて堪える。
鋼牙がその手を引き剥がし、シーツの上で指を絡める。
「カオル…声が聞きたい…」
「…っでも…」
「カオル…」
鋼牙の要求に応えるように次第にカオルの乱れた吐息に甘い喘ぎ声が混ざる。
「鋼牙…鋼…ダメ……もう…っあ…っ…あぁんっ!」
深くなる快感にもう限界だと思った。
我慢できずに全身を震わせてカオルが絶頂に達する。
同時に鋼牙の男性自身が自分の中で強く脈打つのも感じていた。
少し遅れてカオルの中に欲望を吐き出した鋼牙がカオルにくちづけをする。

カオルは数ヶ月振りの行為の余韻に浸りながらシーツに包まり、ベッドに寝転んでいた。
見なりを整え終わった鋼牙がベッドに腰を下ろす。
「それで、いつだ?」
床に落としたままになっていたカオルのジーンズを拾ってベッドに乗せる。
「何が?」
寝返りを打ち、鋼牙を見上げた。
「芝居を観に行くんだろう? いつなんだ」
あんなに嫌がっていた筈なのに一緒に行ってくれると言うのがカオルには嬉しかった。
笑顔で当日の予定を立てながら、夜は部屋に招待して夕飯に新開発の手料理を作ってあげよう、と思うのだった。
953名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 03:04:58.83 ID:LunPVEIC
やっぱり難しい…
失礼いたしました

2期のカオルはスカートが多かった印象だったので、スカートのイメージで書いていた為
9話ラストでジーンズだったのを確認した時は衝撃的でしたw
954名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 09:55:28.45 ID:ov3LM8Ms
職人さんgj
最後の最後にホラーに変わる一粒で二度美味しい作品になってますね
955名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 10:55:04.36 ID:5fuYoaCk
GJ!!
そして鋼牙を待つ最強の罠www
カオルってメシマズ嫁なイマゲ。パチでゴンザの夕食の手伝いをしようとしてめっちゃ止められていて不覚にも噴いたw
有能執事にも矯正出来ないレベルなのだろうか?
956名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 12:33:56.88 ID:xLVUuX63
職人様降臨ktkr!!
GJ! Sっぽい鋼牙いいね〜v
957名無しさん@ピンキー:2012/07/27(金) 03:04:13.27 ID:TWNF1Lwt
そうか、945のつぶやきは職人さんだったのねw
GJです、ありがとう!ジーンズ脱がしもまた萌えです。
958名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 12:53:17.31 ID:DcdzAD1E
今はまだ早いと思うけど、次を立てるとしたらいくつくらい?

>>955
ゴンザも匙を投げるレベルだと思ってる
カオルは今までに自炊したことないんだろうか…
959名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 19:33:56.34 ID:GHyyhVEf
もうそろそろ次立ててもいいのでは?
しかしこのスレの良作が見れなくなるのが残念すぐる…
作品のまとめサイトかwikiをお願いします!
このまま見れなくなるのはもったいない……
960名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 21:11:01.08 ID:fFiW4gzZ
>>958
初期無印牙狼の「晩餐」だったかな?
そこで友人のアサミを食中毒にして病院送りにしていたし、鋼牙に謎のスープらしい具の入った禍々しいものを出して「親の顔が見たい…!!」と一口で席を立たれている回もあったから本人に自覚がないメシマズと推定される。
寧ろ一口で無事な鋼牙が凄い件。
(アサミは一口で病院送りだった)
胃袋も鍛えてあるのか魔戒騎士はw
将来的に雷牙はゴンザの料理がカーチャンの味になる可能性がありそう。
961名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 21:37:09.39 ID:V6AhihR6
だって毒入り料理食べても死なないんだぜ?
962名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 23:50:52.80 ID:ZX56GZ1A
あれか
ちっさい頃からちょっとずつ毒を摂取して体を馴らして
最終的には毒が効かない体に……みたいな

魔戒騎士にもそういう修行がありそうな気はする
963名無しさん@ピンキー:2012/07/29(日) 08:23:07.91 ID:uJJBHyhM
そうか、カオルも少しずつ自分の料理に体を慣らしていって今に至るのか

1000まであと少しあるし、もう一花咲ければいいな
964名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 06:40:08.77 ID:+03QxHGF
『カオル』『体を慣らす』で調教っぽいことを想像してしまった…
ごめん、カオル
965名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 16:51:21.70 ID:fq5s2HKE
>>964 やだそれすごく見たい。
カオル調教って何そのドS鋼牙(1期の)
966名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 13:59:18.31 ID:QrmD8Ef5
>>965
想像したけど調教ネタを書くのはムリだなぁ

人が少なくて寂しい…
967名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 20:03:52.95 ID:I2rPbuyE
鋼牙がカオルを調教するシチュってなかなか難しいなあって思ったけど、
龍崎先生の変態調教済みでこんな私じゃお嫁に行けないよぅってわぁわぁ泣いてるカオルを
優しく男前に受け止めて、再調教、もとい自分好みに染め変えてく鋼牙っていうのは意外にありかもしれない

……うん、どう見ても変態なのは龍崎先生じゃなくて私です本当に以下略

ひどい前振りですみませんでした
大変時間が空いてしまいましたが君の中の永遠後編を投下します
鋼牙×カオルで
・指南書ネタ
・適当設定、独自解釈てんこ盛り
・これにて完結

なお色々詰め込みすぎてエロパートまでやたら長くなってしまいました
お急ぎの方は11/15 あたりからどうぞ
NGワードは「君の中の永遠」でよろしく
ではいきます
968君の中の永遠 後編 1/15:2012/08/02(木) 20:04:48.97 ID:I2rPbuyE
暁の空の色にも似た不思議な金色の雲が広がる空間にカオルは居た。
背後には、そっと包まれているだけで何よりも幸せを感じさせてくれる温かな気配。
何度も見た夢だ。
そして最後にはハッピーエンドが待っていると今の自分は知っているはずだ。
そう理屈ではわかっていても、平静ではいられない自分をカオルは自覚していた。

「カオル、しばらくお別れだ」
「俺は騎士たちを守るために大きな力と契約してしまった」
「約束の地という場所に行かなければならない」
「だが、俺は必ず戻る。そしてお前との約束も必ず果たす」

そう、そしてこの後ザルバが、俺様のことも忘れないでくれよなって言うのよね。
私がお返事にザルバのおでこにキスをして、それから……

「カオル」

……え?
ザルバがまだしゃべって、ない、のに……。
なんで、これは過去の夢のはずなのに、なんでいつもと違うの!?

ザルバが口を開く前に鋼牙にキスされ、今までにない展開にカオルはうろたえた。
夢の中だとわかっているのに、今まで繰り返し経験してきたものと異なる展開での別れに、
去っていく鋼牙が帰ってこないのではないかという不安に駆られて叫ぶ。

「鋼牙ぁ!!」

伸ばした手が届かないことはわかっている、それでもどうしようもない衝動のままに
必死に鋼牙へと腕を伸ばして――

「……ル、カオル!!」
「!!」

――ぎゅっと力強く手を握られる感触で目が覚めた。

「……カオル……」
「鋼、牙……」

半身を起こして心配そうに覗き込んでくる鋼牙を瞳が捉える。
寝起きのかすれた声で何とか鋼牙の名を呼ぶと、鋼牙はほっとしたように表情を緩めた。
朝のやわらかい光が鋼牙の裸の上半身を浮かび上がらせ、カオルは照れたように早口で弁解した。

「あ……ごめん、なんか、夢見てたみたいで。起こしちゃった?」
「それは気にしなくていい。目覚めてはいた。……すまない、俺のせいだ」
「え?鋼牙が起こしてくれたんだよ?」
「そういうことじゃない。最初から普通に起こしていればよかった」
「?」
「お前が悲しそうな顔をしていたから、つい、口付けてしまったんだが。
 その後急にうなされ始めたようだったから」

まるで自分の口付けが悪夢の原因であるかのように鋼牙がすまなそうな顔をするので、
カオルは急いで誤解を解くことにした。

「もう、そんな顔しないで?鋼牙は悪くないの。
 ……鋼牙がね、約束の地に行っちゃった時の夢を見てたの。
 鋼牙、私が悲しそうな顔してたからキスしたって言ったでしょ?
 多分それで夢の中でいつもと違うタイミングでキスされて、ちょっと驚いちゃっただけだから。
 だから、鋼牙のせいといえばそうだけど、でも鋼牙が悪いわけじゃないの!
 ……夢の中じゃなくて、ほんとに鋼牙にキスしてもらえたっていうのは嬉しかったし……」
969君の中の永遠 後編 2/15:2012/08/02(木) 20:05:27.79 ID:I2rPbuyE
最後は口にしている途中で恥ずかしくなって消え入りそうな声になってしまったけれど
鋼牙にはちゃんと聞こえていたようで、返事の代わりにキスが一つ降ってきた。

「おはよう、カオル。俺はそろそろ起きるが、お前はどうする。
 まだ寝ていても構わないが」
「あ、うん、おはよ。鋼牙が起きるんだったら、私も起きちゃおうかな」

そう言ってベッドから滑るように抜け出したカオルを鋼牙は当たり前のように目で追って、
そしてその姿に今更のように動揺した。
カオルの格好は当たり前だが昨晩から変わっていない。
すなわち、下着の上に鋼牙のパジャマ一枚を羽織っただけの姿なのだった。
男物のパジャマの裾からはもう少しで下着が見えてしまいそうで、
そこから健康的な足がすらりと伸びている。
布地に隠された部分――昨晩目にし、そして触れた場所――をうっかり思い浮かべてしまって
自身がどくりと脈打つのを自覚し、鋼牙はあわててカオルの姿から視線を引き剥がした。
その動きに何かを感じたのか、つかのまきょとんとしていたカオルが自らの体を見下ろし、
そこでようやく自分の姿に気がついたのか頬を染めた。
散らばったままになっていたカオル自身の寝巻きを拾い上げて胸元に抱き込むと、

「き、着替えたら、鋼牙のパジャマはちゃんと返しに来るから!!」

そう言って、そのまま扉を開けてするりと姿を消す。
パタパタと遠ざかっていく足音をどこか遠くに聞きながら
鋼牙は元気に自己主張をし始めていた己の分身への呆れと、そしてそれを
カオルに気取られずに済んだことへの安堵の入り混じったため息をついたのだった。




そして午後。
カオルは、冴島邸の自らの部屋で、ある問題について如何に鋼牙に切り出すかについて
ぐるぐると考え続けていた。

そりゃあ言いにくいけど、夜になる前に、鋼牙とそういう雰囲気になる前に
聞いておきたいっていうか、直前になって切り出すなんてさすがに雰囲気ぶち壊しだよね……。
どうせ微妙な雰囲気になるなら、はやいうちに聞いちゃったほうがいいのかな……。
でも、なんて言えばいいんだろう……。

そんなことを考えながら、カオルは常に持ち歩いているポーチの中から“それ”を取り出してみた。
カオルが自分で手に入れたものではなく、出所は当然亜佐美である。
こういうのは男任せにしてちゃ駄目なんだからね、といつだったか亜佐美に渡されたそれは
今まで使われることなくポーチの中に収められていたのだった。
手の中の“それ”――要するにコンドーム――をくるくると弄ぶ。
……そもそも魔戒騎士にこの手の知識なんてあるんだろうか。
最初の日に鋼牙が言ってくれたこと――騎士の誓い、と鋼牙は言ってたっけ――からして
もし、もしも、鋼牙との子供が出来たとしても、きっと鋼牙は喜んでくれると思うし
自分としても幸せなことだとは思うけど、でもやっぱりそういうのは
ちゃんと、その、結婚とかしてからのほうがいいかなって気もするし……

「カオル、入るぞ」
「わわっ!?」

およそかわいくないと自分でも思う間抜けな悲鳴を上げてカオルは飛び上がる。
声と同時にドアを開けた鋼牙は驚いた様子のカオルに不思議な顔をしたものの
あまり気にする様子でもなく部屋の中に足を踏み入れ、そして慌てて後ろ手に
何かを隠したカオルに問いかけた。
970君の中の永遠 後編 3/15:2012/08/02(木) 20:06:00.11 ID:I2rPbuyE
「……お前、今何か隠さなかったか」
「いや、あの、えっと、です、ね……」
『鋼牙、それをカオルに説明させるのはちょっと酷なんじゃないか?』

鋼牙の左手から聞こえてきた声にカオルはびくりとした。
……見られた。
しかも、それだけじゃなくて、口調から察するに。
この魔導輪は“これ”が“なに”か“知って”いる。

「えーっと。ザルバ、もしかしてもしかしなくても、……見た?」
『俺様は、な。どうする、俺が鋼牙に説明してやっても――』
「ちょ、ちょっと待って!っていうかその前に質問!
 ザルバが知ってるってことは、つまり、鋼牙も知ってるの?」
『さあな、そこまでは俺にはわからない』
「お前たち、一体何の話をしているんだ」

鋼牙の声にカオルとザルバは顔を見合わせ、そして揃って鋼牙を見上げた。

「……なんだ」

二対の瞳にまじまじと見つめられて鋼牙はめずらしくたじろぐ。

『なあカオル、お前さんが自分で話すっていうなら、鋼牙に俺を外すよう頼んでも構わないぜ?
 それとも俺から鋼牙に説明してやろうか?』
「……ううん、やっぱり自分で話す。ザルバもそのままでいいよ」

儀式のことも今自分が手に持っているものの事も既にザルバには知られてしまっていると考えると
今更席をはずしてもらう必要もない気がして、カオルはそのまま隠していた手を前に出した。

「ねぇ、鋼牙。あの、ね。……避妊っていうか、その方法とかって鋼牙は知ってる?」
『おいおい直球だな』
「……今夜のことか?」

流石に唐突に切り出しすぎたかなと思ったけれど、聞いてしまったものはしょうがないので
カオルは一つうなずくと続けた。

「今日鋼牙と、その、……するっていうことには全然問題はないんだけど、
 一応こういうことはちゃんとしておいたほうがいいのかなって思って。
 でね、普通はこういうのを使う……らしいんだけど、鋼牙はこれ……」
「……何に使うかくらいは知っている」

カオルの掌の上のそれをみて鋼牙はそう返答した。
知ってたんだ……ちょっと意外だったかも、そうカオルが意外そうな表情をしたのをどう捉えたのか

「断っておくが実際に使ったことは無い」

そう鋼牙は付け加えた。

「だが今日はそれは使わない、と思う」
「……そ、っか……」
「心配するな。今日は別の方法を使うことになる、というだけだ。……騎士や法師は秘薬を使う」
「あ、やっぱり魔戒な人達には別のやり方があるのね。
 っていうか、鋼牙、その、……考えてくれてたんだ」
「まだ俺とお前は、……恋人同士なんだ。おろそかにはできないだろう」

鋼牙の口から恋人同士なる単語が出てきたことに照れたカオルは
一番最初に鋼牙の口から出た言葉の意味に気付くまでに一呼吸ほど必要とした。
971君の中の永遠 後編 4/15:2012/08/02(木) 20:06:40.43 ID:I2rPbuyE
「……まだ、って、それって……」
「最初の夜に言っただろう。
 生涯愛し抜くという誓いをたてるというのは、つまり、……そういう意味だ」
「……うん」

あらためてそんな風に言われるとどうにも面映くて、耳まで赤くしてカオルはうつむく。
と、ちょうど視線の先にいたザルバとばっちり目があってしまってカオルは我に返った。
こんな展開になるってわかってたら外してもらってたのに……!と思ったところで後の祭りだ。

「おおおお願いザルバ今のはやっぱり聞いてなかったことにして……!!」
『ん?安心しろ二人とも。俺様は今のプロポーズなんて一言も聞いてな――』
「うるさい!」「言わないでーー!!」
『わかった、わかったからそう大声を出すな。俺だって聞きたくて聞いてたわけじゃないんだ。
 それより鋼牙、本題がまだなんじゃないのか』

うんざりしたようなザルバの声にようやく鋼牙はここへ来た本来の目的を思い出した。

「カオル、俺は今から塔に行こうと思う」
「塔って、鋼牙が牙狼の称号を受け継いだっていう、あの塔?」
「そうだ。……二人で出かけないか」

鋼牙からの誘いとあればカオルの答えは決まっていた。




「鋼牙から出かけようって誘ってくれたの、帰ってきてからは初めてじゃない?」
「そうだな」

二人で木漏れ日の中を歩いていく。
青々とした森は以前に訪れたときとはまた違った表情を見せていた。
僅かに隙間を見せている緑の向こうに白亜の塔が静かにたたずんでいる。

「なんで塔に来ようって決めたの?」
「前にお前と来て以来訪れていなかったからな。
 ギャノンに取り込まれ、約束の地に赴きと邪気のつきやすい状況にいたことを考えると
 これでも来るのが少々遅かったくらいだ。なにより……」
「なにより?」
「……今夜お前と繋がる前に。俺の体に宿る邪気を祓っておきたかった」

カオルは頬を赤らめ、そっか、と答えた。
出会ったばっかりのころはデリカシーのない奴って思ってたけど、
鋼牙って意外にこういうところ気を使ってくれるのよね、そんなことを思う。
鋼牙と心を通わせるようになってはじめて知った面の一つだった。

「ね、鋼牙。ここって、一体どこにあるの?
 前の時はお屋敷の裏庭から歩いてきたでしょ?
 歩いてこられるくらい近くなんだからお屋敷から見えたってよさそうなのに、
 あの後いくら頑張っても塔なんて見えなかったから、ずっと不思議だったの。
 今日だって、こんなに近くに森と塔があったんだったら私絶対気付いてたと思うんだけど」
「見つからないのは当然だ。この場所は普通の空間にあるわけじゃない」
「普通の空間じゃないって……紅蓮の森とか、宝玉の森とか、そんな感じの場所ってこと?」
「普通の人間には入ることができない、という意味では似たような場所だ。
 もっともそういう森のような危険はほとんどないがな。
 それに、魔戒騎士だろうと魔戒法師だろうと勝手にこの森に入ることはできない。
 俺が来ようと思えばどの場所からでもたどり着くことができるが、
 俺が心を許す者でなければ何人たりとも近づくことは出来ない、そういう場所だ」
972君の中の永遠 後編 5/15:2012/08/02(木) 20:07:10.72 ID:I2rPbuyE
「この森も、魔戒にまつわる不思議の一つなんだねぇ……」
「また絵本のネタが増えた、か?」
「ふふ、いつか描きたいものリストに追加だね」

そのまま他愛ない話をしながら歩いていくと森が開けて白い塔がその入り口をあらわした。
どうやら前回来た時とは違って、丘からではなく直接塔に通ずる道を辿ってきたようだった。

「じゃあ、私ここで待ってるから」

その言葉に、鋼牙はカオルをこの場所に一人で残すことの是非について考えをめぐらせた。
前回のことがある。……時空ホラー・ザジ。
この前初めて奴に出くわしたことや英霊の言葉から察するに二度続けて現れるとは考えがたく
また奴の狙いはカオルではなく黄金騎士たる自分に定められているとはいえ、
ここにカオルを一人で残しておくことは得策ではないかもしれない。

「ザルバ」
『わかってるさ。ここでカオルのお守りをしてろって言うんだろ』
「ちょっとー、お守りってなによお守りって!」

口ではそんなことを言いつつ、カオルは神妙な顔で鋼牙からザルバを受け取った。
鋼牙の意図はわからずとも、ザルバを預けるからには相応の理由があるはずだということくらいはわかる。

「そんな顔をするな。あくまで念のためだ。……ザルバ、頼んだぞ」

カオルの心配を読んだかのように鋼牙はそう言うと踵を返し塔の中へと消える。
鋼牙が塔の中へと入っていったのを確認すると、カオルは近くの石の上の木の葉を掃ってそこに腰掛けた。

「ね、もしかして、この前来たときに何かあったの?」
『あー、まあな。実はホラーが出た』
「えぇっ?」
『牙狼の称号を継ぐ者に必要な通過儀礼みたいなもんだったんだが、
 そいつは鋼牙と戦うためによりによってお前さんをだしに……というか人質に取ったんだ。
 瞬きするほどの時間だったから自覚はないだろうけどな。
 もともと奴の狙いはお前さんじゃないし、しばらくは出てくることはないと思うが、
 鋼牙の言ったとおり念のためってことだ』
「そうだったんだ……」

なるほどそれでザルバを私に預けたのね、とカオルは納得した。
まあ、もし本当に危険ならデートの場所にここを選ぶはずがないし、
ザルバの言うようにあくまで念のためであってそう心配することではないのだろう。

「ね、ザルバ、浄化の儀式って鋼牙はいつもどんなことするの?」

魔戒の不思議は尽きることがない。
鋼牙が戻ってくるまでの間、カオルはザルバからこの不思議な世界の話を聞くことにしたのだった。



鎧を模した数多の像の見つめる塔の中心へと鋼牙は歩を進めていく。
この塔に踏み入れるたびに身が引き締まる思いだった。

『我等牙狼の称号を継ぐ者よ。光を浴びるがよい』
「はい」
『今、お前の肉体に宿る邪気は、お前の陰我と共に消え去るだろう』

型通りのやり取りを終え、鋼牙は英霊達の言葉を待った。
彼らは多くは語らない。
だが、その一言は常にその時鋼牙自身が向かい合うべき問題であり、必要な言葉であった。
973君の中の永遠 後編 6/15:2012/08/02(木) 20:07:48.56 ID:I2rPbuyE
『いま、お前は一人の人間をお前の運命に巻き込もうとしている』

やはりそのことか、と鋼牙は思った。
カオルとの契りの儀式のことを言っているのだ。

『その者は本来ならば魔戒に生きる者達とかかわりを持たぬ身、ただの人間の娘だ。
 それと知っていて尚、その者をお前は求めるのか』
「それでも、もう俺は躊躇いません。
 俺と共に生きようとしてくれるカオルに、そのことを後悔なんてさせない。
 何があろうと、あいつを受け止めて、守ってみせる。
 それが俺の覚悟です」
『その覚悟、我等確かに聞き届けた。
 お前とそしてお前の守るべき光とを共に、我等は迎え入れよう』

一際光が強くなり、そして徐々に弱まって塔の内部はもとの明るさを取り戻した。
英霊たる牙狼の気配は既にない。浄化の儀式は終わったのだ。
最後の言葉を鋼牙はかみ締めていた。
正式に“お許し”が出たということなのだろう。
この場所にカオルと共に立つというのはすなわち婚儀の時に他ならなかった。



『なあ、カオル』
「ん?」

ザルバに少し声のトーンを落として名を呼ばれて、カオルは髑髏の暗赤色の目を見つめた。

『破滅の刻印のことを鋼牙が打ち明けたときのことなんだが。
 鋼牙がなんて言ってたか、お前さん憶えてるか』
「忘れるわけないじゃない。どうしたの急に?」

そう、忘れるわけがない。
今でも鋼牙の苦しそうな表情と声色は脳裏に焼きついている。
――俺には、……破滅の刻印がある。残された時間で、やるべきことがある――
――すまない。お前との約束は、守れそうにない。……俺は、――
俺は、の後鋼牙が告げるはずだった言葉は、カオル自身が遮ったため聞くことはなかった。
“何も言わなくてもわかって”いたから。
それは鋼牙が果たすべき使命であり、カオルにとって聞くことが辛い言葉であり、
そしておそらく鋼牙にとっても告げることが辛い内容だということは想像に難くなかった。

『時間が無かったのは確かだが、鋼牙はあっさりやられるつもりなんか無かったんだ。
 零や翼には、少なくともお前さんに言ったような言葉は使わなかった』
「……知ってるよ。私も、零君たちから聞いたから」
『なに?』
「鋼牙がいなかった間、零君とかレオ君とかよく来てくれたんだけど、そのときにちょっとね。
 破滅の刻印のこと、零君には、必ず手はある、って言ってたんでしょ?
 翼さんにも、刻印は俺が何とかする、だからお前も諦めるなって、
 そう言ってましたってレオ君が教えてくれた」
『そこまで知ってるなら話は早い。
 なあ、鋼牙はあの時、なんでお前にあんな風に言ったんだ?
 俺からみても、あいつは別に刻印のことを諦めてたわけじゃなかった』
「やっぱりザルバも気になるんだ」
『も、とはどういうことだ?』
974君の中の永遠 後編 7/15:2012/08/02(木) 20:09:14.86 ID:I2rPbuyE
「この話をしたときにね、零君もレオ君もちょっと驚いてたから。
 零君、あいつなに弱気なことカオルちゃんに言ってるんだよって、ちょっと怒ってたんだよ?
 俺の前で格好なんてつけなくていいから、そういうことはカオルちゃんに言ってやれよって。
 まあ怒ってたのは最初だけで、鋼牙にもそういうこと言える相手が必要だよなって
 すぐにそんな風に言ってたけどね。
 レオ君もね、あの鋼牙さんがそんなことを言うなんて、って驚いてた。
 それから、でも鋼牙さんだって人間なんですから、そういう不安や本当の気持ちを打ち明けられる人が
 一人くらいいてもいいはずですよね、って」
『なるほどな、あいつらがそんなことを』
「だけどね、私は、ちょっと違うことを考えてるの」
『へぇ、それは是非とも聞かせてもらいたいな』
「鋼牙はね、後ろめたかったんだと思うの。
 そういうときには、鋼牙はいつも以上に何も話してくれなくなるから。
 ……なんかね、前のときとそっくりなシチュエーションだったから」
『前のとき?』
「……ザルバは憶えてないんだっけね。
 ね、私と鋼牙の馴れ初めってザルバはどれくらい聞いてるの?」
『ホラーに襲われたところを助けたのはいいが巻き込まれて返り血を浴びちまったお前さんを
 鋼牙が斬らずに助けたんだろ?』
「そう。……だけど、鋼牙は血に染まりし者がどんな存在なのかを私にはずっと隠してたの。
 何も言わないまま、ホラーに狙われる私をずっと守ってくれた。
 浄化の為に、あらゆる伝手でヴァランカスの実を探してくれた。
 でもね、あるとき私と鋼牙の目の前で、ホラーが血に染まりし者の秘密を言ってしまったの。
 女を狩りの餌に使うとは、お前も我々ホラーと同じだ!って」
『おいおい、それはまた……』
「しかもそのあとね、私を狩りの餌にしたって本当なのって鋼牙に聞いたら、あいつなんて言ったと思う?
 ああ、って。ただそれだけだったの。
 それまでずっと命がけで私のことを守ってくれたことも、必死にヴァランカスの実を探してくれてることも、
 そんなことなんて一言も言ってくれなかった」
『勘違いしろと言わんばかりだな。というかお前さん、そんなことがあってよく鋼牙とくっついたもんだな』
「ほんとよね。まあ、そのあと色々……本当に色々あったから。
 ともかくそんなわけで、鋼牙がひた隠しにしてたことがバレちゃうって意味では
 似たようなシチュエーションだったの。
 だからね、刻印のことを鋼牙があんな風に言ったのも、弱気になってるとか不安だとかっていうよりは、
 ただそれしか言えなかっただけなんだろうなって思った。
 私を守ってくれてたこととかヴァランカスの実のことを言えなかったのと同じで、
 刻印のことだって簡単に諦める気はないってことを言えなかったんだなって。
 何を言っても言い訳にしかならないって思ってたんじゃないかな。
 私に刻印のことを黙ってたことが後ろめたくて、きっとそれしか言えなかったの。
 ……後ろめたく思うことなんてなんにもなかったのにね」

ずっと話していたカオルはそこでゆっくりと一つ息をついた。

「たぶん、基本的にはこんな感じなのかなって」
『いや、なかなか面白い意見だと思うぜ。俺様が憶えてない話も聞けたしな。
 ところで、基本的には、ということはまだ何かあるんじゃないのか?』
「あの、これは本当に、私の勝手な推測なんだからね?
 ……あの時鋼牙は、魔戒騎士としてだけじゃなくて、一人の男の人として私に向かい合ってくれた気がしたの」
『そうか?お前との時間を捨ててでもやるべきことがあるなんてのは、
 まるっきり魔戒騎士の言い草だと思うんだが』
975君の中の永遠 後編 8/15:2012/08/02(木) 20:11:13.54 ID:I2rPbuyE
「んーと、言葉が足りなかったかな。
 つまりね、鋼牙は魔戒騎士って言う自分の立場を理由にして
 自分は魔戒騎士だから残された時間でやるべきことがある、っていう風に
 私を説得しようとしたわけじゃなかったってこと。
 そういう風に私を説得するっていう道もきっとあったと思う。
 でも鋼牙は、そんな感じじゃなかったでしょ?
 もう私と一緒には居られないことに、私との約束を反故にしちゃうことに苦しんでた。
 守りし者としての生き方を貫くって鋼牙は決めていて、でもそのせいで私を傷つけるんじゃないかって、
 鋼牙はきっとそんな風に考えて苦しんでた。
 魔戒騎士として話すだけなら、あんなに苦しそうに話すはずがないよ。
 一人の男の人として向かい合ってくれたからこそ辛かったんだろうなって、そう思ったの。
 私の想いにこたえることができないことに、約束を破ってしまうことに心を痛めて、
 それでも守りし者としての生き方は曲げられなくて、言い訳なんか出来なくて、
 だから、ああいう風に言うことしかできなかったんじゃないのかなって」

そう感じたからこそ、あなたは守りし者だから、との言の葉で鋼牙を送り出した。
守りし者として生きると決めた鋼牙の決断を鈍らせるような真似はできなかった。
私の事は心配しなくて大丈夫。
その気持ちが少しでも伝わりますようにと、そう願った。

「……なんてね、これはちょっと自惚れすぎかなって自分でも思うんだけど。
 見当はずれだったら恥ずかしいから、鋼牙には内緒だよ?」
『心配するな、俺様は口は堅い。……と言いたいが、
 残念ながら結果としてはそれは無理な話だ。なあ鋼牙?』

え、とカオルが顔を上げると、いつの間にか傍らに鋼牙の姿があった。
慌てて立ち上がってザルバを差し出す。
どのあたりから聞かれてしまっていたのだろうか、ああでも、
どこから聞かれていたにしても正直恥ずかしくていたたまれない、
そうカオルが思ったところで、ザルバを乗せていた両手ごと鋼牙にすくいあげられた。

「ザルバ、お前、俺がいると知っていて話を振ったな」
「え、……えぇっ?」
『まさかカオルが気付いてないとは思わなかったんだ。
 あんまり真剣に話すから水を差すのもどうかと思って言いそびれた』

悪びれもせずそう言う魔導輪を半ば諦めの面持ちで左手に嵌めて鋼牙はカオルに声をかけた。

「俺が聞いていてはいけなかったか」
「そういうわけじゃないんだけど、ただちょっと恥ずかしいなっていうか」
「別に、そんな風に気にする必要はないだろう」
『だ、そうだ。よかったなカオル』
「ザルバ、お前は少し黙ってろ」

そう言うと鋼牙は左手を差し出す。
誘いに気付いたカオルはそっとその掌に自らの右手を滑り込ませた。

「行くぞ」
「うん」

こうして手をつないでいる間はザルバは決して話すことはない。
それを知っているからこその左手での誘いだった。
ほら、やっぱり鋼牙はこういうところで気を使ってくれる、
そんな些細なことが嬉しくてカオルは微笑む。
手をつないだ二つの影は橙色に染まり始めた森をゆっくりと去っていった。




976君の中の永遠 後編 9/15:2012/08/02(木) 20:11:45.35 ID:I2rPbuyE
鋼牙の寝室の扉を前にしてカオルは立ち止まった。
この扉を開けたら、いよいよ鋼牙と、そういうことになるんだ……。
身に着けているのはパフスリーブと胸元のリボンが可愛くて一目ぼれしたお気に入りの真っ白いネグリジェ、
そしてその下には同じく白の勝負下着。
どうせ脱がすから何着ても一緒なんじゃないのか、なんて鋼牙は思ってそうだけど、
好きな人との初めてをできるだけ可愛い格好で迎えたい女心がちょっとは伝わるだろうか。
ドキドキしている心臓をなだめるように胸に手を当てて、それからノックをしようと
右手を軽く握り――

「カオル?」
「!?」

背後から鋼牙に声をかけられてカオルはびくりと振り返った。
まさか部屋にいないとは思っていなかった。
ああもう、なんて間抜けな私、と心の中で自分に突っ込みを入れて、
それから変に緊張していた自分がおかしくなってカオルはくすくす笑った。
私と鋼牙の組み合わせなんだもの、最初にちょっとしたハプニングがあるくらいのほうが
それらしいのかもしれない、そう思うと肩の力が抜けるのがわかった。

「どうした?入らないのか?」
「あ、ううん、なんでもない」

そう言うと、鋼牙に続いて部屋への中へと入る。
三日目ともなると部屋の中を見回すほどの余裕も出てきた中で、
カオルは今朝まではこの部屋になかったものを見つけた。
指南書の隣に置かれている美しい装飾を施された半透明のそれは
一見するとアロマキャンドルのようにも見えるけれどキャンドルにあたる部分が見あたらない。
ベッドの端に腰掛けてこれはいったい何なのだろうと見つめていると
隣に掛けた鋼牙がライター状の魔導火を取り出した。
魔導火に火を灯して鋼牙がふっと息を吹きかけると、その緑の炎は半透明の器の中へと吸い込まれて
柔らかな緑の光を灯した。

「綺麗……。なんだか、ほんとにアロマキャンドルみたい。鋼牙、これは何?」
「結界を作り出す道具だ。この部屋の気を清めてくれる」
「札じゃなくて、こういうものを使うこともあるんだね……」
「結界を張るだけなら札でも構わないんだが、それでは情緒がない、のだそうだ。
 だから、契りの儀式ではこういったものを使う……らしい」

情緒がないなんて、そんなところまでこの指南書はフォローしてたなんて。
昨日のパジャマの件といい、魔導書っていうのもお堅いばかりではないのね、と
カオルはあらためてこの本を微笑ましく思った。
鋼牙はいったいどんな顔してこれを読んだのかな。
相変わらず眉間にしわを寄せてたりして。

「……カオル」
「ん?」
「昼間、ザルバにしていた話だが」

そこで鋼牙は一度言葉を切った。
……もしかして、見当違いもいいところだったのかな。
鋼牙の言葉を待ちながらカオルはそんなことを考える。
977君の中の永遠 後編 10/15:2012/08/02(木) 20:12:16.50 ID:I2rPbuyE
「お前は人の心が読めるらしい」
「え……」
「何も言わなくてもわかってる、あの時お前はそう言っていたな。
 もちろん、その言葉が嘘だと思ってたわけじゃない。
 だがそれは、俺の言葉そのものに対してだけのことだと思っていたんだ。
 ……まさか、あそこまで読まれてるとは思ってなかった」
「鋼牙……」
「やはり、俺にはお前が必要だ」

真剣な中にも甘さと熱の篭った鋼牙の瞳に射抜かれて、カオルはその瞳の中に
捕らわれてしまいそうだ、と思う。
目を逸らさないまま鋼牙がカオルを抱き寄せ、囁いた。

「カオル。お前が欲しい」

幸せで泣きそうなんておかしいなと思いながらカオルはこくりと頷いて、
鋼牙の胸の中に飛び込むように抱きついた。



「カオル、これを」

カオルが落ち着くのを待って、鋼牙は小さな瓶をカオルの目の前に掲げた。
たぶんこれが件の秘薬なんだろうな、とカオルは見当をつけた。
これを自分が飲めばいいのだろうか。
瓶を受け取ろうとして鋼牙にその手を止められた。

「相手が口移しで飲ませることになっている」
「あ、そうなんだ……」

カオルは目を閉じて鋼牙の唇を待った。
柔らかい感触が触れて口移しに液体が注ぎ込まれる。
ほんのりと甘いそれをこくりとカオルが飲み干すと鋼牙の唇はあっさりとカオルから離れた。
鋼牙が何か仕掛けてくるかもしれないと思っていたカオルは、一体自分は何を期待していたんだか、と
恥ずかしくなってうつむいた。
だって、鋼牙とキスするのは凄く気持ちよくて、だから自分がこんなことを考えるのも
全部、みんな、鋼牙のせいなんだから!と心の中で責任をなすりつけてみたところで
恥ずかしさがおさまるわけではもちろんなかった。

「今度はお前からだ」
「え?」

鋼牙の手には先ほどのものと対になるようにデザインされた小瓶。
二つ一組で互いに口付け合うようになっているのだ、とカオルはそこで初めて気付いた。
軽々と抱えあげられて、そのまま鋼牙の足を挟むように座らされる。
そのままだと口移しをするにはまだ顔の高さが近かったので、カオルはやや膝立ちになって
鋼牙の顔を覗き込んだ。

「目、閉じてくれる?」

言われるままに鋼牙がその双眸を閉ざした。
カオルは瓶の中身を空けると鋼牙の精悍な顔に手を添える。
そうっと近づいて、息を詰めて。
そして、意を決して自らの唇を鋼牙に寄せた。
薄く開いた唇へとその秘薬を移していく。
顔を離そうとしたところで、後頭部に鋼牙の手が回されて逃げられなくなった。

「ん、んん……」
978君の中の永遠 後編 11/15:2012/08/02(木) 20:12:54.89 ID:I2rPbuyE
鋼牙は最初からこの二回目で仕掛けるつもりだったらしい。
ゆるく開いていた唇から鋼牙の舌がするりと入り込みカオルの口内を犯していく。
口の中をなぞられ、舌を探られてぴちゃ、ちゅく、と水音がなる。
恥ずかしいのにやっぱり鋼牙とのキスは気持ちよくて、カオルは目を閉じたままキスに没頭した。
段々と体に力が入らなくなり、肩に手をかけて体を支えようとするけれどそれでもおぼつかない。
ゆったりと腰の辺りからお尻、腿を這う鋼牙の手に感じてしまっていよいよ力の抜けたカオルは
膝立ちの姿勢を保てずにぺたりと鋼牙の膝の上にへたり込んだ。
ようやく唇を開放されて、カオルはくたりと鋼牙の胸に身を預ける。
ほぅ、と漏らした吐息が鋼牙の首筋をくすぐり、鋼牙は愛おしそうにカオルの髪を撫でた。



部屋の明かりが落とされると、魔導具の中で揺らめく緑の光が少しだけ明るさを増した気がした。
鋼牙の手がカオルのネグリジェにかかり、そのままするりと抜き取られる。
下着姿になったところを鋼牙に無言で見つめられ、カオルの心臓は羞恥以外の理由でも鼓動を早めた。
サイドをリボンで結ぶタイプのパンツにしたの、失敗だったかな……。
紐パンとかいやらしいとか、思われてたりして……。
に、似合ってないなんて思われてたら恥ずかしくて死にそう……。
っていうかそれ以前に、白のネグリジェに白の下着なんて流石にあざとすぎるとか思われてたら、私、もう……。

「……やはりお前には、白が似合う」

そういって鋼牙はカオルの体を抱きしめた。
自分の選択が間違いではなかったことにカオルは詰めていた息をゆっくりと吐き出す。
ちゅ、と一つ口付けをして僅かに体を離した鋼牙の裸身を魔導具の明かりがほのかに照らし出すと
カオルはちょっと目を逸らし、それからおずおずと視線を戻した。
昨日も鋼牙の肌は見ているけれど、そのときから意外に思っていることが一つあった。
背中を斜めに走る傷痕のほかには鋼牙の身体には傷らしい傷はほとんど見当たらないのだ。
鋼牙のくぐり抜けてきた修羅場の数々を思えばそんなはずがないのに、そう思うけれど
目の前の鋼牙の肌にはそれとわかるほどの傷痕はない。
破滅の刻印が消えていることを確かめるようにカオルは掌を鋼牙の胸にそっと押し当てる。
その感触は意外なまでに滑らかだった。

「もっと傷だらけかと思ってた。私が知ってるだけでも、鋼牙は何度も怪我してたのに」
「魔戒騎士は傷の治りが早い。それに魔導火を扱えるようになれば大概の傷は残らない」
「そうなんだ。それで、背中の傷は消えずに残ってるんだね……」
「話したことがあったか?」
「ううん、邪美さんから聞いたの」
「何?」
「私ね、邪美さんに聞くまで鋼牙のその傷のこと知らなくて。
 見たこと無いって言ったら、あんた達まだ寝てなかったのかって呆れられちゃった。
 でね、今あいつの背中に傷を付けられるのはあんたくらいしか居ないだろうよって。
 ……あの、できるだけ引っ掻いたりしないように気をつけるから」
「構わない。お前に付けられる傷なら本望だ」

そう言うと鋼牙はカオルの耳朶に唇を寄せた。
耳にかかる吐息の熱さに、そして耳朶を這う唇と舌に、カオルはぞくりと震える。
その一瞬の間に昨日よりも手馴れた様子で鋼牙が背中のホックを解き、
胸を覆っていた白い布がカオルから剥ぎ取られた。

「あ……」

そのまま鋼牙はカオルを抱き上げるとそっとベッドの中央に横たえる。
カオルの柔らかな髪がシーツに散って緩やかに広がった。
恥ずかしそうに上目遣いで見つめてくるカオルを前にこれ以上我慢することなど無理な話で、
鋼牙は狂おしいほどに猛る気持ちをなんとかなだめながらカオルの肌に手を滑らせた。
掌に触れる柔肌はどこに触れても滑らかでしっとりした感触を伝えてくる。
吸い付くようなその感触がなんとも心地よかった。
979君の中の永遠 後編 12/15:2012/08/02(木) 20:13:26.34 ID:I2rPbuyE
「ん……っ」

つ、と胸のふくらみが始まるところから指を滑らせる。
色づいた場所を避けるようにふくらみを撫でて、また胸の下部へと戻っていく。
焦らすようにそれを続けていくと、触れてもいなかった頂点が硬くなっていく。
何度も焦らされて声を耐えていたカオルがとうとう懇願した。

「鋼牙ぁ……意地悪、しないで……」

羞恥と快感に濡れた声が鋼牙の鼓膜を震わせ、
鋼牙はカオルの可愛らしいおねだりに答えるべくつんと立ち上がった先端に口付けた。

「あ、ふあぁ……っ」

ずっと焦らされていたそこにいきなり与えられた刺激にカオルは思わず声をあげる。
同時にもう片方の頂に鋼牙の指が添えられてくにゅくにゅと摘み上げられ、カオルはいやいやと頭を振った。
もちろん本当に嫌なわけではない。
それでもずっと焦らされた後のこれは刺激的過ぎて、大人しくしていることなどできなかった。

「本当に敏感なんだな……」
「そ、そのまましゃべるの、だめえぇっ……」

確かな弾力を伝える頂点を口に含んだまま鋼牙が喋ると、それだけで感じてしまっているのか
カオルの体がびくびくと震えた。
唇を少しずつ下にずらしながら鋼牙はカオルの体に口付けを施していく。
きつく吸い付いて赤い花を咲かせたのは左胸だけで、他の場所には痕は残さぬまま、
羽毛の優しさで口付け、舐め上げる。
胸元から薄い腹部、おへその辺りと口づけていき、腰に揺れるリボンの端を唇で引く。
反対側も同じようにするとカオルを覆っていた最後の白ははらりと解けて
触れてもいないのに蕩け始めているカオルの中心があらわになった。
そこにも口付けを落とそうとしたところで、カオルの腕がやんわりと鋼牙を押しとどめた。

「そこは、いいよ……」
「カオル……?」
「あの、口でしてもらうのも気持ちよかったんだけど。
 鋼牙の顔がちゃんと見えないのは、なんだかさびしくて――」

そこまで言いかけて、カオルははたと気づいた。
……これじゃあ昨日とおんなじだ。
自分のことしか考えられなくて、自分がしてほしいことに、自分の快楽を追うことに夢中で、
自分の求めることを鋼牙にねだるばかりで。
私、鋼牙のことなんか何にも考えてないみたいだ……。
なにか自分がひどく浅ましいように思えて、自分を見下ろしている鋼牙にカオルは
悄然とした面持ちで謝った。

「……ごめん、あの、私、自分のことばっかり……。
 い、今の、気にしないでいいから!鋼牙の好きなように――あ、ああっ」

謝罪の言葉はカオルの中心を撫で上げた鋼牙の右手によって嬌声へと変わる。
鋼牙は愛おしくてたまらないといった表情でカオルの顔を見つめながら、
手元を見ることなく器用に蜜を掬い上げてはぷくりと膨らんだ秘芽に塗りこめていく。

「あん、鋼牙、……んんっ、気にしなくていい、のに……」
「俺の好きなようにしていいんだろう?
 なら、今お前に求めることは一つだ。
 お前の感じてる顔を、俺に見せてくれ……」
980君の中の永遠 後編 13/15:2012/08/02(木) 20:13:56.25 ID:I2rPbuyE
くちゅくちゅと入り口と芽を弄っていた指をカオルの中に差し入れると、
それだけできつく戒められ、蠢くように誘われる。
とうとう今夜、ここに自らを埋めることができるのだ、そう思うとたまらない気持ちだった。
いっそこのまま貫いてしまおうか、そんな考えが一瞬頭をよぎって、鋼牙は慌てて頭を振った。
まだ指一本ですらきついというのに、カオルに無体な真似を強いることは出来ない。
差し入れた指を少しずつ動かして慣らしながら、カオルの中を探っていく。

「あ、ん……っ、やぁ……っ」

カオルの中を探る指を増やしながら、昨夜見つけたカオルの弱い場所を確かめるように
丁寧に中をほぐしていく。
カオルの反応が変わる場所を探し当て、二本の指でばらばらにこすりあげると
すすり泣くような声をあげてカオルが鋼牙の肩にしがみついた。
そのまま親指をカオルの芽に触れさせると、中で動く指の動きに合わせて親指がカオルの突起を撫でこすり、
カオルは一気に高みへと押し上げられていく。

「やあぁっ……あっ、ああぁっ……!」

追い上げる指の動きに耐え切れず、カオルはぎゅっと脚を閉じてびくびくと体を震わせた。
鋼牙の手を逃がすまいと腿ではさんでしまう形になって、羞恥に泣きそうになっているカオルに、
恥ずかしがることはない、となだめるように鋼牙は口付けた。

カオルの息が少し落ち着くのを待って、鋼牙はとろとろに蕩けた秘所からゆっくりと指を引き抜いた。
まとわりついた蜜をはちきれんばかりに自己主張している自分自身に擦り付ける。
カオルはその引き抜かれていった指をうっかり目で追っていってしまったために
隆々とそそり立つ鋼牙自身を自らの目で捉えてしまって、慌ててそれを視界の外へと追いやった。
あ、あんなに大きいの……!?と心の中でつぶやく。
勃ち上がった男性のそれを見たことなどあるはずもなくて、カオルは身体を強ばらせた。
ぬちゅりと鋼牙の先端がカオルの中心に宛がわれる。
一瞬見ただけなのに、入り口に押し当てられた感触から全体の大きさをリアルに想像してしまって
鋼牙を受け入れようと思う気持ちとは裏腹にどうしても緊張してしまう。
そんなカオルの変化を鋼牙は見逃さない。

「……怖いか?」

そう問いかける鋼牙の表情にも声にも余裕などほとんどなくて、それだというのにまだ
自分を気遣おうとしてくれる鋼牙をカオルは泣きたいくらいに愛おしいと思った。

「怖くない、わけじゃないけど。
 私だって鋼牙と一つになりたいって思ってるんから。
 だから、お願い……」
「わかった」

鋼牙としても余裕などもうどこにも残っていない。
痛いほどに張り詰めている自身をカオルの中心に擦り付けるとそれだけでどくりと震えるのがわかった。

「カオル、できるだけ力を抜いていろ」

焦がれに焦がれた瞬間に、鋼牙はそれだけで果てそうな気がしてくるくらいだった。
ぐ、と奥歯をかみ締めてやり過ごし、カオルの中心へと己を進める。
熱く蕩けて蜜を滴らせているとはいえ、初めて男性を受け入れるそこはかなりきつい。
ぎゅっと閉じられたカオルの瞳の端には涙が光り、その苦痛を物語っている。
それでももうやめることなど出来なくて、鋼牙は贖罪のようにカオルの涙を指で拭う。
そのとき、閉じられていたカオルの瞳が開いて鋼牙の視線と正面から交わった。

「鋼牙。キス、して……。
 そしたら、きっと、大丈夫だから……」
981君の中の永遠 後編 14/15:2012/08/02(木) 20:14:39.93 ID:I2rPbuyE
狂おしいほどの愛しさが鋼牙の体中を駆け巡った。
その愛おしさの全てを伝えるように、カオルの想いにこたえるように、カオルの唇に自らのそれを重ねあわせる。
そして鋼牙は一気にカオルの中心を貫いた。

「あぁっ……!」

ぎゅっと鋼牙の背に回されたカオルの腕がこわばる。
それからゆっくりとカオルは息を吐いて腕の力を緩めた。
万感の思いをこめて見詰め合う。
瞳を濡らしながらも幸せそうに微笑むカオルの表情は、その涙が苦痛だけではなく
愛しさからあふれ出しているのだということを余すところ泣く鋼牙に伝えていた。
言葉は要らなかった。
互いの身体をかき抱くように抱きしめあってもう一度鋼牙はカオルに口付け、
それからゆっくりと腰を動かし始めた。



「あっ、……んんっ、やぁ……っ」
「っ、は、……っ」

きゅうきゅうと熱く絡み付いてくるカオルに、まるで甘い責め苦を受けているようだった。
何とか優しくしたい、そう思えていたのはいつまでだっただろう。
蠢くように鋼牙を絞り上げようとするカオルの中へと突き入れてしまえば、
あとはもうひたすらにカオルを求める腰の動きを止めることなどできなかった。

「あっあっ……、あぁん……っ」
「はっ、……すまないカオル、だが……もう、止められないんだ……っ」

激しい律動にカオルの細い身体が揺れて、鋼牙の背に回されたカオルの腕に力が篭る。
背中に立てられた爪の痛みにもほとんど気付かないまま鋼牙は余裕なくカオルを貪っていく。

「はぁ、あぁんっ、……あぁっ!」

技巧など何もない、獣のような抽挿。
それでも、この熱さが、激しさが、飾りのない一途さが、その全てが鋼牙なのだと、
そしてこんな鋼牙を受け止められるのは自分だけなのだということを、その幸せを、
カオルは飛び飛びになりそうな意識の片隅で思う。
こんな風に必死に求められて、愛されていることが幸せで、その気持ちを何とか伝えたくて
カオルは振り絞るように叫んだ。

「こうが、すき、大好きぃ!!……あ、あぁっ……!!」
「は……っ、カオル……カオル……!」

もう互いに限界だった。

「あん、あぁっ、こうがぁ……っ、あ、あ、ああぁっ!!!」
「くっ、ぅあ、あっ……!!」

びくんと大きく背を反らして跳ねたカオルがきゅうっと胎内の鋼牙を絞り上げる。
背筋を駆け上がる強烈な刺激にもう何も考えられなくなって、
鋼牙はぐぐっと自らをカオルの腰に打ちつけるとその最奥へと思いの丈を解き放った。




982君の中の永遠 後編 15/15:2012/08/02(木) 20:15:16.60 ID:I2rPbuyE
脱力した身体をなんとか支えて鋼牙はカオルに倒れこんでいた自らを起こした。
ゆっくりとカオルの中から自らを引き抜くと、その感覚にわずかにカオルが声を漏らす。
声に混じった一抹の寂しさに驚いたのはむしろカオル自身であったが
鋼牙は繋がりを解くとあらためてカオルを抱きしめた。

「……無理をさせた。……大丈夫か」
「平気。……なんかね、私、今、すごく幸せ」
「カオル……」
「大好きだよ、鋼牙」

そういってはにかむように微笑んだカオルへの愛しさに眩暈がしそうだった。

「……愛してる」

ほのかな緑の明かりの中で、二人は飽くことなく抱き合い、口付けを重ねていった。






「おはよう、カオル」

目覚めたときに一番最初に見えたのは愛する人の穏やかな顔で、
本当にこの人と結ばれたんだ……とカオルの心は温かい気持ちに満たされた。
腕枕をされて、大事そうに身体を抱えられていることに気付く。
もしかして、一晩中ずっとこんな風に抱きしめられていたのだろうか。

「おはよう。あの、……腕、痛くない?」
「黄金騎士をなめるな」

そう言って不敵に口の端を持ち上げた鋼牙に思わず見とれてしまう。
……朝からこんなにカッコいいの、反則だよ……。
真っ赤になったカオルに鋼牙は更に笑みを深めた。
既にいつも起きている時間はとっくに回っていたが、そんなもの知ったことか。
使命となれば何が起こってもカオルをおいていかなければならない身なのだ、
何もないときくらいカオルとの時間を大事にしたっていいはずだ。
そう心の中でつぶやいて鋼牙は午前中の予定を早々に放棄すると、腕の中のカオルに色気たっぷりに口付けた。
983名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 20:16:07.66 ID:I2rPbuyE
以上です

題名となった曲を知らない方には内容と題名との関連がわかりづらいという、
大変不親切な仕様になってしまって申し訳ありません、というわけで以下補足
前編のあとがき部分で触れたように題名は某GガンダムのED曲から頂いているのですが
その歌詞が私のイメージする鋼カオ像にとても近いのです
で、その中に「後悔なんてさせない」というフレーズがあったりします
鋼牙に「後悔なんてさせない」と言わせることができて非常に満足でした、と、まあそういうことです
君の中の永遠 歌詞 でググって皆もその歌詞の鋼カオっぷりに驚愕するがいいさ!(ステマ

現行スレの最後の一花になんとか間に合ったでしょうか
次スレでまたお会いできれば嬉しいです
足掛け五ヶ月ものgdgd三部作にお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました
984名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 20:29:56.61 ID:ojX4OI/x
>>983
人がいないなんて思っていたら…
職人様待ってました
お疲れ様です
これから読ませて頂きます

投下しないで良かった〜
985名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 21:29:00.07 ID:fk5aLv3P
一花咲いたぁぁあああ!職人さまGJです!ありがとうございます!

調べてみたら鋼牙→カオルとしてもカオル→鋼牙としても素晴らしい神曲で
爆発しかけた>君の中の永遠
ガンダムすげえ
986名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 22:00:15.47 ID:tPLcEcKF
諦めずにしつこく通ってた甲斐がありました…
素晴らしい作品をありがとうございました!!大満足です!!
いやーいいもの見れた…!!
職人様本当にありがとう、次スレでもお待ちしてます
987名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 22:17:25.46 ID:rLxdjzN6
投下予告&神作品投下ありがとうございました!!

「職人様、あのね、私 今 興奮してる」by カオル風ですよ。

お急ぎの方は11/15www  いやいやいや、その前後もお見事でございます。
ってか 赤筆回のカオル心情解釈まぢ泣けるっ!

英霊の塔挙式設定は11話「咆哮」を見れば鉄板かと。
わざわざのご申言恐れ入ります。長編お疲れ様でした!

♪君の中の永遠♪も良かった〜!

……某 妄想作家より
988名無しさん@ピンキー:2012/08/03(金) 02:28:01.30 ID:2NrMuQ47
GJGJ!素敵萌え話をサンクスです。
いやぁ待ったかいがありました!職人さんありがとう!
萌えとエロのバランスがいいですね〜
読み応えありました。お疲れ様です!
989名無しさん@ピンキー
素晴らしい。
プロの作家が余技で書いておられるのかしら、と思ってしまうほどです。
ありがとうございました。