まとめサイト一旦、非公開にして「BL、エロあり、エロなし」項目を追加
しますね。
↑と書いてみたものの、エロありとなしの基準がわからない…
どこからエロありと考えればいいの??
うーん。なんとなくだけどキスまではエロなし、それ以上はエロあり…かな?
挿入のあるなしは関係ないよね?w
>>623 ありがとう。
じゃ、キス基準で考える。
まとめ、修正したので今後は公開のまま追加していきますね。
前スレはルールが決まってない段階で投下されているものが多いので、
実はこの話とこの話は繋がってるというのを見つけたら教えてください。
いろいろと本当にありがとうございます!
あの、厚かましくも1つだけ要望を出してもよろしいでしょうか…
小説の場面転換の時などに、レス番を跨いで載せるので、
1行だけでも行間を空けていただけたら嬉しいのですが…。
今までの分はもう見直しも大変でしょうから、今後の分だけでも…。すみません。
627 :
626:2011/10/27(木) 19:39:14.77 ID:/3oT/2iw
あーーー!!すみません!!行間の件は、今また見に行かせて
もらったらもう修正されてた…。もうほんとにごめんなさいorz
>>625 ありがとうございます。
過去作品読んでまた感動。読んでなかったのもあってまた感動。
美男が酔払って寝てる間の、柊さんvs廉さんのバチバチ火花がすごく良かった。
柊さんが格好いい!あれなら廉さん押しのけて恋の勝利者になれそうな感じがするけど、何が悪かったんだか。
>>625 ありがとうございます!
大変だと思いますが、とても読みやすくてよかったです。
>>627 何も修正していないので、それは多分単なるエラー表示かと…。
タグの辺りとか、ページ作成からある程度時間おかないとエラーに
なる部分もあるようなので。
まとめありがとうございます!
タイトル変更して下さったんですね。
まとめて読める幸せかみしめてます!
まとめ読んでると、改めて柊美子の多さとエロ率の高さに驚いたな…。
柊さんってなんでこんなにエロいんだろ…
声とスタイルがエロいw
まとめありがとうございます。
柊さんの話多いw
廉さんは童貞、勇気は無邪気だから柊さんが一番
イメージしやすいんだろうね。
ごめんなさい どなたか教えて下さい
過去ログはお金払わないと見られないシステムなんですか?
>>636 過去ログ見れるサイトならたくさんあるよ
スレタイで検索かけてみて
まとめさん、ありがとう!
>>635 柊x美子、エロ無し、1個しかなかった・・・
タグの金沢、加賀友禅とか見るだけで、ドキドキしますw
>>625 まとめ作業、お疲れ様です&お疲れ様でした!
色んな作品を読み返して、胸が熱くなりましたw
そして、少し短いですが作品を投下します。
勇気×美男(本物)でエロなしです。
>>639 ちょ、間違えました;;
「まとめ作業、お疲れ様です&お疲れ様でした!」じゃなくて
「まとめ作業、お疲れ様です&ありがとうございました」です。
申し訳ありません。
641 :
距離 1:2011/10/28(金) 21:18:25.38 ID:CtmOusOB
「美男?何見てるんだ?」
リビングのソファに座り、窓の外の景色を見ている美男を見つける勇気。
美男は、勇気の声に気がついていないのかずっと窓の向こうを見ていた。
いつものことながら、愛想がないなぁとか考えたが、窓の向こうから声が聞こえる。
勇気は、その声が美男の向いている方向から聞こえていることに気がつくと、窓の方へと視線を移す。
外には、美子と廉さんがちょっかいを掛け合いながら仲良さそうにバーベキューの準備をしていた。
そんな二人の様子を・・・と言うよりも、美子の様子をぼんやりと美男は目で追っている。
勇気は、少し笑みを浮かべると忍び足で美男に近づき、座っている美男の後ろに立つと「み〜お」と言いながら両肩に手をそっと当てる。
ぼんやりとしていた美男は「うぉ!」と声をあげて、振り返り「何だよ・・・。」とぶっきら棒な口調で言い返す。
勇気は、無愛想な表情を浮かべる美男に対しても笑みを絶やさず
「ささ」っと小走りして、美男のすぐ隣に腰を下ろす。
「な〜に美子ばっかり見てるんだよ!」
「は、はぁ!?な、何言ってんだ!お、俺がいつみ、美子のこと、見てたって言うんだよ!?」
「誰がどう見たって、外の美子を目で追ってるようにしか見えなかったぞ?あれは。」
自分が、美子の事ばかり見ていたことを他人に見られ動揺する美男。
そんな美男の心境など関係なしに勇気は「まぁまぁ」と美男を宥めさせながら、どんどんと話を進めて行く。
「そういやさ、前から聞きたかった事があるんだけどさ・・・。」
「何だよ・・・いきなり話し変えやがって・・・。」
「兄貴としてさ、美子のことどう思ってる?」
勇気の言葉を聞いて、少し「ぴくり」と体を反応させると、再び外にいる美子に視線を向ける美男。
そして、ぼそりと小さな声で「変わったと思う・・・。」と呟く。
「変わった・・?」
勇気の声が耳に聞こえると、美男は視線を部屋の中へと戻した。
「2年前、美子が俺の代わりにA.N.JELLのメンバーとして活動してから・・・変わったと思う。」
「そりゃ、色々な事経験すれば変わるのなんて当たり前じゃない?」
「まぁ・・・そうだけどよ・・・。」
勇気の言う「当たり前」が何だか悲しく胸の中で響く美男。
被っていた帽子を深々と被り直すと、再び美男は話し始める。
「けど・・・何だか遠くに行っちまったな・・って。」
美男の言葉の意味がわからない勇気は、首を傾げて美男に「遠くに?」と言葉を返す。
その言葉に美男は「あぁ・・・」と小さな声で言う。
「最後に美子を見た時、まだ幼さが残る感じだった。けど、2年前に久しぶりに再会したら美子は「女」の顔つきをしてた。
それを見て、何だか「俺の知ってる美子はどこに行ったんだろう」って思えて寂しくなったのかもな。はは・・可笑しいよな。」
帽子と髪の毛の隙間から見える美男の瞳は寂しげにうっすらと開いているだけだった。
642 :
距離 2:2011/10/28(金) 21:19:44.08 ID:CtmOusOB
そんな美男を見て勇気は「馬鹿だな。」と微笑みながら言う。美男は何も言わず顔を俯かせたままだった。
「どんなに変わっても、美子は美子だぞ?」
「・・・・・」
「例え時間が経とうが、美子にとって美男は大切な家族であり兄貴だろ?
そして、美男にとっても美子はどんなことがあっても大切な妹に違いないじゃん!」
勇気の言葉を聞いてから「ふ」と笑みを零す。そして、帽子を取り勇気の方を見ると
「たまには良いこと言うじゃん。」とまたもぶっきら棒に言う。
勇気は、「たく、素直じゃないな!」と苦笑しながら美男に言った。
そして、美男はその場に立ちあがると勇気から顔を逸らす。
「けど・・・」
「ん?」
「・・・ありがとう・・・。少しだけ気持ちが楽になった・・・。」
勇気は美男にとって精一杯の感謝の表し方なんだと思うと自分も立ち上がると
「もう少し表情柔らかくして言えよな!」と冗談混じりに笑いながら美男に言う。
「良いじゃねーかよ・・・これでも精一杯やったつもりなんだからよ・・・。」
「はいはい、わかってるわかってる!」
自分が子供扱いされているように感じ、「むす」とした表情で睨みつけるが
勇気はそんな表情なんてお構いなしに笑いながら美男を見ている。
「ち・・・調子狂うな・・・・。」
テーブルに置いておいた帽子を取ると、被り直す。
そんなやり取りをしていると窓の外から「おにいちゃ〜ん」と言う声が聞こえる。
窓の方へ視線を向けると、美子がリビングに向かって走ってきていた。
「もぉ!お兄ちゃん!勇気さんとばっかりお話してないで手伝ってよ!!」
そう言うと、美男の腕を掴んで「早く行くよ!」と催促する。美男は後ろにいた勇気が気になり、後ろを振り向く。
勇気は笑いながら「ほら、妹直々の御指名なんだから早く行けよ!」と背中を軽く叩きながら言う。
その言葉を聞いて、もう一度美男は「ありがとう」と小さくつぶやくと腕を引っ張っていた美子と一緒に庭の方へと走っていった。
そんな二人を、勇気は後ろから微笑みながら優しく見守る様にしばらく見ていた。
以上で終わります。
勇気を初めて書いたけど・・・なかなかに難しい。
乙です
美男かわいいなw
そしてやっぱり勇気はいい子だ…
弟分の勇気も、美男には兄貴風吹かせててかわいい!
美男もちょっぴりヒネててほっとけない感じw
ほのぼの、ありがとう〜
>>643勇気の良い子っぷりと美男の隠れシスコンぶりが可愛いw
かなり萌えました。このコンビもいいなぁ。
柊×NANA続き投下します。もし容量不足になったらと考えると
恐ろしいですが…。
これまでの投下分
>>413-421 >>474-477
柊の低い声が耳元で響き鼓膜をくすぐり、NANAの細い身体は金縛りに遭ったかのように動けなくなる。
どうしてこんな事を?
そう問い掛けたいのに、言葉が出ない。
「…まだ、ここに…居てくれないか?」
切実さが伝わる真摯な声音で懇願され、涙が溢れそうになった。
…このまま、彼に縋って思いの丈をぶちまけられたら。
助けて欲しいと泣き叫べば、どれほど楽になれるだろう。
「…な…何よ、あなたもしかして、私を誰かさんと勘違いしてるんじゃない?」
だが、プライド高き自身の口から出たのは可愛げの欠片も無い、刺々しい一言で。
背後の柊が息を詰め、NANAに巻き付く腕の力も緩む。
それは彼の傷を抉る台詞だと分かっていたが、この甘く優しい空間から逃げる為に吐き捨てるしかなかった。
「…ごめん、ちょっと…どうかしてたな……忘れてくれ」
柊はNANAを解放し、謝罪の言葉を口にしながら後退って身体を離すと、地面に落としていたトートバッグを拾い上げる。
力強いぬくもりが背中から消え、ツンと鼻腔が痛んだ。
「…変な人。…あ、そろそろ行かなきゃ、マネージャーに怒られちゃうわ」
「あぁ…また」
「………CM撮影、頑張ってね。じゃあ…」
精一杯の平静を装い別れの挨拶をし、柊を振り返らないまま今度こそ温室を出て行く。
ここに来るのは、これで最後にしよう。
「最低だな……」
温室に一人、取り残された柊はNANAを抱き締めていた手をじっと見つめ、己の行動を恥じた。
彼女の寂しげな横顔に、今は遠い嘗ての想い人を重ねているのではないか…と。
核心を突かれた気がして、柊は咄嗟に手を離してしまった。
あのまま行かせたら、もう二度と会えないような胸騒ぎを覚え…この腕に引き留めたはずなのに。
NANAが言うように、知らず知らずの内に美子の代わりとして気に掛けていたのなら、本当に失礼な話だ。
乾いた笑みを零しトートバッグを開けると、律儀にもクリーニングに出したのかビニールに覆われているジャケットとハンカチがあった。
そして、彼女の首筋から匂い立つ艶っぽく女性的な香水と同じ香りが広がって、消える。
「…柊」
暫し呆然と立ち尽くしていると、温室の入り口から声が掛かった。
生気の無い顔をそちらへ向ければ、鋭い視線に射抜かれる。
「…美男?」
「……いいのか?あの女、泣いてた」
それは美男だった。
壁際に凭れ腕を組んだまま柊を無表情に眺め、先程出て行ったNANAの様子を語る。
「…え?」
「さっき泣きながら俺にぶつかって出てった。…アイツは好きじゃないけど、女の泣き顔はもっと嫌いだ。…お前もそうなんだろ?」
そう言われて鮮明に甦る、庭園で独り寂しく涙を流す彼女の姿。
この上なく胸を締め付けられる。
「…美男、これ頼む!」
柊は唇を引き結ぶと美男の側へ駆け寄り、トートバッグを彼に預けて力一杯走った。
温室で履いていた泥だらけのスニーカーのまま合宿所内を突っ切り、玄関のドアを開け放ち外へ飛び出す。
「…NANA…っ!」
目を凝らし辺りを見回すと、合宿所を出て少し進んだ先でNANAらしき女性がタクシーに乗り込むのが視界に入り、一目散にそこを目指して走ったが…無情にも車は柊に気付かず走り去ってしまった。
「…っ…」
ウジウジ悩んでいたばかりに、彼女を掴まえる事は叶わなかった。
後悔と自責の念に襲われ、腰を曲げ頭を垂らし己の膝を打つ。
…その時、柊の背後でカメラのシャッター音が微かに鳴った。
反射的に振り向くと、太った身体を木陰に半分ほど隠した格好でカメラを構えたオカッパ頭の怪しい男が、ギョッとした顔で固まって居る。
A.N.JELL周辺をいつも嗅ぎ回る記者三人組の一人、出口である。
隠し撮りした事を柊に見付かり慌てているのか、あたふたと四つん這いになり今更身を隠し逃げ場を探す様子の出口に大股で近寄り、冷たい目で彼を見下ろす。
「…何をしているんです?ここは関係者以外立ち入り禁止……許可なく僕たちを撮影をした者は厳しく罰すると、敷地内のあちこちに看板があるはずですが」
「あ、いや…これは…、その…」
「正式な形のインタビューならお答えしますが、こういった事をされるのなら今後あなた方のA.N.JELLに対する取材を全て、拒絶して欲しいと社長に直訴も考えさせて頂きますよ?」
今までマスコミに対してこのような態度を取った覚えは無いが、NANAを引き留められなかった悔しさが柊の心を苛立たせ、それはそのまま不作法な所業を働いた出口へと向けられた。
「…そっ、それは困る!…いやっ、困ります…我々からA.N.JELLの取材を取ったら死活問題です!」
いつもは穏やかな柊から発せられる厳しい追及に余程驚いているのだろう。
彼は明らかに狼狽しており、眼鏡の奥にある二つの目玉がキョロキョロと空を泳ぐ。
「では、さっき撮った写真を僕の目の前で削除して下さい」
有無を言わせぬ態度で睨み付けると、出口は至極残念そうに溜め息を吐き首から提げているネックストラップ付きのデジタルカメラを手にしたが、
不意に何やら閃いたのかニヤッと口角を引き上げ不敵に笑んで立ち上がった。
「いやいや…、そう目くじら立てないで下さいよ。柊さんだけに特別、いい情報を教えますから…」
「…話を逸らすつもりですか?」
「まぁまぁ……その情報って言うのは、さっき泣きながら走って行ったNANAに関係してると私は思ってんですがね。…知りたくありませんか?」
「……!」
自身の良き逃げ道を見付けたとばかりに嬉しそうにニヤつく出口からNANAの名前が挙がり、柊の中の苛立ちは収まり冷静さを取り戻していく。
「…分かりました、話を聞きましょう。立ち話で済む内容でも無さそうですから、中へどうぞ」
「えぇっ!?入っていいんですか!?」
「本来なら記者の方はお招きしていませんが、今日だけ特別です。…ただし、撮影は一切禁止なのでカメラはお預かりします」
マスコミは敷地内ですら正式な許可を事務所に得なければ堂々と入れない、A.N.JELLの合宿所。
まさに秘密の花園めいた存在の内部を知れるのだと、出口は喜びを露にペコペコと年下の柊へ頭を下げ素直にカメラを預けて来た。
「そりゃーもう!カメラなんか喜んで預けますよ!…いやぁ、アイツらも他の取材さえなけりゃ飛んで来ただろうなぁ〜」
意気揚々と歩く出口を連れて、合宿所の扉を開けてカメラを持ったまま中に入る。
…だが、玄関先には般若の形相で仁王立ちしている廉が立ちはだかっていた。
「……おい、何であんなに汚したんだよ!」
白い長袖シャツの袖を腕捲りしている廉はモップの柄を右手に持ち、低い声で唸る。
泥が付着したスニーカーで合宿所内を駆け抜け、くっきりと足跡を残した張本人である柊を睨み眉間の皺を深くした。
美子との楽しい電話を終えて部屋を出た直後に床が汚れているのを発見し、一気に機嫌が悪くなったようだ。
今まで床掃除をしていたらしく、彼の背後で黙々と雑巾片手に床拭きを手伝う勇気の姿も見える。
「ごめんな廉、勇気。ちょっと慌ててたんだ」
「いくら何でも、そんな汚い靴で部屋の中を走るなよ!…っつうか、何で記者のアンタがここに居るんだ?ここは立ち入り禁止だろうが!」
さらりと謝る柊の態度が気に食わないのか更に不機嫌さを増した廉は、後から入って来た出口を見て目を見開き、一層大声で怒鳴った。
あくまで冷静に、己の後ろでビクついている男について釈明を始める。
「…出口さんは確かに不法侵入に問われてもおかしくない事をしたけど、とにかく今は彼の話が聞きたいから連れて来た」
「はぁ?何だよそれ…」
「とにかく、落ち着いてくれ。床を汚した罪滅ぼしは後でするから…頼むよ、廉」
真剣な瞳を向け懇願すると、こちらの切羽詰まった思いが伝わったのか。
廉は眉間に指先を押し当て深く息を吐き、チラリと出口を見遣ってから顎をしゃくった。
「…ったく、用が済んだらすぐ帰れよ」
「ありがとう。…どうぞ出口さん、上がって下さい」
「は、はいはい…」
廉の剣幕に気圧され小さくなっている出口に来客用スリッパを出してやり、心配そうに事の成り行きを見守っていた勇気へ目配せしてからリビングのソファを案内する。
すると今まで面倒臭かったのか掃除に参加していなかった美男が部屋から出て来た。
廉が放つピリピリとした空気で動く気になったのかも知れない。
モップと雑巾の片付けだけを行う美男を横目に、キッチンでハーブティーを淹れる。
「…どうぞ」
「これは…噂の柊さん特製ハーブティーですな?ファンの子を差し置いて私が飲める事になるとは…」
真ん中のソファに腰掛け大人しくしていた出口とメンバー全員分のハーブティーを用意し、テーブルの真ん中には勇気がスタッフに貰ったというクッキーを置く。
長い脚を組み出口をじーっと監視していた廉も、良い香りを放つティーカップへ手を伸ばした。
「…で、話っつうのは一体何だ?」
柊が勇気の隣に座り、キッチンのカウンター席に美男も座した所で廉が問う。
出口はハーブティーを一口飲んでホッとした表情になると、声を潜めて語り出した。
「…我々は元々、A.N.JELL専門の追っかけ取材をやってるんですがね、最近はネタになるっつうんでNANAの動向も一緒に探ってたんですわ」
「それでここまで潜り込んで来たのかよ…」
「いやぁ…廉さんと別れたはずのNANAがまたA.N.JELLと絡むなんて、何かあるんじゃないかと思いますからねぇ」
合宿所に無断で侵入した理由を明かした出口は、急に声色を低くし不気味な笑みを覗かせた。
思わず話に聞き入る4人。
「…それで、今までNANAを隠し撮りしてた写真をチェックしてたら……写り込んでる“あるもの”を発見してしまったんですよ…」
「……え゛…それってもしかして…」
勇気は段々と顔を青ざめさせ、柊と廉を交互に見遣る。
この妙に恐怖を煽る独特な語り草からして、季節外れの心霊写真がメンバー全員の脳裏に浮かんだ。
「柊さん、そのカメラをこちらへ…」
「あ、あぁ…」
言われた通り預かって首から提げていたデジタルカメラを返してやると、出口はNANAを撮った写真を皆に披露する。
キッチンに居る美男以外の3人は一斉に液晶画面に注目した。勇気は若干怯え気味であるが…。
「これ…NANAが事務所に入る所…か?」
「…そう。彼女の背後に、写っている男が居るでしょう?コイツをよーく見ておいて下さいね…」
写真には事務所のエントランスへ入っていくNANAの姿と、その少し後ろを歩く男性が写っている。
遠目で顔はハッキリしないが、服装からして若者のようだ。
「こ、こ、こいつがNANAちゃんに取り憑いてる地縛霊!?」
「アホか!どう見たってコイツは人間だろ。大体、地縛霊は人に憑くんじゃなくて土地に憑くんだよ。美子もそう言ってたから間違いない」
「…廉、いつも美子とどんな会話してるんだ?」
幽霊話だと思い込んで騒ぐ勇気を窘める廉の珍発言についツッコミを入れた所で、出口が咳払いを一つ零した。
「えー…問題はここから。しばらくの間NANAを撮影してたんですがね…ほら、分かりますか?」
次々と画面に現れるNANAの隠し撮り写真。
よくよく注意すれば、その全てに先程見た男性の影らしきものが写り込んでいる。
「あ…っ!…この男…!」
柊はその男性に見覚えがあった。
皆の視線を浴びながらじっと画面に目を凝らす。
「…三澤……これ、三澤時哉でしょう?」
先日馬淵と一緒に目を通した資料に掲載されていた三澤の容姿と、非常に似ている男性の影に確信を持ち出口へ真偽を問う。
「その通り!ここ数日NANAちゃんを撮影した全ての写真の何処かに写り込んでるんです。
そりゃーもう、見付けた時は流石にゾワッとしましたよ」
「怖っ…!それヤバくない?ホントに背後霊レベルで写ってんじゃん!」
「…どう見てもストーカー…」
青い顔で写真から目を逸らしアワアワと意味無く立ち上がって動き回る勇気と、いつの間にかリビングに来て写真を観察し冷静な一言を放つ美男。
出口は一通りの写真を表示し終えた所で、さりげなくカメラを自分の首に提げた。
「…三澤って、ちょっと前に開催されたオーディションでグランプリだった奴だよな?確か、応募者1万人以上とか…」
「そうそう、なかなかのイケメン君だったよね。…まぁ、俺らA.N.JELLには負けるけど」
廉はたまたまソファに置きっぱなしになっていた自分達が表紙のテレビ誌をパラパラと捲り、身を乗り出し手元を覗いている勇気と共に紙面をチェックする。
NANAの事務所“fairy・dream”と、協賛する企業が主催で行ったタレント発掘オーディションの特集記事があった。
大きくアップで写るグランプリの三澤は爽やかな好青年、という感じで笑っている。
暗めの栗色の短髪に、面長で眼鏡が似合いそうな顔立ち。目元はハッキリした二重で瞳も大きい。どちらかと言えば容姿は勇気と似たタイプの青年だ。
「…確かに、顔はなかなか美形に見えますがね。この男…いや、そもそもオーディション自体が出来レースなんじゃないかってのが、私らの取材で明らかになりつつあります」
大規模なオーディションにまさかの裏があると聞き、皆が記事から出口へ視線を移した。
「NANAを付け回してる男が三澤だと分かって、絶対ネタになる!と、調べ尽くしたら…彼はこの共同主催者である“株式会社Sarara”の社長の隠し子だと判明しましてね…」
「えぇっ!?」
「何だそりゃ…そんなの初めからコイツに決まってたようなモンだろ」
厳正だったはずのオーディションのカラクリを明かされ、皆それぞれ驚きや呆れの表情を見せる。
応募者を募ったのは話題性を呼ぶ為で、最初から主催者の息子、三澤が優勝するシナリオだったのだ。
しかし、それよりも柊は出口から発せられた企業名に耳を疑った。
今まさに、自身がCM契約を締結しようかという段階まで進んでいるスポンサーだったからだ。
「…出口さん、それは本当ですか?」
「えぇ、出所は明かせませんが確かな情報ですよ。社長の田沼氏が外に女を作り、やがて生まれたのが三澤だった。
立場上認知はしていないようですが本妻との間に子供が居ない分、陰で随分可愛がっていたそうで…」
「愛人に生ませた息子をスターにしてやろうっつう訳か。大した親父だな!」
不倫や浮気という言葉を人一倍嫌う廉は、持っていたテレビ誌を床に叩き付けソファの背凭れにふんぞり返った。
テーブル上のクッキーをつまみながら勇気もそれに同調して頷く。
「息子も息子だよね…デビューしてすぐにNANAちゃんをストーカーするなんて…」
「女にだらしがないんだろ。親子揃って不潔な奴等だ」
「…なぁ、それにしても…株式会社Sararaって…」
廉が放置した雑誌を拾い上げた美男が、何か言いたげに柊と出口を見比べる。
まだ本決まりでもない新たなCMについてなど、マスコミの前で迂闊に話せないので、言い淀んでいるようだ。
「……何ですか?私に聞かれちゃマズい話でも?」
急に歯切れが悪くなった美男の態度で記者魂に火が付いたのか出口が柊に詰め寄って来た。
…この男はまだ、何かを知っている。
そんな己の勘を信じ、柊はハーブティーを一口飲んでから彼に向き直る。
「…出口さん、俺は今夜…田沼社長と三澤時哉、それにfairy・dreamの
荻野社長を交えた会食に出掛けます」
「柊っ、お前…!」
「…ご存知かも知れませんが、新しいCM契約に向けての顔合わせです。もしかしたら今夜決まるんじゃないかと思ってましたが…
出口さんの話を聞いて考えが変わりました」
「ほぉ…それはそれは…」
突飛な柊の発言で焦る3人を目線で制した後、興味深げに笑む出口を真っ直ぐに見据えた。
NANAが悲しげに表情を曇らせていた原因が、三澤のストーカー行為だったとしたら…
徹底的に排除しなければならない。
「…手を組みませんか?俺たち…」
柊の涼やかな双眸が、怪しく光った。
今日の投下は以上です。
次回以降、ついに柊さんがNANA救済に向けて動き出す…かも。
>>655 ちょこちょこ入ってる、廉・美子の話にニヤニヤしてしまう。
>>655 オカッパーズまで登場とは!展開にドキドキします。
廉美子の会話、なんなのそれw
柊さん、NANAちゃんを救ってーー!!続き待ってます!
まとめのエロあり柊さんばかり読んでたら、くらくらしてきたw
柊×美男(美子)007の1ページ目、途中ダブってましたので
お知らせしておきます。
まさかのオカッパーズ登場…
なんだか息をつかせぬ展開に…続きが楽しみ。
柊さん、がんばれ!STK同士の戦いだw
あ、柊さんは元かwww
たしかに廉美子話がすっごくいいアクセント!かわいい〜
>>659 管理人さんが向こうに掲示板作ってくれたから
そこでお知らせするといいんじゃないかと思います
>>655 凄い文才!話の持ってき方が上手い!
エロパロスレ内だとは思えなかったw
続き楽しみ過ぎる!
>>655 柊さん頑張れ!
廉美子の謎の会話にニヤニヤしたww
このスレもそろそろ埋まるかな
>>655 柊さんとNANA、そして話しがどうなっていくのか気になります!
次回を楽しみに待っております!
>>659 ありがとう。
修正しておきました。
…タグが認識しないのがなぜだかわからないorz
このスレ、あとどのくらいで埋まるんでしょう?
>>664 まとめさん、サンクス!感謝です。
このスレの容量が500KBで今492KBだから、次の長編作あれば、次スレの方がいいのでしょうか?
上の、美男兄のシスコンぷりが可愛い。一瞬、勇気とくっつく展開かと期待してしまいましたw
長編というわけでもないし、続き物でもないので投下しちゃいます!
異色カプが苦手な方は、ご注意ください!
エロありですが、なんと社長×美男(美子)です。
もし途中で切れたら、速やかに新スレに移行しますね。
667 :
夢の跡1:2011/10/29(土) 20:02:09.94 ID:37Ij+s2J
シゲ子の家でボヤ騒ぎがあり、合宿所に居候することがきまった。
美男は誰かと相部屋に…と言われ、廉を指名するも「絶対嫌だ」と言い放たれた。
「あーもういい、もういい!美男、俺の家に来い。ウチには、広いサウナもあるぞ〜?
二人でA.N.JELLの未来について語り合おう!」
「えぇっ!?」
美男は廉に目で縋るが、廉がどうするか葛藤する間に、安藤社長は美男の手を握った。
「ほら、遠慮しないで早く荷物まとめろ。それじゃ、今日からYouは、俺の家族だな!」
「社長…」
満面の笑みで言う社長に、美男は何も言えなくなった。
いや。それだけではなく、家族という響きがやけに魅力的に感じた。
きっと奥さんや子供が居て、広い庭にペットを飼っていたり…。
A.N.JELLの合宿所も素敵な所だが、暖かい家庭というのとは少し違う。
「それじゃ、僕…お世話になります」
廉は、叔母のために部屋で荷物をまとめる美男に近づいた。
「おい、お前なんで断らなかったんだ!俺が口を挟む前に、世話になるとか言って…
大丈夫か?サウナだぞ、サウナ…」
「だって廉さん、ほんとに嫌そうだったし…。サウナは、どうにか誤魔化すので…
大丈夫ですっ!」
「そうは言っても…お前は…」
言いかけた廉の背後で、勇気が勢いよく駆け寄ってきた。
「美男〜!社長の家のサウナは最高だぞ!俺も遊びに行くからなっ」
「えっ!あ、あの…ぼ、僕がこっちに来ますから!」
「そうかぁ?ま、寂しくなったらいつでも電話しろよ?」
「はい…勇気さん、ありがとうございます」
荷造りを終えて美男は玄関先で柊に声をかけられた。
「美男…俺の部屋でよければ、今からでも…」
「いえ、大丈夫です!社長に家族だって言われちゃったんで!ありがとうございます」
「そうか…」
そうして元気よく美男は、外で待っていた秘書の沢木と共に社長宅へ向かった。
668 :
夢の跡2:2011/10/29(土) 20:02:55.94 ID:37Ij+s2J
「Welcome、Welcome〜!よく来たな〜美男!」
がっちりと肩を抱かれ、お世話になります、とだけ美男は言った。
社長の家は、想像していたものとは全く違っている。
どう見ても同居している人の気配は無く、シンプルで無機質なくらいだ。
しかし通いの家政婦が1人いて、部屋は綺麗に片付けられていた。
「40男が1人で住むとどうしても味気なくてなぁ〜男とはいえ、若いお前が来てこの家も華やいだな!」
「ええ、本当に。私もお世話のし甲斐があります」
家政婦の石崎がにっこりと微笑んだ。
「社長って、独身…だったんですか」
「あぁ、俺は独身貴族を貫いてるからなぁ。知らなかったのか?」
「あ、全然…すみません」
「ま、仲良くやろうな!はっはっは」
そんなはずじゃ…!!思っていた家とは全然違い、美男はガックリと項垂れた。
一通り、風呂やトイレの位置を石崎に教わってから、宛がわれた部屋に入る。
部屋は合宿所より多少広く、インテリアもシンプルにまとめられていた。
「どうしよう…でも、サウナの誘いさえ乗り切れば、なんとかなる、よね」
そう呟き、美男は軽く荷解きをしてから午後の仕事へ向かった。
夜、仕事を終えて帰ってきた美男が家に入ると、安藤社長はちょうどTVを見ながら遅い夕食を摂っていた。
「ただいま帰りました。お疲れ様です!」
「お、帰ったか!お疲れさん。Youも一緒に食べるか?」
「え?いいんですか?じゃ、僕着替えてきます!」
美男が来たからか、家政婦が多めに用意していた夕食はどれも美味しかった。
晩酌にも付き合え、と社長は美男にビールを飲ませ、自分も次々にグラスを空ける。
「いやぁ、やっぱりこうして誰かと食べるメシってのはいいもんだな」
「そうですね。うちは両親も早くに亡くなったので…家族に憧れます」
「そうか、そうか…」
そう言って5杯目のビールを飲み干し、社長が立ち上がってキッチンの戸棚を開けた。
一方の美男は3杯目をチビチビと飲み進めていたが、だいぶ酔いが回っている。
「今日はお前の歓迎会だからな、俺はとことん飲むぞ!」
社長が戸棚から取り出したのは、アルコール度の高いブランデーで、グラスと共にテーブルに置いた。
ストレートのままブランデーを味わう姿に、かっこいいな…と呟くと、お前も飲めとグラスに注がれる。
「わ、僕は…そんなに飲めないですぅ…」
「なぁにごとも、経験だ!明日はオフだろ?ほれほれ」
「うーん、じゃあ…いただきます!ん。あ!美味しい」
「だろ〜〜?ほら、どんどん飲め」
次第に呂律が回らなくなってきたが、2人はそんなことはお構いなしで飲み続けた。
669 :
夢の跡3:2011/10/29(土) 20:04:07.89 ID:37Ij+s2J
「俺はなぁ…独身貴族だとか言ってるけどな…。結婚寸前まで行った女に逃げられちまって…」
「そうなんれすかぁ?!びぃっくりですぅ」
「それも、絶〜っ対に手の…届かないところにだよ…」
「…?外国ですか?」
急にしんみり、ポツリポツリと話す社長に美男も真剣に向き合う。
「いや…天国だ。あなたは私の分もたくさん生きて…なぁんて言われたら、
さすがに追いかけられないからなぁ」
自嘲気味に笑って、また一口グラスの酒を煽った。
「そんなことが…。でも、そんなに愛せる人が居たことは…きっと人生の宝物ですよ…」
「宝物か、その通りだな…彼女には本当に、助けられて励まされて、愛された…。
それなのに、俺は…病気のあいつに何もできないままで…」
社長の目に、透明の雫が溢れそうになっているのを見て、美男は不謹慎にも「美しいな」と思った。
その瞬間、美男は頭で考えるよりも先に、体が動いて目の前の大きな体を抱きしめた。
「あなたは…本当に素敵な人です…。彼女も、そんなあなたを愛して…幸せだったと思います…」
ふわりと包み込むような美男の抱擁と慰めの言葉を受けて、社長は目の前の柔らかい暖かさに
眩暈がしそうになった。
大きなソファにゆっくりと横たわると、無駄な思考がほとんど停止して夢の中に居るような気分になる。
目を瞑り、昔の記憶が少しだけ蘇った時…目尻から一筋の涙が伝った。
「あったかい…」
目を閉じて寝入ってしまった社長の横で、美男は自分も横たわる。
慣れない酒を飲んだせいでそのまま眠りそうなほど気持ちよかったが、隣から聞こえる
規則正しい寝息と胸の鼓動が心地よくてずっと聞いていたいとも思った。
数十分後、社長が「ん・・・」と唸って美男は体を起こした。
「重かったかな…」
体が少し重なっていて、寝ている社長に負担をかけたかもしれない。
そう思ってソファから立ち上がろうとしたとき、手を握られた。
「…み、こ…」
「…えっ?」
いきなり本名を呼ばれ、美男は驚きを隠せずに目を丸くした。
なんでバレてるんだろう!?そう思ったとき…
「ゆ…みこ…」
昔の恋人の名を呼んでいるだけだったことに安心しつつも、強く握られた手に戸惑う。
「あ、あの…しゃちょ…っ!!」
強く引き寄せられて、美男は社長の胸にすっぽりとおさまった。
「そばに居てくれ…ゆみこ…」
夢を見ているのか、抱きしめる腕の力は更に強くなった。
「私は、ここにいるから…苦しまないで…」
心臓の音に耳を傾けながら、美男は優しく「ゆみこ」の気持ちを代弁するように言う。
「苦しまなくていいの…」
670 :
夢の跡4:
いつも明るい社長の、いつになく険しくて悩ましい顔に堪らなく胸を締め付けられ…
美男は思わずそっと、その唇にキスを落とした。
唇に当たる柔らかな感触で、安藤社長は目を覚ます。しかし、鼻をくすぐる甘い
女の匂いで懐かしいような気持ちになった。
美男の頭に手を沿え、重なった唇をより自分へと近づけた。
「ん…んっ…」
急に深くなったキスに、美男はそのまま身を任せた。
普段ならすぐに逃げてしまうだろうが、今日は社長に寄り添いたい気持ちが勝る。
女だとバレちゃいけないのに…どうしよう。そんなことを考えている間に、社長の舌が美男の口内に侵入してきた。
息も出来ないほどに舌を絡ませあえば、もう何も考えられなくなる。
いつの間にか、着ていたパーカーは裾から首の下まで捲くられていた。
「あっ!これは…っ」
胸の膨らみを隠すために着用しているベスト型のサポーターを見られ、美男は焦った。
社長は何も言わず、ファスナーを下ろす。2つの膨らみが目の前に出現した。
「はっはっは…すごい夢だな、これは…。美男が本当は女なんてな」
「ゆ、夢?…そうです…ね」
「チューも気持ちいいしなぁ…いい夢だ」
そう言って、また口付ける。そうだ、これは酒に酔った寂しい自分が、
思わず求めてしまった女の温もりを与えてくれる、夢なんだ…。
そんな風に思うと、目の前に居る女の形をした美男が余計に美しく思えた。
「あっ…しゃ、ちょぉ…!!」
「柔らかいな…」
パーカーも脱がせて、首筋に口付けて乳房を揉みしだいた。
社長の手に吸い付くように馴染んで形を変え、先端はキュっと尖り始める。
漏れる吐息で、耳の後ろや首筋がゾクゾクして美男は縋るように社長の背中に腕を回した。