すみません!前スレ、500KB超えて、書き込みできなくなってしまいました。
こちらにつづきを投下させていただきます。
中途半端な事態を招き、申し訳ありません・・・!
3 :
花火の夜に(8):2011/08/15(月) 19:56:34.70 ID:02944Iyy
麻痺するような快感に絵里子の頭がぼんやりしてきた頃、
野立が優しく髪を撫でながら、ついばむようなキスをしてきた。
ソファの上に絵里子の体を仰向けに横たえると、野立は自身のモノに手を添え、
絵里子の濡れた入口にヌラリとこすりつけた。
「あっ、やん・・・」
野立が手で自身の角度を調節しながら、絵里子のぬるぬると糸を引く窪みやふくらんだ芽を、なぶるように愛撫する。
くちゃっくちゅっと粘液が音を立て、下半身の動きはそのままに野立が上体を倒して絵里子に肌を重ね合わせてきた。
「どうしてほしい?絵里子」
首筋に舌を這わせ、野立が下半身をこすりつけながら聞く。
既に限界にきていた絵里子は、息も絶え絶えに訴えた。
「挿れて・・・。早く、ほしい・・・」
「こうか?」
野立が何の前触れもなく、一気に絵里子に挿入した。
「あぁっ・・・!」絵里子が野立の肩にしがみつく。
既に野立のモノはパンパンに膨張して屹立していたので、絵里子の中は奥まで隙間がないほど埋め尽くされた。
野立がもう一度上体を起こし、絵里子の体の両脇に手をついた姿勢で、腰を深く動かし始める。
ゆっくり、中をえぐるようにしばらくグラインドさせた後、今度は小刻みに速度を上げて絵里子を突く。
野立の腰の動きに合わせて、絵里子の白い乳房が上下にふるふると揺れるのを、野立がなまめかしい瞳で見下ろしている。
その眼差しがまた絵里子を煽り、いっそうみだらな声を上げてしまう。
4 :
花火の夜に(9):2011/08/15(月) 19:57:24.39 ID:02944Iyy
高揚した波が絵里子の中に押し寄せてきて、野立に伝えようとした瞬間、
絵里子の中から野立がスッと抜け出た。
えっ・・・と思ったのもつかの間、野立が絵里子の体を反転させ、四つんばいにさせる。
「絵里子は悪い子だな」
野立がイジワルな声色で絵里子のヒップをぴしゃっと叩いた。
「いやっ!バカ・・・」
絵里子が羞恥に戸惑いながらもヒップを高く突き出すと、野立が白い尻を両手で撫で回す。
柔かな尻の肉を揉みながら、野立は後ろから深く貫いた。
「ぁああん・・・!」
絵里子はひときわ高い声を上げて身悶えた。
野立に容赦なく突き立てられ、両の乳房をめちゃくちゃに揉みしだかれ、頭の中がショートしそうな快感に襲われる。
「や・・・もうイク・・・!・・・野立・・・!」
絵里子の体が軽く痙攣し始めたのを合図に、野立は腰の動きを一層速めた。
「絵里子・・・!」
野立は絵里子の乳房を掴んだまま腰を強く打ち付けると、次の瞬間、絵里子の中に一気にほとばしらせた。
絵里子の内側が野立の液体で満たされ、やがて絵里子の愛液と混ざり合って太ももへと流れ落ちてきた。
野立は、まだ細かく痙攣している絵里子を後ろから抱きかかえたまま、
素早くテーブルの上のティッシュを数枚引き抜いて、絵里子の太ももを丁寧に拭ってやった。
それから、抜き出した自身のモノも手早く拭き取る。
絵里子が、はぁぁ・・・っと深い息を漏らして、ソファに崩れ落ちた。
絵里子を抱きしめている野立も一緒に、そのまま折り重なって身を沈めた。
5 :
花火の夜に(10):2011/08/15(月) 19:58:13.41 ID:02944Iyy
ぼんやりとした灯りの下で、ようやく呼吸が静まった頃、肌を重ねたまま絵里子が尋ねた。
「・・・で?どうして私を騙したの?」
「・・・騙すって、何がだよ」
「鍵よ。ほんとは鍵なんて、掛けられてなかったんでしょ?」
「・・・何の話だ?」
「ここのドア、普通のオートロックよね?内側から押せば開けられるはず。
管理人が外から鍵を掛けにくる必要もないし、さっきの、中学生が悪さしたから鍵がどーのこーのっていうのも、作り話。
このマンション、たむろするような不良中学生なんて見かけないもの。
ドアが開かないってガチャガチャさせてたのも、野立の芝居でしょ?
そもそも鍵だって、野立が預かって持ってるんでしょう?」
「・・・・・」野立が何か言おうと口を開けたものの、絶句している。
絵里子はソファの下に投げ出された野立のコットンのパンツを拾い上げると、
ポケットの中に手を入れて、自室のものとは別の鍵を取り出した。
「ほら、あるじゃない。この部屋に入るとき、私に見られてないと思ったんだろうけど、
あんたが管理人のおじさんとコソコソ話してこの鍵受け取ってるの、気づいてたもの」
「いや、それは・・・」
野立は決まり悪そうに顎を掻きながら、伏目がちになる。
「エアコン消し忘れたとか、リモコンが見つからないとか、なーんか時間引き延ばしてるみたいで、変だなぁって思ったの。
でも何か野立なりの意図があるんだろうと思って、乗ってあげたのよ。
この部屋だって、ほんとは朝まで借りてるんでしょ?」
絵里子が、すべてお見通しという顔で野立に詰め寄る。
「ね、なんで?わざわざ閉じ込められたような芝居をしたのはなぜ?」
野立が叱られた子供のように下唇を突き出しながら、ようやくボソッと答えた。
「・・・おまえ、今日、誕生日だったから」
「えっ?」絵里子が目を丸くすると、野立が観念したように、ひとつ息を吐いた。
6 :
花火の夜に(11):2011/08/15(月) 19:59:03.07 ID:02944Iyy
「誕生日だろう、今日。ここんとこ俺も残業続きでバカみたいに忙しくて、
プレゼントも何の用意もしてやれなかったから、
今日は意地でも定時上がりして、一緒にプレゼント買いに行こうと思ってたんだよ。
そのあとどこかで美味いものでも食おうとか、いや、うちで二人で花火見ながら飲むのもいいなとか
いろいろ考えてたんだけどな、あいつらがここに花火見に来たいって急に騒ぎ出したろ。
おまえも歓迎してたみたいだし、ま、部下サービスも必要だし、しょうがないかって」
「野立・・・」
「でも今日は、俺たちがこういう関係になって初めてのおまえの誕生日だ。
ただあいつらと花火見て飲んで、普通に部屋に戻って寝るだけなんて、つまんねーだろうが。
なんでもいい、普段と違う、おまえの記憶に残る、俺たちだけの夜にしたかったんだよ。
この部屋ならちょっとしたホテルのスイートみたいで悪くないし、なかなかの夜景もついてくるし、
ちょっとは特別感が出るかと思ってさ」
野立が体を起こし、首の後ろを掌でさすりながら、フッと笑った。
「今日は特別なことができなかったから、せめてここでゆっくり過ごして、
明日は一緒に休み取って祝ってやりたいと思ったんだ。
でも、おまえを休ませようとしても、どうせ仕事があるって言い張って、絶対休まないだろ?
だいたいおまえは最近働きすぎでまともに休んでない。俺はそれも気になってた。
だから鍵が掛かって閉じ込められたなんてウソ言って、おまえを明日の適当な時間までここに引き止めれば、
そのまま強引に休ませることができる、そう思ったんだよ。
まあ、稚拙な作戦だったのは認めるけどな。勘のいい絵里子を騙すのは、さすがに無理だったな」
野立はそう告白すると、ちょっと恥ずかしそうに目を伏せた。
7 :
花火の夜に(12):2011/08/15(月) 19:59:55.27 ID:02944Iyy
「野立・・・。覚えててくれたんだ・・・」
この数日、張り詰めていた心がほどけていく気がした。
本当は絵里子も今日のことを気にしていたのだ。
年を取るごとに自分の誕生日なんて無頓着になる。それでもやはり、今年は野立に一緒に祝ってほしかった。
今年は特別な誕生日にしたかった。
けれども、ここしばらく、野立も絵里子も大きな事件の後処理に追われ、まともな会話も交わせないほど多忙だった。
絵里子だって、「プレゼント期待してるね」とか「美味しいもの食べに連れてって」とか
普通の女性らしい言葉を言ってみたかった。
でも、暗い事件を抱えて慌しいときにそんな甘えは許されない、そう思って自分の心に蓋をしていた。
夜中に帰って来る野立の疲れ果てた顔を見たら、そんなことは言い出せなかった。
だから、今日、ようやく仕事が落ち着いて定時上がりができそうだと思ったとき、
部下たちがこのマンションに花火を見に来たいと言うのを聞いて、何もないまま誕生日が終わるより、
みんなでワイワイ過ごすのもいい、そう思ったのだ。
きっと、野立は私の誕生日を忘れてるだろう。だって、それどころじゃなかったのだから・・・。
「私も、ほんとは二人で過ごしたかった。・・・誕生日、一緒に祝ってほしかった」
思いがけず、絵里子の瞳から涙の粒が落ちた。
「・・・でも、言えなかったの」
「・・・バカヤロ。そういうことは、言っていいんだよ、絵里子」
野立が絵里子の頬の涙を親指で拭う。
「むしろ俺は言われたい」
絵里子の目に、涙がまた盛り上がってこぼれ落ちる。
8 :
花火の夜に(13):2011/08/15(月) 20:01:00.82 ID:02944Iyy
「明日は一日休め。これは上司からの業務命令だ」
「・・・うん」涙声で絵里子が答える。
「それで、一緒におまえの欲しいものを買いに行く。これも命令だ」
「・・・わかった」
「で、おまえは何が欲しい?」
「・・・婚約指輪」
頭で考えるより先に、口が勝手に動いていた。
声に出した後で絵里子は自分のセリフに仰天し、ジタバタ慌てふためいた。
「ち、違っ・・・間違い!今の、忘れて!うわーーー!!」
暴れる絵里子の体を野立が力づくで押さえ込む。
「一度言ったことを訂正するな。俺はおまえにそう言われるの、待ってたんだから」
「・・・何よ。私に、言わせたかったの?こういうのって、普通は男から・・んっ」
野立が絵里子の言葉をキスで遮った。
唇の温かさだけを感じあう、純粋に愛だけで成り立つキスだった。
「・・・男はな、本気の女には、ねだられたいものなんだよ」
そう言ってからちょっと照れた野立が、絵里子の左手を掴んで薬指をそっと撫でた。
「よかったな、40ウン年この指あけといて。俺のための指だったんだな」
・・・そうだったのかもね。
パズルのピースがはまったように、絵里子の胸に安堵とせつなさと喜びがいっぺんに広がっていく。
絵里子はなぜだか泣き笑いの顔になった。
9 :
花火の夜に(14):2011/08/15(月) 20:02:21.45 ID:02944Iyy
翌朝、対策室では二日酔いで青白い顔をしたメンバーたちが、全員机に突っ伏していた。
野立のマンションを千鳥足で出た後、彼らはそのままカラオケになだれ込んでいた。
何時にどうやってそれぞれが帰り着いたのかも記憶にないほど、昨夜はハイテンションな夜だった。
「ボス、遅いな・・・」片桐が額に熱さましのシートを貼りながら、呟く。
と、全員の携帯が一斉にメール着信音を鳴らした。
花形が落ち窪んだ目で文面を読み上げる。
「『昨夜はお疲れさま。
本日は、のっぴきならない事情により、一日休暇をとらせていただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
あんたたちも、今日は無理しないでテキトーに帰っていいからね♪ 大澤』
なんすか、コレ。ボスがサボりなんて、ズルイですよっ」
「そういえばさー・・・ゆうべボスと野立さんってどうしたんだっけ?
あたしたち、酔っ払ってそのまま出てきちゃって、よく覚えてない・・・」
「どーせ、あの豪勢な部屋で、二人でデートしなおしてたんじゃないのぉ?
イチャイチャしちゃって、にくたらしかったなぁ、もぉぉ!」
「おっさん、イライラすると余計ハゲるで」岩井が山村の頭を叩く。
「ま、実際、やらしいムード振りまいとったけどな、あの二人」
「たしかに、二人の空気はエロチックだった・・・。まさか、あのままあの部屋で ・・・」
ちょっと、朝からやめてくださいよー!!想像させるなバカヤロー!!エロチックとか、キモチワルイっすよ!
5人はしばし罵りあい、興奮してますます頭痛を悪化させ、うなだれた。
「そーいえば、ボス、昨日誕生日じゃなかったっけ・・・?」
木元が卓上のカレンダーをぼんやり見上げながら呟いた。
「・・なるほど、そーいうことかぁ。じゃあ、今日くらい二人で過ごさせてあげないと、だね。
ずっと忙しくて、二人とも大変だったしね」
そう言って大きなあくびをした山村に、一同はコクコクと頷き、また無言で机に突っ伏したのだった。
E N D
おしまいです。
前スレを途中で終わらせ、次にまたがるという失態を犯し、本当に恥ずかしく申し訳ないです。
ごめんなさい!!!
内容もめちゃめちゃだし、ほんとにスレ汚しですみません。引っ込みます。
ありがとうございました・・・。
まずは
>>1乙です
それから、お話とても素晴らしかったです!!野立優しい…!
あれからしっかり小説閉鎖させられたんですねヤマムーww
するっと婚約指輪発言しちゃう絵里子もカワイイ
GJ!
あなたのエロ描写好きです
職人さんもスレ立て人さんもdです
どちらも素晴らしいお仕事で素敵w
13 :
名無しさん@ピンキー:2011/08/16(火) 01:22:27.96 ID:8XCi3LJo
最高
GJ!!GJ!!素晴らしい
野絵エロ長文バンザ〜イ
またの投下お待ちしてまっす
GJです!!
すげぇっ!!!もうきゅんきゅんしてしまいました。
絵里子が遠慮してしまう気持ちも、野立が無理やりでも祝ってやろうとする気持ちもすごく素敵で。
お互いを想いあってて、でもだからこそ言えなかったり、遠慮しちゃう事もあって
この先そんな風にすれ違ってしまう事もあるのかもしれないなぁ・・・
なんて勝手に想像して勝手に切なくなって、
でもきっとこの2人なら大丈夫だ!!とか思ってしまいましたw
本当にGJです。
前スレ
>>627さんもGJです。
曖昧な2人の関係のもどかしさと、踏み込む一瞬が大好きです。
絵里子サイドの後編も楽しみにしております!
スレ立ててくださった方や、色々調べてくださった方もありがとうございます。
自分も超未熟ですが、できればこの先思いついた小ネタや
「ぎゅっと」の続き(とは言っても、ただいちゃついているだけの話になりそうですが・・・)
なんかを書けたらいいな、スレが続くといいなっ
なんて思っていたので、嬉しいです。
本当にありがとうございますっ。
>>1さん、新スレありがとうございます。
>>10さん、あなたの文章のファンなので、お褒めいただき光栄です。
聖夜の奇跡、後半の絵里子サイドができましたので、投下させてください。
みなさんのご期待にそえるものだといいんですが。
改札を出ると、今度は野立の方から手をつないでくれた。
指と指を絡めるカップルのようなつなぎ方。
何を話していいかわからず、無言で歩き続けた。
商店街の半ばに、いつものコンビニがある。
野立がかごを持ち、絵里子がめぼしいものを入れていく。
周囲の人々には、私たちの姿はどう映っているのだろうか。
そう思っていると、野立から外で待っているように言われた。
外に出て、大きく息を吸う。
なんだか肩がこった。なんとなく居心地が悪い。
気分転換に商店街を見渡すと、ぼんやりとした明かりが見えた。
それは、何度もここを通っている絵里子でも気づかないくらい小さなアクセサリーの店だった。
「こんな店あったんだ」
豆電球の明かりに照らされた、小さな雪の結晶のネックレスに目が留まる。
本当はすぐに消えてしまう雪の結晶だけど、これならずっと留めておける。
この夢のような時間も、ずっと終わらなければいいのに。
「絵里子」
声をかけられて、絵里子は慌てて振り返る。
野立は何を見ているのか気になったようだが、なんとなく気恥ずかしくてその場から離れることにする。
強引に手を引き、ひたすら歩き続けて商店街のはずれまで来た。
「いてーな。相変わらずの怪力だな」
普段どおりの声が癪に障る。
どうしてこいつはいつもどおりで、私ばかりこんなに動揺してるんだろう。
そう思うと無性に腹が立ってきた。
売り言葉に買い言葉で、もう止まらない。
でも、こんなふうに会話をするのって、ずいぶん久しぶりのような気がする。
それに気がついたとたん、高ぶっていた気持ちがすっと冷めていく。
「・・・ねぇ」
「何だよ」
「もし・・・、もしもよ。来年のクリスマスもお互いフリーだったら、またこうしていっしょに過ごしてくれる?」
もうすぐ日付が変わる。
雪の結晶と違って、ともに過ごした時間は形にすることができない。
だから、せめて年に1度でいいから恋人みたいに過ごしたって罰は当たらないだろう。
アンタもそう思ってるんじゃないの?
しかし、返ってきた言葉は絵里子の期待を裏切るものだった。。
「そうだな。それも悪くないけど、俺はこのままフリーでいるつもりはない」
やっぱりそうだよね。ひとりのままでいいなんて、思うわけないよね。
・・・言わなきゃ良かった。
絵里子はなんとか取り繕うと言い訳をする。自分が情けなくて涙が出そうになる。
ふいに、名前を呼ばれた。
恐る恐る見上げると、野立はなぜか真剣な様子でこちらを見ていた。
「お前といっしょにクリスマスを過ごすには、俺もお前もフリーじゃないといけないのか?」
「そ、そりゃそうでしょ。どっちかに恋人がいたら駄目に決まってるじゃない」
「じゃあ、こうしよう。俺が絵里子の恋人になってやる」
こ、恋人!! コイツは何を言ってるんだ。
こんな慰めを言われるくらいなら、いつものようにちゃかしてくれたほうがよっぽと気が楽だ。
「二人とも、フリーのままではいたくないと思っている。
それから、俺もお前と過ごすクリスマスはなかなか楽しいと思っている。
・・・完全に利害が一致してると思わないか?」
「な、何言ってんのよ。そんなに簡単にこんな大事なこと、冗談もいいかげんにしなさいよ!」
「・・・冗談でこんなこと言わねーよ!」
怖い、と思った。野立から大声で怒鳴られたのは、初めてかもしれない。
絵里子が立ちつくしていると、落ち着いたのか野立が口を開いた。
「すまない。でも、本当に冗談じゃないんだ」
自分でも怒鳴ったことを悪いと思っているのか、その口調は妙に優しい。
ってことは、これは本気なの?
にわかには信じられない。
お互いの気持ちを探りあう、そんなあいまいな関係が楽しかった。
これからもずっと続くと思っていたのに。
「・・・じゃあ、もっと・・・もっと他に言い方があると思う」
私はもう疲れてしまったのだと思う。
察するなんてできない。きちんとした言葉が欲しいのだ。
あなたの、その唇から。
野立の手が近づいてくる。指先が触れる。
「絵里子、好きだ」
この男はいつも絵里子がいちばん欲しい言葉をくれる。
頬が熱くなっていること、ばれてないだろうか。
野立は、絵里子の頬をまるで壊れ物を扱うかのように優しく撫でる。
その上から、絵里子もそっと手を重ねる。言葉が、自然とこぼれてきた。
「私も、あなたが好きよ」
野立の顔が近づいてくる。
目を閉じると唇に柔らかいものが触れた。
はじめは冷たかったが、繰り返すたびにその唇は絵里子と同じ温度になっていく。
少し力を抜いた絵里子の口内に、野立は強引に舌を差し込んできた。
苦しいくらいに奥まで差し込まれ、逃げようとしてもさらに追いつめられる。
頭の奥がくらくらして、もう野立のことしか考えられない。
絵里子は夢中で手を伸ばし、野立の髪を掴んだ。
「キスだけで感じてるのか?」
少し意地悪な顔をして、野立が尋ねる。
感じてる? 私がキスだけで? 初心な女じゃあるまいし。
否定をしながらも、絵里子は体の中心からあふれ出す熱をもてあましていた。
だから、野立に抱きしめられただけで足元から崩れてしまいそうになる。
きっと彼はわかってるんだろう。執拗に絵里子の体を撫でまわす。
絵里子は必死に声を押し殺した。
「感じてないんだろ?」
その瞬間、野立の指が絵里子の体の中心に触れた。
思わず悲鳴をあげて、野立の体にしがみつく。
「すげー濡れてる」
言われなくてもそんなことはわかっている。
前々から気づいていたことだが、本当にこの男は意地悪だ。
耳元に息を吹きかけられ、足元がぐらつく。
すかさず野立の腕に支えられた。・・・優しいんだか、意地悪なんだか。
マンションに向かう道中も、絵里子は何度も弱いところを責められた。
・・・やっぱりこの男は意地悪だ。
しかし、憎まれ口をたたく余裕もないくらい絵里子の体は熱くなっていて、
部屋に入った瞬間、無意識のうちに野立の背中に抱きついてその先をねだってしまった。
気がつけば、見覚えのあるベッドルームでショーツだけの姿にされていた。
どうせならこの気持ち悪いショーツも脱がしてくれればいいのに。
衣服を脱ぐ後姿を妙に冷静な気持ちで眺めていると、唇をふさがれベッドに押し倒された。
乱暴に胸を揉まれ、激しく乳首を吸われる。
しびれるような快感が全身を駆け巡り、思わず声をあげてしまう。
ショーツを下ろされたので、野立がそこに触れやすいよう脚を広げた。
ぬるっとした感触がして、絵里子は野立の指が挿入されたことを知る。
体の奥に異物が入ってくるこの違和感は、ずいぶん久しぶりだ。
だから中の壁を擦られただけで、さんざん焦らされてきた絵里子の体は敏感に反応する。
「あっ」
一番敏感な場所を刺激されて、体が跳ねた。
気持ちよすぎて、もう少しで達してしまいそうだ。
まだイキたくない。もう少し、もう少しこのまま愛されていたい。
そう思っているのに、野立の指は止まらない。
絵里子の感じる場所を知っているかのように、ピンポイントに責めてくる。
体の奥から、熱いものがあふれ出す。
そんなとこ吸わないで。そんなにされたら、もう・・・
「ああっ!」
視界が白くはじけ、一瞬、宙にういているような高揚感の後、全身がひくひくと震えた。
うれしくてたまらないのに、なぜか涙がこぼれる。
せっかく気持ちが通じ合ったのに、こんなに大事にされているのに、どうして。
その疑問は、野立に優しく抱きしめられただけであっさりと解決した。
そうか。涙って、幸せすぎても出てくるのね。
ようやく体の震えが収まり、野立を見るとゴムを取り出している。
いやだ、そんなものは必要ない。直接、野立を感じたいの。
不要だと伝えると、野立は一瞬困ったような顔をしたが、了承してくれたようだ。
初めて野立のモノを見たとき、絵里子はようやくひとつになれる喜びでいっぱいになった。
だから一気に貫かれたときも、思わず漏れた野立の声を聞いたときも、涙があふれてくるのを止められなかった。
野立は額に汗をにじませながら、必死に腰を打ちつけてくる。
先程達したばかりで敏感になっている膣内を激しく突かれ、絵里子は髪を振り乱して喘ぐことしかできない。
腕にしがみつくと、野立はむさぼるように唇を求めてきた。
先程よりも激しく舌を絡ませる。こぼれた唾液が頬を伝う。
ぐちゃぐちゃという粘液がからみつく音が、唇から出たものか、それとも結合部分から出たものなのか、
再び絶頂へと登りつめようとしている絵里子にはわからない。
「・・・野立、もう、ダメなの・・・」
そう訴えると、野立も苦しそうな、でもうっとりするほど色っぽい表情で頷いた。
「俺もだ・・・、いっしょにイクぞ、絵里子っ」
「うんっ、来て、ああああっ!!!」
今までで一番強く奥を突かれて、再び絵里子の視界は白くはじけた。
痛いくらいに激しく心臓の鼓動を感じ、体中が痙攣する。
直後、野立も整った顔をゆがめ、「・・・くっ」と小さく呻いた。
その瞬間、絵里子の中で野立のモノがびくびくと跳ねた。
そこは十分熱をもっていたはずなのに、それ以上に熱いものが注ぎこまれているように感じる。
額に汗をにじませ、荒い呼吸を整えている野立を見て、絵里子はようやく彼と恋人になれたことを実感した。
私、野立に言いたいことがいっぱいあるんだ。
今日のお礼とか、いっしょにいてくれてうれしかったこととか。
起き上がろうとするが、力が入らない。
そんな絵里子に気づいているのかいないのか、野立はただ優しく絵里子を見つめている。
「後片付けは俺がやっておくから、お前はこのまま休め」
野立は、汗ではりついた絵里子の前髪をそっとよけると額にキスをしてくれた。
うれしくて頬が緩む。
なんか今日の野立は優しいなー、知らなかった、そんなの反則だよ・・・
満たされた気持ちのまま、絵里子の意識は途絶えた。
目が覚めると、見慣れない天井が目に入った。
きょろきょろと見回しながら、絵里子は改めて昨日の出来事に思いを巡らせる。
そうだ、私は野立と・・・
ベッドから降りて、室内を見渡す。
グレーで統一された、簡素な部屋。何度か見かけたことのある野立の寝室だ。
絵里子の体は寝ている間にきれいに拭き清められており、男物の白いコットンシャツを着させられていた。
それがうれしくもあるが、同時に野立の「女性慣れ」を表しているようで少し複雑な気持ちになる。
「・・・過去のことで悩んでいてもしょうがないよね」
そう自分に言い聞かせるようにつぶやいて、絵里子は部屋を出た。
リビングはパンを焼く匂いで満たされていた。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
キッチンに立っている野立に声をかけるが、彼は振り向かなかった。
たったそれだけのことなのに、胸が苦しくなる。
もしかして、昨夜のことを後悔してるの?
そんな考えが頭をよぎった。
お互いに「好き」と言って体を重ねたのに、素直に幸せに浸りきれないのは、
今までに何度となく繰り返してきた出会いと別れの記憶がそうさせるのだろうか。
・・・きっと今の私はひどい顔をしている。
はやく顔を洗ってさっぱりしたい。
絵里子はいたたまれない気持ちで洗面所に向かった。
鏡に映った自分は、少し疲れた顔をしていた。
冷たい水でばしゃばしゃと顔を洗う。
あー、気持ちいい。
顔を上げたとき、絵里子の胸元で何かが光った。
シャツのボタンをはずして鏡に映してみる。
ホワイトゴールドの小さな雪の結晶。
「ちょっと、ちょっと野立! どうしたのコレ」
大声でわめきながらリビングに戻ると、ようやく野立は振り向いた。
「ん? 気に入らなかったか?」
「いや、気に入ってるんだけど」
そうなのー、昨日見てかわいいなって思って・・・って、ちがーう!!
「そうじゃなくて」
混乱して言葉がうまく出てこない。
野立は得意気な顔で答える。
「クリスマスプレゼントにしては安物だな。今度もっといいものを買ってやるよ」
・・・やっぱり昨日見られてたんだ。
それでわざわざ早起きして、絵里子が寝ている間に買いに行ってくれた。
なんてキザな男なんだろう。でも、なんて優しい・・・
絵里子は、ようやく胸の奥にある不安の原因がわかったような気がした。
昔の女性のことが気になったり、ちょっと顔が見れなかっただけで不安になったり。
そうか、私は本当にこの男のことが好きなんだ。
その証拠に、今、私は本当にうれしくて幸せだ。
野立の背中に腕をまわし、ぎゅっと力をこめた。
「ありがとう」とつぶやくと、彼も優しく抱きしめてくれた。
「ごめんね、私何にも用意してないや」
「いいよ、俺はもう絵里子からプレゼントもらったから」
野立は諭すようにささやくと、絵里子の髪を撫でて、頬ずりをした。
柔らかいひげが頬を撫でて気持ちいい。
「何を?」
「教えない」
さらに問い詰めようとした絵里子の唇は、野立の唇でふさがれていた。
ねっとりとした舌が入ってくる。
ねぇ、野立。どうすれば私がこんなにも野立のことが好きだってわかってもらえるのかな。
それとも、何でもお見通しのアンタのことだから、もうわかってるのかしら?
再び体の奥が熱くなってくる。
絵里子は野立の首に手を回し、耳元でささやいた。
「ねぇ、もっともっと愛してくれる?」
以上です。読んでくださった方、ありがとうございました。
GJ!
絵里子の心情がすごく伝わってきて良かったです
虚しくないの?
GJ!楽しみにしてました^^
野絵にはずっと幸せでいて欲しい!
GJ! 花火も聖夜もすっごい素敵で萌えました!
いつも楽しませてもらってありがとうございます。
次作待ってます。
まとめ神様にも大感謝!!
不器用で探りさぐりの二人が可愛い。本っ当ありがとうございます。
花火の方は作品ごとに二人の関係が深まってて嬉しすぎます。
婚約指輪のくだりは激萌えました。
みなさん素敵なお話ありがとうございます
婚約指輪のくだりで、雨にキッスの花束を(YAWARA主題歌)が頭の中に流れてきた
あの歌詞結構絵里子っぽいと思う
>>35 今井美樹の曲ですね。
たしかに歌詞が絵里子っぽいかも!
この曲いいよね私も好き
今までなんとも思ってなかったけどもう絵→野ソングにしか聞こえなくなったw
エロパロの神様ご降臨くださいませ。
こんばんは。前回「花火の夜に」を書かせていただいた者です。
いつも温かいお言葉をいただき、本当にありがとうございます!
毎回大量にスレを消費し、ご迷惑おかけして申し訳ありません。
また図々しく続編を書いてしまいました。
ほんとに毎度図々しくて、心苦しいです・・・。
次の素晴らしい作品を待つ間の場つなぎに、使わせてください。
今回も無駄に長ったらしくて、しかも辛気臭い展開になってます。ごめんなさい。
すごく妄想が突っ走ってて、これじゃ本編の冒涜?!とう気もします。
お許しくださる方だけ、よかったら読んでくださいませ。
37 :
エンゲージ(1):2011/08/19(金) 22:19:28.53 ID:tsjFgtA7
東京に向かう夜の新幹線のグリーン車は、悪天も影響してか、かなり空いていた。
「ね、私、大丈夫だったかな。何か失礼な振る舞いとか、なかった?」
「大丈夫だよ。母ちゃん、喜んでたし」
ビールを一口飲んだ野立が、満足げな顔で答える。
「40過ぎた息子がようやく伴侶を決めたってんで、家中ホッとしてんだぜ。
絵里子さんって、ちょっと背は大きすぎるし、年も行ってるけど、とってもキレイで賢くて、
素敵な人ね〜って母ちゃん、はしゃいでたよ。オヤジは言わずもがな」
「うっ。・・・でも、身長と年齢を大目に見てもらえるなら、まあ合格したって思っていいのよね?」
「だって、俺が実家に女連れてったの、初めてだぞ?反対も何もあるかよ」
「うそっ!」
「ウソじゃねーよ。おまえだって似たようなもんだろ?」
「ぐっ。・・・た、たしかに一度も実家に彼氏連れてったことなかったっけ・・・」
「モテる人間ってのは、本命決めるまでは案外そんなもんだ。あ、これは俺の場合な。
おまえは、縁がなかっただけだけどな」
「何言ってんのよ、そんなことないわよ!私だってそれなりにねぇ・・・!」
絵里子は今日、野立とそろって休暇を取り、野立の実家に挨拶に行ってきた。
今はその帰りの新幹線の中だった。
先日の誕生日プレゼントに、野立が婚約指輪を買ってくれた。
互いの間だけの口約束で、具体的な入籍などは、まだまだ未定。
何より仕事に影響が出るのが一番まずいので、状況を見て一番いいタイミングで、ということにしたが、
それでも互いの家族には一応報告しておくべきだろうと、今回の実家訪問になった。
東京に行ったきり順調に出世街道をひた走ってきたとは言え、いつまでもフラフラ独身を通していた息子が、
結婚相手を連れて突然帰郷したのだから、一家総出のお祭り騒ぎだった。
38 :
エンゲージ(2):2011/08/19(金) 22:21:07.13 ID:tsjFgtA7
「問題は、丹波部長よね・・・」
「あ、それ、もう解決済み」
え?!と驚く絵里子に、ひょうひょうと野立が答える。
「隠し通して後でバレるより、先に言っといたほうがいいと思って、昨日話した。
まだ先になると思うけど、一応結婚するつもりですってな」
「な・・・なんだって?丹波さん・・・」
「それが全然驚いてなくて、こっちが拍子抜け。
まあ、おまえたち二人がくっつくのが一番妥当だろうなぁ・・・なんつってさ。
ただ、今から公けにすると、対策室の直属の上司が俺なのはマズイとか言い出す連中がいるだろうから、
しばらくは伏せておくってさ。実際に結婚する段階で、俺が担当外れるか、おまえが飛ばされるか、
対策室が解散になるか、それとも特例として現状のままにしてもらえるか・・・
まあ、それはそのときのお楽しみだな」
「何、そのお気楽さ。・・・でも、それならとりあえずは良かったー。
当分はこのまま対策室で仕事できるってことよね?あんたもそのままで」
「まあな。今のとこ、俺たちの話は丹波さんのとこで止まってるから」
「そっか・・・。よかった。せっかく今、対策室がいい感じでまとまってるし、
実績も挙げてるんだもの。なんとかこのまま続けさせてもらいたいし」
「そうだな。あいつらを路頭に迷わせるわけにもいかねぇしな」
二人が会話していると、後ろの座席から「ふうぅう・・・」と、安堵の溜め息のような声が聞こえた気がした。
絵里子がピクッと反応して振り返るが、人の気配はない。
39 :
エンゲージ(3):2011/08/19(金) 22:22:10.40 ID:tsjFgtA7
「・・・ねえ、それよか、雨ひどくない?」
先ほどから激しい雨が車窓を叩きつけていて、外の様子がほとんど何も見えない状態だった。
最近、あちこちで集中豪雨の被害が多発していて、今日も天気予報では大雨と落雷に注意と盛んに言っていた。
「ああ、すげぇな。新幹線止まらないといいけどな」
「えっ!やだ、困る!まさか車中泊とかにならないよね?」
ソワソワする絵里子の左手を、野立が不意に掴んだ。
「・・・これ、気に入ったか?」
薬指に光るシンプルなダイヤの指輪を野立の指が撫でる。
先日、二人で某ブランド店で選んだものだ。絵里子の白く細い指に映える、プラチナの上品なリングだった。
「うん、すごく気に入ってる。仕事中は外さないといけないのが残念だけど」
「はめたままでいいのに」
「だって、いろいろ詮索されるし・・・。事件現場で失くしたり傷つけたりしてもイヤだし」
「詮索されたら自慢してやれよ。失くしたら、また新しいの買ってやるよ」
「バカね。これが気に入ってるんだから、大事にしてるの・・・ん、ダメよ、人が・・・」
急にキスしてきた野立の胸を押すが、野立は構わず唇を求めてくる。
「人なんかいねぇだろ、この車両。もっとこっち来いよ」
肩を抱き寄せらせ、野立の唇が押し当てられた。吐息を漏らすと、その隙間から舌が割り込んでくる。
ビールの苦味の残る野立の舌が、絵里子のそれと絡まってとろけあい、絵里子はあっという間に呑み込まれた。
40 :
エンゲージ(4):2011/08/19(金) 22:23:14.31 ID:tsjFgtA7
人気のない夜の新幹線の車両、外は雨。広い密室にいるようで、絵里子も知らず大胆な気持ちになる。
野立の手がワンピースの太ももに伸び、ヒップラインを撫でさすると、絵里子は思わず両脚の力を緩めた。
すかさず野立の手が脚の間に滑り込んでくる。
「・・・あ、ダメ・・・」
「・・・う、うぐっ・・!」
絵里子が声を上げるのとほぼ同時に、後ろの座席から奇妙な声が漏れ聞こえた。
野立がピタッと動きを止める。絵里子も同時にイヤな予感に苛まれた。
この気配。この辛気臭い空気。これは、やはり・・・。
絵里子がガバッと立ち上がり、後ろの座席を覗き込む。
そこには、そら豆のようなハゲ頭と、茶色いウェーブがかった頭が並んで縮こまっていた。
「山村――!花形――!!」
「・・・なんでおまえらがここにいるんだ?!」
野立も一緒になって上から覗き込む。恐る恐る上目遣いで、山村と花形が顔を上げた。
「だから、僕はイヤだって言ったんですよ!山村さんが説明してください!」
「ええっ、ボ、ボク?!・・・ずるいなぁ、花形くんだって楽しんで尾行してたじゃない・・・」
「ごちゃごちゃうるさい!一体どうして私達を尾行してるの?!」
「す、すみません。じ、実はこのまえ木元さんが、ボスがカバンから指輪を取り出してニヤけてたのを見た、
ついに結婚が決まったんじゃないかって言い出して。
それで、もしボスと野立さんが結婚するとなると、対策室はどうなるんだろう?
夫婦になったら、今までどおり野立さんとボスが対策室を取り仕切ることは難しいんじゃないかって、
そうすると対策室はなくなっちゃうんじゃないかって、みんなで心配になっちゃって・・・。
今日、お二人がそろって休むって言うから、じゃんけんで負けたボクと花形くんが、様子を探ることになって。
朝から野立さんのマンションの前で様子伺ってたら、予想通り二人が出かけてくから、
そのまま花形くんと跡を追ったんですけど・・・。
二人が新幹線に乗ろうとしてるからビックリして、で、慌ててボクらも切符買って・・・」
花形が横でウンウンと頷いている。
41 :
エンゲージ(5):2011/08/19(金) 22:24:12.70 ID:tsjFgtA7
「そのまま同じ新幹線に乗って尾行してたの?まさか野立の実家まで?!」
「いやー、野立さんの実家の近くの定食屋さん、美味かったなぁ。とんかつ定食頼んだら、
こーーんなに大盛りにしてくれて、しかも店員の女の子、おまけで漬物までくれちゃって。
あれ、きっとボクに気があったんだと思うなぁ」
「あれは、もともと定食に付いてたタクアンですよ!何図々しく勘違いしてんですかっ!」
「そんなことはどーでもいい!!」絵里子は二人を怒鳴りつけた。
「で、尾行が終わって同じ新幹線に乗って帰るのはいいが、おまえらどうせ自由席だろ?
なんでグリーン車にいるんだ」
野立が山村の頭をぺちっと叩く。
「いや、そ、それはお二人の話を近くで聞きたくて、車掌の目を盗んで、グリーン車に・・・」
「僕はやめようって止めたんですよ!でも山村さんが強引に・・・」
「だって、仮にもボクらは尾行のプロ、腐っても刑事だよ!ホシから目を離したら意味ないじゃないか!」
「誰がホシですって?!あんたたち、ただの覗きじゃない!」
「たしかに、覗きでみたいすよね・・・。いきなりここでラブシーン始まっちゃうし・・・」
グフッといやらしく笑う山村の頭を、野立がもう一度ぴしゃっと叩いた。
ひとしきり絵里子が二人を叱りつけると、山村がそれでもホッとしたように呟いた。
「でも、よかったぁ。ひとまず対策室は、なくならないみたいだし」
「ですよね!早くみんなにも報告しなくちゃ」
ニコニコ頷きあう山村と花形の様子を見ていたら、絵里子も野立も気が抜けてしまった。
そこで、ふと絵里子が時計を見た。
「ねえ?さっきからずっとこの駅に停まったままじゃない?どうしたんだろ?」
たしかに、随分前に停車した後、定刻を過ぎても新幹線は発車しないまま留まっている。
すると、車内アナウンスが流れた。
「集中豪雨と落雷による架線事故の影響で、ただいま列車の運行を停止しております。
お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしますが・・・」
4人は顔を見合わせた。
42 :
エンゲージ(6):2011/08/19(金) 22:25:07.68 ID:tsjFgtA7
「あちこちで大雨洪水警報出てますね。しばらく動けないのかな」
花形が携帯で情報チェックしながら、心細げに呟いた。かれこれ1時間以上、新幹線は動かないままだ。
車掌に状況を聞きに行っていた野立が戻ってきた。ちょっとホームに降り立っただけで、
ジャケットの肩先が色が変わるほど濡れている。
「おい、これ当分ムリそうだぞ。復旧の目処が立たないらしい」
そう言いながら、野立が棚から荷物を降ろし始めた。
「どうするの?降りるの?」
「見通し立たないまま車中泊したくないだろ?東京も交通がマヒしてるらしいし、今日は帰れねぇよ」
「えっ!どこかに泊まるんですか?!」花形がちょっと嬉しそうな顔をする。
「駅前のビジネスホテルがまだ空いてる。早いもん勝ちだ。行くぞ」
「さすがの行動力だなぁ。っていうか、ボクらも一緒に泊まっていいのかなぁ」
「来るなって言っても、どうせ付いてくるくせに。言っとくけど、ホテル代は自腹よ!」
絵里子がジロッと山村と花形を睨んだ。
駅から直通の地下通路を通って、最近できたばかりのビジネスホテルにチェックインすることになった。
「僕は山村さんと一緒に寝るのイヤですからね。お互いシングルにしましょう!」
「失礼だなぁ。ボクの寝息は天使のように安らかなのに!こっちだってシングルのほうがいいやぃ!」
「じゃ、シングル2つにダブル1つで」
野立がフロントに告げると、絵里子以下3人が一斉に「えええーーっ!」と声を上げた。
「・・・なんだよ。何か変か?」
「いや、ちょっと、部下の手前、私達がダブルって言うのは・・・」
絵里子が真っ赤になって異議を唱える横で、山村と花形が、
「ダ、ダブル!!ダブルだって!!」と、卒倒しそうになっている。
43 :
エンゲージ(7):2011/08/19(金) 22:26:32.15 ID:tsjFgtA7
「なんだよ今更。婚約してんだぜ?フツーだろ。金だってそのほうがかからないし」
「ダ、ダブルの部屋なんて一度も泊まったことないなぁ、ちくしょー!」
山村がフロントのカウンターを拳で叩いているのを無視し、絵里子は野立に食い下がった。
「いつもならそうするとこだけど・・・やっぱり部下の前で堂々とダブルはマズイわよ。
私、自分で払うから、シングルにして。お願い、野立」
「ふーーーん」野立は横目でしばらく絵里子を見ていたが、「分かったよ。おまえ後で文句言うなよ」と答えた。
結局4人それぞれ自腹でシングルルームに泊まることになったが、野立だけは贅沢して、
ダブルのベッドが置かれた、広めのシングルルームにした。
「参事官ともあろう者が、小せぇシングルベッドでなんて今更寝られるか」
す、すごいなぁ、これが出世するってことかぁ。花形が呟く。
そうして4人は廊下で解散し、それぞれの宿泊部屋に姿を消した。既に午後の10時を回ろうとしていた。
雨は収まるどころか豪雨となって、街全体を叩きつけていた。
ホテルの厚いガラス越しでも、そのすさまじい威力が感じられる。
おまけに先ほどから雷が鳴り響き、だんだんと音が近付いて大きくなっていた。
「ど、どうしよう・・・寝られない・・・」
絵里子は布団を被って耳をふさぎながらギュッと目を閉じるが、ちょっとウトウトしかけると、
ゴロゴロゴロ・・・ズバーーーン!!と凄まじい雷鳴が鳴り響く。
「ひぃいいぃ!!落ちたっっ!!」
自慢じゃないが、地震と雷は大の苦手だった。どんな犯罪者も恐れない鉄の女の、唯一の弱点。
部下の目を気にして強がってシングルに泊まったはいいが、これでは恐ろしくて一睡もできない。
野立の「後で文句言うなよ」の言葉の意味がようやく分かった。
自分から一緒に泊まることを断った手前、意地でも野立に泣きつくものかと必死で耐えたが、
耳をつんざくような雷と雨の轟音に、絵里子は生きた心地がしなかった。
いずれにせよ、この大音響では眠気なんて吹っ飛んでしまう。
絵里子はホテルの浴衣姿で枕を抱えたまま、そっと部屋のドアを開けて廊下の様子を伺った。
44 :
エンゲージ(8):2011/08/19(金) 22:27:25.29 ID:tsjFgtA7
廊下の数メートル先に、浴衣がだらしなく脱げかかった、そら豆のような中年男の姿が見えた。
「は、花形くぅん!開けて開けて!!お願い!一人にしないでぇぇえ!!」
雷に脅えた山村が、花形の部屋のドアを乱暴に叩いているところだった。
「げっ。アイツも・・・・?」
絵里子が隠れて様子を伺っていると、少しして花形がドアを開き、
「いいかげんにしてくださいよ!」とマジギレしながら、山村を部屋に招き入れるのが見えた。
絵里子はゴクッと唾を飲んだ。アイツらがああなら、私も許されるわよね・・・。
恐る恐る、野立の部屋のドアチャイムを押す。
一度押しても反応がないので、2度3度としつこく押した。
「のーだーてーさん・・・。入れてくれると、うれしいなぁ、なんて・・・」
「だから、言ったろうが!!」
野立が不機嫌そうにドアを勢いよく開けたので、驚いた絵里子の枕が吹っ飛んだ。
「ご、ごめん・・・寝てた?・・・よね・・・」
「思いっきり熟睡してたよ。・・・ったく、だから最初から一緒の部屋にしとけって・・・」
「だって、だって、こんなに雷すごくなると思わなくって・・・。
っていうか、なんであんたこの大音量の中で寝れるの?!おかしくない?!」
「俺を舐めるな。いついかなる状況下でも瞬時に眠れるのが、デキる男の鉄則だ」
「意味わかんない・・っていうか、邪魔してゴメンねぇ。
おとなしくしてるから、一緒に寝させて・・・野立さん・・・」
「分かったから、騒がずに静かに寝ろよ。こっちは真剣に眠いんだから」
野立はそう言うと、さっさとベッドに潜り込み背中を向けて再び熟睡体勢に入った。
うわー、なんかつめたーい。絵里子は声にならない声で不平を言いつつ、
ダブルベッドに自分もゴソゴソと潜り込んだ。
それでも、慣れ親しんだ野立の匂いが絵里子の心を穏やかにさせた。
野立の浴衣の背中に頬が触れるか触れないかの位置で、絵里子も目を閉じる。
ああ、よかった、これなら眠れそう、と思った瞬間、ズバーン、ズバババーン!!と最大級の雷鳴が耳をつんざいた。
「ひゃぁああっっ!!ひゃあ!!ひゃあ!!」
絵里子は本気で泣きそうになりながら、思わず野立の背中にしがみついた。
45 :
エンゲージ(9):2011/08/19(金) 22:28:30.97 ID:tsjFgtA7
あ、ごめん、また騒いじゃった・・・と小声で謝るものの、次の雷鳴に備えて身を強張らせて野立の浴衣を握り締める。
「・・・眠れそうもないか」
野立が低い声で聞いてくる。
「ごめ・・・。ひっ!」鳴り続ける雷に、絵里子の言葉はまともに続かない。
「しょうがねぇなぁ」
野立は溜め息をひとつつくと、寝返りを打って絵里子のほうを向いた。
そのまま両腕を伸ばして絵里子の体をすっぽりと抱き寄せる。
「これで少しは怖くないだろ?」
「う、うん・・・。ありがと・・・」
野立の胸に顔を押し付けると、熱い体温と、浴衣の洗い立ての匂い、
ほんの少し汗ばんだ野立の肌の匂いが感じられて、絵里子の心を安らがせた。
しばらくそうして落ち着いていたものの、再び雷が暴れだすと、
またしても絵里子の体ビクッと強張り、小さく「ひゃっ」と声が漏れる。
当分、雨も雷も収まりそうになかった。
「・・・こりゃぁ、寝るのは諦めたほうがいいかもな」
布団の中で絵里子を抱いていた野立が、やれやれというように呟いた。
「どうせ寝れないなら、つきあってやるか・・・」
そう言うと、野立が絵里子の唇にチュッとついばむようなキスをした。
そして、絵里子の腰に当てていた手を下へと伸ばし、浴衣の裾をグッと引っ張り上げる。
「え?」と絵里子が顔を上げるより早く、野立の掌が絵里子の尻をショーツ越しに撫で始めた。
「な、何してんの?」
「絵里子が眠れないなら、気持ちよくしてやろうと思って」
「え、ちょっと、だって、あんた眠いんじゃないの・・・?」
野立のやわやわとした手の動きに、絵里子の声が上擦る。
「眠かったけど、おまえが隣に来たら、こっちが起きちゃった」
野立が絵里子の手を取って、自分の股間に触れさせた。
そこは確かに熱を持って、少しずつ頭をもたげているようだった。
「あんたってほんとに・・・」
絵里子が言い終わらないうちに、野立が再び唇を重ねてきた。
轟く雷の音が聞こえないように、野立の両手が絵里子の耳をふさぐ。
その状態で長く深いキスを続けていると、舌と唇が吸いあって生じる秘密めいた音だけが、耳の奥に響く。
いつの間にか浴衣の腰紐が解かれていて、キスをしながら野立の手が浴衣の前に割って入ってきた。
ブラをつけていないので、野立の熱い掌がそのまま乳房に触れ、ひんやりとした膨らみを撫でさすられる。
ゴロゴロと雷鳴がまた響く。一瞬身を固くしかけた絵里子の乳首を野立がきゅっと摘んだ。
「大丈夫だ」囁きながら指先が優しく先端を転がし、思わず吐息を漏らした絵里子のうなじに野立が舌を這わせた。
「絵里子、外のことは気にするな。俺にだけ集中してればいい」
邪魔になった掛け布団を野立がバサッと押しのけた。
浴衣がはだけた絵里子の胸元に、野立が唇をねっとりと押し当ててくる。
掌で転がすように優しく揉まれ、ツンと尖った蕾を音を立ててしゃぶられる。
絵里子の口から「あっ・・・」とかすれた声が漏れた。
絵里子が胸が感じやすいのを熟知している野立が、指先で両の乳首を執拗にクニクニとこね回すと、
絵里子が身をよじらせながら両脚を開いていく。
野立はすかさず絵里子のショーツの中に手をすべらせ、乳房を吸いながら中指を秘所に押し当ててゆっくり前後に動かした。
「あン・・・待って・・・」
くちゅっくちゅっと、早くも濡れそぼった音が秘所から漏れてくる。
小さな突起を野立の指がピンポイントで攻め立てると、絵里子が腰をくねらせて悶えた。
「・・気持ちいいか?絵里子。怖いことなんて忘れるだろ?」
野立が耳元で囁きながら、指先をぬるっと花弁の中に埋めた。
中は十分に潤っていて、ねとねとした蜜が野立の指にからみついては溢れ出していく。
野立は自身の浴衣と下着を素早く脱ぎ捨てると、絵里子の浴衣も器用に脱がせた。
絵里子の下半身に覆いかぶさるようにして、臍やなめらかな腹部にキスしながら、ゆっくりとショーツを引き下ろしていく。
完全に脱がしてしまうと、絵里子の両脚を思い切り開かせ、内側から透明な蜜がとろけ出している秘部に顔を埋めた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音を響かせながら、野立は唇と舌をいやらしく動かして絵里子の突起と花弁を舐め回す。
「はぁぁ・・・。いじめないで・・・」
絵里子は野立の髪をグッと掴みながら、頭を左右に振って身悶えた。
野立は更に舌をできるだけ奥まで差し入れ、柔らかくうごめく内側の肉と愛液を味わう。
絵里子がビクビクッと痙攣を起こしかけると、ようやく野立は体を起こした。
ヘッドボードにもたれるようにして座る体勢を取った野立が、絵里子の体を後ろから引き寄せた。
背後から抱かれ、絵里子のヒップに野立の固くそそり立ったモノがぺたっと当たる。
その感触がたまらなくて、絵里子の体から力が抜け、野立の胸に背中を預けた形になった。後ろから野立の両手が絵里子の乳房を包み込み、優しく揉みしだいた。
もう雷の音も激しい雨の音も、聞こえてはいるが、どこか遠い世界のことのように感じる。
絵里子は胸を愛撫する野立の手に自分の手を重ねて、一緒に動かした。
指先で胸の蕾をいじられ続け、鈍い痺れのような快感に尻がひくひくと浮いてしまう。
絵里子は腕を体の後ろに回すと、自分の尻に当たる野立の屹立した熱い塊を握った。
そのまま指を這わして上下に愛撫すると、野立の息が深くなり、二人は目を開いたまま舌を絡ませあった。
野立の先端から、チロチロと先走りの液が漏れ出て、絵里子の指先を湿らせていく。
野立が左手で乳房をなぶりながら、右手を絵里子の右の太ももに伸ばし、大きな角度に押し広げた。
無防備にさらされた絵里子の股の間を野立の掌が覆い、指のすべてを使って花弁を舐めるように触る。
中指がまるく円を描くように小さな突起を愛でると、絵里子の長い脚が跳ねるように反応した。
「欲しいか?絵里子」
よがりながら、ぐったりと身を横たえた絵里子を後ろから抱き、執拗に胸と秘所への愛撫を続けながら野立が聞く。
そうしながらも、野立のモノはピクピクと顔をもたげながら絵里子のヒップをこすっていた。
「欲しい・・・じらさないで・・・!」
かすれ声で絵里子が訴えると、野立が絵里子の体を仰向けにし、両脚を大きく開いて掲げ、股を広げさせた。
野立がその濡れた部分を無言でじっと見つめていると、絵里子が悲鳴のような声をあげた。
「いやっ。やだ、こんな格好!・・・バカ!」
羞恥と興奮で絵里子の顔が火照るのを見下ろしながら、野立がニヤリと笑みを浮かべる。
「イヤとか言いながら、絵里子のエッチな汁がいっぱい出てきてるぞ。
見られると興奮するのか?・・・やらしいな、絵里子」
「バカッ!誰のせいよ・・・」絵里子が本気で恥ずかしがって野立を睨む。
「俺のせいか?・・・俺のせいでどんどん絵里子がエッチになるなら、もっとしてやる」
そう囁きながら、野立の指が絵里子の秘所を改めて一撫ですると、絵里子の体がビクンと震えた。
それを合図に、野立がグニュグニュと、めり込ませるように絵里子の中に挿入した。
「ああぁ・・・っ!あ、ん」
思い切り深く貫かれ、絵里子は身をのけぞらせた。
粘膜をこすり合わせるようにゆっくり野立が動くと、絵里子の中がそのたびにキュウッと収縮して野立を捕らえる。
「すげ・・・。締めつけ、すごいぞ、絵里子」
野立が熱い息を漏らしながら、絵里子の首筋に顔を埋め、尚も奥深く突いた。
絵里子の愛液がとめどなく溢れ出し、野立が出し入れするたびに、ぐちゅぐちゅと音を響かせる。
絵里子も両手で野立の尻をぎゅっと掴み、自ら必死に腰を振って野立のモノを迎え入れた。
肌がじっとりと汗ばみ、求め合う唇から唾液がつたう。
野立が絵里子の体を引き上げ、座位で抱き合う形になった。
互いに腰を激しく揺らしながら、より深く交わって快感を与え合う。
絵里子が白い喉を逸らすと、野立が乳房をしゃぶりながら下から突き上げてくる。
しびれるような感覚が絵里子を襲い、野立の頭を抱きかかえながらそのまま覆いかぶさり、野立を仰向けにさせた。
濡れすぎたため、野立のモノが一度ぬるっと外れる。
仰向けに寝たまま、とろんとした目で見上げてくる野立に、絵里子が馬乗りになった。
既に蜜でとろとろになった秘所に、野立のモノを何度か前後させてこすりつけてから、
絵里子が腰を下ろして野立を呑み込む。
「・・うぅっ・・・」野立がたまらず吐息を漏らした。
そのまま前屈みになって絵里子が激しく腰を動かすと、控えめに揺れる乳房を野立の手がすくい上げて揉む。
絵里子の絞り上げるような腰の動きに、野立の息が荒くなっていく。
「絵里子、ヤバイ。俺、イキそう・・・」
「いいよ、イッて。全部出して・・・」
絵里子は速度を上げて腰をグラインドさせ、指先で自身の小さな突起を愛撫して快感を高めた。
・・・今日は私が野立をイカせてあげたい。
そう願いながら、自身の中に高揚した波が押し寄せる気配を感じ、絵里子は思わず悲鳴に似た声を上げていた。
それとほぼ同時に、野立が切羽詰った声を出した。
「・・・ふっ・・!出る・・・!」
一度ビクンと体を浮かせた野立が、絵里子の中に生暖かい大量の液体を放出させた。
奥まで液で満たされる独特の感覚に体を震わせながら、絵里子も数秒遅れで達する。
「・・ああっ・・・」激しい呼吸のまま、絵里子はぐったりと野立の胸に倒れ込んだ。
ぬらりと外れた野立のモノが絵里子の太ももに当たり、絵里子の肌を液体の名残りが濡らした。
しばらく折り重なって目を閉じていると、野立が優しく絵里子の髪を撫でた。
「もう、雷、聞こえなくなったな」
「うん・・・。ありがと、野立」
汗ばんだ体が空気に触れて少しずつ冷えていく。
野立は脱ぎ捨ててあった浴衣で絵里子の体を包むと、自分も同じように羽織ってから、掛け布団を引っ張り上げた。
絵里子の肩まですっぽりと布団で覆うと、「明日朝早いから、少しだけでも眠れ」
そう言って絵里子のまぶたに軽くくちづけ、野立は目を閉じた。
ほどなく野立の寝息が聞こえてきて、絵里子は薄明かりの下でその寝顔を眺めた。
本当に、この男と結婚するんだなぁと、今更ながら二人の長い年月を思い、胸がいっぱいになる。
数時間前、新幹線の改札まで野立の両親が見送ってくれたときの情景が、絵里子の脳裏に浮かんだ。
野立が父親と肩を並べて歩きながら、ぽつりぽつりと男同士の会話を交わしている後ろ姿を見ながら、
絵里子は野立の母親と並んで駅までの雑踏を歩いていた。
たくさん持たされたお土産のお礼を述べていた絵里子に、野立の母は柔らかい笑顔で語りかけた。
「絵里子さんは、もう20年も信次郎とつきあってきたのねぇ」
「ええ、同期、悪友、みたいな関係でしたけど」絵里子は正直に答えた。
「あの子が成人した後はずっと離れて暮らしてきたから。親の私たちよりあなたの方が、
大人になってからのあの子のことはよくご存知ね」
絵里子は何と答えて良いか分からず、微笑みを浮かべて野立の母の次の言葉を待った。
「あの子、ちょっと変わってるでしょう。澄ました顔して、なかなか本音を見せない子でね。
絵里子さん、相手するの大変なんじゃない?」
「たしかに、未だにしょっちゅう驚かされます」絵里子が笑みを浮かべながら答えると、
「あら、やっぱり?」と茶目っ気のある顔で野立の母が笑った。
野立が父親に笑顔を向けながら、何か話している。その背中を見ながら野立の母は続けた。
「要領が良くて調子も良くて本心はなかなか見せなくて。でも、本当はとっても優しい子。本人は隠そうとするけど」
そうじゃない?と野立の母は共犯者のような笑みで絵里子を見上げた。
「そう思います。私も、いつも憎まれ口叩いたり、バカなことばっかり言い合ってましたけど、
肝心なとき、いつも信次郎さんに助けられました。
仕事を辞めようかと悩んだときも、私が暴走して敵を作りそうなときも。
私がアメリカに行って長いこと会わずにいたときでさえ、心のどこかでいつも、
何かあっても最後は必ず彼がいてくれる、って思ってました。
組織で孤立していた私を日本に戻してくれたのも、信次郎さんでしたから」
「そう・・・」野立の母は、眩しそうな目で絵里子を見つめて微笑んだ。
その眼差しが、少し野立と似ていた。
「東京に行ったきり、ちっとも結婚する気配がないもんだから、一時期、私たち随分あの子にお見合いを勧めてね。
いつだったかしらね・・・もう何年も前だけど、煮え切らないあの子にしびれ切らして、
電話で『いいかげんに決めなさい!』って詰め寄ったことがあったの」
全然知らない話だった。むろん、出世頭の野立には、カイシャからの見合い話も腐るほどあったのは知っていたが。
「私も主人も、あの子は女の子と適当に遊んでるのが好きだから、縛られたくなくて結婚しないのかと思ってた。
でもあの時の電話で、あの子ね、『パートナーは自分で見つける』なんて、柄にもなくカッコイイこと言ってね」
「そのとき、こんなようなこと言ってたの。
『自分の足でしっかり歩いてるような、前向いて頑張ってるような人、いないかな』って。
・・・嫌に具体的でしょ?」
絵里子は思わず息を止めて野立の母を見た。野立に似た瞳が、絵里子を優しく見返してくる。
「その言葉を電話で聞いたときね、ああ、この子はもしかしたら好きな人がいるのかなぁって思ったの。
漠然とした理想像を言ってるんじゃなくて、誰か特定の人を思い浮かべて言ってるように聞こえた。
そしてまだ、その人とは報われてないんじゃないか、
その人が振り向いてくれるのを待ってるんじゃないかって、そう思ったの。
その人じゃなきゃダメっていう、あの子の本音が聞こえたような気がした。母親の勘かしらね?」
野立の母はフフッと可愛らしく笑った。
「あれ、絵里子さんのことだったのね」
「今日、あなたを一目見て分かったわ。ああ、信次郎はこの人をずっと想ってたんだなぁって」
改札に辿り着いた野立と父親がこちらを振り返り、女は遅いなぁというように苦笑いを浮かべていた。
「絵里子さん、あの子の願いを叶えてくださってありがとう。信次郎をよろしくお願いします」
野立の母が、小柄な体を深々と折り曲げて絵里子に頭を下げた。
向こうで、野立と父親がこちらを見て笑っている。
なんだ、母ちゃん大袈裟なことしてるよ。野立のいつものおどけた声が聞こえた。
なぜだか絵里子は、泣き出しそうな気持ちを必死で抑えながら、
「こちらこそ、よろしくお願いします。・・・お義母さん」と、もっと深く頭を下げたのだった。
暗がりの中で、野立が軽いイビキをかき始めた。鼻をキュッと摘むと、一瞬止む。
「・・・ぇりこ・・・?」
寝言なのか、睡眠妨害に対する文句なのか。絵里子はクスッと笑って、野立の顔から手を離す。
幸せそうに寝息をたてる野立の顔を見つめていたら、絵里子の目から一筋涙が落ちた。
・・・この人で良かった。
胸の中でそう呟くと、絵里子は野立の肩に頬を押し当てるようにして、ようやく眠りについたのだった。
一方その頃、花形の部屋では・・・。
「もう、雷も収まってきたし、いい加減に寝ましょうよー!」
「や、ここまで盛り上がってきたんだから、今更やめるわけにはいかないね!今度はボクの番だから!」
「もう、山村さんの勝ちでいいですよー。ハイハイ、山村さんには敵いませんって」
「あ、ボクそういう勝負の投げ出し方、納得いかないなぁ。いくよ、次は第3ラウンドだからね!」
「なんで、男二人が眠れないからってダンス選手権なんてやらなきゃいけないんですかぁー!」
「どうせあとちょっとで朝なんだから、オールナイトで盛り上がろうよ!
まだまだネタはたっぷりあるんだよ〜、ボク」
狭いシングルベッドの上で、山村が奇妙なダンスを踊り出す。
「こう見えて、ボクなんてリアルタイムでブレイクダンス身につけたからね〜。昔は派手に鳴らしたな〜。
ほら、ね?ね?この動き、この回転、かなりイケてるでしょぉ?!」
「もう知りませんよ!僕、あっちの椅子で寝ますから!」
背を向けた花形に気づかず、山村はいつまでもベッドの上でブレイクダンスに精を出していた。
当然、二人は翌朝の新幹線に乗り遅れ、絵里子に大目玉を食らったのは言うまでもなかった。
E N D
以上でおしまいです。
またしても大量消費してしまい、本当にごめんなさい。
話も勝手に妄想ぶっ飛ばして、すみません。
どうもありがとうございました!!
素晴らしい!
読んでる最中はええカップルやーと思いながら読んでたはずなのに
読み終わった時の印象は花形カワイソスだったりもしたけどw
読んでるうちにドラマの2人はなぜくっつかないのか不思議になってくるぐらい
いいなあこの2人
いやーありがとうございました
また来てくださいねー
リアルタイムキター
ついでに本編の過去話の伏線もキター!
めっちゃ素晴らしい!
ありがとうGJ!GJ!
今回も素晴らしかったぁ・・・幸せ感満載!
ほんと、あなたのお話ずっと読んでたら、本編が遠い昔の事のように思えるわw
それくらいリアルにいいカップルだね
ありがとう、またお願いします!
朝から素敵なものを読ませていただきました
あなたの書く野絵大好きです!
いつも素敵なお話ありがとぅございます。
GJ!です、ありがとうございます
このままどんどん進んでいって欲しいです
しかし・・・、尾行とか盗み聞きとか・・・刑事の設定ってある意味おいしいw
いつもながら素晴らしい
改札までの場面が本気で泣けた。本当ありがとう!
野絵フラグが立ちながらも何もなかった最終話に呆然としてた頃が懐かしいw
職人さんたちのおかげでお腹一杯です(´∀`*)
まとめサイト様、新スレになったことだし更新していただけるとありがたい…
催促はしちゃいけないのかもしれませぬが…
今回も素敵でした。
ちょっぴりしんみりしてたら、ラストはちゃんと落ちがあって!
絵里子の実家訪問話も読んでみたくなりました。
野立が2、3発頑張ってるのを見たいw
ちょww無理さすなww
>>64 なんてストレートなw
…まあ、同意だけど
野立も若くないんだからさw
是非読んでみたいけど…
正座して待ってます
久しぶりに頑張りすぎて二人共ひどい腰痛で
対策室メンバーに若くないんだからとか冷やかされるのとか読みたい
オイラも正座して待ってますm(._.)m
付き合いはじめて対策室にバレるかバレないかくらいの話とか読みたいなー
木元の中の人が出てる某コンビニCM
リッチなベルギーチョコが、エッチなベルギーチョコに聞こえるのは
このスレのせいだと思うw
私もエッチなベルギーチョコにしか聞こえないww
すごく遅くなっちゃったんですけど、エンゲージ、好きです
>>61 感想同じ過ぎて書くことなくなりましたw
>>63 私も絵里子訪問話みたいです
個人的には野立訪問話もぜひ読みたいです
このスレの野絵好きすぎる
自分はかけないので職人さんの素敵な新作を気長に待ってます
野立さん超頑張れ
保守
野絵を投下させてください。
バディ時代なのでエロなしですが神待ちの時間つぶしになれば幸いです。
設定もめちゃくちゃですがご容赦ください。
コンビニ袋を提げた野立が玄関のドアを開ける。
「絵里子ー、買ってきたぞ。そっちの様子はどうだ?」
望遠鏡で外の様子を伺っている絵里子の背中に向かって言う。
「おかえり、こっちは動きなし。何買ってきてくれたの?」
「こんな時間だからロクなもんなかったよ」
そう言いながらおにぎりやサンドイッチ、烏龍茶が入ったコンビニ袋を絵里子に手渡す。
最近都内で発生した連続窃盗事件。
犯人二人のうち一人は逮捕したが、残る一人が逃亡中で
その犯人宅を向かいのアパートの一室から野立と絵里子が交代で見張っている。
とは言っても一人が捕まったので自分の家が警察に把握され見張られていることは分かっているはずだ。
ここに犯人が戻ってくる可能性は相当低い。
一課の中でまだまだ下っ端の二人にはこういう徒労におわりそうな仕事が回されてくる。
おそらく学生向けに作られたのであろうマンションの1DKの部屋は二人で過ごすには丁度いい広さだった。
それは家具が一切ない場合という条件のもとで言えることだが。
「うわ、本当にろくな物がないなー」
文句を言いつつも鮭のおにぎりを取り出して食べる気満々のようだ。
「午前0時前じゃしょうがないだろ。なんでこの時間に腹が減ったって言い出すんだ。晩飯食っただろうが」
「お腹すいたんだからしょうがないでしょ。仕方ないからこれで我慢するか」
「そんな文句ばっかり言ってるヤツにはこれやらないぞ」
そう言いながら野立は隠していた、とろけるプリン季節限定味を取り出した。
「あーー!それ私が好きなデザート!知ってたの?!しかも限定味って!
うそうそ前言撤回。謝るからちょうだい〜〜」
「おまえってやつは....ま、俺はそんなに甘い物は好きじゃないからやるよ、感謝しろよな。
ついでに、まだ時間がきてないけど見張り交代してやるから、それ食べてさっさと仮眠しろ」
「どしたの?今日はいやに優しいじゃない。でもありがと。うれしー」
無邪気に喜ぶ絵里子の姿をみて野立は思わず目を細めるが絵里子に見られないようあわてて横を向く。
絵里子と交代して望遠鏡の前に座り向かいの家や周囲の様子を伺う。あいかわらず変化はない。
背後で絵里子がプリンを食べながら、満足そうに美味しいとつぶやくのが聞こえると
野立は今度は思い切り顔を綻ばせた。
しばらくしても絵里子が寝る気配がないので振り向くとメールを打っている。
「おい、そんなことしてないで早く寝ろって」
「このメール送ってからね」
「男か。絵里子なんかとつき合う物好きがいるとはねー」
野立の挑発を絵里子はさらりとかわす。
「浩にはさ、商社で働いてるって言ってあるでしょ?
だから今は出張中ってことにしてるんだけど、ボロださないようにするのが大変でさぁ」
そう答える絵里子の無防備な笑顔は今まで見たことがなかった。
仕事では決して見せない、恋人を想っているからこその笑顔だ。
その笑顔に野立は自分でも驚くほど動揺してしまい絵里子を直視できず、望遠鏡に向き直る。
森岡と野立がお互いを牽制しあい、もたもたしているうちに、
どこの馬の骨かわからない奴にあっさり絵里子をもっていかれてしまった。
何やってんだろうな、俺たち。
野立は心の中で森岡に問いかけた。
絵里子が警察官だと知らない浩は普通の女性として接しているのだろう。
それが絵里子にとって心地いいものだということを野立は感じとっていた。
そしてそれは野立には絶対に出来ないことだ。
野立は嫉妬心が沸き上がるのを必死に抑えた。
「メールも送ったし、顔洗ったら寝るね。交代は3時間後でいいよね?」
あぁ、と望遠鏡をのぞきながら野立は短く返事をした。
ゴソゴソと寝袋に入る物音の少しあとに寝息が聞こえ始める。
ふぅっとため息を一つついて野立は後ろを向き絵里子の寝顔を見つめた。
寝袋の横には「犯罪心理学」「刑法」「被害者遺族の心のケア」などの本が置かれていた。
絵里子は見張りの休憩中、それらの本を読みマーカーで印をつけたり付箋を貼っていた。
こいつは努力しているところを見せたがらないから、
今回の張り込みがなければこういった姿は見られなかっただろう。
寝不足で疲労も溜まっているが、普段は見られない絵里子の一面を知ることができる張り込みを
野立は楽しんでいた。
あの無防備な笑顔を除いて。
恋人の座をあの鳶職の野郎に持っていかれた今でも、
絵里子のことを一番わかっているのは俺だという強い自惚れがある。
そうであるがゆえに、今、絵里子はあの野郎といて幸せなんだということが、悔しいが野立には解っていた。
せめて仕事のバディの座だけは誰にも譲りたくない。
警察という男社会の中で肩ひじ張ってがんばってきたこいつをずっと見てきたのだ。
誰かに頼ることが苦手なこいつは、これからも不器用にあちこちぶつかりながら進んでいくだろう。
その障害物をさりげなく取り除き、いつも絵里子のそばにいるのは俺だ。
そのためには出世しなければ。誰よりも早く。
「刑事は芝居ができて何ぼ」大山副総監の言葉が脳裏をよぎった。
自分の弱さを隠せ、嘘でも強くなれ。
捜査に対する心構えとしての言葉なのだろうが、これが妙に今の自分に当てはまる気がした。
絵里子への想いを隠し、嘘でもいいから強くなっていくのだ。
そして嘘の強さを本物に変えていくしかない。
今以上に絵里子にとってかけがえのない存在になるために。
なーんてな。
ガラにもなくまじめに考えてしまったな、と野立は苦笑いをする。
でもそれが本心だ。
見上げると初秋の澄みきった夜空が綺麗だ。野立は大きく伸びをする。
もう一度絵里子の寝顔をみて笑顔になると、眠い目をこすりながら望遠鏡を覗きこんだ。
【終】
以上です。お付き合いありがとうございました。
では職人さんたちどぞー
捕手
>>80 7話を見てしまうとバディの野絵って本当にせつない
またまたキュンとしてしまった、ありがとうございます
このスレでは野絵が思いっきり進んでいるからハッピーだったけど
ドラマじゃ下手するとこのままってこともありうるんだよね・・・
刑事として見守ってたら定年になっちゃうよ野立www
別に
ドラマはどっちかが裏切ったり黒幕だったり死んだりさえしなけりゃ
このままだろうが進展しようがどっちでもいい
ここはエロパロですから
>>83 あなたにレスしたわけじゃないのだけど・・・
どっちでもいいのにわざわざ書き込みありがとう
エロパロから脱線しているのならば、スレチだと注意するか
気に入らない書き込みはスルーして欲しいです
よろしくお願いします
>>84 あなたこそずいぶんネチネチ嫌みったらしいレスだね
どうせ本編はあれが精一杯だろうし
ここで思う存分イチャコラさせてnrnrすりゃいい話だって言っただけじゃん
何をそんな噛みついてんの?
マターリしませんか(・∀・)
けんかはやめてー
本編あってのパロなんだから
パロ>本編のような発言は慎むべきだとは思うよ
>>80 時間つぶしなんてとんでもない!
野立がけなげでなごんだよ。ありがとう
>>80 バディー時代よかったですっ!!
絵里子が好きでひたすら見守る野立とそれに気づかない絵里子
切ない・・・しかもこのあと10年以上もそんな関係とか・・・
とにかく、ありがとう
あなたも立派な職人さんです!
>>69さんの書き込みを見て、野絵を書いてみました。
エロ少なめですが、しばらくおつきあいください。
93 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:37:16.73 ID:BESyuRnv
カーテンの隙間から差し込む朝日がまぶしくて、絵里子は目を覚ました。
サイドボードの時計を視線だけ動かして確認する。
「6時・・・」
起き上がろうとすると、腕を引かれた。
「もう起きるのか?」
「ええ。シャワー浴びてメイクもしないと。あと朝ごはんも」
少し日に焼けたたくましい腕を優しくそっと振り払い、絵里子はベッドを抜け出した。
そして、もう一眠りしようとする彼の額にキスをする。
「朝食できたら起こしてくれよ。俺、低血圧だから」
「はいはい。気が向いたらね」
もう一言、言われるかと思ったが返事がない。
振り向くと、野立は口を半開きにして寝ていた。
洗面台の鏡には、少しやつれた姿。
「あーあ、こんなにしちゃって」
白い首から胸元にかけて点々と赤い花びらが散っている。
そのひとつひとつをコンシーラーで消していく。
森岡の件のあと、なんとなく絵里子と野立はつきあうようになった。
落ち込んでいた相手をなぐさめたのか、それとも弱みにつけこんだのか。
それがどちらかはわからないが、結果的に野立は絵里子に好きだと言い、
はじめは躊躇していた絵里子もいくつかの条件をつけることでそれを受け入れた。
駅のホームについたところで、絵里子は一番前の車両、野立は一番後ろの車両に向かう。
もともと目立つ二人だ。職場の連中に知られたくはない。
特に対策室の連中にばれたら、何を言われるか・・・
万全を期して駅前のスタバで時間調整までして、絵里子は対策室へと向かった。
94 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:37:49.70 ID:BESyuRnv
「おはようございます。ボス」
木元がぼさぼさの頭で迎えてくれた。
「あれ、ボス、首のところに赤い・・・」
そう言って木元が絵里子の首筋を見つめてくる。
ん? ・・・首・・・赤・・・っ!!
「だだだだだだだいじょうぶよ。なんでもないからっ!!」
「タカラダニ」
「えっ?」
「風で飛んできたのかな。この時期多いんですよねー」
木元は絵里子の首筋からソレをつまむと、無言でつぶした。
「人間に被害はありません。でも服に体液がつくと赤く汚れるから気をつけてください」
「・・・ありがとう」
ほっと息を吐いた絵里子の視線の先では、木元がポテトチップをつまんでいた。
ってあんた、手洗ってないでしょ。
しばらくして、ばたばたと足音が近づいてきた。乱暴にドアを開ける音がする。
「ハァー。今日の野立さんもイケメンやったなぁ」
その瞬間、丸めていた背筋がぴんと伸びた。
「そう? ボクにはいつもと同じに見えたけど」
「俺にはわかるんや。アレは、そう、恋のオーラ」
「恋?」
心臓が音を立てる。もうボロを出したのか、アイツは!
絵里子はノートパソコンの陰から二人の様子をうかがった。
「野立さん、いつもやったらすれ違う女の子全部に声をかけてはるんやけど、今日は一言もあらへん」
「へぇー、それでそれで?」
「で、対策室の前でじーっとドアを見つめてはって、そこに俺が通りかかったら、慌てて行ってもうた」
なんだ、そんなことか。
絵里子は何事もなかったようにパソコンのキーを叩く。
「はぁぁぁぁ、それならそうと早く言ってくれればええのにぃー」
「ねぇねぇ、ボクにも恋のオーラあるの見える? ねぇってばぁ」
「信次郎ー、カモーン」
岩井は派手なシャツの胸元のボタンをはずして、くねくねと悶えている。
それにすがる山村。・・・非常に鬱陶しい。
「ほらほら、さっさと仕事に取りかかって。聞き込みまだでしょ」
我慢できなくなった絵里子は、立ち上がるとパンパンと手を叩いて二人を追い払った。
95 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:39:23.45 ID:BESyuRnv
次に対策室に入ってきたのは、片桐だった。
がっくりと肩を落として、はぁーっとため息をついている。
「どうしたんですか?」
木元が顔を上げずに尋ねた。
「さっき、そこで野立さんに会って言われたんだけど」
絵里子の肩がぴくりと反応した。
仕事をするふりをして、二人の会話に耳をすます。
「野立会は解散する。お前もこれからは自分の力で幸せをつかめって」
「別にいいじゃないですか。うまくいったことなかったんだし」
「幸せをつかめって言われても。これからどうすればいいのか・・・」
一瞬、木元がガッツポーズをしたような気がする。
「大丈夫ですよ。出会いは案外近くにあるものです。今まで気が付かなかっただけで、必ず片桐さんのことが好きな人がいます」
「・・・近くに・・・」
そう言われて、片桐はきょろきょろと周囲を見回した。
絵里子と目が合う。
「ないない」と絵里子は首を振った。
「そうじゃなくて、ほら、もうちょっと近くに。わっかんないかなぁ」
「はぁ、自分、不器用ですから」
これは木元なりのアピールなんだろうな、と絵里子は微笑んだ。
あの二人、案外相性はいいのかもしれない。
「まぁこれでも食べて元気出してください」
木元はデスクの奥からチョコレートの箱を取り出すと、チョコを片桐の手のひらに置いた。
あ、それ、さっき虫つぶした指だよね。
96 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:40:01.24 ID:BESyuRnv
「それにしても気になるのは、”お前も”ってところですね」
「あ、そう言えば」
「っていうことは、野立さんは幸せをつかんだってことか。ボス、何か聞いてますか?」
急に話をふられ、微笑ましく二人を眺めていた絵里子はコーヒーを吹き出す。
「し、知らないなぁ」
「なんだ、ボスが知らないってことは深読みのしすぎなのかな・・・」
遺留品について捜査しているときのような顔で木元がつぶやく。
まずい、早くこの話を切り上げなければ。
「そうだ。科捜研に出していた遺留品の鑑定が終わったそうよ」
「じゃあ、私取りに行ってきます」
「あれ、結構量があるのよね。片桐、手伝ってあげて」
「はい」
「ひとりでも大丈夫ですよ」
何もわかっていない木元に、絵里子はわざとらしく目配せをした。
意図を理解した木元の顔が瞬時に赤くなる。
「片桐、ドアを開けるときはレディファーストよ」
「は、はいっ」
ぎこちない動きで開かれたドアから、ぎこちない動きの二人が出て行った。
それを確認して、絵里子はノートパソコンの上に倒れこむ。
「ったく、何なのよ今日は」
こんな調子で、今日一日やっていけるのだろうか。
「ボス、野立さんから」
夕方、廊下で花形に声をかけられ、またびくんっと体が跳ねた。
今度は何なのよ、もう!
「ボス? ボスどうしたんですか?」
「ななななんでもないわよ。続けてちょうだい」
「さっきそこで野立さんからコレを渡されました」
そう言って渡されたのは白い封筒だった。
中を覗くと、先日解決した事件についての書類が入っている。
「野立さん、なんですって?」
「えっと、この前の事件の書類ね。機密事項もあるから必要なことは後で報告するわ」
「そうですか、じゃあ僕、定時なので帰ります」
「ええ、おつかれさま」
対策室に戻ると、すでに他の対策室のメンバーも帰宅したようだった。
誰も居ない対策室に、絵里子のため息の音だけが響く。
「いつもの3倍疲れた・・・」
椅子の背もたれで大きく伸びをする。背中がばきばきと音を立てた。
97 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:40:35.40 ID:BESyuRnv
「何が疲れたんだ?」
「そりゃあ、野立とのことがばれないようにって意識しすぎちゃってね」
伸びながら答えて、はたと気が付く。
「・・・あんた、いつからここにいたの?」
「最初から。柱の陰に」
「電気もつけずに、何してたのよ」
「愛する絵里子に会いにきたけど居なかったから、待ってた」
悪びれずに答える野立に、絵里子は無性に腹が立ってきた。
「ばれないようにするって言わなかったっけ?」
「直属の上司である俺が、ここに来ることになんか問題あんのかよ」
「そうじゃなくて、今日のあんたの行動。みんなに怪しまれてたわよ」
「なんだよ、お前がボロを出したらまずいと思って、今日は一日ここに来るの我慢してたんだぞ」
「なんで私がボロを出すのよ!」
「うっさいなぁ。大きな声だすなよ。俺が何したって言うんだよ」
「あんた、廊下で女の子に声かけなかったり、急に野立会を解散するって言ったんですってね。対策室のメンバー、めちゃくちゃ怪しんでたわよ」
「あれは、お前がそうしないと付き合わないって言ったからじゃねーか」
強い調子で言い寄られ、絵里子は鼻白んだ。
確かに付き合う条件として、「むやみに女の子に声をかけない」「野立会を解散する」というふたつを挙げたのは絵里子だ。
だからって、いきなり翌日からふたつとも実行されるとは思わなかった。
正直、その場しのぎの約束で実行するのは無理だと思っていたくらいだ。
「た、確かに言ったけど、いきなり全部やったら周りが怪しむに決まってるでしょ」
「俺は一刻も早く、お前と本当に恋人同士になりたいんだ。それくらい分かれよ」
真剣に見つめられると、絵里子は何も言えなくなる。
先に視線をそらしたのは、野立だった。
「ごめん。そこまで考えてなかった」
ふてくされたようにつぶやく。
絵里子にはその姿がとても可愛らしく見えて、その頬に両手を添えてこちらを向かせると、そっと唇を重ねた。
「俺のこと、ちゃんと恋人だって認めてくれるか?」
「ばっかじゃないの。当たり前でしょ」
「じゃあ、もっと恋人っぽいことしようぜ」
急に強く抱きしめられ、唇を吸われた。
こじ開けるように舌が差し込まれ、口内を蹂躙される。
逃げようとする舌を執拗に追いかけ、ぐちゃぐちゃと音を立てて絡ませると抵抗していた絵里子の体から力が抜けた。
「やめて・・・」
絵里子が途切れ途切れに訴えるが、野立は無視してキスを続けた。
片手で耳をもてあそび、もう片方の手で首筋を撫でる。
絵里子の体がふるふると震えた。
98 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:41:21.52 ID:BESyuRnv
「こんなところじゃだめよ・・・」
潤んだ瞳で見つめるが、それはさらに野立を興奮させるだけだった。
「カギかけたから大丈夫だ」
「そういう問題じゃ・・・あっ」
抗議の言葉は、服の上から胸を揉みしだかれて甘い声に変わる。
ジャケットを脱がされ、ブラウスのボタンをはずされる。
背中のホックもはずされ、緩んだ胸元に野立の手がすべりこんできた。
硬くなってきた突起を指先で擦られると、絵里子の体がはねた。
「ふっ・・・くっ・・・くぅっ・・・」
絵里子は必死で声を殺してそれに耐える。
「我慢すんなよ。警視庁の防音対策は万全だ」
「だからって、・・・あっ」
「ほら、乳首たってるぞ」
「ちがうの・・・ああっ・・・」
野立は音を立てながら絵里子の乳首に吸い付いた。
思わず大きな声で喘いでしまう。
絵里子の下腹部に、固いものがあたった。
下半身に甘い感覚が広がっていく。
・・・はやく、これを入れてほしい。
それを口に出すことは決してないが、喘ぎながら見つめる瞳から野立はそれを感じ取ってくれたようだ。
野立は絵里子のスーツのパンツと、白いショーツを同時に下ろした。
下半身とショーツの間に透明な糸がのびる。
「すげえ濡れてる」
耳元でささやかれ、絵里子の体が震えた。
「あんただって、もうこんなになってるじゃない」
精一杯強がって、ズボンの上から野立の下半身を撫でる。
押し殺すような声が漏れた。
「絵里子、脱がして」
返事の代わりにホックをはずし、ファスナーを下ろす。
野立が絵里子にしたように、ズボンと下着を同時に下ろした。
99 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:41:52.28 ID:BESyuRnv
反り返った野立の下半身の先は、もう透明な液で濡れていた。
指先でそっと拭うと、再び野立の口から甘い声が漏れた。
「そんなことされたら、入れたくなる・・・」
「いいわ、きて」
野立はひとつうなずくと足元に絡まったズボンと下着をはずし、後ろ向きになった絵里子を一気に貫いた。
「あっ、そんな・・・いきなりはげしいのぉ・・・」
「だって、お前すげーかわいいんだもん」
「そこっ、奥にあたってるっ・・・あっ」
両手で腰をつかまれ、逃げる隙もなく激しく打ちつけられる。
絵里子はもう声を我慢することも忘れて喘ぐことしかできない。
ふいにクリトリスをつままれて、体がはねる。
「すげぇ締まる」
吐息交じりの甘い声でささやかれ、絵里子は体が溶けてしまいそうな感覚におちいる。
激しく奥をつかれながら、乳首やクリトリスを刺激され、絵里子はひたすら喘いだ。
何度も達しそうになるのだが、そのたびに直前で止められる。
「・・・どうして?」」
「まだ足りない・・・もっと絵里子がほしい」
自分だって余裕がないくせに、必死に腰を打ちつけてくる野立が愛しく思えた。
「今夜も、いっしょにいるから・・・だから、おねがい・・・」
「本当に?」
「ええ、約束するから・・・もう、イカせてっ」
野立は満足気にうなずくと、さらに激しく腰を打ちつけてきた。
一番感じるところを何度も刺激され、絵里子の背筋をしびれるような感覚が駆けめぐる。
「私、イッちゃうっ。ああああああっ」
「絵里子っ、・・・うっ、イクッ!」
絵里子が達するのとほぼ同時に、野立はその体内に熱い液体を放った。
何度もおあずけをくらった絵里子の体は、ようやく与えられた快感に激しく震える。
奥がひくひくと痙攣するたびに、野立の体も小刻みに震えた。
ふたりの結合部分からは、泡だった白い液体がぽたぽたと床にこぼれていた。
100 :
秘密の関係:2011/08/26(金) 12:43:54.85 ID:BESyuRnv
「あーあ、こんなにしちゃって」
荒い息を整えながら、絵里子がため息をつく。
「私はメイクを直してくるから、あんたしっかり片付けなさいよ」
「はいはい、わかったわかった。それより」
抱きしめられて、じっと見つめられる。
「・・・一度帰って着替えを取ってくるわ。駅まで迎えにきて」
「マンションまで車で迎えに行くから、部屋で待ってろ」
「大丈夫よ。たいした距離じゃないし」
「お前、本当にバカだな」
「なんですってぇ」
「俺はな、10年以上もお前に片思いしてきたんだ」
「そういえば、昨日そんなこと言ってたわね」
「だから、少しでもお前といっしょにいたいんだよ。それくらい気づけよ」
てっきり酒の席での口説き文句だと思っていたのだが、まさか本当だったとは。
顔を赤らめてつぶやく野立を見て、絵里子は少しだけ申し訳ない気持ちになった。
「じゃあ、お言葉に甘えることにするわ」
「・・・ったく、こんなんだからモテないんだよ」
「何か言った?」
「別に」
モテないのはお互い様でしょ。
心の中で悪態をつきながら、絵里子は昼間部下たちにしたように両手を叩いて野立をせかす。
「さっさと片付けて帰るわよ」
今日も長い夜になりそうだ。
以上になります。
題材を提供してくださった
>>69さん、ありがとうございました。
素晴らしい〜GJ!!
つき合い始めの雰囲気がよく出てて良かったです!
バレるかバレないかの会話も面白かったw
条件早速実行した野立も可愛いなー
絵里子の動揺っぷりが
可愛かったです!
素敵な作品をありがとうございます。
104 :
名無しさん@ピンキー:2011/08/27(土) 01:02:24.23 ID:KqjX0/3f
時間も才能もなくずっと書けなかった「ぎゅっと」という以前書いたお話の続きを投下させてください。
折角続きを書いてくださった方がいらっしゃったのに、全く踏まえることができずに申し訳ありません。
覚えていらっしゃらない方も、読んでいない方もいらっしゃると思います、
超自己満足!!的な暗い、エロもない作品ですが、
大丈夫な方だけ神が降臨されるまでの暇つぶしにでもしていただけたら幸いです。
「行って!」
指示を出し、手を打ち鳴らして部下たちを送り出す。
難航している捜査。
事件解決の糸口を探るべく忙しく捜査に動き回る毎日、
事件は次々に起こり、抱える仕事も1つではない、
最近はそんな仕事に忙殺され、恋人であり、上司でもあるあの男との時間もあまり取れないでいた。
「さてと・・・・」
絵里子は1人になった特別犯罪室でデータベース化されていない以前の資料に取り掛かる。
愛だの恋だの言っている暇はない、1日でも、いや1分1秒でも早く事件を解決しなければ。
しかし集中してまだ5分と経たないうちに電話が鳴った
何よ・・・・と思いながらも電話に出る寸前、調子の悪かった空調を見て欲しいと依頼していたのを思い出す、
案の定電話に出ると業者さんが来てくれたとの事だった。
「失礼します!」
修理に来てくれたのは健康的に焼けた、感じのいい青年だった。
30を少し過ぎた頃だろうか、背は野立より少し高く、テキパキと動く姿が見ていて気持ちいい。
絵里子は前の彼氏がガテン系だった事もあり、
彼のような「職人」を匂わす男性を見るのが嫌いではない
今の恋人と比べるなどの事ではなく、体を動かし働く男の姿というのがいいなと思うのだ。
「修理終わりました、もう大丈夫だと思いますが、何かあったらまたご連絡ください」
絵里子が資料を見ていた目を上げると、にっこりと笑う青年が目に入る。
あぁ、いいなさわやかな笑顔。
くしゃっと笑うその姿に疲れていた気持ちが和らぐのだから女も現金なものだと思う。
使い方についての注意事項があったので、その青年に近寄りちょっとドキドキしながら説明を受けた。
しかし説明が終わっても青年が帰る気配がない。
なにやらオロオロとしているその姿に訝しむ。
「あと、その・・えっと・・・・・・・」
「はい」
「あの・・・その・・・・・・・・」
「えぇ、どうしたんですか?」
先ほどまでのはきはきした様子はどこへいったのか、口ごもるその青年に眉をよせる。
何か不手際でもあったのだろうか?
修理に時間がかかってしまったとか?いや、そんなに時間などかかっていないと思うし・・・・
「あの・・・こ、こんなこと失礼だとは思うんですけど、
もしよかったら、これ受け取ってください」
「え?」
差し出されたのは、1枚のメモ。
その勢いに思わずそのメモを受け取ってしまった。
視線を落とすと、時間がなかったのか書きなぐられたようなボールペンの文字。
誰かの名前と電話番号そしてメルアドだった。
「これは・・・・?」
「し、失礼ですよね、やっぱり、すみません・・・・」
「え?」
「もっとスマートに誘えればいいのに、俺ってダメだなぁ」
こんな風に一目惚れするなんて思いもしなくて、と少し赤くなった頬を掻く青年が可愛かった。
その様子を見ると、これはどうやら青年の名前と携帯の番号とアドレスなのだろう、
簡単に言えばナンパであり、普段ならバカバカしいと一蹴してしまうところだが、
不器用なその様に思わず笑みがこぼれる。
「私もこんな風に誘われるなんて想定外でした」
ナンパと言えば自分の恋人の女の子を誘う様子が目に浮かぶからだろうか?
それよりもずっと誠実で、でも好意の持てるその書きなぐられたメモが少し嬉しい。
一瞬だけ惜しいななんて不埒な事を考えて、でもとお断りしようとした。
その時だった。
がちゃっと扉が開き、今はあまり来てほしくない人物が顔を出した。
別にやましい事など何1つないのだが。
「お疲れっ、絵里子いるか?」
勢いよく入ってきた男は絵里子と青年を見つけるとその場で立ち止まる、
一瞬、疑うような色が瞳に宿るのが絵里子にも分かった。
「お、お疲れ野立、空調の修理にきてもらったの」
そう、やましい事などない、
しかし取り繕うような言葉が余計に白々しく聞こえるだろう事は明白だった。
「・・・・・おう」
「あっじゃあこれで失礼します、あの・・・・・もしよかったら連絡ください」
「え?あっ、あの!」
絵里子に頭を下げ、野立にも軽く会釈をしながら出ていく青年、結局返しそびれてしまったメモが手の中で揺れる。
「・・・・お邪魔だったか?」
「・・・何言ってるのよ」
「ナンパされてたんだろ?お前の好きそうなタイプじゃないか」
やはり様子でわかったのだろう、しかしそんな言い方はないじゃないか。
一瞬喜んだ自分が悪いのだとわかっているが、それでも不満が胸に宿る。
軽く「なんだナンパか?絵里子をナンパするなんてすげぇ男もいるもんだな」
そう受け流してくれれば、絵里子も軽く「やっぱりいい女って罪よね」と笑って終わらせられたのに。
「あんな風に「自分の体で金稼いでます」って男がお前の好みだろ?」
「いい加減にしてよ、忙しいのこっちは」
「まんざらでもありませんって顔に書いてあるぜ?」
「いい加減にしてってば、出て行ってよ」
「俺が出て行ったらあの男に連絡でもするのか?
そのメモ握りしめて「もしもし、大澤です、あの・・・・」なんて甘い声でも出すのか?」
「えぇ、そうね、その方がいいかも、あんな若くてかっこいい男の人ってあんまりいないし、
今の男はただの腐れ縁だもん、私は「自分の体でお金稼いでます」って男性がずっと好きだし」
売り言葉に買い言葉。
くだらないケンカだと思う。
それなのに言葉が止まらなかったのは仕事や会えないストレスだったんだとそう思う。
「・・・・・・腐れ縁?」
思いがけず低い、小さい声が返ってきた。
大きい声で怒鳴り返されるか、嫌味の応酬がはじまるのだろうと思っていた絵里子は戸惑う。
付き合い始めて何度もケンカをしたが、こんな展開は初めてだった。
「何よ・・・・?」
少し言い過ぎただろうか?
しかしもう引っ込みがつかない。
「そうでしょう?私たち腐れ縁で付き合ってるだけじゃない」
「・・・・・・・・」
「何言ってんのよ、今更」
失敗した、そう思っていてどうして引き返せないのか、
既に男の顔を真正面から見る事すらできない。
「そうか・・・そうだな・・・・・・・」
静かに息を吐いた男が、対策室を出ていく。
なぜこんな事になったのか、男の様子に不安がよぎり、
その不安を掻き消そうとするかのようにイライラした気持ちが増幅する。
― そういえばあの男は何の用だったんだろう ―
我に返り、そう思い至ったのは部下が帰り、声をかけられてからだった。
恋愛を持ち込み、仕事がおろそかになってしまった事を悔いながら部下たちの報告を受ける。
煩わしい気持ちを払拭し、忙しさに身を投じる事にした。
あれから1週間。
仕事が多いというのはそれだけで気が紛れる。
当然、上司への報告をしなければならないから野立と話はする機会はいくらでもある。。
しかし、今までのような忙しくても隙間を縫ったような触れ合いもなければ目を合わせる一瞬も存在しなかった。
普段だったら参事官室から退室する寸前の一瞬のキスも、
資料室でのたった10分間の触りあいも、擦れ違いざまの囁きもうざったいと感じる行為でしかない。
しかけられる度に怒ったし、辞めてくれと抗議をした。
本気で嫌がったら辞めただろうが、仕方なく受け入れてきたのそれらの行為。
そう、仕方ないと思っていたのにそれが今は酷く恋しい。
そんな想いを掻き消そうとがむしゃらに働き、
抱えていた事件の1つがなんとか解決の糸口を見つけた。
まだまだ忙しい事に変わりはないが、少しほっとし
気分転換に屋上で新鮮な空気を吸っていたら、ずっと心の奥底を揺さぶっている男の声がした。
「室長自らサボりか?」
「・・・・・おあいにく様、一段落ついたので頭を整理してただけです。」
自分でも可愛くないと思う。
話しかけてきたという事は相手は歩み寄る準備があるのだろう、
しかし結局こんな返ししかできないで。
自分は恋愛の仕方を忘れてしまったようだ。
「・・・・なぁ、絵里子」
「なに?」
「あの・・・さ・・・・・・・」
「言いたい事があるならはっきり言って、暇じゃないの」
「あぁ・・・・」
「そうだ、あの修理の人には連絡なんてしてないから、あなたとは違うし」
「わかってる」
「じゃあなにを怒ってるのよ」
「・・・・・怒ってる?」
「怒ってるんでしょ?だから連絡もしてこなかった」
「連絡をしてこなかったのはお前だって・・・
いや、辞めよう・・・そんな話じゃなくて・・その、言ってただろ?「腐れ縁」って」
「あれはっ「わかってる」」
やはり怒っていたのは、あの言葉だったかと思い弁解をしようとした。
しかし言葉を遮られ、イラっとした気持ちが沸き起こる。
「わかってる、お前が大した意味もなく言ったんだって事は」
だったら何に怒っているのか。
あれだけ静かに怒られたらこちらだって気になってしまう
「でも、でもな絵里子」
何よ、はっきり言ってよ。
「本当はそれが本心なんじゃないか?腐れ縁だなんて言葉だから変に聞こえてしまうけど
ずっと一緒にいた俺を、友達としての俺を失いたくないから、だから俺と恋人になったんじゃないか?」
それは予想外の言葉だった。
正直、何を言われているのかわからなかった。
「あれから思い出してたんだ、俺たちの始まり方を。
始まりは俺のお見合いの話からだった。あの時お前は焦ったんじゃないか?
俺を失ってしまうかもしれないって、その感情が絵里子、お前には恋愛感情に思えたんじゃないか?」
言葉を紡ぐ野立から目が離せなくなった。
「友達としての俺を失いたくなくて、恋愛感情に置き換えてしまったんじゃないか?」
考えもしていなかった指摘に声さえでない。
まだ言葉の整理も、感情もついていかない、
でもなんとなく言っている意味はわかった。
少なくとも否定しなければいけないということはわかった。
それなのに声がでない。
「「好き」だなんて言葉を言って欲しかったわけじゃない、
でも一度もその言葉を口にしないのは本当にそう思っていないからじゃないか?」
「・・・・そんな・・・・・・・・・・」
やっと声がでた、
でもそれも、意味のない音だった。
「お前が俺を大切に思ってる事はわかってるつもりだ、
でもな、それが本当に愛情なのか一度考えてくれないか?
例えそれが友情でも俺は傍にいるから、
・・・たとえ別れたとしてもそばにいるから。
心配しなくていいから一度ゆっくり考えて欲しい」
急に何を言い出すのか、
戸惑っているうちに目の前の相手はいなくなり、
屋上から去ったのが扉の締まる音でわかった。
今でも言われた内容の整理ができていない。
どういう事・・・・?
確かに「好きだ」なんて言った事はなかった。
しかしそれはお互い様ではないか、
彼からの睦言の中に「好きだ」なんて言葉はなかった。
「エッチしたい」や「可愛いな」など耳元で囁かれる事はいくらでもある、
それでもそんな言葉をくれた事なんてなかったじゃない。
それに今更「好き」なんて言葉が必要なのか。
何度も何度も体を重ねてきたというのに。
嫌がっても、人に見られるかどうかのギリギリのラインで触られる事を許しているのも
抱き合い、あれだけ激しいキスを交わす事も
ちゃんとした感情があるからであることなど明白な筈なのに。
意味がわからない、
野立の言いがかりだとそう思う。
それでも、ふと思い出した事があった。
2日程前の話だ、
やはり屋上で監察医の奈良橋玲子に声をかけられた。
「悩んでるの?」
「まぁね、事件が多すぎて」
「男との?」
「え・・・・・」
「あら、付き合ってる事がバレてないとでも思ったの?
対策室の面々はともかく、私の目は誤魔化せないわよ、それにケンカしてる事も」
新婚だった彼女が帰ってきたのは結婚してから半年。
別に離婚したわけではなく
「だってやっぱり刺激は欲しいじゃない?」
と新婚生活を満喫してから復帰した・・という感じで羨ましい限りだ。
「あなたたち見てると高校生みたいよね、2人ともモテるくせに余裕がなくて」
「高校生って・・・・」
「自分の感情にしか目がいってないって事よ、特にあなたは」
言われている意味がよくわからない、
しかし彼女がどの男と付き合っているのかも知っているのだという事は理解できた。
ふっと嫌味に笑うその様子があの男によく似ている。
「ねぇ、想いも行為も言葉も相手が与えてくれるのが当たり前になってない?
「受け入れてるんだから私の気持ちわかるでしょ?」じゃ相手には伝わらないわよ」
「何言ってるのよ、それに付き合ってるだなんて言ってないでしょ?」
「まぁ、どっちでもいいけど。でも今までだって男はいたんでしょ?経験から学ばない女はダメよ」
ホント相変わらず恋愛のセンスがないわね、仕事のセンスはあるのに
と笑っていた彼女の横顔は今でも鮮明だ。
それは多分彼女なりの警告だったのだろう。
彼女はきっと野立が傷ついているのをわかっていたのだ。
・・・・そうだ、あの時野立は傷ついていたのだ。
「腐れ縁だ」と言われて、怒ったのではなく傷ついていたのだ。
どんな気持ちだっただろうか、
恋人から「腐れ縁だ」などと言われて。
彼は言った「大した意味などないってわかってる」と「自分を大切に思っているのはわかっている」と
でもそれはきっとあの一瞬の感情ではない。
あの一瞬、その言葉で傷ついた彼は、
その傷から逃げる事なく、考えたのだろう、私の事を。
そして思い至ったのだ。
私が私から行動しないという事を、私が「好き」と言わないという事を。
どうしていつも自分は真実に気付くのが遅いのか。
自分だって言わないくせに、という気持ちがないわけじゃないが、
それでもいつでも行動に移すのは、触れ合ってくるのは野立からだった。
まだ間に合うだろうか?
彼が出て行った扉を見つめる。
こんなところでくすぶっているのは自分らしくない、
早く伝えなければ。
ヒールを鳴らし、走る寸前のスピードで追いかけた。
以上です。
前編と銘打っていますが、先は見え見えですよね・・・すみません。
うーん・・・・・
久しぶりに書いたのに意味不明な文ですみません、精進します・・・・
GJ!!つきあっている二人が喧嘩するシュチュって新鮮でカワユス
玲子ちゃんGJ 過ぎてテンション上がったw
後半も楽しみにしてます
喧嘩話も読んでみたかったのでぐいぐい読み進みました
後半も楽しみにしています
頑張れ絵里子!
それから、まとめサイトのお方、更新ありがとうございます
いつも乙です
目が覚めたら
良いお話に出会え、まとめサイトも更新され、
感謝します!!
うわ〜生殺しだw
後半早く読みたいです!
まとめサイトさんいつも乙です
ところで、「守りたいもの」って「ときめきの慰安旅行」の続編ではないでしょうか
作者さんとは無関係の私がいうのも差し出がましいのですが…
おっしゃるとおり、「守りたいもの」は「慰安旅行」の続編ですね
>>105さん
とっても好きな作品だったので続編投下嬉しいです!!
後編楽しみにしています
言葉1つでの後編を投下させてください。
書き始めて後悔まっしぐらな感じですが、
耐えられるよ、それでもいいよという方だけお付き合いいただけたら幸いです・・・・・
「野立参事官」
廊下を早足で進み、やっと野立の背中が見えた。
この角を曲がれば野立に追いつける、そう思った次の瞬間、自分とは違う声が彼を呼んだ。
その可愛い、しかしなにか切羽詰まったような女の子の声に急いでいた足が止まる。
陰からちらっと顔を覗かせると、見たことのない子が野立を立ち止まらせていた。
「・・・あぁ、沙希ちゃんか・・・・・・・」
その声にドキリとした。
野立の女の子を呼ぶ声などいくらでも聞いてきた。
それは本当に軽くて、いい加減で適当で。
付き合う前は「本当どうしようもない」と思ってきたその声に、今は「ただの習慣」だと
「本気じゃない」とむしろ安心するほどだった。
でもその軽い声とは明らかに違う。
別に真剣な声だとか、かっこいい声だとかそういうものではない、ただ普通に、なんの気取りもない低めの声。
私とケンカをしたからあの軽い声を出せないの?いいやあいつはつらくてもちゃんと演じれる人間だ。
やめて、そんな声で他の子を呼ばないで
まるで「絵里子」と呼ぶ声と同じように・・・・・・違うのは呼び捨てかちゃん付くらいで。
しかし絵里子の感情を置き去りにして廊下での立ち話は続いている。
「・・・どうしたの?何かあった?」
「・・・野立参事官こそこの間から・・・・あっ、いえ、コーヒーでも飲みませんか?」
彼女が差し出したのは缶コーヒー
両手に持っていた2つから1つを差し出した。
この廊下は殆ど人が通らない、そんな中でこんなコーヒーを2本持って声をかけるのだから、
きっと彼女は最初から野立を探していたのだろう。
「ありがとう、よく覚えてたね?俺がこれ好きだって」
「覚えてますよ、好きな人の事は」
それは思わず聞き流してしまいそうな程サラりとしていた
しかし彼女ははっきりと言った「好き」という言葉を。
それは告白?
それとも普段も同じように会話をしているのか。
どちらであっても、胸が締め付けられる様に痛む。
自分の知らない野立の世界を垣間見ているような、置き去りにされてしまったような気持ちにさせられる。
「・・・・沙希ちゃん・・・・・・・・・・」
やっと口を開いた野立の様子を見れば
普段からそんな事を口にするような子ではないのだろう、
しかし野立の声に驚きはない、きっと彼は彼女の気持ちを知っていたのだ。
「もう、そんな顔しないでください、困らせたかったわけじゃないんですから」
「・・・ありがとう」
「・・・・・・・参事官ズルいです、それ「ごめんなさい」と同じですよ?」
だったらちゃんと言ってください。
文字にすれば傷ついてさえいないかのような彼女の声は、言葉と裏腹に震えている。
それでも顔を上げ、にっこりとほほ笑む彼女は美しい。
「・・・・・・・ごめん」
苦味を堪えるような彼の声。
その答えにほっとするより、痛みを覚える。
確実に彼の心には彼女がいるような気がして。
「・・・はい、ちゃんと言ってくださてありがとうございます」
言葉を紡ぐ彼女の瞳から涙が溢れる。
それはスローモーションのように、笑顔のまま涙を流す若く美しい女性。
野立の手がぴくっと動き彼女に向かう、しかし一瞬止まった後、その手はまた下ろされる。
そんなところ見たくなかった。
告白される処を見ている方がずっとずっとよかったのに。
野立の手が、腕が、瞳が彼女を抱きしめたいと言っている
見ていたくなくて立ち去りたいのに足が動かない、
辛くて苦しくて、呼吸が上手くできない。
「・・・参事官はつらくないですか?」
「俺?」
「彼女と上手くいってないって、この間から顔に書いてあります」
「そっか・・・・・・・」
「本当はちょっとチャンスかもって思っちゃいました、私ズルい女なんです」
「ズルくなんかないよ」
「ふふ、でも好きなんですね、その人の事」
「・・・・・・・・・・」
「その人が羨ましいです、参事官にこんなに想ってもらえるなんて」
辞めて、私の事なんか話題にしないで。
そう思うが、でも野立がどう答えるのかが気になる、ズルいのは私なのだ。
「どうかな、相手は喜んでないと思う」
「そんな・・・・・」
「同じだけの想いを俺は彼女に望んでしまったから、呆れてるよ、きっと」
野立の声は苦笑い気味だった、
自分を戒めるような、後悔しているような。
「相手から絶対的な愛情を貰えなければ自分から「好き」って言えないのか?
それは違う筈なのにね、あいつがどう思っていても俺の気持ちは変わらない、俺はあいつが好きだ」
沙希ちゃんに言うような事じゃないけれど・・・
呟くように話す野立それでもはっきりと決意表明のように話し続ける
「だから俺は、あいつがどんな答えを持ってきても自分の気持ちを伝えるつもりだ
俺は彼女が好きだから、彼女しかいないから」
その言葉に彼女の目からまた涙がこぼれる
「・・・・待ってることも許してもらえないんですね?」
「・・・・ごめんね?」
「いいえこれでふっきれました、ありがとうございます」
期待を持たせることさせさせない、
それは彼の自信なのか、それとも彼女への優しさなのか
きっと後者だろう、そんな事さえ嫉妬してしまう自分が情けない。
「野立・・・・・・」
彼女が立ち去り、下を向いて歩き出そうとしていた男に声をかける。
迷った末に出た声は自分でも弱々しかった。
はっと顔を上げた彼、唇が「絵里子」と動いた。
視線が絡まり、見つめあう。
ほら、言葉なんていらないじゃない。
動いたのはどちらが先だったのか。
どんなに人がこない廊下でも今自分たちが望んでいる行為はできない、
だから絵里子の手を取るようにした野立と一緒に当然のように屋上まで戻って。
バタン
扉が閉まるのを待つことさえせずに唇が出会う。
ねぇ、伝わってる?
私の想いも、欲望も。
息継ぎをする事さえ、その一瞬ですらもどかしい。
もっともっと抱きしめて、私を壊すくらいに。
「傷つけちゃったよ・・・・・」
「そうね・・・」
さっきの事で少し弱っている事を知っていたからこちらから抱きしめて、頭を撫でてやる。
見ていたことを彼は知っているだろう。
「女の子は傷つけないって決めてたのに」
「私の事はいいの?」
言外に私も傷ついたんですけど?と伝えると少し笑い、その振動が胸に伝わってきた。
「絵里子は女の子じゃないから」
「ちょっと・・・・」
「違うよ、そういう意味じゃない」
ぎゅっと込められる力が強まる。
「好きだって、愛してるって言える女は絵里子だけだから」
本当に、
本当にズルい男ねあなたは。
そんな風に言われたら、何も言えなくなるじゃない。
「本気で人を好きになったら傷つく事も傷つける事もあるんだってそう思ったんだ」
だからこの先も傷つけないとは約束できない。
でも大事にするよ、必ず幸せにする。
そう呟きながら抱きしめてくる男をどんなことがあっても私も離す事はできないだろう。
好きだからこそ辛いし、切なくなる事もある、それでも離せない、離したくない。
でも、そうだ、一言釘をさしておかなければ。
「傷つけられ方によるんだからね?」
その言葉に顔を上げた男が、一瞬きょとんとし、それから笑顔になった。
「大丈夫、俺は意思は強いよ、可愛い女の子に告白されても、泣かれても、抱きしめたり揺らいだりしない」
抱きしめそうになったのは反射だから許して。
そう言いながらまた首筋に顔を埋めてくる男に苦笑いが浮かんだ。
きっとそれは少しだけ嘘が混じっている、反射かどうかは相手の人にもよるでしょう?
彼女に対してはそんなんじゃない、ほんの少し愛おしさを感じたもの。
でもそれは追及しないことにした、
あの時、絵里子の答えを待たずに結論を出した男の潔さ、想いの深さに自分は負けたのだから。
「野立、ごめんね?」
「うん?」
「友情か愛情かなんて結論なんかでないわ」
体を離して告げると、野立が一瞬不安そうな目をする
だから、さっきまでの行為はなんだったのよ、もう本当にわかってないんだから。
「だって20年も同期やってきたのよ私たち、
どこからが愛情でどこからが友情かんてわからない、戦友だとも思うし、情夫に思えることだってあるわ」
「おまっ、情夫って・・・・・」
「だって・・・・・・・」
「・・・・・・・したいのか?」
「い、今じゃないわよ!?」
「俺はしたい」
「こ、ここじゃダメ!!!」
「なんでだよぉ、人いないだろう?」
「屋上は外からは鍵かかんないから」
「えーいいじゃんよ、しようよぉ〜〜〜」
「仕事まだ残ってるの」
「んな事言ってたら次いつできんだよ」
「それは・・・・・・」
「ほら、答えられないだろ?だから今、な?」
有無も言わさず、また唇が重なりあう。
舌が絡まり、はだけられた首筋が強く吸われた。
「あ・・ふ・・・・・・・・・」
声が漏れ、久しぶりの彼の匂いにくらくらした。
「ね、待って・・・」
「待てない」
「お願い」
その声に真剣さを感じたのだろう、愛撫を辞めなかった男が、初めてその動きを止めた。
「どした?」
「・・・・・好き、好きよ野立」
「・・・・・・・・・・・・」
「ちゃんと言ってなかったから」
「うん・・・・・・・・・・」
「甘えててごめんなさい、言わなくても、言葉にしなくても伝わってるって思ってた」
こんな風に彼から与えられる全てが当然の様に思っていた
でもそうじゃない(過剰すぎて困ることも多々あるけれど)それは本当に幸せな事なのだ。
「俺もごめん、酷い事言った。」
「うん、びっくりしたわ」
「修理の男の話じゃないぞ?」
「わかってるわよ」
まだこだわっていたのかと思わず笑う
その声に「なんだよー」と不満そうな声がした
「追い詰める気なんてなかったんだけどな・・・・」
でも、もしかしたらさっきの俺は「こう言えば追い詰められたお前が好きだって言ってくれる」なんて思ってたのかもしれない
ズルいのは俺だな、と自嘲気味に語る男を抱きしめる
その行為に嬉しそうに笑っている姿が嬉しかった。
「なぁ、絵里子」
「うん?」
「・・・・・・いーや、なんでもない」
「ちょっとぉ〜何よ、言いなさいよ」
「なんでもないって」
「もうっ「言葉にしなきゃわかんない」んでしょ?」
「いいのいいの、言葉にしなくてもわかるようにしたいんだから」
「え〜・・・?」
「あっ、今日は少し早く上がれるか?」
「たく、話そらして・・・・でもそうね、ほら報告したけど1つ糸口が見えたし、
他との兼ね合いでこっちはもう手出しできないから今日は少し早く帰れるかな」
「じゃぁ・・・・・・」
もう1度唇が合わさって、そのまま囁かれた
「明日辛くても、今日は寝かせない」
やっぱりあなたは酷い男ね。
言葉1つで私を虜にしていくのだから。
抱き合ってキスをして、言わなくてもわかるでしょう?これは「OK」って意味よ。
そう思いながら屋上を後にした。
おまけ。
バタンと屋上の扉が閉まった。
人のいなくなった気配に思わずふーーーーと深いため息をつく。
自分が悪いわけではないのに、息をつめ、存在しないかのようにしていた。
「あ、あいつら・・・・」
思わず恨み言が口から出る。
なにもこんな処で修羅場や仲直りをしなくてもいいじゃないか。
しかもあんな暑苦しいキスまで・・・・
いや、まだよかったのか?途中は危なかった、あれは最後までいきそうな気配だった。
おっと、これでは息をつめ、なんだかんだで覗いていたことがばれてしまう。
ん?私は誰に弁解してるんだ?
まぁいい、それにしてもどうするべきだ。
知らん顔していた方がいいのか?
それとも「お前らつきあってたんだな」なんて言った方がいいのか?
どちらにしてもこれからどうやって接すればいいんだ、
2人して報告にきた時に私はどんな顔して椅子に座っていればいいんだ。
あっ、も、もちろん報告とは仕事の報告の話。
結婚報告だとか、付き合っています報告ではもちろんない、
もちろんそれも考えないわけではないが・・・・
いや、ちょっとまて、
「私たち付き合ってます」
っていう報告が私にあってもいいんじゃないか?
こっちは上司だぞ、部長だぞ。
それくらい報告してくれたっていいじゃないか。
それにいつから2人は付き合ってたんだ。
思い当たる節はいくらでもある、それこそずーーーっと前からと言われても納得する。
あっ、でも彼氏がどうの・・・なんて話もあったな。
ちょっとまて、じゃああのお見合いの時はどうだったんだ?
もしかして2人して私を笑ってたんじゃないのか!?
な、なんてやつらだ・・・
いや、まて、早合点は禁物だ。
それに今はそんな事より、これからどんな顔をして2人と話をするかが重要だ。
あんな淫らな事を神聖なる職場で・・・・・・・
仕事で2人に並ばれたら思い出して顔に出てしまうかもしれないではないか。
対策室の面子は知っているのか?
話したらまずいか?やっぱり。
それにもっと上に知られて対策室が即解散とかなってしまったらこちらにも影響が・・・・
「あぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」
これが野立の、どんどん出世するあいつを蹴落とす材料になるならいいが、
残念ながら2人とも独身だ、別になんの問題もない。
対策室の問題は自分にも降りかかってくるから迂闊に動けない、しかしこれからの事については考えていかなければ。
「かずこ〜・・・・・あんな部下持った俺ってすんごい不幸だよなぁ・・・・・・・・」
丹波は思わず家で待つ嫁さんに向かって愚痴をこぼした。
以上です。
本当はいちゃこらする2人を書きたかったんですが、
最初の話で「好き」と言えなかった2人にまず「好き」と言わせなければ思ったらこんな話に。
なんだか色々反省点ばかりで申し訳ない感じです・・・・・
奈良橋さんや丹波さんを出したのは完全な自分の趣味です。
BOSSと奈良橋さんのやりとりや、
丹波さんのたまに見せる可愛さが結構好きだったりします。
にしても、ほんと自己満足すぎて・・・・
あぁ、精進しなければ・・・・
お目汚し失礼しました、お付き合いありがとうございました!
あぁ〜やっぱり2人はこんな感じでなきゃ…と読み進めての
丹波登場!!
思わず声を出して笑ってしまった。
後半ありがとうございます。
仲直りオメ
丹波部長の独白ワロタww
ありがとうGJ!
GJ〜〜後編ありがとぉ!!!!!
イチャコラ投下もお待ちしております♪
「ぎゅっと」の時にもやられましたが、どこまでも一途な野立に泣けました
絵里子がかわいい
あなたの書く会話の間合いが好きです
ありがとうございます!
以前バディ時代の野絵を書いた者です。
書いているときはあまり気にならなかったのですが、読み返してみると野立が切な過ぎたので今度は野立が報われる話を書いてみました。
かなり長めになってしまったのでお時間があればおつきあい下さい。
139 :
告白1:2011/08/29(月) 23:47:11.73 ID:/ZztvMXy
「なぁ絵里子、俺たちつき合ってみないか?」
いつものバーのカウンターでいつものように野立と飲んでいた時、何の前触れもなく野立が言った。
あまりにも自然に、さっきまでの話の続きのような感じで言うもんだから
「うん、そうね」
と深く考えずに相づちをうった。
その後に気づく
「え?ちょっと待って。今、つきあうって言った?」
「言ったよ。こんなにあっさりとOKがもらえるなんて思ってなかったけどな。言ってみるもんだなー」
と野立が嬉しそうに言う。
「いや、ちょ、、、さっきのは反射的に答えただけだって。何でそういう話になっちゃうのよ?」
「何でって・・・・ほら、いい年してお互いフリーだし、気心しれて楽だし、つき合ってみるのもいいかなーと思って」
そんな理由で?
普通、相手を好きになったからつきあうんじゃないの?と思いながらも、こいつならありえるなと妙に納得していた。
野立会で惨敗続きらしいから近場で手を打とうってことじゃないでしょうね?
そう勘ぐっていると野立が言葉を続ける。
140 :
告白2:2011/08/29(月) 23:49:20.36 ID:/ZztvMXy
「さっきOKしただろ。前言撤回なんて絵里子らしくないぞ」
「あのねぇ、私はあんたみたいに、なんとなーくの理由でつきあったりしないの」
えーーーーと野立が子供のようにふてくされた。
すると野立は絵里子が座っている椅子をくるりと野立の方へ向け、絵里子の眼をまっすぐ見つめて言った。
「絵里子、好きだ。俺とつきあってくれないか?」
その真剣な眼差しに思いがけずドキドキした。
見慣れてしまって忘れていたけれど、こいつって相当に格好よかったんだ。
野立とつき合うのってどんな感じだろう?
確かに一緒にいて楽しいし居心地がいい。
こいつの言うようにつき合ってみるのもいいかもしれないな。なぜかそんな風に思い
「うん、いいよ」そう答えていた。
いつもならこんなやりとりなんて冗談で終わらせるのに。相当酔っぱらってるな、私。
絵里子の答えを聞いて野立は一気に破顔した。こんなに嬉しそうな顔を見たのは初めてかもしれない。
つられて絵里子も笑顔になり、不思議と心が満たされていくのを感じた。
141 :
告白3:2011/08/29(月) 23:51:17.12 ID:/ZztvMXy
帰りは送っていくと野立が言いだした。
そんなことしたら野立が遠回りになるからかまわないと何度か断ったが
「早く彼氏らしいことしてしてみたいんだよ」そういって譲らなかった。
地下鉄を降りて改札を出ると野立が手を握ってくる。
「ちょっと、バカ、恥ずかしいじゃない」
思わず手を振り払う。
「いいじゃん、手ぇつなごうぜ、つき合ってるんだし」
また子供のようにふてくされる野立は何だかかわいい。
こんな顔するんだーと野立の新たな一面を発見して嬉しくなる自分に気づく。
「駅の周りは明るくて恥ずかしいから、次の信号渡ったてからならいいよ」
手をつなぐとかつながないとか、なんだか中学生カップルのようなやりとりだなと苦笑する。
信号を渡ると野立が手を握ってきて、恋人つなぎをして絵里子のマンションまで歩いた。なんだかこそばゆい気分だ。
「ねぇ野立、このことは職場では内緒ね?どうなるか分かんないし」
「そうだな、内緒にしといたほうがいいな。しかし、おまえ”どうなるかわからん”とか言うなよ、ひでぇな。男ができないのも納得だな」
「なんですって(怒)
.....だって、さっきまでつき合うとか思ってもみなかったし、悪友時代が長すぎてピンとこないんだよね」
まぁそれもそうだな、そうつぶやくと野立の唇が絵里子の唇を塞いだ。
こんな道のど真ん中で?!と一瞬抵抗しそうになったが、優しくとろけるようなキスに力が抜けた。
無意識に野立の首に腕を回すと野立の舌が唇の中に入り込んできて舌を絡めあう。
息があがる直前で唇が離れ抱きしめられた。
142 :
告白4:2011/08/29(月) 23:53:12.30 ID:/ZztvMXy
「これで少しは実感がわいたか?」
耳元で野立がささやく
「.......うん」
そう言うのが精一杯だった。
その返事に満足したのか野立は再び絵里子の手をつないで歩き出す。
この辺は街灯が少なくて良かった、顔が真っ赤になっているのを野立に気づかれないで済む。
「明日も朝一から聞き込みだろ?今日は大人しく帰ってやるけど、次におまえん家くるときは覚悟しとけよ」
ニヤっと笑うと野立は回れ右をして帰っていく。
その背中に「ばーか」と言って絵里子は笑った。
部屋に戻ってからも気分が落ち着かない。
今になって実感がわいて、さっきよりも浮き足立っている。
野立と私がつき合うなんて.....人生何がどうなるか分からないもんだわ。
ふいにさっきのキスが思い出されて赤面する。
あんな優しいキスをするのか、野立は。
そういえば野立の女性遍歴って聞いたことがないな。
今までどんな女性にあのキスをしてきたのだろうと、無粋な疑問が頭から振り払えず、自分にうんざりした。
ちょっとまて、私、嫉妬してる?
絵里子は自分の中で沸き上がる感情に戸惑った。
143 :
告白5:2011/08/29(月) 23:55:20.23 ID:/ZztvMXy
それから一週間はお互いに忙しく、プライベートで会うことはなかった。
今夜、いつものバーで落ち合うはずだったが、丹波部長から今朝の事件の捜査を急遽対策室にしてもらうことになったと連絡が入ったばかりだ。
今夜のデートはキャンセルしないとな。
はぁ〜〜〜と深いため息をつく。今夜は野立とゆっくり会えると思っていたのに。
最近絵里子は仕事上で平静を保つのに苦労している。
野立は相変わらず対策室に顔をだすのだが、無意識に野立を目で追ってしまうので、そうしないようにと気を張っていた。
なんて分かりやすい反応なんだと自分でも呆れてしまう。
みんながいる前では以前と変わらないよう野立に接しているつもりなのだが、うまくできているのだろうか。少し不安になる。
あいつへの気持ちを持て余している。
あのキスで今まで自分の気持ちに蓋をしていたことに気づかされた。
何せ20年来の悪友だし、仕事上では上司だ。
恋愛対象にしてはいけないと無意識に思っていたのだろう。
その蓋をあいつは取り去ってしまった。
144 :
告白6:2011/08/29(月) 23:59:02.81 ID:/ZztvMXy
丹波部長に野立と部屋に来るよう言われているので、まずは参事官室へ向かい、ドアをノックして「失礼します」と部屋に入る。
絵里子を見て野立が笑顔になり、それだけで絵里子は満たされる。
「丹波部長が二人で部屋に来いって。今朝の事件、ウチが捜査することになったから、その打ち合わせ。
だから今日のデートはキャンセルね」
「そうなのか、それなら今夜は仕方がないな」
野立のあっさりとした反応に拍子抜けする。
またふてくされた顔を見られると思ったんだけどな。つまんないの。
そう思いながら丹波部長の部屋へ向かった。
対策室に戻ると、携帯を見つめてため息ばかりつく片桐を山村さんが慰めていた。
その奥で木元がこっそり聞き耳を立てている・・・つもりらしい。
あんたそれバレバレだから。心の中で木元につっこんだ。
「元気だしなよ、片桐くん。素敵な女性は他にもたくさんいるんだから、昨日の野立会で会った子のことは諦めて次の出会いを探しにいこうよ」
絵里子の動きがピタっと止まる。昨日は野立が都合が悪いと言っていた日だ。
用事って野立会のことだったのか....
気が抜けてドサっと椅子に座りこんだ。
胸がギュっと締め付けられる。
もともと軽いヤツだとは知ってるけど。なんかすごく嫌だ、こういうの。
でも今はそんなことを考えている場合じゃない、事件解決が最優先だ。
絵里子は自分の中のもやもやに蓋をした。
気を引き締め直し、みんなを集合させる。
「今朝発生した例の事件、ウチが捜査することになった。概要を話すよ」
いつものように捜査会議を始める。
145 :
告白7:2011/08/30(火) 00:02:36.28 ID:/ZztvMXy
数日後、ようやく事件が落ち着いた頃に野立からメールが来た。
”週末は休みだろ?金曜の晩におまえの家に行くから。絵里子の手料理が食べたい”
金曜って明日じゃない。そんな気軽に来るって言われても部屋を片づけたり大変なんだから。
抗議をしようにも野立は2日前から出張中だ。
面倒くさいと思いつつも数日ぶりに野立に会えるのはやはり嬉しい。
何を作ろうかと考えを巡らせていると、先日山村さんが言っていた野立会のことを思い出し、不安な気持ちが膨らむ。
もやもやを抱えたままこの関係を続ける気はない。
はっきりさせなきゃ.....
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
金曜日の夜、絵里子が夕食の支度をしていると出張帰りの野立が家にやってきた。
「ワインとチーズ買ってきたから後で飲もうぜ。お?パスタかー、うまそうだな」
冷蔵庫にワインをしまい終わった野立が後ろから絵里子を抱きしめた。
「絵里子っていい匂いするよな。この匂い、落ち着く」
絵里子の頬に野立が手を当て、横を向かされると唇を塞がれる。
お互いの唇を求め合っていると止まらなくなりそうだ。
「パスタ食べよっか」
ようやく唇が解放されたときに囁く。
「おう、腹ぺこだ。食おうぜ」
そう言いながら絵里子に笑顔を向ける野立をみて複雑な気持ちになる。
ねぇ野立、ちょっと話したいことがあるんだけど。
さっきから何度も言おうとしている言葉を飲み込んだ。
食事の後でいいよね。そう自分に言い訳をして食べ始める。
つき合い始めてから二人でゆっくり過ごすのは今日がはじめてだ。
最近解決した事件のこと、野立の出張のこと、とりとめのない話に花が咲く。
食事が終わりソファに移動してワインとチーズを楽しむ。
そろそろ言わなきゃと思って野立をみるとキスをされた。
146 :
告白8:2011/08/30(火) 00:04:30.87 ID:N2J4R9Xl
キスが段々と深くなり少し息があがる。
野立の唇が首筋に押しつけられるとハッとして絵里子はあわてて野立から少し離れた。
どうした?という表情で野立が絵里子の目をのぞき込む。
「あ、あのさ、いろいろ考えたんだけどやっぱりつきあうの、やめない?」
野立は無言で見つめたままだ。
「いや、あんたといるのは楽しいし、つき合うのもいいかなーなんて思ってたけど、
つき合わなくてもずっと一緒にいたわけじゃない?
今更その関係を変えなくてもいいかなと思って.....」
野立は優しく言った
「それ、嘘だろ?ちゃんと理由言えよ」
やっぱりこれじゃ野立は誤魔化せないか・・・
絵里子は覚悟を決めた。
冷静に、冷静に、と自分に言い聞かせて口をひらく。
「だってさ、つき合い始めても、あんた何も変わってないじゃない。
職場で二人きりになった時はキスしようするけど、それもおちゃらけてるし、
デートがキャンセルになっても残念そうじゃないし、こないだも野立会したんでしょ?
軽く遊ばれるのはごめんなの。野立会で可愛い子を見つければいいじゃない」
声が震えて早口になる。
冷静にならなきゃと思うのに感情が抑えられず涙がこみあげる。
147 :
告白9:2011/08/30(火) 00:07:18.14 ID:N2J4R9Xl
「この前、帰りにキスされて気づいたの。
今まで当たり前すぎて気づいてなかったけど、私はあんたといて、とても居心地がいい。失いたくないの。
つきあってダメになったら今までのように一緒にいられなくなるでしょ?
あんた本気じゃないみたいだし.......
だったら悪友でいいじゃない。
しばらくはギクシャクするだろうけど今ならまだ引き返せるでしょ?」
言い終わると涙がこぼれてきて手で顔を覆った。
ひっ...と嗚咽が漏れる。
こんなみっともない姿なんて見せたくないのに。
「ごめ...泣きたくなんかないのに........うまく感情...コントロールできな.....」
「ごめん、絵里子」
その言葉に絵里子は目の前が真っ暗になる。
やっぱりそうか。こいつにとっては数々の遊びの中の一つに過ぎなかったのか。
覚悟はしていたものの、実際に言われると堪える。
野立がそっと絵里子を抱きしめ髪を撫でる。
そんなことして誤魔化さないで。そう言いたいけれど何か言うと余計に涙があふれそうで黙っていた。
148 :
告白10:2011/08/30(火) 00:09:13.15 ID:N2J4R9Xl
「ええと、何から言えばいいかな......
まず、野立会はおまえとつき合うずっと前からやる予定のやつで、一度は断ったんだけど借りがある女の子が幹事でさ、断りきれなかった。あれが最後の野立会だ。
デートがキャンセルになったのは残念だったに決まってるだろ?
仕事が忙しいのは分かってるし、いちいちそれでヘソ曲げるのは格好悪いじゃねぇか。我慢してたんだよ。
その夜はやけ酒で次の日二日酔いになって大変だったんだからな」
予想外の言葉に絵里子は顔をあげて野立をみつめる。照れくさそうに野立が続けた。
「おちゃらけてたのは、ちょっと不安だったんだよ。
あの夜、酒の勢いでOKしたのはいいが、俺とつきあってること、絵里子は後悔してるんじゃないかと思って。
”どうなかわからない”とか言われるしさー」
野立は絵里子の涙を優しく拭いながら苦笑いした。
「軽いつきあいならお手のもんだけど、本気のつきあいってどうすればいいか分からなくてさ。
こんなに絵里子を不安にさせてるのに気づかなかった。
絵里子の事を一番分かってるのは俺だと思ってたけど、全然だな。情けねぇ」
149 :
告白11:2011/08/30(火) 00:11:30.86 ID:N2J4R9Xl
「正直に言うと、おまえのことがずっと好きだったんだ。
気づいてなかっただろうけど20代の頃からずっと。
おまえを失いたくなくてずっと悪友の座に甘んじてた。
告白するときも内心ドキドキしてたんだぞ?
フラれた時の逃げ道作るために最初はあんな軽い言い方になったけど。
・・・結果的におまえを不安にさせただけだったな。
はじめからちゃんと言えばよかった」
野立はまっすぐ絵里子を見つめて言った。
「絵里子、愛してる。やっと手に入れたんだ、絶対に離すもんか」
一週間かそこら不安だったからってそんなにびーびー泣いてたら、俺なんてどうなるんだ?20年だぞ。泣きすぎて体中の水分が無くなってらぁ
そんなことも野立は言った気がする。
え?20年も?野立が私のことを?
びっくりしていつの間にか涙も止まっていた。
いろんな感情が入り乱れてうまく言葉にできない。
絵里子は野立にぎゅっと抱きついた。
「私も愛してる。もう離れたくない」
今度は絵里子から野立に口づける。
愛してる、とありったけの想いを込めながら。
150 :
告白12:2011/08/30(火) 00:14:52.46 ID:N2J4R9Xl
深く長いキスを貪っていると野立に抱きあげられてベッドへ移動する。
シャツのボタンを外すと野立の唇が首筋から腹部までをゆっくりと移動し
絵里子の肢体を味わいながら、時折、紅い痕をつける。
あっという間に身に纏っているすべてをはぎ取られると両手で胸の膨らみを揉みしだかれた。
堅くなっている頂をクニク二と指で弄ばれ絵里子の身体がピクンと跳ね、はぁっと甘い吐息が漏れる。
片方の手が胸を離れ、太股やヒップを執拗に撫でさすられるが肝心のところは触れてくれない。
絵里子は焦れて身をよじった。
「絵里子、触ってほしいか?」
「お願いっ、早く触って....」
恥ずかしさを感じながらもそう言わずにはいられなかった。
激しく舌を絡ませあってから野立が絵里子の秘部に触れると
そこは充分すぎるほどの蜜が溢れていてくちゅくちゅと音が響いた。
「すげー濡れてる」
耳元で野立に囁かれると恥ずかしさあまりどうにかなりそうだ。
野立の指が秘部をゆっくりと撫で回し指で中をかき回される。
「はぁ...っ...ぁ....あぁ......っん.....」
絵里子はもう声を抑えることができなくなっていた。
何度も秘部を撫でさすられ、その先にある蕾も同時に刺激される。
無意識に足を開げ腰がヒクヒクと揺れる。
そんな絵里子を野立は愛おしそうに見つめている。
151 :
告白13:2011/08/30(火) 00:17:25.76 ID:N2J4R9Xl
「お願い、も、待てない...」
そう言うと野立が素早く避妊具を装着し一気に絵里子の中に入ってきた。
「あぁ....ん..っ!」
激しく何度も突かれ快感が波のように押し寄せる。
絵里子は野立、野立、と何度も愛しいその名前を呼ぶ。
「だめっ....イっちゃう...」
それを合図に野立の動きが一段と速まり絵里子はぎゅっと野立にしがみついて果てた。それと同時に野立も自身を解放する。
後始末をすませると野立は絵里子のそばで横になった。
絵里子が野立の胸に鼻を擦りよせると優しく抱きしめてくれる。
少し汗ばんだ野立の匂いが心地いい。
このまま眠ってもいいかな。
そう思っていると野立の手がやわやわと胸を愛撫する。
「ちょっと、何してんの?」
「何って、絵里子を気持ちよくしてやろうと思って。もっと絵里子が感じてる顔を見たいなー」
「な・・・よくそんな恥ずかしいことサラっと言えるわね」
「絵里子だってさっき、早く触ってって言ってたじゃん」
「や、バカ、そんなこと言わないでよ」
野立が絵里子の目を覗き込む。
「・・・ダメ?」
「いや....だめじゃないけど....」
それを聞いた野立はニマっと笑って激しいキスを浴びせてくる。
明日は休みなんだし、いっか。
絵里子は観念して快感に身を委ねた。
【終】
以上です。
エロ初挑戦のためお見苦しい点があるかと思います。エロパロの難しさを思い知りました。
が、野立の想いが報われたので個人的には満足ですw
長々とおつき合いくださりありがとうございました。
GJ!!素晴らしい!!感涙!!
野立が報われて何よりだ
絵里子も可愛いしGJ!
GJ!野立もシャイで可愛いー
保守
あれよあれよとスレ伸びたね
放送終了から2ヵ月経ってもこの盛り上がりw
公式の野絵が思わせぶりに消化不良だったことも一つの要因かな
職人さんいつもありがとう
という訳で保守
こんな風にこの板が残ってくれて嬉しいです。
保守代わりと言ってはなんですが、未来ねつ造妄想小ネタを投下させてください。
こんな未来もありかもなぁ〜的な小ネタです。
ホント、くだらない上に超ねつ造なので大丈夫な方だけサラっとお読みいただければ幸いです。
よし、柔らかいスクランブルエッグにベーコンを焼いて、
サラダと、デザートのフルーツヨーグルト。
コーヒーも淹れたし、これであとはパンが焼けるのを待つだけだ。
「ふぁ・・・おぉ、いい匂い・・・・」
「親父、おはよう」
「はよぉ、さすが我が息子!って感じだな、美味そうな朝食だ」
「母さんも早く起こしてね、今日朝一で現場だーって言ってたから」
「へーい」
「・・・・・・・・・・」
「どした?」
「だらしないなぁ、ホントに・・・・ほら、テーブルに肘をつかない」
既にジャケット以外は着てるんだから気を付けてよね
たく、食べ方もだよ!こぼしたらどうすんの、
誰がクリーニングに持っていくと思ってるんだか・・・
なんてついつい小言が多くなり、目の前で父親がふてくされている。
「いいだろ、家でくらい」
「よくない、行儀くらいよくしてくれよ」
「へいへい」
全く毎日毎日そんな返事ばっかり、
外では「ダンディ」で通してるらしいけど家ではホントこんなんだから困るよなぁ・・・・
「あっ、あの子どうした?幼馴染の・・・・」
「なっ・・・・」
しかも息子に振る話題が女の子の話ってどうなんだ。
ホントでっかい子供みたいでめっちゃイヤ。
「あははははっ、赤くなった赤くなった」
「う、うるさいなぁ!!」
「小さい頃はあんなにモテモテだったのに、なんでこんな奥手になったんだだろうなぁ?」
「親父と一緒にしないでくれる?」
「折角俺そっくりのイケメンに生まれたんだからそれをいかせよな〜」
「親父はいかした結果、相手が母さんなわけ?」
「おぉ、言うようになったなぁ、さすが受験生♪」
「うっさい、受験生だと思うなら家事くらい手伝ってよ」
そうだよ、高校受験の息子に食事なんか作らせて。
家にあまりいない両親の代わりにキッチンに立っていたら
いつの間にやら、来年のお弁当も恐くないくらいに料理の腕が上がってしまった。
「はは、不肖の両親でごめんな〜」
「思ってないだろ、絶対」
朝からぎゃーぎゃーやりあってたらもう1人のでっかい子供みたいな人が起きてきた。
「おはよぉ〜・・・・・」
「おはよう、絵里子(ちゅっ)」
「はよ(ちゅっ)」
・・・・朝からやめてくれないか、息子の目の前で。
「朝一で現場だって?」
「うん、でもその前に会議だって、面倒よね」
「乗ってくか?車」
「んーん、公私混同はしない事にしてるの」
「偉いなぁ、絵里子は」
「あんたみたいにどこでも持ち込む人間とは違うんです」
「憎まれ口ばっかり叩きやがってこのこのー(むぎゅむぎゅ)」
「ちょっと重いんですけど」
「いいじゃんよ〜〜(よりむぎゅむぎゅ)」
「(ごっほん)行ってきます」
こんな両親は放っておいて登校するに限る。
そうだそうだ、ちょっと早いけど学校に行っちゃおう。
「おぉ、いってらっしゃい」
「いってらっしゃい、気を付けてね?・・あっ、そうだ、三者面談いつだっけ?」
「・・・・もう終わったけど?」
「えー!?いつ!?いつ!?!?」
「えー!?じゃないよ、なんで知らないんだよ」
「俺が行ったぞ?でもこれが全くの問題なし、いやぁさすが俺たちの子だね」
「マジで?恐いわぁ・・・本当にあんたの子なの?」
「この顔を見ろ、どうみても俺の子供だろ」
「なのに、この真面目さ。」
「結構毒舌だけどな(笑)」
「なによ、性格は私に似たって言いたいの?」
「いやいや、あははははっ」
「でも、女好きでもなく超一筋なのよ?モテるのに」
「バカ、お前、考えてみろよ、俺も超一筋だろうが」
「・・・・まぁ、あんまり否定はできないけど・・・・・・・・」
「絵里子ぉ〜!!(むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ)」
「ちょっと重いってば、重いー!!」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・ばかばかしい結局ノロケかよ!?
もうホント、放っておいて出かけよう。
外に出ると黒塗りの車が止まっている。
車の横に立ち、後ろに乗せるべき人間を待っている男性に軽く会釈をすると「おはようございます」と挨拶をされた。
「あっ・・おはようございます・・・・」
そこは思春期、あまり大きな声で挨拶ができなくても許して貰えるだろう。
「おはようございます総監」
その男性が今度は俺の後ろに向って挨拶をした。
誰かは見なくたってわかる。
「あぁ、おはよう」
佇まいは重厚で、与えられたその地位に見合う人間。
開けられた後部座席に乗り込もうとする姿を思わず見送る
別にお見送りが習慣なわけじゃないんだけど、
「ほら、お仕事に行くお父さんとお母さんににバイバイしましょうね〜」などとされていたくせがちょっと残ってるのかもしれない。
にしても、これがあのさっきまでいちゃいちゃしていた片割れなんだからなぁ・・・
母親がたまにマスコミに取り上げられている様子も見るが、
歳をうまく重ね、その姿は息子ながらに美しいと思う。
どちらにせよ世間は騙されすぎているのだ。
「気を付けて行って来いよ」
「・・・・うん、行ってきます」
あー・・・大人ってやだやだ。
でもま、あの年になってもあんな夫婦でいたいなぁとは思う、うん。
・・・・・ん?実は俺って相当洗脳されてる?
まぁいいか、今日も空は青い、快晴なり快晴なり。
以上です。
小ネタという事で色々お許しいただければ幸いです。
2人の子供なので相当美形だろうなぁ・・・・
というところからの妄想。
息子像も色々あったのですが、こんな感じに・・・・
まぁ・・その、あの・・小ネタですから(言い訳)
お目汚し失礼しましたっ
>>163 いい! GJ!!
こういった作品は目新しくて、大変楽しく読ませてもらいました!
娘だったらどんな感じになるかも読んでみたい……。
ありがとうございました!
純粋な疑問なんだけど
163さんがってことではなくて、最近各個人サイトでも子供ネタが非常に多いんだが、そんなに人気・需要があるものなの?
私、妊娠出産子供ネタが出てくると一気に冷めて萎えてしまうタイプなんだけど
(現実的すぎて生々しく感じるのかも)
リクでも子供ネタが見たいって人が多いみたいだし
もしかして自分が異端なのかと悩んでいて…
>>165 嫌なら読み飛ばせばいいじゃん
それに人それぞれ萌えポイントは違うわけだし
あなたが異端なわけじゃないと思うよ
ではエロ神様の降臨をまってます
>>166 ありがとう
ここ最近思考がぐちゃぐちゃしてたんだけど
エロパロそのものじゃなくて、エロパロの子供ネタを読むことで
子供をうむとか子供がいることに異常な嫌悪感を抱いている自分に初めて気づいて
それで戸惑って悩んでたんだ
…ということを、あなたのレスで気づきました
完全スレチだね、ごめんなさい>職人の方
私はそれ関係の別の板にいってきます…
エロパロと個人サイトの垣根がなくなってきたとは思う
個人趣味が強く反映されドリーム化してきたとも言うか
私は結婚&子供ネタ好きなんでありがたいです★
皆さん結構個人サイトとかもみてるんですか?
見たいけどなかなか検索出来なくて…。
まあ自力で頑張れ
職人さんお待ちしています
>>165さん
色々趣味があって当然なのに、配慮もなにもせず投下して申し訳ない。
確かにエロパロと妄想小説の垣根を勘違いしていたかも。
時間がなくてエロが書けないからせめて・・・
なぁんて自己満足も甚だしかった、申し訳ないっ。
好き好きあると思うんですけど、私はとても面白かったです。
ちゃっかり総監になってるしw
でも、自分も「あ、これは趣味じゃない」と思うのは読み飛ばしてるし、異端とかじゃなくてホント好みだと思う。
だから、まあ、うまく言えないけど自己責任の取捨選択で楽しみましょ^^
>>171 面白いと思う人もいるのだから、
気にせずまた何か書けたら投下してほしいです
好き嫌いを完璧に配慮なんて出来ないし何も書けませんて。
妊娠、子供ネタが嫌いという方も少数ではないと思うから
それを否定するわけではありませんが
気に入らないのはスルーが鉄則だし、投下前に
注釈を書いてスルーして貰えばいいんです
私は楽しめましたよ。
そのまんまのキャラで親になった姿が想像できました。
たぶんきっとこうだろうって。
娘だったら娘SPばりに無茶苦茶厳しく過保護な父親になりそう。
次作を楽しみにしてます
まあ子供ネタの時は注意書きは欲しいかな
人によっちゃ死ネタと同じくらい駄目な人もいるから
>>174さん
ホント申し訳ない。
まさかそんな拒否反応をする人がいるなんて思った事もなかったよ。
人気があることも、拒否する人がいる事も知らずにのほほんと書いて、
超妄想・未来ねつ造って書けば注意書きになると思ってた自分の責任です、
無知は罪なんだって思った、本当に申し訳ない。
自分的にはくだらない小ネタだと思っていた話がまさかこんな事になろうとは。
慰めてくださった方もありがとうございます。
削除できんものかと廻ってみたけど、こんな個人的理由でお願いするわけにはいかんし、
尚且つ、自分で書いたものを削除依頼してもダメだという書き込みもあって
どうしようかと悩んだんですが、嫌な方はスルーっとしてください、お願いします。
空気を悪くしてしまった事、気分を害された方、本当に申し訳ありませんでした。
これ以上引きずらず、できればここで話を終わらせてください。
この空気を打ち破ってくださるような神が降臨される事を祈りつつ、退散します、
申し訳ありませんでした&ありがとうございましたっ。
>>175 そんなに謝らなくてもいいんじゃないかな?
私は結婚、子供ネタ楽しめましたよ
また175さんの作品投下もお待ちしております。
では職人さんの降臨をお待ちしております
>>175 面白いと思ってる人も多いんだからそんなに気にすることないよ
あくまでも嗜好の問題だしここは非エロもOKなわけで
通常のエロじゃないときは一応注意書きをするでいいんじゃない
そしたら嫌な人は読み飛ばせるしさ
>>174 あ〜それは分かる=死にネタ近い
非エロおkはここの総意なの?
自分は非エロでも全然オッケーだな
ただし、注意書きは必要だとは思う
エロパロ版だからね
【この板の趣旨】
一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、
およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。
確かにエロパロ板だけど、ドラマ終わってもこれだけスレ伸びてるのは色んなバラエティが入ってるからのような気がする。
非エロ作品でもそれに触発されて色々エロに派生したりすると思いますので。
それにここの作品はエロも非エロもとても面白いですし。職人さんにうまい人が多いんでしょうね。
では、職人さんの降臨をお待ちしています〜。
なんかもう職人来なくなりそう
自分が好きじゃない話はスルーすればいいこと
はいこの話はこれで終わり
いつものマターリ良スレに戻ろうよ(・∀・)
連続してシリーズ物を連載してくれてた方が、「エンゲージ」を最後に更新停止状態ですね。
新作を催促するつもりではなくて、短期間での投下が続いていたのにパタリと止まってしまったのでちょっと心配です。
体調不良とかでないといいのですが・・・。
もちろん新作投下あればうれしいですが、いつも楽しませていただいた職人さんなので何事もなければいいなと。
そういう後腐れがないのがこのスレのいいとこじゃないの?
ふらっと来てふらっと帰る
挨拶もいらない
個人サイトなら更新とまりますって挨拶は必要だろうけど
まぁ職人さん待ちってことで
>>186 そうだね。
書くも書かないも読むも読まないも自由に気楽に。
ま、未完だとナマ殺し状態にはなるけどねw
確かに未完で終わるのだけはやめてほしいですね。
時間かかっても完結させてくれないと、悶え死んじゃうww
では職人さん待ってます^^
片絵好きの人はいないのかなぁ
野絵エロ職人さんお待ちしています
シリーズ書いてくださってる方の続編も読みたいなぁ
こんばんは。「エンゲージ」を書いた者です。
ご心配くださった方、ありがとうございました。恐縮しきりです・・・。
もともと連載なんてだいそれた思いはなく、なんとなく勢いで書いていたら
10話も続いてしまい、申し訳なく思ってたのです。
自分でもどこまで話が暴走するのか見えず、思いがけず婚約話までぶっ飛んで行ってしまったので、
もうここらへんが潮時だろうと思い、ネタも尽きて撤退してました。
それが返って、中途半端な未完のように見えてしまったのなら、申し訳ありませんでした。
なんとなく、気まぐれで「エンゲージ」の続きをまた書いてみました。
自分でも、つまらない出来だとつくづく感じますし、婚約の先の話なので、
趣味じゃない方も多いかと思います。
お嫌じゃない方、暇つぶしでよろしければ、よかったら読んでやってください。
「おい、おまえらいいかげんにしろよ。いつまで飲んでる」
野立がいつになく不機嫌そうな顔で、山村と花形の頭を続けざまに叩いた。
「イタタっ!野立さん、なんかさっきから怖いっすよぉ!」
花形が頭を抱えてうなだれた。
「まあまあ、野立さん、そう怒らんでくださいよ。ボスが帰ってきて、みんな喜んどるんやから」
岩井が慣れた様子で酔っ払った山村の身体を抱え上げ、片桐と木元、花形もそれに合わせて立ち上がる。
「そーですよ。この一ヶ月、ボスがいなくて心細いなか、あたしたちなりに頑張って対策室を守ってきたんですから。
ボスの顔見たら、気も緩むってもんですよ」
木元が花形のバッグを本人に投げつけながら言うと、片桐が
「山村さんの場合、失恋によるヤケ酒だけどな」と、冷たい目で山村を一瞥した。
「くそぉ!もう二度と美人なんて信用するもんかぁ!!」
絵里子は先ほど、一ヶ月に渡るアメリカでの研修から帰国したばかりだった。
犯罪心理学に関するFBIの最新のレクチャーを受けるための研修で、
一ヶ月もの間、部下達を残して対策室を空けることに躊躇はあったが、思い切って参加したのだ。
のんびり観光する間もないハードな日々だったが、おかげで非常に有意義な一ヶ月となり、
少しでも早く部下達に研修内容を伝えたいと、絵里子はワクワクしていた。
空港までは、野立が車で迎えに来てくれた。
絵里子は、帰国したらすぐに野立に伝えたいことがあり、彼の顔を見た瞬間、高鳴る胸を抑えながら駆け寄ったのだが、
野立の後ろから対策室のメンバーたちが顔を出して「ボス〜!!おかえりなさーい!!」と叫ぶのを見つけると、
「あんたたち、仕事サボって何してんのよ!」と、ついいつもの鬼上司に戻ってしまった。
空港からその足で、刺身が美味しいと評判の居酒屋で対策室のメンバーたちと帰国祝い(という名目の飲み会)をする羽目になり、
途中からなんとなく野立の機嫌が悪くなっているのは絵里子も気づいていた。
こういうときは、いつも絵里子以上にノリのいい野立が、珍しく露骨にムスッと気難しい顔をしている。
店の前でお開きとなり部下達と別れたあと、車に乗り込んでからも野立はあまり喋らなかった。
「・・・ねえ。どしたの?車だから野立だけ飲めなくて、ムカついてんの?」
「ちげーよ。別にムカついてねーよ」
まっすぐ前を向いたままハンドルを握っている野立にチラッと目をやりながら、絵里子は細い溜め息をつく。
思いっきりムカついてる顔してるじゃない。せっかく一ヶ月ぶりに帰ってきたのに・・・。
昨夜は「ようやく日本に帰れる、野立に会える」と思い、興奮してあまり眠れなかったというのに。
そんな調子であまり会話も弾まないまま、車は野立と絵里子の住むマンションへと辿り着いた。
一ヶ月ぶりの我が家は、寂しい男の一人暮らしの様子を呈していた。
汚れているわけではないが、どことなく雑然としていて、高級な家具が並ぶ洒落た部屋なのに、うらぶれた気配が見える。
以前、野立一人で暮らしていた頃は、男一人とは思えないほどセンスよくスタイリッシュに生活していた記憶があるが、
絵里子と暮らすようになって野立の何かが変ったのだろうか。
絵里子の不在のわずか一ヶ月の間に、すっかり「女房がいないとダメな亭主」の見本みたいな暮らしぶりになっている。
絵里子は呆れるような、それでいてこそばゆい嬉しさのような感覚が入り混じって、自分でも不思議な気持ちになった。
「おまえが帰って来る前に、ちゃんと掃除しようと思ってたんだけど、ヒマがなくて・・・」
決まり悪そうに、野立が言い訳を口にした。
「これが野立のお義父さんとお義母さんへのおみやげ。こっちが、うちの両親で・・・」
毛足の長いラグの上にスーツケースを広げ、帰国直前に慌てて買いに走ったおみやげを取り出す。
「で、こっちが野立へのおみやげ」
絵里子が包みを手渡すと、野立は「おう、ありがとう」とボソッと呟きながら受け取った。
・・・まだ、機嫌悪そうね・・・。
ガサガサと音をたてて包みを開くと、シンプルだが襟のデザインが凝ったブランドものの黒いシャツが出てきた。
「・・・あんたに絶対似合うと思って」
シャツを見ている野立の顔が、ちょっと嬉しそうに緩む。好みのものを見つけたときの顔だ。よしよし。
「似合うか?」野立がシャツを広げて自分に当てがう。思ったとおり、端正な顔にシャツがよく映える。
「うん、すごくイイ」
絵里子が満足げに答えると、野立がようやくいつもの得意げな顔で笑い返してきた。
「まるで俺のためにあるようなシャツだな」
「まーた、調子乗って」絵里子は呆れたように睨み付けるが、内心、野立のいつもの表情にホッとした。
「それで、これがね、もうひとつおみやげなんだけど・・・」
絵里子がボックス型の包みを差し出すと、野立はすぐにピンときたようだった。
「これ、腕時計か?」
「うん・・・。あんた、いい時計いくつも持ってるけど・・・その、婚約指輪のお返しに、一生記念に残るものをあげたいなぁって思って」
以前から、絵里子は指輪のお返しに腕時計をプレゼントしたいと思っていたのだが、
時間がなくてなかなか買いに行けなかった。
ニューヨークで、これだけは必ず買って帰ろうと最初から決めていたのだった。
包みを開け、嬉しそうに腕に時計をはめていじっていた野立が、不意に顔を上げた。
「絵里子」
そう口にするのと同時に、野立が白いラグの上に絵里子を押し倒した。
空港から今まで、ろくに話そうとしなかった分を全部取り返すかのように、
野立が激しい勢いで絵里子の唇をむさぼってくる。
余裕も何もない10代の少年のような勢いで、野立の舌が絵里子のそれを絡めとり、
強く吸い上げ、唇がしびれるほどのキスが続いた。
「・・・の、野立、待っ・・て・・!」
口紅がすべて取れてしまった絵里子が、息を弾ませて野立の顔を見上げる。
野立の目がキラキラと熱を帯びて絵里子を見下ろしていて、そこに野立の隠された本心が見えた気がした。
「・・・野立、寂しかったのね。だから、怒ってたの?」
「寂しくねーよ。おまえがいない間、羽根伸ばして楽しんでたさ」
その言葉とは裏腹に、野立は絵里子の骨が折れそうなほどにきつく抱きしめてくる。
「おまえがいなくたって、寂しくもなんともねーし、あいつらが空港までくっついてきて、
おまけに好き勝手に飲み食いしていつまでも帰らなくてもムカついたりしないし、
そんなあいつらを迷惑がらずに楽しそうにつきあってやってるおまえを見ても、全然腹立たねーよ」
「そっか、それでご機嫌斜めだったのね・・」
絵里子が野立の髪を優しく撫でると、野立が観念したように、うぅ・・と呻いた。
「・・・長すぎるんだよ。一ヶ月もおまえ、俺をほっとくなよ」
「はいはい、ごめんね、寂しかったよね」
絵里子がクスクス笑いながら野立を抱きしめ返すと、野立もプッと笑いを漏らした。
絵里子が風呂に入ろうとすると、野立は一緒にバスルームに入ると言って譲らなかった。
仕方ないので許すと、野立は自らの手で絵里子の服を脱がせ、身体も洗ってやると言って聞かない。
今日の野立はやけに頑固だ。絵里子はされるがままに、野立の手に身を任せた。
髪を洗い、トリートメントもしてくれ、体はボディシャンプーで丁寧にくまなく洗ってくれる。
そこにいやらしさはほとんどなくて、野立は真摯でひたむきな様子でせっせと絵里子の肌を洗っている。
そんな野立の顔を見つめながら、野立に会ったらすぐ伝えようと帰国便の中でずっと考えていた言葉を、
いま言うべきか絵里子は迷って、思わずドキドキした。
頬が紅潮している絵里子の顔を見て、野立がカン違いしたらしい。
「感じてきちゃったか?」
そう言いながら、野立の泡まみれの手が絵里子の胸を優しく撫でる。
「そうじゃ、なくて・・・」
「ん・・・?」
絵里子の目を覗き込みながら、野立の手がゆっくりと転がすように甘い動きに変っていく。
野立の瞳になまめかしくも野性的な色合いが浮かび、親指が胸の蕾をくにゅっと押しつぶすと同時に、唇がふさがれた。
「・・・野立・・・」
「おまえだって、寂しかっただろ?俺と、したかったろ?」
「ん・・・」
「言えよ。したかったろ?」
「うん・・・。毎日、毎日、あんたのことばっかり思ってた・・・」
それは本当だった。毎晩ホテルの部屋でベッドのシーツに手を伸ばし、そこにいない男を思って帰国の日を指折り数えた。
昼間、講義の内容に必死で頭を働かせている間はいい。夜、ホテルに戻って一人で味気ない食事を取るとき、
小さなシャワールームで体を洗っているとき、真夜中、ベッドでなかなか寝付けないとき、
何度も何度も、隣にいない野立の顔を、肌を、手を、声を、匂いを思い返して、寂しさを打ち消した。
たかだか一ヶ月で。何年もアメリカに住み、長期間会わないでいても平気だった昔がウソのように。
石鹸の泡で濡れた肌で抱き合いながら、絵里子は野立と唇を求め合った。
とろけるような舌と舌の感触。はさみあうように互いの唇を深く重ね、すべてを飲みこむように深く獰猛なキス。
野立の手がぬるぬるした泡と一緒に絵里子の肌を流れるように撫でさすり、
乳房から脚の間の敏感な部分へと伸びていくと、絵里子がぴくっと身をそらして震えた。
この指の動きさえ、涙が出るほど懐かしくて恋しかった。
泡で滑りが良くなったせいで、野立の指先がヌルッといとも簡単に絵里子の柔らかな襞の奥へと飲み込まれる。
野立の指の腹が、絵里子の窪みの中と外側の小さな芽を行ったり来たりしながら、優しく刺激すると、
絵里子は待ち焦がれていたように野立にしがみついた。
野立の固くなったモノがそそり立ち、絵里子の腹部を押すと、絵里子は思わず
「・・・あっ、もうこんな・・・」と声を漏らした。
野立がシャワーコックを捻り、熱い湯で二人の体の泡を一気に落とした。
おおざっぱに流し終えると、絵里子の体を大きなバスタオルで包むように拭いてくれる。
自分の身体も手早く拭き取ると、野立は絵里子の体を抱えるようにしてバスルームを出た。
そのままベッドまで直行すると、二人はもつれるように絡まってシーツの上に身を投げ出した。
野立が後ろから絵里子を抱きしめ、肩先に噛み付くように唇を押し当てながら、両手で乳房を激しく愛撫してくる。
いつもより荒々しく切羽詰ったような手の動きに、絵里子も恥ずかしいくらいに興奮し、身をくねらせた。
すくい上げるように胸をいやらしく揉まれ、尖った蕾を指でなぶられ転がされると、
その刺激が子宮の奥まで伝わってみるみる濡れていくのが自分でも分かる。
尻をひくひくと浮かせると、野立がすかさず右手を絵里子の股間に伸ばし、秘所を攻め立ててくる。
絵里子は自分から脚を広げ、野立の指に花弁や突起にすり寄せるように腰をくねらす。
「絵里子、会いたかった・・」
野立のくぐもった声が耳元をかすめる。
思いがけずせつないその声の響きに絵里子は激しく反応し、手を伸ばして野立の固く屹立した塊をぐっと掴んだ。
首筋を野立が強く吸っている。跡がつくのは分かっているが、今日はむしろそうしてほしいくらいだった。
首筋を吸われながら、左手で乳房を揉みしだかれ、右手で股間を巧みにいじられていると、
気が遠くなるような快感に何度も声が上がってしまう。
「ほしかったか・・?絵里子、俺のこと思って、自分でしたのか?」
野立がくちゅくちゅと音を立てて、絵里子の中をかき回してくる。
絵里子が後ろ手に握っている野立のモノから、たらたらと透明な液体が溢れ出て絵里子の指先を濡らした。
ハァハァと喘ぎながらも、絵里子が声を絞り出して答える。
「したわ・・。野立を思い出して、自分で・・」
「俺も、した。おまえを思って、何回も・・」
野立は絵里子の体を仰向けにすると、腰を抱き寄せながら深くくちづけた。
野立の唇が胸元へ下りて行き、乳房を舐めまわし、やがて乳首にしゃぶりつく。
唇で強く挟まれ、舌で執拗になぶられ、時折指先でつままれると、絵里子の頭の芯がぼんやりしてきた。
そのまま野立の唇が下へ下へと下りて行き、やがて絵里子の脚の間へと辿りつく。
絵里子の両の太ももを肩に抱え上げるようにしながら、野立が顔を埋めて絵里子の蜜を舐め始めた。
ぷくっと小さく膨らんだ芽を吸い、柔らかい襞を舌でなぞると、絵里子が「はぁっ・・・!」と弓のように体を反らせる。
野立は花弁の奥の窪みまで舌を差し込んで、これ以上ないくらいにいやらしい動きで絵里子を味わっている。
絵里子の太ももがガクガクと震えだし、それを合図に野立が体を起こした。
早くも限界を感じた絵里子は、自分から大きな角度に脚を開き、野立の腰に腕を回して強く引き寄せた。
「お願い、挿れて・・・。ずっと待ってたんだから・・・!」
潤んだ瞳で懇願する絵里子の頬を優しく撫でながら、野立が固く主張する自身を、絵里子の秘所に押し当てて軽く前後させた。
少し動かすだけで、くちゃっと粘液がからまる音が響き、その音がまた二人をさらに煽る。
会えない間、この音を何度も思い出した。
眠れない夜に、暗闇の中で、互いがひとつになるときの証であるこの音を何度も思い返した。
野立が絵里子の中に、めり込ませるように入ってくると、絵里子の内側がぬらりとまとわりつくように野立を包んだ。
体が野立のカタチを覚えている。
野立が抑えきれずに深い吐息を漏らした。すぐにでもイってしまいそうな顔をしている。
絵里子は野立の顔を両手で引き寄せて深くくちづけた。
そうしながら、自ら腰を振って野立を一番奥まで迎え入れる。
重なった肌と肌が汗ばみ、野立がより深く絵里子を感じようとするかのごとく、下から深々と突き上げ続ける。
相手を思いやってコントロールする余裕は、今日の二人にはなかった。
ただもう、ようやくひとつになれた興奮に呑まれてしまい、いつもよりはるかに早く波が押し寄せてくる。
「ごめん、絵里子、もう待てない・・・!」
腰を激しく打ち付ける野立を、絵里子は逃すまいとするかのように強く抱きしめて喘いだ。
「私、も、ダメ・・・!」
ぷるっと腰を震わせて絵里子がのけぞった直後、野立が大量の液体を絵里子の中に解き放った。
二人は互いの体にしがみつきながら、最後の余韻が収まるまで、繋がったまま離れずにいた。
ようやく息が鎮まり、野立が絵里子から自身を引き抜くと、すぐに絵里子が野立の胸に顔を埋めてきた。
野立が絵里子の肩や腕を優しくさすりながら、絵里子の頭の上でぽつりぽつりと言葉を紡いでいる。
「昔はおまえが何年アメリカに行ってても、耐えられたんだけどな」
「・・・あの頃は、今とは事情が違うもの。私だって・・・」
「でも、あの頃も、おまえが帰ってくるときは、俺けっこうドキドキしてたんだぜ。
意地でもそんな素振り見せなかったけどな」
「バカね。早く言ってくれれば良かったのに。私たち、遠回りしすぎよ」
そういえば、昔アメリカから5年ぶりに帰国したとき、私ったら恋人がいながら、いの一番に野立に会って、
この部屋に上がり込んでしこたま飲んで、このベッドで目覚めたんだっけ。
絵里子は不意にあの日のことを思い出し、心の奥で笑った。
なんだか、友達ごっこをしていたあの頃の自分たちが、可愛く思えてきてちょっと泣ける。
ああ、だんだん眠くなってきた。そりゃそうよね、10数時間飛行機乗って、帰国したばっかりなんだから・・・。
長旅で疲れ果ててるのよ、私・・・野立の腕の中にいると安心しちゃうし・・・。
何か、頭の上で野立の声がぼんやり聞こえる。
・・・ん?『一ヶ月会えない間に、決心した・・・?おまえが帰ってきたら言おうと思ってた』って・・・?何を・・・?
野立の言葉を最後まで聞かないまま、絵里子は深く重たい眠りに沈んでいった。
目が覚めると、翌日の夕方5時を回っていた。完全な時差ボケだ。
絵里子はガバッと起き上がって照明をつけ、ぼーっとする頭を振りながらベッドから抜け出した。
野立は普通に朝、出勤したようだ。
リビングに向かうと、絵里子が散らかしたスーツケースや荷物が、昨夜よりはマシな程度に隅に寄せられている。
コーヒーでも飲もうかと顔を上げた絵里子の目に、何か白いものが映った。
絵里子は思わず息を呑み、両手で口を覆った。
ソファの上にふんわりと広げられていたのは、真っ白なウエディングドレスだった。
定時で上がった野立は、いつもより気持ち急ぎ気味で帰宅の途についた。
昨夜絵里子にもらった腕時計を見ると、ちょうど7時になるところだった。
絵里子に早いく会いたかった。
ドレスにもう気づいただろうか?
昨夜あいつは俺の告白をろくすっぽ聞かないまま、ガーガー眠りやがった。
まあ、海外から戻ったばかりでムリもないんだが。あいつの平和な寝顔を久しぶりに見れて、嬉しかったのは確かだし。
たった一ヶ月。されど一ヶ月。
絵里子と離れていることがこれほど自分の身に堪えるとは思わなかった。だから、この期間に野立は決心していた。
もう先延ばしにはしない。一日でも早く絵里子と結婚しよう。その決意の表れが、あのドレスだった。
歩いていた野立のスマートフォンがポケットの中で振動した。
マンションのエントランスを抜け画面を見ると、着信者は絵里子だった。
「もしもし。起きたか?どうせ時差ボケだろ」
「・・・野立、今どこ?」
「ん?もうマンション着いたよ。エレベーター降りるとこ。なんか、頼みたい買い物でもあったか?」
「・・・野立、あのね。私ね、ほんとは昨日、帰国して野立に会ったらすぐに言おうと思ってたことがあったの」
「・・・なんだ?」
「一ヶ月間、離れてて自分の気持ちに改めて気づいたの。いてもたってもいられなくて、すぐに伝えたかったの。
でも、みんなが一緒だったし、いつものノリでワイワイ飲んでたら、なんか恥ずかしくなって、どんどん言えなくなっちゃって・・・」
「なんだよ、ややこしいな。もう家着くよ」
野立は絵里子の照れている口調がおかしくて、フッと笑いながら玄関ドアの鍵穴にキーを差込み、ドアを開けた。
言葉を失った。
野立の目の前に、真っ白なドレスを身につけた絵里子が佇んでいた。
自分で、絵里子にはこれが絶対似合う、サイズも間違いないと選んでおきながら、
想像以上に美しい姿に、野立は情けなく口を開けたまま立ち尽くした。
「さすがの見立てね。サイズぴったり」
絵里子が気恥ずかしそうにちょっと笑う。
ドレスを着るには、髪も無造作だし、顔もほとんどすっぴんだ。
それでも、野立の胸を熱くするには十分すぎるほど、絵里子は透き通るように美しかった。
「帰国して、野立の元に帰ったら、絶対言おうって思ってたの」
絵里子が、まだ靴も脱いでいない野立にそっと近付いた。
ダイヤの指輪がはめられた手が、野立の肩に優しく触れる。
「・・・野立、結婚して。一日でも早く」
自分が昨夜、寝息を立て始めた絵里子に囁いたのとまったく同じ言葉を、いま絵里子が口にしている。
「仕事の影響とか、具体的にどうするか、とか。そんなのこれからいくらでも考える。
だからお願い。野立とすぐに結婚したい。もう離れたくないの」
絵里子が精一杯勇気を出して言葉にしている。
鉄の女と呼ばれた大澤絵里子が、頬を真っ赤に染めてウエディングドレス姿で野立に愛を告白している。
ドレスにシワが寄るかもしれないと思ったけれど、野立は構わず絵里子を強く抱き寄せた。
嬉しくて泣きそうになるって、男でもあるもんなんだな。
涙ぐんでるせいで、うまく声が出せそうにないが、俺も勇気を出して伝えよう。
「・・・結婚しよう。絵里子、俺たち今すぐ、結婚しよう」
E N D
以上でおしまいです。
本当に、我ながら稚拙すぎて申し訳ないんですが・・・。
これで完結というわけでもなく、かと言って、もうネタが浮かばなければこれっきりで
終わりかもしれず、本当に気まぐれな感じです。重ね重ねすみません。
内容がお気に召さなくて気を悪くされた方がいらっしゃったら申し訳ありません。
スペースたくさん使わせていただきありがとうございました。
失礼しました!
>>205 うわーーーー!今回も素敵です。
ニヤニヤキュンキュンしっぱなしでしたがその中にも切なさもあって最高でした。
そして小説がはじまっていることに気づかず
>>194に割り込んでしまい申し訳ありませんorz
>>192 待ってましたー!ありがとう
二人のお互いへの溢れんばかりの愛を感じたし、最後のドレスのくだりは凄い感動しました
1ヶ月会えなくて拗ねる野立も彼らしくてイイ
貴方の書く野立と絵里子、本当に大好きです!
うわー!すごい良かったです!
最後のドレスのとこキュンキュンしました〜。幸せが溢れてるw
帰ってきてドア開けたらウェディングドレス着てる恋人がいてって、なんかラブソングのPVのようで萌え死にそうになりましたよ!
いや、ほんと作者さんにありがとうと言いたい。そしてまた思いついたらぜひお願いしたいです^^
凄いよかったです〜!
また続きをよろしくお願いします。
他の方もお願いしたいです。
前スレとかでも野絵ソングの話題が出てたけど、某ジャニのblack jokeって曲が
自分には野絵ソングに聴こえてしかたないw
歌詞が自分の思う野絵の関係そのもので聴いてるとニヤニヤするw
>>210 近畿のアルバム曲だよね?あれは正に野立視点の野絵ソングだよね。
曲中に出てくる男女の関係性とか、野絵にピッタリ当てはまる。
知らない曲だったから歌詞ぐぐったら
本当に野立視点の野絵ソングぴったりでびっくりした
私も歌詞ぐぐったらプチ感動。
「世界中でたった一人ってくらいの相棒」にグッときた。
「知ってるよアイツと終わったのも強がったってちゃんと知ってる」
これ、絵が池上ひろしと別れた後って感じで、「戻れない恋をしよう」
って、そのまんまここのエロパロの世界観だよね。
歌詞だけで萌えるわ。
「惚れちゃいそうな無邪気な笑顔」と「恋愛対象外のニクらしい軽口」なんて、
見事に野から見た絵を表現してると思う。
しかも、歌詞の口調も野っぽいし、なんて凄い曲なんだw
テーマソングかって位ピッタリ過ぎてビビった(汗)
野絵の要素全てがこの曲に入っている…。見つけた人に拍手!
最後ハッピーエンドで終わるのもいいね
今までここで野絵ソングっぽいって紹介されたのどれも好きだ
前出てた堅平井の曲もなかなかの野絵ソングだったけど
これは…!!こんなにピッタリだとびっくり通り越してわらけたw
奇跡の野絵ソング
歌詞を調べてみて
驚きました…
みなさんに同感いたします。
遅れまして…
職人さん。素敵なお話ありがとぅございます。
まとめサイトが新しくなっていました。
毎回
ありがとうございます。乙
まとめ髪さん乙です
まとめありがとうございます〜
にしてもすごい曲でびっくりでした。
見つけてくれた人ありがとうございます、すんごいわ・・・・
思わず色々妄想して話を書いたけど、曲がすごすぎて全然ダメだったw
才能がないからっていうのはわかってるけど、
こんなにぴったりすぎたら無理だよ!って思ったww
221さん、書けたのならぜひ投稿してくださいw
ぜひぜひ^^
>>222さん 期待させて申し訳ない、いや、本当にひどいできなんで・・・
一応投下はしますが、先に謝ります、ごめんなさい。
>>210さんの紹介してくださった曲を聞いて妄想した話です。
曲のイメージを壊したくない方、
野絵ですが、野絵のイメージを壊したくない方、
野立の暗い独白なんて興味のない方
エロまでいけなかった中途半端な作品です、どうぞ飛ばしくてください。
エロパロなのにエロなしですみません、野立うざい独白となっています、大丈夫な方だけお読みください・・・・
「頼むから死んでくれない?国民の為にっ」
口が悪い女が目の前で俺を罵っている。
ひでぇな、だから男ができねーんだよと聞こえないように言ったつもりだったのに
「うっさいわね、あんたにしか言わないわよ」
と返された。
そんな日常を繰り返し、気が付けば俺たちも40超え。
こんな筈じゃなかったんだけどな、
出世した俺は、可愛い奥さんが隣にいて、毎朝行ってきますのちゅうをもらって、
郊外に建てたマイホームから出勤・・・って日常を送っていたっておかしくない筈なのに、なぜこうなった?
「もう、そんな話しにきたんじゃないのよ、この間の連続OL殺人事件の事だけどさ」
じゃれあいから一変、仕事モードに切り替わった彼女の横顔を眺める。
ここは俺の仕事部屋、参事官室。
元々この話をする為に彼女を呼び出したのだからやっと本題に入ったって事だ。
彼女の名は大澤絵里子42歳独身、の中の独身。
俺も独身だけど。
凛とした横顔は甘さを求める余地など全くない。
そんな横顔を見て改めて思うのだ
恋愛なんて関係じゃもったいない
なんて事を。
最高のパートナーだと思う。
罵り合いながらもバディとして同期として、部下と上司として築き上げてきたこの絆を、信頼を、
恋愛なんていう不安定なものに変化させるなどもったいなすぎる。
そんな事で精度が落ちるくらいなら、最初からその可能性を切ってしまった方がいい。
それでも近すぎるこの距離は、心を揺らすのには十分すぎるものだとつくづく思う。
触れたくなった事がないと言えば嘘になるし、
今でもメーターが振りきれそうになる度に、そんなくだらない一時の感情にこの関係を壊されてなるものかと、
大切なものを失わされてたまるものかと必死に食い止めてきた。
だからというわけではないけれど、
自分に特定の相手がいない時には彼女に相手がいて、
彼女に特定の相手がいない時には自分にそれなりの相手がいる事が多かった。
最近では2年間のアメリカ生活を終え、絵里子が日本に帰ってくる直前、自分には彼女と呼べる女性がいた。
彼女は美しく賢い、絵里子に似た女性で。
可愛い女の子は大好きだけれど、恋愛対象という「好み」は違うと突きつけられた存在。
他の勘違いし、甘えてくる女の子達よりもずっと話は弾み、素のままの自分でいれた。
ただなによりそれが一層絵里子を懐かしがらせ、彼女を傷つけてしまった。
決して恋愛に真面目な俺ではないが、彼女がいれば婦人警官に挨拶程度のナンパはすれど浮気はしない。
それでも彼女に言われたのだ
「無理しなくていいのよ」
何をとは言わなかった、
しかしそれは決して可愛い女の子達の話などではなかった
きっと彼女は見抜いていたのだろう、俺の胸のうちを。
微笑みながら涙を流す彼女を愛おしいと思った、抱きしめたいと思った。
でも、それができなかったのは自分の中にいる存在が大きすぎたのだ。
立ち去る彼女の後ろ姿を見送りながら、彼女の幸せを願い、その切なさに身をゆだねながら思う事はただ1つ、
絵里子に会いたい、絵里子と会って「あんたバカだねーそんないい女を手放すなんて」
と飲みながら笑い飛ばして欲しいという事だった。
「どうせあんたが悪いんでしょ?」なんて悪態をついて欲しかった。
この想いを今更愛情だなんて言うつもりはない。
それでもだ、それでもたまに思うのだ、
このどうしようもなく沸き起こる感情の行方はどうなるのかと、ばかばかしいほどに憂いてしまうのだ。
「ちょっと聞いてるの?」
しかしそんなちょっとした黄昏も絵里子といたら許してはもらえない、
聞いてるって、確かに半分くらいだけど。
でも、充分だろ、完璧ってくらいに把握してるって。
「あぁ、その件はお前に任せるよ」
「またそうやって手を抜く、少しは仕事しなさいよね」
大丈夫だよ、この件はお前に一任できる。
「まぁまぁ、今日は飲みに行くかっ」
と手を打つと、すかさず返ってくる声
「たく・・・でも、フライドチキンね、フライドチキン」
「おう、今日は定時で上がれそうだしな、美味いもん食って、飲んで、英気を養え〜」
「んで、俺を出世させろ、でしょ?」
「その通り、よくわかってんじゃん」
「ホント、あんたって変わんないねー・・・気持ちいいくらいに自分本位」
「ばぁか、俺が変わったら寂しいだろ?」
「な〜に言ってんだか、少しは真面目に生きなさいよ」
「これくらいが女の子にもてるんだよ」
「あーやだやだ中年のくせに」
「中年はお互い様だろうが」
軽口を叩きあっているといつまで経っても仕事が終わらず、飲みにもいけないので切り上げて、
いつものように待ち合わせをした、いつもの様に適当に
俺たちは適当位がちょうどいい、深刻なんて関係似合わないだろ?
「絵里子、おまたせ」
いつもの待ち合わせ場所に向かうと、ぼーっと携帯を見つめている彼女が。
少しの好奇心で声もかけずに眺めていると、携帯を見ては何度か溜息をついていた、
俺からの連絡を待ってる?
そんなわけないとわかっているのに少し夢見た自分に苦笑いをし、それから声をかける、
誰からの連絡を待ってるのかしらないが、これからの時間は俺だけを見させる為に。
「おそーい」
「いやぁ、来る途中で可愛い子見つけちゃってさ」
嘘だよ。
本当は急に入った仕事を片づけるのに必死だったんだ。
丹波のおっさんがぎりぎりになって寄越すのが悪いんだぜ?しょうがないから、それはもう超特急で仕上げてやった。
超特急って言っても、お前と飲みに行くっていうご褒美があったから出来は最高だけどね。
って、人参ぶら下げた馬か、俺は。
「ホントさいてー」
「だって俺の野生のカンが「あの子可愛いぞ」って言うんだからしょーがねーだろ?」
「また野生のカン?あんたのカンはどうなってんのよ、灯台下暗しってことわざも知らないんでしょ?」
「あ?本当に暗いならともかく、明るくてもなんにもないからねー俺の足元は」
「・・・・むかつくわーホントむかつくわーーーー」
だったら一生来なくてもよかったんですけど?
あんたなんかいなくてもよかたんですけど?
なんて可愛くない事をいう絵里子と連れ立っていつものバーへ
灯台下暗し?いいや、本当は明るくてさ、その中にお前が見えちまうんだよ、
でもな、お前は暗いままでいてくれ、見えないままでいてくれ、そうじゃないと困るんだよ絵里子。
愛情だなんていうにはもう遅いんだ。
そんな不安定な関係になりたくない、最高の相棒だと言いたいんだよ、俺は。
だから、だからどうぞ気付かないでくれ、
俺が異性だなんて事に、俺の中にお前がいるなんて事に気づかないでくれ。
「でさ、そしたら片桐がさ」
最近は2人で飲みにいくと対策室のメンバーの話も多い、
2人の共通の話題だという事もあるが、それだけ個性の強いメンバーなのだろう。
と、不意に絵里子の携帯が震えた。
ちらっと目線を落とし、くもぐった彼女の横顔。
あぁ、恋愛関係だな。
不思議とわかってしまうんだよ、絵里子のそういう事は。
好きな男ができたとか、付き合ったとか、別れたとか、
絵里子が言葉にしなくたってわかるんだよ、俺には。
携帯を震わせているのが直接その男なのか、それとも関係する誰かからなのかはわからないが、内容はきっと恋愛関係だ。
俺の中に「誰だよ・・・・」
という黒い感情が生まれたがそれを無視して絵里子に電話に出るように促す。
「メールじゃなくて電話だろ?出ろよ、俺は狩りにでも行ってくるから」
これはきっと長くなる。
わかっていたからあえて自分から席を立った。
絵里子への「気にするなアピール」というわけではないが、気晴らし程度に女の子の2人連れに声をかけた。
電話の内容は正直気になるが、そこは踏み込んではいけない領域、
自分の心には「気になるわけがない」そう嘘をついた。
「え〜?ホントですか〜??」
「やーーーかっこいいぃ〜〜〜」
そんな女の子独特の中身のない返答との会話を楽しんでいると絵里子が電話を終える様子が目に入った。
昔の彼氏だろうか、それとも新しい男だろうか。
絵里子にそんな顔をさせる男は誰なんだ。
もうそいつの事は忘れろ、
お前にはもっといい男がいるよ。
彼女が恋を失う度に何度か口に出かかった。
でもそんな慰めは彼女は好まない、ただ俺は彼女が気が済むまで付き合ってやる事しかできない。
リアルタイムきたこれ
支援
俺がいるじゃないか。
その言葉も何度も飲み込んだ。
揺れてはいけない、気付いてはいけない、気付かせてはいけない。
「絵里子、終わったか?」
適当に女の子達との会話を終わらせ、絵里子の元に戻る。
俺の声にハっと顔を上げた彼女の目は潤み、感情を隠しきれてはいない。しかしそんな事は知らないふりをした。
電話が終わってから5分程度、充分時間を取ったつもりだったが、彼女の心を収めるには短かったようだ。
「いやぁ、こっちも女の子達と会話盛り上がっちゃってさぁ〜〜」
軽口で元に戻してやろう、
ほらほら俺たちらしく飲み明かそうぜ、今日はとことん付き合ってやるよ。
それなのに、
「ごめんね、気をつかせて」
涙で揺れる瞳のままに素直にそんな風に謝るものだから、
抱きしめてやりたくなった、
涙の跡を消してやりたくなった。
わかっているんだ、こんな揺る感情は一過性のものだって
そんなもんに振り回されて相棒の地位を失うわけにはいかないって、そんな事はわかっているんだ。
それでもうるんだ瞳が愛しくて。
誰かを想い傷ついた絵里子の心を癒やしてやりたくて、思わず絵里子の頬に手をあてた。
ビクリと絵里子が体を固くし、俺を見つめる。
その表情はまるで暴走した男を恐がる女性のような
俺が恐いか?絵里子・・・・
絵里子は俺が男だと気付いてしまったのかもしれない。
俺が絵里子を女と見ている事に気づいてしまったのかもしれない。
その様子に、しまったと思ったがもう遅かった。
触れた指先が動かない。
こんな感情は絵里子への裏切りだ。
相棒として信頼を置いてくれた人間への裏切りの感情だ。
それでも愛おしいと心底思う。
これが愛情なのだとどこからか声がする。
そんな目すんなよ、冗談だよ、冗談だから。
そう言いたかったのに、口を開けばどうしても本当の想いがこぼれそうになり言えなかった。
心臓の辺りが潰されそうなほど痛い。
好きだ、好きなんだ。
言葉にしてはいけない。
感情を外に出してはいけない。
警告音が鳴り響く、認めてはいけない。
愛情だなんてものに縛り付けてはいけないのだから。
「俺・・・・・」
「・・え・・・・・?」
言うな、言ったらお終いだろう?
「・・・・俺・・・・・・・・・」
「・・・・・なぁに・・?」
「・・・俺・・・・・・やっぱ狩りしたりねーわ」
「・・・え・・・・・・・・・・・?」
「さっき折角成功してたのに、なんか中途半端にしてきちゃったからもっかい行ってくるわ、狩り」
「・・・・・・・・・・そう、そうよね」
「狩りしたらそのままそっちで過ごすから、今日はお開きにしようぜ」
「・・・・・・そうね、じゃぁ今日はあんたの奢りね?」
「あぁ、お前は帰れ、見られてたらうまくいかない」
「わかってるわよ、私は家で飲みなおすわ」
「おう、じゃあな」
絵里子にに背を向けたのは涙を隠す為だった。
それでも女の子たちを物色しているように見せる事だけは忘れない。
今の俺にできる事などそれくらいなのだから。
そんな後ろ姿に呆れたのか、かたんと椅子から降りる音がし、カツカツカツとヒールを鳴らして彼女が出て行く気配、
その事にため息交じりに息を吐いたら、また苦しさが胸の中に広がった。
「・・・好きだよ」
もう彼女はいないから、脚を止めたまま呟いた。
「絵里子ごめんな・・・俺はお前が好きなんだ」
絶対の信頼を裏切ったのは俺だ。
彼女からの信頼を利用し、傍にいたのも俺だ。
俺は本当に卑怯な人間なのだ。
それでも傍にいたかった。
これが裏切りだとしても、この先どんなに傷ついても
絵里子と共に歩いていたい、そう願ってしまう。
いつもお酒をつくってくれるバーテンは、俺の涙も呟きも見て見ぬふりをしてくれた。
先ほどの女の子たちが不思議そうにこちらを見ている、
おかしいだろ?でもきっと君たちにも、こんな風に君たちを想い、涙を流す誰かがきっといるんだ。
だからその想いを知った時には優しくしてやってくれ。
言葉にしてはいけないと何度も思ってきたけれど、
声にすればより苦しくて涙は止まらなくなった。
40男のこんな恋愛は見苦しい、わかっていてなお。
愛情だなんて今更言うつもりはない、それなのに想いは溢れ、涙となる。
すぐに日常に帰れるという気持ちと裏腹に、心臓を鷲掴みにされたような痛みが消えてくれない。
崩れてしまいそうな体をなんとか支え、もう少し時間を置いてから自分も帰ろう。
そう思った時だった。
「・・・・ねぇ」
背中から声がし、その事実に体が硬直した。
もちろん先ほどの女の子達ではない、振り向かなくてもそれが誰かなどわかってしまう。
俺の独白を聞いていたのだろうか?
「・・・・・・どう、した・・・忘れ物か?」
緊張感と涙で震えそうな声を必死に抑える、
俺はちゃんと話せているだろうか?
「・・・・うん・・・・・・・・」
「・・・どじだな、お前、しっかりしろよ」
声だけでも愛しくて、わけもわからず想いが涙に変わるから振り向けなかった。
しかし絵里子はそのことには何も言わず、なぜか俺の背中に触れて、ことんと頭を預けた。
ただ寄り添うように背中に生まれた温かみ。
「っ・・・・・・・」
その温かみに胸がより痛みで波打って思わず嗚咽が漏れた。
辞めてくれ、こんなドラマみたいな事が起こるかよ。
いや、ドラマだったらいいよ最後はハッピーエンドだから
でもこれは違うんだろう?だったら辞めてくれないか。
「・・・帰れって言っただろ?」
「いやよ」
「後悔するぞ、お前」
「うん、それでもいい・・ちゃんと言ってよ・・・・」
やはり絵里子は俺の呟きを聞いていた。
それはわかったし、ちゃんとお互いに向き合う事を絵里子が望んでいるであろう事もなんとなく理解した。
しかし今の俺には漏れる嗚咽を飲み込むことしかできない。
「・・・・ねぇ、ちゃんと言ってよ・・・・・・」
黙ったままの俺に、焦れたように促す絵里子。
無理言うなよ、俺はお前を裏切った人間なんだぞ。
「・・・逃げないでよ、ちゃんと言ってよ・・・・・それじゃなきゃ進めないわ」
もう逃げられないという状況が俺に決意を迫る
俺の呟きを聞いてしまった絵里子はいてもたってもいられなかったのだろう。
真っ直ぐな彼女の事だ、聞かなかった事にはできず、真正面から受け止めようと思ったに違いない。
だったらもう伝えた方がいいのだ、きっとその方が後腐れなく終われるだろう。
絵里子もそれを望んでいる。
俺の裏切りはこれからぎこちなさを生むだろう、
それがどれくらい続くのかはわからない、でもきっと戻れる、俺たちは元に戻れる。
これが最後だから。
もう恋愛感情などにならないように、その為の儀式なのだから。
「・・・・・・なぁ、絵里子、俺さ・・・・・・」
「・・・・うん・・・・・・」
本当に最後なんだな、これが最後なんだ。
「・・・・俺、好きだよ、絵里子の事が・・・・・」
「・・・・うん・・・・・・・・・・・・」
結局、振り向けないまま最初で最後の言葉を口にした。
女性に好きだと言う事がこんなに苦しいなんて知らなかった、告白とはこんなにも痛みを伴うなんて。
「・・・・・・・うん、ありがとう・・・・・・・・・」
背中にそっと触れていた絵里子の手が俺の胸にまわった。
ぎゅっと力がこもり後ろから抱きしめられる。
なんだ、どういう事だ?
「・・私も、私も好きよ・・・・」
「・・・・え・・・・・・・?」
予想もしない答えに間抜けな声になってしまった事は許して欲しい。
「ばかね・・・・本当に・・・・・・・」
「・・・・絵里子・・・・・・?」
やっと言葉の意味がじんわりと沁みてきてきて、体中に喜びと驚きと愛しさが沸き起こる。
衝動が抑えられずに、振り向くと涙で濡れた絵里子がいた。
あぁ、可愛くない顔しやがって。
「・・・・きたねぇ顔」
「うっさいわね、あんただってぐっちゃぐちゃじゃない」
「化粧崩れてるぞ」
「後で直すわよ」
「いいよ、どうせ落とすんだから」
「なによそれ、どういう・・・・きゃっ!」
勢いよくぎゅっと抱きしめる。
驚いた絵里子が腕の中で少し暴れたが気にしない。
「好きだよ」
「・・・・うん」
腕に力をこめ、欲望のままに首筋に、頬にキスをする。
そして最後に唇に・・・・・
と思ったらがしっと手のひらで顔面を抑えられた。
「おい・・・・・・」
「ここどこだと思ってんのよ?」
まぁ確かに結構人もいるバーだからな、でもだからってもうちょっと可愛く止められないのか
指一本で「・・ダメよ・・・・・・」なんて色っぽく制止するとか、色々あるだろうが
「ほら、飲みなおそうよ」
たく、しょうがねぇな。
まだ顔はぐしゃぐしゃのままだけれど、涙は止まった。
公衆の面前で起こした恋愛模様に少しだけ照れながら、
それでも2人で座りなおすと、馴染みのバーテンからすっとカクテルが差し出された。
頼んでもいないのに出されたカクテルに驚いていると
バーテンは手のひらでカクテルを指し示しながら微笑んだ
「「ベストパートナー」です、当店からお2人に」
背中を向けていた俺には見えなかった絵里子の表情も、俺たち2人の様子も全て見ていたのだろう、
見て見ぬふりをしながらカクテルを用意し「どうぞごゆっくり」と軽く会釈をしてから離れるバーテンはかっこいい。
よし、俺も生まれ変わったらバーテンになろう、女の子にモテそうだ。
「何考えてんの?」
「ん〜?別に」
「どうせ「おっ、バーテンもいいな、女の子にモテそ」とか考えてんでしょ」
「いや〜あははははっ」
「やっぱさいてーだわ、あんた」
「なぁ、絵里子」
「ん?」
こちらを少し向いた彼女に優しく口づけた。
今度は殴られるかな?
と思ったら、唇を離すと潤んだ瞳。
あぁ、もう・・・・堪らないな、このギャップ。
戻れないと思う、
恋愛感情になんてしたくなかったんだ俺だって、
でもきっと。
戻れなくていいんだ、進んだっていいんだと初めて思った
この先に待っているのは、不安定な未来かもしれない、仕事上でも、恋人としても。
でもそれでもいい、きっとそんな2人だからこそ俺たちはきっとベストパートナーになれる。
俺はそう思うんだよ、そうだろう?絵里子。
だからさ、
戻れない恋をしよう、2人で。
以上です。
途中電話がきて更新が途切れたり、長々とスレを独占して申し訳ないです。
暗く、エロもない内心吐露のうざい話ですみません。
野立がへたれすぎて、もう・・・・・
あっ、途中支援してくださった方ありがとうございます。
勇気でました。
素晴らしい!素晴らしい!
切なくて読みごたえがあって、ドキドキしっぱなしでした。
個人的に、野はずっと切なさや葛藤を抱えてきたと思ってるので、全然イメージ壊れたりしなかったです。
ありがとうございました!
222です!ありがとうございます!
てか、催促してすみませんでした^^;
素直じゃない二人が歌通りハッピーエンドになって嬉しいです!
とっても素敵なお話でした♪♪
>>210を書いた者ですが、久々にここ覗いたら凄い事になっててびっくりしました!
職人さん素晴らしい作品をありがとうございます。そして皆さんに共感して貰えてうれしかったです!
素敵な曲を紹介してくれた方、そしてそれをもとに、素晴らしい作品を書いてくれた方、本当にありがとうございます。
読みながらジーンとしてました。
いいですねえ!
これの絵里子サイドなんかも読んでみたいわー
気がむいたら是非w
遅ればせながらGJです。
両思いバンザイ!!続編希望〜!!
GJです
確かにこれは絵里子サイド読みたいわ
「告白」のその後を書いてみたので投下させてください。
2人ともなんだか幼い感じになってしまい反省しきりですが・・・
特に何が起こるわけでもない内容ですか、よろしければおつきあいください。
247 :
ありふれた日常:2011/09/14(水) 18:28:26.23 ID:vFKlp8F4
いつものバーで飲んだ帰り道、野立のマンションへと二人で歩く。
人通りの少ない道に入ると、いつものように野立の腕に絵里子が腕を絡めてくる。
人通りの多い場所では恥ずかしくてできないところが絵里子らしい。
仕事では自信満々に振る舞っているくせに、こういうところは奥手というか不器用というか....
美人のくせに浮いた噂が少なかったのはその辺が影響しているのだろう。
ま、俺だけが絵里子のそういうかわいい部分を知っていればいい....なんてな。
仕事以外の時の絵里子は少しほわんとして柔らかい表情をする。
もちろん長いつきあいの中で知っていたことだが、それを毎日見られることに幸せを感じずにはいられない。
絵里子のこういう表情、毎日見てても飽きないな。
ふっと笑みをもらす野立に絵里子は
「あんた、ちょっと飲みすぎたんじゃない?さっきから妙にヘラヘラしちゃって」
と少しあきれ顔だ。
「俺もそう思うよ。酔っぱらいすぎて絵里子が美人に見えてきた」
間髪入れずに頭をパシっと叩かれる。
「そんなこと言うやつとは一緒に寝てあげない」
腕絡めたままそんなこと言っても全然説得力ねーぞ。
野立の頬が自然とゆるむ
「お?拗ねてんのか?かわいいな、絵里子」
「ばーか、そんなわけないでしょ」
いつものように軽口の応酬が始まる。
今夜は満月が夜道を明るく照らし、風も心地いい。
酔い冷ましと散歩を兼ねて少し回り道をして帰ることにした。
家に着くとすぐに野立が絵里子の唇を塞いだ。絵里子もそれに応えて舌を絡める。
「シャワー浴びてくるね」
そう言って絵里子は野立から一度離れるが、何か思い出したのか引き返し、内緒話をするときのように野立の耳に手をあてて囁いた。
「あのね、最近ピルを飲みはじめたの。だから今夜は何も着けないで、して?」
いたずらっぽく笑うと絵里子は風呂場へ向かう。
その腕を掴み、野立は絵里子をベッドへ押し倒した。
「そんなこと言われて、大人しく待ってられるか」
絵里子の首筋に吸いつきシャツのボタンを外しにかかる。
「やっ、ちょっと待って....」
抗議の声をあげるが聞き届けられるはずもなく、観念して野立に身を任せた。
シャツがはだけ絵里子の肢体を野立の唇と舌がなぶり味わいながら、絵里子の白い肌に紅い薔薇を咲かせていく。
スラックスが引き下ろされ、絵里子の下半身を覆うものはショーツだけになった。
いつの間にかブラのホックも外され、野立の両手が胸の膨らみを円を描くようにゆっくり撫でまわし、少し尖ってきた頂を親指と人差し指で摘み転がす。
「っん...は..ぁ..」
絵里子が思わず声を漏らす。
胸を愛撫し続けながら野立の唇が絵里子の唇に襲いかかった。
舌を絡めあい吸いつき唾液を味わっていると絵里子が野立の背中に腕を回し抱きしめた。
絵里子がもどかしそうに太ももを擦りあわせる。
野立がニヤリと笑い右手でショーツの上から秘所をなぞると、絵里子の身体が小さく震えた。
「もう濡れてるぞ」耳元で囁かれる。
「や..ぁっ...言わない...で.....」
絵里子は吐息まじりの上擦った声で抗議するがそれは野立をいっそう煽るだけだ。
耳を甘噛みされてから耳の奥に舌を捻こまれ舐め回されると、
ぴちゃぴちゃという音が頭の中に響きわたり絵里子の意識がぼんやりとしてくる。
するとショーツ越しに触っていた野立の指がショーツをずらし、直接絵里子の敏感な部分に触れる。
ゆっくりと形をなぞるように前後に指を移動させたり、その先にある蕾を弄ぶ。
それを繰り返しているうちに絵里子の中から液が充分に溢れだし、野立の指が動くたびに水音が響く。
不意に指が蜜壷へと差し入れられて絵里子の内側を撫で、掻きまわす。
その間にも野立の左手は絵里子の乳房を執拗に揉みしだいている。
いやらしい野立の指の動きと、耳の中でうねる野立の舌の刺激と卑猥な音に、絵里子は自分でも驚くほど敏感に反応し嬌声をあげる。
たまらなくなった絵里子は野立の熱く堅くなったモノをズボン越しに撫でさすった。
ワイシャツを脱がせ、ベルトに手をかけるがうまく外せない。
そんな絵里子を見かねて野立が上体を起こし脱がしやすいようにしてくれると全てを剥ぎとることができた。
自分のショーツも脱ぎさり、野立の膝の上に跨ると、自分がされた時と同じように絵里子は野立の右耳に舌を差し入れる。
野立の左耳を手で塞ぎ、野立の中を絵里子の舌の音だけで満たすと徐々に野立の息づかいが荒くなる。
野立の右手が絵里子の股の間に伸びてきて秘所をいやらしく撫でまわし、
左手は乳房を弄び固くなった蕾を愛撫する。
その刺激に身体の奥が疼き絵里子の腰が自然と動いてしまう。
「ねぇ野立、もう我慢できない....」
瞳をうるませ哀願する絵里子を、野立はゆっくり押し倒して仰向けにした。
野立はこのまま絵里子の中に入りたい欲望をかろうじて抑え、絵里子の入り口に自身をあてがい、わざと先端だけこすりつけて焦らす。
そうして絵里子を何度も煽ると絵里子は一層よがり、乱れて野立を求める。
「はぁ.....あぁ....ぁ...んッ......野...立.....お願い....っ....!」
そんな絵里子の姿に堪らなくなった野立は一気に挿入した。
直に触れる絵里子の中は温かく、その締めつけですぐにでも果ててしまいそうだ。
最初はゆっくりと腰を動かし、絵里子の反応をみながら角度を変え、速度を変えて攻める。
頬を上気させ腰を揺らしながら喘ぎ、野立の名前を呼ぶ絵里子の痴態は、いとも簡単に野立を煽りたて昂らせる。
「絵里子、ごめん、もう限界」
「私も、もう、だめ....早くきて...!」
野立が腰の動きを速めて何度も下から突き上げると絵里子が悲鳴のような声をあげて身体を大きく反らせた。
それと同時に野立は低く呻き絵里子の中にすべてを注ぎ込んだ。
荒い息を整える間も野立は絵里子の髪をなでて頬や額にキスをおとしてくれる。
そのやさしい刺激に絵里子は幸福感で満たされる。
絵里子も負けじと野立にキスの雨を降らせた。
そうしてじゃれあっているうちに、めずらしく野立が先に寝息をたて始めた。
絵里子は野立の寝顔を愛おしそうに見つめて囁く
「ねぇ野立、愛してる」
数ヶ月前は野立とこうしているなんて考えもしなかったし、つきあい始めた頃は不思議な感じがしたものだ。
でも今は、野立が側にいないことが想像できない。
どうしてもっと早くこうなっていなかったんだろうと少し悔しい。
警察に入ってからずっと野立と一緒だった。
それが当たり前で、自然にそこにあるものだった。
絵里子が他の男とつき合っていようが、何年もアメリカに行っていようが、
何があっても野立は変わらずにいてくれるという安心感があった。
それがなければ組織の中であちこちぶつかりながら前に進んでこれなかっただろうし、
ピーピーの件もなかなか立ち直れなかっただろう。
変わらずそこにあるもの、そんな確かなものなんてあるはずないのに、
なぜか野立が側にいてくれることは信じて疑わなかった。
でも今はわかる。
その当たり前は、当たり前なんかじゃなかった。
野立がさりげなく与え続けてくれたものだ。
つきあい始めてようやくそれに気づいたとき、愕然とした。
なんて不器用で遠回しな愛情表現なんだろうと。
もしかすると野立の想いが報われない可能性だってあったのに.......
何でそんなことができるの?
あんた本当にバカじゃないの、と泣きそうになる。
聞いたところで、こいつのことだから「自分の出世のためだ」と笑ってはぐらかすんだろうけど。
もっと早く好きだと言ってくれたらよかったのに。
そんな筋違いな八つ当たりの感情が無いこともないが、
それよりも、今まで気づかず、無意識に野立に甘えてきた自分自身に腹が立つ。
もっと早く気づいていればよかった。
もっと早くこうなっていたかった。
どんなに願っても過去は変えられない。
だからこれからは、私がどんなに野立のことを想っているか、思い知らせてやろう。
そう思っているうちに絵里子は眠りに落ちていた。
翌朝、野立が目を覚ますと隣に絵里子はおらず、キッチンへ向かうとちょうど出かけるところだった。
「おはよ。今日は早いじゃない、もう少し寝てたらいいのに」
「なんか目が覚めちゃってな。絵里子こそ早いな」
「うん、対策室行く前に寄りたい所があって。ちょっと気になる事があるのよね」
「例の事件か....早期解決を頼むぞ。俺の点数になる」
「ったく朝から調子いいんだから。朝食おいてあるからパン焼いて食べてね」
テーブルの上には食パンとハムエッグ、サラダ、コーンスープが用意されている。
「おぅ、さんきゅ」
野立の頬に軽くキスをして出かけようとする絵里子を引きよせ、強引に唇を塞いだ。
口紅がとれちゃったじゃない、そう文句を言う絵里子に
全然抵抗しなかったくせにと笑いながら答える。
絵里子がちょっと悔しそうな照れたような表情で「行ってきます」と言った。
なぁ絵里子、こんな何でもない日々を一緒に積み重ねていこうな。
凛とした絵里子の背中を見送りながら野立は心の中で呟いた。
せっかく早起きしたし、俺もあいつを見習って今日は早めに出勤すっかな。
大きく伸びをして眠気を振り払う。
外は雲一つない快晴。今日もいい日になりそうだ。
野立は鼻歌をうたいながら食パンをトースターへ放り込んだ。
【終】
お読みいただきありがとうございました。
GJ!甘々な二人に萌えた
最後の絵里子の想いも良いですね
素敵でしたー!
本当に!
最後の絵里子の気持ちにぐっときました!
先日投下した「ベストパートナー」の絵里子編を投下させてください。
う〜ん、折角あんなにいい曲だったのに、台無しにしてしまった感満載ですみません。
本当はあの後の続きを書きたかったのに、
「絵里子はこう思ってて〜」とか書いていたら続きじゃなくなってしまった・・・
悪態をつきあったり、仲良くするところが書きたかったのに・・・・・
結果、野立編と同じく暗い独白となっております。
エロパロなのにエロがない、
蛇足感満載の、暗〜い、延々と続くうざたったい独白でもいいよ、大丈夫だよという方だけお読みください。
いつの間にこうなったのだろう?
3時間前には想像もしていなかった事態に、実はまだ頭がついていっていなかった。
ずっと胸の中にあって、でも言えずにいた想いがある。
それは自分に恋人がいてもくすぶり続けていて、
独りになると一層表に出てきそうで恐い存在だった。
やめてよ、今更この気持ちが愛情だなんていうの?
自分を悩ます相手の名は野立信次郎
警視庁で参事官にまで出世した男だ。
普通こんな風に順調に出世をする男は早めに結婚し、外で遊ぶ・・・・
などという例をよく見てきたからか、遊ぶが結婚はしないというスタンスを貫ぬく彼は異例だった。
真面目なのか、不真面目なのか、
最もこの男の場合は「遊びたい、でも結婚して遊んでそれが原因で出世に響いたらどうする」
なんて思っているのかもしれないが。
それにしても、そんな奴に心を揺らされている私はなんなのだろう、
自分だって結婚していないんだから素直に愛情って言えばいいじゃない、そんな風に思う人も多いだろうが、
そんな甘ったれた関係ではないのだ、私たちは。
絆は誰よりも強いと思う。
バディとして同期として部下と上司として築き上げてきたこの絆を、信頼を、私は誇らしいものだと思っている。
軽くていい加減で、どうしようもない奴に見えるけれど
本当に大切なことには真摯に向き合う、そんな男。、
私の話なんかろくに聞いていないようで、自分が介入するか私たちに任せるか、瞬時に判断し動向を見守る。
そんな意外と上司らしい面をきちんと持っているという事も知っている。
恋愛なんて関係じゃもったいない
そうよ、こんな男どこにもいないもの、
恋愛なんて言う不安定な関係で、失う事を恐がる日々なんて考えられない。
そんなの嫌よ、相棒のままでいたいのよ。
だからどんなに近づいても手を伸ばすこともなかったし
相手から手が伸ばされる事もなかった。
もっとも相手は手を伸ばす気などさらさらないだろうが
そう思いながら、やっと待ち合わせに現れた野立を眺める
待ち合わせの時間は適当だ。
しかし互いに定時の時間は同じで、だったら到着時間など大して変わらないハズなのに
どうしたのだろう?何かあったのだろうか?
なにか事件でも?という心配と、自分の事を忘れられてしまったのだろうか?という不安が沸き起こる。
わかっている、あいつが私との約束を忘れるわけないって
それでも恋をする乙女のように不安が押し寄せる。
何度も携帯を取り出しては連絡が来ていないか確かめて、その度に溜息をつく。
たかが30分、いつの間に私はこんなに我慢のきかない人間になったのだろう?
そんな孤独な30分を過ごしながら、やっと来た野立は結局いつも通り。
私を女となんてみていなくて、他の可愛い女の子に目がいきっぱなし。
わかってるわ、そんな事初めから。
だからいいのよ、私は相棒のままがいい。
しかし本当は自分でもわかっている、
既に私は失う事が恐いのだ
恋愛関係なんて言う不安定な、失う事を心配しなくてはならない関係にはなりたくなかった。
けれど、もう既に失う事が恐くて恐くて仕方がないのだ。
いつの頃だろう、これが愛情かもしれないと、そう思うようになったのは。
ずっと前から持っていたくすぶった感情、しかしはっきりと意識をしたのはそう、
2年間のアメリカ生活から帰ってきてからだった。
2年の間に彼は、1人の女性との出会いと別れを経験していたようで、飲みながらその話を幾度かした
その話しぶりからしても、美人で性格もよく、野立にはもったいないくらいの人だった。
「あんたバカだねーそんないい女を手放すなんて」
なんて悪態をつきながら、「どうせあんたが悪いんでしょ?」なんて笑い飛ばしながら、
別れたという安堵と少しの嫉妬が生まれた。
そんな感情は以前から湧きあがる事はあったし、
しかしそれは自分たちの近すぎる距離が生むものだと苦笑い気味に抑えてきたものだ。
それなのにその時に限って抑えられなかった、
可愛い女の子たちをナンパする時とは違う、野立の中に見え隠れする真剣さに嫉妬した。
その上「絵里子程じゃないけど、背が高くて」だとか「絵里子みたいに細かったな」
なんて言葉を聞けば聞くほど気持ちが抑えられなくなった。
そしてその感情は今でも抑えられていない。
ずっとずっと揺れている、情けないほどに。
やめてよ、今更愛情だなんて。
失う事が恐いのに、愛されたいという欲望が胸に張り付いて消えてくれない。
自分が女だという事実に胸が痛む、
彼が男だという事実に涙がこぼれそうになる。
彼はどうなんだろう?
この距離で私を見ていて、揺れたりしないの?
少しの好奇心と、期待でカマをかけても反応はない。
憎らしいほど私を女としてなんか見ていない。
でもそれでいい、その方がいいのだ。
今、相手から手を伸ばされたら、
そんな事があれば今の自分はその手を掴んでしまうだろう
だからそれでいいのだ。
彼に気づかせないように、幾度溜息をつきこの想いを逃がそうとしたかわからない。
しかし上手く逃げてくれない想いを抱える事にも、もう慣れた。
刑事は演技をしてなんぼ。相棒として完璧に演じきってみせると決めた。
そんな気持ちを隠しながらいつものバーへ、
馴染みのバーテンさんが迎えてくれてほっとする。
でもどうだろう、この人には私たちはどう見えているんだろう?
と、不意に電話がかかってきた。
相手はこの間飲んだ、あの奈良橋玲子だ。
今の苗字はなんだっけ?とにかくあの玲子からだった。
この間はいらないことまでしゃべってしまった、そう野立の話をぺらぺらと。
それもこれも彼女が悪い、まるで知ってるかのように
「自分でも気づいてるんでしょう?好きだって。」
なんて意地の悪い言い方をするから。
そんな事ないって反論をしようとしたら余計に墓穴を掘って・・・
あぁ、本当にまずった、彼女が退職をしてくれていて本当によかった。
仕事面では彼女がいてくれれば・・・と思う事は多々あったが、今度ばかりは退職してくれていてよかった。
かかってきた電話に気を使った野立が席を立つ。
でも向かう先は女の子、そんな事に嫉妬する。
やっぱり可愛い子が好きなのね。
軽い挨拶と、木元の話をしてから彼女はさらっと本題に入ってきた。
「どう?彼との事は」
「だから野立とは別にどうもないわよ、いつも通り飲んでるだけ」
「あら、私は参事官の話だなんて言ってないけど?」
「なっ・・・・・」
「冗談よ、でも今日も一緒ならお邪魔だったわね」
「そんな事ないわよ、あいつは狩りに行ったわよ」
「狩り?」
「女の子をね、ナンパしに行ったのよ、意気揚々と」
「意気揚々と?」
「そう、意気揚々と」
「ふふ、ホントあなたって恋愛のセンスがないのね」
「なによそれ」
「ねぇ、まずはちゃんと認めなさいよ」
「・・・・・・なにを?」
「私が言っても詮の無い事だけれど認めなきゃ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「今のままがあなたたちはいいんでしょうけどね、
相手も周りも自分だって変化していくのに、今のまま、留まったままでいられるなんて思わないことね」
冗談のように軽く、しかし核心をつく彼女は今までどんな恋愛をしてきたのだろう?
適当に挨拶を交わし、電話を切るとまた溜息が出た。
留まってなんていられない
玲子から言われたその一言が重く胸にのしかかる。
自分がこんな感情を持ってしまった時点で以前のようにはいられないのかもしれない。
隠し続けていればいいんだと思った、そうすればこのままでいられると、でもそうではないのかもしれない。
いつか失ってしまうかもしれない、
そんな恐怖が体を支配し、動けない。
実際に2年間の間に彼は参事官に出世をした。
本来なら自分たちが所属する特別対策室を常に構っている暇や必要はない筈だ。
それを彼が「自分が立ち上げた」という理由で直属にしているに過ぎない。
警察内部にいるとわかる、彼はきっとこれからも出世をする。
そうすれば自分たちはこんな関係ではいられないのは明白で、離れていくことも覚悟しなければならない。
彼は否が応でも結婚を考えなければならなくなるだろうし、
もっと警察内部の、自分たちには見えない部分に関わるようになる可能性だってある。
いつか道を分かつ時が来るのかもしれない。
しかしそれは認めたくない、胸が苦しいほどに。
好きだとか嫌いだとかそんな事だけではない、
相棒としても、同期としても。
あぁ、こんなにも。
こんなにも自分が野立の事を想っているだなんて。
両手で顔を覆うと、涙がぽろっとこぼれた。
慌てて拭ってふうっと何度目かわからない溜息をつく。
深呼吸を繰り返し、やっと気持ちが収まりほっとすると同時に野立の声がした。
「絵里子、終わったか?」
その声が優しくて、収まった気持ちと涙がまた溢れそうになる。
やめて、そんな声で私を呼ばないで
私が傷つくたびに優しく癒やす彼。
飲み明かしながら、
悪態をつきながら、
そして時に背中を預け合いながら彼に守られてきた。
そんな彼の手に取れるほどの温もりが、しかし今は私をより追い詰める。
「いやぁ、こっちも女の子達と会話盛り上がっちゃってさぁ〜〜」
私の様子に気が付いたのだろう、
気を使った彼が、私が悪態をつきやすいように軽口を叩く
ごめんね、気を遣わせて、
あなたが望んでいるのはこんな私じゃない筈なのに、上手く演じることができない。
刑事は演じてなんぼ、それなのに女の私は演じる事さえできないでいる。
その事をもう一度謝ろうと思った時だった、
ふと野立の手が私の頬に触れた。
その事実に、初めての触れ合いに驚いて体が硬直した。
それでもその手が温かくて、愛おしくて、また涙がこぼれそうになり、こらえるために眉間に皺を寄せた。
ずっと傍にいた、実際の距離は遠くても、ずっと隣にいたと言えるほどに。
そんな中で初めての触れ合いに心が震える。
野立がどんな気持ちだったのかはわからない、それなのに涙が出る程に嬉しく、切なかった。
辞めて、こんなドラマみたいな事しないでよ
そりゃドラマだったらいい、最後はハッピーエンドだから
でもこれは違うんでしょう?だったら辞めて欲しい
きっと普段だったら「何してんのよ」と簡単に手を払いのけられたハズなのに。
それが上手くできる自信がなくて、そんな事をしたら私の気持ちに気付かれてしまいそうで、だからできなかった。
うんん本当は嬉しかった、そのまま触れていて欲しかった
だから何も言えなかった。
「俺・・・・・」
沈黙を破ったのは彼。
「・・え・・・・・?」
どうしたの?そんな辛そうな顔して。
何か私に言えないことがあるの?
・・・・もしかして私の気持ちに気づいてしまったの?
「・・・・俺・・・・・・・・・」
「・・・・・なぁに・・?」
その続きはなに?
「俺、お前の気持ちには答えられない?」
わかってるわ、そんな事、だからお願い傍にいさせてよ。
「・・・俺、やっぱ狩りしたりねーわ」
「・・・え・・・・・・・・・・・?」
「さっき折角成功してたのに、なんか中途半端にしてきちゃったからもっかい行ってくるわ、狩り」
「・・・・・・・・・・そう、そうよね」
この言葉が本当だとは思わない、
彼はきっと保留にしたのだ、私たちの未来を
「受け入れられない」と言い切ってしまえば決別になる。
だから何も言わずにいたのだろう。
どうして気付いたのかはわからない、でもおそらく彼は気付いている。
そう思えば、初めて触れられた理由もわかる。
電話の内容を聞いていたのか、玲子から連絡がいったのか、どちらにせよ、きっと。
「狩りしたらそのままそっちで過ごすから、今日はお開きにしようぜ」
「・・・・・・そうね、じゃぁ今日はあんたの奢りね?」
「あぁ、お前は帰れ、見られてたらうまくいかない」
「わかってるわよ、私は家で飲みなおすわ」
「おう、じゃあな」
背中を向けた彼の肩が震えている。
彼に辛い思いをさせたのは私だ。
ごめんね、裏切って。
そう言いたかったけれど、言えなかった。
黙って席を立ち、彼から視線を外す。
馴染みのバーテンさんが見て見ぬふりをしてくれていた、ごめんなさい、こんな重い空気を作って。
カツカツカツとヒールを鳴らし、ドアまでたどり着いた処でどうしても苦しくて一度立ち止まった。
ダメな女ね、こんな事で傷ついて。
息を吐いて、背筋を伸ばして、帰らなきゃ。
そうよ、私は大澤絵里子じゃない。
だから大丈夫、彼が離れていくことも、何もかも受け止めなければ。
そう心に言い聞かせ、出て行こうとした時だった。
「・・・好きだよ」
彼の声が聞こえた。
あぁ、そんなに優し声で、大切な、本当に大切な言葉を届けるような声で可愛い子に話すのね。
胸がきしっと痛み、その痛みに思わずうつむく。
あまりにも優しいその声が、自分に向く事はないのだという事実に。
切り替えの早い彼の事だ、もう他の女の子を見つけたのかもしれない。
いや、先ほどの「狩り」も案外本気だったのか。
今日のこの時間に未練があるわけではなかったし、
こんな状態でもう一緒には飲めない、それでもなんとなく店を出る前に彼の方に視線を送ると
彼が「好きだ」と伝えた相手はいなかった
その事に「あれ?」と思いつつも深く考える前に次の言葉が聞こえてきた。
「絵里子ごめんな・・・俺はお前が好きなんだ」
・・・・・え?
どういう事・・・・?
耳を疑う以前に、からかわれているのかとさえ思った。
しかし、彼の聞いたこともない声が、
頬に触れてきた時の手の温もりが何かを訴えてくる。
嘘だと、そんなわけがないだろと疑う気持ちと
その温もりを信じろという2つの声がする。
どうすればいいのかわからず立ち尽くしていると、ふと野立の震える背中が目に入った。
その背中が彼の本音を語っているように見えた。
初めて野立の本音を見たような気がした。
今までだって、本気の野立は幾度となく見てきた、でもそんな時、それは強く頼れる男の彼だった。
背中を預け合い、2人で1つだと言い切れるそんな相棒の彼だった。
しかし、今、数メートルしか離れていない彼は違う。
心の一番柔らかいところで傷つき、必死にその痛みに耐えている。
ごめんねと心の中で呟いた。
自分を女としてみていないとずっと思ってきた。
でもきっとずっと彼は隠してきたのだ、お互いの為に。
自分が辛かったからわかる、きっと彼もひどく苦しかったに違いない。
気付きもしなかった、
自分ばっかりが苦しいと思っていた。
彼の苦しさにも、苦悩にも気づかずに。
その背中が愛おしいと思った、触れたいと思った。
野立が自分をどう思っているのかではなく、
ただただ愛おしく、震えるその体を抱きしめ、大丈夫だと言ってやりたいと思った。
これが愛情だと言われればそうなのだろう。
これが友情だと言われればそうなのだろう。
男性に抱きしめられたいとは思っても、
抱きしめてやりたいなどと思った事はない。
だからこれは愛情ではないのかもしれない。
それでも、それでもだ、
ただただ目の前の男が愛おしかった。
この手で抱きしめてやりたかった、
その腕で抱きしめてほしかった。
道を分かつ時がくるのなら、その日まで一緒にいたい。
どちらかが間違っているのならどんな事があっても正しあえる2人でいたい。
きっと今しかないのだ。
20年間一緒にいて、ずっと進むことも捨てることもできずにいた自分たちの関係を動かし始めるのは。
いつか離れてしまうかもしれない私たちは「失う事が、今の関係を壊す事が恐い」などといっている暇はもうない。
離れないように、進んで違う道を見つけるしかない
愛情も友情もひっくるめて傍で補える2人になりたい。
だから、恐さを飲み込み声をかけた、その背中に。
「・・・・ねぇ」
「・・・・・・どう、した・・・忘れ物か?」
「・・・・うん・・・・・・・・」
あなたを忘れたから、だから戻ってきたのよ。
「・・・どじだな、お前、しっかりしろよ」
辛いくせにいつも通りにしようとする彼の想いが苦しくて
その声が愛おしくて、わけもわからず想いが涙に変わるから彼の背中に触れて、ことんと頭を預けた。
ただ寄り添い、触れたところから生まれる温かみ。
「・・・帰れって言っただろ?」
「いやよ」
「後悔するぞ、お前」
この先後悔することが起きるのかもしれない。
もし、本当に道を分かつ日がきたら尚更、
進めてしまった事を、2人の関係に愛情まで含めてしまった事を後悔するだろう、
でも、
「うん、それでもいい・・ちゃんと言ってよ・・・・」
本当は今ももう後悔している、
やっぱり恋人になんかなれないって少し思ってる。
でも、ずっとずっと続けてきた事を動かすんだもん、痛みがあって当然だと思うの、
だからお願い、
「・・・・ねぇ、ちゃんと言ってよ・・・・・・」
私から言っちゃうわよ?
なんて余裕があったわけではないんだけど、言ってほしかった、進めてほしかった。
「・・・逃げないでよ、ちゃんと言ってよ・・・・・それじゃなきゃ進めないわ」
あなたの口から聞かせて欲しい、
後悔するかもしれない私たちの未来へのその一言を。
「・・・・・・なぁ、絵里子、俺さ・・・・・・」
「・・・・うん・・・・・・」
「・・・・俺、好きだよ、絵里子の事が・・・・・」
「・・・・うん・・・・・・・・・・・・」
愛おしくて、その一言が本当に嬉しくて。
涙がこぼれる、恥ずかしい程に。
「・・・・・・・うん、ありがとう・・・・・・・・・」
背中にそっと触れていた手を野立の胸にまわす。
ぎゅっと力を込めて、後ろから抱きしめた。
すると彼の体が硬直する。
あぁ、そうだ私もちゃんと言わなきゃだった。
勝手に気付いたと思ってたけれど、そうじゃなかったのならちゃんと言わなきゃよね。
「・・私も、私も好きよ・・・・」
「・・・・え・・・・・・・?」
やっぱり気付いてなかったんだ、
本当に、私たちって・・・・・・・
「ばかね・・・・本当に・・・・・・・」
お互いに想い合いながらそれを隠して、必死に隠し合って。
必死で留まろうとして。
でも同じ場所には立っていられないのよ。
ぎゅっと抱きしめられて「好きだ」とあの声で囁かれて、本当に本当に嬉しくて。
しかしここは公衆の面前だ、キスをしようと迫ってきた男の顔をなんとか手で押さえたら、いつも通りに悪態をつかれた
何処も荒れてて悲しい・・・
それにしても崩れた化粧を後で直すと言ったら「どうせ落とす」っていうのはどういう事だろう?
そりゃ家に帰ったら落とすけど・・・結構濃く塗ってるから直すのも落とすのも時間がかかるからあえてしなくていいだろ的な?
そんなの放っておいて欲しいんですけど。
なんて考えていたら馴染みのバーテンさんからカクテルをいただいた。
そのカクテルの名は「ベストパートナー」以前何かのドラマで見た事がある。
ドラマの結末はどこか切なく、しかし温かかった。
その名前にぐっときて、嬉しくて、
また不埒な事を考えてる相手に悪態をついていたら今度は上手く唇を奪われた。
その温もりがやっぱり嬉しかった。
本当は関係が変化しても変わらないでいれた事も嬉しかった
だから少しだけ泣きそうになってしまった。
これが1時間半前の話。
そして今。
私は彼の腕の中にいる。
3時間前には、30分待ちぼうけしていた時には考えられなかった事態に実はまだ頭がついていけていない。
「ん・・・・・ね、見てる・・・・・・・」
「誰が?」
「誰って・・・・・・」
監視カメラにチラっと目を送る。
確か野立のマンションには常駐の警備員がいたはずだ、
公務員のくせに、いくら出世したからといってこんないい処に住めるものか?
と常々思ってきたけれど、改めてマンションの設備に悪態をつく。
ここはまだエレベーターの中、そこで熱く唇を奪われている。
「あふ・・・・ね・・・・・・・・・」
「可愛いな、絵里子・・・・・」
タクシーの中でも怪しかったのだ。
いつもなら、タクシーに乗っても遠い私の家からまわるようにする男が
乗る前から運転手さんに自分の家に行くように指示をして
そりゃその時点でちょっと覚悟はしていたけれど、
でも、タクシーの中から腰に手を回し、反対側の手で耳を、頬を、唇を撫でくる事に怪しいとは思っていたのだ。
「ね、誰か乗ってきたら・・・・」
「上に行く深夜のマンションのエレベーターに?」
車内での優しい愛撫に、何度も触れそうになる唇。
運転手さんの目を気にしながらも、溶かされた私だって早く触れ合いたかった。
だからエレベーターに乗った途端に抱きしめられた時は嬉しかったし、
早く部屋へ・・・・とも思った、だけどこんな風にキスまでするなんて・・・・・
すっと独特の感覚でエレベーターが止まりドアが開く。
「あっ・・・・・・・」
後ろからの声に驚き振り向くと、見知らぬ男性立っていた
「あっ、どうも」
立ち尽くした私を抱きしめたまま、野立がなんでもないかのように軽く挨拶をする。
どうやら男性は下に行くらしい。
財布を持っている処を見るとコンビニでも行くのだろう。
「ば、ばかっ!!見られたじゃない」
男性と入れ替わるように降りてから、巻きついた腕を振り払う。
「別にいいだろ?殆ど会う事もないし」
「だからって」
「大丈夫だって、気にすんなよ」
野立がまだ言い足りない私を引っ張って、扉を開けた玄関に押し込める。
扉が閉まる前に、また抱きしめられ唇を犯されて。
下駄箱に私の体を押し付け、胸を両手で揉みしだく男。
「あ・・・ん・・・・・・ねぇ、本当にするの・・・・・?」
「当たり前だろ?絵里子平気な日じゃん」
「でも、明日仕事・・・ってかなんでそんなの知って・・・・・・やっ・・・・・・」
「絵里子の事はなんでも知ってんの」
ジャケットだけを脱がされた半端なままで野立の手が蠢く
また唇を塞がれて、そのあまりの苦しさに胸を数回叩いて抗議をするとやっと離れた。
「・・・っ・・・・・・・」
肩で息をしてなんとか呼吸を整え男を見上げると、
予想外に心配そうな顔。
「・・・・なによ?」
「ごめん」
「この状況で謝るわけ?」
「あーいや・・・ちょっと強引過ぎたかなぁって」
「ホントよ、あんたいつもこんな事してるの?」
「んーん、エレベーターであんな事したのも玄関で・・・なんていうのも初めて。なんか、超余裕ない、俺」
「何よ、それ」
だってさー絵里子とだぜ?なんか嘘みたで・・・なんていつになく殊勝な事を言う男が可愛くて思わず笑ってしまった。
「こら、笑うなよ」
「だって、子供みたいなんだもん」
「うっせぇなぁ・・・しょうがないだろ」
「いいから上がろうよ、まだ靴も脱いでないのよ」
高校生のような性急さで求めてしまった事が恥ずかしかったのか、
大人しく靴を脱ぎ、絵里子の鞄とジャケットと拾い上げリビングへと移動する野立。
その姿が可愛いような、むず痒いような。
大き目のソファに2人で腰掛けると、妙に笑えてしまう
その笑いがふいに収まり、見つめ合うと自然と近づく唇
優しいキスが長く続き、薄く開いた唇から舌が侵入する。
何度か唇を離す度に見つめ合い、またキスを繰り返す。
唇が合わさる音と、服がこすれ合う音だけが響き互いの体温が上がっていくのが感じられた。
体が熱くなり、我慢ができなくなったように2人で服を脱ぎだした。
シャワーも浴びてないのに・・・・・
絵里子は頭の中ではわかっていたけれど、
もう止める気にはなれなかった。
次の日の朝.
「おい、もう8時だぞ」
いつもと変わらない野立の声に起こされた。
しかし、いつもと違うのは自分は裸だって・・・・・
いや、それもあまり変わらないか、結構あったな、こういう事。
「おはよ・・・・」
「おはよう、遅刻する気か?」
「コーヒー・・・・・・・・・」
「ほれ、飲むだろ?」
「うん・・・・・・」
「どした?」
「体だるい・・・・・・」
「まぁ、そうだろうな」
「あんたは元気よね」
「そりゃあれだけ頑張ったんだもん、当然眠いけどな」
「あそ・・・・・・・」
「1つだけ言っておく」
「・・・・なに?」
「昨日の事は夢じゃないぞ?」
「わ、わかってるわよ」
「だったら、早くシャワーを浴びて着替えろ、すごい事になってる、上も下も」
「そうしたのはどこの誰よ」
「ま、俺だけどな」
「でも、少し綺麗にしてくれたんだ?」
「軽く拭いただけだよ、俺もすぐ寝ちゃったし」
「ねぇ・・・・・」
「なんだ?」
「そこにいられると、出れないんだけど・・・・」
「・・・・今更恥ずかしがるのか?」
「あ、当たり前でしょう?」
「・・・・・・いいな、その顔、もう一回したくなる」
「・・・意味わかんない」
「声もさ、なんかかすれてて昨日の名残って感じな」
「やめてよそういうの」
「すんごい声出すんだもん、絵里子ったら」
「なんなのあんた、さいてー・・・・・」
「あー早く夜にならないかな」
「全然意味わかんない」
「だって、したいだろ?」
「ホントに意味わかんないっ」
「あっ、参事官室でって手もあるよな」
「ないから、1ミリもないからっ!」
「俺は対策室でもいいけど?」
「バカじゃない?バカなの!?」
「それと絵里子」
「なによ!?」
「先に謝っておく、悪かった」
「はぁ?」
じゃあ先に行くわ、これ合鍵な持っててとこの部屋の合鍵を渡たされた。
愛のあ・か・しなんてふざけた事をいう男を見送ってから気だるい体を起こしてバスルームへ
早く用意しなくては・・・・と、鏡を見て・・・・・
「おはようござい・・・・どうしたんですか?BOSS。
冬みたいな格好ですけどなんかあったんですか?」
普段より遅れてきた絵里子を明るい笑顔で出迎えた花形がきょとんとしている。
そりゃそうだろう、まだ暑いのに長袖で、しかも上までぴっちりボタンを留めてスカーフまでぐるぐる巻いて。
くそう、あの男・・・・・・・
「別に?ちょっと風邪っぽいから、念の為にね」
「そう・・・なんですか?」
不思議そうにしながらも、納得したのか、今はそんなに忙しくもないし辛かったら帰ってくださいねー
なんて可愛い事を言う部下に心の中で謝っていると、今一番聞きたくない男の声が。
「ぐっもーにん♪どうだ、元気か?」
「あっ、野立さん!実はBOSSが少し風邪気味らしくて」
「あっ、ちょ!花形!!」
いらない事をいう部下に先ほどまでの気持ちはどこへやら、殺意が生まれる。
「何だ絵里子、風邪だって?」
「ち、違うわよ、なんでもないわよっ」
「あれぇ?なんか声もかすれてるなぁ、風邪じゃないなら何か大声でも出したのか?」
「ち、違うわよ!バカじゃないの!?」
「ん?なんだ、大声出すって何か変な事か?お前、今もでっけぇ声出してるぞ?」
「うっ・・・・・・・・」
「おっ、こんなところに喉がすーっとする塗り薬がっ」
「!?」
「なんでか俺のぽけっとに入っいた塗り薬、すごいね俺」
「ちょ、の、野立!?」
「絵里子、ほらスカーフを取ってみろ、俺が直々に塗ってやるから」
「いいわよ、やめてよ!!」
「なんだ、俺に取って欲しいのか?しょうがないなぁ絵里子は」
「やだ!やめっ!!この変態!!!」
「・・・・BOSS、すっごく元気ですね・・・・・・・」
「・・・・まぁ、色々あるんだろ、大人には。」
「はぁ、大人には・・・ですかぁ・・・深いんですね、大人って・・・・・」
以上です。
長々とスレを占領し申し訳ありませんでした。
やはり蛇足感満載すぎてもう・・・・・
どんなに恋愛関係になっても結局は悪友のまま、
その中に愛情も足され、関係を育む2人なんじゃないかと曲を聴きながら書いていたらこんな事に。
なんでこんな事になってしまったんだろう・・・・
いや、言い訳はもうやめます・・・すみません・・・・・・
駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ
お疲れさまです
そろそろ楽しい話題が欲しいよぉ
間はいってごめんなさいでした
暗いのを書いているとくっだらないのを書きたくなる性分なので、
こちらもついでに投下させてください。
いくらなんでも投下しすぎなので以降は自粛しますので、ご容赦を・・・・・
エロ無しのイケメン3人による会話です。野絵前提。
それでもよしな方だけさらっとお読みください。
「お疲れ〜仕事してるか?有象無象。」
「お疲れ様です、BOSSならいませんよ?」
かっこつけて入ってきた野立に殆どリアクションも取らずに告げる片桐。
この好対照の2人が並んで歩いている処を婦警が「かっこいい」などと思っている事は
野立は気付いていても、片桐は全く気付いていない。
「BOSSなら先程木元さんと一緒に出掛けました
岩井さんと山村さんは今日はお休みです」
「マミリンとかぁ、で残された2人で何下ネタなんか話してたんだ?」
「あっ、バレちゃいました?」
可愛く言っているのは花形。
まだまだ幼さが残るイケメンボーイ。
「いや、実はここだけの話、女性とのエッチについてなんですけどぉ・・・
野立さんはどう思います?彼女がいない時のエッチというか、その女性関係について」
「おっ、いい話題じゃん、やっぱりそこは重要だよな」
鬼の居ぬ間になんとやら、やたらやる気になる野立。
「俺的格言は「本命と出会うまでは遊んでおけ」だな」
「えー!?遊んでおくんですか?」
「本命と出会うまではだぞ?」
「野立さんはどうなんですか?最近の野立会、男ばっかりですけど本命と出会ったんですか?」
「ん〜?それは突っ込むな、男だらけもいいかなって思っただけだよ」
「自分、不器用なんで遊ぶのは・・・・」
「バカ、片桐。本命と出会った時に喜ばせられなかったらどうする?
男として悲しいだろうが」
「あーなるほどぉ!でも、遊んでるのも悲しくないですか?」
「花形もまだまだ甘いな、いいかどうせ童貞を捧げられないんだったら使い込んで使い込んでテクを習得しておくわけ、
そんで本命の女を喜ばす、これこそ男の勲章なんだよ、わかるか?」
「あんまりわからないです」
「たく、これだから・・・・・」
「でも、自分の彼女、喜んでくれてると思うんですけどねぇ・・・・」
「まぁ、確かに花形はな、普通に恋愛してそうだしな」
「・・・・・すみません、不器用なんで・・・・・・・・・」
「いいか、片桐。これだけは言っておく、
淑女が夜になると情婦になる、これは最高だぞ?」
「・・・情婦?」
「そう、昼間は鬼軍曹みたいな女が、夜になると乱れる
いいぞぉ〜「もっと・・・もっとちょうだい?」って縋ってくるんだよ、ホントたまんないから」
「はぁ・・・・・」
「色々経験してきた大人の女がもっとエッチになっていく
「エロくなったな」なんていうと「あんたのせいでしょ」なんて・・・・あー俺、もうやっばいっ」
ダメだ、今日は絶対エッチしよ、なんていいながら対策室の短い階段を上がり、
くるっと振り返る。
「あっ、絵里子が帰ってきたら俺の部屋に来るように言っといて。」
「え?あっ、はい、わかりました」
妙にうきうきと出ていく野立を見送る2人
「・・・・・野立さん、本命できたんですかねー・・・・・」
「ん?まぁ、ずっと前から本命はいたみたいだけどな」
「そうなんですか?」
「あぁ、やっと付き合いだしたみたいだな」
「見るからに浮かれてますもんね・・・・」
「・・・浮かれてるにも程があるだろ、もう付き合いだしてから結構立つはずだぞ?」
「そうなんですか?」
「あぁ、多分」
「片桐さんって不器用な割によく気付きますよね」
「そりゃ気付くだろ・・・・・」
「えー?本当ですか???」
「・・・・・なんで気付かないのか不思議な位だな」
「あー確かに野立会が男だけになってからは結構たちますもんね」
「・・・・いや、そうじゃなくて」
「え?」
「相手とかさ・・・・」
「か、片桐さん知ってるんですか!?」
「あっ、いや・・・・・・・・・・・・・・」
「教えてください!教えてくださいよ〜〜!!!」
ガチャッ
「ただい・・・あれ、あんたら何してんの?そんな関係だった??」
戻ってきた絵里子の目の前では花形が片桐にヒシっとへばりついている処だった。
「あっ、BOSS!野立さんの本命の彼女って誰ですかね、知ってますか!?」
「の、野立の!?な、何よ急に、どうしたのよ!?」
「さっき、野立さんが来て「本命の彼女ができるまえにとことん遊んでおけ、
その成果で彼女を喜ばしてやれ、鬼軍曹が夜に情婦になるのはイイぞ」って」
「・・・・・・・・・・(あのバカ・・・・・)」
「で、片桐さんはその彼女さんの事も知ってるみたいなんですけど、教えてくれなくて〜・・・
BOSSなら知ってますよね?その本命の彼女!!」
「か、片桐が知ってるの!?」
「あっ・・・・いや・・・・・・・・・」
「絶対に知ってると思います!!」
「あっ、そ、そうだ、BOSS、野立さんが部屋に来るようにと」
「は、はい!?!?」
「・・・・さ、参事官室の方だと思いますが・・・・・」
「あ・・・あぁ、参事官室ね、そう、そうよね〜!!」
「・・・?BOSSどうしたんですか?顔真っ赤ですよ?」
「な、何言ってるのよ、別に何でもないわよ、
じゃぁ言ってくる、あっ、木元が資料持ってくると思うから読んでおいてね」
対策室をなんだか変な足取りで出ていく絵里子。
それを見送る2人の視線はバラバラだ
「どうしたんですかねーBOSS
あぁ、そっか野立さんに本命ができてちょっと焦ってるのかもしれませんね」
「・・・・・(どうしてうちの連中はこんなに鈍いんだ・・・・)」
以上です。
自分で読んでも下らなすぎるw
ただただおばかなものを書きたくて
一気に書いて一気に投下してしまいました。
あっ、先ほど書き忘れてしまったんですが、
折角「絵里子編を」ですとか「続編を」と言ってくださった方、
上手いことかけなくてすみません。
あんなにいい曲が台無しになってしまったこともお詫びします。
書いたことの後悔と反省ばかりがあるんですが、
でもなんとか一応完結(?)できてよかったです。
本当に長時間占領しまくって申し訳ありませんでした。
どっちの話も素敵でしたー!
せつなさあり、ちょっとくすっと笑えるところアリ、いいですね。
すごーーく素敵でした!!
二人らしくてジーンとしました・・・
また書いて下さい
ありがとうございました!!
楽しかったー!
ありがとうございます
最高だぁっ〜
これからも作品投下お待ちしております!
みなさんと意見は一緒。
どぅしてもお礼を伝えたくて…素敵な作品ありがとうございます。
ところでまとめサイトにアクセス出来ないのは自分だけ?
なんでだろ
職人さんたちの神作品が詰まってるから早いとこなんとかしてほしいね
保守
まとめサイト結局消えたまんま?
まとめサイト復活して欲しいなー
えー、なんで消えちゃったんだろう。
神作品が詰まっているのに…。
サイトが消えたというよりサーバーが落ちてる気がするけど
鯖落ちか誰かどうにかして〜
職人さんも消えまとめサイトも落ちて…
職人さん誰か新たな話をお願いします!!
捕手
こそこそと投下させていただきます。
あんまりエロくならなかった野絵。
以前「攻める絵里子を」と言われて、ずーっと書きたかったのに、あんまりな感じに。
構想はあっても、超短時間で書いたらなんだか支離滅裂に・・・・・
最初暗そうですが、そんな事はありません。
が、野絵で少しでも不穏な空気をかもし出すのが苦手な方はお避けください。
あっ、肝心な事を・・・本番はありません、そこまでいけませんでした。
それでも大丈夫という方だけ、暇つぶしにどぞ。
仕事から帰り、家のドアを開けると信じられないような
でもいつかこうなるんじゃないかと予想していたような光景が広がっていた。
「え、絵里子っ!?」
「きゃっ!!!」
目の前のベッドの中、裸で慌てている男は自分の恋人だ。
いや、恋人だったというべきか。
その腕の中にいて、本当に真っ最中だった女の名前は知らない。
「絵里子、違うんだ、違うんだよっ」
「ね、ちょっとどういう事?誰よこのでかい女っ」
私に言い訳をしようとする男と、その男に食って掛かる、元は可愛いであろうしかし今は鬼の形相の女。
しかし私には全てが遠く感じ、別世界のようだった。
「絵里子!!」
無言で家を出ようとしたら腕をつかまれた、
下着を付けただけの男が必死ですがりついてくる。
情けない男ね、どうでもいいわあんたなんか。
「・・・・・す」
うるさいわね、別に傷ついてなんかいないってば。
離してよ、仕事に戻るわ・・・・・
「・・・・・ぼすっ」
え?誰・・・?
「BOSS?大丈夫ですか??」
ん・・・・・?
「・・・・あれ?」
「珍しいですね、ボスが居眠りだなんて、もう7時ですよ?帰らなくて大丈夫ですか?」
「あっ、資料読みながら寝ちゃったんだ、私」
じゃぁあれも夢か。
酷い夢だ、自分の恋人の浮気現場を夢に見るだなんて。
しかもなんだかありそうというのが、また・・・・
「もう7時か・・・わっ、30分くらい寝ちゃったんだ、よし帰ろう。片桐は?」
「自分もこれ片づけたら帰ります、お先にどうぞ」
「そう?じゃあ、また明日」
「はい、お疲れ様です」
最近仕事が立て込みつかれていたというのに、
あんな夢のせいで余計に疲れた気分になって帰宅した。
半分以上同棲中の男は、今日公休でのんびりとした一日を過ごしている筈だ。
午前中に「洗濯した、褒めて」だの「掃除した褒めて」だのくっだらないメールがきていて全てを無視してやったが。
確かに自分の方が勤務体制が楽だからと、普段から家事をよくまめにし、
上司にバレないようにと一応借りている絵里子の部屋のメンテナンスまでしてくれている男には感謝しているが、
だからってこちらが仕事中に「褒めて」とは何事だ。
たく、もう・・・・・・ま、夢のような事があるよりは「褒めて」なんて言ってくる方がマシか。
今日は新しくできたイタリアンレストランに行こうと約束していたら買い物もせずに帰る。
予定よりも少し遅くなってしまったので「もうすぐ家に着くから」とメールだけしておいた。
エントランスを通り、エレベーターで8階まで。
何の疑いもなく、鍵を差し込み部屋に入る。
「ただいまー」
普段なら尻尾が見えそうな位に出迎える野立からの反応はない、そういえばメールの返信もなかった。
「野立、いないの?」
何故かふと、先ほどの夢が思い出される。
あの夢の中の自分も疑いもせずに部屋に入り、そして目撃してしまったのだ。
急に緊張が走る。そんなはずはない、と自分に言い聞かせるが思わず耳をすます。
と、何やら女性の声がうっすらと聞こえてきた、
野立の声は聞こえないが、これは明らかに嬌声だ・・・・
「・・・・うそでしょ・・・・?」
夢と違うのは、いくつか部屋があるということだろう。
夢の中ではドアを開ければすぐ目の前にベッドがあったが
急に現実を突きつけられるのと、こうやって前振りがある場合とどちらがいいかなどわからない。
緊張で高鳴る鼓動を抑え、部屋の1つ、ベッドルームに続いているドアノブに手をかける。
玄関にいた時よりもはっきりと聞こえてくる女性の声。
あぁ、やはりメールではなく電話をすべきだった・・・・
もう1つ夢と違うのは自分が冷静ではないという事だろう
知りたくなかった、知らなければいつも通り彼からの過剰なスキンシップで安心できたのに。
悲しさや悔しさと共にそんな感情まで芽生えた自分に驚きながらそれでもキッと前を見据える。
ここまできて引き下がっては大澤絵里子じゃない。
ノブを掴み、一気にドアを・・・・・・・
がちゃっ!!
そのあまりの勢いに目が覚めた。
起き上がり、何事かと寝ぼけたままで見回すと、今日の朝別れた時と同じ格好の恋人が。
おぉ、やっと帰ってきたか。
と、何やら寝室に置いてTVが音がしている。
・・・・やっべ、AVつけっぱなしだった。
いや、決して楽しむ為につけていたわけではない。
もちろん男として嫌いではないが、こんなものに頼らなくても今までいくらでも女の子は周りにいたし、
女の子は大好きだが、エッチがしたいというよりは戯れていたいタイプ。
あっ、でも絵里子に対しては性欲魔人なんだよねぇ・・・なんでだろ、俺・・・愛かなやっぱ。
もっともそれとこれは違うという男は大勢いるだろう。
でも、俺としては・・・ま、これ以上言っても言い訳くさくなるだけだからいいか・・・・・・
とにかくだ、楽しみたかったわけではなく、勉強の為に借りてきたAV。
そうそう、勉強の為だったんだよ、これ。
最近妙にエロくなって、俺を喜ばしてくれる彼女をもっと悦ばせたくて借りてきたDVDたち、総勢10作品。
それの1枚目を見ていたらもう、絵里子とエッチしたくてえっちしたくてたまらなくなって、
でも1人でするのもったいないなー・・・・なんて悶々としながら2枚目に突入しても身が入らず、
絵里子の枕をぎゅっと抱えていたらそのまま寝てしまった・・・というわけだった。
ん?おぉ、そうだ絵里子が帰ってきたんだった。
「お帰り絵里子」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・絵里子?」
無言のまま、しかもドアを開けた体制のまま固まっている恋人に話しかける。
どうした?何かあったのか?
「あっ、もしかしてAVとか嫌だった?
いや、これは決して1人でしたかったわけでも1人で楽しみたかったわけでもないんだぞ?
こう、お前がどんどんエッチになるから勉強しようかな、なーんて思ってさ」
「・・・べ、んきょう?」
「そうそう、勉強。あっ、でも嫌ならもう見ない・・・ん?でも前に一緒に見たよな?
同じことしようぜ♪って・・あん時、お前も超のりの・・・あっ、わかった!俺が1人で見るのは嫌だったりするのか?
悪かった、そしたらもう1人ではっ・・ぐぇっ!!!」
急に絵里子に飛びつかれて思わず変な声が出た。
絵里子は細い(長いけど)だから体重もそんなにはない(長いけど)
が、どんなに軽くてもあれだけの勢いで、しかも絵里子の力で飛びつかれたら誰だってかっこよくは受け止められないと思う。
「ばか、野立のばかばかばか」
「んだよ、だからもう1人じゃ見ないって」
「違うわよ、AVなんてどうでもいいわよ」
「・・・・あ?」
「もういい、黙って」
無理やり唇を奪われる。
あまりない感覚に目を瞑ることさえ忘れていた。
「えり・・・こ?」
唇が離され、自由になった俺が問いかけるがそれを無視して、俺が来ていたシャツのボタンを外していく絵里子。
おいおい、嬉しいけど帰ってきたばかりだろ?
「ど、どうしたんだ?」
「黙ってて」
あっという間に下着1枚にされて布越しに刺激を受ける。
ベッドの淵に腰掛け、そのまま上体だけベッドに横たわっていた俺には股間に埋められた絵里子の表情は見えない。
手で口で柔らかくも激しい愛撫に思わず声が上がった。
「え・・・りこ、汚いって・・・・・・」
「大丈夫、おいしい・・・・・」
先ほど1人でしなかった事もあってか、下着越しであってもすぐに反応してしまう。
結構な熱をもったところで、下着までとり払われ、既に上を向いている自身が出てきた。
ヤバい。
このまま絵里子にされたら多分すぐイってしまう
仕事で攻めると強い絵里子は、こんな時いつも受け手で
でもやっぱりどんな時でも攻めると強いのだ、つまり結構エロいのだ。
歴代の彼氏にはそんな事言われたことない
と言っていたからあんまりしなかったのかもしれないが
初めてエッチした時でさえ、最初は受け手だったくせに最後には超ノリノリで俺のを・・・・・
そうだ、あの時の場所は病院だった。
入院した絵里子の退院前日、ナースの子と仲良くなった俺は絵里子の病室に無理やり泊まり、流れのままにエッチをしてしまったんだ。
あの時の絵里子もそれはそれはエロかった・・・・
しかも、あの時より数倍エロくなった絵里子はテクニックまで数倍身につけやがった。
つまり何が言いたいかというと・・・・・
「絵里子、ヤバいって・・・いきそ・・・・・・・」
「いいよ?」
一旦口を離してしゃべる絵里子だが、その息でさえも俺の先端を刺激していく
「イクなら絵里子の中で・・・・・」
「だーめ、バツなんだから」
「罰ってAVで・・・・・?」
「違います〜いいから黙る」
じゅっぱじゅっぱと口でのストロークが早くなっていく
左手は俺自身に添えられ時折刺激を与え、右手は両脇にある袋の1つをいじる絵里子。
あぁ、袋の皮をそんな優しく・・・・
あっ・・ひっぱるなって・・・・もうホントにやっば・・・・・・
「絵里子、ホントに・・・・口、離して、出ちゃ・・うから・・・・・・」
懇願しても辞めてもらえない、
あぁ、ダメだもう・・・・・・・・
絵里子がぐっと唇に力をこめ、俺が出しやすいように出し入れを強くする。
俺もあまりの刺激に耐えかねて、上体を起こし絵里子の頭を思わず掴んでしまった。
「えり・・こ・・・・あっ、あっ・・・・・・いっ!!」
腰の辺りにびりびりっと電気が走り、自身が放出されていく
そしてその瞬間に合わせるように絵里子がしがみつくようにして吸い込むものだから、腰が抜けそうな程の吐精感に襲われた。
最後まで吸い出され、しばらく続いた射精が終わった。
ちゅぽんと音を立て、絵里子の口から柔らかくなった俺のモノが抜け落ちる。
互いの間にひかれた白濁の線が切れると同時に、俺もベッドに横たわった。
「あ・・ふ・・・・ごめ、すげぇ出ちゃった・・・・・・・・」
情けない声が出た俺ににっこりと笑うと、絵里子は口の周りについた精を指でそっとすくい、口の中に収めた。
その仕草までエロくて見惚れてしまう、というかあれだけ出たものを飲んだのか・・・?
「濃くて、野立の味がする」
嬉しそうに口の中に残った精を味わっている絵里子。
そんな絵里子に次戦を期待せずにはいられない。
おぉ、俺って若いね、まだまだ。
「うぉっ・・・あっ・・ちょっ・・・・・・・」
そんなうっとりとしていた俺に、また刺激が襲ってきた
「やだ、拭くだけよ?そんな声出さないでよ」
いや、だって、そんな・・・・
イったばかりで敏感な俺の息子はティッシュでの刺激に思わず反応する。
あぁ、そんな丁寧に・・・・
髪を掻き揚げながら、ゆっくりと拭いてくる絵里子の色気にムクムクっともたげる自身。
「はい、終わり、口すすいで、着替えてくるね」
反応しているのがわかったのだろう、くすくす笑いながら、少しだけ上を向いたソレをぴんと指先で弾いてから立ち上がる絵里子。
よくよく見れば、仕事着のシャツに俺の名残か絵里子の唾液かわからない染みがついている。
俺も、自分のを出した口にはあまりキスしたくないから口をすすぐのは歓迎だ。
しかしこんな時にすぐに体を離すのはなんだか寂しい。
いや、そうか、絵里子が歯を磨いている間も俺がいちゃいちゃしにいけばいいんだ。
そして着替えは手伝って・・・いや、着替えることなんてない、このまましちゃえばいいんだから。
少し重さを感じる体をよっこいしょと起こして追いかけると、歯ブラシを咥えたていた絵里子の肩を抱く。
おぉ、歯ブラシすらエロい。
「ね、着替えたらご飯行こうね」
咥えたままでもごもごとしゃべる絵里子も・・・・ん?ご飯?
「・・・・え・・・・・・・?」
「できたばっかりのイタリアンレストラン、今日行こうって言ってたじゃない?」
「・・・・・・・・マジで?」
このままいちゃいちゃ突入じゃないの?
そりゃ俺は出したけど、まだまだ色々やりたい事が
「お腹すいちゃった♪」
ま、マジか・・・・・・・・・
なんでそんな笑顔で・・・・・・・
今日の俺は完全に絵里子の手の平で転がされている。
うぅ、ご飯食べたらいっぱい、そりゃぁもう泣くまで離してやらないからな、覚悟しておけよ、絵里子っ。
歯磨きをしていたら、野立がいちゃいちゃしてきた。
多分、野立は今すぐもっとしたいんだろうけどそうはいかない、こっちは仕事終わりでお腹がすいているのだ。
でも、なんだか安心してしまった。
そりゃ、夢を信じるなんてバカバカしいかもしれないけれど、安心したらお腹がすいた。
野立からしたら「罰だ」なんてとばっちり以外のなにものでもないだろうが、
でも気持ちよさそうだったし、問題はないだろう。
今日の野立は妙に可愛かったし。
たまに攻められると弱いのよね、この男は。
にしても野立が選んできたAVの女優さん、背が高い人ばっかりだったなぁ・・・・
背が高くて、キャリアウーマンって感じの女優さんばかり
私相手に本気で勉強しようとしてるのか、それとも元々そういう人が趣味なのか。
なんだっけ、言ってたなぁこの間。
「俺の好みは大澤絵里子なんだよ」
とかなんとか。
・・・・あれ?結構愛されてる?私って。
以上です。
スレを占領したまま途中中断して申し訳ありません。
にしても、内容も酷いですが、題名が酷いですね・・・
なんせ「あっ、題名考えるの忘れてた」と急遽つけたもので・・・
色々粗がありすみません、お付き合いありがとうございましたっ。
キター!!!!
GJ!
褒めて褒めての野立がかわいすぎるううう
想像してニヤニヤとまりません
>>303 いつもと違った嗜好で面白かったです
完全やられっぱなしの野立は可愛いし
絵里子もスゴいww
GJ!!
最高です!ありがとうございます! <br> 野立は彼女の前だと甘えん坊なんですねーいいなあ。
316 :
エロのみ:2011/09/25(日) 04:38:27.66 ID:oko0ryxM
「は、ぁ……」
絵里子の吐息が、その喘ぎと混ざり合う。
伏せた目瞳に長い睫毛、紅く染まった頬、甘い声を漏らす唇に、野立はこれ以上ない程の色香を感じていた。
「…感じてる?」
裸の膨らみを両手で包み込むように揉みながら、幾度となく野立の声が耳元に入ってくる。
絵里子は応えられないままでいたが、野立の絶妙な手の動きに身体は自然に快感を覚え始めて、その突起を硬く震わせた。
濡れた舌先が絵里子の小さな果実を軽く舐め上げると、身を捩らせて高い声が上がった。
彼女の上半身を手前に起こし、その果実への愛撫が始まる。
頬張る口の中で唾液と舌が突起を突かれるごとに、びくんと大きな身震いがした。
「あっ……いや……っ……っ!」
「嫌?…俺にはもっと、シて欲しいって聞こえるよ?」
野立はそう言いながら、なおも歯を立てて軽く甘噛みする。
「や、ぁっ……んっ……」
「なあ、どうして欲しい?」
317 :
エロのみ:2011/09/25(日) 04:42:44.00 ID:oko0ryxM
そんな意地悪な事を言われても、もう声が言葉にならない。
絵里子の全身は野立の愛撫で麻痺していて、今にも腰が砕けてしまいそうなのだ。
いつしか野立の指は、しっとりと湿った足の付け根に向けて下降していた。
タイトスカートから伸びる華奢な足を、半ば強引に片手で左右へと開かせる。
スカートをたくし上げ、中へと掌を這わせていく。
指が触れるとじんわりと熱い。
「もうこんなになってるぞ、絵里子…」
ぷくりと膨れ始めたその芽を、つん、と野立の指が突くと絵里子の身体が敏感に反応する。
スカートは野立の手によりいとも簡単に取り外され、秘所を覆っていた薄手の布さえも、一気にベッドサイドへと放り出されてしまった。
野立の目の前に横たわるのは、白く透き通る肌をほんのり薄紅色に上気させた、絵里子の姿。
彼の愛撫で快感に浸り、その桜色の肌が色香を放つ。
野立は徐に絵里子の膝を掴むと、左右に大きく開かせた。
「やっ、だ…恥ずかしい、野立…」
318 :
エロのみ:2011/09/25(日) 04:56:28.36 ID:oko0ryxM
閉じようとするその脚を強引に抑え、充血し始めた小さな芽を指先でそっとなぞると、彼女の愛液が野立の指先を濡らした。
「濡れ過ぎだろ…ヤラシイな、絵里子は」
そう聞こえたあと、次にそれに触れたのは野立の舌だった。
「あっ!…あぁんっ……」
くちゅ、と卑猥な音が自分の中心から響いてくる。
羞恥に苛まれながらも、それ以上に、意識が飛びそうなぐらいの浮遊感と、快感が絵里子を襲う。
彼の指先が、今は自分の敏感な部分をなぞる。
その度に快感が溢れて、身動きが淫らになる。
恥ずかしい姿を晒け出しているのに、もっと、彼に見て貰いたい気がするのは何故だろう。
もっと触れて欲しい。もっと……激しく揺さぶって欲しい。
……どうしてこんな風になっちゃったんだろう…。私、すごいイヤらしくなっちゃってる?
319 :
エロのみ:2011/09/25(日) 05:04:34.61 ID:oko0ryxM
「そろそろいいか?」
身を捩らせていた絵里子の上に、野立が一気に乗りかかって腰を深く滑らせてきたのは、その声がした次の瞬間だった。
「ああっ……っ!」
スムーズに野立のそれは、絵里子の中に入り込んだ。
奥まで突き進み、生温かな肉襞に包まれた感触は、彼にとっても心地良かった。
「っ……」
「……ふうっ……………」
突然繋がった身体に、がくりと絵里子の力が抜け、彼に触れていた手が離れた。
思い切り後ろに身体を反らし、目の前に胸を突き出す格好になる。
そして深く息を吸おうとした瞬間、力が入って野立を締め上げた。
「うっ………」
声が上がったのと同時に、野立の腰が大きく揺れた。
ベッドのマットレスまでもが、ギシギシと音をたてて軋み出す。
左手で腰を支え、右手は絵里子の足を自分の肩あたりまで引き上げる。
愛液が円滑油となり、くちゃくちゃと淫らな音を出した。
「はうん…っ!あっ………っ!」
320 :
エロのみ:2011/09/25(日) 05:13:58.42 ID:oko0ryxM
今までにない強烈な刺激に、絵里子は呼吸することさえ忘れて反応してしまった。
歳相応に男性経験のある絵里子でも、こんな感覚は初めてだった。
一体どうしたら、ここまで目の眩む快感を生み出すことが出来るのだろう。
互いの汗と甘い体液にまみれた絵里子の身体を、野立は自分の身体に向けて引っ張り上げた。
下半身は繋がったままで、絵里子は野立の腰の上に抱きかかえられる姿勢になる。
「動いてごらん……自分で」
「ああっ!……っん、いっ、やぁっ………」
じんじんと熱を帯びる秘所からは、彼自身が脈打っているのが分かるのに、動けと言われてもどうしようもない。
絵里子の全神経は野立から与えられる快感に支配され、それらに侵略されたまま他には何も受け付けられない。
「……そろそろイクか?」
野立は呟いたが、絵里子が首を横に振った。
「……や…まだ……っ…」
「まだ……こうしていたい?」
こくこくと首だけで頷いてみせる。
「いいよ…じゃあ、えりこの好きなようにして」
321 :
エロのみ:2011/09/25(日) 05:57:05.17 ID:oko0ryxM
彼の言葉が、絵里子の意識の何処かをまるでスイッチのように、切り替えた。
汗に濡れた長い髪が頬にかかることさえ、鬱陶しさを感じなくて。
絵里子は野立にしっかりとしがみついて、激しく自分から腰を動かし始めた。
「…あんっ…はぁ…んっ!」
ねっとりとした互いの濃密な愛液が絡まる音。
受け入れる野立を感じながら、その腕の中で妖艶に身体を捩らせては喘ぐ。
関節が痛くなる。それほどまでに動きが激しい。
だけど…それ以上に得られる快感は、とてつもなく、甘い。
「えりこ、ちょっ…と、俺…もうイキそう…」
そう野立が言うと、彼の腕が絵里子を優しく抱き上げた。
そしてベッドの上に横たわらせると、軽くキスを交わし、もう一度身体を重ねる。
次の瞬間、容赦なく野立は絵里子の中で激しく動いた。
先程の絵里子の動きなど比較にならないほど強い。
朦朧とした意識の中で、深く繋がり合った2人は、最後の最後まで快楽を追い求めようとしている。
「…あぁっ……………!」
覆い尽くすほどの大きな波が、絵里子を捉えようとしていた。
目を塞いでその振動に身を任せた瞬間、絵里子は深い波に浚われ意識の底へと堕ちていった。
322 :
エロのみ:2011/09/25(日) 06:09:45.34 ID:oko0ryxM
「…まいったな…」
「…何が?」
「お前のこと抱く度に、好きになる」
行為を終えたあと、野立は恥ずかしげもなくそう言ってのけた。
野立の腕枕で微睡んでいた絵里子は、しばし放心状態にあった。
ここまで自分が淫らになるなんて思ってもみなかったし、そんな自分が潜んでいたことにも驚きを隠せなかった。
しかし何度も野立の愛撫に煽られ、その快楽を自分から開拓することに気付いてしまった。
まだほんの少し、身体の中が熱い。野立の熱が残っているような気がする。
「ねえ、のだて」
彼女からの呼び掛けに、顔を向けてみせた野立に絵里子はその唇を重ねると、背中に手を回し
溜め息のような声で耳元で囁いた。
────好きよ
323 :
エロのみ:2011/09/25(日) 06:11:10.09 ID:oko0ryxM
以上。
失礼しました。
GJ!!!!!!!!
GJ!
ありがとうございます。
保守
人減った…?
減ったかも…。でも私はまだ居座ります!
DVD発売すれば復活するかなー
野絵職人さんお待ちしてます
職人さんが減ったのかも…?
私は結構覗いてるけど自分では書けないし職人さんが投下してないとちょっと書き込みにくいのかな
本編終わったし余計ね、放送時の盛り上がりがすごかっただけに
最近は投下してくれる職人さん、1〜2人だと思う。
文体で分かる。
ネタがないです
この季節なら風邪ネタとかどうでしょうか
お待ちしてます職人さん
式典か何かでお互いの制服姿を見て欲情しちゃったりとかはいかがでしょう?
職人様お待ちしておりまする
>>334 それいいw
ネタだけで萌えがかなりヤバイw
絵里子は制服好きだもんねー
>>336 ほんとだ、乙!
ありがとうございますー!
おお!
復活よかた
制服ネタイイ!!ぜひお願いします。
エロはお腹いっぱいなのでくっつくかくっつかないかギリギリの線で
一小説お願い
エロパロでエロお腹いっぱいて
そっちの方が逆に想像しやすくて萌えるんだけどな
まとめサイト更新乙です
345 :
名無しさん@ピンキー:2011/09/30(金) 01:10:16.41 ID:3uhZSM2V
そのものズバっと表現するより
チラリズムのほうがそそる。
扇情的な話を希望。
ここにしか話がないんならまだしも
わざわざ2chエロパロスレ来て、何でそういうこと言うかな…
チラリズムはまだいいとして
そのものズバリを否定したり、エロおなかいっぱいはないでしょ
これまでエロ書いて下さった職人さんにも失礼だと思うよ
つかageてんじゃねーよ
上げてるしただの嵐だろう
でも概ね同意
恋愛モノはくっつくまでのアレコレが一番楽しい
全く違うタイプのも惹かれる
こんな流れじゃますます職人さん来なくなるね
職人さんが萌えると思う話を書きたいように書いて下さればいい
以上
職人さんが、好きな時に、好きなお話を…私は待っております。
エロパロスレなのに、エロ否定して個人的好みをわざわざ要求とか、何それ。
だったら職人まかせで注文つけてないで、そういう作品を自分で書くか、他所で探しなよ。
嵐に構っちゃだめ
マターリしようよ(´・ω・`)
そうねー
好きに書いて欲しい
保守
職人様カムバック!!!
ひさびさに来てみたら4までいっててびっくり
1の頃よくおじゃましてました
短いのでよければおいときます
昨日の夜は久しぶりに絵里子と激しく愛し合った
奥手の絵里子を強引にベッドにまねきいれ何度も唇を重ね
愛撫をくりかえし互いを求めあった
俺の腕の中で絶頂をむかえる絵里子がかわいくて愛おしくて
「もう許して…」と懇願する唇をふさぎ細い腰を突き上げ
何度目かわからなくなるほどの快感が体を突きぬけたあと
互いに果ててしまった
朝、目を覚ますと俺の腕の中ですやすやと寝息をたてる絵里子
の寝顔に顔がほころぶ
絵里子の首筋や胸元についたキスマークが妙に色っぽくて
指でなぞってみると「うーん…」とこれまた色っぽく寝返りをうつ
もんだからたまらなくなってその華奢な体をぎゅーっと抱きしめた
「うっ…んん。野立苦しい」
「絵里子またしよっか?」
「昨日の夜いっぱいしたでしょ。だからだーめ」
といたずらっぽく返され、わざとがっかりした顔をしたら
「しょうがないなー」とほっぺにキスされた
「昨日の野立激しかった。今度はやさしくしてね?」
「わかった。なるべく努力するよ」
「お願いね」
そのまま俺たちは快楽の海におぼれ
貴重な休みが終わっていくのであった
おそまつさまでした
久しぶりでウレシイ!GJです!
おかえりなさいませ
ありがとうございます!
絵理子がかわいい
保守
職人さん待ち
保守
保守
パート3の頭あたり以来、久々に来ました。
340さんからのやり取り面白い。
具体的(動作的?)なエロはチョイ控え気味で完全ゴールイン前って感じの
内容です。
熟男熟女それぞれの事情
猛り狂ったような野立の熱い塊が絵里子の深奥を激しく突き上げる。
鈍い痛みと快感が絡み合い電流のように体中を走り抜け絵里子の
芯を震わせる。
いつもと違う…
優しさと荒々しさが混じり合い、互いの高ぶりを感じ合いながら
重ね合う。ゆっくりと、時に激しく、その一瞬一瞬を愛おしむように
丁寧に愛し合う至極の時間のはずだった。
まるでレイプ…
そんな言葉が絵里子の頭に浮かぶ。
衰えることなくむしろ勢いを増す野立は、もはや絵里子のことなど
感知していないかのような暴走ぶりを呈していた。
大きく開かれた細い足は痛みも痺れも通り越して、感覚を失っている
ようだった。ただ一点、野立の多分親指が深く食い込んでいるらしい
鋭い痛みだけがジンジンと響く。
数度の痙攣を覚えたが、すでに自身が絶頂を迎えているのかどうかさえ
わからなくなった絵里子がかろうじてか細い声を発する。
「もう…やめ…のだ…て…おねがい…」
真っ暗な空間に放り出され浮いているような感覚の中で、肌と肌が
ぶつかり合う音と絡み合う愛液の卑猥な雑音、そして野立の激しい
息づかいが、妙な透明感を持って耳に響いてくる。
私、なんかしたっけ…ずいぶんと久しぶりだから?
消えそうな意識の片隅で、その状況を分析しようとしている
理性の残片を滑稽だと感じている自分に驚き、苦痛に歪む顔が
ほんの少しほころんだ。
うpし始めたばかりなのにごめんなさい。
ちょっと用事が。1時間くらい後になります。
どのくらいの時間が経っただろう。
ふと、重い瞼を開けると、野立が頼りなげに見つめていた。
「俺たちってさあ…付き合ってるんだよな?」
そう言って見つめる野立の瞳は捨てられた子犬のように無垢な不安に
満ちていた。
粘るようなしつこさで絵里子の上で雄々しく体を動かしていたのが
嘘のようだ。
「…なんで、そんなこと聞くの?」
「絵里子は俺が見合いなんかしても平気なのか?」
「見合い…」
未だまどろみのはざまにあった絵里子の脳裏につい数日前の出来事が
よみがえる。
「ところで野立君には付き合っているような相手はいるのかね?」
仕事の話の最中に唐突に丹波警視監が聞いてきた。
ふいを突かれ、言葉が出ない絵里子に丹波が上機嫌の笑顔を見せる。
「いやあ、ある代議士の姪御さんがお相手を探してるそうなんだがね。
野立君なんかどうかなあと思って…まあ彼もキャリアのくせにのんびり
してるから。君ら同期だしいろいろ知ってるんじゃないかと思ってね」
丹波のわざとらしい笑いに合わせて引きつり気味の笑みを見せながら、
絵里子は瞬時に考える。
悪い話じゃない…
警察キャリアは警視になると同時に机に良家の子女の見合い写真が積み
上げられる。キャリアにとってはその結婚さえも出世に大きく影響する
のは当たり前の話だ。
「フリーですよ。やっぱりいつまでも一人者じゃ出世に響きますからね。
彼もそろそろ年貢納めてもらわないと…」
「そうなんだよ。私も心配してるんだよ。官僚の世界はいろいろと複雑
だからね」
そう言って豪快に笑う丹波を冷めた目で眺めながら片頬で笑う。
…ふん、アンタこそどうせ間に入ってる幹部に恩を売って出世の道具にでも
するつもりなんでしょうが。
しかし丹波の部屋を後にして、ふと我に返った。
なんであんなこと言ったんだろう。
まるで私が野立にでもなったかのように計算高くなって…
絵里子はその勘違いぶりがおかしくて笑いがこみ上げる。が、すぐにそれは
自嘲の笑いへと変わった。
…てか、私って何…
絵里子は野立の視線を避けるように顔を背けた。
「…怒ってる?」
「怒ってないとでも?」
「ごめん…でも、ちょっとしたミスだから…深い意味はないっていうか…」
「…わけわかんねえ」
野立は絵里子の頬に片手を当てると自身の方に向かせた。
観念したように絵里子が野立の瞳をまっすぐ見つめる。
「…一瞬、自分のこと忘れて、あなたには悪くない話だって思っちゃったの」
「はあ?」
「その…なんて言うか、あなたになったみたいな…一心同体みたいな感じって
言うか…」
私、何言ってんだろ…
絵里子はたまらず目をふせた。
「わけわからん…」
野立は絵里子の額に触れると優しく髪をなで、瞼、頬、耳から顎先、
そして唇へと、その長い指をなぞるように滑らせる。
「…けど、その一心同体って言葉は気に入った」
野立は唇をもてあそぶ指先と入れ替えるように自身の唇を重ねた。
「おい、起きろ、絵里子」
翌朝、その声に起こされた絵里子の前に、背広姿でコーヒーを手にした野立がいた。
その捉えて離さないような野立の凝視に耐えられず、絵里子ははにかんだように
視線を泳がせ、むっくりと起き上がるとシーツを体にからめながらベッドから
立ち上がろうとした。と同時に、崩れ落ちるように尻餅をつく。
「おいおい、大丈夫かぁ?」
その言葉とは裏腹に野立は満足げな笑みを浮かべ、コーヒーをすする。
「少し早いけど俺は行かないと…」と言うと、ニヤけた顔で目をそらす。
「丹波さんと見合いの日取りを打ち合わせないといけないから…」
涼しい顔でそう言うと、虚を突かれ言葉を無くす絵里子に満面の笑みを見せた。
「彼氏が激し過ぎて足腰立たないから遅刻…な〜んて勘弁して下さいよ、BOSS」
絵里子は、焦ったように「バカ…」と応じ精一杯の笑顔を見せる。
「じゃ、後で」
野立は片手を上げて出て行った。
ドアの閉まる金属音が絵里子の顔から表情を消し去る。
「…自業自得…か」
絵里子は膝を抱えうなだれた。
…そうだ。アイツには、まだまだ登るべき先がある。有利な結婚話があれば、
そっちに向かれても仕方ない…アイツ…まだ若いし…
絵里子は顔を上げ大きく息を吐いた。
どこということはなく体中が軽い痛みに包まれていた。
野立の爪あとが残っているであろう太ももあたりに手をやり、ズキリとうずいた
箇所を指先でなぞる。
別れられるかな…
そんな言葉が浮かぶと同時に絵里子の瞳が潤んだ。
付き合い始めてそれほど時間は経っていない。キズはまだ浅いはず。
なのに、なぜ…
冷静に思考を巡らせるよりも先に体が反応して涙がこぼれ落ちる。
絵里子はシーツに顔をうずめ拭った。
「…らしくないよ」
そうつぶやいた直後に頭に軽い衝撃を感じて顔を上げた。
傍らに、さっき出て行ったはずの野立がいた。
おもむろに絵里子の隣に腰を下ろすと、「何、泣いてんだよ」と口をとがらせる。
「な…泣いてなんかないよ…」と言って、絵里子は顔を背けシーツで乱暴に顔を拭う。
「何よ、出て行ったふりしてこそこそと…刑事みたいなことすんじゃないわよ!」
「お前が、わけわかんねーからだろ。勝手に俺の見合い話進めといて…一体、俺は
お前の何なんだぁ? 散々俺を焦らせてパニクらせて…で、一人泣くってなんだよ」
そのすねた少年のような横顔に絵里子は苦笑し、「ホントだね…ゴメン」
とうなだれた。
「…あのさ、もっと若くて野立の有利になるような女性がいたら、遠慮しなくて
いいからさ」
「…お前はそれで平気なのか?」
「…わからない…自信ないかも…私たちさあ、そんなに長く付き合ってるわけじゃ
ないのにね…」
へへっとおどけた笑顔を見せる絵里子はことさら明るく続ける。
「ほら、野立が時々、会いたくなったら私、愛人になってあげてもいいし…」
「…それ不法行為だぞ。40過ぎて自分の主義主張から外れることするな」
野立はふてくされたような顔で深いため息をついた。
「長いよ…俺たち。今さら付き合うにも、今さら別れるにも長く付き合い過ぎて…
もうそういう仲なんじゃないの? 他にいくらでも女の子がいたのに…他にいくらでも
いるのにお前がいいなんて説明、もうつかない…」
野立は絵里子の肩を抱き寄せ、ピンク色にほてった頬に自身の頬から鼻先を
こすりつけ軽くキスした。
「大丈夫なの? その…丹波さんの話…」
「ああ…断った。見合いして向こうが乗り気になられたら断れないからな。
ホントに出世の道が断たれる」
絵里子は、ふんと鼻で笑って体を離した。
「相変わらず自信過剰ねえ。とりあえず会って、向こうが断るような話に
持っていけばいいんでしょ。そしたら、丹波さんもアンタも顔を保てるし…」
「お前、そんなこと言えた義理かよ。…とりあえず、俺は今のところ機能不全気味で
結婚を考えられないし、結婚したとしても丹波さんにさらなる迷惑をかけることになる
と言ったらビビってた。当分、話は来ないな」
「機能不全て…ずいぶん思い切った自虐的な理由ね」
「とっさに口から出た…お前が俺をフリーだと言ったって聞いた直後だったし…おまいのせい」
絵里子は吹き出した。
「笑い事じゃねーぞ。俺の大きなチャンスが一つ消えたんだから、責任取れよ…
…一生俺の部下で、目一杯働いて、せいぜい俺を出世させろ」
「一生俺の部下って、定年があるんだから…さすがに婆さんになったらBOSSはキツいわ」
そう言ってゲラゲラ笑う絵里子を、野立が冷めた目で眺める。
「お前のニブさには呆れはてて声も出ないよ」
野立はやおら立ち上がり、笑いの止まらない絵里子に腕時計を指し示す。
「お前、今から用意しても完全遅刻な」
「あ゛ー!」と声を上げる絵里子に冷たい視線を投げつける。
「いい思いした翌日に遅刻なんて許されんぞ。今日の遅刻は減点対象だからな」
「いい思いなんてしてないっつーの!アンタは全くホントに自分勝手なんだから!」
「ふん!勝手に慌てとけ。じゃあな」
くるりと背を向けた野立の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
以上です。
チラリズムの期待にそえられたかどうかw
失礼しました。
GJです〜!!!
ありがとうございます
ありがとうございます!
乙です
やっぱり野立と絵里子はいいなぁ〜
GJ!!
楽しませていただきました。
ありがとうございます。
GJです
やっぱり絵里子と野立の関係大好きだわ
うわーにやにやしちゃった
素敵でした!
エロ描写より不器用な二人の心と心の感情にキュンキュンします!
野立バージョンも読んでみたい!
382 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/16(日) 21:53:56.77 ID:eEA1UVyh
野立サイドだ読みたいです。
アラフォー美男美女の恋愛話って
ドキドキします。
サゲとくね
DVD発売記念保守
もうすぎちゃったけどDVD発売記念ちょいエロ。
チラリズムも制服フェチもくっつくまでのもどかしさもゼロの
誰の要望にも応えられてない本番もないちょいエロ。
DVD発売と聞いて急いで書いたので粗ありまくりです。
なんのドキドキもないそんな話でもよければ暇つぶしにどぞ。
「ただいまー・・・・・」
朝7時半、
徹夜で疲れて帰ってきて、誰もいないのはわかっているが声にする。
最近忙しすぎてろくにデートもできない、この間まではあいつの方が忙しくて・・・・・
あぁ、あいつに会いたいなぁ、ぎゅうってしたいな、ちゅうもえっちもしたいなー
なんて思いながら靴を脱いだら、玄関に女物の靴が。
あれ?あいつの靴しまわなかったっけ?
恋人・・大澤絵里子の靴や服は同棲をしていなくても増えていった。
履き替える用や着替える用に持ってきたものがどんどん。
野立の家の方が広いので、2人で過ごすのはもっぱらこちら、
逆に絵里子の家にはあまり野立のものは増えていかない。
必要最低限のものは置いてあるが、
こんな風にしまっておかなければ生活の邪魔になる、なんて程ではない。
なんて事をぼーっと考えているとぱたぱたとスリッパの音を立てながら絵里子が「おかえり」と出迎えた。
・・・・あれ?徹夜した疲れた頭ででえっちしたいなんて思ったら幻覚でも見えたのか?
なんて考えていたら、目の前で手を振られた。
「何、ぼーーーっとしてんの?」
おぅ、どうやら現実だ。
「変な男ね、早くシャワーでも浴びて寝なさいよ。」
「・・・・なんでいるんだ?」
「ん?あぁ、忙しそうだから洗濯物増えてるかなと思って」
「マジで!?すげぇー・・・絵里子がすげぇいい女に見える。」
「ちょっと、それどういう意味よ」
お互いこんな仕事をしていれば、家事は当然分担だ。
同棲していなくても、お互いの領域は守りつつ家事を手伝う。
それでも現場で働く絵里子よりも野立の方が時間が圧倒的に作りやすく、普段は野立がサポートしている事の方が多かった。
面倒だから同棲しよう
と何度言ったかわからない。
こんな風に野立が忙しくてままならない事はあるが、それ以外は殆どの時間をここで過ごすのに同棲は拒否する。
絵里子自身が忙しくて、野立が先に寝ていてもこちらに帰ってきたりするのにだ。
広いマンションで、お互いに個人の部屋はあるし、そんなに同棲を怖がらなくても・・・
と思うのだが、絵里子曰く
「だって、引っ越したら住所でバレるじゃない!」
という事のようだ。
あっちの部屋に暮らさなくなっても部屋は借りておくの!
胸を張って堂々と宣言した女王様のような恋人の姿に思わず「ははーー」とひれ伏したらぺちっと殴られた。
そんなツンデレ絵里子が早起きをして俺の洗濯物を片づけに来てくれたなんて・・・・
いや、違うな絵里子はそんなに早起きできるような奴じゃない、
きっと昨日の仕事終わりにでもこちらにきて、独りでビールなりなんなり飲んで寝たのだ。
そして今日、起きだして「洗濯物でもしてやろう」って思い立っただけだろう。
服装もうちでぱじゃま代わりにしているTシャツとハーフパンツだし。
でもいいな、そんな恋人。
にやにやしちゃうなぁ、うんうん。
あー・・・えっちしてぇ・・・・・・・・・
「・・・・野立、声に出てるわよ」
「・・・・え?何?」
「声。えっちしたいって声に出てる」
「あぁ、俺声に出してた?」
「出してた」
「じゃあわかるよな?」
「・・・・これから出勤なんですけど」
「いいじゃん、しようよ」
「しません」
「えーーーいいじゃん、こっちからならまだ時間あるだろぉ?」
「何言ってるのよ、あんたも午後からまた仕事でしょ?早く寝なさいよ」
「大丈夫だいじょーぶ、終わったらすぐ寝るってば〜〜〜」
ぎゅうっと抱き着いて、絵里子の太ももに自分のそれをこすりつける。
あぁ、気持ちいぃ・・・・・・
「ちょ、ちょっとなんでもう大きくなってんのよ!?」
「だって俺男だもん、疲れてるんだもん」
「意味わかんないし」
「男は疲れるとこうなっちゃうことがあるんですー」
抱き着いたまま腰をぱこぱこ動かす。
もっともこんな事してえっちできるわけないっていうのはわかっているのだけれど。
「もう、いい加減やめてってば!」
がしっと腰から下あたりを絵里子の手により掴まれ、パコパコを止められる。
まぁそろそろ止められるのはわかっていたから落胆もなにもないけど、
でも予想外だったのは絵里子の行為により一層2人の体が密着した事だった。
「あっ・・・・」
絵里子もこの失態に気付いたのだろう、慌てて体を離そうとするがそんな事は許さない。
「絵里子」
意識的に声を低くして、耳元で囁いた。
低い声と、耳への刺激に弱い絵里子がうっと呻く。
「・・・ズルい・・・・・」
「触るだけ・・・・な?」
絵里子はTシャツとハーフパンツのままで、俺は下着一枚でベッドにもぐりこむ。
さすがに最後までする時間はない、だから本当に触りあうだけ。
唇を重ねながらブラのホックを外す。
Tシャツを脱がしてしまって、唾液でもつこうものならシャワーを浴びなくてはならないからブラだけをずらす。
大きくはないけれど、柔らかく掌に収まるふくらみを手で指で唇でTシャツ越しに愛撫してその感覚を味わう。
絵里子が出かけた後に1人でするのには十分すぎる程の接触は持ったけれど、
それでも触れ合いを辞めたくなくて、手を止められない。
「ん・・・・ぁ・・・・・・・」
もう一度唇を重ねようとしたところで気が付いた、絵里子の吐息が深い。
必死で声を我慢し、指を噛んでいる女の肌は上気し、目には涙が滲んでいる。
それほど激しい触れ合いではない筈だったのに、これは・・・・・
そうか、忙しくて欲求不満だったのは自分だけではなかったんだな
そんな事に嬉しくなって自分の事よりも絵里子を気持ちよくさせたくなった。
絵里子のハーフパンツの中に手を入れ、下着の上から敏感な芽を撫でる。
その行為にびっくりしたのか、体を跳ねさせ俺の手を止めようとするが、普段の力は全くない。
「絵里子、すごく濡れてる」
「や・・・んぁ・・・・・・・」
時間もないので、あまり焦らすことなく指を中へと埋めていく。
中指くいくいと動かせば、口から漏れる声が大きくなった。
「声、聴かせて?」
指を増やして、親指は芽をいじめて。
絵里子の反応を見ながらガンガンに攻めてやる。
よっぽど感じていたのか、すぐに絵里子は軽い絶頂を迎え、がくっと俺にもたれてきた。
「うわ〜すげぇ、全部洗濯しないとだな」
絵里子の愛液で濡れた下着とハーフパンツ。
そして俺の指から垂れたものでシーツまで少し汚してしまった。
「・・・野立のバカ・・・・・・」
「なんだよ、気持ちよかっただろ?」
「うっ・・・・・・」
「ほら、早くシャワーで下だけでも洗って来いよ、時間ないぞ?」
「・・・・野立はいいの?」
「俺?俺は絵里子の事思い出して、1人でするからだいじょーぶ」
「・・・・ホントばか」
「いいから支度しろよ、遅刻したら後で俺から怒られるぞ」
絵里子を追い立てて、支度させる。
下着一枚で熱い息子を抱えたままの俺だったけれど、絵里子をイかせた事への満足と眠気に体を委ねてそのまま眠りに落ちた。
以上です。
中途半端でなんの萌えもなくてすみません。
なんの萌えもないのですが、いつかこの続きを書かせていただくかもしれません。
駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ
GJ!!
続編楽しみにしております
職人さん、待ってまーす。
>>383 sageは上がらないだけで、下ける機能はないよ
おお!
GJですありがとう
パコパコ野立かわええなあ
そして続編期待してます
保守
保守あげ
三角関係の需要ってあるんだろうか?
野立と絵里子、片桐みたいな。
同じく読みたいっ!!です。
すごく読みたい!!
野絵森も好きだしー
熟男熟女…書いた者です。
なんか書き込みできませんでした。
レス遅れてすみません。
野立サイド書けません。
自分で完結させたと思ったものは書く気力が
なくなるというか…
ゴメンなさい。
謝ることないよ
ここの人たち、サイドストーリーの要求しすぎだわ
そういうの負担になるのすごく良くわかる
書けないって断るのもしんどいんだよね
野立、絵里子、片桐の話ですが、まだ先が見えません。
とりあえずできた分のさわりだけ。
エロはないでしょう。
ドタバタな熟男熟女
◆彼の部屋で
瞼に降りそそぐ朝の光に顔をゆがませ目を開けると、まばゆい光が
刺すように視界に入って来た。
うーん…と両手を伸ばすと、指先が隣に眠る男の髪にふれる。
ふと、いつもと違う感触に気づき、朝日にぼやける男の顔に目をやると、
そこに見覚えのない寝顔があった。
いや、見覚えはある…寝顔を見慣れていないだけで。
「カァタァギィリーッ?」
そう叫び声を上げると同時、絵里子は瞬時にシーツを剥ぎ取り体に
巻きつけ、ベッド脇に飛びのいた。
うぅ…ん…とまぶしそうに片目を開ける片桐はしばらく固まった後、
カッと両目を見開き、「ボ、ボ、ボ…ボスッ?」と裏返った声を上げる。
と、同時に二人とも頭をかかえ、「イタタタタッ…」とうずくまる。
「なんで…どうして…こ…この状況って…」
シーツに顔をうずめ絵里子は思考を巡らす。
そうだった…昨日は片桐に付き合ってやったんだった…
片桐の婚約者だった藤森楓の父親、藤森俊夫は絵里子たち対策室によって
逮捕された。
しかし、殺人を計画実行した桑原武雄は送検前に病死。
そして、藤森俊夫は自分も共犯だと認めていた。
絵里子は藤森をあくまで殺人を手助けしただけというほう助犯として扱った。
が、自分ひとりでやったと主張していた桑原が死んだ今となっては、桑原と
同じく銀行の貸しはがしに合い倒産させられた藤森に、被害者への殺意と
共同実行の意思を認めさせ、実行犯と同じ共同正犯で扱えというのが上から
の指示だった。
反論した絵里子ら対策室は担当から外され、別班によって共同正犯として送検
されていた。
別れたとは言え、一度は結婚を誓った楓を放っておくこともできず悩んで
いた片桐に、絵里子ができることと言えば、知り合いの敏腕弁護士、間宮
貴子を紹介することしかない。
絵里子は片桐と、すでに不起訴が確定している楓を連れて間宮貴子法律
事務所に出向いたのだった。
楓を送った後、間宮が快く引き受けてくれたという安堵感も手伝って、
絵里子と片桐は警察上層部への怒りを肴に酒を飲んだ。
…そして、こうなったわけ…
絵里子はうずく頭を抱え、ゆっくりと顔を上げた。
「片桐…」
「は…はひッ…」と片桐はうずくまったまま相変わらず裏返った声で答える。
「あんた…なんかしたかなあ…その…私に…」
「す、すみません…き、き、記憶が…」
「あんたも飲むと記憶が飛ぶんだ…」
絵里子は大きなため息を吐き、諦めたようにつぶやいた。
「あ…でも」と言って、片桐は顔を上げるが、絵里子と視線が合った途端に
目をそらしうつむく。
「俺…自分は…その…酔うと…その…つまり…ダメなんで…多分、何も…」
「それ、確かなの?」
「はあ…自分、不器用なもので…」
素っ裸でうつむく片桐と、シーツで体を隠す絵里子の間に気まずい
空気が流れる。
絵里子はフッと息を吐くとベッドから降りた。
「ちょっとあっち向いてて」
「は?」
「向こう向いててって言ってるの」
「あ、はい…すみません」
片桐は慌てて体の向きを変えた。
絵里子は散らばった自分の衣服を拾い集め、手早く身に付けると片桐を
見据える。
「じゃ、私、行くから」
「あ、はい」と、片桐は背を向けたまま返事をする。
「…わかってると思うけど、このことは口外無用だから」
「も…もちろんです。だ…誰にも言いません」
ほどなく、片桐の耳にドアの閉まる乾いた音が響いた。
片桐は「はあぁぁぁ…」と大きな声とともにため息を吐きながらベッドに
ダイブした。
◆対策室で
片桐は、対策室の自分の机に突っ伏し、時折よみがえる情景と闘っていた。
シーツで押さえられていたものの肩から胸元まであらわになった絵里子の
姿が彼の脳裏を襲ってくるのだ。
無意識に「し…しろかった…」と呟き、ハッと我に返ると激しく頭を振り、
そして、また頭を抱える。
そんな片桐の姿を、怪訝な表情で見ている岩井と山村がいた。
「どうしたんや、アレ」
「なんかあったんでしょうかねえ」
「アレじゃないですかねえ」と、花形が加わる。
「藤森俊夫の件で悩んでいるとか…」
3人の傍らでコーヒーを入れていた木元真美が振り返る。
「藤森って、共同正犯で起訴されるっちゅうアレか…」
「そんなことになったら死刑の可能性もありますからねえ」と言って、
山村はせわしなく頭をなでつける。
「やっぱり片桐さん、楓さんのことが心配なんですよね…」
そのやり取りを聞いていた木元が相変わらず突っ伏したまま頭を抱える片桐
のほうを見る。
「もしかすると、楓さん守るために、刑事やめるとかで悩んでるんとちゃうか?」
岩井の言葉に「ええっ!?」と山村、花形、木元が同時に声を上げた。
「いい加減なこと言わないで下さいよ、岩井さん」と木元がたまらず口を挟んだ。
「あの二人は婚約も解消して別れたって聞きましたよ。自分はこれからも刑事
として頑張りますってボスに言ってたし…」
「じゃあ、なんであんなに悩んどんじゃ?」
4人は、しばらく沈黙して片桐を凝視する。
「そうですよね…もしかしたら…」と、花形が同意すると、山村もうんうんとうなずく。
木元の眉間にうっすらとシワがより、思い切るように片桐から視線をそらした。
「ほら、遊んでないで私たちも仕事しないと…私、科捜研から応援頼まれてるんで
行ってきます」
そう言うと、足早に部屋を出て行った。
とりあえずここまで。
三角関係を書くつもりが、10話を見直しているうちに
おかしな方向へ。
興味のない方、飛ばしてください。
すっごく面白いいです。
期待してます。
うわーめっちゃ続き気になる!
楽しみに待っています
408の続きです。
◆参事官室で
「話って何?」
野立に呼ばれた絵里子が、参事官室のドアをあけるなり冷めた視線を野立に
送り、ぶっきらぼうに聞いた。
机の前で書類に目を落としたまま、野立はおもむろに口を開く。
「昨夜はどこに泊まったんだ?」
「へッ?」
野立がゆっくりと顔を上げると、絵里子の仕事モードのポーカーフェイスは
みごとに崩れていた。
「どこって…どういう意味よ…」とムリに口角を上げ笑顔を作る。
同時に、早朝帰った自分の部屋を目まぐるしく頭の中に映し出していった。
いつものように散らかった部屋だった。野立が来た痕跡はなかったはず…
ふと、キッチンのコーヒーメーカーが目に浮かぶ。
コーヒー沸かしたっけ…?と思いながらミネラルウォーターをがぶ飲みした
ことを思い出した。
昨日…来てたんだ…
絵里子を見る野立は、口元が少しほころんでいるようだが、瞳は冷徹な光を
放っている。
「あの…」
「何?」
「あのネ…あの…恥ずかしくて言いたくないんだけどネ…」
「何が?」と、野立が多少語尾を強める。
「実は…飲みすぎてサ…そのぅ…公園のベンチで寝ちゃったみたいなの」
ヘヘヘッと絵里子は額あたりに手を当て、引きつった笑顔を隠した。
「公園のベンチにねえ…」
「そ…そうなのよ。やんなっちゃう。もうさぁ、バカボンのパパより年上の
女がやることじゃないよねぇ」
参事官室に絵里子の乾いた笑い声が響く。
「誰と飲んだの?」
「ヘッ?」
「正体無くすまで、だ・れ・と、飲んだんだっ!て聞いてるんだが」
「あ…」と絵里子は口元に手をやり視線を斜め上に上げる。
「えっと…ま…間宮先生…」
「間宮? …弁護士の?」
「そう!」と野立を真っ直ぐ見る絵里子に余裕の笑みが戻ってくる。
「独身の女同士、いろいろ意気投合してさあ、飲みすぎちゃったっていうワケ。
ホントどうしようもないよね、いい年して私」
野立は手にしていた書類を軽く机に叩きのせる。
「なんで間宮先生と会ったんだ? ……まさかとは思うが、藤森俊夫の弁護を
依頼したわけじゃないだろうな」
野立は、一瞬のうちに恋人を追求する男の顔から参事官のそれに変わっていた。
そして絵里子の表情も一介の刑事に戻っていた。
「そうよ。彼女は快く引き受けてくれたわ」
「どっちの人間だ、お前は!」と言って、机を叩き野立が立ち上がる。
「もちろん警察よ。でもほう助犯を共同正犯で起訴するなんて事実を捻じ
曲げるあなた達と一緒にしてほしくないわ」
「事実は被害者2名の爆死だ! 死の間際まで体力を酷使され力尽きたと
同時にバラバラに吹き飛ばされた。残虐極まりないリンチ殺人だ!」
「藤森俊夫が実行したわけじゃない! 死に行く親友の望みを…」
「誰のために動いてる!」と、野立は絵里子をさえぎる。
「刑事は常に被害者とその家族の側に立って動かなければならない!」
「あなたが立っているのは組織の側でしょ! 世間の目を気にして警察を
守るために事実を…」
「当たり前だ! 国民に支持されない公の組織などあり得ない」
言い返そうとする絵里子を「もういいッ!」と言ってとどめる。
「お前と話していても埒が明かない!」
野立はくるりと絵里子に背を向けた。
「間宮弁護士の話は聞かなかったことにする。藤森の娘が自分で探し依頼した。
そのつもりで!」
絵里子はフンと鼻で笑うと無言のまま参事官室を後にした。
◆廊下で
片桐が肩を落として廊下を歩いていた。
軽快な靴音とともに現れた野立がその肩を勢いよく叩く。
「おい、どうした片桐! なんか元気ないぞ」
「野立さん…」と一瞥しただけで片桐はうつむき、「いえ…別に…」とつぶやく
ように言う。
野立は片桐の肩に手を回し、耳元に口を近づけささやく。
「元気出せよ。今、お前のために野立会を企画してるんだ。そこでパーッと
やろうぜ。俺たち不動のツートップだ。潔く忘れることは忘れて次に進む。
それがいい男ってもんだ」
片桐が立ち止まり野立を正視した。
「どうした?」
「自分は、忘れてはならないことは忘れない! それが男のケジメだと考えます」
「忘れてはならないこと?」と、野立はやや顔をゆがませ「藤森楓のことか?」
と聞く。
「いえ、それはもう終わりました…その…今は友人として応援したいと思ってます」
「だったら何?」
「じ…自分は、ある女性に対して責任を取りたいと考えています。だから
野立会の参加は辞退させていただきたいと…」
「ふむ…つまり、責任を取らなければならないことをしたってことだな…
で、何をした?」
うつむき加減の片桐の顔が見る見る赤くなる。
「ひ…ひ…ひ…ひ…」
「おい、どうした、片桐。大丈夫か」
片桐はうなづくと、ゴクリとつばを飲み込む。
「ひ…ひと晩をともにすごしました…」
「ほう」と言って、野立はニヤニヤとからかうように片桐の顔をのぞきこむ。
「つまり、結婚して責任を取ると…」
片桐は深くうなづく。
「いやあ、安心した」と言って、野立は片桐の肩をバシバシ叩いた。
「片桐、おめでとう。とうとう結婚するのかぁ! いやあ、おめでとう!」
「野立さん、こ…声、大きいです」
「いやあ、実はお前の様子がおかしいからってヤマムーが言ってきたからさ。
心配してたんだ。まさか新しい恋が始まっていたとはな。いやあ、よかった
よかった。」
火が点いたように真っ赤な顔でうつむく片桐の肩や背中を野立がバンバン叩く。
その横を、木元が足早に通り過ぎる。
「まみりん元気ないぞ〜メシでも一緒にど〜う?」とすかさず野立が声を
かけるが、「いえ、結構です」とにべもない。
木元の背中を見送ると、再び片桐に向かって上機嫌の笑顔を見せる。
「俺は、てっきり刑事辞める辞めないで悩んでいるのかと思って心配したんだぞ」
「自分、刑事でいることに誇りを持っています…その…か、か、彼女から、
自分には刑事であってほしいと言われたし…」
「へえ…で、美人なのか、その彼女?」
「はあ…まあ…」
「おい、今度、紹介しろよ。なんなら野立会でお披露目してもかまわんぞ」
多少、顔色も落ち着いた片桐がマジマジと野立を見た。
「あ、あの…野立さんにだけ言います…その、自分の相手は…その、同業者でして…」
「婦人警官か」
「その…じ、自分のじ…上司です」
「ほう、お前の上司か…」
「はい」と片桐がふっ切れたように力強く返事をするのと同時に、野立の顔が固まった。
「上…司…? 片桐の…じょう…」
「野立さん! これはまだ秘密なんで…他言無用でお願いします」
片桐は深々と頭を下げると、野立に背を向け立ち去った。
廊下にはひとり、表情を無くした野立が立ち尽くしていた。
◆エレベーターで
「結婚…片桐さんが…けっこん…」
エレベーターに乗った木元はひとりつぶやいた。
「ん? 何、どうしたぁ、木元?」
「うわぁっ!」と声を上げ振り返ると、そこに絵里子がいた。
「すみません、ひとりかと思ったもので…」
「…誰が結婚するって? 木元、あんたが?」
「まさか! そんなわけないじゃないですか。冗談はやめて下さい、ボス」
「そう。まあ、結婚するようなことがあっても、仕事は辞めないでね。優秀な
刑事を失いたくないし…」
「あの…」と、木元が絵里子を真っ直ぐ見つめる。
「結婚したら辞めないとダメなんですか…片桐さん…どうしても辞めないと…」
そう言いながら、木元の瞳には大粒の涙が浮かんでいる。
「ちょっと木元…あんた…」
「な、なんでもありません。失礼します」
木元は手のひらで乱暴に顔をぬぐうと、開いたエレベーターから出て行こうとした。
その腕を、絵里子がつかみ引き戻すと、屋上へ行くボタンを押した。
◆屋上で
「それ、確かな話?」
屋上のフェンスに寄りかかり、日の光にまぶしそうに目を細めた絵里子が木元に訊く。
うつむき加減の木元がコクンとうなずいた。
「野立さんと廊下で話してました。とうとう結婚するって…嬉しそうに」
「そんな話は聞いてないけど…藤森楓とは別れて、刑事として仕事をしていくと
真剣に宣言してたんだけどなあ…まあ、野立には話せても、女の私には言えない
こともあるんだろうけど…でもねえ…」
木元は顔を上げ、「ボスッ!」と覚悟を決めたように絵里子を見た。
「片桐さんは優秀な刑事です。片桐さんが辞めなければならないなんて理不尽です。
どうしてダメなんですか。家族が犯罪者でも、本人には関係ないじゃないですか…」
言いながら、木元の瞳が濡れていく。
「木元、あんた、片桐のこと…」
「私のことはどうでもいいんですッ! なんとかならないんですかッ! 藤森楓さん
と結婚しても、片桐さんが辞めなくてもいい方法はないんですかぁ…ボスぅ…」
絵里子は木元を抱き寄せ、木元はされるがまま絵里子の胸に顔をうずめ声を上げて泣いた。
「あんまりですぅ…片桐さんが可哀相…片桐さんの幸せを邪魔する権利は警察には
ないはずですぅ…」
絵里子は木元の頭を優しくなでた。
「ゴメン。片桐がそう決めたんなら、私にはどうすることもできない。片桐の人生
なんだし…木元、あなたも忘れなさい…片桐のことは諦めなさい」
木元の泣き声がさらに大きくなる。
絵里子は木元の背中をゆっくりとさすった。
「ゴメン…胸を貸してるのが片桐じゃなくて…」
暖かい光が屋上の二人を包むように降りそそいでいた。
とりあえず、ここまで。
なんか収拾がつかなくなる予感が…
フェイドアウトしたらゴメンなさい。
419 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/29(土) 19:55:26.35 ID:ZETTP7vX
続き楽しみに待ってます。
なまごろし〜〜〜wwww
負担をかけるつもりはないんだけど、楽しみにしてるから
フェイドアウトするのだけは勘弁してくれ〜w
フェイドアウトだけは勘弁してほしい
なら最初から書かないでほしい
>>422 そういう意見は心の中にしまっときなさい
せっかく書いてもらってんのに悪いでしょーが
続きを気長に待ってます。
雰囲気悪くしてすみません。
>>422さんの意見は基本、正しいと思います。
本当は書き上げてからアップするほうがいいんですよね。
でも、途中でアップするといやでも終わらせなければ…と
いうプレッシャーで書けたりするけど、終わらせてから
アップしようと思うとわりと途中挫折するというか…
結局、書いたら終わらせろってことですよね。
それでは
>>417の続きです。
◆廊下の隅で
軽いヒールの音とともに、絵里子が対策室に入ってきた。が、席につかずに
「片桐!」と呼ぶ。
心臓の急速な高鳴りを感じながら、視線を机に落としたまま片桐は「はい」
とだけ返事をする。
「かぁたぎりぃ!」と多少いらついたような声を耳にして、片桐は初めて
顔を上げた。
そこにはいつもと全く変わらない絵里子が立っている。今朝のことなど何も
なかったように。
この人にはかなわない…
一瞬、そんな言葉が片桐の頭をかすめた。
絵里子は出入り口のドアのほうに小さく頭を振ると、そのままヒールを鳴らし
出て行った。
慌てた片桐は席から立ち上がりざま机に太ももをぶつけ、よろけながら
絵里子の後を追って対策室を出た。
廊下に出て、エレベーターホールのほうを見る片桐の背後から、「こっち」と
絵里子の声がする。
エレベーターホールと反対側の廊下の突き当たりに絵里子が立っていた。
片桐は急いで絵里子の元に行く。
「聞いた…結婚のこと」
普段と変わらない絵里子の態度に自身もようやく平静さをとりもどしつつあった
片桐だったが、「え…」と発しただけで言葉を詰まらせる。
「野立に言ったって…」
戸惑いの面持ちで沈黙する片桐にしびれを切らしたように絵里子が「片桐?」と
催促する。
「あ…はい…野立さんに言いました…どうもすみません…」
「謝る必要はないわよ。あなたの人生だもの…」
片桐は軽く頭を下げ、そのまま下を向く。
「…もう決めたの? 決心は固い? 後悔はしないのね?」
絵里子の言葉が耳に響き、片桐の中の男気を奮わせたような気がした。
片桐は顔を上げると、絵里子の目を見た。
「はいッ。男のケジメを付けさせて下さい。自分は後悔しません…この先、
何があっても…決して!」
絵里子は優しく微笑んだ。
「そう…それなら私はもう何も言わない。認めるしかないもの…わかったわ」
「あの…自分のようなものでも大丈夫ですか」
「あなたなら大丈夫じゃない。芯は強いし、何があっても守れると思う」
「幸せにします」
「そうね…頑張って」
絵里子はクールな笑顔を残して、対策室へと戻っていった。
片桐は鼓動を落ち着けようと何度か深呼吸を繰り返した。
「片桐、そんなところで何してる」
背後から声をかけてきたのは、エレベーターから出てきた野立だった。
片桐の落ち着きかけた鼓動が再び激しくなった。
「野立さん!」
「どうした? なんか締まりのない顔してんなあ…なんかあったのか?」
「野立さん、あの色々とご心配おかけしてすみません。おかげさまで、ボスから
OKがもらえました」
「OK?」
瞬間、野立の顔に動揺が走る。
「そ、その…プ…プ…プロ…プロポズ…のOKが…」
「プロポーズ…絵里子に…?」
「はい! 本当にありがとうございました。野立さんのおかげです」
ほてった顔を緩ませた片桐の弾んだ声が廊下に響く。
対する野立の顔色はまたたく間に悪くなる。
「野立さん、ボスに用事ですか?」と訊かれても、野立の耳には届かない。
「野立さん…大丈夫ですか? 具合でも悪いんじゃ…」
「あ? いや…その…ちょっと確認したいことがあったんだが、また今度にする」
なんか読んでてドキドキします。
すごく続きが気になります。
そう言うと、野立はきびすを返した。
片桐が対策室に入るのを目の隅で確認すると、野立はもう一歩も進めないと
でもいうように壁にもたれかかった。
そこにエレベーターの扉が開き、岩井が出てきた。
「どどどどうしたんですかぁ! 野立さん! 具合でも悪いんですか」
野立は壁にもたれかかったまま目の端で岩井を見る。
「岩井…お前、今日はヒマか?」
「えッ?」
「今夜、飲みにでも行くか…一緒に」
岩井は肩をすくめ頬を赤らめると、「本命キターーーー!」と小さくつぶやく。
「お前の行きつけの店でいいから連れてけ」
「あ…あの…ゲイバーでもいいですか」
「ゲイバー…」
「楽しい店ですよ。イケメンショーなんかもあるし…きっと気に入ると思います」
野立はゆっくりと体を立て直すと眉間にシワを寄せる。
「未開拓の領域だが、まあいいか…これを機に俺も趣味変えるかね…」と、
つぶやき自嘲気味の笑みを浮かべる。
「野立さん?」
「いいぞ。行く」
「ええええええええええええッ! 冗談で言ったのにぃ。まるで夢みたい…」
「行く行く。こうなったらゲイバーで野立会だ。じゃあ、後でな」
そう言うと、岩井に軽く手を上げ、エレベーターの中へと消えていった。
岩井は野立を見送った後も、幸せな微笑みを浮かべ立ち尽くしていた。
◆参事官室で
野立はひとり、参事官室の窓から都会の街並みを眺めていた。
そこへ、絵里子が入ってきた。
「ベンロク、ここに置いておくから」と言って、書類を机の上に置くと
クンクンと鼻をならした。
「もう昼もとっくに過ぎたのに、なんか酒臭いわね…」
おもむろに野立が絵里子のほうを振り返る。
その姿を見て絵里子が目を丸くした。
いつも整えられている髭も髪も、まるで寝起きのように乱れている。
いつもは余計な線もなくビシッと決まっている背広もくたびれていた。
「どうしたの…なんか荒れてるね」
「ちょっとな…昨日飲み過ぎて」と言う野立は、絵里子に視線を合わせない。
「…珍しいわね。あなた酔っ払いを介抱することはあっても自分が酔っ払う
ことなんてなかったのに…」
絵里子は小首をかしげ、おどけて微笑むとくるりと野立に背を向ける。
「待て、絵里子」
「何?」と言って振り返った絵里子はいつもと同じ、凛として美しかった。
野立は一瞬、躊躇した。が、ふっきるように口を開いた。
「…藤森の件なんだけど」
「何?」
「お前…弁護側の証人になる…なんてことないよな…」
「…そういうことも含めて何でも協力するって言ってあるけど」
野立は諦めたように笑う。
「前代未聞だ…捜査した刑事が弁護側に立つなんて…そんなことしたら
刑事でいられなくなるぞ」
「…そうね」
「お前がそこまでリスクを負うのは…片桐のためか?」
「片桐?」
絵里子は怪訝な顔で野立を見る。
「何言ってるの。私はいつでも自分の捜査に自信と誇りを持ってる。それを
否定されるなら刑事を辞めることになっても…それは仕方ないと思ってる。
それだけよ」
「…なんでもっとうまく生きられないんだ」
苦しげに顔をゆがめる野立から視線をそらし、絵里子はフッと笑った。
「あなたのように組織の中でうまく生きられたらいいんだけどね」
「俺はお前が多少無茶なことをやろうが気にしない。お前はお前が信じる道を
行けばいい…そんな絵里子を見るのが…俺は好きだから」
野立を見つめる絵里子の口元がほんの少しほころんだ。
野立は絵里子に優しく微笑む。
「むしろお前が警察辞めることになっても、その時は俺の出番かなって思ってた…
それがまさかな」
「何言ってるの…のだ…」
絵里子は野立の目が赤く滲んでいることに気付いた。
「ちょ、ちょっと、野立、泣いてる?」
「アホ…そういうこといちいち言うな…」と野立は絵里子に背を向ける。
「俺だってお前の幸せを祝ってやるくらいの気概はある」
「何言ってるのよ…私、警察辞めないわよ。野立ったら、何ひとりで盛り上
がってるの」
野立は目元をぬぐい、絵里子のほうを見た。
「だって証人になるって…」
「なんでも協力するって言ったわ。だけど断られた…間宮先生に。あなたは
自分の仕事をしなさいって。証人に立つことはあなたの仕事じゃない。これ
以上、裁判に関わるな。ここから先は自分の仕事だからあなたにしてもらう
ことは何もないって、キッパリ言われた。あの先生、カッコいいよね。ホント、
女の私でも惚れるわ」
「そうか…」
絵里子は野立の顔をのぞき込むように見る。
「それよりさあ…アンタ、今日、変だから」
「俺だって冷静ではいられないこともある」
野立は絵里子を避けるように、再び背を向けた。
「藤森の件でもずいぶんお前とやりあったし、もう俺たちダメかなって…
不安にもなった」
「あなたにはあなたの立場がある。ちゃんとわかってるよ。いくら意見の
対立があってもそれは仕事上のことだから…」
少し間を置いて、絵里子が続けた。
「それとも、野立は仕事で対立したりするとプライベートにも引きずる?
まあ…普通、引いちゃうか…そんな女」
絵里子はハハッと自嘲気味に笑う。
「引いたのはお前のほうだろ。まあ、年上女と年下男のカップルは流行り
だしな…でもまさか、片桐に走られるとは思わなかった」
野立はため息とともに、諦めたようにハハハッと震える笑い声を漏らし、
時折、目や鼻をぬぐっている。
「結構こたえたよ。この年で意識無くなるまで飲む日が来るなんて思いも
しなかった…目が覚めたら公園のベンチ…」
いきなり、絵里子が机を叩いて、「ちょっと野立ッ!」と大声を上げた。
驚いて振り向く野立のネクタイを引っ張り、鼻がつくほど顔を近づける。
「あのさあ…さっきからアンタが何言ってるか全然わかんないんだけど…
最初からキッチリ説明してくんないかなあ…野立参事官殿ッ!」
その目は野立の潤んだ瞳とは対照的に冷たく厳しいオーラを放っていた。
◆対策室で
げっそりとやつれた顔の岩井が帰り支度をしている。
「あかん、今日ははよ帰らんと…」
「珍しいですよね。岩井さんから酒の臭いがするなんて…山村さんなら
わかるけど」
「ずいぶんな言いようだねえ、花形クン。僕だってさすがに一日臭かった
ことはないからね。今日は早く帰ってぐっすり眠ったほうがいいよ、岩井さん」
岩井が涙目で首を振りながら山村と花形を見た。
「もう最悪や。今から行きつけのゲイバーにフォローに行くんや。一緒に
来てくれへんか?」
「いやですよ」と間髪いれずに花形が言う。
「一体、何やらかしたんだよ。君も一応、刑事の端くれなんだから気をつけた
ほうがいいよ」
「誰が端くれや、オッサン!」と岩井は山村をどつくが、すぐに涙目に戻る。
「俺やない、野立さんや。あの人の酒癖は最悪や。なんでも通い詰めた風俗の
お姉ちゃんがおってな。その娘が年下の男と結婚して風俗引退するらしい」
「うわぁ…警察キャリアが風俗通い。そっちのほうが問題な気がする」
「まあまあ、花形クン。野立さんだって男だからねぇ、風俗の一つや二つ…
ひいきにしている風俗嬢が辞めるのはそりゃあショックなもんだよ」
「へえ…それで荒れちゃったんですか、野立さん」
「そや。『エリリ〜ン、戻ってきてくれぇ』って泣き出したと思ったら、
『俺は今日からゲイになる』とか宣言したのに、周りの客や店員に気持ち悪い
だの変態だの近寄るなだの、散々悪態ついて…おかげで俺まで出入り禁止に
なってもうたわ。野立さんの酒癖はホンマ最悪やで」
花形は茶化すように、「軽〜く『事件だから』って感じですよね」と、絵里子の
口真似付きで返す。
「本当に、それは事件よね…」
三人の背後から地を這うような低い声が聞こえてきた。
振り返るまでもなく声の主の表情まで感じ取った岩井は、「あ、俺、もう帰らんと。
お先」と、目を合わせないように、そそくさと出口へと急ぐ。
「あ、僕、岩井さんに付き合いますよ」とその後に花形が続くと、山村も「僕も…
お先に」と言ってあたふたと出て行った。
三人を目で追っていた絵里子は「ったく…」とつぶやき、おもむろに視線を片桐に
向ける。
すでに帰り支度を済ませ、ただ黙って座っている片桐が絵里子に穏やかな笑みで
応えている。
咄嗟に視線をそらした絵里子は、呼吸を整えゆっくりと片桐に視線を戻し、引き
つりながらも笑顔を作る。
二人以外、誰もいなくなった対策室に流れる空気は同じだが、それぞれが感じて
いるのは全く別物だった。
「あの…片桐…」
絵里子は、「はい」と余裕の笑みを浮かべて見つめる片桐の澄んだ瞳から目を
そらしたい気持ちを必死で抑える。
「その…あなた、何か勘違いしてるみたいなんだけど…」
「何をですか?」
「あなたの結婚相手って藤森楓さん…じゃなくて…もしかして…」
絵里子は人差し指で自分を指し示す。
片桐は「え? …あの…」と口ごもり、見るまに困惑の表情へと変わっていく。
「あ…あの…自分…あの…ボスと素っ裸で…」
絵里子は片桐から視線をはずすと同時に大げさに体の向きを変え宙をあおいだ。
「ああもう、それ以上言わなくていいから」
「自分は男として責任を…」
「取らなくていいから。その必要はないから。全くないから」
「はあ、でも自分は…」
「あなただけじゃないし…」
片桐は「へッ?」と目を丸くして固まった。
「女も40過ぎるとさ、あんなこと初めてじゃないの。いちいち責任取られても
私、困るし…」
絵里子は片桐とは反対側に顔をうつむけ、「一応、ひとり責任取ってるヤツいる
し…」と小さくつぶやく。
「は?」となおも訊き返す片桐を、絵里子は半ばやけくそ気味ににらみ付けた。
「だからぁ! 私のことはもういいから! これが大人の女なの。よく覚えて
おきなさい」
「はあ…」
「じゃあ、私、帰るから」
絵里子は足早に対策室を出て行った。
呆然と席に座る片桐は思考力を完全に失っていた。
時間と空間の概念さえ無くなっていた片桐の耳に、ようやく彼の名を呼ぶ声が
聞こえる。
見上げると、そこに木元真美が立っていた。
「片桐さん、大丈夫ですか? 呼んでも聞こえてないみたいだし、なんか目の
焦点も合ってなかったし…病院に行ったほうが…」
「いや、大丈夫だ…木元は科捜研の応援か」
「はい」
「大変だな…遅くまで」
「いえ…」
言葉が途切れ、沈黙が流れる。
それに耐えられず、木元が、「じゃあ、私、お先に失礼します」と言って逃げる
ように出て行った。
その後姿を目で追い視線を戻しかけると、絵里子の机が目に入った。
俺はバカだ…勝手に勘違いして…
片桐は自分に呆れていた。しかし、同時に思う。
別に恋してたわけじゃない…
男としてケジメをつけ責任を取りたかっただけだ。相手がその必要がないというの
だから…その必要がなくなっただけだ。
ふと喉の渇きを覚えコーヒーポットに目をやる。すでに電源が切られ、ポットも
洗われた後だった。
そして思い出した。昨夜は自分の部屋でコーヒーを飲みながら、これからは絵里子と
二人で飲むのだろうかと考えたことを。
これからは絵里子と二人、一緒に朝ごはんを食べ、一緒に出勤し、そして一緒に帰る。
そんな想像を一晩中巡らせていた。
恋してたわけじゃない…でも、恋し始めていたんだ…
片桐は苦しげに顔をゆがめた。
突然、ガタンと物音がした。見ると木元が立っていた。
「あの…私、あの…あの…えっと…忘れ物しちゃって…戻ってきただけです」
「そう」
再び二人の間に沈黙が生まれる。
木元は諦めたように「失礼します」と頭を下げ、出て行った。
片桐は木元がドアを開け出て行くのを見届けた。
その同じドアから現れた絵里子がよみがえる。
ほんの2、3時間前の出来事をキレイさっぱり忘れたかのように、いつもと
変わらぬクールさだで顔色ひとつ変えずに片桐の名前を呼んた。
あの人が俺なんかと一緒になるわけない…か…
片桐はさらに数十分、ただ座っていた。
時計を見ると、絵里子たちが帰ってから3時間ほどが経過していた。
力なく立ち上がり、肩を落として対策室を出た片桐は、エレベーターの前に
立つ木元に気付く。
「お疲れ様です」と言って、木元はペコンと頭を下げた。
「木元…お前、帰ったんじゃないの?」
「あの…片桐さん。今日は、付き合います」
片桐は黙って木元を見つめる。
木元はその沈黙に耐えてみせるといわんばかりに、片桐を見つめ返した。
「付き合うって何に?」
「今日は片桐さん、飲みに行くから付き合ってやってくれって…ボスが…」
「ボスが?」
木元はコクンとうなずいた。
片桐は小さく舌打ちし、「余計なことを…」とつぶやく。
「ダメですか…」
木元のつぶらな瞳が上目遣いで片桐を見つめていたが、ふっと視線をそらす。
「ダメですよね…私なんかじゃ…片桐さん、ダメですよね」
「ダメって…いや…俺、今日はあんまりいい酒にならないと思うし…」
木元の澄んだ瞳から、ポロポロ涙がこぼれ落ちる。
「お…おい、木元、大丈夫か…なんで…」
「ダメですよね、私じゃ…」
「ダ、ダメじゃないよ…ダメじゃない」
片桐は2、3度うなずいた。
「うん、俺、今夜はひとりで飲まないほうがいい…ひとりで飲んだらきっと
悪い酒になるだろうし…木元が付き合ってくれると嬉しいというか…」
片桐を見つめる木元の泣き顔がゆるんだ。
「うん、今夜は付き合ってもらおうかな」と言って、片桐は木元に微笑んだ。
木元はコクンとうなずいた。
ちょっと中断します。
すっごい面白いです。
>>436の続きです。
◆彼の部屋で
絵里子が自分のマンションに向かっていると、携帯電話がなった。
「君は今、どこに向かってるんだ? 間違った方向に行ってるんじゃないか?
ちゃんと軌道を修正するように。これは命令だ」
野立は一方的にそれだけ言うと携帯電話を切った。
送り迎えの公用車の中から、絵里子が野立の部屋と違う方向に歩いているのが
見えたのだろう。慌てて電話をしてきたが、運転手の手前、言葉を選びながら
「今夜は俺の部屋へ来い」と言ってきたのだ。
絵里子はため息をつき、「行きたくねー」とつぶやく。
いやな予感がした。
誤解は解け、野立が滲ませた涙はうれし涙へと変わった。しかし、片桐と裸で
ベッドにいたことについては触れずじまいだった。
案の定、部屋に入ると、ベッドの真ん中であぐらをかいている野立がいた。
「ここにきて座れ。いろいろ訊きたいことがある」
「いやぁよ。事情聴取ならリビングでもできるでしょ。つか、ベッドの上の
ほうがおかしいから」
「来ないならムリにでも連れて来るけど…お前に乱暴したくない」
「ハイハイ」とうんざりしたように返すとジャケットとバッグをソファに放り
投げる。
面倒臭そうにベッドに這い上がると、野立の前に正座した。
「絵里子」
「な…何よ」と言う絵里子は視線を合わせない。
「俺たちは、ずっとデリケートな時期だったんだ。仕事で対立して、プライベート
でもそれ引きずってギクシャクしてただろ…そんなときに別の男と二人きりで
飲みに行って、挙句正体無くすってありえねーだろ」
絵里子は鋭い視線で野立をにらむ。
「少なくとも私は仕事とプライベートはキッパリ分けてんだけど? 大体、
いつどこでギクシャクしてたって言うのよ。丹波さんとアンタでよってたかって
『それでも刑事かぁ!』って散々罵倒した日の夜だってここで私のこと普通に
抱いてたくせに!」
「普通じゃない! あの日は口数少なかっただろうが…俺的には十分ギクシャク
してたんだよ。昼間罵倒した分、夜は優しく丁寧にだな…フォローしようと
俺は必死で…」
「そうだったんですかぁ、野立参事官。ぜ〜んぜん気付きませんでしたぁ。
いつもと同じマンネリでぇ」
「はあッ? お前ここに来てそういうこと言うかぁ?」
「ったく、情けない…仕事のゴタゴタを引きずって、あげく勝手に片桐と私が
結婚するとか勘違いしてゲイバーで暴れて泣いて…ホント情けない…こんなのが
日本に数人しかいない参事官の1人をやってるのかと思うと、国民も暴動起こす
かもね」
野立は腰を上げるとひざ立ちで絵里子を見下ろした。
「その原因を作ったのはどこのどいつだ? そもそもだ。お前の軽はずみな行動が
なければ、すべて起こらなかったことだろうが。片桐と二人切りで飲むなどと言う
軽率な行動を取ったお前に一番の責任が…」
絵里子もひざ立ちになると大きな瞳をあらわにして野立をにらむ。
「片桐は私の部下よ。一緒に飲んで何が悪い」
「部下の部屋に泊まるのは普通のことじゃないだろうが」
「心神喪失状態だったの。裸でベッドに寝てても、万が一片桐との間に何かあった
としても、心神喪失状態なら無罪放免でしょうが」
野立の顔が能面のように凍りつく。思わず、絵里子は顔をそむけた。
野立はその顎を親指と人差し指で挟むと、クイッと自分のほうに向け、刺すように
絵里子を見た。
「お前さあ、俺が必死で具体的な表現を避けてるのに、何を開き直ってるんだよ。
いい加減にしとけよ」
そう言うと、いきなり絵里子の白いシャツを力任せに引き裂いた。絵里子が抵抗する
間もなく、一気にシャツを両肘まで下げるとそのまま後ろ手に縛るようにシャツを
巻きつけながら後ろに押し倒した。
ひざ立ちのまま押し倒された絵里子の顔がゆがむ。
「野立…痛いから…ひざ…痛い」
野立はお構いなしに首に緩めてあったネクタイを引き抜くと、それで絵里子に目隠し
した。
「ちょっと、野立、ふざけないでよ。何やってるのよ! のだ…」
野立は絵里子の口をふさぎ、その舌をむさぼるように吸い上げながら、ブラジャーの
ホックをはずす。
はじけ出た乳房に唇を移し突起を甘がみし吸い上げる。
「野立、ちょっと待って…野立ったら…やめ…て…」
野立はその舌先で徐々に固くなってゆく感触を楽しんだ後、その口を絵里子の耳たぶへと
移す。
何も見えない絵里子は、予測できない野立の動きにビクンと体を震わせた。
「野立…お願い…ちょっと目隠しはずしてよ…手、痛いし…」
野立は少しネクタイをずらして絵里子の片目だけを出し、ニッコリと意地悪く笑いかける。
「…マンネリなんて言われて普通のことができるかよ」
「売り言葉に買い言葉って日本語知らないの」
「世の中には言っていいことと悪いことがあることを知らないだろ」
「ただの冗談よ…」
「冗談にも言ってはいけない悪い冗談てのがあるんだ」
「…わかった、学習したから、野立…ねえ、普通でいいから」
「もう遅い…もう止まらん…」
赤く充血しかかった絵里子の瞳に野立は優しくキスすると、ネクタイを元に戻す。
「好きにさせてくれ…この二日で俺は10歳は老け込んだんだから…」
「のだてぇ…お願い…ゆるして…」
絵里子の切ない哀願の言葉はいつしか喘ぎ声へと変わっていった。
◆そして、彼の部屋で
瞼に降りそそぐ朝の光に顔をゆがませ目を開けると、まばゆい光が
刺すように視界に入って来た。
うーん…と両手を伸ばすと、指先が隣に眠る女の髪にふれる。
ふと、朝日にぼやける女の顔に目をやると、そこに見覚えのない寝顔があった。
いや、見覚えはある…寝顔を見慣れていないだけで。
「キ…!」と言って、片桐は残りの言葉をゴクリと飲み込んだ。
隣には無垢な少女のように穏やかに眠っている木元がいた。
おしまい
先細りな感じですがとりあえずこれで完結です。
サイドストーリー、特に片桐×木元の続編とかはありません。
すっごい面白かったです。
片桐と木元・・。
絶対に結ばれちゃったんて゜しょうね。
片桐はともかく、木元は好きっていう気持ちありそう。
面白かったです!展開にどきどきしました^^
読み応え有ったなー。
長編完結させてくれてありがとでーす♪
すごく面白かったです。ありがとう。
楽しんで読んでる一方で、話の展開のさせ方とか構成力とかすごいなあと感心してしまいました。
伏線の張り方とか、エピソードとか、キャラの動かし方が
とてつもなく旨いです。
また別のエピソードあったら書いて欲しいです。
なぜ上から目線?
いろいろ感想ありがとうございます。360度どこから目線でも
嬉しいです。
本当は、クールな片桐と三角関係を考えていたのに、10話を
見直してキス=結婚な片桐を見たら書けなくなりました。
今、読み返したら色々アラがあって推敲すればよかったなと…。
読んでいただいた皆さん、有難うございました。
こちらこそ、素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました。
終始面白かったし、ワクワクしました。また、新作を心からお待ちします♪
449 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/02(水) 19:24:15.77 ID:oC5eTZ1K
SMぽいシーンがいい。
もっと先を書いてほしかった。
保守
452 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/05(土) 18:07:04.90 ID:6TEjB/xD
野絵いいです♪大好きです。
いつもすてきな作品を読ませていただいて幸せです。
またあげる・・
なんかさ新手の荒らしにしか思えなくなるよね
いい加減にsageろ
今頃気がついたの?ageる人には必ず裏があるよ
どんな裏?
悪口書いてないし、注目させて住人増やして
過疎回避してるんじゃね?
ここエロパロ板にしてはエロないし住人少なそ。
保守ついでに短文小ネタを。
野絵前提の片絵。
いや、片絵未満のちょっとした触れ合い。
エロパロなのにエロないと書かれた直後にエロなし。
申し訳ないです。
エロなくても、つまらなくても、
野絵前提なのに野立が出てこなくてもいいぞーという方だけ暇つぶしにお読みいただければ。
真実りんの事も思い出してあげて
「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」
難事件を解決し雑務も粗方終わった夜、対策室の面々は居酒屋の個室で祝杯を挙げる事にした。
飲み放題にし、好きなお酒を頼んでは何度も乾杯をする
決して気持ちのいい事件ではなかったが、それでも解決した達成感から杯が進み、
声が大きくなっては、何度か店員から「申し訳ありませんが、声が・・・・」と注意を受けた。
「あれ?」
そんな騒がしい飲み会が始まって1時間が過ぎた頃、
まだま飲めると楽しそうにしているメンバーの中で木元が声をあげた。
「どうした?」
片桐が木元の視線を受け、自身の右隣を見ると余程疲れが溜まっていたのだろう、彼らのBOSSである絵里子がうとうと。
「あは、BOSS寝ちゃってますね」
「あぁ、疲れてるんだろうな」
普段は見せない絵里子の無防備に舟をこぐ様子に思わず笑みがこぼれる。
「なんや、寝とるやんけ」
「わぁ、こうみるとBOSSも可愛いですね」
「座ってれば身長もわからないしね」
騒いでいた3名も片桐達のやりとりに気付き、一応気を使ったのだろう小声で会話に参加した。
それから、寝てしまった絵里子を挟んで「落書きをしよう」だとか「置いて帰っちゃいましょうか」
などというやりとりが繰り返される中、予想外の事が起きた。
「う〜ん・・・・・・」
寒かったのか、寝心地が悪かったのか、それとも抱き枕が欲しかったのか
絵里子が隣に座っていた片桐の胸にもたれ、当然のように抱き着いたのだ。
「「「「「え!?」」」」」
そのあまりの自然さにその場が凍りつく。
「ま、まさか片桐さん・・・・・」
絵里子の安心しきった表情に、慣れた様子、その事に思わず花形が誤解をした。
「ち、ちがっ・・・俺じゃない・・・・」
「じゃあなんや、この女侍にも相手がおるんか・・・?」
「へぇ・・・・すごい人がいるもんだねぇ・・・・・」
妙な方向に全員が感心し、納得する。
「やっぱりあの、入園式のお母さんみたいな恰好でデートに行ったりするんですかね?」
「案外イケメン好きやからなぁ・・・・」
「そういえばBOSSの前の恋人ってすごく背が高かったですよね、私話した事あります」
「・・・・あれか、今の男は片桐と同じくらいの身長っていうわけやな」
「想像がつかないですね、BOSSと片桐さんのコンビだなんて」
「だから俺じゃない、何度も言わせるな」
そんな会話を繰り返しているうちにこの異常とも言える事態にも慣れたのだろう、
胸を強制的に借りられた片桐以外は飲みへと戻った。
「どうするかな・・・・・」
4人が楽しそうに軽口を叩き、それぞれのキャラに合わせ突っ込んだり突っ込まれたりしている様子を眺めながら片桐は独りごちる。
今回の事件でも絵里子は自分たちに指示を与えながらも、率先して動いていた、疲れていて当然だ。
だからできる事なら抱きとめて、寝かしてやりたい。
しかし自分と絵里子の関係を考えれば腕を回して抱きしめるなんてと、何度も動きかけては躊躇い辞めている、そろそろ腕も痺れてきた。
そんな片桐の様子に気づいたわけではないだろうが、絵里子がもたれたままモゾモゾと動く
「んん・・・・」
「BOSS?」
「やだぁ・・・・・・」
「・・・・・・BOSS?」
「いつもみたいにぃ・・・・」
「あ、あの、BOSS・・・・・・?」
「・・・・ぎゅーってしてよぉ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
酔ってもいるし、絵里子は寝ぼけているのだろう
片桐自身、それが自分に向けられた言葉でない事はわかっていたが思わず腕を回しぎゅっと力を込めた。
より安心したように眠りこける絵里子の様子を感じ取りながら胸が締め付けられる自分に気が付く。
「・・・・単純だな、俺って」
こんな少しの触れ合いで心が向いてしまうだなんて。
頭をぽふぽふと撫でると、女性らしい香りがふわっと舞う
少しややこしい事になりそうな自分の感情に片桐は思わずため息をついた。
エロ入れないとスレチでは
以上です。
片木も考えたけれど、そこまで行くと超長くなりそうだったので、絡めず。
思いつきで(超短時間で)書いたせいでキャラも話も中途半端で申し訳ない。
保守ついでの小ネタという事でお許しください・・・・・
>>461 うん、ごめん。
元々エロなしが多いスレだったのもあるけど、
以前「エロなしって先に書けばいいんじゃないか」的なことが書いてあってね。
だから「エロないよー」って宣言して
「それでもよければ読んで」って思って書いたんだけど、そうだね、スレチだね。
ふむ、そうか、ダメか・・・・・
今までもエロなしはあったし先になしって書いてるんだから問題ないよ
それより小説の途中でさえぎるほうがマナー違反だ
そうそうスレチてこたあない
過去スレみてごらんよ
エロだけ求めるなら別行きなよ。
放送終わってからも、これだけ書いてくれる人がいるってありがたいのに。
書いたいただけて。読ませていただいて
ありがたい限りです。
>>463 荒らしのいうことなんて気にしないで
最後まで書いていただけるとありがたいです
続きが気になる…
みなさん色々ありがとうございます。
実はあの後にほんの少しエロもあったのですが、野絵的にも片木的にもどうかな、読みたくないよな・・・
と削除していたので、それも含め色々後悔があったりして悩んでいたところに
温かいカキコが・・・・少しほっとしました。
また時間がある時にお邪魔します。
たくさんのフォローありがとうでしたっ。
>エロだけ求めるなら別行きなよ。
>荒らしのいうことなんて気にしないで
これも変な理屈じゃないの?
ここはピンク板なんだからして
>>470 正論ですな。
むしろエロ無しのほうがスレチでそ。
一部住人の好意で許されてただけで。
ドラマのパロ板とかないのかね?
これまでエロ無しなんて散々あったのに、今更↑そんなこと言ってくるなんて新参者?
散々あり過ぎたからそろそろスレチだろ言ってんの。
>エロだけ求めるなら別行きなよ。
の書き込みがおかしな内容だと思ったからさ。
そもそもエロ無しは板違い、な。
ほんと
エロパロ板内で「エロだけ求めるなら別行きな」という言い草は無いよね
エロありでもナシでも
書いてくれるだけでありがたいから
気にならない。
>>466です。
何書いても言い訳になるから、理由はいいません。
確かに、このスレで言うべき言葉ではなかったね。
すみませんでした。
言いわけも謝りも必要もない
このスレで必要なのはエロと萌え
あーあ
さらに過疎るね
晒しあげまする
正体あらわしやがったなクソやろう
保守
メモ帳で書いてるんだけど、またごっそり消えてた。
メモ帳の動きがわからないんだけど、同じような
経験したことある人いますか?
何がいけないんだろう。。。
>>483 レスありがとうございます。
こんなスレがあるとは知りませんでした。
職人さん達が色々と勉強しているのに驚きました。
メモ帳は同じ名前で何個も開かれてしまうみたいなので
そこらへんで不手際があったんだと…
けっこう書いたと思ってたのに、ファイルを開いてみたら
書く前に戻っていたので脱力してしまった。
やっぱり短くてもワードとか使ったほうがよいってことか。
ものすごいスレチな内容でごめんなさい。失礼しました。
ぜひ再度書きあがったらアップしてもらえたら嬉しいです♪
お待ちしております!^^
待ってます。
首を長くして待ってます。
まとめサイトの神様、早々の更新ありがとう。
この間野絵前提な片絵を書いた者です。
続きをと書いてくれた方ありがとうでした。
が、申し訳ない、エロが上手く組み込めずで・・・・
エロパロなんだし、エロを!!と思い、
野絵的にも片絵的にも片木的にもおいしいエロをなんて文才もないのに欲張ったから悪いのか、
大分長くなりそうなのと、当分エロに行かなさそうなのとで諦めモードに。
精進してからいつか随所にエロを組み込めるようになったら(その時にこのスレが続いてたら)
またこれたらいいな、なんて思ってます。
待ってる人なんていないのは百も承知で、
でも、お世辞でも「続きを」と言ってくれる人がいたので報告でした。
ホント、尻切れトンボで申し訳ないです。
職人のグチ吐きスレになりつつあるな
頑張ってください、待ってますなレス欲しいの?
疲れるわ
書いていただけるのなら、別にエロなしでも
個人的にはOKです。
>>489 あははははっ、全然いりませんw
そう受け取る人もいるだろうな、そんな人には不快だろうなとは思いつつ、
それでも、レスくれた人へ挨拶くらいはしておきたいな〜と思ったもので。
不快な思いをさせて申し訳ないです。
私も、書いてもらえるなら
エロありでも無しでも嬉しい一人です。
一番好きなのは、ちょいエロ。
付き合って日が浅い感じ。
対策室には隠してる感じが好物。
でも、正直言うと、野絵プラス木元なら何でも嬉しい。
エロを連想させるものならスレチではないと自分は思うよ
書いてもらえるだけでありがたい
職人さん、いちいち気を遣い過ぎ(笑
気にせず書きあがったものを書いていってほしいです
書いていただけるだけでも嬉しいです。
495 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 19:22:35.68 ID:Mhrml+pn
>>492 野絵プラス木元って、その3人の三角関係ってこと?
木元は片桐な自分としては、なんか思いつかない。
うわ、ごめん。
さげ入れ忘れた。
久しぶりだったもんで。
ホント、ごめんなさい。
個人的には野×絵がいちゃいちゃしすぎて木元に怒られればいいと思ってる
もしくは野立も木元も絵里子のことが好きすぎて取り合いになるとかもいい
野→絵←木ってユリですか。
これは、野×木よりムリかも。
ちなみに、自分の中では野絵は隠れた関係がデフォなので、
いちゃいちゃし過ぎて木元に怒られるってのもムリかも。
>>498 いや木元は拾われた子犬的な感じですかね
憧れのお姉さんをとられた感じと言った方がいいのかな?
ともかく不快な思いをされたのならすみません
>>500 いやいや全然不快じゃないです。楽しいです。
拾われた子犬的な感じって書いてるうちにユリに
発展しそうで難しそうですね。
木元の可愛さ全開って感じなんでしょうかね。
レスどうもありがとうございました。
中身のほとんどが三流サスペンスなんですけど落としていいですかね?
エロパロだしひねりのないサスペンスにはしたけど、エロは
ラストになんとか入れる予定ですが、かなり萌え度の低いエロに
なりそう。というか、全然エロく書けない感じなんで。
書いてる自分が全然、萌えない内容ですでにビクビクしてるんですが。
いいですよ! 待ってます!!
同じく待ってます!!
お言葉に甘えて投下します。
なんかスレチかどうかの議論の後で気が引けるのですが、完全にスレチ、
板チがほとんどなので耐えられない場合、そう書いてください。
では、投下。
熟♂熟♀の事件簿(スレチ注意報)
◆エロパロなのに事件?
「今日も暑くなるわね」
そう言って、外に出た絵里子はまぶしそうに空を見上げ深呼吸した。
ジリジリと照りつける太陽の光がシャツからのぞく絵里子の白い肌に
容赦なく降りそそぐ。
男の死体は、それほど長い時間放置されてはいないようだったが、すでに
異臭を放っていた。
被害者の名は、安田成人。毒殺だった。
殺害現場となったマンションの借り主は奥井絵美里 28歳。
しかし奥井の姿はどこにもなく、重要参考人として行方を探すことになった。
「奥井絵美里の5歳になる娘の行方もまだわからないの?」
「不明です。一緒に連れて逃げてるんでしょうか」
「まだ犯人と決まったわけじゃない」と言って、絵里子は片桐を見た。
「とにかく、子連れじゃそう自由には動けないはずよ。すぐに写真を回して…」
片桐の視線が目の前の絵里子を通り過ぎ、眉間のシワを一層深くして固まった。
「どうしたの、片桐…」
「ボス…あれ…」
絵里子は片桐の視線の先へと振り返る。
そこには若い女性に連れられて歩く、奥井絵美里の娘、美鈴がいた。
その若い女性は24時間保育施設の従業員で、三日前の朝、二日の約束で
美鈴を預けに来たが、迎えに来るはずだった昨日になっても来ないので
連れて来たという。
「うちは夜のお仕事の方が多いし、お母様方の事情を深くは聞きませんから」
女性はそう言うと、「人手が足りないから帰らないと」と、そそくさと
美鈴を絵里子たちに預け、帰って行った。
「違法な施設でもやってるんですかね」
「どうかしら…今、そのことはこの事件とは関係ないから」
絵里子は美鈴の前にしゃがみ込むとニッコリと微笑んだ。
「美鈴ちゃぁん、ママのこと聞いていいかなあ。美鈴ちゃんのママ、
どこ行っちゃったか知らない?」
美鈴はあどけない笑顔で首をすくめて絵里子を見る。
「ママはお仕事だよぉ。美鈴、寂しくてもひとりで我慢できるもん」
「そう、えらいわねえ…美鈴ちゃん、おうちに時々来るおじさんのこと
知ってるかなあ」
「おじさん? 美鈴、知らなぁい…あのね、美鈴のパパはね、とっても
カッコよくて頭がいい人なんだよぉ。ママが言ってたもん。のだて
しんじろうって言うの」
美鈴のニコニコと笑う笑顔とは対照的に絵里子の笑顔が凍りついた。
◆パパなの?
絵里子たち対策室のメンバーに囲まれ、ひとり椅子に座り困惑顔で口を
とがらす野立がいた。
「知らねーよ!知るわけねーだろ!」
「しー! お昼寝タイムなんやから、小さい声でしゃべってくださいよ」
岩井がソファに眠る美鈴を気にしながら口元に人差し指を立て、大げさに
野立に顔を突き出す。
「でも、あれですよね。男の人って自分の知らない間にこの世のどこかに
ボコボコ自分の子供が存在するって気持ち悪くないんですかね」
木元が野立をチラッと見ただけで誰に言うともなく言う。
「男なら誰でもってわけじゃないさ。知らない間にボコボコできるには、
それなりにモテないと」
「そうですよね、山村さんはそういう心配全然ないし」
「失礼だなあ、花形くん。僕だって知らない間に1人くらいはいるかも
しれないし」
「可能性あるんすか?」
「いや、ない…片桐くんは?」
「オ、オ、俺があるわけない! そんな順番を無視したケジメもない
無節操で無責任な行為!」
そんな会話の横で、岩井は小さくガッツポーズを決め、「良かった…俺は
そんな心配あり得へんし…」とつぶやく。
「待て待て。お前ら耳悪いだろ。俺は覚えがないって言ってんだ!」
「奥井絵美里に心当たりは?」と、いつもと変わらないクールな顔の
絵里子が鋭い口調で訊く。
野立は「それは…」と言葉を詰まらせ視線を泳がせる。
「ちょっと野立、これは取り調べよ。アンタ、重要参考人の関係者なんだから
過去のどんな小さなことも話しなさいよね。ったく、往生際が悪いんだから」
「ああ、これで出世の道もおしまいですね、野立さん。た〜いへ〜んだ〜♪」
と、ニヤけた顔の花形が、二人の顔を交互に見ながら山村たちにささやく。
「花形くん、呑気なこと言ってられないよ。野立さんが転落したってことは、
この対策室も安泰ではいられないってことだよ」
「せやな。俺らもじき解散や」
「ちょっと、アンタ達、自分の心配より事件の…」と言いかけた絵里子を
片桐がさえぎる。
「ボス、野立さんの事情聴取はボスにお願いします。俺たちは奥井絵美里
の仕事先に行って来ます。花形、行くぞ」
視線も合わせず片桐は花形を促し出て行った。
「俺らも周辺聞き込み行ってくるわ。オッサン、行くぞ」
「ああ、そうだね。なんか面倒に巻き込まれたくないし…」
「アホ! ハッキリ言うなや」
岩井と山村があたふたと出て行くと、あからさまに大きなため息を一つ
ついた木元も、「私も遺留品の分析に行ってきます」と言って出て行った。
対策室に残るのは、絵里子と野立、ソファですやすや眠る奥井美鈴だけである。
絵里子は野立の前に座ると頬づえをついてその顔をのぞき見る。
「で、覚えがあるのね? 奥井絵美里と」
少年のようにふてくされた顔の野立は上目使いに絵里子を見ると、観念
したようにガクッと首をうなだれた。
絵里子は子供と楽しげに写る奥井の写真をツーッと前にすべらせ野立の
視界に入れる。
「この女性で間違いないのね?」
野立は無言のまま、コクンとうなずく。
絵里子は大きなため息をつく。
「えりこぉぉ…」と消え入りそうな声を漏らす野立をキッとにらんだ。
「情けない声出してんじゃないわよ! まだ何もわかってないんだから。
しっかりしなさいよ、野立参事官!」
「えりこ…」と野立はかすかな希望の光でも見るように絵里子を見つめる。
絵里子はニヤッと笑って付け加える。
「まあ、首洗って待ってろってことかもね…やっぱアンタ、女でダメに
なる運命だったわね」
そう言うと、スッと立ち上がり野立に背を向けた。
「じゃ、美鈴ちゃんのお世話よろしくね。パ〜パ!」
「えりこぉぉ…」
野立のすがるような声が悲しげに対策室に響いた。
すみません、つじつま合わないとこ発見。
なので、ちょっと中断します。
◆スレチだけど捜査するか?
「あれぇ、美鈴ちゃんは…」
岩井が対策室に入ってくるなり空のソファを見て言った。
「目障りだから参事官室に行ってもらった」
「目障りって、アンタ、女やろ」
「情けない顔で力なくたたずむ野立が目障りなの。なんも役に立たないん
だから自分の娘くらい面倒見てもらわないと…」
「丹波さんにDNA鑑定するよう言われたのに、断ったそうです。こっちは
準備万端整えてるのに…」
木元が不機嫌な顔で口をはさむ横で、花形がニヤニヤとイジワルな笑顔
を見せる。
「やっぱり恐いんじゃないですかね。ハッキリと99.9999%親子って出るのが…」
「独身貴族からいきなり5歳の子持ちだからねぇ。僕だったら嬉しい。
なんか家にぱあっと華が咲いたみたいな…」
「恐いわ、オッサン、何考えとんじゃ。イタズラとかするんとちゃうか」
「失礼な。僕にだって母性本能があるんだから…」
「ないですよね、母性本能…野立さんには」と、花形が言うと、うんうん
と他のメンバーもうなずき合う。
「もう、野立のことはいいから! さっさと順番に報告しなさい」
絵里子の言葉に皆、いっせいに手帳を開いた。
「奥井絵美里は半年ほど前に現場のマンションに越してきています」と、
山村が口火を切る。
「仕事をしている様子もなく、そのわりにブランド物のバッグや服などを
身に着けて時々出かけているので誰かの愛人じゃないかと近所の奥様達の
間では噂されていたようです」
「引っ越してきて間もなく安田が出入りするのを見たっちゅう奥さんもいて、
愛人をかかえる男にしてはガラも悪いチンピラ風やし、絵美里が旦那に
隠れて付き合ってる浮気相手ちゃうかって話になっとった。ったく暇な
主婦の妄想には誰も勝てんわな」
「安田成人は、街でキレイな女の子に声をかけてキャバ嬢として店に紹介して
謝礼をもらうという、いわゆるキャバ嬢のスカウトマンでした。2年前、奥井は
安田の紹介で新宿のキャバクラに勤めていましたが、半年前に辞めています」
その花形の報告に片桐が付け加える。
「奥井と同じ時期に、安田が店に連れて来たキャバ嬢の伊藤愛菜とは親しく
していたようで、彼女の話では安田と奥井は付き合っていたそうです。
ただ安田とはうまくいってなかったらしく喧嘩が絶えなかったと。奥井絵美里
の実家とは連絡が取れていません」
「そう、木元は?」と言って、絵里子が木元を見る。
「現場からは、奥井絵美里の友人、知人らしい人物の連絡先など一切見つかって
いません。マンションの部屋からは一部の遺留品を除いて、3人の指紋が検出され
ました。被害者と美鈴ちゃん、残りの一つは奥井絵美里のものだと思われます」
「一部を除いてっていうのは?」
「はい。美鈴ちゃんのオモチャに…一つは美鈴ちゃんのもので、もう一つは絵美里
のものだと思います。ただ、指紋に2人以外の別人の指紋があって…重複指紋なので
完全なものではなく、はっきりとしたことは言えないのですが…」
木元が言いよどんだ。
「何、何でもいいから、あなたの感じたことを言って」と絵里子がうながす。
「はい…これは私の思い違いかもしれませんが、その指紋、形状がとてもよく
似ているような気がするんです…奥井絵美里の指紋と…」
「つまり、オモチャには奥井絵美里と美鈴ちゃん、それ以外の絵美里に似た
指紋があったってことね」
木元は「はい」とうなずいた。
◆母性あるかも?
仕事を終えた絵里子が慣れた手つきでマンションのドアを開けると、野立は
すでに帰っているようだった。
リビングでは、焦点の合わない目で宙を見ている野立がソファを背もたれに
して床に座り込んでいる。
ソファには野立のTシャツとボクサーパンツをはかされた美鈴が眠っていた。
「何着せてんのよ、野立ったら」
そこで初めて絵里子の存在に気付いた野立が「えりこぉぉ」と泣きそうな
声を漏らす。
「お前のパンティだと小さいからおなか冷やすだろ。だから俺のはかせた」
呆れ顔でため息を吐くと「はい、これ」と、絵里子は両手に持っていた
買い物袋を野立に渡した。
「女の子用の下着とパジャマ、あと着替えを少し。地どりの帰りに買ってきた」
「えりこぉぉ…」と取りすがろうとする野立の手をかわしキッチンに行くと、
絵里子は冷蔵庫からミネラルウォーターを出しガブ飲みする。
「泊まってく? 泊まってくよな、絵里子…なあ、泊まってってくれる…
んだよな…泊まってって…」
「うっさい!」と一喝すると、絵里子はニッコリと笑顔を見せる。
「とりあえず事件解決しないとね、後のことはそれからじゃなあい?
野立パ〜パ、ちゃんと娘の面倒みなきゃ! それじゃあね」
取りすがるように床に両手をつく野立にくるりと背を向けると、絵里子は
軽やかな足取りで野立の部屋を後にした。
中断します。
ヤバい。自分で読んでてもマジ面白くない。
逃げたくなってきた…いや、逃げませんよ。
終わらせます。エロ入れます(努力目標)
気長にまってます^^
とても面白いです。
書いていただけるだけで嬉しい。
読ませていただけて眼福でい。
なんか気を遣っていただいてすみません。
レスいただくと最後まで書かなきゃと心入れ替えられます。
では、相変わらずスレチを投下します。
◆エロパロなのにまた?
「え…絵里子…やっぱ、俺、やめとく…」
絵里子の背後に回り、一歩も進むものかと駄々っ子のように背中を丸める
野立がいた。
早朝、奥井絵美里の水死体が発見され、所轄は逃げ切れないと追い詰められた
末の自殺と見ていた。
容疑者自殺であっさり解決したことで、対策室の面々も多少拍子抜けした感が
あった。
その奥井絵美里の死体解剖の立会いに絵里子は野立を呼んだのだった。
絵里子は野立の腕をつかみ上げ解剖室のドアを開けると無理やり中に引き入れる。
異様な臭気が漂う無機質な部屋の解剖台の上に、奥井絵美里の遺体は横たわっていた。
冷静な瞳で遺体を見つめる絵里子の背中にピッタリくっつき、野立が肩越しに
目を閉じたまま半分ほど顔を出す。
「目、開けなさいよ…ったく!」と絵里子が眉根を寄せる。
恐る恐る片目を開ける野立がしばらく固まった後、急に絵里子の両肩をガシッ
とつかみ、顔を突き出した。
「な、何、頬ずりしてんのよ! バカ」
「…ない…」
「ないって…何が?」
「アザ…てか、入れ墨…胸に根性焼きのアザがあってそれを隠すのに彫った
赤い薔薇の入れ墨があったはずなんだけど…」
「はあ?…根性焼きって…」と言って、絵里子が向き直る。
「入れ墨…消したのか…?」
絵里子は野立の背中を押して遺体に近づかせた。
「よく見なさいよ。どこらへんにどのくらいの入れ墨があったの!」
「胸元…ここらへんに直径15センチくらいの…」と言って、指でさし示す。
「そんな大きな入れ墨ならこんなキレイには消せませんね。黒ならわりと
キレイになりますが、それ以外の色は完全に消すことはできませんよ」
解剖医が冷たく言い放つと、ニヤリと笑みを浮かべ野立を見た。
「他に何か身体の特徴で思い当たるものはありますか? よぉく見てもらって
かまいませんよ」
「いやぁ…他には…特には…」と言うと、ハハハッと乾いた笑い声を飛ばす。
「笑ってる場合じゃない!」と、絵里子は野立の首元をつかんで引き寄せる。
「入れ墨があったのが奥井絵美里で間違いないのね! アンタ、他の女と
間違えてるんじゃないでしょうね」
「あ、ああ…間違いない…」
「顔、よく見て。アンタが寝た女は本当にあの顔だったの? あの顔に入れ墨
があったの?」
野立は目だけを動かし遺体の顔を見る。
「顔は奥井絵美里だ…」
「どういうことよ…この遺体…誰なの…」と絵里子がつぶやく。
「双子の片割れじゃないかなあ…」
絵里子は「はあッ?」と叫びに近い声を出し、離しかけた野立の首根を引き
戻すとさらに強くつかみ上げる。
「双子って何よ、双子って!」
「いや、確か双子の姉妹だったって言ってたような…」
「なんでそんな重要なこと最初に言わないのよ!」
「いや、今、思い出したんだよ…確か孤児院で育って別々の家に引き取られ
たとか…可哀相な生い立ちだったんだよなあ…全く、気の毒になあ」
野立をつかむ絵里子の手がぷるぷると振るえ、首元をジリジリと締め上げる。
「胸の入れ墨より先に思い出せよ…てか、もっと前に思い出せよ!」
重低音の声を震わせそう言うと、絵里子は野立を突き放し部屋を走り出た。
「あの…解剖始めていいですかね」
呆然と絵里子の背中を目で追っていた野立に、解剖医の冷たい声が響いた。
◆そろそろ解決?
白いスーツに身を包み、薄化粧をほどこした清楚な女性が、法律事務所が
入るビルの中へ足早に入ろうとしていた。
「伊藤愛菜さん」と、声をかけられ立ち止まると、伊藤愛菜は一瞬、間を
置いた後、ゆっくりと絵里子のほうに振り返った。
「こんにちは。警視庁特別対策室の大澤です。法律事務所、行っても無駄
ですよ」
笑みを浮かべる絵里子の横で片桐が書類の入る茶封筒をゆっくりと掲げる。
「伊藤さん、家庭裁判所から養子縁組の許可は下りませんよ…多分」
「お話、うかがえますか?」
眉間にシワを寄せる伊藤を、絵里子が冷徹な目で見つめた。
取調室に入った伊藤は、決して腹の中を見せはしないとでも言うような
狡猾な空気をまとい、浅く椅子に腰掛け背もたれに体を預けると、視線を
ゆっくりと泳がせた。
「あなたのこと調べさせていただきました」と、絵里子が切り出しても
視線を合わせようともしない。
絵里子はかまわず続けた。
「安田成人さんと付き合っていたのは奥井絵美里さんではなく、あなた…
ですよね。あなたのアパートの住人が証言してくれました。足しげく通って
きて周囲にまで聞こえるような大喧嘩をするあなた達のことを…」
伊藤はフンと鼻で笑う。
「安田さんが殺されたマンションに住んでいたのは、奥井絵美里さんでは
なく里田由香里さん…もうご存知ですよね。でもね、里田さんと安田さんの
接点はないんですよ…あなたを介さない限り…」
「知らないわよ…刑事さんが何言ってるのか…ぜ〜んぜんわからない…
一体何のことかしらぁ?」
伊藤は、半笑いで絵里子を見る。
絵里子はビニール袋に入った一枚の便箋を差し出す。そこには「愛ちゃん、
ごめんね。美鈴をお願いします。絵美里」と走り書きがあった。
「これを娘を託した母親からの遺言書として弁護士さんに渡したんですよね。
でもね、お店の人も奥井さんが以前住んでたアパートの住人も言ってました。
奥井さんの代わりに美鈴ちゃんの面倒を見ていたあなたのことを…これは
ただの伝言ですよね」
「だから何? 入れ替わってたなんて知らないわよ。ひとりぼっちになった
美鈴ちゃんが可哀相だから引き取りたかっただけよ。絵美里に頼まれて休み
には美鈴ちゃんを預かってたこともあるし、純粋にあの子のことが心配だった
だけよ…刑事ってホント人の好意も疑う最低な人種よね」
そう言って、鼻で笑い飛ばす。
「奥井さんとかつて付き合ってたある男が言ってました。大金持ちの夫婦に
引き取られた双子の姉は養母が亡くなった後、養父と恋愛関係になり、幸せに
暮らしているらしいと…そう奥井さんは彼に話したそうです…でも、そんな
ことあるんでしょうか? …小学校の頃から体の弱い養母に代わって家の
ことを何でもする子供だったと。むしろ、近所では家政婦代わりに子供を
引き取ったんじゃないかと噂が立ってたそうですよ。そんな風に育った娘が
果たして養父に恋なんかするでしょうか。見方を変えれば、養母が亡くなった
後は、養父から体の関係を強要されていた…じゃあ、どうして奥井さんは
そんな里田さんを幸せだと思っていたんでしょうね」
絵里子は覗き込むように見ると、伊藤は体ごと横を向く。
絵里子は一枚の写真を伊藤の目の前に置いた。
そこには、可愛く笑顔を見せる双子の姉妹に挟まれ、無表情の少女が写っていた。
写真を一瞥しただけで伊藤は顔をそむけ息を乱す。
「真ん中の少女はあなた。二度と会わないという約束で実子として奥井家と
里田家に引き取られた二人にとって、双方の状況を知る手段は伊藤さん、
あなたしかなかった。当時の孤児院の方が言ってました。あなたは養父母を
ずっと待っていたと…絵美里ちゃんや由香里ちゃんと同じように、自分の
ことをいつか迎えに来てくれるパパとママを…ずっとずっと待ち続けていた」
伊藤は顔をゆがめ目をきつく閉じる。
「でも、引き取られた二人はそれほど幸せではなかった。お手伝いばかり
させられる由香里さん、引き取られて間もなく養父母に本当の子供が生まれて
しまった絵美里さん。二人をもっと苦しめるには…それはもしかしたら自分が
もらわれるはずだったかもしれないもう一つの家に行った姉妹がとても恵まれた
幸せな生活を送っていると思わせること。でもなぜ? なぜ、そこまで…」
そこへ、片桐が入って来て1枚のメモを絵里子に渡す。
絵里子はしばらくそれに目を落とし、視線を戻した。
「安田成人と里田由香里の体内にあった毒物と同じものが、あなたの部屋から
発見されました。あと数千万の現金の入ったバッグも…伊藤さん…同じ孤児院で
共に姉妹のように育った二人をどうして…」
「姉妹なんかじゃない…」と伊藤は低い声を震わせる。
「あの二人、まるで勝ち誇ったみたいに出て行った。哀れむような目で私を
見て…私も幼なかった…二人の絆を握るのは私しかいないって、二人に
会っては、互いのことを知らせたわ。でもね、二人とも会う度にこう言うの…
『まだ、新しいパパやママは見つからないの?』そして、養父母の悪口や
生活の不満ばかりを言う。別れる際には『ああ、孤児院のほうがよかった。
愛ちゃんはどこにももらわれないで幸せよ』って…真新しい服着て、靴だって
バッグだって…こっちはどこの誰が着たかわからない古着を着てるってのに…」
そう言うと、机に体を乗り出し正面の絵里子を睨みつける。
「どんな風に伝えたって私の勝手でしょ。由香里が裕福に暮らしてることを
伝えただけで、絵美里は自分の不幸を嘆いて勝手にぐれてくれたわ。由香里が
養父にレイプされたって同情する気にもならなかった。母親の手伝いがなによ。
裕福な暮らしをしてきたんだから当たり前じゃない。金があると思ったら借金
だらけだったって由香里から言われた時、絵美里が『レイプされた上に貧乏に
逆戻りで可哀相。自分は本当に奥井にもらわれてよかった』って哀れみながら
笑ってたって伝えたら簡単に殺したいほど憎んでくれたわ。養女に出された
その日から一度も会ったことのない妹をね。養父殺しで疑われるくらいなら
いっそ自分を殺して絵美里と入れ替わったらって言ったら簡単に乗ってきた」
彼女はしたたかな笑みを見せる。
「絵美里さんを殺す理由なんてあなたにはなかったのに、どうしてそんな計画を…」
「…安田はただのチンピラ。私の稼ぎで食ってるヒモ…それでも私の男だった。
なのに、絵美里を紹介したらもう夢中になって…子供が欲しい親も、男も、
どうして可愛くて笑顔を振りまいて要領いい女が好きなのかしらね。私みたいな
可愛くない女は誰も迎えにも来てもらえないし、男にも逃げられる…だから…」
「だから、安田に火事で入れ替わり大金を手にした由香里のことを話した」
伊藤はただ黙ってうつむく。
「あなたの予想どおり、安田は由香里を脅しに行った。そして助けを求めた
由香里に毒物を渡したのね」
「…後の始末は私がしてあげると言ったら、言うとおりに安田を殺してくれた…
私を金づるぐらいにしか思ってないアイツから開放された…やっと幸せになれる
はずだったのに…」
絵里子は、彼女の瞳が赤く潤み唇が震えるのをしばらく見つめていた。
「一つだけわからないことがある…私たちは、里田由香里の財産を引き継ぐはず
の美鈴ちゃんをあなたが何とかして引き取るだろうと想定した。でも実際は、
あなたの部屋から保険金はほぼ全額現金で出てきた。美鈴ちゃんを引き取る必要
はなかったんじゃない?」
伊藤は絵里子を見ると、自嘲の笑みを浮かべた。
「由香里は預金を全部引き出してひとりで高飛びするつもりだったの。美鈴ちゃん
のことなんかこれっぽっちも考えないで。あの子、孤児院に預けられちゃうじゃない。
そしたら、また新しいパパとママを待たなくちゃならない…」
「そうね…でも、美鈴ちゃんからママを奪ったのはあなたよ…」
絵里子を凝視する伊藤愛菜の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
◆マダァーーーーーー(・д・)ーーーーーーマダァ
花形がはあっとため息をもらし、「違ったんだ…美鈴ちゃんのパパ」とつぶやく。
「なんか残念そうだね。そんなに野立さんを窮地に立たせたいの?」と木元が訊く。
「いや、そういうわけじゃないけど…なんか面白くない展開って言うか、職人は
もっと頭ひねれっていうか…」
「バッカじゃないの」
二人のやり取りを聞いていた片桐が、コーヒーをすすりながら言う。
「美鈴ちゃんはアメリカ留学中の奥井絵美里の妹さんが連れて帰ったから、
とりあえず安心したよ」
「あの娘、若いのによう頑張っとるなあ。両親死んでもひとりで留学なんてちゃんと
自分の人生を生きとる」
「伊藤愛菜も由香里・絵美里の双子から離れて自分の人生だけを見て生きていれば
こんなことにはならなかったんだよ。幸せは他人と比べるもんじゃないからね」
山村の言葉に皆、うなずきながら黙り込む。
「憎しみとか嫉妬とかそういうのは増幅するものだから。小さかった伊藤愛菜に
とっては二人の何気ない言動が心に辛く突き刺さったクサビのようだった。二人
に会う度にそのクサビがどんどん伊藤愛菜の心の奥深くまで刺さっていって
しまったんでしょうね」
遠い目でそう言うと絵里子は、切り替えるように立ち上がる。
「さあ、もう今日はみんな、あがっていいから」
「よっしゃ、俺も自分の人生、生きるぞぉ! 花形、つきあえや」
岩井は花形の肩に手を回すと「いやですよぉ」と嫌がるのも聞かず、「お先ぃ!」
と言って出て行く。
山村も軽快な足取りでその後に続く。
「僕だって何回離婚しようと未来の結婚に向けて自分の道を行くのみだ。失礼します」
「じゃ、私も失礼します」
「あ、俺も帰る、木元、待って!」
絵里子に軽く会釈しただけで、片桐があたふたと木元の後を追って出て行った。
対策室でひとり帰り支度をしていると、静かにドアが開き野立が顔を出した。
一瞥しただけで黙っていると、野立がドアの前に立ったまま入ってこない。
「何? なんか用?」
「今夜、飲みに行かないかなあ…と思ってさ…久しぶりに」
「行かない」
即答した後、軽く息を吐き野立に笑みを向ける。
「…疲れたし…帰って寝る」
野立はゆっくりと数回うなずき、俺もお前の部屋に行っていいかと言いたい
のをぐっとこらえる。
「わかった…お疲れさん」
そう言うと、ゆっくりと絵里子に背を向け出ていった。
中断します。
解剖室で痴話喧嘩するとは、解剖医も困ったでしょうね。
とても面白いです。
気長に待ちます。
525 :
何かの番外編:2011/11/19(土) 19:01:07.44 ID:yaQo7LFS
えっと、何かやらなければってプレッシャーがある時、別のことが
やりたくなることってあるじゃないですか。
試験が直前に迫っているのに、やたら他のことがしたくなる…
いわゆる現実逃避ですかね。
熟♂熟♀の事件簿(スレチ注意報)待ってる人がいたらゴメンなさい。
需要あるかどうかわかりませんが、
>>497さんの書き込みに
お応えしてショートを作ってみました。
まとめに載せなくていいです>管理人さん
何かの番外編
◆屋上で
「あの…私、変なんです」
絵里子の前でうつむきながら木元が言った。
「変って…何が?」
「苦しいって言うか…ツライって言うか…」
「木元。あなたが何言ってるか全然、わからない。私がわかるように
言ってくれるかなあ」
木元は顔を上げ、つぶらな瞳を絵里子に向ける。
「野立さんのことです」
「野立?」
木元はコクンとうなずく。
「あの人、軽いんですよね…何て言うか、空気中に浮遊するホコリよりも…」
「ああ…本人は羽毛とか言ってるけどね」と苦笑する。
「簡単に『今日も可愛いね』とか『ステキだね』とか『今度食事に』とか
『デートしよう』とか…ああいうこと簡単に、軽々しく言われちゃってるうちに
私…頭がぐちゃぐちゃになって…段々意識しちゃって…それで苦しくて辛くて…」
絵里子は戸惑い気味に視線をそらし宙を見る。
「…野立のことを好きになっちゃった…てことなのかなあ」
「いえ、まさか!」
「じゃあ…」と言って、木元を見る。
「そうなりたくないけど、なっちゃったら取り返しつかないし…ホント、
ウザくて迷惑なんです…仕事にも集中でいないって言うか…」
木元は再びガクンと頭をたれる。
しばらく沈黙が続いた後、絵里子が「木元」と呼びかけると、木元は顔を上げ
真っ直ぐ絵里子を見つめる。
「わかった…木元、大丈夫。今後一切、木元にちょっかい出させない。私が
あなたを守るから」
木元のうるんだ瞳がキラキラと光る。
絵里子は優しい微笑みで木元を包んだ。
526 :
何かの番外編:2011/11/19(土) 19:07:20.49 ID:yaQo7LFS
◆参事官室で
「そういうことだから。よろしくね」
絵里子は冷たい口調で野立に言い放つ。
野立は呆れた顔で眉根を寄せる。
「よろしくねって、意味わかんねー。俺が一体何やったって言ってんだ?
挨拶だろうが挨拶。この警視庁中に俺から可愛いって言われて迷惑する女子が
いるわけないだろう」
「だから、それがアンタの思いあがりだって言ってんの」と、いらだつように
絵里子が顔をゆがめる。
「この世の中にはそういうことで傷つく若くて純粋な女の子もいるわけよ。
アンタの周りにいるようなハスッパな女ばっかじゃないの」
ニヤニヤしながら野立が「お前?」と指さすと、「のだてぇぇぇ」と声を震わせる。
野立は軽くため息をつく。
「誰が言ってんだよ、そんなこと」
「誰でもいいから、もう軽く女の子にちょっかいだすの止めろって言ってるの」
「…お前、もしかしてアレか…女の嫉妬ってやつか」と、ニヤけた顔で片目を閉じる。
「バッカじゃないの!」と言って、野立に背を向けドアを開けると、「しばらくうちに
来なくていいから」と言い捨て出て行った。
ひとり残った野立は薄目でドアを眺める。
「嫉妬だな、あれは…醜いねえ、いい年した女の嫉妬は…」とつぶやくと、ムフフフッと
含み笑いを浮かべる。
「ま、熟女の嫉妬も悪くはない…今夜はしつこくネチネチと…」
◆翌日の参事官室で
冷めた目で、机を挟んで目の前の絵里子を見上げる野立がいた。
「お前、昨日、どこ行ってたの…」
「え…ああ、飲み会があったからさ、遅くなって近くのホテル泊まった」
野立が目をむいて、椅子からガタッと立ち上がる。
「飲み会って、どこの!」
「対策室の。ずっと事件続きで皆、どこにも行けなかったし…まあ久々の慰労会ってやつ」
「な、な、なんだよ! お、俺、知らないぞ、そんなこと!」
「うん、だって知らせてないし」
「なんで、そこに俺が呼ばれない!」
「また軽いノリでちょっかい出して女の子から苦情もらいたくないでしょ」
絵里子があからさまに大きなため息をついて顔をゆがめる。
「で、用ってそのこと?」
「…」
「あのさ、忙しいんだからくっだらないことで呼びつけないでくれるかなあ、野立参事官」
絵里子は冷たく野立に背を向けると、振り返ることもなく参事官室を出て行った。
野立があらぬほうに目をやり、「女の子から苦情…?」とボソッとつぶやいた。
527 :
何かの番外編:2011/11/19(土) 19:16:44.34 ID:yaQo7LFS
◆廊下で
「ま〜みりん、今、帰り?」
木元の眉間に薄いシワが寄る。その目の前に、首を横に倒して可愛さを装い現れたのは
野立だった。
「昨日、飲み会だったんだってぇ。いいなあ…俺も行きたかったなあ…」とつぶやくと、
木元の耳元に顔を近づける。
「絵里子から色々お叱りを受けたんだけど…あれ、まみりんのしわざ?」
木元はクルリと野立に背を向ける。
「まみりん…まさかとは思うけど、俺を飲み会に呼ばないためにこんなことした?」
しばらくの沈黙の後、木元は野立に向き直る。
「野立さん、考えても見てください。伊丹や芹沢が中園参事官を飲み会にさそいますか?
伊丹や芹沢は中園参事官が主催する合コンとやらに行ったりしませんよね」
「誰だよ、それ…」
「『相棒』ですよ、テレ朝の。見てないんですか? あの性格の悪い内村刑事部長から
いつも記者会見を丸投げされるちょっとハゲ上がった人ですよ。あの中園参事官が
一般的に言われる参事官のあるべき正しい姿です。やたら部下の飲み会に顔を出しては、
勝手にボスの隣に座ったり、一緒の方向だからってボスと一緒に帰ったり…あり得ないです」
「…」
「参事官は黙って公用車で自宅と警視庁を往復してりゃいいんです。部下とはもっと
距離を置くべきです。野立さんケジメないんですよ、ケジメが」
野立は顔を横に向けると、
「ま、どうでもいいけど、伊丹や芹沢は中園にそんなズバズバ言わないけどな…」とつぶやく。
木元が打って変わって満面の笑みを浮かべると、カバンの中からピンクの可愛い花柄の
服らしきものを半分ほど取り出して見せる。
「野立さん、これ見てくださいよ…」
「何それ…」
「シルクのパジャマ…ボスとおそろいなんです。昨日ホテルのレディース宿泊セットで
ボスとお泊りしたんですよ」
ニッコリと余裕を見せる笑顔が瞬時に真顔に戻ると「失礼します」と言って野立に背を
向け足早に帰って行った。
その後姿を眺めていた野立が、「うっぜー…」と漏らす。
思い出したように携帯電話を取り出すと、おもむろに電話をかける。
「あ、片桐? お前さあ、まみりんとどうなってんの? …何ぐずぐずしてんだよ。
一気にガバッといっちゃえよ、ガバッと。おい、俺が伝授してやる。今日、飲みに
行くぞ…え? ケジメ? 順番? いいんだよ、そんなもん。とにかくだ! お前の
力でしっかりつなぎとめておけ!」
なりふり構わない野立の声が廊下中に響くのであった。
おしまい
面白いです!
個人的に落ち込んでいた気分がスーっと晴れました。
また期待してます。
レスどうも。
そんなもん書いてるなら途中のやつ仕上げてからにしろ
と思われてるんだろうなあとビクビクしておりました。
それに書き忘れましたが、エロなしでした。
それではラスト投下します。
今ひとつのエロ度なのでエロもどきってことで…
◆キターーーーーー(・∀・)ーーーーーーカナ?????
対策室を出た野立は大きなため息を一つつくと、参事官室に戻った。
仕事があるわけではなかったが、すぐに帰れる様子だった絵里子と鉢合わせすると
その腕をつかんでしまう気がして、少し時間をつぶしてから帰ることにする。
ひとりで飲む気にもならず、そのまま自宅マンションへと帰った。
絵里子は今、何を思っているだろうか…と考える。
奥井絵美里とのことは付き合う前のことだし、それを気にする絵里子だとは
思えなかった。
しかし、頭では理解していても、本能が…体が納得していないとしたら…
そして、そうあって欲しいとどこかで考える自分がいる。
そんな思いを巡らせながらエレベーターを降りると、部屋の前に絵里子が
立っていた。
不意打ちをくらい言葉をなくしてただ絵里子を見つめる。
「気が変わった…んだけど…鍵、忘れちゃって…」
絵里子は首をすくめてヘヘッと笑った。
野立は慌てて鍵を取り出すと、黙ってドアを開け絵里子を先に中へと入れる。
そこまで理性を保つのがやっとだった。
野立は入るなり絵里子の唇にむしゃぶりつき、乱暴に舌を押し入れる。
さして驚く様子もなく絵里子は野立の腰に腕をまわしその舌を迎え入れると、
互いの舌を追いつ追われつしながら激しくからみつかせる。
野立は手早く絵里子のシャツとジャケットを脱がせ、慣れた手つきでブラジャー
を外してぷるんと飛び出した胸を指で突起を挟みながらもみしだく。
その間、絵里子の手も休んではいない。野立のネクタイを緩め抜き取り、
シャツのボタンをはずして手際よく背広と一緒に剥ぎ取る。
ベルトを外してズボンを落とし、甘く起つ野立のそれを、長くしなやかな指を
からみつかせ優しく、そして激しく上下させる。
野立がスカートのジッパーを外し落とすと、その指先にガーターベルトが触れる。
薄目をあけて指でベルトを軽くはじかせ、そこで脱がすのをやめる。
軽くまぶたに手をふれ額から頭頂部へなで上げると、絵里子も薄く目を開ける。
互いに視線を合わせると一層激しく互いの口を求め合う。
野立は両手をパンティに滑り込ませ程よく引き締まったヒップを軽くつかんで
もみあげ、片手を前にまわしてツンと膨らみかけた蕾をグリグリと押しまわすと
秘唇へとスライドさせ中2本の指を湧き出る蜜の中へと滑り込ませ、かき回し、
その指を再び蕾に戻してグリグリといたぶる。
「うんん…んふっ…」とたまらず唇から漏れる声も息も野立の唇が飲み込む、と
同時に、乱暴に暴れる指にピクピクと反応して逃げる腰をヒップにまわしたもう
一方の手が引き寄せる。
パンティとガーターベルト、ストッキングだけの絵里子とパンツだけの野立が
互いに愛撫を繰り返しながらベッドへともどかしげに歩を進める。
ベッドを前に、野立は絵里子の太ももをかかえ上げるとパンティをずらし、
熱く煮えたぎる愛液あふれた秘唇の中へ、一気に自身をズブズブと飲み込ませた。
「うっ…んん…んぁ…」と一瞬、離れそうになる唇を野立は絵里子の頭に手を回して
押さえつけ、さらに強く吸い上げる。
そのまま勢いよくベッドに倒れこんだ瞬間、激しく突き上げられ絵里子の
肢体がのけぞった。
「んあッ…はあぁ…」
重ねてから初めて離れた唇を再び野立がふさぐ。
野立はゆっくりと腰を引き抜くと一気に奥深く貫き、またゆっくりと
引き抜き一気に貫く。
「んんぅ…ぅう…ん…」
貫かれる度に、唇が離れそうになる絵里子の頭を手で掻きいだき、もう片方で
胸をもみしだくと、ピンと天井を向いた突起を潰しひねりもてあそぶ。
次第に野立の動きが激しくなり、深く浅く深く浅く休むことなく腰が動かされる。
絵里子の中でピクンピクンと小さく痙攣が始まると、野立は動きを止める。
ようやく絵里子の唇を解放すると、その唇から荒い息がもれ胸が大きく隆起を
繰り返す。
野立は絵里子の両足をかかえ上げ、ストッキングの上から細いふくらはぎに
舌を這わせると、上体をやや離しては自身とつながる下着を着けたままの
絵里子の姿態を視姦する。
ピンク色に染まる頬、荒い息、なまめかしくシーツをつかむ長い指、汗でラメが
散りばめられたようにキラキラと光る肌、さんざんいたぶられ赤みを帯びても
コリっと固く上を向く胸の突起、愛液をまといツヤツヤと濡れ光る互いの茂み、
そこから翼のように伸びる長い脚にガーターベルトで留められた美しいレース、
視界に入るそのすべてが妖しく野立を誘う。
うっすら目を開ける絵里子にネチネチとイジワルな視線を送る。
「いやらしいな…絵里子…お前、すごく…淫乱…」
荒い息はさらに乱れ、絵里子の中がピクピクと軽く痙攣し野立を刺激する。
野立は絵里子の両脚をかかえ上げたままズズンと激しく腰を打ち付けた。
「んはぁぁ…はぁ…んんぁ…あぁぁ…」
そして奥深くで円を描くように腰を回し始めると、絵里子は苦しげに何度か
顔を左右にふる。
さらに激しく深く強く打ち付け、絵里子が絶頂を迎えると、絵里子の中で
きつく締め上げられた野立も低いうめき声とともに果て、その熱い脈動が
絵里子の中で響きわたった。
野立が絵里子の上に崩れ落ちると、その耳元でささやく。
「今日はしばらくこのままでいさせてくれ」
絵里子は飛びそうになる意識の中で、片腕を野立の首に回しその髪の間に指を
すき入れゆっくりと動かす。
「『のだてしんじろう』は姉の理想なんですよ…ちゃんと部屋まで送って
くれる人」
奥井絵美里の妹は絵里子にそう言って微笑んだ。
絵美里が派遣のコンパニオンをやっていた7年前に、とあるパーティで野立に
声をかけられたのだという。
「自分みたいな女にも気を遣って、初めて会ったのに何でも話せて、何でも
聞いてくれて、とても優しかったって。『なんで私なの?』って姉が聞いたら
絵美里って名前が気に入ったって言われて。すごくいい名前だって…だから
姉は、絵美里って名前でよかったって言ってました。『美鈴にその人が
父親だなんて言っていいの?信じちゃったらどうするの?』って聞いたら、
『美鈴のパパはママのお腹にあなたがいるってわかった途端いなくなった
最低な男だった、なんてホントのこと言えない。せめてもう少し大きくなる
まで自分の父親は立派な男だって思って大きくなってほしい。もう大丈夫だって
年齢になったら本当のこと言って謝る。それまで、名前借りるんだ』って…
『子供を育てるって大変だ。きっと他人の子なんてもっと大変だったはず。
今頃わかるなんて』って後悔してました。2年前の母のお葬式で会ったのが
最後になってしまって…もっと頻繁に連絡とればよかった…」
そう言って、彼女は泣いた。
女性がひとりで子供を育てるのは大変なことである。
自分と子供を捨てた男より、たった一晩、紳士的に接してくれた男の子供
だと思うことを心のより所にして、辛いことも苦しいことも乗り越えよう
としていた。
情事の後、部屋まで送ってくれたという、ただそれだけなのに。
その奥井絵美里のけなげな女心が切なくて悲しくて、絵里子の瞳から
大粒の涙がこぼれた。
「どうした、絵里子…そんなに感じたか? よかったのか?」
その品位に欠ける涙の解釈に、一気に現実に引き戻された絵里子は、
「ちょっと重いからさっさとどきなさいよ」と言って野立を突き放した。
「なんだよ、急に…お前が何考えてるかぜんっぜんわかんねー」
体を離した野立がふてくされたように口を尖らす。
「それよりアンタ、父親じゃないってわかってんのに、なんで最初に
言わないの」
「それは…」
「それは…何よ?」
「だから…」
「だから?」と語気を強める。
「…美鈴ちゃんが可哀相だろう。母親は容疑者で逃亡中とかさ、そんな
状態で保護施設に預けられるのはかなりトラウマになるぞ…まぁ、
まるっきり無関係ってわけじゃねえし、しばらく父親になっても
いいかなあって思っただけだ」
「ふうん…」と言って、絵里子が押し黙る。
不安そうに「怒ってるのか?」と聞くと、絵里子が首を縦に振った後、
横に振る。
「え? どっちだよ…」
「別に仮の父親になるのはかまわないけどさあ、なんで、そのこと私に
言わないのよ。私、一応、美鈴ちゃんがアンタの子供なら別れようとも
思ってたのに…」
「なんでッ!」と野立が素っ頓狂な声を上げる。
「お前は、そこで一緒に育てようとかならねえの?」
「ならない!」
「即答かよ…」とつぶやいて野立がしばらく考える。
「…じゃあ、ホントの子供産んでくれよ」
「なんで、私が!」
「はぁ? お前なんで、その答えなわけ?」
「じゃあ、どう答えて欲しいわけ。はいはい産みます、ボコボコとか?
バッカじゃないの」
「…お前…ホント、ニブ過ぎる」
絵里子はベッドから降りるとハンガーにかけてある野立のシャツをはおる。
「それより野立、お腹すいたー」
「ハイハイ、タマネギでも切って泣いてくるよ、俺は。それと、とっとと
それ脱げ。裸でいられるよりヤバいんだよ」
「そお? じゃあ、パンティだけ脱いでガーターベルトとストッキングだけ
ってのはどう?」
しばらく沈黙した後、野立が「それお願いします」と甘えた調子で言う。
「やるかバカ! バーカバーカ、野立のバーカ」
絵里子は背中越しにそう言いながら、バスルームへと消えて行った。
おしまい
530にタイトル入れ忘れました。
長々と失礼しました。
面白かったです。
書いていただいて嬉しいです。
読ませていただいて感謝です。
ありがとうございます。
重圧をかけてしまいますが
また書いて欲しいです。
心の清涼剤なもので・・・。
読むと凄く楽しくて幸福なんです。
投下いっぱいきてた!!
GJです。ねちっこく攻める野立最高。弱って甘えてきていた時とのギャップが萌えます。
番外編は木元完全勝利で面白かったです!!
GJ
甘える野立、誤解を受けても相手を守る野立、攻めるそしてへこむ野立と
楽しませてもらいました
絵里子の超鈍感っぷりもいいですね
わー萌えた!
野立と絵里子かわいい
最後らへんが特に2人らしくてニヤニヤした。GJです!
まだ規制されてるのかな?
ずーっと書き込めない(^^ゞ
あ〜っ!やっと書き込めた♪
>>492です
>>495 1週間ほど規制に巻き込まれたようでレス出来ませんでした
すみません
もちろん野絵基本で、三角関係は望んでません
ただ、木がそこに何らかの形で絡めば嬉しいという意味で・・・
こっそり付き合ってるのに、偶然木に見つかってしまって
慌てる二人とか
野に攻められる絵を木が庇うとか
野絵を見てる対策室メンバーの反応とか周りが絡むのが好きなんです
でも、野絵なら何でも嬉しい♪
何でも読みたい!
飢えてます(笑)
というわけで
こちらの希望はこの際どうでもいいです(笑)
作品の投下、心よりお待ちしてます
私も作品の投下を待ってます。
>>492さんは
>>497=500さんだと思ってました。
一応、「何かの番外編」は
>>492さんと
>>497=500さんから
ヒントを得て、気に入っていただければと思って書きました。
自分的には野絵プラス木元は新鮮な人間関係で、特に木元が
野立に中園を例に説教してるシーンは笑いながら楽しんで
書きました。
相棒見ながら、野立と中園が同じ位置なんだよなあ
といつも思ってたのでまみちゃんに言ってもらえて
本望って感じですw
遅くなりましたが感想いただいた方々、ありがとう
ございました。
野立隠し子騒動とガーターな絵里子を書くためにしては
長文で大量レスを消費したこと反省します。
私も作品の投下を待ってます。
作品の投下待ってます!
私も待ってます。
ガーターでちょっと気になった点を
普通はガーターベルトの上にショーツを穿くぞ
野絵です。
結婚も婚約もしてませんが、子作りの事を考えての行動をしている2人ですので、お気を付けください。
友人が病院に行った話を聞いて、妄想。
素人の超完全なる妄想の上で書いたことなので
「こんな方法は取らない」だとか「病院が変」「こんな看護師さんはいない」というのは見逃してください。
あと、野立がちょっと別の人と絡みますので、ご注意ください。
色々書きましたが、目を瞑れるぞーって方だけ暇つぶしにお読みください・・・・
絵里子と一緒に病院へと訪れたのは公休が重なったとある平日の昼間。
付き合う前から「一生沿い続けるならこいつだ」そんな意識がなかったわけじゃない。
無意識だったかもしれないけれど、そんな予感。
付き合い始めて、お互いに両親に話もした。
まだ婚約だとか結婚だとかそんな正式なものはなにもないけれど、傍に居続ける人。
そんな風にお互いに思っていたから。
でもそんな話を親にすれば当然出てくるのが
「子供はどうするんだ?」
そんな話で。
そりゃぁ40過ぎてお互い独身で一度も結婚してないんだから当たり前の話題かもしれないけれど困った。
一生傍にいる、形はわからないけれどずっと。
でもそれがもう一人増える?
そんな想像は全くできなかった。
ただ、形だけでも一応、子供ができる体質なのか病院で調べるか・・・
みたいな話になって、なんとなく2人でここにいる。
「無理だって・・・・・・」
手を洗うためだろうか、洗面台と古びたソファに机、そしてTVが置かれただけの小さな部屋。
そこに閉じ込められた俺は独りごちた。
机に置いたシャーレに左手には雑誌、右手には自身を握って。
「こんな環境で勃つかよ・・・・・・・」
看護師の可愛いお姉ちゃんにいかがわしい雑誌とシャーレを「これに入れてくださいね♪」と渡された時には驚いた。
絵里子がどんな診察を受けているのかわからないけれど、こんな検査までするのか。
DVDが必要なら部屋に置いてありますからって、
2人でえっちしてください、とかならわかるけど(いや、病院でそんな事言わないか・・・)
でも、独りで抜いてこいってそんなん言われるなんて想定外だった。
こんな場所で抜くなんて中坊じゃあるまいし・・・・雑誌やDVDを見る気にもなれない。
いや、若くないのを自慢するわけじゃないが、もう40過ぎた男に向かって無理言うなと言いたい。
だったらさっきの可愛い看護師のお姉ちゃんをあてがってくれ、そしたらきっと勃つに違いない。
多分。
この状況だと自信ないけど・・・・・・
「野立さーん、どうですか?」
こんこんとノックがされ、ビクっとさらけ出されたままの下半身を思わず手で隠す。
「え、えぇっと・・・・?」
「出そうですか?」
「あー・・・・いや、その・・・・・・・・」
「無理そうですか?」
「は、はぁ・・・・・・・・」
「お気になさらないでくださいね、みなさんそうですから」
ガラっと扉が開いて、あの可愛い看護師さんが入ってきた。
歳は20代後半くらいだろう、目がくりっとしててぽてっとした唇を持っている、身長は160センチちょっと。
細身ではあるが、胸がそれなりにあって柔らかな曲線を描いている。
って、今はそんな冷静に観察している場合じゃないこちらは手で隠してはいるけれど、下半身が丸出しなのだ。
「うわっ!!!」
「大丈夫ですよ、見慣れてますから♪」
なんつぅ事を言うんだ、この子は。
足首まで下げられたズボンや下着を上げることすらかなわずに硬直したまま下を向く。
「お手伝いしますね?」
え?と聞き返すこともできずに腰に左手を添えられ、右手で俺の腕を優しく払われた。
驚いて何もできないままに、握られる俺自身。
「うわっ」
そのソフトな握り方に男を熟知したような手の動き。
思わず反応した俺に可愛い看護師さんが怪しく笑う。
「おっきくなってきた」
舌舐めずりすら聞こえてきそうなその妖艶さに酔わなかったといえば嘘になるけれど、
それでもこのまま続けられるのは耐えられなくて、可愛い看護師さんを軽くだったが突き飛ばす。
あぁ、俺はフェミニストだと自負してきたのに。
「え、絵里子を・・・彼女を呼んでくださいっ」
気が付いたら、唖然とし、尻餅をついたまま見上げてくる彼女に向かってそう叫んで、慌ててズボンと下着を上げていた。
これ以上見られてたまるか。
それから5分くらい経っただろうか。
出てく時の看護師さんの目、冷たかったなぁ・・・・
だとか、なんか情けないなぁ・・・だとか落ち込んでいた俺の耳に控え目に「こんこんこん」という扉をノックする音が聞こえてきた。
「はい」
「私、入っていい?」
「うん」
絵里子の声が聞こえたことに妙にほっとして涙がちょっと出た、男っていうのは案外デリケートな生き物なのだ。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
近づいてきた絵里子の腰に手を回すとぎゅっと抱き着く
そんな様子に何を感じ取ったのか、ソファに座ったままの俺の髪を絵里子の手が優しく梳いた。
「看護婦さんが「あちらの部屋で旦那さんが待ってるから行ってください」って。そうとう冷たい感じだったんだけど、あんた何したのよ?」
「俺が襲われたんだぞ、優しくしろ」
「なによ、それ」
絵里子も俺の様子から、看護師さんをナンパしただとか無理やりなにかさせようとしただとかは思ってないのだろう、声が優しい。
ただ、何かあったようだという事だけはわかったらしく、事の顛末を話す事にした。
「・・・なによ、据え膳を喰わなかったの?」
「おま・・・・えなぁ、彼氏にそういう事いうか?」
「だってあんたがそんな殊勝な・・・・・」
ぷっと笑う絵里子を睨み付ける。
俺って信用ないんだなぁ・・・・・・とちょっと傷ついた。
「あのなぁ、男だからそりゃあんな事されれば勃つし、
声もでちゃうよ?その前には「可愛い看護師さんの手だったらすぐ勃つのに」とか思ったし」
正直に言えば、そういう妄想はいくらでもする。
可愛い子は大好きだし、ムラっとするし。
「でも俺は人間だから「理性」っていうもんがあるわけよ」
「あんたに理性?」
「おい・・・・・・・・」
「嘘よ、じょーだん」
「だからさ、なんつーか・・・そのな?絵里子以外の女の子手でイクとするじゃん?そりゃぁその時は気持ちいいよ?
天国かもしんないけど、その後どうするよ、理性がある分罪悪感とか残るじゃん?俺はそれがいやなの。」
貞操を守ると言えばかっこいいかもしれないが、そんなもんじゃない。ただ自分が嫌なだけだ。
身体だけ気持ちいいなんて昔ならそれでよかったけれど、
今は心まで気持ちよくなりたい、身体だけの気持ちよさで罪悪感など持ちたくない。
ぎゅっと、より一層絵里子にしがみつく腕に力を籠めたら優しく頭を撫でられた。
狩った事のない女の子にむぎゅっとされるのはそりゃぁ気持ちいいだろう、オスとして。
でも、こうやって狩ってしまった獲物で満たされた男には男なりの楽しみ方があるのだ。
「ちょ、ちょっとなにしてんのよ!?」
「んー・・・?」
腕でがちっと絵里子の腰をホールドして、鼻頭で絵里子の慎ましい胸をくいくいいじる。
コートは脱いでいるけれど、ブラにスリップにブラウス越しでは柔らかさは感じられない、でもそれがまたいい。
裸では味わえない胸の感触を堪能しながら、ふんわりとした膝丈のスカートの中に手を滑り込ませる。
診察の事も考えたのだろう、ストッキングなど余計なものは一切なく、すべすべとした素肌を味わう。
「や、やだ、野立っ」
手がショーツ越しに絵里子の柔らかいお尻に到達すると、焦ったように手を掴んでくる。
その様子にニヤっと笑った俺は、自分の下半身に意識が行った絵里子を1人掛けのソファに押し倒しそのまま唇を奪った。
「ん・・・・・ふ・・・・・・・・・」
こんな少し無理やりなエッチは慣れた男女しかできない。
少なくとも俺はできない。
どこまでなら大丈夫で、どこからはダメなのか。
どうやったら彼女が感じて、俺も気持ちよくなるのか。
駆け引きも、イヤよイヤよも、本当に慣れ親しんだ体だからわかる事が沢山ある。
唇を吸って、舌を絡めて。
段々と抵抗がなくなり、身体に回される細い腕が心地よい
「絵里子」
耳元で低く囁けば、入ってくる息がくすぐったかったのか、身をよじる。
そんな様子を可愛く思いながら、ショーツを一気に脱がした。
「あっ!」
びくんと起き上がった絵里子を押さえつけ、ソコに顔を埋めるとソファと俺に挟まれて身動きの取れない絵里子がかすかなうめき声をあげる。
舌を差し込むと既に潤い始めた中が熱を持って迎えた。
「や、だめっ・・・だめだってばぁ・・・・」
外に声が聞こえるのが嫌なのだろう、自身の手を噛んで耐える絵里子が愛おしく、より加虐心が煽られる。
なめらかな内腿をきつめに吸い、いくつも痕をつけ、また中心に唇を寄せてじゅるっと音を立てて吸い付いた。
「んぁ・・・・・・・」
熱を帯びた絵里子が踵で俺の背中を蹴る。
その踵には全然力が入っていなくて、止めたいけれど止められない絵里子の気持ちとシンクロしているようだった。
「絵里子、挿れるぞ」
本当はもっと触り合ったり、揉んだりさすったり、痕をつけたりしたいところだけれど今は時間がない。
独りでしていた時とは打って変わって勃ち上がったものを下着から取り出すと入口にあてがった。
「あっ・・・だ、だめよっ」
「もう我慢きかない」
「だって・・・それに出さないとでしょ?」
「わかってる、出すときはそのシャーレに出すから」
「でも・・・・混じっちゃうじゃない・・・?」
「・・・ん?あぁ、絵里子のと?」
「・・・・・うん・・・・・・」
「大丈夫だよ」
「でも・・・・・・あっ!!!」
検査がどうなるとかはわからなかったけれど、聞かないふりをして中にぐいっと入り込んだ。
普段ほど時間をかけていないからまだとろけきっていない絵里子の中は少し狭い。
「んっ・・・・ぐっ・・・・・・・・・」
やはりというか、十分に濡れているとはいえ、苦しかったのかうめき声が聞こえ、少し心配になる。
しかし様子を見る限り痛いわけではなさそうでほっとし、ゆっくりと腰を動かし始める。
ぐちゅぐちゅと水音が響く中で必死に声を殺す絵里子、
その箍を外したくなるが、それをしたらさすがにまずいと抑える自分。
そんな状況により煽られて、狭いソファの上でお互いを感じ合う。
時間がないとわかっていても、体位を変えて、絵里子の好きな対面座位で何度も何度もキスをする。
こんな風に抱っこされるのが好きな絵里子をあいつらがみたら卒倒するかもしれないが。
「絵里子いい?俺もうイキそ・・・・・」
「ん・・・・・・あっ・・・・・・」
座位のままでは自由に動けない、ソファの背に手を置かせて後ろからラストスパートをかける。
「あっ!やっ!!もう・・・・・んぁあっ!!!」
中でぎゅっと掴まれる感覚がし絵里子がイった事がわかる
その自身に起こる快感にそのまま中で放出しそうになったが、なんとか提出用のケースを手にとり自分が出したものを収める事ができた。
「あっ・・・ぶねぇ・・・・・・・」
この年になって毎回エッチの度に頭が真っ白になるなんて事はないが、でも危なかった。
というか、ぶっちゃけ忘れていた、採精の事を。
絵里子も途中から忘れていたのだろう、ガンガンに声を出していたし。
あぁ、多分聞かれてただろうなぁ・・・別にいいけど。
あんな風に襲ってくる看護師さんも悪くはないけれど、ちょっと見せつけたい気分もしたし。
手早く後始末をして、もう一度抱き合う。
狭いソファだから抱っこの姿勢でまたキスをする。
「ねぇ、絶対聞こえてた・・・・・・」
「そだな、でも、いいじゃんよ別に」
「でもさぁ・・・・・」
「だって、どうせここ出す場所だぜ?だったら1人で出すのも2人で出すのも一緒だろ」
「一緒じゃないわよ、この変態っ」
「お前だって気持ちよさそうだったじゃんかよ」
「なっ・・・・・違うよ、ちょっと・・・あんたが1人じゃダメそうだったから」
「ふぅ〜ん?」
そんな甘い顔で憎まれ口を叩かれても全然こたえない。
むしろよりキスをせがまれてる気になってちゅっちゅっと音をたてて唇を吸う。
「もう・・・・・」
ぽてんと俺の胸に頭を預けてくる絵里子にはBOSSの面影などは一切ない。
病院じゃBOSSもただの女性だ、でも自慢したくなる。
あの男勝りな(んでもって時々おっさんにもなる)絵里子がこんなに可愛い顔すんだぞって。
あ〜幸せだ。
少し休憩してからシャーレに蓋をして名前を書いたものを提出しようと部屋を出ると
あの可愛い看護師さんの冷たい視線が痛かったけど気にしない、いいんだ幸せだから。
絵里子は駆け足えっちだったのがちょっと不服だったのか
もっといちゃいちゃしたいって全身で伝えてくるし(本人は無自覚だろうが、それは家に帰ったら全力で応えてやる)
恥ずかしさがあるらしく今も俺のそばから離れない。
ん?釣った魚に餌やってどうするって?
いいんだ、いいんだ幸せだから♪
以上です。
書こうと思ってたこととかなりズレてしまいました・・・・
ただ、2人を病院でいちゃこらさせたかっただけなのに、なぜこうなったのか。
素人の妄想なので色々お許しください。
それでは駄文失礼、お読みいただいた方ありがとうございましたっ。
職人さん待ってましたーーーー‼
ご馳走様です!
素晴らしいシチュ!
とても楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます、。
凄くいい。
野絵のイチャイチャ最高!
ごちそうさまでしたw
久々来たけど、ここの住人4人くらいか。
スレ終了近い?
賑わってた頃が懐かしい。
SPでもあれば戻ってくるかもね。
559 :
sage:2011/12/01(木) 07:17:53.35 ID:XoLMHjly
ロム専多し!!
久しぶりにここに来て素敵な作品を沢山読ませていただき
また野絵病が再燃してしまいました
まとめスレにあります「野立持ち帰り事件」という話の続きをかきましたので
近々投下したいと思っています
ドラマチックでもなんでもなく、ひたすら野絵
エロありですが、エロいかどうかは解りません
両目線一気に書きましたので、かなり長いです(20コメほど)
無事投下できるか心配ですが、よろしくお願いします
楽しみにお待ちしております!!
楽しみにしております!!
待ってます!
564 :
初めて (1):2011/12/03(土) 02:06:57.98 ID:DtAuvQGT
(野立持ち帰り事件・続編)
「ガードマン人形の代わりに、今夜は一緒に寝てくれませんか?絵里子さん」
あたしは野立の恋人になった。
ソファで抱き合いながら、溺れそうなほど深いキスを受けとめる。
息ができない・・・顔が・・熱い・・・胸が苦しい。
吸い付く野立の唇の音・・・生き物のように絡まり跳ねる舌の動き。
溢れる唾液が零れそうになると・・・口角を舐められかすめ取られる。
なんて淫靡なキス・・・なのに、無駄の無い動き。
翻弄されて、ただ受け止めるしか出来ない。
・・・すごく、慣れてるよね?
当たり前だよね?相手はあの野立なんだもん。
これって・・・やっぱり熟練の技ってやつ?
だめだ・・・これじゃぁやられっぱなしだ・・・。
クラクラする頭の中がだんだん冴えてきて、なぜか抗っている。
これからあたしたち、本当にしちゃうの?
今夜の急展開にはまだビックリだけど、恋人なんだからこの流れは自然な事で・・・嬉しいし・・・
でも、野立に全てを委ねてこの状況に酔いしれることが出来ない。
さっきは浮かれて勢いでOKしちゃったけど、生々しい野立のキスに、だんだんとたじろぐあたし。
だって・・・だって、こんなのすごく久しぶりなんだもん!
この10年振り返ったって、あたしの男性経験なんてそりゃぁもう寂しいもので。
・・・だめだ・・・いい歳になってても、まったく慣れていないこの状況。
心臓は早鐘を打ち、止まってしまうんじゃないかってくらい苦しい。
このままで最後まで、あたしもつのかな?
・・・やばい、やばいって!
なにがやばいのか解らないのに焦る。
不意に唇が離れた思ったら首筋に吸い付かれ、そのまま耳元まで舌が這い上がってくる。
髭の感触にゾクリとして思わず・・・
「はぅっ・・・ぁんっ・・」
甘い声が漏れて慌てる。
とっさに体を離そうとして、野立と目が合う。
端正な顔・・・茶色く澄んだ瞳に射すくめられ、またぎゅっと目を閉じる。
なななんなのあの目は・・・なんなの!?
この男、こんなに・・・か、か、かっこよかったっけ!?
今更見慣れたはずの野立の顔に秒殺されるなんて、ほんとにあたしはどうかしちゃってる。
いつか見た・・・ていうかいつも見てる、野立のまわりを女の子たちがキャーキャーと囲んでいる光景が目に浮かぶ。
・・・そりゃあもてるよね・・・
いろんな女の子たちにこんなことやあんなこと、してきたんだよね・・・。
・・・・・・・・ちょっと待ってよ、あたし42なんだよ?
どう考えてもあの子たちとは違う。
野立はずっと好きだったって言ってくれたけど・・・この先のことは、がっかりさせちゃうんじゃないかな・・・。
今日は20年の恋が醒める日だったりして。
・・・ああ・・・しかも今日の下着、可愛くないやつだ。
やだ・・・昨日はお気に入りだったのに・・・もうっ・・・。
565 :
初めて (2):2011/12/03(土) 02:09:12.79 ID:DtAuvQGT
「・・・絵里子、どした?」
啄ばむように頬にキスをしていた野立に呼びかけられ、薄目を開ける。
「すごいしわ。戻らなくなるぞ」
野立はしかめっ面で、眉間を指でなぞってくる。
それで、自分も同じ顔をしているのだと気付く。
「・・・かもね、だって・・・アラフォーだもん」
ひどい顔よね・・・こんな時に。
「なんだよ、気が変わっちゃった?」
少し不安げに聞かれて、ううんと首を振る。
だったら・・・とまた寄せられる唇を掌でさえぎる。
「ねぇ、あ、あのさ・・・シャワー浴びてきてもいい?」
とにかく頭を冷やして、気に入らない下着だけでも脱ぎたかった。
「いいよ、このままで」
「あたしがよくないの・・・ね?」
「んー・・・ダメ、逃げられたくない」
「逃げないわよ」
野立はまたぎゅっと私を抱き寄せ、嫌だね・・・と呟いた。
「やっと捕まえたチョウチョなんだ・・・」
優しく髪を撫でて、フフッと笑う野立。
チョウチョ・・・?ああ、一時木元がよく言ってたわよね。
いつだったか・・・女の子の事を蝶に喩えて、皆で話した事を思い出した。
女の子・・・またさっきのモヤモヤが頭に浮かぶ。
566 :
初めて (3):2011/12/03(土) 02:11:12.23 ID:DtAuvQGT
「・・・もうチョウチョじゃないわよ」
「ん?」
「ていうか、蛾・・・かもよ、もともと・・・」
ため息をつく私の顔を、野立が覗き込みまじまじと見つめる。
「あ、モスラね。だよなー、絵里子は最強の大物だから・・・」
「そんなにでかくないからっ」
間髪入れずに突っ込んで、笑う野立を睨みつけると、優しい笑顔をしていた。
「・・・どうしたんだよ。何気にしてんだ?」
怖いの?って尋ねる、低くて穏やかな声・・・少し気持ちがほぐれた。
「そうじゃないけど・・・緊張しちゃって。こんなの、久しぶりだし」
いい歳してって思ってるでしょ?って膨れると、いいや・・と言って頬を撫でてくれる。
なによ・・・優しいじゃない・・・調子狂っちゃう・・・
「そう・・・もう若くないもん私。それにさ、急にこんな事になっちゃって、今日の下着・・可愛くないし・・・」
野立は少し呆気にとられた顔をして、それからまた噴出して笑った。
・・・やっちゃった、つい言わなくていいことまで言っちゃったじゃない。
「笑わないでよ!女には大事なことなの!」
恥ずかしくて、怒るしかない。
「いや・・・お前さぁ・・・」
まだククッと笑いを堪える野立がなんだか憎たらしい。
「俺は、勝負下着なんて見飽きてるの。むしろそそられるねぇ・・・そういう抜けた感じ?」
ニヤニヤして・・・ムカツク。
「今、お前が平助さんでも抱けるぜ、俺は」
「う、嬉しくないから!それ」
変態なんじゃないの?あんた。
「それにさ、今日は俺が脱がせるって決めたから。なんでもいいんだよ・・・とにかく脱がせたいの!」
強く言い切る野立。
なんでそんな必死なのよ・・・と思いながら、脳裏に酔っ払ってポイポイ脱ぎ散らかす自分の姿が浮かぶ。
あの醜態・・・何度野立の前で晒したことか。
・・・今更下着にこだわる仲でもないのね・・・と落ち込んでいると
「なぁ、じゃぁ俺も聞くけど・・・」
問いかけに顔を上げる。
567 :
初めて (4):2011/12/03(土) 02:13:37.67 ID:DtAuvQGT
「この家に、アレはあるのかな?」
「アレって何よ」
「いやさ、俺今日持ってないから。野立会でもなかったし。まぁ・・無くてもなんとかするけど一応・・・な」
今日は俺もどうなるかわかんねぇし・・・とかブツブツ言っている。
・・・・・?
あ?あ、あ、アレね!
「あ!アレなら無いけど大丈夫、ピル飲んでるから」
少し驚いたような野立が口元に手をやり、意外そうに「そう・・・」と呟いて黙り込む。
「ちがっ!違うわよ、そのためにじゃないわよ、働く女がいちいち体調に左右されるわけにはいかないでしょ?!」
またあたふたしてしまうあたしを抱き寄せる野立。
「わーかってるって。ムキになるなよ・・・」
そのまま立たされて手を引かれる。
「じゃぁさ、そろそろベッド行こうぜ・・・」
・・・あれ?で、シャワーはどうなったんだっけ?
なんだかんだで、また野立のペースに乗せられてしまう。
肩を押され、ベッドに腰掛けると、逃げるなよとでも言うように目配せをして、体が離れた。
ワイシャツのカフスボタンを外しながら、キッチンと部屋全体の照明を幾つか消して、ベッドサイドのライトを調節する。
ほんわりとした明るさが、部屋の空気を甘くする。
・・・うん・・・恥ずかしいか、恥ずかしくないか、なんとも絶妙な明るさね・・・あのさ、ここ私の家なんだけど。
とか後ろ姿に突っ込んでいると、野立がこれまたなんとも色っぽくシャツを脱ぎ捨てる。
細身ではあるけれど、無駄の無い筋肉をまとった背中に見とれる。
本当にいい男なんだね・・・あんたって・・・
またドキドキして苦しくなってくる。
振り向いた野立と目が合わせられない。
ゆっくりと近づいてきた野立が、私の前にしゃがみこむ。
「ではでは」
嬉しそうにそう言うと、セーターに手をかけ、バンザイするみたいに脱がされる。
一枚一枚剥ぎ取る度に、大丈夫・・とでも言うようにキスされて・・・嬉しいけどやっぱり悔しい。
「念願叶って、満足?」
すべて脱がされて、恥ずかしくてまた強気に出てしまう。
ごめん・・・あたしって、可愛くない女だよね・・・。
568 :
初めて (5):2011/12/03(土) 02:15:45.79 ID:DtAuvQGT
やっぱり恋には奥手な絵里子が、キスを受けながら固まってしまった。
ま・・・俺も感動のあまり、いきなりがっついて濃いキスをしすぎたかも。
シャワーだなんだって、とりあえずその場を逃れようとする絵里子を抱きしめる。
嫌だよ。
この期に及んでお前の気が変わったら、もう俺立ち直れねーし。
すぐに触れられる距離にいながら、ずっと遠かった。
やっと・・・ここまで来たんだ。
全部俺のものだって感じたい。
だけど・・・やっぱりそう思っているのは俺だけなのか?
こんな俺の想いは・・・お前を怖がらせたりしてるんだろうか。
なんだかんだと言い訳する絵里子は、相変わらず不器用で笑えてくる。
でも、その気になってくれない絵里子に不安になって、怖い?と尋ねてみた。
「そうじゃないけど・・・緊張しちゃって。こんなの、久しぶりだし」
その発言は嬉しいけど、ほんとにそれだけか?
だが、そんなことを気にする絵里子は可愛いな・・・。
自信満々ないつものお前はどうしたんだよ。調子狂うじゃねぇかよ。
「そう・・・もう若くないもん私。それにさ、急にこんな事になっちゃって、今日の下着・・可愛くないし・・・」
・・・なんだよそれ・・・たまんねぇぞ!
こいつは全然解ってない。
どんだけ俺を夢中にさせるんだよ。
ああ・・・もう絶対逃がしてやんない。
そういや俺も、今日は相当きてるから・・・自信ねーな。
絵里子が帰国してから、全然女抱いてねーし。
ここは・・・ちゃんと確認しとかなきゃな。
569 :
初めて (6):2011/12/03(土) 02:18:55.31 ID:DtAuvQGT
「あ!アレなら無いけど大丈夫、ピル飲んでるから」
お前・・・テンパってる割にはすごい事ズバッと言うのな。
てことは・・・かなりやばいぞ・・・
やばいからもうとりあえずは考えないようにしよう。
天然な絵里子の発言に心乱された俺は、とりあえず落ち着こうと絵里子から離れた。
服を脱ぎながら、部屋の照明を調節する。
絵里子を見ると、自分の家なのに緊張してベッドの上で正座している。
そんな不器用な絵里子に、片桐かよと突っ込みたくなった。
気持ちをほぐすように・・・キスをしながら脱がせていく。
「念願叶って、満足?」
バカヤロウ、真っ赤な顔して、何強気に出てんだよ。
なんでそんなに可愛くすんだよ・・・。
愛しくて・・・抱きしめたまま二人でベッドに倒れこむ。
絵里子と隙間もないほどピッタリと肌と肌を重ねる。
しっとりと吸い付くようで、壊してしまいそうなほど細い・・・。
お前の体って、こんなにも女だったんだな。
男も震え上がる最強の女。
そんな鎧を着て闘ってるお前が、決して強いだけの女でない事は、俺が一番知っている。
そんなお前にこれまで・・・俺は何をしてやれただろう。
力を持って、お前の生き方を支えてやりたい。ずっとそう思って走ってきた。
でもこうやって抱きしめてみると・・・無力だったと思えるほど、これまでの自分が悔やまれる。
もっと守ってやりたかった。もっと支えたかった・・・ずっと・・・。
押さえが利かないような欲情を感じながら、感情を抑える事に慣れた自分がそれを抑制する。
俺は怖いんだ。
これ以上こいつを愛しすぎる事が・・・そして失うことが。
自分から踏み込んでおいて、なんなんだ俺は・・・。
守りたいと強く思いながら、この期に及んで恐れる自分に気付き、俺は動けなくなる。
570 :
初めて (7):2011/12/03(土) 02:21:46.87 ID:DtAuvQGT
覆いかぶさってくる野立の重みが心地いい。
男に包まれる安心感に、眩暈がしそうになる。
背中に腕を回して、ピッタリと抱き返す。
顔を上げた野立が、触れるか触れないかのキスをして・・・受け止めるけど、なぜかその先には進んでこない。
少しの間が不安になって、薄く目を開ける。
見た事もないような、切なく惑う目をした野立がいた。
「・・・どうしたの?」
「ん?・・・いや・・・まいったな・・・」
「・・・やっぱ私となんて、無理?」
「バカ、ちげーよ」
「?」
「・・・情けねえよな・・・どうしていいか解らなくなった」
「あんた、やりかた忘れたの?」
「んなわけないだろ!今まで何人・・・ま、いいや」
「・・・だよねぇ・・・」
「・・・でも・・・お前みたいな女は初めてなんだよ」
「え?」
「久しぶりどころか、初めてなの」
「は?」
「だから・・・俺も・・・」
なんて顔してんのよ。
つまり・・・そういうこと・・・なの?
「あんた、バカじゃないの?」
愛しくて、たまらなくて、野立の頭を抱き寄せる。
「いい歳して、笑っちゃうね、あたしたち」
「・・・だな」
野立も笑っている。
「決めたって言ったでしょ?恋人になるって」
「・・・言った」
「あたしが決めたんだから、もう進むしか無いんだって」
「・・・ったくお前、なんでそんな上から・・・上司に向かって」
この気持ちを伝えたいけど、やっぱり可愛くなんてなれない。
野立の髪を撫でながら気付く。
そうだ・・・まだ言ってなかったよね・・・
「あたしさぁ・・・あんたのこと・・・相当好きみたい」
見下ろす瞳に誘われるようにキスをした。
「だから・・・いいから・・・野立、あんたの好きにして・・・」
野立の顔がくしゃりと歪んだ。
「知らねーぞ、どうなっても」
泣きそうな顔してそんな脅し言ったって、怖くないから。
切羽つまったような獰猛なキス・・・野立・・・あんたそんなにあたしが好き?
571 :
初めて (8):2011/12/03(土) 02:23:56.41 ID:DtAuvQGT
動けなくなった俺に気付いた絵里子が、不安げに見つめてくる。
「・・・どうしたの?」
その声が優しくて・・・かっこつけたいのになんて言っていいか解らない。
違うって・・・好きなんだよ、絵里子。
もうどうしていいか解らないくらいに。
それなのに、お前はまた頓珍漢な勘違いばかりして、俺の気持ちを全然解っていない。
お前みたいな女、どこにもいねーよ。
俺は、お前じゃなきゃダメなんだ。
どんなに想ってくれる女の子がいても、応えられず、結局傷つけてしまう。
だから、本気の恋なんてしない。出来なかった。
ああ・・・これまで何やってたんだろうなぁ・・・俺って・・・ほんと情けねぇ・・・。
「あんた、バカじゃないの?」
うん・・・笑われた方がずっと楽になれる。
今はお前のその偉そうな物言いが、俺の気持ちを軽くする。
絵里子に抱き寄せられて、優しく髪を撫でられる。
・・・俺の中で・・・何かが崩れていく気がする。
「あたしさぁ・・・あんたのこと・・・相当好きみたい」
ずっと聞きたかったそんな告白を、この状況で言われてしまった。
照れながらキスをしてくる絵里子。
「だから・・・いいから・・・野立、あんたの好きにして・・・」
なんだよお前・・・好きにしてって・・・どうすりゃいいんだよ。
感じた事のないような感情が押し寄せてきて、苦しくて自分をコントロールできない。
奥歯を噛んで、零れそうな感情を堪えて、それでも必死でかっこだけはつけようとするバカな俺。
・・・これ以上は、もうなんも言えねぇよ・・・。
572 :
初めて (9):2011/12/03(土) 02:25:48.21 ID:DtAuvQGT
湧き上がる感情をぶつけるように、絵里子の唇を貪る。
壊れそうな細い体をかき抱きながら、顔中に・・耳に・・首筋に・・犯すように強く吸い付く。
こんなにも愛しくて大切にしたいと想う一方で、壊してしまいたいような凶暴な感情に支配されそうになる。
息苦しくて、唇を離し絵里子を見つめると、肩で息をしながら少し怯えたような目をしていた。
「・・・悪い」
抱く腕の力を緩めてそう言うと
「いいって」
またも強がりな発言。無理しやがって。
でもそんな絵里子が俺の気持ちを少し落ち着けてくれる。
今度は精一杯の優しいキスをして・・・絵里子の体に手を這わせていく。
スベスベとなめらかな白い肌に、俺の指を滑らせるようにそっと這わせると、皮膚が泡立ち紅潮していく。
目を閉じて、息を震わせじっと堪えている絵里子が可愛い。
小ぶりな胸を掬うように揉み上げると、ビクリと反応して身を固くする。
なんだよ・・・これくらいでそんなんじゃ、ほんとに知らねーぞ?
触れるか触れないかの愛撫から、徐々に力を加えて・・・
柔らかな乳房を揉みしだき、指の間からはみ出る肉の感触を愉しむ。
絵里子の息が上がってきたところで先端に唇を寄せた。
「くっ・・・んん・・」
食むように味わい、舌で転がして・・・吸い付いて印を刻んで。
俺も夢中になり、また何かに急かされるような気持ちになる。
胸への愛撫だけで身をよじり、必死で声を堪える絵里子。
可愛くてたまらず、口元を押さえる手を剥がして口付ける。
「お前・・・可愛すぎ」
「バッ、バカにしないでよっ」
手を下腹部から太腿へ・・・焦らすように擦りながら耳元で囁く。
「声・・・我慢すんなって」
「してないっ」
意地を張る絵里子をいじめたくなって、顔を見つめながら秘所をそっと指でなぞる。
「・・・ぁ・・・んんん・・・」
隠すように俺の肩に顔を寄せて、ギュッとしがみついてくる。
久しぶりの刺激が辛いのかもしれないが、俺だってもう余裕なんてなくなってくる。
また徐々に指を進めて・・・陰唇の間をなぞると、もう潤っていてクチュリと水音を感じる。
「・・・濡れてる」
耳に息を吹き込むようにそう言って、逃れようとする絵里子を抑えながらさらに攻める。
「やっ、野立、待って」
「絵里子、大丈夫だから」
苦しそうに悶える絵里子を見つめ、声を掛けながらも、どこか黒い欲情を抑える事ができない。
絵里子の中に指を沈めて、感じやすい部分を探る。
狭く締め付ける中をほぐすように、指を増やしていく。
「あっ・・ダメ・・・」
荒い息をしながら、言葉で抗う絵里子の腰が、指の動きに合わせ揺れ始める。
「いやらしいな、絵里子・・・そんなに欲しい?」
俺の息遣いも、言葉も、相当やばい感じになっている。
「バカッ、わかってるなら、何とかしてよっ」
涙目で、息も絶え絶えに睨んでくる。
好きだな、その負けん気。
でも俺、まだ負けねーよ。
指を抜き、もがく絵里子の腿を開いて抑えつける。
テラテラと濡れ光るそこに、喰らい付くように吸い付く。
絵里子が声をあげ、俺の頭をまさぐってくる。
もう抑え切れなくなった嬌声に煽られて、鼻先で柔らかな茂みをかき分け、舌で、唇で愛する。
ピンと張り詰めたように硬直した脚が、尖った叫び声の後ゆっくりと弛緩していく。
濡れた口元を拭いながら絵里子を見遣る。
艶かしく開いた唇・・・溶かされた瞳が、俺を見つけてさらに潤む。
「野立のバカ・・・」
きゅっと抱きついて、俺の頬に吸い付くようなキスをしてくる。
「絵里子、好きだ・・・」
好きだ・・・好きだよ・・・何度もそう言って強く抱きしめ、唇を重ねる。
そうしながら、どうしようもなく猛り勃つ自身を、絵里子に擦り付ける。
絵里子の息がそれを感じて喘ぎに変わり・・・腰が強く合わさって揺れる。
「の・・・だてっ・・もう・・」
「ああ、俺も欲しいよ」
位置を定め、グッと先端を沈めると、絵里子が息を詰めて体を固くする。
口付けを落としながら、ゆっくりとほぐすようにして挿し入る。
狭くて強い締め付けに、一気に持っていかれそうになる・・・。
降り注ぐ野立のキスが激しくて・・・応えたいと思う一方で臆病な不安がよぎる。
「・・・悪い」
「いいって」
気付いた野立に気を遣われて、また無駄な強気が出てしまう。
好きにしていいって言ったのはあたしなんだから・・・うん。
こんなときに頭の中で気合いを入れて身構える自分は、本当に滑稽な女だと思う。
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、今度は蕩けるような優しいキスをくれる野立。
うっとりと酔いしれるのもつかの間・・・触れられて、静かにさざめくような刺激にゾクゾクする。
フワリと胸を揉み上げられて、やっぱり身構えてしまう。
だんだんと与えられる刺激が強くなり、胸が締め付けられるようなキュッとした感覚が、そのまま下腹部に響いてくる。
熱い・・・体の中心が、どんどん熱を持って潤むのがわかる。
あたし、感じてる・・・野立に・・・もう、声が・・・。
「お前・・・可愛すぎ」
野立の声がして、恥ずかしくて堪らなくなる。
腿を擦られて、また身構える。
触れて欲しいような、触れられるのが怖いような部分をギリギリで避けながら撫でられ・・・野立の低い声が耳元で響く。
その声、反則だよ・・・何も考えられなくなっちゃいそう・・・。
もう、野立の声と動きに翻弄されて、我慢したいのに出来なくて、ただ喘ぐことしか出来ない。
待って・・・忘れていた感覚に、おかしくなりそうで怖い。
それなのに、体は昇りつめたくて堪らなくなってくる・・・。
「いやらしいな、絵里子・・・そんなに欲しい?」
呼び戻されてカッとして、野立を睨む。
欲情しきった男の目が、見据えている。
野立がこんな風にあたしを見るなんて・・・こんな風に触れてくるなんて・・・まだ信じられない。
いやらしく笑みをたたえる口元が色っぽくて、悔しいくらい動揺する。
次の瞬間、荒々しく腿を掴まれて、その唇が犯してくる。
刺激が強すぎて、逃れたくてもがく。
このいやらしい行為を・・・この蠢く快感を・・・野立によって与えられているということに、どうしようもなく煽られる。
もう、許して・・・ダメ・・・!
声にならない声をあげ、心が叫んで・・・それでも野立は私を連れていく・・・。
白んだ視界に野立を見つけて、堪らなくなって抱きつく。
どうしてくれるのよ・・・苦しいくらい、こんな気持ちにさせるなんて。
「絵里子、好きだ・・・」
大好きなその声で・・・欲しい言葉を何度もくれる。
野立の頬も・・・体も・・・火が付いたように熱い。
そして・・・一番熱い固さが、あたしを求めて主張する。
「の・・・だてっ・・もう・・」
「ああ、俺も欲しいよ」
待ち焦がれた感触が嬉しくて堪らないのに、指とは比べ物にならない圧迫感に体が強張る。
「つらくないか?」
知らねーぞ、なんて言ってたくせに優しい野立が嬉しい。
「ん・・・大丈夫」
「俺は大丈夫じゃない、力抜け」
苦笑する野立が本当に余裕無さげで、なんだか可愛くて少し笑った。
大きく息を吐いて、力みを逃す。
息を荒げ、腰を打ち付けてくる野立に、熱く見つめられる。
いつのまにか異物感は消え、合わさる部分からグチュグチュと溶け合う音が聞こえる。
嬉しくて・・・感じて感じてたまらないのに・・・切なく、どこか悲しくなってくる。
いつも軽くって、はぐらかしてばかりで、心の奥を見せない男。
こんな野立がいたなんて、知らなかったよ・・・。
・・・ううん・・・本当は見ないようにしていたのかもしれない。
ごめんね、野立。気付かなくて。
いつも隣にいるあんたのことを、あたり前のように感じてた。
ずっと・・・居てくれてたのにね。
こんなに想ってくれてたのにね。
「・・・泣くなよ・・・」
知らず零れた涙に気付いた野立が、深く繋がったまま動きを止める。
そんな目で見ないで・・・。
違う・・・もっと強く抱いて欲しいの。
大きく首を振って、野立の頬を手で包み込む。
野立が望むなら、壊れたって構わないから。
こんなにも愛してくれるあんたに・・・あたしはまだ何もしてあげられてない。
「もっと抱いて、強く・・・離さないで・・・」
小さく呻いた野立の体が大きくうねって・・・その波にのみこまれる。
容赦なく貫かれる体が、好きなように揺さぶられる。
痛いほど肩を掴まれ、揺れる体を固定した野立が、深く、ひねるように突き貫く。
息をあげ、呻き、強く強く求める野立の体中から、叫びにも似た想いが伝わってくる。
応えるように・・・ただただ野立を想う。
頭の芯まで響く快感で、もう野立の事しか考えられない。
一緒に・・・今度は野立も連れていきたい・・・。
離さぬように強く・・・繋がった体を抱きしめる。
「・・・っ・・・絵里子!」
吼えるような野立の声と同時に、体の一番奥で熱が弾けて・・・その熱さに包まれ体中が満たされていく。
不規則に荒い息を吐き、自分の上で震える男の姿に、どうしょうもなく心も震える。
野立・・・野立・・・愛してる・・・。
絵里子と一つに繋がって揺れる。
体の固さはだんだんと無くなり、絵里子の熱い肉壁が俺に絡みつく。
浅く、深く貫きながら、中を探る。
いい所に当たると、喘ぎ体をくねらせて締め付けてくる。
その押し戻されるような強い快感に、理性が飛びそうになる。
俺に開かれた愛しい女の淫らな姿を、もっと見続けたくて抗う。
そうだ・・・もっともっと俺を感じろ。
他には何も考えられないくらいに、絵里子を俺でいっぱいにしたい。
熱に浮かされたように喘ぎ乱れていく絵里子の瞳から、光る滴が零れ落ちる。
こんな状況で涙を流す女は結構いて、それが男の征服欲を満たしたりもするが・・・
何度も零れる絵里子の涙に、俺の心は動揺する。
胸が締め付けられるようで、俺まで泣きたくなってくる。
「・・・泣くなよ・・・」
こんな俺が、お前を少しでも悲しませているのかと思うだけで辛くなる。
・・・絵里子が・・・俺の気持ちを否定するように首を振る。
優しく頬が包まれる。
心が・・・繋がった気がした・・・。
「もっと抱いて、強く・・・離さないで・・・」
掠れた声が俺を捕らえて・・・体中の血が沸き立ち、熱い強欲に支配される。
何かを赦された気になった俺は・・・猛り、狂い、絵里子の中をメチャクチャに暴れる。
離すわけないだろ。
お前は俺の女だ。
俺の女だ。
想いをぶつけるように、強く強く抱いて・・・全てを求めて。
そんな俺の欲望を、絵里子の体が連れて行く。
与えられる快感に、何度も何度も熱が弾けて・・・視界が眩しく白んでいく。
俺の欲の塊を、絵里子の心の一番奥に届くようにと、深く繋がり精を放つ。
強く脈打つ絵里子の中が、全てを受け止めのみこんでいく・・・。
二人の体の震えと息苦しさが、だんだんと治まってくる。
力なく覆いかぶさる野立の体が、重みを気にするかのように少し浮く。
「・・・大丈夫か?」
「うん・・・」
まだ顔は首筋に埋めたままで、表情は解らないけど優しい声だった。
「離れたくねーな・・・」
「そーね・・・」
まだ繋がったままの腰を、またぐっと合わせて来る。
嵐のように激しく交わした後の、けだるく心地よい甘さに包まれる。
でも、あまりに熱く乱れすぎた自分を自覚し、照れくさいやら恥ずかしいやら・・・
野立にどんな顔をしていいか解らない。
だがしかし、むず痒いようなこんな気持ちは、この男の前では無用のようで・・・
「あー・・・俺、すんごい出ちゃったよ・・・」
「・・・そう・・・」
「すげー気持ちよかったな・・・」
「うん・・・」
無意識にそう応えると、むくりと顔を上げてきて目が合う。
「やっぱりそんなによかった?」
「え?」
「だって今、絵里子気持ちよかったーって」
「いや、言ってないよ」
「・・・またまたぁ・・・よかったろ?」
「え・・・うん・・まぁ・・・」
「すんごい声出しちゃってさ」
「バッバカ!やめてよ」
ニヤニヤキラキラ・・・あんたなんてバカみたいに嬉しそーな顔してんのよ。
「俺もさ、途中からぶっ飛んじゃった」
「あそ・・・」
「だってよー、初めてだもん」
「は?」
「初めてなの」
「何が」
「んー?中で出すの」
「あんた何言ってんの?」
「初中出し」
「そんな申告しなくていーからっ!」
「あっ・・・絵里子っ、そんな大声出したら響くっ」
「ちょっと、何変な声出してんのよ」
繋がった部分がピクンと震える。
この体制で、なんでこんな話してるわけ?
「いやさ、俺、女遊びは激しいけど、そこだけはきっちりしてんの。偉いだろ?」
・・・まだ続けるわけ・・・
「・・・意味わかんない」
「どんなに『大丈夫だからっ』とか言われても、絶対しなかったもん、誠実な男だから」
「・・・そもそもあんたの動機が不誠実だから」
「俺みたいなイケメンの有能なオスはなー、常に肉食系のメスに狙われてんだよ」
「だったらしなきゃいいじゃない、それが一番安全でしょーが」
「だって・・・男だもん、したいじゃん?誰かさんは相手してくんねーし・・・」
「・・・・・したじゃない・・今・・・それよりいつまでこの状態で話しするわけ?」
「だからー、離れたら出ちゃうだろ?俺のが・・・」
「・・・拭けばいいじゃない」
ベッドサイドのティッシュケースを指差す。
「だよな。じゃぁそうしよう。俺が責任を持って拭いてやるから」
・・・は?
野立が手を伸ばして、何枚かティッシュを取ると、繋がった部分にあてがい自身を引き抜く。
抜き出るものが、結構な質量だったような気もするけれど、気付かなかった事にする。
と、やおらムクリと体を起こした野立に脚を開かれる。
「ちょ、ちょっと!何すんのよ!」
「何って、拭いてあげるの」
「いいよ、このままシャワー浴びに行くから・・・」
「いいって・・・俺がしてやるから」
「やっ・・・ちょっ・・・そんな見ないでよ!」
「見たいじゃない、記念に・・・」
「なんの記念よ」
「だから、初中出し?」
「あんたバカじゃないの?バカなの?・・・あっ・・やめっ・・・」
優しく拭き取る野立の動きに、まだ熱の冷めない中心が敏感に反応する。
生暖かい白濁が、湧き出るように溢れ出ているのがわかる。
「すげーな・・・どんどん出てくる・・・」
サワサワと柔らかいティッシュで刺激され、じっとしているのが辛くなる。
足の指に力を入れて、唇を手の甲で抑えて・・・それでも顔が熱くて堪らない。
「絵里子・・・またしたくなっちゃった?」
いやらしい髭面の男が、ニヤニヤと見つめてくる。
・・・あんた・・・最初からこういう魂胆だったんじゃない!
「この変態!したくなっちゃってるのはあんたの方でしょうが!」
「バレた?だって、絵里子にもその気になって欲しいから・・・」
「だからって、何ごちゃごちゃまわりくどいことしてんのよ」
「絵里子が可愛いから」
「は?」
「だって全然足りねーもん!20年の積もりに積もった思いがだな、俺の欲求を・・・」
「あー、あー、もう、解ったから!ごちゃごちゃ言わない!」
また野立が覆いかぶさってきて、包むようにむぎゅっと強く抱きしめられる。
いつものように、また訳わかんないうちに丸め込まれた。
・・・あたしたちって、恋人になってもこういう感じは続くのね・・・。
あーもーやられっぱなしでムカツク!
「絵里子」
「何よ」
「好きだ」
甘い囁きのあとは優しいキス。
もう・・・なんでこんなに好きになっちゃったんだろ。
右腕が重くて、身動きができず目をさます。
まどろむ意識のなかで、この感覚を思い出す。
何かと一緒に寝てる・・・あたし、久しぶりにやっちゃった?
この腕の重みは、また例の制服の彼なの?
ああ・・・今度こそ野立に逮捕されちゃうかも・・・ん?野立・・・。
ゆっくりと目を開けて、腕枕で眠る彼を確認する。
見慣れた髭面・・・そっか・・・あんたが泊まったんだよね。
でも、なんであたしが腕枕してんのよ。普通逆でしょーが。
時計を見ると、6時前。
もう少し寝かしておくか・・・と思いながら、あたしは一夜の記憶をたどる。
野立の恋人になって・・・あーなってこーなって・・・
そうだ、シャワーを浴びたあとまたなんだかんだで襲われて・・・そっからの記憶が無い。
ったくなによ・・・満足げな顔で寝ちゃってさ。
野立の髪は寝癖で膨らんでいて・・・襟足の癖毛はくるくるしててなんか可愛い。
あたしの胸に鼻先を寄せて、スースー穏やかな寝息をたてる無防備な野立は、なんだか大きな子どもみたいだ。
・・・ま、目覚めれば髭の生えたおっさんだけど。
ふと・・・右肩にあるケロイド状の薄い傷跡に気付く。
指でなぞって思い出す。
これ・・・6年前のあの時の銃痕・・・。
「お前はもう撃たないほうがいい・・・」
あの時言ってくれた言葉・・・今なら痛いほどわかる。
あれがあの時の、あんたの精一杯の告白だったんだね。
愛しさが込み上げてきて、頬を寄せ髪を撫でて・・・野立の額に口付ける。
大丈夫だから。
あたしを誰だと思ってんのよ。
これまでだって、これからだって変わらない。
絶対に帰ってくる。それが私。
いつだって、あんたが信じて待っててくれたじゃない・・・。
ずっと探していた心の居場所を見つけたような・・・そんな幸福感に包まれる。
「ん・・・絵里子?」
野立が眩しそうに目を開ける。
「・・・おはよ」
「んー・・・おはよう・・今何時?」
「6時過ぎかな。もう起きる?」
「やだなー・・・ここに居たい」
「今日仕事でしょ?」
「だって絵里子の腕枕気持ちいーもん・・・」
「・・・なんであんたがしてくんないのよ」
「えー?してたけど、いつのまにかこうなったんだろ?」
胸に顔を寄せて、腰に回された手に力が込められる。
「いいな・・・女に腕枕してもらったのなんて初めてだ」
嬉しそうに頬ずりしてくる。・・・またいやな予感・・・。
「もうさ、重いんだけど、離れてよ」
「んー・・・もうちょっと」
腰にある手がお尻に降りて・・・ちょっと、なに揉んでんのよ!
「その手を離しなさい。もうダメ。遅刻するわよ」
「いいじゃん・・・お前は休みなんだし・・・したい」
「したいじゃないわよ!あんた昨日の夜だって何回・・・」
「3回?あ、最後のは俺出してないぞ。お前が感じまくっちゃってそのまま先に・・・」
「そんな事聞いてないから」
「お前だってしたいだろ?あんなにもっともっと・・・やめないでって・・・」
「うるさいうるさい!さっさと着替えて仕事行きなさいよ!」
ムクリと半身を起こした野立が、腕の中にあたしを捕らえる。
「行くってー、これからするだろ?7時半にタクシー呼んでもらってぇ、俺んちまで15分・・・
着替えたりなんかして、まぁ9時前には着くな」
トロンとした目は何処へやら、すっかりキラキラしている。
「時間のことだけじゃないの!今日大事な会合でしょ?居眠りしたらまずいじゃない!」
「・・・絵里子・・・俺をなめるな」
「なめてないわよ、ちょ・・・」
キスを迫ってくる頭を、ガシッと掴み抵抗する。
野立はそんなあたしの顔まじまじと見つめ、何かに気付いたように・・・
「・・・絵里子、綺麗だよ・・・」
低い声で囁いてくる。
「・・・わかってるわよ」
「いつにも増して、綺麗だ。肌がツヤツヤしている」
「そ、そう?」
「ああ、なんかもう内側から潤ってるって感じでハリが違う」
「や、やだぁ・・・やめてよ」
「俺のお陰だな・・・」
「え?」
「恋人とのH、最高の美容効果だ・・・」
「は?」
「しかも相手は果てしなくイケメンな、最上級の男だからな」
「何言ってんの?」
「だからしよう」
「どうしてそうなんのよ」
「お前もいい歳だ」
「悪かったわね」
「効果はそう長くは持続しない」
「だから?」
「俺はお前にずっと綺麗で居てもらいたいんだよ・・・」
「・・・努力するわよ」
「よし、俺も協力を惜しまず努力する」
「なんだかんだ言って、あんたまたしたいだけじゃないの!」
「遠慮するな。俺が一生、お前のアンチエイジングに協力するって言ってるんだ」
「またごちゃごちゃ言って!なによ一生って・・・え?・・・んんっ・・・」
不意をつくその言葉に気を取られて、隙が出来てしまった。
唇が強く押し付けられ、口を塞がれる。
ずるい男・・・どうすりゃいいのよ・・・
腹が立って憎たらしいのに、あたしだってずっとこうしていたい・・・こうされたい。
慣れてないんだから、こんなに愛されるの。
だから可愛い女になんてなれないわよ・・・たぶん、あんたの前では一生・・・ね。
髪を優しく鋤くように撫でられて・・・目が覚める。
柔らかさと、甘い匂いに包まれていて気付く。
絵里子の匂いだ・・・。
夢じゃなかったんだな・・・昨日の夜何度も抱いた愛しい体は、まだこんなに近くにあって・・・
俺は確かめるように抱き寄せる。
離したくないな・・・俺だけの絵里子だと思えるこの時間を手放したくない。
これから何度だってこんな朝を迎えられると頭ではわかっていても
長い間焦れ続けた俺の心が、お前を強く求めて止まない。
きっと・・・ずっとこの気持ちは変わらないんだろうな・・・。
だけどお前はこのまま変わらずに、ずっと前を向いて走っていけばいい。
俺が誰よりもそばにいて、しっかり見ててやるからな。
でもさ・・・伝えたいけどこんなこと、今更真面目な顔して言えねぇよ。
気付けばお前を求めて、相変わらずの軽口を叩いている俺。
いや、心の中はいつも単純に、バカみたいにお前が好きで堪らないってだけで。
負けず嫌いのお前だって、素直に応えずごまかそうとしてばかり。
でもいっか・・・それが俺達だもんな。
俺への気持ちはこんな風に抱き合って、お前の体に聞いてみるよ。
これから一生・・・きっと呆れるくらい何度でも。
それだけは覚悟しとけよ、絵里子。
終わり
以上です。
後半、これでもかと野立さんを発情させて、しつこくてすみませんでした。
>>64 さんのお気持ちに共感して、頑張らせてしまいました。
これからもこのスレが続いてくれるよう、楽しみにしています!
朝はやく起きた甲斐がありました。
面白かったです。
職人さんキターーーーー‼‼
禿萌えました
ほんとありがとうございます
ほんとに素晴らしかったです
初めて体を合わせる二人の余裕の無さが可愛い。
野立のがっつきも、もっとやれやれって思いながら読んでましたw
ありがとうございます!
禿萌えた
まだ新作が読めるとは、ウレシイ!
本編のほう、SPやってくれないかなあ。。。
>>554さん
554さんの作品めっちゃ好きです!
エロパロならではのシチュで最高です
えりこさんじゃないとだめな参事官いいです
ナースコール〜や対策室〜の方ですよね。。?(違ったらごめんなさい!)
>>564さん
野立持ち帰り事件から読み返してめちゃくちゃ萌えました!
お互い大事すぎるふたりがかわいい
参事官今日は一日お仕事にならなさそうですねww
じぶんはずっと参事官室で妄想中です。
職場は萌えます。
554です。
読んでくださった方、感想くださった方、ありがとうございます。
>>489さん
感想ありがとうございます。
まさかバレるとは・・・お恥ずかしい。
そうです、ナースコールからの流れで書きました・・・・・
自分の中では「こんな処でやっちゃったよシリーズ」のつもりでしたw
本当はかなり前に、参事官室っていうシチュでってリクエストをもらっていたので、
それを書きたかったんですが、思いついちゃったものを吐き出したくて
「病院2回目・・・ま、バレないかっ」とこれを書きました(バレましたが・・・)
職場やらなんやらは萌えますよねぇ。
凄く萌えました。
何度も読み返してます。
>>564さん
「野立持ち帰り事件」大・大・大好きで何度も読み返してたので、続編投下本当に嬉しい!神作です!!ありがとう。
すいません、素敵なエロあり超大作の次に投下するのは恐れ多いのですが、
よろしいでしょうか。
ちなみにエロは皆無だし、ぐだぐだだしで申し訳ないのですが、初創作ということで
許してください。
おねがいします
う〜ん、野立気持ちいい。
1年も残すところあと1か月ほど。
目は覚めたけど、まだ夜が明けてないらしく、
部屋は暗いままだ。起きるにはまだ早い。
それでも、寝付けなくて野立とシーツが
ひんやりとしていて気持ちいいなと思いながらそのままでいた。
はっ、とそんな言葉がぴったりな感じで
野立が起きた。珍しい。いつもは起きたのか
どうかわからないほど静かなのに。
そして、気づくとおでこにキスをされている。
たいてい目は覚めているけど、
毎朝の儀式のような厳かな雰囲気を壊したくなくて、
いつも寝たふりをしている。
そろそろ来るかな、と思っていたらがばっと布団をとって
さっさとリビングに行ってしまった。
それだけでも少し不安になる自分に軽くあきれる。
どれだけ野立のこと好きなのよ、私。
時間がないのかな、と時計に目をやる。
大丈夫、いつもより早いくらいの時間。
おでこにキスがなかったのは単なる気まぐれで、
これからいつものように朝ごはんでも作るのだろう、
と思って耳をそばだてていると足音がベッドに戻ってきた。
「おい、絵里子、取り調べに応じろ。
お前が起きていることは分かっている。」
私何かやらかしたっけ、と記憶をたどりながら答える。
「罪状は?」
「熱風邪だ。」
そういう野立の手にはしっかりと体温計が握られていた。
「ないわよ、そんなもの。というか誰かさんのせいで今忙しいから
休んでる暇なんてないのよ。」
「業務命令だ。おれがお粥作ってやるから熱ちゃんと測っとけよ。」
野立は一歩も引かなかった。
仕方ない、測るか。
今更ながら何も身に着けていない自分に苦笑しつつ脇に体温計を挟む。
体温計の数字の上がるペースが早い。
もしかしたら本当に熱があるのかもしれない。
そういえば、朝も野立とシーツが「ひんやりとしていて」
気持ちいい、と思ったし。
ピピピ ピピピ
ばたばたばた
体温計がなったのを聞きつけて野立も急いで来た。
「何度だ?」
脇から抜いた体温計の画面に映し出されていた数字は
36.9℃
「6度9分。セーフ!さ、今日も頑張って働くわよ〜」
少し大げさに手振りをしながら元気アピール。
「何言ってんだ、熱あるだろ。仕事なんかあいつらが
よろしくやってくれるさ。お前がいないほうが
かえってはかどるかもしれないぞ〜。とにかくお前は寝とけ。」
「ちょっと、失礼なこと言わないでよ。だいたい熱があるっていうのは
37℃以上の時に言うのよ。」
「たかが0.1℃、されど0.1℃っていうだろ?」
「はあ?聞いたことないわよ。とにかく行くから。」
シーツを巻きつけ、ベッドから出ようとすると肩を掴まれ、
ベッドに引き戻されておでこにキスをされた。
「なあ、わかってくれよ。俺はお前が心配なんだよ。
本当は警察だっていざという時のことを考えたら
辞めてもらいたいくらいなんだよ。でも、俺は絵里子が
刑事という仕事にプライド持ってることもわかってるし、
なにより、そうやって男勝りに仕事をしているお前を見ているのも
好きだ。だからこそ、風邪の時ぐらいちゃんと休んでほしいんだよ。」
野立の唐突な、そして珍しく真面目な告白に少し紅潮してしまう。
「分かったわよ、そこまで言うんだったらもう一回測る!
それで37℃以上あったら今日は休む。」
照れ隠しのようになってしまったのが悔しいが、まあいい。
言うことは言った。
「全然、わかってねーだろ。はあ。まあ、いい。ずるはなしだぞ。」
「望むところよ。」
かくして始まった2回戦。初戦同様数字が上がっていくペースが早い。
なんだか見るのが怖くなってぼーっと、ついていたテレビを見る。
テレビでは占いの時間となり、若くて高い女子アナの声が聞こえてくる。
「残念、最下位はおとめ座のあなた。体調が悪いみたい。
無理をしないで休む時はしっかりと休んで。」
「やだ、エスパー?」と言ったのと同時に体温計がなる
野立は私がしゃべったせいで体温計がなったのに気付いてないらしく、
キッチンのカウンターから「だから言ってるだろ。」と得意げになっている。
ないことを祈りながら体温計を抜く。
恐る恐る画面を見るとそこには
36.9℃
の文字が。
「勝った!6度9分よ。やっぱり仕事が私を・・・ んっ・・・」
気づくとベッドサイドに来ていた野立が朝らしくないフレンチキスを
かましてくる。ようやく離して野立が私の目をしっかりと見て言う。
「体調悪くなったらすぐに俺を呼ぶんだぞ。
今日は絶対定時がえりだ。いいな。守れなかったら続きを庁内でする。」
最初は真面目な顔で何を言うんだろうと思っていたのに
だんだんと顔がニヤついてきて、今じゃいやらしい笑みを浮かべた
中年おやじと化している。
「もう、分かったから、そこどいてよ、エロじじい。」
「何言ってんだ、お前だってバカボンのパパより1つ年上のくせに。」
こうして私の12星座中最下位のアンラッキーデーが幕を開けた。
すごくラブラブな雰囲気が伝わってきます。
面白いです。
>>554さん
ナースコール〜対策室〜復習させていただきました(笑)
職場シリーズいいですね♪
対策室メンバーにバレた辺り大好きでした
ありがとうございましたー♪
>>564さん
最高に面白かったです。
「野立持ち帰り事件」の続編との事だったので
読む前に復習させていただきました(笑)
同じシーンでも野絵の捉え方が違っていたり
交互に二人の心情が丁寧に描写されて、
素晴らしかったです。
ありがとうございましたー♪
>>593さん
初創作なんですね!
面白かったです
新作どんどんお願いしますね!
基本ROMってますが、新作が続いて嬉しくて・・・
ここが盛り上がることを願うのと、敬意を表して(笑)
東海テレビで再放送やってるなう
>>564です
感想やコメントを下さった皆様、本当にありがとうございます
萌えを意識して書いたのですが、胸焼けしそうなかなり暑苦しい文章でしたので
禿げてくださった方もいて、ホッとしております
ずっと続編を書きたかったのですが、半年も開いてしまいましたw
でもその間ずっと野絵熱は冷めませんでした
こちらの素晴らしい作品や、BOSSへの愛あるコメントのお陰です
>>554さん、私もあなたの作品の大ファンです!
もしかして・・クラブで・・とか、AVで研究・・とかもでしょうか?
あなたのお話はエロくて、ラブラブで楽しくて最高です
野立がエロ可愛くていつもツボですw
「こんな処でやっちゃったよシリーズ」またお願い出来れば・・・と思います
>>595さん、ラブラブな二人をありがとうございます!
野絵らしくて、映像が浮かびました
またぜひ書いてください
私もまた書ければ・・・と思うのですが、筆が遅くて・・・
とりあえずは本編を観て充電しますw
ながなが失礼しました
保守
職人さん待ってます!!
入院してる間に職人さんが来てた!
余談だけど、担当の看護師さん大澤さんっていうんだぜ
安静にしなきゃいけないのに
頭の中はお医者さんごっこをする野絵でいっぱいなんだぜっ
職人さん待ってます。
辛い目にばっかりにあってるから
このサイトの更新が生きる糧になりつつあります。
生きる糧って大げさな。
たかがエロパロ板なのにw
人生相談の板にでも行ったほうがよくね?
まぁまぁ。
生きる糧は確かに大げさだけど、そんな人もいるさ。
私も職人さんお待ちしてます。
607さんの辛い目にばっかりあってるってのが気になる。
エロパロ板だけに妄想が走ったりして。
とりあえずガンバレ。
保守
待ってます!
613 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/15(木) 12:48:41.89 ID:sdJ373FX
保守
>>547から投下した人間です。
その後も読んでくださったり感想をくださった方ありがとうございます。
>>603さん
今更の返信ですみません、
お読みいただきありがとうございます、
そして素晴らしい作品をありがとうございます、何回も頑張る野立が超最高でした!
そうです、クラブで〜も自分の中では同じシリーズです。
AVで研究してた野立は「ディナーの〜」でしょうか?(違ったらごめんなさい)
自分の中では同じ設定の2人だったんですが(エロくてバカw)やってるのが普通の部屋なので・・・ww
それにしてもすみません、自己主張の強い文を書きなぐってしまって。
自分も本編を見ながら色々妄想を繰り返したいと思います♪
プレッシャーかけて申し訳ないのですが。
新作を待ってます。
野絵です。
薬モノ(?)なのでお気を付けください。
BOSSのサイトを見ると野立は警察庁の人間だったりするらしいのですが、
調べても全然よくわからないので(申し訳ない・・・・)そこら辺は曖昧に進めております、ご了承ください。
使われているものも、設定も含め
全く知識のないそんな素人の適当なものでもいいよーという方だけ、暇つぶしに、どぞ。
目の前の状況に呆然としながら片桐は携帯を手にした。
「もしもし、野立さんですか?」
『片桐か、どうした?』
「BOSSが『絵里子がどうした!?』
多分仕事中もずっと気にしていたのだろう、ワンコール鳴ったか鳴らないかで電話に出た電話の相手、
こちらで起こっている事を報告をしようとしたら焦ったような声が響く。
それまではこちらも初めての状況に困惑し焦っていたが、より焦った人間の出現のおかげで片桐は少し冷静になれた。
「大丈夫です、犯人は取り押さえましたし、BOSSも保護しました。」
『・・・・無事なんだな?』
「はい、外傷もありません」
「そうか・・・・・・」
「殆ど触られてもいません、ただ『何かあったのか!?』
片桐はその反応の速さに驚く。
野立はあまり感情を表に出すタイプの上司ではない。
どちらかと言えばおちゃらけたり、無責任にも取られる程に簡単に重要な役割を任せたりと部下たちを乗せ、
そしていつの間にか彼の思惑通りに部下が動いている・・・・という不思議な上司だ。
もっとも絵里子の事に関して言えば、2人が付き合う以前から案外感情がダダ漏れだったので、
今のこの焦りっぷりは仕事モードではなく恋人モードだからなのかもしれないが。
そう考えながら片桐は報告を続けた。
「犯人の川田が使っていた例の薬を飲まされたようです」
『あの、被害者たちが飲まされてたやつか!?』
「そうです、その薬事態には害はないという報告は受けているのですが」
『その報告は俺も受けている、じゃぁ絵里子は病院か?』
「いえ、それが・・・・・・」
『どうした、なにがあった?』
「BOSSが病院には行かないと、野立さんを呼べと」
『・・・・・俺を・・?どういう意味だ?』
「わかりません、ただそれだけ言うと別室に独り閉じこもって、そのまま出てきません」
『・・・・他の面子は?』
「閉じこもる前に与えられた指示を受け動いていますが、どうしてもみんなBOSSが気になって・・・」
『・・・・わかった、今すぐ行く。』
「すみません」
『お前が謝ることじゃない』
何か変化があったら連絡をくれという野立との通信を切り、片桐は目の前の閉ざされた扉を眺める。
絵里子が大丈夫だというのだから大丈夫なのだと思っているが、心配であることは否めない。
今回の事件、聞き込みを重ね、根気よく得体の知れない連続殺人犯の正体を暴いてきた対策室のメンバー
しかし今日、犯人を追い詰め、逮捕する過程で予期せぬ出来事が1つ起こった。
彼らのBOSS大澤絵里子がその犯人に捕まったのだ。
すぐに他のメンバーが駆けつけ、犯人逮捕と絵里子の保護にあたったが、薬を飲まされるのだけは避けられなかった。
被害者が飲まされていたモノと同じ薬であれば人体に害はないだろうと思われるが、
どんな症状が出るのかは死体からの情報だけではわからない、当然病院に行く必要がある。
にも関わらず、到着した万が一の為に手配した医師に採血は許したものの、それ以上の診察は拒み、絵里子は独り部屋に閉じこもってしまった。
犯人が根城にしていたのが、廃校になったこの学校であり部屋だけは沢山ある、しかしどうして独りになる必要があったのか。
そしてなぜ病院に輸送される事をそんなにも拒むのか。
― 責任を感じているのだろうか?―
逮捕した犯人は女性を誘拐し、薬を飲ませ、強姦した後に殺害するという最低な人間。
だからこの事件の捜査をする事が決まった時も、
そして今日、その舞台に乗り込むという時にも木元と絵里子は野立に気を付けるよう言われていた。
必ず男性とパートナーを組むことも指示されていた筈だ
それでも絵里子は捕まった。
捕まった詳しい経緯はわからない、片桐はそこにはいなかったし、他のメンバーも捜査官もいなかった。
しかし絵里子に「自分は大丈夫」という気持ちがなかったとは言えないだろう。
確かに片桐から見ても絵里子は普通の女性とは何か違う。
ただそれは部下として絵里子を見ているからであって、普通の人から見れば「少し歳はいってるし、背の高いけど綺麗な姉ちゃん」に違いない。
それを自覚せず、犯人の標的にはならないと考えていた節があり、野立からの指示も軽視した・・・・
そんな状況に陥ってしまった事に責任を感じ、病院にいかないと言ったのかもしれない。
何度呼びかけても応じず、出てくる気配のない彼らのBOSSが籠城した部屋の扉を見つめながら片桐は溜息をついた。
「片桐っ」
廃校になり、取り壊される前のこの建物に女性を連れ込み、そして・・・・・・
大勢の捜査官がいたとはいえ、絵里子もその1人になりかけたのだと思うと冷静ではいられないのだろう、
野立が蒼白な顔で出迎えた片桐をせかす。
「野立さん、こちらです」
片桐が絵里子が1人閉じこもっている元は保健室だったという場所まで案内すると、
部屋の前では見張り役の花形がオロオロとした様子で1人行ったり来たりを繰り返している。
「花形、変わりはないか?」
「片桐さんに野立さん・・はい何も・・・・」
「絵里子は?」
頼れる人間が現れ、ほっとした様子の花形。
そんな花形には構わずに野立は片桐に質問をぶつける。
「無事です、今採血したものを検査しています、今までの事を考えれば無害だとは思いますが」
「じゃぁどうしてこんな部屋に閉じこもっている?」
「わかりません、助け出した時も息は荒かったです、しかしそれくらいしかわかりません」
「わかった」
とにかく絵里子は野立を呼べと何度も言っていた、
野立が何か知っているのではないかと片桐は思っていたがそうではないようだ。
一呼吸おいた野立が保健室のドアをノックする。
「・・・・・誰?」
「俺」
「ん・・・・・・」
小さく聞こえる声が熱っぽい、訝しみながらも鍵のかかっていない室内に入る野立、それに片桐と花形が同行した。
一瞬野立が目線を寄こしたが、結局何も言わなかった。
「野立っ」
振り向いた絵里子の頬は赤く上気し、目は潤んでいる。
仕事場では決して見せない絵里子の様子に片桐は固まった
表現は悪いかもしれないが、これは「色っぽく誘っている」と言える絵里子の姿。
薬を無理やり飲まされた時に唯一つけられた痣でさえ、艶やかだった。
「絵里子、大丈夫か?」
と、野立が言い切らないうちに絵里子が抱き着き、彼の唇を奪う
「んぐっ・・・・おいっ・・・・・・」
殆ど酸素が残っていないことなど構いもせずに、体をこすり合わせてくる絵里子を条件反射のように抱きしめる野立。
「あ・・ゃ・・・・・・」
絵里子はぎゅっと抱き着き腰をこすり付けている、それを見てようやくわかった。
犯人の飲ませた薬は俗にいう「媚薬」であろう。
捜査中に犯人から突きつけられた挑発文にあった「俺は彼女たちに最高の快楽を与えた、だからみんな幸せだった」
その言葉の意味もやっとわかった。
「あの野郎・・・・・」
野立も同じ結論に達したのだろう、犯人への罵詈雑言が小さく聞こえる。
「くっそ、あの野郎をどうにかしてやりたいが、そんな暇はない、片桐っ」
「は、はいっ」
「お前は車を回せ、ヤマムーと岩井は犯人の取り調べ、花形とまみりんは現場検証、片桐、俺たちを送ったらお前が指揮をとれ」
いつの間にか顔を出していた他の面子にも厳しい声を飛ばしながら野立は絵里子を抱きかかえ部屋を出た。
「野立さん、ご自宅でよろしいですか?」
最初こそ戸惑っていたが、冷静さを取り戻し状況を把握した片桐が運転席に座り、
後部座席に座った野立たちに問いかける。
「あぁ・・・いや、警視庁に回ってくれ」
「・・・・・いいんですか?」
「あぁ、何かあった時、室長が捕まったうえに、薬を飲まされて、その影響で上司二人は自宅ですなんて報告できないだろ」
「・・・・・わかりました」
納得した片桐が車を発車させる。
捜査員が見えなくなったところで野立が絵里子の体を掻き抱いた。
もちろん片桐自身心配だったし、今の絵里子の状況もわかるが少しは遠慮して欲しい、
そう思ったが抗議の声は上げられなかった。
「大丈夫か?」
「・・も、むり・・・・・お願い・・・・・・・・・」
「もう少しだ、我慢してな?」
「や・・・・ね、もう・・・・・・・・」
広いとは言えない車内での攻防。
片桐は「冷静になれ、冷静になれ」と心の中で呪文のように唱える。
「絵里子」
「あぅっ・・・・」
「・・・・・・・・」
「野立ぇ・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おね・・・がい・・・・・・・・・・」
抱き合っている2人がバックミラーから確認できたが、どこまでの行為をしているかはわからない。
ちゅっちゅっと唇が合わさる音が耳に届き、絵里子が漏らす吐息がこんな時だというのに下半身に直に響く。
これはもう、男だったらしょうがないだろう。
好きだとか嫌いだとかそんな感情ではなく、あまりにも色っぽい音が聴覚を刺激してくるのだから興奮して当然だと言いたい。
ぐっとこらえて顔には出さないようにしたが、この現象は「ダメだ」と思えば思うほど現れる。
「・・・・片桐、耳を塞いでろっ」
しばらくちゅっちゅと繰り返していた後部座席から諦めたような、覚悟を決めたような男の声がした。
「・・・・・は?」
「いいから塞いでろ」
「いや、運転中ですし」
「塞いでろ」
あまりの無茶な言葉に抗議をするが有無を言わさない命令が返される。
仕方なく考えて、不器用ながらに1つの結論に達した。
「えー・・・・っと、はい、塞ぎました、何も聞こえません」
もちろん運転中に本当に塞げるわけもないし、耳栓もない、しかし「塞いだつもり、何も聞いていないつもり」にはなれる。
だから塞いだつもりで「聞こえない」と答える事にした。
その直後、
「あぁんっ!!!」
どこをどう触ったのか、脱がしたのか、それとも・・・・・
絵里子の嬌声が上がり、ぐちゅぐちゅっという音までし始めた。
塞いだつもり、聞いてない、聞こえない・・・・と念じながらも思わず耳が集中する。
「あっ・・いぃ・・・ね、野立の・・・・野立のちょうだい?」
バックミラーからでは大して見えない、だから聴覚に頼った予測にしか過ぎないが、指で何度か達したであろう絵里子が野立に懇願する。
「ダメだ、ここじゃダメよ、狭いし・・・・もうちょい、我慢な?」
また、ちゅっちゅとキスをして、絵里子を宥める男。
「も、無理ぃ・・・・・・」
甘い啼き声が耳から離れない、宥められてぐすぐすと子供のように従う彼女を女性として見たことはないが、
その声は独り身の夜のおかずには十分すぎる程だ。
やっと警視庁につくと絵里子を抱え上げた野立が参事官室に向かう。
「片桐、どうしようもなくなったら、俺の携帯に電話してくれ、、丹波さんの追及位だったらなんとかしろ」
上司に対する嘲りなのか信頼なのか、どちらともとれるような一言を残して、2人は目的の部屋へと消えて行った。
バタン。
扉が閉まるか閉まらないかで絵里子がぎゅっと抱き着き唇を奪ってきた。
我慢ができないというように寄せる体が熱くたぎっている
「こら、待てって」
慌ててブラインドを下げ、外から見えないようにしたが
その間にもう唇はとうに絵里子のものになり、ネクタイが剥ぎ取られた。
こんな絵里子は初めてだ、見かけ程エッチに興味がないわけでも、お堅い人間でもないが、それとは違う。
しかし、飲まされたとはいえ折角のチャンスだ、とりあえず色々言いたいことも心配も捨て去ってこの場を楽しむことにした。
「もう少しだけ待ってな」
一瞬の思案の後、仮眠用に置いてあるタオルケットを取り出し、ソファから床にかけて敷いてそこに2人してなだれ込む。
「はやくぅ・・・・・」
無駄なものを排除するかのように服を剥ぎ取った彼女は、既に彼女自身の蜜で太ももまでもが濡れており、卑猥だ。
くねくねと腰を揺らす様に心配と加虐心が芽生え思わず顔がにやけた。
指ではもう足りないだろう、と腰を掴み、先ほど車内で「頂戴?」と懇願されながら扱かれ、
もう挿入できる程に勃ちあがったソレを入口にあてがう
ずずずっとめり込むように進むと蕩けきった中が気持ちよく、ずっと我慢していた感覚を放出するかのように腰を何度も打ち付けた。
「の・・だてっ・・・・のだてぇ・・・・・・」
こんな事になっても自分を求めた絵里子への愛おしさを伝えるかのようにぎゅっと抱きしめ、
うわ言のように自分の名前を呼ぶ彼女を助けるためにも何度も絶頂を与え、時間は過ぎて行った。
「うぅ・・・・っ・・・・・・」
「起きたか?」
「の・・・だて?」
やっと正気に戻った彼女がソファの上で身じろいだ。
「覚えてないのか?」
「あー・・・少し・・・・・・」
「少しは覚えてると」
「ごめん」
「なにが、別に俺はエッチできたからいいぞ?仕事は全く進まなかったけどな」
「じゃなくて・・・・・」
彼女が謝りたい事くらいわかっている、エッチの時は忘れる事にしたが、俺も正直かなり怒っていたし。
「なんで1人になった?」
「たまたま・・・・その、犯人を見つけちゃって、呼んだのよ?でも時間がなくて・・・・」
「気をつけろって言ったよな?」
「ごめん・・・・・・」
「お前が捕まったって報告を受けた俺の気持ちがわかるか?」
「うん・・・ごめん・・・・・・・・・・・」
「お前をメスとして見てないのは俺だけなんだぞ?」
「うん、ごめ・・・・・・・・・意味わかんない」
まぁそうだろうな、エッチした後にいう事じゃない、
でもな普通の男はみんなオオカミなんだよ、
だからお前も赤ずきんちゃんとして・・・・いや、その想像はかなり無理があるけれど、
でもオオカミに狙われる可能性もあるって事を覚えておけと大いに言いたい。
「だーかーらーーお前をメスとして、欲望だけで抱かないのは俺だけなの、わかるか?」
「女として魅力ないってこと?」
「あ゛ーーーーなんでお前は鈍いんだっ!!」
がばっと抱き着くと絵里子が少し怯むのがわかる。
本当に鈍すぎる。
メスだから抱くんじゃない、メスだから好きなんじゃない
ずっとそう思ってきたのに、1ミリも伝わってないなんて酷すぎる。
「だからさ、その・・・・お前を愛してるっていうのは俺だけだって事だよ」
しかしなんで俺はこんな話をしてるんだ?
怒ってたっていうのともっと自分に魅力があることに気が付けって説教する予定がこんな話になってしまった。
「・・・・・・・あーうん・・・そう・・・・・」
「そう、ってお前・・・・・」
「だって急にそんな事いうから」
「・・・ま、いいか・・・・・・・・・」
「あっ、ちゃんと着替えさせてくれたんだ?」
「ん?あぁ、服濡れちゃってたから対策室に置いてあった制服だけどな」
「・・・・・パンツも履いてる」
「だってパンツ履いてなかったらいやだろ?」
「・・・・・変態」
「へん・・・・お前なぁ・・・・・」
「でも、なんであんたも制服なのよ?」
「あ?・・あぁ、だってお前ので濡れちゃったから」
車の中で抱っこをしながら愛撫をしていたらスーツにまで垂れて、絵里子の服同様染みになってしまったのだ
「あー・・・・・・ごめん」
「もう勘弁してくれよ?こっちの身がもたない」
「でもあれよね」
「ん?」
「あんたの制服姿、好きよ?」
先ほどとは違い、貪るようなものではなく、ただ唇を合わせてくる絵里子。
「・・・・・・・・おい」
すっと指で制服の上から体を撫でてくる仕草にまた欲望がもたげた。
説教も愛の告白もするりと躱したくせに、そういうおねだりをしてくる彼女が愛おしい。
しかし、こちらからもう一度キスをしようとすると身体を撫でていた指1本で止められた
「もう行かなきゃ、あの子たちが待ってる」
「いいだろ、何かあったら連絡するように言ってあるし」
「だーめ、また今度きゃっ!!」
無理やり抱きしめて、その胸の辺りに顔を埋め顔でむにゅむにゅを繰り返す。
「すんげぇ気持ちいい・・・・・」
「あっ、やだ、ダメだってば」
「最後まではしないから」
「もう・・・・少しだけよ?」
「ん・・・・・・・・」
そう言いながら腰や腕を撫で、先ほどの余韻を呼び起こす
拒んで嫌がる絵里子の警戒心を緩やかな愛撫で薄れさせその気にさせていく、それは案外楽しい行為だ。
仕事になんか戻してやるもんか、さっきのお返しだ、覚悟しやがれ。
すっごく楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます。
以上です。
直しながら投下していたら思った以上に時間がかかってしまい、スレを占拠して申し訳ないです。
今回こそは参事官室で〜〜と思ったのに、なかなか思うように動いてくれない2人。
全てが中途半端になってしまったので反省しきりです・・・・
あっ、片桐を登場させたのは特に意味はございません、誰かに2人の行為を見せたかっただけですw
しかも今見たらスレ自体460KB超え・・・・こんな話に消費してしまいすみません・・・・
わー!!w
最高に素晴らしかったです!
車中で…参事官室で…そして制服…w
たまらない設定です
片桐もよくやった!あとはとりあえず一人で頑張れw
と…興奮して寝られなくなった
>>603です
お返事もありがとうございます!
私も…少し書き出してはいるのですが、時間も力も足りずまだどうなるかわかりません
足元にも及びませんが、今回のお話と少ーーし設定がかぶっていますw
また無駄に長くなりそうなので、このスレには投下できるかわかりませんが
>>607さんを少しでも癒して差し上げたい気持ちと自己満足のため、とりあえず頑張ってみます…w
と、自分にプレッシャーをかけて書き込んでみました、失礼しました…
職人さんありがとうございます!
マジ野絵最高ですわ〜
職人さんありがとうございます!
野立じゃなきゃダメな絵里子に激萌えでした。
もう、最高です!
淫らな絵里子さんが色っぽくていいですね
野立をただ求める彼女に禿萌えました。扱い慣れてる野立もなんか格好良かったです。
ありがとうございました!
最高すぎる!
制服フェチなもので余計にニヤニヤが止まらないw
あ〜淫らな絵里子いいなぁ
かわいそうな片桐www
ひとり寝のオカズには刺激的すぎですね。
職人さん待ってます。
絵里子は車中に片桐がいたこと覚えてるんだろうかw
個人的ないけんですが、覚えていないような気がします。
たぶん媚薬でトリップしていたと思うので
絵里子にとって野立以外は背景だったんじゃないかと。
片桐は絵里子に対しては、暫くはエロ妄想に悩まされる
だろうなー。
そのあたりの番外編を職人さんが書いてくれれば嬉しいです。
独り語り失礼しました。
職人さん、ありがとうございます。
もう最高! なんかとっても幸せです。
>>617さん
差し支えなければなのですが、
>>636さんの書き込みをみて
片桐番外編を思いついたのですが、投下させて頂いてもよろしいでしょうか…?
と言いながら、書き上がるまで多少お時間頂くかもしれません…
読んでくださった方、ありがとうございます。
>>617から投稿した者です。
しかし、読み返してみてびっくり。誤字脱字もあるし、中途半端だし、何より・・・・
片桐がー・・・・・・・「独り身」ってなってる。
いや、独身は独身なんですが。
多分、読まれている方にはどうでもいいし興味もない事だとは思ったのですが、
直したハズが直せてなかったので、言い訳ついでに設定を・・・・・
これ、自分の中では「こんな処でやっちゃったよシリーズ」と名付けていたんですが、
その中で片桐は木元と付き合っている設定になっておりまして。
しかし、あまりエッチに慣れていない2人の為、うまく行ったのはほんの数回だけ。
そんな中に見せつけられて、妄想が爆発して色々大変な状態に。
野立だったら「こんなん見ちゃった♪」と絵里子とのエッチにいかすであろうに、それもできず独りで悶々。
木元も興味がないわけじゃないから「媚薬だった」と聞いて消えた2人を妄想したりしてもんもんもん。
・・・っていう、どうでもいい設定があったのですが、
それを全く生かせず、しかも直し忘れ、悔しい限りです。
以上、長々とした説明でした。ホント恥ずかしい。
おわっ
>>638さんすみません、まさか自分宛てとは。
お言葉ありがとうございます、
に関わらず、気付きもせずに書けもしなかった設定をべらべら書きなぐってしまって、すみません。
んと・・・そんなこんなで、勝手な裏設定で縛り付けてしまったので
>>638さんの片桐が自由動けないですよね、折角お話をいただいたのにぶった切るような事をしてしまい申し訳ないです。
自分もやっとこさ参事官室が書けたからこの辺で〜と思っていたのに、
あまりに片桐が可哀想なのでwwこのスレが続くようなら救済話、書けたらなぁなんて思っております。
ま、自分の書く救済話なんて大したことないとは思うのですがw
>>638さん折角おっしゃっていただいたのに、変な事しちゃってすみませんでした。
新しいお話、すっごく楽しみにしておりますっ!
638です。
>>617さん
お返事ありがとうございます。自分の考えてたのもちょうど木元が絡んでました。
というわけで、僭越ながら投下させていただきます。
対策室に戻ってきた片桐を、他のメンバーが待ち構えていた。
「片桐さん、ボスは・・・?」
木元が心配そうに尋ねる。
「あの人なら大丈夫だ、今野立参事官が付いてくれてる。」
「そうですか・・・」
「それより、現場検証済んだのか?」
「ええ、僕と木元さんで一通り物証を取って、先程戻ってきたところです。」
なおも不安気な木元を制し、花形が答えた。
「岩井と山村さんは?」
「引き続きホシの取り調べ進めてます。」
「そうか・・・」
「どうかしたんですか、片桐さん?」
捜査の進行状況を気にしながらも、心ここに非ずといった様子の片桐に気付いたのか無意識なのか、続けて花形が問うた。
「ん?・・ああ、、いや、なんでもない」
「少し休んだらどうです?」
「いや、まだ捜査が残ってる。」
「山村さん達が戻ってくるのは早くても2-3時間後ですし、僕らも科捜研の分析待ちなんで、進めることがあればやっておきますよ。」
「そうですよ、再開するまでカラダ休めててください。」
2人に言われて、少し気持ちが揺らぐ。
「そうか・・・じゃあお前らには済まないが、30分ほど貰っていいか。ちょっと仮眠室に行ってる。何かあればいつでも呼び出してくれ。」
ブランケットを手に、片桐が対策室から出て行った。
「ちょっと片桐さんの様子、おかしくないですか?」
「ああ、木元さんも思った?・・・ひょっとして、僕らに黙ってるけどボスに何かあったのかな・・」
「そんな・・・」
逃げるように仮眠室に駆け込むと、片桐はそのまま簡易ベッドに突っ伏した。
『・・・野立ぇ・・・・・・・・』
忘れよう、忘れてしまいたい、と思う度に、先程の車内での淫らなやり取りが鮮明に思い出されてしまう。
『・・あぁんっ!!!』
上司である彼女の嬌声に、そのまた上司である男によって紡ぎ出される、厭らしい水音。
脳裏を掠めるたびに、否が応でも血流が自身に集まって行くのが分かる。
「クソッ!」
熱く滾ったまま、どうにも収まりのつかない自らの下半身に、手を伸ばし掛けた。
そのとき。
…コンコン
「・・・誰だ?」
慌てて毛布を被り直す。
「・・片桐さん、ちょっといいですか?」
「なんだ、木元か。どうした?」
「片桐さんの様子が気になって・・・本当はボスに何かあったんじゃないかと・・」
他の奴に見透かされるとはな・・俺もまだまだか・・・
俯く彼女の姿に、片桐は自分の到らなさを痛感してしまう。
「いや、さっきも言った通り、ボスは無事だ。野立さんも傍にいるし、明日には出てこれると思う。」
「そうですか・・なら、いいんですけど。」
これ、どうぞ。
と、木元が黄色いクッションを差し出した。
「・・これ」
「枕に使ってください。ここ、無いじゃないですか。」
仮眠室のベッドはあくまで緊急用なので、台だけで布団や枕の類は置かれていない。
それを気にして持ってきたのであろう。そんな彼女に、キュッと心の奥を掴まれる気がした。
「あ、ちゃんとたまに洗ってるし、綺麗ですよ、一応。」
有り難く受け取ろうと一瞬、手と手が触れた。
次の瞬間。
なぜか木元は片桐の胸に抱かれていた。
「え、、か、たぎり、さん・・・?」
「あ・・悪い・・・俺・・」
「いいですよ・・少しでも片桐さんの気が休まるなら、私・・」
「違うんだ、」
男であるが故の欲望に、いくらなんでも木元に手を出すわけにはいかない。
俺はそんな軽い男じゃない。
一時の性欲に、木元を傷付けるようなことがあってはならない。
「ボスが飲まされたの・・・媚薬、ですよね・・?」
「!・・知ってたのか、木元?」
「ええ、以前扱った薬剤と成分が似ていたので、もしかしたら、って・・」
詳しい分析は科捜研の結果次第だと思いますけど、と呟きながら、彼女が続ける。
「だから、ボスが野立さん以外部屋に入れたがらなかったのもわかるし、あの2人を送った片桐さんの様子がいつもと違うのも・・なんとなく、わかったんです。」
「そうか・・・」
「大丈夫ですか?」
「ああ、心配掛けてすまない。時間が経てば収まる。」
「無理しないでください」
体を離そうとした片桐の腕を、木元が掴んだ。
その行動に驚いた片桐が顔を上げると、木元の目は潤み、顔が赤く上気している。
「・・・木元?」
「すみません、私・・」
そう小さく言うと、片桐の頬を小さな手ではさみ、ごく自然に唇を重ねた。
突然の展開に、片桐は思考がついていかない。
思い当たるのはただひとつ。
お互い貪るように口付けを交わした後、荒く息をしながら、片桐が尋ねた。
「まさか、お前・・・」
「ごめんなさい、ボスを助け出す際に、私も、あの薬飲まされてしまったんです」
「なぜ言わなかった?」
「無害なのはわかっていたので、自分でどうにかしようと・・」
「バカ野郎!!」
野立と同じように、普段滅多に感情を表に出さない片桐に思いがけず怒鳴られ、木元は小さく俯いてしまった。
「あ、、すまん・・・怒ってるわけじゃないんだ・・なぜ仲間を信頼しない?」
俺達、ティームだろ?
「信じてます・・ボスも、片桐さんも、みんな・・」
だから、お願いです。力を貸してください。
木元が片桐のネクタイに手を掛ける。
その手を軽くつかむと、諭すように囁いた。
「木元・・・俺は一時の感情なんかでお前を傷付けたくない。だから事前に言っておく。
お前を本気で愛したい。責任はきちんと取る。」
もどかしく自らネクタイを外すと、スーツも素早く脱ぎ、木元を抱き寄せた。
まだキスだけなのに、苦しそうに肩で息をしている。
片桐が彼女のチュニック越しに柔らかな胸を揉みしだき、首元に強く吸い付くと、ビクッとその体を震わせた。
「・・・木元・・」
両脚を摺り寄せる彼女を狭い簡易ベッドの上に乗せ、頬や喉元、肩にキスを落としながらスキニーパンツを脱がせる。
「もっと・・・触ってください、片桐さん・・・」
そう懇願する彼女の仕草に、片桐の中で何かが切れた。
「はっ、ぁ・・・」
下着越しに指を這わせると、反射的に体を捩る木元。
すでにそこは熱く湿り気を帯びている。
片桐自身も、もうずっと刺激され続けていただけに、怒張はピークに達していた。
「・・・いいのか?」
たとえ拒まれたところで、もはやとめることのできない状況に陥っている片桐が尋ねる。
こくん、と小さく頷く木元の姿に、覚悟を決めた片桐は、その奥へと指を這わせた。
「っあ、あんっ!!」
ボスとはまた違った甘さを含んだ嬌声に、片桐の理性は否応なく弾き飛ばされていった。
狭いながらも充分に潤ったそこを、差し入れる本数を増やして指で優しくほぐしていく。
人差し指から薬指まで、決して細くはない彼の指を飲み込む様に受け入れる木元。
目の前の現実に、片桐はどうしようもない気持ちに襲われる。
木元を愛おしむ気持ちと、余裕の無い愛し方しか出来ない自分への嫌悪感。
「か、たぎり・・・さん・・?」
そんな彼の躊躇いに気付いたのか、木元が声を掛けた。
「・・あ、大丈夫か、きもと・・?」
「はい・・」
彼女の頬を一筋の滴がつたう。
「・・・泣かないでくれ・・・」
「ちがうんです、私、嬉しくて・・」
その言葉に何かが吹っ切れた。
彼女の胸に顔を埋めると、その膨らみを片手で掬い上げ、尖った薄紅色の蕾を舌で弄る。
水音を響かせたまま、親指で敏感な芽を刺激する。
「あっ、やっ・・あ・・・!」
一際高く声を上げた木元が、片桐にしがみついて体を反らせると、全身を震わせた。
脱力した彼女の様子と、なおも吸い付いてくる内壁に、達したことを片桐が察する。
「かた、ぎり・・さん・・・お願い・・・」
苦しそうに爪を噛んで自分を見つめるその姿に、挿れなくとも達してしまいそうだった。
血管が浮き出るほどスタンバってしまっている自身を、軽く彼女の入り口へ宛がう。
初めて合わせることに多少不安があったが、そんなことは杞憂にしかすぎない、という感じでぐいぐいと片桐は木元の中に飲み込まれていく。
これも媚薬のせいなのか・・?
そんな考えが脳裏を掠めたのは一瞬のことで、余裕の無い片桐は根元まで収めると激しく腰を動かし始めた。
「あっ!、ああっ、・・・ん、ん!・・いやぁっ!」
自分に合わせて激しく腰を振る彼女がどうしようもなくいじらしくて、愛おしくて、喉元に吸い付いた。
華奢な首元を揺らす銀色のチェーンが、触れるたびに、その冷たさに、互いの熱を余計に感じる。
「も、う・・・ダメ・・・わたし・・・かたぎりさ・・・んっ・・」
「・・き、もとっ!」
遠くから押し寄せる意識の波と、木元の中が収縮してくるのと同時に、片桐は彼女の最奥を一気に貫いた。
「あ、お帰りなさい。疲れ少しは取れましたか?」
対策室に戻ってきた片桐に、花形が声を掛けた。
「・・・まあ、ぼちぼち・・だな」
「だいぶお疲れみたいですね。僕山村さんからもらったまむしドリンクあるんですけど、飲みます?」
「えっ、何でまた精力剤なんか・・・い、いや、遠慮しておく。気持ちだけで十分だ、花形。お前が飲んどけ」
「そういえば木元さん科捜研行ったまんま、まだ戻ってこないんですよねー」
「・・・まだきっと結果が出てないんじゃないのか」
「よう、有象無象ども。捜査進んでるか?」
対策室に野立が姿を現した。
「あれ、野立さん・・・ボスは大丈夫なんですか?」
「ああ、あいつならここの医務室で休んでる。世話掛けたな。」
そのまま片桐の傍に近寄ると、肩をポン、と叩いて何やら耳元で話し掛けている。
今後の捜査の進め方についての打ち合わせだろうか?・・などと考えているのは花形だけ。
『さっきは悪かったな・・・お詫びに適当に可愛い子見繕ってやるからさ』
『いえ、自分なら心配御無用です』
『またまたー、無理すんなって、抑えるのは精神衛生上良くないぞ。精神っていうか性心?』
『大丈夫です、もう収まりました』
『まじで?・・・あれ、そういやまみりんは?」
「科捜研行ってます」
「・・・俺寄ってきたんだけど・・・片桐、ちょっと来い」
「・・・すみません」
「謝るな、ただの情報交換だ」
以上です。
お目汚し失礼いたしました。
媚薬で乱れる彼女との性活を、男同士で熱く語っていればいい
いやードキドキします。
職人さん有難う御座います。
>>641さん
>>617から投下したものです。
お気持ちありがとうございます、仕事から帰ってみたら既に投下されていて、そのスピードにびっくり、
まさかタイトルもそのままとは思わず2度びっくり。
しかも、もう片桐と木元やっちゃたんですねぇ、あははははっw
案外女性慣れしている片桐がかっこよかったです。
午前中に「片桐の救済話を書けたら〜」
なんて無責任にも書いてしまいましたが、自分設定の続きで、
>>642さんが書いてくださったものとは(話の内容も片木の関係も)全く続かないモノなので、白紙に戻そうと思います。
「誰も待ってないよ、自惚れんなよ自分!」とは思ったのですが、書いてしまったので一応ご報告だけ、失礼しました。
>>649 いえいえ、待ってます。投入して下さい!!
白紙に戻さないでください。
読みたいです。
投入を待ってます。
>>617から投稿した者です。
今回の「タフに恋して抱きしめて」の続きについて、少しだけ真面目なお話を。
誰も気にもしてない、こんなん書いてもうざいだけ!とは思ったのですが・・・一応けじめだろうと思い書かせていただきます。
正直、家に帰り同じ題名で片桐編をアップされていた時には呆然としてしまいました。
こうやって続きを妄想していただけるなんて本当に嬉しい事ですし、お気持ちはありがたかったです。
自分にはあんな風にかっこいい片桐は書けませんし。
ただ、続きを書こうと思っていた人間からすると衝撃だった事は事実です。
曖昧に返事をしてしまった自分が悪い、それは当然です、本当に申し訳ない事をしたと思っております。
ただ、自分なりに「片桐の救済話を書く」とした時点で「続きは自分が書きます」という事だけはお伝えしたつもりでおりました。
それでお断りしたつもりだったのです。
少なくとも「書き出した人間が続きを書く」という前提のもと、ご相談をいただき、
それでも「片桐編を」というお話があれば、設定やシチュエーションなど話し合いの上での投下になるだろうと。
それが伝わらなかった、自分の書き方の不備は本当に申し訳ないと思うのですが、
>>639で書かせていただいた設定等々とも全く違うものなので、やはり繋がらず・・・の状況です。
そこでまとめ神様にお願いがございます。
本当に我儘だとは思いますが、
できれば
>>641さんの「片桐編」について(作者が違います)など注釈を入れていただきたいと思っております。
「何意識してんの?バカじゃね?」と自分でも思うのですが、
まとめて下さっているサイトさんで読まれた時、
もし、いつか自分が続きを(自分の話などたかだか知れておりますがw)完成させた時に繋がらない状況なのが、
気持ち悪いとどうしても思ってしまうので、申し訳ありません、できましたらお願いいたします。
長々と失礼いたしました。
こんな処で、下手くそな超ど素人が長々と語る事ほど、ウザくて面倒な事もないだろうとは思ったのですが、
このスレでは続きを他の方が書かれるのも2回目ですし、またすれ違いが起きないといいなという意味合いも込め書かせていただきました。
スレの最後に暗くして本当に申し訳ないです。
あーーー超自己満足でどうしようもないモノですが、おバカでエッチで一途な男共を早く書きたいです(笑)
個人的な意見ですが
書いていただけるだけでありがたいです。
>>652 一般的に考えて、作者が続編を考えている場合はそれが出てから
さらに作者の同意を得て発表するものだと思います
設定を借りた作品、オマージュということでですね
題名までパクりというのは誤解を招きます
そもそもパロっているのだから何を言っていると言われそうですが
そこのところを住人もわかっているから647に感想を付けていないのではないでしょうか?
気にせず続編を投下されたら良いと思います
500KBになる前にどなたか次スレをお願いします。
>>652さん、お気持ち、お察しします。
作品をとても大切に思う気持ち、お話を読んでいると伝わってきますし。
私の中ではちゃんと繋げることが出来ますので、どうか良ければ投下してください。
気長に楽しみにお待ちしています。
>>641さんのお話も、設定はともかく、お上手だと思います。
BOSSを大好きな者として、また書いて頂けたらと思います。
次スレたてられる方いらっしゃいましたらよろしくお願い致します。
>>652のこだわりは異常。
ここは匿名のエロパロ板。
>>641はちゃんと確認して書いてるのにヒドくないか?
いやならハッキリ断ればよかったのに、それしなかったら何も言う資格ない。
まして、まとめサイトの管理人に余計な負担をかけるなんて何様?
そんなにこだわりあるならトリつけるか自分のブログにでも書けばいいよ。
何様とかいう人って嫌な感じですね
スレ立て挑戦したけど無理でした
立てれる方どうかお願いします
だけど、書いてもいいですか?って言われてだめですってはっきり断れる人ってどれくらいいる?
そもそも私、他人のシチュをそのまま借りて書きたいって人の感覚が全然わからないんだけど。
前にも何回かあったけどさ
目の前でタバコ吸っていいですか?って言われてやめてくださいって言いづらいのと同じだよ
>>640は最後の
>新しいお話、すっごく楽しみにしておりますっ!
という〆だったのが誤解を招いたんじゃないかと個人的には思う
後でゴチャゴチャ言うならハッキリ書けよ。
自分が続編書くから止めてと書けばいい。
自分、652が普通に続編許したから641は投下したんだと思った。
この2次スレでどれとどれが同じ人が書いてとかいちいち
気にして読んでる人ばかりじゃない。
続編でもアレ?て思うこともあるし、自分の世界観にあった
ものを選びながら読んでるのもいるんだよ。
これは自分の書いたものではないとか主張するなら、HNつけて
自分の家を作るべき。
管理人に作家の注意書き要求してる時点で何様作家様ですかだよ。
もういいじゃん
これからは気をつければいいことなんじゃないの?
ギスギスしてたら職人さん達も投下しづらくなるじゃん
これ、続編書いた人が逆切れしてるのかね
住人に誉めて貰えると思ったのに無反応だったから?
>>652です。
うがっ・・・自分の書き込みでこんなっ・・・・
すみません、またーりが心地よいスレなのにっ。
今回の事は自分の至らなさが招いた結果で、本当に申し訳ない事でした。
決して
>>641さんを責めたかったわけでも、自分の作品にこだわっていたわけでもなく。
ただ「意思が伝わらないというのは辛いので、次からはお互いきちんと話し合えたら嬉しいです」って事と
「やっぱり我慢できなくて書くかもしれないからわけて考えてください」
っていう事を言いたかったんです。
まとめ神様に負担を強いるような事を書いてすみません。
その通りだと思うので、次、自分が書けたらその文の前に注意書きを入れます。
次スレを立ててくださった方ありがとうございますっ。
この話はこの辺で終わりにしていただけたら嬉しいです。
でわでわまた次スレにお邪魔したいと思います♪
色々意見くださった方、擁護してくださった方ありがとうございました。
これから自分も、もっと気を付けたいと思います。
野絵がいちゃつきたいのに中々できないって夢を見た^^;
641とは別人です。
みんなに非難された上に一読者と一緒にされたらもっと気の毒。
日本人的曖昧さで自分で招いたことなのに何言っ
てんのと普通に腹が立っただけ。
ちょっと頭に血が上った。
余談だけど他人の続編は賛成派。
職人同士つなげるスレの住人でもあるし、思わぬ展開が期待できるから。
>>669 職人じゃないなら
そんな上から目線で物言える立場じゃないだろうに
あなたこそ何様だよ
>>670 職人かどうかなんて関係ないでしょ。
あなたもタバコ吸わないでくらいハッキリ言えば?
ごまかしてるけど完全に逆ギレパターンだわ、これw
673 :
641:2011/12/22(木) 06:39:57.03 ID:jvhkQgQU
あれ、皆様
>>641です。
なんだか荒れちゃっててすみません。私別に逆切れとかしてませんけど。。
むしろ
>>652さんに申し訳ないことをしました。一応自分ではお断りの上投下したつもりだったんで
気分を害されたらすみません。
というわけで消えますので
あとは皆様今後とも仲良くお願いします。
作品に対する思いは人それぞれだしね、意見の相違は仕方がないけど、またーり行きましょうよ。
書いて下さる方への感謝は忘れずにいたいです。
にぎやかになっていると思ったら荒れてますねw
>>641さん
消えなくていいんじゃないでしょうか。
>>641さんは悪くないと思います。
私もたまに長い駄文を投下させてもらっていましたし、私には書けないなあと
落ち込んだりしながら他の方のお話を楽しく読ませていただいています。
続編を書かれることの是非は人ぞれぞれなので今後は明確に宣言するとルールを
決めてはどうでしょうか。
これは一意見として聞いてほしいのですが…
私は以前、別バージョンや続編を求められた時、自分の中では完結していた
ので誰か書いてくれたらいいのにと思ったことがあります。
残念ながら
>>617さんのように他の方に書く意欲やインスピレーションを与え
られるような内容ではなくて誰も手を上げてもらえなかったのですがw
なので他の方に続編なんかを書く余地は残してあったほうがよいと思います。
とにかく投下する側としても読む側としても職人さんが消えるのだけは
やめてほしいです。
長々と失礼しました。
書いてくれるだけで心底
ありがたいのに。
どんなバージョンだろうが
私は嬉しい。
職人さん同士の揉め事はマズイ
ル−ルは必要だよ
とりあえず今回は、自分が続編を書く事をハッキリ言わなかったのと
時間的に見て、明らかに許可前に続編を書き始めタイトルもそのまま付けたということで(リレーじゃないから)
打ち合わせが悪かったねで終わりにしたいな
私が言うのも変だけど。。。
そして641は消え、652だけのスレになった。
>>679 なんでそんな言い方するの?
>>652さんのシリーズ、個人的に大好きだから消えてほしくない
>>680 スルーした方がいいみたい
なんか感じ悪いもん
他人の話の続編書きたいと思ったら最初に書いた人にその執筆の可否を尋ねる
尋ねられた方ははっきり意志を表示する
(しばらく来ない場合もあると思うけど返事があるまで続編は投下しない)
じゃダメなのかい
もう次スレにこの話題持ち越したくない
書いてくれるだけ嬉しいです。
>>652です。
なんだか本当に申し訳ないくらい大事になってしまった・・・・・
受けた衝撃はともかく、そんなに重く考えて書いたわけではなかったのに。
「以前もあったし、やっぱり意思疎通って大事だなぁ「○○したつもり」じゃあかんなぁ・・・・」
と思った事をきっかけに、
根が不真面目なので、真面目に書こうとすると
あたかも自分が必死に考え、重く思ってます風になってしまったのがいけなかったです。
>>641さん色々申し訳なかったです。
もうこりごりかもしれませんし自分もこの状況(急に忙しくなってきたし・・(涙))で書けるかはわかりませんが、
次からはちゃんと話せたらいいなぁと思います。
なので、ぜひぜひまた新しい作品書いてくださいです。
>>682さん同意ですー。
これで終わってくれると嬉しいですっ。
個人的には
>>668さんの夢の「いちゃつきたいのになかなかできない野絵」がたまらなくツボですw
たしかに曖昧な断り方だったけど、同じ住人同士ではっきりと断りづらかったって
気持ちはわかるよ
それにそのことについては652はちゃんと謝ったうえで真意は違ったんだってことを
言ってるんだから、そんなにキツイ言い方をしなくていいと思う
掲示板のレスっていうのは難しいし、はっきり言えば言ったで何様って
言われたりもするから慎重になることもあるよ
なんで
>>685さんもあんまり気にしなくて良いと思います
こういうことは掲示板ではよくあることです
さぁどなたかものすごいエロいのを!
エロが不足しています
まあでも他人が続編書いてるやつで面白かったものって
今までないんだよね〜
とまた688によって蒸し返されるのであった
>>685 おぉー反応ありがとうございます
668です
夢見てムッハーってなってスレの流れ読まず書いちゃいました
空気よめず後悔してたのですが嬉しかったです
ありがとうございます
皆さんメリークリスマス
メリークリスマス関連で
職人さん話を書いてほしいて゛す。
蒸し返してすみません。
でも、どうしても一言書かせてください。
>>641さんご本人は否定してるのに、住人の方々に逆ギレとか罵倒されて
戻ってこれないですよ。
色々な作品を書いて楽しませてくれた常連の職人さんだと思うのですが、
ちょっとヒドいあまりな仕打ちな気がします。
スレもかわり、年越す前に覚えのある方は
>>641さんに謝ったほうがよいと
思います。
>>652さんのファンの方々の熱い思いがそうさせたのだとは思いますが、
匿名掲示板で確たる証拠もなく逆ギレレスを書いたと認定されている流れを
見ると、同じ投下する側としては明日はわが身でただただ恐いです。
書いてくれるだけで嬉しいです。
652さんの素の書き込み見てみたら、どうやら若い人っぽいし、
もう諸々スルーでいいんじゃないかな
こんな雰囲気だと641さんも戻ってこれないのでは
関東ではBOSS2の再放送あったりもう一度盛り上がるキッカケだったのに勿体無いなぁと思ってしまう
取り敢えず萌え話しない?
このままでは職人さんが寄りつかないよ
関東再放送ではカットされまくりだったんだよなあ
7話ではヤマムーから話聞いて恋に奥手〜絵里子にちょっと来いまでがなくて急に廊下のシーンだった
693は職人さんみたいだけど
個別サイトがそれなりにあるし、別にいんじゃね?
久々に2の10話見たら木元が片桐の事やたら気にかけてて萌えた
逆切れって言われるようなレスをした人にも問題があるでしょう
701 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/27(火) 21:51:46.13 ID:em44L1XB
まだうまってなかったのか
皆様よいお年を
皆々様良いお年をお迎え下さい
あけおめ保守
あけおめ。
職人さん。
書いてほしいて゛す。
あけおめ。
野絵がしてる夢を見て意識しちゃう木元
>>707さんのをヒントに投下させていただきます。
大してエロくもありませんが、お楽しみ頂ければ幸いです。
709 :
初夢:2012/01/06(金) 05:26:58.44 ID:HR8082t9
「うーん、誰もいない庁内って新鮮かも」
正月明け。まだ仕事始めの日では無いが、一足先に片付けてしまいたい仕事があった木元は
2日から自主的に出勤していた。
「せっかくだからあの分析も進めておこうかな」
対策室の前まで来て、電気が点いていることに気付く。
「あれ?もしかして他にも誰か来てる?」
扉に手を掛けたところで話し声が聞こえ、思わず手を引っ込めた。
「・・・複数?」
そっと耳をそばだてると、どうやら室内にいるのはボス。
「ごめんね、手伝わせちゃって」
「遠慮すんな。旨いお節ご馳走になったしな」
話の相手は、どうやらあの参事官らしい。
「お蔭で明日からの仕事始めもスムーズに進みそうだわ」
「もう帰る?」
「そうね、もうお昼過ぎだし・・・どっかで何か食べてく?」
「いいな。じゃ、遠慮なく」
「え?…ちょ、っと、野立?」
会話が途切れ、静寂が対策室を包み込む。
不穏な空気を感じ取った木元の耳に次に聴こえてきたのは、妖しい声。
「んっ…ね、え…誰か来たらどうするのよ・・」
「仕事始めは明日だろ?」
「だからってこんなところで・・あんっ!」
「仕事始めの前に、姫始め・・・ってやつ?」
「アンタってほんとヘンタ、、」「なに?」
抗おうとする絵里子を押さえつけ、野立は強引にその唇を奪い、動きを封じ込める。
二人の息遣いと共に聴こえてくる淫靡な水音。
木元は動揺を禁じ得ないものの、内の様子も気になり、扉をそっと開けてしまった。
710 :
初夢:
彼女の目に映った光景、それは―
普段のカチッとしたキャリアスタイルとは異なり、柔らかさのあるブラウスにマーメイドスカートを纏ったボスの姿。
一方の野立は、こちらもスーツではなくダンガリーシャツに質の良さそうなコットンパンツ。
二人とも若く見えるのは決して服だけのせいではないだろう。
意外な服装に目を奪われていると、視線が向けられていることも知らずに、野立の手が絵里子のブラウスをたくし上げ
彼女の肌を蹂躙していく。
「やっ、だ、のだ・・て・・・」
「普段仕事しているところでするのって、燃えるだろ?」
「何、言って・・んのよっ」
抵抗しようとするも、その声にまるで迫力は無い。
「ね、お願い、、服、汚れちゃうから・・・」
「ああ・・・」
絵里子に嘆願され野立が彼女のブラウスをするりと脱がせ、側らのソファに掛ける。
外の明るさと室内の蛍光灯の元、その肌が露わになる。
「ボス・・・すっごい色白い・・・」
わかってはいたことだが、こうして目の当たりにすると同性でもドギマギしてしまう。
「絵里子・・・」
彼女の白い肌に野立が唇を寄せ、強く吸い上げる度に絵里子の甘い嬌声が響く。
おもむろにブラも外してしまうと、野立は先端の尖りを躊躇いなく口に含んだ。
「・・い、やっ!」
「感じ過ぎじゃね?・・・年末からしばらくしてなかったから俺もちょっと我慢きかないけど・・」
野立が手際よく自分の着ていたシャツを脱ぐと、引き締まった背筋が見えた。
「・・・え、野立さんって意外と筋肉質?」
そんな二人の芸術的ともいえる体に、木元は視線を外せなくなってしまった。
そうしているうちにも野立の手が絵里子の腰におり、するりと下着に手がかかる。
「・・・もう濡れてる」
「ん・・もう、やめてよ・・」
つぷ、とその指を入れれば、彼女の口から甘い嘆息が漏れる。
くちゅくちゅ、と厭らしい音が他誰もいない対策室に響き渡る。
この先の展開を息を呑んで見つめる木元。
「い、やぁっ!」
一際大きくあがった声に驚いてみると、絵里子の両脚に顔を埋めている野立の姿。
「えええ、、ちょ、どうしよう。。」
見てはいけないと思いながらも、そんな気持ちとは裏腹に目が釘付けになったまま動けない。
野立から与えられる快楽に必死に耐え、決して大きくはないが形の良い胸を自らの手で覆い隠そうとする絵里子。
唇を噛みしめる苦悶の表情に、得も言われぬ興奮が沸き起こる。
「はっ・・・う、もう俺、限界・・」
こちらも苦しげに囁くと、野立が彼女の上に被さった。
「・・あっ、んん・・っ!」
リズミカルに律動する野立の逞しい背中を、絵里子の華奢な手が這い回る。
紅く塗られたマニキュアが二人の絡む妖艶さを更に増している。
パンパン、と響く音が続き、廊下に響くのではなかろうか、と木元がやきもきしていると
絵里子の啼き声がひときわ大きくなり、続いて野立の呻きが響くと、対策室内に静寂が取り戻された。