ドラマ『boss』でエロパロ3

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593588:2011/08/10(水) 13:33:32.34 ID:PkIzyg/x
>>591
中の人のオーレネタ、全然気づかず書いてました!
言われて、つべで確認して自分でも笑っちゃいました。
皆さん、暖かいお言葉ほんとにありがとうございます☆
いつもすみません。
594名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 15:05:56.31 ID:jpggGCZC
保守
595名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 17:36:44.49 ID:Vx7iWXY7
さっきまでaround40の再放送みてたら、絵里子のちょっと若いときみたいでドキドキしちゃった。
でも野絵じゃないと萌えはないんだよなぁ 

ということで職人さんお待ちしています!
596名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 18:04:11.86 ID:GyChJ4er
厚かましいとは思うのですが、待ってる男野立クンの続きが読みたいです
とっても綺麗にまとまっているので無理かもしれないけど・・・
せつなすぎて報われて欲しいっていうか
もの凄く好きなお話なので・・・
597名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 02:28:54.07 ID:VJCo7swF
捕手
598名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 09:36:04.85 ID:ncFNpzmy
「聖夜の奇跡」の続きができたので投下させてください。
ご期待に添えるものになったか心配ですが、お付き合いください。
599続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:38:45.07 ID:ncFNpzmy
最寄の駅から野立のマンションへ向かう途中、酒とつまみを買うためにコンビニに寄った。
万が一のことを考えて、「アレ」を買っておこうと余計な意識が働く。
レジが混んでいるからと適当な理由をつけ、絵里子を店の外で待たせることにした。
思春期の男子学生のように周囲の目を気にしながら目的のブツを購入し、かばんの奥にしまいこむ。
店から出ると、待っているはずの絵里子の姿が見えない。
「変な奴らにからまれたか?」という考えが頭をよぎったが、絵里子に限ってありえない心配だ。
夜の繁華街を照らすのは街灯の明かりだけで、少し目を凝らすと3件先の店先に絵里子がいた。
なにやらショーウィンドウを覗き込んでいる。

「絵里子」

「わっ! ちょっと、おどかさないでよね」

「何見てんだ?」

「べっ、別にアンタに関係ないでしょ」

絵里子が顔の前で手を振る。
顔が赤い。何かをごまかしているのは見え見えだ。
野立が覗き込もうとすると、絵里子は強引に野立の手を引いて店から遠ざかろうとする。

「いてーな。相変わらずの怪力だな」

「うっさいわね。寒いんだからさっさと行くわよ」

「はぁ・・・。お互いまともなクリスマスを過ごせるのは何年先になるんだろうな」

「どういう意味よ」

「もう少しおしとやかにならないと、男にモテねーよって意味」

「なんですって! アンタの野立会だってうまくいったためしがないじゃない」

ふてくされた絵里子を見ながら、野立は心の中でため息をついた。
・・・また絵里子を怒らせてしまった。
600続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:39:53.10 ID:ncFNpzmy
俺はなぜこんなことを言ってしまうんだ。いいんだよ、男にモテなくても。
たとえ恋人同士になれないとしても、来年も再来年もこうやっていっしょに過ごせれば。

なんとなく気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは絵里子だった。

「・・・ねぇ」

「何だよ」

「もし・・・、もしもよ。来年のクリスマスもお互いフリーだったら、またこうしていっしょに過ごしてくれる?」

最後は聞き取れないくらいの小声だった。
見ると、絵里子は耳まで赤くしてうつむいている。
その姿から、野立ははじめて絵里子の言葉の意味を理解した。

「そうだな。それも悪くないけど、俺はこのままフリーでいるつもりはない」

「わ、私だって、別にフリーでいたいってわけじゃないのよ。
 でも、一人で過ごすよりは・・・その・・・野立といると楽しいし・・・」

今更、自分が言った言葉で恥ずかしがる絵里子が微笑ましい。

「絵里子」

「何よ」

「お前といっしょにクリスマスを過ごすには、俺もお前もフリーじゃないといけないのか?」

「そ、そりゃそうでしょ。どっちかに恋人がいたら駄目に決まってるじゃない」

「じゃあ、こうしよう。俺が絵里子の恋人になってやる」

「はぁ?」

「二人とも、フリーのままではいたくないと思っている。
 それから、俺もお前と過ごすクリスマスはなかなか楽しいと思っている。
 ・・・完全に利害が一致してると思わないか?」

「な、何言ってんのよ。そんなに簡単にこんな大事なこと、冗談もいいかげんにしなさいよ!」

「・・・冗談でこんなこと言わねーよ!」

野立にとっては精一杯の告白のつもりだったのだが、まったく絵里子に理解してもらえないような気がして、つい語尾が荒くなってしまった。
しまった、と思いつつ絵里子を見ると、驚きと怯えの混じった複雑な表情のまま固まっている。
601続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:41:52.81 ID:ncFNpzmy
「すまない。でも、本当に冗談じゃないんだ」

「・・・じゃあ、もっと・・・もっと他に言い方があると思う」

絵里子がじっとこちらを見つめてくる。
いつもの自信にあふれた表情と打って変わって、期待と、ほんの少し不安の混じった瞳。
野立の言葉の意味が理解できないほど絵里子は鈍感ではないだろう。
ただ、お互いの気持ちを推し量って共に過ごすような、そんな恋愛には疲れてしまった。
早く心の安寧を手に入れるためには、確証が欲しいのだ。

真面目くさって告白するのは、なんとなく自分らしくないように思えて嫌だった。
しかしそんなところで意地を張って、ようやく手に届くところまで近づいた幸せを逃すほど、野立は愚かではない。
野立は絵里子の頬に手を伸ばし、そっと触れた。

「絵里子、好きだ」

その一言に、すべての気持ちをこめて。
指先からも愛しさが伝わるように、その白い肌を撫でる。
絵里子はうれしそうに目を細め、自分の手を重ねた。

「私も、あなたが好きよ」

潤んだ瞳で見つめられ、野立は体の奥底から愛しさがこみ上げてくるのを感じた。
少しだけ背をかがめて、そっとキスをする。
先ほどとは違い、角度を変えながら繰り返し唇を重ねていく。
その先に進みたくて舌でなぞると、少しだけ唇が開いた。
そこにねじ込むように舌先を入れる。
唾液が少し甘いのは、最後に飲んだ紅茶のせいだろうか。
絵里子の舌を追いかけ、くちゃくちゃと音を立てながら激しく絡ませる。
そのまま貪るように舌を絡ませていると「・・・んっ」と絵里子が艶っぽい声を出し始めた。
野立の首に回した両手をせわしなく動かし、後ろ髪をつかむ。

「キスだけで感じてるのか?」

ようやく唇を離し意地悪に尋ねると、絵里子は荒い息のまま、首を振った。
顔が赤く、肩も震えている。
まだ意地を張っている絵里子が愛おしくなり、ぎゅっと抱きしめた。
抱きしめながら両手で絵里子の体をまさぐる。
ヒップラインをなぞると、「・・・あぁっ」と絵里子が悶えた。
こうやって感じやすい場所を探りだし、執拗に責めていく。
602続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:43:20.29 ID:ncFNpzmy
「・・・あっ、やめて。もう・・・、立っていられない」

がくがくと体を震わせながら、絵里子が哀願する。

「感じてないんだろ?」

そう言いながら、野立はパンツスーツのズボンに手を差し込み、
ショーツの上から絵里子の一番敏感な場所に触れる。

「きゃっ!」

絵里子の体が跳ね、ぎゅっとしがみついてくる。
そこはショーツの上からでもわかるくらい濡れていた。

「すげー濡れてる」

「いやっ、言わないで」

潤んだ瞳で見つめられ、野立の下半身も熱を持つ。
厚手のコートを着込んでいるから、触らなければわからないだろうが。
野立は手を引き抜き、震える絵里子の肩を抱いた。

「続きはマンションで、な」

わざと耳に息を吹きかけながらささやくと、絵里子はそれだけで感じてしまったのか身をよじらせた。
足元がおぼつかない絵里子を支えながら、野立のマンションに向かう。
もちろんその間も、わざと耳元に息を吹きかけたり、スーツの上から絵里子の下半身に触れたりしながらだったので、
いつもは5分の道のりなのだが、その倍以上の時間をかけてようやくマンションについた。

玄関のドアを開け、絵里子を招き入れる。
絵里子は、はぁはぁと荒い息を吐き、もう一人では立っていられない様子だった。
ドアを閉めて鍵をかける野立の背中にしがみついてくる。

「おねがい、はやく・・・」

「はやく?」

「はやく・・・、野立がほしいの」
603続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:44:22.29 ID:ncFNpzmy
野立は振り返ると絵里子を抱き上げ、そのままベッドルームへ向かった。

部屋の明かりをつける余裕はなかったが、カーテンを空けたままの窓から差し込む人工的な光のおかげで、絵里子の姿ははっきりと見える。
ベッドの縁に下ろし、コートなどを剥ぎ取るように脱がす。
キャミソールもブラジャーもはずし、絵里子を包むのはすでに意味をなさなくなった白いショーツだけになった。
野立は自分も衣服を脱ぎ去った。
そして、キスをしながら押し倒すようにベッドに倒れこむ。
激しく胸を揉みしだき、音を立てながらその頂を吸う。

「あっ、あっ、だめっ、そんな激しいのぉ」

シーツをきつく掴み、絵里子が身悶えた。
せわしなく足を擦りあわせる。
もう少しこの体を堪能したいが、さっきからずっとお預けをくらっていた野立も限界だった。
片手で胸の頂をいじりながら、もう片方の手でショーツを下ろす。
ひくひくと震えながら蜜をあふれ出すそこに、そっと中指を入れていく。

つぷっと音がして、もう十分に潤っている絵里子の下半身は、すんなりと野立の指を受け入れた。
びくっと絵里子の体が跳ねた。
ねっとりと内側の壁を擦るように動かし、蜜をつけた親指を小さな芽に擦りつける。
強く押しつぶすと、再び絵里子の体が跳ねた

「・・・もう、イッちゃう」

絵里子はやめてほしかったようだが、野立は入れる指を増やし、さらに激しく内壁を擦る。
顔を近づけ、ぷっくりと膨らんだ赤い芽に吸い付く。

「あっ、それだめなのっ、ああっ!」

ぎゅうっと指が締め付けられ、その直後、奥からどくどくと蜜があふれてきた。
絵里子は「あっ、あっ」と声を上げながら、ひくひくと痙攣している。
感じすぎたのか、頬には涙の筋ができている。
野立は自分も下着を脱ぎ去ると、すばやくゴムを取り出した。
袋を開けて準備をしようとすると、絵里子が片手でそれを制した。
「いいのか?」と視線で尋ねると、絵里子は荒い息を整えながら答える。

「大丈夫、ピル・・・のんでるから・・・」

野立はひとつうなずくと、硬くなったモノを絵里子の下半身に押し付けた。
それだけで絵里子の奥から蜜があふれ出すのがわかる。
少し先を擦って蜜をまとわりつかせた後、野立は一気に絵里子を貫いた。
604続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:45:29.05 ID:ncFNpzmy
「あっ・・・」

中は先ほどの余韻が残っているのか、まだひくひくと震えていた。
野立は絵里子の腰を掴むと、激しく打ち付ける。

「だめっ・・・感じすぎちゃうのっ」

そんなことにはかまわずに、野立は腰を動かし続ける。
ぐちゃぐちゃという卑猥な音と、お互いの呼吸だけが部屋に響き渡った。
絵里子は髪を振り乱しながら、必死に野立の腕にしがみついてくる。
急に愛しさがこみ上げてきて、野立はむさぼるように絵里子の唇に吸い付いた。
びちゃびちゃと音を立てて、激しく舌を絡ませる。
互いの唾液が混ざり顔を汚すが気にする余裕はない。

「・・・野立、もう、ダメなの・・・あっ、イッちゃいそう」

絵里子の中がぎゅっと締め付けてくる。

「俺もだ・・・、いっしょにイクぞ、絵里子っ」

「うんっ、来て、ああああっ!!!」

大きく腰を引いて思いきり打ち付けると、絵里子は悲鳴のような声を上げて達した。
搾り取るように内壁が収縮し、野立は絵里子の体内にすべてを吐き出した。

「後片付けは俺がやっておくから、お前はこのまま休め」

そう言って優しくキスをすると、絵里子はふっと微笑んで瞳を閉じた。

翌朝、野立が目を覚ますと、隣には安らかな寝息を立てる絵里子の姿が。
時計を見るともう11時だったが、今日は二人とも非番なので問題ない。

「まだ起きるなよ、絵里子」

額にキスを落として、野立は身支度を整えた。
605続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:49:39.65 ID:ncFNpzmy
「おはよう」

絵里子が目覚めたのはそれから1時間後。
キッチンで食事を作っていた野立は振り向かずに答える。
足音が遠ざかった。顔を洗いにいったのだろう。
と、ばたばたと足音を響かせて、絵里子が戻ってくる。

「ちょっと、ちょっと野立! どうしたのコレ」

慌てふためいて戻ってきた絵里子がつまんでいるのは、胸元のネックレス。
先程、部屋を抜け出した野立が買いに行ったものだ。

「ん? 気に入らなかったか?」

「いや、気に入ってるんだけど、いや、そうじゃなくて」

「クリスマスプレゼントにしては安物だな。今度もっといいものを買ってやるよ」

そこでようやく絵里子はすべてを理解したようだ。
頬を赤らめながら近づいてくると、ぎゅっと野立に抱きついた。
消え入りそうな声で「ありがとう」とつぶやく。

「ごめんね、私何にも用意してないや」

「いいよ、俺はもう絵里子からプレゼントもらったから」

「何を?」

「教えない」

これから恋人として過ごすであろう二人の時間。
野立がずっと手に入れたくてたまらなかったものだ。
後で二人で買い物に出かけよう。まだクリスマスの余韻の残る街を、恋人として歩こう。
ただそれを口にするのは恥ずかしくて、野立は絵里子を抱きしめ唇をふさいだ。
606名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 09:50:47.64 ID:ncFNpzmy
以上です、おつきあいいただき、ありがとうございました。
607名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 11:37:00.43 ID:j2YCPHLZ
待ってましたあぁぁ
GJ!!
608名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 12:56:06.53 ID:QSiGOJ/M
GJ〜!!!ありがとう!!!待ってましたぁ!!!
貴方様の書く野絵大好きです
またの投下を楽しみにしています
609名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 18:32:26.28 ID:SRIwZ+ej
野立と絵里子の中の人の動画でいいともSP
http://v.youku.com/v_show/id_XODczNzA1MzI=.html
ですが18分ぐらいの時にお互いに笑顔で照れているのが
萌えてしまいます
610名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 19:26:27.47 ID:3GVZ/EDD
気持ちはわかるがsageようよ
611名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 19:55:26.80 ID:3GVZ/EDD
GJGJ!!
季節が冬もいいな〜
2人のコート姿は映像では見てないけど似合い過ぎると思うw
また書いて下さいな
612名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:37:01.56 ID:z+eLDBGb
なんであげるかねえ
あとここは中の人を語るスレじゃないから
613名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:41:54.98 ID:p5tS0bPt
>>612
新手の嵐だとオモ
中の人萌えは別に場所があるし、みんな自力で辿りついてるしね
614名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:58:43.72 ID:rlLOY9La
荒らしとは違うんじゃない
最近のここの初心者集合っぷり見てると
皆さん行く所探し回って辿り着いてる気がする

初めてさんはメール欄に半角小文字でsageと入れてね
615名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 00:34:48.33 ID:laQc4YR1
GJ! GJ!
この作品の絵里子サイドが読みたいです。
って俺だけ?
616名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 05:08:32.37 ID:lQEODZOZ
GJ!!俺も絵里子サイド読みたい
617名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 09:44:49.98 ID:R87rXYqs
同じく!
絵里子サイドが読みたいです。
618名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 12:32:48.56 ID:336OqLQU
bbspinkも2chと同様、500KBでdat落ちするんだっけ?
このスレ既に473KBになってるのでぼちぼち次スレ用意した方がいいのかな?
619名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 23:15:53.81 ID:FNTWQuxP
45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 12:31:40 ID:RMWbuQPL
過去ログから拝借

・980レス以降は24時間放置でdat落ち
・480KB以降は1週間放置でdat落ち
620名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 06:54:25.62 ID:RZy3C1p6
「聖夜の奇跡」の絵里子サイドを書いてみました。
とりあえず前半部分です。しばらくおつきあいください。
621聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:55:32.52 ID:RZy3C1p6
車の助手席から見える街はすっかりクリスマスムード一色だ。
まだ一週間も先だというのに、昨夜のレストランはクリスマスディナーのコースを楽しむカップルであふれ、
一人で入ったことを後悔しないまでも、居心地の悪さを感じるには十分だった。
それに、出迎えたウェイターの「お一人ですか?」の問いかけが妙に気に障った。
「はいはい、どうせ「おひとりさま」ですよ。それがなにか?」
なーんて態度はおくびにも出さずに、笑顔でうなずいたのだが。
それもこれもアイツが悪いのよ。たまにはメールのひとつくらいもよこせっつーの。
アイツが「飲みに行かないか」って誘ってくるんだったら、こっちも考えてあげないこともないんだけど。
だって、こっちから誘いにくいじゃない。
同期とはいえ、アイツは出世頭で参事官。私にはわからない色んな事情があるのだろう。
その証拠に同じ建物内にいるはずなのに、この一ヶ月間まったく見かけない。

「BOSS、ありがとうございます。とっても美味しかったです」

車から降りた絵里子のもとへ、木元が駆け寄って頭を下げる。

「気に入ってくれた? また行きましょうね」

「はいっ」

その笑顔が気持ちよくて、絵里子は子供にするように木元の頭を撫でる。

対策室が関わった連続殺人事件の後始末も無事終わり、今日は部下たちを昼食に連れ出したのだ。
建物に消えていく部下たちの後姿を見つめながら、絵里子はふぅーっと息を吐いた。
大勢でとる食事は楽しかった。
木元は絵里子の横で「おいしい!」と歓声をあげ、片桐はウェイトレスの女の子を見つめたまま固まっていた。
花形はサラダの中に見たことのない野菜が入っていたらしく、物珍しそうに首をかしげ
山村さんはその花形に向かって、自分のクリスマスの予定(どこまで本当なのか)を一方的にしゃべり続ける。
岩井にいたっては、カウンター奥のシェフをうっとりと見つめ「二の腕がたまらんわぁ」とくねくねしていた。
622聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:56:31.44 ID:RZy3C1p6
仕事は順調すぎるほど順調だ。でも、この物足りなさはなんだろう。
いくら信頼してくれている部下たちに囲まれていても、やはり彼らは絵里子の「部下」だ。
絵里子が本当に話したいこと、考えていることを話す対象ではない。
安心してすべてを話すことができるのは、やはり同期で元バディの野立だけだ。
悪態をつきながらでもかまわない。聞いてくれるだけでいいのだ。
心の内をさらけだすことのできる相手がいるだけで、人は安心して立っていられる。
たかだか一ヶ月会えなかっただけで、こんなに寂しいなんて。
私はようやく気づいたのかもしれない。
アイツは、今日もこの建物のどこかにいるのだろうか。
たしかあの辺りが会議室のはず・・・。
しかしいくら見つめても、窓ガラスは外の風景を反射するだけだった。

あれから一週間が経った。今日はクリスマスイブ。
幸い対策室が関わるような大きな事件は起きなかったが、絵里子は日々の雑務に追われていた。

夕方、化粧室に向かうと、若い婦人警官たちが今夜に備えて念入りなメイクをしながら世間話に花を咲かせていた。

「そういえば、交通課の子が野立参事官をクリスマスに誘って玉砕したんですって」
「アレ? あたしは生活安全課の子だって聞いたわ」
「私は受付の子って聞いたわよ」
「実は全員だったりしてー」
「まっさかー。でもありえるー」
「「「あはははははは」」」

甲高い笑い声に頭痛がする。そして、無性に腹が立ってきた。
私を誘うヒマはないけど、女の子に告られる余裕はあるのかしら。
どうせ噂だとわかっているのだが、アイツの日ごろの行いが悪いからこんな噂が立つのだ。

「でもさ、参事官忙しいから。クリスマスどころじゃないんじゃない?」

そうそう、まったくその通りよ。
そこのヒジキまつ毛、なかなかわかってるじゃないの。

「それがさー、今日の会議が中止になったんですって。副総監が出られなくなったとかで」
「じゃあ、野立参事官、今日フリーってこと? あたし誘っちゃおうかなぁ」
「ちょっとー、あんたは彼氏と過ごすんでしょ」

もともと会議の予定だったってことは、プライベートの予定はないはず。
・・・今夜、誘ってみようかな。
でもアイツのことだから、会議が中止になった途端にどこぞの女の子に連絡を取ってたりして。
クリスマスだからなおさらそうに決まってる。
って、コレ、他の女の子たちと同じ発想じゃない。
・・・いやいや、今夜がたまたまクリスマスなわけで、ただ飲みに誘うだけじゃないか。
そうよ! いつもと同じように声をかければいいじゃない。
623聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:57:29.42 ID:RZy3C1p6
そう決心したはずなのに。

「なんでまだ仕事してるんだろう」

誰もいない対策室に、絵里子の独り言が響く。
部下たちは今日も定時で帰っていった。
時計を見ると、もう8時を過ぎている。
晩御飯はコンビニでいいか。
レストランでの苦い思い出が胸をよぎり、絵里子はため息をつく。
だらだらと荷物を片付け、コートを羽織って対策室を出ると、遠くのほうに見慣れた背中が見えた。
・・・まさか、でも間違いない。
野立は別に急ぐ様子でもなく、出口に向かっていく。
絵里子は、半ば尾行のようにその後を追った。

外に出ると、冷たい北風が肌に突き刺さった。
それで頭が冷えたのか、自分が馬鹿みたいに思えてくる。
久しぶりに話ができるチャンスができたのに、なんでこんなことしてるんだろう。
絵里子は大きく息を吸った。肺の中が冷え切って気持ちが良い。
そう、いつもと同じように声をかければいいんだった。

「あれ、今帰り?」

偶然を装ったつもりの声は、少しうわずっていた。
振り向いた野立の横に駆け寄る。

「クリスマスなのに、ずいぶん遅いお帰りなのね。野立参事官」

「急に会議がなくなったんだよ。おかげで早く帰れる」

ふてくされたように話す彼の横顔を見るのは、一ヶ月ぶりだ。
本当に帰るだけなのだろうか。どうすればうまく聞きだせるのか。

「どうせ何の予定もないんでしょ。無理しなくていいわよ」

「そういうお前こそどうなんだよ」

どうしよう、どうしたらうまく切り出せる?
考えれば考えるほど、唇は余計なことばかりを紡ぎだしていく。

「・・・私? 私はいろいろあるわよ。
 素敵なレストランに行ってー、ワインでしょー、それからケーキも食べてー」

ちがうちがう、こんなことが言いたいんじゃない。

「イルミネーションも見にいってー」

・・・もう限界。
振り向くと、野立は先程と同じ表情で立ちつくしていた。
624聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:58:35.33 ID:RZy3C1p6
「嘘」

「え?」

「こんなに忙しいのに、予定なんか立てれるわけないじゃない」

勢いでネクタイを掴む。
掴んだ後でそれが失敗だったことに気が付いた。

「どっかの上司が仕事をおしつけてくるおかげで、
 こっちはクリスマスだってのに一人寂しく過ごさなきゃいけないのよ」

顔が近い。実はすごくドキドキしていること、ばれてないだろうか。
でも、もう後には引けない。

「責任とってよ」

野立は少し困った様子で、何やら考え込んでいるようだ。

「寒いんだから、さっさと答えて」

時間にすればほんの1,2秒だったが、絵里子には妙に長く感じられた。

「・・・仕方ねーなぁ。寂しい絵里子のために、今夜はつきあってやるよ」

その表情がとても柔らかくて、絵里子も自然と笑顔になる。
うれしい。すごくうれしい。
素直にそう言えないのはつきあいが長すぎて照れくさいからだろう。
あわただしくレストランの予約をしている野立の姿を見ながら、絵里子はため息をついた。

久しぶりに二人でとる食事は、とても楽しかった
食事は美味しいし、ずっとできなかった仕事の話も聞いてもらえた。
やはり野立は会議に追われる生活をしていて、今日はじめてクリスマスに気づいたという。
そんな他愛もない話をしている間に、食後の紅茶が運ばれてきた。
これを飲んだら、帰らなきゃいけない。次はいつ会えるのだろうか。
そう思ったら、胸がきゅっと苦しくなった。

「ねぇ、イルミネーションが見たいから、駅まで歩かない?」

絵里子の提案に、野立は笑顔で頷いてくれた。

たかが2時間くらい話しただけなのに、あんなにもやもやしていた気持ちが軽くなっている。
話を聞いてもらえたからだけじゃない。私は彼といることが心地よいのだ。
野立の前ではいつも自然な自分でいられるし、私のことを一番理解してくれている。
でも、私は野立のことをどれくらい理解しているのだろうか。

イルミネーションに彩られた街は、仲睦まじく寄り添うカップルであふれていた。
あんな関係は望まないが、いつもそばにいてほしいと思うのは贅沢だろうか。
625聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:59:47.11 ID:RZy3C1p6
「私と来て、良かったでしょ。人並みのクリスマスが過ごせたこと、感謝してよね」

本当はお礼を言わなきゃいけないのは自分なのに。

「・・・そうだな」

意外な返事だった。驚いて見上げると、野立はひどく慌てた様子で言い直した。

「いや、お前こそ、俺に感謝しろよ」

その様子が可愛らしく思えて、絵里子は野立の腕に抱きついた。
寒いし周りもやってるからと言い訳をし、体を寄せる。
黙り込んでしまった野立の顔を直視することはできないが、コートの上からでも彼の体温はわかる。
もう少しくっつこうかと思ったとき、乱暴に腕を振り払われた。
あちゃー、調子に乗りすぎたか。
なんて考えていたその刹那、視界が暗くなり、あたたかいものに包まれた。
・・・野立に抱きしめられている。
それを認識したとたん、頬が熱くなる。

「ちょっと、野立、やりすぎよ!」

「寒いんだったらこっちのほうがいいだろ」

「恥ずかしいってば!」

恥ずかしさのあまり騒ぎ立てるが、野立は離してくれない。
絵里子も40歳を過ぎた大人だ。いくらなんでも恥ずかしすぎる。
なんとか離してもらおうと身をよじったとき、一斉に周囲の灯りが消えた。

「終わっちゃったね」

「そうだな」

灯りが消えただけだってのに、なんでこんなに切ないんだろう。
絵里子は自然と野立の胸に体を預けた。

「ホントは、今日、アンタのこと待ってたのよ」

そして今日の経緯を話すと、野立の腕の力が緩んだ。
絵里子はそこから抜け出して歩き出す。
夢からさめたような気分だった。

「今日はありがとう。久しぶりに話せて楽しかったわ」

クリスマスはこれでお終い。また明日からはいつもの関係に戻るのだ。
そう、私にはそれで十分だ。
でもその先を望むのは贅沢なのだろうか。
手に入ればいいのだが、失うリスク、つまり拒絶されて今までのように会えなくなることを考えると怖くなる。
きっと私はひとりで立っていられなくなるだろう。
っていうか、今日の野立は急に抱きしめてきたりとか変なんだ。
これじゃあ期待するなって方がおかしい。
考えれば考えるほど、自分の気持ちがわからなくなってくる。
だから絵里子は、強制的に終わらせることにした。

「じゃあ、またね」

はやく、はやく帰らなければ。この気持ちを知られてはいけない。
そう思って歩きだそうとした絵里子の腕が、強く引かれた。
626聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 07:00:41.66 ID:RZy3C1p6
「何?」

「帰るなよ」

「何で?」

心の奥底で期待していたはずなのに、棘のある言葉しか返せない。

「まだ11時だ。クリスマスは終わってない」

「もう十分よ」

だからお願い、もう帰らせて。
しかし野立は私が「帰らない」と言うまで離すつもりはないようだ。
どうしていいかわからないまま、しばらく無言で見つめあう。
私、ずっと聞きたかったことがあるんだけど、聞いてもいいのかな。

「・・・私と会えなくて寂しかった?」

「ああ」

「ほんとに?」

「今更お前に嘘つかねーよ」

野立の真剣なまなざしには、普段のおちゃらけた様子は少しもなくて。
なんだ、寂しかったのは私だけじゃなかったのね。これは、期待してもいいのかな。
そう思うと自然と笑みがこぼれる。

「じゃあ、いいわよ。いっしょにすごしてあげる」

野立はガラにもないことを言って恥ずかしいのか、大きく息を吐いている。
まったく、この私をこんなに悩ませるなんてどこまでも食えない男だ。

「野立っ」

振り向いた野立の唇に、ちゅっと音をたててキスをする。

「・・・っ!」

完全に不意打ちだったようで、野立は呆然と立ちつくしていた。

「さぁ行くわよ!」

絵里子は強引に野立の手を引く。
その唇はひどく冷たかったが、とても柔らかかった。
627名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 07:01:43.70 ID:RZy3C1p6
とりあえず前半部分は以上です。
よろしければ、また後日後半部分も投下させてください。
ありがとうございました。
628名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 08:01:59.10 ID:u9ulc718
とりあえず480kb超えてるから次スレたててきたよ

次スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313362745/

629名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 08:26:54.39 ID:hHoxEAoi
うわー絵里子かわいいー!
続き読みたい!生殺し!
楽しみにしてます!
630名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 09:40:29.02 ID:XdtQayqb
>>628
次スレ乙です。
ありがとう!
631名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 10:15:37.79 ID:7XFOoqN1
>>627
GJ。ありがとう
後半楽しみにしています!

>>628
次スレ乙です
632名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 10:46:37.33 ID:mpF3xvkR
みなさん
ありがとぅございます。

感謝します!!
633名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 11:57:07.78 ID:FsKvMKLl
絵里子サイドいぃ!いいよぉ〜!!
両者の気持ちがわかると萌え倍倍増だね
後編楽しみにしています

次スレ乙です!
634名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 14:41:18.09 ID:6NFxl7jJ
GJ!
強がってる絵里子に萌えまくりです
635名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 19:39:32.49 ID:02944Iyy
次スレ立てていただいて、ありがとうございます!

聖夜の奇跡、絵里子の女心がイイですね〜。
後編楽しみです!

後編投下を待ってる間、場つなぎで図々しく投下させてください。すみません。
前回「ディナーにご用心」を書いて、その続きです、一応。
またしても無駄に長く、しかも無理のある展開、反省しきりなんですが・・・
話も勝手に暴走してますので、お嫌じゃない方だけ、よかったら読んでください。
636花火の夜に(1):2011/08/15(月) 19:41:07.16 ID:02944Iyy

「ねえ、こんなもんでいいかな?」
軽くシャワーを浴びてTシャツに着替えてきた野立に、キッチンから声をかける。
「上等、上等。どうせあいつらも差し入れ持って来るだろうしな」
大きな皿には、帰り際デパ地下で適当に買ってきたオードブルやつまみを盛り付けてある。
ちょっとしたパーティー風に見えなくもないだろう。
野立が冷蔵庫から、買い置きしておいた缶ビールやチューハイをまとめて取り出した。

今日は8月最後の花火大会だった。
野立のマンションから、花火が良く見えるのではないかと察知した対策室のメンバー達が、
仕事の帰りに花火見物に押しかけてくることになり、絵里子はその下準備をしていた。
野立と絵里子が一緒に住んでいることは、既に部下たちにすっかりバレており(むろん口外厳禁だが)、
だったらみんなで花火を見ながら盛り上がろうということになったのだ。
野立のマンションの最上階には、貸切にできるラウンジルームが複数あり、
管理人に確認したところ、運良く花火の時間帯に一室借り切ることができた。

絵里子も既にシャワーを浴びてラフなカットソーに着替え、薄化粧を施している。
「そろそろみんな来る頃よね。花火に間に合うかなぁ」
窓の外に視線を向けた絵里子の体を、野立が後ろから腕を回して抱く。
「俺、ホントは二人だけで見たかったんだけどな。そこのベランダでさ」
あいつらどこにでもついて来るからなー。野立がへの字口で絵里子の肩に顎を乗せた。
「上司を慕って遊びにくるだけカワイイもんよ」
絵里子が顔を後ろに向けて軽くキスすると、野立が、もっと、というように唇を求めてくる。
まだ石鹸の香りが残る体を寄せ合い、絵里子のルージュが落ちないように
ソフトなキスを繰り返していると、インターフォンが軽やかに鳴り響いた。
モニタに、5人の部下がひしめきあって映っている。
「野立さーん、ボスー!お酒たっぷり買ってきましたよ〜!」
637花火の夜に(2):2011/08/15(月) 19:42:18.27 ID:02944Iyy

食料と大量の酒を抱えて最上階まで上がると、廊下で初老の管理人が待っていて、ラウンジルームの鍵を開けてくれた。
隣接する別のラウンジルームにも、既に何家族かが集まってワイワイやっている様子だ。
室内に足を踏み入れると、ゴージャスなインテリアに絵里子たちは圧倒された。
重厚な外国製のパーティー用テーブル、キングサイズのベッド並みに大きな、ゆったりしたソファ、
洒落たバーカウンター、センスのいい照明の数々。
ホテルのスイートのように、洗練されたシックな内装で統一されている。
そして、最上階だけあって全面が張り出し窓になっており、見晴らしは抜群だった。

定刻どおりに花火が始まった。
夜空を華やかに染め上げる光と音の迫力に、一同は感嘆の声を上げた。
「うわーー!すっごいですねーー!ここ特等席だぁ!」
「デジカメで映るかな。マイブログにアップしなきゃ♪」
花形と山村が興奮しながら、窓に張り付いて花火に見入っては、パシャパシャと写真を撮っている。
「片桐、フライドポテト食べるか?ほら、アーンしてみ♪」
岩井が太い指でポテトをつまんで片桐の顔の前に差し出すと、木元が
「片桐さんはスイーツのほうがいいですよね〜。はい、シュークリーム好きでしょ?」
と、片桐の腕を引っ張る。
岩井と木元は、ソファの上で片桐を真ん中に挟んで火花を散らしていた。

「みんな、楽しそうね。・・・ありがと、野立」
絵里子が花火の盛大な音に邪魔されないように、野立に耳打ちする。
「いや、俺もここに住んでまともに花火見たの初めてだし。良かったよ」
部屋の照明を控えめにしているせいもあって、部下の目もあまり気にならない。
絵里子は自分の食べかけのピザを、
「これ、わりと美味しいよ」と野立の口に運んでかじらせた。
「あ、チーズが髭についちゃった」
絵里子がティッシュで野立の口元を拭いてやると、今度は野立が
「おまえもついてるし」と笑いながら、絵里子の唇に指を伸ばしてピザのかけらを摘み取る。
638花火の夜に(3):2011/08/15(月) 19:43:44.83 ID:02944Iyy

はっと気づくと、部下たちの視線が絵里子と野立に集中していた。
「なんちゅうか、やらしい雰囲気やなぁ、あんたら」
「えっ!!ど、どこがっ!」岩井の呟きに絵里子が野太い声で答える。
「二人してそんなリラックスした格好で、何気に風呂上りっぽい匂いまでさせとるし」
「な、何よ!フツーにTシャツとパンツじゃない!どこがやらしいのよっ!!」
「たしかに、そのフツーのラフさが返ってエロチックとも言えますね・・・」
自分で言ったエロチックという単語に反応して照れている片桐に、木元が同調する。
「分かるー。なんか二人だけ、まとってる空気が違うんですよねー。くだけてるって言うかぁ・・・」

「素の状態って感じが、逆にドキドキしますよね。オトナって深いなー」
花形が興奮気味に言うと、山村がじっとりとした横目で不満を口にした。
「大体、さっきから花火なんてそっちのけで、イチャイチャ二人の世界に浸っちゃって。
ボクの小説は権力使って差し止めたくせに、なんだか納得いかないや」
「・・・ヤマムー、今月も育毛剤禁止にしようか?」
「えーーっっ!!の、野立さん、それだけはご勘弁をーーー!!」

上司2人への冷やかしでひとしきり騒いだ後、花火にも少々飽きてきた面々は、
やけくそのように酒とつまみに走り始めた。
「おまえら、どんどん飲め飲め。明日は多少の遅刻は大目に見てやる」
野立が部下たちを煽って酒を勧める。
「酔っ払わせて、さっさと帰らせようぜ」
野立の耳打ちに、絵里子は深く深く頷いた。

花火が終わり、あらかた食べつくした頃には、部下たちは完全にデキあがってしまった。
食べ散らかした残骸や空き缶をゴミ袋に集め、帰り支度をする。
例によって泥酔状態の山村を、同じく酔っ払った岩井と花形が両脇から支え、
木元は酔いに任せて片桐の腕にべったりしがみつき、
片桐も酔って頬を紅くしつつも、妙に目をギンギンにさせながら木元を支えて歩いている。
「どーもー!野立さーん、お邪魔しました〜!ボスー!まぁた明日〜!」
ろれつの回らない口調で部下たちがラウンジルームを出てエレベーターに向かう。
絵里子と野立も、ほろ酔い気分でゴミ袋を手に、電気をすべて消して外に出ようとした。
639花火の夜に(4):2011/08/15(月) 19:44:58.68 ID:02944Iyy

「おっと、エアコン消してなかった。リモコンどこだっけ」
「あれ?さっきカウンターの上で見たけど・・・ない?」
再び電気を点け、カウンター周りやソファの上などを探す。
しばらく探し回った二人は、ようやくソファの窪みに隠れていたリモコンを見つけ、エアコンを切った。
部下達は既にエレベーターで降りていったようで、もう声は聞こえなかった。
さて帰るか、と野立がドアに手をかけてノブを回す。が、どうも様子がおかしい。
「あれ?開かない。なんでだ?」
ガチャガチャと野立がノブをいじるが、内側からではびくともしない。
「どうしたの?鍵掛かっちゃってる?」
両手にゴミ袋を提げた絵里子が、心配そうに覗き込む。
「ひょっとして俺たちがリモコン探してる間に管理人が来て、もう誰もいないと思って外から鍵掛けたんじゃ・・・。
あのジイサン、ちょっとぼんやりしてたからなー」
野立が、顎に手を触れながら呟いた。

「ね、外から鍵掛けられたとして、なんで内側から開けられないのよ?普通、開くよね?!」
「・・・そういえば、前に住人の中学生の息子が、ここに仲間連れ込んで鍵かけて悪さしたとかで・・・
それ以来、鍵は管理人が外からしか掛けられないように変えたんだよ、たしか・・・」
「・・・ってことは、私たちここに閉じ込められたってこと・・・?」
「そういうことに、なるな」野立が溜め息をついた。

野立が念のため携帯から管理人室に電話を入れてみたが、既に帰宅したようで出ない。
夜間はセキュリティアラームが鳴れば警備会社が駆けつけるが、基本は無人だ。
「・・・どうしよう」絵里子が途方に暮れた顔でソファに腰を下ろした。
「ま、明日の8時になれば管理人が出勤してくるさ。しょうがねぇよ。
トイレもエアコンも酒もあるし、ここで一晩過ごそうぜ。ホテル並みに豪華だし」
「8時まで待ってたら、明日は完全に遅刻だわ・・・」絵里子が頭を抱える。
「いいさ、たまには。俺が大目に見てやる」
「あんたは明日しっかり休み取ってるもんね!私はまだ仕事がたまってるのよ・・」
「カリカリすんなって。人間、その場その場を楽しみながら生きたほうがラクだぞぉ」
そう言って、野立はいくつか照明を落とすと、大きなガラス窓の前に立った。
640花火の夜に(5):2011/08/15(月) 19:46:10.70 ID:02944Iyy

「見ろ、絵里子。この辺りは他に高層の建物が少ないから、向こうの夜景が綺麗だろ」
野立の言葉に、絵里子も窓辺に近付いた。
先ほどは花火に気を取られていたが、こうして見ると確かに近くの建物はみな、このマンションより背が低い。
灯りを減らしたせいもあり、遠方の高層ビル群のイルミネーションがより一層美しく輝いて見えた。
「ほんとだ、すごく綺麗ね・・・」絵里子はガラスに張り付くようにして見入る。
しばらく見惚れていると、野立と二人ということもあり、心がスーッと落ち着いてきた。
絵里子の白い横顔を見つめていた野立が、呟いた。
「周りに邪魔な建物がないってことは、こっちを覗かれる心配がないってことだな」
そう言いながら、いきなり後ろから絵里子に抱きついてきた。
「えっ、ちょっと、何いきなり・・・」
「こんなとこに二人で閉じ込められてんだ。やることなんてひとつしかないだろ?」
野立はニンマリと笑うと、窓の前に置かれた大きなソファに絵里子を引きずり込んだ。

むさぼるような情熱的なキスに呑み込まれ、絵里子は息がつまりそうになる。
「・・・ん・・・待って、もっとゆっくり・・・」
そう声を絞り出すものの、ここ数日お互いに多忙でゆっくり抱き合う時間もなかったことを思い出し、
絵里子の体もじんわりと熱くなってくる。
唇と唇がもどかしげに求め合い、舌がとろけあうように絡まる。
薄明かりの下でぴちゃぴちゃと唾液が混ざり合う音だけが響き、絵里子は早くも下腹部に熱い疼きを感じた。

野立が絵里子のカットソーの中に手を入れ、暖かな掌で肌を撫でる。
ブラの上から胸を軽く一撫ですると、カップの隙間に指を2本差し入れ、蕾を優しくさすった。
絵里子が脚をすり寄せて身をよじると、野立が絵里子のカットソーを脱がしに掛かる。
コットンのパンツもひき下ろされ、ブラとショーツだけになると、野立も自身のTシャツとパンツを脱ぎ捨て、
グレーのボクサーショーツ一枚になった。
そのままソファの上で絡まりあうように抱きしめあうと、ショーツ越しに絵里子の股間に野立の大きな塊が押し当てられ、
その感触に絵里子は思わず「あっ」と声を上げながら、自ら腰をくねらせてしまった。
641花火の夜に(6):2011/08/15(月) 19:47:45.81 ID:02944Iyy

野立がわざとぐにゅぐにゅと股間を絵里子にこすりつけてくる。
その間も長いキスが続き、徐々に固く持ち上がってくる野立のモノの感触が、絵里子を恥ずかしいほど興奮させた。
「ねぇ・・・待って」
絵里子は野立をそっと押しとどめると、ソファの上で体勢を変え、自分が上になって野立を組み敷いた。
「何?俺が襲われるの?」野立が緩んだ表情で絵里子を見上げる。

絵里子は野立の股間に手を伸ばし、下着の上から既に半分ほど持ち上がっている野立自身を撫で回した。
「・・・んんっ・・・」野立が低く息を漏らす。
指でさすり上げるように愛撫しながら時々後ろの袋もソフトに握ってやる。
十分固くなってきたところで、野立の下着をグッと引っ張り下ろした。
主張するように勢いよく立ち上がったモノに、絵里子は躊躇なく顔を埋める。

絵里子はあまりこの行為が上手くないことを自覚していた。
それでも野立を喜ばせたい一心で、こうして時々自分から野立を頬張る。
そしてそういうとき、決まって野立は愛おしそうな目で絵里子を見下ろして、呼吸を荒くする。
「・・・絵里子、気持ちいいよ・・・」
野立が絵里子の髪に手を差し入れた。

絵里子は唇と舌を存分に這わせながら、野立のモノを唾液まみれにしていく。
絞り上げるように右手を何度も上下に動かし、舌先でぬらぬらと先端のヒダの内側まで丁寧に舐めた。
不意打ちのようにカポッと深くくわえ込み、口内の熱いモノにまんべんなく舌をからませる。
そうしながら、左手で野立の小さな乳首をつまんでやると、野立が震えるような吐息を漏らした。
642花火の夜に(7)

絵里子が顔を上げて、野立の乳首を舌で舐め始めると、野立が絵里子のショーツの中に手を伸ばして秘所に触れた。
「おまえ、もうこんなに濡らして。あふれてきてるぞ」
野立が驚いたような笑みを浮かべながら、濡れた指先を音を立ててしゃぶる。
野立の両手が絵里子のヒップを撫でるように滑りながら、薄いショーツを脱がしていく。
絵里子はもどかしげに自分でブラを外すと、野立の唇に、先が尖りはじめた胸を近づけた。
野立が舌ですくうように乳首を舐め上げ、少し転がした後、ちゅぷっと音を立てて口全体で乳房に吸い付いた。

野立が舌を這わせながら、唇も使って蕾を存分に味わい、掌で胸をしっとりと揉みしだく。
乳房を両手でぎゅっと掴んだり、力を抜いていやらしく円を描くように揉んだりしながら、
時折指先でクリクリッと蕾をつまみ、こね回す。
絵里子は「はぁ・・・ん」と声を上げ、ぐちゅぐちゅに濡れた秘所を野立の股間や腹部になすり付けた。

「やらしいな。ガラスに映ってるぞ」
野立が秘密めいた笑みを浮かべて絵里子に囁く。
ふと横を見ると、野立の上に跨って乳房を揉まれながら腰をすり付けている自分の姿がガラスに浮かんで見えた。
「やだ・・・」絵里子は羞恥に赤面するのを感じつつも、動きを止められない。
外から覗かれはしないと分かっていても、ガラス張りの無防備な空間に映るあられもない姿はこの上なく扇情的で、
恥ずかしさが余計に絵里子を昂ぶらせ、乱れさせた。
野立が急に上体を起こし、絵里子を抱きかかえるようにして体を動かす。