ドラマ『boss』でエロパロ3

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1名無しさん@ピンキー

過去スレ

ドラマ『boss』でエロパロ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1248253042/

ドラマ『boss』でエロパロ2
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1302922052/
2名無しさん@ピンキー:2011/07/06(水) 18:24:43.90 ID:R0WBBbAD
>>1
乙です
3名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 00:35:41.02 ID:e5LCu2UZ
>>1
乙だから!
4名無しさん@ピンキー:2011/07/08(金) 03:23:12.82 ID:oLtOj1Mc
ほしゅ
5名無しさん@ピンキー:2011/07/08(金) 18:35:09.50 ID:lKBmqcBj
藤林丈司は変態
6名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 01:24:43.05 ID:qsJACNCO
浴衣売り場を見てて、絵里子と野立の浴衣姿が見たくなった
絶対に似合うだろうな〜
そして野立は絵里子のうなじにドキドキしてたらいいw
7名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 06:00:56.36 ID:rWUR06FV
二人ともイタリアとかヨーロッパの背景も似合うのに浴衣も似合うのが凄い
(野立の浴衣は見たことないけどたぶん似合うだろう)
8名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 00:56:25.22 ID:MIBFBn1s
>>1乙だから!

前スレ986みたいなの好きだー
なので便乗

「絵里子!俺か野立か選んでくれ!」
「え、何その二択」
「どっちが好きかって訊いてんだよ」
「えーと、ふたりとも好き」
「俺とバディ組んでるんだから、俺の方が好きだろ?」
「それ公私混同だろ。つか俺に黙って組むとか抜け駆けも大概にしろよ」
「もー、喧嘩やめてよ。やめないとふたりとも絶交するよ!」
「「…済みませんでした。もうしません」」
「分かれば良し。じゃ仲直りに飲みに行こう♪」

男2人を手玉にとる魔性の女な絵里子もアリだ
9名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 01:19:58.63 ID:9ZCfzxHu
絵の中の人が演じた如月さん(オケピ2003)の魔性っぷりが絵里子にあったなら…
そういやオケピでは、ヤマム〜や屋田さんと共演してんだよね
10名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 10:39:16.66 ID:Xf+3BiGZ
3人の微妙な関係が好きすぎる。
特にノベラライズの嫉妬してるピーピーが・・・あぁ・・・・
んで妄想w


深夜、森岡宅
酔いつぶれて寝てしまった家主が目を覚ますと何やら話し声が。


「絵里子、ダメだって」

「大丈夫。」

「ピーピーが起きたら・・・・」

「自分が先に言い出したんでしょ?」

「だけど・・・・」

「ん・・・・・・・」

無言。

「・・・ね、野立も・・・・・」

「たく・・・・・・・」

会話が止まり、ごそごそと人が動く気配が・・・・・
森岡は耐えられなくなり、

「お、お前ら何やってんだ!?」

がばっと起きあがる。

「あちゃ、起きちゃった?」

「あーあ・・・・・」


2人の手元を見ると、森岡秘蔵のワインが空いている。


「ほーら、だからダメだって」

「だって、美味しそうだったんだもん」

「あぁ、もうショックで動かないぞピーピー」

「あらやだ、小さい男ね」

「悪いなピーピー今度、俺秘蔵のシャンパンを飲ませてやる」

「何よそれ、私にも飲ませなさいよ」

見られても関係なく楽しそうにワインを飲み続ける2人に、やっと我に返る森岡。

「お、お前らもう帰れ!!!」


そんな不幸なピーピーに萌える(笑)
11名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 11:28:29.96 ID:Oh8/B8FG
>>10 3人ともかわいすぐるやないか!
ええ感じやw
ありがとう、もっとよろしく
12名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 16:38:12.61 ID:VTk/XaeI
>>10
ちょw
めちゃめちゃGJGJGJ!!
やっぱり同期被り物トリオ(野→←絵←森前提)ええわあ
13名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 20:14:57.56 ID:CM9+ZiHY
>>10

不幸ピーピーいい!!
GJ!!

ピーピーと絵里子に嫉妬する野立も良いと思うな。
14名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 21:04:54.75 ID:B08baMtF
>>986です。優しいレスくれた方有難うございました…!図にのってその続き。
スチール単独撮影時の同期3人妄想会話文です。(ていうかエロないし…

「あはは、見て野立かっこつけちゃって。ああいうの得意よねアイツ」
「…」
「あ、そういえばピーピーさっき言いかけてた事何だったの?」
「ああ…うん。」
「何、どしたの?」
「絵里子、俺…「おい終わったぞ。お前の番だぞピーピー」
「(ギリッ)ああ…」
「…何話してたんだ?」
「?分かんない。ちょうど話すとこだったから…あ、見て見てピーピーったら緊張しちゃって。 
 ああいうとこ可愛いわよね〜アイツ。アンタはソツなくこなしちゃうけどさ」
「…俺だって上手くいかないこともある」
「へー想像つかない。例えば?」
15名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 21:07:08.07 ID:B08baMtF
「例えば…」
「うん」
「絵里…「おい済んだぞ。行って来いよピーパー」
「あ!ホントだ!すいませんお願いしまーす!」
「…お邪魔だったか?」
「…どの口が言うんだよ。」
「あいつどんどん綺麗になるな…」
「ああ、見ろよ。あのカメラマンデレデレだ。身の程しらずっつうか怖いもの知らずか?」
「あ!おい今名刺渡さなかったか?」
「(ピキ)いい度胸じゃねえか」
「あー恥ずかしかった〜」
「今口説かれてただろ(超低音)」
「はあ?そんなわけないでしょ。何言ってんのピーピー」
「連絡先もらったろ」
「ああ、仕上がり一緒に確認しましょうって。仕事熱心な人よね〜」
(な訳ねえだろ。ダメだこいつ)(仕方ない。後であのカメラマン2人でシメよう)
「ちょっとー!何2人でこそこそ話してんのよー!」

同期2人に勝手に縁遠くされる未来の対策室室長w
16名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 22:12:57.15 ID:CM9+ZiHY
>>15

続きキター!!超いい!!
鈍感過ぎてカメラマンのナンパにすら気付かないエリコww
17名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 22:38:34.03 ID:HF0nlhHy

同期3人組がかわいすぎる
18コースアウト:2011/07/10(日) 22:56:28.72 ID:2UreEwqW
かな〜り毛色が違う妄想です。
エロ全く無しです。
長いですが、萌え度は低いかな。
興味ない方、飛ばしてください。
注;3人の写真の野立さんに髭ありなので、1課と4課の合同捜査の後に広報
飛ばされたと設定。


「クソーッ!」
森岡博はテーブルにあったマスコットの帽子をつかみ上げ、力いっぱい投げた。
その黄色い物体は床に叩きつけられるとそのまま床の上をすべり備品室の入り口
ドアにぶつかって止まった。
大きな耳をピンと立て、ピーポー君の帽子が森岡にクリクリの大きな瞳を向けている。
ふと、森岡の脳裏に過去にあった同じ光景が浮かんだ。
あの時は…直後にドアが開いたんだった…
19コースアウト:2011/07/10(日) 22:59:47.86 ID:2UreEwqW
「何、遊んでんのよ、もりおかぁー」
そう言って、入って来たのは森岡と同期で、ただ1人の女性キャリアとして
入庁した大澤絵里子だった。
絵里子は床に転がる帽子を拾い上げると二、三度はたいてテーブルに戻した。
「絵里子…」
森岡の鼓動が速まる。
「聞いたわよぉ、おとり捜査のこと…」
「お、おとりじゃねえよ…ギリギリセーフのところを行ってたんだ」
森岡は動揺をごまかすように不機嫌を装い、口を尖らせ視線をそらした。
「おとりにギリギリセーフもアウトもないの。おとりが許されるのは麻薬だけ。
1課が、んなことしてどうする…変わんないねえ、アンタ。先を焦って無茶を
やらかすとこ」
そう言って、半笑いで森岡を覗き込むように見る。
「…で、そっちは? 何やらかしたんだよ」
ぶっきらぼうに聞き返す森岡の言葉に絵里子の表情が一変し、はぁっと大きく息を
吐くとテーブルに寄りかかった。
「何もしてないよ…普通に総務部広報課への異動…要するに、取り扱いに戸惑ってん
のね…女性キャリアのお取り扱いにさッ!」
なかばやけくそ気味にフンと鼻で笑う。
「男社会だってことは十分わかってるつもりだし、女性警察キャリアなんて世間に
対する一種のパフォーマンスだってのも十分わかってたつもりだけどね…まあ、
どこまで出世させるか模索中ってとこじゃないの?」
20コースアウト:2011/07/10(日) 23:03:54.15 ID:2UreEwqW
「お前、アメリカ行ったじゃねぇか。十分、出世コースだろうが」
「あれ? あれもとりあえず語学留学に出しとけって感じよ。野立みたいな正統派
とはワケが違う」
「野立…」
森岡の奥深くでグサリと何かが刺さるような鋭い痛みが走った。
「そうよ。東大法学部卒のエリート、他の省庁からも声がかかってたって言うじゃない。
2年足らずの留学で名門大学の修士2つ取ってきたと思ったら、警察署長として赴任して、
同期の中じゃハイスピードの出世頭。ああいうのを本物のキャリアって言うんだよね」
ハンと自嘲気味の笑いを浮かべる絵里子に、森岡がニヤけた視線を送る。
「お前ら大学校では仲良かっただろ…いっつもくっついてて…」
「くっついてたんじゃない! あいつが勝手に近寄ってきてたの。ほら、あいつの好物は
女だから、男だらけの学校じゃ息できなかったんでしょ。酸素ボンベみたいなもんよ」
森岡は安堵したような笑みを浮かべ、ハハハッと声を出して笑う。
21コースアウト:2011/07/10(日) 23:06:19.07 ID:2UreEwqW
「そうだよな。暇さえあれば婦人警官と合コンセッティングしてたからな」
「隣の警察学校に女の子見に行ったりしてさ。ホントいい加減なヤツ。なんかあればすぐに
引き摺り下ろされる世界だけどさ、あれは女でコースアウトするタイプだよね」
絵里子が目を丸く見開きおどけたような笑顔で森岡を見た。
森岡もそれに応えるように、「間違いねー」と大げさに頷く。
金属の棚に囲まれた狭い空間に二人の笑い声がこだまする。
「これが企画書ね」
絵里子がテーブルにあった書類を取り上げた。
森岡の顔から笑いが消え、諦めと腹立たしさの入り混じるため息がもれる。
「そんなことやるために小難しい試験受けたんじゃねぇっつーの! ったく、
やってられるかよ、んなこと!」
「幼稚園児から小学校低学年の児童とその保護者を対象にしたお芝居を作るわけね…ふ〜ん」
森岡の言葉など耳に入ってないかのように、絵里子は企画書に目を落としたまま
うなずいている。
「適当にやっときゃいいよ。どうせヒマな広報のオバサンたちがいじくるんだ。ったく!
こんなこと警視にやらせるなっつーの!」
そう吐き捨てると、「なぁ」と絵里子に同意を求める。
絵里子はおもむろに顔を上げる。
「私、適当にやるって嫌いなんだ。警視とかどうでもいいし…」
そう言うと、森岡に涼しげな笑顔を向けた。
22コースアウト:2011/07/10(日) 23:09:39.73 ID:2UreEwqW
「ほら、私、女ってハンデあるからさ、そういうの気にしないって決めてるから…まあ、正直、
入ったばっかの頃は負けるもんかって気持ちあったけどさ。入ってみてわかったんだよね…
パワーゲームがやりたかったわけじゃない。純粋に自分の中の正義感に従っただけだって。
だからさあ、最近、キャリア向いてなかったかなあって…普通に刑事でよかったなあ…なんてね」
絵里子はペロッと舌を出すと、「アンタも私と同じでしょ?」と言って、キャラキャラと笑う。
その無邪気な笑顔が森岡から腐っていた心を取り去っていく。同時に胸の奥が緩く締めつけられた
ような軽い息苦しさと頬のほてりを感じた。
「そうだよ。俺、別に官僚になって組織運営したくてここに来たわけじゃない…大体、警察庁で
キャリアやるなら東大って決まってんだ…うん、そうだ」
と、テレを隠すように大げさに何度かうなずく。
「うん…お前と同じだよ。ホントに気付くの遅いのな、俺たちって。やっぱ東大じゃないから、な」
「そうそう、計算高くないからねぇ、私たちは。野立に言わせれば青臭いってんだろうけど、
純粋で素直ってことなの…顔に似合わず、ね」
森岡の耳に、絵里子の「アンタも私と同じでしょ」という言葉とともに、あの時、二人で見合って
笑い合った絵里子の美しい笑顔がよみがえる。
23コースアウト:2011/07/10(日) 23:12:32.87 ID:2UreEwqW
「おい、先客がいるよぉ…と思ったら森岡かよぉ」
突然ドアが開き、森岡は現実に引き戻された。
そこに、野立信次郎が立っていた。
「お、可哀相に、こんなところに放り出されて、ピーポー君」
野立は床に落ちている帽子を拾い上げるとポンポンとはたき、「可愛いなあ、これ」と言って頭にかぶる。
「どうだ、似合うか?」とドアの外に向かって頭を回す。
「何、もりおかぁー? またぁ?」と、野立の背中を押しのけて入ってきたのは絵里子だった。
「あんたさあ、またやらかしたの? 無茶な捜査ばっかりしてるとそのうち降格されちゃうよ…
私みたいに」
「おお、絵里子! 相当吹っ切れたなあ。自虐的な笑いにできるんだから大したもんだ」
野立は絵里子の肩をガシッとつかむ。
「うるっさいっ! もう、ちゃっちゃと終わらして飲みに行くよ!」と言って、絵里子は棚から緑とピンク
のマスコット帽子を取り出しポンポンとはたいて形を整えると、ピンクのほうを森岡に投げ渡した。
「企画内容はピーポー君とその仲間たちを広報誌に掲載するんだとさ。ちょうど3人いるからさ、それかぶって
屋上で写真とろうよ」
「なんだよ、そんな適当なんでいいのかよ…」
森岡が驚いたように絵里子を見た。
24コースアウト:2011/07/10(日) 23:16:47.97 ID:2UreEwqW
「いいんだよ、適当で」と言って、野立は森岡の手からピンクの帽子を取ると、「ピーパーちゃんは
色的にお前だろ」と、絵里子に投げ返す。
「あとは広報のお姉さん達が適当にやってくれるんだから、俺たちは適当でいいんだよ」
森岡は代わりに絵里子から渡された緑のマスコット帽子にしばらく視線を落としていた。
──私、適当にやるって嫌いなんだ。警視とかどうでもいいし…アンタも私と同じでしょ──
森岡の耳に絵里子の言葉がこだまする。
その言葉は、これまで少なからず森岡の支えになってきたものだった。
「…これは俺のじゃない」
森岡が顔を上げて野立をにらんだ。
「ピーポーが俺のだよ。新入りはこっちだろ」と言って、緑の帽子を野立に投げつけた。
「残念だったな、ピーポー君はすでに俺の頭におさまってる。ピーピー君がお前にはお似合いだ。ほれ」
野立がそのおどけた口調とは対照的に冷徹な目を森岡に向け、帽子を乱暴に投げ返した。
森岡の眉間に深いシワが刻まれ、一、二歩野立に向かって歩を進める。
「もうッ! 二人ともいい加減にしてくれる! くっだらないことで、バカじゃないッ! バカなのッ?」
絵里子が二人の間に落ちた帽子を取り上げると、ポンポン叩いて森岡の頭にグイッとかぶせた。
「もうさ、今夜はくされ縁の同期会だから! 朝まで付き合ってもらうから! チャッチャと終わらすよ!」
25コースアウト:2011/07/10(日) 23:20:32.95 ID:2UreEwqW
「こいつ、終わった事件、勝手に捜査始めたもんだから、ここに飛ばされてやんの」と言う野立は、いつもの
とぼけたような顔に戻っている。
「終わったって…何の?」
「ほら、爆弾テロ事件の…」
「あーもうッ! 思い出させないでよ」と、野立の言葉を絵里子がさえぎる。
「どうせ、もっと遠くに飛ばされるんだから。森岡はすぐにまた3係に復帰でしょ。ぜ〜んぜん問題ないよ」
「そう腐るな。俺が偉くなってお前をまた1課に戻してやるから」
「うっさい! アンタ自分の出世のことしか考えてないくせに、よく言うよ!」
絵里子はピンクのマスコット帽子をかぶると乱暴にドアを開け、「ほら、ピーポー! ピーピー! 行くよ!」 
と背中越しに呼びかけさっそうと出て行った。
「お前は? なんでここにいるんだよ」
絵里子の後に続こうとした野立に森岡が訊く。
「俺? 俺は…絵里子に付き合ってやってるだけだ…くされ縁だしな、俺たち」
自嘲が混じるクールな笑みを浮かべて森岡を一瞥すると「行くぞ、ピーピー!」と言って背を向ける。
森岡は乾いた笑みを浮かべると、諦めたように二人の後に続いた。
26コースアウト:2011/07/10(日) 23:22:37.01 ID:2UreEwqW
4年の月日が流れたある日の警視庁捜査1課3係。
森岡は手にしたばかりの朝刊を丸めると力いっぱいゴミ箱に叩き入れた。
「ックショーッ!」
机を拳で叩くと部屋を出た。と、前方に立ち話をしている二人の男がいる。どちらも見覚えがあった。
ひとりは野立信次郎、もうひとりは兵頭信一、二人とも森岡の同期だ。
ほどなく、野立が「じゃあな」と片手を軽く上げ立ち去って行った。
森岡がしばらく立っていると、向きを替えた兵頭が森岡の存在に気付いて笑顔を見せる。
「よう! 森岡」
「おう」
歩み寄ってくる兵頭は、同情をまじえた笑みで森岡を見る。
「残念だったな。また39条適用だってな」
「ったく、やってられん。容疑者逮捕にどれだけの人と時間がかかってると思ってんだ」
「全くだよな」
兵頭の軽い返答に、森岡の顔に薄い笑みが浮かぶ。
「お前は? 警察庁のお偉いさんがわざわざどうした? 確か人事課の課長だったよな」
「おい、嫌味か、それ」と苦笑する。
「課長補佐だよ。未だに警視やってますよ。どうせ、俺は野立警視正には及びませんから」
「野立? なんか関係あるのか?」
兵頭は片頬で笑うと森岡に一歩近づく。
27コースアウト:2011/07/10(日) 23:26:59.41 ID:2UreEwqW
「ここだけの話、4年前警察庁に戻るはずだったのは野立だよ。あいつがなぜか1課の現場を
見たいとかなんとか言って固辞したから俺に回ってきたってわけ」
森岡は4年前の爆弾テロ事件で2階級降格され1課の現場に戻った絵里子と同時期に現場に出た
野立を思い出していた。
「20万人以上の従業員を抱える大企業の経営者になる人間が伝票の切り方を学ぶ必要があるか?
要するに、キャリアとノンキャリアの違いはそこだ。そもそものフェーズが違うんだ」
入庁したての大学校で野立が語る持論に「伝票の切り方を知ってるトップがいて何が悪いの。
アンタのそういうところが嫌いなの! 何様のつもりよ」と食ってかかる絵里子がいた。
4年前の野立の行動は自身の理論とは間逆の行動で、当時、同期の間では驚きを持って伝えられた。
兵頭が呆れたように続ける。
「あいつ、警視になると同時に重要ポストを渡り歩くはずだったのにアメリカ留学希望したりさ、
人事も扱いにてこずってたらしい。かと言って、成果を上げてないわけじゃない。女性職員だけの
生活安全課作って成功させてるし…今も課を越えた新しい部署を立ち上げようとしてるんだとよ。
お前にできるか? 警察庁の室長か県警本部の部長ポストを蹴るなんてことがさ。俺たちみたいな
凡人が同じことしたら、その時点で終わりだ。不思議な男だよ、野立信次郎というヤツは」
28コースアウト:2011/07/10(日) 23:31:47.66 ID:2UreEwqW
兵頭は、ポンと森岡の肩を叩くと「じゃ、お前も頑張れ」と言って背を向けた。
ひとり残った森岡は自身を卑下するように苦い笑いを見せる。
──あれは女でコースアウトするタイプだよね──
いつだったか、絵里子が野立のことを語った言葉を思い出していた。
「絵里子…お前がコースアウトさせてんじゃねえか……かなわねえな」
森岡は深いため息を吐くと、吹っ切れたような笑顔になった。
その年の3月、森岡は警視庁を去って行った。
特別対策室が立ち上げられる1年前の話である。


以上です。
長文&乱文ごめんなさい。
イマイチ萌え度低いので、まとめサイトアップは結構です>管理人さん
失礼しました。
29名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 23:42:37.95 ID:CM9+ZiHY
すごーい!深いわー…。
このエピそのままノベライズに載せて欲しいくらい。

超スマッシュGJ!
30名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 23:48:35.78 ID:IiK+3TlE
すごいすごい!本編で描かれなかった詳細が、そのままノベライズされたみたい!
じっくり読ませていただきました。もうこのまんま本編採用でいい!素晴らしいです。
31名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 00:12:00.49 ID:2kVYYGEh
ボスブロ、野絵の幻のキスシーンだったら良かったのに
32名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 01:14:32.00 ID:mjZ9zsoG
まあ間違いなく岩井と花形だろうなw
33名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 06:12:04.24 ID:6JQahIxj
28
朝から感動をありがとぅ。
34崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:16:22.20 ID:pqOZKwcy
ピーピー逮捕後の野×絵で書いて見ました。
エロくないので、つまらないと思います。興味ある方だけ、読んでくださいませ。
35崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:20:55.05 ID:pqOZKwcy

「森岡は、いつの間にか私たちとは全然違う場所に行っちゃってたんだね・・」
ソファに深く埋もれながら、何気なく呟いた。
隣で、ネクタイを外したワイシャツ姿の野立がグラスを片手に「そうだな」とポツリと答える。「長い付き合いの3人組だったのにな。いつのまにか、アイツだけ違う方向見てやがった」

森岡が逮捕されてしばらく、野立とはあまりその話題に触れることはなかった。仕事場では憎まれ口を叩きつつ協力しあい、仕事が終わったあとは馴染みのバーで飲みながら冗談を交わしあう。そんな当たり前の日々を重ねていた。
今夜、いつものようにバーに向かう途中で不意に雨が降り出した。
雨の勢いは強くて、二人のスーツをあっという間に濡らしていく。濡れながら店に駆け込むより、タクシーで絵里子のマンションに向かう方を選んだのは、どうしてだろう。
どちらから言い出したのかもはっきり覚えてないけれど、今こうして絵里子の部屋のソファで、二人並んでちょっとだらしなく座りながらグラスを傾けている。
不思議なようでいて、ごく自然な成り行きにも思えた。
36崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:22:36.64 ID:pqOZKwcy

「私はさ、私と野立とピーピーの3人は、昔っから子供みたいにバカ言い合って、なんていうのかなぁ、漫才トリオみたいな正三角形だと思ってたんだよね。
でもさ、気づいちゃった。正三角形なんかじゃなかったんだなって。いつからか、私とあんたの二人を遠くから眺めて、ピーピーは少しずつ距離を置くようになった。
三角は三角でも、いびつな三角形だったんだよね、もう随分前から」
野立は黙ったままだ。グラスを長い指でもてあそびながら、ぼんやりと絵里子の顔を見つめている。いつもの慣れた構図。
なのに、なぜか今はその視線がこそばゆかった。
「ピーピーがああいうことになって、私たち、本当に2人になっちゃったね」
そう言ってから、絵里子は慌てて付け加えた。「いや、別に変な意味じゃなくてさ」

「ピーピーは、たぶん気づいてたんだろ。俺とおまえの間には入っていけないって。今回のことは、アイツの思想とか信念だけじゃなくて、アイツなりの俺たちとの決別なんだろうな。」
野立はそう言うと、昔を思い出すような、ちょっと淋しそうな顔をした。
そんな野立の横顔を見つめていると、野立は不意にグラスをテーブルに置いて、冷たくなった指先で絵里子の鼻をキュッとつまんだ。
「結局、俺とおまえ二人が残るってことだな」
「残るって何よ、なーんか失礼な言い草ね!」
言い返したものの、間近にある野立の瞳に射抜かれて、絵里子は自分でもうろたえるほどドギマギした。
37崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:24:06.52 ID:pqOZKwcy

本当はずっと以前から心の奥底でうっすら気づいていた。
自分と野立は一心同体のペアであり、自分がこうしてお堅い組織の中で女だてらに対策室を率いていられるのも、いつも自分の背中を見守る野立の眼差しがあったから。
わざと本音を隠し、おちゃらけてバカげたことばかり言ってるこの男が、実は誰よりも自分を守ってくれていることを、絵里子は肌で感じ取っていた。
そして、今回の森岡の事件をきっかけに、自分と野立は本当に二人でひとつのペアなのだと、より実感していた。
けれど、そのことに気づけば気づくほど、自分の中に顔を出す女の部分に蓋をしたくなって、わざとはぐらかしていた。

「分かってるだろ。俺とおまえの二人なんだよ。今までも、これからも。どうしようもねぇんだよ。そうなっちまうんだから」
「・・・なーに言ってんのよ、野立。意味がわからな・・」
言い終わらないうちに、野立に後頭部をグッと引き寄せられた。
バランスを崩しそうになった瞬間、野立に唇をふさがれていた。
頭の中がショートしそうになった。わずかに残っている理性で、懸命に野立の胸を拳で叩いて抵抗する。
が、柔らかく温かな唇が絵里子を飲み込んでしまいそうで、徐々に体から力が抜けていった。

不意に唇を離して野立が絵里子の顔をイタズラっぽく覗き込む。「何だよ。怒んないのか」
「・・・怒りたいけど怒れない」
放心した絵里子は、なぜだか子供のように泣きそうな気持ちになった。今まで背を向けて突っ張ってきた、自分の中の誰にも言えなかった思い。
それが今、決壊したようにあふれだそうとしている。
唯一自分の弱さをさらけ出せる相手が、いま目の前にいるこの男なのだと、体の芯から自覚して、なんだか涙が出そうになった。
38崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:26:27.33 ID:pqOZKwcy

「気づいてたか?俺がどういう気持ちでおまえを見てきたか」
野立の親指が、絵里子の頬をゆっくりと撫でる。
「俺はずっと自分の気持ちを隠してきた。それが、俺たちにとって一番いいと思ってたからな。
でも、森岡がああなって、三角形が崩れたなら、もう俺は自分の気持ちを隠すのはやめる。おまえには俺が必要だ。
おまえを守ってやれるのは俺だけだ。分かってるだろ?絵里子」
息がかかるほど近く、野立が絵里子を見つめている。
ああ、いつもこんな目で、この男は・・・。絵里子はとうとう観念した。

「分かってるよ。分かってたよ、たぶん、ずっと前から。バカだよね、私」
絵里子は絞り出すようにそれだけ言うと、今度は自分からギュッと野立の体にしがみついた。
一瞬、野立がハッとしたように体をこわばらせ、それから何かのスイッチが入ったように、絵里子を力強く抱きしめた。
シャツ越しに熱い体温が伝わってくる。絵里子は自分の鼓動が野立に伝わってしまいそうで、奇妙な恥ずかしさを覚えた。
「分かってるなら、ちゃんと確かめよう、な、絵里子」
野立の低い声が耳をくすぐり、「ん・・・」と返事をするや否や、また唇が重ねられた。
胸の奥と、下腹部の奥が、きゅうっと締め付けられるような感覚。
ほんのすこし絵里子が唇を開くと、その隙間から野立の濡れた舌が入り込んでくる。
生き物と生き物がからみあうような、深くて柔らかく、どこまでも甘い、でも激しいキスに、絵里子は我を忘れて野立にしがみついた。
こんなに長い年月一緒にいて、これが初めてのキスだなんて信じられない。
気付かないふりをしてきたのに、本当は私たち、こんなにもお互いを求めていたなんて・・・。
39崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:28:26.22 ID:pqOZKwcy

糸を引くような長いキスのあと、抱き合った体勢のまま、野立と絵里子は互いの瞳を覗き込んだ。照れくささは、いつのまにか消えていた。
「やっと素直になったな」そう囁く野立の目は、吸い込まれそうに深くて、愛おしげに絵里子に注がれる。
「・・・あんたもね」絵里子はそう言い返して、野立の鼻先を指でつまんだ。
なんだか嬉しくて、笑いがこみ上げてくる。
「よし、今まで待たされたぶん、目一杯思い知らせてやる」
野立はニヤリと笑うと、絵里子の細い腰を一層強く抱きしめた。
絵里子は思わず「バーカ」と言いながら、野立の首に顔を埋めた。
ああ、この匂い。私はこの匂いがたまらなく好きだ。

ふと見上げた時計の針は、午前0時。明日は二人とも非番。時間ならいくらでもある。
そう思って絵里子がまた笑みをもらすと、野立が「ん?どうした?もっとしてほしいか?」と低い声で囁いた。
「して。いっぱい」そう絵里子が答えながら野立の髭をつまむと、野立が「絵里子は可愛いな。知らなかったろ。俺がおまえを可愛いと思ってたなんて」と微笑んだ。
そして、それを合図に、野立の唇は獰猛に、絵里子の肌へと降りていった。ひとつひとつ、長い年月を確かめるように。
                                             
                                        ☆ END ☆
40崩れた三角形:2011/07/11(月) 19:37:23.86 ID:pqOZKwcy
ごめんなさい。森岡じゃなくて、盛岡でした。失礼しました☆
41名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 19:44:22.74 ID:VNPf031g
>>40
GJ!GJ!
二人の心の揺れ具合が素晴らしい
42名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 20:20:21.37 ID:eCGuPJpE
>>40 GJ!!
あー…幸せ感いっぱいで、しあわせだ
ありがとう!
43名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 20:39:46.69 ID:K2QLOSGq
>>40
GJ!
すごく良かったよ。
素敵なお話をありがとう!
ちなみに森岡で合ってたと思うよ〜
44名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 20:48:57.52 ID:6JQahIxj
ありがとぅございます。
今日は2つも楽しめちゃいました。
45名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 20:49:10.14 ID:Hb4d5OWY
GJ!
あったかい気持ちになった〜。

でもやっぱりピーピーは2人の中で大きい存在だったんだね。せつなす。
46名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 21:00:05.98 ID:22vmJoWo
GJ!
なごんだ
47名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 02:06:25.31 ID:4SqmVSZF
ナーナナナナナナーナーナーナナーナーナナナナー
オーイエーーーーーーーーーーー!
48再生:2011/07/12(火) 02:27:56.37 ID:3dmIsQTN
初投稿です。
ノベライズを元に、最終回の昏睡状態の絵里子が
対策室に復帰するまでを書いてみました。
やたらに長く、萌え要素は皆無です。申し訳ない。。
興味なければ飛ばして下さい〜。。


絵里子に惚れている。
そう意識したのは、ほぼ同時だった。

青ざめた顔に酸素マスクをつけたまま、一向に目覚める気配のない絵里子の
枕元に一人、座りながら野立は思い返していた。
最初からあまりにも近く、当たり前のように傍にいたから、
俺一人だったら未だに絵里子への思いを、自覚さえしてなかったかもしれない。

出会った時から三人は一緒だった。
ふと絵里子を見つめると、視線の向こうにはいつも森岡がいた。
6年前、野立がプロポーズしそこなったのも、
絵里子に恋人がいたからではなかった。
対策室を立ち上げて、いつも傍にいながら絵理子を口説けなかったのも、
森岡の存在があったからだった。
絵里子を挟んで、互いの思いを尊重し合い、牽制し合い、
その緊張感が居心地良くもあった絶妙な三人の関係は、
出会った時から少しも変わらない。そう思い込んでいた。だが・・・


49再生:2011/07/12(火) 02:30:02.39 ID:3dmIsQTN
野立は警察病院に入院中の森岡を訪ねた時の事を思い出していた。
容疑者森岡博への面会許可は、もちろん野立の権力の賜物である。

「・・・何だよ、ピーポー。何しに来た?
 せっかく手に入れた権力をこんなとこで、なに無駄に使ってんだよ」

権力者よろしく、警備の警官の敬礼に軽くうなずきながら
病室に入ってきた制服姿の野立を
森岡は臆することなく見上げ、苦笑してみせた。

言いたい事はたくさんあった。
だが、せっかく訪れたにもかかわらず、やつれた表情の森岡に
かけるべき言葉を野立は見つけられなかった。
沈黙を破ったのは森岡だった。

「絵里子は・・・?」
「・・・眠っている」
「・・・助かるのか?」
「・・・そう簡単にくたばるかよ、あいつが」
「・・・だな」

乾いた声で森岡は続けた。

「俺は自分のしたことが間違っていたとは今も思ってない。
 か弱いアリがいくら頑張っても国家の役には立たない。
国家を動かすための力を得る。そのための戦いだった。
俺の大義が間違っていた訳じゃない。
 俺が負けたのは、運が少し足りなかったからだ。それだけだ」

口を閉じかけて、思い返したように冗談めかして続けた。

50再生:2011/07/12(火) 02:40:43.27 ID:3dmIsQTN
「もし、お前らを説得して味方にしていたら、勝てていたかな。
 俺ら、三人。肩並べて。いつもみたいに・・・」
「・・・なぜ、そうしなかった?」

野立の問いに、森岡は言葉を失った。

「なぜ、説得しなかった?なぜ俺達を最初から除外していた?
お前が信じたものが本当の正義だったなら、
俺達だってお前に共感したかもしれないじゃないか。
なぜ、何も言わなかった?」
「・・・・・」
「誰よりも、絵里子を説得できない、そう思ったんだろ?
 あいつはあんな歳になっても、まだ青臭い、正義の塊だ。
国家の為だろうが何だろうが、大義のために人を殺すなんてこと、
逆立ちしたって出来ない。そう思ったんだろ?
 だが、なあ、ピーピー。
 絵里子一人、説得できないような大義の、どこが正しい?」

なぜ、そんなものに走った?なぜ裏切った?なぜ犯罪者になり下がった?
そう、野立は問い正したかった。
図星をさされた森岡は血走った眼を野立から逸らし、肩で大きく息をついた。

51再生:2011/07/12(火) 02:43:57.04 ID:3dmIsQTN
絵里子と野立。
この二人の存在がなければ、あるいは俺は、
今もアリの一人として警察組織で働いていただろうか。
もし今も絵里子と一緒に働いていたら、
俺はあんな作戦を実行しようと思わなかっただろうか。
もし野立に対するライバル心がなければ、
あれほど権力を得たいと思わなかっただろうか。
あんな大義を、信じようと思わなかったのだろうか。
あるいは・・・

混乱した思考を振り切るように森岡は頭を一つ振った。

「・・・これだけは、はっきり分かっていたぞ、ピーポー。
 絵里子が刑事として俺を追う立場に立つ以上、お前は俺の味方にはならない。
 お前は、俺とは敵対しても、絵里子だけは裏切らない。絶対に。
 ・・・・違うか?」

森岡を突きさす野立の視線は、痛いほど真剣だった。

「・・・ああ。その通りだ」
「・・・やっと、認めやがったな」

森岡は片頬を皮肉に歪めた。
52再生:2011/07/12(火) 02:47:01.10 ID:3dmIsQTN
「俺はお前に何もかも持ってかれたよ、ピーポー。
 スタートラインに立つのは同時なのに、
 気づくと望んだものを手に入れているのはいつもお前だ。
 地位も、権力も、ピーポーの名前も・・・絵里・・・」
「それは違うな、ピーピー。お前はいつも自分からチャンスを手放すんだ。
 組織が厭になって警察をやめた、とお前は言った。
 だけど本当は勝負から逃げ出しただけだ。違うか?
 あの逮捕の時も。
 あの時、俺達は3人同時に発砲した。
 だがダントツに腕が良いはずのお前の弾だけが誰にも当たらなかった。
 大それた犯罪を犯そうとしたくせに、結局お前は俺たちを撃てなかった。
 勝負をしなかった!」

話している間に野立は段々腹が立ってきた。
ピーピー、なぜ俺はこんな形で最高の仲間を、最大のライバルを、
失わなければならなかったんだ?

「甘いんだよ、お前は!勝てない勝負じゃないのに、いつも最後で逃げる。
 だから、負けるんだ!」
「・・・・・」
「俺はな、ピーピー。刑事をやってる絵里子が好きだ。
 だからあいつに、刑事としての信念を曲げさせるようなことは、しない。させない。
 そのためなら、俺はいつでも、勝負する!」

強く言い切った野立の前でうなだれた森岡の胸中に
言いようのない敗北感が広がった。

53再生:2011/07/12(火) 02:50:30.94 ID:3dmIsQTN
この男はブレない。
どんなにおちゃらけていても、どんなにふざけていても、
大事なところはいつもブレなかった。
組織に対しても、絵理子に対しても。
だから・・・。

「・・・な〜んてな〜。
 顔だけじゃなく、言う事までカッコイイよな〜、俺って」

重い空気を払うように、野立は芝居がかった軽口をたたいた。

「・・・ったく・・・相変わらず・・・しょーもねーよ、お前・・・」

フッと笑った森岡の目に、光るものがあった。

「でも正直、無事で良かったよ。負け惜しみじゃない。
 お前らを殺したくはなかった。本当だ」
「・・・ああ、分かってる」
「ピーポー。俺が言うのもなんだが・・・あいつ・・・頼んだぞ」
「・・・あ?あ、ああ」
「なんだよ、頼りね〜返事だな、大丈夫かよ!」

野立もよく知っている、屈託のないピーピーの表情で、森岡は笑った。

いつから、俺たちはあの三人のままではなくなっていたんだろう。
ぼんやり考えていた野立はハッとした。
何日も昏睡状態だった絵里子が目を開けていた。
54再生:2011/07/12(火) 02:53:57.62 ID:3dmIsQTN
「絵里子!気がついたか?分かるか?」

うっすらと覚醒していく意識の中で、ぼんやりと人影が動いた。
見慣れた髭面。聞きなれた低声。
野立だ。
そう思った瞬間、絵里子は家にたどり着いたかのような安堵を覚えた。

ここはどこだろう?何が起きたんだっけ?
野立から病室の天井へと視線を這わせながら、絵里子は考えをめぐらせた。

「お前は黒原を逮捕した直後、倒れた。それからずっと昏睡状態だったんだぞ」

そうだ、あの時、私は・・・

絵里子の思考はいきなり核心に到達した。
声を発する力は無かったが、鋭い視線を向けただけで野立には十分通じていた。

「ピーピーは、今警察病院だ。命に別条はない。傷が癒え次第、送検される」

黒原とその犯罪に加担した者達の処分、田所、花形の容体、他の対策室メンバー達の活躍・・・ 絵里子の無言の問いに、野立は小気味よく次々と答えていく。

「だから心配はいらない。滅多にない休暇だと思って、ゆっくり休め」

いつになく優しい野立の声に、素直にうなずきながら絵里子は再び目を閉じた。
薄れていく意識の中で、絵里子は心に温かいものが沁み渡るのを感じた。



55再生:2011/07/12(火) 02:57:14.35 ID:3dmIsQTN
ずっと、傍にいてくれたんだ・・・。

いつの間にか絵里子の中で、野立の存在が誰よりも大きくなっていることを、
絵里子は自覚するともなしに、自覚していた。

ようやく絵里子が起き上がれるようになった頃、フラリと野立がやってきた。
だが、その日の野立は人が変ったように、むっつりと黙りこんでいた。

「ちょっと、なに?どうした?暗いよ、今日。カワイ子ちゃんにでも振られたの〜?」

努めて明るく声をかけた絵里子に、野立はボソリといった。

「森岡を、今日付けで書類送検した」

思わず息を飲み、凝視した野立の瞳の奥にどす黒い濁りがあった。
それは、同じ苦悩を味わった絵里子だけに見える濁りだった。

森岡の残した衝撃と傷跡は、二人にとって決して小さなものではなかった。
あんな形で二人の前からピーピーが退場していってから、
絵里子と野立の間にはいささかギクシャクしたものが流れていた。
バランスを失ったやじろべえのように、
どちらも宙ぶらりんの気持ちを持て余していたのだ。
今までそんなことはなかったのに、あれ以来、二人でいるとなぜか、
いるはずの三人目の事を考えてしまう。
今までとは違う何かが、二人をぎこちなくさせていた。
56再生:2011/07/12(火) 02:59:15.47 ID:3dmIsQTN
絵里子がようやく対策室に復帰した日、野立は絵里子を屋上に誘った。
病室で度々黙って考え込んでいた絵理子が、
また組織を離れたがるのではないかと疑っていたのだ。
絵里子もまた、野立の誘いに即座に応じた。
相変わらず調子がよく軽口ばかりたたいているものの、
あの事件以来、その軽さにどこか精彩を欠く野立を本気で心配していたからだ。

「お前にはもう撃ってほしくないんだよ」

6年前と同じセリフで、野立はカマをかけてみた。
あの時はぐらかした絵里子は、だが今日は野立の目をまっすぐ見返してきた。

「私にはここしかない」

そういう絵里子の目に迷いはなかった。
眩しそうに絵里子を見つめた野立の瞳の奥から、
やがてあのどす黒い濁りがゆっくりと消えていった。
57再生:2011/07/12(火) 03:01:36.46 ID:3dmIsQTN
もう、大丈夫だ。
野立の瞳を覗き込んだ絵里子は安堵した。
と同時に、あの事件以来の野立に対するこだわりは
自分の深層に潜んでいた感情が生んでいたのだと認識していた。

私たちはようやく、新しい一歩踏み出そうとしている。
私ももう少し、自分の感情に素直になってみよう。
そう決意しながら、絵里子は微笑み、背を向けて歩き出した。

颯爽と踵を返した絵里子の背中を見送りながら野立もまた、
何かが新しく始まろうとしているのを感じていた。

絵里子への想いをいつか伝えたい、その思いに変わりはない。
だがその前にやらねばならないことがある。
もう一度、二人の関係を築き直す。
森岡を含めた「三人の中の二人」ではなく、俺と絵里子と、一対一の関係を。
そうしたら、互いに素直に向き合える日も・・・いつか・・・
野立は儚い望みをそこにかけることにした。

三人の時は終わった。
懐かしさと寂しさを同時に感じながら、野立は三人で映っている写真を眺めた。

さらば、青春と放埓の日々よ!・・・なんてな〜。
我と我が想いに苦笑しながら野立は万感の思いを込めて、写真に敬礼した。

58再生:2011/07/12(火) 03:04:13.82 ID:3dmIsQTN
以上です。
長々とお邪魔しました。。
59名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 03:07:07.99 ID:/hxp8Nlm
GJです!
空白の療養期間が補完されました。
萌えをありがとうございます。
60名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 03:40:05.55 ID:jehIX2c7
GJ!!
面白かったよ〜。
3人の複雑な想いや感情がすごく伝わって来た!

そしてここで3人の話読むとTVでも3人のSPとか見てみたくなる
やってくれないかな〜
61名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 05:43:59.85 ID:WfxSMnEq
昨日に続き…
新しい感動をありがとうございます。
62名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 09:01:14.77 ID:KywE6P/y
ラストの解釈素晴らしい!!

本編でぼやかされた大事なトコがどんどん補完されていく。
このスレに出会えて良かった!
63Double tap:2011/07/12(火) 13:58:55.45 ID:/gN8+KaQ
初投稿です。
まとまりない番外編エピソード的になりました(非エロ)。
お目汚しになったらすみません。
64Double tap:2011/07/12(火) 13:59:46.72 ID:/gN8+KaQ
野立ぇ。今日うちで飲まない?明日非番なの。あんたもでしょ?」

そういって参事官室に入ってきたのは、同期の大澤絵里子。
20年来の腐れ縁の悪友で同僚で部下で仲間で、元バディで。…俺の片思いの相手。
それも20年間。

絵里子から誘いを受けるのは久しぶりだ。今日は野立会もないし、明日は確かに非番。
乗っとくか。

「おっ、いいなぁ。久々にやるか。」

2人でコンビニで酒やつまみを買い込み、絵里子のマンションに向かう。

「お前、明日非番だからって飲み過ぎるなよ。」
「わ〜かってるって!!」

すでに飲んでるようなこのテンション…。こいつのこんな時はヤバいんだよなぁ…。

65Double tap:2011/07/12(火) 14:02:13.08 ID:/gN8+KaQ
家に着くと、絵里子はラフな服に着替え、化粧も落としてきやがった。枕とブランケットまで用意してやがる。潰れる気マンマンじゃねえか…。
俺は背広を脱ぎ、ネクタイを外し、ワイシャツの首もととベルトを緩め、靴下を脱ぐ…許されるのはここまでだろう。

ソファーを背もたれにして、フローリングに敷いたラグ上に並んで座り、まずは缶ビールで乾杯する。家飲みのいつものスタイル。
たわいのない日常の話や部下のこと、仕事の話、刑事部長のグチなどをしゃべっているうちに、久しぶりに昔の話になった。

正直、ドキッとした。

66Double tap:2011/07/12(火) 14:04:45.26 ID:/gN8+KaQ
森岡を逮捕してから、あの事件の捜査以外では、森岡の名前も話も全く出なくなった。最初からいなかったかのように…。
俺も触れないようにしていた。俺にとってもやはりまだ生傷なのだ。
絵里子はきっと、俺以上に大きい傷を抱えたはず…。しかもさらに生々しいだろう。
67Double tap:2011/07/12(火) 14:06:21.37 ID:/gN8+KaQ
職場で顔を合わせても、仕事のことやバカなことを言って笑ったり、
いつものように軽蔑をちらつかせた突っ込みをいれられたり…と、
まぁ表面上はいつも通りだが、普段からそんなに森岡の話をしてい
たわけでもないのに、意識して避けようとしているせいか普段にない
緊張感があって、心地悪いような気がしていた。
68Double tap:2011/07/12(火) 14:07:13.69 ID:/gN8+KaQ
名前を出さなくても、すれば森岡がちらつく昔の話に、多分俺だけじゃなく
絵里子も意識して触れないようにしていたんだと思う。

思い返せばあの日以降、絵里子と飲みに行ってないな…。

そんなことを考えてたら、絵里子はすでにビールを飲み終え、焼酎を
飲み出している。
俺も急いでビールを飲み切り、焼酎に移った。

69Double tap:2011/07/12(火) 14:08:32.28 ID:/gN8+KaQ
「野立と森岡と、よく誰かの部屋で上司のグチ言い合ったよねぇ。
楽しかったなぁ。職場に不満だらけだったけど、あれがあったから
警察でやってこれた。」

絵里子が懐かしそうに切り出した。

「ああ、そうだったな。お前が俺らを並べて「男はこれだから
ダメなのよ!!」とかよく説教してた。で、決まってお前が潰れて…。
森岡とよく笑ったよ。」
「そうだったぁ?でも気づくといっつも3人で雑魚寝。女として扱
われたことがなかったわ。」

と絵里子がいつものように笑っている。

70Double tap:2011/07/12(火) 14:09:33.56 ID:/gN8+KaQ
「女として扱われるのを一番嫌がったのはお前だろ?」
「そうだった。すっご〜く嫌だった。女が刑事なんて無理だとか、
一課なんて女の来る場所じゃない!!とか言われる度に悔しくてさ…。
男に遜色なく、いや男以上にいい仕事をして、絶対見返してやる、って
いっつも思ってた。」
「柔道も逮捕術も射撃練習も、同期の男どもより熱心にやってたもんなぁ。
捜査の勉強もよくやってた。」
71Double tap:2011/07/12(火) 14:10:22.85 ID:/gN8+KaQ
「でも、射撃だけは森岡に勝てなかった…。」
「あれだけはあいつがダントツで上だったな。」
「練習場で何回勝負挑んでも勝てなかったわ。」
「よくやったな。俺は後ろでジャッジ。」
「そうそう、野立は絶対やらなかったよね。」
「だってお前には勝てるけど、あいつに負けるのわかってるし。」
「私ともやったことなかったじゃん!!」
「俺にまで負けたら、お前ますます練習場に籠もるだろ?」
「そんなこと言って、自信なかったんじゃないの〜?」

良かった。いつもの絵里子だ。

「バカ言え。森岡には勝てねえが、お前にだけは負けねぇよ。」

絵里子が日本酒に手をつけだした。そろそろカウントダウンだな。

72Double tap:2011/07/12(火) 14:12:21.21 ID:/gN8+KaQ
「ねぇ、野立…。」
「あ?」
「いつから森岡は、私たちと違う方向を向いちゃってたんだろう。」

やっぱりそこにくるか…。なんか言ってやりたいけど、
わかんねぇ…。俺も知りたいよ。

「…。」

「なんで森岡と銃を向けあったり、撃ったり、森岡に手錠かけなきゃ
ならなくなったんだろ。」
「…そうだな。」
「なんで…。仲間だったのに…。」
「だよな。あれから俺もずっと考えてる。答えはまだ見つかってない。」

絵里子が2杯目の日本酒を飲み始めた。

「私ね、あんたの肩越しに見た、森岡を撃った時の光景が頭から
抜けないのよ。ふと思い出したり、銃を見たり、銃声を聞いたりすると、
胸がズキッとするんだ…。だから、あれから射撃練習も行けてないんだ
よね…。」
「…そうか。」

知ってたさ。練習場の前まで行ってしばらく考えて、結局逃げるように
引き返してくるの、何回見たか…。それにお前のこと、何年見てきたと
思ってんだよ。20年だぜ?
お前は自分を隠すことはうまいけど、あんなことがあってそれでも平然
と過ごせるようなヤツじゃないってことは俺が一番わかってる。
73Double tap:2011/07/12(火) 14:13:51.45 ID:/gN8+KaQ
「6年前、銃が撃てなくて、本気で刑事やめようと思った。
あの時、野立が私が進むべき道を示してくれたでしょ。
あのあと野立のピンチで銃を撃って、野立の腕にかすっちゃって…。
あんたに屋上で「もう銃を撃つのは最後にしてくれないか。」って言
われた時、それじゃ仲間を助けるためにもっと正確に銃を撃てるように
なる!!って誓って、毎日射撃練習に通って猛特訓したんだ。」
「…知ってる。」
「だけど今回、ほんとにもう拳銃持つの辞めようと思った。もう撃ちた
くない、って。」

絵里子の日本酒のピッチが上がる。

お前の気持ちはわかってる。でも黙って頷くくらいしかできねぇよ…。

74Double tap:2011/07/12(火) 14:14:35.38 ID:/gN8+KaQ
「なんちゃって。らしくないでしょ?」
「まぁな。でも…」
「でも?」
「そんな時もあっていいんじゃないか?」
「え?」
「ブレることもあるってこと。あってもいい、ってことだ。」
「…」

絵里子に5杯目の日本酒をついでやる。

75Double tap:2011/07/12(火) 14:15:32.70 ID:/gN8+KaQ
「お前、泣いてないんだろ?」
「えっ?」

図星だな。


「森岡を撃って、逮捕して、お前なーんもなかったように周りにも
自分にも芝居して、泣けてないんだろ?」
「…。」

森岡いないし迷ったけど…。やっぱり久しぶりにやるか、あれ…。

76Double tap:2011/07/12(火) 14:16:38.42 ID:/gN8+KaQ
「…絵里子。」
「…ん?」

「…もう泣いてもいいぞ。見ないでやるから。」

絵里子の肩をダブルタップして抱いてやる。
いつも通り、堰を切ったように泣き出した。


「なんでよ…。もりおかぁ〜。仲間だったじゃん…。」
「なんで私に撃たせたのよ…。…なんで手錠かけさせたのよ…。
なんでよ…。」

だな、絵里子。俺もアイツにおんなじこと言いたいよ。
俺もお前もアイツも、目指すのは同じところだったはずなのに、
俺らはなんにも変わってないのに、アイツだけいつの間に違うとこ
向いてたんだ?…って。
同時になんで俺、早く気付かなかったんだろう?気づいてやれなかっ
たんだ?って自己嫌悪になる。
でも考えても考えても結論が出なくて、絵里子を納得させてやれないから、
昔のように黙って肩を抱いてやる。



77Double tap:2011/07/12(火) 14:19:12.65 ID:/gN8+KaQ


三人で飲むとき、男の俺らはあまり必要のないグチを盛って言い、
絵里子のグチを一通り引き出す。いつもグラスで飲む日本酒が、
5杯飲み終わる頃に絵里子が潰れるのが定番だった。
なので、絵里子のグラスに5杯目の日本酒を注いだとこで発動すること
にしている、俺と森岡のミッションがあった。
それは…ダブルタップ。

ダブルタップとは銃弾をなるべく近い場所に2つ連続で打ち込む高度な
技のこと。当時絵里子が新米のくせに必死に練習していた撃ち方だった。
それを「同じ場所を2回連続で叩く」という意味で使っていた。
78Double tap:2011/07/12(火) 14:20:05.45 ID:/gN8+KaQ
絵里子に1人が「もう泣いてもいいぞ。見ないでやるから。」と言い、
もう1人がダブルタップをして黙って肩を抱いてやる、というもの。
すると絵里子は堰を切ったように泣き出す。
黙って気が済むまで泣かせてやると、そのうちすーっと寝てしまう。
そしたら、森岡と片手でハイタッチをしてミッションクリアの祝杯をを上げ、
絵里子の寝顔を見つつ、男同士でサシで飲む。
これがお決まりだった。
79Double tap:2011/07/12(火) 14:21:06.07 ID:/gN8+KaQ
本人の記憶は無いらしく、翌日のお前は、目は腫れるがすごくキレイで
良い顔をするんだよ…。
それが見たくて、飲みの度に絵里子が日本酒に手をかけるかどうかで、
2人で一喜一憂していた。
どっちがダブルタップをするかを、毎回絵里子に見えないとこでジャン
ケンして決めてたな…。

お前にはトップシークレットだったが。
80Double tap:2011/07/12(火) 14:22:57.76 ID:/gN8+KaQ
考えついたのは森岡。
「女がそんなに強いわけはない。強がっているだけだ。」
というアイツの持論が、発祥。
アイツの読み通り、絵里子は一見男勝りで超強がりだが、根は怖がりで繊細。
グロテスクな死体を見たり触ったりはなんともないのに、当直の仮眠もとれ
ない変わったヤツ。
部下たちにはどかっと器のでかいとこを見せてるが、基本は今も変わらずだ。
お前が「女扱いしない」と思っている俺らが、多分
一番お前を女扱いして甘やかしていたってこと。

すべては、お前が選んだこの男社会の警察で、俺らのそばで、あの笑顔で
いきいきとしていて欲しかったから。
その思いは、森岡だって今でも俺と同じはずだと思っている。
81Double tap:2011/07/12(火) 14:25:26.25 ID:/gN8+KaQ
アメリカに行ってしまったお前を呼び戻すために、飲みながらアイツと
一緒に作戦を練ったんだから…。
それが特別犯罪対策室。
作戦通り着々と進んでたのに、もうすぐ具体化するって時に、
なんでアイツは警察を辞めて、俺たちから離れて行ったんだろうか…。
当然、三人で飲む機会も減った。アメリカから帰ってきた絵里子は酒を
軽く楽しむ方法も覚えた。
森岡と2人で決めたミッションは、なかなか発動できなかった。

だから俺が、飲み以外でも絵里子を守り、甘やかしてきた。お前がしたい
ことをしたい時にしたいようにできるように、と、できる限りバックアッ
プしている。そのために常にお前のすぐ上で出世していたいと思うんだ。
お前の表情も、隠そうとしている心情も、いつも理解してきたつもりだ。
きっとお前は気づいてないだろうな…。

82Double tap:2011/07/12(火) 14:31:05.71 ID:/gN8+KaQ
ひとしきり泣いた絵里子が、寄りかかって眠ってしまった。
俺の膝を枕にして寝かせて、ブランケットをかけてやる。

絵里子の泣き時間、今日は長かったな。最高記録だ。
森岡が原因だもんな…。当たり前か。
かなり複雑な気分だな…。

いつもみたいに片手でハイタッチしたり、絵里子の寝顔を見て、
「ミッションクリア!!」と笑って祝杯をあげて一緒に飲める相手がいない。

でも今日はあの時のように、絵里子の寝顔を見ながら、1人で飲むか。
明日の朝、目は腫れてるだろうが、昔みたいにすごくキレイでいい顔を
した絵里子がみれるかな。


決めた。
明日そんな顔を絵里子が見せてくれたら…。

そしたら、非番が明けた明後日の夕方、屋上に呼び出してあの時
いいそびれたことを言ってやろう。


「絵里子、もう拳銃を撃つのはこれが最後にしてくれないか。
お前には、もう撃ってほしくないんだ。

それ以外はいままでどおりでいいから、俺と結婚してくれ。」ってな。


        −END−
83名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 14:41:39.78 ID:jehIX2c7
リアルタイムキタ━━(゚∀゚)━━!
GJ GJ!
切ないけどとても温かくてホロリときた。
野立の想いの深さに胸が締め付けられた!


それにしても投下がいっぱいで嬉しい!
職人さんアリガトウO(≧∇≦)o
84名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 15:47:14.95 ID:raJlUEGk
最早本家を越えた
GJ
85名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 16:00:37.53 ID:n9sRE+Eg
素敵ー!! 最後、野立に「ヒューヒュー!」って言いたくなったw

86名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 16:41:12.33 ID:5UUAbLF4
今日は朝から素晴らしい作品ばかりで、お腹いっぱいです!

あぁ、幸せ……
87Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:20:01.65 ID:/gN8+KaQ
先ほどのDouble tap の絵里子編です。
またまたお目汚しになってしまったらすみません。
88Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:20:55.18 ID:/gN8+KaQ
。どうしよっかな…。
朝から迷っていた。内容は、今晩ヤツを飲みに誘うかどうか。
ヤツというのは、20年来の腐れ縁の悪友で、仲間で、同期で、
同僚で、上司で、元バディの野立信次郎。

今までなら、なんにも考えず軽く声をかけあっていた。
でも、森岡の事件があってからは躊躇うようになった。
多分私だけじゃなく、野立も…。

でも明日は私も野立も非番。こんなことはめったになくて、
サシで飲むにはもってこいな日。

いい加減、前に進まなきゃいけないから。
そのためには森岡のことを避けて封印したままではいけない。
でも1人では自信がない。
この場合、適任者は野立しかいない。
私と野立の関係も、表向きはいつもと変わらないけど、
やっぱり何かが違う。
やっぱり、このままじゃいけない。
覚悟を決めた。
今夜は野立と、森岡の話をしよう。できるかわからないけど、
なるべく前向きに。
こんな話だから、腰を据えて話せる家飲みだな。

よし、誘ってみるか。

89Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:22:40.10 ID:/gN8+KaQ
「野立ぇ。今日うちで飲まない?明日非番なの。あんたもでしょ?」

ドキドキしながらも、いつものように振る舞ってみる。
野立はどう言うだろう?困った顔をするかな?

「おっ、いいなぁ。久々にやるか。」

良かった。いつもの野立じゃん。それだけでホッとする。

2人でコンビニに寄り、お酒やつまみを買い込んで、うちへ向かう。

「お前、明日非番だからって飲み過ぎるなよ。」

「わ〜かってるって!!」

なんか急に痛いとこをつかれて、声張っちゃったし…。
酒飲まなきゃ切り出せないし、腹割って話せない。
私のことだから飲みすぎない自信はないな…。
まぁなるようになるか!!

たわいのない話をしているうちに、家に着いた。

じっくり飲むためには準備が必要。
スーツやストッキングは脱ぐ。
野立が相手だからブラも取り、化粧も落とす。
ラクな服を着る。日本酒があるということは、
枕とブランケットは必須。
野立もスーツを着くずして、飲む気マンマンじゃない。

家で飲むときは、ソファー用のテーブルを前に
ラグ敷きのフローリングに直に座るのが定番。理由は一番ラクだから。
まずは駆けつけ一杯ということで缶ビールで乾杯する。

90Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:24:19.75 ID:/gN8+KaQ
日常の話やおもしろかったこと、捜査の話、刑事部長のグチなど、
やっぱりたわいのない話をいつものようにする。
捜査について相談しあったり、他はいつもの軽いノリで聞いてくれたり
、ふざけあったり、たまには味方になって一緒に怒ってくれる。
野立が監修した山村会の話も聞けた。私には見せない、部下の違った一面
を知れて、楽しかったりする。なんかいつもの飲みと変わらない。
それが嬉しい。
野立とこんな飲みするようになったのっていつからだっけ…と
考えると、ふと大学校時代や卒業配置の頃を思い出し、
懐かしくなってあまり考えずに野立に振った。

一瞬、野立の顔がこわばった気がした。

森岡を逮捕してから、あの事件の捜査以外で、森岡の話をすることはなかった。
森岡の話をすると、胸が痛くて、苦しくて、野立の前だとヘタしたら
泣いちゃいそうでできなかった。
91Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:25:30.64 ID:/gN8+KaQ
夢なんじゃないだろうか…って思ってみるけど、職場に行けば
捜査資料には被疑者として森岡の名前がある。
極めつけは、銃で撃ち、手錠をかけた私の記憶。
あの廃工場の匂いや、地面の感覚、背中から聞こえた声も、
あの銃声も、あの時の森岡の顔も、血しぶきも、手の感触も、
野立の匂いや抱きかかえられた手の暖かさも、すべてが頭から離れない。
数ヶ月経った今も、頭や耳や鼻や腕に全く薄れずに残っていて、
腐乱死体を扱ってもなんともないくらい切り替えの早い私なのに、
頭の大部分を占拠されているようだ。
野立も触れてこないのは、やっぱり私と同じように辛いからなんだろうか…。
それとも私に気を使ってるの?

やっぱり飲まなきゃ無理だ…。
一気に残りのビールを飲み干し、野立の分と2つのグラスに焼酎をいれる。
焼酎を一口飲み、いつもの調子を心がけて切り出した。

「野立と森岡と、よく家飲みやったねぇ。
上司や先輩のグチとか言い合ったよね。
楽しかったなぁ。職場に不満だらけだったけど、あれがあったから
警察でやってこれた。」

92Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:26:39.86 ID:/gN8+KaQ
「ああ、そうだったな。お前が俺らを並べて「男はこれだからダメなのよっ!!」とかよく説教してた。
で、決まってお前が潰れて…。森岡とよく笑ったよ。」

良かった。いつもの野立だ。

「そうだったぁ?でも気づくといっつも3人で雑魚寝。
女として扱われたことがなかったわ。」
「女として扱われるのを一番嫌がったのはお前だろ?」
「そうだった。すっご〜く嫌だった。女が刑事なんて無理だとか、
一課なんて女の来る場所じゃない!!とか言われる度に悔しくてさ…。
男に遜色なく…、いや男以上にいい仕事をして、絶対見返してやる、
っていっつも思ってた。」
「柔道も逮捕術も射撃練習も、同期の男どもより熱心にやってたもんなぁ。
捜査の勉強もよくやってた。」
「でも、射撃だけは森岡に勝てなかった…。」
「あれだけはあいつがダントツで上だったな。」
「練習場で何回勝負挑んでも勝てなかったわ。」
「よくやったな。俺は後ろでジャッジ。」
「そうそう、野立は絶対やらなかったよね。」
「だってお前には勝てるけど、あいつに負けるのわかってるし。」
「私ともやらなかったじゃん!!」
「俺にまで負けたら、お前ますます練習場に籠もるだろ?」
「そんなこと言って、自信なかったんじゃないの〜?」
「バカ言え。森岡には勝てねえが、お前にだけは負けねぇよ。」

いつものペースで話してたのに、いい思い出には変わりないのに、
話してたら悲しくなった。
日本酒を飲んでごまかしてみる。

93Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:27:42.45 ID:/gN8+KaQ
「ねぇ、野立…。」
「あ?」
「いつから森岡は、私たちと違う方向を向いちゃってたんだろう。」

「…。」
野立の返事がない。

野立、ごめん。もう歯止めがきかない…。

「なんで森岡と銃を向けあったり、森岡に手錠かけなきゃならなく
なったんだろ。」

思いがけず、声が震えた。

「…そうだな。」
「なんで…。仲間だったのに…。」
「だよな。あれから俺もずっと考えてる。答えはまだ見つかってない。」
やっぱり野立も苦しんでた。そうだよね。悪友だもん。
バカもいっぱいやった仲だもんね。辛くないわけがない。

「私ね、森岡と銃を向けあった光景や、あんたの肩越しに見た、
森岡を撃った光景が頭から抜けないのよ。
ふと思い出したり、銃を見たり、銃声を聞いたりすると、胸がズキッと
するんだ…。
今までだって銃口を向けることも向けられることも、
銃を撃ったことも撃たれたこともあったのに…。
あれから射撃練習も行けてないんだよね…。」
「…そうか。」

驚かない。野立、知ってたんだ。だから触れなかった。私のために…。
この男はいつもこうだ。私より、私のことをわかっている。

94Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:29:20.42 ID:/gN8+KaQ
「6年前、銃が撃てなくて、本気で刑事やめようと思った。
あの時、野立が私が進むべき道を示してくれたでしょ。
あのあと、野立のピンチで銃を撃って、野立の腕にかすっちゃって…。
あんたに屋上で「もう銃を撃つのは最後にしてくれないか。」って
言われた時、それじゃ仲間を助けるためにもっと正確に銃を撃てるよう
になる!!って、毎日射撃練習に通って猛特訓したんだ。」
「…知ってる。」
「だけど今回、ほんとにもう銃持つのやめようと思った。
もう撃ちたくない、って。」

野立は私の顔を見て、優しい目で黙って頷く。わかってる、って感じに。

必死で耐えるけど、正直もう泣きそうだ。自分の気持ちが辛いのもある。
それよりいつもの(お前のことは理解している)と言わんばかりのあの
頷くしぐさが優しくて…。
でも今日ほど響いたことはなかったな。
今まで20年、意識のあるなかでは、野立の前でも森岡の前でも
泣いたことがないことになってるのに、結構やばい。
日本酒飲んでなんとかごまかそう。

「なんちゃって。らしくないでしょ?」
ってちょっとおどけてみる。
「まぁな。でも…」
「でも?」
「そんな時もあっていいんじゃないか?」
「え?」
「ブレることもあるってこと。あってもいい、ってことだ。」
「…」
そうだった。
野立はいつも、私のどんなところもそのまま受け止めてくれる。
「それでいい」って。
出会った時から、基本いつも軽くてチャラい男だけど、いつも見守
ってくれていて。
私がピンチの時には、わたしの動きを止めたりせずにさりげなく
近くても当たらない距離にいてくれる。
きっと不器用で助けを呼べない私が見える距離。
それがわかるから、だから私はなぜか野立のそばに戻ってきてしまうのよ…。

うつむいてると、野立が日本酒をついでくれたので口をつける。

「お前、泣いてないんだろ?」
「えっ?」
内心、ドキッとした。
めったにない強い鼓動が止まらくてマジで焦る。

95Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:30:37.92 ID:/gN8+KaQ
「森岡と銃口を向けあって、森岡を撃って、手錠をかけて、取り調べて、
お前なーんもなかったように周りにも自分にも芝居して、
泣けてないんだろ?」

考えたこともなかったけど、図星だ。なんでそうズバッと核心をつく?
声が震えてるのがバレそうで、なんも言えずに俯く。
「…。」

「…絵里子。」
「…ん?」
頑張って耐えて、野立の目を見た。すごく優しい目をしてる。
「…もう泣いてもいいぞ。見ないでやるから。」

肩にダブルタップをして、抱きしめるように肩を抱く野立の手は
あったかくて、力強い…。
うわ…これ、久しぶり…。

野立、私、これ一番弱いんだ。一番苦手。知ってるからやるんだよね。
涙があふれてくる。もう耐えられない。

「なんでよ…。もりおかぁ〜。仲間だったじゃん…」
「なんで私に撃たせたのよ…。…なんで手錠かけさせたのよ…。
なんでよ…。」

もう泣きじゃくりじゃん…。
子どもみたいだ…私…。いい歳して、ボスとか呼ばれていながらカッコ悪い…。
情けなくて、部下には絶対見せたくない。
でも野立はいつもの通りに何もいわず肩を抱いてくれる。
だからもういいか。


昔から日本酒を飲むのは忘れたいことがある時だった。
ある時、いつものように三人で飲んで、結構酔っぱらっていた。
足もたたないくらい。
そんな時、野立の甘い声がした。

「絵里子、もう泣いてもいいぞ。見ないでやるから。」

96Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:32:08.41 ID:/gN8+KaQ
私は泣き上戸じゃないのに、その言葉が聞こえて横に座っていた森岡が、
肩をダブルタップして抱いてくれた瞬間、涙が止まらなくなった。
何で?と思うのに、止められない。催眠術みたい。
そんなことを考えつつ、ぼーっとしてみたら次々と涙がこぼれる。
忘れたいことが次々思い出されて、辛くなる。でも私が泣いている間、
黙って肩を抱いていてくれた。
だから何にも気にせず安心して泣けたんだ。
そしたら疲れて、目が熱くて眠くなる。そうすると普段寝付きの悪い私が
自然に眠れた。
そして朝には、飲みすぎたのになぜか頭がすっきりしていて、
リセットされたみたいな感覚。
野立と森岡には、「お前昨日のこと覚えてるか?」と聞かれ、
恥ずかしくて「記憶ない。ごめ〜ん」と照れ笑いすると、
「キスするわ、服脱ぐわ、大変だったんだぞ。」とからかわれた。
していないのはわかってても「そんなことしてないわよ」と怒って
否定せずにいたのは、やっぱり恥ずかしいのと心地よかったからかな。

それからなぜか、いろんなものが溜まってパンクしそうなころに
絶妙なタイミングで日本酒とあの呪文とダブルタップが来る。
97Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:34:14.56 ID:/gN8+KaQ
そのたび酔って記憶をなくしていることにした。
今思えば、全部知ってて仕組まれたことのような気がする。
私が強がりでイキがってるわりに、不器用ですぐ溜めこんだり、
泣き下手なのとか、怖がりで当直の仮眠が苦手で
寝ずに当直していたこととか…。
知ってたんでしょ?と聞きたいけど、やっぱり恥ずかしくて聞けない。
だからいっつも家飲みで、早い時間から飲み始めてたんだよね、きっと。
男2人でさんざん上司の文句言ったりとかしてたから、
私も言いたいだけ言ってた。
それも初めは気づかなかったけど、私のためだったんじゃない?って
今は思ってる。

女のくせにとか、女だからっていう扱いを受けるのが嫌だって、男勝りで
強い女のようにふるまってきたけど、私は全然強くなくて、むしろ弱くて。
結局女として守られていた。
普段は私がイキがってて張り合ってても何にも言わないで、野立と森岡が
家飲みでさりげなくフォローするように、そっと泣かせてガス抜きさせて
くれていたから、今も警察(ここ)で立っていられる。

私がアメリカにいる間に、森岡は警察から離れてしまった。
理由はわからなかった。
それをきっかけで会う機会も、もちろん家飲みの機会も減った。
それでも私が変わらずにこうやっていられること、ボスと呼んで慕ってくれる
部下を守ろうと強がっていられるのは、
私を理解して近くで守ってくれてる野立がいるから。
98Double tap 絵里子編:2011/07/12(火) 17:35:53.50 ID:/gN8+KaQ
だから今こうやって刑事を続けていられるのよ。
結局、私は野立や森岡に甘えて依存して生きてるんじゃないかと思うけど、
決してカッコいい女じゃないけど、
やっぱりちょっと心地いいからそれもいいかと今は思える。

今日も泣き顔を上げる勇気がない。でも明日になったらきっといつもみたいに
すっきりしてるはずだから、
また記憶のないフリはやめて、ちょっと素直になって野立に伝えてみるか。

「野立。ずっとそばにいて、私のピンチの時にはまたダブルタップと呪文をかけて。」って。



   −END−
99名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 18:59:07.21 ID:jehIX2c7
>>98
GJです!
絵里りん、可愛い!!
これからも存分に野立に甘えちゃってください。
100名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 20:13:02.35 ID:KywE6P/y
GJ〜!

絵里子大事にされてるなぁ。
こんだけ2人から愛情注がれたらどっちも選べないよなぁ…。
101名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 20:31:17.74 ID:2iO3qPsU
GJです!
絵里りん裏山鹿…
しかしノーブラかよっ!
なんぼ胆力修行20年の野立っち相手だからって!
そんな野立にご褒美なお話をおながいします
102名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 20:38:40.38 ID:AckO2fnJ
かなりヤバいw
お二方とも最高ですGJ!!
ホント絆というか思いの深さというか…もうたまんないわ
これ2作品とも本編越えたなwww
職人さんありがとう
またお願いします
103名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 21:00:04.37 ID:i0AF4nrC
絵里子は初めは森岡の方に惹かれてたみたいな設定でも萌えるなあ
でも森岡は自分に自信がなくて自らドロップアウトしちゃうんだ
しかも絵里子と距離をおいたことで更にダークゾーンに行っちゃったと思うんだ
逆に野立はずっと傍にいて辛い思いもするけど絶対あきらめないっていう。
3人とも不器用なんだよー
104名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 21:46:40.76 ID:WfxSMnEq
最高だよぉ!!

なんとも言いようのない話でずっと感動しっぱなしです。
105名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 00:21:29.96 ID:Z7OLDX3Q
さすがに本編越えはねーわ
106名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 17:48:17.05 ID:+TKqhpqL
>>105
そんな水さすような事言わなくてもいいのに…。
職人さんが何となく書きづらくなる事言わないで欲しいな…。
107名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 18:06:41.92 ID:2kSC8EwZ
私はここの作品
すごく好きだょ。
108名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 18:33:24.78 ID:d95qXp7Q
本編あってこそのパロだからね。
本編大好きなのに本編こえたとか言われたらもやもやする人もいるんじゃない?
私はあまり気にならないけどw
そしてここの作品大好きだ。
職人さんマジ尊敬する。
109名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 18:34:18.52 ID:DJxbNuvF
>>106
ほっとこうよ。
職人さんが書いてくれるいい作品を、私たちが楽しく読めればそれでいいじゃない。
110名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 18:56:06.98 ID:NfPA9yFS
もちろん本編ありきってのは分かってるんだけど
SSがステキすぎて興奮して本編越えたなとか言っちゃいました
本編の終わり方にモヤモヤしてたもんだから余計に…
なんかイヤな雰囲気の原因作っちゃってごめす

職人さんは全然悪くないのでジャンジャンお願いします!
以上この話終わり!
111名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 19:09:01.61 ID:8Fw67/z+
本編超えとか軽く書いて、褒め言葉だと思ってるんだろうけど
本編無いならパロも無いんだから
気を付けてね
112名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 19:42:25.52 ID:tBLElhdr
本編越えたと思うほど個人のツボはまったということを
素直に表現して何が悪いんだろ。
感想なんて人それぞれだし、感動!とか書いてる人がいても
同意できなければ何も書かなければいいだけなのに、
わざわざ他人の感想にいちゃもんつけるほうがどうかと思う。
113名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:00:37.05 ID:+TKqhpqL
確かに本編あってのパロだけど、他人の感想は自由でいいと思う。パロ自体めちゃ自由に書いてるものだし。

本当にこれで終わりにしよー。次のお話楽しみにしてます〜!!
114名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:03:06.02 ID:NfPA9yFS
私はエロパロスレらしい野絵エロを久しぶりに読みたいんだけど
エロ職人はおいでですか
115名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:07:39.13 ID:4CNEiHWI
感想自由なら、ここまでのレス全ておkだよね
噛み付くより楽しみましょうよ
116名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:13:51.11 ID:fbOTbg5Z
マナーのひとつと捉えればいいんじゃないのかな
TPOで言葉を使い分けるように、使っちゃいけない言葉や表現があるし
悪い意味で使ってないことは十分判っているけれど、
本編あってこそのパロなので、本編と比べることが違和感を感じるし
そもそも職人さん同士の作品だって、比較して「〜より越えた」なんて言わないだろう?
感想に文句を言っているのではないと思う
117名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:52:02.84 ID:tBLElhdr
>>116ウザい。
だから、使っていい言葉かどうかとか常識とかそんなことも
人それぞれ。要は、人の感想は無視しろってこと。
感想は職人と読者の1対1のレスであって、そこに他人が入ると
荒れるだけ。他人の感想は他人のもので、誰かの同意とか
反論を求めて書いてるもんじゃないから。
118名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:57:47.63 ID:xTvpe6/W
真面目な話題の時に空気を読まずにすみません
エロ職人さんのストック待ち間のひまつぶし(にすらならない可能性大の)
同期3人の会話文妄想いいでしょうか…



ガチャ
「あー!何食べてんのよ2人してずるいー!」
「自分の金で自分の食うもん買って食べて何がずるいんだよ」
「大体お前好みがうるさいから適当に買ってきても文句言うだろいつも」
「言わないよ!言いませんー!何よ〜私もアイス食べたいー!」
「はいはいどうぞ。」(あーん)
「!!」
「わ〜ありがと野立―!いいとこあるじゃない。あっラムレーズンだ!
 …ん!おいしいー!もっと〜」
「お前には遠慮ってもんがないのか。こらスプーンとるな(でれっ)」
「良いじゃないもう一口だけ〜」
「…」←もくもくと食べる
119名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 20:59:55.57 ID:xTvpe6/W
「何だピーピーもう食い終わったのか?急いで食べると腹こわすぞ、ははは」
「…(ぎろ)」
「ちょっとピーピー!」
「あ?」
「こぼしてるよ、ほら袖口のとこ。凄い勢いで食べるからよ。ほら貸して」
「お、おう…悪いな(抑えきれない笑み)」
「…」
「(ふきふき)大丈夫シミにはならないみたい。これ何だったの?(ポンポン)」
「マンゴーシャーベット…」
「えーそれも美味しそう!あとで私も買ってみよ〜これどこの?」
「…奢ってやるよ。なあピーポー?(にやり)」
「…ああそうだな」

今回は引き分けW
120名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 21:01:28.63 ID:DJxbNuvF
>>118
絵里子に弱い野立と、口を挟めないピーピー、いいな〜〜。
GJ!
121名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 21:21:07.27 ID:bZOy9vv9
本編越えは言わないで欲しいも個人の意見だよ
ウザイなら貴方もスルーすればいい
122名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 21:30:21.66 ID:+TKqhpqL
>>118
間接チュ〜wニヤニヤしたw
職人さんGJ!
123名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 22:57:31.14 ID:d95qXp7Q
>>118
GJ!
ニヤニヤが止まらなくなりました。
アイス買ってくる。
124名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 23:02:07.20 ID:NfPA9yFS
>>118
GJ!
トリオのほのぼのエピですな
125名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 23:57:11.00 ID:ikEz+yb6
こっそり初投稿してみます。
野絵森3人の妄想会話ですが、色んな矛盾点と萌えが無いのは見逃してください。森岡宅で家飲みの設定です。




ぱくっ

『あっ!つまみ食いすんなよ!』

『おいし〜!ピーピーって料理上手よね。いい旦那さんになりそう。』

『え?そう?//』

『うん。誰かと違って浮気もしなさそうだしね。』

そう言って上目遣いでニッと笑う彼女に目を奪われる。

『…じゃあさ…』

『ん?』

『じゃあさ絵里子、俺と『絵里子!』

『なっ、ん!』

振り返った絵里子の口に野立が入れたのは、甘酸っぱく広がる赤い果実。

『ん…いちご??』

『…』

『お前好きだろ?実家から送って来たんだ。あっちにいっぱいあるぞ〜。』

『ホント?食べていい?』

『お〜。どんどん食べろ〜。』
126名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 23:59:22.47 ID:ikEz+yb6
野立のお母さんが送ってくれるいちご美味しいのよね〜。と絵里子は浮かれながら好物の苺のあるリビングへと去っていく。

『…お前』
『おっ、うまそうだな。ピーピーはホントいい旦那さんに『お前に食わせるもんはねぇ!』

バシッ!

何事も無かったかのように出来たての料理をつまもうとした野立の手を森岡は握り締めた菜箸ではたく。

『…』『…』

そのまましばらくキッチンで睨み合う二人にリビングから絵里子が呼びかける。

『ねー何見つめ合ってんの??仲良いのは分かったからさ、早く食べよーよ。なでしこJapan始まっちゃうよ?』

『『すぐ行く。』』
『あはは。ハモってるよ。まるで夫婦ねー。』

いちごを頬張りながら無邪気に言う絵里子は、自分を巡る男二人の小競り合いに気付く様子はない。

…はは。だめだこりゃ。
…笑うしかねーな。

気付かれない男二人は小さく乾いた笑いを漏らす。

でもいつか、この均衡を崩す。それはどっちだ。

-おわり-
127名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 00:14:14.03 ID:mDHd2xjh
うわっリアルタイム!!

GJです。

若い頃の3人、いいよね〜
128名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 01:36:52.31 ID:hEjrcBg/
野絵を投下させてください。
皆さんのように深い話は全く書けず、
エロありでも微妙なエロですがそれでもよければどぞ。

設定は絵里子が最終話で入院しましたが、そこから回復して明日退院。
という病室での話です。
129ナースコールは後にして(1):2011/07/15(金) 01:49:24.04 ID:hEjrcBg/

「ねぇ、帰らないの?」

もう夜中の12時。
消灯時間はとっくに過ぎて、個室といえども部屋の明かりは花瓶の隣に置かれたライトだけだ。
そんなベッドの周りだけしか照らされていない中で
うだうだとしゃべっている俺に、絵里子が何度目かの問いをする。

「とっくに面会時間過ぎてるし」

「ん?だって明日退院だろ?」

「そうよ」

「だったら今日しか病院いれないじゃん」

「意味わかんない」

ちょっと弱い絵里子を見るチャンスだからなんて言ったら叩き出されそうなので言わない。
どうせ俺が退院の手伝いをして、車で送ってやって・・・
ってするんだからいいじゃないかと誤魔化してきたがそれももう通用しない

「看護師さんがきたらどうするのよ、もうすぐ見回りくるんじゃない?」

「大丈夫、今日の夜勤、仲良くなったナース2人なんだ、超可愛いの」

「あんたって奴は毎日来ると思ったら結局それじゃない、帰れっ」

もう寝るし、と俺に背を向けた絵里子をしばらく眺める。
元々細いのに、入院中に少し痩せた背中が愛おしくて、
好きな子をいじめてしまう子供のようにいたずらをしかけてしまった。

「・・・ちょっとなにしてんのよ・・・・・・・・」

「んー?俺も一緒に寝ようかなって」

「バカじゃない?バカなの?」

「あぁ、バカだね。いいじゃん、バカ。」

狭いベッドの中で、絵里子の背中にくっつくように横たわる。
嫌がられても今更めげるような事でもないし、
別に大した拒否もないので、そのまま寝てしまおうかと思う。
あぁ、でも暑いな。
130ナースコールは後にして(2):2011/07/15(金) 01:52:04.58 ID:hEjrcBg/
「暑いんだけど」

「・・・色気がねぇなぁ・・・・・・」

暑いんだから当たり前だと言われれば当たり前だけれど、
同じことを思ってたというだけで嬉しくなるのが本当にバカだと自分でも思う。

「あんたが私に色気を求めてどうすんのよ」

「そんなんだから男できないんだろうが」

「あんたには見せないだけです、おあいにく様」

「・・・・・・・」

その言い方にむかっとしたので、後ろから首筋にちゅうしてやった。

「ちょ、ちょっとなにすんのよ!」
驚いた絵里子が起き上がり、こちらを睨み付ける。
首回りがゆったりとできているパジャマから覗いた白い肌が妙に色っぽく、そそられる。
俺がそんな風に欲情しているなんて気づきもしていないんだろうけど。

「何ってキスだろ?」

俺も起き上がって、もう一回、また一回と瞼や額に何度もキスをする。
絵里子は驚いているのかなんなのか、短い抗議の声は上げてもそれ以上の拒否をしてこない。

「大丈夫だよ、キスだけだ」

何が大丈夫なのかは自分でもわからないけれど、
そのまま絵里子を軽い力でゆっくりと押し倒し、また同じようなキスから始める。
頭を撫でながら、短いキスが唇に移行する。
次第に慣れてきたのか、絵里子の腕が俺の首に回されキスが長く、深くなっていく。
131ナースコールは後にして(3):2011/07/15(金) 02:04:24.58 ID:hEjrcBg/

揉みこむような、ねっとりとしたキス、
自然に舌が絡みあい、唾液が混ざっていく。
最初は探るように弱く、そして歩調を合わせるように段々と強く激しさが増す。
くふんと絵里子の息が漏れ、声にならない音が部屋に響いた。


執拗にキスだけを繰り返し、
息苦しくなる度に胸元にそっと唇を落とす。
そんな感触がもどかしいのだろう、5度目に胸元にキスをするとそのまま頭をぎゅっと抱えられた。
絵里子自身そんな自分に驚いたのかすぐに腕の力は抜いたがそれでも欲情した目の色は隠せなかった。

「大丈夫だ、触るだけだから」

また深くキスをしながらパジャマの上から緩く撫でる。
大きいとは言い難いが形のよい膨らみに手をやるとぴくっと反応する様子に掻き立てられる。
腹の辺りに唇を寄せると、裾から侵入し、細いくせに柔らかい肢体を味わった。

体温が混じりあう感触を覚えさせてからボタンに手をかけ
3つ程しかない、大きめのボタンを外し脱がせてしまうと
自分もネクタイとワイシャツを取り去ってしまう。

体に跡を残しながら片手はブラジャーの上から揉みしだく
空いた手で細腰の辺りを撫で回すと、もの足らなくなってするっとズボンも脱がせ
そのまま内もも、膝、ふくらはぎに足先と指で舌で愛撫を重ねる。

視線を上げると、自分の手の甲を噛み声を殺している絵里子が目に入った。
その様子が可愛くてより声が聞きたくなる。

「ナースは朝までこないし、病院は結構防音もしっかりしてる。」

だから声なんて我慢しなくていいと噛んでいた手を外し何度も何度も熱くキスをする。
絵里子の弱いところを探り、そこを執拗に攻めたて、声を上げさせた。
その頃には絵里子のブラジャーも外し、自分も下着一枚になって絡み合う。
狭いベッドで互いの体温が上がり、汗がにじむ。
132ナースコールは後にして(4):2011/07/15(金) 02:08:51.87 ID:hEjrcBg/

自分のボクサーブリーフは笑ってしまうくらいに張りつめ、先走った体液で濡れている。
絵里子もショーツの色が変わる程に滴らせ、刺激を求めていた。
もうこれ以上どうしようもなくなって、それでも一線は超えないように耳元で囁いた。

「大丈夫だ、挿れないから」

絵里子を下に組み敷き、膝を抱えお互いが下着のまま濡れたそこをこすり合わせる。
ぐいぐいと気持ちよさを求め、激しさを増すその摩擦。
絵里子自身も刺激を求めているのだろう、俺の腰に脚をぎゅっと絡め腰を振る。
下着から垂れた互いの体液がシーツを汚したが気になどしていられない、
ぬちゃぬちゃと音を立てるその部分だけが意識を保っているようでもどかしさが募る。
手を使っていってしまおうかと思った瞬間、絵里子が俺の腕をグっと掴んだ。


見つめあい、無言の時が2人の間に流れる。


「・・・・・・・・・・・」


言葉などいらなかった。

下着をどう脱がせたか、どう脱いだかなど覚えていない。
ぐぐっと中に挿れたとたんに、想像以上の快感が波打つように迫る。
絵里子の体も震え、性格だけではない相性のよさが2人を襲った。

最後には獣のように後ろから責め立て、ぱんぱんという肌のぶつかりあう音と、
ぐちゅぐちゅという卑猥な音、そしてベッドと絵里子の上げる悲鳴にも似た声が部屋を満たしていた。


絵里子の中で全てを吐き出すと、2人でもつれたままベッドに体を投げ出す。
2つの荒い息づかいだけが響き、気だるさと気まずさが混じった空気が流れた。

その気まずさは前触れもなくこんなことになってしまった事よりも
こちらの相性もとんでもなくよかった事の方が大きいように感じるが故に、
なんとなく絵里子に申し訳なくて、なかなか言葉が出ず、結局先にしゃべりだしたのは絵里子の方だった。
133ナースコールは後にして(5):2011/07/15(金) 02:14:28.64 ID:hEjrcBg/

「・・・うそつき・・・・・・・・・・」

「え?」

急にこんなことになって怒っているであろう事は覚悟していたが、うそつきとはどういう事だ。
この事態はさすがの俺でもびっくりだが、
別に今更嫌われる事を恐がるような間柄でもないので、
ダルそうでもあり、不機嫌そうでもある絵里子の上にふんわりと乗っかり、そのまま顔を覗き込む。

「なんだ?うそつきって」

「・・・・・・しか・・・って・・・・・・・・」

「え?」

「最初!!キ、キスしかしないって言ったじゃない・・・・」

勢いよく言いだしたわりに、最後はしりすぼみになったが、言いたいことはよくわかった。
確かに嘘をついた。
嘘をつくつもりがなかったわけじゃない。
いや、止められたらそのままやめるつもりだったんだ、本当に。
最初の後ろからのキスもお遊びのつもりだったし、
いや、お遊びという事にしてもらおうという姑息な俺の・・・・

なんて考えていたらこんこんというノックと共に急にドアが開いた。

「わっ!」

「きゃぁ!!」

顔を覗かせたのはナースのふみちゃん。
いくらナースで、男の裸も女の裸も見慣れているとはいえ
こんな状況で、まだ残る濃密な空気も匂いも見た目も完全に何をしてたかを物語っている。

「あっ、まだでした?ふふ、ごめんなさい」

悪気なく、笑っているふみちゃん。
可愛い顔して大胆。
今日の夜勤のふみちゃんとななみちゃんには(実はその前の子たちにもだけど)
できるだけ見回りに来ないようにお願いしてあった。
別にその時からこんなことを狙っていたわけじゃなくて、
なんとなく2人の時間を邪魔されたくなかったから来ないで位のニュアンスだったんだけど、
2人はそう取らなかったらしい。

「邪魔しちゃってごめんなさい、もうシーツ交換した方がいいかな?って思って。
そしたら後でナースコール押してくださいね、あっ、でも日勤の先輩がきたらうるさいからそれまでに呼んでくださいよ?」

なんて笑いながら出て行った。
134ナースコールは後にして(6):2011/07/15(金) 02:18:47.88 ID:hEjrcBg/

「・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「ちょ、ちょっと何よ、なんなのよ、あれは!」

さすがに寝ていられなくて、2人とも起き上がり座ったまま向かい合う。

「違うって、別に『ナニするから、あとでシーツ交換してね』なんてお願いしてないって!」

「それも嘘でしょ!!」

「嘘じゃないって、信じろよ俺を」

「どうやったら信じれるのよ、てか何よこの状況!!」

「一応最後までしないように頑張っただろ、俺は」

「なに、私のせいだっていうの?」

「んな事言ってないだろ、ただ俺は・・・あぁくそっ!」

ここまできて、何ケンカしてんだ俺たちはと自分で呆れたのもそうだし、
説明が面倒になった事もそうだし、
もういいや、隠さなくて・・・・と自棄になったのもあいまってもう一回キスをした。

いい加減わかれよ、絵里子。


「ん・・・・・ちょ・・っと・・・・・・・」

睨む目にはもう怒りはなかった。
ただ、少し不安げな色が浮かんでいて、そうかと思い当たる。
そうだ、まだ言ってなかったな。
わかれって前に、ちゃんと言わなきゃお前にはわからないよな。

「・・・絵里子、好きだよ」

顔を撫でて、髪を撫でて、見つめると視線をそらすから、
あの時と同じようにもう一回言ってみた。

「好きだ」

あの時はお前があんなリアクションをするから誤魔化してしまったけれど、さすがにこの状況なら誤魔化せない。
だからもう一回言う事にした。

「俺は、お前がずっと好きだった」
135ナースコールは後にして(7):2011/07/15(金) 02:30:50.64 ID:hEjrcBg/

言葉の余韻も消え、絵里子の固まった表情を見つめる。
言うべき事を言ってしまった俺にはもうする事がなくただ待っていると
ふっと絵里子が力を抜き、笑顔になった。


「バカじゃない?知ってるわよ」


ぎゅっと抱き着いてきた絵里子を抱き返かえす。
そのあまりの勢いに、今日のことだけではない、ずっと絵里子に与えてきた不安を悟る。

そうだな、俺は、いや俺たちはバカなんだと思う。
40過ぎた男女が駆け引きのような、曖昧な時間を繰り返して、
好きでしょ?と言いかけてみたり、
好きだと言っては、誤魔化してみたり。
こんな形しか前に進めなかった、なんてどうしようもないよな。

お互いまだキスの仕方も知らないような季節を共に過ごしたわけではない、
お互い何か初めてだと言えるようなまだウブなものが残っているような歳でもない、
お互い、多くの恋愛や一夜を過ごして辿りついたこの場所だ、
だから、恥ずかしくて絶対に言えないけれどお互いに最後の人になれるようにと、そう願いを込めて抱きしめた。


しばらく抱き合ったままでいると、今度は絵里子からキスをしてきた。
あぁ、恋人になったんだ・・・・
そんな実感が甘いキスで湧いてきて、何度も唇を重ねる。
絵里子がこんなにキスが好きだとは知らなかったし、
ねだるようにキスをしてくるなんて思いもしなかった。
が・・何度もねだってくるだけならよかったが・・・

「おい、何してんだ・・・・?」

「何って・・・・いやなの?」

「いや、イヤっていうか・・・・・・」

さわさわと俺自身を握り、柔らかなタッチで刺激していく。
むくむくっと欲望が顔をもたげて
思わず、うっと声の出た俺に、不敵に笑う絵里子。
そうだ、こいつは守りより攻めの方が強かったんだ。


ごめんふみちゃん、まだナースコールは押せそうにないわ。



END
136名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 02:35:44.60 ID:khKJSafL
リアルタイムキター(゚∀゚)ー!
GJ!ご馳走様でした。
137名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 02:40:57.11 ID:hEjrcBg/
以上です。

普段バカっぽいのを妄想派なので、
やっぱ職人さんのようにはうまくいかない・・・
お目汚し失礼いたしましたっ。
138名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 03:22:12.99 ID:xNoXh+12
ごちそうさまでした!
ふみちゃんななえちゃんあたりで笑いつつ、
知ってるわよ、あたりからは感動して泣きそうになってしまった
ありがとうございます

病室萌えますねw
139名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 04:37:39.45 ID:kpqCJ/0F
じっくり読み込んでしまいました!ありがとう〜!!すごく良かったです。
いやらしい野立がたまらないわ。病室設定もGOOD。またあなたの作品続き読みたいです。
140名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 07:21:27.66 ID:JgAXRPFd
GJ!!ありがとう!
野立の脳内が中高生みたいで笑たw
いい歳してかわいすぎるよ2人ともw
でも感動…素敵だ…
またお願いします!
141名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 09:17:20.40 ID:xNoXh+12
138です
ななみちゃん、でしたね
ごめんなさい。

攻めの方が強かった、続きが読みたいですww
日勤のナースが来ちゃうよ〜
142名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 11:13:12.59 ID:UCjLUjes
病室でもって…
野立っぽくて楽しかったです。
143名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 11:41:31.68 ID:iJ/SCKg+
GJGJGJ!!
エロ最高!ありがとう
遠慮しつつ結局最後までしてしまう
しかも深夜の病室で、ていうシチュが萌えた
144名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 11:45:51.42 ID:fCRYpG50
職人さんGJ!
真夜中の病室ってすんごいねwww
攻めの絵里子verも読みたい
145名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 13:20:14.32 ID:6KBGutLK
藤林丈司
146名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 13:25:13.85 ID:wlfRSlkV
今、まさに病院の待合室で、ニマニマしちゃってますよ。
エロパロらしいお話に顔が緩んで仕方ない。
ゴチになりました。
ああ、ナースの顔を見るとニマニマしそうだ。。。耐えなければ。
147名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 17:07:00.43 ID:owc4/DT+
ゴチになりました!
いやぁ、いい作品をありがとうございます!

ふみちゃん美味しいわぁ。
遠慮しながら、でも大胆に絵里子を攻め落とす野立、GJ!
148合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:51:32.49 ID:BQy7zObI
昨夜の職人さんの、病院シチュが素晴らしくて何度も読んじゃいました!
で、触発されて野×絵書いてみました。

以前、>>35〜39で「崩れた三角形」で一度投稿したので、一応その後日談という感じです。
未熟者ですが、気が向いたら読んでくださいませ。
149合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:52:56.39 ID:BQy7zObI
面倒な案件を抱えて、このところ深夜まで残業が続き、野立は心身ともにクタクタになっていた。
せっかく絵里子と長年の想いを伝え合い晴れて恋人同士になったというのに、野立は幹部クラスの会議と新プロジェクトの準備に追われ、絵里子は絵里子で対策室で目下扱っている未解決事件の捜査で連日飛び回っている。
あの日、初めて抱き合って幸福な時間を過ごして以来、一度も二人の時間がとれないまま慌しい日々が続き、さすがの野立もイライラが募っていた。
たまに短い時間顔を合わせても、仕事上の会話がほとんどで、少しだけ目で合図しあうのが精一杯だった。

深夜2時。ようやく自宅マンションにたどり着く。今日は絵里子の顔すら見れなかった。
溜め息まじりに玄関のドアを開け、リビングの灯りを点けた野立は、一瞬ギョッとした。
広いリビングの床に、女物の衣服やストッキングが散乱しており、テーブルには空になった缶ビールが数本、放置されている。
150合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:54:02.81 ID:BQy7zObI

野立は、思わずニヤリと笑みを漏らした。
「まったくアイツ・・・」そう呟きながら、散らかったスカートやストッキング、ブラウスを拾い上げてソファに重ねて置いた。
初めて結ばれた翌日、野立は絵里子に合鍵を渡していた。
絵里子は気恥ずかしさを隠すように「一応、預かっとくわ」とサバサバ答えたものの、その鍵を大事そうに握り締めていた。
連絡を入れずに部屋を訪れて俺を待ち、驚かせようと思ったものの、一足先に晩酌してるうちに、あまりの疲労に耐え切れず寝入ってしまったってとこだろうな・・・
野立はそう推理しながらベッドルームへと進む。
野立の大きなベッドの上で、子供のように口を開いて眠り込んでいる絵里子を見下ろした。
薄い布地のゆるやかなスリップから白く長い脚が伸びている。
しどけなく開かれた両脚を眺めながら、野立はベッドに腰を下ろす。「恐ろしく無防備なヤツだな」

「絵里子。おい、絵里子。風邪ひくぞ」白くむき出しになった肩を掴んで揺さぶるものの、絵里子は軽くイビキをかいたまま、まったく起きる気配がない。
「こいつめ。いい度胸だな」野立は、イタズラっぽい含み笑いを浮かべると、絵里子の白い太ももに掌をそっと滑らせた。
「絵里子ちゃーん。起きないとどうなっても知らないよ〜」歌うように小声で言いながら、野立はスベスベした絵里子の脚に何度も手を這わせる。
絵里子がほんの少し体をよじった。「んん・・・」その声が妙に扇情的で、野立の中に火をつけた。
151合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:54:53.86 ID:BQy7zObI

「しょうがねえな。こうなったら意地でも起こしてやる」
野立はベッドの真ん中に移動すると、眠っている絵里子の上体を後ろから抱き上げるように起こした。
ヘッドボードに寄りかかるようにしてベッドの上に足を広げて座った野立は、上体を起こされてもまだ熟睡している絵里子を背後から抱える。
絵里子のうなじの髪をかき上げ首筋を露わにすると、そのひんやりとした肌に熱をもった唇を押し付ける。絵里子の甘い体臭に知らず興奮している自分がいた。
「絵里子。まだ起きないのかよ」左手で絵里子の腹部を抱きかかえ、右手をうなじから首筋、肩先から腕へと這わせながら、時々肩先にキスをする。
「俺をほったらかして、一人で寝ちまうなんて、絵里子は冷たいなぁ」
しばらく絵里子の寝顔を眺めていたが、掌越しに伝わる絵里子の肌の質感に、次第にこらえきれなくなってきた。
野立の右手が、絵里子の胸を柔らかく包んだ。
いつの間にか息を潜めていた自分に気づき、野立は少年のような自分に苦笑いする。
ブラのホックを外してスリップの下から剥ぎ取り、ベッドサイドテーブルに投げた。
露わになった白い胸を、今度は両手でゆっくりと愛撫する。
「ん・・・」絵里子はそれでもまだ眠っている。
「どんだけ爆睡だよ」野立は呆れ笑いながら、絵里子の慎ましやかだが柔らかなふくらみをもてあそび、すぐに尖ってきた蕾を指でキュッと摘んでは転がした。
「ふぅ・・・」絵里子の寝息が少し甘い音に変わる。
野立は自分の体がじっとりと汗ばんでくるのを感じた。ワイシャツを脱いでしまえばよかったと後悔する。
152合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:56:37.67 ID:BQy7zObI

左手で乳房を愛撫しながら、右手がスリップの裾へと移動する。ショーツの上から絵里子の敏感な部分をそっと撫でる。
中指と薬指で優しくなぞっていると、絵里子が「う、ううん・・・」と身をくねらせた。指先に、ショーツの布地越しでも分かるしっとりとした湿り気が感じられる。
野立は自分の息が少し荒くなるのを自覚しながら、そろりと絵里子のショーツを脱がせていった。
脚を折り曲げて足先からショーツを引き抜いてしまうと、絵里子を後ろから抱きかかえた状態のまま、右手を使って両脚を大きく広げさせる。
頼りない薄いスリップ一枚の寝ぼけた絵里子が、背後から野立に胸を撫でられ、同時に下腹部も攻め立てられる。
ベッドの向かい側には大きな鏡があるから、野立は絵里子のあられもない姿と、それをもてあそぶ自分の姿と向き合い、今までに経験がないほど興奮していた。

「絵里子。おまえが好きだ、自分でも信じられないくらい」
野立は絵里子の首筋に唇を押し当て、ひっそりと囁くと、長い指を器用に優しく動かして、絵里子の一番感じやすい部分を執拗にいじる。
円を描くように親指を動かして突起をこねくりまわし、早くも濡れそぼってきた内側へと中指を差し入れる。
指をクイッと曲げて内側のザラザラした部分を強めに押すと、絵里子が「はぁぁ・・・」と身をのけぞらせた。
153合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:57:28.30 ID:BQy7zObI

野立はたまらず、絵里子の唇をむさぼった。
柔らかくゆるんだ絵里子の唇を荒々しく吸い、舌を差し入れる。するとようやく絵里子がパチッと目を開けた。
一瞬何が起こっているか分からないようなぼんやりとした顔をして、絵里子は「ん?んん?野立?」と声を出した。
「やっと目を覚ましたか」野立がニヤッと笑って覗き込むと、数秒のうちに絵里子は事態を察した。
茹でダコのように真っ赤になりながら「ちょっ・・・!!あんたねぇ!!」と野立の腕から逃れようとした。
けれども野立はガッチリと力をこめて抱きすくめ、絵里子を逃がさない。
「もう遅いな。おまえが勝手に俺のベッドにいたんだから、自業自得だ」
そう言うと、有無を言わさぬ勢いで絵里子にキスをして、激しく舌を絡ませた。
絵里子は一瞬抵抗しそうになったものの、甘く執拗なキスと、野立の指の動きにすぐに脱力し、とろけそうになりながらも野立に必死にしがみついた。
「絵里子。こうしてほしかったろ、ずっと。俺はしたかった。何日も」
「・・・うん・・・もう我慢できなかった。だから、来ちゃったの・・・」
絵里子が恥ずかしそうにあえぎながら、答える。
野立は心の奥で嬉しさを噛み締めた。

絵里子の秘部が、野立の指の動きにあわせて音を立てる。静かな部屋に二人の荒い息遣いと濡れたいやらしげな音だけが響き、それがまた二人を熱くさせた。
「野立、脱いで・・・。もっと欲しい・・・」
いつもは男以上に勇ましい絵里子が、少女のように頬を上気させて潤んだ目で懇願している。
野立は、愛おしさでどうにかなってしまいそうな気持ちのままに、自分のワイシャツとズボンをもどかしく脱ぎ捨てた。
痛いくらいに下着を突き上げている自身の膨らみに、絵里子の手をグイッと引っ張って触れさせる。
「絵里子のせいだ」そう野立が囁くと、絵里子は嬉しそうに手を這わせ、熱くなった塊を撫で回した。
野立が気持ち良さに低く息を漏らす。絵里子は両手で野立の下着を引き摺り下ろすと、自分のスリップも勢い良く脱いで放り投げた。
154合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:58:18.59 ID:BQy7zObI

すべてを脱ぎ去った体と体が重なり、隙間がないくらいに強く絡み合った。
しっとりと汗ばんだ体が溶け合うように熱い。
野立は絵里子の胸を両手で激しく揉みしだき、ピンと立った乳首を強くしゃぶる。
舌で優しく転がし、指で攻め立て、時折歯を立てる。
そのたびに絵里子がせつなげに身をそらせて声を上げ、野立に腰をすり寄せた。
互いの腰を何度も揺らし、濡れそぼった場所をこすり合わせる。
もうこれ以上身が持たないと絵里子が観念した瞬間、野立が絵里子の中に猛々しく入ってきた。

「あぁっ・・・!」絵里子は野立の肩に歯を立てながらその背中にしがみつく。
「絵里子、顔見せろよ。絵里子が感じてる顔が見たい」
野立はそう言って、絵里子の額の髪をかき上げながら、激しく腰を打ち付けてくる。
絵里子の中が、時々ギュウッと収縮し、野立を締め上げる。
「すごい・・・。奥まで・・・はぁぁ」
絵里子は泣きそうになりながら、野立の首に顔を埋めた。
もっと、もっと。野立は絵里子と一体になりたくて、更にその先を目指しているような気持ちになる。

絵里子の中で野立がますます固く膨張し、うごめき、絵里子を捕らえた。
痙攣が起こりそうになり、「もうダメ、野立。早く・・・!」と悲鳴に近い声を上げた。
絵里子が全身を震わせ野立にしがみついた瞬間、野立が絵里子の中で激しく脈打ち自身を放出させた。
155合鍵の眠り姫:2011/07/15(金) 20:58:57.50 ID:BQy7zObI

小刻みに体を痙攣させながら、やがて二人は絡まったままぐったりとシーツに横たわった。
汗ばんだ体で抱き合ったまま、絵里子が野立の髭のあたりをそっと撫でると、野立はチュッとついばむような優しいキスを絵里子に返す。
絵里子がクスッと笑うと、まだ繋がったままの部分を通して野立にも振動が伝わった。
「このまま離れたくないな」野立はいつもの調子で冗談めかして言う。
「繋がったまんま、ずっとこのままがいい」
目だけは案外本気そうで、そんな野立が絵里子は心から愛しかった。
野立が大きな自分の子供みたいに感じて、女としての本能に自分でもちょっと驚いた。
「このまま朝までこうしてようか」
絵里子もいたずらっぽく答える。と、二人同時に、グウッと腹の虫が鳴って、思わず顔を見合わせ吹き出した。
「しばし休戦。なんか食ってから、また、だな」
「またって何よ。バカ」絵里子はクスクス笑いながら野立を抱きしめる。
腹ごしらえをしようと言いながら、どちらも互いの体から離れようとせず、いつまで経っても繋がったまま。
じゃれあっているうちに夜が明けてしまうかもしれないな。でもそれもいいか。明日仕事、辛いけど、今この瞬間のほうが俺の人生で一番大事だ。
野立はそう心で呟きながら絵里子を見下ろし、一層強く、その細い体を抱きしめた。
絵里子の首筋は、いつもの甘い香りがした。

                               END
156名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 21:01:43.44 ID:BQy7zObI

以上です。長々とお邪魔しました。
駄作ですみません!ありがとうございました。
157名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 21:17:33.11 ID:UCjLUjes
こちらこそ
ありがとうございました。

いっきに読ませて頂きました。
2人に萌えたぁ〜
158名無しさん@ピンキー:2011/07/15(金) 21:22:48.03 ID:JgAXRPFd
GJ!!二人が幸せそうでなによりだ〜
ありがとう!
159名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 00:34:48.34 ID:/dFIK8rw
GJGJ!!
情事後の野絵がかわいい
160名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 01:13:47.84 ID:g35JNPPr
GJGJGJGJ
萌えたぁぁあああ
161名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 21:13:25.88 ID:TTYO4mK3
ナースコールも合鍵も読んだ後幸せな気分になるw
続きが読みたいよ〜
162名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 21:47:28.17 ID:UwPCcgKs
うむ
163名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 14:08:21.83 ID:K02l19wA
前回、エロは初投稿だったのに優しい感想、感謝です。
今回は病室での続きではなく、付き合って少し経ってからの対策室での話です。
半同棲くらいのイメージで書きました。

ほんのちょこっとだけ攻める絵里子も。
が、元々攻める絵里子を書きたかったわけではなく、勝手に攻め始めたので、超中途半端です。

その上、途中エロパロから逸脱してしまう感がありありです。
その辺、読み飛ばしたりしてください。

ご期待に添えるようなものではなく、
かなりぐだぐだですが、もしよかったら暇つぶしにどぞ。
164対策室で抱きしめて(1):2011/07/17(日) 14:14:35.46 ID:K02l19wA

自分以外誰もおらず、時計の音だけが響く対策室。
ふと人の気配がして振り返ったら野立がいた。

「ぎゃっ!!」

「うぉっ!びっくりさせんなよ。
なんだよ、ぎゃって。人をお化けみたいに」

「こっちがびっくりよ。ていうか、お化けの方がまだましよ、なによもう帰ったんじゃなかったの?」

「お前を待ってたんだろ?少しはその努力を認めろよな」

私に気づかれないようにそっと対策室に入ってきて、そーっと近づいて驚かせたくせに。
ま、気付かない私も私だけど、それだけ集中してたのよ
いや、本当は考え事してただけなんだけど・・・・・とまた一人の世界に浸っていると
私の反応のなさにちょっとふてくされた野立が私の後ろから移動して対策室のソファーにどでんと足を伸ばして座った。
靴くらい脱ぎなさいよね・・・・・・

「つかお前はなにしてんだよ、もう帰ろうぜ」

「まだ仕事が残ってるの。
・・・・事件もまだ解決してないし・・・・・・・・」

「・・・まぁな、でもお前が独り居残って根つめたってしょうがない、倒れたら意味がないんだぞ」

そんな事くらい私だってわかっている、
でも他のメンバーがどれだけ頑張っているかもわかっているし、それに事件には被害者がいるのだ。
これ以上犠牲者を増やしてはならない、そしてその被害者の為にも何かをせずにはいられない。


今回の事件は連続殺人。
被害者の共通点はとあるSNSサイトで、交際中の男性に対する相談をしている女性という事。
以前、虐待を受けその相談から派生した事件はあったが、
今回は相談者本人が被害者だった。

その数はもう3名にも及ぶ。
そこで絵里子は自分が相談者となり、何が起こっているのかを探ろうとしていた。


「お前さ、俺に何か恨みでもあんのか?」

相談について書いたメールを先ほど後ろから見たのだろう、野立がその内容について文句を言ってきた。
165対策室で抱きしめて(2):2011/07/17(日) 14:17:18.51 ID:K02l19wA

「だって付き合ってる男性に対しての相談だもん
それともなによ、他の男性の事を書いて欲しかった?」

「んな事言ってねぇだろ、ただヒドすぎだろ、その男」

「ちょこっとデフォルメしただけじゃない。
なにもあんたがこの通りの男だなんて言ってないし。まぁ、ろくでもない男だってとこは一緒だけど」

「お前な、自分の恋人をそんな風に言うか、普通」

「自分の彼氏でもろくでもない男には変わりないのよ
聞いたわよ、婦人警官の天野さん。最近は彼女にご執心だって」

「あぁ〜奈津美ちゃん?もう超可愛いんだよ、なんか急に女の子っぽくなっちゃってさぁ。
花開くってあんな感じなのかねぇ?なんか、感心してたらこの間急にメアド渡されちゃって。」

もうホント困っちゃよな〜なんて喜んでるくだらない男
だからろくでもないのよ、あんたは。
なにが奈津美ちゃんよ。
確かにその子は急に可愛くなったとうちの花形と山村さんが噂をしていた。
そしてそれは野立が原因なんじゃないか、野立が彼女を変身させたんじゃないかそんな話まであった。

思わずパソコンを打つ手が止まりそんなことを考えていたら、耳元で息を吹きかけられた。

「ぎゃっ!!!」

「たく、つくづく色気がねぇなそこは「きゃぁっ!」だろぉ?」

「何が色気よ、大体あんたは」

言いつのろうとしたらぎゅっと後ろから抱きしめられ、
その体勢のまま首筋や耳元に音をたてキスをされる。

「ヤキモチは似合わないぞ?」

急にテンションが変わり囁かれ、その低い声にゾクっとしてしまう。
そんな自分の反応と言い当てられた事への恥ずかしさ、そして自信満々な物言いにイラだちが募る。
166対策室で抱きしめて(3):2011/07/17(日) 14:23:56.93 ID:K02l19wA

「何がヤキモチよ、自惚れないで」

それには答えず、私の髪を掻きあげこめかみにキスをしてくる。
唇の動きが胸を騒がすような、うずくような色気を含んでいてやはりゾクゾクしてしまう。
髭がさわさわと肌をくすぐっていき、その感触がたまらなくてつい悪態をつく。

「仕事場でそういう事をしたいならその子とどうぞ、私はお断り」

苦笑いを含んだ溜息が聞こえ、野立が私から腕を離した。
それが残念に思えて、でもそれを悟られまいとパソコンのキーを叩く指に力が入る。
野立はまたソファに戻り、今度は普通に座って雑誌を広げている。


その姿をみて、ふぅっと溜息をついた。
結局仕事の苛立ちと、ちょっとしたヤキモチを野立にぶつけただけだ。
上手く進まない捜査、それでも焦りなど部下には見せられない。感情を抑える分ストレスが溜まる。
そんな中、部下の数名から聞いたくだらない噂に余計苛立っていたのだ。

野立が女好きなのは今更であるし、調子がいいのはわかっている事だ。
調子がよくても、案外真面目だという事もわかっているのに、どうしても悪態をついてしまう。

野立が雑誌をめくる横顔をぼんやりと眺める。
なぜあそこまで言われて帰らないんだろう?
きっと私ならさっさと帰ってしまう。

開いていたパソコンを閉じて自分もソファに移動し、野立の隣に座った。
野立が、ん?と無言でこちらを見てきたが目は合わさずに、絵里子の定位置になった右胸にもたれると
腕を回し、抱え込むようにキスをしてきた。
ちょっと、調子に乗らないでよね。
そう思ったが、とりあえず素直に受けることにした。
167対策室で抱きしめて(4):2011/07/17(日) 14:26:20.31 ID:K02l19wA

唇が吸われて、簡単に舌が差し込まれる。
キスがしづらかったのか、クイっと左手で顎を上げられ、キスがより深くなる。
苦しいと感じる一歩手前で唇が外され、見つめられた。

その瞳の強さに吸い込まれそうになり、自分の彼氏ながら見惚れてしまう。
40を過ぎ、若い頃とは違った魅力を身につけた元相棒は確かにモテる男なのだろう。
そんな風に惹きつけられていると胸元に違和感を覚えた。
下を見ると野立の手がボタンにかかり、脱がそうとしているのに気が付く

「ちょっと、何脱がそうとしてんのよ」

「あっ、バレた?」

「当たり前でしょうが」

一瞬でも酔いしれた自分がバカだった。
にやにや笑いながらそれでも手を止めようとしない野立の手をぐっと抑える。

「仕事場ではしたくないの」

「んー・・・・・・・・」

「ちょっと」

「すんげぇ、可愛いんだもん。」

「何言ってんの、離れなさいよ」

「あばたもえくぼだな、絵里子が可愛いなんて」

「失礼でしょ、それ」

「じゃぁ可愛いと思うか?」

「それは・・・・・・・・」

確かに自分でも可愛げがあるとは言えないけれど、仮にも自分の彼女に失礼だと思わないのか。
これも書いてやるぞ、相談メールに。
168対策室で抱きしめて(5):2011/07/17(日) 14:32:52.36 ID:K02l19wA

「でも可愛いぞ、絵里子」

そんな風に言われて諭されたわけではないんだけれど、
もう誰もいないし、触られるくらいならいいか・・・・となってしまう。

ジャケットを脱がされると、シャツのボタンが1つ2つとどんどん外され、全開にされた。
裾をズボンから出されたところで、くるっと反対向きにされ野立の膝に座らされる。
え?と戸惑っているところに、腕を回され、そのまま胸を両手で弄ばれる。
はだけたシャツを無視しするように、キャミの上からやわやわと指を動かされ、動けなくなった。

「やっ・・・・ねぇ・・・・・」

くすぐったさに身をよじる。
いきなり胸を、しかも後ろから攻められるなんて想定外で、心構えもできずに刺激がダイレクトに伝わってくる。
何度も後ろからこめかみや頬にキスをされ、相手が見えない怖さのようなものがより肌を敏感にしていく。

もどかしさで苦しくなってきた頃ふいに片手が離れ
背中からキャミの中に手が入りブラのフォックが外された
そして、締りのなくなったブラの下から両手で今度は直接揉まれる。

「ちょ・・・・それ・・・・・・や・・・・・・・」

手のひらで先を転がされ、思わず声が出る。
指先で何かされているわけではない、ただ転がされているだけなのに感じてしまう。

「かたくなってきた」

くすっと笑われ、腹がたつが何も言い返せない。
顔を見たくて、振り返ろうとするのに抱き着かれた格好なのでそれもうまくいかない。

「でも、俺もだ」

ぐいっとスーツのズボンの上からでもわかる熱を押し付けられクラクラする。
仕事場で最後までなどできない。
でもいつも自分の中を貫き快感を与えていくその存在感に、どうしようもないほど奥が疼いた。
169対策室で抱きしめて(6):2011/07/17(日) 14:38:16.34 ID:K02l19wA

野立の腕を振り払い向かい合わせになって膝に座る。
勢いのままに乱暴に口づけをすると、唇を離した途端ににやにや笑う野立が目に入った。

「何笑ってんのよ」

悔しくてまた噛みつくようにキスをしようとすると躱されてぎゅっと抱きしめられる。

「俺をこんなに煽るのはお前くらいだなって思ってさ」

低い声で耳に直接囁かれる。
顔を離せば指で唇に触れてくる。
触れていた指を噛んだら、そのまま舌をいたぶるように口内を犯してくる。
これ以上したらダメ、そんな事わかってるのにお互いが止まらなくなって、キスをしたり触ったり。

ブラジャーとキャミソールをたくし上げ胸を口で揉みしだく野立の頭を撫でていると
急に鎖骨の少し上に噛みつかれ、痕をつけられる。
明日になればそれとわかってしまうだろう、
辞めてほしいのに抗議をする気になれない。

獣じみた野立の目が自分を見つめていて、その視線に追い立てられるように下半身だけ裸になる。
同じく半身だけ晒した男の上に跨ると、腰に手を添えられくちゅっと入口が合わさった。
ゆっくりと腰を下ろすと、ずぷぷっ・・・・とねちっこい音を立て収まっていく様がいやらしい。

「ん・・はっ・・・・・・」

呼吸を合わせて動かし始めると、じゅぷじゅぷとやらしい音が響き渡る。
腰を持たれて、入口付近からソフトに攻められたり、ごりごりとこすられたり、
姿勢を保っていることさえ難しくなって、目の前の男にすがりついてしまう。

意識が朦朧とし、もう目も開けられない状況で
いかせて欲しいと懇願すると野立の腰を持つ手が強くなり、腰の動きも早くなった。

「あぁ、もう、もう・・・もう・・・・・」

もう来る。
直観でわかった途端に抜けるギリギリまで持ち上げられ、
思わずイヤっと叫んだ瞬間、一気に奥を衝かれ絶頂を迎えた。


くたっと野立にもたれかかり、息を整える。
相手も上着は脱いでいたが、ワイシャツにつくった絵里子の唾液や涙であろう染みが広がっている。
そしてはたと気づいた、中に入っている野立のものがまだ熱い。

普段は絵里子の動きやその瞬間に合わせて吐き出す事が多い彼にしては珍しい。
ピルを飲んでいる為避妊具をつけない自分たち、
きっと帰りの絵里子のことや後始末を考え中には出さなかったのだろう。
そう思っているうちに、体が離され、野立がティッシュを数枚とるのが見えた。
170対策室で抱きしめて(7):2011/07/17(日) 14:43:49.97 ID:K02l19wA

自分の中で出されなかった事が不満なわけではないけれど
なんとなくもったいない気がして、ティッシュをソコに持っていこうとしていた野立の手を思わず止めた。
ソファに座ったままの野立が問いかけるような目でこちらを見ているが無視して、床に膝をつくと口でいきり勃ったものを咥えた。

びくんと跳ねる体や漏れる声が嬉しくて、舐めてよじって吸い上げて。
舌で何度拭っても先走りが溢れ、張り裂けんばかりだったそこが解放を求めより膨らむ。
野立の癖でイキそうになると右足の内側により力が入り、そんな男の反応により深く銜え込む。

「え・・りこ・・・・・も、離して・・・・・・・」

口の中で出すのはためらわれるのだろうが、離したくない
その意思を伝えるようにストロークを更に早く力強くする、のどの奥に響くそれが苦しいが構わなかった。

「え・・・・り・・・・・」

野立も諦めたのか、私の頭を持ち数度腰を打ち付ける。
最後に打ち付けられるのに合わせ、思い切り吸い上げると勢いよく精が吐き出されのどの奥から順に生暖かいものが広がった。

私の頭を抱え込んんだまま、震えるように最後まで吐精する男の様に満足する。
ちゅぽんと音をたて柔らかくなったものが口から外れると、唾液や精が混じったものが糸を引いた。

飲みきれなかったものを野立の握りしめていたティッシュでふくと口の中に広がる苦味を味わう。
普段こんな不味いものなど飲めるわけもないのに、
今はその味さえも自分の欲望を満たすのだから不思議なものだ。
171対策室で抱きしめて(8):2011/07/17(日) 14:47:20.04 ID:K02l19wA

ぬちゃぬちゃと口の中でまだ残った精を転がしながら、だらしなくソファにもたれる男の濡れたそこをティッシュで拭う。
イッたばかりで感じやすいらしく、ビクっと反応した男に拭くだけよと笑いかけながら
それでもわざとらしく丁寧にふき取り、膨らみそうになる直前に体を離す。

残念そうな男の名残を感じながらも、脱いだ服をぱぱっと身に着け、常備している歯ブラシを手に取る。

「口、すすいでくるわ」

このままじゃキスもできないでしょ?と、未だだらしなく下半身を晒している男を置いて対策室を出た。



一緒に持ってきたタオルやティッシュなどで色々身なりを整えてから化粧室を出てくると
先ほど話題にしていた婦人警官の天野さんが廊下に立っていた。
どうやら私を見かけ、待っていたらしい。

「大澤さんですよね?対策室室長の。私、天野っていいます」

今日は当直なのだろうか?
でもこんな時間にこんな処で何をしているのだろう
少し疑問ではあったが、別に聞くような事でもないので黙って先を促す。

「野立参事官どこにいるかご存じですか?明日非番だって聞いて」

私も非番なんでぇ、えへへへへっ
としなをつくる彼女を見ていたらなんだかばかばかしくなってきた。
まだ帰ってないという情報を仕入れ、明日非番だという情報も仕入れ、
そしてライバルの目が光っていないこんな時間に攻撃をしかける事にしたらしい。
あの男はこの子のどこがいいんだ?うちの部下も含めて。

「あいつなら対策室にいるわよ、待ってたら出てくるんじゃない?」

言外に対策室には入るなと伝える。
あの男のことだ、さすがにもう服も着ているだろうし、
それなりに処理もしているとは思うけれどまだ入られるのは気まずい。
それに仕事上でも彼女の入室はイヤな予感しかしない。

勝手に対策室の前までついてきたので、
中に入ってから掃除やら後始末やらをしていた野立に彼女が外で待っている旨を伝える。
にやにや笑って出て行った野立の背中を見送ると
やっぱりばかばかしくなって、独りで帰り支度をする。
閉じてスリープ状態になったパソコンの電源を落とし、カバンに私物をしまいこむ。
と、そこで野立が帰ってきた。
172対策室で抱きしめて(9):2011/07/17(日) 14:50:38.15 ID:K02l19wA

「あら、あの子とどこかに出かけるのかと思ったわ」

「奈津美ちゃんは今日当直だよ」

「あらそ?明日は一緒に非番なんでしょ、よかったじゃない」

「妬くなって、ちゃんとお断りしました。」

「妬いてないわよ、勝手に遊んでればいいでしょ?私は事件が未解決だから休めません」

「ばーか、俺が本気で落とそうしてきてる子と遊ぶと思うか?野立会の鉄則は本気にならない子なんだよ」

「・・・・・・あんたホントに最低ね」

「おう、最低上等。
しょうがないだろ?俺を本気にさせる女は一人しかいないんだから」

本気になられても答えようがないと、またもや耳元で囁かれて、びくっと震えてしまう。
そんな私に気をよくして抱きすくめてくる男の男たる部分を撫でると、
ソコはまだ少し熱を帯びていて、気持ちよさげな顔をするものだから結局私まで気分がよくなる。

「本当にお前は俺を煽るのがうまいな」

「もうしないわよ?」

「わかってるって、早く家に帰ってもう1回しようって事だろ?」

「・・・・・・違うわよ」

「嘘が下手だな、絵里子は」

話している間にも何度もキスを交わす。
そのキスが熱を帯び始めたので、スルリと逃げ出し、先に対策室を出た。
全く油断も隙もあったもんじゃない。
と、すすり泣きが聞こえ、ぱっと見るとあの子だった。
私と目が合うと逃げるように去って行ったが、もしかしたらもう一度野立が出てくるのを待っていたのかもしれない。

あの純情さ?可愛さ?は私にはないわ・・・・
と思いつつ、見送る。


「半分以上演技だな、あれ。」

後ろから野立が出てきた。
この男も同じすすり泣きと走り去る後姿を見たらしい。
173対策室で抱きしめて(10):2011/07/17(日) 14:54:17.39 ID:K02l19wA

「泣けば男がよしよししてくれると思ってる、そんであわよくばキャリアと結婚して寿退社。
本気の子って言ったけど、本気にも色々あってさ、
本気で俺を好きな子と本気で俺を落とそうとしている子、彼女の場合は最初は前者だったけど、今は後者だな。」

人間の女性の中にも動物と一緒の奴がいるんだわ、なるべくいいオスを探し求める。
そんなん狙ってる子は大学時代からいーっぱいいた。
と両手を広げ、おどける隣の男。

何度か大学時代の写真を見たが、確かに女の子がキャーキャー寄ってきそうな風貌ではあった。
甘いマスクで髪を長くし、左は耳にかけ、右だけ垂らしたそんな髪型。
私から見たらただの薄っぺらい男でも、そんなキザな男が好きな女の子も沢山いて、
それに将来が約束されたようなあの大学名がつけばそりゃぁわんさか女も寄ってくるでしょうよ。


「あれだろ?あの相談メール、俺の昔の話を元にしてるだろ?」

まだ気にしていたのか、相談メールの事をまた持ち出してきた。

「若い頃は確かに色々あったからなぁ〜・・・・」

そんな話を飲んだ時にしたの覚えてたんだな、なんて一人で納得して。
部屋に片方のピアスが落ちているのは日常茶飯事。
女の子と飲んで、エッチして、
その後に当時の彼女の部屋に行ってまたエッチ・・・・
と思ったらパンツにルージュで浮気した女の子の名前が書いてあったとか。
ナンパに成功して、街中を歩いていたら彼女未満の女の子3人と鉢合わせて大変な目にあったとか、
エッチ中に名前を間違えて、誤魔化したけれど結局最後まで名前がわからなかったとか。

そんな本当に最低な話ばかり。
私が彼女だったら、いやそんな男の彼女を今現在しているわけだけれど、絶対別れてる。

・・・・・・・・・・別れるか、今すぐ。

「ま、そんなんくぐり抜けてきた俺だからこそ、この観察力が養われたわけ」

そんな観察力を持ってる彼氏なんていらないんですけど。
やっぱり別れるか、今すぐ。

「で、そのくせ実らない本気の恋に20年も振り回されちゃうわけだ」

ま、実際は15年くらいか?恋だって気付いてからは。
なんて一人でぶつぶつつぶやいている野立の横顔を呆れながら見る。
その横顔に先ほどの女の子の笑顔が重なり、
自分の中で黒くもやっとしたものを思わず言葉にした。
174対策室で抱きしめて(11):2011/07/17(日) 15:00:00.46 ID:K02l19wA

「・・・・それって最初から手に入ってたら、本気の恋になってなかったんじゃない?」

自分でも驚くほど冷たい声だった。
野立もびっくりしたような顔でこちらを見ているが、見返さない。


「すぐに手に入ってたらほかの子と一緒だったんじゃない?私も。」

今のところ特別に思われているのは否定しないけど。
野立の言う本気の恋が私だという自信もあるけれど、
でも、きっと他の子たちと一緒なのだ、自分も。

自分は野立の顔や権力を追い求めたわけではなく、そのベクトルが違っただけ。
一緒にいるのに都合がいい男を選んだだけだ。

飾らなくても嘘をつかなくても済む、一緒にいて楽しい、仕事の事も理解してくれる。
そんな自分にとっていいオスを選んだだけだ。

そして野立も同じなのだ、他の男のように可愛いだとかスタイルで選んだのではなく、
ただ手に入らなかったから追いかけたのが私だっただけだ。

そう思い至り、口にした事は私を納得させそして酷く傷つけた。


「・・・・・・・・泣くなよ」

仕事場で泣いたりなんかしないと言い返そうとして、自分の頬を濡らすものに気が付いた。
真面目な顔をして頬を拭ってくる野立の手が温かい。

「俺は、手に入らない女なんて興味がなかった。
高嶺の花なら諦めればいい、本気の女は捨てればいい、
適度に遊んであとは自分の信じる道をいくそう決めてたんだ」

それを崩したのはお前なんだ、お前が俺に恋を教えた。
そう告白をしてくる男の瞳は慣れてしまったから大してカッコイイなどとは思わないけれど、
それでも愛おしいと思ってしまうのが悔しい。
都合がいい男のくせに、愛おしくて涙がでる。
175対策室で抱きしめて(12):2011/07/17(日) 15:07:08.32 ID:K02l19wA

「絵里子・・・・・」

先ほどとは違った涙が頬をつたい、それを拭う指。
その温かさが自分の中にある黒いもやもやを消していく。

あぁ、この手の温もりも、
私を呼ぶ声も、気障な仕草もなぜか私を満たす。
理由などわからない、ただこの男が好きだと全身で感じてしまう。


「・・・・ごめん」

「いいさ、妬いてたんだろ?」

「違うわよ、自惚れないでって言ったでしょ」

仕事やくだらない噂への苛立ちがちょっとでちゃっただけよと笑う。
こんなところでする話題じゃない、明日も仕事だ早く帰ろう。

そう思っていると、唇に柔らかい感触が。

「・・・んぇ!?」

って廊下の真ん中でキスなんぞしてきやがった。
そりゃちょっと感極まっちゃって泣いた私も私だけど
普通キスなんてする?夜遅いとはいえ、人がいないわけじゃないに。
さっきの子だってそこら辺にいるかもしれないのに。
176対策室で抱きしめて(13):2011/07/17(日) 15:10:34.35 ID:K02l19wA

「ちょ・・・な、なにすんのよ!!!」

「何って、誓いのキス?」

「はぁ!?」

誓いって結婚式か、嫌だこんな結婚は。
しかもなぜに疑問形。
絶対ろくに考えてないだろ、この男。

人が感傷に浸っているというのに、
しかもちょっとぐっときていたというのに、なんて男だ。

そして、なんとなく先ほど野立が後ろに立っていた時のようにふわっと人の気配がして、
ものすごくイヤぁな予感に、恐る恐る振り返ると、さっきの子よりもっとまずい面々が立っていた。


「・・・BOSS・・・・あ、あの・・・・・・・・」

うろたえているのは、花形に岩井に山村さんだ。あれ?片桐と木元はどうした・・・
いや今はそんな事どうでもいい、見られた、絶対見られた
帰ったんじゃなかったのか、今何時だと思ってるんだ。


「す、すいません、あの、声かけようと思ったらBOSSが泣いてて、その・・・・」

そこから!?
花形はそこから見ていたというの!?


「実は天野さんが泣いてたので気になって・・・」

やーまーむーーーらーーーーーー!!
お前はそこからか、そこから見てたというのか!!!


「野立っちが、誰もいない筈の対策室に入っていったから追いかけてったら・・・
なんで、なんでBOSSと・・・・・なんでBOSSなんかと・・・・・酷い!酷いわ!私を捨てるのね!?」

・・・・・・・・・・ちょっと待て。
今なんて言った?
もちろん「捨てるのね!?」のところではない、
BOSSなんかの「なんか」も引っかかるが、それよりもその前だ、最初の部分だ。
もしかして、
岩井、あんたはもしかして!?


「せめて鍵くらいかけてからやってよ!!!」

なんでオカマ口調なのよ!と突っ込みたいけど突っ込めない、全部見られてたー・・・・
あぁ、あぁああああああ・・・・・・
177対策室で抱きしめて(14):2011/07/17(日) 15:16:35.25 ID:K02l19wA

「あははははっ、見られちゃったな絵里子」

なんであんたはそんなに軽いのよ。
逃げ出したい、もう全部放り出して逃げ出したい。

「帰ってからもっかいするつもりだったけど・・・・」

やめてよ、そんな報告こいつらにしないでよ。

「真面目に仕事して帰ってきた部下たちを残して帰ってえっちはできないもんなぁ・・・
しょうがない、俺は参事官室で仮眠してるから帰るなら声かけて。」

手をひらひらと振って、すたすた消えていく野立。
ちょっと、ちょっとちょっと。
いてもらっても困るけど、私をおいていくなこのやろー
これも相談メールに絶対書いてやる。

「BOSS・・・・?」

あぁ・・・・
岩井に見られたってことは、絶対この2人にも話してるし・・・・

「・・・・対策室、入っても?」

・・・大丈夫だけど、ちょっと今は・・・・気まずい。
でも、捜査の話をこんな廊下でするわけにはいかない・・
・・・・・・そうだ。


「参事官室行くわよ」


続きができなかった事は残念だろうが、
先ほどの余韻を引きずって満足して寝ようとしているだろう男がいるあの部屋。
恥ずかしい?もうそんなんどうでもいい、毒を食らわば皿までだ。
独りで勝手に寝させるもんか、このやろー。



END
178名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 15:20:10.13 ID:qLxVr7g0
リアルタイムキター
GJ!!ありがとうございます
エロもさることながら対策室メンバーの登場でややギャグ落ちな感じもすごく好き
あなた様の書く野絵ツボですわ
179名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 15:24:24.90 ID:Fk6j9ClA
リアルタイムキタコレ(゚∀゚)
GJです!
たっぷり堪能させていただきました!
甘さたっぷり、ちょっと切なさあり、そしてラストの衝撃w
最高でした(*´∀`) ♪

是非また投下してください!
180名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 15:25:53.91 ID:K02l19wA
以上です。

やたら長い上に途中エロパロからズレて申し訳ない。
投下する前に暗い部分は切ろうかと思ったのですが、
切ったら切ったで変になってしまったのでそのまま投下しました。

自己満足野絵に反省しきりですが、
また小ネタなり続きなりを書けたら投下させてください。

ぐだぐだな文にお付き合いくださりありがとうございましたっ。
181名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 15:30:11.36 ID:tvDiEurJ
うおーリアルタイム遭遇
ドキドキしました。萌えました。
暗い部分良かったですよーぐっときました。
GJです
182名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 16:41:03.96 ID:kwGWbCmH
萌えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜。

最後まで楽しく読ませていただきました。

183名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 17:17:02.28 ID:qpNX40cJ
一気読みさせてもらいました!
いや〜〜深い、深すぎます。

本編じゃ見られない、絵里子の闇の部分が書かれてて引き込まれました!

ありがとうございました。GJでした!!
184名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 19:33:57.57 ID:BWIv80Fx
絵里子の気持ちとせつなさに共感して、本気でウルウルきちゃいました
(゚ーÅ)
エロにせつなさに笑いと盛り沢山ありがとう!
連載してほしいくらいだわ〜
185名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 21:44:02.01 ID:C3vfJPXb
GJです

以下、野絵投下します
186名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 21:53:08.46 ID:C3vfJPXb
身体が疼く。

仕事から帰ってきた絵里子は、着替えもせずベッドの上に横向きに倒れ込んでいた。
珍しく定時を少し過ぎたぐらいの時間で上がることが出来た。
しかし、今日は野立がいない。
いつも自分よりは暇な彼だが、ここ最近、参事官としての仕事が膨大に降りかかってきて、彼に限らず
上層部は忙しない。
1年に数回はこういうときがある。
だから、ここ最近休みは勿論合わず、対策室にも彼は顔も出さず、顔すら合わせていなかった。
いつも鬱陶しいぐらいに対策室に顔を出してはからかわれ、一緒に帰ったり、飲みに行ったり、
夜を一緒に過ごしたり。
絵里子はすっかりその状態に慣れてしまっていることを思い知らされていた。
それに、少し疲れてしまうほど自分の身体を求めてくる彼。
解放されてホッとするはずが、悶々とする気持ちが募る一方である。
早く野立に触れたい。
抱き合いたい。
キスしたい。
…心も、身体も、隅々まで愛して欲しい。
187名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 22:12:02.60 ID:C3vfJPXb
「野立…」

絵里子は消え入るように呟くと、ジャケットを脱ぎ、床に放り捨てた。
ブラウスの上からもどかしげにブラのホックを外し、裾から右手を入れ、
自らの胸を揉みあげる。

「…ふっ…はぁ……」
息が少しずつ乱れ始める。野立にいつもどうされるか、思い出しながら手を進める。

「んんっ……」
乳首をつまみ上げ、弄ぶ。
気づけば左手はスカートをたくし上げ、ストッキングとショーツ越しに秘部を撫で回していた。
焦れったくなり、下をスカート以外全部脱ぎ捨て、直接そこに触れると、自分の予想以上に濡れていた。

「あっ…はぁ…んぅ…野立…」
彼にされている、と思いながら指でなぞる。乳首をつまみながら胸を揉み上げる右手はそのままだ。
絵里子は耐え切れず、濡れそぼる中に2本指を突っ込んだ。

「あ、あぁ!」
どんどん愛液が垂れ、指を濡らしていく。
3本に指を増やし、激しく欲望のままに掻き混ぜる。
ぐちゅぐちゅという粘着音が更に絵里子を駆り立てた。

「ハァ…ハァ…、ハァッ……」
絵里子の秘肉がビクビクと伸縮を繰り返し、絶頂が近いことを示した。
胸を揉んでいた右手は今は絵里子の口元にある。
野立のモノにするように自分の指をしゃぶり、左手の動きと共にグチャグチャという音が激しくなる。

「…っ、はぁっ…、もう…イっちゃ…、ぁあっ!」
体を揺らしながら絵里子は喘ぎ、ぶしゅっと愛液を飛び散らし果てた。


涙がこぼれる。ただただ、野立が欲しい。
彼と付き合うようになるまで、誰が相手だった時もこんな衝動は起きたことは無かった。
188名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 22:31:25.01 ID:C3vfJPXb
快感に身を任せ呆然としていると、

「絵里子」
紛れも無い、野立の声に絵里子はビクッとして振り返った。
部屋のドアの前に野立は立っていた。

「…見てた…?」
恐る恐る聞くと、
「途中から…」
と、呆れてもなく、びっくりもしていない無感情な返事が返ってきた。
「…そう…」
としか言えず、絵里子はノロノロと起き上がる。
しかし、野立によってそれは阻止された。
野立は絵里子の両手首を掴み、押し倒した。
「寂しかった?」
至近距離まで顔を近づけ、囁く。目を潤ませ頷く絵里子。

「一人でイケた?」
「…野立に、してもらってるって思ったら…」
「…」
「でも…」
絵里子は顔を横に大きく振り、ぎゅっと、きつく野立に抱きつく。
野立も彼女を抱きしめ返した。
忙しさにかまけて彼女をこんな状態にさせた自分を責めた。
一方、珍しく甘えてくる絵里子に嬉しさも感じる。

「ごめんね、絵里子」
そう言うと、野立は絵里子にキスを落とした。だんだんそれは深くなり、
野立は絵里子の中途半端に乱れていた衣服を完全に脱がした。
口付けを一旦やめると、野立も全部脱いだ。
絵里子はやっと彼と触れ合える嬉しさでぼうっとしながら、彼の裸体を見つめている。
再び野立は絵里子に覆い被さり、唇、耳元、首筋とキスを移動させていく。
全身に感じるお互いの肌の感触が心地よく、脚を絡め合った。

「俺に、どうされたかった?」
「え?」
「俺にされること想像してたんだろ?」
「…うん」
「どうやって?」
「…説明しろって…こと?」
「絵里子の要望を聞いてるだけだよ?」
憎たらしい笑顔。

「いちいち言うことじゃないでしょ…?」
「じゃあ、やめようか?」
あぁ…どこまで意地悪なんだ、この男は。
観念したように絵里子は息を吐いた。
189名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 22:51:45.66 ID:C3vfJPXb
「…胸を、揉んで…」
「うん」
その通りに野立は手を進める。絵里子は軽く身体を反らせた。
「…先、指で、摘まんで…」
野立が両胸をその通りにする。
「っ…ん、」
その上、片胸の先端を舐め上げ、吸い上げた。

「あ…はぁ…」
「胸だけ?」
「…ううん…下も…」
野立が絵里子の秘部に手をあてがう。ぬるぬる滑るほどに濡れており、感嘆の声を漏らした。
「すごいな…」
絵里子は熱い吐息で応えることしか出来ない。
手や指で円を描くように撫で回した後、野立はいっぺんに3本の指を差し入れ、掻き混ぜた。
「ああっ、ああ、」
絵里子は腰をくねらせ、よがる。

「…もう…、指じゃ、いやぁ……」
「欲しいの?」
そう冷静に聞きながらも、燃え上がる彼女の身体に野立は興奮し、下半身は完全に上を向いて
勃ち上がっていた。
「野立が…欲しい…!お、願い…」
薄目を開けて、上気した頬をして懇願する絵里子。
野立は愛しくてたまらず、一気に奥まで貫いた。

はっ、ぁああ!!と息を詰まらせ絵里子は叫んだ。
野立も中の熱さ、柔らかく、しかし絡み付いてくる締め付けが心地よすぎて
思わず声を漏らし、激しく出し入れを繰り返す。
野立、野立と名を呼びながら絵里子は喘ぎ叫び、彼の首に腕を回し、もっと、と腰をうねらす。
「絵里子…っ」
野立は熱い息をしながら必死に腰を打ちつけた。

肉のぶつかり合う音や粘着音が最高潮になったとき、
「あ、ああ、もうイク、私っ…」
「俺も、っ、出すよ」
「きてっ、あぁ、ああぁぁ!!」
野立の体液が絵里子の中に放たれ、お互いをぎゅっと抱きしめ合った。
190名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:00:15.47 ID:C3vfJPXb
二人はしばらく果てたままの状態で、息が上がったまま動けずにいる。
見つめ合い、どちらからともなく口付けを交わし、お互いの舌を絡め合う。

「溜まってたのね、貴方も」
ボソリと絵里子は呟いた。
「当たり前だ」
「今日は早かったのね」
「一時休止の合間を縫って会いに来た。そしたらお前、あんな状態で…」
今更ながら絵里子は恥ずかしくなり、俯いた。
「でも好都合だ。絵里子がそんなに欲しがってくれるなんて」
「…!」

野立は自身を抜き、立ち上がった。
「風呂場行くぞ、お前も来い」
「え?」
「ベッド汚したら困る。濡れまくってもいい所でやんないとな。
今日はじっくり付き合って貰うぞ」
不適な笑みを見せ、野立は風呂場へ向かった。
「…えぇー…?」
不安を感じつつも、結局どこかで滅茶苦茶にされても構わない、という想いが絵里子を浴室に
向かわせた。
191名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:01:40.48 ID:C3vfJPXb
以上です
スペース感謝
職人様にはもっと感謝
この二人が大好きです
192名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:08:46.67 ID:izA5K96W
>>191
リアスタイムキタ━━━━(´Д`;)━━━━ッ!!
GJすぎて言葉にならない
あ り が と う

ここの職人さんたち凄すぎないか
193名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:10:36.29 ID:FcBbIsBc
GJ!!
194名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:29:48.61 ID:23MSNkpE
GJ!
こんなエロを待っていた
195名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 23:33:43.97 ID:OY+NXU8T
ほんと皆凄いねえ
感心するわ
感謝!感謝!
今はここしか楽しみないかも(笑)
196名無しさん@ピンキー:2011/07/18(月) 18:11:05.05 ID:H8W9y73v
対策室で抱きしめてさんはナースコールの人ってことだよね?
あなたの文章、かなり好きです
そしてシチュとか心情の描写がどれもこれも私のツボど真ん中でやばい
197名無しさん@ピンキー:2011/07/18(月) 18:13:01.54 ID:H8W9y73v
そして186さんもGJGJ
いや凄いわこのスレ
198名無しさん@ピンキー:2011/07/18(月) 18:58:55.58 ID:Qngy5Jao
皆凄いわ、GJ!!!
どの作品にも言えるけど、BOSSキャラへの愛に溢れてて
心情にも共感できるエロが読めるなんて幸せ過ぎ

次は風呂場シチュも期待しちゃってるw
199名無しさん@ピンキー:2011/07/18(月) 19:27:50.17 ID:/ZC/bW0/
>>163
すんばらしいーーーー
あなたの細かい心理描写が大好き!
攻められてる野立が可愛い過ぎるw

また続編待ってます!
200名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 19:20:10.62 ID:uzr0kv3L
こんばんはー。以前「三角形」と「合鍵」を書かせていただいた者です。
皆さんの素敵な作品にワクワクときめきつつ読ませてもらってます。
内容が浅くてショボイですけど、私もまた続編ができたので、スペース使わせてください。
気の向いた方だけ、お暇つぶし程度に読んでくださいませ。
201バスルームの秘めごと(1):2011/07/19(火) 19:22:49.56 ID:uzr0kv3L

午後9時。エチケットとしてドアチャイムを一度鳴らしてから、合鍵を使って玄関に入る。
「野立―。生きてるー?」
食材の入った袋を抱えながら、絵里子は野立の部屋へと足を踏み入れた。
返事がないのでベッドルームの様子を見に行くと、Tシャツ姿の野立がうつぶせになり、気持ち良さそうに寝息をたてている。
テレビでは昔の戦争映画のDVDが、見る者もない中むなしく再生されていて、ベッドサイドテーブルには医者の処方した薬の袋とミネラルウォーター。そしてなぜか缶ビール。
・・・こういうところは私と似てるのよね。自分が病気で寝込んだときの様子を思い浮かべながら絵里子は苦笑を浮かべた。

熟睡している野立をそのままにして、絵里子はキッチンに向かう。
買ってきた数日分の食材を冷蔵庫や戸棚にしまうと、しばし考えたものの、やはり今日は単純におかゆを作ることにした。
「シンプルイズベストって言うしね」
ただ単に料理が苦手な自分への言い訳なのだが、実際野立の体を考えればそれが自然な選択だ。絵里子は鍋に火をつける。

野立を始め丹波部長ら幹部クラスの面々は、今日、揃いも揃って食あたりを起こして欠勤していた。
昨日、彼らは会議と接待を兼ねた昼食会に参加し、その際に口にした豪華な仕出し弁当の何かに当たったらしく、ほぼ全員がその日のうちに猛烈な腹痛に襲われダウンしてしまったのだ。
警視庁の下っ端の人間たちは、日頃上司達への不満がたまっているため、心配するよりは「うるさいのが休みで清々する」くらいの感覚のようだったが、
さすがに野立が珍しく欠勤しているとなると、婦人警官ら女子職員達は「野立参事官、大丈夫かしら〜。お見舞いに行きたいわ〜」と、あからさまに色めきたっていた。
そんな女子達の様子を呆れて見ながらも、絵里子も野立に何度かメールや電話を入れてみたが、「死んでる」の一言返信があったきりで、さすがに心配になっていた。
202バスルームの秘めごと(2):2011/07/19(火) 19:25:23.63 ID:uzr0kv3L

こうして野立の様子を見に来てみると、意外にのん気な顔で眠り込んでいるので、ちょっと安心する。
男の一人暮らし、さすがに食器類は多くない。
棚からスープ皿を取り出すと、できあがったおかゆを盛り付け、昨日自分用に作っておいたものをタッパに入れて持参した煮物、途中で買ってきた梅干や漬物などを添え、
念のためスポーツ飲料のペットボトルも一緒に持って、野立のベッドへと向かった。

物音で気づいたのか、野立はベッドの上でムクッと起き上がっていた。
絵里子の姿を見ると、
「あー、きたきた」と、とろんとした目で嬉しそうに笑う。
子供がママを見つけたみたいな、子犬が飼い主を見つけたみたいな、そんな無邪気な顔に、絵里子は柄にもなく喜びを感じている自分に戸惑った。

「お腹の具合どう?少しは落ち着いた?」
そう聞きながら、額に汗で張り付いた前髪を、タオルでそっとぬぐってやる。
「薬飲んで爆睡したら、復活したぜ」
親指を立ててニンマリ笑うものの、やはりいつもより力がない。頬にシーツの痕、髪もボサボサ、髭にまで寝癖。
「俺が休みで、みんな淋しがってただろ」
「そーね。岩井とか岩井とか岩井が淋しがってたわ」
「・・・なんじゃそりゃ」
ふてくされる野立の唇を指先でギュッと摘んで引っ張りながら、絵里子は微笑んだ。
されるがままの野立の目は、なんだか甘えを帯びた色をしている。
「全然食べてないんでしょ。おかゆ作ったから、ちょっと食べてみない?」
ベッドの脇に腰掛け、絵里子は皿を野立に手渡そうとした。
「おまえが食べさせてくれ」
相変らずとろんとした目で、野立はさっそく甘えてきた。
「はーー?手は動くでしょうが、手は!」絵里子は呆れて言い返したが、野立はすっかり子供のような笑顔で「手、動かなーい。だるーい」などと、ヘラヘラしている。
「・・・まったく。病人だからって調子に乗って」
何故だかちょっと顔が赤くなるのを自覚しながら、絵里子はスプーンでおかゆをすくうと、「ほら!」と野立の口元に持っていった。
「そういうときは、ハイ、あーんしてぇ、とか言うんだろ、普通」
「うるさい!黙って食べなさい!」
絵里子が睨むと、野立は「おお、コワ」と身震いしてみせながら素直に口を開け、おかゆを一口飲み込んだ。
更に絵里子がスプーンを口元へ運ぶと、野立は満足そうに次々と飲み込んでいく。
「こういうの、いいな。たまには病気になってみるもんだ」
野立が急に絵里子の腕を掴んでニンヤリと笑う。
絵里子は、バーカと言いつつ、野立が元気を取り戻しつつあることに心底ホッとした。
203バスルームの秘めごと(3):2011/07/19(火) 19:27:22.12 ID:uzr0kv3L

おかゆを全部食べ、スポーツドリンクも半分ほど飲み干したところで、野立は「あー、うまかった。生き返った」と言いながら、ベッドから降り立った。
スウェットのズボンの尻のあたりを手で掻きながら、「歯磨いてくる」と、洗面所へ歩いていく。
気を抜いたその後ろ姿を見つめながら、絵里子は小さく笑った。
いつもスタイリッシュに隙のないスーツでキザに決めている野立参事官が、家ではこんなふうにだらしない、ごく普通の40男なのが可笑しい。
野立ファンの子達が見たら、どう思うのかしらね。
絵里子は自分だけが野立のこんな姿を知っているのだと改めて思い、それが妙にくすぐったい喜びに変るのを自覚した。
やだやだ。つまんない女みたいなこと思っちゃって。

キッチンで皿を洗ってタオルで手を拭いていると、後ろから急に野立に抱きすくめられた。
「絵里子ぉ。俺、風呂入りたい」
絵里子の首筋に鼻と唇をこすりつけながら、野立が甘える。
「そう思って、沸かしてあるわよ」
自分を抱く野立の両腕に手を重ねながら絵里子は振り返り、顔を上げた野立の唇にチュッと軽くキスをした。
野立は寝込んでいて会えなかったぶんを取り戻すように、絵里子の唇に襲い掛かる。舌が触れ合うと、歯磨き粉のミントの味がした。
「絵里子、風呂入るの手伝って」
「は?はぁぁぁ???」
「俺、さっきまで寝込んでたんだぜ。体に力が入らないんだよ。これじゃ、シャンプーも体洗うのもしんどくてさ。な?絵里子手伝ってくれよ」
「あんた、何言ってんの?すっかり元気じゃない!」低い声で絵里子は睨みつける。
「あ、そういう冷たいこと言うのか?俺がどんだけ痛くて辛い思いで七転八倒したか、おまえ分かってないだろ。冷てぇなー。ちょっとくらい手伝ってくれよー」
絵里子の肩に顎を乗せながら、いつになく野立が甘えてくる。
そう言われてしまうと確かに可哀相になってしまい、気づいたら「分かったわよ!手伝うから、早く脱ぎなさい!」と答えてしまう自分がいた。
204バスルームの秘めごと(4):2011/07/19(火) 19:29:11.35 ID:uzr0kv3L

脱衣所に行くと、野立は急にウキウキと元気な様子で服を脱ぎ始め、ボクサーショーツも一気に引き降ろした。
そこも、若干元気になっている様子がチラッと見え、なんなんだコイツは・・・と絵里子は眉をひそめる。
野立がニヤニヤしながら絵里子の服を脱がそうとするので、「なんであたしが脱ぐのよ!」と抵抗すると、
「だって、洗うの手伝ってくれるんだろ。服濡れちゃうじゃないか」と、平然と答える。
「・・・ったく!」絵里子は一瞬迷ったものの、まあしょうがないかと思いなおし、ブラウスとスカート、ストッキングを脱いで、キャミソールとショーツになった。
「今日はここまでよ。あくまで病人の世話で来たんだから」
「あー、今日ピンクなんだー。」ノーテンキに野立がキャミソールの裾を持ち上げ、中のブラまで確認しようとするので、その手をパシッとはたく。
「ほら、入った入った。チャチャッと洗ってやるから!」

バスルームで座った状態の野立の後ろに立ち、いい香りのシャンプーを思いっきり泡立たせてよく洗ってやり、シャワーで洗い流す。目に入らないように、丁寧にお湯を流した。
安心しきった無防備な様子の野立は、やっぱりなんだかカワイイ。
シャンプーが済むと、体を洗う。ボディシャンプーをしっかり泡立て、野立の浅黒く、年のわりに滑らかな肌をごしごしと強めに洗っていく。
「さすがの力だな。イテェよ」「うるさい。洗ってもらえるだけ感謝しなさい」
野立を立ち上がらせ、両脚も洗ってやる。ほぼ全身洗い終わったあとで、野立が自分の股間を指差して言う。
「ここも洗ってくれよ」
「自分で洗いなさい」
「えーー。なんでだよ。今更照れるなよ」
「照れてない!!」
なんだかシャクに触ったので、掌に思いっきり石鹸を泡立たせると、野立のモノを両手で包み込んでギュッと握ってやった。
「うっ!」野立がうめいたので、意地悪な笑みを返してやった。
今度はゆっくり優しく、細かい部分まで丁寧に洗っていく。
気づくと、洗っている絵里子の顔を、野立がじっと見下ろしていた。
その目が妙になまめかしい。絵里子の手の中のモノも確実に硬度を増していった。
このままだと、コイツ発情しちゃいそうだわ。絵里子はそこでパッと手を離し、シャワーで野立の股間の泡を流してやった。
中途半端な角度で頭をもたげた先っぽがなんだか情けなくて、絵里子の顔に自然と笑いがもれた。
205バスルームの秘めごと(5):2011/07/19(火) 19:30:29.10 ID:uzr0kv3L

黙ったままの野立の体をそっと押して、バスタブの方へと促す。
「はい、よく温まって」
妙におとなしく従ってるな、とちょっと不審に思っていると、バスタブに腰を沈めた野立の腕が急に絵里子の方へ伸びた。
「え!・・・や!うわ!」野立がキャミソール姿の絵里子の上半身に抱きつき、強引な力でバスタブに引きずり込んだ。
「ちょっと!何すんのよ!バカ!!」じゃぶんと絵里子は湯の中に倒れこみ、そのまま全身水浸しになってしまった。
「あーあ、濡れちゃった。もう一緒に入っちゃおうぜ」
野立がニヤニヤといやらしい笑いを浮かべながら、絵里子のキャミソールを脱がそうと手を伸ばしてくる。
「あんた、最初っからそのつもりだったでしょ!!」絵里子はバシャッとお湯を野立に引っ掛けたが、野立は全然ひるまない。
文句を言い続けようとする絵里子の顔を両手で引き寄せ、野立が思い切り絵里子の唇に吸い付いた。
濡れた野立の唇が、ぬらぬらと絵里子の唇を襲う。柔らかく愛撫するようなキスが続き、絵里子の体から少し力が抜ける。
するとそこに付け込むように、熱い舌が口内にするりと泳いできて、あっという間に絵里子の舌を絡み取った。
「ん・・・」なんていやらしくて優しくて、深いキスだろう。
こんなふうにされたら、いつも部下を率いる男勝りのボスとして、心にまとっている鋼のような鎧が、あっという間に取り払われて、絵里子はただの女になってしまう。

「ずるい。あんた、ほんとずるい」
息を弾ませながら絵里子がそう囁く間、野立は絵里子のキャミソールとブラを巧みに剥ぎ取り、ショーツも勢いよく引き摺り下ろしてしまった。
「どこが病みあがりなんだか。全然元気じゃない」
憎らしそうに絵里子は言ってみるものの、体は柔らかくしなりながら野立に吸い付いていく。
ぬるめの湯の中で、野立は絵里子の胸元にしゃぶりつく。
大きな両手で胸を揉みしだき、指で先端をコリコリと攻め立て、時にねちっこく摘んだり円を描くように転がす。
「・・・あっ・・・んん!」
野立の熱を帯びた唇と舌が、絵里子の乳首を嘗め回し、強く吸い付く。
両の手で絵里子の尻の肉がゆっくりと揉まれ、そのリズムに合わせるように胸を味わう口の動きも加速していく。

「あ・・・ダメ・・・前も、触って・・・」たまらず絵里子が懇願する。
野立は絵里子の瞳を覗き込んで、目を開いたままキスをした。
「エロい女だな、絵里子」耳元に口を押し付けて野立が低く囁く。
「あんたのせいよ・・・!」耳の中を這う野立の舌にとろけそうになりながら、絵里子は言い返した。「お願い・・・早く・・・」
野立は左手で絵里子の腰をグッと抱き寄せながら、右手を絵里子の股の間に滑り込ませた。
唇や顎、首筋、耳と、野立の唇と舌が絵里子のいたるところを這い回り、それと同時に右手が絵里子の秘部を優しくうごめく。
206バスルームの秘めごと(6):2011/07/19(火) 19:32:31.36 ID:uzr0kv3L

指先がまーるく絵里子の敏感な蕾のあたりを撫で上げ、時々ソフトなタッチでポイントをしぼって刺激される。
そのたびに絵里子の体がしなり、野立の肩にしがみつく手に力がこもる。
野立の指が絵里子の内側の窪みへと滑ってゆくと、既にそこからは相当な量の蜜があふれ出していた。
「おまえ、こんなに濡らして。いやらしいな、絵里子」
野立の低い声がまるで媚薬のように絵里子の肌に降り注ぎ、自分でもどうしようもない淫乱になったかのように、野立の手に自らの腰を摺り寄せてしまう。
中に差し込まれた野立の指が、くちゅくちゅと音を立てて出たり入ったりする。
時折、蜜に濡れそぼった指が外に出て蕾のあたりを撫で回すと、粘液が優しい刺激となって、絵里子の蕾を更にふくらませた。
「ねえ・・・ダメ・・・のぼせちゃう・・・」
ぬるめに沸かした湯が、絵里子の全身をほてらせている。
野立は、バスタブの栓をグイッと引っ張ると、せっかく張った湯を排水溝へと流し始める。
腰から下が浸かるくらいの量に湯が減るとまた栓をして、「これならいいだろ」と意地悪い目で野立が笑った。
「絵里子、立てよ」
野立は絵里子の腋の下に手を入れて立ち上がらせると、絵里子の股に顔を埋めて秘部を口で愛撫しはじめた。
この上なく柔らかい動きで、野立の舌が絵里子を味わい、差し込まれ、翻弄するようになぶり続ける。
絵里子の中からダラダラと蜜があふれ出し、それを野立が掬い取るように舌で舐めあげる。
絵里子は膝がガクガク震えるほど感じてしまい、もう立っていられないと情けない声をあげた。
不意に野立が顔を上げ、絵里子の火照った表情を愛おしげに見つめた。
絵里子もその顔を見下ろし、細く深い吐息をひとつ漏らすと、今度は自分が野立の股間に顔を埋めた。
バスタブのへりに腰掛けた野立の、思い切りそそり立ったモノに手を這わせ、両手でいたるところを撫で回しながら先端をちゅるっと唇で吸う。
根元から舌を這わせ、指先で愛撫しつつ舌でヒダの隙間まで丁寧に攻める。
野立が絵里子の頭に手を置いて、呻くような深い吐息をもらしている。
その吐息が更に絵里子を煽り、いきり立った野立自身をできるだけ深くしゃぶり、舌を使って丹念に吸い上げた。
そうしながら、絵里子は自分の中からますます愛液が流れ出すのを感じていた。

我慢できなくなった野立が絵里子の体を引っ張り上げ、自分の股間の上に跨らせた。
互いの濡れた部分がねっとりといやらしく重なり合い、その感触にますます快感が増す。
絵里子は野立の肩に手を置き、野立の両手は絵里子の乳房に当てがわれた。
柔らかく乳房を揉む動きに合わせて、絵里子が腰を振って野立のモノに自分の蜜に濡れた部分をこすり合わせた。
207バスルームの秘めごと(7):2011/07/19(火) 19:35:03.03 ID:uzr0kv3L

「絵里子、こすりつけるの好きだな」
野立が溶けそうな目で絵里子の目を見上げながら、乳房をいやらしく揉み上げる。
「だって、気持ちいいもん」絵里子は野立に深いキスをしながら、更に濡れそぼる股間をこすりつけた。
くちゅくちゅと恥ずかしい音がバスルームに響き、絵里子はとうとうこらえきれなくなった。
すべらせるように動きながら、野立の上に腰を沈める。
ぐにゅぐにゅっと粘膜が絡みあうように、野立のモノが絵里子の奥深くまで納まった。
「おまえ、ホントやらしいな」野立が満足そうな顔で絵里子の頬を撫でる。
「だから、あんたのせいだって」絵里子は野立と舌を絡み合わせながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。
上下に動かしながら、絵里子の内側の壁に野立の先端をこすりつけつようにしたり、円を描くように腰をグラインドさせながら刺激する。
野立がたまらず、「・・・はぁっ・・・」と息を漏らす。それが嬉しくて、絵里子は更に腰を降る。
野立もそれに答えるように、舌から腰を突き上げながら、絵里子の胸に激しくしゃぶりつき、尻を手で揉む。

快感で頭がボーッしてきた頃、野立がグッと絵里子の体を掴み、不意に自分のモノを抜いた。
もどかしげに絵里子の体を反転させて後ろを向かせると、絵里子の腰を後ろからグイッと引き寄せた。
絵里子が「アッ・・・」と声を上げながら、バスタブのへりに手をつくと同時に、野立にバックから刺し貫かれた。
「あぁ・・・っ!」さっきとは違った種類の快感に思わず声を上げる。
自分のものとは思えない、メスの獣のような声を絞り出す絵里子に興奮したかのように、野立の両手が執拗に絵里子の乳房を掴んでは揉みしだき、音を立てて打ち付ける腰の動きが早くなった。

「ああ・・・野立、もう・・・あっ・・・!」
「イキそう?イクか?」パンパンと卑猥な音を立てながら、野立が荒い息で問う。
「あぁ・・・!イっちゃ・・・う・・・!」
絵里子が声を絞り出してビクッと身を震わせたとほぼ同時に、野立が腰を押し込むようにして呻き声をあげ、絵里子の中に大量の液体を解き放った。

ヒクヒクと体を震わせながら、バスタブの中に崩れ落ちる絵里子を、野立が後ろから抱きかかえたまま一緒に膝をつく。
まだピクンピクンと揺れる尻の間から、野立の放った白い液体と絵里子の蜜が交じり合ったものがタラタラと流れ落ちる。
絵里子の太ももを濡らすそれを、野立が優しい手付きで拭いとって、絵里子の鼻先にその手を突きつける。
「ほんと、やらしいな、おまえ。見ろこれ」
「・・・バカ・・・」ぐったりしながら絵里子はその手を払いのけ、息も絶え絶えに野立の胸に顔を埋めた。
「あんたこそ、病欠したのがウソみたいに、ケダモノだわ」
そう言いながらも、絵里子は顔を野立の胸にすり寄せ、甘えたように鼻を鳴らす。
208バスルームの秘めごと(8):2011/07/19(火) 19:36:30.68 ID:uzr0kv3L

こうなることを、絵里子は心の奥で、実はちょっと期待していた。
ううん、ちょっとじゃない、確実にそうなることを願っていた。
お見舞いという名目で、野立と抱き合いたくて逸る気持ちでこの家のドアを開けたのだから。
「したかったんだろ。あんなヒラヒラしたピンクのパンツなんか穿いてきやがって。一回家帰って、着替えてからここに来たんだろ、絵里子」
すべてお見通しのような、からかうような声で野立が絵里子に耳元に囁く。
なんでバレてるんだ・・・。絵里子は恥ずかしさと情けなさで、ううっと呻きながらまた野立の胸に顔を埋めた。
ぬるくなった浅い湯の中で絵里子を抱きしめながら、野立が優しく言う。
「俺だって嬉しかったさ。おまえが来てくれるの、ひたすら待ってたからな。
腹痛くて、もんどりうってる間も、絵里子ー、来てくれー。絵里子ー、助けてくれーって、一日中一人で大騒ぎ」
ダセエな、俺。そう自嘲気味に笑う野立の顔を見上げ、絵里子はなんだか胸がいっぱいになった。
私達、いつもカッコつけて余裕のふりしあってるけど、本当はお互いが好きすぎてしょうがないのよね、きっと。
もう意地を張る年じゃないのにね。

「一緒に住んじゃおうか」
軽くキスした後、絵里子は普段より幾分真面目な顔でそう声にしてみた。
はぐらかされるだろうか。ちょっと絵里子は不安になる。
「奇遇だな。俺も今、同じこと言おうとしてた」
野立はそう言ってニヤリと笑うと、また絵里子を引き寄せて口付けた。
深く長く、純粋に愛情を確かめ合うような暖かなキス。
絵里子はギュッと野立にしがみついた。
「・・・いつ引っ越してくる?」
そう問いかけてくる瞳は、念願のおもちゃを手に入れた子供のようにキラキラしている。
あんたそんなに無邪気でいいの?と絵里子は驚きつつも、自分も嬉しさを隠しきれないゆるんだ顔をしていることに気づいて、ちょっと笑ってしまった。
対策室のボスともあろう私がね。こんなとこ、アイツらには絶対見せられないわ。
バスルームには、いつまでもキスの音が響き渡っていた。

                                     END
209名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 19:37:35.19 ID:uzr0kv3L

おしまいです。またしても長々と失礼しました。
未熟ですみません。ありがとうございました☆
210名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 20:03:13.60 ID:qnWXCyYP
す、すっげー!!
GJ!!!
野立かわええ…って萌えてたら、すんごいエロイ事になって、最後はあまーい!
ありがとう、ご馳走さまでした!
211名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 20:09:40.89 ID:5+lPg+D+
おぉぉ〜
またしても萌えた…

今は
なにも手につかない…

ありがとうございました。
212名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 20:47:08.89 ID:3MCEaA1Q
最高。
風呂場プレイ萌え
GJ
213名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 21:03:06.40 ID:+t6KO9yl
GJです!
弱ってかわいい一面を見せつつ全部お見通しの野立
なんだかんだ確信犯の絵里子
萌えたあああ
214名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 01:25:16.44 ID:hDSsAtv1
うおおおおGJ
いつもほんとありがとうございます
215名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 01:54:30.35 ID:DXc+PhmJ
最高!野立がかわいい〜。
こんなん書けるなんてすごいなー。
216名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 14:47:56.14 ID:G7AeTMxT
本当に素敵…!
時々同期の会話文妄想を紛れ込ましてる者ですがこんな神作品の後に非常に辛気臭い
投下宜しいでしょうか…
非エロで野絵じゃない上にだからといって森絵でも無いっていう三重苦設定ですが
大丈夫な方だけひまつぶしにお願いします…!
森岡・野立の独白リレーで。
217無題・森岡サイド@:2011/07/20(水) 14:50:25.60 ID:G7AeTMxT
一度だけ、絵里子とキスをしたことがある。

あの日は例によって広報のマスコットをやらされて、ただ若干部活ノリの様なものも
出てきたのか俺たちは3人とも真っ直ぐは帰りたくない気分だった。
海でも見るか、そんな話になった。
車は俺が出すことになり、途中のコンビニでビールやらチーズやらを買い込んで、
絵里子は助手席で上機嫌だった。野立も後ろのシートから時々身を乗り出して冗談を言う。
俺もアルコールが飲めないのはつまらなかったがよく笑った。

そうこうしているうちに海に着き、俺たちは革靴やハイヒールを脱いで砂浜に降りた。
砂はまだ昼間の熱を持っていたが辺りはすっかり暮れていて、少し離れた場所では
大学生くらいのグループが花火をしていた。ロケット花火の光が空を短く切り、
楽しそうな笑い声は途切れることがない。俺たちは夜の浜風に黙ってうたれていた。
その時、ふいに叫び声がした。正確に言うとそれほど大げさな声ではなかったし、
もっとハッキリ言えば暴漢に襲われた際に出る類の響きではなかった。だが悲しいかな
3人とも職業柄聞こえてしまったものをやり過ごす事はできない。
特に絵里子は顕著で、俺と野立が声をかける前に既に駆け出していた。
俺たちも目を合わせ「やれやれ」といった風情で絵里子の後を追いかけた。
218無題・森岡サイドA:2011/07/20(水) 14:53:23.82 ID:G7AeTMxT
現場(といっていいのか)に着くと案の定ハタチそこそこといった若い女の子が転倒したというだけの事だった。
ただ骨折とはいかないまでも軽い捻挫はしているようで、自力で歩くのは難しそうだった。
「このへんに住んでるの?」絵里子が聞く。
「すぐそこのパーキングに車とめてて…」
連れの友人たちも女子ばかりで、いきなり現れた長身で美形揃い(俺含む)の大人たちに少し戸惑っているようだった。
「オッケーじゃあここは俺にまかせて!お姫様だっこしちゃうけど問題ないよね?」
いつもの調子で野立が躍り出る。とてつもなく軽い、だがどこか憎めないその雰囲気に女の子達の緊張はふっと解けたらしく、
きゃあきゃあ言いながら「宜しくお願いしまーす」と野立を取り囲んだ。
野立は俺と絵里子に(ちょっと行ってくるわ)と目で合図をして女の子を抱えて歩き出した。おそらく一回り近くは年下であろう
女の子達がぞろぞろと着いていく。闇にその姿が溶け見えなくなっても賑やかな声が消えることはなく、どうやら質問攻めらしい。
219無題・森岡サイドB:2011/07/20(水) 14:55:53.46 ID:G7AeTMxT
今度は絵里子と笑いあいながら「やれやれ」と顔を合わせた。
絵里子は海に向き直り気持ちよさそうに目を閉じた。
「ほんとに良い気持ち。来て良かったね今日」
俺のほうに顔をむけ微笑んだ。月の光の中で浮び上る絵里子の瞳は俺だけを映していた。

気がついた時には俺はもう右手を絵里子の耳の後ろに伸ばし自分の顔を近づけていた。
絵里子は一瞬肩をこわばらせたが特に抵抗することもなく、俺達は濃厚とまではいかないが短くはない口づけをかわし、俺は唇が離れた後もう一度だけ絵里子の上唇をついばんだ。

絵里子としばし見つめあう。
今言わないと、今なら言える。
俺が口を開きかけたその時絵里子は俺の頬をぎゅうっとつねった。「いて…っ」「ふふ」
絵里子は鮮やかに笑って俺に背を向けた。
220無題・森岡サイドC:2011/07/20(水) 14:58:11.93 ID:G7AeTMxT
あの時、何かを告げていたら全てが変わっていただろうか。
どうして絵里子が受け入れたのかは分からない。だがあの夜は俺たちはみんな本当に
気分が良くて、恐らく絵里子は俺が何となくああいう気持ちになって、たまたま傍に自分がいて、
そういうノリなんだと解釈したのかもしれない。
何でもいい。あの時どうして手を取って絵里子を連れ出さなかったのか。
「野立が心配するよ」絵里子はそう騒いだかもしれない。じゃあ何で止めなかったんだ、
もう戻れるかよ。絵里子の眼を見てどうしてそう言わなかったのか。
221無題・森岡サイドD:2011/07/20(水) 15:00:33.04 ID:G7AeTMxT
ほどなく野立が帰ってきて、女の子達に散々メアドをねだられたなどと自慢している。
俺も絵里子もハイハイと聞き流し、また3人で砂浜を歩き出す。
野立に変わった様子はなく俺と絵里子がキスしたことは知らないように見えた。
だが今になると案外見てたのかもしれないとも思う。
次の日絵里子に会っても至って普段どうりだった。気まずい表情も秘密を愛おしむ仕草もない。
俺も何事もなかったかのように接したが、絵里子を捉えた指先や唇の感触を忘れることはできなかった。

その後俺は逃げるように警察を辞めた。

田所からメールが来た。『全員釈放された』…『問題ない』返事を打ち返す。
大丈夫なわけがない。問題アリアリだ。
本当はわかってる。俺はあの頃から一歩も前に進んじゃいないんだ。
「絵里子…」


もう戻れない。
222無題・野立サイド@:2011/07/20(水) 15:03:08.00 ID:G7AeTMxT
あの日は3人で海に行った。
じゃんけんで負けドライバーになった森岡は初めこそ飲酒ができないのをブツクサ言っていたが、じゃあ私が代わりに飲んであげるから!
などと訳の分からない励まし方をする絵里子に苦笑しながらも楽しそうだった。
海に着いて、そういやスーツなんだよなあと今さらに思う。絵里子は途中で寄ったコンビニでぬかりなくタオルも買っていた。
足洗い場もあるみたいだし裸足になるか。
花火の音を聞きながらまったりしているところに事件発生。だが俺の華麗な解決策が採用され一件落着となった。
女の子達からは次々と質問が飛んでくる。仕事は?彼女は?身長は?野立会で受ける質問に比べれば可愛いもんだなあなどと
思いながら答えていると、突然のカウンターパンチ。
223無題・野立サイドA:2011/07/20(水) 15:05:22.78 ID:G7AeTMxT
「あの一緒にいたお2人ってつきあってるんですか?」
「…いや同僚だよ。俺達3人同期なの。くされ縁てやつ」
「えーそうなんだ。あたしてっきり2人に気をきかせたのかと思ってた」
だよねー私もーなどと言う声はもはや耳には届かない。ちらっと海の方に目をやるが
2人の姿はここからはもう見えない。今海辺に佇む2人を見たら誰だって恋人か夫婦だと思う
だろうな。そりゃそうだ。だが思われたところでそれは事実ではない。そうは思うが腹立たしい。
「あ、着きました!本当にすみませんでした〜」おおホントにすぐだったな。
お礼をしたいという女の子達を笑顔でかわし海に向かって歩き出した。と、立ち止まる。
来るときも思ったが、ひょっとしてこっちの角曲がった方が近いんじゃないか?
大体男の方がこういった感覚は優れているらしい。ビンゴ。もう海が見えた。花火の光も
向うに見える。えーとあいつらは…
224無題・野立サイドB:2011/07/20(水) 15:07:40.49 ID:G7AeTMxT
昔何かの小説で読んだことがある表現、まさかのリアル体験かよ
心臓が…握りつぶされたかと思った。
2人の影が重なっている。表情はよく見えない。ゆっくり顔が離れて…また一瞬重なった。
手足の指先が冷たくなっていくのを感じる。このまま…
このまま置いて行かれるのだろうか。2人は見つめあったままだ。行かせるか…そう思った矢先、
絵里子が森岡の頬にすうっと手を伸ばし、そしてすぐに前を向いた。
(…?)それきり2人の距離は近づくことも離れることもなかった。
絵里子が拒絶したという感じは受けなかった。どちらかといえば優しい雰囲気だったが
結局のところどういう顛末なのかは分からない。少し気が抜けたがとりあえず浜辺に向かう。
その後も次の日も2人に変わった様子はなかった。
森岡はキスまでしといて気持ちを伝えてないんだろうか?
ああそうだキスしやがったんだよなちくしょう
225無題・野立サイドC:2011/07/20(水) 15:09:42.71 ID:G7AeTMxT
だがあの日の事を俺は結局聞けなかった。
森岡が退職すると聞いた時も、俺はやっぱり聞けなかった。
森岡が警察の意義や組織の在り方に独自の考えを持っていることは知っていたし
何よりあの頃の森岡は俺や絵里子から離れたがっているように見えた。
ところどころをぼかしながらも退職理由を真剣に話してもくれた。
俺も「そうか」とだけ伝えた。絵里子も何とか納得したようだった。半ベソだったが。


絵里子からメールを見せられる。
…これは花形からじゃない。ああ、そうか。サッチー、きみ森岡の…

ピーピー、お前は俺に劣等感を抱いているらしいがそれは違う。
俺はお前に何度も出し抜かれてる。
今回も、あの日もな。
226名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 16:28:01.22 ID:DXc+PhmJ
キュンとした〜。。
森岡っていじらしいキャラですよね。不幸キャラww
絵里子サイドも読みたくなっちゃう!!
227名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 18:11:59.52 ID:Hxa1/tMF
GJです
悩む男ども二人ww
確かに事の真相というか絵里子サイドも読みたい
228名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 18:30:08.16 ID:/UTTk8vA
あぁぁ…(言葉にならない)

すてきな話をありがとぅ。

職人様方に感謝です!!
229名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 20:18:34.00 ID:vPHQxbLd
GJ!GJ!同期話ほんといいわぁ〜。
是非とも絵里子サイドを!!!
230216:2011/07/20(水) 23:48:59.06 ID:G7AeTMxT
皆さん優しいお言葉有難うございます…!・゚・(ノД`)・゚・。
絵里子独白も一応あがってたのですがあまりにしつこいかなと…
スレチなはずの非エロモノ何度も申し訳ないですがせっかくなのでおろさせて頂きます…!
231無題・絵里子サイド@:2011/07/20(水) 23:51:07.90 ID:G7AeTMxT
「俺がその名前だったんだぞ…お前が獲ったんだ」
「ああ…すまなかった」
2人の会話を聞きながらあの日の事を思い出していた。
私は何も分かっていなかったのかもしれない。


あの日は3人で海へ行った。
真っ黒に沈む大きな海もそばに2人がいるから怖くなかった。
野立が負傷した女の子を駐車場まで送っていく。たいしたことがなくて良かった。
潮の匂いも波の音もすべてが心地よくて私は少し浮かれた表情だったと思う。
森岡に同意をもとめて振り返る。目が合って…それから私を見つめたまま彼は
ポケットからゆっくり手を出した。
あれ?これって…そう思う間もなく口を塞がれた。
激しくはないけれど情熱的なキスだった。最後に軽くあてられた唇は優しくて
ピーピーらしかった。
232無題・絵里子サイドA:2011/07/20(水) 23:53:09.77 ID:G7AeTMxT
あの頃はしょっちゅう3人で遊んでいたけれど野立とも森岡ともそういった雰囲気
になった事は一度もなかった。2人が私を守ってくれていた事を素直に感謝することは
できなかったが本当はいつも凄く嬉しかった。男社会の警察でこんな友情を持てた
ことをずっと大切にするつもりだった。
けれど森岡にキスをされた時、びっくりするより他に何か別の暖かい感情が私の中に
溢れていた。拒む気持ちは起こらず、このまま森岡とつきあうことになるのかななどと
ぼんやりと考えていた。
唇が離れ見つめあった。森岡の口からは今にも言葉がこぼれ落ちそうだった
ぎゅうっ
森岡のほっぺたを軽くつねり私は笑いながら前を向いた。
233無題・絵里子サイドB:2011/07/20(水) 23:55:26.20 ID:G7AeTMxT
照れ隠し、とはまた違う。もちろんそれもあったがあの日は3人で海へ来ていた。
本来野立もいる場所で野立に関係のない2人の約束をすることは何だか申し訳ない気
がした。もちろんそれを知っても野立はいつもの調子でからかい、そしてきっと応援
してくれるだろう。ただ何となくルール違反のように思えた。
森岡もきっと察してくれるだろう。後日ちゃんと2人きりのときに伝えてくれるに
違いない。そんなことを考えてにまにましていると野立が帰ってきた。
いつもと変わらない3人のやり取り。やっぱり森岡も分かってくれてる。
そう思っていた。

次の日もできるだけ普通でいようと心掛けた。
森岡は意外とナイーブなとこがある。だからこそ昨日は大胆で私としても
しびれてしまったのだが、彼のペースで進めてくれればいい。そう思っていた。
だが何日経っても森岡からは何のアプローチもなかった。
不安や淋しい気持ちよりも、何だか拍子抜けしてしまった。
私の勘違いだったかな…
あの日は森岡はシラフだったはずだけど…
冗談であんなキスできる?
あの日ごまかしたのは私の方だし今さらあの時のことを切り出す事はためらわれた。
相変わらず3人で飲みに行ったり仕事で衝突したり月日だけは流れていった。
234無題・ラスト:2011/07/20(水) 23:57:38.59 ID:G7AeTMxT
その間には私に彼がいたこともあったし、森岡も恋人がいた時期があったと思う。
野立は相変わらずの遊びようだったが、昔よりずっと私の身近になった気がする。
はっきり何がとは言えないが、いつでもどんな時でも野立は私の事を見逃さない。
緩くだが確実に縛られ決して離してはくれない気すらする。野立との間には相変わらず
何もなかったがその関係を手放すことは私にはもう考えられなくなっていた。
反対に森岡は少しずつ私たちから遠ざかっていくように思えた。
警察を辞めると言われた時は久しぶりにあの日のことも思い出して何だか
泣けてきてしまった。
森岡は少し困ったように笑っていたが、野立が「そうか」と言った時は一瞬厳しい
眼差しを向けていた。ただその目の奥の光もすぐに消して「じゃあな」と言って
立ち上がった。



ピーピー、あの時私があなたの方を向いたままだったら、…
今、あなたを撃たずにすんだのかな。
235名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 00:22:16.13 ID:JxyhJLdw
絵里子と野立はどこまで行っても腐れ縁?
確かにピーピーとの方がするっと付き合えそう
236名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 01:58:40.86 ID:VTCnsaSA
GJ!!
こういうもどかしくて切ない話すごく好きだ。
恋愛ってタイミングが重要なんだよね〜

そして最終的には野立が絵里子にとってなくてはならない存在になるんだろうね
237名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 07:06:09.90 ID:YJxyB87l
GJ!!職人さんありがとう。
絵里子サイドも読めて幸せだよ。
238名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 18:54:13.29 ID:MtUOT13C
絵里子サイドキター!
森岡、にまにましてる絵里子に気付いてれば野立に応援wされて今頃幸せだったかもね…。勿体無い…。
239名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 19:54:53.18 ID:CJEwUEdk
森岡って雰囲気からして負け犬っぽい気がするんだよね…。

話が飛んで申し訳ないけど、最近1stシーズン見返してて、
1話で絵里子が片桐に
「刑事は芝居してナンボ」とか言ってるの、今更気づいたわ。
2ndの7話のバディ時代に繋がるんだね。
240名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 21:38:59.95 ID:CkGiaSjt
同期3人ていいよね。

吉高・佐藤健・桐谷の競馬(?)の新CMが野絵森っぽくて萌えた。
241名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 21:44:12.14 ID:OStpiG8j
今警察学校のドラマやってるけど
野立も絵里子も森岡もこういうとこから這い上がってきたんだね
242名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 01:29:58.49 ID:5ist4uoU
3人でいるとき、野&森は絵が好きだが行動には移せず
絵里子は無意識で野立の方をみてて、でもその恋心に自分で気づいていない
(森は本当にただの友人)てシチュが好き
243名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 01:43:14.17 ID:qiqBcYHQ
野絵エロ職人さんお待ちしてます
244名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 03:04:35.69 ID:MX8Sg4hK
>>241
ポパピの3人は警察学校ではなく隣の警察大学校です。
這い上がる必要のない毎年10人程度しか入れないキャリア組。
組織管理に必要な帝王学を学ぶのです。
ちなみに女は1人とるかとらないか。キャリア第1号は絵里子
より2〜3才上なだけなので、絵里子さんは2〜3番目に入った
女性キャリア開拓者。注目されまくりの超エリート。
野立、森岡にロックオンされるのも当然ですよね。
245名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 08:46:02.33 ID:9OgXOfD5
>>242

自分もその関係性が一番しっくりくるな。
本編見てても野絵コンビを森が離れて見てる感じ。

絵里子はなんだかんだで野立の女ネタに毎度イライラしてるし、
自覚してないだけで潜在的にかなり野立の存在は大きそう。
ピーピーは弟分みたいな扱いっぽい。ま、個人的見解ですが。
246名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 09:48:51.30 ID:CsoC26iz
前に、平井堅の「even if」が野立の気持ちっぽいと何方が書いてましたよね。
その影響からなのか「アイシテル」を聞いてると野立の切なさに聞こえてくるw
特に一番のサビが・・・。

職人の皆様いつもありがとうございます。
楽しませていただいてます。
野絵、またよろしくお願いします。
247名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 10:16:46.80 ID:/9yyKXz/
>>244
そうなんだ、ごめん無知で
学生時代のあどけない3人想像して勝手に萌えちまったもんで

私はleccaの「君に届け」も野→絵っぽく感じる
てかラブソングがちょっとでも二人らしいと、もう野絵ソングになってしまう
私も野絵エロもっと読みたいです
248名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 19:33:13.12 ID:E2Wr1q7Y
野絵の投下、私も楽しみに待ってまーす。

バスルームの後日談を書いてみたんですが、同じ人間が何度も書き込むのは迷惑かなーと迷いましたが、
他の方の作品までの場つなぎで、投下してみます。
勝手な私の妄想で話を進めちゃってるので、不愉快だったらごめんなさい。
イヤじゃない方だけ読んでくださいね。
今回は全体的にすべてが中途半端です。すみません(^^;
249お引っ越し(1):2011/07/22(金) 19:35:03.95 ID:E2Wr1q7Y

絵里子の荷物は案外少なくて拍子抜けするほどだった。
衣類や靴などはさすがにイイものをたくさん持ってはいるが、生活に必要とする荷物やら家具やらが極端に少ない。本人いわく、
「アメリカとこっちを二度も行ったり来たりしたから、自然と荷物が減ったのよ」だそうだ。
それでも、野立は長年使っていなかった6畳の一部屋を、絵里子の部屋として提供した。
絵里子だって、一人で好きに過ごしたいときも、自分のパソコンで仕事の残りをやっつけたいときもあるだろう。
そのためには、絵里子専用の個室があったほうがいい。お互い今まで一人暮らしのプロだったんだから。

多忙な仕事の合間を縫って、絵里子は今日、野立のマンションに引っ越してきた。
午前中から、引っ越し業者が絵里子のドレッサーやら書棚やら、小さなデスクやらを運び込んできたが、あっけないほど簡単な引っ越しだった。
昼に二人で近所のイタリアンに出かけ軽くブランチを取ったあと、午後から本格的に新生活の城作り(=荷物の片付け作業)に没頭している。

「ねえ、本当にいいの?あたしが一部屋もらっちゃって」
さすがに女の一人暮らしのプロ、料理が苦手とは言え野立より食器類は豊富に持っているようで、キッチンの大きな食器棚にせっせと皿を重ねながら絵里子が振り返る。
「悪いわね。今まであんた一人で優雅に広々暮らしてきたのに・・・」
今日の絵里子は作業がしやすいように、髪をアップに結っている。
ざっくりしたカットソーから、すっきりした白い首筋が伸びて、さっきから野立はそこに触れたい気持ちを抑えていた。

「だって、おまえストレスたまると癇癪起こして暴れるだろ。頼むから自分の部屋で暴れてくれよ。ほら、これプレゼントだ」
野立が抱き枕のような大きな物体を投げて寄越す。
「ちょっ・・・何これ」受け取った物体をしげしげと眺めると、巨大なカバのぬいぐるみ。
「サンドバック代わりに部屋に置いとけよ。俺は殴られたくない」
「・・・アンタね・・・」絵里子は目を細めて鼻息荒く野立を睨む。
それでいてサンドバックが気に入ったようで、さっそくバシバシと拳をカバの腹あたりにねじこんでいる。
「でもひとつ約束だ」野立の声に絵里子が顔を上げる。
「どんなことがあっても、ケンカして腹立てても、必ず同じベッドで寝る。これがルールだ」
一瞬絵里子はキョトンとした顔で野立を見たが、すぐに照れくさそうな笑顔になる。
「ん。わかった。約束ね」そう言いながら、絵里子は野立の腹に軽くパンチを入れてきた。
250お引っ越し(2):2011/07/22(金) 19:36:03.18 ID:E2Wr1q7Y

一通り片付いてなんとか体裁が整ったころには、夕方6時をとっくに過ぎていた。
リビングのソファにぐったりと並んで腰掛け、野立が淹れたコーヒーを飲む。
「ね、不思議なんだけどさ。あんた、男の一人暮らしのわりに、冷蔵庫も洗濯機もダイニングテーブルも、やけに大きいの持ってるのね。食器棚なんてスカスカだったじゃない」
ジーンズの裾から細い足首を覗かせて、絵里子はソファの上に体育座りをしている。
「そもそも、一人で住むには広すぎる間取りよね」
「ああ・・・そりゃまあ・・・そのうちおまえと一緒に住むことになるかもしれないと思って、念のためにデカイの買っといたからな」
「またまたーー!!ほんっと調子いいわね、あんた!」
野立の髭をチョイチョイと絵里子が触って、横目で笑っている。
野立はそれ以上答えずに、「ま、気にすんな」とニヤニヤ笑いを返す。

冗談半分、本気半分だった。野立は人生の半分近くを、密かに絵里子を見つめて生きてきた。人が聞いたら、呆れるだろうが。
絵里子が数年前にキャリアを棒に振りかねないような恋をしたとき、野立は己の長い片思いにこっそり終止符を打つことを決めた。
同期であり、無二の理解者であり、他に変えられないバディであり。それ以上に何を求める?
絵里子を失いたくないなら、自分は影の存在に徹し、絵里子の負担にならないように彼女を守りながら、軽い男を演じてキャリアの道を生きていけばいい。
そう本気で自分に言い聞かせていた。
それでも、心のどこかで本能的に感じていた。
絵里子は必ずあの男と別れて、最終的には俺の胸に飛び込んでくるだろう。
いや、自分が強引にでもそうさせる時期がいつか必ず来るだろうと。
だからこのマンションを購入したとき、野立はあえて大きなサイズの家電製品ばかりを選んだ。
人の扱いが上手くて女には苦労しない野立信次郎が、表で見せる顔とは裏腹に、私的な領域では自分の境界線を崩さず、誰も入り込ませようとしない。
それは心の奥で、自分の境界線の中に入ってきてほしい相手は一人しかいないと半ば自嘲気味に悟っていたからだった。

コーヒーをテーブルに置くと同時に絵里子がアクビをする。
「ダメだ、昨日残業長引いたから、眠くて」
絵里子はグッタリともたれるように、野立の肩に頭を預けてきた。
野立はフッと笑いながら、絵里子の肩を抱いてラクな姿勢にしてやる。
首筋のほつれ毛を指でそっとすくうと、なんと絵里子が早々と寝息を立て始めた。
「おまえ!寝るの早えーよ!!」
せっかくやっと一緒に暮らし始める記念すべき第一日目だというのに、まったくこの女は。
若干ムカついた野立は、ガブッと絵里子の首筋に噛み付いた。
「ギャッ!!」絵里子が跳ね起きる。
「な、何すんのよぉ!」「寝かせてたまるか!」
野立は絵里子のウエストをがばっと抱え込んでソファに倒れこみ、カットソーの下に手を突っ込んで、脇腹をくすぐり始めた。
「ひゃっ!やめ!やめーーー!!野立!!」身をよじりながら、ヒーヒー笑う絵里子の様子が可笑しくて、野立はますますエスカレートする。
251お引っ越し(3):2011/07/22(金) 19:36:49.31 ID:E2Wr1q7Y

背中に手を回してブラのホックを外してやった。
カットソーとゆるんだブラを一気に押し上げて絵里子の肌を露出すると、髭と唇を荒っぽく押し当てて、絵里子の胸をしゃぶり始める。
「や・・・バカ!野立・・・!」
絵里子は笑いと悲鳴の入り混じったような奇妙な声を上げながら、野立のデニムのシャツを掴んだ。
野立は構わず絵里子の胸に顔を押しつける。そうしているうちに、絵里子が感じ始めるのを野立は熟知していた。
「もう・・・あんたってヤツは・・・」そう呟く絵里子の声は既にかすれ気味で、体からは力が抜け、野立のシャツの下に手を入れて背中を指で撫で始めている。

軽い冗談めいたじゃれあいで済ませるつもりだった野立も、絵里子の乳首を唇で味わっているうちに、途中で止められなくなってきた。
野立は上体の位置を上にずらし、右手で絵里子の胸に手を這わせながら、左手で絵里子の頭を掻き抱いてキスをした。
絵里子が待ちかまえていたかのように食いついてきた。唇が激しく野立を求めてうごめき、舌が魚のように跳ねながら野立の舌に絡み付いてくる。
さっきまでの様子と豹変したような絵里子の激しさが、野立をますます興奮させた。
そうか、考えてみたら、ここしばらく互いの仕事と引っ越しの準備で目が回るほど忙しく、抱き合うのも久しぶりだった。
ざっと20年、密かに愛し続けてきた女が、頬を染めながら必死に自分にしがみついてキスを求めてくる。野立の下腹部が熱くなった。
乳房を柔らかく愛撫しながら尖った蕾を指で転がしてやると、「あん・・・」と甘い声を出して身をしならせる。
野立は、なぜか初めて出会ったころの、制服姿で固い表情をした絵里子の姿を思い出し、今自分の腕の中で激しく乱れている絵里子の姿に胸がしめつけられた。
やっと、俺のものになった・・・。

野立のモノがジーンズの下で、突き上げるように固くなり痛いくらいになっていた。
絵里子ももどかしげに脚をすり合わせている。
野立は絵里子のジーンズに手をかけて脱がしに掛かった。ジーンズと一緒に、薄いラベンダー色のショーツも膝上までずらされ、絵里子の白いヒップが掌に収まる。
絵里子も荒い息をしながら野立のジーンズに手を伸ばし、ウエストのボタンを外そうとした。
と、そのとき。

ピンポーーン!
チャイムの音が鳴り響いた。二人はギョッとして動きを止める。誰かが一階のエントランスホールにいるということだ。
252お引っ越し(4):2011/07/22(金) 19:37:24.67 ID:E2Wr1q7Y

一瞬、居留守を使おうかと思ったが、そういえば新聞の集金がまだだったと思い出す。
面倒なことはさっさと済ませてから、ゆっくり楽しめばいい。そう思い、野立はインターホンに応じた。
「野立さーーん!こんばんはーー!お言葉に甘えて来ちゃいましたーー!!」
インターホンのモニタに映っている面々の姿に、野立と絵里子は同時に「げっっ!!」と驚愕した。
そこに映っていたのは、対策室のメンバーの山村、片桐、花形だった。
野立と絵里子は動揺しながら顔を見合わせ、一気にパニックに陥った。野立は、声が裏返りそうになりながら、なんとか平静を装う。
「な、なんだ、おまえたちか。なんだ今日は一体」
「なんだ今日はじゃないですよーー!おとといの対策室の飲み会で、野立さん家に遊びに行く約束したじゃないですかー!酒とつまみ、たっぷり買ってきましたよ〜」
花形が元気いっぱいに喚いていて、その横で山村と片桐が押し合いへし合いしながらモニタに映ろうとしている。
「ええぇえ?!そそそんな約束、俺したか?!」
「やだなぁ、野立さん、今日仕事の後でお邪魔するって僕達ちゃんと言いましたよ。ま、あのとき野立さん、酔っ払ってたから覚えてないかもしれないけど」
山村がエヘヘと笑いながら言う。
早く中に入れてくださいよー!と3人がワイワイ騒いでいるのを見て、野立と絵里子は凍りついた。絵里子は声を殺して耳打ちする。
「なんなのよ!どういうことよ、これは!」
「いや、俺ほんと覚えてねーよ。たしかに、おとといは疲れて久々に酔いが回ってたけど・・・そんな約束したっけかな。いや、したような気もするな・・・。やっべぇ。どうしよう」
「ど、どうすんのよ!アイツら絶対諦めないわよ!」
モニタの向こうで、「あ・け・ろ!あ・け・ろ!」と3人が踊っている。
「アイツら、既に一杯引っ掛けてきてるわ絶対・・・」
野立は、掌で一度口元を拭うと、意を決したように3人に向かって言った。
「10分待ってくれ」

野立と絵里子は暴走特急のような勢いで身なりを整え、せっかくリビングやら洗面所やらあちこちに配置した絵里子の持ち物を全部掻き集めて、絵里子の6畳間に放り込んだ。
汗をかきながら、ざっと二人で室内を見回し痕跡を消すことができたところで、ようやく野立はエントランスを開錠し、3人をマンションの中へと入れてやった。
「絵里子。刑事は演技してナンボだ」
「分かってる!骨の髄から分かってる!」
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴り響くと、二人はゴクッと唾を飲み込んだ。どちらからともなく、顎に触る『かなりヤバイ』サインを交し合う。
野立はそっと玄関ドアを開けた。「どーもーーー!!山村会でーーす!!」3人が、スーパーの袋に入った酒類を掲げながら勢いよく玄関に滑り込んでくる。
「あああぁっ!!ボス!!なんでここに?!」花形が素っ頓狂な声を上げた。
「あらーーー。みんな奇遇ね〜〜!あ、あたし?あたしはホラ、今日は野立とたまたま休みが重なったもんだから、新しいプロジェクトについて打ち合わせしてたとこなのよー。
ほら、なんたってあたしたち、同期で元バディで、上司と部下だし!!」
3人はぽかーんとしながら、しばし野立と絵里子の姿を見つめていたが、片桐の
「なるほど、確かにいろいろ話し合うこともあるでしょうしね」の一言で、なんとなく笑いあう空気になる。
「で、一体どんなプロジェクトですか?」
「は?!・・・ん、それはあの、まだトップシークレットってやつよねぇ〜〜!ねえ、野立?」
「お、おう!おまえらの出世がかかったスペシャルシークレットなプロジェクトだよ」
へえーーそれは楽しみですね!とはしゃぐ花形と山村。3人はさっさと靴を脱ぎ、うわー、広いなー、キレイだなー、とじろじろ室内を見渡す。
253お引っ越し(5):2011/07/22(金) 19:38:12.29 ID:E2Wr1q7Y

リビングに入ると、3人は感嘆の声を上げた。
「リッチだなー。エリートが住むマンションって、やっぱ違いますよね〜!」花形がキョロキョロしながら目を輝かせている。
片桐が黙々とテーブルに酒やつまみを並べ始めたので、絵里子が「あ、お皿出すわね」とキッチンに向かう。
「ボス・・・。なんか野立さんの奥さんみたいだなぁ」山村の呟きに、野立が手にしていた缶チューハイ数本を派手に床に落とした。
一気に静まり返る空間。
「あっ・・・何?!あたしが、なんか勝手知ったる感じで動いちゃってるから?!
やーねー、山村さん!あたしと野立はなんたって20年来の同期よ同期!
何度も酒を酌み交わした仲よっ!この家の皿の置き場くらい知ってるわよ〜〜!あはははははは」
「…だよな!!あはははははは」野立はやたらと額を拭いながら同調した。脂汗出てきやがった。

テーブルを囲んで、床に座り、酒盛りが始まった。
「野立さん、最近ちっとも野立会やってくれないですよね」花形が口を尖らせている。
「そうですよ、仕方ないから、この頃じゃ山村会がめきめきと力をつけてきてるんですよぉ。
ま、今日はちょっと山村会にアドバイスをもらいたくて押しかけちゃったんですけどねー。
実はね、この前初参加した女の子が、なんだかボクに気があるみたいで〜・・・」
山村がほろ酔い顔で無邪気に話すのを、野立は適当に相手してやる。
片桐は途中から熱心にメモまで取り出している。

実際、絵里子と恋人同士になってからというもの、野立会はほとんど機能していなかった。
野立自身、我ながら自分の変化が可笑しくもあった。もともと女の子は大好きだし、合コンも楽しい。最高の息抜きでもあった。
それが、絵里子を手に入れた途端、胸の中心に長年開いていた穴がスポッと埋まったかのような安堵感を覚え、今までのお気楽な野立会に興味が湧かなくなってしまったのだ。
ま、俺も年取ったってことだな。絵里子にはそう笑って煙に巻いたけど。

「野立さん、最近なんか、満たされた顔してますよね」片桐がボソッと呟く。
野立と絵里子が同時に身構える。
「そうそう。なんか野立さん、変わったな〜ってみんな噂してますよ。ついに本命の彼女でもできたのかなぁって」
花形のニコニコした顔に野立と絵里子の顔が引きつる。
「いや、そんなことないって。別に俺は何も変っちゃいないさ」
野立がソワソワとチューハイの缶を口元へ運ぶと、絵里子も釣られたように隣で缶に手を伸ばす。
「野立さんって、どういう女性が好きなんですか?理想のタイプっていうか」
花形が興味津々に身を乗り出した。残りの二人も聞き逃すまいと真剣な顔をしている。
「タイプ、か・・・?ううーーん」野立が頭をポリポリ掻く横で、絵里子がソワソワと身じろぎしている。
「そうだな・・・。自分の足でしっかり立って前を向いてる女かな・・・。がんばってるっていうか・・・。
そういう女が俺の前でだけ弱さを見せたりすると、グッとくるかな」
最後はいつもの野立の軽い口調が戻っていた。
「自分の足でしっかり立ってる人・・・がんばってる人・・・」
花形と山村がそれぞれ勝手に想像をめぐらしていると、片桐が一言。
「・・・ボスみたいな人ですか」
野立と絵里子は同時にチューハイを噴き出していた。
「いや〜、だってボスは人に弱さなんて見せないでしょ〜〜。弱さなんてなかったりして!なんたって鉄の女だし」
山村の失礼な言葉に、むしろ野立と絵里子は救われて、「だよね〜〜?」と大袈裟に笑いあった。
254お引っ越し(6):2011/07/22(金) 19:40:49.12 ID:E2Wr1q7Y

夜10時を回り、ようやく3人が帰って行った。
ボスも一緒に帰りましょうよ、と朗らかに言う花形に、「う、うん、私はもうちょっと野立と資料を整理してから帰るわ。大丈夫よ」と絵里子が答えると、
「そうですかー。でも資料なんてぜんぜん見当たらない・・・」「そーいうのは気にしなくていいから!!」
不自然極まりないやりとりがしばらく続いたが、3人とも酔っ払っていて冷静な思考回路は最早なくなっていたようだ。
どーも、おじゃましましたー!とワイワイ騒ぎながらも、なんとかマンションからいなくなってくれた。

「ハァ・・・疲れた・・・」「俺も・・・」
二人してグッタリとベッドに突っ伏す。軽く考えていたが、この環境、状況下での極秘職場恋愛はなかなか前途多難なようだ。
「野立、後悔してない?・・・一緒に住み始めたこと」絵里子がちょっと不安げな顔で野立を見た。
この顔だ。今じゃ俺にしか見せない、ちょっと心細そうなこの顔。これがたまらない。
「後悔なんてするか、アホウ。せっかく念願叶ったのに」
一瞬の間のあと、絵里子がとても嬉しそうな顔をする。ベッドで寝そべったまま、野立と絵里子は微笑み合った。
「でもさ、これじゃ思ったより早く、バレちゃいそうだよ、あたしたちのこと」
絵里子が手を伸ばして、野立の髭に触れる。いつからか、これが絵里子のクセになったな。野立は、そう気づいて、またしても顔がほころんでくる。
「バレたらバレたで、そのときはさっさと籍入れちまえばいいさ」
だったら誰も文句言えないだろ?そう言って野立がウインクすると、絵里子はポカンとした後に、叫びだした。
「せ、せ、籍〜〜〜?!」
ガバッと跳ね起きると、「ね、ねぇ!!籍って、籍って、その籍のこと?!あんた、本気?!マジ?!」
慌てたときのパターンで、絵里子の声が野太くなっている。本当に俺を飽きさせない女だな、コイツは。
「そんなことより、さっきの続きしようぜ。もう我慢できねーよ」
野立は笑ってはぐらかしながら、絵里子の手首を引っ張り、自分の上に彼女を抱き寄せた。
絵里子に言葉を挟ませないように、長いキスをした。野立自身が照れくさかったからだ。

キスが一度途切れたとき、絵里子が問いかけるように野立の目を覗き込んだ。
「マジだ」ニヤリと笑いながら、さっきの答を口にする。
すると絵里子が唇を噛むようにニンマリと笑い、野立に襲い掛かってきた。
「おまえっ・・・おい・・・激しいな・・・!」
絵里子は野立にキスの雨を降らせながら、野立のデニムシャツを一気に脱がせてくる。
野蛮な手付きで野立はジーンズも脱がされた。くちづけながら、絵里子は華奢な掌でボクサーショーツ越しに野立自身を触った。
撫でさするような刺激に、野立はすぐに反応していく。
深くて甘いキスをむさぼりながら、野立は自分に覆いかぶさる絵里子の服を脱がせ、ブラを剥ぎ取って投げ捨てた。
絵里子が自分から野立の口元に胸を近づけてくるので、可愛らしく尖った乳首を、野立は音を立ててしゃぶってやる。
「・・・あっ・・・・」絵里子の細い声が妙にせつなげで、野立はもっと聞きたくて両手で下から絵里子の乳房を揉みしだいた。
胸を攻められながら、絵里子がもどかしそうに自分のジーンズを脱ごうとしている。
野立は口で乳房を味わいながら、手を伸ばしてジーンズを脱ぐのを手伝ってやった。
255お引っ越し(7):2011/07/22(金) 19:41:58.96 ID:E2Wr1q7Y

お互いがすべてを脱ぎさってしまうと、野立は不意に体を起こし、絵里子の背後に回った。
後ろから抱きしめ、飲み込むような深いキスで舌を絡めあう。
絵里子が激しく応えれば応えるほど、野立のモノがますます固く熱くそそり立っていく。
背後から乳房を愛撫し、首筋に強く吸い付いて紅い痕をつける。
「明日、みんなに気づかれちゃう・・・」
息も絶え絶えに絵里子は言うが、そのわりに体はまったく抵抗せずに、尻を野立の股間に押し付けてくる。
「いいさ、気づかれたって」
左手で乳房を揉みつづけ、唇と舌をあちこちに這わせながら、右手で絵里子の秘部をいやらしく撫で回した。
ベッドの脇の鏡に向かって、絵里子の脚を大きく開かせる。
「ヤっ・・・バカ!・・・やだ・・・」
そういう言葉とは裏腹に、絵里子の息づかいが乱れ、柔かな窪みから蜜がどんどん溢れ出して、野立の指先をあっという間に濡らしていく。

絵里子。好きだ。
気づいたら、野立は何度も何度もそう繰り返し言葉にしながら、絵里子を指で愛撫しつづけていた。
愛液まみれの指をしゃぶって舐めとっては、また優しく絵里子の芽を撫でる。
乳房を掴み、唇と舌で乳首を吸いながら、腰を揺らしてねだる絵里子を、まだまだだと焦らす。
「絵里子。俺が好きか?」
我ながら、こうして焦らして攻めながらこんなことを聞くのは卑怯だなと思う。
でも、聞かずにはいられないんだ。何度でも聞きたいんだ。
「嫌い・・・。挿れてくれなきゃ、嫌い・・・」
絵里子が言葉遊びで「嫌い」と言ってるのは分かっていても、野立はほんの少し傷つく。そんな野立の瞳の色を読み取って、絵里子が気だるく微笑みながら、野立の頬に手を伸ばす。
「あたしがこんなになっちゃうなんて。自分が信じられない」
絵里子が体の向きを変え、正面から野立と抱き合う体勢になった。
互いのねっとりと濡れた部分が重なり合う。
絵里子が野立の耳に唇を押し当てた。
「好きよ、野立。あんたが想像してるよりずっと、笑っちゃうくらい大好き。あんたがいるから、あたしはこうして生きてる」
まるで呪文のように野立の耳の奥にそう吹き込むと、絵里子は掌で野立の耳を覆った。今の言葉を野立の耳の奥に永遠にしまいこむように。
「だから、早く挿れて」
そうイタズラっぽく笑う絵里子がまた、野立の胸に火をつけた。
なんなんだ、この女は。なんでこんなに俺をたまらなくさせるんだ。
「・・・まだまだ。お楽しみはこれからだ」
野立はニヤリと笑いながら、絵里子の脚の間に顔を埋めた。
「うそぉ・・・」絵里子は抗議の声をあげたものの、野立のこの上なくいやらしい口の動きに、呆気なく身をしならせた。
気が遠くなるような快感。長い夜になりそうだ・・・。二人は同時にそう感じ合った。

マンションからの帰り道、タクシーを拾おうと駅までフラフラ歩く3人の男達。
「あの二人、結局白状しなかったね」
「やっぱガード固いですよねー。バレバレなのになぁ」
「二人とも、不器用だからな」
だねー!と3人は目配せしあった。
「もうちょっと気づかないフリしててあげようよ。それが部下の思いやりってものだし」
山村はそう言うと、残りの二人とハイタッチしたのだった。

                             
                                END  
256名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 19:44:40.16 ID:E2Wr1q7Y
以上です。ほんとに短期間に何度も書き込んでしまい、すみません☆
スペース使わせていただき、また未熟なものをさらし、大変失礼しました。
257名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 20:05:53.10 ID:jazJCPAe
リアルタイムキター!
GJGJ!
前半の初々しい新婚カップル振り、
3人が来たときの慌てっぷりように声出してワロタww
ますますイチャイチャ度もエロ度も増す二人がカワイイ
ありがとう!!
258名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 20:08:32.37 ID:+UXp8+Zi
GJです!!

2人ともバレないように必死なのが可愛くて…
楽しかったです。

259名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 20:11:32.90 ID:uIuMJZis
GJGJ!

2人の慌てようが可愛すぎるww
またお待ちしてます!
260名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 20:27:47.31 ID:gho8u94S
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
萌えたぎるうううう
261名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 20:57:10.26 ID:NmQaP5mz
なんか伸びてると思ったらキテター!
GJ!
山村さんが最後にいい味出してるね

しかしドラマが終わってもこんなに盛り上がってるスレも珍しいw
262名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 21:07:21.75 ID:gho8u94S
やまむーの微妙なウザさまで完全に再現されててワロタw
263名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 21:36:32.90 ID:28cYViuG
あ、あかん…
ニヤニヤ萌えすぎて、ゆるみっぱなしで脱力中…
幸せや…ありがとうございます
またお願いします
264sage:2011/07/22(金) 22:25:44.87 ID:UiU2YHdk
GJ!!!
ひーー萌えました
それぞれの声が聞こえてきそうなテンポ引き込まれました

はああありがとうございます
265名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 22:28:07.89 ID:UiU2YHdk
入力間違えました、ごめんなさい

素敵な野絵がたくさんで嬉しいです
ありがとうございます
266名無しさん@ピンキー:2011/07/23(土) 16:01:06.43 ID:TE/txgcV
萌え萌えエロエロ!萌え過ぎて変な声出た。
作者さんは神ですか??
新作出来たら御遠慮なさらずどしどし投稿してください。
267名無しさん@ピンキー:2011/07/23(土) 16:53:58.08 ID:ebmmifUy
ageんな
268名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 21:03:21.95 ID:No1xXjsz
全くエロなしの話を投下させてください。
少し前に書いたものなんですが、
>>248さんが投下された「お引越し」を読んで
やっぱり同棲話っていいなぁ〜と思って。

>>248さんの「野立のマンションは持ち家」や「野絵は部下に関係を隠している」
という設定をいただき、元々書いた文から少し修正してしまいました、
>>248さん勝手にすみません。

この話には全く内容はありません、
エロもなきゃ内容もない、しかもメイン(?)は岩井です。
それでもよろしければ暇つぶしにどぞ。
269岩井の気持ち(1):2011/07/24(日) 21:06:40.73 ID:No1xXjsz

―何でおっさんが振られる度に俺が慰めなあかんねん―

そう思いながらも、岩井は昨晩、山村のキャバクラ嬢に振られ残念会を2人で開き、
しこたま飲んだ山村を家まで運んでやった。
途中「襲わないでね〜」などとほざく山村を何度路上に放置しようかと思ったが、
違う意味で襲われておやじ狩りにあいそうな山村を放っておくわけにはいかず、
おしゃれでナイス(岩井談)な自宅へと連れてきた。

刑事となると普通の警官とは休日の取り方は違うが、明日は2人とも公休。
休みの前日をこんな事に費やすとは・・・・・
という後悔も、
明日もこのおっさんおるんか・・・?
という疑念もあるが、まぁそれは放っておいて寝ることにした。


そして今日。

「起きろ、おっさん。」

「うぅ・・・あ、頭痛い・・・・・・」

「え?頭薄い?」

「違うよ、痛いだよ〜・・・」

なんて会話をしながらやっとの事で山村を起こし、外に出たのが12時過ぎ。
休みの日を半分無駄に過ぎてしまった感がありつつ、
山村を追い出し、外に出かける。
おしゃれなカフェでランチしよ〜〜っとなんて思っていたらなぜか山村がついてきてうんざりしたが、
その山村が「野立さんに教えてもらったカフェがある」なんていうものだから、
わざわざタクシーに乗って、仕事場近くでランチとなった。
270岩井の気持ち(2):2011/07/24(日) 21:12:26.70 ID:No1xXjsz

「にしても、おっさんには似合わんな、このお洒落さ」

「ここいいよね〜やまむーときめいちゃう♪」

柄の悪い男と薄い男が似合わないランチをしていると、
そんなランチが似合いそうな男が入ってきた。

「あれ?野立っち??」

1人ふらっと入ってきたのはラフな格好をした野立。
サングラスをかけ、下は黒いジーンズに上は茶系のポロシャツという出で立ち、
左胸にワンポイントがあり、開いた胸元から見えるチェックがどこのブランドかを如実に表している。


「きゃーーvvv」

1人ときめいて、観察。
店に入ってきた時から携帯でしゃべっていた野立は近づいてきた女の店員さんをナンパしつつ、
携帯でしゃべりつつ注文をする。
1人で食べるには多すぎるであろう量を注文しながら、
店員さんに「一緒に食べる?」などと聞いている。

「もう、野立っちったら〜〜」

そんな軽さも素敵っ
などと思いながら観察を続けると、颯爽と1人の女性が入ってきた。

「んぐっ!!!」

驚きのあまりパスタがのどがつまる、
しかしこれが功を奏した。
喉につまっていなかったら驚きのあまり声が出てバレるところだった。

後ろを向いている山村は気付いていない、
伝えるべきか迷っていると、遠く離れた席でもわかる声がした。

「ちょっと、何ナンパしてんのよ」

「あはははは、早かったな。」

「早かったなじゃないわよ、たく、やっぱりあんってサイテー」

「携帯越しで自分もナンパされてる気になっちゃった?」

声が聞こえ、山村もぴくっと固まる。
どんなにいい上司でも、休みの日に声など聞きたくない。
そんな風に思っているのかもしれない。
271名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 21:19:10.59 ID:8Lu/dZRZ
1は大人しかったけど2-3はエロパロってていいねw
272岩井の気持ち(3):2011/07/24(日) 21:22:29.70 ID:No1xXjsz

「ね・・・も、もしかして・・・・・・」

「あぁ、BOSSと野立さんや・・・・・」

「だってBOSSは今日・・・」

「昼休みに来たんやろうな、野立さんは休みらしい」


山村もこっそり振り返ると、運ばれてきたサラダを分け合っている2人が目に入る。
岩井も山村も2人がどんな関係であるかは知っているが
相手はそれを必死で見せまいとしている為恋人らしい会話など聞いたことがない、
2人っきりでどんな話をするのか、そんな好奇心が覗きを辞めさせない。


「ねぇ、どうだった?」

「あぁ、横のサイズはよかったけど、縦がなぁ・・・ちょっと高かった」

「そっかぁ、あの色よかったんだけどなぁ」

「置き場所替えれば?」

「あの場所がいい」

「ん〜・・・・あっ、今日入ってたチラシ持ってきた。
つかお前、チラシだけ置いて新聞持ってくなよ〜俺、読めないじゃん」

「朝、読んでる時間なかったんだからしょうがないじゃない」

「ひっでぇ〜・・・・」

「昨日、あんたが「明日俺休みなんだ」とか言ってはりきっちゃうのが悪いんでしょ?
たく、私は今日も仕事だっつうの」

「はは、でもよかっただろ?」

「・・・ホントさいてー」

「褒め言葉として受け取っておく」

「信じらんない」

「あっそれ、量販店のだから希望の色ではないかもだけど結構よさげだぞ」

「見てきてくれた?」

「いや、ちょっと遠いから一緒にチラシ見てからにしようと思って」

「あっ、でも確かにいいかも。今日、定時で上がれたら見に行ってみる」

「マジで?じゃぁ終わったら電話くれ」


パスタ2種類とピザ1枚というそれなりの量を消費しながら40代前半のお洒落なカップルの会話は続く。
お洒落なカフェにお洒落なカップル。
しかし間には新聞に挟まっていたようなチラシが行き来し、生活感がありありだ。
273岩井の気持ち(4):2011/07/24(日) 21:28:18.98 ID:No1xXjsz

「なんのチラシだろ?」

「わからん、もうちょっと近ければ・・・・」


近かったらバレるが、でも知りたい。
同僚のプライベートの顔などむず痒いものだが、
あのBOSSと野立の仕事場以外での顔・・・普通の恋人同士の顔など想像できなくて、見たくてしょうがない。

先ほどのはっきりとした会話とは違い、声も全てが聞こえるわけではなくとぎれとぎれの情報しか届かない。
絵里子の通る声はともかく野立の声は低くて聞こえない。
かろうじて、終業後にまた会う事はわかったので、2人はつける事にした。
腐っても鯛、こんななりでも2人とも刑事だ待つことには慣れている。

野立は一旦家に帰るようだが、ここは動かず絵里子を張ることにした。
2人で1人ずつ張り付くよりどちらか一方にした方が得策、そう判断したのだ。



「おまたせ〜」

「おうっ」

事件も起こらず(起こっていたら尾行している2人も呼び出されていただろうが)
仕事も順調に終わったようで、定時を少し過ぎてから出てきた絵里子は電車を乗り継ぎ、
とある駅で野立と待ち合わせをしていた。
274岩井の気持ち(5):2011/07/24(日) 21:31:28.60 ID:No1xXjsz

岩井も山村も気づかれないようある程度の距離を保ちながらつけているが、
遠目でも「恋人」というのがわかる雰囲気に驚いた。

「BOSSでもあんな表情するんだねぇ・・・」

お見合いの時は「作った女」だったが、今日は「自然な女」

「野立さんも違うなぁ、やっぱり」

気を張らず、軽い男の雰囲気はあまりない。
元々の軽さは隠せないが、やはり仕事場で見る顔よりもずっと柔らかく「素」という表現がぴったりだ。

お洒落なカップルだが、ドラマに出てくるようなお洒落さよりも
生活感があり、もっと現実的である。

と、ここで絵里子が躓いた。
声は聞こえないが、野立が笑いながら「大丈夫かよ?」などと手を差し出し、
いわゆる恋人つなぎをして2人は進む。

あまりに自然な成り行きにびっくりしながら、
居心地の悪さを感じていた。

「な、なんや、あの大人な雰囲気は。」

「こう、もっと嫌味の応酬かと思ったけど違うんだね」

軽口は叩き合っているが、仕事場で見るつんけんしたものよりもずっと楽しげだった。
というよりも、つんけんしたものも混じっているから色々なバリエーションがあるといったところか。

そして野立と絵里子が乱立するショッピングセンターの1つに入り、
その中の家具が置いてある店へと足を踏み入れ、タンスのコーナーに歩いて行った。
275岩井の気持ち(6):2011/07/24(日) 21:37:46.83 ID:No1xXjsz

「チラシに載ってたのってこれかな?」

「ん〜・・・・ちょっと違うっぽいけど、色は同じみたいだな」

「高さは?」

「それならちょうどいいかな」

「載ってたのはないね」

「郊外の店には展示してるみたいだけど、都内じゃ狭くて無理なのかもな」

「だよね、しょうがないか」

「どうする?」

「ん〜・・・今のでも不自由はないんだけど、う〜ん・・・・」

「収納的には問題ないんだろ?そしたらゆっくり探せば?」

「・・・・そうね、やっぱり色にはこだわりたいし」

「今のタンスの何が気に入らないんだ?ずっと使ってきたんだろ?」

「前の家には合ってたんだけど、今は合わないんだもん」

「そうかぁ?」

「そうなの」

並べられたタンスを挟んでびたっと聞き入ってる岩井と山村。
その列の家具を見ている他の客や店員からはかなり不信な目で見られているが気付かない。

途中で「向こうは何があったっけ?」
などという会話をしながらこちらに歩いてくるのが見え慌てて逃げる。
その様子があまりにも不自然で、刑事という立場でありながら逆に通報されそうな勢いだ。

尾行の対象2人はそれでも諦められないのか、
メジャーと記載された高さや幅を確認しつつ、会話は止まらない。
276岩井の気持ち(7):2011/07/24(日) 21:39:26.94 ID:No1xXjsz

「そういや一回うちに来いって、親が」

「・・・うっそぉ・・・・・・」

「実家に泊まれとかは言わないから」

「それ、許されるの?」

「んー?だって泊まったら大変だよ?親戚一同にもみくちゃ」

「わぁ・・・でもさ、婚約もしてないのに・・・・」

「俺はいつでもいいっていってるじゃん?」

「え〜・・・・・・・・」

「なんだよ、イヤなのかよ?」

「べ・・つに嫌なわけじゃないけどぉ・・・・・・」

「お得な物件だよ?見た目もいい、収入もある、しかも次男坊。」

「お得ねぇ・・・・・・」

なんだか歯切れの悪い絵里子に思わず笑う野立。

「なによ?」

「絵里子、心配すんな、今度ロマンティックにちゃんとするから」

「なっ・・・べっつ・・に・・・・・」

「バカボンのパパより年上になっても乙女だもんな、絵里子は」

「ちょっと!!」

結局タンスを選ぶのは諦めたらしく、人目をはばからず
(結構な歳のくせに)いちゃつきながら店を出る。
本人たちはいちゃついている気はないのかもしれないが、十分いちゃいちゃしている。
それを見送る寂しい男2人。

「・・・・・なんだろう、すっごく疲れたね」

「あぁ、仕事してる方がマシやな・・・・・」

「帰ろうか・・・・・・」

「おぉ・・・・・・・・・」

これ以上の尾行は諦め、とぼとぼ帰る柄の悪い刑事と色々薄い刑事。
なんだかあてられた気分で、結局また飲んでしまって次の日二日酔いの状態でBOSSに怒られる事に。


「二度BOSSの後なんてつけへん」

二日酔いで調子の悪い中、またもや山村の面倒を見ながらしかも怒られて、
岩井はそう心に決めた。
277名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 21:42:03.68 ID:No1xXjsz
以上です。
未だにこれを書き始めた経緯を思い出せません。
エロもなく、内容もなく見難さばかりが目立ってすみません。

絵里子が家具を替えるくらい野立の家になじんだというか、
長く住むつもりに自然になったのかな〜というイメージでした。

駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ。
278名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 21:52:04.94 ID:HOTSsn8h
やったーリアルタイム遭遇!
ちなみに私、>>248です!こちらこそ光栄です。ありがとうございます!

岩井とヤマムーの会話がリアルでニヤニヤしちゃいました。
野絵のイイ雰囲気も素敵♪すごく楽しませていただきました〜!

あと、皆さん前回温かいお言葉、ほんとにありがとうございました☆うれしかったです。
279名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 21:55:09.51 ID:TtzLHZxh
いいじゃんいいじゃん!!
GJ!
280名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 22:04:45.51 ID:kMM1N/9l
>>277
生活感ある野絵が良すぎて頭沸騰しそうですw
このスレ最高!
281名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 22:09:52.42 ID:OEThi9uv
前の、風呂場行くぞさんの続きが読みた〜い
282sage:2011/07/24(日) 22:10:02.92 ID:2k1GcsfC
GJ!!いいねいいね〜。
休日のポロシャツ野立萌。
乙女な絵里子かわゆす。

エロなしも大歓迎なので、またお願いします。
283名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 22:32:15.29 ID:TgqPPmUI
仕事とは違った2人で
こんな感じかとリアルに想像できて楽しかったです!!

みなさんの作品大好きです。

284名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 23:51:05.75 ID:a2HfTigA
GJGJ
エロなしも萌えアリなら全然OKむしろ来い
こういうの大好きです
285名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 00:04:21.89 ID:H5bklXoX
もうここだけで続編できそうだねw
パート3あるなら、野立絵里子の恋愛バージョン見たいわ
286名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:20:34.05 ID:i4RgVMBa
自分も野絵大好きです!にもかかわらず懲りずに同期の会話文妄想
宜しいでしょうか…ほんと度々スレチですみません
次の神作品待ちのつなぎということで何とかお願いします…!
今回は男2人でどうやら元気がない模様(笑)第一声は野立氏です




「はーっ」
「んだよ暗いな。酒がまずくなるだろ」
「絵里子のこと犯してえなあと思ってさ」
ゴッ!←げんこつ
「表出ろ。…いや逮捕だ。」
「いってえなあ!令状見せてから言え!」
「わざわざ口に出すなっつんだよ!知ってるわ!」
「あ〜お前も同じだもんな。いいじゃねえか愚痴らせろよ。絵里子にオトコできたんだぞ!」
「…」(ぐびぐび)
「あいつ、なかなかできないけどつきあうと長いんだよなあ。一途なとこあるから」
「ああ…」
287名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:25:19.47 ID:i4RgVMBa
「そういやお前は?例の子どうしてる?」
「…こないだ別れた」
「マジで?凄い良い子だったじゃねえか。可愛かったし。…お前はホント続かないよな」
「お前にだけは言われたくない…ここ数年でまともにつきあったことあんのか?」
「この年になるとどうしても結婚て話になるからなあ〜。…どうせお前もそんな
トコだろ?」
288名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:32:31.75 ID:i4RgVMBa
「…悪いことしたよ。両親に会ってくれって言われて、仕事忙しいだろうから全然
 重く考えなくてもいいから…って滅茶苦茶気ィ使わせちまって…」
「酷い奴だ全く。本命が他にいるくせにな」
「るっせ!俺だって今度こそちゃんとつきあおうと思ってたんだよ!」
289名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:36:37.99 ID:i4RgVMBa
「ハイハイ。…つうかさあ、ずっと思ってることだけど俺たちそれぞれ絵里子に
 きちんと気持ちを伝えてフラれれば案外全部上手くまわるのかもな〜」
「何勝手にフラれる前提にしてんだよ。」
「いや、というかあいつのことだから俺とお前が気まずくなることをまず回避しようと
するんじゃないのか?」
「そこらの男より男前だからな」
「あーそれツボだな!」
「?は??何言ってんだお前」
290名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:39:55.90 ID:i4RgVMBa
「男勝りなあいつが抱かれてふにゃんとなったりするのかと思うと燃えるだろうが!」
「その話続いてたのかよ!中学生か!」
「馬鹿言え!今時中学生の方がまだいろいろやってるぞ。俺たち多分気持ち悪いくらい
 純愛だぞ」
「…」
「なあお前はどんな設定がイイわけ?」
「設定ってやめろよ。A○か!」
「細かいことはいいだろ。お前ムッツリぽいからエグそうだよなー!」
291名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 19:43:10.75 ID:i4RgVMBa
「決めつけてんじゃねえよ!いたってノーマルだっつうの!…そうだな、まあ
 風呂場とかな」
「あーそれはわかるな。あわあわはマストだよなー!ただベッドの倍疲れるけどな」
「どんだけ頑張ってんだよ。大体泡々って何だよ…」
「お前じゃあ風呂場のどこに意義を見いだしてるわけ?あわあわ抜きで」
「泡も使ってもいいがそれより追いつめたいんだよ。風呂場は個室だし音も響くし
 暑いから思考力も落ちるし何より恥ずかしいだろ部屋より」
「…」
「何だよその目…普通だろ好きな子泣かせたいのは」
「俺は今改めて誓った。お前にだけは渡さない」
「ざっけんな!大体お前が聞いてきたんだろうが!勝手に想像して嫉妬で
 キレてんじゃねえよ!」
「ふん」
「…で、お前は?」
「俺は紳士だからなあ〜まあ家のベランダと警察の便所とあと…」
「続きは署で聞こう。弁護士はどうする?」
「罪状何だよ!」


絵里子さん逃げてw
292sage:2011/07/25(月) 20:03:14.24 ID:iu4yoisR
リアルタイムきたー!!!
絵里子さんはどちらと付き合っても大変なことにww
同期会話大好きだ。
またお願いします。
293名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 20:36:16.82 ID:wSGrqJvC
すばらしい!ありがとう!

それで野立っちはいろんな設定で願望満たし中なんですね
もっともっと頑張って下さい
294風見:2011/07/25(月) 21:48:53.95 ID:GqB0gGAz
天才の俺、風見のSSを見るかい?抜けるぜ!?
295名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 22:29:45.03 ID:QK4sZdJw
同期会話、好き好き。


職人さんのお話をいつも待つ側で申し訳ないです。

自分には書けないので…

作品楽しみにしてます☆
296風見:2011/07/25(月) 22:35:41.20 ID:GqB0gGAz
天才・風見様の送る最強SS
狂宴高校の怪 第1話(禁断編)
――――――――――


 お兄ちゃんは学校に行った・・・。家には私一人しかいない。
 お兄ちゃんは毎日、シドウさんと一緒に学校に行ってる。シドウさんを待たせないために、自分のペースを保ちつつ急いで準備するため、朝は私との会話はない。
 ・・・苦痛でしかない。会話したい。出来ることなら一緒に学校にも行きたい。通う場所は同じなんだから・・・。


 しかし、今日はそんな毎日の習慣を逆手にとった。だから私はこの時間、高校では朝のホームルームが始まる時間に家にいるのだ。
 私はゆっくりと、お兄ちゃんの部屋に入る。朝起きたばかりでまだ暖かい。私は布団に潜った。頭まで布団を被った。
 お兄ちゃんの匂いがする。体が高揚して、いつのまにか私はあそこを弄っていた。
 すごい・・・。夕方にやるときより興奮する。
「はぁ・・・はぁ・・・お兄・・・ちゃん・・・。」


――――――――――

297風見:2011/07/25(月) 22:36:27.43 ID:GqB0gGAz
次回の天才の俺、風見に期待しな!!
298名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 23:01:10.96 ID:Gs/dFNSt
エロに発展しないギリギリのラインが一番萌える
299名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 00:03:55.04 ID:8YEo00be
エロパロスレでそんなこと言われてもねぇ…
300名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 07:38:08.08 ID:QGWrcW1D
エロパロだしね
毎日ageてる人、名前欄じゃなくメール欄に半角小文字でsageと入れて
301名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 07:40:50.23 ID:e+3zxsRF
メアド欄に半角英数でsage入れて欲しいわ
302名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 10:32:57.26 ID:fzut4mpV
>>292>>295は気をつけよう
ageると変なの来るからね
303名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 17:54:12.08 ID:zYFbSxnq
ageてしまって申し訳ない。
ご指摘ありがとうございました。
304名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 18:07:31.89 ID:+qRdwMFn
野立の弱点?みたいなのを握ってめちゃくちゃ押せ押せになる絵里子さんが読みたい
攻めに攻める絵里子に珍しく押される野立
攻める絵里子さんはたぶんとてつもなくエロし
305名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 20:18:56.83 ID:HhnMVkXl
間に入りすみません。
以後気を付けます。
306名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 20:23:59.63 ID:arCK5Z9H
↑ageてんじゃねーかよ!
307名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 20:49:45.69 ID:873jrwa8
わざとだろ、これ
308名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 06:43:05.53 ID:7G0Gi+pI
-神待ち-
309名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 22:15:38.54 ID:KVDXZM3z
野絵(?)を投下させてください。

絵里子は自覚がないだけで野立の存在は大きそう

というような書き込みを拝見し書いたものです。
なんだか暗い上にエロなし萌えなしの3重苦なのでそれでも大丈夫な方だけ暇つぶしにどぞ。
310ぎゅっと(1):2011/07/27(水) 22:22:48.78 ID:KVDXZM3z

珍しく自分より先につぶれた男を見下ろす。
ベッドで寝息を立てている男は普段より幼く見えた。
最近忙しかったせいか、無理やりではないが煽って飲ませるとことんと寝てしまった。

すーすー寝息をたてている男。
普段なら笑ってそのままにしておくか、
起きなさいよと攻撃をしかけているところだ。
もっとも彼の方が先につぶれることなど殆どないのだが。


野立の家のベッド、いやベッドに限らず、マンション自体が独りで住むには広すぎる程広い。
特にベッドは絵里子も寝てしまった事があるが、
さすが出世頭というべきか、広く、使っているマットも最高の寝心地だ。
そんなベッドに仰向けになって寝ている男を観察する。


こちらの気も知らないで。


イラっとした気持ちが体を支配する。
彼が悪いわけではない、
いや、この男が悪い、私に何も言わないからこんな気持ちになるのだ。

このもやもやした気持ちの発端は部下の発言だった。

1つ事件が解決し、今日は定時で上がれるぞという午後、浮かれた部下達は噂話に花を咲かせていた。
可愛い女の子の話やどこで仕入れたのか丹波部長の奥さんの話まで出てくる。
事件が解決した事でほっとしてた気持ちはわかるが仕事場だ少し口を慎めと思いもするが
しばらくなかった解放感にある程度放っておいた、
するとそんな中、花形が


「そうだBOSS、野立さんとうとうお見合いするそうですね!」


嬉しそうにそんな報告をしてきた。

「え?」

「あれ?知らなかったんですか?とうとう年貢の納め時だなんて言ってましたよ、野立さん」

「40過ぎてさすがにもうふらふらしてられないとか」

「結構いいとこのおぼっちゃんやゆう話だしな」

「野立さんが本気でお見合いなんかしたらすぐ相手も見つかるでしょうね〜」

「軽いところ隠せば若いおなごはコロっといくやろうしな」

「あの軽さがいいっていう女の子もいますよ?」

「いやぁ、でもお見合いで軽くいくわけにはいかないんじゃないの?」

他の部下たちも加わり野立の実家の話や、
その相手はどんな人なのかで盛り上がっている。
311ぎゅっと(2):2011/07/27(水) 22:27:02.34 ID:KVDXZM3z

「あの野立さんが選んだ相手かぁ、会ってみたいなぁ」

「噂ではもう式場やその日取りまで決まってるんだって」

「野立っちの花婿姿・・・・いい・・・・・・」


そんなやりとりを遠くで聞きながら、
全く知らなかった事に動揺している自分を自覚した。

確かに最近相手も忙しく、こちらにも抱えている事件があり飲みにもいかなかった。
しかしあの男は今日も朝、数分ではあるが対策室に顔を出していたし、
私は私で参事官室にも呼び出されていた。
その時にちらっとでも報告してくれればいいのに。


「BOSSはどんな女性だと思います?野立さんのお見合い相手」

花形がまだ絡んでくる。
思考を邪魔され面倒だとは思うがしょうがない

「さぁ、どうでもいいわ」

「えー?野立さんはあんなにBOSSのお見合いを気にしてくれてたのに」

「ちゃちゃ入れにきてただけじゃない」

「そうですか?すっごく気にしてましたよ」

「はいはいいいから仕事する、定時であがりたいでしょ」


どんな相手か気にならないわけがない。
可愛い女の子や綺麗な女の子をひっかける野立はいくらでも見てきたが、
野立の隣をずっと歩くそんなイメージが似合う女性が思い描けない。

可愛い子だろうか、それとも美人だろうか
体型は?背は?
野立にはスレンダーな背も少し高めの女性が似合う
そう思うが、いや案外大人しくて清楚で3歩後ろを歩く女の子を選ぶのかもしれない。
ナンパしている様子を見ると綺麗系も可愛い系もどちらも食いつく彼の好みはわからない。

ただ、野立が年齢の事もあるとはいえお見合いを受ける気になったのだから相当なのだろうと思う。
でもどうして話してくれなかったのか、


水臭いんだから・・・・


しかし思えば、これまで野立は恋愛の話を絵里子には全くしてこなかった。
女の子の話はする、でも恋愛の話はしない。
だから絵里子は合コンやひっかけてきた女の子の話は聞いても、野立が付き合ってきた女性というものを知らない。

たまに飲んでいる時に「あんたも結婚しなさいよ」
などと軽口を叩くことはあったが、
苦笑い気味に「うるせーよ」と返されるとそのまま流してしまっていた。
だからというわけではないが、野立が結婚するなど、特定の相手がいるという状況が想像できず胸が騒ぐ。
312ぎゅっと(3):2011/07/27(水) 22:32:43.07 ID:KVDXZM3z

何も聞いてなかったせいで胸につっかえるのよ、
八つ当たり気味にそう思い、いてもたってもいられなくなる。

ぐるぐると思考を巡らせた後に、
そうだあいつも仕事がひと段落ついたんだと、メールで飲みに誘う。

今まで当たり前に誘いも誘われもしてきた事なのに急に緊張した。
何度も何度もメールを打ち直し、結局簡素な文面になった

「いつものバーで飲まない?」

こんなもやもやは早く消してしまった方がいい。
絵里子の気持ちを知ってか知らずか快諾する「おう」という短い返信を受け、飲みに行く予定だった、が


「おい、今日台風らしいぞ」

「え?そうなの?天気予報は見てなかった」

「たまには俺んちで飲むか?お前の家よりは綺麗だろ」

「どういう意味?でもそうしようか、色々お酒買って」

「つまみ何にする?から揚げも買って帰ろうぜ」

「フライドチキンよね〜やっぱり」

「から揚げとフライドチキンって別物だと思うのは俺だけか・・・?」


そんな会話で家飲み変更された。
まだ風は強くない、ただ帰れるかはわからないので
対策室に置いてある替えの下着類や化粧道具、それにブラウスを持っていくことにした。


「おめでと〜!!」

「はいはい、何回も聞いたって、おかげさんでどうも」

野立のお見合いの話を肴に乾杯を何度も繰り返す。
酔っぱらったふりをして、何度も何度も。

「ほら、めでたいんだから飲んで飲んで」

そうよ、めでたい事じゃない。
自分より先にいかれるのが癪だけれど、それだけで別に寂しくなんかない。
313ぎゅっと(4):2011/07/27(水) 22:44:35.72 ID:KVDXZM3z

絵里子のテンションの高さに呆れるように付き合っていた野立も久しぶりだという家飲みで気が大きくなったのか
勧めれば杯を空け、グラスを次のお酒で満たしていった。

そんな調子で野立を煽り、絵里子が選んだワインを半分以上飲ませると
仕事の疲れからか野立がうつらうつらし始めた。
「ちょっとタンマ・・・・・」 なんて言いながらよろよろベッドに向かう。
バフッというベッドに倒れ込んだであろう音がした後、すぐに寝息が聞こえたので様子を見に行った。


こちらの気も知らないで。

何がこんなにイラつかせるのか、その原因がわからない。
原因がわからないから余計にイライラがつのる。
突如として湧いた自分のこの感情を持て余してしまう。

野立がちゃんと今までも恋愛の話をしてくれていればよかったのだ。
そうすれば免疫もできて、こんなに動揺することもなく、
お酒なんかに頼ることなく、素直に「おめでとう」と言えたはずなのに。

動揺?

思えば何に動揺するっていうのよ。

めでたいことではないか。
お互いいい歳なんだし、世間から見たら完全にいき遅れだ。
特にこの男はキャリアとして着実に出世しており、この先の為にも結婚は使える武器の1つとなる。
それを抜かしても、友達として幸せになって欲しい、そう思っているのだから。

そうだ、動揺することなんて1つもないじゃない。

ベッドに腰掛け、先ほどより近い距離で男を観察する。
出会ったころはどんな風だったっけ。

まだ髭をはやしていなかった野立は軟派で軽い男にしか見えなかった。
こんな男がキャリアなのかと驚きもしたし、
でもこんな男が世渡りもうまく、結構出世するのよね・・・
と皮肉に思っていたりもした。

実際にそうなったわけだが、少し付き合うとその軽さの奥にある生真面目さなどもわかり、
付き合いはどんどん深くなった。
仲良くなった同期3人でよく遊び、よく飲みにも行った。
その中の1人が自分たちから離れていっても、2人の距離は変わらなかった。

自分と2人で飲んでいても「狩り行ってくる」とナンパしに行ってしまう男。
成功したのかしないのか、ある程度女の子と楽しく飲んだりするとスルっと帰ってきて
「今の子可愛かったな〜」と同意を求めてきたりした
信頼度は増しても変わることのない距離、それが心地よかったのに。


森岡は聞いたりしてたのかな、野立の恋愛事情とか。

自分の手で逮捕した同期の男を思い出す。
2人で野立会をしていたと言っていたから、絵里子の知らない野立の恋愛事情も知っているのかもしれない。
森岡よりも自分の方が野立に近いと思っていたが自惚れだったかな、
そんな風に思って、余計に苦しくなる。


「野立のばーか・・・・」
314ぎゅっと(5):2011/07/27(水) 22:50:50.19 ID:KVDXZM3z

気持ちよさげに眠る男を見つめ、衝動的にトレードマークの髭を触る。
生やしたての頃はイライラしてしょうがなかったその髭は案外ふわふわとしていた。
触られる感覚が寝ていてもくすぐったかったのか、野立が少しだけ身じろぎするその様子が幼くて、微笑ましい。

しばらくすると少し物足りなくなって、髭をなぞる指が唇へと向かう。
唐突に、こんな風に触れられるのもこれで最初で最後なのだと心臓の奥がきゅっと締まるような感覚と共に涙が滲んだ。


これで最後なんだ。

野立が家庭を持ったら、どちらかの家で飲むことはできなくなるだろう。
絵里子の家で飲むことはできるかもしれないが、
いくら20年来の友人だと言っても、独り暮らしの女の家に誰が好き好んで旦那を送り込む?

2人で飲むことだって減るだろう、
いや、それすら許されなくなるかもしれない。


「置いていかないでよ・・・・」

わかっている、仕事上ではともかく私生活において野立の幸せと自分は無関係なんだという事は、
置いて行かれるから足をひっぱるなど言語道断だという事も。

今まで何年離れていても平気だった、
普段はお互いどうしてるなんて考えもしていないと思う、
それなのにもう二度とこんな時間を取れないかもしれないという事実が胸を締め付ける。

最初で最後だという想いが言い訳に変わり、野立を見つめる。
ぐっすり眠っているようで、唇を何度指で往復させても起きる事はない。


「ごめんね」


裏切ってごめん。
そう思いながら唇を重ねた。

なぜそうしたかはわからない、ただ最後だという切迫した何かがあった。
長い髪を掻き揚げ、唇を離した。

相手は起きる気配はない。

何かを期待したわけじゃない、起きられても困惑するだけだ。
ただ、少し。
ただ、この時間が、2人の時間が長く続けばいいと思った。
野立が迎えるであろう、女性が知りえない野立と自分の時間が、少しでも長く続けばいい。


なんて嫌な女なのかしらね、私は。

自嘲気味に笑い、ベッドを離れた。
315名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 22:53:31.43 ID:KVDXZM3z
中途半端ですみません、以上です。
後編もあるんですが、微妙なエロで投下していいのか迷い中です。
踏ん切りがついたらまた投下させてください。
お付き合いありがとうございましたっ
316名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 22:55:10.15 ID:Qj+Fe2pp
うええええええええええ生殺しw
後編!後編!
317名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 22:58:07.35 ID:lrAkhiO1
同じく後編が読みたいです!
切ない野絵もいい
318名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 22:58:18.18 ID:Hp7nz6l0
そんなこと言わずにすぐに書いて下さい!
命令です!w
319名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 23:00:18.02 ID:RHX0+bBX
すぐ書かないと逮捕しますw
320名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 23:00:40.13 ID:r7JGol41
>>315
いい!ほんとにありがとう

ただ、切ない終わり方の野絵より
エロの野絵も好きだー!
だから、気が向いたら
すぐ投下してくださいな
321名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 23:11:42.92 ID:c6xXBfos
>>315
同じく気になります!
気が向いたらで結構ですので、ぜひ投下して下さいませ。

お待ちしております!
322名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 23:30:39.62 ID:WfBLtRP9
きゃー!!寸止め状態きつい!!
ぜひすぐに後編書いてくださいー!

ちなみに、自覚がないだけで野立の存在大きいって書いたの私ですw
こんな素敵なせつない絵里子をありがとう!
323名無しさん@ピンキー:2011/07/27(水) 23:34:48.12 ID:Ano/HGLQ
うおー切ない!
続き読みたいです、お願いします
324名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 00:34:33.11 ID:63qOHveJ
これはホントに生殺し状態w
勘弁してください〜
至急後編投下願います

切ない野絵もいいけれどエロい野絵はもっといい!!
325名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 00:57:47.32 ID:+tdBkBoZ
>>315さんの後編が気になっちゃって、目が冴えて困ってます(笑)
マジで眠れません・・・。

眠れないので、この空気をぶったぎってしまい大変申し訳ないのですが、
「お引っ越し」の続編が書けたので、315さんの後編待ちの間の穴埋めに
投下させていただいてよろしいでしょうか?(><)

すごく長ったらしいうえ(しかも前フリが長い)
無理無理な設定&妄想はなはだしく、不快に思う方も多いかもしれません。
穴埋めに、お許しくださる方だけ、読んでください。
ほんと空気読まなくてごめんなさい。
326ときめきの?慰安旅行(1):2011/07/28(木) 01:01:29.56 ID:+tdBkBoZ

早朝にも関わらず、既に対策室のメンバーは集合場所に顔を揃えていた。
道路端に停められた黒のスポーツワゴンの周りに、小さめの旅行鞄を持った面々がたむろして、それぞれ眠そうにあくびをしたり、会話を交わしたりしている。
片桐が最初に気づいて、こちらに向かって片手を挙げた。

野立は白の四駆をなめらかに片桐のワゴンの後ろに停車させた。先に絵里子が降りる。
「おはよう!ごめんね、みんな。待った?」
「なんや、同伴出勤かいな」意味ありげな目線で岩井がからかう。
「違う!途中で野立にピックアップしてもらっただけ!」絵里子は慌てて言い返す。
野立と絵里子が一緒に暮らしていることは、部下達には極秘だ。

スーツにサングラスの野立が颯爽と運転席から降り立つと、その決め過ぎな出で立ちに、山村と花形はポカンと見入り、岩井がキャッ♪と黄色い声をあげた。
野立はタイヤに片脚を載せながらポーズを取る。「どーもー。西武警察です!」
「・・・意味わかんないし」と木元が呟く横で、花形が「西武警察って何すか?!」と真顔で山村に尋ねている。

「全員揃ってるわね。じゃ、早速出発しましょう」
絵里子が全員の顔を見渡してそう言うと、山村が鞄の中から何やら紙の束を取り出した。
「ハイ、これ一人一冊ずつ作ってきたよ〜」
それぞれに手渡されたホチキス留めの薄い冊子には、
『アメリカ犯罪心理学者講演参加ツアー&特別犯罪対策室慰安旅行in○○温泉のしおり』と長ったらしく印字されている。
「なんやこれ、おっさん。遠足のしおりかいな」岩井が呆れて山村の頭をはたいた。
「だってぇ。このメンバーで泊まりでどこかに行くなんて初めてのことだし、なんかボクわくわくしちゃって・・・」山村がはしゃいでいる。
「今日は勉強のために行くのよ!みんな分かってるわね」
絵里子はボスらしく諌めると、「さ、早く車乗って!」と号令をかけた。

今回の対策室慰安旅行を兼ねたこのツアーにはワケがあった。
元FBI捜査官であり、現在では犯罪心理学のプロとして著名なロバート・ワトソン氏による来日講演が、
親日家であるワトソン氏たっての希望で、観光でも有名な山深い温泉地で開催されることになったのだ。
警察関係者や犯罪学の研究者などの聴講希望が殺到したが、絵里子はFBI研修時代にワトソン氏の講義を受けたこともあり、
コネを使って、チケットを手に入れることができた。
ワトソン氏の講演は非常にユニークで、学ぶところも多い。対策室の面々にもぜひ参加させたかった。
そこで、野立に頼んで上の許可を取ってもらい、なんとか全員で参加できるよう手配できたのだ。

このところ対策室の活躍で、難事件が連続して解決したことも評価され、そのご褒美として温泉地での1泊も許された(ただし、すべて自腹だが)。
全員が一緒に休暇を取れるなど滅多にないことなので、なんだかんだでメンバー全員が楽しみにしていた温泉ツアーだった。

「丘を超ーえー行こーよー♪くちーぶえー吹きつーつー♪」
よく晴れた空の下、車窓から深い緑の景色を堪能しつつ岩井がドラ声で歌っている。
山村が不快そうに耳を押さえつつ、
「こっちの車はアダルトチームで、あっちの車はヤングチームなんだね。
ボクどうせなら真実りんと一緒が良かったなぁ」
とボヤくと、絵里子がギロッと後部座席を睨んだ。
たしかに野立の車には、助手席に絵里子、後部座席に山村、岩井と、アダルトチームの面々が乗っている。
「それを言うなら、なんで俺がおっさんの隣なんや。俺かて片桐や花形と一緒のほうがええわ」
「まあ、そう言うな。片桐より俺のほうが運転の腕は確かだぞ」
野立がサングラスの下で笑う。
昨夜は残業で帰りが明け方近かったので、野立はほとんど寝ていない。
大丈夫?と声には出さず絵里子が視線で問うと、野立が目の端で軽く微笑んだ。
327ときめきの?慰安旅行(2):2011/07/28(木) 01:02:52.28 ID:+tdBkBoZ

野立と一緒に暮らすようになってから、絵里子は自分でも少し変わったと思う。
誰かと一緒に住むということは、多少なりともお互いのペースを気づかって、どこかで我慢しなければならないのだろうと、絵里子は長年思ってきた。
けれども実際に野立と生活をともにしてみると、絵里子は自分自身の意外な面を知ることとなった。相手に合わせることが苦ではないのだ。

どちらかの帰りが遅いときは、気にせず先に寝ること。お互いの仕事には必要以上に干渉しあわないこと。
どちらからともなくそう決めたのに、気づけば絵里子も野立もそれをほとんど守っていなかった。

野立の帰りが遅いとき、明日のことを考えて早く寝ようと絵里子はベッドに入る。
なのに、頭の芯が冴えて眠れない。
仕方ないからノソノソと起き出して、リビングでワインをちびちび舐めながら、ソファで深夜テレビをぼんやり眺めたりする。
そのうち野立が疲れた顔で帰ってきて、
「なんだ。寝てなかったのかよ」と言いつつ絵里子の顔を見てちょっと嬉しそうな顔をする。
その顔を見るとなぜかホッとして、急激に眠気に襲われる。
野立も手早くシャワーを浴びて、絵里子を抱きかかえるようにしてベッドに潜り込む。
さすがに昨夜のように深夜2時3時を回るときは先に眠るけれど、それ以外はなんとなく野立の帰りを待つのが自然なペースになっていた。

その反対に絵里子が遅いときも、野立は大抵一人で晩酌しながらパソコンをいじって起きていた。
絵里子のようにテレビを見ていたりはしない。
あくまで、仕事が片付いてなかったから寝そびれた・・・そんなふうを装って絵里子の帰りを待っている。
それが野立の優しさだった。

家で仕事の続きをしなければいけないときも、絵里子は自分の部屋でノートパソコンを開くものの、どうにも集中できない。
結局、自分のノートパソコンを抱えてリビングに行くか、野立が使っていないときは彼のパソコンを借りて仕事をする。
野立がパソコンの前に座って難しい顔で考え事をしているすぐ後ろで、絵里子がソファで資料とにらめっこする。そんなことも多々あった。

なんとなく、空間に相手の存在を感じていたい。
行き詰まったとき、相手に「これ、どう思う?」とすぐ意見を求められる距離でいたい。
そういう居心地の良さが、既に二人の体に染み付いていた。
誰かと一緒にいることが、これほど自然で心身ともに安らぐものだとは、絵里子にとっても想定外だった。

なんとなく、こそばゆいような幸福感を感じて、野立の横顔をチラッと見ると、
ん?という顔をして野立がこちらを見る。
なんでもない、というように絵里子がふっと微笑むと、野立も、なんだよ、というように微笑み返す。
そんな様子を、後ろから岩井が妙にぎらついた目で観察している気がして、絵里子は思わず咳払いした。
「昼飯は蕎麦にするか。たしか、このへん蕎麦が美味いんだよ」
「あ、野立さん、お蕎麦だったら、ヤマムー特製『旅行のしおり』に、美味しい店リストを載せてありますよ〜〜」
山村がウキウキしながら、冊子をめくり始めた。
328ときめきの?慰安旅行(3):2011/07/28(木) 01:04:21.36 ID:+tdBkBoZ

2台に分乗した長時間ドライブの末、ようやく温泉地に辿りついた。
ひなびた山奥の、自然がたっぷり残された土地でありながら、
大規模なコンベンションセンターやコンサートホールもある、オンオフ両方に使える人気の観光地。
7人は澄んだ空気を吸い込みながら、蕎麦で満腹になったお腹をさすりつつコンベンションセンターの中に入った。

ワトソン氏の講演は3時間近くに渡り、内容は非常に斬新で充実したものだった。
英語が分かる絵里子と野立は、時折挟まれるワトソン氏のジョークに声を立てて笑いつつ、熱心にそのレクチャーに耳を傾けた。
時折、身を寄せ合って感想や意見を交し合う上司二人の姿をチラチラ気にしつつ、
花形は同時通訳のヘッドフォンに神経を集中させながら必死でメモを取った。
同じくヘッドフォンをした片桐と木元も真剣に聞き入っていたが、
岩井と山村だけは開始20分で熟睡体制に入っていた。

そろそろ陽射しが柔らかく傾き始めた頃、7人は施設の外に出た。
「岩井と山村さんは、東京に戻ったらレポート提出してもらうからね」
絵里子が吊りあがった目で二人を睨みつける。
「さて、講演も終わったことだし、本日の宿へ向かうとするか。おまえら、俺のセレクトに感謝しろよぉ」
野立が得意げな笑みを浮かべながら、車のドアを開けた。

辿りついた温泉旅館は、まだオープンから1年しか経っていないそうで、品が良くシックでありながら、華やかさに満ちた趣きだった。
外観は純和風でありながら、一歩ロビーに足を踏み入れると、中は和洋折衷のインテリアが施され、非常に格調高い雰囲気でまとめられている。
それでいて宿泊客がリラックスして浴衣で歩き回れるような、オープンでくつろいだ空気が漂っていた。
「すごい、デラックス・・・」「うわー、豪華ですねー!」「イケメン泊まってそうやな♪」
皆それぞれに感嘆の声を上げながら、ロビーをきょろきょろ見回している。
全員分のチェックインを済ませた野立が、部屋のキーを手に戻ってきた。

「ここのホテル、予約するの大変なんだぞぉ。
ほら、片桐と花形は305号室。岩井とヤマムーが306。で、こっちの308が女子2人な」
部屋の内装は、モダンな板張りの床に一部が畳敷きとなった和室、
そして布団ではなく木製のベッドを配置した洒落たツインルームになっているとのことだった。
「野立さんだけ階が違いますね」片桐がキーナンバーに気づいて指摘する。
「俺は一人で上の階だ。シングルは別の階なんだよ」
「・・・野立さんだけもっと豪華な部屋だったりして」と木元。
一瞬野立がヒクッと髭を歪ませたことに絵里子は目ざとく気づいた。
が、今回野立は夕食のコースを全員分ご馳走してくれることになっている。
彼は参事官だ。部屋くらい贅沢してもバチは当たらないだろうと思った。
「ま、いいじゃないの。荷物置いたら、夕食までに温泉入ろうよ」
絵里子は木元の肩をポンと叩いて、並んでエレベーターに向かった。

まだ夕暮れ時のせいか、女風呂はかなり空いていた。
露天風呂でくつろぎながら、「あー極楽極楽」と絵里子が伸びをする。
「ボス、ありがとうございます。あたし達までここに連れてきてくれて。
今日の講演、聞けてホントに良かったです。野立さんにも改めてお礼言っといてください」
「なーに言ってんのよ木元。あんたみたいに優秀な部下には、できるだけ学ぶチャンスを持ってほしいもの。
これくらい当たり前でしょ。あんたは期待以上のものを返してくれるしね」
「ボス・・・」木元が絵里子を慕う目で見つめ返してくる。

「あの、ボス・・・」
「何?」
「・・・今夜、部屋に帰って来なくていいですよ」
「はっっ?!」
絵里子は風呂の中でずっこけそうになった。「何それ、どーゆーこと?!」
「今夜は野立さんの部屋に泊まっちゃっていいですよって言ってるんです」
「え、ええええぇぇええ?!!」
絵里子は突然血圧が上がったように真っ赤になり、お湯をザバーンとうねらせながら立ち上がった。
「ボス、仁王立ちしないでください」
「あ、あ、あんたがおかしなこと言うからでしょ!!な、何言い出すのよ突然・・・」
絵里子は赤鬼のような顔色で、再びお湯の中にしゃがみこんだ。
い、いかん、動揺してるのがバレてしまう・・・。
329ときめきの?慰安旅行(4):2011/07/28(木) 01:06:22.25 ID:+tdBkBoZ

「ボス、ほんとにバレてないと思ってます?」
「な、・・・・何を・・・?」
「野立さんとボスがデキてること」
「はいぃぃぃいいい?!!!」
絵里子はまたザバーンと立ち上がる。
ウソだウソだ、バレるはずがない、あんなにあたし達バッチリ演技して・・・うまく騙せてると・・・。
「みんな、気づいてると思いますよ。でも、お二人の意を汲んで知らないフリしてるんですよ」
木元は淡々と、大真面目な顔で言う。マジだ・・・。絵里子は愕然とした。
「・・・う、うそ・・・。なんで・・・分かった・・・の?」
「見てりゃ分かるに決まってるじゃないですか。以前とは明らかに違いますもん、二人の様子」
そ、そんなはずはない・・・。野立も自分も芝居は得意中の得意だと言うのに・・・!

「仕事の合間にやたら目配せするわ、野立さんが来るとボスが妙に機嫌良くなるわ、
この前なんか対策室のドアの前で野立さんがボスのお尻触ってるの見ちゃったし、
だいたい、ボスがパソコン見てるとき野立さんよく後ろから画面覗いてるけど、距離近すぎるんですけど。あれ、どう見ても異常。
意見言うふりして耳元で囁いちゃったりして、ボスはだらしない顔でうっとりしてるし。
なんか始まっちゃうんじゃないかと思って、こっちはみんなヒヤヒヤですよ。
で、野立さんが出て行くと、ボスってば急に取り繕うようにおっかない顔して。
分かりやすすぎて、こっちが恥ずかしいですよ」
冷静に羅列する木元の声に、絵里子は何も言い返せず口まで湯に浸かって、もはや茹でダコ状態になっていた。

「そ、そうだったの・・・。みんな、気づいて嫌な思いしてたのね・・・。
木元、ごめん・・・。上司ともあろう者が、情けない姿見せちゃって・・・」
絵里子は消え入るような声で俯いたままそう答えた。ああ、穴があったら入りたい。

木元が可愛らしいけれどクールな笑みを浮かべて絵里子を見た。
「なんで謝るんですか?あたしはむしろ嬉しいです。
ボスのそういう女性らしい、人間らしい部分が見れて。余計にボスのこと好きになっちゃった」
「えっ。・・・なんで?!」
「だって、ボスは恋をしながら、仕事は完璧にこなしてるじゃないですか。
スーパーウーマンなのに、好きな人といるときは、中学生みたいに可愛くなっちゃって」
「いや、可愛いわけじゃなくて・・・・その、こういうことに慣れてないというか・・・」
「みんな、内心応援してるんですよ。ボスと野立さんのこと。
二人は私達にとって、お父さんとお母さんみたいな存在だから。
その二人が仲良くなることを、喜ばないわけないじゃないですか」
「木元・・・」絵里子が不覚にもウルウルしていると、すかさず木元が言う。
「だから、今夜は野立さんと一緒に過ごしてください。みんなにはあたしが上手くごまかしますから」
「・・・木元、ありがとう・・・・あんた、優しいのねぇ」本気で泣けてくる。

「で、代わりにと言っちゃ何なんですけど、ちょっと相談にのってほしいことが・・・」
「ん?何??」
「・・・片桐さんって、今フリーですよね・・・?」
絵里子しばし沈黙。
「・・・・何?!あんた、片桐が好きなの?!!!」
「ボス、声でっかい!!!」
「あら〜・・・そぉおお・・・!そうだったのぉぉ・・・!」
絵里子がしみじみ頷くと、今度は木元がモジモジしながら赤くなる。
「片桐さん、例の事件で彼女と別れてから、たぶんまだ一人ですよね?」
「おそらくそうだと思うわ。片桐は不器用だしねー。よし、わかった!木元、私応援するわよ!」
「いいんですか?半人前のあたしが、職場で恋愛なんて・・・」
「バカ、あんたは私の後継者でしょ!恋も仕事も手にいれなさいよ!
いいよいいよ、職場恋愛いっちゃいなー!!ロックオン片桐!!」
絵里子はまた仁王立ちになって、力強くガッツポーズする。
「まずは今晩、片桐をカラオケにでも誘い出しなさいよ」
「カラオケって・・・高校生ですか?ボス」
絵里子と木元は脱衣所に向かいながら、ああだこうだと恋の話に花を咲かせた。
330ときめきの?慰安旅行(5):2011/07/28(木) 01:08:03.32 ID:+tdBkBoZ

一風呂浴びた後は、落ち着いた雰囲気のレストランの半個室となったテーブルで、地元食材を使った和風フレンチに舌鼓を打った。
「あ〜美味しかったーー!野立さん、ご馳走様です!!」
浴衣姿の面々は、ほろ酔い気分でレストランを後にした。
野立が「真実りん、浴衣姿カワイイなぁ」と軽い調子で言うと、
木元が「言う相手間違ってますよ」とサラッと返す。
野立が思いがけないほど動揺した顔で言葉につまり、絵里子にチラッと目を泳がせた。
絵里子もウウ、ウ、ウン!と不自然な咳払いをする。

「それにしてもボス、浴衣似合いますね!いつもよりしっとりしてて、
なんかオトナの女性って感じですよ〜。見違えちゃったなぁ」
まだ少年ぽさの抜けない浴衣姿の花形が、素直に絵里子を誉めてくる。
「あらっ、ありがと〜。花形見る目あるわね」
ニッコリ返すと、隣で野立が不機嫌そうに喉を鳴らした。

ロビーに向かって歩きながら、面々はこの後どう過ごすかで盛り上がっていた。
「おい、片桐、もう一風呂どうや?」赤ら顔で流し目を送る岩井に、
木元が「片桐さん、カラオケ行きましょう、カラオケ!」と対抗している。
「あ、僕もカラオケ賛成です!店の様子見てきますよ」と花形。
「ボクはさっきのお土産売り場覗いてから、合流しようかな〜。売店の女の子が、なんかボクに気があるみたいだったからさぁ」
山村の言葉には誰も返事をしない。

ワイワイ騒ぐ部下達に気づかれない程度のさりげなさで、野立が絵里子の耳元に口を寄せた。
「701号室だぞ。間違えんなよ」
絵里子がドキッとして野立を見ると、野立はすました顔でエレベーターのほうへ消えていった。
しばらくして、「あれ?野立さんは?」花形がキョロキョロしながら聞く。
絵里子が一瞬言葉に詰まっていると、すかさず木元が助け舟を出した。
「野立さんは、部屋で仕事があるみたいよ。電話も何本かかけなきゃいけないって。
今日は私たち下っ端だけで盛り上がろうよ」
そう言って、木元がこっそり絵里子に目配せする。
「・・・あっ、じゃあ、私はもう一回温泉入ってこようかなー。うん、そうしよっと。みんなウルサイ上司抜きで思いっきり楽しんじゃって〜〜」
我ながら声が上ずってわざとらしい気もしたが、ここは木元の好意に甘えてしまおう。
幸い、というかちょっと癪に障るというか、誰にも引き止められず、
「ボス、いってらっしゃーい!」と明るく送り出された。

エレベーターで7階まで上がると、一番端の部屋のドアチャイムを鳴らす。
誰にも見られてないわよね・・・芸能人の密会のようなヒヤヒヤした感覚を抱きながら、絵里子が周囲を見回していると、
「ウェルカムホ〜ム♪」と野立がドアを開けた。
軽い調子を見せていても、なんだかお互いちょっと緊張しているのが分かる。
考えてみれば、一緒に暮らしてはいるものの、外でこんなふうに密会するなんてまずないのだ。

「入れよ」野立に促されて部屋に足を踏み入れた絵里子は、思わず声を上げた。
「何これ!あんた、なんでダブルに泊まってんの?!」
絵里子達のツインルームも広々していて素敵だったが、それとは明らかに格が違うデラックスな部屋だった。
赤味がかった板張りの床と艶のある調度品。旅館の裏に広がる森が見渡せる大きな張り出し窓。
どっしりと存在感のあるキングサイズのベッド。
そして何より驚いたのは、ベッドから真正面に見える位置にある、客室露天風呂だった。
「そりゃぁ、おまえを連れ込むために決まってんだろうが」
「あんたね・・・私が部屋に戻らなかったら、木元が怪しむと思わないの?」
「・・・んー、まあそうなんだけど・・・適当に言いわけ考えりゃいいかと・・・。やっぱマズイか?」
野立がちょっと残念そうな顔をするので、絵里子はふっと笑った。
331ときめきの?慰安旅行(6):2011/07/28(木) 01:10:41.85 ID:+tdBkBoZ

「木元、気づいてるわよ。私たちのこと」
「・・・・うそだろ?」
「ほんと。たぶん他のみんなも気づいてるって。でも、少なくとも木元は応援してくれるって言ってた。
私があんたの部屋に来れたのも、木元が協力してくれたからよ」
「・・・そっか・・・道理で・・・。おかしいな、俺たち完璧な演技だったのに」
「でしょー?!不思議でしょうがないのよ」
首をかしげながらも、絵里子は部屋の真ん中へと進み、湯気を立てている露天風呂を見下ろした。
「ベッドの目の前にコレって・・・。あんたやっぱりいやらしいわ」
絵里子が顔を赤らめながら睨むと、野立がニヤニヤと笑みを返した。
「バレてるなら、いまさら遠慮する必要もねーな。じゃあ、さっそく」
そう言いながら野立が絵里子の体を後ろから抱き寄せた。

調子のいい口調とは裏腹に、野立は切羽詰まったように抱きしめてくる。
その力強さに戸惑って振り返ろうとすると、野立がふさぎ込むように絵里子の唇をむさぼってきた。

「・・・ちょっ・・・・そんな、慌てないで・・・」
野立の激しく獰猛なキスに、絵里子が苦しげに抗議すると、逆に野立の腕に力が入った。
「朝からずっと我慢してんだぞ。もう待てねーよ」
野立の髭が絵里子の顎をチクチク刺す。熱く熟れたような唇に飲み込まれそうになる。
絵里子は膝から力が抜けていくのを感じた。

荒々しくも溶け合うようなキスが続き、舌が絡みまりあっては吸い合う。
絵里子もいつしか夢中になってキスを返し、野立の腕に爪を立てていた。
野立が唇を重ねながら、右手を絵里子の浴衣の胸元に忍び込ませ、火照った肌を撫で回した。
そのままブラの中に手が差し入れられ、薬指と小指が胸の先端を優しくいじる。
「もう立ってる。エッチだな、絵里子」
指先の刺激と野立の声に、絵里子は思わず熱い息を漏らした。
指で蕾を転がされるたび、体がピクンと反り返りそうになる。

浴衣の帯がシュルッと音を立てて解かれ、前がはだけた。
野立の長い指が、薄手のショーツの上から絵里子の中心をソロリと撫で、くにゅくにゅとうごめいた。
絵里子はしなるように体を反らせ、思わず「あっ・・・」と声を上げた。
反応を確かめるように絵里子の表情を覗き込みながら、野立は円を描くように絵里子の敏感な部分をショーツ越しに愛でる。

「・・・や・・ズルイ・・・」
絵里子は自分ばかり乱れるのが恥ずかしくて、野立の浴衣の帯を握ると、お返しにキュッと引っ張って浴衣をはだけさせた。
野立の黒い下着は、既に大きく膨らみ始めている。
絵里子は立っているのが辛くなって、少しよろめいた。
野立が板張りの床の上に絵里子を座らせ、自分も膝をついた姿勢で左手で絵里子の背中を支える。
慣れた手付きで背中のホックが外され、ゆるんだブラの下から野立の手が絵里子の胸を柔らかく包みこんだ。
野立はわざとゆっくりと乳房を愛撫する。そのほうが絵里子が感じやすいことをよく知っているからだ。
332ときめきの?慰安旅行(7):2011/07/28(木) 01:17:34.87 ID:+tdBkBoZ

野立の掌が、いつになく熱い。
包まれた乳房が跳ねるように踊り、既に固く尖っている蕾が、野立の指の腹でなぶるように転がされ、ますます紅く尖る。
絵里子はたまらなくなって、野立の股間に手を伸ばしてその形をなぞった。
すると、野立が絵里子の手をギュッと掴んで止めた。

怪訝に思って絵里子が見上げると、野立が甘い瞳で見下ろしていた。
「絵里子、脱いで、風呂入るとこ見せろよ」
「・・・しょっちゅう、一緒に入ってるじゃない・・・」
「ここで見たいんだよ。だからこの部屋にしたんだ」
視線の先に、白い湯気を立てる露天風呂が見える。その向こうのガラス越しに、夜の森が広がっていた。

こういうとき、絵里子はいつもの気の強さをすっかり放棄してしまう。
二人でもっと気持ちよくなるために、野立の低い声に操られるように、いくらでもいやらしい女になろうとしてしまう。
絵里子ははだけた浴衣を脱ぎ捨てると、肩に引っ掛かっていたブラをするりと落とした。
一度野立に背中を向けた姿勢になり、濡れた染みがはっきりと分かるショーツをゆっくり引き降ろした。
床に腰掛けたままの野立が、絵里子の白いヒップをじっと見つめているのが気配で分かる。

絵里子は静かに風呂に近付くと、爪先で湯の熱さを確かめた。案外ぬるめのようだ。
野立のほうを振り返りながら、にごり湯の中に静かに腰を下ろす。
体をじんわりととろみのある湯が包みこみ、絵里子は知らず深い息をついていた。

ふと野立を見ると、意外にも優しい顔で微笑んで絵里子を見つめている。
「なんで笑ってるの?」拍子抜けした気分で尋ねると、野立が言った。
「・・・なんか、幸せだなって思ってさ」
そう言ってまた微笑む野立の顔は本当に幸福そうで、なぜか急に絵里子は今までの二人の時間、出会った頃から今に至るまでの長い長い時間に思いを馳せた。
この瞬間ほど、野立の自分への想いの深さ、その長さを実感したことはないかもしれない。
絵里子の胸が、自分でも驚くほど熱くなった。

絵里子は野立に向かって手を伸ばした。
「早くこっち来て。淋しいよ」
淋しいという言葉を、男に向かって言ったのは初めてだと絵里子は気づいた。
野立は立ち上がると、浴衣も下着も手早く脱ぎ捨てて絵里子に近付いてきた。
野立のモノは既にかなり大きくなっていて、絵里子は見ているだけで欲情しそうだった。

野立が風呂の中に入ってきて、滑らかな湯に押されるように絵里子の体を抱き寄せた。
濡れた体の感触が心地良い。野立の膝の上に絵里子がまたがるように腰を下ろし、そっと体を密着させる。
その体勢で優しく野立にキスをした。絵里子はもっと分からせたいと思った。
絵里子が今、どれほど野立を求めているか、もっともっと分からせたかった。

野立の首に手を回し、キスをさらに深くする。
舌を吸い上げるように絡ませ、唇をエロチックにむさぼる。
野立が絵里子の胸を揉みながら、荒い息を吐いた。
絵里子は嬉しくなって、野立のモノを右手で掴んだ。

指先と掌全体を使って、固くなった野立自身を強めに愛撫すると、野立が低く呻く。
まぶたが少し重たそうになって、唇が少し開く。野立のいつものクセだ。
先端を指で撫で回すと、野立が「んん・・・。絵里子・・・」と、呻くように声を出す。
絵里子は腰の位置をずらし、野立の股間に自分の秘部をそっと押し当てた。

湯の中でも、十分ヌルヌルと濡れているのが自分で分かる。
野立が絵里子の柔かな窪みに手を伸ばし、そのあふれ出した蜜を確かめた。
「もうこんなになってるぞ。絵里子のエッチな汁だ」
意地悪く笑う野立の首筋に噛み付いた。
いつものお返しに、今日は私が痕をつけてやろう。
333ときめきの?慰安旅行(8):2011/07/28(木) 01:21:28.30 ID:+tdBkBoZ

野立の中指が絵里子の敏感にふくらんだ芽を細やかに愛撫し続ける。
指先は時折、窪みの中へと差し込まれ、内側の肉を優しく刺激しては絵里子の身を震わせる。
湯気の中で、絵里子が身をよじった。
野立の両手が再び絵里子の乳房に戻ると、その揉みしだく手の動きにあわせるように、絵里子はぬるついた秘部をさらに強く野立のモノに押し付けた。

そろそろと腰を下ろしながら、少しだけ野立自身を絵里子の中に招き入れる。
先っぽだけ入った状態で、腰をソフトに動かしてみると、互いの口から掠れた声が漏れた。

しばらくそうして温かい湯の中で繋がりながら愛撫しあっていたが、とうとう野立が吐息交じりの声で訴えた。
「絵里子。ベッドに行こう」
絵里子が目を閉じたまま頷くと、野立は勢いよく風呂から立ち上がった。
絵里子の体を引き上げ、側にたたんで置いてあったバスタオルで絵里子の体をざっと拭いてくれる。
同じタオルで自身の体も荒っぽく拭くと、野立はタオルを放り投げて絵里子の手を取ってベッドに向かった。

オレンジ色の照明が灯された大きなベッドに倒れこむと、野立が覆いかぶさるように肌を重ねてきた。
背中に回された手に力強く抱きしめられ、熱く湿った体が吸い付くように絡まりあう。
唾液なのか水滴なのか分からない、濡れたキスが長く続き、絵里子の意識がぼんやりしてきた。
野立の固く立ち上がったモノが、絵里子のねっとりと濡れた脚の間を何度も滑るように行き来する。
そのたびにクチュックチュッと音が響き、絵里子の入口の部分が柔らかくほどけていく。

絵里子は野立の両手を握ると、自分の胸の膨らみへと誘った。
この手で包まれると、たまらなく気持ちがいい。
野立は掌と指先をゆったりと這わせながら、絵里子の白い乳房を執拗に揉みしだき、
充血したように尖った先端を唾液まみれにしながらしゃぶった。
指先で蕾をクリクリといじっては、唇と舌で激しく吸われ、転がされる。
絵里子は両脚をすり合わせるように、身をよじらせた。

野立の手が絵里子の股間に伸び、確かめるように、ふくらんだ芽と窪みに触れた。
野立が強弱をつけて、そのヌルヌルとした感触を味わっている。
絵里子はもう我慢できなくなった。

野立が一気に挿入する。
絵里子は「はぁっ・・・」と胸をのけぞらせた。
野立は絵里子の耳に舌を差し入れて舐めまわしながら、ピンと立った絵里子の乳首を掌でそっとかすめるように転がしてくる。
ゆっくりと丹念に、絵里子が感じやすいように突いて来る野立の動きに、絵里子は自分が全身でこの男に愛されていることを改めて実感した。
もう離れられない。絵里子はそんな思いで野立の唇に吸い付いた。

絵里子の感じている顔を愛おしげに見下ろしながら、野立の腰の動きが徐々にスピードを上げていく。
絵里子の中に波が押し寄せてきた。
野立の熱い塊が、ぐじゅぐじゅと音を立てて激しく絵里子の中で上下する。
絵里子はついに自分をコントロールできなくなり、野立の首筋にしがみついた。
「・・・あっ・・・!くる・・・!」
「イクか?一緒にイクぞ、絵里子・・・!」
野立が一気にスパートをかけ、ガクガクと震える絵里子の体内に思い切り液体を解き放った。
「ああぁ・・・・!」
強く抱きしめあったまま、絵里子は自分の中が野立で満たされるのを感じて、果てた。
334ときめきの?慰安旅行(9):2011/07/28(木) 01:24:12.65 ID:+tdBkBoZ

乱れた息のまま、野立がけだるい笑みを浮かべて絵里子の髪を撫でる。
絵里子もまだ時折体が震える状態で、野立の首筋に顔を埋めた。

野立の汗の匂い。これが好き。
なんでかな、ここが自分の居場所のような気持ちになる匂い。
そんなふうにぼんやり考えていると、珍しく野立が先に寝息を立て始めた。
そっか。野立はほとんど寝てないんだった。

寝不足のまま長距離を運転して、英語の講演に集中し、今こうして絵里子を抱いて。
「さすがにガス欠よね」絵里子は一人、笑みを浮かべた。
「いっぱい眠ってね」野立の頬にそっとくちづけると、絵里子も野立の肩にもたれるようにして目を閉じた。
半分寝ぼけているのか、野立がモゴモゴ言いながら、絵里子の腰のあたりに腕を伸ばして抱き寄せ、そのまま二人は眠りに落ちていった。

翌朝。すっかり寝過ごした二人はドアチャイムの音に慌てて飛び起きた。
「げっ。もう9時半かよ。参ったな」
「やだ、どうしよう!もっと早く木元の部屋に戻るつもりだったのに・・・!」
ベッドの中で頭を抱える絵里子に、ちょっと待てと合図しながら、野立が浴衣を引っ掛けてそっとドアを開けに行く。
恐る恐る細めにドアを開けると、誰もいない。
ふと足元を見ると、ドアの前に絵里子の旅行鞄が置いてあった。
木元の字で
『私たちは片桐さんの車で先に帰ります。お二人はごゆっくり♪』
と書かれたメモが貼り付けてあった。
野立はそのメモを絵里子に見せると、ちょっとエッチな顔で、露天風呂を親指で示しつつ言った。
「帰る前に、もう一回入るか?」

遅いチェックアウトを済ませた二人は、部下達が先に帰ったことで開放的な気分になり、安心して寄り添いながら駐車場に向かった。
眩しいほど晴れた日で、絵里子は野立と手をつなぎながら、
「ね、来るときアウトレットの前通ったじゃない?あそこ寄りたい」とねだる。
「お、いいな。昼飯にもちょうどいい時間だしな」
普通のカップルらしいデートができそうだと、絵里子がウキウキしながら助手席のドアを開けようとすると、
背後に何やら陰気な空気を感じ取った。野立も何かを察知して、怪訝な顔で振り返る。

嫌な予感の源は、頭の寂しい中年男の泣き顔だった。
野立の車の陰から亡霊のように姿を現す。
「ボ、ボス〜〜〜!ボク、みんなに置いてかれちゃいました〜〜!」
絵里子と野立は愕然として立ち尽くした。まるで死神のような山村のイジケ顔。
「飲みすぎて二日酔いで起きれなくて・・・みんなヒドイや・・・」
絵里子と野立は、やれやれと顔を見合わせて苦笑いした。ま、仕方ないか。
「ヤマムー、後ろ乗って。アダルトチームで帰ろうぜ」
野立が運転席に乗り込みながら言うと、山村が目を輝かせ、いそいそと後部座席に座った。

白い四駆が颯爽と走りだす。
色恋に縁のない山村なら、絵里子と野立の昨夜の情事など気づきはしないだろう。
二人がそう思って気を緩めていると、信号で停車したタイミングで山村がボソッと言った。
「ボス、野立さんの部屋ってどんなでした?やっぱりボクたちより豪華だったのかなぁ。
ベッドとか大きいんだろうなぁ・・・」
野立が突然咳き込み、絵里子は開封したばかりのM&Mの袋の中身をぶちまけた。
ぐふぐふっと不気味な笑いを浮かべて一人で妄想している中年男の姿に、絵里子はゾーッと身震いした。
おっさん、侮れない・・・・。

3人の東京までのドライブは、途轍もなく長く感じられたのだった。

                                   END    
335名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 01:27:39.78 ID:+tdBkBoZ
おしまいです。ほんっとに呆れるほど無駄に長くて、つまらなくて申し訳ありません。。
スレ汚しで大変ご迷惑おかけしました。

315さんの後編、首を長くして待ってます!失礼しました&ありがとうございました!
336名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 01:36:22.23 ID:is60mwSb
>>335
待ってた!待ってました!
ありがとぉぉおおおお!!
対策室メンバーがいい味だしてるし野絵が可愛いすぎてエロすぎて堪らん。
あなたの文章大好きです。
337名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 02:09:36.08 ID:FlTVQi7U
毎度毎度素晴らしいです!
GJ
338名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 05:57:30.08 ID:WQ691qC3
>>335
ありがとう!
朝から楽しませてもらいました!!
木元と山村さん、めっちゃよいです〜〜〜。

ごちそうさまでした!
339名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 07:24:59.19 ID:ZAOjpm79
ごちそうサマンサタ〜バサ
340名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 08:49:59.67 ID:leUggJu3
毎度素晴らしい!ありがとう!
対策室メンバーが、容易に脳内で映像化されて動くよw

切ない野絵もいい!
後編待ってます!!
341名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 10:11:58.40 ID:0Jg8kSth
>>315
あまりの切なさに泣きそうになりながら読んでたら
突然の生殺し状態に思わず声だして笑ってしまった
後編!後編!

>>335
あなたの文章大好きです
今回も萌えたわ〜
342名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 20:18:27.30 ID:UDZxp57Q
久々に来たらたくさん投下されてるううう!!
どれも素晴らしい作品ばかりで読むのが楽しいです

余計な事かもと思ったのですが目次作ってみました
タイトルがあるもの
・コースアウト >>18->>28
・再生 >>48->>57
・岩井の気持ち >>269->>276
・ぎゅっと >>310->>314

・崩れた三角関係 >>35->>39
・合鍵の眠り姫 >149>->>155
・バスルームの秘めごと >>201->>208
・お引っ越し >>249->>255
・ときめきの?慰安旅行 >>326->>334

・Double Tap >>64->>82
・Double Tap(絵里子編) >>88->>98

・ナースコールは後にして >>129->>135
・対策室で抱きしめて >>164->>177

・無題 森岡サイド >>217->>221
・無題 野立サイド >>222->>225
・無題 絵里子サイド >>231->>234
343名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 20:20:06.50 ID:UDZxp57Q
無題のもの
>>8
>>10
・>>14->>15
・>>118->>119
・>>125->>126
・>>186->>190
・>>286->>291

です。
本当に余計だったらスミマセン
344名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 20:22:33.06 ID:UDZxp57Q
う、後ろの>>いらなかったですね…
ごめんなさい。
345名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 21:00:38.75 ID:mrbq9VFu
342さん、ちゃんと作者別に分類してくださって、ありがとう!
分かりやすいです。助かります!
346名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 21:10:45.02 ID:0jLvvCpt
読んでくださった方、続きをと書いてくださった方、
あんな暗い文にありがとございます。

>>335さんの野絵が大好きすぎてしょうがありません、
しかも片木なのがまたっ・・・・・
自分も以前書いたものにそこはかとなく片木を匂わしていたので
(最も自分の場合は気付かれないという大失敗で終わりましたが)
かなり嬉しかったです。

>>322さん設定ありがとうございましたっ
どうやったら絵里子は自分の気持ちに気が付くんだろうと妄想して楽しかったです。

最初は本当に前編しかなかった上に後編は後編でひっどい感じなので迷っていたんですが、
しかも>>335さんみたいな方の後でちょっともう投下できないと思ったんですが、
思えば後編を投下しないと題名の意味がない・・・・
という事にようやく気が付いたのと、勢いがなければもう投下できないと思ったので
生き恥を晒しにきました。

えー・・・・っと、うだうだ言い訳してしまいましたが、もしよければどぞ。
347名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 21:10:52.79 ID:Wbe7dzyM
>>342
助かるなー!読み返しやすくなる
ありがとう、GJ!
348ぎゅっと・後編(1):2011/07/28(木) 21:16:46.33 ID:0jLvvCpt

野立はまだ起きてくる気配はない。

家で飲みにして正解だったわ、今日は寝かせておこう。
勝手に唇を重ねてしまった手前、起きてこられても気まずいし、どう話していいかもわからない。

飲み直す事にした絵里子がリビングに戻り、残ったワインをグラスに注ぐ、
野立の家だが勝手にTVをつけ、独りの空間を埋める。
普段なら大笑いで観るバラエティ番組も今は気が乗らず、相手が起きないようボリュームを下げた。


ほどなくして次の番組が始まると、野立が起きてきた
先ほどの事は当然だが黙っておこう、心に決め、平静を装う。

「あれ、起きたんだ?」

「あぁ、わりぃ酔っぱらっちまった」

「いいよ〜珍しいじゃん?あんたの方が先につぶれるなんて」

「ホントなぁ?絵里子の前でつぶれるなんざ、冗談じゃねぇよ」

「浮かれてる証拠だね」

「かもなぁ〜」

つきんと胸が痛む。
そんな絵里子には気付く様子もなく、ソファに座る絵里子の隣を陣取ると自分はカクテルの缶を開け、飲みはじめる野立、
ぬるかったのか、一度席を立つとグラスに氷を入れ持ってきた。

「美味しい?」

「ん〜?甘い」

「あんまり飲まないもんね、そういうの」

「台風は?」

「ちょっと風が強いくらいよ、でも今回はすごいみたい」

「なぁ、絵里子」

「ん?」

「1分だけ、俺に時間頂戴って言ったらくれる?」

「え?」

「1分だけでいいから」

「よくわかんないけど・・・」

「いいじゃん、1分だけ」

「・・・・まぁ、1分だけなら」

いいよ、と言わないうちに唇を奪われていた。
先ほど自分がしたキスとは圧倒的に違う
舌が絡み合うような深さがあるわけじゃない、それなのに熱いキスだった。
349ぎゅっと・後編(2):2011/07/28(木) 21:20:02.02 ID:0jLvvCpt

「ん・・ぁ・・・・・・・・・」

びっくりしたという事もある、しかし何してんのよと突き飛ばす事はできた筈だった。
それなのになぜかそれをせずに受け入れてしまう
自然に目を閉じ、唇が少し開かれる。

「あと30秒だけでいい、俺にくれ」

唇がほんの数ミリ離され囁かれると同時にまた角度を変えて唇が合わさった。
少しできた空間から舌が入り込んでくる、
先ほどしたキスの後ろめたさで腕をほどけないのだと自分自身に言い訳をした。

熱く、濃いキスに力が抜ける。
唇で唇が食まれるような、頬を撫でられながらうっとりするような

そのキスの正確な時間の経過などわからないが、
雰囲気も唇の動きもどんどん濃密になり、絵里子も夢中になる

と、唐突に唇が離された。

先を期待しなかったと言えば嘘になる、
言葉にしなくてもわかる空気だとそう思った、しかし

「1分経ったな」

「え・・・・・・」

「さんきゅうな」

それだけ言って、野立はまた平然と飲みに戻った。


なによ、なんなのよ。


頭がついていかない、
最初で最後と決めた筈のキスを上書きさた上に
こんな風に遊ばれて、もうどうしていいのかわからない
自分がこんなに胸が痛いのに、この男は全く気にもしていない

苦しくて、悲しくて、こんな感情は今だけにしたい
早く気楽に話せる同期に戻りたい。

だから、


「ねえ、野立」

「ん?」

「今晩だけ、私に頂戴。」

「え?」

「今晩だけでいいから」

そうしたらきっと明日は笑っているから。
いつもの同期に戻っているから。
350ぎゅっと・後編(3):2011/07/28(木) 21:21:49.03 ID:0jLvvCpt

さっきは自分からキスしてきたくせに、戸惑う野立の唇を乱暴に奪う。
反射的に逃げた野立の服を掴みキスを続けると
その勢いに意図を酌んだのか、一瞬は引いた野立も私の動きに合わせてしかけてくる。

動いたのがどちらが先かはわからないが、
勢いのまま自然にソファからベッドへと移動した。


野立に借りていた部屋着をすぽんと脱がされ、ショーツ1枚という姿でベッドに横たわる。
脚と脚の間に体を置いた相手はまだ何も脱いでいない
そんな自分だけの痴態に恥ずかしいと思う間もなく、首筋に痛みが走った。

きっと普段なら跡をつけられる事に抵抗を感じるのに、今はそれが嬉しい。
少しでも長く残ればいい、そう願ってしまう。

露わになっていた胸に息がかかる、
ためらっているのだろうか?じっと眺められて思わず野立から視線を外した。
そんなに大きくない事は自分だってわかってるが、
無言で眺めれると言葉のない空間が苦しくなる。

「き、綺麗だからってそんなに見つめないでよ・・・」

野立が少し目線を上げたようだ
しかし恥ずかしさも後ろめたさもあってこちらからは見返せない。

「絵里子の胸なんだなって思って」

しゃべる度に胸を息が愛撫していく。
その感触だけで下腹部の奥にきゅっとした刺激が走り、もぞりと脚が動く。

やっと野立の舌が胸の先をかすめた。
一度、二度と舐め、それから口に含み
こりっと固くなったそれを歯で優しく噛むと揉みこむように吸い上げる。

反対側の胸にはいつのまにか手が置かれ、揉まれていた
ぞくぞくと体に刺激が襲い上ずった声が漏れる。
久しぶりの刺激につらくなり、ちょっと待ってと訴えても止めてもらえない。

野立の唇が下へと移動していくのがわかり、
ショーツ越しに濡れているのがばれてしまうのではと気が気じゃなくなる。
色々な処にあとをつけられ、とうとう下半身までくると体が逃げようとする絵里子の脚を野立の腕ががしっと固定した。

見た目でも滴っているのがわかったのだろう、野立が嬉しそうに鼻先を押し付ける。
ぐりぐりと突起を刺激され、より一層蜜があふれ出る。
外側だけの愛撫に奥が疼き、腰がくねるとようやくショーツが外され、直接舌で愛撫された。

髭が外側のひだもなぶってくる、
舌が中に入ってくる感触がして、でもその柔らかさがじれったい。

はしたないと思いながらも、野立に「もう、頂戴・・・?」と懇願する自分がいる。
やっと自身も裸になった野立が絵里子ににやりと笑うと、絵里子の脚と脚の間に体を置いたまま体を引き上げ、目を合わせてきた。

その目に見つめられながら絵里子は不思議な感覚に陥る。
351ぎゅっと・後編(4):2011/07/28(木) 21:24:28.66 ID:0jLvvCpt

自分から誘っておいてなんだが、
野立が欲情するなんて思ってもいなかった。
自分が女として見られていないと思っていたし、
胸を揉まれ、太ももにこすり付けられる明らかに増していく熱量があるなんて想像もしなかった。

膝を持たれ、ぐちゅっと2人のものが合わさる。
想像より大きく熱いモノが絵里子を貫こうと入り口を押し広げた、
しかし、久しぶりに男性を受け入れる絵里子が少し痛みを感じるとぴたっと止まり、様子を伺っている。
気遣わしげな野立の目に悲しくなった。

できないかもしれないという悲しさではない、
最後だというのに、思い切りしてもらえない事が悲しい


野立の腰に脚を絡め、先を促す。
その脚の力に意思を感じとったのか、ためらいながらもぐぐぐっと割って入ってきた。

痛くてもよかった、
いや、痛くして欲しいと思った。

私に傷を残してほしい、
あなたの心に何か残して欲しい。
ここまできてやっとわかった、


私は野立が好きだったんだ。


こんなことになるまでわからなかった、この苦しさの意味が。
どうして今まで気付かなかったんだろう。

野立が女の子と合コンする度にイライラしてたわけも
敢えて女性との交際について突っ込まない自分の気持ちも、これで腑に落ちる。

でも、

それでも、

これで最後なのだ。
こんな風に触れ合う事も、キスする事もない。


中を慣らすように全面を順にこすられ、弱いところを探られる。
時折先端が奥に当たり、余計に声が上がる。

痛みはまだ残っていたが、段々と気持ちよさがまさっていく。
自らも腰を振っている事実に気が付き、野立にこんな姿を見せてしまっている事に今更ながら恥ずかしさを覚えた。


今、自分を抱いているのは野立なのだ


今日の朝には考えもしなかった
あの野立と裸で抱き合い、そしてこんなに淫らに交わるなんて。
352ぎゅっと・後編(5):2011/07/28(木) 21:27:23.27 ID:0jLvvCpt

互いの荒い息と嬌声が混じり、呼吸ですら絵里子を煽る
腰をグラインドさせながら振っていた野立が汗が滴る顔を寄せ、耳元で「絵里子」と囁いた。
いつの間にか呼ばれるようになった下の名前、
慣れている筈のその低い声に腰が砕けて、ぎゅっと抱き着く。

思わず心の中に生まれた言葉がこぼれないように、
野立の頬に耳に首筋に何度も何度もキスをした。


好き、好きよ野立。


言葉を飲み込む度に胸が張り裂けそうになる。
快感と痛みが同時に襲い掛かり、知らないうちに涙がこぼれた。

その涙をどう受け取ったのか、野立が涙を舌で拭う。
そんな男にキスをねだると今までが嘘みたいに優しく啄ばまれた。


もっと早く気付いていたらなにか変っていただろうか?

いくらでもチャンスはあったじゃない、
気付くチャンスも、前に進むチャンスも。

それでも時は巻き戻せない、私たちは明日になったら同期に戻るのだから。


ぐっと奥に疼く波が押し寄せ絶頂が近い事を伝えてくる
終わらせたくないという思いとは裏腹に快感が全身を伝い、導かれる。
上がった悲鳴と連動するように中がしまり、野立も低く呻いて果てた。

しばらく無言で絡み合ったままでいたが、
息がある程度整うと、絡みついていた野立の腕を優しく払い、絵里子はベッドを降り立つ。
後ろで避妊具の後始末をしている男を感じながら、その男が着ていたワイシャツを羽織る。


「どの子?」

先ほどまで見て見ぬふりをしていた、積み重ねられたお見合し写真の1つを手に取る。
添えられていた簡単な身上書を見ると絵里子より20歳近く若く、可愛い子だった。
この子だろうか?それともその下にある、すらっとした美女だろうか。
涙だけは絶対に見せない、後ろを向き声には出さないように、そっと拭った。
353ぎゅっと・後編(6):2011/07/28(木) 21:34:29.08 ID:0jLvvCpt

「んー・・・・・・・・?」

「お見合いの子、この中にいるんじゃないの?」

「んぁー・・・知らないけど・・・・」

「知らないって何言ってるのよ、まだ酔ってるの?」

「全員とさせるわよって脅されたなぁ、そういや」

満足したのはわかるが、ろくに答えない男に憤りを覚える。
よくわからない事をもごもごと話す男に根気強く再度話かけた

「ちょっと、ちゃんと起きてよ、何言ってるかわかんないんだけど」

「どうせそんなん建前だし、俺がわがままなの知ってるし」

「・・・・なによ、どういう事よ」

「あぁ、勘違いしてるっぽいから一応言っておくけど、俺がするのはお見合いだよ?」

「そうよ、お見合いでしょ?」

「うん、お見合い」

「それが?」

「・・・・お見合いって、意味わかってるか?」

「わかってるわよ、私だってあんたのせいでしたんだから」

「・・・・じゃぁわかるだろ?」

「なにが」

「だからさ・・・・いや、お前わざとか?」

「・・・・・は・・?」

「わざとわからないふりしてるんじゃないよな?」

「どういう意味よ」

「なんでお前は仕事はできるのにこういう事はからっきしなんだよ」

「何言ってんだか全然わかんないんだけど」

「・・・・お前さ、あいつらに・・・どうせあいつらだろ?話したの。あいつらにどんな風に聞いたんだよ?」

「だから年貢の納め時だからお見合いするって」

「そう、お見合いする。」

「式場も決まってるって」

「何の式場だよ、お見合いする場所は決まってるけど」

相手は誰だか知らないと、絡み合って落としたタオルケットを体にかけて、本格的に寝ようとする男。
354ぎゅっと・後編(7):2011/07/28(木) 21:37:34.17 ID:0jLvvCpt

「はぁ?ちょっと、寝るんじゃないわよ、どういう事よっ」

「んだよ・・・だからーお見合いの話とかいっぱいあったの、俺だって。」

「そりゃそうでしょうよ、昔は車にもお見合い写真があったじゃない」

そんなのは実際に見ていなくたってわかりそうなものだ。
キャリアの将来有望で見た目もいい独身男を親戚じゃなくたって放っておかないだろう。

「面倒くさくてさ、最近は写真を受け取るのも断ってきたの
結婚する気もないのにお見合いなんてマナー違反だろう?
ただ今回は40過ぎてさすがに全部は断れなくて一応「じゃぁ会いましょうか」って
それでお役御免だよ、向こうは「会えば気が変わるかも!」って少しは期待してるみたいだけど、俺そんな気ないし」

「なによ、そんな気ないってどういう事よっ」

「結婚なんかしねぇって事だろう、わかれよー」

「・・・・・はぃ・・・?」

眠気からなのかちょっと不機嫌に幼くしゃべる男を思わず見つめる。

「まぁ、絵里子ってば勘違いしてるな〜とは思ってたんだけど、うん」

眠いよ、とりあえず寝ない?
と言ってくる男にソファにあったクッションを投げつけ、起こさせる。

「どういう事よっ!!」

「いって、怒んなよこえーなー勘違いしたのはお前だろぉ?」

そりゃそうだけど、じゃぁどうすんのよこの状況。
私、ワイシャツ1枚で裸なんですけど、ん?いや違ったそういう事じゃない。

「でもまさか寝てたらキスされるだなんて、びっくりした」

・・・・・・ちょ、ちょっとまってよ!!

「お、起きてたの!?」

「おう、起きてた起きてた、唇さわ〜って撫でられて起きた」

その前にはなんかした?無邪気に聞いてくる男が憎い、
今更だけれど、首を絞めたくなる。

「深刻そうにしてるからどうしようかなとは思ったんだけどさ、
ほら、そのままの方が進みやすいかなと思って、あはははははっ」

笑ってんじゃないわよ、どうしてくれんのよ。

「いや、もう、なんだろう、俺は感激だよ絵里子、先にお前から動いてくれるなんて」

しんじろ感激っ。ってバカじゃないの、バカなの?
こ、こんな男に・・・・・く、くそう・・・・・・・・・・・・・
355ぎゅっと・後編(8):2011/07/28(木) 21:41:53.72 ID:0jLvvCpt

「でも絵里子、わかっただろ?俺しかいないって」

うぅ、悔しいけど気付いてしまったからには言い返せない。
手でおいでおいでされ、無意識にベッドに近づくとそのまま引っ張り込まれた。
ぎゅっと抱きしめられ、なんだか無性に悔しくなる。

「やめてよ、バカっ」

悔しくて泣けてきて、胸をどんどん叩く。
バカ、野立のバカ。

より一層ぎゅっと抱きしめられて、胸に顔をうずめた。


ねぇ、自惚れてもいいの?
あなたが私を好きだって、そう思ってもいいの?

「明日、お見合いの前に断りの電話入れないと、ひっどい男だね、俺。ドタキャンだもん」

また親に怒られるな。なんて呟く男が妙に愛しく見えるから不思議だ。
と、もぞもぞ動く手を感じた。

「ちょ、ちょっと?」

「続き、つづき。」

「続きって」

「だってさっきは妙におセンチだっただろ?
次は思いっきり幸せに感じさせるから、ほらほら、続きつづき。」

「あんたちょっと、どんだけ元気なのよ!?眠いって言ってたじゃない!!
あっ、やん・・・ちょっと・・・・・」

「眠いの覚めた、絵里子とちゅーしてえっちしたい」

うちゅーとふざけながら、でも濃いキスをしてくる。
舌が絡みあって、それが幸せでどんどん激しくなっていく。


確かに幸せかもしれないけど、明日起きれるかしら、私。


後日.

「野立さん、結局お見合いしなかったみたいですね、BOSS」

「そうね〜・・・・・・」

「それにしても野立さん、最近お肌つるっつるですよね、BOSS」

「よかったわねぇ・・・・・・」

「それに引き替え、疲れてますね、BOSS」

「うぅ・・・・・・・・・・・」


END
356名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 21:54:14.67 ID:0jLvvCpt
以上です、
うん、もう色々すみません。

切ないままで終われない性分で、エロも微妙で読みづらさ満点ですみません。
でもいつか以前の続きや、野絵な片木を書けたら生き恥を晒しにまいりますので、
大丈夫な方だけでもお付き合いいただけたら嬉しいです。

まとめてくださった方の流れをぶった切ってすみませんでした、
駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ
357名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 21:59:40.70 ID:WQ691qC3
>>356
きゃぁぁっ!
待ってましたよぉ!

ありがとうございました!
すんごく切なくて、でも、最後はいつものふたりで。
堪能させてもらいました。ごちそうさまでした☆
358名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 22:09:45.33 ID:63Re55M1
>>356
途中の絵里子の心情が切なくて
リアルに涙ぐみました。
しかし読み終えた頃には良かったぁーととっても幸せな気分になりました
本当にありがとう!!
359名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 22:12:21.39 ID:leUggJu3
ありがとぉぉぉ!
切なかったぶん、幸せ感倍増でしたw
絵里子かわいいなぁ…
これからもどんどん書いて下さいね!
360名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 22:45:58.17 ID:63Re55M1
そして>>342さんもありがとう
361名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 22:55:22.35 ID:qMJXFx8f
みなさん
ありがとうございました!!

楽しく読ませていただきました。
362名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 23:33:36.27 ID:mrbq9VFu
やったー!素晴らしい後編ありがとうございます!
ちなみに私335なんですが、こちらこそ流れぶった切って乱入しちゃって本当にすみませんでした。

読んでてせつなくてマジ泣き→笑ってHAPPYなエンディングで、
すごく良かったです!
またお待ちしてますね。

ここの皆さん、本当にありがとうございます☆
363名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 07:44:16.38 ID:di3jZyoV
後編投下ありがとう
切・エロ・甘のバランス最高!!
気が向いた時に野立サイドを是非ともお願いしたい
364名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 08:50:17.22 ID:RI9m+RKy
>>363
いいですね! 野立サイド。
私も読みたいです!
365名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 15:47:54.20 ID:CC9RGTPD
・コースアウト >>18-28
・再生 >>48-57
・岩井の気持ち >>269-276

・崩れた三角関係 >>35-39
・合鍵の眠り姫 >>149-155
・バスルームの秘めごと >>201-208
・お引っ越し >>249-255
・ときめきの?慰安旅行 >>326-334

・Double Tap >>64-82
・Double Tap(絵里子編) >>88-98

・ナースコールは後にして>>129-135
・対策室で抱きしめて >>164-177

・無題 森岡サイド >>217-221
・無題 野立サイド >>222-225
・無題 絵里子サイド >>231-234

・ぎゅっと(前半) >>310-314
・ぎゅっと(後半) >>348-355


こうですね。何度もすみません。
必要であれば700〜800あたりでまたまとめます。
私も野立サイド読んでみたいです!
366名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 16:45:31.92 ID:RI9m+RKy
>>365
ありがとうございます!
読みたい作品が一目でわかるのが嬉しい。
タイトルだけ見ても、名作ぞろいですね〜〜。
367名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 20:17:18.33 ID:bW77CsfR
>>356
絵里子の描写が読んでいて泣けました。
会話の空気がすごく好きです。

ぎゅっと切なくなる分ラスト笑顔になっちゃいますね。
素敵な萌えをありがとうございます。
絵里子視点良いですね。

>>365
わー!とっても見やすく遡りやすくなって嬉しいです。
ありがとうございます!
368名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 21:07:43.64 ID:2csgnXjX
まとめてくださった方ありがとうございます。


そして「ぎゅっと」の野立編をと言ってくださった方もありがとうございます。

どうして書いてあることがわかるんだろうと不思議にw
ただ、当初ものすごく明るいイメージだったものが
なぜか聴いていた音楽に流されたのか、まぁ暗いモノになってしまいまして。

なんでこうなったんだろうと首をかしげている上に
自分の中の野立像と違うなぁというのも正直なところで。

もっともいつも言える事なんですが、
「こんなん野絵じゃねぇよ!!」的なものでございます・・・・
それでもよろしければ、どぞ・・・・・
369ぎゅっと・野立編(1):2011/07/29(金) 21:10:45.23 ID:2csgnXjX

お見合いなんて冗談じゃない。


ずっとそう思ってきたし、
結婚する気もないならお見合いもすべきじゃない、だから断り続けてきた。


どんなに可愛い子と遊んでも、
どんなに美人と一夜を共に過ごしても、埋まることのないこの焦燥感。


似た女性と付き合った事もあるんだ。
本気になろうとしたんだ。


好きだよ。


そう女性に何度も告げて、自分で信じようとしてきたんだ。
そんな幾多の女性を傷つけなかったといえば嘘になる。
一度言われた事があった


あなたが見ているのは私じゃないんでしょう?


ごめんと呟くと彼女は
「そんな時は嘘でもいいから「そんな事ない」っていいなさいよ」
そう涙を流した。


絵里子、俺はお前への思いを何度も断ち切ろうとしたんだ。
それなのに心の中の俺が言うんだよ
「ここから逃れることはできないよ」って。

バカみたいにお前を求めて。
救いようのない泥沼に自分をはめ込んで。


いつになったら俺は這い上がれるというんだ。



実家に帰れば積まれているお見合い写真、
兄から「いい加減落着け」と諭され、甥っ子たちに「モテないの?」と聞かれて。
集まっていた親戚が帰り、静かになった家の中、自分の部屋から居間に降りるとぽつんと座る親父の背中。
いつの間にこんなに小さくなったんだろう。

それがきっかけだった、一緒にお見合い写真を見て
「少し考えてみるよ」と話をした。
370ぎゅっと・野立編(2):2011/07/29(金) 21:13:38.82 ID:2csgnXjX

できれば自分で探すけれど、お見合いも考えてみるよ。
その言葉に嘘はなかった、
あまりに大量だったので、よさげな人を選んでもらってまずは会ってみる事にしたんだ。


あぁ、俺はとうとう諦めるんだな。


そう思ったらどうしようもなくなって、
忙しいさなかあのバーでお前と飲んだ酒を傾けていた。


苦しさなど見せるものじゃない。
だから冗談交じりに部下にお見合いの話もしたし、絵里子にも話すつもりだった。
それでも告げることができなかったのは、
口にした途端に終わりを告げる自分の恋にまだ踏ん切りがつかなかったからだろう。

それなのにお前は簡単に言うんだな「おめでとう」って。
そんなに笑うなよ、祝福なんかしないでくれ。


40を過ぎて自分の事じゃ泣けなくなった。
それなのに苦しくて、この感情の行き先が見当たらなくて、
だから酔って眠いフリしてベッドに向かったんだ、お前の「おめでとう」をもう聞きたくなくて。


ベッドに倒れ込むと息を吐く、
涙が流せない分、溜息で気持ちを吐き出せたら、そう思った。

仰向けで倒れたまま息を整える。
少しすると苦しかった胸が少しずつ和らいで浅い呼吸に変わった。

と、絵里子がベッドルームに入ってくる気配がした。
眠いふりをした手前、目を開けられなくてそのままやりすごそうとする。

しかし彼女が立ち去る気配はない、

― どうした?―

聞けばよかったんだと思う、いつもみたいに軽い調子でふざけて聞いていれば。
それなのに、彼女はさっきまでのテンションが嘘みたいに深刻な様子だった
それは目を閉じていたってわかる程。

きしっと小さな音、彼女がベッドに腰掛けるかなにかしたんだろう。


「野立のばーか・・・・」

泣きそうな声で、俺に悪態をつく絵里子。
その声は普段の、そしてさっきまでの力がなくて胸が騒いだ。
その胸騒ぎに乗じて目を開けようとした瞬間に口元に撫でられる感触を受け体が固まる。
371ぎゅっと・野立編(3):2011/07/29(金) 21:16:15.05 ID:2csgnXjX

どうしたんだよ、絵里子。

髭を撫でていた指が唇に移り、より絵里子の悲しげな感情が伝わってくる。
できる事なら抱きしめてやりたい。
そんな声出すなって、俺がそばにいるから大丈夫だと背中を撫でてやりたい。
他の女にならためらわずできるのに、俺が絵里子にそんな事をする資格はない気がして。

「ごめんね」

何がごめんねなんだ?
飲ませて酔わせて眠らせたことか?
もしかして俺の気持ちを知ってるのか?
気持ちに答えられなくてごめんねなのか?

そう思考を巡らせているいると唇に柔らかいものが触れた、
顔の周りを絵里子の髪の毛がふわっと彩った。


え?


なんの反応もできないまま絵里子は立ち去り、また1人になった。
1人になっても目を開けれず呆然とする。
リビングでは絵里子がTVをつけたのだろう、なにやら音がしているが
音量が下げられ、どんな番組かは全くわからない。


今のはなんだ?


唇に触れたものがなにかわからないような子供じゃない。
しかし予想もしなかった事実に対応ができない、どういう意味だったのかがわからない。
ゆっくりと瞼を開くとつけていたライトがまぶしく、少しの間目が回った。


絵里子が俺にキスをした?


起き上がりベッドに腰掛けると、頭の中を無理やり整理する。
なぜかはわからない、絵里子が俺にキスをした理由などわからない。
しかし、自分が想いを告げるなら今しかない、これが最後のチャンスなんだ、それだけははっきりとしていた。


「あれ、起きたんだ?」

「あぁ、わりぃ酔っぱらっちまった」

「いいよ〜珍しいじゃん?あんたの方が先につぶれるなんて」

「ホントなぁ?絵里子の前でつぶれるなんざ、冗談じゃねぇよ」

「浮かれてる証拠だね」

「かもなぁ〜」
372ぎゅっと・野立編(4):2011/07/29(金) 21:20:06.27 ID:2csgnXjX

軽口を叩きながらも絵里子から目が離せない、
心臓が口から飛び出そうだ、これでダメだったら?
しかし絵里子の横顔はまだ悲しみを帯びていて、自分の想いより先に触れたくなった。
触れる資格などない、それでもその悲しみを取り去ってやりたかった。

言い訳をするつもりはない、
こんな事するつもりじゃなかったんだ、
ただ大丈夫だと、俺が守ってやると抱きしめたくなった。

「なぁ、絵里子」

「ん?」

「1分だけ、俺に時間頂戴って言ったらくれる?」

「え?」

「1分だけでいいから」

「よくわかんないけど・・・」

「いいじゃん、1分だけ」

「・・・・まぁ、1分だけなら」

いいよという言葉は聞かなかった。
抱きしめるはずが先ほどの余韻だったのかキスになり、想いを込める。


好きだ、お前が好きなんだ
だから俺のそばにいてくれないか
俺にお前を守らせてくれないか。


絵里子がなぜ受け入れたのかはわからない、先ほどの後ろめたさからだったのかもしれない
しかし少し開いた唇から舌を滑り込ませると絡ませてきた。

人間とは欲深い生き物で、
抱きしめたいと彼女を守りたいと思ったはずなのに、キスをしたらその先に進みたくなる。

そんな欲望をぐっと抑えて唇と外すと、
適当な言葉で自分の気持ちを隠そうとしたが上手くいかず、
とっさに酒を満たしたグラスを手に取った。
373ぎゅっと・野立編(5):2011/07/29(金) 21:27:39.42 ID:2csgnXjX

何か言わなければ、
そう思うのに感情が溢れて言葉にならない。
本当の想いは簡単には伝えられないのだと改めて思い知らされる。
すると、さっきよりずっと悲しそうな顔をした絵里子が先に口を開いた。


「ねえ、野立」

「ん?」

「今晩だけ、私に頂戴。」

「え?」

「今晩だけでいいから」


何を言われているのかわからなかった。
しかしぐいっと唇を奪われて、思わず逃げた体を捕まえられて意図がわかる。
意思の強さと同じくらいに強いキスがらしくてこんな時なのに笑いそうになった。


絵里子、いいのか?
俺はお前のことが好きなんだぞ。


先ほどのベッドに移動すると絵里子がショーツ1枚の姿で横たわる。
そんな様子に興奮よりも感動を覚えた。

あぁ、俺は今絵里子を抱こうとしているんだ

それなのに。
それなのに、抱かれている絵里子は悲しそうで、今にも泣きだしそうだった。

久しぶりで恐いのか?
そう思ったがそうではない、思いっきり感じているのにそれを上回る悲しさを帯びている。


絵里子、俺じゃないのか?
俺に抱かれるだけじゃその悲しさは拭ってやれないのか?
お前が今抱かれているのは、お前の目に映るのは俺じゃない誰かなのか?


全てを俺で満たしたいと思った。
他の男の事など考えないでくれそう思って「絵里子」と耳元で囁くとぎゅっと抱き着いて
頬に耳に首筋に何度も何度もキスをしてきた。
その目には涙が浮かび、体の揺れと共に流れ落ちる。
374ぎゅっと・野立編(6):2011/07/29(金) 21:31:45.47 ID:2csgnXjX

泣かないでくれ、愛しき人よ

昔観た芝居の一節がよみがえる。
どんなお芝居だったのかさえ今では思い出せないのに。


泣かないでくれないか、俺がずっと傍にいるから。


悲しみを癒したくて、涙をぬぐい、絵里子の唇を優しく啄ばむ。
その唇が声にはならずに何かつぶやいている。
必死で声にせず飲み込もうとしているのが絵里子らしいがどうしても知りたくなった、
耳をすませても声は聞こえず、唇を見つめた。


す・・き・・・・


すき?
そう唇が告げている。
俺か?俺なのか?ぐっと抱きしめるとしがみついてくるその腕は俺に向けられているのか?

しかし、その唇は言葉にする事を頑なに拒むようにもう動くことはなかった。
確かめる術すら持たずに、互いが絶頂を迎える。
荒い息が整い始めると、絵里子を抱きしめたくて腕に力を込めようとした。


その瞬間

絵里子が腕を払い、ベッドを降り立った。
こちらを向くこともなく歩いていく後ろ姿に絶望を感じる。
営みの後始末をしながら冷静になれと言い聞かせるが感情を抑えきれない。


不意に涙がこぼれた。

ずっと泣けなかったのに、こんな時になぜと思いながら
とめどなく流れる涙を見せないように、絵里子に背を向けて寝転がった。


「どの子?」

聞いてくる絵里子の声も震えている。
どの子か?そりゃ知ってるさ、今回ばかりは真面目に受けようと思っていたんだから、
でも、今はもうどの子などどうでもいいじゃないか、その震えの意味を教えてくれ。
375ぎゅっと・野立編(7):2011/07/29(金) 21:34:01.16 ID:2csgnXjX

少しでも期待していいのか?
そう思い探ろうとするが、
探れば探るほど本当に何もわかっていない絵里子に呆れてしまう。
苛立ちさえ覚えてしまう、
本当にわかっていないのか?わかっていないフリじゃないのか?
それよりずっとずっと大切な話があるだろう?


自分の心のうちを話すんだ、そう心に言い聞かせる。
腕を払ったのが拒絶でないのなら、
あの震えの意味が、
あの「すき」という言葉が俺に向けられた想いならば

いや、例え俺に向けられたものでなかったとしても、
俺はどうしてもお前に告げなきゃいけない事があるんだ。


それなのに、何もわかっていない絵里子に負けないくらい素直じゃない俺がいる。
なんだよその説明は。
真面目に話して傷つくのが恐いんだろう、
本気で向き合う事が恐くてたまらないんだろう臆病者め、
心の中で自分自身に悪態をつく。
少しずつ少しずつ絵里子の気持ちを探ろうとする。

あのキスは、あの言葉は、俺に向けられたものなのか?
教えてくれないか、頼むから。
俺の気持ちはたった1つ。

お前が好きだという事だけなんだ。

でも、本当の想いは言葉にできない、だから。
これが最後だ、最後の告白なんだ。


「でも絵里子、わかっただろ?俺しかいないって」


だから受け取ってくれないか、俺の想いを、俺の心を。
376ぎゅっと・野立編(8):2011/07/29(金) 21:35:36.35 ID:2csgnXjX

絵里子からの返答はまだない、でもその沈黙が瞳が絵里子の心を告げている。
ベッドに近づいてきた絵里子を引っ張り込むとぎゅっと抱きしめた。

「辞めてよ、バカ」と悪態をついてくる絵里子がまた涙を流す。
その温もりに俺までまた泣けてきて一層強く抱きしめた。


なぁ、自惚れてもいいか?
お前が俺を好きだって、そう思ってもいいか?


あぁ、俺という人間は本当に情けない
どうしたって本当の想いは言葉にできない。
「好きだ」ってって言いたかったのに、結局できたのは絵里子にいたずらをしかける事だけ。


まぁ、最も、本当にしたかったっていうのもあるんだけど。
本当は眠くもないし、元気いっぱいだし。
今までの分も思いっきりちゅーしてえっちしたいのが男心。


なぁ、絵里子

お互いにもう少し素直になれたらその時はちゃんと言い合おうな
好きだってその言葉を。
377ぎゅっと・野立編(9):2011/07/29(金) 21:37:32.54 ID:2csgnXjX

次の日.


遠くで何やら音がする。
ぴんぽーん、ゴンゴンゴン

「しんじろー!!あけろっ!いるんだろう?」

ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん、ゴンゴンゴンゴンゴンッ

「しんじろぉ!!あけろ!開けろないかっ!!借りた合鍵で入るぞ!!」


・・・・・?


・・・・・・・・!?


「やっべ!寝過ごした!!!!」

「ん・・・?どしたの・・・・?」

「起きろ、絵里子っ」

「ん・・・・体すんごいだるっ・・・・・」

「それは悪かった、でも起きてくれ、兄貴だ」

「・・・・えっ!?」

「寝過ごしてお見合いすっぽかしたっ!!」

「・・・ちょっともうお昼じゃないっ」

がちゃがちゃと玄関で鍵が開く音がする

「あ、兄貴ちょっと待ってくれ、ほんのちょっと、ちょっとだけでいいから!」

俺は休みで絵里子も事件が終わり、今日は久しぶりに休暇を取って構わないと言われていたとはいえ、
この状況は誰にも自慢できた状況じゃない。
378ぎゅっと・野立編(10):2011/07/29(金) 21:39:14.63 ID:2csgnXjX

「ね、どうしよう!どこに隠れる!?」

「と、とりあえずお前はこの部屋にいろ、服とか全部持ってくるから」

慌てて必死で取り繕って、それでも慌てすぎて15分はかかってまた兄貴を怒らせて。
すっ転んですった肘をさすりながらリビングに実兄を通した。


「お前、何やってんだ?」

「ごめん・・・・」

「寝過ごしたなんて言い訳が通用すると思うのか?」

「ごめん・・・・」

「・・・で、お前が今必死で隠したお嬢さんはどんな人なんだ?」

「・・・・・・・・・・お、お嬢さんじゃないけど・・・・えー・・・・」

「なんで言わなかった?」

「いや、色々あって、今日報告しようかと」

「今日って、今日はお見合い当日だろうが!!」

「き、昨日付き合いだしたんだからしょうがないだろう!?」

「昨日!昨日付き合いだして、もう手ぇ出したのか、お前は!!」

「いや、付き合いだしたから手ぇだしたというか、手ぇ出したから・・・」

「お、お前という奴は!!」

「あっ、ち、違う!そういう意味じゃ!!本気だから!!本気なんだってば!」

ぴたっと空気が止まる。

「本気?」

「え?」

「結婚する気あるのか、そのお嬢さんと」

「あ・・・うん、お嬢さんじゃないけどある。」

「ん?お嬢さんじゃない?」

「うん、どっちかっていうとおっさ・・いや、性別は女だけど、鬼軍曹に近い・・・・」

「・・・・お前、どんな女性と恋愛してるんだ?」



END
379名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 21:44:27.45 ID:2csgnXjX
以上です。

・・・・やっぱり蛇足な感じが満載ですね。
お兄さんを勝手に妄想してすみません、
本当はもっと政治家的なイメージもあったんですが、
今回は普通のお兄さんにして書いてみてしまいました、ホントにすみません。
えー・・・・・言い訳はこの辺にします。

お目汚し失礼いたしました、お付き合いありがとうございましたっ。
380名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 21:53:37.35 ID:+B11RD8p
いやいやいやいや!すごい良かったよ!!
絵里子サイドも切なくてキュンキュンしたけど、野立はそれ以上でした!
泣けた…でも最後はやっぱ幸せで良かった…
また書いて下さい!ありがとう!
381名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 21:57:08.52 ID:WiLamMY+
>>378
>性別は女だけど、鬼軍曹に近い
ワロタw

GJです!
382名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 21:59:46.57 ID:yB3oLXrA
>>379
GJ!!
野も切なすぎて読みごたえありすぎです。結末知ってるのに堪らなくなりました。
そして二人ともお互いが好き過ぎじゃないかと悶えてしまいましたw
切なさ満載だけど最後のオチが明るくて読後感がいいですね。
ごちそうさまでしたー。
383名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 22:31:49.85 ID:CmFzN69O
鬼軍曹w

GJです。凄い良かったです。
384名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 22:37:33.90 ID:LCTH+Rav
GJです!
ヘタレ次男坊には鬼軍曹が必要で鬼軍曹にはヘタレ次男坊が必要という真理w
野絵の良さを再認識しました
ありがとう
385名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 22:48:37.19 ID:di3jZyoV
いい!両サイド何度も読み返してます!!
二人には今まで我慢していたぶん、存分にイチャコラしていただかなくてはww
リクしたその日に投下してもらえるなんて幸せすぎるぜ自分
本当にありがとう
386名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 00:15:06.94 ID:vbhrGa/U
野立サイドありがとう!
お互いにせつなさいっぱいで、やっと結ばれて幸せ〜。
楽しませていただきました!
387名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 09:27:15.76 ID:i1J6BFvn
朝からにまにまです。お兄さんに怒られる野立氏w

皆さんの野絵が素晴らしすぎて、自分もできてる設定の野絵会話文を妄想。
性懲りもなく投下宜しいでしょうか…!
しかもどうしても同期3人が好きなのでピーピーも絡ましてしまいます
そろそろエロ神様が降臨する予感がするのでお邪魔にならなければいいのですが…
388名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 09:29:22.14 ID:i1J6BFvn
「よう」
「あ、お疲れ」
「どうだ?少しは進展したか?」
「うん、さっき重要な目撃証言がとれ…「違う!」
「え?」
「え、じゃないだろ。お前、俺がカタログ置いてってから何日経つと
 思ってんだ。まだ固まらないのか?」
「…それはだから…その気はないって言ったじゃない…」
「駄目だ。俺ほどの地位の人間が披露宴しないなんてこと許されると
 思うのか?夫の出世をサポートするのは妻のつとめだろうが。」
「嫌よっ//確かに初婚だけど40も過ぎてそんな…恥ずかしいじゃない!」
「あのな…茶化してるわけでも何でもなくお前スタイル良いんだからドレス映え
 するし全く問題ないと思うぞ?俺への愛情はまやかしか?」
「よく言うわよっ!見合いまで勧めてきたこともあったくせに!人が死にかけて
 初めてプロポーズする気になったとかどれだけギリギリなのよ!」
「顔真っ赤にしてうなずいたのはどこの誰だよ」
「うるさいうるさいっ!」
389名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 09:32:54.71 ID:i1J6BFvn
「あ、そうだ。俺この前ピーピーに面会して結婚報告しといたから。
 無言で中指たてられたけどな、ははは」
「…」
「どうした。冗談だよ。ちゃんと真面目に伝えて…」
「私も行ってきたの。多分あんたより後だけど」
「こら、俺に黙って何1人で会いに行ってんだよ」
「(無視)おめでとうって言われた。幸せになれよって。」
「…そうか。そう言ってたか。」
「うん…でもね。もっと早くお前らがくっついてりゃなあってしんみり
 言われたの。」
「…」
「私…ひょっとして凄い鈍感だったのかな(しょぼん)」
「…こっち来いよ絵里子」
「…」(ぽすっ)
「よしよし。辛かったな。」
「私なんか!私は…全然よ。ピーピーや…それにあんたの事も
 たくさん傷つけてきたのかもしれない」
「そんなわけあるか。俺もあいつもお前が太陽だったんだ。ずっとな」
「野立…」
「何も心配するな。俺がついてる。今までもそうだったろ。これからもずっとだ。」
「野立」
「絵里子…」
390名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 09:34:59.87 ID:i1J6BFvn
「じゃあ…ドレスやめていい?」
「いい…わけないだろうが!お前!今の卑怯だぞ!上目使いと涙目のコンボでくるな!
 じゃあって何だよ!」
「…」(ぶう)
「むくれても駄目だぞ。今日帰り寄るから。ラチあかないから一緒に決めるぞ」
「え〜やだ〜!」
「だーめ」




「ここ…署内の廊下なんだが」
「ボスいよいよ野立さんと結婚かあ〜」
「結婚式の二次会は恋のチャンスだよ!楽しみだ〜wktk」
「ボスのウェディングドレス…(キラリ)」
「木元!目が!目がイっとる!しっかりせえ!」



当日まみりんはプロ仕様の一眼レフ搭載だったそうですw
391名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 09:52:44.41 ID:tQR7ZfFi
GJ!
あ〜もう、休みの朝からほっこりさせてもらったよ〜w
ニヤニヤをありがとう!
ほんと、ここ好きだわ
392名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 11:46:28.55 ID:pZoWtKhv
GJ!
まみりんの一眼レフがツボったw
393名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 11:49:48.36 ID:AjCUbwop
まみりんww気持ちはわかる!!てかその写真売ってくれまいか(笑)
癒し作品ありがとうGJ!!
394勝手にぎゅっとの続き1:2011/07/30(土) 17:33:17.12 ID:PA2F4I4T
ここのスレ大好きです。妄想が止まりません。
「ぎゅっと」を読ませていただいて、続きが勝手に頭に浮かんでしまったので、
投稿させて下さい。エロもなく、萌えもなく、やたらと長く、かつ中途半端ですが、
崩れた三角形シリーズの神様待ちの間に・・・。
ちなみに、私のお兄さんのイメージは、S村○樹さんです。
 
家に押しかけてくる兄貴の剣幕に押されて、なんとなく
正直な気持ちを言う気分になってくる。 
でも、おそらく一番意識しているのは、
扉の向こう側で息を潜めている聞いている絵里子の事だと、
自分でも自覚しながら、自分の狡さを苦笑いしたくなる。
オレ、42なんだよな。。。 

「なあ、6年くらい前だったか、俺の片思いの話をした事、あったよなあ・・・。」

「ん? 6年前? ああ、そーいや、当時14年位、
思い続けているヒトが、いるとか、いないとか・・・。
え、ええっ? お前、まだ・・????そんで・・・そうなのか?」

「えっ?・・・と、いや・・・、うん。」

395勝手にぎゅっとの続き2:2011/07/30(土) 17:36:54.21 ID:PA2F4I4T
扉の向こうで、状況のあり得なさに固まりつつ息をひそめていた絵里子は、
突然の話に、思考回路が全て止まっていた。
6年前? いや、その時点で、14年???えっと、えっと・・・・。
いや、これは、私の幻聴に違いない。どうした私、もしかしたら、夢でもみているのか? 
野立の事が好きすぎて、こんな夢まで見てるのか? 大丈夫か私、早く冷めろ!
冷や汗をかく絵里子の扉の向こう側で、会話は続く。

「おい、信次郎」

「ああ・・。そうなんだ。
俺にとって、結婚したい、ずっと一緒にいたい、
一生のパートナーとして考えられる相手は、その鬼軍曹だけなんだ。 
その鬼軍曹でなければ、結婚なんて、本当は考えられない。 
ていうか、鬼軍曹と結婚できないなら、結婚なんてしたくないんだ・・・。
鬼軍曹を見てられなくなるから・・・」

胸が、心臓が、止まりそうになった。 やっぱり、夢?
鬼軍曹って、私? 失礼な!! いやそうじゃない、いや、失礼だけど。
6足す14って・・・20年? 
ていうより、野立が私を見てた? んで、私を見ていたい? 
一生のパートナー・・・、バディ・・・? 
頭のなかが、グルグルする・・・。
396勝手にぎゅっとの続き3:2011/07/30(土) 17:38:57.17 ID:PA2F4I4T
「おまえ、どんだけ・・だよ・・・。
ていうか、お前、幾つだよ? 
親父やお袋の気持ち考えたことあんのかよ?」

「いや、でも、兄貴は3人も孫、作って親孝行してんだから、
いいじゃねえか、俺が自分の気持ち通したって・・。」

「そういう問題じゃないんだよ。
別に、子供作れって、言ってるんでもない。
だいたい、本命が20年前からいるんなら、
今までなんとか、ならなかったのかよって言ってるんだよ。
ほんで、なんで、今日っていう肝心な見合いの日に、すっぽかすんだ? 
相手は、俺の得意先のからの紹介でもあるんだぞ? どうしてくれんだよ? 
でも、まあ、それは、置いといてもいい。 
お前を盲腸ででも、緊急入院させるだけだ。 
いや、もうお前もトシだ。 胆石とか腎結石でもいい。 
だいたい判ってんのか? 
お前が、結婚するだけで、親父やお袋がどれだけ安心するか。 
お袋なんて、未だに七夕に、信ちゃんにずっと傍にいてくれる女の人ができますように
って、願かけしてんだぞ? 42歳のお前にだ。 
ウチの息子のお受験に専念させてやってくれよ。」

「いや、オレ、モテないわけじゃないと思うんだけど・・・。」
397勝手にぎゅっとの続き4:2011/07/30(土) 17:41:02.73 ID:PA2F4I4T
「だから。そういう問題じゃないんだよ。」

「ああ・・。判ってる・・・。」

「なら、まあ、いい。・・・で、その、女性には、合わせてもらえるんだろうな?」

「え?」

野立が「え?」というのと、思わず、絵里子が「え?」と声を出してまったのが、
ほぼ、同時だった。 
なぜか、FBIで受けた、偶然犯人と対峙する事になってしまった時の
対処方法のレクチャーが、頭に浮かんでくる。
第一に、まず冷静に現状を判断する事。
最初に周囲の安全確認、救援要請方法、犯人の逃走経路の遮断方法・・・、
いや、お兄さんを逮捕してどうする・・。
ていうか、この状況、どう見ても、私が捕まる側だし・・。
ええい、自主したほうが、罪は軽くなるんだ! 
何の罪状か、わかんないけど、どうとでもなれ?!絵里子は、覚悟を決めた。
逃げて、隠れたままなんて、私らしくない。
殆ど無意識に服と髪を軽く整えて、ガチャとノブを回して絵里子は扉を開けた。
398勝手にぎゅっとの続き5:2011/07/30(土) 17:43:26.01 ID:PA2F4I4T
野立と兄が、こちらを、口を半開きにしてみている。 

「失礼します。 以前、10年前くらいに一度、
同期と一緒にお宅にお邪魔させて頂いた事があります。 大澤です。
大変ご無沙汰し、失礼しています。」

多少、声は上ずっているが、はっきりと、野立の兄の眼をみて答えた。

「あっ? えっ? ええっ? あれ、大澤さん?? こんにちは。 
絵里子ちゃんだよねえ? こちらこそ、ご無沙汰しています。 
そっかあ、もう10年になるのかあ。 覚えてますよ〜! 
そうそう、アメリカ行ってたんだよね? 元気そうだねえ。 
なんか、益々、綺麗になったねえ〜?」

今までの重い口調と、180度違う、野立よりも、さらに軽い口調で、野立の兄が答えた。

「いやあ、びっくりしたなあ・・・。 
でも・・そうなら、そうって、信次郎も早く言ってくれればいいのに。
なあ、ねえ? はは。」

399勝手にぎゅっとの続き6:2011/07/30(土) 17:45:32.50 ID:PA2F4I4T
「野立さんの、大切な時に、なんか、とんでもない事になってしまって、
さらに、お兄様にまでご迷惑をお掛けして、大変申し訳ありませんでした。」

「なに言ってんの〜? 絵里子ちゃんのかける迷惑なら、
オレ、進んで買いにいっちゃうよ〜? 
ていうか、絵里子ちゃん、迷惑かけられてる方だよね? 
ごめんね。こいつ、だらしないからさあ・・・。 
オレの弟なのに、本当っに不器用でさあ・・・。笑っちゃうよな、20年って・・・。 
こいつはやたらと思い詰めてるみたいだけど、でも、本当に絵里子ちゃん、いいの? 
イヤ、答えを聞いているんじゃないんだけど。 
でも、兄としては、絵里子ちゃんが、親父やお袋に顔みせに来てくれるの、
楽しみに待ってるよ〜。 あんまり、おびえないで、かる〜く遊びにきてね。 
俺の子供たちもデカくなったよ。顔見にきてやってよ。」

予想外の軽さに救われながら、絵里子もふと笑顔になる。
「有難うございます。 お子さん、今は3人いらっしゃるとか? お可愛いでしょうね」
400勝手にぎゅっとの続き7:2011/07/30(土) 17:48:22.63 ID:PA2F4I4T
「うん。そっか、信次郎もちゃんと話、してはいるんだ。 
うん、可愛いよ。俺に似て、3人ともハンサムなんだよね。
信次郎じゃなくて、俺の長男とかどう? 
今、中学生だから、かなり年下にはなるけど、信次郎より、女の扱いはうまいかもよ?
いや、ホントは、俺が狙いたいんだけど・・
オレは信次郎みたいに、絵里子ちゃんを追い詰めるようなヘマはしないよ?」

「おい!」と、黙って聞いていた、野立が、声を荒げた。

「なんだよ。冗談に決まってるじゃないか。 判らない奴だなあ。」
とぶっきらぼうに野立の方に答え、絵里子の方をむいて
「絵里子ちゃんの事は昔から可愛いと思ってたから、
その気になったら、いつでもいいよ?
でも、絵里子ちゃんとそうなるなら、妻とは別れなくちゃだよね。
子供3人は引き取ってもいい?子供は好き?」 
と、屈託のない笑顔を向ける。そういえば、野立も奈良橋さんに似たような事、
言ってたっけ。やっぱり兄弟だ、この二人。
その邪気の無い笑顔につられて、思わず絵里子も笑顔になる。

401勝手にぎゅっとの続き8:2011/07/30(土) 17:50:41.94 ID:PA2F4I4T
二人の笑顔を見てムッとした野立は、
「おまえ、大体、何しに来たんだよ? 
俺が病気になった事になればいいんだろ、もういいだろ。判ったから、早く帰れよ!」
と兄を小突いた。

「なんだよ。お前を心配して、見に来てやったんじゃないか。
まあいい、腎結石で緊急入院して、面会謝絶だと、取引先と親父とお袋には言っとく。
お袋にはそっと、ホントの事耳打ちしとくがな。 」

と、野立に話すと、ここで絵里子の方を向き、真剣な顔をして
「昔、遊びに来てくれたとき、お袋が、「素敵な、可愛いヒトねえ」
とうっとりしてたのを覚えてます。 
お袋も喜ぶと思います。 気が向いたら、顔を見せに来てやって下さい。 
信次郎の事、宜しくお願いします。」
と頭を下げた。

402勝手にぎゅっとの続き9:2011/07/30(土) 17:53:10.88 ID:PA2F4I4T
急に真剣に話されたので、どうして良いか判らず、絵里子は真っ赤になって

「こちらこそ、宜しくお願いします。」

と小さく消え入るように、短く答えた。 
ふと、脈絡なく、お嬢さんは、攻めには強いが、守りには弱いねえ、
と言われた事を思いだし、ますます赤くなった。ダメダメだ、私・・・。

「もういいだろ!判ったら、邪魔すんなよ。早く帰れ!」

と、野立は兄をせきたてる。

「おまえ、中学生かよ? わかったよ。帰るさ。 絵里子ちゃん、久しぶりに顔見れてよかったよ〜!またね〜え」
と野立の兄は、入ってきたときの重苦しい感じとは別人のように、手をあげて、軽やかに出て行った。

さすがは野立のお兄さん、というか、 野立よりさらに上手だ・・・、あの軽さ・・・。
絵里子が、どうしたらよいのか、自分も帰った方がよいのかと、迷っていると、野立は

「ちょっと、兄貴を下まで送ってくるから、待ってて。」
と自分も靴を履いて出て行った。 
403他力本願:2011/07/30(土) 17:56:24.40 ID:PA2F4I4T
ここまでです。えらく中途半端で、すみません・・・。
皆さまのお話を楽しみにしています。 スレ汚しで申し訳ありませんでした。
404名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 19:43:21.72 ID:atuB9Cwo
人のお話の続編を書く場合は一度了解をとってからのほうがいいんじゃないかな
405名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 20:35:56.47 ID:tQR7ZfFi
そだね
またオリジナル書いて下さいな
そしてsageまいか
406名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 22:57:48.41 ID:9eXSiRSC
>>403さん

「ぎゅっと」を書かせていただいた者です。
自分なんかの稚拙な文章の「ぎゅっと」を読んで妄想していただけたなんて嬉しいです、ありがとうございます。
真面目さと軽さのバランスが本当に素敵で、自分ももっと精進しようと思いました。

オリジナル作品もぜひぜひ読ませていただきたいです、お願いします。
407名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 00:16:52.47 ID:o7PPijJB
>>406さん
403です。

断りもなしに、勝手な妄想を、書いてしまって、すみませんでした。 
あまりに妄想が広がる文章だったので、勢い込んで書いたら、
載せたくなってしまって・・・。
マナー違反も甚だしかったのに、本当に温かいお言葉ありがとうございます。
ごめんなさい。
406さんのまたの投稿を楽しみにしています。



408名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 00:21:13.85 ID:ClEx53Sl
ageてはなりませぬー
暗黙の了解だとは思うけど今一度sageを徹底していこう
皆さんsageた上で萌えましょう
409名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 00:56:34.42 ID:UMm/nlRY
>>407
今度書き込む時は、メール欄にsageと入れて下さいませ〜。

私も、あなたのオリジナル作品楽しみにしてます!
410名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 02:15:54.61 ID:p/dV+BTv
>>407
いい加減sageくらい覚えろよ
こんな板で初心者なんですみませんなんて言い訳は一切きかねえぞ
411名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 02:32:12.06 ID:6wcivGX3
全くだ
これじゃ、わざとやってるって思われても仕方ねぇな
まぁほんとにわざとやってんのかもしれないけどw
412名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 03:12:39.91 ID:3+DxkzZY
流れをぶったぎって野絵を投下させてください。
エロなしですいません。絵里子がウイルスでってあたりです。
413涙のあとで:2011/07/31(日) 03:16:39.09 ID:3+DxkzZY
扉を開けたとき、そこに絵里子の姿はなかった。
風にそよぐカーテン、開け放たれた窓。

「絵里子っ!」

窓から身を乗り出して周囲を見渡したが、何も見えない。
背中をすぅっと冷たい汗が流れた。
あんな体で何を考えているんだ、アイツは。

「片桐は岩井達に連絡! 木元はここで待機!」

ほぼ無意識に指示を出し、野立はじっと考え込む。
自分が部屋を出る直前に絵里子の携帯が鳴っていた。
この状況で連絡してくる相手は・・・

ホテルにたどり着くと、柱にもたれかかる絵里子が見えた。
よかった、無事みたいだ。心配かけやがって。
声をかけようとして、その向こうにいる人物に気が付いた。
森岡が言っていたのはこの事だったのか。
絵里子はそれを知って一人で・・・
そのとき、ぐらり、と絵里子の体が傾いた。
野立は慌てて駆け寄り、その体を抱きしめた。
414涙のあとで:2011/07/31(日) 03:19:25.04 ID:3+DxkzZY
あれから一週間。
絵里子は衰弱していたが、ワクチンの効果もあり、容態は安定していた。
例の事件の後始末で仕事はいくらでもあるのだが、野立は可能な限り絵里子に付き添っている。

「いつ意識が戻ってもおかしくない状況なのですが」

医者は、野立の何十回目かの質問に対して、何十回目かの同じ返答を繰り返した。
足音が遠ざかるのを確認して、野立は絵里子の右手を握る。

「絵里子、聞こえるか? おい、返事しろよ」

反応はない。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
今の関係が壊れるのが怖くて、ずっと気持ちを伝えられなかった。
でも、それだけ彼女が大切だった。
彼女にとっては、ただの同期、バディだってかまわない。
いつもそばにいて、絵里子を守ることができればそれでよかった。
それなのに今のこの状況はなんだ。
好きな女ひとり守れなくて何がキャリアだ、参事官だ。
もし、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
ずっと好きだと伝えられないまま・・・
415涙のあとで:2011/07/31(日) 03:23:18.44 ID:3+DxkzZY
そう思ったとき、鼻の奥がつんっと痛くなり、野立は自分が泣いていることに気が付いた。
なぜか気恥ずかしくなって、眠ったままの絵里子の上にうつぶせになる。

ひとりで黒原のところへ行かずに、相談してくれていればこんなに悪化することもなかった。
そんなに頼りないんだろうか、俺は。

「なさけねぇなぁ・・・」
「・・・ほんとね」

はっと顔を上げると、弱々しい微笑を浮かべる絵里子が。

「絵里子っ! 大丈夫か!」

両手で彼女の頬を包み、じっと顔を見つめる。
返事の変わりに、絵里子は微笑みながらまばたきをする。

「良かった・・・。もう目を覚まさないかと思った」
「私が、あんなウイルスごときにやられるわけないでしょ」
「どこか痛いところとかないか?」
「大丈夫。迷惑かけちゃったね」

そう言って絵里子はゆっくりと手を伸ばし、野立の頬をなでた。
まだ乾いていない涙をそっとぬぐわれ、野立は赤面する。
恥ずかしさの反面、指先の温かさがうれしくて、またじわっと涙があふれてきた。

「まったくだ。退院したらお前の奢りで飲むからな」

その顔を見られたくなくて、「医者を呼んでくる」と慌てて立ち上がった。
416涙のあとで:2011/07/31(日) 03:26:22.25 ID:3+DxkzZY
が、「待って」と服のすそを引かれ、立ち止まる。
振り返ると、絵里子は彼が一番好きな笑顔で、

「ありがとう」

なんて言うものだから、野立はたまらなくなって絵里子の体を抱きしめた。

「ちょっと、野立。どうしたの?」

絵里子が驚いて声を上げるがかまわない。

「お前が無事で本当に良かったと思って」
「泣いちゃうくらい、心配してくれたんだ」
「いやっ、あの、これは違うんだ! いや、心配はしたんだけど・・・」
「じゃあ、何?」

野立は大きく息を吸った。もうごまかすのはやめよう。
今までの関係が崩れてもかまわない。もうあんな思いはたくさんだ。
野立は抱きしめる腕に力をこめて、一気にまくしたてる。

「お前がいなくなったとき、心臓が止まるかと思った。
 ずっと目を覚まさなかったらどうしようって何も手に付かなかった。
 だいたい、お前は自分のことをないがしろにしすぎなんだ。
 この俺がお前のことを大切に思ってるんだから、お前も大事にしろ」

絵里子の反応が怖い。一秒が一時間にも感じた。

「野立・・・それって・・・」

おそるおそる絵里子の様子を伺うと、なぜか難しい顔をして首をかしげている。
417涙のあとで:2011/07/31(日) 03:29:32.12 ID:3+DxkzZY
「私のことが好きってこと?」
「はぁ? それ以外の何だって言うんだよ」

あぁ、そうか。絵里子はFBIでプロファイリングを学んできたくせに、
自分のことになると鈍感になるんだった。
野立はふっと微笑むと、もう一度息を吸った。

「しょうがねぇなぁ。お前にもわかるように言ってやる」
「な、なんですってぇ?」
「お前が好きだって言ってんだよ」
「あ、そう。好きなの。って、えええ?」

絵里子は大きな声をだして、腕を振りほどこうとしたが、そのままふらっと野立の胸に倒れこんだ。

「大丈夫か?」
「ごめん。少し疲れたみたい」
「ああ、起きたばかりなのにすまなかった」
418涙のあとで:2011/07/31(日) 03:32:33.80 ID:3+DxkzZY
野立は、絵里子の体をそっと横たえると、「ゆっくり休め」とだけ言って、立ち上がった。
言いたいことを言ってすっきりした。あとはどうにでもなれ。なんて思っていると
再び、絵里子が「待って」と声をかける。

「そばにいてくれないの?」
「いいのか?」
「野立がいてくれると、安心する。だから、私も野立が好き・・・なんだと思う」

野立は一瞬耳をうたがった。好きって、絵里子が、俺を・・・。長かったなぁ・・・
信じられない思いで絵里子を見ると耳まで赤くなっていて、それがまた野立の胸を熱くした。

「それで十分だ」

うれしくてもう一度抱きしめたい気持ちを必死に抑え、野立は絵里子にそっと口付けた。
本当はこの場で押し倒して自分のものにしてしまいたいが、絵里子は病み上がりだ。
今はこの唇のやわらかさだけで満足しよう。時間はまだたくさんあるのだから。

おしまい。
419名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 03:35:30.90 ID:3+DxkzZY
以上です。稚拙な文章ですが、次はエロありに挑戦できたらと思います。
読んでいただいた方、ありがとうございます。
420名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 03:36:39.13 ID:ejfYX6oj
リアルタイムきたわ〜
いいねいいね
こんな時間まで起きてて良かったw
421名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 06:29:48.93 ID:Tg/Jz93p
いい1日の始まりになりそうです。
ありがとうございます。
422名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 09:07:00.41 ID:tqiuX/hC
GJ〜!
とってもいい話なので同設定のエロあり続編を希望
423名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 09:36:02.42 ID:95vPmAGx
いい!
朝から素敵な話をありがとう〜
424名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 09:52:27.61 ID:UMm/nlRY
今スレの名作が、すでにまとめサイトにアップされてる。

まとめてくれた方ありがとう!
一気に野絵作品増えたね。
425名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 11:38:40.57 ID:p/dV+BTv
>>419
GJGJ
朝から萌えました

まとめサイトの方もありがとう
426名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 11:41:43.02 ID:P43znc5T
ほんとに改めてみると
野絵スゲー増えたな
嬉しいかぎりだ

職人さんありがとう
427名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 13:46:37.43 ID:zyMHhbUZ
というか野絵しかなry
428名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 14:08:34.27 ID:UMm/nlRY
>>427
確かに、このスレ全部野絵だもんね。
時々+森みたいな。

いかに最終回が、野絵的に消化不良だったかを示してるような気がw
429名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 14:39:44.48 ID:p/dV+BTv
最終回関係なく1から9割がた野絵だったじゃん
430名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 20:02:23.15 ID:/IpYmn+O
野絵ばかりだ、という話のところで、性懲りもなく野絵を投下させてください。
今朝の「涙のあとで」の続きです。
エロ初挑戦なので、見苦しいところもあるかもしれませんが、おつきあいください。
431夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:06:15.22 ID:/IpYmn+O
「どうも、お世話になりました」
病院の入り口で、絵里子はお世話になった看護師たちに頭を下げた。
「おまたせ」
「忘れ物はないか?」
「大丈夫よ」
そう言って助手席に乗り込んでくる。
野立は絵里子がシートベルトを締めるのを横目で確認して、アクセルを踏んだ。

「医者から一週間は休むように言われているから、仕事に復帰するのは来週になる」
事務的に絵里子が話した後、しばらく無言の時間が続いた。
二人で車に乗るなんて日常茶飯事だったのに、今日はなぜだろう。何を話していいのかわからない。
ようやく長年の気持ちを伝えて、彼女もそれに答えてくれた。
もう自分たちは恋人同士だと言っていいはずだ。
・・・いや待てよ。あのとき絵里子は目を覚ましたばかりだった。
もしかして寝ぼけていて・・・。そうだ。好きだといったが、つきあうとは言っていない。
それに絵里子は「鈍感」が人の形をとったような女だし、まさか「好き」の意味を勘違いしたのでは。
ってことは、俺はあいつにとってアルコールやガードマン人形と同じ・・・
432夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:09:54.49 ID:/IpYmn+O
「・・・ねぇ、ねぇってば」
無限ループに陥って、悶々としていた野立の意識は、絵里子の声で現実に戻された。
「どうしたのよ。今日の野立、ちょっと変よ。さっきから黙っちゃってさ」
「・・・なぁ、絵里子。俺たちさ」
「ん?」
恋人になったんだよな?
そう尋ねようとして、野立は「なんでもない」と首を振った。
「変なヤツ」
不思議そうな顔をする絵里子には、以前と変わった様子はない。
あの日のことは、やっぱり俺の勘違いだったのか。
野立は大きくため息をつき、アクセルを踏んだ。

途中のスーパーで食料品を買い込み、絵里子のマンションに向かう。
「結構長く留守にしてたから覚悟はしてたけど。全滅かぁ・・・」
冷蔵庫の中を覗いて、絵里子が肩を落とす。
とっておきの生ハムがだめになっていたらしい。
生ハムくらいでそんなに落ち込みやがって。
そんなところも可愛い・・・じゃなくて、落ち込んでるのはこっちなんだよ。
なんだか無性に腹が立ってきた。こんなの俺らしくない。
よし、今夜は野立会を開こう。ぱぁっと一晩中騒いでやる。
そう決意した野立は車から持ってきた絵里子の荷物をソファーの横に置いて、帰り支度をはじめた。
433夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:14:15.59 ID:/IpYmn+O
「あれ、帰っちゃうの?」
洗濯機に入院中の着替えを放り込んでいた絵里子が、ひょいと顔を出す。
ぱたぱたとスリッパの音を響かせてこちらに来た絵里子は、ゆったりとしたワンピース形の部屋着に着替えていた。
「退院したら飲むって約束したでしょ。そう思ってさっきいろいろ買ったのに」
「飲むって、今日ここでか?」
「そうよ。買い物するところ見てたでしょう」
「俺はてっきり絵里子が自分用に買い込んだのかと・・・」
「ばっかじゃないの? 退院したばかりなのに飲むわけないでしょ。医者にも止められてるし」
「いや、アルコールで体内を消毒だー!とか」
「ちょっと、アンタ私のことばかにしてるでしょ!」
「してねーよ」
「だって・・・」
ふと絵里子が下を向いた。
「アンタが自分を大事にしろって言ったから・・・」
「絵里子・・・」
恥ずかしそうにうつむいている絵里子の頬に触れようとした瞬間、絵里子はぱっと顔を上げた。
「それに、アンタのあんな顔、もう見たくないしねっ」
とっさにあのときの自分を思い出し、顔が熱くなる。
「もうやめてくれよぉ。恥ずかしい」
「うれしかったのよ。心配してくれて」
そう言って、絵里子は野立の胸にそっと寄りそった。
おそるおそるその体を抱きしめると、背中に回された絵里子の腕に力がこもった。
434夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:18:42.64 ID:/IpYmn+O
「よかった。夢じゃなかったのね」
絵里子がぽつりとつぶやいた。
「ずっと信じられなかったの。夢だったらどうしようって」
・・・なんだ、不安だったのはコイツも同じだったのか。
お互い40をとうに越えた年齢だってのに、なんだってこんなに不器用なんだ。
そう思うとたまらなく愛しさがこみ上げてきて、野立はきつく絵里子の体を抱きしめた。
「苦しいよ、野立」と、絵里子が抗議の声を上げたがかまわない。
しばらくそのやわらかい体を抱きしめた後、力を緩めると見上げる絵里子と目があう。
その瞳に吸いこまれるように、唇を重ねた。
角度を変えて何度も啄ばむようにキスをすると、絵里子の唇が少し開いた。
それが絵里子からの合図のように思えて、そっと舌を差し入れる。
暖かくてやわらかくて妙に甘い。なんの味だろう。
そんなことを考えながらも、唇は激しく相手を求める。
お互いの息遣いが荒くなり、息苦しくなったのか、絵里子が唇を離した。
「ねぇ・・・今夜は帰らないでいてくれる?」
「いいのか。俺で」
「今更何言ってるのよ。アンタじゃなきゃ嫌よ」
そう言って微笑む絵里子をもう一度きつく抱きしめる。
「俺もだ」
435夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:22:18.01 ID:/IpYmn+O
今度は激しくキスを交わしながら、お互いの体をまさぐっていく。
くちゃくちゃといやらしい音を立てて唇を吸うと、絵里子が「んっ」と艶っぽい声をあげた。
薄目を開けると、切なげな表情の絵里子が夢中で舌を絡ませてくる様子が見える。
野立はたまらなくなって、部屋着の上から絵里子の胸元に触れた。
やわやわと揉みしだくと、ぴくんっと体が反応して背中にまわされた腕に力がこもる。
首筋に吸い付くと、あっと声をあげて絵里子がのけぞった。
無意識に逃れようとする絵里子の体を捕まえて、何度も首筋に吸い付く。
「ちょっと、だめ・・・跡ついちゃう・・・」
荒い息を吐きながら絵里子が声を上げる。
どうせしばらく仕事には行かないんだ。やっとひとつになれる。コイツは俺だけのものだ。

早く肌に触れたくなり、背中のファスナーを下ろして部屋着を脱がせた。
絵里子もたどたどしい手つきで、野立のシャツを脱がしていく。
ブラジャーも取り払い、下から持ち上げるように胸のふくらみを揉みはじめる。
「そんなに見ないでよ。もう若くないんだから」
頬を赤らめながら絵里子が言う。どうしてこんなに可愛いんだ、コイツは。
「きれいだよ。俺の好みの形だ」
「・・・お世辞でもうれしいわ」
本心なのにな、とつぶやきながら、少し硬くなっている突起に触れる。
436夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:26:24.47 ID:/IpYmn+O
右手で突起をつまみ、唇でもう片方に吸い付く。
力を入れるたびに「あっ、あっ」と声があがる。
もっと声を聞きたくなって、軽く歯を立てると、「きゃっ」と可愛らしい声で喘いだ。
様子をうかがうと、自分でも恥ずかしかったのか、目を閉じて必死に首を振っている。
目の前にいて、感じているのは、確かに絵里子なんだ。
そう思うとうれしさで胸がきゅっと締め付けられる。
もっともっと感じている顔が見たくなり、乳首をいじりながら、下半身にも手を伸ばす。
そこは、ショーツの上からでもわかるくらい濡れていた。
「濡れてるよ」
わざと息を吹きかけながら耳元でささやくと、それだけで感じてしまったのか、絵里子が身をよじる。
「いやっ、やめて」
もしかして、絵里子は・・・
「下着までグショグショだ」
「いやぁっ、言わないで」
必死に腕にしがみつき、いやいやと頭を振る。どうやら言葉で攻められると感じるみたいだ。
野立は今まで知らなかった絵里子の姿にうれしくなり、耳を舐めながらショーツの隙間から指を這わすと、
熱く潤った突起に触れた。
「はぅっ」
絵里子の体が跳ね、腕に力がこもる。
437夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:30:58.53 ID:/IpYmn+O
あふれた蜜を指先にとり、何度も硬くなった突起に擦りつける。
「ああっ、いやっ、やめて・・・野立」
強く押し付けるたびに絵里子はびくびくと体を震わせた。奥からはとめどなく愛液があふれてくる。
あの絵里子が、俺の腕の中で感じている・・・。そう思っただけで、野立の下半身が熱くなる。

野立は意味をなさなくなったショーツを床に落とし、とめどなくあふれる愛液を指先に絡めると、
絵里子の奥にゆっくりと挿れていく。
「すんなり入った。こんなに濡らして、絵里子はいやらしいな」
再び耳元でささやくと、「いやっ」と絵里子が悲鳴をあげ、指がきゅっと締め付けられた。
もっといじめたい。おかしくなるくらい感じさせて、もう俺以外見えなくなってしまえばいい。
そんなことを考えて指を動かしはじめる。
わざとぐちゅぐちゅといやらしい音をたて、ぴちゃぴちゃと首筋を吸う。
「あっ・・・だめ・・・」
絵里子の中はひくひくと震えていて、野立は今までの経験から絶頂が近いことを感じる。
もう少しだと、突起をつまもうとしたとき、
「やめてっ」
先ほどとは違う、強い拒絶の声がした。野立ははっと我に返り、絵里子を見つめる。
潤んだ目をした絵里子は震える手で野立の腕にすがり、必死に「もうやめて」と訴えている。
438夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:35:00.19 ID:/IpYmn+O
膝から下もがくがくと震えていて、立っているのもやっとといった状態だ。
・・・やばい、調子に乗りすぎたか。病み上がりだってのに。やっちまった・・・
「ごめん絵里子。俺、お前のこと何にも考えてなかった」
野立がうなだれると、絵里子はあわてて首を振る。
「ちがうよ。嫌じゃないってば」
「いいんだよ。無理すんなよ」
「ちがうってば」と絵里子はうつむいている野立の髪をそっと撫でた。
「ちゃんと聞いてよ。せっかくだから野立のでイキたいな・・・って思って」
顔を上げると、絵里子は熱っぽい顔で見つめている。
「だから、ベッドで続きしてくれる?」

いわゆるお姫様だっこでベッドルームまで向かい、そっと絵里子を横たえた。
手早くズボンとボクサーパンツを脱ぎすて、白い体の上に覆いかぶさった。
「好きだ。絵里子」
驚くほど自然にその言葉が出てきた。
「私もよ」
微笑みながら絵里子も答える。
そっと口付けると、絵里子もうっとりと目を閉じる。
「頼みがあるんだ」
「なぁに?」
「俺のこと、名前で呼んでくれないか?」
絵里子は黙って野立を見つめた。
「いや、いいんだ。忘れてくれ」
なんだか恥ずかしくなって野立は横を向いた。
439夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:38:44.38 ID:/IpYmn+O
その瞬間、強く腕を引かれ、野立は絵里子の胸元に倒れこんだ。
そしてやわらかい胸に顔を押し付けられるように抱きしめられる。
絵里子がささやいた。
「好きよ。信次郎」
野立の下半身がぎゅっと熱を持った。

熱に浮かされたように激しいキスを交わした後、絵里子の入り口に先端を押し付ける。
もうそこは十分に濡れていたから、少し力を入れるだけですんなりと野立のモノを受け入れた。
すれ違っていた十数年間の時間をたどるように、ゆっくりゆっくり奥に進む。
ようやく最奥にたどりつくというところで野立は少しだけ腰を浮かせると、一気に奥を突いた。
「あぁっ!」
急なことで驚いたのか、絵里子が目を見開いてのけぞった。
はぁはぁと荒い息を吐き、体を震わせる姿に興奮し、野立はその細い腰を両手つかみ、繰り返し奥を突く。
グチャグチャといやらしい音と、絵里子の悲鳴のような喘ぎ声がベッドルームに響いた。
絵里子の中は熱くてとろけそうなくらい柔らかくて、気を抜けばすぐに達してしまいそうだった。
少しでも長くこの快感を味わっていたくて、野立はときどき体位を変えながら執拗に絵里子を攻める。
絵里子はもう体に力が入らなくなってきたようで、「好き・・・信次郎・・・」とうわごとのように名前を呼び、
そのたびに野立も「絵里子、好きだ・・・」とささやいて、口付けを交わした。
440夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:43:03.82 ID:/IpYmn+O
「し、信次郎っ、私、もう・・・」
か弱い声でうったえる絵里子の中はひくひくと震えている。
「俺もだ・・・。絵里子、一緒にイクぞ」
「うん、いっしょに・・・。あっ! あっ、イクっ・・・イクっ! あああああぁっ!!」
「・・・くッ」
渾身の力で最奥を突くと、絵里子の中が今までになくきつく締まり、
その刹那、野立もうめき声を上げて自らの精を解き放った。
野立は全部出し切るまで、びくびくと震える絵里子の体を抱きしめていた。

しばらくそのまま抱き合った後、野立は力を失った下半身を引き抜いて、絵里子の隣に倒れこんだ。
心地よい疲労感と幸福感で自然と笑みがこぼれる。
この程度でこんなに疲れるなんて、もう若くないんだろうか。
いや、絵里子だから張り切りすぎた・・・ってもうどうでもいいや。
自嘲気味にため息をつく。
441夢のはじまり:2011/07/31(日) 20:45:48.21 ID:/IpYmn+O
「信次郎」
そう呼ばれ、体ごと絵里子の方を向く。
絵里子はまだ肩で息をしていたが、大きく息を吐くと「やっとひとつになれたね」と微笑んだ。
その笑顔がまぶしくて、野立は「ああ」とつぶやいて、絵里子の体を抱き寄せる。
「毎晩襲っちまうから、覚悟しとけよ」
照れくさくていつものように軽口をたたくが、絵里子の返事はない。
ふと腕の中を見ると、絵里子はすやすやと寝息を立てていた。
起こさないように布団をかけ、自分もそのとなりにもぐりこむ。
見慣れた寝顔なのに、今日はなんだか違って見える。
「絵里子、愛してる」
額にそっとキスをすると、急激に眠気が襲ってきた。
どうかこんな日がずっと続きますように。
それから、これが夢でありませんように。
柄にもなくそんなことを考えながら、野立も瞳を閉じた。

おわり。
442名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 20:49:55.70 ID:/IpYmn+O
以上です。読んでくださった方、ありがとうございます。
エロって難しいですね。
443名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 20:57:27.73 ID:/tr5J5eS
GJGJGJ!!
大好きです〜。ありがとうございました。
444名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 21:02:13.45 ID:P43znc5T
リアタイキター!
絵里子が可愛らしいですね
GJ!
445名無しさん@ピンキー:2011/07/31(日) 21:03:48.90 ID:IZHD7ISr
GJ!!
2人ともいい歳して余裕無いっていうか、可愛いよなぁ…
ご馳走さまでした!
446名無しさん@ピンキー:2011/08/01(月) 08:30:31.30 ID:6hpA55/8
GJ!
凄くいい!
447名無しさん@ピンキー:2011/08/01(月) 18:20:09.74 ID:AE0WltzG
GJ!
素直な絵里子いいね〜
野立の前では強がりだけど、浩の前ではこんな感じだったのかなな〜んて思った
448名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 07:23:19.91 ID:IXGCJ5QO
gjgj!!
野立も絵里子もいい年して中学生みたいwww可愛い
やっぱり野絵大好き!
最近更新頻度が落ちて悲しい・・・1カ月あってもこれだけあるだけましか。

>>447さん
野立が急にそれを想像しだして落ち込む、とかおもしろそう
449名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 07:49:14.13 ID:WupQ5cP0
浩って誰だっけ、と一瞬思ったw
450名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:02:39.08 ID:13Siaz7t
盛岡の名前は変えろよな、と最終回で思った
まあその時初めてピーピーがヒロシって名前だったことを知ったわけだがw
451名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:09:31.90 ID:j6PmpQfi
>>448 いや、気持ちはわかるがすごい更新頻度だと思うぞw
自分は前スレで一度長めの書いたことあるが5日くらいかかったバカだ
四六時中野絵のこと妄想して、他は何も手につかない状態だったw
楽しいんだがw
まとまった時間が欲しいもんだ

職人様方、いつもありがとうございます
気長にお待ちしています!
452名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:28:37.42 ID:iBm5iHha
他力本願も甚だしいですが自分もエロ楽しみにしております!!
そして、どしつこい同期3人の会話文妄想をまた…
毎度ワンパな展開で申し訳ないのですがorz
今回森岡さんは夏風邪で早退されたようです
453名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:30:44.78 ID:iBm5iHha
「あ〜まだやっぱだりいな…」
ピンポーン
(…誰だよこんな時に。出てられっか居留守だ居留守)
ピンポーン
(しつけ…いや。待てよ。下のセキュリティぬけて家の前まで来てるってことは…)
「!」←モニター確認
ガチャっ!
「あ、ピーピーごめん寝てた?具合どう?」
「絵里子…!来てくれたのかよ…」
「びっくりしたわよ。午前中で帰ったっていうから。病院行ったの?」
「ああ点滴うったから大分楽になったとこ。…あがれよ。」
「良い?一応いろいろ買ってきたんだけど。何か食べた?」
「ウィダーインゼリー…」
「あんたねえ…」
「仕方ないだろ。食欲ねーんだもん」
「分かるけど…何か胃に入れないと薬飲めないでしょ。お米はあるでしょ?
 お粥さん作るから。」
「ははっ作れんのか?」
「病人は黙って寝てなさい…(ぎろ)」
「冗談だよ…ありがとな。」
「気にしないで。野立もねえ凄く心配してたよ」
「…あいつが?」
「うん。私がピーピーの様子見てくるって言ったら俺も行く!俺も行く!って。
 でもあいつ今日まだ会議があるらしくて、私だけで行ってくるって言ったら
終わるまで待ってろ!だって(笑)」
「…」
454名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:32:45.46 ID:iBm5iHha
「さてと。じゃあキッチン借りるね?あ、先に果物とか食べとく?ヨーグルトも
 あるけど」
「絵里子」
「ん?」
ぐいっ
「ど、どしたの?何、気持ち悪いの?」
「…まあ、あんまり平静ではない。お前のせいだ」
「?何の事?ピーピー凄い手が熱いよ?寝てた方がいいんじゃ…」
「いいから聞けよ絵里子。俺は…」
ヴヴヴヴヴ…
「あ、ちょっと待って。携帯鳴って…」
「出るな」
「え?何で?あっ!ちょっとピーピー返してよ!」
「…」
「何?誰から?」
「いいから聞いてくれ絵里子。俺は『ピンポーン!』
「あ、誰か来たみたいよ」
「…いいよ。出なくて」
「え?だって…」
ピンポンピンポンピンポンピンポン!
「…ねえピーピー」
「はあ〜…くそ、言わせねえなあアイツ…」(スタスタ)
「あいつ?」(トコトコ)
455名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:35:06.84 ID:iBm5iHha
ガチャ!
「絵里子!お前何で携帯出ないんだよ!」
「あれ野立。もう会議終わったの?」
「…お前まず俺への見舞の言葉をかけろよ」
「おうピーピー。顔色悪いぞ。寝室行っとけ。」
「お前のせいだろうが!」
「ちょっとちょっと何その喧嘩コント!とにかく私は食事作るから
 ピーピーは安静にして!野立も素直になりなさいよ。あんなに心配
 してたくせに!」
(鈍い…鈍すぎる)(まあこれが絵里子だ…)

「大体俺に火をつけたのはお前だ。病気の俺が絵里子を襲うわけないだろ。
 過敏に反応してるから俺もその気になったんだろうが」
「嘘つけ。俺が来なかったら今頃何してたんだか。絵里子も病人はムゲに
 できないだろうしな。確信犯だぞお前は」
「お前と一緒にすんな!」
「ねえよ!仮病使って気をひいたことなんて!」
「仮病じゃないわ!」
コンコン
「できたわよ開けて〜」
456名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:38:00.77 ID:iBm5iHha
「(はふはふ)うん、美味いわ。思ってたより頑張ったな絵里子」
「何よもう!これくらいできますー!」
「(笑)ああ。美味いよホント。ありがとな」
「よろしい。はい、あと桃缶のもも!これは野立からよ」
「へ?」
「…普通のフルーツは絵里子が買ってるかと思ってな。まあ何かぽいだろ?
懐かしいっつうか」
「…ガキの頃よく食べたな。…悪いなピーポー」
「ま、早いとこ治せよ。警察は常時人手不足だ。」
「ああ」
「ふふ。良かった。よく分かんないけど仲直りできたじゃない!
 ピーピーあと何かしてほしいことある?洗濯物とかアイロンしとこうか?」
「え、良いのか?」
「良いわけないだろ。絵里子、たかが風邪で甘やかしすぎだ。もう帰るぞ」
「何でお前が仕切ってんだよ!一人で帰れ!」
「お前こそとっとと食って寝ろ!何のために俺が来たと思ってんだ!」
「こらー!もう喧嘩しないのー!」(何なの??こいつら)



ちなみに後日風邪は野立さんにうつり、ほぼ同様の光景が繰り広げられたそうですw
457名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 09:59:51.31 ID:13Siaz7t
同期3人の会話・関係は野絵に比べて想像の余地が多い分
書き手によって雰囲気に差があるのかもね
458名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 13:00:15.74 ID:+A+XSNO4
GJ♪
同期話ってかわいくて萌える。
なんとなく若い感じがいいよね。
これにエロが入るとどうなるんだろうとかまた妄想しちゃう…。
459名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 13:28:07.88 ID:0sBxPG1r
同期のやりとり、クスッと笑いながら楽しませていただきました。
ありがとうございます!

それと、遅ればせながら、まとめサイトに上げてくださった方、
ほんとにありがとうございます♪
すごく読みやすくて、感激です!

「慰安旅行」の続編を書いてみました。
また長ったらしい上、無理のある設定&今回は妙に暗くなってしまい、面白くないんですが・・・
イヤじゃない方だけ、もし良かったら読んでください。
460名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 13:43:02.92 ID:0sBxPG1r
すみません、どうもうまく反映されないので、ちょっと出直します。
失礼しました(泣)
461守りたいもの(1):2011/08/02(火) 13:56:18.83 ID:0sBxPG1r
慰安旅行の浮き足立った気配も落ち着き、絵里子たち対策室メンバーは、特に大きな事件を抱えることもなく、
通常のペースで仕事ができる、穏やかな日々を過ごしていた。
昼食後のひととき、屋上で缶コーヒーを飲みながら、絵里子と木元が女二人でヒソヒソと話しこんでいる。

「で?その後、片桐とは進展したの?」絵里子が、肘でチョイチョイと木元をつつく。
「・・・実はこの前みんなで飲みに行った帰り、同じタクシーで二人で帰れたんですけど・・・」
「うんうん、それで?!」
「酔っ払った勢いで、今度二人で飲みましょうよ〜って言っちゃったんです・・・」
「おおっ!言ったか!それでそれで?!」
「それがですね・・・誘った途端、片桐さん、めちゃくちゃ態度が硬くなって、
微動だにしなくなっちゃって・・・。しーんとなった後、『そ、そうだな』って一言だけ・・・」
「そ、そうなんだ・・・それで・・・?!」
「で、これは脈なしかなーってちょっと凹んでたら・・・突然あたしの手をぎゅーって握ってきたんですよ・・・!」
「えぇっ!それは脈アリアリじゃない!!で、で?!」
「で、こっちはすっごいドキドキして、もしや告白されちゃう?!とか、すっごいドキドキしてたら、片桐さん急に、
『木元、学生のときの制服は、セーラー服だったか?ブレザーか?』って・・・」
「・・・・・」「なんなんですかね?あれ。どういう意図・・・??」
462守りたいもの(2):2011/08/02(火) 13:59:58.77 ID:0sBxPG1r

「・・・あのさ、木元。片桐にとっては多分それ、すっごい大事なことなんだと思うよ」
「え、なんでですか?」
「いや、それはその、片桐のセクシャリティの根本を成す、深遠かつ重要なテーマというか・・・(ま、ただのヘンタイというか・・・)」
「・・・そうなんですかね・・・。ちなみにあたし、ブレザーだったんですけど、まだ制服捨てないで取ってあるんですけど、
・・・それ片桐さんの前で着たほうがいいんですかね?!」
「いや、それは、うーん、ま、実際にお付合いが始まったら、展開次第では・・・」
「えーっえーっえーっ!!お付合いだなんて、イヤーーーー!!」
木元が真っ赤になって絵里子の背中をバシバシ叩くので、絵里子はコーヒーを跳ね飛ばした。

そんなふうに女2人がじゃれあっていると、何やら開け放した扉の向こうから、物々しい気配が感じられた。
数人の悲鳴と、バタバタと屋上への階段を駆け上がってくる乱暴な足音。
絵里子と木元は咄嗟に身構えて振り返った。
463守りたいもの(3):2011/08/02(火) 14:03:34.53 ID:0sBxPG1r

だから本当は嫌なんだ。好きな女が危険な職場で働くなんて。
野立は緊張した面持ちで、長い廊下を走っていた。
同じ職場で働けるのは嬉しい。スタート時から一緒に苦労してきた仲だ。
いろんな時を、いろんな顔を見ながら共に過ごしてきたし、あいつがこの仕事をこよなく愛していることも、
類稀な才能をここで存分に発揮していることも十分承知している。
誰よりも俺が、あいつの個性をここで思い切り活かしてやりたいと尽力してきた。

それでも。たとえ、並みの男よりタフで強くて才能がある女でも。
誰が好き好んで、自分の大切な女を危険と隣り合わせの場所で働かせる?
野立は長年のジレンマに今さら腹を立てながら、屋上への階段を駆け上がった。
エレベーターを待つ時間が惜しい。

「野立さん、落ち着いてください」片桐に腕を掴まれた。
「そうや、野立さん、丸腰やないか。ここは俺らに任せたほうがええ」
拳銃を手に、岩井も同調する。
部下から見ても、自分は明らかに取り乱しているのだろうか。
野立は、それでも足を緩めない。
「犯人は一人です。突然わめき散らしながら突進してきて、大澤絵里子に会わせろってナイフを振り回して・・・」
木元が青い顔で訴える。
「すみません、あたしが一緒にいながら・・・」
464守りたいもの(4):2011/08/02(火) 14:07:33.58 ID:0sBxPG1r

そういえば、ここ最近、絵里子宛にストーカーらしき人物から妙な手紙が送られてきたり、
ネットの掲示板におかしな書き込みがあったり、兆候はあったのだ。
マスコミに登場することも多い女性キャリアゆえ、そういった事例は今までにも珍しいことではなかったし、
どうせいつものイタズラだろうと、高をくくっていた。
迂闊だったな。気づいていながら、野立も手を打たなかった。

「でも、どうやって潜り込んだんだろう?」
山村が息を切らしながら、尋ねる。
「目撃した婦人警官の話では、清掃員の作業着を着てたみたいです。
掃除するフリで入り込んだんですかね・・・」
花形が強張った表情で答えた。
他にも数人、制服姿の警官たちが後に続く。
丹波部長にも連絡が行っているはずで、まもなく応援部隊も駆けつけるだろう。

じっとりと嫌な汗をかきながら、野立たちは屋上に辿りついた。
大男に後ろから羽交い絞めにされ、喉もとにナイフを突きつけられた絵里子の姿を見たとき、
野立は背筋がヒュッと冷たくなるのを感じた。
絵里子の目が、矢のような速さで野立に向けられた。
一瞬、安堵の色がその目によぎる。
野立が思わず駆け寄りそうになるのを、後ろから片桐たちが引き止めるのと、
絵里子が「野立!ダメ!」と叫ぶのはほぼ同時だった。
465守りたいもの(5):2011/08/02(火) 14:10:11.66 ID:0sBxPG1r

男は絵里子の首に当てたナイフにぐっと力を込めながら、
「近寄ったら大澤絵里子を殺すぞ!」と叫んだ。
グローブのように大きな手が、絵里子の喉に食い込んでいき、絵里子は苦しそうに咳き込みながらも、
男を刺激しないようにじっと耐えている。
「離せ!バカなことはやめろ!」
こんな非常時に陳腐なセリフしか出てこない、非力な自分に野立は嫌気がさした。
拳銃を持っていないことを死ぬほど後悔した。
拳銃があれば、この男の額を一発で仕留めて、絵里子をすぐに救い出せるのに・・・。

「おまえが悪いんだ・・・。オレがあんなに何度も思いを伝えたのに、おまえが無視するから・・・!
もうおまえを許さない!おまえはオレと一緒に死ぬ運命なんだ!」
ストーカー男が自分に酔った様子で、絵里子の耳元で叫んでいる。
男は目の焦点が合っていないようにも見える。それがひどく不気味だった。
二人のすぐ後ろは屋上の手すりで、犯人の片脚は足元の段差の部分に乗り上げている。
いざとなったら、犯人は絵里子とともに飛び降りる覚悟に見えた。
466守りたいもの(6):2011/08/02(火) 14:15:41.72 ID:0sBxPG1r

野立の両脇で、片桐と岩井が銃を構えた。
だが、犯人は絵里子を盾にするように抱きかかえている。
発砲するのはかなり厳しい。
どうしたらいい、どうすれば・・・?
日頃の冷静さが失われ、野立の頭は真っ白になった。
落ち着け、必死に自分に言い聞かせる。

対策室のメンバーたちは、そんな野立の心理を読み取り、それぞれが目配せしながらフォロー体勢に入っていた。
「ボクたちが守らないと・・・!」山村の言葉に、花形と木元が大きく頷く。

「・・・いいわ、一緒に死にましょう」
不意に絵里子が苦しそうに、声を振り絞った。
「え?」犯人が動揺したように、絵里子の顔を見下ろす。
「一緒に、死んであげるって言ってるのよ・・・それが望みなんでしょう?」
ストーカー男は虚を衝かれた表情をしている。「・・・何言ってるんだ?」
「いいわよ。私もなんだか人生イヤになっちゃったし、お付合いするわよ。
生きてたって馬鹿馬鹿しいもんね。ほら、さっさと飛び降りちゃいましょ」
絵里子は男の巨体を肩でぐっと押しやりながら、手すりの方へと体を向けようとしている。
467守りたいもの(7):2011/08/02(火) 14:17:52.56 ID:0sBxPG1r

「ば、バカ言うな・・・!信じないぞ・・・。おまえは、オレの気持ちを無視し続けた女だ」
「だから、あなたへの罪滅ぼしのために、一緒に死ぬって言ってるのよ。ほら、早く」
そう言いながら、絵里子は渾身の力で彼女を抱きかかえている巨体を揺さぶり、
野立たちに背を向ける体勢を取った。

男を道連れに、絵里子は手すりから身を乗り出そうとする。
「うわっ、バカ!・・・やめろ!」
男は慌てて絵里子から手を離し、飛びのいた。
その瞬間、野立が「行け!!」と叫び、駆けつけていた応援部隊の男たち数人が犯人に飛び掛り、その巨体を押さえつけた。
「身柄、確保!!」

その声が聞こえる前に、野立は駆け出していた。
手すりからよろめくように振り返った絵里子の体を抱きとめる。
「絵里子、大丈夫か?!」
「野立・・・」
絵里子は喉を押さえながら、野立の腕の中に力なく倒れ込んだ。
ざっと全身を目で確かめたが、スーツの袖が何箇所か切りつけられているものの、目立った外傷はないようだ。首からも出血などしていない。
それなのに、絵里子の体は小刻みに震えていた。

468守りたいもの(8):2011/08/02(火) 14:20:58.77 ID:0sBxPG1r

「ボス!大丈夫ですか!?ボス!」
対策室のメンバーたちが心配そうに走り寄ってくる。木元は今にも泣き出しそうだ。
「大丈夫・・・。どこも怪我してないから」
そう笑顔を返す絵里子に、メンバーたちはホッとして安堵の溜め息をつく。
「情けないわねー、あんな男に捕まっちゃうなんて。私も衰えたもんだわ」
いつもの調子でサバサバ言う絵里子に、部下たちの緊張も少しほぐれた。

野立だけが、腕の中の絵里子の異変に気づいていた。
いつもの強気の絵里子じゃない。
それを証拠に、野立の腕を掴む絵里子の手の震えは一向に収まる気配がなかった。

絵里子は自身の動揺を部下たちに悟られないように立ち上がろうとしたが、
どうやら膝に力が入らないらしい。
野立は、震えている絵里子の姿を隠すよう体の向きを変え、わざとおどけた口調で場の空気を変えた。
「よし!大丈夫だろうが念のため医者に診てもらえ。
特別にお姫様扱いでおぶってってやる。大サービスだぞ」
野立は絵里子を背中に背負うと、よっこらしょと立ち上がった。
いつもの絵里子なら、部下の前で野立に背負われるなど絶対に拒否するだろう。
469守りたいもの(9):2011/08/02(火) 14:23:29.21 ID:0sBxPG1r

「おまえ、太ったか?重いぞ。ただでさえデカいんだから」
軽口を叩きながら、エレベーターの方へ向かう。
絵里子も「うるさいわよ!」と調子を合わせているが、背中越しでも絵里子の震えが感じられる。
部下達はまだ心配そうな顔をしているものの、野立の
「おまえらはあっちを頼む」という言葉に従い、取り押さえられた犯人のほうへと走って行った。

集まった警官たちの間を縫って、エレベーターの前まで辿りついたとき、
野立の肩に顔を埋めた絵里子の消え入るような声が聞こえた。
「・・・怖かった・・・」
「・・・わかってる。もう大丈夫だ」
エレベーターを待ちながら、まるで自分に言い聞かせるように野立はそう言った。
・・・参った。俺のほうが動揺してる。

捕まったストーカーは、30歳の元アルバイトの男だった。
半年以上前、ある事件の捜査中に目撃証言の聞き込みでたまたま絵里子と短い会話を交わしていた。
そのときから一方的に絵里子に興味を抱き、警視庁宛てに手紙を送ってきたり、
ネットの掲示板にファンサイトを立ち上げたりしていた。(ひたすら彼一人で書き込んでいたようだが)
絵里子も気づいてはいたが、日々の忙しさと、良くある嫌がらせやイタズラの類だろうと思い、ついつい放置していた。
470守りたいもの(10):2011/08/02(火) 14:26:24.22 ID:0sBxPG1r

男が絵里子に突進していったとき、絵里子は木元を突き飛ばして逃がした。
護身術に長けた絵里子が躊躇するほど、男は屈強で、おまけにナイフを振りかざしていた。
下手に応戦して男を刺激するより、木元に警官達の応援を呼びに行かせるほうが得策だと思ったのだろう。

あんな巨体相手に、一人で立ち向かいやがって。
野立は頭では理解しながらも、絵里子の無謀さと肝の据わりっぷりに改めて溜め息をついた。
あいつはいつもそうだ。
自分から囮になると言い出したり、危険な現場へも率先して飛び込んで行く。
本当は、もうそんなことはやめてほしいのに。
471守りたいもの(11):2011/08/02(火) 14:29:05.70 ID:0sBxPG1r

「野立さん、ボス大丈夫ですかね」
対策室に入っていくと、花形が心配そうに駆け寄ってきた。
「病院では異常なしと言われたから、大丈夫だ。
本人は仕事に戻るってきかなかったけどな、今日は早退させた。
丹波部長からも、今日明日は絵里子に有休を取らせるよう指示があった。
おまえ達に負担がかかって申し訳ないが、今回は特例だ。頼むぞ」
一同は神妙に頷いている。

「本当に大丈夫でしょうか・・・。いくら危険には慣れてるボスでも、
今回はちょっと様子が変だったみたい・・・。あたしがもっとしっかりしてれば・・・」
木元は同じ女性同士、絵里子の表情に何か感じるところがあったのだろう。
気にするな、というように、片桐が木元の腕をポンと叩いている。

「とにかく。二度とこういうことがないよう、みんなも気を引き締めてくれ。
俺もセキュリティ面をもっと強化するよう考える」
そう告げて、野立は対策室を出た。
扉が閉まる寸前、山村と岩井の声が漏れ聞こえてきた。
472守りたいもの(12):2011/08/02(火) 14:31:21.40 ID:0sBxPG1r

「ボス、野立さんの顔見て泣きそうになってたね・・・」
「あのサムライ女がな。強がってても、やっぱり怖かったんやろなぁ。無理ないわ」

定時で上がった野立は、タクシーを飛ばしてマンションに帰った。
「絵里子」
玄関ドアを開けると同時に声を掛けるが、返事はない。
室内を見回すと、ベッドの上で薄いブランケットにくるまりながら絵里子が丸くなって眠っていた。
シャワーを浴びたらしく髪が少し濡れていて、ゆったりしたルームウェアを身につけている。

野立はそっと手を伸ばして絵里子の頬に触れてみたが、起きる気配はない。
首のあたりを覗き込んでみると、ナイフで押さえつけられた辺りが、うっすらと紅くなっている。
しばらく絵里子の顔を眺めていたが、野立は自分もシャワーを浴びることにした。
いつもより念入りに戸締りを確認したのは言うまでもない。

シャワーの後、Tシャツを着てタオルで髪を拭きながらキッチンに向かった。
冷蔵庫から缶ビールを取り出して一息に飲み干し、大きく溜め息をつく。
473守りたいもの(13):2011/08/02(火) 14:34:19.17 ID:0sBxPG1r

絵里子は起き出していた。
間接照明だけのリビングのソファで、体育座りをしながら珍しく爪を噛んでいる。
ぼんやりした表情でテレビを見ているが、実はその目には何も映っていないようだった。
野立は隣にそっと腰を下ろすと、絵里子の髪を撫でた。
絵里子が顔を上げて野立を見る。
助けを請うような瞳だった。
その目を見た途端、野立の中でさっきからくすぶっていた感情が決壊し、絵里子を抱きしめていた。

「無事でよかった。おまえが無事で、ほんとによかった・・・」
あのとき屋上で捕らわれた絵里子を見た瞬間、野立は今までに感じたことのない恐怖に襲われた。
過去、絵里子は任務上、何度も危険な目に遭ったことがあるし、野立がそれに立ち会ったことも少なくない。
内心、絵里子の身が心配でたまらず、本当は行かせたくないと葛藤もしたが、
立場上その感情を表に出すことは許されなかったし、どこかで割り切ってもいた。
男以上に男らしい表情で立ち向かう絵里子の緊張をほぐそうと、わざとおちゃらけて送り出したことも何度もある。
474守りたいもの(14):2011/08/02(火) 14:37:03.69 ID:0sBxPG1r

けれども、こうして絵里子を自分の恋人、パートナーとして手に入れた今、
そんな割り切りも建前もどこかに吹っ飛んでしまった。
命の危険に脅かされる絵里子の顔を見た瞬間、野立は激しく後悔していた。
なぜ、絵里子にこの仕事を続けさせている?
なぜこうなる前に守ってやれなかった?
野立が止めたところで、絵里子がこの仕事を辞めることなどありえないのは分かっている。
それでも、感情は正直だ。絵里子を失いたくない。失うことが何より怖い。
その感情しか、あのときの野立にはなかった。部下に引き止められるのも当然だ。

「私、自分が怖くなった」
絵里子は野立の胸に顔を埋めたまま、そう呟いた。
「今までだって、危険な目に逢ったことは数え切れない。
どんなときも逃げない、それが大澤絵里子だって、偉そうに胸張って生きてきた。
なのに、今日あの男に殺されるかもしれないと思ったとき・・・心底怖いと思った」
絵里子は一度、大きく息を吸った。次の言葉を口にするのに、途轍もない勇気がいるかのように。
475守りたいもの(15):2011/08/02(火) 14:39:15.96 ID:0sBxPG1r

「・・・死にたくないって、そればっかり思ってたの。
今までみたいに冷静にものを考えられなかった。
ここで死んだら、野立に二度と会えない、もう一緒にいられないって、
それしか頭に浮かばなくて・・・それが怖くて怖くて、腰が抜けそうだった」
絵里子は一気にそう言うと、野立のTシャツにポロッと涙を落とした。

「自分が、怖かった。そういう弱い自分を突きつけられて・・・
ただ助かりたい、野立、助けて・・・って、それしか考えられない自分の弱さが、怖かった」
涙声になっていく絵里子が愛おしくて、野立の声がかすれた。
「当たり前だ。それが普通だ、絵里子」
「強くなれたと思ってたのに・・・こんなことくらいで脅えたりして、私・・・」
絵里子の涙の染みが、野立のTシャツをどんどん湿らせていく。
野立は構わず、より一層絵里子を抱く手に力を込めた。

「俺もだ、絵里子。俺も今日、おまえが捕まってる姿見て、膝が震えたよ。
怖くてたまらなかった。こんなの初めてだ。
まるであそこで自分の人生終わっちまうんじゃないかと思うくらい、怖かった。
片桐たちに、冷静になれって叱られたくらいだ」
フッと野立が自嘲気味に笑うと、絵里子が濡れた瞳で見上げてくる。
476守りたいもの(16):2011/08/02(火) 14:46:02.46 ID:0sBxPG1r

野立は絵里子の涙を親指で拭うと、そのまま頬に掌を当てた。
「誰かを本気で好きになると、失うことが恐ろしくなる。
守りたいものができると、人間は自分の弱さを知るんだ」
絵里子の口がへの字に曲がる。涙がとめどなく溢れている。

「そんな弱い人間が、こんな仕事続けていいのかな・・・」
やっぱりそれで悩んでたんだな。そういうヤツだ、こいつは。
野立は優しく絵里子に微笑みかけた。

「人を愛すると強くなる、なんて言うけどな。
本当は、愛したぶんだけ、自分の弱さをイヤと言うほど知らされるんだ」
本音を言えば、今すぐ辞めさせたい。でも、おまえは決して辞めないだろう?
この仕事に、命をかけてる、それが大澤絵里子なんだから。

「そういう、人を愛する弱さを知ってる人間だからこそ、人の痛みが分かって、この仕事に活かせるんじゃないのか?」

絵里子が唇を噛んで、またポロポロと涙を零した。
考えてみたら、こいつがこんなに泣くの、久しぶりかもな。
しかも、今日は思いっきり『女の子』の顔してやがる。
477守りたいもの(17):2011/08/02(火) 14:48:38.20 ID:0sBxPG1r

野立は思わず、チュッと絵里子の唇に自分の唇を重ねた。
少しの間、潤んだ目で野立を見つめ返していた絵里子が、急に野立の首筋にしがみついてキスしてきた。
強く唇を押し付けたまま、刻印を残すようなキス。

絵里子が指先で涙を拭いながら、切れ切れに言った。
「野立、私、今日、また気づいちゃったよ。あんたがいないと、私、ムリ」

一瞬、野立は言葉に詰まる。
おい、待て。なんでおまえはこんなに俺をメロメロにさせるんだ、まったく。
「・・・そんなに俺が好きか。でもな、俺の想いの深さには敵わねーよ」
絵里子が涙目のまま、苦笑いする。
おまえを失ったら、俺は多分生きていけないな。
そう確信したんだ。今日、あの屋上で。

絵里子が野立の頬に両手を当てて、慈しむように唇を重ねてきた。
その、想いのこもった優しく甘いキスが思いがけず長引き、
こんなときなのに野立の下腹部がつい反応してしまう。
絵里子の柔らかく湿った舌が野立のそれと絡まりあって、2匹の魚のように戯れあう。
いつの間にか涙も止まったようだ。
478守りたいもの(18):2011/08/02(火) 14:52:59.82 ID:0sBxPG1r

「・・・したいのか?絵里子」
意思をもった熱っぽいキスに、野立が問いかけると、
「野立はしたくないの?」と絵里子が問い返してくる。
「したいさ。俺はいつだって」
でも、と後を続ける。
「今日の絵里子は、静かに眠りたいだろうと思ってたから」
俺は眠ってる絵里子を、一晩中でも抱きしめていようって思いながら、帰ってきたんだけどね。

「したい。野立としないと、眠れない」
絵里子が少し恥ずかしそうに野立の肩に額を押し当てた。
「体、痛まないか?」
「平気。でも・・・優しくして」
いつのまにか、絵里子は野立に甘えるのが上手くなった。
それが野立を喜ばせた。もっと、俺に甘えろ。俺にだけ、甘ったれてろ、絵里子。

絵里子の体を引き寄せ、いつもよりずっと優しいキスを繰り返しながら、
ルームウェアの裾を引っ張りあげて、脱がしに掛かる。
絵里子の脇腹のあたりが、一部分紫色に変色していた。
野立がそっと掌で触れると、「見た目ほど痛くないの」と絵里子が呟く。
479守りたいもの(19):2011/08/02(火) 14:56:06.06 ID:0sBxPG1r

「最初にもみあったとき、あの男の蹴りがここに入ったのよ。私も蹴り返したけど」
「・・・くそっ。やっぱり俺がアイツを張り倒してやるべきだった」
野立は痛々しく色の変った肌に唇を寄せると、痛みを和らげるようにそっとくちづけた。
髭がくすぐったいのか、絵里子が少し身をよじる。

野立はさっきから気になっていたことを、意を決して口にした。
「・・・おまえ、あの男に、その・・・触られたり、したのか・・・?」
「・・・しないわよ、バカ。そんなこと心配してたの?」
バカと言われようが、構うものか。野立は思わず安堵の息をついた。
「絵里子の体は俺のものだから」
珍しく真面目な口調でそう言うと、野立は自分の着ていたTシャツを勢いよく脱ぎ捨てた。

抱き合うたびに、肌が馴染んでいく。
野立はそれを実感する。おそらく絵里子もだろう。
なぜもっと早くこうなっていなかったのか、それが不思議に思えるほど、当たり前のように溶け合う体だった。
480守りたいもの(20):2011/08/02(火) 14:58:34.33 ID:0sBxPG1r

絵里子のブラのホックを外す瞬間を、野立はいつも密かに楽しみにしている。
控えめに揺れながら、野立の手の中で白いふくらみがまろやかに収まる瞬間が好きで。
意外なほど柔らかく少女のようにはじらうその胸を、丹念に時間をかけて愛してやるのが、たまらなく好きで。
固く尖った蕾を舐めたりつまんだりすると、普段は決して出さないようなせつない声を漏らす絵里子が、どうしようもなく好きで。
だから今夜もそうした。いつもよりもっと、絵里子を泣かせたい。

絵里子が自分から脚を広げて、腰を揺らしている。
野立の唇と舌が、絵里子の襞をいやらしく割り込み、とろけさせるようにうごめき、時々淫らに突つく。
「あっ・・・あ・・・」
感じすぎて、反射的に逃げようとする絵里子の両脚を、野立の腕ががっちりと捕らえて逃がさない。
「ダメ・・・それ・・・あぁっ」
内側の柔らかいところと、外側の紅く尖りだした小さな芽。
野立の唇と舌が行ったり来たりしながら、ねっとりと舐め尽くしていく。
あふれ出す透明な粘液が口元にからみつくと、滴るような音を立てて、野立はそれを味わった。
絵里子の痴態に、野立のモノも痛いくらいに固くそそり立つ。
481守りたいもの(21):2011/08/02(火) 15:00:53.47 ID:0sBxPG1r

絵里子の手を取り、固く勃ち上がった野立自身へと導くと、細い指先がいきなりキュッとそれを掴む。
野立が思わず低く息を漏らすと、絵里子が体勢を変えて野立の脚の間に顔を埋めた。
くわえた唇が上下にさすりながら動き、よく濡れた舌がらせんを描くように舐めまわす。
掌と指が野立の股間をまさぐるように柔らかく愛撫し、時折しぼるように指先で締め上げられる。
先端から透明な液がチロチロと流れ出て、絵里子がそれを掬うように舌で舐め取る顔を、野立は荒くなる呼吸の中で見つめた。
頬張っている絵里子の顔をそっと撫でると、なまめかしい瞳で見上げてくる。

絵里子の体をグイッと引き上げ、後ろから覆うように抱きしめる。
ストーカー男に羽交い絞めにされた瞬間を思い出したのか、反射的に絵里子が身を固くした。
「大丈夫だ。怖くないから」
野立は耳元でできるだけ優しく囁き、両手で絵里子の肌を丁寧に愛撫していく。
背後から乳房をしっとりと揉みしだきながら首筋に舌を這わせると、絵里子が吐息を漏らして、野立に体を預けてくる。
完全に身を任せた状態の絵里子の唇に舌を割り込ませ、唾液を転がしあった。
手の中で胸の蕾がめいっぱい固くなっているので、そっとしゃぶってやると、絵里子が野立の頭をぎゅっと抱きかかえてくる。
野立の口内で乳首が転がされると、絵里子が甘い悲鳴のような声を上げた。
482守りたいもの(22):2011/08/02(火) 15:14:12.62 ID:0sBxPG1r

そのまま腰を抱き寄せ、5本の指すべてを使って秘所をくまなくいじると、尻を浮かせるように絵里子が反応し、野立の手にとろとろと蜜がからみついてくる。
「気持ちいいか、絵里子」
絵里子の額の髪を掻きあげながら、その表情を見逃さないように野立は聞く。
「も・・・ダメ・・・勘弁して・・・」
のけぞるように体を突っ張らせる絵里子の両脚を抱え上げ、野立はためらいなく一気に挿入した。

「あっ・・・!」絵里子が声を立てると同時に、きゅっと内側がしなる。
絵里子を守りたい気持ち、泣かせたい気持ち、誰にも触れさせたくない独占欲、自分だけを愛していてほしい渇望。
そんなあらゆる感情を背負いながら、野立は身も蓋もなく声を上げて腰を摺り寄せてくる絵里子を何度も突いた。

大きな波のうねりのように、野立のモノが絵里子の中で翻弄される。
そのうねりに抗うように、野立はひたすら絵里子を貫いた。
濡れながら包まれるその快感がピークに達しかけた。
野立が腰の動きに最後の力を加える。
絵里子が野立の肩に抱きついて、ググッと内側を収縮させながら声を絞り出した。
「・・・きてっ・・・!」
その直後、野立は絵里子の中に大量の液体を解き放った。
483守りたいもの(23):2011/08/02(火) 15:17:00.31 ID:0sBxPG1r

繋がったまま、ビクンビクンと身を震わせている絵里子の顔を野立は見つめ続けた。
こめかみに浮いた汗を舐め取ってやる。
そうしながら、自身も脱力していき、そのまま絵里子の上に倒れるように重なった。

汗でじんわりと濡れた体のまま、絵里子が野立の背中に両手を回してきた。
シーツがぐっしょりと湿っていて、汗と、互いの体液の交じり合った匂いがする。
どちらも動かないまま絡まるように抱き合って、まだ荒い呼吸が収まるのを待った。

「死なないでよかった」
絵里子が呟いた。
「あのとき、死なないで、ちゃんと野立のところに帰ってこれてよかった・・・」
絵里子が野立の肩先の汗を舐めた。そのまま唇をつけて、ちゅうっと音を立てて吸っている。

「本当は、おまえにはもう、危険な目に遭ってほしくないんだ」
野立は絵里子の横顔に顔を押し付けて、そう伝えた。
ずっと昔から、何度も言いかけてきた言葉。無駄なのは分かっていても。

「・・・知ってる。野立の思いは分かってるつもり」
絵里子はふっと笑って、野立にくちづけた。
「分かってなくて、この仕事をするのと、あんたの思いを分かっててするのじゃ、私にとっては意味が全然違うの。
だから、私は大丈夫。
絶対あんたを残して死んだりしない。あんたもそうでしょ。
こんなに愛してるでしょ、私たち」
484守りたいもの(24):2011/08/02(火) 15:21:04.12 ID:0sBxPG1r

「・・・ああ。そうだな。俺も分かってる」
分かってるさ、そう繰り返しながら、何度か唇を重ねる。
野立の心から、モヤモヤとした不安や焦燥感がなんとなく消えて行く気配がした。
いや、消えはしないだろう。一生かかっても。
それでも、何かその向こう側に一歩踏み出すきっかけを、今の絵里子の言葉がくれた気がした。
こうして、毎晩俺の腕の中に帰ってきてくれればそれでいい。
ここで絵里子が羽根を休めてくれれば。・・・なんてな。

野立はブランケットを肩の上まで引っ張りあげると、絵里子にぴったりくっついたまま目を閉じた。

休養の後、晴やかな顔で出勤した絵里子を、対策室メンバーが心配そうに出迎えた。
「みんな、休んじゃって迷惑かけたわね。
今回の件、私の力不足で大事になっちゃて、本当に申し訳なかった。
それから、本当にありがとう。みんながいてくれて、心強かった」
「ボス・・・!良かったです、ボスが元気に戻ってきてくれて」
花形が駆け寄ってくる。木元は目に涙を浮かべていた。
みんな、一様に安堵の表情を浮かべながら、絵里子を取り巻いて笑顔になる。
485守りたいもの(25):2011/08/02(火) 15:23:07.53 ID:0sBxPG1r

「ま、いくらタフ言うても、あんまり無理すんなっちゅうことやな」
「そうですよ、ボスだって一応女の子なんだし。いざと言うときはボクらに任せてくださいよぉ」
「おっさんじゃ、もっと傷口広げるわな」
いつもの部下たちの軽口さえ、今日は絵里子の心をなごませる。

自分のデスクに向き合い、PCを立ち上げている絵里子の元へ片桐がやってきた。
「ボス、野立さん、今日ぎっくり腰で休みだそうですね」
「えっ、あ、なんかそうみたいね。やぁね、アイツも年よね、やっぱり」
「・・・自分、昨日の夕方、野立さんがスポーツジムに入ってくの見たんですよ」
「は?ジム??」
「気になってつい後を追って、しばらく様子見てたんですけど・・・」
「う、うん・・・」
「そこのジム、ガラス張りだから見学者も自由に中を見れるんで・・・。
それで野立さん、筋トレ系のマシーンを片っ端から試してたみたいで・・・」
「筋トレ?!」
首の後ろをポリポリ掻きながら、片桐が続ける。
「で、やたら張り切ってるなーって思いながら見てたら、こう、立ち上がったときにグキッとひねったみたいで・・・」
「あんた、そこまで見てたの・・・」
それで野立ったら、昨夜は妙なへっぴり腰で青い顔して帰って来るなり、早々と寝てしまったのか。
なんでまた、ジムで筋トレなんて急に・・・。
486守りたいもの(26):2011/08/02(火) 15:25:17.47 ID:0sBxPG1r

「今回の事件がきっかけで、『絵里子を守るのは俺だ!』とか思って、体力づくりに目覚めたんですかねぇ・・・。
いい年して健気ですね、野立さんも」
いつの間にか片桐の横に立っていた木元が、意味ありげに笑いながら言った。
絵里子がパァッと赤くなるのを、二人はニヤニヤしながら見ている。
「な、何バカなこと言って・・・!いいから、早く仕事しなさい!」
絵里子がシッシッと二人を手で追い払うと、若い二人は目配せしながら席に戻って行った。
兄妹のようでもあり、意外とお似合いのカップルにも見えてくる部下たちの後姿を眺めながら、絵里子は椅子に腰を下ろした。

「体力づくりねぇ・・・」
絵里子はPCの陰に隠れ、こっそり携帯を取り出した。
携帯の画像フォルダーを開くと、そこには今朝撮ったばかりの、ソファに突っ伏している野立の写真があった。
スウェットパンツをお尻半分までズリ下げて、腰に大きな湿布が貼られた情けない姿。
絵里子が湿布をピシャッと貼ってやると、
「いてぇよ。優しくチューでもしてくれよぉ」と泣きごとを言ってたっけ。

・・・今夜はがんばって、野立の好きな献立にしてやるか。
ちょっと新妻みたいな気分になっている自分に気づいて、絵里子は思わず照れ笑いを浮かべた。

                         E N D 
487名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 15:27:41.38 ID:0sBxPG1r

おしまいです。どーしても上手く書き込みが反映されなくて、
やたらめったら時間がかかり、少しずつしか書き込めなくて(なので、変なとこで切れてるし)
こんなに大量のスレを消費してしまいました・・・。
本当に本当にごめんなさい。本当にすみません!
お見苦しくて申し訳ないです。消えます。ありがとうございました!
488名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 15:40:37.79 ID:NRIu/sWI
素晴らしい。GJ!
二人の相手を思うこその切ない葛藤もありつつエロもあり、
片木や対策室メンバーも良い味出しているのが良い
珍しく弱ってる絵里子が読めて良かったです
489名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 18:37:36.16 ID:+A+XSNO4
ストーリーがどんどん完成されていきますね。
いや、すごいっす。野絵が幸せそうでいい。
また楽しみにしてます♪
490名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 19:38:51.46 ID:13Siaz7t
GJGJ
今回も萌えたー
毎回すごいっす
491名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 19:43:21.31 ID:o2m67MY3
いっきに読んじゃったぁ。
毎回楽しませてもらってます。
ありがとうございました!!
492名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 19:45:17.00 ID:Iz1KTZ/6
一気にのめりこんで読みました
今回のお話も素敵〜
493名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 01:52:25.70 ID:W/jbm93N
素敵なお話の後に恐縮なんですが、野絵投下させてください。
エロなしです、申し訳ないっ。

自分の中だと同期3人って
野←→絵←森の勝手なイメージがあり
それを元に暴走して書いたものです。

お目汚しな感じですが、もしよろしければどぞ。
494風邪のおくすり(1):2011/08/03(水) 01:54:54.21 ID:W/jbm93N

「どう?具合は」

寝室のドアを開けると熱をだし寝込んでいた野立が目を開けていた。
ぼーっとしたその様子が微笑ましく声をかける

「ん、大丈夫」

近づくと額に汗が浮かんでいる。
少しは汗をかけたのかもしれない、
用意していた濡らしたタオルで顔をふいてやると気持ちよさそうに目をつぶった。

「熱は・・・・まだ下がらないね、パジャマ替える?」

「Tシャツだけ、替えた方がいいかな」

しかし額に手を当てるとまだ熱は高く、ほてっている。

「着替えたらもう一回熱計ろうね」

絵里子が替えを出すと大人しくTシャツを脱いでいる姿が目に入る。
野立が熱を出したのなんて何年振りか、看病したのなんて本当に数回だろう。
もっとも絵里子が日本を離れてる期間もあるので実態は知らないが。

着替える前にタオルで体も軽く拭ってやる。
ベッドのふちに座り、背中を向ける野立に昔の光景がよみがえり思わず笑ってしまった。

「どうした?」

「え?ちょっと思い出しちゃったの、看病といえばさ」

「ピーピー?」

「そう!よく熱出したりお腹壊したりして看病に行ったよね〜」

「懐かしいなー」



熱を出した森岡が呼び鈴の音に反応しドアを開けると野立と絵里子が立っていた。

「どうだ、調子は」

「うん・・・げほげほげほっ」

「寝てなよ、調子悪いんだから」

「おう、さん・・げほげほげほっ」

森岡がお礼を言う間にも咳をしているのを見ると、2人ともベッドに追い立てる。
そして2時間程時間が経ち、騒がしい音に森岡が目を覚ます。
495風邪のおくすり(2):2011/08/03(水) 01:56:13.61 ID:W/jbm93N

「あ!!ちょと野立卑怯じゃない!?」

「へっ、レースに卑怯もくそもあるかよ」

「わっ、またバナナっ」

「それは俺が置いたんじゃない」

「やっ、ちょっと止まんなさいよ」

「よっしゃ1位!!!」

「なによ、このゲーム!!不良品!!!!」

「こら、踏むな!それはさすがにまずいぞっ」

森岡の所有するレーシングゲームに没頭する2人が。

「おい・・・・げほげほげほっ」

「おっ、なんだ起きたんだ?」

「どう、調子は?」

「なんか食うもんでも買ってくるか?」

「ねぇ、このゲーム不良品じゃない?」

「だからゲームのせいにすんじゃねぇって」

「あっ、チーズ美味しよ一緒に食べる?」

「病人にチーズは重くないか?」

「だってこの家のだし」

よく見ればチーズ以外にもこの家にあった食料やらビールの缶やらあ散らかっている。

「・・・・・・・・・・・ごほごほごほっ」

「ねぇ野立ビールなくなっちゃった、買ってこない?」

「だなぁ、つまみもなんか買ってくるか」

「・・・・・おま・・・ごほごほごほっ!!」

「なんだ?どした??」

「お腹すいたの?」

「・・・お、お前ら帰れ!!!ごほごほごほごほっ!!!!」



思い返すと酷いものである。
ピーピーにとっては本当に災難以外の何物でもなかったであろう。
496風邪のおくすり(3):2011/08/03(水) 01:57:47.73 ID:W/jbm93N

「ホント、こんな思い出ばっかりだわ」

「あれは看病じゃねぇな」

懐かしそうに笑う野立には力がない。
熱だけではなく、きっと

「寂しい?」

「え?」

「ピーピーが・・・・・」

「そうなぁ、一緒に野立会もできないしな」

軽くかわそうとするが、その目の色は複雑そうだった。
3人は仲のいい同期。
しかし、絵里子がアメリカに行っている間、それぞれ別の時間を過ごしてきた。
野立とはよく連絡を取っていたが森岡と少しずつ疎遠になり、
2年前対策室立ち上げで日本に戻った時も絵里子をまず迎えたのは野立だった。

野立との信頼関係が深まる中、森岡とできた溝に気づいた時にはもう追う人間と追われる人間に分かれていた。


野立は野立で同性である同期を追う事はつらかっただろう
2人で野立会も行っていたというのだから
野立は絵里子の知らない森岡の顔も知っていてその思い出がより複雑な感情を与えているのかもしれない。


「森岡がね・・・・・」

本当は野立を早く寝かせたいところだが、野立の瞳が会話を終わらせない。

「ん?」

「この間森岡と面会してきたって話したじゃない?」

「あぁ、言ってたな」

「その時言われたの俺と野立、逆だったらどうしてた?って」

もしも野立と森岡の立場が逆だとしたら。

「・・・・・・お前は俺が相手でも捕まえるさ」

「うん、私もそう言ったの、相手が野立だって捕まえてみせるって
だけどね、そうじゃないって」

「そうじゃない?」

「「俺が言ってるのはそういう事じゃない、絵里子、お前はもし野立が犯人だという証拠が出てきたら
今回のようにすぐに動けたか?俺を相手した時のようにすぐに判断できたか?」そう言われたの」
497風邪のおくすり(4):2011/08/03(水) 02:02:29.14 ID:W/jbm93N

野立から相槌の言葉は聞こえない、
しかし無言で先を促され、絵里子は続ける。

「考えてもみなかった、どんな相手でも、それが恋人でも親でも犯罪者なら逮捕するそう決めていたのに
野立が犯人だって証拠が出てきたら自分はあの時みたいに、森岡の時みたいにすぐに動けるか、なんて考えもしなかった」


面会室で言葉を詰まらせた絵里子に森岡は

― 野立の顔みてほっとした顔したお前を見たらさ
「あぁやっぱりピーポーは俺じゃなかったんだな」ってそう思ったよ
お前はきっと野立の事は最後の最後まで信用する、
それがどんな状況であっても、自分を裏切ったとしか思えない状況であっても、そう思ったんだよ。―

遠い目をしたまま呟くように話してから、
少しすっきりした顔でピーパー、ピーポーによろしくな。
そう笑って面会を終わらせて出て行った。


その一瞬一瞬を思い出している絵里子を熱っぽい野立の腕が抱きしめる。
言葉はないが大丈夫だと言われているような気がした。


恐くないと、その日がこない保証がない事が恐くないといえば嘘になる。
この世に絶対など存在しない、いつかお互いが憎みあう日がくるのかもしれない。
いつかこんな風に抱き合う事もなくなるのかもしれない。
それでも

堕ちるのならともに、

いや、違う。


堕ちる前に手を差し伸べてみせる。

堕ちる前に差し出された手を掴んでみせる。


「絵里子」

優しい声がして、顔を上げると唇を塞がれた。
当然のように舌が口内を彷徨う。
野立の体はどこもかしも熱っぽく舌まで熱を帯びている。
その普段より高い体温が今は心地よい。
498風邪のおくすり(5):2011/08/03(水) 02:04:25.55 ID:W/jbm93N

「ほら、寝なきゃ」

「もう少し」

唇を離し促すが聞き入れてはもらえず、また塞がれた
少しの間だけ自由にさせてやってから、指で野立の唇を制御する。

「今日は終わりよ」

「えー?」

「38度の熱がある人が何言ってんの」

「大丈夫だって」

「だーめ、仕事あるのよ」

「汗かけば平気だって」

「どんな汗のかきかたよ」

「色々?」

「はいはい、寝なさい」

ベッドから無理やり離れて、布団をバフっとかけてやる。
まだ座ったままの野立に黒いカバーの布団がかかり、おにぎりのようになった。

「私はあっちで寝てるから何かあったら呼んで」

「一緒に寝てくれないのか?」

「うつるのやだし」

「冷たいなぁ」

「はいはい、おやすみなさい」

ぱちんと電気を消し、ドアを閉める。
その締まる瞬間に

「ありがとな」

と声がした。
その言葉にまたドアを開けたくなる衝動を抑えてリビングに引いた布団にもぐりこむ。

仕事も恋も友情も、この歳になってもまだ惑う。
でも、惑う時間も愛おしい事に最近気が付いた。
一瞬一瞬の痛みでさえも自分を作り上げていくものだという事に。

そんな事に気が付かせてくれた恋人に感謝しながら眠りについた。
499風邪のおくすり(6):2011/08/03(水) 02:07:02.28 ID:W/jbm93N


次の日

「・・・・ねぇ、なんであんたがここで寝てるのよ」

「ん・・・あぁ、おはよう」

「おはようじゃないわよっ」

「絵里子抱っこして寝たら熱下がった」

「下がったじゃないわよ、なんでここにいるのよっ」

「記憶にないなぁ・・・・・」

「嘘つかないでよ!自然にこんなところで寝るわけないでしょ!?」

朝起きると野立が絵里子の布団にもぐりこみ、ぎゅむっと抱き着いて寝ていた。
Tシャツが寝た時と違うところを見ると、夜中に一度か二度起きて着替え、
その時にトイレか水を飲みに来て、一緒に寝ようなどと思ったのだろう、油断のならない男だ。

「全くなに考えて・・・ごほ、ごほごほごほっ」

「あれ?風邪か?絵里子っ」

白々しく驚いておでこに手を当ててくる野立。

「わっ、熱がある、高いぞ絵里子」

「平気よ、大声だしたら咳が出ただけじゃないっ」

「これはもしかしたらただの風邪ではないかもしれない、触診だ」

「ちょ、ちょっとどこ触ってんのよっ」

「大丈夫だ絵里子、ちゃんと温めてやるっ」

「あ、温めてやるって、脱がしてるじゃないのよ」

「裸と裸で温めてやるっ」

「辞めてよ、熱なんかないし、あったとしても寝て汗かいて下げるわよっ」

「汗?汗って言ったか!?よし、汗かこうなっ!!」

「あっ、やんっ、ちょっと・・・・・」


END
500名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 02:10:48.91 ID:W/jbm93N
以上です。

タイトルに全く意味のないことに今更気が付きました。
タイトルは妙にエロいのに・・・・うぅ・・・・・・

次の日の会話は蛇足だと思いながらも、
書いているとどうしても明るく終わりたくなってしまって付け足してしまいました。

駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ。
501名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 02:16:18.08 ID:W/jbm93N
あっ、書き忘れてしまいました。

>>452さん
同期設定でしかも風邪という設定がかぶってすみません。
拝見したのが書いた後だったので、
かぶったものを投下していいのかしばらく迷っていたんですが、
自分のは現在のお話なので、許してもらえるかも・・・思い投下してしまいました。

改めてすみませんでした。
502名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 09:23:33.28 ID:ZmtdPAl1
やったー、また新作が…!3人組好きなので嬉しいです!

毎日続々と、すごいですね。
503名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 10:24:03.20 ID:kolgNSR9
GJGJ
面白かったです
風邪ひいてもそっちは元気な野立w
504名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 11:51:28.88 ID:HHMUw4h3
GJ!
同期3人は、野×絵←森(野←絵は無意識)
だと思ってる私には最高のシチュでした
もうほんとごちそうさまです
505452:2011/08/03(水) 12:22:58.63 ID:EPqUzFE9
>>501
いえいえ全然お気になさらず!自分のはゆるゆる会話文ですからw
次回作楽しみにしております!

中の方々の若いころの映像を漁ってみると絵里子さんは可愛くて男性陣は
細くて締まってるので妄想でニヤニヤが止まらず…
同期3人設定増えるといいなあ…!(野絵はもちろんですが)
506名無しさん@ピンキー:2011/08/04(木) 23:16:55.42 ID:Vx82bO+7
連投ですみません。
がーっと書いてしまった野絵(プラスα)な話を投下させてください。

暗いお話を書いていた時にずっと妄想していたものです。
が、妄想を言葉にするのはなかなかどうしてうまくいかず・・・

うまくいかなかったのはプラスαの方を出したせい
だと思いたい程、なんだかまとまらない文になってしまい
いつものようにお目汚しな感じですが、それでももしよろしければ、どぞ。
507クラブでナイト(1):2011/08/04(木) 23:24:36.15 ID:Vx82bO+7

「こんなところ一緒に来るのなんて初めてだよね」

「だな」

「でもなんであいつ等まで連れてきたの?」

「ん〜?」


今日の仕事終わり、野立が絵里子を連れてきたのはいわゆるクラブと呼ばれるようなお店だった。
女の子がお酌をしてくれるようなお店の方ではない、若者が集うイメージのクラブだ。

若者がどんな店を訪れるのかはわからないが、想像よりずっと大人しく、バーを大きくしたような店。
選曲も昔の洋楽が多く、体を揺らしている面子も少し高めの年齢だろう。
中には若者もいるが、落ち着いて飲んでいる者が多い。

ただ、音楽のボリュームだけは結構大きいので、口を寄せないと聞こえないことも多く、
自然と体が密着し、野立がわざわざ連れてきた対策室の部下たちにはあまり見せたくない恰好になる。
置かれたカップルシートのようなソファに座りお酒を飲むが
話す度に密着する体、自然と野立の右腕が絵里子の腰に回り引き寄せる。

「ちょっと、見られるから辞めてよ」

「大丈夫だって、暗いし、あいつらは自分たちの事で手ぇいっぱいだ」

周りを見渡しても確かにこちらを気にする人間はいない。
山村は女の子に近づいては逃げられているし、
花形は物珍しそうにあちこち見て回っている。
岩井はなぜか女の子とわいわいしているが、広げている雑誌を見る限りどうやら話題はお弁当についてらしい。
片桐と木元は絵里子たちが座っているような二人掛けのソファーに座っているが、
間にもう1人入れそうな程端と端に座っている。
あれで会話などできるのだろうか?

「なんか木元と片桐変よね、最近」

「ん?あぁ、そうな」

しゃべる間も野立の左手が絵里子の頬を首筋を撫でいく
くすぐったさに絵里子が身をよじると嬉しそうに触れるか触れないかのキスを頬にした。

「ちょっと・・・・」

「誰も見てないよ」

「でも、んっ・・・・・」

仕事場では決して着ないロングニットの緩い袖口から野立の指が侵入し、肌をさする。
侵入した指はそのままニットの下に着たキャミソールの上から胸の辺りを一周させ
それから声の漏れた絵里子に満足したかのようにダンスに誘った。
508クラブでナイト(2):2011/08/04(木) 23:32:12.44 ID:Vx82bO+7

「踊るか」

「え?踊れないよ、私」

「いいんだよ適当で」

野立が立ち上がり、戸惑う絵里子を立たせた。
重い足取りで数歩だけ進んだ絵里子の細い体をぎゅっと後ろから抱きしめると体を揺らす。
昔のチークタイムのような状態といえば早いだろうが、こんなのでいいのだろうか?

70年代80年代の懐かしい洋楽が広いフロアでも2人の世界にしてくれる。
絵里子も最初は部下たちの存在が気になってしょうがなかったが、
全く気にもしない野立の様子や、こちらに関心のない部下たちに安心していた。

実は久しぶりの触れ合いで、こんな風に抱きしめられるのを望んでいたのかもしれない。
とんでもなく忙しかったというよりも、お互いの時間が合わず、
たまたまそんな風に抱き合う事がなかっただけなのだが、
どちらかというと触れ合うことが好きな野立が隣におらず、
自分の肌に触れてくる熱がない事の寂しさを少しだけ感じていたのだろう。

絵里子は自分の首に顔をうずめている男の顔が見たくなり、体を離し向き合った。
一瞬驚いたような野立だったが、ふっと微笑むと絵里子の腰に腕を回し胸から下だけを密着させる
決して触れてはいけないと言われているかのように、ほんの数センチだけ離れた唇がもどかしい。

大人としてこんな公共の場でキスをする気はない。
でもあと少しで届く唇がお互いを求めている。

「2階の個室を予約してあるんだ・・・・」

見つめあったまま野立の腕が絵里子の肩に回され、予約したという個室へとなだれ込む。
唇だけが合わさるキスをしながら、野立が上着を脱ぎ、絵里子も自らロングニットを脱いだ。

「ここじゃ・・・・ダメ・・・・・・」

ソファに押し倒され、抗議の声を上げるがその実自分から腕を首に回してしまう絵里子が
野立からネクタイを剥ぎ取り、ボタンを1つ2つと外していく。

「わかってる、触るだけだから・・・・」

そう言いながらキャミソールの上から肌をくまなくさすり、お腹の辺りに顔をうずめる野立。
細く柔らかい細腰を味わいながら、胸に手をかけようとしたそんな男を制し、体を引き上げさせると絵里子は自らキスをした。

「野立は嘘つきだもん」

絵里子の入院先の病院では「キスだけだから」などと言いながら
付き合うきっかけとなった初エッチに持ち込んだし、
少し前には、仕事終わりに誰もいないからと対策室で最後までしてしまった事もあった
そのせいで部下たちにはバレるし、散々だったと文句を言う絵里子の口を唇で塞ぎ
野立はでも今日は本当だと笑う。
509クラブでナイト(3):2011/08/04(木) 23:37:44.68 ID:Vx82bO+7

「なんせスペシャルゲストがいるからな」

「え?」

絵里子から視線を外さなかった男がここで初めて壁の方を向いた。

「片桐、入ってこいよ」

「・・・・え・・・・・・?」

壁は何枚もの鏡が張られていて、その横の扉から入ってきたのはなんと片桐と木元だった。

「・・・・・えぇ!?」

「わるい、色々相談受けちゃってさ」

「ちょ、ちょっと!!!」

野立に文句をいい募ろうとした絵里子に片桐と木元が頭を下げる

「すいません、BOSS」

「すいません」

「あっ・・・・う・・・・・・・・・」

「この2人がさ・・・いや、2人っていうか片桐がさ、俺に相談をもちかけてきたわけよ
「慣れてない女の子とのエッチがうまくいきません、どうしたらいいですか?」って」

「・・・いや、そんな言い方は・・・・・・・」

「わかってるわかってる、でも真意はそうだろ?
で、探ってみたらマミリンも悩んでるみたいだったから、じゃぁ俺たちで一肌脱ごうって思ってさ」

「一肌って・・・・」

その言葉に思わず自分の恰好を思い出し、乱れたキャミを直し放り投げたロングニットも着なおした。
頭はまだ全然ついていかないが、すごく嫌な予感がする

「だから隣の部屋・・あぁ、この部屋の隣ってマジックミラーになってる覗き放題の部屋があるんだけどな?
そこに来ててもらったのさ」

マジックミラーってと絶句する。
という事は全部見られてたんじゃないのよ、ふざけんじゃないわよと。
部下の手前今は責めることはしないが、後で覚えておけよと思いながら深刻そうに佇む2人に目をやる。

まず2人が付き合っていた事も知らなかったし、
だからってなぜそんなに深刻そうな顔でここにいるのかもわからない。
にも関わらず3人にはなにやら打ち合わせがしてあったのか絵里子に構わず先に進む。
510クラブでナイト(4):2011/08/04(木) 23:45:49.03 ID:Vx82bO+7

「マミリンここにおいで」

野立が手招きすると、意外にも大人しくソファに座った野立の脚の間に収まる木元。
それにつられるようにふらふらっと近づいた片桐のソコはもう見てわかる程主張していた。

野立が普段通り色気のない服の上から木元の上半身をさすり始める。
木元も絵里子たちの絡みを見ていて少しは感じていたのだろうか?頬が紅潮し、触られる事も拒否してはいない。

「片桐、下半身をくまなく愛撫してやれ、優しくな?」

慌てるなよ?と笑いながら指示を出す野立が少し憎い
木元に嫉妬しているわけではないが、こんな話は聞いていない。

それでも指だけで愛撫を重ね、慣れてから1枚ずつゆっくりとまとった衣服を脱がせていく野立の様子から目が離せない。
時折、艶を持った瞳で絵里子の方を向いては視線を戻す。

すっかり服が剥ぎ取られた木元はもう十分とろけていて、口からこぼれる吐息が色っぽい。
片桐が愛撫する下半身からはぴちゃぴちゃと水音が聞こえ、十分濡れていることがわかった。

「片桐、持ってきたか?」

「え?」

「アレだよ」

「アレ?ですか?」

「・・・・生でするつもりか?」

「あっ・・・すいません・・・・・・」

避妊具の用意がなかったのだろう、
そんな片桐にしょうがないなと笑うと自分の上着のポケットから新しい箱を取り出し
「それ、やる」と着けるように促した。
片桐が不器用に装着する間も野立の指だけの愛撫は止まらない。
悩ましげに息を吐く木元に慎重に、しかし大胆に腕・腋・手首に背中など様々な処に触れ、なぞる。

「・・・・の、だてさんの熱いですね・・・・・」

「そうだよ、片桐もマミリンにしながらすっごい興奮してる、
それくらいマミリンは魅力的だ、だからもっと自信持っていいんだよ」

俺に体預けて?と、耳元で囁き、片桐が挿入しやすいように腰を上げさせてやる
思わず逃げようとする木元の体をがしっと固定し、
頭を撫でて落ち着かせる。

ぐぐぐっと片桐が腰を推し進める様が見えて、思わず絵里子は自分の初めての頃を思い出し痛くなる。
「いっ・・・・」
相当濡れていたがそれでも痛みは相当なものなのだろう、木元の目に涙が浮かんだ。
それでもなんとか片桐のものが収まると、二人とも黙ったまま動かない。
511クラブでナイト(5):2011/08/04(木) 23:55:01.70 ID:Vx82bO+7

「・・・よかったな片桐」

動かないが、それでも何とか繋がった2人にほっとしたような野立が声をかけた。

「え?」

「第一関門は突破しただろう?」

「・・・・あっ、はい・・・・・・・・・」

「ここからは2人で勉強しながら進め、いつでも相談にはのるから」

「あ、あの・・・・・・」

「今日はいかせようとか考えるな、最初は難しいと思うぞ」

「・・・そうですよね・・・・・・」

「よし、絵里子、邪魔者は消えようか」

唐突に自分の名前が呼ばれびっくりする絵里子。
ここからも結構重要なんじゃないかと思うのだが、野立は木元から体を離した。

「じゃぁな」

野立がまだ呆然としている絵里子の手を取り、歩き出すと消えるような声で2人が礼を言う。
笑いながら「今度は俺ともしよーねマミリン」と絵里子とつないでない方の手を振った。



外に出るのかと思ったが、片桐と木元がいたであろう隣の部屋に連れて行かれ、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
木元も言っていたが、体に触れた野立のモノが服の上からでもわかる程熱くたぎっている。

「木元を触りながら興奮しちゃった?」

意地悪く言いながら向き合うと、予想通りニヤっと笑った男の顔。

「それもあるけど、超我慢してたんだぜ、俺」

向き合ったまま抱き合い、唇を求めて近づき
絡みあった舌が唾液を吸い上げていく。

「もう、あの2人の事は放っておいてしちゃおうかと思った」

でも約束したし、2人とも相当悩んでたしな
と自嘲気味に語る男が少し拗ねているようで可愛く見える

確かに普段だったら絵里子が真剣に嫌がらない限りあのまま続けていただろうし、
個室という事で絵里子もその気がなかったわけじゃない。

「だから、ここでな?」

と手に持っていた上着を放り投げ、絵里子のロングニットとキャミを一気に脱がす。
512クラブでナイト(6):2011/08/05(金) 00:04:54.01 ID:hr7tWaeq

「・・・ここでするの・・・・・・?」

「もう我慢きかない」

「でも、片桐達が目に入るし、声も・・・・」

マジックミラーにしているところから見てもこの部屋は覗くためにあるのだろう、
隣の部屋の全面が見え、しかもどこからか2人の声が聞こえてくる。

それでもキスは辞めずに壁際まで2人で進むと、野立が
マジックミラーにブラインドをかけ、スピーカーだったのかスイッチを切り、あちらの部屋の音を遮断する。
すると先ほどの部屋よりすこし狭い空間で2人きりに。

安心したような絵里子のブラが外され、ふるんとふくらみが揺れる。
手に収まるそのふくらみを立ったまま揉まれて、口に含まれた
コリっと歯で噛まれると絵里子の声が上がる。

こんな処で裸になどなりたくないが、服を汚すわけにもいかない。
邪魔なホワイトパンプスを自ら放り脱ぎ、
履いていたサルエルパンツとベルト替わりに差し色として着けていたスカーフを引き抜かれる。
乱暴に放り出された服たちがパサリと音を立てた。

野立の手が絵里子の股間に伸びて、少し乱暴にまさぐり、
ショーツの中に入り込むといきなりつぷっと中に収められた。

「あっ!」

「もう濡れてる」

「だって・・・・・・」

クイっと指を曲げられて、より声が上がり水音が響く。
他の指が外側のつぼみを刺激したと思ったら意地悪く離れて焦らす。
滴る粘液が長い指を伝い、床に落ちた。

「ね・・・下着よごれちゃう・・・・・・」

その声ににやりと笑うと今まで指で攻めていた股間に顔を埋める野立。

「ホントだ、こんなに濡れてたら汚れるよな」

「や・・だ、そんな風に言わないで・・・・」
513クラブでナイト(7):2011/08/05(金) 00:09:48.84 ID:hr7tWaeq

野立が顔を上げ、絵里子の目を見ながらゆっくりと下着を下ろしていく。
絵里子を見つめるその目が普段よりも攻撃的で色っぽい。
脱がされたショーツも床に放り投げられた。

その落ちる様に気を取られた瞬間に絵里子のそこに刺激が走る
脱ぐために開かれた脚の間に頭が割り込み、ソコを舌で刺激されていた。

「あっ・・・・・」

舌で中も外も刺激され、手はお尻や太ももから足首までを撫でまわされる。
様々な処で起こる快感に腰が砕け、埋められた頭にしがみついて耐えた。

「もう・・・ダメ・・・・・・・」

脚ががくがくし、立っていられない。
そんな絵里子の様子に、またいやらしく笑った野立が絵里子の腰辺りを押し、
軽く突き飛ばすように、後ろにあったソファに座らせる。
男はその間にワイシャツもズボンも脱ぎ去って下着1枚になっていた。
まだ下着に包まれているが、固くそそり立っていたそれは見るだけで絵里子の奥を疼かせる。

わざとらしくソレを太ももにこすり付けながらキスをする野立は
片桐に渡した避妊具の箱から1つ持ってきたのだろう、袋を破き、全てを剥ぎ取った自分のモノに着けようとした。
しかし

「やだ、そのままして・・・・」

絵里子がきゅっとソレを握って懇願するものだから野立が低く呻く
この避妊具が避妊の意味ではなく、後始末の観念からだという事はピルを飲んでいる絵里子も承知の上だ
それでも相手の熱を直に感じたい、その快感が肌にしみついていてそんなゴム越しでは満足できない。

「野立のが欲しいの」

熱っぽく懇願され、緩くしごかれると用意したそれを無視し、絵里子に覆いかぶさってきた。
ソファとの段差を使い、一気に貫く。
その性急さにぐぅっと苦しそうな絵里子の声が漏れた。

抱き合い、キスをしながら腰を振る。
ソファには2人の体液が混じったものが滴り、床にも零れ落ちる。
514クラブでナイト(8):2011/08/05(金) 00:21:07.69 ID:hr7tWaeq

腰を一旦止めた野立が、絵里子の中から自身を引き抜くと体を反転させ絵里子にソファを掴ませた。
バックの体勢で、お尻のあたりを撫で、また一気に貫く。
動きやすい体制で奥まで一気に刺された絵里子が嬌声を上げると更に強く強く抜き差しされた。

ずぷずぷっという濡れた音と、パンパンパンとリズミカルに響く体と体がぶつかる音が響く。
絵里子の腰に回されていた手が前に向かい、揺れる胸をこねくりまわす。

「あっ、うっ!・・・も、もういっちゃ・・・・」

絵里子がうわ言のような声で限界を告げる。

「中で、中で出して!!」

後の事を考え、外で出そうと傍にあったティッシュBOXを引き寄せた野立の様子を背中に感じたのか
先手を打つように絵里子が懇願し、それに応えるように腰を早く打ち付けるようにする野立。
ひねるように、最奥を求め突かれ絵里子の子宮がズンズンを響く。

「イクっ、あぁっ!!!」

打ち付けられる力強さに痙攣するかのように体をしならせ絵里子が達する。
その様子を確認してから絵里子の背中に抱き着くように一番奥で野立が放出した。

ビクビクビクっと絵里子の中のモノが波打ち、液体で満たされていくことがわかる。
野立は全て吐き出すとだらっと力を抜いた。

それからすぐに2人でソファに倒れ込む。
にゅるんと中に収まってたモノが抜け、絵里子の下から液体が零れ落ちた。
その様子に目をやりながら嬉しそうに野立が笑う。

「やらしいな・・・・・」

「・・・何言ってんの、あんたが出したんでしょ?」

「もう、すんげぇ出ちゃった」

2人の体液が混じったものは絵里子の太ももまで達し、それでもまだコポコポっと小さな音を立て溢れている。

「しばらく動けないな、折角ホテル取ったのに」

「・・・・ホテル?」

「久しぶりじゃん?一緒に過ごすのなんて。だから近くにいいホテル取ったんだよ」

そういうところが野立らしいが、結局こんなところでしてしまうのも自分たちらしいと言えるだろう。

「だったらそこに片桐達呼べばよかったじゃない」

「やだよ、2人っきりがいい」

「・・・・バカね」

あんな事をしでかしておいて、子供みたいにすねる野立を可愛いと思ってしまう。
汗と体液でぐちょぐちょになったまま野立の胸にもたれると片手でぎゅっと抱きしめられた。
515クラブでナイト(9):2011/08/05(金) 00:26:15.64 ID:hr7tWaeq

「絵里子だって2人きりがよかったんだろう?服まで着替えてきてさ」

仕事場では見せない服装に、野立が喜んでいたのはわかっていた。
雑誌に出てくるようなスタイルで細身の体を覆い、ひざ下の出るパンツに高いヒールで足首の細さを見せて。
自分でも浮かれているなと思いつつ、でも頑張ったのだ。
普段の自分より少し甘めの恰好で、でもそれをどれだけ自分に似合わせるか、何度も鏡の前で試したりして。

「それなのにあいつらなんか連れてきて、酷いじゃない」

仕事を定時で切り上げて、家でシャワーを浴び、着替えて、化粧までし直して。
それでタクシーでこの店についたら部下たちまでうろうろしていてびっくりした。
なんでよ!と恨み言が口から出かかった。
しかし、いくら付き合っていることがバレたからと言ってもそんな姿は見せたくはない。
冷静さを装い、店に入ったのだが結果はこれだ。

「だって、ほら部下の2人が悩んでて相談受けちゃったし、
時間ある時に他のメンバーも連れてくるって言っちゃったからもうまとて済ませちゃえーって」

ぽりぽりと頬をかきながら言い訳をする野立。
ただ、誤算だったのはあの2人を迎えるまえにしたくなっちゃった事だよなぁなどと呟いている。

「ホントよ、こんな処でしちゃって、どうすんのよ後片付け」

「ま、ここの個室代ってその代金も含まれてるから大丈夫なんだけど」

どうやら完全にその為の部屋らしい。
ベッドが置いていないのは泊まる為の設備ではないからなのか、それとも気分を盛り上げる為なのか。

「慣れてるのね」

その様子に少し嫌味を込めて言うと、肩をすくめる男。

「知り合いの店なんだよ、使った事なんかない」

「ホントかしら」

「2人もどうしようか迷ってるみたいだな」

「え?」

いつの間にかブラインドが上げられ向こうの様子がわかる
ソファに座ったままではスピーカーのスイッチはいじれないのだろう、声は聞こえない。
しかし、慣れない作業に2人が右往左往しているのが見えた。

「あの2人付き合ってたのね」

「おう、なんか怪しいなぁとは思ってたんだけど、そうみたいでさ
ただ、経験の浅い2人だからもう全然上手くいかなかったみたいで、相談受けちまって」

「それでこれ?」

「俺も悩んだんだけどさ、絵里子のいないところでするわけにはいかないし」
516クラブでナイト(10):2011/08/05(金) 00:31:10.65 ID:hr7tWaeq

じゃぁ、少し煽るくらいの事をして、その気にさせたらいいかなとは思ったんだけど、
煽る方が本気になっちゃって、もう止めるのが苦しかったと笑う男。

「ラブホテルとかでしちゃえばよかったのに、3人で」

「・・・・なんだよー結構気ぃ使ったんだぞ?絵里子の前以外では触れないとかさぁ」

「よく言うわ、あんな避妊具まで用意したくせに」

「あれなぁ、俺も最近買わないから何買っていいか迷った」

コンビニのシールが貼ってあったから、こちらに向かう途中に寄ったのだろう、
そんな風に買う中年の男を店員がどう見ていたのか、思う浮かべると少し笑える。

「だったら話してくれればよかったのに」

「話したらこんな事できなかっただろう?」

「まぁ、そうだけさ」

でも話してよねと鼻をつまむと唇をつき出し、またすねた顔をする。
今日の野立はなんだか可愛いなと思うが、それも欲目かもしれない。

「男だって心まで満たされるエッチがしたいんですぅ、
もう性欲だけでするのなんていらないの、俺は」

だからちゅぅしよう、ちゅうと言いながら、啄ばむようなキスをしてくる。
そのキスが愛おしくて思わず頭を撫でた。

「ホテルでシャンパン飲んで、もう1回しような」

気持ちよさそうにしていた男がまた目に少し獣の色を取りもどす。

「これだけ出したのに?」

「全然足りない」

「もう・・・・・」

頬に吸い付く男を離そうとするが、結構力強く吸い付いていて離れない。

「やだ、変な処に跡なんかつけないでよ?」

「大丈夫だよ、ここには残らない」

「あんたの大丈夫はあてにならないからなぁ・・・・」

ホテルに向かう前に何度も何度もキスをする。
前戯なのか後戯なのか、わからないような触れ合いがいつまでも続いていた。



END
517名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 00:38:28.05 ID:hr7tWaeq
以上です。

以前書いたお話の流れをほんのちょこーっとですが入れてしまったので、
読んでない方や忘れてしまった方等々、わかり難い処があったらすみません。

えー・・・・片木を絡ませようとして自爆して・・・・・
でも、ずっと頭にあった妄想を拙いながらも一応文にできて嬉しかったです。

不安とうまく反映されずで投下にえらい時間がかかり、スレを占領してしまい申し訳ないです。

駄文失礼、お付き合いありがとうございましたっ。
518名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 01:05:41.43 ID:ifE0eSkO
GJ!
ナースコールと対策室の書き手さんですよね?
ファンだったのでずっと待ってました〜
またまたエロパロならではのシチュで萌えました!
そして放置される男3人ww

ぜひ次は参事官室でおねがいしますww
519名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 02:00:59.64 ID:hr7tWaeq
>>518さん

感想等々ありがとうございます、
わかり難い文を書いてすみません、
シリーズものでもないし、誰もわからないだろうと思ったんですが、
そんな風に言っていただけるのは本当にありがたいです。

作品が連投になってしまったので、投下していいか悩んだんですが
以前からあった妄想をどうしても吐き出したかったのと、
最近暗い話ばかりを投下していたので、うっぷんがたまっていたみたいで。
自己満足な作品ですみません。

そして、新たなネタをありがとうございます。
外から見える参事官室を使っていつかまた書かせていただけたらと思いますっ。
520名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 04:46:55.52 ID:ZLRM27P5
色々斬新で面白かったです
エロ度も増してて、ものすごくGJです
ありがとうございました
私も参事官室ver.読んでみたいです
521名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 07:59:17.46 ID:FKgeuCq+
GJ!
エロパロならではの展開にドキドキでした!
ナースコール、対策室、ナイトクラブ、三作とも
大胆な行動に反して心は純粋?wな野立がらしくってどツボですw
次回作楽しみに待ってます
522名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 10:08:15.96 ID:d0+iK2Zm
こういカオスシチュもエロパロスレならではだよね
GJGJ
523名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 13:23:49.20 ID:ZJwDDRYf
GJ!楽しかったw
あなたの書く野立、結構やりたい放題なのに憎めなくてエロくて好きだw
次回作待ってます
524名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 19:48:47.23 ID:IDkszJQd
途中、刺激的な展開に、えー!どうなっちゃうのー!とドキドキし、
最後はラブラブ気分♪で、よかったー。
GJです!楽しませていただき、ありがとうございます

私も「守りたいもの」の続編(っていうか、単にその後の話というだけ)
一本書けたんですが・・・。
自分でも一体何が書きたかったのかわからん状態の、
何のストーリーもなくただウダウダやってるだけの文章になってしまい・・・。
こんなの載せていいのか?という感じです。
暇つぶしに読んでやってもいいよ、とうい方のみお願いします。
毎度、ひとりよがりですみません!

525雨ふりホリデイ(1):2011/08/05(金) 19:51:58.17 ID:IDkszJQd

カーテン越しの、ほの暗い光で目が覚めた。
ベッドサイドの時計を見ると、もう昼の12時を回っている。
そのわりに外が暗いような気がして耳を澄ますと、雨音が聞こえてきた。

「雨かぁ・・・」絵里子はまたベッドに潜りこむ。
今日は久しぶりに野立と休みが重なったので、そろそろ買い換えたいと思っていたソファを見に行こうかと話していた。
が、昼過ぎまでウダウダと寝ていて雨が降っているとなると、なんだか面倒になってくる。

「野立、雨だよ。どうする?」
絵里子の動く気配で目が覚めたらしい野立に声をかけると、背後から長い腕が巻き付いてきた。
「・・・めんどくせぇ・・・。今日はよそうぜ」
「うん・・・私もめんどくさい」
そう答えながら、また瞼はとろんと重くなり、絵里子は枕に吸い込まれていく。
昨夜は二人とも残業で遅く、寝たのは明け方近かった。
たまには何もしない堕落した休日というのも、許されるだろう。

そのまま再び夢の中へと堕ちかかったとき、何か胸元にモゾモゾと違和感を感じた。
しばらく「・・・これは何・・・?この感じは…?」
と、夢うつつで意識を泳がせていた絵里子は、ようやくその感触が何なのか思い当たる。

「・・・あんた何してんの?」
「・・・ん?絵里子のおっぱい触ってんの・・・」
「あんたね・・・」
寝ぼけたようなわざとらしい顔演技で「ムニャムニャ」とか言いつつ、野立が後ろから、やわやわと絵里子の胸を撫で回している。
まだ眠い絵里子は野立の手を払いのけようとするものの、なんとなく力が入らない。
526雨ふりホリデイ(2):2011/08/05(金) 19:54:55.83 ID:IDkszJQd

「・・・ちょっと、ねえ、昨日シャワー浴びながら、あんたさんざん触ってたじゃない・・・」
疲労困憊のくせに、一緒にシャワーを浴びてるうちに、
「洗ってやるよ♪」とか言いながら、泡まみれの体をさんざんいやらしくいじられたのを思い出し、
絵里子の体の奥がくすぶった。

「だってあのあと続きしようと思ったのに、疲れすぎてて寝ちまったもん。
だから、もう1回やり直しー」
「やり直しーって、あんた、あっ」
野立の両手が、絶妙なソフトタッチで絵里子の胸を揉んでくるので、絵里子も変な気分になってくる。
昨夜はシャワーのときの勢いのまま、抱き合うつもりでベッドに入ってしまったために
(しかし二人とも睡魔に負けて沈没)、朝っぱらからベッドで素っ裸なのもマズイ。

「・・・絵里子のおっぱい、柔らかくて気持ちいいなー」
野立がわざと絵里子の耳元で囁きながら、胸をむにゅむにゅと掌で転がす。
乳房を柔らかく揉み上げながら、ときどき指の腹で乳首をクリクリと攻め立ててくるので、
絵里子は「ぁン・・・」と声を漏らしてしまった。
「なんだよ、絵里子。感じちゃったのか」
「・・・バカ!そんなんじゃ・・・あっ」
突然横から半分覆いかぶさるようにして、野立が乳房にしゃぶりついてくる。

「ね・・・ちょっと、ダメってば・・・」
「何がダメなんだよ、こんなに反応しやがって」
ねっとりと掌で揉みしだきながら、野立が絵里子の乳首をぴちゃぴちゃと音をたてて舐める。
唇で挟み込んでキュッと引っ張り、舌先でチロチロと転がされると、
絵里子は先っぽが痛いくらいに尖って熱をもってくるのを実感した。
するとまた、指先でいやらしくこね回され、下からすくうように揉まれる。
527雨ふりホリデイ(3):2011/08/05(金) 19:56:39.58 ID:IDkszJQd

「あん、もう、バカ・・・!」
最初はじゃれていた野立が、だんだん本気になっているのが分かる。
絵里子の太ももに、意思を持ったように固くなりつつあるモノが時々当たる。
絵里子の息も、自分の意思とは裏腹に、どんどん荒くなってきた。

こういうときの野立は強引だ。
「なぁ、昨日の分までたくさんしようぜ」
絵里子の耳を舌で舐めながら、野立の右手が絵里子の股の間に伸びてくる。
温かい指が絵里子の感じやすい突起と割れ目をソロリと撫でると、
絵里子は思わず「・・・んん!」と身をくねらせた。
指が柔らかな窪みの中へと、そっと差し込まれる。

「すげーな。もう中がトロトロだぞ。あ、出てきた」
野立が低い声で囁きながら、中指と薬指で絵里子の秘部をくちゅくちゅと、こねくり回す。
「や・・・っ」絵里子はのけぞった。

そもそも、昨夜あれだけ愛撫しあって期待が盛り上がったまま中断したのだから、
いじられればアッという間に体に火がつくのも当たり前だった。
あふれてくる蜜をなすりつけるように、野立の指が絵里子の小さな芽を撫で、
襞の内側を執拗に優しく攻める。
絵里子はたまらなくなって、気づいたら自分から野立の頭を掻き抱いていた。
野立が愛撫の手を止めないまま、絵里子に優しくくちづける。
生暖かい唇と舌が深く絡みあって、絵里子の子宮がキュウッと疼いた。

ここまできたら、絵里子も抵抗する気力などどこかに吹っ飛んでしまい、
自らも激しく野立の唇をむさぼっていた。
野立の親指が小さな突起をくにくにと愛でながら、中指が内側の粘膜をかき回す。
ヒクッと絵里子が身を震わせると、野立は首筋に吸い付きながら絵里子の腰を抱き寄せ、
固い棒のように屹立した野立自身を、絵里子の股の間にこすりつけた。
528雨ふりホリデイ(4):2011/08/05(金) 19:58:13.25 ID:IDkszJQd

「・・・ねえ、あんたすごく、やらしい・・・」
「人のこと言えるか、絵里子。こんなにぐちゅぐちゅになって」
野立が絵里子の入口に当てがったモノを上下に動かすと、
たらたらと蜜が溢れ出して野立のモノにからみつく。
シーツ、取り替えたばっかりなのに・・・頭の隅でチラッと後悔するものの、絵里子はもはや引き返すこともできずに喘いでいた。

野立が絵里子の両方の乳首を指で押しつぶして、くにゅくにゅと遊ばせる。
そうしながら、野立が絵里子の秘所にゆっくりこすりつけていると、
柔らかく濡れそぼった秘所がヌルヌルと開いていき、自然に野立を受け入れてしまった。

「すげぇな、絵里子。勝手に入ったぞ」
絵里子の中を、掘り起こすようにうねらせながら、野立がゆっくりと絵里子を突く。
「ああぁ・・・すごい、それ。あ、あん・・・」
頭がフワーッとするような物憂げな快感に襲われ、絵里子は必死に野立にすがりついた。
もっと、もっとして。もっとたくさん。
気づけば、うわごとのように野立にねだっている自分がいて、不意に恥ずかしくなる。
が、野立はそんな絵里子にますます欲情しているようで、感じている絵里子の顔を一心に見つめながら、
わざと速度を変えて腰を動かし、熱い息を漏らしている。
「絵里子、まだイクなよ。今日はたっぷりするからな」
「うそ・・・。待って、変になっちゃう・・・!」

そのとき、突然絵里子と野立の携帯がほぼ同時にメール着信音を響かせた。
「え?・・・両方鳴ってる?」
二人の携帯が同時になるということは、何かしら緊急の用件の可能性がある。
不満顔で動きを止めた野立の下から腕を伸ばして、絵里子はベッドサイドテーブルの携帯を手に取った。
木元からのメールだった。
529雨ふりホリデイ(5):2011/08/05(金) 19:59:18.02 ID:IDkszJQd

『ボスと野立さんへ
 お休みの日にすみません。一応お知らせしたほうがいいかと思いまして。
 もしテレビを見られる環境でしたら、今すぐBS○チャンネルの○○という番組を見てください。
 今、対策室でもみんなで見てるところです・・・。』

野立も絵里子の携帯画面を覗き込み、しばし二人は押し黙った。
なんとなく、嫌な予感がするのは何故だろう。
野立がしぶしぶ体を離すと、絵里子はリモコンでベッドルームのテレビをつけた。
「平日の昼間のBSなんて、一体何の番組かしら」
けだるい体でブランケットにくるまりながら、二人並んでベッドに座ってテレビに見入る。

ローカル番組のような安っぽいスタジオに、オタク風の男女が数人と、司会役の地味なアナウンサーが映っていた。
「あ、これ、前に見たことあるぞ。ネットユーザーが集まって、オタク談義するマイナーな番組」
野立が髭を触りながら、眉をひそめて言う。
なんであんたがこんなの見てんのよ、と絵里子が吹き出して野立の腹を肘でつついていると、
画面のアナウンサーがにこやかに声を張り上げた。

『それではご紹介します!ネットユーザーが選ぶ、第4回ブロガー小説大賞受賞者、山村啓輔さんです!』

「うわっ!!」
絵里子と野立は、あんぐりと口を開けて画面に釘付けになった。
頭髪の寂しい薄幸そうな中年男が、満面の笑みでどアップで映っている。
何やら、似合わない蝶ネクタイまでつけて、花束を手に頬を赤らめている。
530雨ふりホリデイ(6):2011/08/05(金) 20:03:18.01 ID:IDkszJQd

『山村さんは、本業は公務員でいらっしゃるとのことですが、
今回の受賞作はまったくの趣味で書かれたものですか?』
『はい〜。本業で何やってるかは、事情があって詳しくは語れないんですけどね〜。
ま、常に危険と隣り合わせながら、社会秩序のために全力投球!っていうかぁ。
なので、小説はまったくの趣味で、ブログにずっと書き続けてたんですぅ。
あ、でもボク、10代の頃は山登りが趣味の一方で、
実は密かに文芸部所属だったんですよ〜。
で、小説とかポエムを書くのが得意だったんで、その辺が今に生かされてるって言うのかなぁ〜』

「ちょっと、なんなのよこれは。何か途轍もなく嫌な予感がするんだけど・・・」
「確実に、悪い予感がするよ、俺も」
テレビ画面では、山村のブログが紹介され、横に並んだオタク出演者たちが、
山村の小説についてあれこれ意見を交わしている。

『やはり、山村さんの今回の受賞は、既存の枠に囚われない個性的な文章が、
我々目の肥えたネットユーザーに受けたんじゃないかと思いますねぇ』
『そうそう、サスペンス要素もありながら、基本は官能ラブロマンスっていうのが、
王道っぽいようなんだけど、切り口がユニークなんですよねぇ』
出演者たちに囲まれて、山村がテレまくりながら、カメラ目線でスマイルを送っている。
「・・・官能ラブロマンス?」絵里子の肌が粟立った。
531雨ふりホリデイ(7):2011/08/05(金) 20:04:48.63 ID:IDkszJQd

『受賞作の一番のテーマは何でしょう?』
『やっぱり〜、普段は男まさりでやり手の女探偵が、
腐れ縁でもある探偵所所長と恋の駆け引きを繰り広げるところですかねぇ。
アクションも交えた事件の描写はパワフルに、そのぶん、ロマンスのシーンでは、
思いっきり激しいラブシーンなんかも入れちゃったりして。
ボク、ラブシーンの描写には自信があるんですよ〜。えへへへ』
「やばいぞ。おい、これやばいぞ」野立が掌で顔を覆う。

『ボク、今まで何度か大手の文学新人賞応募したんですけど、
やっぱりボクの作品は斬新すぎたみたいで、なかなか認めてもらえなくて。
でもブロガーの人達になら、ボクの個性を分かってもらえるんじゃないかなぁって
前々から思ってたんで、ほんと今回の受賞は嬉しいです!』
『聞くところによると、主人公二人にはモデルがいるとか・・・?』
『あー、あはははは。ま、モデルというか、
インスピレーションを与えてくれる人物は、ごくごく身近にいますねぇ。うふふふふ』
『それなら、ネタには困りませんね!ところで賞金は何に使いたいですか?』
『そ、それはえっと、高級育毛剤でも奮発しちゃおうかなって・・・』
スタジオがワハハと笑いに包まれた。

絵里子と野立は、二人羽織のようにブランケットにくるまりながら、
青ざめた顔でリビングに移動した。
野立のデスク上のノートパソコンを、ソファに持ってきて起動させる。
先ほどの番組で紹介されていた山村のブログ、『ムームーの独り言』にアクセスすると、
そこには、何章にも分かれて書かれた自作の小説がアップされていた。
タイトルは『じゃじゃ馬探偵エミコにおかませ』。
「・・・・・」絵里子と野立はしばし固まったまま動けない。
532雨ふりホリデイ(8):2011/08/05(金) 20:07:47.60 ID:IDkszJQd

「い、行け、絵里子。いつもの度胸はどうした」
「ちょっ、こ、これは・・・尋常じゃない勇気がいるわよっ!あんたがやってよ!」
しばらく互いに押し付けあったあと、絵里子が引きつった顔で、恐る恐るマウスに手を伸ばした。
『第5章 ノザキの甘い誘惑』をクリックする。

《・・・「さすがだな、エミコ。いい仕事ぶりだった」ノザキがワインで祝杯をあげながらニヒルに微笑むと、
「あーら、私の実力はこんなもんじゃないわ」と、エミコがタイトスカートの脚を大きく組みなおした。
黒い紐のパンティがチラリと覗き、ノザキの眼差しがナイフのようにギラリと光る。
「おまえのその負けん気の強さがたまらないぜ!」ノザキがエミコの肩を抱き、乱暴に胸のボタンを引きちぎった。
「相変らず、強引なオトコね、ノザキ!」エミコの息が荒くなり、二人は激しく唇を求め合う。
ノザキの手がエミコの小さな胸をまさぐり、エミコもまたノザキのズボンのファスナーに手を伸ばした。
「ああ、エミコ。おまえのキスは最高だな!」
「ノザキ、あんたに抱かれると、私もうメロメロよ!」・・・》

「もう、いい!もうーいいから!!」
声に出して読み上げていた野立を絵里子が必死で遮った。
二人は無言でノートパソコンの電源を切ると、
がっくりと肩を落としてブランケットを引き摺りながらベッドに戻っていった。
533雨ふりホリデイ(9):2011/08/05(金) 20:11:54.62 ID:IDkszJQd

「・・・ブログは即刻閉鎖させよう」
「早急に山村さんを締め上げるわ」
「いや、俺が直接、厳罰を与える。養毛剤をすべて取り上げてやる」
「だいたい、好き勝手書いて、なんなのよアレ」
「どこが小説大賞だ。ただのオッサンの妄想日記だろ」
「『ノザキはエミコの小さな胸をどーのこーの』って・・・
ホンモノ見たこともないくせに、なんで小さいって分かるのよっ!!」
「おまえ・・・怒りの対象そこかよ・・・」
「大事なことでしょぉお!?」
「っていうかホンモノ見るまでもないだろ。
おまえが間違っても巨乳じゃないのは、大抵の人間にバレてるぞ」
「う、うるさいっっ!!」

「・・・ま、俺は好きだけどな。絵里子の胸」
野立はニヤッと笑みを浮かべると、ブランケットをいきなり剥いで、絵里子を後ろから抱きすくめた。
「小さめで可愛くて、柔らかくてさ」
そう言うと、絵里子の胸のふくらみを掌で包み込む。
「感度もいいしな」
すくい上げるように優しく掴みながら、親指で蕾をまるくゆっくり転がすと、絵里子が
「そんなこと、言ってる場合じゃ・・・」と身をよじらせる。
534雨ふりホリデイ(10):2011/08/05(金) 20:15:42.70 ID:IDkszJQd

野立は構わず白くて柔かな絵里子の胸をいじりながら、首筋にチュッと唇を当てた。
絵里子の体が少しずつ脱力していき、尻のあたりに当たる野立のモノに意識が集中してしまう。
むくっと、起き上がるようなその気配に、絵里子は「あっ」と思わず声を上げてしまった。

「ほらな。もう感じてる」
野立の指の刺激に、絵里子が両脚をもぞもぞとくねらせた。
「・・・バカ・・・いじめないでよ・・・」
「それに、絵里子の味がする」
野立が絵里子を押し倒し、乳房に唇を押し付けた。
ピンと立った蕾を口に含んで舌で転がしながら味わう。
「絵里子の甘い味がする。好きなんだ、これ」

じわじわとくる気持ちよさに、怒りが徐々に溶けていく。
気づいたら絵里子は、野立の体にぎゅっと抱きついていた。
「めんどくさいことは明日だ明日。とりあえず続きしよーぜ」
野立が絵里子の脚の間に、手を伸ばしてきた。
「絵里子の体は素直だよな」
野立がニヤニヤしながら、蜜に濡れた指先を、絵里子の目の前に突きつける。

外の雨は、いつのまにか本降りになっていた。
・・・山村は明日とっちめればいいわよね。
どうせ外には出られない。今日はくたくたになるまで素直になるか。
絵里子は観念して、野立の頭を引き寄せてキスした。
「・・・私も野立の味が好きよ」
ちょっと照れながらそう言うと、野立は満足そうな顔で絵里子を見下ろした。

                        E N D
535名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 20:18:38.25 ID:IDkszJQd

おしまいです。本当にいつも以上に内容のないものを
ダラダラと書きなぐってしまい申し訳ありません。
スペース使わせていただきありがとうございました☆
536名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 20:57:12.64 ID:Odw05322
甘々だなーとほのぼの読んでたら
途中の山村さんのくだりで声だしてワロタww
エミコとノザキw
GJGJ!
537名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 21:26:53.82 ID:bp43k/ic
実におもしろかったです!!
毎回、毎回
笑わせていただいてます。

ごちそぅさまですw
538名無しさん@ピンキー:2011/08/06(土) 10:48:23.63 ID:wei9p3Up
GJ! ほんっとにたくさんの作品をありがとう!
もう、野絵が甘々で幸せだ…
これからもいっぱい書いて下さい!
539名無しさん@ピンキー:2011/08/06(土) 14:50:42.46 ID:AigakTVW
このペースで書くのってみんなすごいなぁ
540名無しさん@ピンキー:2011/08/06(土) 18:44:19.46 ID:9wYf9c6O
GJ!笑わせてもらいました!
絵里子の欠点、貧乳が大活躍なとこも大笑いでした。
どの作品もぶれない野絵に
対策室の他メンバーがいい味を出してて面白いです
本当にどんどん色んなシチュ書いて下さいね
楽しみに待ってます
541名無しさん@ピンキー:2011/08/07(日) 16:02:44.73 ID:gjSTbtVY
野絵を投下します。真夏ですが、クリスマスネタです。
エロはありません。ごめんなさい。
男前の絵里子さんを書きたかったんですが、うまくいったかな。
542聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:04:08.90 ID:gjSTbtVY
「最近、アイツに会ってないなぁ」

会議の合間の休憩中、窓辺で缶コーヒーを飲みながら野立はつぶやいた。
年の瀬もせまった12月。
野立は参事官としていくつもの会議をはしごしていて、
絵里子は先日解決した連続殺人事件の後処理に追われていた。
いや、正確には追われているらしい。
というのも、絵里子とは一ヶ月近く顔を合わせていないからだ。
事件のことも、挙がってきた書類に目を通して初めて知ったくらいで、
ちょっと対策室に顔を出すこともできないくらい、忙しいのだ。

「あっ」

警視庁の玄関に見覚えのある車が止まり、中から女性が降りてきた。
ベージュのパンツスーツに茶色のカバンを引っ掛けた大柄な女。
間違いない、絵里子だ。
絵里子は颯爽と髪をかきあげながら、運転席の片桐(たぶん)を待っている。
すると後続の車両から大きなカバンを抱えた木元が駆け寄ってきた。
二人は一言二言会話をすると、なにやら楽しそうに笑いあい、
絵里子は木元の髪をくしゃくしゃにかき回した。
そこにさらに花形が駆け寄り、絵里子にハイタッチをする。
続々と対策室の面々が集まり、絵里子は笑顔で何か伝えている。。
大方、事件の解決について、部下にねぎらいの言葉でもかけているのだろう。
しばらく話した後、対策室のメンバーは建物内に入っていく。
絵里子はその後姿を笑顔で見つめていたが、ふと上を見上げた。
野立の視線に気が付いたのだろうか。
しかし、警視庁の窓ガラスは、中から外は見えるが外からは見えない仕様だ。
気づいているわけない、そう思うのだが、なぜか鼓動が早くなる。
背筋をぴんと伸ばしてじっとこちらを見つめる姿には、何者も寄せ付けないような意志の強さと確固たる自信があふれていた。
まるで、孤高の女王のような・・・
543聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:05:28.61 ID:gjSTbtVY
「野立参事官、時間です」

振り向いて返事をし、もう一度外を見ると絵里子の姿は消えていた。

それから一週間、あいかわらず野立は忙しく、絵里子と顔を合わせることもないままだった。
実は、ときどき姿を見かけることはあったのだが、声をかけられなかったのだ。

野立が集めた対策室のメンバーは、さまざまな困難を乗り越え、今や固い絆で結ばれたチームになっていた。
それをまとめているのが絵里子。いつも自信にあふれ、部下にも慕われている美しい女性キャリア。
彼女が立派に仕事をこなしているのは、同期として、また上司としても喜ばしいことだが、
絵里子にはもう自分が必要ないのではないか。

車の後部座席から外を見て、野立は大きくため息をついた。

「今日は道が混んでいるな」

「クリスマスですからね」

言われて初めて気が付いた。今日は12月24日。クリスマスイブだ。
意識して見ると、昼の街は笑顔のカップルや家族連れであふれていた。
絵里子は今夜、誰と、どこで、何をして過ごすのだろうか。

「・・・俺には関係ねーよ。どうせ今夜も会議だ」

独り言のようにつぶやいて、野立は目を閉じた。
544聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:06:42.91 ID:gjSTbtVY
その会議が突然中止になった。
お偉いさんの誰かが「今夜は家族サービスする」などと言い出したらしい。
それならもっと早く言ってくれよ。そしたら予定のひとつでも立てたのに。

「クリスマスに何の予定もないのだろうか」

周囲の目がそう言っているように感じ、居心地が悪い。
カップルがあふれる街を歩いて帰るのが嫌で、だらだらと仕事をしていたのだが、限界だった。
野立は仕方なく身支度を整え、参事官室を後にする。
時計の針は8時を回っていた。

思っていたより風が冷たく、野立は身震いしながらコートの襟を立てた。
さすがに官庁街なので人通りは少ないが、それでもぽつりぽつりとカップルの姿が見える。
こんなところまで、何の用事だよ。
ぶつぶつとつぶやきながら駅への道を歩き出したとき、後方から聞き覚えのある声が聞こえた。

「あれ、今帰り?」

振り向くと、白いコートをまとった背の高い女性が立っていた。

「・・・絵里子」

野立が固まっていると、絵里子は小走りで野立の横に来て、いたずらっぽく笑った。

「クリスマスなのに、ずいぶん遅いお帰りなのね。野立参事官」

「急に会議がなくなったんだよ。おかげで早く帰れる」

「早く」を強調しながら野立が言うと、絵里子はケラケラと笑った。
545聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:07:54.49 ID:gjSTbtVY
「どうせ何の予定もないんでしょ。無理しなくていいわよ」

「そういうお前こそどうなんだよ」

「私? 私はいろいろあるわよ」

ふふんっと自慢げに鼻をならして、絵里子が言う。

「素敵なレストランに行ってー、ワインでしょー、それからケーキも食べてー」

絵里子は、野立の1メートル先を軽やかな足取りで歩いていく。

「イルミネーションも見にいってー」

そこでくるりと振り向くと、またいたずらっぽい笑みを浮かべた。

「嘘」

「え?」

「こんなに忙しいのに、予定なんか立てれるわけないじゃない」

つかつかと大股で歩いてこちらに来ると、絵里子は野立のネクタイをぐいっと掴んだ。

「どっかの上司が仕事をおしつけてくるおかげで、
 こっちはクリスマスだってのに一人寂しく過ごさなきゃいけないのよ」

10センチくらいの距離でそうせまられる。心臓が早鐘を打った。

「責任とってよ」

例の瞳でじっと見つめられるが、野立は何も答えられない。
絵里子の吐息が鼻先をくすぐる。

「寒いんだから、さっさと答えて」

「・・・仕方ねーなぁ。寂しい絵里子のために、今夜はつきあってやるよ」

そう答えると、絵里子は満足気にネクタイから手を離した。
野立は乱れたネクタイを整える。ネクタイには、まだ絵里子の体温が残っていた。
546聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:09:30.02 ID:gjSTbtVY
時間も遅かったこともあり、ちょうどキャンセルがでたというレストランに予約を取ることができた。
おしゃれなディナーを楽しみながら、お互いの近況や仕事についての話に花を咲かせる。
といっても、一方的に絵里子がにどれだけ自分が忙しかったかを語り、野立がただ聞いていただけなのだが。
2時間ほど会話を楽しだ後、イルミネーションが見たいという絵里子のために
駅まではタクシーを使わず歩いて行くことにした。

「なかなかきれいじゃない」

色とりどりの電飾に彩られた街路樹を見上げ、絵里子が歓声をあげる。
ほのかな明かりに照らされ、絵里子の白い肌が浮かび上がって見えた。

「ああ、悪くないな」

「私と来て、良かったでしょ。人並みのクリスマスが過ごせたこと、感謝してよね」

「・・・そうだな」

そう答えた後、自分の返答の意味に気が付き、顔が熱くなる。
恐る恐る顔を上げると、絵里子も驚いた顔で、こちらを見ている。

「いや、お前こそ、俺に感謝しろよ」

照れ隠しにそう言うと、絵里子は「はいはい」と適当に返事をして野立に並んで歩き出す。

ふいに、腕にやわらかいものが触れた。
それが、絵里子と腕を組んでいるのだということに気が付くには、そう時間はかからなかった。
驚いて絵里子を見ると、こちらを見つめて笑っている。鼓動が早くなる。

「だって寒いんだもん」

「だからって、お前」

「いいじゃない。まわりもみんなやってるんだし」

ああ、今日はコイツにふりまわされっぱなしだ。
野立は腕を振りほどくと、乱暴に絵里子の肩を抱き寄せた。
そのまま両手で抱きしめる。
547聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:10:33.59 ID:gjSTbtVY
「きゃっ。ちょっと、野立、やりすぎよ!」

「寒いんだったらこっちのほうがいいだろ」

「恥ずかしいってば!」

「まわりもみんなやってるんだろ?」

「ここまではやってないわよ!」

腕の中でぎゃあぎゃあと騒ぐ絵里子をなんとかしてなだめようとしたとき、ふっと辺りが暗闇に包まれた。
11時になったので、点灯時間が終わったのだ。

「終わっちゃったね」

急におとなしくなった絵里子がつぶやく。

「そうだな」

絵里子の体を抱きしめたまま、野立も答えた。

「ホントは、今日、アンタのこと待ってたのよ」

「そうだったのか?」

「会議がなくなったって聞いたから、ひさしぶりに食事でも行けたらなーって。
 ほら、最近忙しくてろくに話もできなかったじゃない。
 いつもなら適当に声かけてたんだけど、クリスマスだからかなぁ。
 変に意識しちゃってやりづらいったらなかったわよ」

そう言うと、絵里子は野立の腕から抜け出して、歩き出した。

「でもよかった」

「どういう意味だよ」

「次にいつ時間ができるかわからないでしょ。どうせ暇なのはわかってたけど、いちおうクリスマスだし」

「・・・悪かったな。暇で」

地下鉄の駅に着いた。絵里子が振り向く。

「今日はありがとう。久しぶりに話せて楽しかったわ」

周囲のカップルは、幸せそうに腕を組んだまま駅構内に向かっている。
それに対して、自分たちは。
548聖夜の奇跡:2011/08/07(日) 16:15:00.80 ID:gjSTbtVY
「じゃあ、またね」

そう言って歩き出そうとする絵里子の腕を、野立が掴む。

「何?」

「帰るなよ」

「何で?」

絵里子が見上げてくる。野立はごくりと唾を飲み込んだ。

「まだ11時だ。クリスマスは終わってない」

「もう十分よ」

「俺は、お前のためにここまでつきあった。この後は、お前が俺のためにつきあえ」

「はぁ? ひとりぼっちで寂しいアンタにつきあってやったのは私のほうよ」

「じゃあまだ足りない。つきあえ」

ちゃかして帰ろうとする絵里子の両肩を掴む。無言のまま、見つめあう。
先に口を開いたのは絵里子だった。

「・・・私と会えなくて寂しかった?」

「ああ」

「ほんとに?」

「今更お前に嘘つかねーよ」

恥ずかしくて仏頂面で答えると、絵里子がふっと笑った。

「じゃあ、いいわよ。いっしょにすごしてあげる」

彼の返事は、女王のご期待にそえることができたようだ。
野立は、はぁーっと大きく息を吐いた。
結局、最後まで絵里子に振り回されてるな、俺は。
そう自嘲気味に笑っていると、ふいに名前を呼ばれた。

「・・・っ!」

唇にやわらかいものが触れた。

「さぁ行くわよ!」

絵里子が笑いながら手を引く。

「行くってどこへだよ」

「アンタのマンション。まだ飲み足りないのよ」

・・・なんだ、結局いつもと同じかよ。ちょっと期待して損した。
野立は、また感触の残る唇に触れると、微笑んで絵里子の後を追った。
549名無しさん@ピンキー:2011/08/07(日) 16:16:30.45 ID:gjSTbtVY
以上です。中途半端ですいません。
男前な絵里子さんにふりまわされる野立が書きたかったんです。
550名無しさん@ピンキー:2011/08/07(日) 17:05:16.99 ID:CkVPp8ih
GJ!GJ〜!!
ほっこりするお話をありがとう
続編を激しく希望します
551名無しさん@ピンキー:2011/08/07(日) 22:21:47.50 ID:JZ5W8Bvg
確かに続き読みたいですね〜。ほのぼの幸せGJ♪
552名無しさん@ピンキー:2011/08/08(月) 00:18:51.75 ID:sN8vqQYg
どなたか絵里子の誕生日を祝う二人の出来事を書いてほしい
553名無しさん@ピンキー:2011/08/08(月) 01:43:24.68 ID:VlV6Njvw
あ〜ほのぼの幸せでいいなあ
554名無しさん@ピンキー:2011/08/08(月) 19:09:07.63 ID:NFa69bUP
どなたか何か書いて下さい〜。
やっぱり野立×絵里子はいいですね★
555名無しさん@ピンキー:2011/08/08(月) 23:38:15.13 ID:6d2dTg2P
中の方のお誕生日という事を今日知ったので、
お祝い野絵(?)を投下させてください。
仕事から帰ってきてからばーーっと書いたモノなので、
ネタ程度のくだらないものですが、そんなものでもよろしければお読みくださいませ。
556秘密のぷれぜんと(1):2011/08/08(月) 23:42:10.49 ID:6d2dTg2P

「大丈夫かなぁ〜!ドキドキするっ!!あっ、山村さん、どうです?ドアから見えますか?」

「うん、見えないよ大丈夫。片桐君、BOSSの机からはどう?」

「・・・見えないと思う・・・・・・」

「なんや片桐、男らしくずばっと断言せぇ」

「そろそろケーキスタンバイしておきますね」

今日、定時を過ぎた夕方、
対策室のメンバーは机や段ボールを使い、バリケードのようなものをこっそり作っていた。
というのも、今日はこの対策室の室長・大澤絵里子の誕生日だからだ。

もちろん、このバリケード自体が絵里子への誕生日プレゼントではない。
お祝いのサプライズパーティーの為に準備したのがこのバリケードなのだ。

簡単に言えば、上司に呼ばれて出て行った絵里子が帰ってきたらもう誰もいない。
あら、誰もいないのね、帰ったのかしら?
って思わせたところで「はっぴばーすでーとぅゆー」
と驚かせる作戦だ。

そんな幼稚な作戦がサプライズになるかどうかは別として、
男前で頼りになる上司への、可愛い部下たちからのささやかなるお礼の時間なのだろう。


と、そこへ件の上司が帰ってきた。
カツカツという音が聞こえ、慌てて隠れる部下5名
山村が隠れそこねそうになり、岩井が間一髪で引っ張り込んでやる。

「あら、誰もいないのね」

いつの間に帰ったのかしら、などと首をかしげている様子が手に取るようにわかる。
すぐ帰ってくると言っておいたのだし、
誰か1人くらい残って報告くらいしなさいよね・・・・
と少し不服そうに呟いているが、
まぁ、急ぎの仕事もないしいいかと納得している。

そろそろいいだろうと、部下5名が無言で目を合わせる。


(((((せーーーの))))))


「絵里子」

まさに今飛び出そうとしていたメンバーがその声でビクっと止まる。
対策室に入ってきたのは、自分たちのそして絵里子の上司でもある野立だ。
557秘密のぷれぜんと(2):2011/08/08(月) 23:44:22.41 ID:6d2dTg2P

「あれ、どうしたの?」

「さっきの、護衛の件なんだけど」

「え?まだなにかあった?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「野立?」

「・・・ん?あぁ悪い、そうなんだ。ちょっと確認しておきたいんだよ」

別に悪いことをしてるわけではないのだが、タイミングを逸してしまい息を殺す5人
しかも聞こえてくるのが真剣な仕事の話なものだから
なんだか自分たちのサプライズが場違いに思えてくる。

「ってところだな、でかいサミットだからあいつらにも気を引き締めるように言っておいて。」

「了解。」

「なぁ、絵里子」

「なに?んっ・・・・・・・・」

隠れている5人に今までと違った緊張が走る、
なんだ「んっ・・・・」って、
なんだこの無言の間は!!といういたたまれない気持ちが生まれた。

「・・・・・・もう、あんたってホント急なんだから」

「もう仕事は終わりだからさ」

「だからって・・・あっ、ちょっと、ダメ。」

なんですか、その甘い「ダメ」は。
それは「もっとして」って意味なんじゃ・・・・・
と気が気ではなくなる5人。

「おいで」

「きゃっ!ちょっと・・・・」

ドサっという音がして、対策室のソファに人が落とされたような音がする。
おおかた野立が絵里子を抱え上げ、ソファに2人の体を預けたかなにかしたんだろう。

「ね・・・・ダメよ」

「少しだけ、な?」

「もう・・・ん・・・・・・・・」

聞いたこともないような上司の吐息が聞こえ、おそらくキスをしているであろう音が聞こえる。
558秘密のぷれぜんと(3):2011/08/08(月) 23:48:13.34 ID:6d2dTg2P

「やっ、脱がさないで・・・・」

「大丈夫だよ」

何が大丈夫なんですか!?
と突っ込みたいが声が出せない。

「ん・・・・ダメ・・・・・・・・」

「絵里子の固くなってきたよ」

「触られたら感じてなくてもなっちゃうのよ・・・・・・」

「感じてないのに、脚までモジモジしちゃうのか?」

「や・・・言わないで・・・・・・・・・」

もじもじってー!?
と思うがやっぱり声は出せない。

「ね・・・キスだけにして・・・・・?」

「しょうがないな・・・・・」

いやいやいやいや、キスだけでも相当ですよ!?
抗議したい事だらけの部下5人。
しかしそんな5人にはお構いなしの上司2人がいる。


「んっ・・・・・・え・・・?なに?」

「大人しくしてろ、留め具ができない」

「どうしたの?」

「プレゼント」

今度はエロいプレゼントか!?と思ったが、絵里子の様子が違う、何かあったのだろうか。


「わぁ、綺麗なネックレス。ダイヤだ。」

「似合うよ」

「ホントに?ありがとう」

野立の少し得意そうな声に、絵里子の嬉しい中にも華やいだ声から察するに相当の値段のものなのだろう。
さすがキャリア、しかも同期の中でも出世頭と言われる男だ。
559秘密のぷれぜんと(4):2011/08/08(月) 23:52:13.70 ID:6d2dTg2P

「あれ?もう1つ??」

「あぁ、それは遊びみたいなもんだな」

「ピンクゴールドじゃない、綺麗ね」

「絵里子にはちょっと可愛すぎるけどな」

「ちょっと、自分で選んだんじゃないの?」

「うん、ダイヤはともかく、そのネックレスは恥ずかしかった、選ぶの」

「えぇ?どういう事?」

「秘密」

「もう・・・・あれ?この彫られてる模様ってなんだろ?」

「なんだと思う?」

得意そうな野立の声がする。
なにやら特別な模様が彫られているようだ。

「ん〜・・・鶴の顔??」

「・・・・おい、よりによってツルの顔かよ」

「だってそうとしか見えないもん」

「まぁいいや、お礼は?」

「えぇ?普通そういうの請求する?・・・・でも、ありがとう」

「違うってぇ、そういうんじゃなくて」

「なによ?」

「お礼はこうだろ?」

また無言。
部下5人はもうやめてくれと叫びたいやら、こうなると少し慣れてきた事もあって見たいやら。
シュルという音がして、どうやら野立のネクタイが外されたらしい。
どちらが外したのかはわからないが、またえらく色っぽい音だった。
560秘密のぷれぜんと(5):2011/08/08(月) 23:53:58.16 ID:6d2dTg2P

「・・・え?あんたもネックレスしてるの?」

ボタンも1、2個外したのだろうか?絵里子が野立に身に着けていたものを見つけたようだ。

「あれ、これってお揃いなの?」

「はは、言っただろう?「遊び」だって」

「・・・・・やだっ、ちょっとこれって」

「だから「恥ずかしかった」んだって、選ぶの」

「えー・・・・これつけるの?」

「2つ合わさらなきゃ意味わかんないんだからいいだろ?
俺はワイシャツで見えないし、絵里子のだけ見てたら「ツルの顔」の模様にしか見えないだろうし」

「でも2つ合わさるとさ・・・・」

「俺とお前がお揃いだって知ってなきゃ、それがペアネックレスだって知ってても
「あれ、大澤さん誰かとお付き合いなさってるんですか?」って言われるだけだって」

「・・・・あいつらは知ってるのに?」

「あいつらは平気だろ、こういうのに疎そうだし」

「・・・・ふふ、なんかくすぐったいね、こういうの」

「ま、40過ぎてやることじゃねぇけどな」

「ホント、こんなの初めてした」

「俺も」

「うそぉ?」

「ねだられた事はあるけどな」

「しなかったんだ」

「買ってはあげたよ?つけなかったけど」

「ひどい男」

「しょうがないだろ、俺は・・・ん・・・・・・・」

今度は絵里子からキスをしたらしい。
会話は途切れ、唇が合わさる音しか聞こえてこない。
561秘密のぷれぜんと(6):2011/08/08(月) 23:57:35.54 ID:6d2dTg2P

「・・・・・ね、帰ろう?」

「あぁ、美味いもんでも食いに行こうな」

「どこ連れて行ってくれるの?」

「・・・内緒。」

「ふふ、楽しみにしてる」

「まぁ、とりあえずおめでとうだな」

「なによ、とりあえずって」

そんな会話の途中でもキスの音が聞こえてくる。
あぁ、もう「見たい」なんてチラっとも思わないから、早く帰ってくれと願わずにはいられない。
そんな5人の願いが聞こえたかのように絵里子が帰りの支度をはじめた。

「これでよし、あいつらも帰っちゃったし電気消しておくわ」

電気と空調が切られ、しんとする室内。

「あっ、俺携帯ソファに落としたみたい、先出てて」

「わかった、そこにある?なくしたりしてない?」

「あぁ、さっきまであったから」

「ならよかった。そこにいるね」

絵里子が出ていき、野立がそこに残ったようだ
後は野立が帰るだけ、緊張がやっとほぐれてきた。
しかし、

「・・・・ケーキでも用意してたのか?」

(((((!!!???)))))

「悪いなぁ、有象無象の輩達。」

隠れていた5人の答えを聞くこともなく、バタンと扉を閉めて出ていく野立。
帰ってくる気配がない事を確認してそろ〜っと出てくる5人。

「し、知っててやってたんかあの人」

「なんて大胆なんですかね、野立さんって」

「ふ、深すぎるね・・・・・・・」

「その深さはどうかと思いますけど」

「そうだな・・・・・・・」


次の日、絵里子の胸元に光るピンクゴールとダイヤのネックレスを見つけ
そのピンクゴールドのネックレスに彫られた図柄が、
対になるであろうものと組み合わせると「ハートマーク」になることを発見したメンバーたち。
その事実に慣れ、絵里子と野立が話している様子を普通に見る事ができるようになるまで相当の時間を要したという。
562名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 00:02:52.64 ID:z2T35xpF
以上です。
なんとか8日中に投下できてよかったです。

完全な自己満足な上に短い時間で勢いだけで書いてしまったものなので、
色々と粗があると思います、すいませんです・・・

お目汚し失礼、お付き合いありがとうございましたっ。
563名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 00:09:24.75 ID:2N6ZfK0n
ありがとうございます!
タイミングよく8日のうちに読めて幸せです。
急いで書いてこのクオリティとはすごすぎです。
564名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 00:27:00.55 ID:eLXg9140
GJGJすげえええええええええええええ
秘密のぷれぜんとさんって慰安旅行とかのシリーズの方ですか?
565名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 00:46:23.02 ID:z2T35xpF
>>564さん

いえいえいえ、まさかまさか。
慰安旅行などのシリーズを書いてくださっている方のファンの人間です。


拙い文なのでお恥ずかしいですが、
自分は最近では「ぎゅっと」の前・後・野立編や「風邪のおくすり」「クラブでナイト」なんかを書いた人間です。
もし、また投下する事ができた時には、お読みいただけたら本当に嬉しいです。
566名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 01:04:55.62 ID:eLXg9140
>>565
あああごめんなさい!
そちらのシリーズの方でしたか!あなたのシリーズもファンです。
いつもありがとうございます
567名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 01:05:56.91 ID:TzysiZCC
すごーい素敵!!
寝る前にいいもの読ませていただき最高です。
ありがとうございます!

ちなみに私、慰安旅行とか書かせてもらってる者なんですが(恐縮)
「ぎゅっと」も「ナースコール」の方の作品だったんですね〜
すごすぎます!

また楽しみにしてますね。いい夢見れそう〜♪
568名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 01:09:11.44 ID:eLXg9140
ほんと、間違えてしまい申し訳ありません…
569名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 02:49:18.07 ID:fjrqPKDz
GJ!!!!
いやはや素晴らしい
起きてて良かった〜
570名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 06:28:38.55 ID:z2T35xpF
>>568さん
大丈夫ですよぉ、お気になさらずで。
自分的にはむしろ光栄ですから♪
571名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 07:01:25.06 ID:bbvb6eEj
GJ! なんて素晴らしいんだ…
ありがとうございます
どんどん書いて下さい!
楽しみにしています!
572名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 22:28:31.42 ID:Ktv8PSKx
昨夜の素晴らしいバースデーストーリーの後で、大変お恥ずかしいんですが・・・
「雨ふりホリデイ」の後の話が書けたので、こっそり投下させてください。
ほんとに、いつも拙い文章にお付合いくださって、ありがとうございます☆

毎度ながら無駄に長くて、自分でももっとスマートにまとめられないのかと
反省しきりなんですが・・・設定も無理ありすぎだし。
すみません。またスペースたくさん使っちゃいそうでほんとに申し訳ないです。
573ディナーにご用心(1):2011/08/09(火) 22:32:13.89 ID:Ktv8PSKx

参事官室を出て、対策室へ向かう長い廊下をブラブラ歩いていると、すれ違う婦人警官たちが「きゃっ!野立参事官♪」と小さく声をあげた。
○○ちゃん相変らずカワイイね〜などと軽口を叩いてポーズを決める。
だが、野立は最近、そういう自分が妙にオジサンくさく思えるときがあった。
近頃は、髪にほんの数本白いものがチラッと見え隠れするようになったが、
ま、それも悪くないかと、どこかで開き直っている。

もちろん、40をとっくに過ぎた今でも怖いくらいにイイ男の自覚はあるが、
なんというか、守るべきものができたせいか、以前より、がっつくことがなくなった。
「この余裕がまた、いぶし銀の魅力なんだよな」
野立が一人ごちていると、廊下の前方に絵里子のスラリとした後ろ姿を見つけた。
野立の頬が無意識にゆるむ。
自然、早足になって絵里子に追いつこうと廊下を急いだ。
もうすぐ定時だし、今日は久しぶりに絵里子と寿司でも食って帰るか。
最近、あんまり美味いもの食わしてやってないもんな・・・。

ところが、絵里子もまた妙に大股でスタスタ急いでいるので、ちっとも距離が縮まらない。
終いには野立が本気走りする羽目になった。
「おいっ!おまえ、速えーよ!何急いでんだよっ」
「あれ、野立。何ゼイゼイ言ってんの」
「・・・おまえのせいだろが。どこ行くんだよ」
「私さ、これから急に出なきゃいけなくなったのよ。ちょっと遅くなるから晩ご飯すませて帰るわ」
「・・・誰と、飯食うんだよ」
「ほら、この前、丹波部長の紹介で雑誌の取材受けたでしょ?
あのときの担当者が、取材し忘れた部分があるから、どうしてももう一回、時間つくってほしいんだって」
野立の脳裏に、白いジャケットをキザに着こなした、すかした三流イケメン男が浮かんだ。
574ディナーにご用心(2):2011/08/09(火) 22:33:52.99 ID:Ktv8PSKx

「・・・担当者って、あのスケベ男か」
「スケベかどうかは知らないけど・・・。忙しいからって断ったんだけど、
丹波部長の親戚だから、なんとか頼むって強制的に設定されちゃってさ」
「ニヤけたバカ坊ちゃんだったろ。だいたい親戚っつっても、
丹波部長のお姉さんの旦那さんの、はとこの息子だろ。全然遠いじゃねーか」
「あんた、よくそういうこと覚えてるわね・・・。
どっちにしろ、あと少し質問に答えて、ちょっと写真撮ったら帰らせてくれるって言うから」
「・・・俺も立ち会う」
「何言ってんのよ、この前もあんた強引に立ち会ったでしょ。私だって本当は行きたくないんだから、分かってよ」
「どこまで行くんだ?」
「プリンセスホテルの中華レストランだって。そんな長居しないわよ」
「あの男と二人っきりで食事なんて、許さん」
野立はエレベーターの前に立ちはだかった。

「・・・なーにー?妬いてるの?」絵里子がニヤニヤ上目遣いに聞いてくる。
「妬いてるよ」
即答する野立に、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で絵里子が言葉につまった。
「・・・そ、そういうときは、『妬くわけねーだろ!』とか
『おまえに嫉妬したら俺はオスとして終わりだ!』とか言うんじゃないの?あんたの場合」
「それは昔の俺だ。今は立場も状況も違う。いい年して意地を張るのは体に悪いんだ。
俺は妬いてる。どうだ、文句あるか」
野立はポケットに手を入れながら、恥ずかしさをこらえてそう言い切った。

数秒押し黙っていた絵里子が、不意に野立の腕を掴むと、廊下のほうへ引っ張った。
資料保管室の扉を開け、中を見渡して人がいないのを確かめると、野立を室内に引っ張り込む。
野立の頬に両手を当てて、絵里子が優しく唇を重ねてきた。
柔らかく食むような、舌をほんの少し触れ合わせるキス。
野立が思わず絵里子の腰に手を回して抱き寄せると、チュッともう一度唇をついばんで、絵里子が微笑んだ。
「なるべく早く帰るから。心配しないで」
575ディナーにご用心(3):2011/08/09(火) 22:35:31.47 ID:Ktv8PSKx

先日、丹波部長の親戚で、雑誌を作っているという30代後半、まあまあのイケメンが、警視庁に現れた。
なんでも、以前ニュース番組に出演したのを見て以来の絵里子のファンとかで、
今度、働く女性向けの新雑誌を創刊するので、ぜひインタビューに答えてほしいという申し出だった。
金持ちのイケメンで独身だと聞いたので、用心のため、強制的に野立も取材に立ち会った。
流行をまったく無視した白いジャケットを着た、いかにもスケコマシな野郎だったが、
絵里子は満更でもなさそうに、にこやかに対応していた。
そしてどうやら野立の読みは当たり、男の方はますます絵里子を気に入ったらしかった。

そこらの男たちよりはるかに男らしく、頭脳優秀な大澤絵里子を口説くヤツなんて、
よほど自分に自信があるか、よほどのバカしかいない。
だが、なんだかんだ言って、絵里子は(ガタイはデカイが)美人だ。
それに最近では、「大澤室長が色っぽくなった」と男どもの間で密かに噂も流れている。
注意深く見ていると、以前より確実に、庁内でも絵里子を見つめる男たちの数が増えていた。
なんだかんだ用事を作って、絵里子に話しかけようとする輩もいる。そのたびに、
「おまえら分かってんのか?絵里子が色っぽくなったのは、俺のせいだよ、オ・レ!」
と、言って回りたい衝動にかられる。まあ、そんなことするわけないが。

とにかく、最近の絵里子は何気にモテているとも言える。
そんな折に、下心丸出しで取材だなんだと近付いてくる軽薄な男が現れ、
しかも取材し忘れたことがあるなどと、小学生でも見抜くようなわざとらしいウソで誘ってくるとは。
これは由々しき事態だ。
野立は絵里子がエレベーターに乗るのを見届けると、その足で対策室に向かった。
576ディナーにご用心(4):2011/08/09(火) 22:36:45.76 ID:Ktv8PSKx

プリンセスホテル20階のチャイニーズレストランは、広い個室を少人数で借りることができると評判の洒落た店だった。
「ここの支配人とは古い知り合いなんです。いつもツケで使わせてもらってる。
大澤さん、遠慮なく食べてね」
人工的な白い歯をキラリと見せながら、石田がテーブル越しに絵里子の手に触れる。
絵里子は慌てて、「恐れ入ります。おほほほ」と作り笑いをしながら、手を引っ込めた。

取材の追加と聞いていたのに、今日も白いジャケットの石田は一向に仕事の気配を見せない。
2人で使うには広すぎる個室に絵里子を招き入れると、大きなテーブルに次から次へと豪華な料理を運ばせた。
「嬉しいな。大澤さんがこうして僕のために時間を割いてくれるなんて。
ずっとあなたのファンだったから、今日は興奮して眠れないな。ね、大澤さん、今日は遅くなっても平気かな・・・?」
「・・・あのぉ、石田さん、雑誌の追加取材とお聞きしてたんですが・・・」
「あ、それは後で追い追いね。せっかく二人の時間なのに、野暮なこと言わないでよぉ」
なんだこのキモチワルイ男は。年下のくせに妙に馴れ馴れしいし。
この前の取材のときは、丹波部長の顔も立てなければならず、無理して愛想良く振る舞ったものの、
本来この手の胡散臭い男は、絵里子が最も忌み嫌う人種なのだ。

はぁ・・・。やっぱり野立も連れてくるべきだったかな・・・。
せっかくの料理も、相手が石田では食欲も沸かない。野立と美味しいものでも食べて帰れば良かった・・・。
石田のおしゃべりを聞き流し、絵里子がぼんやりしながらビールに口をつけていると、
個室のドアをノックする音が聞こえた。

「失礼しまーす!お料理をお持ちしましたー!当店自慢の特製フカヒレスープでございまぁす!」
やたら元気な声でスープ鍋を持って表れたのは、なぜかウエイターの格好をした、部下の花形だった。
577ディナーにご用心(5):2011/08/09(火) 22:37:56.11 ID:Ktv8PSKx

絵里子がギョッとして、あんた何やってんのよ?!と目で威嚇するのとほぼ同時に、
花形がぎこちない手付きでスープ鍋をテーブルに置く。
がちゃん!と勢いあまって置いたばっかりに、中の熱いスープが波打って、テーブルにビチャッと跳ね落ちた。
「うわっ!す、すいませーん!!」
「ばっかやろう!てめぇ、何しやがんだ、この、どアホ!!」
先ほどまでとは別人のような石田のキレっぷりに、絵里子がドン引きすると、
石田がハッとして慌てて取り繕った。
「あ、いや、失礼。ちょっとびっくりして・・・」
「す、すいません、お客様、すぐ拭きますー!」
花形がナプキンでテーブルの上を拭こうと手を伸ばすと、そばにあったビール瓶がゴトンと倒れ、
石田の白いパンツの太もものあたりに、ビールがピシャッと飛び散った。
「あああーーっっ!!す、すいませーん!!」
「おっめぇ!ざけんなよっ!シミが付いたじゃねーか!!」
「ひーー!す、すいませーん!!今すぐキレイな布巾を持ってきますからーー!!」
逃げるように花形がドアを飛び出して行く。何が起こっているのか理解できない絵里子は唖然とした。

「すみませ〜〜ん、うちの若いのが無礼を働きまして〜〜」と、
今度はエプロンをつけた岩井が、大きな雑巾を持ってクネクネと入室してきた。
「な、何?!」絵里子が思わず声をあげて凝視すると、岩井はいそいそと女らしい仕草で石田の足元にしゃがみ込む。

「お客様、シミにならないよう、拭かせていただきますわ〜」
岩井が雑巾を持った手で、石田の太ももを撫で回す。
「あら、お客様、むっちりしたいい筋肉♪」
「うわっ、バカ、やめろ!気色悪ぃな、このブタ!」
汚い言葉に絵里子が嫌悪感を露わに石田を見ると、またもや石田が慌てた様子で、
「あ、いや、こいつらがあんまり失礼なので、つい・・・」と引きつって笑う。
578ディナーにご用心(6):2011/08/09(火) 22:39:26.47 ID:Ktv8PSKx

石田が岩井を突き飛ばすように追い払うと、岩井と交代で今度は山村がエヘヘと薄笑いを浮かべて入ってきた。
「お客様、すみませーん。実は先ほどお出しした料理の中に、
間違ってボクの育毛剤のエキスが混入しちゃったみたいなんです〜。
もしかしたら、もうすぐお腹が痛くなっちゃうかもしれないけど、許してくださ・・・」
「てめえ!何のつもりだ!くそったれ!我慢ならねぇ、ちょっとこっち来い!」
激昂した石田が、山村にヘッドロックをかけながら、個室から出て行ってしまった。
後に残された絵里子が、何がなんだか分からず一人ぼうぜんとしていると、個室のドアがカチャッと開かれた。

「おう。いいもん食ってんじゃねぇか」
「野立!あんた、ここで何してんのよ?!」
「何って、アイツらの監視」親指を立ててドアの向こうを示しながら野立が言う。
「いや、俺はさ、『絵里子がヘンタイ男の餌食にされそうだ、困ったなぁ・・・
ところでおまえら、極上の中華料理を食べたくないか?』って呟いただけなんだけどさ。
あいつら勝手にホイホイ計画練りだして、その成果がさっきの寸劇ってわけだ」
細く開いたドアの向こうから、山村の「ひ〜〜、離して〜〜」という泣き声が聞こえる。
「よっく言うわよ、あんたがやらせたくせに」絵里子は呆れて、天を仰いだ。

「ま、良かったじゃないか。おかげであの男の本性が分かって。さすがだな、俺の勘は。
そうとなったら、ヤツが戻ってくる前に、帰ろうぜ絵里子」
野立が絵里子の手首をグッと掴んで立ち上がらせる。
「ちょっ・・・待ってよ、黙って逃げ出すわけにいかないでしょ!
丹波部長にまた怒鳴られるのイヤよ、私」
「あんなヘンタイを押し付ける部長のほうがどうかしてるぜ。ほら、行くぞ」
野立に手を引っ張られた絵里子は、ドアの隙間から、石田が肩を怒らせて戻ってくる姿を見た。
「ヤバイ!戻ってきた!ちょっと野立、隠れて!!」
579ディナーにご用心(7):2011/08/09(火) 22:41:13.04 ID:Ktv8PSKx

「えっ、なんで俺が隠れるんだよ。俺は堂々と、おい、絵里子、ちょっ・・・!」
「早く早く!!潜って!!あんたがいるの見られたらマズイでしょ!」
絵里子は抵抗する野立の体を、無理矢理テーブルの下に押し込めた。
幸い、裾が長いテーブルクロスに隠れて、外からでは人が隠れているようには見えない。

石田は再び席に着くと、一筋乱れた前髪を指先でキザにはらった。
「・・・さっきは大澤さんに見苦しい姿を見せちゃって、失礼しました。恥ずかしいな」
「あの、さっきのウエイターたちは・・・」
「ああ、店から追い出してやったよ。臨時のアルバイトらしくて。サイアクだな」
「・・・石田さん、あの、取材の続きがこれ以上ないようでしたら、
私も仕事が残ってますので、そろそろ失礼させていただきたいんですが」
「え!あ、ちょっと待って!もちろん、ちゃんと取材はするって!大澤さん、せっかちだなぁ。えっと・・・」
ゴソゴソと石田が鞄を探って、取材ノートか何かを取り出す物音がする。
野立は窮屈なテーブルの下にうずくまり、石田の白いパンツの脚からなるべく距離をとった。
参事官ともあろう俺が、何が楽しくてテーブルの下でかくれんぼだよ。
腹も減ってきたし、絵里子、適当に切り上げてくれよ・・・。
薄暗い中で身を縮こませていると、なんだか頭までぼんやりしてくる。

「えっと、それでは質問ね。・・・大澤さんの日々の仕事の中で、一番喜びを感じることは何でしょう?」
「そうですねぇ・・・。やっぱりいい部下に恵まれて、彼らが着実に育っていってるのを実感できることでしょうか」
ちっ。くだらねえ。この前とほとんど同じ質問じゃねーか。
野立はいまいましげに髭をさすりながら、何気なく目の前にある絵里子の脚を見た。
580ディナーにご用心(7):2011/08/09(火) 22:43:10.32 ID:Ktv8PSKx

裾がマーメイドラインに少し広がっている薄手のスカートから、白く長い脚がすんなりと伸びている。
オープントゥのパンプスの先から、ワインレッドのペディキュアが覗いていた。
なんだ、今日はナマ脚かよ。こんなアホ男に会うときは、ストッキングくらい穿けよ。
野立は無意識に手を伸ばすと、絵里子の細い脚に触れた。

最初はそっと人差し指を滑らせ、それから5本の指でふくらはぎをソロソロと撫であげる。
すべすべした感触が心地良くて、思わず野立は両手で絵里子の脚をさすった。
絵里子がビクッと反応し、手を払いのけるように脚を振る。
そこで野立は我に返った。自分が今テーブルの下に隠れている異常事態なのを思い出すが、
返ってその普通じゃないシチュエーションが、野立を煽った。

「今までに仕事を辞めたいとか、挫折しそうになったことは?」
「そりゃ、ありますよぉ。でも、後ろから支えてくれる存在がいましたから・・・」
俺のことだよな、オ・レ。野立はちょっといい気分になって、また手を伸ばし始めた。
「支えてくれるというのは、例えばどんなふうに・・・?」
「んー・・・。茶化したりバカ言ったりして、沈んでる私の気持ちをさりげなく元気づけてくれつつ、
実はちゃんとバックアップして見守ってくれてたり・・・イィいーー?!」
「大澤さん?!どうしたの?!」「い、いえっ、なんでもありませ・・・ん」
絵里子のスカートを一気にずり上げ、太ももに両手を這わせたところだった。
絵里子は内腿が敏感だ。そこを優しくさすってみると、案の定奇妙な声を上げて石田をビックリさせている。

野立はテーブルの下でニヤニヤしながら、くだらないインタビューが早く終わるようにイタズラを続ける。
白くしっとりとした太ももの内側を指先で何往復もすると、絵里子がわずかに身をよじらせた。
あまり大きく動くと石田が不審に思うからだろう、絵里子も我慢しているようだ。
581ディナーにご用心(9):2011/08/09(火) 22:44:29.44 ID:Ktv8PSKx

野立は手を滑らせながら、内腿に唇を押し付けて音を立てないように吸った。
舌も這わせると、ベッドにいるときの絵里子の乱れっぷりを思い出し、思わず下腹部が疼く。
絵里子がテーブルの下に手を伸ばし、野立の頭を軽く叩いてきたが、野立はお構いなしに太ももを舐め続けた。
目の前には薄い水色のショーツのクロッチ部分が見える。
野立はちょっと迷ったものの、我慢できずにそこに指先を伸ばした。

「あの、大澤さん、その支えてくれる人っていうのは、やはり男性・・・?」
「えーと・・・あの、ま、そのへんはご想像におまかせ・・・あぁっ・・!!」
「大澤さん?!」「いえ、あの、大丈夫・・・です、あっ」
野立の指が、絵里子の敏感な部分をショーツ越しにそっと突付くと、絵里子が素っ頓狂な声を出した。
ショーツの生地が薄いので、少し指を動かすだけで、しっとりと絵里子の形が表れる。
中指でくにゅくにゅと押したり前後になぞったりすると、小さな芽がポツッと尖り始めるのも分かる。
絵里子が必死に膝を閉じて野立の動きを止めようと試みるが、
野立は肩で絵里子の膝を押し開き、指の動きを加速させた。

自身の息が漏れるのをこらえながら、野立は絵里子の脚の付け根にキスしつつ、親指を秘所に往復させる。
既にショーツに染みができはじめていた。
絵里子は本当にいやらしい女だな・・・。野立の呼吸も速くなっていく。
582ディナーにご用心(10):2011/08/09(火) 22:45:59.87 ID:Ktv8PSKx

テーブルの上では絵里子が上の空の様子で切れ切れに質問に答えており、石田の声が明らかに怪訝そうなのが可笑しい。
野立はさらにエスカレートし、ショーツのクロッチ部分を指でずらすと、隙間から舌を差し入れた。
絵里子がビクッと腰を浮かせたので、その隙をついて柔らかい花弁を舌全体でぺロッと舐め上げてやった。
「・・・やっ・・・」思わず絵里子が声を漏らし、石田が
「大丈夫?さっきから具合が悪そうだけど、少し休もうか?!」と身を乗り出す様子が感じられる。

そのまま、ぷくっと膨らんだ小さな芽を舌先でチョロチョロと転がし、花弁の中にも舌をヌルッと差し入れる。
絵里子の膝がガクガク震え始めたので、両手で脚を押さえながらも舌での愛撫はやめない。
「大澤さん、本当に具合が悪そうだ。ちょっと休もうよ!上の階に僕、部屋取ってあるんだ。そこで休もう!」
なんだとーー?!このスケベ野郎、やっぱりその気だったか!!
テーブルの下で野立が発狂しそうになった瞬間、突然辺りが真っ暗になった。
「えっ、停電?!」絵里子が動揺した声を出す。

その直後、サイレンのようなすさまじい悲鳴が上がった。
暗闇にパニックを起こした石田の叫び声だった。
テーブルの下の野立は耳をふさぎ、絵里子もまた「え?石田さん?何事?!」と慌てている。

「ママっ!マーマーっ!!暗い!暗いよ!!ママぁ!助けてぇぇーー!!」
石田は絶叫すると、椅子をひっくり返して立ち上がった。
絵里子のことなど完全に忘れた様子で、ドアを乱暴に開け放つと石田は絶叫しながら飛び出して行った。
店内では、従業員の「皆様、落ち着いてください!動かず、そのままお待ちください!」という声が飛び交っている。
野立がスマートフォンの画面の明るさを頼りに、「おい、何がどうなってんだ?」と暗がりから這い出してきた。
583ディナーにご用心(11):2011/08/09(火) 22:47:23.42 ID:Ktv8PSKx

この辺り一帯の、原因不明の停電だと言う。復旧まで少し時間がかかるようだった。
ウエイターが、電池式の大きめのランプを2つ掲げて、絵里子たちの個室に入ってくる。
「お客様、申し訳ございません。まだ電気が復旧しませんので、エレベーターも止まっております。
こちらの灯りをご利用くださいませ。お時間は大丈夫でしょうか?」
「あ、ぜーんぜん平気。俺たち、これ食べながら待ってるから、心配しないで〜。
ちなみにさっき飛び出して行った白いジャケットの男、どうしたか知ってる?」
すました顔で絵里子の隣に座っている野立が聞く。
「あのお客様でしたら、従業員から懐中電灯を奪って、非常階段の方へ走って行かれました。
かなり取り乱していらしたようで・・・」
「へぇぇ〜。懐中電灯ひとつで20階から駆け下りるなんて、
よっぽど暗闇恐怖症なんだねー。転げ落ちないといいけどねー」
野立がにっこり笑いながら、春巻きをひとつ口に入れる。「あ、これ美味いね」

従業員が個室から出て行くと、ランプの灯りの下に、絵里子と野立が二人きりで残された。
「ちょっとビールくれよ。どうせここ、石田のツケなんだろ?もったいないから食おうぜ。
・・・お、ここの料理悪くないな。花形たち食えなくて可哀相なことしたなー。ははは」
「・・・まったく、あんたって男は・・・ほんっとに・・・」
「ん?何?さっきの興奮で、パンツ濡れちゃった?」
「バカッ!時と場所を考えてしなさいよ!バレないように必死だったんだからっ」
「でもさ。絵里子、感じてただろ?」
そう言って野立が絵里子のスカートの中に手を入れて、ショーツの股の部分に素早く触れた。
「あ、やっぱ濡れちゃったなー。脱ぐか?」
野立が絵里子のショーツに手をかけて、グイッと引っぱるので絵里子は慌てた。
「ちょっと!!何すんのよ!あんた悪ふざけはいいかげんに・・・」
「だって、濡れてるパンツ気持ち悪いだろ?脱げよ」
そう言って絵里子が止めるのも聞かずに、水色のショーツを素早く引き下ろし、足首から抜き取ってしまった。
野立はそのまま絵里子のショーツをくしゃっと丸めて、自分のスーツのポケットにねじこんだ。
584ディナーにご用心(12):2011/08/09(火) 22:52:09.92 ID:Ktv8PSKx

「信じらんない、やめてよ、バカ!・・・あっ」
野立の右手が、スカートの中でむき出しになっている絵里子の秘部に荒々しく触れ、
言葉をふさぐように、唇がキスで覆われた。
薄ぼんやりとしたランプの灯りが妙に秘密めいていて、野立は舌をねっとりと絡ませながら絵里子の唇をむさぼる。
絵里子の柔らかい窪みはすぐに潤いを取り戻し、野立の指をからめとるように飲み込んだ。
「あン・・・ちょ、野立・・・ダメよ、店員が入ってきたら・・・」
絵里子が野立のスーツの袖を掴みながら、必死で訴える。既に息は荒くなり始めていた。
野立はおもむろに立ち上がると、余っていた椅子を個室のドアの前にバリケードのようにいくつか並べ、ニヤッと笑った。
「これで多少の時間稼ぎはできるさ」

椅子に戻った野立が、絵里子の体を強引に引き寄せ、自分の膝の上に跨らせた。
いつも以上にねちっこいキスで絵里子を翻弄しながら、右手は器用にブラウスのボタンを外して、胸をまさぐる。
「もう・・・勝手すぎる、野立・・・ん・・・」
わずかに抵抗しつつも、絵里子の体が徐々に野立にしなだれかかっていく。
「おまえは俺のもんだ。それを分からせてやる」
野立はブラウスの中から背中に手を回してブラのホックを素早く外すと、自由になった乳房を手の中に収めた。
大きな掌が柔らかなふくらみをすくうように揉みしだき、時折指の腹でくにゅくにゅと蕾が転がされ、つままれる。
一体となって絡まりあう舌の感触と、乳首から伝わる指先の刺激に、絵里子の体の奥にしびれるような感覚が走った。
585ディナーにご用心(13):2011/08/09(火) 22:56:38.11 ID:Ktv8PSKx

「・・・ダメよ、こんなの、人が来る・・・」
そう言いながらも、絵里子は自ら脚の角度を知らず開いていき、既に十分潤っている秘所に野立の指を招き入れた。
「やめてほしいか?・・・ウソだろ。こんなに欲しがってるくせに」
野立の指が、くちゅくちゅと音を立てて、絵里子の柔らかい花弁から突起までを何度も往復する。
野立がファスナーを下ろして自分のそそり立ったモノを引っ張り出すと、絵里子がハッと息を呑んだ。
「挿れてほしいんだろ?絵里子、これが好きなくせに」
泣きそうな声を漏らして絵里子が野立の首筋に顔を埋める。
野立は熱い塊となった自らのモノを握り、絵里子のぐっしょりと濡れた窪みに当てがった。
絵里子が進んで腰を浮かせると、互いの濡れた場所がくにゅっと吸い付くように重なる。
野立はそのまま絵里子の尻を掴んで、グイグイと中に押し込んでいった。

粘液で満たされた絵里子の中を、下からゆっくり突き上げるように動かすと、
絵里子が野立にぎゅっとしがみついてきて、「あぁん・・・!」としぼるような声をあげた。
白い胸にしゃぶりついて、唇と舌でぴちゃぴちゃと音を立てて吸う。
親指で下半身の芽をクリクリとこね回しつつ、内側の壁をこするように腰をうねらせて突いた。
絵里子の中が、きゅうっと収縮して野立自身をしめつけるたびに、すぐにでもイッてしまいそうで、野立は絵里子の乳首に歯を立てた。
「絵里子、イっていいか?・・・俺、もうダメかも」
「やっ、ここで・・・?うそ、ダメ・・・ああっ」
野立は限界を感じつつ、素早く視線を巡らせて何かティッシュの代わりになる拭き取るものを探す。
しょうがない、食事用のナプキンを拝借するか・・・。
「・・・野立、私もう・・・あ、来ちゃう・・・!」
「俺もダメ・・・イクぞ、絵里子・・・!」
野立が、最後のスパートをかけようと腰を引いた瞬間、室内にパッと眩しい電気が点いた。
586ディナーにご用心(14):2011/08/09(火) 23:03:07.21 ID:Ktv8PSKx

ドアの向こうから、他の客達の安堵の歓声が聞こえる。
パタパタと足音がし、扉をノックする音。「お客様、電気が復旧しました!問題ありませんか?」
「あ、はーーーい!ちょーーーっと開けるの待っててねーー!」
野立が快速特急なみのスピードで身づくろいしながら、若干裏返った声で答える。
まだそそり立ったままの自身を無理にズボンの中に押し込めながら絵里子を振り返ると、
「もうありえないわ、こんなの!」絵里子が焦りまくりながら、あたふたとブラウスのボタンをはめている。
乱れた髪を手で撫で下ろして息を整えている絵里子を、野立は片手で素早く抱きしめた。
「ごめんな、絵里子。俺、暴走してさ」
「ほんとよ。あんた子供みたい」
そう言いながらも、絵里子の手は野立の背中を抱き返し、スーツの肩先に鼻を摺り寄せている。
最後まで行く直前に無理に体を離した二人は、体の内側にくすぶった火を抱えたまま、抱き合うようにして個室から外に出た。

混雑をやり過ごし、ようやくエレベーターで一階に降りると、ビルの前に花形ら3人が所在なげに立っていた。
「おい、どうした?さっきは悪かったな」
野立が声をかけると、山村が涙目で訴えてきた。
「もう、野立さん、ボクら大変でしたよ〜。あの石田って男、ボクの髪の毛引き抜いたンですよ〜〜!!」
「そうですよぉ!中華食べられるからって楽しみに頑張ったのに、結局、食いっぱぐれて追い出されるし」
「悪かった、すまん!ちゃんと埋め合わせするから許せ」
野立が拝むように手を合わす。
「・・・あんたたちには呆れたわよ」絵里子が大きな溜め息をついた。
587ディナーにご用心(15):2011/08/09(火) 23:07:17.34 ID:Ktv8PSKx

光が戻った夜の街は、帰りを急ぐ人々で、ごった返している。
「俺らが外に出た後、この辺り全部停電になったもんやから、二人が心配で帰られへんかったわ」
「おう、心配かけたな。エレベーターも止まってたから、のんびり中華食って待ってた」
「えーー!野立さんだけズルイですよーー!」花形が本気で悔しがる。
「ねえ、石田さんがどうしたか、あんたたち知ってる?」絵里子がふと思いだして尋ねた。
「あいつなら、階段から転げ落ちたみたいで、さっき救急車で運ばれてったで。
ママー、ママーって泣き叫びよって、あれ、脚折れてたんちゃうかな」
岩井の言葉に、絵里子と野立は顔を見合わせて、気まずい笑いを浮かべた。
明日、丹波部長に何を言われることやら・・・。

「よし、今日の任務、ご苦労だった。今日はここで解散だ。おまえたちは、電車まだあるだろ?
次回改めて中華おごってやるから、それまでがんばって生き延びるように!じゃあな、お疲れ!」
野立は3人に向かって颯爽と手を降ると、絵里子の肩を抱いて歩き出した。
「私たちは電車じゃないの?」
「おまえ、パンツ穿いてないのに、みんなと一緒に電車乗るのか?」
その瞬間、絵里子は硬直し、耳たぶまで真っ赤に染めて赤鬼の形相になった。
「あ、あ、あんたのポケットに・・・!バカ!ヘンタイ!返しなさいよ!!」
「返したらここで穿くのか、おまえは」
「う、うう・・・」
エッチな笑みを浮かべた野立が、歩きながら絵里子にチュッとキスした。
「タクシーで帰ろうぜ。早く帰って、続きのフィニッシュやり直さないとな」
「・・・タクシーの中で触ったら、許さないわよ!家まで我慢してよ!」
「うーん・・・それはちょっと約束できないなぁ〜」

いちゃいちゃとじゃれあう上司二人の後ろ姿を、頬を桃色に染めた3人が見送っていたことに、
絵里子と野立は気づきもしないのだった。

                             E N D   
588名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:11:14.72 ID:Ktv8PSKx
おしまいです。
こういうご時世に停電ネタってどうなの、と悩みましたが・・・
素人の妄想文なので、どうかお許しください。なんだかめちゃくちゃで本当にすみません。
長々と占領してしまい失礼しました。
どうもありがとうございました!
589名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:23:59.33 ID:bbvb6eEj
リアルタイムきたー!!
もう、野立っち変態!!
だがそこがいい!可愛いぞ!
いつでもどこでもヤリ続けて下さいな!
590名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:24:03.24 ID:yibmFn/E
>>588
いつも楽しんで読ませていただいていますが、今回もほんとに面白いなぁ
文章のチョイスのセンスもエロも良い
嫉妬&いたずらっ子な野立かわいい
GJ
591名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 04:54:41.47 ID:5u87bZr4
GJGJ
毎回本当に素敵です
「オ・レ!」って絵里子さんの中の人ネタで2828していいところであってますか?ww
592名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 08:59:42.93 ID:eE55WGXr
毎回ありがとうございます。
また楽しみにしてるのでたくさん皆さんお願いします。
593588:2011/08/10(水) 13:33:32.34 ID:PkIzyg/x
>>591
中の人のオーレネタ、全然気づかず書いてました!
言われて、つべで確認して自分でも笑っちゃいました。
皆さん、暖かいお言葉ほんとにありがとうございます☆
いつもすみません。
594名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 15:05:56.31 ID:jpggGCZC
保守
595名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 17:36:44.49 ID:Vx7iWXY7
さっきまでaround40の再放送みてたら、絵里子のちょっと若いときみたいでドキドキしちゃった。
でも野絵じゃないと萌えはないんだよなぁ 

ということで職人さんお待ちしています!
596名無しさん@ピンキー:2011/08/12(金) 18:04:11.86 ID:GyChJ4er
厚かましいとは思うのですが、待ってる男野立クンの続きが読みたいです
とっても綺麗にまとまっているので無理かもしれないけど・・・
せつなすぎて報われて欲しいっていうか
もの凄く好きなお話なので・・・
597名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 02:28:54.07 ID:VJCo7swF
捕手
598名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 09:36:04.85 ID:ncFNpzmy
「聖夜の奇跡」の続きができたので投下させてください。
ご期待に添えるものになったか心配ですが、お付き合いください。
599続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:38:45.07 ID:ncFNpzmy
最寄の駅から野立のマンションへ向かう途中、酒とつまみを買うためにコンビニに寄った。
万が一のことを考えて、「アレ」を買っておこうと余計な意識が働く。
レジが混んでいるからと適当な理由をつけ、絵里子を店の外で待たせることにした。
思春期の男子学生のように周囲の目を気にしながら目的のブツを購入し、かばんの奥にしまいこむ。
店から出ると、待っているはずの絵里子の姿が見えない。
「変な奴らにからまれたか?」という考えが頭をよぎったが、絵里子に限ってありえない心配だ。
夜の繁華街を照らすのは街灯の明かりだけで、少し目を凝らすと3件先の店先に絵里子がいた。
なにやらショーウィンドウを覗き込んでいる。

「絵里子」

「わっ! ちょっと、おどかさないでよね」

「何見てんだ?」

「べっ、別にアンタに関係ないでしょ」

絵里子が顔の前で手を振る。
顔が赤い。何かをごまかしているのは見え見えだ。
野立が覗き込もうとすると、絵里子は強引に野立の手を引いて店から遠ざかろうとする。

「いてーな。相変わらずの怪力だな」

「うっさいわね。寒いんだからさっさと行くわよ」

「はぁ・・・。お互いまともなクリスマスを過ごせるのは何年先になるんだろうな」

「どういう意味よ」

「もう少しおしとやかにならないと、男にモテねーよって意味」

「なんですって! アンタの野立会だってうまくいったためしがないじゃない」

ふてくされた絵里子を見ながら、野立は心の中でため息をついた。
・・・また絵里子を怒らせてしまった。
600続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:39:53.10 ID:ncFNpzmy
俺はなぜこんなことを言ってしまうんだ。いいんだよ、男にモテなくても。
たとえ恋人同士になれないとしても、来年も再来年もこうやっていっしょに過ごせれば。

なんとなく気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは絵里子だった。

「・・・ねぇ」

「何だよ」

「もし・・・、もしもよ。来年のクリスマスもお互いフリーだったら、またこうしていっしょに過ごしてくれる?」

最後は聞き取れないくらいの小声だった。
見ると、絵里子は耳まで赤くしてうつむいている。
その姿から、野立ははじめて絵里子の言葉の意味を理解した。

「そうだな。それも悪くないけど、俺はこのままフリーでいるつもりはない」

「わ、私だって、別にフリーでいたいってわけじゃないのよ。
 でも、一人で過ごすよりは・・・その・・・野立といると楽しいし・・・」

今更、自分が言った言葉で恥ずかしがる絵里子が微笑ましい。

「絵里子」

「何よ」

「お前といっしょにクリスマスを過ごすには、俺もお前もフリーじゃないといけないのか?」

「そ、そりゃそうでしょ。どっちかに恋人がいたら駄目に決まってるじゃない」

「じゃあ、こうしよう。俺が絵里子の恋人になってやる」

「はぁ?」

「二人とも、フリーのままではいたくないと思っている。
 それから、俺もお前と過ごすクリスマスはなかなか楽しいと思っている。
 ・・・完全に利害が一致してると思わないか?」

「な、何言ってんのよ。そんなに簡単にこんな大事なこと、冗談もいいかげんにしなさいよ!」

「・・・冗談でこんなこと言わねーよ!」

野立にとっては精一杯の告白のつもりだったのだが、まったく絵里子に理解してもらえないような気がして、つい語尾が荒くなってしまった。
しまった、と思いつつ絵里子を見ると、驚きと怯えの混じった複雑な表情のまま固まっている。
601続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:41:52.81 ID:ncFNpzmy
「すまない。でも、本当に冗談じゃないんだ」

「・・・じゃあ、もっと・・・もっと他に言い方があると思う」

絵里子がじっとこちらを見つめてくる。
いつもの自信にあふれた表情と打って変わって、期待と、ほんの少し不安の混じった瞳。
野立の言葉の意味が理解できないほど絵里子は鈍感ではないだろう。
ただ、お互いの気持ちを推し量って共に過ごすような、そんな恋愛には疲れてしまった。
早く心の安寧を手に入れるためには、確証が欲しいのだ。

真面目くさって告白するのは、なんとなく自分らしくないように思えて嫌だった。
しかしそんなところで意地を張って、ようやく手に届くところまで近づいた幸せを逃すほど、野立は愚かではない。
野立は絵里子の頬に手を伸ばし、そっと触れた。

「絵里子、好きだ」

その一言に、すべての気持ちをこめて。
指先からも愛しさが伝わるように、その白い肌を撫でる。
絵里子はうれしそうに目を細め、自分の手を重ねた。

「私も、あなたが好きよ」

潤んだ瞳で見つめられ、野立は体の奥底から愛しさがこみ上げてくるのを感じた。
少しだけ背をかがめて、そっとキスをする。
先ほどとは違い、角度を変えながら繰り返し唇を重ねていく。
その先に進みたくて舌でなぞると、少しだけ唇が開いた。
そこにねじ込むように舌先を入れる。
唾液が少し甘いのは、最後に飲んだ紅茶のせいだろうか。
絵里子の舌を追いかけ、くちゃくちゃと音を立てながら激しく絡ませる。
そのまま貪るように舌を絡ませていると「・・・んっ」と絵里子が艶っぽい声を出し始めた。
野立の首に回した両手をせわしなく動かし、後ろ髪をつかむ。

「キスだけで感じてるのか?」

ようやく唇を離し意地悪に尋ねると、絵里子は荒い息のまま、首を振った。
顔が赤く、肩も震えている。
まだ意地を張っている絵里子が愛おしくなり、ぎゅっと抱きしめた。
抱きしめながら両手で絵里子の体をまさぐる。
ヒップラインをなぞると、「・・・あぁっ」と絵里子が悶えた。
こうやって感じやすい場所を探りだし、執拗に責めていく。
602続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:43:20.29 ID:ncFNpzmy
「・・・あっ、やめて。もう・・・、立っていられない」

がくがくと体を震わせながら、絵里子が哀願する。

「感じてないんだろ?」

そう言いながら、野立はパンツスーツのズボンに手を差し込み、
ショーツの上から絵里子の一番敏感な場所に触れる。

「きゃっ!」

絵里子の体が跳ね、ぎゅっとしがみついてくる。
そこはショーツの上からでもわかるくらい濡れていた。

「すげー濡れてる」

「いやっ、言わないで」

潤んだ瞳で見つめられ、野立の下半身も熱を持つ。
厚手のコートを着込んでいるから、触らなければわからないだろうが。
野立は手を引き抜き、震える絵里子の肩を抱いた。

「続きはマンションで、な」

わざと耳に息を吹きかけながらささやくと、絵里子はそれだけで感じてしまったのか身をよじらせた。
足元がおぼつかない絵里子を支えながら、野立のマンションに向かう。
もちろんその間も、わざと耳元に息を吹きかけたり、スーツの上から絵里子の下半身に触れたりしながらだったので、
いつもは5分の道のりなのだが、その倍以上の時間をかけてようやくマンションについた。

玄関のドアを開け、絵里子を招き入れる。
絵里子は、はぁはぁと荒い息を吐き、もう一人では立っていられない様子だった。
ドアを閉めて鍵をかける野立の背中にしがみついてくる。

「おねがい、はやく・・・」

「はやく?」

「はやく・・・、野立がほしいの」
603続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:44:22.29 ID:ncFNpzmy
野立は振り返ると絵里子を抱き上げ、そのままベッドルームへ向かった。

部屋の明かりをつける余裕はなかったが、カーテンを空けたままの窓から差し込む人工的な光のおかげで、絵里子の姿ははっきりと見える。
ベッドの縁に下ろし、コートなどを剥ぎ取るように脱がす。
キャミソールもブラジャーもはずし、絵里子を包むのはすでに意味をなさなくなった白いショーツだけになった。
野立は自分も衣服を脱ぎ去った。
そして、キスをしながら押し倒すようにベッドに倒れこむ。
激しく胸を揉みしだき、音を立てながらその頂を吸う。

「あっ、あっ、だめっ、そんな激しいのぉ」

シーツをきつく掴み、絵里子が身悶えた。
せわしなく足を擦りあわせる。
もう少しこの体を堪能したいが、さっきからずっとお預けをくらっていた野立も限界だった。
片手で胸の頂をいじりながら、もう片方の手でショーツを下ろす。
ひくひくと震えながら蜜をあふれ出すそこに、そっと中指を入れていく。

つぷっと音がして、もう十分に潤っている絵里子の下半身は、すんなりと野立の指を受け入れた。
びくっと絵里子の体が跳ねた。
ねっとりと内側の壁を擦るように動かし、蜜をつけた親指を小さな芽に擦りつける。
強く押しつぶすと、再び絵里子の体が跳ねた

「・・・もう、イッちゃう」

絵里子はやめてほしかったようだが、野立は入れる指を増やし、さらに激しく内壁を擦る。
顔を近づけ、ぷっくりと膨らんだ赤い芽に吸い付く。

「あっ、それだめなのっ、ああっ!」

ぎゅうっと指が締め付けられ、その直後、奥からどくどくと蜜があふれてきた。
絵里子は「あっ、あっ」と声を上げながら、ひくひくと痙攣している。
感じすぎたのか、頬には涙の筋ができている。
野立は自分も下着を脱ぎ去ると、すばやくゴムを取り出した。
袋を開けて準備をしようとすると、絵里子が片手でそれを制した。
「いいのか?」と視線で尋ねると、絵里子は荒い息を整えながら答える。

「大丈夫、ピル・・・のんでるから・・・」

野立はひとつうなずくと、硬くなったモノを絵里子の下半身に押し付けた。
それだけで絵里子の奥から蜜があふれ出すのがわかる。
少し先を擦って蜜をまとわりつかせた後、野立は一気に絵里子を貫いた。
604続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:45:29.05 ID:ncFNpzmy
「あっ・・・」

中は先ほどの余韻が残っているのか、まだひくひくと震えていた。
野立は絵里子の腰を掴むと、激しく打ち付ける。

「だめっ・・・感じすぎちゃうのっ」

そんなことにはかまわずに、野立は腰を動かし続ける。
ぐちゃぐちゃという卑猥な音と、お互いの呼吸だけが部屋に響き渡った。
絵里子は髪を振り乱しながら、必死に野立の腕にしがみついてくる。
急に愛しさがこみ上げてきて、野立はむさぼるように絵里子の唇に吸い付いた。
びちゃびちゃと音を立てて、激しく舌を絡ませる。
互いの唾液が混ざり顔を汚すが気にする余裕はない。

「・・・野立、もう、ダメなの・・・あっ、イッちゃいそう」

絵里子の中がぎゅっと締め付けてくる。

「俺もだ・・・、いっしょにイクぞ、絵里子っ」

「うんっ、来て、ああああっ!!!」

大きく腰を引いて思いきり打ち付けると、絵里子は悲鳴のような声を上げて達した。
搾り取るように内壁が収縮し、野立は絵里子の体内にすべてを吐き出した。

「後片付けは俺がやっておくから、お前はこのまま休め」

そう言って優しくキスをすると、絵里子はふっと微笑んで瞳を閉じた。

翌朝、野立が目を覚ますと、隣には安らかな寝息を立てる絵里子の姿が。
時計を見るともう11時だったが、今日は二人とも非番なので問題ない。

「まだ起きるなよ、絵里子」

額にキスを落として、野立は身支度を整えた。
605続・聖夜の奇跡:2011/08/13(土) 09:49:39.65 ID:ncFNpzmy
「おはよう」

絵里子が目覚めたのはそれから1時間後。
キッチンで食事を作っていた野立は振り向かずに答える。
足音が遠ざかった。顔を洗いにいったのだろう。
と、ばたばたと足音を響かせて、絵里子が戻ってくる。

「ちょっと、ちょっと野立! どうしたのコレ」

慌てふためいて戻ってきた絵里子がつまんでいるのは、胸元のネックレス。
先程、部屋を抜け出した野立が買いに行ったものだ。

「ん? 気に入らなかったか?」

「いや、気に入ってるんだけど、いや、そうじゃなくて」

「クリスマスプレゼントにしては安物だな。今度もっといいものを買ってやるよ」

そこでようやく絵里子はすべてを理解したようだ。
頬を赤らめながら近づいてくると、ぎゅっと野立に抱きついた。
消え入りそうな声で「ありがとう」とつぶやく。

「ごめんね、私何にも用意してないや」

「いいよ、俺はもう絵里子からプレゼントもらったから」

「何を?」

「教えない」

これから恋人として過ごすであろう二人の時間。
野立がずっと手に入れたくてたまらなかったものだ。
後で二人で買い物に出かけよう。まだクリスマスの余韻の残る街を、恋人として歩こう。
ただそれを口にするのは恥ずかしくて、野立は絵里子を抱きしめ唇をふさいだ。
606名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 09:50:47.64 ID:ncFNpzmy
以上です、おつきあいいただき、ありがとうございました。
607名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 11:37:00.43 ID:j2YCPHLZ
待ってましたあぁぁ
GJ!!
608名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 12:56:06.53 ID:QSiGOJ/M
GJ〜!!!ありがとう!!!待ってましたぁ!!!
貴方様の書く野絵大好きです
またの投下を楽しみにしています
609名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 18:32:26.28 ID:SRIwZ+ej
野立と絵里子の中の人の動画でいいともSP
http://v.youku.com/v_show/id_XODczNzA1MzI=.html
ですが18分ぐらいの時にお互いに笑顔で照れているのが
萌えてしまいます
610名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 19:26:27.47 ID:3GVZ/EDD
気持ちはわかるがsageようよ
611名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 19:55:26.80 ID:3GVZ/EDD
GJGJ!!
季節が冬もいいな〜
2人のコート姿は映像では見てないけど似合い過ぎると思うw
また書いて下さいな
612名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:37:01.56 ID:z+eLDBGb
なんであげるかねえ
あとここは中の人を語るスレじゃないから
613名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:41:54.98 ID:p5tS0bPt
>>612
新手の嵐だとオモ
中の人萌えは別に場所があるし、みんな自力で辿りついてるしね
614名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 23:58:43.72 ID:rlLOY9La
荒らしとは違うんじゃない
最近のここの初心者集合っぷり見てると
皆さん行く所探し回って辿り着いてる気がする

初めてさんはメール欄に半角小文字でsageと入れてね
615名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 00:34:48.33 ID:laQc4YR1
GJ! GJ!
この作品の絵里子サイドが読みたいです。
って俺だけ?
616名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 05:08:32.37 ID:lQEODZOZ
GJ!!俺も絵里子サイド読みたい
617名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 09:44:49.98 ID:R87rXYqs
同じく!
絵里子サイドが読みたいです。
618名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 12:32:48.56 ID:336OqLQU
bbspinkも2chと同様、500KBでdat落ちするんだっけ?
このスレ既に473KBになってるのでぼちぼち次スレ用意した方がいいのかな?
619名無しさん@ピンキー:2011/08/14(日) 23:15:53.81 ID:FNTWQuxP
45 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 12:31:40 ID:RMWbuQPL
過去ログから拝借

・980レス以降は24時間放置でdat落ち
・480KB以降は1週間放置でdat落ち
620名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 06:54:25.62 ID:RZy3C1p6
「聖夜の奇跡」の絵里子サイドを書いてみました。
とりあえず前半部分です。しばらくおつきあいください。
621聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:55:32.52 ID:RZy3C1p6
車の助手席から見える街はすっかりクリスマスムード一色だ。
まだ一週間も先だというのに、昨夜のレストランはクリスマスディナーのコースを楽しむカップルであふれ、
一人で入ったことを後悔しないまでも、居心地の悪さを感じるには十分だった。
それに、出迎えたウェイターの「お一人ですか?」の問いかけが妙に気に障った。
「はいはい、どうせ「おひとりさま」ですよ。それがなにか?」
なーんて態度はおくびにも出さずに、笑顔でうなずいたのだが。
それもこれもアイツが悪いのよ。たまにはメールのひとつくらいもよこせっつーの。
アイツが「飲みに行かないか」って誘ってくるんだったら、こっちも考えてあげないこともないんだけど。
だって、こっちから誘いにくいじゃない。
同期とはいえ、アイツは出世頭で参事官。私にはわからない色んな事情があるのだろう。
その証拠に同じ建物内にいるはずなのに、この一ヶ月間まったく見かけない。

「BOSS、ありがとうございます。とっても美味しかったです」

車から降りた絵里子のもとへ、木元が駆け寄って頭を下げる。

「気に入ってくれた? また行きましょうね」

「はいっ」

その笑顔が気持ちよくて、絵里子は子供にするように木元の頭を撫でる。

対策室が関わった連続殺人事件の後始末も無事終わり、今日は部下たちを昼食に連れ出したのだ。
建物に消えていく部下たちの後姿を見つめながら、絵里子はふぅーっと息を吐いた。
大勢でとる食事は楽しかった。
木元は絵里子の横で「おいしい!」と歓声をあげ、片桐はウェイトレスの女の子を見つめたまま固まっていた。
花形はサラダの中に見たことのない野菜が入っていたらしく、物珍しそうに首をかしげ
山村さんはその花形に向かって、自分のクリスマスの予定(どこまで本当なのか)を一方的にしゃべり続ける。
岩井にいたっては、カウンター奥のシェフをうっとりと見つめ「二の腕がたまらんわぁ」とくねくねしていた。
622聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:56:31.44 ID:RZy3C1p6
仕事は順調すぎるほど順調だ。でも、この物足りなさはなんだろう。
いくら信頼してくれている部下たちに囲まれていても、やはり彼らは絵里子の「部下」だ。
絵里子が本当に話したいこと、考えていることを話す対象ではない。
安心してすべてを話すことができるのは、やはり同期で元バディの野立だけだ。
悪態をつきながらでもかまわない。聞いてくれるだけでいいのだ。
心の内をさらけだすことのできる相手がいるだけで、人は安心して立っていられる。
たかだか一ヶ月会えなかっただけで、こんなに寂しいなんて。
私はようやく気づいたのかもしれない。
アイツは、今日もこの建物のどこかにいるのだろうか。
たしかあの辺りが会議室のはず・・・。
しかしいくら見つめても、窓ガラスは外の風景を反射するだけだった。

あれから一週間が経った。今日はクリスマスイブ。
幸い対策室が関わるような大きな事件は起きなかったが、絵里子は日々の雑務に追われていた。

夕方、化粧室に向かうと、若い婦人警官たちが今夜に備えて念入りなメイクをしながら世間話に花を咲かせていた。

「そういえば、交通課の子が野立参事官をクリスマスに誘って玉砕したんですって」
「アレ? あたしは生活安全課の子だって聞いたわ」
「私は受付の子って聞いたわよ」
「実は全員だったりしてー」
「まっさかー。でもありえるー」
「「「あはははははは」」」

甲高い笑い声に頭痛がする。そして、無性に腹が立ってきた。
私を誘うヒマはないけど、女の子に告られる余裕はあるのかしら。
どうせ噂だとわかっているのだが、アイツの日ごろの行いが悪いからこんな噂が立つのだ。

「でもさ、参事官忙しいから。クリスマスどころじゃないんじゃない?」

そうそう、まったくその通りよ。
そこのヒジキまつ毛、なかなかわかってるじゃないの。

「それがさー、今日の会議が中止になったんですって。副総監が出られなくなったとかで」
「じゃあ、野立参事官、今日フリーってこと? あたし誘っちゃおうかなぁ」
「ちょっとー、あんたは彼氏と過ごすんでしょ」

もともと会議の予定だったってことは、プライベートの予定はないはず。
・・・今夜、誘ってみようかな。
でもアイツのことだから、会議が中止になった途端にどこぞの女の子に連絡を取ってたりして。
クリスマスだからなおさらそうに決まってる。
って、コレ、他の女の子たちと同じ発想じゃない。
・・・いやいや、今夜がたまたまクリスマスなわけで、ただ飲みに誘うだけじゃないか。
そうよ! いつもと同じように声をかければいいじゃない。
623聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:57:29.42 ID:RZy3C1p6
そう決心したはずなのに。

「なんでまだ仕事してるんだろう」

誰もいない対策室に、絵里子の独り言が響く。
部下たちは今日も定時で帰っていった。
時計を見ると、もう8時を過ぎている。
晩御飯はコンビニでいいか。
レストランでの苦い思い出が胸をよぎり、絵里子はため息をつく。
だらだらと荷物を片付け、コートを羽織って対策室を出ると、遠くのほうに見慣れた背中が見えた。
・・・まさか、でも間違いない。
野立は別に急ぐ様子でもなく、出口に向かっていく。
絵里子は、半ば尾行のようにその後を追った。

外に出ると、冷たい北風が肌に突き刺さった。
それで頭が冷えたのか、自分が馬鹿みたいに思えてくる。
久しぶりに話ができるチャンスができたのに、なんでこんなことしてるんだろう。
絵里子は大きく息を吸った。肺の中が冷え切って気持ちが良い。
そう、いつもと同じように声をかければいいんだった。

「あれ、今帰り?」

偶然を装ったつもりの声は、少しうわずっていた。
振り向いた野立の横に駆け寄る。

「クリスマスなのに、ずいぶん遅いお帰りなのね。野立参事官」

「急に会議がなくなったんだよ。おかげで早く帰れる」

ふてくされたように話す彼の横顔を見るのは、一ヶ月ぶりだ。
本当に帰るだけなのだろうか。どうすればうまく聞きだせるのか。

「どうせ何の予定もないんでしょ。無理しなくていいわよ」

「そういうお前こそどうなんだよ」

どうしよう、どうしたらうまく切り出せる?
考えれば考えるほど、唇は余計なことばかりを紡ぎだしていく。

「・・・私? 私はいろいろあるわよ。
 素敵なレストランに行ってー、ワインでしょー、それからケーキも食べてー」

ちがうちがう、こんなことが言いたいんじゃない。

「イルミネーションも見にいってー」

・・・もう限界。
振り向くと、野立は先程と同じ表情で立ちつくしていた。
624聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:58:35.33 ID:RZy3C1p6
「嘘」

「え?」

「こんなに忙しいのに、予定なんか立てれるわけないじゃない」

勢いでネクタイを掴む。
掴んだ後でそれが失敗だったことに気が付いた。

「どっかの上司が仕事をおしつけてくるおかげで、
 こっちはクリスマスだってのに一人寂しく過ごさなきゃいけないのよ」

顔が近い。実はすごくドキドキしていること、ばれてないだろうか。
でも、もう後には引けない。

「責任とってよ」

野立は少し困った様子で、何やら考え込んでいるようだ。

「寒いんだから、さっさと答えて」

時間にすればほんの1,2秒だったが、絵里子には妙に長く感じられた。

「・・・仕方ねーなぁ。寂しい絵里子のために、今夜はつきあってやるよ」

その表情がとても柔らかくて、絵里子も自然と笑顔になる。
うれしい。すごくうれしい。
素直にそう言えないのはつきあいが長すぎて照れくさいからだろう。
あわただしくレストランの予約をしている野立の姿を見ながら、絵里子はため息をついた。

久しぶりに二人でとる食事は、とても楽しかった
食事は美味しいし、ずっとできなかった仕事の話も聞いてもらえた。
やはり野立は会議に追われる生活をしていて、今日はじめてクリスマスに気づいたという。
そんな他愛もない話をしている間に、食後の紅茶が運ばれてきた。
これを飲んだら、帰らなきゃいけない。次はいつ会えるのだろうか。
そう思ったら、胸がきゅっと苦しくなった。

「ねぇ、イルミネーションが見たいから、駅まで歩かない?」

絵里子の提案に、野立は笑顔で頷いてくれた。

たかが2時間くらい話しただけなのに、あんなにもやもやしていた気持ちが軽くなっている。
話を聞いてもらえたからだけじゃない。私は彼といることが心地よいのだ。
野立の前ではいつも自然な自分でいられるし、私のことを一番理解してくれている。
でも、私は野立のことをどれくらい理解しているのだろうか。

イルミネーションに彩られた街は、仲睦まじく寄り添うカップルであふれていた。
あんな関係は望まないが、いつもそばにいてほしいと思うのは贅沢だろうか。
625聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 06:59:47.11 ID:RZy3C1p6
「私と来て、良かったでしょ。人並みのクリスマスが過ごせたこと、感謝してよね」

本当はお礼を言わなきゃいけないのは自分なのに。

「・・・そうだな」

意外な返事だった。驚いて見上げると、野立はひどく慌てた様子で言い直した。

「いや、お前こそ、俺に感謝しろよ」

その様子が可愛らしく思えて、絵里子は野立の腕に抱きついた。
寒いし周りもやってるからと言い訳をし、体を寄せる。
黙り込んでしまった野立の顔を直視することはできないが、コートの上からでも彼の体温はわかる。
もう少しくっつこうかと思ったとき、乱暴に腕を振り払われた。
あちゃー、調子に乗りすぎたか。
なんて考えていたその刹那、視界が暗くなり、あたたかいものに包まれた。
・・・野立に抱きしめられている。
それを認識したとたん、頬が熱くなる。

「ちょっと、野立、やりすぎよ!」

「寒いんだったらこっちのほうがいいだろ」

「恥ずかしいってば!」

恥ずかしさのあまり騒ぎ立てるが、野立は離してくれない。
絵里子も40歳を過ぎた大人だ。いくらなんでも恥ずかしすぎる。
なんとか離してもらおうと身をよじったとき、一斉に周囲の灯りが消えた。

「終わっちゃったね」

「そうだな」

灯りが消えただけだってのに、なんでこんなに切ないんだろう。
絵里子は自然と野立の胸に体を預けた。

「ホントは、今日、アンタのこと待ってたのよ」

そして今日の経緯を話すと、野立の腕の力が緩んだ。
絵里子はそこから抜け出して歩き出す。
夢からさめたような気分だった。

「今日はありがとう。久しぶりに話せて楽しかったわ」

クリスマスはこれでお終い。また明日からはいつもの関係に戻るのだ。
そう、私にはそれで十分だ。
でもその先を望むのは贅沢なのだろうか。
手に入ればいいのだが、失うリスク、つまり拒絶されて今までのように会えなくなることを考えると怖くなる。
きっと私はひとりで立っていられなくなるだろう。
っていうか、今日の野立は急に抱きしめてきたりとか変なんだ。
これじゃあ期待するなって方がおかしい。
考えれば考えるほど、自分の気持ちがわからなくなってくる。
だから絵里子は、強制的に終わらせることにした。

「じゃあ、またね」

はやく、はやく帰らなければ。この気持ちを知られてはいけない。
そう思って歩きだそうとした絵里子の腕が、強く引かれた。
626聖夜の奇跡(前半) 絵里子サイド:2011/08/15(月) 07:00:41.66 ID:RZy3C1p6
「何?」

「帰るなよ」

「何で?」

心の奥底で期待していたはずなのに、棘のある言葉しか返せない。

「まだ11時だ。クリスマスは終わってない」

「もう十分よ」

だからお願い、もう帰らせて。
しかし野立は私が「帰らない」と言うまで離すつもりはないようだ。
どうしていいかわからないまま、しばらく無言で見つめあう。
私、ずっと聞きたかったことがあるんだけど、聞いてもいいのかな。

「・・・私と会えなくて寂しかった?」

「ああ」

「ほんとに?」

「今更お前に嘘つかねーよ」

野立の真剣なまなざしには、普段のおちゃらけた様子は少しもなくて。
なんだ、寂しかったのは私だけじゃなかったのね。これは、期待してもいいのかな。
そう思うと自然と笑みがこぼれる。

「じゃあ、いいわよ。いっしょにすごしてあげる」

野立はガラにもないことを言って恥ずかしいのか、大きく息を吐いている。
まったく、この私をこんなに悩ませるなんてどこまでも食えない男だ。

「野立っ」

振り向いた野立の唇に、ちゅっと音をたててキスをする。

「・・・っ!」

完全に不意打ちだったようで、野立は呆然と立ちつくしていた。

「さぁ行くわよ!」

絵里子は強引に野立の手を引く。
その唇はひどく冷たかったが、とても柔らかかった。
627名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 07:01:43.70 ID:RZy3C1p6
とりあえず前半部分は以上です。
よろしければ、また後日後半部分も投下させてください。
ありがとうございました。
628名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 08:01:59.10 ID:u9ulc718
とりあえず480kb超えてるから次スレたててきたよ

次スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313362745/

629名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 08:26:54.39 ID:hHoxEAoi
うわー絵里子かわいいー!
続き読みたい!生殺し!
楽しみにしてます!
630名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 09:40:29.02 ID:XdtQayqb
>>628
次スレ乙です。
ありがとう!
631名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 10:15:37.79 ID:7XFOoqN1
>>627
GJ。ありがとう
後半楽しみにしています!

>>628
次スレ乙です
632名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 10:46:37.33 ID:mpF3xvkR
みなさん
ありがとぅございます。

感謝します!!
633名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 11:57:07.78 ID:FsKvMKLl
絵里子サイドいぃ!いいよぉ〜!!
両者の気持ちがわかると萌え倍倍増だね
後編楽しみにしています

次スレ乙です!
634名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 14:41:18.09 ID:6NFxl7jJ
GJ!
強がってる絵里子に萌えまくりです
635名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 19:39:32.49 ID:02944Iyy
次スレ立てていただいて、ありがとうございます!

聖夜の奇跡、絵里子の女心がイイですね〜。
後編楽しみです!

後編投下を待ってる間、場つなぎで図々しく投下させてください。すみません。
前回「ディナーにご用心」を書いて、その続きです、一応。
またしても無駄に長く、しかも無理のある展開、反省しきりなんですが・・・
話も勝手に暴走してますので、お嫌じゃない方だけ、よかったら読んでください。
636花火の夜に(1):2011/08/15(月) 19:41:07.16 ID:02944Iyy

「ねえ、こんなもんでいいかな?」
軽くシャワーを浴びてTシャツに着替えてきた野立に、キッチンから声をかける。
「上等、上等。どうせあいつらも差し入れ持って来るだろうしな」
大きな皿には、帰り際デパ地下で適当に買ってきたオードブルやつまみを盛り付けてある。
ちょっとしたパーティー風に見えなくもないだろう。
野立が冷蔵庫から、買い置きしておいた缶ビールやチューハイをまとめて取り出した。

今日は8月最後の花火大会だった。
野立のマンションから、花火が良く見えるのではないかと察知した対策室のメンバー達が、
仕事の帰りに花火見物に押しかけてくることになり、絵里子はその下準備をしていた。
野立と絵里子が一緒に住んでいることは、既に部下たちにすっかりバレており(むろん口外厳禁だが)、
だったらみんなで花火を見ながら盛り上がろうということになったのだ。
野立のマンションの最上階には、貸切にできるラウンジルームが複数あり、
管理人に確認したところ、運良く花火の時間帯に一室借り切ることができた。

絵里子も既にシャワーを浴びてラフなカットソーに着替え、薄化粧を施している。
「そろそろみんな来る頃よね。花火に間に合うかなぁ」
窓の外に視線を向けた絵里子の体を、野立が後ろから腕を回して抱く。
「俺、ホントは二人だけで見たかったんだけどな。そこのベランダでさ」
あいつらどこにでもついて来るからなー。野立がへの字口で絵里子の肩に顎を乗せた。
「上司を慕って遊びにくるだけカワイイもんよ」
絵里子が顔を後ろに向けて軽くキスすると、野立が、もっと、というように唇を求めてくる。
まだ石鹸の香りが残る体を寄せ合い、絵里子のルージュが落ちないように
ソフトなキスを繰り返していると、インターフォンが軽やかに鳴り響いた。
モニタに、5人の部下がひしめきあって映っている。
「野立さーん、ボスー!お酒たっぷり買ってきましたよ〜!」
637花火の夜に(2):2011/08/15(月) 19:42:18.27 ID:02944Iyy

食料と大量の酒を抱えて最上階まで上がると、廊下で初老の管理人が待っていて、ラウンジルームの鍵を開けてくれた。
隣接する別のラウンジルームにも、既に何家族かが集まってワイワイやっている様子だ。
室内に足を踏み入れると、ゴージャスなインテリアに絵里子たちは圧倒された。
重厚な外国製のパーティー用テーブル、キングサイズのベッド並みに大きな、ゆったりしたソファ、
洒落たバーカウンター、センスのいい照明の数々。
ホテルのスイートのように、洗練されたシックな内装で統一されている。
そして、最上階だけあって全面が張り出し窓になっており、見晴らしは抜群だった。

定刻どおりに花火が始まった。
夜空を華やかに染め上げる光と音の迫力に、一同は感嘆の声を上げた。
「うわーー!すっごいですねーー!ここ特等席だぁ!」
「デジカメで映るかな。マイブログにアップしなきゃ♪」
花形と山村が興奮しながら、窓に張り付いて花火に見入っては、パシャパシャと写真を撮っている。
「片桐、フライドポテト食べるか?ほら、アーンしてみ♪」
岩井が太い指でポテトをつまんで片桐の顔の前に差し出すと、木元が
「片桐さんはスイーツのほうがいいですよね〜。はい、シュークリーム好きでしょ?」
と、片桐の腕を引っ張る。
岩井と木元は、ソファの上で片桐を真ん中に挟んで火花を散らしていた。

「みんな、楽しそうね。・・・ありがと、野立」
絵里子が花火の盛大な音に邪魔されないように、野立に耳打ちする。
「いや、俺もここに住んでまともに花火見たの初めてだし。良かったよ」
部屋の照明を控えめにしているせいもあって、部下の目もあまり気にならない。
絵里子は自分の食べかけのピザを、
「これ、わりと美味しいよ」と野立の口に運んでかじらせた。
「あ、チーズが髭についちゃった」
絵里子がティッシュで野立の口元を拭いてやると、今度は野立が
「おまえもついてるし」と笑いながら、絵里子の唇に指を伸ばしてピザのかけらを摘み取る。
638花火の夜に(3):2011/08/15(月) 19:43:44.83 ID:02944Iyy

はっと気づくと、部下たちの視線が絵里子と野立に集中していた。
「なんちゅうか、やらしい雰囲気やなぁ、あんたら」
「えっ!!ど、どこがっ!」岩井の呟きに絵里子が野太い声で答える。
「二人してそんなリラックスした格好で、何気に風呂上りっぽい匂いまでさせとるし」
「な、何よ!フツーにTシャツとパンツじゃない!どこがやらしいのよっ!!」
「たしかに、そのフツーのラフさが返ってエロチックとも言えますね・・・」
自分で言ったエロチックという単語に反応して照れている片桐に、木元が同調する。
「分かるー。なんか二人だけ、まとってる空気が違うんですよねー。くだけてるって言うかぁ・・・」

「素の状態って感じが、逆にドキドキしますよね。オトナって深いなー」
花形が興奮気味に言うと、山村がじっとりとした横目で不満を口にした。
「大体、さっきから花火なんてそっちのけで、イチャイチャ二人の世界に浸っちゃって。
ボクの小説は権力使って差し止めたくせに、なんだか納得いかないや」
「・・・ヤマムー、今月も育毛剤禁止にしようか?」
「えーーっっ!!の、野立さん、それだけはご勘弁をーーー!!」

上司2人への冷やかしでひとしきり騒いだ後、花火にも少々飽きてきた面々は、
やけくそのように酒とつまみに走り始めた。
「おまえら、どんどん飲め飲め。明日は多少の遅刻は大目に見てやる」
野立が部下たちを煽って酒を勧める。
「酔っ払わせて、さっさと帰らせようぜ」
野立の耳打ちに、絵里子は深く深く頷いた。

花火が終わり、あらかた食べつくした頃には、部下たちは完全にデキあがってしまった。
食べ散らかした残骸や空き缶をゴミ袋に集め、帰り支度をする。
例によって泥酔状態の山村を、同じく酔っ払った岩井と花形が両脇から支え、
木元は酔いに任せて片桐の腕にべったりしがみつき、
片桐も酔って頬を紅くしつつも、妙に目をギンギンにさせながら木元を支えて歩いている。
「どーもー!野立さーん、お邪魔しました〜!ボスー!まぁた明日〜!」
ろれつの回らない口調で部下たちがラウンジルームを出てエレベーターに向かう。
絵里子と野立も、ほろ酔い気分でゴミ袋を手に、電気をすべて消して外に出ようとした。
639花火の夜に(4):2011/08/15(月) 19:44:58.68 ID:02944Iyy

「おっと、エアコン消してなかった。リモコンどこだっけ」
「あれ?さっきカウンターの上で見たけど・・・ない?」
再び電気を点け、カウンター周りやソファの上などを探す。
しばらく探し回った二人は、ようやくソファの窪みに隠れていたリモコンを見つけ、エアコンを切った。
部下達は既にエレベーターで降りていったようで、もう声は聞こえなかった。
さて帰るか、と野立がドアに手をかけてノブを回す。が、どうも様子がおかしい。
「あれ?開かない。なんでだ?」
ガチャガチャと野立がノブをいじるが、内側からではびくともしない。
「どうしたの?鍵掛かっちゃってる?」
両手にゴミ袋を提げた絵里子が、心配そうに覗き込む。
「ひょっとして俺たちがリモコン探してる間に管理人が来て、もう誰もいないと思って外から鍵掛けたんじゃ・・・。
あのジイサン、ちょっとぼんやりしてたからなー」
野立が、顎に手を触れながら呟いた。

「ね、外から鍵掛けられたとして、なんで内側から開けられないのよ?普通、開くよね?!」
「・・・そういえば、前に住人の中学生の息子が、ここに仲間連れ込んで鍵かけて悪さしたとかで・・・
それ以来、鍵は管理人が外からしか掛けられないように変えたんだよ、たしか・・・」
「・・・ってことは、私たちここに閉じ込められたってこと・・・?」
「そういうことに、なるな」野立が溜め息をついた。

野立が念のため携帯から管理人室に電話を入れてみたが、既に帰宅したようで出ない。
夜間はセキュリティアラームが鳴れば警備会社が駆けつけるが、基本は無人だ。
「・・・どうしよう」絵里子が途方に暮れた顔でソファに腰を下ろした。
「ま、明日の8時になれば管理人が出勤してくるさ。しょうがねぇよ。
トイレもエアコンも酒もあるし、ここで一晩過ごそうぜ。ホテル並みに豪華だし」
「8時まで待ってたら、明日は完全に遅刻だわ・・・」絵里子が頭を抱える。
「いいさ、たまには。俺が大目に見てやる」
「あんたは明日しっかり休み取ってるもんね!私はまだ仕事がたまってるのよ・・」
「カリカリすんなって。人間、その場その場を楽しみながら生きたほうがラクだぞぉ」
そう言って、野立はいくつか照明を落とすと、大きなガラス窓の前に立った。
640花火の夜に(5):2011/08/15(月) 19:46:10.70 ID:02944Iyy

「見ろ、絵里子。この辺りは他に高層の建物が少ないから、向こうの夜景が綺麗だろ」
野立の言葉に、絵里子も窓辺に近付いた。
先ほどは花火に気を取られていたが、こうして見ると確かに近くの建物はみな、このマンションより背が低い。
灯りを減らしたせいもあり、遠方の高層ビル群のイルミネーションがより一層美しく輝いて見えた。
「ほんとだ、すごく綺麗ね・・・」絵里子はガラスに張り付くようにして見入る。
しばらく見惚れていると、野立と二人ということもあり、心がスーッと落ち着いてきた。
絵里子の白い横顔を見つめていた野立が、呟いた。
「周りに邪魔な建物がないってことは、こっちを覗かれる心配がないってことだな」
そう言いながら、いきなり後ろから絵里子に抱きついてきた。
「えっ、ちょっと、何いきなり・・・」
「こんなとこに二人で閉じ込められてんだ。やることなんてひとつしかないだろ?」
野立はニンマリと笑うと、窓の前に置かれた大きなソファに絵里子を引きずり込んだ。

むさぼるような情熱的なキスに呑み込まれ、絵里子は息がつまりそうになる。
「・・・ん・・・待って、もっとゆっくり・・・」
そう声を絞り出すものの、ここ数日お互いに多忙でゆっくり抱き合う時間もなかったことを思い出し、
絵里子の体もじんわりと熱くなってくる。
唇と唇がもどかしげに求め合い、舌がとろけあうように絡まる。
薄明かりの下でぴちゃぴちゃと唾液が混ざり合う音だけが響き、絵里子は早くも下腹部に熱い疼きを感じた。

野立が絵里子のカットソーの中に手を入れ、暖かな掌で肌を撫でる。
ブラの上から胸を軽く一撫ですると、カップの隙間に指を2本差し入れ、蕾を優しくさすった。
絵里子が脚をすり寄せて身をよじると、野立が絵里子のカットソーを脱がしに掛かる。
コットンのパンツもひき下ろされ、ブラとショーツだけになると、野立も自身のTシャツとパンツを脱ぎ捨て、
グレーのボクサーショーツ一枚になった。
そのままソファの上で絡まりあうように抱きしめあうと、ショーツ越しに絵里子の股間に野立の大きな塊が押し当てられ、
その感触に絵里子は思わず「あっ」と声を上げながら、自ら腰をくねらせてしまった。
641花火の夜に(6):2011/08/15(月) 19:47:45.81 ID:02944Iyy

野立がわざとぐにゅぐにゅと股間を絵里子にこすりつけてくる。
その間も長いキスが続き、徐々に固く持ち上がってくる野立のモノの感触が、絵里子を恥ずかしいほど興奮させた。
「ねぇ・・・待って」
絵里子は野立をそっと押しとどめると、ソファの上で体勢を変え、自分が上になって野立を組み敷いた。
「何?俺が襲われるの?」野立が緩んだ表情で絵里子を見上げる。

絵里子は野立の股間に手を伸ばし、下着の上から既に半分ほど持ち上がっている野立自身を撫で回した。
「・・・んんっ・・・」野立が低く息を漏らす。
指でさすり上げるように愛撫しながら時々後ろの袋もソフトに握ってやる。
十分固くなってきたところで、野立の下着をグッと引っ張り下ろした。
主張するように勢いよく立ち上がったモノに、絵里子は躊躇なく顔を埋める。

絵里子はあまりこの行為が上手くないことを自覚していた。
それでも野立を喜ばせたい一心で、こうして時々自分から野立を頬張る。
そしてそういうとき、決まって野立は愛おしそうな目で絵里子を見下ろして、呼吸を荒くする。
「・・・絵里子、気持ちいいよ・・・」
野立が絵里子の髪に手を差し入れた。

絵里子は唇と舌を存分に這わせながら、野立のモノを唾液まみれにしていく。
絞り上げるように右手を何度も上下に動かし、舌先でぬらぬらと先端のヒダの内側まで丁寧に舐めた。
不意打ちのようにカポッと深くくわえ込み、口内の熱いモノにまんべんなく舌をからませる。
そうしながら、左手で野立の小さな乳首をつまんでやると、野立が震えるような吐息を漏らした。
642花火の夜に(7)

絵里子が顔を上げて、野立の乳首を舌で舐め始めると、野立が絵里子のショーツの中に手を伸ばして秘所に触れた。
「おまえ、もうこんなに濡らして。あふれてきてるぞ」
野立が驚いたような笑みを浮かべながら、濡れた指先を音を立ててしゃぶる。
野立の両手が絵里子のヒップを撫でるように滑りながら、薄いショーツを脱がしていく。
絵里子はもどかしげに自分でブラを外すと、野立の唇に、先が尖りはじめた胸を近づけた。
野立が舌ですくうように乳首を舐め上げ、少し転がした後、ちゅぷっと音を立てて口全体で乳房に吸い付いた。

野立が舌を這わせながら、唇も使って蕾を存分に味わい、掌で胸をしっとりと揉みしだく。
乳房を両手でぎゅっと掴んだり、力を抜いていやらしく円を描くように揉んだりしながら、
時折指先でクリクリッと蕾をつまみ、こね回す。
絵里子は「はぁ・・・ん」と声を上げ、ぐちゅぐちゅに濡れた秘所を野立の股間や腹部になすり付けた。

「やらしいな。ガラスに映ってるぞ」
野立が秘密めいた笑みを浮かべて絵里子に囁く。
ふと横を見ると、野立の上に跨って乳房を揉まれながら腰をすり付けている自分の姿がガラスに浮かんで見えた。
「やだ・・・」絵里子は羞恥に赤面するのを感じつつも、動きを止められない。
外から覗かれはしないと分かっていても、ガラス張りの無防備な空間に映るあられもない姿はこの上なく扇情的で、
恥ずかしさが余計に絵里子を昂ぶらせ、乱れさせた。
野立が急に上体を起こし、絵里子を抱きかかえるようにして体を動かす。