【俺の妹】伏見つかさエロパロ19【十三番目のねこシス】

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536SL66 ◆Fy08o57TSs
さて、突然ですが、何かと物議を醸しているらしい『風』の後編をアップします。
ひとまずは、63レス中の17レスほどを上げます。

なお、もはや言うまでもありませんが、オリキャラ、修羅場が有ります。
さらに、終盤はエロとバイオレンスも有りなので、苦手な方は、スルーして下さい。

ていうか、規制等で、途中でアップが頓挫するかも……
まぁ、そのときは、そのときということで……
537風(後編) 1/63:2011/06/18(土) 12:39:30.44 ID:ND8G9piy
*  *  *
 日曜日に勃発した黒猫や沙織との諍いで心身共に疲れ切っていた俺は、結局、何の備えもなしに、月曜日
の講義に出席した。月曜日の午前中には、予習が必須のドイツ語の講義があるにもかかわらずだ。

 運が良ければ当てられずに済むと高を括っていたが、それが命取りとなった。
 もう少しで講義が終わるという刹那、俺は教科書の一節を読んで訳すように指名され、見苦しく言い淀ん
で大恥をかいた。
 陰険そうな講師には、「昨日は日曜日で十分に時間があったはずなのに、予習はしてこなかったのか
ね?」と嫌みったらしく詰られた。
 悔しかったが、昨晩、予習もせずに早々に寝入ってしまった自分が悪い。俺は、

「も、申し訳ありませんでした……」

 と、消え入るような声で講師に詫び、ようやく着席を許された。
 背後の方からは、くすくすという無遠慮な笑い声が聞こえてきた。女の声だ。保科さんは、教壇の間近に
座っているから彼女ではない。
 畜生、劣等生であることは否定しねぇが、予習を怠ったのは明らかに失態だ。笑われてもしょうがない。

 そんなことを忌々しく思い返しながら、学食でいつものようにコロッケ入りのラーメンをすすっていると、
つい先日に知り合ったばかりの陶山と川原さんが、各々弁当を携えてやって来た。

「高坂。ここ、いいか?」

538風(後編) 1b/63:2011/06/18(土) 12:44:31.22 ID:ND8G9piy
 俺は、無言で頷いた。法学部で気軽に話せる相手がいない今の俺にとって、二人は貴重な話し相手だ。
 しかし、

「うわぁ〜、高坂くん。先週もそうだけど、なんてもん食べてるのよぉ……」

 川原さんが、ふやけたコロッケが浮いているラーメン丼を見て、顔をしかめている。
 たしかに、開業医の娘でもある医学部生から見たら、ジャンクフード以外の何ものでもないわな。
 でもよ……、

「昨日、ちょっと服買っちまったし、外食もしたから金欠なんだよ。その点、こいつは、栄養学的には褒め
られたもんじゃないが、安くて腹だけは膨れる……」

「にしたって、毎日それじゃぁ……」

「いやぁ、世話になっている下宿屋じゃ、けっこうまともなものを朝晩食わせてもらっているから、
一食くらい、こんなジャンクなもんでも大丈夫だろ、多分……」

539風(後編) 1c/63:2011/06/18(土) 12:50:13.77 ID:ND8G9piy
「だったら、昼飯くらい、ラーメンでも大丈夫だろうさ……。それに、余計なお世話かも知れんが、おかず
が余ったんで、持ってきたんだ」

 川原さんの同級生で、伊達眼鏡の陶山が、俺に小さめのタッパーを差し出した。『食っていいぞ』という
ことらしい。

「も、もらってもいいのかな?」

「そのつもりで持ってきたんだ。遠慮すんな」

「済まねぇな……」

 思わず卑屈な感じになっちまったが、それでも作り手である陶山への感謝のつもりで、俺は軽く頭を垂れ
てから、タッパーの中の芋の煮っころがしを箸でつまみ、口に放り込んだ。
 う〜ん、旨いな。下宿の女主人の煮物も旨いが、陶山のも甲乙つけがたい。
540風(後編) 2a/63:2011/06/18(土) 12:54:06.60 ID:ND8G9piy

「こっちの煮物は、関東と違って、醤油の色とかが薄いくせに、ちゃんと味付けがされているんだな……」

「まぁ、こっちは薄口醤油を使うからな……」

「亮一の煮物は、お婆ちゃん直伝なんだよ」

 川原さんのなにげない一言で、俺ははっとした。

「お袋さんじゃないのか?」

「……うん、まあな……」

 そう言って、陶山は、一瞬だが、川原さんと何やら目配せみたいなものをしていたようだった。

「ふ〜ん……」

 色々と事情はあるんだろうな。俺にもあるようにさ。
 とにかく、こうして話し相手になってくれる陶山という奴は、俺が初めて目にする“厨房男子”という奴だ。
 何らかの事情がなければ、野郎が自ら進んで台所に立つということはないよな。

「まぁ、それはともかく、高坂、なんかげっそりしてないか?」

「やっぱそう見えるか? ちょっと午前中、ドイツ語の講義で当てられて答えられなくて、恥かいたんだよ」
541風(後編) 2b/63:2011/06/18(土) 12:57:39.52 ID:ND8G9piy

「それで、生気がないつ〜か、なんつ〜か……。ゾンビみたいなんだぁ〜。あ、ごめん、言い過ぎ」

 川原さんは、自虐のつもりなのか、自分の額をゲンコツで軽く叩き、ぺろっと舌を出した。
 人の彼女をこう言うのも何だが、美人は何やっても格好がつくからいいよな。
 しかし、ついにゾンビか。ゾンビと性犯罪者予備軍とじゃ、後者の方がマシだよな。

 ゾンビ呼ばわりした代償ってつもりじゃないが、ついでに川原さんに訊いとくか。

「ゾンビでも何でもいいけどさ……。ちょっと教えて欲しいんだけど、ブレザーのボタン付けをやってくれ
そうな、洋服の簡単な修繕をしてくれるような店に心当たりはないかな?」

 昨日買ったブレザーは、ちょっとボタンのつけ方が緩かった。新品だが、作られてからだいぶ経っている
ようなので、一度クリーニングしておきたかったのだが、このままでは、クリーニングの際に錨のマークが
あしらわれた金ボタンが何個かなくなってしまうかも知れない。