あの花でエロパロ

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95名無しさん@ピンキー:2013/09/15(日) 00:03:39.54 ID:PBzPzsxl
譁?蟄怜喧縺代☆繧具ス?
96名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 08:47:09.37 ID:XoMqNxGa
映画を観に行った影響で、何か書いてみたいなあと思ったので、途中までですが、投下してみます。
97名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 08:48:49.11 ID:XoMqNxGa
存在論

 肉体があるのか、ないのか。
 私と彼女との違いは、単純に言えばそれだけのことだ。
 もちろん、無いより有るほうがいい。前者なら触れることすら出来ないが、後者なら接触が可能だからだ。存在している方が優位なのは当然のことだろう、と思う。
 だけど、それは一般論であって、あらゆることにあてはまるとは限らない。特に、彼女の事を考えた場合、あてはまらないのだろうな、と諦観にも似た気持ちが胸の奥に沈んでいくのが感じられた。
ー無いより、有る方がいい。
ー居ないより、居る方がいい。
風呂場の鏡に映る、自分の裸体を見つめながら、私、安城鳴子はそんな事を考える。
98名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 09:58:51.84 ID:2ieKCXt7
自分で言うのもなんだけど、私の体は悪くないと思う。
胸は同級生や友達と比べても大きく育ってるし、お腹も引き締まってるし、お尻はちょっと大きめなんだけど、全体的に見れば、私は出るとこが出ている抜群のプロポーションの持ち主だと言えなくもないのだ。自分で言う気はないけど。
 悩みは、着替えの際に友達にからかわれてしまうことだ。「鳴子、エロい!」だの「発育すごい!」だの言いながら、オヤジと化した彼女たちに胸を揉みしだかれてしまうのだ。
 幼なじみの二人の女の子と比べても、私は成長したと言えるだろう。上背ではこの前に会った“つるこ”こと鶴見知利子に負けちゃうんだけど。私も女子にしては背の高い方だ。そもそも、女の子は背が高くても、得することってそんなにない。
 嫌な表現になるけど、体が「女らしく」成長したのは私だと思う。もっとも、今のつるこの裸を見たことが有るわけじゃないので、断言は出来ないけど。
 確かめるには直に触ってみるしかないだろうけど、そんな機会なんてないだろうし、今の彼女にそんなことをしたら、どうなるか分かったもんじゃない。それ位、彼女とは距離が開いてしまった。
 出来ることがあるとすれば、この前に会った彼女の姿から、大体の胸の大きさを推測することくらいだけど、それも中々上手くいかない。
いけすかないガリ勉眼鏡女になっていた彼女に対しては、「着痩せするタイプかも」という、慎重な考察をしてあげることが出来ない。想像というか、つつましやかであってほしい、という妄想だ。
 想像といえば、もう一人の幼なじみである彼女に対しては、私は全く力が働かない。
 “めんま”こと本間芽衣子。
銀色の髪の、可憐な女の子。
 幼い頃の彼女の姿は私の脳裏に焼きついて、時間が戻ったり、進んだりすることはない。
 私はその時の彼女の姿しか知らないからだ。そして、めんまも自分の成長した姿を知らない。
 何故なら、彼女は存在しないからだ。肉体が既にこの世にはない。
 それにも関わらず、私達に一番影響を与え続けているのも彼女だという、確信があった。“もういない”ということが、彼女の存在感なんだと思う。
 
99名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 10:02:16.58 ID:2ieKCXt7
時々、めんまが成長していたら、という考えが頭に浮かぶことがあって、そんなことを考えている自分にハッとする。
 それはちょうど今みたいに、自分の裸の姿を目にする時だ。私が自分の体の成長に自覚的になったから、ということもあるだろう。
 成長という言葉から、最も遠い存在として、彼女のことを連想してしまっても無理はないと思う。
 でも、うまく想像することはやっぱり出来ない。
 小さい頃とそんなに変わらないかな、という気もするし、びっくりするぐらい大人の女性らしくなっているかもしれない。
 私には彼女以外にはハーフやクォーターの友達がいなかったから、想像しづらいということもある。
 だけど、成長した彼女を想像することが出来ない一番の理由は、私達がそれを奪ったから、に他ならない。
 私達が、“成長するはずだった”めんまの未来を奪った、という罪悪感が、想像するのを妨げて、自己嫌悪に陥らせる。
 最終的にそうなることがわかっているから、思考を無理矢理打ち切ったりしてみるのだけど、それも上手くいかない。最近はとくにそうかもしれない。
100名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 10:05:57.36 ID:2ieKCXt7
ただ一つ確かだと思えるのは、成長しためんまの姿がどうあれ、彼は彼女のことが好きなんだろうな、ということ。そして、彼女も彼、“じんたん”こと宿海仁太のことが好きなんだろうな、ということ。
彼女が今でも存在していたら二人はきっと一緒にいて、しあわせでいるに違いない。
 像が思い浮かばなくてもそれだけは確かにわかる。
 私は絶望的なことほど想像力が働くらしい。自分がじんたんの側にいることを想像してみても、それは都合のいい妄想にしか思えない。でも、めんまと一緒にいるじんたんという図は、自然に思い浮かぶのだ。
 小さい時によく遊んだ、ゲームボーイにソフトを嵌め込む時に聞こえる、カチッという音。そんな音が聞こえてきそうなほど、二人が一緒の姿というのは、噛み合っていて、違和感も隙もない。当然、私が入り込める余地などない。
101名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 10:08:48.37 ID:2ieKCXt7
その絶望的な想像というのも、結局は無意味なことだ。めんまは既に存在しないのだし、存在しない人間についてどれだけ想像を巡らせても、彼女が蘇ったりする訳でもない。
 当たり前のことだけど、もう彼女と関わることは出来ないと、私には分かっている。彼女が亡くなった直後には分からなかった。というか、受け止めきれなかった。私達は死について知らなすぎたのだ。
 ただ、あの日からめんまと会うことはなくなり、言葉を交わす機会もなくなった。そういった動かせない事実を通して、私は彼女の死を学んだし、今も学び続けていると言えるだろう。
 だけどそれは私の場合であって、他の皆が全員同じと言い切ることは出来ない。
 現に彼、じんたんは最近になって変わった。高校入学以来、家に引きこもっていた彼が外に出るようになったのだ。奇妙なことに、その原因は死んでいるはずのめんまにある、というのだ。
102名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:10:38.42 ID:2ieKCXt7
それを聞いた時、私は自分の存在が揺らぐのを感じた。体が確かに存在して、触れることだって簡単なはずなのに、じんたんは結局めんまなのか、と。
 成長した姿のめんまの霊が側にいる、というのが今のじんたんの状態らしい。もっとも、彼女は彼にしか見えないといので、大方彼の妄想だろうとは思う。
 だけどそもそも、妄想の中に彼女が出てくるのが気にいらなかった。
 もちろん、最初は真に受けた訳じゃなかった。
 彼が直接そう口にした訳ではなく、幼なじみの一人である“ぽっぽ”こと久川鉄道を通して聞いた話だったし、じんたん自身も「信じてもらえないだろうな」という雰囲気だった。
 その時に、気味の悪さというより、自分が否定されたような気になった私も妙な感じだ。事の深刻さを私は受け止めきれなかっただけかもしれない。
103名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:13:59.03 ID:2ieKCXt7
その後に、じんたんが登校してきたのも私の言葉のせいだと思っていたけど、それにしては、彼の変化は急激すぎる。
 顔を合わせる機会すら中々なかった彼と、最近では頻繁にあっているのもその証拠だ。
 めんまの存在を信じているといのうも、狂信的なそれではなくて、本当に霊に取り憑かれてしまってなんとかしようしている、という風に見えるのだ。
 私自身、めんまがいるという彼の主張に対して、半信半疑ではなくなってきているのを自覚していた。そして、それはとても恐ろしいことだ。
 彼女はお願いがあって、この世に現れたと言う。さらに、それが何なのかは分からないと言う。
 最初は、真に受けなかった私だが、その願いの意味するところに気付いて私は愕然とした。
 それは、つまりめんまの蘇りではないだろうか。蘇るのを願って、彼女はこの世に現れたのではないだろうか。
104名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:54:32.79 ID:2ieKCXt7
現に、彼女はもう蘇ったと言えるのかもしれない。
じんたんの元に現れ、彼に自分の存在を信じさせ、さらには私達にまでその存在を感じさせている。
 このまま行けば、私にも彼女の姿が見えるようになったり、いずれは彼女の存在を世界そのものが疑問もなしに受け入れてしまうかもしれない。
 だけどそんなことは許せない。
 彼女の願いはもっともなことだと思う。事故とはいえ、幼くして亡くなった彼女が、もう一度生きたいと思っても何の不思議もない。理にかなっているとさえいえそうだ。
 だけど、私には不都合なのだ。
 めんまが蘇ったりしたら、今の私が否定されてしまう。
正確には、じんたんが好きで、頑張って努力すれば彼とくっつけるかもしれない、今の私が否定されてしまうのだ。
 そんなことには耐えられない。
 
105名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:55:57.16 ID:2ieKCXt7
私はどうかしている。死んだ人間が蘇るなどということを真剣に考えたりなんかして。
 だけど、黙ってことの成り行きを見ていても、状況は何も変わらない。
 変えたいのなら、自分が介入するしかない。
 私はもう覚悟を決めていたのだった。
 鏡の向こうの、成長した自分の体を見つめる。
 この体がどんなに魅力的でも、彼の心までは奪えない。それならそれでよかった。
 だったら、まずは体を奪ってやればいい。そして、いつかは心ももらってしまうのだ。
 ちょうど彼女が、彼や私達に対してやっているのとは、逆の順序で。
 私と彼女の違いは肉体の実在だけなのだ。ならば、そのアドバンテージを徹底的に活かすべきなのだ。
 幸いにも、彼と接触する機会なんていくらでもある。
 私にだってやってやれないことはないと思う。
 そこへ、母から長風呂の苦情が入ったので、私は風呂場から出た。
 タオルで体をふき、髪をドライヤーで乾かしてから自分の部屋へ戻って、ふと考えた。
 もし仮に全てが上手くいったとして、それは全て私自身の努力の成果と言えるだろうか。
 それは違った。
 私がもしも望む結末を手に入れても、それは紛れもなく誰かの介入のせいなのだ。
 私にとって彼女は、障壁でもあり、彼との結び付きを今でも保つ、繋がりでもあるのだ。
 幼いあの頃から、今でもそうなのだ。そう思うと、不意に鼻の奥がつん、と痛くなるのを感じた。
106名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:58:59.76 ID:2ieKCXt7
とりあえずここまでです。

途中で書いた文章消去しちゃって、悶絶したわ
107名無しさん@ピンキー:2013/09/17(火) 01:52:08.82 ID:BxTel3rG
>>106
GJ
続き楽しみ
108名無しさん@ピンキー:2013/09/22(日) 23:44:46.60 ID:meWm2D0f
遅くなったし、全然進んでないんだけど、「存在論」投下します。
109存在論:2013/09/22(日) 23:47:12.02 ID:meWm2D0f
私は襲撃の機会をうかがっていた。
 それにはまず、場所の設定が必要だ。じんたんに会う場所は色々あるけど、二人きりになれる機会は少ない。
 秘密基地は止めた方が良さそうだ。ぽっぽが住んでいることもあるし、皆が集まる場所だし、色々不都合が多いけど、一番の理由は、めんまが姿を見せる可能性もあるということだ。
 これから事に及ぼうという時に、想い人にはいてもらいたくない。
 別に彼女に気を使おうというつもりはない。ていうか、彼女の存在を確信してるわけでもない。
 ただ、いると言われればやはり気になるし、何より彼を逃がす理由になってしまいそうだと思ったのだ。
 私が襲いかかったとしても、絶対に彼は抵抗すると思う。その時に高確率で使いそうな言葉が、「やめろよ、めんまが見てるから」だ。
 秘密基地でこんな事を言われたら、私はそこから先へは進めない気がする。だから、「めんまが現れない場所」にポイントを絞ることにした。
 そうなると自然、バイト先であるゲームショップになる。
 めんまが現れる可能性がない訳ではないが、限りなく低いと思われる。何故なら、普段は挙動不審なじんたんが、バイト中は独り言やパントマイムを披露したりしないからだ。
 幽霊となって現れためんまは、彼と四六時中一緒だという。彼の挙動不審はそのせいだと考えれば辻褄は合っていると言えるかもしれない。
 ただ、彼にしか見えない彼女がいては不都合な場所というのもあるだろう。例えば、バイト先がそうだ。
 接客をする立場であるのに、ぶつぶつ独り言を言ったり、プロ顔負けのパントマイムを披露したりしていれば、仕事にならないだろう。最悪クビになる可能性だってある。
 仕事に集中したいから、ついてこないでくれ、とでも言ってあるのではないか。いかにも彼の言いそうなことだし、そう言われて邪魔をするほど、めんまも意地悪な子ではないはずだ。
 元はといえば、じんたんがバイトを始めたのだって、彼女のためなのだ。
110存在論:2013/09/22(日) 23:50:21.73 ID:meWm2D0f
敵わないな、と思いつつ、私はさらに計画を練っていく。
 決行場所は、ゲームショップ。これは決まった。
 職場で行為に及ぼうなんて、なんとも大胆であり得ないように思えるが、今の私にとって此処は実に都合が良かった。
 内外の防犯上、うちの店もカメラを設置しているけど、荷物置き場も兼ねた休憩室のカメラが壊れてしまっているのだ。
 従業員しか入らない場所なので、優先順位が低いのか、一月ぐらい前からそのままになっている。
 元々は、広いスペースだったのでゲームの在庫も置かれてあったりしたのだけど、それを全部隣の事務室に移して、店長は解決させたつもりらしい。
 おかげで、手狭な事務室はさらに狭くなったんだけど、そもそも店長以外はあまり入ることのない場所だった。
 休憩室には荷物しか置くことはないし、貴重品は持ち歩くように言われていて、事件が起きたという話も聞かない。
  上手い解決策なのかどうか、働きはじめて日の浅い私には分からないんだけど、先輩から聞いた話によると、昔休憩室にあった在庫のゲームが盗まれるという事件はあったらしい。
 もちろん、バイトの犯行だ。そもそも、うちの店が防犯カメラを導入したのもこれが原因らしい。
店が閉まるのは十時で、清算を済ませ、レジのお金を回収して事務室に預けて、帰宅になる。
 いつもは事務室に店長が詰めていて、最後まで残って店を閉めていくんだけど、週に一、二度戸締りをバイトに任せて帰ってしまう時がある。
 理由は特に聞かされていないんだけど、色々な雑務があるからということらしい。
 なので、店長が先に帰ってしまう日にシフトが入ると、外れくじを引いた気分になる。面倒くさいからだ。
 とはいえ、戸締まりする機会があんまりないと、頭の良くない私なんかはすぐに作業を忘れてしまいそうなのだけど。まあ、バイトは二人で作業するから片方が忘れてても問題はないんだけど。
 で、店長がいるにせよ、いないにせよ、バイト後の休憩室で過ごす時間というのが作戦の要だ。
 バイトの後、そのまま帰ってしまうこともあれば、同僚と軽く雑談になることもある。長くとも、二十分ぐらいだ。
 店長がいる時に、店を閉めるのは十一時前後らしいので、それまでに帰宅すれば問題はないらしい。
 戸締まりを任される日、店を閉める時間は、私達に裁量を任されているのだけど、遅くなるのは当然よろしくなく、大体店長がいる日より早く店が閉まる。おおよそ、十時半までには。
 だから、私にはじんたんと一緒のシフトの、戸締まりを任される日というのが勝負をかける時になる。その日が作戦決行日だ。
 つまり、今日のバイトが終わったあとだ。
111存在論:2013/09/22(日) 23:52:50.65 ID:meWm2D0f
夜といえど、客の数が減るとは限らない。学生らしき少年たちの姿は、段々見なくなるけど、今度は会社帰りのリーマンと思しき社会人を見かけるようになる。
 ゲームは子供だけのものじゃないからだ。といっても、その人たちが買い物していくことはあまりないんだけど。
 ゲームは漫画とか本に比べて、割高だからだろうか、新作が出た時以外は、レジに列が出来ることは少ない。
 だから、忙しい日もあればヒマな日もある。今日は新作の発売日でもないし、やらなきゃいけない面倒な仕事も、戸締まり以外にはなく、ヒマと言えた。だけども、私の胸の鼓動は、かつてなく忙しいことになっていた。
 ヤバい。彼の顔をまともに見られない。
 これから起こることを想像すると、気が気がじゃない。
 こんなに浮き足立ってて、上手くいくんだろうか。
 今日はもう何度も、彼から不審そうに声をかけられている。私の挙動がそれだけおかしいんだろう。いつものじんたんみたいに。
 「なぁ、なんかあったのか?」
 「な、何でもないよ」
 「そうかぁ?」
 別に彼が私を気遣ってくれている訳ではない。
 閉店までの時間が迫ると流石に客足も減り、することもないから自然に店員同士での会話になる。そうでもしないと退屈だからだ。
 でも今の私には、簡単な会話も難しそうだった。その最中に思わず変な言葉を口走ってしまいそうで。
 「宿海こそ大丈夫? 夜のバイトも増やしたって」
 あたりさわりのないことを話すことにした。
 「ああ」彼は顔をしかめて応じた。
 「大丈夫って言ったんだけど、向こうは聞いてくれなくてさ。しばらく休めって言われたよ……って、この話前もしたじゃん」
 「そ、そうだっけ?」
 私はとぼけてみせた。
 そうなのだった。計画も、彼のスケジュールを確認した上で立てた。
 これから仕事のある彼を強襲するほど、私はデリカシーに欠けているつもりはない。いや、そんな行為に及ぼうとしている時点で、デリカシーも何もないかもしれないけど。
 引きこもりだった彼を、フリーターに変身させたのはめんまだと言った。
 めんま自身が知らない、彼女のお願いを探る過程で、かつて挑戦した打ち上げ花火に思い至り、その費用を工面するために、彼は急に働き出したのだった。
 ここのバイトは、高い給料は望めない代わり、難しい仕事もキツい仕事もそれ程ないんだけど、もう片方のガテン系の仕事は文字通りの肉体労働で、相当消耗するらしい。
 通学してないとは言え、掛け持ちでやるには負担が重過ぎたのだろう、あちらの現場で倒れそうになった彼は、しばらく休養するように言われたらしい。
 そんなになるまでどうして? と思うけど、めんまの為と考えると不思議と納得がいくし、彼を苦しませる彼女が憎たらしいとも、羨ましいとも思った。
 めんまの代わりに私が現れても、彼は頑張ってくれるのかな?
 そんな答えの出ない問いを考えてしまう。
 純粋に、頑張っている彼に私は何かがしたいだけなのかもしれない。
 こうして同じ職場で働いたりして、会う機会が増えたのは嬉しいんだけど、やつれた顔の彼を見たりすると、いたたまれない気持ちになる。
 自分で自分を痛めつける彼を癒してやりたいと思う。慰めてやりたいと思う。
 それは、純粋な気持ちではないだろうか。私の計画だって、この気持ちが発端になっているという自覚はある。
 私は、彼のために出来ることを考えて、それを実現しようとしているだけだ。
 でも結局は、それも私自身のエゴに他ならない。
 幼なじみの幽霊に取り憑かれたり、そのせいでバイトをする羽目になったり、色々と味わっている彼の立場を、余計にややこしくする。
 私のやろうとしていることは、結局そういうことだ。
 そう思うと、覚悟が静かに胸の奥に沈んでいったような気がした。
 彼は、「やっぱお前変だぞ」と言うけど、私のことは大して気にも留めてないような気がした。今に始まったことじゃないけど。
 働き始めてから、ずっとそうだったけど。
 でも、今夜そんな状態も終わるのだと思った。
 私のことだって、考えずにはいられないようにしてやるのだ。
 私はさりげなく壁の時計に目をやった。
 閉店まで、十分を切っていた。
112名無しさん@ピンキー:2013/09/22(日) 23:58:05.83 ID:meWm2D0f
今日はここまで。

エロパロなのに前置きが長過ぎた…。完結には時間がかかりそうだけど、他に職人もいないみたいだし、勘弁してちょ
113名無しさん@ピンキー:2013/09/23(月) 22:50:47.67 ID:i3i+i8CO
>>112

気長に続きを待ってる
114名無しさん@ピンキー:2013/10/09(水) 16:49:29.18 ID:362K1vve
115名無しさん@ピンキー:2013/10/27(日) 16:42:28.53 ID:FdJ7vBgI
長らく放置してすんませんでした。
存在論の続き投下します。

でもね、全然進んでないよ!!
116存在論:2013/10/27(日) 16:45:18.66 ID:FdJ7vBgI
精算までの作業は滞りなく済んだ。
 回収したレジ内のお金を事務室に預けると、ほとんど終わりだった。
 店長がいないのをいい事に、ちょろまかそうとする奴も出るんじゃないかと思うけど、精算の際に今日の売上データが記載された長ーいレシートが出てくるので、調子に乗ればすぐにバレる。
 私は考えたこともない。
 レジ内のお金なんて、商売道具に過ぎないと思っている。
 リスクを冒して一時のお金を得るより、堅実に働いた方が得るものは大きいと思っているからだ。
 後ろめたい想いをすることもない。
 でも、それは労働に対する私の価値観であって、今から始まる行為には当てはめられない。
 私はこれから何かを盗む。それによって誰かを苦しめる。それでいて、罪に問われることもない。後ろめたい想いがないわけじゃない。
 横領より、遥かに罪深いことに私は及ぼうとしているのかもしれない。
 ただ、リスクを冒さなきゃ先へは進めないと確信しているのだった。正攻法で行っても、玉砕するのは目に見えている。
 これからきっと何かを引きずるんだろうな、と思いながら、私は作戦決行の秒読みを開始した。
 事務室から休憩室に移動して、着替える。着替えと言っても、この店ではエプロンを付けるだけだ。すぐに済むから、男女別に更衣室を設置する必要もない。
 エプロンを外すと、私服のキャミソールが露わになる。
 私の格好は、もしかしたら露出度が高いのかもしれないけど、店長からも先輩からも指摘されたことはない。もしかしたら、わかっていてあえて言わないだけかも。
 エプロンをロッカーにしまうと、私は伸びをした。
「あ〜、今日も疲れた〜!」
 不自然なほどに長く続けるその動きが、芝居がかってることは自覚していた。
 すぐにじんたんが、いぶかしげに目を向けてくるが、私の胸が揺れるのを目にしたからか、すぐに反らす。
 私はそれを咎めるように、精一杯厳しい顔を作ってみせる。
 「あ、今、私の胸見たでしょ?」
 「……見、見てねーよ!」
彼は指摘されるとは思っていなかったのか、割と強い調子で否定する。
 その声もうわずっている。コレは思ったより、効き目があったか。
 「なんか顔赤くなってるけど?」
 「な、なってねーよ!」
  追及すると必死に否定する。なんか可愛いと思ってしまう。
 「な、なんかHなこと考えてるんでしょ?」
 「考えてねーって!」
 彼は顔を背け、反論し続ける。
 「嘘。だって顔赤くなってるもん」
 「なってないって!」
 「じゃあ、何で顔が赤いのかな?」
 「うるせー! 何なんだよ! 顔が、顔が赤いなんて、お前も同じだろ!」
 その言葉に私は固まってしまう。彼が私の顔を冷静に見て指摘したというより、勢いで言い返したとしか思えなかったが、的を射ていたからだ。
117存在論:2013/10/27(日) 16:50:16.80 ID:FdJ7vBgI
私自身、自分の頭の悪い行為に赤面しているだろうことを感じていたからだ。顔が熱い。
 彼の言葉にますます熱が増していくように感じた私は、顔を見られたくなくて、勢いそのままに彼の胸に飛びこんでしまった。
 「えっ? お、おい安城……」
 予想外の私の行動に、彼は動揺している。
 だけど彼以上に私が動揺している。考えて行動していないからだ。
 ああ、計画失敗だ。
 元々休憩室に入ってからは、出たとこ勝負のつもりでいたけど。
 休憩室に変な沈黙が続く。
 私の抱きつき行為から数十秒。彼も、私の体を退けた方がいいのかどうか困惑しているのか動けずにいた。
 体を押し付けた彼の体からは、微かに汗のにおいがした。
 私もにおっているかもしれない。
 夏も終わりとはいえ、まだ熱帯夜も続く季節だ。こんなところでくっついていたら、汗をかいてしまう。
 でも、体を重ねるってことは当然嗅覚も刺激する行為なんだろうな。もちろん、他の感覚も。
「なあ、どうしたんだ?」
 この状況に耐えかねたのか、彼は私の肩をつかんで、そっと体を押し返す。
 距離ができて、私達は向き合うかたちになる。
「今、ドキドキしたでしょ?」
 彼の顔を直視できずに、私は目を背けながら言う。
 「……何なんだ、さっきから」
 彼は呆れたように言う。
 「ちゃんと答えて」
 「……そりゃ、いきなりあんなことされたらなぁ」
 彼は頭を掻きながら、ボソボソと答える。
 「ドキドキ、したんだ?」
 こくり、と頷く。
 私は顔がニヤつくのを止められない。
 「だ、だけど胸は見てねーぞ!」
 彼はそれだけは認めないとばかりに顔を反らす。
 私はそんな彼に苦笑する。
 そして、少し覚悟を決めて言葉を口にした。
 「別に、見たかったら見ても、……いいよ」
「えぇっ?」
 彼が顔を正面に戻す。
 「……私、けっこう変わったじゃない? 今の私が、宿海から見たらどうなのか、とかさ、……けっこう、気になるんだよ?」
 彼は相変わらず困惑している。それもそうだ。わざと思わせぶりなことを言っている。
 でもわざとだけど、本音も交じってる。
 彼とは中学も一緒だったけど、その頃はすっかり疎遠になってて、会話もほとんどしないほどだった。
 ちなみに、私のギャル化が始まったのもその頃だ。
 「あんたはさぁ、私のことクソ真面目でつまんねー奴だなんて言ったけどさ、……私だって、女の子だもん。
男の子にどう見られるか、とか、気にしたり……、冒険してみたりとか、……したくなったりするんだよ?」
 ヤバい。喋りすぎじゃなかろうか。出来るだけ遠回しに言っているけど、これは告白と受け取られても仕方ないような気がする。
 つい口にしてしまったことをフォローするために出した言葉を、またフォローしなきゃいけない事態になる。言葉と言葉のイタチごっこだ。
 じんたんはと言えば、突然始まった私の自分語りに思考停止しているようだったけど、さとい彼らしく、私の言葉の中からも違和感を抽出してみせた。
 「……冒険?」
  「だからね、えっと、違くて!」
  彼は呆れたようにため息をついた。そろそろ帰りたいのかもしれない。
 「安城、あのな……」
 やっぱり私は頭が悪い。あんな風に言えば、彼にでも察してしまうじゃないか。
 そもそもこんな風にストレートにいくつもりじゃなかったのに。彼の前では興奮してしまって……。
 彼の唇が言葉をつくる。
 「ごめん」のかたちに動く。
 やめて! それだけは!
118存在論:2013/10/27(日) 16:52:31.08 ID:FdJ7vBgI
気が付けば私はまたも彼に抱き着いている。でも、前よりもっとくっついて。
 密着した状態で、彼の顔を両手で引き寄せていた。
 私の唇を彼のそれとに、強引にくっつけていた。
 私のファーストキスだ。彼にとってそれが初めてなのかは分からない。
 だけど、キスがしたかった訳じゃない。もちろん、したいんだけどそれ以上に、彼が私を「拒絶」する言葉を聞きたくなかった。
 じんたんは驚愕に目を見開いた後、また私を振りほどいた。
 「な、何がしたいんだよ、お前!」
 「……私を見てほしい、っていうのが望みかな……」
 もう破れかぶれだった。ここまできたら、ただで帰るわけにはいかないし、彼をただで帰すわけにはいかない。
 何を言ってんだ、と彼は呆れてる。
「見てほしいも何も、いつも会ってるじゃねーか」
 「ほんと?」
 ああ、と彼は頷く。
 「でも、いつも会ってる人は他にもいるでしょ?」
 超平和バスターズのメンバーのことだと思ったのだろう。彼はちょっと考えるそぶりを見せた。
 「宿海にしか見えない人が」
 そう言った途端、空気が一変したように感じた。私もそうなるように言ったのだ。彼の怒気が伝わってくる。
 「どういう意味だよ?」
 「そのまんまの意味だよ」
 私は、いよいよ核心に切り込もうとしていた。
 「宿海の家のめんまより、私のこと見てるって言えるの?」
 「それは……」
彼は口ごもる。元々比較するようなことでもないのだろう。
 「じゃあ、言い方変えるよ」
  私は息を吸い込んでから言った。
  「この世にいない人間と、この世の人間、どっちを見てるの?」
 「お前……」
 歯軋りが聞こえてきそうなほど、彼の顔が歪む。何が彼にとってタブーなのか分かった気がする。
 「だって本当のことでしょ? 今のじんたん、やっぱりおかしいよ」
 「……お前だって、あいつのこと信じてくれてたじゃないか」
 彼は悔しそうに言う。
 だから、あいつのお願い叶えるために協力してくれてるじゃないか。花火を打ち上げるために……。
「別にめんまの存在は疑ってないよ」
 私が言うと、彼は、え、と間の抜けた声を出した。
 「じゃ、何で?」
 そんなこと言ったんだ?
「めんまがこの世にいないのは本当のことでしょ?」
 あんたには見えてても。
 「やっぱりおかしいよ。生きてる人間を見ないで、死んでる人間を気にかけるなんてさ」
 「こりゃ不可抗力なんだよ。目の前に幽霊が現れたら誰だってこうなるさ」
 「本当にそう?」
 「ああ」
 「じゃあ聞くけど、じんたん、本当にめんまを成仏させたいと思ってるの?」
119存在論:2013/10/27(日) 16:59:27.25 ID:FdJ7vBgI
彼は押し黙った。図星をつかれたという表情だった。
 答えない彼に、私は腕を絡ませる。
 「……この世にいないめんまより、……私のこと、見てほしいって思ってるんだけど」
 私の精一杯の告白。結局正々堂々彼女と勝負するかたちになってしまった。
 しばらくは沈黙が続いたが、これには答えないといけないと思ったのか、困惑しつつ口を開く。
 唇がどんなかたちをつくるのか、私は期待していたし、諦めてもいた。
 「悪い」
 ああ。
 「今はそういう風には考えられないんだ」
 終わった。
 こうなるなんて、分かっていたことだけど。百も承知のはずだったけど。
 何処かで甘い期待を抱いていたお馬鹿さんな私。
 やっぱり彼らしい。
 いつかめんまが消えてしまうとしても、私をとりあえずキープしておこうと、曖昧なことは言ったりしないんだ。
 言って欲しかったのかな?
 「……そっか」
 「ああ」
私はそのまま彼の腕にしがみついて、うつむいた。
 「……ちゃんと答えてくれて、嬉しい」
 「悪い」
 「謝らないでよ」
 後は言葉にならなかった。堪えようと思ったけど、喉から漏れ出る嗚咽と、溢れた涙は止めようがなかった。
 私は泣いた。それもけっこうな時間。
 彼はそれに付き合ってくれた。付き合わされたというべきかもしれない。
 私の腕を振り払ったりしない優しい彼。抱きしめたりもしないけど。やっぱり彼のそういうところが好きなんだ、と改めて思った。
 泣きに泣いて、泣き疲れて、嗚咽ももれなくなった頃、彼に肩を叩かれた。
 「そろそろ、帰るか」
 「……うん」
 こんな面倒くさい女に振り回されてたら、うんざりだよね。でも、あと少し我慢してね。
 「……最後に聞きたいんだけどさ」
 私から離れ、ドアへ向かおうとする彼の体を掴んで、引き留める。
 怪訝な顔をした彼をよそに、私は下半身に手を延ばし、そっと撫でた。
 私がくっついていたせいか、これまでのアプローチのせいか、ソレはわずかに昂ぶっているのが、服の上からでも分かった。
 彼は信じられないという顔をしている。
120存在論:2013/10/27(日) 17:01:43.38 ID:FdJ7vBgI
「……何やってんだ、お前」
 「……めんまさ、ずっと宿海と一緒に居るって言ったじゃない?」
 私は彼の昂ぶりから手を離さないまま、話す。彼は答えないし、頷きもしない。
 「でも、四六時中一緒に居られたら、年頃の男の子としては困るんじゃない?」
 「……」
 「いつ、解消するの? 幽霊とは言え、女の子がいる前で、そんなこと出来ないよね?」
 昂ぶりが大きさを増してきた。
 「めんまが、本当に『居る』んならさ」
 「……くっ」
 彼はわずかに呻いて、私の体を突き飛ばそうとする。
 でも、私は私の肩へのばされた、彼の手を受け止めて、自分の胸元に持っていった。強引に押し付ける。
ここに、柔らかさが、確かな実在があることを彼に感じて欲しかった。
 「何なんだよ、お前」 
 彼は蔑んだ目で、私を見ていた。
 「お前が何をしたいのか、わかんねぇよ」
 彼はその目で、お前は最低だ、と私を告発する。
 そう、私って最低なの。最低って思われても、しがみつきたいものがあるの。
 「私は、めんまみたいになれないよ。なれなくてもいいの」
 彼に微笑みかけた。
 「めんまが出来ないことを、じんたんにしてあげたい。それじゃ、駄目かな?」
 彼は答えない。私とはもう絶縁するつもりでいるのかもしれない。
 だけど、私には彼の心の揺らぎが見えていた。
 私のアプローチは功を奏しているようだった。視線ではお前最低だ、というポーズを取りつつ、さっきから顔が赤い。
 「答えてよ」
 彼は答えない。
「答えなさいよ!」
 怒鳴っても、彼は答えない。
 でも、私がまた涙ぐむと彼は動揺したようだった。だけど、返事をしようとはしない。
 「……私をふったくせに」
 嗚咽をもらしながら、私は呪詛を吐く。
 「……私より、自分にしか見えない幽霊を優先したくせに」
  答えない彼に業を煮やし、私は彼の胸ぐらを掴んだ。
 「私が気持ち良くしてあげるって言ってんの! それぐらいいいでしょ!?」
  彼は私の迫力にたじろいていた。そこへ、もっと顔を近付けて、彼を睨みつける。
 「いい、よね?」
 そして、精一杯卑屈な顔を作って私は言った。
 負け犬の、必死の懇願。
 お願いします。これだけは許して下さい。これだけは譲歩して下さい。
 彼は相当うんざりしているだろう。でも、自分がふって泣かせた女を無下に出来るほど、非情ではないはずだ。
 私からわずかに顔を反らしつつも、首をふることは出来ないでいる。
 「私のお願いも叶えてよ」
 私はそっと言った。
  彼がようやく私の顔を正面から見てくれる。
「付き合って、とは言わないからさ」
 もうこれが駄目なら私も諦めるつもりで言った。
 頼んでいるのに、何もかも諦めた口調。
 彼の首が、ほんのわずかに首が縦に振られるのが見えた。
121名無しさん@ピンキー:2013/10/27(日) 17:10:39.18 ID:FdJ7vBgI
進んでないから今日はここまで。

あなるが面倒くさすぎる。ホントのクソビッチになってしまった、すいません。反省はしてない。

また気が向いたら書きます。今度はお待ちかねのエロシーン。クソビッチの魅力が炸裂! いつになるかは分かりません。

こんなSSでも、読みたい人がいたら期待しないで待ってて下さい。
122名無しさん@ピンキー:2013/10/28(月) 05:06:01.37 ID:2tELY3db
いいぞ、クソビッチ!
処女なのに童貞にイカされでアへる事をゆるす!
123名無しさん@ピンキー:2013/10/29(火) 08:04:36.55 ID:ID75uWgv
いいぞ腐れビッチどんどんやれ
124名無しさん@ピンキー:2014/03/21(金) 23:38:22.01 ID:rEvtz4+V
アナル
125名無しさん@ピンキー:2014/03/22(土) 01:13:20.80 ID:lgHFhgrq
じんたん
126名無しさん@ピンキー:2014/05/01(木) 16:25:00.22 ID:0Luzlasf
じんたんがめんまれいぷする話
127名無しさん@ピンキー:2014/05/06(火) 20:14:53.48 ID:26QVkYmg
てすと
128名無しさん@ピンキー:2014/05/06(火) 20:20:56.79 ID:3RUIHpD2
さーせん
単純に書くのをサボってたのと、一時期2ちゃんに書き込めくなってたので、投稿できませんでした
2ちゃん書き込めるみたいなんで、「存在論」の続きを投下してみます
全然キリのいいところまでじゃないけどね
129存在論:2014/05/06(火) 20:36:52.78 ID:3RUIHpD2
彼の頷きに、私は思わず顔をほころばせてしまった。嬉しさのあまり、勢いよく彼に抱き付いて、口付けようとする。
だけど、彼は反応を示さなかった。
私は困惑して、彼の顔をじっと見つめる。その顔は何かに苦悶しているのを感じさせた。
この世にいる相手を放っておけなくて。
この世にいない相手に申し訳なく思っていて。
そんな感じだった。
勿論、私は前者の有利を疑っていない。
ただ、彼の想いが後者にとらわれているのだと考えれば、彼が私との行為に積極的になれないのも分かる気がした。
よく考えれば、彼は私の一方的な申し出を許可したのであって、愛し合うことを許したわけではない。
彼の無反応も当然のことかもしれない。その事実に、私は胸を刺されたような気分になる。
だけど、後退するつもりはなかった。彼の心のある部分を変えることは、私にはできないだろう。それはもう、どうしようもないほど分かっていた。
その部分を変えられなくても、困らせたり、歪ませたりすることは出来るんじゃないだろうか。
私との快楽を拒もうとする彼を、私はじっと見つめ続ける。
「こんな時でも、めんまのこと、忘れられないんだ?」
挑発の言葉に、彼は私を見返してくるが、私も彼を見つめ返す。気圧されたのか、先に顔を反らしたのは彼の方だった。
「羨ましいなあ。思われててさ」
私はわざとらしく言ってみせるが、本心からの言葉だった。
「でも、体は素直だね」
私はまた、彼の漲っている部分に手をあてていた。
彼は驚いて体を引くが、その後ろに逃げ場はなかった。彼の背中がロッカーに当たる。
私は焦らずにじっくりと彼との距離を潰していく。
彼の表情が悲壮なものになる。私はイタズラっぽく笑って彼の胸に指を突き付けた。
130存在論:2014/05/06(火) 20:39:27.52 ID:FFxerZLm
「別に怒んないよ、あんたが私に欲情してたって」
「ち、違ーよ!お前に欲情なんか」
「じゃあ、そのテントは何だっつーの」
私はちょいちょいと、彼の股間を指差す。
彼は慌てて、違う、これは、とか言い訳している。往生際の悪いやつ。
「もう観念しなさいよ」
私はそう言って、彼の漲りを力いっぱいに触る。余裕ぶってみせていても、こんな事未だかつてした事ないので、胸はバクバクしていた。
密着した状態なので、彼の掠れたうめき声みたいなものが聞こえた。それを可愛いと思ってしまった。言葉で畳み掛ける。
「さっき、してあげるって言って認めたでしょ。ホントにしてあげるから、じっとしてなさい」
彼は押し黙っているが、やはり抵抗があるようで、股間を触る私の手を自分の手で退けようとする。
でも、経験がないなら抵抗するのも、無理ないかも。AVみたいに男女が出会って即ハメる、という訳にはいかないよね。実際、私にも経験とかない訳だし。
ここは最もらしいこと言って、丸めこむのがいいかもしれない。
彼の耳元でそっと囁く。
「好きな人に、恥ずかしいところを見られてもいいの?」
彼はギュッと目を瞑った。彼の昂ぶりがドクン、と跳ねて、私に存在を主張する。
「ここで私が解消してあげたら、そんな事にならなくても済むんだよ」
彼は苦悶の表情のまま。返事をしないので、また股間を握ってやった。
「わ、分かった」
彼が切なそうに息を漏らしながら言う。
ようやくスタートラインに立てた気がして、私は彼に気付かれないように、胸を撫で下ろした。
「その前にひとつ聞きたいんだけど」
彼の申し出に、私はまた水をさす気かと怪訝な顔になるが、彼の言葉は予想外の威力を秘めていた。
「俺はこういう……経験とかないんだけど、お前にはあるのか?」
131存在論:2014/05/06(火) 20:40:58.25 ID:FFxerZLm
「え?……いやあ、その」
私はしどろもどろになる。見栄を張ろうかとも思ったけど、すぐにバレると考えて、素直に真実を告げることにした。
「私も、経験とかないけど」
途端に彼は呆れた顔をする。私の格好を見て、さらに「本当か?」と訝しむような表情までしてくる。
ひどい。ショックだし、傷付く。
ぶっちゃけて言えば、ケバさと処女かどうかって事は、すぐには結びつかないものだと思う。結びつく瞬間が来てないだけかもしれないけど。
私の友達ふたりのケバさなんて私以上で、どっからどうみてもビッチ。下ネタを大声で言ったりして、自らビッチアピールするほどだけど、ふたりとも絶対に処女だ。上手く説明できないけど、私にはわかる。女の直感ってやつだ。
逆につるこみたいな清楚な女の子が処女だって保証もない。やることはやってそうに思えるし。あの女に先を越されているのかと考えるとなんだか無性に腹が立つが、それはまた別の話。
「じんたん、私のこと、クサレビッチとか思ってるでしょ?」
彼が勢いよく噴き出す。図星かよ。実に心外だ。
「べ、別に思っててもいいよ」
歯ぎしりしながら私はなんとか言葉を紡ぐ。
「でも、思うだけにしてよ。ホントかどうかなんて本人にしか分からないんだから」
彼はコクコクと頷く。今の言葉に本人的にも思い当たることがあるのだろう。
「じゃ、じゃあ、する……から」
改まって言うと、なんだか滑稽な気がした。彼は身構えているけど、私に経験がないと聞いて、警戒心が薄れたように見える。なんだか屈辱だ。
思い知らせてやる、と思ったところで私の体が硬直する。どういう手順を踏めばいいのかわからなかった。
抱きしめても、キスしても拒まれているし、股間にいきなり触るのは気が早すぎじゃ、と思って、それすら既に行ったことに気がつく。
計画では、キスしたり抱きしめたりしてるうちに、なんとかなるってつもりでいたんだけど。そんなに甘くはいかなかった。甘い想いをしてみたかったんだけどな。
感傷に浸っていると、彼がごくっと、生唾を飲み込む音が聞こえた。体はさっきから密着した状態だ。奉仕の開始を告げても、考えこんでしまって何もしない私に、逆に恐怖を感じてしまったのかもしれない。これから何をされるのだろうか、と。
買い被りすぎだ、とおかしくなって私は笑う。それでなんだか気が軽くなった。
結局奉仕なんて、自分のしたいようにやってみるしかない。愛する人への行為だけど、私には練度がないし、私達には経験がない。
なるようにしかならないだろう。なんだかんだいっても彼のチンコ、既に勃ってるし。


「結構期待してるみたいじゃん、あたしに何をされるのかさ」
耳元で囁いてから、彼の喉の周辺を舐めてやる。
彼は、ちが、とかなんとか呟いたけど、私の行為にまた喉を鳴らしてしまって、上手く言葉にならない。
彼の上下したばかりの喉仏に吸いついて、執拗に舐める。
背も私と同じぐらいでどっか頼りなく見える彼も、こういう部分はやはり男の子なんだなあ、と私は思う。
132名無しさん@ピンキー:2014/05/06(火) 20:44:39.94 ID:fzu7SCLg
いいとこなんだけどここまでしか書けてませんでしたわ
次からはホントにファックがはじまってるかと
続き書くかわかんないけどね
133名無しさん@ピンキー:2014/05/07(水) 21:03:02.78 ID:moIXJuCB
ヽ(・∀・)ノ
134名無しさん@ピンキー:2014/05/09(金) 01:00:50.78 ID:nO3Rnkru
135名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:49:13.10 ID:ZEY7kUR+
めんまとじんたん

過疎って居るようなので暇つぶし程度のを(^^;
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 地元の最底辺の高校に進学する羽目になり、結局、不登校を続けている俺は宿海仁太。
 初夏のせいか今夜は蒸し暑く、そう……こんな時期に幼い頃、仲が良かっためんまは
死んだんだ。

 お母さんがロシア人のハーフでめんまは銀髪碧眼で妖精みたいだった。
 裏山にあった使われて無さそうな小屋を秘密基地に改造して俺ことじんたん、めんま、
あなる、ゆきあつ、つるこ、ぽっぽの6人で超平和バスターズなんて結成して、毎日遊
んでいた。

 そんなある日、俺が基地近くで一人で遊んでたら、めんまが大事な話があるって話し
かけてきた。
「じんたん。あのね? めんまはじんたんのこと、好きなの。じんたんはどうおもう?」
 恥ずかしげに頬を赤らめて、俺のことをきらきらした眼で見つめていた。

 俺はなんか、そう言うのは違うって気がしてた。仲良しだけど、へんなもんに変わっ
ちまうのはイヤだったんだ。だから、
「すきとか、そんなのはへんだよ。ば…ばーか、めんまのばーか!」
「なんで…? だめなの?」
 めんまのつぶらな瞳には大粒の涙があふれ出して、居たたまれなくなった俺はめんま
を置いて逃げ出した。後ろから、あーんあーんって泣き声がずっとしていて、どうした
らいいか判らなくなって、そのまま家に帰ってしまった。

 その夜。めんまの親から電話が掛かってきて、めんまが家に帰っていないので知らな
いかと親に聞かれたけど、どうなったか判らないので知らないって答えた。
 しばらく経ってからまた電話が掛かってきて、警察がどうとか聞こえてきて、怖くな
ってきた俺は留守番するように言われ、親父は懐中電灯を持って出かけて行った。

 あの山の中で、めんまは迷子になっちゃったのかな。怖いだろうな、心細いだろうな
と思ったけど、足がすくんで動けない。
 心臓が変にドキドキして眠れないまま、11時を過ぎる頃、親父は帰ってきた。

「仁太、大変なことになってしまったよ。……めんまちゃんが川に落ちて亡くなった」
 人生で一番ショックを受けたと思う。ほんと、目の前が真っ暗になるんだな。
「な…なんでだよ! 昼に遊んだばかりなのにどうして、どうしてだよぉぉー!」
 俺のせいなのか?! 泣いているめんまのこと放って置いたから、悲しくなってうっか
り川に落ちちゃったのかな。きっとそうだ、そうにちがいない!
 俺は、ずっと泣いていたそうだ。泣き疲れて寝てしまったので俺はよく覚えてない。

 翌日、警察の人が来て、話を聞かれて、もう、何でもかんでも話した。それから俺は、
なにもする気が起きなくなって家にこもっていた。

 数日後、お葬式になって、超平和バスターズのメンバーはみんな泣きはらした目をし
て、俺はめんまのお母さんにいっぱい謝った。青白い顔したお母さんは泣きながら俺の
話を聞いて、何度もうなずいてた。
 あの可愛いめんまとはずっと会えないんだと思うと、もう秘密基地に行く気がしない。
136名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:50:05.07 ID:ZEY7kUR+
 そんなある日、あなるがうちに来てみんなで集まっているから行こう?と誘いに来た。
 親父も行ってあげなさいと言うので、気が進まなかったけどいつもの道を歩いてい
って、秘密基地まで来るとみんない居た。
「じんたんも読んで見ろよ」「めんまのにっきみたいなの」「俺が見つけたんだよ」
 かわいらしい日記帳には、めんまの字で俺たちのことが書いてあった。
 こんなこともあったなあ、あんなこともあったなーと思い出しているとまた泣けてく
る。そして、めんまがしんじゃった日のページを見ると「じんたんのばか」って書いて
あって、どーんとした衝撃が来た。
「おまえ、なにがあったかしってるんだろ? いえよ」「けんかしたの?」
「もしかして、なんかしちゃった?」「俺、ゆるせないかもしれない」
 ゆきあつ、あなる、つるこ、ぽっぽが俺をじっと見ている。口が、すごく重い。
 何度か、ため息をついて、やっと言葉が出た。
「あのさ、めんまがね? おれのことをすきだっていったんだ」
「マジかよ!」「「えぇーっ!」」「てめ、じんたん、やっぱゆるせない」
「その…俺、わけわかんなくなっちゃって、ばーかとか言って逃げた。めんま泣いてた。
 ずっと泣いてたのに逃げて、ごめんっ、きっと、ごめん、俺のせいだぁ!」
 俺がそう言って泣き出したのを機に、みんなで「めんまー!」と呼びながら大泣きし
て、めんまのお母さんにこの日記帳を渡しに行こうぜ!とみんなで行って、お母さんに
感謝された。仏壇に飾られためんまの写真にお線香上げて、みんなで手を合わせたっけ。
 それで気持ちが吹っ切れたのか、超平和バスターズは復活して、また秘密基地で遊ぶ
ようになったんだよな。

 夜になれば人目も減るので引きこもっている俺は散歩くらい出来るようになる。
 今日は、めんまのことを思い出したせいか、いつの間にかに【本間】って表札がある
家の前に来ていた。来て、どうなる訳じゃないのにでも、やりきれない思いが高まって、
でも、俺にはなにも出来ない。頭をふるってなにやってんだと思いながら道を引き返す
となにか…背中を引くような感覚があって、変な胸騒ぎを感じつつ、振り返ってみると、

「…じんたん。どうしたの?」

 街灯もまばらなこの路地に銀色の髪、白いワンピース、ずっと会えなかった懐かしい
顔がそこにあって、こっちを見て首をかしげていた。

「…めんま、なのか? じょ…成仏できてなったのかよぉ」
 ゾーッとした。あの時より背が高くなって、でも、めんまに間違いない…と思う。
「じょうぶつって、なに? それより、さ、じんたんのうちにあそびにいきたいな」
 そう言って手を繋いできたけど、触れるよ。華奢でひんやりしているけど、確かに、
幽霊じゃないと思う。
「いたいよ、じんたん。ねぇ、だめなの?」
 あの時のことがフラッシュバックした。今度…今度、冷たくしたら、二度と会えない。

「あ…ああ、いいぜ。ほんと…久しぶり、だなぁ」
「うふふ〜じんたん、ぜんぜんきてくれないんだもん」
 これが夢だっていい。あの時のこと、謝れるんだ。何となく急ぎ足になって、家まで
来てしまったが……玄関を開けると親父の靴がないから、ややこしくならないな。
137名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:50:36.51 ID:ZEY7kUR+
「ほら、上がれよ」「おじゃましまーす!」
 めんま、裸足だった。やっぱり幽霊なのかな。そう思いながら居間に上がると、
「ねーぇ、じんたん。めんま、おなかすいたよ? なにかたべたいなー」
「しょうがねぇなあ。ラーメンでも作ってやるから、そこに座ってろよ!」
 台所下のドアを開くと5パックの袋麺があったので2つ取りだして、鍋に水を入れて、
ガスコンロに乗せて点火した。袋を開けて、冷蔵庫を見るともやしとハムが残っていた
のでハムを包丁で適当に切って、フライパンを出してもやしと一緒に炒めた。
 お湯が沸いたので麺を投入して、吹きこぼれないように火力を調整して〜、
「すごーい。じんたん、おりょうりできるんだね」
「料理ってモンでもないけどさ。お湯が跳ねるとやけどするから近寄るなよ?」
「うん。ここでみてるよ」
 別に背筋がゾッとするわけじゃないし、邪悪な感じもしない。振り返るとニコニコし
ているし、透き通ったりしてないしなぁ。
 3分経ったので火を止め、スープを鍋に入れてよく混ぜて〜ラーメンどんぶりを2つ
出して、麺を分け、もやしとハムを乗せてスープを注いで〜出来た。
 こぼされちゃ大変なので俺がどんぶりをちゃぶ台まで持っていって、二人分の箸を持
ってきた。

 俺の向かいの座布団に座っためんまは今か今かと待ちわびている。うーむ。
「じゃ、いただきまーす」「いただき、ます!」
 不器用に箸を持って、ずるずる〜熱々っと食ってる様子は人間に見える。
「どしたの? じんたんも食べなよ! おいしーよ!」
「お…おう」
 異常な事態にラーメンの味がよく判らない感じで、俺もメンマも食い終えた頃、
「ただいまー。あれ? ラーメン食べてるんだ。どんぶり2つも出して、どうしたの?」
 げぇっ!と思ったけど、親父にはめんまが見えないの、か。

「……その、そろそろ帰ってくる頃だと思って作っておいたけど、つい、食っちまった」
 慌ててて、どんぶりを台所に片付けて…ほんとに麺が減ってるし。汁をシンクに流して
さっさと洗剤つけて洗って〜水切りに並べておいた。
「あははっ、そんなにお腹空いてたのかぁ。いいよ、僕は自分の分を作るから」
『おじさん、ひさしぶり〜! げんきしてた? めんまのことおぼえてる?』
 親父は夕飯の支度をしているとこみると声も聞こえないようだ。俺は小声で、
「……親父は忙しいみたいだから、俺の部屋に行こうぜ?」と話しかけると、
『うん!』大人しく俺の後についてきてくれたのでほっとした。

 二人でとんとんと階段を上がって俺の部屋に入ると、
「うわーっ! これがじんたんのへやなんだぁ。あ、これなあに?」
「えっ? ポケモンって知らないか。…ちょっとやってみるか?」
「おもしろそー! やりかた、おしえてー、おしえてー!」
 あの時のことをどうやって謝ろう、何を言おうかと思う俺の戸惑いを他所に、めんまは
はじめてやるゲームに夢中だ。とりあえず、喉が渇いてきたので俺は下に降りて二人分の
麦茶をトレイに乗せた。
「仁太、それ、二人分だよね。誰かお客さんが来てるの?」
 うーっ、どうすっかなー。そうだ!

「その、さ? めんまの命日だから、供養的な?」
「あぁっ! そうだったねー。うん、ごめんね、じゃましちゃってさ」
「いいよ、昔のことだし、さ」
 ふーっ。適当にごまかせた。部屋に戻ってくるとめんまはベッドの上でゴロゴロしながら
無邪気にゲームを続けていたので、トレイを置いて脇に座った。
「まあ、麦茶でも飲めよ」「ちょうどノドかわいてたんだ〜」
 ゲーム機を脇に置いて、一緒に麦茶を飲んでいる。今がチャンスだ、と思う。
138名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:51:09.18 ID:ZEY7kUR+
「あのさ、前に俺のことを好きだって言ってくれたよな?」ものすごドキドキしてくる。
「うん。へんじ、まだきいていないよ? めんまのこと、きらい?」
「そんなことない! ……ごめん、逃げちゃってさ。あの後、どうしたんだ?」
「びっくりしちゃってないちゃった。それでね? かえろうっと思って歩いていたら、みた
 ことないはながさいていて、あぶなそうなとこだったけど、てがとどきそうだったの!」
「う…うん。それで、花は採れたのか?」
「やった! とれた! と思ったら、ぐらっと来て、すごいいきおいでおちちゃった。
 なんどもあたまとかばーんってあたってかわにおちたら、からだがうごかなくてきっと、
 しんじゃったのかな? もう、わかんない」

 長年、もやもやしていたものがすーっとした。でも、俺のせいも少しはあるよな。

「そうか。おっちょこちょいだなあ。でもさ、俺が一緒に付いていてやったら、そんなこと
 にはならなかったよな。めんま、ごめんなぁー……」
 しんみりと泣けてきた俺にめんまが俺の頭をなでなでしてくれている。
「じんたん、なかないで。じんたんのせいじゃないよ? うっかりしちゃっただけ」
 思わず、俺はめんまに抱きついていた。ちょっとひんやりした感じだけどほのかに温かい
よ。こんなことがあるなんて、信じられないけどすげーうれしい!
「あの時は、逃げちゃったけど、今なら言える。俺も、めんまのことが大好きダッ!」
「わぁーっ! じゃ、こいびとだね! すきすきどうしはこいびとなんだよ?」
「あぁ! 恋人だとも、さ!」
 すごい落ち着く。でも、めんまが見えるのは俺だけなのかな。とりあえず、あなるに電話
してみるか。久しぶりだから緊張するがスマホのアドレス帳から〜……出た!
『あの…俺、宿海だけど』
『えっ?! なに? あんたから電話なんて、どーしたの?』
『お願いがあるんだ。今から、あの秘密基地に行けるか?』
『うん……そうだね、めんまの命日、だもんね。いいよ』
『じゃ、これから行くから、待ってるよ』
『わかった。じゃね!』
 よーし。こうなったら、あなるにも会ってもらおう。親父にみたいに見えないかも知れ
ないけど、今の俺はそうでもしないと落ち着かない! LEDライトを探し出して、
「めんま、今から秘密基地に行かないか? あなるも来るってさ!」
「いいね! よるにいくなんて、どきどきだねー!」
 そっと階段を下りて行くと、親父はもう、寝ちまったようだ。玄関の戸をそっと閉めて、
二人で手を繋いで山の方に向かって行った。バカ扱いされたっていい。俺の横で浮かれてる
こいつはきっと、あの、めんまなんだ!

 夜道をライトで照らしつつ、秘密基地に行くと灯りがついていて誰か居る。中に入ると、
「あれっ?! じんたんじゃないか。 ひっさしぶりー!」
『ぽっぽー! めんまだよ!』
「ああ! お前、まだここに来てるのか? そうだ、今日はめんまの命日だろ?」
「うん…そうだよな。どうしてあんなことになったのか。めんまぁー!」
 やっぱり見えないし、聞こえないのか。でも、もしかして俺と手を繋いだら、どうか?
「ちょっと試したいことがあるので手を出せ」
「なんだよ? ほい…手を繋いだりしてガキっぽいぜ……おい、まさか?」
「驚くだろ? めんまの家の前あたりで会ったんだ。ぽっぽ、どう見える?」
 めんまは基地の中をくるくる飛び回るようにしてはしゃいでる。
139名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:51:39.65 ID:ZEY7kUR+
「俺たちより年下に見えるけど、まちがい……無いと思う」「だろ?」「ああ」
「おひさしぶりー! あ、ぽっぽもいるじゃん。なに手を繋いでんのよ?」
「いいから、お前も手を繋げ!」「なによ、いきなり……えっ?!」
「えへへー。あなる、ひさしぶりだねー。めんまのこと、おぼえてる?」
「きゃぁーっ! あり得ない……マジあり得ない。ほんとに…めんま、なの?」
「ほんとだよ。ぽっぽ、あなる、そんなにだきしめたらいたいよぉ〜」
 二人とも涙を流しながら、めんまにすがりついている。
「ふぅ。なんか、もっとはっきり見えてきた。宿海、これ、どういうこと?」
「わかんねぇけど、触れるし、うちでラーメン食ったりもしてたよ」
「よーし! ゆきあつとつるこにも知らせてやらないとな!」
 ポッポはゆきあつやつるこの番号を知っているらしく、慌ただしく電話している。
『久しぶり! ちょっと基地に来いよ! めんまが居るぜ! あぁ…マジだから!』
『つるこ? 基地にめんまが居るからさ、ほんとだってば。とりあえず来いって!』
 30分もしないうちにまず、ゆきあつがダッシュでやってきて、
「おいっ! めんまが居るって、どういうことだ!? どこにいるんだよ!」
「まあ、待てよ」「そうだそうだ」「気持ち悪いな、握手なんてよせよ…ええっ?!」
「おひさしぶり。めんまが居るって、なんのこと? 握手? えっ、嘘でしょ……」
「みんなそろったね。あらためまして、おひさしぶり〜〜。めんまだよっ!」

 めんまが言うには、俺のことがずっと気になっていたから引きよせられたんだって。
 どこからだって? さぁ? そんなことは知らないがそこから繋がりが出来て、俺を
介してしっかり思い出せた人にはこうやって話したり、触れたり出来るんだってさ。

 みんなが気に病んでいた事故のことをめんま本人から説明されて、
「そうだったのか。ずっと宿海がやらかしたと思ってたよ」
 ゆきあつ、てめぇ!
「あたしは…その、信じてたよ? でも、やっと安心した」
 あなるまで疑ってたのかよ。まあ、しょうがないけど。
「変質者に襲われてとかそういう事件だって私は思ってたから、ほっとしたわ」
 つるこ…そういう事件はママあるけどさ。
「めんまの靴を見つけてたけど、あそこから落ちたのか。でも、ほんと良かったぜ!」
 ぽっぽはそうか、その場所で遺品をか。

 その後は、思い出話に花が咲き、ゆきあつがめんまに告白するがじんたんと恋人だよ?
と言った為、大変な騒ぎとなり、ゆきあつとぽっぽに俺が殴られのでめんまが泣き出して、
なだめたりとまあ、賑やかな命日となった。

「たぶん、めんまはずっといられないの。とりあえず、またね!」
 何となく、めんまがぼやっとした感じに見えてきた。お別れなんだな。
「そうか、再び会えたと思ったら、もう、か。…でも、忘れないよ。めんま!」
「ぜったい、また会えるよ。ずっと待ってるよ、めんま!」
「こんなこと奇跡みたいだから、二度と無いかも知れない。でも、またね」
「命日は毎年あるんだから、来年もこいよ、めんま!」
「うんっ! また、遊びに来るよ。じゃあねー!」
 無邪気な表情で手を振って、すぅーっとめんまは消えていった。

 祭りが終わった後のような奇妙な静けさの中、俺たちは再会を誓い、メアドや番号を
交換し合って、解散した。
[newpage]
 帰り道、あなると二人で歩いていたら、
「あんた、めんまのことが解決したんだし、学校に来なさいよ?」
「うっせーな。……でも、そうだな。いつまでもうじうじしている場合じゃないか」
「明日、迎えに来るから。いいわね?」
「はいはい。じゃあな!」
 分かれ道に来たのであなるは帰って行った。
140名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:52:17.97 ID:ZEY7kUR+
 なんかやり遂げたようなテンションで俺は家に着き、そっと玄関の扉を開いて、靴を
脱ぎ、なんか汗かいちゃったなと思って給湯器の電源入れて、脱衣所に来た。
「…いっしょにおふろはいろ?」
「うはぁ?! なんでまだ居るんだ?」
 いそいそとワンピースを脱いでいるので俺もTシャツやジーパンを脱いでいる。
 さっさと裸になっためんまがはやく〜!とひっぱるのでタオルで前を隠しつつ、浴室
の照明のスイッチを入れて、中に入った。いったい…どういうことなんだよ。
 シャワーを出して、なんかじっと見てるのでばしゃーっと浴びせると怒ってシャワー
ヘッドを奪って俺に浴びせたりしているうちにお湯になってきたので止めて、ボディシ
ャンプーをポンプしていると、
「そのね? こいびとどうしっていっしょにおふろはいったりするんだって。…それと」
 めんまもポンプして掌にためて俺の身体を撫で回して洗ってくれてる。
「ああ、そういうモンらしいな。じゃ、俺も洗ってやるよ」
 すべすべやわやわとした肌が心地いいな。めんまも気持ちよさそうだし…ちょ、そこ、
「おっきくなってきた! どうしてこうなるの? じんたん」
「め…めんまの手が気持ちよかったからだよ。ま、まあ、もういいからさ」
「めんまにもやってみて! ほら、ここでしょ?」
 うーむ…ぷにぷにというかいいのかな。ぬるぬるした感じが面白いけど熱くなってき
てる気がするっていうか俺の手をぎゅって掴んでフルフルしているけど、なんだ?
「じんたん…めんま、その…ふわっ! あふぅ〜っ!」
 もじもじして掌にじわーっとぬるぬるが増えてって、うっわっヤバイと思ったので、
シャワーを出してお互いの泡を落として、すっきりさせたけど、落ち着かないので一緒
に浴槽に入った。ざばーっと流れていく湯が心地いいけど。

「えっちだったね、じーんたーん。うふふ〜」
「ああいうの初めてだ。でもさ、さっきお別れしたのに、どうしたんだよ」
「もうちょっといられそうだったから、みんなのとこにいってるの」
 同時に行けるワケが無いと思ったけど、幽霊みたいなモンだから出来るんだろうな。
「恋人…だよな。じゃあさ、めんま……」「ん……」
 俺が顔を近づけると目を閉じたので、キス、した。裸で抱き合って、キスまでした。
 思い残しがあっちゃいけないよな。そう思った俺はめんまを抱き上げて浴槽から出て、
俺も後に続き、風呂場から出た。タオルでお互いの身体をよく拭いて、なにも着ないで
穏やかに光る瞳で俺を見るめんまには言葉など要らない感じだ。
141名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:52:47.96 ID:ZEY7kUR+
 階段を上がって、部屋に戻ってくると部屋の灯りを消して、窓明かりだけの陰影を深
めた中、儚く愛おしい身体をぎゅっと抱きしめた。
 夢見心地な表情のめんまとキスを重ね、ベッドに寝かせて俺は覆い被さって、いい匂
いがする髪の毛を嗅ぎや形の良い耳や首筋にキスをして、慎ましやかな乳房に掌を当て
てやわやわと揉んでいると身じろぎするので起ってきた乳首を指先でうりうりしている
と甘い声がして、今、俺だけのめんまだって実感が強まってくる。
「うふぅ…おっぱいがむずむずするよぉ…あっ…ふぅー…じんたーん」
「すごく愛おしいよ、めんま。痛くないか?」
 乳房ばかりじゃどうかと思って、さっき触ったあそこを弄ってるんだけどもう、ぬる
りとしてきているせいか、首を振って、
「もっとしてみて? んっ…じんたんのゆび、とってもえっちー。あははっ」
 じゃれていちゃいちゃしているような感じなんだけど、白黒の窓明かりの中、肌が汗
ばみ、うずうずと身体をよじらせたりする姿がエロく、なだらかなお腹がいい感じなの
で顔を埋めてみたら、特別な暖かさを感じた。どこまでも優しく、癒やされていくよう
な、お日様のような感じが俺の心を緩ませ、どーっと涙が出てきた。
「ないてるの? じんたん。 ずっとつらかったよね。めんまがじんたんをずっと包んで
 いてあげるよ。しんぱいしないでいいよ。じんたーん……」
 顔を上げるとめんまははにかんでいて、俺は生まれ変わったような気分で身体を起こ
して、そっとエロ動画で見たようにしんなりした両太ももを起こしてそこを見やすくし
て、先走り汁で濡れそぼってるちんこを握り、潤んでいる柔らかなひだに当ててずるり
と先が入るとお腹に向けて温かさが流れてきたような感じになり、みっちりとやわやわ
としたもので包まれて、眉をしかめ、軽く呻いためんまと俺は腰にかけてのこわばりが
解けるように、一体となった。
「これが…恋人同士、なのか」
「うん…とっても、とーってもしあわせだよ、じんたん」
 ほんとだなと思いながら、愛らしい顔を見つめ、口づけをしながらも俺の腰は動きを
止めず、さきっぽから溶けちまったような快感を味わいつつ、高まる思いが肌から香る
のか、その好ましい匂いを嗅ぎ、しなやかでどこまでも柔らかな感じが続き、
「じんたん…じんたん…はっ…はっ…ああっ…いい…もう…もうっ」
「めんま!…めんま!…もうっ…好きだ、めんまっ!」
「すき…すきっ!…あっ…あっ…ああーっ!!」
 どうしようもない衝動が駆け抜け、ぐっと背筋を反らせるめんまをぎゅっと抱きしめ、
跳ねるように動く腰に向け、俺は堪らぬ熱い思いをびゅっ!びゅっ!と注ぎ続けた。
142名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 19:53:17.87 ID:ZEY7kUR+
 はぁはぁしているめんまは、さっきのように薄れ始めている。窓の外は明るくなり始
め、夜明けが近い気がした。
「もう…じゅうぶんかな。めんまはとってもしあわせだったよ。ありがとう、じんたん」
「十分じゃないだろ……めんま。俺は、待っているから。絶対、戻ってこいよ!」
 もう、全然、実体がない感じで空気のようなこの身体を全力で抱いている。
「ふぅー…そうだね…めんま、がんばってみるよ。じゃね…じん…た―」
 ふわーっとした風が広がるようにその姿が揺らぎ、最後の笑顔の残像さえ…かき消えた。

 刻々と朝の気配を感じ、明るくなっていく部屋の中で一晩だけの奇跡を思い返していた。
 窓を開けてたなびく雲にめんまの行方を捜したが、そんなことなど無意味だな。

 今度、めんまが戻って来たときは、もっとマシな男になっておかないとなと吊しっぱな
しの制服のほこりを払い、鞄と教科書とかを詰め込んでみてから、汗臭いことに気付き、
シャワーを浴びてこようと軽い足取りで部屋を出た。


 その後、めんまが採ろうと思った花って、どんなだろうと思ってみんなでぽっぽの記憶
を頼りに行ってみたが、その辺りは崖崩れを起こしていて、結局、めんまにしかどんな花
だったか判らなくなってしまった。

 でも、俺たちの足下に咲いて風にそよいでいる可憐な白い花は、めんまっぽかった。
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おわり
143名無しさん@ピンキー:2014/07/01(火) 21:29:19.64 ID:xz6nirvB
GJ
144名無しさん@ピンキー
新しい投稿乙です

俺もコンパクトに作品まとめられたらな〜