乙です。
暗いのも好きですよ。
長くなりましたが、今回で最後です
快楽の余韻に浸る彼女の傍ら、僕も性器をあらわにし、仰向けに押さえつけた卯子ちゃんと向かい合う体勢で膣口に当てる。
すでに僕の陰茎は痛いほど張り詰め、自分で見ても気味が悪い。大切なものを穢すのにはうってつけだ。
我にかえった卯子ちゃんは、怯えて身体を強張らせる。
「ダメ…ホントにそれだけは…!」
「前にもしたんだ。もうかまわないだろう」
「嘘です…!」
「いい加減、信じてよ」
もう信じて、僕のことを憎んで、それで子どもを殺すって決めてほしい。
嫌われるためにここまでやってるんだよ、僕は。
……本当に? 違う、もう嫌われている。このまま犯す必要なんてない。
本当は、本当の理由は、ただ大好きなこの娘と繋がりたいだけだ。
どんなに卑劣なことだとわかっていても、あの強烈な快感が忘れられない。
どうせ嫌われるんだったら最後にもう一度。
「じゃあ、行くからね」
「やっ、いやっ…やめて…」
じゅぷり、と膣に先端を沈め、ゆっくりと彼女の身体に僕の一部をもぐりこませる。
「や…だよぉ…」
口では拒絶しているけれども、身体は従順だ。僕を奥へ奥へと進めようと蠕動する。
麻酔で弛緩している時とは全然違い、膣がぎゅっと心地よく締め付けてくる。
やがて、全体が入った。膣壁が根元から先端まで絡みつき、抗いがたい快感を与えてくる。
卯子ちゃんは眉根を寄せ頬を赤らめ、苦しそうな悲しそうな、それでいてちゃんと女の顔をしている。
「どうかな、思ったより痛くないだろう。信じてくれた?」
「……そんな…」
すでに破瓜し、何度も吐精された膣だ。痛みはほとんどないだろう。
ゆるく動くと、ささやかに嬌声が上がり、膣の締め付けも強くなる。
「はあん…、やだ…やめて…」
快楽にとろけた顔で言われても、逆に誘われているようにしか思えない。
……そんな錯覚を起こす自分が心から嫌になる。
余計な考えを捨てて行為だけに集中するため、徐々に突く動きを速めていく。
幾度も突き上げ、耳朶に届く彼女の声にすら溺れていく。
「はっ…あっ…! ダメっ…ダメえっ…」
怖いのだろうか、僕の首に腕が回され、抱きつかれる形になる。
爪が食い込んで少し痛いが、卯子ちゃんの辛さに比べればなんでもない。
その苦痛の原因は僕ではあるけれど。
つい僕のほうも彼女を抱き返す。華奢な身体は強く抱くと折れてしまいそうで、少し怖い。
身体を密着させて支える。身体中に卯子ちゃんの熱が伝わってくる。
「もうこれで最後だから、我慢して…」
やがて、脳髄まで甘美な刺激に支配され、何も考えられなくなる。
もう配慮の一つもできず、ただ貪るためだけに腰を打ち付ける。
「いやっ…いやっ、ごめんなさい…いやあっ…! ああっ、ああん、はあああぁあっ!!」
「っ……!」
彼女の膣が大きく痙攣し、陰茎をきつく絞り上げることで、達したことを伝えてくる。
今までにないほどの快感が僕を限界へと押し上げる。
僕は彼女の胎まで届くように、必死に身体を押し付け、最奥で射精した。
全部放って身体を離せば、膣から僕らの体液が混ざったものが流れ去っていく。
「卯子ちゃん…」
もう、最後だから。気を失った卯子ちゃんを抱きしめ、薄く開いた唇にそっと口付けを落とした。
後始末をし、清潔に戻った保健室で、服を直して布団に寝かせた卯子ちゃんを見つめる。
そういえば、行為の間全然泣かなかったな。辛くないはずないのに。
意地っ張りだからな、卯子ちゃん。僕なんかに弱みは見せたくなかったんだろう。
やっぱり、僕じゃ卯子ちゃんの支えになれるはずもなかった。
想いばかりが有り余って、でもどうすればいいかわからず、大好きな人を傷つけてしまった…。
やがて卯子ちゃんが目を開いた。身体を起こし、こちらを見つめる。
「おかしな夢、見たんです…。先輩が私のこと…。本当、おかしいですよね、先輩がそんなことできるはずないのに…」
まだ僕を慕ってくれてるんじゃないか、ごまかせばまたいつも通り仲良くできるんじゃないか、そんな考えが頭をよぎった。
でも、僕は引き返せないことを知っているし、これ以上彼女を苦しませたくないって決めたんだ。
「夢じゃないよ。僕は君を抱いた。それで君は僕の子どもを身ごもっている」
声に感情を乗せずに、事実だけを伝える。
卯子ちゃんはこちらを見つめたままだ。しかし、悲しんでいるのか、怒っているのか、僕にはわからなかった。
目をそらさずに、そのまま卯子ちゃんが口を開く。
「…教えてください。どうしてこんなことしたんですか」
好きだから。もうそんなこと言えはしない。言っても何の意味もない。
だから、できるだけ冷たく、憎まれるように答える。
「よく保健室に来てくれていたからね、警戒心も持たずに。だからやりやすかった、それだけ」
「そう、ですか…」
卯子ちゃんは深くうつむいた。これでもう、僕を慕ってくれることなんて絶対になくなった。
「好きでもない人間との子どもなんて、いないほうがいい」
続く沈黙。これ以上僕から言えることなんて何もない。
「……卑怯…だよ…」
聞こえないほど小さな呟きが彼女の口から漏れた。
わかってる。自分のわがままで君を傷つけた僕は、卑怯者以外の何でもない。
それでも卯子ちゃんに責められると苦しくて仕方がない。
不意に卯子ちゃんが立ち上がる。その目は妙に力強く、僕を射抜くように見据えている。
「子どもは産みます。私が育てます」
何を…言ってるんだ、この娘は…。
勉強はどうする。家族からはなんて言われる。
そんなに若い女手一つで人が養えると思っているのか。
どうして自分を苦しめるようなことを選ぶ。
僕の頭の中は混乱しきっていて、言葉を発することさえできなかった。
卯子ちゃんが歩き出す。僕らの距離が遠くなる。ここからいなくなってしまう…!
「善法寺先輩……」
卯子ちゃんが扉に手をかける。
「さようなら、ごめんなさい」
それだけ言うと卯子ちゃんは戸をくぐり、完全に保健室から出て行った。
僕は何一つとして理解できないまま、一人とり残された。
卯子ちゃんはなんでいつも謝ってばかりなんだろう。いつだって悪かったのは僕なのに。
僕は、本当はどうするべきだったんだろう。
別れの一瞬、彼女の頬が光って見えたのは、もしかして涙のせいだったのだろうか…。
しばらくして卯子ちゃんが忍術学園をやめたと聞いた。
きっと子どもを産んで育てるためだろう。本気だったんだ…。
あれから一度も会うことなく、結局僕は卯子ちゃんと一緒にいられる時間を短くしてしまっただけだった。
こんなつもりじゃなかったのに。
もう会えないのなら、最後にごめんの一言くらい言っておけばよかった。
あの娘との思い出が残る保健室で、ただ呆然と庭を眺める。
卯の花はとうに散ってしまっていた。
忍術学園を卒業してから十年ほどが経った今、僕は学園に戻り、保健医として過ごしている。
人を殺めるのはやっぱり僕には向いていなかった。
今年、ある子が忍術学園の1年は組に入った。卯子ちゃんと、……僕の子どもが。
血は争えないのか、その子は不運委員、もとい保健委員になってしまった。
保健医の僕と保健委員のその子、当然だけどよく顔を合わせるし、話なんかもする。
でも僕が父親だっていうことは言っていない。言えるわけもない。
「僕には父がいないんです。母のためにも立派な忍者にならなくちゃ」
「先生は優しいですね。…もし先生みたいな人がそばにいたら、母も苦労せずにすんだのに」
彼がふとそんなことを口に出すたび、すべてを明かしてしまいたい衝動に駆られ、それでも彼女によく似た笑顔やさびしそうな顔を見ると、黙っていなければならないのだと思い知らされる。
よく運が悪いといわれる僕だけど、自分の子を前にして父親だと言えないのは不運なんかじゃない。ただの自業自得だ。
むしろ今の時代、たとえ教師としてでも自分の子の成長を見守れるのだから、僕は運がいい方なのかもしれない。
夏のはじめの卯の花が咲く頃、そろそろ授業参観がある時期だ。
もしかしたら彼女は来てくれるだろうか。
もし来てくれて、もし会うことができたなら、今度こそ謝ろう。謝れたら、いいな。
卯の花:うつぎ(空木)の花の別称 花言葉は「秘めた恋」「独占欲」「秘密」
以上です。
36と40冒頭のインデントを忘れました。
実際の室町時代の中絶はとても危険だったらしいですが、フィクションなので大目に見てください。
では、長らくのお付き合い、まことにありがとうございました。
面白かったです
彼女に避けられていたと伊作が感じたのは
もしや……
卯子サイドの話も読みたいなぁ
乙!伊作と卯子には幸せになってもらいたい!
保険委員ってエロパロ的には美味しいどころ豊富だよね
自分の作業スペースが部屋っていう形であるから色んな事できるしw
例えばエロパロ的に他の委員会とかだったらどういうシチュにつなげられるんだろう
生物委員会なら飼育小屋が色々ありそうだから
キ ミ コ
「毒性愛玩動物は見ていた!」的な話とか?
141 :
名無しさん@ピンキー:2012/04/03(火) 06:15:18.18 ID:oFjh5dNU
アニメにもっとくのいちだしてほしいな
すまんsage忘れたorz
おっと
アオダイショウだったよ>きみこ
規制解除記念に1レス分置いて行きます
鬼カメ 数年後
「そんなわけで先月、わたくしが跡継ぎとなったのですわ。驚かれました?」
堺の豪商、福富屋。
年老いた先代に代わり跡取りになったのは妹の方だった。
「驚きませんよ。『カメちゃん』は昔から利発なお子様でしたからね。」
船の主である彼女を幼子のように呼ぶ男は
瀬戸内海の海賊、兵庫水軍の鬼蜘蛛丸。
こうして上乗りとして雇われるのも何度目か。
しかし雇い主を前にして不機嫌そうなこの表情は
陸酔いのせいばかりではないらしい。
「幼いころから貿易のことを学ばれたあなたは、
南蛮人ともつつがなく仕事ができるように、
南蛮風の挨拶も身に付けてこられたのですね。」
「そうなのです。あれがあちらの方々のご挨拶だそうですわ。」
鬼蜘蛛丸が思い浮かべたのは、先ほどの不快な光景。
隠居した彼女の父親とさほど変わらないように見える南蛮の商人が
カメ子の手を己の手に乗せて
その甲に口を付けていた。
こんな風に。手を取って。
「南蛮風の挨拶。わたしにも教えていただけますか?」
「……はい。」
日の本の男が、口でもって女性の肌に触れるのは
互いの体を求める行為に繋がる。
己が手の上に這う男の舌を感じながら
それが決して挨拶などではないことを、この少女は知っていた。
終わり
口吸いでググったら妄想湧きました。
昨日のアニメ見て
12年後くらいにトモミ←(夫婦)→きり丸←(師弟)→水蒸鬼
を妄想してしまった
そういえばきり丸は過去話的に復讐に走って、は組仲間とかトモミ嬢に追われる立場になる可能性も有るのか。
いつも上手のくの一が罠にかかる展開は大変おいしいと思います
水蒸気はドクタマになるのかな
ドクタケに就職したきり丸が講師で来ているとかどうだろう
>>147 それ、なんてうちは?(笑)
>>149 そういえば原作で
きり丸「俺、ドクタケ城に就職しようかな」
乱太郎「そうなったら友達やめるよ」
ってシーンあったな
>>147 >>150 のレスより妄想
土井の元で復讐を忘れて学園を卒業したきり丸に
ドクタケがスカウトのため接近
差し向けられた水蒸鬼が仇の正体を仄めかして誘惑する
きり丸の仇って公式で明かされて無いよね?
>>151だと逢魔ヶ時あたりかな
個人的には「復讐しようにも、もう仇はいない」ってのもまたイイとおもうんだ(ドクタケ等に既に亡ぼされてるとか)
保守
154 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/15(火) 20:36:59.63 ID:fdMCICvA
保守
ちょっとまつ
ここもう職人帰ってこないんじゃない?
雑談もできないような雰囲気だと作りたい意欲も削られるんではないかと思うんだが・・・
人が戻れば職忍も戻るさ
それまでユキちゃんのエロさについて話し合ってようぜ
158 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/31(木) 00:32:37.38 ID:Etn2mJHr
公式が何も燃料をくれないんだ。どうやって盛り上げろというのだ!
ユキちゃんはエロいと思うし、トモミちゃんは天使だと思うがな!
おシゲちゃんはしんべヱの嫁だから
159 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/14(木) 00:34:24.03 ID:+RbX55rz
きり丸「いって〜〜〜〜〜〜〜!!!」
トモミ「あれしきのを避けられないなんて情けないわねえ」
きり「うるせー!うう、いてえええ」
トモミ「…ま、見せてみなさいよ」
きり「え///だ、だってここ…」
トモミ「いいからみせる!」バサッ
きり「うわあああああ///////」
トモミ「ちっちゃぁい/// 可愛い///」
きり「や、やめろおお//」
トモミ「て、手当てしてあげるから文句言わないの」ペチャペチャ
きり「ひ、ひひいいぎいいやめ…うおおおおおああああ」
160 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/28(木) 18:10:05.23 ID:lA2icsAm
ほっしゅ
ほしゅほしゅ
163 :
山本:2014/03/15(土) 20:32:50.06 ID:u7hWHp5y
やばぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいよよよよよよよよよよよよよよよよーーーーーーーー!!!!!!!
164 :
山本小春:2014/03/15(土) 20:35:26.49 ID:u7hWHp5y
す.すごいねーーーーー…(∀)
165 :
(∵):2014/03/15(土) 23:09:25.65 ID:u7hWHp5y
ヤッホー3月18日は、私卒業式なんだぁ〜♪楽しみなようで…せつないようです…話、変わるねぇねぇ忍たま乱太郎って知ってる?私一番好きなキャラクターは、せっつのきりまるなんだぁ〜♪みんなはだれがすき?
※文そう
【弱き花】
弱虫。臆病者。ろくでなし。意気地無し。
この、『最低女』。
ー…
いっその事殺してしまおう、と決心が付いた頃には、案外私の鼓動は落ち着いていた。
等々、気が狂ったか、なんて事は思わなかった。
ー…
くないを持つ手が震える。汗ばんで気持ち悪い。
さっきまであんなに平気だったのに、いざ、現状を目の前にすると途端にこのザマか。悔しくなって唇を噛み締めた。
今日でこの襖を開けるのも、この襖の向こうにいる男と会うのも、最後だ。
震える手を押さえて、くないを懐へ隠した。
「…そうこか」
襖をそっと開けると、気配で気付いたのか、男は布団から少し顔を出して、こちらを見つめ、私だと確認すると安心したように微笑んだ。
昔の彼は、こんな風に笑わない。
「……調子は、どうですか」
私のこの質問に彼は決まってこう返す。
「……あぁ、悪くない」
今日も変わらない返事だった。
相変わらず、色素の無い顔だ。そのせいか、寝不足気味だった彼の特徴である隈がほんの少し薄くなっている気がする。
今は寝不足所か、寝てばかりだ。
彼は起き上がろうと、体勢を起こす。しかし、その時大きく咳き込んだ。
血が見える。彼の鮮やかな、見たくない紅色が。
慌てて、ハンカチを取り出し、彼に差し出す。
「大丈夫ですか」
しかし、彼はそれを受け取らなかった。
「無理に起き上がっちゃ駄目ですよ…」
ポタポタと雫のように彼の口から、吹き出して来るそれは、私の手のひらを薄く濡らした。
白い布団の上に点々と血が滲む。
「…あぁ、すまない」
申し訳無さそうな顔で謝ると、また布団に潜り込んだ。
殺さなきゃ。私が、一刻も早く楽にしてあげなければ。
例え、この手が汚れても。
先輩のためなら、私は。
彼に拒まれたハンカチを丁寧に折り畳み、そっと床へ置いた。
ただ、殺す前に。
「……先輩、頭を撫でてくれませんか」
あの時のように。
彼の腕がゆっくり、私へと伸びて来る。
そして、感じた温もりはあの頃と変わらない、優しいものだった。
ただ、違うのは、あの頃の様な力強さが無かっただけ。
わしゃわしゃと豪快に私の頭を撫でる彼が好きだった。
でも、今は。
彼の腕がするりと力なく落ちた。
ー…
人は自分が死ぬと確信した時、どんな行動に出るんだろうか。
眼前の彼のようにただただ、無表情で居れるものなのだろうか。
「……弱虫」
彼の口から、ポツリと吐き出される言葉。
「…知ってます」
「臆病者」
「分かってます」
「ろくでなし」
「っ…」
「意気地無し」
「この、最低女」
手から、くないが滑り落ちる。
気付けば、私は声を押し殺して泣いていた。
私が泣いてはいけないのに。私が泣いて良い立場ではないのに。
泣きたいのはきっと、先輩の方だと言うのに。
私じゃ、貴方を幸せに出来ない。貴方のために出来る事は、最後貴方を楽に殺してあげれる事だけ。
ああ、なんて最低な女だろう。
結局、それも出来ないなんて。
end
以上です
とても短いですが、文そうが好きで思い付いたネタをこのスレで投下させて貰いました
冒頭に病気ネタと書くのを忘れてしまい、申し訳ありません
後、私のミスで
>>166のトリップに間違いがあったので、
>>167からトリップを変えました
エロ無しで、申し訳ないです
※文そう
【狂女】
「何のつもりだ…そうこ…」
その声色は今までに聞いた事が無い、先輩が本気で怒った時の低い声だった。
眼前でロープに縛られ、身動き出来ない彼を私は見下ろす様に喜悦の笑みを浮かべて立っていた。
そんな私を先輩は、力強く睨み付けて来る。それだけで人が殺せるぐらいの睨みだった。
ああ、その顔だ。その顔が私を満足させる。
いつ、その顔が恐怖に歪むのか。考えれば考える程、快感で背中がゾクゾクした。
「おい…ロープをほどけ」
薬のお蔭で動く事すら出来ない彼は、ずっと私を睨み付け、そう言う。
低い声だ。今の私に取ったら、そんな声も心地良い。力が出せない彼など、怖くない。
普段なら、こんなロープも直ぐ自らの手で千切ってしまえる彼だろうが、そんな余裕は与えない。薬が効いてきているのだ。
「…先輩」
そっと先輩の頬に手を当てる。ぴくりと可愛らしく彼の肩が反応した。
「私、先輩の事が好きで好きで堪らないんですよ…」
「……」
彼は何も喋らない。
「本当に好きで、好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでっ…!!」
「…やめろ」
先輩はその時、初めて私から視線を逸らした。
「どうしてですか…」
「……」
「……こっちを見て下さい」
「……」
「っ…先輩!!」
パチンッと鋭い音が部屋に響き渡る。等々、私は手を出してしまったのか。
それが脳にしっかりと伝わった瞬間、快感で震えが止まらなかった。
先輩をいたぶるのはこんなにも楽しいのか。
彼は、私を見ない。否、見ない様にしているのだろう。
先輩の体が恐怖で小刻みに震えているのを私は見逃さなかった。
「…ねぇ、先輩…こっちを見て…」
もう一度、優しく彼の頬に手を添える。そこは、さっき私が打ったせいで微かに赤く腫れている部分だ。うっとりしてしまう。
「お願い…」
「……」
ゆっくりねっとりと甘い声で、彼の耳元へと呟いた。それなのに彼はうつ向いたままだ。
「…どうして、どうして…見てくれないんですか!!」
今度は、強く彼の腹を脚で蹴る。
「ぅっ…」
小さな呻き声と共に先輩はやっと顔を上げた。私を見つめるその目は反抗的だ。
彼の額から、汗が流れている。恐怖からの冷や汗だろう。先輩が私を怖がっている。そう考えるだけで、癖になりそうな快感を覚える。
否、もう既に私は毒されているのだ。
「好きです、先輩…大好きなんです…」
「……」
「…どうして何も喋ってくれないんですか」
「…喋る必要など、ないからだ」
「…そうですか。なら…」
グイッと彼の肩を掴み、引き寄せた。私と先輩の唇が重なり合う。
「っ…」
冷たい空間が広がった。ピチャピチャと口内を犯す音だけが聞こえる。
何度も何度も角度を変えては、甘ったるいキスを繰り返す。段々と唇の端が熱くなって来て、喉もおかしい。
どうして、先輩は。
彼の肩を掴む手に力が入らなくなる。
「っ、どうして…どうして抵抗しないんですか…」
面白くない。彼の瞳は、確かに恐怖の色が混じっている筈なのに。これじゃ、意味が無い。
もっと、もっと激しく嫌がるその姿を、私は見たいのに。濡れた彼の唇から、言葉が漏れた。
「…俺達は、付き合ってるから。俺は、お前が好きだから」
その目は、どこまでも冷酷だった。
私はそっと耳を塞ぐ。
「だから、俺は」
本当は分かっていた。理解していた。
それでも、彼のその言葉を聞いてしまったら、今度こそ狂ってしまいそうで。
今でも、自分を正常だと思っている自分が酷く歪んでみえる。
強く耳に押し当てる手のひらが熱いのと同時に痛い。
分かっているのだ。先輩が私を拒むなんて事は絶対に有り得ないなどと言う事は。
ただ、ただ彼を独り占めしたくて。
彼を誰にも触らせたくなくて。
彼を、彼をむちゃくちゃにしたくて。
したくて、しょうがないのだ。
私は先輩を求めている、先輩も私を求めていてくれる。
そんな関係じゃ足りなくなった。我慢出来なくなった。欲張りになってしまった。
もっと、もっと、もっと。
「どうして、こんな事をする…」
弱々しい声と瞳だ。
「…先輩を、独り占めしたいからです」
「……」
返答は無い。
ただ、彼の震える肩がぴくりと大きく跳ねただけだった。
そして、薄い唇が微かに動く。
「…もう、やめてくれないか」
どこまでも、無表情だ。
「……こんな事をせずとも、俺はお前の事が好きだ。逃げたりしない」
分かってる、ちゃんと。分かってるけれど。
「…例え、例え今この状況で、お前が俺を殺したとしても、俺はお前を、そうこを愛し続ける。ずっと。だから、」
「っ…」
ああ、そうだ。彼はこう言う男だった。
一途なんだ。分かってる、それも。
彼が私以外の女を愛する訳がない。本当に分かってるよ。でも。
喉が熱い。指先に力が入らない。
「…違うんです、先輩」
貴方は何も悪くない。
悪いのは、
そうだ。全部、全部全部全部
私なんだから。
「…何が違うんだ」
「私は」
汗が流れる。ポタポタと水滴の様に次々と流れ落ちて来る。気持ち悪い。
「私はっ…」
違った。これは汗なんかじゃ無い。誰かの涙だ。
誰の?
そっと自分の目元に指を添える。
「っ…」
どうして、どうして、私が。
「私はっ、ただっ…」
「先輩を私だけの物にしたくてっ」
「先輩が私だけを想ってくれてるのなんてっ、ちゃんと、全部分かっててっ」
「私がっ、欲張りな、だけで…っ」
そう、私が彼を求めすぎてるだけなんだ。依存してるだけなんだ。
彼が傍にいてくれないと怖くなる。彼の視界に私以外の女が移ったら気持ち悪くなる。彼の全てを、手に入れたい。全部。肉体も、魂も。全て、全部。
先輩がこんな私の事を愛してくれているのは幸せだった。十分過ぎる愛だった。
私の存在を否定しない彼は、私に取って、一番大切な人だった。
きっと、私が彼に対してどんなに惨い約束を交わしても、彼はそれを拒まないだろう。私に関する事なら、全て受け入れてくれるだろう。
本当に、なんて一途な男なのだろうか。従順な犬のようだ。
けれど、やっぱり私と言う化け物はそれだけじゃ足りなかったみたいだ。
貴方を丸ごと手に入れたい。
言葉とか、そんな物はどうでも良くて。
貴方を誰の視界にも入れたくない。
私だけに、その全ての表情を見せて欲しい。
私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの…
貴方でいて。
悪いのは、
そうだ。全部、全部全部全部
私なんだから。
「…何が違うんだ」
「私は」
汗が流れる。ポタポタと水滴の様に次々と流れ落ちて来る。気持ち悪い。
「私はっ…」
違った。これは汗なんかじゃ無い。誰かの涙だ。
誰の?
そっと自分の目元に指を添える。
「っ…」
どうして、どうして、私が。
「私はっ、ただっ…」
「先輩を私だけの物にしたくてっ」
「先輩が私だけを想ってくれてるのなんてっ、ちゃんと、全部分かっててっ」
「私がっ、欲張りな、だけで…っ」
そう、私が彼を求めすぎてるだけなんだ。依存してるだけなんだ。
彼が傍にいてくれないと怖くなる。彼の視界に私以外の女が移ったら気持ち悪くなる。彼の全てを、手に入れたい。全部。肉体も、魂も。全て、全部。
先輩がこんな私の事を愛してくれているのは幸せだった。十分過ぎる愛だった。
私の存在を否定しない彼は、私に取って、一番大切な人だった。
きっと、私が彼に対してどんなに惨い約束を交わしても、彼はそれを拒まないだろう。私に関する事なら、全て受け入れてくれるだろう。
本当に、なんて一途な男なのだろうか。従順な犬のようだ。
けれど、やっぱり私と言う化け物はそれだけじゃ足りなかったみたいだ。
貴方を丸ごと手に入れたい。
言葉とか、そんな物はどうでも良くて。
貴方を誰の視界にも入れたくない。
私だけに、その全ての表情を見せて欲しい。
私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの私だけの…
貴方でいて。
少女は本当はどちらでも良かった。
彼が自分の事を『愛してくれる』『求めてくれている』そうで無くても、別段どちらであっても良かったのだ。
そりゃ、幸せな事ではあるし、少女自身もそれは嬉しいものだったが。
ただ、少女は、男が自分だけの物になってくれる事を願ったのだ。
彼の想いや意思は、狂女には関係無かった。
彼を独占したかった。それだけだった。
ー…
「…大好きです、先輩」
そっと彼に近付くと、また唇を重ねた。
「…先輩は、こんな私でも受け入れてくれますよね?」
優しく先輩に微笑むが、相変わらず彼は無表情のままだ。先輩の大きな瞳の奥は雲っている。
「今まで、私を拒まなかったんだから」
しかし、確かに彼は恐怖で震えていた。冷や汗が雫へと変化し床へポタリと落ちる。
「どんなに酷い事をしても…先輩は、貴方だけは、」
彼は息を呑む。
「…私を信じて、認めてくれるんでしょ?」
「一生、愛してくれるんでしょ?」
男はもはや、狂女に囚われた身だった。逃げる術など、皆無に等しい。
「…だって、そう言ってくれましたよね…?」
男は目を瞑る。それは甘美な口付けだった。
「……もっと」
もう一回もう一回と、キスを繰り返す。
男は拒まなかった。出来なかった。
「…んんっ」
「…っ」
「……ぁふ」
何回か繰り返すと、今度は舌を絡ませる。
互いの唇は酷く、熱を持っていた。
「んぅっ…」
「せんぱっ、…んっ」
そして、そうこはゆっくりと自分の服を脱ぎ捨て下着姿になると、文次郎の首に吸い付いた。
「っ…」
そして、文次郎の敏感な所をゆっくりと下へなめ付けて行く。それは実に卑しい光景だった。が、逆になまめかしくもあった。