2 :
マユの人:2011/04/02(土) 19:42:36.99 ID:bW5IS+ID
>>1 スレ立てありがとうございます。
これより魔法少女マユ10話を投下します。
今回は苦痛系のシーンがありますので、ご注意ください。
『秋月真由(マユ)』
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。
『ユーリィ』
異世界エルメリアの住人である妖精、マユのパートナーとして彼女の戦いをサポートを行う。
長いストレートの青髪にフリフリのついた白やピンクのドレスを着ている。
『アゼル』
エルメリアから、マユ達の支援に来た魔法戦士。傍目から見ると少年の様に見えるが、性別は女性で年齢はマユと同じ14歳。
燃える様な赤い髪を肩の辺りまで伸ばし、項の辺りで纏めている。瞳の色も同じ。普段は、目だない様に瞳も髪も黒に変化させている。
変身時は、黒のレザー製の上下に、胸部や肩の部分だけの軽装の鎧を纏う。
『ニーナ』
アゼルの姉で、彼女と恋人のランディと共にマユ達の支援に来た来た魔法使い。年齢は19歳。
髪は腰まで届くストレートの黒髪、瞳の色は青。エルメリアでは『円卓』の一人コーネリアの近衛を務めていた。
白のロングスカートの上に、同じ白を基調にして所々に黒でアクセントが加えられたジャケットを纏っている。
『ランディ』
ニーナの恋人で、彼女やアゼルと共にマユ達の支援に来た魔法学者。年齢は24歳。
亜麻色の髪を肩の辺りまで伸ばしている。瞳の色は青でいつも眼鏡をかけている。
親の方針で軍の学校に進んでいたが、生来の争いを好まない性格からか、卒業後は学者への道を歩んでいる。
『秋月夫妻』
マユの両親、父、宗一郎は製薬業を中心とした巨大複合企業の部長を務める。
母、美由紀は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
美由紀も、かつては宗一郎と同じ会社に勤務し、社長に気に入られ秘書室に所属していた。
『ヴァルアス』
魔族の王 100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は製薬業を中心とした巨大複合企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。
『レドリック』
魔王ヴァルアス腹心の最高位魔族、彼の側近を務め、表でも社長秘書室長を務める青年。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしていて、グレーのスーツをいつも着ている。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。
『セディア』
魔族の人間狩りの指揮官。 組織内での序列は低く攻略軍に参加できず、地上での人間狩りをする担当に回されていた。
度重なる失敗により失脚、王の制裁を受け、資料整理の身に堕ちるも、再起をかけてマユと再戦するが敗北。
黒い髪をセミロングにしていて、露出の際どい黒の服を好んで着ている。
『ラディウス』
セディアの弟 魔族の造魔開発においての中核メンバーで、王の信任厚い人物。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。
師リレイアの元で技術を学び、その知識を武器に組織内で高い地位を得ている。
『リレイア』
魔族技術部総括で、ラディウスの師。組織内でも最古参の部類に入る最高幹部。
白衣を常に纏っている。長い金髪は、手入れがあまりされておらず伸ばし放題といった状態。
いつでも寝れる様にと、アイマスクを額にひっかけている。
『ゲリオス』
魔族エルメリア攻略軍を統括する将軍、中央軍集団主将。
三つ首の手足の生えた黒い蛇の姿で、白を基調とした黒や金で彩られた法衣を着ている。
先王の代から王に仕える、組織の最古参の幹部で、他の幹部達の纏め役を務める。
『ルフィリア』
エルメリアの魔族勢力圏を統治する総督、及び中央軍集団副将。
長い金髪と宝石の様に青く澄んだ瞳が印象的な少女、白を基調とした法衣を着ている。
年の頃は15歳くらいだが、幼い顔立ちをしている。温厚な性格だが、怒らせると内に秘めた膨大な魔力で破壊の限りを尽くす。
リグヴェードとは恋仲で、彼の我儘に振り回されがちであるが、それについては彼女は不満などは覚えていない。
『リグヴェード』
魔族エルメリア攻略軍南方軍集団を率いる将軍。
癖の強い白髪を、肩の辺りまで伸ばしている、瞳の色は金。黒を基調とした軍服を着崩して着ている。
一見力押しに頼る様な印象を受けるが、機動戦術を駆使する戦上手。
『アーディッツ』
魔族エルメリア攻略軍北方軍集団を率いる将軍。
黒髪黒眼で銀縁眼鏡をかけていて、黒を基調とした軍服を纏う。
非常に冷酷で残忍な性格で、戦場で捕えた少女などを嬲り、その苦しむ様を楽しんでいる。
セディアとの戦いより3週間…魔族は大きな動きを起こすことは無く、マユ達は平穏な日々を過ごしていた。
「あー、やっぱ美由紀さんの作ってくれたケーキは美味しいわね〜♪」
シフォンケーキを口に入れて、ニーナはうっとりとした様子で言う。
マユの母美由紀が、沢山作ったからとお裾分けしてくれた物だ。
「確かに…美由紀さんの料理は色々勉強になるなぁ」
料理が趣味のランディも、何度も頷きながらケーキを食べている。
彼は現在こちらの料理と、エルメリアから持ち込んだ食材を組み合わせた料理を作る事に熱中していた。
時折独創的過ぎる物が出来上がるが、アゼルやニーナには概ね好評である。
「ホント〜、マユちゃんのお母さんのお菓子はいつ食べても美味しいね〜♪」
テーブルの上に立つユーリィも、マユに分けてもらったケーキを両手で抱えていた。
マユに手作りのクッキーを分けてもらって以来、彼女は美由紀の作るお菓子をいつも楽しみにしている。
「……ねぇ、マユも料理得意なの?」
甘い物が大好きで、一心不乱にケーキを食べていたアゼルが、ふと顔を上げて隣に座るマユに尋ねた。
「んー?結構得意だよ。お母さんには敵わないけどね…小さい時からお母さんのお手伝いするのが大好きだったから。
家でもたまに、私が全部料理をする事もあるよ」
「そ、そうなんだ…」
マユの言葉に、アゼルはしゅんと項垂れてしまう。
最近彼女は、自分の料理の腕が壊滅的なのを、引け目に感じるようになっているのだ。
「アゼルも練習したら上手くなるって!今度教えてあげるから一緒にやろうよ」
そんな彼女を見ていたマユが、励ます様に彼女に微笑む。
「う、うん…頑張る」
マユの笑顔に元気付けられ、アゼルも微笑を返す。
「…ニーナも妹に負けないように、頑張ったほうがいいかもね」
「うっ…ぜ、善処するわ…」
紅茶を飲んでいたランディの言葉に、ニーナは顔を引き攣らせる。
その時、家の呼び鈴がなった。
「僕が出よう。幸恵君だろうから」
立ち上がろうとしたアゼルを制して、ランディが部屋を出て行く。
「ねぇ、アゼル…幸恵さんって?」
「最近ランディに魔法を教わりに来てる子よ。しばらく前に私とランディが助けた事があるの。この間の事件の時にも、ランディの元で皆の纏め役やってた子よ」
マユの問いに、ニーナが代わりに答えた。
「そうなんだ…あの時の」
そう言われて、マユはセディアによって引き起こされた事件の事後処理の際に、ランディと話してた少女を思い出した。
彼女の話によると、幸恵という子はマユと同じくこちら側の人間で魔法少女だそうだ。
レドリックと遭遇し、絶体絶命の状況にあった彼女を、救援要請を受けた自分とランディが助けた…
「その後、あの子がもっと強くなりたいって言って、ランディの所に魔法を教わりに来たの。
ランディも教え子が増えたのが嬉しいみたいで、ちょくちょく魔法を教えてるのよ」
ケーキとお茶をもう一組準備しながら、ニーナはマユに彼女の事を話す。
やがてランディが、少女と共に戻ってくる。
「マユ君にはまだ紹介していなかったね。彼女は園部幸恵(そのべ ゆきえ)君。マユ君と同じこちらで魔法少女となって、僕達に協力してくれている子さ」
長い黒髪を三つ編みにしている幸恵と呼ばれた少女は、マユに向けて軽くお辞儀をする。
「初めまして、園部幸恵です」
「秋月マユです」
微笑んでマユは差し出された手を握る。
「貴方がマユさん…仲間内でも噂になってるます。凄い沢山の魔族を撃破してる子がいるって」
「え、えぇっ!?そ、そんな…わ、私だけで倒した訳じゃないのに…」
幸恵の言葉にマユは顔を赤面させ、ボソボソと小さく声を漏らす。
その後、幸恵を交えてお茶会が再開された。
「幸恵ちゃんは、ここの隣のエリアの地区を中心に活動してるの」
ニーナが二つ目のシフォンケーキを食べながら、マユに教える。
隣に座るランディは、ニーナに何か言いたそうだったが、黙ってケーキを食べる彼女を眺めていた。
「そう言えば聞いたわよ幸恵ちゃん、この間指揮官級の魔族を倒したって…凄いじゃない」
彼女の言葉に、幸恵は少し顔を赤らめて首を振る。
「わ、私一人じゃないです!チームの皆で倒したんです」
「またまた、謙遜しちゃって」
照れた様子の幸恵の頭を撫でるニーナ。
「…幸恵君は中長距離の攻撃魔法や、補助魔法が得意でね。それをいかしてチームのリーダーを務めているんだ」
「へぇー、凄いですね」
ランディの説明に、マユは感嘆の声を漏らす。
戦いながら他人の指揮を取る事は、とても難しい事だろう…
自分にはとても出来ない…マユはそれが出来る幸恵を素直に凄いと感じていた。
「ラ、ランディさんのお陰です…ランディさんが私に沢山の事を教えてくれて、そしてチームを組める様に働きかけてくれたから…」
顔を赤らめた幸恵は、恥ずかしそうに顔を俯かせている。
以前レドリックから助けた縁で、ランディは彼女に魔法を指導しているのだが、彼女から悩みの相談にのったのだ。
彼女は使える魔法は、補助系の物がメインで、武器の弓と相まって決定打に欠け、近接戦に持ち込まれると苦戦を強いられる…
他所の仲間に迷惑をかけてばかりだと落ち込む彼女に、彼はこう提案した。
他の子とチームを組んで、そのリーダーを務めてみないかと…
元々マユ同様、サポート役の妖精と二人で行動していた幸恵は、ランディの提案に戸惑う。
ランディは指導している間に、彼女が状況判断能力に優れている事に気づき、彼女はリーダーに向いていると考えたのだ。
自分なんかにそんな事は出来ないと言う彼女を説得し、ランディは近隣の仲間に声をかけた。
近くのエリアの担当の子と幸恵が、チームを組めるように段取りを行ったのだ。
そして幸恵自身には、自分が軍の学校自体に学んだ事や魔族についての知識を教え、リーダーとしての必要な知識を与える。
そうして出来上がったチームは、最初こそミスや連携の齟齬が目立ったが、次第に強力な連携を武器としたチームへと成長していく。
ランディの考えどおり、幸恵は的確な状況判断によって仲間に指示を与え、得意のサポート能力を発揮している。
自分に自信が持てなかった彼女も、幾度かの戦いを経て、胸を張って指揮を取れるようになっていた。
「僕はちょっとお膳立てをしただけだよ。今の結果は君自身の頑張りの成果さ」
こちらを見上げてくる幸恵の頭を、ランディは優しく撫ぜる。
「あ、ありがとうございます…」
彼の言葉に恥ずかしくなったのか、また幸恵は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「こーら、ランディ。幸恵ちゃんが恥ずかしそうでしょ」
「え…?いや…僕は率直な感想を言っただけで…」
隣に座るニーナに肘で脇をつつかれ、ランディは戸惑ったように声を漏らす。
仲睦まじそうな二人の様子を、横目に見る幸恵は少し寂しそうな表情を浮かべていた。
その光景を見ていたマユとアゼルは、お互いに顔を見合わせる。
なかなか、複雑な状況なんだなぁ…と、マユは心中で呟きを漏らした。
エルメリアで繰り広げられている人間と魔族の戦争…
戦線が伸び切り、膠着状態になっていた状況に、大きな動きが生じた。
2週間前、魔族側に大規模な増援部隊が派遣される。
本部で生産された造魔を中心とした部隊と、ザルカヴェイドで生産されていた機獣部隊が戦線に投入された。
軍の編成を整えると、魔族側は各戦線で一斉に攻勢を開始する。
ここ北方の城塞都市ヴァーディアも、魔族北方軍集団の猛攻を受け、陥落の危機に陥っていた。
堅固な守りを誇った城壁は度重なる砲撃で崩され、都市内は侵入してきた魔族で埋め尽くされている。
侵入した魔族達は、次々に都市の住人達を襲う。
年老いた者達や男達は、ある者は殺され、またある者は捕らえられる。
捕らえられた者達は、魔族勢力圏に連行され、労働力として使役される事になるだろう…
そういった作業を行っているのは、もっぱら下魔や機獣達だ。
造魔や上位の魔族達は、競い合うように女を探し回り捕らえていた。
「や、やだぁっ!た、助けてお母さん!!」
幼い市民と思われる少女が、逆さ吊りの体勢で泣き叫んでいる。
愛らしい顔を、くしゃくしゃに歪め泣き叫んでいる彼女の足には、長い舌が絡み付いていた。
『グゲゲゲゲゲッ!ママならあそこだぜ!』
彼女の足に絡み付いている舌の主…大きな体のカエル型の造魔が、ゲラゲラと笑いながらある方向を指差す。
造魔の指し示すその先には、まだ若い女性が、二体の造魔に捕らえられている。
双頭のトカゲと、無数の吸盤付きの触手を持つクラゲの様な造魔。
二体の造魔は、前者が女性の口にペニスを、後者が二穴に触手を挿入し、二体がかりで女性を犯していた。
「あ、あぁぁ…お、お母さん…」
かなりの時間責めを加えられていたらしく、もはや虫の息の女性。
彼女を絶望的な眼差しで見つめ、少女は呆然と声を漏らす。
『おめぇら殺すなよー?最近、上が煩いんだからよ』
女性を犯している造魔達にそう言ったカエル型造魔は、少女を捕らえていた舌を動かした。
少女が反応するよりも早く、造魔は舌で引き寄せている少女を迎え入れるように、大きく口を開く。
次の瞬間、少女の足から臍の辺りまでが、造魔の口に呑み込まれた。
「ひっ…んやあぁぁぁっ!!やめて!食べないでぇぇっ!!」
下半身を呑み込まれた少女は、ボロボロと涙を零して叫ぶ。
『やーだねっと、まぁ殺しやしないさ。死んだ方がマシかもしれないけどな!ゲハハハッ!』
下卑た笑いを上げた造魔は、更に少女の体を呑み込んでいく。
両足を縛られた彼女に、逃れる術はない…
いや、そもそも非力な少女に、この状況を脱する事など不可能だ。
「やだぁっ!やだぁぁぁっ!!」
泣き叫んでいる彼女の体は、もはや肩の辺りまで呑み込まれている。
「お母さん!おか…んぶうぅっ!!」
少女の悲痛な叫びは、少女が完全に呑み込まれる事で途切れた。
『おめーも殺すなよー。勢い余って消化するとかさ』
『分かってるって、俺がそんなヘマするかよ』
少女を呑み込み大きくなった腹部を摩り、満足そうにしている造魔。
母親の方を犯しているトカゲ型造魔と言葉を交わしながら、呑み込んだ少女を体内で犯し始めていた。
都市の7割方は魔族の勢力化に落ち、至る所で虐殺と陵辱の嵐が吹き荒れる。
そこは正に地獄絵図といった有様だ…だがその状況下でも、必死に抵抗を続ける者達がいた。
「くっ!!」
亜麻色の長い髪をポニーテールにした若い女性が、無数の黒い触手を回避する。
年の頃は20歳くらいか…純白のローブの上に軽装の鎧を身に纏い、武器は剣を手にしていた。
彼女に襲い掛かった触手が、次々と後退していく。
「ははは…さすがは『戦乙女』の通り名で呼ばれるだけはある…なかなかやりますね。クレア嬢」
彼女の前に立つ黒い軍服に身を包んだ眼鏡をかけた青年…北方軍集団主将アーディッツが、彼女に向けて言う。
クレアと呼ばれた女騎士を襲った触手は、彼の影から伸びている。
彼の影は大きく歪な形をしていて、無数の触手がそこから生み出され蠢いていた。
クレアと彼が交戦するこの広場の周辺には、無数の魔族達が集まり、将の戦いを見ている。
(くそっ…さすがは一軍を束ねる主将…私じゃ歯が立たない…)
悠然と佇むアーディッツを前に、クレアは心中で呻く。
彼女の体には無数の傷があり、疲労の色も濃い。
対するアーディッツは、僅かなダメージしか受けてない。
クレアは何度も攻撃を仕掛けたのだが、彼の操る影から生み出す触手の群れに、ことごとく阻まれている。
「てやぁぁっ!!」
再びアーディッツに向けて斬りかかるクレア。
だが剣が届く目前で、黒い触手に阻まれる。
「がっ!!」
続けざまに無数の触手が突き出され、クレアの体が幾度か打ち据えられた。
よろめき体勢を立て直そうとした彼女の足を、何かが掴む。
それはアーディッツが生み出した、影で構成された手だ。
両足を掴むと、手が伸ばされクレアは宙吊りにされる。
「うあああぁぁぁっ!!」
幾度かクレアの体を振り回し、影の手は彼女の体を近くの建物の壁に叩き付けた。
「ぐあぁっ!!」
壁で強かに背を打ち、クレアが苦悶の声を発する。
地面に落下した彼女は、しばし痛みに体を震わせていたが、フラフラと身を起こし再び剣を構えた。
「まだ立ち上がりますか。いい加減力の差というものを理解して、降伏すればいいものを…」
「ま、まだだ…貴様を…必ず倒す!!」
退屈そうに言うアーディッツに向けて、彼女は力を振り絞って叫ぶ。
再びクレアが彼に向けて駆けようとした時…
「お、お姉ちゃん!」
耳に入った少女の声に、クレアは思わず足を止めそちらの方を向く。
そこには、クレアと同じ亜麻色の髪をセミロングにし、白いローブを纏った少女が居た。
彼女はローパー型の造魔によって、全身を触手で拘束されている。
「フ、フェティス…」
少女の姿を見て、クレアは声を震わせながら少女の名を呼ぶ。
彼女フェティスは、クレアのたった一人の妹である。
クレア達の両親は二人が幼い頃に死んでおり、クレアにとって妹は、何よりも大切な存在だった。
彼女を逃がす為に、クレアは囮となって周囲の魔族を引き付けていたのだ。
「おや、妹さんですか…これはいい」
クレアの様子を見て、アーディッツは口の端を吊り上げる。
そして片手を振るい、フェティスに向けて触手を伸ばした。
「くあぁぁっ!!」
伸ばされた触手に首を締め上げられ、フェティスは顔を歪め苦悶の叫びを上げる。
フェティスを拘束していたローパーは、首に彼の黒い触手が巻きつくと、拘束を解いて後ろに下がった。
ローパーの触手の代わりに、首同様に彼の影から伸びる触手が、彼女の体に絡みつく。
首を締め上げられ、宙吊りにされたフェティスが、クレアの前に突き出される。
「妹さんの命が惜しければ…分かっていますよね?」
「くっ…卑怯者っ!」
楽しげに語るアーディッツへ、クレアは拳を握り締めながら叫ぶ。
だがそれは彼にとっては褒め言葉だ…彼は上機嫌そうに笑う。
「何とでも仰ってください。ただ私はあまり気の長い方では無いのでね…妹さんの首が圧し折れちゃうかもしれませんよ?」
ギリ、とフェティスの首に巻きついている触手が、更に強く締め上げられる。
「ま、待て!待ってくれ!わ、分かった…」
苦痛に身を捩る妹を見て、クレアは叫び手にしていた剣を地面に放り捨てた。
「…結構」
アーディッツはニッコリと笑い、触手の締め付けを緩める。
武器を捨てたクレアに、無数の触手や手が伸ばされた。
「くぅっ、うああぁぁぁっ!!」
全身を拘束され、クレアの体が十字架に張り付けられたような体勢で持ち上げられる。
首を締め上げられていたフェティスは、意識を失っているようだ。
「わ、私は抵抗しない…だ、だから…い、妹だけは…」
苦痛に顔を歪めながら、クレアは必死に懇願する。
だがしかし…アーディッツは一向にフェティスへの拘束を緩める気配が無い。
それどころか、新たな触手を彼女の体へ向けて伸ばす。
「そういうお願いは聞けませんねぇ…姉妹仲良く犯して差し上げますよ…まぁ、命だけは助けてあげますよ。
造魔生産用に女の捕虜は生かすようにと、お達しを受けていますからね…クククッ!」
口元に手を当てて、彼は小さく笑いを漏らす。
彼の言葉を聞いて、クレアは顔を引き攣らせ、拘束から逃れようと必死に体を動かした。
「そ、そんな…ひ、卑怯な!…ぶごぉっ!?」
「うるさいですよ。これでも咥えてなさい」
抗議の声を上げていたクレアの口に、太い触手が挿入される。
「むごおおぉっ!うえぇぇっ!!」
口内で暴れまわる触手に、クレアは激しい嘔吐感を覚える。
黒い触手が、更に伸ばされた。
「ぶげええぇぇっ!!」
口を抉じ開けて、更に二本の触手がクレアの口内に入り込む。
その隣では、フェティスの体に伸ばされた黒い手が、身に纏っていたローブを引き裂いた。
「んんっ…」
起伏の乏しい胸の下着が破り裂かれた時、フェティスが小さく呻き目を開く。
まだ意識が朦朧としている彼女は、ぼーっとした様子で周囲に視線をさ迷わせる。
そんな彼女の意識を引き戻そうとしたのか、触手が下着の上から股間を撫でた。
「ひあぁぁっ!?な…何なの…?」
声を上げた彼女は、視線を下に向ける。
そして、今現在自分が置かれている状況を理解した。
「い、いやあぁぁぁぁっ!やだっ!放して!!た、助けて!お姉ちゃん!!」
フェティスは恐怖に駆られ、必死に助けを求め叫ぶが…
「ぶごおぉっ!!おげぇっ!!」
彼女をいつも守ってくれる姉は、口内に触手を挿入され、醜い悲鳴を発していた。
絶望的な状況に、顔を引き攣らせているフェティス。
彼女の発育途上の胸に、口を開いた触手が噛み付く。
「ひぎゃあああぁぁぁっ!!!」
触手は深々と胸に噛み付き、鮮血が飛び散る。
その痛みは、幼く魔力もさほど強くないフェティスにとって、耐え難い苦痛だ。
だがアーディッツは、更に多くの触手を彼女に向けて伸ばす。
同じく蛇の様に口を開いた触手、先端が鋭利な刃物の様になったものまで存在する。
それらがゆっくりと、苦痛に身を捩る彼女へと伸ばされていく。
「あ…や、やだ…お、お願い、やめて…」
自分に向けて迫る触手に気づき、フェティスは体を震わせながら声を漏らす。
彼女は必死に逃れようと身を捩るが、非力な彼女では脱出する事はおろか、拘束を緩めることすら出来ない。
「私は貴方達に快楽なんて与える気は、毛頭ありません。私が与えるもの…それは苦痛、恐怖…そして絶望です」
アーディッツが口の端を吊り上げ嫌な笑みを浮かべると同時に、フェティスに触手の群れが襲い掛かる。
「あぎゃっ!?うぎいいいいいぃぃぃっ!!」
無数の触手が彼女の瑞々しい肌に喰らい付き、先端が刃となった触手が手足を貫く。
彼女の色白の裸体が、赤く染まっていく。
「うん…いい顔ですね。そして悲鳴もなかなか良い」
まるで音楽を聴くかのように、アーディッツは目を閉じて耳を澄ませる。
妹が全身を傷つけられ泣き叫んでいる最中…クレアもまた激しい責めを受けていた。
「ぐぼぉっ!!ぶぐぅっ!!がぼっ!!」
3本の太い触手が挿入され、彼女の顎は外れんばかりに開かれている。
口内を蹂躙していた触手達は、揃って喉の奥へと進み始めた。
「んんーーーー!!?」
クレアは驚き目を白黒させるが、触手はお構いなしに奥へ進む。
触手は喉の奥、食道にまで入り込む。
喉や食道を擦られ、彼女は嘔吐しそうになるが、触手によって道を塞がれておりそれすらままならない。
食道まで侵入した触手は後退を開始し、ピストン運動を始める。
「おごおおおおぉぉっ!!」
悲鳴を発するクレアの体に、無数の触手や手が伸ばされた。
それらは彼女の身に纏う鎧を剥ぎ取り、ローブを引き裂く。
露になった彼女の胸は、大きく形も良い。
その大きな胸に、鋭い爪を生やした大きな手が伸びる。
二本の手が胸を鷲掴み、胸に爪を食い込ませた。
「んぐうぅぅっ!!?」
鮮血が迸り、クレアが目を大きく開き声を発する。
手は胸を握り潰さんばかりに力を込め、爪は更に深く刺さっていく。
「―――!―――っ!!」
喉でピストン運動を繰り返す触手も断続的に蠢き、クレアは声にならない悲鳴を発する。
太股にも胸と同様の手が伸び、同じ様に爪が突き立てられた。
クレアはビクンと体を仰け反らし、苦悶に身を捩る。
ピストン運動を続けていた触手が、徐々に動きを早めていく。
それに伴い、触手の根元の部分から何かがゆっくりと進んでいる。
射精の時が近いのだ…それにクレアは気づくが、どうする事も出来ない。
「ぶぎゃああああぁぁぁぁぁっ!!!」
大量の精液がクレアの体に注ぎ込まれ、彼女は絶叫を上げる。
射精の勢いに、触手が一本また一本と口から飛び出て行く。
飛び出た触手は、バタバタと暴れながらクレアの体に精液を浴びせかける。
「ぐぎいいぃぃっ!!」
精液が傷口に浴びせられ、彼女は激しい痛みに身を捩った。
かなりの量の精液が消化器官に注ぎ込まれ、クレアの腹部は少し膨らんでいる。
「あ…かはっ…げほっ…」
彼女は体内に入った精液を吐き出そうとするが、思うように吐き出せずにいた。
「大変そうですねぇ、手伝ってあげましょう」
クレアを見上げていたアーディッツが、パチンと指を鳴らす。
彼の影が蠢き、先端がハンマーのような形状をした触手が伸びる。
「ひっ…や、やめ…やめてくれ…」
「まぁまぁ…そう遠慮なさらず」
顔を引き攣らせるクレアに笑いかけ、彼は片手を振るう。
その動きに従い、触手がクレアの腹部に叩き付けられた。
「げぼっ…おげええええええええぇぇぇぇぇっ!!!」
彼女は醜い悲鳴と共に、大量の精液を吐き出す。
その中には胃の内容物も、多く含まれていた。
「あぎっ…ひぐぅっ…た、たす…けて…」
無数の触手に喰らい付かれたフェティス。
彼女は弱々しく体を震わせ、ボロボロと大粒の涙を零している。
「おっといけない…貴方の方にも構ってあげませんとね」
彼女の嗚咽を聞いて、アーディッツが笑いながら振り向く。
彼は邪悪な笑みを浮かべ、次の行動へと移ろうとした。
「や、やめろ…やめてくれ…わ、私はどうなってもいい…フェティスは…い、妹だけは…」
ゲホゲホと咳き込み、精液を吐き出していたクレアが、顔を上げて必死に彼へ呼びかける。
必死に懇願するクレアに、アーディッツは両手を軽く広げ左右に頭を振った。
「それは出来ない相談です。私は人間が苦しむ様を見るのが大好きでしてね。
目の前にご馳走ぶら下げられてお預けなんて、とてもともて耐えられません」
そう言って彼は笑い、触手をフェティスの股間に向けて伸ばす。
彼女のみに付けている衣服で、唯一無事だった股間を覆う下着に、触手が近づく。
触手はあっさりと下着を引き裂き、フェティスの股間が露になる。
「おやおや…痛みに反応したんでしょうかねぇ」
アーディッツは彼女の股間へと視線を向けて、嘲りの笑みを浮かべた。
半ば皮に覆われているクリトリスが、勃起しているのだ。
クリトリスの間近に、牙を剥き出しにした触手が伸ばされる。
「ひっ…た、助けて…お姉ちゃん…」
恐怖にかを引き攣らせ、フェティスは首を左右に振りながら涙を零す。
「や、やめろ…!やめてくれ!!」
クレアは痛みを必死に堪えながら、身を捩って拘束から逃れようとしつつ叫ぶ。
彼女の悲痛な叫びも虚しく、触手がフェティスのクリトリスに噛み付いた。
「ひぎゃあああああぁぁぁぁぁっ!!!」
大きく身を仰け反らして、フェティスが絶叫を上げる。
幼い身に耐え難い苦痛を受ける彼女…
その股間から、黄色い水が漏れ股を伝っていく。
「おやおや…はしたない子だ…お仕置きが必要ですかねぇ」
失禁しているフェティスを見て、アーディッツが笑う。
クリトリスに噛み付いている触手と同様の物が伸ばされると、クレアが顔を真っ青にして叫ぶ。
「ま、待て!待ってくれ!!妹はもう耐えられない!!」
「…なら、貴方が妹さんの代わりに、お仕置きを受けますか?」
アーディッツは意地悪げな笑みを浮かべつつ、クレアの方へ触手の向きを変える。
向けられた触手に、彼女は一瞬身を強張らせるが、やがて意を決したらしく口を開く。
「あ、ああ!わ、私が妹の代わりに受ける!だからやめてくれ!!」
「結構…美しい姉妹愛に免じて、妹さんへのお仕置きはやめにしましょう」
ゆっくりと、クレアの股間へ向けて触手が伸びる。
その触手を迎えるように、他の触手が彼女の下着を引き裂く。
緩慢な触手の動きに、クレアの恐怖心は大いに煽られている。
彼女はカタカタと震え、カチカチ歯が鳴る音が聞こえた。
そんな彼女を、満面に笑みを刻み、愉快そうにアーディッツは見上げていた。
「おやぁ?貴方も痛みに感じちゃってたんですか?姉妹揃ってマゾってやつですかねぇ」
曝け出されたクレアの股間を見て、アーディッツが笑う。
フェティスと同様に、彼女のクリトリスも勃起していたからだ。
「ち、違う…ひうぅぅっ!!」
震えながら否定しようとしたクレアは、クリトリスを触手で叩かれ悲鳴を上げる。
大きく口を開いた触手が、クリトリスの前に辿り着いた。
「じゃあ、お仕置きです」
アーディッツの言葉に、クレアは思わず目を閉じる。
次の瞬間、クリトリスに触手が喰らい付き、クレアの体に凄まじい痛みが走った。
「あぎいいいいいいぃぃぃぃぃっ!!!!」
広場にクレアの絶叫が響き渡る。
彼女は痛みのあまりボロボロと涙を零し、苦痛に身を捩り叫ぶ。
「ク、ククク…クハハハハハハハッ!良い声です!!」
クレアの有様に堪えきれなくなったのか、アーディッツは片手を顔に当てながら哄笑を上げる。
一頻り笑うと、彼は二人の体に喰らい付いていた触手を、次々と放していく。
全ての触手が噛み付きを止めると、クレア達はガックリと項垂れた。
「く…うぅぅ…」
クレアは体を小刻みに震わせ、弱々しく声を漏らす。
フェティスは痛みのあまり気を失ったようだ…
「さて、次の余興に入りましょう…ホラ、顔を上げてください」
アーディッツが告げると同時に、クレアの首に触手が巻きつき、無理矢理顔を上げさせられた。
焦点の定まらない瞳をしている彼女の前に、何本かの触手が突き出される。
「そうですねぇ…妹想いなお姉さんに、先に選ばせてあげましょう…どちらの触手で犯されたいですか?」
彼は意地悪そうに笑って、クレアへと語りかけた。
右側の触手は、無数の突起が表面に付いている。
もう片方の触手は、一本一本は細いのだが、数が10本もあった。
予想だにしないアーディッツの言葉に、クレアは戸惑う。
「貴方が選ばなかった方の触手で、妹さんの方を犯します…ああ、両方とも自分が引き受けるというのは無しです。
そう仰る場合は、妹さんの方にも両方刺してあげます」
戸惑っているクレアに向けて、彼は右手の人差し指で触手を指し示して説明する。
彼の言葉にクレアは黙りこくり、二組の触手に視線を彷徨わせた。
どちらが妹にとって負担が少ないだろうか…彼女は必死に考える。
今も意識を失っている妹に、これ以上負担をかけたくない。
纏まった時の太さから見て、左側の複数の触手の方が負担が大きい…
クレアはしばし黙り込んでいたが、やがて口を開く。
「ひ、左側の触手を、私に…」
「はい、左側ですね。こっちの方が一本だし負担は少ないかもしれませんねぇ」
彼女の返答にニッコリと笑い、アーディッツは左側の複数の触手をクレアへと伸ばす。
もう片方の突起の生えた触手は、フェティスの股間へと伸びる。
まずクレアの方に、触手が入り込む。
「ぐぅっ!!うぅぅぅっ!!!」
一本、また一本と触手が挿入されていく。
計10本の触手が、クレアの膣内の入り口に挿入された。
触手を動かしていたアーディッツが、違和感に気づき動きを止める。
「おや、貴方処女だったんですか。これは運が良いですね」
ニッコリと笑ったアーディッツは少し力を増して触手を動かした。
処女膜が突き破られ、破瓜の痛みがクレアに襲いかかる。
「あぎっ!!うあああぁぁぁっ!!!」
クレアが大きく身を仰け反らして、絶叫を上げた。
触手の蠢く結合部から、血がゆっくりと流れ出てくる。
「さて、今度は妹さんの方に入れましょうか」
アーディッツの宣言と共に、フェティスの膣内に触手が入り込んでいく。
「す、すまない…フェティス…」
不甲斐無い自分を許してくれ…クレアは心中で漏らす。
顔を背けたかったが、触手が首や額の辺りに巻き付いて、動かす事が出来ない。
「んぁっ…な、何…?」
膣口に触手の先端が当てられ、フェティスが目を覚ます。
そして自分の膣口に入り込もうとしている触手を見て、彼女は大きく目を見開く。
「い、いやぁぁぁぁっ!!や、やだっ!やめて!!た、助けて!お姉ちゃん!!」
「フェティス!フェティス!!」
泣き叫ぶ妹の姿に堪えきれなくなったのか、クレアは大粒の涙を零しながら叫ぶ。
フェティスの膣内へと、ゆっくりと触手が挿入されていく。
クレアに挿入された触手群に比べれば随分細いが、未発達のフェティスの膣口にはやはり大きい。
壁に突起が擦り付けられながら、触手が進んでいく。
「ひぐうぅぅっ!!」
ビクン、と身を震わせて、フェティスが声を上げる。
震える彼女の膣口からも、処女を失った証が流れ出てきた。
「う、うぅぅっ…も、もう…やめて…くれ…」
もう妹の苦しむ光景は見たくない…
クレアはボロボロと涙を零しながら、アーディッツに言う。
だが彼は、嫌らしい笑みと共に首を横に振る。
「何を言ってるんですか。これからがお楽しみなんですよ」
彼は心底楽しそうに言って、指を鳴らした。
「ひぎっ!?」
その直後、フェティスに異変が生じた。
正確には彼女に挿入された触手に…
挿入された触手が、徐々に太さが増していっているのだ。
「が…ひぎっ!!あがあああぁぁぁっ!!」
膨張を続ける触手は、既にクレアの方に挿入された触手群を上回っている。
身を捩り、苦悶の叫びを上げるフェティス。
だが触手の膨張は、止まる気配すらない。
「な、何をするんだ!やめろ!やめてくれ!!」
突然の事態に呆然としていたクレアは、我に返りアーディッツに向けて叫ぶ。
「おやおや、私はこのままのサイズで犯すと言った覚えは、ありませんよ?」
彼は笑いながら、フェティスの苦しむ様を眺めていた。
「ひぎいいぃぃぃっ!!!」
膨張を続ける触手によって拡張されていた膣口の端が、ついに裂け血が流れ出る。
フェティスは白目を剥き、絶叫を上げた。
裂けた膣口から夥しい血が流れ、触手が紅く彩られていく。
「クククッ…これだから狩はやめられませんねぇ…!」
アーディッツは口元を押さえながら笑いを漏らす。
フェティスの苦悶、そしてクレアの絶望…それを彼は心の底から楽しんでいる。
彼は己の欲求を満たす為に、戦闘の態勢が決すると、指揮もそこそこに切り上げて自ら前線に出てきた。
クレアに遭遇するまでにも、彼は数名の幼い魔法少女を嬲っていた。
人間の恐怖、絶望…そういった負の感情が、彼にとっては何物にも代え難い快楽だった。
アーディッツは辺りを満たす負の感情に、恍惚とした表情を浮かべていたが、クレアの事を思い出し彼女の方を向く。
「おっといけない…貴方の方を忘れていましたね」
彼はニヤリと笑い再び指を鳴らす。
「うぐぅっ!!?」
フェティスの時と同様に、クレアが悲鳴を上げ、ビクリと身を震わせた。
クレアの膣内に挿入されている触手の束が、見る間に太くなっている。
入り込んだ全ての触手が、ゆっくりと太さを増していた。
「あが…ぐ、ぐぎいいぃぃぃっ!や、やめ…ぎうっ!!」
彼女は体をガクガクと痙攣させ、濁った悲鳴を発する。
膨張し続ける触手…クレアの膣口は限界まで拡張されていた。
ブチブチィッ!
限界を超えて押し広げられていた穴が、音を立てて裂ける。
「あぎゃあああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
クレアが断末魔の様な絶叫を発した。
並みの人間ならとっくに死んでいる…だが、優れた魔力を持つ魔法剣士である彼女は、魔力によって身体が強化されてる。
彼女は宙を仰ぎ、焦点の定まらない瞳を泳がせていた。
クレア姉妹に挿入された触手は、膨張により倍以上の太さになっている。
その触手達が、ゆっくりと動き出し。
「ひぎっ!!」
「がぁっ!」
フェティスがビクリと身を強張らせ、クレアは体を仰け反らす。
触手が進むにつれて、まるで隆起するように、二人の体の一部が膨れた。
「あぎいいいいいいぃぃぃぃっ!!!」
フェティスに挿入された触手は、無数の突起が存在している。
それによって、膣壁がゴリゴリと擦られ、傷つけられていく。
「ぐうううぅぅっ!あぐあああああぁぁぁっ!!」
我先にと競うように、クレアの膣内を触手達は突き進む。
二人に挿入された触手は、一定の距離まで進むと、後退を開始すた。
勢いよく後退してくる触手の動きで、二人の腰が振られる。
裂け目から流れ出る血が、周囲に撒き散らされていた。
再び勢いをつけて触手が突き進む。
「ひぎゃあああぁぁぁっ!!だ、だずげでっ!!」
「あがあああああああぁぁぁぁっ!!!」
二人は絶え間なく襲い掛かる激痛に、泣き叫び身を捩る。
ピストン運動は、切り返す度に早くなり、苛烈さを増していく。
「ご、ごろじ…でっ…ぎうううぅぅっ!!」
…恐怖と絶望に心塗りつぶされたフェティス。
一思いに殺してと叫ぼうとするが、満足に言葉を発することすらままならない。
そして…例え口に出来たとしても、アーディッツはやめないだろう…
彼はそれを拒否して、更なる絶望と恐怖を彼女に与える筈だ。
「あげええぇぇぇっ!!がぁっ!うぎいいぃぃぃっ!!」
凄まじい激痛に晒されるクレアは、もはや妹を案じる事すら考えれない。
「クックックッ…じ、実に心地良い!堪りませんねぇっ!!」
ズリ落ちた眼鏡の位置を直すアーディッツ。
彼の表情は狂気に染まり、湧き上がる歓喜に体を震わせていた。
「げぶううぅっ!!!」
強く押し込まれた触手が、フェティスの子宮口に接触する。
触手は後退をせずに、更に前進して子宮口を抉じ開けていく。
子宮口を突破して、触手が子宮内に突入する。
小さなフェティスの子宮は触手に制圧され、触手は更に押し広げようと壁を圧迫した。
「あぎゃああああああぁぁっ!!!」
絶叫を上げるフェティスの下腹部が、ボコリと歪に膨れ上がる。
その状態のまま、触手が突然射精を開始した。
「ぐげっ!?がああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
宙を仰ぎ、白目を剥くフェティスの子宮内に、洪水の様に精液が放たれていく。
彼女の小さな体が、ぽっこりと膨らんだ。
子宮は一瞬にして満たされ、それでも放たれ続ける精液は、僅かな隙間を伝って流れ出る。
だが、圧倒的に注ぎ込まれる量の方が多い…フェティスの腹部は更に膨らみ、出産間近の妊婦を通り越して破裂寸前という有様だ。
彼女の周囲に蠢いていた触手群も、次々と白濁液の放出を開始し、血で彩られていた彼女の肢体を、白で塗りつぶそうとしていく。
長く続けられていた、フェティスへの射精がようやく止まる。
彼女の体は、ゆっくりと降ろされ、アーディッツのすぐ側まで運ばれた。
「まだ幼い妹さんには、少々刺激が強過ぎましたかねぇ」
白目を剥いて気絶しているフェティスの頬を一舐めして、彼は小さく笑いを漏らす。
さすがにこれ以上やっては死ぬと判断したのだろうか…彼はゆっくりと触手を引き抜く。
栓をしていた触手が引き抜かれると、膣口から大量の精液が血と混じって流れ出てきた。
「殺しちゃ勿体無いですね。この子にも、我が軍の兵を生んでもらうとしましょう」
遠巻きに見物していた魔族の一体を呼び寄せ、フェティスの処置を命じる。
トカゲの様な姿の魔族は頷き、そそくさと彼女の体を抱えて移動していく。
「ぐげぇぇっ!フェ…フェディ…っ!?あぎゃあああぁぁぁぁっ!!!」
触手に突き上げられながらも、連れて行かれる妹の名を呼ぼうとするクレア。
だが、それすらも許さないと、触手が更に激しく突き上げ、彼女は絶叫を上げた。
「いやいや…ちゃんと母体を集めないと、増派の数を減らすなんて本部から言われましてね…まったく、困ったものです」
クレアのほうを向いて、やれやれとでもいう様に、彼は両手を広げ肩を竦めて見せる。
増派を減らされてるのも大問題であり…彼としては不本意ではあるのだが、狩の獲物に手加減をしていた。
実際に、各軍集団に送られた増援部隊の規模は、北方軍集団が一番規模が小さい。
(本来ならばこのヴァーディア程度、簡単に突破できていたものを…)
自分の思う様に動かない状況に、彼は心中で吐き捨てる。
当初のプランとしては、数を増した軍でこのヴァーディアを踏み潰し、更に戦線の奥へと切り込むはずだった。
だが状況はそういかず、兵力が予定より不足した為、この地の攻略にかなりの時間を要してしまった。
それ故、彼は憂さ晴らしとばかりに前線に現れ、狩と称して敵兵を嬲っていたのだ。
(まぁいいでしょう。ここを潰されたとなれば、あの小娘も前に出て来るでしょうから)
彼は心中で呟くと、触手を突き刺したままのクレアへと視線を向ける。
今はこの獲物をたっぷりと嬲るとしよう…妹に比べて彼女は頑丈そうだし、多少手荒に扱っても問題ないだろう。
突き上げられていたクレアの股間に、もう一本触手が伸ばされる。
それは、先程までフェティスを犯していた、先端に無数の突起を有した触手だ。
精液と血に塗れた触手が、クレアのもう一つの穴へと向かう。
「妹さんがリタイアしちゃいましたし、貴方がこっちも引き受けてくださいね」
ニッコリと笑って、アーディッツが指を鳴らした。
「んぎぃっ!!」
触手がアナルに突き刺さり、ゆっくりと押し込まれていく。
無数の突起が壁を擦りながら、触手は突き進む。
両穴に太い触手が挿入された事によって、間の肉は磨り潰されんばかりに両側から圧迫されている。
悲鳴を上げたクレアの目は大きく見開かれ、体がビクビクと痙攣を起こす。
ゴリゴリと腸壁が擦られ、傷ついた場所からは出血が起きる。
「がぐぅっ!ぐぎぃっ!!ぐああっ!」
前後の穴を交互に突き上げられ、体を揺さぶられるクレア。
苦悶の叫びを上げている彼女の顔に向けて、無数の触手が集まっていく。
「があああぁぁっ!!」
膣内で激しく触手を動かされ、クレアが苦痛に顔を歪め叫びを上げる。
その瞬間を狙っていた様に、大きく開かれていたクレアの口に向けて、触手が殺到した。
「がぼっ!?」
口内に飛び込んできた触手に、彼女は大きく目を見開く。
慌てて口を閉じようとするが、既に遅い。
競い合う様に、次々とクレアの口内に触手が入り込んでくる。
クレアの顎は外れんばかりに大きく開けられ、口内には最終的に7本の触手が入り込んだ。
「お口が寂しそうでしたので、サービスさせて頂きました」
二穴と口を触手で埋め尽くされたクレアを見上げ、アーディッツが笑う。
彼の言葉を合図に、触手が次々と動き始めた。
ピストン運動を二穴の触手が再開し、口内の触手も喉の奥へと突き進む。
合計18本にも及ぶ、大小様々の触手。
それらがクレアの体を、内側から破壊せんばかりに責め続ける。
二穴の触手は、傷つけた壁から流れ出る血で紅く彩られていた。
「ごぶっ…がほぅぅっ…」
触手に翻弄されるクレアの悲鳴が、徐々に小さく弱々しいものに変化している。
度重なる責めに、彼女は限界に近づきつつあった。
だが体以上に、彼女は精神的な消耗が激しい。
何よりも大切な妹を、目の前で嬲られ、それを止める事すらできない自分…
彼女の心は無力感と絶望によって、押し潰されそうになっている。
涙を止め処なく零し続ける、虚ろな瞳をしたクレア。
そんな彼女を見上げ、アーディッツは心底嬉しそうな表情をしていた。
「あぁ、素敵な表情です。無力な己への絶望…そんな思いに染まった貴方の魔力は、さぞ美味しい事でしょう」
狂気に満ちたものへと表情を変化させ、彼は眼鏡の位置を指で直す。
クレアの子宮内にまで進入していた触手が、ブルブルと震えだす。
その直後、触手達は次々と射精を開始した。
「んぼおおぉぉぉっ!」
クレアが身を仰け反らして、悲鳴を上げる。
子宮内の10本の触手が、次々と射精を開始し、子宮を埋め尽くさんと精液を放っていく。
一本一本の量は大した事は無いものの、数が数だけに、クレアの子宮が満たされるまで、さほど時間はかからない。
子宮が精液で満たされ、クレアの下腹部がポッコリと膨れる。
ビクビクと痙攣を起こしている彼女。
だが触手達は、彼女を更に責め立て始めた。
膣内に挿入されていた、触手の内の3本が引き抜かれる。
そうして少し余裕が出来ると、子宮内の触手が激しく動き出す。
子宮壁を力任せに叩いたり、子宮を満たす精液を攪拌する様に蠢く。
「んぐっ…げほぉっ!…やべ…やべでぐでっ…」
やめてくれ…クレアはそう叫びたかったが、口の大半を触手に占領された状態だ。
満足に言葉にする事も出来ず、触手の暴虐に晒され続けた。
「閣下」
背後からかけられた言葉に、アーディッツはそちらの方へ視線を向ける。
そこに立っていたのが、自分の副官を勤める魔族であるのを確認すると、再びクレアの方へと視線を戻す。
「都市の制圧が完了いたしました。我が軍の損害は軽微です」
「ご苦労様です。この女で遊び終わったら、私も本営へ戻ります」
アーディッツと同じ黒い軍服に身を包む若い魔人族の男。
彼と言葉を交わしながら、アーディッツは触手を動かすのを止めない。
「了解しました…それと、各軍の情報が入りました。南方軍集団が敵前線を突破し、ヴェンディス平原へと進軍中です。
現在これの迎撃に、エルメリア南部方面軍の主力が動いている模様…中央軍集団は、ガナンの攻略へ向けて準備を行っているとの事でした」
南方軍集団…その名称を聞いて、アーディッツは忌々しげに顔を顰めた。
こちらも遅れを取る訳にはいかない…彼は即座に次の手を考え始める。
「…グラーズが居る軍を前進させて、こちら側も敵に揺さぶりをかけなさい。上手くすれば、『巫女』を釣り上げれるかもしれません」
「はっ、ただちに準備を開始させます」
副官は一礼し、指示を伝達する為にその場を去っていく。
アーディッツは少し名残惜しそうに、眼前のクレアを見上げる。
本来ならばもっともっと…そう、この女が壊れるギリギリまで楽しみたかったが、それほど悠長に行為を楽しんでいる暇はなさそうだ。
せめて派手にやるとしよう…彼はそう考え、触手を一層激しく動かす。
「ごぶっ…んっ…うぐぅっ…!」
上下から激しく揺さぶられ、クレアが途切れ途切れに声を漏らす。
少し膨らんだ下腹部は、時折ボコリボコリと歪に膨れる。
子宮内で暴れまわる触手が、壁を押し広げようと圧迫を繰り返しているのだ。
ピストン運動を繰り返していた触手達が、次々と小刻みに震え始める。
次の瞬間、触手達が射精を開始した。
まずアナルに刺さった触手が、消化器官に向けて鉄砲水の様に精液を吐き出す。
続けて子宮内で暴れていた触手達が射精を開始する。
「ぶごおおおぉぉぉぉっ!!」
次々と始まる射精、クレアは目を見開き、大きく身を仰け反らす。
先に一度射精を行われ、精液で半ば満たされていた子宮。
そこにまた精液を注ぎ込まれ、見る間にクレアの下腹部が大きく膨れ上がる。
止めとばかりに、食道を突いていた触手も射精を始めた。
「ぐげっ!あぶううぅぅぅ!」
膨大な量の精液が、上下からクレアの消化器官を満たしていく。
消化器官も精液で埋め尽くされ、更にクレアの腹部が膨れ上がった。
それでも射精は止まらない…むしろ、勢いが強くなっている。
下の二穴からは触手と壁の隙間を伝って、ドロドロと精液が漏れ出て行く。
「おげえええええぇぇぇぇぇっ!!!」
入りきらなくなった精液が、噴水の様に口から吹き出た。
それに巻き込まれて、口内に侵入していた触手が次々と飛び出ていく。
噴出した精液でクレアの体が汚され、二穴から漏れ出た精液が真下に大きな水溜りが出来上がったところで、ようやく射精が止まる。
破裂させんばかりに腹を膨らませたクレアは、白目を剥いてピクリとも動かない。
殺してしまっただろうかとアーディッツは考えたが、まだ息はあり気絶してるだけの様だ。
彼が片手を振ると、二穴に挿入されていた触手が引き抜かれていく。
栓をしていた触手が抜けると、血が混じった精液が膣口から流れ出てきた。
「さすがにこの有様じゃ処置も大変でしょうから、少し絞っておきましょうか」
アナルに挿入していた触手を引き抜いた後、アーディッツは笑いながら言う。
彼の意思に従い、大きく膨らんだクレアの腹部に触手を絡みついた。
ギリギリと触手が締め上げると、彼女がビクリと痙攣を起こす。
そしてアナルからは、排泄物の混じった大量の精液が出てきた。
びゅるびゅると音を立てて流れていた精液の勢いが弱まり、クレアの腹部が大分小さくなる。
もう興味は無いとでもいう様に、アーディッツは気絶した彼女を、遠巻きに見ていたを呼びつけ引き渡す。
だがその直後何かを思いついたらしく、部下を呼び止める。
「ああ、その娘を運ぶ際は、捕虜達によく見えるようにして連れて行ってくださいね。反抗心を効果的に挫く事が出来るでしょう」
『ヘヘッ、了解です』
ニッコリと笑いながら放たれた命令に、クレアを運ぼうとしていたガーゴイルの様な魔族は笑って頷く。
すぐさまローパーが呼びつけられ、クレアの体に触手を絡みつかせる。
まるで十字架に張り付けた様な体勢にすると、ローパーは彼女を頭上に掲げ、ゆっくりと移動を開始した。
この城塞都市ヴァーディアの守りの要の一人として数えられ、『戦乙女』の二つ名で呼ばれた彼女…
そんな彼女が、ボロボロに傷つけられ全身を白濁に汚されて、見るに耐えない姿となっている。
アーディッツの目論見どおり、その無残な姿は生き残った者達の希望を打ち砕くことになるだろう。
「さて…ここまで派手に、この都市で暴れまわってやったんです。必ずあの小娘は動くはず…」
アーディッツは眼鏡の位置を指で直し、呟くように漏らす。
この城塞都市ヴァーディアは、エルメリア軍北部方面の守りの要だ。
ここを抜ければ、この先は比較的防備の脆い都市が多い。
必ず、北部方面を統括する『円卓』…忌々しい『輝竜の巫女』がこちらの進軍を阻止する為に出張ってくるはずだ。
先鋒を務めさせる腹心の一人グラーズ…奴ならば、あの小娘を仕留めれるだろう。
奴はこの北方軍集団でも、最上位に属する力を誇る魔族だ。
グラーズにはやり過ぎない様に、命令をしておかねばならない…
奴がはしゃぎ過ぎると、自分が楽しむ余地が無いかもしれないからだ。
「あの美しい顔を苦痛や恐怖、絶望で彩ることが出来たら…さぞ楽しいでしょうねぇ」
アーディッツは堪えきれない様に小さく肩を震わせ、凄絶な笑みを浮かべた。
――所変わって、エルメリア南部に位置するヴェンディス平原――
一面に広がる大平原に、二つの軍勢が集結している。
片方は無数の魔族や機獣で構成された軍隊…魔族エルメリア攻略軍、南方軍集団だ。
そしてもう片方の軍勢は、騎士や魔法使い達が中心となった軍隊である。
魔族側の陣容の中心に位置する小高い丘に、複数の軍服姿の魔族達が集まっていた。
「随分動きが早いな…もう少し進めると思ったんだが」
側に立つ機獣が映し出す映像を眺めながら、南方軍集団主将リグヴェードは呟くように言う。
映し出された映像は、人間達の軍勢…エルメリア南部方面軍を映し出している。
魔族側は上空に、無数の偵察用小型機獣を飛ばし、敵の陣容を正確に掴もうとしていた。
「そう上手くはいかないでしょう。連中も必死です」
傍らに控える幕僚の一人が、資料を片手にリグヴェードに言う。
リグヴェードは手にしていたスキットルの蓋を開け、中身の酒を飲み始める。
その様子を見て、幕僚達の一部が顔を顰めた。
「…将軍、作戦前に深酒はやめて下さいね」
「バカヤロー、酒が怖くて戦が出来るか」
幕僚の苦言をそう言って流し、彼は酒を飲み続ける。
リグヴェード達南方軍集団は、多くの増援を得た事で勢いづき、これまでの守勢から一転、激しい攻勢を開始していた。
その猛攻によって、前線の軍事基地を制圧されたエルメリア側は大いに焦る。
更に進軍を続ける南方軍集団を止める為に、このヴェンディスに大部隊を派遣してきた。
「指揮官は『蒼の舞踏姫』エスティルの様です…映像が着ました」
別の幕僚の言葉に、リグヴェードは新たに映し出された映像に目をやる。
映し出された映像は敵軍の本陣の様子で、そこには腰まで届く、長い水色の髪の少女が立っていた。
年の頃は15歳くらいか…蒼色を基調とした、動きやすそうなコスチュームに身を包んでいる。
スカートは髪と同じ色のミニスカートを履き、上着は所々にフリルが着いているドレスの様な服を纏っていた。
手は肘の辺りまで覆う白手袋を身に付け、足も同じく白いブーツを履いている。
彼女の手には、青い宝石と装飾の付いた細身の剣が握られていた。
彼女は『円卓』の一人…『蒼の舞踏姫』の二つ名を持つ、高い魔力を有する魔法少女だ。
そのすぐ側には、小さな妖精が一人飛んでいる。
「遠目ですから分かりませんが、恐らく妖精族の長の娘ルミアでしょうな」
「相変わらずなかの良いこった。あいつらのコンビネーションなかなか侮れねぇ」
幕僚と言葉を交わし、リグヴェードは苦笑を浮かべた。
エスティルとは1度戦場で戦った事があるが、その時は横槍が入り決着は付かなかった。
「前回はイイ所で邪魔が入ったが…今度は仕留めてやるよ」
ニヤリと獰猛な笑みを刻んだリグヴェードは、またスキットルを傾ける。
「…ちっ、酒がきれちまった」
スキットルの中身が殆ど無い事に気付き、不機嫌そうに漏らす。
「そのウォッカ、将軍がガブガブ飲むからもう在庫ありませんよ」
「あー…くそっ、本部に要請する補充物資のリストに入れとけ。今度は倍の数でな」
空になったスキットルを、近くの幕僚に放って渡す。
「先鋒に進軍を開始させろ…それと、ピセルヴァの航空兵団にいつでも動けるよう準備をさせとけ」
「了解しました!」
将の命令に幕僚は周囲に散らばっていく。
程なくして、魔族軍の一部が敵軍に向けて進撃を開始した。
「さぁて…正義の味方気取りのお嬢ちゃんに、戦争屋の戦い方ってやつを教えてやろうじゃねぇか」
こちらの動きを察知し、行動を開始した敵軍…その中心に立つ少女を見て、リグヴェードはニヤリと口の端を吊り上げた。
前進を続ける両軍…戦いの火蓋は、まもなく落とされようとしていた。
22 :
マユの人:2011/04/02(土) 20:15:59.17 ID:bW5IS+ID
以上で投下を終了します。
エルメリア編第一回、トップバッターは陰険眼鏡ことアーディッツです。
将軍勢の残る二人と、ルフィリアについてもそれぞれ順番にスポットを当てていきます。
それでは、次回の投下にお会いしましょう。
素晴らしいぜ!GJ!
投下乙
ルミアの相棒が前作と少し違うと思ったら、前作のロリ巨乳エリシアは戦死した姉の後を継いだんだったか
つまり・・・
>>22 乙でした!
妹想いのクレアの心を踏みにじりまくる眼鏡さん、マジ鬼畜。
鬼畜眼鏡さんがイレーヌの姐さんと同じドSだったから、リグもローエルみたいな武人系だと思ったら、ちょっと毛色が違うのね…
どんなえげつない手を使うのやら
戦乙女って肩書そのものが凌辱フラグだよ!
ってか異界側の戦況は敵が優秀すぎてホンマ話にならんw
・高い知性を持った異世界の住人
・一応、片言ではあるが喋れるモンスター
・繁殖行為以外の何もない、意思疎通不能の化物
大分してこんな感じか。マユの敵は一番上だな。
むしろ魔法少女を気分次第で好き勝手に事象を歪める悪な存在として
魔法少女相手に男が戦っていく話はどうだろう?たまに魔法少女の悪戯で
女の子にされて嬲られたり、数人分の快感をぶつけてきたりのエロいことをされたりしたりする
>>30 魔法少女陵辱スレとしては間違ってはいないし問題ないな。
魔法少女(が)陵辱だけど
>>29 触手があんまペラペラ喋ったらちょっと萎えるけど、マユの社長さんみたいな敵の親玉は、冷静かつ雄弁に語れるカリスマがいいよな。
後は言葉攻めや人質みたいなシチュ。フェチっぽい犯し方なんかも喋れないと成立し難い。
>フェチ
フハハハ!さあ魔法少女たちよ!
人質の命が惜しくば、今すぐ全員スクール水着と黒ニーソックスになるのだー!
>>30 向こうは魔法とかで何でもありな分、主人公側が魔法を使わない分対策ってかなり狭いだろうな。
耐性とか経験をつけていって対抗する感じ?
>>34 一度目で負けても生きてる限り、二度目の戦いでは絶対負けない、みたいなタイプか
何処ぞの漫画の不良狩りなキャラみたいだな
>>30 魔法少女というより、そりゃ文字通り魔女じゃねえかw(今流行りのまどか的な意味でなくね)
でも、男側が勝手に魔法少女をそういう存在だと思っているだけで、実は彼女らはちゃんと世のために
別の何かと戦っているという設定なら美味しい
こっちの魔法少女もいいが、前の魔法少女を陵辱するニョロ
魔法少女なんてオナホとしか見てなかったが、とんだ井の中の蛙だったぜ
こないだ行った星は、下位の魔法少女でも、こちらの将軍級とタイマン張れるぜ
たった一人に俺以外の隊員が一瞬で消し飛ばされて、おもわずもらしちまった
ベソかきながら、必死で逃げ惑うなんて無様をさらしたのなんて、初めてだったぜ
だから、おまえさんらも事前に調べて、身の丈に合った魔法少女を相手した方が良いぜ
お前らそういう雑談は前スレでやって、きっちり埋めてくれなきゃ駄目っしょ
追いついたー!
エルメリア勢のガチ負けぶりはもはや様式美ww
俺は逆にブランクあるせいで、リメイク前の終盤がどうなってたか知らない>マユ
保管庫も跡地のみなんだけど、どっかで読める?
>>41 internet achi
ん、こんな時間に誰だ
あとでまた教えるぜ
考えたらこういうのはしたり顔で言うものじゃなかったな
正直すまんかった
なんでいきなり賢者に?
それは何も悪くないだろ
魔法少女を狙って精神陵辱するのを生きがいにしている敵役。
自分で悪役と自称して、悪役な自分が大好きだから行動に迷いがなくてぶっ飛んでる感じ
恋人の男と親友な魔法少女の片方を助けるためにもう片方を死なすかを迫ったり
魔法少女の疑心暗鬼を誘うようなトラップや物言いとかしちゃうような
>>45 所謂非人型な敵役にそういうのってなかなかいないよな
アレだな?演じた俳優がその年の賞総ナメして死ぬ奴だな?
ガチムチのラバースーツ着た蝙蝠の魔法少女に殴り飛ばされるからお止しなさい
映画レオンのスタンなんとかさんの様な、いい感じにイってる悪役なのここの作品でいるっけ?
結構、魔族も理性的で紳士的なの多い気がする
魔王軍と膠着状態の魔法少女側の女王と魔王が勝敗を決する為に
女王の親衛隊と魔王軍の捕虜になった魔法少女を駒にしたギブアップ無しのゲームで勝負をする事になり
女王は想像以上に苦戦し、駒を取られる度に親衛隊員は陵辱され、女王は親衛隊長の貞操を守る為に勝機を失い、
盤の隅で成金ならぬ堕天した元親衛隊、元魔法少女の悪魔に囲まれ完全に積み
魔王が無意味な駒を動かし続けたためたっぷりと言葉責めされた後に敗北し悪魔に陵辱される。
そんな脳内ストーリー
>45
目の前で無関係なクラスメートを次々陵辱して妊娠させ、お次は親友や家族を触手責めで廃人にし、仕舞には魔法少女の正体を全国にバラす。
外堀を重機で埋め尽くす鬼畜攻撃に、どんどん精神を削られていくヒロイン、みたいな。
なんでもっと早く娘を助けてくれなかったんだ!
あなたが余計な事するから、あいつらが襲ってくるんでしょ!
私達が怪物の子供産まされたら、あんたの所為なんだからね!
みたな台詞を護ろうとしてた一般ピーポーから浴びせられる魔法少女も(*´д`*)
絶望の中で闇に堕ちて魔女になってしまう…
周りのみんなから「ちょっとだけ魔力をもらって」魔法を使う、魔法世界から来た魔法少女。
実は魔力に満ちた魔法世界基準の「ちょっとだけ」は地球人にとって死亡レベルだった。
だが、魔法世界では羽虫も死なない程度の吸収量なので(地球にとっては「あなたの腕時計から出てる電波で人が死ぬんですけど」と言われたような感じ)、
魔法少女たちは周りでばたばた人が死んでいくのは魔物による呪殺だと思っている。
変身するだけで魔力吸収圏(1km)内を不毛の砂漠にしてしまう魔法少女に、人類は銃を持って対応するしかなかった。
魔法少女のコスチュームはライフル弾すら無力化するが、科学の代わりに魔法が発展した魔法世界の住人には、化学物質に対する耐性がゼロだった。
魔力吸収圏の外である1km以上の距離から、魔法少女の反応できない超音速麻酔弾を打ち込む「対魔法少女狙撃部隊」が結成される。
人類の生き残りをかけた戦いが今始まる……
ちなみにそのころ魔物はすっかりオタク文化にはまって、「悪事を働いたら負けだと思ってる」とか言っていた。
>>30を見てこんな妄想が浮かんでしまった。
もっと膨らませてさ。
街は完全に敵の占領下で、女の子が触手でネチョられてても市民の大半は見て見ぬ振り。
数名の魔法少女とその友人だけがレジスタンスとして戦い続ける。
みたいなのも。
というか、とっくの昔に魔物と地球人類はファーストコンタクトした上、
友好条約とか結んで、軍事、政治、商業、貿易、エトセトラで共存し、
手をとりあって発展させながら暮らしている世界なんだよ。
で、そうとは知らずに「魔族の手から異世界を守るの!」って思考で、
>>54の魔法少女が無意識のうちに「侵略」を仕掛けてくる。
当然、街中では魔族と人類が一緒に仲良く生活しているから、
彼女たちからの視点では「この星はもう魔族に支配されている!」って状況で、
正体を隠して潜伏しながら、テロ行為的に「変身」と「魔物退治」してるという。
まあ、そんな犯罪者がボコボコにされて触手でグチョグチョにされても、
市民の大半にとってはザマァwwwな状況でしかないために傍観。
「だまされないで!正しい心を取り戻して!」とか折れない心で抵抗しつつ、
今日も今日とて魔法少女は陵辱されてしまうのでした、と。
もっとだ、もっと!
早く誰か妄想をSSとして実らせてくれ!このスレはそんな君たちを待ってるぞ!
雑談くらい前スレでしろよ
>>55 ディケイドのアマゾンの世界みたいな感じか
モンスターにレイプされても被害届は受理されず
緊急避妊も堕胎も認められない世界・・・エグいな
触手に妊娠させられ、もう出産間近になってしまったクラスメートから
あなた魔法少女なんでしょ!?なんとかしてよ!
みたいに半狂乱で詰め寄られたりな。
彼女は幼少期から類い希な魔力を持ち、「全力で暴れたい」と言う欲望を抑え容易く壊せる日常と平和を謳歌していた。
異世界からの侵略はそんな彼女の中の抑圧されていた獣を解き放ち、大義名分を得て異世界に破壊と殺戮を撒き散らし異世界を地獄に変えた。
地獄がただの平地になり壊す物が無くなると自ら現世に魔物を放ち、現世では魔法少女を育成して潰し合わせ、育ったそれを魔法少女or魔王として壊すようになり
彼女に救われ本当の家族以上に慕う魔法少女と魔王に絶対の忠誠を誓う魔族のラストバトルにネタバラしをしながら壊しに来るそんなお話。
お、楽しみにしてる
言ってやるなよw
いつもの奴なんだからさ
>>62 小学生の「〜ました。」作文でも台本でも妄想と理想語るだけよりはマシだ
俺は書いて直ぐにゴミ箱送りにして金魚になる道を選んだけどな!
>>65 俺は書き続けてるぜ
ただ、自己添削しすぎて歩みが遅過ぎるだけだ!
ある日、魔法が存在する異世界の王国が滅びかかっていた。
その理由は唐突にその世界に侵攻してきた「妖怪」や「呪術師」と呼ばれる妖怪と人間。
事を重くみた王国は、その侵攻元である「現代の世界」に魔法を使える者を多数送り込む。
その者たちは時には国に協力し、時には追手に追われていく。
そんな中で、神社に双子の巫女の少女が怪我をしている猫を拾う。
だが、その猫の治療をおこなうときに彼女たちが手に入れる「魔法」の力を授かってしまう。
それは物語の始まりだった。
「妖怪」たちと戦う羽目になる魔法少女の巫女さん物語の。
とかいう妄想したが、需要がないし巫女ものか魔法少女ものかが区別つかないからやめた。
需要があって、巫女スレ(今はないか)や魔法少女スレで求められても書かないくせに
>>68 なら、文才ない頭を振りしぼって書いてやろうじゃねーか
そして、その言葉を後悔させてやる
どうでもいいけど、そんなに今の状況が嫌なら自分で書いて投下すりゃいいのに・・・。
やたら他愛もない妄想や雑談に噛み付いているのって、その暇あるなら出来るはずなんだろ?
保管庫復活してくれー
長文妄想語る奴は投下直後でも平気で書き込みしてくるのに、その流れが嫌ならお前も作品投下しろとか意味わからんわ
嫌雑談・妄想派な人ってまだいたのか
今まで何回文句付けては、言い返されてたネタだぞ
そもそも掲示板的にも
>>1の注意的にも
何か問題行動に当たるのか、雑談や妄想って?
今までの見ててもちゃんと間はそれなりに取られて
妄想とか書き込まれてたと思うけど?
そりゃルールには反してないけどさ。
妄想で色々やられると現在進行形で書いてたネタとかぶったりすると
それだけで嫌になって没にしたりするんだよ。
どう考えても投下のチャンスを潰してるだけなんだよね。
>>76 それなら別の話題を振ろう
外部の企画やサイトでいいオリジナル魔法少女ある?
前にも出てたけど「pixiv魔法少女」かな。
それは俺も知りたい
描いては消しを繰り返すのはもう嫌だ
>>76 >どう考えても投下のチャンスを潰してるだけなんだよね。
執筆意欲の無さをスレでの雑談のせいにしちゃうとか・・・。
そもそも奇抜なアイデアなんざそうそう出てる訳でもないし
王道的なネタ、何処かで既出してるネタの応酬になってる雑談や妄想に
「投下のチャンスが潰されてる」とか、言ってて虚しくならない?
設定考えるのが好きな人はTRPGができるくらいまで練り込んでくれ
その練り込んだカルドセプトを職人がストームブリングワールドにするから
商業誌の漫画家の絵の進化を見守る視線で見守って待つ
>>76 商業作品でもここ数百年位どっかで見たアイデア、ネタ、展開だから気にする事あるまい
同じようなアイデア、ネタ、展開でも書く人が違うと結構印象違うしね
それは神話の時代から実証されてるもの、被りとか気にしなくておk
84 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 09:12:29.31 ID:f+jQ1uEk
>>83 起:颯爽と登場
昇:バトル
転:エロピンチ
結:オチ
数ページの短編の黄金パターンだな
希に1コマの起の次が転が来てエロ的な昇と堕ちで終わるケースもあるけど
せつこそれ昇やない!承や!
起:苦痛責め
承:快楽責め
転:肉体改造
結:MC・悪堕ち
………なんか違うな
>>85 休日は起床転結布団サイコーな俺を予測変換までもが!
魔法少女に変身するためのデバイス的な物が紛争地帯にライフルの代わりに密売・横流しされて
主力になりつつある世界。
日本製・欧米製は基本性能はいいが高級で
中国製・東欧のモンキーモデルは安いけど性能がその値に見合う間に合わせぶり
おまいさんはぼちぼち黙った方がいい
>>89 黙る必要性は全く感じない。
と言うより、起承転結大喜利みたいなの延々続けろとか言われても困るし。
>>88 そういう設定のSSを書いてるから期待してろってこと?
それとも誰か書いてくれって催促?
おもしろいか議論しようっていう提案?
誰かの投下があるまでの間、人の妄想を種に自家発電してればいいんじゃないかなぁ
うおォン
投下マダー?
とりあえず過去作見れるようにしてくれ
過去ログもってないからwikiすら編集できないしなぁ。持ってる人でお手すきの人がいたらよかったらしてくれ
>>1のテンプレにちゃんと全スレのアドレスが書いていてくれるんだから
過去ログ検索なんて簡単じゃん。
作品ごとにまとめてくれる保管庫はありがたいが、そうじゃなくても過去ログは見れるんだから。
書き手としちゃ保管庫あった方がモチベ上がるけどなー...
ここ保管庫がないから投下してる俺みたいなのもいるわけなんだが……
誤字脱字表現等修正入れまくるから古いまま残しておきたくないんだよ
ここの保管庫が休止したのは割りと最近のことなんだが、それ以降に投稿され始めた新作って、どれほどあったか
一体どの作品の作者さんなんだろうねえ・・・
旧シャアの某スレのテンプレに使用されたレスの誤字とか
スレ荒れた勢いで投下したド下手SSとか
後々になって酷く恥ずかしくなって削除してほしくなるお!
設定集的なのを投下してくれる作者さんってここだとレアかな?
プロット的なのを読むのがそう嫌いじゃない俺としては
ちとそういうのあったら嬉しい気もする
過去ログ見てみなよ
設定だけは投下しまくられてるから
>>102 君さ、今自作自演がバレたよ?
変身ヒロインとラブラブなSSスレでいつもの長文妄想投下したみたいだけどID一緒じゃん
最近叩かれてるからってこれはないんじゃない?
>>104 自作自演?あのー別スレの話ですよね?
別スレで自作自演も何もないんじゃないすかね?
俺の知る限り、自作自演てこういう状況で使う言葉でしたっけ?
そもそも何を自作自演してたんすかね?
日本語でおねげぇしますだ・・・
自治厨じみた思考とストーカーじみてる粘着行動が気持ち悪いぞ、JK
設定だけ書くやつがうるさいって話で盛り上がってる最中に、一人反対意見を言ったから勘違いされたんじゃないの?
タイミングが悪かっただけ。そんなに怒り狂わなくてもいいと思う
この流れを魔法少女にすると
まどろっこしいからとにかく陵辱して大人しくさせる
普段は振ってきた話題に反応してもなんのレスポンスもしねぇ癖に
こういうときばっかり反応すんだな
>>106 盛り上がってたっけ?少なくとも丸一日設定がどうたら何て言うレス見えないぞ?
このスレ見てて、設定あげる人と書けよっていう人多かったから盛り上がってたと表現した
丸一日設定がどうたらなったわけじゃないよ。期待させたならゴメンね
>>109 と言うより、雑談や妄想に噛みついてる奴って基本投稿には反応薄くて
かと言えば、間を埋めるネタ振りすらしないし、出来ないのばっかだろ
変に保守だけしてるスレの方が雰囲気的に投下し辛くね?
と過去に見た落ちているスレがそういう保守が多かった例の俺が言ってみる
後、どうか
>>103の逆鱗に触れませんように
妄想自体はいいと思うけど、
他の作者が投下した直後でも構わずやるのがいけない
ひどいと
SS→乙→妄想→感想→妄想
みたいになっててうわあ…ってなるんだよ
テンプレに投下10米の間雑談禁止、展開予想禁止、投下宣言厳守入れた所だと逆に荒んだな
あんまりルールで締め付けすぎるとプチ禁酒法みたいになるからねー
妄想設定文書いてる人たちが、SS作品に対する遠慮なり自重なり覚えて
空気読みながらやればいいんだけど、
>>113がいうようなこと、平気でするからなあ・・・
たとえば、何日か前の前スレの埋めで「苦痛系と快楽系のどっちがいい?」って話題があって多少レスもついていた(俺もつけた)
あの話題自体、何べんもループしている上に、答えを出すような話題でもないので、もし今こででやったら顰蹙買う以外の何物でもない
だけど、埋めネタとしてはちょうど良かったし、そういう意味で空気を読んだ話題振りだったよね
別に埋めのとき限定にしろとは言わんけど、設定文だけ流す人も、そういうタイミングとか空気とか読んだほうがいいと思う
あと、こう言っちゃなんだけど、設定文たれ流しでも、面白い人とつまんない人いるんだよね
でも、SSなら、どこがどう悪く感じたかって感想も書けるけど、設定文だけだと「ぶっちゃけつまらん」としか言いようがないので
もう、どうしようもない。実のところ、設定文にイラついている人の大半が、この「つまらない場合の感想が言えない」ってのが原因じゃないか?
別にどうでもいいんだけどさ。
設定だけあげてなにがおもしろいの?
誰かがSSにしてくれるかもしれないから?
自分がSSを書くのは、考えたアイデアを誰かがえろいといってくれて
おかずに使ってくれるのが嬉しいからだけどさ。
どっかで見たアイデア、ネタ、展開の設定とあらすじだけを書くのは
何が楽しいの?
ってか振るだけ振って雑談にぜんぜん乗ってこないで、そのネタの雑談してたら再び長文妄想で
流れぶった切りとか、こっちはどうしたらいいのよ?
ほんとスレを日記帳にされてるだけじゃん
>「つまらない場合の感想が言えない」ってのが原因じゃないか?
と言うより、100%言う気がないだろ?
もう作者が一人撤退してるという
>>118 まあ、言いたい事は分かるが、ある程度は割り切ってる
人と全く意思疎通が図れない人間だって入って来れるし、そーゆーのに有効な対策ってのも無い
誰でも書き込める以上はねぇ・・・
んならこの話題もボチボチ流そうぜ〜
いい加減、肩が凝ってきた
>>19 は? たとえば、変身ヒロインとラブラブスレの535みたいのが、つまんなくてしょうがないんだけど
SSじゃないから、感想としてどこが悪いという表現ができない
「つまらない」としか言いようがないので、とても言いづらいってことだよ
遠慮せずに言ってる人は、叩き扱いされるしね
誰か便器の中に潜む淫獣に襲われる魔法少女を書いてくれ!
いや書いて下さい。
端から見て、こんなに短時間にレス出来るんなら今までレスしてやりゃ良かったのに。
はっきり言って長時間、下手すれば丸一日、レスしなかった人の中には確実に雑談妄想反対な人混じってるだろ
それで「妄想や雑談が邪魔してる」とか言われても、そもそもそんな熱心に
意見交換してた人って見えなかったから心に響かないんだよな。
後、長文妄想について、やたら叩いてるけど、他の雑談の言及についてはピタリと止まるのは何で?
どう考えても為にも役にも立たないし、そもそも立たせる気のないの過去に沢山あるぜ?
ぶっちゃけ今のスレの起承転結とか参考になるの?参考にするって言った人いたの?
投下直後に妄想や雑談入れられて、と言うのもよく見てみたら結構間は置いてるの多いよ?
そもそも間を置け、と言う人って何を以てして、間を計ってるのさ?
まさか10レスは置けみたいなレス数で数えてるわけ?
それだったら「自分の好みじゃなかったり肌に合わなかったらスルー」
で返答の形を推奨してるこのスレ向きじゃないんじゃない?
面白ければ雑談や妄想しててもレスは返してくるんだし
(少なくとも前スレでも何件か見られた)
雑談程度に話題が逸れてしまうと言うのは、つまりはそう評価されてるって事だろ?
大体、こういうのにイライラしてる人って、意見交換ちゃんとしてたの見かけなかったな。
「リィンを〜」とか言ってたのが意見交換だったのなら謝るけど。
いきなりの長文スマソ
読みづらい
三字で
>>126 半分くらいしか読んでないけどさ。
>>118とかちゃんと見ろ
長文妄想設定垂れ流してる奴の中に、その長文設定にレスがついてるのに何の反応もしないでスルーする奴がいるだろ
ここが掲示板だってこと忘れて、他人とコミュニケーションを取る気すらなく、本当にただ書きなぐって垂れ流しているだけって奴
それが叩かれてるんだよ。多分、君だと思うけど
めんどくせえから、長文妄想するひと(たぶん1人か2人だろうけど)「長文妄想の人」とかわかりやすいコテ入れてくれませんか?
そうすれば気に食わない人は皆NGに突っ込むでしょうから、お互い不干渉で平和になるんじゃないんですかね?
正直、作品投下した次の日とか出先でスレ確認した時に2.3感想くれた人達の後に妄想レスでその流れが止まると残念な気持ちになる
だからって妄想じゃなくて俺の作品に感想くれよなんて我儘言えるわけも無し。スルーされないような作品かけってのも正しいんだろうけどさ
あの作品書いてる人って性格悪いなあとか思われたくはないし積極的な妄想批判はそうそうできないよ
もうちょっと頑張って、
>>126を読んだけど、リィン云々の話題とか、それこそレスのやり取りが何回も行われて
立派にコミュニケーションとして成立してたろ
長文妄想設定の人は他人がコミュニケーション取ろうとしても、それをスルーしてただ自分の次の駄文を垂れ流すことしか頭にない
だから叩かれるし、嫌がられる
そんな事より尿道ほじられる魔法少女の話しようず
茨触手とかか? 鬼畜すぎるぜ!
>>128 前スレとか見てみたけど、とてもじゃないけど雑談妄想に返答しているレスって
基本的に次に繋げて拡げていく、という気ないよね?
「〜ですね。分かります」やら「〜とかだったりしてな」みたいな自分側で打ち切ってるのがほとんどで
どう見ても、パスしかえしてないのしか見えなかったんだけど?
そんな打ち止め方してる相手にどう切り返せと?
妄想した側が、打ち止められたネタをわざわざまた再燃させる義理あるのか?
それとも、このスレ的にはあれで雑談が盛り上がってた、と映るのかね?
でも、それはぶっちゃけどうでもいいと思う。「雑」談だし
気が向いたら位でちょうどいいと思うんだ。匿名掲示板の雑談に対するレスなんて
と言うか、最初雑談妄想とかについては、投稿者のモチベーション的に云々で
イライラするからやめろ、だった気がするけど?
今回はレス返してくれなくてコミュニケーション的にイライラするからやめろ、みたいな主張?
レスを返して、妄想した側が構ってあげてたらいい問題だったの?そうじゃないの?
いい加減はっきりしておくれよ。
>>134 簡単に言うと、あんたの妄想「意見交換」は電車の中の池沼のセルフ車掌みたいなもんなんだよ。
電車に乗っている人は「車掌の放送」(投稿されたSS)を聞きたいのに、近くで大声出しているから(それも少しずれている内容)うざいの。
だいたいの他の人は雑談は、電車の中で小声で話すように時と場合をいくらかは考えているの。
反応がなくて失敗したと思ったらその話題は続けないし、臆面もなくまた設定だけを投下したりはしないの。
ちょうど前スレの苦痛快楽の好みや魔法少女の定義のように時と場合にあった食いつきがいい話題なら
電車の中の人(スレの中の人)が乗ってきてスレ中その話題になるものなの。
もう少し、なんで投稿するのか考えてからレスしたら?
>>135 > 電車に乗っている人は「車掌の放送」(投稿されたSS)を聞きたいのに
その割には感想とかはかな〜りスローペースに見えるよね。
一日かけても二、三個程度。しかも良ければのレベル
挙げ句に妄想なくて尚且つ投下された日もあったけど
最初投稿した一、二個レスで止まってまた日が変わって
妄想雑談始まるまで動きなかったのが多かったの見てると
とても作品を待ってて意見交換してる風には見えないよ。
電車に例えてるけどさ、普通の人が一般車両で思い思いに談笑してる時に
鉄オタが「これから車掌の車内放送録音するから静かにしてろ!」
と威嚇してる奴の言い分と変わらないよね、君の俺に対する主張って
と言うより、そのルールに縛ろうとする事が傲慢な姿勢じゃないの?
このスレは何レス後まで開けてから次の話題に移れなんてのは今まで聞いた事ないな。
妄想してる人は色んなの出してるけどスレのタイトルに添ったネタは出してるし
>>1の注意的に何の問題点ないと思うけどな。
むしろ作品に乙してるそちらの言う意見交換してるとやらの人達の脱線が酷い傾向にあると思うけど?
「魔法少女」「陵辱」「和姦」どれにも該当しない「軍事」話で盛り上がってた事あったよね?
上の三要素に絡めてる訳じゃなく確か魔族の軍事考察始めてたけど
あれこそ三要素に関係ない話だよね?雑談だしいいか、と当時は問題にも思わなかったけど
妄想を叩くなら、こういうのも叩いて然るべきだと思うけど別段してない。
でも妄想は真っ先に叩いてくる、とか普通に考えて矛盾してる人間じゃない?主張と行動が。
>>134 そんな他人のレスに穿った決めつけしないでもいいじゃん
そんな長文書いてまで妄想だけ書いていたいのかなあ
ちょっと頑張って一つの作品に仕上げるだけで迷惑がられるどころか乙が貰えて作者も読者も幸せなのに
この長文擁護の人って明らかに本人だよね
内心こんな面倒くさい事考えながら書き込んでたのか…
魔法少女が四大精霊から四つの快楽と能力を与えてもらい精霊王を目指す話。
>>133 茨触手やら色々でw
まぁ、アナルも好きだけどせっかく魔法とかあるし
尿道もしっかり責めたい、アナル側は貫通とか好き
ところで、SSを早く書くコツってあるんだろうか。
1年かけてもまだ全体の3分の1も完成してないorz
>>142 俺は長引くほど時事ネタとか属性詰め込みして余計長引く悪循環になりがち
>>142 俺はとりあえず書く。書いてから直す
いきなり完成系目指さない
後は立ち止まらず一気に仕上げる。長編とかになるとペース配分もあるだろうけど
>>141 スライムを尿道に入れたり出したり楽しいです
動く精液そのものなスライムなら色々できそうだ
精液スライムとか、ありがちなようで、何気に斬新じゃねw
気をつけて!
そのスライムに入られたら妊娠しちゃうわよ!
ティッシュで精液スライムを退治する魔法少女
そいつらは、魔法少女じゃなくて天使だw
スライムって実はかなり強い魔物だよな
物理はほとんど無効な上に殴ったら腕を固めて丸呑みしてきて色によっては〜属性吸収や無限増殖や体の中から百烈拳までするし
>>151 聖天使エリエール、ここに光臨(ブレイクドゥーン)
魔法少女スコッティ
>>154 なんだろ、いいように使われて白濁まみれにされる姿しか思いつかない
>>155 昨日で例えると
*花粉アレルギーの群れが現れた!*
*魔物の群れの攻撃!*
*エリエールはベトベトになり力尽きた。*
*投下絵、投下SSが現れた!*
*魔物達の攻撃!*
*スコッティは4ダメージを受けた。*
*スコッティはなんとか魔物を退けた。*
>>152 TRPGでは昔から難敵だからな。
……強いスライムといえば魔界塔士を即座に思い浮かぶ俺は歳がバレますかそうですか
>>152 仮に物理攻撃で細切れにしたって、死なずに集まって行動再開しそうだもんなぁ。
……自分で言っててターミネーター2思い出した俺も歳がバレますかよ。
そういうこと言ってると、D&D持ち出す奴が出てくるからやめとけw
まあ、スライムが弱いと決め付けてかかる魔法少女が返り討ちに遭うのは、ぜひ見たい展開ではあるな
なんか松尾象山思い出した
遠距離から魔法攻撃→属性の相性が悪くて増殖、合体したスライムのイエローデビル攻撃でポポポーン
近距離で物理攻撃→分割され増殖、武器が腐食して徒手空手で戦うもポポポーン
結界を張り様子を見る→なんと結界の魔力を食い増殖、魔力が切れてポポポーン
攻撃するたびスライム増えるね!
>>161 しかし、魔法少女側の味方になると一転
敵の攻撃で瞬殺されるモブになる
スライム娘「ああ、魔女娘さん。私、こんなところで……ごめんなさい」
魔法少女「スライム娘ーーーーーーー!」
魔王娘「フハハ、所詮はスライム。この魔王に楯突こうとしたのが間違いよ」
おかしい
なんか混ざった
いつのまにか俺のエロフォルダの95%が陵辱、触手、レイプ、死姦、アへになってたぜ・・・
そうな俺のオススメはわるきゅーれってメーカーが出してる魔法少女系の作品かな
えれなの触手イラマが使える。4本入れて喉奥まで射精をちゃんとしてくれるなんてそうそうないからなー
ネタ探しに診断してて面白半分で打った結果が
「魔法少女(ヒロイン)は黄緑色をパーソナルカラーとした竹槍が武器の魔法少女です。」
「魔法少女(相棒)は黒をパーソナルカラーとした竹槍が武器の魔法少女です。」
ちなみにリィンで診断したらマゼンタの竹槍だったから竹槍隊で生きのこってやんよ(;_;)
>>163 そのフォルダみたいw
そしてえれなは確かに良い
>>165 マニアックな武器も沢山あるのに竹槍とは…
とりあえず診断結果からSS書いてよ!
>>168 ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん
鬼太郎の竹人間は未だにトラウマ。いや関係ないけど。投下してもいい…よ、な?
171 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:00:26.79 ID:FAymy8Wj
おしながきはモブと事後と今日のわんこで。
172 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:01:35.07 ID:FAymy8Wj
粉砕天使ナツメ
第四章 〜Aftermath & Visitors〜
朦朧とする意識の中で、遠くから誰かに呼ばれている。
「―――ツメ!しっかり…て、ナツメ!!」
深い深い海の底から、頭上の光だけを頼って、ゆっくりと浮上していくように…。
意識が現実に手繰り寄せられていく。
眩しさを堪えながら、鉛のように重たい目蓋をどうにか持ち上げた。
朧気に揺らぐ視界。あやふやだった輪郭が次第に像を結び、声の主の姿が見えてきた。
硝子細工のような普段の表情を、どこかに置き忘れてしまったのか。
美しい顔をくしゃくしゃにして、今にも泣き出してしまいそうな、アッシュブロンドの少女。
自分を覗き込んでくる銀色の瞳には、溢れそうな涙が湛えられている。
「エミィ…ちゃん?」
「ナツメ!無事なのね!?……良かった…」
安堵の笑みを浮かべ胸をなでおろすエミリア。
ナツメは仰向けの姿勢から身を起こそうとする。
「あ…うくッ!?」
ズクリと、股間に鈍い痛みが走った。
「無理しちゃダメ。力を抜いて、ゆっくりと…」
エミリアに支えられ、ブリキの玩具よりぎこちない動作で、ナツメはなんとか上体を起こす。
地下のはずなのに、水面からの乱反射がやたらと眩しかった。それもそのはず。
頭上に開いた大穴からは真夏の西陽が降り注ぎ、破裂した水道管からは虹のアーチが掛かっている。
さっきまでの死闘がまるで嘘のような、それはもう穏やかな光景だった。
「エミィちゃんも無事だったんだ」
「…え?」
「良かったぁ。だってエミィちゃん…、どっか遠くに行っちゃいそうな感じだったから」
「なっ、何言ってるのよ!このお馬鹿!!」
「えへへへへー…」
ナツメの鋭さにエミリアは動揺を隠せなかった。
事実、自分がこうして平気でいられるのが、今でも不思議なほどなのだから。
あの時…確かに自分は死を覚悟の上で、残る魔力すべてを解き放った。
そのはずだった。けれども…。
「ふふ、エミィちゃん…なんかとっても温かかったよ」
考えられるとすればひとつ。
エミリアの足元に転がる、飴のようにひん曲がった銀の弓。
予想を遥かに上回っていたナツメの魔力に、クロイツァーが耐えられなかったのか…。
エミリアが自らの命をすべて魔力に変えて開放してしまう前に、オーバーロードが発生してしまったのだろう。
「………」
この少女…藤沢ナツメはそれほどのまでの力を秘めているというのか。
確かに初めて出会ったあの夜から、凄いとは思っていた。だがしかし、これは…。
命拾いした事への安堵と同時に、傍らで微笑む少女の並外れた器に、エミリアは内心恐ろしいものを覚える。
173 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:02:00.41 ID:FAymy8Wj
「もう!気持ち悪いこと言わない!変な趣味にでも目覚めたの?」
ナツメの言葉に怒ったフリで、心の内のさざ波を誤魔化し、転がっていた自分の武器を拾い上げる。
フロムヘヴンも回収しようとしたのだが、残念ながら今のエミリアの力では持ち上げる事すら叶わなかった。
魔力の助けを借りているとはいえ、このスレッジハンマーを軽々振り回していたとは。今更ながら舌を巻く。
「とりあえず、ここを出るわよ。着る物も何か探さないと」
確かに。二人の周りには、デスパイアの亡骸と思しき肉片が、足の踏み場も無いほど散乱している。
他の犠牲者も助け出さねばならないが、じき到着する救急隊員や、集まってくるであろう野次馬との鉢合せは御免だ。
「あ、うん…」
露出していた胸を、わずかに残されたコスチュームの名残で危うげに隠しつつ、返事をするナツメ。
今度こそ立ち上がり、エミリアの後に続こうとする。
だが、数歩と歩き出さぬ内に、彼女はその場に膝から崩れてしまった。
「…ナツメ?」
何をしているのか最初は判らなかった。
半裸の自分を両腕で抱き締めながら、祈るように膝を突き…。
そのままの姿勢でナツメは…震えていた。
「―――たい」
「え?」
「…痛い」
冷たい水の上にぺたんと座り込んだまま、ナツメの視線は自身の太腿に注がれている。
まるで細い植物の根か何かのように、こびり付いている生乾きの血の跡。
どんな言葉でももう誤魔化すことの出来ない…破瓜の爪跡だった。
「大丈夫……。もう…大丈夫なはずなのに…」
ぽろり、と。頬を伝い落ちる大粒の涙。
「ごめん。お、おかしいよね、私。だってさ、デスパイアに捕まって、助かっただけでも十分ラッキーなのに……。なのに…わたし…」
処女を散らされた証の上にポタポタと滴る涙。
スカートから伸びる太腿を、乳白色の粘液が伝い落ちていた。
膣内から漏れている…デスパイアの精液だ。
174 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:02:31.52 ID:FAymy8Wj
「…ナツメ…」
繰り広げられる陵辱劇に耐え、仲間を捕われてもなお歯を食い縛って戦い、決して希望を見失わなかった一人の少女。
そんな彼女に、運命はなぜこうも酷い仕打ちで報るのか。
今更どうしてやる事も出来ない自分が、エミリアは酷く腹立たしかった。
「やだ…。だ、ダメだよね。ちゃんと勝ったのに、私、なんでこんな…泣いてるんだろ…。戦うって自分で決めたんだからさ、これっくらい……へっちゃらじゃなきゃ…いけないのに……」
助かった安堵のせいだろうか。自分の受けた行為の記憶が、脳裏で反芻され始めた。
自分の身体にモゾモゾと異物が分け入って来るあの感触。痛みが疼きに変わっていくその過程。
そして、絶頂の多幸感と同時に流し込まれる熱くドロドロした液体。
恐かった。嫌だった。痛かった。汚されてしまった。
「私、なんで…こんなに悲しいの…?…ねえ?」
涙が止まらない。真っ赤に腫れた陰部の疼きが今も彼女を苛ませている。
もう、ここにいるのはデスパイアと死闘を繰り広げていた天使ではない。
心の奥底にまで刻み込まれた、残酷な初体験に咽び泣くひとりの少女だ。
「…ナツメ、もう大丈夫。我慢しろなんて言わない。あなたは本当に頑張ったもの」
永遠に勝利を収め続けられる戦士なんてこの世に存在しない。
デスパイアとの戦いに明け暮れていれば、いつかは負ってしまう傷だ。
ただ、ナツメには少しだけ早過ぎた。
出来る事なら、永久に訪れて欲しくなかったその瞬間が。
だから、今はただもう一度、彼女を抱き締めてやる。
共に死地を潜り抜けた仲間として。同じ悲しみを共有する友人として。
「今日は貴方に助けられちゃったわね。今ここに私がいられるのはナツメのおかげ。改めてお礼を言うわ。ありがとう、ナツメ…」
「…ひっく……えぐっ。…ひく……」
巨大なハンマーを振り回していたとは思えない華奢な腕が、ギュッとエミリアの身体を抱き締め返してきた。
(やっぱり…この子はこんな戦いには向いてない…。でも―――――)
ただひとつだけ、今回の事件、エミリアは引っ掛かっている。
このデスパイアに捕まっていた女性たちは、今日助け出したので殆どだろう。
取りこぼしがあったとしても程度は知れている。
(…少な過ぎる)
およそ半年前を境にこの街で急増している連続女性失踪事件。
今回見つけ出した被害者の数も、その行方不明者数には到底届かない。いや一桁は足りない。
そしてエミリアがやってきた直接の契機でもある、この街を守っていたエンジェルの失踪。
彼女の身柄も、結局見つからず仕舞い…。
これらの事実から導き出される結論は、たったひとつ。
(間違いない。この街…とんでもないのがいる…)
175 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:03:02.83 ID:FAymy8Wj
♯
「なるほど。あれが新しい討ち手という訳か」
ナツメとエミリア。
抱き合う二人の姿が、ひび割れた硝子のスクリーンに映し出されている。
「しかし二人か。君の話とは少し勝手が違うようだが?」
「ええ。イレギュラー…いえ、鼠が一匹紛れ込んだわ」
「鼠とは。あれが果たしてその程度かな?」
ドーム状の巨大な空間に反響する男女の声。
広大な穹窿の中は、亜熱帯の植物が所狭しと生い茂り、無数のミツバチが花から花へと慌しく飛び交っている。
赤く錆び付いた案内板は、かつてここが植物園であった事を物語っていた。
久しく人の手が入っていない園内は、思うが侭に伸長した植物に多い尽くされ、もはや熱帯雨林その物の様相を呈していた。
「…意外。随分と高く買ってるのね」
映像を眺めていた女の方が、怪訝そうに振り向いた。
肩で切り揃えられたショートボブの黒髪に、新月の夜を思わせる漆黒の瞳。
夏も本場だというのにナイトブルーのタートルネックシャツで身を包み、それでいて汗ひとつ掻いていない。
コンパスのように長い脚も黒一色のレギンスで包まれ、その姿はまるで肌身を晒すを忌避しているかのようである。
多少大人びてはいる物の、多分にあどけなさを残す顔立ちは、まだティーンエイジャーのそれだ。
「まあ確かに、前の子よりかはよっぽど上かしら?」
「そうだとも。実に興味深い。久々に喉の渇きを覚えた。惹かれるよ、これは」
女の問いに応えるように、巨大な塊がズズっと振動した。
ジャングルさながらの庭園中央に、ひときわ目を引く塊が鎮座している。
無数の根の生えた、ガスホルダーのように巨大な緑褐色の球体。
規格外のサイズを誇る、植物の球根である。
そして、その表面には、触手で雁字搦めにされた一人の少女の姿があった。
「む…んぐッ!んむぅ…んんんぅ〜〜〜!!」
口腔にお尻、そして秘所。三つの穴をことごとく触手で塞がれ、悲鳴ひとつ上げられぬまま、蹂躙され続ける哀れな少女。
挿入だけでは物足りないのか、細かい突起の生え揃ったブラシ状の触手が、彼女の身体の至る所にむしゃぶりついている。
触手の抽送に併せて弱った蛙のように跳ねる生きた玩具。
その姿から一体誰が想像できるだろう。
この少女こそが、エミリアがやってくる以前、この七ヶ崎を守っていたエンジェルなのだ。
「ふむッ!?んぬぐ…っ、むぶぅぅうぅうぅううーーーーー……!!」
むせぶ少女の口の中に、乳白色の液体が注ぎ込まれる。
膣内も、直腸も、胆汁のように粘る白濁液で満杯になり、収まり切らなかった分が隙間からボタボタと流れ出した。
「やっぱりその子じゃ不足?」
「ああ。悪くは無い。だがやはりこの娘も『鍵』には程遠い」
「そう…。これだけ集めてもまだ完成しないなんて、大したセレモニーね。ほんと」
「儀式の器は整っている。残るは中身の問題さ」
「ふーん。ま、そっちはどうでもいいけど…」
気のない返事を返しながら、女は頭上を仰ぐ。
夕日に染まった硝子のドームに、毛細血管の如く張り巡らされた無数の触手。
そこにはなんと、数え切れないほどの人間の女性たちが、見るも無惨な姿となって吊り下げられていた。
176 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:03:23.99 ID:FAymy8Wj
「ねぇ…降ろして…、お願い…ここから、降ろしてぇ…!」
「んっ、ふぁあ!?ま、またっ、来る…。やっ、はぁっ…ひやぁぁぁぁぁあん!!」
「やだよ、こんなのもぅ…やだよぉ…っ。パパぁ…、ママぁ……っ」
どの女もまだ若い。中にはまだ年端も行かない少女の姿まである。
はだけた胸元からこぼれ出る乳房。下着を降ろされ剥き出しになった局部。
女性が隠さなければいけない場所を、ことごとく晒け出した格好で、彼女らは下半身の二穴を触手に制圧されていた。
触手は時折ビクビクと痙攣し、白くて熱いドロドロしたモノを、犠牲者の膣内に注ぎ込む。
日に何度と味合わされる絶頂の度に、哀れな女囚たちの体は宙を踊り、尖った乳首を目一杯突き出して震えるのだった。
熱帯の花々と女たちの香水。そこにセックスの臭いをブレンドした病的な芳香が園内に漂っている。
「気に入って貰えたかな?好みの娘がいたのなら、何人か連れ帰っても構わないが?」
「遠慮しておくわ。人間の世界じゃね、蛇の差し出す果実は食べるとロクな事が無いのよ」
「よく言う。蛇は君だろうに」
百人は下らないであろう女達が、一堂に集められ、延々と犯される狂気染みた光景の下で、二人は平然と会話を続ける。
拘束から逃れようと必死になって暴れ、ボリュームある乳房をやみくもに振り乱す女。
触手と秘部の隙間から溢れるクリーム色の泡を眺め、はらはらと泣きじゃくる少女。
人生から唐突に隔離され、いつ終わるとも分からぬ性行為を寝ても覚めても強いられる生贄達。
止まることのない啜り泣きは、耐え難い恥辱による物か、余りにもむごい自身の運命に向けられた物なのか。
「…ふん。で、次のターゲットがあの二人って訳?」
「ああ、そうとも。ようやくだ。待ちに待った甲斐があったよ。彼女らだ。彼女らこそが、私の種を受けるべく生まれてきた花嫁に違いない。閉ざされた世界の鍵を開く、我が愛しき伴侶となる娘だ。どちらを先に抱いてやろうか」
抑揚に欠いていた男の声が高らかに伸びていく。内なる昂ぶりを押え切れなくなった噴火寸前の火山のように。
触手が激しく蠕動し、絶頂に達したエンジェルの娘が狂おしげな呻きを発したが、その悲鳴も高揚した楽園の主には届いていない。
「あら、そ。なら話が早いわ」
そんな場の空気をさらりと流し、漆黒の女が切り出した。
生贄達の嬌声も、怪物の演説もどこ吹く風。
「あの鈍臭そうなルーキーはそっちに譲るわ。残りの一人に関しては、手出し無用よ」
「ほォ…、それはまた。理由は?」
「答える必要が?」
「無いな。確かに」
女の意図を察したかのように、巨大な球根はククッと笑う。
「しかし大丈夫かい?なかなかどうして骨が折れそうだよ。あの二人の間に割って入るのは」
鏡の中に映る二人の姿がズームアップされる。
子供のように泣きじゃくるナツメと、彼女を腕の中にかき抱き、流す涙のすべてを受け止めるエミリア。
白く透き通った肌を互いに寄せ合い、痛みと、悲しみとを分かち合わんとするその姿は、正に天使そのもので…。
余りにも絵になりすぎていた。
パリィィィィイーーー…ン。
二人の姿が砕け散る。
鏡は無数の破片と化し、もうナツメ達の姿はそこに映っていなかった。
じゃり、じゃりっと、厚底のスニーカーが硝子の破片を踏み砕く。
漆黒の直刀を握り締めた拳には、破裂しそうなほど太い血管が浮き出ていている。
「やれやれ。熱病に冒されているのは、私だけではないのかな?ハハハハ…」
怪物の嘲りに、鏡を叩き割った女は、ギリっと犬歯を噛み締める。
唇の端からは赤い筋が一条、伝い落ちた。
177 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:03:59.17 ID:FAymy8Wj
♯
熱いシャワーが裸体を撫で、タイルの上にしたたり落ちる。
鏡に映った自分の顔は一日前と別人のようにやつれていた。
虚ろな瞳のまま恐る恐る、股間に指を這わせると、鈍い痛みと疼きが返ってくる。
「……………」
夢ではない。これが現実だ。
もうあれから半日以上が経過したというのに、生まれて初めての異物を受け入れた秘部は、具のはみ出た二枚貝のように緩み、透明な液体でじゅくじゅく潤っていた。
まるで…未だにあの化物との交わりを望んでいるかのように。
「――――っ!」
恐かった。でも、やらなきゃならない。
奴らの精液は、例え安全日だろうと放って置くことはできない。
被害者の体内で、一ヶ月以上生き続けるなんてのはザラである。
放って置けば取り返しのつかない事になる。
「………」
意を決し、エミリアから渡された錠剤を一粒、右手の中指に乗せる。
シャワーを止め、家の中に誰の気配も無いことをもう一度確かめると、ナツメはゆっくりと自分の秘部にその手を伸ばした。
「ん…っ!」
くちゅりという湿った音と共に、指が陰裂に沈み込んだ。
全身にゾクリと走る悪寒を堪え、薬を膣道に押し込むナツメ。
吐き気がこみ上げてきた。
デスパイアの生殖器を受け入れた今の秘部は、ナツメの細い指など易々と呑み込んでしまう。
「――――んくッ!!」
二度目の嘔吐感で、ナツメはようやく指を陰部から引き抜く。
避妊薬は無事膣内に入ったようだ。中指にはもう何も乗っていなかった。
代わりに付着していたのは、銀色の糸を引くどろりとした白い液体。化物に注入された精液の残滓…。
「…あ」
涙がじわりと溢れてくる。
ハンドルを反時計回りに目一杯ひねり、熱い豪雨を頭から一気に被る。
わかっていた。わかっていたはずだった。
殺るか犯られるかの戦い。負ければ当然"そういう事"をされてしまうのだと。
エミリアにも最初に叱られた。
子供の遊びじゃない。帰る場所も、守るべき家族もある人間が、何を好き好んで殺し合いに首を突っ込むのか。
貴女でなくても、もっと戦いに向いている人間は幾らでもいる。
拾った命をむざむざドブに捨てるような物だ、と。
178 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:04:18.11 ID:FAymy8Wj
今なら分かる。エンジェルに志願した自分を、なぜエミリアはあれほど強く諌めたのか。
彼女はデスパイアに負けるという事の意味を理解していた。
そして、そのエミリアの善意を無碍にして、自分の望みを押し通した結果がこれなのだ。
(私の…馬鹿っ!、馬鹿…っ!覚悟…できてたはずなのに…っ!)
溢れてきた涙をシャワーで無理やり洗い流す。
まだデスパイアの体液の効果が抜け切っていないのか。
水流に弾かれた乳房が熱を帯びその突端を硬くしこらせる。
こんな心理状態でも反応してしまう肉体にナツメは強い嫌悪を抱いた。
友人達の中でも飛び抜けてプロポーションの良い自分の身体。
正直言って、ナツメは余り好きではない。
水泳の授業を覗きに来る男子達のお目当てが、自分の水着姿なのだと知ってからは尚更だった。
軽いコンプレックスと言ってもいい。
デスパイアにも気に入られたのか、胸も、お尻も、太腿も、執拗なまでに揉みしだかれた。
よく見れば全身の至る所で肌が朱色に染まっている。媚薬まみれの触手に吸い付かれた跡だ。
言わばデスパイアのキスマーク…。
「う…っ、うぅ…っ!く…くぅ…、う…っ!」
駄目だった。堪え切れなくなってしまった。
その場にしゃがみ込んで噛み殺した嗚咽を洩らす。
止め処なく溢れてくる涙は、降り注ぐシャワーが洗い流してくれた。
(このままじゃ…私、ハルカどころか、自分すら守れない…っ)
両腕で自らの裸身をぐっと抱き締める。
白い爪が火照る肌に痛々しく食い込んだ。
自分の弱さに抗うように、止まりそうにもない嗚咽を堪えながら…。
(強く…強くなりたいよ、エミィちゃん…)
179 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 01:04:34.97 ID:FAymy8Wj
♯
この国に来て、まず驚かされたのはその蒸し暑さだ。
陽が落ちて優に数時間が経過したというのに、未だ気温は下がってくれる気配がない。
あのラッシュアワーとかいう奴も、まことにもって信じ難い。
列車の中などまるで、この国の国技を疑似体験させるツアーか何かのようだった。
大陸の鉄道ならそれこそ一駅にも満たない距離しか移動していないというのに、彼女の姿は既に戦地から引き上げてきた敗残兵のそれである。
(そんでもって、駅から一歩踏み出せばこれか…)
何ヶ国語ものシールがべたべたに貼られ、地の色が判別できないほど古惚けたトランクを曳きながら、その女は坂道を登っていた。
街に人の気配はなかった。
どの家も雨戸やカーテンを堅く閉ざし、さながら墓場のような静けさである。
無理もない。聞くところによれば、今日の昼間も例の変態モンスターが人目も忍ばず堂々現れ、多数の市民がその毒牙に掛かったという。
いや、そもそもそんな情報に頼らずとも分かる。
彼女の研ぎ澄まされた感覚は、この七ヶ崎市一帯を包み込む、ねっとりとした気配を肌で拾っていた。
まるで街全体がタールの沼に浸かっているような、息をするのも億劫になるレベルの不快感。
住人達は恐らく気が付いていないのだろう。この街は、奴らに相当侵食されている。
(一体何が起こってるんだよ…。早いとこエミィの馬鹿に連絡とらねー…と…。…ん?)
坂の中腹で女の足がぴたりと止まった。
気のせいか、今何かが聞こえたような気がしたが。
(犬…?)
確かに、犬の遠吠えらしきものが聞こえた。
なるほど。犬ぐらい珍しくも何ともない。
だが、ほのかに鼻腔を付く卵の腐ったような臭い。そして。
――――あ…んぁ…っ、んふ…くぁ…ぁ…っ…。
吹き付ける海風の中に、微かに混じって聞こえる声。
喘ぎとも、啜り泣きともつかぬ、途切れ途切れ悲鳴。
彼女は黙ってトランクを路肩に蹴り込むと、束ねられた金髪をサッと掻き上げる。
「ふーん。流石はニッポン。敵さんも残業中か」
うんざりしたトーンでそう漏らすと、女は声の方角へ歩みを進める。
疲れた声色とは裏腹に、三日月型に曲がった唇を、舌なめずりで濡らしながら。
支援
忍法帖の大量投稿に引っかかったか…?
泣ける仕様だなホンマ。
182 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 05:30:25.81 ID:FAymy8Wj
まあね(´;ω;` )
183 :
粉砕天使の人:2011/04/18(月) 05:57:47.17 ID:FAymy8Wj
スレ汚し申し訳ない。
残り大した分量じゃないけど日を改めることにします|・ω・)ノ
GJ
>>183 とってもGJ
休日だった筈の今朝いきなり電話で夕方からの夜勤を頼まれた俺の希望だ
夜勤明けの楽しみに待ってる
GJ
触手でロストバージンして泣いてるとこに、敵ボスが孕ませ&俺の嫁宣言とか
ヒロインがマジで不憫すぐるw
寝る前のオアシスやー!
190 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 21:44:25.40 ID:HV5VfzQh
>>179 忍法帖出たんでチビチビ出しになるけど続きおいときます
191 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 21:46:30.81 ID:HV5VfzQh
♯
「あ…あぁっ!やっ、あんっ!くぅ…かはっ、ん、んんーっ、い、やぁ!!」
その宴は、ごくありふれた住宅街の一角、県道から少し踏み込んだ袋小路で繰り広げられていた。
声の主は紺色のスーツに身を包んだ若い女。年の頃は二十代の半ばといったところか。
タイトスカートは腰のあたりまでまくり上げられ、ベージュ色のパンストはショーツと一緒に膝まで降ろされていた。
四つん這いになり、獣のような姿勢で尻を突き出し、されるがままに女は腰を振り続ける。
グルルルル――――ハッ、ハッ、ハッ…!
彼女に覆い被さっていたのは、本物の犬だった。いや、本物の犬と言い切っては少々語弊がある。
なぜならその犬は、這いつくばった人間と殆ど変わらぬ巨大さで、所々裂けた毛皮からは紫色の不気味な肉が覗き…。
そして極めつけに、腹から飛び出した肋骨が、女性の身体を背中から抱きかかえるようにして、がっちりと捕縛していたのだ。
エンジェル達から『スカベンジャー』の名で蔑まれる、下級デスパイアの一種である。
こちらの世界にやってきた奴らの中でも、大した力も頭も無い輩で、取り憑く相手も大概野良犬などの手頃な動物。
連中のヒエラルキーの中でも最下層に位置する彼らではあるが、それでも、丸腰の女性ひとり組み敷いて犯すことぐらいは造作もなくやってのける。
被害者を四つん這いにさせ、背中から覆い被さるその体位は、正に犬の交尾そのもの。
屈辱的な姿勢で背後から突かれる女の目には涙が浮かんでいた。
192 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 21:51:11.00 ID:HV5VfzQh
「んぁ…!あはっ!ん、くぅ…ぁ!だっ、誰か…!たす…んぐっ!誰かっ、助け……んむっ!んくぅ!!」
元が犬である。彼らの特性を受け継いだスカベンジャーの性器は、一度挿し込まれたが最後、膣内で膨れ上がり抜けなくなってしまう。
不幸な犠牲者がこの凌辱から解放される術はただひとつ。彼らの旺盛な精力が尽き果て、その巨根が萎えるのを待つ他に無いのだ。
野太い肉棒で秘部を貫かれながらも、女はその場から逃れようと、必死になって這い進む。
数メートル後方に転がった片足だけのハイヒールと、そこから点々と続く愛液の跡が、彼女に出来た抵抗のすべてを物語っている。
「んあ…、え!?あっ、あひ!?だ、だめっ!やっ!?きゃぁぁぁぁぁぁあーーーーー!!」
無駄な足掻きを嘲笑うかのように、豪快に腰を突き出すと、獣は女の膣内に多量の種汁を解き放った。
結合部から噴き出した精液が、クリーム色の泡ぶくとなってアスファルトに滴る。
デスパイアの命を注ぎ込まれた女は、まるで自身も犬になったかのように、舌を突き出しアクメに震えている。
「…あっ、あぁ…ぃあ…、はぅう…」
抵抗の意思を完全に喪失した女は、獣と繋がったままぺたりとその場に崩れ落ちた。
スカベンジャーは勝ち誇ったように喉を鳴らし、早くも二回戦を始めようと腰を動かす。その時だ。
――――ボン!
という破裂音と共に、デスパイアの荒い息遣いが消える。
どちゃりと音を立てて、路上に転がる犬型の陵辱者。
その首から上は綺麗さっぱり無くなっている。
193 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 21:56:56.79 ID:HV5VfzQh
コツン…、コツン…。
暗がりの中から、堅い靴音を響かせて、ひとつの影が姿を現す。
ポニーテール、と呼ぶにはいささか乱暴に束ねられた金髪を夜風になびかせ、瞬きひとつせぬ鉛色の瞳で標的を見下ろす長身の女。
胸襟を開いたトレンチコートのような衣装は、金糸雀のように眩しい色彩を放ち、炎を象った羅紗色の刺繍がところどころに施され…。
更にはその上をキリル文字の聖句を刻んだベルトが幾重にも交差する、さながら拘束具のような、異様なコスチュームを彼女は身に纏っている。
この国の人間でないのは誰の目にも明らかだった。そして、普通の人間ではないということも。
「おーい。いつまで下手な芝居続ける気だ?」
横たわる魔物の骸を灰色の瞳がぎろりと嘗め回す。
坂道でスーツケースを引きずっていた気だるげな色はもうそこにはない。
一瞬の隙も見逃さない、光学顕微鏡のような眼光がデスパイアを射竦めている。
不味い。デスパイアもそう思ったのだろう。
首無し犬の全身から無数のグロテスクな触手が飛び出した。
死んだ振りを止めた怪物は、赤紫色の触手をぬたくらせながら、カサカサと、それはもうゴキブリのように、一目散にその場から逃げ出したのだ。
「…………」
女が追ってくる気配は無かった。
上手くいった。魔物はそう思ったかもしれない。まんまと逃げおおせたと。
見た目にそぐわぬ軽やかさでブロック塀に飛び移り、無数の目玉でギョロリと背後に一瞥くれる。
そこでデスパイアが目にした物は…。
――――ジャキリ。
一体どこの空間から取り出したというのか。
最期の瞬間、デスパイアが目にしたのは、子供の拳がすっぽり入ってしまいそうなほどの、巨大な銃口であった。
194 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 22:00:22.08 ID:HV5VfzQh
――――ドドォン…。
鉄亜鈴のようなサプレッサーから、十字の閃光が迸る。
およそ生き物が仮想敵とは思えない巨大な銃弾を叩き込まれ、スクランブルエッグのように飛び散るデスパイア。
路面に、電柱に、四散した肉片がべちゃべちゃと降り注ぐ。
ジャコ…ガコォン…。
ボルトが引かれ、栄養ドリンクの容器ほどもある巨大な空薬莢が吐き出された。
身の丈を軽く上回る、不自然なほど長い銃身。下膨れの機関部から生え揃った多数の放熱フィン。
スコープやレーザーポインターなどといった小洒落たアクセサリーは一切搭載していない。
彼女が手にしていた武器は、赤錆の塊としか思えないような、時代錯誤も甚だしい、異形の対戦車ライフルであった。
魔法使いの箒を意匠にしたらしいシルエットは、もはやそれを銃器に分類する事すら躊躇させる。
…ぐしゃ。
無数の肉片に紛れて、ビクビクと痙攣していたデスパイアの心臓に、ブーツの踵が振り下ろされた。
核を失い溶けるように崩れていくデスパイア。四方八方に飛び散った肉片も、ジュージュー音を立てて蒸発していく。
195 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 22:02:21.69 ID:HV5VfzQh
「…ったく、初日からこれか。落ち着かない街だな本当に」
残されたのは、アスファルトに垂れた精液と、下半身剥き出しのまま横たわる犠牲者がひとり。
少しばかり遅かったか。既に種付けされてしまったようだが、幸い命に別状はなさそうだ。
どのみち今の銃声を聞きつけてすぐに警察がやってくる。事後処理は彼らの仕事だ。
「こりゃ早いとこ合流しないとヤバイなー…。頼むぜエミィ。もうユイの奴にねっちょりされちゃいました、ってのだけは勘弁だぜ」
よっこらせ。そんな年寄り臭い掛け声でスーツケースを起こし、女は足早に現場を後にする。
ポケットから取り出した型遅れの携帯電話を慣れた手つきで操りながら。
エミリアが番号を変えていない事を祈りつつ。
♯
ナツメが風呂から上がると、日付は翌日に変わっていた。
三時間以上篭っていたのに、結局、身体は満足に洗えていない。
湯船にも浸からず、シャワーだけを延々浴び続けていた。
いい加減、涙も出尽くしてしまった。
洗面所の鏡に映った自分は、宇宙人のような真っ赤な目をしている。
流し台には、エミリアから渡された別の薬が置いてあった。
デスパイアの体液の働きを抑える物らしい。
顆粒状の薬を一袋、苦い水道水で飲み干した。
腫れ物を触るようにバスタオルで身体を拭き、真新しい下着に脚を通す。
亀裂からはみ出た陰唇が、乾いたショーツを早くも湿らせていくのがわかる。
「……………」
もう嫌だ。早くベッドに潜り込みたい。
何もかも忘れて泥のように眠ってしまいたい。
パジャマに手足を通し、洗面所を立ち去ろうとしたその時だった。
196 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 22:03:56.97 ID:HV5VfzQh
ヴヴヴヴヴヴヴヴ――――!ヴヴヴヴヴヴヴヴ――――!!
唐突な振動音にナツメは思わず飛び跳ねてしまう。
洗面所に置いた携帯電話に着信だった。
エンジェルに関する連絡は、絶対にこれ以外でしないようにと、エミリアから渡されていた物だ。
(…エミィちゃん?)
正直に言うと、今夜はもう誰とも話をしたくなかった。
だが相手がエミリアとなれば別だ。彼女にだけは余計な心配を掛けたくない。
おそるおそる手を伸ばし、中折れ式の端末を開く。
しかし、液晶に表示されていた名前を目にしたところで、ナツメは固まってしまった。
(え…。マル…シア…?)
見たことも訊いた事もない名前の登場にナツメは戸惑う。
どうしよう。たぶん、エミリアの知り合いだ。
出て良いのかどうか、判断がつかない。
このまま切れるのを待って、明日エミリアに知らせた方が…。
そんな事も考えたが、コールは一向に途切れる気配がない。
197 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 22:05:10.23 ID:HV5VfzQh
(それに、この携帯に掛かってくるって事は、つまり…)
そう。ひょっとすれば、自分達と同じような人なのかもしれない。
そう思うと、むしろ今度は出ない訳には行かない気がする。
おそるおそる、通話ボタンを押し、端末を耳に宛がう。すると…。
『遅い!電話が鳴ったら3コール以内に出なさいって、ナポレオンだって言ってるぞ!え?』
受話器越しでも伝わる凄まじいトーンに、思わずナツメは耳を遠ざける。
『エミィ!?もしもし?聞いてる?えみーさーん?おーい。エ、ミ、リ、ア、さーん?』
「あ…え、その…」
『ん。まあ、とりあえず繋がって一安…心、ん…?』
「え、あ…いや。その…違くって…」
『……………』
一体何なのだ。最初の剣幕が嘘のように、受話器の向こうは静まり返っている。
どう応対したものか、もうナツメには訳が分からない。
名状不能の沈黙が、十秒以上は流れただろう。そして。
『…誰、あんた?』
それはこちらの台詞だろうに。
198 :
粉砕天使の人:2011/04/19(火) 22:09:10.84 ID:HV5VfzQh
いやほんと、今回テンポ悪くなってしまって申し訳ないッス(´・ω・`)
第四章はこれまで。事後がメインってまた微妙な・・・。
とりあえず最低限で月イチぐらいのペースは維持してけたらなーとか考えてます。
GJ
GJ!投下お疲れ様です。
正直8割はこの作品の為にスレチェックしてます。
前と同じなら次回はやたらご機嫌なデスパイアの出番でしょうか。
彼の活躍を楽しみに待つとします。
GJです
ユイとマルーシャがキター(゜∀゜;ノ)ノ
しかもマルーシャの登場が完全新規!
>対戦車ライフル
魔法少・・女・・・だよ、ね?
>>203 魔法少女だろ
近代兵器で固めた俺みたいなのだっているんだからあまり限定させないでくれ
>>203 マスケット使ったり手榴弾なり機関銃使う魔法少女だっているんだ
対戦車ライフルや大陸弾道弾使う魔法少女がいてもいいんだよ
>>205 チェーンソーやノコギリや高枝ばさみも魔法少女だよな
釘バットやサブマシンガンでミンチにしたあと
魔法で蘇生させて「ごっめ〜ん☆」で済ますんだろ?
呪文は多分ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜とか。
そういう他人のことを考えてない魔法少女は、
徹底的にお仕置きされてしかるべきだと思うのだ。
中田氏されて変身が解除された後の包丁での物理攻撃の方が強くても魔法少女だ
更にヤンデレで兄の彼女の魔法少女と血まみれガチバトルしている間に
探偵の兄は正義の為に魔王娘やマッドサイエンティストや宇宙人や邪神や不良娘を性的に成敗していても純愛和姦物語だ。
変化球で全く別のデスパイア出してくれないかな。
トイレの便器に隠れてるのとか。
211 :
203:2011/04/20(水) 21:11:52.89 ID:CZGTqs+o
なるほど。対戦車ライフルくらいは当たり前か。
敵側にも魔法少女(?)がいるみたいだし、そっちも楽しみにしよう。
212 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 21:37:04.93 ID:AcsvMa2s
>>210 粉砕天使の人が触手スレにあげてた作品にあったような記憶がある
>>206 エミィの姉貴がチェーンソー得物にしてるにょ。
…ベテラン勢ほど武器がゲテモノ染みてくる不思議。
>>212 はて、あったけ?
前スレ埋めようぜw
今は保管庫が無いから、ナツメも冒頭で登場人物紹介してくれると読み手に優しいかも。
尚且つ各キャラの裏設定とかスリーサイズとか下着の色とか投下してくれると俺に優しいかも。
おまえにレインボー
オーバーザレインボー
魔砲少女……
またフェチ開発されてしまった……
前スレ梅乙です!
最後まで貼れたのかな?
懐に潜り込まれたら弱くね?
魔砲やフラワービットを使い一定量の魔力を消費する度にコスチュームの花びらが散り
最後にはエロ水着の雌しべだけになる花の魔法少女VS虫使い
>>223 銃底で殴るに決まってるだろ
銃底で殴るは漫画では必ず相手が気絶する基本技
基本戦術に組み込まれていないようじゃドキドキしないっしょー!
銃床の方が一般的みたいだけど
どこが底で床なのか分からんw
十六夜ちゃん南無いなあ……。
十七番目の子は何処まで頑張ってくれるのやら。
>>226 と思って殴ったら暴発して皆アフロになり平和になる
懐に潜り込まれた銃使いの対応一覧。
1:素手で応戦
2:ストック(銃床)による殴打
3:銃剣術やナイフコンバットによる白兵戦
4:ガン=カタ
5:アサルトアーマー
小型の拳銃は殴り合いの距離でも十分機能するという事実はガン無視される。
>>231 いやそれを念頭においての格闘術がガンカタじゃないの?
>>231 だって拳銃クラスの威力じゃどうにもならんもの
どこぞの重力使いの64口径だとか軍部部長の99口径ならまだしも
>>233 >だって拳銃クラスの威力じゃどうにもならんもの
えっ
ここは十字架型多目的武器庫を背負ったシスターさんの出番ですね
チャペル+ヘルマスカーD的な
この流れ見てたら、魔砲やミニガン搭載した使い魔だかゴーレムだかの大軍を
自分の手足のように操ることで圧倒的火力と鉄壁の守りを誇る魔法少女が、
自慢の部隊を突き崩されて無力な本体を押し倒されたときの表情が見たくなった。
>>236 本体が無力ならばゴーレムに乗り込んじゃえば良いんだよ
通常は無機質な灰色の石像なんだけど、魔法少女が中に乗り込んで魔力を供給すると
カラフルな色を宿した無敵の装甲を持つ女神像へと相転位するゴーレム
その新型のゴーレムを奪取しようとした魔族と魔法少女のドンパチが突如始まった街で、
偶然巻き込まれてしまった少女が運命に導かれるようにゴーレムの中に乗り込み、自らも知らなかった魔力に覚醒して起動させてしまう…
とかW
魔族の一人が両腕を犠牲にする双剣の大技で十字に破壊されるゴーレムが見えた
そして命からがら逃げ出した魔法少女が近くを探していた力自慢な魔族に捕まって陵辱、と
>238
ピンク髪の人に洗脳されて
七色ビームで敵も味方も皆殺しにしそうだからやめて。
>>239 その魔法少女が毒を自在に使えて腐れ外道なら完璧だな
>>238 これ見て『魔法少女版ガンダム』なんて考えてしまった俺は異端なのか?
最初の犠牲者の
>>238のルーキーをブロンズ像化する最後の砦の一線を退いた母親と魔法の国の女王の最後の力で復活するけど負けてしまい
ブロンズ像化したゴーレムと魔法少女が生きたままエロポーズで固められ観光客に視姦される魔法少女一家親類友人ライバル全滅物語
闇夜のビル群を疾走、滑空して戦う魔法少女
日中に姿を消したり、結界で人目につかないで戦う魔法少女
最近の魔法少女物作品は後者スタイルが何気に多いな。
これも時代の流れかしら・・・とベテラン魔法少女OGが呟いております。
そこで円谷も真っ青な巨大触手モンスターと白昼堂々市街戦を繰り広げる魔法少女ですよ。
・・・いや、流石にいたらマズイか。
普通にあった気がする
元魔法少女「あ、あんた達は羞恥心というものがないわけ!?」
元敵幹部「まったくだ!その通り!これだからゆとりは……!」
魔法少女&敵幹部「懐古厨ウゼェ」
ピラミッドの言葉「今時の若者は」のジェネレーションギャップはまたこうして連綿と受け継がれていくのであった……。
>>245 その巨大モンスターの体に大勢の女の子が捕らわれてて(もちろん犯されながら)迂闊に攻撃できないとかだったらなお素晴らしい。
前スレ ナイスバッドエンドだなー えぐいぜ
女装魔法少年、股間のマジカルステッキで悪い魔法少女を犯っつけろ!
って言いたい為だけに一ネタ作ろうとした時はきっと自分が疲れてるんだと思った
強制変身解除ってなんかエロいな
文にしたらそれほどでもないけど
そげぶするか。
>>358 中身野郎のTS魔法少女が電気ショック食らいながら妊娠し完成に女の体になるSSくらいは需要がある。
>>249 ダメージを与える度にモンスターが呻いて射精。
人質が中出しされるという素敵なんかも良い。
>>252 変身前後で下着は変化するのか否かがマイ至上命題。
>>252 変身前後で肉体年齢も変化してると嬉しい。
挿入されたまま変身解除されて、元の身体だとサイズが大きすぎてひぎぃとか。
マユ早く来てくれー
ダメージも負ってなくてもう一回初体験させてやるぜとかきたら最高
前スレで魔法少女がレジスタンスってネタがあったが。
案外結構いけるんじゃないかと「忘却の旋律」レンタルして思った。
魔物がとその信奉者が支配階級形成してる世界か。
…ナツメの巨大植物やマユの社長さんなら余裕で出来そうな気もry
>>262 誰もが幸せで戦争も隣人トラブルも無くて平和な世界
ただし魔法少女を除く
「ねえ、あの子この頃見ないね」
「あの子ってどの子?」
「ほら、出席番号が私より1番下の子よ。なんか眼鏡かけて根暗そうな子」
「ああ、あの子なら魔法少女だったんだって」
「ええ、あんなくそ真面目でおとなしそうな子が!?」
「うん、何日か前に魔物様に捕まったらしいよ」
「気に食わない子だったけど、まさか魔法少女だったなんてね」
「ほんと信じられない、私たちのクラスに魔法少女がいたなんて恥ずかしすぎる」
「今頃、あの子どんな目にあっているのかな? 魔物様の再教育ってどんなことするんだろう?」
「ほら、どうせ二度とあの子に会うことはないんだから気にしないの。先生に魔法少女の話をしているのを聞かれたら怒られるよ」
「そうだね、魔法少女なんてクズのことはどうでもいいよね」
>>眼鏡かけて根暗そうな子
もしや…
>>262 前作の帰還作戦終了後のエルメリアが、そんな風になってるかもな
適齢期の女性は全員、下着の代わりに触手パンツ型クリーチャーの着用が義務付けられる黄金郷で。
街で魔族に性行為を迫られても拒否する事は許されません。
被害届も受理されません。避妊も堕胎も当然不可です。
露出度が一定の基準に満たない服装も是を禁ずる
よその作品でU市を再建させた悪魔資本企業に特攻したヒロインが呪われ
年中金曜日で永遠に連休前の夕方のテンションを味わい洗脳されるって話あったな
元ヒロイン「さあ!仕事です仕事しましょ!楽しい仕事の時間ですよ!!」
悪魔社員「うはwこっちもオーバーワークなのに書類の山持って来んなww」
「市民アンネ、あなたに魔法少女の疑いがかけられてます」
「魔王様、それはディフローネが流したデマです」
「では、この証拠写真についてはどう説明しますか」つ『変身シーン』
「え、あ……」
「反論できませんね、市民アンネ。魔法少女であることは魔王への反乱とみなします」
ドッピュドッピュ
「ひ、あああ」
「生まれた子供には洗脳教育を。
よろしい!次の子供はこの魔王に忠実であることでしょう!」
気をつけろ! 誰も信じるな! マジカルロッドを手放すな!
市民、あなたは触手ですか?
私も触手になって可愛い魔法少女を犯したい
市民、触手に「なって」、魔法少女を「犯したい」ということは、
まだ貴女は、そのどちらも行っていないという事ですか?
なんということでしょう!
触手でもなければ、魔法少女を犯したこともないということは、
つまり市民
>>276、貴女は反逆者――魔法少女です!
糞! このロリでペタな魔法少女め! 死ねッ!!
ドピュドピュドピュ
※TS物っぽい描写があるかも知れません。苦手でしたらごめんなさい。
私こと日野朱美は今、非常に困惑している。
丁度、順一と共に部活で使う為の品の補充に
スポーツ用品店へ行く途中、高水寺さんと出会ったので
暫く三人で雑談しつつ向かっていたが、その道中の近くのビルの窓ガラスが
下から凄まじい勢いで上へ上へと割れ始める。
一直線からして誰かが垂直に向けて何かが走り抜けているかのようだ。
『CHANGE』
明らかに尋常ならざる状況に反応して変身する二人
私もブレスレットにて変身しようとするが、順一が制止した。
「何でよ!?」
「それは日に一度きりなんだろ?ドレイナーズに襲われてるわけじゃないし控えるべきだ」
順一の言いたい事も分かるし、正論だ。
そうしてる間にも激しい音がガラスを割られたビルの屋上から
断続的に聞こえてくることから、この騒動の原因もそこにあるのだろう。
すると一際大きい音が響いたと思うと、ビルの屋上より何かが吹っ飛んできたかと思えば
私達のいる場所近くに落着する。
砕けたアスファルトの起こす煙から現れたのは、ティール色の魔法銃士
何かを振り払うかのように、頭をフルフルと振っているティールの魔法銃士。
そしてティールの魔法銃士が睨み付けた先には、街灯の上に軽やかに着地する黒い魔法銃士の姿。
漆黒のコスチュームと髪の色をした、その魔法銃士は私達の姿に気付いた様な素振りを見せる
・・・その割には、妙に私を注視している気がするのは何でだろう?
『MODE BLADE』
彼女の隙を突いて剣状の武器を表し、斬りかかるティールの魔法銃士。
一太刀入れられた黒の魔法銃士は続く斬撃を軽やかに体捌きでかわし、相手の間合いから離れる。
『MODE SPEAR』
そして、槍状の武器を表し、的確にティールの魔法銃士に突きを入れていき
たまらずティールの魔法銃士は後ろに跳ねて急速に離れる。
「痛・・・イ・・・」
半泣きな表情で突かれて痛む場所を撫でさする、ティールの魔法銃士。
そして、何を思い付いたのか近くにあったコーンを蹴り飛ばしてくる。
黒の魔法銃士は柄にて、そのコーンをはたき落としていたが
やはり、ティールの魔法銃士はその場より撤退していた。いつも退き際はいい魔法銃士だ。
黒の魔法銃士は暫くティールの魔法銃士がいた方向を見つめていたが
突如として、私達に襲いかかってきた。
完全に不意をつかれた形になった藍色の魔法銃士こと高水寺さんは
応戦する姿勢を満足に取れず、乱打をその身に受け止めてしまい
遂には黒の魔法銃士のジャンピングソバットを受けて5メートル先まで吹っ飛ばされ、頭を強く打ったのか気絶してしまった。
順一も私もその光景を茫然と見るしか出来なかったが
高水寺さんにソバットを喰らわせた所で順一は我に返り、黒の魔法銃士に攻撃を仕掛けに突っ込む。
黒の魔法銃士も迎撃の構えを取り、双方仕掛け、いなす動きの繰り返し
『ARMORED』
ブレスレットの起動スイッチを押し、赤の線の入った黒を基調としたコスチューム姿に変身する私。
今は正に非常事態、使いどころと言うものだろう。
急いで、ぐったりと倒れている高水寺さんを近くの物陰に退避させる。
今は順一が何とかしてくれてはいるが私も戦わなければならないのだろう。
どうしたものか考えていたら、視界の右下に小さくPCで見かけるアイコンの様な物を見つけた。
その中で武器を現しているかのようなアイコンを目で追うと
そのアイコンが視界に大きく展開する。
剣状のと銃状のと槍状のアイコンが見えるが、このアイコンを指定すれば
順一達の如く武器を取り替えながら戦えるのだろうか?
早速銃状のアイコンを注視するとそのアイコンが開くのが見えた。
そして私の身体はまるで慣れているかのような動作でライフルを出現させて構えた。
「順一!離れて!」
私の言葉に反応して大きくバックステップして距離を取る順一。
私は黒の魔法銃士に照準を合わせ、引き金を引く。
3、4発の閃光を纏った弾丸は黒の魔法銃士を
命中した身体から火花を散らせ、尻餅をつかせることが出来た。
黒の魔法銃士は驚愕した表情を見せていたが、気を取り直し
魔法銃士のあり得ない跳躍力を駆使し、去っていった。
と、途端に私も尻餅をつく。
何せ初めての実戦だったので、あのまま向かって来られたら、確実にまずかった。
「朱美、大丈夫か?」
心配そうに駆け寄ってくる順一。
「大丈夫よ、ただ初めてで腰が抜けただけだって」
「そ、そうか。てっきりペース配分無視したから、石に体力を持ってかれたのかと・・・」
さらりと怖い事を予測した順一は、高水寺さんに駆け寄っていった。
ただの無事かの確認と応答をしているだけなのに
何と言うか、私は尻餅つかせたままか、とかやけに高水寺さんとは時間長めなんだな、とか
いつもの私なら理不尽、と評価しそうなイライラを順一にぶつけている事に気付く。
肩を貸されてる高水寺さんが何やら順一に耳打ちすると
順一が「いや、決して朱美をないがしろにしてる訳じゃないからな」と、フォローしてきた。
我ながら面倒臭い奴だと思いながら、順一の起こす為に差し出された手を掴んだのだった。
深夜の街を疾走する紫がかった赤、謂わばマルーン色の髪とコスチューム
両脇に結っている髪が靡く様はさしずめ獣の尾の様である。
そして、袋小路にあたる場所で馬型ドレイナーズを追い詰めていた。
『MODE JI』
戟を表せ、手に取ったマルーンの魔法銃士は
そのまま遠心力を利用して斬撃をそのまま前にいる馬型ドレイナーズに連続で浴びせていく。
『CHARGE TO BREAK』
そして、一旦距離を取ったかと思えば戟を構ると同時に、マルーン色の大きな矢印となり、突っ込む。
その矢印は馬型ドレイナーズを貫通し、残心をした魔法銃士の姿に戻ると
ドレイナーズは崩れ落ち、石と宿主の女性を残した。
「20時!仕込みをしなくちゃ・・・」
早速、石を拾いに行こうとした所に邪魔をするかのように黒の魔法銃士が現れた。
「何?貴様?」
「恨みはないけど石は私が貰うわ」
「うぇあ!?」
自分の手柄をまるきり横取りする宣言をされては、マルーンの魔法銃士もたまらない。
敵意を込めて戟を構える相手を見て黒の魔法銃士も槍を出現させ、仕掛けてくる。
マルーンの魔法銃士は今更ながら、武装を変更しなかった事を悔やんだ。
この戟を武器にした大技は先程出してしまったので使えない。
距離を取って武装を変更する為に指輪をスキャナーに通そうとするが
黒の魔法銃士が間合いを微妙に詰めてくるのでなかなか出来る機会がない。
逆に間合いを外そうと動き回るのにとらわれていたのが仇となり、戟を弾かれ重い一撃を受ける形になってしまった。
「あぐっ!?」
強かに近くにあった壁に衝突し、ダウンしてしまうマルーンの魔法銃士。
もともと疲弊していた身であの一撃はかなり堪えた様だ。
「う・・・ぅ、倒したの自分・・・!」
この横槍に納得してないのか倒れながらも黒の魔法銃士に不平を漏らす。
「これが魔法銃士の競争システムだと把握してたけど違ったかしら?」
「何を・・・!?」
マルーンの魔法銃士に正論を突き付け、悠々と石を回収した黒の魔法銃士は
動けずにいる、マルーンの魔法銃士の指輪に何やら白い液体をかけはじめた。
すると、二人のいる路地にヒヒの姿をしたドレイナーズが現れる。
「おま・・・!?」
「今日の所は、『私は』見逃してあげるわ」
マルーンの魔法銃士を残し、去る黒の魔法銃士。
「ゃ・・・ぃやだ・・・!」
弾かれた戟を掴もうと這いずっていくが
ヒヒ型ドレイナーズに両足首を掴まれ、そのまま高く持ち上げられたかと思うと
そのまま勢いよく路地に叩きつけるように投げられた。
肺から全酸素が出たのではないかと思える衝撃を受けて
暫く間を置いてから咳き込みと痛みでの悶え始める。
ヒヒ型ドレイナーズはマルーンの魔法銃士の乳房をこねくり回すのと同時に、全身を舐めあげる。
すると突如ゾクゾクとエクスタシーに似た感覚が脳へ上がり始める。
黒の魔法銃士が施したのはドレイナーズを呼び寄せる物と、魔法銃士の情欲を増幅させる物だった。
その事を露も知らない魔法銃士はこの快感のせいで抗う心も萎えてしまった。
しかも何回も絶頂を迎える快感に対して締まりのない身体になってしまっている。
段々澄んでいた目も快感で曇ってゆき、際限ないエクスタシーは
段々喘ぎの性質を人の声から獣の鳴き声に近いものにまで劣化させていた。
悦びの涙で顔を汚していたマルーンの魔法銃士は
力の入らない右手でシャープナーを探し、引っ張りだすのに3分、指輪の石に当て研磨するのに5分かかって清浄化に成功した。
それまで二つの穴は犯され尽くされ、身体もほぼ精液まみれになっていたが
こうなればこの程度のドレイナーズには負けない。
『MODE BLADE』
マルーン色調に輝く刀身の剣を出現させ、ドレイナーズの心臓部に一突きし
ドレイナーズは断末魔を上げながら身体を崩していき、中からは石と宿主であろう男性が出てきた。
「・・・臥薪嘗胆」
倒した事に安堵しながらも自分をこんな目に合わせた魔法銃士への復讐を
まだ快感の跡が残ってる光を失いかけてる暗い瞳で誓うマルーンの魔法銃士だった。
>>278-280 投下乙
>魔法銃士の指輪に何やら白い液体をかけはじめた。
謎の白い液体・・・
GJ
つい、ティールやマルーンがどういう色かググりに行っちゃったZE
>>281 つまり…それは…テキーラ?
何はともあれ作者さん相変わらずGJ
投下GJ!
涙目ティールさんに、ちょっと癒されてるのは俺だけでいい。
猿人型ってレアだよねー。エロいのに・・・。
あーしかし保管庫作りてェ。
禿同どころかむしろここなら自分で作ってしまいたいくらいなのだが。
htmlの知識なんてからきしな人間でも作れるのか保管庫って?
作れるよ、比較的簡単に
ただ問題なのはレイアウトとかそういうの
ブログとかwikiなら、基本過去ログからコピペで作れるんじゃね?
あれはあれでめんどくさいところがあるんだけどな
まぁホームページ作るよりか楽なのは確かだけど
atwikiあたりでやってみるか?
前の保管庫ってなんで唐突に消えたん?
やっぱ内容?
>前の保管庫
諸事情があって・・・とか言ってたけど、なんだろうな?
管理人さんのブログに理由は書いてあったぞ
>>290 あそこアダルト禁止じゃなかった?>@wiki
じゃあ自分が作ってもいいですか?>保管庫
livedoorwikiなら18禁でもよくなかったけ?
ちゃんと成人向けに設定しておけばいいみたいだね
マスコット「ところで決め台詞はなんにする?」
魔法少女「前から言ってみたかった台詞ならあるよ」
マスコット「どんなの?」
魔法少女「それはね…「全ての魔法少女は私に道を譲れ!(キッ!」なんだけd」
過去スレ魔女S'「どうぞどうぞ」
名無し魔法少女S'「どうぞどうぞ」
魔族「カモーン(はあと)」
魔法少女「い、いまの無しで…(゜∀゜;ノ)ノ」
マスコット『この時の僕には彼女がまさか、あんな最後を遂げるとは思ってもいなかった…』
atwikiは利用規約じゃアダルト禁止だね
・・・なんかエロパロの保管庫らしきコンテンツもヒットするが
まあ、また消されたりしたら元も子もないわけで
あんまり他のとこ見ないけど他のスレは保管庫とかどうしてるの?
どうしてるの?って具体的に何がききたいの?
色々かな
個人がやってるところもあるし無いところもあるし
2chエロパロ板SS保管庫に頼むところもあるし
他のとこはどうしてるんだろうって思っただけで具体的に何か聞こうというわけじゃない
295です。
livedoorwikiならアダルトOKらしいのでそこで保管庫つくろうと思います。
多少時間が掛かるかもしれませんが気長に待ってもらえますでしょうか?
待つよ、ずっと待つよ!
フン、俺はそんなに気長じゃないぜ
一年以上は待ってやらんからな
PS3の復旧までは待つぜ
>>305 おk。途中で不都合が生じたら遠慮なく教えてくり。
後詰で自分が立てるよ〜。
>>305 あんたマジ凄いな
なんか出来る人を急かす事なんかできんわ
待つよ
頑張って
こうみるとlivedoorwikiだとアドが鬱陶しいな・・・
たぶん元々ついてるものだろうから無理だろうけど
すげー! もう形になりはじめてる
>>311 今できている部分については特にないのですが、以前の保管庫のシンプルな構成が一番見やすかった気がするので、長編作品の続きを
収めるときは、スレ別に分けるより(分けるのとは別に?)一覧から一気に各作品の各章に飛べるほうがわかりやすいと(自分は)思います
それに加えて、長編と短編って、あんまり分ける必要がない気も。短編と思った物が、後になって続編が投下されたりもしますし
目覚めた心は走り出したな
炎の匂い染み付いたか
ちょ、ま!保管庫ホンマに出来てるー!
とりあえず無理せず頑張ってな!!
とりあえず最近の更新はメニューの下に基本持ってきた方が良いぞ。
作品表示するスペースが確保できて、文字サイズ大きくしてる人でも変なところで
折り返しにならずに済むし、広告もかなり目立たなくなるよ。
なんとなく変身ヒロイン陵辱(?)物 (続くかもしれんけど一応完結)
☆それゆけ加藤さん☆
それはある日曜日の昼のことだった。
関西はN県の、あるベッドタウンに住む平凡な中学生、加藤瑞希(かとう みずき)。
運動オンチで趣味は読書というインドア派少女である。
彼女が2階の自室から居間に降りると、母が深刻そうに何かの文書を眺めていた。
「どうしたのお母さん」
「――なぁ瑞希。お前、正義の味方やれ」
一切視線を動かさずサラリと口にされたその言葉に瑞希は硬直する。
「…へ?」
何それ。
冗談にしては面白くも無い、どう返せばいいのか分からないボケ。
眼を点にしたまま、中学生の少女は母親を見ている。
母親も娘が今の一言をリアルに受け取れて居ないことを悟ったのだろう、
腰を上げてボリボリ頭をかきながら、読んでいた文書を瑞希に向けて放った。
細かい字がつらつらと並べられていて内容を読む気にはならなかったが、
最後には日本政府直々の依頼書である旨の一文が記されている。
「お母さん、これは―――?」
「悪い奴が出てきて警察や自衛隊じゃ対処できないからどうにかしてくれって、泣きついてきてるんだよ」
「悪い奴って?」
「秘密結社『夜行同盟』(やこうどうめい)。私らの宿敵……になるのかな」
平安時代、都では陰陽師と妖怪が激しい戦いを繰り広げていた。
しかし時代を経るに連れて妖怪は2つに分かれる。
人の世界から手を引き自然界に還った者と、術を捨てて人として人間社会に溶けた者。
いずれにせよ妖怪の力は脅威ではなくなったので、同時にそれを討伐する陰陽師も廃れていった。
だが人と同化した妖怪の末裔の中には術を忘れなかった者もおり、
彼等の中の幾らかは後年秘密結社『夜行同盟』を作り上げた。
かつて人間を恐怖せしめた妖術で日本の征服を目論むテロリスト集団である。
対して権力者側も、陰陽師の子孫で力の残っている者を集めて対応した。
しかしどういう訳か若い女性にしかその力が宿ることが無く、
彼女たちは魔術戦闘のスペシャリスト『対魔兵(たいまへい)』として、『夜行同盟』と戦ったのである。
日本における『対魔兵』と『夜行同盟』の戦いは何百年と続いたが、江戸時代に平賀源内が
陰陽師の魔力を増幅させる変身装置というメカを作ってからはパワーバランスは大きく傾いて、
『夜行同盟』の壊滅という形で幕が下りた。
「その『夜行同盟』が200年越しの復活を遂げたらしい。県庁所在地のN市が襲われて今や戦場だそうだ」
「それで……その『対魔兵』の末裔のうちだから、お願いの手紙が来たってこと?」
「よく分かったな。鋭いじゃないか」
「そりゃ話の流れでなんとなく……」
といっても話に重みを感じていようはずも無い。
そんな突拍子もないことをいきなり聞かされて”ハイそうですか”とはならない。
”本当にそんなことがあるのか…?”と、仮に瑞希じゃなくても思ったことだろう。
「やっぱり実感できないか」
「そりゃあ……。だいたい魔法?なんてものが使えたことなんかないし。
そんな不思議パワーを授かってるならとっくに使ってると思うんだけど」
「よっしゃ。待ってろよ、今封印はずしてやるからな」
母親は瑞希の服を捲り上げると、お腹に手を当てて何やら呪文を唱え始めた。
するとどうしたことだろう。
何か神々しい光が少女を包み込んでいく。
「お、お母さん!?」
「お前の中にある封印を解いて、変身装置を作動させている。
イメージしろ瑞希。妖怪をやっつけるような戦士の姿をイメージしろ」
「イメージったって……それに私の中の変身装置って何!?」
「雑念混ぜるな。変なカッコになって恥ずかしいことになっても知らねーぞ」
「ま、待って!!イメージする、イメージするよぉ!!」
どうやら間に合ったようである。
光が収まった時加藤瑞希の格好は一変していた。
青のジャージ姿から――上は白を基調とした巫女さん風の和服に、下は朱色のミニスカート。
腰には太平記のフィクション部分にしか出てこないような、
反りの激しい刃渡り七尺(2メートルくらい)の『大太刀』が金具で吊るされている。
柄は金細工が施された黒、唾も金、鞘は黄金色をベースに、朱色の縞を斜めに巻いた派手なものだ。
「す、凄い!!変身した!!本当に変身したよ、お母さん!!」
本気にしていなかった分だけ、変身の話が本当だったことに興奮を隠せない瑞希。
しかし巫女さん風の和服にミニスカというちぐはぐな格好に母は呆れ顔を隠せない。
「何、その変な格好?」という冷静な一言が痛烈に突き刺さる。
「ええ!? だ、だって妖怪と戦うならやっぱり和服かなって…!! けど動きやすさなら下はミニかなっと…」
「その馬鹿でかい上に品の無いピッカピカの刀は?」
「やっぱり武器は大きくて綺麗な方がいいんじゃないかなって……」
だからって自分の背丈よりも大きい刀なんか出すか普通。
それを物理法則を無視した魔術パワーで無理やり腰に吊ってるんだから不恰好もいいとこ。
娘のセンスに溜息をつく母だったが、一度決めたものは変更できない。
「…まぁいいか。とりあえずこれからお前の戦闘服はそれだからな。頑張って戦えよ」
「戦うの確定!?」
「当たり前だろう。旦那が死んだこの家に収入があるのは何でだと思ってるんだ」
まあ、保険のようなものである。
魔術を使ったテロリストが現れた時、政府の依頼ですぐに立ち上がるという契約で、
加藤家は国からお金を引っ張っていた。
魔術戦闘のノウハウを現代まで引き継いでいる家というだけでも数は少なく、
特に加藤は力が強かったということで、相場よりかなり多めに貰っている。
地位的には瑞希の母は日本政府直属の魔術戦闘部隊の長という感じになるのだ。
「まあいつまでも戦いが無けりゃ良かったんだけどねぇ。私らの代で敵が出たんならしょうがない。
そのためにうちは代々、娘が生まれたら真っ先に魔的改造を施してきたんだからな」
加藤の女は生まれながらの兵士である、と母は言う。
サラリと恐ろしいことを告げられた瑞希の顔が青くなった。
そして思い出す、先程の母の言葉―――。”お前の中にある変身装置”というキーワード。
「お、お母さん!! 私、改造人間!?」
「まあそうだが、別に物理的に機械を埋め込んでるとかじゃないからな?」
確かに平賀源内の時代は、眼に見える機械――現代のTVの魔法少女物のようにアイテムで変身させていた。
しかし物理的な機械では敵に盗まれるとか、紛失するなどのトラブルもあって、システムが見直された。
魔力を編んだ回路的な術式を『装置』として少女たちに植え付け、
その装置からの命令で変身できるような身体に改造したのが現在の形である。
お陰で何の外部装置も用いることなく、術者の一念で変身と解除が自由自在。
「改造といっても医学的にはちゃんと人間だからな。
歳も取るし子供も産めるのは私が証明しているだろう、日常生活にはなんら問題無い」
そう母は言うが年頃の乙女にはショックだったようだ。
戦いのために、生まれた時のものとは違うものにされていたという事実は。
「私はサイボーグの兵隊なんだ!!お母さんそれを黙ってて…!!酷いよ!!」
という瑞希の言い分にも理はあるのである。しかしそんな瑞希の理屈を母は吹き飛ばす。
「お前改造人間でなければ3歳の頃に死んでたんだぞ」
「……え?」
「お前、昔赤信号を渡ろうとして車に撥ねられただろう。改造されてなければ即死だったぞ」
「ええっ!? あれは打ち所が良かったとかじゃないの!?」
そんな訳がないだろうと母は返す。
大概の場合、戦いを経験しなかった女性の変身システムは作動することなくそのまま墓場に持っていかれるが、
実は緊急用安全装置も兼ねていて、命に関わる物理的な事故などの際は魔術で身を守ってくれるのだ。
だから瑞希はおっちょこちょいで交通事故に遭った時も、海で溺れた時も、頭上からネオンが落ちてきて当たった時も、
「ふう、死ぬかと思った」で生き延びて来れたのだ。
余談だが、瑞希のお婆ちゃんは子供の頃、B−29の焼夷弾やグラマンの機銃掃射を浴びたことがあるが
この力で助かっている。
「そんな……」
「私らの一家は、この技術のお陰で代々こうして健康に暮らして来れたってのもある。
だから敵が出てきたら戦うっていうのが、この仕組みを作ったご先祖様に恩を返すことになるんじゃないのかね」
(じゃあお母さんも戦えばいいじゃん……。この書類の名義もお母さんだし…)
「何だいその顔は、不満でもあるのかい」
「何でもないよ」
瑞希は母親に頭が上がらない。
早くに父親を失って、母親は女手一つで瑞希を育ててくれたわけで。
「いつかお母さんには絶対恩返しをしよう」という意識が根底にあり、その気持ちも裏切れない。
「…分かったよお母さん。とりあえず私、悪い人たちと戦えばいいんだね…」
「そうだ。もう変身装置はお前の意のままに動くから、気軽に変身も解除もできるぞ」
「本当だ」
心の中で戻れと念じると変身が解けて先程までの姿に戻っている。
これで使い方は分かったが、瑞希の中の不安は消えない。
「でもお母さん、戦いって痛いとか怖いとか無いの?」
「痛いし怖いに決まってるだろバカ。何言ってんだお前」
「やっぱりそうなんだ…。もしかしたら、死んじゃうこともあるの…?」
「正確には死ぬんじゃなく殺される可能性がある。
まあ殺されないようにするには戦うしかない。実戦だけが兵士を作るって言葉があってだな。
お前は『対魔兵』ってもう兵隊なんだから、仕方が無い。
お前のお婆ちゃんも、曾お婆ちゃんも、その前のお婆ちゃん達もそういう覚悟で生きてきたんだ。
今日までお前を生かしてくれた、ご先祖とお国の為に死んで来い」
「うへぇ」
なんとも厳しいお言葉。
まだ戦うということの現実味すら実感していないというのに。
こんな家に生まれてしまった宿命を呪いつつ、少女は前線に送り出された。
※
母の魔法によって現場に強制転移させられた瑞希。
彼女に与えられた戦場…N県の県庁所在地であるN市は地獄だった。
そこには観光で栄えた昨日までの面影は無い。
破壊された街を鬼や雪女などのお面を被った怪しい一団が闊歩し、先祖譲りの怪力や超能力で人や店を襲っている。
治安維持に出動した機動隊の人たちはコテンパンにのされて地面に転がっている。
そんな無秩序さを良いことに、中には被害者側であるはずの人間が、
ドサクサ紛れに火事場泥棒を働いている一幕も見受けられる。
……百鬼夜行というより、応仁の乱の時の京都に近いかも知れない。
「離して下さい!!やめてよぉ!!」
廃墟と化したN市駅前に響く絹を引き裂くような悲鳴は女子高生のものだった。
ショートカットの似合うスポーツ系。
そんな彼女を鬼をお面をつけた男が二人して襲っている。
「やめねぇよ♪」
「ほれ、ご開帳だ」
「イヤアアアアアアアアア!!」
嫌がる彼女のブレザーの前を無理やり開き、ブラを引きちぎり、スカートを破り捨て、ショーツまで脱がせて、
男二人は即その娘の、前と後ろの処女を奪った。
「ひがああああああああ!!」
眼を見開いて犯される女子高生。
前戯も無くただ痛いだけのSEX。
苦しいやら、悲しいやら、恥ずかしいやら……。
泣きながら必死で懇願する彼女を、2人の男は弄ぶ。
「やめてぇ!!もうやめてよぉ、抜いてぇぇぇぇ!!」
「ああ抜いてやるとも、しっかり子種を植えつけてやった後でな…!!」
「直にこの国全てが俺達『新夜行同盟』の支配下になるんだ、今俺等の子供産んだ方が後々得だぜぇ?」
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤッ!!」
少女の必死の抵抗も、鬼の怪力を受け継ぐ二人には興奮させてくれるだけの見世物でしかない。
下卑た笑いを晒しながら、男らは少女を陵辱する。
…しかし、彼等が彼女に種付けすることは叶わなかった。
「やめなさい、よっ!!」
その掛け声と同時に打ち下ろされる七尺の鋼。
通常兵器であれば機関銃はおろか核ミサイルすら効かない『夜行同盟』構成員にも、『対魔兵』の攻撃ならば通用する。
峰打ちではあったが二人を気絶させるには充分だった。
続けざまに男二人は打ち倒され、衣服を剥がれた女子高生は解放される。
瑞希は得物を右手に持ったまま、地面に倒れた年上の少女に空いた左手を伸ばした。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ありがとう。助かったわ。貴方は?」
「正義の味方、『対魔兵』の加藤です!!」
「加藤さん…ね、ありがとう」
その少女のホっとした笑顔を見た時、瑞希は少しこの仕事にやりがいを覚えた気がした。
(やっぱり、人にありがとうって言って貰うと気持ちがいいなぁ)
その時である、仕事用にと貰った電話に母から連絡が入ったのは。
「もしもし?お母さん?」
『瑞希――。
お前のことだから、勝つと調子に乗って助けた相手や倒した敵に大見得切って名乗りたくなることもあると思うが、
そういうことは絶対にやるなよ。『対魔兵』のことは秘密だからな。
一応変身中は目視で正体を特定できないような魔法がかかってるんだが、名乗ると流石にまずいぞ』
「………」
流石は母親、娘のことをよく理解していると関心する。
峰打ちでやっつけた相手に向かって勝ち名乗りをしようと考えていたところまでお見通しとは。
これが数秒早ければ今こうして瑞希が青くなる理由は無かっただろう。
「……うん、大丈夫だよお母さん。正体なんか全然バラしてないよ、私クールだもん。うん、凄いクール…」
「あー、加藤さん、今日のことは見なかったことにしとくよ。じゃあお気をつけて」
「ありがとう、優しいお姉さん…」
女子高生のお姉さんと別れた瑞希は、獲物を見つけてはとっちめていく。
敵も瑞希が憎き『対魔兵』だと分かると次々と群がってくる。
妖怪をお面をつけた『新夜行同盟』の戦闘員がぞろぞろと―――
轆轤首、磯女、からかさお化けなどバリエージョンも豊富だ。
(なんかもう、魔窟って感じになってるよねこの街…)
その禍々しさと言ったら無かったが、この時瑞希には不安は無かった。
先程、さほど力を込めずとも鬼を2人倒せた。
妖怪の末裔を討つための『対魔兵』は、相性の上では超有利なのだということを瑞希は自覚し始めている。
「つまり敵が何人いようと同じことだあああああああああ!!」
「「「ぐわあああああああああああ!!」」」
大太刀の一振りで敵の一部隊を壊滅させるような、圧倒的戦力。
駅前で、商店街で、公園で。
瑞希は『同盟』構成員を見ると襲い掛かり暴風のように蹴散らしていった。
※
県庁ビルは既に『新夜行同盟』に占領され、この作戦の指揮所となっている。
その一室から『新夜行同盟』の初舞台を指揮しているのは、「若殿」と呼ばれる若い天狗だった。
鼻の長い天狗の面に、修験道の着物、高下駄。手には八手の葉の扇。
遡れば愛宕の太郎坊の血を引くその身体からは、他の『同盟』メンバーとはケタ違いの霊格を発している。
しかし若殿はこの作戦に消極的であった。
…というより、『新夜行同盟』の存在そのものに難色を示していた。
今日までの彼は一中学生に過ぎず、適当に青春を謳歌して大人になって可愛い嫁さんでも貰えれば
それでいいやと考えていた人間であり、日本を武力で征服するなどという事業に興味は無い。
だいたい、自分達の戦力は警察や自衛隊に対しては無敵だが、『対魔兵』とガチで戦えばまず負けるだろう。
――大丈夫だ。国も東京や大阪には『対魔兵』を置いているかも知れんが、こんな田舎の県なら楽に占領できる。
ここを拠点に力を蓄えて徐々に都会に侵攻していけばいいのだ。
と『同盟』の総帥は本作戦の成功率の高さを説いていたがそんな根拠はどこにも無いし。
一応、親の保護権がなくなる20歳までは付き合ってもいいかと思っているが、
これが、男手一つで育ててくれた父親の頼みで無ければ絶対に断っているだろう。
「本当に大丈夫なのかね……。」
とにかく若殿の懸念は一にも二にも『対魔兵』。
このN県を掌握し、対『対魔兵』用の結界を張り巡らせた要塞に作り変える前に攻め込まれては命が危ない。
父親の言うとおり、このN県に対魔の連中がいないことを祈るばかりである。
――大変です若殿!!『対魔兵』が出ました!!
という報告が手元に届いて、彼が盛大にずっこけるのは直後のことなのだが。
若殿は携帯を取り出すと、自身の父親に即座に連絡を入れた。
「ああ、親父か!? 出た、出たんだよ対魔が!! そう、ここに!! どうするんだよ!!
何、戦え!? 本気で言ってるのか!?
今の俺達に対魔と戦う力なんて―――こら、切るな、親父!!」
敵前逃亡は許さないと言われ、1分にも満たない通話は先方のガチャ切りで終了した。
お前の素質は今代最強なのだから『対魔兵』と戦えるというのである。
大ボスの息子が初戦で不戦敗ともなると、再結成したばかりの組織の士気が下がるという計算もあるのだろう。
(くそ――、やるしか無いのかよ?
俺の神通力なんて先祖に比べたら屁みたいなもんだぞ…!?
あーもう、何で生まれた家が悪の組織なんだよ!!
真面目に生きてる人間を切った張ったの世界に引き込まんで欲しいよ、本当!!)
若殿は生まれながらに悪の組織の幹部になってしまったことを嘆いたが、今はそんな場合ではない。
<若殿、敵が来………グエッ!!>
門を守っていた連中からの通信がそれで途絶えた。
確認してみると市内の各地にいるはずのどの部下からも応答は無く、どうやら敵はこの数分で、
N市全域の味方全てを殲滅した上でこの県庁ビルに突入してきたと思われる。
伝え聞くままの、恐ろしい殲滅力。
このままではビルに配備させている警備の連中も根こそぎやられてしまうだろう。
「…仕方が、無いか」
若い天狗は覚悟を決めた。
これでも、今代最強を認められて前線指揮官を任された身である。
根が真面目な彼は、迫り来る脅威は自分が命をかけて迎撃しようと腹を括った。
それが父親や部下の信頼に応える道なのかも知れない。
「…動ける者は総員、直ちに撤退しろ。『対魔兵』とは俺が交戦するから、
その間に市内の負傷兵を回収してやってほしい」
前線指揮官としての最後の命令を発し、自分は邪魔の入らないビル屋上で敵を迎え撃つことにした。
※
対魔の少女と若い天狗は、県庁ビル屋上で対峙した。
その少女の持つ大刀に込められた高い対魔の力に若殿の額に汗が滴る。
「貴方が『夜行同盟』のボス!?」
という瑞希の問いに、若殿は頭を振った。
「ボスじゃないけど、一応前線指揮官だ」
「どうしてこんな事をするの!? 街がめちゃくちゃじゃないの!!」
「それに関しては悪いと思って―――いや、言い訳はしない。仕事だから全力でやった、それだけだ」
「じゃあ、またやれって言われたら同じことをするの!?」
「そうなる―――のかな」
少し躊躇しながらも若殿は答える。その返答がスイッチだった。
最早語ることは無いと瑞希は踏み込む。
他の連中を薙ぎ倒してきたように、眼にも留まらぬ速度で七尺の鋼を峰から打ち下ろす。
それを天狗は、手にしていた八手の葉っぱで切り払った。
「!?」
初陣とは言え、ここに来るまでの全ての敵を一撃でやっつけてきた瑞希である。
その攻撃を軽く防がれたというのは、少しショックだった。
次にどんな手を使われるか分からないので、瑞希は刀を構えたままそのまま後退し、迂闊には動かなくなる。
一方の天狗はと言うと、相手はクールに止めたと思ってくれたのかも知れないが非常にギリギリであった。
八手の葉を魔力で鋼のように強化し、相手の攻撃に合わせて上手く切り払ったわけだが、
同じく初陣の彼にとっては全神経を集中させても成功するか分からない危ない賭けであった。
手は『対魔兵』の馬鹿力を受けた振動が未だに残ってビリビリと痺れている。
若天狗は先祖を散々に打ちのめしてきた宿敵の強大さを肌で感じていた。
(…白兵戦は不利か。なら、神通力で戦うしかねぇ!!)
『天狗の神通力』。
それは森羅万象、宇宙の全てを統べる理である。
最高位の天狗ともなると六神と呼ばれる究極の力―――――
神足(何よりも速く動く力)、天眼(宇宙中を見渡す目)、天耳(宇宙中の音を聞く耳)、
他心通(他人の考えていることを把握する力)、宿命通(過去と未来を全て知覚する力)、漏尽通(万全の英知)
を持つと言われるが、このペーペーにそこまでの力があるはずも無い。
彼にあるのはそういったメインの輝かしい能力ではなく、古の大天狗なら先の六神に加えて誰でも
オマケとして持っていたような、阿修羅のような「破壊の力を行使できる」という、下の下の力。
「食らえッ!!」
しかし現代ではこれでもいささか強力に過ぎた。
天狗が手を掲げると天が割れる。
青空に引き裂かれた彼方に見える虚空の黒に、何十何百という不気味な稲光が響いたと思ったら、
雷光が空中を走って槍のように大地に突き刺さった。
アスファルトが、ビルが、車が……人間の小賢しい知恵で生み出したモノの脆さをあざ笑うかのように、
止む様子の無い稲妻の雨は街を蹂躙する。
人に落ちて世代を重ねた身ですら、これほどの力を発揮できるものなのか――。
若殿は初めて使う己の力に驚いていた。
「…何ッ!?」
しかし次の瞬間、天狗はそれ以上に驚愕することになる。
この、街1つを消し飛ばしてしまうかのような猛攻の中にあって、敵の『対魔兵』は健在。
足場になっていた県庁ビルの屋上は建物ごと全て崩れ去ったが、
地面に落ちた無数の瓦礫の上で、刀から放たれる聖なる光のバリアが全ての雷を遮断していた。
「馬鹿な、これだけの雷を凌げるなんて…!! ならこれはどうだ、これは、これは…!!」
大地をえぐる烈風が吹き荒れる。
時間さえも凍らせてしまいそうな猛吹雪をぶつける。
星を丸ごと焼き尽くしてしまいそうな業火を放つ。
おおよそ古代より、人間が恐れを抱いてきたあらゆる自然の驚異を神通力で具現化して天狗は攻めまくるが、
目前の少女はあのポン刀1つの輝きを頼りにそれを防ぐ防ぐ防ぐ。
攻撃すればするする程、若殿の顔はみるみると青ざめていった。
(やべぇよコイツ……。俺はこんなのに勝てるのか…? やっぱり俺殺されるんじゃ……)
古来より同胞を葬り続けてきた『対魔』の反則的な力。
若き『新夜行同盟』のエースはその力を恐れた。
※
(し、死ぬ!!死んじゃうよ!!助けて、助けておかあざ〜〜〜〜ん!!)
瑞希は決して楽ではなかった。
敵の攻撃のなんと凄まじいこと。
咄嗟に張ったバリアでかろうじて命を取り留めているが、分かるのだ。
自分の身体の中に流れる魔力が夥しいスピードで消耗されていく。
全ての魔力が尽きた時、自分の身体は雷に突き刺され、烈風に微塵切りにされ、吹雪で凍らされて
最後は炎の中で消し炭になるのだ。
(おおお、し、死ぬ!! 死んじゃう!! 私死ぬぅぅぅぅ!!)
ビキビキビキと刀に皹が入っていく。
兵にとって武器は象徴。
瑞希の刀は己が魔力の象徴である。
これが壊れるということは魔力が失われていくということと同義なのだ
それは同時にこのバリアの消滅と、その後に待ち受けているであろう絶命を意味する。
(――死ぬ? 私、死ぬの?)
その時になってようやく、瑞希は自分の死が現実味を帯びた気がした。
(嫌――だよ、そんなの、死なんて、嫌―――。
私まだ中学生、高校に行きたいし、皆とも遊びたい、鈴木君にだって、まだ、告白してないのに―――)
少女の後悔とこの世への未練を絶望が押し流していく。
このまま加藤瑞希は命綱の刀をへし折られ敵の神通力の前に散るのだろう。
(――もう、ダメ)
刀が折れる先に心が折れて、柄が手から離れそうになった直前。
(……えっ)
先程まで嵐のように続いていた攻撃はピタリと止んだ。
からり、と刀を地面に落とし、少女の身体は割れたアスファルトの上へと倒れこんだ。
※
「倒した……のか?」
天狗が攻撃を止めたのは、完全に魔力切れを起こしたからではない。
このままで攻撃を続けたら魔力が切れるだろうから、体勢を整えようと手を休めたのだ。
しかしどうやら向こうもギリギリだったようだと、地面に倒れこんだ少女の肢体を見て気がついた。
――勝てたのだろうか。
淡い期待と高揚感が湧き上がってきて、顔が緩んだ。
トドメを刺そう。
そう考えて翼をしまって地面に降り立ち、高下駄をカラコロと鳴らして対魔の少女に近付くと、
自分を見上げる彼女と視線が合った。
涙を滲ませて助けてと懇願する少女の瞳。
殺そうと思えば殺せるのに、それを見た途端天狗にはそれが出来なくなった。
クラスメートと同い年くらいの女の子じゃないか。
「――くそっ。こんな女の子に戦わせるなんて、国は何考えてるんだよ。ったく……」
天狗は携帯を取り出すと父親に繋いだ。
勝ったことの報告と、せめてこの娘の命だけは助けてやって欲しいという嘆願のために。
「あー、もしもし、親父? 『対魔兵』どうにか倒したよ……。それでさぁ……。
え? まだ生きてるけど……何? ヤドリギの種?」
法服を探ってみると植物の種のようなものが出てきた。
父親が言うには、それは『対魔兵』から魔力を吸い取る力があるアイテムなのだという。
力を使った『夜行同盟』は戦闘後にこれを使うことで魔力補給を行ったのだとか。
『本来はもっと敵に余力がある状態のまま動きを止めて使う。
魔力切れ寸前のが相手では効果は半減なのだがな、練習も兼ねて使ってみぃ』
「これ以上魔力を吸ったりなんかしたら、死んだりしないのか、この娘」
『甘いことをぬかすな。一歩間違えればお前が死んでいたのだぞ。敵兵に情けをかけるな!!』
「………」
不機嫌な顔になりつつも、言ってることは正しいので従って種を蒔く。
すぐに触手のようなツタの群れが生えてきて、瑞希目掛けて伸びる。
もう抵抗する力の無い少女は避けることも防ぐこともできないまま、四肢を拘束された。
「えっ…!?な、何するの、やめ、やめて…!! んぐっ…!!」
瑞希の口に捻じ込まれるツタ。その先端から発射された甘い汁が、対魔の少女の口内へと注ぎ込まれていく。
(何、これぇっ……)
虚ろになっていく瞳。火照る身体。
生死のかかった戦場だというのに、瑞希の意識はぐにゃりと歪んでいく。
全身の毛穴から汗が噴出し、白の衣をぐっしょりと塗らして、少女のボディラインを形作っていく。
(んんっ、やだ、恥ずかしいよっ……、ああ、でもどうして、どうして、気持ち、イイ……?)
特に胸が感じる。
勃起した乳首に衣服がピッチリとこびり付いて、誰かに吸われているかのような快楽を与える。
(れ、れも、らめぇ……、これじゃ足りないよ、おっぱい、揉んで、揉んで欲しい……、んっ、んっ…)
このツタのもたらす媚薬の効果が、少女の意識を発情期のメス犬のそれへと変化させていく。
ツタは瑞希の身体を這い回り、帯を解くと、着物の前がはだけて歳の割には大きめの胸がぷるんと露出した。
(ひああああっ…!!)
熱く濡れた衣に包まれてサウナ状態に火照っていた乳房が急に外の風に冷やされて、何とも言えぬ刺激を生む。
瑞希はそれだけで一度達してしまった。
そこで、若い天狗は唾を飲み込んだ。
『どうした純一』
「親父……俺はずっとこれを見ていなけりゃならない、のか……?」
あの『対魔兵』は敵だ。殺し合いをしていた間柄だ。そして今は利用するための処置を施している。
しかし…はっきり言って、あの娘は若殿の好みであった。
幼さの残る顔が快楽に漬かって、純白の柔肌を紅く染めてよがり狂う――。
あのヤドリギがこのままあの娘から魔力を吸収するのを待ち続けるなんて生殺しである。
『なんだ。お前その娘が好みなのか?』
「好みっていうか……好きな娘にちょっと似てて…」
『ほう〜。なら、あんな触手に先にヤらせるのは勿体無かろうな。
ヤドリギを止めて犯すがいい。その後で魔力を吸い取れ』
「い、いい、のか……?」
『良い良い、それでこそ悪の秘密結社の幹部よ。
いやあ俺もな、若い頃はよく浮気して母さんに怒られたもんだが、男はそれでナンボよ。
やれい純一、わしが許す』
「そう、か………。じゃあ……」
『ただし――――』
プツッ、ツー、ツー、ツー…。
戦いの高揚感から若殿もやや思考停止に陥っていた。
父が最後に何か言い残そうとしたところで電話を切ってしまい、ヤドリギを停止させ、
肉欲の虜になっている『対魔兵』へと飛びついた。
「やぁ、何するの、やめ、あっ、あん!!」
瑞希はまた達した―――念願の胸を、思い切り揉まれ、むしゃぶり付かれて。
「いやぁ!!イ、イっちゃう!!おっぱいでイったばかりなのにぃ、またイっちゃうよぉ!!」
(やべぇ、マジで可愛い…!!)
舌を出しながら荒く呼吸する少女を若殿は凝視する。
小ぶりの可愛い口から伸びる舌は誘っているようにしか見えなくて…。
若殿は天狗の面を少しずらして口元を晒すと、欲望のままにそれを奪った!
「ん、んんんんん〜!!??」
突然の事に瑞希はショックを受ける。
ファースト・キスだったのだ。
それを奪われた。
かろうじて残っている意識が、瑞希の脳裏に好きなクラスメートの顔を浮かび上がらせ、
瞳に悲しみの涙を浮かばせる。
(ごめん……鈴木君………、あ………)
しかしその罪悪感一時のこと。
激しい舌使いで口を責められながら胸をいじくられていると、そんな負の感情など消えていく。
キスをしているという興奮が一人歩きして、更に貪欲に快楽を求めるようになる。
「ッ!?」
若殿は驚いた。
今この瞬間のキスは、自分がしているものではない。
相手が積極的に舌を使うようになって、陵辱しているはずの相手を求めてきている。
天狗のお面に空けられた穴を通して、至近距離で互いの視線が交差する。
(お、お願い………。もっと、キス、したい、おっぱいも、あそこも、欲しい、よほぉ……)
切なさ故の涙で男を誘う雌の本能。
少女の手は天狗の手を、自分の一番大切なところに宛がった。
(おい、お前、それ……!! い、いいのか!? こんなことしといて何だけど、その…!!)
(欲しいよ……。我慢できないよ、私の、女の子の一番大事なトコロ、おマンコ、して………)
そんな以心伝心の末に天狗はキスを終えると、
少女のミニスカートをめくり上げてショーツを脱がした。
先程の胸と同様、勃起していたクリトリスが外の空気で冷やされて少女の快楽を刺激する。
「ひあ…………あまり見ないで、あう、すーすーする……、イきそ…、ん…」
「ここ…すげぇ事になってるぞ……」
「ひゃああああああ!!そ、そこ、らめぇっ!!」
クリトリスを摘み上げると、瑞希は弓なりになってまた達した。
「はふ、はふ……、お、お豆、イっちゃった―――」
(すげぇエッチだ、こいつ……)
もっとこの身体を堪能したい。
耳たぶ、太もも、お尻……。
触ったり、足を絡めたり、キスしたりと、少女の身体を弄ぶ。
「ひはぁぁ……、いい、いい…ン……はぁぁ……」
甘い吐息が降りかかる。
しかし、もっと楽しみたいという若殿の意向とは裏腹に、瑞希は切なげな声を上げ始めた。
「ねぇ、お願い………。もう、我慢れきないよぉ……」
「ご、ごめん…。したいん、だっけ……」
初めて故の興奮。
天狗は節操無い動作で取り出した自分の一物を、”敵”の膣内へと挿入した。
「いぐっっっ!!」
初めての痛みに身体を躍らせる瑞希。
しかし、もうドロドロに出来上がっていた瑞希の膣内は処女と思えない程に貪欲に男根を求め、
ぎゅうぎゅうに締め付けて離そうとしない。
瑞希の痛みも一時のもので、すぐに快楽の波が瑞希を翻弄した。
(な、何だよこれ…!!こいつの膣内、ヤバい、気持ち良すぎるっ!!)
「いやはぁん!! 気持ちいい、気持ちいいよぉ!! 動いて、激しく動いてぇ!!」
(動けつったって、こんだけ締め付けておいてよくも…!!)
それでも若殿はなんとか腰を動かし、肉棒を少女の中で出し入れを繰り返す。
「ひあああああああ!!膣内、け、削れる!!イくっ!!私イっちゃうよぉ!!」
敵の腕の中で、瑞希は踊る。
歳の割には発達したオッパイをたゆんたゆんに揺らして、長く美しい黒髪を怪しく振り乱して、
嬌声を上げながら瑞希は狂う――。
「行きと帰りだけでぇ!! イっちゃうからぁ!! イきたいッ!! イくのぉ!!」
「俺もイくっ…!! 膣内に、膣内に出すぞ!!」
「出してぇ!! 膣内に出してよぉ!! 熱いの思いっきり、ふひゃああああああああん!!」
注ぎ込まれる白濁。
それが破瓜の赤と混じったピンク色になり、どろりと太ももへと垂れる。
「ああん………」
「はぁっ、はぁっ……」
二人の身体はぐったりとなる。
意識が飛びかけで、その一瞬お互いは他の何かを考えることが出来なかった。
…しかし、やがて落ち着きを取り戻してくると、若殿はただぼんやりと携帯電話を広げた。
「…親父?」
あのアホ親父に邪魔されたくないからマナーモードにしてたから気付かなかったが、
あの直後から何度も着信履歴が入っているではないか。
一体どうしたのだろうと思っていると、メールの方も入っている。
電話が繋がらないのでメールを送ったのだと思われる。
「え?」
若殿はメールを開いてみて青ざめた。
『純一よ、敵を犯すのは構わんが、膣内出しだけは絶対にするなよ。
まぐわいは古来より魔力の伝達手段としての意味合いも持つ。
熱が温度の高いほうから低いほうに流れるように、魔力も多い方から少ない方に流れる。
もし犯してしまえば、お前は一気に不利になるぞ』
…つまり余力の残っていた若殿の魔力は、余力の無い敵と性的接触を持ったことで、
そちらに流れてしまうのである。
「た、確かに少し、ダルいような……はっ!?」
背後に迫る殺気。
振り返るとさっきまでアヘ顔を晒していた敵兵がそこに立っている。
元々ヤドリギの与えた陰熱は術者の魔力によって左右されるので、若殿の力が落ちれば媚薬の効果も切れるのだ。
更に瑞希が構えた大上段には、補充しきった対魔の力が満ちている。
「うう…、ううう…!!」
瑞希は泣いていた。
助かったということが分かると、人間今まで置いていた様々な感情が還って来るものだ。
見ず知らずの男に裸を見られた悲しみ。
ファースト・キスを失った悲しみ。
バージンを失った悲しみ。
何よりも、キスにもエッチにも快楽を感じてしまった情けなさと、想い人への申し訳なさ――。
それらが全て憎しみと殺意になって、目の前の仇敵に向けられる。
瑞希の剣はもう止まらなかった。
若殿の顔から血の気が引いていく。
直感した。こんどこそ、死ぬと。
「あの―――、ちょっと、待ってくれないか。今日のところはお互い引き分けというところで手を打とう」
「死ねえええええええええええええええ!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!」
振りかざされた対魔渾身の一撃は、魔力の暴風となって若殿を吹き飛ばす。
街1つを犠牲にした激しい戦いではあったが、
この日人類は『新夜行同盟』との第一戦目を勝利で飾ることができた。
おめでとう瑞希!!
※
翌日。
登校した瑞希は自分の机に顔を埋めていた。
「うう……。朝からブルーだよぅ…」
変身ヒロインになっても学生の本分は失われない。
しかも昨日は徹夜で母親から説教を受けた。
そんな逆転の仕方は二度と無いだの、街の犠牲が出る前にどうしかしろだの。
おまけに声色から第三者に名前を名乗ったこともバレていて、その件でも怒られた。
ついでにもっと上手く戦えるようになるまでお小遣いを減らすと言われた。
そして早朝には根性をつけるためと走り込みをやらされた。
今日は早く帰って来て訓練だと言われている。
(娘のファーストキスとかロストバージンとか、もうちょっと悲しんでくれてもいいのに…)
母親曰く「その程度の傷で済んでラッキーと思え」らしい。
確かに戦死よりはマシだが、どうも納得できない部分もある。
「はぁ…。私のファーストキスもバージンも、いつか鈴木君にあげるつもりだったのになぁ…」
片思いの相手を想いながら机にうつ伏せになってしょんぼりしている瑞希だったが、
すぐにその程度のことで悩んでいる場合ではないと気付かされる。
隣の席に座った――その男子生徒の姿を見て。
「ど、どうしたの鈴木君!?その格好!?」
鈴木純一というその男子生徒、瑞希の片思い相手は、
全身に包帯をぐるぐる巻きにしての登校だった。ミイラのようだ。
「加藤か…。なんつーか、バイトしてたらヘマしてさ…」
よれよれになっているその姿からはまるで生命力を感じない。
瑞希は顔を真っ青にして純一に駆け寄った。
「凄い怪我っていうか……大怪我だよ、これ!! 病院行かなくていいの!?」
「病院行く暇があったら学校行けとさ。ヘマしたのは俺なんだけどさ…、
朝までその事で説教する必要はねーと思うんだよな……親父の奴め」
「鈴木君……」
この瞬間には昨日潜った修羅場のことは既に瑞希の頭から飛んでしまっていた。
今は何より、大切な人が大怪我をしているという事の方が大事だ。
瑞希の声の振るえ様は尋常ではない。
「アルバイトって…何してるの? そんなに危ないの…?」
「職場の機密だから詳しいことは言えないけど、まぁ危ないかな。というか危ない女が絡む仕事だった…」
「女の人!!!???」
顔色を変えてガタッと席を立つ瑞希。
眉毛がかなり、不愉快な方に歪んでいる。
彼女の直感。
純一が女の話をして、しかもその女に非があるにも関わらずその悪口を言わない時は、
決まってその人が純一好みの可愛い娘と相場が決まっているのだ。
瑞希にしてみれば、その女は悪。
彼の気を引きながら危害を加えるなどとんでもねぇ事だ、ということになる。
そんな女はこの世で最も――そう、ご先祖の代から敵だという悪の組織以上に許されざる存在だ。
この世の中に存在してはいけない奴だ。
今すぐそいつの所に行って太刀を浴びせてやりたいと思う感情を瑞希本人は抑えているつもりだが、
普段穏やかな顔は鬼の形相になり、机に打ち付けられた拳はぶるぶる震えている。
「鈴木君、辞められないの、そのアルバイト…!! 絶対良くないよそんなの!!
そんな女の人と一緒にいちゃ絶対にダメだよーー!!」
「な、なんだよいきなり」
瑞希のらしくもない興奮に純一も引き気味だった。
その彼の表情を見て瑞希の顔から血の気が抜け、こほんと咳をして席についた。
「ご、ごめん。でも危ないことはしない方がいいよ…」
「心配してくれんのは嬉しいし辞めたいのは山々なんだが、辞められねぇんだよなぁ」
「そんなにお金がいるの…?」
「どっちかってと親の事情。まぁ確かに時給はいいんだけどさ。
金だって、無いよりはあった方がいいだろ。服も買えるCDも買える。
金貯まったら加藤もデートくらい連れてってやろうか」
(あっ……)
その時の純一の優しい表情は、窓ガラスから差し込む朝日と、舞い込んでくる朝の風で見事に演出されて、
さながらロックスターのような清清しさだった。
瑞希は思わず胸が高鳴ってしまった。
(ああ……、こんなに鈴木君は私に優しい顔を向けてくれるのに…。
私はあんなド変態な悪い人達にキスもバージンも奪われたんだ…。ごめんね、鈴木君…)
罪悪感のあまり、瑞希の頬をほろりと流れる一筋の涙を、純一はハンカチでそっとぬぐってあげた。
「泣くなよ。ちゃんとデートには連れてってやるって。
加藤は俺が無事に仕事出来るように祈っててくれよ。5年くらい辞められないからさ。
……まだ慣れなくて正直言うと怖いんだけど、加藤が応援してくれるなら、
怖さを勇気に変えて頑張れると思うんだ、俺」
「鈴木君…!!」
その一言が余りに嬉しくてたまらなくて、瑞希は包帯の巻かれた彼の手を力強く握った。
「私応援してる!! お仕事頑張ってね!!」
「ありがとう、加藤」
瑞希はもう一度、全力で彼の武運を祈った。
そして彼への応援は、自分への激励に繋がるのである。
(私も負けていられない!鈴木君と無事にデートをするためにも頑張って『夜行同盟』と戦うぞ!!
生き残って、生き残って、生き残ってデートするんだもん!!
ようし、今日は帰ったらお母さんと特訓しまくるぞー!!)
うおおおおおお!!と心の中で雄たけびを挙げたところで、教室に先生が入ってきた。
瑞希の『対魔兵』としての二日目が始まったのだ。
世間を騒がす魔術テロリスト『新夜行同盟』と、それを討伐するエージェントの『対魔兵』。
その戦いに終わりはあるのか。結末はまだ誰にも分からない。
しかし今日も明日も明後日も、加藤瑞希はN県の平和を守るために戦い続けることだろう。
完。
いいね!乙
続きができたらぜひ
GJ
題材が面白いと思った
これはNTRになるのか純愛になるのかw
非常にわかりやすくて面白かったwww
なんかよくあるようでここでは珍しいカップリングだな GJ!
ライトな雰囲気がとてもよかったです。
話の作りがシンプルで固有名詞の少ない話は読みやすいな
あと加藤さんアホすぎてかわいい
続編期待
見事な行き違いだと感心するがどこもおかしくはないな。
・・・いやだが待てよ。
既に既成事実が成立してしまったのだからむしろ行き違いではなく、
しかし甲と乙は合意の上で行為に及んだのではなく・・・あれ・・・???
まず、
>>317に惜しみの無いGJを。
>>316 アドバイスありがとうございます。
よく分かりませんが色々やってみたらなんかそれっぽくなったかもしれません。
見やすくなっていたらいいのですが。
とりあえず4スレ目まで(駆け足で)保管完了です。
ただ、GWが終わって時間がとれなくなるかもしれないのでこれからペースは落ちるかもしれないです。
最後に、今は管理人のみが編集できる設定になっておりますが、すべて保管完了した時点で
誰でも編集できる設定にしてスレの住人みんなで保管庫を管理する形にしたいと思っているのですがどうでしょうか?
>>344 乙です。
>誰でも編集できる設定にして
いや、これは「荒らしさんいらっしゃい」って言っている様なものだと思う。
管理人さんの負担が増すなら、せめてきちんと立候補してもらいその上でメールで連絡をつけた補助管理者に
編集権限を委ねるぐらいにすれば良いのではないのでしょうか?
うん。最低限でもwikiメンバーで、メールで連絡取れる相手にするべきだと思う。
さて、そろそろ陰陽師の加藤さんに突っ込みを入れるべきか・・・
むしろ日本滅ぼしそうだよなw
敵も味方もなんか抜けてる、なんかズレてるw
鈴木君はちゃんと悪くないお給料が出ているのに
加藤さんはお小遣いを減らされるという格差
ドーマンセーマンの白手袋してそうだな。>陰陽師のカトーさん
気取った名前の乱舞するネットで鈴木と加藤とはなw
茄子与一、大根女優、じゃが芋男爵みたいな名前からみたらマシだろ
ジャイ子は偉大なる配慮
☆それいけ加藤さん ツー! 前編☆
ある夜のことだった。
”――随分敏感じゃないか”
そう言って彼は瑞希の耳たぶを甘噛みする。
「ん、んんっ……」
背中に感じる彼の温もり。
瑞希はびくんびくんと身体を震わせながら、快楽に悶える。
「み、耳はらめェ、か、感じちゃうノォ……」
”感じるのは耳だけか? こことか……ここは?”
焦らしながら少しずつ、ブラとパンツの中に入り込んでくる、彼の指。
「そこは、もっと、あっ……もっと感じるゥ…!!」
”厭らしいな瑞希は……。乳首もクリトリスもこんなに勃起させて、男を誘ってるんだろ?”
「ち、違うよぉ…!! 鈴木君が、純一君がっ…!! 純一君だから嬉しいのっ…!!
純一君だから、嬉しくて敏感になっちゃってるんだよぉ…!!」
”じゃあ、あの日の君は何なんだ?”
――ゾクッ!
突如厳しくなる彼の声。
何を意味するか、瑞希は瞬時に思い当たる。
瑞希の心の奥を抉る言葉。
何故彼が知っているのか。
もしかしたら、あの一場面を見られたのだろうか。
サウナで火照った身体にいきなり冷や水をかけられたようなショックを受けて、瑞希は怯える。
「あ、あれは……、ち、違うの!!」
”あんな変な、悪の組織の人間に身体を許して、あんなに気持ち良さそうに…”
「ご、ごめん!! ごめんなさい!! でも、でもあれは違うの!!」
”何が違うんだ? 男なら誰でもいいんじゃないのか?”
「信じてよぉ!! 私が好きなのは純一君だけなの!! 純一君じゃなきゃ嫌なんだからぁ!!」
それに説得力があると瑞希自身思っていない。
当の瑞希ですら、あの時は全てを忘れて敵の陵辱に身を任せたことは認めている。
ご先祖の代からの憎むべき宿敵に処女を奪われたというのに、
瑞希の心は踊り、欲望のままにあの若い敵幹部の肉棒を貪ったのだ。
それが自分で分かっているから、尚辛い。
瑞希は滝のような涙を流し、這い蹲って許しを乞うた。
「もう、もうあんな事しないからぁ!! 純一君だけを見てるからぁ!!
だから捨てないでよぉ、お願いだよぉ!! 好き、純一君が好きだからぁ!!
純一君がいないと、私生きていけないよぉ!!」
その一言が少女の全力。
自分の中の感情を全てぶちまけた想いの言葉。
しかし、それが受け入れられるか否かに、少女はとても怯えている。
もし振られたらどうしよう…。
その怖さに身を委ねる今の彼女は、ギリギリまで追い込まれている。
そんな彼女を―――、ころんと態度を変えた純一の腕が、優しく包み込むのだ。
「純一、君……?」
”信じるよ瑞希。お前は、俺のもんだ―――”
瑞希を抱きしめた純一はそのまま瑞希の唇を奪う。
ファースト・キスではない。
しかし、彼との、初めての、キス――。
瑞希の胸が高鳴って、暖かい涙が零れる。
瑞希も彼の身体を思い切り抱きしめて、恋人たちは温もりを共有する。
”ぷは………、どうだ、瑞希。俺とアイツ、どっちのキスが良かった?”
「そんなの、純一君に決まってるよ……」
”そうか、じゃあ………”
そのまま純一は瑞希をベッドに押し倒す。
首筋を嘗め回しながら、自分の息子を、準備の出来ている瑞希のマンコに挿入していく。
「ひあっ!! じゅ、じゅんいち、君っ!! 純一君のが、私の、中に…!! あっ!!」
そして始まるストローク。
ただの快楽ではない。
愛しの彼に抱かれているという最高のシチュエーションが、
SEXの中で瑞希の興奮を最大限まで高めていく。
「あっ、あっ、あっあっ……」
腰を振りながら瑞希は快楽と、愛を貪る。
ずっと欲しかった彼の愛――。
”瑞希、中に、出すぞ、いいか!?”
「うんっ!! 欲しいよ、頂戴!! 純一君の、全部欲しいよっ!!」
そして射精。
愛しい彼の子種に膣内を焼かれる――。
「ひあああああああああああああん!! イくよおおおおおおおおおお!!」
鈴木純一の腕の中で、満面の笑みで、加藤瑞希は、イった―――。
ぷしゃあああああああ………。
夥しい愛液が流れ落ちたところで少女は現実に引き戻された。
秘所に突っ込んだ指を抜き、下でぺろぺろと嘗め取る。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
そこは初めて上がる彼の部屋ではなく、見なれた自分の部屋。
当然、自分を抱いてくれていた彼などいようはずも無い。
あの言葉責めも全て妄想の産物である。
「良かったよ、純一君………。お休み……」
ちゅっ。
せめてもの慰みにと枕元に置いている写真に、瑞希はキスをした。
恋人でもなんでもないので二人で撮影した写真などあるはずも無く、
瑞希にとってはクラス三十人の記念写真でも貴重なオカズであった――のだが、
なんと先日GETしたこの写真は、彼とのペア撮影である。
遠足時の山の上で「せっかく来たし記念に!」という言い訳の下一緒に撮った奴だが、
それでも二人っきりの写真には違いない。
宝物としてちゃんと写真立てに入れて、今日もソロプレイの相手役を務めて貰った。
さて、本来ならば彼女はそのまま眠りにつき、明日に備えるのだが、
今日ばかりはそうもいかない事情があった。
脱いでいたパジャマに手を伸ばそうとした時、無表情でこちらを見ている人物と目が合って、
瑞希は飛び起きる。
「げぇっ!? お、おおおおおおおお母さん!!??」
硬直する瑞希。
いつからそこに居たのだろうか。
母がドアを開け、部屋の中に一歩入ったところで立っている。
「あー、終わるまで待たせて貰ってたんだが、もういいのか?」
瑞希にとっては年頃の乙女の自慰行為を見られたということが恥ずかしいが、
母はそんなことはどうでも良さそうである。
ただあまりに大きな声で自慰をしていたことに関しては、
「瑞希さぁ。盛りのついた年頃の娘だからそういうのもいいけどさ、
もう少し小さな声でやれ。いつもこんな時間に近所迷惑だぞ」
と注意した。
「しかし寂しいもんだねぇ。そのジュンイチ君から夜のお誘いは無いのかい?」
「あ、あるはず無いよ!!私達まだ中学生なんだよ!?」
「マセた近頃の中高生ならエッチくらいするんじゃないのかね」
「鈴木君は真面目なんだよ!! 第一、私は……!!」
涙声でシーツを握る瑞希。
その後に続く言葉を母は知っている。
娘は初陣から日が経つにつれて、あの件が徐々にボディブローのように効いてきているようだ。
外では明るく振舞っているが、家では塞ぎ込んでいる事も増えた。
しかしそんなことを何時までも背負うなと母は考えていので、
慰めるでもなく、普段通りのぶっきら棒な口調で言い放った。
「瑞希。女が処女じゃなきゃ嫌だなんて男は大したこと無いぞ。
お前のお父さんは学生の頃からそういうこと言うヘタレだったから、
私が毎晩ホテルに監禁して調教しなきゃならんかったが。お前はそんな男と一緒になっちゃいかん」
「鈴木君はそんな人じゃない!! 私は鈴木君を信じてるんだから!!」
「じゃあお前が落ち込む理由なんか無いじゃないか」
「そういう問題じゃない!! お年頃の乙女心はお母さんには分からないんだよ!!」
このオバサンにも20年くらい前にはうら若き乙女の時代が多分あったはずなんだが、まったく想像できない。
瑞希は怒って、パジャマを着ることも忘れて布団を被ってしまった。
「もう寝る!! 用事があるなら明日にしてよ!!」
「そうもいかん。こっからは母と娘ではなく、司令官と兵隊の話だ」
それはこの家に敷かれた新たなルール。
仕事が入った時は、瑞希は兵隊に徹しなければならない。
ふてくされながらも瑞希は布団から出て、母と顔を合わせた。
「で、今回は何?」
「言っておくが最重要任務だ。上手く運べばこれで奴らは死滅する」
「ええっ!!??」
県庁の戦い以降も、『新夜行同盟』の活動は続いていた。
しかしあの戦いで多くの団員が逮捕されてしまったことと、あれ以降他の『対魔兵』の活動が増えた事もあって、
『同盟』側は大規模な活動はそうそう出来なくなっている。
と言ってもボスの居場所は未だに不明だし、例の指揮官天狗も逮捕されていない。
依然連中は銀行強盗から食い逃げまで幅広いジャンルの事件を引き起こして世間様を騒がしているのだった。
「あの何処から沸いてくるかも分からないゴキブリみたいな組織を死滅させられるの!?」
「そうだ――。上手く行けば、だがな。
母さんの情報によれば、今夜T村のある温泉旅館で奴らの企みが催されている。
総帥以下、主なメンバーが列席している。お前は現場を抑えるんだ」
「す、凄い大捕り物になりそう…」
「平成の池田屋事件として歴史に名前が残るぞ。見事奴らを潰して来い。報奨金もがっぽり出る」
「私のお小遣いも上がる!?」
「勿論だ。やっつけた幹部一人につきボーナスを100円やる。ヒラ構成員は10円、親玉は300円出そう」
なんとセコい母でしょう。
少し涙を滲ませながら瑞希は変身する。
白の和服、朱のミニスカート。
手には白の手袋。
足元は白のニーソックスに草履。
腰に金の大太刀を下げて、変身完了である。
「忘れ物無いな? ハンカチとハナカミも持ったな?」
「うん、持ったよ。やる気は微妙に削がれたけど…」
「よし。じゃあ飛ばすぞ」
母は指で空中に魔方陣を描き対象物を指定の座標へワープさせることが出来る。
これが加藤家の『対魔兵』の出撃カタパルト。
距離の概念をすっ飛ばし、本来であればN県北部I市から電車とバスを乗り継いで7時間はかかる旅程を、
瑞希は一瞬でN県最南端T村へと跳んでいった。
※
海が無く南北に長いN県は、大きく北部と南部に分かれている。
大阪の文化圏に含まれベッドタウンとして機能している盆地の北部と、
山間部に独自の文化圏を形成する南部。
北と南の人口比率9:1という数字が南部の環境を物語る。
うんと大雑把に言えば、N県は南に行けば行くほど山ばかりの土地になり、
その南の最果てのT村は陸の孤島と言っても差し支えは無い。
明治時代までは日本でも屈指の隔離社会を作り、権力者の影響を受けずに過ごしてきた土地である。
「まさか、『新夜行同盟』は北部の制圧を諦めて、N県南部を抑えて要塞にするつもりなんじゃ…」
もしそうなら、さながら水滸伝のような話だと瑞希は思った。
天然の要害に立て篭もり日本政府に対抗する妖怪勢力……。
それはまさに梁山泊のように、国にとって恐るべき脅威になるだろう。
「ううん、そんなことはさせない…!! その為に私が来たんだから…!!」
今日行われている企みが何であれ、組織ごと叩き潰す。
T村温泉街の中で敵のいる宿は、『新夜行同盟 ご一行様』と書かれた札があったのですぐに分かった。
舐められたものだ、と瑞希は舌打ちする。
「控えい――!! 御公儀の命により、この宿を改めるッ!!」
元来本が好きなので、こういう時には悪ノリを隠せない瑞希。
旅館に押し入り、従業員の人を半ば脅迫染みた口調で脅し、指差された大広間の襖を蹴破って、
赤穂浪士か新撰組にでも成りきった気分で瑞希は討ち入った。
今日の連中はお面はつけていないが、そのリアクションで『同盟』だということは把握できる。
「神妙にしろッ!! 御用だぁ!!」
「うわぁ、例の『対魔兵』だ!?」
「殺される!!」
「逃げろ、逃げろ―――!!」
這いつくばって慌てて逃げ出す構成員たち。
しかしそれをいちいち追う気は瑞希には無い。
今血相変えて逃げているのは下座の連中ばかり―――つまり、下っ端ばかりだ。
そんな雀に興味無し。
見るがいい、宴席の上座に座る幹部連中は、『対魔兵』の乱入だからと言って
微塵も動揺を崩すこと無く座っている。
もしかするとここで一戦する覚悟が出来ていたのかもしれない。
(流石だよ――。けど、その自信が命取り!! この幹部全員、私が今やっつけるッ!!)
畳を蹴り、とりあえず手前のひょろそうな男から…片っ端から手にかけていこうとした時のことだった。
「待てや女ぁ!! ワシが先だ!!」
「っ!?」
凄まじい怒声が座敷に響いたと思ったら、そいつの向かいに座っていたガタイの良い
仁王のような男が立ち上がって歩いてきた。
(先に相手になると――? タイマンで? よっぽどの自身が…!?)
敵が妖怪の末裔である以上どんな怪しい術を使うかも分からず、瑞希は刀に手をかけたまま様子を伺う。
仁王様はじりじりと歩み寄り距離を狭めていく。
瑞希の額に緊張の汗が浮かぶ。
(――こん棒ッ!?)
手元が細く、先が太い鈍器。
手に持つその形状はまさしく鬼のこん棒。
見た目通りのパワー系か…。ならばスピードで勝負しよう。
そう瑞希が考えた時、その仁王はあろう事か、そのこん棒をスッと瑞希に差し出した。
「えっ?」
「注げ!!」
「ほえ?」
「注げ、酒!!」
……よく見ると手渡されたそれは鬼のこん棒では無くビール瓶であった。
「な、何で私がお酌しないといけないんですか!?」
「可愛い姉ちゃんに注いでもらった方が美味いからに決まってるからだろうが!!」
何それ。
これが普通の人間であれば、そんな戯言を無視して切りかかっていただろう。
しかし瑞希は違った。
「ええっ!? そんな、可愛いだなんて…………。私、そんなに可愛いですか?」
「おう!べっぴんじゃねぇか。さぞモテるだろうな」
「いやいや、そんなこと無いですヨ? 参ったなぁ、だはははははは……」
加藤瑞希は乗せられると弱い人間であった。
普段あまり「可愛い」などとは言われないので、このフレーズには特別弱い。
滅多に言われることじゃなし、敵とは言え記念に一回くらいは付き合ってもいいかぁ…
とビール瓶を傾けてとくとくとくとグラスに注ぐ。
はっきり言ってヘタクソで、ほとんど泡みたいなもんだったが、仁王は満足そうに飲み干した。
それを見ると他の幹部が手拍子で騒ぎたて、こっちにも頼むと叫び始める。
「仁王のゲンさん、ズルいぞぉ!!」
「姉ちゃんこっちにもお酌してくれー」
「可愛い姉ちゃん、こっちにも!」
「あ、はい、ただいま〜!!」
気を良くして6、7人くらいにもビールを注いであげたくらいだろうか、
(――あれ? 私何やってるんだろう?)
という疑問が頭の中に浮かんだのは。
「姉ちゃんも少しくらい酒飲むか?」
「要りませんッ!! そうだ、こんなことしてる場合じゃない!!
っていうか、貴方たちなんでそんなのんびりしてるんですか!? この刀が目に入らないんですか!!」
あの県庁の戦い以来、『新夜行同盟』を震え上がらせた太刀の輝きを披露する。
しかし相手の答えは曖昧で、分かってるんだか分かってないんだか。
「おう、『対魔兵』だろう」と答える一方で呑気にお酒を飲んでいる。
つまりこういうことだ。
今上座に座っている幹部の連中は、偉くて強いから侵入者を前にしても落ち着いてるんじゃなくて、
ただ酔っ払って訳が分からなくなってるだけなのである。
素面じゃない人間に怖いものなどない。
いかに天敵の『対魔兵』とて、酔いの前では「コスプレした可愛い姉ちゃん」でしかなかった。
そしてこういう場では、瑞希の集中力は極限まで下がってしまうのだ。
「なんか……今日は帰りたくなってきたなぁ。この酔っ払いさん達を相手にするって、なんだかなぁ…」
企みもへったくれも無いただの宴会みたいだし。
これが目の前で誰か襲われているとかならまだやる気にもなるのに。
はぁ〜〜〜、と溜息をついていると、一番奥の席からお呼びがかかった。
「お嬢ちゃん、こっちに来て俺にも注いでくれんか」
「またか……。はいはい、これで最後ですよ――」
一番上座ともなるとあれが多分、『新夜行同盟』の総帥なんだろう。
しかし、やはり酒気で顔が赤くなっており、その辺の飲み屋から出てくるオヤジと大差ない。
瑞希は特に物怖じすることも無くそのテロリストの親玉に向かっていく。
「姉ちゃん気をつけろよ。総帥は手が早いからお触りされるぞー」
「お持ち帰りされちゃうかもよ〜?」
「あはは。流石にそこまでされたらここでぶっ殺しますよ」
比喩ではなく本気でそう返す瑞希。
瑞希がお持ち帰りを許すのはクラスメートの鈴木君だけである。
総帥のところに着いた瑞希は脇に正座し、「どーぞ」とお酌をする。
総帥はその一杯を平らげた後で、少女の顔と身体をまじまじと見つめた。
「な、なんですか。お触りは禁止ですよ、お持ち帰りはもっと禁止ですよ」
「いや、めんこいと思うてな。先だってはうちの息子が世話になった」
「……!!」
その時ようやく知った。
好敵手のあの天狗は敵の総大将の息子だという事実。
「あ、あの天狗の人のお父さん!?」
「そうよ。我が歴代の家系でもあれほどの神通力の素質を持った奴はそうはおらん。
『対魔兵』の娘よ、お前を倒せるとしたらあいつだけよ」
「負けるつもりはありませんけど……。そういえばその息子さんの姿が見えないようですけど?」
「あいつは宴会が嫌いでな、早々に中座したわ」
「へぇ」と頷きながら、やはり会話というものはあらゆる情報を引き出せるもんだと実感する。
この時、瑞希にはあるアイデアが浮かんだ。
今この座はお酒が入っており、しかも相手が敵の組織のボスであることは間違いない。
なら母の言っていた企みの一件を含め、色々なことを聞きだせるかも知れない。
それは、ここにいる全員を倒すに勝る戦果ではないだろうか?
(仮にここで総帥を討ち取っても、息子が健在なら、勢力を盛り返される恐れがあるし。
ならいっそここで情報を引き出せるだけ引き出して、後日親子一気に倒せばいい。
どの道今夜はあんまり乗り気しないし――)
徳川家康も、関が原の戦いの後、情報分析と根回しに10年をかけてから大坂の陣を起こした。
情報を疎かにして容易く目先の戦果に追われてはならんという教訓ではないか。
(よし、決まり…!)
瑞希は空いたグラスにまたビールを注ぎ、ご機嫌を伺うことにした。
「いやあ、それにしても、私も今日は戦いに来たんですけど、こういう場では戦う気無くなりますねぇ」
「そうとも。酒を前にしては敵も味方も無い。いや、お前は若いのに分かっているな。今日は飲め!!」
そう言って総帥が手を叩くと、総帥と瑞希の前に巨大な地酒の酒樽が置かれた。
「………はい?」
「これは良い酒だぞ〜。まあどうしても飲めんというのなら、少し口をつけるだけでもいいが…」
そう言って手渡されたお猪口には、ちょびっとだけ酒が注がれた。
よっぽどこの土地の水が良いのだろう。
透き通った水面から、ふわりと芳醇なアルコールの香りが立つ。
お猪口に作られたこの湖はとても浅いのに、どこどこまでも続く深淵の海溝のような妖しさを感じさせる。
酒好きが一度入ったら足を取られて二度と出てこられないような一品。
瑞希は無意識に、その魅力に呑まれていた。
「じゃあ―――、これだけ頂きます」
あるいは彼女は、考え方そのものは間違っていなかったのかも知れない。
計算どおり上手く情報を引き出せば、ここの人々を武力で倒すに勝る戦果となったかもしれない。
しかしどのような策も成功しなければ意味が無い。
そして、前もってここにはっきりと綴っておこう。
今宵、加藤瑞希の記憶がはっきりしていたのは、この瞬間までであったと。
※
『お酒とタバコは二十歳から』。
そう言われて久しいように感じるが、日本でそういう法令が作られたのはここ100年と少し前のことだ。
人類の、お酒とタバコとの付き合いはそれよりも遥かに長い。
明治時代まではお酒やタバコが好きな幼児も結構いたという話も残っているくらいだから、
仮にここで15歳の小娘が初めて飲んだお酒に相当ハマってしまったとしても、おかしい事は無いだろう。
ごくごくごくごく……。
「すげぇ。また一升瓶が空になった!」
「いいぞ姉ちゃん!! もっと飲め!!」
「本当に陰陽師の子孫なのか!? 八岐大蛇の子孫じゃないのか!?」
「お前こっち側だろ! 入団しちまえよ、歓迎するぜ!!」
もう夜の1時を回ったというのにまだ大広間の活気は醒めない。
最初に出て行った下っ端たちも戻ってきて、幹部の皆と共に喝采を送る。
鬼の囃しに乗る対魔の少女。
カトウミズキ・オン・ステージ。
いつの間にか彼女は、この座敷の中央に積まれた空の酒樽と一升瓶の山という舞台の上で
飲み、歌い、踊る、夜のスターとなっていた。
彼女のせいで座の熱はヒートアップすることはあっても冷めることはない。
「いえーい!! 皆飲んでるぅ〜〜!? かっとうさんは飲んでるぞぉ!!
そこの社長さん!! 社長さんは飲んでるぅ!?」
”社長さん”。
たまに瑞希はそう言って上座に向かい、総帥にクダを巻いている。
何故総帥を社長さんと呼ぶようになったのかと言うと……
「あれ〜? 何でだっけ!? かっとうさん忘れちゃったよぉ!!」
「何忘れた!? ならもう一度教えてやろう!! それは俺の表の職業が社長だからだ!!」
「おお、そうら!!社長は社長ら!!」
この総帥、表向きの顔は名を鈴木重蔵(しげぞう)という商社の社長である。
彼の会社『百鬼商事』は、江戸時代の廻船問屋を始まりとする歴史ある会社であり、N県に強い影響力を持つ。
なのでN県は『新夜行同盟』の活動で破壊された町を再興するための物資のほとんどを、
『百鬼商事』を通して購入しているのである。
連日の戦いで一日たりとも注文が滞ることは無く、会社はウハウハであった。
今日の大宴会は、今後の組織の作戦を決める重要な会議を行うという目的と、
表と裏の両方で頑張る社員を労う慰労会という目的があるのだ。
何故この宿が会社名義ではなく組織名義で借りられているかと言えば、
やはり『対魔兵』の動きを警戒してのことだ。
会社名義で宿を借りて組織の作戦を練っているところがバレたらシャレにならない。
ちなみにお面が無くても他人から「百鬼の社長だ」とバレないのは、
組織として行動している時は彼らも瑞希が使っているような、
目視で個人を識別できなくなる魔法を用いているからである。
なので素顔を晒しても今みたいに、自分から喋らない限りはバレやしないのだ。
「けどぉ、なんれ社長は悪の組織なんてやってんのぉ? あんな事しなくても会社は順調らったんだよね?」
「そりゃお前、悪の組織で世界征服ってのは美学だからよ。
金儲けだけじゃつまんねぇよ、男は腕っ節で行かなきゃなんねぇ!!
その為にわざわざ、200年も散り散りになっていた旧『同盟』の子孫をかき集めたのよ。
けどいきなり世界を目指すってのも恥知らずだしな、今の公の目標は日本征服ってわけだ!!」
「おお、男らしいね! 謙虚な上に男らしい!! さっすが社長だよぉ!! よっ日本一!!」
「つってもまぁまだN県すら征服できてねぇがな、お嬢ちゃん、お前のせいで!!
3日後はS市、5日後にはG市で活動すっからよ、止められるもんなら止めてみなっ!!」
「おお、止めちゃる! かっとうさんは止めちゃるけんね!! この正義のかっとうみずきさんが!!」
この座の全員が酔っ払っているため、個人のプライバシーも組織の機密もへったくれも無かった。
敵味方の間をガンガン貴重な情報が飛び交い、しかも全員それを右から左へと聞き流してドブに捨てている。
「うちはね、お父さんいないから、寂しいわけですよ!
疲れて帰ってきたお父さんにこうしてお酌したいって、それが娘の気持ちじゃないですかあ、ねぇ社長!!」
「じゃあ俺の娘になれ! うちの息子と結婚すりゃいい! どうだ、次期社長夫人だぞぉ!?」
「あはは、かっとうさんはぁ、鈴木君と結婚するから、ダメ〜!!」
「そうか、嬢ちゃんの好きな男は鈴木ってのかぁ! 俺の苗字と同じだなぁ!!」
「おお偶然!!下の名前は純一君って言うの、いい名前でしょ!!」
「凄い偶然!!俺も息子の名前には純一ってつけたわ!!」
””わっはっはっはっはっはっはっは…!!””
これらの事も全て、夜が明けてしまえば脳裏から丸ごと消滅する情報である…。
さて、そんなこんなで宴は続いた訳だが、さしものこの面子にもいろいろ疲れの兆しが見える時がやってきた。
一人また一人と、『同盟』メンバーは眠気に負けて座敷の畳に伏していく。
「はれ…? 社長…? 社長ぅ……? なんらぁ、寝ちゃったのら……?」
どうやら最後まで残っていた総帥もくたばってしまったらしい。
気がつけば瑞希も足腰立たない有様だった。
「あれぇ………。かっとうさんも、眠い。ですよ……、んん……」
朦朧となっていく意識。
なんとか大太刀を杖代わりにして歩き、襖を開けて廊下に出たところで倒れて――――。
「お前こんなところで何やってるんだ!?」
受け止めてくれる温もりと、共に聞こえた声。
瑞希にとって、とてもとても大事な人の声が聞こえた……気がした。
※
「――遅い!!」
夜3時頃。
鈴木純一こと”若殿”の痺れは限界に達していた。
朝まで借りた会議室にはまだ誰も入室してこない。
父親に依頼され、今日までにコツコツ書き溜めたN県制圧計画の数々の書類は、
未だ誰の手垢もつけられずことなく、用意した人数分が虚しくテーブルに放置されている。
「何やってるんだ親父は!? どんなに遅くても1時までには宴会終われって言ってあるのに…!!」
元々、先に会議をやった後で宴会をする手はずだった。そんなことは当然だ。
しかし「せっかくだし宴会を先にやりたい」という意見が多かったので渋々逆にしたのだが、
その条件すら守れないとはどういうことだ。
この旅館に着いた昨日の午後3時から数えておよそ12時間、あの連中は酒盛りをしている。
「俺は、別に日本征服なんかどうでもいいんだぞ!?
他ならぬ親父がやりたいって言うから、全力で付き合ってやってるのに!!」
あのオッサンは息子の気遣いをなんだと思っているんだ。
怒った若殿は宴会場の方へすたすたと歩いていく。
姿は、旅館の浴衣姿にスリッパだ。素顔は晒しているが皆と同様に例の魔法は使っている。
(くそー、こんな事ならこんな所に来ないで、地元で加藤をデートにでも誘えば良かった…!!)
頭から湯気を立たせ、宴会場の襖に手をかけた。
そして叫ぼうとした。
「こら親父、いい加減にしろ」と。
――がらり。
「えっ」
しかし独りでに空いた襖の向こうから小柄な少女が倒れこんで来た時、若殿の熱は冷めた。
いったい何故、こいつがここにいるのか。
その疑問だけが脳裏を支配する。
べろんべろんに酔っ払っている、敵の『対魔兵』の少女。
彼女を胸に抱えたまま、若殿は硬直した。
「お前こんなところで何やってるんだ!? 一体中はどうなって……」
チラと見た襖の向こうは、いびきと、酒とゲロの匂いで散々な有様だった。
もう見るに耐えない状態なので現実逃避だ。
さっさと襖を閉めて放置。もうこの女にだけ構うことにした。
敵であっても、おっさん達よりは女の子を介抱してる方が気分的には楽である。
「…ん?」
耳を凝らしてみるとこの女、何か小声で呟いている。
「どうした? 何を言ってるんだ、何があったんだ、おい。聞こえないぞ」
「s…zkk………ん……。szkくnらぁ……」
「くそー、酔っ払ってて分からねーな…。親父に飲まされたのか? おい、そんなくっつくなよ…」
ほとんど意識が無いくせに、対魔の女はとても幸せそうに顔を押し付けてくる。
まぁ若殿が知る由も無いのだが、今の瑞希はアルコールで脳をやられ、判断力が落ちている。
こうなると本能だけが状況判断の材料になるので、認識をぼかす類の魔法は意味が無くなる。
つまり瑞希は、雰囲気などの、本能で感じる漠然としたデータから、相手を「鈴木純一」だと特定しているのだ。
虚ろな状態とはいえ幸せなのである。
(ぐえへへへへ………鈴木くんらぁ………、すりすりぃ……)
「気持ち悪いなぁこいつ。寝惚けてどんな夢見てるんだよ、ったく。とりあえず寝かせてやるか…」
と思った時、突然女が苦しみだす。さもありなん。
今までノリノリで騒いでいたのに、ここで急に安息の時間が訪れたもんだから、
一気に酔いが回って吐き気を催して来たのである。
「…!! ぐる、し……助け、sずk……くn……吐kそ……!!」
「何言ってるか分からんがここで吐くなよ!! ちょっと耐えろ!!」
若殿は泥酔状態の瑞希をお姫様抱っこすると、そのままトイレへ駆け込んだ。
なんとか間に合って、戻させて、げっそりしている彼女の背中を落ち着くまで摩り、うがいをさせる。
それからもこの”敵兵”の世話は大変だった。
旅館の人を起こして薬を貰い、女性のスタッフに頼んで身体の汗を拭くのと浴衣への着替えをやって貰って、
自室の部屋の布団に寝かせる。
それからはたまに部屋に風を入れたり、額の濡れタオルを換えてやったり。
「何故こんな奴がここにいるんだろう」とか
「何故こいつがこんな事になってるんだろう」とか
「将来こいつを嫁さんに貰う奴は気の毒だなぁ」とか
様々な疑問や感情を抱きながら、若殿は介抱の夜を過ごす。
「……やっぱり来るんじゃなかった。地元で加藤とデートしとけば良かった」
夜空を見上げる。
故郷I市にいる好きなクラスメートを想う。
この同じ星の下で、あのクラスメートは可愛い顔で寝息を立てているだろうな。
「なんで俺が夜通しこんな奴のアホ面を拝まにゃならんのだ」
「う〜〜ん、szキくn……むにゃむにゃ……」
似たような雰囲気を持っているような気がしたがやっぱり別物なんだなぁと、
寝言を喋りながら涎で布団を汚している敵の女を見て思った。
→後半に続く。(出来てはいるので夜中くらいに入稿します
君の作品好きだよ
加藤ちゃんを描きたいくらい
加藤のおかんも鈴木の親父も両方ズレてんのに
親父とおかんで部下に対する労いが違いすぎるw
カトちゃん頭が緩くてちょろいけど可愛いな
加藤さん、自分はお酒飲まずにお酌だけしてれば良かったのに…
「…さて、夜が明けたところで、突然ですがニュースの時間です」
旅館の一室に1つのアナウンスが流れている。
ただし、一切の放送機材の使われていない生の声で。
「本日朝8時頃、T村の某旅館の一室で、男性一人が殺されているのが発見されました。
発見したのは同室で寝泊りしていた、N県I市在住の15歳の美少女、M・K(仮名)さん……」
ちなみにこの”美少女”というフレーズは客観的なものではなく、アナウンサーの主観に他ならない。
「担当の警部と刑事が、犯行現場に残された状況から推理を行っているのでご覧ください…」
テーブル上の警部と刑事は、その辺にあった紙とマジックで適当に作られた紙人形である。
”名付けて『T村、湯けむり天狗殺人事件』だね、お母さん刑事!”
”それより瑞希警部。ガイシャの身元は『新夜行同盟』の男、恐らく年齢は十代半ば、名前は不明。
死因は魔力の枯渇、凶器は大降りの刃物だ。
肩口から腰までを深く斬られて倒れていた。
傷口に大量の対魔力が付着していることから、『対魔兵』による殺人が考えられる。
部屋は密室であることから、その時刻屋内にいた人物が妖しい。
一人しか該当者がいない上に、ちょうどその女は『対魔兵』なのだ”
”ふふ、甘いよお母さん刑事。
その時刻同室だった美少女は酔って倒れてて、8時に起きて死体を目撃するまで意識不明だったのだよ。
だいたいお母さんじゃあるまいし、あんな奥ゆかしい美少女がこんなえげつない犯行をする訳が無いよ”
”だが瑞希警部。
床に転がっている、ガイシャの血痕が大量に付着した金鞘の大太刀は、容疑者の所有物である可能性が高い。
いや魔力の波長から言ってこれは確たる事実だ。これは容疑者の刀だ”
”誰かに盗まれて使われたとかって可能性は無いの? お母さん刑事!”
”無い。『対魔兵』の武器は、持ち主にしか使えないのだ。
つまりこの事件における唯一の容疑者こそがこの事件の犯人だ!!”
「”うわぁん!! つまりこの人を殺したのは私なんだねお母さん刑事!!”
”そうだよ瑞希警部!! 犯人は多分お前だ、こんちくしょうッッ!!”
なんということでしょう!!
殺人事件の犯人は、酔って寝ていたはずの同室の美少女だったのです!!」
そこまでの全ての独り言が終わると、
加藤瑞希は泣きながら、紙人形2つを纏めて勢い良くゴミ箱に投げ捨てた。
朝起きたら寝かされていた誰かの部屋。
その隣に放置されている男の死体を前に、瑞希はパニックの夜明けを迎える――。
☆それいけ加藤さん ツー! 後編☆
「…とパニクった割には意外とあっさり思い出せてしまった。私は一度起きていたんだ」
瑞希は回想する。あれは遡ること2時間前、朝の6時くらいの事だったろうか。
魔的改造人間の瑞希は体内のアルコール分解速度が速く、
あまり頭痛に悩まされることなく目を醒ました。
「あ―――?」
そこは旅館の一室と思しき部屋。
自分は浴衣に着替えさせられ、布団に寝かされていた。
額の上にはタオルが乗り、傍には酔い止めの薬やら、ビニール袋やらが常備され、
介抱してくれた人の優しさが伺える状態だった。
(いったい、誰が……?)
上体を起こす瑞希。そこに男の言葉が投げかけられた。
「起きたか? 大丈夫かよお前」
窓際の椅子に座ってずっと瑞希を見てくれていたのであろう、その少年。
顔の特徴から想い人の面影が重なったが瑞希は首を振る。
あれは魔力で認識をぼかしている……『同盟』のメンバーだ。
しかもその波長には覚えがある。
「いつもの天狗の人だよね……。初めて顔見た」
「大丈夫かって聞いてるんだが」
「大丈夫だよ…。ありがとう」
昨日の今日で何だが、妙な感じだった。
殺し合いが当たり前の関係なのに同じ部屋で介抱されるって。
「どうして助けてくれたの?」
「ダウンしてる女の子を助けるのに理由がいるのかよ。それとも戦いたいのか?」
「…今はそういう気分じゃない」
「だろうな。お前は回復早そうだが、まだ本調子には遠いだろう。今やるのは不本意なはずだ」
どちらかがその言葉を言い出した訳ではないが、無言の内に二人の休戦協定は結ばれていた。
次に会う時――このT村ではない何処かで会った時に、必ず破棄される休戦協定だ。
「あと、お前の服なんだが…」
瑞希のコスチュームは、脱がすと光の粉になって消えてしまったと着せ替えしてくれた仲居さんが言っていた。
「ああ、あれは身体の中の変身装置で幾らでも作り出せるから大丈夫だよ」
「そうか…。まあ大丈夫なようなら、俺は出てくる。お前は適当に帰れよ」
「何処行くの?」
「温泉。徹夜で眠いからな…。朝風呂でシャキっとしねぇと」
「あ、私も行きたい。お風呂入ってさっぱりしたいよ」
それが殺人事件勃発フラグの1つ目だった。
幸か不幸かここは混浴であり、一緒に入ることになった。
若殿はタオルを腰に巻き、瑞希はバスタオルを巻いて入るからそれ自体どうということは無い。
本来敵同士だから特に会話も無く、絡みがあったとすれば、瑞希が若殿の背中を流したくらい。
「次の戦場で手加減とかは出来ないけどさぁ。このくらいはさせてよ」と、
介抱して貰ったせめてものお礼をお風呂でしようとしたのである。
それも特にトラブルを起こさず終了したのだが、問題はもう一度湯で温まって、さあ部屋に戻ろうかという時。
若殿はうっかり落としてしまった自分の石鹸に足を取られ、滑り、後ろを歩いていた瑞希を押した。
「えっ!?」
はらりと解けるバスタオル。
現れる少女の肢体。
そこにあった年不相応に膨らんだ2つのメロンに手をめり込ませ、
しかも若殿は瑞希ごと、勢い良く浴槽へとドボンする。
「あ―――」
桃源郷が見えた。
上乗りになる若殿からは、少女のおっぱいも、おへそも、いけない穴も、太ももも、
ありのままの少女の姿が見えてしまって、鼻血すら出しかねない状態だった。
いつもの瑞希ならばここで大太刀を召喚し、県庁の戦いのように吹っ飛ばしていたかもしれない。
けれど瑞希はかろうじて我慢した。
助けてもらったばかりなのだ。裸くらいは我慢しないと、と。
しかし一応念押しした。
「―――二度目は許さないよ、と」
若殿もまさか二度も三度もこういうことは無いだろうと思っていたが、
最悪のフラグ2つ目はすぐに回収されてしまうことになる。
部屋に入ると若殿は足をテーブルの角にぶつけてしまった。
のたうち回り、その過程で後ろを歩いていた瑞希の、浴衣の帯を引っ張ってしまう。
はらりと浴衣が落ち、露になった少女の胸に、今度は顔面から突っ込んだのだ。
とても幸せだったが、地獄がやってくることも想像できた。
「死ねえええええええええええええええ!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!」
まだ微妙に身体がダルく、力を込めて「殴る」という動作が負担な今。
瑞希は今日初めて、峰打ちではなく大太刀の刃の部分で攻撃した。
威力…というか殺傷力は峰とは比べようも無いほどに凄い。
力なぞまったく入れずとも、優れた霊格の天狗の末裔を、スパッと一撃で殺っつけてしまった。
しかしその直後、瑞希にまた眠気が襲ってきて倒れてしまったのだ。この時、時刻は7時。
瑞希は時間後にもう一度目を醒ます。
――――――――――――――――以上が、『T村、湯けむり天狗殺人事件』の顛末である。
「んー……。でも、冷静に考えればこれはこれでいいのかな?
テロリストを成敗したってだけのことだよね?
お母さんは幹部をやっつけろって言ってたし、しかも一番手ごわい奴だし、ラッキー?
後はこの宿で二日酔いに悩まされている総帥と幹部たちをやっつければ任務完了なんじゃ…?」
しかしすぐに首を振る瑞希。
「何を言ってるの瑞希!!お世話になった人が死んでラッキーなんて、絶対ダメだよ!敵でも!!」
宴会に誘ってくれた総帥と幹部たち。介抱してくれた天狗の人。
流石に今、それを戦果とするのは瑞希の良心が躊躇われた。
「でも死んじゃってるんだよね……どうしよ………ああ!?」
ぴくぴく―――と、動いている。若殿の身体が、僅かに。
まだ生きていた。
蜘蛛の糸に必死で食らいつくカンダタのように、
今にも落ちそうな命にしがみ付いているように見える。
「天狗の人!? どうして!?」
瑞希は知る由も無いが、それはこの土地のお陰である。
T村のあるK山地は太古からの霊場の宝庫であり、土地の霊は天狗とも深い関わりを持つ。
この土地の地脈が、若殿に流れる天狗の血をかろうじて生かしてくれているのだ。
しかし血の薄れた彼に、それだけで完全回復は望めない。
まして対魔の刀の作った刀傷は、今も魔力を失わせていっている。
このままではいずれにせよ、長くは無いだろう…。
(……ある。魔力を移す方法、私は知ってる…!! 生きてさえいるならなんとか!!)
今日の自分は体調こそ優れないが魔力は有り余ってる。
一回やれば、かなりの魔力を供給できるはずだ。
あの傷がたちまち塞がってしまうほどの。
もしここに母がいれば反対したに違いない。
バージンを奪った相手にもう一度…なんて理由じゃなくて、単純に不合理だと。
なんて甘い選択肢だろうと。
休戦協定を考慮に入れても、そこまでする義理は本来瑞希には無い。
それこそ今こいつを殺し、他の連中も皆殺しにしろと言うだろう。
でも瑞希はそれは嫌だった。
(ごめんお母さん…!! 私、今はこの人たちと敵になれないよ…!!)
直ちに浴衣を脱ぎ捨て、変身装置を作動させ戦闘用のコスチュームを纏う。
やはり魔力の扱いはこの状態が一番良い。
効率よく相手に魔力を供給できるはずである。
「ん………」
これは救命活動。そう分かっていても恥じらいは抑えられない。
顔を赤らめて帯を緩め、胸元を開き、胸の膨らみを露出させる瑞希。
若殿の浴衣を弄り、トランクスを脱がし、取り出した一物を瑞希は2つのおっぱいで挟み込む。
(ごめん、鈴木君……。でもこれは違うから…。気持ちよくなりたいSEXじゃないの…。
私はこの人を助けたい…じゃない、助けなきゃいけないから、そのためだから……!!)
一刻も早く勃起させて、精液を自分の膣内に射精させなければ、この人の命が失われる。
「んっ、ふむっ……!ちゅぱ、ちゅぱ……。ふんんんっ……」
瑞希は一心不乱に胸を動かし、舌を使い、男のペニスに奉仕した――。
※
”――変態だよね。鈴木君って”
鈴木純一の前に現れたセーラー服姿の彼女は、蔑むようにそう言った。
まるでゴミでも見るかのような視線を向けて、少年の想い人は、らしくも無い台詞を吐いた。
純一は雷で打たれたかのような衝撃を受ける。
「な、何を言うんだ!?加藤っ…!!」
”だってそうでしょ? 悪の組織ってだけで痛々しいのに、初めての戦いで女の子をレイプしたよね?”
「あ、あ、あれは…!!」
違うんだ、とは弁解できない。
あれはどっから誰が見てもやましい欲望から起こした行為である。
言い返せない純一に瑞希は更なる追撃を加えた。
”しかも鈴木君、相手の女の子のこと私に似てると思ったでしょ。キモッ”
「―――――――!!」
普段自分が撃ってる雷より100倍も1000倍も威力のある言霊という落雷が容赦なく突き刺さる。
がく、がく、がくといびつなステップで後ろに下がり、そのまま崩れていく純一。
「違うんだ、加藤……。俺はお前にしか興味無い。お前が好きなんだ。小学校からずっと…」
”ふーん。でもあの女の子のおっぱい揉んだり、おっぱいに顔埋めたり、好き放題してるよね”
「事故だよ!! 全部事故!! あんな女は俺の眼中には無いッ!!」
”私の胸もけっこう大きいほうだと思うけど……。 体育の時間でも、いつも私の方見てるよね?
私の大きいおっぱいが体操服の中でたゆんたゆんに揺れてるの見るの、そんなに楽しいの?”
何故それを知っている…!?
暴かれていく自己の性癖に純一のメンタルは崩壊寸前だ。
”鈴木君はさ、本当はおっぱいの大きい女の子なら誰でもいいんでしょ?”
「違う……違うんだ、加藤…。言わないで、くれ……あああ………」
そして純一はとうとう自分を支えることができなくなってしまった。
”ふふ、落ち込まなくてもいいんだよ。素直になればいいじゃない”
「素直……?」
”お願いすればいいんだよ。この85センチの豊満なおっぱいを僕のものにさせて下さい……って言えば、
好きにさせてあげないコトも無いよ? 純一君ならさ……”
しゅるしゅるとスカーフを取り、セーラー服を脱ぎ、ブラが解け、加藤瑞希の胸が露出する。
(加藤の胸だっ…!! 本物の、加藤のおっぱい……!!)
鼻息を荒くし猪のように加藤の胸に飛びつく。
が、放たれたカカト落としによって阻止される。
凄く痛い。でも、セーラー服のスカートから純白のパンティの輝きが見えて、ちょっと嬉しい…。
”がっついちゃって厭らしい男の子だね。で、お願いは?”
「か、加藤の……85センチの豊満なおっぱいを俺のものに………」
シュパァン!!
何時取り出したのか、今度は鞭が純一の眼前に打たれた。
「ひぃっ!? か、加藤ぉ…!?」
”ねぇ、じゅ・ん・い・ち・君? 私がこう呼んであげているのに加藤は無いんじゃないかなあ……?”
またこの眼だと、純一はゾクゾクした。
汚らわしいモノを見るかのような軽蔑の視線だが、もっと怒って欲しい気分にされるような眼。
その快楽も捨てがたいと思いつつも、今はおっぱいへの道を優先したくてその欲求は置いておくことにした。
「み、みず、き………」
”なぁに? 純一君”
「瑞希の85センチの豊満なおっぱいを、俺のものにさせて下さい……」
”ふふっ、いいよ。はいどうぞ”
そう言ってようやく触らせて貰えた加藤瑞希のおっぱいに、純一は没頭した。
他の全てを忘れて、その豊かで柔らかくて暖かい膨らみに甘えて甘えて甘え倒す。
揉むとか、舐めるとか、むしゃぶりつくとか……。
「瑞希……。俺は大きいおっぱいは好きだけど、瑞希だからなんだ…、こういうことしたいのは…チュパチュパ」
”分かってるよ純一君。本気に取り乱しちゃって可愛いね。クスクス”
さながら女王様に仕える奴隷のような待遇でありながら、鈴木純一は幸せだった。
しかししばらくすると、加藤は純一からおっぱいを没収するだけでなく、後ろを向いてしまった。
「あの……加と…いや、瑞希?」
”本当は満足できてないんじゃない?”
「そんな事無い!! 俺は瑞希がいれば満足だ!!」
”嘘ばっかり。それとも、自分では気付いてないのかな―――?”
艶やかで面妖な瑞希の唇が、純一の心の中の錠を解く。
純一ですら気付いていなかった己の欲望。見たいと思っていたモノ。
”純一君。思ったでしょ? 私が、この格好をしているところを見てみたいって……”
「ああっ、その格好は…!!」
どこかで見た…というか最近見慣れ始めたその格好。
巫女さんのような白の和服、下は朱のミニスカ。手袋、ニーソックスの白。
加藤瑞希が振り向いたとき、彼女はあの敵兵の戦闘服に身を包んでいた。
”ふふ、やっぱり……。あの女の子が私に似てるから…私にもこういう格好させたいって思ったんだ?”
瑞希はそのまま純一に歩み寄ると、帯を緩めて、開いた胸元からおっぱいを露出させる。
そして純一を仰向けに寝かせて、純一の一物を取り出した。
「か、加藤……!?」
”して欲しいでしょ? このエッチな格好の私にして欲しいんでしょ? 変態の純一君?”
純一は全裸より、半脱ぎに興奮を覚えるタチだった。
だから着物からおっぱいだけ出てるなんてのは本当にドキドキするので、
「俺は変態だから、その格好でしてください」とあっさり認めておねだりする純一だった。
”よく出来ました。じゃあ、行くよ”
マシュマロのような感触がペニスを挟み込む。
ペニスに押し付けられて歪む瑞希の胸。
その豊かな胸の生み出す心地の良い圧力は、純一に途方も無い快楽をもたらした――。
勿論物理的な要因だけでなく、加藤瑞希のフェラチオという要素も興奮の材料だが。
(ああっ…!! か、加藤が、瑞希が、俺の…、俺のチンポ挟んでる!!
あの大きな胸で、すげぇことされてる、俺……!! )
ふみゅ、ふみゅ、ふみゅ……と、彼女の手で揉まれて形を変える彼女のおっぱい。
先ほど触らせて貰ったけどまだやっぱり触りたい……でも体勢的に触りに行けない。
欲望が満たされているようで微妙に満たされない佳境で、純一のペニスは膨らんでいく。
”あはっ、凄いよ純一君! もうこんなに大きくなっちゃってるんだ!?
凄いエッチだね、そんなに気持ちいいんだ!?
コスプレした女の子におっぱいで責められて感じてるんだね!
この変態ッ!変態ッ!変態ッ!!”
そう言うと瑞希は、自分の舌も使って責め始める。
お陰で言葉は飛んでこなくなったが、その痛い視線は健在だ。
ほら、イっちゃいなよ。イきたいんでしょ? イけよ…!!と、目がいじめてくる。
「瑞希だから……あっ、瑞希、ダメだ、瑞希のおっぱいに出る………、あっ……」
ドピュドピュドピュドピュドピュ……!!
白濁が飛び散り、少女の顔と胸元と、それから着物を汚した。
”凄いね――”
「ごめん、こんなつもりは……、すぐに拭いて…」
”こんだけ出してもまだビンビンなんだ”
「えっ?」
確かに、一度射精したにも関わらず純一の精力は落ちていない…。
むしろよりヤりたくなってしまったというか、あの、朱のミニスカートが揺れる度に、
チラリと見える純白の布を突き破ってしまいたい!!
その視線がパンティに釘付けになっていることは瑞希にバレていたのだろう。
”したいんだ……?”と瑞希は聞いてきた。
純一は頷くが、ここに来て違和感を覚える。
先ほどまでの強気な姿勢が消えて、何か自信無さげな雰囲気を感じるのだ。
「瑞希…?」
”純一君。もし、純一君が私の初めての相手じゃないとしたら、どう思う?”
「―――!?」
純一の動揺は浅くはなかった。
それはつまり、そういうことだ。
(瑞希が、加藤が、もう俺以外の男と…!?)
まあ実際付き合っていないのだから、浮気にはならんが。
既に誰かに食われていたというのは、やはりショックで――。
けれど純一にはそれを表に出すことは許されない。
もし怒りとか落胆を見せれば、彼女は苦しむ。
なんてことないかのように振舞うのが、ここは男の仕事だろう。
「……関係無い。これから加藤瑞希が俺のもんになるなら、過去なんてどうでもいい」
その答えが返って来ることを確信していたのだろうか。
あらかじめ用意していたような笑顔が、すぐ純一に返された。
”ありがとう、純一君。絶対、生き返ってくれないと嫌だよ…”
「瑞希? お前、何を言って――」
”じゃあ、しよっか!!”
「あ、ああ……?」
気になるフレーズをスルーしつつ、二人は事に及んだ。
満足しきるまで、純一は漲るペニスを、
あの朱のミニスカートの中の、ずらした白パンティの奥に挿入し続けた。
最初は騎乗位だった。何故か身体が動かなくなって、彼女が一人でしてくれた。
上下に動く彼女の、豊かな胸元がぷるんぷるん震えて、飛び散る汗に興奮した。
二回目からは身体が動くようになったので、体位を変えつつ、事に及んだ。
やがて二人は、1つの布団で身を寄せ合って寝息を立てる…。
―――そんな夢を見た。
やっぱり夢オチだ。
そうだと思ったよ!絶対おかしいと思ったもん。
純一こと若殿が目を覚ました時、時刻は昼の12時頃だった。
※
夢だったけど夢じゃなかった――。
某パヤオアニメ映画の一幕が脳裏をかすめる昼12時。
若殿の動揺は半端ではなかった。
「な、なんで…!? 何で俺、この女と寝てるんだ…!? しかも、しかも…!!」
加藤とSEXをするなどという夢から醒めてみると、隣には寝息を立てている『対魔兵』の女の姿。
しかも自分の下半身に感じるドロドロな感じは、紛れも無く精液。
しかもしかも、拭き取っているんだろうがこの女の顔からも、微妙にイカ臭い匂いが漂ってくる。
何があったかお察しである。
――言ってる傍からこれ…? 純一君。お仕置きしないといけないね?
夢が夢だっただけに、そんな加藤の幻聴が聞こえる。
「お、俺は知らない…!! 二度と、加藤以外の女に手出さないって誓ったんだ、
そんな俺がこんなガサツな奴に手を出すなんてことはあり得ないッ!! 信じろ加藤、俺は無実だ!!」
――本当にそうなのかな? クスクス……。あんまりナメた口聞いてると、コロスぞ☆
「うわあああああああ!!」
またの幻聴に頭痛を起こし、若殿は悶えた。
そして狂気に眩暈を起こしてへたり込んだ所に、ぬめっとした感触を得る。
…血だ。魔力の感じから、紛れもなく自分の血が、床に散っている。
「そ、そう言えばあの時、俺はこいつに斬られた…!? あの血か…!? すると、こいつは…!!」
対魔の刃でスッパリやられた傷口がちゃんと塞がっている。
よほどの魔力を外部から補給してもらわないとこんな事は起きない…。
現場に残った証拠と自身の記憶を組み合わせ、若殿は推理のゴールに辿り着いた。
「…助けてくれたってか。あれは斬られた俺が間抜けだっただけなのに。
県庁の戦いであんだけ俺に抱かれたことを嫌がってたのに、バカな奴だ」
しかし不思議なもので、その嫌な男と身体を重ねたはずの女は、やたら満足そうに眠っているのだ。
まるで愛しの人と眠っているかのように。
そしてその寝顔を見ている自分にも笑顔がこぼれている。
どうしてだろう。
今この空間は、とても和やかな空気に包まれている。
「不思議な女だな…。やっぱりどっか、加藤に似てる。まあとりあえず」
血はまずい。旅館の人に見つかると面倒なので、魔力を使って処理する。
「後は――。とりあえずまだ眠い。あと2時間くらい寝てから考えるか……」
たまには昼間からの二度寝もいいだろう。
アホ面下げて寝ている敵の隣で、少年ももう一度布団を被った。
二人が別れたのは3時間後。
2時間後に起きて、また一緒に温泉に入って匂いを落とし、特に言葉も交わさないまま別れた。
次に会う時はまた敵同士だから、あまり互いを知りたくなかった。
その後は若殿には二日酔いに悩まされている連中の世話が、瑞希には母からのお説教が待っていた。
母は、娘が敵兵を倒さなかったことには難色を示したが、
「情報はありったけ仕入れたよ!! 敵の総帥の正体、組織の正体、次の敵の作戦……全部聞いたもん!!」
という瑞希の報告にはとても上機嫌になった。
「でかしたぞ瑞希!!お前も情報の大切さが分かるようになったか!思いっきりお小遣い上げてやる!!」
「へへへ…。これからは名スパイ瑞希ちゃんと呼んで頂きましょう」
「早速、見聞きしたことを教えろ。急いで次の作戦を考えるからな」
「…あれ? ごめん、全部忘れちゃった……ああでも、敵と一緒にお酒を飲んだことだけは覚えてるよ!!」
これでは怒られるのも当然である。
※
T村温泉の戦いはこれで終了した。
恐らく日本の『対魔兵』と『夜行同盟』の決戦史上で最もユルい戦いだったと思われるが、
しかしこの戦いで瑞希と若殿の二人の心に打ち込まれた杭は、後に残った。
敵兵の中に意中の男を見た女。
敵兵の中に意中の女を見た男。
二人の運命の縺れ合いは果たしてどこへ行くのだろう。
恐らく、次回最終回である――。
☆お礼と、あとがき☆
皆さんからの感想頂けたのがとてもうれしいです。ありがとうございます。
>>350さんのアイテム「白の手袋」はイメージ通りだと思ったのでお借りして描写に加えさせて頂きました。
合いそうな気がしたので白ニーソも追加してみました。
>>369さん宜しければ見せてください(笑)
やや冗長気味の2話です。
元々全3話構成の予定で、3話でオチをつける為の接着剤的なエピソードです。
前後分割で読み辛かったらごゴメンナサイ。
多分次で終わりですんで、また読んで頂けるならよろしく。
加藤さんやっぱりアホw
そしてネタの引き出しが広いw
一人で湯煙殺人事件w
面白いじゃん2話
こういう擦れ違いって最高だよ
あとチョコチョコ出てくる地歴ネタ
面白いって思える文章を書ける人だよね
今回で互いに疚しい気持ちを植えつけておいて次回で収集するのか
鈴木君、キミの思い人はこんなアホの子なんだよ…と同情してしまったw
SDデフォルメ絵を書いたらなぜか、アホ毛の白目で「ぱ…ぱーどぅん?」と言う吹き出しまでつけて別人化しまうほどのLV
主人公が敵の拠点でボスと幹部に囲まれピンチ!
↓
ライバルに助けられた
↓
致命傷を負ってしまうライバル
↓
恩を返すために身を挺してライバルを助ける主人公!!
加藤ちゃんは変身ヒロインとして確実に王道主人公の道を歩んでる
…「ライバル」じゃなくて「敵の総大将」だってトコロがw
>>385 今日は仕事で漬物付けたり迷子の幼女を抱えて走り回りながら加藤さんのことばっかし考えてたよ
とりあえず今からゆっくり作業に入ることにするよー
>>392 主人公が助けるライバルの危機を作ってるのが、ほかならぬ主人公自身だから変なんだw
ウチのかーちゃんもタンスの角に小指ぶつけるとガノトトスみたいに活性化する
申し訳ありません。誤爆です。
これはかわいい
やだこれなんてご褒美?
401 :
名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:56:29.79 ID:0ck/YrRd
俺の苗字呼ばないで(´・ω・`)
☆それいけ加藤さん サイシューカイ!! 前編☆
「…………はぁ」
GWも明けようとしているのに、瑞希は溜息ばかりしている。
あのT村の戦いは少女の心に楔を打ち込んだ。
石を切り出す際に打ち込む木の楔は、最初は小さなヒビしか生まなくても、
水をかける毎に膨張して、やがて大きな岩を砕くほどの大きなヒビを生む。
T村から帰宅する前ではさほどでは無かった心のヒビは、今では比べようもないほどに大きくなっていた。
男とSEXした。
気持ち良かった。
あったかかった。
幸せだった。
問題は、それが快楽目的の淫行では無かったということである。
相手は敵の組織の幹部だ。
そして瑞希の愛する人は別にいる。
あの夜、瑞希があの敵を助ける為だけに行ったSEXで得た様々なプラスの感情は、
純一と事に及んだ時にしか感じてはならないものだ。
まぁ快楽はともかく――、あの表現しようも無い……「ここぞ私の居場所」だと思えるような
落ち着きまで感じてしまってことは、自己弁護できない。
悔しいが断言できてしまう。
仮に、今後鈴木純一と結ばれたとしても、あの夜の衝動を越えることは難しいと。
あの布団の中で、敵の幹部の腕の中で感じた快楽と温もりは、まさに史上のものだったのだ。
家族、住み慣れた家、あるいは生まれ故郷……人間には代えようも無い特別なものが幾つかある。
あの気持ちもその1つだ。
この人の胸の中で眠りたいと――、本気で思えるような人が、2人も3人もあって溜まるものか。
瑞希の中では、それは純一でなければならないはずだった。
「…なのにどうして!? やっぱり私は、厭らしい女の子だから!?
嫌いな男でも感じて、幸せに思っちゃうくらいの、変態だから!?
そんなの、そんなの……!!」
強い力が机を叩く。
怖い。
もし今後鈴木純一に抱かれることがあった場合、あの夜以上の興奮を得られなかったらと。
「はぁ、はぁ、はぁ………。どうしよう。私もう、鈴木君の顔、まともに見れない……」
それに付け加えて、加藤瑞希には懸念がもう1つあった。
それはGW期間中に一度も鈴木純一からのメールが来なかった…ということもあって不安は膨む。
そしてそれは休暇明けの学校で爆発することになる。
※
「よ、よう。おはよう加藤…!!」
(鈴木君、やっぱりどっか余所余所しい……)
席に着いた隣人の様子は、なんとなく瑞希が予想していた……というか恐れていた展開通り。
瑞希は自分の勘がはずれていることを願いつつ。それとなく聞いてみた。
「ねぇ鈴木君。GW、何処か行ってたの?」
「ああ――、ずっと、バイトだった、うん。大変だった」
(無理に落ち着こうとしても、焦ってるようにしか見えないよ…)
動揺を誤魔化す為だろう。
純一は購買で買ってきた飲むヨーグルトを飲もうとするが、
ストローは落とすわ、なかなかストローを容器に刺せない上にこぼすわで散々だ。
「…バイトって、女の人と一緒って奴だよね。どう? その人とは、もう仲良くなれた?」
「―――――ブッ!!」
かけたカマに盛大に躓いて入れる純一君。
口に含んだヨーグルトを盛大に、少女の顔面に吹きかける有様だ。
しかし、こんなところで律儀でも、瑞希はちっとも嬉しくない。
むしろ予想は確信に変わり余計不機嫌になる。
「あ!! す、すまん、今拭く――」
純一は急いでティッシュを取り出し、彼女の顔にかかった白いどろどろを拭こうとする。
『白い、どろどろ』を。『顔にかかった』。
「ああっ…!」
何を連想したのやら。鈴木純一はそうとう動揺して椅子を蹴った。
「ち、違う加藤ッ!! あれは、違った…!!」
「まだ何も言ってないけど……。そういうことなんだね。うん、分かってたよ」
「――え?」
「良い感じなんだよね。その…バイトで一緒の娘と」
それが瑞希のもう1つの気がかりだった。
あの初陣の翌日。加藤瑞希が処女を奪われた次の日。
鈴木純一の口から聞かされた、気になるという女性の存在。
(鈴木君は、デートに誘ってくれるって言った。でもGWにそんなお誘いは全然無くて。
きっと、休み中ずっとバイト入れたのは、その女の人に会いたかったからなんだよね…。
多分……、この動揺ぶりからすると、もう、その人のこと、抱いて―――!!)
ギリリ、と歯が軋む。握った掌から血が流れる。
何かまずいと思ったのだろう。隣では純一が必死で弁解を繰り返している。
あれは違う。わざとではなかった。やってしまったのはそうなんだが―――と、
喋れば喋るほどに聞き手の想像を確かなものにしていくのは、煩わしい。ウザい。
瑞希の心の中に泥が溜まっていくのを気付かずに純一は喋り続ける。
しかし心が泥で埋まった時、とうとう瑞希はきれてしまった。
「…弁解する必要なんか無いじゃない。鈴木君は、その人が好きだから抱いたんでしょ…。問題無いよ」
「えっ?」
すっくと立ち上がる瑞希と、呆気に取られる純一。
その純一に、瑞希ははっきりと視線を合わせる。
今にも泣きそうな儚い笑顔。
ギリギリのところで涙腺を絞りって瑞希は言った。
だって――、と。
その後に続く言葉に純一は愕然とする。
「だって――、鈴木君と私は――」
――鈴木純一と加藤瑞希は。
恋人でもなんでも無いのだから――。
「恋人でもなんでも無いんだから!!」
「ッッッ!!!」
「その女の人お幸せにッ!! 私は、私はいつでも鈴木君の幸せを祈ってるからッ!!」
それが瑞希に出来る最後の強がり。
鈴木純一に自分が贈れる、唯一の「良い贈り物」だ。
このままここに居ると「悪い贈り物」…俗に言う冥土の土産を送ることになってしまいかねない。
だから叫ぶのと同時に瑞希は走り出す。
彼が見えないところまで。
廊下、靴箱、校庭、門、どこどこまでも走る走る走る。
(…もう、この世ですら無いところまで突っ走ってしまいたい…!!)
流石にそこまではしなかったが…。
その日、教室を出て行った加藤瑞希が戻ってくることは無かったのだ。
※
――なんだ、あの加藤の態度は。
そもそも今日は鈴木純一の心境も穏やかではなかった――というか、
心の中の不安は瑞希と等しいものだった。
加藤以外の女の子とSEXした。
敵対するべきはずの『対魔兵』の女の子。
しかもその娘に「加藤」を感じてしまった。
あの時夢の中では、加藤があの女の子の戦闘服を着て、自分でSEXする夢まで見た。
とても似合ってて、まるで中身が入れ替わってても違和感無いと思えるくらいに可愛くて――。
(何を考えてるんだ俺は!! 加藤は加藤、あの女はあの女だ…!!
そんなことだから、あんならしくも無いドSな加藤を夢の中で見てしまうんだ!!
あれは俺自身への警告なんだ、これ以上あの女に加藤を重ねるなって警告……)
けれどどうしても、あの敵兵には加藤の面影を感じてしまう。
だから今日はとても気まずくて…。
はっきり言って、まともに加藤と視線を合わせる気にはなれなかった。
加藤が好きなのに、他の女に加藤を感じるって―――、加藤に失礼じゃないか。
まあ結局、そっち方面までバレつことが無かったが、やましさは隠せなくて、
加藤以外の女を抱いたことまでは加藤にバレてしまった。
それだけでもショックだった――。
なのにそれにプラスして、今は純一の心を更に抉る衝動がある。
今日の加藤瑞希の反応は並ではなかった。
純一が他の女を抱いたということにあれほど反応し、
何もかも投げ捨てて走り出してしまう程のショックは―――
(加藤は………俺のことが、好きだった!!??)
それしかあり得ないのではないか。
中学三年になって鈴木純一はようやく気がついた。
小学校の頃から好きだった加藤と、実は相思相愛だったという事実。
しかしその彼女の自分への好意がたった今折られたということ。
「そんな―――ことって――――」
足場が崩れ落ちていくような絶望を感じる。
最初から得ていたもの、あんな暴挙に出なければ恐らく近い内に得ることができていたもの。
それを――加藤瑞希の自分への好意を、手放そうとしている。
他ならぬ自分が、県庁の戦いとあの旅館で、他の女を抱いたことによって…!!
付き合えなくなるのではない。
持っていたものを持っていたとすら気付かず、気付いた時には自分の腕を擦り抜けていた。
その事実がただただ信じられなくてで。
「あ―――。俺は、終わりだ―――」
なんて愚かなんだろう。
自分に自信が無くなった。
加藤を好きでいながらその気持ちに気付かなかった。彼女のことを分かってなかった。
加藤に女を抱いたことがバレたこととどっちもショックだが、どっちかと言えばこちらの方がクる。
―――がくり。
純一は崩れ落ちる崖から落ちた。もう戻れる気がしない。
さっきまで自分が座っていた椅子の腰掛までは1メートルも無いはずなのに、
見あげるとチョモランマの絶壁もかくやというような遥か高みに感じる。
猛吹雪吹き荒れる断崖絶壁は今の純一にはどれだけ見上げても届かぬ夢。
――まるで加藤の存在そのものじゃないか。
どれだけ手を伸ばしても自分はあそこに戻れない。
机につくなんて無理だ。
加藤と親しい自分に戻れないのと同じ。
登るのは無理だ、無理だ、無理――……。
「おい鈴木、どうした!?」
「鈴木君!?」
駆け寄るクラスメート達の声は届かない。
(もうどうにでもなれ……。ごめん加藤…。俺はお前に相応しくなかった…。
お前みたいな心も身体も綺麗な女は、誰かいい男に、幸せにして貰ってくれ……。
俺はもう自信が無くなったんだ………自分が信用できない……ああ、加藤……)
ガクッ…。
それが純一の最後の気持ちだった――――………では終わらなかった。
何しろ熱も出ていないし外傷も無い。
「じゃあさっさと授業を受けろ」と先生に怒られた。
純一はお釈迦様の手でチョモランマの頂まで強引に摘みあげられ、放課後まで授業を受けさせられる。
尤も、学業に気が入るはずも無い。
授業、昼休み、授業、掃除と流れていく学園の時間。
自分の傍を通過する先生やクラスメート達と過ごす彼の姿は、街道を守る道祖神像のようであった。
※
加藤瑞希は自宅に帰るや、母親の酒蔵を荒らした。
ビール、清酒、ワイン、ブランデー!
こいつらは加藤家が日本政府からせしめた報奨金が化けて出た変化、つまりは妖怪どもだ。
『対魔兵』の瑞希さんとしては責任を持って退治しなけりゃならないな。
景気良く栓を飛ばし、まずは大ジョッキになみなみ注いだ大吟醸を一気に煽る。
それだけじゃ足りない。
スコッチ、白酒、テキーラ、なんでも来やがれ!
今日の加藤さんは不機嫌だぁ、てめぇら片っ端から相手になってやるぜ!!
なんでもかんでも大ジョッキになみなみ注いではグイ呑みし、
床にはごろごろと空になった酒瓶が転がっていく。
「お母さん…!! 私は、私は罰が当たっちゃったんだよぅ!!
私が、身も心も薄汚れちゃったから………!!
神様が怒って、鈴木君を私から遠ざけて………!!
うわぁぁぁん!! 私の、私のせいだっ!!」
今の瑞希の酒にはT村の時のような陽気さは無く、ただ荒れるばかりの酒だった。
これにはいつも冷静な母も、動揺を隠し得無い。
「だからって酒を飲むことは無いだろう…。
あーあぁ、お母さんのコレクションこんなに飲んで。
『新夜行同盟』最大の罪はお前に酒の味を覚えさせたことだよまったく。
こういうところばっかり、お前は私に似るんだからな」
未成年がお酒を飲んでいること自体には怒らないのが母クオリティ。
自分の酒蔵を荒らされていることにだけ不機嫌さを感じている。
まあ話くらいは聞いてやるかと、自分も愛用のグラスを取って、娘の酒に付き合うことにした。
「そりゃあ私もSEXしたよ……!! しちゃったよ!!
でもあれは、2回目のあれはそういうのじゃないもん!!
身体が欲しかったわけじゃない!! 天狗の人が欲しかった訳じゃないのに…!!
でも鈴木君のバイト先の女の人は、鈴木君に抱かれて…!!
鈴木君はその人を抱いてさ!! こんなのって無いよ…!!
同じSEXなのにどうしてこんな差が出るのさぁ…!!
うおお、愛を、愛をくれ!! 愛が欲しい!! ギブ・ミー・LOVE!!」
そう叫ぶと、がぁん!と大ジョッキをテーブルに叩きつけた。
へっ、70回蒸留のスピリトゥスとてこのザマか。96度の看板が泣くぜ?
どうなんだよ、当代最強、ポーランドの先生様よぉ!!
そんな勢いでガブガブと大ジョッキを空にしていく瑞希の姿は本当に八岐大蛇のようだった。
「…うっ、うううっ……」
しかし暫くすると、今までの荒れた酒から豹変し、泣き上戸が入り始める瑞希。
酒を飲むスピードも急激に落ち、飲んでいる時間より喋っている時間が長くなる。
大ジョッキを右手に持ったまま、しげしげと愚痴をこぼしていく。
「お母さん…。私もう戦いやめたいよ………。
もうやだよ。戦い始めてからいいこと1つも無いよ…。
心も身体も、いろんなところがボロボロになってくだけだよ…。
処女奪われて、鈴木君も取られて、こんな気持ちになって、最後には何も、何も残らない……」
「それはいかんぞ瑞希。戦いをやめるというのは生きることを放棄するということだ。
少なくとも『新夜行同盟』を殲滅するまでお前は戦わなきゃならん。
目の前の戦いから逃げるな」
「だって………、戦いばっかりやってるから、恋とか他のことするを時間が無いんだよ…。
デートだって…誘われはしなかったけど、こっちから誘う時間も無かったし……だから……」
「仕事を失恋の言い訳にするな」
――ぴくり。
(げっ)
その一言だけは、言ってから母は後悔した。
母には珍しく今の発言は撤回しなければならないと思った。
今のコイツに、『失恋』という言葉はヤバい――。
娘のことをよく知る母は、娘を扱う「さじ加減」というものを心得ている。
このくらいならコイツはやるだろうとか、ここまでは出来ないだろうとか、
大雑把に見えても色々計算して娘を扱ってきたのだ。
その母の勘的に、今のはマズかった――。
普段厳しめにしている分、こういう所で優しさを見せれば効果的なのに、うっかりしていた。
下手するとこいつは変身して、母の指示を無視して衝動のままに日本中を蹂躙する、
『同盟』以上の惨事をN県にもたらす破壊王になる可能性すらある。
そのくらいの所に今こいつは来ている。
そんなスイッチが入ろうかという瑞希を、母はギリギリのタイミングで押し留めた。
「すまん瑞希。今のは無し、無しな。お前はまだ失恋してない。話を変えよう」
「………」
「戦いと言えば恋も戦いだ。そうだな」
「……うん」
「お前は鈴木君がバイトの娘に抱かれたというが、それは大した問題なのかね?」
一応質問の形をしているが、母の目は言っている。
私は全然そうは思わない、と。
「だいたいだなぁ、この間も言っただろう。
女の全部が全部処女を捧げた相手と結婚する訳無いって。
本気で付き合ってたけどいろいろあって分かれることもある。
その女がどれだけ鈴木君が好きか、知ってるのか?
鈴木君がどれほどその女に入れ込んでるか分かってるのか?
お前はこの三角関係の、鈴木君とその女の事――もっと言えば自分の足場さえ見えてないんじゃないか?」
「………」
「人生長いんだから一時の感情に溺れるなよ。
第一、話を聞く限りお前はまだ戦ってないじゃないか。
勝手にその女と自分を比べて劣ってると決め付けて―――女として恥ずかしくないのか?
もしトライアングルが二等辺三角形で、鈴木君とお前と距離が他の辺より短かったとしてだなぁ、
その女から鈴木君を奪ってやろうという気位は無いのか? 魅力的なオンナになってさぁ!!」
「だって……、私は汚いから……!!
敵の人と鈴木君を同じように感じちゃうなんて、おかしい証拠だよ!!
こんな私が鈴木君に抱かれたら鈴木君まで汚れちゃうよ!!」
「清も濁も共に呑むのが夫婦なんだよ。それを拒否る奴にお前を貰う資格は無い。けど――」
けど、お前言ったじゃん、あの夜。鈴木君を信じてるって。
そこまで信じてやれよ。
そしてそれ以上に、自分を信じてやれよ。
そう、母は言った。
「自分を、信じる…!?」
「大昔からよく使われるフレーズだがいい言葉だな。とりあえず告白してこい。
それでそのバイトの女に負けたんなら、しょうがない。その時は次の恋を全力で探せ。なっ。
だがまずは、全力で鈴木君を追いかけよう。まだ追いつくところに背中はある。
捕まえられるかどうかは、今お前が走り出せるかどうかにかかってるんだぞ」
ぽん、と母が娘の肩を叩いたところで、瑞希の顔色が戻っていく。
母が瑞希の中の変身装置に魔力を送って、体内に溜まったアルコールを浄化させている。
「お母さん…?」
「酒量を弁えられない女は見苦しいから気をつけろ。ほら、行け」
母の手に背中を押されるままに娘は踵を返し、全力で走った。
後に加藤瑞希は語る。
”お母さんがいなかったら、私は幸せにならなかったと思う。
いつもぶっきらぼうでケチで怖いお母さんだけど、やっぱり、私はお母さんの子供で良かった”
しかし美談の裏にはそれだけでは済まない事情があるもので。
駆け出していった後の開けっ放しのドアを見ながら、母は溜息をついている。
「とりあえずあそこはああやって誤魔化すしかなかったからああ言ったけど、ヤバいなぁ…」
”自分を信じる”という大昔から使われてきたフレーズ。
それは言い換えるなら失敗を続けてきた人類の歴史を象徴するフレーズ。
何故なら過去に大失敗をしてきた人間のほとんどは、直前まで自分を信じていたのだ。
「俺ならやれる」「お前ならやれる」で失敗した人は古今数え切れない。どの階級の人でも一緒だ。
母は自分の言ってることが場当たり的だと分かっていながら、単純な娘なら乗るだろうとああ言ったのだ。
「…けど今アイツが真正面から振られたら、アイツは暴走してマジでN県を滅ぼすかも知れん。
鈴木君とやら、頼むから空気読んであいつを受け入れておくれよ。頼むわマジで…」
そりゃ成功しないとは限らないが、「失敗しても次がある」というところに関して母は凄く自信が無い。
何しろ今回は失敗した後にN県が残っている保障が無い。下手すれば国が滅ぶ。
結局は母の、娘の暴走を止める最後の苦し紛れの一手に過ぎないのだ。
母は赤くなり始めた初夏の空を見上げ、らしくも無く神に祈ってから、グラスを傾けた。
※
「鈴木君、もう放課後だよ、帰りなさい」
担任の先生の声は鈴木純一には届いていない。
「何処へ帰れって言うんですか…。俺が無事に戦いから帰ってきても……、迎えてくれるべき日常……
加藤との日常は、もう無いんだ…。加藤は…俺の日常の象徴は永遠に失われて……。
恋人なんかになれなくても良いから……いつも通りあいつと冗談を交わせる日常が返って来れば、俺は……。
加藤と……加藤の傍にいたくて………やっぱりT村になんか行かずに加藤をデートに誘ってれば……。
そうすれば…今日あいつをあんな気持ちにさせることは絶対に無くて……加藤……許してくれよ、加藤……。
お前が……加藤がいなければ…俺は…加藤………何を生きがいに………加藤…加藤……」
死んだ魚のような目でブツブツと何かを言い続けている純一。
今日の彼はずっとこんな感じである。
「家に帰りなさいと言っているんだ!!」
追い出されるように校門を出ても、純一は家に帰る気にはならなかった。
帰ったら、N県制圧計画の作戦プランを練り直す仕事が待っている。
けど……そんなの、やる気が起きない。
親父の付き添いの日本征服より、今はもっと重い問題を抱えている。
「…つらい。悪の組織だの、幹部だのと言ったところで、女の子の気持ち1つ手に入れられないんじゃなぁ…」
あーあ、どうしよう。
身投げでもしようかなぁ…。
「ははは……」
目が焦点を失い壊れた笑みが道を漂う。
鈴木純一は崩壊しつつあった。
――いたっ!!鈴木君!!待って!!
「また加藤の幻聴か……。まだ俺を追い詰め足りないのか…?」
そう言って背後を振り返る純一。
そこには全力で疾走してくるセーラー服姿の奴がいた。
「か、加藤…!? よせ、来るな!! 今、俺はお前の顔を見たくない!!」
「私は見たいんだよっ!! 言いたい事も、あるッ!! だから聞いてッ!!」
「聞きたくない、聞きたくないッ!!もう俺を苦しめないでくれっ!!もうお前から聞くべきことは何も無いッ!!」
純一は走る。瑞希は追う。
基礎体力は五分五分で逃げ切れないが追いつかない、そんな鬼ごっこが始まった。
校門から国道まで続く長い下り坂を駆け、歩道を走り、横断歩道を渡り、通学路レースは続いていく。
「――はぁ、はぁ」
しかしメンタルが弱っていた純一の方が息切れが早かった。
少女の顔が迫ってくる。
「チっ…!!」
純一は舌打ちしながら、身体に通う妖怪の血を目覚めさせる。
それは純一が普段から心得ていたことだった。
生きていく上で絶対遵守しなければならないルールの第一。
人前で天狗の格好に変身しない。そして私用で神通力は使わない。
一般人である時と、『同盟』構成員である時の区別はつける。それは絶対。
だが精神的に追い詰められた彼の足は、
いつの間にか高下駄の奏でる軽いステップと共に少女の足を大幅に引き離していた。
次の瞬間には、彼の身体は100メートルは離れたところにある歩道橋の上にあったのである。
「んなっ!?」
「悪いな加藤、じゃあまた明日学校で!!」
高下駄の他にも、いつの間にか装備されている黒の天狗の面に修験者の僧衣。
天狗は風を蹴る生き物だ。
ちょうどI市を望む霊峰I山から、霊気をたっぷり含んだ風が舞い降りるこの季節――――。
街中を吹き抜ける風を足場に、旋風(つむじ)のように純一は飛ぶ。
鷹よりも雄雄しく、隼よりも優雅に、高下駄の奏でる乾いた根は、I市の空へと響いていく。
さながらジェットのような健脚を前に小娘の足ではどうにもならぬ。
2、3秒後には、鈴木純一の身体は加藤瑞希の視界から消えてしまうだろう。
「すまない加藤…!! 今日だけは、今日だけは嫌なんだ…!!
明日からはただのクラスメートとして接しよう、それでいいじゃないか!!」
「良くないッ!!」
――なんと。
高下駄が踏んだ風の後を、ニーソに踏まれた草履が追ってくる。
なんか、何処かで見たミニスカ和服に身を包み、刀なんか持って。
朱の短い短いスカートから純白のパンティをチラチラ覗かせ、猛スピードで奴が迫る。
「逃がすかぁっ!! 聞いてもらうまでは、逃がさないよ!! 女の人の所に行く前に、私の気持ちを!!」
「伝えなくていいッ!! これ以上俺を追い詰めるお前の言葉なんかッ!!」
純一が手を振った。
川の水が引き上げられ、全長100メートルはある超巨大な八岐大蛇の形になって瑞希の前に立ち塞がる。
(お前がそいつと遊んでいる内に、俺は、帰る!!)
目的が通学路からの帰宅でさえなければ、今の彼はそれなりに大物っぽく見えたかもしれない。
「そんなので邪魔されてたまるかぁ!!」
しかし一閃。それで八つの首は全て落ち、水は全て川に戻った。
「嘘ぉっ!?」
「こっちの番、鈴木君のその足を止める!!」
瑞希は大きく振りかぶって、手に持っている七尺の大太刀をぶん投げた。
峰の方に回転を加えているので、当たっても痛い程度で済むだろう…と思ったが、
純一が神通力で咄嗟に空気中の水蒸気を凄まじい速度で冷却し、
巨大な氷塊を作り出して防いでいなければ、純一は死んでたかも知れない。
少なくとも、厚さが何十メートルもある巨大な氷塊は木っ端微塵になった。
その破片が純一の被っていた黒天狗のお面を破壊し、素顔を晒す。
「くそっ、俺の面を!」
「一本は取った…! けど、まだまだッ!!」
一方でくるくるとブーメランのように帰ってきた刀を瑞希は手に納め、再度追う。
純一は持てる全知全能、全力全快の神通力で足止めを試みる。
この瞬間から、二人の追いかけっこはただの鬼ごっこから、
『対魔兵』と『同盟』幹部の空中戦へと様相を変える。
I山の彼方へ沈む太陽の演出する朱い空。
東の空から丸い月が頭をもたげ始める、この街の空が一番美しい時間。
痴話喧嘩ということで、ジャッジは一番乗りの太陽系第二惑星―――通称『愛の女神様』。
一日に二回しか地球には顔を出さないっていうこのズボラな姉貴星が
わざわざ審判をやってくれるっていうんだから、ここは力の入れどころである。
そんな絶好の大空のリングで、対魔と天狗の人智を超えた戦いは幕を開ける。
※
あの、大地を抉るような烈風。――防がれた。
あの、街を飲み込むかのような幾千の雷。――散らされた。
あの、星を燃やし尽くすかのような業火。――消された。
あの、時間を止めてしまいそうな猛吹雪。――溶かされた。
新ネタの、恐竜を滅ぼしたのと同じような大流星群。――弾かれた。
もう1つ新ネタの、地殻大変動。――押さえ込まれた。
更にもう1つ新ネタの、あの温泉で自分が足を取られた石鹸。……これは成功した。
瑞希の草履が石鹸をふんずけてツルッと滑り、地上に落下して尻餅をついた。
空中の純一に、アスファルト上でお尻を摩りながら、瑞希は手を振り上げて抗議する。
「痛いっ! 何するの、転んじゃったじゃないのさ!! 酷いよ!!」
「ごめん……って、謝ってる場合じゃない!! 逃げないと」
「あ、待て!!」
しかしこれは成功とは言え、すぐに起き上がって追って来るんだからあんまり意味が無い。
純一が、加藤瑞希から逃げる為に使った様々な神通力は悉く突破されていく。
といっても決して瑞希も楽ではない。
純一の神通力は範囲が広すぎて、中途半端な対策では街に被害が出かねない。
余計な力を使いながら使い街を守りつつ、追撃しなければならないのだ。
空中戦の最中も、純一はたまには地上に降りて瑞希を撒こうとしたため、T市内の各所も戦場になった。
商店街、寺院、I山上遊園地、住宅地と場所を変えに変え、人智を越えた追撃戦は繰り広げられた。
それも互いの格好をあまり意識しないまま――。
純一は精神崩壊寸前、瑞希は猪突猛進、それぞれが正常の判断が出来ないまま、
果てしなく続く魔力と魔力のぶつかり合いは最終局面へと縺れ込む。
この痴話喧嘩の行く末がもう見えたのかあるいは興味を失ったのか。
決着の地、市内のある公園に純一と瑞希がたどり着いた時、
空を覆う朱を演出していた太陽とジャッジをしていた女神星は姿を消し。
代わりにギャラリー席が、遅れて来たヘビ使いやらクマさんやヘルクレスやらで埋まっていた――。
「私の、勝ちだよっ!!」
「まだだぞ加藤ッ!!」
ネタ切れの純一に追いつき、振り下ろされる鋼の刃。
しかし純一には最後の相棒たる八手の葉っぱが残されている。
ぎりぎりぎりと鍔迫り合い、得物に込められる霊力は、
公園のゴミ箱や砂場の砂を巻き上げるくらいには竜巻を起こす。
「ぬううううう…!!」
「ぐぬぬぬぬぬ…!!」
ぎりぎりぎりぎり……。
簡単にはつかないであろうその勝負。それを。
「あんたら何やってんだい!近所迷惑だろ!!」
という、通りがかった近所のオバサンの一言がやめさせた。
やはり人の戦いを終わらせるのは常にジャッジを司る神様ではなく人の力なのだ。
恐らく『対魔兵』と『夜行同盟』の戦闘史上最大規模を誇るであろう戦いは、こうして幕を閉じたのである。
「あ、すみません、おばさん」
「気をつけます。ゴミとかちゃんと元に戻しますんで…」
「ったく。近頃の学生は…!! 超能力ごっこならスプーン曲げるくらいにしときな!!」
オバサンは腹を立てて去っていった。
二人の内から一気に気持ちが抜けていく。
――そもそも何で戦ってたんだっけ?
虚しい自問に色々と無茶した反動かドっと疲れが出て、純一と瑞希は仲良くベンチにへたれ込んだ。
このまま暫くだらだらしたい気分だったがこのままダウンは出来ない。仕事があるのだ。
瑞希はよいしょと立ち上がり、公園の隅にある用具箱を指差した。
「とりあえずここを片付けようよ鈴木君…。それでいいよね?」
「分かったよ…」
この戦争の戦後処理は、用具箱から借りた箒と塵取りを借りて行われた。
※
「お疲れ加藤。はい、お茶」
「ありがとう鈴木君…。お疲れ」
公園の掃除が終わった。
変身を解除するのも忘れて、ベンチに座ってペットボトルを傾ける。
互いに言いたいことはいっぱいあって。
何から話そうかと考えても纏まらない。
…とりあえず思ったことを口に出そうか。
二人はそう思った。
「その、あんまり、驚かないんだな。俺が前線指揮官の天狗だったってさ」
「びっくりはしてるよ――。けど、ちょっと……ううん、すっごく安心したから」
何を隠そう、ここまで抱えてきた積荷がほぼ全ての降りたのだ。
特に瑞希の安心ぶりは半端無い。
純一のバイト先の女が自分だと分かるなど、不透明な部分は全て明かされたと言って良い。
「鈴木君は覚えてないかも知れないけど…。
私ね、鈴木君を助ける為に抱かれた時、凄く気持ち良くってさ…。
あったかくて、安心できて、鈴木君でしかこんな気分になれないと思ってたから、ショックだったよ。
でも今思えば、私の勘は間違ってなかったんだなって」
「それを言ったら俺だって――。旅館で加藤が気持ち良さそうに寝てるの見て、すげぇ和んだし。
夢の中にお前が出てきた時は何でかと思ったけど、俺もずっとお前を感じ取ってたんだよな」
「鈴木君…」
「加藤…」
互いを見つめあい名前を呼び合う。
そのままのナチュラルな流れで、純一は瑞希の肩を抱き寄せようとしたのだが、
白の手袋にパチンとはたかれた。
「か、加藤ッ!?」
「まだだめ。お預けっ」
怒っている風ではなく、小悪魔っぽい笑顔を見せる瑞希。
その笑顔の正体は何なのでしょう。
「まだ」、というからには「いずれ」は良いのであって、その境界が純一には分からない。
首を傾げていると、少女は草履を脱いで両足をベンチの上に上げた。
「加藤…?」
純一の視線を受けながら、瑞希は純一の方を向いて正座をし、背筋を伸ばし、手をついた。
そして――深々と頭を下げた。
――不束者ではありますが、どうぞ加藤瑞希を、鈴木純一君の彼女にしてくださいっ!!
「あっ…」
そうだ。
既成事実的な関係になってはいても、正式に彼氏彼女にはなって無いのだ。
これはうっかりしていたと、純一は反省した。
「ごめん加藤。こういうことって男から言わないとダメなんだよな本来…」
「どっちでもいいよ。答えは?」
「…鈴木純一は、加藤瑞希さんを、彼女にさせて頂きます…!!」
「鈴木君ッ!!」
純一が手を伸ばす前に、瑞希はとっくに準備が出来ていた足でベンチの座を蹴り、
次の瞬間には純一の胸板に飛び込んでいた。
このままだと地面に落ちそうなので、純一はベンチの端を持ってかろうじて堪え、”自分の彼女”を受け止める。
すると、それまではシャキっとしていた瑞希の表情は一気に崩れ、情けない泣き声をあげ始めた。
「うわぁぁぁん!! 良かったよぅ!! ようやく彼女になれたぁ〜!!
好きだったもん!! 小学3年生の頃からぁ、ずっと好きだったもん〜〜!! びぇぇ〜〜ん!!」
「ごめんな。俺もずっと好きだったんだけどな。もっと早く言い出してれば良かった」
「本当だよばかっ!! 鈴木君は大ばかだよっ!! ヘタレ!! 罰としてチュー!! チュー百回!!
GWの分と春休みの分と冬休みの分と夏休みの分と、その前のGWの分と……とにかくいっぱい!!」
針千本といい、普通こういう数字は比喩な場合が多いと思うが、純一は律儀にキスを百回した。
一回一回愛を込めて丁寧に…。
口や頬は当然として、おでことか、弱いと分かってる耳たぶとかも。
その度に瑞希も、律儀に「ふにゃぁん♪」と猫のように反応してくれるから嬉しくて、回数は苦にならなかった。
むしろ苦痛だったのは周囲の人だかりの方である。
何時の間にこれだけ集まったのだろう?
先ほどのおばちゃんを含め、ベンチの周辺は住民の皆さんの視線でいっぱいだった。
まあ市内であの派手な戦いを見ていない人間など数少ないだろうし、その顛末が気になる野次馬根性は理解できる。
ある人はにこやかに、ある人は呆れ果て、ある人は羨望の、またある人は怨嗟の表情を向ける。
嫌な人はこのクソ鬱陶しいカップルなんか放って帰ればいいのに、何故か誰も帰ろうとしない。
むしろ「爆発しろ」「見てるこっちが恥ずかしいわ」と言いながらも、たまに拍手や歓声を送ってくれた。
「鈴木……ううん、純一君。目、閉じて」
「え?」
ぶちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…っ!!
(あ――、加と、いや、瑞希―――!?)
(もう――…。目閉じてって、言ったのに――……)
ちゅぱっちゅぱっ……!!
ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ……!!
純一の百回目のキスが終わり、お返しに瑞希の熱〜い、長〜いキッスが純一の唇に送られると、
歓声がワッツと上がり座は一番の盛り上がりを見せた。
「ありがとう街の皆さん…!! 私はこの鈴木純一と幸せになります!! ありがとうっ!!」
「あ、ありがとうございます…。俺はこの加藤瑞希を大事にします……」
ひゅーひゅー。パチパチパチパチパチ。
老若男女、ご町内一同のスタンディング・オベーション。
なんだか温もりを感じる一時であった。
→後半に続く
(後半はまだ出来てないので待って欲しい。
読者の皆様への挨拶を含め、後書きはその時にさせて頂きます)
展開は予想通りだったけど盛り上げ方が上手いなあwww
神通力の無駄遣い
それ痴話喧嘩以外にも有意義な使い道あるでしょ鈴木君?
あなどれない、面白い、GJ
馬鹿可愛いな二人ともw
最終話だってのが残念無念。
この作品の本質は反常識的なギャップによる笑いなのだと気がついた
変身した方がかっこわるくなるヒロイン
設定は物凄いのに大したことないように扱われる必殺技
逆に全然大したことないことが物凄くオーバーに扱われる
扱われる地名の元ネタ的に恐らく作者さんは関西の人だと思うけど(間違ってたらゴメン
この作風のノリは好みなので加藤さん終わってもまたなんか書いて欲しいな
加藤ちゃんは可愛いけど陵辱したくなるタイプじゃないな
膝の上に置いて撫で撫でしたいタイプ
セーラー服ってどんなんだったっけ
皆絵描くの好きだねw乙
これが黒歴史か…
女に夢を見るなよ… という啓示
433 :
名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 19:49:35.91 ID:Fwzf2MLg
kusowarota
市内循環バスに乗ってからおよそ5分。
学ラン姿の少年、鈴木純一の隣からはセーラー服姿の少女の可愛い寝息が聞こえてきていた。
――すぅ、すぅ……。
口元に少し涎を浮かべた暢気な寝顔に見とれつつも、純一は少し申し訳無い気持ちになる。
(やっぱり疲れさせちゃったんだなぁ…)
あれだけ大掛かりな攻撃から街を庇いながらの追いかけっこは、
加藤瑞希の底知れぬ能力を示すものではあったが、やはりその疲労は並ではなかったらしい。
(ごめんな、瑞希)
そう思った時、瑞希の身体がスッと倒れて純一の肩にもたれ掛かかった。
(瑞希っ!?)
一瞬のことに戸惑う純一。
昔から友人としては仲が良かったが、流石にこんな形で彼女を感じたことは無い。
(お、落ち着け俺…!! 俺はもう加藤の……瑞希の彼氏なんだぞ。こんなことで動揺してどうするんだ…!!)
そういう時にするべき彼氏らしい行動――と言えば、こうだろうか。
なんとなく彼女の肩に手を回して、優しく自分の方に抱き寄せる。
彼女の制服越しに感じる彼女の温もり――純一はこの幸せに感謝する。
目的地の駅前までは15分程度だろうか。
もっとこの時間が続けばいいのに、と思いながら純一は瑞希の肩を抱き続けた。
※
N県I市は山に囲まれた人口10万人程度の地方都市である。
良質で豊富な竹から作られる墨や茶筅くらいしかまともな特産物は無いが、
都市圏に近いという地の便と、適当に緑が多いという環境の良さからベッドタウンとして発展している。
その駅前の地元臭漂う古い商店街が整地され、再開発をされたのがおよそ10年ほど前。
百貨店やマンションが建ち並び、今やその光景は立派なものだ――――となれば良かったが、都市開発は難しい。
元より住宅地と田んぼと坂ばかりのこの街。
駅前だけを都会風に整備したところで街の他の部分と比して浮いて見えるだけであり、
そのギャップは「ああ、田舎者が精一杯都会の真似事をしようとしているな」と、
無理に田舎臭い背伸びをしているようで、返って気恥ずかしい印象を晒している。
まあそれでも無いよりマシというものもある。
駅前に作られたその百貨店のお陰で、その最上階では適当に洒落たものを食べることができる。
普段はファースト・フード店で小腹を満たす中学生と言えど、
初めて出来た彼女とのデートともなればそれなりに落ち着いた環境を提供できなければ男が泣く。
悪の組織などという嫌な仕事をこなしてきた純一だったが、そのお陰で軍資金は潤沢。
百貨店最上階のレストラン街、そのイタ飯店に純一は瑞希を誘った。
公園掃除の後で変身を解き、学ランとセーラー服という普通の格好になった二人はバスに乗り――
――こうして駅前に到着した。
「ふぁぁぁぁ……。ごめん純一君。寝ちゃってたよ」
「疲れたろうししょうがないって。それより、早く行こう」
「うん」
差し出された純一の手を瑞希は握らない。
手を繋ぎたくない訳ではないが、少し物足りないと感じた瑞希は、手ではなく彼の腕を取った。
「瑞希っ!?」
「やっぱりこう、腕組んで歩くくらいがいいかなって……。ダメ?」
「ダメじゃないよ全然…。もう彼氏と彼女だし」
「そうだよね。もう彼氏と彼女なんだよね…」
もう友達ではなくそんな関係になってしまったんだなぁと思うと、熱いものが込み上げて来る。
随分長いことかかってしまったが…。
ずっと欲しかったものをこうして手に入れられたことの幸せ。
さぞ今宵のディナーも、恋人らしい素晴らしいものになるだろう。
☆それいけ加藤さん サイシューカイ!! 後編☆
ディナーは恋人らしい素晴らしいものにはならなかった。
――いやそもそも、”恋人らしい”って何さ?
互いに口にすることは無かったが、
純一も瑞希も、その根本的な問いに答えを見出せないままパスタを啜っている。
彼氏とか彼女とか言ったって、目の前の相手は小学校の低学年からずっと一緒のクラスメート。
それなりに話したり、遊んだり、ケンカしたり、メール交換したりしてきたワケで、
今更何か改まって会話するような事、思いつきやしないのだ。
しかしただパスタを啜る音だけが響いているというのは非常に気まずい。
(ダメだ俺……せっかく瑞希を誘ったんだから何か喋らないと………彼氏として失格じゃないか…!)
(ダメだよ私…せっかく純一君が誘ってくれたんだから何か喋らないと……彼女として失格だよぅ…!)
(かと言って恋人らしい話題って何だ!? 日常的なことはいつも教室で喋ってるしなぁ…)
(かと言って恋人らしい話題って何!? 日常的なことはいつも教室で喋ってるし…)
滝のように流れ出る汗。混乱する頭。
普段ならTVの話題やらゲームの話やら、下らない事でもペラペラ出てくるのに、
今日は「何を話せばいいか分からない」という現象に陥る二人。
片思いしているだけという状態と、両想いになった状態の違いを身をもって実感する。
(…あっ)
(そうだっ)
うーん、と頭を捻りながらもふと閃いたフレーズがある。
ベタだが適当に話題になりそうなもの。
相手の話に応じて突っ込めばそれなりに膨らませられる話題。
――そういえば、GWは何処行ってたの?
そう言いかけて二人は口を止めた。
(何考えてるんだ俺は。瑞希とGWも一緒だったじゃないか!)
(何考えてるの私。純一君とは一緒だったじゃん!)
T村の温泉旅館で一緒だったじゃん。しかも仕事で。
水入らずのデートに仕事の話題を持ち出す気にはならんので、そこは自制する純一と瑞希。
しかしそうなるとやはり、これと言った話題は思いつかないのだった。
「ごちそうさま…」
「ご、ごちそうさま…」
気まずい雰囲気のままフォークの奏でる金属音で座は〆られた。
※
パスタだけでは腹が膨れた気がしないので、百貨店地下のタコヤキを買ってベンチで摘む。
先ほどの堅い雰囲気が疲れたのか、今度は割とぶっちゃけた本音トークが展開される。
「やっぱり、何かこう、堅苦しく考えてもしょうがない気がしてきたんだ」
「うん、私もそう思う……。ねぇ純一君。ここはもう素直にさ、言いたいこととかやりたい事とか、
全開で行こうよ。鈴木君は何がやりたい?」
「やりたい事ね…」
そう思って頭の中に思い浮かべる。
やりたいことを捻り出す。
そうすると色々なものが出てくるものだ。
例えば、素っ裸の加藤瑞希を抱いているシーン。
あるいは、制服姿の加藤瑞希とヤっているシーン。
戦闘服の加藤瑞希をめちゃくちゃに乱れさせているシーンとか。
パジャマ姿の加藤瑞希とベッドの上で朝の小鳥の囀りを聞いているシーン。
他にはナース姿の加藤瑞希とか、英語教師っぽい格好した加藤瑞希もいる。いずれも卑猥な行為に及んでいて。
「…色々出てくるんだが、ぶっちゃけるのは少し気まずいものばかりでさ…その……」
「なんとなく分かったけど……いいけど! 純一君がしたいならいいけどッ!!」
(いいんだ……)
「でもまだ早いし、とりあえずカラオケとか行かないッ…!?」
純一には良い代案も無く。
恋人同士のデートとしては極無難なこのアイデアは即座に採用された。
ちなみに今日、純一の家は父親がいないという。
二人がカラオケ屋を出て純一の家に向かったのは夜12時頃のことだった。
※
加藤瑞希にとっては初めて上がる彼の部屋だった。
シャワーを済ませ、二人で彼の部屋のベッドの上に乗る。
瑞希は、母に先ほど連絡を入れた。今日は帰れないと。
『そうか……。だが、お前達はスタートラインに立ったばかりだ。全てはこれからだ。
その幸せを失わないようにするには絶え間ない努力が必要になる。それを肝に命じておけよ……ううっ』
と相変わらずの厳しいお言葉を貰ったが、最後の方の声は涙で滲んでいたような気もする。
瑞希は「ありがとう、お母さん」と母に謝礼を述べてから電話を切った。
「…さて、始めるわけだけど。どうしようか?」
「どうするって、何をだ」
「どんな格好でしたい? 全裸とかバスローブとか浴衣とか学校の制服とか…いろいろあるじゃない」
「成程」
普通は全裸なんだろうけど。
過去二回共それとは違った。
せっかくの初夜だし、その形式に乗っかった格好がいいんじゃないかな、と純一は遠まわしな提案をした。
つまり『対魔兵』の戦闘服がいいというのである。
「…純一君のえっち」
「なんだよぉ!! 悪いか!? お前のあの格好好きなんだよ!!」
「ううん、全然悪くない。純一君ってさ、半脱ぎっていうか、全部脱がない方が好きなの?」
「………」
こくんと頷く純一。正直な奴め。
瑞希は笑いながらくるりとその場に立って一回転し、戦闘服を纏った。
「じゃあ、不束者ではありますが、宜しくお願いしますっ」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
挨拶を返すと、純一は彼女の身体をベッドに押し倒した。
思えばじっくりかぐのは初めてだ、年頃の女の子の匂い―――瑞希の匂い。
彼女の肩を持ち、その首元に顔を当てる。
くんかくんかと、シャンプーの香りに混ざる彼女の匂いを堪能する。
「もう、純一君……恥ずかしいから、匂いかがないで…」
「知りたい」
「えっ…?」
「瑞希の全部を知りたいから……」
「もう………」
顔を赤らめて横に逸らす瑞希。
けれど止めることはしなかった。
鈴木純一が加藤瑞希を知りたいと言うのなら、全部知って欲しかった。
純一は満足すると、瑞希の胸元を開いて大きな胸を露出させる。
ごくりと生唾を飲み込む純一。
「流石85センチ……」
「どうして知ってるの!?」
「夢で……俺が死にそうになった時の夢で、瑞希が胸でしてくれて…」
「もう、恥ずかしいこと言わないでよ…」
確かに恥ずかしい――が、真っ赤になっている瑞希は笑顔。
自分が昏睡状態の純一にシてた時、ちゃんと自分を感じ取ってくれていたことが嬉しくて――。
「瑞希のおっぱいだ、瑞希の……」
「あっ、やっ……、そんな、がっつかないで…!! あっ!」
「すげぇ柔らかい……いい匂い……。手の中で形が変わって、ぺろぺろ、こんなに甘くて――」
「声に出さなくていいから…! 恥ずかしいってばぁ!! あん!!」
純一はまだ胸に執着した。
両手で揉むと溶けるようにふんわりとなって心地良い。
夢でやって貰ったように…あるいは現実でも意識が無い中でやって貰ったように、
今からでも自分のチンポを挟んで揉んで貰いたいような、そんな魅力的なおっぱい。
そんな瑞希のおっぱいは、揉まれる毎に敏感になって、乳首がどんどん硬くなっていく。
「やぁ、乳首、見ないで――、純一君、らめぇ…!」
「すげぇ勃起してる…。感じてくれてるんだ、瑞希――」
「やぁ、乳首はらめなのぉ、弱いの!! 見ないで、触らないで、ンッ!! ンンッ…!!」
乳首を摘むと瑞希の可愛い顔が快楽に歪む。…最高。
「ふぁぁ、じゅんいち、くっ、んんっ…!!」
「何?瑞希」
「そ、そんな胸ばっかりらめ……、い、イく………あ、イ、ちょっと、イっちゃ……」
軽く達してしまったらしい。
本当に胸が感じる娘なんだな。
お風呂で流したはずの汗が、もう瑞希の全身に噴出している。
「はふ…はふ…はふぅ……、はぁん………」
白い和服が汗を吸って彼女の身体に張り付いていく。
濡れた布越しに彼女の火照った身体の色が透けて、全裸の状態よりも遥かに厭らしい趣を醸し出す。
そうして感じて悶えている彼女の唇を、純一は全力で奪う。
「んっ!!??」
昨日の公園であんなディープキスをした女の子とは思えないほどに、瑞希は動揺した。
パニックに身体をじたばたと動かし逃れようとする瑞希。
しかし純一が手足で彼女の抵抗力を奪い、成すがままに瑞希の可愛い口を貪る。
ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ―――。
(ああ………、純一君、こんな、キス――――)
間近で見る彼の顔にとろりと蕩けて行く瞳。
瑞希はアルコールを摂取した時より酔っ払っているかのよう。
舌を一度ちゅぱちゅぱと交える行為は、彼女にとってはウォッカ五本に勝る麻薬。
動揺は収まり、彼の腕の中でキスをして貰っているという現実に酔う。
彼の胸板に押し付けられた勃起した乳首も快楽を生み、瑞希は無限の時間にも思えた長いキスを堪能した。
「あ――――」
だから彼の唇が離れた時は残念でならなかった。
もっとしてたいのに。もっと激しく、口の中を彼の舌で犯して欲しいのに。
「純一くぅん……」
まるで捨てられた子犬のような顔で涙ぐむ瑞希。
とても可愛くて、純一は笑ってしまった。
「ご、ごめん…。でも他のこともしたいしさ――。ダメか?」
「ううん…。いい…。純一君の好きなようにして……」
後で同じキスをすることを条件に瑞希は純一に主導権を許した。
ここは男のメンツを立てないと女が廃るというものだ。
しかし、それで図に乗り過ぎる男は問題である。
「瑞希って耳も弱いんだっけ?」
「だから何で知ってるの……。純一君、T村の旅館でどんな夢見たのさぁ……」
ドSな加藤瑞希に調教される夢でした、なんて言えるはずも無く純一は適当にはぐらかし、
ウィーク・ポイントをぺろんと舐めた。
「ひはぁん!!」
毛を逆立てた猫のような、びくっ!とした姿も可愛い。
本当に可愛い。
体勢的には手で胸を揉める状態なので、純一は瑞希の耳を舐めながら胸を揉む。
「んっ、み、耳ぃ、じゅ、純一君、耳とおっぱいはぁ、一緒、らめっ!!」
「どうして?」
「イ、イっちゃ…!! イくからっ…!! き、気持ちよくて、イくのっ!!」
「ちゃんと見たい。瑞希のイくところ」
「ら、らってぇ……!!」
流石に耳ではイきたく無いと思ったのだろうか。
今まで向けられていた耳が遠のき、代わりに涙目の彼女の顔が眼前に来る。
何か言いたそうでも言葉が出ない――。
そんな状況でニマリと得意げな笑みがこぼれる純一。
次の瞬間、純一のその口は、瑞希の口を塞いでいた。
(―――っ!?)
(欲しがってたキスだよ……。欲しかったんだろ?)
(そ、そうだけど、どうして、急にっ!?)
もっと他のことをしてからくれると思ってたのに。
こんなにすぐキスが貰えるとは思わなかったので呆気に取られる瑞希。
全ては不意打ちのためだ。
約束通り濃厚なキッスはたっぷりあげる。
(純一君のキスッ、キスだぁっ…!! んんっ、もっと、もっとぉ!!)
無我夢中でキスに没頭する瑞希。
しかしどの代償――では無いが、左手で胸を揉みつつ、下に伸ばした右手で”そこ”を犯させて貰う!
(えっ、えええええっ!!??)
口を塞がれているので抗議の声は出せない。
んん、んんんっ…!!と唸りながら、驚きに開いた視線を純一に送るのみ。
くちゅ。くちゅ。くちゅ……。
キスとは違う種類の水音が、室内に響く。
股間を弄られる快楽と恥ずかしさに、瑞希は強く反応した。
(ら、らめぇっ…!!やめて、やめて純一君…!!そこは恥ずかしい、本当に恥ずかしいよぉ!!)
涙を流して懇願する瑞希。
しかし純一はやめない。
ご要望に応じてキスをしてあげているんだから、こっちの要求を飲めという理屈だ。
普段『対魔兵』が街を駆けながら、ぴらぴら見せていた朱のスカートの奥の白い布地。
敵の時はなんとも思わなかったが、あれを加藤瑞希が見せていたと思うと興奮も凄まじい。
普段ミニスカートなんて履かない彼女がする、数少ないパンチラということになるのだから。
幾らでも見たいし、そのミニスカートの中が欲しくなるのは当然じゃないか―――。
そんな興奮を覚えながらスカートの中に右手を突っ込んだ時、純一は驚いた。
県庁の戦いの時のように、ヤドリギの媚薬を使ったわけでもないのに、瑞希のスカートの中は洪水状態。
どろどろに溢れた愛液が下着の役割を失ったショーツから溢れ、太ももに流れている。
(すげぇ…!! 瑞希のここ、こんなに厭らしいんだ……)
(やめてぇ、そんな目で見ないで……、んっ、んっ…!! んんっ…!!)
しかし瑞希の心の波は荒ぶるのを止めない。
キス。胸。そしてスカートの中……。
純一の手はショーツ越しに瑞希の勃起したクリトリスを探し当てると、容赦無く、力を込めて指でつぶした。
「ひはあああああああああああああああああん!!」
瑞希はもうキスどころじゃなかった。
顔を離し、大口を開け、弓のように沿って瑞希は絶叫する。
イった。盛大にイった。彼の眼前でド派手に塩を噴いた…!!
エロいコスチュームで、キスをしながら胸を弄られ、スカートの中に突っ込まれた手でイかされた。
汗がもっと噴出してきて、スカートの中の純一の手は、更に愛液でまみれた。
「はぁっ!はぁっ…!!じゅ、純一君…!!はぁ、はぁ…、純一くぅん…!!」
顔を真っ赤にして、涙目で、抗議の声を挙げる瑞希。
不意打ちのようでちょっと悪いことしたかと思う純一だが、そんな罪悪感はすぐに消し飛ぶ。
そんなものを忘れさせるくらい今の瑞希は可愛くて色っぽい。
その瑞希の眼前に右手で収集した透明な液体をちらつかせると、
赤い顔を更に真っ赤にして、
「もう知らない…………」
と顔を背けてしまった。
「瑞希〜、機嫌直せよ」
「もう知らないよ………。純一君の変態…」
「でも感じたんだろ? それに今夜は俺の好きなようにしていいって…」
「知らないよっ!! いじわるな純一君なんて知らないもん!! もう寝る!!」
女性の機嫌は山の天気の如し。
瑞希はヘソを曲げて、プイッと布団を被ってしまった。
それは困ると純一は思った。
せめて本番一回くらいはさせて貰わないとこのまま生殺しはあんまりだ。
彼女に寄り、布団の上から彼女を摩る。
「なぁ〜、瑞希さ〜ん、せっかくの初夜に喧嘩は無粋だと思うんだ」
「先にいじわるしたのは純一君だもん! ぷんぷん!!」
「なぁ瑞希……」
「おやすみっ!! また明日!!」
マジかよ……。もう俺の下半身はもう、瑞希の大事な穴に突っ込ませてくれという欲望に
耐えかねているんだぞ。くそう、本当に今夜はお預けなのか……?
そんなのは絶対に嫌だと思っていると、机の上に置いていた自分の携帯のランプが青白く輝いた。
サイレント・マナーモードにしてあるので音も振動も無いが、電話の受信はこれで分かる。
普通なら彼女と寝ている時の電話になんか出ないが、その連れがこれでは話は別。
気分転換的な意味も込めて、純一は廊下に出ると着信ボタンを押した。
「…もしもし? 親父?」
『なんというザマだ純一よ。連れ込んだ女に愛想尽かされるなんぞ男として最大の恥だぞ』
「何で知ってるんだよ!? 今日は会社に泊まりじゃないのか!?」
『息子と義娘の初夜を見守るためにカメラ―――いやなんでもない。そんなことはいい。
良いか純一、このまま朝まで何もありませんでしたなどということは許されんぞ、分かっているだろうな!?』
「けど荒っぽいことはしたくないんだよ。無理やり襲って本気で嫌われたら終わりじゃないか」
『そこはお前の器量よ。いささか強引に行っても結果的に相手を満足させられれば問題無い。
相手だって、抱かれないよりは抱かれる方がいいと思っているに決まっている。いかにその心理を突くか。
男はな、太陽の光だけでなく、時に北風になりきることも大切なのだ』
北風になりきる――。
例え強引であっても。
一見レイプのように見えても。
相手が納得して満足してくれれば問題無し…!!
いやむしろ彼女は本心ではそう望んでいるからするべきだという親父の理屈。
「いいのか…? 強引に瑞希を犯しても、それは瑞希が望んでいることなのか…?」
『そうだ。こういう時に男は、その女が誰のものなのか教えねばならん』
「いいんだな…? 俺は親父を信じるぞ…?」
いい年して世界征服は男のロマンなどと言って悪の組織をやってるとんでもねぇロクデナシ親父だが、
これでも会社を経営しながら男手1つで純一を育ててくれた大事な親父なのだ。
その親父がピンチに際した息子にくれたアドバイスだ。
”信じたい。”
”頼りたい。”
”当てにしたい。”
それが理屈を抜きにした息子の感情じゃないか。
「親父……。俺は多少強引にでも瑞希を落とす。彼氏の俺にはその資格がある。そうだな…!?」
『フッ、良い声になったな。行け、純一!!』
「だがその前にカメラ切れ。後で映像なりなんなりが出てきたらぶっ殺す」
『ちぇっ、パパの息子を心配する心がお前には分からないのか…』
「分かったな!!」
怒鳴って電話を切り、自室へ戻ってく純一。
もしかしたら機嫌を直した瑞希が寂しそうな顔を見せてくれるんじゃないかと甘い期待もしてみたが
どうやら時間の経過は状況の好転には貢献してくれそうもないらしい…。
やはり人の心を捉えるには人の行動しかない。
(けど、強引に行くと言ってもどうすれば…?)
純一は考える。
布団を取っ払って、そのまま狼のように襲ってしまうのか?
しかし、一応変身している瑞希の身体能力に純一は及ばない。
真面目に押さえつけても抵抗されたら終わりなのだ。
(…となると、これか?)
純一も変身して法衣を纏い、ヤドリギの種の入った袋を取り出す。
県庁の戦いのように、瑞希を縛り上げ強引にヤってしまうというプラン。
(って何考えてるんだ俺は!! 初夜だぞ!? しかも相手が拗ねてるんだぞ!?
何処に初夜で触手プレイに走るバカがいるんだよ!! ったく、こんなもの!!)
そう言って、ヤドリギの入った袋を投げ捨てた訳だが、向きが悪かった。
袋の口を上にしていれば、
種が床に零れることも、その種が芽を出すことも、その芽から伸びたツルが彼女に襲い掛かることもなかったかもしれない。
「きゃあああああああああああ!?」
絹を引き裂くような布団の中から悲鳴が聞こえたのはその直後だった。
「な、何するの、やめてっ!! きゃあっ!!」
彼女の美しい手足を拘束していくツタ。
まず両手首に絡まり空中に吊るし上げ、更に足首に巻かれたものが彼女の足を広げていく。
「やぁっ!! やめてよぉ!! 見えちゃう!! 見えちゃうよぉっ!! 純一君!! こんなのヤダよぉッ!!」
結局大の字にされた瑞希。
愛液でぐちょぐちょになり、下のマンコまで透けてみえるようなパンティが晒されて、
胸や腰、太ももにもツタが絡まっていく。
瑞希は泣いている。
まだかろうじて犯されていない口を精一杯使って抗議の声を上げる。
「どうして、こんなことするの!? 私、純一君の彼女なんだよ!? 彼女なのに…!!
男の人ってそんなに、ここまで強引にしてでもSEXしたいの!? 恥ずかしくないの!? 酷いよ!!」
信じてたのに――。
瞳がそう訴える。軽蔑してくる。
「ち、違うぞ、瑞希…!! えっと、早く、早く種の解除…!!」
魔力を使い、口や膣内にツタが入る前にヤドリギの機能を停止させた。
瑞希は解放され、ベッドに肢体が落ちる。
けれど彼女の身体は恐怖に震えていた。
「……帰る」
「瑞希…」
「もうヤダよ……。別れる。純一君なんか、大ッ嫌いッ!!」
泣きながら猛ダッシュで彼の横を駆け抜ける瑞希。
その時純一の脳裏に思考が巡る。
――ダメだ。今行かせたらダメ。二度と、絶対に…、この女が手に入ることは無くなってしまうだろう。
ゾクゾクと純一の身体に寒気が走る。
半端なレベルじゃない恐怖――。
昨日の朝から夕方までのような気分をまた味わいかねないという恐怖に身体は支配され、
それに抗うために、純一の身体は理性をすっ飛ばして強引な行動に出た。
「――行かせないッ!!」
「えっ!?」
伸ばした手で過ぎ去ろうとする彼女の腕を掴む。
瑞希の心は乱れており平時の力は込められない様子。
純一はそのまま彼女の手を引きベッドに上がり、彼女も引き上げる―――強引に!
そして彼女を押し倒すとまた唇を奪って、真剣な視線を合わせた。
「純一、君………」
「さっきのは悪かった…。でもあれは事故で。けど瑞希が欲しいって気持ちは本当で――!!
やましい気持ちもそりゃあるけど! 好きだから抱きたいって、我慢できなくて!!
瑞希が嫌がっても、俺は抱きたいんだって、瑞希がッ!! ここも見たい!!
瑞希の嫌らしいところだって全力で見たい!!」
「何言ってるのさ…もう………、知らないよ……好きにしなよ…」
涙目のまま投げやり気にそう言う瑞希は膝立ちになると、両手でスカートの裾を持ち上げた。
丸見えになったずぶ濡れのパンティから愛液が垂直に滴って、白のニーソックスをも濡らす。
純一はパンティの裾を掴むとずり降ろし、洗われた彼女のマンコを舌で舐める。
ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ―――。
(瑞希のマンコだ――……、本物の、瑞希のマンコ……。俺、瑞希のマンコ舐めてる……)
(なんて嫌らしい顔……ああでも、らめぇっ…!! そんなトコ舐められたら、感じッ…!! ふぁっ…!!)
白のニーソックスが、スカートを掴む白手袋か、快楽に震え始める。
懇々と湧く秘密の泉は雫を止めることなく、純一の舌使いの音も止まらない……。
「はぁっ…、はぁっ…、はぁっ…、はぁっ……」
根を上げ始めた瑞希。
感じるトコロを弄られまくっているのに、本格的には犯されないことから不満に耐え切れなくなりつつある。
だらし無く涎を垂らし、犬のように舌を出し、荒い息遣いで彼を待つ。
「もう………もう限界だよ………もう我慢できない……」
「じゃあ寝転んで…」
膝立ちを止めて寝転んだ瑞希。
純一は瑞希の左足だけ持ち上げてパンティを脱がせて、右足にだけ引っかかった状態にする。
こうして広げられるようになった足。
その先の加藤瑞希の――生えてきたての陰毛が愛液で黒く輝くマンコに、純一は一物を宛がう。
「やぁっ…!!」
「閉じたらダメだって」
閉じようとする彼女の膝を開き、彼女の股座を露にしてから、純一は挿入を再開する。
「ぐっ…!!」
「ひはぁぁぁん!!」
(相変わらず、瑞希の膣内、キツい…!!)
しかしもう三度目ということもあって、初めての時よりは入れやすい。
純一の一物はぎゅうぎゅうに締め付ける彼女の膣内を通り――
「ひがぁあぁぁっ!! は、挿入ってるぅ…!! 純一君のが挿入ってぇ、奥に……!!」
子宮口まで到達した。
「奥にぃ…!! 奥にコツコツ当たるぅッ!! 当たっちゃってるよぉ!!」
「じゃあ動くよ、瑞希ッ!!」
「ま、待って、待―――――!!」
待つ余裕は純一には無い。
もう我慢できないのだ。
一度挿入したモノを一度出し、もう一度入れる。
キモチイイ。
今自分は、一番好きな女の子と――、ずっと好きだった女の子と身体を重ねている。
『対魔兵』と『同盟』幹部としてじゃない、鈴木純一と加藤瑞希として二人はSEXしている。
それが嬉しくて、だからより気持ちよくて、純一は腰を振り続けた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…!!」
「い、いいよっ!! 気持ちいい!! 純一君、気持ちいいよぉっ!! はぁっ、はぁん!!」
瑞希も本当に気持ちよさそうだ。
長く美しい黒のロングヘアを揺らして、おっぱいをぶるんぶるんに振り乱して、快楽に酔っている。
その彼女の顔が歪み、絶頂の近さを表す。
「じゅ、純一君ッ!!イっちゃう!!私イっちゃうよ!!イくっ!!」
「俺もイくっ…!!瑞希とイくっ!!瑞希と!!」
「純一君ッ、純一君ッ…!! あッ!! あッ!! あッ!!」
どくん、と脈打つ純一の一物。
その鼓動を瑞希は感じた。
(クる―――……。純一君の熱いのが、もうすぐ膣内に――…。ああ、純一君……)
瑞希は左右に広げていた手を上げて、純一と繋いだ。
「み、瑞希―――!!」
「純一君ッ!!」
達したのはその直後。
ドクドクドクドクッ!!と熱い液が注ぎ込まれ、二人は達した。
「イくッ!! イくぅぅぅぅぅ!! ふぁあああああああああああ!!」
大声でイッた瑞希はそのままベッドに沈み、純一はモノを引っこ抜く。
その際に精液が彼女の股座と、あとニーソックスにも飛んでかかった。
「はぁ、はぁ……。どう、だった?瑞希……?」
「うん…良かったよ…、純一君」
彼女もそれなりに満足そうだ。
――って、”それなり”?
純一がその覚えた微かな違和感。
まさかと目を見開いて彼女を見た時、彼女は少し申し訳なさそうに「ごめん」と言った。
「瑞希―――?」
「ごめん純一君…。良かったけど、でも私たち、これで別れよう。
なんていうのかな…。友達としては純一君は凄くいい人で……、一緒にいたら楽しいんだけど。
本当に友達としては大好きなんだよ。でもちょっと違うかなって……思っちゃったんだ、今日」
昨日までの燃えるような恋が急に冷める。
それもよくあることだ。
瑞希は立ち上がり、変身を解いて制服姿に戻る。
そしてゆっくりと歩き出す。
「私、帰るよ。また明日学校でね、鈴木君―――」
「瑞希――――」
消えるセーラー服の後姿。
差し伸べる手は届かないのだろうか。
昨日の朝のように、また純一は崩れてしまうのだろうか。
もう起き上がれないのだろうか。
(…ダメだっ!! ダメなんだ、それじゃあっ!!)
ここでは終われない。
鈴木純一は終わってはいけない。
その為に純一は彼女を追い―――――。
――――――――鈴木純一と加藤瑞希の、6時間余りの交際期間は終了した。
※
時は流れた。
あれから3年くらいが経とうとしている。
『新夜行同盟』は衰えるどころか益々活発化した。
その活動の場はN県から世界中に広がり、構成員も数が膨れ上がった。
メンバーの顔ぶれも日本妖怪の血統だけではなく、吸血鬼、ゴーゴン、ベーオウルフ、魔女、
陰摩羅鬼など、グローバリゼーションな趣を見せている。
そう……『同盟』は日本だけでなく世界中の妖怪の末裔を傘下に加え、
『新夜行同盟』は今や真剣に世界征服を狙える悪の秘密結社へと成長していた。
総帥が初代が隠居し、二代目に引き継がれた途端の大成長である。
しかし成長したのは、奴らだけではない。
『International Anti−Demons Institution 』――日訳『国際対魔機関』、略して『I・A・D・I』。
二年前に作られた、対魔の力を持つ少女を集めて兵士に仕立てて戦わせる、ロクでも無い機関である。
日本の陰陽師じゃなくても、世界中にも妖怪と戦ってきた勇者なり魔法使いなりはいたという事で、
世界中からその末裔を引っ張ってきては改造と訓練をさせている。
と言っても日本の『対魔兵』のように戦闘技術を改造人間という形にして連綿と受け継がせてきた訳ではないので、
海外組はまだ試験段階の域を出ていないのだが、
世界的な魔術テロから一日も早く世界を守るために戦えるようにと皆張り切っているようである。
将来的には膨張する『新夜行同盟』と真っ向から張り合えるだけの戦力を輩出することだろう。
そんな未来の星たちの憧れ、ここに所属する最強の兵が、今日も任務から帰ってきた。
長い黒髪。巫女さんのような白い和服。何故か下は朱のミニスカ。下品な金色の太刀を引っさげて。
溜息交じりのエースが帰還する。
「あー、疲れたよぅ。お母さんは相変わらず無茶な作戦ばっかり立てて困るよまったく。
そもそも敵の基地に一人で突っ込めっていうのは作戦でもなんでも無い気がするよ…!!」
ぶつくさ文句を口走る加藤瑞希。18歳。
あれからも戦いを重ね、今やパワーだけでなく技量その他もメキメキ上達した最強の『対魔兵』である。
今年で高校三年だが受験勉強はしていない。
来年になるとなし崩し的にここで働かされることになるだろう。
戦闘手段だけでなく、母が使ってるような様々な補助の魔法も覚えさせられると聞いている。
それはそれで面倒くさい、キャンパスライフを味わいたいと思いつつも自分には自分の目標がある。
「まあ、しょうがないか」
と思う他無いのである。
そんな瑞希の周囲をたちまち女の子達の黄色い声が包み込んだ。
国籍も人種も様々な、将来の正義の味方達である。
「お疲れ様です、加藤さんっ!」
「加藤さんやりましたね、戦勝パーティやるから来て下さい!!」
「いや〜、どうもどうもありがとう。司令に報告終わったら行くよ〜」
後輩たちに手を振りながら瑞希が歩くと、その部分だけは皆気を利かせて道を作ってくれる。
(良い娘達だな〜)
海を割るモーセの気分を味わいつつ瑞希は司令室を訪れた。
出迎えるのは幼い頃から見慣れた顔だ。
「お帰り瑞希。敵の基地壊滅、幹部3人を含め多くの構成員を撃破。流石じゃないか」
「でも肝心な奴は逃がしちゃったよ……最近益々強くなってるんだからなぁ…」
「また鈴木君に逃げられたのか。何時結婚するんだお前」
「その内するっ!! 鈴木君は私が捕まえるッ!!」
瑞希の目標は、『新夜行同盟』の壊滅。
正確には二代目総帥、『天狗の若殿』こと鈴木純一の撃破だ。
これを倒し結婚に持ち込むことが今の加藤瑞希の生きる目標であった。
鈴木純一とは、高校でも毎回同じクラスになり、席も隣なので、友人としては親しく接している。
たまにデートには行くしカラオケもするしお弁当も一緒に食べる。
しかし二人の間で交わさない話題が2つだけ存在し、それだけは遵守しなければならない。
1つは仕事のことで、戦いに関する一切は学園生活において持ち出してはならない。
2つ目は恋のことで、これは二人の戦いに決着が着いた後で持ち出さなければならない。
何故こんなことになったのかと言うと、あの、二人が身体を重ねた3年前に遡らなければならない。
※
(…ダメだっ!! ダメなんだ、それじゃあっ!!)
ここでは終われない。
鈴木純一は終わってはいけない。
その為に純一は彼女を追い―――――、その後姿に手を伸ばした。
その純一の手を、加藤瑞希はひょいと避けた。
彼女の温もりを得られなかった手が虚しく空中を泳ぐ。
「ごめん鈴木君」
「瑞希…。いや、加藤……」
本気で縒りを戻すつもりは無いのか…。
純一は自分の心が絶望に包まれていくのを感じる。
しかし絶対に嫌だった。
彼女を諦めたくなかった。
――どうする!?
――言葉はもう無い。
――後は実力行使しかない。
――けどヤドリギは使いたくない、まともにぶつかっても今は勝てない…。
そんな葛藤の果てに1つの答えは出る。
その瞬間だ。彼が化けたのは。
「…えっ?」
加藤瑞希は己が目を疑った。
そこにいるのは本当に鈴木純一、つい先ほどまで自分の彼氏だった男なのだろうか。
なんだろう、具体的な違いは表現しにくいけれど、オーラが違う。
鋭い目つき。地上の全てを喰らい尽くさんという野望の目。
いや、鈴木純一はそんなものを見てはいない。
加藤瑞希しか見えていない―――。
「加藤」
ゆっくりと、ただし凄い気迫を込めて、彼は瑞希の名を呼んだ。
「…何、鈴木君」
瑞希は突如訪れた胸の高鳴りを抑えながら、平静を装って応えた。
「俺は決めた。バイト止める。俺は真剣に家業を継ぐ」
「家業って…」
「『同盟』は俺が引き継ぐ。親父の温いやり方を改めて、最強の魔術集団にしてお前に戦争を挑む。
お前は力で俺のもんにする。俺が勝ったら、加藤には俺の嫁さんになって貰う。
朝はおはようのキスで、ご飯作ってくれて、仕事から帰ってきたらお帰りなさいのチューをして貰う。
その後は俺が満足するまでエッチなことをする。それをここで約束しろ」
「ほ、本気で言ってるの…?」
愚問。
その目は至極真剣そのものだ。
もう彼は以前の鈴木純一ではない。
「瑞希を嫁さんに貰って、なんとなく人生生きていければいい」と考えていた彼ではない。
彼は瑞希を手に入れることは人生を賭けた試練であると解釈し、
その為なら全ての手段を全力でぶつけてくる気概のある男へと成長した。
今の彼は父親の付き添いで幹部をやっているバイトなどでは無い、
己が力で欲望を満たすすことを本望としている、正真正銘の悪の組織の二代目だ。
彼に流れる大天狗の血がふつふつと湧き上がり、その霊格も一瞬前とは桁違いではないか。
(ど、どうしよう…!? 鈴木君凄いかっこいいんだけど…!!)
不覚にも瑞希はそれに惚れた。
彼に恋心を抱いていた時も彼を想えばドキドキしたが、今はそれ以上――。
彼女のオナニーで妄想する彼を見れば分かる通り、瑞希は彼には過激な征服欲を求めていた。
今それが満たされたのかも知れない。
(…でも、ダメだよ。今鈴木君のところに戻っちゃダメ。
だって今の私は、多分今の鈴木君に応えるだけの資格が無い……)
今すぐにでもあのギラギラの眼光の下に駆け寄りたい衝動を抑え、瑞希は言った。
「分かったよ鈴木君…。私をやっつけるなら、本気で世界征服するくらいの気持ちで来なよ。
私も全力で相手をする。ただし、私が勝てば鈴木君には私のお婿さんになって貰うよ。
毎日おはようのキスをしてくれて、ご飯を食べてくれて、毎晩えっちして貰うんだから。それを約束して貰うよ」
瑞希の要求に純一も頷いた。
「分かった。言っておくが、勝つのは俺だ。将来加藤は俺の嫁さん確定。悪堕ちして『同盟』の女将さんだぞ」
「私だよ勝つのは。だから鈴木君は将来私のお婿さん決定。更正して『対魔兵』の指揮官やって貰うよ」
互いに悪い笑みがこぼれる。
これでお互いの条件は提示された。
窓は閉まっているにも関わらず暴風が二人を包み込む。
飛び交う火花、上がる火柱。
それは後に世界規模に発展する、『対魔兵』と『新夜行同盟』の新たな戦いの訪れを告げるゴング。
「じゃあ、今日はお休み鈴木君…。明日、学校でね」
「お休み加藤。気をつけて帰れよ」
和やかな視線が交わされ、熱い夜は終わった。
次に『対魔兵』の加藤瑞希と『同盟』二代目の鈴木純一が顔を合わせるのが何時なのかは分からないが―――
(その時に加藤は――)
(鈴木君は――)
(俺が!!)
(私が!!)
((倒すッ!!))
―――完ッ!!
☆あとがき☆
以上『加藤さん』でした。
えー、非常に大勢の住民さん達にコメントを頂けて非常に嬉しいと思いつつ緊張しました。
けど皆さんの応援を頂けたから書けました。
絵なんか描いて貰えてすごい嬉しかったです。
@で起こしAで持ち上げて、オチの3話でございますが、まぁこのくらいのラストが
こいつらには似合ってるんじゃないかと思ってこんな感じにしました。
皆さん、短い間でしたがありがとうございました。それではただの名無しに戻ります。
追伸:読みかえしてみると誤字脱字の多さに自分でも驚いてます。特に3話前半。
読み苦しいことをしてしまって申し訳ありません。
最初から最後まで素晴らしかった
ありがとう
青春の甘酸っぱさが滲み出る爽やかな話だったなあ
乙です
おいまてwwwwどっちにしても結婚すんじゃねーかwwwww
しかしこれは、いつまでも決着がつかず、お互い歳をとって
おっさんおばさん爺さん婆さんになってゆくのだろうか・・・?w
IADIvs新夜行同盟の最終決戦で壊滅した世界。
立っているのは、よぼよぼの鈴木君と加藤さん、ただふたり・・・
なんてのも、悲哀があっていいかもしれない。
>>458 でも結婚しなくてもそういう年を重ねる二人もなんとなく素敵だな、ってw
「加藤さん」の作者さんGJ!エロだけじゃなくて面白いお話が読めた事に惜しみない感謝を
実に明るく楽しいエロだった
心から乙&GJ
最終回乙w
娘「ねー、パパー、ママー、どうして世界はこんなにめちゃくちゃなの?」
瑞「昔パパってばヤンチャしてたから、止めるの大変だったんだよ」
純「ママが凄いお転婆さんだったからだろう?」
瑞「なにそれ!パパが、ママのことが好きで好きでしょうがなくて戦い挑んできたのに!」
純「お互い様じゃないか!」
瑞「じゃあどっちが正しいか勝負だ!今夜はベッドの上で!」
純「いいだろう!!今夜は寝かさん!!」
娘「おばあちゃん、おじいちゃん、またパパとママがラブラブ喧嘩してるよ」
瑞母「ほっときなさい、お前はあんな大人になるんじゃないぞ」
純父「なに、あのくらいでちょうどいいじゃないか」
的な会話が将来繰り広げられてるといいな
どっちが勝ってても
462 :
名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 10:58:19.31 ID:yX3YH/0N
>>461 晩酌の席とかは、加藤ちゃんと親父は楽しそうだが
おかんと鈴木君はテンションについてけなくてうんざりしそう…
カトちゃん負けて悪堕ちしても何にも変わらなそうだなw
気の良い『同盟』の女将として君臨しそう
「現金強奪?またまたぁ〜明日納品なんだから早くトラック回して来てよ〜あ、安全運転でね」とかって
言いにくいことではあるんだけど3パターンのエピローグ書いて欲しい…
短くてもいいしエロなくてもいいから
加藤ちゃん勝利ルート、鈴木君勝利ルート、引き分けのルートのその後はどれも見てみたいんだよ
このままではすっきりしないっていうか
もっといちゃいちゃしてるところが読みたいんですよ気が向いたらでいいんでお願いします
>>465 このSSはとても綺麗な終わり方だし、続きを継ぎ足したら余韻が無くなるわ。
つか、言いにくいことって自覚があるなら言うなよ。
しかし皆加藤ちゃんって、名字にちゃん付けなんだな
加藤だと、帝国陸軍中尉の方が浮かんじゃうからw
>>465 想像力に任せた現状でいいじゃないか
俺の脳内では汎銀河妖怪連邦が参戦した。
>>467 さん付けだと何処となく余所余所しい感じがするので
親しみを込めてちゃん付けに
そろそろナツメが読みたい。
パワーアップしたナッちゃんとマルーシャ様を拝み倒したい。
前者はバストサイズ的な意味で。後者は火力的な意味で。
魔法少女って基本志願制な面があるけど
魔法少女が国民皆兵の精神で10代からの子供全員に義務兵役化してる世界だったらどうなるだろう?
戦前の日本の如く、親向けの魔法少女逃れのノウハウ本とかも出てたりして
「後数週間で除隊!」なんて感慨深げに言うベテラン魔法少女とかいたら嫌だな
可愛がり受けて発狂して軍曹を魔殺しちゃったりするんだ
マユの続きもマダー?
今ルート初の円卓対将軍戦楽しみなんだが
新作より保管庫の更新して欲しいぜ
まぁ期待させて更新しないという悪行なら無理だけど
>>472 魔法少女になると外見年齢が結婚適齢期前後
ないし中学生前後になるから、むしろ志願者が圧倒的に多いよ
そうして、若作りできると意気揚々として魔法の世界に入った輩は
数日後陵殺されたり、手足をもがれたり、敵のおぞましさに狂死したり
お持ち帰りされたり、石にされてコレクションされたりと
陰惨な目に合う
でもそういうのは表には出ないから、募集があるとみんな飛びつくよ
>>475 個人の都合もあるだろ。
折角やってくれてるんだから、黙って待っとけ。
もしくは自分で作れ。
>>476 意気揚々と、または気軽に志願して戻ってこない人が多数いたら
さすがに隠すことはできないんじゃないか?w
多分魔法少女が花形で女性上位社会の影で職にあぶれてる俺みたいなキモオタが用意された広大な地下室にずらりと並んで、
亡くなった娘になりきって家族への手紙やメールの代筆する仕事とかして活用されてるんだろう
戦死や反逆行為や逃亡した魔法少女をマナストーンにして水源地の地底湖に沈めて処分しているので、水に含まれる大量のマナにより魔法使いの発現率や魔獣の発生率が通常の2000倍。
対外的には「地質的に恵まれた古来よりの聖地」として魔法少女を弔う神社仏閣、慰霊碑で偽装され観光地になっているので問題ありません!
>>477 善人ぶるのはいいけどそういうのを見て笑ってるやつだったらお前さんがとてもかわいそうだ
なんだ、こいつw
釣り針が大きすぎてですね
>>480 おのれ!リィン安定供給機構の仕業かっ!!!
>>480 どうせなら生かさず殺さず、捕らえた魔法少女の魔力を触手に延々搾取してもらおう
>魔法少女が国民皆兵の精神で10代からの子供全員に義務兵役化
昨日見た映画と細かすぎるモノマネDVDのせいで
徴兵された魔法少女が「蛍の光」を合唱してる場面を想像してしまって吹いたwww
対象の魔法少女が嫌いな野菜に変身し、対象と同じ野菜が嫌いな魔法少女の魔法を封じて野菜嫌いが治るまで野菜を食べさせる魔物
ねっちょりしっぽりも大事だけど、犯られた後の事後描写も力抜いちゃいけないよな。
初めてを怪物や触手やらで奪われた女の子が、けろっとしてると正直違和感あるし。
支部の極彩色さんみたいに敗北や完堕ちした記憶消すタイプは逆にエグい
腹の据わってるタイプの魔法少女って珍しいのかな
『陵辱事後の戦意喪失および気力低下』の対策は
魔法処女軍運営にとって非常に重要な案件だから
すでに低減するリスクマネージメントが図られてるよ
まあ大部分の部隊は陵辱即記憶消去の
ヤクザもびっくりの超ブラックなんだが
>即記憶消去
個人的には身体の中の魔力のせいでとかで魔法少女には記憶消去の呪文の効果がなく、トラウマと戦う使命との間で
狭間になって苦しみまくる展開が好物です。
それだけ描写しても難しいけど、激しすぎる凌辱で精神崩壊して「あーうー」状態の魔法少女を保護する施設の話なんか
酷すぎる魔法少女の成れの果てみたいな感じで読んでみたいなー。
>>492 ・元は魔術と無関係だった大企業や元官僚、政治家が中心の委員会の大半が現在は強力な魔法少女の家系の名家
・ある年齢になって委員会直轄の特務隊に召集された魔法少女とは二度と連絡はつかない
・その特務隊が前線に投入された記録は記録だけで実際は投入されていない
怪物相手には無傷で勝利を納めるも帰り道で変質者のおっさんにやられちゃう
そんな展開もいいんじゃないかな、、、
ゆらぎやデスパイアが存在する世界のホームレス(LV125)
アーディッツ「戦線への増派が滞っていますが…何があったんです?」
リグヴェード「酒もとどかねぇぞ」
ゲリオス「酒はどうでよいが…物資も滞り気味だ」
ルフィリア「資材も不足気味ですぅ」
リレイア「研究開発用の資材や予算も不足気味なんだよ…造魔や機獣の生産も遅れ気味でね」
ラディウス「このままじゃ、開発に支障が出ちゃいますよね先生」
一同「どうなってるの?」
レドリック(い、言えやしない…!陛下が私財どころか組織の予算まで、支援に注ぎ込んでるなんて…)
陛下「頑張れ日本!」
魔法が幼少期から扱える子供、取り分け女子は
国家から高い地位を保証される「背広組」「キャリア組」的な響きで
「魔法少女」と呼ばれてる世界
叩き上げ女魔術師「全く、欧州なら欧州なら、って・・・ここは日本なのよ」
同僚魔術師「お、おい・・・!後ろ後ろ・・・!」
叩き上げ女魔術師「少しは日本の魔法少女についても勉強しなさいってのよ」
エリート魔法少女「喜んで、勉強させて、貰うわ、女魔術師さん?」
女魔術師「あ、いや、そのー・・・」
男魔術師「あちゃー・・・」
天使側、悪魔側の携帯変身器のブローカーをすることになった男の
魔法少女達の成功・失敗談的な、第三者から見た魔法少女物って余り見ないな
>>499 魔法少女そっちのけになるから……という事にはならないか。
変身デバイスを扱ってる以上、どうしても絡む訳だし。
>>488 ロストバージン後に何時間もお風呂で泣き続けたり、
ベッドの中で震え続けたりするのなんてもうねry
初陵辱の後でも普通に夕飯食べて風呂入ってさあ寝ようと布団に潜ったところで人心地ついたところで
ようやく現実感が戻ってきてガタガタ震え始めて泣き耽るってもあったな
503 :
マユの人:2011/05/28(土) 15:06:16.62 ID:r5hpn3hc
ご無沙汰しております。
明日の夜あたりに11話の投下を行います。
うおおおおおおおお
魔法少女もの書く上で注意するべきとこや必要な要素ってありますか?
それを此処で聞いてどうするん?
まじめに答えてくれると思ってるん?
ここで書くなら、魔法少女が出て、エロいこと。それが全てだな
>>505 個人的にはだが
・オリジナルの場合特に、作者の脳内図と読者の想像がズレちゃう可能性が高いので、
描写は細かめにすること。
・都合上、作者の造語が頻出するジャンルだとは思うけど、出すとしたらなるべく分かりやすく表現するべき。
いっそ造語ほとんど無くすのもいいかもしんない。
・登場人物の名前は分かりやすい、あるいは区別しやすいのがいい。
似たような名前や長ったらしい名前は分かりにくいしインパクトに欠ける。
後は、凝った設定よりは話全体の分かりやすさを優先させた方がいいかなと思う。
初めて読んだ人でもすんなり理解できるような話を作ればいいんじゃないか。
変身中に攻撃しちゃダメってのは変身ヒーローでも魔女っ子ものでも基本ルールだと思うんだ
でもなぜか勇者ロボは一度は合体不能になるイメージがあったり
ギャバンは拳銃撃たれた後に変身して銃弾つかみ取るとか
すごいことやってるようだが攻撃してる暇なんかあるのか。
変身に何秒かける気だw
>>512 いや、変身もの全般でも変身中に攻撃は1回までOKだよ
繰り返すのNGだが
宇宙刑事シリーズは、変身にかかる時間が極めて短いということをわざわざ設定上明記して
それを活かした演出をしている作品なんだから、同列に比べるのは間違いだけどな
圧倒的な魔力で魔王も一捻りな魔法少女が夜の公園で本来は変身する必要のないザコ魔族の罠で触手に魔力を吸収され大ピンチ
起死回生の魔法で触手とザコ魔族を倒して満身創痍で公園を出ようとしたら、駆け出しの頃に懲らしめた不良達に襲われて陵辱されてしまう
二周目に入る頃に一番下っ端だったため生き延びた触手Tが乱入して不良達は逃げ出し、最終的に貧相な触手に堕され腹ませられる偶然にも不運な魔法少女物
ガンダムだって空中ドッキングの最中に襲われてたな
>>496 フレ全員召集してようやく魔法少女を仕留め、さあこれからというところで、
カルフォルニア州知事より強いホームレスの乱入クエスト発生。触手呆然。
>>509 わかりにくい設定だったら、話の前か後に「ミニ設定集」をくっつけるようにしてしまうのもありだと思う
ちゃんと作品内で表現するべきだけど、冗長な描写になるぐらいだったら、
1回の話ごとに10行程度の説明を入れてしまったほうがいい
設定がある程度まとまっていて、明確な破綻がないか気がつけるし
ぶっちゃけ設定とかスルーしてしまうw 抜けるか抜けないか、しか興味ないなー
521 :
マユの人:2011/05/29(日) 17:39:05.32 ID:2AvYV8vb
こんにちわ、今から11話の投下を開始します。
今回は快楽責めのシーンがあります。
522 :
マユの人:2011/05/29(日) 17:45:30.55 ID:2AvYV8vb
って忍法帳がリセットされてる…少々お待ちください orz
忍法帳が白紙になった被害がここにも!!
524 :
マユの人:2011/05/29(日) 18:13:24.04 ID:2AvYV8vb
お待たせしました、投下を開始します。
『秋月真由(マユ)』
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。
『ユーリィ』
異世界エルメリアの住人である妖精、マユのパートナーとして彼女の戦いをサポートを行う。
長いストレートの青髪にフリフリのついた白やピンクのドレスを着ている。
『アゼル』
エルメリアから、マユ達の支援に来た魔法戦士。傍目から見ると少年の様に見えるが、性別は女性で年齢はマユと同じ14歳。
燃える様な赤い髪を肩の辺りまで伸ばし、項の辺りで纏めている。瞳の色も同じ。普段は、目だない様に瞳も髪も黒に変化させている。
変身時は、黒のレザー製の上下に、胸部や肩の部分だけの軽装の鎧を纏う。
『ニーナ』
アゼルの姉で、彼女と恋人のランディと共にマユ達の支援に来た来た魔法使い。年齢は19歳。
髪は腰まで届くストレートの黒髪、瞳の色は青。エルメリアでは『円卓』の一人コーネリアの近衛を務めていた。
白のロングスカートの上に、同じ白を基調にして所々に黒でアクセントが加えられたジャケットを纏っている。
『ランディ』
ニーナの恋人で、彼女やアゼルと共にマユ達の支援に来た魔法学者。年齢は24歳。
亜麻色の髪を肩の辺りまで伸ばしている。瞳の色は青でいつも眼鏡をかけている。
親の方針で軍の学校に進んでいたが、生来の争いを好まない性格からか、卒業後は学者への道を歩んでいる。
『秋月夫妻』
マユの両親、父、宗一郎は製薬業を中心とした巨大複合企業の部長を務める。
母、美由紀は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
美由紀も、かつては宗一郎と同じ会社に勤務し、社長に気に入られ秘書室に所属していた。
『ヴァルアス』
魔族の王 100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は製薬業を中心とした巨大複合企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。
『レドリック』
魔王ヴァルアス腹心の最高位魔族、彼の側近を務め、表でも社長秘書室長を務める青年。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしていて、グレーのスーツをいつも着ている。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。
『セディア』
魔族の人間狩りの指揮官。 組織内での序列は低く攻略軍に参加できず、地上での人間狩りをする担当に回されていた。
度重なる失敗により失脚、王の制裁を受け、資料整理の身に堕ちるも、再起をかけてマユと再戦するが敗北。
黒い髪をセミロングにしていて、露出の際どい黒の服を好んで着ている。
『ラディウス』
セディアの弟 魔族の造魔開発においての中核メンバーで、王の信任厚い人物。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。
師リレイアの元で技術を学び、その知識を武器に組織内で高い地位を得ている。
『リレイア』
魔族技術部総括で、ラディウスの師。組織内でも最古参の部類に入る最高幹部。
白衣を常に纏っている。長い金髪は、手入れがあまりされておらず伸ばし放題といった状態。
いつでも寝れる様にと、アイマスクを額にひっかけている。
『ゲリオス』
魔族エルメリア攻略軍を統括する将軍、中央軍集団主将。
三つ首の手足の生えた黒い蛇の姿で、白を基調とした黒や金で彩られた法衣を着ている。
先王の代から王に仕える、組織の最古参の幹部で、他の幹部達の纏め役を務める。
『ルフィリア』
エルメリアの魔族勢力圏を統治する総督、及び中央軍集団副将。
長い金髪と宝石の様に青く澄んだ瞳が印象的な少女、白を基調とした法衣を着ている。
年の頃は15歳くらいだが、幼い顔立ちをしている。温厚な性格だが、怒らせると内に秘めた膨大な魔力で破壊の限りを尽くす。
リグヴェードとは恋仲で、彼の我儘に振り回されがちであるが、それについては彼女は不満などは覚えていない。
『リグヴェード』
魔族エルメリア攻略軍南方軍集団を率いる将軍。
癖の強い白髪を、肩の辺りまで伸ばしている、瞳の色は金。黒を基調とした軍服を着崩して着ている。
一見力押しに頼る様な印象を受けるが、機動戦術を駆使する戦上手。
『アーディッツ』
魔族エルメリア攻略軍北方軍集団を率いる将軍。
黒髪黒眼で銀縁眼鏡をかけていて、黒を基調とした軍服を纏う。
非常に冷酷で残忍な性格で、戦場で捕えた少女などを嬲り、その苦しむ様を楽しんでいる。
『てやああぁぁっ!』
薄暗い研究室に、少女の声が響き渡る。
それは室内にある、大型モニターから発された声だ。
部屋の主である白衣姿の少年は、モニターに映し出される少女をじっと観察している。
その映像は、少女と彼の作品である造魔が戦っているものだ。
戦況は一方的に少女が有利な状況である。
「いやはや…また強くなってたよ、あの子達」
ソファーに座る少年に、すぐ側から声がかけられた。
「まったくだ…今の生産レベルの奴じゃ、太刀打ちできなくなってきてるな…」
隣に立っていたグレーのスーツ姿の青年、レドリックの言葉に、白衣姿の少年ラディウスは答える。
映し出されている映像は、彼らが捕らえようとしている魔法少女のものだ。
マユと呼ばれるその少女は、日増しにその力を増大させている。
映像に映し出されていた獅子型の造魔が、彼女の振るう光の大剣によって真っ二つに切り裂かれた。
彼女が側から飛びのいた直後、造魔が爆散する。
「…それで、技術部としての対策案はあるかい?」
「んー…現有の母体じゃあのレベルが限界だから、もっと強い魔力の母体連れて来てもらわねぇとな…もしくは数に物言わせるかね」
映像が終了すると、二人は今後の対策について言葉を交わす。
「やはり、そんなところかな…強力な母体については、現在全面攻勢に入っている戦線から、徐々にだけど入ってくるだろうさ。
報告では北方軍集団が城塞都市ヴァーディアを攻め落とし、要であった強力な魔法剣士を捕らえたそうだよ」
「そうかい、じゃあそれを使えば、あの子達対策の造魔が作れるな…」
レドリックから手渡された資料を眺めながら、ラディウスはふと思い出したように顔を上げた。
「ああ、対策で思い出した…依頼のあった『あの子』を使えるようにしろって話だが…他の技術者に頼んでくれ」
彼の放った言葉に、レドリックが露骨に顔を顰める。
「えー?君が一番イイ仕事するから頼みたいのに…他の者じゃなぁ」
「しゃーねーだろ、俺も忙しいんだよ。先生が『完成品』の製作に忙しくて、造魔関係の統括は俺になったんだからさ」
不満げに言うレドリックに、ラディウスは溜息混じりに答えた。
彼の師であり、技術部門の総括を勤めるリレイアは、とある機獣の製作に没頭し、ザルカヴェイド近郊に新設された開発工場に篭っているのだ。
その代理としてラディウスは母体の受け入れから、各製造部門への配分などの仕事に忙殺されている。
「例の対要塞攻略用機獣か…凄まじい物を作るね、リレイアさんも」
「あーっ!俺も手伝いてぇ!巨大兵器だぜ?男のロマンだぜ!?」
ハイテンションな様子の彼を、まぁまぁと宥めるレドリック。
「当面の対策としては数に物言わせたり、分断戦術を行っていく辺りかぁ…上物の母体が沢山揃うと話は変わるけど」
「そんなとこだな…だがそいつも難しくなってきてるぞ。あっちの司令塔らしきランディって奴が、色々と動いてる」
「知ってるよ。周辺エリアの仲間達と連携を密にとって行動を始めてるようだ…悪い芽は早めに摘んでおくかな」
ラディウスの指摘に、レドリックが不機嫌そうな表情に変わる。
あの少女達をバックアップしてるエルメリアの人間が、これまでにない密な連携を取って、こちら側に対処しようとしてきているのだ。
もしもの際の救援や、追跡のサポート等様々な策をもって、こちら側の本拠地を探ろうとしてきていた。
早めに潰さなければならない…そう考えつつ、レドリックは踵を返し研究室を出て行こうとする。
「そういや、近々あちらさんから使者が来るそうだな?」
「ああ、『帝国』の事かい…大方早くこの世界から立ち退けって話だろうさ。向こうもこちらの帰還作戦が順調に進行している事を知ってるからね…
僕らがエルメリアに帰還すればそう遠くない内に、彼らがここへ侵攻作戦を開始するだろうさ」
レドリックはそう言って苦笑を浮かべる。
それにつられる様に、ラディウスも笑みを浮かべ口を開いた。
「ご厄介になってる身が言うのもなんだが…この世界も災難だねぇ。俺ら魔族が去った後には、悪魔(デーモン)達が押し寄せてくるんだから」
「…まったくだね」
自分達が去った後には、この世界は破壊と殺戮、陵辱の渦に呑み込まれることになるだろう…
それも…自分達がこの世界で行っている行為を遥かに超える、災厄と呼べるほどの規模だ。
そう遠くない未来に起きるであろう惨劇を思い浮かべ、二人は苦笑を浮かべた。
異世界エルメリアの南部に位置するヴェンディス平原…そこは今、大きな戦の舞台となっていた。
守勢から一転、全面攻勢を開始した魔族エルメリア攻略軍南方軍集団と、その進軍を阻止せんと動いた人間側の軍勢。
平原の中央付近で両軍はぶつかり合い、そこかしこで戦闘を繰り広げていた。
その戦場の中心に当たる位置で一人の少女が、騎士達の先頭にたって駆ける。
長い水色の髪の少女は、蒼色を基調とした、動きやすそうなコスチュームに身を包んでいた。
スカートは髪と同じ色のミニスカートを履き、上着は所々にフリルが着いているドレスの様な服を纏っている。
「たあああぁぁっ!」
少女が気合の声と共に、手にしていた細身の剣を振るう。
繰り出された鋭い斬撃は、前方に立つカエル型の魔族を切り伏せる。
続けざまに剣を振るい、片手を振りかぶっていた熊型の造魔を斬り付けた。
少女は舞う様に動き、次々と敵を撃破していく。
グラリと仰向けに倒れる仲間に、魔族達が怯えた様子で後ずさる。
『ひ、怯むな!数で押し潰すんだ!ガイレブを前面に出せ!』
隊長格の鬼人が、叱咤するように叫ぶ。
機獣ガイレブが複数、少女の前に立ち塞がり、一斉に射撃を開始した。
造魔を切り伏せた直後を狙われた射撃に、少女は対応する事が出来ない。
だが射撃は、少女に命中する事は無かった…
彼女を包み込む様に、光の壁が現れ射撃を全て防ぐ。
その壁は、少女の傍らを飛ぶ小さな妖精が作り出したものである。
「大丈夫?エスティル!」
白いドレスを着た妖精の少女ルミアは、側に立つ少女エスティルに問いかけた。
長い銀髪をポニーテールにしたルミアは、強い意思を感じられる緑色の瞳から、活発そうな印象を受ける。
「ありがとう、ルミア!」
ルミアの問いに、彼女は微笑んで応えた。
二人は頷きを交わすと、同時に魔法を発動させようと構える。
魔族達が一斉に襲い掛からんと、二人に向けて殺到していく。
目前まで魔族が迫った時、二人が魔法を放つ。
エスティルは氷系の魔法を、ルミアは烈風を生み出す魔法をそれぞれ発動させる。
凄まじい冷気を帯びた風が、魔族達を次々と呑み込んでいく。
風が収まった後には、襲い掛からんとしていた魔族や機獣達が、全て氷漬けになっていた。
二人の強さに怯えた様に、周囲の生き残っていた魔族達が後退を開始していく。
敵が後退していくと、エルメリア側の陣営からは歓声が上がる。
「エスティル様達に遅れをとるな!進め!」
一人の騎士が叫ぶと、兵達は後退を続ける魔族達の追撃に向かっていく。
「やったね!エスティル!」
嬉しそうにはしゃぐルミアに、エスティルは優しく微笑んで頷いた。
彼女達の側に、壮年の騎士が近づいてくる。
「戦況はこちらが優勢です。敵部隊を各地で押し返しています」
「そうですか…」
騎士の報告は、こちらの優勢を伝える物だが、エスティルの表情は少し険しいものだ。
「どうしたの?エスティル…何か気になるの?」
「うん…敵の攻勢が本腰じゃない様に感じるの…要である装甲兵団が姿を見せてないのが気になって…」
エスティルの言葉に、ルミアと騎士は顔を見合わせる。
装甲兵団…それはエルメリア南方軍集団主将リグヴェードが独自に編成した、他の軍集団には存在しない部隊である。
「言われてみれば…前線で装甲兵団は確認されておりません」
「何か…企んでるのかな?」
ルミアの問いに、分からないとエスティルは頭を振る。
「でも、あの戦上手がこのまま引き下がるというのは考えにくいです…敵の動きには細心の注意を払ってください」
了解しました、と騎士は頷き各隊へ指示を伝達し始めた。
エスティル達の居る場所から、遠く西に位置する平原の一角…そこは魔族側の指揮所になっていた。
陣地には無数の機材が設置され、無線などで指示が飛び交っている。
魔族側は、魔力による通信以外に、地球で得た技術を応用した通信手段も設けて、敵に情報を傍受される事を防いでいた。
「ちっ…派手に暴れてるな」
指揮所の中心に設置されたモニター群を眺めていたリグヴェードが、忌々しげに吐き捨てる。
黒い軍服を着崩した彼は足を机の投げ出し、咥えている煙草を口の端で上下に何度も振っていた。
彼の前に置かれた灰皿には、煙草の吸殻が山盛りになっており、彼が相当なヘビースモーカーである事が窺える。
彼が見ているモニターには、無数の魔族達を氷漬けにしたエスティルとルミアが映っていた。
「各部隊が敵の攻勢に苦戦しています、中央は一部が後退を開始している状況です」
「中央は殆どエスティルとルミアの仕業だな…ったく、調子にのりやがって」
部下の報告に顔を顰め、リグヴェードは机に投げ出していた足を組みなおす。
状況はこちらにとって、あまり良く無い事に向かっている。
前線の部隊は各所で圧し負けつつある…だが、リグヴェードもこのまま退き下がるつもりは無い。
「…ピセルヴァの航空兵団は?」
「ご要望どおり、ありったけの対地攻撃部隊が出撃しています…そうですね、あと30分程でこの戦域に到達します」
事前に支援要請を出していた部隊の動きを聞いて、彼は満足そうに頷く。
現在この平原に向けて、新設の航空兵団が向かってきている。
重爆装の対地攻撃部隊に、多数の護衛を伴った大部隊だ。
「…んじゃ、しばらく時間を稼ぐとするか」
椅子から立ち上がると、リグヴェードは口の端を吊り上げ、獰猛な笑みを浮かべる。
「装甲兵団を前面に出せ、連中への壁にするんだ。あと砲兵部隊も前進させ支援砲撃を開始、航空兵団の到着まで敵を足止めしろ」
幕僚達にそう告げると、彼はゆっくりと指揮所の外へと向かう。
「俺も中央に出るぞ。エスティル達の足止めをしてくる」
「はっ!お気をつけて!」
戦場へと向かう将を、総員は敬礼をもって送り出す。
リグヴェードが外に出た時には、先程の彼の指令が伝達されたのであろう…無数の部隊が行軍を開始し始めていた。
硬い甲殻に覆われた5m程の体躯の四足歩行の竜達が、地響きを起こしながら進軍していく。
鎧竜と呼ばれる種族の彼らは、皆背中に大きな二門の砲身とそれに繋がる、厚い装甲に守られた機材を背負っている。
自身の魔力を、砲弾として撃つ為の装備だ。
その他にも、硬い皮膚を持つアルマジロ型の造魔や、ゴーレムの様な魔族達が鎧竜達と共に行軍していく。
彼らは南方軍集団所属装甲兵団と称される部隊だ。
エルメリア帰還作戦にあたり、各軍集団の長には、独自の部隊の編成権限が与えられていた。
自分の戦術に適う部隊を編成するためにである。
北方軍集団は奇襲に長けた隠密性の高い部隊を…中央軍集団は都市や要塞攻略の為に、竜などの大型種の魔族を集めた特殊兵団等といった様にだ。
そしてリグヴェード率いる南方軍集団は、強い突破力と防御力を有する装甲兵団を大規模に編成していた。
敵前線を蹂躙したり、敵の攻勢を止める壁となる部隊だ。
これの編成に辺り、リグヴェードは全軍に所属するそれらの種族を、半数以上自分の手元に集めている。
かの部隊に続くように、巨大な砲身を背負った亀型の造魔を中心とした砲兵部隊も前進していく。
前線へと向かう自慢の部隊を、リグヴェードは頼もしげに見つめていた。
「…さぁて、こちらも行くとするか」
呟くように言うと、虚空から漆黒の禍々しい形状の大剣を掴む。
そしてそれを肩に担ぐと、ゆっくりとした足取りで歩き出す。
『お前らぁ!大将の御出陣だ!声上げろぉ!!』
近くにいたトカゲの様な魔族が、周囲に待機していた軍勢に向かって叫ぶ。
『ウオオオオオオオオォォォォォォゥッ!!!』
それに応え、魔族達が一斉に雄叫びを上げる。
大地を震わせるような雄叫びが続く中、リグヴェードは戦地へと歩いていく。
「エスティル様、敵軍に動きがありました!装甲兵団が前に出てきています!!」
中央の戦線で戦っていたエスティルの元に、伝令の少女が駆け寄ってくる。
彼女の言葉に、エスティルは敵正面へと視線を向ける。
こちらの最前衛が敵と交戦している付近で、無数の爆発が生じていた。
それは敵軍から放たれた物だ。
土煙を上げながらこちらに向かってくる鎧竜の群れが、次々とこちらの前衛に向けて砲撃を放っている。
敵装甲兵団は、こちらへの壁になるように、横に広く展開して向かってきていた。
更にかなり後方からも砲撃が開始された様だ。
「装甲兵団を壁に足止めして、支援砲撃でこちらに打撃を与えるつもりですか…」
「アレのラインを突破するのは骨が折れそうですな…いかがします?」
顔を顰めるエスティルに、傍らに居た壮年の騎士が尋ねる。
生半可な攻撃では、装甲兵団を中心とした敵前線は突破するのは難しい…
エスティルは目を閉じ、しばし考え込む。
「主力を中央に…一点突破で中央を破ります。砲撃を防ぐ為に防御に長けた者達も集めてください」
彼女の指示に頷き、騎士が指令を各地に伝達しようとした時…
突如轟音と共に、前線に居た友軍の兵士達が吹き飛ばされる。
兵達を吹き飛ばしたのは、敵の先頭に立つ軍服姿の男が振り下ろした大剣の一撃だ。
その凄まじい一撃は衝撃波を生み出し、大地を抉り取っていた。
「あ、あれ…リ、リグヴェードだ!」
エスティルの側に飛んでいたルミアが、顔を強張らせながら叫ぶ。
リグヴェードは更に大剣を振るい、兵達を吹き飛ばしていく。
「おらおらぁっ!雑魚共はすっこんでろ!!大将は何処だ!?」
地面に倒れた騎士の背を踏みつけて、リグヴェードは周囲に向かって叫ぶ。
彼の凄まじい力を前に、周囲の兵は怖気づいたらしく皆後ずさる。
「エスティル様の元へは…い、行かせない!」
だがその中でただ一人…バリアを張って衝撃波を耐え凌いでいた長い黒髪の少女が、リグヴェードへ向けて駆けていく。
「てやぁぁっ!!」
跳躍した少女は、手にした剣を彼に向けて振り下ろす。
だがその一撃は、伸ばされた彼の手にあっさりと止められてしまう。
「…こんな程度じゃ俺は止めれねぇよ、お家帰ってもっぺんママに魔法教わってきな」
魔力の篭った剣を素手で掴んだリグヴェードは、顔色一つ変える様子なく、掴んでいた剣を彼女ごと無造作に横に投げる。
「あぐぅっ!!」
放り投げられた少女は地面に叩きつけられ、何度もバウンドして転がる。
「先程の指示を全軍に伝達!中央を中心にして敵前線を突破してください!あの男は私が止めます!!」
その光景を見ていたエスティルは騎士に言うと同時に、リグヴェードに向けて駆け出す。
「ちょ、エスティル!一人じゃ危険だよ!!」
慌ててルミアも、彼女を追いかけて飛んでいく。
騎士が止める間もなく、彼女達は乱戦状態の戦列の中へと消えていった。
「くっ…うぅぅっ…」
先程地面に叩きつけられた少女が、右肩を押さえながらフラフラと立ち上がる。
激しい痛みに顔を顰めているが、彼女の戦意は折れていない。
「ま、まだよ…まだ…」
今にも取り落としそうな剣を握りなおし、少女は搾り出すように声を漏らす。
どう見ても彼女に勝ち目など無い…だが、その様子にヴァルアスは何やら嬉しそうに笑みを浮かべる。
「ほう…イイ気迫だ。そこいらでブルッちまってる男どもより、よっぽど肝が据わってるじゃねぇか」
未だ抵抗の意思を見せる少女を賞賛しながら、彼は彼女の元へと近づいていく。
「お前将来いい女になるなぁ…惜しいのはここで、俺らにとっ捕まっちまうってとこだ」
そう言いながら、彼は手にしていた大剣をゆっくりと振りかぶる。
殺すつもりは無いらしい…刃を向けては居ないが、それでも凄まじい一撃となるだろう…
今の彼女に、それを止める術など無い。
周囲に居る兵士達は、リグヴェードの放つ圧倒的な気配に気圧され、皆金縛りにあったように動かない。
「一撃で終わらせてやるよ」
そう言い放つと同時に、彼は大剣を横に振るう。
かわす事も出来ない…少女は観念したように目を閉じた。
凄まじい衝撃波が生じ、周囲は土煙に包まれる。
「……?」
土煙が舞う中、少女は自分が何とも無い事に気づく。
それどころか痛みすらない…どういう事だろうかと彼女は目を開ける。
彼女の目の前には一人の少女が立ち、リグヴェードの横薙ぎに振るわれた大剣を、バリアを展開して受け止めていた。
「エ、エスティル…様」
眼前で自分を守ってくれている少女の名を、彼女は呟く。
エスティルは少女の方を向いて、にっこりと微笑む。
「もう大丈夫…ここからは、私が引き受けます」
彼女に微笑むと、エスティルはリグヴェードの方へと向き直る。
「これ以上の暴虐は許しません…リグヴェード、覚悟しなさい!!」
「ようやく着やがったか、待ってたぜ」
自分を睨み付けてくるエスティルに、獰猛な笑みを浮かべ彼は口を開く。
リグヴェードに向けて、無数の光の矢が飛んでくる。
彼は小さく後ろに跳躍し、降り注ぐ光の矢を回避し、あるいは剣で受け止めた。
「わ、私だって居るんだから!」
光の矢を放った主、ルミアがエスティルの側へと飛んでくる。
「ふっ、面子は揃ったな…んじゃ、前回の続きと行きますか」
身構えている二人に視線を巡らせ、リグヴェードも剣を構えなおす。
「その子や負傷者を早く後方へ!」
その光景を呆然と見ていた兵士達…彼らはエスティルの言葉に我に返り、慌ててエスティルが守った少女や、周囲に倒れる負傷者を助けに行く。
「中央に兵力を集中させろ!敵の前衛を突破するんだ!!」
他の兵を率いてきた騎士の言葉に、兵士達は再び敵軍への攻勢を再開する。
周囲で戦闘が再開される中、エスティル達とリグヴェードの戦いも始まろうとしていた。
「おらぁっ!!」
リグヴェードが大剣を力任せに振り下ろす。
横に跳んだエスティルは、すかさずバリアを張って防御の構えを取っている。
先程まで彼女が立っていた大地を、振り下ろされた大剣が抉り取った。
凄まじい衝撃波とともに、無数の吹き飛ばされた石の破片などがエスティル達に襲い掛かる。
だがそれらは、全てエスティルのバリアによって防がれ、彼女達はノーダメージだ。
着地して身構えた時、リグヴェードは地面に刺さった大剣を退く抜いたところだ。
「風よ!アイツの動きを止めて!」
ルミアが片手を頭上に掲げ、高らかに叫ぶ。
その直後、リグヴェードに向けて突風が吹き荒れる。
「ちっ!ウザッてぇな…」
体を束縛せんとばかりに吹き荒れる風に、リグヴェードは忌々しげに顔を顰めた。
動きが制限されている彼に向けて、エスティルが剣を突き出す。
彼女の魔法が発動され、剣の向けられた先に大きな氷の塊が生み出される。
「いけっ!」
エスティルの声と共に放たれる氷塊。
それは真っ直ぐに、身動きの取れないリグヴェードに向かって突き進む。
「ぐっ……うおおおぉぉぉっ!!!」
氷塊が目前まで迫った時、彼が咆哮を上げて大剣を振るう。
風の拘束を振り切って放たれた一撃は、目前の氷塊を粉砕した。
だが砕け散った無数の氷の破片が、彼に襲い掛かる。
「ぐぅぅっ!!」
服が切り裂かれ、体に破片が突き刺さっていく。
体のあちこちに生じる痛みに、彼は堪らず後退する。
「ふん…相変わらずのコンビネーションだな…」
肩に突き刺さっていた氷の破片を引き抜き、リグヴェードは吐き捨てるように言う。
いくつかのダメージを与えたが、彼は殆ど動じた様子が無い。
「今度は…こっちの番だ!」
ニヤリと獰猛な笑みを浮かべると同時に、リグヴェードが大地を蹴る。
跳躍したリグヴェードは、それまで片手で振るっていた大剣を両手で掴む。
今まで以上の攻撃が来る…それを気取ったエスティルは、後方に跳ぶと同時にバリアの準備をする。
「うおりゃぁぁっ!!」
エスティルが後方に跳んだ直後、気合の声と共に振り下ろされた大剣が大地を穿つ。
「う、うううぅぅぅぅっ!!」
先の一撃とは比べ物にならない程の衝撃が、彼女達に襲い掛かる。
必死に歯を食いしばり、バリアの維持に力を注ぐエスティル。
ルミアも同様にバリアを張って、彼女のサポートを行う。
衝撃波が止む前に、リグヴェードは次の一手に出ていた。
初撃で地面に突き刺さった大剣を、今度は力任せに振り上げる。
その際に魔力を帯びた衝撃波が発生し、先の衝撃波を耐えているエスティル達へと襲い掛かっていく。
「うっ…あああぁぁぁっ!!」
必死に耐え続けていたエスティル達だが、二発目の衝撃波で防御が打ち崩された。
「ルミアっ!」
衝撃波に吹き飛ばされそうになる小さなルミアを、エスティルは抱き寄せる。
「きゃあああぁぁっ!!」
ルミアを抱き寄せた直後、エスティルの体に衝撃波が襲い掛かる。
彼女の体は吹っ飛ばされ、衝撃波の際に飛んだ無数の石の破片が彼女の体に命中した。
吹き飛ばされたエスティルは、地面に叩きつけられ何度か転がる。
「うっ…うぅぅ…」
全身の痛みに体を震わせ、彼女は小さく声を漏らす。
「エスティル!しっかしして!エスティル!」
エスティルの腕から這い出たルミアは、必死に彼女に呼びかける。
ルミアは手をかざし、淡い光を作り出す。
回復魔法を使いながら、自分を庇ってくれた友人に必死に呼びかけ続けた。
瞳に大粒の涙を浮かべていた彼女の頭に、伸ばされた手が優しく触れる。
「エ、エスティル…」
「だ、大丈夫ルミア…ありがとう」
小さな友人に優しく微笑んで、エスティルはゆっくりと立ち上がった。
先程のダメージは、お世辞にも小さい物とは言えない…だが、彼女はそれを微塵も感じさせない様子で立ち上がる。
「まだまだ…勝負はこれからです!」
近くに転がっていた細身の剣を構えなおし、エスティルは力強く叫ぶ。
「そう来なくっちゃな…楽しみがあっさり終わっちゃ俺も拍子抜けだ」
ニヤリと笑って、リグヴェードは再び剣を構える。
エスティルはしばし目を閉じて、何かを呟く。
何かの魔法が行使されたらしく、彼女の体を青く淡い光が包む。
「そっちが来ないなら…こっちからいくぜぇっ!!」
しばしその光景を眺めていたが、痺れを切らしたらしくリグヴェードが先に動く。
エスティルに向けて、構えた大剣を力任せに振り下ろそうとする。
だがその直前、彼女の姿が目の前から消えた。
「何っ!?」
驚きの声を上げるリグヴェード、そんな彼の脇腹に鋭い痛みが生じる。
側面に移動したエスティルが振るった剣が、彼の左脇腹を浅く切り裂いていた。
慌ててリグヴェードは横薙ぎに大剣を振るう。
だが、エスティルはそれ以上に早く後方に回避し、その一撃をかわす。
(な、何だ…急に動きが早くなりやがった…!?)
明らかに彼女のスピードが上昇している…リグヴェードはその事に気づき心中で叫ぶ。
「はあああぁぁぁっ!!」
再び接近したエスティルが、リグヴェードに向けて次々と斬撃を放つ。
「ぐおおぉぉぉっ!!」
体に生じる痛みに声を上げながらも、再びリグヴェードは剣を振るう。
だがエスティルは既にそこに居なく、大剣は虚しく宙を斬る。
「いっけぇっ!!」
正面から放たれた声に、リグヴェードはそちらを向く。
ノーマーク状態だったルミアが、彼に向けて光の矢を放った。
「があああぁぁぁっ!!?」
放たれた矢は左肩に命中し、彼が絶叫を上げる。
更にエスティルが斬撃を浴びせかけた。
(コ、コイツ…身体強化魔法を使って自身のスピードを上昇させてるのか!!)
斬撃を浴びながら、彼はエスティルの動きが早くなった原因に気づく。
こういった手数やスピードで攻める手合いは、自分の最も苦手とする部類だ。
まるで舞うかの如く繰り出され続けるエスティルの攻撃に、リグヴェードは翻弄されていく。
「ぐっ…調子に乗るなぁっ!!」
リグヴェードがエスティルに向けて大剣を振るうが、その一撃はあっさりと回避されてしまう。
エスティルは少し間合いを取って、剣を構えなおす。
彼女の額にはびっしりと汗が浮かび、心なしか肩で息をしている様子だ。
「へっ…あ、あんだけチョコマカ動き回ってりゃ…そりゃ息も上がるか」
彼女の様子を見て、リグヴェードは大剣を肩に担ぎ笑う。
だが彼にもそれ程余裕は無さそうだ…着崩した軍服はあちこち切り裂かれ、多くの切り傷が存在する。
「そ、そういう貴方も…随分とお疲れの様子ですよ」
軽口を返してみるも、エスティルの心中にはそれ程余裕は無かった。
(以前戦った時に分かってたつもりでしたが…ま、まさかここまでタフな相手だなんて…これ以上の長期戦は厳しい)
異様なまでにタフなリグヴェードに、エスティルは焦りを覚えていた。
手数とスピードで翻弄する戦法…これは見事に効果を上げているが、自分の体力がこのままでは続かない。
身体強化魔法のせいで、彼女のスタミナはかなり消耗している。
このままチマチマと続けていては、いずれ先にこちらが体力が尽きてしまうだろう…
それまでに決着を付けなければいけない…エスティルは傍らのルミアの方を見る。
(一気に仕掛けるんだね、エスティル)
念話で問いかけてくる彼女に、エスティルは小さく頷く。
こちらが仕掛けてくる事を察し、リグヴェードも身構える。
しばし睨み合っていた両者は、同時に大地を蹴った。
両者がぶつかり合おうとしたその時…リグヴェードが突如後ろに跳び距離を取る。
「なっ…?」
あまりにも唐突な動作に、エスティルも思わず足を止めてしまった。
彼女達から距離をとったリグヴェードは、懐から通信機を取り出す。
先程から着信の知らせが来ていたのだ。
「俺だ…どうした?」
『将軍、航空兵団から通信です』
通信の主は指揮所に居る副官からだ…リグヴェードはその内容に口の端を吊り上げる。
「ようやく来たか…繋げ」
『了解です』
彼の指示から少し間をおいて、別の声が通信機から聞こえてきた。
『お待たせしましたリグヴェード将軍。まもなく戦域に到達します』
「おう、待ちくたびれたぜ…とっとと始めてくれや」
『了解しました。敵さんにたらふく喰わせてやります』
通信に出てきた航空兵団の指揮官とのやり取りを終えた彼は、通信機を懐にしまう。
(…何なの…?)
一連のやり取りを見ていたエスティルは、心中で疑問を漏らす。
彼らの通信の内容までは分からないが、何か嫌な予感がする…
「エスティル!敵の陣形が変だって、こっちを包囲するみたいに広がってる!」
上空で偵察をしていた仲間の妖精から報告を受けたルミアが、エスティルに向かって叫ぶ。
彼女の話によると、中央に集中したこちらの動きに合わせて敵の両翼が動き、くの字の様に形を変化させつつあるらしいのだ。
「ようやく気づいたか…だがもう遅いぜ」
リグヴェードがニヤリと不敵な笑みを浮かべた時、遠くから音が聞こえてきた。
「エスティル様、敵の増援が多数接近!速度からして、飛行部隊です」
壮年の騎士が、部下から報告を受け彼女に叫ぶ。
北西の方角から、無数の魔力反応が近づいてくる。
速度からして飛行部隊と思われる大部隊は、間もなくこの平原に到達するだろう…
「新たに戦線へ投入された航空兵団だ。見るのはお前達が初めてだろうな」
リグヴェードは北西の空を見上げ、楽しげに口を開く。
その視線の先には、無数の黒い点が存在した。
無数の黒い点は、徐々に大きくなり形がはっきりしてくる。
それは無数の翼を持った魔族や機獣の群れだった。
群れは凄まじいスピードでこちらに接近してきている。
「さぁ!航空ショーの始まりだ!!御代はてめぇらの命で払え!!」
大剣を地面に突き刺したリグヴェードが、バッと両手を広げる。
その背後の空には、肉眼でもはっきり分かる程まで、高度を下げ接近してきている飛行部隊が存在した。
航空兵団の主力は、翼長3m程のコウモリ型機獣だ。
それらを守るように、ガルーダやグリフォンといった造魔や魔族、そして翼竜型の機獣で構成された護衛部隊が存在する。
そして部隊の中心には、翼長15m以上のワイバーン型機獣が編隊を組んでいた。
戦域に到達した部隊は、次々と攻撃を開始していく。
まずコウモリ型機獣が急降下を開始する。
そしてワイバーン型の機獣は、下腹のハッチを開く。
風切り音を上げて降下してきたコウモリが、次々と腹部に積んでいた爆弾を投下し、一転急上昇を開始する。
投下された爆弾は、火炎や爆裂系の魔力を込めた物だ。
平原のあちこちで次々と爆発や火柱が上がる。
だが航空兵団の攻撃は始まったばかりだ…混乱する人間側の軍に向けて、第二、第三派の急降下爆撃が開始された。
同時にワイバーン型の機獣群が、ハッチから爆弾を次々と投下していく。
無論、人間側もやられっぱなしという訳ではない…上空に向けて魔法を放って反撃を行う。
無数のコウモリ型機獣が、魔法によって撃ち落されるが、大半は迎撃をすり抜け上昇する。
また平原に爆発が生じ、多くの兵が吹き飛ばされ、炎に呑み込まれた。
爆撃を終えた航空兵団は上空で旋回し、北西の方角へと飛び去っていく。
一連の爆撃で、エルメリア軍は手痛い損害を被り、混乱の局地へと追い込まれる。
くの字に展開しつつあった魔族軍は、人間側を包囲する様に陣形を更に変化させつつあった。
爆撃の終了を合図とばかりに、前面で壁となっていた装甲兵団が一斉に突撃を開始していく。
生半可な攻撃を物ともせず、鎧竜を中心とした部隊は人間側の兵を蹴散らすように進む。
「フッ…ハハハハッ!何だよ!敵がゴミ屑みてぇじゃねぇか!!」
炎に染まり、阿鼻叫喚の渦巻く平原を見渡し、リグヴェードは片手で顔を覆い高らかに笑う。
数年に渡り事前調査した結果、エルメリアの人間の軍隊が、航空兵力への対策など殆ど立てていない事は分かっている。
だがそれにしても、ここまで良い様に事が運ぶとは少々予想外だ。
「クックックッ…こりゃ多少ゴネて開戦遅らせてでも、航空兵力を充実させるべきだったなぁ」
リグヴェードは開戦より随分前から、航空兵力の強みに注目し、エルメリア攻略軍にも大規模な航空兵力をと主張を続けていた。
それは数十年前に地球で起きた、世界規模の戦争に人間に紛れて参加した時に得た、彼の経験からだ。
エルメリアでの戦でも必ず有用だと彼は主張したが…機獣の開発が進んでいないのと、編成に時間がかかる為に、今まで導入が遅れていたのである。
一頻り笑うと、リグヴェードはエスティルの方へと向き直る。
彼女は呆然とした様子で、目の前の惨状を前に動けずにいた…
「わ、私の…せいで…」
声を震わせて、うわ言の様に彼女は呟く。
自分の中央に兵力を集中させるという判断…それがこの手痛い打撃を被った原因だと彼女は考えているのだ。
「お前の判断が悪いわけじゃない、理には適ってる…ただ、俺らの方が戦が上手かっただけさ」
リグヴェードからかけられた言葉に、エスティルはビクリと身を震わせ彼の方を向く。
「俺らはお前らみたいに、御行儀のイイ戦い方なんてしねぇのさ…これが俺らとお前らの差だ」
地面に突き立てていた大剣を引き抜き、リグヴェードは不敵な笑みを浮かべた。
「さぁて、こちらもそろそろ本気でいくとするか」
「え…?」
呟くように発されたリグヴェードの一言に、エスティルは思わず声を漏らす。
今まで彼は本気を出していなかったというのだ…
「ウ、ウソ…そんな…」
「嘘じゃねぇさ…見せてやるよ、俺の真の姿を」
同様に呆然とした様子のルミアの言葉に、リグヴェードは笑って答え目を閉じた。
「ぐ…うぅぅぅぅ……」
驚きを隠せない彼女達を前に、リグヴェードは低く唸り声を上げ始める。
それに伴って、彼の体にバチバチと青白い雷が生じた。
その雷はどんどん勢いを増し、リグヴェードの体は青白い光に包まれていく。
光に包まれた彼の体が、徐々に変化を始める。
彼から放たれる魔力を前に、エスティルとルミアは動けずにいた。
リグヴェードの体は、形を変化させ大きさも先程までより遥かに大きくなっている。
『ウオオオオオォォォォォォォッ!!!!』
咆哮が放たれると同時に、リグヴェードが纏っていた雷を天に向かって解き放つ。
「きゃっ!」
「あうぅぅっ!」
凄まじい雷光に小さく悲鳴を漏らし、エスティルとルミアは目を覆う。
雷光が収まった後には、彼女達の眼前には一体の狼が立っている。
体躯は3m程あるその大きな白狼…それがリグヴェードの正体だった。
前足には、手にしていた大剣と同じ材質と思われる篭手の様な装甲に包まれ、金色の眼はギラギラと輝いている。
「あ…あぁぁ…」
ルミアは怯えた様に声を漏らし、側に居るエスティルの服の端にしがみ付く。
彼女達はあの狼の姿に見覚えがある。
以前、南部方面の要の砦が敵に攻め落とされた際に、あの狼の姿が確認されたのだ。
突如現れた白狼は、凄まじい雷撃を操りほぼ単騎で堅牢な砦を半壊させる。
その際に生き延びた兵が持ちかえった映像を、彼女達も見た事があるのだ。
(そ、そんな…あの魔狼の正体がリグヴェードだったなんて…)
エスティルは心中で呻き、一歩後ずさってしまう。
(ダメッ!怖気づいちゃダメよ!…ここで負ける訳にはいかない!)
ブルブルと頭を振って、彼女は萎えかけた戦意を奮い立たせる。
『久々にこの姿になったんだ…楽しませてくれよ!』
剣を構えなおしたエスティルに向けて、言い放つリグヴェード。
彼が大地を蹴り、彼女めがけて駆け出す。
「は、早いっ!!」
先ほどまでのリグヴェードからは考えられないスピードで、突進をしかけてくる。
自分めがけて振るわれた右手の一撃を、エスティルは手にした剣で受け止めようとするが…
「きゃああぁあっ!!」
圧倒的な力を前に、彼女はあっさりと吹っ飛ばされてしまう。
「くっ!!」
地面に叩きつけられ転がるエスティル。
起き上がろうとした彼女は、背筋に悪寒を感じそのままの姿勢で地面を転がる。
その直後、彼女が倒れていた場所に、リグヴェードの左手が突き刺さった。
彼は手の甲の部分の装甲から爪を伸ばし、それでエスティルを突き刺さんとしていた。
左手の爪を引き抜き、再びエスティルに向けて右の爪を繰り出す。
彼女は地面を転がりながら、その連撃を回避し続けた。
「これ以上はやらせない!」
エスティルを援護すべく、ルミアが次々と光の矢を放つ。
その攻撃はリグヴェードの動きを止めはしたが、展開されたバリアによって防がれた。
「あ、ありがとうルミア…」
間合いを取ったエスティルは、フラフラとよろめきながら立ち上がる。
リグヴェードは身を低くし、いつでも飛びかかれる体勢でこちらを窺っていた。
(強い…ス、スピードも格段に上がってる…こんな相手にどう立ち向かえば)
エスティルは額に大粒の汗を浮かべ、心中で呻く。
姿を変化させたリグヴェードは、先程までより格段に動きが早くなっている。
最早、先に行った身体強化の魔法でスピードを強化し、手数で翻弄する手も通用しないかもしれない…
再び動き出そうとしたリグヴェードに、背後から次々と魔法が浴びせられる。
『…なんだぁ?』
全てバリアで防いだ彼は、鬱陶しそうにそちらを振り向く。
彼が振り向いた先には、多数の騎士や兵が集まっていた。
「総員!エスティル様を援護するのだ!!」
壮年の騎士の声と共に、兵達が一斉にリグヴェードへ向けて突撃する。
援護役の少女達は、杖を構え次々と魔法を放つ。
「ダ、ダメです!逃げてっ!!」
いくら数を揃えたところで、この化物に敵う筈が無い…エスティルは必死に叫ぶ。
だが、騎士や兵達は突撃を止めない。
『ちっ、ウザッてぇな…一気に片付けるか』
面倒くさそうに周囲を見回したリグヴェードは、兵達が一斉に斬りかかった瞬間、宙高く飛び上がる。
跳躍したリグヴェードが咆哮を上げ、凄まじい雷撃を身に纏う。
そしてそのまま、殺到してきていた兵士達の中心に着地する。
着地と同時に、彼が纏っていた雷撃が開放され、嵐の様に周囲に渦巻く。
「ぐあああぁぁっ!!」
「きゃあああっ!」
雷撃を浴びた兵達が次々と吹き飛ばされていく。
たった一撃で、多くの兵がリグヴェードに打ち倒される。
「お、おのれぇぇっ!!」
指揮を執っていた騎士が、手にしたハルバートを構えリグヴェードに突進する。
彼は渾身の力を込めて武器を振るうが、その一撃はリグヴェードに両手で止められてしまう。
『止めときなオッサン、邪魔しねぇでくれ。イイ所なんだからよ』
「だ、黙れ!き、貴様の様な卑劣な手を使う輩に負ける訳にはいかん!!」
捻じ伏せられそうになるのを必死に堪え、騎士はリグヴェードに向かって叫ぶ。
『卑劣な手…?ああ、あの空爆か…はぁ、これだから騎士サマはよぉ…』
「な、何だと…貴様ぁっ!!」
騎士の言葉に、リグヴェードは大きく溜息を漏らす。
ハルバートを掴んでいた手に、徐々に力が入っていく…騎士は引き戻そうとするが、ハルバートを掴んだ手はビクともしない。
『いいかぁ…?俺らは戦争やってんだ。てめぇらの騎士ゴッコに付き合ってられるかよ…戦争に卑怯も糞もあるか。
俺らはこの世界を奪い返す為なら何だってやる…コイツはゲリオスのじーさんの受け売りだが…過程の綺麗汚いなんて瑣末な事だ。大事なのは結果なんだよ』
ビシリ、とハルバートに大きく亀裂が走る。
「負け犬の遠吠えなんぞ聞いてやる趣味はねぇよ!死にな!!」
その一声と共に、ハルバートが粉々に砕かれる。
よろめく騎士に向けて、リグヴェードが右手を振るう。
手甲から伸びた鋭い三本の爪が、騎士の鎧を易々と切り裂く。
鮮血を飛び散らせ、騎士が地面に倒れる。
更にリグヴェードは左手を騎士に向けて振るおうとするが、その一撃は騎士の届かなかった。
「こ、これ以上…や、やらせません…!」
振り下ろされんとしていた爪を剣で受け止め、エスティルが声を震わせながら言い放つ。
『へっ、やっぱお前じゃないと楽しめねぇな…せいぜい頑張ってくれよ!』
必死に抗おうとするエスティルに、リグヴェードは獰猛な笑みを浮かべる。
エスティルとリグヴェード…両者の繰り広げる戦いは、前半より一転エスティルが劣勢に追い込まれていた。
圧倒的なパワーに加え、スピードまで大幅に上昇したリグヴェードを前に、エスティルは有効な一撃を加えれていない。
更に遠距離戦でも、凄まじい雷撃を操るリグヴェードに、防戦一方だった…
「ああああぁぁぁぁっ!!」
「きゃあああぁぁっ!」
何度目の雷撃だろうか…ついに防御が突き破られ、エスティルとルミアに雷撃が襲い掛かった。
体中を駆け巡る凄まじい電撃に、二人は苦悶の叫びを上げる。
雷撃が途切れると、二人は力なく地面に倒れこむ。
「ぅ・・・うぅ…」
僅かに顔を上げて、エスティルは小さく呻きを漏らす。
彼女の美しい髪は土や煤に汚れ、綺麗だったコスチュームも、ボロボロになり一部は焦げている。
ルミアは気絶しているらしく、グッタリと倒れ伏したままだ。
『久々に楽しめた、さすがは『円卓』の一人…だが、そろそろ終いだな。戦の方もこっちの勝ちで終わりのようだし』
彼女の眼前に立つ白狼リグヴェードは、周囲を見渡す。
至る所に人間の兵の死体があり、それを踏みつけ自軍の兵達が勝利の雄叫びを上げている。
既にあちこちで戦利品の収集が始まっているらしい…我先にと造魔や上位魔族達は女を捜していた。
『てめぇら!大事な戦利品殺すんじゃねぇぞ!!』
釘を刺すように、リグヴェードは周囲に向かって叫ぶ。
『…へぇ、まだ立てるか』
向き直ったリグヴェードは、よろめきながらも立ち上がったエスティルに感嘆の声を漏らす。
「ま、まだです…まだ…終わっていません!」
震えながらエスティルは両手を前に突き出して、リグヴェードに向けて言い放つ。
(負ける訳には…いかない!『円卓』の一員として…この化物だけは必ず倒す!)
そう、負ける訳にはいかない…彼女は刺し違えてでも彼を倒す覚悟だった。
他の前線で戦う『円卓』のメンバー…そして唯一の肉親である一人の妹の為にも、彼女は負けられないのだ。
(エリシア…ごめんなさい…私は、戻れそうに無いです…)
仮にここで敵将リグヴェードを倒しても、彼女にこの戦地から脱出するのは難しい…魔族の捕らわれの身になるだろう…
それでも、やらなければ…仲間や自分の跡を継ぐことになるであろう妹のためにも…敵将を打ち倒さねばならない。
彼女は意を決して、最後の一手に移る。
(なんだぁ…?全然動きやしねぇが……ん?)
両手を構えたままのエスティルに、リグヴェードはいぶかしみ首を傾げるが、その直後周囲の異変に気づく。
自身の周辺の温度が、急激に低下している事に…
「気づきましたか…でも遅い!」
周囲を見回し動揺を見せるリグヴェード…エスティルはその隙を逃さず行動に起こす。
『ごふっ!?』
突如リグヴェードの足元に魔方陣が描かれ、そこから氷の柱が突き出される。
完全に不意を突かれたリグヴェードの腹部に、氷柱が突き刺さった。
「これでもう…逃げられませんね!」
エスティルが叫んだ直後、リグヴェードを囲むように大きな魔方陣が描かれる。
魔方陣が輝くと同時に、その範囲内を凄まじい冷気が放出され始めた。
『ぐ、ぐがあああぁぁぁぁぁっ!!!』
絶叫を上げるリグヴェードの体が、急速に氷に覆われていく。
彼は必死にもがこうとするが、既に手足は完全に固まり身動きも満足に出来ない。
『く、くそっ!こ、こんなバカな!?この俺が…!』
驚愕の表情のまま、リグヴェードは完全に氷に包まれる。
氷の塊となった狼を前に、エスティルは脱力しその場にへたりこむ。
「はぁ…はぁ…や、やった…」
両手を地面についてエスティルは肩で息をしながら、氷塊をなったリグヴェードを見上げる。
いくらなんでも、全身を氷漬けにされては生き延びれないだろう…
彼の慢心の隙を突いた一手だったが、なんとか上手くいった。
『しょ、将軍!?』
『こ、このガキィ!よくも大将を!!』
周囲に集まってきた魔族達が口々に叫び、エスティルに襲い掛からんと近づく。
この状況から脱出する事は出来ないだろう…覚悟は出来ている。
ただ、ルミアは…幼い頃からの親友であるルミアだけでも逃がさないと…
彼女がルミアの元へと近づこうとした時、ビシリという音が背後から聞こえる。
「え…?」
その嫌な音に、エスティルは恐る恐る振り向く。
リグヴェードを封じた氷塊…それに次々に亀裂がはしっていた。
「ウ、ウソ…そんな…」
信じられない、という風に彼女は震えながら首を左右に振る。
いまや氷塊はひび割れだらけになり、あちこちが崩れ始めていた。
『ウオオオオオォォォォッ!!!』
咆哮と共に雷光が放たれ、氷塊が粉々に吹き飛んだ。
「う、あああああぁぁっ!!」
氷塊を粉砕した余波に、エスティルは吹き飛ばされ地面を転がる。
地面に倒れ伏した彼女が見上げたその先には、体に付いた氷の破片を振るい落とす魔狼の姿があった。
『はぁ、はぁ…こ、こんな奥の手を隠してやがったとはな…正直焦ったぜ』
大きく一息漏らすと、リグヴェードはエスティルを見下ろして言う。
『うおおおっ!スゲェ!』
『流石は将軍!!』
自軍の将の健在に、魔族達が次々と歓声をあげる。
「そ、そんな…」
近づいて来る彼を前に、エスティルは呆然と呟く。
腹部を貫いた傷も、既に再生を開始している。
自分の持てる最大の一手を持ってしても、この魔狼を止める事は出来なかった…
絶望に打ちひしがれ、エスティルは脱力し地面に突っ伏す。
彼女の視線の先には、ぐったりと気絶しているルミアの姿があった。
「ル、ルミア…」
エスティルは震えながらルミアへと手を伸ばす。
彼女だけでも逃がさないと…エスティルはルミアに向けて転移魔法を行使する。
「ん…」
ルミアが小さく身動ぎをして、うっすらと目を開けた。
「エ、エスティル…?」
意識が朦朧としている彼女に向けて、エスティルは口を開く。
「ルミア…貴方だけでも逃げて…私はもうダメ…」
「え…な、何言ってるの!?」
ルミアは大きく目を見開いて声を上げた。
そして目前に迫るリグヴェードを前に、自分達が敗れた事に気づく…
「あ、貴方だけでも生きて…」
「や、やだ!エスティル!一緒に逃げよう!!私が転移魔法を使う!!」
自分の手に縋り付いて来るルミアに、エスティルは首を横に振る。
ルミアが自分もろとも転移で逃げようとすれば、確実にリグヴェードは妨害を行うだろう…
今から転移魔法を発動させたのでは間に合わない…だから彼女は精一杯の微笑を浮かべる。
「妹を…エリシアを…お願い…」
「エスティル!エス…」
転移魔法が発動し、ルミアの姿は光となって消えた。
「さようなら…ルミア…私の大切な友達…」
小さく漏らされた言葉と共に、エスティルの頬を一筋の涙が流れる。
『…別れはすんだか』
ルミアを転移させたエリシアをリグヴェードは見下ろす。
「待ってて…くれたんですか…?」
『…あんなチビ犯す趣味は無いんでね』
「そうですか…ありがとう…」
自分を見下ろすリグヴェードの言葉を聞きながら、エスティルは目を閉じて微笑を浮かべる。
『おいおい、俺は敵だぞ?今からてめぇを犯そうってしてる相手に、礼を言うか普通』
「それでもです…貴方が待ってくれたお陰で、大切な友達を助ける事が出来たんだから…』
呆れた様に言う白狼に、彼女は弱々しく微笑みを浮かべ答えた。
『そうかい…だがお前は逃がさねぇぜ。お前には敗者の務めを、果たして貰う』
うつ伏せになっていたエスティルを仰向けに返すと、リグヴェードは宣言と共に彼女の体に手を伸ばす。
ボロボロになったコスチュームの胸元を破り裂かれると、下着に覆われた胸が現れる。
『ほぅ…ルフィリアほどじゃないが、弄りがいのありそうな胸だな』
「っ…」
値踏みするように胸へと向けられる視線に、エスティルは羞恥心から顔を背けた。
エスティルの胸は、同年代の少女達と比べて大きめで形も良い。
まずは感触を楽しもうというのか…リグヴェードが彼女の胸に手を伸ばす。
触るのに邪魔だと思ったのか、手につけていた装甲が消える。
「んんっ…」
右の胸を鷲掴みにされ彼女が小さく声を漏らす。
掴む位置をずらして、リグヴェードは何度も何度も胸を揉みしだく。
エスティルは必死に歯を食いしばり、声を漏らすのを堪えようとする。
『まさか…誇り高き『円卓』の一員が、俺みたいな獣に胸揉まれて感じたりはしないよなぁ…?』
小刻みに体を震わせている彼女を見下ろして、リグヴェードは意地悪げに尋ねた。
「え、ええ…!わ、私はこんな責めなんて何にも…か、感じません!」
『そうかい…じゃあその言葉が本当か、じっくり試させてもらうぜ』
気丈に自分を睨み付けてくる彼女に、リグヴェードは口の端を吊り上げる。
そうしてまたエスティルの胸を片手で捏ね繰り始めた。
乱暴そうな見掛けとは裏腹に、リグヴェードの行為は繊細だ。
緩やかな動作で彼女の胸を揉んでいく。
『俺は女を大事にする方だ…優しくしてやるよ。ただし…快楽無しじゃあ、生きてけない様な体になっちまうかもしれないが』
ニヤニヤと笑いながら、必死に声を漏らすまいとしている彼女の顔の方に首を動かす。
そして彼女の首筋に顔を近づけると、彼女の香りを愉しむ様に鼻をひくつかせた。
「くっ…」
リグヴェードの息が首筋に辺り、エスティルは小さく声を漏らす。
『可愛いねぇ…俺も派手に暴れて腹ペコなんだ。たっぷりと愉しませもらうぜ』
ニヤリと笑いながら告げられた宣言と共に、一旦止まっていた胸を揉む行為が再開された。
エスティルは目を閉じ歯を食いしばって、必死に声を漏らさない様耐え続ける。
数分続けられた胸への責めが唐突に止められる。
片手を止めたリグヴェードは首を上げ、目を閉じているエスティルの顔を見て溜息を漏らした。
『…なかなか頑張るね、すぐにイイ声で鳴くと思ったのによ』
「そ、そうそう思い通りに…なったりしませんよ」
感心半分、呆れ半分といった様子の魔狼。
エスティルは少し笑みを浮かべて彼に言い放つ。
(耐え切ってみせる…こんな魔物に屈する訳にはいかない!)
自分は『円卓』の一員…皆の先頭に立って戦い、導くのが使命なのだ。
そんな自分が、魔族の責めに屈する事などあってはならない…
エスティルは固い決意を胸に、リグヴェードを睨み付ける。
『言うじゃねぇか…しかしまぁ、この調子じゃ埒が明かねぇのも事実だな…感度を上げるかね』
感度を上げる…その言葉に、エスティルはビクリと身を縮こまらせた。
(…な、何をするつもりなの…?)
胸に生じた不安を抑えようとしながら、エスティルはリグヴェードの動きを警戒する。
魔族達が行為の際に、媚薬成分を持つ体液やガス、催淫魔術を行使する事は彼女も知っていた。
それらを用いて、相手の性感を増幅し淫らにする…連中の常套手段だ。
(魔術やガスされ使われなければ…耐えられる可能性がある…)
エスティルは亡き祖母…先代の当主から、体液を解した魔族の媚薬をある程度防ぐ手段を教わっていた。
戦いの際に体液などを飛ばし、相手を淫らな罠に落としいれようとする魔族達への対策法だ。
体を薄い魔力の膜を纏い、その膜の魔力で相手の媚薬成分を無効化、もしくは軽減する魔法だ。
100年前の戦いの際に初代『円卓』…エスティルの曾祖母が考案した魔法との事だった。
これを使えば、直接飲まされる様な事以外では、かなりの確立で媚薬を無効化できる…
ただかなり難しい魔法で、一族の当主にしか伝えていないというものらしい。
一体どんな手段を使ってくるのか…警戒しているエスティルを見下ろしていたリグヴェードが行動に移る。
右の胸を掴んだままだった手を動かし、彼は胸を覆っていた下着を引き裂く。
エスティルの形の良い胸が露になり、周囲に居た魔族達が下卑た声を上げる。
「うっ…」
羞恥心から顔を横に反らし、エスティルは小さく声を漏らす。
その際に気づいたが、周囲に次々と友軍の少女達が捕らえられ集められていた。
「う、うぅ…エ、エスティル様…」
その中には、リグヴェードからエスティルが救い出した黒髪の少女も居る。
彼女は白を基調としたワンピースの様なコスチュームをボロボロに汚され、タコの姿をした魔族の触手に捕らわれてた。
『ギャラリーが居た方が、こういうのは楽しいんだよ…アイツらに無様なとこ見せないよう、頑張りな』
引き裂いた下着の切れ端を捨てたリグヴェードが、ニヤリと笑い頭を下げる。
(何も…使ってこない…?)
下着を破り裂いた以外、特段変わった行動を起さない彼に、エスティルは戸惑いを感じていた。
戸惑っている彼女の胸元に、リグヴェードの顔が近づけられる。
また香りを楽しむようにしばし鼻を動かしていたが、彼は少し口を開き舌を出す。
そしてゆっくりと、エスティルの左胸に舌を這わせる。
「ひぁっ!!」
舐められると同時に、胸に生じた快感が電流の様に体を駆け巡る。
エスティルはビクリと身を強張らせ、思わず声を漏らしてしまう。
『へへっ…どうした?一舐めされただけで随分可愛い声で鳴くじゃないか』
体を震わせている彼女を見下ろして、嘲笑うようにリグヴェードが口を開く。
「ひぅっ!あ、あぁっ…」
エスティルの胸を、ザラザラとしたリグヴェードの舌が這う。
彼は先程から、エスティルの胸を執拗に舐め続けていた。
舐められる度に大量の涎が塗りつけられ、彼女の胸は涎塗れといった有様だ。
エスティルの頬は紅潮し、先程から何度も小さく喘ぎ声を漏らしている。
舌が這う度に、エスティルの体に電流の様に快感が駆け巡っていた。
しかもそれは、段々と強く耐え難いものになっていきつつある…
『どうした?さっきまでの威勢は…俺の責めなんて、感じないんじゃなかったのか?』
「はぁうっ!」
行為の合間に、リグヴェードがからかう様に言葉を投げかけるが、エスティルは返事をする余裕すらない。
(な、何で!?何でこんなに感じちゃうのっ!?)
彼女は心中で叫ぶ。
徐々に体に生じる快感が増していっている事に、彼女は混乱している。
胸に塗りつけられる涎に、媚薬を打ち消す魔法は反応していない。
催淫魔術を行使した気配も、ガスも使った様子もないのに…
それなのに彼女の体は熱を帯び、体中が疼きつつあるのだ。
『ハハハ…俺が何をやっているか、当ててみな』
ニヤニヤと笑って、リグヴェードはまた胸に舌を這わせる。
「あ、あぁぁ…」
「エスティル様…」
エスティルの周囲に集められた少女達が、呆然とした様子で彼女の悶える様を見ていた。
いつも凛としていて、自分達を導いてくれていたエスティル…
自分達にとって憧れの対象だった…その彼女が魔物によって、淫らに喘がされている光景は、到底受け入れがたいものだった。
「ふぁぁっ…み、見ないでっ…お願い…見ないでぇ…」
瞳に大粒の涙を浮かべるエスティルが、途切れ途切れに言葉を漏らす。
だが少女達は彼女から視線を逸らす事が出来なかった。
『オラ、ちゃんと見ろよ!』
『ゲヒャヒャヒャ、お前らの英雄サマが、あんなにエロく喘いでるぜ。かぁーっ!俺もあんなイイ娘犯してみてぇっ!!』
少女達を捕らえる魔族達は、口々にはやしたてながら、彼女達が顔を背けない様にしている。
「ひあぁぁっ!」
勃起していた乳首を舌で弄ばれ、エスティルが一際大きな声で喘ぐ。
何故…何故こんなに自分は感じてしまうのだろう…
耐えようとしているのに…舌が触れる度に電流の様に快感が駆け巡り、我慢できず声を上げてしまう。
(で、電流…?)
再び舌が触れた際に、ある事がエスティルの脳裏をよぎった。
この魔狼は雷を操る事に長けている…
「ま、まさか…電流を…」
『ほーぅ、気づいたか…そうさ、俺は媚薬や魔術なんて使わなくても、お前を淫らに堕とす事が出来るんだよ』
小さく漏らされたエスティルの言葉に、白狼は行為を止めて笑う。
そう…彼は舌で触れる度に、微弱な電流をエスティルに向けて放出していたのだ。
電流によって彼女の敏感な箇所を刺激し、まるで媚薬や催淫魔術を使ったような事をやっているのである。
『随分刺激してやったからなぁ…全身イイ感じに仕上がってるだろ』
リグヴェードは説明を終えると、今度はエスティルの首筋をゆっくりと舐めた。
「ふあぁぁっ!!」
ビクン、と大きく身を震わせ、エスティルが嬌声を上げる。
敏感な部分を刺激され、高められた性感は、エスティルの体中に波の様に広がっていた。
首筋を舐め続けながら、リグヴェードは片手で右胸をまた揉み始める。
「ひうぅぅぁっ!だ、だめぇっ!」
最初揉まれていた時とは比べ物にならない快感が、エスティルの体に生じた。
バタバタとエスティルはもがくが、彼から逃れる事は出来ない。
両手は頭の上で纏められ、空いている手でリグヴェードに押さえつけられている。
足も纏められた上で、足首の辺りに彼の尻尾が絡みついていた。
『やっぱお前は胸が弱いみたいだな…ルフィリアみてぇだ』
ニヤニヤと笑う彼は、片手で押さえていたエスティルの両手を、光の輪を生み出しそれで拘束する。
彼が操る電撃と同じ色の光で出来た輪は、時折パリパリと小さく電流を放つ。
それを地面に固定させ、身動きが取れない様にすると、片方の手もエスティルの胸へと動かす。
そうして両胸を掴むと、またゆっくりと胸を揉み始めた。
「ひやぁぁっ!」
エスティルが嬌声を発しまた暴れだす。
地面に両手を拘束している輪を引き抜かんと、彼女は両手を動かす。
その時だ…光の輪から青白い電流がエスティルに向けて放たれた。
「あひいいいぃぃっ!!」
放たれた電流は微弱なものだが、彼女の性感を確実に刺激する。
また身を仰け反らして、エスティルが喘ぐ。
『その輪を無理に壊そうとすると、さっき俺がやってた電流と同じものが流れる仕組みになってるのさ。
俺の責めで物足りないってのなら、さっきみたいに壊そうとすりゃ気持ちよくなれるぜ』
ご自由にどうぞ、と彼は笑いながら胸を執拗に責め立てていく。
緩やかな動作で揉みしだいてたかと思えば、唐突に乳首を掴み激しく引っ張る。
「らめぇっ…らめぇぇっ!ひううぅぅぅぅっ!!」
責め立てられる度に生じる凄まじい快感。
それは自慰すらした事のないエスティルにとって、耐え難いものだった。
こんな魔物に屈したりしない…最後まで耐え切る。
彼女の決意はリグヴェードの責めによって、ボロボロに打ち崩されてしまった。
「はうぅぅぅぅぅっ!!」
高まり続けた快感は、彼女の許容できるレベルを遥かに超えている。
もはや声をもらさまいと耐えることすらせず、エスティルは淫らに喘ぎ悶えていた。
「きゃああぁぁっ!!」
「やだぁっ!やめてぇぇっ!!」
エスティルとリグヴェードの周囲から、次々と悲鳴が上がる。
周囲に集められていた少女達を、捕らえていた魔族達が我慢できなくなり、陵辱を開始したのだ。
少女達は纏っていたコスチュームを破り裂かれ、触手や手で敏感な部分を責め立てられていく。
『我慢できなくなって始めちまったか』
無理もねぇか、とリグヴェードは周囲を見回して苦笑する。
自分だって目の前でこんな事を行われていては、我慢できなくなるだろう。
「はっ…はっ…ひぅ…ふぁぁ…」
リグヴェードに組み伏せられたエスティルは、頬を紅潮させながら喘ぎ声を漏らす。
全身は汗に濡れ、纏っていたコスチュームも汗で体に張り付いている。
現在行為は止められているのだが、彼女はモジモジと足を擦り合わせ、切なげに声を発していた。
『なんだぁ?少しお預け喰らっただけで、もう我慢できねぇのかよ』
周囲に集まる魔族達の行為を見回していたリグヴェードが、エスティルを見下ろして意地悪げに尋ねる。
リグヴェードは彼女の両胸から手を放し、覆いかぶさっていた状態から少し体をずらす。
そしてエスティルのミニスカートに手をかけ、力任せに引き裂く。
『はっ、ビショ濡れじゃねぇか』
スカートの下に隠れていた彼女の下着を見て、ニヤニヤと笑いながら彼は言う。
エスティルの股間を覆う下着は、度重なる行為で分泌された愛液に濡れている。
その愛液塗れの白い下着の上から、リグヴェードはゆっくりと舌を這わせた。
「はひゃあああぁぁぁぁっ!!!」
一舐めされただけで、エスティルは目を大きく見開き、ガクガクと体を動かす。
その際に手を拘束している光の輪も激しく動き、それに伴って電流が彼女の体に放たれる。
『まだ物足りないってか?んじゃリクエストに答えてやるよ』
電流に性感を刺激され、快感に震えているエスティルを見てニヤリと笑う。
リグヴェードは下着を破り裂き、彼女の股間を露にする。
「ひぅっ…」
まずリグヴェードは、鼻先を股間に近づけ嗅ぐ様な仕草を見せた。
股間に吐息を当てられ、エスティルは身を強張らせる。
リグヴェードは少し頭を動かし、股間のある場所に狙いをつけた。
それは勃起したクリトリスだ。
「あひいいいいぃぃぃぃぃっ!!!」
クリトリスにリグヴェードの舌が触れた瞬間、エスティルは一際大きく叫ぶ。
高まり続けた快感に、彼女は絶頂を迎えたのだ。
膣口からは愛液が勢いよく噴き出てきた。
大きく身を仰け反らした彼女の頭は、凄まじい快感に真っ白になる。
『円卓』の一員たる使命も何もかも、快感によって吹き飛ばされてしまった。
「あはっ…はぁはぁ…」
だらしなく開かれた口の端から涎を零し、エスティルは絶頂の余韻に震える。
その状態でも、彼女の体は更なる快感を求めていた…
両手を動かし、手首を拘束する光の輪に衝撃を与える。
「はあぁぁんっ!」
それに反応して、またエスティルの体に電流が放たれ、彼女が喘ぐ。
(堕ちたか…随分脆いもんだ)
自ら快楽を求めようとしているエスティルを見下ろして、リグヴェードは心中で笑う。
彼女はリグヴェードの責めによる快楽に屈してしまった。
だがまだ足りない…完全に彼女を堕落させ支配するには…
リグヴェードは再びクリトリスへの責めを開始する。
「はううううぅぅっ!んああああぁぁっ!!」
勃起したクリトリスに舌が這い、ベットリと唾液が塗りつけられていく。
同時にクリトリスに電流が放たれ、敏感なそこを激しく刺激する。
「あああああああぁぁぁぁっ!!!」
エスティルは目を白黒させて、耐え難い快感に嬌声を上げ身を捩った。
「あううううぅぅぅぅっ!!」
平原にエスティルの声が木霊する。
リグヴェードが彼女のクリトリスに噛み付いたのだ。
彼は甘噛みを繰り返し、クリトリスに刺激を加えていく。
またエスティルは絶頂を迎える。
「ふあああぁぁぁぁっ!!」
絶頂の余韻も震える間もなく、またエスティルは快感に身悶えた。
噛み付くのを止めたリグヴェードが、今度は指でクリトリスを責め立て始める。
クリトリスを指で摘み引っ張ったり、グリグリと圧迫を行う。
大量の愛液の流れ出る彼女の秘裂は、何かを求めるようにヒクつく。
『ハハッ、愛液がとまらねぇぞ』
リグヴェードは嘲笑いながら言い、秘裂へと舌を伸ばす。
そして愛液に塗れた秘裂に舌を這わせ、愛液を舐め取っていく。
空いている手は胸へと伸ばされ、乳首を摘み引っ張った。
「はひゃあぁっ!あひぃぃっ!!」
エスティルがまた絶頂に達し、秘裂から愛液が噴き出る。
『舐めても舐めても愛液が出てきやがる。そろそろ止まってくれよ』
愉快げに笑うリグヴェード…だがその言葉とは裏腹に、彼女の体を執拗に責め立てていく。
当然、エスティルは生じる快感で絶頂を迎え、また潮を噴く。
リグヴェードは秘裂を掻き分け、膣内にまで舌を侵入させる。
あまり奥へと突っ込まないようにしながら、リグヴェードは膣壁に舌を這わせていく。
「ふぁぁっ!しゅ、しゅごいぃぃぃぃ!」
体を弓なりに反らしたエスティルが、喘ぎながら叫ぶ。
その後も彼女は、リグヴェードによって何度もイカされ続ける。
自慰すらした事の無かった彼女の体は、リグヴェードによって淫らなものへと開発されつつあった。
(気持ちいい!もっと…もっとぉ…!)
絶え間なく生じている快感。
それに震えるエスティルは心中で叫ぶ。
もっと自分を弄び、気持ちよくして欲しい…
もっともっと快感を味わいたい…
そんな思いに、彼女の心は支配されつつあった。
「んあああぁぁっ!も、もっと…もっと激しく!」
我慢できなくなった彼女は、ついにリグヴェードに向けて叫んでしまう。
その言葉を待っていた…そういう様に白狼は口の端を吊り上げる。
(折れやがったか…)
心中で声を漏らし、彼はほくそ笑む。
彼は快楽責めによって、彼女を調教しようと試みていたのだ。
彼の目論見どおり、エスティルは快楽の虜となり、力強き意思は完全に折れている。
仕上げにかかるとしよう…自分の方を見てくる彼女に視線を向けて、彼は心中で呟いた。
エスティルの願いとは裏腹に、リグヴェードは彼女の膣から舌を引き抜く。
クリトリスを摘んでいた手も放し、胸からも手を退かす。
両足の拘束は解かれ、両腕を拘束していた光の輪も、音も無く消滅していた。
「え…な、なんでぇ…?」
唐突なリグヴェードの行動に、エスティルは呆然と声を漏らす。
もっと責めて欲しいのに…虐めて欲しいのに、何故彼は手を放すのだろう…
エスティルは視線をフラフラと彷徨わせ、疼く体を切なげに自ら抱きしめる。
リグヴェードはいうと、地面に腰を下ろし周囲の魔族達の見物を始める様子だ。
『俺は少し疲れたんで少し休憩だ。他の奴の見物してるよ』
「そ、そんな…お、お願い…お願いします…も、もっと私を気持ち良くさせて…ください…」
疲れた、と仕草で表現するリグヴェードに、エスティルは震えながら擦り寄る。
行為が止んだ途端、エスティルの体は激しく疼き始めたのだ。
体が求めているのだ…もっと、もっと快楽が欲しいと…
それなのに彼は、自分を責めてくれない…エスティルは縋り付く様に彼へと近づく。
『んー?もっとちゃんと言いな。自分をどうして欲しいんだぁ?』
震える彼女を見下ろして、彼は意地悪げに尋ねる。
「あ…そ、その…わ、私を…」
彼の言葉に彼女は、一瞬躊躇う様に視線を彷徨わせ口篭る。
『ちゃんと言いなよ?外野が喧しくなってきたからな、聞こえないかもしれない』
ニヤニヤと笑って、リグヴェードは彼女に促す。
彼の言うとおり、周囲での陵辱によって、あちこちで悲鳴や嬌声が上がっている。
それなりに大きな声で無いと、彼に聞こえないかもしれない。
「わ、私を…もっと気持ち良くさせて…も、もっと苛めて下さい!!」
我慢出来なくなった彼女は、ついに叫んでしまう。
その言葉に、リグヴェードは深く笑みを刻む。
『よし…そこまで言うなら、また苛めてやるよ』
彼の言葉に、エスティルは俯かせていた顔を上げ瞳を輝かせる。
『ただし…やる前に一つ条件がある…お前にもやってもらう事がな』
「じょ、条件…?」
予想しないリグヴェードの言葉に、エスティルは戸惑いの声を漏らす。
『ああそうだ、俺も疲れてるんだ…何か見返りが無いとなぁ』
そう言うと、彼は自分の股間を指差す。
そこには勃起しそそり立つ剛直が存在する。
『これにご奉仕して貰おうか…やり方は任せる。俺を気持ち良くしてくれよ』
「え…あ…」
彼の提示した条件に、エスティルは黙りこくり彼の股間へと視線を向ける。
奉仕といっても、何をすればいいかもよく分からない…そしてあの大きさに彼女は戸惑っていた。
だが受けなければ彼は、自分に快楽を与えてくれないだろう…
しばし考え込んでいた彼女は、意を決し彼に頷く。
『OK、交渉成立だな…ちゃんとご奉仕出来たら、俺もご褒美をお前にやるよ…今まで以上の快楽をなぁ』
今まで以上の…その言葉にエスティルはゾクリと身を震わせ、それを押さえる様に自分の体を抱きしめる。
更なる快楽を求めて…彼女はリグヴェードに奉仕せんと、四つん這いの体勢で彼の正面に移動した。
そしてその姿勢のまま、彼の剛直へと手を伸ばす。
「あ、あぁぁ…」
タコ型の魔族に捕らわれた黒髪の少女は、眼前の光景に呆然と声を漏らす。
彼女の目の前では、信じられない様な光景がある。
『円卓』の一員であるエスティルが…自分を助ける為に敵将に立ち向かった彼女が…
あろう事か敵将に奉仕すべく、彼の剛直に手を伸ばしていた。
だがそこで彼女の動きは止まり、何か迷った様に周囲を見回している。
そして自分と視線が重なると、彼女は慌てて顔を背けた。
そんな彼女から、先程まで自分達を導いていた時の凛々しさはまったく窺えない。
今の彼女はまるで奴隷だ…彼女の眼前に立つ白狼に絶対服従を強いられた奴隷にしか見えないのだ…
『フヘヘヘヘ…あ、あのオンナ…すっかり大将に調教されちまったな』
少女を拘束していた魔族が、愉快そうに体を揺すって笑う。
「ちょ、調教…?」
『そうだ、大将は気に入ったオンナを見つけると、徹底的に責めて自分の言いなりになるようにしちまうのさ…
快楽とか、言葉でな…ルフィリア総督にもそうやって手を出した…とか言ってたな』
魔族の言葉に、少女は愕然とする…
自分達の憧れであったエスティルが、魔族の調教に屈してしまうなんて…
絶望に打ちひしがれている少女の体を拘束していた触手が、一斉に動き出す。
「ひっ…いやぁぁっ!」
『フヘッ!もうあんな大将の奴隷に堕ちたオンナなんかどうでいいじゃねぇか!俺らも楽しもうぜぇっ!!』
悲鳴を上げる少女のコスチュームを引き裂き、魔族は彼女を裸にしていく。
そしてまだ発育途中の、僅かな胸の膨らみに触手を伸ばす。
乳首の先端に吸盤が吸い付き、激しく吸い立てたり引っ張る。
「やだぁっ!止めて!!」
少女は頬を紅潮させて、イヤイヤと首を左右に振り叫ぶ。
彼女の体には無数の触手が蠢き、瑞々しい体を粘液塗れにしていく。
白い少女の肌は、紫色の魔族の粘液を塗りつけられ汚されて、そして粘液に含まれる媚薬が彼女の体を侵す。
「ふああぁぁっ!らめぇっ!胸を吸わないでぇぇっ!」
『止めろって言われて止めるバカいねぇよ!もっとエロく喘ぎやがれ!フヘヘヘヘヘッ!!』
泣き叫ぶ少女を嘲笑い、造魔は彼女の股間にドップリと粘液を浴びせかける。
「ひにゃああああぁぁぁっ!!?」
大量の粘液を浴びせられ、少女が素っ頓狂な声を上げた。
無数の触手が股間に殺到し、秘裂やクリトリスを責め立てていく。
クリトリスに吸盤が吸い付き、秘裂には触手が擦り付けられる。
表面に付く無数の吸盤が、彼女の秘裂に刺激を与えていく。
「んやあぁぁっ!らめてっ!らめてぇぇぇっ!」
涙を零しながら叫ぶ彼女。
小振りな尻にも触手が殺到し、吸盤を吸い付かせ尻肉を捏ね繰り回す。
「た、助けて!誰か…!エスティル様!!」
恐慌状態に陥った少女は、バタバタと手足を動かしながら必死に助けを求め叫ぶ。
だが彼女を助けれる者など、この場には存在しない…
仲間達は皆彼女同様犯されている。
そしてエスティルは眼前の魔狼に奉仕すべく、彼の剛直の先端を咥えている最中なのだから…
リグヴェードの前に四つん這いの体勢で辿り着き、彼の剛直に手を伸ばしたエスティル。
だがそこで、彼女の動きは止まってしまう。
奉仕をしろと彼に命令されたが…彼女はどうすればいいのかよく分からないのだ…
迷った彼女は、周囲を見回す。
彼女達の周囲では、捕らえ集められた少女達が、魔族達によって陵辱を受けている。
視線を巡らせていると、一人の少女と視線が重なった。
それは自分がリグヴェードと戦う直前に、彼から助けた少女だ。
縋る様な視線をこちらに向けてくる少女から、エスティルは慌てて顔を背ける。
その際に、別の少女が目に止まった。
自分とさほど年の差の無い、その長い金髪の少女は、無数の下魔達に取り囲まれている。
彼女の周囲には、狼男やリザードマンの様な下魔達が集まっていた。
幸運にも上位の者達からお零れを貰った仲間の相伴に預かろうと、方々から集まってきた下魔達だ。
彼らは少女の二穴、そして口にペニスを突っ込んでピストン運動を繰り返している。
「ぶごぉっ!!んげぇっ!」
もう何度も射精を受けているのだろう…大きく腹を膨らませた彼女は、くぐもった悲鳴を上げていた。
下魔達は順番に交代して彼女を侵している様だが、我慢出来なくなった者達は、彼女に己のペニスを掴ませ奉仕を強要している。
手を上下に動かし、刺激を与えていたペニスがブルブルと震え、その直後彼女の顔に白濁を浴びせかけた。
これだ…自分がどうすればいいか、エスティルは彼女を見て気づく。
『おい…やるなら早くしろよ』
頭上からかけられた言葉に、彼女は慌ててリグヴェードの顔を見上げる。
『…やっぱり止めるか?止めるんだったら自分でオナニーでもやるこった』
「い、いえ!やります!やらせて…ください…」
彼の言葉に首を左右に振ったエスティルは、彼の剛直へと顔を近づける。
そして躊躇いがちに口を開き、その先端を口に含む。
剛直の先端に舌を触れさせると、彼女はゆっくり舌を動かし始める。
太いペニスに両手を添え、上下に動かし刺激を与えていく。
早く…早く快楽が欲しい、自分をもっと責めて欲しい…
これをやりとげれば、彼は先程よりもっと凄い事をしてくれると約束してくれた。
それを想像したエスティルは、ゾクゾクとした震えと高揚感を感じてしまう。
疼く体を必死に抑えながら、彼女はリグヴェードの剛直に奉仕を続ける。
『…悪くない。その調子でやんな』
彼は上機嫌そうにエスティルの頭に手を置き、彼女の頭を撫ぜた。
普段恋人の奉仕に慣れている彼からすれば、少し物足りないのだが…まぁ、初めてとしては上手い方だ。
「ふぁ…ふぁい…が、頑張りまふぅ…」
これで正解だったようだ…上機嫌そうな彼を上目遣いに見て、エスティルは心中で安堵する。
早くご褒美が貰いたい…その一心で、彼女は奉仕を続けていく。
自分に向けて周囲から時々声が聞こえるが…今の彼女にはそんなものを聞いている余裕など無い。
全身が疼く…早く快楽が欲しいと…
「んちゅ…んむぅぅ…ちゅぱ…」
舌を何度もペニスに這わせ、更には口でもペニスを抜くように上下に動かし始めた。
その刺激を受けてだろうか…彼のペニスが心なしか大きくなった様な気がする。
息苦しくなるのも忘れて、エスティルはひたすら彼への奉仕を続けた。
何分奉仕が続いただろうか…エスティルがだんだん我慢出来なくなってきた時…
舐め続けていたペニスの先端から、苦い汁が出てくる。
『さぁて、そろそろ出すぜ。出来るだけ飲みな…飲んだらそれだけ気持ち良くなれるからよ』
頭上からかけられた言葉に、彼女は瞳を輝かせた。
もうすぐ終わる…ご褒美が貰える。
その事実に、彼女は胸の高鳴りを抑えられないでいた…
咥えていたペニスがブルリと震え、その直後射精が始まった。
「んんーーーーーーー!!」
ドブッ、という音と共に、鉄砲水の様に精液がエスティルの口内へと放たれる。
あまりの勢いに、彼女は悲鳴を漏らす。
だが決してペニスから口を離そうとはしない。
彼の言いつけ通り、放たれる精液を出来る限り飲み干そうとしているのだ。
ゴクゴクと喉を動かし、必死に彼女は精液を飲み続けた。
お腹が少し膨れ上がり苦しくなってくるが、それでも彼女は止めない。
やがてエスティルは我慢できなくなってきたが、その前に射精が止まってくれた。
「ぷはっ…けほっ…」
ペニスから口を離した彼女は、少し苦しそうに咳き込む。
『はい、よく出来ました…約束どおり、ご褒美にもっと気持ちイイ事してやるよ』
「あ、ありがとう…ございますぅ…」
満足そうに頷くリグヴェードに、エスティルは頬を紅潮させて返事をする。
口の端から精液を零しながら、彼女は更に疼きの高まった体を自ら抱きしめた。
精液を飲んだ直後から、体が熱くてしょうがない…疼きも先程とは比べ物にならない。
『もう我慢できないってか?この淫乱め』
彼から浴びせられる罵りの言葉にさえ、彼女は震えが高まる錯覚を覚えてしまう…
震えながらこちらを見上げてくるエスティルに笑いかけると、彼はゆっくりと歩き、彼女の背後に回る。
そして彼女の背後から覆い被さり、彼女に四つん這いの体勢をとらせた。
手始めに彼女の長い髪を少し横にやると、そこに隠れていた項に下を這わせる。
「ひゃぁっ!!」
それだけでエスティルはビクリと身を跳ねさせ、気持ち良さげに声を上げた。
続いて彼は胸へと手を伸ばし、乳首の先端を摘み思いっきり引っ張る。
「ふああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
エスティルはまた絶頂を迎えた。
今日だけで、もう数えられない程、彼によって絶頂を迎えさせられている。
愛液が噴き出る秘裂を、彼の尻尾で叩かれた。
「ふにゃぁぁっ!」
エスティルは体を弓なりに反らして叫ぶ。
彼は何度も何度も尻尾で秘裂やクリトリスを叩く。
「あひぃっ!も、もっと…もっと叩いてくださいぃっ!!」
叩かれるのが気持ちよくて堪らない…エスティルはビクビクと体を震わせながら叫ぶ。
彼女のおねだりに応えんと、彼は尻尾で股間や尻を尻尾で叩き続けた。
「ふああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
再び絶頂に達したエスティルが、嬌声を上げた。
彼女は地面に突っ伏し、腰を突き出して絶頂の余韻に震えていた。
しばし自分の股下で突っ伏す彼女を見物していたが、リグヴェードが口を開く。
『さて、そろそろお楽しみといくか』
「お、お楽しみ…?」
彼の言葉に、エスティルは頭を動かして彼の顔を見上げる。
『そうだ、お楽しみだ…今まで以上に気持ちイイ事をしてやるよ』
今まで以上に…その言葉にエスティルはゾクゾクとまた震えた。
今でも頭が真っ白になる程凄く気持ちいいのに…彼はもっと凄い事をしてくれるというのだ…
彼女はリグヴェードに促されるまま、再び四つん這いの体勢を取る。
何をされるのだろう…期待に胸を膨らませ、エスティルは目を閉じていた。
彼女の股間に何かが触れる…それはリグヴェードの股間から伸びるペニスだ。
『いくぜぇ…』
笑いながら告げると、彼はエスティルの秘裂へとペニスを宛がう。
ゆっくりとペニスが挿入されていく。
「ふぁっ…ひああああぁぁぁぁっ!!!」
ズブリと音を立てて押し込まれると、エスティルが大きく身を仰け反らして喘ぐ。
結合部から、彼女が処女を失った証である血が流れ出てくる。
だが今の彼女に、そんな事を理解する事すら出来ない。
今まで以上に激しい快感に、彼女は全身を震わせていた。
リグヴェードは彼女の体を抱え、更にペニスを強引に押し込む。
あまりに太いリグヴェードの剛直は、エスティルの膣大きく拡張して無理矢理進んでいく。
膣内は愛液に塗れているとはいえ、潤滑油にもならない程だ。
当然エスティルは、激しい痛みや苦しみを覚える筈なのだが…
彼の電流による刺激や精液によって、彼女の感覚は狂わされ、今の彼女は快楽しか感じていない。
膣口は裂けんばかりに拡張され、膣壁は激しき傷つけられ血が流れている…
それでも彼女は、頬を紅潮させ喘ぎ声を発し続けていてた。
喘ぐエスティルの下腹部が歪に膨れ上がった…ペニスが子宮口の辺りまで押し込まれたのだ。
子宮口までペニスが到達すると、今度は後退を開始させる。
ゴリゴリとカリが膣壁を擦り傷つけて、ペニスが力任せに引き抜かれていく。
そして膣口付近まで戻ると、再び勢いよく突き込まれた。
激しいピストン運動が開始され、エスティルの体がガクガクと揺さぶられる。
彼女は恍惚の表情でそれを受け入れ、ペニスの動きに合わせ自ら腰を動かしていた。
『フヘヘヘっ!おい見ろよ!?お前らの『英雄』様が大将に突っ込まれてヒィヒィ言ってるぞ!!』
彼らの近くで少女を犯していたタコ型の魔族は、触手で拘束している少女に向けて愉快そうに言う。
だが彼女は何も答えない…答えられる筈が無いのだ。
「んごぉっ!むげぇぇっ!!」
無数の触手が彼女の口内に入り込み、蹂躙を続けている。
二穴にもそれぞれ複数の触手が入り込んで、触手が蠢く度に、少女の腹部は歪に膨れ上がっていた。
「ふあああああぁぁぁっ!やああああああんっ!!!」
猛烈な勢いで繰り返されるピストン運動に、エスティルは何度もイカされ続けていた。
四つん這いの体勢で喘がされ続ける彼女の姿は、まるで交尾をするメス犬の様な有様だ。
彼女が先程まで多くの軍勢を率いていた、力ある魔法少女だと言っても、誰も信じないだろう…
『出すぞ、しっかり受け止めやがれ!』
彼女に覆い被さるようにして腰を動かしていたリグヴェードが、叫ぶと同時に一際奥へとペニスを突きこむ。
「あひゃああああぁぁぁっ!!」
突き込まれたペニスは、子宮口を抉じ開けその更に奥へと進んだ。
子宮壁がペニスによって押し広げられ、エスティルの腹部が歪に膨れ上がった。
そしてその直後射精が始まり、ペニスから猛烈な勢いで放たれる。
「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
絶叫を上げるエスティルの子宮内に、凄まじい量の精液が注ぎ込まれていく。
それはすぐに子宮を満たし、更に拡張していった。
精液によって子宮が押し広げられ、エスティルの腹部が妊婦の様に膨れ上がる。
それでも射精は止まらず、入りきらない精液が、膣とペニスの僅かな隙間を伝って漏れ出ていく。
エスティルはあまりの快感に目を白黒させ、だらしなく口を開き舌を出していた。
結合部から、漏れ出てきた精液が血と混ざり合ってマーブル上になって地面に広がる。
ようやく射精が止まり、リグヴェードはゆっくりとペニスを子宮から引き抜く。
『ふぅ…美味い魔力だぜ。締め付けもいい具合だ』
ペニスを膣口から引き抜いたリグヴェードは、掴んでいたエスティルの胴から手を放し、満足そうに言う。
支えを失ったエスティルは、脱力して地面に突っ伏す。
その際に腹部が圧迫され、栓をしていたペニスを抜かれた膣口から大量の精液が血と共に流れ出る。
「あふぁ…ひぅぅ…ふあぁぁ…」
突っ伏したエスティルは、全身を震わせて声を漏らす。
体に力が入らず、立ち上がる事も出来ない。
それでもまだ、彼女の体は快楽を求め続けていた。
何かを求める様に、彼女は先程から腰を動かしている。
『ハッ…まだ足りないってか?』
そんな彼女を見下ろしていたリグヴェードは、笑いながら彼女の胴を掴み自分の方へと引き寄せた。
「お、お願い…します…もっと…もっと私を…」
『分かってるさ』
自分を見上げ懇願してくるエスティルの頬をベロリと舐めて、彼は笑みを刻む。
彼は彼女の秘裂へとペニスを近づけ、再び行為を再開する。
「あぁっ!は、入ってくるぅぅっ!!」
ペニスが挿入され始めると、彼女は腰をガクガクと震わせて叫ぶ。
だが今回はそれだけでは無かった…リグヴェードの背中から無数の触手が現れる。
「むごぉっ!」
だらしなく開かれていたエスティルの口に、次々と触手が入り込む。
合計4本の触手が入り込み、エスティルの口は大きく開かれる。
更にアナルにも触手が近づく。
「んもおおぉぉぉっ!!」
アナルに触手が入り込み、エスティルが声を上げ体を揺すった。
3つの穴が埋まると、リグヴェードは猛烈な勢いでピストンを開始した。
3穴をペニスと触手で犯されるエスティル…
それだけでは終わらない、触手は更に数を増し、彼女の体に絡み付いていく。
胸に巻き付いた触手は先端の口を開き、乳首に吸い付き激しく吸い立て始めた。
腋や項にも触手が集まり、彼女の敏感な部分を舌で舐め回す。
「んんーーーーっ!!むあああぁぁぁっ!!」
全身を激しく弄ぶ触手達…それがもたらす快感にエスティルは打ち震える。
口内の触手は喉の奥へと侵入し、壁を擦りながら激しく前後運動を行う。
二穴に挿入されたペニスと触手も、交互に前後へと動く。
膣壁と腸壁の間にある肉が触手が蠢く度に、磨り潰されんばかりに圧迫されるが、それすらもエスティルには快感以外の何物でもない。
(す、すごいぃ…!も、もっと…もっと突いてぇぇっ!)
エスティルは心中で叫ぶ。
早く射精をして欲しい…
先程だって意識が一瞬飛んでしまう程の快感だった…それが今度は三箇所同時に行われるのだ。
それを想像しただけで、彼女は絶頂に達してしまいそうな気分である。
彼女の願いに応える様に、リグヴェードは更に激しく腰と触手を動かす。
そしてついにその時が来た…
子宮口を抉じ開けて、再びペニスが子宮内に侵入する。
同時に触手達も、一際奥へと突き進む。
その直後、次々と触手やペニスが射精を開始した。
「んあああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
膨大な精液が注ぎ込まれ、エスティルは絶叫を上げ白目を剥いた。
射精の勢いで口内から触手が飛び出していく。
彼女の体に絡み付いていた触手も次々と射精を開始し、彼女の体を白濁で汚す。
腹が破裂しそうな程に精液が注ぎ込まれたところで、射精が止まった。
エスティルは気絶したらしく、ガックリと項垂れている。
リグヴェードが触手やペニスを引き抜き、彼女を地面に転がす。
栓が抜けると、二穴から大量の精液が流れ出ていく。
アナルからは胃の内容物も混じって流れ出てきていた。
『ふぃー…ちと派手にやりすぎたか』
一息漏らしたリグヴェードの姿が、青白い光に包まれる。
光が収まった後には、軍服を着た魔人族の姿へと彼は戻っていた。
「…その女をザルカヴェイドへ移送しろ、くれぐれも丁重にな」
彼が命令をすると、近くに居た魔族が白濁に塗れたエスティルを抱えて運んでいく。
それを見送りながら、彼は口の端を吊り上げ笑みを浮かべる。
懐から煙草の箱を取り出し、そこから一本引き抜き火をつけた。
煙草の煙を大きく吸い込み、そして少し吐き出す。
反転攻勢はこちらの圧勝で終わった…
敵の主力をほぼ殲滅する事に成功し、敵の要であるエスティルも捕らえる事が出来た。
これでこの南方戦線の情勢は、大きくこちら側に傾くことだろう。
「ククク…ハハハハ…」
堪え切れなくなった様に、リグヴェードは俯き片手で顔を覆う。
「ハァーハハハハハハハッ!!」
多くの屍が転がる平原に、リグヴェードの哄笑が響き渡る。
南方戦線での戦いは、人間側の大敗で終わった…
『円卓』の一人を失った人間側は、いっそう不利な状況へと追い込まれていく…
553 :
マユの人:2011/05/29(日) 18:44:26.85 ID:2AvYV8vb
以上で投下を終了します。
二番手は南方戦線主将リグヴェードです。
相対していたエスティルは、前作最終話で悪堕ちしたマユに敗れたエリシアのお姉ちゃんです。
前作出した3人の円卓に加え、あと一人前線メンバーとして円卓を出します。
今回はかなり趣味に走ってしまい、前作最終話に次ぐ長さとなってしまいました…w
今シリーズで新たに出したキャラの中では、リグヴェードはかなり好きなキャラです。
それではまた、次回の投下にお会いしましょう。
ぐっ、じょぉぉぉぉぶ!
そして今日も人間軍は安定の総崩れ。
もはや様式美である。
このリア獣、彼女持ちのくせして魔法少女にまで手え出すとか
なんて妬まし…節操が無いんだ!
帝国とは新しい勢力が出て来たな
>>517 ダンクーガのように、初回で合体を阻止しようとしたら
「絶対に合体を阻止できない謎のバリアが張られていたので無理でした」
という斜め上の展開も
ロボット物は合体阻止はあるけど
魔法少女の変身阻止はあんまりない気がする
某さやかちゃんくらいじゃないか
変身阻止された上に変身アイテム(本体だけど)捨てられたの
>>553 GJ!
やっぱり濁った声で悲鳴を上げる魔法少女最高
しかし円卓弱ッw
先代魔王を討伐した連中の末裔が魔王の部下にもガチで負けるとは…弱体化著しいにも程がある
アーディッツ「リア獣死になさい!」
陛下が世界支配をやろうとしないのは、いずれ帝国とやらに明け渡す為だったのか
リフのイメージがウェッハな俺はどうしたらいいのか・・・
俺はここだァーーー!の絶叫と共に登場し
ダメージを受ける度に魔法少女とドッキング
凄まじい弾幕を展開するリグヴェードさん
乙でした!
他の子に手を出して大丈夫なのかリア獣よw
次は爺様かルフィリアか、どっちが暴れるのか楽しみ。
ちょと待った。
十二人の内五人が前線組って…役立たずが過半数かよw
>>566 絶対最終防衛ラインとか絶対居るはず、絶対に後は金持ちボンボンや家柄だけの無能なんて事は絶対無い
マユの敵サイドは基本リア充だからな・・・
もっと肉塊系というか、ぬっへほふみたいなヤツがいても
ただしCV:速水奨
>>567 絶対とか言うとフラグが立ってしまうぞ
最後の円卓が満身創痍で「人間界で戦う仲間と同じ極限の戦い」云々言ったら、人間界では陛下やマユに名だたる魔族、魔法少女がトイレットペーパーの無いトイレで「極限だあ…」と男子トイレと女子トイレに分かれ缶詰になるような
意味わかんね
マユの人乙でした!
同人だけどウィルテイム「淫謀にハマる魔法少女」安いし結構良かったよ
妖精キャラが黒幕でヒロインを堕とそうとする構図も中々面白いね
まあ、この作品ではそれを上手く生かしきれてない気もしたからここの職人さんに期待
相も変わらず友軍がエイリアンの巣に乗り込んだ海兵隊みたいに弱いw
いや敵が強すぎるんだよ。
神羅カンパニーも真っ青の戦闘力。
ナツメやユキの続きが見たいお
>>574 超未来のの歩兵魔法少女達と多足虫エイリアンとの星間戦争を描いたスターシップマジカルガールズか
泣き叫びながら魔法を撃ち続ける魔法少女達に向けて、エイリアンどもが仲間の屍踏み越えて迫るとか素敵だ。
松木「こんなの絶対おかしいよ…」
松木「政治家になるって、こういうことだったんだね」
松木「結局私はいったい何が大切で、何を守ろうとしてたのか、なにもかもわけわかんなくなっちゃった」
これでSS1本書けそうだと思ってVIPにスレ立てようとしたら忍法帖リセットで俺涙目ですよ!
クールビズと言い張り年中全裸。社長以下全社員全裸。
重役会議ならび年度初めに限りネクタイと紳士用黒ソックスのみ着用。
捕らわれた魔法少女と被征服地の市民もこれに準ずる服装規定が課せられる。
全裸にニーソ・・・いや、なんでもない。
>>578 エイリアンが魔法少女をエネルギー源に取り込んで陵辱しながら進軍する展開とか思い浮かんだよ
羞恥+人質とか有効的過ぎる
584 :
マユの人:2011/06/04(土) 19:31:25.97 ID:hkHz4C0F
こんばんわ、連投になりますが明日、12話の投下を行います。
スレの残り容量で大丈夫なん?
586 :
マユの人:2011/06/04(土) 20:15:47.88 ID:hkHz4C0F
>>585 前回とさほど変わらない量なので、いけるかと
さて────、そろそろ更新始めますか。
リアルの方が一段落したので。
ご両人、お待ち申しておりました。
pixivでVS魔法少女とかいうの描いてた人退会しちゃった?
見つからん
590 :
マユの人:2011/06/05(日) 14:44:16.71 ID:lMohUHMq
こんにちは、今から12話の投下を行います。
今回は快楽系のシーン、ふたなり描写とレズ描写があります。苦手な方はご注意ください。
――エルメリア北方…城塞都市ヴァーディアへ続く峡谷――
敵の手に陥落した、ヴァーディアを奪還せんと動いたエルメリア北部方面軍…
その軍勢は行軍の最中に、峡谷で敵兵団の奇襲攻撃を受けていた。
峡谷のそこかしこで騎士や魔法使い達と、魔族の部隊が戦いを繰り広げている。
敵の主力は、カメレオンの様な擬態を得意とする魔物や、スライムの様な潜伏能力に長けた魔物ばかりだ。
北方軍集団が独自に編成した奇襲専用の部隊である…
乱戦の只中に、一人の少女が多くの魔物に取り囲まれていた。
「う…くぅぅっ!」
年の頃は15歳くらいか…腰ほどまで届く長い銀髪のリボンで纏めたその少女は、苦しげに顔を歪め声を漏らす。
純白の生地に金の刺繍が入った法衣を纏う彼女の体には、魔物達が伸ばした無数の触手が絡みついている。
少女を取り囲む魔物達は、皆一様に漆黒の体躯にギラギラと血の様に赤い目が光る魔物達だ。
姿形は様々だが、その特長によって魔物達は全て統一されている。
「あぁぁぁっ!!」
締め付けが強められ、少女が苦悶の声を上げた。
圧倒的に多勢に無勢な状況だが…それ以外にも、少女を窮地に追い込む理由がある…
それは少し離れた場所に、取り囲んでいる魔物達と同様の者達に捕らえられた少女達だ。
彼女達を人質とされ、少女は抵抗する事が出来ない。
『フハハハハ…リーファよ、ここが貴様の最期の地となりそうだな』
少女を取り囲む魔物達から少し離れた場所に立つ、灰色のローブを纏った魔族が陰鬱な声を漏らす。
その魔族はフードを被り、その中は黒くて何も見えない…いや、暗い闇がフードを被っているような存在だった。
ローブから延ばされた手も真っ黒で、片手には禍々しい魔力を秘めた金色の杖が握られている。
その魔族の名はグラーズ…魔族北方軍集団でも、主将アーディッツに次ぐ戦闘能力を有する実力者だ。
彼は様々な形状に変化できる存在であり、自らの体を一時的に増殖分離させる事で、自分の駒となる魔物を生み出す事が出来る。
リーファと呼ばれた少女を取り囲む魔物達も、彼が生み出したものだ。
人間側の北部方面軍の動きを察知した主将アーディッツの命を受けた彼は、奇襲部隊と共にリーファ達の軍勢を襲撃。
まず軍列の先頭と最後尾に同時に奇襲を仕掛け、敵軍に揺さぶりをかける。
苛烈な攻勢に苦戦をしている友軍を支援せんと、リーファの守護を務める騎士達が、迎撃の為に数を減らした瞬間…
彼は僅かな手勢と共にリーファへ奇襲を仕掛けたのだ。
配下達にリーファ当人を襲わせている間に、護衛を務めていた少女達を自ら捕らえる。
捨て駒とした配下達がリーファに倒される頃には、グラーズは人質を捕らえ、無数の魔物達を生み出しリーファを包囲していた。
「くっ…ひ、卑怯者…!」
人質を取られ抵抗する事も出来ないリーファは、苦痛に顔を歪めながら声を漏らす。
『フッ…それは我らにとって最高の褒め言葉だよ』
グラーズは彼女の言葉に、上機嫌そうに笑う。
そう…どんな手を使っても勝てばいいのだ、勝利こそが全て。
「リ、リーファ様!」
「私達に構わず戦って…きゃああぁぁっ!!」
『…貴様らは黙っていろ』
捕らえられた少女達が口々に叫ぶが、グラーズの指示と共に、魔物達に皆口を塞がれたり体を締め付けられ黙らされてしまう。
「や、やめなさい!グラーズ…くあぁぁっ!!」
更に締め付けを強められ、リーファが苦悶の声を上げる。
『人間風情が…この私に命令するな』
魔物達にいっそう強く締め上げられ身を捩るリーファに向けて、グラーズは怒気の篭った声で言い放つ。
(そう…いずれ北方軍集団を統べる事になるであろう、この私にな)
彼は心中で呟きを漏らす。
いつまでもアーディッツの下に、彼は居るつもりは無かった。
総司令であるゲリオスを除けば、攻略軍最高幹部に名を連ねる面々は、自分より遥かに若輩の者達だ。
その様な者達が、自分の上の地位に居るなど彼は我慢ならないのである。
(アーディッツめ…この私を指名した事を、後で後悔するがいい)
この作戦を立案し、自分に命を下した北方軍集団の主将アーディッツ…
まずは彼を今の地位から追い落とし、その代わりに自分が主将の座に着く…それが彼の目下の目的だ。
だがそれも、この千載一遇のチャンスを生かせば、容易い事だろう。
アーディッツがこれまで仕留める事の出来なかったリーファ…彼女を捕らえれば、自分の評価は大幅に上がる事になる。
なにせ彼女は人間側の北方方面軍の要であり、12人の『円卓』の一人なのだ。
それだけではない…彼女はエルメリア創生の神と崇められる輝竜レイシェンに仕える巫女である。
彼女は神の代弁者として、人間達の信奉を厚い精神的支柱たる人物だ。
そんな彼女が捕らえられたとすれば、人間達への心理的ダメージは計り知れない。
この手柄をもってすれば、主将への道も必ず開かれるだろう。
「くぅっ…あぁぁ…」
彼の目の前で苦悶の声を漏らすリーファ。
彼女の動きは完全に封じられ、魔法を使う事も出来ない。
守護を務める騎士達は、他の奇襲部隊をもってこの場から引き離している…そしてこちらには人質も居るのだ。
この圧倒的に有利な状況に、グラーズは気を良くしている。
捕らえる前に少し弄んでやろう…彼は心中で笑う。
彼の意思に従い、魔物達が触手の締め付けを少し緩める。
「うぅっ」
リーファは小さく呻き、苦しげに項垂れた。
首に巻きついていた触手が解かれると、青く澄んだ瞳に大粒の涙を浮かべ何度も咳き込む。
咳き込み続ける彼女の胸元に、触手がゆっくりと近づく。
「き、きゃあっ!な、何を!?」
胸元に触手が入り込み、リーファは驚いて声を上げた。
入り込んだ触手は中で蠢き、胸元を肌蹴させる。
肌蹴られた胸元へ更に触手が集まっていく。
あるものはリーファの控えめな胸を、下着越しに責め始める。
「あっ…いやぁ…や、止めて下さい…!」
粘液に塗れた触手が擦り付けられ、リーファはイヤイヤと首を振って声を漏らす。
先端の口が開き、舌を伸ばす触手も存在する。
それらは腋や臍、項などに近づき、ゆっくりと瑞々しい彼女の肌に舌を這わせていく。
「うぅぅっ…あぁぁっ…だ、だめっ…」
体のあちこちに生じる快感に、身を強張らせる。
リーファは頬を紅潮させて逃れ様ともがくが、全身に巻き付く触手は全く動じない。
それどころか抵抗するなとばかりに、再び締め付けを強め始めた。
「うああぁぁぁっ!!」
ギリギリと音を立てて、リーファの華奢な体が締め付けられていく。
痛みと快感がないまぜになって、彼女に襲い掛かる。
更に触手は足元からも侵攻を開始し始めた。
足に粘液塗れの触手が絡みつき、足に粘液を塗りつけていく。
グルグルと巻き付き蠢きながら、触手は股間を目指して侵攻して行く。
『フハハハハ…恐怖しろ、絶望しろ…その負の感情が、私にとって最高のご馳走だ』
苦しみもがくリーファを前に、グラーズは陰鬱な笑いを漏らす。
全身に絡みつく触手の締め付けは、どんどん強まっていく。
強烈な締め付けによって、リーファの意識は遠退いていきつつある。
(あ、あぁぁ…ル、ルイン…!)
薄れゆく意識の中で、彼女は自分の守護騎士の名を呼ぶ。
レイシェンを奉ずる教会を守護する、神聖騎士団随一の騎士と称され、11歳で『円卓』入りした自分を、守護騎士として支え続けてくれた存在だ。
(ごめんなさい…わ、私は…もう…)
今の自分に、この状況を脱する手段は無い…このまま意識が闇に堕ちれば、自分は魔族に捕らえられてしまう…
リーファが諦めかけたその時…
彼女の体に触手を絡みつかせていた魔物達が、突然放たれた光の矢に貫かれていく。
貫かれた魔物達は形を維持できなくなり、元の黒い靄へと形を崩す。
『な、何事だっ!?』
突然の事態に、グラーズは驚愕の声をあげ、光の矢が放たれた方角を見上げる。
だがそこには誰も居ない…光の矢を放った主は、崖の上からリーファ達の頭上へと跳躍していた。
絡み付いていた触手の大半が消滅し、支えを失いグラリとよろめくリーファ。
手空きの魔物が彼女を再び捕まえようと動くが、魔物達は目的を果たす事は出来なかった…
リーファの側に何者かが降り立つと同時に、周囲の魔物達は次々と切り伏せられ、矢で貫かれた者同様形を崩壊させる。
魔物達を切り伏せた主…それは、白銀の鎧を纏う人間の騎士だった…炎の様に赤い瞳には、力強い意思が感じられた。
短めの金髪を風に靡かせるその青年騎士は、地面に崩れ落ちそうになったリーファを優しく受け止める。
彼が行使した魔法で風が吹き荒れ、周囲に漂い再形成しかけていた靄を一掃していく。
「ル、ルイン…」
「申し訳ありませんリーファ様…敵の策にかかりお側を離れてしまい、御身を危険に晒してしまった事、お許しください」
自分の顔を見つめる彼女に、騎士ルインは申し訳無さそうに頭を下げる。
敵の策にはまった自らを責める様に、目を閉じ俯くルイン。
「そんな事…こうして、助けに来てくれたじゃないですか」
リーファは右手を伸ばし、俯く彼の頬にそっと手を触れさせる。
顔を上げる彼に向けて、リーファは出来る限りの微笑を浮かべ口を開く。
「ありがとうルイン…我が騎士よ。よくぞ戻ってくれました」
「勿体無き御言葉です…」
優しい微笑を浮かべる主に対し、ルインはまた頭を下げる。
彼はグラーズの方へと視線を向け、彼を射抜かんばかりに睨み付けた。
「グラーズ…我が主を傷つけた罪、許しはしない!」
『ほ、ほざけ!こちらにはまだ人質が!!』
グラーズは人質を捕らえている魔物達に指令を送るが、魔物達から反応が無い。
慌てて振り返ると、背後にも数名の騎士が居り、少女達を捕らえていた魔物を全て無力化していた。
『な、何だと!?』
「…私ばかりに注意を向けすぎたな」
驚きに体を震わせているグラーズに向けて、ルインが言い放つ。
「彼女達を早く安全な場所へ!」
ルインの指示に騎士達は頷き、少女達を伴ってその場を離れていく。
彼らが離脱していくのを確認すると、ルインは腕の中に居る主へと顔を向ける。
「歩けますか?リーファ様」
「え、えぇ…もう大丈夫です」
自分を気遣ってくれるルインに、リーファはにっこりと微笑む。
「リーファ様もこの場をお離れください…あの者は私が」
リーファにもこの場を離れるように促すが…彼女は首を横に振る。
彼女はルインの腕から離れると、乱れた服を整えてグラーズを見据えた。
「私も戦います…!あの者相手は貴方といえど、一人では危険です」
「…分かりました」
彼女の瞳から、強い決意を感じ取ったルインは頷き、彼女を守るように前に立ち剣を構える。
『き、貴様ら…許さんぞ!!』
怒りに震えるグラーズの周囲には、次々と魔物達が生み出されていく。
彼はその能力限界ギリギリまで魔物達を生み出し、リーファ達を数で追い詰めていく気だ。
「あの者の外法に対するには、あの子に手伝ってもらいます…ルイン、しばし時を稼いでください」
「承知しました!」
リーファは目を閉じて祈るように両手を組む。
彼女の体が淡い光に包まれ、足元には複雑な模様の魔方陣が描かれていく。
「…ここから先は一歩も通さん!」
リーファの前に立つルインが、手にする長剣を横に一閃する。
その直後、リーファの周りが光の膜に包まれる…ルインが張り巡らした結界だ。
『ハッ!この物量差を前に、貴様一人に何が出来る!!圧殺せよ!!』
グラーズの号令と共に、魔物達が雪崩の様にルインへと襲い掛かっていく。
魔物達が次々と伸ばす触手を、ルインが跳躍して回避する。
「はあっ!!」
彼の頭上に跳んだルインが、気合の声と共に魔力を纏った剣を一閃し、衝撃波を放つ。
衝撃波が魔物の群れに着弾し、吹き飛ばされた魔物達が形を崩壊させた。
蹴散らされ群れの中に空いた穴に、ルインが着地する。
魔物達が彼に反応するよりも早く、魔物達が剣によって切り裂かれていく。
次々と魔物は倒されるが、それを踏み越えて更に押し寄せてくる。
更に周囲に靄となって霧散した者達も、再生を始めていた。
ルインは左手に魔力で生み出した盾を構え、体液や電撃を防ぎながら群れから距離を取る。
『クソッ!騎士一人に何を手こずっているのだ!!』
グラーズは魔物達に苛立ちの声をぶつける。
だが彼も何もせずこの状況を見ている訳では無い…
靄となった魔物達を操作し、ルインの背後に再形成して出現させた。
「っ…」
ルインは背後に現れた集団へと視線を向ける。
その間にも魔物達を移動させたり新たに生み出すなどして、グラーズはルインへの包囲網を敷いていく。
『フハハハハ…騎士風情が一人でこの私に挑むなど、片腹痛いわ…』
包囲網を完成させたグラーズは、その中心に立つルインへと陰鬱な笑いと共に言い放つ。
自分と相対することは、小規模なものだが軍隊相手に単騎で戦うに等しい。
そしてこちらは魔力の続く限り兵を再生させる事も出来る…端から勝負など見えていたのだ。
彼の号令一つで、魔物達は一斉にルインへと襲いかかる。
ルインばかりに注意を向けていたグラーズは気づかない…跪き祈りを捧げるリーファの魔力が高まっている事を…
『貴様はあの小娘の目の前で八つ裂きにしてやる…楽に死ねると思うな!』
「…それは出来そうに無いな…こちらも十分に時を稼げた」
勝ち誇ったように笑うグラーズに、ルインは自分の後方に居るリーファへと視線を向けながら言う。
神秘的な輝きに包まれる彼女は、ルインの視線に気づき頷く。
『なっ…貴様、何をするつもりだ!?』
ようやくリーファの動きに気づいたグラーズが、狼狽し声を上げる。
「輝竜レイシェンの御使い…金色の翼持つ光竜…我が呼びかけに応えて…」
金色の光纏うリーファが、ゆっくりと目を開き立ち上がる。
彼女の言葉に呼応するように、足元の魔方陣が輝きを増す。
グラーズの生み出した魔物達が、彼女に向けて攻撃を行うが、全てルインの結界によって阻まれる。
「来て!マイクス!!」
リーファの力強い言葉と共に、目も眩む様な閃光が辺りに放たれた。
『ぐ、ぐおぉっ!』
その輝きに圧倒されグラーズが怯み、必死に腕で顔を庇っている。
リーファの近くに居た魔物達など、放たれる魔力によって形を保てなくなり崩壊していた。
光が収まった後、リーファの居た場所には、大きな竜が出現している。
体長は10m程か…全身は金色に輝き、眼はエメラルドの様な輝きを宿している。
鳥の様な羽のある翼を持つその竜の背に、リーファが立っていた。
かの竜の名はマイクス…エルメリア創生の神レイシェンの御使いと呼ばれる竜であり、リーファによって召還されたのだ。
『ウオオオオオォォォォォッ!!』
マイクスが大地を震わせる様な雄叫びを放ち、ルインを包囲していた魔物達の動きが止まる。
「ルイン!」
リーファの呼びかけに頷き、ルインは崩れた包囲の輪を抜けて駆けていく。
跳躍したルインが背に降り立ち、リーファと共に背にある鞍に跨ると、金竜は大きく翼を広げ飛び立つ。
『くそっ!!撃て!撃ち落せっ!!』
グラーズの周囲に次々と光球が生み出され、マイクス達に向けて放たれる。
黒い魔物達も次々と、ブレスや電撃を放つ。
それらを回避しつつ上昇したマイクスは、旋回した後高度を下げていく。
『ガアアァッ!!』
短い咆哮と共に、金竜の口からブレスが放たれる。
放たれた白い炎に呑み込まれ、魔物達が形を崩壊させていく。
炎は凄まじい勢いで広がり、瞬く間に魔物達の3割程が炎に包まれた。
『おのれぇっ!だがこの程度で亡者どもは滅びぬ!!』
手駒の多くを潰されグラーズは激昂するが、すぐさま魔物達を再生させようと力を行使する。
本来ならば力を受けた靄は、再び魔物の形を形成する…だが魔物達は再生しない。
いや…再生できないのだ…魔物達を焼き尽くす白い炎の勢いは衰えず、むしろ激しさを増して他の魔物にも襲い掛かっていた。
『な、なん…だと…?』
愕然とした様子で声を漏らすグラーズ。
その間にも、再び降下したマイクスがブレスを放ち魔物達を焼き尽くしていく。
「マイクスの聖なる炎は、悪しき者を焼き尽くすまで消えはしません!」
マイクスの背に乗るリーファが、眼下に見えるグラーズへ言い放つ。
「グラーズ…貴様に殺された多くの同胞の無念、ここで晴らさせてもらう!!」
剣を手にしたルインが、金竜の背に立ち力強く叫ぶ。
剣を持つ彼の手に、リーファが両手を伸ばしそっと手を添えた。
「神よ…我が騎士に力を…」
祈るように目を閉じ、言葉を紡ぐリーファ。
それに呼応するように、淡い光がルインの全身を包んでいく。
リーファが行使したのは、強化系の魔法だ。
ルインは体中に、力が溢れてくるのを感じ取る。
「ありがとうございます、リーファ様」
手を放したリーファに優しく微笑むと、ルインは向き直り眼下に居るグラーズを見据えた。
そして金竜の背から跳び、剣を構えグラーズへ向けて跳躍する。
『舐めるなぁぁッ!!!』
グラーズが絶叫と共に無数の触手を伸ばし、彼に向けて攻撃を仕掛けた。
彼の周囲に立つ魔物達も、次々と触手を振るう。
だが触手は、ルインの体に触れる前に目に見えぬ壁に阻まれ、全てあらぬ方向へと弾かれた。
「グラーズ、覚悟ぉぉぉぉっ!!!」
裂帛の叫びと共に、グラーズに向けてルインは剣を突き出す。
鋭いその一撃は、阻もうとした触手を容易く切り裂き、グラーズの腹部へと突き刺さる。
『ゴガァッ!!?』
光り輝く剣に腹部を深々と貫かれ、グラーズは絶叫を上げた。
剣は根元まで突き刺さり、ローブを引き裂いてグラーズの背から突き出ている。
「滅びろ!魔族っ!!!」
ルインは叫びと同時に、グラーズの体内へと己の魔力を叩き込む。
グラーズの体から伸びた触手が、その魔力の衝撃に耐え切れず、次々と吹き飛ぶ。
叩き込まれる魔力に、グラーズの力が圧倒的に競り負けている…
限界ギリギリまで魔物達を生み出した事によって、ルインの魔力に抗うほどの力がグラーズに残っていないのだ。
『バ、バカな…こ、この私がああああぁぁぁぁぁっ!!!』
断末魔の声を上げるグラーズの体が、内部から溢れ出す光によって貫かれ掻き消されていく。
光が収まった後には、彼の体は完全に消滅し、彼の手にしていた金色の杖もボロボロと崩れ去った。
彼が生み出した魔物達も、本体のである彼の消滅により、全て形を失い消え去っていく。
ルインは手にした剣を振るい、剣に纏わりついていたグラーズの残滓を払う。
剣を鞘へと納めるルインの前で、僅かに残っていたその残滓も音も無く消滅していった。
「ルイン!やりましたね!」
地上に降り立ったマイクスの背から降りたリーファが、ルインの元へと駆け寄る。
振り向いた彼に、リーファは嬉しそうに飛びつく。
だが彼に抱きとめられた後に、彼女は何かを思い出した様に慌てて周囲を見回す。
「…ここには我々以外誰も居ませんよ。なぁ、マイクス」
自分の腕の中でオドオドとした様子のリーファに、ルインは優しく微笑む。
ルインの言葉を肯定する様に、地面に座り込んだ金竜もぐぉんと一声無く。
「そ、そうですか…わ、私とした事が…すみません…」
恥かしそうに頬を赤らめ、リーファはルインの腕の中から離れる。
信者や兵達の前では気丈に振舞うが、リーファは15歳の少女なのだ。
ルインと二人きりの時は、歳相応の少女で居られる数少ない時なのである。
二人が離れて暫くすると、グラーズを倒した際の閃光や、彼の生み出していた魔物達が消えた事に気づいた兵達が、リーファ達の下へとやってきた。
「うおおぉぉっ!リーファ様達があのグラーズを撃破されたぞ!!」
「さすがはルイン様!!」
「やったー!」
騎士達が拳や剣を突き上げ、少女達が嬉しそうに声を上げる。
グラーズはその固有能力によって、単独で部隊規模の戦闘能力を誇る、魔族北方軍集団でも指折りの実力者だったのだ。
それが打ち倒された事に、兵達は皆喜びはしゃいでいた。
そんな兵達を見て、リーファとルインも顔を見合わせて笑顔を浮かべる。
「マイクス、貴方もご苦労様」
リーファは近くで座り込んでいる金竜の元に行き、顔を近づけてきた彼の頭を優しく撫でた。
大好きな友人に頭を撫でられ、彼は上機嫌そうに喉を鳴らす。
勝利に沸き上がる場に、一人の少女が転移魔法を使い現れる。
「…リーファ様、ファルティアからの急使が参りました」
部下から報告を受けたルインが、リーファへ使者が来た事を告げた。
先程転移してきた少女は、首都ファルティアからの使者だ。
「ファルティアから…?なんでしょう…」
リーファは首を傾げながら、使者を通すように指示をする。
――数時間後、エルメリア首都ファルティア――
ファルティア…そこは様々な部族と妖精達で連邦国家を形成するエルメリアの首都である都市だ。
魔族達が首都とするザルカヴェイドからは、遥かに東へ離れた地に存在する。
その都市の中心にある白亜の宮殿…その一角の回廊を、リーファはルインを伴って歩いていた。
「まさか…エスティルさんが敗北するなんて…」
沈痛な面持ちで歩くリーファは、信じられないと声を震わせる。
リーファの元に来た急使から伝えられた内容は、衝撃的な内容だった。
南部方面で魔族との戦いを指揮していた、自分と同じ『円卓』の一員『青の舞踏姫』エスティルが敗北したというのだ。
エスティルは南部のヴェンディス平原で、魔族南方軍集団を統括するリグヴェードと戦い敗北し、囚われの身となる。
魔族側も体勢を立て直すべく行軍を止めている状況だが、こちら側の南部方面軍は大きな打撃を被った。
リーファ達は城塞都市ヴァーディアの奪還作戦を中止して、このファルティアへと戻ってきたのだ。
目的の部屋の前に辿り着くと、リーファは扉を開き中へと入る。
「戻ったか、リーファ…」
部屋に入った二人を迎えたのは、19歳くらいの赤髪の女性だ。
白いローブの上に、赤で統一された軽装の鎧を身に付けていた。
燃える様な赤い髪を、背中の半ば辺りまで伸ばし、項の辺りから三つ編みにして纏めている。
彼女の名はコーネリア…『円卓』の一員で『紅蓮の将』の二つ名で呼ばれている人物だ。
リーファにとっては、幼い頃から姉の様に慕っている女性だ。
「コゥ姉様…急使の報告は本当なのですか!?」
「ああ…私も戦地から報告を受けて戻ってきたところだが、確かな情報だ…先日の戦いで捕らえられたエスティルは、ザルカヴェイドに移送されている」
「そ、そんな…」
コーネリアの言葉に、リーファは愕然としてフラフラとよろめく。
「リーファ様、お気を確かに!」
床に崩れ落ちそうになる彼女を、隣に居たルインが支える。
「ごめんさない…ごめんなさい…わ、私…私にもっと力があれば…」
コーネリアの側にあるテーブルの上には、銀髪の妖精…ルミアが座り込んでいた。
彼女は俯いたまま、うわ言の様に何度も何度も謝罪の言葉を繰り返し涙を零している。
エスティルと共にリグヴェードに挑み敗北した彼女は、友であるエスティルの手によって、このファルティアへと転送され捕らえられなかったのだ。
「ルミア…自分を責めるな…」
「でも、でもぉ…」
コーネリアは彼女を落ち着かせようと声をかけるが、彼女は泣きじゃくるばかりだ。
「リミュエル姉様と議長は…?」
「議長は老人どもの相手をなさっている…リミュエルも連絡を受けて、駐留していた都市ガナンから、こちらに戻る手筈になっているのだが…」
リミュエルと議長と呼ばれる人物…二人はコーネリア達と同じく『円卓』のメンバーだ。
コーネリア達と捕らえられたエスティル…そしてリミュエル達を含め全員で5人のメンバーが、前線で魔族と戦いを指揮していた。
もっとも議長は頻繁にファルティアに戻り、残るメンバーとの折衝を行っていたので、実質的には4人だ。
リーファは北部方面、エスティルは南部方面…そしてコーネリアとリミュエルが、中央戦線を担当している。
「リミュエルには何度か連絡を行っているのだが…全く繋がらない…嫌な予感がする」
椅子に座ったコーネリアは、俯いて溜息を漏らす。
本来ならばもう着いている筈なのに、未だリミュエルからは何も音沙汰が無いのだ。
もしかすると彼女は、捕らえられたエスティルの奪還しようと、勝手な行動を始めようとしているのでは…そうコーネリアは考えていた。
「早まるなよ…リミュエル」
震える拳を握り締めて、コーネリアは声を絞り出すように言った。
エルメリアで繰り広げられている人間や妖精達と魔族との戦いは、ここ中央戦線でも新たな局面に入りつつあった。
北方軍集団は城塞都市ヴァーディアを攻め落とし、南方軍集団はヴェンディス平原で敵の主力に勝利する。
ヴェンディスでの戦いから一日…中央軍集団も大規模な部隊を編成し、大都市ガナンの攻略を開始していた。
『グオオオオォォォォッ!!』
咆哮をあげる20m程の体躯の赤竜が、城壁に向けて熱線を放つ。
周囲には大きな亀型の造魔の群れが並び、背中に背負った砲を次々と発射していく。
既に何度も砲撃を受けているのだろう…城壁は至る所が被弾し、今にも崩れそうになっている。
一番脆いと思われる部分を見つけた赤竜が、猛烈な勢いで突進し、城壁へと体当たりを行う。
衝撃で大きく揺れ、城壁に亀裂が走る。
赤竜は何度も何度も体当たりを繰り返し、亀裂を広げていく。
何度目かの体当たりで、ついに城壁の一角が崩壊する。
轟音と共に城壁が崩れ、勢い余って都市内に突っ込んだ赤竜が、近くの民家を粉砕した。
「城壁が破れたぞ!!先行部隊突入を開始!包囲部隊はそのまま門を固めろ!一人たりとも逃がすな!!」
指揮を取っていた魔人族の男の号令と共に、次々と部隊が都市内部に雪崩れ込んでいく。
先陣を切るのは、量産型ガイレブの群だ。
城壁の瓦礫を踏み越えて、都市内へと次々と侵入していく。
迎撃に出てきた兵士達の放つ魔法をバリアで防ぎながら、体当たりで吹き飛ばしたり、魔力弾を放って攻撃する。
城壁を切り崩した赤竜は、内側からも城壁を破壊し、別の穴を作り始めていた。
圧倒的な物量を誇る魔族達を前に、都市の防衛部隊は敵の足を僅かに止めるのがやっとだ。
「ククク…今まで好き放題やってくれた礼を、たっぷりとしてやるわ」
後方の陣地でその光景を見ていた、法衣を纏った黒い三つ首の蛇、ゲリオスは笑みを浮かべながら言い放つ。
このガナンは、人間側における攻勢拠点の一つだった。
ここを拠点とする軍に、ゲリオス率いる中央軍集団は、何度も防戦を強いられていた。
だが一週間前に到着した増援部隊によって、状況は一変する。
数を増した中央軍集団は、ガナンからの攻撃部隊を殲滅し、続け様にこのガナンへの攻撃を開始していた。
城壁を切り崩し、雪崩れ込んだ部隊は街の奥へと侵攻していく。
「報告ではリミュエルは、ヴェンディスでの一件で中央に召集を受け、この地に居ないそうです…」
「そうか…相変わらず、連中の情報はだだ漏れだな」
傍らに立つ副官の青年の言葉に、ゲリオスは小さく笑いを漏らす。
本来この地で指揮を執っている『円卓』の一人…『裂光の射手』リミュエルは、現在首都からの召集でこの地を離れているらしいのだ。
圧倒的な火力と広範囲攻撃魔法を得意とする彼女は、ゲリオスにとって悩みの種の一つだったのだ。
その彼女が居ないガナンなど、今の中央軍集団の前には障害にならない。
「フフフ…リグヴェードも良い仕事をしてくれおる」
リミュエルがこの地を離れる原因となった、ヴェンディス平原で敗北…それは人間側に大きな混乱をもたらしている。
市街地を蹂躙していく自軍をモニター越しに眺め、ゲリオスは愉快そうに声を漏らす。
「さて、我々もそろそろ行くとしよう」
「はっ…了解しました」
椅子から立ち上がったゲリオスの言葉に、副官の青年が恭しく一礼する。
陣地より各部隊へ指令が放たれ、後続部隊が都市に向けて進撃を開始した。
都市部への魔族の突入から数時間…魔族側はガナンの7割を制圧していた。
「う、うわあぁぁぁっ!!」
「助けて!助けてぇぇっ!!」
逃げ惑う市民の声が、街中で聞こえている。
機獣や下魔達が、次々と市民を捕らえていた。
「く、くぅ…な、何て数なの…」
幼い二人の少女を守る、長い黒髪の魔法少女が、周囲を取り囲む機獣や下魔達を前に呻く。
身に纏う白を基調としたコスチュームはあちこち破け、白い肌からは血が滲み出ている。
「あ、あぁぁ…」
「怖いよぉ…お、お姉ちゃん…」
幼い姉妹は、恐怖のあまり座り込んだまま身を寄せ合って震えている。
機獣達の背後から指揮官と思われる、鬼の様な姿をした魔族が現れた。
『へへっ…ガキども庇いながら、よくやったよてめえは…だがそれもここまでだ!』
少女を嘲笑いながら、魔族は片手を上げる。
その合図に従い、ガイレブ達が一斉に銃口を開く。
(もう…ダメ…!)
観念した様に、黒髪の少女が目を閉じた時…
「でやああああぁぁぁぁぁっ!!!」
突如聞こえて来た声と共に、宙を舞う一人の少女の姿が、空を見上げた幼い姉妹の目に入る。
凄まじいスピードで落下する少女が、機獣の一体にキックを叩き込む。
少女のキックを喰らった機獣は、ギュルギュルと回転し、パーツを撒き散らしながら吹っ飛ぶ。
着地した少女の年頃は14歳くらいか…ショートヘアーの青い髪に、同じく青い瞳は力強い輝きを宿している。
少女の小柄な肢体は、白を基調とし青のアクセントの入ったジャケットと青いミニスカートに包まれていた。
スカートの下には、黒いスパッツが履かれ、機動性を重視した様なコスチュームだった。
身につけている白いブーツやグローブには、青いクリスタルが付いていて、力強い輝きを放っている。
『な、なんだぁっ!?』
突然の乱入者に、魔族が狼狽した声を上げる。
「たあぁぁっ!!はぁっ!!でえぇぇいっ!!」
混乱している機獣や下魔を、少女が次々と殴り飛ばしていく。
強力な魔力を纏った拳や蹴りの前に下魔達はおろか、物理耐性に優れる機獣までも吹き飛ばされている。
『ち、ちいいぃぃぃっ!!後退だ!一旦後退しろ!!』
魔族の声と共に、機獣達が次々とスモークを展開した。
「くっ!?」
周囲を包む煙幕に、少女は顔を腕で庇いながら呻く。
魔族達の動きは素早かった。
煙幕で少女の動きが止まっている間に、速やかに後退していく。
煙幕が止んだ頃には、周囲には一体も魔族は存在していなかった。
「っ…逃げ足の速い連中だなぁ…大丈夫?」
魔族達が逃げたと思われる方向を見ていた少女は、黒髪の魔法少女の方に向き直ると彼に言葉をかける。
「あ、貴方は…フィリオ様!ど、どうしてここに!?」
突然の事に呆然としていた黒髪の少女は、彼女の名を思い出して声を上げた。
「どうしてって…救援に来たに決まってるよ!」
フィリオと呼ばれた少女は、ニッコリと人懐こそうな笑顔を浮かべると、黒髪の少女の後ろで怯えていた少女達の前にしゃがみ込む。
身を寄せ合って怯えていた二人の頭を優しく撫でると、彼女は笑顔のまま口を開く。
「もう大丈夫だよ。私達が助けに来たからね」
私達…その言葉を聞いて、黒髪の少女は彼女が来た方角を見る。
その方角…都市の南門から、騎士や兵士達が次々と入って来ていた。
「急げ!一人でも多くの市民を助けるんだ!」
騎士の一人が周りの兵士達に号令を放つ。
「大丈夫ですか?しっかりして下さい!」
魔法使いの少女が、近くに倒れていた傷だらけの兵士に、治療魔法をかけている。
「さぁ、早くこっちへ!包囲が破られている間に脱出を!」
若い女性の魔法戦士が、市民達を街の外へと誘導していた。
彼ら近隣の都市から派遣された救援部隊は、都市の南側を封鎖していた魔族の部隊を蹴散らし、安全な脱出経路を確保しているのだ。
「立てる?」
「は、はい…ありがとうございます…」
フィリオの言葉に頷いて、姉の方が立ち上がって、座り込んでいた妹も立ち上がらせる。
「ここはボク達に任せて、早く安全な所にこの子達を連れて行って!」
「わ、分かりました!」
黒髪の少女は頷いて、幼い少女達を促して南門の方へと向かっていく。
彼女達と入れ違いで、金髪の少女がフィリオの元へと駆けてくる。
「フ、フィリオちゃん…一人で先走っちゃ危ないよ…」
息を切らせながら駆けて来た、碧の宝玉のついた長いロッドを手にした少女は、顔を顰めながらフィリオに告げた。
少女の年頃も、フィリオと同じく14歳ぐらいで、美しい金髪を三つ編みのおさげにしている。
エメラルドの様な綺麗な瞳に、野暮ったい大きな眼鏡をかけていた。
体は純白のローブに包まれていて、活動的なフィリオとは、真逆の印象を受ける少女だ。
彼女の名はツキナ、フィリオとは幼い頃から一緒に過ごしていた親友である。
「そんな事言ったってさツキナ…ボクが突っ込まなきゃ、あの子達どうなってたか分かんないんだよ?」
「それは…そうだけど…でも、フィリオちゃんに何かあったら…」
少し頬を膨らませながら言うフィリオに、ツキナはオドオドした様子で、俯きながら答えた。
「はぁ…分かった。気を付けるから泣かないでよ…今度は無茶な事しないからさ」
俯いていたツキナが瞳を潤ませていた事に気付いたフィリオは、ポリポリと頭を掻きながら言う。
「う、うん…分かった…」
「よし!それじゃもう少し進んで、逃げ遅れてる人が居ないか探そう!ツキナ、サポート宜しくね!」
笑顔を浮かべたツキナに、フィリオは気合いを入れる様にガッツポーズをして告げる。
「分かった!任せてフィリオちゃん!」
彼女に応える様に、ツキナも大きな声で頷く。
二人は共に駆けだし、市街地の奥へと入っていった。
「閣下、敵の増援部隊です。南側の包囲が破られました」
「ふむ…思ったより早いな」
市街地の北側に展開された魔族の陣営、モニターに映される映像を見ながら、ゲリオスは副官と言葉を交わす。
ガイレブから送信される各所の映像を眺めていたゲリオスの目に、ある映像に映った二人の少女が止まる。
「あれは…フィリオとツキナ…あやつらが動いたのか」
「厄介ですね。並みの兵では歯が立ちそうにありません…いかが致しましょう?閣下」
副官の言葉に、ゲリオスはしばし目を閉じて思案する様な素振りを見せていた。
「戦況はどうだい?爺さん」
不意に背後からかけられた声に、二人はそちらの方を振り向く。
そこには、黒い軍服を着崩したリグヴェードが立っていた。
ヴェンディスでの一戦に勝利した彼は、幕僚達に軍の再編を任せ、このガナンに赴いてきたのだ。
「リグヴェードか…ヴェンディスでの一件、ご苦労だった…お前の働きで連中にかなり動揺が見られる」
「…爺さんにお褒めの言葉を貰うたぁ…明日は大雨かな?」
思いもかけぬゲリオスからの労いの言葉に、リグヴェードは冗談交じりに笑う。
「何を馬鹿な事を…私はお前を高く評価しているよ。アーディッツより余程良い働きをする…素行は褒められたものではないがな。
お前ときたら所構わず、ルフィリアに行為を働きおって、少しは場を考えろ」
「そりゃ悪かったね。だがアイツもまんざらじゃないんだからいいだろ?」
「そうなる程に、お前があの娘を弄んだからだろう…」
憮然とした様子でゲリオスは語るが、それ以上は言葉を続けなかった。今は戦の最中なのだから…
「へぇ、ありゃ北方方面に居たフィリオとツキナじゃねーか…相変わらず出鱈目な戦い方しやがるな、フィリオの奴。ガイレブを素手で破壊するか?」
フィリオに拳を叩き込まれ、吹っ飛ぶガイレブの映像を見ながら、リグヴェードは苦笑を漏らす。
「アイツらの実力なら、『円卓』の地位についても問題ないだろうに…ガキだから地位を譲らないのかねぇ」
「いいや…あやつらより幼い歳で、一部の者は地位を親から継いでいる…あやつらが末端の分家の出だから、
現当主が何かと理由を付けて譲らんだけさ…全く愚かな事だ。こちらにとっては好都合だがな」
ゲリオスとリグヴェードは言葉を交わしながら、映像に移る二人を見て嘲る様に笑う。
『円卓』のメンバーとなる各家の当主には、高い魔法の才が求められている。
魔族達がいずれこの世界に戻ってくる事を予想していた、初代『円卓』のメンバーが取り決めたのだ。
だが現在のメンバーの約半数は、年老いて魔力が衰えている者達である。
フィリオとツキナは、それぞれ別の家系の『円卓』の血筋だ。
彼女達は一族の中でも屈指の力を有している…他家からは彼女達がそれぞれの当主に就くべきという声がある。
だが傍流の出だというだけで、現当主達は中々二人に地位を譲ろうとはしないのだ。
それどころか、まるで中央から遠ざける様に二人を戦場に送りだしている。
「さて、リグヴェード…お前ならあの二人どう料理する?」
「そうだなぁ…まずは今食いついてる隊を後退させて、アイツらを釣り上げる…腕は立つが所詮ガキだ、あっさり釣れるだろう。
んで、こちらの領域に引き込んでから機動力のある部隊で退路を潰して、後は数に物を言わせて圧殺ってところか…
部下の消耗をさらに減らすなら、俺自身が出向いて潰すね…何ならあの二人、俺が潰そうか?」
ゲリオスの問いに、リグヴェードは顎に手を当てながら思案し、浮かんだ案を彼に告げる。
「やはりその辺りが定石じゃろうな…いや、その必要は無い…お前はここで観戦でもしておれ、私自らが出る…
指定のポイントまであやつらを誘導しろ…然る後、結界を張ると同時に部隊を展開、退路を封鎖せよ…後の指揮は任せる」
リグヴェードの提案に首を振ると、ゲリオスは立ち上がり副官に告げた。
「了解しました、お気を付け下さい」
副官の青年は深々と一礼して、彼に答える。
副官とリグヴェードに見送られながら、ゲリオスは陣を出て行った。
「このぉ…!何処まで逃げるのよアイツら!」
後退しながら射撃を繰り返してくる機獣の攻撃を、グローブについたクリスタルから発するバリアで防ぎながら、フィリオが叫ぶ。
先程から敵は、散発的な攻撃を繰り返しながら、後退していくばかりである。
ガイレブ達は路地をかなりの速度で走っていく。
攻撃を防ぎながら追い続けるフィリオ達は、着いて行くのがやっとという状態だ。
「フ、フィリオちゃん…さ、先走っちゃ危ないよ!みんなを待った方が…」
「そんな事言ってたら、捕まえられたあの子達が連れてかれちゃうじゃない!!」
少し遅れて追いかけてくるツキナの言葉に、フィリオは苛立ちを隠さず叫ぶ。
後退するガイレブ達の背には、幼い子供達がワイヤーで身体を拘束されている。
あの子供達を見過ごす事など、フィリオには絶対に出来ない。
延々と追跡を繰り返しているフィリオ達は、市街の中心部にまで移動してきていた。
中央に噴水がある広場で、ガイレブ達がスモークを展開しながら、四方の路地に分散して逃げ込んでいく。
「っ!…くっそぉっ!!」
二人がスモークで足止めをくらっている間に、バラバラに散ってしまったガイレブ達は、追跡が難しい距離に逃げ込んでしまった。
フィリオは悔しそうに顔を顰めて、拳を近くの壁に叩き付けた。
「……これはっ!?フィリオちゃん!結界が張られた!」
同様に悔しそうな表情を浮かべていたツキナは、周囲の魔力の流れを察知して声を上げる。
この広場に、敵によって結界が展開されてしまった。
彼女達はここに閉じ込められたのだ。
「ふむ…ああもあからさまな餌に食いつくとは…幾ら力は強いといえど、所詮は子供か」
唐突に聞こえてきた声に、二人は正面を向く。
彼女達の視線の先に、法衣を纏った三つ首の黒い蛇が現れる。
「ゲ、ゲリオス…」
「わ、私達…罠に嵌っちゃったんだ…」
フィリオがその蛇の名を呼び、彼の言葉で自分達が罠に陥れられた事をツキナは理解した。
「前線に出ている『円卓』の者達なら、この様な手にはひっかからんだろう…守り導いてくれる者達がいるからな」
呆然とした様子の二人の表情を愉しみながら、ゲリオスは言葉を続ける。
「お前達にはその様な者が居ない…お前達には同情するよ。お前達の一族の当主は、お前達を疎み捨て駒の様に扱う…
頼れる者が居ないから、二人で身を寄せ合う様に居る事しか出来ない。だからこの程度の罠にも簡単に引っ掛かってしまう…」
「くっ!…黙れぇっ!!!」
震えながら拳を握りしめていたフィリオが、彼の声を遮る様に力の限り叫ぶ。
彼の言う事は事実なのだ…フィリオ達の一族の当主は、彼女達の存在を疎み、意図的に過酷な戦場へと送り込んでいる。
彼女達もその意図は薄々感じ取っていた…だが幾ら力があっても、末端の彼女達には上からの命令に抗う事は出来ない。
「事実ではないか…いや実に惜しい。お前達にその力に見合う地位と、支え導いてくれる者が居れば、また結果は変わっただろうに…
運命だと諦め抗わぬ事だ…さすれば、あまり痛い思いはせずに済むぞ」
カン、と手にした杖で地面を叩き、ゲリオスは両手を広げ宣言した。
「誰がお前の言う事なんか聞くもんか!ボク達は絶対に負けない!!」
フィリオがゲリオスに向けて右手を突き出して、その力強い光を宿す瞳で睨みつけながら叫ぶ。
「そ、そうよ!フィリオちゃんの言う通りよ!私達は貴方なんかに屈したりしません!」
その言葉に奮い立たった様に、ツキナも杖を握り締めながら声を上げる。
「ふむ…では、己の無力さと悲運を嘆きながら、絶望に堕ちてゆくがよい」
ゲリオスは呟く様に言い、カンと杖で地面を鳴らす。
「たあぁぁぁっ!!」
先手を取らんと、フィリオが拳に青い閃光を纏わせながら、ゲリオスに向かって突っ込む。
対するゲリオスは、その場から全く動かず、悠然と佇んでいる。
彼との距離を半分ほど詰めた所で、フィリオの背筋に悪寒が走った。
「っ!?」
思わず彼女は足を止め、後ろに跳んだ。
その直後、彼女が先程まで居た場所に爆発が生じる。
更に追撃をかける様に、地面から無数の触手が伸びフィリオに襲い掛かってきた。
「くぅぅっ!!」
フィリオが展開したバリアに、触手が次々と接触し弾き返される。
「ふむ、この程度は感づくか…」
その光景を眺めていたゲリオスは、つまらなそうに漏らす。
フィリオが意識を集中して周囲を調べると、辺り一面に大小様々な魔力が確認された。
しかし数が多すぎるのと、一つ一つに隠蔽が施されているらしく、正確な座標は確認できなかった…
「これは…!」
「…この場には幾重にも我が術が予め施されている。お前達の様な若い者と正面からやり合うのは、私の様な年寄りには重労働でな…楽をさせて貰う事にした」
顔を顰めながら呻くフィリオに、ゲリオスが愉快そうに笑いながら答える。
「ひ、卑怯です!正々堂々と戦いなさい!」
ツキナが叫ぶが、ゲリオスはその言葉を聞いて、呆れた様に溜息をつく。
「何を言っておる。お前達は二人で私に挑んでおるではないか…その時点で正々堂々などというのは片腹痛いよ。
年寄りへのハンデだと思って諦めろ」
ゲリオスが杖で地面を叩くと、ツキナの周囲に無数の触手が現れる。
「なっ!?」
突然現れた触手に、ツキナは驚いて動きを止めてしまう。
「ツキナっ!!」
触手から放たれた何かを、射線上に割り込んだフィリオが両手からバリアを発しながら防ごうとする。
だが何か魔力の細工がされているらしく、触手から放たれた紫色の物体は、バリアをすり抜けてフィリオに命中した。
「うぅっ!な、何これ…!?」
フィリオのグローブやブーツに命中したそれは、紫色のゲルだった。
慌てて払い落そうとするが、強力な力で吸着したそれは、フィリオの力でも離れない。
「このぉ…!」
それなら魔力で吹き飛ばすまで…と、フィリオは両手に魔力を集中させるが…
「あ、あれ…?魔力が、放出できない…」
力を込めたグローブから光が発されない事に、フィリオは呆然と声を漏らす。
「ふっ…かかりおったわ。ツキナが危険に曝されれば、必ず身を呈して守ろうとすると思ったよ。
そのゲルは特別製でな…放出される魔力を吸収する力があるのだよ…そして吸収された魔力は、放った当人に別の形で返る…」
笑みを浮かべながらゲリオスが語った直後、腕についたゲルから激しい電流が放たれる。
「う、うああぁぁぁぁっ!!!」
魔力を吸収したゲルが、その魔力を電気へと変換して、彼女へ向けて放っているのだ。
大きく身を仰け反らして、フィリオが苦痛に顔を歪め絶叫を上げる。
「ああぁぁっ!フ、フィリオちゃん!!」
目の前で絶叫を上げ続ける彼女を見て、ツキナが悲痛な叫びを上げた。
「くぁ…」
放電が止むと、フィリオは小さく呻きながら地面に崩れ落ちる。
四つん這いの態勢で、苦しそうに震えている彼女にツキナが駆け寄った。
「フィリオちゃん!しっかりして!!」
今にも泣きそうな表情で、ツキナは必死に呼びかける。
「これで、両手両足は魔法が使用不能になったな…まず一人」
フィリオは手足に魔力を纏わせた格闘攻撃を駆使した、近接戦闘を得意とする魔法少女だ。
手足には、魔力を吸収するゲルが張り付いている…魔法を使おうとしても魔力は吸収され、逆に苦痛を与えられる事になる。
フィリオはゲルを取り払わない限り、無力化されてしまったのだ…
「くっ…」
ツキナはゲリオスを睨みつけながら立ち上がり、杖を構える。
「よくもフィリオちゃんを…絶対に許しませんっ!!」
「フフフ…自分のせいで、大切な友が苦しむのが辛いか」
「だ、黙りなさい!!」
自分がゲリオスが呼び出した触手に対処できていれば、フィリオの足を引っ張る事は無かったのだと、彼女は考えていたのだ。
心を見透かした様な、ゲリオスから漏らされた言葉を聞いた彼女は、激昂しながら魔法を放とうと杖を彼に向けて突き出す。
杖から無数の光の矢が放たれ、ゲリオスに向かって突き進む。
だが中間の距離で出現した鏡の様なバリアがそれを受け止め、彼女に向けて跳ね返した。
「っ!?」
慌ててツキナはバリアを展開し、跳ね返って来た自分の魔法を防ぐ。
更に追撃ちをかける様に、ゲリオスが杖を叩くとバチバチと帯電した、紫色の光球が彼の周囲に出現する。
「ゆけ」
一言漏らされた言葉と共に、無数の雷球がツキナ達を襲う。
「くっ…うううぅぅっ!!」
歯を食いしばりながら、ツキナは襲いかかってくる光球を必死に防いでいたが、徐々に押されていく。
ゲリオスの周囲には、次々と光が生み出され、放たれ続けていた。
予め仕掛けられていたのだろう…彼女の周りに赤色の光球が生み出され、炸裂し爆風が生じる。
圧倒的な物量の前に、ツキナのバリアがついに破られ、彼女と動けないフィリオに、無数の光球が襲いかかった。
「くああああああああぁぁぁぁっ!!!」
「あぐうううぅぅぅぅっ!!!」
凄まじい量の電撃が、彼女達に襲いかかる。
体中を駆け巡る電撃は、体が焼けるかと思う程の苦痛をもたらし、彼女達の纏うコスチュームを焦がしていく。
電撃に苦しむ二人の周囲に、無数の触手はが現れる。
その触手達は電撃が止むと、一斉に二人へと襲いかかった。
「ぐぁっ!がふっ!!うわぁぁっ!!」
「きゃあぁっ!あうぅぅっ!!」
二人の体に次々と触手が打ち据えられ、焦げたコスチュームの切れ端が飛ぶ。
触手達が動きを止めた頃には、二人は力なく地面に倒れこんでいた。
「…念入りに準備した割には、あっさり終わってしまったな…手札の半分程しか切っておらんのに、拍子抜けだ。所詮子供か…」
倒れ伏した二人を見下ろしながら、ゲリオスはつまらなそうに溜息を漏らす。
「まぁよい…丁度少し腹も減っている。お前達には少し付き合って貰うとしよう」
ゲリオスが手にした杖を掲げると同時に、彼の立っていた地面がドス黒い泥の様に変化していく。
それは周囲へと広がり、動けないフィリオ達を取り囲んでいく。
「くぅ…」
「あ、あぁぁ…」
小さく呻き声を漏らす二人は、ゆっくりと迫ってくる泥から逃げようとするが、僅かにもがく事しか出来ない。
見る間に彼女達の足元にも泥が広がり、そこから無数の黒い触手が伸ばされる。
「これぞ我が結界『混沌の泥』…もはや貴様らはここから逃げる事は出来ぬ」
泥の中心に立つゲリオスは、まるで椅子の様に迫り出した泥の上に腰を下ろす。
泥の塊に触れても、彼の白を基調とした法衣は全く汚れが付かない。
「せいぜいもがくがよい…私はその様を、ここから見物するとしよう…」
ゲリオスの座する泥が更に迫上がり、彼は泥の中でもがいている二人を見下ろして言い放つ。
「くっそぉ…魔法さえ使えれば…あうぅぅっ!」
体に絡み付こうとしてくる触手を、フィリオは必死に振り払おうとするが、触手は更に数を増して彼女の体に襲いかかる。
彼女の両手は絡め取られ、頭上で纏めて縛られてしまう。
両手を吊り上げられ、フィリオは膝立ちの体勢を強いられる。
「フ、フィリオちゃん…くぅっ!!」
眼前で縛り上げられる友を見て、ツキナは力を振り絞って身を起す。
フィリオの体に絡みつく触手を切り裂こうと、彼女は手にしていた杖を突き出した。
だがそれを妨害するように、彼女の目の前の泥が隆起する。
泥は徐々に人の形を取り、ツキナに向けて手を伸ばす。
「きゃあぁっ!は、放してっ!!」
泥人形に肩を掴まれ、ツキナは悲鳴を上げて身を捩る。
だが伸ばされた手を振り払う事は出来ず、逆に泥人形に押し倒され、彼女は泥の中に仰向けに倒れこむ。
「ツキナっ!放せっ!放せぇぇっ!!」
フィリオが拘束から逃れ様と、手を拘束している触手を引き千切ろうと力を込める。
必死に抵抗を続ける彼女の前に、一本の太い触手が伸ばされた。
伸ばされた触手は、フィリオの顔の近くまで行くと、ブルブルと軽く震える。
「うあぁぁぁっ!?」
触手の先端から、紫色の液体が放出された。
その汚液を顔に浴びて、フィリオが悲鳴を上げる。
放たれた液体は、フィリオの顔や服を汚す。
「うぅ…く、臭い…」
鼻を突く異臭が液体から放たれ、彼女は思わず顔を顰めた。
汚液に汚された彼女のコスチュームに、異変が生じる。
白を基調としたジャケットが、ジュワジュワと音を立てて解け始めたのだ。
「な…ふ、服が…」
溶かされていく服を見て、フィリオは呆然と声を漏らす。
元々触手によってボロボロだった彼女のジャケットは、既に胸元の辺りは完全に溶かされ、下の黒いインナーが見えていた。
「あうぅぅっ!や、やだぁっ!やめろぉっ!!」
再び触手が彼女に向けて、汚液を浴びせかける。
悲鳴を上げてフィリオは身を捩るが、両手を拘束されていては、汚液から逃れる事は出来ない。
インナーにも汚液が付着し、ジャケット同様溶け始めた。
「い、いやっ!放してください…!」
泥人形に押し倒されたツキナは、圧し掛かるそれを押し退けようと、必死にもがく。
だがその脆そうな外見とは裏腹に、泥人形は凄まじい力で彼女を組み伏せる。
ツキナの両手を押さえ付けた泥人形が、大きく口を開く。
泥人形の口内から出てきたのは、先端が手の形をした長い触手だ。
それはゆっくりと伸ばされ、ツキナのローブの胸元を掴む。
そして一気に、ローブを力任せに引っ張る。
あちこちが破け、焦げていたローブは、殆ど抵抗無くあっさりと引き裂かれた。
「きゃああぁぁぁっ!!」
ツキナは目を閉じて悲鳴を上げ、力の限り暴れる。
それを鬱陶しく思ったのか、泥人形はツキナの片手を口から伸ばす触手で掴む。
そして空いた右手で握り拳を作り、ツキナの腹部を殴りつけた。
「ごふっ!?」
ツキナはビクンと痙攣し、目を白黒させ息を詰まらせる。
彼女が動きを止めると、泥人形はローブの下の衣服も引き裂いた。
白く瑞々しい彼女の肢体が露になる…特に大きく形の良い胸が目を引く。
露になった彼女の体に、泥人形は圧し掛かって自らの体を触れさせる。
「あうぅぅぅ…」
白い体に泥が付着し、その不快感にツキナが呻き身を捩った。
泥人形は彼女の体に圧し掛かったままで、ゆっくりと体を揺すり始める。
「うぁぁ…やめて…やめてください…んあぁぁ…」
ツキナは身を捩り、首を左右に振りながら必死に声を漏らす。
無論、泥人形が彼女の願いなど聞くはずが無い…むしろ更に激しく体を擦り合わせる。
泥人形の体の表面は、イボの様な突起が無数に存在し、それがツキナの体に刺激を与えていた。
美しい彼女の肢体は、ドス黒い泥によって汚されていく…
「い、いやぁ…くひぃっ!ひにゃぁぁっ」
体を擦り付けられる度に、ツキナは身を捩り喘ぎ声を漏らす。
喘ぐ彼女の頬は、心なしか朱に染まり、声も艶を帯びてきていた。
(な、なんで…なんでこんなに感じちゃうの…?)
声を出したくないのに、体を擦られるたびに我慢出来ずに声を漏らしてしまう。
こんな醜悪な泥人形に体を擦り付けられて、感じてしまう自分の体が、まるで自分の物じゃない様に感じられる。
体は熱を帯び、疼きが先ほどから止まらない…
ツキナは気付いていないが、その原因は塗りつけられた泥にある。
泥に含まれた媚薬成分、そして泥人形が発する魔力…
それがツキナの体の女の部分を目覚めさせ、淫らにしているのだ。
「ひ、ひやぁぁぁっ!!」
頬を紅潮させ叫ぶツキナ。
彼女の倒れている箇所の泥が突然隆起し、彼女は無理矢理身を起される。
何事かと振り向くと、背後にも泥人形が生み出されていた。
「や、やめて!いやああああぁぁぁぁぁっ!!!」
背後から現れた泥人形も彼女に襲い掛かり、彼女は二体の泥人形に挟まれる。
前後から抱きついてきた泥人形達は、体を揺すりツキナの体を擦り始めた。
汚液によってコスチュームが溶かされ、フィリオの体は胸元から下腹部の辺りまで露になっている。
胸を覆う下着が取り払われ、フィリオの控えめな膨らみが晒された。
「友に比べれば、随分と発育の悪い胸だな…いや、向こうが良すぎるだけか」
「うぅぅ…く、くそぉ…」
ゲリオスから浴びせられる嘲りの言葉に、フィリオは悔しそうに声を漏らし、彼を睨み付ける。
(さっきの液体…媚薬の効果が…?か、体が変だ…)
体に徐々に生じている異変に、フィリオは心中で声を漏らす。
動悸が激しくなり、体は熱病にかかった様に熱い。
体は汗でびっしょりと濡れ、体の震えが止まらないのだ…
「あぅぅっ…や、やめろぉ…!」
体に絡みつく触手が蠢きだし、フィリオは顔を赤らめて叫ぶ。
彼女へと伸ばされる触手の数は、一本また一本と増え続けている。
「いやあぁっ!いやああぁぁぁぁっ!!!」
体の疼きや触手が蠢く度に生じる快感を、必死に堪えようとしているフィリオの耳に、ツキナの悲鳴が飛び込む。
「ツ、ツキナ!?」
彼女の声に慌てて彼女の方を向く。
ツキナは二体の泥人形に挟まれ、体を前後から擦り付けられている。
「い、いやぁぁ…た、たすけてぇぇ…」
彼女はポロポロと大粒の涙を零しながら、悲痛な声を漏らす。
愛らしい顔は泥に汚され、眼鏡も片方のレンズが泥で真っ黒になっている。
「ふああぁぁぁぁぁっ!!!」
グチュグチュと嫌な音を立てて泥人形の体が擦り付けられ、ツキナが喉を反らし喘ぐ。
泥人形に覆われていて見えないが、先ほどのゲリオスの言葉からして、恐らくツキナの衣服も溶かされるか破かれているのだろう。
彼女を助けなければ…フィリオは疼きに震える自分の体に鞭打ち、触手の拘束から逃れ様と暴れだす。
「こ、このぉっ!このおっ!!ツ、ツキナを放せぇぇっ!!」
必死に身を捩ってフィリオは叫ぶ。
ツキナは幼い頃からずっと一緒にいた親友なのだ。
どんな苦しい戦いでも、彼女と一緒なら乗り越えられた。
絶対に助ける…その一心でフィリオは暴れ続ける。
「…他人の心配などしている余裕など、お前には無いぞ」
その光景を眺めていたゲリオスが、溜息を漏らしながら彼女に告げた。
彼の一言を合図とばかりに、フィリオの胸へと触手が伸ばされる。
伸ばされた触手が、フィリオの控えめな胸の頂をつついた。
「ひああぁぁぁっ!?」
不意に胸を責められたフィリオは身を弓なりに反らし、思わず声を上げる。
それだけでは終わらない、つついてきた触手の先端が開き、乳首へと吸い付いた。
「あひぃぃっ!」
またフィリオは声を上げて身を捩る。
一連の行為で脱力してしまった彼女の体に、更に無数の触手が絡み付いていく。
「フフフ…どうした、ツキナを助けるのではなかったのか?」
触手に全身を絡め取られ、身動きの取れなくなったフィリオ。
彼女に向けてゲリオスは意地悪げに笑う。
「くぅっ…んんっ…つぅっ!」
ゲリオスの言葉を聞いて、またフィリオは拘束から逃れようと体を動かすが…
ちゅううぅっ
「んあぅぅっ!!?」
乳首に吸い付いている触手が激しく吸い立てると、また悲鳴を上げて脱力してしまう。
両手を頭上で拘束されている為無防備な腋にも、触手が伸ばされる。
「あふぁぁっ!や、やだ!やめてっ!!」
大きく口を開いた触手が、フィリオの腋に吸い付き、ちゅうちゅうと吸い立て始めた。
それだけでは終わらない…無数の触手が舌を伸ばして、彼女の腋や腹を舐め回していく。
「あ、あぁっ!?あひぃっ!」
何度も何度も体を痙攣させ、フィリオが身悶え喘ぎ声を上げた。
びっしりと汗の浮かぶ肢体が震える度に、汗が珠となって飛び散る。
乳首を吸いたてる触手が、突然その大きさを変化させていく。
一回りも二回りも大きくなった触手は、フィリオの小振りな胸をすっぽりと覆った。
「あああぁぁぁっ!!?」
変化したのは大きさだけでは無い…内側には、びっしりと繊毛が生えている。
それがブラシの様に、フィリオの胸を擦り付けていく。
しこり起った先端には、舌が伸び転がすように弄ばれる。
また新たな触手が泥の中から現れ、彼女の下半身に殺到していく。
太股に絡みついた触手は、先端から舌を伸ばしゆっくりと瑞々しい肌に舌を這わせる。
紫色の汚液がまた吐き出され、スカートやスパッツが汚され、溶かされていく。
「や、やだぁ…やだぁぁ…」
ガクガクと震え、フィリオは自分のスカートやスパッツが溶かされていく様を絶望的な眼差しで見ている。
スカートは見る間に大部分が溶け、残された部分がずり落ち泥の中へと落下した。
その下のスパッツも、既に穴だらけの有様だ。
ダメ押しとばかりにもう一度、触手から汚液が吐き出される。
他の触手が伸ばされ、その汚液を丹念に塗りつけるように、フィリオの股間を擦っていく。
触手はスパッツの表面からでも分かる、彼女の秘裂や尻の谷間を通り何度も何度も前後に蠢いた。
擦られるたびに、スパッツは徐々に溶かされ肌と下着が見えてくる。
「ら、らめぇっ!こ、擦るなぁっ!!」
フィリオは大粒の涙を浮かべて叫ぶが、四肢は触手に絡め取られ、満足に動くことも出来ない。
股間を覆うスパッツが溶かされ、最後の守りであるブルーの下着が露になった。
「も、もう…やめてよぉ…お、お願い…」
ポロポロとフィリオの頬を涙が零れ落ちていく。
触手の責めに翻弄され続けた彼女は疲弊し、まるで幼い子供の様に泣きじゃくっていた。
脚を必死に動かして、これ以上責められないよう股間を守ろうとしている。
そんな努力を嘲笑うように、触手の一本が先端をブルブルと震わせ、また汚液を放出した。
「やあああぁぁぁっ!!」
べしゃっと汚液が股間に浴びせかけられ、フィリオが身を仰け反らせる。
力が緩んだ瞬間、脚は触手によって大きく開かれる。
そして彼女の体が持ち上げられ、M字開脚の体勢で彼女の体は吊るし上げられた。
汚液に塗れた下着に触手が近づき、舌を這わせ汚液を塗り広げていく。
またジュワジュワと泡を立てて、下着が溶けていきだした。
「ひああぁぁぁっ!!」
フィリオが大きく身を仰け反らして叫ぶ。
下着が溶け露になった部分に、舌がゆっくりと這う。
ベチャベチャと汚液が塗り付けられ、肌が汚される。
汚液に含まれた媚薬は、フィリオの体に浸透し、彼女の体を更に淫らにしていく。
下着は溶け落ちて、股間が露になる。
「ふぁぁぁ…あひぃ…うぅぅ…」
股間が外気に晒されるだけで、フィリオは小刻みに体を震わせ声を漏らす。
媚薬が浸透してきたらしく、股間も激しい疼きが生じていた。
「はひゃあぁぁっ!!?」
項垂れだらしなく涎を口の端から零していた彼女が、突如ビクリと顔を上げて叫ぶ。
彼女の小振りな尻に、大きく口を開いた触手が吸い付いたのだ。
胸を責め立てる触手と同様の繊毛を持っていて、それが尻肉に擦り付けられる。
触手自体も激しく動き、尻肉を捏ね繰りまわす。
「あひっ!ひくぅっ!や、やら!やらぁぁっ!」
ビクビクと痙攣し、フィリオは体中で生じる快感に声を上げた。
快感が生じる度に、得体の知れない感覚が体の底からこみ上げて来る。
(助けてぇ…誰か、誰か助けてよぉ…)
こみ上げて来る感覚に怯えながら、フィリオは心中で叫ぶ。
だが、彼女達を助ける者はここには居ない…そして、来る事も無い。
都市部の南側の一角で、凄まじい雷光が迸る。
「ん…?あれは…」
フィリオ達を高台から見下ろしていたゲリオスは、雷光の放たれた方向へと顔を向けた。
雷光は断続的に放たれ、無数の悲鳴や絶叫が聞こえてくる。
「リグヴェード…ヴェンディスだけでは暴れたりないのか」
雷光を放った主が、観戦に来たリグヴェードだと察したゲリオスは、小さく笑いを漏らす。
陣地で観戦をしていたリグヴェードは、眼前の戦いに衝動を抑えられなくなり、前線へと出てきたのだ。
彼は本来の姿である魔狼に変化し、南方からの敵の救援部隊を蹴散らしている。
余計なお節介だとはゲリオスは思わない…むしろ、彼が残敵を片付けてくれる事でこちらにも邪魔は入らない。
ゲリオスはフィリオ達の方へと向き直る。
度重なる責めに、フィリオの快感の高まりは頂点に達しようとしていた。
勃起していたクリトリスに、触手の一本が近づく。
触手は大きく口を開き、クリトリスへと一気に近づき吸い付いた。
「あひいいいいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
ズチュリという音と共にクリトリスが吸い立てられ、フィリオが嬌声を上げる。
絶頂を迎えた彼女の秘裂は、分泌された愛液が噴出す。
ガクガクと痙攣を起していたフィリオの股間から、チョロチョロと黄色い水が流れ出てくる。
「…失禁しよったか」
快感のあまり失禁し、項垂れたフィリオを見下ろして、ゲリオスが笑う。
絶頂に震える間なく、フィリオの体は更に責め立てられる。
「あああぁっ!ら、らめぇぇ…らめだよぉ…」
またクリトリスを吸い立てられ、フィリオはイヤイヤと首を振って声を漏らす。
全身を弄ぶ触手の動きも激しさを増し、彼女の体は更なる快楽へと晒される。
「あ、あぁぁぁ…うぁ…」
泥人形に体を挟まれたツキナは、ガックリと項垂れて弱々しく声を漏らしていた。
彼女に前から抱きついていた泥人形が、ゆっくりと離れていく。
後ろ側の泥人形は、羽交い絞めの体勢で彼女を捕らえたままだ。
彼女の着ていた白いローブは泥に塗れ、もはや布切れといった有様である。
露になった部分の肢体も泥に塗れ、それが下へ下へと垂れ下っていた。
離れていた泥人形が彼女の体に手を伸ばす。
伸ばされた手は、僅かにツキナの体を隠しているローブを掴み、力任せに引き裂く。
ビリビリとローブが破り裂かれ、泥の中へと放り捨てられる。
曝け出された下半身…白く細い肢体も垂れ下ってきた泥に汚されていく。
「お、お願いします…や、やめて…ください…」
ツキナは涙を零し首を左右に振る。
かけていた眼鏡は、泥人形に弄ばれていた際に落ちたらしく存在しない。
「それは出来ぬ相談だな…私も腹が減っている…お前の魔力、そして絶望を私に捧げて貰うぞ」
震える彼女を見下ろして、ゲリオスは冷淡に言い放つ。
その直後、泥人形が彼女の股間へと手を伸ばす。
「だ、誰か…助けてぇ…」
悲痛な声を漏らすツキナの下着に泥人形の手が触れ、その見てくれからは想像できない器用さで下着を掴み、一気に破り裂く。
そして露になった股間に、泥人魚の手が伸ばされる。
「ひうぅぅっ!」
グチュリという嫌な音共に、股間に泥人形の手が触れた。
秘裂をなぞる様に、太い泥人形の指が這う。
「んあああぁぁぁっ!!」
別の箇所から生じた快感に、ツキナは弓なりに体を反らす。
彼女を羽交い絞めに拘束していた泥人形の手が、もう一対増えている。
新たに生えた両手で、泥人形はツキナの大きな二つの果実を掴んだのだ。
泥人形はそのままグチャグチャと音を立てながら、その豊かな胸を揉みしだく。
「あ、ああぁぁっ!ひゃうぅん!だ、だめっ!やめてっ!」
ツキナは必死に身を捩り、快楽に震えながらも泥人形から逃れようとする。
だが彼女は後方支援能力に長けた非力な魔法少女だ…当然泥人形の力に勝てる訳も無い。
股間を責め立てていた泥人形が、勃起しヒクついているクリトリスを見つける。
暴れる彼女に対し、大人しくしろとばかりに泥人形は太い指でそれを摘んだ。
「あふあああああぁぁぁっ!!」
ビクンと痙攣を起し、ツキナが嬌声を上げる。
高まり続けた快感が、ついに頂点へと達したのだ。
激しい快感に脱力した彼女は、力なく泥人形にもたれかかった。
「あ…あぁぁ…あひぃぃ…」
ツキナは弱々しく声を漏らし、絶頂の余韻に震えている。
泥に塗れた秘裂からは、愛液が止め処なく流れ出てきていた。
「フハハハ…甘美なる絶望だ…極上の美酒にも勝る物だな。お前の絶望は」
高台に座するゲリオスは、満足そうに声を漏らす。
「リミュエルが居らぬから、目ぼしい者が居るかと少し不安だったが…お前達が来てくれてよかった。これでリレイアへの土産が出来るわ」
その前に…もう少し楽しませて貰うとしよう…更なる絶望、そして彼女達の魔力を味わう為に…
ゲリオスは愉快そうに笑い、手にした杖を天へと掲げる。
「あひぃっ!?」
クリトリスを触手に吸いたてられていたフィリオが、ビクンと大きく身を震わせる。
ゲリオスが杖を掲げた直後、彼女のクリトリスに異変が生じていた。
触手に吸い立てられていたそれが、今まで以上に激しい疼きに襲われているのだ。
「あ、ああぁぁぁっ…!?」
彼女は大きく目を見開き、ビクビクと体を痙攣させている。
何が起こっているのか彼女は見たかったが、クリトリスは触手に覆われていて見る事は出来ない。
相変わらずクリトリスは触手に吸い立てられ、引っ張られる様な感覚に襲われている。
「うああぁぁぁぁっ!!」
股間で何かが弾ける様な感覚が生じ、フェティスは大きく身を仰け反らして叫ぶ。
「ふむ、そろそろ完了したか」
ゲリオスが杖を少し動かして命令を放つと、フィリオにクリトリスに吸い付いていた触手がゆっくりと離れていく。
「え…?」
触手が離れていくクリトリスに視線を向けたフィリオは、呆然と声を漏らす。
戸惑う彼女の眼前で、触手が完全にクリトリスから離れ、その姿が晒される。
「あ…ウ、ウソ…そ、そんな…」
「ほぅ…なかなか立派な一物が出来たな」
愕然とした様子のフィリオの耳に、ゲリオスの言葉は届かない…
彼女の視線の先には、信じられない物が存在した。
クリトリスのあった場所には、魔物の物かと思うような剛直が存在する。
充血し勃起したそれは、自己を主張するようにビクビクと震えていた。
ゲリオスの魔術によって、彼女のクリトリスは極太のペニスへと変化させられたのだ。
「い、いやああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
フィリオの悲痛な叫びが周囲に木霊する。
「いやぁっ!いやあぁぁっ!も、元に戻して!おねがいいいぃぃぃ!!」
彼女は泣きながらゲリオスに叫ぶ。
高台に座する彼は、彼女の哀願に笑みを浮かべながら首を横に振る。
「それは出来ぬ相談だ…まだ食い足りぬよ。お前達の絶望が…それに、これからそれを使ってお楽しみを始めるのだからな」
ゲリオスはそう笑って、指を鳴らしツキナを弄んでいた泥人形へと命令を放つ。
彼の命令に従い、ツキナを捕らえていた泥人形が、彼女をフィリオの側へと運んでくる。
ツキナは激しい責めに消耗し、ぐったりとした様子で俯いていた。
泥人形は彼女の太股へと手を伸ばして担ぎ、フィリオ同様M字開脚の体勢へとする。
「うぅぅ…」
小さく呻き声を漏らすツキナを抱え、ゆっくりと泥人形はフィリオとの距離を詰めていく。
それを迎える様に、触手もフィリオの体を動かし、ツキナと体の高さを合わせる。
「ま、まさか…」
フィリオの脳裏に、ゲリオスがやらせんとしている事が思い浮かぶ。
「フフフ…親しき友人の処女、お前のその一物で奪ってやるのだ…」
彼の言葉は、フィリオの想像を肯定するものだ。
ツキナの体は、フィリオのすぐ近くまで運ばれていた。
「いやっ!嫌だっ!!絶対に嫌ぁっ!!ツキナ、起きて!逃げてえぇぇっ!!!」
フィリオは必死に体を動かし、力の限り叫ぶ。
ツキナは項垂れたままで、フィリオの叫びには反応を示さない。
泥人形が抱えたツキナの体を動かし、位置を調整する。
そして彼女の秘裂と、フィリオの股間の一物と位置を揃えると、ゆっくりと近づけていく。
「い、いや…やだ…お、お願い!止めて!!」
姉妹の様に親しいツキナの処女を奪うなんて…
フィリオは泣き叫びながら、ゲリオスに必死に懇願する。
そんな彼女を見下ろしながら、ゲリオスは堪えきれない様に笑いを漏らす。
全軍を束ねる将であるゆえ、こういう行為は控えていたが…彼はこの様な人の心を踏み躙る行為が大好きなのだ。
かつての大戦では、リレイアと共に多くの人間を屠り、絶望と恐怖を撒き散らす残虐な存在として、人間達から恐れられていた…
自分達の力となる恐怖や絶望…それらを効率よく集めるには、こういった行為が一番手っ取り早い。
無言で自分を見下ろしてくる老蛇に、フィリオの心は絶望に染め上げられていく…
フィリオとツキナの体は、くっ付かんばかりの距離まで近づけられている。
突き出された剛直が、ツキナの秘裂に僅かに触れた。
「んんっ…」
生じた快感に、俯いたままツキナが小さく声を漏らす。
「やめて…やめてよぉ…」
フィリオに出来る事といえば、泣く事と声を出すだけだ。
ゆっくりとフィリオの体が動かされ、剛直が秘裂へと挿入され始めた。
「あ、あああぁぁぁっ!」
ビクンと身を震わせ、ツキナが顔を上げて叫ぶ。
挿入された際の感覚で、朦朧としていた彼女が引き戻されたる。
「な、何なの…?」
顔を上げたツキナは、目の前のフィリオを見た。
彼女は散々泣き叫んだらしく、目を真っ赤に晴らしている
彼女が何か叫んでいるが、まだ意識がはっきりとせず何を言っているのか聞こえない…
「うぅぅっ!!」
股間の辺りに再び生じた感覚に、ツキナは何事だろうかと顔を向ける。
そして見てしまう…フィリオの股間から伸びる剛直が、自分の秘裂へと突き刺さっているのを…
「い、いやああああぁぁぁぁっ!!!」
状況を理解した瞬間、ツキナは絶叫を上げ身を捩る。
だがそんな事をしたところで、挿入が止まる筈も無い。
ズブズブと音を立てて、更に奥へとペニスが挿入されていく。
「あぎいぃぃっ!!?
ツキナが大きく身を震わせ声を漏らす。
少し間をおいて、フィリオとツキナの結合部から、赤い筋がゆっくりと流れてくる。
「あ、あぁぁぁ…い、いやぁ…」
それはツキナが処女を失った証だ…彼女は絶望に染まった瞳でその光景を凝視していた。
「ツキナ…ツキナぁ…」
フィリオも彼女と同じ様な眼差しをして、うわ言の様に彼女の名を呼び続けている。
「フハハハハ…どうだ?大切な友に処女を奪われた気分は?大切な友の処女を奪った気分は?」
高台に座するゲリオスは、愉快そうに二人へと言葉を投げかけた。
震えている二人から、絶望の感情がゲリオスの元へと吸い上げられる。
その甘美なる絶望に、ゲリオスは上機嫌そうに喉を鳴らす。
「ひぐぅぅっ!?」
「んあぁぁっ!」
絶望に打ちひしがれていたフィリオとツキナが、体に生じた感覚に声を上げる。
悲鳴を上げた二人は、お尻の辺りに異物感を感じるが、何が起きているのか見る事が出来ない。
「あぐっ!?ううぅぅっ!!」
「んんんっ!!こ、これって…ま、まさか…」
お尻付近の異物感が蠢きそれが奥へと進む感覚…ツキナは青ざめた顔で声を漏らす。
彼女の予感は的中していた…二人のアナルには、それぞれ触手が挿入されていた。
フィリオには体に絡み付いていた触手の一本が…ツキナには彼女を拘束する泥人形が、ペニスを触手状に変化させて挿入している。
「い、いやああぁぁっ!抜いて!抜いてください!!」
バタバタと足を動かして、ツキナが泣き叫ぶ。
「うあああぁぁぁっ!!」
フィリオのアナルは最初の触手に押し広げられ、そこへ更に触手が入り込んでいく。
5本の触手が続けて入り込み、彼女のアナルはギチギチに拡張されていた。
入りそびれた触手達が、彼女の股間を蠢き、入る場所を捜し求める。
そのうちの一本が、彼女の秘裂へと辿り着き、グリグリと肉を掻き分けて入り込んでいく。
「ひ、ひううぅぅぅっ!!や、やだ…!は、入っちゃダメぇっ!!」
ガクガクと体を震わせながらフィリオが叫ぶが、触手は止まらない。
それどころか、他の触手達まで集まり我先にと膣内へと侵入を開始した。
「ああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
フィリオが大きく身を仰け反らして叫ぶ。
処女膜を貫通された瞬間、また絶頂に達してしまったのだ。
触手の隙間から、血がゆっくりと流れ出てくる。
二人の二穴に触手が入り込むと、触手や泥人形は二人の体を動かし始めた。
「あうううぅっ!あひいいぃぃっ!」
「きゃあぁっ!んあぁっ!とめて!とめてくらさいっ!!」
入り込んだ触手は、激しく蠢きながら上を目指して進む。
ツキナに挿入されたペニスは、体ごと動かされ、ゆっくりと押し込まれていく。
二人は耐え難い快楽に打ち震え、頬を紅潮させ喘ぎ身を捩る。
触手達は内部に粘液を分泌し、それを壁に擦り込みながら突き進む。
それが潤滑油となり触手の動きをスムーズにし、含まれた媚薬は二人の体を更に敏感にする。
グチュグチュと音を立て液体を撒き散らして、触手は激しく前後運動を続けていく。
「ツ、ツキナ!キツイよぉぉっ!」
「そ、そんな事言われたって…ひにゃあぁぁっ!!」
快楽に震えるツキナの膣はキツク締まり、フィリオのペニスを咥えて放さない。
触手や泥人形によって力任せに動かされると、二人に凄まじい快感が電流の様に走る。
「イイ!気持ちイイよぉっ!!」
「しゅ、しゅごいぃぃ…」
二人は淫らに喘ぎ、いつしか身を乗り出して、拘束の解かれた手を互いの背に回し抱き合って悶え始めた。
「ツキナ!ツキナぁっ!!」
「フィリオちゃん…大好きぃぃ…」
二人は抱き合ったまま、自分達でも腰を振り触手やペニスの刺激を高めようとしていた。
触手が彼女達の頭を掴み近づけてやると、二人は唇を重ねる。
そして互いに舌を動かし、貪る様にキスを繰り返していた。
「ふむ、枷が外れたのか…元々こうやって慰めあう仲だったのか…どちらだろうな」
キスだけでは飽き足らず、自分達で胸を擦り合わせる二人を見下ろして、少し呆れたようにゲリオスは声を漏らす。
先程まであれ程拒んでいたのに、今は互いを求め快楽を貪る少女達…人間など脆いものだ。
(せいぜい喘ぐがいい…そして私に魔力を捧げろ…)
ゲリオスは二人を見下ろして心中で呟く。
触手は更に激しく蠢き、二人の穴を掻き回す。
ツキナの膣を犯すフィリオのペニスも、徐々にピストン運動を早めている。
「あふあぁぁっ!」
「んむぅっ!んああぁぁっ!!」
舌を絡み合わせていた二人は、下半身を襲う激しい快感に口を離し、身を反らして叫ぶ。
二人はだらしなく涎を零し、惚けた瞳を彷徨わせ快楽に身を震わせる。
「ツ、ツキナ…ボ、ボク…もう我慢できないっ!」
フィリオはツキナの体を、強く強く抱きしめながら声を漏らす。
彼女は必死に何かを堪えてる…射精が近いのだ。
「いいよ、フィリオちゃん…一緒に、気持ちよくなろぉ…」
心ここに在らずとった有様のツキナは、頬を赤く染め必死に堪え震えているフィリオの頬にキスをする。
触手が強く二人の体を動かし、フィリオのペニスが一際奥へと押し込まれた。
ペニスは子宮口を抉じ開けて子宮へと侵入する。
「あ、あああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
耐え切れなくなったフィリオが、ついに射精を開始する。
ツキナの子宮内に、鉄砲水の様に精液が放たれていく。
「ひあああああぁぁぁぁっ!!!あふううううぅぅぅぅっ!!」
射精を受けるツキナも身を捩り、絶頂し痙攣を起している。
ツキナの子宮はすぐに一杯になり、入りきらない精液は結合部から止め処なく流れ落ちていく。
射精は止まる気配が無く、ツキナのお腹は大きく妊婦の様に膨れている。
フィリオの射精に続くように、二人の他の穴に挿入された触手達が射精を開始した。
「ふああああああぁぁっ!!あきゃああぁぁっ!」
「お、お腹が破裂しちゃううぅぅぅっ!!」
フィリオの子宮にも、大量の精液が触手達から放たれていく。
消化器官も精液に満たされていき、ツキナの腹部は言葉通り破裂せんばかりに膨れ上がる。
ペニスの射精は収まったものの、触手達の射精はまだまだ続く。
フィリオの腹部も大きく膨れ上がり、彼女は苦しそうに目を見開き息を詰まらせている。
ツキナも同様の状態で、彼女に至っては白目を剥いていた。
射精が止まり触手が引き抜かれ始めると、栓が抜けたように白濁が穴から流れ出ていく。
「あ、あふぁ…」
「ひぅっ…あひぃ…」
だらしなく舌を出した二人の少女は、途切れ途切れに声を漏らし、虚ろな視線を彷徨わせている。
だがまだ行為が終わった訳ではない…彼女達の周囲には、別の触手が集まっていた。
「あああぁぁっ!!イイ!凄くイイっ!」
「んああぁぁぁ…」
フィリオとツキナはまた触手に責め立てられていた。
二穴には複数の触手が侵入し、触手が蠢く度に白濁が漏れ出ている。
フィリオだけではなく、ツキナもクリトリスをペニスへと変化させられていた。
二人の剛直を、大きな触手がすっぽりと呑み込み、上下に抜いている。
性感の塊の様なそれを、触手は内側のヒダで擦り上げ刺激を与えていく。
「あひいいいぃぃっ!でちゃうううぅぅぅっ!!」
「んにゃあああぁぁっ!!?」
二人は大きく身を仰け反らして、次々と射精を開始する。
ゴポゴポと白い精液が、触手の口元から漏れ出ていく。
盛大に射精したにも関わらず、彼女達のペニスは全く萎えていない。
膨大な精液は、彼女達の魔力によって生成されている。
先程から二人は何度も何度も射精させられ、魔力を搾取され続けていた。
「あふあああああぁぁぁぁぁっ!!!」
「あうううううううぅぅぅっ!!!」
穴を犯していた触手達が次々と射精を開始し、二人はまた絶頂に達してしまう。
二人は腹部を破裂させんばかりにまた膨らませ、痙攣を繰り返す。
それを眺めていたゲリオスは、背後から近づいてきた者に視線を向ける。
「リグヴェードか…」
「大体片付いたぜ、爺様。逃げ出した連中も大半は捕まえた」
「ご苦労…お前のお陰で久方ぶりに楽しめた」
背後に立つ軍服姿のリグヴェードと言葉を交わしながら、また眼下の少女達の痴態へと視線を向けた。
しかし長時間楽しみ過ぎたようだ…二人は息も絶え絶えといった様子で、残りの魔力も僅かだ。
「折角のリレイアへの土産だ…殺す訳にはいかんな」
そう呟く様に漏らすと、杖を天へとかざす。
杖から放たれた魔力に反応し、二人に絡み付いていた触手が泥の中へと消えていく。
彼女達が倒れこんだ泥も徐々に消えていき、元の広場へと姿を戻しつつある。
倒れこみ二穴から白濁を漏らす、二人の少女に生えていたペニスは元のクリトリスへと姿を戻していた。
リグヴェードが連絡をしていたらしく、二人を回収する為に魔族達が数体集まっていた。
彼らにフィリオとツキナを預け、ゲリオスとリグヴェードは市街を歩き始める。
本営に戻ってきた二人の前に、副官の青年が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「どうした…何かあったのか?」
「はっ…アディリア市の視察へ向われたルフィリア総督が、敵の襲撃を受けたそうです!敵は『円卓』の一人、リミュエルとその手勢だと」
「なんじゃとっ!?」
副官の様子に怪訝そうに尋ねたゲリオスは、報告の内容に驚愕の声を上げる。
「っ!…俺が行く!!」
リグヴェードは右手を血が出んばかりに握り締め、すぐさま踵を返す。
恋人であるルフィリアの危機なのだ…のんびりとこんな所に居る暇など無い。
「まてリグヴェード、私も行こう…このガナンの事後処理は任せる」
転移しようとするリグヴェードの肩を掴み、ゲリオスは副官へと命令を告げる。
「爺さんも、ルフィリアが心配か…早く行こうぜ」
「私の心配は、お前の内容とは少し違うがな…」
転移魔術を行使しながら、二人は言葉を交わす。
彼の言葉に怪訝そうな顔をするリグヴェードに、彼はこう付け加えた。
「ヘタにリミュエルがあれを追い詰めて…怒り狂ったあれに殺されないか心配なのだよ…貴重な母体となりうるからな」
ゲリオスのその一言の直後、二人の体は光に包まれ、魔族の本営から消滅した。
616 :
マユの人:2011/06/05(日) 16:11:23.90 ID:lMohUHMq
以上で投下を終了します、手直しをした際に量が増え、スレ容量ギリギリになってしまいました…orz
忍法帳のレベルも大分上がったので、自分が自スレを立てましょうか?
陰湿な責めが大好きなゲリ爺…元々は常にこんな感じの方だったのに、随分丸くなってしまいました。
当初は2話で終わらす予定だったエルメリア編も、次回で最後です。
それでは、次回の投下にお会いしましょう。
617 :
マユの人:2011/06/05(日) 20:48:17.99 ID:lMohUHMq
>>617 前シリーズとは違う円卓メンバーの勝敗がGJ過ぎるぜ
てっきり安定のリーファ様陵辱かと思いきや、騎士が勝つとは思わなかった
確かグラースってマユがパワーアップフォームで倒した魔族だったから、エルメリア側の面目躍如ってとこか
まあ前シリーズの相手は陛下だったもんなぁ
それとゲリオスさんをゲリ爺って略すのやめれw
なんか下の緩いおじいちゃんな感じがしてならないwww
前作の強敵撃破とは、リーファ&ルインつえーw
しかし、幹部級撃破したと思ったら準円卓級が二人もやられたwww
前作でも一応、陛下に傷を負わせたコンビだから
それくらいには勝ってくれないと、逆に陛下の株が下がっちまう
と思ったが、今作のアゼルもかすり傷は負わせてるんだよな、陛下
あれはアゼルの(戦闘力はともかく)戦闘センスが凄過ぎた感じだが
ゲリ爺www
ランディといいルインといいカッコいいじゃねーか
犬飼ってると思うんだよ。狼男ってさ、雨の日とか匂うんだろうなー・・・って。
あ、いや、別に悪意は無い。なんとなーく連想した。
>>623 むしろリア獣はヤニ臭かったり、酒臭かったりするかも
しかしまぁ…大飯食らい、大酒飲み、ヘビースモーカー、おまけに性欲も旺盛
欲望に忠実なワンワンだね
欲望に忠実だっていいじゃない。だってけだものだもの
みつを
よく、敵は倒して平和になったけど
敵陣営から過去に受けた責めの気持ちよさが忘れられなくて
表での生活で出来た恋人とか、魔法少女の同僚に襲いかかる
と言うのは、ハッピーに見えて、下手に墜ちるよりもエグいバッドエンドな気がする。
山系モンスター「もうすぐ夏だが、貴様は山派か!?」
海系モンスター「それとも海派か!?」
聞かれるまでもありません志布志さん
私は昔から夏とバイクは山派と決めております
インドア系魔法少女「な、夏はクーラーの効いた部屋で読書を・・・」
冷夏になったら海系モンスターさんはマジ死活問題すね
獲物な魔法少女が来なくなっちゃう意味で
魔族A「魔法少女達を苦しめる為に、暑苦しく不快感抜群な魔物を造って責めよう」
魔族B「てな訳で造ってみた」
自由自在に体毛を伸ばす事が可能な、巨大な毛玉の様な魔物、汗臭そうです
筋骨隆々としていて、見るからに暑苦しいミノタウロス系の魔物(複数体)
腐肉の塊の様な魔物、体から出るガスも腐臭バツグン!
全身が燃えている魔物、居るだけで気温が急上昇!
魔族C「そいつら一箇所に集めるな!魔法少女と戦う前にこっちが全滅だ!!」
うめ
たけ
635 :
名無しさん:2011/06/24(金) 00:17:45.00 ID:cFD2wuow
まちゅ
魔法少女って水中戦では
・息も出来るし、自由に動ける
・息は出来るが、動きは制約がかって、直接攻撃の威力半減
・息は出来ないし、泳げはするが基本それだけな一般人レベル
陵辱物の宿命と言えばそれまでだが、良くて二番目、基本三番目なキャラが多い気がする。
もし、一番目を陵辱するとしたらどんなシチュエーションに敵側は持ってくだろう?
・そもそも水中戦が有利な相手(マグロなんてチーターより早いからそんな感じで)
・水自体が特殊な水質で、それを知らない魔法少女を引きずり込む
・水圧
さあ!
やはり、媚薬が混ざっていて気づいた頃には…な感じを押したいな
自由自在に動けても、透明なクラゲさんがいつの間にか周囲に展開、一斉に捉えてくるって線も推したい
>>637の1番目みたいな感じで、圧倒的な大きさのクラーケンに素早さで対抗するも触手で捕らえられて
玩具にされちゃうような凌辱とかだと救いがなさそうでいいと思うんだ。
魔力を吸う性質を持つ都合の良い魔水を混ぜられて、
徐々に呼吸困難&動きが鈍くなっていくとか
魔法少女の水中戦が出来る力の源的な何かを手に入れられて
それが壊されると水圧とかで命の危険があるから
敵の要求に応えながら、みたいな弱みにつけこまれてでもいいなぁ
オーソドックスに物量&手数かな
雑魚で吊り上げた相手を、こっちの領域に引き込み伏兵で包囲。
無数の触手持ちの一斉攻撃で圧殺と
予めピラニア的な生物を大量に放っておいて、襲わせるのも良いな。
肉食だと只のグロだから、オーソドックスに魔力やコスを喰うヤツで。