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ブラック:2011/10/16(日) 03:29:55.28 ID:wg6Hhk4K
スレ違いは承知なのですが、お願いします。
新しいスレッドたて依頼です。
orld.ne.jp
コード・ブルードクターヘリ緊急救命でエロパロ1
名前: ブラック
E-mail: sage
内容:
コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命のエロパロです。
書くのは初めてですが、お願いします。
感想やアドバイス頂けると嬉しいです。基本エロ小説です。
患者や事件などにも巻き込まれ、白石・緋山・冴島が…って感じを予定してます。
展開などのリクエスト等もお願いします。
スレッドがたてれないのでお願いします。
投下します。
井上と笹本で、ラブラブではない系ですのでご注意を。
IDかタイトルでNG登録お願いします。
多分8レスぐらい。
この関係に名前をつけるとしたら、どう考えても「セックスフレンド」にしかならないだろう。
だけど笹本は、自分と井上だけは世間で言われているそのような関係とは違うと思っていた。
確かに心からお互いだけを想い合っているわけではない。今の自分たちは仕事が一番で、もちろん恋人は欲しいけれどそんな時間はなくて、
でも無性に人肌が恋しくなったり、高ぶった感情をもてあましたり、本音をぶっちゃけてしまえば性欲が発散できず身体がむずがゆくなったりはするのだ。
そういうお互いの利害が一致して始まったこの関係だけれど、それ以外に相手に関心がないわけじゃない。
「仲間」として大切に思っているし、信頼もしている。井上が死んだら人知れず号泣する自分だって想像できる。――人目を憚らず、と言えないところがいかにも自分だし、そもそも洒落にならない例えだが。
だけどこれは恋じゃない。会えないからといって涙したりはしないし(仕事で嫌というほど会っているからではない)、
彼が他の女性に優しくしていてもちっとも嫉妬なんてしないし、身体を重ねたあとだってあっさりと別れられる。
お互いに都合のいい相手。笹本はこの関係が気に入っていた。
井上も同じだと、思っていた。
前触れもなく井上がインターホンを鳴らしたのは、もう日付が変わりそうな非常識な時刻だった。
魚眼レンズでとらえた井上は、深くうつむき表情を隠し、今にも消えてしまいそうな出で立ちでそこに居た。
「井上?」
慌ててドアを開け、顔をだした笹本の顔も見ずに井上は、小さな声で彼女を呼んだ。
「どうしたの、こんな時間に」
みなまで言い切る前に、井上が乱暴にドアの隙間から玄関先へと押し入ってくる。
左手に下げていた鞄を乱暴に手放し両手をあけると、さらに無言のままその手を伸ばして笹本の身体をとらえて抱きしめた。
井上の背後でバタンと大きな音を立ててドアが閉まる。
「ごめん、抱かせて」
彼は泣きそうな声音でそれだけを言うと、笹本が返事を言う前にあっという間にくちびるを塞いでしまう。
なにがごめんなのか、どうして突然なのか、問う暇を与えまいとするように井上の舌は性急に口内に押し入ってきた。
彼の消えてしまいそうな頼りない声と裏腹な、貪るような、らしくない乱暴なキスに笹本は急に不安になる。
両腕で井上の胸を押しのけようとすれば、こちらの肩を押され身体を壁に押し付けられ身動きを封じられる。
首を振ってくちびるから逃れようとすれば、顎をつかまれ、服の上から唐突に胸を揉まれて身がすくんだ。
「……ん、ぃ…のっ」
非難の声を上げようとすれば、重なったくちびるから漏れるその声はすべて嬌声に変わってしまう。
くちびるが解放され、やっと制止の声をあげられると思った矢先に、くびすじをぺろりと舐めあげられて、ぞくりとした感覚が背筋を這い上がった。
余裕のない性急な動作が、必死で笹本を求めているような錯覚を起こして、身体が勝手にあつくなる。
でも違う。そうじゃない。
「ま…てってば……」
警鐘を鳴らし続ける理性にやっと応えて、笹本は精いっぱいの力を込めて井上の肩をつかんだ。
「落ち着きなよ……なんかあった?」
引き離されて顔を上げた井上の両の瞳を覗き込んで、笹本はつとめて冷静に尋ねる。その努力が報われていることを祈りながら。
対する井上も、普段の冷静さは鳴りを潜めているように見えた。
深い色の瞳が揺れている。
きつく寄った眉根のせいで、眉間には深いしわが寄っている。
――ただセックスがしたくてやってきたにしては、シリアスすぎるだろ。
揶揄を飛ばせる雰囲気ではとてもなく、笹本はただ唾を飲み込む。
何か言おうと開いた、井上のくちびるが震えている。
飛びだしてくるのはなにかとんでもない言葉のような気がして、笹本はそれを不思議な気持ちで見ていた。
「なにも、」
「え?」
「なんも、ないっす。なんか、急に笹本さんの顔、見たくなって」
「……へぇ」
うそだ。それ自体はいい。ただ、こんな判りやすいうそをつく井上なんて、らしくない。なんだかよく判らないけど、胸が痛い。
「それは光栄だけど、なんで急に?」
「なんでかな」
笹本の質問を軽くかわして井上は、再びくちびるを寄せてくる。
納得のいかない笹本は、右手をあげてそっと彼のくちびるに指を乗せた。
井上は閉じていた両目をうっすらとあけて、目線だけでなに、と問いかけてきた。
「……やっぱり、変だよ、あんた」
「…………知ってます」
「なにがあった? ちゃんと言って」
笹本の問いに、井上は薄く開いていたくちびるを固く結んでしまった。
お互いに言葉もなく、にらみ合うような硬直状態が数秒続いたのち、その均衡を破ったのは井上のほうだった。
すい、と身体を引いて笹本を解放すると、こちらに背を向けて先ほど乱暴に放り出した鞄を拾うために上体をかがめた。
「やっぱ今日は帰ります。すいません、無理なこと言って」
こちらを見ないまま呟かれた言葉に、笹本は両目を見開き、そのまま出て行ってしまいそうな井上の背を慌ててつかんで引きとめた。
「井上?」
「頭、冷やさないと。また来ます」
「待って」
「俺、ほんとは向こう側なのかもしれないから、」
「は? なに、なんのこと?」
「…………なんでも、ないです。じゃあ」
「待てって!」
今度は笹本が乱暴に井上の二の腕をつかむと、その勢いでこちらを振り向かせ胸倉をつかんで引き寄せて、驚きに目を見開いた井上のくちびるに自分のそれを重ねた。
重なったくちびるを柔らかく食んで、ゆっくりと舌を侵入させる。
舌の先で、彼の暖かくぬめる舌をつん、とつついてやると、おずおずといったように井上の舌が絡みついてくる。
両手を井上の胸元に巻きつける。ぎゅっとその筋肉質な体躯を抱きしめると、再びに鞄を投げ出した井上の両の腕がそれに応えて、抱きしめ返してくれる。
舌を乱暴に吸い上げられて、腰が甘く震えた。
井上のキスはその先にある甘美な行為を濃厚に想像させる。笹本は簡単にとろけてしまう。
身体が期待をし、足の力が抜けて倒れてしまいそうになる寸前でやっと解放をされた。いつもの、井上のキスだ。
ほう、というお互いの吐息が混ざり合う。
息を吐ききってから笹本は、再び井上の顔を仰いだ。
「笹本さん、」
「……言いたくないのか、言えないのか知らないけど、もう聞かない。だから、こんなキスだけしといて帰るとか……ないだろ」
「うん……ごめん」
「あと、玄関先でとか、ないだろ」
「ああ、うん……そうっスね。すいません」
「ん。ほら、行くよ」
井上の鞄を拾い上げて促してやると、彼はのろのろと靴を脱いでやっと上がり込んできた。
その緩慢な動作が井上の迷いを表しているようだ。
再び背を向けられてしまったら、笹本の胸は軋むように痛むだろう。
その想像が容易にできてしまった笹本は、井上を待たずに足早に部屋へと向かった。
迷うそぶりをみせていた井上だったが、部屋に入ってしまえばそこからはあっという間だった。
世間話だとか何か飲んだりだとかそういう余計なことは一切せずに、笹本をベッドに押し倒す。
その方が笹本もありがたかった。間を挟んだらきっと、また先ほどのように気まずい空気が流れるだけだ。
始まってしまえば、身体の感覚にだけ気を配ればいい。
いつものように井上がくびすじをぺろりと舐めあげれば、笹本の身体も瞬時にあつくなる。
井上の手の動き一つ一つに身体が期待をする。
こんなにも自分は、井上に慣らされているのかと我がことながら驚いてしまう。
「あ、あ……ん、」
暖かい手が肩を撫でる。耳をくちびるで食まれる。頬と頬をくっつけて、じゃれあうようにしたのちに、軽くくちづけられる。
そんな動作のたびに笹本の口から吐息のような嬌声が漏れた。
抑えようとすればするほど、声は高く大きくなっていく。
羽織っていたパーカーは、ベッドに倒れ込む前に脱ぎ捨てていたから、あとはタンクトップとショートパンツだけだ。
それらも非常に手際よく脱がされてしまう。
下着一枚のみの姿にされて、なぜか心もとなく感じたのはたったの一瞬で、井上の手のひらが背中を撫であげると、ぞわりとした快感に襲われて身がすくんだ。
下半身が甘くしびれている。
はやく、早くそこに触れてほしい。
たまらなくなって笹本は、震える両手を井上のシャツに伸ばしてネクタイをするりと抜き取ると、上から順番にボタンを取り外しにかかった。
ベッドに両手をついたまま軽く身を上げた井上が、じっとこちらを見ている。
室内の明りはもちろん消してある。
まだ目が慣れない笹本には、井上の視線がこちらに向いている、程度のことしか判らない。
――井上にはどのくらい見えているんだろう。
驚くほど五感の鋭い井上とは、感覚を共有することはできない。
出来れば、余り見えていないといいなと思う。
今の自分は、きっと物欲しそうな顔をしているに違いないから。
笹本がボタンをすべて外し終わると、井上は上体を起こして袖口のボタンを自分で外しはじめた。
笹本も身を起こして井上の前にかがみこみ、ベルトに手をかける。
え、と驚いたような声を出した井上だが、それ以上はなにも言わずに大人しくベルトを外されると、自分で服をすべて脱ぎ捨てた。
両腕を伸ばして、井上の首にすがりつく。裸の胸が触れ合って、気持ちいい。
でもすぐに物足りなくなる。顔をあげて形のよいくちびるに盗むように幾度も触れる。
誘いに乗った井上が、深く口づけながら左の手で乳房に軽く触れると、そのまま下から持ち上げるようにして揉み始める。
「ふ、んん……」
口内を犯されながら井上の指先が先端に触れると、我慢が出来ずに声が漏れた。
右の手はわき腹を撫でてするりと下肢に伸びて、笹本の中心に触れるのかと期待をすれば、焦らすように太ももに触れた。
その熱い手のひらは、ももの中央と足の付け根をいったりきたりするだけで、肝心な場所にはなかなか触れてはくれない。
早く、と口に出す代わりに、前触れもなく手を伸ばして起立した井上自身を握り込んだ。
ぴくり。井上の肩が震えたのが判った。
重ねたままのくちびるの端をにやりと上げる。
突然、井上の口が離れたかと思ったら、次の瞬間には固く立ち上がり始めた左の乳首をぱくりとくわえられてしまった。
「あっ、ちょ…っと……や、ん」
突然の刺激に思わず腰が引ける。
井上はお構いなしに笹本の腰を引き寄せると、ついにそこに触れた。
「ああっ!」
下着の上から、爪の先でひっかくように触れられて笹本は小さな悲鳴のような声を上げる。
緩やかな刺激が逆に劣情を煽る。
もっと激しく、直に触れてほしいという胸の内を読んだ上で出し惜しみのような井上の愛撫に、もどかしくて苦しくて、泣きだしてしまいたくなった。
実際に泣いたりはできないけれど。
指の先が薄い布越しに快楽の中心を刺激する。
「あ、あ、ぁあ……ん!」
井上の動作一つ一つに丁寧に反応して、漏れてしまう声を抑えられない。
抑えようとくちびるを噛んだ次の瞬間に、音をたてて乳首を吸い上げられ、反対側のそれを二本の指できゅっとつままれ、また声を上げてしまう。
そうやって嬌声を一つあげるたびに、笹本は一つ不安になる。
ベッドに倒れこんでからというもの、井上は一言も言葉を発していない。
この部屋に漂うのは、互いの吐息と笹本の高い声だけ。その静寂が余計、笹本の不安をあおる。
いつもの井上だったら、照れ隠しなのか揶揄のような軽口を叩いてうるさいぐらいで、笹本はそれに反論をしたり受け流したり、
時々はやりこめられたりして、じゃれあう様なセックスを仕掛けてくる。
それが、今日はどうだ。
無言で、時々睨むようにこちらを見てはいるけれど、その瞳に自分が写っているとは到底思えない。
態度が可笑しいのは最初から重々承知だ。
抱き合っているうちに、もしくは、井上が欲望を全部吐き出したら、いつもの彼に戻るか、なにか事情を話してくれるんじゃないかと軽く考えていたのだ。
だけどここにきて、それは有り得ないのだと熱に浮かされたまま笹本は悟った。
二人の身体が熱くほてり、笹本の思考がどんどん白く濁るのと反比例するように、
井上の頭はつめたく冴えわたり、刺々しい雰囲気に拍車がかかる。
その原因を考えようとするたびに、それを邪魔するかのように井上がゆるやかに笹本を感じさせる。
「――もう、いい……いの、うえ」
絞り出すような声が届いたらしく、井上が動きを止めた。その隙にぐっしょりと濡れた下着を脱ぎ棄てる。
先ほど風呂上がりに身に付けたものだけど、もう交換をしなくてはいけないだろう。
さっさと脱がせてくれればいいものを。余計な洗濯物を増やしやがって。
心の中だけで毒づいて、井上を振り返る。手際良く準備を終えるのを待って、彼の太ももに跨った。
軽く手を添えて先端をあてがうと、くちびるを重ねて一気に腰を落とす。
「ん!」
快楽に漏れた声はどちらのものだったか、判らない。
荒い息を混ぜ合わせて、くちびるを重ねて夢中で舌を絡ませ合った。
中途半端に思考が残るからいけないのだ。
いつもの井上なら、驚くほど丁寧に笹本を感じさせてもっと早い段階で笹本の思考を奪うはずなのだ。
どこか心ここにあらずのまま、こんな風に身体を重ねるから笹本の胸は痛むのだ。
さっさと突っ込んで律動だけに集中すれば、自分も井上も目の前の快楽に素直になれるに違いない。
そう考えたけれど、熱い井上のものに圧迫された笹本の内部はますます痛むだけだった。
だけど心とは裏腹に、身体はさらなる喜悦を求めて勝手に腰を揺らす。
「あっ、ああ……それ、や…いや……それだめ……ッ」
最奥がぐりぐりとえぐられて、鋭い快楽に息苦しくなった。
「……それって?」
井上が久方ぶりに口を開く。熱を帯びた声がなんとも色っぽい。白む頭で笹本はそんなことを考えた。
「お、く……」
「奥? ここ?」
「あっ、や……だめだって、」
「なんで?」
「なんか…へんっ…! あつくて――や…いや、んん!」
いや、と言えば言うほど、井上が腰を揺らしてそこに当ててくる。同時に顎に吸いついたり背筋を撫であげたり、胸の蕾をいじってさらに笹本を追い詰めようとする。
身をよじって逃れようとも、自重のせいで身動きが取れないし、身体を引き上げようとも膝に力が入らない。
文字通り身を中心から貫かれて、息もできないほどの快感に苦しくなった。
こんな体勢に持ち込んだ己を恨んだが、今更どうにもならない。
井上は最奥の敏感な部分を執拗に攻めてくるものの、その快楽は鋭く刹那的なもので、笹本が求める絶頂には程遠いような気がしていた。
ちがう、と首を振っても井上には伝わらず、ねっとりとそこを責められ続け、笹本の声は次第に悲鳴のようになる。
「はっ、や…やだ…んんっ! だめ、そこ…だめ…だめ!」
「だめ、なの?」
「やだっ、まって…や、や…あ、んっ…んん!!」
高い悲鳴とともに鋭い絶頂がやってきた。入口が収縮をし、井上自身を締め付けているのが自分でも判った。
自然と背が弓なりに反れて密着していた身体が離れかけたけれど、井上に抱き寄せられてまたぴたりと肌が触れ合う。
のけぞってむき出しになった首に噛みつくようなキスをされたかと思ったら、すぐに井上が律動を再開させる。
「あ、ちょ…っと、まって……ん、や、や、いやぁ!」
達したばかりで敏感な肉体を再び攻められて、堪らず笹本は悲鳴を上げた。
制止の声は全く届かない。
上体を支えていられなくなって井上に強くしがみついたけれど、構わずに突き上げられ、その勢いのままベッドに押し倒された。
「……っ!」
乱暴な扱いに、嬌声とは違う悲鳴が漏れる。息をのむようなそれに、井上が気がつかなかったのか、敢えて無視をしたのか、推し量ることはできない。。
「や、だぁ! あ、んっ…あぁ、むり、まって…! …のっうえ!」
井上の動きにあわせて出る弾むような制止の声も、まったく耳に届かに様子で何度も何度も貫かれる。
――変になる……!
苦しいのに、もうやめてほしいのに、だけどこの先にあるかもしれない快楽にたどりつきたくて、もっともっと激しくと願ってしまう。
「あ、や、やめ…! ん、んん――ひぁ…ん!」
何度目かの白い世界を瞼の奥に見たと同時に、叩きつけるように最奥にたどりついた井上の動きが止まった。
また身体が収縮を繰り返している。井上が熱い体液を吐き出し、そちらもどくどくと脈打つのが薄い膜越しにも判った。
井上は、笹本の肩口のあたりに顔をうずめて荒い息を繰り返している。
笹本の息も当然まだ整わない。
身体中から力が抜けて、井上の首にしがみつくようにして巻きつけていた両手が力なくベッドの上に投げ出される。その白い手を、どこか他人のもののように感じた。
そこでやっと、自分が泣いていることに気がついた。
いつから零れていたかも判らない涙が、シーツを濡らしている。
自覚をしたら鼻の奥がつんと痛んで、またとめどなく涙があふれてきてしまった。
「……笹本、さん?」
すん、と鼻を鳴らした笹本に、驚いたような井上の声音が届く。
短い嗚咽を漏らしたら、井上の手が伸びてきて、無骨な親指がその雫を拭った。
「ごめ、なんでも…ないっ……」
その温かな手を振り払って、笹本は顔を背けた。
身を丸めて顔を隠してしまいたかったが、未だ井上に貫かれたままなので身動きが取れないのだ。
「あの……すいません、俺、」
ちがう、こんな風に泣くのは自分らしくないし、井上にこんな風に謝られたくない。
笹本は豪快に拳で涙を拭うと、両手で井上の頬を挟んで引き寄せる。
「……お前、やりすぎ」
短く文句を言うと、井上がごめんなさいと言い切る前に、深い深いくちづけを交わす。
井上の舌がしっかりとそれに応えてくれる。笹本は安堵した。
深く短い口づけを終えて顔を上げた井上が、笹本さんって暖かいっすね、と小さくつぶやいた。
――生きてるからな。
掠れた声でそう返した後で、お前も暖かいよ、と付け加えた。
「暖かい……生きている…………」
その呟きが上手く聞き取れなくて見上げると、井上は顔をゆがめた妙な表情をしていた。
でもまたすぐにくちびるを落としてきて、その面持ちは伺えなくなった。。
だるさの残る腕を懸命に上げて、背中を数度撫でてやる。安心させようとそうしたのだが、安らぎを得たのは笹本のほうだった。
でもそれは刹那のことだった。
我に返ったように身を起こした井上は、手早く事後処理を終えると水を一杯だけ飲んで帰って行った。
申し訳程度に、すみませんと謝罪を残していったものの、それがどういう意味か、考えるのも面倒だった。
「いいよ……じゃあ」
「はい、また明日」
見送りすらも億劫で、裸のまま布団にくるまり身を丸めて、ドアの閉まる音を聞いた。
井上がさっさと帰るのはいつものことだ。今日に限ってそれに苛立ちを感じるのは、何故なのか。
井上の様子がおかしいのは今に始まったことではない。
ここ最近、ずっと何かに思いつめているようだった。
理由は恐らく、尾形である。石田も山本も、もちろん確信をしているけれど、原因に心当たりはない。
一度笹本がはっきりと聞いたが、はぐらかされた。
今日と同じだ。
――これ以上踏み込むのなら、もう要らない。
井上の眼はそう語っていた。
ここで笹本と井上の関係までこじれるのは好ましくない。
そう思ったから何もそれ以上は踏み込まず、ただ井上を受け入れたけれど、今になってその判断が正しかったのかどうか、判らなくなる。
不要にされても追求するべきではなかったのだろうか。
尾形との不協和音は井上の不調を引き起こす、深刻なエラーだ。このままでは現場に支障をきたす。
そこまで判っていながら、次回同じことがあったとしても、今の笹本には聞ける自信がない。
それは、笹本が、ただの女として井上に必要とされたいからではないのか。
井上が今日みたいにさっさと帰ってしまっても、他の女に優しくしても、腹も立たなかったのは自分だけが彼の特別だとどこかで思っていたからではないのか。
だけど真実はどうだ? こんな簡単に切り捨てられてしまうのだ。井上の特別でなど、有り得ない。
それを知ってどうしてこんなに胸が痛いのか。
認めたくなくて、言い訳をいくつも用意するが、たどりつく答えは一つだった。
お断りだ。こんな感情要らない、必要ない。
自覚したと同時に捨てなくてはいけないこの想いが、気の毒になった。
一体いつから、こんな感情を抱いていたのだろう。
枕に顔をうずめたら、突然涙があふれてきた。先ほど無理に止めてしまったものの続きだ。
膿は出し切った方がいい。存分に泣いたら、もう眠って忘れてしまおう。
幸い仕事は忙しいし、平常心には自信がある。
この不毛な関係をやめて、仕事に打ちこんでいるうちにきっと忘れてしまえると、笹本は自分に言い聞かせた。
なかったことには出来ないけれど、己を取り戻すのは案外簡単だった。
冷静に考えてみれば、年下は無理だし、顔の濃い男は苦手だし、そもそも社内恋愛なんてまっぴらごめんだったはずだ。
仕事は苛烈を極め、テロリストに襲われてボウガンで打たれ負傷、などという大事件も起こったし、井上のエラーはますます深刻になっていく。
落ち込んだり胸を焦がしたり、考えたりしている暇なんて笹本にはなかった。
もう聞かない、と約束したからには、あの日のことを井上に尋ねることもしなかったし、そんな暇もなかった。
井上自身は、もっと余裕がなかっただろう。笹本を誘うだとか、訪ねてくるだとか、そういうことは一切なかった。身体を重ねたのは、あの日が最後だった。
「じゃあ、あたしこの駅で乗り換えだから」
久々のオフの日。二人で出掛けた帰り際、そう言った笹本に井上はただ、短く肯定をしたのみだった。
笹本を引きとめたり、席を立ったりしなかったことに、深い安堵と同時に少しだけ寂しくなる。
だけど、これでいいのだ。
先ほど井上は、自分の抱える不安を笹本に打ち明けてくれた。
その内容に衝撃を受けたものの、冷静に返答をできたと、思う。
身体の関係がなくなったから、井上と笹本はまたベストな関係に戻れたのだ。そのことが井上の負担を軽くするなら、それ以上のことはない。
列車のドアが閉まる。井上を乗せた列車は、緩やかに加速をし、すぐに彼の姿は目で追えなくなる。
知らず、笹本は笑みをこぼした。
井上は多分もう大丈夫だ。もちろん、原因は取り除かなくてはならないが。
あとは、尾形だ。尾形が何を考えているか判らないが、なにかよからぬことなら井上たちとともに全力で止めるだけだ。
明日から彼の動向にも気を配ろう。あの尾形が簡単に尻尾を出すとは思えない。
逆にこちらが疑っていることを知られたら、まずいことになる。
気を引き締めなければならない。
完全にホームから出て行ってしまうまで列車を見送って、笹本は帰路へつく。
重い現実とは裏腹に、心は軽やかだ。
この心の平穏が続けばといいと、笹本は何かに願った。
――革命、前日の出来ごとだった。
おわり
神降臨してたああああ!!!!!
思わず見入ってしまいました。続編とかありますか?
神…!!
保守しててよかった…
神よ
ありがとうありがとう
GJです
良かった…本当に良かった…
ありがとう!
あれ、意外と人いたんだ…
神GJ!
ラブラブでないとこがリアルでありそうで良かったです
85 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/26(水) 10:17:18.34 ID:KKZ2RYKM
新たな神降臨を期待しつつ保守あげ
人いないねー
もう映画も終わっちゃったしね。
続編でもやらない限り過疎っていく一方だな…
神かもん!
コミックス読んでみたが絵が微妙すぎて、ついココに来てしまった…
やっぱり過疎ってるなー
90 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 22:57:43.61 ID:pPi7vX+v
age
91 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/24(木) 21:12:23.97 ID:HxsKQGLz
神まち
92 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/07(水) 10:48:27.90 ID:Uhr9WYfd
ほしゅage
93 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 00:46:46.21 ID:h7t1IBmU
age
ほしゅ
ほしゅ
かもん!
待ってます…
98 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 01:51:25.11 ID:ILQRPpoq
再浮上
99 :
名無しさん@ピンキー:2012/04/26(木) 18:16:37.50 ID:McmKtZOS
ほしゅ
神は再び現れるのか…
神よ…神よ…
お待ち申し上げております……
101 :
名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 22:09:34.59 ID:fSqExJP8
神…神よ…
102 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/07(火) 18:44:17.91 ID:MC0MuXMC
がんば
103 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/28(火) 06:28:43.08 ID:bWCXftxO
保守
SP
笹本受かもん
山本受かもん
もうダメなのかな…
108 :
名無しさん@ピンキー:2013/01/07(月) 02:16:38.17 ID:f3rbudTG
いやそんなはずはない
109 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/08(月) 16:35:44.29 ID:k5eukVgt
誰かいないのー?
110 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/08(月) 20:38:29.58 ID:k5eukVgt
誰もいないけど…書いていいかな?
おねがいします
112 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/14(日) 20:36:35.81 ID:PfOE5Y7f
ちょっと井上×笹本書きためてくる
ありがとうございます
神待ち
115 :
名無しさん@ピンキー:2013/05/16(木) 14:24:47.26 ID:rQBcoThG
神よ・・・
もし書くとしたらとんなネタがいいだろう…?
117 :
名無しさん@ピンキー:2013/06/18(火) 06:56:54.93 ID:ojMw8cxq
書きたいがネタが浮かばん…
神は現れないのか……