「あっ…っ!」
咥えられた少年の顔に、ホッとしたような表情が浮かぶ。
そこに浮かぶのは戦死を免れた安堵より、安心して快感を享受できる事への喜びだった。
(さっさとイカせるか)
唇で半剥けの先端に吸い付くと、唇で押し込むように包皮をズリ下ろす。
ツルンと抵抗無く剥き上がった粘膜質の先端に吸い付くと、柔らかい頬肉をピトっと貼り付かせる。
「はぁっ…!く、うぅっ!」
漏れ出る嬌声には拒むような感じは無く、むしろ射精への歓喜に満ち溢れている。
少年の猛りに舌を巻き付けてやると、絶頂寸前の肉幹はそれだけで急激に膨みを増した。
(…そろそろ出るか)
エクスタシーの訪れを感じ取ると、絶えず先走りを滲ませる尿道に舌裏を当て、熱い劣情が迸るのを待ち受けた。
「あっ、飲んで、っ、飲んでっ、イクっ、イっク…う…っ!!」
ビュルゥッ!!
発射音のしそうな勢いで、少年の快感をたっぷり乗せた孕ませ汁が、ソープランドの口中に注ぎ込まれる。
(うぉっ、激しいな…)
必死にミルクをひり出そうとオチンチンが身震いする度に、精液が勢い良く吐き出される。
元気な少年汁が喉奥を直撃しないよう、舌の裏側で精液を受けて勢いを殺し、口中に熱々のホットミルクを溜めていく。
「あっ…!…っ!…ふ、くっ…!」
息も切れ切れな喘ぎ声に合わせるように、唇に伝わる牡肉の脈動。
ビクビクと少年自身が悶える感触を舌に感じると、冷静を装うソープランドの心にも、淫らな炎が燃え上がってしまう。
(くっ……そんなに俺の口…気持ちいいのか?)
彼の心に存在する、男同士による行為への拒否感と、この競技への憎悪に近い嫌悪感。
だがいくら拒否しようとも、少年のイキ声が耳に響く度に彼の肉棒が喜ぶようにひくつき、
その頂点から欲望の薄汁が湧き出るのを止められない。
(ほらっ、たっぷり出しちまいな…)
彼もまた興奮に鼻息を荒くしながら、年若い牡器官を快感に浸らせた。
「あっ、はぁ…ん…っ…」
ソープランドの口中を蹂躙していた若茎も、ようやく静かになってきた。
脈打ちが大人しくなり、新たな精が吐き出されなくなると、口に溜めた精液を飲み込み始める。
ゴクッ…ゴクンッ…
喉を通るドロドロの粘液。無味なのにえぐさを感じる、お世辞にも美味いとは言えない味。
しかし衛生行為のルールでは、口から精液を吐き出してしまうと救出失敗となってしまう。
(何度飲んでも、こいつには慣れないな…)
味方とは言え、見ず知らずの相手の精液を飲むのは、いい気分ではない。
それでも苦労しながら、粘り気で飲みにくいソレを、押し込むように喉へ流し込んだ。
「ぷふぅーっ…」
間抜けな音と共に吐き出される、精液臭い吐息。射精後の疲労にダウンする少年も、その内復活するだろう。
喉に残る精液の感触に辟易しつつ周りを見ると、味方はスナイパーを警戒して身を潜めていた。
大半の古参兵は左翼と中央にいったらしく、場慣れしていそうな面子は少ない。
そして、こちらを羨ましそうに見るカマーイン…何が羨ましいのかは考えないことにした。
(まいったな…俺一人でやるしかない、か)
若手ばかりでは、組織的なスナイパー狩りは難しい…少々危険だが、やるしかないようだ。
「カマーイン」
「はっ、はいっ!」
珍しく名前で呼ばれたのが嬉しいのか、語尾にハートマークでも付きそうな勢いで即座に返答が返ってくる。
「今からスナイパーを始末してくる。俺が声で合図をしたら、全員を突っ込ませろ」
「声の合図で全員突撃ですね、了解ですっ!」
身を低くし、素早く走り行く彼の背中に、カマーインが言葉を掛ける。
「先輩、他のヤツにイカされちゃ…ダメですよっ?」
聞こえているのか、いないのか…返答もないままに、ソープランドの身体がスナイパーの射界に躍り出た。
両手でライフルを構え、全力で車道を駆け抜ける。
今日の武装は皆大好きTAM−2I(正式名称タマボール)、銃の機関部をストックに収めるブルパップ形式のアサルトライフルだ。
ブルパップ形式にも関わらず、発射時の反動が強く中長距離での命中率はあまり良くない。
しかし、その鋭いキックをあえて好む者も多く、彼もその中の一人だ。
(……来たっ!)
マズルフラッシュとほぼ同時に鳴り響く、聞きなれない発砲音。
飛来する死の礫を聞くと言うより感じとると、走る方向を急激に変える。
ッシュゥーッ…!
風切り音と共にソープランドの直ぐ脇を通り抜ける、大きめのオナホ弾。
(あの速度と飛び方…やはりオナ具ノフか)
予め飛来する弾を見ていた為、スナイパーの得物は検討がついていた。
オートマチック式の狙撃銃では老舗の部類に入る銃で、
SS1019やヒギィトン0723弾等MAZO規格のオナホ弾よりも肉厚なコキアンアン弾を使用する。
性能に関してはあまり評判は良くないが、一部に熱心な愛好家が存在し、稀に競技場でお目にかかることもある。
突破されるとは思っていなかったのか、虚をつかれた雰囲気の敵少年達が慌てて銃を乱射するが、
その前にソープランドは破棄された廃車に身を隠していた。
(こんなお粗末な連携じゃ、向こうも熟練者は少ないようだな…)
オナホ弾は形状や重さ、さらに選手を怪我させない為の配慮として、あまり高速で飛ばないようになっている。
上級者ならば、発射の瞬間を見極めてからの回避という離れ業も不可能ではない。
もし古参の競技者がいれば、そういう事態を想定して常時援護の人員を張り付かせるだろう。
(追撃はしてこないのか…?)
スナイパーも慌てて撃ってくると思ったが、狙撃銃特有の高速弾は飛んでこない。
ボロボロの鉄塊に隠れながらスナイパーの姿を探すと、正面の廃ビル二階に陣取るそれらしい姿が見えた。
(狙撃の射角や位置からして、ヤツがそうだろうな…糞ったれのシコ砂が)
シコ砂(シコスナ)とは、一つの場所に篭って狙撃を続けるスナイパーの蔑称で、床オナをするような狙撃姿勢からこの呼び方が定着した。
だが見つけたとは言っても、今の場所からでは直接狙えそうにない。
外壁の崩壊した二階に陣取っているため、下からでは相手の身体は死角に入ってしまう。
本物の戦争なら手榴弾でも叩き込むところだが、FPSに手榴弾は存在しない。
(何か良い手は…と)
状況を観察するソープランドの目が、スナイパーの篭る二階の天井を見て止まった。
(弾は余裕がある、相手の位置は分かっている、これなら…)
タマボールを構えると、ダットサイト(光学式照準器)をスナイパー自身ではなく、スナイパーの上の天井に合わせる。
ポポポポポッ!
フルオートで叩き込まれる、オナホ弾の連射。
先端の柔らかいオナホ部分が天井に当たり、そのまま跳ねるように下へ落ちていくシリコンの塊。
その先には、位置を知られているにも関わらず、同じ場所に篭ったままのスナイパーが…
「…!っ、ひやぁっ!あ、うぁ!!」
聞こえてくるのは、不意の種付け絶頂に翻弄される少年の絶叫。
なんと跳弾による偏差射撃で、相手のスーツのスイッチを撃ったようだ。
オナホ弾ならば例え威力が落ちても、弾の重さだけでスーツのスイッチを起動させることも難しくはない。
そういう読みもあっての荒業なのだろうが…
『なんとソープランド選手、跳弾でシコ砂を仕留めてしまったーっ!!』
アナウンサーの声にも賞賛と驚愕の色合いが見える。
シコ砂は観客が楽しめるような戦法ではない為、運営者側にとっても好ましくない。
ルール上は禁止されていないとはいえ、厄介な難物が減ったのだから、運営サイドも万々歳だろう。
「そこで好きなだけ床オナでもするこった…」
僅かに嘲りの色を含む言葉を投げかけると、味方の陣地を振り返った。
「いいぞぉ!突っ込んで来いっ!!」
肺活量を最大限に使って、合図の大声を張り上げる。
彼の声に応じて、一斉に突撃を開始する味方チーム。
それに対し、戦線を維持していた要であるスナイパーを失い、色めき立つ敵チーム。
敵も立て直しを図るだろうが、そんな隙をみすみす逃す気は無い。
ダッ!
彼自身も身を低くしながら、全速力で突撃を開始する。
(お願いだから、こっちを撃ってくれるなよ…!)
弾数の少なくなった弾倉を代えながら、敵が陣取る廃ビルの入り口へ突っ走る。
窓から顔を出していた敵が、彼に気づいて銃口を向けるが、引き金が引かれる前に彼の姿はビルの中に消えていた。
ビルに突入した彼を待っていたのは、一斉突撃を仕掛ける味方を迎撃しようとする少年達の背中だった。
(がら空きだぞっ!)
ポポッ!ポポッ!ポポポポポッ!
至近距離の二人を素早い速射で仕留めると、奥に陣取る集団へフルオートを撃ち込む。
いきなりの銃撃に驚く敵がこちらを振り向く前に、横倒しになったテーブルの後ろに飛び込んだ。
「なっ…!ちく、んっ!くそっ、くっ、イクぅ!!」
「んあっ!み、見るな、っ!見るなっ、あぁっ!っ、見ないでぇっ…!」
「ぐっ、んっ…っ…!!」
「いや、ダメ、出るぅ!出っ、るぅ…う!」
次々と上がる四人分のイキ声。どうやら大雑把な攻撃で二人ほど仕留められたようだ。
バババッ!バババババッ!
テーブルに当たるオナホ弾の衝撃が、足の裏にまで伝わってくる。
かなりの人数が彼目掛けて銃撃しているらしく、壊れかけのテーブルが爆ぜ割れそうな勢いだ。
(だが、もう遅い)
ポポポッ!ポッ!ポポポッ!ポポポポポッ!
ビルのすぐ外から聞こえる複数の発砲音。味方がこの建物に取り付いたようだ。
顔を僅かに覗かせると、味方の銃撃になぎ倒される敵と、一人だけ逃げ出そうと背中を見せる敵少年の姿が見えた。
(逃がすかっ!)
テーブルから飛び出すと、逃げる背中の下、膝の裏に狙いをつけて一発撃ち込む。
「あっ!」
いきなり膝を後ろから撃たれてしまい、走り出そうとした姿勢のまま片膝をつく。
そのまま体制の崩れた背中へ飛びつくと、相手の銃を手で叩き落して両手を捻り上げる。
「ぐあっ!が、ぁっ…くっ…!」
後ろから完全に動きを封じ込めると、相手の下肢に目を向けた。
視線の先、肛門にあたるスーツの後ろは、大きく切り取られたように尻を露出している。
(…稼がせてもらうか)
ソープランドの勃ちっぱなしのオチンチンが、後ろの開口部へ近づく。
ぴとっ…
先走りに濡れ光る尿道口と恥ずかしい窄まりの、禁断の口付け。
「っな!く、くそっ、くそぉっ!」
これから何が起こるのかを悟った相手が、必死に暴れて抵抗を試みるが、背後を取られては思うように動けない。
逃げるように振り動く腰に惑わされることなく、タイミングを見計らって勃起を前に突き出した。
「ん、ふぁ、あぁっ!」
ヌプ、ズププッ…
抵抗無く牡穴の奥まで潜り込む、ソープランドの怒張。
その中は暖かく、まるで入念な尻穴愛撫で解されたように柔らかい。
それもそのはずで、FPSの選手は競技前にアナルを入念に解さなければいけない為、
こういった前戯無しの挿入も平気でできるようになっている。
「くっ…」
高得点のトコロテン撃破を狙ってアナルファックに雪崩れ込んだが、それは同時に、競技者最大の弱点を敵に預けることにもなる。
ローションに濡らつく背徳の穴が、ソープランドの肉幹をキュッキュッと締め付け、その表面をしゃぶる様に蠢く。
(ちっ、少しはできるようだなっ…)
曲がりなりにも競技者らしく、自らの中に埋まった肉杭を性的に仕留めようと、括約筋を巧みに動かしてくる。
しかしソープランドには、体勢の優位がある。腰を揺り動かし、硬くなった肉柱で牡穴を縦横に拡げていく。
(…あった!)
そして肉の先端に感じるコリコリした感触…探していた前立腺の膨らみを、遂に掘り当てた。
「あ、ダメ、お願いっ!そ、それだけはっ…んっ!」
追い詰められた少年が哀願するが、躊躇無く腰を擦り動かし、少年のGスポットを責め立てる。
「んあぁぁっ!」
少年の口から、悲痛な響きを滲ませた喘ぎ声が上がる。
追い討ちを掛けるように、前立腺のしこりをカリ首の出っ張りで穿るように刺激していく。
「やっ、イヤっ、っ!んっ、ダメぇっ、んぁっ…あぁっ!」
少年の口から上がる、悲痛な響きを滲ませた喘ぎ声。
押し寄せる快感を必死に拒みながら、それでも性の喜悦に身を委ねてしまう…そんな戸惑いを含んだ声が妙に色っぽい。
「くっ、うぅ…っ」
だがソープランドの方も、腰を突き込む度に苦悶にも似た呻き声を漏らす。
カリ首を積極的に使った攻撃は、自分から快感を貪るのに等しい。
喜悦を顔に出すまいと込み上げる快感を堪えながら、眼前の少年の尻穴を掘削する。
「あっ、んぁ、っ、ああっ!」
まるでチキンレースのようなアナルファックの決着を告げる、熱の篭った甲高い声。
先に根を上げたのは、やはり相手の少年だった。
「来ちゃう…!あぅっ、来るな…っ!んっ、んぁっ…来る、ぅ…っ!」
いよいよ相手の声が切羽詰ったものになり、直腸を忙しなくひくつかせる。
ソープランドも少年の無防備な首筋へ唇を寄せ、啄ばむようにキスマークを残していく。
腰の動きを早め、止めの高速ピストンをくれてやりながら、耳に口を寄せると…
「もう、イっちまいな…!」
耳たぶをカプっと甘噛みした。
「あっ、いやっ、や、んっ!いやぁ、っ、あぅっ、ママっ、ママぁーっ!!」
ドビュウーッ!
なんと、母親を呼びながら白濁エキスを撒き散らしてしまう少年。
触るものも無い屹立から敗北の証を噴き出しながら、トコロテンの快感に全身を震わせる。
(くっ、予想以上に……いい…っ)
射精の脈動に合わせて秘穴全体がビクビクとおののき、彼の勃起を心地よく締め付ける。
「んっ…!…くっ…ふぅ…っ」
敵の最後の反撃に耐えながら、あられもない声を出さない様にゆっくりと息を吐く。
「ママ、ぁっ…んあっ…っ、マ、マぁっ……」
射精の勢いも衰え始め、精液も残滓が漏れ出るだけになり、絶頂も終わりを見せている。
それにも関わらず、母を呼びながら種付け汁をひり出し続ける少年に、ソープランドも驚きを隠せない。
(おいおい…こんな場面で母親かよ…)
死にゆく兵士の最期の言葉としては相応しいかもしれないが、生殖器官を滾らせながら言う台詞ではない。
『右翼を崩した殊勲賞のソープランド選手、今度はトコロテン撃破!自前のナイフでソードオフだ!』
トコロテン撃破と同時に、今まで口を閉じていたアナウンサーの実況音声が復活する。
(ちっ…空気の読めるアナウンサーで、涙が出るぜっ…)
普段は喧しいアナウンスも、こういう場面では選手や観客の邪魔をしないよう沈黙を保つ。
『さぁ、右翼の趨勢は明らか、勝敗の行方はこれで決まったのか!?』
だが事が終われば、黙っていた鬱憤を晴らすようにマシンガントークを垂れ流す。
もう少し黙っていれば良いのに…うんざりしながら騒音を意識から締め出した。
「んっ…うぅ……」
やがて、恥ずかしい牡穴アクメを堪能した少年の身体から、力が抜けていく。
その身体を抱きとめ、床に置こうとした、その時。
スッ…
目の前の出入り口から現れた、一人の敵選手。その銃口は既にこちらを向いていた。
(やばいっ!!)
意識外の条件反射が、手に持った物、即ち少年の身体を持ち上げて盾にする。
ポポポポポッ!
同時に、敵のCOMMANKO(コマンコー)カービン銃から放たれる、オナホ弾の群れ。
バババッ!ババッ!
盾にした少年の全身に浴びせられる、柔らかな弾雨。
少年のスーツに設置された強制射精ボタンにも何発か当たり、哀れな肉盾に連続絶頂を強制した。
「んがああぁーっ!!!」
絶頂直後の強制射精に、少年の口から正真正銘の絶叫が上がる。
「ぐ!っ、あぁ…っ!」
連続強制絶頂に暴れる少年の身体。その躍動は尻穴にも伝わり、ソープランドの分身を強烈に締め付ける。
このままではイかされる…ライフルを構える余裕は無いと判断すると、腰の拳銃に手を伸ばす。
ミートシールドで弾を防ぎながら、拳銃を構えた右手を上げて狙いをつける。
ポッ!ポッ!ポッ!
素早い三連射。一発目はボディスーツを捉えるがスイッチには当たらず、残りの二発がこの局地戦に決着をつけた。
「うぅっ…!っ…む、ぐぅ…っ!!」
少しハスキーなイキ声と共に上がる、白い血飛沫。
僅差で新たな乱入者を仕留めたが、ソープランドの方もダメージは大きい。
「くっ…!はぁ…ん、はあぁ…っ…!」
盾にした少年の凶悪な連続尻穴締めに、白い粘液を漏らす寸前まで追い詰められていた。
彼の拳銃も弾を撃ち尽くし、スライドを後退させたままの状態で止まっている。
(危ないところだった…っ…くっ…!)
連続絶頂に気を失ってしまった少年から、慎重に若幹を引き抜く。
「くっ…」
「ん、ぁっ…ママぁ……」
二人の口から同時に上がる、密やかな呻き。
少年の身体を少し乱暴に床へ寝かせると、彼も床にへたり込んだ。
(クリアリングもしないで突っ込むなんて、焦り過ぎだ…)
彼らしくない、明らかな索敵ミスだった。
(こんなところで無様にイって、クズどもの思い通りになる気か…!)
近くのスピーカーを睨み、その向こうにいるであろう運営者と観客に、憎しみを込めた視線を送る。
そんな黒い感情に染まりかけた彼に、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「先輩っ、先ぱーい!」
もはや彼にとって御馴染みのカマーインの声。だがその声色には焦りと緊張が感じられる。
(何かあったのか)
黒い思考に染まりかけた心が、徐々に冷静な戦士の頭脳に戻っていく。
手は淀みなく空になった拳銃の弾倉を交換し、ホルスターに挿し直す。
(……ここは戦場だ。今は…考え事は無しだ)
くだらない考え事は、後でいくらでもすればいい…
ドロドロした暗い感情を心の奥底に沈めると、ライフルを両手に構えて、カマーインの方へ足早に駆けて行った。
続く
以上です。
乙!
相変わらずエロい
乙
ああ、この文章大好きなんだ
乙、続き禿げながら期待してる
これだけ軽さとバカっぽさを醸し出しながら描写力の高い文章はなかなか書けるものでは無いな
566 :
ゴッドメロディ:2011/12/31(土) 20:57:30.76 ID:dDA2zI1m
あと、ボク、下書き無しでもできるんすよ!
ゴッドメロディさんは帰っていただいて結構です。
568 :
550:2011/12/31(土) 23:28:07.89 ID:/QW85e9E
>>562-565 読んでもらって、ありがとうです!
ただ続きは他と平行しながらなので、申し訳ないですが一ヶ月は先になってしまいそうです。
もう三が日最終日になったけど、みんなあけおめ
たまに投下させてもらってるけど、夏大好きなので季節感なく夏モノばっかり
しかも体操服フェチなのでそんなのばっかだし
気が乗った時しか書かないけど、また投下すると思うので今年もどうぞよろしく
明けましておめでとう
何卒本年もムラムラするエロエロ小説の投下をお願いします
あけおめ、もうスレサイズ470KB突破したのか
572 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 00:21:59.41 ID:bNHsbWj+
えっとぉ、二次元のやつは元ネタじゃないとダメなんだ………。おれ二次元ものが得意だから元ネタを一生懸命考えてるんだけど………、やっぱ、難しいな。
573 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/04(水) 00:24:47.66 ID:bNHsbWj+
今から、二次元のやつ書きまっせ!ちゃんと元ネタのやつにするからさ!例えば、任務に失敗してそんな……とか、ジム戦その後のやつを書けばいいんだな!つーか、イナイレのやつ、なんで元ネタじゃあないんだろ……?
痛い
他所でやってくれてかまわん
受け入れてくれる「他所」があるのかは分からないけどな…
私エア作者だけど
大学生くらいの高齢ショタだと
腐臭のするゲイ体験談っぽいのになってしまうよね
高齢ショタァ?モノは言い様だな
ショタの定義からもう一度考え直したくなる哲学的な議題だな
高齢ショタww
>>1の
>だからといって「ワシらも60年ぐらい前はショタっ子でならしたモンよ」
>と豪語する兄(78)と弟(76)の絡み、とかいうのは勘弁な!
を思い出した
エロパロで男同士がOKっぽいところって、ここ以外だと男の娘スレと男のオナニースレぐらいかな
高齢ショタは頑張って15〜6までだろ
ぎりぎり高1が入るか入らないかぐらいだな
エフェボフィリアという言葉が浸透すればショタ論争は起こらない
ああ、俺はエフェボフィリアだったんだ…ありがとう
でもジャニ寄り好きならそれこそ一大市場を形成しているが
生えかけの筋肉中学生好きになると、ペドフィリアよりも同好の士が少ないだろうなぁ
筋肉ショタ好きは結構見る、デブショタ好きも
まあ外見がショタならいいんだよ!って事で一つ
ロリだと毛が生えたら、それはもうロリじゃない、って人多いけど、ショタはどうなの?
自分の中では、生える途中なら良いけど生え揃ったらアウト
薄毛なら生え揃ってもわりとオッケー
自分で書く時はそこら辺はぼかして書いてるな。
ガタイも相対的な書き方で、後は自分で想像してねって感じで。
>>589 素敵だ。読み手にとって最適な像になるように書いているってことか
そっちゃえよー
冗談でもやめろ
無理矢理じゃないところがポイントだな
素直に羨ましい
595 :
302:2012/01/14(土) 00:52:38.59 ID:q/hXub9N
半年前にラジアータのパロを書かせてもらった者です。
あれから本来書いてた物の路線から大幅に変更した為に物凄い時間がかかってしまいました。
正直前回以上にエロく無い上に無駄に長いしでgdgd感が尋常じゃない事になってます。
まぁ続く言った以上は載せた方がまだ良いだろう…か?
書く書く詐欺は嫌だしね。
↓ラジアータストーリーズ ココ&ミカエル
翌日になってもジャックの容態は一向に回復しなかった。
誰かが魔法で治療した方がいいのではと提案したが、リカルドからジャックの身体が成長期であるのを理由に却下された。
事実、奇病にかかった訳でも無いので安静に居るのが一番の治療であるのは間違い無い。
だが人間との闘争が激化している中、ジャックと言う大きな戦力が動けないのはかなりの痛手である。
取り敢えず現状を何とか維持するため、ヘレンシア砦の警護を強化する指示が出された。
会議が終わり、ただ一人を除いてジャックの寝ている部屋から退出した。
「ジャック…」
再び眠りついたジャックを見下ろしている少年の声は微かに震えていた。
懐に抱えていた本をぎゅっと握り締める。
それは同胞達へのやり場の無い怒りを抑えている様の現れだった。
ほんの数日前までジャックは、他でも無い人間側に居たのだ。
それなのに、出てくる言葉はその人間達を傷付ける内容ばかり。
幾度と無く剣を交えた相手だろうが、それによってジャックは沢山の友人を失った筈だ。
その上病床に伏しているにも拘わらず会議に参加し、幾つもの提案を挙げてくれた。
その余りにも無神経極まり無い仲間達に何も言えない。
(それでも、やっぱりぼくは皆が嫌いになれない。なりたくないよ…)
大きな丸太椅子の上で、ミカエルは膝を抱える。
「ごめん、ごめんなさい…」
厚手の本で顔面を覆い、何度も同じ言葉を呟いた。
溢れてくる涙を抑えられず、袖で何回も何回も拭う。
失明した片目が疼いた。
「何で…何でだよ。何でみんな仲良くなれないんだよ……」
何もかもが崩れていく気がした。
仮にこの戦争がどちらかの勝利で幕を閉じたとして、その先にある未来が決して明るいものでは無い事を知っているから。
厄災の象徴として古くから伝わる禁忌。
人間にも妖精にも例外無く破滅を与える奇病の存在を知ってしまったから。
「お〜い」
「え? あ…ジャック!」
気だるい声と共に、寝ていた筈のジャックがゆっくりと起き上がる。
地面に立ってもいないのに、ゆらゆらと不安定に身体が揺れていた。
「駄目じゃないか! ちゃんと寝ていないと…」
「いや、そうは言っても…なぁ」
罰が悪そうに笑うジャックに、ミカエルは首を傾げる。
だがやがてその原因が自分にある事に気付き、顔を真っ赤に染める。
病床に臥している枕元で啜り泣かれたら、当の本人にはいい迷惑である。
「あ、その…ごめん……」
「良いって。ミカエルが考え込む気持ちも解らなくも無いから。だけどさ、俺は大丈夫だから。それで良いだろ?」
「ジャック…」
一体どれだけ無理をすれば、この様な言葉を言えるのだろう。
今この状況で一番辛いのは、紛れも無いジャックの筈だ。
それなのに、本人はこうやって大丈夫だと言ってのける。
信じられないのはジャックがそれをそうと思っていない事だろう。
だがミカエルには、それが只の虚勢であるのを理解している。
つまり、“辛いと言いたくないから辛くないと思い込んでしまう”のだ。
自分に正直であるが故に、自分の本当の気持ちに気付かない。
(だからジャックは…強い)
迷わないから、何事にも真っ直ぐに立ち向かえる。
「だからさ、皆を嫌いになろうだなんて思わないでくれよな」
「なっ…。そんなとこから聞いてたの!?」
「あ。え〜っと…」
「馬鹿! 意地悪!!」
そもそもミカエルはその部分を口に出した覚えはなかった。
どうやら無意識のうちに言葉が零れていたらしい。
と言う事は、一番大泣きしている部分から独り言をずっと聞かれていた事になる。
恥ずかしさに耐えきれなくなり、ミカエルは帽子を力一杯深く被った。
最早ジャックと顔を合わせるのも辛かった。
だが帽子の上に何かの重量を感じると、ミカエルは顔を上げた。
それがジャックの手だと分かり、ミカエルはジャックへと視線を戻す。
「大丈夫だって。この戦いが終わったら、きっと皆の考えも変わるって。それに今までその為に頑張って来たミカエルがそんな風になったら、それこそ駄目になっちゃうぜ?」
「ジャック…。そう、だよね。その為にジャックがここに居てくれてるんだもんね。それに、ぼく達だけじゃ無くてジーニアスも色々頑張ってくれてる」
「そー言うコト。だからさ、もう泣いたりしないで頑張っていこうぜ?」
「うん。ぼくも、泣いたらなんだかスッキリしちゃった」
椅子から立ち上がり、ミカエルは大きく背伸びをする。
ジャックにはその元から優しい光を灯した左目だけで無く、塞がれた右目も何処と無く微笑んでる様に見えた。
「ごめんね、まだ寝ていないといけない筈なのに」
「気にすんなって。俺もこうやって話すだけで気が楽になるからさ」
「うん。今度はぼくが話す番だね」
ミカエルがそう言うと、次の瞬間同時に笑いが込み上げて来た。
絶妙なタイミングで二人の笑い声が重なる。
「何か、変なの」
「んな事言ったって、先に言ったのはミカエルの方だぞ」
「そうだね。…ごめん、もう行かなくちゃ」
時計を見ると、既に昼を回ってから随分と経っていた。
ミカエルに割り当てられている仕事はまだ幾つか残っていた。
それらを明日に先伸ばししてしまうと、仲間達にも色々と負担になってしまう。
「あぁ。ありがとうな、付き合ってくれて」
「どう致しまして。あ、でも…」
部屋の入口でミカエルは立ち止まる。
扉を開けると、彼はジャックへと振り返った。
「また泣きそうになったら、その時は話を聞いてほしいな」
「それ位お安い御用だって」
「ありがとう。じゃあ、お大事に」
静かに扉を閉め、ミカエルは自分に分担された仕事場に戻る。
その足取りは軽い。
実に晴々とした気持ちが、ミカエルを後押しする。
(不思議だなぁ。ジャックに話しただけて本当に何とかなっちゃいそうな気がする)
思わず顔がにやけてしまう。
また懐の本を握り締めた。
しかし、今度は憎しみでは無い。
酒蔵に入ると、熱くて仕方が無かった顔面が冷されてとても心地よかった。
同時にその冷気が緩み切ったミカエルの気持ちを引き締めてくれた。
「ちゃんと、やらなきゃだよね」
それでも、この日ミカエルからジャックの姿が消える事は一度も無かった。
全ての作業が終わる頃には日付が変わっていた。
途中で共同に作業した仲間は既に自室に戻っている。
薄暗い酒蔵の中にミカエルは一人残り、人間の書物を片手に自分の作った果実酒の試飲をしていた。
人間の好みを研究し、出来ればいつかそれを沢山の人間に飲んでもらいたい。
妖精の酒は人間の間でも人気らしいが、独特の癖が強い為苦手な者も少なく無いらしい。
それならばその癖を極力減らし、それでも風味を損なわない様にとあれこれと試行錯誤したものだ。
だが試飲とは言え流石に飲みすぎたらしく、部屋に充満した臭いと身体に取り込んだアルコールが気持ち悪い。
他の仲間の様にそれ程酒には強い方では無いので、下手をすると自分まで寝込む羽目になり兼ねない。
だが幾つもの実験の甲斐あって、ようやくミカエルの目指している酒の完成が見えてきた。
「あとはこれを皆に飲んでもらって、それから…」
それから。
その先の言葉を口にする勇気は無かった。
人間にも飲んでもらいたい。
たったそれだけの一言を、結局言えないのが現状なのだ。
(諦める…もんか)
気が付けば、またジャックの姿を思い浮かべていた。
暖かかった、手の感触を思い出す。
(そうだ、ジャックに一番最初に飲んで欲しい…)
「誰?」
倉庫の扉が動いた音に気付き、ミカエルはそちらへと振り向いた。
そこに立っていたのは、空の酒瓶のケースを持ったココだった。
「ココ…だったんだ。こんな時間にどうしたの?」
「それは僕が言いたいけど…まぁ良いや。砦のお酒が無くなって来たから、マーシオのお使い。僕が殆ど飲んでるようなものだからね」
「そうだったんだ」
「じゃあ、そう言うミカエルは? 随分と色んなにおいがするけど」
「あ、ぼくは…」
丁度片付けようとしていた残骸に目をやると、途端に言葉が出なくなってしまった。
怪訝そうな表情を浮かべ、ココはそれを覗き込む。
「見た事も無いお酒だけど、ミカエルが…?」
黙ってミカエルが頷く。
とても今ココを直視する勇気は無い。
「ふうん…」
まるで罪人に浴びせる様な冷たい声に、ミカエルは竦み上がってしまう。
暫くココは残骸を見つめ続け、少しだけ残っていた酒を口に運んだ。
「変わった感じだね。癖が無くて飲みやすいけど、味は僕達の作るやつと似ている。そうだね、これなら―」
何処か遠くでココの声が聞こえた。
耳から伝わるのでは無く頭の中に直接響いている様で、締め付けられる様な頭痛が走った。
「これなら“人間だって”飲みやすいね」
「ココ、知って…」
「知らないとでも思った? ミカエルが人間と妖精の関係を治そうと頑張ってるのは、僕達ダークエルフの皆が知ってる。僕達だってこのままなんて嫌だしどうにかしたいのは同じなんだ。だけど…」
自分を抱き締める様に両腕を組み、ココは嘆息する。
「だけど、それって完全に種族の間の溝が埋まるの? 戦争が終わったその先に共存が望めるの?」
「それは…。だから―」
「だから行ったんだよね。争いの根本を調べに。因縁の地に」
因縁の地。
たったその一言に、何もかもが込められていた。
「何で、そんな事まで…」
「うまく森の小屋に隠れてたみたいだけど、追っ手が居るのは気付かなかったみたいだね。僕も行ったんだよ。ミカエルとジャック。そして、ジーニアスともう一人の人間と一緒に居た君達の後を尾けて」
因縁の地―セプテム地方。
ミカエルとジャックに加え、人間であるジーニアスとその妹レオナがその場所に向かったのは、ラジアータを中心に蔓延している奇病を調べる為だった。
その奇病に侵された人間は狂暴化し、妖精は文字通りの死を迎える。
つい先日その奇病によってダークエルフの長であるノゲイラが死亡したのは、エルフの記憶に新しい。
発生源は“人間と妖精の交わり”からだとされている。
「それを調べてどうするの? ダークエルフの君が」
「言わないでよ!」
ダークエルフ全てを卑下するココの発言に、遂にミカエルは声を荒げてしまう。
不自然に肩が揺れ、呼吸すらままならなかった。
「言うよ。僕達ダークエルフは人間と先代エルフの長との混血児。僕達もアルガンダースの象徴。妖精の中でも汚れた一族なんだから」
「ココが、それを言うの…?」
「じゃあどうしてミカエルがそんな事までやって調べる必要があるの? 皆に黙って人間と会って、その上アルガンダースの古城に案内するなんて、裏切りとしか見えない行動を取ってまで」
「………い」
「そんなに人間が好き? そんなに平和が大事? それとも一番の理由は…」
「うるさいうるさい五月蝿い!!」
「ジャック?」
「っ!」
初めてミカエルはココを、同じ種族である仲間を睨み付けた。
初めて心の底からの憎しみを理解した。
「裏切りって言葉が、どうしてココに言えるの? だったら君は!? 君がジャックにしたことは何なんだよ!」
心の中の憎しみを全て吐き出してしまう程、ミカエルは声を極限まで荒げる。
それでもココは平然とした立ち振舞いを崩さない。
「やっぱり、あの時見てたんだ」
「なっ…」
その時、ミカエルは何もかもがココの計算の上であった事を思い知る。
身体中の熱が一気に引いて行く。
「そうだよね。好きな人の為だったら何だってやってあげたいと思ってしまう。その気持ちだったら凄く良く解るよ」
その言葉に偽りは無い事は、ミカエルにも痛い程に伝わった。
「反論しないんだ。それもそうか。ジャックが好きなんだから、反論なんて出来る訳が無いよね」
「もう…やだ……」
「偶然だろうけど僕達の後を尾けて…見ちゃったんだよね。その上ジャックのあの姿を見ながら、自分のを弄っていたんだから」
胸を突き刺す様な痛みが走るのと同時に、急速に顔が熱くなった。
「痛っ…」
地面に膝を折り、ミカエルは頭を抱えた。
ココの靴音が静かに響き渡る。
自分のすぐ側に、ココを感じた。
「ねぇミカエル。『好き』ってどう言う事だと思う?」
「どう言う…事?」
「色んな考え方があるよね。誰かを大切にしたいとか。そして、その人をどうしようも無く欲しくなったり、ずっと…ずっと側に居たいって思ったり」
ミカエルの両頬にココの手が触れる。
ココの体温によるものかココそのものが原因なのか、ミカエルの身体はビクッと震える。
ミカエルに合わせてココも膝を折っているので、否が応にも視線が合ってしまう。
どれだけ涙で視界を曖昧にしようと、それは徒労に終わる。
「そうやって、いつも逃げるんだね。唯一見える筈のもう片方の目も濡らして、本当を見ようとはしない」
「本当…?」
「だって、ミカエルはジャックを解っていない。そうじゃないか」
「何だよそれ。どう言う…んっ!」
ミカエルの言葉を遮り、その上ココはミカエルの塞がれた右目に舌を這わせた。
「やっ…やだ! 何、やって…」
引き離そうにも力が入らず、ココにされるがまま。
むずむずと身体全体に、彼の舌の感触が染み渡る。
やがてココの手がミカエルの服に掛かると、間髪入れずに引き千切る。
「なっ…」
最早単語すら言えず、あっという間に上半身を覆うものは無惨な姿に形を変える。
その殆どは枯葉の様に床に落ちていた。
「解ってる? ジャックを好きになるのがどう言う事か。どれだけ辛い事か」
「やっ…ん…ココ……だめ……」
執拗にココはミカエルの胸の突起部を撫でる。
擽ったさに加えて気味の悪い快感がミカエルを襲う。
アルコールの侵食も進み、体温の上昇も更に加速する。
(何で…? ココはジャックが好きなのに、どうして……)
ココの言っている意味も、その行動も全てが理解出来無かった。
目の前に居るのは本当にココなのか。
それともココの形をした、自分の知らない全くの別人なのか。
「あっ…ん……。こんなのやだ、よぉ……」
かろうじて布切れが残った腕を交差させ、ミカエルは顔面を覆う。
既にココの目標は変更され、ミカエルの身体を下山するかの様に撫で下ろす。
ただココの手の体温だけが、彼の居場所を示す唯一の手掛かりだった。
だが、不意にその動きが止まる。
何が起こったのか、それを確かめる勇気は持ってはいない。
ココの姿は見えない。
それでも感触が残っているのでその場を離れていないのは間違い無い。
(震え、てる…?)
「ココ…?」
自らを解放するのに勇気は要らなかった。
確かにココはそこに居る。
但し、涙で顔を崩していた。
「な、どうして…」
「もう一度言うよ。ジャックが好きになるのがどう言う事か。好きになってどんなに後悔したか。ミカエルは本当に解らないの?」
「解らないよ! ココだって、ジャックが好きだからあんな…あんな事したんじゃないの!?」
「そうだよ!!」
「うわっ!?」
声を荒げ、ココはミカエルの両腕を地面に乱暴に押さえ付ける。
片手だけで押さえているにも拘わらず、ミカエルはその拘束を振り解く事は出来無かった。
「痛い…よ……」
「そうだね。痛いよ、物凄く」
「何で…ココが痛いんだよ」
「………から」
「え?」
「解ったから。…気付いちゃったから。…無理だって、気付いちゃったから」
ココの涙が雫となって、ミカエルの肌に落ちる。
つい先刻まで生物ですら無い何かに思えたのが、改めて暖かみのある自分の仲間だと認識する。
「だって、ジャックは…。ジャックは、本当に『誰かを好きになる事』が解らないんだ!」
はっきりと、時間が止まるのが分かった。
ココの言葉をジャックなりに言い換えると、それは『同じ団に所属する者は皆家族』といった所か。
転じて、ジャックにとっての特別にはなれない事を意味する。
「そん…な。嘘、だよね?」
この状況下でそれはココの出任せでは無い事は明白ではある。
それでもミカエルは僅かな可能性を求めて聞き返す。
だが、その希望も虚しくココは首を横に降るのみだった。
「嘘じゃ無いよ。それに、知った所でジャックは僕に振り向いてはくれない。本当に『好き』になれる時、僕はそこに居てはいけない」
「何でそんな事言うの? ジャックだって、本当の気持ちに気付いてない。だったら…あ……」
ジャックが無知であるという根拠が有りながら、それをも上回る理由。
それはつまり、ジャックが初めて好意を抱くであろう人物を目の当たりにしてしまったのだ。
「リド…リー?」
恐る恐るミカエルが口を開くと、若干緩んでいたココの手の力が再び強く絞められた。
「痛っ…ココ……」
「その名前、今言わないで」
あぁそうか。と、ミカエルは全てを理解する。
やはりココは見てしまったのだ。
ジャックが人間を裏切ってまで追いかけてきた、リドリーと言う少女と二人きりでいる様子を。
ジャックがまだその感情を気づけていないだけで、少しずつ縮まる二人の距離を。
「…僕はジャックが好き。ジャックの為だったらどこまでも頑張れる。だけど…それ以上にジャックに迷って欲しくない。無理矢理僕の気持ちを押し付けて、傷付いて欲しくない」
「っ…!」
ココの言葉が、想いがミカエルの胸に突き刺さる。
自分と同じ位。
いや、それ以上にジャックを愛している。
自分の気持ちが霞んで他人事に思えてしまう程に、ココの愛は強く大きくなっていた。
それ故に、その重さに耐えようと無理を強いられているのだ。
「僕は…僕はどうしたらいいの!? どうしてこんな事になっちゃったの!?」
「ココ!!」
悲痛な叫びを遮る程に、ミカエルは声を張り上げた。
一瞬身体中に電気が流れた様に、ココは震える。
「もう良い。もう良いよ。もう分かったから。ココの気持ち、全部」
「え…?」
両腕の拘束が解け、ミカエルは上半身を起こす。
そして枝の枯れ葉を落とす様に、僅かに引っ掛かっていた残りの衣服を全て払い除けた。
「な、何やって…」
「ココのジャックへの想いを、全部ぼくにぶつけてよ。ぼくはそれを一欠片も落とさない。全部受け止めてみせるから」
「だ、だけど…それは……」
「ぼくだって、ココと同じだよ。ジャックが好きだから。その気持ちはぼくだって負けてないつもり。ううん、負けてない。だけど、それ以上にココは傷付いた筈だから」
ダークエルフ特有の樹木色の肢体が松明の明かりに照まる。
酒が入っている為だろうか、ミカエルのそれは仄かに紅く照らされていた。
「ミカエル…。でも、君は……」
「言わなくて良いよ。本当はココが優しいのは知ってるから。だって、そうで無ければ今頃ぼくもジャックも裏切者として処罰されてる筈だから。それに…」
どんなに一方的な想いも自分の中に押し込めてしまう強さ。
そう。
これはただの同情では無い。
「僕は…言いたい。言いたいよ…。僕はジャックが好き。僕を本当に笑わせてくれるジャックが大好き。人間とか妖精とか関係無い。ジャックが…ジャックが大好きなんだ!」
優しいから気付かないジャック。
優しいから想いを押さえるココ。
優しさが愛を刈り取ってしまう皮肉な結末を、誰が誰を責められよう。
(誰も、悪くない。ただ、タイミングが悪かっただけ…)
それが実りを迎えずに朽ち堕ちる結末。
この荒れ果てた世界が赦してくれない、禁断とも言える愛。
「ミカエルは…」
「何?」
「ミカエルは何でジャックが好きになったの?」
「ぼくは…」
初めはただ人間と仲良くなりたいだけだった。
人間との友好関係が戻る僅かな切っ掛けとして、アルガンダースの古城への同行を持ち掛けただけ。
「何時からかな…ぼくにも分からない。だけど、気付いたらジャックの事ばかり考える様になってた。一緒にいると楽しいって言うか、何だか希望が溢れてくる感じ」
「何かが変わる気がする…って?」
「そう。何だか安心出来るんだ。ジャックとだったら何処へでも行ける。間違いじゃ無いって、自信を持てる」
「うん、僕も同じ。ジャックと居れば変われると思ったから。一緒に居ると、僕でも普通に笑える様になるから」
確かに、以前のココならこんなに感情を剥き出しにする事は無かった。
同じダークエルフの間ですら必要最低限以上の接触は有り得なかった筈だ。
そう言えば、以前ハイアンからココは酒を飲む間も冷めた様な雰囲気ばかり出していると愚痴を聞いた事があった。
遊びと酒を嗜む彼から見ると、ただココは無駄に酒を摂取するだけなのだろう。
「ミカエル、身体…冷たい」
「みたいだね。でも、身体の中は暖かくて変な感じ」
「お酒いっぱい飲んだからだよ。いつもはそんなに飲まないのに、無理するから」
「だったら…」
ミカエルは自らをココの胸に投じる。
ココはそれを拒絶する事無く、包み込む様にミカエルを受け入れた。
「ココがぼくを暖めてよ」
「………うん。ありがとう」
先刻床に落ちたミカエルの服の上にミカエルをゆっくりと仰向けに寝かせる。
松明が小さく弾け、ココとミカエルを映していた影が微かに揺れた。
幾度と無く多くの魔物と対峙して来たにも拘わらず、ミカエルの身体は細く儚い。
枝の先端の新芽の様に、簡単に摘み取ってしまえそうだった。
「んっ…!」
滑らかな胸の平野の上をココの指先が滑る。
冷気で冷たくなった肌は、まるで銀色に塗り潰された氷上の様だった。
「ひぁっ!」
胸の突起部に触れた瞬間、ミカエルは甘い悲鳴を溢す。
ココの指先の感触が、身体全体に電撃の様に走る。
床の上で背中を沿って震えるその様は、まるで打ち上げられた魚の様だった。
その様子を見て、ココは小さく笑う。
「な、何が可笑しいのさ」
「だって、ミカエルってびっくりする位ジャックと同じ反応するんだもん。それが変に面白くて…」
「そう、なんだ…」
「そうだよ。それなら次は…」
「ふぁ…んっ!」
外気に晒されていながら尚も熱を帯びているミカエルの秘部を、ココは包み込む様に撫で回す。
「や…ぁ、そんな事されたら…ひぁっ!」
「ジャックもそうだけど、ミカエルだって弱過ぎだって。その証拠に、こんなに硬くしちゃってさ」
血の流れを象徴する男根の脈が、ミカエルの身体を快感へと導く。
その敏感な部分がココの指に弄られて、それが乗算的に刺激へと昇華する。
人間だろうが妖精だろうが、快楽を得る部分は共通している。
「そう思うとさ、僕達って人間と近いように思えない?」
「ココ…」
エルフと人間の混血児で有るが故の、同族を想う意見。
先刻自らを卑下する言葉を言ってはいたが、やはりココもダークエルフと言う種族が好きなのだ。
自分もココも…ジャックも。
「ぼく達…間違ってないよね?」
「大丈夫。きっと―」
意思を確かめ合う様に、二人はもう一度口付けを交わす。
互いの唾液の味が麻酔の役割を果たし、互いの口内を満たす。
「ん…むぅ」
「ふぁっ!?」
やがてその口内争いの主導権は、どうやらミカエルか握り始めてきたらしい。
ココの身体が一瞬震え、唇が離れると同時にココは地面に崩れ落ちた。
ミカエルはココの予想外な反応に慌て背中に回していた手を解いてしまったが、何よりも一番驚いているのはココ自身だった。
「な…何……?」
「ココ…?」
本来であればココがミカエルの口内を自分で満たして、ミカエルを落とす筈だった。
だがまるで自分が与えた快感を全て自分に押し戻された様な感覚を押し付けられ、逆に自分が崩れ落ちてしまった。
「これ…何……ぁっ!」
「こ、ココ!?」
いつの間にかココは自分の指先を衣服の隙間に忍ばせ、自分の秘部で弄っていた。
抑制しようにも、それを遥かに凌ぐ本能に負けてしまう。
最早思考は欠片も役には立たず、ココの身体は完全に見えない操り糸に絡め取られてしまっていた。
「やっ…見な…」
(これ…何かの、薬……?)
しかし、ミカエルの様子からして彼が直接薬を盛ったとは考えにくい。
そもそもミカエルがこの様な症状の起きる薬を所持しているとは思えない。
(いや…)
一つだけ可能性が残っていた。
テーブルの上に無造作に置かれたワイングラスに視線を移す。
ミカエルが自分で醸造した試作品のワインが、この症状を引き起こす可能性がある。
例えば口に含んで第三者にその成分を与えると、媚薬と同様の効果があるとか。
しかしそれだと自分も飲んでいるので、同じ症状がミカエルに起きないのはおかしい。
若しくは取り込んだ酒の量や組み合わせが関係してるとも考えられる。
何れにせよ、ミカエルはとんでもない媚薬を発明してしまったのは間違い無いだろう。
だが同時にこれがミカエルのジャックに対する想いの結晶であるのかと思うと、ココは内心愉しくてたまらない。
勿論ミカエル本人はそんな事は思ってもいなかっただろうが。
情事の際にこれ程好都合な道具は他に無い。
その被験者第一号に選ばれたと言うのなら、喜んでその流れに甘んじてしまえば良いだけの話。
(後試さないといけないのは…)
「ココ、大丈…むっ!?」
心配そうに覗き込んできたミカエルを捕まえて、先刻と同様のキスを植え付ける。
自分の中のモノを注ぎ込むと、ココはミカエルを解放した。
「かっは…」
不自然に噎せかえる様な咳をする。
「な…に……これ、は……?」
自分を抱き締めるかの様に、ミカエルは強く腕を組んでいた。
顔の紅潮具合から、どうやらココは自分の推測は正しかったと認識する。
「何って、君が…このお酒作ったんだよ?」
「そん…な、じゃあ、これは……」
「理屈…は解らない。…けど、ミカエルが作ったのは“そういう”物…なんだよ」
そこまで聞くと、ミカエルは途端に顔を自分から反らす。
図らずも自ら媚薬を生成してしまったのだから、無理もない。
ココの思惑通り、症状が親元にも無理矢理押し返す事も可能らしい。
それでも自分の症状が緩む訳では無かった。
これがセオリー通りのものであるとすれば、やはり解決策は一つ。
「簡単な事だよ。僕達が二人で気持ちよくなれば、治まる…筈」
元より“そういう”話だったのだ。
ただそうなる切っ掛けがこの酒であるだけ。
「ふぁっ…ひゃ、だ……。むずむずする、よぉ……」
原料を摂取した量の影響であろうか、どうやら催淫効果はミカエルの方が強いらしい。
身体中の痺れの全てが、ミカエルと言う人物を支配していた。
体温を吐き出す様に、吐息には大量の熱と不思議な甘い匂いが込められていた。
その艶かしい姿態は、恐らくココがこれから先エルフとしていきる間は決して頭から離れる事は無いだろう。
それは自分と同じ性別でも。
ーいや。
同じ性を以て生まれたからこそ、男性としての本能を掻き立てるのだろう。
鼓動が一層跳ね上がる。
「御免…ミカエル。僕、我慢…出来無い……っ!」
「こ…こ……?」
頭で考えるよりもずっと早く、ココは自分の衣服に手を掛けていた。
次にミカエルがふっと息をする頃には、既にココはミカエル同様完全に一糸纏わぬ姿を晒していた。
「そんな顔されたら…僕も、抑えがっ…は」
己の欲望の象徴でもあるココの男根は、形態的には幼いながらもミカエルを欲していた。
それと同じくミカエルのそれも、既に限界寸前だった。
ココの先端がミカエルの秘門に触れると、途端に未知の恐怖に煽られる。
ココは今まで誰かに挿れた事は無いし、ミカエルはそもそも“そういう”経験をした事が無い。
未知に対する畏怖と、好奇心の板挟みだった。
「いっ…ひぁ……」
苦痛を伴う声にならない悲鳴とは裏腹に、ミカエルはココをゆっくりと受け入れていく。
ココの先端から出ていた透明な液体がどうやら潤滑油の役割を果たしている様で、少しずつだが確実にココを呑み込んでいく。
「あっ…入った……」
ミカエルの熱が接続部分を通じて身体中に染み渡る。
前戯を全く行っていないので、ココ程の形状でも強く締め付けられた。
「ぅあ、ぅ…」
「良い…? 動く、よ」
「っ…あ、痛……」
やはり相当な苦痛らしく、みるみる内にミカエルの表情が曇っていく。
ここに来てようやく罪悪感と言うものを感じた。
このままではミカエルを壊してしまいそうで、怖かった。
「大丈、夫…だよ」
「で、でも…」
「痛い…けど、我慢出来る……から」
松明の弾ける音が、遠くで聞こえた。
薄暗い中で煌々と照らされながら微笑むミカエルが、特別に見えた。
冷えきったミカエルの手が、ココの頬をそっと撫でる。
「ミカエル…分かったよ。後悔は…しない」
そっとミカエルの手を取り、ココはゆっくりと頷いた。
そして、再びゆっくりとココはミカエルの内部を突き上げる。
一度往復する度に、ミカエルは自分の全てを晒す様な声を上げる。
つい先刻まではそれが悲痛の叫びにしか聞こえなかったのに、今ではお互いが高揚する切っ掛けにすり替わっていた。
それは二人がお互いを求め合っている証。
恋慕の頂点に居る人物を共に想いながら、その頂点を目指す二人三脚。
たとえ実らない恋だと解っていても、途中で挫折しないように支え会う。
まやかしの交わり。