【田村くん】竹宮ゆゆこ 34皿目【とらドラ!】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
竹宮ゆゆこ作品のエロパロ小説のスレです。

◆エロパロスレなので18歳未満の方は速やかにスレを閉じてください。
◆ネタバレはライトノベル板のローカルルールに準じて発売日翌日の0時から。
◆480KBに近づいたら、次スレの準備を。

まとめサイト3
ttp://wiki.livedoor.jp/text_filing/

まとめサイト2
ttp://yuyupo.dousetsu.com/index.htm

まとめサイト1
ttp://yuyupo.web.fc2.com/index.html

エロパロ&文章創作板ガイド
ttp://www9.atwiki.jp/eroparo/

前スレ
【田村くん】竹宮ゆゆこ 33皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285397615/


過去スレ
[田村くん]竹宮ゆゆこ総合スレ[とらドラ]
http://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date70578.htm
竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180631467/
3皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1205076914/
4皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225801455/
5皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227622336/
6皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229178334/
7皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230800781/
8皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232123432/
9皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232901605/
10皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234467038/
11皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235805194/
12皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236667320/
13皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238275938/
14皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239456129/
15皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241402077/
16皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242571375/
17皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243145281/
18皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244548067/
19皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246284729/
20皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1247779543/
21皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1249303889/
22皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250612425/
23皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253544282/
24皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255043678/
25皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257220313/
26皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1259513408/
27皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1260805784/
28皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263136144/
29皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266155715/
30皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1268646327/
31皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1270109423/
32皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1274222739/
2名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 20:29:08 ID:JHDXxt0g
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」

Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」

Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」

Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」

Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」

QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」

Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
3名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 20:29:30 ID:JHDXxt0g
813 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/01/14(水) 20:10:38 ID:CvZf8rTv
荒れないためにその1
本当はもっと書きたいんだがとりあえず基本だけ箇条書きにしてみた

※以下はそうするのが好ましいというだけで、決して強制するものではありません

・読む人
書き込む前にリロード
過剰な催促はしない
好みに合わない場合は叩く前にスルー
変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
噛み付く前にあぼーん
特定の作品(作者)をマンセーしない
特に理由がなければsageる

・書く人
書きながら投下しない (一度メモ帳などに書いてからコピペするとよい)
連載形式の場合は一区切り分まとめて投下する
投下前に投下宣言、投下後に終了宣言
誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
初心者を言い訳にしない
内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
感想に対してレスを返さない
投下時以外はコテを外す
あまり自分語りしない
特に理由がなければsageる
4名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 22:22:05 ID:XJyDsPLH
1さん、スレ立てありがとうございました。
5名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 22:43:55 ID:1Gpi+CNK
>>1
>>4GJ
6名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 01:55:00 ID:1hURTcW7
GJ
続き待ちどうしい
7Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E :2011/01/25(火) 20:29:26 ID:uVctpfTU

こんばんは。以下SS投下させて頂きます。

概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 第11回
方向性 :ちわドラ。

とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話、1話完結の連作もの
シリーズものの最終回後半です。伏線とかあるので前半部分(前スレ、423にあります)を読んでからお読み頂けると幸いです。
まとめサイト様で保管して頂いている過去のも読んで頂けるとありがたいです。

主な登場キャラ:竜児、亜美、安奈、大河、北村、実乃梨
作中の時期:高校3年 9月
長さ :17レスぐらい(前半と合わせて、33です)

前提:
なんだかんだあって、竜児と亜美は交際してます
そんなこんなで、夏休み中、亜美は高須家に居候していました。

前半の流れ
 亜美は竜児との交際を報告するため実家に戻りました。
 10日ほどの間、亜美と連絡がとれなくなった竜児は亜美の実家を訪れます。
 亜美は部屋に立てこもって、交際に反対する安奈と折衝中でした。
 竜児と亜美は彼女の実家を抜け出して、高須家に向かいます。

次スレからSS投下いたします。
8HappyEverAfter11-17/33:2011/01/25(火) 20:31:56 ID:uVctpfTU

二人が高須家に辿り着きドアを開けると逢坂大河が立っていた。そして、誇らしげにこう言った。
「ね。だから言ったでしょ。竜児はばかちーを連れて帰って来るって」
居間に座っているやつらに声を掛ける。すると、そちらからも返事が来た。

「大河の言う通りだね。お帰り、高須くん」と櫛枝実乃梨。
「いや逢坂の方が高須たちを解ってるとは親友として不甲斐ない。すまんな高須」と北村祐作。
居間の二人は立ち上がると、出迎えに出る。
「あーみん。大変だったね」
「お疲れ様だな。高須」
と彼ら労う。亜美は「え、あ、うん」となんとか返答するが、竜児はまだ、状況が飲み込めず
「なんで、みんながいるんだ?」と問いかける。すると北村が頭を下げ、
「すまん。原因は俺なんだ。俺の電話で逢坂が気づいて、こんな感じだ。
 高須に亜美の実家の場所の件で言い忘れた件があってな。亜美の家はセキュリティーが厳しい。普通に行っても入れない。
 だから、その辺りの話をしておこうと思ってな。携帯が繋がらなくて、自宅に電話した」
「北村くんでも教えてくれなかったら、私、怒ってたから。それから竜児も」
と睨みつける。男共は同時に
「すみません」
と頭を下げた。それは女が強くなった時代の話。
大河の「さぁ作戦会議よ!」の気合の入った声が開催を告げる。

居間に五人がちゃぶ台を囲んで座る。狭いながらも楽しい我が家ではあるが、五人と一匹ともなれば密集感は際立つ。
「みんな、いろいろすまない」竜児が感謝の言葉を告げる。
 北村がなにを水臭いと笑う。
「で、どうしようと思ってるんだ?。高須」
「取り合えず。この二、三日間は安奈さんの所にコイツを返す気はない。川嶋の話だと、それで安奈さんにプレッシャーを掛けられる」
「しかし、泊まる所はどうする?。高須の家は知られてるだろ。他の奴の所だって、筒抜けだ」
「取り合えずビジネスホテルとか、マンガ喫茶とか使ってみようかと思ってる」
「大丈夫?。あーみん、有名人じゃない。目立たないかな?」
竜児は返す言葉がなく唸る。意識してなかった。たしかに言われてみれば川嶋亜美は有名人なのかもしれない。こんな性格悪いのに。
そして、自分の行動が勢いだけの、行き当たりばったりの計画だという事を思い出す。
勢いを落として、一旦とまってみれば、お先は真っ暗。果たして何処に行けばいいかと途方に暮れる。

そんな竜児の隙間を埋めるように亜美が話しに加わる。
「まだそこまで露出してないから大丈夫だと思うけど。一応、これも持ち出したし」と亜美が鍵をポケットから取り出す。
「去年の夏、みんなと行った別荘の鍵。ママに場所知られてるけど、二,三日くらいならなんとかなると思う」
「お金は?。三日間て行ってもいろいろ物入りだよ。なんなら貸す?」
と実乃梨は首から下げたパスケースを取り出し、中にある通帳を出そうとするが、その通帳の重さを知る亜美は固辞する。
「大丈夫。そこそこのお金が入った通帳、高須くんに貸してある奴がある。とりあえず、そのお金でなんとかなると思う」
さらに北村が問題点の洗い出しを行う。
「他に心配な事といえば、学校だな。安奈さんがもし捜索願でも出して、学校中で噂にでもなったとしたら、下手したら退学だ」
「それは大丈夫だと思う。一番、噂、スキャンダルにしたくないと思ってるのはママだから。
 逆に抑えてくれる方向に動いてくるれと思う」
9HappyEverAfter11-18/33:2011/01/25(火) 20:34:37 ID:uVctpfTU

竜児はテキパキと答える亜美に感心してしまっていた。
とっさの判断で自分を連れ出せと言ったと思ったのに、この用意周到さだ。
北村たちの質問も淀みなく答える。
覚悟だけで動いて、当初の予定を変更して、亜美の願いのまま亜美とマンションを出て。
無計画ゆえにとりあえずと、自宅に戻った自分とは大違いだと思い、少しの情けなさを感じてしまう。

「馬鹿犬ども、そこまで準備出来てるなら駆け落ちしちゃえば?。やっちゃんには私からちゃんと訳、話してあげる。
 ほとぼりが冷めたら戻るって」
「いや、そこまでしなくてもいいだろ、大河」
「なによ、ここまで来て。竜児、あんた思い切りの悪い男ね。
 私だったら、好きな人とだったらそれぐらい出来る。絶対ついて行く。覚悟の問題よ。
 あんた、ばかちーの事好きなんでしょ。ついて来いって言えばいいのよ」
と怒ったような顔で大河は竜児と亜美に言葉をぶつける。
竜児も覚悟はあるつもりだ。だが、すぐに答えられない。
たしかに、安奈に電話をして、自分を不甲斐なく思い、亜美のマンションを訪ねた。
その勢い、感情のままならそんな事も出来たかもしれない。自分の気持ちに疑いはない。
だが、いったん、落ち着いて考えると、亜美を連れ出しただけでもなにか違う気がしていた。違和感がある。
なにか、戦い方を間違っている気がする。それが何かはよくわからなかったが

「ありがとう。ちびトラ」
返す言葉を持たない竜児の代わりに亜美が返事をした。
「私は自分が今とってる行動ですら正しいか自信ないんだ。高須くんの事は好きだよ。
 でもね、それを理由に全てを切り捨てるのも何か違うと思う。
 逃げて、逃げて、逃げ切って、ママも仕事もしがらみも捨てて、二人で幸せになりました。めでたしめでたし。
 て、なにか違うと思う。大人になるって大見得きって、二人で生きていけるとか言って、今の大人を裏切るように切り捨てて、おしまい。
 それこそガキのやり方だと思う。自分の都合さえ通れば勝ちみたいな」
「……ばかちー」
消沈する大河を見て、亜美は明るく笑う。
「あーもう、自分で何言ってるか、よくわからないや。偉そうに言ってるけど、何もまとまってなくて。
 自分勝手してるのは紛れもなく私なんだけどね。なんだか中途半端。まだタイガーみたいに強くはないみたい」
と困ったように笑う。だから竜児はその思いを亜美だけ持たせまいと思った。
亜美だって考えていつも行動している訳でもないし、間違いだってする。転んだら誰だって痛い。
けど何とかしようと前に進む奴だ。たとえ転んでも、罪悪感でがんじがらめになっても。
なら、一緒に考えて、行動して、罪があるなら同じくらい苦しんで、どう償えばいいか考える立場でいよう。
同じ道を歩くとはそういう事だと思った。
「俺が考える。いや、一緒に考える。俺も自分がなにか間違ってるて違和感がある。別な手があってもいいはずなんだ」
北村は大きく頷くと
「考えろ。俺達は絶対、味方だ。全力で援護する」

と窓の外でなにやら騒動の匂いがした。
「なんだいあんた達は!。ここは私のうちだよ」
大家の婆さんが強盗に押しいられた様な声で叫んでいる。続いて、高須家玄関に通じる金属製の階段を駆け上る革靴の音。

「高須くん」「おう」と二人は目配せ。来るべきもの来た。けれど早すぎる。
竜児はどうすればいいかと思いつく事も出来なかった。だが、解ることもある。誰を守らないといけないかという事だ。
これから何が起きるか解らないが、どんな事があってもこの気持ちを貫くだけ。

駆け上がる足音が止まった。もうすぐだ。ドアのノブを回る音がした。もう少しで状況が変わる。
竜児は立ち上がると身体をいつでも動かせるように重心をとり、覚悟を決める。自分に問いかける。「どうする?」
そんな竜児を尻目に迷い無く、ぶれなく動いた存在がいた。大河だ。
「どりゃりゃああああああああ」
雄叫びを挙げ、右手にはどこからか取り出したか、木刀を握り、ドアに突進した。
10HappyEverAfter11-19/33:2011/01/25(火) 20:36:53 ID:uVctpfTU

竜児は大河に感嘆する。何時もこういう時、自分の損得を抜きに突き進むのは逢坂大河だ。
北村祐作の狩野すみれに対しての思いを知ってなお、いや、だからこそ、
私怨ではなく、義憤でもなく、ただ相手の為にそれが出来た女だと再認識する。
その姿は今も変わらない。やはり、手乗りタイガーはすごい。
大橋高校史上最大の女傑、狩野すみれをもってしても、あの惨状だ。

アニキのあの日の姿、微妙に彼の川嶋亜美に似た美貌がズタボロになっていた姿を思い出す。
そして、娘にそっくりな安奈。未来視のように、川嶋安奈のそんな姿が見えた気がして…

「て、ちょっと待て。大河!」
まずい、洒落にならない。大女優への暴行。警察沙汰確定だ。高校生同士の喧嘩程度、停学ですませられる問題じゃない。
いくら損得勘定抜きの善意でも、していい事と悪い事がある。と言っても狩野先輩の件も駄目だが。
いつものように大河を抑えようと竜児は走り出そうとするが、それより、先に反応したものがいた。
櫛枝実乃梨が既に走り出していた。

「助太刀するぜ。大河!」
違う!。逆だ、逆。そこは止めるんだ櫛枝。竜児は慌てる。続いて三つ目の矢が走り出そうとしていた。
川嶋亜美だった。
「馬鹿、お前まで加わってどうする」
竜児が素早く、手を伸ばす。今度は飛び出して行く前に掴む事に成功する。一秒でも惜しい亜美は口早に
「違うって。タイガーと実乃梨ちゃんを止めないと」
さすがに考えすぎの三番手は冷静だった。とそこで彼らに北村祐作が
「逢坂たちの事は俺がどうにかする。だからお前らは」
と首をふって、あご先で窓を示した。竜児は亜美と顔を見合わせる。
竜児は亜美の躊躇している表情を読み取り、ついで、大河がなぜ、走り出したか、その気持ちを考え直し、
「川嶋、行くぞ」と彼女の手を引く。
「でも」
「いいから、ついて来い」
「う、うん」
そう言って、亜美の手を引いて窓に向かう竜児を北村が呼び止めた。
「高須、こいつを使え」
と外に停めていた彼のバイクのキーを投げてよこす。竜児は亜美の手を離して、右手で受け取ると、
「サンキューな。大河たちの事、すまんが頼む」
「逢坂も、安奈さんも大事な人だ。下手に揉め事にはさせない、こっちは俺がやる」
そこでふと北村は笑い、
「だから、俺の幼馴染をまかせたぞ」
竜児は力強く、「おう」と言って、窓を開けた。

窓を開けた先は当然、中空で、地面まで四〜五メートルほど離れていた。
再び「お、おう」と心の中で弱々しく唸る。少し吃驚。勢いで窓に向かったものの、ここは二階だ。
けれど、惚れた女の前では男は格好を付ける権利を持つ。竜児はすぐさま飛び降りる。
初めて行った自宅からの外出方法は、彼の運動神経の良さ、骨格に対しての体重の軽さもあり、割とスムーズに成功する。
両足から地面につき、その後、右手を土につけて、衝撃を分散。着地時に曲げた膝を戻しながらそのまま前へ数歩、地面からの反動を逃がす。
そして、二階を振り仰ぎ、「来いよ」と彼女を誘う。
11HappyEverAfter11-20/33:2011/01/25(火) 20:38:53 ID:uVctpfTU

「て、ここ二階だよ」
「いいから」
「無理、絶対、無理」
そうだ。彼女は臆病者だった。使う言葉は汚く、悪態を付き、邪悪に笑い、悪人ぶる。けれど、中身は違う。
自分を隠して、本性を見せたがらない奴だ。けど、俺は彼氏だろと竜児は思う。だから
「俺が受け止めてやる」強く言う。
亜美は一瞬、困った顔をしたが、それでも窓縁に片足を乗せ、もう一度下を見る。そして、
目を閉じて、身を縮こまらせて、飛び降りた。
「目閉じるな、適当にジャンプするな!」竜児は懸命に位置取りをする。
予想外な亜美の降り方は、竜児の予想範囲外のエリアに彼女の体を運ぶ。それでも彼は追いつく。両手を広げ、亜美を抱きとめた。

けれど、位置を変えながら受け止めるには、人一人の落下エネルギーは大きかった。
その上、真っ正直から受け止めるだけではいけない。その場合、受ける人間への衝撃は元より、抱きとめられる少女への反動も大きい。
力を受け流す必要がある。上体で亜美の体を受け、その衝撃を下半身に、足を交互に後ろにもっていき、力を逃がす。
しかし、移動しながら受け止めた事で既に無理があった。足がついていかない。バランスを崩し、もつれ、倒れこんでしまう。

両手は亜美を抱きとめる事に使ってる。ろくに受身も取ることも出来ない。
だが優先順位は間違えない。亜美に衝撃を与えないように、自分の体に吸収させるようとする。
その為、彼自身は背中から地面に叩きつけられた。頭を打たないようにする事が精一杯。
亜美をしっかり抱いたまま、地面とのサンドイッチだ。
だが優先順位は間違えない。亜美に衝撃を与えないように、自分の体に吸収させる。
背筋をはってそこで衝撃を受ける。胸筋と、上腕の筋肉は出来るだけ弛緩させ衝撃を吸収させる。
内臓に重い振動が伝わる。口から肺の空気が一気に押し出され、息が止まる。
痛みの後は、窒息の苦しみ。なんとか息が出来た後も竜児はしばらくの間、咳き込む。

そこに追い討ちが入った。
「あんだけ大きな口しといて、竜児、格好悪」亜美がさっそくけなす。
言い返したい所だが、咳が止まるまで、呼吸が元に戻るまでは言い返せない。もどかしさを抱えながら、竜児は息を整える。
呼吸を元に戻るもう少しの所まで行くが、そこで胸が詰まった。
亜美が強く抱きしめてきたのだ。数秒だが、ギュとか細い腕に力を込めて、倒れたまま身を預け、耳元で小さく「ありがとう」と言ってくる。
数瞬の抱擁の後、亜美はすくりと立ち上がり、手を差し伸べて、竜児が立ち上がるのを促し、
先ほどの姿は嘘だったかのように、「亜美ちゃんの彼氏〜、なっさけな〜い」と小悪魔ぽく笑いかけた。

「うるせい」と言いながら手を借りて立ち上がると、竜児はバイクに向かう。
掛かっていたヘルメットをとり、座席の下の収納スペースから、もう一つのそれを取り出し亜美に投げ渡す。
そして、跨り、キーを回し、キックをして、エンジンを掛ける。なんとか上手く掛かった。
ガソリンを燃焼させて、動力機が回る、唸るような音が響き渡る。
そして、ヘルメットを被った亜美を後部座席に座らせ、ゆっくりと走り出す。

その走り方は少し自信に欠けて、試しためしにアクセルを回している印象を亜美は感じた。で、疑問に思った。
ヘルメットをピタリと目の前の頭に当てて、囁く。
「高須くん。バイクの免許なんか持ってたんだっけ?」
12HappyEverAfter11-21/33:2011/01/25(火) 20:41:03 ID:uVctpfTU
「持ってない」
あっさりとした一言が返ってきた。亜美は声を荒げて、
「ちょっと待ってよ。大丈夫?」
「大丈夫だ。乗り方は北村に教わった。少し乗せてももらった」
「全然、大丈夫じゃない。そんなんで信用できるかぁ〜、公道とかちゃんと走ってないじゃない」
「ゲーセンで練習した」
「レースゲームですら私に負けそうになった高須くんが?。だいたい祐作はかなり走りこんでて……」
「北村に出来て、俺に出来ない訳がねぇ!」
少し驚いた後、亜美は「ははん」と笑う。
「ねぇ、竜児。私が幼馴染とどういう風に小さい頃を過ごしたか知りたい?」
上体が浮かないように前傾姿勢になり、竜児はアクセルを強く回すと
「知りたくもねぇ」
とバイクを加速させ、亜美の悲鳴と抗議で、彼女の口の悪さを消すと、街中を走り抜けた。


         ******


「て、なんでこんな所いるんだ?」
「しょうがないでしょ、行くところないんだから」
「予定通り、お前の別荘に行けばよかったろ」
「免許もない男の夜道の運転なんかに亜美ちゃんの大事な命まかせられるかての」
亜美の文句と竜児の弁解が廊下に響いていた。とても楽しそうだ。
彼らは大橋高校の自販機スペースにいた。それが彼らの場所だった。

竜児は自販機の前で缶入り紅茶を買うと「ほらよ」と亜美に渡す。
「ありがとう」としなやかな指が受け取る。
「それにいいじゃん。今夜はここで体休めて、明日からまた考えれば」
「そうだな」
「そうそう」
竜児は自分の分とコーヒーを買うと、すばやくプルトップを引き、まずは一口と飲み。息をはく。
とりあえず安全地帯に着いたと緊張を解く。

「それにしてもずさんなんだよね。高須くんは」
「だから悪かったて言ったろ」
「こういう所は生徒、教師が完全に帰ったら、セキュリティーが動くんだよ。なんも考えず忍び込んだら、大変な事になるって
 それなのに堂々と入っていくし」
「俺たちの学校だぜ。そんな厳重とは思わないだろ」
「本当、何も知らないんだね。前に迎えに来てくれた時が夕方でよかった。公共施設だもの。最近は結構、そういう設備入ってるんだって」
「そんなもんか」と竜児はコーヒーを飲みながら、物騒な世の中になったと日本の将来を憂たりした。
そんな先の事よりもっと気になる事があったので聞いてみる。
「お前が用意周到すぎるだろ。なんでセンサーの場所とか、セキュリティーが入ってない場所とか知ってるんだ?」
「私が家出した時の事、覚えてる?。学校に潜む予定だったんだもの。下調べはしとくって」
「と言うかだな、普通の女子高生は調べ方自体解らないだろ?。なんで、こういう事詳しいんだ?。
 目端が利くのはお前らしいて言えば、そうなんだが」
亜美は少し煩わしいそうに、
「中学生の時さ、まだモデル始めたばっかで仕事もそんな無い頃、結構、暇でさ。
 マンションの中、探検して、目的もないのもつまらないから、そんな探しっこしてたらいつのまにかね」
その頃を思い出したかのように子供のように表情を緩めて、
「あの家、高級マンションだからいたる所にそういうのがあって、楽しかったんだよね」
竜児はしみじみと同情するように返答し、その言葉を聴いて亜美は一気に顔をしかめた。
「……そうか。お前、友達いなかったもんな」
「うっさい!」
13HappyEverAfter11-22/33:2011/01/25(火) 20:43:03 ID:uVctpfTU

亜美は竜児を「むー」と睨んだ後、気を静めるため、竜児の脇を抜け、お決まりの場所、自販機と自販機の隙間に腰を下ろす。
「んー♪、落ち着く」
竜児はいったん、亜美が座る場所を眺めて、なにか言いたそうに唇を動かした後、「しかたないな」と
亜美の対面に向かい、壁にもたれるようにして座る。
そして、ジュースを飲みながらじゃれるような取りとめのない話を始める。けれど、やはり足りなかった。
「お前さ、そこ座るの、止めねぇか?」
「なんで?。だって、ここ私の隙間だもん。ほ〜ら、ピッタリ♪」
竜児はまた、何か言いそうになって、言いよどむ。
そして自分の中で理性と感情、羞恥心と愛情が喧嘩をして、しばらくして決着がついた。
「けどよ。そこだと、俺が隣に座れねぇ」
目線を逸らして、そんな事を告げた。

亜美はキョトンとした表情でその言葉を聴いて、言われた事を消化するのに数秒を要した。
その後、自然と口元に笑みが浮かんでくるのを楽しむ。感情が身体の隅々までいきわたる様まで目を閉じて、噛み締める。
十分にその言葉を味わった後、ゆっくりと目を開け、悪戯ぽく目を輝かせ、静かに立ち上がった。
楽しげに、一歩、二歩と廊下を横断して竜児の元へ。ちょこんと彼の横に腰を下ろす。
「じゃ、今日から、ここが亜美ちゃんのリザーブシート」
と竜児の身体にピッタリと身体をつけ、肩に頭を預けた。
「片方はタイガーのでもいいけど、他の子に座らせたら絶対に駄目だからね」と囁く。
竜児が不器用に「おう」と返事をするのを聞いて、再び目を閉じた。

そうして、二人は話しをした。
これからどうするとか、将来の事とか、そんな未来の話しはしなかった。
二人は先のこと等解らなかったからだ。
竜児は、こんな駆け落ちモドキで、安奈にプレッシャーを与えれるとは思っていなかったし、実は亜美もどうにかなるとは考えていなかった。
今の行動自体は正しくないと心の底では解っている。それでどうして、今の延長線上である先を考えることができるだろうか?

けれど、そこには不安はなかった。
今夜はイブのような、八方塞がりの寒い夜ではない。
亜美が大橋高校を転校した、やるせなさと焦燥感に背中を押され、一人でも歯を食いしばって坂道を登る事を決めた真冬の日でもなかった。
隣にぬくもりを感じている。
同じ道を、同じ方向を向いて、歩いていける人がいる。
これから、どんなイベントが起きるか楽しみでしょうがなかった。
いい事があるなら二人で喜べばいい。問題があるなら二人で取り掛かればいい。
たとえ困難が待ち受けているとしても、
それは、二人で一緒に立ち向かうチャンスだ。
全ては、二人で生きる大切な時間の一つだ。印象的ならそれも楽しく、平凡なら微笑みを交わしながら、歩ける事を楽しめばいい。

明るい未来の確約等、笑いあう為の絶対条件ではない。
必要なのは、一人ではないこと。相手に話しかける事が出来る距離にいること。

だから、彼らは今を楽しめた。いろいろな話が出来た。

あの時はどう思っていたかとか、こんな事をしていたのかとか
その取り止めの無い話は、
やっぱりそうだよなという事もあれば、そんな風に思えるのかという想像の外の事も多い
けれど、そのどれもがあいつらしいと、互いに思えた。
そんな時間も忘れるような、二人で完結してしまうような世界にも、来客は来る。世界はやはりリアルだ。
14HappyEverAfter11-23/33:2011/01/25(火) 20:44:49 ID:uVctpfTU

カツカツとハイヒールで廊下を歩いて来る音。それは落ち着いていて、一定のリズムをもつ美しさを持ち、
なにより自信あふれる傲慢な足音だった。

「こんばんは、竜児くん」


         ******


そこに現れたのは川嶋安奈。それとマネージャーなのか、付き人なのか、大きなサングラスがやけに特徴的な恰幅のいい男が安奈の右側に一人。
その男はもう一つ、特徴的なところがあった。高そうなスーツを着ていたが、各所に力づくで破られた後があった。鋭く裂けた後もある。

「安奈さん」
「こんばんは。いい夜ね。竜児くん、それと、亜美」
安奈は陽気に右手を上げ、挨拶をして来る。けれど目は笑っていない。冷たく、鋭く。

「ママ、なんでこの場所が?」
「あなた達のお友達に聞いたの。亜美たちの為だとお願いしたら、協力してくれたわ」
「みんなになにしたのよ」
「言ったとおり、話をしただけ」

そう言って、挙げた右手をゆっくりと横にしながら手のひらを下側に向け下げていく。水平になった所で手を止めた。
その姿はまるで、後ろに立つ男に「待て」を命じる猛獣使いのようだった。
逆に言えば、「行け」と一言命じるだけで、今にも男が飛び掛ってきそうな迫力がある。
「ふふ、あんたの彼氏と違って、この犬は中身も凶暴よ」と安奈。自分が持っているカードの種類が暴力だと告げる。
そして、「話し合いをしない?」と他に選びようの無い選択肢を提示した。
竜児たちは安奈のペースになる事はまずいと解っていたが下手に動いて、相手にカードを切られるのはもっと危険だと沈黙を守る。
その様子に安奈は満足そうに笑った。

「私から話していい?。竜児くん」
「どうぞ」
「では質問。竜児くんが亜美を連れ出したの?、駆け落ちでもするつもりだった?」
「いえ、ただ顔を見たかっただけで」
「でも、現に亜美はここにいる。君はこう言いたいのかな。亜美にそそのかされたって」
亜美が横から口を挟む。
「そうよ。高須くんに私が頼んで」
より大きな声で竜児が答える。
「違います。俺が連れ出しました」
安奈はまた満足そうに笑い、頷き。
「そうでしょ。ふふ。私の勘、冴えてるわ。さすが、女検視官夕月玲子ってところかしら」
そう言った後、芝居がかった残念そうな声色で、
「という事は竜児くんは不法侵入に、略取も。犯罪起こしちゃったわね」
「ママ、それは大げさ」
亜美を話し相手とせず、徹底して竜児に安奈は話しかける。
「もう一つ、私の勘が冴え渡ってる話をしてあげる。昨日、竜児くんから電話もらったでしょ。虫の知らせていうのかな。
 警備会社に連絡したの、うちのマンションのオーナーのところ。亜美も知ってるでしょ。あの社長さん。
 さて、なにを頼んだと思う?」
15HappyEverAfter11-24/33:2011/01/25(火) 20:47:06 ID:uVctpfTU
「セキュリティーの強化ですか?」
「その逆かしら。君の写真を渡して、五日ほどの間でいいから、君が来たら、通報とかしなくていいって。
 竜児くんは亜美の大事な友達だもののね」
「ありがとうございます」
「でも、電話してすぐに来るなんて、せめて、もう二、三日は悩んでくれた方が面白かったのに。案外、単純なのね」
「すみません」
「謝ることはないわ。そうだ、後、もう一つ。監視記録類は消さないで確実に保存して欲しいってお願いしたの。
 ふふん。竜児くんを信用してたのに。安奈ショックだわ。
 マンションに侵入する時の映像と、亜美を連れ出す映像。善良な市民は警察に提出しないといけないのかしら。
 竜児くんが考え直してくれたら、私も穏便にすませたいのだけれど」
そう言って、ニヤリと嫌な笑みを浮かべる。

「ママ、さっきも言ったけど高須くんに連絡を取って、迎えに来てくれるようにお願いしたのは私」
「携帯も、電話も、パソコンだって取り上げられているのに?」
「いくらでも方法はあるわ」
「まぁ、すごい。そんな裏技があるなんて吃驚だわ。信じられな〜い。きっと誰も信じないわね」
亜美は不敵に笑って逆襲に出る。
「マンションを出る時の映像があるなら、信用してくれるんじゃないの?。先導してるのも、高須くんを追い立ててるのも私。
 主導権を握ってるのが川嶋亜美だって、あの絵見ればわかるはずよ。
 ついでに近所の人も証言してくれると思う。高須くんと私がどうやって出て行ったか」
「そうなんだ。あら、残念。機械の故障で高須くんがマンションに押し入ってきた映像しか残ってないかもしれないわね。
 それにご近所さんはみんな私の味方。そう上手く行くかしら、私は子煩悩な親で通ってるから。
 近所付き合いはしとくものよね。家を飛び出した子にはできる筈も無いけど」
「そんな都合のいい事なんか、だって実際は…」
「あなたに教えたはずよ。本当の事とみんなが信じたい事は違うって。真実なんて価値はないわ」
そう言って親子は睨みあう。

数秒のにらみ合いの後、亜美は眉を上げ、目をむき、口を大きく開けて、
「怒った。マスコミにばらす。ゴシップ紙でもいい。ある事、ない事、全部話してやる。ネットだって使う」
「亜美、今度の仕事も台無しにする気?、あなた終わりよ」
「そんなの怖くないわ」
安奈はおののく、真似をしてみる。
「あら、私は怖いわよ。事務所は大損害。あんたのせいで撮影間際のドラマがボロボロ。信用失墜。先行投資もすべてロス。
 これから売り出す予定の若手が使い物にならなくなる。機会費用の損害と宣伝費の無駄。損害は相当大きいわね」
亜美はここが勝負だと強く出る。
「だったら、ママの方が下手に出るべきじゃないの?」
安奈はまた笑った、邪悪な笑みで
「その損害請求って何処に行くと思う。亜美?」

無言で睨み返す。自分の事ならどうだってしてみせる。けれど…。

「ドラマのクランクイン直前に自宅に押し入って、女優を誘拐。精神に致命的な疾患を与え、役者として再起不能にされる。
 悪人が明確なら事務所への責任追及は誰も出来ないわね。むしろ、同情してもらえるかも。さしずめ、私は悲劇の母親かしら。あら、また好感度上がっちゃうかしら?。
 亜美。あんたの芸能界生命は終わらせてあげるけど、竜児くんは開放しない。
 犯罪者になるだけでなく、莫大な債務請求を背負う羽目になる。お金を返すだけで精一杯の人生を送るのね。かわいそうだと思わない。
 きっと、ご家族にも迷惑が掛かるわ。たしか、竜児くんのお家、間違っても、裕福とは言えないもの」
「卑怯よ」
16HappyEverAfter11-25/33:2011/01/25(火) 20:49:20 ID:uVctpfTU

安奈は下準備は終わったと、真顔になり、諭すように喋りだす。
「亜美。大人になりなさい。昔から言ってるでしょ」
「ママのいう事なんか聞かない。私は子供でもいい」
「なんて聞き分けのない子なの。大橋高校に行かせるまではちゃんと言う事を聞く子だったのに。さて、どうしてかしら?。
 聞くまでも無いわね。竜児くん」
亜美には十分にプレッシャーを加えたと判断。次のターゲットとして竜児に圧力を掛ける事を再開。
「亜美はとりあえず放って置いて。あなたは違うわよね。たしか、気配りの高須だっけ?。
 君が一歩引くだけで、全てが丸く収まる。
 君も、お母様も、私も、誰も損しない。亜美は女優の道を捨てないですむの」

竜児はさっきから考え込んでいた。反論をする事をしない。
その様子を見て、安奈は満足げに頷き
「さて、亜美、どうするの?。彼女っていうなら、竜児くんを尊重してあげれば?
 あんたがむきになって騒げば、騒ぐほど、問題は大きなり、竜児くんへの罰は重くなる。
 もし、あなたが協力的になればどうかしあら、あら、不思議。問題なんて何処にも無いわね。
 竜児くんは一つも罰を受ける必要なんかないし、あなたは女優への道を続けられる。
 好きなら、自分勝手な恋じゃなく。竜児くんの幸せ考えてあげればどう?」

その時、竜児が重たい口を開いた。
「安奈さんは、亜美の幸せを願ってるんですよね?」
「もちろんよ。竜児くんと同じくらい。きっと気持ちは同じよ」
竜児が安奈のストーリーに乗ってきたのを幸いと、亜美に答えを強要する。
「ね。亜美。竜児くんはこう言ってくれてるわ」と笑う


         ******


竜児は考えていた。
亜美の幸せの為に別れるべきか?
なんて事は露とも思っていない。

約束しているのだ。
自分を幸せにする為に、自分の責任で人生を生きる事を。
若さ故の血潮のたぎりで頭が茹っているとしても、ガキの自分勝手な理想論というかもしれないけれど、
惚れた女がおり、その女が自分の気持ちを受け容れてくれているという今がある。
自分の幸せを想像した時、その存在は必要不可欠なものだと断言出来た。

考えている事は、今の現状からどうすれば、みんな幸せになれるかだ。
泰子や、安奈の事を考えている。
正直、亜美の事はそれほど考えていない。
けして彼女は不幸になっても構わないとは思っている訳ではない。
彼女も約束してくれていた。自分の幸せにする為に、自分の責任で時間を使うと。
彼は自分の幸せの為に彼女と一緒にいる。亜美も自分の為に彼といる事を選択してくれている。
二人でいる事は考えるまでもない事だった。
つないだ手のひらから、温もりを感じているかぎり大丈夫だ。それだけで自分達は幸せでいられるという自信がある。

ただ、亜美と安奈が喧嘩するのは困る。親子は仲良くするべきだ。片親の息子は強く思う。
そして、債務を抱え、泰子に苦労は掛けたくない。それでも、泰子は、家族と食卓を囲めるなら「幸せ」と
くったく無く笑うだろうが、これ以上苦労は掛けたくない。
17HappyEverAfter11-26/33:2011/01/25(火) 20:51:49 ID:uVctpfTU

一体どうすれば、みんな幸せになれるのだろうと考える。
そもそも、今、もめている原因は何だろうかと思う。状況を整理したい。
だから疑問がわいた。それで聞いてみる事にした。
「安奈さんは、亜美の幸せを願ってるんですよね」
「もちろんよ」と安奈は答え、亜美に話しかける。
もしかしたら、話しは簡単なのかもしれない。
「俺、安奈さんの期待にこたえれると思います」
「ありがとう。引いてくれて、友達として応援してくれるのね。亜美、竜児くんはこう言ってくれてるわよ」
「竜児!」

安奈は悠然と笑い、亜美が必死の声を挙げる。竜児は落ち着いたまま、安奈の目を見て

「俺、安奈さんを絶対、幸せにします」

「な、え、なに、わ、私に、こ、告白したの?」

安奈は驚きの声をあげる。素が見えた。声のトーンが上がり、瞳が少だけ潤んだ。

「あ、違います。俺には亜美がいるんで、ごめんなさい」

あっというまに、安奈は振られた。

「なに?、どういう事、なんで私が断られなくてはならないの?。べ、別に竜児くんに振られるのがくやしいんじゃないんだからね!、
 て、なんで私が振られる側なのよ?、と言うか、なに、よくわからない」

安奈は何故かショックを受けた、と言うよりも、なんで自分がそんな事を言われるか理解出来ない。
竜児の言っていることは当然意味不明。言ってる事が脈略無しの出鱈目だ。
それ以前にふ・ざ・け・る・な!、である。兎に角、高須竜児は理不尽だ。

「俺と亜美が恋人で、幸福であれば、安奈さんは幸せになります。安奈さんの期待に応えられます」
「は?、なんか本当、意味解らないんだけど」
「安奈さんは亜美の幸せを願ってる。俺と亜美を幸せです。よく考えてみたら、今のままでまったく問題ないんです」

バカがいる、目の前にだ。安奈は酷い頭痛を覚えた。
「意味不明。なんで、話しが最初に戻ってるのよ。私の時間を返しなさい。最初に問題提起したでしょ。
 ねぇ、瘤つきのティーンなんて人気が出ると思うの?。
 清純派でいろとは言わないけどね。世間は遊び好きの女って見なすわ。いい事なんか何も無い。それで何で幸せなんて言葉が出るのよ」
「亜美は軽い女でもないし、遊び好きなんて事もないです」
「言われなくても解ってるわよ!。けど、それを決めるのは私でも竜児くんでも無く世間様っていう実体の無い化け物なの。
 そう言う、みんなっていう訳のわからない敵と芸能人は戦わないといけない。イメージ業ってそういうものなのよ」
安奈は仮面を外して怒り出す。
18HappyEverAfter11-27/33:2011/01/25(火) 20:54:18 ID:uVctpfTU
-
「けど、俺、幸せそうにしてる人とか、やりたい事をやってる人のドラマとかスポーツとかの方が見てて
 自分も嬉しくなったり、味方したくなります」
「お芝居ってね。Happyな話だけじゃないのよ。悲劇だってあるし、憎悪だって表現しなくちゃならない。
 いやでもしなくてはいけない仕事はある。だいたい、ベテラン女優の私に高須くん程度が演技の講義?。百年は早いわね」
「すみません。言いすぎました」
「当たり前でしょ」
「俺のわかる事だけ話します。亜美は俺といると楽しいって言ってくれてます。俺も嬉しいです。俺達は幸せです」
「本当、話にならないわね。債務請求の話しはいいの?。私は容赦しないから」
「よくないです」
「もちろん、そうでしょうよ」
「けれど、安奈さんはそんな事しません」
「私、弱みでも握られたのかしら?」
と安奈は皮肉を言ってみる。その裏で冷静になろうとした。論理は組み立ててある。勝機は九十%以上。勝てない可能性の残り十%未満、それは論理の外に持ってこられた時。
感情論に摩り替えられ、結果、どうしようもない水掛け論になり、決着がつかなくなった場合だ。勝てる勝負をそんな結果にされてはつまらない。後片付けも面倒だ。
相手を追い詰めすぎてもいけない。そのあたりは匙加減、経験がものをいう。だが竜児の言葉は彼女の想定斜め上を行った。

「いいえ、安奈さんの弱みなんて探してもいないです。ですが、債務請求をされると俺と一緒にいる亜美も楽しくないだろうから安奈さんはしないと思います」
訳が解らない。安奈は今までの会話を反芻して、論旨展開を考え直す。やはり意味不明だ。なぜ、こんな言葉を吐けるか理解出来ない。
ただ少し興味も出た。挑発してみる。

「何故?。私は君を評価していない。君達が別れる事が私の幸せにつながるわ。金銭的な障害があなた達が別れる原因になれば、私の思うとおりだと思わないの」
「経済的な理由なんかで俺達は別々になりません。そもそも一緒なので、たとえそうなっても二人でその課題をどうするか考えるだけです。
 そしたら安奈さんは重荷しか与える事が出来ない。亜美の幸せを願ってる安奈さんはそんな事しません」

竜児が唖然とした顔をするので、安奈は馬鹿にされたか、それとも挑発し返されたか、はたまた、出来るはず無いと舐められているかとと思ったが、違う事に気づいた。
話が通じない。二人でいる事が前提なのだ。そして、竜児は自分の事を何故か信頼している。
相手の為に自分が身を引くとか思いついていない。そもそも目の前の男は亜美の重荷になるとか考えていない。亜美も恋で盲目になっている顔つきだ。
青すぎる。

「なんで一緒にいる事が決まっているのよ。もっと考えなさい。お互いの為を思うとか、不幸にさせない為の方法とか」
「俺、結構考えます。どうすれば幸せになれるか。今の時点で一番いい方法だと思うんです。
 俺と亜美が幸せになる事で安奈さんを幸せに出来ます。きっと、みんなも幸せに一歩近づけるんじゃないかと思うんです」

竜児が彼女の苦悩を知るか、知らずか、畳み掛けるように理解出来ない話を続ける。安奈自身がよく解らなくなってきた。何を言ってるのだ。この夢想男は。

「なんて言ったの?。どうして私を幸せにしたいなんて竜児くんが考えてるのよ。それになに?。え、みんな幸せ?」
19HappyEverAfter11-28/33:2011/01/25(火) 20:56:34 ID:uVctpfTU

安奈は自分の認識力に自信をもっていたし、人の気持ちも読む事にも長けていると思っていた。それだけに混乱する。
高須竜児の人物評は、真面目で誠実、気の回らない点は気になるが、人の良さの裏返しだろうし、頭の切れは悪くない。
鍛えれば使える男になるだろう。
それなりに買っていた。それだけにこんな訳のわからない事を言い出すとは、愕然としていた。
竜児は当然と言ったそぶりで答える。

「はい。俺は人生掛けて亜美を幸せにします。亜美も彼女の精一杯で俺を喜ばせてくれると言ってます。
 亜美が幸せになれば、安奈さんの願いも叶います。きっと見てて楽しくなってくれると思います。
 泰子も喜びます。大河や、北村や、櫛枝。能登に春田に木原に香椎、2-cのみんな…はなんで、お前ばかりフラグが立つとか言われるかもしれませんが
 祝福してくれると思います。
 俺達が不幸になるより、よっぽと多くの人たちが喜んでくれると思うんです」

竜児の表情、言葉遣い、息遣い。そこから真意を読み取ろうとする。自分を引っ掛けるための手ではないかと疑っていた。が。

……本気で言っている。

安奈はうめき声を上げた。
「亜美、あんたの彼氏、相当、馬鹿よ。なに、みんな幸せって、いったい…」
なぜ、こいつは「みんな」なんて形の無いものの幸せを願えるのか?。その辺りからして、さっぱり理解出来ない。

そんな苦情すら最後まで言い切る事は出来ない、笑い声がした。
「あはははははは」
亜美の明るい笑いが聞こえた。まるで子供のような馬鹿笑いだ。以前、そんな娘の笑い声を聞いたのはいつだっただろうか。
中学に入る前かもしれない。小学生の時の亜美の笑い声だ。
「ママ、無理。私たちみたいな人種、高須くんに敵うはずないもの。こいつ、本気で言ってるんだよ。みんな幸せって」

「なに?、そのエセ宗教みたいな、現実にはありえないファンタジーは。
 亜美。まさかあんたもそんな馬鹿げた妄想を語るの?。そんな子供だましな童話みたいな話?」
亜美は強く頷いて
「高須くんがそう思うなら、きっと作れると思う。それに少しづつなら意外と簡単。
 例えば料理を食べてもらって、美味しいと思ってもらうこととか、お芝居で楽しんでもらうとか、明るい物語を演じることでもいい。
 人に幸せと思ってもらえる事、高須くんとならきっと出来ると思う」

安奈は呆れたと思った。
自分の娘がこんな馬鹿だとは思わなかった。その彼氏は輪を掛けて馬鹿だ。
みんななんて切が無い。幸せなんて果てが無い。無償奉仕でも一生するつもりなのか?。仮にそうしたとしても達成できるものではない。
それなのにこいつらは…、存在するはずがないものを、あると胸を張って言う。ましてや自分で作るとすら言う。
高校生にもなって、その上、物事を考えれる頭がある奴が、ドンキホーテみたいな行動をする。信じられない事だ。
けれど、現実は、人間は食べていかなくてはいけない。人の幸せだけ願う偽善者なんか続けられる訳などないのだ。
高須竜児は交渉相手にはならい。こいつの事を見誤っていた。なら現実的な娘に的を絞る。

「亜美。無責任に女優を辞める気?。今までの努力は?。モデルとして築いたキャリアは?。私と競演したいんでしょ」
「仕事に責任は感じてる。楽しいとも思う。ママとも競演したいと小さい頃から思ってた。けどね、
 モデルだって、芸能人を目指してしてた訳じゃない。メイクさんみたいな裏方だって楽しいと思うし」
「あんた、女優以外で食い扶持稼ぐ事なんか出来るの?。業界だって、私の目の黒いうちは働かせない。
 そこを離れてあんたどうやって食べていくつもり?。
 中学受験が失敗した時言ったわよね。馬鹿なあんたの武器は容姿と演技の才能の種だけって」
20HappyEverAfter11-29/33:2011/01/25(火) 20:59:04 ID:uVctpfTU

亜美は微笑でその中傷に応える。
「私ね。少しだけど料理できるようになったんだ。それが出来る人間はどこでも生きていけるんだって。需要はあるらしいの」
「生姜焼きの出来損ないの話は聞いたわ。何十回も失敗作つくって、やっと出来るようになったのよね。才能ないわね。
 そんな下手糞でよく言うわ。あんたが思ってるほど甘くない。料理の世界は厳しいの。あんたの料理に金を取れる価値がある訳ないわ」
「大丈夫。私だけじゃないんだ。横に料理暦が十数年の人がいてくれる。私が今まで食べたことがない位、美味しい料理が出来るプロ級の人」
と笑顔のまま竜児を見て、「おう」との答えを聞いて、笑みを強くする。

「惚けてる奴の評価なんか信用出来る訳ないでしょ。あんたがそんな馬鹿だとは思わなかった。
 あの世界で努力と同等の報酬を得る事なんて稀。贅沢に慣れきったあんたが耐えられるものじゃないわ」
「高須くんの家はすごい貧乏だった。一ヶ月半しかなかったけど耐えられた」
「ほっとけ」
「てか、耐えるまでも無く、楽しかったよ。
 私、今みたいなにギャラ良く無くても、場末のお笑い芸人さんくらいのギャラしか貰えなくて、
 そのギャラで4人と一匹分の生活費を賄わなければならない暮らしだとしても、
 「これで、よかったのよ」って笑ってられる自信がある。あは。ママでも知らない事あるんだね」

「それで、貧乏ぐらしで、自分たちはほっておいて、よく解らない、『みんな』って化け物を幸せにしようとするての?。
 本当、学生ぽい考え方。あんた達が不幸になるのが目に浮かぶわね」
「安奈さん。俺は責任もって幸せにします」
「何の結果も出せてない馬鹿が口出さないの。そんな奴だから信用出来ないと言っている」
「ママ。心配してくれてありがとう。でも大丈夫。みんな幸せにするのには、まず自分が幸せになる必要があるって言ってある。
 それに、高須くんは自分の為に私を幸せにしてくれるって。だから、ちゃんと私の事、考えてくれると思う。もちろん手綱は取るし」
と今度はニヤリと竜児を笑う。余裕が出ていた。もめる必要などない事に亜美は気づいた。
自分だって母に幸せになって欲しいと願ってる。それは竜児と一緒にいる事となんら対立していない。
そして竜児は、自分と一緒にいる事で安奈を幸せに出来ると言ってくれた。彼女の彼氏が示してくれた、高須竜児なりの解決方法。

「お手柔らかにな」の竜児の声に笑顔であえて手厳しく答える。
「甘えんじゃないの。私はタイガーみたいにベッタリしないし、実乃梨ちゃんみたいに輝ける太陽にもならない。厳しいよ」

同じ道を行けばいいのだ。道は長く続いていてくれる。今、反対されても、これで最後ではない。
例えば、孫なんてみせたら、あっさり考えも変わるかもしれないし……

そんな二人に安奈は、バカップル顕在の確信する。大馬鹿は一人ではなく、二人だった。
竜児が今時、珍しい位の馬鹿なのは何度か話して解った。
自分の娘はそういう気質、正直さとか人の良さはあるものの、現実的な選択が出来る子だと思ってたが、違ったらしい。
亜美はサンチョパンサ役が適役だと思っていたが、男に影響されてか、今やドンキホーテ気取りだ。
そして、ドンキホーテは物語の主役だ。
面白いかもしれない。

安奈は笑って、抑えようと思っていたがこの際だと、口を大きく開けて、太陽のような笑い声を上げて、
「やめ、やめ、カット、NGテイクでいいわ。中止」
21HappyEverAfter11-30/33:2011/01/25(火) 21:00:59 ID:uVctpfTU
ぽかんとした二人を前に、
「ごめんなさい。ここまで反対をするつもりはなかったんだけど、ちょっと興が乗っちゃった」
自分の年を棚に置いて、テヘと舌をだして笑う。
「え、何、それってどういう事?」
亜美が困惑を隠さずに問い返す。
「私はね。映画撮影終わって大橋高校に。男の為に自分から戻りたいって言った時。
 この引っ込み思案の背伸びした子が男の為に本当の我侭言った時から私は100点あげてたわ。
 我慢ばかりのこの娘が我侭いうなら、きっとタラコスパゲティ好きな神様は喜んでくれるでしょ」
「なら、こんな事しなくても」
「でも竜児くんを見分ける事は私には義務と言って良いくらいの事。亜美が好きな事をするならいいけど。彼氏がきついのは勘弁。
 身内からのスキャンダルなんてワイドショーにかっこうの餌をやる気なんかないわ」
「嘘よ。それなら、ママなら高須くんに一度でも会って話したら、どんな人間なのかわかったはずだもの」
「安奈、わっかんな〜い」
と十年前なら通じたかもしれない媚た笑顔でごまかす。そして、少し真剣な顔をして

「女優やるって言っても恋くらいはした方がいいとは思うわ。芸の肥やしだしもの。ただこの子、斜に構えてるけど、あれでしょ。
 ワクチンは必要と思うじゃない。けどね本気の本気はノーサンキュー」

と竜児を睨む。竜児も臆する事なく見つめ返す。

「と思ったけど、亜美、あんた、女優続けるよりも大切なもの持ってるの?」
「ママ、私、優先順位はしっかりしてるつもり」

そこで安奈はやっと目元を緩めて、
「別に私はこの娘が女優を生業とするかしないかはどうだっていい。私はまだ現役の女優だし、パパの会社だって順調、資産だってある。
 ただ、亜美がどう食べていくかが心配だったけど…」
「俺が幸せにします」
「まぁ、若者は現実にぶつかって、それなりの苦労をしてみなさい」

そう言って安奈は竜児たちに背を向ける。

「亜美、交際は許すけど、あんたプロなんだから五日後からの取りしっかりするのよ。万全な体調を維持する事はあんたの義務。
 これは事務所の役員としての業務命令。
 後はあんたの人生。とりあえず、大橋の家に戻っていいわ。荷物も明日には送り返してあげる」
そこで安奈はニヤリとおばちゃん笑いをして、
「ただし、夜遅いから、今日は駄目よ。迷惑かけちゃうからね。それと竜児くんのお母さんにも迷惑かけないように。これはあんたの母親の命令。
 後、出来たらばれないようにしなさい。知られてない方がなにかと都合がいい事は変わらないわ。これは先輩女優からの助言。
 まぁ、バレたらバレで考えてあげるけどね」

と歩き出すが、数歩で歩みを止め、振り返り、竜児を見る。

「竜児くん。最初あった時から好みって言ってあげたでしょ。嘘じゃないわ。本当に気に入ったの。
 でもね。私、気に入った子、苛めたくなる子供みたいな所があってね。長い付き合いになりそうね。楽しみだわ」
目だけで覚えていろという威嚇をして、竜児を、怯えさせたことを確認した後。
指を大きく開いて、手の平を忙しそうに揺らして、おばさんながら可愛らしく手を振る。
「ばいばいき〜ん」
笑いながら安奈は自販機スペースを後にした。

付き人らしき男はサングラスをとって、人の良さそうなどんぐり眼の大きな瞳を、その暴力とは無縁そうな顔に
一杯の笑顔で浮かべ竜児たちに笑いかけると、頭を下げる。そして、広い背中を揺らしながら安奈の後を追った。
22HappyEverAfter11-31/33:2011/01/25(火) 21:04:02 ID:uVctpfTU

二人取り残された竜児たちは顔を見合わせて

「なぁ、川嶋。安奈さん、本当に解ってくれたのかな?」
「どうだろう?。ママ負けず嫌いだから、私たちがどうしても引かない事を感じて、寛容な振りして、この場を収めたのかも」
「そうなのか?」
「解んないよ。そんなの」
亜美はただ竜児を見つめて、そう言う。現状を把握出来ないのと、そんな亜美に説明できない自分をもてあます竜児。
なんだろうか、むず痒い気分だった。狐につままれた気分とはこういう事をいうのだろう。

「安奈さん、どこまでが本当で、嘘か、よく解らないんだが…」
「そんなの、娘の私だってわからないもの。しょうがないよ」
「手ごわいよな」
「手ごわいよ、これから先も」
竜児は「お、おう」と、将来の新しいお母さんと上手くやれるのでしょうか、とため息をつく
亜美は竜児の落ち込みに気づかない振りをしておく、
「そういう所がきっとママ好み。きっとイジラレルだろうな」とは竜児がかわいそうなので黙っておく。
他に大切な事はと考えて、重要なことを思い出す。

「そ、そうだ、タイガーの事、何もしてないって、アレも嘘じゃないよね」
「おう、そうだ。とりあえず連絡してみる」

竜児が自宅に電話すると、出たのはその逢坂 大河だった。

大河は「ばかちーのお母さんに怒られたでしょ」と嬉しそうにしゃべりだした。
とりあえず、大河に事件のあらましを報告する。
その合間にもばかちーにもったいないくらいの、いい母親だとか安奈を贔屓した言葉を大河は発し、
「でも、許してくれたんでしょ。良かったわね」と祝福をくれた。

逢坂 大河は仲の良い家族というものを夢見ていた節がある。それを安奈に利用されたのか、実乃梨、北村を含め、抱き込まれたようだった。
新たに三名、川嶋安奈の熱烈なファンが誕生していた。
安奈が言ったように、大橋高校の自販機エリアにいるのではないかと、伝えたのも彼女たちだった。
まぁ、殴り合いになるよりましだが…
しかし、竜児には安奈の考えが、ますますもってよく解らない。けど彼も信じたくなった。
電話している間、なにも言わず無言で見つめていた亜美に、大河の話の概要を伝えた。

「高須くん。ママ、私以上の嘘つきだから、信用しすぎちゃ駄目だよ」
「俺は安奈さんを信じようと思う」
「だから!。もう、学習能力ないの?。少しは客観的なものの見かたてものをね…」
「なあ、川嶋。たとえ、安奈さんの言葉が嘘だとしても、俺達を少しの間でも認めてくれるて言うなら、その言葉に応えようと思う」
「どういう事?」
「俺、お前と一緒にいられるなら、幸せになる自信がある」
「それは私だって」
「さっき言ったように、二人で幸せでいられるなら、きっと、みんなを幸せに出来る。それを安奈さんに証明し続ける。
 それなら嘘だろうが、なんだろうが、安奈さんは喜んでくれると思う」
亜美は返答の変わりに仕方ないなという笑いを浮かべる。

「あきれたか?」
「うん、あきれた。みんな幸せってやつだよね」
「誤解するななよ。みんなって言っても、まずはお前を幸せにするのが俺の目標だから」
「わかってる。もう、うんざりするくらい。
 うんざりするくらい。私が高須くんの事好きな事、解ってるから。だから大丈夫だから」
「お、おう」

「それなら私も信じてみようかな」
「安奈さんの事をか?」
「みんなが幸せになれる事」
「そうだな」
「うん。そうなるといいよね」
23HappyEverAfter11-32/33:2011/01/25(火) 21:06:16 ID:uVctpfTU

飲みかけの缶入り紅茶を再び手にとって、お疲れ様と竜児に渡す。
竜児は一口飲み、喉を潤す。
そんな竜児に、少しもじりとしながら亜美が話しかける。

「だから、ママのいう事に従ってみようかなって」
「なにについてだ?」
「実家から出て、大橋の家に戻っていいって」
「おう、良かったな」
「でも、今夜は夜遅いから駄目だって、もちろん、高須くん家も迷惑掛けるから駄目だって」
「お、おう」
「今夜ここで過ごすにはお尻冷えちゃったし、体調管理しないといけないし」
「ああ」
「泊まる所どうしようか、竜児?」

竜児もなにが言いたいかは解る。親公認のカップルになれた訳だ。
もう少し、こう、即物的なつながりを求めてもいいのではなかろうか。

「え〜と、川嶋さん。今夜は時間あるか?」
「う〜ん、急なお誘い。どうかな?。ちょっとスケジュール確認するね。
 わ、竜児、すごくラッキー。予定していた駆け落ちがキャンセルになったから、時間あるみたい。
 亜美ちゃんのこと、好きにしてもいいよ」
「あ、えーとだな」
「うんうん」
「つまりだな」
「はい」
「…マンガ喫茶で時間つぶすか?」
「もう。あのさ、私、高須くんの事、好きだよ」
「え、ああ、ありがとう」
「違って、だから、ちゃんと言って。臭くてもいいから」
「あ、えーと、お前が本当に好きだ。絶対幸せにする」
「解ってる。そんな当たり前のことじゃなくて、もっと、グッと来るのが欲しい」
「そう言われてもな」
と亜美を見て、困り果てて、
「悪い、言葉が思いつかない」
亜美は何も言わない。じっと竜児を見つめ続ける。いや変化もある。だんだん険が立ってきた気がする。睨んでるように思えてきた。

竜児は時間がないと焦る。そうだ、急に迫られた時用のいい手を思い出した。
言葉を使わなくてもいい手段を最近知った。
亜美と映画を見てるときよく出てくるそのシーン。彼女はいつも押し黙る。きっと効果があるはずだ。
竜児はぐっと亜美の距離をつめた。その唇を奪おうとする。

が彼が踏み込むのに合わせ、亜美が二歩、三歩と距離を取る。警戒をしながら竜児の目を見て
「この前の旅行みたいにごまかされない。駄目、ちゃんと言ってくれないと」
「駄目なのか…」
24HappyEverAfter11-33/33:2011/01/25(火) 21:07:45 ID:uVctpfTU

最後にして、最新の奥の手が封じられる。他の手はと頭をフル回転するが出てこない。負けを認めて和平交渉に入る事にする。

「すまん。何も出てこない。今度じゃ駄目か?」

条件交渉どころか、借金の返済についてのご相談のように平謝り。

「もう!、こういうのはタイミングが大事なのに。亜美ちゃんうんざり」

彼女は背を向け、それ以降、竜児が何を言っても反応しない。おずおずと彼が近寄り、彼女の肩に手を置く。
すると悪戯顔で振り向いたと同時に彼の頬に唇を寄せ、体温を伝える。

「なぁ!」
「やっぱり高須くんはまだまだなんだから」

ニコリと愛しそうに笑いけられる竜児。
解ってるなら手加減してくれ、なんて言いたくなる。キス一つで顔を熱くさせてしまう。本当、まだまだなのだ。
この気持ちを伝えられないのがもどかしい。
いつのまにかゆっくりと育っていた恋心は現在もまだまだ順調に成長中。ドキドキとして気の利いた台詞ひとつ言う余裕もない。

「……もっとうまく表現出来るようになろうと思う」
「本当、相変わらずの高須くん。でもね。期待はしてるんだよ。だからね…」
幸せそうな亜美の笑顔がそこにある。
「これからも、ゆっくり、話して行こうね。竜児」

やはり、キザな言葉は苦手だ。亜美の言葉に返すものは口から出ない。それでもゆっくり伝えていこうと竜児は思う。
同じ道を歩いていくのだ。じっくりと気持ちを重ねていけばいい。どうせこれからも今まで通り、ドタバタとした騒動の日々の連続だ。
けれど二人で歩けば、全ては幸せな時間で、それはずっと、この後も続いていく。
まずは、今夜、期待に応えるべくゆっくりと悪戦苦闘してみよう。

そう決意して竜児は亜美の手をとる、そして……



Happy Ever After
25Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E :2011/01/25(火) 21:09:49 ID:uVctpfTU

以上で本編全て、投下終了です。

コメント頂けた方、まとめサイト様、支援頂いた方、読んでくださった方、ありがとうございました。
みなさんのおかけで、シリーズもの最後まで投下する事が出来ました。感謝です。

PS
この板に投下させて頂いているという事で、ちゃんとしたエロ、このSS終了後の夜部分の話、をちょろっと投下させて頂きたいです。
規制が無ければ近日中に投下します。山も谷もない上、エロSS初心者の品ですけれど

まとめサイト管理者様、もし、可能でしたら、まとめる際、前半、後半を一つにして頂けるとありがたいです。
面倒でしたらこのままで、まとめて頂けるだけでありがたいので
26名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 23:16:35 ID:2af7r9zU
完走おめでとうございます。
そしてありがとうございました。
最後まで読めて、幸せになれたんだなぁ、と読んだ方も達成感が得られました。
後日談お待ちしています。
27名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 23:29:53 ID:ByXoN7DP
感想文苦手なのですまんが…
GJ! でした!
後日談、むりなさらずに、余裕のあるときにでもうpしてください。
お待ち申し上げます。
28名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 06:20:05 ID:PZkPr8EZ
本当にGJでした
全部保存してるから最初から読み返したい
あっ後日談を待ってからね
29名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 10:12:27 ID:3bK9nBmm
GJ
杏奈さんツンデレで噴いたwww
30名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 20:21:24 ID:wFnldWA5
安奈さんに不覚にも萌えてしまった
すごくGJ
完結するssってなかなか難しいんだけど
おつかれさまでした
31名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 20:21:53 ID:wFnldWA5
安奈さんに不覚にも萌えてしまった
すごくGJ
完結するssってなかなか難しいんだけど
おつかれさまでした
32名無しさん@ピンキー:2011/01/31(月) 17:01:48 ID:R9szk0KB
前スレ埋めのインコちゃんネタGJwww抉れ胸ww
おかげさまでここ数スレの締めのクオリティが高くて嬉しいです
33名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 21:01:13 ID:bn7OyByo
前スレ埋め、いい仕事♪
34名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 23:18:21 ID:bn7OyByo
>>25 みんな幸せの使い方がうまい。GJ

読んだ後、とらドラPみたく、ちわドラが幸せになったパラレルワールドがどこかにあるんだろうなと、
思える事が出来ました!
35Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E :2011/02/04(金) 20:59:02 ID:78pS4RBd
こんばんは。以下SS投下させて頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 追伸
方向性 :ちわドラ。 内容はエロだけ

とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話。
SS,Happy ever afterの後日談ですが、本投下だけでもよめると思います。
内容無しのエロなので。

主な登場キャラ:竜児、亜美
長さ :20レスぐらい

前提:
竜児と亜美は恋人同士。
36HappyEverAfter−PS-1/20:2011/02/04(金) 21:01:38 ID:78pS4RBd

「これからもゆっくり、話していこうね、竜児」
こうして、高須竜児と川嶋亜美は末永く、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし

とは簡単には行っていなかった。
「予感はしてたが、まさかここでゆっくりしていいのか?、俺は……」

高須竜児はのべっとベットの上に腰を下ろし、ぼんやりと前を見ながら自戒していた。
すべき事は解っているのだ。きっと自分だってやれば出来る子なはずだ。けれど体が動かない。
決意が固ければ固いほど、やるべき事が現実的なほど、はたして俺に出来るだろうかという気後れと無力な自分に
対峙せざる終えなくなる。自信が無い。
数時間前、学校の自販機スペースで川嶋安奈と対峙していた方が今おかれている状況よりましなのではないかとさえ思う。
しかし、幸か不幸か。タイミリットはもうすぐだ。

なにせ、目の前では、シャワーを浴びている全裸の川嶋亜美がいるのだから。


   Happy ever after 追伸



一応、ガラス越しではある。ただし曇りガラスという訳ではない。しっかりクリアーな透明なガラスだ。
つまりシルエットだけではなく、生まれた姿そのまま。
亜美は照れるでもなく、誇示するでもなく、無心にお湯を全身に浴び、石鹸の泡を流している。

「今さら注意するのって手遅れ……だよな。やっぱり」
そう竜児は呟く、これで五度目だ。なぜこんな事態にまで進行してしまったのだろうかと嘆き続けるばかり、自分では動けない。
それが状況を悪化させているのだという自覚はあるのだが…。過去に戻れるなら数十分でいいから戻りたかった。

話は数時間前に戻る。
大橋高校。自販機スペース。竜児は安奈との一応の和解が済み、亜美家出からなる想像も一件落着と緊張を解いていた。
さてどうしたものかと彼は思案。そこで亜美が

「実家から出て、大橋の家に戻っていいって」
「おう、良かったな」
「でも、今夜は夜遅いから駄目だって、もちろん、高須くん家も迷惑掛けるから駄目だって」
「お、おう」
「今夜ここで過ごすにはお尻冷えちゃったし、体調管理しないといけないし」
「ああ」
「泊まる所どうししょうか、竜児?」

「いや、俺のところは大丈夫だ。水臭い事いうな」と言いかけて、さすがに配慮がないと思ってやめる。
安奈が言外に許可してくれた事も解るし、亜美の気持ちも解る。なにより自分がしたい事もはっきりしてる。

亜美の部屋で灯した体の火照りは残っていたし、安奈との対決が気持ちを高揚させていた。
彼女を大事にしたかったし、自分の手から離さないという決意もあった。唯一の防波堤である安奈との約束も決着してる。
そんな竜児は行動で亜美に答える事が出来た。

亜美の手を引き、ラクージャ近くまでタクシーで移動する。さらば、北村バイク。
そのまま、プラネタリウム帰りのカップルに紛れ、ホテル街に移動。
家具の選定で育て上げたセンスを頼りに、ホテルを選び、部屋を決め、そのまま直行。
37HappyEverAfter−PS-2/20:2011/02/04(金) 21:03:22 ID:78pS4RBd

その間ずっと亜美は無言で竜児について来てくれた。
焦り、先を急ぎ、足早になる竜児に文句一つ言わず、追いつこうと急ぎ足で付いて来る。
額に汗すら浮かせながらも遅れないようにして足を動かす。
そして、部屋に入り、数刻の気まずい沈黙の後、

「汗……かいちゃった。先にシャワー使っていい?」
竜児の普段より一オクターブ高い「お、おう」の返答を聞くと、彼女はシャワールームに入っていったのだった。
これが二十分ほど前の出来事。

かと言って、透過性ほぼ100%のシャワールームに亜美が自分から勇んで入っていたわけでもない。
部屋に入った時はちゃんと壁があった。シャワールームはむき出しではなかった。
一面だけ、安ぽいメタリックな壁だったのは確かに気にはなっていたのだが……

竜児もあえて奇抜な部屋が選択した訳ではない。
部屋の写真が表示された選択パネル。
恥ずかしさのあまりちらりとしか確認しなかったが、そもそも、そんな突拍子も無い部屋を選ぶ甲斐性などこの男は持っていない。
その部屋を選んだ理由はシンプルさだった。調度品が少ない事がいいと思った。

他の部屋は家具やスタンド、テーブルに花瓶とアンティークが多すぎた。その上安ぽかった。
宿泊するのが主目的ではない、いたす為の部屋。そんなにオブジェクトは必要とされない。
けれど体裁をつくろう為にいい訳のように家具が並べられいた。しかし、安価を誤魔化すために派手なデザインのものが多い。
それが余計に気に入らない。
家具好きの竜児としては中途半端は許せなかった。そうであるなら無い方がましだ。
もっと、雰囲気のいい部屋を。亜美にいい思い出も作ってもらいたい。できる事なら安い思いはして欲しくない。
その思いで部屋を選んだ。

結果、彼が押したボタンは、そういったものが少ないシックな部屋だった。
家具はいくつかはある。型落ちで、飾りげもないテレビ、テーブル、スタンド、その程度。
シンプルさ、その目的のためだけにしか存在しない家具、それは機能美といえない事もない。
型落ち、古めなデザイン。現在の流行と異なった、回顧主義のにおいも悪いものではない。
全体的なバランスさえ整って入れば、古さは落ち着きと目新しさに変わる。
直感で決め、入室してみて気に入った。
けれど、違和感はある。他の部屋と異なる趣があると思っていた。なにかの理由で予算を極力抑えざるおえなかったような空気感。
その結果としてのシンプル。
そこで気づくべきだった。今思えば、ギミックあり と隅に書かれていた理由も考えるべきだったのだ。

亜美が浴室に消え、より落ち着きを失って、迷子の家出犬のようにはあれこれと周りを見渡していると、
室内灯のスイッチを入れるパッチという音がシャワールームから聞こえ、そして…
メタリックな壁が当然消えて、シャワールームの光景が目の前に現れた。

驚きで、金縛る身体。
ほどなくして、生まれながらの姿で現れる亜美。

竜児は指一本動かせない体に驚きながら、唯一自由に動く眼球を動かして、罵倒を覚悟しながら亜美を見る。
罪の意識で一杯になり、亜美が怒っていないか、ゆっくりと表情を確認した。

目があった…

気がした。謝罪の言葉を叫ぼうと思ったが、どういう風に発声すればいいか脳みそが忘れてしまっている。
謝罪の言葉はどう言えばいいんだっけと頭の中で緊急会議だ。
はたして「sorry」だろうか、それとも「dispiace」だろうか。思い出せない。

だが、予想に反して亜美の機嫌はよさそうだ。鼻歌交じりに竜児の方向を見るとニコリと笑った。
それは久々に見たモデル顔で、後頭部で両手を組み、細いウエストをくねらせ、ポーズを決めだす。
38HappyEverAfter−PS-3/20:2011/02/04(金) 21:05:14 ID:78pS4RBd

長くスラリとした足。くびれた腰。可愛いおへそ。形の良い張りのある胸。柔らかな感触を思い出さずにはいられない愛情ぶかい唇。
強気で、悪戯好きな目、その奥でに思いやりをうかべる瞳。綺麗に整えられた眉。豊かな青みがかるほどの髪の毛。
その長い髪が白い裸身を包む。

「綺麗だ」
と素直に思えて、彼女を抱きしめたい衝動が湧き上がり、それで金縛りが解ける。
ゆっくりと指を伸ばす。

コツンと指がなにかにぶつかる。手でなでてみる。壁だ。
手触りがある。冷たい感触がある。硬さを感じる。なんど試しても壁だ。いやガラスか。目の前にあるのはガラスの壁だった。
彼女に触れられない失望感と、壁がたしかにあった事の安心感を感じる。
そうしているうちに亜美の体勢が変わる。
前かがみで、両手をお腹の少し上で自らを抱きしめるようにして、胸を持ち上げるようにして突き出してくる。
思わず竜児は、亜美の胸のあたりに手を持って行き、モニュモニュと動かしてみる。が、悲しいかなやはり触れない。
ガラスが隔てる。
これが自らの手で触れるかと思うと、胸に熱い空気が溢れるような気分になる。
同時に、上手くやれるのだろうかという恐怖心が肝を冷やす。

「じゃないだろう、今はそういう状況ではない」
と自らを改める事にする。というか気づいていないのか、亜美は目の前にいる俺を。ならば早く指摘しないとといけない。
「でも、どうする。ここで叫ぶのか?。川嶋、裸隠せ、丸見えだぞって?。いや、もっとデリカシーのある言い回しじゃないと殴られる」
何時までも見たい気もするが、後で発覚してなじられる方が恐ろしい。
たぶん、もう文句を言われるのは確定だが、それだけに自首して、情状酌量の上の執行猶予ぐらいは欲しい。

言葉を捜しているうちに亜美の表情が変化した。
情けなさそうと顔をしていた。

さっき程まで自信満々のモデル顔で、恐らく
「亜美ちゃん、今日も可愛い。プリティ。いつも綺麗♪」
と自己暗示のように呟いていた口がとても寂しそうだ。視線を辿ると、

竜児の股間に行っている。
思わず、両手で隠す竜児。

「そりゃ息子も元気になる。だって男の子だもの」といい訳をしたくなる。けれど何かが違う。
それだったら、からかって冗談の種にしても裏切られたような顔はしないだろう。
と思いたい。亜美はそんな奴ではないはずだし、そんなに小さい訳でもないはずだ。
自分のナニを確認する。

そうだよな。そんな小さくはないよな。北村には負けてるが……
裸族出身の親友は露出したがるほど自分の身体に自信があるのだ。
スポーツで鍛えられた肉体と、男の自分でもデカイなと思う息子を装備している。
だから、しょうが無いのだ。
春田は……、あれは異常だ。男の自分から見ても、グロテスクと思えるほど凶暴だ。「瀬名さんこれの虜なんだよ〜」とか言ってたな…と回想。
二人には負けてる。しかし、能登には十分に勝ってる。
39HappyEverAfter−PS-4/20:2011/02/04(金) 21:07:43 ID:78pS4RBd

そこで竜児は突然、床に穴が開いて、落下してしまうような気分に襲われる。
もしかしたら、能登が、大河の胸くらい哀れで、小さくて、極小だとしたら。その場合あいつの次に大きい程度の俺は…
能登久光の事がなんだか憎らしくなった。

能登に勝って安心してたのが問題なのかもしれない。確かに能登は可愛そうだ。
そうか、下は下でも能登が人類最下層の男だとしたら……
絶望的な気持ちになり、とりあえず心の中の能登に文句を言う。
そして再び現実の目の前にいる彼女の表情を確認する。

今にも泣きそうだった。目には大きな涙の粒が浮かんでいる。
「泣くほどなのか…」
竜児は自分も泣いてしまうのでないかと思った。

亜美の手が動き、亜美自身の股間に手をのぼすと、さわさわと、股間でさえ美しいと思えるほどの毛色をした、ふさふさとしてそれを撫でる。
ドーナツで天使の輪を作るように、?を頭の上に浮かべ竜児は硬直、亜美の表情を見続ける。
ますます悲しそうな顔になっていく。
何故だろうと等と考えていると、亜美は目を瞑り、指先で何本かを摘むと、思い切り引っ張った。

「きゅん!」

大粒の涙をこぼして悲鳴をあげる。

「か、川嶋!?」
「え?、え!。な、なに!?」
「いや、どうした?」
「う、ううん。なんでもないよ」
目の前の亜美は自分の股間を手で隠し、キョロキョロと周りを見渡していた。
「も、もしかして、高須くん。覗いてる?。み、見てるの?」
慌てた声をあげる。反射的に竜児は「違うぞ!」と否定してしまう。
亜美は警戒した目で周りをもう一度見回し、誰も居ない事を確認して、竜児の言葉に納得すると、
「ふ〜ん、じゃあ竜児、シャワー中の亜美ちゃんが気になって耳澄ましてたんだ。やらし」
「そんな事してねぇえ」
「じゃあ、何よ。何なのよ」
「な、なんでもない。ただお前が変な声あげるからだ。どうしたんだ?」
「そんな声あげてないもん。てか、盗み聞ぎとか覗きみたいな痴漢行為やめてよね。怒るよ」
「だから、違えって。覗き見なんか誰がするか」
「そういう言い方も失礼なんじゃないの?。女神様的な亜美ちゃん様のお裸に対してさ」

声色はだんだんと悪戯風味を出しきた。しかし、明らかな演技だった。その表情が見えている。
ガラスの向こうの顔は赤いし、恥ずかしいのか、身をよじらせたりしていた。
そんな姿を曇り一つないようなガラス一枚を隔てて、思わずガン見する竜児。

川嶋の方はこっちを見えてないのか……

そんな風に竜児が思って、亜美の目の前で手を振ってみるが、亜美は無反応。

「本当、覗き魔とか、聞き耳って最低だからね。後でたっぷり見せてあげるから、いい子は我慢する事」
「お、おう」
40HappyEverAfter−PS-5/20:2011/02/04(金) 21:09:59 ID:78pS4RBd

竜児は「いや、もう手遅れだから」と心の中だけで呟き、なんかもう、「取り返しがつかない」と亜美を見続ける。
そんな竜児の目の前で亜美は指先で、自らが先ほど抜いた陰毛を確認していた。
あんな痛い思いをしたのに、これだけかとさらに情けない顔をして、再び股間に手を伸ばしてチャレンジ。

「んぅぅ」
今度は声を喉で押し殺し再び数本を抜く。その努力のわりに成果が少ない事に唇を突き出して不満そうにしている。
そして赤くなった抜き後を撫でて、思い悩んだ後、諦めたように頭を左右にふり、自分を励ますように拳を握り込むと小さく、
「例えボン、ボン、ボンだって、亜美ちゃん可愛いもん」
自分を励ました後、足を開いて、片足あげ、股間を中心に念入りに洗い出した。

そんな姿と負けず嫌いの努力を目の前にして
「絶対、洗うところ見てたとか言えねぇ」
竜児は再び、途方にくれてベットに座り込むと一人悩む。
川嶋が何をしたいのか皆目見当もつかないが、解る事が二つある。
自分がいつの間にか覗き魔になっちまったという事と自首するには手遅れになってしまった事だ。
執行猶予はつかない。即刻死刑判決確定だ。なんとか誤魔化す手はないもか。

竜児としても最高の思い出を作ってやりたいと思っていたが、もうケチがついていた。
ただでさえ上手く出来るか不安だというのに一騒動は確約されてしまったのである。

それから二十分ほど亜美の念入りの肌磨きを竜児は眺めていた。良い手を思いつかず、不安な気持ちは膨れる。
不安を紛らわす為にもと、亜美を眺めて、
「やばいな。俺、すごく惚れちまってる」
なんて気分になり、ならばどうにでもなれと開き直ると趣味は彼女鑑賞ですと履歴書に掛けるくらい眺め続けた。

目の前で亜美が身を清めている。その姿は美しく、形良く、
なにより、そのか細い身体をこれから自分が愛していいのだと思う気持ちが溢れる。
その身ひとつひとつが愛しい。
ガラスを一枚を隔てて、亜美が一つ一つを体を確認するようにしながらボディーソープで磨き上げ、彼に見せ付けてくれた。
全部を見せ終わったかと思うと、大一番に挑む女優のように力強く頷くと脱衣場に移動する。
誰も居ない浴室。ほどなくしてパッチという音がしたかと思うと、シャワー室が見えなくなり、セラミックの壁が突如とした現れた。
「おう!?」と竜児が思っている間にバスタオルを身体に巻いた亜美が目の前に現れる。

「竜児♪。待ってる間、欲情してない?。一人でオナニーなんかしちゃ駄目だよ」
なんて、ニコニコとした笑顔で現れる。
「お、おう。大丈夫だ」
竜児は現状把握で精一杯で生返事をする。亜美は少し意表を突かれた顔で、
「え?、あれ、突っ込まないの?」
「何がだ?」
「だ、だから、はしたないとか。その、オ、おな、なんでもない」
と慌てて口を閉ざす。

竜児は彼女が何を言っているか解らなかった。
というより頭が回転していない。自分でも完全に茹ってるのが解る。罪の意識とそれ以上にさっきみた亜美の裸にノックアウト寸前だ。
はたして、あの身体をどう愛せばいいのか、全然解らない。
「と、とりあえずお先。は、はいシャワーどうぞ」
亜美も現状から逃げる為の言葉が口から出る。
一刻も早く裸で愛し合いたい。長い間、願ってもいた。それがもうすぐ叶う。
だが少しだけ、ほんの少しだけ、それを先延ばししたい気持ちがあった。やはり初めての事は怖い。ボン、ボン、ボンは恥ずかしい。
41HappyEverAfter−PS-6/20:2011/02/04(金) 21:12:07 ID:78pS4RBd

竜児も、そこではたと気づく。

…シャワー………だと?。

つまりそれは、さっきの竜児の立場と亜美の立場が逆転する事を意味する。
「川嶋に見つめられながら体なんて洗えるか!」
先ほどまで穴が開くほど見つめていた男の発言とは思えない身勝手さだった。
なにより問題なのが、故意ではないとはいえ、自分が覗いていた事がばれてしまうという事だ。

「えーとな、俺はいい」
「駄目だよ。ふ・け・つ♪。て、なんでよ?。綺麗好きな、高須くんが?」
「う」
と竜児は言葉は詰まらせる。風呂場ハ部屋カラ透ケテ見エルカラデス とは言えない。それを言うくらいなら

「お前を早く抱きたい」
「ぷ」

と吹き出す亜美はこらえきれず笑い出す。
「もう、全然似合わないよ。高須くん」
そう言って、竜児に近づき、緊張が解けた様子で軽く唇への浅い口付けをして、
「嬉しいよ。けどね。亜美ちゃん、逃げないし。今日はご宿泊だから、時間はたくさんあるよ。だ・か・ら、キレイ、キレイしてきて♪」
「……どうしても駄目か?」
「だ〜め♪。それにあのお風呂悪くないよ。けっこう広めで、なにより大きな鏡があるんだ。
 シャワーだけじゃなく。お風呂張ってゆっくり入ってもいいくらい。竜児の為に早めに出たんだからね」

亜美はとてもうれしそうだ。それと同時に拒否をさせない強さがある。
亜美もいい初めてにしたいのだろう。なるべくいい条件でしたいのかと思う。可愛いと思った。
けれど、やはりそれはまずい。覗き魔と初めてはヤバイ。なにか手はないか、そうだ。これこそらしくないが緊急事態だ。

「解った。入る。入るが、その代わり、それくらい広いなら一緒に入らないか?」

亜美は予想外の提案に驚いた顔をする。が、すこし欲が出た。モデル仲間の話で羨ましく思ったイチャつきが出来るかもしれない。
上目遣いで竜児の様子を伺いながら、そっと聞き返す。

「洗いっこする?」
「お、おう」

亜美はそそくさと文句一つ言わずに風呂場に戻る事にした。


         ******


竜児は服を脱ぐのに苦労していた。それと言うのも
「脱がしてあげようか?」
「いい、自分でやる」
チワワがバスタオル姿で竜児の周りをふらふらと歩く。それだけでも気恥ずかしいのにちょっかいを出してくるのである。
42HappyEverAfter−PS-7/20:2011/02/04(金) 21:13:51 ID:78pS4RBd

亜美の細い形のいい指が伸びて、竜児の背中をツッと撫でる。
「おう」
「あは。竜児、び〜んか〜ん」
「そんなとこ触られたら誰だもビクッとする」
「そうなんだ。ビッくってしちゃうんだ」
「そうだよ」
「竜児がえっちいになる場所、一つ見っけ♪」
「だから、そうじゃねぇ」

そんな事を一々されるのでシャツ一枚脱ぐのも一苦労だった。
かと思えば、急にちょっかいを出さなくなる。それも不気味だ。
ズボンを下ろしている時、急に静かになって、やけに衣擦れの音だけが気になる。
亜美にいろいろと触られ、五感がするどくなっていたからかもしれない。
あえて意識しない事にしていた亜美の存在をさがす。
見つめられていた。

「こっち見んな」
「だって面白いんだもん」

振り向きざまにクレームをつける。振り向いた先にはニヤニヤと亜美がしゃがみこんで見ていた。
計算してやってるのか、実は気づいてないのか、しゃがみこんだ事により凸凹が出来てバスタオルで隠れない箇所が出来る。
思わず目が行き、内腿の白さ、おくの黒やかな茂みが飛び込んできて急いでそらす。

「やだ。竜児のトランクス。チェック柄。一般的でつまらな〜い」
「だが、変じゃねぇだろ?」
「けど、お洒落じゃない。ブーメランパンツにしようよ」
「それは変だ。なんで、それがお洒落なんだ」
「だって平凡じゃないじゃん。とりあえずつけて見たら似合うかも。ナルシぽいけど♪、あは、ナルシスト高須竜児、あえりね〜」
「お前が言ったんだろうが」

下着まで注文をつけられるのでとっとと脱いじまおうと、トランクスを下げると

「竜児のお尻、すごく締まっててキュと上がっててカッコいい。彼女として嬉しいな」

と手を伸ばしてくるので、やり返す間も惜しいと急いでタオルを巻く

「えー、隠しちゃうの?。いいじゃん。これから一糸纏わぬ姿でずっと過ごすのに」
「そう言うお前だって、バスタオルまいてるじゃねぇか」
「亜美ちゃんのは竜児と価値がちがうんだもん。高額商品だし、モデルでもまだまだ稼げるし。ただで見せていいものじゃないもの」
「じゃあ、俺だって高額商品だ」
「なにそれ。まさか、女優亜美ちゃんと同じ価値で売れるとでも思ってるの?。傲慢」
「お前からならな。川嶋だけ限定の高額商品。これでお前の裸と相殺だ」
「ふふ、えらそーに」
と笑い。けれど、満更でもなさそうに亜美は
「いいよ。まけてあげる。竜児にだけ私の裸見せてあげる」

そうして亜美はバスタオルをはだけさせるようにして、胸を見せる。
「亜美ちゃんの裸、魅力的じゃね?。眼福でしょ」
とおどけるように良いながら、竜児の表情を観察するようにして見つめる。
竜児はそんな亜美の仕草に気づいているのか、いないのか素直に返答する。
43HappyEverAfter−PS-8/20:2011/02/04(金) 21:16:20 ID:78pS4RBd

「綺麗だとは思う」
「それだけ?。もっと褒めて欲しいのにな。亜美ちゃん、けっこう自慢の一品なんだけど」
亜美は不満顔。竜児はそんな亜美を立てることなく突っぱねる、真意を伝えたくて

「だからお前のモデル面とか、体とかは最初から用はねぇんだって」
「なによ。このミューズな芸術品を粗末にしてさ。この罰当たり」
「そうだよ。それだって、お前の魅力は。そういうところだ。その面倒くさくて、可愛い性格だよ。俺だけかもしれないが」

そこで亜美も笑う。じゃれあうような笑顔だった。
「本当、高須くんだけかもね。そんなところが好きなのは。変わってる」
「変わってるとは思えないが、それなら俺だけが見えてればいいさ。そこを評価するライバルが少ないならな」
「残念。顔とか体とか魅力感じてくれればライバル多くて、もっと亜美ちゃんの事、大事に思ってくれるのに」
竜児(甲斐性なし)は小さく「大事だよ」というが、亜美には聞こえていない。

「つまり、亜美ちゃん、体が一番の魅力とは思ってない?」
「一番ではないって言ってるだろ」
「そっか」
と亜美は自分に切りをつけるように頷き、演技を交えて明るい様子でしゃべりだした。

「あのさ、お風呂って言えばさ。去年の海の事覚えてる?」
「ん?。ああ。風呂掃除でお前が俺を騙したことだろ?」
「そうそう。あの時の竜児、可愛かったよ。それでね、それと…、その後の事、タイガーの事、覚えてる?」
「なんだ?。カレーは甘口か?」
「進みすぎ。その前、私がお風呂入ってる時にタイガーが入ってきて言った台詞」
「なんだっけ?」
「だから、その、あの、だから!。もう、ぼん、ぼん、ぼんってやつのこと…」
「おう、そういえば、そんな事言ってたな。あれ、どう言う意味なんだ?」
「何だと思う?」
「質問に質問返しかよ」
「答えて」

竜児はなんだろうと思いながら、なんとか答えを搾り出す。
「そうだな。胸、ふたつでぼん、ぼんだろ」少し照れながら
「おっきいでしょ」
「香椎よりは小さいな」
「奈々子は別格なの。てか奈々子のそんな所見てたんだ?」
「ち、違う。言い返したくなっただけだ。お前は人(大河)が羨むくらいあるし、なにより綺麗だ」
「ありがとう」
竜児は既にテレまくって、話を早く終わらせたいと
「あとは尻か?」かなり言い辛くも答える。
「かっこいいでしょ、私のお尻。でも、ちょっと違う」

そして、言いよどむ
「じゃないとすると、あと何だ?。わからん」
亜美も言いづらそうに
「えーとさ、それなんだけど」
「ん?」
「あ、あのね」
亜美は勇気を振り絞る。
そこで竜児ははっと気づく。なるほど、病的に気にしてるものなと、左手の平を皿にして、右拳でポンと叩くと、
「腹だ」
「ありえねーっての!」

亜美の正面蹴りが飛び出す。竜児はなれた風にかわす。

「だから、けるな、見えちまう」
「あ、えーとね。その見えちゃうとこ」
44HappyEverAfter−PS-9/20:2011/02/04(金) 21:17:54 ID:78pS4RBd

亜美は自ら、アハハと笑って
「ほら、タイガーから見るとだと思うんだけど、あの子、幼児体系でしょ。だから、あそこも薄くて、あたしの事、大げさにみえちゃったんだと思うんだ。
 それにあの旅行の時は別荘行くためにスケジュール詰めたからお手入れできてなくて、
 その時のお仕事、もう秋物の撮影しないといけない時期だからミニとか、水着とか着る必要なくて、それで手抜いてて」

と、訴えかけるような、ずるをするような目でみる。
だが竜児は何を言いたいのか気づかない。むしろ何かに必死になっている亜美の事を心配する。そっちの事でただでさえ少ないデリカシーはキャパ超えだ。
「わからん」
「もう、だから!、下の毛。あ、ごめん、そうじゃなくて」
「?、綺麗だったぞ」
「え?何で知ってるの?」
「いや、綺麗じゃないかと思った」
「綺麗だとおもっちゃうんだ……。ま、まぁ、普段は亜美ちゃんのだし、そりゃ綺麗なんだけどさ、手入れしてる時は。
 ただね。手入れしてないとね。どちらかと言うと普通より少しヤンチャかな、あはは。えーと普通より、もう少し大変かも、
 どちらかというとね、もわっとしてて…。
 ち、違うよ。普段はこまめに処理してるんだよ。勝手に想像しないでよ。け、けどね。
 ママとの対決で十日ほど引きこもったでしょ。だからね。剃刀とか手に入らなくて、手入れ出来なくて…、だから可愛くないの!、今は!」

竜児は想像してみた。
可愛い陰毛?。わからん。リボンでもついてるのだろうか?。イメージ出来ない

その表情を亜美はなにか誤解して、猛烈な口調になる。
「だから、茫々なの!。つまり毛むくじゃら。少しというか、他の子よりかなり濃いの。脇は大丈夫なんだけど、なんで、あそこだけ」
とバタバタと両腕を振る。バスタオルがずり下がり、ハラリと床に落ちる。
あらわれるのは亜美の裸身。
竜児は醜いとは思えない。たしかに股間のそれは豊かかもしれない。ちょっと広範囲に広がっているかもしれない。
しかし、それが亜美の美しさを損なうなどはありえない。
先ほどガラス越しに見たそれとかわらず美しい。むしろ、手に触れる距離ゆえに愛おしさがます事を竜児自身は感じている。
「わかった。だが、それがどうしたんだ」
取るに足りないことだと竜児は亜美の背中に手を回す。いつのまにか距離が詰まっていた。

「どうでもいい事なんかじゃないの。すごく気にしてるんだから」
亜美は言い返すが、竜児はむしろ平然として、より距離を近づける。むき出しになった裸の胸と胸が触れ、体温を感じる。

「だから、俺は…。だからお前のモデル面とか、体とかは最初から用はねぇんだって」
亜美は竜児の顔を見上げ
「そうなの?本当に?」
「そりゃ、お前は綺麗だ。だが、前も言ったろ。お前の魅力は性格だと俺は思ってる。その魅力に比べたら取るに足りない」
「…な、なによ。こんな芸術品、粗末にしてさ。罰当たり、キザ、女たらし!」
「はは、そういうところだ。その面倒くさくて、可愛いところが最高だ」
「……本当、高須くんだけ…かもね。変わってる」
「ああ。けど、お前は俺のそういうところが好きなんだろ」
「自惚れや。ぜんぜん違うから。それだけじゃないもの」
45HappyEverAfter−PS-10/20:2011/02/04(金) 21:19:44 ID:78pS4RBd

そして、キスを一つ。唇を交わして、舌をからめた。逃げるように、
「じゃあ、亜美ちゃん、先にバスルーム行ってるから、急いで来てね」
とバスタオルを巻きなおすと、亜美は浴槽に消えていった。


         ******


亜美に遅れる事二分、風呂場に入っていくと洗い場ではバスタオルを巻いた亜美がバスチェアーに座っていた。
桶にお湯をため、そこでスポンジに水分を含ませ、手でこねくり回し、泡を作っていた。
「いっらっしゃいませー」
と竜児を見るとニコリと笑いながら、おどけた口調で声を掛けてくる。

「なんだよそれ」
「ん?。なんか、そういう風に言うものなのかなって。超VIP専用高級ソープ?」
「それにしては、普通のラブホだぞ」
「亜美ちゃんが高級だから?。それだけでお釣りが来ちゃうよ」
「とにかくお風呂入らねぇか、体冷えるし」
竜児は大胆にも亜美を誘う。ちょっと強気に強引なまでに亜美をリードしようとする。

「ボッキしたままじゃカッコワルイもんね?」
と軽くいなされる。 竜児が強気に出た理由は自分の雄雄しくいきり立つ、情欲が剥き出しになった己の一部を隠すためだった。

「ええい、うるさいっ!さっさと風呂入るぞ」
「高須くん?お風呂はお湯を張らないと入れないんだよ?」
「うっ…」

浴槽を見る。今は浴槽にお湯を張っている最中だった。まだ足首程度を付けれる程度しかたまっていない。
ましてや二人はつかれる大きさだ。そうとうな時間がかかりそうだ。

「だから、先に体洗ってあげる。ほら座って」
亜美は竜児の分のバスチェアーを前に出す。

「俺からなのか?」
「だって、亜美ちゃん。さっき洗っちゃったし」

選択の余地がないと竜児は座る事にする。これなら亜美の正面に立って、股間をさらさなくて済む。だから素直に従う。
彼の背中でシャワーから温水が流れ出す音が聞こえた。
亜美がシャワーを手に取り、吹き出す温水を自分の手の平で確かめ、調整しているようだった。
あたたかな温度程度になった事を確認すると亜美は
「とりあえず、お湯かけるよ」
「おう」

ゆるい勢いのままシャワーを竜児にかける。ぬくいお湯が体にふれ、竜児は体のそこから息をするようにして嘆息する。

「あは、気持ち良いんだ」
「そうだな。そんな感じだ。ホッとする」
46HappyEverAfter−PS-11/20:2011/02/04(金) 21:22:17 ID:78pS4RBd

そんな返答に亜美は楽しくなってくる。それだけで幸せな気分に浸れた。
当然の帰結として竜児に触れたくなった。幸せを実感したいのだ。
予定より早めにシャワーを止めると、シャンプーを手に取り、ポンプを一回、手に十分な量をためる。

「んじゃ、次、頭洗ってあげる」
「サンキュー」

ゆっくりと亜美の手の平が竜児の頭部になでるようにして、髪の毛を広げ、くしを通すようにその指が髪をとかす。

「どこか痒いところありませんか?」

おちゃらけた質問に竜児は自分の下半身を見て、親父ギャグを返したくなるが、本当にされてしまっては困る。
正直、頭を洗ってもらうだけなのに発射しそうだった。
二人で風呂場にいて、体を洗ってもらうというシチュエーションだけで鼻の中が熱くなってくる。
亜美の手の平から丁寧さと愛情を感じていた。
自分で頭を洗うときなど、無造作に髪の毛とシャンプーをゴチャゴチャとかき混ぜるだけの作業。よくても頭皮をもむ程度ですます。
それなのに、人にすると言うのは思いやりが介在する。亜美はまるでマッサージをするように、丁寧にしっかりと指を動かしてくれる。
女の子の仕方が男のそれとは違うのか、それとも亜美の自分へのやり方が特別なのかは解らない。
美容室よりしっかりとしてくてるかもしれない。初め亜美を誘ったデートの時以外利用した事はないが、貧乏が憎い。
それ以前に技術が高い低いの問題ではない。本人に意図がないとしても、その行為をしてもらうというだけで心が震えた。

「十分だよ。痒いところなんかない。そんな頑張らなくていいからな」
「大丈夫。他は?。気になるところとか無い?」

亜美はこまかく聞く。竜児の為だけではない、自分の欲もある。なにか理由をつけて竜児の髪の毛に触っていたかった。
髪の間に指をいつまでも通していたかった。
今はそれだけで満足な気がしていた。けれど、竜児は若干硬い回答で「十分だ」としか言ってくれないので、すぐに終わってしまう。
シャワーで洗い流し、リンスをして、それで終わりだ。
正直、次の事に対する緊張もあったので、先延ばしにしていたかった面もあるというのに。

「じゃあ、次は。か・ら・だ♪、洗ってあげる」

と亜美はそれでも、楽しげに声を掛けた。
亜美は先ほど用意していたスポンジを手に取ると

「まずは背中からね」

自分でもワンクッション入れるために、無難なところからはじめてみる。けれど、これがハマッた。

「高須くんの背中…、おっきいね」
「そうか?。男の中じゃ普通だと思うが」
「そうなの?。他の奴のは知らないからよくわからないけど、けど、大きい。あはは、感動〜!竜児の背中っ!」
「そりゃありがとうな」

竜児も悪い気はしない。ただ亜美がこする手の動きを噛み締めた。ごしごしと動くスポンジ。

「なぁ。川嶋。本当、疲れない程度でいいからな」
「ぜんぜん、それに本番に備えて体力残しながら配分してるよ。今夜は寝かせないからね」
「…やっぱり、なるべく体力使ってくれ」
47HappyEverAfter−PS-12/20:2011/02/04(金) 21:24:32 ID:78pS4RBd

たわいもない会話をしながら、亜美は竜児の背中を一生懸命に磨いた。
働き者の竜児だ。背筋、肩、腰、スリムな体にしては筋肉もついている。
華奢なモデル体系の亜美より、当然、肩幅も広く、上背もある。女の自分には持ち合わせないものだ。
「男の子なんだよね」
たくましさを感じていた。洗いながら身を寄せてみる。両手をつけて、頬を摺り寄せて、寄りかかる事もできる。
感動が深く沸いてくるのを感じる。
「好きだな…」
と 愛しさがどうしてもこみあげてくる。
亜美は一生懸命力をこめて背中を擦った。一刻も早く次に進み、高須竜児を隅々まで感じたくなった。

「はい、背中おしまい。高須くん、こっち向いて」
「前は自分でするって」
「それじゃ、意味ないよ。いちゃつき洗いにならないじゃん」
「お前、大変じゃないか」
「ううん。元気になる」

そうして、竜児がむき直すのを待つ。顔が見たかった。照れた顔がみれて、喜びと羞恥心がごちゃ混ぜになる。
自分が不思議な表情になってしまう事に気づく。口元が緩んでしまい、でも恥ずかしくなり目をふせてしまう。頬の筋肉がつりそうだ。
ぶちゃいく顔ではないだろうか、顔を見られないように伏せて、洗う作業を再開する。

亜美は竜児の左手を取り、右手でスポンジでゴシゴシ擦り込む。終われば竜児の右手だ。そして胸元に手を寄せる。
厚い胸。男を感じる。少し恥ずかしくなる。

「川嶋?」

名を呼ばれ、手が止まってる事に気づく。誤魔化すために一芝居。

「あれ、手すべっちゃった」

と竜児の股間に手を持っていく。ベットの上で愛するのだ。冗談混じりに早めに接触しておこうと思って、固まった。
予想以上に、熱くて、硬い。そして勃起したそれは大きい。その男にしか存在しないパーツに目を向ける。

達観した余裕のある女の子。モデル歴も長く、実社会を知っていて、裏と表を使い分ける術をしっている早熟の女子高校生。
それは見せかけだけ、本当の自分を知っているだけに防備をしている姿。

実際は性に関して未熟だった。デートも、キスも竜児が初めてと来て、男性器を直視した事などあろうはずもない。
その形は日常の世界には存在しない形状、形、エイリアンかと思ってしまう。
地球外生命や幽霊と不意に対面した思い。平静ではいられない。
亜美が目にしたものは竜児の最大限に勃起しきった男性自身。血管が巡る形状、その肉塊然としたグロテスクな姿を見てしまえば動揺も生ずる。

余裕を浮かべた表情のまま、亜美は固まっていた。竜児を握った手は震えていた。
竜児とて同じだ。亜美に直視されて恥ずかしいことこのうえない。

その振動に竜児は反射的に「んぅ」と声をあげてしまい。咳払いをひとつ。
普段の亜美であれば、そんな竜児の反応を逃すはずもなく、からかいの種にするだろうが、いまだ硬直から解けない。
そんな亜美を竜児はリードしたいと思った。さきほどの照れ隠しでもない。強引なだけの強がりでもなく、喜びを分かちたいと思った。
ただ手を引っ張って、一緒に歩きたいと思った。
48HappyEverAfter−PS-13/20:2011/02/04(金) 21:26:24 ID:78pS4RBd

「なぁ、川嶋。バスタオル解けよ」
「え?、えぇ!、な、なんで」
「洗いこだろ。これじゃ、お前だけだ」

と優しく言葉をかける。それにこたえ亜美も
「そっか…そうだよね。洗いっこだものね」
タオルをゆっくり外す。ハラリと落ちて現れる裸身。
シャワーの熱が残り、ほんのり赤らんではいる肌、二つの大きな膨らみが、彼女が動くたびプルルと揺れる。
艶やかで、白く、それでいて、少しぽっと赤みが差している 興奮してくれてるのかと思うと愛おしさが溢れるようだ。
胸の頂上では張りつめたような先っぽが可愛らしい。
美しいのは胸だけじゃない。キュッとくびれたウエストライン。お腹なんかは手を置いて暖めてあげたくなる。

きれいだな…

向かい合った体制での洗い合いだ。互いに洗える所は限られている。竜児は亜美と同様、相手の胸に手をむける。

「川嶋…胸、さわるぞ…」
「うん…綺麗にして」

竜児の手が亜美に触れる。中指と人差し指が触れ、少し遅れて薬指。親指と小指とで乳房をつつみ込むように触れる。
胸は一瞬沈み込むと、柔らかな感触を竜児に返し、すぐに反発して、弾力を返す。張りのある肌の感触が心地良い。

「んぅぅ」

亜美が鳴いた。もどかしそうな、切なそうな、それでいて、喜びが含まれた声だった。
慌てて、竜児が手を引っ込める。

「悪い。変な掴み方しちまったか?」
「違う。そうじゃなくて。くすぐたかったのと、嬉しかった。竜児の手が触れてくれてるんだなって」
「間違いなく俺の手だぞ。これは」
「そうだね。普段は器用なのに、こういう事は不器用な竜児の手。まちがいないね」
「うるさい」

逆襲とばかり竜児は乳房に手を伸ばす。やり返すと交差するように亜美の手も伸びる。お互いを愛情深くこすりあう。
亜美はか細い腕で、非力さを賄うように精一杯、竜児の体をこする。腰をうかせて竜児の首を洗った。小さなお尻が可愛く揺れる。

竜児は優しく撫でるように泡で体を包み込ませ、きめ細かな肌を少したりとも傷つかないように、力が入らないようにして亜美を包み込む。
胸を触る時だけは少し力を込め、指を曲げて感触を与え、刺激を与える。亜美が恥ずかしげに反応してくれる事が楽しかった。
調子にのって、乳房の山頂を指の腹でなでる。

「あふぅっ」

薬指と中指で挟み込み、両側からこすり付けと、今までに無い反応。もっとしたくなる。

「ふぁ、あんっ!!」
49HappyEverAfter−PS-14/20:2011/02/04(金) 21:28:22 ID:78pS4RBd

亜美は恨みがましい眼で睨む。

「川嶋。敏感だな」
「調子に乗らない!」

その言葉が竜児の悪戯心を騒がせた。亜美の乳房を両手で掴み、包み込んだ。マッサージするようにゆっくりと揉む。
亜美の乳房は広げた男の手の平に少し余る程度、その大きさが堪らなかった。両手への反動、弾力が続きを促す。ただ、ただ揉み続ける

「あっ、ふ、ふうんっ!!」

その度に亜美の裸身が縦に踊る。竜児を攻める所の話ではなくなり、自分の中に生まれる快感に振り回される。
それが竜児には楽しかった。自分の手で気持ちよくさせてあげれたという嬉しさだ。
亜美の体を探検して、彼女の感じる箇所。喜ぶ場所を沢山見つけたいと思った。

「川嶋って、胸が性感帯なのか?」
「解らない。そんなの解らない。自分でする時はこんな気持ちよくなかったもの」

両目を真っ赤にして潤ませ、言葉がすっかり上擦っている。間違いなさそうだ。竜児は執拗に亜美の胸を攻める。
手の平をを中心に内側に向かって乳房を揉む。横に広げて、内に集めて、その度に亜美の胸はプルルンと揺れ、亜美が切なげに鳴く。

「あんっ!あ、だめぇ、カタチ、ヘンになっちゃう…!止めて」
「こんな柔らかくて、弾力があるんだ。大丈夫だろ。それにが川嶋は気持ちよさそうに見える」
「そ、そんなことない。もう、そこばかりは止めて、き、気持ちよくなんかない」

竜児は亜美の言葉に乳房を揉むのを止めた。
「そうか?。けどな」

手の平は乳房の上に置いたまま、親指で乳首を攻める。つい、亜美にはいつものからかい合いの様にちょっとした意地悪をしてみたくなる。
からかわれ、からかい、ジャレあうようにして二人は気持ちを近づけた。
親指の感触が段々と変わっていく。乳首が少し大きくなった気がした。好奇心があった。亜美の全てを竜児は知りたい。だから確かめてみる。
摘んでみる。思ったとおりだ。先ほどまでには無い硬さを胸の頂点は持っていた。突起を感じる。
こすってみる。指の下で乳首が鳴く。きゅっ、きゅっ、きゅっ…と鳴く。クリっと指を動かすたび、ぎゅっ、ぎゅっ…と答えてくれる。
答えてくれるのは乳首だけでなく…

「はん、ああ、や。ん。そこ、だめ…!!あ、はああ…ん」
竜児の動きに応えて亜美が音楽を奏でる。

「乳首、勃起してるだろ?。、固くなってる」
「だめ、やだっ…!言わないでよ。あたし、乳首って…」
「だから弱いんだろ?」

亜美は降参して、「う、うん、多分」と応える。そして、「正直に言ったから、だから、もう止めてよ」と続ける。
竜児は指の動きを止め、引っ込めると、亜美に軽い口付けをして許しを請う。
亜美は安堵した表情をした。初めて遭遇した刺激に怖かった。けれど、竜児はやはり優しかった。
笑顔をつくり、止めてくれてありがとう、と目で伝えてみる。
50HappyEverAfter−PS-15/20:2011/02/04(金) 21:30:06 ID:78pS4RBd

しかし、先ほどのキス、竜児は謝罪の先払いのつもりだった。
こんな時の「止めて」なんて女の拒否の言葉など、男にとっては、「もっとしてくれ」と言ってるようにしか聞こえない。
再び二本の指で乳首を挟む。亜美が心底驚いた顔をしたその時、より強い愛撫が開始された。
力を込めて摘み、ひねる。早い動きでこする。亜美が電気でもはしったかのように跳ね、「やぁ」と大きく叫ぶ。

小さな先端に性感が凝縮されているようだ。敏感になっている。亜美はそんな気がした。自分の指ではここまでの快感はなかったのに。
もしかした、状況によっているだけなのだろうか?、被虐性を自分はもっているのかもしれない。
竜児にはああ言ったが、実は気持ちいい。すごく気持ちいい。
高須竜児のものになるこの夜をどれだけ夢想して、自らを慰めたか、数え切れない。それが今、実現している。

「あひっ、あ、や」

思考が妨げられる。、乳首をこすられる度に反射的に声をあげてしまう。論理的になんか考えられない。
解るのは自分の卑猥でいやらしい鳴き声だ。恥ずかしいのに声が漏れる。

いやらしい女

その認識が自分を高ぶらせる。陰部からトロトロと愛液が分泌されている事が解る。濡れてる。お風呂場でよかった。
竜児には自分がこんないやらしい奴とばれたくない。
きっと、彼はお嬢様ぽい小さくて可愛い子とかスポーツ少女のような健康的な子が理想なのだろう。Hな子だと解ったら軽蔑されるかもしれない。
こんなに愛されているのに、いつも自信がない。

「高須くん。キスしたい」

すがるように亜美が求める。

ちゅ、ちゅっ…ちゅ…ぷは、はぁ、くりゅ、ぢゅむ…れる、れ…こはぁ、ぷぢゅ…

竜児が唇を近づける。亜美が吸い付いていく。そして、勢い良く舌を差し出してくる。
息も絶え絶えであるというのに、亜美は積極的にディープキスを試みてきた。
竜児は拒むことなく、むしろ歓迎するように舌を絡める。唇と唇の間から液体が混ざる音、粘膜が触れ合う音。空気が漏れる音がした。
二人とも酸欠寸前までに唇を離さない。動物のように鼻だけで洗い呼吸をする。

「高須く…ん。す…き…。好きだから…、私が一番、高須くんのこと好き……」
「俺も…川嶋…の…事、好きだ……」

引き込み、絡めてゆく。ざらざらとした舌を重ねあい。互いになめる。
竜児の指はその間も休むことなく亜美の乳首を攻める。その度に亜美の舌が跳ねる、喜びの鳴き声をあげるように激しく動いた。
体をビクンと震わせ、亜美は勝手に動いてしまうままならない舌がもどかしく、それでもお返しをしなければと、
子犬のようにペロペロと竜児の唇、舌、ついには頬や鼻を舐める。竜児の顔をベトベトにするくらい健気に舐めだす。

「は、きゅむゅ、あふっ…好き、んんっ…」
「れる、ちゅ、りゅりゅ…、川嶋…」

体を密着して、一生懸命に亜美は体を寄せる。竜児の手が入る隙間もなくなり、脆い彼女の背中に回すと、抱きしめる。
その行為に酔うような、安堵したような表情を浮かべ、お礼とばかりに竜児を舐め続ける亜美。

べちゃ、ぺちょ、べちゃ、…ちゅ…ちゅ…ちゅむ…

それが数分は続いただろうか。竜児は亜美に「もういいよ」と亜美の舌を甘く噛む。そして自分の舌で愛撫する。亜美もそれを返す。強く擦れ合う。
互いの唾液の味が混ざり合い…糸を引く。 二人分の唾液が混ざる音がする。
キスだけで、さざ波のようなフラッシュバックが脳を襲う。幸福感と興奮が高まっていく。
51HappyEverAfter−PS-16/20:2011/02/04(金) 21:32:23 ID:78pS4RBd

「もっとキスして…」
「わかった」

竜児は亜美の願いに応える。微笑みかけるよな優しい、軽いキスを繰り返す。

ちゅっ、ちゅっ…ちゅ……ぢゅっ…

亜美は陶酔の溜息を吐き、のぼせてしまったように、頭がぽぉっ…としだす。
そんな亜美を包み込むように、竜児は亜美の体をさらに抱き寄せ、額や耳にキスを降らせると、頭を撫でる。
彼女の青みががった髪がふわっと広がる。その髪の毛に指を入れ、すくように何度も撫でる。

「あは、気持ち良い。優しい気持ちになれる」
「俺もだ。川嶋」
「あたしの髪、好き?」
「ああ、好きだ。女の子って感じがする」
「もしさ、高須くんが見たいっていうなら、フランス人形みたいなウェーブかけてみたり、スポーティなショートにしてもいいよ」

竜児はポカリと亜美の頭を軽く叩く。
「な、なによ。亜美ちゃんの大事なおつむに」
「馬鹿だからだよ。俺はお前の事が好きだ。間違いないさ。お前がしたいっていうなら、どんな髪型でもいい」
「どんなのでもいいって、なんかつまんない」
「なら俺は今の川嶋亜美が気に入ってる。だから、今のままだが一番、嬉しい」
「じゃぁ、優しく洗って」
「おう」

止めていたシャワーを竜児は手に取るとを亜美に浴びせる。時間をかけて丁寧に髪を濡らすとシャンプーを手の平にとり、
撫でるように亜美の髪に広げる。 自分と違って、シャンプーの量はかなりつかいそうだ。
それを頭皮をマッサージするようにしながら亜美の頭を洗う。

「竜児。髪あらうのも上手い♪。気持ち良いよ。慣れてるって感じでさ」
「そりゃ、自分の髪は洗うが、今はさっきのお前の真似してるだけだ」
「じゃなくて、他の娘とかにもしてあげてたんでしょ?」
「ば〜か。変な心配するな。そんな事までするかよ」
「だって、なれてる感じするんだもん。嫉妬深い彼女、嫌?」
「嫌ってほどじゃないが、信頼してくれると嬉しい」
「なんか、それ浮気する男の常套句ぽい」
「疑り深いやつだな」
「違うよ。愛情深い娘だもの」

竜児は答えのかわりに亜美の髪の毛をクシャクシャとかき混ぜ、ぽんと撫でて、

「おし、お湯で流すぞ」
「そうだね。体もボディソープでぬるぬるだし」

とシャンプーまみれの亜美が答え、なにか、面白い事を思いついたと、

「そうだ。ヌルヌルついでに、体を洗いきっちゃおうよ」
「どういう事だ」
「お互いの体、スポンジ代わりにして洗うの。抱きあって、刷り合わせて、きっと楽しいよ」
52HappyEverAfter−PS-17/20:2011/02/04(金) 21:34:22 ID:78pS4RBd

竜児はその様子を想像して、赤面したが、亜美を喜ばせたいと進んで合意する。それに、いろんな性行為に興味もある。彼だって高校男子だ。
竜児が腰を上げ、追いかけるように亜美も立ち上がる。
顔を見合わせ、笑いあい、亜美が身を任せるように、竜児に寄りかかり体を預けた。

竜児は肩を抱き、少し躊躇した後、抱きしめたり、緩めたりしたなが、自らの体を亜美にすり合わせる。

「あは、くすぐったい」
「しょうがねぇだろ。勝手、わかんねぇんだ」

「不器用」
「そうだよ。悪いか」
「悪くないよ。不器用の方が私は好き」

亜美は体を上下に揺すって、自分の体の凸と凹をうまく利用して、ソープを泡立たせて、竜児を洗う。
泡を潤滑油にして、体を動かす。きゅっきゅっという音とがして、
胸の柔らかさ、皮下脂肪のすぐ下のしまった腹筋の硬さ、絡まってきた太ももの感触、
その感触が現れたり、離れたりしてリズミカルに竜児を襲った。
彼は体全体が鋭敏になって、まるで生殖器になっているような感触が胸を満たしていく。
それは亜美も同様だったようで陶酔したような顔つきで、ただ、その動作を繰り返す。

「はぁ、ふぅ、ん、高須くぅん、痛くない?」
「痛いなんて事はない。なんでだ」

竜児は彼女の額にコツと自分の額をくっつけ、聞き返す。

「高須くんのあれだいじょう?。なんか動くたびにぶつかって、折っちゃいそうで、怖い」
「あれ、あれってなんだよ」
「え、あ、う〜んと、お、おちんちん」
「お、わ、なんて、いや、大丈夫なように出来てるが、ぶつかって痛かったりするか?」
「それは大丈夫なんだけど、そういうふうに出来てるの?」
「そういもんだ」
「ふふ、なんか不思議」

そんなおしゃべりを続けながら、二人は体をすりつけ合った。動けば動くほどなめりを増す事が面白く、相手の体温が気持ちよかった。

「川嶋、オレ達、ヌルヌルになってるな」
「ふぅ、ふぅ…うん、すっごい…ヌルヌル…」
「…川嶋の胸、柔らかくって、押し潰ちまって、悪いとは思うんだ。けどおれ、いつまでもこうしていた。
 あったかかくて、へこむ感じが気持ちよくて、帰ってくる弾力が愛おしくて、癖になちまう、気持ちがいい」
「ありがと…私も」

それから二人は十分以上、抱き合い、笑いあいながら、キスを沢山して、シャワーを浴びせあい、お湯を掛け合った。
後は「川嶋の背中だけだな」と竜児。
53HappyEverAfter−PS-18/20:2011/02/04(金) 21:35:50 ID:78pS4RBd

「いいよ。さっき、一人でやったし」
「駄目だ。お前に洗ってもらって、お前のはしないって平等じゃねぇ」

と変な気遣いを見せてくれる彼氏に免じて、背中を流させる権利を渡した。
「うん。ふふ、私のためにしてくれようとする気持ち、うれしいな」

とチェアーに座りなおす。
「では、亜美ちゃんの背中にふれてよいぞ」

竜児は亜美の背中を流してやりたいという気持ちの他に、もう一つ、してみたい事があった。
鏡だ。
大きな鏡がある。それを利用したかった。ベットルームと浴室を隔てる壁が鏡になっていた。
ベットルームからは透過性の高いガラスだが、浴槽からは鏡になっている仕掛けらしい。
おそらく、竜児が正面から亜美の裸を覗いていた時、亜美はこの鏡で自分の体をチェックしていたのだろう。
壁いっぱいが贅沢な事に鏡だ。使ってみたい。
チェアーを鏡の前にむける。

「ちょっと、やだ。なんで鏡の前?」
「こんな大きな鏡、浴槽で利用出来るってなかなかないぞ。どうせなら使ってみたい。部屋代分利用しなきゃMOTTAINAI」
「この貧乏性」

鏡に映る二人の姿、二人ぶんの全身を映し出せるほどの大きな鏡。
背中を流し、せっかくだからと鏡を利用して亜美の正面を竜児は洗いだした。
そのうち、亜美の体全体が赤みがさらに差してきた、強く洗って、肌が悲鳴をあげている訳ではない。
むしろ逆だった。優しく、愛撫するよう体を磨くている。
亜美は最初は、「亜美ちゃんの肌きれいでしょ♪」と軽口を叩いていたものの、
気持ちよさそうに目を細め、言葉数がへり、しまいには、とろけるような表情をして、内腿を震えさせ、
わずかに開いたり、閉じたりと落ち着かなくなり、無口になった。
鏡をとうして 、そんな表情、欲情して赤くなった体、ツンと尖った乳首、わなわなと喜びに震えるふとももを竜児を見つめる。
竜児がからかう時はよく亜美が素顔を見せてくれる。素直な反応はとても可愛い。
そんな表情を見ることが日常から、喜びになっている竜児は、それが癖になっていた。
いたずら心がわいた。今日は亜美の素顔を、無防備になった亜美の顔を沢山みたい。
そんなチャンスなのが解る。だからサディスティクな遊びをしてしまう。
それが亜美の彼に甘えたいという願望と重なり、彼女のマゾスティクな欲望を呼び覚ましているのを男のずるい部分はキャッチしていた。
手を伸ばし亜美に微妙な部分を洗い出す。胸に手が伸びた。

「え。ちょっと、やだ。恥ずかしい」
「恥ずかしい事ないだろう。体を洗ってるだけだ」
「でも、これ、鏡にうつってるし」
「そりゃ風呂入ってるんだ。裸だろ。俺が見てるだけだ。俺に見られるのは嫌なのか?」
「高須くんに見られるのが嫌じゃなくて、自分自身に見られるのが嫌っていうか…」
「自分大好きなお前がいうか、そういうこと?。よくポーズ取るくせに」
「体じゃなくて、顔、こんな表情…」

鏡に目を再び向ける。淫猥な表情を浮かべ、だらしなく目と口を緩ませている亜美の表情が映っていた。
自分がこんな顔をしてるのが嫌だとは言い辛い。
だって、すごく嫌らしいのだから
鏡の中の亜美が現実を突きつけている。
お前はこんなに淫猥でいやらしい女だと。いやらしくよろこんでいると。

言い訳なんてまったく出来ない状況。そんな状況の中、竜児の手が亜美の胸に伸び、優しく揉む。
「あ、はぁん」
亜美の口が酸素を求め、口を開け、目が少し恐れを抱いたように、期待したように光る。
54HappyEverAfter−PS-19/20:2011/02/04(金) 21:37:05 ID:78pS4RBd

手が強く揉みしだく
「んぅぅ、…やさしくして…よぅ……」
言葉とは裏腹に、のぼせたように目を潤ませる。

手が乳首を軽くつまむ。
「やぁ、やん。しげき、つよく…て、うんん、ふぁ」
体をぶるっと震えさせ、口の端からよだれを一筋こぼす。

竜児のおもうままに、よがりなく自分の表情が映る鏡を亜美は見ていた。目を離せずにいる。

すごく恥ずかしい女だ。そして、竜児に甘える事をよしとしている川嶋亜美がいる。
どうしようもない位、自分は高須竜児のことを好きでいる。この表情を見られてはその事が隠し様がない。そんな顔が鏡に写っている。
仮面なんて、嘘なんてまったくつけていない。

亜美は震える。目を閉じる事なく、目の前の言葉以上に気持ちを表現してしまっている自分の顔を直視する。
自らの意思で両足を少し開いてみた。
竜児の愛撫、一回、一回に濡れていくヴァギナを見てほしくなった。
あなたがこうさせてのだと、そして、自分でも鏡で、股間を覗いてみる。思った通りだ。

ああ、小さく開いてるだけでも光って見える。トロりとしてる。きっと、高須くんにも見えてる。
毛深い、卑猥で、綺麗じゃないマンコがベタベタになっているのが気づかれてしまう。

「もう、やめてよ。鏡の前、いや、下も全部見えちゃう」
鏡がある事を、下半身が見れる事を強調してみる。言いながら、足をもう少し、もう少しと開いていく。もう45度くらいの角度で開いている。
すごく恥ずかしい。けれど、絶対、目に入ってるはずだ。どれだけ自分が興奮してしまっているか、知られてしまう。

川嶋亜美が高須竜児の前ではいやらしくなってしまうか解ってくれる。今ならいやらしい自分を受け入れてくれる。
がっかりしないで、今の自分を許してほしい。

トロリと、今までより濃い、白い濁りを帯びた愛液がヴァギナから溢れててくる事が自分でも解る。

竜児も興奮していた。亜美の体を目の前の鏡に映す事に。
彼はこのガラスに仕掛けがある事を知っている。ベットルームから見ると透過性が高いガラスにすぎないのだ。

けして、居るはずはないが、もし、ベットルームに誰かいたら…

今の愛の営みを正面から凝視しているかもしれないのだ。

そんな事はありえないのだが、彼らからは外の様子は伺いしれない。100%、人がいないなんて保障はない。
それなのに、亜美は甘えきった表情で竜児の愛撫に答えてくれる。

誰かが目の前にいるかもしれなというのに、あの意地張りの、恥ずかしがり屋がとろけたような表情をしてくれる。

「川嶋、俺、お前の事好きだから。他のやつ、誰一人にも負けない」

亜美の顔を乱暴に自分の方に向け、唇を吸い、見せつけるように大胆に舌を絡ませる。

ぷは、はぁ、くりゅ、ぢゅむ…れる、れ…こはぁ、

息づぎもせず、酸欠のぎりぎりまで、口内を犯し、舌を吸い、やっと口を離す。
お互いの荒い息使いが、浴室に反響し、響き渡る。その呼吸も戻らないまま、息も絶え絶えに亜美は竜児の口を求め返した。
その気持ちは彼だけじゃない事を伝えたかった。
55HappyEverAfter−PS-20/20:2011/02/04(金) 21:38:24 ID:78pS4RBd

「…あ、あた…しも、あたしもぅ、高須くんの事、すきぃ。だれにもぅ、まけない」

それだけを亜美はつげて、クタっと、首を下げる。自分で達するのが解った。
自分を慰める時の比ではない快感が体を満たす。
なにより充足感と幸福感が違った。いろんな事がどうでもよくなり、同時にすべての事が許せるようにな気分だ。
今の自分は大好きだと思った。

「川嶋、ベット、行かないか?」

竜児の問いかけに、亜美はこくんと頷く。お風呂には入れなかった。けど、それではきりが無い。
この場所にいては蕩けるような快感の中、ぬるま湯でのぼせるように精魂尽きるまで抱き合ってしまう。
それはとても甘い誘惑だった。時間がとまってくれるなら、いつまでもここにいたいと思った。
これからされる事に恐怖もあった。
モデル仲間との話で、初めてのときはバットをねじ込まれるような痛みを覚悟しなくてはいけないと聞いていた。
けれど先に進みたかった。一つになりたかった。
捧げるなら彼だし、彼の初めての女にもなりたかった。なにより、より深く結びつき、誰にも取られないくらいの仲になりたかった。

椅子の端を両手でつかみ、体を起こそうとしするが動くことが出来なかった。
力が入らない。それでは懸命に力をいれようとする。竜児が期待してくれるならベットに行きたい。
竜児の手が彼女の腕をつかんだ。腰を屈め、彼女の手を自分の首の後ろに導く、亜美はきょとんとしてしまう。なにをするんだろう。
竜児は片手を亜美の背中に、もう片方を両膝の裏に腕を伸ばし、立ち上がる要領で抱き上げた。
「きゃ」
亜美が驚きの声をあげている間に、彼女は抱きかかえられていた。彼の顔を見ると、ぶっきらぼうで、それでいて照れた顔をしていた。

亜美が小さくつぶやく。
「……お姫様だっこ」
「悪い、聞き取れなかった。なんか言ったか?」
「ううん、なんにも」

亜美は微笑みが自然と浮かんでくるのを感じた。
初めてのだっこがラブホテルで裸で抱えられるなんて、そんなお姫様は童話にはきっと出てこないだろうけど

「連れてって、王子様」
「お、おう」

亜美は脱衣所に行くまでの間、ずっと竜児の照れた顔を見てめながら、クスクスと笑い続けた。


         ******


56Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E :2011/02/04(金) 21:41:13 ID:78pS4RBd

以上で今日の投下終了終了です。

無駄にSSが長くなりすぎたので、二回に分けて投下させて頂きます。
展開遅くて申し訳ありません。エロ描写とかいろいろとお粗末様でした。
57名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 22:52:18 ID:vR8ZSN8L
すごい良かったd(^_^o)
なんていうのかうまく言えないけど、俺はとらドラ!が大好きだ。
すべての小説が終わった喪失感とかアニメの最終回の感動とかまた蘇ってきた。
キャラもみんな好きだ
本当はいつまでも終わって欲しくなかった

ゆゆこさんにも感謝したいし、このSS書いてくださった作者にもすごい感謝したい

ありがとうございました
58名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 01:43:49 ID:X3/ewVrY
あぅぅ   GJ
59名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 04:13:18 ID:xREiNRrO
>>56
くそお
あーみんが可愛くて寝れないぜ

ムダに長いなんてとんでもない
もっと長くても全然かまわない
しっかりきっかりねっちりむっちりエロを書ききって欲しいぜ
一刻も早く!
60名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 17:03:31 ID:YSCJOhvr
今日は来るのだろうか?
61名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 01:43:16 ID:qhReMOTi
>>56
待ちきれないなー
62名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 03:13:45 ID:Z9/CKiYD
おおお、GJ。

>二人には負けてる。しかし、能登には十分に勝ってる
>そうか、下は下でも能登が人類最下層の男だとしたら……
>絶望的な気持ちになり、とりあえず心の中の能登に文句を言う

能登が可哀相すぎる(笑


PS追伸以外は補完しまして、これは後編が来ましたら追追・・・

63名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 03:35:58 ID:QK9Gmw9v
ゆりちゃん先生が付き合った男の数が気になる今日この頃
64名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 17:55:19 ID:+zmeg2gj
保存庫が更新されてた!
65名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 19:51:46 ID:2W3/2EHz
>>56
GJ
続き楽しみ

>>62
まとめGJ
66名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 02:48:53 ID:yVgxnU5T
ほす
67名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 22:09:34 ID:669zTYVh
見てる人は多いはずなんだがな〜
68名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 00:49:17 ID:em56h0YS
その通り
69名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 11:30:35 ID:iqivx6uG
とらドラの男子の客観的なスペックって

北村>竜児>能登>arl

ってな感じなんだけど
頂点に立つ北村だけ、原作に置いても同人に置いても不幸になりがちだな
70名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 13:23:02 ID:hEEyPCjt
裸族だからな
71名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 16:27:57 ID:ZV+X8iet
書き込みテスト
72Jp+V6Mm ◆jkvTlOgB.E :2011/02/13(日) 20:49:15 ID:ZV+X8iet

こんばんは。遅くなりました。以下SS投下させて頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 追伸
方向性 :ちわドラ。 内容はエロだけ

とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話。今回は後編
SS,Happy ever afterの後日談です。一応、>>36 から前編がのっています。
一応本投下だけでもよめると思います。

前半の内容
 ホテルに行って、お風呂にはいって、体を洗いました。


主な登場キャラ:竜児、亜美
後半の長さ :34レスぐらい

前提:
竜児と亜美は恋人同士。

※1 エロにはいるのは 4レス目からです。 
※2 前半より、変態度あがっています。読んでくださる方はいろいろご勘弁下さい。

>>62 まとめサイト管理者様? タイトル面倒くさくてすみません。まとめ、いつもありがとうございます。

73HappyEverAfter−PS-21/54:2011/02/13(日) 20:52:41 ID:ZV+X8iet

亜美は竜児に抱きかかえられて脱衣所まで運ばれると、そこでおろされた。

「あれ、ベット行くんじゃないの?」
「体拭かないと、風邪ひいいちまうだろ。俺が拭いてやる」
「いいよ、子供じゃあるまいし」
「だめだ。力入らないんだろ」

竜児のなすがままに、体をふかれる。手をあげろといわれて側部をみせ、背中をみせろと無防備な後姿をさらす。
腿を拭いてもらうため、足を少し開いて、陰部の下に手をいれられる。

風呂場ですでに体を洗われた後とはいえ、一方的に乾いたタオルでさわられるというのとはでは、また感じ方も違う。
羞恥プレイを強要されているようだと亜美は思った。いや、強要ではないとは思うけれど

そして、竜児をみると、邪気がない。なぜか、なんだ、と少しがっかりとしてしまう。

「ねぇ。なんで、そんな平然としてるの」
「ん?。体拭くのに、なんでアタフタする必要があるんだ?」
「ほんと、高須くん、私の事、子供あつかい」
「しょうがねぇだろ。お前、子供ぽいところあるんだから」
ここぞとばかりにやり返してくる。

亜美はそんな遊び言葉に乗らず、心底疑問そうに
「ねぇ、高須くんはなんで私のこと、子供だと思ったの?。自覚はあるけど、外ではそういうの出して無いつもりだけど」
「あれで隠してるつもりだったのかよ。嘘つきのお前でもそういうとこあるのな、脇が甘いんじゃねぇか?」
竜児は脇の下をタオルを入れてこすりつける。

「やぁん、もう、真面目な話してるのに。でも真剣な話、そんなおろそかにしてないと思うんだけどな。ねぇ、具体的にどのあたり?」
「すぐに悪戯心だして、ウズウズとしだして。ちょっかいだすところとかだな」
「ん、ま、高須くんとかタイガーとか見てるとね、突っ込みどころ多すぎだって」
「俺達だけかよ」
「そうだよ。他の人にはそんな事してないでしょ。例えば祐作はつまんないし、だいたい前の会長くらいしかネタねぇし」
「そういや、そうか」
「そう。他にはある?て、やだ、ん、手がいやらしい」
「拭いてるだけだ。他ってたくさんあるぞ。例えば、けっこう我侭言うだろ。ダルいとか、掃除しねぇとか、代わりにやれとか」
「それ、高須くんだけだもの」
「そんな事ないだろ。お前、他の奴に掃除させたり、作業させたりして、楽してるじゃねぇか」
「だから、高須くんには言うんだって。他の男の子なら、亜美ちゃんが何も言わなくても率先してやってくれるか、聞いてくるし」
「俺だって重いものとか持ってやったりしただろ」
「たまにはね。たまに優しい時はあるけどさ。それだけ、だから、高須くんには文句言う」
「て、本当、俺だけにあんた我侭言ってたのかよ」
「だって、亜美ちゃん、みんなのアイドルだもん。みんなの理想でなきゃいけないでしょ」
「……だまされてるな。みんな」
「それに、高須くんならOKかなって」
「なにがOKなんだ?」
呆れたように竜児が返す。
「なんか我侭受け容れてくれそうで、それでいて、甘やかしもしないでいてくれて、て、あ、そういうことか」
亜美はなにかに気づいたように目を開いて、
「解っちゃった。なるほどね。高須くんの前だから、そうしてたのか」
「たく、簡便してくれよ」
「でも、素の亜美ちゃんを高須くんは好きなんでしょ?}
「…嫌いじゃねぇ」
「ならさ、素の、生まれたままの亜美ちゃん味わってね。これから一晩中」

竜児が体を拭き終わるのをまって、二人は手のひらを重ね繋ぎ浴室を出る。
全裸で手を繋いで、室内を歩く。
その非日常性だけで、二人は胸を高鳴らせ、血流を熱くした。
そのまままっすぐにベットに向かう。これから今までの日常を越えた恋人の営みに進むのだ。
74HappyEverAfter−PS-22/54:2011/02/13(日) 20:58:37 ID:ZV+X8iet

ベットに亜美が潜りこむ間に竜児は備え付けのコンドームに手を伸ばす。
コンドームの外袋を指先でちぎり、ベトベトとしたそれを気にしながら引きずり出す。
中心の膨らみを人差し指と中指でつまんで、亀頭にあてがうとそっと合わせる。
一つしかないのだ、失敗は許されない。
几帳面にぎりぎり根本まで包んで準備完了、ここまではOK。問題はこれからだ。
期待感と緊張、ちょっとした罪悪感で腹の中が渦巻いている。それでもペニスはぴりぴりと竜児をけしかかけていた。

「用意出来た?」
「男は簡単だけど、お前大丈夫か」
「…大丈夫」

心なしか亜美は固めの声。一つになる事が目の前となり緊張している様子。
近づいてくる竜児をそっと盗み見る。ある一点、彼の股間に目がいく。彼女を貫くであろうそれを。
ピンク色のコンドームに包まれたペニスは艶めかしく濡れて見え、とても凶暴に見える。
意識すればするほど目が離せない。

ガールズトークで聞く噂話、仕事場で聞く生臭いそれの話を思い出す。特に今、頭を一杯にしているのは初めてのときの話だ。
どれだけ苦しく、痛かったかを競り合うようにみな、話をする。とても痛かった。いや私の方がもっと大変だった。
まるで、痛みが大きい方が偉いような比べ合いだ。した事が無い亜美はそんなに痛いのかと想像するばかり。正直、怖い。
けれど、皆だれもがが誇らしげに話しをする。結局のところの自慢話。くだらないと思いつつ、憧れもした。

そして、自分をこれからつら抜くのが高須竜児であれば、きっと、自分の思い出も誇らしくなるに違いない。
その瞬間がもうすぐなのだ。怖いけれど恐くない。
心臓が今にも胸から飛び出そうなほど早く強く鳴っている。

竜児も同じだ。早く亜美の女の子を奪いたい。期待で彼の男の子は雄雄しく上を向き、勃起している。
同時に恐れもある。上手く出来るか自信が無い。
さきほど浴室で見た女性の膣口はあまりにも小さすぎた。とてもスルリとなど入る気がしない。

いそいそとベットにもぐりこむと亜美の背中に手を入れ、軽くキスをしながら上体を起こしてもらう。
そして、自分の下半身を彼女の足と足の間に割って入れる。
露骨に自分の下半身を凝視するのも恥ずかしいので、だいたいの見込みだ。
それが悪かったのかペニスが最初に触れたのは彼女のおなかだ。亜美が「うぅん」と竜児の性器の接触に身を震わせる。
竜児は急いで修正開始。腰の高さを少しずつ変え、調整していく。
腰をひょこひょこと動かす姿があまりにも滑稽な気がする。そんな自覚で頭が一杯だ。
「かっこ悪くねぇか、俺」
焦り、戸惑い、テンパる。自分が馬鹿みたいに小さく思えてくる。酸素はどこだろうか、頭の中がくらくらする。
亜美の華奢な腰と竜児の男の武骨な、同年代の男よりスマートなつくりだが、亜美にくらべるとやはり無骨な竜児の下半身。
作りがまったく違う。それを重なるだけでも難しく手間取る。うまく合わせる事が出来ない。
上手くいかないのは自分が下手なだけだと思えてしまい。余計、焦りが増す。

手を使ってなんとかしようと右手を伸ばす。手をペニスに添え、角度を合わせる。
方向を合わせて、裂け目めがけて押しこうもうとする。が膣口にぶつかり、角度が変わる。うまく入らない。

シーツを剥がして直接確認しよとするがよくわからない。腰と腰が密着しすぎて確認出来ない。
腰を離し、視覚で確認しようとするとせっかくあわせた角度が狂う。
やっと位置が合い、彼女の入口に近づいたと思っても、裂け目が狭くうまく入らない。
入れようとしても、ねじり込もうしてる間にズルリと抜ける。
その度に亜美は痛みのうめきをかみ殺した。つつく度に亜美は目をつぶって耐えていた。
頭の中では恐怖で一杯なのに肩すかしの連続で精神的なダメージは相当のものだった。
75HappyEverAfter−PS-23/54:2011/02/13(日) 21:02:14 ID:ZV+X8iet

十分ほどそんな行為が続いただろうか。竜児は今度こそはと強引に押し込もうとした。しかし、同じように失敗し跳ね返るペニス。
先ほどより力ずくで押し込もうとした結果、大陰唇をつよく弾き、亜美はついに苦痛のうめきを漏らした。

「わりぃ、うまく入れられない。なんか情けないな…」
「悪くないよ。しょうがないって。高須くんもあたしも初めてだもの」
「すまん」
「だから、あやまらない」

亜美の激励に失いかけた気力を奮い起こし、竜児は再び、腰を押しつける。亜美の期待に応えたいとよけいに力が入る。
亀頭が再び膣口を引っ掛ける。亜美の中に潜り込もうとして強引に押し込まれる。ぴったりと閉じた膣口がめりめりと悲鳴をあげる。

「う、うぅん。くぅ」
亜美が呻いた。強い、引き裂かれる様な苦痛に反射的に腰を逃がしてしまう。すらすように上にずらしてしまう。亀頭が陰唇を擦り上げるようにして外れた。
亜美が「くぅ」と小さな呻きをあげた。

「すまん。強引に押し付けちまった。しかも、またすべって」
「ううん、私が、私が逃げちゃったのがいけないんだもの。別に嫌なわけじゃないんだよ。して欲しいんだ。本当に」
「痛いのか?。川嶋」
「大丈夫。ゆっくりでいいよ、その方が私達らしいんもの」

そして、竜児と亜美はなんども一つになろうと試みるが、初めての行為はスムーズに進む事が出来なかった。
亜美は失敗の度に小さな声を漏らすが、それでも微笑みを絶やさず、竜児を求めた。
竜児は彼女に応えようと、気を張り、何度も試みるが、それが彼の動きを硬くし、気持ちを焦らせた。
竜児は次第に無口になり、息すら押し殺す。比例して、瞳は揺れていた。

「川嶋。大変だろ。俺…」
「大変じゃないよ。それより竜児の方が大変そう、けど、がんばって」

竜児も頑張ろうとした。そう思えば思うほど上手くいかなくなる悪循環。自身の中で湧き上がる罪悪感と言う圧。
その圧力が彼の口を開かせた。ため息と一緒に出たその圧は彼に弱気の言葉を吐かせようとする。

「川嶋、やっぱり今日は……」

その後に続いたであろう諦めの言葉は亜美のキスにより阻止された。

「弱気な竜児、すごくかわいい。なんか、あたし、Sっ気が沸いてきちゃった。私から攻めちゃお」
あえて、亜美は攻め手に周り消沈した竜児に話しかける。

「いや、しかし…」
「私がしたいんだもの。お、ね、が、い♪」

竜児が硬直している間に亜美は上体を起こして抱きつく。彼が自分を思いやってくれていることを感じている。辛そうにしてくれるのもその表れ。
出来る事なら同じくらいのものを返してあげたい。愛してあげたい。
亜美は間髪入れず抱きついたまま体を半回転、彼をベットに押し付けて、馬乗りとなる。

「な、なにしやがる」
「こうするの」
76HappyEverAfter−PS-24/54:2011/02/13(日) 21:05:20 ID:ZV+X8iet

亜美の右手はいつのまにか、彼の股間に移動していた。
そして、やさしく握り込む。
自信を失いかけ、硬さを失いかけたそれを亜美の手のひらの温かみが包む。

「うぅ」
「男の子って、こうやって、自分を慰めるんでしょ」

彼女の手の平が筒状となり、竜児のペニスを握ると、上下に動き始めた。

「やめてくれ」
「なんか、言った?。聞こえな〜い♪」

楽しそうに亜美は応えると、その右手の動きを早くしていく。
竜児の荒い息、段々と硬さを取り戻すペニス。つられるように亜美も息づかいを早くする。竜児を興奮させているという行為自体が彼女を高ぶらせた。
そのうち、少しづつ竜児の呻き方が変わっていく。震えるような、それでいて甘みを含んだ声だった。
声まで震え始めた竜児に、亜美は愛撫の手を止めて微笑みかけた。

竜児は見上げる、その顔はものたりなさを、瞳の憂いは快楽に不安を抱く心を表現していた。
その顔をみて、亜美はよりいっそう優しげな笑みすると

ちゅっ…

亜美は竜児の瞳を見ながら軽いキスをした。
普段なら、それはキスの雨を開始する合図で、その後、唇を食むキス。舌で唇をなめながらのキス。舌を絡ませる深いキスを何度もしあう。
竜児は顔を近づけるが、彼女はそれをしない。竜児は訳がわかなかった。唇ががせつなく、もどかしい。

「川嶋……」
思わず竜児は彼女の名を呼ぶ。

亜美も彼の気持ちを感じていた。彼女の名を呼ぶ声にせつなそうに乞う響きがあった。
自分が求めてくれてるという事が解る。。
ゾクッとして亜美の体の奥からねっとりとした何かが体の外に出たがっているのが解った。
愛液が股間を濡らす。そして、唾液が分泌される。いつもなら、キスをして、唾液を交換しあって、お互いの味を確かめあう。
だから、唇を重ね合わせれば唾液が出る。
まるでパブロフの犬だ。馬鹿チワワと呼ばれた女は自らを笑ってみる。私の体、変わってきてる…、いやらしい。
そして、それはきっと、彼氏も同じ。

「竜児、唾液飲みたい?」

焦らすように竜児を誘う。目の前の喉がなった。それは答えだ。彼は欲しがっている。
ゆっくりと顔を近づけてみる。準備万端なようだ。彼の口が大きく開いた。

「キスするよな口じゃないよ。高須くん」

まるで親鳥に餌をねだるひな鳥のようだった。だから、亜美は母鳥のように口移しで愛情を送る。
性的興奮で量をました唾液を竜児にゆっくりと流し込む。ながしこみながら舌を伸ばす。舌で彼の口内をかき混ぜる。

くちゃくちゃ

音がした。竜児の唾液と混ざり、粘度をましたそれが音を立てる。私も飲ませて欲しいと亜美は思ったが今は我慢だ。
彼が飲み込むその表情を見つめたい。それに今は喉を乾かす時だ。あとで元気になった彼に潤してもらえばいい。
77HappyEverAfter−PS-25/54:2011/02/13(日) 21:07:24 ID:ZV+X8iet

淫猥な口付けを終え、顔を離す。離しながらも竜児の顔からけして目をそらさない。
喉をならして飲み干すその姿を一瞬も見逃したりしない。自分の表情が見られている事を自覚しているだろう彼の羞恥を煽るためだ。
せつなげにしかめる眉も、鼻だけで呼吸する姿も、唇の中で押し殺すあえぎもすべて私のものだ。この表情を見る権利、誰にも譲らない。
亜美の股間で愛液が溢れ、爆ぜた。

ぴゅっぴゅっ

まるで、男性が射精するように、ラブジュースが吹き出す。亜美は興奮している。竜児が自分に発情してくれている事にこの上ない喜びを感じていた。
そっと手の中の竜児のペニスを握り直す。

亜美の味に竜児はペニスをガチガチにさせて、待ちきれないように震えていた。
その震えを安心させるようにそっと包み込む。
やっぱり、熱くて、硬い。一回、二回と指を筒状にした手でペニスを擦ってみる。もう焦らすのは終わりだ。

「うっ」

竜児の喉の奥が切なげに唸る。

可愛い。そして今は自分のペースだ。大丈夫だよ高須くん。私は少しだけ先を歩いてあげる。導いてあげる。
亜美は余裕をもって笑うと、竜児の羞恥心で一杯になった欲情した瞳をまっすぐに見ながら、悪魔のように誘惑する。

「高須くん…フェラチオしてあげる。」

不敵な微笑を浮かべつつ、竜児を後ろに下がらせる。ニヤリとして顔を作りながら筒状の右手でコンドームを抜き取る。
束縛から解放されたきかん棒は元気をましたかのようにそそり立つ。

「お口だからゴムの必要ないよね。生身の竜児で亜美ちゃんのフェラ味わって」

竜児が無言で頷く、亜美は「足広げて、おちんちん舐めやすいようにして」とあえて卑語を口にだして、竜児自らの意思で足を開かせる。
竜児は顔を赤くしながら、両脚をおずおずと広げる。ペニスは劣情のままに隆起している。

亜美はペニスを静かに撫で、擦り、竜児を見つめ「やらし」とさげすむように囁きく。、
竜児の前で座りなおすと、ひざまづき、背を曲げ、隠す事なくお尻を突き出し、奉仕をするような姿勢をとるとペニスを少しの間、見た。
一瞬、金縛る体。意思の力でねじ伏せる。
髪を掻き揚げると、愛しい人の唇に愛をささげる様にやさしいキスをする。
竜児のペニスはそれだけで、ピクンと跳ね、達しそうになる。

「駄目♪。我慢してくれたら、もっと気持ちよくしてあげるから」
「わ、わかった」

顔を起こし上目遣いで亜美は制止をかける。竜児は尻を締めるようにして、高ぶりを抑える努力をする。
亜美のペースになられるとまずいとかかっこ悪いとか思う余裕などない。耐える事で精一杯だ。
竜児が一杯になっている事を彼の表情だけで悟ると亜美は口角を上げ、

「じゃあ、まずは本格的に手でいじってあげる」
78HappyEverAfter−PS-26/54:2011/02/13(日) 21:10:01 ID:ZV+X8iet

亜美はそそり立つ男性器を右手で幹を握り、こしゅ、こしゅと連続して摩擦を与える。竜児が小さな嗚咽を漏らす。

「固くって、おっきいね。男の人のって、みんなこんな大きくて、変な形してるの?」
「お、男同士で形とかじっくり見比べたりはしないから、わかんねーよ。大きさは普通だと思いたい」
「そうなんだ。大きい人はもっとすごいって事?」

竜児のうなりが止まったようにな気がして、顔を見上げる。そこには、すこし拗ねたような少年の顔があった。
亜美は気持ちが軽くなって

「まぁ、別に他の人がどうでもいいかな。そんなに見ることもないだろうし」

あえて口に出して、誠意をこめてより優しく、愛情をもってペニスを握る。当面はあのうめき声を何度も聞くのが目的だ。とても嬉しい。
ストロークに変化をつけ、ゆっくと手の平を上下運動したかと思えば、強く握って、しゅっしゅっ と早めに摩擦を与える。
かと思えば親指、人差し指、中指の三本だけて摘むようにして擦り、微弱な刺激を与えたりもする。
竜児の汗のに匂い強くなった。彼女の刺激に発汗して、身を硬くしてくれてることに満足感を得る。
より刺激的な事をしたら、どういう反応を見せてくれるのだろう。そして、自分はどこまで満たされるのか、予想も出来ない。
そんなドキドキとした期待とハラハラとした怖さを胸のうちに隠して、竜児の顔を見てみる。
彼はうかつに刺激を受けたりすれば、たちどころに射精してしまうのではないかという怖さと戦っていた。
からぼになるまで精液を放ちつづけてしまうのでないだろうかと思えている。達するのが恐ろしい。

「…川嶋、ヤバイ…。オレ、手だけでどうにかなっちまう…」
「うわ、高須くんの早漏」
「それでも構わない。情けないが早漏だ。すまない。いったん休憩させてくれ」
「だ〜め。だって、あは、私、高須くんの今の声気に行っちゃた。そんな声出すんだね。かーわい♪。もっと泣かせたくなるな」
「て、ふ、や、やめろって…。」

耳まで真っ赤になり、竜児はとうとう恥じ入るようにうつむいた。情けない顔を見られたくなかったからだ。
そんな竜児に情け容赦なく追撃を亜美は行う。俯いた耳元に口を寄せ意地悪をささやいた。
主導権掌握を確信したその表情は人の悪そうなことこの上ない。

「あーあ、高須くんイッちゃうんだ。手だけでイキそうになるなんて恥ずかしい。こんなんで亜美ちゃんをリードしようなんて百年はやい」
「な、この性悪女、く、くそ、駄目だ。俺、限界で」
「いいよ。いいんだって、私がリードしてあげるから、高須くんは悶えて、気持ちよくなって」

竜児の嘆願を否定して亜美は続ける。 ゆっくり、しかしストロークは長く、幹をしごき、時折握り込むように揉んだ。
力を込めて握るたび、熱い興奮の血が幹いっぱいに巡るのがわかる。
摩るたびに、硬さと力強さを感じる。
お風呂で見たときとは見違えるほど、大きさを変えた彼の先端は、ツヤツヤとした赤紫色で血流を溜め込んでいた。
怖さを抑えて、手の平で触ってみる。ほどよい弾力で感触が帰ってくる。

「あは」

亜美は 撫でるようにして、亀頭をさする。面白くなってくる。空いた左手は、もう一つの興味深いところへ。

きゅっ…ぎゅっ…

右手が亀頭を愛撫し、左手は陰嚢を愛撫する。指の中でころころ移動させ、形を確かめるようにひとつずつそっと包み込む。
指先でつまんで刺激すると、竜児はつらそうにうめいた。
79名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 21:12:02 ID:cHvIK05b
C
80HappyEverAfter−PS-27/54:2011/02/13(日) 21:14:00 ID:ZV+X8iet

「はぁ、く、川嶋っ…そこ!」
「高須くんの新鮮な命…ここにたっぷりつまってるんだよね?」
「くぅ、そ、そういう言い方やめろって。それにそうだと思うなら大事に扱えって」
「もちろん。だから大事にしてるんだって。これからがんばってくれるようにモミモミしてあげてるの」

ペニスへの愛撫は背筋がゾクゾクするほどに心地よく、愛撫されるそれは根本からもっともっとと勃起するように跳ねるのだが…
睾丸への愛撫はいささか刺激が強すぎる。竜児はつらそうに顔をしかめて頭を振る。
情けない顔を見られている、という羞恥心も作用し、声がわずかに上擦り始める。
亜美は最後に、幼子の頭をかいぐりするほどの優しさでころころっとふぐりを揺さぶって左手から解放した。
苛めを終えた左手は竜児の腰に当てられ、すり、すり、と腰骨の辺りを撫でる。

「じゃ、お口で食べさせて、高須くんのおちんちん」
「やめてくれ。もう十分だ。頼むから助けてくれ」

そんな命乞いじみた拒否の言葉を無視して亜美は彼のペニスを右手で握り直し、少し傾ける。亀頭を目の前にして、臭いを嗅ぐ。

「高須くん、すごくエッチな臭いするよ。それにテカテカになってる。もう、なんだか沢山出ちゃってる」

竜児を上目遣いで攻める。

「もういい。本当に限界だ。俺、このままじゃ全部でちまう」
「いいよ。気持ちよくなったら出しても。亜美ちゃんに欲情して、せっくすする前から我慢出来なくなって、情けないくらい射精しちゃっても」

竜児が何か言い返そうとするが、ぶるっと体を震えて、言葉を飲み込む。
口を閉じて、少しでも体の外につながるものを閉じないと大変な事になってしまいそうだった。射精を封じようとする。
けれど、すぐに口が開く。
「や、やめてくれ」
竜児がおもわず悲鳴をあげる。亜美の舌がぺろりと亀頭を愛撫した事に反応してしまう。
さきほどの唇とも、指の感触とも違う。柔らかくて、ざらついた感触。ぬめっと湿った舌が、亀頭のカウパーを舐め取った。

「味見しちゃった。竜児のおちんちん、すこし苦いみたい」
ぴゅっと亜美だけに音が聞こえた。竜児が射精した訳ではない、竜児は眉をまげて、耐えていた。無言で歯を食いしばる。

「苦いけど美味しかった。私、この味、癖になるかも」
亜美はこれからもするからねと予約を入れた。自分の一言、一言に誘われて、また、亜美の下半身が、ぴゅっ と音を立てた。
愛液が早とちりをしたかのように、彼女の陰部をぬらし、勢いがすぎて、ベットをよごす。

「これからが本番なんだからね。出しちゃまだ駄目だよ」

自分では出すなと言いながら亜美のヴァギナからは愛液が吐き出ていた。ぴゅっぴゅっと先ほどから少量ながら連続で吐き出している。
我慢できずに体が反応しているのは自分だった。自分がHな事をしているという認識と竜児の表情だけで既に軽くイッていた。
けれど仮面を被る。悟られないように亜美は先を急ぐ。自分が果てるまでに竜児をいかせれば一息つける。

小さな口を出来る限り大きく開き、パクリと口にいれる。あったかい空気が亀頭を包む、亜美の口の中はとてもあったたかった。
暖かな空気が竜児の感覚を包み、寒気が走るほどの鋭い刺激が竜児の背骨を走る。
気持ちよすぎて、今までに無い感覚に脳みそがかき回され、気持ちが悪いほど感覚が混乱した。
竜児は荒い息をして、酸素を求めた。そんな彼を不思議そうに亜美は見つめ、今、起きている事を報告した。

「たべひゃった」

口に含みながら拙く言葉を発する。言葉を発するたびに舌がゆれ、竜児のペニスに触れる。息がかかる。
暖かい口の中でペニスにベロチューで愛し、同時に唇の摩擦で幹に刺激を与える。
81HappyEverAfter−PS-28/54:2011/02/13(日) 21:16:45 ID:ZV+X8iet

「あう、ふぅ、うぅ…、う」

竜児の声は、もう言葉にならない。あえぎを続け、悲鳴をあげる。そんな耐えている様子が亜美には愛しい。
もっと気持ちよくなって欲しい。あえいで欲しい。あの顔をもっと苦しそうにさせたい。
かかとを浮かせると膝立ちとなる。上からペニスを咥えるようにして、より激しく舌で愛撫を続ける。頭をふって唇で何度も愛撫する。
その度に竜児がくるしそうな声をあげる。それが彼女の体を熱くさせた。亜美はもっと卑猥な事をしたくなった。
もっと自分がいやらしいことをする所を竜児に見てもらいたいと思った。

咥えていたペニスをゆっくと口から出す、ネトリとして唾液で濡れている一物は糸を引いて亜美の唇から現れた。
亜美は竜児の様子を見るために再び上を向く、
そこには苦しみから解放されてような、それでいて、なにか名残惜しいような顔をした竜児がいた。
そして、竜児は口淫が終了したと思い、

「川嶋、ありがとう。その、すごく気持ちよかった」

彼女に感謝の言葉を伝える。ご飯をお預けされた犬みたいな顔をしながら。
亜美はその表情に秘裂がワナと震えたのが解った。彼女の一番柔らかいところで彼のペニスを抱きしめてあげたいと本能が言っていた。
けれどまだ我慢。それはおくびにも出さず無言で

ちろり。

と赤い舌を出して、無表情で竜児を見上げた。それを予告として、

ちろっ…ちゅるっ…ぺろり…

指で彼のイチモツをもつと、アイスキャンディーを舐めるように、舌先でペロペロと先ほどとは別格な速さで舐めだす。
不意打ちをうけた竜児は

「くうっ!」

とうめき声をあげる。お預けを命じられている子犬の顔ではもうない。
苦しそうだ。息苦しそうだ。けれど、大きく開いた口の中で揺らめく舌ははしゃいでいる犬を思わせるほど踊っていた。
同調するように亜美が舌の動きを早める。

…ピチャピチャ……

音がする。亜美が舐める音だ。カウパーが引き出されるように染み出る。

…チュル…チュルチュ…

亜美がすする音が重なりだす。亜美の唾液と竜児の先走り水が混ざり、彼のペニスがベトベトとなっていた。
その亀頭に亜美が口先をつけ、啜った。

「馬鹿、川嶋、やめろ」
「大丈夫。だって美味しいもの。竜児の味」

亜美は一旦、口を離し、そう告げた後、再び、啜る事を再開する。
82HappyEverAfter−PS-29/54:2011/02/13(日) 21:19:33 ID:ZV+X8iet

…チュル…チュルチュ…

彼女の顔を乱暴に離す訳にもいかず竜児はうなる。表面を吸われる事自体は先ほどより直接的な刺激は少ない。
それでも達しそうだ。
気持ちを一生懸命、舐めてくれた気がした。だからよけいカウパーが分泌される。
献身的な、川嶋亜美のその行為は彼の精神を刺激する。物理的なものよりも激しく彼を高めた。

「ああ、川嶋…、俺、ぁくぁ…」
「ふふぅん、綺麗になった。もう少しするね」

亜美は微笑みかけると、こんどは舌をなるべく出して、ザラザラとした舌の面で舐めあげる。
次は横から幹だ。横笛を吹くように舐めあげる。そこをベトベトにしてから、最後は上から下に全体を柔らかい舌でこする。

「か、川嶋、やりすぎだ」
「だって、この子だけ、舐めてあげないのかわいそう。ここも私の大事な竜児」

袋のはしを口に含みチロリとなめる。はむはむと甘噛をくりかえす。上気にした竜児の声がその度にする。
気持ち良さそうだ。このまま順調にいけば後、数十秒で達してしまうかもしれない。

「俺もう、いっちまう」

ピタリと亜美の動作が止み、口内からふくろが開放される。

「え、もう少しで」
竜児の小さな声。ここまで来ての寸止めではさすがに酷な扱いだった。だが、亜美は焦らしている訳ではない。最初から
「ちゃんとしたフェラチオでいかせてあげる」
事に決めていたのだから、再び竜児の亀頭を口に含み直す。口内のそれを子犬がするように一生懸命舐め上げてくる。
角度を変えて斜めから、下から上から、ペニスを舐めあげる。
同時に頭部を前後に動かし、唇と手の平で幹に摩擦という刺激を与え続ける。

…チュブ、チュブ……、ニュム、ニュル…

唇をすべる時に唾液の音、空気が漏れる音がする。
今、口で男の子の性器を舐めている。食べ物を口にいれる場所で高須くんのおちんちんを含んでいる。
大きな音を出している。すごい、飢えた淫乱女みたい。いや、淫乱なのだ。

亜美は自分の乳首を空いた手でつまんでみる。竜児が見つけた亜美の性感帯。
自分が今、唇で竜児にしてるように指でしごいてみる。

「あふぅ、あはぁ」

竜児にしゃぶりつきながら、亜美は喘ぐ。自然と頭の動きが早くなった。乳首がすごく気持ちよかった。
これが自分の指でなく、竜児の指、いや、彼の口ならどんなにいいだろう。
けど、そんな事、口に出せない。だからその代わり、自分がされたいように彼を攻めたてる。

亜美の勢いがます程、舌が竜児の亀頭にキスをする程、竜児の腰がガクガクとゆれ、ペニス自体がピクピクと別な生き物のように嘶く。
83HappyEverAfter−PS-30/54:2011/02/13(日) 21:22:28 ID:ZV+X8iet

もう防ぐ事など出来ないクライマックスが直前なのが二人には解った。
竜児は手をわなわなと動かし、右手は腰に当て、少しでも射精を遅らせようと自分をさする。左手は置き場所もなく、亜美の頭に置かれた。
置かれた手が彼女の髪の毛を優しく撫でた。いたわる様に、愛情をわけるように。

そんな態度に亜美は顔を起こす。竜児はまだ余裕があるのかと?
顔をゆがめていた。正直、かっこよくない。目つきもひどい。それなのに左手は優しい愛撫を続けてくれる。
亜美は頭を下げ、ストロークに力を尽くす事にした。
彼に気持ちよくなって欲しいという一心でペニスを唇で愛撫する。
竜児が荒い息の間で嗚咽を漏らし続ける。
それはいつまで続いただろうか。二人とも時間間隔がわからなくなっていた。
その後、すぐの出来事だったかもしれない。何時間も舐め続けられた後の事かもしれない。
竜児の頭の中に奇妙な感覚が押し寄せてきて、限界を超えた。

「川嶋。駄目だ。出る。口離してくれ」

竜児が悲鳴をあげる。亜美はそんな言葉を無視した。頭全体の動きをより早くして、刺激を与え続ける。
喉まで届けとばかりに深く咥える。苦しいことは苦しい。生理的に吐き出しそうになるぎりぎりまで使って、彼を絶頂まで押し立てる。

「川嶋っ!すまない。俺、俺もう、川嶋あっ…!!」

ペニスが脈動し、亀頭が一瞬膨張すると彼の精液を吐き出した。

びゅるるるる

「くっ…」
「!!」

最初の精液がほどばしる。腰の奥から彼の全てを引っ張り出すような勢いで、彼の外に発射された。
竜児は止めようとした。頭が空っぽになるような絶頂の中、いつまでもこの快感に浸りたいと思う本能で一杯になる。
けれど、その片隅で亜美の事を考える。亜美の喉に直撃しただろうと思った。苦しいに違いない、だから止めようと思った。

びゅうっ!びゅっ!びゅっ!

「くぁ、止まっ…!!」

止まれと思えば思うほど、射精は続く、長い一射目に続き、単発の二射目、三射目が止める間もなく続く。
ゾクゾクトした快感の中で、亜美を犯し続ける罪悪感にさいなまれ、射精が止まらないならと亜美の口から引き抜こうとする。
けれど亜美は拒否した。口を離そうとしない。彼女を押しのける訳にもいかず、尻をすぼめ、指先にギュと力を入れ、射精を止めようとする。

「くっ…うぅ…うくっ…」

その間も亜美の喉はなり続けた。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…

「ふぅ…ふぅ…っ…」

射精が終わり、脈動がペニスを揺らす。ゆっくりと竜児は亜美を傷つけないようにペニスを引き抜いていく。
竜児は夏休み中、亜美が居候してから先、ずっと自己処理を我慢していた。
高校生という大生産期にも関わらず、黄ばんで粘りけの強くなった精液を溜め込んでいた。
その精液が亜美の口一杯に満ちていた。
84HappyEverAfter−PS-31/54:2011/02/13(日) 21:25:19 ID:ZV+X8iet

竜児から開放された亜美の口が空気を求め、ケホケホと咳き込み、両手の平に彼の精液を吐き出してしまう。
半分以上は彼の射精時に亜美が飲み干していた。それでも手の上はネトリとしたゲル状に近い液体が満ちる。
強い臭いが部屋を満たした。

「川嶋、すまない」

竜児は急いでボックステイュを手に取り、亜美に渡そうとする。亜美は無言で首を振る。
口を開くと精液が溢れてしまうからだ。そして、ペタリと座り込むと、ゴクリと喉を鳴らし、数回に分けて嚥下していく。

「馬鹿、変なもの飲むな」

亜美は最後に大きく、喉を鳴らして、口の中のすべてを飲み込んだ後、生臭い竜児自身の味に
きゅっと目を閉じ、身震をして、

「そんな事ないよ。だって竜児のだもの」

呆けたような表情でうわ言のように亜美は呟く、竜児の臭いに、味に亜美の意識は犯されていた。
頭の中がぼうっとして…なにも考えられなくなるほどに気持ちいい。
ヴァギナがパカパカと開いては閉じる。開くたびに体のそこから愛液を運び、閉じる際に潮を吹いた。
頭はぼっとーしていた、下半身は軽くではあったがまたイっていた。

そして、手の平に吐き出された精液を口元に運ぶ

「川嶋、いいって、そんな事しなくても」
「だって、MOTTAINAでしょ」

これで決まりだ。確かに今までしてきたどの自慰より、その時に想像したシチュよりすごい。そして、きっと高須竜児も喜んでくれる。

ご、くん…。ごくん…。ご、くん…。

ヴァギナ全体に打ち震えるような喜びを感じつつ、精液を喉に送る。
自分が現在行っている卑猥な行為。それが竜児の為だという事を感じ、乳首とクリストスに痺れが走る。
舌にまとわりつくネバネバと胃の中の違和感ですら快感に感じる。
そして、竜児に愛の言葉を告げる。これで、自分がどれだけ彼を愛してるか伝わるはずだ。

「お薬おいしいでしゅ」

時は止まる。









「ん?」

そして動き出す。

「え、え、だから…お薬……おいしいで…しゅ?……」
「なんだそりゃ?」
85HappyEverAfter−PS-32/54:2011/02/13(日) 21:27:23 ID:ZV+X8iet

亜美からも自分の言葉をきっかけに竜児が急速にさめていく様子が見て取れた。急激なあせりが湧き上がる。
ちょ、なんでよ、だって、あそこには決め台詞ぽくかかれてたのに

「え、だって、これって、男の子、みんな好きなんでしょ?」
「そんな事あるわけないだろ。そんな誤爆みたいな台詞」
「うそ、だって、書いてあったよ。ネットの掲示板」
「は?、なんだって」

亜美は返答をせず、オロオロと言葉を濁す。さっきまでの余裕が嘘だったように動揺を見せた。
仮面がはがれ、予定が狂い、次の行動プランが無くなってしまう。
闇の衣が剥ぎ取られ、キョドる亜美が正体を現した。

「どこで調べたんだよ。そんなアングラネタ」
「でも…、けど、書いてあったんだもん」
「なあ川嶋、フェラとかの仕方とかも、もしかして」
「う、…うん。ネットで調べた」

竜児は笑い出し、亜美は拗ねたように怒りだす。共通なのは目に涙を浮かべている事だけ。

「な、なによ。馬鹿にして」
「じゃあ、あのテクニックとか読んだ知識だけで勉強して、あのベテラン然とした態度は演技ってことかよ」
「……悪い?」

竜児はそこで亜美を見つなおして
「いや、悪かない。逆だ。安心した。お前がどこかで実地で教えてもらったんじゃないかてドキドキしてた」
「ば、馬鹿。そ、そんな事ある訳ないじゃん。キスだって高須くんが初めてだったんだから」
「そうだったな」

竜児は笑いながら、亜美の長い髪に左手をスッと入れ、頭を撫でながら、口淫が終わったばかりの唇にキスを一つ。

「それなら、俺もがんばらないとな」
「きゃっ」

少しばかり強引に右手を亜美の背中に回し、抱くようにして体制を入れ替える。
亜美をベットに寝かせる。

「可愛い声だ。驚いたのか?、川嶋」
「お、驚いてなんか無い。高須くんが乱暴だから」
「ああ、乱暴にしちまう事にする」

竜児は無造作に右手を伸ばして亜美の乳房に手を置く。そこには遠慮などなかった。下手でもリードする事に決めた。
乳房を揉みながら、のしかかりようにして唇を吸う。左手と下半身で自重を支え、自由になった右手と口で亜美を攻めた。

「やぁ、息出来ない」
「嘘つきのことなんか信用できねぇ」

竜児は意地悪く亜美の攻め続ける。時には撫でるように肌全体に刺激を与え、時には強く胸を揉みしだく。
唇を薄く吸うようにぬくもりを伝え、舌をなぶるようにして愛情を伝える。

「ふぁ、ふあぁ…」
「大丈夫そうだぞ。それに気持ち良さそうだ」
「だって、しょうがないじゃん。こんなエッチな事されてるんだもん」
「そりゃ、俺達エッチしてるんだ。当たり前だろ」
「エッチ…してるんだよね。私達……」
86HappyEverAfter−PS-33/54:2011/02/13(日) 21:29:33 ID:ZV+X8iet

亜美の両腕はいつのまにか竜児の背中にまわされていた。竜児は彼女を安心させるように身を寄せた。
二人はベットの上で抱きしめ合う。裸で、皮膚で、互いの体温を確かめ合う。
相手へ気持ちが伝わって欲しいと、胸を合わせ、鼓動を伝える。亜美も落ち着きを取り戻して、

「胸揉んでくれるのも気持ちいいけど、抱き合うだけでも気持ちいいいね」
「ああ、あったかい」
「ホッとする」
「柔らかい」
「意外とがっちりしてる」
「そうか?」
「男の子って感じ」
「川嶋も女の子って感じだ」
「当たり前でしょ」

竜児はキスで応える。女である事は知っている。どれだけいい女であるかなんて身に染みるほど理解できるてるつもりだ。
そうではなく、嬉しいのは、腕の中にいるのが自分だけの可愛い女の子だという実感だ。
二回ついばむようなバードキスをし、ノックを終えた後、開いたドアから舌を差し込む。
ゆっくりと舌を絡ませ、意地悪く、亜美から舐め返すように動きを止め、彼女からの行動を求める。
誘う事で亜美はいつも大胆に絡ませ返す。大事なものの前では臆病になる彼女。けれど求められれば、倍にでもして愛情を返してくる。
要求に答え、ざらりとした舌が伸びてくる。舌が吸われる。体が浮き上がるような感覚。お返しと唾液を吸う。

じゅるじゅる

卑猥な音は亜美の耳にも届いていた。その音は「抱かれてるんだ」と彼女の心に響く。
攻められる事を期待している自分がいる事がよく解る。
憎まれ口も叩く、からかいもする。意地悪は反射的だ。けれど、脆いところもさらせば、弱音を吐いていたといも思う。
こいつの前だと。
わかって欲しいと思って、空振りに終わる事も多いが、時々は解ってくれて、たまに優しい。
それが解ってるから乱暴でも構わない。求めて欲しい。
顔を離した竜児に亜美は

「いいよ」
「なら、続ける」
「うん」

亜美の乳房の頂点に竜児は口を寄せる。亜美は黙ってそれを見つめる。怖いような、嬉しいような気分が沸いてくる。
傷口に近づく消毒薬を含んだガーゼを見つめるような心境。強く染みる事は解っている。
ラムの実のような赤く膨らんだそれが竜児の口に含まれた時、電流が走るような刺激を受け、ビクッと体が跳ねる。

「やだ、なにこれ」
「どうした?。気持ち悪かったか、こんな事して」
「そうじゃないけど」
「けど?」
「わかんない!」

もっとして欲しい。鋭く、甘き刺激。心構えをしていた以上の甘さに亜美は当惑する。
舐められると乳首はもちろん、背筋と後頭部に寒気のような、優しい手で撫でられるようなそんな感触が走る。
浴室でされたより余計に感じる。
背と頭は一瞬でそれは消えてしまうのだが、胸は違った。うずくような、くすぐったいような感触が残りつづける。
最初の刺激を薄めたような残滓だ。それがいつまでも残る。
もどかしい。薄めた味をより濃くもどし、味わいたい。けど、おねだりなど口には出来ない。
亜美は視線にこめて、竜児を見つめ返す。
87HappyEverAfter−PS-34/54:2011/02/13(日) 21:31:33 ID:ZV+X8iet

目があった。恥ずかしさのあまり、亜美は急いで視線を外す。
しかし、その仕草だけで、竜児は解った。舌を伸ばす。
丹念に、丁寧に舌を平らにして乳首を舐めつけていく、その度に亜美は身をくねらせ、足の指を折り曲げて快感に耐える。
それでお互いの気持ち通じた。唇を合わせ、肌を合わせる。同様に乳首を嬲る。

「うぅぅん、ふぁ、ん」

亜美は唇を噛み締め、声を抑え、甘美を噛み締める。その姿が竜児を動きを駆り立てる。
口の中に包みこむ、暖かさに包まれた乳首を、吸った。「チュっ」と鳴る。

「はん」

亜美は震える。舐められる度に息がもれる。息を吸う暇もない。股間がむずむずする。
膝頭を近づけて、太ももを刷り合わせ、ヴァギナをむずがるのを抑える。
背筋を弓なりにそらせ快感に耐える。耐えながら、もっと舐めて欲しいと乳首を彼の口に押し当てる。

「やぁぁぁああ」
竜児が甘く乳首を噛んだ。
亜美が声をあげる。そして嬲るように舐められ続ける。くりかえし、くりかえし、噛まれ、舐められる。強い刺激と柔らかい感触のくりかえし。
亜美の中で引いては返す波のように快感が繰り返される。

ちろっ、ちろっ、ちろっ…ぴちゃ、ぺちゃ…

「ああ、んぅ、ふぁ、好き。高須くん、本当に、本当に好きなの。くぅぅん」

そんな濡れた音と、亜美の嬌声だけが部屋をみたした。亜美はいつのまにか竜児の頭をかし抱いていた。
離れないように抱きしめるてるい。

はむっ、はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ

「んっ、んんっ。やだ。やぁ、んっ、んんっ、ぷあ。あああ」

亜美がより強くももを摺り寄せる。ぬるま湯につかりつづけるような快感の中に彼女はいる。頭の中は完全にのぼせていた。
そんな中で女の本能がさわさわと脈動していた。いとしの男を求める声を亜美にささやく。
初めての感覚におぼれている彼女はその声の意味を理解出来ていなかったが、秘裂の奥がせつなさで溢れてきた事に戸惑いを感じる。
「しゅぷ。しゅぷ」と液体が体の奥からあふれ出してくる。
だが、竜児に噛まれるたびに

「きゃふ」

刺激に身をくねらせ、その思いを忘れる。頭を占めるのは今、与えられた快感。沸いてくる自分の男への愛しさだ。
それだけでメモリを完全に使い切り、ハングアップ寸前だった。

「キ…ス……」
「ん」
「し…て……、し……て下さ…い。キス…て、お願い」
「あ、ああ」

竜児も呆けた意思で、熱に浮かされた亜美へ蕩けるような接吻をする。
乳房を求め続けた、唾液で濡れた舌を使った糸を引くような口付け。亜美は鼻で息をつぎをしながらその乱暴な舌使いに身を預ける。
88HappyEverAfter−PS-35/54:2011/02/13(日) 21:33:45 ID:ZV+X8iet

亜美の瞳から蕩けたように、陶酔の海に身を沈めた事を確認した後、彼は彼の陶酔に戻ろうとした。
引き寄せられるように乳房に竜児の唇は向かう。勃起した乳首を舌先で執拗に苛む。
舌先でつつき、舌裏を使って先端をこすりし、舌の腹で舐め上げた。
亜美に快楽の波を送り込む。

「ふぁん、や、そんなとこ、ばっか…り」

強く乳首を押し倒るように圧力を与える。乳首は舌から逃げるように倒れるが、すぐに反動で戻ってくる。逃げられない。
その逃げ場所を失った乳首に歯を与える。亜美が声をあげる。いたわるように優しく舐める。亜美が気持ち良さそうに吐息を立てる。
その繰り返しが楽しくって竜児はいつまでも際限無く続ける。
子供がおもちゃ遊びをするように、弄繰り回す。亜美の乳首、そして乳輪は彼の唾液でベトベトに汚れていた。

「はぁ…はぁ…ああ、駄目になる…もう…駄目になりそう…、やめてよぅ」
「駄目になっちゃてもいいだろ。お前が耐え続けるのって、こういう時でも、俺、なんかいやだ」
「…だ、だからって……あぅ…こわいの…。こんなの…知らない…、だから…んぅ…やっ…言ってるのに」

亜美は自分の言葉に震えた。自虐的な言葉が心を抉る。
犯されている自分を自覚する。きっと、この後、彼に処女膜を突き破られてしまう。
そう思うと、胸が一杯になる怖さと幸福感、期待感で一杯になる。

ちゅぷっ…ちゅ、ちゅう…ちゅ、ちゅっちゅっ…

けれど、胸への執拗な愛撫は続く。きゅっと唇をすぼめて乳輪すら吸い取られるのではないかと言うくらい吸引されている。
まるで、母乳を求める赤ん坊みたいだと亜美は思った。
自分でもびっくりするくらい乳首が大きくなっている。本当に母乳が出てくるのではないかとさえ思える。
そして母乳が出るようになった乳首は勃起したまま、元に戻らなく為ってしまうのではないかという非現実的な恐怖心が湧き上がる。
それでは女優の川嶋亜美は続けられなくなる。
高須竜児の彼女しかやる事がなくなる。
彼女の全てが竜児のものになってしまうのではないかという妄想が湧き上がる。

「んっ、んんっ!はぁ、…もっともっと吸って…いいよ、高須くんなら…母乳出るようにして…」
「本当、出ちまうような気になるな…はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ…ぷぁ」
「多分、出る。はん、出ちゃう気がする。ふぁ…だからもっと吸って…あかちゃんみたいにぃ…」

竜児は口を離すのも惜しいと、しゃぶりながら返答をする。一言、一言のたびに舌がゆれ、亜美の乳首を辱めた。
鼻先を乳房の柔らかな肉に埋め、必死に乳首を求め、両の手はミルクを搾り出すように、彼女の胸を揉みしだく。
下方から内側になんどもなんども寄せあげる。
そんな竜児の頭を撫でながら、快感に震えて身をくねらす亜美。安堵感と母性本能と性欲がまぜこぜになった感覚に震えた。
理性が飛び、馬鹿になってしまうのではないと言うほどに彼が愛しかった。

「はむっ、はむっ…ちゅちゅっ、ちゅむ…ぷぁ」
そんな乳房を食む音が部屋にあふれ、亜美の懇願する声が共鳴する。

「高須くん、もっと吸って…。あかちゃんみたいに…」

もう少しだ。亜美はもう少しで母乳が出るような感触があった。
89名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 21:34:24 ID:cHvIK05b
C
90HappyEverAfter−PS-36/54:2011/02/13(日) 21:36:01 ID:ZV+X8iet
口内では唾の分泌がとまらず、下半身ではヴァギナから愛液が滴る。なら胸からミルクが出てもなんら不思議は無い気がしたのだ。
竜児に飲んでもらいたいと思った。初めての性行為。どういった事が正しいかなんて解らない。だから本能が求めるまま快楽をさぐる。
きっと飲んでもらえるなら途方も無い充実感が沸きあがる気がする。 竜児の髪を撫でながら、それでいて、時折、快感に泣き叫ぶ。

ちゅぱ、ちゅぱっ…ちゅぱっ…ちゅるゅ…ちゅるるる…

「高須くん……おっぱいばっかり…ん…はふ、いいよ。素敵…」

竜児は夢中になりながら乳房を搾るようにして手の平を開け閉めして、刺激を与え続ける。
彼の一動作、一掴みが亜美の息を熱くさせ、身震いを呼び起こす。
自分自身が彼女に快楽を与える事が出来る事の感動と実感にいとおしさを募らせ、その度に唇を寄せ、舌を貪る。
亜美はキスとキスの合間に息をし、ぽおっ…とした様子でうわごとのように愛の言葉を捧げ、竜児を見つめる。
声は艶を増し、体温は上がり、乳首は硬さを増していく、すっかり意識もとろけ、とろんとした目つきとなっていた。

「川嶋、俺…、お前のこと大切にする」
「あたしも…、やぁ、はん、あたしも高須くんが一番大事」

竜児は興奮と欲望と愛情とで混ぜこぜになった気持ちのまま。息を荒く付き乳房を揉んだ、言葉をつむぐ。
ぎゅと縦に握ると指の隙間から逃げ出しかねないほどに柔らかく、けれど、指をはじくような弾力と指が
くっついて離れなくなるのではという肌の張りの両立。
少しでも手を離すことが出来ないほどの魅力に溢れていた。

くにゅくにゅ と胸が揺れるたび
「んぅ、ふぅ、はぁぁん……やぁ、……だめ、気持ちいい」

亜美の嬌声が響く。
いつのまにか、亜美の胸は腫れてしまったのではないというほどに赤くなっていた。それは彼女の愛撫に対する興奮の度合いをしめすもので
血流の赤さだった。体中が汗にまみれ、部屋に亜美の臭いを満たしていた。
それが竜児の鼻腔に刺激を与え、征服欲を勢い良くけし掛ける。

「川嶋、もっと、気持ちよくなって欲しい」
「やぁ、駄目。もう…。胸だけで、あたし…、馬…鹿になる、きゃふ」

胸の頂点たる乳首が摘まれ亜美が悲鳴のようなあえぎ声を挙げ、身を跳ねるように揺らした。
竜児に乳首を持たれたまま、身を震えさせると、深く体をベットに沈め、両手で顔を隠し、ただ息をするだけ。
亜美は恍惚に身を漂わせてた。

そして無意識のまま、自分の腿と腿をすり合わせる。
秘部がむずむずとしたから、彼女の性が好きな男の遺伝子を求めて喘いでいたから、自分の足でそれを無意識のまま慰める。
もう当たり前になった仕草。

ちゅぶ、じゅり、ちゅぶ

濡れだ部位が擦るような音がした。かなり大きな音だった。愛液で満ちていた。

「川嶋、なんか音しないか…」
「や……」
91HappyEverAfter−PS-37/54:2011/02/13(日) 21:38:12 ID:ZV+X8iet

腿を濡らすほど、音が鳴るほど愛液が分泌されていた。亜美は竜児の指摘でそれに気づく。
羞恥心が煽られ、目をつぶり、指を握り、興奮した息使いを続ける。
だから竜児が好奇心のまま、亜美の下半身に顔を近づけた事に気づかない。
気づいたのは
さわさわとした腿を撫でられる、陰部に接触された感触を感じた後だ。

「胸はもう駄目なんだろ。なら別ところをする」
「そんな意味じゃない。や、駄目!」亜美が叫ぶ
と同時に両足で竜児を挟む。生半可な力ではない、力の限りという程の強さで万力のようにがっちと決める。
足だけではなく、腰に密着させ、締め付ける。
竜児は頭蓋骨がミシミシとなっているような音を聞く。

「ちょ、川嶋。な、なんだってんだ」
「だって、変なところ高須くんが見るから、先言ったじゃん、毛、ぼん、ぼん、ぼんで、ちょっと、人より多くって」
「だからって、こんな事…、おぅ、苦…、しな…くても…」
「とにかく見たら駄目。目あけちゃ駄目だって」
「て、言っても、その毛に俺の顔を押し付けてる訳なんだが」
「きゃぁ」

亜美は逆効果になっている事に気づき、足の戒めを解く。
そこを逃さず竜児は彼女の足を押さえ、再びの絞め技を防ぐ。
両手で強引に開かれたその中心で柔肉が光っていた。
愛液でうるおった陰部はたっぷりのシロップを掛けられたようにぐちゃぐちゃだ。それが竜児の欲望を高めた。
彼は自らの意思で豊かな陰毛の中に顔を埋める。

「ちょっと待って。だから、やなの、見られたくないの」
「もうさっき見た」
「なら、もういいでしょ」
「けど、ちゃんと見てない」
「だから、しっかりなんか見られたくないの。格好悪い。変だから」
「変じゃないって。さっき言ったろ。そんな事でお前嫌いになる事なんかないって」

竜児は自分の言葉を証明するように陰部に舌を当てた。それが亜美の羞恥心を煽る。

「で、でも今みたいに手入れしてないのが普通だと思われるの、困る。いつもはもっとキレイになってて、ちゃんと可愛らしくて…」
「解ってるよ。外面のモデル面もお前だし、化粧顔もキレイだとは思う。けど性悪のガキぽいのもお前だろ、今だって本当の川嶋だ」
「だからって、そんなところみて、それが本当のあたしって言われても…」
「それに見たやついるだろ。俺以外に手入れしてないそこ」
「え、いないって、そんな人。怒るよ?」
「大河が海行った時見たろ」
「え、あ、うん。て、タイガーだよ、例外だって」
「俺が知らないてのも我慢ならない」

竜児は亜美のヴァギナにくちづける。亜美に嬌声をあげさせ会話を中断させる。
クンニリングスなんて、彼は当然したこと等ない。ので彼女の唇にする時と同じように好きだという気持ちを込めて唇を重ねる。
92HappyEverAfter−PS-38/54:2011/02/13(日) 21:40:35 ID:ZV+X8iet

濡れた大陰唇をついばむようにキスを散らし、小陰唇を舌でなぞる。その度に亜美が揺れる。裂け目がひくりと振動し、膣口が水分を増す。
外気に触れない隠すべき秘部の内側はちょっとした刺激だけで大仰に大脳に驚きを伝える。亜美は頭の中がぐちゃぐちゃになるのを感じた。
強い刺激と、高須竜児が自分のそんなところにキスをしているという状況、子犬がミルクを飲むように一生懸命舌を伸ばしてくれている。
鼻の頭が熱くなり、後頭部はしびれる。陰部はより一層、愛液を分泌している。よろこんでると思われるかもしれない。
そんな不安がよぎる。淫猥な女だと思われてしまう。気持ちいい事がきっとばれてしまっている。

「やだ、やめてよ。変態みたい」
「みんなやってる」
「なんで知ってるのよ」
「俺もいろいろ調べた」

目の前ではうずききったヴァギナが短い周期で収縮を繰り返している。彼には、もっと、もっととキスをねだっている唇の動きに見えた。
応えてやりたい。竜児は亜美に求める。

「俺、お目の事、好きなんだ。隠して欲しくないんだ。全部、俺に見せてくれ」

そう言われてしまえば、亜美に拒否など出きるはずもない。
高須竜児は彼女の良いところも悪いところも愛してくれる。愛して欲しい。

亜美の右脚は竜児により押さえられ、膝の裏を左手でつかんでグイと前に押し出される。が、亜美は抵抗を示さない。
左脚も同じようにされるが、同様だ。亜美は抗うことなくM字開脚状態にされてしまう。

「…川嶋、もう隠さなくてもいいだろ?。キスしにくい」
「…」
「…いくぞ」

亜美にそう断ると竜児は再び顔を近づけ、じっくりと視線を送る。
繰り返し噴き上げた愛液でべちょべちょの女性器。ほわ、とほのかに湯気が舞うよう、濡れ開いた女性器が目と鼻の先にある。

んくっ…。

思わず竜児はつばを飲み込む。妄想の中で何度も夢見た亜美への入り口を目の当たりし、息を、生唾を飲んだ。
眩しいほど鮮やかな桃色をした柔肉は内側から盛り上がり、M字開脚のためにクニュ…と艶めかしく開いている。
失禁を重ねたかのように潤っている柔肉の合わせ目には小さくとがったるクリトリスも確認できた。
換気するように開いた柔肉の奥にはフェロモンのたっぷり詰まった膣口が呼吸するようにヒュクヒュクしている。
たしかに驚くほどに径が小さい。ペニスを受け容れたことがないそれは硬く、快感に少しは弛緩したといえ、
まだ硬く挿入もむずかしいかもしれない。
だから、優しく緊張をほどいかないといけない。

ここからもキスの応用だ。深いキスをする要領で、濡れた裂け目の内に舌を沈めた。桃肉を押し分けるようにして舌を進ませ、
舌同士を絡ませるように膣口内を舐め上げる。初めての快感が彼女を襲う。

「た、高須くん。やっぱりもうやめて、なんか怖い」

抗議を無視して竜児が恥丘に手を伸ばす。中心で割れている亜美の裂け目に指を下ろした。指が濡れる。
十分すぎる量の愛液が溢れていた、陰毛もぬれほそっている。
93HappyEverAfter−PS-39/54:2011/02/13(日) 21:45:25 ID:ZV+X8iet

「びちょびちょだ」と思わず感想をもらす竜児。
「だって、だって、しょうがないじゃない。勝手に出てくるんだから」
「俺はうれしい」

亜美のそんな反応に喜びを感じる竜児だが、亜美は自分の様を嫌悪するように膝と膝を刷り合わせ、足を閉じようとする。
けれど竜児の左腕がそれをゆるさない。亜美を開脚させたままにする。亜美の恥じらいが竜児には楽しかった。
裂け目にそって空いた右手の指で前後に動かす。中指の腹でこするようにゆっくりと。「ねちゃ」という音が増しているように感じた。
彼女は息をするのが精一杯といった様子で口をぱくぱくと開き、閉じる。
時折、喉の奥からくるしそうで、それでいて快感をうったえるような声を出す。

「…あんまりいじらないで…あたし、あ、やだっ…もう、やだ…」

亜美がこらえ切れないように、哀願する。けれど、竜児はそんな亜美を美しいと思った。だから

「川嶋のイクところが見てみたい」

今でさえ超一流の家具のような美しさなのだ。スタイリシュで誇り高い。
その頂点はどれだけのものなのだろうか。誇りが喜びでほどける様はきっと、つぼみが花弁を開くように美しいだろう。
彼女の誇りも外聞も剥ぎ取りたい。竜児は愛撫を止めない。

「やだ…恥ずかしくて死んじゃう…見られたく、ない…」
「どうしても見たい。川嶋、気持ちよくなってくれないか」
「そんなこと言っ…たって…だめ、そこは。そこは…ぜったい駄目」
「川嶋、好きだ」

竜児はそう言って、指を抜くと、その指でヴァギナを開く。そして唇を寄せてキスをした。亜美が痙攣するように体をそらせる。
唇に欲情で蕩けた媚肉の熱は予想以上に情熱的で、強いキスをしてしまう。唇を吸うように、秘裂を吸う。愛液が口に入ってくる。
強い味のしなりだが、竜児は美味しいと感じる。
乾いた体が水を極上の甘みととらえるように体が自然と求めている。強く吸い続け、止める事も出来ない。

「ずずずぅ」と音が鳴る。
亜美は「やぁあぁぁぁぁ」と絶望的で喜びを秘めた悲鳴をあげる。

吸い込む音が長い時間している。竜児は止めることなどできなかった。そして亜美の顔を見上げる。どんな表情をしているのかと。
亜美と目があった。亜美は竜児がヴァギナにキスしている姿をずっと見つめていた。だから目があった。
亜美も自身がどれだけ、卑猥な事をされているか知りたかった。
高須竜児と性交をしているという事実を確認していたかった。
自然と体液が分泌され、口からよだれがたれてしまうが、それをふく間もおしかった。
自分が喜んでる顔をしている事もわかっていたが表情を作る余裕もなかった。
口でなんと言っても、弁解など出来ないだろう。そこまでして
「犯されている自分を」見つめていたかった。

その自分を竜児が見ていた。欲望まみれなところを。ヴァギナが収縮する。

「…キスやめて…イッちゃいそう…クリトリスだけは吸わないで」

竜児は亜美のリクエストに答える事にした。
94HappyEverAfter−PS-40/54:2011/02/13(日) 21:47:57 ID:ZV+X8iet

薄い皮につつまれた紅玉の頭に口をつける。つんと起立したクリトリス。それを口付け、含み、舌での愛撫を開始する。

はぐ、ぶぢゅ、ぢゅっ、れるっ、れるっ…ちゅ、ぴちゅ…るりゅっ…

「だめ、怖い。本当、怖くて、どこかいっちゃいそうで」
「なら、いけばいいだろ。怖くない。俺がいつも一緒にいる」
「でも、だめなの。お願い、やめて、許して」
「駄目だ。フェラの時、お前、やめてくれなかったろ」

竜児はあえて音立てて陰部のすべてを愛撫する。亜美の足を押しとどめていた左手も離し、陰唇を愛撫する事に参加させる。
愛液を潤滑油にして指で擦る。こすりながらクンニを続け、ヴァギナへのキスを続けた。

「本当ゆるして、駄目になっちゃうから。だから…」
「悪い川嶋、俺、お前にしてやりたい」
「だめだめだめだめっ!やだ、きそうっ…!!」

竜児はその高ぶりに合わせ、親指と中指でクリトリスを包む包皮を剥く。
皮から首を出したくて仕方なさそうなその尖りは苦しそうに見えたのだ。早くだしてあげたい。痛いほど気持ちが分かる。
つるりとした摩擦の刺激をうける女の陰茎。それだけで果てるのには十分だったかもしれない。
それに加え、竜児は丸裸になったクリトリスにキスをした。そして舌を使った。それはとてもやさしい舐め方で、
「くぅ、く…くくぅん…っ!!はぁっ、うううっ…ああああ!!」

亜美は背を弓なりにそらし、果てる。
荒ぶった呼吸はいつまでも落ち着きを取り戻すことができないまま、それでいて、体は指一本動かせないというように横たわった。


         ******


川嶋亜美はベットに横たわっていた。力がどこにも入っていないように弛緩している。
竜児は数分たっても身動きをしない彼女をさすがに心配になり、声を掛けた。

「大丈夫か?、川嶋」
「……」
「怒ってるのか、無理やりしちまって」
「……」
「おーい、川嶋さん。ばかちー?」
「……」
「えーと、あ、亜美?」
返事が無い。どうやらただのしか…


がばっと起き上がり
「なわけないでしょ。大丈夫なんかじゃない!」
「お、おう」
「怖かった。本当、怖かったんだから」

今にも泣き出しそうな顔をして、亜美は抗議を行う。
95HappyEverAfter−PS-41/54:2011/02/13(日) 21:50:06 ID:ZV+X8iet

「すまん。少し調子にのった」
「全然、少しじゃない。調子のりすぎ。何回も何回も、やめてって、ゆるしてって言ったのに」
「う、わ、わりぃ。とまらなかった」
「反省…してる?」
竜児は黙ってしまう。

「してないの?」
「お前に気持ちよくなってもらいたいって気持ちは反省してない。けど、怖がらせた事は後悔してる」
「なら、あやまって」
「ごめん。川嶋」
「ゆるさない。あみじゃないから」
「ごめん、亜美」

亜美は嘘泣きをやめた。
「なら許してあげてもいい。その代わり、次のステップ。本当のSEXの時、やめてって言っても、痛いって言っても最後まで続けて。
 そうしてくれたら許してあげる」
「あー、えーと、がんばる」

「そうだ」次のステップという言葉に竜児は急速に我に返る。
ゴムが無い。部屋に置いてあったゴムはさきほど外してしまった。このホテルに置いてあったゴムは一つきりだった。
一度外したものを上手く付け直せる手際など竜児にはない。それに危険性を増す。再利用など検討の余地も無い。

「どうする」自分に問いかける。
初めて使うラブホテル。使い勝手がわからない。電話で従業員にコンドームを持ってくるよう頼むなど竜児には思いつかない。
今から薬局に買いに行くか。しかし、今は深夜だ。大橋で深夜営業の薬局など存在しない。
けれど大橋といえどもコンビニはある。ならそこで、竜児の脳みそがフル回転で思考をする。
駄目だ。この近くにコンビニはあるのかまったく知らない。
ホテル街など、彼が来たのは初めての事。ましてや、ここに来たのはタクシーを利用してだ。
車内では亜美を意識しすぎて彼女を見る事も出来ず道すがら窓の外をみていたが、風景などまったく頭に入ってこなかった。
途中にあっただろうか?、今から走り回って探すしかないのか?

そして、亜美を見る。

彼が外に出る間、彼女を一人でここに残すのか?。もちろん、コンドームを一緒に買い行こう等、今のタイミングで誘うのは論外だ。

「どうしたの?、高須くん」

不自然さを感じ取り亜美が話しかけてくる。
まだ、少し拗ねて、それでいて、緊張した様子が感じ取れる。そんな彼女に
「無いから買いにいってくる」という事を告げなければならないとしたら、雰囲気をぶち壊ししてしまうかもしれない。
亜美が無言で見詰めてくる。その視線が罪悪感をよびさまして、つらくなる。
いつまでも黙っている訳にはいかない。それこそ重い雰囲気を作ってしまう。竜児はおずおずと

「コンドームなんだが…」
96名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 21:50:12 ID:cHvIK05b
C
97HappyEverAfter−PS-42/54:2011/02/13(日) 21:54:58 ID:ZV+X8iet
「ん?、ゴム?。そうがどうしたの」
「いや、先つかったから無くなちまった…」
と情けなそうな顔で答える。呆れたかなと亜美を見返す。
きょとんとしていた。

「なに、そんな事?、私、持ってるよ」
「家にはあるんだ。勘違いするなよ。隙あらばお前とやりたいとかいつも思ってた訳じゃないんだがらな。男の責任ていうか、いや、万が一、億が一だが、そういう機会があったとした時に備えてだ。そんな時、用意してないとか、
そんな無責任に出来るわけないだろ。ゴム無しは絶対に駄目なんだ。そういう事態にいざなって責任は取らないて事じゃ絶対にないからな。むしろ喜ぶぞ、俺は。けどそれは男の義務なんだ。生なんて女の子に負担にもなるし、
俺は負担なんておもわないけどな。前言ったようにお前に嫁に来て貰いたいとも思ってる。暖かい家庭も欲しい。出来たら男の子と女の子の二人は欲しい。実は大家族の方が楽しいとは思うんだ。もっと二人以上欲しいけど、
ちゃんと育てるとなると多すぎだと困るだろ。収入がしっかりして、きっちりしたライフプランを立てないと。保育園だろ。小学校、中学校、高校。大学は子供の意思にまかせる。けど、やっぱり行かせたい。公立じゃなく私立もありだ。
教育はしっかりしてる方がいいしな。そうなると高校からは塾も考えないといけないだろ。下手すると中学からだろうし、これからの子供も大変だよな。ところで子供手当ててその時もあるのかな。ありがたいとは思うけど日本の財政
だいじょうぶだろうか。俺達の子供が成人した後の日本の経済状況って心配だろ。そうするとやっぱりしっかりした教育が必要だろうし。そう言っても三人目が出来たらその子だって大事にするぞ。どの子も可愛いと思う。
たとえそのせいで貧乏になっても俺は頑張る。だがお前には苦労させたくない。だから将来設計も大事だ。お金は大事だ。お前は自分が稼ぐから大丈夫だとか言いそうだが、それは男の責任とかもあるし。お前が好きで女優とかモデル
やるのは結構だし、応援する。それと食い扶持を稼いでもらうのは違う。古いとかそんなのじゃなくて、ヒモって感じ、嫌なんだ。もっとこう、て、なんて言った?」
竜児は早口でまくし立てながら、やっと我に返る。

「わたしだって、いつもHな事、考えてた訳じゃないんだよ」
「いや、だから、何を持ってるって」
「…コンドーム、一箱」
「へ、いや、だって、お前、いつ買ったんだ?」
「ちょっと前に買った」
「大橋高校からはタクシーで来たし、お前を連れ出してからコンビニなんて寄ってないし、
 て、なんだ、ちょっと待ってくれ、お前の家出る時、もしかして、それ、探してたのか?」
「ち、違う! 。バックに入れたままだったの。高須くん家、居候させてもらう事になった次の日に買いに行って、そのままで」
「て、お前、そのバック、いつも持ち歩いてやつだろ」
「い、言っとくけど、いつもそんな事考えてた訳じゃないんだよ。
 ただ、ただ、そんいう雰囲気になった時、もしなかったら、高須くん、絶対、やめにするだろうし。避妊は絶対条件だろうし」
「……」
「……軽蔑した?」

竜児は笑って
「すげーと思った。改めて惚れ直した。さすが川嶋だ」
「べ、別に…」
「すまないな、フォローさせちまって」
「…別にさ、高須くんが馬鹿するのはいつものことだし」
つんけんとした亜美を竜児は抱きしめた。「そして少しまっていろ」と言って、もぞもぞとコンドームをつけだす。

アンニュウな時間が流れる。亜美はその様子をシーツに身をくるんで待っていた。
それは彼女自身が貫かれる猶予時間だ。期待と恐れ、恐怖と快感への甘い痺れ、矛盾した感情が胸をむたす。
臆病な彼女、当初より、それは怖さの方が大きかった。そして、それが秒読みの段階となれば大きくそちらに傾く。
体の奥がキュとなった気がした。


竜児がベットに近づくにつれ、早鐘のように胸がなる、脈動がわかる。
彼がベットにもぐりこんできて、亜美にキスをして

「今度こそ、うまくやるからな」

と思いやりを感じられる言葉だが、余計、これからの事を想像してしまいヴァギナが緊張で苦しくなる。

「来て」

先に進む事で強固な繋がりが出来るだろうと考えている。その喜びは処女を散らすときの痛みを取り払ってくれると期待している。
ヴァージンを失う痛み、周りから散々聞いた怖い話も耐えられると思える。
覚悟を決めて、痛みに耐えるため体を引き締める。
竜児がベットに入ってくる。目で見る事は出来ないが、下半身が接触するまでもう少しだろう。痛みに備えようとする。
98HappyEverAfter−PS-43/54:2011/02/13(日) 21:57:27 ID:ZV+X8iet

彼の先端が、彼女の窪みに触れる。異物が彼女に侵入したがっていることが解る。
コンドームを付けるのを待つ間から彼女のヴァギナは先ほどから泉のように溢れていた愛液の分泌を止めていた。
臆病者の彼女。

竜児のそれが押し付けられ、グニグニと動く
膣口は生理的な反応として未知の存在を拒絶するように警戒を強める。が、それもこじ開けられる。
押し付けるように竜児の腰が前に動き、傷口を指で裂き、広げるように押し込まれる。
今度こそはと、それでも、苦痛に耐える亜美だが…

「「あ」」

二人が同時に声をあげる。さきほどのようにペニスが外れる。狭い膣口に拒絶された。

「わ、悪ぃ。もう一回させてくれ」
「う、うん」

何度も繰り返すが上手く行かない。
竜児は焦りを強くし、亜美も自分の責任を感じて、より一層、体を硬くする。

「すまん。不手際ばっかりだな」
「ごめん、高須くん、それ、たぶん私のせい」
「なんでだ。そうじゃねぇ、俺が」
「言いづらいんだけど、なんか、さっきからあそこがキュってなって
 なんか入り口が閉まっちゃうような感じになって
「やっぱり先のやつ、アソコにキスとか、下手で気持ち悪かったか」
「気持ちは……よかった」
「なら、なんで」
「よかった。馬鹿になっちゃうと思ったくらい。自分じゃないと思うくらい気持ちよかった。
 けどその後怖くなったの。いい事があった分、これからもっと怖い事があるんじゃないかって」

竜児は亜美の頭を撫でて、
「お前に無理させたくない。今日はやめとこうか」
「駄目、最後までしてくれる約束」
「けど、俺、上手くできないぞ。正直、やり方もよく解らない。たぶん乱暴だ。怯えさせちまう」
「今日する。なんかすれ違うみたいでやなの。今日、高須くんとしたい」
「けど、痛くさせてちまう、今の俺じゃリードなんか出来ない」
「…いい。痛いのは我慢出来る。けど、今日出来ない事は我慢出来ない」

竜児は今度は自分の頭をかく、最後までしたかったが亜美に苦しい思いもさせたくない。
亜美はうまく行かない事に焦りを覚えているようだが、今日にこだわる必要などない。二人にはこれから先があるのだから、
ゆっくり話していけばいいと思う。

「なぁ、川嶋。ごっこじゃ駄目か?」
「ごっこ?」
「入れるんじゃなく。お前の表面を俺ので擦るんだ。入れないけど同じように俺が動く。
 SEXと同じように出来るし、キスも余裕もってやれる。
 本物じゃない、安ぽいまがい物みたいな事だって、おまえは言うかもしれない。
 けど、負担も少ないし、練習にもなる。きっと好きだって気持ちも分かち合える」

駄目もとで聞いてみる。雰囲気などなにもない、ロマンスの欠片もない提案だ。拒絶されてもしかたはない。
99HappyEverAfter−PS-44/54:2011/02/13(日) 22:00:13 ID:ZV+X8iet

「エッチの練習?」
「ああ」

我ながら、無粋なアイディアだとは思う。初めての夜。上手く行かないからといって、ここで練習を持ちかける。
ちゃんと準備しておけと思われても仕方が無い。そんな彼氏に百年の恋も冷めてしまうかもしれない。
しかしこれでも前向きな提案のつもりだ。馬鹿にした返答はされるだろうが…

「いいよ」
「な、なんて言った」
「だから、いいよ。なんか、そんなニセモノSEXなのに必死で腰動かす童貞少年、高須竜児を想像しちゃったらおかしくなっちゃた」
「そういう言い方もないだろう」
「私の高須くんが可愛いって褒めてあげてるんじゃん。素直に喜んでよ」
「喜べねぇよ、俺だって男だ」

「あのね。ニセモノって本物じゃないし、嘘はきっと間違ってる事なんだろうけど。それでもね。その奥の気持ちまではまがい物じゃないと思うんだ。
 嘘をつく理由は常にある。だから、嘘全部が嘘な事なんて事は絶対にないんだ」
「禅問答みたいな話だな」
「嘘ってさ、本当のことじゃなくても、言えるよね」
「そりゃ、嘘だから言えるだろ」
「でも、本当は違う。嘘をつく為には、嘘じゃない理由がいるの。相手にどう思って欲しいとか、どうなりたいとか。気持ちはきっと本物」
「どうしたんだ突然?」
「高須くんはさ、嘘のSEXごっこがしたいって理由、聞いたら、練習だって言うから」
「そうだよ。悪かったな」
「そうだね。すごくかっこ悪いなって」
「それは……自覚はある」
「格好悪いって私に思われてもいいって言う位プライドも無い高須くん。でも、上手く出来ない原因は実はあたし」
「違うだろ。なんで、そういつもお前は」
「ふふ、そうだね。原因、わたしはあたしだと思ってたけど、高須くんは二人の問題で、二人で練習しようと言ってくれた。
 自分が格好悪いと思われるかもしれないのに、そう言ってくれて、でも私が抱え込むのも許してくれない」
「当たり前だ。お前に独り占めなんかさせるか」 

「そうだよね。二人で、これからも、ゆっくり、話していくんだよね」
「お、おう」
「ごめんね」

亜美は妖艶にゆっくりと足を開く、長い足を広げ、膝を曲げて、自らM字の形に足を開く。
羞恥を浮かべた赤い顔でそれでも竜児を彼女の芯に誘う。
「解った。だから、来て」

竜児は彼女の腰の間にゆっくりと体を押し込む。膝を立てた両脚をゆるやかに開いてもらってその間に割り込み、肌を合わせる。自然と一息、肺の中から空気をもれる。
すると亜美も同時に吐息がもれ、顔を見合わせる。そして思わず笑いあう。
勃起していたペニスがさらに起立を増し、押し当てるようにして亜美に濃い目の下腹部に押しつける。
先ほどまでのようにピンポイントを狙って押しこむようにはせず、蜜着するように、当てるようにその身を亜美の肌に合わせる。
あてがわれた亜美も、それ自体が性感を刺激するような事はなかったが、快さを感じた。
その熱を帯びた竜児の肌より、一層、温度をましてその体温、時折、脈動する血脈を感じ、彼自身の興奮と欲情を感じれた気がした。
竜児の気持ちが、思い込みかもしれないが、彼の中から染み渡ってくる気がして、それが嬉しかった。
心の、気持ちのひだをペニスで撫でられている気がした。
それはとてもやさしく、とても、やらしかった。
100HappyEverAfter−PS-45/54:2011/02/13(日) 22:02:15 ID:ZV+X8iet

竜児も亜美のヴァージンを奪う事、痛みを与えないようにすること、うまくやること、その義務感から解放され、
愛情だけで彼女のヴァギナに触れる事が出来た。
ただ、愛しかった。

そして裸の胸を合わせる。

はぁ、はぁ、はぁ…という、いきづかいを感じる。相手がどれだけ、自分を大切に思ってくれているかを感じた。
ドキ、ドキ、ドキ…とした、心臓の鼓動を感じる。自分がどれだけ、相手を必要としているか実感していた。

早鐘のような鼓動。すっかりあがった息。
汗の匂い。愛液の匂い。上ずった、漏れるあえぎ声。
卑猥で、純真な感情が起伏する。

「…高須くん、乱暴でもいいよ。好きなように動いて。あたし、その方がうれしい…」
「ああ、好きにさせてもらう」

竜児は力をかけないように左手をベットについて、自重をなるべく自分で支えるようにして、右手は安心させるように亜美の指にからめ、手を握る。
ゆっくりと力が必要以上に入らないように、腰を前後する。
ペニスが強く当たって痛みを与えないように、彼女のクリトリスの上をわずかにこする程度を意識して摩擦を繰り返す。

「いいのに、好きにしても」
「だから、好きにしてる」

ぶっきらぼうに竜児は告げると、右手を離し、壊れものをあつかうように尻から背中にかけて撫でる。

「んぅ…、それ、素敵…」

先ほどとは違った、緩やかな、軽やかな刺激の中にいる亜美はぬくもりの中で快感に漂うような気持ちになる。

竜児の興奮が増すにつれ、彼の動きも大胆になってくる。
スライドが大きくなり、怒張したままのペニスが亜美のへその上に押しつけられ、形に添ってへこませ、すべる。
それは亜美からも見えて…

「それ、すごくやらしい。動物みたい」
「わりぃ。気持ち悪いか?」
「気持ち悪くなんかないよ。やらしいけど、可愛いし」

白いおなかをペニスが走り、形のいいおへそに先端が引っ掛かるって、また戻る。

「ふふ、ちょぅと触らせて」
「お、おう、ちょっと待て」

竜児は再び亜美のお腹にペニスを走らせそこで止める。亜美は両手の平で包み込むように亀頭をつつみ、撫でてみた。

「うん。やっぱり、可愛い」
「かわいい、かわいいって、ナニをそう言われるのって、ちょっと複雑なんだが」
「だって、小さくてかわいいもの、こうしてみると」
「それ、男にとっては侮辱だぞ。それに見たことねぇだろ、他のなんか」
「比べてあげようか?」
「俺の小さくてもいいから、他の男のはみるな」
101HappyEverAfter−PS-46/54:2011/02/13(日) 22:04:58 ID:ZV+X8iet

竜児は強引に腰を下げて、亀頭を手から逃がすと今度はつかまらないようにグラインドを小さく小刻みにした。
亜美のヴァギナ、特にクリトリスに絡みつけるような振動を何度も繰り返す。

「やだ、んぅ…、急に、あふぁ…、駄目…だっ…て…」
「お仕置きだ」

クリトリスの頭とペニスの頭がこすれ合う。竿と豆の小さな突起が押し付けあう。
クリトリスは竜児のペニスが濡れるカウパーでぐちゃぐちゃになり、
ズリュゥズリュという、音がいつしかなり響く。聴覚というのはsexの時も重要で興奮と感覚を鋭敏にしていく

「あ、んぅ、あふ、あ、あん、はぁ、高須くん、いい、気持ちいい」
「う、ああ、俺もだ、う、俺も気持ち良い」

いつしかヴァギナをなぞるペニスもそのすべりをよくする。
再び愛液が分泌を開始していた。こちらもクチャクチャとした音を立てる。
お尻の穴にすら水気を感じる。そこまで垂れてきている。竜児のカウパーと亜美の愛液が混ざったラブジュース。
クリトリスの快感が誤認させているのか陰唇への摩擦から感じる感触も甘く感じられるように亜美にはなっていった。

「高須くん、なんか、幸せ。ごっこ遊びでもいい。離さないで」
「離すわけないだろ」

ペニスを走らせる行為、腰へ響くような痺れ、そして亜美の柔らかさとその嬌声。
すべてが魅力的で、竜児はどれ一つとして失いたくないと思った。それどころではなく独占したい。こんな事を他の誰にもさせたくない。
こんなに自分が狭量であるのかと驚くほどに、それに比例してクリトリスとヴァギナを擦るペニスの動きは加速していく。

クチャクチャと粘り気が増した音が下半身からしてくる。唾液を混ぜ合わせたような音、深い口付けに似た音だった。
そうだ、口付けがしたい。二人は同時に感じた。

「はあ、はあ…高須くん…キスしたい、キスしよう」
「川嶋…俺もだ…」

ちゅぱ、ちゅぱ…ぷ、ちゅっ。

濡れた唇を重ね、舌を重ねた。

「ん、川嶋ぁ…」
「ちゅ、ちゅ…ぷぁ、高須、くぅん…」

興奮の汗が混ざり、愛撫に酔いしれながら互いの名前を呼び合う。
上擦った呼吸、そして鼻息はさらに深く、弾みをつけてゆく。
…頬を満たす熱量が増す。その頬をキスをしながら、こすり合う。擦り合わせるのは下半身も同じ。
キスを求めながらもやめることもなくクリトリスとペニスを密着し、合わせ、ヴァギナの上を走らせる。
竜児は懸命に腰を振り、亜美もいつのまにか押し付け、腰を揺らす。
…感じるままに吐息を漏らし、声をあげ、唾液を交換しあう。亜美の手は竜児の背に回され、肌につめを立てられた。

「んっ…む…ちゅ、ちゅっ…川嶋…」
「はぁ、はぁっ…んっ…ねぇ名前、呼んで…」
「亜美…。好きだ…」
「うんっ…竜児、あたしも好き…大好きだよ…」
102名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 22:06:47 ID:cHvIK05b
C
103HappyEverAfter−PS-47/54:2011/02/13(日) 22:07:17 ID:ZV+X8iet

亜美が下、竜児が上になって口づけを繰り返す。時には一休み。唇を離して名前を呼び合う。
目があい、自然と笑いあって、下半身は休むことなく愛撫を重ねあう。
性器の直接の刺激がそれを与えてくれる相手への愛情を加速させ、互いの名前を呼びたくなる。
そのやさしい響きがハートをクンニされるように、フェラされるように気持ち良かった。それがクリトリスとペニスの隆起を強くする。
とがったそれは互いの摩擦をより効果的に快感に変える。
愛情のスパイラルが続いていく。加速度的に快感が増していく。そのスパイラルはヴァギナにも届き、少しづつ開いていく。

「ふぁ、ふぁっ…あ、高須、くん…っ!」
「…亜美、俺…」
「もっと、深く…して……」

竜児の腰のグラインドが深くなる。表面を擦るだけではなく、えぐるように、塗りつけるように。
淫らなひとときだった。ついばむようなキスと抉るような男根の動き。時折、絡ませる足と指と舌。
竜児の唇と手は交互に亜美を攻め立てる。指先で舌先で、唇で吐息で。
苛め抜かれた乳首は痛々しいほどに尖り、吸い付かれるとブルと身を揺らし、唾液でぬらりと光る。
その度に亜美は小さな悲鳴を挙げ、竜児に媚びた声を囁いた。

胸にキスをして、耳を食み、唇を奪った。体中は汗ばみ、体は熱されていく。
犬畜生のように体を交わらせ、溶け合っていく。
部屋中に淫靡な臭いが満ち、お互いのフェロモンで陶酔した気分に犯される。いまや相手の汗の味さえ、甘く感じた。

「…オレ、したくて仕方があに…ちゅ…んんっ…乱暴にしちまう」
「すきなように、あたしにして」

ちゅる…たむ…ちゅ、ちゅ…じゅるっ…ちゅ、ちゅっ…

ただひたすらに唾液を交換しあう二人。顔に吐息をかけながら、ペロペロと舌をなめあい、チュと唇を押し付けあう。
足を互いに絡ませ、おなかを刷り合わせる。体中がベトベトだ。

「舌…とろけちゃうみたい。たべちゃいたい」
「吸ってくれ」

亜美は、はしたなくも音を立てて彼の舌を吸う。一緒に吸い込んだ唾液を喉を鳴らしながら嚥下する。
そして満足したような笑顔を浮かべ、長く舌を出し、竜児を待つ。次は彼の番だ。
亜美の舌を唇全体で摩擦を与えながら咥え、舌先から根元まで何度も刺激を与える。
それを四回繰り返し、また、舌を舐めあう。
過激になる唇に対し、下の唇である陰唇が不公平の抗議をするため口を開いていく。

「…高須くん。あのさ、もう一度、もう一度、私のなかに高須くんのおちんちん、入れようとしてみて、
 あのさ、あのね、今なら、大丈夫だと思う」
「けど、川嶋」

竜児の理性は亜美を配慮しようとする。が、すぐに雄の心が食って掛かる。愛するメスに自分の遺伝子を注ぎ込みたいと吠え立ててた。

「大丈夫、本当、ひとつになりたいの。無理はしないから。駄目だったら、また練習する。だから…」
「…ああ、俺もお前の中に入りたい」
104HappyEverAfter−PS-48/54:2011/02/13(日) 22:09:53 ID:ZV+X8iet

ゆっくりと亜美の膣口にペニスをもっていく、またもやすべった。
しかし、一度でやめたりしない。もう一度繰り返す。亜美がやはり苦痛めいたうめきをする。
今度は亜美にいたわりの言葉を返さない。自分の我欲もある。亜美を貫きたかった。言葉を与えるより、行動で亜美に応えたい。
体を押しつけ合っていたため、やはり下半身に目がいかないので見当をつけるしかない。
けれど焦りは少ない。慌てる必要はない。うめきはしても亜美は嬉しそうにしてくれている。
竜児の目は亜美の瞳、嬉しそうに輝く目の光を見つめていた。なぜ、下半身を見る必要などあるのだろうか?
そこに信頼もあれば、愛もある。怯えもあったが、自分が亜美を悲しませるはずなど無いのだからそれは杞憂だと言い切れる。
うまくいかない瞬間でさえ二人でいるなら、楽しめばいい。
初めては一回しかない。けれど何度だって体を合わせる機会はある。二人で同じ道をいき、同じ思いをもっているのだから。
大変な初めてを楽しめばいいと思えた。

亜美の股下からペニスを押しつけ、滑らせるように上にスライドしていく。
うまく挿入出来なくても彼女のクリトリスと自分のペニスを絡ませて楽しめば良いという位の軽い気持ちで腰を動かす。
クリトリスを擦るたび、彼女は甘く唇をゆがめ、快感の吐息を吐かせてくれる。
挿入するに越した事はないが、ようは快感を分け合いたいだけなのだ。亜美が喜んでくれればそれでいい。

亀頭が膣口に引っ掛かった。そして今までのことが嘘のようにヌルリと先端がヴァギナの少し奥まで吸いこまれた。
ある程度いくと膣の中は狭くなり、動きが止まる。竜児がゆっくりと動いてた事もあり、その形で止まった。力を入れすぎて滑りもしなかった。
あとは角度を調整して、押し込めば彼女の中に潜り込めるかもしれない。

「川嶋…」
「うん…」

腰を立てて、押し込んでみる。メリメリと肉を分けて押し入る感覚。強い抵抗があるがそのまま押し込む。
亜美が苦痛で顔をゆがめるが、それでも続ける。
痛い思いはなるべく少なくしてあげたいと思って何度も失敗している。だから、今回は一度で済ます。
我慢してもらいながら、ペニスを押し込む。彼女の、処女というものに、今、傷をつけて、打ち破る。
彼女を傷つけるならそれは自分でありたい。他の誰にもさせたくない。だから苦しそうな顔をしても続ける。

「ふぁ、ふぁっ…あ、高須、くん…っ!」
「…ゆっくり…川嶋のなかに、入れる」

亜美は空気を求め、口をパクパクとひらき、痛みに耐える。耐えられる。
これは待ち焦がれた痛みなのだ。
それに竜児の目が強く、思いやりのこもった瞳で彼女をみてくれている。それだけで報われる気がした。

「ふぁ、ふぁあっ…んあっ、高須くん…、もう、入り…きった?」
「今、半分くらい…だ」
「え…ううん…やぅあ…そんな…、おっきい…」
「だから…言ったろ、俺、小さくないって」
「な…んぅ…根の持…って」

竜児が軽口を言うのは今に耐えるため。その熱い体温、締め付けるような、絡みつくような感触。なにより彼女の秘裂に侵入しているという興奮。
奥に行けばいくほど、狭く、熱く、愛おしい。精を解き放てるのならすぐにでも解放したい。
コンドームをしているとはいえ、彼女の中に自分の精子を放ち、染み込ませたいと男の本能が騒ぎ立てる。

むぎ、みゅぎ…にゅむ、ぬむっ…ぬるっ…

亜美の花筒をコンドームに覆われたペニスが少しずつ押し広げて満たしてゆく。
なにものの侵入も許したことのない奥の奥へ男根が入って行く。
105HappyEverAfter−PS-49/54:2011/02/13(日) 22:12:06 ID:ZV+X8iet
痛覚神経がうめくのとは反対にヴァギナが歓迎するように絡みつき、締め上げ、精子の搾取を開始する。愛液が分泌し、潤滑を少しでもよくしようとした。
もちろん痛みはある。耐えられるか耐えられないかのギリギリで痛みがずっと続いていた。襞が力ずくで破られ、竜児のペニスの形に裂けていく。
皮膚を鈍器で何度も何度も突き破られるような痛みだ。傷口を抉られ、出来た傷口をさらに抉り続けられるような痛みだ。
だが、それが一つになっている事の証だと思えば彼女は耐えられた。
みっちり襞の密生した膣内は汗と愛液でヌルヌルとし、出血とでまざりあい、滑りを良くする。その滑りがペニスの動きを助け、挿入を助ける。

「も…もう…入った?」
「まだだ。まだだ。川嶋」

ただ、出来るごとなら痛みの限度知りたいと亜美は思った。次々に強い痛みが来るのは怖い。どこまで痛みがあるのか知りたかった。いつまでも痛いのはやだ。
出来ることなら、痛みの枠、ペニスが最長で入った状態まで行きつきたかった。
数秒ごとに亜美は竜児に確認する。竜児は否定する。彼は意識的に挿入をゆっくりとしていた。
彼女を労わる気持ちは当然ある。自分が爆発しないようにする事に力を入れていたからでもある。
それ以上に彼女が確認する声が聞きたかった。とてもかわいらしいと思った。

ぬむ、ぬぷっ…ぬ、むっ…。

ペニスの挿入が続く。その全長近くを…狭い、先ほどまで処女でいたヴァギナの中に埋没させてた。
張りつめた先端が亜美の行き止まりを探り当てる。腰を突きだしてみてもそれ以上の進行は不可能だった。
彼女の膣内のすべてを竜児が奪った。

「…入った…これで全部だ。川嶋…」
「これ全部が高須くん?」
「ああ全部、川嶋の中にある。お前の体温感じてる」
「解る…、高須くんの形と鼓動と暖かさ」

そこで二人は今を確かめるように互いの背中に腕をまわし、抱き合う。
そして、亜美は竜児の頬に自分の頬がよせ甘える。一つになれた喜びををあふれさせ、彼に解ってほしいと表現する。
自然、鼻や唇がふれあい、二人はそのまま唇を合わせて、舌を絡ませた。そのあと、見つめあい、互いの興奮の度合いを確認しあう。

互いに結合したことで生まれた感動を味わっていた。想像以上に気持ちが高揚して、涙が出た。
その中で竜児は亜美の先を求めたくて仕方がなかった。

「川嶋、動いていいか」
「私、なんか嬉しい…。いいよ。動いて…」
「俺もおまえが欲しい…乱暴かもしれないが…」
「いいよ。大丈夫だから、来て」

亜美が欲情と愛情が混ぜこぜになった目で竜児を呼ぶ。
竜児は彼女の横で両肘をつき、ゆっくりと腰を引いてペニスを戻しては押し込む。密着は亜美まかせ、
彼女が抱きしめてくるに任せ、腰の律動に集中する。
狭く、きつく締め付ける膣の間を挿入し、引き抜く、亜美の中で動く事に夢中になり、徐々に加速する体。

ぬ、む、るっるる、ぬちゅ…みぎゅ、みきゃ、みゅぎゃ…

先ほどまでの処女。当然、道は狭く抵抗は強い。竜児は力を入れ腰を動かす。力が入れば入るほど亜美が処女を散らした傷口への痛みも強くなる。
特に亀頭が入る時、抜け出る手時の痛みはきつい。けれど、その度にご褒美もある。加速する動きが時折とまる。そして、目の前に思いやるような視線を感じる。
髪をなでるため、頭に寄せられる竜児の掌が気持ちいい。情熱を秘めた唇が詫びと感謝を伝えながら自分に
唇や首、額、耳に降り注ぐのが切なくなるくらい胸が熱くなる。愛撫とキス、結合に酔いしれる。
106HappyEverAfter−PS-50/54:2011/02/13(日) 22:14:09 ID:ZV+X8iet

「はぁ、ちゅちゅっ…はむっ…ふぅ…亜美、大丈夫か?」
「ちゅぷ、ちゅむっ…ん、んっ…ぷぁ、いいよぉ…すごい、高須くんが優しいのが改めて解る。やらしくて優しいセックスぅ…」

自分を心配してくれる竜児。それでも、欲望を自分にはぶつける、気つかいの竜児。
自分の体に快楽を求める少年の姿に愛しさと独占欲が膨らむ。
今の世界は自分と竜児しかいなくて、その由一男の関心はすべて私のものだ。それが心の快感を増幅する。

「高須くん…もっと強く…もっと早くっ!」
「いいのか?」
「いいよ。いいから、だからもっと、気持ちよくなって」

正常位で一心不乱に竜児は攻め立てる。亜美の痛みを噛み殺すうめきと、竜児が快楽ゆえにもらすあえぎ声が部屋に満ちる。

「ああ、川嶋…、はぁ、はぁ、はぁ」
「あ、ああ、高須くん。高須くん、高須くん」

二人はお互いを確かめ合うように、少しでも近づきたいがため下半身の粘膜を擦り合わせる。いつしか竜児は頂点に近づく。

「川嶋、俺、悪ぃ、もう、限界だ」
「いいよ。イって、お願い、あたしでイって」
「もうすぐ…駄目だ。だから…おまえにも」

竜児の右ひじが離れ、支えを失って、亜美を体ごとベットに押しつける。
ふわりとしたベットに埋もれ亜美は竜児との密着をわずかに離した。
その隙間に彼の手のひらが入ってきた。
乳房に手が伸びる。敏感になった乳房を揉まれる。

「うぅうん。はふん。あっ、あっ!、やめて、あたしはいいから」
「だ、だめだ。俺だけなんて、俺がいやだ」
「でも、あたし、胸、あふ、ひゃ、弱いから!」

竜児が乳首をつまむと、口をよせ、ぱくと口に含む。ディープキスのように舌を絡ませ、ころがす。

「あっ、あっ!あんっ、ん、んん…、やだ。また、すごくなってる、ぅうゅ」
「川嶋、は、はやく、達してくれ」
「やだ、やだ、やだ、やだ」

駄々っ子のように亜美は体を揺らして抵抗する。気分だけで、竜児に貫かれているというシチュエーションだけで気持ちは高まっていた。
それに純粋な快楽が加わった。下半身は男に貫かれ、痛めつけられている。上半身は乳首で快楽を与えられる。錯綜した気分が彼女の感度をあげていく。
気持ちよくはなりたいが、竜児より先には達したくない。初めてのsexでは、彼をどうしてもよろこばせたかった。
それなのに、あろうことか胸を弄られている事で体が感覚を学習しているのか膣内でも鈍いが甘い感覚が芽吹いてきている。
気持ちいい。けど、イキたくはない。彼がイクまでは駄目だ。
107HappyEverAfter−PS-51/54:2011/02/13(日) 22:16:13 ID:ZV+X8iet

その思いは彼も同じだった。ペニスへの狭い膣がもたらす刺激。亜美と初めてを遂げれた達成感が射精寸前まで彼を持っていっていた。
そんな竜児は次の手段をとる。左肘を浮かせて、その手が亜美にクリトリスに伸びる。
密着を弱めて、腰と腰の間に隙間を作ると、左手を滑り込ませる。
初めてのsexでは、彼女をどうしてもよろこばせたかった。先に射精するわけにはもういかない。

「ひゃん」
「川嶋、は、はやく、イってくれ、俺、もう」

器用な竜児の指は的確にクリトリスの薄い皮を剥き、人差し指、中指でつまみ、男の子のオナニーのようにこすり、摩擦を与える。
その上で綺麗な豆の頭を親指の腹でこすり上げる。

「ふぁ、ふぁ、うぁっ!!体の芯が引っ張られて、や、深…ふかいよぉ…!は、激しくって…こんなぁ…!!」
「か、川嶋、お前の膣、しめつけが強くなって、ぐにぐに動いて、俺 、腰の裏が引っ張られる、しびれて…」

二人は体を揺らして、快感に耐えながら、少しでも相手に快楽を注入しようと腰を振りあい、指を動かす。
竜児の腰はおよび腰になり、達したくないと理性が言いながら、本能がその動きをとめず、
亜美は背中をそらせて快感に耐えながら、クリトリスを竜児の指先に押し付けていた。

「や、いい、気持ちいい。初めてなのに、やらしいよ。やだよ、どっかいっちゃう」
「あ、うぅ、駄目だ。力が入らなくなって、か、川嶋、イってくれ」
「や、やだ。た、高須くんが先、先に!」

意識はもはや霞がかかっている。理性はどっかへ置き忘れてしまっている。
ただ快楽にもだえる野生の本能と生来の意地っ張り、そして、お互いへの思いやりに突き動かされていた。
相手に達してもらいたいの一心で奉仕し、相手が先に達するまではと我慢をする。
それが常道を超えた快楽をため込んでいく。溜め込んだ悦楽はダムが崩壊した時、洪水となるだろう。
それに気づかずに淫らによだれをたらしながら亜美は痛みを抑えて自ら腰を動かし、竜児は指を操る。

互いに限界だった。だから果てる前に

竜児は両手、下半身を使っていた為、由一、自由になる部位をつかって最後の一手を
亜美も逆襲の為に自分が一番効果的であるという攻撃を、自分が一番、感じてしまうことを
しようとした

「川嶋、俺、お前の事、好きだ。絶対、大事にする」
「高須くん、高須くん。あたし、竜児と一緒にいる」

二人は互いに顔をよせ、舌を差し出した。情熱的なキスをした。
その瞬間、白い光のようなもので頭が一杯になる。浮き上がるような上昇感。下半身がどこかに持っていかれてしまうような脱力感の波が押し寄せる。
そして、指一本動かせない状態となり、体を重ねあった。


*****


少しして、やっと指が動かせるようになると、相手の指を探した。そして絡ませる。それはどちらかが先か解らない。
108HappyEverAfter−PS-52/54:2011/02/13(日) 22:18:29 ID:ZV+X8iet
ただ互いがそれをしてほしかった事を感じていた。
指を絡ませていると、力の戻りが速くなってくるような気がしてくる。だから繋いだり離したりして指だけで抱き合った。
そんな事を何度も繰り返しているうちに話す気力が戻ってきた。

「川嶋、わりぃ、とりあえず抜かせてくれ」
「え、うそ、まだ繋がったままだ。え、やばくない」
「お、もしかして、漏れちまって事あるのか」
「……高須くんがたくさん出してたら」

竜児は下半身を注意深く引きながら弾く、幸い、精子溜まりから溢れる事なく、破れてもおらず大事なかった。

「安心しろ。大丈夫だ」
「別にあたしはどっちでもいいんだけどな。高須くん、子供きらい?」

竜児はコンドームの根基を結び、捨てる準備をしていたが、亜美に向き直る。亜美はベットにぺたりと座り込み布団を柔らかく身にまとい竜児を見てめていた、

「たぶん、嫌いじゃないと思う。というか暖かい家庭てのは持ってみたい。
 けど、それは自立してじゃないといけないし、お前だって、まだ駄目だろ」
「もう、硬いよね」
「いいんだよ。そういうとこは」
「そうだね。こういうところはかたくてもいいかな」

亜美は竜児の股間に手を伸ばして、ペニスをもにゅもにゅと揉んでみた。
コンドームを抜いた時点では弛緩していたそれだが…

「うわ、すこし触っただけでまた硬くなっちゃた。……竜児のすけべ」

竜児はむむと唸って、

「しょうがないだろ。まだ、さっきの感覚、残ってるんだ」
「そんなに亜美ちゃん、よかったんだ?」
「…………」

亜美が顔を寄せ、竜児はそっぽをむくが、それをゆるさず亜美の瞳が追ってくる

「よかった?」
「……すごかった」
109HappyEverAfter−PS-53/54:2011/02/13(日) 22:21:41 ID:ZV+X8iet
その観念したような言葉に亜美はニコリと笑う。そして掛け布団をぱさと落として
「じゃぁ、もう一回してもいいよ。ヤリヤリでしょ」

竜児は彼女の頭のポンと手を置いて
「大丈夫だよ。ありがとうな。けど、初めてはキツイだろ。痛いんだろうし」
「そんな事言って、さては竜児が体力ないだけじゃない?。亜美ちゃんもっとやりたいのに」
「て、悪ぃ。そうなのか。やべ、俺、変にかんぐちまったか?」

亜美は舌を出して

「半分、嘘。もっとしたいのは本当だけど、今日は他にしたいことあるんだ」

「なんだ、言ってみろよ」
「怒んない?」
「怒んねって。言えよ」
「ひっついて一緒に寝たい。なんつってさ。嘘、お泊りなのに一回だけじゃMOTTAINAIだよね」

そんな亜美に答えず、竜児はベットに戻ると、右手を横に伸ばして、横になり

「腕枕って言うんだろ、これ。来いよ」
「うん♪」

そして、二人は少しの間、睦言を楽しみ、いつのまにかまどろみに中に目を閉じていた。
昨日の日中が大騒ぎだっただけに、早起きの竜児さえ眠りこけ、気がついた時には退出時間ぎりぎりだった。
二人は大慌てでホテルを後にした。



竜児の前を亜美はひょこひょこと内またぎみに道を歩く。
竜児は感覚のなくなった右手をゆっくりと回しながら歩く。
午前中のホテル街、朝の光を浴びながら、まったりあるく。こんなアンニュウな時間がこそばゆく、二人には嬉しかった。

「川嶋、大丈夫か?、歩きにくそうだが」
「あんまり大丈夫じゃない。なんか、まだ挟まってるみたい。竜児の自称、大きい奴が」

と亜美が振り返り応える。

「だから、女の子がはしたないだろ」
「もう、はしたないとか言ってる仲でもないでしょ。スケベな竜児くん♪、あんなネッチこい攻め方するやつが何を今更」

竜児がむむと再び唸るのを任せて、亜美は楽しそうに攻め立てる。

「じんじんするんだもん。中もだけど、内腿とか、亜美ちゃんの可愛い胸の先っぽとか、誰のせいかな?」

さらに攻め立てるというか、少し甘えた声を出してみた。
「だから、軟膏とか塗った方がいいのかなっと思って?。竜児塗ってくれる?、明日からお仕事だけど、今日はoffだしさ」
110HappyEverAfter−PS-54/54:2011/02/13(日) 22:26:43 ID:ZV+X8iet

そういう事ならと竜児も応える。ちょっとエッチい気持ちとか、期待もある。
「どこか行こうかと思ってたが、それなら家戻るか。途中で飯の材料でも買って」
「二人で遅めの朝飯作って?」
「ああ、そんな感じでまったりするのでもいいか?」
「いいよ。ならスーパー行かない?。あと薬局、軟膏の買い置きないでしょ。この前、タイガーが転んだ時、使い切ったし」
「そうだな、お、おう。やべ、ポイントカード持ってきてないぞ。先に家戻ってから買い物せにゃならんか」
「本当、おばさん体質。セコ。いいよ、それでさ。きまり、まったりコースて事で」

亜美がため息をついてみる仕草も楽しそうに、応えてみせる。

「お前とゆっくりするのも十日ぶりだな」
「あーあー、明日からドラマなんだもんな。なんか楽しみだったのに、急に面倒くさくなってきた」
「駄目だって、安奈さんに怒られちまう。て、明日からそんなに忙しいのか?」
「まあね。でも完全拘束じゃないよ。予算そんなないみたいだから、私を一日、拘束するギャラも出てないみたいだし、
 だから時間つくれば毎日会えるから」
「まぁ、ちょいちょいな」

亜美はそこで顔を赤くして、強く出る。

「ちょいちょいじゃなくて、竜児も時間はつくるの。亜美ちゃんのエッチの練習つきあうんだからね。
 なんか、あと少しでコツつかめそうなんだよね」
とこの際と亜美は強く出る。心配の種は彼女はつきない。そっと本音が口から出ていた。
「高須くん、そういうところ微妙にたんぱくそうで、せっかく一線越えたのに逆戻りしそうで不安なんだから」
そんなつぶやきを竜児は聞かなかった事にする。
亜美がどう思っていようが、彼だって、立派な男子高校生なのだ。

だから、ラブホテルでもらってきた一か月以内、八回ご休憩使用で、一回無料の常連用ポイントカードがポケットに入っている事は内緒だ。
なんとかしてホテル代を貯めるためにバイトも始めなければ、泰子を説得しようと心に決める。

「はまらないといいが、俺、凝り性なところあるからな」 

我ながら少し自信がないなと竜児もそっと呟いた。 


To be Ever After







以上で投下終了です。お粗末様でした。

>>102 支援、長時間お付き合いくださりありがとうございました。
111名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 22:46:12 ID:cHvIK05b
>>110
ノンブルみつけたので「おお」と思ったわけです。投下GJ


>…いい。痛いのは我慢出来る。けど、今日出来ない事は我慢出来ない
これこそ吾が崇拝する亜美ちゃん様だ。

すわ未挿入かとフェイントをかけるも
最後まで到達。この焦らしにやられましたね。



ところでホントに不躾で申し訳ないのですが・・・
2箇所ほど書かれている「由一」の意味が取れません。
「ただひとつ」いいでしょうか。


作者さんに感謝をしつつゆゆこスレの発展を祈るわけです。
112名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 19:33:42 ID:whje7EbA
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ぐっじょーーーーーーーっぶ!!!
長いぶんすげー堪能しました(;´Д`)ハァハァ
113174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:00:09 ID:qvsK6Tr2
SS投下

「アフターダーク」
114174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:01:08 ID:qvsK6Tr2

今年もまた嫌な季節がやってきた。
寒い、とても寒いこの季節。自然とため息が増えていく。
白いため息が、虚空に寂しく溶けたのが、どうにも無性に物寂しい。
一入に情緒が感じられて、だから冬は嫌いじゃないのだけれど、でも、重要なイベントはたいてい冬に待ち構えている。
それが嫌だった。
断トツなのは、やっぱりクリスマス。
今度こそは、次こそはって、一人で迎えることのないようできうる限り精一杯の努力を重ねる。
結果は、独り身を持て余したこの惨々たる現状が物語っている。
去年なんて売れ残りのケーキにシンパシーまで感じてしまったほどで、無駄に終わった努力を忘れるように売れ残りケーキを肴に自棄酒をあおった。
おかげで世間に漂う幸せムードの余韻を二日酔いと胸焼けで過ごさなければならないはめになった。
この上なく惨めだった。
大晦日から三が日にかけてもろくなものじゃあなかった。
一年の締めくくりと幕開けの瞬間を一人自宅で迎えて、除夜の鐘が切なく響いていたのを思い出す。
初詣に行けば参拝者でごった返す境内で四方を固めるカップルの甘酒を煮詰めたような雰囲気をあてつけられ、いきつけのファミレスは正月料金で割高だったし、届いた年賀状には改姓報告か可愛らしい赤ちゃんの写真が印刷されたものばかり。
気がつけば地図を片手に、回れるだけの寺社仏閣を回って神頼みに明け暮れていた。
このままじゃまずいと危機感を抱き、気分転換と挨拶がてらに久々に実家に帰れば、顔を合わせた両親はそれはそれは温かく迎え入れてくれたけど、結婚とか将来のことに関してあれほど口うるさかったのが、取り立てて何も言ってこなかった。
気を遣わせてしまったことを嘆くべきだったか。それとも無言の裏にあった諦観の念に嘆くべきだったか。
たまたま居合わせていた親戚の子供はまだ幼かったけど礼儀は弁えていたようで、おばちゃんあけましておめでとうございます、と舌っ足らずに挨拶してきたから奮発して五千円もお年玉をあげてきた。
帰り際にはおばちゃんまたねと笑顔で手を振ってくれていた。
いつかあの子が成長したあかつきにはあの五千円は返してもらおうかと心の閻魔帳に書きつけようとしたが、屈託のない笑顔に免じて許してあげようと思う。
ああ、そういえば、最近だと成人式すら鬱陶しく感じるようになってしまった。
ニュースでとり上げられる初々しい新成人を見ると、あんな頃もあったっけ、なんて老けた感慨に浸る自分を見つけて、時間のもつ残酷さを思い知る。
早く暖かい季節になってほしい。切に願う。
もしくは他人の幸せを許容できるだけの春を、私にも。
そうすればいちいち隣の芝生を妬んだり、現実を僻んだり、周りを嫉んだりしないで前向きに生きていけるのに。
知らず知らずにまたひとつ、ため息がもれる。
透き通る空気が白く色づいた様を見れば、暖かくなるのはまだまだ先のことのよう。
私の春も、いつ訪れるやらだ。
通算三度目のため息がもれそうになったところで、それを飲み込んだ。
幸せは逃げていかなかったかもしれないが、不意に視界に飛び込んできたものが、あえて考えないように意識の外に逃がしていたことを呼び起こす。
芽吹く春を前にして、一番の寒波が吹き荒れる真っ只中にどすんと居座るあの日。
バレンタインデー──その到来を告げる看板が、満を持してと言わんばかりに堂々とケーキ屋の前に立て掛けてあったのだ。
私は苦い顔になった。
女性が男性にチョコと一緒に愛の言霊を送る。
もしくは親愛なる彼氏に彼女がチョコをプレゼントする。
はたまた女が男に無償でチョコを配り歩く。
世間一般での認識というか印象はそんなところだろうか。
とにもかくにもチョコレートを機軸に一日が回る。
毎年のことながら、なんて馬鹿げた行事なんだろうか。
115174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:02:12 ID:qvsK6Tr2
貰った人にとっては最高の一日になるのは言うまでもない。
あげた人にとってもそれなりに有意義な日となることだろう。
あの期待と不安がない交ぜになって張り裂けそうなほどの緊張感は、良くも悪くも経験してみなければわからない。
受け取ってもらえたなのならなによりで、喜んでもらえたならばなおさら報われる。
そんな素敵な思い出を作ることに成功した人たちはいいけど、でも、そうじゃない人たちだって当然いる。
貰えない人は太陽の存在を忘れてしまったかのように暗い顔をして、貰えなかった人は月に向かって怨磋の雄叫びを上げながらすすり泣く。
どちらかといえば、後者の方がより傷は深い。
もしかしたら、ひょっとしたら、あるかもしれない。
そんな可能性を前者は初めから諦めてるけれど、信じて希望を持っていた後者はその分余計に涙を飲む。
あげる方にしろ、受け取ってもらえないことだってある。いろんな事情からあげたくてもあげられない場合だってある。
そうした阿鼻叫喚と青春の一幕の影で、ひっそり敗北感を味あわされる者の存在はあまり知られていない。
心からそれをあげたいと思う人の一人すらいない、だけでなく職場における人間関係を円滑にする他に何の意味ももたない義理チョコを配る以外はバレンタインを通常運行で過ごさねばならない、寂しいを通り越していっそ可哀想な女。
それが私のことであることは語るに及ばない。
製菓会社によるここぞとばかりのキャンペーンに躍起になって踊らされるほど、もう子供でもない。
とはいえ、人々の浮かれた様子が日毎に鼻につくようになっていたのも事実だった。
嫉妬によく似たその感情が滾々と湧いてくる原因は、まあ、いちいち言われなくてもわかってる。
送る相手なんかいないのだから、そんな恋人同士が融けるように甘い睦言を交し合う日を、待ち焦がれる必要も理由もない。
どうせ今年も独り身で過ごすほかないと、もう諦めかけている。
私にとっては今日がクリスマスに匹敵するほどの陰鬱な一日として終わるだろうことはほぼ確定していた。
そりゃあ私だって望みを捨てたくはないけど、それにしたって時間が切迫している。
平凡な明日はもう数時間後にまで迫っていて、ろくな猶予なんてありはしない。
なぜもっと早くから行動を起こさなかったのだと人は平気で言うだろうが、してなかったとでも思っているのだろうか。
だが、この時期にやけくそでくっ付いた相手との仲が所詮長続きしないのは、クリスマス然りなのだ。
見栄を張るためと心の隙間を埋めるだけの代償行為に他ならない。
そんなの、わかりきったことなのに、ついそれでもいいかなあとか心が揺らいでしまうのはそれほどいけないことなのだろうか。
いいえ、決してそんなことはないはず。だって人は独りでは生きていけないんだもの。
「あの」
そうよ、私は悪くないわ。
悪いのはそれでなくても己が身を抱きしめ孤独に耐えているっていうのに、凍てつく豪雪と吹き荒ぶ暴風で追い討ちをかけてくる世間とその風潮なのよ。
私がこんな思いをしないといけないことこそが不条理なのだ。
「ちょっと」
だというのに。
それなのに。
なのに、なのに、なのに!
「あの、先生、声がちょっと。他に人もいるんで」
呼ばれた方へぐるりと首を向けてみれば正面にいた彼は、なぜだかヒッと擦れた呻き声を合図に口を噤み、背筋も微妙に仰け反った。
にわかにその顔に怯えが滲んでいるような気がするのも、はて、なぜかしら。
いえ、それよりも、周囲に漂うこのなんともいえない空気は何なんだろう。
辺りを見渡すと、一様にあらぬ方へと視線を逸らされた。あたかも事前に示し合わせたかのようだった。
その反応と、そしてぴりぴりと肌に突き刺さるこの疎外感が、遺憾なことながら、私にはたいへん馴染みがあった。
116174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:03:14 ID:qvsK6Tr2
もしや。脳裏によぎる、その言葉。
いつの間にやら固く握りこんでいた手の平に、じっとりと滲みあがっていた汗が冷たくなる。
「あ、あ、あ。ご、ごめんなさい高須くん、先生なにか変なこと言った?」
「いや、えっと。どうしても気になるんなら答えますけど」
と、口ごもる彼はあの特徴的な瞳をギラリギラリと右へ左へ泳がせて、一拍あけてから付け加えた。
「正直、聞かないでいた方がいいと思います」
私はいったいどんなことを口走っていたっていうの。
顔を逸らす彼からは詳細までは読み取れないが、あまりよろしくないことを、それも長々と喋っていたのだろう。
そっと手首に目を落とせば時計の針は驚くほどに進んでいる。最後に見たときより一周は確実に時を刻んでいる。
夕日が差していたはずの窓にはすっかり暗がりが落ち、蛍光灯の光と相まって鏡のように慌てる私を反射していた。
「高須くん、今日のことはどうか」
内密にしておいてほしいという私に、最後まで言われずとも承知しているという風に彼は首肯してみせた。
ほっと胸を撫で下ろす。
帰宅途中に足を運んだ商店街界隈で、バレンタイン商戦をいまだ絶賛展開している件のケーキ屋を食い入って眺めていた私は、その場を通りがかったらしき見知った人影が途端踵を返すところを見逃さなかった。
距離が開かぬ内にさも今気がついたという自然さを強調してその背中に声をかければ、ねじの錆びたブリキ玩具のように回れ右をする。
頬を引き攣らせていた高須くんは、聞けば買い物の最中だったという。それも夕食の。
意外な家庭的一面を垣間見せる彼は、目を丸くする私に会ったばかりにもかかわらず、それじゃあと会釈をして早々に立ち去ろうとした。
私は問答無用で彼の襟首を掴み、その辺にあった手頃な喫茶店へと引きずり込んだ。
きっと高須くんは大きく誤解しているに違いないから。
あれはただ、ショウケースに並ぶスイーツを遠巻きに見ていただけ。
日々の癒しに、ちょっと贅沢しちゃおっかなーなんて、ただそれだけのありふれた光景なの、そういうことにしておかなければならないの。
間違っても高須くんが考えているかもしれないような、そんな卑しいことじゃあないと、しっかり誤解を解いておかなければならない。
なにより口止めをしておかなければ。
そのつもりで彼を引き止めたのだが、どこから歯車が狂ったのだろうか。
必死に釈明していたはずが、ふたを開ければ、いらぬことばかりを饒舌に語っていたと思しきこの現状。
これではまるっきり当初の予定と逆じゃない。
それだけでも恥ずかしいというのにさらにこのことが他の生徒にまで知れ渡ったら恥の上塗りだ。
ただでさえこの頃教師としての威厳を保てないでいるというのに、これ以上は本当に立つ瀬がなくなってしまう。
場所が校外だったのがせめてもの救いだった。
今頃は誰も残っていないだろうが、これが教室ないし職員室だったならまた厄介なことになっていたところだ。
私は小さく深呼吸した後、秘密を約束してくれた彼に頭を下げた。
「ありがとう、高須くん」
謝辞を述べると、合わせていた目がわずかに細まった。
反射的に構えてしまいそうになるが、長時間拘束した挙句に虫のいいお願いまでしている分際でその反応はあんまりだと意志の力でおしとどめる。
それになにも今のはこちらの弱みにつけこもうと黒い企みをしていたのでなく、たんに彼なりの照れなのだろうと、そろそろ一年にもなる担任生活でなんとなくわかるようになった。
初めの頃こそ異様なほど鋭い目つきと、進級以前よりまことしやかに流れていた噂話からまともに会話も成り立たないほど竦みあがっていたのが少し懐かしい。
あの時は、勝手に膨れていた悪印象越しでしか見ていなかったというのもさることながら、もう一人、非常に手のかかる問題児が同じクラスにいたというのも色眼鏡の度を強くすることに一役買っていた。
117174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:04:11 ID:qvsK6Tr2
ここだけの話、面倒なのをていよくおしつけられたと悲観にくれていたりもしたのだ。
こんなの不公平じゃない。なんで私ばっかり。
しかし、彼個人の人柄を少しずつ目の当たりにするようになってからは、徐々にそういったことも減っていった。
手がつけられないと評判だった逢坂さんとよく一緒にいるようになった彼は、まるでしぶしぶお姫様のお供をする従者のようにも見えたが、面倒見の良さを窺わせた。
あれでもし噂どおりの人物だったら、本人を前にしたら口が裂けても言えないけど、わがままで気の強い逢坂さんがあんなに懐くわけがない。
夏にあった「私のだ宣言」は、教育者の立場からすれば、さすがにどうかとも思うのだけれど。
まあ、女の子は独占欲が強いのが当たり前ということで詮索するのはやめましょう。
つついた藪から虎が出てこられても困るし、怒らせちゃったら恐いもの。
クラスメートと打ち解けてきたのもそのぐらいだっただろうか。
本当にそういった人というのは、集団の中では孤立してしまうものだ。高校生なんて多感な時期では特にそう。
そうはならなかったのだから、つまるところはそういうこと。
あれだけ肩に力を入れていたのがなんともアホらしい。杞憂なんて突き抜けて笑えてしまう。
凶悪な外見に反して、どこにでもいる、いたって普通の生徒だったのだ、高須竜児というおとこのこは。
むしろ、ちょっと真面目すぎるくらい。
現に私の愚痴とも言えないくだらない話を今まで我慢して聞いてくれていたし、不愉快な顔も見せていない。
よく付き合ってくれたものだと感心する。
いい加減付き合いきれないと嫌気が差したら、退席を申し出てくれても、私はよかったのに。
適当なところで携帯電話でも取り出して、急用が入ったとでもと切り上げればいいものを。
そうすれば、弁にかなりの熱が入っていたとはいえ、いくら私だって。
けれどそうせずに、こんなしょうもない大人の面白くない話に耳を傾けてくれていた。
こんなに自分のことを話し込んだのはずいぶんと久々な気がする。
目も当てられないそれを吹聴しないと、こちらを気遣ってもくれている。
さらりとさり気なくそういうことができる、そんな彼が約束してくれたのなら、それが破られることはまずないって信じよう。
口の軽い方でもないみたいだしね。
ふふ、と私は微笑を浮かべ、いくぶん温度の下がったコーヒーを一口流し込んで喉を湿らせる。
苦味よりも酸味の濃くなった液体が、痞えの取れた胸に沁みこんでいくのを実感した。
高揚していくような、落ちつくような。
そんな相反する、良い意味で不思議な後味の余韻を満喫していると、ふと、あることを思いついた。
降って湧いたその思いつきが、この時の私には抜群の名案に感じられた。
「そうだ、なにかお礼をしなくちゃ。なにがいいかしら、高須くん。なんでも言ってね」
予想外だったろう私の言葉に、高須くんはぱちぱちと瞬きをする。
次いで、首を横へふりふり。
「いいですよそんなの。俺だって、そんなつもりだったわけじゃ」
「あら、遠慮しなくてもいいんですよ? これは口止め料も込みなんだから」
人差し指を立て、悪戯っぽく言ってみせると、三白眼が皿のように据わる。
「教師がそういうことしていいんですか」
「細かいことは気にしないの」
「あんまり細かくない気がするんですけど」
「そう?」
「そうですって」
「そうかしら」
「いやそうですって」
やっぱり高須くんは真面目だ。しかもなかなか謙虚で、思いのほか頑固なようだった。
今日は新しい彼をしばしば見れてお得な気がするが、しかしこうなると、私としても退くにひけない。
118174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:05:12 ID:qvsK6Tr2
このまま帰したのでは低空飛行で墜落寸前な、雀の涙ほどの威厳すら失ってしまいそう。
年下の、それも受け持っている生徒の厚意に甘えてばかりいるというのも、沽券に関わるというものだ。
感謝の気持ちをきちんと伝えておきたかったというのももちろんあるし、なにより。
もう少しだけ。そんな思いがどこかにあった。
お互い譲らずを覆すことなく、事態が平行線へと突入の様相を呈し始めたところで私はついと目を伏せ、声のトーンを一段低くする。
「……そうね、そうよね。重ね重ねごめんなさい、高須くん。先生気づかなくって。高須くんにも都合があるものね」
「は? え、あー。ええ、まあ」
話題の急な方向変換に戸惑いつつ、彼は曖昧に頷いた。
なんだかわからないが、どうやら振りきれたようだと安堵し、カップに手を伸ばす。
「高須くんも、もう私なんかと一緒にいるの、うんざりなのよね」
次の瞬間、伸びかけたその手はぴたりと停止して、所在なさげに宙に浮いていた。
「違いますよ。何でそうなるんですか」
「いいのよ、いいの。なにも言わなくても先生、こういうの慣れてるから」
「だから、何でそうなるんですか」
理解不能だと言わんばかりに説明を求める彼の姿は、十人が見たら八人は激怒していると取るだろう。残りの二人はそそくさと逃げ去ってしまうことうけあいだ。
かくいう私も素直に白状すると、ある程度慣れていると自負していたつもりだったが、かなり恐かった。
その威圧感たるや、こんな展開にもちこんだことを早速後悔させるに充分であり、無意識の内に謝ってしまいそうになる。
それを堪え、上擦りそうになる声がむしろ好都合だと、高須くんに向かい小声で言う。
「だって高須くん、なんだかすごく嫌そうにしてるし」
痛いところを突かれたというように、高須くんが渋面となった。
けれどそれだけで、咳払いをひとつ。
「それとこれは、ちょっと違うんじゃ」
「先生はただ、いろいろと迷惑もかけちゃったし、せめて何かって、それだけなのに。
 でも高須くんからしてみれば、そっちの方が迷惑だったのよね」
私は私で前に出る。ぐいぐい押す。
あからさまにもほどがある低姿勢は、思ったよりも効果てきめんだったらしい。
彼が体勢を立て直すよりも早く、足場を揺することに成功した。
それでもまだ、もう一押しが足りない。
「べつにそういうわけじゃありませんって。それよりも、少しは俺の話を」
「先生のことが重い、うざったい、しつこいとかだったら、聞きたくない」
「ああもう、そんなこと思ってもないですから」
だんだん気勢を欠いていき、しどろもどろになって否定する彼の言葉からは手に取るように動揺が伝わってきた。
さすがに意地悪が過ぎたかしら。
いいか、それも含めてのお礼とさせていただくことにしましょう。
ここが崩し時だと判断し、畳みかけに行くべく私はそれまで俯かせていた体を起こし、やや身を乗りだした。
「本当に?」
「嘘言ったって何にもならないじゃないですか」
さきほどよりも若干詰まった距離に、はたして彼は真正面から相対する。
そうして、高須くんはこう締めくくった。
「先生のこと、嫌な風に思ってないですよ。俺は」
口調はぶっきらぼうだし、人を睨みつけるような目つきは相変わらずながら、だけど、その一言はどこまでも真摯なように思われた。
身を乗り出して顔を近づけたのは裏目に出たかもしれない。
そう言わせるように誘導しておいて、実際に言われてみたら不覚にもときめきかけた、ようなそんな気がしたのは、内緒のはなし。
「そ、そう? なら、よかった」
内心の乱れ具合を極力出さぬように努め、私は比較的明るめな笑みをしてみせ、胸の上にに手を置く仕草をする。
それでも頬には赤みが差していたかもしれない。
何でだか、それが今日一番恥ずかしいことみたいに思えてしまう。
気づかれてはいないだろうかと不安が首をもたげたが、彼にはそんなそぶりもなく、要らぬ心配だったようだ。
119174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:06:08 ID:qvsK6Tr2
一転した様子に、高須くんは緊張の糸を弛めていた。
「それじゃあ」
「はい。高須くんの気持ちはよくわかりました」
私の不意打ちで、弛むその糸がやわくちゃにこんがらがってしまった絵が確かに見えた。
「気持ちって……まあ、なんでもいいですけど」
嘘だろう、とてもなんでもいいだなんていう顔をしてはいなかった。
不満はあるにはあるが、言及してもしょうがないと踏んだのがありありとしている。
充分だわ。充分、彼の反論する気力を削ぐことに成功している。
そのことに気を良くしているだなんてこと、おくびにも出さずに私は続けた。
「先生びっくしりちゃった。まさか高須くんにあそこまで思われてるなんて。こういうの、教師冥利につきるっていうのかしら」
訂正しよう。
おくびにも出さないどころか、高須くん同様にこちらの方もありありと内面が出てしまった。
表情にではなく言葉として。
いけない、いけない。
あともう少しの間は自制を意識していなければ。
幸運にも悟られることこそなかったが、高須くんも今のに思うことがあったようで。
「なんかわざとそういう言い回ししてませんか。てかもう絶対わざとですよね、それ」
抉るように鋭い彼の指摘に、けれど正解の丸印はつけてあげないまま、無視して私は言った。
「それはいいとして。高須くん、そろそろ決まった?」
高須くんは数瞬なんのことかと頭上に疑問符を浮かべ、並んで戸惑いを顕にしていた。
が、やがて私の発言の意味するところに考えが行き着いたみたいだ。
事ここに及んで、ようやく彼はこれまでの一連のやりとりが、このためのものだったと把握したのだ。
遠まわしで、時間もそれなりにかかったが、だからこそ私が考えを改めることはないとはっきり伝わったことだろう。
それからしばし、間が空いた。
さんざっぱら悩んだ末、垂直に立てれば天井にも届きそうな深いため息の後、彼は重そうに口を開いた。
「やっぱり悪いですよ。そんなに気にしなくっても、俺は」
「高須くん」
その先を遮るべく、なるべく静かに彼の名を呼んだ。
これだけ言ったというのに、まだこれなのか。
まったくもってとんでもなく強情で、呆れかえってしまうほどだ。
こんなに意固地な性格をしているとはいくらなんでも思ってもみなかった。
それがらしいと言えば、らしいとも言える。
それでもだ。
それでも──
「じゃあ、こういうのでも、だめ?」
                    ***
一夜明け、翌日のこと。
昨日の桃色がかった喧騒が嘘だったように、教室内はそれまでの平然さを取り戻していた。
この季節特有の冷え切った朝の空気の中で、若人にあるまじき倦怠感を辺りに振りまきあくび交じりに机に突っ伏す者や、近くの者とお喋りに興じる者。
はてには予鈴と同時に滑り込んできた者まで。
気の抜けきった各々の様子は丸一日前とは打って変わったものだ。
あれだけそわそわして張り詰めさせていた神経を、半分でいいから普段から維持できないものかしら。
あれはあれで鼻持ちならないとはいえ、これはこれで気持ちのいいものでもなかったりする。
ひとのこと舐めてるんだから、もう。
しかしこんなことをわざわざ口で言ってもどうなるものでもない。
それで彼らの態度が変わるようなら世話はないのだ。
時間のむだむだ、さっさとお仕事しちゃいましょうよ。
自分に言い聞かせ、心の中だけで個々人に対する内申を付けつつ、出席をとろうとした時だ。
ばっと元気に手を挙げる男子がいた。
春田くんだ。
「ゆりちゃーん、質問しつもーん」
小学生がそうするように無意味なぐらい垂直に手を挙げている。
そんな春田くんへと首をかしげた。
「なにかしら、春田くん。言っておきますけど、期末試験の内容だったら教えられませんから」
「いやいや、違くって」
「あら、そう」
だったらなんなのだろうか。
不可解な表情をする私を、春田くんは面白そうに見やる。
120174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:07:13 ID:qvsK6Tr2
「昨日はどうだったん?」
「はあ」
生返事が勝手に出たが、だからどうしたというでもなく、むしろどうするべきだろうか。
そもそも質問の意図すら掴みかねているのだからまともな返答なんてできるわけがない。
すると春田くんは、今度はわかりやすいよう言い直した。
「だからさ〜、昨日はお楽しみだったんじゃないかなあって」
わかりやすすぎるどころか直球ど真ん中な彼の言葉のボールは、見事に私の心に死球としてめり込んだ。
ここが球場であったならばマウンドまで駆け寄ってピッチャーを力の限りバットで殴打し、両チーム入り乱れての大乱闘を引き起こすことも辞さなかったところだけど、
生憎とここは教室だったし、彼は一応は生徒であり、私は非力でか弱い一教員でしかないので、教育委員会という見えない審判の存在が発する圧力を前にしてすごすご引っ込んだ。
でも、怒りは納まらず。
「春田くん? それは先生に対する嫌がらせと思っていいの?」
表情筋を総動員してにこやかに微笑み、朗らかな口調で暗にもういいから黙れと言う。
が、時すでに遅かった。
そこかしこからひそめた話し声が飛び交い、憶測が憶測を呼んでいる。
好奇心のやりだまに上げられているのが自身のことというのは、当然、喜ばしいことではない。
そんな中にあって、元凶はいやらしくもへらへらとしているので、ただただこちらの神経を逆撫でするばかりだ。
私はじとりと春田くんへと目を向けた。
「またまた、とぼけちゃって」
どこ吹く風と流されるが、そう言われても、強いて言うことなど特にない。
藪から棒になにかと思えば、日も高い内からくだらない。
要はバレンタインデーをどう過ごしたのかを聞きたいのだろうけれど、答える義務は欠片もないわね。
まったく、もっと別なことに興味をもったらいいのに。
もしくは他人事に興味なんてもたなければいいのに、下世話というか、なんというか。
だいたい聞いたところで、どうせ面白おかしく笑いの種にする腹づもりなんでしょう。
そんなの頑として願い下げだ。丁重丁寧にお断りさせてもらいたい。
「しらばっくれてもだめだぜ、ゆりちゃん」
私が何も言わないでいると、黙秘しているものだと取ったよう。
甘い甘いというように人差し指を振り、春田くんはチッチッチと下手くそな舌打ちをしてみせた。
「だって見ちゃったんだよなあ、俺」
たとえるなら、にやにやという感じだ。
薄っすら口角が上がってる様も、好奇心を如実に灯す瞳も、常々能天気そうに締まりのない顔を三割り増しにだらしなくさせている。
と、春田くんがふふんと得意げに立ち上がった。
「昨日の放課後、商店街の方でさ、ゆりちゃんがたか」
ちょうどいい高さにちょうどいい的がそこにあったので、脳内議会を通す暇も惜しみ、私は一片の躊躇もなしにその的目がけて手元に開いていた出席簿を放り投げた。
出席簿自体は平べったく、厚みもそこそこで、重量も微々たるものだ。
けれどその表紙はハードカバー仕様になっていたために見た目とは裏腹に硬く、角に限ればとんでもない凶器となる。
一瞬の間を挟み、すこんと小気味いい音が響く。
手を離れていった出席簿は最短距離を切り裂くように飛んでいき、狙い違わずに彼の眉間に突き刺さったのだ。
ぐわんぐわんと大きく頭を揺らした後、力尽きた春田くんは膝から崩れてそのまま着席した。
「ああ、ごめんなさいね。ちょっと手が滑っちゃった。大丈夫、春田くん?」
慄く生徒たちの間を早足で抜け、目当ての席までくる。
床に落下していた出席簿を拾い上げて埃をはたいたついでに、額を赤くした春田くんに声をかけた。
「な、何すんだよゆりちゃん、ひどくね……」
人聞きの悪い、これは女性のプライベートを侵害した報いなのよ。自業自得なんだから。
121174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:08:16 ID:qvsK6Tr2
まだ口をきけるだけの意識が残っていたので首の後ろ、延髄の部分にもう一撃入れておく。
蛙が潰れたような呻き声をあげた後、彼は微動だにしないほど大人しくなった。
調子が出てきたところだけど、まあ、今はこんなものでいいでしょう。
今はね。
「さっ、そろそろ出席とるわねー。春田くん? 返事が聞こえないので欠席っと」
教卓に戻りがてら氏名の横にチェックを入れ、記録上彼の存在を無いものとしておく。
しかし困った。まさか見られていたなんて。
それにこの気まずい空気もどうしよう。
咄嗟にやってしまったこととはいえ、この場にいる誰から見ても、何かあったと怪しまれるにはお釣りがくるほどだ。
とりあえず春田くんの方は、これだけ痛い目を見せておけば易々と他言することはないだろう。
とても信用できたものではないけど、そう割り切っていないと身がもたない。
仮に春田くんが懲りずに昨日のことを他の誰かに言ったり、見えない圧力が私の上に降ってきたとしても、その時はその時で適宜対処するしかない。
そんな時が来ないことを願うのみだが、本当に来てしまったらリーク元にはきついお灸を据えてやるんだから。
具体的なことはあとで考えることとし、私はすっかり遅れてしまった出席の確認にとりかかる。
「それじゃあ気をとり直して。逢坂さん……あの、逢坂さん?」
それもいきなり躓いた。
逢坂さんからの返事はない。
彼女は自席には座っておらず、私が今さっきまで立っていた場所にいた。
春田くんの目の前だ。
「起きなさい。起きなさいよ。起きろ、この」
「へぶうっ!?」
逢坂さんは春田くんの胸倉を掴んで無理やり上体を起こさせると、白目を剥く彼のほっぺたをすごく痛そうに引っ叩いた。
早くてよく見えなかったけど、あれ、ひょっとしてグー? まさかね。
「あにすんだよいきなり」
意識を取り戻し、顔の左半分を腫れぼったくさせた春田くんが涙目で抗議の声を上げている。
あのまま夢の世界にいればいいものを。
いや、それだけ逢坂さんの一発が強烈だったのかも。
ありえる。きっとそうだ、やっぱりグーだったんだわ、あれ。
「うるさい。いいからあんたはただ聞かれたことだけ答えなさい」
有無を言わさぬ迫力で居丈高に言いつける逢坂さんに、怯みきった春田くんがこくこく頷く。
私は中断に入ろうと、いいえ、入らないといろいろとまずいと思ってはいたが、如何せん他からの視線も厳しいものになってきている。
逢坂さんも時折吊り上げた眼差しを容赦なくぶつけてくるので、動くに動けない。
「いつ頃なのよ。あんたが見かけたのって」
誰それを、とは敢えて聞かないところが、彼女がまだ核心を持ちきれていない証拠だろうか。
それと同時に、心当たりがあるというのもわかってしまった。
直前の行動とこれまでのことを鑑みるに、理性を保てるだけの冷静さが残っているのが逆に恐ろしい。
「えーっと。ありゃたぶん、六時過ぎだっけか。だいたいそんぐらいだったはず」
「商店街なのは確かなのよね」
「さすがにそこまであやふやじゃねえって」
「場所は」
「スドバ」
「他に誰かいた」
「うんにゃ。店入るとこから見てたけどずっと二人っきりだった」
「どのくらいよ」
「いやーそれがすっげえ長くってさ。一時間は余裕で越えてたな」
「なに話してたのかしら」
「わっかんねー。俺らも気になってたんだけど。ただ、なんか愚痴っぽいようなことが聞こえてきたのが時々あって」
次々に交わされる質疑応答に、私は背後から着々と近づく誰かの足音が聞こえてくる幻聴まで覚えはじめていた。
所在、店舗名、人数、時間帯、話題。どれをとっても正確に一致していたのだ。
ていうか、もしかして彼は一部始終を見ていたと、そう言ってるの? それに俺ら?
聞き捨てならない会話の中にあって、殊更に気になるフレーズを発見したが、私にそれを追及する手段はない。
122174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:09:14 ID:qvsK6Tr2
でも、おおかたの目星はついている。
どうせ能登くんなのだろう。
ボーイズでラブな関係も囁かれそうなぐらいいつも仲良く一緒に行動している二人だ、おそらく昨日もそんな感じでブラブラしていたに違いない。
今頃は春田くんの失言に心中穏やかでないことでしょう、あとでそれとなく釘を刺しておかなければ。
「その後はどうしたの。そのまま帰ったの」
「あー、しばらくしてスドバは出てったんだよな。それから……ああ、思い出した」
萎縮していたはずの春田くんだが、もうそんな様子はすっかりなりを潜め、嬉々として逢坂さんへ、それに加えてクラスメート全員へとことの顛末を語っている。
興味津々と露骨に野次馬となっているのは川嶋さん率いる女子グループの一角で、一言一句に「ほうほう」だの「それでそれで」と相槌を打っては場を盛り上げる助力を率先して買って出ているのは櫛枝さんだった。
生徒の模範となるべき生徒会長からして櫛枝さんに倣って聞き手に回っているのだから手に負えない。
加熱する傍聴者に乗せられて次第に身振り手振りまで交えだす春田くんは、お調子者にもほどがある。
あのよく回る舌を引っこ抜けるか、それか口を縫い付けられるなら、私は諸手をあげてその話に飛びつくだろう。
憎々しいったらないわ。
私の中での自身の株が最安値を更新し続けているなどとは露ほども知らないだろう春田くんは、手をぽんと叩く仕草をし、口を開いた。
「ケーキ屋に入ってってチョコ買ってった」
「ふうん。そうなんだ」
と、突如としてそこでどよめきが引き、スーッと静まり返る教室内。
春田くんの話にではなく、逢坂さんが下を向いてしまったためだ。
けれどその静けさを破ったのもまた、逢坂さんだった。
「竜児!」
「のわあっ!?」
鼓膜に痛い逢坂さんの怒声に腰が抜けそうになった。
至近距離で耳にした春田くんなんかは抜かしているかもしれない。しかも大仰に仰け反って、バランスを崩し椅子ごと倒れてしまった。
もっとも、私は元より逢坂さんさえそんなの気にしてはいないようだ。
彼女は瞬時に伏せていた顔を上げると一目散に彼のところへと飛んでいった。
「なんで嘘ついてたのよ! あのチョコやっぱり買ったんじゃないんじゃない!」
今まで極力輪の中に入らず、ずっと窓の外を眺めていた高須くんは、眼前に躍り出た逢坂さんを一瞥すると憮然とした顔になった。
「べつに嘘なんてついてないだろ。勝手に持ってきたわけじゃあるまいし」
「そういうこと言ってるんじゃないの! それに、あにょ。そ、そうよ、他所のスーパーの袋に入れてたのはどうしてよ!」
「一まとめにしてちゃいけないのかよ」
「だ、か、ら! そうじゃないって言ってんでしょ! なんなのよ、昨日からずっとそうやって……」
癇癪を起こす逢坂さんが詰め寄るものの、高須くんはまともに取り合おうとしない。
約束を守ってくれているのだろうと思うと、申し訳なくなって、心苦しくなる。
123174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:10:21 ID:qvsK6Tr2
──あんまりひとには言わないでね。
昨夜私はそう言った。
発端のケーキ屋でのことだ。
あの時私は彼への謝礼として、チョコレートはどうだろうかと提案した。
残り数時間で終わりを迎えるとはいえ、折りしもその日はバレンタインデーだ。
贈り物にするには申し分なく、値段的に考えてみても気負うほどの品ではない。
それならばと、高須くんはようやく首を縦に振った。
それから喫茶店を後にし、ちらほらと店じまいを始めていた商店街を進む。
辿りついたケーキ屋も閉店準備にとりかかっていて、あまり選り好みはできなかったが、それでも渡す側としての体裁を繕えるのにも、お礼として差し出すのにも充分なものが買えたと思う。
包装は、駆け込んできた最後の客に気を利かせてくれたのだろうか、店員の方がサービスだと言って施してくれた。
ビターな色合いを基調とし、白いリボンがアクセントになっていて、なかなか雰囲気を醸し出している。
だから、いざ手渡すときにはかえって緊張してしまったものだ。
あんなにドキドキするだなんて、自分でも思いもよらなかったほど。
平静を装うのにかなりの神経を使いつつ、私は彼に感謝の言葉と、大人の口止めとを共に包んで贈った。
そしてそのまま別れの挨拶を告げて、足早に帰途についた。
時間も時間だったし、あくまでもあれはお礼として渡しただけなのだ。
いつまでも居残って、反応を窺うようなマネはするべきではない。
断じて込み上げてくる今さらな恥ずかしさに耐えられなくなったからとか、顔を見るのが怖くなったからとか、逆に見られたくなかったからとかではない。
そんなことは、本当、ないのだから。
しかしそのために、私は気がかりを残してきてしまっていたことに後になってから気がついた。
高須くんは、喜んでくれただろうか。
そうでなければまるで意味のないことではないか。
それを知る術なんかないじゃないと、帰宅してから頭を抱えるはめになってしまった。
その上その頃からすでに、彼は逢坂さんから怪しまれていた模様。
挙句にこの騒動だ。
迷惑をかけてしまって、より一層のこと、高須くんには合わせる顔がない。
そんな風に思っていた時だった。
「だいたいおかしいと思ってたのよ。帰ってくるのはおそいし、聞いてもはぐらかすし。私に隠れて一人でチョコ食べてるし」
呪文のように逢坂さんがぶつぶつと呟いている。
ぎょっとしたのは高須くんだ。
「帰ってたんじゃなかったのかよ。いや、それよりも、どっから見てたんだおまえ」
「カーテンぐらい閉めときなさいよ。ま、おかげで丸見えだったけど。あんたのバカづらが」
「おい、だからって覗くなんて」
「なによ、だらしない顔してたくせに。気持ち悪い」
あまりのことに憤慨しかけるも、逢坂さんの冷ややかでありながら穴が空きそうなほどに熱い視線にたじろいで、高須くんはバツが悪そうに黙り込んだ。
逢坂さんはなおも烈火の如く息巻いてあれこれ捲くし立てている。
高須くんは反論するだけ火に油だと悟ったようで、盛大なため息を吐き出した。
そんな彼と不意に目が合う。
時間にして数秒。
絡んだ視線は向こうから途切れたが、私はたしかに見た。
首筋に、耳に、頬に、照れくさそうに浮かぶその色を。
見てくれがどうとかじゃなくて、そんなの関係なしにそういうのがこっちの心臓に悪いんだって、知らないでやるんだから、ずるい。
甚だ不覚なことながら、一度ならず二度までもときめきかけた、ようなそんな気がしたのは、これも内緒のはなしにしておきましょう。
「ちょっと! 聞いてるの、竜児! まだ話は終わってないんだから!」
少なくとも彼女にだけは、絶対。

                              〜おわり〜
124174 ◆TNwhNl8TZY :2011/02/14(月) 23:11:11 ID:qvsK6Tr2
おしまい
125名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 23:19:35 ID:LMX1mhdb
GJ!!でした
いつもどおり美味しいお話しをごちそうさまです

ゆりちゃんがかわいいかったので今からだけど独身も読んでくる
126名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 23:54:36 ID:WZREopt9
キタ━(゚∀゚)━!
ゆりちゃんSSキタ━(゚∀゚)━!

乙女心だねえ。
>出席簿は最短距離を切り裂くように飛んでいき、狙い違わずに彼の眉間に突き刺さった
>首の後ろ、延髄の部分にもう一撃入れておく
>胸倉を掴んで無理やり上体を起こさせると、白目を剥く彼のほっぺたをすごく痛そうに引っ叩いた

頑丈だな、春田w

犯人の見当がついた大河
と黙秘を貫く竜児、照れくさそうな竜児と目があうゆりちゃん。

ゆりドラとてもおいしいです。
127名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 00:46:17 ID:mHjTWtd4
エロパロスレ色々徘徊してたけど、バレンタインSSないなぁと
諦めてbabyprincessの日記とかはがないのツイッター見てたら
いつの間にかきてたー、しかもゆりちゃん(´▽`*)

GJです
実験的なやつなのか、ひたすら独白なのは若干つらいか、と中盤では感じました
けどオチはやっぱり良い感じで中盤までの残念な感じとのギャップで
ゆりちゃんらしい可愛さにも繋がってました
128名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 01:40:52 ID:NIJm9VGg
ゆりドラ…だと…?GJすぎます最高です。 <br> やはりゆりちゃんは最高だと思います。
129名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 19:38:56 ID:0ZhBrxyr
近頃、能登の不遇っぷりがヤバいwwww
130名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 20:06:20 ID:RidofpF7
みんな、メガネに優しくないな
131名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 22:07:07 ID:lm6dBkEP
まさかバレンタイン終了直前に来てたなんて…しかも貴重なゆりドラだなんて…!
GJがいくつあっても足りないよ!
ゆりちゃん可愛すぎてもうニヤニヤが治まらない
ホワイトデーにも期待してしまう
132名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 03:28:04 ID:r6VTb09H
>>110
コレは本格的なあーみん

素晴らしい
エロラブのお手本

もう可愛いなあ
133名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 22:58:18 ID:etQtizyM
>>110
「おくすりおいしいでしゅ」、懐かしいな、おいw
まったりとろけた、あーみん。幸せそうでよったです。GJ
134名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 03:07:22 ID:/OydQOJW
>>110
作者様のちわドラがとても大好きです。
亜美ちゃんが可愛くて、幸せそうでとても嬉しくなりました。
今回も最高の作品をありがとうございました。
135名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 04:32:19 ID:UZeTpBQY
>110の続きが読みたいなあ
二度目三度目はどんな感じになるんだろ
136名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 13:46:18 ID:14of4UgH
おくすりネタを再び目にする日が来ようとはw
いやあ、あーみんが幸せそうで素晴らしかった
GJ
137名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 23:24:34 ID:MXOtq6Cv
考察してみたら独身って男運が悪そうだな
幸せにしてあげたいところがどうも次元の壁が

先生ェ…
138名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 23:26:19 ID:MXOtq6Cv
してあげたいところ「だが」
139名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 03:47:49 ID:m1e42tq2
あの伝説の誤爆ネタを再びみれるとは…
感激です
140名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 12:58:55 ID:5YGauLWE
クソつまんねえバレンタインネタのせいで神作品の余韻冷めたわ
二度と投下すんなよカス
141名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 21:35:39.80 ID:y2R6zVVH
>>124
安定感のある文、いつもながら流石です。GJ
ゆりちゃんの魅力がすごく出てたなあ。いいな、ゆりちゃん

>.>111
由一は、単なる誤字です。お恥ずかしい
唯一としたかったのですが、なんて誤変換&推敲漏れ、ほんと、すみませんでした。

142名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 21:36:08.18 ID:TSMCHKf5
亜美厨はどこでも自分の気に入らないものを叩いているクズばかり
二度と来るなよカス
143名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 08:14:24.65 ID:4ZBwOwN2
>>141
あと、次書くときは寝台のことはベットじゃなくてベッドって書いてくれると俺の興奮ゲージは100%になれる(今は99%)

で、ひたすらいちゃいちゃらぶらぶするSSはまだかね?
144名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 14:10:12.88 ID:I1PJ5H/+
>>140
亜美厨として恥ずかしい
亜美好き以前にとらドラ好きとして間違っても

>>142
申し訳ない
145名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 22:32:08.46 ID:MycAHcF0
つまんねえもんをつまんねえって言っただけで厨扱いとか意味わからんわ
つーかひょっとして作者か?煽り方まで面白くねえのな
マジで二度と来んなよ
146名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 22:44:03.42 ID:M/OIXPgk
ここは亜美スレじゃあるまいに
147名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 23:02:54.73 ID:xT8KBLVo
おっと、こんなところに奈々子さまのおっぱいが
148名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 23:15:42.05 ID:M/OIXPgk
なにっ
149名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 23:44:23.23 ID:yxG/P8gz
つられるなよ。スルー検定実施中

投下が三日ずらしてくれてるんだから、問題ないし、どうしても気に入らなければ見なければいい
というか、そもそも亜美好きというより、ちょっかい出してるだけでしょ
150名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 13:58:01.29 ID:5XDHcnPV
そもそもただのあらしなんだから
スルーしとけよ
151名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 15:03:15.82 ID:ZiIvlccU
春田乙
152名無しさん@ピンキー:2011/02/22(火) 16:06:44.59 ID:eRktSAsx
麻耶タンはマダー?
153名無しさん@ピンキー:2011/02/22(火) 17:36:35.51 ID:86dqqofI
麻耶かわいいよ麻耶(;´Д`)ハァハァ
154名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 14:07:57 ID:obQ2wuKv
昔には純愛じゃないSSがあったみたいで
書くってわけじゃないけど、少し気になるので雑談として聞く

純愛しか受け付けない人が不快に思う内容なので、割と何でも良い人以外はスルーしてくれると幸いです。








特定の女のサブキャラがビッチになるエロSSがアリな人って居る?
例えば、木原と奈々子様がヤリマンだったとか
ゆりちゃんが不特定多数の男子生徒の筆卸しを担当しちゃうとか
瀬能さんが春田と元彼とセックルとか
大河の継母がジョンソンされて感じるとか
安奈が若手男優に性的なサービスを強要しちゃうとか









(ここまで。)
155名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 19:59:49 ID:mbUWSoEf
基本、書き手の人が減ったから、個人的には、読み物的に面白ければ大歓迎
ただし、今までの傾向だと、不満を言う人出るとは思うので受け止める度量は必要かも

自分も、特定のお気に入りキャラがいるから、
正直、そのキャラが題材にされた場合、完全スルーする可能性はある。けど、SSとしての遊びだと解ってるので文句は言わない。(前書きはして欲しい)
その手の内容は自分では書けないので、すごく興味はあります。
156名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 09:30:53 ID:KyASdteC
同じく
前書きしてくれれば何でもOK

それでも嫌がる人もいると思うけどね
157名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 01:12:59.79 ID:OvdJJNk6
ほす
158名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 14:08:38.90 ID:WeVJBhIG
154だが、丁寧に答えてくれてありがとう。

俺はといえば、メインヒロインや奈々子様だったら嫌。でも安奈さんなら大丈夫、寧ろエロい物が読みたい。
と、そのように、「純愛作品ではないもの」自体への反発はないが、内容によっては好き・嫌いがある。

住人にとっては、そのような作品が新しい創作の方向性なのかもしれないが、書くのに躊躇う人も居るだろう。
書き手から見ればたとえ投下が許されたとしても、人に楽しんでもらえなければ意味がないからな。
で、俺は書き手じゃないが、あえて他にそのような人が居るかを聞いてみただけ。
159名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 21:41:48.46 ID:wFOp+2zH
「ななこい」「翼をください」「エンドレスあーみん」の続きが読みたくて仕方ない…
俺のツボに入ったSSは何故こうも未完ものが多いのか(´;ω;`)
160名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 23:23:47.50 ID:IU7R8Ihe
気に入ったのが未完が多い

ではなく

たぶん、連載ものは完結する事自体が難しい

だと思う。SS書きって、自分の好き を外に出すことで書く行為だから
1つ書くと、内圧というか、すっきりしちゃうんじゃないかと思うんだ。

だから、SS連載を完結した人を凄くリスペクトしてます
161名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 23:41:28.97 ID:wFOp+2zH
言われてみればそうかもねぇ
じゃあとりあえず俺も自分の手で書くことから始めてみるかな
162名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 23:51:44.49 ID:IU7R8Ihe
いいね。楽しみだ。

とにかく、あなたの好き って奴を文にしてもらえるだけで読む価値大だ。
気楽に書いてくれるとうれしい

期待してまってる
163名無しさん@ピンキー:2011/03/02(水) 03:38:30.72 ID:8vn8KXGY
>>161
楽しみに待ってるよ〜
164名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 23:44:54.35 ID:oE/bYr2m
>>158

つくづくエロって難しい
登場人物にエロい事をしてもらいたいんだが、簡単にキャラ崩壊してしまう
2次だから、キャラがいてこそのエロなのに

ゆりちゃんの個人授業を書いいて、没にした今日このごろ
165名無しさん@ピンキー:2011/03/04(金) 12:45:55.49 ID:5pU1zz74
ゆりちゃんに「先生が教えてあ・げ・る」系は無理だろうな。ムッツリで奥手だし。
だが、少しだけ好感を持っている相手に迫られると断れ切れなくなるっぽい。
166名無しさん@ピンキー:2011/03/04(金) 15:23:57.98 ID:+KbQmqOs
携帯でまとめサイト3を見ていたんだが、そこの広告が

ゆり/24歳/OL/東京都
今すぐ会える人募集★ (URL略)

だった。
これは何を訴えかけているのか。
167名無しさん@ピンキー:2011/03/05(土) 06:41:53.38 ID:AnjEXA9j
今の亜美ちゃんは小六か中一だということか。
168名無しさん@ピンキー:2011/03/05(土) 16:25:40.54 ID:ROBz+5Iq
6歳サバを読んでるってことだな
169名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 01:08:10.17 ID:dRPBaA4p
ゆりちゃん必死だなw

ちら裏なんだけど、SL氏が別スレで大活躍してた(逆の意味で)
170名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 02:06:37.05 ID:SUMkK6df
原作キャラの名前だけ使ってうん百キロもぐだぐだした自己満話投下した揚句マンセーレスと儲以外は雑音呼ばわりしてたあの神()職人まだやらかしてんのな
弁理士だのオリキャラだの性格改変だのばっかりで昔から大嫌いだわ
171名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 02:36:35.46 ID:hOV56g7o
今更ぐだぐだ言うのも十分同類だけどな。
172名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 02:45:30.78 ID:syrYOyIr
オリキャラでも面白ければOK


ただ、ネトウヨ臭さだけは勘弁な。
在日が大嫌いなのはわかるが、それをSSでやらんでくれ。
173名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 02:45:53.61 ID:cssbD5gY
>>170
嫌いと言いつつ、しっかり読んでるのなw
174名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 03:40:13.57 ID:wLV9/rWl
あのスレに今いるのか。投下少なくて過疎ってても
あの人のだけは勘弁だから、ご愁傷様だなw
175名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 08:51:09.59 ID:boSsBylF
どこにいるんだ?
176名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 10:26:58.46 ID:hOV56g7o
>>175
「SL66」「エロパロ」で出てくるから探せ。
177名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 18:47:19.97 ID:wLnDHprX
俺妹スレみたいだね。
あの人は戻ってこなくていいや。
度を超したキャラ崩壊やウヨ臭をSSにまで取り込んで撒き散らされてはかなわん。
178名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 21:50:14.63 ID:a9s+ydUb
当時言ったら荒し扱いされるから言わなかったけど、あの人はブログとか自サイトの方があってる気がする
自分語り好きだし、好みが別れそうな文体やキャラクターの掴み方だし、ある程度の信者がいるみたいだし、人間性がこの板にそもそも向いてないと思う。


あと、亀なんだけど上で川嶋杏奈と若手俳優がうんぬんいってたけど、オリキャラとオリキャラで川嶋杏奈がでてくるここのSSをそんなに読んでない自分にとってはとらドラのSSですらないと思った
179名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 22:12:10.17 ID:DOmrIGuS
あ?おみゃーらあんま調子こいてっと、
「とらドラSSの続き書いてください」ってお願いすんぞ?
180名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 22:23:49.94 ID:rPxddCLB
>179 SL66儲乙
181名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 23:15:55.94 ID:zzLgwN+P
たぶんそれは自爆テロ乙の間違い
182名無しさん@ピンキー:2011/03/07(月) 09:57:13.82 ID:/9e9HAWV
まあまあ、今更居なくなった人について語っても意味がないし
他の書き手さんも参入しにくい雰囲気になっちゃってるから
ほどほどにねー(棒)
183名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 00:37:59.36 ID:TDHzObbG
面白い作品でも未完成だと魅力半減だよな
今だから言うけど未完成作品ばかり量産する書き手をマンセーしてたあの頃のスレは異常だったと思うわ
本音サミットの作者とかやたら未完多いのに内容がどうとかでやたら信者いたのが不思議
未だに「○○の続き見たい」系のレスでそいつの作品が入ってると不快になるわ
てか明らかに奴のせいで真面目に最後まで書いてた書き手が減ったよね
真面目に書いても未完が評価されるんじゃ書く気も失せるわ
184名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 03:47:34.93 ID:qOtrgb/H
未完ばっかりの書き手って、誰かが最後まで書いたSS投下したら
俺もほめて!みたいな感じで、1、2時間後に投下するイメージがあるわ
185名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 05:10:08.64 ID:mY3Bb4hu
ギスギス
186名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 06:09:11.75 ID:YiZASZSC
今なら、ゴールデンタイムのSSを書けば完結しなくても文句言われないよ
187名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 08:30:37.49 ID:cC4QeoQr
完成させてから投下してほしいよな
未完成ssを公開したいのなら、自分のブログでも作ってそこで公開しろよ
188名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 09:29:33.57 ID:mY3Bb4hu
あんまりガチガチに縛ってもなあ
189名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 10:59:33.11 ID:E/gZAtUx
完成したのでないとダメとなると、投下作品は半減していただろう
190名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 11:44:18.13 ID:qOtrgb/H
未完成SSそのものではなく、それに毎回ついてくる自分語りと誘い受けが嫌いだ
191名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 19:21:59.51 ID:CLaEz7E4
旬の作品のスレには「同じアホなら書かなきゃ損々」とばかりに色んなのが参加するからなあ
新規の飛び入りが多いほどスレも賑わうし、マナーを徹底させてスレがさびれたんじゃ意味無いし
192名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 20:24:57.01 ID:x6it8B5R
未完自体はしょうがないだろ。
最初っからプロットしっかり組んで見切り発車とかじゃない限り
長編は頓挫するのが普通。
未完を放置したまま、また新しいの未完で終了とかされればなめんなー思うけど
193名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 20:46:40.56 ID:mY3Bb4hu
なんか……174氏にずーっと粘着してる人がいるね。
本音サミットの作者さんを174氏と考えてるのか(実際174氏だったか忘れたけど)、
そう決め付けた上で日記の作者さんと思い違いして攻撃してたりね。
作品投下から丸一日経ってからの174氏?の投下にも拘わらず自分の作品に対するレスが
少なかった事が不満で攻撃的な書き込みしてスレの雰囲気を悪化させたり、
訳分からん。邪魔。
194名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 21:06:07.70 ID:CLaEz7E4
ここは強者共が夢の跡
何を言おうが誰も気にしないし誰一人戻ってこないさ
195名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 22:02:46.56 ID:5rY/MmQy
高須棒姉妹の続きが読みたひ
196名無しさん@ピンキー:2011/03/09(水) 22:28:16.18 ID:CLaEz7E4
書きかけの完結編は難産の末、作者によって屠殺されて
分断されたバラバラのパーツは西尾スレやらABスレやらで
べつのSSに流用されましたとさ
197名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 00:53:14.16 ID:h+N+NysE
本音サミット作者の作品群

・本音サミット←完結
・コレカラモズット←完結
・香椎奈々子の憂鬱←完結
・亜美ちゃんの電子辞書←完結
・すみれの挑戦状←完結
・失恋決闘←完結
・流石、亜美ちゃんだ。多少、オカルトでも何とも無いぜ。←完結
・大胆無敵萌えロボブラボーエプロン取っちゃいけません←完結
・我が家の腹黒様←未完
・勝手にチワドラP←未完
・エンドレスあーみん←未完

保管庫のまとめ見たが、こうして見ると別に言うほど未完ばっかって訳でも無くね?
腹黒様とエンドレスあーみんに至っては未だに続編が望まれてるんだし未完でも実力ある作者さんだと思うわ
まあ昔から人気無い作者の嫉妬を買いまくってた人だったけど当の本人が一切スルーだったのが余計に笑いを誘ってたな
あと日記の作者さんとサミットの作者さんを混合してる奴大杉
日記の作者さんが「奈々子様の日記形式の作品をモデルにアレンジした(多分『香椎奈々子の憂鬱』の事)って説明してたろ?
私怨で叩くなら過去スレくらいは調べて来いよ
198名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 01:39:54.29 ID:C3VSmAoS
お前もわりと決めつけ批判してて怖い
なんかSLみたいだし
199名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 01:40:11.79 ID:CGjdq2At
おおっ、よく調べたね!あなたにもGJ!
200名無しさん@ピンキー:2011/03/11(金) 05:04:59.42 ID:GZw/YUz0
SLさんは全部完結済!
やっぱ一流の書き手は違うね!^^
201名無しさん@ピンキー:2011/03/11(金) 23:04:50.65 ID:bbcNcG//
>>197
あーみんと奈々子様に偏り過ぎワロタ
てか大河モノがひとつもないのなマジカワイソス
202名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 17:30:57.14 ID:o8aR4bSX
大河は原作で完結しちゃってるしなぁ
エロはないけど
203名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 22:36:51.54 ID:/CofVt9S
そこでPSPのあのEDだとするとエロが描写されてないだけで確実にあったって寸法ですよ。
204名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 23:57:09.25 ID:GJzYtivi
我が家の腹黒様とエンドレスあーみんは間違いなく名作
205名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 23:58:31.53 ID:BqsxPyMY
だからしつけえんだよウゼエな
206名無しさん@ピンキー:2011/03/13(日) 01:05:04.03 ID:uKKtLBt2
>>205
82秒でディスるとかどんだけwww
207名無しさん@ピンキー:2011/03/14(月) 19:26:41.43 ID:avHVFJG4
デュクシwwwwwwデュクシwwwwwww
208名無しさん@ピンキー:2011/03/18(金) 07:44:39.97 ID:5CF4Fvc2
ほす
209名無しさん@ピンキー:2011/03/19(土) 17:46:38.69 ID:q9KYMu8x
「もっと、お前とも付き合ってみたかったな…心残りだが…時間切れ…さよならだ……じゃあな。」
別れの言葉もそこそこに歩き去っていく。
置き去りにされた事にも一瞬気付かず、しばし呆然とその姿を見送った。

朝。窓の外では、雀達が電線に並んでピチュピチュと鳴いている。
ふと、目覚まし時計に目をやれば、予定より幾十分か、早く目覚めた事を知る。
何だ、やはり緊張しているのか。
そりゃそうか…初日だもんな…
今日は、高校生活最初の日。初登校日。
高校生と言えば、世間的にも、もう大人と、半人前分位には認められる年齢であり……
と、いう様な、模範的自覚は無くとも、何かと、期待や不安の多い時期である。
その初日の朝なのだから、緊張だってするのだ。
はぁ…でも、高校に行ったって、周りに避けられまくるんだろうな……
この眼が…この眼が…こんな眼が付いてるせいで…俺は…
…と、己の眼に手を添えた時、初めて気が付いた。
あれ?俺泣いてる?
目尻には涙が溜まり、涙は、横線を描いていた。
枕も濡れ、大きな丸い染みができていた。
え?何で泣いてるんだ俺…何か物凄い感動的な夢でも見たのか?…覚えてないけど…
あ〜あ、とにかく枕干さないと…
せっかく、早く起きたんだし、布団も干してしまうかな。



朝の身支度を済ませ、朝食をとる。
夜勤めの母は眠そうに目を擦りつつも、もしゃもしゃと飯を口に運んでいる。
「やっぱり、竜ちゃんはお料理上手だね〜
竜ちゃんは何でも出来るやっちゃん自慢の息子だよ〜
今日から高校生だね。だんだんお父さんに似てきてカッコイイッ!!
お勉強頑張ってね。竜ちゃんは頭も良いから、やっちゃんは何も心配してないよぉ〜。」
等々、上機嫌に色々言っていた。
おう。おう。おう。お前の方こそ仕事はどうなんだ?
無理してないか?俺も高校生になったんだからバイトでもして、
少し位、家計を支えられないか?
「えぇッ!?ダメダメ。バイトなんて。
竜ちゃんは家計の事なんて気にせず、勉強だけ頑張るよ〜に。
やっちゃんと約束。ほら、ゆ〜びきりげ〜んまん。嘘付いたら。針千本の〜ます。」
『指切った。』
朝は、こういう感じで過ぎた…と思う。
思う。とは、俺はその朝の事を深く記憶していなかったのだ。
210名無しさん@ピンキー:2011/03/19(土) 18:20:19.19 ID:SM+ceeoF
( ゚∀゚)o彡゜
211名無しさん@ピンキー:2011/03/20(日) 21:42:13.65 ID:JFzmtaiG
GJ、柔らかい文ですな。よかったです 続き、続き
212名無しさん@ピンキー:2011/03/20(日) 22:02:11.86 ID:+kxVMxj0
バカじゃねえの
213名無しさん@ピンキー:2011/03/21(月) 22:31:58.51 ID:zcHEK9gI
>>212
はぁ・・・
214名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 02:33:15.51 ID:uMOATVO4
ほす
215名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 22:16:27.45 ID:7HXmjKkt
ゴールデンタイムは人気ないのかな
216名無しさん@ピンキー:2011/03/25(金) 20:18:09.47 ID:8Y4sguUi
GTがアニメ化すれば、びしばしSSが来るのだろうけど、いまだにSSが一本も来ないな

とらドラもアニメの出来がよかったから人気沸騰したんだし…
そういや、最盛期は毎日SSが来てたな
しかも良書き手が沢山いた。まだ、残ってくれてる人もいるけどね
217名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 01:38:14.09 ID:T8pp009a
あれは大学生という設定自体が間違いだったとしか思えんわ
218名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 11:21:06.02 ID:ugJrFKAB
制服姿のjkほど劣情と妄想を掻き立てるものはないからね
219名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 16:35:33.17 ID:thSuHGYs
まあ大河より香子のほうがエロいけどね
220名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 10:16:47.11 ID:8mwaMLb0
エロパロ板の人気スレはことごとく同じ末路を辿っている気がするのは何故だろう
221名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 16:28:21.36 ID:s/nVGktZ
ネットイナゴという言葉があってだね

アニメ化などによって急に人が入り込んできてそれまで平和だった本スレが(自覚はなくても)荒らされたり
エロを求めて色んな場所に着ては食い荒らしていく
発展する場所もあっても二期がありでもしないかぎりアニメが終わり次第次のアニメに移り住んでいく
222名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 17:02:54.77 ID:8li3fDKl
まあ、欲しけりゃ自分で炊くかそれができなけりゃ過去ログにこもるかの二択じゃないか。
223名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 17:09:51.11 ID:0f6xm7Pu
>>219
エロイかもしれんが、それよりも単純に竹宮キャラで一番かわいいよ香子、うん。
224名無しさん@ピンキー:2011/03/27(日) 18:29:54.89 ID:8mwaMLb0
>>221
2期や映画もあったのに荒廃してる谷川スレ……
まあとりあえず今はGTのSSを一本読んでみたいな
オカレシアに食われる万里とか記憶が戻ってリンダとにゃんにゃんとかこーこと酔った勢いでにゃんにゃんとか色々いけそうだが
225名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 22:40:27.17 ID:gOdRlZAW
おれは大学もの結構好きだな
あと、ヒロインが無様に頑張ってる姿は好感がもてる。
大河は周りに恵まれてたせいで、苦境にたつと、自分が必死になる前に仲間が手を伸ばしてくれるから
そういった状況はなかったから
226名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 04:46:50.59 ID:5iB4PvHE
大学生モノのラノベ自体、あまり見ないしな
学生モノっていうと、だいたい高校が舞台のものしか見かけないけど、今後大学生モノも増えてくれるといいな
227名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 10:12:55.60 ID:aQ9uGg0P
ゴールデンタイムは2巻でまさかくっつくとこまで行くとは思わんかった。
うじうじトロトロして引き伸ばすのがセオリーだから、逆に好印象。
あと香子かわいいよ香子。
228名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 22:57:39.92 ID:JTqUcBHb
GT買ってみた
誰かがSSを発表するまでには既刊分は読んでおかないとねっ
目的と手段が逆転してる気がするけど気のせいだよねっ
ねっねっ
229名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 23:56:16.70 ID:fDNzMIuz
GTは虎よりエロパロ向けだと思うから、次巻以降香子の恋人パートとか
リンダのヤキモチとか描写されれば増えると見た。
230名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 00:43:55.50 ID:Qu8Ab8Mp
リンダがヤキモチ妬くかなぁ
結構傷負ったでしょ、2巻のアレで
231名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 00:53:09.51 ID:5XodDaeA
>>228
それはあるなあ。
エロパロを美味しくいただくための原作を読んだり観たり。
232名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 02:29:51.41 ID:4eiFTdBE
>>230
ぎこちない笑顔で祝福しつつ、妬心を感じてそんな自分に自己嫌悪のリンダさんとか。
でも、それだとありがちすぎてつまらないか。
233名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 21:08:06.60 ID:rhmYw2V5
何度か同じレス見てきたが、自分もやっと10巻まで読み終えた…
アニメと結構違っててビックリ
234名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 11:56:18.06 ID:rMoBFzAA
アニメはただぼーっとすれば何とかやり過ごせるけど
小説は自分からページ捲らないと進まないし、活字も心を込めないと目に入らない
結局俺は亜美ちゃんが失恋するのを見てらんなくて、いまだに六巻あたりで止まってる…
235名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 22:19:35.89 ID:lELk25yN
なんで亜美ちゃんは俺の恋人じゃないんだろうか……夢でしか会えなくて辛い
236名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 22:28:03.67 ID:OUaBRZP8
夢で会えるならいいじゃねーかw
237名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 00:25:59.65 ID:DVUBPI61
>>236
馬鹿!夢で会えるからこそ辛いんだよ……!
238sage:2011/04/04(月) 01:52:22.70 ID:Xcfkzfna
>>234
あーみんって結局、最後まで竜児のこと好きかどうか曖昧じゃね?
そりゃ嫌ってはいないだろうけど
そう言う意味ではみのりんの方が完璧な「失恋」だと思われ
239名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 09:57:49.71 ID:TFc5MMJY
あーみんって言われると岡田しか出てこねえw
240名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 13:16:12.33 ID:DVUBPI61
亜美ちゃんとラブラブしたい……
241名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 20:17:29.10 ID:3srUdOpB
>>238
あれでわからんか…、竜児なみだな

まぁ、小説の方が明確な表現が少ないとは思う
アニメまで含めたらハッキリしてるだろ。いわんや、とらドラPてとこだ
242名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 02:26:02.09 ID:HagQJgCo
「(大河やみのりんの中に)私も入れてもっかいやり直そうよ」
みたいな事言ってるし恋愛感情的なもんはあるだろ多分
243名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 11:37:55.62 ID:g1ztjkza
ただ「(完璧な)失恋ではない」ってのは同意かも。
本人としちゃ竜児にベタボレなのは認めきってないだろうし。
何年かあとにみのりんと思い出話しながら失恋を意識してそう。
244名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 12:01:58.85 ID:/gMJX9CX
いやあれはどう考えても完璧な失恋だろ……
245名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:33:42.92 ID:Cnla2lfr

投下します。 竜児×大河。 寝取り物です。 
鬼畜竜児に大河が騙されてヤラれてます。 ビッチ、レイプ表現あり。

またこのSSはpixivでとある絵職人さんが描かれていた大河があまりにも可愛らしかったので、それにより筆を取らせていただいた作品です。( 寝取り 大河 で検索すれば出てきます)
創作意欲を沸かせて頂いたことに多大なる感謝をしつつ、同時にお詫びもしてこの作品を投稿させていただきます。

246名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:35:45.07 ID:Cnla2lfr

「な、なあ竜児――ほんとだな? ほんとに北村くんは『ヤリマン』とかいう女の子が好きなんだな?」

放課後の教室――そこで俺達はもはや毎日重ねているといっていい逢瀬を重ねていた。
校庭ではいまだ一部の生徒が部活動を行っている喧騒が聞こえている。 けれどもそれも俺にとっては、これからする大河との情事におけるスパイスにしかならない。
俺はその少女――逢坂大河の口にした言葉に内心ほくそ笑んでいた。

「ああ、そうだぜ大河。 おまえもだいぶ『ほぐれてきた』からな。 北村と付き合える日もそう遠くないぞ!」

「ほ、ほんとか!? あぁ、つ、つつつ、付き合える……北村くんと恋人同士になれるのか……♪」

俺の耳に心地の良い言葉に大河は酔いしれる――イスに座っている身体をモジモジとよじる様は正に発情したロリメスブタそのものだ。
俺にしてみればよくこんな嘘を信じるものだと笑ってしまうところだが、恋愛に自信のない彼女にとっては重要なことなんだろう。
それは大河のキラキラとした恋する乙女のような瞳を見ればすぐにわかった。

「じゃ、じゃあそろそろ告白してもいいんじゃないか? これだけ毎日『特訓』していればきっと北村くんも私のことを気に入ってくれるはず――そ、そうだろう竜児?」

最早彼女の頭の中では北村と付き合っているも同然なんだろう。 嬉々としてそれに酔いしれていく大河は、同じく隣でイスに座っていた俺の手にポンっと手のひらを乗せてくる。
それは彼女をよく知るものならばあきらかに違和感を覚える仕草で、手乗りタイガーの異名を持つ彼女らしからぬ甘えた仕草だ。
少し前ならば俺とちょっと肌が触れただけで『こんのスケベ!変態!?』だなんて息巻いていた。
けれども今の大河はそのまま俺の手をギュウゥゥと握り締めるように指を絡めてくると、それをさもお気に入りのオモチャのようにブンブンと上下に振り回し始めるのだ。
そこには男への警戒心などまるで感じられず、おそらく本能的に身体を許してしまっている相手ゆえに抱く安心感のなせるものなのだろうが――。
俺からすればその態度は恋人同士のそれと何ら変わりない。 逢坂大河という少女が日に日に俺のものになっている証明に思えた。

「――いいや、まだまだだぜ大河。 俺とおまえはまだたった一ヶ月しか『訓練』していない。 北村だって逃げやしないんだから、そう焦るな」

俺は大河に取られていないほうの手をスっと彼女の頭の上へと伸ばしていく。 そしてそのちょうど撫でやすい位置にあるサラサラとした髪を優しく撫ででやった。
すると大河は少しくすぐったそうに目を細めるが――その表情に嫌悪のようなものは一切感じられなかった。
代わりにその大きな瞳をキョロキョロとさせ照れるような仕草をすると、可愛らしい上目遣いでこうつぶやいてくるのだ。

「ん……わ、わかった、今日も頑張って竜児とセックスする。 北村くんが好きになってくれるような女の子になるために、が、がんばるぞ!」

「――よく言った大河、それでこそおまえだ!」

俺は内心、グっと親指を突きたてながらほくそ笑む――彼女の口から出た『セックスする』という言葉にも特に動じなかった。
なにしろそれは俺がそう仕向けているのだから当然といえば当然だ。 後述するが、目の前でイスに座っている少女はもはや俺の言いなりといっても大げさじゃない。
事実、俺は目の前にある大河の左頬へスっと手を移動させていくと――そのまま自分の顔を徐々に近づけていくことにすら戸惑いはなかった。

「ん……や、優しく……優しく、だぞ? ……ん……」

そして大河の奴ももちろん拒まない。 その小さな顔をククっと上へと向けるようにすると、従順にも小さな口元を俺の顔へと向けてくるのだ。
目の前で唇が上下する――ピンク色の肉唇が視界の中に近づいてくると、俺はそのまま大河のクチビルをムチュッと奪い取っていた。

「んむっ!? こ、こら優しく……優しくと言っただろ、りゅう、じ、ん、んんんん……♪」

その提案をすぐさま却下。 代わりに舌先をズチュリと押し込み、彼女の口を乱暴に黙らせていく。
遠慮することはない。 俺にとって大河は何でも言いなりになるツンデレツルペタ人形同然なのだから、こんなレイプしているようなキスもお手の物だろう。
そのままむりやり口内をヌチャヌチャと舌で開かせていくようにする。 そして中で逃げるようにうごめく舌先をベチャリと捕まえていた。
247名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:37:46.54 ID:Cnla2lfr

「ふみゅっ! はっ、はっ、はぁ……うぅ、こ、このへんたい……すけべぇ……」

その非難の声に少しだけ目を開けていく――すると大河の恨めしそうな瞳があった。 彼女にしてはめずらしい、被虐的な表情がまた俺の男心をくすぐる。
もうたまらなくなり彼女の口内を蹂躙していく。 ビチャビチャヌチョヌチョともう遠慮なく唾液を絡ませていき、大河のクチビルへ何度も何度も吸い付くような卑猥な動きを加速させていった。

ピチャ、ピチャ、ピチャ!チュジュゥゥゥッッッ!チュポッチュポッチュポッッッ!!!

「んぅぅぅぅぅッ!? りゅ、りゅう、ひ、りゅうひぃ、それらめ、これらめぇぇぇ……♪♪♪」

ついさきほど頑張ると口にしたばかりなのに――ちょっと乱暴に舌をねじこんだだけでご覧の有様だ。
目の前の大河の瞳はウルウルとした液体で満たされており、その目元は早くもドロドロにトロケきっていた。
おまけに触れている頬からはビクビクと痙攣するように興奮が伝わってきて、彼女が日に日に淫らな少女へと変化しているのが簡単に見て取れた。
次第にか細い身体は両手を投げ出すようにダランと脱力していき――大河の小さなお尻は危うく座っているイスから零れ落ちそうになっていた。

「――おいおい、落ちちまうぞ。 ほら、支えてやるからしっかり座れよ」

「ん……う、うるひゃいうるひゃい♪ あ、あんらのせいよぉぉ……♪」

俺はこんな時でも文句を口にする余裕があることに少々驚きながら、大河の身体を両手でしっかりと支えてやる。 そしてそのまま抱きしめるようにして小さな身体を包みこんでやった。
あいかわらずの小学生のようなそれはスッポリと俺の腕の中へおさまり、それがまたなんともいじらしい。
ヌチョヌチョと唾液を絡める激しいディープキスを続けながら、俺はそのまま大河のことをまるで恋人のようにギュゥゥゥと強く抱きしめていた。

「んぅ……き、禁止ぃ……だ、抱きしめながらのベロチューは禁止だと……決めたはずだぞぉ、竜児ぃ……♪」

――もちろん俺達の間にそんな取り決めなどない。 それはおそらく大河の中の世界だけで取り決められている法律だろう。
だがそんなことを口にしたくなるきもちもわからないでもないほどに大河の身体をガクガクと震えており、それはこの抱きしめながらのディープキスを彼女が気にいっている証拠だった。
248名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:39:48.06 ID:Cnla2lfr

「んっ、んっ、んっ……♪ き、きたむらくんともまだキスしてないのに……りゅうじとこんな激しいの、しちゃうなんて……んんん♪」

――いや、あるいはそれは好きな男以外の抱擁を受けていることへの警笛なのか。

北村好みの女の子になるという建前があるとはいえ、やはりこうして俺に口づけをされるのはとめどない罪悪感――そして甘美な背徳感をも抱いてしまうのだろう。
大河は俺に背中がのけぞるほどのベロチューを求められながら、その身体を少しだけよじるような態度を見せることがある。
それはおそらくこの行為を本来なら受け入れてはイケナイと心が感じているからで――ああ、そうなると彼女は薄っすらと俺に騙されていることに気がついているのかもしれない。
それならそれでこれからは北村のことを気にせずヤリまくれるなと思いながら、俺は大河の吸い付くように甘えてくるクチビルからチュパリと口を離していった。

「ん、んん……ぷはぁぁぁ……♪」

するとあまりにねちっこく粘っこく絡みつかせていたせいだろうか――俺と大河のクチビルを繋ぐように透明な唾液のアーチができていた。
それがツーッと糸を引くように伸び、やがてポタリポタリと床に落ちていく――。
それは俺と大河がキスをしていたという事実をよく表していて、それを目の当たりにした彼女はフルフルとその口元を開いていく。

「あ、あいかわらずズルイな竜児。 私が抵抗できなくなることをしってて、こんな激しいベロチューをしてきて……この、ひ、ひきょうものぉぉ……」

「いや、おまえがキスに弱いのは俺のせいじゃないぞ。 それに北村と付き合ったらあいつともするようになるんだから、これもいい練習だろう? 我慢しろ」

「そ、そうだけど……うぅぅぅぅ……」

俺のもっともな正論(騙し有りだが)に大河は不服そうにこちらを睨みつけてくる。 制服のスカートを掴みながら非難してくるその様はやはり死ぬほど可愛らしい。
彼女は今の行為と『北村』という言葉に何か思うところがあったのか――少し寂しそうな表情を作り出すとこうつぶやいた。

「でも……で、できればファーストキスは北村くんにあげたかった。 いくらそういう女になるためとはいえ、少し悲しいぞ……」

「……………………」

――ああ、そう。 そうだよな大河。 おまえはそういう奴だ。 ――だからこそ騙しがいがある。

もはや日に日に性にたいしての抵抗が薄まっているとはいえ、大河の奴は北村への想いはしっかりと胸の中に秘めている。
俺にとってそれは甘い物の中に少量含まれている塩分のようなものであり、同時に沸々と沸いてくるこの嫉妬心とも相まって余計に彼女に愛おしさを感じる要因になっているのだ。
そして快楽の中でもそんな尊い純真さを失わない逢坂大河という少女を――俺は弄んでいる。 気づくとズボンの中でムクムクとその欲望が膨れ上がっていくのも必然だった。
249名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:42:12.83 ID:Cnla2lfr

いいかげん誤解を受けそうなのでここらで説明をしておくが、俺と大河はべつに恋人同士というわけではない。
ここまで甘々なムードを醸し出しておいて――なんて疑問に思うかもしれないが、これは間違いなく真実だ。

あれは一月くらい前だったか――。 とある日の夜、俺と大河はいつものように夕食を共にしつつ、お互いの恋愛話に花を咲かせていたのだ。

まあ、内容はわりとどうでもいいこと。 実際には俺がのろけ話を聞かされるも同然だった。
あいかわらず大河は北村くんかっこいい、北村くん大好きの一点張りだったし、それに俺はそうだな、よかったな、などと相槌をつくばかり。 正直、少しうんざりしていた部分もあったかもしれない。

だからこそ魔が差したとしかいいようがない。 俺の中の悪戯心がちょいと悪さをしてしまったのだ。
あの時大河の『ねぇねぇ、北村くんてどんな女の子が好きなの?教えなさいよ!』という質問が俺の大河をイジメてやりたい願望をゾクゾクと刺激してしまったのだ。

『そうだなぁ……北村のやつ、ああみえて遊んでる女の子が好きだって言ってたぞ。 自分が真面目だからその反動なんだろうな。 非処女でヤリマンのビッチな子が好みとか言ってたな』

そんな有りえないことを口走っていた。 北村本人が聞いたら意外と『そうそう、じつはそうなんだよな〜』なんて合わせてきそうだが、それは今は捨て置く。
とにかくそれはもちろんただの冗談で、そう口にしたらウブな大河がどんな反応を見せるか知りたかっただけだ。

なによりいくら大河が恋愛に無知だからって、こんな突拍子も無い嘘を信じるわけがない。 俺にしてみればちょっとからかってやるだけのつもりだった。
だからその後も『そういえば大河、おまえまだ経験ないだろう? ああそれじゃ北村とは付き合えないなー残念!』などと彼女を煽り立てていたのだ。

するとどうだろう――それを聞いた大河の顔がみるみるうちに青ざめていくではないか。

ただでさえ自分は一般的な男の好みとはかけ離れている(と思ってる)。 粗野で乱暴でツンデレでツルペタで――とにかくまあ、そんな卑屈なことばかりをブツブツとつぶやいていた。
今思えばそれは葛藤だったんだろう。 自分の持ってる才能と経験の無さによる恋愛への葛藤。

そうして一通り小さな小さな頭の中で色々と思考していくと、大河はやがて決心したように俺の方を見る。 そしてこう突拍子も無いことを口にしだしたのだ。

『じゃ、じゃあ私とセックスしてくれ、竜児。 今すぐここで犯して、この身体を北村くん好みの非処女ビッチにしてくれ……た、頼むりゅうじぃ……』

俺の冗談がよほどショックだったのだろう。 大河はそう涙目にながら懇願してきて――その泣きそうな顔を見た瞬間、俺の中で何かがプツンと切れる音がしていた。

――あとはもうご想像通り。 気づくと俺は目の前で処女進呈宣言をした女を床に押し倒していた。

決心したとはいえ、やっぱり嫌だったんだろうな。 押し倒された瞬間、大河の奴はまるで生ゴミでも見るような目で俺を見てきたよ。
けれどもそれもまた俺の脳を狂わせた。 気づくとその小生意気なクチビルをむりやり奪い、凹凸のまったくないツルペタを撫で回し、小学生のような小さな臀部を遠慮なく揉みしだいていた。

――途中からは悲鳴が聞こえていた気がする。 『も、もうやめて竜児!?やっぱりやだやだぁ!!!』とかなんとか。

けれどももうすっかりビンビンになっている下半身がそれを無視していた。
俺は大河の服をビリビリに引き裂き、その幼女とすら表現しても言いすぎではない未熟な身体に興奮して――気づいたら『それ』にブチ込んでた。

『あ、ん、ん♪ はっ、あ、あ、あ、んっ、んっ、んっ♪』

――なんて可愛く喘いでくれれば良かったのだが、現実はそうもいかない。 実際には大河の奴は『痛い痛い!竜児痛い!』と終始泣き叫んでいた。
その時はまだ童貞だった俺に処女をうまく抱く技術などあるはずもなく、それはほとんど大河をレイプしているに近い初体験だっただろう。
欲望のままただがむしゃらに彼女のバージンを散らせていき、もちろん最後は我慢できず中出し――逢坂大河という女の子の純潔をグチャグチャに汚した瞬間だった。
250名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:45:24.61 ID:Cnla2lfr

「ほら大河、下も弄ってやるからそこに立てよ。 スカート自分でめくれ」

「ん……ちょ、調子にのるな、バカ……」

――そして今に至るというわけだ。

幸運にも大河は俺の嘘にその後も騙され続けてくれた。 もっともそう見せているだけかもしれないが……。
あれから毎日毎日北村と付き合うための『特訓』と称し、俺と大河はヤリまくっている。それこそお隣同士であることをいいことに、毎朝毎晩お互いの家で計100回以上は肌を重ねているだろう。
それはこの年齢の俺達からすれば至極当たり前のことで、性欲も体力もおよそ尽きることはない。 
それどころか大河の奴はだんだんと甘い喘ぎを魅せることすらめずらしくなくなってきて――ああ、たしかに『北村好みのビッチ』な女の子に近づいているといわんばかりだった。

「ん……こ、これでいいんだろう。 はやくイジればいい……」

大河は俺に施されスっとイスから立ち上がっていく――そして制服のスカートをペラリと捲り上げた。
口では文句を言ってはいるが実際にはもうたまらないらしい。 その吐息はハァハァと荒く熱っぽく、今すぐぶち込んでもすぐにあんあん喘ぎだすことだろう。
けれどもまだじっくりと大河が身悶える姿を垣間見たい俺は、そのスカートを捲り上げた下半身――可愛いピンク色のショーツの中へスルリと指を潜り込ませていった。

「ひゃん!? ま、またそんな急に……うぅぅぅぅ……」

あいかわらずの悲鳴が心地良い――下着の中もほんのりと湿り気を帯びていた。
そのままクチュクチュと音をさせ指先を割れ目へと這わせていく。 そしてもはやすっかりその位置を把握しているクリトリスへと指を置き、スリスリと擦り合わせるように刺激してやった。

「あん……あ、あぁん……くぅ……」

あまりに的確に責められたためか、大河の口から素直な喘ぎ声が漏れる――それに彼女は悔しそうにクチビルを噛みしめた。
ツンツンしていても所詮は女だ。 ここを撫でるように攻められたら声が漏れてしまうことを俺は昨日までの経験で知っていた。

クチュクチュクチュ……。

「んっ、あっ、あっ……うぅ、く、くやしぃ……」

大河の奴の声色に俺は更に指先をリズミカルに踊らせていく――中指はもうすっかり淫らな液で濡れていた。
さっきのディープキスは少し激しすぎたため、あくまでも優しく責めていく。 というより、さすがにこの敏感なクリトリスは乱暴に扱うわけにもいかない。
そのままちょんちょんと指を付けたり離したり――たまにすぐ下にある膣穴にも潜り込ませるように指を動かしてやると、大河のロリマンコは更にクチュクチュといやらしい音をさせ始める。

「あっ、あっ、あっ……あぁ、りゅ、りゅうじ……ぃぃ……っとぉ……」

きもちいい、もっと――そう聞こえた気がするがあえて聞こえなかったふりをしてやる。 もしそうだったなら、少し前の大河の口からは到底聞けないであろうレアな台詞だ。
あのツンデレ生意気女がよくもここまで堕ちたものだと思う。 俺は指先一つで大河を弄べることにゾクゾクとした征服感を覚えずにはいられなかった。
それを示すようにズボンの中のペニスももう痛いほどに勃起しており、この中指一本ですらキツキツの未熟な膣にもう入れたくて入れたくてたまらなくなっていた。

「――欲しいのか、大河?」

けれども俺はあくまで入れさせてくれとは頼まず、大河の耳元でそう囁く。 どちらが主導権を握ってるかハッキリさせたいだなんて、俺もまだまだガキだなと苦笑するしかない。

「……ん……うぅぅ……」

すると大河は少し不服そうにしながらも――その小さな顔をコクンと頷けた。
俺は『じゃあ机に手付いてケツ向けろ。おまえの好きなバックでハメてやるよ』と少々横暴な口の利き方でそれに答えていく。
するとやはりこれにはカチンと来たのだろう。 大河は一瞬ギラリとこちらを睨みつけるが、あいかわらずのツンデレ口調でこうつぶやいていた。

「……しょ、しょうがないわね。 こうすればいいんでしょ……こ、こうすれば……」

あくまでも渋々、という体で俺の命令に従っていく大河。 それは彼女ももう身体の方がペニスを欲してしまっている証拠だった。
もはや慣れた手つきでズブ濡れになってしまっている下着を脱ぎ捨てていくと、腰ほどまである髪の毛をクルっと翻すように背後を振り返っていく――そして俺にバックで犯されるため小柄な背中を向けてきたのだ。

「ほ、ほら、準備できたわよ。 さっさと入れなさいよ……もうガマンできないんでしょ、ス、スケベ竜児……」
251名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:47:27.91 ID:Cnla2lfr

――どっちがスケベなんだか。

その劣情を隠すようにはしていたが、大河のこちらを見る瞳には『早く入れて』と懇願する光が灯されていた。
後ろ手にスカートを捲っていくと、そこにはさきほど俺がさんざ指マンで慣らしてやったグチョグチョの割れ目が見えてくる。
目の前には立ちバックの体勢のまま、しとどに濡れた割れ目と窄まりまでをもあらわにしている逢坂大河の姿があり――。
俺は心の中で『いただきます』と誓いを立てると、彼女の小学生のような無毛の割れ目にプチュッと先端を押し当てていった。

「んッ!? ゆ、ゆっくり……ゆっくり、入れなさいよ……最初は優しく……」

――デジャブを感じた。 もはやそれは一気に突き刺して犯してとおねだりしているようにしか聞こえない。
お望みどおり、俺はその欲望の矛先を一気に彼女の下半身へと突き刺した。 小さな膣口をズプリ!と亀頭が割り開き、俺の平均男子程度はある勃起ペニスを大河の身体が苦しそうに飲み込んだ。

「ッッッ!!! あぁ……だ、だから最初はゆっくりって……わ、わざとやってるでしょ、あんた……んん……♪」

大河の口からは当然非難の声が漏れる――けれどもやはりその声色には甘いものが含まれているあたり、やはり期待していたのだろう。
ましてや入れられた瞬間、尻を左右によじりながらの『優しくして』などなんの説得力もない。
俺は大河の折れそうなほど細い腰を両手で抱いていくと、そのまま自分の腹を押し付けるようにして激しいピストンを開始していった。

パンパンパンパンパン!!!

「あ、ダメりゅう……あっ、あっ、あっ、あっ、あっ♪」

誰もいない教室に乾いた音が響いていく――俺の腹と大河の尻がぶつかる音だった。
安物のAVなんかではありがちなシーン。 制服姿の男女が放課後の教室で性行為だなんて、なんて使い古された光景だろうなと思った。
けれどもこのペニスをキュウゥゥと咥え込む膣の感覚はまちがいなく本物で――俺はおもわず目の前で揺れる大河の微尻を引っぱたいていた。

パァン!!!

「ひゃんッ!? こ、こらぁ、お尻を叩くなぁぁぁ……♪」

その大河の悲鳴がまた俺を興奮させる。 言われずとも更に手を振り上げ、ペニスを咥え込んでいる淫らな尻をお仕置きするように、二度、三度と繰り返し引っぱたいていく。

パァン、パァン、パァァァァンッッッ!!!

「あんッ!?んッ!?あぁッ!? あ、あぁ竜児痛い、いたいいたいいたい……んん、んん、んんん……♪」

大河の悲鳴――喘ぎ声が恥辱と快楽に染められていく。 それはあきらかに尻を叩かれることでマゾヒストな快感を得ている証明だった。
ペニスを咥え込む膣もそれに比例するようにより締め付けを増しており、ギュウギュウとした膣肉が俺の心を更に黒い欲望へと追い落としていくようだ。
目の前でリンゴのように真っ赤に腫れていく尻を心地よく眺めながら、俺は手の親指をペロリと舐め上げる――そしてそれを大河の尻穴へ押し付けるようにツプリと埋もらせた。

「んあああっ♪♪♪ ば、ばかぁ、そこはちがうぅぅぅ……♪」

――そういえばココは攻めたことはなかったか。
指を這わした瞬間、膣と肛門がキュっと窄まる。 それは大河が自らの弱点を突かれたと思われる反応で、これなら今夜あたりからこっちの調教も始めてもいいかもしれないなと思えた。

「ああ、や、やめ、んっ、あっ……くすぐったいぃ……♪」

親指の先で肉がヒクヒクと蠢く――逢坂大河はバックでハメられながら尻穴を撫でられて感じる変態ロリ女だった。
『このロリメスブタ、ケツの穴弄られて感じてるのか?とんでもないスケベだな、これなら北村も喜ぶぜよかったな』と罵られずにはいられない。
大河の中は尻穴へのイタズラの効果も相まり、もう俺のペニスを離したくないとばかりにキュッキュッと締め付けてきて――。

「はぁ、はぁ、はぁ♪ ああ、や、やめろぉ竜児ぃ、パンパンしながらお尻の穴をいじらないでぇぇぇ……♪」

目の前の背中がビクンと跳ねる――大河はもう俺の虜といった感じに身体を打ち震わせている。 それにもうニヤニヤした顔つきが止まらない。
あいかわらずたまらない身体と性格をしてやがる。 淫乱なくせにウブなとこはしっかりと残しているなんて、こんな旨味を味わってしまったらもう俺は一生大河で遊ばずにはいられないかもしれない。
北村には悪いが、この女――絶対に俺のものにする。 逢坂大河を寝取りたいという黒い欲望が脳をグルグルと渦巻いていた。
おもわず舌なめずりをするように何度も唇を舐め上げると、自分の顔が父親のように醜悪な顔へと変貌していることに気づいていた。
252名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:49:41.13 ID:Cnla2lfr

パンパンパンパンパン!!! グチュグチュグチュグチュ♪♪♪

「ん、あっ、あっ、あっ♪ りゅうじ、い、いく……そんなにしたらいっちゃう、んっ、あっ、あっ、あっ♪」

大河の身体がビクンビクンと反応していく。 抱いている腰からもその絶頂の予感が伝わってきて、俺は後ろから被さるように大河を抱きしめてやる。
――少しイタズラをしてやることにしよう。 これもまたいいセックスのスパイスになるはずだ。
俺は腰だけはしっかりと前面に押し出しながら、大河の耳元へ口元を近づけていく。 そして今の彼女にとってもっとも恐ろしい言葉を口にしていくのだ。

「あ――――北村が来た」

「……え、ええっ!? ど、どこ……き、北村くんどこ!?どこどこどこぉ!?!?」

その瞬間、大河の顔があいつの姿を確認しようとキョロキョロと動き回ろうとする。 だが俺はそれをさせまいと、その小さな頭を目の前の机にバチリと押し付けた。
そしてラストスパートとばかりに腰をガンガン振りながら、彼女に戸惑う隙すら与えず快感を送り込み、絶頂への強制的なカウントダウンを始めさせていった。

パンパンパンパンパン!!!グッチュグッチュグッチュグッチュ♪♪♪

「んあっ、あっあっあっ♪や、やめろぉ竜児ぃやめてやめてぇぇぇぇ北村くんに見られちゃうやだやだやだぁぁぁぁ!!!」

机に押し付けられた大河の頭がイヤイヤと左右へと振られる。 長い髪が乱れた様がひどく綺麗だと思えた。
彼女の瞳からは嫌悪と快楽の入り混じる涙がポロポロと流れ落ち、それがまたレイプされている少女が快感に身悶えるようで妙にいやらしい。
――いや、あるいはその例えはそのとおりなのか。 傍目には俺が大河を強姦しているようにしかみえないだろう。
けれどももう射精寸前のペニスを咥え込んでいる膣は嫌とは言っておらず、むしろ北村のことを意識した途端、その締め付けをより強めたように思う。
あらためて逢坂大河という少女がロリマゾヒストであるという事実を認識させられながら、俺は最後の一撃とばかりにズグン!と根元までペニスを押し込んだ。

「けひぃッ!!! あぁ、そ、それだめぇ……根元までズッポリは、ら、らめぇぇぇ……イ、イっちゃう、竜児に子宮突かれて、き、北村くんの前でイっちゃうぅぅぅぅ♪♪♪」

大河のだらしなく開かれた口からピチャピチャとヨダレが飛び散る――その顔は絶頂に向かう淫らなアヘ顔を晒していた。
膣肉もビクビクと痙攣するように収縮していき、それに俺の方もたまらずペニスの抑えを解放させていく。
大河の小さな身体をオモチャにでもするように乱暴に揺さぶりながら――俺は幼い子宮へとその欲望のたぎりをブチ撒けてやった。

ドビュッッッ!!!ドブドブドブッ!!!ドビュウゥゥゥッッッ!!!

「ッッッ!? んああ……で、出てる……竜児に中出しぃ……北村くんに見られながら、イ、イクぅ……イクゥゥゥゥ♪♪♪」

俺のペニスがビクンと跳ねていくのとほぼ同時――目の前の大河の身体もそれに合わせる様にして絶頂の痙攣をさせていく。
自分でも中出しされた感触を感じ取ったのか、彼女はもどかしそうにしながら尻を左右へと揺さぶるのだ。 それがまるで俺の射精を手助けしてくれているようでなんともいやらしい。
俺はそれにこれ幸いとそのまま大河の中へたっぷりと濃いザーメンをドプドプと流し込んでいく――純真少女を騙している男だけが得られる麻薬のような優越感が胸を占めていた。

「あぁ……あっ、あっ、あっ……きたむらくん……りゅうじぃぃぃ……♪」

もちろん最後の一滴までドプドプと流し込んでやる――興奮の度合いがものすごいのか、それはいつもよりあきらかに長いとわかる射精だった。
少し前まであまりに傍若無人で小生意気だった大河。 それが今はこうして俺に大切な子宮を弄ばれている――正直、ざまあみろという感情もあるのだろう。
今だって俺と北村の名前を口にしながらイキまくっている。 二人の男の存在を絶頂のスパイスにしているのはあきらかなことを見れば、そう見下されるのも無理はないだろう。
俺は大河がもはや訓練を必要しないほどに淫らな女へと近づいていることを確認しながら、最後の一滴を振り絞るようにしてその長い長い射精を終えていくのだった――。

253名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:52:10.56 ID:Cnla2lfr

「うぅぅぅぅ……えっぐ、えっぐ、ひっく……」

その後――お互いに冷静になった俺達はイスに座りながら情事後の余韻と呼べるものに浸っていた。
もっともそれは俺の方だけで、隣にいる大河の奴は終始ボロボロと涙をこぼしていたが――それもまた見ていてなんともそそられる光景だと思ってしまうあたり、やはり俺は最低な男だろうか。
このままではさすがにマズイと思い、いちおう慰めの意味を込めその泣きじゃくる大河の身体を抱きしめてやる。 偽善もいいとこだ。 

「あー、そのなんだ、大河。 もういいかげん泣くのはやめろ、な?」

「うるさいうるさいうるさいッ!!! あ、あんたのせいよ。 あんたがあんなこと、い、言うからぁぁぁ」

「いや、でもおまえよさそうにしてたじゃないか。 北村の名前だすたびにもうまんこキュウキュウ締め付けてき」

「ば、ばか!?ばかばかばか!!! つ、ついていい嘘と、悪い嘘があるだろぉ……ひっぐ、ひっぐ……」

大河はさきほどの俺の冗談によほど傷ついたのか、こちらの胸にもう顔をグリグリと擦りつけながら泣きじゃくる――制服のワイシャツに染み込んでいく生暖かい液体がなんとも心地良かった。
俺はアゴの下あたりにあるその頭をよしよしと撫ででやる。 ここで慰めておかないと、今日の夜食を喰い逃しかねないからな――なんて最低なことを思いながらだ。
そして耳元で『ごめん、ごめんな大河、愛してるぞ』の猛連呼――それはおそらくだいぶ昔に俺の父親が母親に使ったであろう手に他ならない気がした。
するとやはりそれは一定の効き目があったらしく、大河の奴は俺を上目遣いで見上げあいかわらずの肉便器宣言をしていくのだ。

「ん……こ、今夜するときはもっと優しくしろ。 もう変なイジワルは無しだぞ? い、いいな竜児!」

「わかったわかった。 ――だけどな大河。 おまえ、北村のこと正直どうでもよくなってないか?」

「う……うぅぅぅぅぅ!!!」

俺のにこやかな笑顔とは対称的なセリフに、大河は悔しそうな顔を見せる。 まあ、そうなるのは無理もないか。
さすがにここまで好き勝手ヤラせてもらえば俺もわかる。 大河が北村へ好かれる為の特訓と称しそのじつ、俺に抱かれていることが目的になってしまっていることくらい気づかないはずがなかった。

「そ、そんなはずあるわけないでしょう。 私は北村くんに好かれるために、し、しょうがなくあんたに抱かれてるだけな、ん、ぅ……」

――そうくるだろうと思ってた。 だから俺はそのツンデレ臭あふれる口を塞ぐように、大河のクチビルを奪っていた。
そしてすぐさま舌をねじこみ、それどころか直している最中だった制服のスカートにふたたび手を差し入れてやる。

「ふぅっ……ん、ん、ん……♪」

「――で、なんだって。 おまえは誰に好かれるために俺に抱かれてるんだ?」

「ぷはぁ! だ、だからきたむ、ん、ふぅ、うぅ!」

俺の質問に答えようと大河はクチビルを離していく――けれども俺はそれをふたたび塞ぎ、おまけにいつのまにか固さを取り戻していたペニスをスカートの中に潜り込ませていた。
そしてつい数分前に精を吐き出したばかりのロリ便器にその怒張を押し当て、今度は前から大河の身体を貫く素振りを見せる。

「うぅ……あ、あんたって最低。 バカ竜児……」

――いまごろ気づいたのかと苦笑してしまう。
俺はそのままかすかに腰を突き出す。 そして大河の今すぐに根元まで入れられそうな割れ目に亀頭だけをツプリと押し込み、彼女の返答を待った。
大河もそれをわかっているんだろう。 俺が望む答えを口から出すまで挿入してもらえないことにすぐに気づいたようだ。
彼女はふたたびむりやり熱くさせられたお腹にもどかしいようにしながら、俺にまた突き刺してくれるのを待ちきれないように目元を細める。 そして――。

「き、北村くんのことはもう諦める。 その代わりに竜児の……」

まぶたがギュっと閉じられる。 それは恋愛に疎いなりに一大決心をしているといわんばかりの仕草のようだが、俺からすればただ肉欲の狭間で悩んでいるようにしか見えない。
そしてそれがゆっくりと開いていくと、もうそこにはセックスの快感に浸りきった女の顔しか映されてはいなかった。

「りゅ、竜児の女になる……だ、だから早くぅ……もう一発おまんこハメハメしてぇぇぇりゅうじぃぃぃ♪♪♪」

その言葉を聞くのと同時にペニスを突き刺していく。 途端、大河の口からは絶叫とも言える嬌声が漏れて――逢坂大河が『本物のビッチ』に堕ちた瞬間だった。

254名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 02:25:40.87 ID:P0CjvDMb
中々珍しい内容の興味深いSSで良かった
強いて言えば大河の口調がちょっと男言葉すぎかな
255名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 20:35:51.22 ID:ydfcdfiE
読んだ!エロかった!面白かった!

で、この大河って誰?。竜児は主人公だから性格改変はしかたないにしても
大河、キャラの皮すらかぶってないぞ

だが、面白くはありました
256名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 20:49:03.37 ID:Hh014Sql
エロ小説としては素晴らしいけどとらドラのキャラクターとは性格が違いすぎます
257名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 22:54:28.18 ID:jTL0yhP0
つまんね
258名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 00:06:03.23 ID:8uRK5Wh1
>>253
大河の口調が違ってしまっているのは残念ですが、
まだ北村を好きな頃の大河を唆してものにしてしまう、
と言うシチュエーションは大変燃えました。
259名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 02:20:55.40 ID:f9S0Bcac
ここの住人って原作までちゃんと読んでる奴どんくらい居るんだ?
新作のゴールデンなんちゃら読んでる奴、上見る限りほんの数人しか居ないだろ
260名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 03:03:08.90 ID:4LM5TxcP
外伝2〜3と本編最終巻しか持ってないや。
261名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 16:34:40.52 ID:VsSHhveR
とらドラは原作を含めていろいろ制覇したつもりだけどGTは未読
262名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 19:22:36.08 ID:p6CwpiQM
アニメから入った口だけど、原作、GT既刊共に読んでるよ。
各キャラの台詞回しを確認したくってとらドラはスピンオフの1巻以外は2回くらい読んだ。
263名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 12:15:58.47 ID:aity+aQ6
>>259
とらドラはスピンオフ含め小説全巻。
だけど田村くん・GTともに未読。いい加減読むかなー。
264名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 02:42:40.54 ID:g9+ibSm+
GT不人気すぎw
やっぱ大学生とか読みたくねえよな〜ババアじゃん。高校生がギリギリ上限だな
265名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 03:20:37.89 ID:DNZ4DjA/
ゆりちゃん先生が泣いている
266名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 05:25:14.87 ID:9QkeZ2fD
ゆりちゃんスピンオフなら
267名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 07:24:42.93 ID:phsnLqN0
大学生ウェルカム
30歳ウェルカム
268名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 16:53:06.86 ID:kFMgmser
大学舞台にすると『自分の身の丈考えて現実と折り合うために悩んだりする』とかいう誰得ラノベになりかねんからな
そりゃ高校生の方がよっぽど夢あるわ、ニッチ過ぎる
269名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 17:33:34.17 ID:phsnLqN0
>>268
自己啓発ラノベ化になりそうな気がしてきた
270名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 02:02:37.64 ID:6VFXCzj/
原作7巻読んで気に入ったセリフが
アニメの クリスマスに水星は逆行する 回で二つともないんだな・・・

大河の竜司に対しての
『言い訳するんじゃないよドグズが!ドグズのドブスのドエロラッセルテリア・・・うんぬんと

亜美の大河に対しての
『なにサンタって、本気で言ってんのきめえきめえきめえ(ry
うわああこええってかざっけんなオルァー!天然枠もピュア枠も空きは一件もねんだよ!(ry
見たかったw

アニメだと放送時間に合わせるからしょうがないんだな・・
アニメでセリフ聞きたかった・・
271名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 16:41:56.81 ID:s0t8FYNi
あそこのあーみんのセリフはおいらも見たかったw
エグいセリフは萌え豚の印象を悪くしちゃうから採用しなかったんだろうなぁ
272名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 01:49:24.95 ID:SnY9Wwo3
>>269
そういや一巻の悪質宗教でいくらでもエロい話作れそうだよな
273名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 01:12:47.70 ID:WyPdpQkb
ゆりちゃん先生のせいで
今は、エロゲーなんて、三十路前の先生を攻略できるモノしかやれなくなったぞ
どうしてくれんだよぉゆりちゃん、責任とって結婚してくれ
274名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 13:56:14.72 ID:ZnOa0e5R
是非タイトルを教えて下さい(;´Д`)ハァハァ
275名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 17:18:53.88 ID:0/14Jtlj
ボリュームが極めて薄く、殆どおまけシナリオなんだが、
・真剣(マジ)で私に恋しなさい!!
・W.L.O.世界恋愛機構L.L.S.-LOVE LOVE SHOW-
あたりがお勧め。
276名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 17:05:07.48 ID:BCgVKXfa
ありがとうございますm(_ _)m
探してみるです
277名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 21:01:18.00 ID:P0CRxouv
くっだらね
278名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 22:22:42.21 ID:KSN1gy7/
終わったスレとはこんなものです
279名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 11:19:19.01 ID:YnX8CtCy
ゴールデンタイムは流行りそうなの?
それによってこのスレの今後が・・・
280名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 15:01:28.84 ID:M2TX5vZF
まずもって、アニメ化されるようなことは無い
281名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 01:30:24.91 ID:Sm7BOF3Z
>>279
ところどころ萌えたり笑えたりするエピソードはあるが
全体的に生々しくてテーマが重すぎる。オタク受けはしない。
282名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 05:44:25.28 ID:3Uur1+3E
いいことじゃないか、アニメしか見ない頭の弱いのが近寄ってこなくて
283名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 14:10:18.40 ID:CF/JdpQf
ゴールデンタイム少し癖があるけども十分面白いぞ。
3巻でどのような展開になるのか読めないのがいい。
何パターン化は想像できるが
284名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 14:18:01.63 ID:c4+vT8tZ
とらドラは後半付いていけなくなったからな
新作は好き、今のところ。ただ人気、売り上げはなさそう。
285名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 20:47:04.04 ID:wkoAd2iY
香子犯罪者になってしまったなあ。これで拘束されている間にリンダのターンを描くつもりか。
要するにふたりの女に二心をもつ立場を正当化するための記憶喪失なんだな。
ああっゆゆぽ回りくどいっw
286名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 00:00:47.00 ID:n+zL9jTP
>>271
遅レスだが、エグいあーみんが一番光り輝いているわけでw
287 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/04/24(日) 10:00:39.51 ID:6+qn7T0S
ゴールデンタイム観てみるか
288名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 19:48:12.31 ID:8FFgI6ko
…考えてみれば大河も不法侵入、および殺人未遂で犯罪者だよな?
冷静に考えるとよく竜児はあれを許す気になったもんだ
普通なら警察に通報して終いだよなw
289名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 21:05:28.13 ID:OW5Dv4q6
ゴールデンタイム二巻は五万部売れたって本当?
本当なら、アニメ化していないラノベでそれだけ売れるのは大健闘だな。
香子のエロパロwktk待ち。
290名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 00:07:15.08 ID:PIUh/rv6
岡ちゃんの毒牙にかかる香子ちゃんに期待
291名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 17:30:00.55 ID:darbPphp
>>288
見ず知らずのオッサンとかなら通報余裕だけど一応クラスメートの可愛い女子が相手なら許す選択肢もあるだろ
292名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 19:47:19.79 ID:0PI8nK79
殺す気で襲いかかってくる相手に女も男もないわw
293名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 20:04:46.99 ID:J/BagyFh
自分ならクラスメイトの女子でも通報するw
294名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 21:18:51.70 ID:gPXcirV5
通報しないで、それをネタにエッチな事を強要…
エロパロ版に悪影響受けてます。はい
295名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 21:40:05.76 ID:gPXcirV5
ところで、とらドラの中古同人ゲーム(声付きSSという分類)を買って、さっきやり始めたんだが、壷にハマリそう
内容は心と体が入れ替わるよくある展開なんだが、

最初のHシーンは実乃梨の体と入れ替わった竜児が、竜児の体に入った亜美に迫られるというシチュで

竜児「い、今から櫛枝の体に俺のペニスを入れるのか」
亜美「そうだよ。憧れの実乃梨ちゃんを高須くんが犯すの。…高須くんを、あたしが…しちゃうの」

みたいな展開な訳で、なんかたのしい!

その他、大河と実乃梨の百合もあるらしく、続きが凄く楽しみです。
296名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 23:24:36.32 ID:6DUfBzpL
あれはよかったな。奈々子様いないのはちょっぴり残念だが、
さりげなくゆりちゃん(処女)のエロシーンをオマケしてくれたから満足。
その上、シナリオが亜美ちゃんラブラブなのは正に俺得。

続編は出ないと思うが。
297名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 23:32:45.01 ID:VXeX9TTp
ゴールデンタイム2巻まで読んだが、どうしてもとらドラと重ねてしまうな

万里→竜児
柳澤→北村
二次元君→能登

香子→大河
リンダ→みのりん
岡→あーみん

第1印象がこれだった
特にリンダはみのりんといろいろ被ってる気がした
哀れなところも…
298名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 23:30:48.88 ID:ZXIpZCwC
思いつきで、SS投下します。

題名。ちわわのわなげ2
方向性   ちわドラ
登場キャラ 竜児と亜美だけ
前提    竜児と亜美は付き合って時間が経っている感じ

 内容無しのエロ。誤字があったらごめんなさい
 前半SSは亜美のキャラスレにあります。
299名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 23:35:32.29 ID:ZXIpZCwC
「うんうん、素直でよろしい。すこしも竜児の、動かなかったね?」
亜美は上機嫌で竜児の拘束を解いていく。

「あんなんじゃ、それこそ選択の余地がないぞ。この性悪女」
「ふふ。高須くん。愛してるよ」

二人はご都合主義のながれのまま、生まれたままの姿でいた。

「結局、亜美ちゃん専用の高須棒はずっと大きなままだったね」
「しょうがねぇだろ。裸で輪投げなんてするか?普通。それにお前、無防備ていうか、信用しすぎって言うか、そういう姿をさらされるのって」
「興奮する?。高須くんのすけべ」
「悪いかよ」
「悪くないよ。うれしいよ」

亜美は右手を伸ばし、竜児のペニスをぎゅっと握る。

「硬いままでいてくれてありがとう」
「どこに言ってやがる」
「あたしの大好きな高須棒」

親指と人差し指で輪を作るとシュシュと摩擦を与える。

「ねぇ、高須くん。そこの机に腰掛けて。口でしてあげるから」

竜児はうながされるまま、机に腰を乗せる。つまり股間を無防備にさらす事になる。
亜美は竜児の足と足の間に体を進ませると、顔を一瞬上げ、ニコリと笑った後、小さな口を精一杯開けて、口を寄せる。

ちゅっぷ という濡れた音と共に、竜児の先端は暖かい体温に包まれる。
その女の情と同じくらい暖かく、熱い温度が亀頭を包み、つづいて亜美の口から滲み出る唾液が濡らす。

じゅぶじゅぶと音が鳴る。比例して竜児の頭の中を快感が満たす。それが数分続いた。

「もう十分だ。川嶋。ありがとな」

亜美は答える為に一旦、口を離し竜児を見上げる。

「でも、高須くん。まだイッてないでしょ。いいよ、最後までしよ」
「この体勢じゃお前ばっかりすることになるだろ。そう言うのって、どうなんだ?」
「いいじゃん。いつもは、しあいっこだけど、今日はなんかしてあげたい気分なんだ」
「それはお前だけじゃなく、俺だってそうなんだよ。それに」
「それに?」
「今日は高ぶってて、すぐに達しそうなんだ。それだと、そんなに出来ねえ」
「あは、高須くん、亜美ちゃんとたっぷりしたいんだ。よくばりさん」
「ああ、そうだよ。いいから、俺にもさせろ」
「は〜い。ふふ、ありがと」

竜児が床に布を引くのを待ち、素直に背中をつける。そして、竜児が彼女の股間に顔を近づけるのを見て

「あのさ、今日はクンニしてくれなくて大丈夫だよ」
「けど、俺もお前にしてやりたい」
「う〜ん、だけどさ、もうかなり濡れちゃった。さっきの高須くんの男前な感じで…。だから、はやく一つになろ。
 あ、その前にキスはして」
「お、おう」
300名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 23:36:56.09 ID:ZXIpZCwC
竜児は顔を起こし、覆いかぶさるようにして、亜美の顔の前へ。
顔をみて、お互いに笑いあう。少し照れるように、喜びを分かち合うように。
軽くバードキス。唇を触れさせ、チュとならし、また、顔を見て、笑顔を交わす。
そして、どちらからでもなく口を開き、舌を重ねる。
くちゅと鳴って、チュルリと舌が擦れる。顔に血流が集まり、赤面してしまうことが互いに解る。
口を離す間が惜しく、鼻でフーフーと息をする。

「お下品。ハァハァしすぎ」
「それはおまえもだろ。ふんふんって、動物みたいだ」
「だって、チワワと駄犬でしょ。犬同士だもん。しょうがないよ」
「しょうがないな」

二人は再び、唇を重ねる。先ほどと同様、そして、それ以上に。
舌を差込、重ね、そして、吸う。

そうしながら、竜児は左手で亜美の耳に手を伸ばし、やわらかく撫で、耳たぶを二度三度と揉む。
亜美がそれに反応して、ふるふると震える。甘えるように身を揺らす。喘ぐような声を小さく挙げる。

「川嶋、舌」
亜美はいつものように舌を伸ばし、竜児がしやすいようにする。今度は彼の右手が、繊細で器用な指がのび、
舌の真ん中を、端を、先端を撫でる。唇に移動し、彼女自身から取り出した唾液を塗りつけ、また舌先へ。
少し爪をあて、撫で刺激を与える。

「ふぁあ、んぅぅ、はぁん」

亜美は舌をつままれている為に声にならぬ声を挙げ、喜びを伝える。舌を戻そうともしない。
しかし、その舌が口にもどされる。

「んぅ!」

竜児が下半身の切なさに負けて、彼のペニスを彼女の秘部に差し込んだのだ。
お互いを馴染んだ性器とはいえ、その普段、刺激を得ないそこは、SEXの時だけしか感触を得ないそこは、
快感にむせび泣いた。

「た、高須くん。き、急すぎ」
「わりぃ、我慢出来なくなっちまった。痛いか?」
「痛くはないけど、すんなり入っちゃうくらい濡れてたけど、でも、雰囲気ってもんあるでしょ」
「なら……、川嶋、好きだぞ」
「え、あ、うん。……て、なによ、ならって。感じ悪!!」
301名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 23:38:01.63 ID:ZXIpZCwC

そんな言葉を交わす間も竜児は、ピストンのような動きを続け、亜美の秘裂を広げ、膣壁を擦り続けた。
やっと最近になって膣内での刺激を痛みから快楽に感じれるようになった亜美。
クリトリスより鈍く、ゆったりとした刺激だが、だからこそ、浅いぬるま湯のような快感にいつのまにか嵌って行く

「くふぅ、あはぁ、やぁ」

それと共にズチュ、ズチュ、と下半身で濡れた音が響くに従って、亜美の嬌声が大きくなる。

「いい、凄く幸せ。ねぇ、高須くんは、高須くんは気持ち良い?」

亜美が自分の思いを確認するように、共感を求めるようにパートナーに問いかける。

「ああ、やばい。さっき言ったみたいに、俺、今日、テンション高くて」
「すぐイッちゃいそう?」
「ああ、まずい。いつ爆発してもおかしくない」
「それなら」

亜美はエィエィと腰を回し、みずからの膣壁を竜児のペニスにこすり付ける。

「く!。お前、最近、余裕が出てきたからって…」
「ふふん。こっちでもあたしの方が上だって証明してあげる」
「今まで勝てたことないだろ」
「だ・か・ら♪。今夜から亜美ちゃんの連勝だもん」
「負けるかよ」

竜児は体を支えていた両手を離し、亜美の胸、そしてその頂に指を伸ばす。

「きゃふ」
「川嶋、お前の弱点なんて全部知ってる。まだまだお前なんかに負けるか」
「そこ、乳首、いじるの禁止って言ったじゃん」
「その後、触るのやめたら、意地悪しないでくれって言い出したのはどこの誰だ?」
「し、知らない」

竜児の指は強くでもなく弱くでもなく、くすぐるように乳首の下を擦り、つまんで、こすりあげる。
亜美は背中にぞくぞくと快感が走るのを否定する事が出来なかった。
そして、それは下半身から響く快感の線と直ぐにつながり、股下から、腰、背中、胸の快感のラインが繋がり、それが直接頭の中に響きだす。

「だ、駄目、だめだって。高須くんとエッチする度、私、馬鹿になっちゃう」
「い、いいさ。こんなとき、馬鹿になんないと、何処でするんだ」
「で、でも、あたし、高須くん無しじゃ、本当、いられなくなる。駄目だよ。そんな依存するような女」
「俺はもうお前無しじゃ駄目だ。こんな時にしか、馬鹿になった時しか言えなけど、俺、お前の事、愛してる」
「や、そんな、卑怯!。こんな時に、そんな事。だ、駄目、いく!」

亜美は大きく弓なりに身をそらし、気を満たす。そして、暫くの間、荒い息しかすることが出来なかった。
そして、やっと息が戻ったと思ったら

「川嶋、俺、まだイッてないんだ。だから……」
「う、嘘……」

そして、亜美は今夜も連敗数を伸ばす。夜はまだまだ続いていく。

END
302名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 13:20:31.87 ID:vXpVXucM
あーみんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
GJ!!(;´Д`)ハァハァ
303名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 01:34:19.46 ID:wsW0Q+8G
あーみんかわいいよあーみん
304名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 02:02:11.88 ID:j0T48VG1
まともなSSが投下されなくなってから大分経つな
305名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 04:09:35.61 ID:Xd8gDMJb
連敗あーみんについてkwsk
GJだぜ
306名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 19:16:25.82 ID:OEYFgiv+
やっぱりあーみんは可愛い、正義、ジャスティス!!
307名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 19:34:15.82 ID:nDNatOEt
すまん。田村くん関連のエロ SS って >>1 のまとめサイト1にしかない?
とらドラに比べたら圧倒的に少なくて……
308名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 00:44:07.67 ID:p5qSTIPz
アニメ化されてないからこんなもんでしょう
309名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 00:57:51.08 ID:TkZhAyK8
>>307
早く自分で書く作業にGO
早く早く
310名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 04:41:23.72 ID:+Z4pcF6k
徹夜でエロ SS 探したけど見つからなかったわ……。
やはり自分で書くしかないか
311名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 23:27:59.51 ID:+Z4pcF6k
yahoo 知恵袋ぱねぇっす

わたしたちの田村くんの エロ画像 特に松澤小巻 - Yahoo!知恵袋
ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1317620488
312名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 18:08:12.29 ID:TTOdX3JN
アホかwwwwww
313名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 01:37:51.00 ID:k/NLuFix
むしろ何をやっててこれ見つけたんだよ
314名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 05:20:10.87 ID:ehbYAJpF
それはもちろん、

わたしたちの田村くん 巨乳 サンプル画像

エンタぁ〜ん
315名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 14:56:47.80 ID:d5Bh48SH
田村くんに巨乳キャラなんていたっけ?
316名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 19:52:57.54 ID:uhVImKj8
漫画版は上からの指示で相馬の胸が増量されたらしいw
317名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 20:19:38.49 ID:anWcI9x0
相馬がバニースーツやバスローブ着てる絵はありえないほど胸でかいしなw

それにしても、最近漫画版を全巻揃えたんだけど
アニメイト限定でカバーが違ってたんだな。限定版も買うかどうか悩む
318名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 20:46:09.90 ID:ccsKOfoD
そうか漫画版は読んでなかった
相馬はなんとなく虚弱なイメージがあったから豊満=巨乳とか全く思い浮かばなかったわw
319名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 22:34:12.03 ID:anWcI9x0
本スレの 883
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1300201168/883
ですが、ゴールデンタイム 2 巻直後の展開の妄想を書き留めましたので
以下のとおり投下します。

この後の展開についてもプロットは考えましたが、本日は 2 レス分だけとさせていただきます。
それでは、よろしければお読みいただけると嬉しいです。よろしくお願いします
320名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 22:34:35.60 ID:anWcI9x0
万里は、香子を連れ去ったパトカーを呆然と見送っていた。
香子を追いかけたかったが、走ってはとても追いつけないし、
タクシーで向かおうにも行き先がどこの警察署なのかわからなかった。

振り返ると、自転車の持ち主の少年と婦警が話をしていた。
自転車の本人確認を行っていたのであろう。
まもなく、少年は婦警に頭を下げて自転車で走り去っていった。

万里は、香子の代わりに少年へ謝罪した後、
香子の行き先を尋ねるべく婦警に話しかけた。

「すみません。あの……パトカーが向かわれた先はどちらでしょう」
「ん? ○○警察署だけど、あの女の子を追いかけるの?」
「はい。さすがに心配なので」
「君も大変だねえ。まあこの時期、酔って騒ぐ大学生は多いんだけど、自転車まで盗むような子は初めてだよ」
「すみません……」

自分が悪いことをしたわけではないのに恐縮してしまう。
そんな万里がおかしかったのか、婦警は苦笑しながら万里に話しかけた。

「良かったら、警察署まで乘せていこうか」
「え?」
「今から私も署まで戻る予定だから、そのついでに乘せてあげるよ」
「あ……ありがとうございます」

万里は警察官と話したことがほとんどなかったため、
警察官にはなんとなく恐い印象を抱いていたが、優しい人もいるものだと驚いた。

香子を連れて行ったパトカーとは別に、もう一台パトカーが近くに来ており、
そこに連れられて助手席に乗り込んだ。しかし…・

「そのかわり」
「?」
「彼女との関係をちょっと教えてもらえる?」

目と口元をにやりとさせる婦警を見て、やはりパトカーなんて乗るもんじゃないと後悔した。
321名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 22:35:13.76 ID:anWcI9x0
万里は、婦警に連れられて警察署の中に入り、
二階の事務室の外の簡易ソファで待っているように指示された。

婦警と別れた後、万里はやっと息をつくことができ、
めまぐるしく色々なことが起こった一日をぼんやりと振り返っていた。

飲み会の後、リンダと香子のことで頭がぐちゃぐちゃになっていたが、
香子が必死に追いかけてきてくれて(怖かったけど)、思いを伝えてくれたおかげで
気持ちが随分と軽くなった心地がしていた。

リンダの件はまだ解決していないけど、今は香子のことを考えるのが
何よりも大事に感じられた。

物思いにふけっているうちに、香子が事務室から姿を現した。
自転車を盗む意図はなかったとはいえ、窃盗を犯したこと、また、
未成年飲酒と飲酒運転についても注意されたであろう彼女は、
表情に疲れを滲ませてトボトボと歩いて来た。

「加賀さん」

それまで顔を下に向けていた香子は、声がする方へ呆けたように顔を向けた。

「多田くん……? 待ってて……くれたの?」
「うん……。だって加賀さん、『どこにもいかないで』って何度も言ってただろ。
 だから、ずっと待ってようって思って」

きっと気落ちしているであろう香子を元気づかせてあげたくて、ずっと待っていた。

「……ありがとう……ごめんね。私、多田くんに迷惑かけてばかりだけど、
 多田くんがそばにいてくれるとすごく嬉しいよ」

香子は疲れていた顔に少し笑顔を浮かばせて微笑んだ。
その顔を見ただけで、万里の胸になんとも言えない、くすぐったいような優しい気持ちが広がっていく。

「じゃあ、行こうか」
「うん」

二人はどちらからともなく手を繋ぎ、警察署を出て駅へと向かった。
322名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 00:03:27.18 ID:+86kRI23
GTktkr!
マジ乙
323名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 04:00:10.36 ID:qiLVTdSn
ゴールデンタイムは2は見つかるんだが1がないんだよなあ。
324名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 04:40:23.89 ID:Fzggn2NL
amazon おすすめ
325名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 22:19:41.61 ID:YFltbbH2
GT少ないからな
どんどん増えていってほしいものだ
326名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 22:30:25.15 ID:I7jXQYR8
ぜひ、こっちで書いてくれ
地の文もしっかり書けてるよ!
327名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 04:48:43.03 ID:8gLmccta
みんなありがとう! 脳内にあるのを文章化できたらまた投稿します
328名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 23:34:31.51 ID:FGQ4MU1e
まってるよ
329名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 23:51:49.51 ID:ZK3lUGLD
うむ
330名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 23:53:10.62 ID:bjagxFy1
うっぜ
331名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 00:02:47.51 ID:iyws+QQK
酷い自演
332名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 20:27:36.91 ID:TO9Ulem/
ローマの人、被災につき再起動中らしい
333名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 20:49:23.44 ID:p+YuW/l/
334名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 20:57:12.00 ID:TO9Ulem/
俺はローマの平日というSS連載の続きを待ってるんだが、
書き手の人が被災してしまったのでちょっと待ってね的な事を言ってたんで
ここに書いてみた次第 ニンニン
335名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 21:08:57.41 ID:zPF/IRgN
だから?

つーか被災したもなにも地震が起きる何ヶ月も前からあの話って更新停止してるじゃねーかよ
336名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 21:18:29.61 ID:p+YuW/l/
田村くんとゴールデンタイムの SS もまだー
337名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 21:20:40.15 ID:751xfTgE
任せたぞ!
338名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 22:13:45.77 ID:p+YuW/l/
皆まで言わせずに、堺はすぐにその皿を手元に引き寄せた。嬉しげに「任せろ!」と頷くのに、
誰かが「や〜ん地球ごと任せたい〜」とうっとり合いの手を入れる。
339名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 23:49:27.03 ID:28DIPzcs
自分もローマの続きを待っているので、
再稼働する気があるというだけで朗報だw
340名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 07:13:47.43 ID:iCriYDFY
信憑性はないけど、でも期待せずにはいられない
341名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 08:38:14.70 ID:GQs//lAE
とらドラよりもGTよりも田村君が好きなのにSSがあんまり無くて悲しい

テレビの影響力って強いんだなあ
342名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 21:37:51.17 ID:nJXxfjFt
このスレの初期の頃にうpされてた田村くんの SS はレベル高かったなあ。
松澤最高
343名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 10:16:11.78 ID:GxIhI9Sm
相馬も良いね
344名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 19:13:30.18 ID:4/It31Nl
とらドラから入って田村くん読んだ。
スピード感とオトメゴコロ一杯で気持ち良かったな。
345名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 22:12:27.33 ID:lTFPMx1Y
田村くんの短編まだかな。
ひみつメランコリーとおひげガールズと高浦さんちの家族計画で文庫一冊できるのに
346名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 22:17:37.75 ID:bGejxDeA
アニメスタイルに大河のねんぷちが付属
(;´Д`)ハァハァ
347 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 :2011/05/26(木) 00:11:55.65 ID:QtWsteow
やっぱアニメの竜虎はセックスしてたんだな
昨日発売のアニスタに書いてあった
348名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 01:04:39.59 ID:4GiJfCgu
祖父母の家でセクロス・・・
349名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 04:43:50.07 ID:vmj/FHOi
祖父母、母親がいる場所で、Hとは大河と竜児、かなりDQN…
350名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 06:13:07.63 ID:SF4P87Lo
原作だと元泰子の部屋とはっきり記述してあったな。
そこでやることがお話としては必要なことだからいいじゃないの。
お前は母親、俺らは恋人っていうけじめをつけたわけだよ。
351名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 07:37:41.73 ID:vmj/FHOi
けじめなら、周りに迷惑を掛けるのはやめましょう

お話の都合?だと、余計やっちゃんが余計かわいそう
バイトの事で嘘つかれ、逃げられ、また命の危機だと嘘つかれ、
いろんな事を犠牲にして泣きながら竜児に会いに着たら、その日に自分の部屋でHされて

やっちゃんに思いやりのない、DQNな大河たち、…見損なった、ちょっとショック
352名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 09:21:30.84 ID:xhuSjYCV
>>347
え?それガチ?
353名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 09:23:42.98 ID:XnAoEG9J
母親も同レベルで、似たもの親子にしか見えなかったけど
その行為がけじめにならんのは間違いない
354名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 09:54:37.83 ID:qyJIzAHl
どうでもいいよ
それよりもやっちゃんSSまだ?
355名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 13:57:58.21 ID:PtCa7dMQ
しょうもないことをいちいち気にする奴が多いな
356名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 15:17:41.91 ID:PtCa7dMQ
実際にアニスタ見てみたらどっちとも取れる描写にしてあるってだけか…
むしろ最初はマジでそういうことにしようとして没った感じかな?
エロパロ的には非常においしい材料にはなりそうだ
357名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 22:33:52.05 ID:CPRjBNj0
本スレにあった「大河に失踪された竜児が寂しさから亜美ちゃんと愛のない乾いたセックス」いいな
358名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 23:39:05.49 ID:pPJJHYN2
くだらないこと気にしてないでさっさとゴールデンタイム盛り上げろや
おもにリンダの方向で
359名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 23:45:10.01 ID:xhuSjYCV
>>334
いやこうこだろ
360名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 23:45:39.71 ID:xhuSjYCV
ごめん
なんか変なアンカついてる
361334:2011/05/27(金) 21:30:29.32 ID:T7dAwBW/
確かにGTのこうこは、なんか健気な感じがするし、SSが来たら踊り狂うけど
ローマが捨てがたいんだよ!解ってくれよ!!
362名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 21:33:56.23 ID:jxivl5k1
しつけえ
うぜえ
363名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 20:33:18.36 ID:S4kLC3tE
>>357
すごくエロパロ向きの素材だし、亜美ちゃんがすっぽり嵌るネタだ…
ちょっとプロット、脳内で組んでみたんだがドロドロの話になる
その上、大河が不幸になっちまう。亜美は不幸だが嬉しがるんだがよくわからん(自然と動いてはくれる気はする)
難しいね。下手すると誰得の話になるかも
364名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 23:51:41.80 ID:m3woumxX
>>357
そんな卑劣な亜美ちゃんは嫌すぎる

>>359
同意
ゴールデンタイムは香子で盛り上げてってほしい
365名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 12:08:02.68 ID:ofkssOCv
愛の無いセックスだと3人とも未来が無いな多分。
ウタカタ・ハナビぐらいのがちょーど良い。
366名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 12:55:35.39 ID:/YAT+Q9C
愛のない〜は三作品どれでもいけそうだからな
田村君は少しキツイか・・くらい
GTはど真ん中な感じ
367名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 19:48:10.44 ID:CI98gPip
人の居ない隙をついて投下。
竜児×太河甘々

『ためしてガッテン』
368名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 19:50:20.71 ID:CI98gPip
「触診して」
「は?」
 とある土曜日の午後。
 昼食を終えてまったりしていたところ、大河が突然言い出す。
 薄緑のシルクのワンピースを着た太河が、竜児の前に正座して、そう言った。
「触診って、触って診ると書くあれか?」
 竜児の目線が太河の体を何となく見回してから問う。
「そう。ってあんまりジロジロ見るなエロ犬」
「てか、そういうのは医者の領分だろ」
 当然だ。素人の手先で何が分かるというのか。
「そもそも何の触診だ? 触診って言っても色々あるぞ」
「……ぃ」
「何?」
 口だけぱくぱくと動き、太河の声が聞こえない。
「だ、だから…。…っ…い」
 竜児が怪訝な顔をする。
 いつもの大河からは想像出来ない小さな弱々しい声なのだから。
「…熱でもあるのか?」
「無いわよ! だから! お…。おっぱいって言ってるの!」
 やけくそになった大河が大声ですごい事を言う。
「おうっ! お前! 何を言い出すんだ、はしたない!」
「ば、馬鹿っ! 何ヘンな事想像してんのよ! 変態犬! だから、あ、あれよ! 乳がんのやつ!」
「…乳がん?」
「そ、そうよ! この前ガッテンでやってたの。それなら素人でもある程度正確に分かるって。
だ、だから…何よ?」
「……」
 それを聞いた竜児が更に怪訝な顔をしている。
「あのな、それなら自分でも出来るだろ? 第一…」
「じ、自分だと客観的に診られないの! あんた! ご主人様になんかあったらどうすんのよ!」
「いや、お前に何かあったら嫌なのは当然だけどよ、でも俺がそう言う事していいのか? お前だって
嫌だろ? 好きでもない男にそんな事されるのは」
 極当然の事を言った筈だが、大河の顔にありありと不機嫌が沸き立つ。
「…大河?」
「わ、私がいいって言ってるの! あんたなんかカウントに入らないからいいのよ! 言われた通りに
やりなさぁいっ!」
「おうっ! カウント外とまで言われるのは流石にきついぞオイ!」
「ならあんたはみのりんだとでも思ってやりなさいよ! ならいいでしょ! だからつべこべ言わず、
黙って触診しなさいよ!」
「…なぁ、どうしてもやるのか?」
「やるの!」
「…はぁ。なんでこういう所まで強情かね」
「いいのね?」
「…良くないけど、分かった。これ以上胸だのなんだの叫ばれるとそのうち通報される」
「最初っからそうしていればいいのよ! ふんだ!」
「何でそんなドヤ顔なのか理解出来ん」
「で」
「ん?」
369名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 19:55:02.90 ID:CI98gPip
「もう一回確認するけど、いいのよね? やってくれるのよね? 本当に」
「もう一回言うが、よくないが、いい。ところで、どこで? ここでか?」
「こ、ここで今やっても雰囲気…」
「雰囲気?」
「ち、違う! とにかく触診はデリケートだから時と場所を選ぶの! あんた! とりあえず今日
夕食の後、私のマンションに来なさい!」
「何で?」
「今日は夜やっちゃんが居るのにその前でなんて出来る訳ないじゃない!」
「あ、そういえば泰子が居るじゃんか。泰子にしょ」
「却下! やっちゃんにされたら自分の胸と比べられるだけで私が哀れになっちゃうじゃない!」
「そういうもんか?」
「そういうもんなの! いいから、とにかく私のマンションに後で来なさい! だからご飯は早めに
つくる! そして食べ終わったら戻って待ってるから、片付けを十分で済ませてさっさとこっちに来る!
以上! これ以上うだうだ言ったらみのりんに襲われたって告げ口するから!」
「理不尽です」

 夕食後。
「ごちそうさま」
「お粗末さま」
「ごちそうさまぁ〜。竜ちゃんの作りたてお夕飯久しぶりで美味しかったぁ〜」
「久しぶりの休みで良かったな」
「そうよねぇ、やっぱり竜ちゃんのご飯は冷めても美味しいけど、作りたてが一番だわ」
「…竜児」
 大河がつん、と竜児の横腹を突っつく。
「ん? どうした?」
「…待ってる」
 そう言うと、大河は自分の食器を台所に片して行ってしまった。
 ワンピースの裾が、手招きするようにひらひらとたなびいたのが妙に印象に残る。
 ああやって自分の食器を片付けるだけでも進歩したもんだよな、と竜児は感心する。
「竜ちゃん、太河ちゃんどうしたの? なんだか今、顔が赤かったみたいだけど?」
「さぁ? 飯食った直後で体温上がったんじゃないか?」
「そうなの?」
「ああ、そういえば、飯の後だけじゃなくって、あいつ、昼寝の最中とかもすごいんだ。触ると頭から
爪先まですっごい熱いんだぜ。寝ると体温上がるってのはあるけど、あいつは特にすごい」
「ふーん…」
「な、何だ? その目は」
「おネムの女の子にそんな触っちゃダメよ、竜ちゃん。いくら太河ちゃんが可愛いからってぇ」
「! い、いや、それは…し、食器洗ってくる!」
「うふふ。竜ちゃんせいしゅーん」

 太河のマンション。
 部屋のベッドで太河がごろりと横になっている。
「…こ、これから…竜児が来るのよね。そして…ええと…」
天井を見つめながら、太河の両手が両胸にそっとあてがわれ、そしてゆっくりと指が動く。
 触れた指に鼓動が伝わる。心臓は既に早鐘のようになっていた。
 少し指を流す。手触りの良いシルクの感触も相まって、背中に何かが走る。
「んっ…」
 目を瞑り、大きく息を吐いてから両手の力が抜ける。
「ふあ…だめ…。自分じゃ…やだ…竜児ぃ…」
 自分でも驚くような甘い声が出る。
370名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:02:43.59 ID:CI98gPip
 その時、ドアが開く音がする。
 太河は息を飲んで慌てて起き上がった。
 そうだった。
 合鍵を持っている竜児はその気になれば自由にここに出入り出来るのだ。
 勿論、竜児の家の合鍵も貰っているので自分も同じだが。
「太河、来たぞ」
 竜児が寝室に来る。
「はっ、は、早いわね」
「太河が早く来いって言ったんだろうが。…で、ええと、本当にやるのか?」
「お、女に二言は無いの! あんたこそ男なんだから一度やるって決めたら相手が泣いて嫌がろうが
押し通しなさいよ!」
「いや、それはまずいだろ。男として、と言うか人として」
「う…」
 それはそうだ、太河が口ごもる。
「それに」
 竜児が太河の座るベッドに腰掛ける。
「きゃ」
 竜児の重みでベッドが揺れ、バランスを崩した太河が竜児の腕にしがみついた。
「俺は太河を泣かせるような事は絶対にしない」
 人を視線で殺せる竜児の目が、一瞬胸が切なくなるほどに優しくなる。
 ああ、やっぱり、別の意味で人を殺せる目だわ。
「太河」
「なっ! な、何!?」
「嫌がるなら俺は絶対にしないが、それでも、お前は望むんだな?」
「う、うん。…して、欲しい」
 なんかいかがわしく聞こえるけど、触診だよな触診。
 竜児は自分に言い聞かせる。
 落ち着け。
 太河の胸は水着の時に一回、不可抗力だが経験がある。
 そう、これは医療行為だ医療行為。
「わ、分かった。俺も覚悟を決める。太河も嫌だろうが我慢しろよ」
 もともと太河がやれと言うのだから我慢も何も無いと思うが、一応太河の気持ちを尊重する意味で
竜児は念を押す。
「うん、それじゃ、えっと、前からは恥ずかしいから、後ろから、触って」
「えーと。って事は…」
「うん」
 竜児が何を考えたのか察したのか、太河が答えを聞かずに頷く。
「…じゃ」
 竜児がベッドの端から上にのり、そして胡座をかく。
 太河は、竜児の膝の上に背中を預けて乗った。
「…重くない?」
 竜児のズボンを握りつつ、太河が顔を竜児に向けて問いかける。
「軽いよ」
 緊張しているのがありありと分かるその表情を見て、竜児は逆に不思議と気持ちが落ち着くのを感じる。
 そっと太河の腹に左手を添え、右手で頭を撫でる。
「ん…」
 太河は体の力を抜き、竜児に体を預けて瞳を閉じた。
371名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:07:35.34 ID:CI98gPip
「もうちょっと撫でて」
「ああ」
 太河の体が更に弛緩し、蒸気したせいかほんのりと太河の体から甘い匂いがする。
「いい匂いだな」
 竜児は無意識につぶやき、そして太河を両腕で抱きしめた。
 一瞬ぴくりと太河の体が震えたが、それきり再び弛緩する。
 向こうを向いていた太河の頭が横向きで竜児の胸に収まり、太河はゆっくりと頬を竜児の胸にこする。
「…お、おうっ! す、すまん! 俺! 何をやってんだ!?」
 竜児が我に返り、慌ててその手を話そうとしたとき、太河が竜児の手を抑えつけた。
「離さないで」
「い、いや、やっぱり駄目だ! すまん! 今日のことは忘れるから太河も忘れてくれ!」
「…どうして?」
 太河が首をもたげて竜児の顔を下から覗き込む。
 どこか非難するような瞳で。
「どうしてって、お、俺はお前のことをそんな風には…。お、お前は北村が好きで、俺は…」
「あの時、私をあんなに触ったのに? あんなにたくさん…」
「なっ!?」
 竜児の三白眼が更に凶悪に見開かれた。
「あ、あの時って…」
「起きてたんだよ。あの時」
「あの時って…。おうっ!? ま…まさかっ!?」

 一週間前、日曜日。
「よぉーし、あんかけエビ炒飯完成だ」
「やったー!」
 薄緑のシルクのワンピースで、太河は子供のようにバンザイした。
 日曜の昼。
 竜児は昼食にあんかけ炒飯を用意していた。
「レタススープもあるぞ。ベーコン入りだ」
「やったー!」
 バンザイ二度目。
 いつもこうして体中で喜んでくれるので、竜児も自然と料理に気合が入る。
「おかわりあるからゆっくり食えよ」
「いただきまーす!」
 太河は小さな口に大きな蓮華で熱々のチャーハンを頬張る。
「おいひー!」
「食べながら喋るな。ほら、もうほっぺにご飯粒ついてるし。
 これもまたいつもの事だが、太河の頬のご飯粒を竜児がつまみとり、何気なしに食べ用とする。
 と、素早く太河が竜児の指にかぶりつく。
「おい」
「だめー。竜児の炒飯は全部私のだもん」
「だからって人の指にかぶりつくかね」
 やれやれ、と竜児は太河が第二関節まで咥えこんだその指を舐め、自分の蓮華に持ち帰る。
「……」
 と、太河が竜児の今の動作を見て動きを止めていた。気持ち、頬を赤らめて。
「どうした?」
「今…指…」
「? 指がどうした?」
「な、何でもない!」
 太河は再び炒飯を掻きこむ。
372名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:12:10.13 ID:CI98gPip
「おう。喉につまらせるなよ」
「わかっ…! げほっ!」
「ああもう言っているそばから! ほら、水飲め」
「けほ、水でチャーハンの味薄めたくない…えほっ」
「スープでも何でもいいから早く飲め! あ、スープの場合はゆっくり飲め」
 その後、落ち着いた太河が改めて炒飯をお替わりし、全て平らげる。
 食器だけは全て大所に運び、片付けは任せた、と太河がごろりと横になる。
 本当は洗いたかったが、食べた後の眠気が危険なので竜児に任せる。
 竜児と自分の炒飯皿を万が一にも壊したくはなかったから。
「おう、ありがとな」
 太河は、あーい、と既に寝ぼけ眼で生返事し、そのまま座布団を枕にごろりと仰向けになる。
 台所から水と食器の音が聞こえる。
 なんか、幸せよね、こういうの。
 普通逆だ、とも思わないでもないが、それでも抗えない幸福感に太河は頬を緩めた。
 蛇口を閉め、濡れた場所を丁寧に拭いて水回りの仕事が一段落する。
「おし、終わったぞ。太河、ジュース飲むか…って、寝てるし」
 洗い物を終え、コップに飲み物を入れて戻ってきた竜児は、仰向けになって寝息を立てている太河を
見つける。
「やれやれ、のび太なみの寝付きの良さだぜ」
 竜児は起こさないようにそっと太河の座りに座り、寝顔を見た。
 普段の手乗りタイガーの異名はどこへやら。
 その寝顔はまるでフランス人形か何かのように可愛く、そして意外に美しい。
 華奢な体を包む柔らかなワンピースがうっすらと体のラインを強調させ、幼さと僅かな色気を併せて
醸し出している。
 基本、こいつは綺麗なんだな、と竜児は改めてそう思う。
 薄いワンピースに包まれた薄い胸が寝息と共に小さく上下している。
 よくみると、ほんの僅かに胸の両側に何か突起が浮いている気がする。
 …こいつ、着けてない?
 いくら貧乳とは言えまさか高校生が。
 驚きと扇情的情景が綯交ぜになり、竜児は頭を振った。
 だが、視線がもう太河から離れない。
竜児はほとんど無意識に太河の横に移動し、頭の先からつま先までをまじまじと眺める。
「…きれいな顔しているよな」
 青磁の人形の様な無垢な寝顔に思わず呟く。
 一瞬太河の息が止まった気がするが、寝ている時はよくある事、と竜児は気にしなかった。
 それよりももっともっと太河を見ていたかった。
 竜児の手が太河の頭に触れる。
 柔らかなピンクの髪がほんのり熱を帯び、なめらかな手触りが心地良い。
 少しの間髪をなで、その手をそのまま顔に下ろす。
しっとりとしたもち肌は更にさわり心地が良かった。
「こんなに、触り心地のいい肌していたんだな」
 取っ組み合いみたいな触れ合いは日常茶飯事だが、こうして静かに触れる事は滅多にない。
 竜児は太河のさわり心地の良さに何となく酔ったような気分になる。
頬を流れ、耳を撫で、ふと、唇に指が触れた。
 先程炒飯を食べたときの記憶が蘇る。
 あの時は何でもなかったが、今思い出すと指を舐められたなんて、と急に恥ずかしくなる。
 指に触れた舌の感触が生々しく思い出され、背筋がわずかにざわめいた。
 竜児の指が太河の唇をゆっくりとなぞる。
「太河…」
 竜児の指が、ほんの僅かに開いた太河の口にそっと忍びこむ。
373名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:16:01.98 ID:CI98gPip
 小さな歯と爪が当たる。
 少しずらすと、歯の奥の舌先に指が触れた。
 このまま指をもっと奥まで入れたい劣情にも似た欲望が沸きかけた。
 いや、これ以上はいけない。
 竜児がそっと指を離すと、小さく開いていた口がゆっくりと綴じた。
 だが、太河をもっと触りたいという欲望が止まらない。
 竜児は再び顔に手を添わせ、そしてゆっくりと首筋へ降ろしてゆく。
「暖かいな、太河」
 思わず声が出る。
 首筋を指先で舐めるように撫でたとき、不意に太河の口から小さく声が漏れた。
 竜児がはっと手を離す。
 だが、それきり太河は規則正しい寝息に戻る。
 普通なら我に返ってここで行為をやめるところだが、今の竜児にはそれが出来なかった。
「寝ているときに…ごめんな」
 そう言い、再び太河の首に手を触れさせる。
 小さく喉がなった気がするが、特に変わりはない。
 竜児はもう気にするのを止め、行為に没頭することにした。
 首筋から鎖骨へ指が流れる。肩口の広いワンピースのおかげで胸のすぐ上まできめ細かな素肌が
さらけ出されている。
 このきれいな肌を、今は自分の思うがままに触れるのだ。
 竜児の心臓が早まる
 指がそのまま胸に下りかけるが、それはいけない、と押しとどまった指が肩に逃げ、改めて露わな肩を
そっと、ゆっくりと、じっくりと撫でる。
 腕を舐め、細い手首をそっと握り、そして力なく開いた指の一本一本にに自分の指を絡める。絡み合った
指に興奮が高まる。
 竜児が指に力を込めると、反射なのか太河の指にもわずかに力がこもる。
 それがまるで、握り返してくれているようで妙に嬉しかった。
 いつから自分はこんなにいやらしい奴になったのかと驚くが、それでも行為をやめるには至らず、
ついにはそっと腕を持ち上げそのまま太河の小さな指に口づけた。まるで、先程の炒飯の時の様に。
「太河…どこまで可愛いんだ」
 普段なら絶対に言わない、思わないセリフが息をするように出てくる。
 そうか。俺は今、どこかおかしいんだ。
 なら、仕方ないな。
 竜児はひとり頷く。
 そっと手を置き、腹部に手を添えた。
 柔らかな布の感触が、へその位置までありありと指に伝える。
 柔らかく、そして温かい。
 へその下へ指を踊らせるが、ほんの僅かに坂になったあたりで下着の線の感触に触れ、流石に
そのまま手を下げることはいけないと思いとどまり、軌道をずらして腰に指を這わせる。
 ゆっくりと、時折戻ってはゆっくりと肌を撫で、横になったときに少しめくれ上がって見えている
太腿へ、そのまま躊躇なく手を下ろす。
 柔らかい。
 それしか考えられなかった。
 熱を帯びた腿の感触は言うまでもないが男の自分の肌の感触などとは比べるべくもない。
「…こんな綺麗な子が目の前にいて、俺、よく今まで…」
 太河との生活。
 それは最初は同情もあったかも知れない。打算もあった。お互い様とは言え利用しあう関係だから
でもあった。
374名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:21:18.48 ID:CI98gPip
 だが、いつからだろう。自分が損得など抜きで太河の事を気にかけるようになったのは。
 太河の笑顔を見たくて、太河の隣が心地よくて、そこに居たくて、自分は行動していた。
 それに比べて櫛枝の笑顔を見たいと、隣に居たいと最後に思ったのは何時だ?
 俺は、誰が好きなんだ?
 答えを求めるかのように竜児の指は太河の肌の上を踊る。
 太腿から膝、脛へと、自分の指が触ってない部分が無いようにとでも言うように撫で回しながら、
くるぶしまで指が下がる。
 足から指先まで、指で視姦しているかのように撫で回してから、ようやく竜児は指を離す。
「…なんか、ものすごい充足感がある」
 気持ち蒸気した顔で、竜児は太河の顔を見た。
 ほんのちょっと指を添えて触っていただけなのに、どうしてこんなに満足感があるのだろう。
 先程と全く変わらない姿勢。気持ち赤くなった顔は、多分、寝て体温が上がっているからだ。
 竜児はもう一度太河の顔に手を添えた。
「俺…俺が好きなのは、違うはずなのに…どうしてだろうな、太河?」
 まじまじと天使のような寝顔を見つめ、そして。
「もしも、ばれたら、木刀で俺の記憶を無くしてくれていい。だから…」
 竜児の顔がそっと太河の顔に近づく。
 顔に影が落ちたせいか、太河の肩ががわずかにすぼまり、両足が内股になる。
 そして、竜児の唇がそっと太河の頬に触れた。
 十秒ほど、太河の頬の感触を唇で堪能する。
 触れているだけのキスだが、太河の肌の香りを鼻腔に満たしながらのキスはとんでもなく高揚を煽った。
 思わず頬を舐めたくなる劣情を抑え、そっと頬から唇を離す。
「…寝ている間にこんなこと…ごめんな。でも、俺は…お前のこと…もしかしたら…」
 言いかけ、竜児はいや、いけない、と頭を振る。
 太河が好きなのは北村なのだから。
 俺がこいつの隣に居てはいけないのだから。
「ごめん」
 竜児はつぶやき、その体を離した。
 いつの間にか喉がカラカラだった。喉を潤すために先程持って来たテーブルのジュースを飲む。
 ジュースが少しぬるい。
 一体、どれほどの間太河に触れていたのだろう。
「…何やってんだろうな、俺」
 大きくため息を付き、竜児は現実に戻る。
 太河が目を覚ましたのは、それから少しの後のことだった。

「お、起きてた…のか?」
「……」
 太河は真っ赤な顔で小さく頷いた。
 あの時の喉の鳴った音。身を捩らせた動作。都合よく解釈していたが、全ては寝たふりの上と考えると
納得出来る。
「うおおぅ…!」
 竜児は最初真っ青になり、そして直後に真っ白になりながら悶えた。
「た、太河。…覚悟は、できている。拳でも蹴りでも、木刀でも釘バットでも好きにしてくれ…」
 恥ずかしさが大津波になって押し寄せる。
 竜児はいっそ本当に記憶を消して欲しいと願いながら言った。
「忘れさせないよ」
 だが、太河は竜児の覚悟と逆のことを言った。
 背中を預けていた状態のからもそもそと姿勢を変え、横座りで竜児の胸に抱きつく。
「太河?」
「竜児、私がどうして寝たふりしていたと思うの?」
375名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:26:57.11 ID:CI98gPip
「ど、どうしてだろうな」
「触られるのが、嫌じゃなかったからだよ」
「……」
「…最初、最初はね、触られてびっくりした。起きようと思った。でも、触れられたところがなんだか
気持よかったの。全然嫌じゃなかった。もっと竜児に触ってほしいって、思ったの」
「太河…」
「あの時、ワンピース着ていたのも、ちょっと、ほんのちょっとは、竜児に意識して欲しいって思ったから
もあるんだよ」
「そ、そうなのか?」
「あそこまで触られまくるとは思わなかったけど」
「す、すまん」
「ううん。それに、竜児の甘々トークなんて他の人は聞けないだろうし。…けっこう、嬉しかったんだよ?」
「ぐあああああっ! そ、それは忘れてくれえええっ!」
 竜児が恥ずかしさに悶える。
「だーめ、あのセリフ、私だけに言ってくれたんだよね? 他の誰にも、言った事なんて無いよね?」
「…そ、そりゃあ、あんな恥ずかしいセリフ…。今考えてもよくあんな事俺が言ったもんだ…」
「へへー」
 太河は真っ赤な顔のまま、にんまりとほほえみ、そして竜児の胸に顔を埋める。
「みのりんだって聞いたことのない、知らないセリフだね。私だけが知っているんだ」
 太河がうっとりとした顔で呟く。
「でもね、一つだけ、嫌な事があったの」
「な、何だ?」
「どうして、胸は避けたの?」
「そ、そりゃ…」
「小さくて触り心地が悪いと思ったから? 正直、あんなに触ったのに胸だけ避けたから、この貧相な胸は
嫌なのって、そう思ったんだよ」
「違う! そんなんじゃない。ただ、寝ている間に触るなんて…って思ったんだ。他の所さんざん触った
俺が言うのもおかしいけど…でも、そこは、いけないと思ったんだ」
「…優しいね」
「寝ている間にそんなことした男が優しい訳ないだろ」
「ううん、優しい。嬉しいよ、私」
「…大河。あ、まさか?」
 竜児がはっと思いつく。
「触診って…もしかして」
 気付かれた、と大河が舌を出した。
「そうだよ。竜児。あの時、胸を触ってくれなかったから、だから、なんだか後から悔しくなってきて…
それで、思いついたの。ワンピースもわざとあの時と同じにしてね」
「んじゃ、ガッテンを見たってのは…」
「うん、見てない」
「だよなぁ。実際、乳がんの触診は主に三十代以降からだもんな」
「あ、そんなに上からだったの?」
「ああ」
「そっかぁ。じゃ、流石に無理があったなぁ」
 大河が成る程、と頷いた。
「まぁ、そう言う事だ。いや、しかし済まなかった。勝手な事して。だから、触診の話は…」
「終わってないよ」
「え」
 大河が竜児の膝から降り、前に座って言う。
376名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:32:00.12 ID:CI98gPip
「さっきも言ったけど、私、竜児に触られた事は嫌じゃないの。…どっちかって言うと、竜児が私の事
ちゃんと女の子として見て、魅力を感じてくれていて、それが嬉しかった。あの時の感覚って、他の
誰からも感じた事無いのよ。北村君からも。感じたのは、竜児だけなの」
「大河…」
「ま、まだ、この気持ちがどうなのか…。それはまだ分かんない。でも、でもね、私、竜児が…竜児が、
もしも、もしも…。あの、ええと、み、みの…」
「言わなくていい」
 竜児が大河を抱きしめた。
「ひゃっ!」
「大河、俺もまだ、この気持ちがどうなのか、はっきり分からない。でも…きっと、大河と同じだと、
そう思う。思いたいんだ」
「竜児…」
「こうして、大河の体温を感じていたい。そう思う。この気持ちが…なんなのか。もう少し、もう少しで
言葉に出来そうなんだ。だから、だから、大河。少しだけ、待ってくれないか?」
 いつも基本的に真面目な竜児が、殊更真面目に言葉を紡ぐ。
 太河はその言語の一つ一つが心に沁み込んでいくのが分かった。
 竜児の真摯な思いが、誰の言葉よりも心に深く沁み込んでいく。
「…いいよ、竜児。うん、私も、この今の気持ち、きっと言葉に出来る。竜児と同じ気持ちだって、確信を
持って言葉に出来ると、思う。ううん。思いたい。だから待つよ。竜児がそう言うなら」
「ありがとう、大河」
「うん、竜児」
「…なんか、色々すっきりした」
「えへ、私も」
 二人は顔を見合わせて微笑む。
「さて、それじゃ、俺は戻るぞ。大河、また明日な」
 そう言って竜児が太河の両脇を抱え、膝から下ろそうとする。
 だが。
「は?」
 太河がその腕を押さえて眉根を寄せる。
「え? いや、は? って言われても…。用はこれで済んだだろ?」
「何言ってるの。触診がまだでしょ?」
「おうっ!? そ、それはさっきの話の流れから言ったら、いいって事になるんじゃないのか?」
「それとこれとは別。ちゃんとして貰うわよ。あんたが胸の事を哀れんでないって証拠に」
「はいぃ?」
「あら? アレだけ人を煽っておいて放置なんて、竜児、ひょっとしてどSの気でもあるわけ?」
「ん、んなこと無い!」
「なら…私のこの気持も、汲みとってよね。もう何にも言わない。竜児、まかせた。逃げないように!」
 太河の微笑み。全てを信じた。任せた。そんな笑みだった。
「お、おう」
 竜児の返事に頷き、太河は再び竜児の胸に背中を預ける。
 自分の胸の中に太河が収まっている。
 しかもいつものおふざけも入ったスキンシップではない。
 自分の気持を全て受け入れた上での今の状態だ。
「太河」
 竜児は小さく深呼吸してから、そっと太河の小さな体を抱きしめた。
「あ…ん…」
 普段の大河からは想像できない甘い声。
 それだけで竜児の背筋にまたしびれるような感覚が走る。
377名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:35:40.27 ID:CI98gPip
 何も言わない。
 太河はそういった。
 竜児は自分の中でその意味を最大限考え、そして両手をそっと太河の腹部においた。
 ぴくり、と太河が震える。
 ワンピース自体の触り心地、腹部の柔らかさと暖かさ。
 竜児の脳裏にあの時の感覚が蘇る。
「息、荒くなってない?」
「そこらへんは許してくれ」
「ん」
 竜児は腹部においた手を、ゆっくりと滑らせながら上へ上へとあげてゆく。
 指はやがて肋骨の感触へとたどり着き、そして更に上へ進む。
 ふと、指が明らかに感触の異なる場所へと到達した。
 太河の体がぴくりと跳ねる、そして小さく震える。
 普通なら太河が我慢していると考えて手を離すところだが、太河は言った。まかせる、と。逃げるな、と。
 竜児は少しのあいだ指を止めていたが、再びその指を移動させる。
人差し指だけに会った感覚が中指、薬指、小指、手のひらへと侵食してゆく。
「は…あ…」
 太河の口から甘い吐息が漏れる。
 竜児の両手は、今太河の胸をすっぽりと包み込んでいた。
「太河、すごく柔らかい」
「いうなぁ…ばかぁ…」
 あん、と小さく喘ぎ声をあげ、太河の顎が上を向く。
 頭頂部だけだった太河の姿が上目遣いの顔に変わる。
 竜児の指は、太河の胸を優しく、ゆっくりゆっくりと、しかしねぶるように執拗に揉みまわし、太河は
小刻みに脳に突き刺さる未知の感覚に体をぴくぴくと痙攣させる。
 太河の息が浅めの深呼吸のような間隔になり、呼吸の合間に小さな喘ぎ声をアクセントとして混ぜてゆく。
 胸に密着した太河の小さな背中はじわじわと熱を帯び、その体からあの時も感じた甘い匂いが沸き立つ。
 人形のように細く小さな体からは想像できない女の声と匂い。
 竜児はたまらず、その手に少し力を込めた。
「ひぅっ」
 太河の背中がこわばる。
「い、痛かったか?」
「ううん…びっくりしただけ。なんだか、背中に走って…。だから、いいよ。気にしないで…」
 はぁ、と大きく吐息を漏らし、太河がまた弛緩する。
 ゆっくりと、優しく、しかし執拗な指の動き。
 そのなかで竜児は胸の先に変化を感じていた。
 同じように柔らかかった先端が、少し硬くなっている。
 指先に感じるその感触が異常に心地良く、触れるたびに身を捩り、小さく声を漏らす太河が愛おしい。
 竜児は指と肌を隔てる薄布がもどかしくて仕方がなくなる。
「太河」
「ん…?」
「直に触りたい」
「…!」
 太河が息を呑む。だが、少しの停滞の後。
「え、えっと…。ど、どうすればいいかな?」
 太河が首を回し、竜児の顔を見上げながら問う。
「恥ずかしいかも知れないが、ワンピースをめくっていいいか?」
「そ、それって…そうすると、あの、し、下着もみえちゃうし…えっと、あの、肩紐ずらすのは…駄目?」
378名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:40:37.71 ID:CI98gPip
「いや、お前の下着も見たい」
「!」
 太河が思わず涙目になる。
「み、見たいの?」
「任せるって言ったよな」
「い、嫌ならやらないって、言ったよね?」
「嫌なのか?」
「…嫌じゃ、ない。怖いだけ…。嫌じゃ、ないよ」
 太河の体が震える。
 竜児は一度胸から手を離し、そっと後ろから太河を抱いた。
「怖がらないでくれ。太河。俺は、太河を見たいんだ」
「…竜児。見たいの? 私を、見たいの?」
「見たい。太河を」
「…あの、ゆ、ゆっくり、ね」
 太河がそっと腰を浮かせた。
「あ」
「えっ?」
 竜児の声に太河が驚いて腰を落とす。
「ど、どうしたの?」
「太河、その前に、もう一つ頼みがある」
「…な、何? あの、流石に下着を…って言うのは、まだ…」
 その先を求められる。そう思ったのか、太河がますます顔を真赤にし、いよいよ溢れそうなほどに
涙目になりながら竜児の顔を見る。
 でも、言われたら、拒めない。
 だから怖い。
 嫌じゃないけど、怖い。
 そう訴える瞳で。
「いや、そうじゃなくて、その前に…キスしたい」
「あ」
 太河の顔表情がが困惑から期待へと変わる。
「…キス、私と?」
「キスしたい。太河と。それから、太河を見たい」
「…そ、それじゃ…あの、あの、いいよ。いいんだけど…。竜児に任せるって言ったけど…あの、
ひとつだけ、お願い…したい」
「お願いか?」
「うん。あのね、あの…す、す…」
 太河がその一言が言えず、瞳を泳がせる。
 竜児はそんな太河の顎をくい、と指で押さえた。
「あ」
 びくり、と太河が体を震わせる。
「好きだ、太河」
 太河の大きな目が驚きで見開かれる。
 同時に、竜児の唇が太河の唇に重なった。
「んぅ」
 太河も瞳を閉じ、そしてそのまま竜児に身をまかせる。
 五秒ほど経ち、唇が離れた。
「竜児…」
「お願いって、これで良かったか?」
「…完璧」
 太河は竜児の胸に顔を埋めながら言った。
「竜児、私も…好き。えへ…言っちゃったね。お互い」
379名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:45:52.70 ID:CI98gPip
「まぁ、こんな事しているんだ。先に言わないほうがおかしいよな」
「ぎりぎり間に合ったね」
「ああ。さ、太河」
「あ、うん」
 太河が再び腰を浮かす。竜児はワンピースの裾を持ち、そっと腰の下から引き抜いた。
「あ…」
 太河が声を漏らす。
「み、見える?」
「かわいい下着だ」
「い、言うなぁ…」
「上までずらすぞ」
「あ、うん。あの、ゆっくりね。そうしたら、怖くないから」
 白くシンプルな下着を見られている羞恥心からか、両腿をもぞもぞと内股で摺りあわせているその仕草が
ひどく幼く見え、かつ扇情的だった。
 次にこういう事をしたなら、自分はあの下着にも手を出してしまうのだろうか。
 竜児は自信ないな、と思いながらゆっくりとワンピースをめくりあげてゆく。
 へそが見え、やがて布の向こうにやや赤身がかったピンク色のそれがみえた。
「や…み、見えちゃってる」
 太河が竜児の服の裾を握る。
「太河…可愛い」
 竜児は太河の耳に唇を寄せ、そっと甘噛みする。
「あっ」
 太河の声と竜児の手が胸に触れるのは同時。
「あ…はぁ…あん…」
 布越しとはまるで違う指の感触。
 太河も同じように感じているのだろう。先程までとは比べものにならない甘い声を漏らしている。
 竜児も夢中でその胸の感触を指先でむさぼる。
「太河…」
「竜児…りゅうじぃ…。あう…はぁっ、あぁん…」
 太河が切なげに鳴く。
 もっと鳴かせたい。
 竜児は夢中で胸をいじった。
「ひ…あ、ああぁっ!」
 と、太河の体が突然のけぞり、そしてがくりと力が抜ける。
「太河?」
「あ…あぁ…」
 小さく痙攣し、太河が口から涎を垂らして息を上げている。
 もしかして。
 竜児は初めて見るが、何となくの知識から予想する。
「…大丈夫か?」
「…りゅう…じぃ…。死んじゃう…。あっ、はぁ…んん…」
 余韻で体を震わせながら太河がうわ言のように呟く。
 竜児は太河の服を直し、ベッドに横たわらせた。
 まだ息は少し荒いが、それでもその表情は穏やかだ。
 この表情をさせたのが自分だと思うと、それだけで得も言われぬ満足感に満ち足りる。
 竜児はそっと太河の隣に横になり、頭を撫でた。
「…竜児。すごい。なんだか、体が飛んじゃうみたいだった…。気持ち良かったよ…」
 息を整えた太河が、竜児の方を向いて夢見心地な表情で呟く。
380名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:50:06.20 ID:CI98gPip
「気持よくなってくれたなら、俺もうれしいぜ」
「竜児…」
 太河が、体をころりと動かして竜児の胸に収まる。
 竜児も太河を引き寄せ、二人はベッドの上で抱き合った。
「…ごめんね」
 不意に太河が竜児の胸の中で呟く。
「ん?」
「私ばっかり気持ちよくなって…」
「太河が気持ちよくなってくれれば満足だよ」
「でも…」
 太河が顔を上げ、竜児の顔を見る。
「あのね、竜児」
 その表情に、にわかにいたずらな光が灯る。
「なん…おうっ!?」
 竜児が驚きの声を上げた。
 股間に、太河の手の感触を感じたのだ。
「うわ…ズボンの上からも分かるくらい固いんだ…。す、すごい。こんなのが…?」
「こ、こら! 太河! はしたないぞ!」
 竜児の声に太河が、へへっ、と舌を出す。
「あのね、竜児。今度は…今度はね、私も、竜児に気持ちよくなってもらえるよう、頑張るからね。
今日は、今は、まだ、怖いから…。ごめんね」
 そう言うと太河は顔を寄せ、そっとキスをした。
「…太河」
「竜児、好き」
 太河が微笑む。
 竜児がもう一度太河を抱き寄せる。
「離さないからな。もう」
「うん。うん。竜児。りゅうじ…」
 太河の声が耳をくすぐる。
 幸せそうなこの声を聞くと、不思議とおかしな気分が沸かないのは何故だろう。
 そして、二人はそのまま、いつしか眠りの中に。
「さて、太河、夢見心地の所悪いが起きろ。寝るなら歯を磨け。それとちゃんと寝間着に着替えろ」
 入らなかった。
 むくりと起き上がった竜児がまったくいつもの口調で告げた。
「ええ〜? ちょっとぉ、今そういう事言う? 普通」
 太河が非難の声を上げる。
「知りません。大河の為にもこう言う事はちゃんとしないとな。朝飯はいつもの時間だから、寝坊するなよ。
一応起こしには来るが、ちゃんと用意しておけ」
「雰囲気だいなしぃ…。はぁい」
 夢の世界から現実に引き戻された太河がぶーたれる。
 だが、それでもちゃんと体を起こした太河を見て竜児は満足気に頷いた。
「よし、それでこそ俺の太河だ」
「え」
 はっと竜児の方を見たその時。
 竜児が、太河にキスをした。
「太河、また明日。おやすみ」
「おやすみ…」
 不意打ちをくらい頭の働かない太河がかろうじて返事をすると、竜児は頷いて部屋を出て行った。
381名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:54:13.80 ID:CI98gPip
「…ばかぁ」
 竜児がいなくなった部屋。
 太河はもう一度ベッドに転がり、天蓋を仰ぎながら呟いた。
 だが、その表情は緩みきっている。
 明日になればまた会えるのだから。
 竜児の朝御飯を食べ、竜二と遊べる。
 明日は何をしよう。
 どこかへ出かけようか。
 それとも、またここに来てもらおうか。
 そうしたら、そうしたら、自分は…きっと…。
「ひゃあぁっ!」
 とんでもない想像が頭をいっぱいにし、太河は枕に顔をうずめて身悶えた。
 ひとしきり悶えた後。
「……」
 ようやく落ち着いた太河は立ち上がり、ふと窓から竜二の部屋を見る。
 すると、まるでそれが分かっていたかのように窓に竜二が出てきた。
 ああ、竜児はあそこに居る。
 太河の心に暖かな灯がともる。
 おやすみ。
 あそこまで声は届かないし届くような声をあげるのも近所迷惑だから、口だけで言い、手を振る。
 竜児もおう、と手を振り返し、同じように唇でおやすみ、と言う。
 おやすみ。竜児。
 太河はもう一度唇でそう告げ、ありったけの笑顔を送り、そっと窓から離れ、静かに、ゆっくりと
カーテンを閉めた。竜児も同じようにカーテンを閉め始めたのを確認しつつ。
 どちらかがまずそうしないと、一晩中見つめ合ってしまいそうだから。
「おやすみ、私の竜児」
 カーテンを閉めた後、太河は声に出してもう一度呟いた。
 これは独り言じゃない。
 胸の中には、もう自分以外の心が宿っているのだから。
 太河は小躍りするような足取りで洗面所へ向かった。

 竜児が言ったから、ちゃんとするよ。

 だから、明日遊ぼうね。

 おやすみ。私の竜児。


382名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 20:56:18.38 ID:CI98gPip
すまん、よりによって大河の名前を間違えていた。
まぁ気にするな。
383名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 22:28:01.22 ID:hViOUS7K
gj!
384名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 23:44:04.59 ID:+BAX8Lda
wwwだwwwめwwwだwww太河のせいで全っっ然集中できねえwwwww
だがGJ!!たいがかわいいよたいが
385名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 23:49:43.69 ID:21Re4v9q
大河ものとは久々だね。逡巡する竜児、大河の純真さ、よかったです。
強いて言えば、三人称の中で一人称を入れる時は直前にその人物の描写を入れる事を徹底した方が良くなると思います
乙でした!
386名無しさん@ピンキー:2011/06/01(水) 22:59:31.51 ID:uiAHTmIX
>>382
気になるわwww
いやでもGJです。竜虎で触れてしまった背徳感はおいしいな
>「忘れさせないよ」
がらしく、大河は乙女で可愛いなあ
387名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 04:31:04.40 ID:GHLxBK3y
作者のスレじゃなくキャラスレに書き込むべきだろ
久しぶりに見にきたらうぜえ・・・・
388名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 08:07:15.33 ID:Xeys7M0v
日本語でお願いします
389 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/06/02(木) 08:14:05.15 ID:GAtDl/DK
反応するな、スルーしろ
390名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 11:25:45.85 ID:gv+rVNKI
>>382
俺も気になるなあwww
秋口の肥えてたときのことかな?太河w
391名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 11:41:19.03 ID:LMxmB0as
ああ、亜美ちゃんが「太河ーちゃん」と大河をいじり倒す映像が余裕で再生できるな
392名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 13:44:39.68 ID:h4/nO7/Z
大河きたあああ!
393 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/02(木) 20:45:57.39 ID:Ix15UkOy
久々の SS でテンションあがるわー!
394名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 21:49:00.36 ID:GAtDl/DK
なんか太河がヒロインのSS書きたくなった。
ムッチムチで触ったら気持ち良さそうだ。胸も貧ではないなw
395名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 22:02:03.75 ID:vMkY2N5c
ちっくしょぉぉぉぉおおおおおお!!
竜虎が可愛すぎて禿げ萌えるだろうがぁぁぁぁぁ!

どうでもいいがこのSSで中の人がニーソ&おっぱいフェチだったのを思い出したw
396名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 22:26:20.61 ID:vV1KDrVb
つまんね
397名無しさん@ピンキー:2011/06/03(金) 10:39:11.84 ID:k052qZWH
>>395
kwsk
398名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 12:06:55.55 ID:KxQoxF9V
>>394
それはすでに大河ではない気がする
399名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 14:16:31.90 ID:l9J9Mxgb
太河だから大河でなくとも別段不思議はないな。
400名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 14:30:13.87 ID:gYapd2ME
バカじゃねえの
401名無しさん@ピンキー:2011/06/05(日) 22:03:22.26 ID:cmTyflg2
>>394
書いて!ズボンあげさげしながら待ってる
402名無しさん@ピンキー:2011/06/08(水) 16:23:09.48 ID:7KeeMtTT
みんなどこへ行った〜♪二度と〜帰ることもなく〜♪
403名無しさん@ピンキー:2011/06/09(木) 14:48:02.55 ID:q4z1O5G3
そのうち帰ってくるさ
404名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:19:57.65 ID:/NCakvBL
>>357のネタで書いてしまいました。

お久しぶりです。以下、前書きです。

・時系列は大河が大橋高校を転校した後の話
・アニメスタイルの製作者の「あんなシチュエーションでやらないはずがない!」の発言からのSS なので、竜児と大河はSEXをしています。
・「チューまでして、高校生がやらんわけない」から、竜児の嗜好として、性欲を強化
・でもSS自体のエロはあまり無し、鬱傾向
・登場人物は、竜児と亜美

次スレから投下
405名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:21:23.27 ID:/NCakvBL

La cosa con gentilezza


ザラザラとした舌がねっとりと俺の亀頭に絡みつく。
射精後の感慨と疲労を追い立てるように気持ちよさが込み上げ、新たな興奮を呼び起こす。
ぞくりとして、快感が背骨を駆け上がるのが解る。
いつまでもこの感覚に浸っていたいと雄の本能がさけんでいる。だが、駄目なんだ。

「川嶋、そこまでしてくれなくって良いんだ」
「けど、まだキレイになってないよ」
「そうじゃない。無理してまでして欲しくねぇ」
「でも気持ちいいでしょ。モデル仲間たちも言ってた。……彼氏が喜んでくれるって、だから」

いいか悪いかと言えば、考えるまでも無い。いいに決まっている。正直、気持ちよすぎる。
舌の感触以上に、川嶋の献身的な姿が頭の芯を蕩けさせる。
だからこそ、やめて欲しかった。
なんで俺なんかにここまでしてくれるのか、返すことなんか何も出来ないのに

「あたしは好きでやってるの。このままさせて、高須くん」

静止の言葉を掛けようとしてやっぱりやめる。偽善でしかないのは自分が一番知っている。
こういう関係に、肉欲におぼれている自分を知っている。


                   ***


大河が転校した日、あいつを信じて待つことを俺は誓った。
それでも辛いと思う事はある。俺はそんなに強くないし、それだけ、あいつの存在は俺の中で大きい。
残りの人生と等価ですらある逢坂大河。だからこそ、ポッカリと穴があいたような気持ちになってしまう。
あいつがいた席をつい見てしまう。そこは空っぽ。
傍にいる事が当たり前だった女の子がいない事を嫌がおうにも思い出す。
406名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:23:02.70 ID:/NCakvBL

それが嫌で、昼休みはなるべく教室から離れる事にしていた。
とりあえず脚を向けるのは、自販機スペース。ここだけは大河が居た時と変わらない、なにせ

「あいつ、飲み物が欲しい時はいつも俺をぱしりに使ってたからな」

そもそも自分で買いに来る発想がない。だから、ここは大河がいなくても変わらない場所。人使いが荒い奴だった。
自然と苦笑いになる。こんな事でも大河を思い出せる事が嬉しい。
自分用のコーヒーを買い、次にオレンジジュースを買おうと思って

「ああ、あいつの分は買わないでいいのか」

百円玉を財布に戻す。どうしてもテンションが落ちる。
コーヒーを額に当てて、頭を冷やす。

「くそ、やっぱり落ち込んじまうウヒャ!」

けして、キャラ付けの為に語尾を変えた訳ではない。
首筋に不意打ちを受けたのだ。ひんやりとした感触を押し付けられた。

「な〜に〜、キャって。すげーキモいんですけど」
「キャなんて言ってねぇだろ。て言うか、なにすんだ。お前は」

そこにはクラス一の、いや、俺が知る限り世界で一番悪戯好きな女。川嶋亜美が缶入り紅茶を持って立っていた。

「声は掛けてあげたんだけど?。反応ねーし。応答ねーし。ナルシ気味に自分に酔ってるのがいけないんじゃん」
「酔ってなんかいねぇよ。ただ、少し考え事してただけだ」
「もしかして、チビが居なくて、凹んじゃったて感じ?。うわー情けねー。すげー弱い男」
「凹んでなんかねぇえ」

そこで川嶋は俺の声色を真似て
「ああ、あいつの分は買わないでいいのか」
「たく、いつから居たんだよ……」

まったくタイミングの悪い。どうして、こいつは俺が弱ってる時、近くにいるんだよ。
体調崩して倒れた時も、文化祭の時、櫛枝と喧嘩した時も…
て、待てよ。たしか、あの時も

「お前、もしかして、俺を追いかけて来てくれたのか?」
「高須くんが泣きべそ描いたら面白いなって、それで見たいと思ったんだけど、残念、もう一歩」
407名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:24:11.12 ID:/NCakvBL

なんか素直じゃない憎まれ口が帰ってきたので言い返す。

「本当に性格悪いなお前」
「そりゃそうだよ。だって亜美ちゃん外見良すぎるから、バランス取らないといけないでしょ。欠点くらい少しは無いと女神様に嫉妬されちゃう」
「逆だろ。中身が黒すぎて、外面でなんとか凌いでるだけじゃねぇか」

気づくと俺もへらず口。なんだ、いつもの会話だ。気持ちも落ち着いてきてる。
落ち込みから開放されてる自分に気づく。こいつなりの元気付けってやつだ。また、してやられた。

「なにさ、麗しの亜美ちゃんがわざわざ声掛けてあげてるのに」
「そうだな。ありがとな」
「はぁ?、な、なにそれ、意味わかんねぇ」

川嶋は少し拗ねたような、照れたような顔をした。いつもの子供のような表情だ。意地っ張りめ。
その意地をはった子供のような顔は、モデル顔や、いい子ぶった顔より自然で、見てて楽しい。

「だいたい、高須くんが悪いんだから。そんな不景気な顔、一日中、毎日のようにされたら、気になってしょうがないての」
「そんな顔してたか?」
「うん。なんか、捨てられた子犬ってかんじ?」
「どんな顔だよ……」

凶眼持ちとか、ヤンキーとかは言われ慣れていたが、俺が子犬だ?
我ながら全然想像出来ない。こんな変な比喩を使うのは川嶋くらいだ。大河ですら悪人面とかしか言われていない。
もっとも、大河の場合は照れが半分だろう。好き好きって顔中にキスだってされた事だってあるんだ。

「えーとね、寂しいよって鳴いてる感じ。そんなにタイガーがいないのが悲しいんだ」
「悪いかよ」

川嶋は急に黙った後、今度は微笑む。百面相だろうか?

「お熱いことで。なんで、あんた達は難しく考えるんだろう?亜美ちゃん全然わかんな〜い。
 好きなら、一緒にいればいいのにさ。タイガーも急に転校しなくてもいいのに」
「あいつは、あいつなりの考えがあって、がんばってるんだ。仕方ないさ」
「ふ〜ん。理解はしてあげてるんだ。なら、落ち込む必要がない事は高須くん自身が知ってるでしょ」
「解ってるよ」

どうも遠まわしに激励してくれてるらしい。なんだかんだで俺たちの事を気にかけてくれてる奴だ。
けど、もっと素直に言ってくれないかなとも思う。それなら、俺も素直に礼を返せるんだが
しかし、駆け落ちの時といい、告白の時といい、こいつには迷惑ばかりかけている。けっこう気が引けている。
408名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:25:20.89 ID:/NCakvBL

「なあ、川嶋、そんなに俺の事心配してくれなくても大丈夫だぞ」
「別に高須くんの為だけじゃないての。チビは見てらんないって言うか、世話焼けるって言うか。
 もしかしら、あたし達が急いでけしかけたのが原因だったりしたらやだなって」

大河が転校したのはお前のせいじゃない。と言いそうになって堪える。
川嶋と同様の思いが俺の中にも少しはある。俺が大河を行かせてしまったのではないかという気持ち。
あいつを信じると、みんなの前で宣言したものの、どうして止めなかったのか、引き戻しに行かないのかという思いもあるからだ。
きっと大河は自立したいと思ってくれたのだろう。けれど、俺に頼って、甘えて欲しかったという気持ちもある。
あてにされない事が悲しかった。実際、大河がいないという事実は、俺を酷く寂しくさせている。

そこで、ああ、そうかと思う。大河を行かせた事を後悔する気持ち。不在を寂しいと思う気持ちは
俺にもある。川嶋にもある。
なんだ、川嶋も寂しいのか
かと言って、慰めて欲しいなんて、簡単に言えない。
俺を元気付けるのと同時に自分にハッパをかけようとしてる。そういう事なんだ、この意地っ張りは。

「なに、その笑顔、気色悪」
「悪かった。心配してありがとうな。これからも世話になるよ」
「だから、お礼なんて…、気色悪い」


                   ***


それから落ち込む回数が減ったかと言えば、それは無く、何かにつけてテンションが落ちてしまう日々が続いた。
大河がいない日々は変わってないんだ。元気になれるはずなんかない。
ただ、変わった事もある。回復する為の時間が短くなっていた。
一人で抱えると潰されるような思いも、二人で共有する事で背負えるような気がした。孤独でない事は救いだった。
大河がいない事で苦しいのは自分だけではない。大河が帰ってくる日を信じてるのは一人ではない。
あいつが頑張ってるのを知っているのは川嶋もだ。だから、強く大河を信じる事が出来た。

落ち込んだ時は川嶋と話をした。
大河の不在は大きすぎて常に付きまとったが、その度に川嶋とからかいあった。
夕食の買い物に付き合わせもした。買い物しすぎて手伝わせもした。
409名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:26:29.44 ID:/NCakvBL

「あたしを荷物持ちにさせるなんて、高須くんくらいだっての。信じらんない」

なんて文句も言われた。その上、大荷物の理由が

「竜ちゃん。なんでいつも、大河ちゃんの分まで買ってきちゃうの?。冷蔵庫、もう一杯でがんす」

と泰子に指摘され、川嶋に

「無駄な労力使わせんな!」

と怒られもした。

「だったら、亜美ちゃんも食べていけばいいよ〜」

その場は、そんな泰子のとりなしでなんとか繕った。
泰子が気を回す事に少し驚いたが、それは間違いで、計算など当たり前になにもなかった。
単純に泰子も寂しかったのだ。

俺と泰子と大河で囲む食事。騒がしいほど賑やか賑やか食事。あっというまにオカズが消えていく不思議な食事。
急に大河がいなくなった食卓。日常会話だけの静かな食卓。いつも残り物が出てしまい、無駄にしない事に苦労する食卓。
白が黒になるくらい真逆に変わってしまった日常。その喪失感を泰子もなんとか埋めたかったのだ。
それは泰子だけでなく俺もそうだ。大河がいない事は俺達には大きすぎた。
いつのまにか川嶋がテーブルにいる事が増えた。


                   ***


大河のこと。

大河の可憐な唇。ほっぺの柔らかさ。舌の甘さ。触れるとくっいてしまうのではないかという肌。
恥ずかしがり、あまり見せてくれなかった胸。キュッとしまった小さなお尻。

一度合わせた体。一度しか触れられなかった体。大河とSEXをした夜を覚えている。
思い出しながら自分を慰める。毎日のようにしている。
あの夜の後、常時発情している自分が解る。理性で抑えられるレベルではない。
SEXは人を変えてしまうくらいの魔力を持つ。
心で好きだと思って、体をあわせればもっと好きになる。そして、もっと体を求めたくなる。
今直ぐにでも、裸の大河を抱きしめたい。けれど、彼女は今は遠くで、抱く事は出来ない。
だから、大河を思って、自らを慰める。

その日は帰って、夕食の準備を終え、すぐにズボンを脱いだ。
泰子は同伴出勤で既にいなかった。
410名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:27:59.39 ID:/NCakvBL

手には大河の写真。カメラは持っていないし、携帯で取る事もしなかったので学校の行事で取ったものを手に取る。
後夜祭のあの写真だ。
そこから、あの夜の事を思い出そうとする。
どう大河が恥ずかしがったか、俺の手がブラジャーを取った時、どんな吐息を吐いたか。胸をさわろうとして隠した時の大河の瞳の怯え。
ショーツの中に伸ばした指の感触、埋めた指から感じる体温の熱さ。貫いた時の狭さ、熱さ、尊さ。

ギュッと指を絞って、自分のペニスを握る。大河とSEXをした前と後では握り方が全然違う。
大河の中に埋もれさせる事を想像して、摩擦を与える。
本当のSEXなど一度しかした事がないくせにSEX中毒。大河が抱ける環境にいれば毎日でも求めてしまったに違いない。
ただ、むなしく自らのペニスをしごく。じわじわと快楽が体を満たしてくる。
いつのまにか境界線、自分の意思で止める事が出来る境を越える。
達してしまった後は自己嫌悪しか残らない行為だとしても、もうやめる事は出来ない。
ドアの鍵が回されても気づく事も無い。

「こんにちはー、えーと、高須くん居たりする?。仕事早く終わったから、来ちゃったん…だけど……」

驚き急いで振り返り、声が出る。

「「 な! 」」

目があった。川嶋だった。仕事とかで学校にすら来ていなかったので油断していた。
血の気が引くのを感じる。それは川嶋も同じだったようで顔色が既に蒼白だ。
さらば青春。さらば高校生活。いま死を選べるとしたら即断出来る。

罵倒でも、悲鳴でも、蔑んだ冷たい言葉でも受け止める。ただ、泣かれてしまうのはちょっと困る。
だが、あいつは無反応。川嶋の表情は驚きで固まったまま、それ以外の意思も感情も何も無かった。
どうしようと思い悩んでると、川嶋の口が動いた。

「…あ、あ、う、ははハ、高須…く…ん。は、くーん、ははは」
「…は、はは、なあ、おい、ははハ、か、川嶋?、……ははは」

青白い顔のまま、引きつった笑顔で、途切れ途切れに笑う俺とあいつ。
いつまでも続いてしまいそうなので、なんとか方向修正をしようと思っていたのだが、思いつかない
その前に川嶋が行動に出る。

力を振り絞るように一回頷くと、表情を変える。化けた。

「あれれ?、高須くん。亜美ちゃんに弱み握られちゃったね」
「なんだよ、それ」
「自家発電とか……超きもい。最悪!」
411名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:29:18.06 ID:/NCakvBL

相変わらずの口の悪さだったが、それににしても豹変しすぎだ。仮面なんか丸わかりだ。だからガキだと思うんだが、
とにかく、このままではご近所様の目が怖い。パンツを履きつつ、声を掛ける。

「と、とにかくドア、ドア閉めてくれ」
「え、え、あ、うん」

罵声を止めて、素直に閉めてくれる川嶋。やはり、こういう女なのだ。つまりは偽悪者。
この偽悪者はの気遣いは筋金入りだ。ただ、その筋金を覆うものは、
悪戯心と冷めた風を装った態度とつよがりで、それを見分ける事はなかなか出来ないが、
それでもたまに、なにかの弾みにポロリと外装がとれ、本質がみれる。

近くに大河がいなくなっちまった事で空いた穴、ぽっかりと何もかもがない真空の隙間が、
怖くて、寂しくって、川嶋の優しさに甘えて、埋めてしまった。
代用品として、川嶋を利用する自分の浅ましさに目を瞑っている。
するとどうだろうか、反対に違うものが見えてきた。川嶋の違う顔。となり横から見るあいつ、近くで見ることで解る気持ちがあった。

どれだけ気遣いをする奴かよく解る。今までしてくれた事のありがたさを感じる。
なんで、こいつはここまでしてくれるのか なんて疑問が当然浮かぶ。
明確な答えなんか思い浮かばず、もしかしたら、俺の事、好きなんじゃないだろうか
なんて、とんでもない妄想すら浮かんでしまう

とにかく、いつもどうりのからかいでこの場を収めてくれようとしているのだ。
なら、ありがたく、その流れに乗せてもらう事にする。

「大体、いきなりドアを開けるお前だって悪い。いくら合鍵持ってるからってな」
「一応、ノックくらいしたての。泰子さんが寝てたら悪いと思ったから、軽くだけど。
 て言うか、それいい訳。そもそも、昼間からするなんて、この変態!」
「夜ならいいって訳でもないだろ。第一、高校男子なんだ。しょうがないんだよ」
「うわ、開き直る気だ」

確かに開き直っている。女の子に自分が一人でしてるところを見せるなど、許されていい訳はない。
ただ、謝りたくないのだ、川嶋には。これが櫛枝だったら素直に謝っている。
櫛枝は驚きこそすれ、それがどうしたと微動だにせず、自分を変えない。だからなにも変わらない。
大河だったら……、いや、そもそも大河がいたら、寂しく自慰などする事もないのだから論ずるに値しない。
……川嶋は、今現在のように罵倒も言えば、蔑むかもしれない、けれど
弱さは弱さで、それも俺の一部分だと簡単に受け容れてしまいかねない。結局は否定しない。
その上で、それでどうするの?と俺の弱さと一緒に歩いてくれようとする気がしてしまう。それでは俺もあいつも変わってしまう。
関係が変わって、距離なんかすぐに無くなってしまう。だから駄目なんだ。
412名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:30:23.29 ID:/NCakvBL

「そうだ。高校男子の自慰は当たり前のことなんだからな」
「なに、変態主張してるのよ。そんなに高須くんが年中発情男だって知らなかった。
 も、もしかして、亜美ちゃん、オカズに使ってる?、や、やめてよね」
「誰が使うか、大河だよ。大河」

あっていい訳がない。川嶋は雑誌の表紙を飾ることもあるモデルで、だれもがうらやむ美人の、いわゆる高い女だ。
そういう存在はちがう世界にいるものだと思っていた。
そいつとは同じクラスにいただけの関係で……
共通の友人が居て……
わりと話していて楽しくて、波長があった。いつのまにのか友達になっていて……

大河が傍に居てくれない今、こいつは一番、近い異性だった。
だから、想像してしまう。大河とSEXしてから、女の体というもののリアリティが変わった。櫛枝やこいつを意識してしまう。
スカートが揺れて覗く脚の先、からかい気味に寄せてきた顔、そこから見えてしまいそうになるYシャツの奥。
大河とのキスの感触が忘れられない。あの感触を連想し、川嶋の唇に目をやってしまう。
柔らかさが違うのかと想像し、なんだろうと疑問符を浮かべている様な表情の川嶋に気づいて、慌てて目を逸らす。

違う。俺には大河がいる。大河が恋人なんだ。
大河があげてくれた声を必死で思い出す。そうして、常に必死で食い下がっている。
あの夜の大河の声はあまりにも可愛くて、いつも会話してる声より何オクターブか高い、俺しか知らないそれを聞きたくて、
今はどうやっても聞けない事を思い出して、いつも落ち込む。他の女の子もこんな可愛い声をするのだろうかと気になる。
櫛枝や川嶋はそんな声をあげるんだろうかと考えてしまう。
きっとSEXのせいだ。SEXは凄すぎて、あの晩から世界の色どりは変わってしまった。
頭を振って、前を見ると、川嶋が怒ったような、拗ねたような顔をしていた。

「なにさ。この変態」
「いいだろ。恋人同士なんだ」
「ふん。いくら付き合ってたってキモいての。あたしだったら、そんな彼氏、絶対振ってるね。
 なにさ。H出来ないまま、タイガーに逃げられたからって、この欲求不満」
「うるせい。それにな、その、Hはしたんだよ。一度だけだが。だから、余計、欲求不満っていうか」
「……うそ……」
「ほんとう、だ」

川嶋が顔を伏せ、手で拳を握る。本気で怒らせてしまったのかもしれない。
冗談の、いつものからかい合いで終わると思ったのに、予想外だった。なにか決定的に酷い言葉を吐いてしまったのかもしれない。
こんな仲間思いの女だ。怒らせたいなんて思う訳がない。傷つける気なんかもっとない。

「ずるい。チビはずるい。あの娘は幸せになりたいって言って、タイガーならしょうがないってあたし達に思わせて
 それなのに、幸せになったとたん、勝手に転校して、あの子だけのけじめでどっか行って……」
「怒らせたのならすまん。悪い、調子にのっちまった」

子供みたいに文句を並べ立てた後、川嶋は視線を床に向けて、なにやら呟く声が小さくて聞こえづらい。
あいつが何故、こんなに怒ってるのか情報量が足りない。少しでもヒントが欲しくて、視線を追う。
413名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:31:40.58 ID:/NCakvBL

床は必要最低限のものしかお置いておらず、ゴミ一つない。ちらっているものなど無い。なにせ俺の家だ。
いや、一つあった。さっきまでオカズにしていた大河の写真……だ。

「よりによって文化祭の写真……」
「し、仕方ねぇだろ。俺、学校販売のやつしか持ってねぇんだ」

「あたしだって一人Hくらいする。でも一緒の写真なんか持ってないから、一人の写真は堂々となんか買えないから
 福男レースの……、実乃梨ちゃんと一緒にゴールしてるやつしか、紛れて一緒に買ったやつしか持って無くって……」
「な、なに言ってる?」

なにを言っているのか解らない。怒ってはいない。非難してる訳でもない、ただ、傷ついていた。助けを求めている。
俺が出来る事ならなにかしてやりたい。俺が原因なら反省して、こいつの思うとうりにしてやりたい。

「チビは幸せになって、Hまでして、それなのに自分から遠くに行って、自分から手放すような事をしたのに
 こんなに思われてる」
「けど、大河は成長するために頑張ってるんだ」
「あたしは離れるのが嫌で、転校もママに頼んでやめて貰って、タイガーが居なくなったことを嫌がってる振りして、
 それなのに近づいて、罪悪感を抱えて、けど、傍にいれるだけいいって我慢して、あたしがそんなか細い糸を大事にしてるのに」
「……もしかして、お前、俺の事を……」

言わなければ良かった。
なんで俺なんかの傍に居てくれるのか、大事な友達だという認識はある。そう川嶋も思ってくれていると考えていた。
その振りをしていたけなのかもしれない。俺が大河を好きになっちまったみたいに、理由なんかみんな同じだ。

「そうよ!。あたりまえじゃん。なんで気づいてくれないのよ!好きに決まってる」

顔を上げた川嶋は、全てで俺に訴えかけてくる。

「最近、毎晩のように一人Hしてるの。しちゃ駄目だって解ってる。でも学校で話した事とか、夕飯、カロリー控えめにしてくれたなとか
 思い出すだけで嬉しくなって、けど、一人で果てて、死にたいくらい寂しくなるの。もうやなの」

おもむろにスカートのフォックを外すと、そのまま落とし、黒のストッキングと、透ける下着を露わにしてしゃがみこむ。

「お前、な、なにを」

俺の目の前で、人差し指と中指を使って、ストッキングの上から懸命に股間を指で擦り始める。

「ねぇ、高須くん。あたし、いつも、こういう風にしてる。オカズは友達の彼氏。そいつは、すごくやさしくしてくれるの」
「川嶋、落ち着け」
「けっこう、酷いところもあって、鈍感で、あたしの都合なんか全然気にしない」

指の動きが激しくなる。

「けど、いい奴で、ちゃんとあたしの事を見てくれるから、最後はやっぱりやさしくしてくれる。
 だから、あたしにかまってくれても、絶対に彼女も大事に出来る」
414名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:32:31.74 ID:/NCakvBL

恥ずかしいことに、男としてどうしようもないことに、こんな川嶋を前にして、自分の雄がいきり立つのが解る。
じんじんとして、期待感で腰の裏が熱くなる。別な人格を持つようにささやきかける。

『大丈夫だ。やれる。川嶋亜美は高須竜児に惚れている。SEXを求めれば拒否なんかしない。
 これでまたSEX出来るぞ。あんなに、あの晩はよかっただろ。生きててよかったと思ったろ。
 これから毎日、逢坂大河に触れられると歓喜したろ。
 そして、すぐに絶望したはずだ。無期限でお預けだった。それが今や解禁だ。喜べよ』

「だが、駄目なんだ。俺には大河がいて」
「解ってる。そんな事解ってるから、だから、高須くんはHする時、あたしを使って。気持ちはタイガーを思えばいいから
 一人エッチでもいい。手伝いだけでもいいから。あの娘がいない間だけでいいから」

『川嶋亜美に感謝してるんだろ。だったら温情ぐらい分けてやれよ。あんなに悲鳴をあげてるじゃないか』

「お前はもっと自分を大切にしないといけない。感謝はしてる。けど、それじゃ」
「少しでも感謝してくれるなら、助けてよ」

『お前はあしたから耐えらるのか。お前の傍にはSEXしていい女がいた。お前も憎からず思ってる女だ
 SEXは気持ちいいぞ。してる間は体も心も孤独でなくなる』

「だが」

『それに、いま手を伸ばさなかったら、川嶋亜美はどこかに逃げちまう。お前とはさよならだ。解ってんだろ。あいつがどういう女かって』

「お願い」
『ほら、最後の選択だ。大河はいつ戻ってくるかなんて解らないんだ』
「俺は……」


「何処にも行くな。行かないでくれ。
 信じてやる。何処に行ったって信じてるつもりだった。
 でも、俺だって強くないんだ。親父が出て行ったのは泰子が隠そうとしても知ってる。捨てられたのは俺だ。
 櫛枝と気持ちの共有が出来たと思ったが、それも俺の思い込みで、実際は、告白する事すら拒否された。
 大河とは、ずっと並び立って居られると思った。それなのに、あいつは一人で立ち向かいに行った。俺はまた並び立てなかった。
 小さい頃からいつもこうだ、みんな、俺を遠ざけた。
 目つきを理由にして納得してたが、きっと、もっとちゃんとした理由があるんだ。俺自身が不良品なんだ。
 それなのに、お前にまでどこかに行かれたら、俺は完全に壊れちまう」

「だったら、だったら、あたしが壊れないように近くに居てよ! どこかにいけないように、体にさわってよ!」



 
川嶋のこと。

川嶋の少し強気な唇。節制された頬の鮮やかさ。舌の甘さ。触れる離したくなくなる肌。
自慢げでありながら、勇気を振り絞って見せてくれる胸。キュッとしまった小さなお尻。

あれから何度も体を合わせている。時間かあれば触れてしまう。川嶋とのSEXは多すぎて、一つ一つの事など覚えていない。
記憶に残さないまま貪るように川嶋を貫く。毎日のようにしている。
あの夕刻の出来事の後、常時発情している自分が解る。理性で抑えられるレベルではない。
SEXは人を変えてしまうくらいの魔力を持つ。
体をあわせれば好きだという気持ちになり、好きだと思ってしまえば、また体をあわせたくなる。
その度に本当に愛しているのではないかという願いに囚われる。
今直ぐにでもぬくもりを感じたくて。近くに居る彼女を呼び寄せ、抱きしめる。
きっと、川嶋を使って、自らを慰めている。
415名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/09(木) 22:33:52.64 ID:/NCakvBL


                   ***


「どうしたの、気持ち良くない? お掃除フェラ」
「いや、そんなことはねぇが」
「なら考え事なんかしないで、サービスしてやってるんだから」

川嶋はこんなにも献身的に行為をしてくている。いつもそうだ。毎日、毎日、ダレる事も無い。
それなのにあいつは見返りは欲しくないと言う。今だけでもいいと言う。
そして俺の恋人は逢坂 大河だ。

「そりゃ、考えちまうよ」
「今は気持ちよくなる事に集中して」
「あ、ああ」

ただ、ピチャピチャとした濡れた音がする。一回出した後だというのに俺のペニスは再び勃起して川嶋を求める。
罪の意識がより感度をあげ、興奮を誘うのは否定出来ない。
人間というのは罪深い生き物だと思う。いや、罪を背負うべきは俺であって人類ではない。
俺一人だ。川嶋は背負う必要などない。

そんな気持ちが外に出たのか、川嶋の口の動きが止まる。見上げた瞳が不安そうだった。
あいつの視線一つで、気持ちの奥がわかるように今はなっている。

「タイガーへのメールどうだった?」
「ああ、やっと返信が来た。弟が可愛くてしかないだそうだ」
「それで……いつごろだって……」
「それに関しては何にもだ。聞いても答えん。もしかしたら驚かせるつもりなのかもしれないが……」

「……続けるね」
「……おう」

川嶋の舌使いがあまりにも気持ちよすぎて、一生懸命で、愛しくて、悲しくて、
自分から、もうやめにしようなんて言えるわけがなかった。



以上で投下終了
題名は La cosa con gentilezza
416名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 11:18:09.95 ID:SEjBpgg4
ぐっじょー!(;´Д`)ハァハァ
ある意味、最も起こり得る話ですねー
417名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 22:24:47.37 ID:+I5odczN
GJ!心情の表現がパネェ。
竜虎がくっついてしまうとあーみんはやっぱり報われないよなぁ・・・
幸せになってほしい。
418名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/13(月) 05:28:40.01 ID:SglPz7mc
あーつまんね
419名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 01:52:22.36 ID:YidYQQhR
つか、保管庫何やってんの??ちゃんと仕事しろよww
420名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 11:45:53.77 ID:n4l4HbAE
えろくないし短いけど投下〜
421かんせつ 1/4:2011/06/14(火) 11:48:55.68 ID:n4l4HbAE

「……またここにいんのか」

 三時間目の体育が終わった休み時間。何か飲もうと自動販売機までやってき
た竜児は、いつもの隙間にしゃがみ込んだ亜美を見つけて、やや呆れた声で呼
び掛けた。

「…………チッ」
「……おう!?」

 清涼飲料水の缶を両手で持った亜美に嫌そうにしかめた顔で舌打ちされ、目
付きの鋭さに反比例するように脆い竜児のハートはけっこう傷付いた。

「なーんて、冗談よ、冗談」

 にっこりと、作った顔で笑う亜美。

「その顔で言われると冗談でも傷付くんだよ」
「それって、亜美ちゃんがかわいいから?」
「……まあな」

 否定する材料もないので頷くと、一瞬素の顔に戻った亜美は、すぐにまた悪
戯っぽい笑みを浮かべる。

「はい」
「……なんだよ」

 両手に持ったアルミ缶を差し出される。

「飲み切れないから、あげる」
「…………」

 その言葉の意味するところ考え、思いついたところでフリーズする竜児。

「なーに、高須くん。もしかして間接キスとか、気にしちゃう?」
「…………」
422かんせつ 2:2011/06/14(火) 12:14:18.05 ID:n4l4HbAE
 そりゃあ気になる。気になってしょうがない。なんたって現役女子高生モデ
ルの川嶋亜美が口を付けたものなのだから。しかし、ここで頷いたら亜美が竜
児をからかい尽くすであろうことは、大河が一日一回は転ぶことと同じくらい
に明らかである。

 MOTTAINAIから……これはMOTTAINAIからなんだ……!

 呪文のように頭の中で繰り返しながら、竜児は亜美から清涼飲料水の缶を奪
うように取った。一瞬だけ、缶の飲み口を見つめる。そこに口を付けたであろ
う亜美の瑞々しい唇を想像してみたりする。が、いろんなものを振り切って竜
児はそこに口を付けた。

 乾いた喉を潤すため……そう無理矢理思い込みながら缶を傾ける。
 ……もう少し傾ける。
 さらに傾けた。

 そして、真上を向くどころか、えびぞり状態に近くなったあたりで、ようや
く一滴、竜児の舌になんか味が付いているような気がする水滴が落ちてきた。

「……………………」
423かんせつ 3:2011/06/14(火) 12:18:40.17 ID:n4l4HbAE
 竜児の鋭すぎる三白眼は、別に『この女、サクッとヤっちゃおうかな』とか
思っているわけではない……とも言い切れない。特殊スキル『竜児の眼光』に
対する耐性がなければ土下座したまま逃げ出してもおかしくない迫力だ。

「おいしい?」

 そう言ってにっこり微笑む亜美は、どうやら耐性MAXらしい。

「……おまえなぁ……!」

 危うくアルミ缶を握り潰しそうになりながら(縦に潰すのが正しいのだ)、
竜児は地獄の底から搾り出すような声で呟く。

「あれ〜? おいしくなかった?」
「味なんかわかるか! おまえ、俺をからかうのもいいかげんに……!」
「じゃあ、直接ならどうかな?」

 立ち上がった亜美は、右手の人差し指を軽く微笑む唇に当て、小首を傾げる。

「……え?」
「だーかーらぁ、直接味わってみたらどうかな? おいしいかもよ?」

 何を味わえというのか。その人差し指が指し示すものか?

「ねぇ……食わず嫌いは、よくないと思うな?」
「え? いや……え?」

 小悪魔のような微笑の中で目だけはどこか真剣で……亜美はさらに竜児に近
づいてくる。いつの間にか両手は竜児の胸に置かれ、吐息が掛かるほど、お互
いの鼓動が聞こえるほどに接近し、竜児の視線は亜美の透明グロスで艶かしく
光る唇に吸い寄せられ……。
424かんせつ 4:2011/06/14(火) 12:21:03.04 ID:n4l4HbAE
「そこ、どいてくんない」

 急に掛けられた声に、竜児と亜美は反射的に視線を横に向けた。
 ……が、誰もいない。
 その不機嫌な声で既に誰なのかわかってはいたが、恐る恐る視線を下げる。
 もちろんそこには、破裂寸前の風船のような顔をした逢坂大河が立っていた。

「おうっ……!」
「げっ……!」

 ずざっ……と凄まじい勢いで、反発する磁石のように飛び離れる竜児と亜美。

「た、大河……」

 怒りのオーラにおびえ、小動物のように震える声で呼びかける竜児を無視し、
大河は黙って小銭を自動販売機に投入し上段のオレンジジュースのボタンに手
を伸ばした。

「あうっ!」

 ……が、突然なにもないのに躓き、よろけた大河はとっさに縋るように自動
販売機に手を付く。

 ピッ! ……ガコン。

 『あたたかい』と書かれた所に位置する無糖の缶コーヒーが転がり落ちた。
 疲れた体育の後で、温かいコーヒー。
 超絶甘党の大河が、ブラック。
425かんせつ 5:2011/06/14(火) 12:24:13.13 ID:n4l4HbAE

「…………」

 無言になる大河。

「…………」

 同じく無言になる竜児。

「…………プッ」

 そして、耐え切れず吹き出す亜美。

「くくく………あ、あんた、あったかい……ブラックのコーヒーって……の、
飲めるの?」

 ケタケタと意地の悪い顔で亜美に笑われる大河は、無言のままコーヒーを取
り出した。おそらく、こんなもん飲めるか、と放り出すのは大河的に負けだと
思ったのだろう。無言のまま缶を開け、一口飲む。

「……にが」

 一口で挫折。

「にが? いま、にがって言ったよね? ぷぷっ」
「言ってないわよ! うるさいわね、ばかちー!」

 噛み付くように怒鳴って、一口飲んだだけの缶を竜児に突き出す。

「もういいわ。あとはあんたにあげる」
「お、おう」

 竜児が受け取ると、むっつり不機嫌ヅラでのしのしと教室に戻っていく大河。
今の怒りでその前の竜児と亜美のきわどい場面のことは忘れてしまったらしい。
おバカな大河にほっと一息つく竜児。
426かんせつ 6:2011/06/14(火) 12:27:16.45 ID:n4l4HbAE
「おまえ、あんまり大河をからかうなよ。とばっちり受けるのは俺なんだぞ」
「はいはい、悪かったわねー」

 まったく悪びれない亜美に呆れつつ、竜児は大河に押し付けられたコーヒー
を飲む。見事にあったかいが、まあよしとする。竜児はブラックでも問題ない。

「…………ふーん」
「なんだよ?」

 いきなり不機嫌そうな顔になって睨んでくる亜美を睨み返す。別に睨まれて
怒っているわけではなく、突然睨まれたことを不思議に思って見返しただけだ。

「タイガーの飲みかけはフツーに飲めるんだ。へー」
「え?」

 言われて、初めて気が付いた。確かにこれは大河の飲みかけだ。

「いや……まあ、大河だし」

 どこかおかしいか? と言わんばかりに答える。
 実際はそこまでフツーというわけでもないのだが、いまさら感はある。
427かんせつ ラスト:2011/06/14(火) 12:30:26.44 ID:n4l4HbAE
「あーそーですね。タイガーだもんね。ふーん」
「おい、なんかおまえ、変な誤解をしてないか?」
「そーよねー。タイガーの飲みかけだの食べかけだのは、いつも口にしてるも
んねー。そりゃ平気よねー」

 呪いの言葉でも囁くように言うと、亜美はむっつり不機嫌ヅラでのしのしと
教室に戻っていく。さっきの大河とまるっきり同じように。

「いや、別にいつも口にしてるわけじゃねえし。っておい、聞けよ、川嶋」

 去っていく背中に向けて抵抗してみるが、長い足を大股で動かす亜美は振り
返りもしなかった。

「……なんなんだよ」

 後に残された竜児は、残ったコーヒーを飲みきりゴミ箱に捨てると、納得い
かない表情で教室に戻っていった。
428名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 12:32:53.00 ID:n4l4HbAE
以上。
書き込み規制とか文章量規制とか・・・
なれないことはするものじゃないなぁ・・・
429名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 21:00:43.18 ID:SHg5UXb6
GJ
あーみんかわいいよあーみん
430名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 22:11:42.53 ID:9o8XaLx1
GJ!!!
431 忍法帖【Lv=15,xxxPT】 :2011/06/14(火) 23:06:37.71 ID:Mche5APZ
GJ
行間にちゃんと亜美の思いとか入ってました! 
竜児と大河の関係と竜児と亜美の関係の対比が面白いですね
竜児と亜美の視線が互いに少しズレたら恋に発展しそうなところも○でした

忍法帳規制、お疲れ様です。レベル低いとけっこう制限あるけど、
レベル上がるし、以前みたいに長期規制じゃないのでまだマシかな
これからも機会があれば投下お願いします
432名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/15(水) 09:42:46.60 ID:D+OYjKJ+
GJ
竜児にとって大河は家族同然の扱いなんだよねw
そこに入り込む隙間がないと察知してしまうあーみんは辛い(´・ω・`)
433名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/15(水) 20:21:18.41 ID:opgkyeCS
>>428 GJ 竜児と大河の身内な感じはいい

>>415 ネタがネタだけに評価し難いけど、真面目に書いてる
あと驚いたのが、本編アフターは竜児大河以外の組み合わせは無理だと思ったが、こういう展開なら説得力あるな
とにかくお疲れさま
434名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/15(水) 21:45:55.32 ID:G9JagUac
□2011年8月10日発売

◆ゴールデンタイム3 仮面舞踏会
著/竹宮ゆゆこ イラスト/駒都えーじ
  すったもんだの末、香子といい感じになった万里。気分はハッピーな! な一方で、
リンダのことを考えると気分はもやもやし――。青春ラブコメ第3弾!
435名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/18(土) 14:49:29.16 ID:ZHRts1h3
気分はもやしに見えてなんのことかと思ってしまった
436名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/19(日) 01:37:02.96 ID:2RQ91yLl
もやしは美味い。
437名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/19(日) 05:01:31.09 ID:/vk9AX38
次はもやし料理がテーマか
438名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/22(水) 18:50:31.17 ID:dXdlreX0
>>428

亜美ちゃん不憫すぎる…。
やはり竜児は鈍すぎるなw

>>437
もやしで一方通行を連想するのは私だけでせうか?

439名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 00:51:34.20 ID:oANx+X5R
分からなくはないがちょっと分かりにくいw
440名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 10:57:57.46 ID:S8IW1hba
あの作品で言うと白もやしの他に赤もやしも居るしなぁ
441名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 11:06:42.81 ID:Yt0sPJ8H
SS保管庫の小説が読めなくなってるんだけど、何事?
442名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 20:05:52.91 ID:EQyecIyl
何本かチェックしたけど俺は読めたよ。ちょっと重い気がしたから、アクセスが多かったとかその関係じゃない?
それとも、特定のSSの問題なのかな?
443名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 20:38:58.75 ID:fCbC2XiP
藤林丈司
444名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 21:09:20.89 ID:Yt0sPJ8H

 え、読めた?まじすか;;保管庫ってこれだよ?http://yuyupo.web.fc2.com/index.html
保管庫の補完庫とかじゃないよ??
445名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 21:22:37.20 ID:Yt0sPJ8H
ごめん間違えた上のまとめ1のysつ^^;
446名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 21:39:18.40 ID:EQyecIyl
ごめん、保管庫の保管庫だと思ってた
まじだ、アクセス出来ない。保存してないSSがあるのに……
447:2011/06/23(木) 22:00:42.73 ID:nvitQk55
新しい保管庫作るのはダルいけど、ログを手に入れたらうpするよ。
yomiは復帰してるようだけど、まだdat落ちのスレにアクセスできないんで、
ちょっと待っててね。
448名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 22:14:14.63 ID:EQyecIyl
ありがとうございます <(_ _*)> アリガトォ
449名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 22:30:41.51 ID:3R5w6sUi
しばらく更新していないからアカが焼かれたのかと思ってびっくりした(´・ω・`)

まとめサイト1はアーカイブ化しているから俺的には大丈夫(`・ω・´)
450名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 00:57:27.81 ID:JZQKmQAa

 保管庫の補完庫に全部移すわけにはいかないのだろうか??

保管庫が二つあるのは管理者側的にもやりづらいと思うのだが.....
451名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 01:41:11.08 ID:JZQKmQAa

 保管庫の補完庫に全部移すわけにはいかないのだろうか??

保管庫が二つあるのは管理者側的にもやりづらいと思うのだが.....
452名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 05:34:54.75 ID:rJPeF4PJ
>>450
だなあ
たしか保管庫の補完は誰でも更新できるんだよね?
453名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 10:46:13.52 ID:xtdOH3u1

 とうとう保管庫のページを開く事すらできなくなってしまった....;;
454名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 14:21:54.44 ID:moqZ6p2i
本家保管庫が開けなくなったか……
455名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 14:59:31.45 ID:1u0tnhWm
>>449
そのアーカイブをお願いできるかな
456名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/26(日) 00:25:03.09 ID:u5xwNTPC
保管庫と共に職人達も消えてしまった.....;;
457名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/26(日) 06:25:04.08 ID:ymBSWNRE
消えてしまった保管庫の代替になるのはこれだね。

竹宮ゆゆこ総合スレ SS保管庫(ミラー)
ttp://hiroka.koiwazurai.com/

不足分があれば Internet Archive から取ってくればいい。
2008/12/31 のスナップショットがあった

Internet Archive Wayback Machine
ttp://wayback.archive.org/web/20110101000000*/http://yuyupo.web.fc2.com/index.html
458名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/26(日) 17:10:45.88 ID:u5xwNTPC

 職人んんんんんん!!!!!
459名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/28(火) 22:25:00.13 ID:2RaSIlag
書いてはいるんですけどね、リアルが辛くなってきたので、少し時間ください
460名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/29(水) 10:30:38.65 ID:3oNJfagr
リアルが辛いときほどそのリアルをぶつけるのだ。それが文学だ。
受けようとか、二次SSだからとか考えるな。真実を文字に叩きつけて公表しろ。
それが自己を浄化し、君に共感する他者を生み出す。

よし、まず俺からな。

「大河とやりてええええ」
重傷負うかもしれないけど後悔はしない。
461名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/07/01(金) 03:06:59.32 ID:SVaqBe11
多くの書き手がいなくなったが
彼らはどこか他の場所で書いているんだろうか
462名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/07/01(金) 06:49:15.41 ID:R7JH7zjI

 いなくなったとか言うな;;きっとすぐ帰ってくるさ.....
463 ◆Ye9TnXLFgwt6 :2011/07/01(金) 16:50:12.55 ID:UFhyRBkD
私が生存してるんだからきっと他の人も生存してるさ
464名無しさん@ピンキー:2011/07/01(金) 20:00:16.79 ID:E1mAXPx9
書き手と言うのはうpをして読まれている間だけ生存が確認される存在だ。
書かない書けない書き手はただのねらー。
鳥付けてレス書いたのなら……期待しておるよ。
465名無しさん@ピンキー:2011/07/01(金) 21:13:18.02 ID:1B5xGKAy
SLさんが生存中なのは俺妹スレだけ!!
466名無しさん@ピンキー:2011/07/02(土) 00:04:46.95 ID:cR2Vj/6z
467名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 08:27:22.22 ID:yfufYHFQ
エンドレスあ〜みん7来るか?( ゚∀゚)o彡゜
468名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 08:53:27.90 ID:wMA5tEZ6
こいこい!
469名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 13:16:57.46 ID:XN+Wu4T3
>>463
おい早く腹黒様の続き書けよ
おう早くしろ
470名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 14:33:15.61 ID:rhnYVh8E
アホくさ
471名無しさん@ピンキー:2011/07/04(月) 03:34:17.36 ID:aAQC9Sis
翼をくださいの作者さんはいずこへ?
472名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 22:54:13.37 ID:BCYUdfQ6
まずいぞ誰もいない;;
473名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 22:55:05.84 ID:Gljm+45R
ラノベってアニメ化終わったら誰もいなくなるよな
ハルヒ級なら大分違うんだろうけど
474名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 22:59:45.56 ID:PUxg0IiE
いちいち上げてんなよクズ
475 忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/07/07(木) 23:05:19.81 ID:8pQMm5aB
>>474
たしかにそうかもしれんが、そう熱くなんなくても
書き手に目立つように上げてるんだろうし、気持ちは解るよ
476名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 10:40:06.06 ID:WQD/OLbZ
亜美ちゃんと麻耶ちゃんと奈々子さまと4Pしたい
477名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 10:47:18.16 ID:LRFGCkoX
高須棒姉妹
478名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 16:07:13.03 ID:tuxPDFyX
みのりんとハプニングセックス
479名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 18:17:20.02 ID:VSYjpRK5
>>477
これって続きないの?
480名無しさん@ピンキー:2011/07/09(土) 20:01:03.17 ID:Obgg41Kj
くっだらねえ流れ
481名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 00:45:37.46 ID:5eczmUic
SLー!
はやくきてくれー!!
482名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 03:56:53.51 ID:oRaJOG0A
>>481
なんで?
483名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 23:16:33.34 ID:Wmi4vYcV
右派の大作家様()は俺妹スレから出てくんなよ
484名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 02:12:09.53 ID:Prd+gXHM
頭の悪いネトウヨそのものだなSLは
485名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 15:12:03.68 ID:Sb/fCEdd
毎日誰かとハプニングセックスする竜児
486名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 18:43:50.61 ID:L2QyZGeM
亜美ちゃんSSマダー?
487名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 21:10:41.24 ID:SksEz9Zs
今どき「エンドレス何とか」「腹黒様」

書き手の自演じゃん
恥知らずのアホは死ね
488名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 04:31:52.91 ID:/zELbOb5
>>487

それ、みんな「本音」のクソが書き散らしたゴミ(>>183参照)
今も自演で自分ヲ正当化しようってとこだろうが、
このスレをダメにした戦犯はこいつだよ

死ねには同感。奴はいらない
489名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 09:30:01.74 ID:mr9Ilbur
腹黒の続き書けよ作者
490名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 10:09:35.02 ID:vghmJVqx
>>321
続きマダー?
491名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 10:28:31.99 ID:GkJ/aQbW
>>321 書いたの GW かあ。ストックちょっと探してみるわ
492名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 11:50:03.31 ID:8iiuhz0q
自演くさ
493名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 12:09:29.47 ID:mr9Ilbur
>>492
SL乙
494名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 13:03:26.73 ID:/zELbOb5
154 名前:名無しさん@ピンキー :2011/07/17(日) 09:22:30.90 ID:mr9Ilbur
SLは俺がブチ殺しておいたよ
嬉しい?

156 名前:名無しさん@ピンキー :2011/07/17(日) 12:28:36.66 ID:mr9Ilbur
断末魔は「ちんちんかゆい」

自演と公序良俗違反しか能のない基地外はさっさと消えてください
495名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 13:11:44.22 ID:GkJ/aQbW
自演でもなんでもいいけどこーこかわいい
496名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 14:17:53.41 ID:mr9Ilbur
SLなんてクソはいなかった
497名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 20:42:39.51 ID:/zELbOb5
>SLなんてクソはいなかった

居なかったのなら、殺せないよなwww

本音サミット、こいつはいろんな意味で終わってるな


498名無しさん@ピンキー:2011/07/17(日) 22:58:44.89 ID:gkV+P4k2
奈々子かわいい
499名無しさん@ピンキー:2011/07/18(月) 13:39:24.60 ID:QinGgT/I
奈々子うp
500名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 10:18:56.09 ID:Q4WLYH0g
>>497
いったいいつまでサミットに粘着してるつもりなの
あと勘違いして似た文体の他の書き手さんを貶めすとかさあ
甚だ迷惑
501名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 14:10:42.08 ID:n8Btofd+
ハプニングみのりん
502名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 00:40:33.26 ID:ofjHpe+w
500 名無しさん@ピンキー [sage] 2011/07/19(火) 10:18:56.09 ID:Q4WLYH0g Be:
>>497
いったいいつまでサミットに粘着してるつもりなの
あと勘違いして似た文体の他の書き手さんを貶めすとかさあ
甚だ迷惑

本音の旗色が悪くなると、こういう自治厨が湧くんだよな
いや、ふしぎだねぇ〜www
503名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 03:50:12.36 ID:lp/JsU1Q
>>502
もしかして本音サミットの作者さんと勘違いしてる?
だとしたら考えすぎ。ただのファンだよ。
しかしあんた、サミットの前に書いていた自分の作品に対するレスが殆ど無かったからって
サミットの作者や周りに当り散らすのはあまりにもお門違いじゃん。
あんたの作品の評価がそれまでだったと受け止めて、向上心を持って努力するしか
ないでしょう。
反応が気に食わないからって他人を責めるなんて自己中にも程があるよ。
504名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 07:42:02.16 ID:/oV1Ilu/
なんだ荒らして欲しいのか?

ろくに推敲もできない非人と
諭すときに方言丸出しの田舎者

どっちもどっちだな
505名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 09:20:04.43 ID:YsrhCjAn
> ろくに推敲もできない非人と
> 諭すときに方言丸出しの田舎者

なにそれ
506名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 09:28:28.94 ID:jElPm7KV
>>500
本音サミットとエンドレスあーみんとか腹黒様は書いたの同じ人だぞ?
しかも本音サミットとその他作品の文体は別に似てないぞ?
本当にファンなのか?まあ作者の自演じゃないのは分かったけど、アンチの工作か何かか?
かなり昔の作品なのに「○○続き希望」みたいなレスがあると駄作作者が嫉妬しちゃうのは解るよ
今の過疎っぷりなら多少駄作でも誉めて貰えるからまた書いてみろよ
507名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 09:51:13.90 ID:TXiWYwIj
というか粘着してんのSLだろ
前回この話題が出たのも今回も某スレに奴が現れた直後だし
508名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 15:42:09.73 ID:fjCiHsdh
SL死すべし
509名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 18:42:14.20 ID:9c5opL8J
>>502みたいな波ダッシュってネトウヨ自演野郎もよく使ってるな
510名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 23:24:18.21 ID:WnGKEH0B
本音でも腹黒でも何でもいいけど
とりあえず書けば?

保管庫で見た限り、展開につまって放棄したってのが見え見えだから、無理だろうがな

どうだ? やる気になったかwww
511名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 00:51:54.82 ID:4q40HWpP
なんかひどい事になってる;;早くなんらかの作品を投下するんだ!そしたら少しは落ち着くだろう。
512名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 01:26:24.29 ID:ZRsPcROl
朝鮮人を火病させると、こんなにも粘着されるのか…
通りで永遠と粘着してるわけだ…
き、きもい…
513名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 03:50:33.43 ID:KbUP5THz
SLって朝鮮人だからな
おっかないぜ
514名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 08:16:45.17 ID:ZRsPcROl
>>513
朝鮮人が親日になって、右翼活動中と言う事か。
では、君たちとは仲間割れして争ってる状態なんだね。
515名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 17:21:17.20 ID:kVQNm1Qi
SLのみならず、チョンは消滅すべき
516ユートピア:2011/07/21(木) 18:43:35.53 ID:37WkYMqf
超お久しぶりです。ユートピアです。
心のオアシス〜6〜が出来ましたので、投稿しに来ました。
本当に久しぶりの投稿ですから、前までの内容を覚えてないと思います。
ですので、保管庫にある1〜5を読んだ方が、内容をよく理解できると思います。
もしよかったら、そちらも読んでもらうと嬉しいです。
では、次スレから連投します。

心のオアシス〜6〜
カップリング:竜児×亜美
備考:エロなし

517ユートピア:2011/07/21(木) 18:46:08.02 ID:37WkYMqf
心のオアシス〜6〜






「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」


ここに一つ、とある物語が存在していた。
一人の少年と、一人の少女の恋物語が。
階段を急いで上っていく少年がいる。過ぎ去る時を惜しむように、時を縮めようとしているかの如く全速力で駆けあがっていく。
彼の表情は必死一色。頭の中にはある一点しかないのだろう。

「はぁ、はぁ、川、嶋……!」

少々先にこの階段を上って行った少女を、この少年は追いかけているのだ。
彼の眼には、燃え尽きることがない紅蓮の炎が燃え上がっている。
その火種となっているのは、追いかけている少女への恋心。文字通り、彼は燃えるような恋をしているのだ。



ここから先に言葉は無粋だ。
高須竜児と川嶋亜美。
二人だけの物語に、遂に終止符が打たれる。






518ユートピア:2011/07/21(木) 18:51:29.64 ID:37WkYMqf
 ◇ ◇ ◇






「っ!」

目の前にあるドアのノブに手を掛け、捻って一気に開け放つ。
とたんに外から押し寄せてくる、冬特有の冷え切った空気。肌を切り裂いているんじゃないかと思うぐらい冷たい風を、しかし亜美は気にしない。
一刻も早く。
誰も来ることのできない場所へ行きたかった。
誰にも会いたくないし誰とも話したくない。今は、どうしようもなく一人になりたかった。
竜児に。
意中の男子に。
櫛枝実乃梨に好意を寄せているであろう、自分の愛しい相手に。
今だけは絶対に、絶対に会いたくないのだ。
その為に、こうして必死に走ってきた。みっともなく涙を流しながら、なりふり構わずここまでたどり着いたのだ。
だが。

「ここ、屋上……?」

これといった目的地を決めないで、ただただ竜児から逃げたい一心で走っていた亜美は、どこに向かっていたのか気づいていなかった。
しかし、底冷えする外気に触れて頭が冷やされ、多少冷静になった今なら分かる。
ここに来たのは、取りうる手段の中で一番の失策だ。
ここから先に道は無い。あるのは転落防止の緑色の柵があるだけで、その先には文字通りの断崖絶壁。

「く……!」
519ユートピア:2011/07/21(木) 18:53:33.38 ID:37WkYMqf
踵を返して、亜美は来た道を戻ろうとする。

しかし。

「っ……!?」

タッタッタッタッタ。
屋上に続く階段から、そのような音が聞こえてくる。
その音はまるで、階段を急いで駆けあがってくるような音に亜美は聞こえた。

「高須、くん……?」

この音を出している主であろう男子の名前を、亜美は呟く。

「なん、で……なの?」

ここに竜児が来るであろう理由を頭の中で考える。
今の亜美は一種の錯乱状態にある。高須竜児は櫛枝実乃梨に好意を抱いており、櫛枝実乃梨も高須竜児に好意を抱いている。そう思い込んでいて、考えることは全てが全てネガティブな
方向に向かってしまう。
そんな状態の亜美が出した結論。
それは、

「そこまで、あたしに実乃梨ちゃんとの仲を知ってほしいの……?」

という、ひどく無理矢理な答えになってしまった。
再び涙が溢れそうになりながら、亜美は屋上に戻って階段に繋がるドアを閉める。

「?」

そこで、亜美はあることに気付いた。
屋上側のドアノブに、手動式のカギがあることを。
それを認識した瞬間に、亜美はガチャリとカギを閉める。これで、竜児はここに入ってこられない。
520ユートピア:2011/07/21(木) 19:03:23.31 ID:37WkYMqf
「……はぁ」

そのことに安心と寂しさを感じて、背中をドアに預けて亜美は大きく息を吐いた。
その間にも階段を上ってくる足音は止まずに、確実にここに近づいてくる。
そんな音を聞きたくなくて、両手で耳を塞いだ。しかし、そんなことで音を全て遮断できる訳もなく、ここに向かっている足音が微かに聞こえてきてしまう。
それはさながら、終わりを告げるカウントダウン。ゼロになった瞬間、亜美にとっては死刑宣告にも等しい現状にたたき落とす、無慈悲な音だった。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。

「ヤダ、よぉ……」

せっかく、生まれて初めて異性を心の底から好きになり、初めて本当の意味で異性を好きになったのに。
黒い絶望が胸の中にジワジワと広がっていく。
立っていられなくて、ズルズルと腰を下ろしていき、お尻を地面につけて体育座りになり、膝に顔を埋める。
屋上から見える景色を映していた目を閉じたのだから、当然視界には何も映らない。目蓋の裏は黒を映すばかりで、他の一切のものを遮断している。
そんな亜美の脳裏に蘇ってくるのは、自分と竜児の色鮮やかな記憶の数々だった。
一番初めの竜児との記憶は、いつだったか。亜美は今でも昨日のことの様に思い出せる。
521ユートピア:2011/07/21(木) 19:05:41.59 ID:37WkYMqf
北村祐作と訪れたファミレス。そこで逢坂大河と一緒に居た竜児と初めて対面したのだ。その時は、まさかここまで親密な間柄になるとは夢にも思わなかったものである。
次に思い出されるのはストーカー退治。大橋高校に転校してきた諸悪の根源であるストーカーを、竜児のおかげで自分で退治することが出来た。その最中にひた隠しにしてきた――実際
は最初から、竜児に亜美の猫かぶりはバレていたのだが――素の自分を散々見せてしまったのだが、それでも自分と分け隔てなく接してくれる竜児に好感を持ったのだ。竜児は、他の男
子の様に自分を見た目だけで判断していない、自分の心も包み込んでそれでも傍に居てくれる存在なんだと認識したのだ。そのことが嬉しくて少し暴走したのは、今では良い思い出であ
る。
夏には大きな出来事があった。二人きりとはいかなかったが、亜美と竜児が彼女の別荘に旅行に行った。そこでは楽しい思い出しか残っていない。最終日の夜、皆で花火をしていた時に
竜児が自分に言ったことは今でも嬉しかったと覚えている。
文化祭ではあまり竜児と絡むことは出来なかったが、後に購入した二人で映った写真を見るだけで頬が緩むのを止められなかった。
そして。
全ての分岐点は、あの行事だったと亜美は思う。
すなわち、大橋高校生徒会長選挙だ。
今思い出すだけでも、大変だったことを覚えている。
522ユートピア:2011/07/21(木) 19:31:31.14 ID:37WkYMqf
北村が狩野会長に演説中に告白し、それを狩野はうやむやにしたまま選挙演説を締めて、それに大河が激怒して狩野の教室に乗り込んだ。
そこで紆余曲折があり、北村は狩野に付いてアメリカに渡ることになり、そのアメリカに行く日に北村に言われて、亜美は初めて自分の気持ちを理解したのだ。
それ以降、亜美は竜児に好きになってもらうための努力をしてきた。それは亜美からしても効果があるように思え、亜美に少なからず自信を持たせていたのだ。
そして、今日その自信は木っ端微塵に砕き割れた。

「結局、高須くんは実乃梨ちゃんのことが好きなんだ……。あたしが入り込む隙間なんてない、強くて堅い絆で結ばれているんだ。
しょうがないよね。所詮、あたしは途中から皆の絆に入り込んだ異分子なんだから……」

自虐的な言葉が口からこぼれてしまう。
今の亜美は、生きてきて一番心がどん底に落ちていた。

ガチャッ!

「……!?」
523ユートピア:2011/07/21(木) 19:36:09.16 ID:37WkYMqf
そんな亜美の耳に、ドアノブを回す音が届く。
勿論それは亜美がもたれかかっている屋上に通じるドアから発せられた音であり、そこから導き出される答えは、無慈悲にたった一つだけだった。
驚いてバッと立ち上がり、ドアノブを開かない様に両手で強く握って固定する。鍵がかかっているからドアが開くことは無いのだが、それでも今の亜美はそんな簡単なことにも気づけな
いほど混乱していたのだ。

「っ! 川嶋、おい俺だ! 開けてくれ!」

案の定、ドアの向こうから聞こえてくる少しくぐもった声は、竜児本人のものだった。
ここまで全力疾走だったのか、その息遣い「ハァ、ハァ……」と途切れ途切れになっている。

「嫌よ! 絶対に開けない、絶対に開けない!! 聞きたくない聞きたくない聞きたくない!! 高須くんの言葉なんて、何にも聞きたくなんかないっ!!」

「何でだ川嶋! 俺が何言うか分かってるのか!?」

「分かるもんっ!!」

遂に亜美の目から涙が溢れてきた。胸の中がぐちゃぐちゃになっていて、そんな感情の一端が、涙となって流れているのだ。
堰を切ったかのような勢いで流れる涙。頬を伝って顔の輪郭まで流れていき、そして屋上のアスファルトに小さなシミを点々と作っていく。

「分かるっ、もんっ……」
524ユートピア:2011/07/21(木) 19:39:23.36 ID:37WkYMqf
本気で本心からの涙だった。
体面もなく鼻水を流しながら、おおきなしゃっくりをしながらの、子供が泣くように盛大に涙を流している。

「川嶋……」

「さっきの実乃梨ちゃんとの雰囲気を見てれば分かるもん……。あんなの見せ付けられて、気づかない方がおかしいよ……」

亜美の脳裏に、先ほどの光景が蘇ってくる。
夕焼けに照らされている教室の中に、たった二人だけでいた竜児と実乃梨。
その二人が醸し出す雰囲気は、ただの友達同士が出せる物では到底ない。その雰囲気を直に肌で感じた亜美には、そういう結論が出てしまった。
つまり、竜児と実乃梨、二人はただの友達などではなく、お互いを好き合っている恋人同士なのだと。

「一生懸命高須くんにアタックするあたしを、心の中で笑ってたの……? 実乃梨ちゃんと一緒になって、あたしを騙して遊んでいたの……?」

「…………」

「高須くんももう分かってるんでしょ!? あたしが、高須くんのことを好きだってこと! ハッキリ言ってよ……! 実乃梨ちゃんのことが好きだって……! あたしのことなんかな
んとも思ってないって……!」

「…………」
525ユートピア:2011/07/21(木) 19:42:38.29 ID:37WkYMqf
(……あぁ)

竜児は、心の中で短く呟く。

(―――川嶋が、愛しくて愛しくて堪らない)

不謹慎にも、竜児は思う。亜美が泣いている理由は自分にある。そのことは誰が見ても火を見るより明らかだ。
そのことが、竜児にはとてもうれしく感じた。
自惚れではなく、勘違いでもなく、下衆な勘繰りでもなく、亜美は自分に好意を抱いている。
亜美の言動からそのことを理解して、竜児の胸の中にとても温かいものがジワリジワリと広がっていく。
それと同時に、竜児の胸にはチクリと小さな棘が刺さってもいた。
どんな理由があれ、亜美が涙を流す理由は竜児自身にある。
自分のせいで、好きな女子が涙を流して悲しんでいるのだ。
男なら、自分のせいで泣いている好きな女子の涙を止める義務があるはずだ。

「なあ、川嶋」

母親の影響でそれが当然だと思っている竜児は、優しい声で扉越しに亜美に話しかける。

「扉、開けてくれねえか?」

「……認めるのね? あたしが今言ったことを。高須くんは、あたしのことなんかなんとも思ってないって。あたしなんか、所詮高須くんの隣になんて―――」

「川嶋」
526ユートピア:2011/07/21(木) 19:46:38.60 ID:37WkYMqf
ただ一言。名前を呼んだだけで、亜美は話を途中で切った。
別段怒鳴った訳でも何でも無い、ただただ普通に名前を呼んだだけ。
だが、その一言に秘められた真剣さは凄まじかった。それこそ、亜美に話を切らせるほどに竜児の声には凄味があったのだ。
と言っても、それは怒っているという様な感じではなく、ただただ自分の言葉を聞いてほしいという願望が強かった。

「まずは、俺の話を聞いてくれないか?」

「…………」

竜児の有無を言わさない妙な迫力に、亜美はとっさに言い返すことが出来なかった。
本当は何も聞きたくはない。何にせよ聞かされるのは、竜児と実乃梨の仲についてだと亜美は勘違いしている。
しかし、竜児の言葉に否を唱えるのは、彼の言葉の雰囲気から戸惑われた。

「―――分かった」

消え入るような儚い声で、亜美はそう返事をした。
覚悟も決めてない。聞く度胸もない。だが拒否も出来ない
そんな亜美に残された選択は、諦観だけだった。
527ユートピア:2011/07/21(木) 19:50:07.41 ID:37WkYMqf
「―――高須くんの好きなように話していいよ」

涙に濡れた顔を扉に向けて、そう応える。

「ああ、ありがとう、川嶋」

ほう、と一回深呼吸をする竜児。
真正面から扉に向き直って、ぽつぽつと話し始めていった。




「川嶋も分かってると思うが、俺の顔は人より怖い」

「……うん、知ってる」

「昔は……いや、今もだが、この顔のせいで色々と苦労したんだ」

「……うん」

「幼稚園の頃は友達があまり出来ないで、出来たとしても向こうの親に俺とは遊んじゃいけないって言われたらしく、すぐに離れていった。まあ、その年頃の子供にとって親は絶対だか

ら、今じゃあんまり気にしてないけどな」

「…………」
528ユートピア:2011/07/21(木) 19:53:43.48 ID:37WkYMqf
亜美には、竜児が何を言いたいのか分からなかった。
だが、先ほどの竜児の真剣な言葉から、今の言葉も何かしらの意味があると思い、少ない相槌だけをうちながら聞いている。

「小学校の時も似たようなものだったし、中学からは良くはなったが一部の人間に怖がられるし、クラス替えの度に誤解を解いていかなきゃいけなかった」

「…………」

「高校もそんなもんだと思ってた。怖がられて誤解を解いて、学年が上がってクラス替えをしたらまたその繰り返し。それがずっと続くと思ってた」

「……そうなんだ」

「おう。だけどな、そうはならなかった。一年の時に北村と知り合って、北村の働きもあって、そこからは楽しい一年だった」

「……そっか」

胸がズキリと痛む。今竜児が話しているのは、亜美の知らない昔の竜児だった。
その頃に竜児のそばに居たら、もしかしたら今竜児の隣に居るのは自分かもしれないと思うと、例えIFの話でも思うところがあった。

「それで二年になって、俺の周りの環境は激変した。北村がいて、大河がいて、櫛枝がいて。能登と春田がいて、木原と香椎がいる。そんなすげえ賑やかな輪になったんだ」

「……やっぱり、その輪の中に、あたしはいないんだね」
529ユートピア:2011/07/21(木) 19:56:52.90 ID:37WkYMqf
竜児の口から、自分の名前は出なかった。
そのことが、今の状況の答えになっている様に思えて、再び涙が溢れそうになる。
だが。

「それで、その輪の中で一番俺にとって大事な相手は――――」

竜児は力強く扉を見つめる。
まるで、その扉を越えて向こう側の亜美を見ようとするかのように。

「お前だ、川嶋」

そして、ハッキリと口にした。

「…………え?」

竜児の言葉に、亜美は間の抜けた声を出してしまう。
今のは聞き間違いなんじゃないかという疑念が強くなり、咄嗟に竜児に聞き返してしまった。
530名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 19:58:50.91 ID:qjGRbR6k
支援
531ユートピア:2011/07/21(木) 20:00:27.20 ID:37WkYMqf
「高須くん、今なんて……?」

「聞こえなかったのならもう一度言ってやる。何回だって言ってやるさ、川嶋。俺の一番大事な人は、お前だ、川嶋」

「――――――――」

力強い竜児の言葉に、亜美は言葉を失う。
聞き間違いなんかじゃない。竜児は確かに、今亜美のことが大事だと言った。
それはどういう意味でだろう。友達としてか、それともそれ以上の存在としてか……。

「川嶋」

頭の中でそんな考えがグルングルン回っている最中、再度竜児から声が掛けられた。

「な、何?」

それにたどたどしい声で返事をする川嶋。

「この扉、開けてくれねえか? ここから先は、ちゃんと顔を合わせて伝えたいから」
532ユートピア:2011/07/21(木) 20:05:06.58 ID:37WkYMqf
「…………」

亜美の頭はこんがらがっていた。
何しろ竜児は実乃梨のことを好きだと今の今まで勘違いしていて、そんな中竜児から一番大事なのは自分なんだと力強く断言されたのだ。
喜んでいいのか悲しんでいいのか、嬉しいのか泣きたいのか、亜美の感情は渦の様にグルグルとうねっていた。

「…………」

自分が考えていた展開とは違う。
一方的に二人の関係を竜児に聞かされるだけだと思っていた亜美は、思いがけない状況に戸惑っている。
だが。
ここで引いたら、もう竜児の隣にはいられないと、漠然と思った。
ここで竜児の顔を見なかったら、一生後悔すると亜美の中の女の勘が叫んでいる。
であるから。
ガチャ、という鍵の開錠音が静かに鳴り、次いでギィ、というサビついた屋上のドアを開ける音が響いた。
徐々にドアが開いていき、すぐにドアは全開になった。ブオッ、という音とともに冷たい風が屋上から校舎内に吹き抜ける。
533ユートピア:2011/07/21(木) 20:09:17.16 ID:37WkYMqf
そして。
亜美の目に竜児が映り。
竜児の目に亜美が映った。
しかし、二人の間にはまだ距離がある。扉一枚分の大したことのない、歩数だけで言えば三歩も歩かないうちに竜児は亜美に触れることが出来る、そんな些細で短い距離だ。
しかしその距離が、竜児にはとても切なく感じた。
今すぐ亜美のそばに駆け寄って、この腕で抱きしめて全身で亜美を感じたいと竜児は思う。
だが、それはまだ出来ない。
自分はまだ伝えるべきことを何も伝えていない。
それを全て伝えて、亜美の気持ちが自分と同じなら、その時に存分に気持ちをぶつければいい。
であるから、今は伝えるべきことを。

「ありがとう、川嶋」

「うん……」

勝手気ままに暴れまわる心臓を落ち着かせるように、竜児は一度大きく深呼吸する。
肺の中に冬特有の凍りつくような空気が入ってきて、火照っていた体から強制的に熱を奪う。
それによって幾分か心臓は落ち着いた。
改めて、目の前の亜美の涙に濡れた瞳を正面から射抜き、頭の中で話すべき言葉を取捨選択し、そしてそれに自分の想いを上乗せして口から紡ぐ。
534ユートピア:2011/07/21(木) 20:16:05.25 ID:37WkYMqf
「対等の存在」

「え……?」

竜児の口から出てきた単語に、亜美は首をかしげる。
竜児が何を言っているのか分からなかった亜美は、竜児に次を話すように無言で促した。

「文化祭の練習の時に、俺が櫛枝と口喧嘩して逃げってった自販機のところで、川嶋が言った言葉だ」

「…………」

確かに、そんなことを以前言ったような気がする。
竜児にとっての大河の位置にも実乃梨の位置にも、亜美は到達することが出来ないと自覚した。その現状に愕然となり、そんな状況で出した妥協案が『対等な存在』だったはずだ。
自分がこんな弱気な答えを出すことに亜美自身驚いたが、それだけ状況が悪かったのだ。
亜美にとっては大きな決断で悲しい言葉だったが、他人にとっては聞き流してしまうような些細な言葉だ。そんな小さな発言を竜児が覚えていてくれたのは、正直うれしいと亜美は
思った。
535ユートピア:2011/07/21(木) 20:21:24.91 ID:37WkYMqf

「対等な存在ってのは、何も地位や能力が同等の者同士っていう意味じゃない。本当の意味での対等な存在ってのは、川嶋が言ったように、助け合い、励まし合い、共に一緒の道を一緒
の速度で歩いて行ける関係なんだと思う」

「……うん」

「大河との関係はこれに当たるかもしれないが、対等な存在というよりも気負いなく接することが出来る家族みたいなもんだから、違う。櫛枝との関係も、違う。櫛枝はどうか分からね
えが、俺は櫛枝に対して遠慮を常に感じている。嫌われない様に、当たり障りのない関係を続けてきた」

亜美の胸にチクリと痛みが走る。
今の発言は、竜児が実乃梨のことを好きだったと言っているとこと同義だからだ。
やはり自分の予想は間違ってなかったと亜美は気持ちを落とすが、それだけではないことを先ほどから竜児は言っている。
続く竜児の独白に、亜美は聞き入る。

「それで俺、思ったんだ。川嶋となら、本当の意味での対等の存在になれるんじゃないかって」

言葉を紡ぐ竜児の脳裏に浮かぶのは、最近の亜美との交流だった。
登下校や昼食、授業のグループ課題や男女合同の体育の授業。
そして、亜美が連れ去られそうになった出来事と、亜美が自分の為に怒ってくれたこと。
536ユートピア:2011/07/21(木) 20:24:40.04 ID:37WkYMqf
それらを思い返して、竜児は亜美となら真の意味での対等な存在になれると確信している。
大河との関係の様な、一方的に面倒を見たり遠慮呵責なく接するのではなく。
実乃梨との関係の様に、相手の反応を一々気にしたり嫌われない様に接するのではなく。
亜美との関係の様に、互いが助けて助けられて、互いに相手のことを求めるような。
真の意味での対等の存在へと。
竜児は一つ息を吐き、一旦言葉を止めて目を閉じる。
前口上は終了した。
次に言うべき言葉はもう決まっている。
ついに、ついにここまで辿り着いた。
今の自分の気持ちを、亜美に抱いている燃えるような恋心を言葉に、態度に、纏っている雰囲気に精いっぱいに込めて竜児は亜美に言い放つ。

「これを言えばもう元の関係には戻れねえ。だが、俺はそうなっても後悔しないし、振り向きもしない」
537ユートピア:2011/07/21(木) 20:29:05.45 ID:37WkYMqf
閉じていた目を開け、亜美の瞳を真正面から見据えながら、竜児は自分の気持ちを解き放った。





「俺は、高須竜児は、川嶋亜美のことが好きだ」





冬の乾いた風が一陣、二人をせきたてる様に吹き抜けた。
竜児の宣誓にも似た告白の後は、沈黙が場を支配している。
竜児はもう言うことは無かった。言いたいことは全部言ったし、あとの判断は亜美に全部任せている。
告白を受けるのか、はたまた断るのか。
告白をしたという緊張の解放から、寒風吹きすさぶ真冬の屋上なのに背中や手の平にじっとりと汗をかいている。
静寂が支配する場には、風が吹く音しか竜児の耳には届かない。
竜児にとって亜美の返事を待っている今の時間は、普段の何倍も何十倍もの長さに感じられた。
そして。
538ユートピア:2011/07/21(木) 20:33:24.55 ID:37WkYMqf
「ッ……!」

短く息を吸い込んで、竜児の告白を聞くや否や亜美はたまらずといった体で駆けだす。
竜児が感じていた二人の間にある僅かな距離は、亜美の意志によって一瞬で縮んだ。
両腕を一杯に広げて、駆ける速度はそのままに竜児に思いっきり抱きついた。
腕を竜児の背中に回して、ギュッと強く抱き締める。

「ずっと、ずっとこうしかった……」

そんな亜美を拒む理由は竜児には皆無である。
ゆえに竜児も両手を広げて、飛び込んできた亜美を優しく受け止めた。
そして、亜美はポツリポツリと自分の心情を吐露し始めた。

「でも、あたしにはその権利も資格もないんだって思ってた……。頭では分かっていてもどうしようもなくて、だから高須くんに毎回あんな絡み方をして……」

話している亜美の声に、次第に涙と嗚咽が混じり始める。
そんな亜美の流した涙を指でぬぐいながら、身体を今まで以上に力強く抱きしめ、竜児は話す亜美の言葉に耳を傾ける。
539ユートピア:2011/07/21(木) 20:37:13.71 ID:37WkYMqf
「嘘じゃ、ないよね……?罰ゲームとか、そんなんじゃないよね……?」

「ああ、嘘じゃないし、ましてや罰ゲームなんてありえねえよ、川嶋。俺は川嶋が好きだ」

揺るがぬ声で、崩れぬ意志で、確たる声で竜児は亜美に気持ちを伝える。

「もっと、もっと言って、高須くん……。亜美ちゃん欲張りだから、もっともっと聞きたいよ……」

そんな竜児の言葉に胸が張り裂けそうなほど嬉しさが込み上げてくる亜美だが、まだ足りなかった。
今までの状況が状況だっただけに、まだ夢なんじゃないかと亜美は恐怖を抱いている。触れれば易々と壊れてしまう泡沫のように、この現実も容易く壊れてしまうんじゃないかという怯
えを抱いてしまう。
であるから、亜美は竜児に求める。
これが夢じゃないということの証明を。
竜児の言葉で。竜児の態度で。

「おう。俺は、川嶋のことが好きだ。友達としてではなく、一人の異性として、女の子として大好きだ」

「うん……」
540ユートピア:2011/07/21(木) 20:40:40.44 ID:37WkYMqf
「何回だって言ってやる。川嶋が満足するまで、安心するまで言ってやる。俺は川嶋が大好きだ」

「うん、うん……!」

自分の気持ちを表すように、竜児は亜美の身体を今まで以上にギュッと強く抱き締める。抱き締める力の強さだけ、亜美のことが好きだというかのように。
その竜児の言葉と態度に、亜美はようやくこれが本当のことで、竜児が嘘偽りの一片も抱いてないことを理解した。

「高須くん、高須くん、高須くん……!」

「ああ、川嶋。いるよ、ここに。ちゃんといる」

嬉しくなり、竜児の名前を連呼する亜美。
そんな亜美に、竜児は優しく囁きかける。
気温は低い筈なのに、竜児と亜美は全く寒さを感じなかった。
お互いに触れている相手の身体から伝わる熱と、胸の中の高揚が冬の寒さを吹き飛ばしている。

「高須くん、あたしも好き……!川嶋亜美も、高須竜児のことが大好き!」

竜児からの告白の返事を、亜美は胸の中の熱さを吐きだすかのように声高らかに言った。
541ユートピア:2011/07/21(木) 20:44:23.33 ID:37WkYMqf
「ああ、俺も川嶋のことが大好きだ」

その返事に竜児も応える。
そこからは、二人の間には無言の時間が流れる。
恋人同士になったことを、抱きしめてる相手の存在で確認するかのように。



高須竜児と川嶋亜美。
二人は晴れて恋人同士になった。
今までいろいろあったが、これからのことを思うと胸の高鳴りと頬の緩みを抑えきれない。
これからは、色々なことを体験するだろう。
甘いことや苦いことも等しく体験していくことだろうが、竜児と亜美、二人の未来予想図は輝きに満ち満ちていた。
竜児と亜美のそれぞれの物語はここで終了。
これからは竜児と亜美、二人の物語が始まっていくのだ。
序章でありクライマックスである告白は終わった。
物語の主役である竜児と亜美は、抱きしめあったまま、しばらく告白の余韻を楽しんでいるのであった。
542ユートピア:2011/07/21(木) 20:46:59.24 ID:37WkYMqf
今回はこれで終わりです。
というか、心のオアシスの本編部分はこれで終了です。完結までに長期間かけてしまい、申し訳ありませんでした。
もしかしたら、心のオアシスのおまけ的な話を書くかもしれませんが、そこら辺はまだ未定です。
それでは、今回も稚拙な作品を見ていただいて、ありがとうございました。
出来れば、またここで作品を発表出来ればなと思います。
では。
543ユートピア:2011/07/21(木) 20:50:03.94 ID:37WkYMqf
追記。
途中支援してくださった方々、この場を借りてお礼を言います。
ありがとうございました。
544名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 22:11:01.44 ID:qjGRbR6k
完走ご苦労様です。
そしてGJです。
どう終わらせるか楽しみにしてました。
おまけ待ってます。
545名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 02:00:33.05 ID:aS3E1wUK
仕事帰ってきて、定例のスレチェックしたら、待っていた投下が
今日は疲れ果ててるので、後で、ありがたく読ませて頂きます
546名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 07:26:03.58 ID:0+XyU8uv
そろそろゴールデンタイムのSSがほしいのう
547名無しさん@ピンキー:2011/07/24(日) 22:20:47.60 ID:Wonlpu7b
ぬー、久々に濃いSS読みました 乙乙
548名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 05:30:52.32 ID:2RiOZjfZ
完走乙 おまけも気長に待ってるよ!
549名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 09:51:41.52 ID:T+iunHMM
フハハ、ついにきたか!
550名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 13:58:00.42 ID:Md4bYseg

最後まで読めてよかった
おまけ待ってます
551名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 04:40:36.91 ID:CK19q8s2
保守
552名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 16:56:50.83 ID:kHSu2XRq
いつまでも待ち続けます 保守
553名無しさん@ピンキー:2011/08/01(月) 05:23:07.43 ID:CqMZPG0E
まだなのかあああああ
554名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 00:04:54.78 ID:n6Onujbq
この静けさは......wktk
555名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 00:06:43.93 ID:5lnMyAYD
普通に過疎ってるだけだろいちいち上げてんなよクズ
556名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 01:14:55.40 ID:n6Onujbq
↑こういう人って本当に可哀想だと思う。
557名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 07:31:27.58 ID:2MtRFQYU
なんで?
558名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 11:08:58.41 ID:a3GnrAtX
奈々子様は照○ファ●ーザっていうイメージ
559名無しさん@ピンキー:2011/08/04(木) 14:57:33.20 ID:BQFdyl13
>>557
罵ることでしか自分の人間としての小さから目を背けられないからじゃない?
560名無しさん@ピンキー:2011/08/04(木) 15:56:48.31 ID:7v+PRnYV
なんかカコイイ
561名無しさん@ピンキー:2011/08/04(木) 19:11:19.87 ID:EbHPzK2i
よく言ったww
562名無しさん@ピンキー:2011/08/06(土) 17:57:49.76 ID:eh7tdifz
あげげのげ
563名無しさん@ピンキー:2011/08/08(月) 01:25:31.78 ID:kikV9aec
作者マダー?
564名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 09:12:31.35 ID:+sSSyn+r
2皿目〜17皿目のログを回収できました。

http://cgi.geocities.jp/p77org/upup/upload.cgi?mode=dl&file=1346

パスは半角ローマ字、パターンは二通り。分かりにくかったらすみません。
565名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 19:54:54.36 ID:mCY3UVb8
おつ、といいたいけどパスがさっぱり判らない
566名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 22:55:58.60 ID:+sSSyn+r
奈々子

奈々子様
567名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:02:13.55 ID:rIANFo00
それ入れてもダメなんだが?
568名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:15:08.49 ID:Z1jdbvGH
kじゃなくてc
569名無しさん@ピンキー:2011/08/09(火) 23:18:40.95 ID:rIANFo00
トンクス

二通りっちゅーのが未だに分からんが
570名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 08:35:07.54 ID:l8qjrOhQ
もう少しヒントを
571名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 09:22:20.78 ID:fTgblpw2
勿体ぶるのが目的じゃありませんので、うpし直しました。
お騒がせしてすみませんでした。

http://cgi.geocities.jp/p77org/upup/upload.cgi?mode=dl&file=1349

パスは変わっていますが、前みたいに紛らわしくないはずです。
572名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 11:32:01.75 ID:zFsiN6MI
パスわかんね
573名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 12:01:25.22 ID:EIBp2yaZ
勿体ぶってんじゃねえか
素直にパスワード書け
574名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 12:16:02.77 ID:zFsiN6MI
ごめん、普通にパス書いてあったわw
575名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 12:16:23.16 ID:zFsiN6MI
>>573
パス書いてあったよ、そんな怒るなよ(;・∀・)
576名無しさん@ピンキー:2011/08/11(木) 00:41:31.81 ID:rkdFMtQ5
今度こそ、おつ
577名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 13:59:37.63 ID:nZ1BWRsE
コミケの収穫情報に期待したい
とは言ってももうほとんど無いかなあ
578名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 14:29:53.30 ID:37pLhfLE
みんな!私のためにあらそわないで!
579名無しさん@ピンキー:2011/08/13(土) 19:56:33.28 ID:+hkBMEcd
田村くんのサークルは毎回出てるよ
580名無しさん@ピンキー:2011/08/16(火) 08:50:22.52 ID:WOgY2xmN
あげ
581名無しさん@ピンキー:2011/08/17(水) 18:27:48.74 ID:tBMQzHSu
あげ
582名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 22:28:31.24 ID:27PYWrLJ
カソりかたパねえんだけど。みんなかえってこ〜い
583名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 07:38:01.69 ID:pMRptrTv
ことわる そんなに過疎化が嫌ならSL呼んでこいよ
584名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 11:11:39.83 ID:02lBbzRr
こうなったのも元々SLさんみたいな優秀なSSライターを一部の連中が叩いて追い出したことに原因がある
585名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 11:18:43.83 ID:k2l7SUQV
SLさんってどんな人?
586名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 18:14:39.66 ID:pMRptrTv
優秀? どこが?w
587名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 21:30:45.08 ID:zap9qD7K
追い出したも何も自然消滅した感じだろあれは
大体叩いて出てくような奴なら俺妹スレもあんなに荒れなかっただろうよ
588名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 23:52:11.19 ID:/ZyXjKGH
>大体叩いて出てくような奴なら俺妹スレもあんなに荒れなかっただろうよ

意味不明だから校正してやる。

☆大体叩いて「消える」ような奴なら俺妹スレもあんなに荒れなかっただろうよ
   or
☆大体叩いて出てくような奴「だから」俺妹スレもあんなに荒れ「たんだよ」

この程度のオツムで他人を批判とは片腹痛いわwww
589名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 23:55:00.71 ID:/ZyXjKGH
おっと、
☆二番目は

☆大体叩いて出てく「る」ような奴「だから」俺妹スレもあんなに荒れ「たんだよ」

に訂正

元の文が、どうしようもないほど劣悪でツッコミどころ満載だから、抜けがあった。
590名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 00:41:25.57 ID:Nsp6l5Mn
>>588
「大体叩いて出て“い”くような奴なら俺妹スレもあんなに荒れなかっただろうよ 」
なんじゃない?

ともあれ、>>587の日本語が、決定的におかしいのは間違いない
ああ…、チョンか
591名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 10:20:41.86 ID:N+c2vqwV
SSライター 
良かったなSL、プライベートで人に誇れる肩書きができたなw
592名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 18:51:35.60 ID:bEtsIVHM
SLさんどんだけ叩かれてんのw新参者なんでよく分かんないんだけど...彼そんなに悪い事したの?
593名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 01:48:53.11 ID:hR9zkOHC
SL66の脳が右翼すぎて自分のSS作中のキャラに右翼活動をさせたのが
チョンや在日どもの癇に障ったらしい
まあ実際あれは独りよがりの度が過ぎてて、読んでて「面白い」とは
思えなかった
594名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 02:07:03.66 ID:HPg4id+R
在日教師とかいうオリキャラを作って
自分で作中で好きに叩きまくってたからな
臭すぎて読めねえよ
595名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 13:57:05.53 ID:883h0iaX
別スレで職責上著作権に触れるような原作まんまの物は書けない(キリッとか言ってたな
596名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 21:00:59.84 ID:EFqWY/CP
投下したいんですが、容量を超えてしまいそうなのでどなたか次スレを立ててくれませんか?
お願いします。
597 忍法帖【Lv=32,xxxPT】 :2011/08/21(日) 21:08:53.09 ID:883h0iaX
行ってくる
598名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 21:13:42.80 ID:883h0iaX
【田村くん】竹宮ゆゆこ 35皿目【とらドラ!】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313928691/
599名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 21:16:38.34 ID:/oRg0ao+
なになに、そんな大作なの、期待
600名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 21:27:39.76 ID:CiGfT52B
久しぶりの全裸待機
601174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:30:19.83 ID:EFqWY/CP
>>598
ありがとうございました。


SS投下

「アフターダークアフター」
602174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:33:03.33 ID:EFqWY/CP

身の丈よりも大きな姿見が映し出しているのはいったい誰なのだろうか。
首を傾げると、鏡の中、純白の花嫁衣裳を纏ったその人もまったく同時に首を傾げる。
浮かぶ困惑を少々濃い目の化粧で覆う顔に手を添えると、これも瞬時にマネをされ、ますます表情が曇っていく。
これはどういうことなんだろう。今一度整理して考える必要がある。
目の前にあるのが鏡というのはわかっている。
鏡なのだから、あるがままをただ映しているに過ぎないということだって、当然わかっている。
自分が鏡の前に立っているということだって、その後ろに控えているのが母と友人数名だということだって、きちんと把握できている。
なにやら高価そうな調度品や装飾の凝った内装に、友人たちの見覚えのない、降ろしたてらしきドレス。
そういった諸々の状況から、おそらくここが式場ということと、本日これより晴れの席が設けられているのだろうということが何とはなしに察せられた。
でも、それでなんで私がこんな、新婦のような格好をしているの。
軽く摘み上げた裾は驚くほど軽く、幾重にも折り重なったうっすらと透き通るレースが風にそよぐ花弁のように揺れた。
ごくり。思わず喉が鳴る。知らず知らず鳥肌も浮かんでいた。
なかなかどうして、実際に触ってみると質感といい出来栄えといい想像の域をゆうゆう超えていて、胸が締め付けられる思いだ。
冗談でも花嫁以外が着てはいけないだろうし、百歩譲ってモデルなら許されるとして、私はそんな華やいだ世界とは無縁の、一介の公務員でしかない。
たしかに去年の暮れあたりにだってこういう場に招かれたりはしたけれど、あれはあくまで招かれた側であり、先んじて幸せを掴んだ昔の友達を羨んでは、悔し涙をアルコールと一緒くたにして喉に流していただけだった。
怨嗟の念をひた隠しにして祝辞を述べる自分がどれだけみっともなかったか。
ごくごく最近にできたほろ苦い思い出が瞬きする間に脳裏を駆け巡る。
鏡の中の新婦は考えていることがすぐ表に出てしまう性分なようで、みるみる場にそぐわない泣き顔にも似たふて腐れ顔になった。
心配させてしまったのだろう、見かねた友人代表が大丈夫かと声をかけてきた。
慌ててなんでもないのだと平静を装ったが、しかし疑問が解けたわけではない。
もしあの時、近々自分だって招く側に回ると決まっていたなら、ああも絶望することはなかったはず。
少なくともその時点ではまだ、気楽で自由な独身生活を謳歌せざるをえなかったのだ。
よしんばあの後でゴールインを果たしたとして、こんな僅かな期間で式にまで漕ぎつけることなんて、不可能ではないかもしれないけど、とても難しい。
それになにより、もっと重要なことがある。いや、これが最も肝心なことだ。
新婦が私なら、新郎だっている。そんなことは当たり前で、当たり前だから、余計に変なのだ。
相手は誰? 誰が私を、その、もらってくれたの?
それが一番気になるのに、それがいっこうにわからない。
ここ半年の記憶をざっと洗ってみても思い当たる節がある相手なんていない。
もしかしたら幸せの絶頂の中、幸せすぎるのが逆に怖くなって何もかもが信じられなくなったのかもしれない。
いわゆるマリッジブルーという精神的な悩みからくる鬱々とした何やらだ。
にしたって、それでこんな重大なことを忘れてしまうということはまさかないだろうし、万が一そうだとしても納得できない。
誰かに説明を求めたいのはやまやまなのに、そうしてしまうことで願ったり叶ったりのこの幸せを自ら壊してしまう勇気は、どうしたって湧いてこなかった。
相手が誰かも判然としないにもかかわらず、なんだかんだで式だけは挙げてみたいという、まことに現金で、清々しいくらい結婚願望に忠実な自分に改めて引いてしまう。
頼りになるのはいつだって自分だけしかいないのに、この体たらく。
事態を整理して考えるつもりが、かえって、ただただ混乱に拍車をかけるだけだった。
そうこうしている間に、少ない猶予が終わりを告げる。
ドアがノックされ、係員の女性が静々と、時間ですとだけ唱える。
顔を見合わせた友人たちはがんばってと応援の言葉をかけると順番に部屋を去っていった。
準備は万全ととったらしく、係りの方はこちらですと促した。
603174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:35:10.21 ID:EFqWY/CP
ことここに及んで無駄と知りつつも頭を抱え込みたい衝動が込み上げてくるが、根性で堪える。
すでにヘアメイクは施され、ベールも被っているのだから。
またもや願望に素直すぎる自分に呆れた。
代わりに垂直に立てれば天井まで届きそうな、深い深いため息をひとつ。
そうして最後にもう一度、姿見に映る自分を目に焼き付ける。
そこにいるのはやっぱり私で、夢にまで見た衣装に身を包んでいる。
まるで現実感の伴わない光景に目眩すらする。
けれど──瞬間、そっと肩に優しく手を置かれた。
振り返ると、母はひどく感慨深げな顔で、よくよく注意して見ると目尻に涙まで溜めている。
甚だ理解の範疇を超えたことに、私は言いようのない違和感を覚えつつ、捉えどころのない不安に身を焦がしながら、そしてどこかで、否定できない幸福も感じていた。
背中を押されて送り出され、長い廊下を歩いた。
大理石の床は一歩進むごとに、こつ、こつ、と音を立て、静かな場内に響いている。
一定の間隔毎に照明が降らす十字架の影絵は踏んでしまわぬように気を遣った。
曲がり角を抜けると、礼服に袖を通し、緊張からコチコチに固まった父がいた。
その表情はこれまでになく強張ったものだったけど、私を見るやいなや、ふわっと気恥ずかしげにはにかんだ。
係りの方に代わって、まだ小さな男の子と女の子が背後に回る。裾先を擦らぬようにだ。
ブーケも渡された。
重厚豪奢な木製の扉がひとりでに開く。
一生に一度やればそれで充分だと無言で語る父のエスコートで入場する。
眩い光が降り注いで、次いで両側から一斉に拍手の花が咲き誇る。
やや遠くから打たれている鐘の音も厳かに鳴り渡り、全身で、かつて経験したことのない祝福に酔いしれる。
このままでは酩酊しそうだ。
足取りはしっかりしていたが、なにぶん真紅の絨毯がふわふわと柔らかく、ともすれば足を取られてしまいそうになる。
殊更にゆっくりと歩み、半分を過ぎたところでエスコートが終わった。
そして残り数歩で辿りつくその場所に、背中を向けて立っている彼。
ゆったりとした動作でこちらに向き直った。
私は驚愕に目を見開く。
「た……かす、くん……?」
震える唇でどうにかそれだけ呟いた。
あの特徴的な目つきを今さら見間違えるわけがない。
壇上にたたずむ新郎は、人生の伴侶は、旦那様は、高須くんだった。
ああ、これが求めてやまなかった私の幸せ……え?
いや。いやいやいや。ちょっと待って。お願いだからちょっと待って。
高須くんが私と? 私と高須くんが? 高須くんの私? 私の高須くん?
だめだ、ぜんぜんだめ。纏まりようがない。
だいたい、こんな展開をいったいぜんたい誰が予想できたっていうの。
高須くんが、私の、なにになるって? 旦那?
高須くんが、私と、なにをするって? 結婚?
ああ、そうかそうか、うん、なるほどね……はあっ!?
思考が停止したのも束の間、一変して混乱の極みに陥る。
「な、なんで」
なんでここにいるのか。それはまだいい。
参列者席の最後尾で場違いにも「高っちゃーん! ご愁傷さーん!」と失礼千万なことを声を大にしてのたまっているのはやっぱり春田くんで、ぶおんぶおんと大げさに腕まで振っている始末。
やっかみ混じりだったらまだ可愛げがあるものを、お腹の底から愉快だといわんばかりにへらっへら笑っているあの調子では、そのままの意味で言ってるのだろう。実に小憎らしい。
その春田くんに並んで、向かって右側手にて「やめてくれよほんと」と、能登くん。
もう一方、左手側にて「いい加減にしてよ」「もぅ、最低」と、木原さんと香椎さん。
下品かつ盛大に騒々しくする春田くん以外は白い目を向けられて迷惑してるのが明白だ。可哀想に。
女子二名なんて徐々に徐々に春田くんから距離をとっているし、能登くんなんてもううんざりしているといった面持ちで遠くを見ている。
とにかく春田くんらがこの場に来ているのだから、高須くんがいたって不自然じゃあない。
三人ほど、居ればすぐにわかるだろう人の目をひきつける人物たちが式場内のどこにも見当たらないことがいささか気がかりではあるものの、今は置いておく。
604174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:37:15.58 ID:EFqWY/CP
なんでそんなところに立っているのか。これだ。
素早く辺りを見回して、他にそれらしき男性の影がないか探す。
いない。一人ぐらいは、と思ったが、生憎と影も形もない。
そこはかとなく悲しいような、案外そうでもないような。
それならば、次に浮上したのは、悪戯の線。
ドッキリの類というたちの悪すぎるおふざけかと、ありそうで恐い考えが浮かぶが、これでもなさそう。
高須くんだって、ふざけてこんなことをするような性格をしてはいない。
知る限り一番のお調子者だって、せいぜいがああして空気を読まずに一人喚いてるに留まっている。
これが突然の乱入だったなら他の面々も訝しがるくらいあってもいいものだし、でも、微塵もそんな気配はない。
なにより、彼は私が現れるのを今か今かと待っていたようだった。
なら、本当に……?
たしかに高須くんが今立っているそこは愛を誓い合う中心で、私はそこへと歩いていて、だから、え、じゃあ私これから高須くんと?
「そ、そうだけど、そうなんだろうけど、でもそういうんじゃなくって、あの、あ……高須くん」
狼狽する私の手に、誰かの手が重なる。
高須くんのだ。
瞬間湯沸かし器のボタンでも押されたかのようにカッと全身が熱くなる。動悸がこれ以上なく早まっていく。
振り払った方が精神安定上いいのに、振り払うのはもどかしい。
逡巡しているとあっという間に限界を迎え、視界が激しく明滅し、いくらもせずに暗転する。
「あ……っ」
奈落に落下するような浮遊感がして、立ち眩みを起こしたのだと理解した。
ついでに、恥ずかしい話、腰が抜けてしまっていた。
意思の糸が切れてしまった体はなす術もなく重力に誘われ、平衡感覚がなくなり、踏ん張ろうとした矢先に足が縺れた。
そうなるともう、目なんて開けていられなかった。
いっそ消えてしまいたい。
この場で醜態を晒すということが如何なる結果をもたらすか、こんがらがってまともに思考できない頭でだって容易に想像がつく。
よりにもよって自分の結婚式、それも誓いの言葉という大一番を前にしてずっこける。
親類縁者をはじめ駆けつけた友人連中、果ては生徒たちの間で語り草になることは決定だ。
なんだってこんな目に。たいていこういう式の日取りは大安と相場が決まっているのに、ひょっとして今日は仏滅だったりするんじゃないの。
そんな恨み言を愚痴らずにいられなかった。
が、大安だろうが仏滅だろうがどっちだってもはや関係なく、どちらにせよ忘れられない日にはなることだろう。
これで生涯物笑いの種には困らないわね、よかったじゃないという、いやに冷静な自分のなげやりなぼやきが聞こえた。
倒れる。
そう思って身構えて、けれど待っても待っても痛みも、ハプニングに沸く嘲笑も、どよめきも起こらない。
かといって静かというわけでもない。まばらながら、何故だか歓声が飛び交っていた。
固く瞑った瞼をおそるおそる開けば、ギラギラ鋭いあの目が、わずか数センチ先の至近距離にまで迫っていた。
安堵すると同時、また硬直する。
しかしそうしてしまったことで、飛びのく機会を逸してしまった。
不可抗力とはいえ、誰の目にもそう映ってしまっているだろう。
私はものの見事に高須くんに抱きついていた。それはもうしっかり、腰に腕まで回している。
転ぶ寸前、高須くんが自身の方へ私を引き寄せたらしい。
重ねる程度だった手は今はもうきつく握り締められていて、痺れてさえいる。
熱病に浮かされたようだった。
こころもち重心を高須くんへと移す。
他意はない。断じてない。嘯いてみるも、それだけでまた心拍数が跳ね上がった。
いい加減口から心臓が飛び出しそう。頭上に湯気なんて上げていないといいのだけれど。
もわもわとした白い湯気が立ち上っている錯覚を見て、途端湯気なんてもの吹き飛ばされた。
605174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:39:35.74 ID:EFqWY/CP
「どうしたんだ、ゆり」
耳を疑わずにはいられない発言に本当に心臓が飛び出したかもしれない。それくらいは咽込んでいた。
背中を撫でられてだんだんと呼吸だけは落ちつくも、他の一切合切は依然として混乱を訴えたままだ。
しかも、ほら、また。
胸の裏側を上下に滑る手の平が、指先が触れる都度神経に電流が走る。
仰け反らないようにするのも一苦労。
混乱なんて、収まりようがない。
「どうしたもこうしたも、もう何が何だか。それに、ゆ、ゆりぃ?」
つい声が裏返った。馴染みのない呼ばれ方に年甲斐もない恥ずかしさが込み上げる。
一部の生徒からゆりちゃんとは親しみを込めて呼ばれることはあっても、高須くんからそういう馴れ馴れしい呼び方をされたことはない。
彼は一貫して私のことを先生と呼んでいたし、知ってる限りたった一人の例外を除けば、誰に対しても名字の方で呼んでいた。
それがまさか、いきなり呼び捨てにされるなんて。
そのことが私にとって少なからず衝撃的で、でも、けっこういいかも、呼び捨て。
なんて言うかこう、新鮮というか背すじにぞくぞく来るというか、すごく特別な感じも……じゃない、そうじゃないっての。
なにか一つ考えようとすると、もう一つ、また二つ、さらに三つ。
あれよあれよと浮かんでは消える余計な感情が邪魔をして、どんどん本筋から逸れてしまい、まるで集中できない。
恍惚と理性が鬩ぎあい溶け合ってわけがわからなくなる。
ただ、不思議と悪い気はしなくて──そう、悪い気だけはしてこないのだ。
あんな風に名前を呼ばれたことも。
こうして抱き留められていることも。
それどころか気を抜けばすぐさまにやけてしまいそうになるくらいで、とどのつまり私はこの状況を否定するどころか受け入れていて、もっと言うなら喜んでいた。
あられもないという自覚はあって、しかしそれだけはずっと変わらずに思っていた。
だからだろう。
次の言葉に、完膚なきまでにだめにされてしまった。
「おう。俺だってまだ、あんまり慣れてないけど。結婚すんのに先生もないだろ?」
事もなげに投下された本日最大級の爆弾。
その威力たるや、筆舌につくし難い。
高須くんの腕の中、逃げられないでいる私は直撃を受けた。
ぼふっと一気に耳まで染まり、体温が今までにない勢いで上昇する。
ぱくぱく口だけはよく動いているのに、なのに言葉にはならない。掠れ声が辛うじてもれ出るだけ。
震えていない部分なんて、体のどこにもありはしなかった。
あんまりにも感極まって、鼻筋から目頭にかけてツンと痛い。
瞳の潤みが増していく。視界がゆらゆらたゆたっている。我慢はするけど、こぼれるのもこれじゃあ時間の問題だ。
心底意外そうに高須くんが言う。
「泣かれるようなこと言ったかな、俺」
小さく二回首を縦に振った。喋れそうになかったし、今喋ると、我慢ができなくなりそうだった。
高須くんは何を思ってか「すみません」と小声で謝った。それに先ほどまでとは違い敬語まで。
もしや、泣かれるようなことの意味が、私と彼とでは食い違っているのでは。
まさかと思ったら、顔が強張っている高須くんを見るに、どうも本当にそういうことらしい。
そのことがわかって、いろいろなものが台無しになった気もしないでもなかったけど、それでもいいかと思い直した。
そうして今度は大きく一回首を横に振った。
「末永くよろしくしてくれるなら、許してあげますよ?」
わざと先生らしく言ってみせ、上目遣いで見つめてみる。
我ながらなんとまああざとい。せめて鼻声じゃなければもっと決まってたかもと苦笑する。
きょとんとしていた高須くんも、そんな様を見ていくらか安堵の色を浮かべた。
「そんなのでいいんなら」
返事は素っ気ないくらい簡単なものだった。
でも、大げさに飾った言葉よりはずっと染み入って、深いところに溶け込んで。
そしてそれまで抑えに抑えた私の心は、もう抑えきれなくなって。
606174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:41:42.74 ID:EFqWY/CP
「高須くん……ううん、竜児く──」
「ちょっと待ちなさあいっ!」
「──へ?」
二人の隙間がなくなろうとするまさにその時、響き渡る割れんばかりの大音声。
胴から首へと手を回しかけていた私はへんてこりんな姿勢で固まった。
総毛立つ思いでいると、目の前、引き攣るりゅ……高須くんの顔色が百面相よろしく、様々に変わる。
赤から青、青から土気色。どどめ色はいくらなんでも危険じゃないのかしら。
蒼白になったところで、目が合う。頷いたのはどちらが先か。
私たちは二人そろって声のした方へと首を向けた。
一心に警報を鳴らす本能がそっちは見るな、そんな暇があるのなら即刻即時即行即座にこの場からの離脱を提案し続けている。
そうしたいのはやまやまだけど、足は縫い付けられたようにピクリともしない。
どうして。どうして今頃になって。
もう少しだったのに。あとほんの一センチもなかったのに。
やがて唯一の出入り口であるあの木製の分厚い扉が、信じられないことに、どがあんと聞いたこともない派手な音と共に蹴破られた。
強引に開け放たれたその向こう、後光を背負うその小柄な影は、ズカズカとこちらへと歩み寄ってくる。
「やっと見つけた。もう、さんざん探しちゃったじゃない。こんなところでなにしてるの、竜児?」
現れたのは逢坂さんだった。
抱きつく私になんて目もくれず、いや、高須くん以外にはわき目なんて触れずに彼へと近づいていく。
急展開についていけず呆気にとられている他の参列者をよそに、春田くんを筆頭に能登くん、木原さん、香椎さんの四人は速やかに役目を果たせなくなった扉から出て行った。
懸命な判断だわ。できれば私たちもそうしたい。
逢坂さんが許してくれれば、だけど。
「そうそう、あのね、こんなのが届いてたの。なんか意味不明な文字の羅列が書いてあってね、読んでるとすっごく不安定になるのよ。
 こういうのって悪戯にしても変すぎじゃない? いったいどういうつもりなんだろ。ねえ竜児、聞いてる?」
饒舌に語る彼女は思い出したように胸元に手を潜り込ませ、少々四角張った封筒を一通取り出した。
招待状だ。内容は知れないけれど、逢坂さんの言から、おおかたはわかる。
あながち招かれざる客だったわけじゃあないみたい。意外だわ。
もしくは、誰かから奪ってきたものかもしれない。そちらの方がありえるかも。
しかしそんな招待状も即座に握り潰されてしまう。あらん限りの力を込めて、もしかして握力測定でもしてるんじゃないかと疑うほどだ。
くしゃくしゃになった紙切れを、逢坂さんは無造作に投げ捨てた。
むり、許してくれるなんてそんなの絶対むり、天地がひっくり返ったってありえない。
だって逢坂さんすごい怒ってるもの、絶対怒ってるに決まってるもの。怖い。
表面上平静で、語気だってそう荒いわけでもないというのに、言動の端々から覗く逢坂さんの異常ともいえる憤慨ぶりに戦慄すら覚える。
と、そんな逢坂さんに変化が。
「ねえ、黙ってないで、なにか言って。竜児、無視しないで」
口を閉ざす高須くんにしゅんとしてしまう逢坂さん。
なんだか捨てられそうな子猫のよう。
すっかり怯んでいたものの、その様子に若干心が動き、声をかけてみることにした。
「あの、逢坂さん。その、大丈夫?」
結論から言って、私は手の施しようのない間抜けで、浅はかだった。
火を点けたのに打ち上がらない花火を、おかしいなあと無用心に筒に手を伸ばしたようなもの。
俯き気味だった逢坂さんは、それを合図にするように、被っていた可愛らしい猫を脱ぎさった。
「私は竜児に聞いてるの、あんたは関係ないでしょ! ていうかさっきっからなに抱き合ってんのよ、早く離れなさいよ! 離れて!」
「きゃあああっ!?」
ギロッと鋭く睨み付けられて竦みあがった私を見て、ここぞとばかりに高須くんから引き剥がすべく飛びかかる。
抵抗なんてものともせずに、逢坂さんは見かけからは到底ありえない膂力を発揮して私を押しどけた。
受け止めてくれる人もなく、今度こそ私は膝を着いた。
それでも逢坂さんは止まらずに、高須くんの鳩尾に渾身の力を込めた拳を突き刺す。
607174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:43:48.20 ID:EFqWY/CP
苦悶に喘ぎ、たまらず前かがみになったところを逃さないで間髪入れずに足首を蹴り払い、仰向けに倒される。
高須くんが起き上がるよりも早く、逢坂さんは馬乗りになっていた。
「だいたいなんなのよこれ。なんで竜児、け、けけ、けこけ、結婚なんて……」
「いや、待て、待ってくれ。大河、少しは俺たちの話も」
「お、俺たちって……ううう、うるっさい! あんたの話なんて聞きたくない!」
「なんか言えって言ってたじゃねえか」
「知らないわよ、竜児のバカ! バカバカバカ!」
いやいやとかぶりを振るたび、ふわふわと柔らかそうな長い髪が振り乱れる。
襟首を両手で掴まれ、持ち上げられた高須くんが説得を試みようとすると烈火の如く吠える。
「とにかくこんな茶番になんて付き合ってらんないわ。ほら、さっさと帰るわよ、竜児」
「おい、だからちょっとは話を」
「喋るな。黙れ」
問答無用に高須くんを引きずっていこうとする逢坂さん。
高須くんはどうにかして逢坂さんの手から逃れようと足掻いてたけど、徒労に終わるどころかそれがひどく逆鱗に触れてしまったよう。
彼女は言うことを聞かない彼へ強烈な一撃をお見舞いして意識を刈った。
言ってだめなら殴ってきかす。肉体言語恐るべし。
気を失った高須くんの襟首に手をかけ、逢坂さんは揚々と引き上げようと歩き出す。
このままでは、本当に連れ去られてしまう。
「ま、待って!」
私は追い縋ろうと手を伸ばす。しかし届かない。
突き出した手はかすりもせずに、宙を虚しく空振りしただけだった。
「待って……」
逢坂さんは一段と歩く速度を速めて、もう歩くというよりも駆け足だ。
引きずっているのが困難になったのか、それとも効率が悪いと思ったのか、高須くんを肩に担ぎなおした。
いよいよあの子は本気だ。一瞬でも行方を見失えば、追いつくのは容易なことではないだろう。
それどころか……いやよ、そんなの。
もうなりふり構ってはいられない。
抜けた足腰に活を入れて立ち上がり、歩きづらくって仕方のないヒールを脱ぎ捨てた。
ふわりとたなびき翻るスカート。そのやたらに長い裾を一纏めに抱え上げてできるだけ脚の自由を作ると、
「待ちなさいってえ、言ってるでしょうがあ!」
人目もはばからず全力で走り出した。そんなの、もはや意識にすら入ってこない。
目指すは高須くんのみだ。
私があとを追っていることに気がつくと、心から嫌っそうな顔をした逢坂さんが声を張り上げた。
「ついてこないで! この三十路! 年増! おばさん!」
「ひ、ひとが気にしてることを、よくもずけずけと……私だってねえ、好きで三十路になんてなってないのよ!?
 でもしょうがないじゃない、誰だっていつかは三十路になるんだから! 三十路になってからの人生の方が長いんだからあ!」
渾身の叫びに、逢坂さんが見てはいけないものでも見てしまったような冷めた顔をする。
無性に腹立たしいけれど、いいわ。今はわからなくっても、いずれ私の言うことが正しかったってわかる日が来るわよ。
そのときにはあなただって、まんまとこっち側の仲間入りを果たしてるんだから。
それに、今はそれどころじゃない。
「そんなことよりも、高須くんを返しなさい!」
冷めた、なんてとんでもない。
一変して今度はキッと目を吊り上げる逢坂さんが怒鳴り散らす。
「返すう!? 返すですってえ!? なに言ってんのよ、そんなのこっちの台詞なんだから! あんた竜児になにしたのよ!」
「それは、その」
二の句が告げないまま口ごもってしまった。
だって答えようがないのだから。私だって、様々な過程が欠落した状態でここにいて、こうしてるのだ。
雰囲気に飲まれてここまで流されてきたけど、改めて指摘されると、わけなんてわからないことばかり。
私が高須くんになにかをしたというのなら、具体的になにをどうしたのか一番知りたいのはこの私なのだ。
具体的にというのは、その、どこまでいったのか。
もしかして、最後まで、だろうか。
そこがやっぱり気になって仕方がない。
608174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:45:56.58 ID:EFqWY/CP
逢坂さんは逢坂さんで、言えないでいるどころか軽く頬まで染めているこちらの様子から、他人には言えないようなやましいわけがあると思った模様。
「なによ、なんなのよその反応。ま、まさか竜児……うそ、そんなの……そんな……そんなあ……」
急に減速したと思ったら、その後数歩ほど進んで立ち止まる。
小さな庭園が一望できる大きな窓の前で佇む逢坂さん。
小声でなにかを呟くその後姿は不気味の一言に尽きるが、稼がれた距離を埋めるのには好都合だった。
もういくらもかからず追いつく、そんな時。
「ふふ、ふふふ。いいわ、いいわよ。そんなのべつに、私が忘れさせてやればいいだけじゃない。そうよ、そうそう」
不穏な発言にしか思えないのは私が汚れた大人だからだろうか。
輪をかけて不気味な逢坂さんは乾いた笑いを含ませつつ独り言を唱えていた。
そうして不意に振り返り、私を一瞥してから、般若もここまではいかないだろうという険しい形相に。
それから担いだ彼をぎゅうっと抱きしめて。
「渡さないんだから。なにがあったって、絶対」
最後にそう言い置いて、逢坂さんはどこからともなく取り出した木刀で傍らの窓硝子を叩き割った。
透明で鋭利な硝子の雨が降りしきっていることなんて意にも介さず、その中へと戸惑いなく飛び込んでいく。
私の目に飛び込んできた映像はそこまでで、咄嗟に頭をかばった後、再び目を開ければそこには誰も居なかった。
無数に散らばる硝子の破片が床一面を覆いつくし、裸足も同然である私の動きを鈍らせ、妨げる。
こうして立ち往生している間にも刻々と時間は過ぎていく。もどかしくてたまらない。
逸るのは気持ちだけで、けれど立ち尽くすより他はない。
途方にくれるていた私の耳が、思い切り吹かし上がるエンジン音を拾う。
庭園の向こうからのようだった。
耳を澄ませると、排気音に混じって、複数の人の話し声が聞こえてくる。
もっと注意して耳を傾けるてみると、その声はどれも、とても聞き覚えのあるものだった。
「ええっと、アクセルって右のだっけ、それとも左? ああもう、実乃梨ちゃん代わってくれない? それか、祐作は?」
「いやー、私はパスで。北村くんも、さすがにまだ起きれないんじゃないのかね」
「こんなときに。役立たず」
「役立たずってなんだよう。だいたい北村くんだってさ、あーみんがやっちゃったんじゃんよ。後ろからがん! っと。見た? あのでっかいたんこぶ」
「ちょっと、よしてよ人聞きの悪い。つか言っとくけど亜美ちゃん悪くないし。あんなに頼んでも招待状くれない祐作が悪いもん」
「でもなあ、いくらなんでも酷すぎだと思うんだよなあ」
「みのりんもばかちーも静かにして。誰か来ちゃうじゃない」
「へいへーい。そんじゃあとっととずらかりますか。あーみん、ゴー!」
「チッ。なによ、どいつもこいつも偉そうに。自分でやってみろってえの、たく。あ、くっそ、どっか擦っちゃった。あんたらがうるさいから」
「そんなの気にしない気にしない、もっとスピード出していこうよ、誰にも縛れたくないって感じで! 自由になれた気がするかもよ!」
「だからうるせえっつってんでしょうが! 耳元でぎゃあぎゃあって、きゃああー!? ミラー取れたー!?」
「ばかちーが一番うるさいわよ」
「前々から思ってたけどあーみんてけっこうメンタル弱いんだよね。ちょっとのことですぐキャラ崩壊するもん」
「ひとに押し付けといて言いたい放題かよくそったれ。いいわ、何かあったらぜってえあんたらのせいにしてやるからな、覚えときなさいよ」
次第に話し声が遠のいていく。それと共に、エンジン音も小さくなっていった。
カラン、カランと、空き缶が転がる音が一緒に鳴っていたということは、そういう意匠を施した余興用の車を無断で借用していったのだろうか。
ごっとんだの、めきめきだのという不吉で軋んだ音も立てていた。庭内にあるものを軒並み轢いていったらしい。なんていうことを。
そこまでするなんて。
609174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:48:08.42 ID:EFqWY/CP
それにやっぱり、逢坂さんが所持していたあの招待状は元々は他人のものだったようだ。
櫛枝さんと、それに川嶋さんまで結託していたなんて。
抜け目なく逃げる算段を用意して、普通なら躊躇うような、いけないことだって厭わないで。
そうまでして、連れていってしまうなんて。
「……高須くん」
呟いてみても、どうにもならない。何も起こらない。高須くんはそこにはいない。どこにもいない。
残っているのは、所在無く、呆然としている私だけだった。
喪失感が胸に去来する。ただただ惨めで、最悪で、最低。
──夢なら、覚めればいいのに。
一人ごちたのと時を同じくして、足裏に感じていた、ひんやりとした冷たさが消えた。
床が抜けたのだと理解したときには、自身が落ちたらしき穴から差す光を無感動に見つめながら、私は底のない暗闇に投げ出されていた。
                    ***
例年はあれだけ寒々しい思いを強いていた大寒波だったが、今年のは、通り過ぎてみれば寒波などという生易しいものではなく、むしろ灼熱真紅の熱波となって私を襲った。
世界中で観測されてきたどの異常気象よりも強烈で、局地的で、そしてしつこいそれは一週間もの間つきまとい、気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうだったほどだ。
記録的なものとなったその熱波、というかなんというかに便宜上名前をつけるなら、「逢坂さん」だ。
命名の際には台風よろしく「逢坂さん一号」という素敵な名前を考えてはいたのだけれど、これではまるで後続が控えているみたいではないかという喜ばしくない点に気づいて思いとどまった。
間違っても二号三号と、新たに到来することのなきようにと切実な祈りを込めて、「逢坂さん」とすることにした。
あんなのは一度でたくさんだ。そうほいほいやってこられたらこちらの身がもたない。わりと本気で。
思い出すだけで途方もない疲労感に見舞われるほどなのだ、私にとって、天災みたいなものだと割り切り耐え忍ぶしかなかったあの一週間は。
ある日を境に、逢坂さんの態度は露骨に変わった。
けして良い意味で、ではない。むしろその逆だ。
それまではお世辞にも友好的とはいえないながら、私と彼女、逢坂さんの関係は、そこそこの距離感を保っていたはずだった。
なにせ曲がりなりにもこっちは教師、それも担任で、あっちは生徒。
不可視ではあるが、厳然と存在はしているその境界線を超えて、わざわざお互いに干渉しあうということは断じてなかった。
より正確に言うならば、私個人としては逢坂さんに対して苦手意識を拭い去れていなかったのもあるし、彼女は彼女できっと私のことなど歯牙にもかけていなかったに違いない。
けれどもそれも過去の話。
目が合っただけで親の仇のように睨まれて、声をかければ無視をされ、特定一人の半径三メートル以内に近づけば呻り声を上げて威嚇される。
授業中だろうがなんだろうが事ある毎に「わかってるんだから」「いい加減本当のこと言ったらどう」といったようなことを誰ともなしに呟くので、それを耳にするたび私はいたく慄いた。
確信はしてても確証がなくて、特定一人の彼の口も最後まで割らせることができなかったから、矛先を変えたんでしょう。
やり口も正面から力押しするのではなく、じわじわと追い詰めるような絡め方に変化していった。
延べ一週間も続いたそれらも、埒が明かないと諦めたのか、尻尾を捕まえるまでは静観することにしたのか、それともやりすぎだと叱られたためか、「逢坂さん」は一先ずは沈静化してくれた。
できるならもっと早めにそうしてほしかったが、あれ以上長引かれたらそれはそれでどうなっていたかもわからないので、それについてはあまり考えないようにしている。
そういったように「逢坂さん」の表立った被害者は当然私ではあるものの、その巻き添えをくらってしまった者もそれなりの数上る。
彼女が通った後には茶々を入れたらしき男子が累々と横たわっているというのが繰り返されたことからも、いかに逢坂さんがご立腹だったのかを物語っている。
まさにハリケーンだ。
610174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:50:24.68 ID:EFqWY/CP
辟易とさせられたのも、胃を鷲掴みにされて握り潰されそうな思いを何度もしたのも、もはや言うまでもない。
最近では改善の兆しも見えてきたけど、まだまだ悪化した関係は修復しきれそうにはないようで、憂鬱だ。
いつになったら戦々恐々とせず穏やかな気持ちで日々を過ごせるのだろう。
この調子だと当分はそんな日が来そうになくて、やっぱり憂鬱で、気落ちする。
一方で、行かず戻らずのもう一人との関係に、私はやきもきとした日々を送っていた。
あのバレンタインから、そろそろ一ヶ月が経とうとしている。
おおむね平常に過ごせている中で、変わったことがちらほらあった。
一つめは、前述の逢坂さんとのこと。
二つめは、それに付随するクラスメートたちの生暖かい目。
年度の終わりが近づいて、本格的に幕を開ける大学受験を目前に控えた彼らには、ちょっとした噂話でも恰好の娯楽と化す。
そうでなくても年がら年中お祭り騒ぎをしているようなものとはいえ、その盛り上がりようはいささか大げさなように思えてならない。
興味本位や逞しい想像力であれこれ持て囃されても困るし、困らせてしまうのが、なんだか嫌だった。
他人の不幸はなんとやらとは、いったい誰が作った言葉なんだか。
これはもう時間が解決してくれるよう祈るほかない。へたに何かしても、今のままじゃ火に油だもの。
三つめは、夢。
ここのところ似たり寄ったりな夢を見てしまい、私はそれに大いに悩まされていた。
昨日の晩だってそう。
今度のは経緯や過程なんてすっ飛ばして、いきなり結婚式を挙げるという夢だった。
思い出すだけで赤面ものだ。なんて夢を見ていたの、私は。穴があったら二度と出れなくてもいいから入りたい。
そういったような恥ずかしい夢を、私は夜毎に見てしまうようになっていた。
内容や展開にはそれぞれ差異があるものの、主要な登場人物はだいたい決まっていて、結末だってほぼ同じ。
ご都合主義全開で、気味が悪いほど生々しいわりに現実味は程遠くて、ところどころが欠陥だらけの、そんな、甘い夢。
文字どおり夢中になって満喫していて、だけどそうしていられるのもせいぜい途中まで。
中盤に差しかかるまではとても、それはもう起きるのがもったいないぐらいにとても良い夢だったのが、実際に起きる頃にはすっかり悪夢だ。
まだ静寂を落とす真夜中に、冷たい汗をびっしょり掻いて飛び起きるのも日常茶飯事になり始めている。
一度目が冴えてしまうとなかなか寝付けないのも問題で、寝よう寝ようと意識しても、怠惰な睡魔は一向にやってこない。
どれだけ固く瞼を閉じていても、なにもすることがないと、かえって頭が働いてしまう。
直前まで見ていた夢が夢なものだから、鮮明なそれをなぞって悶々としてしまう。そのまま朝日を迎えるのも少なくない。
そのうちどうにかなってしまいそう。体力的にももちろんのこと、精神的にかなり切迫している。
かといって、具体的な解決策は浮かんでこないのだ。
いい歳をして、たかだか夢のことで一喜一憂しているなんて、他人には打ち明けられようはずもない。
これが支離滅裂な、それこそ悪夢らしいものだったならまだカウンセリングの余地もあるのだろうに、診てもらっても何を言われるか手にとるようにわかりそうで、ちょっと気が引けた。
時期的にいろいろ忙しいということもあり、ゆっくりと休める暇もとれず、おかげで寝不足が続いている。
仕事にもろくに身が入らないし、曲がり角の過ぎた肌には大打撃で、それがまた小さな悩みの種を作っている。
四つめと五つめは、無意識に目で探してしまうことと、また会えるんじゃないかと帰りがけに商店街界隈を抜けるのが日課になったこと。
六つめは、声をかけづらくなってしまったこと。
「何してんだおまえ」
今みたいに。
611174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:52:37.16 ID:EFqWY/CP
「なんでもないわ。ちょっと見られてるような気がしただけよ。気にしないで」
前方、僅かに先を行く逢坂さんと、それに、高須くん。
また買い物の途中なんだろうか。並んで歩いているのを見つけて、なにか声をかけるべきか迷う。
そんなのかけない方が妙な話しで、私としてもそうすることに吝かでなかったし、でも、迷惑な顔をされたらと思うとどうしても尻込みしてしまった。
それこそ妙な話だというのに。
仕方なくとぼとぼ歩いていると、何かを察知したらしき逢坂さんが唐突にばっと振り返って、私は慌てて電信柱の影に飛び込んだ。
僅差で身を隠すことに成功し、ふうと息をつく。
気取られるほど接近してはいないのに、まったくなんていう勘の良さなのかしら。
キョロキョロと、いいえどちらかというとギョロギョロと周囲を注意深く見渡している彼女は、ふんと苛立たしげに鼻息をもらした。
「勘違いだったみたい」
とは言いつつ、警戒そのものは解いていない。少しばかり手を緩めただけで、依然として逢坂さんは辺りを如才なく窺っていた。
往来の隅々までをあたかも透かし見るように、満遍なく目を向ける。
ありえないこととは思うけど、その焦点がコンクリートの柱を抜け、ビタリと背中に突き刺さったように感じた。
縮こまる私をよそに、注がれていた逢坂さんの熱い視線が不意に外される。
「ならいいんだけどよ。大河、最近しょっちゅうそんなこと言ってないか」
自身を案じる高須くんの言葉に、小首をちょこんと傾げた逢坂さんはしげしげとその顔を見つめている。
「心配してくれてるの?」
「そりゃあ、まあ」
隔靴掻痒とまではいかない。
けれどその曖昧な肯定に、どこか芯の部分が、少しだけチクリとした。
「だからそんなに気にしなくっても大丈夫よ。でも、ありがと」
「おう」
「えへへ……行こ、竜児。私お腹へっちゃった」
「わかったから引っ張るなよ」
さきほどまでの不機嫌なんてどこへやら。
満面の笑みになった逢坂さんが高須くんを伴って歩みを再開した。
雑踏を分け、滔々と暗がりを濃くする薄暮れの商店街を進む二人の間に隙間はない。
小さな背中と大きな背中が見えなくなるまで見届けて、用心のために一応ある程度時間を空けてから、私は彼らとは反対の方向へと足を向けた。
ため息だけが止め処なくあふれ出た。
ほんとう、いい歳してなにをしてるんだろう。みっともない。
自分のしていることを冷静に見ようとすればするほど、自己嫌悪の色合いが濃くなった。
声をかけることにすら躊躇って、バツが悪いからって咄嗟に隠れて、こっそり覗いて立ち聞きして。
そんな挙動不審な様子を誰かに見られたらなんて言い逃れするつもりなのか。
しどろもどろに下手くそな言い訳を並べ立てるところを想像しては、あまりにもありありと目に浮かぶその情けない姿にまたもため息が増えた。
私はいったいどうしてしまったんだろう。
高須くんに何をそこまで期待して、高須くんの何がそんなに気になって、高須くんのことで何でそうまで憂いているのか。
理性では到底整理がつきそうにない。
第一、それをしようとするとまず真っ先に気持ちが揺さぶられてしまい、そうなると理性なんて在って無いようなもの。
そうして空っぽになった頭では、雪崩れのように一つのことで埋め尽くされる。
高須くん。高須くん。高須くん。洒落にならないぐらいに高須くん一色だ。
こんなのおかしい、寝ても覚めても何をしていても高須くんなんて、どうかしてる。
たしかにバレンタインではチョコは送ったし、それでまあ、ドキッとしないこともなくはなかった。
でもあの時のあれは、寂しかったからとか、人恋しいときに優しくしてくれたからとか、おそらくそういうのが折り重なって偶然生まれた、ただの気の迷い。
もっと普通に接せられれば、そんな気の迷いに振り回されることもなくなるのだろうか。
612174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:54:44.85 ID:EFqWY/CP
以前のような感じに戻れるなら。
前に、戻る。それはそれで、なんだか気乗りがしなかった。
「はあ」
「これで何回めだろうなー」
「さあ? 十回めからは数えてないよ」
両側からそんな会話が聞こえてきて、力なく左右を見た。
脇を固めて歩いていたのはパックのジュースを啜る能登くんと、暢気な顔をぶら提げている春田くんだった。
びっくりして、私はその場から二歩、三歩と後ずさる。
「あなたたち、いつからいたの」
私の問いかけに、二人はほらやっぱりだとでも言いたげに目配せしあう。
先に口を開いたのは能登くんだ。
「いつからもなにも、俺たちさっきからずっと声かけてたんだけど」
「そうそう。なのにゆりちゃんシカトすんだもんなあ」
春田くんがぷりぷりと怒るものだから、私はとりあえずごめんなさいと謝っておく。
言うほど気分を害していたわけでもなかったようで、「まあいいよいいよ」と言って、春田くんはすぐまた暢気な顔を浮かべた。
考えることに没頭しすぎて周りのことが全く頭に入ってこなかったみたい。
二人が傍にいただなんてぜんぜん気づかなかった。
それに商店街をうろつくようになったのも失敗だったかもしれない。
この間だってこの二人に見られていたっていうのに、迂闊だった。
「それよかさ。ゆりちゃん、なんかあった?」
「えっ」と間の抜けた声を上げる私を、春田くんが興味深そうに見つめている。
意外とあどけない顔には常々滲んでいる軽薄さも能天気な色もなく、純粋に気がかりなことがあるからというのが察せられた。
説明足らずな春田くんの言葉に続いて、能登くんが付け加える。
「思いつめた顔して、ため息ばっかりしてたから。ひょっとして悩み事でもって」
ため息が多い自覚はあったけれど、言われてみれば、胸の痞えが思いのほか大きなものになっていて息苦しいほどになっていた。
この分ではひどい顔をしていそうだ。
一瞬なんのことかと首を捻ったけど、そういうことだったのかと得心した。
微笑ましくなって、自然と頬が緩む。
まだまだ自分のことで手一杯の子供だと思っていた彼らも、やっぱりこちらをちゃんと見ているのだと思い知らされる。
それにこうして真面目に心配されたりするのは、不謹慎ながら私にとって密かな喜びであり、ささやかなご褒美でもあった。
あんまりそういうことが頻繁にあってもいけないから、本当にたまに、ね。
「ええ、ちょっと寝不足で。でも、もう大丈夫ですよ」
寝不足だけということもないが、それだってあながち嘘ではないし、なによりあれだけ大きかった胸の痞えはいつしか感じなくなっていた。
沈みきっていた気持ちもだいぶ上方へと修正される。
できるかぎり柔らかく微笑むと、安心した風に莞爾と春田くんが笑い返した。
気を良くしていた私はその笑みの裏にあった思惑をまだ悟れない。
「よかったじゃん。あんな顔されてたんじゃ、いくら高っちゃんでも、なあ?」
「おい、バカ」
小声で言って、隣のわき腹を能登くんが肘で小突いた。
いいところに入ったらしく、くの字に胴を折り曲げた春田くんがげふげふ咽かえっている。
それよりも、なんでここで高須くんの名前が出てくるんだろう。
すぐれない私の顔色とどういう関係があるっていうのよ。
「ゆりちゃん、今の気にしなくっていいから。ほら、こいつよく意味不明なこと言うし」
あからさまに取り繕ったぎこちない笑顔の能登くんに、一層目を細めた笑顔でじっくりと時間をかけて首を振った。
了解の縦にではなく、拒否の横へ。
そのまま体ごと春田くんに向き直り、ずいっと一歩前へ出た。
「高須くんが、なんなのかしら。先生にわかるように言ってもらえる、春田くん」
不可解なことに春田くんからさーっと血の気が引いていき、口元がひくひく引き攣っている。
涙目なのはそれだけ能登くんの肘が効いたんでしょう。他に理由はないわよね。
「そ、そんな怒んないでよ。俺はただ、明日があれなもんだから」
「あれ?」
思わせぶりなニュアンスにオウム返しをしてしまった。
明日って、高須くんに何かあるような日だっただろうか。
613174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:56:52.28 ID:EFqWY/CP
だいぶ前に小耳に挟んだ話だと、誕生日ならもっとずっと先のはず。
生憎と他に知ってることもないので、直接高須くんに関係のない事柄も考慮してみる。
今日の日付は三月の十三日だから、明日は十四日だ。
三月十四日。
そういえば、バレンタインからちょうどひと月経過することになる。
「いや、だからさ。ホワイトデーじゃんか。高っちゃんからなんかお返しでもあるんじゃないのかなーと」
言わんとしていることが何なのか。
喉まで出かかっていたが、自力で答えを出す直前で解答が提示され、私は言葉を失った。
そんなこちらには気がいかないようで、春田くんはあれこれと捲くし立てる。
「なのにあんな陰気くさい顔されてたんじゃ、高っちゃんだって、なんつうの? 渡しづらい的なさあ」
「なあ」
「まあタイガーが黙っちゃいないんだろうけど。でもそこはほら、ゆりちゃん次第だろうし」
「なあって。春田」
「あん? なんだよ、って」
身振り手振りを交えては自分の言葉にうんうん頷いてまでいる春田くんをそうっと能登くんがとめた。
春田くんはまず能登くんを怪訝そうに見やってから、今度は目の前の私を見て、ぽかんと大口を開けた。
「どうしたの」
様子のおかしい二人になんだか不安感を煽られる。
するとそれまで矢継ぎ早に喋っていた春田くんが、今度は簡潔に、そして控えめに言う。
「ゆりちゃん、顔まっ赤」
指摘されておもむろに手を頬に添えてみる。
ほんのりというよりカッと熱くなっていた。
ぺたぺたといろいろな部分、それこそ顔中を触って確かめてみたけど、どこもかしこも茹だったように熱を持っていて、汗ばんですらいる。
「ちっ、ちちち違うのよ、これはその、べつにそんなんじゃなくって。うう〜」
手遅れと知りつつ弁明しようとしたけど体は嘘がつけなくて、押し隠そうとした動揺が一気に噴出した。
わたわたして、どもりまくって、滑稽にも限度がある。
せめて表情だけはこれ以上見られたくなくて、顔を両手で覆う。
慌てふためく私を尻目に、二人はとても冷静だった。
「弱ったな。ここまでマジな反応されると」
「あんなわかりやすく嬉しがられるとなー。つーか、思ってたよりも乙女なのな、ゆりちゃん」
「ああ。むしろ乙女すぎてちょっと引くかな、俺」
「ごめん、俺もだわ」
一応気を遣っているのか声のボリュームは抑えているみたいだけど、そんな吹けば飛ぶような優しさなんておかまいなしに会話はまる聞こえだった。
好き勝手なことを言いたい放題に言ってくれる能登くんと春田くんに憤りが募る。
それ以上に自制もろくにできない自分自身が恨めしい。
なんたる醜態を晒してしまったんだろう。しかも、よりにもよってこの二人に。
後悔先に立たずとはよく言ったものだわ。
「だから、そういうのじゃないって言ってるでしょう。それにね、先生は高須くんから何かいただくようなことなんてしてないのよ?」
無駄だとわかってはいたけど、あくまでしらを切る。
実際に目撃していた春田くんにそれをしてなんの意味があるのかと、けれど高須くんが黙秘を続けている以上、私も知らぬ存ぜぬで通さないといけない。
しかしそこはそれ、苦しい言い訳がまかり通ることもなくて、ひらりとかわされる。
「あれ、じゃあいらないんだ。高っちゃんの、お、か、え、し」
いやらしく区切って強調する春田くんは、なんにもわかっていない。
そもそもからして、いる、いらないの問題ではないのだ。
あれは口止め料でもあるお礼なんだから、見返りを求めるものではない。
三倍返しなんてもってのほか。そんなつもりでいたのだと思われたら心外だ。
でも、くれるというのなら、それを無下にする理由は、ないようななくもないような。
早くも揺れだす私を知ってか知らずか、春田くんは続ける。
「高っちゃん料理とかうまいから、たぶん手作りとかするんだろうなあ」
その言葉に、耳がダンボのように大きくなる。
「て、手作り……?」
614174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 21:59:00.38 ID:EFqWY/CP
手作り。
なんていう甘い響きなんだろう。心を大きく揺らがせる魅惑の魔法だ。
コンビニに置いてある胡散臭い手作り弁当や、ファミレスで出される手作りなんとかという紛い物とは大違い。
それも、高須くんの、手作り。どんなのだろう。
溢れそうになった涎を喉を鳴らせて嚥下した。
「けど残念だよなー、高っちゃん。せっかく作ってきてもゆりちゃんはいらないって言うし、無駄骨だよな」
「そ、そんな。待って春田くん。いらないだなんて私、ひと言も」
「あーあ、もったいない、もったいない。もったいないから俺が貰っちまおうかな」
「だ、だめよ。そんなの絶対だめ」
「あ、そうだ。そしたらそれ、欲しいってやつに売ってやろ。高っちゃんの手作りって言えば、欲しがるやつってけっこういそうだし」
「いくらよ、いくら払えばいいの」
「それならやっぱプレミアも付けとくべきだよな。う〜ん、こりゃぼろい商売だぜ」
底意地の悪い笑みをたたえ、春田くんはわざと私の声が聞こえないふりをしている。
いちいち真に受ける私がおかしくて仕方がないといった内面がはっきりと表れていて、その証拠に、春田くんは時折堪えきれずに噴出していた。
「そのへんにしときなよ」
そんなやりとりをしばしの間続けていると、能登くんがとめに入った。
あれだけからかったというのにまだ物足りないのか春田くんは一瞬迷ったけど、これ以上はさすがにやりすぎだとも思ったみたいで。
「ゆりちゃん、今の全部じょーだんだかんね、冗談。本気にしないでよ」
あっけらかんと言い放つその顔は、いつもの暢気なそれだった
しかしそう言われて、はいそうしますね、なんて余裕綽々と返せるほど今の私にゆとりがあるわけでもなく、マグマ溜まりのように煮え滾った怒りが沸々と湧いてくる。
「……ないで」
「へえ? なんか言った、ゆりちゃん」
ぼそり。唱えた私の言葉を聞き取れなかった春田くんが耳を近づけた。
私はお腹が膨れるほど深く静かに息を吸い込み、あらん限りの怒鳴り声を、その能天気なおつむに届くように叩きつけた。
「ふざけないでって言ったのよ! なにが冗談よ、なにが本気にしないで、よ! ひとのことおちょくんのも大概にしなさいよあんた達!」
「うわったーっと!?」
素っ頓狂な声を出して、春田くんがたたらを踏む。
転倒する寸前で傍らの能登くんに手を貸してもらいなんとか持ち直し、身を寄せ合った二人は私からじわりじわりと距離を空けた。
「やばっ、ゆりちゃん怒った」
「んなもん言われなくったって見りゃわかるよ。それよりもどうすんだよ、あれ」
「知らないよ。だいたい、春田が調子に乗るからだろ。あんた達とか、俺、何もしてないのに」
「仮にそうだとしても、そこを一緒になって怒られてくれんのが友達だとぼかあ思うんだよ」
「だったら俺もう友達じゃなくていいや。そういうわけなんでさっさと離してください、警察呼ぶぞこの野郎」
「いくらなんでもそれはひでえよ!?」
麗しい友情に涙が出そうだ。
我先に逃げ出そうとする能登くんの足にしがみついて邪魔をする春田くん。
とてもこの一年間苦楽を共にしてきたとは思えない様子に、こちらの毒気がみるみる抜かれていく。
頭に上った血も、急速に冷めていく。
冷静さが戻ってくると、怒鳴ったのは少し、大人気なかったかもしれない。
高須くんが絡むと途端に目の色を変えているようで、だめね、もう。
見るに耐えない言い争いを繰り広げる二人へと私は足早に歩み寄る。
黙す私の迫力に観念した能登くんと春田くんはいがみ合いを中断し、その場で直立不動の姿勢をとった。
そして実に息のあった動作で、同時に深々と頭を下げ、「すみませんでした」とこれまた綺麗にハモらせて謝る。
反省の色はまあ充分表れているだろうと、私は表面上不承不承という風に息を吐いた。
「あんまり大人をからかうんじゃありません。いいわね、二人とも」
もっとキツいお説教をされると恐々していた二人、特に春田くんはこれだけで済んだことがにわかには信じられないようで、目をぱちくりと瞬かせる。
けれども私が今日はもう帰っていいと付け足して言うと、どっと安堵が押し寄せてきたらしく、正していた姿勢をだらしなく崩した。
615174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 22:01:06.27 ID:EFqWY/CP
能登くんの方も緊張の糸を緩める。
制服に付いた土埃をはたき落としながら春田くんが、気が抜けたように笑った。
「でもほんと、ゆりちゃんも元気が出たようでなによりだよな」
能登くんが苦笑いをこぼした。
「おまえ、また怒られたいの?」
「勘弁してくれよ。もうたくさんだって」
手短に帰り支度を済ませると、能登くんは小さく会釈をし、春田くんが手を振った。
私も小さく手を振る。
「それじゃあ俺たち帰るんで。ゆりちゃんも気をつけて」
「じゃあなーゆりちゃん、明日は応援してるからー」
最後までおちゃらけたことを言って、二人は帰途へついた。
残った私は、少しの間なにもせずに佇んでいた。
それから深呼吸。次に時刻を確認した。
今日のこの日はあとものの数時間で終わりを迎えるが、明日、学校が始まるまでにはゆうに半日もある。
そんなにも長い間、待っていられるだろうか。
服の上から撫でつけながら、誤魔化すにはあまりに膨れ上がった期待を、胸の高鳴りと一緒に感じていた。
                    ***
「高須くんから聞いたよ。大河! なんでわざとそういうことするのさ!」
「あんたっていつもそうよね。いらねえ入れ知恵ばっかしてくれやがって!」
外からでもわかるぐらいの喧騒だったので取り立てて驚かなかったけど、早朝の教室はなにやら物々しい雰囲気に包まれていた。
ただでさえ遅刻していたのだが、自然に収束するのならそれに越したことはないと三分ほど戸の前で粘ってみる。
でも、事態が穏やかに解決を迎えそうな気配はいつになってもしてない。いつまでもこうしているわけにもいかない。
恐る恐る入ると、川嶋さんと、珍しく櫛枝さんが逢坂さんに食って掛かっている。
両人とも手には色違いのラッピングをした包みを握り締めていて、それを逢坂さんへ突き出すようにして見せていた。
とてもマネできそうにはない図太い神経で真っ向からしれっと受け流す逢坂さんは、けれど強気な態度とは裏腹に旗色はかなり悪そう。
がなり立てる二人の目に触れぬようしきりに高須くんへと目配せしている。
間の悪いことにそういう瞬間に限って彼の注意がよそへ向いてしまっていて、逢坂さんは集中砲火を免れられないでいた。
聞いている方が気を揉むような辛辣な言葉の銃弾を雨霰とばかり、絶え間なく浴びせられている。
それでも、櫛枝さんと川嶋さんの肩を持つわけじゃないが、おそらく自業自得だと思われるのでさほどいじらしくも思えないことの方がむしろ不憫だった。
「なんの騒ぎ?」
彼女たちを取り囲む野次馬の中から北村くんを手招きして呼び寄せた。
事情を尋ねると、彼も不可解そうな顔をしてみせる。
「マシュマロがどうとかで。俺にはさっぱりです」
「そう」
やる気の感じられないぞんざいな相槌に、メガネの奥の眉が八の字になる。
「とめないんですか」
「ええ。そうしたいんだけど」
私は困り顔を作ってみせ、チラリと目線で向こうを指す。
逢坂さんたちによる喧々諤々の諍いは加熱の一途を辿るのみだった。
今に掴み合いにまで発展しそうな勢いで、そんな火花散る様子にこちらだって気が気じゃない。
かといって、女三人寄れば姦しいを地でいく彼女らの暴力的ガールズトークに身を投じるのは自殺行為に等しい。
「北村くんならなんとかできないかしら?」
「ハハハ。俺じゃ力及びませんでしたよ」
歪んだフレームにヒビの入ったレンズ、赤く腫らした頬。
既になんとかしようとしてくれていたらしき北村くんなりの努力が、痛々しいくらい伝わってきた。
私たちは揃って頷きあい、とりあえず様子見をしようという、消極的で安全な案を採択した。
それにしても、マシュマロねえ。
そのひと言で全容が見えてくるのだから、櫛枝さんにしろ川嶋さんにしろ意外と純情なところがあるというか、初心というか、単純というか。
ホワイトデーのお返しがマシュマロだったら、その意味は、ごめんなさい。
誰が言い出したのか、そんな他愛もない噂話があったのを思い出した。
そして、彼女たちの手に収まっている色違いの包みの中身がそれだったのだろう。
616174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 22:03:19.35 ID:EFqWY/CP
義理か本命かはさて置いて、二人とも、高須くんにチョコを渡したようだ。
バレンタイン当日においてはそこまで機嫌が悪かった覚えはないので、逢坂さんの与り知らないところでのことなんでしょう。
それがどこかで発覚して、だからこれはきっと、逢坂さんからの意趣返し。
北村くんだって知らなかったし、高須くんも、マシュマロが持つ意味なんて知らなかったんじゃないかしら。
そうじゃなかったとしても、逢坂さんが口八丁手八丁で丸め込んだに違いない。
真実を知らない高須くんは至って真面目に、バレンタインのお返しとしてそのマシュマロを贈ったのだろうけど、櫛枝さんと川嶋さんからしたら内心ショックだったでしょうね。
たとえ出所不明な眉唾もので、他愛のない噂話だとしても、ごめんなさいと、拒否をされてしまったら。
そんな時に裏で暗躍して、ほくそ笑む誰かの存在があったことを知った日には、その分怒るのも無理のない話しだと思う。
逢坂さんも、こうなるかもって、少しでも考えなかったのだろうか。
同じことを考えついたとして、私ならまずやらない。万が一を思うと、できない。
それをさせてしまうあたり、逢坂さんの人並み外れた独占欲の強さがひしひしと伝わってくる。
後先も周りのことも、他のことなんてなんにも気にさせなくするのだから、恋は盲目とは言い得て妙ね。
巻き込まれた他の生徒たちはたまったものじゃないだろうけど。
「ところで」
咳払いを一つ。そう切り出した北村くんはまじまじとこちらを見ている。
「なんだか、疲れてません?」
厚ぼったい瞼に充血した目、さらにはクマまで。
これでも隠してきたつもりだったけど、やっぱり目立ってしまっていたらしい。
今さら言っててもしょうがない。
一睡もできなかったなんて、まさかそんなこともその理由も言えるはずがない。
北村くんからの指摘に、おどけた感じで小さなため息。
「認めたくないけれど私も歳なのかしら。ここのところだるいし、すぐ疲れるし」
「ああ、更年期障害なんじゃないですかそれ。いやあ実はうちの親もなんですよ」
あなたのお母様と私の年齢はかなり離れていたはずだけど、それでも更年期障害を疑うというの?
というか、こういうときはさり気なくフォローを入れるのが常識であり優しさだということをまだ知らないのだろうか。
さり気なく、それでいて無神経な言葉が心臓に深々と突き刺さる。悪意からじゃなく、気遣いから言っているだけに殊更にたちが悪い。
今度こそ心からの、やり場のない負の感情が目一杯篭った大きなため息が口をついて出た。
ぼんやり目を向けた先では、一向に止まない言い争いが繰り広げられている。
私は半ば愚痴のようにこぼした。
「逢坂さんたちみたいな若くて元気な娘たちはいいわよね、疲れ知らずで。羨ましいわ、ほんと」
「あれはあれで大変そうですけどね。誰がとは言いませんけど」
と、北村くんは北村くんで、逢坂さんたちとはまた別の方向に目を向けている。
直接そちらを見たわけではないが、なんとなく察しはついていた。
「北村くんにはいろいろ話すのね、高須くん」
「そういうわけじゃないですよ。それに、まあ、俺の口からはなんとも」
歯切れが悪いのはしまったと思っているのかしら。
あまりお喋りが過ぎるとどこかで口が滑ってしまうかもしれないと判断したらしく、北村くんはそこで切り上げた。
元より根掘り葉掘り聞く気もなかったし、ちょうど予鈴も鳴ったので、私も頭を切り替える。
この際出席は適当に付けておいてかまわないだろう。
ざっと見回したところ欠席している生徒はいないようだし、元凶の彼女たちはどうせ私の存在に気がついてすらいないようだし、火の粉を自分から被りに行くこともないし。
それにさっさと終わらせないと私も他クラスでの一限目の授業に遅れてしまう。
出席簿を広げ、無造作に上から順にチェックを入れていく。
と、スラスラと走っていたペン先がある生徒の名前を前にしてぱたりと止まった。
登校しているのはもう確認済み。
617174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 22:05:28.47 ID:EFqWY/CP
でも、氏名欄に滑らせていた目は、意思とは無関係にその人物を捉えていて。
「──っ、感じる、感じるわ。遠くからこっち見てほくそ笑んでるのは誰よ!?」
それはあなたのことでしょうと心の中で呟く暇もなく、瞬時にあらぬ方へと体ごと逸らした。
ほんの一瞬のことだっていうのに、冴え渡る逢坂さんの第六感は過敏とも言える速さで反応し、高須くんを背後に庇うように躍り出た。
もはや書き殴るようにして出席簿を付け終えた私はそれで顔を隠し、野次馬に紛れ身を屈めながら教室を出ようとする。
易々とそれを見逃す逢坂さんではなかった。
「そこおっ! なんか怪しい。よくわかんないけど、なんかすごく怪しい気がする」
「ひっ」
静かに怒気を撒き散らし、どんどん近づく逢坂さんに腰が抜けそうになる。
出口はもう目と鼻の先まで迫っていた。意を決し、目を閉じた私は振り返ることなく一目散に駆け出した。
その甲斐あってかなんとか捕まるより早く廊下へ飛び出すことに成功する。
悲鳴を上げなかった自分を褒めてあげたい。よくやった私。ぐっじょぶよ、ぐっじょぶ。
「ちょっと待ちなさ……」
最近どこかで聞いたような、そんな既視感を覚える台詞が発せられる。
言い切る前に逢坂さんのその言葉が尻すぼんでいき、最後には途切れた。
「待つのは大河だよ。どこ行こうってのかなー? まだ話、ぜんぜん終わってないよ?
 ああ、それともここじゃなくて場所変えようっていうの? だめだよそんなの。高須くんの目がないと大河、なにするかわかんないもん」
「わけのわかんないこと言って、まさかバッくれようってんじゃないでしょうね? 亜美ちゃんそういうの好きじゃないなあ。
 つーか今日という今日は絶対逃がさないってか許さないから。覚悟しときなさいよ、このど外道」
代わりに聞こえてきたのは明るい声色なのに底冷えするような印象を受ける櫛枝さんと、ガラの悪そうな調子で語りかけている川嶋さんの声。
彼女たちは問い詰めている最中の逢坂さんが教室から出ようとしたのを逃げ出そうとしたのだと勘違いしたみたいだった。
実際には逢坂さんは追う側だったのだけど、そんなの二人にとってはどっちだって関係ない。
廊下に一歩足を踏み入れたところで逢坂さんは後ろから伸びてきた四本の腕に絡め取られ、それ以上進めなくなった。
そのまま櫛枝さんに雁字搦めにされると、抵抗むなしく引き戻されていく。
「ち、違うよみのりん、そうじゃないの。これにはちゃんと理由があるの。後でちゃんと話すから、だからとにかく離して、ね?」
どうにか抜け出そうともがく逢坂さんだが、櫛枝さんは貸す耳を持っていない。
足が付かないように持ち上げ、締め上げる強さを一層増して、懇願する逢坂さんの行く手を阻む。
「うん。それより、他にもっと言うべきこと、ないなんて言わないよね、大河。ないなんて言わせないからね」
鼻先まで近づく櫛枝さんの迫力に、根負けした逢坂さんがそっぽを向く。
「えっと……な、なんのこと、だろ。あにょ……ば、ばかちーも邪魔しないで。今あんたにかまってられないのよ」
早々と下手に出るのはやめたようだ。
どんなに小さなものでも構わないから、何がしか注意を逸らせて突破口を作ろうと矛先を川嶋さんへと定めなおす。
「ハッ。邪魔とかさあ、どの口が言ってるのかなあ。この口? 亜美ちゃんわっかんなぁい」
満面ににこやかな冷笑を貼り付けた川嶋さんは鈴を転がすような可愛らしい声で楽しげに逢坂さんの顔に手を伸ばし、その口に無遠慮に指を突っ込んで左右に引っ張り出した。
「ひゃ、ひゃみふんのひょお、ひゃめなひゃいよ、ひゃめふぇ〜。ふえぇぇ〜」
これには逢坂さんもたまったもんじゃない。
がま口よろしく横いっぱいに開いた口をもがもが動かして、けれど川嶋さんの指はがっちり食い込んでしまっていて外れない。
口といわずほっぺたといわず、もう逢坂さんは顔中真っ赤になっていた。
それでも取り押さえる二人の気はいくらも晴れていないようだ。
「なに言ってんのさ大河。やめてって、まだ始まってもないよ」
「泣き入れるには早えんだよ。亜美ちゃんの心の傷はこんなもんじゃないんだからね」
ピシャっと強かな音を立てて戸が閉じられた。
618174 ◆TNwhNl8TZY :2011/08/21(日) 22:07:34.38 ID:EFqWY/CP
抉じ開けられでもしない限り、しばらくあの戸が開くことはないだろう。あれじゃあ一限目は授業にならないわね。
曲がり角に隠れて様子を見ていた私は悲鳴とも怒号ともつかない金切り声の応酬を遠くに聞きながら、とりあえずは安全だろうと踊り場を抜け、階段を下りる。
テンション高めで天然の気があるとはいっても普段あんなに温厚な櫛枝さんと、なによりも体裁や他人の目を気にする川嶋さんがああも臆面もなく仕返しをするなんて、いったい逢坂さんは何と言って高須くんを丸め込んだんだろう。
知りたいような、知ったら知ったで後悔しそうな、そんな気がした。
一先ずは胸を撫で下ろせたけど、きっと逆恨みしてるんでしょうね、逢坂さん。
そう思うにつけ体が鉛のように重たくなった。
今日一日は、できるだけ顔を合わせない方がいい。
さっきのはたまたまだ。運が良かっただけ。
櫛枝さんたちによる女の友情番外地でさらにボルテージを上げていることだろう逢坂さんの前に出て、二度も逃げ延びられる自信なんて私にはなかった。
下校前、HLでは否が応でも教室に出向かなければならないが幸いにも2-Cでは今日、英語の授業を行う予定はない。
「あっ」
小さく声にすると行く足が止まり、その場に立ち尽くした。
授業をしない。
それはつまり逢坂さんと遭遇する確率がぐっと下がることと同時に、高須くんと会う機会もなくなってしまう。
二人は同じ教室にいるのだからそんなの当たり前のことで、そうでもなくったって逢坂さんは四六時中高須くんと一緒にいるというのに、なのに完全に失念していた。
幸いだと思っていた時間割が即座に恨めしくなった。
これといった理由もなく、必要もないのに教室に行ってもそんなのどうしたって不自然だし、無駄に逢坂さんの反感を買いにいくだけだ。
さっきの二の舞になるのは想像に難くなくって、それは避けたい。
そうなるとやっぱり逢坂さんと鉢合わせないようにするのが無難だ。
校内とはいえ無用心にうろつかなければそうそう出くわす事態になんてならないはず。
職員室に引き篭もるのもこの際、一つの手段かもしれない。
無闇に逢坂さんと相対するよりかはずっといい。
安全第一で保守的な、そんな考えが泡のように無数に浮かぶ。目まぐるしく脳裏を駆け巡る。
それは悪くないはずなのに、なんだかすごく残念な気持ちになった。
目に焼きついて離れない、あの、手の平に収めるには少しだけ大きな包み。
中身が何であれ、羨ましいことに変わりはなかった。
貰えたら、それだけで、もう。
あったかもしれないその可能性も、今は無いに等しい。
高須くんの前に聳え立つ逢坂さんという壁はあまりにも分厚く高く、超えるにはひどく困難で。
よしんばそれをどうにかできたとして、その後。
自分から貰いに行ったりするのも催促するのも、厚かましくて、虚しくて。
人気のないまだ肌寒さが残る廊下。吹き抜けるように、予鈴が静かに響き渡る。
階上では今もって、聞きなれた生徒たちの喚き声が四方八方に反響していた。
それらを遠くに聞きながら、萎む期待を持て余しながら。
重くなった足取りで、遅刻確定を承知で私は一限目の教室へと向かっていった。
あんまりにも地に足がついていなくって、階段を一段踏み外してしまったのを誰かに見られずに済んだことだけは、まあ、良かったと言える。
午前中の授業は案の定、終始上の空だった。
文法の間違いを指摘されてから気づいたり、それとは逆に、最後まで単語の綴りがおかしかったことに気づかなかったり。
期末考査を終え、春季休校を目前に控えた生徒たちは気楽なもので、暢気に茶化してくれたりもしたけれど。
暗澹とした顔をいつまでも晒すのも、からかわれて赤くなった顔を見られるのも居た堪れなくって、昼休みを告げるチャイムと同時にそそくさ退室する。
身の入らなかった今日の授業の挽回は、誠に勝手だけど、次回に持ち越させてもらおう。
それにこの後控えている授業では、同じ徹を踏まないように気を引き締めなおさないと。
やる気を立て直そうと意気込む私の足が、職員室へと続く廊下の途中で徐々に重くなっっていった。
立て直そうとした矢先のやる気がみるみる外へと抜けていく。
619174 ◆TNwhNl8TZY
のろのろとまどろっこしい動きで出席簿に挟んでいたプリントを一枚開く。
紙面に目を滑らせると、せっかく引っ張ってきた意気込みが、怒って帰っていってしまった。
今日、これから控えている授業はもうない。
この一年の総決算ともいえる期末考査はとうに終了しているし、なにより肝心の生徒もいない。
時間割のプリントをため息と共にしまい、先日、卒業式を執り行ったことを思い出した。
まだ記憶に新しいそれらの出来事は鮮明に思い浮かべることができて、時間を置いたからか、また違った感慨深さもある。
感慨深すぎて、少なからず胸が痛んだ。
窓から覗く校庭には桜の樹が立ち並んでいて、今か今かと開花を待つ蕾がちらほら散見している。
来年の今頃、ここから眺める景色はどうしてだか、くすんだような、褪せたような、そんなものになってしまいそうで、私を一層萎えさせる。
「……まだやってたの」
ぼんやり唱えた言葉には驚きと呆れが半々だった。
視界の端で、小柄な影が学食目がけまっしぐらに駆け抜けていく。
血相を変えて走っているのは逢坂さん。
ちょくちょく振り返っては後ろを気にするその顔はうんざりだといわんばかりの渋面になっており、しかも今朝から比べていくらかやつれたような印象を受ける。
原因はまず間違いなく櫛枝さんと川嶋さんによるものだろう。
その証拠に、瞬きもしない間に二人は逢坂さんを追いかけて校舎から飛び出してきた。
絶対に逃がさないとでも言う風に、櫛枝さんは逢坂さんの背中に肉薄し、両手を伸ばしては何度も捕まえかけるのに、寸でのところで掻い潜られている。
体力とスピードでは劣るもののしたたかな川嶋さんは大きく回りこみつつ、注意が逸れたのを見計らい、果敢に逢坂さんに襲いかかっていた。
ふわふわたなびく逢坂さんの後ろ髪が鷲掴みにされた。
王手をかけた川嶋さんの薄ら笑いに皹が入る。すぐさま彼女は後ずさって距離をとった。
せっかく捕まえかけた逢坂さんの手には、どこから取り出したのか、物騒なことに木刀なんてものが握り締められていた。
低身長かつ省スペースなあの体のどこにあんなものを隠してたのかしら。
形勢逆転、意表を突かれた川嶋さんが大きくたじろいだ。
ぶんぶん力任せに木刀を振り回して威嚇している逢坂さんに次第に余裕が浮かんでくる。
今度はそんな逢坂さんが意表を突かれることになった。
川嶋さんにばかり気を取られて、背後からにじり寄る櫛枝さんに不意打ちをかけられ、手にしていた木刀を奪われてしまう。
獲ったどー、なんていうはしゃいだ声が聞こえてきそう。
櫛枝さんはその場で力強く振りかぶると、遠く人気のない校庭目がけてそれをおもいきり放り投げる。
くるくる回る木刀は一枚羽ねの風車のようにも映り、盛大な弧を描いた後に校庭の固い土にしっかりと突き刺さった。
圧倒的に卑怯で有利だった逢坂さんだったけど、これで振り出しに戻る。
これだけ離れていても歯噛みしているのが手に取るようにわかる憤慨ぶりには、それほど迫力は感じられない。
地団駄なんて踏んでいるせいもあって、余計にそうだ。
人によってはああいう仕草を可愛らしいと思うかもしれないけれど、生憎と櫛枝さんにも川嶋さんにも効果は期待できそうにない。
拮抗状態を保ちつつ着々と包囲網を狭めていく、そんな不気味な二人に成す術がない。
あわや袋叩きという直前、逢坂さんが上着の胸元をまさぐり始める。
木刀といい、本当、よくやるわね。
先ほど手品のように忽然と出してみせたそれよりはずっと現実的なサイズの、ラッピングがなされた小さな包み。
中身なんて考えるまでもない、十中八九あの三人が今ああしている原因が納められているはず。
おおかた余ったものを貰ったとか、なんだかんだ自分も欲しくなったとか、そんなところだろうか。
櫛枝さんたちにはかなり煽りを入れていたようだっただけに、その手の返しようはどうなのよ。
さすがにちょっとズルい。
それにしても、あの子は大事なものは肌身離さず持ち歩く癖でもあるのかしら?
そんな神経質なタイプには到底思えなかったけど、大事なものの中に大事な人も含めているのではと思うと納得できないこともなかった。