【俺の妹】伏見つかさエロパロ11【十三番目のねこシス】
1 :
704:
2 :
704:2010/12/07(火) 21:10:59 ID:NjrLqgE5
>>1 乙
もうお前に用はない
○
く|)へ
〉 ヾ○シ
 ̄ ̄7 ヘ/
/ ノ
|
/
`|
/
うそです
5 :
704:2010/12/07(火) 21:20:37 ID:ogi7ajLZ
若干重くなってたし、480kb越してたんで。
今回は番外編です。
桐乃メイン。
沙織、黒猫でますが、ほんの少しだけです。
また、今回は京介目線です。
『イメチェンをしよう!』
俺は今、妹から押し付けられたエロゲを絶賛プレイ中だ。
断っておくが、決して俺の趣味で妹もののエロゲをするわけがない。
なぜかって?俺の好みがメガネっ娘だからだ。
そんなこんなでエロゲのプレイばかりでいるせいか、睡魔が激しく襲ってくる。
しかし、今日中にある程度までプレイしないと何をされるかわからないんだよな。
今更だが、俺には兄としての威厳が無いな…。
眠気覚ましにコーヒーを飲みに下に取りに行く。
部屋に入るといつものような感じで桐乃がいた。
コーヒーをつくり終え、自分の部屋に行こうとした時。
「ねぇ」
「あん?どした?」
「……えと、ね…」
早くエロゲを終わらしてしまいたいんだが。
「何だよ?早くしてくれねぇか?」
「わ、わかったよ!
ボ、ボクさ、今お兄ちゃんが何をやってるのか知りたいんだけど…‼」
「⁉」
何があったんだ?
マインドコントロールか?
そもそもこいつはボクっ娘じゃねーーー‼
ましてや"お兄ちゃん"などと呼ぶわけがないっ…‼
これは、興味とかそんなんじゃなく、そう。
恐怖、だ。
「なによ…、じゃなくって。
どうしたの、お兄ちゃん、急に黙りやがって」
微妙に違う‼‼‼
最後!怖いっすよ、我慢してるなら止めてくれ‼
「な、なぁ、桐乃?
お前、どうかしたのか?
なんか変な洗脳でもされたのか?」
「はぁ⁉…じゃなくって。チッ、えぇ?ボク、どこかおかしいとでも思うの?」
微妙に怖さが抜けてねぇ…。
真面目に心配だよ…。
「桐乃」
「んん?どしたの、お兄ちゃん?」
「真面目に頼む。
どうかしたのか?協力が必要ならするぞ?」
そういうと、桐乃は僅かに安堵感を含ませた顔で、こうなるに至った経緯を話し始めた。
///
話をまとめるとこうだ。
何かしらの理由があってイメチェンをした、ということらしい。
"何かしらの理由"じゃ理由になってないなんて思ってないぞ?
終いにはこういった。
「家でイメチェンしてても、しょうがないんだよ?だからアキバ行こう?あいつらもイメチェンの件は知ってるし、例の2人と遊ぼう?」
「何であいつらは理由を知ってて、俺にはダメなんだ?」
「………行こう?」
「………ハイ……」
選択肢はきっとこれしかなかったんだな、うん。
///
そうしてアキバの待ち合わせ場所に行くと既に2人は待っていた。
もちろん、エロゲはセーブして終了してきたぞ?
「おぉ!お2人とも来てくださいましたか‼」
いつものことだけどな?
「ふっ、気持ち悪いブラコン女がイメチェンですってよ。
反吐がでるわ」
相変わらずの口だな、おい。
「なっ…‼ク、クソ猫……‼」
イメチェン中につき、聞かなかったことにしよう。
毎回の恒例となった言葉の罵り合いが開始される。
俺と沙織はお互いに見合って苦笑した。
///
イメチェン中とはとても思えない黒猫と桐乃の応酬がようやく終わった頃。
「それでは、本日の本題に行きましょうぞ」
沙織が切り出した。
本題の内容か?
………………、本題といってもいつもと同じ、メニューなんだがな………。
あえて詳しく言うなら、ゲーセン、グッズショップあたりなんだろうか。
若干の期待をしていただけに少し落ち込んだ。
///
俺は1人外れて、3人で楽しみあってるのを眺める。
思えば、人生相談から始まって今までたくさんやってきたけどやはりこいつらの存在が大きかったんだろう。
俺1人じゃ限界が見えてた。
だけど、こうして自分を曝け出してる桐乃を見ていると、俺もこんな友達もまたいいのかもな、と思った。
なぜなら、桐乃の笑顔が輝いていたから。
学校の友達どうしとはまた違う輝き。
思わず、その笑顔をかわいいと思ってしまう自分を良かったと思ってしまった。
なぜなら、それは"赤城と同じ趣味"のシスコンかな、と思ったから。
今ならあいつの気持ちがほんの少しだけわかる気がした。
///
結局、桐乃はイメチェンなんて思いっきり忘れてはしゃいでいた。
それでいいんじゃないかな、と思った。
そして、それぞれの帰路につく。
そこにいる3人の少女はみんな笑顔で。すごく羨ましいと思った。
「イメチェン、ダメだったのかなぁ…」
「そんなことないぞ?ちゃんとできてた」
そういうと、桐乃は少し笑って、
「フォローは要らないよ。あたしが1番わかってるから」
と自嘲気味にいった。
今日一日を思い出して、この言葉が不意に浮かんだ。
"そのままでいい"と。
「俺は、お前はありのままでいいと思うぞ?
俺の妹らしくてとても…、好きだぞ?」
我ながら支離滅裂だな…。
それに対し桐乃は、
「このシスコン………」
と小さくつぶやき、こう続けた。
「ありがと…。イメチェン、止めるから。あたしは、あたしのままでいる」
「おぅ。それでいいんじゃないか」
2人を照らす月は昨日と変わらない明るさを保っていた。
……ただ1つ、変わったとしたら、それは………
10 :
704:2010/12/07(火) 21:24:27 ID:ogi7ajLZ
以上です。
本編(と呼べるのか?)の投下も少しですがしたいので。
番外編は気分転換だと思って下さい。
デレりんもたまにはいいねー♪
ただ、400kb越えなら、アルカディアやにじファンを使う方が良いかも。
12 :
704:2010/12/07(火) 21:44:03 ID:NjrLqgE5
>>11 わかりづらくてすみません、前スレのことです。
文はせいぜい20kbいくかいかないかです。
13 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 22:53:38 ID:LLUQ7Pzt
>文はせいぜい20kbいくかいかないかです。
5kb程度しかねぇぞ。
14 :
704:2010/12/07(火) 23:03:47 ID:NjrLqgE5
>>13 書き貯めです。といってもプロット程度です。
投下します。
本編です。
15 :
704:2010/12/07(火) 23:05:07 ID:NjrLqgE5
夢を見た。
それは幼い頃の思い出のようなもの。
いつのことかも思い出せない。
具体的にどこか、ということも思い出せない。
幼い頃の思い出、そう、それは麻奈実との思い出。
///
「きょうちゃあん!こっちきてー」
麻奈実に呼ばれて振り返る。
「どうしたの?」
「いいからきてぇ!」
「わかったー」
麻奈実の元に走り寄る。
「きょうちゃあん、わたしたちってさぁ、なかよしだよね?」
「うん、そうだね」
「じゃ、じゃあ、ずーっと、ずーっと一緒だよね?」
「もちろんだよ!」
「んー、じゃあー、」
少し悩む仕草をみせる麻奈実。
しばらく考えた末にこう話し始めた。
「やくそくしよっ?」
「なにを?」
「わたしたち、ぜったいにうそをつかない」
「それだけ?」
「まだあるよ!」
間が空く。
「…、うそをつかないんだから、おたがいをなにがあっても、しんじよう!」
「ぜったいに?」
「うん!」
「それじゃ、これも」
京介が追加を提案する。
「なにがあっても、隠し事はきんし。
2人で相談しあってなんとかしよう?」
「わかったー!」
これが京介と麻奈実の幼い頃の記憶、そして今まさに破られようとしている約束だった。
16 :
704:2010/12/07(火) 23:05:58 ID:NjrLqgE5
///
「っはぁっ‼…はぁ、はぁ…」
ガバッという擬音のように布団から飛び起きた。
あの夢は確かに過去の出来事。
麻奈実との約束だった。
忘れかけていた大切な人との約束。
今、それを破ろうとしてるのは自分じゃないのか?
隠し事はきんし、じゃなかったのか?
お互いに約束を無視してるんじゃないのか?
次々とそんな想いが浮かんでくる。
今までの関係は無にできない。
だったらすべき事は1つ。
直接会って、話をする。
時間は朝の6時30分をさしていた。
///
「あっ………」
自然と目が覚めた。
夢を見た。幼い頃の記憶。
きょうちゃんと私の大切な約束。
私が忘れかけていた記憶。
いろいろな感情が込み上げてきた。
「っ…くっ…、きょ…う…ちゃあん…うぅぅ」
だけど、きょうちゃんは"2人で相談しあってなんとかしよう?"といった。
今こそそのときだろう。
私はこのままで終わりなんて納得出来ない。
ましてや、私はきょうちゃん以外に助けを求めた。
約束をすでに破っていたんだ。
まずは謝らないと。
そして、約束を果たさないと。
私は、家を飛び出した。
17 :
704:2010/12/07(火) 23:07:34 ID:NjrLqgE5
///
いつもの麻奈実との分かれ道に差し掛かった時。
見慣れた女子高生が走ってきた。
麻奈実だった。
「麻奈実‼」
叫んだ。人の迷惑省みず。
「きょ…う…ちゃん?」
「あぁ、そうだ。お前の幼馴染の高坂京介だよっ‼」
「きょうちゃん…‼」
「麻奈実…、すまん。
俺はお前との約束を忘れかけていたんだ。
お前との関係を無にするところだった」
「えっ…?」
「今朝、夢を見てな?
俺らの小さい頃の話だと思う。
2人して約束をしあって、絶対に守るって言ったやつだ」
「きょうちゃん?じつはね…、私も同じ夢を今朝見たよ?」
偶然なのか。それとも必然だったのか。
だけど、今こそ約束を…‼
「約束、覚えてるよな?」
「もちろんだよ」
「んじゃ、確認な?」
嘘は、つかない。
何があっても、信じる。
隠し事は、禁止。
困ったら、2人で相談しあう。
これからが再スタートだ。
///
約束は確認したけど、なにかまだもやもやする。
その原因はわかってる。
桐乃ちゃんのことだって。
「きょうちゃん?あのね…、」
でも、その前に絶対に言わなくちゃ。
「ケガさせて、私を守ってくれた為に…。
ごめんなさい!」
しばらくの沈黙のあと、ポン、と頭に手が置かれた。
「気にしなくていい。お互いにできることがあって、たまたま、今回は俺ができることだった。それだけでいいよ」
約束、守ってくれたんだ…。
「じゃあ、私も約束を守るね?」
すべてを隠さずに話した。
>書き貯めです。といってもプロット程度です。
完成して、推敲してから投下することを、強く推奨する。
19 :
704:2010/12/07(火) 23:09:21 ID:NjrLqgE5
///
話し終わったあと、私は泣いていた。
もちろん、泣く気なんてまったくなかった。
だけど、泣いていた。
「麻奈実、ありがとうな。辛かっただろ?」
私は小さく頷く。
「桐乃の言うことなんかに構わないで、いつも通りでいいぞ?
その方が嬉しいし、なにより、俺たちらしいだろ?」
「そうだね」
ようやく元気になれた気がした。
///
お姉さんからメールが入っていた。
それも朝の6時40分。
相当暇なんですね。
内容はこうです。
----------------------------------------------------------------------
題名:(無題)
本文:あやせちゃん。
私は、なんとかきょうちゃんと仲直りすることができました。
協力しよう?と親身に相談にのってくれたときはとっても嬉しかったです。
あやせちゃんも悩み事があるなら私に相談して下さい。
力になれるように頑張ります。
朝早くなのでメールにしました。
本当にありがとう。
----------------------------------------------------------------------
所詮は使えませんでした。
お兄さん次第でコロコロ動く女だと、証明されたわけです。
策も練り直しです。
今の気持ちですか?
お兄さんよりもお姉さんが憎いですね。
できることなら死んでいただきたいです。
まぁ、おかげですべて振り出しからですよ。
ホントに、何がしたかったんでしょうね、お姉さんは。
20 :
704:2010/12/07(火) 23:09:58 ID:NjrLqgE5
///
いずれこうなるのはわかってた。
今の状態?
『兄貴がいない』
以上。
どこに行ったかなんて決まってんじゃん。
地味子のところでしょ?
兄貴にはハッキリ言ってなかったから仕方ないけど。
あたしは、兄貴を好きになっちゃいけないのかな?
どんどん好きになっていく。
どんどん独り占めしたくなる。
そして、どんどん欲しくなる。
「…っ、はぁっ‼……はぁ、んんっ‼…」
学校までまだ1時間。
兄貴を想って今日も"1人"でこんなことしかできない自分に腹が立った。
21 :
704:2010/12/07(火) 23:10:51 ID:NjrLqgE5
>>18 了解です。
完成したらまたくることにします。
今回は以上です。
乙
折角書いたものなんだからソレが良い
割と誤解している人も多いのかな
文章やコードのバイト数っていうのは、使っているワープロソフトとかのファイルサイズじゃないんだな
日本語は2バイト文字だから、例えば1000文字の文章だと5KB、50000文字だと100KB
このスレは1スレ約2000文字、全容量250000字(500KB)まで書けるということ
サイズはSSをtextファイルとか貼り付けてみてバイト数を見ると良いよ
知ってるわ!だったらスマソ
1000文字、2.5KB、1レス約2000文字の間違い
吊ってくるわ
1冊分で200〜400kbって誰か書いてたな。
黒猫の6kb巡航はかなりすごいよ、三時間それやったら1日倒れたわ。
見直しをしないんならやれんこともないが、指と腕が痛くなるよなw
それもあるが、肩にも来るし脳みそが以上に疲労する……棋士が体力消耗するのに近い。
っと、雑談スマン。俺もSSちゃんと仕上げてから投下しよう。
下宿屋を出て、狭い路地を並んで歩くあやせに、路地のきわから見えたバスの停留所のようなものを指差した。
「あの停留所から、路面電車に乗るんだ」
本当は、『チンチン電車』と言いたかったが、そんなことを言ったら、またぞろ『変態、ブチ殺しますよ!!』とくるに決まっているからな。
「停留所は、道路のど真ん中にあるんですね」
「そうなんだよ、だから、すぐ隣の横断歩道の信号が青になって、クルマの往来が途絶えたその隙に一気に渡るぞ」
「結構、危なそうですね……」
関東だったら、こんな危険な停留所は、絶対に許されないだろう。だが、この地方は、間延びしているような雰囲気の中に、こうしたスリリングな部分もある。そこが面白いところだ。
「ちょうど信号が変わるところだ、あのクルマが通り過ぎたら、駆け足で行くぞ」
不意に、あやせが、無防備に下げていた俺の右手をつかんできた。驚く俺に、あやせは、頬を微かに染めて、上目遣いで俺の顔を覗き込んでいる。
「こ、怖いから、お兄さんと一緒に、渡りたいんです。い、いいですか」
「上等だ! よし、今だ、走るぞ」
あやせの手を引いて、俺は駆け出した。車道を渡り終えた頃、信号は早くも変わり、安全地帯に居る俺たちをかすめて、大きなトラックが疾走していった。言い忘れていたが、ここの信号は、無慈悲なほど早く変わるんだ。
「きゃっ!」
轟音と共に走り去ったトラックが巻き上げた風圧で、あやせの長い髪がかき乱された。それを元通りにまとめようと、コームを使わず手だけで四苦八苦している姿には、年相応のあどけなさがあった。
「電車が来たな……」
西の方から、くすんだ緑色の電車が一両だけ、ゴロゴロという重苦しい音を立ててやって来た。昭和の中期頃に作られたんだろう。古臭い感じは否めないが、今の電車にはない重厚な雰囲気があって、俺は好きだ。
「床とか、本物の木で出来ているんですね」
乗車したあやせが、間髪入れず指摘した。なかなか目ざといな。今の電車は、耐火性をクリアする必要があるから、燃えやすい木材はご法度だ。関東じゃ床が木で出来ている電車なんか走っちゃいない。
「東京にも路面電車はあるけど、どれも車両が新しいからな……。ところが、こっちの電車は、どれもこれも博物館入りしてもおかしくないくらいの骨董品ばかりさ」
車内は、俺たち以外には五、六人ほどしか乗客が居なかった。休日の朝だから、いつものラッシュアワーとはだいぶ勝手が違う。
俺は、運転台に近い席に座り、あやせも俺のすぐ隣に腰掛けた。
俺たちが座ったのを見届けるためだったのか、運転手が肩越しに一度こちらを見て、それから「発車オーライ」の声と共に、ベルをチンチンと鳴らした。
「あ……、わたし、チンチン電車に乗るのって、これが初めてです!」
「今、何て言った?」
ちょっと意地悪く突っ込んでみた。
「え? あの、チンチン……、あ、あああっ!」
あやせは、自分が言ったことを思い出し、両手で顔を覆って赤面した。
「は、恥ずかしいです……」
「別に恥じることはないんじゃねぇの? 放送禁止用語でもないんだしさ」
「で、でも……、チ、チン…って、言っちゃいました……」
「お前が潔癖なのは分かるけどよ、もうちょっと気楽に行こうぜ。見るもの、聞くもの、自分が言ったことを一々気にしてたんじゃ、身がもたねぇだろうが」
(本編『漣』は120kbの予定)
なんだい、前スレと間違って誤爆したな。
まぁ、いいか……
>>29 だよねw
どう反応すればいいか迷った
んでいつ出来上がるの?
ざーとらしさがプンプンする
職人は完成したSSの投下だけをしてそのIDではよほどのことがない限り雑談レスをしない
職人様(笑)は未完成のSSを平気で投下して更に雑談レスまでし始める
この違いがわかるか?
誤爆
そういやかなり前に満喫から投下してる地味子の作者いなかった?
久しぶりに保管庫見てみたら更新されてなかったんだがあれ以降投下なし?
投下します。
桐乃視点、4レス予定。
「きりりん氏は、京介氏に夜這いなどかけたりしていないのですかな?」
ブーーーーッ!
秋葉原某所のカフェ。いつもの三人で集まってだべっていたら、ぐるぐる眼鏡がトンデモない事言い出した。
「……汚いわね。噴水の真似事がしたいのなら外でやって頂戴」
テーブルを拭きながら嫌味を飛ばしてくる黒猫。
「だ、だってコイツが変な事言うから!」
「おかしいですなあ。若い男女が一つ屋根の下で暮らしていれば、当然そういったイベントがあるはずなのですが」
「エロゲ脳のあなたなら、十回や二十回くらい平気でしていると思ったのだけど」
あんたら、一体あたしをどーいう目で見てるワケ?
「そんな事するわけないでしょ! ありえないから!」
「しかしそれはそれで良いものですな。隣の部屋に居る兄を想い、一人自分を慰める……絵になりますなあ」
「今度その題材で本を出そうかしら」
何言ってんのよ、このエロ猫。
「出せるワケないでしょそんなの!」
「大丈夫よ」
黒いのが、ふわりと安心させるような笑みを向けてくる。
「ちゃんと『R18』の表記を付けるから」
「そういう問題じゃないっ!?」
「……『成人向け』の方が良かったかしら?」
「だからそーいう事じゃなくて!」
はぁはぁ……もういい加減つっこむのも疲れてきた。
「その内容できりりん氏が売り子をしてくれれば、売り上げ倍増間違いなしですな」
「壁サークルも夢じゃないわね。……夢が広がるわ」
それであたしが売り子とか、もはや羞恥プレイじゃない。夢じゃなくて淫夢だっつーの。
「まぁ冗談はこのくらいにしまして、きりりん氏の夜這いの件ですが」
「なにが『このくらい』よ。現在進行形で冗談が続いてんじゃないのよ」
「大丈夫ですぞきりりん氏! 旗色が悪くなったら『寝ぼけて部屋を間違えたの』と言えばいいのです」
「『怖い夢を見たから一緒に寝て』も捨てがたいわね」
「やり方のアドバイスなんて聞いてないから!」
あたしがそう言うと、にやぁ、と嫌らしい笑みを浮かべるクソ猫。
「……あら? もしかして自信がないのかしら?」
「なっ……そんなワケないでしょ!」
あからさまな挑発に乗っちゃったと思うけど、もう遅い。いまさら引けない。
「あたしみたいな超絶美少女が誘惑したら、あんなシスコン一発でメロメロに決まってんでしょ」
「そうかしら? あなたのお兄さんは意外と身持ちが堅いと思うのだけれど」
「京介氏は鈍いですからなぁ〜」
そんな事言われなくても分かってる。でも改めて言われるとなんだか釈然としない。
「それに、あなたのお兄さんの好みは黒髪ロングの娘なのでしょう? あなたとは全然タイプが違うじゃない」
と、自分の『黒髪』を弄びながら笑みを向けてくるクソ猫。む、むかつく……!
「そこまで言うならやってやろうじゃないの!」
そうして今あたしは、アイツの部屋の前に居る。
時刻は……多分、深夜の二時過ぎ。
多分というのは、ここに立ってからどれくらい時間が過ぎたか分からないから。
一分くらいにも感じられるし、三十分以上経ってるかもしれない。
……なんであたしこんな事してるんだろう。
いくら挑発に乗ってしまったからといって、本当に実行するのはやり過ぎなんじゃないだろうか。
うん、やっぱりやめよう。そう思って自室に足を向けようとしたところで、
ガチャッ
「……何してるんだ?」
ちょぉっとおおお! なんでこのタイミングで出てくるワケ? どうしてあと十秒待てなかったのよ!
「の、喉乾いたから、のみもの……」
かろうじて言い訳を捻り出す。変に思われてないよね……?
「ふうん」
気のない返事をしてリビングへ降りていくアイツ。言った手前、ついていくしかない。
アイツが冷蔵庫を探ってるのをぼんやり眺めながら、もう飲み終わった事にして部屋に戻れば良かったんじゃ……と今更ながら考えていると、
「ほらよ」
中身の入ったコップを手渡してくれた。な、何カッコつけてんのよ……似合わないっての。
顔が火照ってくるのを感じる。気付かれたらどうしよう、いや暗いからきっと分からないよね。
飲み終わって部屋へと戻る。
こうやってコイツの背中をついていくと、つい子供の頃の事を思い出してしまう。あの頃は……。
「なんでついてくるんだよ」
「え?」
なんでついてっちゃいけないの?
「いや、ここ俺の部屋」
その一言で急に現実に引き戻される。
いつの間にかアイツの部屋までついていってしまったらしい。ヤバイ、昔の事考えてたらついてきちゃったとか言えない。
そこでピン、と昼間の会話を思い出す。
「ね、寝ぼけて部屋を間違えたの!」
「いやバッチリ起きてるじゃねーか」
駄目じゃん! この台詞全然使えないよ! 沙織の馬鹿!
アイツは不審の眼差しをあたしに向けている。うぅ……なんとかしないと。
いやもう一つ台詞があったはず、確か……。
「一緒に寝て!」
「な、なんで!?」
あたしも同じ気持ち。なんで前半部分を省略して言っちゃうの? これじゃ意味が分からない。
アイツはもう不審を通り越して珍獣を見るような目だ。マズイマズイマズイ、何か言わないと、えっとえっと……。
「きょ、今日読んだ雑誌に、人肌が身体に良い温度だって書いてあったの! だから試してみようかな……って」
咄嗟に思いついたにしては上出来だと思う。もうこれで押し通すしかない。
「い、今から?」
「何よ、なんか文句でもあんの?」
コイツは押しに弱い。あたし知ってるんだから。
「いやしかしだな……」
「もしかして妹に欲情しちゃってるワケ? だから一緒だとドキドキして寝られないんだ?」
「なわけあるか!」
かかった!
「じゃあ良いよね、ほらほら早く寝る寝る」
首尾良く一緒のベッドで寝る事になったんだけど、アイツは早々にあたしに背を向けて横になってしまった。
……なんか面白くない。
「こっち向きなさいよ」
「な、なんでだよ」
「アンタいっつも仰向けで寝てるでしょ? なんで今日に限ってそっち向くのよ」
「お前なんでそんな事知って――」
「良いからこっち向く!」
強引にこっちを向かせた。すでに仰向けですらないけど、そんなの気にしない。
でもアイツの顔を見てられなくて、誤魔化すようにギュッと抱きついた。これくらいしても良いよね。
「ちょっ、お前そんなくっつくなって」
「は、離れてたら寒いでしょ? それにくっつかないと人肌効果が実感出来ないし」
それに離れたら、あたしの顔を見られてしまう。鏡を見るまでもなく、真っ赤になっているのが分かる。
アイツはモゴモゴとまだ何か言いたそうにしてたけど、あたしの完璧な理論に負けたのか観念したように身体の力を抜いた。
チッ、チッ、チッ…………。
時計の針の音がやけに大きく聞こえる。あれからどれくらい経ったんだろう。
当然のようにあたしは全然寝付けなかった。こんな状況で寝られるわけない。
自分の心臓の音が、アイツに聞こえるんじゃないかと思うくらいの静寂。そう思うと余計にドキドキしてしまう。
アイツは今どんな気持ちなのかな……。
「ねえ」
「……」
反応がない。不審に思って顔を見ると、健やかな寝顔がそこにあった。
……信ッじらんない! この状況で寝るフツー!? こんな超かわゆい子が添い寝してあげてるのに爆睡とか、ありえなくない!?
「はぁ……」
ポスン、とアイツの胸に顔を埋める。
やっぱり女として見られてないのかな。少しは脈があるかもって思うのは、あたしの思い上がりなんだろうか。
ねえ、ほんとはあたしの事どう思ってるの……?
もう幾度も心の中で繰り返してきた言葉、今だに答えは分からない。
直接聞けば良いのかもしれない。でももし拒絶されたら、もう妹として甘える事も出来なくなるんじゃないか。
それを思うと、怖くてたまらない。どうしても一歩が踏み出せない。
あたしはどうしたら良いんだろう。
ふと見ると、アイツの首筋が目の前にある。
……良い事思いついた。
ちぅ……。
首筋にちょっと強めに吸い付く。跡が残るくらいに。
ドラマなんかでよくある、キスマークだ。
初めてだから上手く出来たか分からないけど、それっぽい跡がついた気がする。
「ふふっ」
この跡を見てると、コイツはあたしのなんだって気がしてくる。
もちろん欺瞞なのは分かってるけど、心が弾むのは抑えられない。
胸に顔をピッタリくっつけると、トクン、トクン……と規則正しい音が聞こえてくる。
この音を子守歌代わりにして眠るのも良いかもしれない。そう思うと、だんだん瞼が重くなってきた。
もう寝よう。明日は学校もあるんだし。
翌朝の食卓、いつものように朝食を摂っていると、
「あら京介、首のところどうしたの? 赤くなってるけど」
ガチャッ!
あやうくお茶碗落とすところだった。お母さん、なんで今日に限ってそんなに目ざといの?
なんとか誤魔化さないと……。
「む、虫さされじゃないの?」
「あらそう? やあねえ、季節はずれの蚊でも居るのかしら。もう冬なのにねえ」
さしたのは蚊じゃなくてあたし、とは言えない。
「最近急に冷え込んできたから、二人とも風邪ひかないようにね」
「へーい」
「うん、大丈夫」
特に昨夜は暖かかったもんね。いつもああなら風邪なんて絶対ひかないと思う。
家を出ようと玄関に向かうと、ちょうどアイツも出るところだった。
「いってきまーす……」
相変わらずダルそうにしてる。またいつものように地味子と待ち合わせてるんだろうな。
昨夜はあたしと一緒に寝たくせに……。
「ねえ」
「どうした?」
ちぅ……。
振り向いたアイツの首筋に吸い付いてやった。もちろん昨夜つけた跡のところに。
「な、何しやがる!?」
「虫さされ。早く治るようにツバつけといてあげたの。感謝しなさいよね」
治るどころか悪化したけどね。ざまあみろ。
「お、お前一体なに――」
「いってきまーす」
抗議の声を無視して家を出た。今日はなんだか気分が良い。
今度四人で集まる時は、またアイツに虫さされを作ってやろう。
あの二人が見たらどんな顔するかな。
あたしの心は、今朝の天気と同じくらい晴れやかだった。
以上です。
やべえニヤニヤが止まんねえw
乙乙
タイトルそういう意味かw
44 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 13:16:06 ID:AjFdgeZm
乙
桐乃可愛すぎるだろwww
すいません、sage忘れました
ちょいと小ネタを投下
「エロゲーが健全なわけないじゃないですか! 死ねぇぇぇええぇええ!」
「いやいやそう言わずに、あやせ! この通り!」
目の前の見目麗しい女子中学生に足蹴にされている俺、高坂京介は現在進行形でどうでもいい妹(本当にどうでもいいんだからな! シスコンなんかじゃないんだ!)のどうでもいい趣味(エロゲーやアニメなどのヲタク趣味。特に妹ゲーと呼ばれる物だが)への理解を求めている。
だって、また何時妹が趣味と友人関係を両立出来なくなるかは分かった物じゃない。特に嫌悪感を持たれているというのは、人間関係上プラスになる事がまず無い。ならせめて、好きになれなくとも嫌悪されない趣味なんだという事を知って欲しい。
そう思い、こんな昼間の公園で土で頭を汚しながらも必死に頼み込んでいるのだった。
「何を頼むのかと思ったらそんな事ですか! エロゲーなんて物は全て不健全に決まってるのにやるわけがないですよ! お兄さん!」
ああ、雑誌モデルの美しい天使の様な顔が堕天する……。
だが引き下がるわけにはいかない。
「それはエロゲーじゃなくて、普通の恋愛アドベンチャーゲームで、レーティングも一般の子どもが買ってもいい物なんだって!」
俺が此れをやってと渡したのは、泣きゲーと有名な「●奈〜いもうと〜」という妹ゲーの中でも最高峰のシナリオライターである山●一(●中ロミオ)が企画し、シナリオを執筆した物だ。
もちろん相手はあのあやせだからこれは、ピー・エス・ピー移植版である。
「そそ、そうなんですか?」
「ああそうさ。あの桐乃を三日三晩号泣させた上に私医者になろっかなとまで言わせた程の作品だ」
「え、桐乃が三日も目を赤くして学校に来たのってそれですか」
「ああそうだろう」
「……っます」
「え?」
あやせは下を向いて何か呟いている。
「やってみます! やればいいんですよね! やれば!」
そそくさとあやせは俺のピー・エス・ピーとパッケージをバックに入れ、あっという間に背を向けて行ってしまった。
「桐乃を一番分かってやりたいだろうなあやせ」
あやせのああいう所は好きだ。
――三日後
ドン!
ノックも無しの上、思い切りドアを鳴らして中に入ってきた俺の愚妹。
「ちょっとアンタ!」
何時もの様に不貞腐れた顔で俺を叩き起こす。
「あやせに何やったの? あやせがあやせじゃない!」
「おいおい、順を追って説明しろよ」
「んあーもう! 三日もあやせ目を赤くして学校に来たと思ったら、あやせが――」
桐乃曰く、あの潔癖症のあやせが「桐乃のやってるゲームならやってもいいかも」と言ったらしい。どうやら俺の「オペレーション・泣き落とし」は成功した模様。
「本当、あんたどんな魔法使ったのよ!」
「ぁっじぬぅうう」
「おっとこれじゃ駄目か」
死ぬかと思ったぞ、本気で。何処の世に実の兄に転蓮華もどきを食らわす妹が居るんだ……。あ、目の前か。
「げほっげほ。う……単にあやせの知ってるイメージの真逆を見せただけだぞ」
「イメージの真逆?」
「あやせが知ってるエロゲーはレイプレイくらいだろ。だったらもっと真面目なエロゲーなんて星の数程あるじゃないか。って感じでそういった作品の全年齢版ならね。
何もエロゲーを無理やりやらせなくてもいいんじゃねえの? 取り敢えずやらせて原作はエロゲーだと教えてあげたって事」
その後、桐乃は珍しく部屋を出る時に「有難う」と小さく口にした。
(^ω^)以上(^ω^)
乙。
短いながらもいい感じだった。
パパっとバイトの休憩中なんで書いた。
>>49 ありが10〜
こういうルートはPSPででてきそうだなと夢想した。
あやせにプレイさせるなら刺激の小さい物がいいだろうね。
やっぱ泣きゲーが無難かね
乙
>>51 まあランスとかやらせたらとんでもないことになるだろうしな。
車輪とか……あるいは、おとボクみたいな女装ゲーとか。
おつおつ
加奈か、懐かしいなw 確かにニュースに出てくるようなレイ○レイみたいなのと加奈じゃ印象がまるで違うしな
そうして徐々に外堀を埋めてはめて行くのか。とりあえず次は家計をすることになるんだろうと予想した
何だロミオ信者か
京介が黒猫と順調に付き合い続け28歳で結婚。
25歳になったにも関わらず兄貴を想って処女のままのきりりんて萌える?
逆なら萌える
あと黒猫じゃなくてあやせで混ざってくる感じでヨロシク♪
何様だ
逆って言うから一瞬童貞守り続ける京介の話かと思った
59 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 21:21:10 ID:mEP9KE/A
>>58 桐乃が黒猫と順調に付き合い続け25歳で結婚。
28歳になったにも関わらず妹を想って童貞のままの京介て萌える?
つまりはこういうことか
sage忘れすまん…orz
聞いてくるやつもどうかとな
反応窺わんで自分の好きなもの好きに書けば良いっつんじゃ・・・
あやせに毎夜責められるが未だ童貞の京介
>>62 むしろ「ま、前はダメですけど……後ろなら」
って言って毎晩アナルセクロスしてるけど前には入れてないから未だに処女と童貞とか
あやせはちょろいが最初はマグロだろうな
あやせが京介に冷たくされて泣きデレになる姿が見たい。
>>64 あやせがちょろいって話はどこから出たん?
ドラマCDとか? ラノベしか読んでないから知らない
帰宅。さて俺はロミオ信者では無いのだが……
あやせはヤンデレ気質だろjk
>>69 いやドラマCDで京介がちょろすぎだろこいつーって言ってる。
ドラマCDで「ちょろすぎで心配になってくるぜ」
後、2chのラノベ板のスレで様々なあやせたんちょろネタが
>>63 定義は性交渉だから、後ろでも脱出じゃない?
素人童貞とも言うし、おまんこ処女・おまんこ童貞なのでは
ちょろいもんだぜ
お前らがそんなこと言うから
オマンコ童貞・京介のハーレム
なんて小ネタ考えちまったじゃねーか。
微妙に京介が鬼畜だぞ?
「落ち着け桐乃! 俺達は兄妹だぞ? 兄妹でんなことできるわけねえだろ!?」
「なんで!? そりゃ結婚はできないかも知れないけどさ、あたしはそれでも構わないし
だから……い、いいじゃんセックスぐらいさ!」
「よくねぇよ!!」
まさかの妹からのガチ告白だけでも、心臓一回止まりかけたのに
さらにセックスのお誘いまでされた。
な、何を言ってるかわからねーと思うが、俺にもさっぱり分からない。
し、しかし兎に角、俺は今、コイツの兄貴として最後の一線を越えないよう踏ん張るしかない。
「……兄貴は、あたしのこと嫌い?」
な、泣き落としは卑怯だ。女って卑怯だ!
「き、嫌いじゃねぇよ……」
「妹としてじゃなく、女としてだよ?」
「……お前は充分魅力的だって」
「それって客観的に見て? あんたから見て?」
「んな事っ…」
「一番大事なことじゃん! あたしは、三十四億人の男から好きって言われても嬉しくない!」
地球の男性全てかよ!?
「アンタに好きって言われなきゃ……アンタがあたしの身体でムラムラしなきゃ、嬉しくないっ!」
「ムラムラって……わっ、バカ野郎!?」
だわっ?! 抱きつくな! む、胸が当たる……
「ねえ……あたしの身体じゃ兄貴はダメなの?」
「だっ…ダメな訳ないだろが! め、メチャメチャドキドキしているっての!」
「じゃあいいじゃん。あたしが抱いていいって言ってるんだよ? 据え膳食わぬはっていうしさ」
くそっ、まだ言いやがるか!?
そりゃ俺だって男の子だよ、雄だよ、可愛い女の子いたら抱きたいよ! それが妹でもな!
けど妹じゃねぇかよ! できるわけねぇだろ! どうコイツを説得したらいいんだよ!?
コイツは兄妹で結婚できなくてもセックスはできる、そう主張しているんだが……
確かに理屈はそうなんだが……その部分じゃ反論できない訳で、じゃあつまりだ、他のリスクって言うと……
「よくねぇ…よくねぇよ……そりゃお前、確かに兄妹でセックスしちゃいけねぇって法律はないけどな
そういうコトってつまり、さ……その、子作りだろ? お前にその重み、背負わせられねぇよ」
「いいよ、一人で育てる。兄貴に迷惑かけない」
「ふざけんな! 万が一、億が一そうなったらお前一人に背負わせさせるかよ!」
……って、そうじゃねぇだろ、俺!?!
自分で問題提起しておいて、助け船出すってどんなマッチポンプだ!?
「も、もしそうなったら親父やお袋を哀しませるだけじゃねぇ。
生まれてくる子供だって、十字架背負わせてしまうんだぞ?」
「……じゃあ、避妊ちゃんとすればいい? ピルも飲むし、ゴムも付ける。
それなら兄貴、あたしを抱いてくれる?」
そこまでして抱かれたいか、フツー!?
……いや、そうなんだな、そこまで思い詰めてるんだ、コイツは。
「そういう問題じゃ…」
「そういう問題じゃん。リスクの話してんでしょ?」
桐乃は俺のシャツを握りしめて、抑揚なく言った。
突き放されたような、諦めたような……俺の本来の目的で言えば、それで満足すべきなのに
なのに、俺はそれが非道く、勘に触った。
「……じゃあ何か、俺はお前を孕ませるのが怖くて手が出せないってのかよ」
「そ、そんな事…」
「俺がシスコンだってお前知ってんだろが。俺がお前を抱きたくないと思うか?
ハッ! 抱きたいに決まってるだろ! ああ抱きたいね!
世界一可愛い妹とセックスしたい、変態兄貴だよ、俺は! まいったか!!」
お、おーい……何言っちゃってんの、俺?
「けどよ、俺もお前もまだガキだろうが。その上、兄と妹じゃ、
俺はお前も、お前とのガキにも、全然責任が持てないんだよ!
それだけはどうしようもねぇだろうが! だから少し待っとけつーの!!」
「あ、兄貴……」
「ば、バカ、泣くなよ……」
「だって……ビックリしたし。兄貴がそんなにあたしとのこと真剣に考えてくれたなんて」
うん、俺も自分の本音にビックリした。
「わかった。兄貴との子供は我慢する。でもお尻でするなら大丈夫だよね?」
妹の発言にはもっとビックリした。
.
「――ということがあったのです」
手錠を填められた俺は、三つ年下の女の子に絶賛懺悔中。
「……変態」
かつてない程、冷たく、短い言葉があやせたんから発せられましたよ?
絶対零度ハンパじゃねぇ!?
「つまりお兄さんは、ついに桐乃との一線を越えてしまったと」
「越えたといいますか、ギリギリで踏み留まってるといいますか。
アウトとセーフの間、ちょうとセウトみたいな……」
「アウトです」
ですよねー。むしろ初体験がアナルセックスって道踏み外してますよねー
「お兄さん、埋められる場所ぐらいは選ばせてあげますよ?」
埋められるのは確定かよ!?
「……はぁ。桐乃の様子がおかしいから、何かあったとは思ってましたけど
まさか、お兄さんがここまで節操の無い変態だとは思いませんでした。犬畜生以下ですね」
「面目ない……つーか、アイツそんなに様子がおかしかったの?」
「常時、頭に花が咲いてます。そんな状態が1週間も続けば私じゃなくてもおかしいと感じませんか?
それで桐乃を呼び出して、問い詰めたら……揉み合いになって……それで……桐乃の、下着の中に……」
ゴトン、と全身を真っ赤にしたあやせが、床にあるモノを落とした。
「こんなモノを入れているなんて!!」
「……だって、広げないと挿れるの大変なんだぜ」
と、あやせから目を逸らしつつ、床を転がるピンク色のアナルバイブと再会。
俺と桐乃がアキバのムフフなお店で購入したものである。
「こ、こんなモノを桐乃に入れさせるなんて……お兄さんが、変態なのは分かっていましたけど
それでも桐乃の事は一番大事にしてくれる人だと……そう思っていたのにっ!!」
「あ、アイツのこと大事にしてるから挿れてんだぞ!? これのお陰で最近じゃ俺のリヴァイアサンも
軽々飲み込むようになってだなぁ、アイツはもうケツでなきゃ感じられないぐらいに……い、いや、ナンデモアリマセン」
「……お、お兄さんの性欲から桐乃を守る為には……桐乃を守る為なら……」
ひえー…なんかブツブツ言ってるよ!? ああ、終わった。完全に埋められた、俺。
あやせに埋められて生きていく事ができようか? いやできまい(反語)
そんなのホリ・タイゾウかホリ・ススム君でもなければ無理だわホイ!
「お兄さん!」
「は、はい!」
「……私が、お兄さんの性欲を受けとめます。お兄さんが私で満足してくれれば、桐乃にはもう手を出せないでしょう?」
「え? あやせの尻に突っ込んじゃっていいの?」
「そんな変態みたいなことできるわけじゃないじゃないですか!!」
そんな変態みたいなことを貴方の親友がしているんですが。実の兄によって。
「じゃ、じゃあまさか、あやせのオマ…」
「死ねぇええぇぇぇえぇぇぇぇ!!」
あ、今日は白か……グフッ
「それ以上破廉恥な事を言ったら、殺しますよ?」
「ごめんないさい、調子に乗りすぎました」
あやせに蹴り飛ばされて、着地しながら土下座に入るこの俺の動き!
世界選手権があったら金メダルは確実だと思うぜ!
「だ、だがな、あやせ……俺はもう桐乃のケツ穴っていう快楽をすでに知ってしまったんだ。
お前が何を考えているかわからねえが、ハンパなもんじゃ俺の性欲はおさまらないぜ!(キラッ」
まあ桐乃にも内緒のラブリーマイエンジェルコレクションには週一でお世話になってるんだけどね!
「う…そ、そうですか、お兄さんはもう変態という枠では収まらないHENTAIですね。
で、でも、あ、アソコはダメです。そんなお兄さんに捧げたら、どんな風に壊されちゃうか想像もつきません!」
お前の中で俺はどんな鬼畜調教師になってるんだよ……
「じゃあドコの穴に突っ込めばいいんだよ?」
「あ、穴っ!? げ、下品なこと言わないでください!!」
「マン●もア●ルも言っちゃ駄目って言ったのはあやせじゃないか。
ん〜……そうだな、でも人間にはもう一個あったな、穴」
「ひっ…」
……そうガチで怯えられると凹むんですけど。
いや、俺も相当アレなセリフを言ったのは分かってるよ?
分かってるけど、ここ一週間で俺も随分性癖を開発されたといいますかね、不可抗力、不可抗力。
「口で抜いてくれ、あやせ!」
「死んでください」
.
「芋づる式ってのは恐ろしいもんがあるよなー」
「何のことでござる?」
沙織が俺の愚息を乳房で挟み、動かしながら訊ねてきた。
俺の部屋で一心不乱にパイズリに勤しむ沙織を見て、なんて爛れた生活もとい性活を送ってるんだろうと思うヤツもいるだろう。
けどな……俺はコイツの密壺の味は知らないんだぜ。つまり沙織は処女なんだ。
結局、あれからあやせと似たような事を他の奴らから受けて、現在に至る。
んで、沙織の場合はパイズリ担当。
「んーなんでもねぇよ」
と、沙織の乳首を挿むクリップに結んだ紐を引っ張ってパイズリの速度を調整する。
ふ…馬を自在に操るジョッキーってのはこういうもんなのかね。
「あ、兄貴……綺麗にしてきたよ」
下半身を露出させた桐乃が部屋に入るなり、ケツ穴を広げて見せてきた。
「手で広げなくても、お前のアナルはもう開きっぱなしでバイブで蓋しないとどうにもなんねえだろうが。
つーか、俺が一々チェックしなくても、お前が雑にケツ穴洗う訳がないって分かってんだよ」
大方、俺に菊門見せて興奮しているんだろう。
「ちょっと待て。お前、部屋から体操服持ってこい」
「体操服? どうすんの?」
「沙織に着せる。そんでピチピチムチムチの沙織の胸マンコ犯す」
「きょ、京介氏はスペシャルでござる!? リガミリティアの勝利も間違いなしでござるよ!?」
「本当に……ロクでもない事を考えさせたら天下一ね。
一度貴方の頭の中を透視してみたいわ。さぞかし愉快な淫虫が巣くっているのでしょうね」
バスタオルで髪を拭きながら、黒猫がコチラを睨んでくる。
「そう誉めるなよ。またお前の髪で扱いて欲しくなるだろ?」
「洗ってきたばかりなのに冗談じゃないわ!」
「いや、濡れた髪の感触はそれはそれで……それに、お前なんか興奮してね?」
「それは、貴方の妹がお風呂場で……その、不浄の穴を洗うだけで一度いたしたからよ」
ほうほう、つまり桐乃がよがる姿を見て興奮したと?
「とんでもない兄妹だわ。前世はサキュパスに違いないわね」
ふいに携帯のコールがかかる。かけてきたのは……
「よう、あやせか?」
「あ…ちゅぷ…お兄さん……ちゅる……今、お仕事終わりました……ちゅる……」
ふ…あやせのヤツ、我慢仕切れずに俺の声を聞きながら自分の指を舐めているらしい。
「おう、今から家こいよ。俺達しかいないからよ。たっぷり喉の奥に突っ込んでやるぜ」
「もう…んちゅ…お兄さんの変態は…ちゅ…治りませんね……んふ……」
「あ、そこにブリジット居るか? いるなら一緒に連れてこいよ」
ブリジットのふにふにした足の裏で亀頭を擦られるのは、あやせにイマラチオするのとはまた別の良さがあるのだ。
「兄貴ー、体操着持ってきたよ」
桐乃が俺の横に座る。ただしケツを向けて。
「でも先にあたしのケツマンコ使ってからじゃないと貸さないから」
これだよ。俺とセックスするようになってから、多少は従順になったとはいえ、相変わらずの我が侭っぷりである。
仕方ない、指四本まるまる飲み込むまでに広がった桐乃の菊穴を
俺のゴルディオンハンマーでぶち抜いて、綺麗なピンク色の腸肉を引っ張り出してやるとするか。
まあ、こんな感じなわけで、俺は誰の処女を奪うこともなく
清い交際をみんなと続けているわけだ。
何がかおかしい気がするんだが、一体何がおかしいんだろうな。
おわれ
>>78 GJ
お前はHENTAIだな!(誉め言葉)
それも超弩級の!(誉め言葉)
ケツ乃、フェラせ、かみ猫、パイ織、足ジット……
加奈子は腋コキ、リアが素股専用だとして
麻奈実と瀬菜がオパーイで沙織と被ってるな
つまり何がいいたいかというと
京介もげろw
麻奈実は前の穴、瀬菜はペニバンつけて京介の穴開発だな
前の穴は使わないという淑女協定を破るとは……
やはりベルフェゴールはラスボスか……
馬鹿やろう!瀬菜チーはそれでOKとして、地味子には眼鏡こきという(ry
いやあ、顔射の的兼オナペットじゃねえの?
86 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 12:36:02 ID:KD3nSt6+
そしてフェイトさんは社会復興を目指して
風俗のマットプレイの練習だな。
このスレ変態しかいねぇwwwwww
駄目だこいつら。はやくなんとかしないと……
おまんこ童貞とか真顔で言ってた俺より頭の沸いてるヤツがいて安心できました
>>78 GJだ。しかし一箇所間違ってる。
× イマラチオ
○ イラマチオ
>>86 社会復帰じゃなくて社会復興かww
フェイトさん少子化問題解決解決してくれるのか
F・刹那「これが、世界の歪みか・・・」
まだ飲尿スレになってないのか
進化が遅いな
94 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 22:31:05 ID:ZdQG49yD
京介が放尿なんかしたらくんかたんが嗅ぎに来ちゃうだろ
京介が兵庫県西宮市の私大に進学し、近くの高校にいる宇宙人・未来人・超能力者を求める団体に絡まれるシーンが浮かんだ。
キャラの立ち位置的に似てるからだろうか?
その団体の求人に、クンカーは含まれますか?
>>41 すげえ良かった
ぜひまた書いてくだしあ 桐乃可愛いわ
もっと長かったら最高だた
サボってたら2スレ進んでたぜ・・・
流れ早いなあ
マイラブリーエンジェルに出会った時からの続きでラスト
「デート…なんですね」
「あ、あやせ。これはだな…」
なんとか説明しようと思ったが出来なかった。
前回から知り合いに会いまくる上に、しかもよりにもよってあやせだ。マジで俺って呪われてるんじゃなかろうか?
「お兄さん、桐乃に手を出したらぶち殺しますよって言ったの覚えてます?」
光彩の消えた瞳であやせがにじり寄って来る。
もちろん忘れるはずもない。どんだけ俺がこいつを恐れていると思ってるんだ。
今だって近づいてくるあやせから離れることも出来ず、俺は「あ…ああ…」と声にならない声を上げているだけだ。
いや、俺だけじゃない。桐乃もこの迫力に言葉を失っているようだった。
キレイな顔…してるだろ?うそみたいだろ?殺そうとしてるんだぜ…こいつ…。
それに錯覚だろうか?何も持っていないはずなのに、あやせの手に何か光る物が見える気がする。マジ怖え。
「で、でもお前さあ、俺たちの事認めてくれたんじゃなかったの?」
だが恐怖で動かぬ体にムチを打って、俺はとある事実を口にした。
そう。こいつは知らない訳ではないのだ。というか当事者の一人であるのだが、そんなの説明してる余裕ないよね。
「う…それは」
ともあれ今の俺の言葉で、あやせの表情に光が戻ったようである。
やれやれ、助かった。どうやら今回も死ななくて済みそうだ。
そしてやや脱力した俺にあやせが言う。
「も、もちろん認めましたよ?桐乃の為ですし…。でも、こういう事まで認めた訳ではありませんから」
「こういう事って…。ただのデートだよ。お前が思ってるような事なんかないって」
「ええ分かってます。今はただのデートですよね。だけど実際にこうやってデートしてるって事は、手を出すのも
時間の問題って事じゃないですか?お兄さんの変態っぷりからして我慢できるとも思えませんし。だから言ってるんです」
へーなるほどね、だからかあ。
……いやその理屈はおかしい。俺って奴はどんだけ信用がないんだよ。
確かに俺は、あやせの前で少しだけハメを外し過ぎたかも知れない。だけどさ、誰が見たってあんなのただのスキンシップの延長でしょ?
それなのにたったそれだけの事でこうも変態に思われるだなんて、甚だ心外もいいところである。
ていうか俺も言いたいんだが、どこの世界に親友の兄貴を手錠で縛り付けるような女子中学生がいるんだっての。
むしろお前の方が変態じゃねーかと思うぜ。桐乃だって最近のあやせは頭がおかしいなんて言ってたしな。
まあでも、
「そういう事かよ」
そう不安に思っているならば、それを取り除いてやらなきゃいけないのは間違いない。
フッと微笑みながら、俺は改めてあやせへと向き直る。
「大丈夫だ、安心しろあやせ。誓ったっていい。桐乃にはそんな事しないよ。何故なら」
そして、これ以上ないくらいに真っ直ぐに見つめ、
「俺が手を出すのは、お前だけと決めているからだ!!」
言ってやった。どーだ今の俺の真摯な言葉は。
これであやせも桐乃には手を出さないって信用してくれるだろうぜ。
現にホラ、今までとはうって変わった目で俺を見て……ん?
「あ…あんた…」
「なっ…なっ…」
あれ〜?何かな、この反応は?
なんか思ってたのと違うけど、これってひょっとして。
「この、変態があああああ!!」
「やっぱり死ねエエェェェエェェ!!」
・ ・ ・
「お前ら少しは加減てもんをだなあ…」
「うっさい、バカ」
「ほんっとに最低ですね。お兄さんは」
痛む体をさする俺に、二人の辛辣な言葉が突き刺さった。
おかしいな?かなり正解を言ったと思ったんだが、どこでどう間違ってしまったんだろうか?
ま、結果としてはあやせの不安を解消できたようなので良かったんだが…いまいち釈然としねえな。
「―――て事だから、桐乃も注意してよ」
「うん。分かった」
複雑な俺の視線の先では二人が会話を続けている。
もちろんこっちには一瞥すらくれない。別にいいけどな、ふん。
「…ところで桐乃。あのお店の方から来たような気がしたんだけど、まさか行ったの?」
「え、うん」
「ふーん…」
と相槌を打つあやせだが、何事かを考えているようだった。
そして、すぐに軽いジト目を桐乃へと向ける。
「アレ、頼んだの?」
「えーと、それは…」
「き・り・の?」
「た、頼んだ…」
怯えるように桐乃が答えた。
表情こそ笑顔だったが今のあやせの声はマジだったと言っておこう。
しかし今のやりとり、何かが引っかかる…。
「なああやせ、あれってなんだよ?俺たちが頼んだのってカップルセットとか言うヤツだけど、違うのか?」
「ええ。それですよ」
「そうか。けど、なんか気になる言い方だったが、ひょっとして頼んじゃまずかったとか?」
質問を重ねてみる。それが違和感の理由だと思ったからだ。
だが返って来たのは、相変わらずの冷たい視線と、更に俺を混乱させる一言だった。
「お兄さん。お店ではどんなお客さんが目につきましたか?」
「どんな?ああ、カップルがやたら多かったよ。前行った時は女の子ばっかりだったけど、今日はどうしてだか違ってたな」
「どうしてだと思います?」
「ちょ、あやせ!?」
「桐乃。正直に言わなきゃ。じゃないと私、また反対しちゃうよ」
「う…」
毅然としたあやせの口調に桐乃が口をすぼめた。
正直にって、いったいあやせの奴はさっきから何を言いたいのだろうか?
困惑する俺に、表情を変えずにあやせが繰り返す。
「改めて聞きますけど、どうしてだと思います?」
「カップルしか頼めないし、完食したら記念品がもらえるから。だと思ったけど」
「当たりじゃないですね。ハズレでもないですけど」
そして、一拍置くようにふぅと呼吸をした。
「雑誌で特集されたからなんです」
「雑誌?」
「はい。実は前からあったらしいんですけど、記念品を貰ってそれに二人の名前を書くと、お互いにそれを持っている限り
その二人はずっと幸せでいられるっていう噂。それが最近特集されたんです」
なんだそりゃ?そんな理由でカップルが多かったってのか?
明らかに何の根拠も信憑性も無い噂だし、さっぱり理解できんぞ。
「不思議そうな顔してますね。でも、そういうもんなんですよ」
そういうもん…なのか?
いまいち分からない俺は、思わず桐乃を見る。
「し、知らないっつーの」
フンッとそっぽを向かれてしまった。
なるほどな。どうやらそういうもんらしい。どうりで行きたがってたし、完食にこだわってたって訳だ。
記念品に執着するなんて、なんかおかしいと思ってたんだよ。ったく、正直に言えっての。
とは言え、そんな素直なのそれこそ桐乃らしくないか。今だって態度の割にはそこはかとなく顔赤いしさ。
まー、そこが可愛いところなん―――
「お、お兄さん!い、今絶対に破廉恥な事考えてましたね!?」
「え?は?…してねーよ!」
「いーえ、嘘です!今の顔は間違いなく考えてた変態の顔でした!まったく、どうしてそうなんですか!?
一瞬でもお兄さんを信じた私がバカでした。だいたい、お兄さんは今まで私に散々セクハラしてきましたよね?
私がお兄さんと付き合う事なんてありません、て言った時はあんなにがっくり来てましたよね?それなのに何でこうも
しれっと桐乃と付き合っていられるんですか?おかしいじゃないですか!?あれだけ本気だ本気だって言っておいて
やっぱり嘘だったんじゃないですか!まったくもう!どうせさっきの『お前だけだ』なんていうのも冗談なんでしょ?ふんっだ」
「ちょっと待ってくれよ。どうしたんだよ急に!?」
いきなり洪水のように押し寄せたあやせの言葉に抗うように、俺は必死に声を大きくする。
「なに、ひょっとしてヤキモチ焼いてる…とか?」
「だからそれは絶対に有り得ません」
OK。瞬殺されたぜ。
おまけに桐乃が物凄い恐ろしい目で睨んできてるんだけど、これって俺が悪いんですかね?
「とにかく、今後も桐乃に手を出すのは一切許しませんからね」
「分かってるよ」
「でも―――」
少しだけあやせの表情が変わった。
「桐乃を悲しませるのはもっと許しませんから」
依然として厳しい顔だったけど、それはどこか優しい声だった。
「…分かってるよ」
そして俺たちはあやせと別れ、やがて時間となった。
* * *
「やれやれ。それにしても門限ギリギリだったな」
「まったくさあ、Suicaのチャージくらい事前にしとけっての。あと一本後の電車だったらマジでアウトだったんですケド」
髪をかきあげながら、ぶーたれた表情で桐乃が文句を言ってくる。
家に戻ってきた俺達は今、夕飯の後で桐乃の部屋でだべりながら、風呂までの時間を待っているところだ。
ちなみに、親父達には俺たちが出かけていた事はもちろんバレているのだが、あらかじめ今日は沙織達と遊ぶという事にしてあるので
特に何も言われていない。
知られたら半殺しだなんて最初に言ったけど、実は凌げるように手は打ってあったんだよ。
もし誰か経由で知られても、そういう罰ゲームだったで切り抜けられるしね。どうだい、ちゃんと考えてるでしょ?
まあそれは置いといて。
「仕方ねえだろ。てか俺は行きにやろうと思ったのに、お前がそんなの後回しにしろって言ったんじゃねえかよ」
「ハァ?なにそれ。あたしのせいだっつーの?」
ガタンと椅子を鳴らして、桐乃が目を吊り上げる。
その通りじゃん。と言ってやりたいが、ここで我慢できるのが大人な京介さんだ。
「ちっ。だいたいあんたがマジバカで要領悪いから親切で言ってあげたってのにさぁ。逆にあたしに感謝するところなんじゃないの?
あ、バカだからそれも理解できないか。ならしょうがないよね」
ぐおおおおおっ!ムカツク!
だいたいお前、なに携帯いじくりながら言っちゃってくれんのよ!?
せめてこっちを見て言え、コラ!
「なに一人でぷるぷる震えてんの?嬉しいの?マゾなの?」
「そう見えるのかよこれが!耐えてんの!」
「ふーん。それよりもさ、ねー見て見て、この写真」
俺の怒りをあっさりスルーして、桐乃が携帯の画面を見せてくる。
そこには腕を組んで笑顔な俺達の姿があった。ポートタワーで係の人に撮ってもらった物だった。
「お、おう。良く撮れてるな」
「でしょ〜。あたしってほんとカワユイよね」
そっちかよ。
「でもお前気を付けろよ。こんなラブラブな写真を誰かに見られたら色々と面倒だからな。特にあやせはもっての外だぞ。殺される」
「分かってるって。あたしがそんなヘマすると思ってんの?」
いや〜、ぶっちゃけ思ってますから。だってお前、エロゲー2回も落としてバレてるしさ。まあ一応信じるけど。
「あーそうそう。あとさ、次の予定決めといてよね。スケジュールちゃんと空けとくから。でもあんまり先だと分かんないからダメ。
だから今月中にすること。いい、絶対だからね!」
「はいはい、分かったよ」
一方的な通達に、苦笑しながら言葉を返す。
「ところで、一つ聞いていいか?」
「は?何?」
「今日の事だよ」
ここで、俺は唐突に話題を変えた。
実は家に帰って来てからずっと気になってる事があったからだ。桐乃にとっては今日はどうだったんだろうか、という事だ。
俺としてはまあ楽しかったし、良かったよ。だけどそれはあくまで俺の意見であって桐乃の意見じゃない。もしかしたら、こいつは
そうは感じて無いかもしれない。
情けねえ事にそれが気になっちまって、結構ビクビクしてたんだぜ。
「…お前的にはどうだったんだ?」
「んー……ま、70点てとこかな。取り敢えずギリ合格」
「それってスゲー微妙なんだけど、喜んでいいのか?」
「んな訳ないでしょ。これから精進しろって事に決まってんじゃん」
そりゃそうだろうな。こっちだってそんな簡単に高得点取れるとは思ってないし。
ただ、この点数って事は。
「…つまらなかった、とか?」
「……バカ。楽しかったに決まってるし…」
「そっか」
なら、良かったよ。これ以上は何も言わねえ。ホッと安堵すると同時に、口元が緩むのが分かった。
と突然、桐乃が勢い良く椅子から立ち上がってこう言った。
「だからさ、点数はあれだけどまあ楽しかったし、あたしの為にちゃんと頑張ってくれたってのは分かったから、ご褒美あげる」
「ご褒美?」
いきなり過ぎて冗談かと思ってしまった。だが桐乃の表情を見ると、どうやらそうでもないらしい。
新作のエロゲーでもくれるっていうのだろうか?しかし頑張ったご褒美だなんて、それこそゲームのクリア特典みたいだな。
などと考えていると
「んと…その…」
何を口ごもってるんだ?いや、そのもじもじしてる姿は可愛いけどさ。
「ちょっとこっちに来てよ……」
「お、おう」
俺も腰を上げ、言われた通りに桐乃へと歩み寄る。
「準備するから目閉じてて」
なんだろう、準備が必要って事はやっぱ物だろうか?
ひょっとして、いつか押入れの中でみたスカトロ*シスターズじゃないだろうな?
……ありえる。だから言いづらそうにしてたってのか?
まさか次はそっち方面へと俺を誘おうとするんじゃあるまいな!?どうなんだ、おい。
なあ桐、の―――!?
甘い桐乃の香りと共に、柔らかく温かな何かが、俺の唇に触れた。
慌てて目を開けるがそこには何もなく、残り香だけがふわふわと漂っている。
「な、なっ!?」
「だから、ご褒美」
「いや、そうじゃなくて…!」
未だ唇に残る感触に、高鳴りっぱなしの胸の鼓動が収まる気配は無い。
「初回限定の特典だから…。だから今日はこれだけだからね」
耳まで真っ赤に染めた顔で桐乃が言う。
「もし別のご褒美が欲しかったら……もっと頑張ること。分かった?」
「…別の…?」
……
……!?
「お前、それはダメだよ!?」
浮かんだ答えに自分自身でも驚く程に動転してしまった。
そんな俺の様子に初めはキョトンとしていた桐乃だったが、ハッと気がつくとこちらもまた慌てたように言い返す。
「ちょ、ちょっとあんた、なにやらしい事考えてんの!?このバカッ!」
「だ、だってお前が…!」
「ち、違う!」
ベッドにあったクッションが俺に飛んできた。
「そういうんじゃないっつーの!どうしてそんな直結型な変態なワケ!?キモッ!!だいたいあんたあやせに言われてるでしょ!?
あんたがあたしに…その…変なことすんのはダメだってさぁ!」
「そ、そうだよ!俺がお前にそんな事出来る訳ないだろ!?」
「分かってんじゃん!“あんた”が“あたし”に出来るワケないもんね!あ・ん・た・が!」
「何度も言うなよ、しつけーな!そんなの分かってるって言って…」
「だからぁ―――!」
ヒートアップした桐乃の顔がグワッと近づいてくる。
殴られる―――そう思った俺だったが、直ぐにそれが間違っていた事を思い知らされた。
今度はハッキリと分かったからだ。
俺が桐乃とキスをしたって事に。
「…んっ……はぁ…」
熱を帯びた息を俺の顔に当てながら、桐乃の顔が遠ざかっていく。
どれくらいだっただろうか?一瞬にも思えたし、数分とも思えた。
ただどっちにしろ、時間なんて分からなかった。
離れて行くお互いの唇の間に、名残惜しそうに引かれた糸が光っている。
そしてそれを人差し指でそっと拭って、桐乃が呟く。
「だから、あたしからするから……」
「あ、ああ…」
真っ白な頭で俺はただ音を発する。
「でもさっきも言ったけど、だからって“そういう事”はしないからね。………まだ…」
「ああ……」
…ああ?
一瞬何を言われたのか理解できなかった。だが次第に、水に垂らした絵の具のように、その意味が全身にゆっくりと広がっていく。
「…お、お前…今なんて?」
「…っ!?」
後から思えば、どうやらそれは桐乃にとっても無自覚だったらしい。
一気にテンションが変化していくのが見えた。
「う、うるさい。なんでも無いっ!てかもういいから!ほら、早く自分の部屋に戻れっ!」
狼狽えながら目を><←こんなにして、ドアの方へ俺をぐいぐいと押していく。
もちろん今の俺に抵抗なんてできるはずがない。ただされるがままだ。
そして桐乃はトドメとばかりに廊下へと俺を蹴り出すと、んべっと舌を出して、バタン!とドアを閉じた。
「……」
身じろぎもせず、呆然と立ち尽くす俺。
睨んだり、笑ったり、怒ったり、照れたり、そして最後にケツを蹴ってきたり…様々な桐乃が脳裏に浮かんでは消えていく。
「…ぷっ」
と、なにやら急に可笑しさが込み上げてきた。
「そうだよなあ」
そして独りごちだ。
だってそうだろ?俺はいまだに桐乃の事が全然分からない。いや、多分これからも分かることは無いだろう。
あいつはいつだって素直じゃなくて我侭で、俺の都合なんかこれっぽちも考えてくれやしない。
だけど、それでもそんな可愛く無い妹が、俺は何よりも大切で大好きなんだ。
だからさ、部屋に戻る前にあいつにはっきり言ってやるんだぜ。
「おい桐乃、次だけど―――」
そして俺は、わざとらしく一つ咳払いをして、ドアの向こうに居る桐乃に向かい
「また明日、な」
おしまい
最後はぐだっちゃったなあ・・・。申し訳ない
次やるならエロ書きたいな
GJ
乙
別のご褒美……ゴクリ
いや、GJでしたぞ
こんな可愛いきりりんも珍しい
クンカーじゃない桐乃...許せる!!
>>79-94のHENTAIの電波が、さらに京介を鬼畜変態へと進化させてしまった。
京介サイテー男化でスカやら微グロまでやってしまうので、耐性無い人はBキャンセル推奨だよ?
大学に進学した俺は、一人暮らしを始めた。
俺の彼女達との性活には、両親がいるあの家では窮屈すぎたからだ。
部屋は沙織が用意した。2LDK。
一部屋は大学生としての俺が過ごす為の部屋。
もう一つはアイツらの彼氏として俺が過ごす為の部屋だ。
後者の部屋はコンクリ張りで掃除がし易いようになっている。
あと鎖とか、マットとか、本田ホワイトベース……じゃなかった、三角木馬とか。
「沙織、出すぞ……」
沙織の下乳から愚息を引き抜くと、部屋の薄暗い照明に反射する乳首ピアス目がけて白濁を発射した。
「ふぅ……」
「あは…たっぷり出たでござる……んちゅ……」
沙織がウットリと声を漏らすと、今だ奮える俺の肉棒に舌を伸ばした。
「……おい、誰がチンポしゃぶっていいって言ったよ?」
射精後の力ないペニスで、沙織の頬を数度叩く。
「ううぅ…拙者も京介氏のおちんぽを一度しゃぶってみたいのでござる……」
一回だけ、とお願いをする沙織に対し俺は首を振る。
「フェラしていいのはあやせだけだ。そういうルールだろうが」
そういうのは一度破ったら、雪崩式に他のヤツも破らなきゃならなくなる。
まったく……沙織はそういう事は一番考えてくれると思ってたんだけどな。
「今度、もっと新しいプレイ考えておくからよ」
沙織の豊満なバストを揉みし抱き、俺が放った生暖かい精液を染みこませながら囁く。
「も、もっとでござるか……」
「ああ、だからそれで我慢しろ。他の連中だって、俺にパイズリしたいってヤツはいるんだぜ」
物理的にできない奴もいるけどな。
っていっても、オッパイは挟むだけのプレシャスじゃないけどね!
「ふぅっ……腹減ったなぁ……」
部屋に置かれたソファーに腰を掛け、俺は呟いた。
昼は麻奈実に尿を飲ませはしたが、俺は何にも口にしていなかった。
っていうか、麻奈実を公園のトイレに置きっぱなしだ。後で回収しねぇとな。
いや、待てよ? たしか今日は桐乃達も家に来る筈。丁度良いから、アイツらに回収させて……
ものぐさな事考えていたら、「ピンポーン」って呼び鈴の音がしやがったよ。
「あれ? 沙織来てたんだ」
来るのはえーよ……とは言わないでおく。言えば癇癪を起こすのが目に見えてるからだ、俺の妹様は。
「お、お邪魔します……」
うんうん、ブリジットちゃんは挨拶ができて偉いなー
それに比べて桐乃、お前は親父の躾もあって、実家じゃ靴だってキチンと揃えてたってのに
俺ン家くるとなんでそう、挨拶もせずに上がってくるんだ、お前。
「きりりん氏とゆっくりお話したいのでござるが、拙者用事があって、これで失礼させてもらうでござる」
「あ、そうなのか? おい、沙織、ちょっとこっちこい」
身支度を調えた沙織のシャツのボタンを再びはだけさせ、フロントフォックのブラを外し乳首に噛みつく。
「はうっ!?」
充血した乳首を見て、俺はちょっとした征服欲を満たした。
「ふぁっ…ふぁっ…」
ブリジット膝の上に抱きかかえながら、金髪から覗く耳に舌を這わせる。
異物が耳の穴をうねる感触に、幼女の小さい身体が俺の上でバタついた。
「この黒いタイツの下はどんなパンツ穿いてるのかなー?」
「兄貴ってさぁ、ソッチの趣味の人」
オイコラ、この姿を見て何をどう勘違いしたらそうなる。
パツキン幼女の黒タイツを膝の上で破る男――どうみても足フェチだろうが。
百歩譲ってもロリ&ニー。
断じて100%のロリじゃない。いわばハーフ&ハーフ。
ロリコンメモリとニーメモリでクロスアウッ!した正義の味方に決まってんだろ。
「つーか俺がロリなら、お前抱いてねぇだろうが」
「なっ……そ、そりゃそうだけどさ……」
「そもそもお前にロリ言われたくねぇ。お前、途中でブリジットを襲っただろ?」
ブリジットと桐乃が目を見開き、ブリジットは直ぐさまブンブンと首を振る。
く……なんて健気な。桐乃を庇おうとしていやがるぜ。そんな良い子にはご褒美だ。
千切れたタイツから円を描き、ブリジットの白い肌を覗かせる。そこを触れるか触れないかの距離で撫でてやる。
「はぁうぅん!?!」
俺が丹念に開発した彼女の足は、今や全脚性感帯といって差し支えないのだ!
「お、襲ってなんかいない!」
「は? んじゃこのシミはなんだよ」
ブリジットの膝を抱え、M字に開脚させて桐乃に向ける。
……おい、しまりの無い顔でブリジットのパンツ見るなよ。やっぱお前変態だろ。
「ブリジットはお前と違って、ちゃんと我慢できる子だからな。俺にヤられるのを想像して濡らすようにはできてねぇ」
「お、襲っていないってば! ちょっとペロペロしただけ!」
それを世間では襲うというのではないでしょうか?
「お前さ、こんな小さい子にんな事していいと思ってんのか?」
この画面の向こうの人達の怒りの声が聞こえるぜ、「お前が言うな」ってな!
「お兄ちゃん、あまり桐乃ちゃんを虐めないで」
「ブリジットがそう言うなら、仕方ないな……」
ブリジットはお礼の意味を込めて、俺の半分ぐらいしかない小さな手で俺のシャツのボタンを外すと
俺の乳首にさくらんぼのような唇でキスをした。
「か、可愛い……」
それは同意するが、桐乃、鼻血を拭け。
「ブリジット、今日はブリジットの膝の裏を使うからな」
「はい」
要望を受けたブリジットが、身体の位置をずらす。
右膝だけに身体を乗せ、バランスと取ろうとする彼女を後ろから支えてやると、それだけで嬉しそうに笑った。
くぅぅ…この純心さの1割でも桐乃にあれば……
などと考えながらも、俺のマジックステッキはメテオインパクト状態だ。
それをブリジットが左足の太股の裏で挟んで扱く。
子供特有の高めの体温と、柔らかい肌が怒張に密着し、破れたタイツがこそば痒く裏筋を刺激してきた。
「いいぞ、上手だブリジット」
「えへへ」
さて、後は桐乃だが……
なんてこの刺激から逃れる為に別の事を考えてみたり。
いや、だっていくら気持ちいいからって、幼女に即KOは俺のプライドが許しません。
「おい桐乃、俺は腹が減ってるんだ。ゆで卵入れてたろ、出せ」
「え…う、うん」
こいつ、見入ってやがったな……
ぜってー「アルファちゃんが犯されてるよぉ…ハァハァもげーー!」とか考えて顔だ。
まあいいけどよ。沙織みたいに自分も足コキさせろと言ってくるよりは、他人に迷惑かけないしな。
「じゃ、じゃあ今から玉子出すね」
手際よくスカートを脱いだ桐乃が、がに股になりながら宣言してきた。
だが、断る。
「どこから生むか、ちゃんと言え」
「あ、あたしの……妹のケツマンコから玉子生みます!
兄貴に妹腸で温めたホカホカゆで玉子、食べて貰うために、ひり出すの!!」
俺が頷くと、桐乃は紅潮した顔を歪めて括約筋に力を入れ始める。
桐乃のケツマンコは俺の努力のかいあって、玉子の2、3個なら余裕で飲み込むが
出すとなると繊細な動きが要求される。力みすぎて玉子が潰れ、
黄身と白身が混ざってボロボロになった状態で桐乃のケツ穴から出てきたらホラーだ。
「ん…ふぅ……ふぅ…」
そんな訳で桐乃は慎重に、少しずつ自分の腸壁を動かして玉子を落としていく。
玉子の球体が腹部を圧迫する度に、桐乃の秘所からは愛液が零れた。
「いいぞ、桐乃。白いのがちょっと見えてきた。頑張れ、頑張れ」
俺が応援すると、健気にも桐乃はペースを速め、身体をよじりながらも玉子を産み落とそうとする。
そうはさせまいと踏ん張る白身が、桐乃のピンク色の腸肉に吸い付いて離れない。
ツルツルした玉子の表面は、腸液によるものだろう。
「はっ…はぁっ……っん…ふ……ぇ…」
桐乃は酸素を掻き集めるように、空へ舌を伸ばしていた。目の焦点はもう合ってない。
僅かに残った羞恥と、ケツ穴から受ける快楽に、茹で上がってしまったらしい。半熟ぐらいか?
「はひゅっぅ…!」
ポンっと桐乃が一つ目の玉子を床に産み落とした。弾力のある玉子は、僅かに床を跳ねて俺の元へ転がってくる。
ブリジットが身を屈めてそれを拾うと、俺に食べさせてくれた(マジよい子)
「もぐもぐ……酸味と塩気が効いていて中々だぞ。ほら、次も頑張れ」
噛み砕いた玉子をブリジットに口移しで分けてやりながら、桐乃に促してやる。
桐乃の小ぶりの可愛い尻から、腸襞がはみ出て戻らない様が、エロい。今度しゃぶろう。
「おじゃましまーす。お兄さん、言われたとおり、お姉さんを連れてきましたよ」
流石に子供のブリジットは遅くなると家の人が怪しむ。
名残惜しみつつも、彼女を帰し、桐乃を責め立てて時計の長針が一周した頃
あやせがやってきた。事前に連絡した通り、麻奈実を回収して。
「おう悪いな、あやせ」
コートにくるまった麻奈実はどこか上の空だ。
ちょっと放置プレイが長すぎたか?
まあいい、大事なのは麻奈実が俺専用便器だって事だ。
精液から小便、大便まで、身体や口ん中で受けとめるのがコイツの役目だ。
コートをひっぺ返えされ、緊縛された痕やマジックの落書きを落とす暇もなく(どうせ汚れるしな)
麻奈実は俺に手を握られてトイレに向かう。
「あの、お兄さん? 桐乃は?」
「ん? 寝てる。やっぱケツ穴をグラス代わりにしてワイン注いだのが悪かったかな?
まあそういう訳で俺の膀胱も我慢の限界なんだわ。だから詳しいことは後で」
「お兄さん! 何考えてるんですか! 桐乃は未成年ですよ?! お酒なんて!!」
うおっ…ちょっとチビった。あやせ怖っ!
「い、いや、桐乃は飲んでないよ、うん。ケツ穴にワイン注いだだけ(大事なことなので二回言いました」
まあ、口内摂取よか腸内摂取のほうがヤバいと思うけど、それは言わないでおく。
「お兄さんも未成年じゃないですか!」
あ、そうだった……ヤベー、あやせたんの目から光が無くなってくよ……
「……どうしてお兄さんは私を怒らせるんですか?」
「いや、怒らせるつもりはないんだけどね……結果的にそうなってしまうというか……」
「私はこんなにお兄さんの変態性欲を受けとめているのに、ちっとも収まる気配がないし……」
それはあれだ、むしろ逆効果だ。ドンドン俺はレベルが上がっていってる気がするぜ。
「私は……お兄さんの為に歯まで抜いたのに」
「は?」
え? 今なんて? 歯?
「ふふふ……ちゃんと調べたんですよ。歯の無い口でじゅぽじゅぽすると気持ちいいんですよね?
だから私、抜いちゃいました。モデルは歯が命なのに……お兄さん専用の口マンコになるために
全部抜いて、入れ歯にしたんですよ? ふふふ……さっそく試してみますか?」
すぽっと総入れ歯を外すあやせ。
わーホントに歯がなーい。口を閉じると唇が窄まってるよ?
…………ドン引きです。
レベル上がったとか自惚れて済みませんでした!!
俺なんて鳥無き島の蝙蝠でした!!
「あやせ…その、俺……なんていったらいいか……あうっ!?」
あ、あやせさん、そんな激しっ……
「じゅぽっ…じゅるっ……はむっ…きゅっ…きゅっ……」
う、うおぉぉ!? た、確かに気持ちいい。
比較にならないほどの肉の密着感と、圧力……
歯茎の凸凹が肉棒に刺激を与えつつ、表面の粘膜が喉奥への挿入を容易くするっ!?
こ、これがレベル5の性癖……っ!?
「じゅるるるる……ちゅうぽっ…ぬぽぽ……ちゅるるっ……」
この未知の領域に、俺があやせに仕込んできた舌使いまで加わるというのか……!?
いや、それよりも、このフェラをするあやせの顔を見ろ!
まるで泥濘の底、まったく光を映さない純然たる黒……
ああ、ゾクゾクしちゃう! そんな目で見上げられるとゾクゾクしちゃうぞ、お兄さん!
二重、三重の意味でゾクゾクしちゃってりゅうぅぅぅん!
まさか瀬菜にケツの穴を舐められるよりゾクゾクする事があったなんてっ!?
「ぐう……あやせ! 出るっ!!」
「じゅるっっ……んぷっ!? んんー…ごぷっ…んっぷ…ん…あむ……こくこく……」
ふ……俺も堕ちたな……
桐乃達が帰り、一人になった部屋で俺は天井を見上げた。
知らない天井だ……いや、知ってるけどね。でもあれじゃん、天井って滅多に見ないよね?
「緊縛に、露出に、ピアスに、あと電気とかもやってきたけど……
まさか歯抜きとはなぁ……やっちまったなぁ、俺。立派な鬼畜野郎だぜ」
もうとっくにだろうって? まあ、な。けどあれだ、魔界は広いんだよ。
A級以上の妖怪を一括りにS級って呼んでるだけで、S級にも沢山あるんだよ。
そういうこった。
「しかし、あやせがフェラに乗じて飲尿までしようとしたのは危なかった」
沙織の事もあるし、そろそろそれぞれのプレイだけで通すのは限界かも知れない。
俺もいい加減マンコ童貞卒業したいしな。
「どーせなら生でしたいけど、さてどうするか」
一応、お金のアテはあるんだよ?
そんな今みたいに沙織の金をアテにしてるだけの最低人間じゃないんだぜ、高坂京介は。
ふと、玄関の空く音が聞こえた。
時計を見ると、もう日が昇り始めている時間だ。
「フェイトさん、待ってたぜ」
俺は彼女を抱きしめると、優しくキスをした。
他の子と違って、俺は彼女を汚したことはない。
こうやって、人の温もりに飢える彼女を抱きしめ、愛撫してやるだけだ。
「んっ……はぁ……」
暫く俺に身を委ね、ゆったりとした絶頂を数度味わったフェイトさんは
まどろみから覚めると、封筒に入った札を俺に渡した。
彼女が風呂に沈んで稼いだお金である。
そう、つまり彼女が俺のアテというわけだ。
……俺は一体ドコで道を踏み外したんだろう。
おわれ
京介…そこまでディープなプレイをクリアしといて童貞かよ!
まぁ裏で実の母親で卒業済みとかじゃないだけマシ…なのか?
>118 その発想はなかったwww
読んでてキンタマ縮んだわww
さすがに歯抜きにはドン引きです
ケツから出した卵を平気で食ってる方に突っ込めよw
ねぇ、誰か病院持ってない?
ソッチ系の興味はないけど、創作した努力は評価しまっせ
乙
ねくろかにば辺りがこないだけうそふげそでるりゃ
tsものはまだでおじゃるか
……凄すぎるw
これがエロパロか……
そろそろ担架を用意するべきか……
さて…3スレに跨がった「家族ゲーム」もようやく一応の完結
前回投下の際、ロリりんが意外に好評だったようなのでつい増量してしまった…
さすがに家事をあやせに全部任せるのは気がひけたので、風呂掃除をすることにした。
浴槽に上半身を突っ込みスポンジで擦っていると、背後から声がかかった。
「おにいちゃん、なにしてるの〜?」
振り返ると、桐乃が興味津々という顔で俺を見ていた。俺は掃除を再開しながら答えた。
「お風呂を綺麗にしているんだよ。綺麗なお風呂でサッパリした方が気持ちいいだろ?」
「うん!そうだね!」
「…っと、後は洗剤を水で流して終了だな」
桐乃に悪気はなかったのだろう。俺の手伝いがしたかったにすぎない。ただ不幸だったのは、桐乃はシャワーノズルをフックから外さないで蛇口を捻った事、そしてノズルが俺の方を向いていた事だった…。
「あ……あぅ………」
桐乃は自分のしでかした事に狼狽していた。
「…桐乃」
「ひぅっ…」
恐らく叱られると思ったのだろう、桐乃はギュッと目をつぶり首を竦めていた。俺は桐乃に尋ねた。
「濡れなかったか?」
桐乃は恐る恐る目を開き俺の様子を伺ってきた。
「うん…大丈夫…。おにいちゃん、怒ってないの?」
「なんでだよ。桐乃は俺を手伝おうとしたんだろ?」
桐乃はコクリと頷く。
「だったら怒る理由はないな。ちょっと失敗しちゃったけど、次からはどうすればいいかわかるよな?」
「うん!」
桐乃は元気一杯に頷いた。
「ここはもういいからテレビでも見てろよ。俺もここを片付けてから行くから」
「うん。でも…、そうだ!」
そう叫ぶなり桐乃は風呂場を飛び出していった。この間に掃除をさっさと済ませる事にする。シャワーを使い洗剤を流して終了、っと。
さて…この濡れネズミな有様をどうしようか。さすがに服を脱いで、バスタオルを腰に巻いて部屋に着替えに行くのはマズイよな…。万が一あやせに見られた日には…俺の身が危険だ。
途方に暮れていると、パタパタという足音共に桐乃が駆け込んできた。
「おにいちゃん、これ!」桐乃は、俺のTシャツとパンツ、それにズボンを抱えていた。ナイス桐乃!
「サンキュー!助かったよ」
俺はごく自然に桐乃の頭を撫でていた。桐乃は、まるで飼い猫が撫でられているときのように、気持ちよさそうに目を細めている。そして
「えへへ〜、どーいたしまして」
そう言うと、俺に着替えを渡し、またパタパタとスリッパの音を鳴らしながら脱衣所から出ていった。
足音が遠ざかるのを確認して、俺はさっさと着替える事にした。
ところでズボンはベッドの上に脱ぎっぱなしだったが、あいつシャツとパンツ仕舞ってる場所、何で知ってるんだ?
着替えを済ませ脱衣所を出ると、廊下にはカレーの匂いが漂っていた。今日は桐乃のリクエストで夕飯はカレーだった。
リビングからキッチンを覗くと、あやせの後ろ姿と、それに纏わり付く桐乃の姿が見えた。桐乃は嬉しげになにかをあやせにしゃべっている。
あやせは俺に気付くと声をかけてきた。
「すみませんお兄さん、少し桐乃を見ていてくれますか?今包丁を使っているので…」
お安い御用だ。テレビをつけながら桐乃に声をかける。
「桐乃、こっちおいで。あやせの邪魔をしちゃ駄目だろ」
「は〜い!」
うむ、素直で宜しい。
「すぐに出来るからもうちょっと待っててね」
それにしても…、ソファーに座りながら思う。エプロン姿のあやせも悪くない。むしろ悪くない所か新妻っぽくて……凄くいい!
バフッ!
ニヤついていると突如両膝に重みが…。
「へへ〜、来ったよ〜」
あろう事か桐乃が俺の膝に飛び乗ってきた。
「ちょっ!!桐乃!?降りろって!」
「や〜だ、だっておにいちゃんが来いって言ったんじゃない〜」
「いや確かに言ったがそういう意味じゃなくて…」
「えっへへ〜、おにいちゃんのお膝〜」
そう言いながら、俺の上で足をバタバタさせながらはしゃぐ桐乃。そうすると重心は必然的に腰にくるわけで…具体的には桐乃が足をバタつかせるたびに尻がふにふにと俺の腰の上で揺れているわけだ。
そんな風に刺激されたら…くっ!頑張れ理性!目覚めるな俺のリヴアイアサン!これが親の心子役知らずって奴か!
「き、桐乃!判った、座っていていいからもう少し大人しくしてくれ!でないと俺……足痛くなるから」
「うん!分かった〜!」
ようやく大人しくなった桐乃にホッとしていると、後頭部に強い視線を感じた。恐る恐る振り向くと、キッチンからあやせが光彩の消えた瞳で見つめていた。
こえぇぇぇぇぇ〜!
右手に握られた包丁が鈍い光を放ってるのは気のせいだろうか。あやせはゆっくりと口を開き、声を出さずに呟いた。
ソ レ イ ジ ョ ウ ナ ニ カ シ タ ラ ブ チ コ ロ シ マ ス ヨ ?
俺はただひたすら頷いた。ええもちろんですとも、妹にナニかするなんてあるわけないじゃないですか!ほら俺のリヴアイアサンも冬眠してますよ〜?
あやせは、そのままの表情でスーッとキッチンに向き直り、作業を再開した。
ホッとして向き直ると、俺とあやせの息詰まる寸劇に気がつきもせず、桐乃はテレビに映し出されるアニメに夢中だった。
しかし今のあやせは怖かったな…。見るともなしにテレビに視線を向けながらそう思った。あれはもうガチの殺人者の風格だよ。マーダーライセンス持ってるよ、ブラックエンジェルズか闇狩人に即就職可能だよ!
けど納得してくれてよかった…。してくれたよね?うん、したに違いない。だから背後から聞こえる包丁の音が荒々しいのも気のせいに違いない…。
「いっただきま〜す」
桐乃の元気な声が食卓に響き渡った。テーブルの上にはカレーライスとそれぞれに小分けされたサラダが並んでいる。
「はい、召し上がれ」
二人のやり取りを微笑ましく見ながら、俺もスプーンを口に運んだ。
「うまい!」
思わず呟いた。程よい辛さが食欲を増進させる。昼飯抜きだった事もあり夢中でスプーンを運ぶ。
桐乃も同様だったようで、あっという間に皿を空にした。
「おかわり〜」
そう言いながら、皿をあやせに突き出した。
しかし、俺にはちょうどいい辛さだが、桐乃は辛くないんだろうか?そんな事を考えながらガス台を見ると、カレーの入った鍋の横に小鍋があることに気付いた。あやせは、その小鍋からカレーを掬うと桐乃の皿にかけていた。
「ああこれですか?桐乃の分は小分けしてから牛乳を入れて、辛さ控え目にしたんですよ」
細かい気遣い、さすが女の子だ。多少形が崩れたトマトを食べながらそんな事を考えていた。
「ねえ桐乃」
「なぁに?あやせお姉ちゃん」
忙しく口を動かしながら桐乃が答える。
「桐乃は人参が嫌いなんだよね?」
「キラ〜イ」
「実はこのカレーに人参さんが入ってるんだよ」
その一言に桐乃の手が止まった。顔をしかめ、あやせを見た。そんな桐乃にあやせは言葉を続ける。
「でも桐乃はカレーを美味しいって食べたでしょう。それって人参も美味しかったって事じゃないかな」
「そう…なのかな…」
「桐乃は人参が美味しくないから嫌いだったんでしょ。でもこの人参の入ったカレー、美味しくなかった?」
「おいしい…」
「じゃあそれって人参が嫌いじゃなくなったって事じゃないかな。好き嫌い無くして、桐乃は一つお利口さんになったって事だね」
「お利口さん?」
あやせの言葉に桐乃は目を輝かせた。そして俺に顔を向けてきたので答えてやる。
「ああ、人参を食べれるようになったお利口さんだ。偉いぞ桐乃」
「えっへん」
自慢げに胸を張る桐乃に、俺とあやせは思わず吹き出してしまった。
「ふぅ〜サッパリした」
お客さんであるあやせに、先に入って貰おうと思ったのに
「桐乃の面倒を見ながら入らないといけないし、時間がかかるからお兄さん、先に入っちゃって下さい」
そう言われちゃ仕方がない。途中桐乃が一緒に入ると乱入未遂を起こしたり(もちろんあやせが防いだが)多少のトラブルもあったが、無事入浴を済ませ今は入れ代わりに二人が入っている。
麦茶を注いだコップを手にソファーに座った。普段ならさっさと部屋に引っ込む所だが、あやせの湯上がり姿を見るチャンスを逃すわけにはいかない!
しばらくボケーっとテレビ見ていると
「おにいちゃん!」
パジャマ姿の桐乃が飛び込んで来た。続いてあやせが入ってきた。う〜ん、湯上がりで蒸気して頬が紅くなっている。さらに髪がしっとりと濡れて色っぽいぜ!
「お兄さん、なんだか目がやらしいんですけど」
「そんな事ないぜ。あやせの湯上がり姿に見とれていただけだ!」(キリッ)
「なっ…またそうやって、すぐにセクハラを!」
「わ〜い!おにいちゃんセクハラ〜」
さすがのあやせも、桐乃の前で俺を張り倒すわけにはいかないようで
「まったく…お兄さんときたら…」
等と言いながら軽く頬を膨らませるだけに留まった。ナイス桐乃。
それから三人でテレビを見た。桐乃は当然のように俺の膝に座ってきた。横目であやせの様子を伺うと、じっとりとした半目でいかにも「私不機嫌です」という表情でこっちを見ていた。
テレビでは野生生物の親子の生態について特集していた。クマさんだ、ライオンだとはしゃいでいた桐乃だが、次第に大人しくなってきた。様子を伺うと、どうやらもうおねむのようだ。
「桐乃、そろそろ寝ようか?」
あやせも桐乃の様子に気付いていたようで、そう促した。
「う〜、でもぉ…」
桐乃は目をしょぼつかせながら、拒否の態度をとる。やれやれ、俺の膝の何がお気に召したのかね。こっちはそろそろ足が限界なんだが…。
「いい子はそろそろ寝る時間だろ。それとも桐乃は悪い子なのか?」
「そ…そんな事ないよ!桐乃いい子だもん」
「じゃあもうおやすみだ、いいな?」
「…うん、わかった……」桐乃はようやく俺の膝から立ち上がり、リビングから出ていこうとする直前くるっと振り向いた。そして、おずおずと声をかけてきた。
「…また明日も遊んでくれる?」
「ああ、もちろんだ。だから昼間眠くならないようにもう寝ろ」
そう答えると、桐乃の表情はパァッと明るくなった。
「うんっ!」
頷いてパタパタとリビングを飛び出して行った…と思うと、入口からヒョコッと顔を出し満面の笑顔でこう言った。
「おやすみおにいちゃん!」
こうして桐乃が眠り、パジャマ姿のあやせと二人っきりになれたわけだが、俺は今正座をさせられあやせに説教されている。
「まったくお兄さんときたら…あんな言い方をしたら桐乃がかわいそうでしょう」
「ごめんなさい…」
俺はひたすら低姿勢に務めた。あやせは腰に手を当てたポーズで俺を見下ろし、俺を睨んでいた。
「それにしても、あいつがあんなにベタベタしてくるとは意外だったな。あれでいて結構淋しがり屋だったりして」
俺はいい加減あやせの説教から逃れるために、とっさに頭に浮かんだ事を呟いた。するとあやせは呆れた口調で言った。
「何を言ってるんですか今更…」
首を振りながら俺の前に座ると続ける。
「桐乃はね、元々淋しがり屋です。ただ同時に頑張りやさんでもあるから、そういう所を隠しちゃうんです。今の桐乃は子供だからストレートに感情を出しているだけで、本質は何も変わりませんよ。まぁ…」
一つため息をついてから呟いた。
「あそこまで、お兄さんの事を大好きだとは予想外でしたけど…」
それは俺も驚いていた。普段からあれぐらい可愛いげがあればいいのにな。まぁベタベタ引っ付くのはもう少し遠慮してもらいたいけど…。
「俺ってさ…嫌な兄貴だよな…」
なにがきっかけになったのか、つい口にしてしまった。あやせが不審そうに見ている。
「俺さ…、最近の桐乃について考えてたんだよ。あいつ以前は例の『趣味』を一人で抱え込んでいただろ?けど今は気の合う友人がいる。その『趣味』のせいであやせとも一時は険悪になりかけたが、今はあやせも一定の理解を示してくれて上手くやってるだろ」
あやせは黙って聞いていた。
「自画自賛するようだが、そのどちらの件にも俺は関わって解決にする事に貢献できたと思ってる。けど最近は対した問題も起きてない。だからこう思ったんだ、俺はもういちいち桐乃の面倒見なくてもいいんじゃないかって…けど」
一息入れて俺は続ける。
「桐乃があんな風になっちまい困惑したと同時に、俺はうれしいと思っちまった…。最初はなんでなのか分からなかった。けど今は分かる。ああ、俺はまだあいつに何かしてやる事ができる。それが嬉しかったんだって…」
俺はあやせの顔が見れなくて、いつしか視線を膝の上に置いた手をみていた。
「妹が大変な事になったって言うのに喜ぶとか…ヒデェ兄貴だよ俺は」
最後にそう言うとリビングは静かになった。俺はもう何も言えず、ただ自分の拳を見つめるだけだった。
突然、あやせの手が伸びてきて俺の拳に重ねなれた。
「本当にお兄さんはどうしようもない人ですね…」
ああ、まったくだ。
「私やその…『趣味』のお友達と桐乃が上手くいっていても、お兄さんが桐乃のお兄さんである事に変わりはないんです。妹のために兄が何かしようとすることのどこがおかしいんですか」
ひんやりとしたあやせの手が優しく、それでいて力付けるように俺の拳を握る。視線を上げると、あやせは、これまで見せた事のない優しい表情を浮かべていた。
「私や『趣味』のお友達を気にして、桐乃から離れなくてもいいんです。私もその、お兄さんを嫌ってるわけではないですから…。も、もちろん好きってわけでもないですけど!」
あやせ…頬が赤いぞ。
「な、何ニヤニヤしてるんですか、また何かイヤらしい事考えてるんでしょう、この変態!」
さらに頬を赤くして、罵ってくる。
「それと!今の桐乃が素直だからって、調子に乗って桐乃に何かしようとしたら許しませんよ!?」
「するか!俺をなんだと思ってるんだよ!」
「変態です。重度のシスコンな上に、中学生相手にプ、プロポーズするような変態です!」
あれ?さっきまでの優しいあやせはどこ行ったの。幻?あれは幻?
「それに…」
急にあやせの瞳から光彩が消えた。
「さっき桐乃を膝に乗せて随分と嬉しそうにニヤついてましたよね?」
「あ〜、明日も桐乃と遊んでやらなきゃいけないし、そろそろ寝ようかな〜」
立てない…。いつしかあやせの手はがっちりと俺の手首を掴んでいた。
「お兄さん?話はまだ終わってませんよ?」
桐乃…お兄ちゃん明日お前と遊んでやれないかもしれん……
ここで簡単に後日談に触れておく。
桐乃はこの二日後無事元に戻った。まぁそれまでの間、様々な騒動を起こしてくれたわけだが、それについてはまた機会があれば語りたいと思う。
ちなみにあの後俺は二時間かけて、懇願、泣き落としとあらゆる手段を講じ、あやせに〇されるのをなんとか回避した事を付け加えておく。
終
乙!! 面白かった〜! こういうのってSSならではだよねー!!
新作期待してる♪
ようやく終了〜
普段2〜3レスの小ネタばかりなので個人的には最長のSSになってしまった…
幼児化とかってある意味キャラ崩壊だから心配だったけど、それほど拒否反応がなくてびっくり
しかし思った程あやせとイチャラブさせれなかったな……その辺次回への課題だな
桐乃が京介のベッドに潜り込んだり、黒猫と沙織が尋ねてきたりとネタはあるんで続けようと思えば続けられるけどダレそうだったのでここで締めた
まぁ自分が書きたいテーマは消化できたんで個人的には満足してる
>>136 GJでしたw
あとは、幼児化してる間の記憶が桐乃に残ってるかどうかが問題だなw
記憶が戻った後、しばらく京介の顔を見るたびに顔真っ赤にして猛ダッシュで部屋に引き込もって恥ずかしがってるきりりん萌え(*´Д`)
gj!
貴殿はロリりんの祖と名乗る事を、許そうぞw
作品は良いのに、最近その後の流れがキモいな
ちっちっち…
中学生の身体に幼女の心が入ってるから萌えるんだぜ?
ガラスの脳からやりなおすんだ
>>141 へ、変態! 近よらないでください! 通報しますよ通報!!
ロリりんマジ天使
俺も我に帰って記憶に悶絶する桐乃見たかったな
実は覚えてるけど、恥ずかしいから覚えてないかのようにふるまいつつ、どっかで自爆するのが桐乃だと思う。
ガラスの脳を薦めるか……正しくロリコンだが、NTRも包括した変態だな
桐乃ほどのシスコン&ナルシストともなれば、昔の『お兄ちゃん大好き♪』な自分に萌えていた可能性すらある
いやどうだろ
桐乃って自己評価は結構冷静にしてる面もあるじゃん?
京介に対し「超かわいいあたし」とか言うのも相手にそう思って欲しい&自身を奮い立たせるためって感じがしなくもない
そもそも桐乃のシスコンはブラコンの延長線上の性癖だからなw
ナルシストな面に関しても兄に冷たくされた代償行為としてエロゲ始めるようになった今なら
そういう気持ちもMIXされてそうだけどな
過去の桐乃はむしろ変えたい自分であったんだろうから
コンプレックスはあれど自己陶酔に浸るような感情は持ってなかったかもしれない
兄から愛される妹になりたいっていう感情が発端か
ガラスの脳ってなんぞ?
ggrks
152 :
小ネタ:2010/12/11(土) 13:39:55 ID:Skk7ej+I
天気のいい日曜日の午前中からアニメ鑑賞会が行われている。
我が家のリビングには女子中高生が何名も集まり、あっちの作画がどうだ、こっちの
心理描写がこうだといった話ばかりが繰り広げられている。なかなか盛り上がっている
ようだった。
起床したばかりの俺は、飲み物を求めて自室から階下のキッチンまでおりると、騒ぎに
巻き込まれないように冷蔵庫を探っていた。
騒ぎをちらと横目で見ると、客は見知った顔ばかりだった。今やこの家は集会所となりつつある。
今上映されている作品の所有者である桐乃は、熱っぽく、芸術性と大衆性を兼ね備えた
この作品がいかに素晴らしいかと力説する。
だが、「イマイチわっかんねえ〜」と加奈子が言えば、あやせも同意見らしく苦笑いする。
オタク側の沙織と黒猫からの評価も桐乃が期待するほどではない。
意見に恵まれず桐乃の眉毛はひどく釣り上がり、さらにその角度を増していく。
「ちっ、まあいいわ、次にいきましょう。次の話もたまらないのよ。冒頭から最後まで
切手抜きなしののクオリティにあんた達もひれ伏すっての」
周りの同意を得られず不機嫌な桐乃がディスクを取りかえる。
「もういいんじゃないの、いい加減あきらめたらどう」
と黒猫が言う。
「うっさいっての!」
再生されていたディスクをプレイヤーから取り出して、次の話が収録されているディスクを
セットする間、テレビがワイドショーを映す。
役者が開いた記者会見を肴に、コメンテーターが喋っていた。今、世間で一番騒がれている
話題だ。
酒を飲んで泥酔した挙句、知り合いに暴力を振ったとかという不祥事。ただその全貌は
まだ明らかになっていない役者がそのお詫びのため開いたとか。謹慎が発表され、
一から出直しますと役者がカメラの前で頭を下げれば、大量のフラッシュがたかれた。
「やっぱり夢を与える側にいる人間がくっだらない真似しちゃ駄目よね」
桐乃はディスクを挿入する前に一言漏らす。役者にも色々と事情があるんだろうが、
まぁ、俺も大体同じ意見だ。
「社会的影響とかあるじゃんねー。子供にもよろしくないしぃー」
そして誰かがこう漏らした。皆、子供の頃は誰が好きだった? と。
出るわ出るわ。プリキュアだとか、コナンだとか、アンパンマンだとか。その
盛り上がりは桐乃お勧めアニメの比じゃなかった。
ハッと、次話の上映はまた今度、と気づいてしまった桐乃はえらく不満そうだったが。
諦めろ。タイミングを逃したな
153 :
小ネタ:2010/12/11(土) 13:43:13 ID:Skk7ej+I
「あやせは……」 ブーたれ顔の桐乃が、唯一発言のなかったあやせに話題をふる。
「見ねぇだろ、あやせは。この手のは、すっげえ嫌いそうじゃん」
加奈子の言うとおり。コミケ事件を知っている俺達からすれば納得である。そっち
方面にはえらく厳しい両親がいるらしいからなぁ、どこからが境界線かは知らんが全く
二次元に触れないまま育ったんじゃないか。
そうとしか思えない、というのが俺としても正直なところである。
ただしかし。どんな事実だったとしても他人に言われりゃ腹が立つ。
事実じゃないなら余計に腹が立つ。
あやせは加奈子のきめ付けが気に食わなかったのか頬をぷくりと膨らます。そして
意外すぎる言葉が出てくる。
「私だって見てたよ。好きなヒーローだっていたんだから。あこがれてたもん。
アニメじゃなくて漫画だけどね」
ほほう、あのあやせがねぇ。興味あるよ。いったいそいつはどこのヒーローだ。
――俺がリーダー的存在さ〜。
――ボボンチュああぁあ!!
――3対1かよ!? おもしれぇータイマンか!
「面白いよね、たけし」
世紀末リーダー伝たけし。まさかのジャンプ。
ただこの状況はあまりに厳しい。ネタを理解できているのは俺と沙織のみ。
残りは全員ポカン状態。いや、年齢や性別を考慮した場合そちらの方が正しい反応で
あると思う。
俺は男ありで、沙織はストライクゾーンが広いから。つまりはどちらも例外の存在である。
これは誰も知らない場合と同義なのだ。
先ほどまでとはうってかわってリビングはひどく静かだ。
ここにいる皆は一様にこう思っているだろう。
知らんがなそんな漫画! みたいに誰か突っ込めよ、と。責任をなすりつけあう
無責任な空気がまた重苦しい。
ワイドショーに出演しているコメンテーターの声ばかりが聞こえる。
あやせも自分が滑ったことに気がついたのだろう。小さくなってうつむいたままだ。
その手はぐっと固く握りこまれている。どうして誰も知らないのー? とでも笑いながら
言っておけばよかったのに。だがもう遅い。
外野として突っ立っていた俺だが、あまりにいたたまれなくなり助け舟を出すことにした。
その瞬間、アイコンタクトで、京介氏だけでは行かせません拙者もお供します、と言って
くれる心強い仲間が現れた。ありがとうな沙織。
154 :
小ネタ:2010/12/11(土) 13:47:28 ID:Skk7ej+I
「いやあ、俺も好きだったんだよ、たけし。特に好きだったキャラは『ボス的存在』の海老蔵!」
「ゴン蔵です」
「そう、それ。ゴン蔵」
「拙者も好きでしたなあ〜。『やん!』と鳴いて、たけしについてまわる愛くるしいペットの団十郎!」
「小次郎です」
「そう、それ。小次郎」
「二人とも、わざとですよね」
もちろん。
しくじった。空気が重いなんてものじゃない。さっきまでの空気なんて序の口だったんだな。
黒猫風に言うなら「絶対なる重力(アブソリュート・グラビティ)」とかそんな感じだ。
「な、なかなか良い表現じゃない……」 黒猫が頬を朱色に染める。
悪い、ちょっとだけ黙っててくれないか。
そうして沙織が、俺だけに聞こえるほどの小さな声で、ごめんなさい、と言った。
バジーナではなく沙織の声だと思った。
こうなりゃ最近慣れてきた土下座でもするべきか。俺が悪いわけじゃないと知っているが
この降ってわいたような暗いムードが好転するならなんだってする。やらせて欲しい。
俺の土下座なんて安いもんさ。
見やがれ、と俺が膝と手をつくスペースを確保しようとすれば、
「あっ!」と声が上がる。その声の主は……加奈子。
あやせが信じられない、といった風な表情で顔を上げる。まさか……
「読んだことあったよ、今思い出した。ずっと昔に一回きりだけどなー」
一筋の光明。希望の光。おおっ、と期待してしまう。
ギャグシーンでも思い出したのか加奈子はくくっと笑う。リビングの空気がぱぁっと明るくなる。
たったそれだけ、たったそれだけだが、この危ういムードもどうにかこうにか持ち直しそうだった。
もしかしてこいつ――もちろん加奈子――と出会って初めてのことかもしれないが、
俺は本心からこいつに感謝しようとしていた。
155 :
小ネタ:2010/12/11(土) 13:52:36 ID:Skk7ej+I
「やー、でもアレ描いている奴はありえないよなー。知ってる? マジで女子高生を買っ」
自分でも信じられないスピードで加奈子のそばまで近寄り、その口を手でふさぐ。
綾瀬は完全な無表情を装っている。装っているだけだ。
沈黙が続くと空気は次第に質量を持って石となるらしいな。
あと物質っていうのは急激な温度変化を経ると、以前の状態よりも驚くほど脆くなるそうだ。
ほんのちょっとの力で粉みじんになってしまうんだとさ。つまり、まぁ、このリビングの空気は
ちょうど今そんな危うい状況だ。
モガモガ言っている加奈子を固定したまま、俺は、桐乃にディスクをセットするように命じる。
普段やかましい桐乃が文句ひとつ言わず俺に従った。
あやせが、『ああいったジャンル』にえらく拒否反応を示すのは、厳格すぎる両親から
施された教育によるものだとずっと思っていた。
だが違うのかもしれない。自分の経験からやってくる、信じていたものに裏切られた時に
感じるような、絶望にも似た暗い憎悪がその源だろうかな、なんて思っちまった。
俺も似たような経験があるよ。ビックリマンで、アリババが敵に捕まってゴーストアリババと
して登場した時にショックで熱出したもんなあ。
いったい誰が悪いんだろうな。こんな世の中に誰がした。ワイドショーはまださっきの話題を
引っ張っている。
画面には役者の顔が大きく映っていた。桐乃が無言でリモコンの再生ボタンを押すと、
テレビからあの役者がいなくなった。
……ん? 終わり?
終わりなら投下終了宣言してほしいんだけど……
海老とともに作者も消えてしまった
メタネタやりたかっただけかよ。きめえ。
159 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 20:46:19 ID:tAYseXt8
加奈子の話が少なすぎて泣けてくる(TT)
加奈子のならVIPの方にあったよ
VIP?
また、台本形式かよ・・・
Iran
最近のVIP見てるとVIP=台本形式って言う固定観念は捨てた方がいいと思うけど
個々の好き嫌いにまで作者が応えるのは無理だろう。
性癖も形式も各人差があるんだから
文句言うくらいなら自分で考えてみれば
ID:JOdaIjub が
>最近のVIP見てるとVIP=台本形式って言う固定観念は捨てた方がいいと思うけど
と、間接的に台本形式は、ダメと指摘したように、
もう、台本形式は禁止にしようぜ。
しつこいな
台本形式だろうがなんだろうが俺妹を題材にした二次創作なら全然構わんよ
内容じゃなく文体が気に入らないのなら、なおさらスルーしやすいだろうが
まぁあれだ。
禁止とか言い出すくらいなら色々書いてみれ
それで叩かれても責任は取れないが、締め出すくらいなら自由にやってほしいね
俺のも
>>164とかも同等に一個人の意見に過ぎないから、
読んでる人も胸に留めて軽く流してやってくれ。
>>164 随分偏ったとらえ方したな
VIPに投下されたSSが全部台本形式みたいな言い方してるから
それは違うと否定しただけで他意はないよ
地の文がないssでも面白いものはあるし
地の文があるssでも面白くないものはある
それぞれ利点はあるし、その利点を生かせないssが面白くないってだけで、地の文の有無がそのまま面白さに繋がるわけではない
とりあえずここは子供がくるような場所じゃないからとっとと消えれ
というか見てから言えと
VIPはVIPで別スレなんだから、わざわざこのスレで話題にすることでもないんじゃないか?
おまいらもういいだろw
>>164が面白いSS書いてくれるのを期待した方が楽しいじゃん
桐乃のハネッ毛の先端で尿道をほじくって欲しい
皆の妄想が盛んであれば良い様な希ガス
各々の妄想が単純に表現しきれていれば
確かに、台本形式だと会話が説明的になってなんか違う様に思わされたりはするが。
あれを台本形式と言うのは脚本家の人に失礼だと思うのだが
「んっ、やっ、お兄さん、そこ、だめですっ!」
「大丈夫だって、ペロペロ」
「あっ、そこ、汚いですからっ」
「まあまあ……それじゃあ」
「あっ…………そんな、入れちゃダメです! はじめては、結婚するまで……」
「じゃあ、こっちだ」
「!? そ、そこはちが、あっ、うっ……!」
「…………くっ」
「あ゛…………!? あぐっ、あっ、はいらない、そんな、おしり、だめです、あぁっ、あぁあぁっ!」
「…………きついな、やっぱり」
「入っ、た? 入ったんですか?」
「ああ、入ったよ」
「は、はじめてが、おしりだなんて…………」
って感じのが台本形式?
スパロボ形式というのはどうだろう
>>175 質問する前に自分で調べてからでも遅くはないよ
>>176 いや、
>>174で失礼だって言ってるから、このスレでの”台本形式”と実際の台本形式とは違うんだろう?
このスレで言われているのは
>>175みたいなタイプかなって
台本形式というのは
「」の頭にその人物の名前(女性の場合はほぼ確実に下の名前を使う)
改行した場合は1マス開ける(「には合わせない)
当たり前だが地の文=ト書きは三人称
シナリオの終わりもなるべくト書きで終わる。
ト書きは上から3マス開けで行を揃える
主観的。抽象的な文章は避け、平易な文章で状況および動作を説明する
(台本というのは演出家や役者が舞台、画像を作るための
設計図。そこに主観は要らない。全員が状況を共有して理解することが重要)
そのシーンが行われている場所、時間の指定=柱を書く
映像表現の指定F・I(フェードイン)や××(インサート)
こういうのを台本、脚本って言うんであって
2ちゃんで溢れているような○○「――」みたいなのを台本とはいわんだろ
それを言うなら2chで溢れている二次創作だってSSとは言わないし
それぞれ違った名詞だと理解しろよ
こういう話題は控え室にでもいってやってくれ
エロい話をするのがこのスレだぞい
>>179 ショートショートにそんな細かい定義なんてないだろ
短い小説をショートショートっていうんだだから
>>177 どっちにしろどんな意味で使われてるかは調べればわかるよ
前スレの629-630です
一応続き ただいちゃいちゃ分はあんまりない。でも修羅場成分もあまりない。
いちゃいちゃは気が向いた人が書いてくれるとありがたい。
自分では気が向いたら書くかも。
「…あやせもだったんだ…だからあいつをほかの子と合わせたくなかったのに…」
あたしは今、ジャングルジムの陰から兄貴とあやせが話してるのを見ている。
あやせが兄貴を呼び出してる事を盗ty……いや、偶々耳にしたからだ。
あの二人が会うならここだろう、と先回りして様子を見ていた。
兄貴…どうするのかな…
正直に言ってここ最近は割りと素直に甘えてると思う、だから前みたいに勘違いされてないと思う。
だから私を選んでくれるだろうっていう自信がない事もない。でも…相手はあのあやせだ。兄貴の好みにあやせががっちり嵌ってるのは事実。
だから…もしかしたら… と考えてると…
-----------------------------------------------------------
1、「すまん、あやせ。桐乃に悪いから、やっぱり俺はお前にはそんな事は出来ない」
2、「そこまで追い詰めて、すまなかったあやせ。ごめんな。」
ニア 3、桐乃!あやせ!お前達は俺の翼で天使だ!
ぴろりーん
…いや、違うな自分を偽るな!俺は、俺は二人とも大好きなんだぁぁぁぁぁ
「お兄さ…ん?」
あやせが今にも泣き出しそうな顔をしている。直ぐに抱きしめてやりたい・・・だけど、うん。先にあいつも呼び出してきちんと納得させた上のほうが良いだろう。
よし、そうと決まれば。
「あやせ、ちょっと待ってくれ。今桐乃を呼び出す。」
少し前までは知らなかった桐乃の電話番号。…家族だってのにな…そのダイヤルを押す。
<め〜るめるめるめるめるめるめ
「は?」
何故か周囲に鳴り響く桐乃の着信音おい、まさか…
------------------------------------------------------------
電話?
「Σちょ、マナーモードにしてなかった!?バレて無い?バレて無いよね!?」
様子を伺うとあやせがこっちを見てる ・・・あれ?兄貴h
------------------------------------------------------------
「…そこで何してんだ?お前」
そう俺はこの不審者極まりない我が妹君に声をかける。
「べ、別に。ちょちょっとジャングルジムで遊びたくなっただけだし。」
…どういう理由だよ。ほんとこいつ突発事態によえーな・・・
「まぁいい、ちょっとこっちに来てくれ。桐乃。」
「…分かった。」
------------------------------------------------------------
「という訳で、結論から言うと俺は桐乃にもキスをするし、あやせにもキスをする。」
「はぁ!?ちょ、あんたそれって!?」
「良く聞こえなかったんですけどもう一度良いですか?」
あ、あはははこうなるよなー ってかあやせさんやっぱり光彩消えてるし、桐乃は今にも爆発しそうだ。
だが怯んではいられない。こいつ等の為にも、おれ自身のためにも!
「俺にはどちらかを選ぶなんて出来ないし、二人とも同じくらい大切だ。だから、二人共を大事にしたい。そういうことだ。」
「言うなれば桐乃、あやせ、お前達は二人とも俺の天使だ!翼だぁぁぁぁーーーー!!」
「…」「…」
二人ともすっかりだまっちまった。やっぱりこの選択肢は駄目だったか!?このままBADEND!?
「この馬鹿兄貴!!」
「この変態!」
あ、すっげーコンビネーションあやせのハイキックと桐乃のローキック・・・
「ぐふぉ!?」
錐揉みしながら吹き飛ぶ俺。天使のお迎えが来たぜ……
「…ってぇ…ん?」
なんだか二人して顔を真っ赤にして目を瞑っている。…ふっ、望むところだ…でも今度からはちょっと条件を変えよう。この調子じゃ俺の体が持たない
さて、所で二人のうちどちらからキスをするべきなんだろうか。桐乃か?あやせか?
なんだかいやな予感がするぜ。ん〜いやここは公平にさっき保留したからな、あやせからだ。
「…あやせ…」
「…お兄さ…んっ」
横から桐乃の殺気が飛んでくるが今は気にせずあやせの味を楽しむ。 桐乃と同じで良い香りがするけどでも違う香りなんだな…
「ふぅ。ごめんなあやせ。待たせちまって。」
「べ、別に…そんな…」
っとうっとりとした様子で返してくるあやせまじ天使。この表情が見られたって段階で俺にはもうこの選択に悔いは無いね!
一度撫でてやって今度は桐乃に向かい合う。
「桐乃、分かってくれよ。あやせは待たされてたんだから、別に…」
「分かってる。でも、やっぱりムカツク。責任取ってよね。」
「…あぁ」
今度は桐乃にキスをする。横のあやせから殺気が飛んでくるが(ry
「ふぅ、そのなんだ。俺が言うのもなんだが、お前らこれで良かったのか?」
「本音で言えばムカツク。兄貴は独り占めしたかったし。でも、あたしもあやせの事大事だし。」
「…桐乃…その、良くないことだってのは分かっています。でも、お兄さんは私も桐乃も同じくらい大切なんですよね?なら、もう良いんです。私も、桐乃もお兄さんも大好きですから。」
「そっか、あーそのなんだ。ありがと・・・よ。 あ、ただ一つ頼む あんな勢いで蹴られたら俺の体がもたん。もっと別のことにできないか?」
「「なっ!?べ、別のことってま、まさか・・・!?」」
見事に二人ではもりやがった。何だ?こいつら一体何を まぁいっか。
「さて、この季節外は寒いし、どっか中に入ろうぜ。」
そう言って俺は二人の愛しの天使を抱き寄せた。
ちなみにこの後、何かを勘違いしてたらしい二人に全力で蹴られたりしたが…まぁしっかりキスをしてやったよ。
今後どうなるかは、まぁまた別の機会があったら。 それまで俺が生きてたらだけど。
以上です いちゃいちゃがすくない? 外でそんないちゃいちゃ出来る訳ないだろ!!
どうしてこうなった>皆が3を望むから・・・
乙
1と2の選択肢を選んだ場合のルート分岐も期待してるぞ
189 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 03:15:18 ID:6Yybb8L6
>>187 警察署の裏の公園で中学生の女の子にシスコン誓言した京介先生なら出来るはず。
某三角関係アニメと声優が一緒って気付くまで3秒ほどかかった俺はまだまだだな
191 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 14:33:05 ID:s3ogq2Wo
8巻が待ちきれなくて
自分で書いてしまいました。
せっかくなので投下します。
少しでも胃痛がやわらげば…
192 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:36:33 ID:s3ogq2Wo
「おはよう、お兄ちゃん」
あの日、
「黒猫と付き合うことにした」
そう告げた日から、桐乃が変わってしまった。
今までの人を馬鹿にしくさったムカつく態度はどこへ行ってしまったのか、
まるで以前の桐乃が夢中だった妹モノのエロゲーに出てくるような
テンプレな“兄思いのかわいい妹”のようになってしまったのだ。
毎朝、俺の部屋まで起こしに来るし、
もちろん途中まで一緒に登校する。
放課後は繁華街で待ち合わせし、買い食いをしたり
ゲーセンで遊んだ後、一緒に帰る。
食事時は一切目を合わさず、黙々と箸を動かしていたのが
今では笑顔で俺に話題を振ってくるし、ご飯だってよそってくれる。
口を開けば「キモッ」だの「ウザッ」だの言っていた姿が遠い過去のように
「お兄ちゃんだいすき」オーラを放つ姿に親父もお袋も初めこそ面食らったが、
「まあ、ケンカばかりしているよりはマシなのかしらね」
と、結局深く考えるのをやめてしまった。
桐乃の変化は、本来なら歓迎すべきことなのだろうが、
俺は、なんだか居心地の悪さを覚え
落ち着かない日々を過ごしていた。
どうしてこうなった?」
深夜、自分の部屋のベッドに寝そべり、ぽつりとつぶやく。
確かに以前の桐乃はムカつくヤツだったさ。
口は悪いし、感謝もしねぇし、謝りもしねぇ。
溢れる才能と美貌、ことあるごとにお袋やご近所さんに比べられ
どれだけ肩身の狭い思いだったことか察して頂きたい。
俺達は長い間、まるでお互いがそこにいないかのように存在を無視し続けていた。
共に生活する家族でありながら、他人以上に他人だったと言っていいだろう。
それが桐乃の趣味を偶然知っちまったことをきっかけに
それまでの関係は一変した。
今でもムカつくヤツであることは変わらないが
それでもやっぱりあいつは俺の大切な妹で
桐乃の泣いた顔や苦しむ姿は見たくないし、
その為だったら多少の苦労は仕方がないさと思える程度にはなった。
俺の勘違いでなければ、ほんの少し「近づけた」ような気がしたんだ。
だから、今のような関係は俺が望んだものじゃない。
傍から見れば、“兄思いのかわいい妹”となった桐乃と良好な関係を
築けているように見えるだろう。
だが、そんな正しい妹を演じようとする桐乃には何か空虚なものを感じるし
笑顔を貼り付けた妹の顔はまるで仮面のように感情が読み取れない。
せっかく「近づけた」と思った距離は、
絶望的なまでに離れてしまったように思える。
193 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:40:06 ID:s3ogq2Wo
「なあ、もうこういうのやめにしないか?」
ある日の放課後、俺は桐乃にそう切り出した。
「こういうのって?」
クレープを食べながら不思議そうな顔で首を傾げる。
俺は照れもあってか視線を外し、今の正直な気持ちを伝えようと続ける。
「だからさ、その、なんだ、桐乃らしくないっていうかさ。
無理にかわいい妹を演じる必要なんてないんじゃないか?
俺の前では言いたいこと言ってもかまわねぇし、
自分のやりたいようにしたっていいんだぜ。
エロゲーだって最近まったくやってないみたいじゃないか。
アキバにも行ってないし、あいつらとも連絡とってないんだろ?
俺はさ、いつもの桐乃と黒猫と沙織と一緒にゲームしたり
アニメ見たり、遊びに行ったりするのが結構好きになってきたんだ。
何を思ってこんなことをしようと思ったのかはわかんねぇけどよ、俺は……」
「……何それ」
それまで黙って聞いていた桐乃が口を挟んだ。
「わかんない?アンタほんとにわかんない?本気で言ってんのソレ!?」
突然声を張り上げた桐乃に驚いて振り向くと、
怒りに震え、涙を溜めながら俺を睨み付ける桐乃と目が合った。
「アンタがアタシを見てくれないから!
いつまでたっても妹扱いしかしてくれないから!
アンタが、あの黒いのと、つ、つ、付き合うなんて言うから!
諦めるしかないじゃん!
今までどおりでいられるわけないじゃん!
だから、だからアタシは“妹”でいようって、
おとなしく“妹”って立場で我慢しようって、
だからアンタが好きそうな“妹”になろうって、
それなのに何!?もういい?無理するな?いつものアタシ?
ふざけんな!人がどんな思いでこの立場を受け入れたと思ってんの!?」
それまで溜め込んだ激情を一気に爆発させる桐乃を前に
俺は言葉を失い、口を半開きにしたまま桐乃を見つめる。
「“妹”でもいい……
たとえ“妹”でも側にいられるならそれでいい
だって、アンタが言ってくれたから「大切にする」って
だからそれで充分だって、そう自分に言い聞かせたのに。
なのにアンタはそれすら否定するんだ…」
いつの間にかあふれ出ていた涙を拭おうともせず
先ほどの反動か、息を切らしぐったりしながら俺を見つめる。
しばし無言で見つめあう俺達。
「……わかった、もういいよ」
桐乃が消え入りそうな声でつぶやく。
そして、無理やり笑顔をつくり
「バイバイ、お兄ちゃん」
そう言って桐乃は、とぼとぼと立ち去っていった。
俺はというと、今しがた起きた状況を脳が処理しきれず
「行くな」と叫ぶことも、腕を掴むこともできず、
桐乃の姿が見えなくなるまで、その場に立ち尽くすことしかできなかった。
194 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:43:51 ID:s3ogq2Wo
「なんて情けない顔をしているのかしら」
涼しげな声で、俺の隣に腰掛けている黒猫が話しかける。
今日は以前からの約束(デートだよ。言わせんなはずかしい)で
黒猫とアキバを散策し、今は公園のベンチで一休みしているところなのだが、
昨日の一件のせいで一睡もできず、
とてもじゃないがキャッキャウフフする気分ではなかった。
ちなみにあの後家に帰ると、
まるで何事もなかったかのように平然と食事をする桐乃の姿があった。
(門限を越えるまであの場に残り、あわてて帰宅した俺は当然飯抜きだった)
ただ、その表情や態度は「人生相談」を受ける以前、冷戦状態だったあの頃の桐乃だった。
くそっ、結局逆戻りかよ。
「仮にも恋人である私との逢瀬だというのに
もう少し楽しそうな顔はできないの?
それとも昨晩は大好きな妹とお楽しみで、
精気を根こそぎ吸いつくされたのかしら?」
「……冗談でもそんなこと言うんじゃねぇよ。
特に今はな」
桐乃が俺にぶつけた感情は、俺の自意識過剰や勘違いでなければ
その、そういうことなんだろ?
でもな、それを知ってしまった所で俺にどうしろって言うんだ?
今更言うまでもないが、桐乃は俺の妹だ。
エロゲにありがちな義妹とかいうオチはなしだ。
確かに俺は桐乃のことは大切だし、守ってやりたいとも思う。
だがそれは桐乃が妹だからであって、それ以上の感情なんてない。
……ないはずだ。
……ないですよね?
だったら、このモヤモヤした気分は一体なんなんだ?
桐乃の想いを聞かされて、妙に意識しちまってるだけ?
本当にそれだけか?
「あなたが今何を考えているか手にとるようにわかるけれど
私といる時に他の女のことを考えるなんていい度胸だわ。
命が惜しくないようね」
「なあ黒猫、俺はどうしたらいいんだ?」
「……人の話を聞きなさい。まったくあなたという人間は
妹が絡むと途端に周りが見えなくなるのね。
はぁ……仕方がないから聞いてあげるわ。
何があったのかしら?」
俺は文句を言いながらも相談にのってくれる黒猫はなんていいヤツなんだろうと
心の中で感謝の涙を流しつつ
ここ最近の桐乃の豹変っぷり、昨日の顛末、
そして今のモヤモヤした気持ちを包み隠さず話した。
195 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:47:48 ID:s3ogq2Wo
「あなた莫迦でしょう」
絶対零度の視線と侮蔑の表情で黒猫が言い捨てる。
「ヒドッ!それが真剣に悩んでる彼氏にかける言葉!?」
「何が真剣に悩んでいるよ、笑わせないで頂戴。
そこまで答えが出ているというのに
あなたはそれでもまだ目をそらし続けるというの?
今までの己の行動や言動を思い返してみなさい。
どうすればいいかなんてとっくにわかっているはずよ。
あの女は臆病風に吹かれて舞台から降りた。
でも私は違う。私は舞台に立ち続けるし、主役の座を譲るつもりもないわ」
「な、なんの話だ?答えってなんだよ?目をそらすって一体……」
「ここまで言ってもまだわからないというつもり?
それとも、あくまでわからない振りをして道化を演じ続けるというの?
そう、それなら私はあえて憎まれ役になってあげるわ。
頭の悪いあなたにもこう言えば理解できるかしら
あの子、高坂桐乃はあなたのことを愛している。
妹が兄に向けるレベルでは済まされない、ひとりの異性としてね。
そして高坂京介、それはあなたも同じはずよ」
俺も同じ?
俺が?
桐乃を?
あのクソ生意気な妹のことを?
……そうか、そうだよな。
そうさ、桐乃が俺のことを好きだなんてとっくに気が付いてたし
俺が桐乃のことを好きだという気持ちにも気が付いてたんだよな。
それなのに俺は兄妹だからとか、あいつは俺を嫌ってるに違いないだとか
適当な言い訳で自分の気持ちを押し殺し、
桐乃の気持ちに気付かない振りをし続けたんだ。
それは桐乃を深く傷つけ、ついに埋めようがないほどの溝を作っちまった。
俺の表情の変化を見た黒猫は少し間を置いたが、やがて静かに語り始めた。
「あなたはあの子へ愛情を注ぎながらも、常に妹だという枷をはめ続けた。
あの子の想いには答えてやらないくせに、自分勝手な独占欲で縛り続けた。
そんな状態で、あの子はどれだけ苦しんだと思ってるの?
私はそんな現状が我慢ならなかった。
だから行動を起こせば何かが変わるんじゃないかと思った。
あなたを好きな気持ちに偽りはないわ。
でも私が動くことで、あの子も本気になるかもしれない。
対等の立場でこそ、初めて同じスタートラインに立てるというものよ。
ハンデをつけられた勝負で得た勝利に価値なんてないわ。
あの子は結局勝負を投げてしまったけど、
あなたの神がかり的な鈍さのおかげで本当の気持ちを伝えてしまった。
今度はあなたが行動を起こす番よ。
ここに留まることを選ぶというのなら好きにすればいいわ。
でも、あなたが選ぶ選択肢は最初からひとつしかないのではなくて?
さあ選びなさい。
あなたはどうしたいの?」
俺が選ぶ選択肢は…
言うまでもないよな?
俺はおもむろに立ち上がり、黒猫の目を見て決意を伝える。
「すまねえな、黒猫」
「あやまらないで頂戴、
敗者に情けをかけたつもりなら、気が早いわよ。
言ったでしょう同じスタートラインに立ってからが本当の勝負だって。
勝ちを譲るつもりはない。
必ずあなたをもう一度私の前に跪かせてみせるわ」
自信に満ちた表情で黒猫が微笑む。
俺は軽く手を上げ、家路を急いだ。
「まったく世話の焼ける兄妹ね…」
196 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:51:16 ID:s3ogq2Wo
桐乃の部屋の前に来た俺は、
深呼吸して気持ちを落ち着けるとドアをノックした。
「桐乃、話があるんだ。開けてくれないか」
沈黙。
やっぱりダメか?そう思った瞬間、扉がわずかに開き
桐乃が視線をよこした。
「何?アンタと話すことなんて何もない……」
何の感情も読み取れない平坦な声色で桐乃が拒絶の意思を伝える。
俺は臆することなく桐乃の目を見つめ
懐かしいフレーズを口にする。
「実はおまえに、人生相談があるんだ」
「は?アンタ馬鹿なの?死ぬの?それともあてつけのつもり?
アタシをからかうのがそんなに楽しいの?マジ最低……」
すぐに閉めようとしたドアに俺は強引に足をはさむ。
こんな序盤でGAME OVERになるわけにいかねぇよな。
「くっ、頼むよ、マジなんだ。5分でもいい」
桐乃は心底うんざりした顔で俺を睨んだが、やがて根負けしたのか
「……入って」
そう言って部屋へ入れてくれた。
「で?相談って何?さっさと済ませてくんない。
マジウザいから」
「じゃあ簡潔に言うぞ。
俺は妹のことを本気で愛してしまったんだが
どうしたらいいと思う?」
「な!?あ、あ、アンタ、な、な、なに言って……」
いつかのように目を見開いて呆気にとられる桐乃。
だがすぐに耳まで真っ赤になって激昂する。
パアァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!
スポーツ万能妹様の本気の平手打ちを喰らい思わず吹っ飛ぶ。
「痛ッてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
なにすんだよオマエ!?」
「ふざけてんの!?マジブッ殺すわよ!!!!!!!!!!!
アタシの気持ちをこれ以上踏みにじらないで!」
怒ゲージがMAXになった桐乃はそう叫んだ後、涙目で俺を睨みつける。
マジ怖ぇ。
だが、俺もここで引くわけにいかねぇ。
197 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:54:21 ID:s3ogq2Wo
俺は桐乃の両肩を掴み、吐息がかかるくらい至近距離で言い放つ。
「冗談や悪ふざけでこんなことが言えるかよ!
俺は本気だぞ。
本気で桐乃のことを愛してる!」
「バカ!お父さん達に聞こえたらどうすんのよ!
わかったから、キモいセリフを大声で叫ぶな!」
桐乃があわてて俺の口を両手でふさぐ。
すっかりペースを乱されたことに、しまったという顔をする。
少し声のトーンを落とし、改めて俺に向き合う。
「アンタいったいどういうつもり?
返答次第ではアンタに犯されたって泣きながら
お父さんの部屋に駆け込むから」
ひぃっ、そんなBAD ENDは絶対に御免だぜ。
社会的にどころか、本当に人生が終了しそうだ。
「桐乃、まずは昨日までのこと謝らせてくれ。
いや、謝って済む話じゃないのは充分理解してるが
それでも自分の馬鹿さ加減には本当に反省してるんだ。
このとおりだ。すまなかった」
俺は床に頭を擦り付ける勢いで土下座をする。
「……いまさらそんなことされても
アンタがしてきたことがチャラになるわけないじゃん。
もういいから頭上げてよ。ウザいから」
椅子の上でふんぞり返った桐乃が冷ややかな目で俺を見下す。
「で、さっきフザけたこと口走ったケド
なんの真似なの?
まさかと思うけど、あの黒いのの入れ知恵?
二人してアタシをからかってんの?」
「それは違うぞ。
桐乃、さっきも言ったが俺はマジなんだ。
頼むから茶化さずに聞いてほしい」
「……わかった」
198 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:57:20 ID:s3ogq2Wo
「桐乃、俺はもう逃げねぇ。
自分の気持ちに嘘をつくのをやめる。
桐乃の気持ちに気付かない振りもヤメだ。
平凡な日常とか、あいつらとの関係とかを失うのが怖くて
現状維持という建前で逃げ続けた日々を今日で終わりにするぜ。
だって、俺は桐乃を失うことが一番耐えられないって
気付いちまったからな。
アメリカまでおまえを連れ戻しに行った時も、
御鏡に桐乃は渡さなねぇって宣言した時も、
おまえを失いたくない一心で夢中で行動した結果だったんだ。
今なら言えるぜ。
俺は桐乃が好きだ。愛してる
他のすべてを失っても、桐乃だけは失いたくない。
兄妹だからって構うもんか!
俺のこの気持ちは誰にも馬鹿にさせねぇし
もし桐乃を傷つけようとするやつがいたら俺がそいつをブッとばす!
一生おまえを守り抜いてみせる。
一生だ!」
あ〜、我ながらなんという恥ずかしい告白をしてしまったのだろう。
しかも実の妹に向かってだ。
だが後悔はしてないし、
今のこいつの顔見りゃあ、間違った選択肢だったとは思わないよな。
「ちょ、い、妹に、マジ告白とか、あ、ありえないんですケドぉ〜。
あ、アンタのシスコンもついに極まっちゃった?
あ〜、キモ!キモ!じ、実の妹に向かって、い、一生守り抜くとか……」
「おまえ、ニヤニヤを我慢しようとして超ヘンな顔になってるぜ」
199 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 14:59:34 ID:s3ogq2Wo
「うっさい!
あ、アンタが恥ずかしいセリフ連発するから。
……だいたいアンタ、彼女は、黒いのはどうすんのよ?
まさか、二又かけるつもり?
あんなことやこんなことをして陵辱するつもりなの?
リアル鬼畜ルート!?実妹に何するつもり?この変態!」
両手で自分の肩を抱き、驚愕の表情を作る。
「バカ、違ぇよ!このエロゲ脳が!妙な妄想してんじゃねぇよ!
あいつは、黒猫はな、笑顔で送り出してくれたんだよ。
同じスタートラインからじゃねぇと、勝負したうちに入らないって。
そのうえでおまえに勝ってみせるって」
桐乃は急に真顔になり、
黒猫の言った言葉を反芻するようにしばらく黙り込んだが
やがてニヤリといつもの表情になる。
「あ〜、はいはい。厨二病乙。
さぞや自分に酔った顔で痛いセリフ並べ立てたんでしょうよ。
まっ、条件が同じならアタシが負けるわけないケド。
高坂桐乃をなめんなっつうの。
それにアンタはシスコン極めちゃってるしね〜」
ようやく桐乃らしいセリフを聞けて、安堵する。
やっぱ俺の妹はこうじゃなきゃな。
泣いたり落ち込んだり、エロゲに出てくるかわいい妹みたいになったりは
似合わないぜ。
桐乃は可愛くねぇとこが、最高に可愛いんだぜ?
「なあ、それって返事はOKって思っていいのか?」
「はぁ?ばかじゃん。今さらなに言ってんの?
アタシが今までどんな思いでいたと思ってんの。
鈍感なのが許されるのはエロゲの主人公だけだからね。
アンタの告白はたった今受理したし、
もう冗談でしたじゃ済まさないから。
ま、もし冗談だったらブチ殺すけど」
「さらっと、あやせみてぇなことを言ってんじゃねえよ!」
「とにかく!今まで、できなかったこと全部取り返すんだからね!
やりたいこと数え切れないくらいあるし」
頬を染めながらチラチラ視線を送ってくる桐乃を見ていると
俺ができることならなんでもしてやりたい気分になる。
いや、気分じゃダメだな。
「いいぜ、なんでも言ってみろよ」
「じゃ、じゃあ、き、キス……とか……」
200 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 15:01:48 ID:s3ogq2Wo
「お、おぅ、キスな……」
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?
き、キスだと?
ま、まあ恋人同士になったんだから、それぐらい普通だよな。
でも、本当に、い、いいのか?
だって妹だぞ?
俺が躊躇していると桐乃が不安そうな顔で俺を見つめる。
「なによビビったの?このヘタレ。
それとも、やっぱ、その、き、気持ち悪い……の?」
あぁ〜、まったく俺の大バカ野郎!
もう桐乃にこんな顔はさせねぇって誓ったんだろ!?
俺は桐乃の肩にそっと触れる。
かすかに震えているのがわかった。
こいつも覚悟決めたんだよな。
「いいんだな?
後悔するなよ」
「後悔なら今まで散々してきた。
だから……いいよ……」
「ん……」
桐乃と初めてのキスをする。
ただ触れているだけなのに
言葉を交わすよりも
桐乃の想いがはっきり伝わってくる。
俺達はこんなにもお互いを求めてたのに
どうしてここまでこじれちまったんだろうなぁ。
たぶん俺がもっと桐乃に向きあっていれば
桐乃の言葉に耳を傾けてやれば
そしたら、こうして不安を取り除いてやれたんだ。
俺の前で笑ってる桐乃を見ていられたんだよな。
「ふぅ……」
そっと唇を離すと、桐乃が微かに吐息を漏らす。
頬には涙がひとすじつたっていた。
「やっと、やっとここまで来れたんだ……
夢じゃないよね?
アタシ幸せすぎて死んじゃうかも」
嬉し涙を流して微笑む世界一、いや宇宙一可愛い妹を
俺は抱きしめた。
「俺、なんだかおまえを泣かせてばっかだな。
すまねぇ。
これからはもう泣かせたりしねぇから。
おまえがずっと笑っていられるように頑張るからな」
「うん。
……大好きだよ、兄貴」
201 :
s3ogq2Wo:2010/12/12(日) 15:03:26 ID:s3ogq2Wo
以上です。
スレ汚しすみませんでした。
全俺が泣いた
乙すぎる
本編ではおそらく見られない√だろうから感謝感激雨あられ
リアルタイム投下ktkr!!
すげーGJでした
きりりん可愛いよきりりん
マジで2828が止まらねぇwww
仕事場なんかで読むんじゃなかった…orz
それにしても黒猫男前すぐる
マジ乙だわ、7巻でズタボロにされた自分的にはスゲェ癒されるぜ
Gj 本スレで言うと叩かれるけど、こういう展開は黒猫の株も下げずにいけるからアリだと思うんだがな。
GJ 桐乃が報われるならこんな形だろうなー
でもやっぱ黒猫派としては納得できないので文章に叩きつけることにする
いや〜良い8巻でした!
こんな風に報われるならホントいいなぁw
gj
ぐっと来た
まぁ本編では絶対にない展開だから、パラレル8巻だな
エロパロスレのSSに「本編では絶対にない」とかいちいち言っちゃうあたりホントアレだなぁw
212 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 17:38:31 ID:aN7EpGRo
スレチかもしれんが、なぜ黒猫√になったって騒いでんの?
5巻で桐乃でた時点で桐乃√確定じゃね?
GJ
8巻の内容が流出したんですね?わかります
GJ
まあ、色々なところで「黒猫ルート確定! 黒猫ルート確定!」って狂信者みたいに叫びまくってる連中からすれば、
確かに「本編では絶対にない展開」なんだろうなぁ。
確実にこうなる、とまでは言わないけど、こういう感じの展開は創作業界ではわりとよくある話。
作者や担当編集者じゃない限り、8巻の展開なんて推測しかできないんだから、
安易に『絶対』とか『確定』とか使わないのが吉。
もう
>>201が8巻でいいや
んで黒猫は諦めないで横恋慕し続けて欲しい
泣いた
いやぁアニメ化の影響か訳の解らん奴が入り込んできてますね…やっぱり
パロスレなんだから赤城兄だろうが真壁君だろうが部長だろうが親父だろうが
きょうちゃんが誰と恋人になってもいいじゃない!!
ていうかそのホモネタさぁ
本スレでも見るけど全然面白くないんだよねぇ
本人たちは面白いつもりなんだろうけどレスの無駄遣いしてるようにしか見えない
220 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:04:27 ID:3YFwtW9N
みんなは、桐乃、あやせ、沙織、黒猫、真奈美の中で誰が一番好き?
麻奈実の間違いだけは許さない
ラブリーマイエンジェルブリジットちゃんがいないたぁどういう了見だ
かなかなちゃんはどうしたんだよ
ロリコン乙
大穴黒猫妹との姉妹丼
フェイトちゃんがいないのだけは許せない
リア一択
>>225 黒猫の妹どう見ても小学校低学年なんすけどwww
しかし桐乃がリアルで妹なら、いくら好かれててもウザいが
黒猫妹はリアルで妹でも全然アリだな
>>229 逆に考えるんだ
桐乃も昔は黒猫妹のような時代があったんだとな
決して黒猫妹が今の桐乃みたいになるわけではないぞorz←想像して挫けた
231 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 23:32:53 ID:DGmT8Krb
>>231 知ってるか? 14〜15歳の加奈子は、プロポーションで10歳のブリジットに負けてるんだぜw
しかし黒猫の中の人、随分演技が上手いよな。『棒子』とか言われてたデビュー当初が懐かしいぜ。
>>232 あの頃から棒読みだけど可愛い声してるよなとは思っていたが
今となってはもはや天使と言うほかない
すれち
>>233 黒猫「せめて堕天使、と言って頂戴」
桐乃「チバの堕天使www」
京介(こんな友人関係で大丈夫か……?)
沙織「大丈夫、問題ないでござる」
京介「ああ、今回もダメだったよ。桐乃は言うことを聞かないからな。」
黒猫は理解あるから京介が妹と自分とで二股かけても許してくれるだろ
だからこそ黒猫は京介の嫁
二股掛けても許してくれるのは、“愛人”つーんだよ。
多重婚&兄妹婚可能な国の国籍を取れば問題ない
デビルーク王になれば(ry
ブリジットちゃんネタは少ないねぇ
流石にロリ過ぎるのか?
京介との接点ではかなかな以下
何とか家に連れ込んだ場合、桐乃ハアハア止まらない
手を出した場合、あやせブチ切れで京介NiceBoat
正規ルートで捕まえるのは難しいから沙織の出番だな
財力、コスプレの知識、メルルの知識、全て兼ね備えている
上手く連れ出して手込めにするには
沙織ルートから派生するしかない
何というG級クエスト
いやいや、かなかな√から分岐だろ
エアギターならぬエア兄貴という競技で、桐乃たちが普段いかに京介と接し、京介のことを理解しているのかを勝負するというネタが思い浮かんだ。
しかし、あやせたんにはセクハラ以外してないんだよな、これ。
プロポーズされてるのは大きい
あやせ「私はお兄さんに手錠をかけて、自室で2人きりになったことがあります」
沙織「ほほう、それはそれは……」
黒猫「な、なんて羨ましい……っ」
桐乃「………」ジュルリ
麻奈実「わたし? えーっとねぇ、きょうちゃんとお布団並べて寝たことあるよー?」
沙織「!!?」
黒猫(来たわね、ベルフェゴール……!)
桐乃「そ、そんなの、どーせアンタらが小さい時の話でしょ!?」
麻奈実「え? 先々月くらいだけど……?」
あやせ「」 ←真っ白
桐乃「そのエピソード、兄パン4枚で買った!」
あやせは初Hの時恥ずかしがって何もできなさそう
そこで京介は手を繋ぐところから始めて、腕組み・ハグ・キス・愛撫・・・
と一つ一つ積み重ねてHに至るという設定を考えてみた
>>249 前に似たようなのあったなー。
恋人のふりしましょう
じゃあ手をつながないとな、腕も組もう、ハグもしよう、キスもしよう、愛撫、エッチと
>>250 おう既出だったか
違うネタでも考えてみるかね
>>251 いやいや、ここじゃなくて、
ライトノベル板の本スレでちょろっと書いただけ。
気にしなくてもいいと思うよ。
あっちは恋愛メインじゃなかったしね。
加奈子を餌に、念願叶ってブリジットを自宅に招くことに成功した桐乃。
しかし、実はその時既に、桐乃は京介とベッドの上でギシギシアンアンする仲にまで発展していた。
加奈子とブリジットが訪問するその日も、桐乃は京介とお盛んであったのだが……
間の悪いことに、ちょうどその時加奈子&ブリジットがやってきて、二人の痴態を目撃してしまう。
そこで、桐乃が京介と共に取った行動は……?
と、こんな電波がやってきた。誰か文才のある人、具現化プリーズw
前に似たようなのあったなー。じゃなくて
俺が既に書いたけど書いてもいいよ(キリッ
と堂々と言えよw
SS書くのは久々だが頑張ってみるかな。投下はいつになるかはわからないから期待しないでくれ
ちなみにブリジッドはキャラがわからんので他の人に任せる
いちいち宣言しなくていいよ
黙って書いて黙って投下汁
変なのがいるけど期待してるから気にせず気長に書いてくれ
>>241.243
加奈子ルート突入、且つ沙織の好感度が一定以上で派生か。
難易度は高いな、一周目じゃ気付けないだろう。
>>248 オークションに持ち込もうとするなw
坂の上の雲を見て、瀬奈は広瀬×秋山を普通に妄想できる女だと確信した。
そして文化祭の出し物に瀬奈解釈の坂の上の雲で二人の役(ふんどし姿)を赤城兄と京介に頼むというネタが降ってきた。
投下します。ちょいと短め
「……俺に委ねろ。お前の全てを……!」
「はぁっ……ぁっ……」
男がそう囁くと、女は両目を見開き、瞳から徐々に光彩が失せていく。
そのまま熱に浮かされたような表情で、自ら男にしなだれかかっていき――
「こんな事出来たら人生バラ色だよなあ」
俺が今やっているのは、いわゆる催眠術モノのエロゲーだ。
主人公が催眠術を使って次々と女の子を虜にしていき、己の野望を達成するという内容。
一度虜にした女の子は、念を込めてジッと見つめるだけで、再び催眠状態にする事も出来るらしい。便利なものである。
「こんなストーリーで、ほんとに純愛ルートなんてあるのかよ」
そう。これを押しつけてきた桐乃曰く、超泣ける純愛ルートがあるそうだ。もちろんヒロインは妹キャラだ。
かれこれ三日ほどプレイしているが、未だにその片鱗すら見えてこない。
「ん……っと」
大きく伸びをする。少し休憩にするか。
何か飲もうとリビングへ入っていくと、ちょうど雑誌片手にくつろいでいた桐乃と目が合う。
「ねえねえ、こないだ貸したゲーム、もうコンプした?」
「いや、まだだけど?」
「はあ? 三日もやってまだクリアしてないとか、やる気あんの?」
桐乃はすっかりお怒りになって、俺に詰め寄ってくる。
悪かったな。俺はお前みたいな上級者じゃないから、そんな早くクリア出来ねーっての。
「あんたほんとにやってたの? 適当な事言ってサボってるんじゃないでしょうね」
信用ねえなあ、ちゃんとやってるって。
と、ここでちょっとした悪戯心が芽生えた。
俺は桐乃に顔を近付け、しっかりと目を見ながら、
「……俺に委ねろ。お前の全てを……!」
「えっ……」
驚いたように両目を見開く桐乃。
どうだ。もう主人公の決め台詞を暗記してるくらいやり込んでるんだぜ? これでサボってない事が証明出来たろう。
でも我ながら、ちょっと子供っぽい事しちまったな。こりゃまた笑われるか馬鹿にされるかな?
そう思ってたんだが、桐乃の様子がおかしい。
目の焦点が合っていないというか、どこを見てるんだかよく分からない。そうしてそのまま――
俺にしなだれかかってきた。
「っな!」
なんだコレ? どういう事?
慌てて抱きとめる。胸に当たる二つのふくらみを意識してしまい、ドキリとする。
「お、おい。桐乃?」
「……」
答えはない。桐乃の顔は髪に隠れていて、表情を窺い知る事も出来ない。
そしてあろうことか、俺の背中に手を回して抱きついてくる。
おいおい、これじゃまるで……。
「なあ、ほんとにどうし――っ!?」
動揺したせいか、足がもつれて背中からソファに倒れ込んでしまう。
一瞬息が詰まる。
慌てて身を起こそうとしたら、目の前に桐乃の顔があった。ちょうど俺に覆い被さる形だ。
桐乃は頬を紅潮させ、目は潤んでいる。まるで熱に浮かされたようで……。
まさかさっきのアレで、本当に催眠状態になっちまったのか?
そんなバカなとは思うが、でなきゃこの状況を説明出来ない。
あの桐乃が、俺の顔に手を添えて、物欲しそうな、切なそうな表情で迫ってくるのだ。
頬に髪の毛がかかり、女の子特有の良い匂いが鼻をくすぐる。
一瞬俺も変な気分になりかけたが、このままじゃマズイ。
急いで催眠を解かなくては。えーと催眠を解くには……。
……どうやって解くんだ?
おおい解き方なんて知らないぞ! ゲームの中じゃ、いつもキリの良いところで勝手に解けるんだが。
そうこうしてる間に、桐乃の顔がどんどん近づいてくる。もう吐息がかかるような距離だ。
ヤバイ、俺の不用意な一言でまさかこんな事になろうとは。
だが、本当の危機はここからだった。
「ただいま〜」
お袋が帰ってきやがった!?
待て待て待て、ちょっと待て。今の俺の状況を客観的に見てみよう。
『妹に催眠術をかけて、手籠めにしようとしている変態鬼畜兄貴』
もはや後生まで語り継がれるレベルだろ、これ。まさに末代までの恥である。
急いで離れなきゃいけないんだが、俺が下、桐乃が上、ちょっとでも動けば触れてしまいそうな距離に桐乃の唇。
う、動けねぇ……。どうすりゃいいんだ。
そんな事を考えている間にも、トントントン……という足音が無情にもリビングへと近づいてくる。
まさに死へのカウントダウンだ。
これまでか……と覚悟を決めかけたところで、桐乃が俺からスッと離れる。あれ?
ガチャリ
「おかえりなさい、お母さん」
「ただいま桐乃。さっきそこの奥さんと話してたんだけどね? そこの娘さんたら――」
え? どういう事?
桐乃とお袋が仲良く談笑している。さっきまでの出来事が嘘のようだ。
「あ〜……、桐乃?」
おそるおそる声をかける。
「……何?」
何事もなかったかのように、そっけない返事が返ってきた。催眠が解けた、のか?
「あぁ……いや、なんでもない」
なんだか知らないが、助かった――
「――って事があってな」
ここは秋葉原某所のカフェ。いつもの四人で集まって、これからどうするか話していたところだ。
ちなみに桐乃は今、トイレで席を立っている。
「たまたま催眠が解けたから良かったが、ほんと寿命が縮む思いがしたぜ」
いくら催眠術が使えたって、任意で解除出来ないんじゃ危険すぎる。主に俺の人生が。
ゲームでもいくつかバッドエンドを迎えていたしな。それが現実のものとならなくて何よりである。
「はぁ……あなたね、そんなのどう考えたって――」
「いやはや、きりりん氏も腕を上げたものです」
呆れ顔の黒猫と、なにやら得心がいったような様子の沙織。なんのこっちゃ。
「なあ、それってどういう――」
「おまたせー。なになに? 何の話してんの?」
ヤベ、聞かれなかっただろうな。
「……あなたのお兄さんの頭の中が、お花畑な件について話していたのよ」
「京介氏も、罪な男ですなあ」
頭がお花畑な罪人って酷いなそりゃ。
でもまぁ、遊び半分で妹に催眠術をかけちまったわけだしな。
コイツにも正直に話して謝るべきだろうか?
しかし何も覚えていないみたいだったし、やぶ蛇になるのもな……。
そんな事を考えて、桐乃をジッと見ていると、
「なにアンタ、さっきから人の事ジロジロ見て……っ!?」
なにかに気付いたように目を見開き、俺からザザッと距離をとる。
「ア、アンタ……いくらなんでも、こんな……このスケベ! 変態!」
急に赤くなって俺を罵倒してくる。ちょっと見てただけで酷い言われようである。
やっぱりコイツに話すのはやめておこう……。
結局いつもの巡回ルートで行こうという事になり、四人で連れ立って店を出る。
……空耳だろうか。その時、店の喧噪に混じって、
「こんなトコじゃ、かかってあげない」
そんな声が、聞こえた気がした。
以上です。
おお、キレのある短編が!
GJ!
催眠エロゲ貸して試して来るの待つとかなんという誘い受けw
俺に委ねろ〜の場面は京介のドヤ顔が目に浮かぶようだなw
しかしこんな不確実な仕込みまでして、この桐乃はどれだけ京介の気を
引きたいんだw
こういう本心を隠しつつのデレは本編を踏襲してていいな
もっとやってくれ
エロゲーの中の主人公のイメージがルルーシュしな湧かない件
ルルーシュ→漆黒→京介と連想すれば(ry
黒猫姉妹丼
>>266 催眠術小ネタGJ、桐乃のデレの匙加減が絶妙だな
この後は自分が催眠術使えると信じ込んだ京介があやせに色々やらかそうとして埋められる展開か…
桐乃は突発的な事態に弱い、こんな機転が利くとは思えない
すべては緻密に練られた計画だったんだ!
>>266 すばらしー!
よかったら続編がみたいぞな!チュッチュするとこみたいぜ
なんにしてもGJ
276 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 19:30:21 ID:ncmCoMaA
あやせを飼いたい
278 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 21:35:41 ID:G7oBZsZa
>>276 本音を言え。
奴隷にしてもらいたいんダロ?
人間正直が一番だぞ
スマン…sage忘れた
反省代わりに既刊全部読んでSSのネタ考えてくる
あぁ?うるせーんダヨ
肩揉めよマネージャー
さすがに平面は揉めません
誰がうまいこと言えと
加奈子ってヘタしたら15歳だよな。
で、ブリジットってたしか公式で10歳だよな……
……成長期真っ只中の5年間もの差があるのに、ブリジットちゃんのが身長高いしスタイルいいんだな……
ち、違うよ!ブリジットの発育がいいだけだよ!ほ、ほらイギリス人だし!
285 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 23:38:56 ID:ecShKbwb
あやせにフェラしてもらいたい
加奈子は大器晩成型なんだつーの。
デカいブスより小さくてかわいい方がオタク共にはウケるんだヨ
ブリジットってさアルファのコスプレしてるときと私服の時
ポニテにしてんのどっちだっけ?今手元に5〜7巻しかなくてよくわかんね〜の
ちょっこしネタ思い付いたんだがいきなり躓いてしまった…
アルファコスの時は間違いなくポニテ
キャラクターファイルのイラストでもポニテだからたぶん私服でもポニテなんじゃないかな
クリスマスパーティーで京介が一人負けし、桐乃たち女性陣扮するミニスカサンタにトナカイとして手綱をしごかれ、鞭で打たれるハメに。
ミニスカなので下着が見えそうなのだが、トナカイとして前を向かねばならず、お預け状態。
あやせたんだけは振り向いた京介にばっちり下着を凝視されるというネタが浮かんだ。
リアもブリジットちゃんもポニテまったくけしからん
>>289 d
ならポニテで統一した方が無難かな
京介は女の子の髪型にあまりこだわり無い感じだね。地味子の髪型変化に気付かなかったし…
ブリジットの時もコスプレ衣装に関しては事細かに描写してるくせに髪型についてはほとんど触れてない…
俺妹短編推理小説:コスプレ密室
を読みたいのに読めない
どうすればいいのか
この部屋は確かに密室だった
だが、この部屋に置かれていた京介のパンツは無くなっていた
PM1:00に黒猫が聞いた謎の奇声
午前から降り続いてた雨
全員一度は部屋に入った筈なのに指紋は残っていない
僅かに現場に残る、水の痕
沙織のアリバイと京介のアリバイが食い違う、どちらが嘘を吐いているのか
そして桐乃のポケットの謎の膨らみは一体……?
>>271 「嗅いでいいのは嗅がれる覚悟がある奴だけだ!」
ワロタ
そんな、男のパンツの事件なんて、特命係にまかせましょうよ。
密室の部屋に桐乃がどう入り込んだのか気になる
だがちょっと待ってほしい
桐乃が部屋に入ったのではなく、兄パンが桐乃の部屋に入ってきたとは考えられないだろうか
兄パンが私の顔を嗅いできたの!
それ全部桐乃の証言だけが元になってそうじゃないかw
顔を嗅いできた兄パンをあわてて引き剥がしたら黒いのがそれを見て悲鳴を上げてきたの!
あたしこのままじゃパンツを持った変態じゃん?
だからとっさに兄パンをポケットの中にしまったの!
>>301 沙織「きりりん氏……酸素欠乏病にかかって……」
黒猫「3分で12枚の兄さんパンツを嗅いでいるというの?!」
瀬菜「妹はいつも過激な事しかやりません。
でも妹は、血が繋がってるから、婚姻届を出すことができなくて
最後には世捨て人になる……」
桐乃「あたしはっ…結婚なんて考えてない!」
黒猫「惨めな妹ね……そう言えば貴方の気がすむのでしょう?」
桐乃「兄貴を奪ったあんたが言うことか!
あんたが居なければ……あたしはずっと兄妹でいられたのに!」
あやせ「だから桐乃は、お兄さんのパンツを道具にして!
もう止めよう、桐乃……まずはお兄さんの彼女を気取る雌猫を片づけて
それから一緒に、お兄さんを監禁する未来を考えよう?」
黒猫「それはエゴよ!」
あやせ「私は、桐乃とお兄さんの未来を見届ける、傍観者に過ぎないから、
そうにも見えるでしょうけど……」
加奈子「おめーの存在そのものが危険なんだっての!」
桐乃「パンツは力なんだ……兄貴のパンツは、あたしを支えている力なんだから!
厨二病にはわからないでしょ! あたしの身体を通してでる近親上等の力が!!」
黒猫「動きなさい、漆黒! なぜ動かないの!?」
沙織「そんな力は無くて充分でござる! そんな力がコミュニティを壊すなら、
拙者はパンツだけでいいでござる! 拙者はパンツで充分でござる!!」
あやせ「……感情を処理できない桐乃は、私の親友じゃないって教えたつもりなのに!」
瀬菜「おかしいですよ、桐乃ちゃん! 本当にしなきゃいけないのは、
近親相姦じゃなく、先輩とお兄ちゃんの突き合いの筈でしょ!」
桐乃「穿かせるものは穿かせ、嗅ぐものは嗅ぐ!
兄パンくんかくんかの、真の意味も分からずに!」
加奈子「兄パンをなぁ! 熟成させたり、色形を選ぶ時というのはなぁ!!
同居している妹が甘ったれてする選択なんだよ!!!」
ブリジット「マネージャーさんのパンツが手に入るチャンスは最大限に生かす
それがかなかなちゃんと私の主義だから!」
桐乃「兄パンが足りない!?」
黒猫「兄パンがどんなに強臭であっても、それは兄さんではないわ。
なら、その小さな布きれだけで、匂いは尽きてしまう!」
桐乃「助けてよ…助けてよ、京介お兄ちゃん……」
沙織「きりりん氏は求めすぎたのですわ……その上で、お兄様にツンしてしまってではないですか」
桐乃「これは兄パンに出会った為に、あたしの血を省みることなく
くんかくんかしようとした事の結果なんだ……しすしすの事とか、人生相談とか
そんなことで、こんな風になったんじゃない……」
あやせ「そのお兄さんのパンツを、どうしてもっと早く分けてくれなかったの!
持てるパンツを、平和と協調に使えば……こんなことにはならなかったのに!」
プシュー
京介「よう、おまえら白熱してたみたいだな」
沙織「戦場の絆の醍醐味は通信回線でござるからな」
304 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 10:26:53 ID:CcIZYR7Y
どこの映画の予告編だよ
さらっと現実に戻ってる沙織が怖いw
なんというプレイ
最初はzが元ネタと思ったけど、途中からわからなくなったw
Z、CCA、ターンAまでは分かったが一部分からんw
加奈子の御大将セリフが口調に違和感無さ過ぎてイイなw
ZZやF91、Vと少なくとも富野ガンダムは網羅してるな
ところで京介は桐乃達がプレイ中何していたんだろう
黒猫の妹かリアでも膝に乗せて大人しく待っていたのか
はたまた全員の飲み物買いにパシっていたのか…
1st、Z、ZZ、CCA、F91、V、∀は確認出来る。
ってか富野ガンダムオンリーっぽいな。
京介本人はマクロスなのになw
ガンダムも出てるじゃないか、ミスターブシドーで
マクロスではないけどなw
さりげなく黒本ネタも混じってて俺歓喜
>>303 1番ポッド:沙織(連邦3番機)
2番ポッド:桐乃(連邦4番機)
3番ポッド:黒猫(連邦1番機)
4番ポッド:あやせ(連邦6番機)
5番ポッド:加奈子(連邦5番機)
6番ポッド:ブリジット(連邦7番機)
7番ポッド:瀬菜(連邦2番機)
8番ポッド:京介(ジオン1番機)
もちろん店内マッチングで。あと、1〜7番機の順番は、コイン投入順で。ゲーマーの二人が早いのはお約束。
黒い旧ザクの反応速度が異様に早いのか・・・・・
催眠術ネタかー、面白いな
GJ
kirino_kousaka: まあね〜♪ なんたってあたしの一押しレイヤー・プリティエンジェルかなかなちゃんが歌って踊っちゃうんだよ! これが神回ってやつ!?
kuroneko_daten: ……一応念のために聞いておくけど、その娘の正体を、あなたは知っているのよね? 10話の中では気付いてなかったようだけど。
kirino_kousaka: うん、フィギュアもらうときに聞いたし。
kuroneko_daten: そ、そう……知っていてその態度、と。
kuroneko_daten: あのメルルもどきが、学校であなたのセクハラ被害に遭っていないか、心配だわ。
くんかたんの新ネタ来たぞ!
学校での加奈子と桐乃でネタに出来そうだな
あきれてるだけじゃ
>>320 「何だよ桐乃、こんな所に呼び出して」
「加奈子…何も言わずこれを着て!」
「こりゃメルルのコスプレ衣装じゃねーか!なんで仕事以外で着なきゃいけねーんだよ!」
「いいから着て!」ガバッ「ちょっ!?やめろって…あー!?」
「ああっ!メルルちゃん可愛いよ、あたしのメルルちゃん…ハァハァ…」
「あ、あの桐乃さん?目つきが怖いんですけど…それと何故指をワキワキさせてるんですか…」
「もう…我慢できない!」ガバァっ
「ぎゃ〜!!」
「…っていう事があったんだよ。あやせからも何とか言ってくれよ」
「つまり加奈子は桐乃と組んず解れずしたと…加奈子、それ自慢?自慢なの?」
「どうすればこれが自慢に聞こえるんだよ!…あやせ?なんで瞳の光彩消えてんの…なんで無言で近づいてくんだよ……アーっ!」
こんな感じか
何その死亡フラグ
漫画版3巻のおまけ見るとあやせがガチレズヤンデレにしか見えなくて困る
まぁコミケの時の桐乃をあんな嫌な感じに描く漫画版だしなぁという感じでもあるが
しかし京介はHシーンで眼鏡を「かけたまま」か「はずす」かの選択肢は迷わず「かけたまま」を選ぶのか。さすがだ。
というか京介って女性の裸じゃなくて眼鏡に興奮してるんじゃないか?
あやせが眼鏡なんかかけた日にゃ『結婚してくれ』じゃ済まないな
「俺の子供を産んでくれ!」
「あやせ、眼鏡かけたまま頼む」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ありがとうございます!!」
妹やあやせに蹴られ、罵られ、Mに目覚めてしまう京介
大丈夫、もともとだ
今までアヘ顔って苦手な部類だったんだけど
このスレのクンカのおかげか桐乃のアヘ顔画像だけは全然抵抗が無くなった。
誰だよ俺に「桐乃は兄貴のパンツをクンカしたり食べたりする変態」とかいうイメージを植え込んだやつは・・・・
333 :
灰色 猫:2010/12/16(木) 19:54:21 ID:ongwn2/T
>>303 閃ハサまで混じってるとはどれだけマニアックなんだよ。
俺妹は人生相談によって成り立っています。
京介も親父や麻奈実に相談してるしな
>>325 漫画版は……
あれは何か違うなw
端から基本的にイマイチだった
>>337 何かが違うですって?冗談じゃない!?漫画版は現状で100%の性能を発揮できます。
読者にはそれがわからんのです
はっきり言う
気に入らんな
黒猫はエロいなぁ
あんな顔されたら押し倒すしか無いだろ
京介「黒猫はドムだな、色でわかる」
黒猫「女の子にドムとは、覚悟はできているのかしら?先輩?」
京介「ふ…冗談はよせ。黒猫はジオン軍。
俺もガンダムを抱きしめたくてジオン軍。
お前に俺を倒すことは……」
黒猫「真のゲーマーたる者、連邦とジオン、両方の陣営でプレイしているものよ?」
京介「なんとー」
ドムということはスカート付きか
あと京介、どこぞの阿修羅を凌駕する人が混じってるw
>>326 > というか京介って女性の裸じゃなくて眼鏡に興奮してるんじゃないか?
メガネフェチの俺だが、試しに想像してみたらメガネで興奮できることに愕然とした
メガネ?メガネなんてただの飾りです。
地味子ファンにはそれがわからんのです。
まあ、興奮するかどうかは別としていろいろ使いようのあるアイテムであることは間違いない。
「メガネ割れろ」
「ホントに割れたらどーする!! 劇場版か!? 劇場版で死亡回避か!?」
「イクサー5より、ロリの方が妹っぽいでしょうが!
……アンタ、シェリルとランカ、どっち派?」
「両方とも俺の翼だけど?」
「ウザッ…どう考えてもランカちゃん一択でしょうが!
ランカちゃんは妹なのよ? 義理のお兄さんと生のお兄さん、二人もいんのよ?」
「生のお兄さんってなんだよ!?」
「あとステラちゃんも妹っぽいから生かさないと……
ロリクランちゃんとステラちゃんの生存フラグを両方遂げなきゃならない
……それがあたしの辛いところね」
「桐乃、メガネの良さが分かっても、そこから救ってやらなければ意味はない。
そう意味なんてないんだ……まあ、宗美さん生存フラグ建ててくれるならミシェルはいいや
男のメガネなんてメガネじゃないからな」
>「両方とも俺の翼だけど?」
ウザ過ぎるwwwwwwww
>>345 >義理のお兄さんと生のお兄さん、二人もいんのよ?
ブレラは生じゃねえよ。どうみても加工済みだろ
>>345 4はあのチョット色が黒くて照れ屋で、ナイフを奪い取って使うあの方ですねwww
アニメバレルはヒロインの城崎が加藤の「妹」できりりん大勝利
沙織「スパロボなら主人公(お兄ちゃん)大好きな実妹が出てくるWもきりりん氏にオススメでゴザルよ」
桐乃「マジ!?」
沙織「中盤では主人公は厨二に覚醒するでござる」
黒猫「興味深いわね…」
沙織「この主人公、恋愛ヒロイン不在なのがたまに傷でござるが…」
瀬菜「つまり男×男?!」
沙織「主人公の父親がキーパーソンの家族愛がテーマでござる」
大介「ほぅ…一つ貰おうか」
京介「最後待て」
確かにWの展開そのまますぎて困るwww
主人公の相棒、ジャンク屋のおさげ男だしなw
俺も雑談嫌いじゃないからあまりいいたくないが最近ちょっと脱線気味な気がする
今ちまちま書いてるSS投下するころにはスレの流れが変わってるといいな…
変わってるといいなじゃなくてそのssを投下して流れを変えるんだよ
重度のキモオタである桐乃の親ということは、逆に考えれば親父にもキモオタの素質が眠っているということに……
SSの投下が無いから雑談厨が幅をきかす
雑談厨というか子供だな
明らかに18歳未満な奴が多い
そうやってなんにでも『厨』ってつけて見下すのはやめた方がいいぞ。
それと、「対案なくして反対なし」って言葉があるが、文句ばかり言うぐらいなら自分から空気変える努力してみろよ。
そうやって文句ばかり立派で具体的な行動を何もしないから、自治『厨』って呼ばれてウザがられるんだよ。
自己紹介しなくても
長文で反論するやつはだいたいアホ
雑談自体を否定したわけじゃないのに何故荒れるんだ…
雑談がちょっと多過ぎでSSが投下しにくい雰囲気だからもう少し自重した方がいいんでない?って思ったんだが
SSが投下されないから悪いとか言われちゃうとな…
SS投下する事より雑談を優先するならエロパロ板にスレ立てする意味ないじゃない…
ガキかどうかはともかく雑談は控えた方がいいと思う
>>361 ああ、それならSS投下に雑談気にする方が間違ってる
感想が雑談で流れたりは流石にムッとくるけどなw
魅力的なSSが書けたらそんな事もないんだろうし、精進中
雑談ヤメレとか言うのはエロパロ経験少ない新入りなんか?
・住人はSSの投下をいつでも歓迎している
・投下がないのは誰も作品を書き上げてないから
・誰かに作品書けと強制できる権限はあなたにありません
・文句があるなら自分で投下しましょう
・基本ネタと雑談に華を咲かせる場所です
・投下があれば御の字くらいに思っとけ、いやマジで
出た自分ルール
スレの私物化が進んでいるな
古参さんまじパネェっす
少なくとも今はテンプレにある
書き手が投下しやすい雰囲気ではないわな
むしろこのスレの投下率は非常に恵まれだろ
雑談多いのが不満てどんな贅沢な言いがかりだよww
エロパロ舐めてるとしか思えんぞ……
>>364じゃないがエロパロってのは投下があれば御の字くらいに思っとけ、いやマジで
>>368 予告、宣言があったら雑談はストップする
投下後は感想がひと通り付くまでは雑談しない
雑談に関してはそんなもんだ
人が増えてんだから、気にして投下できない、ってのも弱すぎるよ
人気がどうとかキャラ叩き、煽り合いみたいなのは勘弁だがw
371 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 22:29:51 ID:8Yw94C/W
自治厨かえれ!
>>364 基本SSを投下する場所だろwww
そこだけは間違えちゃいかんw
本編アフターな「漣」(さざなみ)を、明後日未明にトータル140kb、おそらく60レスで投下します。
書き上がりましたが、目下、プロットと伏線の矛盾点のチェックと、誤字脱字の撲滅に注力しているところです。
以下、予告編
-----------------------
「お姉さんから言付かってきました」
なるほど、封筒には、『高坂京介さまへ 田村麻奈実』とだけ記してある。
「読んでいいのか?」
あやせが、無言で頷いたのを認めて、俺は、封筒の端を破り、便箋を取り出した。
その便箋には、一緒に勉強していた頃にノートとかで見慣れた、麻奈実のものに間違いない筆跡で、以下の文言がしたためられていた。
『きょうちゃんへ
ご無沙汰しています。
そちらでの生活はいかがでしょうか。
ただ、とっても残念なことを、きょうちゃんにお伝えしなければなりません。
わたし、今は、きょうちゃんとは別の人とお付き合いしています。
ごめんね、きょうちゃん。
でも、きょうちゃんも悪いんだよ。
きょうちゃんの、ばか』
「な、なんだとぉ……」
便箋を持った両手が、アル中患者のそれのように、小刻みに痙攣していた。
麻奈実特有のか細い筆跡で綴られた文字が、じわっと滲んで見えてきたと思ったら、不覚にも、俺は大粒の涙をこぼしていた。その涙は、両の頬を伝って、ぽたぽたと、膝の上に滴っている。
畜生、普段のあいつの口調そのままで綴られているから、余計にこたえるじゃねぇか。
まるで、面と向かってあいつに言われているような感じだ。
「ふん、ふん……。ご愁傷様ですけど、自業自得ですね。お兄さん」
肩越しに麻奈実からの手紙を読んでいた、あやせは、すまし顔で平然と抜かしやがった。
「あら、あら、高坂さん。どうしたんですか……」
下宿屋のお婆さんが、心持ち眉をひそめた心配そうな表情で、俺を見ている。
そりゃそうだ、俺はというと、涙を流しながら、茫然自失の態だったんだろうから。
だが、あやせは、お婆さんにとんでもないデマを吹き込みやがった。
「兄は、幼馴染だった人に振られたんです。その人、お兄さんの彼女だったんで、私も“お姉さん”って呼んでいたんですけど、お兄さんが、エッチな、それも妹を陵辱するような破廉恥な漫画やゲームに入り浸っていたんで、愛想を尽かされたんですね」
信じられますか、皆さん。こいつ、笑いながら、こんなこと言ってるんですぜ。俺をどんだけ貶めれば気が済むんですかね。
------------------
>>372 スルーするしかないなw
書き手は弱いもんだよ、スレに愛着があれば荒れるようなことも言えんしw
まあ愚痴スレや誤爆なんてその為にあるようなもんだから活用してくれw
今回の雑談ヤメレは前回の馴れ合いヤメレと同じ手口の荒らしみたいだから俺含めて反応した奴ら全員のミスだったんだな……
以後スルーってことで以下通常運営
黒猫の部屋和室で妹がふたりもいるから、普段どうやって暗黒自慰してるのかが気になる
まあwktkして待つか
>>375 60レスってマジかwww
ワクワクが止まらない
大介がオタク化と聞いてサクッと京介と桐乃で小ネタ
「ふぁああぁ……」
生あくびを噛みしめきれないまま、俺は階段を下りた。
今日は日曜だ。ゆっくり寝ていたい。特に遅くまでエロゲをしていた夜は。
しかし俺の三大欲求の序列では睡眠欲は第三位であったらしい。
そして第一位に輝いたのは食欲。
食事の時間に現れないとメシ抜きという高坂家ルールに生きる身としては
性欲も睡眠欲もマウントポジションで押さえつけて、胃袋を満たしてやらなきゃならんのだ。
「……おはy……」
リビングに入った俺は目を疑ったね。
「挨拶はどうした?」
「どうした?はコッチの台詞だ、親父……」
アンタ何読んでるんですか?
スゲー真剣な表情で、その手に持っているカラフルな装丁の
お目々大きな二次元(いや、本だから二次元で当たり前だけどね!?)の女の子が描かれている
その本はどうみても……
「ラノベじゃねーか!!!」
「何を言っているのかわからんが、これはライトノベルというものらしい」
いや、略語だからね。ライトノベル、略してラノベだから。
やべーよ、マジやべー。俺寝ている間にパラレルワールドに来ちまったのか?
何で親父がラノベ読んでるんだよ?
だってウチの親父だよ? ガモウノカーチャンノサイフノヒモぐらいお堅い警察官の親父が
桐乃の趣味を即座に全否定して処分しようとしていた人が
なんでラノベ読んでるの? え? 死ぬの? 俺?
「桐乃に借りた」
「桐乃が?」
「ああ。俺も桐乃の趣味を把握するのに必要だと思ってな」
いや、いいよ親父……そんなのは俺一人で充分だから、親父は親父のままで居てくれ……
万が一、億が一でも、親父がエロゲーやり始めたら俺もう現実を直視できないからね?
親子三人そろってエロゲーマーとか、どんだけ業が深い一族なんだよって。
「ふむ…」
ポムっと本を閉じた親父は、相変わらず真剣な表情で感想を語り始めた。
「いささか文章量が少ないと感じたが……」
「まあ中高校生向けの小説だからな」
「話はよくできているし、多少の言葉の乱れや片仮名の多さは気になるが
子供が読んで害悪になる類の本ではないな。これならば問題あるまい」
ラノベに関しては俺は専門外だが、親父が持ってるヤツはアニメ化されてるので内容は知っている。
大人が見て当たり障りない内容なのは確かだし、桐乃だってそういう作品を選んで貸したんだと思う。
「桐乃に言ってやれよ、きっと喜ぶぜ。まあ、その作品の桐乃のお気に入りのキャラは3巻から出てくるんだけどな」
「ほう。では2巻を桐乃から借りてみるか」
ちょっと待て親父。ハマってるんじゃないだろうな!?
そんなゲンナリとした朝で始まった休日ではあったが
昼頃にラブリーマイエンジェルあやせが遊びに来たことで俺のテンションは一気に有頂天になった。
別にあやせが俺に会いに来たワケじゃないけどね。
例によって桐乃によって俺は自室に押し込められたワケだが
ふふふ……甘いぜ、桐乃。ウチの部屋の壁は薄いのだ。
あやせタンの生ボイスを堪能するには、俺の部屋はむしろベストポジションなのだ!!
「ああ…酷いよ桐乃……私、初めてなのに……」
ちょっと!? 何やってるんですか、ウチの妹様は!?
もう救いようのないオタク道に突っ走ってるのは知ってましたがね。
まりあ†ほりっくよろしく百合百合大好きな汚物になってるなんてお兄さん聞いてませんよ?!
「あやせ! どうせなら俺に初めてをくれ!!」
何時もは桐乃によって開かれる(そして俺の顔が叩かれる)、妹の部屋の扉を乱暴に引く。
珍しいことに鍵はかかってなかったようだ。
さらに珍しいことに
「あやせがゲームしている……?」
「な、な、な、何勝手にあたしの部屋に入ってきてんのよ!」
「はうっ?!」
桐乃が投げたコントローラーが、俺のジョイスティックを16連打した。
「んで? 桐乃に進められてゲームをやってみたと」
「いかがわしいゲームじゃなくて…えい!…小学生でも買える…えい!…ゲームだと聞きましたので……えい!」
ボタン押す度に身体が揺れているあやせ。何この可愛い生き物。
「でも酷いでんすよ、桐乃ったら。初めての私に全然手加減してくれなくて」
普段沙織や黒猫に負けまくってるからな。
「あやせにこんなにやられてるなんて、やっぱアンタ弱いよねー」
いやあ、流石に俺は大人だから手加減しているだけだけどねー
確かに俺の実力は(やりこみ度の関係で)桐乃以下ではあるが、初心者に負ける程じゃない。
あやせは典型的なガチャガチャタイプだし。
「やった、勝ちました! 見てた桐乃!!」
「うわ、兄貴ダッサ」
……落ち着け、俺はワザと負けたんだ。最初から負ける予定なんだから
桐乃に何を言われても受け流して当然であって、ここでキレるのはおかしい、そうだな、俺?
「ふー…俺、下からジュース持ってくるわ」
「OK。じゃあやせ、次あたしとやろ」
「ふっふっふ…今度は負けないよ、桐乃」
「……しゃーねぇ、俺はウーロン茶でいいか」
2つ目のコップで冷蔵庫にあったオレンジジュースが切れたので、俺は代用品を探した。
「しかし、意外とハマってたな」
桐乃があやせに薦めゲームは確かに全年齢対応だし、元がエロゲーという訳でもない。
だが、普通の格闘ゲームかと言われれば、ユーザーはかなり絞られる。
なぜなら使用キャラは全て可愛い女の子だからだ。
我が妹ながら、中々狡猾なソフトを薦めやがったもんだ。
「親父といい、あやせといい……」
桐乃の周りに桐乃の趣味の理解者が増えるのは、桐乃にとって良いことなんだろう。
でも、本当に幸運なコトは、そうまでして桐乃を理解してやろうって人間がこんなにいることだって
アイツは分かってるんのかねぇ……まあ、俺が気にすることじゃねぇか。
俺はポッキーを探し出してジュースと一緒にお盆に載せると、階段を登り始めた。
ま、それが2ヶ月ぐらい前の話だよ。
それで、俺は学校の帰り道、参考書でも買おうかって立ち寄った本屋で
桐乃が買っていたラノベの最新刊を見つけたんだ。
ソイツを参考書と一緒に買って帰るぐらい、別に普通だよな?
それから麻奈実ン家に寄って勉強して、家に帰った。
玄関には親父の靴があって、今日は割と早く帰ってきたな、なんて思ったりした。
リビングから桐乃の声が聞こえたんで、俺は鞄の中からラノベの入った紙袋を取り出したのさ。
後で部屋で渡してもいいんだけどよ、早く桐乃の喜ぶ顔がみてぇじゃん?
いやシスコンじゃないぜ? これは高坂京介が最初から持ち合わせている優しさってやつだ。
まあ最近は親父も桐乃の趣味に理解あるし
リビングで渡して、そこで袋の中身空けてもイヤな顔はされないだろうさ。
「お父さん、最新巻買ってきてくれたの?!」
「ああ、偶々書店で見かけてな」
「ありがとう! 嬉しい! お父さんに買って貰えるなんて!」
俺は紙袋を鞄の中に戻した。
夕飯食った俺はさっさと自分の部屋に上がった。
桐乃と親父はなんか話が弾んでいるみたいだったし
かといって俺とお袋で仲良くお話しましょうって間柄でもねぇ。
お袋は飯の片付けもあるだろうしな。
本屋で買ってきた漫画雑誌を捲っていると、あのラノベのコミカライズが連載していた。
って言っても、アニメ化に合わせた進行速度だから最新の原作と比べて話の進み度合いが違う。
トントントン…と足音が聞こえた。桐乃が上がってきたらしい。
それから漫画を読み終わる頃には、薄い壁から「ぎゃあ!」だの「やった!」だの
黄色い声が聞こえてくるようになったもんだから、俺のイライラが最強最速のウルトラマンマックス。
「うるせーよ、桐乃!」
思わず駆け込んだ俺に
「はあ? アンタの方がウルサイし」
桐乃は悪びれもせずに答えやがった。
「確かにちょっとはしゃいじゃったかも知れないけどさ、
こんぐらいならアンタだって出す音じゃん? なんでキレてんのよ?」
「うるせーもんはうるせーんだよ!」
「ウザッ…わけわかんないし?」
妙なもんで、キレればキレるほど、案外俺は冷静になっていった。
桐乃の言い分は(珍しく)正しい……と思う。
確かに桐乃の声は大きかったが、いつもなら聞き流している程度の音量だ。
それにイラついたのは……なんでか知らないが、俺の虫の居所が悪かった
つまり八つ当たりなんじゃねーかって思い始めたんだ。
けど、今更それを認めて引き下がるってのも、なぁ……なんてつまんねー意地を考えていた時、
パソコンのディスプレイにはゲーム画面に気づいた。
そうか、桐乃のヤツゲームしてて熱中してたのか、なんて格闘ゲームのスコアを見ると
桐乃が勝ち越している。桐乃がゲームして勝ち越す? 有り得ないだろ?
だって唯一の桐乃が勝てる相手である俺は、ずっと隣で漫画読んでたんだぜ?
「……誰とゲームしてたんだ?」
「は? あやせとだけど?」
……ああそうかい、親父といいあやせといい、随分と順調にオタク化推進させているんだな。
ま、それを身を持って体験した俺が言う台詞じゃねーかも知れないけどよ。
「ねえ、アンタ、何怒ってんの?」
「……お前がうるさいからだろ」
「そうじゃなくて、晩ご飯の時からずっとイライラしてたじゃん」
「してねーよ」
「嘘。してた」
はあ? なんでコイツ断言できんの? お前は俺ですか?ってんだ。
夕飯の時からイライラしてた? へっ! してたかもな。
コイツの為にラノベ買ったけど、無駄になったんだからよ。
俺はコイツと違ってモデルの仕事もねーし、バイトもしてないから
懐事情はそんなに豊かじゃないんだ。ラノベ一冊でもMOTTAINAIの精神が働きますよ、そりゃね!
「なんだ、結局お前のせいかよ」
「はぁ? あたしが何したってのよ?」
「なんでもねーよ。ちょっと金が無駄になっただけだ」
「どういう意味よ? っていうか、いいわよ、何円損したかわかんないけど
あたしのせいだってんなら、払ってあげる。このままだと気分悪いし」
「馬鹿か。妹に金たかれるかよ」
「あんたが言い出したんじゃない!」
「……んじゃ、金じゃなくて時間にしてくれよ。お前、あやせとゲームできるようになったんだろ?
じゃあ俺とゲームする時間は必要ねぇよな? もう誘わないでくれよ、それでいいな?」
「なっ……」
桐乃が何か言おうとするのを遮って、俺は自室に戻った。
これ以上一緒にいたら、もっと酷いことを口走ってしまいそうな、そんな気がしたからだ。
「……酷いことってなんだよ」
不貞寝しながら呟いてみる。
あのまま口論を続けて……俺にエロゲ渡すなとか、アキバに連れて行くな、とかか?
それって酷いことか? 別にそれで何か変わる訳じゃない。
「……変わるかもな」
結局、冷え切っていた兄妹の関係を修復したのは、
俺と桐乃の間に立ってくれたのは桐乃のオタク関連だった。
今はそれだけじゃない、とは思う。
俺と桐乃の間にあるオタク関係を断ち切っても、昔みたいにはならないだろう。理屈なら。
いや、あの妹様の性格ならわかんねーかもな。
ただ、確実に接点は減るだろう。
……それは、イヤだった。
鉛のように重たい空気を、人の気配が砕いた。
「……兄貴、寝てるの?」
寝れる訳がない。けど、起きて顔を合わすのはもっと辛い。
俺は寝たふりを決め込んだ。
「……何怒ってるのかわかんないよ、兄貴」
ベットが揺れた。
いつものように跨られて、はたき起こされるということはないみたいだ。
……そう考えると、俺酷い目にあってたんだな。
「次からはうるさくしないよう気をつけるからさ……」
実はこれ夢なんじゃね?
素直に謝ってるんですけど!? 桐乃が謝ってるんですけど!?
「……でも機嫌悪いのって絶対それだけじゃないじゃん。
何年兄妹やってると思ってんの。それぐらいわかるんだからさー…」
桐乃の声のトーンが小さくなる。
「……もう一緒に遊ばないとか、言わないでよ。
あたしが原因なら、治すからさ。また、あたしを置いていかないで……」
「置いていかれてるのはコッチだってーの」
目を瞑っていても、俺の言葉に桐乃の驚いた顔が目蓋に浮かぶ。
そんで次は……
「お、起きてたならそういいなさいよね! きもっ!」
って、形のいい眉をつり上げながら俺を殴…
「ぐぼぉっ!?」
け、蹴りやがった……しかも脇腹!?
「ちょ…待て……せめて最後まで言わせろ……」
「はあぁ? 自分は寝たふりしてやってきた妹を襲うつもりでしたって?」
「んなコトするか!」
っていうか、その鞄はマジやめて下さい。まだ中身入ってますから。
それで殴られたら、その中の教科書の内容、俺の脳細胞から飛んでいっちゃうから!
「……何よ、コレ」
「あ……」
鞄の中から、サイズの小さいラノベがこぼれ落ちる。
「……アンタも随分オタクになったわよね」
「違うわ。それはお前に買ってきたんだっての!」
「え…?」
「あ……」
くそっ…俺が自分で買ったことにすりゃ、丸く収まったのに!
「い、今なんて……」
「だ、だから……偶々本屋で見つけたからよ、お前に買ってやろうかって」
そしたら桐乃は暫く本と俺を交互に見つめていると、その本を胸に抱えて言いやがったよ。
「あ、ありがと……」
「あ、ありがとってなぁ……そ、それはもう持ってるだろ。親父が買ってきたやつ」
「べ、別にお父さんが買ってきたからって、これ貰っちゃいけないことないし。
っていうかあたしも今日自分で買ってきてたし」
え……?
た、確かによく考えれば、桐乃が最新刊のチェックをしてないなんてコトはないよな。
「じゃあお前、その巻3冊も持ってることになるんだけど……」
「だから? 保存用と観賞用と布教用でちょうどいいじゃん」
そういうもんなのか?
「な、なんだ。アンタ、これ渡せなくてイライラしてたんだ……
ふ、ふ〜ん……妹にプレゼントできなくてイライラするなんて、ガキね。
ガキの上にシスコンとか、もう救いようがない感じ?」
「うるせー。シスコンなのは否定しねぇが、イライラの理由はそれじゃねぇ」
といっても、お前に言われて気づいたんだけどな、理由。
「お前が親父やあやせと仲良くオタ話してるからだ」
「は?」
「わかってるんだよ! それが悪いことじゃねえってのはさ!
親父もあやせも普通の人間だ! そういう人間じゃねえよ。
それがお前の話を理解して、しかも一緒に会話したり遊んだりするようになった。
アイツらだって、それが悪い気分じゃねえってのは俺が保証してやる。俺がそうだったからな!」
俺は桐乃に趣味をカミングアウトされて、桐乃にエロゲやらなんやら押し付けられて
興味なかったか?と言われればその通りだった。
けど、そんなことより桐乃と接点ができて嬉しかったんだよ。
桐乃と共通の話題ができて、嬉しかったんだっつーの!
「お前のせいでオタクになったのは俺だけだったじゃねぇか。黒猫と沙織は元からオタクだったしよ。
お前がアレコレ薦めてきてよ、中には面白いのもあったし
それに何より、お前って人間が少しわかった気がした。
下地がない分、お前は一生懸命俺に構ってくれたしな。
そうだよ、俺はお前に構って欲しかったんだよ。兄貴なのに、俺は妹に構って欲しかった」
「そ、それで、あたしがお父さんやあやせにかかりっきりになってて、寂しかったっての?」
「ああ、多分そういうコトだ。だから俺が機嫌悪かったのはお前のせいじゃなくて俺のせいだし
そいつは理屈も何もない、ただの我が侭だ。ガキ以下さ」
「……馬鹿じゃん」
「ああ、馬鹿だよ。とんでもねー馬鹿だ」
さらに言えばシスコン失格だろ。
妹がいい風に向かってるのを、独占欲で認めたくねーってのはさ。
「……あ、あのさ」
「なんだよ」
「あ、あたしから見たらアンタなんてまだまだオタクじゃないから。
あたしの授業無しにオタクとして独り立ちできるとおもったら大間違いだからね!」
「桐乃……」
「だ、だからさ、い、今からゲームするから!
いい? 最低アタシに勝ち越すぐらいじゃないと認めないから」
へ……そりゃズルいぜ。そんな条件じゃ、俺はずっと桐乃に勝てないじゃねぇか。
「アンタがハンパなオタクになったら、あたしの教育能力の問題になるんだからね。
だから……あたしと同じぐらいになるまで、ちゃんと面倒みるんだから。
まーアンタってばシスコンだし、本望でしょ?
お父さんやあやせだったらそこまではしないんだから。わ、わかった?」
こんなコト言われて喜んでるんだぜ、俺。
ったく本当に……どうしようもないシスコンのオタク見習いだよな。
「ホラ、さっさと準備する」
「はいはい」
「何? イヤなの?」
「トンデモゴザイマセン嬉しいです桐乃様」
あいつが笑った。
結局、俺はこの笑顔を捨てられないって訳だ
おわり
ヨカッタヨー
乙
京介さんかわいいです
ほえー、やっぱきりりん可愛いわ(*^^*)
乙乙
桐乃も京介も可愛いな
乙ですよ
何だこの可愛い兄妹…マジ乙だぜ
雑談をフリ
雑談からネタをみつけ
雑談を一掃している
スレと一体になってやがるんだID:ke0xoE4cは……
お兄ちゃんに激しく萌えちまったじゃねーかw
>>387 乙
雑談については次スレ立てる人がテンプレに書きたしとくってことでいいんでないか
SS投下された後は基本雑談なし、雑談と言っても脱線した話題はNGって
>>387 GJでしたw
でも煮え切らないモヤモヤする自分がいる。
良い作品だったのに…誰か俺が何にモヤモヤしているか教えてくれw
おっと、どうでもよかったらスルーしてくれw
>>387 きりりん!
マジおつ、京介の嫉妬いいねww
>>387 GJ!書き手の端くれとして嫉妬しちゃう!
>>397 ・あやせに京介がボコられるシーンがない
・ラノベにはまった親父が夜にお袋とラノベのイメージプレイをしてくれたら…
辺りと予想してみる
>>397 …妹がいつもと違って大人しくて、
期待したような悪態を吐いてくれないのが
不満なのでしょう?
>>399 ありがと!
だが下の発想はまったくなかったwww
403 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 11:18:30 ID:XLBqyv5o
さすが強欲の京介氏だなw
>>400 そうだな!
珍しく妹が悪くないからかもw
何でこんなに単芝が多いんだよ
最近「本編では絶対にない」に象徴されるアレなレスが増えたなぁと思う
「じゃあ、兄さん。私もあなたの妹みたいに
キツい言葉であなたを責めた方がいいのかしら?
そうしないと満足できないのでしょう?
妹に下僕扱いされないと興奮できないなんて、
私もとんでもない変態を好きになってしまったものだわ。」
……ちがう‼ と信じたい!!!
最近桐乃のエロ話がここに書かれないのは都条例のせい?
アニメ漫画狙い撃ちの都条令とSSスレになんの関係が?
桐乃のエロ話が読みたいってことだよ言わせんな恥ずかしい///
大変だ!
エロパロスレなのにここ1週間ほどエロ作品がねえぞ!
いつものことじゃねえかw
414 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 21:49:52 ID:F9Xo+N3k
強気な娘を苛めたい
『OVER WRITE』
登場人物
高坂京介 高坂桐乃 新垣あやせ ほか
語り
高坂京介
でやってみます
俺は高坂京介。ごく平凡な高校生だ。
いきなりだが、俺にはこの世で苦手なものが三つある。
まずは妹の桐乃だ。
眉目秀麗、スタイルファッションセンスともに抜群、
スポーツ万能、学業優秀。友達がいっぱいいて、
全校生徒の憧れの的で、教師からも受けがよくて、
部活では大活躍、校外ではモデル活動なんかもやっちゃって、
みんなから頼られてて、誰からも好かれてて
そんな超完璧で、超カッコよくて、超かわいくて、超美人・・・・
と自称しているのが俺の妹だ。
いや、否定はしねえよ。
だけど、ここまで自分で自分をほめられるってどんだけだよ。
しかし、そんな妹も欠点っぽいところがあった。
「オタク」なのだ。それも重度の。
アニメはおろか、中学生の分際でR-18のエロゲにまで手を出してやがる。
そんなこんながあって、俺は妹の「人生相談」に乗ってやっているうちに
妹にいろいろとお願いされるようになった。
今日も妹にお願いされてアキバまで新作のエロゲを買いにいった帰りに
電車に揺られている最中だ。
いっとくがパシリじゃねえぞ。断じて違う。
―――ああ、俺の苦手なものランキングの話だったな。
次に嫌いなのは、煙草を吸う奴だ。
体に悪いとわかっていながら煙草を止められない奴は猿にも劣る、
と俺は思っている。
そして、最後のもう一つは――――――
「何だこのバカやろーー!! ふざけんじゃねーよ!!」
怒鳴り声のする方向を見ると若い女が騒いでいる。
どう見ても酔っぱらいだ。俺の苦手な・・・・
うっ!目が合った。ヤベ。こっちに来る。
「ちょっとー、なにジロジロ見てんのよぉ」
座っている俺にのしかかってきた。
酒臭ッ! おまけに香水もキツイ!!
「ちょっと、やめてくださいよ!」
「んー?『やめてくださいよ』じゃなくて、
『やめてください、お願いします』だろー?」
「・・・や、やめてください。お、お願いしま・・・」
「あんた、地味目だけと近くで見ると整った顔じゃん」
整った顔? 俺が? そんなこと言われたのは初めてだぞ。
酔っぱらうと人間の審美眼って損なわれるものなのか?
「いいことしてあげる。ムチュー」
―――ッ!!
この酔っぱらい女、俺の頬に吸い付いてきやがった。
それもきつく、何度も吸いやがった。
「ちょっと、やめてくださいよ!」
「んー?『やめてくださいよ』じゃなくて、
『やめてください、お願いします』だろー?」
「・・・や、やめてください。お、お願いしま・・・」
なんて日だ。
桐乃のお使い(断じてパシリではない)でアキバに行くと
かなりの確率でトラブルに巻き込まれる。
二度と行くもんか、と何度も思っているが、妹様を前にすると
どうしても拒否れないんだよな。弱すぎだろ、俺。
「遅い! どう? 買ってきたの?」
俺のただいまの挨拶よりも先に桐乃の苦情に近い言葉が投げかけられる。
まあ、そんなことは慣れっこだ。
「ほらよ」
「あはーん。これこれ。早速インスコしよっと。フヒヒヒ」
そのキモイ笑い、やめてくれないか。
第一、アキバくんだりまで足を運んだ俺にはお礼の一つも無しかよ。
まあ、そんなことも慣れっこだ。
「・・・ちょっと、アンタ・・・」
その声の主である桐乃を見ると、阿修羅と見紛う顔をしていた。
本物の阿修羅なんて見たこと無いけどな。
「なんだよ」
桐乃は鼻をヒクヒクさせた後、こう言ってきた。
「香水・・・。ドコでつけてきたの?」
「馬鹿言え、俺が香水なんてつけるわけが・・・」
―――ッ!!
そうだ。あの香水がきつかった酔っぱらい女の移り香だ。
だが俺にはやましい点なんて何も無い。
「電車の中で酔っぱらいに絡まれたんだよ」
「ハア? 酔っぱらいのオジさんがそんな香水をつけていたっての?」
「オジさんじゃねえ! 女の人に絡まれたんだよ!!」
「何それ。ドコのエロゲ? そんな言い逃れが通用すると思ってんの?」
「言い逃れじゃねえよ。本当の話だ」
「そもそもなんで女の人に絡まれるワケ? まさか痴漢したとか?」
トンデモねえことを言い出すヤツだ。
俺は一方的被害者なのに、コイツに話すと痴漢犯罪者に転落かよ。
「どうも怪しい・・・」
父親の血を引いたのか、不審者に対する捜索が始まった。
俺の全身を下から上までガン見している。
そして俺の顔を四方から見た途端に桐乃の顔が強ばった。
「キ、キスマーク・・・?」
げ!! まさかあの女に吸い付かれたのが痕になった??
俺は慌てて、無意識に吸い付かれた頬を手で隠した。
より正確には「無意識に吸い付かれた頬を手で隠してしまった」だ。
「ふーん。自覚があるんだ・・・」
やっちまったぜ。語るに落ちるの仕草版ってヤツだ。
「アンタ、妹の買い物中に女といちゃついていたの?
キモいんだよ、死ねええええ!!」
あの女に吸い付かれた頬にビンタを炸裂させた桐乃は、
振り返ることも無く自分の部屋に帰っていった。
最悪だ。
アキバまでエロゲを買いに行かされ、酔っぱらい女に絡まれ、
妹からは感謝の言葉も無く、挙げ句に邪推されてビンタって、
ああ無情を地で行っているぞ、俺。
ビンタを喰らった顔を鏡で見た。
広範囲に赤く腫れているのはビンタのせいだろう。
キスマークは・・・?
なんだよ、ビンタで上書きされたせいもあるだろうが、
相当ガン見しないと確認できないレベルじゃないか。
アイツ、これを見つけ出したってのかよ。もう千葉県警に入れよ。
ロクなことが無かった今日のことを忘れるために、早めに床についた。
・
・・
・・・
「おにいちゃん、おんぶして」
1.おんぶしてやる ←
2.甘えるな、と一喝する
「ふふん。ありがとー」
「オマエは甘えんぼだなぁ」
「だってアタシ、おにいちゃんがだいすきだもん」
「ねえ、おにいちゃん、こっちむいて」
「なんだよお?」
ムチュ
「な、何するんだよ??」
「ふふん。アタシのまほう」
「魔法?」
「このまえ、まーおねえちゃんがおにいちゃんにしたのとおなじこと」
「えっ、オマエあれを見ていたの?」
「うん。だからアタシがもういちどすれば、まーおねえちゃんにかてるもん」
ムチュ ムチュ ムチュ
「くすぐったいな。上書きかよお」
「うわがきって、なあに?」
「・・・なんでもないよ。さ、家に帰ろう」
「うん!!」
・・・
・・
・
ピピピ ピピピ ピピピ
目覚ましに起こされた俺は、なんて夢を見たんだと自己嫌悪に陥った。
エロゲそのものじゃないか。それも妹モノの。
どのタイトルなのかは思い出せないが。
でも選択肢が出てきたところからして、エロゲなのは間違いあるまい。
身支度をして廊下に出ると、桐乃と出くわした。
やべ。昨日の今日で邪推に基づく怒りが鎮まるはずもない。
罵倒・暴力を覚悟した俺だが、桐乃は俺の顔を見た瞬間、
顔全体を赤くして階段を駆け下りていった。
チッ。なんだよ。まだ怒っているのかよ。
「いってきまーす」
桐乃がいつもよりも早めに家を出て行った。
さしたる理由もないが、俺もたまには早めに登校しようと玄関を出た。
家の前には桐乃と一緒にラブリーマイエンジェルあやせたんがいた。
「な、な、なによアンタ??」
桐乃がワケのわからない物言いをしてきた。
俺がイレギュラーに早く登校しちゃいけないのかよ。
「おはようございます、お兄さん!」
おお、朝からラブリーマイエンジェルあやせたんに会えるとは
ああ無情な昨日を吹き飛ばす幸運だ。
「ああ、おはよう」
挨拶を返し、さてどんな話題を振ろうと思案しながら
ラブリーマイエンジェルの顔を見たら・・・
見る見るうちに彼女の目の光彩から光が消えていった。
なにこれ? 一体俺がどんな地雷を踏んだと言うの?
「お兄さん、なんですか、ソレ・・・?」
「ソレって?」
「トボけるんですか? よく見なさい!!」
あやせは自前のコンパクトを開き、鏡を俺に向けて突き出した。
―――ッ!!
コレ、キスマーク? なんで?
夕べの時点でガン見しなければ見えないほど薄くなっていたのに、
なんで夕べよりも明らかに濃くなっているの??
「一体どういう説明をしてくれるのですか?」
「あ、いやコレは・・・」
「うるさい! 色魔!! 死ね!!!」
罵倒のジェットストリームアタックに続き、ビンタが炸裂した。
説明を要求したくせに、聞きもせずにビンタってどんだけ。
頬を張られた俺は地面に倒れ込んだ。
目の前には、スラリと細長い桐乃の美脚。
モデルの細い脚とはいえ、コイツは同時にアスリートでもある。
脚の効果的な使い方には長けているはずだ。
俺は踏まれたり、蹴られたりするのを覚悟したよ。
・・・?
あれ? 何もなし?? 拍子抜けだ。
いっとくが、踏まれたり蹴られたりすることを期待していた
ワケじゃないぞ。
「さ、桐乃、行こう!!」
桐乃はあやせに急かされ、手を引かれて走り去っていった。
親友のあやせの暴挙に圧倒されたのか、桐乃は終始無言だったが、
あやせに手を引かれている桐乃は、申し訳無さそうな表情で
俺の方を何度も振り返っていた。
あーあ、今日もああ無情か・・・
学校から帰ると、リビングに桐乃がいた。
「・・・あのさ、今朝のことだけど・・・」
「朝から女子中学生にビンタされる高校生なんてキモすぎってか?」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「じゃあなんだよ?」
「その・・・すごい久しぶりだったから加減がわからなくて・・・」
「はあ?」
「あやせに殴られたのもアタシのせい・・・と言えなくもないし」
桐乃はバツの悪そうな表情をしてうつむきがちに言った。
ナニ言っちゃっているの、この妹様は?
「意味わかんねえ。そもそも、あやせが誤解したことにオマエは
何の責任もないだろ」
「だから!・・・ほら、アタシがあやせと一緒に登校するなんて
イレギュラーなことじゃん? そこにアンタがかなり早く出てきちゃって、
あやせと顔を合わせちゃったのはアタシのせいと言えるじゃん?
でも色んなことが重なっちゃった事故だからしょうがないし」
本格的に意味がわかんねえ。
まるで何かの言い逃れをしているかのようだ。
俺とあやせが出くわしたこと、あやせが誤解したこと、
あやせがビンタしてきたこと、どれも桐乃のせいじゃない。
あえて犯人探しをするとすれば、いきなり濃くなったキスマークだろ。
でもそれは、俺の体のせいに決まっている。
『OVER WRITE』【了】
GJ!
上書きキスマークカワイイ!
これを機に女避けの為に毎日キスマークをつけるきりりんを妄想したw
上書きキスいいなGJ
カ ワ イ イ
でも「でもそれは、俺の体のせいに決まっている。」は気付いていて追求しない優しさなのか、
それとも無意識に避けているのか…考えさせられる
乙
きりのかわいいです
428 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 01:19:03 ID:m18p7FyN
麻奈実をヒロインにいちゃらぶする話を……!!
だれか、どうか……!
無理
地味子(笑)
ホントこういうレス増えたな
胸がきりりん
胃がきりりん
さて、予告どおり、次レスより、『漣』(138kb)を、67レスにて、投下します。
本編は、今回は、京介、あやせ、それに赤城(電話とメールのみ)が関わってきますが、
単なるキャラ萌ではなく、ストーリー重視の作品ですので、そういった方面が苦手な方は、
スルー推奨です。エロも、微弱です。
なお、投下中に、10分以上、当方から何の応答もない場合は、規制にやられたと看做して、
次の方が投下しても結構です。
超期待
『よう、久しぶり、生きてたか?』
「赤城、久しぶりだな。まぁ、なんとか生きてるよ」
電話の相手が、聞きようによっては嗚咽とも受け取れそうな、くぐもった湿っぽい笑いを漏らしていた。
『変わんねぇな、そうした素直じゃねぇところ……。ま、お前らしいちゃ、お前らしいよな』
「ほっとけ!」
口が悪いのはお互い様だ。
『でよ、どうよ? そっちは』
そいつはこっちも聞きたいところだった。生まれ育った街を離れて、この地に落ち着いて間もなく一月になろうとしていた。
何かも勝手が違って、戸惑うことばかりだったが、何とか、やってこれている。
「ぼちぼち……だな。首都圏と違って、こっちは、何もかも流れがゆったりとしている。平凡が一番な俺には、案外性に
合っている街なのかも知れねぇな」
『爺くせぇなぁ……』
「あらためて言われると、なんかムカつくな」
でも、まぁ、当たっているわな。なんせ、幼馴染が、あの麻奈実だ。十代にして『お婆ちゃん』といった風情のあいつと
長年付き合っていれば、そりゃ爺むさくもなるさ。
『おっと、怒るなって。別にお前と口論したくて電話したわけじゃねぇからな。でさ、ぶちゃけ、どうよ、そっちの大学は?
可愛い子とか居るか?』
何だ? いきなり。赤城って、こんなに軽薄な奴だったか? いや、軽薄か……。
アキバで自分の妹に似たエロい等身大の人形を買うか否かを本気で悩んでいた大馬鹿野郎だ。
もっとも、その軽薄な赤城と一緒になって、件のラブドールに興味津々だったのは、俺もなんだけどさ。
「居ねぇこたぁねぇけどさ……」
『何だよ、その奥歯に物がはさまったような言い方は』
俺が入学した大学の法学部には、結構、可愛らしい女子が居る。居るには居るのだが、極めて取っつきづらいのだ。
「ジモティのお嬢さんが圧倒的に多いのよ、女子は……」
『ああ〜ん?』
赤城が、『なんじゃ、そりゃ?』と言いたげに、語尾を尻上がりに引き伸ばした。無理もねぇか、説明不足だったわな。
「こっちはさ、首都圏に対する対抗意識がすげぇんだよ。かつて、文化の中心だったっていう自負もあるから、
ことあるごとに『東京がなんや!』って感じだな。東京から来た奴だって、こっちじゃ田舎者扱いだぜ。
ましてや、千葉出身の俺なんか、こっちのお嬢さん方にしてみれば、ゴミみたいなもんだ」
受話器からは、赤城の『うへぇ……』という、絶句のような嘆息が聞こえてきた。
『要するに、そっちの大学の女子は、ジモティの箱入り娘だから、関東の田舎もんはアウト・オブ・眼中ってことか?』
「ああ、そういうこった……。すげぇ可愛い娘とかも居るけど、眺めるだけの、高嶺の花だな」
大学の同級生の女子は、お高くとまったお嬢様気取りの連中ばかりだから、付き合いにくいことこの上ない。
まぁ、実際に、何百年も続く名家の本物のお嬢様がごろごろ居るらしいから、それも仕方がないのだろう。彼女らは、
俺なんかとは住む世界が違うんだ。
『そいつぁ、つれぇなぁ……』
「いや、別に、彼女作りたくて大学に入ったわけじゃないからな」
『強がってんじゃねぇよ。彼女も出来ねぇようじゃ、不毛な青春だぜ』
強がり……、か。
たしかに、そうかもな。黒猫とも、麻奈実とも、あやせとも、沙織とも、そして桐乃とも、何の挨拶もなしに、ある日突然、
彼女らの前から姿を消した俺は、今や女っ気ゼロの不毛な青春を送っているに他ならない。
「まぁ、今んところは、不毛だわな。否定しねぇよ。なんせ、女どころか、野郎だって気心の知れそうな奴はいそうもねぇ
からなぁ……。男のジモティは、キモいし、虫が好かねぇ。露骨に、関東の人間を見下してんだよ」
これじゃ、男の友達もしばらくは出来そうもないだろう。キモい奴等なんざぁ、こっちから願い下げだ。
しかし、電話で吐き捨てるような口調で言ったのはまずかったな。
『……、何か、大変そうだな……』
磊落であるはずの赤城が、気まずそうに言い淀んでいる。
俺のことを『うわ、こいつ、うぜぇ〜』ぐらいには思っているのかも知れない。
「すまん、ちと、言い過ぎだったか……。でも、見知らぬ土地での初めての独り暮らしがこたえていないというと、それも
嘘になる。何にせよ、知り合いが一人も居ないってのは、ツライところではあるわな」
『ならさ……、こうしろよ』
「どうしろと?」
『お前以外にも、関東から来た奴が居るんじゃねぇの?』
「居るこたぁ居るみてぇだけどよ……」
『なら、そいつらとつるんでさ、ジモティに対抗すればいいんじゃねぇの? 一番いいのは、お前と同じように千葉から
出てきている奴を探して、そいつと仲良くなるってところかな』
「陳腐だなぁ……。そんなのは俺も考えてはいるけどさ、思ったほど簡単じゃねぇのよ」
『どうして簡単じゃないんだよ?』
「関東とか、東北とかから来ている奴は、みんな萎縮っつうか、なんつうか、ジモティにバカにされるのを恐れて、出身を
明かさないんだ。だから、誰が千葉出身かなんて分からねぇよ」
『う〜ん、そうか……』
結局、俺は、この街では“お上りさん”なんだ。
片田舎から、アキバ辺りに初めてやって来た奴の心境ってこんなもんかな? いや、アキバはよそ者に排他的じゃ
ないから、だいぶ違うか。
それに、俺が憂鬱になっている主な原因は、ジモティの排他性なんかじゃない。
「……こっちに気心の知れた奴が居ねぇことだけじゃなくて、いつになったら帰れるか……。そいつが大問題だな」
受話器から、赤城の『ふぅ〜む……』という、くぐもった呟きが聞こえてきた。
『たしかにな……。お前がそっちに行った、いや、行かされた、か? その経緯は、俺も知ってるけどよ……』
「ああ……。桐乃が実家に居る限り、夏休みも帰ってくるな、ってお袋に言われたよ」
『ひでぇー話だ……。なんで、お前だけがそんな扱いなんだよ』
「しょうがねぇさ。損な役回りは、いつものこった……。親にしてみりゃ、桐乃の方が大事だろうし、俺だって、桐乃との
ことを考えれば、こうした島流し同然の扱いも、理解は出来るさ」
俺自身も、捨て身の覚悟で、桐乃を護ったことがあったしな。その結果、親父にぶん殴られ、あやせからはビンタを
喰らった上に、変態扱いされている。
『でも、お前は、それでいいの?』
「妹のために、自ら汚れ役を引き受ける、お前なら分かるんじゃねぇの?」
電話の向こうの赤城はしばし沈黙していたが、俺と同じく妹が居て、その妹のために、ホモゲーすら買ってやったこと
がある赤城は、俺の今の扱いを理不尽だとは思いながらも、理解はしてくれたようだ。
『だな……』
そうとも、悪友。兄貴ってのは、損な立場なんだよ。
俺としては、今の扱いに納得はしてねぇけどな……。
「まぁ、こっちの状況はこんなもんさ。ざまぁ、ねぇけどな……。代わりに、そっちはどうだ?」
話の出だしは、バカ話だったのに、状況が洒落にならないから、柄にもなくシリアス路線になっちまった。
だが、鬱な話は、これくらいにしておこう。正直、身がもたねぇや。
『お前の妹が、俺たちの高校に入学してきた』
「それは、島流しの俺だって知ってるよ」
『それと、お前の妹の親友とかいう子も一緒に入学してきたようだな』
「ほぉ……」
俺の妹の親友ってのは、新垣あやせのことだろう。あいつも桐乃と一緒に俺が卒業した高校に入学したのか。
初耳だったが、想定内だな。あやせは桐乃に執着しているから、どこへでもついていくだろうさ。
しかし、桐乃は何をやってんだ? あいつの学力だったら、もっと上の高校へ行けただろうに。
『会ったことはないけど、結構可愛らしいって評判みたいだな。何でも新垣議員の娘とかで、その上、モデルもやってんだな』
やっぱり、あやせか。加奈子は、どうやら一緒じゃないようだ。あいつはアホだから、俺らの高校すら合格は覚束ないだろう。
まぁ、それはともかく、見た目だけは、エンジェルなあやせたんが、俺の後輩ってわけか。
「うん、うん、会ってみれば分かるけど、桐乃の親友だけあって、かなり可愛いな」
中身はアレだけどね……。しかし、あのキチ▲イかと訝りたくなる変なところも、今となっちゃあ、チャームポイントに思
えてくるから、不思議なもんだ。
『ほぉ〜っ、お前がそこまで言うとはな。お前、その新垣って子が結構タイプだな』
俺は、度肝を抜かれて、吹きそうになるのを辛うじてこらえた。ぶっちゃけ、俺にとっては、最も好みのタイプなんだが、
いかんせん、向こうは俺のことを毛嫌いしている。
「妙なことをいきなり言うな! まぁ、概ねはその通りだけどよ、今となっちゃどうにもならんだろ? 桐乃から隔離する
ために、俺は、こんな遠くまで追いやられたんだ。その桐乃の友達と会うなんてこたぁ、もうあり得ねぇよ」
それに、あやせには、『ごめんなさい。生理的に無理です』とか言われたんだぜ。悲しすぎるだろ。
『……俺たちの高校の話はそれくらいにしておくとして……』
雰囲気を察したのか、赤城の奴は、高校がらみの話題を打ち切ってくれた。
「うん……」
だが、触れられたくない因縁が、俺とあやせの間にあるらしいことを奴にカミングアウトしちまったも同然だな。
まぁ、いいさ。こいつは、今の俺にとって、心を許せる数少ない相手だからな。
『とにかく、俺も、奇跡的に第一志望の大学に進学出来た』
赤城の口調が、いくぶんだが誇らしげに感じられた。第一志望に合格したんだから、当然か。
「おぅ、そうだったな。たしか国文だよな」
赤城は、ぱっと見、ただのサッカー馬鹿かと思いきや、これで結構頭がいい。それに、奴も、受験勉強の終盤は、必死
の追い込みで頑張っていたからな。そのおかげで、麻奈実と同じ大学、学部、学科に進学している。
正直、ちょっとうらやましいぜ。
『おうよ。だけどよ、大学の講義は進度がはぇえな。びっくりだぜ』
「そっちもそうか。俺は法学だが、学生の理解の程度なんかお構いなしにガンガンいきやがる」
『理系の奴等なんか泣いてたぞ。特に、大学での数学と高校数学とじゃ、"越えられない壁”があるとかで、みんな猛烈
にショックを受けてるよ』
高校数学は“ゆとり教育”(ゆるみ教育か?)の弊害で、昔に比べると本当に程度が低いらしいから、どこの大学に
行った奴でも苦労するだろうな。俺は文系でよかった……。これは、赤城も同意見だろう。
「そういや、麻奈実はどうしてる? 元気か」
『おぅ?! お、おう、田村さんなら元気だぜ。相変わらず天然入っているけどな」
むぅ? なんだ、赤城の野郎、麻奈実の話を振ると、しゃっくりみたいな素っ頓狂な声を出しやがって、気色悪いな。
まぁ、いいか……。ラブドールの購入を本気で検討する大馬鹿野郎だから、いい奴なんだが、多少は頭のおかしい
ところがあるんだろう。
あ、それは、俺も同様かな。
「麻奈実には宜しく言っといてくれや。なんせ、こっちは、桐乃との接点がある人物とは、男であれ女であれ、こっちから
自主的に連絡することは禁じられているんだよ」
桐乃と接点がある人物からの電話やメールに応答することまでは禁じられてはいないが、今の居場所を探られる訳
にはいかないから、返事もおざなりなものになってしまう。
黒猫からは1回、沙織からは2回メールが来たが、その都度、返信は、時候の挨拶程度のものでお茶を濁してきた。
そんなこったから、連中にも愛想を尽かされたのか、ここしばらくは、電話もメールも、とんとご無沙汰だ。
特に、黒猫の場合は、告白されてから、恋愛めいた関係になったものの、結局は、俺の受験とかが影響して、うやむや
に終わった。
“邪気眼電波女”な黒猫のことだ。恨んでいるだろうなぁ。
それに麻奈実との仲もなぁ……。
『おぅ、田村さんには、高坂は元気そうだったって伝えておくよ』
赤城が多少なりともフォローしてくれることを、期待せざるを得ない気分だ。
「すまねぇな。宜しく頼むわ」
そうはいっても、麻奈美とは疎遠にはなるだろうな。面と向かって話が出来ねぇってのは、かなり痛い。
くそ、こんなところに独りで居ると、何でもかんでも、考えることがネガティブになっちまう。
『だがな、高坂……』
「何だよ?」
『だがな』ってのは、何か嫌な言い方だな。
麻奈実のこととかで、補足することでもあるんだろうか。
『あ、い、いやぁ、何でもねぇよ』
何だ? こいつの狼狽ぶりは。らしくねぇなぁ。
「何でもないってのは、かえって何か怪しいな」
『お、おぅ……、何か話さなきゃいけないことがあったみたいなんだが、すまねぇ、ど忘れした……』
「お前、その若さで認知症かよ」
『そりゃ、ご挨拶だな。何せ、大学生活に完全に馴染んでねぇから、俺も頭の中が混乱してんだよ。入学した直後は、
大学でもサッカーやろうかと思ったが、とてもそんな余裕はなさそうだ』
「そっか……」
大学はサボろうと思えばいくらでもサボれるが、そうなると、就活とかで後々苦しくなる。赤城の奴、それを早くも自覚
しているんだろう。
『俺さぁ、高校の国語の教員になれたらいいなぁ、って思ってんだ』
「教員試験って、昔はともかく、今は難しいんだろ?」
『そうなんだ。だから、大学じゃ、ちょっくら真面目にやっていこうかと思ってさ。サッカーをやるにしても、部じゃなくて、
同好会とかのゆるいところじゃないと、学業との両立は難しいだろうな』
「しっかりしてんなぁ、お前」
『世の中、色々と厳しいからな。俺っちも現実的なことを考えねぇとまずいのさ。俺らだって、いずれは結婚して家庭を
持つだろ?』
「ああ……」
今んとこ、俺には、相手になってくれそうな女は皆無だけどな。
『そうなると、嫁さんや、ガキを食わしていかにゃならん。それ以前に、俺本人が、この社会で生き残っていかなくちゃ
なんねぇ。だから、今のうちに、この社会で生きていける力っつうか、基盤みたいなもんを造っておきたくてな』
「お前、すげぇなぁ……」
翻って、俺はどうだ? 大学に合格したってだけで、将来設計は皆無だ。
『何をご謙遜を。お前の大学の方がレベル高いんだぜ? その気になれば、“国I”とかも楽勝だろうが』
“国I”とは、国家公務員採用I種試験のことで、いわゆるキャリア官僚になるための試験だ。難しい試験であることは、
いまさら説明不要だろう。
「楽勝じゃねぇよ。冗談じゃねぇ、今は講義についていくのが精一杯だ。今しばらくは、将来どころか、目先のことで
手一杯だぜ」
『そっか……、そうだな。国Iを楽勝とか言ったのは許してくれ』
「いいってことよ。俺たちゃ、毒舌を言い合える仲じゃねぇか」
『それもそうだったな』
電話の向こうで、赤城が苦笑している。バカな話が出来る男友達ってのは貴重だな。
「よかったら、夏休みにでもこっちに来てくれよ。この街は、寺とか神社とか辛気臭いのばっかだが、一応は観光地だからな」
『おう、考えとくよ。高坂も、早くこっちに帰ってこいや。また、アキバとかでつるもうじゃねぇか』
「ああ、そうしよう。いつか必ず、帰ってやるさ」
『その意気だ。頑張れよ、高坂。また、気が向いたら連絡するわ』
「ああ、俺も、久しぶりに声を聞けて嬉しかったぜ。じゃぁな……」
通話終了のボタンを押して、携帯電話機を折りたたんだ俺は、開け放たれていた窓から外にぼんやりと目をやった。
「いらかの波と、雲の波だな……」
白雲がたなびく空の下、鼠色をした瓦葺きの古い木造家屋が並んでいた。
麻奈実の実家である田村屋のような家がびっしりと集まっているような感じだ。
「日本にも、まだ、こんなところがあったんだな……」
かくいう俺が居るところも、瓦屋根の古くさい木造の下宿屋だ。
なんで、そんなところに居るのかって?
そりゃ、桐乃との仲を案じた親父とお袋に実家から追放されたからなんだよ。
特にお袋の嫌悪感はすさまじかった。
『京介は変態だから、年頃の娘と同じ屋根の下に住まわせるわけにはいかない』んだとさ。
けっ! 悪かったな、こんな変態でも、俺はあんたの実子なんだぜ。
実家を追い出された経緯は色々とムカつくこともあるが、故郷から遠く離れた街にあるとはいえ、本来なら、
合格しそうもない難関大学にパスしたんだからよしとするか。
合格したのは、奇跡といっていい。
何せ、首都圏の大学はダメで、俺が遠隔地で下宿することを考慮すると、財政上の理由から私立はダメ。
とにかく親父とお袋が言う条件は厳しかった。
その上、浪人は認めないってんだから必死にもなるわな。不合格でも実家を追い出されるとか言われた日にゃ、怠惰
な俺だって発奮するぜ。
そんな実家に居られないっていう危機感とか焦燥感とかが、いい意味で作用したのかも知れない。高校三年秋から
の追い込みは、我ながらよくやったと思う。
「だが、そのせいで、麻奈美とは疎遠になっちまったな……」
志望校が違うから、結局、俺は独りで頑張らざるを得なかった。もちろん、冬期講習とかも積極的に利用したけどね。
長らく継続してきた麻奈実とのお勉強も、夏休み以降は、全くなかったな。
「必死こいて今の大学に合格したが、失ったものも少なくない……」
だけどよ、こうせざるを得なかったんだよ。もし、大学に合格しなくて、高卒でどっかに住み込みで働かされるなんて、
ぞっとするだろ?
学歴で人間の値打ちが決まる訳じゃないとか偉そうに言う奴がいるけど、現実は、そうじゃねぇからなぁ。
俺は、机に向き直ると、民法の専門書を開き、パソコンを起動した。連休明けの明後日に提出しなきゃならない
レポートを書くためだ。
鬱になってる余裕なんか、ありゃしないのさ。
「高坂さん、お客さんですよ〜」
レポート執筆のために、インターネットで判例を調べていた俺に、下宿屋のお婆さんが階下から呼ばわった。
はて、この街に知り合いは居ないし、入学して一箇月にもならないから、大学での友人と呼べる者だって皆無と言っ
てよい。
「すいませーん、誰ですか?」
「はい、妹さんですよ〜」
俺は自分の耳を疑った。
桐乃が来たのか? 冗談じゃない、ここの住所は、親父とお袋しか知らないはずだ。
とにかく俺は、押っ取り刀で階段を駆け下り、下宿屋の玄関に向かった。桐乃がここに来る?
どう考えてもあり得ないことだった。
玄関では、下宿屋のお婆さんと、ロングヘアの美少女が談笑していた。
その少女は、薄いクリーム色のブラウスに、ブラウスと共生地の膝丈よりちょっと短めのスカート、それに、空色の
薄手のカーディガンを羽織っていた。
襟元は、リボンタイっていうのだろうか、細い平紐状の青いタイが蝶結びにされている。
右手を大きなキャリーバッグのハンドルに副え、屈託のない笑顔で下宿屋のお婆さんと向き合っているその姿は、
連休を利用して、兄の下宿先を訪ねてきた妹そのまんまの雰囲気である。
「お、お前……」
その姿を認めて、言葉を詰まらせた俺に、その少女は、にっこりと微笑んだ。
「あら、高坂さん。妹さんがいらっしゃることは、ご両親から窺ってましたけど、こんなに可愛らしい方だったんですね。
それも、ご両親に代わって、下宿先のお兄さんを見舞うなんて、しっかりしたお嬢さんですこと」
「あ、い、いや……。こ、この子はですね……」
そう言いかけた俺に、件の少女は、すぅ〜っ、と虹彩が消え入った眼を向けてくる。
こ、こぇええよ……。
「お久しぶりですね、お兄さん」
少女は、そう言って、物憂げに、肩に掛かっていた黒髪を払いのけた。石鹸のような清潔そうな香りが、俺の方にも
漂ってくる。
桐乃の親友で、この春、俺が卒業した高校に入学したという、新垣あやせが、そこに居た。
* * *
「まぁ、まぁ、遠路はるばる、ご苦労様です」
下宿屋のお婆さんは、あやせを一階の居間兼食堂に通し、茶と菓子を振る舞った。
食堂といっても、八畳ほどの和室なんだけどね。そこに大きめのちゃぶ台があって、そこに湯気を立てている茶碗と、
菓子を載せた漆塗りの皿が銘々分置かれていた。
「あの、お気遣いなく。それどころか、何もお知らせせずに、突然、お邪魔して申し訳ありませんでした」
そう言って、正座したあやせは、三つ指ついて、お婆さんに恭しく挨拶した。
うひゃ〜、何、この外面のよさ。ぱっと見、あやせの奴は、清楚な女子高生だからな。中身がアレだと、初見で見抜ける
奴は居ないだろう。
かく言う俺だって、そうだったし……。
「いえ、いえ、そんなことはいいんですよ」
案の定、下宿屋のお婆さんは、コロッと丸め込まれちまったらしい。新垣あやせ、恐るべし。
「恐れ入ります。実は、母から、抜き打ちで兄の様子を見てくるように言われまして、それで、何のご連絡も出来なかった
んです」
もっともらしい理屈まで付けてきやがる。恐ろしい女だな。こいつは。
それに、お前のかーちゃんは、PTAの会長様だろうが。嘘吐かれるのが大嫌いとか言ってるくせに、お前は、平気で
嘘を吐くんだな。
「で、兄ですが……」
あやせは、虹彩の失せた冷たい瞳を、一瞬だが、俺に向けてきた。やっべー。こいつは、俺の考えなんて、お見通し
なんだろうな。
厄介な女だぜ。
「実家を出て、父や母の目がないのをいいことに、あ、あの……、エッチな漫画とか、ゲームとかにうつつを抜かして居る
んじゃないかって、家族のみんな心配してまして、それで、わたしが遣わされたんです」
『エッチな』の台詞を言いながら、あやせは頬を朱に染めていた。
途中で言葉を淀ませたのも含めて、演技なんだろうな。そういや、こいつもモデルなんだった。こんな芝居はお手の物
なのかも知れない。
「高坂さんも、お年頃ですからねぇ……」
つか、お婆さん。いい加減に同意しないでください。俺は、こっちに来てから、エロゲとかやってないっすよ。
エロ本だって、買ってないです。
……エロサイトは見ますけどね……。
「でも、兄は、ちょっと要注意なんです。恥ずかしい話ですが、い、妹といかがわしいことをするような、そんなアブナイ
漫画やゲームに耽っていまして……。それも、ただ、それに入れ込むだけならまだしも、妹の親友に、そんな漫画を
見せようとするんですから、どうしようもない変態です」
「んなぁこたぁ、ねぇよ!! お前、デタラメ言ってんじゃねぇ!!」
たまりかねて俺は絶叫したが、痛い所を突かれて逆ギレしたようにしか見えなかったかもな。実際、妹の親友である、
あやせに、メルルのエロ同人を見せたのは本当だったし。
『でも、あれは、お前と桐乃を仲直りさせるための、俺なりの捨て身の特攻だったんだ』、と抗弁したかったが、
思いとどまった。その抗弁で、さらなる墓穴を掘ることは明白だからね。
「まぁ……。妹さんに手を出すような漫画とかはいけませんよ、高坂さん」
あああああ……、お婆さんが、哀れみと軽蔑が入り混じった、冷やかな視線を向けてくるじゃぁねぇか!
お婆さん、これは嘘っぱちです。誤解ですよ。勘弁してください。
焦りまくる俺を尻目に、あやせは、『してやったり』とばかりにほくそ笑んでいやがる。
「見ての通りです。うろたえているのが、何よりの証拠ですね」
うわぁ、こいつ、本当に悪魔だ。
今まで、お婆さんは、俺のことを品行方正な大学生だと思ってくれていたのに、何もかも台無しじゃねぇか。
と、とにかく反論だ。このまま、あやせのいいように俺の品格が貶められるのを座視しているわけにゃいかねぇ。
「証拠、証拠というが、俺は、いかがわしい漫画とか、ゲームの類は一切持っていない。どうせ、お前のことだろうから、
俺の部屋を家捜しする魂胆なんだろ? それで白黒つけようじゃねぇか」
実際、エロ漫画とか、エロ同人とか、エロゲとか、元々あれは桐乃の趣味だ。俺は、そういった類のものに桐乃みたい
な執着はないから、全部実家に置いてきた。
俺が実家を旅立ったのは、桐乃の奴が卒業旅行とかで、モデル仲間と海外に行っている時で、何の挨拶も出来な
かったから、せめて、自分のブツをあいつにくれてやったんだ。喜んでくれたかどうかは知らんけどな。
そんな物思いに一瞬耽っていた俺を、あやせが、半眼のじっとりとした目で睨んでいる。
お婆さん、こいつのヤバそうな目を見てくださいよ。
しかし、あいにくと、あやせはお婆さんには顔を向けていない。
こうしたところも考えた上で、この態度や表情なんだろうな。たちが悪すぎる。
「いいでしょう。一休みしたら、お兄さんのお部屋を捜索します。それで、何かいかがわしいものが出てきたら、
通報しますよ」
通報って、どこに? お前の本当の母親であるPTA会長様か? それとも、父親である新垣議員か?
もう、どうでもいいよ。
だが、そっちがそうなら、こっちも相応の要求をさせてもらおうか。
「もし、何も出てこなかったら、さっきお前が言った、『どうしようもない変態』云々の発言は、全面的に撤回しろ」
「撤回? お兄さんが変態なのは、紛う事なき事実です。この下宿にそういった類のものがなかったとしても、
実家に置いてきただけですから、お兄さんが変態である事実を全面的に撤回することは出来ません!」
「お、お前なぁ……」
畜生、いかがわしいブツを桐乃にくれてやったことを知っていやがるらしい。
可愛い顔して、本当にきっつい性格だな。ていうか、こいつにしろ、桐乃にしろ、黒猫にしろ、美人ってのは、どうして
こうも性格に問題がある奴が多いんだ。頭がクラクラしてきたぜ。
その点、麻奈実は、フツーで、こいつらに比べれば、人格的には、はるかにまともだったな。
「何ですか、その反抗的な目は。でも、まぁ、いいでしょう。今回、お邪魔したのは、お兄さんを監視するためだけじゃない
んです」
「何だって?」
今、さらっとだけど、監視って言わなかったか?! 何すか、俺は、その一挙手一投足どころか、下手をすれば、箸の上
げ下ろしまで、文句を付けられるんすか? あやせさん。
あやせは、俺の詰るような口調は意に介さず、キャリーバッグを開けて、一通の封筒を取り出し、俺に差し出した。
「お姉さんから言付かってきました」
なるほど、封筒には、『高坂京介さまへ 田村麻奈実』とだけ記してある。
「読んでいいのか?」
あやせが、無言で頷いたのを認めて、俺は、封筒の端を破り、便箋を取り出した。
その便箋には、一緒に勉強していた頃にノートとかで見慣れた、麻奈実のものに間違いない筆跡で、以下の文言が
したためられていた。
『きょうちゃんへ
ご無沙汰しています。
そちらでの生活はいかがでしょうか。
ただ、とっても残念なことを、きょうちゃんにお伝えしなければなりません。
わたし、今は、きょうちゃんとは別の人とお付き合いしています。
ごめんね、きょうちゃん。
でも、きょうちゃんも悪いんだよ。
きょうちゃんの、ばか』
「な、なんだとぉ……」
便箋を持った両手が、アル中患者のそれのように、小刻みに痙攣していた。
麻奈実特有のか細い筆跡で綴られた文字が、じわっと滲んで見えてきたと思ったら、不覚にも、俺は大粒の涙をこぼ
していた。その涙は、両の頬を伝って、ぽたぽたと、膝の上に滴っている。
畜生、普段のあいつの口調そのままで綴られているから、余計にこたえるじゃねぇか。
まるで、面と向かってあいつに言われているような感じだ。
「ふん、ふん……。ご愁傷様ですけど、自業自得ですね。お兄さん」
肩越しに麻奈実からの手紙を読んでいた、あやせは、すまし顔で平然と抜かしやがった。
「あら、あら、高坂さん。どうしたんですか……」
下宿屋のお婆さんが、心持ち眉をひそめた心配そうな表情で、俺を見ている。
そりゃそうだ、俺はというと、涙を流しながら、茫然自失の態だったんだろうから。
だが、あやせは、お婆さんにとんでもないデマを吹き込みやがった。
「兄は、幼馴染だった人に振られたんです。その人、お兄さんの彼女だったんで、私も“お姉さん”って呼んでいたんです
けど、お兄さんが、エッチな、それも妹を陵辱するような破廉恥な漫画やゲームに入り浸っていたんで、愛想を尽かされ
たんですね」
信じられますか、皆さん。こいつ、笑いながら、こんなこと言ってるんですぜ。俺をどんだけ貶めれば気が済むんですかね。
「お、おい! いい加減なことばっか抜かすな」
俺のささやかな抗議にも、あやせの奴は、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべてやがる。しかも、なお悪いことに、
支援
「まぁ……。それは高坂さんがいけませんねぇ」
「お、お婆さん、こいつの言うことを真に受けないでください! 俺は、無実なんです。あやせの言っていることは
事実無根なんですよ」
そうは言っても、説得力ないわな。お婆さんの中では、俺は、エロゲ、エロアニメ、エロ漫画で脳味噌がピンクに
染まった重症患者だっていうバイアスが完全に固定されてしまったみたいだ。
それに……、
「なぁ、麻奈美の言う、“別の人”って誰なんだ? 麻奈美と親しくしていた、お前なら知ってるよな……」
「……知りません……。知っていても、お話出来ません」
このアマ、つーんとした、すまし顔で鼻を天井の方へ向けやがった。
「その様子じゃ、知ってるな……」
俺は、あやせの態度にムカつき、ぷるぷると小刻みに震える手を、あやせの方へ、のろのろと伸ばしていった。
「何ですか、その手は。ブチ殺しますよ!」
こいつの決め台詞、久しぶりに聞いたな。
「まぁ、まぁ……、ブチ殺すなんて物騒な。高坂さんも、妹さんも、落ち着いて……。特に高坂さん、あなたはお兄さん
なんですから、妹さんにはもっと寛容でいなくちゃいけませんよ」
剣呑な雰囲気に、お婆さんが、おろおろしている。
「見ていてください、兄は、こんな時でも、実の妹にセクハラをするんですよ」
「また、デタラメこいてんじゃねぇ!」
とはいえ、実はその通りだよ。本当に、お前は、俺の思っていることを何でもお見通しなんだな。
何なら、リクエストどおりに、その貧相な乳でも揉んでやるぜ。
俺が左手で、あやせの右胸を、むんずとばかりに掴もうとした刹那、緊張感を打ち破るように、俺のジーンズの
ポケットから着信音が鳴り響いた。
「お兄さん、電話だか、メールだかが届いていますよ」
すんでのところで手を止めた俺を、むっとした膨れっ面で、あやせが睨んでいる。
言われなくたって、分かってるよ。ムカつくが、セクハラはひとまず中断だ。
お婆さんは、着信音で俺とあやせの諍いが水入りになったことを安堵したのか、ほっと、大きなため息を吐いた。
「赤城からじゃねぇか……」
さっき、電話で長話したばかりだが、ささくれた俺の心を癒してくれるのは、やっぱり遠慮なくものが言える男友達だぜ。
俺は、早速、赤城からのメールを開き、読み始めた。
「……………!!」
だが、先ほど以上に、手がどうしようもなく痙攣し、手にしていた携帯電話機を畳の上に落としてしまった。おまけに、
あやせがそれを、ひょいとばかりに拾っていきやがる。
「えーと……、『高坂、すまない。俺、田村さんと付き合っているんだ。さっきの電話で、そのことも伝えるつもりだったけど、
お前に彼女が居ないと聞いて、言いそびれてしまった。お前の分まで俺と田村さんは幸せになるから、悪く思わないで
くれ』、だそうです……」
「うわぁああああああああああああああっ〜〜〜〜っ!!」
俺は、頭を抱えて、畳の上をのたうち回った。
何て残酷なんだ。これじゃぁ、傷口を開いて、塩をすり込むようなもんじゃねぇか。
「田村さんっていうのは、もしかしたら……」
「ええ、お姉さんのことです。で、兄にメールを送ってきた赤城さんっていうのは、兄の友人で、兄やお姉さんと同じ高校
出身の人です」
「まぁ……、お友達に彼女を寝取られちゃったんですね」
お、お婆さんまで、肺腑をえぐるようなことを、さらっと言わないでください。
そんなもんなんだけどさ……。
「お兄さん、いい加減に転げまわるのはやめてください。みっともないでしょう」
あやせに冷たく罵られても、俺はひとしきり悶絶し、いじけ切って、壁際にうずくまった。
麻奈美を粗末にしたばちが当たったんだろう。
よりにもよって、一番親しい友人に取られるなんて、悪夢としか言いようがない。
「妹さん……、え〜と……」
「申し遅れました。わたし、高坂あやせ、といいます。あやせと呼んでください」
こんなときに、笑顔で自己紹介っすか、あやせさん。それに、偽名使うなんて大嘘吐きもいいところじゃないすか。
「じゃぁ、あやせさん。お兄さんは、かなり精神的なショックを受けているようですから、そっとしといてあげましょう。いくら
なんでも、彼女だった人が、友人に寝取られるのはつらい事ですからね」
お婆さん、あなたはどうしても麻奈美が赤城に寝取られたことにしたいんですか? あなたも何げに残酷っすね。
「大丈夫です。兄は変態だけど、打たれ強いですから。しばらくほうっておけば、勝手に立ち直ります」
畜生、人を何だと思っているんだ。毎度毎度、ひでぇ扱いだなぁ。
「……、そうですか。じゃぁ、夕餉のための買い物がありますから、あやせさんは、高坂さんの様子を見ててくださいな。
でも……」
「ああ、兄がわたしに襲いかかるかも知れませんが、防犯ブザーがありますから」
そう言って、あやせは、カーディガンのポケットから、いつぞや俺をビビらせたブツを取り出した。
「まぁ、用意がよろしいこと。じゃぁ、安心でしょうね」
「ええ、これがあれば、いくら変態で鬼畜な兄でも、私には手が出せません」
俺は、二人の会話を聞いて、さめざめと泣いた。
このほんの一時間ほどで、実に多くのものを失った。
麻奈美の件は、正直なところ、どうしようもなかったのかも知れない。去年の春以降、すれ違いが目立っていたから、
麻奈美が俺を振ったのも当然の帰結なんだろう。
しかし、相手が、最も気心の知れた赤城であったのは、ショックだった。
「お兄さん、いつまで泣いているんですか」
「うるへー!」
時が経ち、気持ちの整理がつけば、麻奈美と赤城のことを祝福してやれるようになるかも知れない。今はそんな心境
には到底なれねぇけどな。
それよりも、失った信用は元には戻らないだろう。
お婆さんは、あやせの口からでまかせを完全に信じ込み、俺を稀代の変態野郎だと思い込んでしまっている。
暮らし始めて一箇月弱。この下宿は居心地がいいんだが、別の下宿屋に引っ越したくなったよ。いや、マジで……。
しかし、下宿屋のお婆さんに変態と思われているから、別の下宿に引っ越したいなんて、親には言えないから無理
だけどな。
「顔が涙と汗と鼻水で、どろどろですよ」
「お前……、誰のせいでこうなったと思ってんの?」
こんな抗議、あやせ様に効き目がないことは百も承知なのだが、つい反射的に口をついて出てしまった。
どうせ、反応は、『全部、お兄さんが悪いんじゃないですか、ブチ殺しますよ!』が関の山だろう。
だが……、
「そうですね、わたしもちょっとやり過ぎました。手紙の内容は、わたしも薄々は勘付いていましたが、まさか赤城さんから
最悪のタイミングでメールが来るとは思いませんでしたから……」
「ちょ、ちょっと……?!」
しかも、驚いたことに、あやせの奴は、カーディガンの、防犯ベルを入れているのとは別のポケットから、空色の
ハンカチを取り出して、ぐしょ濡れの俺の顔を拭おうとするのだ。
「じっとしてくれないと、お兄さんの顔を拭けないじゃないですか」
「え? な、何だってぇ!」
俺は、眼前に突き出された、あやせのハンカチを避けるべく、のけぞりながら首を左右に振った。
「何ですか、逃げようとするなんて、駄々っ子みたいで、みっともないですね」
「いや、だから…… あやせって、俺のことが大嫌いなはずだよな。そんな大嫌いな奴の、涙や汗や鼻水を自分の
きれいなハンカチで拭っていいのか? 気持ち悪くねぇの?」
あやせは、俺のコメントに一瞬、柳眉を逆立て、目を剥いたが、すぐに『うふふ』という謎めいた笑みを浮かべた。
「当たり前じゃないですか、大嫌いなお兄さんの体液が染み付いたハンカチなんて、気持ち悪くて、もう使えませんから、
多分、捨てちゃうでしょうね……」
「そうかい……」
想定内の返事だが、実際に聞かされると、胸が痛いよな。しかし、そのハンカチだって、何かのブランド品みたいだが、
捨てちまうのか……。
俺って、あやせに、どんだけ嫌われているんだろう。これも、セクハラしてきたことのばちが当たったんだな。
「気持ちが悪いですけど、さすがに肩越しにお姉さんからの手紙を盗み見たり、お兄さんの携帯電話機を拾って、勝手
にメールを読んだのはやり過ぎでしたから、せめてもの罪滅ぼしみたいなものと思ってください」
そう言いながら、あやせは俺に向かって屈み込み、空色のハンカチで俺の顔を優しく拭い始めた。
うわ、やべぇ。あやせの顔と胸が目の前にありやがる。こ、こうして間近で見ると、決して大きくはないけど、出るところ
は出てんだな。股間のハイパー兵器をなだめるのに苦労するぜ。
「で、でも、妹陵辱ものが大好きな鬼畜ド変態ってのは否定してくれないんだな」
気を紛らわすつもりもあって、嫌味っぽく言ってしまった。
「お兄さんが、その手の本を私に見せたのは事実ですから、それは無理ですね。それに、お兄さんはそういう人なん
だって、他の女の人に思ってもらった方が、好都合なんです」
「好都合?!」
意外な反応だった。てっきり、『ブチ殺しますよ!!』の常套句が出るもんだと思っていたんだがな。
「あ、いえ、今、好都合と言ったのは、説明不足でした。お兄さんが変態であることを、他の女の人に知ってもらった方が、
お兄さんの毒牙にかかる人を未然に防ぐことが出来ますから、そうした意味で好都合なんです」
ひでぇ……。ここまで言われると、もう、人類の敵みたいなもんだな。いっそ、ブチ殺してくれよ。
あまりの言われように、俺は仏頂面だったろうが、そんなことをあやせは全く意に介さず、
「はい、きれいになりました……」
と呟いて、件のハンカチを元通り、ポケットの中に仕舞った。
あれ? いいんですか、あやせさん。大嫌いなおいらの体液が染み付いたハンカチをカーディガンのポケットに突っ
込んだら、カーディガンまで、おいらの体液で穢れてしまいますぜ。しかし、“体液”って、なんかいやらしい響きだな。
「まぁ、顔を拭いてくれたことには、礼を言うぜ。ありがとうよ」
「どういたしまして」
最後の方のハンカチの扱いは不可解だったが、追及するのも面倒くさい。
それに意に反して、ご機嫌な笑顔を浮かべているあやせを見るのは、やっぱいいわ。
こいつは、こんな風に笑ってくれていれば、本当に俺好みの美少女なんだけどね。
そんなことを思いながら、俺は、ちゃぶ台前に座り直した。せっかく、お婆さんがお茶を淹れてくれている。多少冷めて
はいるが、ありがたく頂戴しておこう。それに、お婆さんが居ない今、確認しておかねばならないことがあった。
「なんで、ここが分かった……」
ちゃぶ台で俺と差し向かいで座っているあやせは、頬をぽっと赤らめて、恥ずかしそうにうつむいた。
「だって、お兄さんは、性犯罪者予備軍ですから、野放しには出来ません。ですので、父の顧問弁護士さんにお願いして、
合法・非合法の手段を問わずに、お兄さんの住所を調べてもらったんですよ」
「何だよそりゃ?! 俺って、とんでもない変態扱いじゃねぇか!!」
「でも、さっき“好都合”って言ったように、お兄さんが鬼畜ド変態だっていう方が、わたしにとっては、何かと都合がいい
んですよ」
「お前はよくても、こっちには最悪だよ」
「あら、そうですか」
あやせの奴、面相を歪めて、にやりとしてやがる。
性格が相当に悪い桐乃の親友だけあって、このあやせも相当に食えない女だな。
しかし、父親の顧問弁護士に相談か……、それなら証拠調べにかこつけて、住民票を調べることも出来るだろうな。
あやせは未成年だから、何の面識もない弁護士に依頼しても、民法五条一項に規定の未成年者の法律行為に該当
するから、絶対に請け負ってはもらえない。だが、面識のありそうな、父親の顧問弁護士なら話は違ってくる。
「さっき、顧問弁護士とかって言ったよな?」
「ええ、それが何か?」
「だとすると、その顧問弁護士には、どうやって俺の居場所を調べるように依頼したんだ? お前が父親を通さずに、
その顧問弁護士に直接依頼したのか? それとも、父親を通じて、その顧問弁護士に依頼したのか?」
「もちろん、父を通じて依頼しました。父にも、お兄さんはとんでもない鬼畜ド変態だから、わたしの貞操が危険です、
って訴えたら、すぐに弁護士さんに頼んでくれました」
「おいっ! そりゃねぇだろぉ」
そうじゃないかと思ったが、やっぱりね……。これで、あやせの親父さんにも、俺が変態だって認識されちまったな。
でも、もう、怒る気力も湧かねぇや。
俺は、茶を飲み終え、自分の茶碗を持ち、やおら立ち上がった。
「どこへ行くんです?」
すかさず、あやせの鋭い声が飛んでくる。本当に、一挙手一投足を監視されているんだな、俺……。
「自分の茶碗を台所に持って行くんだよ。この下宿屋は、おばあさん一人が切り盛りしているから、世話になっている
俺も、少しでも手伝っておこうと思ってさ……」
「意外に殊勝なんですね」
皮肉っぽく聞こえたが、まぁ、いいか。
俺は、茶碗を洗って、食器類を伏せておく網棚に載せた。
誰に命じられたわけでもないが、お婆さんの負荷は少しでも軽くしてやりたいからな。
そのまま、あやせの前を素通りし、二階の自分の部屋に向かった。そういや、俺、レポート書きかけだったんだよな。
「お兄さん、勝手に、わたしから離れないでください!」
俺を詰る声が背後で聞こえたが、無視した。
ほっとけば、俺の後をついて来るだろう。何せ、俺を監視しているんだろうからな。
案の定、梯子みたいに急な階段を上る俺の後ろから、ことことという可愛らしい足音が聞こえてきた。
「ここが、お兄さんの部屋ですか……」
「まぁな……」
階段を上ると、二階を縦に貫く廊下の端に出る。その廊下の端から数えて三番目、二階の一番奥まった部屋で俺は
寝起きをしている。間取りは六畳。だが、畳が、この地方特有の『京間』とか言うやつで、関東のものよりも大きいから、
六畳間にしては思ったよりも広い。
「殺風景ですね」
「開口一番それかよ。たしかに、パソコンを載せた座り机と、本棚と小さな箪笥しかねぇからな」
俺は、背後に居るであろうあやせには構わず、自分の部屋に上がり込み、座り机の前に座った。
不意打ちのような、あやせの来訪で、レポートを書く予定がだいぶ狂っていた。
「さてと……。判例のPDFをダウンロードしといたんだよな」
俺は、マウスを左右に軽く動かした。画面がブラックアウトしていたパソコンが息を吹き返す。
「お兄さん、このパソコンでいやらしいゲームをやっているんですね? 通報しますよ」
「はぁ? 画面見ろよ。これのどこがエロゲなんだよ」
画面には、レポートを書きかけているワープロソフトのウィンドゥと、判例検索用の裁判所のホームページが表示され
ている。
「たしかに、今は勉強で使っているようですが、いつもそうじゃないでしょ? 夜になれば、はぁはぁしながら、エッチな
ゲームをしているに決まっています」
「そうかい……」
あやせの思い込みって、ここまでくると病的だな。
俺は、机に向かうと、書きかけだったレポートの執筆に再び取りかかった。
ゴールデンウィークだっていうのに、こんなものを書かされるとは、可愛くないぜ、法学部のタコ教授は……。
しかし、こんなときはパソコンが役に立つ。判例だって、簡単に検索で見つかるし、法律の条文だって、インターネット
で公開されている。
それらを適当にコピペして、専門書に書いてある法解釈をコメントしておけば万全だ。
沙織からもらったパソコンは、ようやくエロゲ以外の本来の用途で使われている。
あやせが来る前に、コピペすべきデータはダウンロード済みだったので、作業は思ったよりもはかどりそうだ。
だが、俺は、背後でなにやら不穏な気配を感じて、振り返った。
「あっ! お前、何やってんだ」
「性犯罪者予備軍宅の家宅捜索です」
あやせは、俺の箪笥を勝手に開けて、その中身をあらためていた。
そして……。
「こ、これは?!」
あやせは、顔を真っ赤にしながらも、手にした布切れを俺に向かって広げて見せた。
「バカ、俺のパンツに何しやがる!」
「なんか、一部分が黄色くなっているんですね。いやらしい……」
「返せっ! この変態」
俺は、あやせから白いブリーフを奪い取った。
「変態は、お兄さんでしょ? 何ですか、さっきの黄色い部分は」
「洗濯しても落ちなかったシミだよ!」
「そんなシミが着くのは、お兄さんが、いつもいやらしい妄想に浸っているから、何かの変な体液が、そ、その、あ、あそこ
か……ら、にじみ出て、それでパンツを汚しているんでしょう。きっと、そうに違いありません」
うわぁ、ここまでおかしいとは思わなかったな。
「あそこってどこだよ? 言ってみな」
あやせの顔が、ゆでだこのように真っ赤になった。
「言える訳ないじゃないですかぁ、この変態! ブチ殺しますよ」
「言えないようなら、最初っから、俺のパンツなんかいじくるんじゃねぇ! 第一、下着が黄色くなるなんてのは、男も女も
同じだろうが。お前のパンツだって、古くなれば黄色くなるんじゃねぇの? 第一、仕送りもケチられている俺じゃ、局部
が黄色くなった程度じゃ、下着は捨てられないんだよ。それぐらい察しろ」
「うるさい変態! しゃべるな変態! わたしのパンツは、こんな風にはなりません。いい加減なことを言わないでください」
あやせは、耳の先まで真っ赤にして、目には涙を浮かべながら、畳の上に仁王立ちし、全身をぷるぷると震わせて
いる。清純なんだか、変態なんだか、よく分からん女だな。それはさておき……。
「ところで、俺の箪笥に何かあった? いやらしい漫画とか、ゲームとか」
「……今のところ、ないです……」
あったりまえだ。いかがわしいブツは、全部桐乃に預けてきたからな。あやせだって、その辺のことは桐乃から聞いて
いそうだけどね。
「だったら、俺がどうしようもない変態だってのを、お婆さんの前で撤回してもらおうか。俺が変態だっていう証拠が出て
こないんだからな」
「そ、それは……」
あやせは、目に涙をためて、悔しそうに眉をひそめている。やったね。我が軍の勝利だ。
だが、あやせは、レポートを書くために起動させている俺のデスクトップパソコンに目を留めた。
「あれ……、あれをまだ捜索していません!」
やべぇ! 使っちゃいないが、エロゲをインストールしたままだったことを思い出した。
エロサイトを見るときは、勉強用のアカウントとは別のでログオンしているから問題ねぇが、エロゲは、どのアカウント
からでも起動出来るからな。
「うわぁ、やめろ! 今は大事なレポートを書いている最中なんだ。下手にいじられたら、ダメになっちまう!!」
それがパソコンをいじってほしくない主な理由だが、エロゲがインストールされたままっていうのもあるわな。
「なんだか怪しいですね。ちょっと、見せてください」
無駄に勘が鋭いんだよな、こいつは。だが、ここでパソコンの中身を知られるわけにはいかねぇ。
「何しやがる! レポートを書きかけだってのは、見りゃ分かるだろ?!」
俺は、座り机の上に覆いかぶさるようにしてパソコンを護った。
「そこをどきなさい! 間違いありません、そのパソコンに何かを隠しているんですね」
その俺の背中にあやせがしがみついて、俺を机から引き剥がそうとしている。
うへぇ、ドサクサだけど、あやせの胸が俺の背中に押し付けられているじゃねぇか。小さいけれど、マシュマロみたいな、
ぷよん、とした感触がいい。
は? 何、喜んでんだ俺……。そんな場合じゃねぇだろ。
「あ、あやせっ! そんなに押すな、パソコンがひっくり返っちまう」
「そんなこと言って、ごまかすつもりなんでしょ? そこをどかないと、ブチ殺しますよ」
「うわぁ、本当に危ないんだって!」
「危ないものが入っているんですね! もう、これは通報ですよ、通報!」
あやせの胸が、さらに強く俺の背中に押し付けられている。もう、パソコンさえ護れれば、変態でも何でもいいや。
「あ、あやせ。お前って、結構、おっぱいあるんだな」
半ばやけくそになって、俺は、思ったことを口にした。
支援
「な、ななななななっ〜〜〜〜〜〜〜!!」
効果てきめんだった。あやせは、俺の背中から飛び退るように離れると、両手で自分の胸を押さえて、羞恥と怒りから、
これまでにないほど赤面していた。
次の刹那、俺の左頬には、強烈な平手打ちが見舞われた。
「いってぇ〜〜」
「この、変態! 死ねェエエエエエェエエエエエエエエエエェ−−−−−−!!」
あやせは俺ににじり寄り、さらに二発、三発目の平手打ちを俺の頬に喰らわせた。いわゆる、往復ビンタだ。
「も、もう、いい加減にしろ! そんだけ俺をひっぱたけば十分だろうがぁ!」
たまりかねた俺は、さらに四発目を喰らわそうと、バックスイングしたあやせの右の手首をつかまえた。
「な、何をするんですか!」
とっさに、あやせが俺につかまれた腕を引きながらのけぞったから、たまらない。
俺とあやせはバランスを崩し、畳の上に、ひっくり返った。
いてぇ……。
「こ、これって、デジャブ?!」
一昨年の夏に、桐乃ともみ合って転倒した時のように、俺はあやせの身体を下敷きにしていた。それも、右手は、
あやせの左の乳房を、むんずとばかりに押さえていて、もっとヤバイことに、俺の股間は、スカートがめくれて、薄い
布切れ一枚だけで護られている、あやせの大事な部分にぴったりと合わさっていたのだ。
あまりの状況に、俺もあやせも、思考力が麻痺したのか、ほんの一、二秒だったろうが、身じろぎすら出来ずに、
固まってしまっていた。
右掌には、先ほど背中で感じていた、ふっくらとした乳房がすっぽりと収まっていて、布切れで遮られてはいたものの、
カチカチに固くなっていた俺のイチモツが、あやせの秘密の花園の柔らかな感触を捉えていた。
右掌には、ドクドクという、あやせの鼓動が伝わってくる。
「うわぁ!! すまねぇ、こ、これは事故なんだ、不可抗力なんだよぉ!!」
俺は、慌てて、あやせの身体から、飛び退くようにして、離れた。その際に、不本意だが、右手に力がこもってしまい、
それがあやせに、苦悶の表情を浮かべさせ、大粒の涙を双眸からあふれさせた。
「う、うううっ、お兄さん、あんまりですぅ!」
「な、泣くなよ。事故だけど、俺も悪かった、こ、このとおり、謝るから」
畳の上に仰向けになって泣いているあやせに、俺は土下座した。
しかし、あやせは、身体を海老のように縮こませ、そっぽを向いてしまった。
俺みたいな大嫌いな奴に、レイプ寸前の体勢でのしかかられたんだ。ショックだろうなぁ。
「お、お兄さんに、襲われちゃいました……」
俺に背を向けたあやせは、左手に持ったハンカチで口元を押さえ、もう一方の手を下腹部あたりにあてがいながら、
支援 その2
幽霊のように恨みがましく俺を呪っている。
俺は、そんなあやせに返す言葉はなかった。事故とはいえ、乳房をわしづかみにして、カチカチになったイチモツを、
秘密の花園にご対面させてしまったんだから、もう、どうしようもない変態で確定だ。
ん? あやせが口元を押さえているハンカチは、さっき俺の顔を拭ったやつじゃねぇか。だが、
『そのハンカチって、俺の涙と汗と鼻水が染み込んでいますぜ、あやせさん』というツッコミは、とてもじゃないが、口に
出来なかった。
あやせは、おろおろする俺をよそに、ひとしきり涙を流した後、ゆっくりと上半身を持ち上げた。
俺は、マジで恐怖したね。いよいよ、ブチ殺される時が来たんだと覚悟したよ。
だが、あやせは、俺に背を向けたままで、呟くように言った。
「……お兄さん、お手洗いはどこですか……」
「お、おぅ、か、階段を下りて、右に行った突き当たりだ。そ、そこにあるから……」
それを聞いたあやせは、ゆらゆらと立ち上がり、口元を例のハンカチで押さえたまま、階下のトイレに向かった。
時間にして、十五分以上も経った頃だろうか。トイレの水を流す音が聞こえてきた。
あやせの奴、相当に気持ちが悪かったんだな……。
あやせがトイレに行っている間に、俺は意を決して、パソコンからエロゲを全てアンインストールした。
こんなものをインストールしていたから、さっきみたいな事故が起きたんだ。それに、こっちに来てからというものの、
一度も使っていないのだから、今後も使うことはないだろう。
「正直、もったいねぇけどな……」
それでも、全てアンインストールした後は、妙にさばさばした、よく言えば清々しいような気持ちになった。
元々、エロゲには桐乃ほど執着していなかったからかも知れない。
エロゲを全てアンインストールし終えて間もなく、階段を上る足音がした。
「来たか……」
俺は、再び覚悟した。不可抗力とはいえ、あやせの上にのしかかって、その乳房をわしづかみにし、あまっさえ、乙女
の大事な部分に、彼女の下着と俺のズボン越しとはいえ、怒張したハイパー兵器を突撃させてしまったのだ。
ブチ殺されても文句は言えそうもない。
だが、部屋に入ってきたあやせは、いくぶん頬を上気させてはいたが、さっぱりとした、むしろ心地よさげな表情だった。
目元は心なしか潤んではいたが、口元にはかすかな笑みさえ浮かべている。そして、左手には、例のハンカチがしっかり
と握られていた。
「お、おぃ?」
襖を開けて部屋に入ってきたあやせは、困惑する俺には構わず、そのまましずしずと畳の上を進み、窓際の座り机に
向かっていた俺のすぐ傍に腰を下ろし、ひざを崩して横座りになった。
「だ、大丈夫か? 何か顔、赤いぞ……」
「お兄さん…」
小首を傾げたままあやせ俺をじっと見つめ、「ふぅ〜」と、深く息を吐き出した。その吐息には、甘い香りと、男を惑わす
妖しさが漂っているような気がした。
「な、何だよ?!」
「さっきは、パソコンを調べようとして、ちょっと無茶をして申し訳ありませんでした」
「お、おぅ?」
「お兄さんにしてみれば、そのパソコンは、勉強のための大事な道具なんですよね。それを、パソコンに詳しくないわたし
が、乱暴に扱っていいわけがありません」
なんだ、この態度の豹変ぶりは。てっきりブチ殺されるかと思っていたのに、どういうこった。
「でも、そのパソコンに何が入っているかを知っておきたいんです。わたしも落ち着きましたから、お兄さんの操作で、
そのパソコンの中身を見せて下さい」
「あ、ああ…、そ、それなら、お易い御用だ」
俺がそう言う前に、あやせは、おれの左隣に正座し直して、画面とマウスを操作する俺の手元を交互に見ていた。
「このとおり、あるのは大学に提出するレポートとか、裁判とか法律関係の文献とかが大半だ。インストールしている
アプリケーションだって、執筆用のワープロソフトと、表計算ソフト、ブラウザ、メールソフトぐらいだな」
『マイドキュメント』にも『マイコンピュータ』にも、怪しいフィルがなく、『プログラム(P)』のリストにもエロゲらしいものがないことを確認すると、あやせは、瞑目して、軽くため息を吐いた。
「分かりました。どうやら、お兄さんが下宿先で、いかがわしいゲームや漫画やアニメに入り浸っているというのは、
わたしの誤解だったかも知れませんね」
「わ、分かってくれたか……」
そうは言っても冷や汗ものだよな。あやせがトイレにこもっている隙に、エロゲをアンインストールしたばっかなんだから。
もし、アンインストールが完了しないうちに、あやせが戻ってきていたら、どうなっていたことか。
「ただ、押入れの中はまだ見ていません。よろしかったら、見せていただけますか?」
「ああ、そいつは、構わねぇよ」
俺は努めて鷹揚に頷いた。
さすが、あやせ、執念深いぜ。だが、押入れには、布団と座布団ぐらいしか入ってないから、中を見られてもどうって
ことはない。
「布団が二組あるんですね」
「予備のつもりなんだか、何だか知らねぇけど、とにかく、俺がここに来たときには、既にこうだったよ」
この下宿屋は、基本的に一人部屋だが、まれには二人部屋として使うことがあるのかも知れない。
例えば、同郷の仲のよい者同士で同じ部屋を共有するとか、あるいは、兄弟で共有するとかだ。
「この布団があれば……」
「この布団がどうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。気にしないでください」
そう、すげなく言ったあやせは、不機嫌そうに眉をひそめ、押入れの襖を閉めた。
結局、彼女が見つけたかった、いかがわしいブツが、押入れにもなかったのが気に入らないのだろう。
逆に、俺はほっとして、レポートの執筆に取り組んだ。
階下では、いつの間にか帰ってきていたお婆さんが夕餉の支度を始めたらしい。台所から、トントンと、まな板の上で
何かを切るような音が聞こえてきた。
言い忘れていたが、この下宿屋は、今やこの街でも希少な、賄い付きだ。台所に立ったことすらない愚息の身を、
お袋も多少は案じてくれたということか。俺をお婆さんに監視させるという狙いがあるのかも知れないが、それはそれ
でいいと思う。俺はお婆さんの手料理は旨いと思うし、ワンルームのマンションか何かに独りっきりっていうのは、実家
を追放されたも同然で、この街に知り合いが全く居ないという状況下では、多分、精神的にもたないだろう。
「お兄さん……」
「何だよ」
「さっきお兄さんは、お婆さんの負荷を軽くするために、出来ることをやっている、とかって言いましたよね?」
「まぁ、茶碗を台所に運んで、洗ったりとかする程度だけどな」
「だとしたら、わたしも出来ることをしたいと思っています。ですので、ちょっと、お婆さんの台所仕事をお手伝いして
きますから」
あやせは、すっくと立ち上がり、先ほどトイレに向かった時とは、まるで違う軽やかな足取りで、俺の部屋から出て行った。
どうやら、晩飯まで食っていくつもりらしい。参ったね……。
「でも、やっぱり、マジで可愛いな」
お婆さんを自発的に手伝うとか、根は素直な娘なんだろうな。
ラブリーマイエンジェルあやせたん。しかし、向こうは俺のことをえらく嫌っている。
あやせが忌み嫌うエロゲが好きだという桐乃をかばうために、俺が近親相姦上等の鬼畜ド変態で、桐乃に悪影響を
及ぼした諸悪の根源だという散々な汚れ役を買って出たからなのだが、そのために、あやせに振られるとは、もったい
ないことをしたもんだ。
「だがよ、過ぎたことだ。今さら、どうしようもないわな」
俺は、T大の内田先生が書いた『民法I』から通説を引用し自分なりの考察も書き添えて、レポートの執筆を終えた。
さらに、書き上がったレポートのデータをUSBメモリにコピーする。
「これでよし……」
明日は、大学近くにある『フェデックス・キンコーズ』でプリントアウトしてもらうことにしよう。
「プリンタがあればなぁ……」
仕送りは、生活費とか、必要な書籍を買うだけで精一杯の額だから、プリンタは当分買えそうもない。
「高坂さん。夕飯ですよ」
階下から俺を呼ばわるお婆さんの声がした。さて、今晩は、あやせたんと、差し向かいで晩飯をいただくことにしようか。
「お?」
階段を下りて、居間兼食堂の八畳間に赴くと、あやせが夕餉の配膳をしていた。
「あ、お兄さん。お勉強お疲れ様です。こっちのお野菜って、関東のとはだいぶ違うんですね。ニンジンなんか、こんなに
長いんでびっくりしました」
あやせが、にこにこしながら両手を一メートルほど広げた。
「京人参っていうやつらしいぜ。この地方は、外来のものじゃなくて、伝統的な農産物を大事にしているらしいからな」
とはいえ、学食とか、外食で出てくるのは、そうじゃねぇけどな。多分、コスト最優先で輸入野菜とかを使っているん
だろう。
「純粋な和食のお夕飯なんて、うちじゃあんまりやらないけど、いいもんですね。薄い味付けも上品だし……」
お婆さんから借りたらしい割烹着姿が意外とさまになっている。
こいつは何を着ても似合うが、エプロンとか、割烹着のようなものも似合うな。料理の腕前は未知数だが、案外、いい
嫁さんになるのかも知れねぇ。
『ブチ殺します』の常套句には辟易だけどね……。
「今日は、焼き魚に、野菜と鶏肉の煮物、それにほうれん草の胡麻和えとか、なんだな……」
あやせが味噌汁の入った椀をちゃぶ台に載せた。この地方独特の、甘みの強い白味噌を使っている。
「お味噌汁とかも、関東とはぜんぜん違うんですね」
あやせは、いい意味で軽いカルチャーショックを味わっているのだろうか。口調が、ちょっと上ずっている。
ああ、そう言えば、あやせがこんなに嬉しそうに俺に話しかけてくるのは、一昨年の夏以来だよな。
その後は、『変態』とか、『死ね』とか、『ブチ殺します』とか、『大嫌いです』とか、見るも無残なひどい有様だけどよ。
「さぁ、さぁ、夕餉にしましょうかね」
割烹着を脱いだ下宿の女主人が、ご飯を入れたおひつをちゃぶ台のすぐ脇に置いた。
この下宿は、主と、世話になっている学生とが、一緒に食事をする。もっとも、ここに下宿している学生は、俺だけなん
だけどね。
「アットホームって言うんですか? 下宿屋って感じがしませんね」
下宿生も家族のように扱い、正座して、ちゃぶ台で食事をする。
NHKが朝にやっている、昭和三十年代あたりを舞台にしたドラマそのまんまの暮らしが、ここにはあるのだ。
「もう一品、付いてきた小鉢は、がんもどきと茸かな……」
「ここでは、飛ぶ龍の頭と書いて、『ひりょうず』って呼んでいるんですよ」
お婆さんの指摘に、なるほどねと納得した。『がんもどき』よりもこっちのほうが語感が絶対にいい。古臭くて閉鎖的
な感じはするが、風雅な雰囲気が健在な、この街では、関東と同じものであっても、呼び名の語感がより耳に心地よい
場合が少なくない。
「では、いただきましょう」
お婆さんの一言を皮切りに、俺とあやせは、配膳された夕食を口にした。実家で、お袋は、カレーとか、ハンバーグとか、
味付けが明確、悪く言えばドギツイものばっか作っていて、こんな風に、上品な和食はこしらえたことがなかったな。
「お兄さん、ほのかな薄味で、美味しいです」
あやせが煮物を一口食べて、悦に入っている。
「味だけじゃなく、見た目も、こっちの方がきれいだよな」
この地方の煮物は、薄口しょうゆと昆布だしで味付けしているから、関東の煮物のように、どす黒くない。
「和食って、低カロリーなんですよね。体重が気になる、わたしみたいな女の子には、こうした食事が一番なんでしょうね」
「あら、あやせさんは、ほっそりしていて、それ以上、やせる必要はなさそうですよ」
「いえ、わたし、結構太りやすい体質なんで、食べるものには気を遣っているんですよ」
あやせのスレンダーな肢体を見ていると、とてもそうは思えないのだが、そういえば、こいつが食事をしているの見る
のは初めてかも知れないな。
桐乃の奴は、暴食しても太らないが、あいつは運動やってるからな。あやせのような、特にスポーツをしていないよう
な子は、食べる物にも相当気を遣っているんだろう。それに、こいつはモデルだから、太ることは絶対に許されない。
「だから、実家でも、和食中心のご飯にしようかって、思っています。
ですから、今日、ここで、晩御飯の支度のお手伝いが出来たのは、ものすごく勉強になりました」
「へぇ……」
「何ですか、お兄さん、その無気力な返事は。わたしは、わたしなりに、ちゃんと、お手伝いをしたんですからね」
「いや、別に……、悪意があって『へぇ』とか言ったわけじゃねぇから」
「高坂さん、あやせさんは、この年頃のお嬢さんにしては、しっかりしてますよ。お料理のお手伝いも、ちゃんとやってくれ
ました」
「まぁ、兄は、わたしに対しては、いつもこんなふうに無愛想ですから、いいんですよ。むしろ、私が兄に謝らなければなら
ないことを忘れていました」
「?」
怪訝に思いつつ、俺は、あやせの言動に注目していたが、そのあやせが、俺に向かって、いきなり土下座した。
「お、おぃ!」
俺の専売特許を奪いやがった。
「お兄さんの部屋やパソコンの中身を調べましたが、いかがわしい漫画やゲーム、アニメの類は見つかりませんでした。
ですから、『どうしようもない変態』と言ったことは、撤回します。すみませんでした」
俺は、予想外の事態に混乱したね、マジで。だって、俺のことが大嫌いだっていう、あのあやせが土下座だぜ。
俺は狐か何かに化かされてるんじゃないかって思ったくらいだ。
「わ、分かったから、土下座なんて、もうやめろ!」
それでも、あやせは、額を畳に擦り付けるようにして、時間にして五、六秒ほど土下座を続け、やおら姿勢を元通りにした。
「はぁ〜」
起き上がって、深呼吸するように大きくため息をついたあやせは、バラ色の頬に悪意のなさそうな笑顔を浮かべていた。
それを認め、あっけにとられていた俺は、ちょっと安堵した。お婆さんも同様だろう。
いきなりの土下座ってのは、驚かされるもんなんだな。やられてみて初めて分かったよ。
「まぁ、まぁ、とにかく、お夕飯を早く食べちゃいましょう。せっかく、あやせさんが手伝ってくださった料理が冷めてしまいますから」
仕切り直しをするような、お婆さんの一言で、俺たちは、食事を再開した。
あやせの奴、俺を散々に貶めておいて、それを謝罪するとはどういう風の吹き回しだろう。とにかく、この女の考える
ことは、桐乃や黒猫以上によく分からない。
ただ、俺としては、お婆さんに変態と決め付けられずに済んだことで、正直ほっとした。居心地のよいこの下宿屋を
出て行くのは、ちょっと辛いからな。
夕食後は、自室に戻って、インターネットでニュースを見たり、動画サイトを見た。
いつもなら、エロサイトも鑑賞するところだが、今日はあやせが居るから、それはさすがに手控えた。
今は、階下でお婆さんと談笑しているようだが、いつ何時、俺の部屋にやって来るか分かったものではない。
もし、むき出しのリヴァイアサンをしごきながら、エロ動画を睨み倒しているのを見られたら、今日が俺の命日になっちまう。
「しかし、ロクなニュースがなかったな……」
事業仕分けで、国立大学への補助を減額するとか抜かしていやがった。これ以上、学費を上げられたら、たまった
もんじゃない。
「なんだかんだで、八時近いのか」
そろそろ風呂に入るか。浴槽は朝方洗っておいたから、後は湯を張るだけでいい。
しかし、あやせの奴、まだ、帰らないんだな。まさか、このままここに泊まるんじゃないだろうか。空き部屋はあるから、
泊まれないことはないものの……、だが、いいのか? いろんな意味で。
俺は、ネットサーフィンを切り上げると、階下に向かった。
「それで、兄ったら、友達をかばう為に、その友達のお父さんに土下座して許しを乞うたんです。その友達のお父さんは、
とてもおっかない人だったんですが、いきなりの土下座に毒気を抜かれて、結局、友達を許してくれたんですよ」
む? 何の話だろう。
どうやら、これは、桐乃のオタク趣味を許してもらうために、俺が犠牲になった事件のことらしい。
元の話は、桐乃からでも聞いたのだろうか。
「その友達のお父さんは警察官で、融通のきかない人なんですが、兄の『諸悪の根源はこの俺です』という、捨て身の
謝罪で、その友達を許すことにしたそうです」
事件を相当に脚色しているが、俺のことを悪く言っているわけじゃないから、まぁ、いいか……。
しかし、女二人が、ああも楽しそうに談笑していると、あやせに「帰れ」とは言いにくいよな。俺は、二人の脇をそっと
抜けて、脱衣所に向かい、そこで、お婆さんに聞こえるように、「そろそろ風呂にしますけど、いいですかぁ?!」と問うた。
遠回しに、あやせが帰るように促したつもりだった。だが、
「あらあら、もうこんな時間だわ。妹さんも今晩はお風呂に入って、泊まっていきなさい」
何だとぉ!!
「ちょ、ちょっと待ってください! いくら家族でも、ここに泊めるのは、いろいろと問題があるでしょうに。俺は反対です」
そう叫ぶように抗議しながら、俺は、大慌てで八畳間に取って返した。
「いいじゃありませんか、高坂さん。あやせさんは、ご両親にもここに泊まることの了解を得ていらしたそうですから、
それを無下にすることは出来ません。今晩一晩くらいなら、泊めてあげましょうよ」
下宿のお婆さんの申し出に、あやせは、頬を染めて、頷いている。
大嫌いな奴と同じ屋根の下で寝るなんて、やはりあやせはキチ▲イか? とにかく、こいつの考えることは、よく分からん。
「でも、終電には、まだ間に合いますよ」
今の時間なら、余裕で間に合うだろう。
「いえ、いえ、最終の新幹線は、ものすごく混みますからね。それに、お酒を飲んで酔っ払っている人も居るし、
あやせさんのようなか弱いお嬢さんを独りっきりで帰らせるのは酷というものです」
「そうすかねぇ……」
どうにも納得はいかなかったが、家主であるお婆さんが泊めるというのなら、店子に過ぎない俺に反論の余地はない。
観念した俺は、浴室に行き、浴槽に湯を張った。
古臭い木造家屋だが、トイレは当然水洗だし、浴槽は琺瑯引きのバスタブだ。
そのバスタブにヒートポンプ方式のエコ給湯器で沸かした湯を張っていく。
ここへ来た当初は、建物がこれだけ古いんだから、木の風呂桶だろうと思ったのだが、万事がクラシックなこの街
でも、さすがに木の浴槽は使ってはいなかった。
エコ給湯器は大型の外部タンクを持っているので、蛇口をひねると、勢いよく湯がほとばしり出る。
「それにしても、急に訪ねてきたり、俺を変態扱いしたことを謝罪したり、挙句の果てには、この下宿に泊まっていくなん
て、あやせの振る舞いには不可解な点が多過ぎる」
一瞬、本当は、あやせは俺のことを嫌ってはおらず、嫌いだというのは、好意の裏返しかと思った。だが、俺は、それが
俺自身の妄想に過ぎないことに気付き、その妄想を脳内から振り払うつもりで、かぶりを強く左右に振った。
「あり得ねぇことを考えるもんじゃねぇな……」
勢いよくほとばしり出る湯は、そんなくだらないことを思っているうちに、浴槽を満たしていく。
俺は、浴槽の七分目くらいまで湯を入れると、蛇口をひねって湯を止めた。
「湯加減はこんなもんだろうか?」
手を入れると、毛穴が広がって、そこから暖かさが、じわっとしみ込んでくるような感じがした。
やや温めだが、ここの浴槽は、必要に応じて追い炊き出来るから、この程度でいいだろう。
俺は、浴槽に蓋をして、八畳間に戻ることにした。
八畳間では、先ほどと同様に、あやせとお婆さんがおしゃべりをしている。世代が違っても、女同士のおしゃべりという
のは、長くなるものらしい。
「あの〜、風呂が沸きましたけど……」
その一言で、お婆さんは、はっとしたように俺のほうを向いた。
「そうですね、お客さんである、あやせさんから、お風呂に入ってください」
俺も、そうした方がいいような気がした。もし、俺の方が先に入ったりしたら、俺の汗とか、何とか……が混じったお湯
に浸かることになるから、あやせは絶対に嫌がるはずだ。
だが、あやせの言い分は、その斜め上を行っていた。
「お、お兄さんは、わ、わたしが入浴した後の、わたしが浸かったお湯で、劣情してしまいますから、それは出来ません。
ですから、お兄さんが先に入ってください」
「お前、なんつー言い草だ!」
さっき、俺を変態扱いしたことを土下座して詫びたばっかだってのに、何なんですか? これ……。
頭が痛くなってきたよ。マジで……。
「じゃ、じゃあ、高坂さんが先に入りなさい。あやせさんは、その後ということで……」
何だか、お婆さんが、再びおれを疑惑のまなざしで見ているような気がする。
いくら何でも、風呂の湯で性的に興奮なんかしません、って!
あやせの言い草にムカつきながらも、俺は一番風呂を浴びた。まぁ、これはこれで爽快だわな。
湯から上がり、寝間着代わりにしているスウェットの上下を着て、八畳間に戻ると、あやせが入れ替わりに入浴しよう
と、キャリーバックから着替えを取り出そうとしているところだった。
こいつ、最初っから、ここに泊まるつもりだったんだな。道理で、でかいバッグを引きずって来たわけだ。
あやせが入浴している間に、俺はテレビでニュース番組を眺めていた。今日は、あやせが闖入したおかげで、色々と
支援
予定が狂ってしまったし、何かと疲れた。もう、とっとと眠ってしまいたかったが、あやせより先に寝るのははばかられた。
俺は、ここでは、あやせの兄ということになっているから、その兄が、初めて兄の下宿先を訪れた妹を放置して、勝手
に寝るというのは、いかにも不自然な感じがする。
「ああ、いい湯でした……」
待つこと、三十分ほどで、あやせは、頬を上気させたご満悦の態で八畳間に戻ってきた。洗いたての髪が艶やかで、
まさに烏の濡れ羽色といった感じだ。
どうやら、俺のエキスがしみ出た湯は、彼女にとって不快なものではなかったらしい。何なんだろうね、本当に。
「お兄さん、何、変な顔してるんですか。また、エッチなことを考えていたんでしょ!」
俺の怪訝そうな表情を鋭く読み取ったあやせが、突っ込みを入れてきた。
「いや、別に、エッチなことなんか考えてねぇよ。それよか、用意がいいんだな」
あやせの寝間着は、空色のパジャマだった。桐乃は、年不相応に、ネグリジェみたいな寝間着を着ているから、目の
やり場に困るが、こうした普通のパジャマだったら、そういった気遣いはない。
それにしても、あやせって、本当に青系統の色が好きだな。本人には言えないが、ひっくり返った時に見た下着も、
青い水玉模様だった。
「さすがにここは千葉からは遠いですから、もしかしたら泊まることになるかも知れないと思ってパジャマとか着替えも
持ってきたんです」
「それにしても、外泊なんかして大丈夫なのか? お前のお母さん、PTAの会長が許すとは思えないけどな」
「それなら、大丈夫です。モデルの仕事でこの街に来ているってことにしていますから。先ほど、母にも電話をしておき
ましたし……」
「そうかい……」
あやせは嘘を吐かれるのは嫌いなくせに、自身は結構嘘吐きなんだよな。まぁ、いいけど。
しかし、モデルの仕事でこの街に来ている? そんなもん、事務所に電話すれば一発で嘘がばれちまう。
本当に大丈夫なのかね?
「それよりも、お婆さんはどうされたんですか? いらっしゃらないようですけど」
「あ、ああ、何でも、不意なお客さんの登場とかで、いろいろあって疲れたんで、今日は風呂に入らずに寝るんだとさ」
俺の方が、もっと疲れていますけどね。
「わたしも、ちょっと疲れました。そろそろ寝ることにします。何でも、わたし用の布団は、二階に敷いてあるそうです」
何で、自分の布団が敷いてある場所を、わざわざ確認するように言うんだろ。
こいつ、さっきからおかしいな。いや、こいつがおかしいのは前からか。
「俺も寝ることにするか……」
立ち上がって階段に向かう俺に、あやせもついてきた。八畳間の明かりを消して、梯子のように急な階段を俺が先頭
に立って上った。
さるさんくらった?
支援
「なぁ、布団が敷いてある部屋ってのは、どの部屋なんだ?」
「それが、お婆さんは何もおっしゃらなかったんです。多分、お兄さんの隣の部屋なんじゃないでしょうか、気持ち悪い
ですけど」
一言多いんだよ……。気持ち悪ければ、こんなところに泊まらなけりゃいいだろうに。
「ここが、お前の部屋なのか?」
そう言いながら、俺の隣部屋の襖を開けたが、部屋は空っぽで布団は敷いていなかった。その隣の部屋も同様だった。
「変ですね。二階に布団が敷いてあるはずなんですが……」
「お婆さんも年だから、忘れたのかも知れねぇな」
「仕方がありませんね。では、お兄さんの部屋にもう一組あった布団をこっちに敷くことにしますが、いいですか?」
「おぅ……、それでもいいとは思うけど、こっちの押入れに入っているかも知れねぇ布団じゃダメなのか?」
俺のもっともな指摘に、あやせは、不満そうに頬を膨らませたような気がした。気のせいかな……。
「こっちの部屋の押入れには何が入っているか分かりません。それに、今は人に貸していない部屋の押入れのものを、
家主の許可なく勝手に使うのは、よくないでしょ?」
上目遣いに、そう言われちゃねぇ。俺は、うかつにも頷いてしまった。こんな小娘でも、俺という男を弄んでいるだな。
女って、ずるいし、怖いよ。
「しょうがねぇなぁ……」
俺は、自室に行って、もう一組の布団を持ってくることにした。その俺の背後に、張り付くように、あやせが付き従って
いる。
「別に、ついてこなくていいよ……」
「いいえ、自分の布団は自分で敷きますから。変態なお兄さんの手を煩わすつもりはありません」
「そうかい……」
ムカつく一言だが、今に始まったことじゃない。
俺は、あやせには構わず、自室の襖を開けた、
「な、何なんだ、こりゃ!!」
「ふ、ふ、ふ、布団がお兄さんの部屋に二つ並んで敷いてあります。は、は、は、破廉恥な!」
どうなってるんだ? あの婆さん、まさかボケが出たんじゃないか?
俺とあやせを、同室で寝泊りさせるなんて、正気の沙汰じゃない。
大体が、こんな風に布団を並べて寝たりする前に、俺があやせにブチ殺されてしまうじゃねぇか。
俺は、恐る恐る、あやせの顔色を窺った。
案の定、あやせは、怒りと羞恥からか、顔を真っ赤にしてうつむいている。
だが、何か口元がにやけているような気がしたが、まさかね。
「しょうがねぇから、お前の分の布団は、あっちの部屋に持っていくから、それならいいだろ?」
俺だって、本音は、あやせと一緒に寝たいけどな。だけど、まだ、お陀仏にはなりたくねぇ。
よっこらせ、と手前に敷いてある布団を掛け布団ごと一式持ち上げようとした。
こっちの布団は、俺が使ったことがない奴だから、あやせも気を悪くしないだろう。
だが、あやせは、俺のスウェットの脇を引っ張り、いやいやをするように首を左右に振った。
「何だよ。お前だって、気持ちが悪いだろ、大嫌いな俺と同じ部屋で寝るなんて」
「せっかく、お婆さんが敷いてくれたんですから、それを無にするのは失礼というものです。わたしは、お兄さんと一緒で
も我慢しますから、このままで結構です」
言うなり、奥の方に敷いてある布団の中に、もぐり込んじまった。
おい、おい、そっちの布団は、俺が毎日使っている奴だぞ。
指摘しようかと思ったが、今あやせが寝ている布団が、俺が普段使っている布団だと知ったら、あやせの奴、
『け、けがらわしい。ブチ殺しますよ!!』とか絶叫して、大騒ぎするに違いない。
寝る前のドタバタは勘弁してもらいたいし、下宿の主にも近所にも迷惑だからな。
「お兄さん、いつまで入り口近くに突っ立っているんですか。もう、夜も遅いんですから、さっさと寝てください」
「へい、へい……」
難詰するようなキツイ口調で言われた俺は、渋々とあてがわれた布団にもぐり込んだ。
隣の布団を横目で窺うと、あやせは目を閉じて仰向けになっていた。
「とにかく、無事に朝が来ればいいけどな……」
女子と、同じ部屋で、布団を並べて眠るってのは、高校2年の秋、麻奈実と一緒の時以来だ。
あの時も、寝付けなかったが、今晩は、あの時とは比較にならないほどスリリングだな。
何か間違いをしでかしたら、俺は明日の朝には冷たい骸になっているかも知れねぇ。
俺、明日の朝生きてるだろうか……。
* * *
どれぐらいの時間が経ったのか、俺は、じわっとのしかかるような不自然な重圧感で目を覚ました。
「な、何だ、妙に寝苦しいな……」
窓から漏れる月明かりが微かに差し込む薄闇の中、
眼前には、俺にキスをねだるように、おちょぼ口をしたあやせの寝顔が横たわっていた。
『ひぃ!』
俺は、絶叫しそうになったが、辛うじてこらえた。
なんて寝相が悪い女なんだ。
あやせの甘い吐息が俺の顔面をそよ風のように撫でていく。
いかん、股間のハイパー兵器にエネルギーがチャージされちまうじゃないか。
「し、しかし、す、据え膳食わぬは、男の恥か?」
手前勝手な理屈をつけて、このまま、あやせの唇を奪おうかとも思ったが、その最中に、あやせが目を覚ましたら、
俺は確実にブチ殺されるだろう。
「で、でも、何で、こんなに色っぽいだ」
普段のあやせは、“可憐な”という形容がぴったりだが、今は、“妖艶”と形容すべき色香が漂っていた。
「ほ、ほんのちょっと、だけなら……」
軽く触れるだけなら、あやせも目を覚まさないかも知れねぇ。あくまで、軽く、だけどね。
ちょこんと突き出たあやせの口唇に、俺も自身の口唇を近付けた。
多分、そのざまは、ひょっとこのように唇を突き出した無様なものだったに違いない。
それでも、俺は、一〜二センチほど、自分の顔をあやせの面相に接近させた。
月明かりと、街灯の光で、青白く光るあやせの頬が、微かに朱に染まっている。
だが俺は、閉ざされた瞳に、うっすらと涙が浮かんでいるのを認め、はっとした。
彼女は、触れてはいけない、月下の花なのかも知れない。
「だ、だめだ……」
あやせのバラのような口唇を奪いたいという欲求は、臨界点突破寸前だったが、すんでのところで、俺の理性が
それを抑制した。
ブチ殺されるのが怖かったからじゃない。
あやせの気持ちを無視して、彼女を抱いたりしたら、ひどく惨めな気分に襲われて、絶対に後悔するだろう。
微かに涙を浮かべた女子を、欲しいままにするというのは、少なくとも俺の趣味じゃない。
「と、とにかく、この状態から、脱しねぇと……」
俺は、あやせが目を覚まさないように、ゆっくりと布団から這い出すことにした。さながら、芋虫のように、もぞもぞと
身をよじりながら、あやせが転がってきたのとは反対側の布団の端から、何とか這い出ることが出来た。
「どうにか抜け出られたか……」
ほっとして壁際にへたり込んだ俺は、あらためて布団の上のあやせを見た。
奴め、パジャマ一つで、俺の布団の上にうつ伏せになってやがる。
「このままじゃ、風邪をひいちまう」
この地方は内陸なので、日中の寒暖の差が大きい。深夜から明け方にかけては、ゴールデンウイークの頃であっても、
早春の千葉並みに冷えるのだ。
俺は、寝ているあやせの身体に、彼女が本来使うべきだった布団を掛けてやった。
「俺自身も、何か着ないと、もたねぇな……」
箪笥を静かに開けて、何か羽織るものはないか物色した。手近にあったウールのPコートをハンガーから外し、
それに袖を通して、壁際にうずくまった。
「う〜〜〜ん……」
艶かしいため息とともに、あやせは、ばんざいをするように、伸びをしがら寝返りをした。
あやせが目を覚ますのかと思い、俺はドキッとしたが、あやせは、そのまますやすやと寝息をたて始めた。
しかし、
「うわ、こいつ、パジャマの前をはだけてやがる」
ばんざいをしたことで、あやせの胸元が布団からはみ出していた。その胸元のボタンは全て外れており、胸の谷間が、
見え隠れしている。
「ノ、ノーブラなんじゃね?」
控えめではあるが、ぷっくりと盛り上がった乳房が艶かしい。よく見ると、汗ばんだ肌に張り付いたパジャマのせいで、
乳首の形さえも把握出来た。
「し、しんぼ、たまらん……」
『バストのサイズが、戦力の決定的な差でないことを教えてやる』ってところか。
今、目の前に寝ているあやせは、俺を惑わすエロス全開の妖しい魅力に満ちていた。
あのパジャマの前をちょっと左右に引っ張るだけで、あやせの乳房が、ぽろんと丸出しになるだろう。
その乳房に顔を埋め、先端に花開く乳首をすすりたい、そんな衝動的な欲求が、下腹部からマグマのようにたぎってくる。
「だが、やったら最後、本当にブチ殺されるな……」
俺は居たたまれなくなって、部屋の外にそっと出た。足音を立てないように階段を下りて、トイレに向かう。
「暴発寸前だった……」
下着を下ろすと、はちきれんばかりに怒張した俺のハイパー兵器が屹立していた。
俺は、先ほどのあやせの痴態を思い浮かべながら、その先端をひたすらしごき、摩擦した。
バラ色の口唇、小さいけれど、丸く盛り上がった乳房、それとパジャマ越しでもその存在を主張していた乳首……。
それを思うだけで、俺の劣情はピークに達しようとしていた。
「う、うっ……」
陰茎から脳髄にまで、電撃を食らったような痺れとも、車酔いのような眩暈とも表現出来そうな快感が走り抜け、俺は、
トイレの床と壁に、白濁した精液をぶちまけていた。
俺は、はぁ、はぁ、と荒い息遣いで、べっとりと精液にまみれた自分の手を見た。
「何やってんだ、俺って……」
射精後の快楽が潮のように引いていくと、ひどく惨めな気分になった。
俺は、トイレットペーパーを長めに引き出すと、白く汚れた自分の陰部と両手を拭い、もう一度、長めにトイレット
ペーパーを引き出し、それで床や壁に飛び散った白い汚れを拭い取った。
それらを流して、両手を洗い、俺は、よろよろと階段を上って行った。
そして、本来なら、あやせが寝るべきだった部屋に入ると、布団も何も敷かずに、そのまま壁にもたれて、瞑目した。
「あやせを襲っていたら、あいつにブチ殺される前に、死ぬほど惨めな気分になったかもな……」
冷たく、苦々しい思いを噛み締めながら、俺はいつしか眠りに落ちていった。
* * *
「つ! い、いてぇじゃねぇか」
何者かが俺の鼻を摘んでいる。いや、誰であろうかは、察しはついているんだけどさ。
この下宿屋には、お婆さんと俺とあやせしか居ないっていう状況から言っても、こんな非常識な起こし方をする点か
らしても、あやせ以外に考えられないよな。
「キモ……、なんでこんな壁際にうずくまっていたんです。ちゃんと布団で寝ないとダメじゃないですか」
「ダメって……。おい、おい……」
誰のせいだよ……。お前が、ゴロゴロと転がってきて、俺の方にのしかかって来たから、おれは布団から出て、ここに
避難したんだろうが。
そんな思いで、あやせと目を合わせた俺は、寝起きということもあって、相当に目つきが悪かったのだろう。
「何ですか、その恨みがましい反抗的な態度は。それに目つきが悪いこと……。本当に性犯罪者予備軍ですね」
「悪かったな、どうせ、俺の面相は不細工だよ」
汚物を見るような、あやせの冷たい視線が辛くて、俺は、不貞腐れたようにそっぽを向いた。
「大人げないですね、お兄さん。それに、お兄さんの顔は不細工なんかじゃないじゃないですか。初めて見たとき、結構
いいなぁって、思ってたんですけど」
「そうかい……」
去年の夏だったか、あやせの部屋で、そんなことを言われたっけ。でも……、
「今は、大嫌いなんじゃねぇの? 俺、お前のあのコメントが未だにこたえているんだけどよ」
「そうですね。今のままでは、私、お兄さんを好きにはなれません。でも、お兄さんは、私と結婚したいんでしょう?
だったら、私に構わず、腕ずくでものにするとか、考えないんですか」
「はぁ?」
何を言ってるんだ、こいつは。
散々、大嫌いだとか、死ねとか、ブチ殺しますとか言っていたのと同じ口が、妙な言葉を紡いでやがる。
理解不能とばかりに、眉間にシワを寄せていた俺の顔を覗き込むように、あやせは、すぅ〜っと色白の面相を俺の顔
に近づけてきた。
「お、おい、あやせ……」
そのままキス寸前という間合いまで白い面相を近づけたが、それも束の間、あやせは顔をちょっと右に傾け、
俺に耳打ちするように囁いた。
「夕べは、どうして襲ってくれなかったんですか?……」
「な、な、なんだって?」
マジかよ?!
だとしたら、このアマ、寝相が悪いってのはフリだったのか。こいつは、わざと、おれの上に転がってきて、顔をぴったり
くっ付けてきやがったんだ。その時の、こいつの顔が、キスをねだるようにおちょぼ口だったのは、そのせいか。
それに、パジャマの前ボタンは外れていたんじゃない。外していたんだ。くそ……。
「お兄さんの顔色って、信号機みたいに、青から赤へ変わるんですね」
「ぐぬぬ……」
再びキス寸前の状態で俺と向き直ったあやせは、それだけ言うと、すぅ〜っと立ち上がり、上から目線で、冷笑とも、
嘲笑とも、はたまた微笑ともつかない笑みを俺に、投げかけている。
「お兄さんは変態のくせに、寝ている女の子にキスも出来ないんですね。何かの悪い病気ですか?」
こいつの脳内では、俺は近親相姦上等! の鬼畜ド変態ということらしいから、あやせにしてみれば、肩透かし喰らっ
たというところか。
悪いが、俺は、あやせが期待するような変態じゃないから、一応は理性ってもんを多少なりとも持ち合わせている。
それに……、
「逆に訊きたいんだけどよ。もしも、俺が、あやせにキスをしていたらどうなっていた?」
あやせの瞳から虹彩が、すぅ〜っと、消えた。
うぇ、やべぇ……。こういうの、薮蛇っていうんだな。
「聞きたいですか?」
「い、いや……、べ、別に……」
俺は全力で首を左右に振りながら、それだけを呟くように力なく言った。
キスしていたら、俺がどうなっていたかは、わざわざ訊くまでもないことだった。
「そうですか……。それなら、この話はこれでお仕舞いにしましょう。だから、お兄さん……」
「な、なんだよ……」
「そんな壁際に貼り付いていないで、ちゃんと着替えて、さっさと顔を洗って来てください。間もなく朝食の時間ですから、
遅れないようにしてくださいね」
口元に妖しい笑みを浮かべて、俺にそう告げたあやせは、舞うような優雅な足取りで部屋を出て、階下へと向かって
行った。
でもね、目が全然笑ってないんだよ。
「ふぅ……」
錯乱しそうな頭を抱えながら、俺はのろのろと起き上がり、自室に戻ってPコートと寝間着代わりのスウェットを脱いだ。
布団は既にあやせが畳んで仕舞っておいてくれたらしい。
「しかし、あいつは、俺が大嫌いだったんじゃねぇの?」
そんな女が、寝相が悪い振りをして、俺の上に転がってくるだろうか? 普通に考えれば、それはないだろう。
あやせが普通の女の子なら、俺に脈ありと考えるのが自然だ。
だが……、
「あいつは、桐乃に対しても、擬似的な恋愛感情を持っていそうだからな……」
桐乃に想い人が居て、それがこともあろうに、桐乃の実兄である俺だというのが、心底気に食わないのかも知れない。
一番の親友である桐乃の心を奪った、憎い相手。それが俺か……。
「朝から鬱な気分だよな……」
俺は、ダンガリーのシャツに袖を通し、ジーンズをはいた。
典型的な貧乏学生のファッションだが、着やすいし、動きやすいから、これで十分だ。
そういえば、さっきのあやせも、下はベージュのコットンパンツで、上は、黒っぽいタイトな感じのブラウスか何か
だったな。
あいつのパンツルックは、あまり見ないから、新鮮だった。それに、桐乃同様、脚が長いから、すごく似合っていた。
おっと、いけねぇ、いけねぇ……。あいつにとって俺は敵。俺も、安易に心を許しちゃいけねぇな。
「顔でも洗ってくるか……」
冷水で顔でも洗えば、少しは気持ちも引き締まるだろう。
敢えて湯を使わずに、朝方の冷たい水で洗顔し、顔を拭きつつ八畳間に行くと、昨夜と同じように、あやせが配膳を
していた。
「あら、お兄さん。顔は洗いましたか? 何だか、寝ぼけたようなすっきりしない表情ですね」
誰のせいだと思っているんだ? と詰ってやりたかったが、やめておいた。
ちゃぶ台の上には、料理が全て配膳されており、お婆さんが飯茶碗にご飯をよそるところだった。
「あら、あら、ちょうどいいところに高坂さんが来てくれました」
「おはようございます。ちょっと、寝過ごしてすいません」
ご高齢だってのに、律儀に賄いをしてくれている下宿の主には頭が下がる。
もちろん、下宿代を払っているからなのだろうが、地場の食材をふんだんに使った食事の内容とか、その手間を考え
ると、これで採算が取れているのか、こっちが心配になるくらいだ。
「これ、鰆ってお魚を白味噌に漬けておいて、それを焼いたものなんですって。こんなお料理、初めて知りました」
先にちゃぶ台の前に座っていたあやせが目を輝かせて、皿の上の料理を指差した。いわゆる西京焼きのことだろう。
支援
たしかに、白味噌自体が千葉の方じゃポピュラーじゃねぇからな。
「まぁ、まぁ、西京焼きは、この地方じゃ、ありふれたものなんですけど、喜んでもらえると、うれしいですね」
そのお婆さんに、あやせは、この地方の料理について、あれこれ訊いている。黒猫もそうだが、あやせも意外に家庭
的なんだな。家事全般が嫌いで、料理もダメダメな桐乃とは大違いだ。
食事中も、あやせはお婆さんの作った料理に興味津々で、お婆さんを質問攻めにしていた。あやせって、思い込みが
激しいから、興味深いものがあると、とことん食らいつくんだな。お婆さんは、いい迷惑なんだろうけどさ。
「ここでは、米麹をたくさん使ったお味噌が普通なんですよ。少し甘味があるのは、米麹のせいですね」
「そうなんですか〜」
あやせとお婆さんの会話は、料理にうとい男の俺にはよく分からない。
まぁ、俺のことを話題にしている訳じゃねぇからな。適当に聞き流しておこう。
俺は、湯気を立てている味噌汁をすすった。
たしかに関東のものよりも甘いが、白味噌と昆布出汁のコンビネーションが絶妙で、これはこれで旨い。
「そういえば、お兄さん」
「な、何だよいきなり」
あやせが、半眼の恨みがましい視線を俺に向けている。
「さっきから何ですか。私がお料理のことで話し掛けても、生返事だけで、一言もしゃべらずに……。だから、お姉さんに
も愛想を尽かされたんです」
「お、おい! 麻奈実のことは関係ねぇだろ。それに、俺は料理ことなんか分からねぇから、お前の話にはついていけ
ねぇよ」
「それだから、お兄さんはダメなんです。分からなくても、相手を立てるつもりで、話を合わせるって出来ないんですか?」
「そいつは、話題によるだろ? お前だって、お前がいかがわしいと思っているゲームや漫画の話だったらどうなんだよ。
妹物とかさぁ……。そんな話題でも適当に相槌打って、会話を笑顔で続けられるのか?」
『妹物』というのがNGワードだったらしく、あやせの顔が怒りと羞恥で真っ赤に染まった。
「け、穢らわしい! あんないかがわしいものと、お料理の話を一緒にしないでください。ブチ殺しますよ」
「それ見ろ。お前だって、苦手な会話にはついていけねぇだろうが。それに、お前の料理に関する話は、
お婆さんが応答してくれたんだ。俺なんかが、出る幕じゃねぇよ」
「そうですよ、あやせさん。お料理の話は、男性である高坂さんには難しいでしょうね。それに、朝っぱらから
『殺す』だなんて物騒な。あなたのようなお嬢さんが使っていい言葉じゃありませんよ」
俺ばかりか、味方だと思っていたお婆さんにまで、たしなめられるとは思っていなかったのだろう。
「……分かりました。兄に対して粗野な言葉を使ったのは反省します。ただ、わたしは、兄と……」
「俺と何だって?」
「い、いえ、何でもありません……」
それだけを呟くように言うと、あやせは無言のままうつむいて食事を続けた。
その後は気まずい雰囲気が支配し、会話らしい会話もないまま、朝食が終わってしまった。
後味が悪いな。いや、朝飯は旨かったんだけどさ。
そして、場の雰囲気を壊したことを反省してか、あやせはお婆さんに代わって、食器を洗っている。こうした責任感が
強そうなのは結構なことなんだが、そういう奴ってのは往々にして思い込みが激しいからな。あやせもご多分に漏れずだ。
「あ、それは漆器だから、丁寧に洗ってくださいね」
あやせの傍らには、お婆さんがつきっきりで、時折、あやせに対して注意を与えている。
会話だけだと、男の俺にはよく分からねぇが、あやせの家事のスキルは、それほど高くはなさそうだ。ただ、思い込み
の激しさで、熱意だけはあるというところか。
「その熱意が、うまく作用すれば、いいんだけどな……」
モデルとして今も頑張っているのは、その現れなんだろう。
「その熱意の源である、思い込みで、他人を拘束するのは勘弁してほしいが……」
俺は、俺で、ちゃぶ台の上を布巾で拭ってきれいにした。
店子である俺も、高齢である主を少しでも手助けするつもりで、こんなことをやっている。
「俺だって、あやせが話題にしていた料理のことも、少しは対応出来るようにしとくべきかもな」
あやせの朝食時の言動には、たしかに問題があったが、俺にだって少なからず非はあるのだ。
俺は、ため息一つを吐くと、汚れた布巾を洗面所で軽く洗い、それを台所へ持って行った。
目が合った下宿の主には、自室で一休みの後、昨日書いたレポートを印刷するために、大学近くにある
『フェデックス・キンコーズ』に行くことだけを告げ、自室に引っ込むことにした。
あやせは、そんな俺とお婆さんには目もくれず、ひたすら皿洗いを続けていた。
「頑固な奴だ……」
黒猫も強情だったが、あやせも強情さでは同レベルか、その上を行きそうだ。
黒髪ロングの美少女ってのは、おしなべてこうなのか?
だとしたら、俺も女性の好みを考え直す必要があるかも知れねぇ。
誰だか知らんが、あやせと結婚する奴は、色々と苦労することだろう。
「とは言え、多少は機嫌をとってやらねぇと……」
あやせのことだ。この後も監視目的で俺をつけ回すことだろう。
であれば、レポートを印刷するためだけに出歩くのでは、面白くない。
俺はパソコンを起動し、ブラウザを立ち上げ、検索エンジンで『禅寺 抹茶 庭園 拝観』のキーワードで検索した。
「これだな……」
画面には、大学近くにある禅寺で、庭園を鑑賞しながら、抹茶を楽しめるという旨の記事の概略が表示されている。
以前、この下宿の主が教えてくれた寺に違いない。
何でも、寺の内部を拝観出来、拝観後は、抹茶を飲みながら見事な庭園を鑑賞出来るというものだ。
爺むさいとか言われそうだが、こうした体験は、千葉では絶対に無理だし、何よりも、歴史ある寺社が数多く存在する、
この地方らしいレクリエーションと言えた。
「場所も、『フェデックス』のすぐ近くだ」
店からは歩いて十分ほどの距離だろうか。印刷に、待ち時間も含めて、どれだけの時間がかかるか分からないが、
うまくすれば、十時前には、抹茶をたしなみながら、見事だということで定評のある寺の庭園を鑑賞出来そうだ。
「キモ……。何をニヤニヤしているんですか」
いつもの毒のあるコメントがしたので振り返ると、食器洗いを終えたらしく、双眸を恨めしげに半眼にしたあやせが
俺の背後に佇んでいた。
「……お前なぁ、俺には、もうちょっと優しい言葉を掛けてくれたって、ばちは当たらねぇだろうに」
「見たまんまを言ったまでです。パソコンの画面に釘付けになっていて、わたしが部屋に入って来たことも気付かない
のは異常です。きっと、エッチなサイトでも見ていたんでしょう。これは、もう通報、通報ですよ!」
「そうかい……」
『通報』の常套句にも飽きてきた俺は、あやせの言葉にはそれ以上突込みを入れずにパソコンの画面を指差した。
「何です、このお寺は?」
俺は、これからレポートの印刷のために大学近くの『フェデックス』まで行くこと、印刷が終わったら、画面に表示され
ている禅寺で、庭園を鑑賞しながら抹茶でもたしなむことを手短に伝えた。
「変態なお兄さんには不似合いなシチュエーションですね」
「その悪態は聞き飽きた。で、お前はどうなんだ? 俺と一緒に行くのは嫌か?」
あやせは、瞑目して、ふっ、ふっ、ふっ……、と微かな含み笑いをしてやがる。この笑い方、黒猫なんかもよくやるな。
「お兄さんと行くのは嫌に決まっているじゃないですか。でも、このお寺の庭園は、見てみたいし、お庭を見ながら、
お抹茶もいただきたいですね。それに、変態なお兄さんを監視しなければいけまんせんから」
「そうくると思ったぜ。何にせよ、行き先に興味を持ってくれるんなら、それでいいや」
「それだけでいいんですか?」
「どういう意味だ? 何が言いたい」
「分かりませんか? わたしがお兄さんと二人きりで……」
あやせは、謎めいた含み笑いをやめ、そっぽを向いて、不機嫌そうに頬を膨らませていた。
「俺みたいな嫌な相手とでも、行ってみたくなるような場所だってのか?」
支援
言い淀んでいるあやせの心情を代弁したつもりだった。
しかし、あやせは、眉を露骨にひそめて、いっそう不機嫌そうになってしまった。
「もう、いいです……。だから、お兄いさんは嫌いです」
なんで、そんなにツンツンしてるんだろう。こいつの本心って、本当に分からねぇな。
「なぁ、もしかして、俺とのデートだとかって、変に意識してねぇか?」
「そ、そんなこと、あ、あ、ある訳ないじゃないですかっーーーー!!」
こいつ、赤鬼さながらの形相で、俺のデコをグーで殴りやがった。
「いってぇ……」
目から火花が出るってのは本当だったんだな。俺は、自分の額を右手で押さえながら、机に突っ伏して痛みが引くのを待った。
「気持ち悪いことを言わないでください。やっぱり、お兄さんは変態じゃないですか。通報、通報しますよ、もう!」
「人を殴るってのは立派な犯罪なんだぞ。暴行罪って言ってな……。警察に通報したければ、勝手にしろ。ただし、
とっ捕まるのは、お前だがな」
「つ、捕まるだなんて、そ、そんな……」
法律を盾に正論で反撃されるとは思わなかったのか、あやせは、目を大きく見開いて、身を震わせている。
法学部の学生に、通報なんて連呼するからだ。バカたれが。しかし、こいつの態度は何なんだ。
「お前さぁ、何か意地張ってるみたいな感じなんだよ。とにかく素直じゃねぇんだな。疲れるだろ? そういうの」
「わ、わたしは、別に意地なんか張っていません」
「なら、俺と行きたけりゃ一緒に行く、俺のことが大嫌いだったら、無理に一緒に行く必要はない。それだけのことだ」
「そ、それは……、そうですが……。さ、さっきも言ったように、わたしはお兄さんを監視する必要があるから一緒に行くんです。
それ以上でも、それ以下でもありません!」
頑固な奴だなぁ。桐乃や黒猫も相当に頑固だったが、こいつは筋金入りだ。
「お前の建前は、どうでもいいや。選択肢は、二つ。一緒に行くか、行かないか、それだけだ。そのどちらを選ぶかは、お前の勝手だ」
「そうですか……。なら、勝手にさせていただきます」
俺は、あやせを努めて無視して、机から上体を起こし、額をさすりながらパソコンの時刻表示を確認した。時刻は午前
七時半過ぎだ。レポートを印刷してくれる『フェデックス・キンコーズ』は、サイトで確認したところ、祝日の今日は、八時
開店ということらしいから、そろそろ出掛けてもいいだろう。
USBメモリをパソコンに挿して、ちゃんとレポートのデータが入っていることを確認してから、それを通学で使っている
ショルダーバッグに入れた。
「何か、羽織った方がいいかもな……」
この地方は、この時期、寒暖の差が大きいから、伊達の薄着は禁物だ。俺は、箪笥から、先日インターネットの通販で
購入した戦車兵用のジャケットを取り出した。
緑灰色のブルゾンといった感じだが、徹底的に機能的なデザインで、下手な市販品よりも格好がいいと思う。生地は、
消防服にも使われている燃えにくい特殊なものらしく、裏地には『HIGH TEMPERATURE RESISTANT』と記され
たラベルが縫い付けられていた。
「……そのジャケット、似合いますね」
むくれていたあやせが、俺のジャケット姿に目を留めて、ぼそりと呟くように言った。
「まあな……」
さすがにモデルだけあって、服のデザインには敏感だな。
このジャケットは、タイトなシルエットで、軍用にありがちな野暮ったさが全くない。
「け、結構作りがよさそうな感じですけど、どこのブランドですか?」
あやせにしては珍しく、おずおずとしたためらいがちな口調だった。さっきの俺への狼藉を悔いているのかも知れない。
おっと、肝心の質問に対する答えだが、軍の放出品で、新品のくせに五千円程度で買えたってのは黙っておこう。
ブランドについても、「分からない」とだけ答えておいた。
「それはそうと、俺はそろそろ出るぞ。お前は、ご機嫌斜めのようだが、どうする? ここに留守番か? それともとっとと
帰るか、単独行動か……、まぁ、好きにしろ」
突き放すように言っったつもりではなかったが、あやせは、鼻白むように、下唇を噛んで、そっぽを向いたが、すぐに、
「きっ!」とした表情で俺を睨み返してきた。
「留守番も、このまま帰るのも、単独行動もしません! わたしはお兄さんの監視役なんですから、その責務を果たす
までです」
「そうかい……。なら、一緒に来るんだな?」
「行きますとも! お兄さんは、危なっかしいから、わたしが見ていなくちゃいけないんです」
「はぁ?」
微かに頬を染めながらも、きっぱりと言い放つあやせ。俺は本当にこの女の本心が理解出来ない。
以前にも、頬を染めて、微笑みながら、俺を手錠で拘束したことがあったっけ。
照れたような態度で、手錠を掛けたり、殴ったり、いやこれは純粋に暴力か……、『ブチ殺します』とか『変態』とかを
俺に対して吐き散らすのは、こいつの歪んだ愛情表現か? まさかね……。
「わたしも、上に何か羽織ります」
あやせは、黒いタイトな感じのブラウスの上に、丈の短い上着みたいなものを羽織った。たしか、チュニックとかいう
奴だったかな。
「お兄さんのジャケットと、色がちょっと似てますね」
あやせの服も、オリーブ色というか、緑灰色というか、ミリタリー調の雰囲気だ。
最近は、ミリタリー調のデザインが流行ってのは本当らしいな。
しかしながら、さっきまでご機嫌斜めだったというのに、俺と同じような色合いの服を着ることを、今は喜んでさえいる
ようだ。
ファッションのことになると、あやせは、態度や気分を変えるのか? これは、あやせがモデルだからだろうか、それと
も女子全般に言えることなんだろうか。沙織あたりに訊いてみたいところだが、あいにくと、俺の方から桐乃の友人に
連絡することは、お袋から厳禁されている。
「さてと……、出掛けるか」
だが、沙織にも黒猫にも連絡すること禁じられた今の状況で、桐乃の親友であるという新垣あやせが来たという
のは、何と言ってよいのだろうか。
要は、俺の行動を封じたところで、問題は解決しないってことなんだ。
桐乃だって、その気になれば、俺の居場所を突き止めて、やって来ることは十分に可能だろう。
「そのお店には、どうやって行くんですか?」
下宿屋を出て、狭い路地を並んで歩くあやせに、路地のきわから見えたバスの停留所のようなものを指差した。
「あの停留所から、路面電車に乗るんだ」
本当は、『チンチン電車』と言いたかったが、そんなことを言ったら、またぞろ『変態、ブチ殺しますよ!!』とくるに
決まっているからな。
「停留所は、道路のど真ん中にあるんですね」
「そうなんだ、だから、すぐ隣の横断歩道の信号が青になって、クルマの往来が途絶えたその隙に一気に渡るぞ」
「結構、危なそうですね……」
関東だったら、こんな危険な停留所は、絶対に許されないだろう。
だが、この地方は、間延びしているような雰囲気の中に、こうしたスリリングな部分もある。そこが面白いところだ。
「ちょうど信号が変わるところだ、あのクルマが通り過ぎたら、駆け足で行こう」
不意に、あやせが、無防備に下げていた俺の右手をつかんできた。
驚く俺に、あやせは、頬を微かに染めて、上目遣いで俺の顔を見詰めている。
「こ、怖いから、お兄さんと一緒に、渡りたいんです。い、いいですか」
「上等だ! よし、今だ、走るぞ」
あやせの手を引いて、俺は駆け出した。車道を渡り終えた頃、信号は早くも変わり、安全地帯に居る俺たちをかすめ
て、大きなトラックが疾走して行った。言い忘れていたが、ここの信号は、無慈悲なほど早く変わるんだ。
「きゃっ!」
轟音と共に走り去ったトラックが巻き上げた風圧で、あやせの長い髪がかき乱された。
それを元通りにまとめようと、コームを使わず手だけで四苦八苦している姿には、年相応のあどけなさがあった。
「電車が来たな……」
西の方から、くすんだ緑色の電車が一両だけ、ゴロゴロという重苦しい音を立ててやって来た。昭和の中期頃に作ら
れたんだろう。古臭い感じは否めないが、今の電車にはない重厚な雰囲気があって、俺は好きだ。
「床とか、本物の木で出来ているんですね」
乗車したあやせが、間髪入れず指摘した。なかなか目ざといな。今の電車は、耐火性をクリアする必要があるから、
燃えやすい木材はご法度だ。関東じゃ床が木で出来ている電車なんか走っちゃいない。
「東京にも路面電車はあるけど、どれも車両が新しいからな……。ところが、こっちの電車は、どれもこれも博物館入り
してもおかしくないくらいの骨董品ばかりさ」
車内は、俺たち以外には五、六人ほどしか乗客が居なかった。
休日の朝だから、いつものラッシュアワーとはだいぶ勝手が違う。
俺は、運転台に近い席に座り、あやせも俺のすぐ隣に腰掛けた。
俺たちが座ったのを見届けるためだったのか、運転手が肩越しに一度こちらを見て、それから「発車オーライ」の声と
共に、ベルをチンチンと鳴らした。
「あ……、わたし、チンチン電車に乗るのって、これが初めてです!」
「今、何て言った?」
ちょっと意地悪く突っ込んでみた。
「え? あの、チンチン……、あ、あああっ!」
あやせは、自分が言ったことを思い出し、両手で顔を覆って赤面した。
「は、恥ずかしいです……」
「別に恥じることはないんじゃねぇの? 放送禁止用語でもないんだしさ」
「で、でも……、チ、チン…って、言っちゃいました……」
「お前が潔癖なのは分かるけどよ、もうちょっと気楽に行こうぜ。見るもの、聞くもの、自分が言ったことを一々気にして
たんじゃ、身がもたねぇだろうが」
こいつは、社交的なようでいて、実は自分の殻に閉じこもっているのかも知れねぇな。何となく、そんな感じがしてきた
んだ。
むくれていたのに、俺の服に興味を示して、機嫌がよくなったのも、
さっき、車道を渡るのが怖くて、俺の手をつかんだのも、
そして、今、自分の言ったことに気が付いて赤面しているのも、
あやせの心を覆っている硬い殻が、剥がれ落ちた瞬間だったような気がする。
「で、でも、わたし……、わ、わたしは……」
ただ、殻の中にある、こいつの本心が何なのか、俺にはさっぱり分からないけどな。
電車は、俺のそんな物思いをよそに、ガタゴトと古びた街並みを走り続け、いくつかの停留所に止まった後、終点に
たどり着いた。
「ここからは降りて歩くんだ」
未だ赤面の余韻を両の頬に残しているあやせに、俺は右手を差し出した。
あやせは、一瞬、ためらうようにうつむいたが、おずおずと自分の手を伸ばし、俺の右手につかまった。
この街の繁華街でもある路面電車の終点付近は、連休中ということもあって、ごった返していた。
俺は、あやせの手を引いて、人込みの中を縫うように進んで行った。
目指す『フェデックス・キンコーズ』は、繁華街の中、仏具屋と老舗の呉服屋に挟まれて存在していた。
「ここですか? 立地条件が何かシュールですね……」
「たしかにな……。純和風な老舗の間に、こんな外資系の店があるんだから、変、ちゃ、変だよな」
古臭いものの中にも、突然変異的に最新のものが出現し、違和感がありつつも、いつの間にか馴染んでしまう。
そんな奇妙な街、それがここなんだ。
「まだ八時過ぎだからですか? 意外に空いていますよ」
ガラス張りで内部が丸見えの店内には、黒っぽいシャツを着た店員以外の人影がまばらだ。
やったね。これなら、速攻でプリントも終わるだろう。
店に入り、店内のカウンターの上に持参したUSBメモリを置き、店員に「これの中に入っているファイルをA4の
普通紙に出力してください」とお願いした。
「どのファイルをプリントアウトすれば宜しいのですか?」
店員のもっともな指摘に、俺はプリントしてもらうファイル名をメモに書いて差し出し、件のUSBメモリには当該
ファイルしか記録されていない旨を告げた。
「五分ほどお待ちください……」
開店早々に来たのは正解だったようだ。これなら、あやせもイライラしないだろう。
「お店で一々印刷してもらうのは大変でしょ? プリンタは買わないんですか」
俺は苦笑した。仕送りが生活するのにギリギリで、かつ、落ちこぼれないように毎日必死で勉強しているから
アルバイトも出来そうにない。そんな状況で、プリンタを買うのは、どう考えても無理がある。
「あのさ……、パンツが黄色くなっても捨てられない俺の懐具合を察してくれよ」
あやせの顔が、かぁ~と、擬音で表現出来そうなほど赤くなった。
昨日、俺の箪笥から局部が黄変した下着を引っ張り出したことを思い出したんだろう。
「な、何てことを言い出すんですか、へ、変態……」
場所柄をわきまえたのか、ささやく様な小声だったが、あやせは目に涙を溜めて、両の手を震わせながら握り締めた。
「変態は、俺のパンツを勝手に箪笥から出して、しげしげと見ていた、お前だろうが」
「くぅ……」
どうだ、ぐうの音も出まい。
今まで、そして今朝も、あやせに殴られてきた俺だが、さすがに、こいつのあしらい方が分かってきたような気がする。
「プリントが終わりました……」
そう呼ばわれて、俺はカウンターに戻り、印刷されたレポートを店員から受け取って、ざっとあらためた。
ページとかの欠落はないことを確かめて、俺は代金を支払った。
「さてと……、いよいよ、お寺でデートと洒落込むか?」
鞄の中にプリントアウトされたレポートを仕舞いながら、そう言ったが、あやせは頬を染めたまま何も言わなかった。
そのあやせの手を引いて店を出ると、繁華街を左手に折れ、臨済宗の寺社、つまりは禅寺が密集している路地に
入って行った。
「ろ、路地に入ると、雰囲気ががらっと変わるんですね!?」
数百年前からほとんど変わっていないであろう、古色蒼然とした仏閣が続く景観に、あやせが面食らっている。
無理もない、表通りには、風俗とかのいかがわしい店もあったのに、一歩路地に入ると、全く別の世界が広がって
いたんだから。
「たしかここだったはずだ……」
ひときわ大きな門が印象的な臨済宗の寺院だった。一応は観光の対象ではあるようなのだが、路地裏にあるためか、
一般の知名度はそれほどでもないらしい。むしろ、地元の人が訪れることが多いようだ。
門のきわには、『拝観料は、お一人三百円』という札が掛けられた小屋掛けがあり、初老の婦人の姿が、ガラス越し
に認められた。
「わたしが払っておきましょうか?」
チュニックのポケットから財布を取り出そうとしたあやせを押しとどめ、俺は、財布から五百円玉と百円玉をそれぞれ
一枚、その初老の婦人に手渡した。
「デート相手の女の子におごられるってのは、男として屈辱なんだよ」
「これって、デートなんですかぁ?」
俺は、『そういうことにしておけ』というつもりで、あやせにむかって、にやりとし、反応を窺った。
あやせはあやせで、「うふふ……」という、含み笑いをしてやがる。まぁ、いいか……。
寺の拝観は、墨染めの作務衣を着た若い僧が(と言っても、俺よりもずっと年上だが)、境内、それに本堂やその他の
建物の中を説明しながら案内してくれた。
修学旅行で回る、奈良とかの名刹に比べれば、大きな仏像や派手で見栄えのする仏具等もなく、全体の居住まいは
支援
地味そのものだ。元々は、この地方の武士階級が、座禅等の修練や、儒学などの講義を受けるために利用した寺院だ
というから、質実剛健を旨とし、余計な飾りなどとは無縁なのだろう。
「でも、建物は、がっしりとしていて、重厚な感じですね……」
あやせが、頭上の太い梁を見上げている。モデルなんかやっているから、こうした地味なものは毛嫌いするかと思っ
たが、こいつは桐乃なんかとはちょっと違うらしい。
一通り拝観した後、畳敷きの大広間に通された。案内役の僧侶に促されるまま、その大広間に座ると、板張りの廊下
を挟んで、池と築山で構成された日本庭園が見渡せるようになっていた。
「そんなに広くはないですけど、築山の石と、石と石の間に生えている苔の緑と、何だが複雑な形をした池とが、
いい感じです」
「そうだな……」
池は『心字池』という形式らしい。『心』の字をかたどった池だという。そのため、入り組んだ複雑な形状をしている。
「池の水が、きれいに澄んでいるんですね」
何らかの人工の浄化設備があるのか、湧き水を絶えず導入しているのか、そのいずれかだろう。
さざなみ一つない鏡のような水面には、五月の青空がくっきりと映っていた。
「爺むさいとか言われそうだけど、俺はこんな風に、静かな雰囲気が嫌いじゃない」
「でも……、あ、あんな漫画とかゲームとかの趣味もあるじゃないですか」
俺は苦笑した。エロゲとかは本来俺の好みじゃねぇ。
そのことに本当はあやせだって気付いているような気がしたからだ。
それに、桐乃のために自ら被った、鬼畜ド変態の汚名をそろそろ返上してもいい頃合だろう。
「本当は知ってるんだろ?」
「何をですか?」
「桐乃のあの趣味が、実は俺から影響を受けたものじゃなくて……、それどころか、俺の方が、桐乃に言われて、あいつ
の趣味に付き合ってやっていたってことさ」
「あら、そうなんですか?」
そっけなく言ったが、あやせは半眼で含み笑いをし始めた。
「何だ、やっぱり知ってやがったか……。そういうことだから、俺が変態だっていう汚名は、そろそろ返上させてくれ」
「そうですね……、考えておきます。昨夜も、寝ているわたしに何もしなかったようですし……」
「そうだろ? 俺は本当は品行方正な真面目人間だからな」
「品行方正ですか? 何かいろいろとセクハラをされたような記憶があるんですけどぉ……」
支援
「正直、お前のことが好きだったから、俺も過剰に反応したってのはあるけどな。お前も分かっているように、セクハラ
まがいのほとんどは桐乃のためにやってきたことなんだ」
「そうですね……、一昨年、公園でエッチな漫画をわたしに見せて、挙句に桐乃に抱きついて、『俺は妹が大好きだぁ』
なんて叫んでいたのは、桐乃とわたしの関係を元通りにするための捨て身の行動だったんですね」
「何だ、やっぱり知っていたのか」
「ええ、桐乃がお兄さんのことを好きなのは分かってましたけど、お兄さんの桐乃への気持ちはそうじゃありません
でしたから。それに、エッチな漫画やゲームには、桐乃の方が入れ込んでいるのは、何となく分かりますしね」
「鋭いな……」
「お兄さんが鈍すぎるだけです」
ぴしゃりと言いやがった。やっぱり、こういうところは可愛くねぇな。
「だとすりゃ、俺を変態扱いするのは、もうお仕舞いにしてくれねぇか。そもそも、俺が桐乃のたに自ら汚れ役を演じて
いたってのを知っていたのなら、わざわざこんなところまで来て、性犯罪者予備軍宅の家宅捜索だなんて、強調する
必要もなかったよな」
俺のことを『大嫌い』ってのも撤回して欲しいけど、それは無理だろうな。
「残念ですが、お兄さんは性犯罪者予備軍のレッテルを貼っていてもらった方がいいんです。
ですから、今後も変態扱いはさせていただきます」
「おい、どういうこった! 俺をコケにするにもほどがあるぞ」
静かな寺院内ということで、控えめな口調を心掛けたが、場の雰囲気にそぐわなかったのは確実だ。
案内役だった僧侶が、眉をひそめて俺の方を見ている。
「あ、あ、すいません。え、え~と、ここでは、お茶をいただけるんでしたよね? だったら、お茶とお茶菓子を二人分
よろしくお願いします」
最初からお茶とお茶菓子はお願いするつもりだったから、これでよし。ついでに剣呑そうな話もごまかせたようだ。
しかし、茶菓子付きとは言え、一人前が八百円か……、高いのか安いのか、悩むところだな。
「で、話の続きだが、何で、俺が変態である方がいいんだよ」
案内役の僧がお茶を点てるために奥へ引っ込んだのを確かめて、あやせへの抗議を再開である。
「……、少しヒントをあげましょう。お兄さんは、危なっかしいから、変態だと他の女の人に思い込んでもらった方が
いいんです。これだけ言えば、いい加減分かってくれますよね?」
なんじゃそりゃ?
「すまんが、言ってる意味がよく分からない。仮にものすごく悪く捉えると、俺はやっぱり世の女性に害をなす存在だから、
鬼畜ド変態ということにしておいて、他の女性を俺の手から予め護っておくというようにしか聞こえねぇぞ」
あやせが、呆れたような、それでいて悲しそうな、何とも表現しがたい面持ちで俺を眺め、目を閉じて、大きなため息を
ついた。
「そう思うのなら、そういうことで結構です。でも、そんな風にしか考えられないお兄さんは、やっぱり嫌いです」
「んじゃ、嫌いな奴に、どうしてついてくるんだ。俺を監視するためか? 桐乃にちょっかいを出しそうな危険な存在だからか?」
「監視というのは、正しいかも知れませんね。今は好ましい状態ではなくても、何かの弾みで変わるかも知れない。
それを多少なりとも期待している、と考えてください」
それは、今は嫌いだけど、俺の変わりようによっては、あやせも、出会った当初のように、俺のことを好きになってくれ
るってこのとなのか? 今までの扱いを考えると、素直にそうとは受け取れねぇけどな。
「期待しているのか、俺のことを」
その一言で、あやせは、一瞬むっとしたように目を剥いて、眉をひそめた。
「言い直します。期待よりも危なっかしくて見ていられないという方が大きいですね。とにかく、今のお兄さんじゃ、
ダメなんです」
「ダメだ、ダメだって言われても、具体的にどこがダメなのか指摘してくれないと、こっちは対処のしようがねぇよ」
あやせは、半眼で俺を見据え、『ダメだ、こりゃ』と言いたげに、首を左右に軽く振った。
「わたしは、今までに散々ヒントを言っているんですけど、それでも分からないようじゃ、どうしようもありません」
「お前の言うヒントとやらが難解すぎるだよ。いい加減、答えを言ってくれたってばちは当たらねぇだろうが」
「答えを言っても、お兄さんのためにはなりません。ですから、どこがダメなのか、お兄さん自身が考えてください」
「いや、考えても分からないから答えを教えて欲しいんだがな」
「ろくに考えもしないうちから、答え、答えって言わないでください。わたしは、お兄さんに答えを教えるつもりはありま
せん。ただ、これからもお兄さんを監視して、お兄さんが答えを見つけ出してくれるまで待ちます。その時までの、わたし
の言動、一挙手一投足が、答えを導くためのヒントであると思ってください」
「お、おい……」
あやせは、それだけを一気にまくし立てると、俺が呼び掛けても何の返事もせずに、ただただ、庭を眺めるだけだった。
しかし、これからも監視だって? ということは、これからも遠路はるばる千葉からここに来るわけか。電車賃だって
新幹線を使うから、とんでもなく高額なんだけどな。それでも、現役高校生モデルの新垣あやせ様には、この程度の
電車賃なんか屁でもねぇんだろう。
少し風が出てきたのだろうか、庭園の楓の梢が微かに揺れ、池の水面がさざなみでかき乱された。
俺たちが正座している大広間にも、ひんやりとした、朝の空気が流れ込んでくる。
「おっ?!」
和服姿の女性が、大広間と庭園とを隔てるように設けられている廊下を、しずしずと、奥の庫裏の方へと向かって
行くのが目についた。
髪を結い、かすり模様とでもいうのだろうか、落ち着いた柄の着物に、紫色の風呂敷包みを大事そうに抱えている。
普段着っぽい着物を、極々自然に着こなしているのが、ファッションには疎い俺にも分かった。
和服を相当に着慣れている感じだ。
そして、何よりも……。ものすごい美人だった。年の頃は、二十歳前後という感じだろうか。
細面の整った面相に、微かな憂いをたたえた瞳があり、それが気品と知性を漂わせていた。
「あ、ど、どうも……」
不覚にも、件の女性と目が合ってしまった。不躾な話だが、ついつい見とれてしまっていたらしい。
だが、その女性は、にっこりと微笑むと、そのまま俺たちの目の前を素通りし、奥の方へと歩み去った。
「お兄さん、今の人は、お知り合いか、何かですか?!」
あやせが、おっかない顔で俺を睨んでいた。
「んな訳ないだろ。こっちに来て一箇月も経っちゃいないんだ。男の知り合いだってほとんど居ないんだぞ」
「でも、さっきの女の人は、明らかにお兄さんのことを知っている感じでしたけど……」
しつこいな……。
「たまたま俺と目が合った、だから向こうも軽く会釈をした。その程度のことだろうよ。深く考えるな」
「そうかも知れませんが、何だか嫌な感じがするんです」
「嫌な感じって……。悪意なんか微塵もなさそうな、楚々としたお嬢様だったぞ。お前の思い違いじゃねぇのか?」
「だから、お兄さんはダメなんです! もう、本当にしっかりしてください」
「何だよ……、単にダメ、ダメ、ってだけじゃ、訳が分かんねーよ」
何なんだろうね、こいつは。さっきの女の人を露骨に敵視してやがる。
美人って奴は、自分よりも上の奴が現れると、気になるものなのか? 確かに、あやせじゃ、とてもじゃないが太刀打
ち出来ないほどの美人だったな。単に顔の造作がいいっていうレベルを超えている。知性とか品格とか、内面までを
含んだ全てが、あやせとも、桐乃とも、黒猫とも違いすぎる。素顔の沙織だって敵いそうにない。しかし、何者なんだ?
住職の住まいである庫裏に向かったところを見ると、この寺の関係者だろうか。
「お待たせして、申し訳ありませんでした……」
案内役の僧が、俺とあやせの口論に割り込むようにして、抹茶と茶菓子を持って来てくれた。
「お、おい、取り敢えず、話はお預けにして、お茶を楽しもうや」
若い僧侶には、恥ずかしいところを見せてしまったようだが、正直助かったぜ。
こんな静かな場所で、これ以上、あやせと口論なんかしたくないからな。
「わたし、お抹茶をいただくのは初めてなんです」
「それは俺も同じだよ」
出された器には、その半分辺りまで緑色のお茶が入っていた。
抹茶というものは、器の底に申し訳程度にしか入っていないものだと思っていたが、ここではそうではないらしい。
「ドロドロしてなくて、苦味もそんなになくて、結構美味しいものなんですね」
「確かに、俺は素人だからよくは分からねぇが、いくぶん薄めに点てて、その代わりに量を多めにしてるって感じだな」
その点て方が、作法とか何とかに適っているのかどうかは分からないが、抹茶を飲み慣れていない観光客も訪れる
んだろうから、こうした方が正解なんだろう。
「可愛らしいお饅頭が付いていますよ」
「これは、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)だ」
「じょうよまんじゅう、って何ですか?」
「薯蕷ってのは、ヤマイモのことだ。米の粉に摩り下ろしたヤマイモを混ぜた生地で餡子を包んでいるから、そう呼ばれ
ている」
「お兄さん、なにげに物知りですね」
「まぁ、麻奈美の家でも作っていたからな……」
そういや、麻奈美の奴も、粉に摩り下ろしたヤマイモを混ぜた生地で餡子を包んで、それを蒸していたっけな。
「……、お姉さんのことは、残念でしたね……」
「確かに残念だったが、こっちに追いやられて、連絡一つ自由に出来ないんじゃ、いずれは、こうなっちまっただろうさ」
何だこいつ……、昨日は麻奈美を赤城に取られたことを、面白おかしくぺらぺらしゃべっていたのに、今は妙にしゅん
としちまっているな。
「でも、これでお兄さんは、お姉さんとの関係も、桐乃との関係も、あの黒猫とかいう五更先輩との関係も、その全部が
リセットされたんですよね?」
「リセットって……、う~ん、桐乃には俺のお袋が絶対に会わせないから、桐乃との関係は、完全にジ・エンドだろうな」
「五更先輩とはどうなんです?」
「黒猫からは、四月の中旬にメールが来たが、ここでの状況を桐乃に話されるのはまずいと思って、時候の挨拶程度で
お茶を濁したら、それがいけなかったのか、それっきりだ……」
「そうでしたか……」
しかし、何で、俺の女性関係をこんなにもしつこく訊くとは、俺に対して多少は脈があるのか?
そう思って、俺はあやせの顔をじっと見た。
だが、瞬きすらしそうにない、いつになく神妙な面持ちからは、あやせの本心めいたものは何ら読み取れなかった。
いや、そんなことよりも、もっと大事なことがあったっけ。
「お前も、昨日と今日、俺に会って、俺と過ごしたってことは、絶対に桐乃には内緒だ。それだけじゃない、桐乃と関係が
ある人間には、絶対に言わないでくれ。もし、俺の居場所が桐乃にばれたりしたら、俺がこの街で桐乃から隠れて暮らし
ている意味がなくなっちまう」
「そうですね……。無茶なことをする桐乃のことですから、お兄さんの居場所が分かれば、とるものも取り敢えず、訪ね
て行くことでしょう。そうなったら……」
あやせは、能面のように無表情だった面相を、心なしか、苦しげに歪めた。
彼女が毛嫌いしているエロゲそのものの展開になってしまうことを想像して嫌悪しているのかも知れない。
そんなことにはならない、と俺自身は思いたいが、俺のことを好きだということを、もはや隠し立てしない桐乃が暴発
するおそれは十分にある。
「俺と桐乃との関係は、時が解決してくれるのを待つしかない……。あいつにだって、心底好きな男が出来るかも知れ
ねぇし、そのうちに、俺とのことを忘れちまうかも知れねぇ。それに……」
「それに……って、何ですか?」
「あいつが留学することだって、まだまだ考えられる。『エタナ…』とかって言ったかな、あの化粧品メーカーの女社長……」
「『エターナルブルー』の藤真社長のことですか?」
「そう……。桐乃を欧州に連れて行きだがっている、その女社長だよ。社長は、桐乃のことを諦めた訳じゃないんだろ?」
あやせは、能面のような面持ちで、ゆっくりと頷いた。
「ええ……。藤真社長は、未だに桐乃に執着しているようで、破格の条件を桐乃のご両親に提示しているようです。でも、
桐乃は絶対に承諾しないみたいなんです」
親父も承諾しないだろう。おそらく、実家では、お袋だけが一人浮かれて、女社長のオファーに乗り気なんだろうな。
「桐乃が承諾しないのは、俺が日本に居るからか?」
「そうかも知れませんし、そうでないかも知れません。それに、ここに来てまで、桐乃、桐乃、の話はやめにしませんか」
あやせが、能面のような表情を歪め、まなじりを吊り上げていた。仰せの通りだな。
俺のことを嫌っているとはいえ、一応はデートみたいなものをやっている最中に、自分の妹の話も何もないもんだ。
俺たちは、そのまま押し黙って、出された抹茶と茶菓子を味わった。
桐乃や黒猫、麻奈美の話が出たからか、お茶の味が先刻とは打って変わって妙に苦く感じる。
俺は茶をあらかた飲み干すと、顔をしかめて茶碗を置き、代わりに、先ほどプリントアウトしてもらったレポートを
鞄から取り出した。これでも読み直せば、少しは気が紛れるかも知れない。
そんな折、奥の方から、廊下を歩く微かな足音が聞こえ、先ほど、俺に会釈してくれた美人が、折り畳んだ風呂敷を
手にして、右側から現れた。その美女は、そのまま俺たちの前を通り過ぎるかと思ったが、俺のちょうど真ん前で立ち
止まり、今度は、俺の顔をまじまじと見詰めている。な、何なんだ?!
「失礼ですけど、法学部一年の高坂さんじゃありませんか?」
「え? ええ…、そうですけど……」
「ほら、わたくしをご存知ありませんか? 同じ法学部一年の……」
「は、はぁ……」
我ながら何とも要領を得ない生返事をしながら、俺は必死に記憶の糸をたぐった。そういえば、法学部の教室に
たむろ、と言っては語感が悪いが、教室の一角で、ひときわ華やいだ雰囲気を漂わせている女子のグループが居たが、
その中の一人に、この人が居たような気がした。
「保科です。保科隆子といいます。ほら、いつも法学部の教室の前の方に座っている」
「あっ、あの、保科さん?!」
華やかな女子のグループの中で、ひときわ美人のオーラを振りまいている女子学生が居るのだが、その人が今
目の前に居るのか。俺も、彼女の名字だけは覚えていた。何でも、この地方屈指の名家の令嬢であるらしい。
いつもは艶やかな黒髪のストレートだったように記憶していたが、今日に限っては和服に合わせてまとめていたから、
全然印象が違っていた。
しかし、何で、保科さんは、俺の名前を知ってるんだろうね。そりゃ、学籍番号と名前だけが記された学籍簿は、法学
部生の全員に配布はされているけど、平凡な一学生に過ぎない俺の名前と顔を認識してるってのが、よく分からない。
「思い出していただけたようで何よりです。でも……」
そう言いかけて、保科さんは、廊下から俺たちの方に二、三歩、近づいて来た。
「でも……って、何ですか~~?!」
想定外の事態だった。ミス法学部というよりも、ミス・キャンパスと言っても過言ではない超美人が、近づいて来る
のだ。それも、理由が分からないままにである。
「気になりますね、高坂さん。お隣にそんな可愛らしい娘さんが居て、もしかしてデートでしたか?」
そ、そんなことをいきなり訊くんですか?!
「あ、い、いえ、こ、こいつは、い、妹でして……。デ、デートなんかじゃ、あ、ありませんよ……」
しどろもどろで保科さんに釈明した俺を、あやせの奴が、おっかない顔で睨んでいる。なんでだぁ?
「お兄さん! 何、いい加減なことを言っているんですか。今日は、わたしとお兄さんとのデートじゃないですか!!」
むっとした表情で、あやせが言い放った。うぇ、何だ、こいつ。
「あら、あら、せっかくの妹さんとのデートの邪魔だったかしらね……」
あやせの剣幕に辟易したのか、保科さんは、そのまま立ち去ろうとしたが、レポートを持った俺の手元に目を留め、
俺の方に軽く屈み込んできた。
「な、何か?」
「……高坂さん、それは何ですか?」
「あ、ああ、これは、休み明けに提出する民法のレポート。昨日、書き上げて、今しがた、大通りにある『キンコーズ』で
印刷してもらった訳で……」
言い終わらないうちに、保科さんが、「まぁ!」という感嘆詞を上げ、あらためて俺に近づいてきた。
「わたくしも、そのレポートには苦労していたので、よろしかったら、ちょっと読ませていただけませんか?」
「え? え、ええ……」
超絶美人に接近されて、俺はたじたじだ。
「じゃぁ、ちょっと失礼致しますね」
口ごもった俺の曖昧な返答を了解と受けとった保科さんは、たじろぐ俺にはお構いなしに、俺の右隣に座った。
こ、これで両手に花だ……。
でも、一方の花は高嶺の花だし、もう一方の花は俺に刺々しい言葉をぶつけてくる毒の花なんだけどな。
「……く、ううう……」
その毒の花も、大胆に近づいてきた高嶺の花にけおされて、歯噛みしながら声にならない呻きを上げている。
こりゃ、後がこわいな……。
しかし、保科さんは、敵意むき出しのあやせにも、にっこりと害のない笑みを向けた。
天然なのか、大物なのか、何だかよく分からない人だ。
その保科さんは、俺たちの案内役を努めてくれた若い僧侶に、
「わたくしにもお茶とお菓子をお願い致します……」
と言いかけて、俺たちの茶碗の中が空っぽに近いことに気付き、俺たちに向かって微笑んだ。
「よろしかったら、もう一杯いかがです? わたくしだけが、お抹茶をいただいているのも申し訳ありませんから」
「え、ええ……」
悪意が微塵もない笑顔なのに、何なんだろうね、イヤとは言えない強制力みたいなもんがあるんだよな。
あやせだって、ぐうの音も出せないし……。
「じゃあ、こちらのお二人にも、お代わりをお願い致します」
と、件の僧侶に付け加えた。
僧侶は、「かしこまりました、お嬢様」と言って、茶を立てるために奥へと引っ込んで行く。
しかし、坊さんに『お嬢様』と呼ばれる保科さんって、沙織とはまたタイプが違う、真性の令嬢なんだな。
「で、保科さん……。保科さんは、何でまた、このお寺に?」
「母に命じられまして、ちょっと、こちらの和尚様にお届け物をするために参ったのです」
「そうだったんですか……」
あの風呂敷包みが、お届け物だったのか。
どんなものなのか、ちょっと知りたい気もするが、それを訊くのは薮蛇なんだろうな。
「それはそうと、すみませんが高坂さんのレポートを一読させていただけないでしょうか」
「あ、ああ、じゃぁ、こ、これです……」
判例と条文をコピペして、それに個人的に気に入っている法学書の学説を根拠として、最後にそれらしく自分の意見
を添えただけだから、正直恥ずかしい。だが、提出する前に誰かに見てもらった方がいいかもな。
致命的なバグがあるかも知れねぇし。
俺から手渡されたレポートを、保科さんは、真剣な表情で読み始めた。本当に真面目に読んでくれているんだな。
その真剣そうな雰囲気に、ぶーたれているあやせも突っ込めない。
頼んだお茶と菓子が届けられても、完全に読み終えるまで、それには手をつけなかった。
「なるほど……」
読み終えた保科さんは、感心したかのように、呟いている。
「ど、どうでした?」
保科さんは、俺の一言で、我に返ったかのように、はっとし、それから、俺たちがお茶を飲まずに待っていたことに気付
いたらしい。
「あ、ご、ごめんなさい、引用されている学説と、高坂さんの見解とかが興味深くて、読み耽っちゃいました。お二人とも、
お茶には手をつけずに、待っていてくださったんですね」
「い、いや、まぁ……」
真剣に読んでくれている保科さんを蔑ろにして、勝手にお茶は飲めませんよ。何ていうか、物腰全てに、場の雰囲気
を支配するオーラがあるような感じなんだよな。
「では、まずは、せっかくお寺さんが点ててくださったお茶をいただきましょうか」
「そ、そうですね……」
保科さんが、おそらくは作法に適った優雅な所作で茶碗を口元に運んだのを見届けてから、俺も、あやせも、二杯目
の茶を一口含んだ。
「それで、高坂さんのレポートですけど……」
「どうでした?」
「T大の内田先生の学説をベースにしているんですね」
「分かりますか?」
俺の問い掛けに、保科さんは、にっこりと頷いている。
すげぇな。ということは、保科さんも内田先生の本を読んでいるってことか。
「ええ、わたくしも、内田先生の本は名著だと思うので、参考書として所有しておりますから。ただ……」
「ただ……、何です? 何かよろしくない点がありましたか?」
「わたくしたちの大学の先生方の中には、T大の先生方とは相容れない主義主張の方がおられますから、内田先生の
学説を百パーセント礼賛するのは危険でしょうね」
「じゃ、書き直しですか……」
うわぁ、しくった! あやせが帰ったら、必死で頑張らねぇといけなくなっちまったぜ。
「いえ、高坂さんのレポートは、内田説の問題点を指摘した高坂さんの見解が結語にありますから、問題ないと思い
ますよ。これなら、大丈夫でしょうね」
「そ、そうでしたか……。一時は、書き直しを覚悟しましたよ」
俺の表情の変化か何かがおもしろかったのか、保科さんが微笑している。しかし、超絶美人の笑顔ってのは、やっぱ
いいな。それが、俺の醜態を笑っているものであってもだ。
その一方で、俺と保科さんの会話についていけないあやせが、膨れっ面をしている。
そして、あろうことか、こいつは、茶碗に残った茶を、ずぅ、ずぅと露骨に音を立ててすすりやがった。
「お、おい! 何て無作法なことやってんだ」
保科さんも、そんなあやせを小首を傾げて見つめている。こりゃ、とんだ赤っ恥だ。
「う〜ん、妹さんは、茶の湯にご興味がおありのようですね……」
「え?!」
俺は思わず絶句したね。どこでどう間違うと、そんなことになるんすか、保科さん。
やっぱ、この人、ド天然だわ。
「二週間後の土曜日ですが、拙宅で野点を行う予定です。よろしければ、妹さん共々、高坂さんもいかがですか?」
「い、いえ、お、俺、じゃなかった、僕も妹も、茶道の心得は、ま、まったくありませんから……」
「それなら、当日は、一時間ほど早めに拙宅にお出でいただいて、わたくしが基本的な作法を、お二人にお教え致します。
これなら、宜しいでしょう?」
保科さんが、にっこりと微笑んでいる。これをまともに見ちまうと、イヤとは言いづらいな。だが……、
「せっかくですが、兄もわたしも、週末は忙しいんです。何よりも、この街は、関東から気安く来れる場所ではありません
ので、わたしは無理です」
あやせの奴、膨れっ面のまま、きっぱりと断りやがった。
だが、保科さんは、そんな不機嫌丸出しのあやせにも、微笑みかけ、それから、俺の顔をじっと見ている。
「高坂さん……」
「な、何すか? というか、無作法な妹ですみませんでした」
憂いを帯びた瞳に屈して、思わず詫びちまったぜ。しかも、あやせをコケにしてだからな。ビンタくらいは覚悟しとくか。
「いえ、いえ、妹さんは、遠くからお出でになるのを失念しておりました。そうであれば、高坂さんお一人でお出でください」
その一言に、あやせが目を剥いた。
「じょ、冗談じゃありません! 兄一人をそちらに行かせるわけには参りません。わたしも参加します!!」
「まぁ、妹さんにもお出でいただけるんですね。大歓迎です。え〜と、失礼ですが、お名前は?」
「あやせ、高坂あやせ、と申します」
保科さんは、反芻するかのように、「高坂あやせさん、あやせさん、と……」呟いた。しっかりと記憶に留めておくつもりのようだ。
保科さんに対する無作法で挑発的な振る舞いが、印象に残ってしまったのは否めない。
「野点につきましては、後日、高坂さんに正式な招待状をお渡しします。それで、当日の服装ですが……」
そう言い掛けて、保科さんは憂いを帯びた瞳を俺に向けてきた。俺は、ドキッとしたね。
間近で見れば見るほど、本当に鳥肌が立つような美人だ。
「さ、茶道のセレモニーですから、やっぱり、和服ですか?」
彼女の美しさにちょっと狼狽しているのが傍目にも分かっちまっただろうな。特に、あやせには……。
しかし、和服限定だとしたら、貸衣装か? 和服にしたって、まさか紋付袴じゃあるまいし……、と悩む俺を安心
させるつもりなのか、保科さんは、俺に艶麗な笑みを向けている。
「殿方はスーツで結構ですよ。ですけど、あやせさん……」
「な、何でしょうか?!」
保科さんへの警戒心というか、ここまでくれば敵意丸出しと言うべきか。あやせは、まなじり吊り上げ、目を剥いて、
保科さんを睨みつけている。
「ご婦人方は、出来れば和服でお出でいただくことになっております。二週間後は、もしかしたら少々暑くなるかも知れ
ませんが、よろしくお願い致します」
「考えておきます。それも天気次第ですね……」
「ええ、あやせさんの和服姿が楽しみです……」
敵意むき出しのあやせのおかげで、場の空気が、ぴーんと張り詰め、ちょっと突っ突けば、パリンと割れてしまいそう
だった。
だが、そんな息苦しい雰囲気にあっても、保科さんは、悠然と茶をたしなみ、茶碗を置いた。
「ふぅ……。ここのお庭を眺めながら、いただくお抹茶は、やはり格別です」
「そ、そうですか……」
支援
ド天然、恐るべしだな。
「そろそろ、おいとま致しますね。ちょっと、ゆっくりし過ぎたようで、名残惜しいですけど、そろそろ帰宅しないと、
母に叱られます」
保科さんは、細い手首に巻いていた腕時計で時刻を確認している。
その黒革ベルトの腕時計は、和服に合わせたのか、妙にシックで、今どきのものではないような雰囲気だった。
「あ、どうも、お引止めして申し訳ありませんでした」
「いえ、いえ、デートを楽しんでおられる高坂さんとあやせさんのところに、このわたくしが勝手に参っただけです。
詫びなければならないのは、わたくしの方です」
そう言って、保科さんは、立ち上がると、俺たちと向き合う形で正座し直し、三つ指をついた。
「あ、あの、そこまでされると、こ、困りますよ」
だが、保科さんは、「二週間後の野点は、ぜひよろしくお願いします」とだけ、笑顔と共に付け加えて、庭園に面した
廊下をしずしずと歩み去って行った。
法学部のマドンナは、超絶美人であることは間違いなかったが、つかみどころのないド天然でもあるようだ。
だが、あやせの見解は、俺とは丸っきり違っていた。
「……、お兄さん。何を鼻の下伸ばして、でれっとしてるんですか。変態……」
「お前なぁ……、保科さんが善意で俺たちを野点に招待してくれたんだから、こっちも笑顔で応えるのが礼儀ってもんだ
ろうが、それが、お前ときたら……」
「善意って……。あ~~っ、だからもう、お兄さんはダメなんです。危なっかしくて。いいですか? さっきの、お兄さんの
同級生は、お兄さんが想像するような善人じゃないですよ」
「どうして? 保科さんは、ものすごい天然だが、特に悪意は感じられなかったぞ。それに、この地方屈指の名家の令嬢
だっていうのに、この寺へのお使いもするし、着ている着物だって、木綿か何かの質素なものじゃないか。
物腰も穏やかで、高飛車なところが全然ない。いったい、どこに問題があるんだよ」
「お寺のお使いは、おそらく使用人には任せられない大事なものなので、お兄さんの同級生が行かざるを得なかったん
でしょうね。それに、着ている物だって、質素なんかじゃありません。とんでもなく高価なものなんですよ」
「え? ただの木綿の着物みたいだったぞ」
そんなに高級品には見えなかったけどな。保科さんの着物は。
あやせは、そんな風に思っている俺の間抜け面にうんざりしているのか、瞑目して、大きなため息をついた。
「あれは、木綿なんかじゃありません。紬という絹織物です。それも、ものすごく手間隙掛けて織られたものですから、
普通の絹織物よりも格段に高額なんですよ」
「マジかい……」
「それも今のものじゃないですね。おそらく、大正か昭和かの大昔に入念に作られて、代々受け継がれてきたものなんで
しょう。今、同じものを作ろうとしたら、いったいどれだけのお金がかかるやら、見当もつきません」
「それじゃ、まるで家宝みたいなもんじゃねぇか」
「ええ、それだけ貴重なものを普段着同然に着慣れているっていうのは、贅沢の次元が、今風のセレブなんかとは段違
いですね」
ファッションには、少なくとも俺よりも格段に造詣が深いあやせが言うのだ。多分、本当なんだろう。
それに、妙に腕時計がクラシックだなと思ったが、腕時計も相当に高価なもので、紬同様に祖先から受け継がれて
きたものに違いない。
「……、そうなると、保科さんの印象は、だいぶ変わってくるな……」
「お兄さんは、保科さんを『天然』って言ってましたけど、わざとそう見せている気がするんです」
「どうして? そうすることで、保科さんに何かのメリットがあるか? 少なくとも、あまりねぇような気がするが」
「それはそうですけど……。でも、何か不自然なんです。どこが、どうって、はっきりは指摘出来ないんですけど、とにかく、
嫌な感じがするんです」
心底、不快そうに眉をひそめるあやせに、俺は困惑するしかなかった。
だって、保科さんは、高飛車なところが微塵もない、穏やかな人じゃないか。それに対して、保科さんに過剰なほどの
敵意をむき出しにするあやせの方が、余程どうかしている。
「俺たちも、そろそろ出るか……」
茶を飲み終えたというのもあるが、あやせの苛立ちに、居たたまれなくなったというのが本音だった。
ちょっと痺れたような感じがする脚をだましだまし伸ばして立ち上がり、大広間の脇で俺たちを見ていた案内役の僧
に、茶と茶菓子の代金を払おうとした。だが、件の僧は、
「いえ、いえ、保科様のご学友ということであれば、代金を頂戴する訳には参りません。本日は、このままで結構です」
と告げ、おまけに入り口で俺が払った拝観料まで戻してくれた。
「何だったんだろうな……」
寺の山門を出て、しばらくしてから、俺は呟いた。
狐につままれたようなってのは、こんな感じなのかも知れない。
「だから、あの女の人は、天然なんかじゃありません。その実体は、何でも如才なくこなす、抜け目のない人なんです。
現に、お兄さんが書いたレポートだって、ポイントを的確に見抜いていたようじゃないですか。天然な人にそんな芸当が
出来ますか?」
「……うん……」
そうかも知れない。
だが、超絶美人なのに、刺々しいところが全くない保科さんの笑顔を思い浮かべると、そうした疑念が、風を受けた霞
のように消えてしまうのだ。
「とにかく、油断のならない人なんです。ですから、二週間後の野点は、本当に要注意です。ちょっと、お兄さん、聞いて
ます?!」
ヒステリー気味のあやせには悪いが、俺には保科さんがそんなに悪い人には、どうしても思えなかった。
時計を見れば、まだ午前十一時前だった。観光施設として有名な寺社にも足を伸ばせそうだったが、俺もあやせも、
そんな気になれなかった。連休中ということで、人出がさっきの禅寺とは大違いだろうし、保科さんとの出会いが強烈
だったからだ。
もっとも、その印象は、俺とあやせとでは、正反対なようなのだが……。
「早めに飯でも食うか?」
俺の問い掛けに、あやせは首を左右に振った。
「お茶菓子を二個も食べたし、お抹茶って、カフェインが強いのか、それだけで変な満腹感みたいな感じがあって、
あまりお腹はすいてないです」
「じゃあ、ひとまずは帰るか」
正直、ほっとした。俺の懐具合じゃ、大学の学食か、ファストフードが関の山だからな。
「それに、いきなりあんな人が現れて、雰囲気がブチ壊しです。本当にもう……」
「雰囲気って、何の雰囲気なんだよ」
あやせは目を血走らせて、叫びやがった。
「ブチ殺しますよ?! ヒントどころか、答えをもろに言ってたのに」
「答えって、どういう答えなんだよ」
「もう、死ね! わたしとお兄さんのデートの雰囲気じゃないですか!」
「うわっ、そう、でかい声で言うな!」
雑踏の中、何人かが、頬を高潮させて俺を睨んでいるあやせと俺に視線を向けている。
参ったね。この中に同じ大学の奴が居ないことを祈りたいもんだ。
「と、とにかくだ……、昼食も食べたくないし、特に見たいものもないようなら、下宿に引返そうぜ。下宿に戻る頃には
空腹になってるかも知れねぇし」
来た時よりは混雑が目立つ路面電車に乗り、下宿最寄の、ちょっと剣呑な停留所で降り、出発時と同様に自動車の
流れが途絶えた隙に、あやせの手を引いて、車道を強行突破した。
もう、俺は毎朝の通学で慣れっこになってるけど、あやせは、おっかなびっくりで、そこがちょっと可愛らしい。
下宿に帰り着いたのは午前十一時半過ぎだった。下宿の女主人であるお婆さんに、昼食は外食で済まそうかと
思ったが、二人とも食欲がなかったので、食べずに帰ってきた旨を伝えた。
「あら、だったら、朝炊いたご飯がたくさん残っていますから、これでお寿司でも作りましょうか。あやせさんにも、
この地方独特の押し寿司を食べていただきたいですし」」
やったね。学食やファストフードに行かなくて大正解だったな。
押し寿司を食べさせる店は、街中にもあるけど、(俺の懐を基準にすると)概して高い。
元々は家庭料理だってのに、最近は作る人があまり居ないせいで、多少は希少性があるのかもな。
「鱧(はも)の焼物が手に入ったので、これを押し寿司にします」
鱧は、関東では、ほとんど食べられていない魚だが、この地方では別だ。夏場は最も人気のある魚であるらしい。
「ただ待っているのも何ですから……」
あやせは、外出時の服装そのままで台所に行った。お婆さんの仕事を手伝うつもりらしい。
こういうときに、男ってのは役立たずだな。
俺は、自室に行って、印刷したレポートを再度読み直すことにした。
一読したところ、タイプミスや内容に問題があるような箇所はなかったが、じっくり読んで、問題点がないことを
確認しておきたかった。
「うぇ、やっぱ、誤変換があったなぁ……」
本来は『登記の欠缺(けんけつ)』であるべき箇所が、『頭記の兼決』になっていやがる。
どうしてくれようかと思ったが、この程度なら誤変換の箇所に修正テープを貼って手書きで直せば大丈夫だろう。
「やっぱ、プリンタが欲しいよな……」
家庭教師とか、通信添削の採点とかのバイトでもやるべきなのだろうが、今は講義について行くのが精一杯で、
とてもじゃないが、バイトをする余力はない。
そんなことを思い悩んでいる時に、階下から、あやせが俺を呼ばわった。鱧の押し寿司が出来上がったのだ。
俺は、その寿司を食うべく、のそのそと立ち上がった。
その肝心の鱧の押し寿司は、小骨の多い穴子寿司といった感じだったが、美味しかった。
鱧は、関東ではほとんど食べられていない魚だが、いいもんだと思う。
お婆さん手作りの寿司を堪能し、食後のお茶を飲みつつ、ちゃぶ台の差し向かいに居るあやせに、俺は呟くように
言った。
「さてと……。これからどうする?」
「……、決めていません」
時刻は、まだ十二時半だった。今から新幹線に乗れば、明るいうちに千葉まで帰れるだろう。
だが、それでは、何か物足りなかった。それは、あやせも同じなのだろう。
「そうか、お茶を飲んだら、どっかへ行こう」
「どっかって、何かの観光スポットですか?」
俺は、かぶりを軽く振った。
「一応はガイドブックにも出ているらしいが、普通の観光客はまずやって来ない場所さ。この地区の氏神様で、小高い
丘の上にある社なんだ。上までの長い石段が大変だが、境内からは、この街が一望出来る。どうする、行くか?」」
ありきたりの観光スポットじゃなくて、行ってみてそれなりの達成感があるところ。その神社は、そんな場所だった。
長い石段で丘のてっぺんまで徒歩で登るのは大変だが、上り切ったという達成感と、境内からの眺望は、
あやせだって悪くは思わないだろう。
「……、そうですね。わたしも、お兄さんには言い足りないことがありますから、場所を変えて申し上げたいと思います」
「それって、告白か?」
「変態、そんな訳ないでしょ。ふわふわ浮ついているお兄さんに釘を刺しておく必要があるからです。大体、何ですか、
保科とかいう同級生が現れたら、でれっとしちゃって。そんなんだから、お姉さんにも愛想を尽かされて、桐乃との仲も
ご両親に警戒されて、この街で独り暮らしをする羽目になったんじゃないですか」
うひ~、こいつ相変わらずだな。可愛くねえよ。
「辛辣過ぎて耳がいてぇよ」
「でも、それが事実なんですから、仕方がないじゃありませんか。いいですか? わたしは、お兄さんのそうしたふわふわ
した危なっかしいところが、大嫌いなんです」
「そうかい……、じゃ、大嫌いな俺なんかと、ひと気のない山の中の神社に行くんだぜ、気持ち悪いだろ?」
「そうですね、普通の男の人なら、人気がないのをいいことに、いかがわしい行為に及ぶかも知れませんが、お兄さんに、
そんな度胸ありませんから」
「言いたい放題だな……」
「だって、昨晩、同じ部屋で寝たのに、お兄さんは、わたしに指一本触れませんでした。こんなへたれなお兄さんは、山奥
の神社に行っても、何も出来ないでしょうね」
「俺は品行方正なんだよ。寝ている女の子をどうにかするような外道じゃねぇ」
反論する俺を、あやせは、目を細め、口元を歪めて、冷笑した。
「お兄さんは変態です。ただ、変態行為を実行に移すだけの思い切りがないだけです」
「ということは、結果的には、品行方正だってことだよな?」
「何でも都合よく解釈されるんですね……」
あやせは、心待ちうなだれながらも、笑っていた。
「何か問題でもあるのか?」
「いいえ、特にありません」
「じゃあ、出掛けるか」
午後になり、気温がかなり高くなってきたので、俺もあやせも上着なしで行くことにした。
夕方になれば、急激に寒くなるが、手早く参拝すれば、暖かいうちに下宿にたどり着けるはずだ。
支援
「歩いて行くんですか?」
あやせの問い掛けに、俺は無言で頷いた。
この地区の氏神様なんだ。この地区を見守るために、間近な丘の上に居る。
下宿から十五分ほど歩くと、石造りの鳥居があって、その奥に丘の上まで続く長い石段が控えていた。
「ここから上るんだ。傾斜が結構きついから気をつけてくれ」
「ええ……、でも何段ぐらいあるんですか?」
「分からねぇ。俺も、下宿のお婆さんに教えてもらって、つい先日にお参りしたのが最初で、今日が二度目のお参りだ」
「そうなんですか……」
「最初のお参りの時は、石段を上るのが精一杯で、数えている余裕なんかなかった。だから、俺も知らないんだ」
訊くところによると、概ね五百段で、下から境内までの標高差は百メートル程度らしい。
結構な規模だから、あやせには黙っていた方がいいだろう。
石段は、中ほどあたりにちょっと広くなった踊り場があり、俺たちは、ここで息を整えた。
「はぁ、はぁ、き、桐乃だったら楽勝なんでしょうけど、わたしは桐乃ほどスポーツは得意じゃないから、けっこうきついです」
そう言いながらも、あやせは笑っていた。石段の周囲は、木立の新緑が美しく、ちょっとしたピクニック気分が味わえるからな。
「さてと……、もうひと踏ん張りするか」
俺は、半ば反射的にあやせに右手を差し出していた。
あやせは、そんな俺にちょっと驚いたようだったが、頬を紅潮させた笑顔で恥ずかしそうに自身の左手を差し出して
きた。
「でも、お兄さん、ゆっくり行ってください」
手をつなぎ合った俺たちは、再び石段を上り始めた。
右掌にあやせのぬくもりを感じる。俺たちは、互いの存在を確かめ合いながら、最後の一段を上り切ることが出来た。
石段を上り切ると、新緑の森の中に、ぽっかりと広い境内が広がっていて、その奥に、境内の広さに比べると小さめ
の古びた社殿が建てられていた。
「振り返ってみろよ」
あやせが、俺の右手を握ったまま、上半身を右に捻って、背後を見た。
「うわぁ! お兄さんが住んでいる街が、ぐるりと見渡せますよ」
新幹線が止まる中央駅が、霞のかなたに窺えた。俺の通っている大学も見える。
「あ、あそこで電車が動いていますよ」
中央駅から、盆地の縁をなぞるように単線の路線が敷設されていて、その路線を朱色の車両が走っているのが確認
出来た。
「悪いが、あれは電車じゃなくて気動車だ。あの路線は未電化だから、ディーゼルエンジンで走る気動車しか通って
ないんだよ」
「まだ、そんなのが走っているんですね」
「もう、あやせも分かっているんだろ? この地方は、文化にせよ、習慣にせよ、設備にせよ、おそろしく古いものが生き残っているのさ」
「そうですね……。首都圏では忘れられてしまった日本の風俗や暮らしが、この地方には、細々とした感じではあるけど、存続している……」
感慨深げにあやせは眼下の街並みを眺め、それから石造りの鳥居と、古びて一部分にひびが入っている狛犬を一瞥
してから、ようやく、俺と手をつないだままだったことに気が付いたらしい。
「きゃっ!」
「今頃手を離したって、それまでさんざっぱら繋いでいたんだ。もう、俺の掌には、あやせの汗が染み付いちまったし、
お前の掌にも俺の汗が染み付いているだろうぜ」
「変態! どうしてそう気色悪いことしか言えないんですか。最低です」
「事実を指摘したまでなんだけどな。でも、言い方に少々問題があったのは認めるよ」
「謝っても、お兄さんが変態であることは覆りません」
「まぁ、そう怒るなって。境内の奥の方に社があるから、ひとまず参拝しちまおう」
参拝に先立ち、俺とあやせは、御影石をくりぬいて造られた水盤の水を柄杓で汲み、その水で手を洗い、口をすすいだ。
一応は、身を清めるつもりで、水盤脇に立てられていた看板に書かれていた手順でやってみたんだ。
その看板には、小学校高学年くらいの女の子のキャラクターが、柄杓で水盤の水を汲み、その水で手を洗い、洗った
手に柄杓の水を受けて、その水で口をすすいでいる様が描かれている。
「何だか、桐乃あたりが萌えそうな女の子のキャラクターですね」
「どうかな……」
看板のキャラクターは、往年の少女漫画風だった。こうした絵柄は、桐乃の好みじゃなさそうだけどな。
「それと、参堂や鳥居は、真ん中を歩いちゃいけないらしい。真ん中は神様の通り道だからな」
俺たちは、板状の大きな御影石が敷かれた参堂の左端を、俺が前になって進み、規模は大きくはないけれど、
風雪に耐えた風格を感じさせる社殿の前に行き着いた。
社殿の真ん前には、投げ入れられてきた硬貨で、箱上部の格子の角がすっかり丸まってしまった賽銭箱が据えられ
ている。
「え~と、お賽銭、お賽銭……」
財布を探ると、硬貨は十円玉が何枚かと、百円玉が二枚、それに五百円玉が一枚だった。さすがに十円玉では失礼
だろう。百円玉でもどうかと思う。貧乏学生には痛い出費だが、ここは五百円玉を奮発することにした。
「ご利益は何なんでしょうね」
五百円玉を賽銭箱に入れながら、あやせが尋ねてきた。
「分からねぇが……、多分、五穀豊穣とか無病息災なんじゃねぇの?」
「じゃあ、わたしは、わたしの人生が実り豊かなものになるように、祈願いたします」
これも、賽銭箱の脇に立てられた看板に書かれている作法どおり、社殿奥にあるであろう御神体に向かって深々と
お辞儀をし、二拍後に瞑目して祈願した。
何を願ったかって? そいつは残念ながら内緒だな。
願い事を心の裡で唱えた後、再び深々とお辞儀をし、俺は祈願を終えた。
だが、俺の傍らでは、あやせが瞑目して、真剣な表情で何事かを願っている最中だった。
あやせの祈願は、俺がお辞儀をしてから、三十秒近くは続いていたように思う。何を願ったんだろうね。
思い込みが激しいから、とんでもないことを願ってなけりゃいいんだが。
「時間があるし、よかったら、あそこのベンチに腰掛けよう」
境内の見晴らしのよい場所に、木で出来た小さなベンチが設えてあった。そのベンチに俺が腰掛けると、あやせも、
俺の右隣に座った。
「こうして見ると、あちこちに緑があって、いい街ですね」
「寺社が多いからな。それに、俺が通う大学も、ちょっとした公園並みに緑が多い」
「大きな川が、街中を流れているんですね」
「あの川べりで、夏祭りの時は大きな花火大会があるらしい。ここからだと、下手に川べりに行くよりも、落ち着いて花火を見物出来そうだな」
あやせは、俺の通り一遍の簡単な説明を「ふぅ~ん」と呟きながら聞いている。
俺自身、この街で暮らすようになって一箇月足らずなんだから、拙い説明ではあるんだが、それでもあやせは真面目
に耳を傾けてくれていた。
「でも、これから、お兄さんはどうするつもりですか?」
「ど、どう、って?」
この街の話をしているのに、出し抜けに何を言い出すんだろう。
「お兄さんは、いつかは千葉に戻るんですか? それとも、もう、千葉には戻らず、この街で暮らしていくんですか?」
「そりゃ、いつかは故郷に帰りたいさ」
「でも、桐乃のことがあるから……、ですよね?」
「うん……、ま、まあな」
また、その話か、桐乃が実家に居る以上、俺は帰省すら許されていないんだぜ。
「わたしは、お兄さんに千葉に帰ってきて欲しいです……」
「その申し出はありがたいけど、現状では無理だな」
「だったら、こっちでずっと暮らすんですか?」
「そうだな……」
もし、大学を卒業して、こっちの方で職を見つけられたら、千葉には戻らず、こっちで暮らすことになるかも知れねぇな。
故郷に帰ることが叶わない以上、しかたがない。
「じゃ、じゃあ、お姉さんのことも、桐乃のことも、五更先輩のことも、わ、わたしのことも、何もかも忘れて、そして……、
さっき会った、保科さんとかと一緒になるんですか?」
「おい、おい……。結論を先走り過ぎだぜ。それに、保科さんは単なるクラスメートだ。それ以上でも、それ以下でもねぇよ」
本当に思い込みの激しい奴だなぁ。
今は、大学の講義について行くのが精一杯の俺に、そんな先のことまで考えられねぇよ。
何よりも、保科さんは、この地方屈指の名家の御令嬢だぜ。俺なんかを相手にするわけがない。
「お兄さんは、鈍いから、自分の身に何が起こっているのか、分かっていないんです。今日の保科さんの、あの態度、
絶対に危ないです」
「危ないって、何がどう危ないんだよ」
「これだからもう……。いいですか? お寺で会った時、保科さんは、お兄さんの顔と名前をはっきりと認識していた。
これって、お兄さんに対してかなり興味を持っているってことじゃないですか!」
「たまたまだよ。保科さんは、誰に対しても礼儀正しいし、クラスの中心とも言うべき人だからさ。それで、法学部一年の
全員の顔と名前を覚えようとしていて、実際に覚えたんじゃねぇの?」
その途端、あやせが顔を真っ赤にさせて激昂し、俺の襟首を引っつかんだ。
「お兄さんの分からず屋!!」
「ぼ、暴力はやめろ! 第一、こ、ここは神前だぞ」
「だったら、鈍くて危なっかしいお兄さんには、神様公認のおまじないが必要です!」
大きな瞳をぎらつかせたあやせが、俺の眼前に迫って来た。
「うわぁ、俺、神前でブチ殺されるのか?!」
「何を訳の分からないことを言ってるんですか。そんなことより、今からおまじないをしますから、目をつぶってください」
「目をつぶっている間に、ブ、ブチ殺すのか?」
「え~い、もう、さっさと目をつぶってください。そうしないと、本当にブチ殺しますよ!」
俺は観念して瞑目した。何がどうあってもブチ殺されるらしい。これも、運命か……。
「?」
しかし、鼻腔に芳しい香りが感じられたと思った次の刹那、俺の唇は、甘く、瑞々しく、ふんわりとした弾力あるもので塞がれていた。
驚いて目を開ければ、あやせが目を閉じたまま、俺の唇を貪るように吸い続けているじゃねぇか!
「う、あ、あひゃひぇ……」
口を塞がれているから、声にならなかった。
しかも、あやせは、接吻から逃れようとする俺を、両の腕でがっちりと掴んできたのだ。
うわぁ、あやせの舌が、俺の口の中に入ってきやがった!!
あやせの舌が、あやせとは別の生き物のように俺の舌に絡みついてくる。い、いきなりディープ・キスかよ!
い、息が出来ねぇ……。
だが、それは、あやせも同じだったんだろう。
「ぷはぁ〜〜っ!」
あやせは、俺との接吻を中断し、素潜りしていた海女みたいに息を吐き出した。
そして、呼吸を整えながら、俺の顔を妖しい目つきで見詰めている。
「な、何だよ?!」
俺は、あやせの両腕で押さえ込まれたままだ。
その上、あやせの瞳には、『逃さない』といった威迫があって、俺をたじろがせた。
「うふ……、もう一回……」
再び、あやせのふっくらした口唇が俺の口元に押し付けられ、彼女の舌が、俺の中に入り込んできた。
もう、ままよ! 俺も、あやせに倣って、自分の舌を彼女の口中に忍ばせた。
俺とあやせの舌は、艶かしく絡み合い、互いの歯を、歯茎を、口蓋を、舐め回し、翻弄している。
俺たち以外に誰もいない神社の境内で、俺とあやせは、我を忘れて、貪るように互いを求め合っていた。
* * *
「お見送り、ありがとうございます」
新幹線のデッキで、俺とあやせは向き合っていた。
「いや、これぐらいは当然だ。俺は、お前の『兄貴』なんだからな」
ことさら『兄貴』の部分を強調して言ったことで、あやせは不満げに頬を膨らませたが、目は悪戯っぽく笑っていた。
「『兄貴』なんて言うようじゃ、『おまじない』が足りなかったんでしょうか?」
「い、いや、そいつは十分だよ」
他の乗客もいるこんなところでキスなんかしたら、ちょっとしたスキャンダルだ。
「でも、勘違いしないでください。わたしは、まだ、お兄さんのことが嫌いです」
「……、そうなんだ。でも、何で嫌いな俺に、あんな『おまじない』をかけたんだ?」
「それは、わたしも、お兄さんを本当に好きになるかも知れない、そのための予行演習です。
それと……、保科さんみたいな人にフラフラなびかないように釘を刺しておくためでもありますね」
「予行演習は分かるが、釘を刺すってのは何だい、そりゃ……」
あやせが、嫣然とした笑みを浮かべている。
「鈍くて危なっかしいお兄さんを、保科さんのような人から護るための予防接種のようなものと思ってください」
「予防接種ね……」
俺は苦笑した。あやせには、とことん鈍い奴だって思われているんだな。
そんな折、発車を告げるベルが、ホームに鳴り響いた。
「そろそろ電車が出ます。次は二週間後、保科さんの野点で、お兄さんを護るために来ますから」
「お、おう、そんなに大げさに考えなくたって大丈夫だろうに……」
「何言ってるんですか! だからダメなんです」
大急ぎでデッキから出ようとする俺の背中に、あやせの罵声が浴びせられた。
俺とあやせの関係って、結局はこんなもんだよな。
デッキからホームに飛び出すと、間一髪で新幹線のドアが閉まった。
そのドアのガラス越しに、あやせは俺に笑顔を向けてくれている。
「ま、また、来いよ!」
二週間後にやって来ることが決まっているのに、思わず言ってしまった。我ながら陳腐だぜ。
あやせを乗せた新幹線が動き出し、それは見る見るうちに加速してホームから走り去って行った。
「しかし、『まだ、お兄さんのことが嫌いです』、か……」
そんな言葉を呟きながら、俺は自身の口唇を人差し指でなぞり、先刻の狂おしいほどの接吻を思い返していた。
『嫌い』という言葉が真実か否か、そんなことはどうでもいいのかも知れない。口唇に記憶された艶かしい感触は、
紛れもない事実なのだから。
駅舎を出て、ふと、見上げれば、茜色の夕焼け空に、二つの星が競うように瞬いていた。
(終わり)
以上です。
次回作は、『風』。『クロネコ・ストライクバック』的な(?)作品です。
なお、途中、寝不足で、トリバレがあったので、以後は、上記のトリを使用します。
3時間もの長丁場乙
次回作期待してるわ
あやせたんペロペロ
>>513 GJ!!&乙!!
イヤー読み応えのある作品をありがとう
支援してホントに良かった
>>514 実に読みごたえがあった
発情したり嫉妬したりあやせが良いなw
あやせVS保科女史が楽しみだ
乙
あと一巻から六巻まで初版(美品)があるんだけど、いくら位が妥当?
520 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 08:33:03 ID:0vYCqPwt
大乙
よかった実によかった
これ書き上げるのにどんだけ時間かけたんだろうな
521 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 08:35:19 ID:2xtGhc9z
すまん、何があって島流しになったんだ?
過去の作品の続きなの?
GJ
昔あやせスレに投下してた人だろ?
アニメにはないこの京介の鈍感さw
>>514 これはなんという力作(*´Д`)l \ァ l \ァ
続きが楽しみだ。
>>513 乙です
あやせがキチ▲イなSS読んだ後だったけど可愛くて好きになったわw
続編あるのかな?
楽しみにしてます!
525 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 10:07:24 ID:qAqUI5gn
NTRだめな俺にはあやせじゃなかったら駄目になってたな
お疲れさんです
続編待ってますよ
非常に読み応えのある楽しいSSでした。GJ。
母親のクズっぷりが良い意味でアクセントになってるなあ……。
同じ板の書き込み不可のスレに書き込んで失敗と出ても連投抑止を外せなかったっけ
原作未読で申し訳ないが、保科さんはオリキャラ?
長編乙
この人ってとらドラの竜司が弁理士になるSS書いた人?
乙ー
おもしろかった。次回作も楽しみにしてる
>>514 乙gjすげええ
とらドラで竜児×亜美の長編書いていた方ですよね〜!?
相変わらず情景が目に映るようで引き込まれました。
続き期待して待ってまーす。
ここまでしっかり書き込めるのはすごいですね。
しっかり書かれていて長くてもだれない…
勉強になりました。お疲れ様でした
ここまで面白くてしかも続き物とか最高過ぎる
今から楽しみだ
色々な俺妹SSを読み漁ったけどあやせ好きにはいい意味で偏執狂が多い印象
>>514 京介が親に勘当されてるようで鬱になった。が、面白かったです。
すごく詳細に書かれてて感心しました。
GJ
乙です。
大量に男物のパンツを買って新幹線に乗り込む
あやせを想像しちまった。
GJ!!続き超期待っす
テスト
前々回ぐらいのスレで沙織SSを書いたものです。
自分の過ちでdat落ちしたスレが読めなくなってどこまで書いたかわからなくなったので、改めて最初から載せようと思います
タイトルは、いつものようで違う景色(仮)
主な登場キャラは槇島沙織とオリジナルの同級生です
一応メインは沙織さんですが、オリキャラが苦手な方はスルー願います
それではよろしくお願いします
これは都内から少し離れた某県庁所在地のとある女子中学校の一人の少女のお話である。
登校時間。
清楚な制服を見にまとった女子中学生らがそれぞれの友人と横に並んで上品な口調で愉しげに喋りながら登校している。
これが、いつもの登校風景である。
……と一人の少女が顔を真っ赤にして嬉々としてはしゃいでいた。すると周りの少女たちもこだまするかのように嬉しそうな悲鳴を上げた。
「綺麗……それにあんなにも堂々としていらっしゃって……」
「まるでわたくしの理想の……」
「しかし……あのお方、見たことがないのですが……」
「お馬鹿さんね、あなたたち。あのお方が誰なのかも知らないわけ?」
「彼女は……」
すらっとした長身、外国人と大差のないくらいの胴短長足、肩のところまで軽くウェーブした髪、そしてざくろのようにほのかに頬が赤く染まった笑顔。
「皆さん、おはようございます」
登校する生徒に一人ずつ挨拶するこの女性はさらに吸い込まれそうな笑顔で微笑むと、周りの生徒もそれに応じる様に顔を真っ赤になりさらに辺りが騒がしくなる。
中には具合が悪くなったのか、足取りがふらついている生徒までいた。
これが登下校、授業間での移動や体育の授業中問わず見られる光景なのだ。
端から見るとその「女性」は彼女らの通う女子中学校の教師かと間違われるかもしれない。だが、彼女もこの学校の立派な生徒なのだ。
その中で、意を決して彼女による女子生徒がいた。
「あ、あの、すいません! よろしければお名前を教えて頂けませんでしょうか!?」
「ふふ、よろしいですよ。私の名前は」
「槇島沙織と申します。今後ともよろしくお願いしますね」
名前を聞いた女子生徒はお湯が沸騰したかのように顔が真っ赤になり、そのまま仰向けに倒れてしまった。
あわてて周りの生徒が彼女を助けようとする中、沙織だけは今までの笑顔を崩さずにそこから通り去っていく。
妙に早足気味に、そして先程よりも赤みの増した頬をして。
一時限目の授業中。
女性教師が黙々と黒板に計算式やら公式やらを書き記していく。教室内は誰もが次々に書き記される黒板と目の前のノートに集中して、ほぼ無言状態である。
事実、この学校の校則は他校よりも何倍も厳しいと有名なのだ。……が、その中でも例外がある。
――沙織、沙織
――な、なんでしょう? 授業中ですよ?
――まあまあそう堅いこと言うなよ? それより、あんたまた他の奴らに言い寄られたそうじゃん? いつもいつも大変だな〜って思ってさ
他の生徒とは明らかに違うフラットな性格をした女子生徒が沙織に囁いた。
沙織は手を気付かれない様に小さく横に振って即座に否定した。
――そんなことはございません! みんな学校の規律を守って挨拶をしているだけですわ!
――それはどうかな〜? 後ろから見ていたら卒倒している奴とか何人かいた気がするけどな〜
――うぅ……それは……
――ひひひ、やっぱ沙織は面白いな〜っいたぁ!
――もう、だからこうなるというのに……
いつの間に移動してきたのか、女性教師がフラットな生徒の頭上めがけて手加減無用の拳を振り下ろしたのだ。
「……また貴女ですか。少しは授業に集中してくださらないと。これで何度目だとお思いなのでしょうか?」
ゴツンという鈍い音が周りに鳴り響く。
周囲の女子生徒はこれがいつもの光景だと知っているのか、クスクスと含み笑いをしていた。
「いったいな〜。少し位雑談したっていいじゃないですか〜?」
「貴女という生徒は……毎回の授業中の私語もいただけませんが、特に貴女のその話し方!
何ですかそのデリカシーの無い仕草は!? 以前何度も改めるよう申しましたでしょうに? 全く反省なさってませんのね?」
「いいじゃないですか。これが私の性格なんですし、やらなければならないことはちゃんとやっているんですから」
「はぁ〜これだからこの子は……」
「く、口を挟んで申し訳ありませんが、お時間が過ぎますのでそろそろ授業を再開された方がよろしいのでは……と」
「む、そうですわね。……貴女は昼休み職員室まで来なさい。あと槇島さんも同様に。貴女も無関係ではないことは肝に銘じておくように」
「……はい、おっしゃるとおりでございます」
その後昼休みに彼女と沙織は職員室に呼ばれ、こっぴどく叱られた。
沙織が何度もペコペコしながら謝っているのに対し、彼女の方は女性教師の説教に飽きたのか、半ばあくびまでしていた。
結局放課後にも呼び出され、反省文を完成させるまで帰宅するのを許されなかったそうだ。
ちなみに、その時は彼女だけ呼ばれたのだった。
「ったく、あの担任も酷いよな。あたしには反省文と次の日の補習を命じてきやがったくせに、沙織には説教だけだもんなー。
しかも放課後は呼び出さねえし。なんだよ、この不公平さは」
「仕方ありませんわ、貴女が自ら蒔いた種ではありませんか」
「ぐっ……しゃーねーじゃんか。あたしは元からこんな性格なんだし」
「元から持っているものを憎むのは愚かなことですわ。駄目だと思ったら努力しなければ、いつまでたっても変わりませんわよ?」
「はいはい、いつもの説教をありがとさん。それより今日これからどうする? どっかでお茶しないか?」
「仕方ありませんわね、お付き合い願いましょうか」
彼女とこんな感じで接するのもいつものことである。
学校が終わり、どの部活動にも所属していない彼女たちはこうして暇があればお茶を飲んだり服や雑貨品を買ったりしている。
ここでは一般的な「普通」の友人関係なのだ。
彼女の案内で学校から程なく離れた行きつけの喫茶店に訪れた。
彼女はコーヒー、沙織は紅茶を頼み一緒に注文した焼き菓子をつまみながら楽しそうに雑談している。
「でさ、うちのペットがさー」
「……」
「おい、沙織聞いてる?」
「……あ、申し訳ありません。えっと、何のお話でしたっけ?」
「大丈夫か? 最近ぼーっとしているようだけど」
「お気遣いありがとうございます。ただ、これからまだやらなければならないことがあるので」
「あー、前に言ってたな。いくらか掛け持ちで稽古をしているとか。
じゃあ、これからやることってのは、あれだろ? お・見・合・い話とか」
彼女は「お見合い」のところをにやけながら沙織に囁いた。
沙織は顔を真っ赤にして思い切り横に振った。
「ち、違います! お見合いは昨年の秋ごろに勧められただけでやっていません!む、むしろ、断りましたし、わたくしには結婚などまだ早すぎますの」
「ふーん、本当っかなー?……まぁ弄るのはここまでにしとくよ。忙しいんだろ、仕方ないって」
「も、申し訳ありません……」
「あ〜もう弄んないったば。ほんと沙織って恥ずかしがり屋だな」
「そうではなく……いやそうでございますね。よく母様にもご指摘されましたし」
「……? そうなんだ?」
彼女は沙織から何か底知れぬものを感じたが、それは次の一言ですぐにかき消された。
「申し訳ありません。そろそろお時間ですので」
「おっともうそんな時間か。いいよ、ここで解散するか。また今度店回ろうな」
「……ありがとうございます。それでは」
沙織は彼女に満面の笑みでお辞儀をし、席を立った。店から出る時も同様の笑みでお辞儀をし外に出た。
「全く、あんな笑顔で言われたら誰だって逆らえるかっての」
彼女はふふ、と笑い飲みかけのコーヒーを口に運ぶ。後に残る苦みを楽しみながらまだ笑っていた。
今日はここまでにします
続きはできる限り早く載せれればいいかと
沙織と麻奈実SSはほんと貴重だな
乙でござるよ
ま、待ちきれないよ!!1
とりあえず乙
この後、どんな展開が…。期待してますよ!
乙
>>514 乙
トイレ入って賢者タイムに突入するあやせにフイタ
あんたなにやってんの
ナニやってたんだろ
普段は「お兄さん」だが、一人で慰める時だけ「京介さん」になるあやせってのは可愛いと思う
NTR・オリキャラ・キャラ崩壊と、嫌われそうな要素が多いのに
>>514は意外に好評なんだな。
俺は両親のクズっぷりやあやせの無神経さが駄目だったわ。
>>556 各々の心理的バックグラウンドを想像補完しながら読むんだ。
書き手も少しずつにじみ出させている。
書き手のレベルが高杉(´・ω・`)
NTRもオリキャラも苦手なのに三回読み返してしまった。
>>556 SL66さんは、とらドラSSの時もそうだったけど嫌われるキャラ設定は徹底してるからなw
個人的な感想だがとらドラSSでの竜児と亜美はキャラの口調とか性格がくどくなりすぎてる感があったけど、
今作の両親とあやせのキャラ崩壊?は許容範囲内だ
こういうキャラ設定に転ぶのもありえそうだし(特に母親)
とらドラか…、そういやアニメ最終回の桐乃の頭突きはとらドラのオマージュなのかね
>>556 俺は全部読んだが面白いとは思わないな
最初からあやせのキャラが全然違ったし、京介の語りも違和感ばっかり
オリキャラまで登場させたんだし、最初から違うスレでオリジナルとして書けば良かった気が
作品自体は良いが、俺妹SSとしては面白くない
長々と個人的感想すみません
あの程度のキャラのブレなんてむしろ通常運行な気がするんだけど
ただオリキャラに関しては注意書きがあってもよかった
566 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 07:59:09 ID:8wjGInL9
まぁなんつうか、別作品として見ればオリキャラとのその後も気になったし、桐乃の奮闘みたいなのも見たかった
あの桐乃が京介を見捨てて普通の生活を送れてるはずないし
全部が全部独占ssってのも面白みがないし
たまにはこういう方向に突っ走るssがあってもいいだろう
独占厨の皆さんには辛いだろうけど
この反応どういうことなの
このスレに何が起こったん(´・ω・`)
まあ落ち着いて妄想に耽れよ
>>556 恋人でもない状態の麻奈実取られても別に悔しくないっていうか…
571 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 09:27:25 ID:4wXMR6zv
作者の経験があって書きやすいんだろうけど
とらどらにせよ、主人公=自分で書いちゃってる感じはあるなぁ
これ位違ってきてると他キャラ信者も腹
立てずに読めて良い感じだと思うぞ。
あやせ派とか京介派はどうかしらんが。
在日ネタ絡めなきゃいいや
在日は嫌いだが個人の思想信条を投影したSSとかあまり読みたくないし、とらスレも無駄に荒れたしな
オリキャラだったり法学部だったりNTRだったり、ワンパっすね
書いてくれるってだけでありがたいと思うけどね
まあエロパロってこうやって人がいなくなるのがもうデフォなのかもしれないけど
全体的に違和感がすごいんだよなぁ
京介やあやせって言うキャラが元にある固有の個性を持って動いてるんじゃなくて、作者がやりたい話のために作者が動かし易いように動かしてるだけって感じ?
もはや、京介・あやせを男・女に置き換えてもいいくらい。
あと、ジ・エンドとかアウトオブ眼中とかジモティとか妙に古臭い死語をだしてるのも違和感の元かもしれない。
てか読みにくいよ
>>514の文は
無駄な装飾だらけのオナニー小説
煮物がどうだとかほんとどうでもいいから
テンプレにそういう注意書きを書かないほうが悪い
嫉妬なのか捻くれ者なのか
どちらにせよ過剰反応だな
なんか殺伐としてるな
とりあえず京介のパンツでも嗅いでみんな落ち着けよ
エロパロにあるまじきボディの重さと文量に圧倒されて大好きです>SL66師匠
どれだけ好きか、で書いて下さいね。
黒猫の書いた文章ってこんなかなーとは思った
荒れるからツマンネコメはやめとけっていい見本だな
俺は結構好きだけど分割投稿した方が(自己防衛的に)良かったと思う
俺は面白かったと思ったし続きにも期待している
あやせにぶち殺されたい
なーんか妙に嫉妬レスが多いよねぇ
物書き始めて数年も経ってない自分らが勝てる相手じゃないってぐらいわかれよなー
文句言ってる暇があればせっせと駄作でも書いてろってんだよ
俺はスゲェ楽しめたし続き期待しまくりだが、
分量的にもオリ要素多めな方向性的にも個人サイトでやった方がいいかなって気はする
>>586 ああわかるよ お前普段から本読んだりしないもんな
そんな顔真っ赤にして怒んなよ
>>588 おまえ、言っていることが無茶苦茶だぞ、
小説なんてものは、無駄な装飾の塊だ。
どうでもいいからいい加減全員黙れ
と言うより、
肯定的な感想=真っ当な感想
否定的な感想=嫉妬または捻くれた感想
って進歩の余地が無い二元論でものを言う奴が居ることに驚愕。
全てが理不尽なレスってわけでもなかろうに。
勝ち負けって観点も変。
レスした人全員が書き手だとでも思ってんのかな?
だいたい掲示板に書き込むSSでベテラン物書きとか誇ってる人見たことないし。誰と戦ってるんだろうね。
だから話題を蒸し返そうとするなよ
お前は結局自分の感想が嫉妬または捻くれた感想と
見なされていないことが我慢ならないだけだろ
おまえらはSS投下がないとすぐ諍いをおっ始めるな
何か荒れる原因作ったみたいで悪かった。
読みにくさに関しては、読点が多すぎるから。
区切れる部分を区切っとこう、みたいな。
上の文なら
読みにくさに、関しては、読点が、多すぎるから。
みたいな感じになってたり。
おまえら台本や小ネタの時はフツーに褒めるのに
力作大作意欲作のときは厳し過ぎだろ
誰が得するんだよ
>>593 自分の感想が嫉妬または捻くれた感想と見なされていないことが我慢ならない、だと
"自分の感想が、嫉妬または捻くれた感想であると見られていない事に我慢が出来ない"
と言う意味になるのだけれど、それで良いのかしら?
嫉妬と言う見方が捨て切れない辺り、あなたはモノカキの端くれなのでしょう?
あなたが書いた物でも無いでしょうに。
そんな事に頭に血を昇らせる前に推敲するのをオススメするわ。
お前そろそろ黙ってくんない?
さっきから自分の小さな自尊心守ろうと必死な様が痛々しい
京介は結局あやせがなぜ「妹」として来たかって所に突っ込みはないんだな
全員うっとおしいから黙れ
もういっそSS投下レス以外禁止にしたほうがいいような気がする
すまん、俺は何故荒れるのかわからん(荒れる理由は説明しなくていいよ)
句読点の入れ方とか本人の癖も含めてSSはその人が表れる物なんだから
それを一々感情的に判断してらんないだろ……
嫌いとか面白くないという人はそれでいいんじゃない。
自分の意見はこうだ、ってだけだしね。
古都についての描写なんかは丁寧に書かれていて、心情描写もわかりやすかったな。
オリキャラが出てくる理由も大体分かった。次に投下されたら皆納得するんでない?
俺は割と問題なく読めちゃったんだけど、そうでない人の中には
キャラが違うって声もあるみたいだね。
エロパロ板は成年用の掲示板で、単なるエロばかりじゃなくて幅広い表現を
使えるものだと俺は解釈してるから原作では読めない展開もありなんだけど、
オリジナルの延長線上を逸脱してると受け取られたってことかなー。
地元の学生に対する不満やらは確かに個人の主観が前面に出てるから
そこは作品としての受け入れ易さに繋がると思った。
そういう部分に気を遣うのも書き手としての技術だと思う。
両親の行動に関しては、原作からは確かに想像できんけど(特に親父)、
クズだとは思わないな。男一人放り出してもなんとかなるw
ついにあたしは兄貴と恋人になった。
兄貴が「法律なんて、俺が変えてみせる」と言ってくれた。
嬉しかった。早速、黒猫と沙織に報告しよっと。
桐乃:念願成就、ついに兄貴と結ばれました(哂
黒猫:あら、奇遇ね、私も兄さんと契約を結んだわ
沙織:拙者も、でござる
桐乃:そ、いや、でも、兄貴は「法律なんて、俺が変えてみせる」
と言ってくれたんだから
黒猫:あら、奇遇ね、私にも
「重婚なんて問題ない。法律なんて、俺が変えてみせる」
と言ってくれたわ
沙織:拙者も、でござる
桐乃:エエエエェェェェェエエエエ
黒猫:これからは私のことは「姉さん」と呼びなさい。
沙織:拙者も、でござる
桐乃:・・・・・・
>>604 あやせ「(光彩を失った目で)私の父は政治家なんですよ……」
>>597 台本小ネタは(アイデアはともかく文章力的には)自分でも書けそうだから肯定的意見が多い
力作大作意欲作だとどうがんばっても自分には書けないから否定的意見が目立つ
それだけのこと
嫉妬がどうとか知ったこっちゃねーけど、この作者のSS投下後って荒れるんだよね。
とらドラスレもそうだったしなあ。
人気出た作品で投影物のジャンルゴロとかマジ勘弁
大作だと良くも悪くも誤魔化しがきかないからじゃない?粗が目立っちゃうというか…
キャラに色んな言動させなきゃいかんからそれをキッチリキャラのイメージに合わせるのは
相当原作のキャラ理解してないときついだろうし、
逆に読み手はどっか一箇所でもキャライメージと違うトコがあるとコレジャナイ感覚えるだろうしね
書き手だらけのスレってわけでもなし、否定派が「自分では書けないから」なんて理由ばっかだと考えるのは色々アレかと
それを知らない人にまでわざわざ言い広めなくてもいいんじゃね
長文批判は、ただ単に、長文は読むのが面倒だから。だと思っていたわ。
昔、おれの駄文の落ちがお気にめさなかったみたいで
「真面目に読んで損した」と言われたwwww
ここまでフェイトさんの自演
結局のとこ、ここ最近出現した馴れ合いヤメレ雑談ヤメレ作品ツマンネ言い出す荒らしは新手のスルー検定ってことでおk?
ID:xPN0+2SPはマジでレスやめろ。おとなしくROMっとけよ
わざわざ雰囲気悪くする必要はないのになあ
>>613 それらが荒らしになるのは住民のせい
煽り耐性がなかったりスルースキルがない奴らばかりだから無駄にスレが荒れる
俺は住民=荒らし説を提唱する
>>613 FAFA
SSも理不尽に否定してるレスも気に食わなければスルーすれば良い
絡む奴も絡み返す奴も気が済めば消えるんだから、消えるまでスルーしといてください。
>>614 気に食わないならスルーしてくれ。
まぁ、疑問が溶けて気が済んだので、幸せ回路の持ち主にはこれ以上は絡み返さないから安心しろよw
ここじゃなくて自分でサイト作って、そっちでやればイイんじゃないの
俺はめっちゃ楽しんだし続きみたいなぁ
なんか荒らしだのROMれだの言ってるのの大半が、
初期には内容批判に噛み付いてるのが何だかな。
スルー検定必要なのは自分達自身だろ
否定的なレスでも的を射てると思える意見はいくつもあるけど
なんでその人たちは◆5CEH.ajqr6にだけ評価が厳しいの?
このスレで色々な書き手に対する感想見たけどここまで厳しいのは稀
信者染みた擁護が出るのも稀だけどな
一瞬、とらドラスレから出張してきたんじゃないかって思える程だ
俺妹はオワコン
パロと言ってもアフター物は実質オリキャラだから嫌いな奴も多いんだろう
>>625 そうなん?
素直に楽しむってだけのことが難しくなってるのかねー
>>613 そうだね、俺もそう思う
2chの掲示板=アマチュアだから出せる良さ
変に玄人ぶったり、昔からの住人ぶった批判する人はいらない。
文句言う奴は違うこと言って構ってほしいだけの寂しがりや
周りの人がよほど気分を悪くする事柄でなければ
ちゃんと板主さんの注意書きを守る限りそんなに気にする事も無いと思う。
他の人も言ってるから自分も不満もいいかな的に
雰囲気のった批判が重なって雪だるま式に膨れていくのもあると思うし
作者の顔がみえる自己投影系のSSで
学業アピールやら人をイラつかせがちな要素が多いのも確かだろうな
元々が平和だったとはいえ最近の加入組に蹂躙されすぎだろこりゃ
完全スルー検定開始しようず(´・ω・`)
るりりんは黒猫の時と白猫の時で穿いてるパンツの色は違うのだろうか
創作要素と原作要素の狭間を上手く取り繕うのって難しいよね
何はともあれ職人GJです
>>623 葡萄の人みたいに分量多いと投稿大変だからブログの方が向いてる
なんで「面白くない」とかわざわざ言うかね
作者が学生だった頃は知らないが、今の世の中じゃ
ブラザーのA4モノクロレーザープリンタが8000円強で手に入るぞ
ランニングコストもインクジェットより格段に安いし
業者に頼むより確実に安い
細かいようだけどさ
なんか荒らし焚き付けてしまったみたいで、すまん
心に秘めとくべきだった
>>633 つうかそれ以前の問題として、大抵の普通の大学はパソコン室があるし、そこで無料でプリンター使える。
>>635 その辺は流石に休日って設定なのかと思った
学生向けは、昔は無制限のところが多かったけど
PC・ネットが普及した最近は印刷枚数制限があるところが多い印象ではあるかな
制限つっても、当然使用権は追加購入できるけどね
>>634 君のレスにそこまでの影響力はないから気にしなくていいよ
ROMれと言われたからROMってたが、なんか悲しくなってきた……
自治厨は頭おかしいし、もうまとめでいいや
(肉体年齢だけ)18歳板()
京介が作者入ってるのは大学設定なら許容範囲だな
京都人を貶しながら京都の街を賛美する辺りとか
作者の人間性が透けて見えて面白いと思うけど(京都人以外の前では京都人として振る舞ってるんだろう)
主人公=作者の私小説は日本の文壇文化だから、むしろ短編でやった方が粗が出るんじゃないかと思う
こんだけの長編なら、それはそれと割り切って読めるよ
まああやせのキャラがヤンデレ寄りなのはパロにはよくあることだし
二人の間のぎこちなさは、京介が親に隔離されたからっていうより
本編の初期段階で(セクハラコミュニケーションが完成する前で)分岐した
パラレルワールドみたいな感覚として読んだ
何時までSL66の話を引っ張る気ですか、死ねぇぇええ!
昔の平和なノリに戻りたいな……
今回のはしゃーないから、せめて今後一切変なのに構うのだけは止めようぜ
前スレあたりに変なのに居付かれた時点でこの惨状は予想してたが、まさかここまで酷いとは思わなかったわ
荒らしに反応してしまったこっちの完全敗北なのは認めるしかないな
どうせ何言っても話通じないだろうし、24時からでいいから徹底してスルー体制に入ろうず
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。←
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
みんなVIPにでも行って死んでくださいよ
何にせよ俺は続編を待つ
ということで(?)今からSS投下します。
ええホモネタです。はい。
気分を害する可能性がありますのでご注意ください。
というか読んでて自分で嫌になったww
「あの…実は……相談があるんです。」
放課後。俺は瀬菜に呼び出され、1人校舎裏に来ていた。いや、厳密に言えば1人ではない。さっきから黒猫につけられてる気がする。さっき黒猫には、今日はちょっと用事があるから一緒に帰れない、と言っておいたのだが、なんか勘違いされてないか?浮気なんかしないよ、俺。
「ん?なんだ?」
つくづく“相談”という言葉に弱い俺である。
しかし瀬菜が相談ってなんだろう?ゲーム制作のことか?だったらわざわざ俺には……
「ゲイ研のことです」
ゲー研?なんで俺に?
「これ、読んでください」
瀬菜はなにやら分厚い資料を渡してきた。黒猫の小説の設定資料かよ、ってくらいの厚さだ。ゲームのシナリオか何かだろう。表示にでかでかとこう書いてある。
ゲイ研の必要性と意義について
「ゲイ研ってなんだ?あ…ゲイって…まさかてめえ!」
まさか。まさか。ゲイ研って?
「ゲイ研究部のことですけど?」
そのまさかだった!最悪だ。
「てめえなんだよこれは?」
「あれ?知らないんですか?来年度から本校にはゲイ研ができるんですよ」
「できてたまるかーっ!」
「いやたまるかって言われても…」
ヤバい。瀬菜さん、目がマジですよ…。
いやまさかね。真面目に突っ込むと、んなもの生徒会に認証されるわけがねぇだろ!てかそんなの認められる学校とか、もう退学するレベルだろ。
「んなもの生徒会に許可されねえだろ!」
こんなに心からツッコむのは久しぶりだね。瀬菜のゲイ研が生徒会に許可されるわけがないってな。
「ですから、その資料のおかげで、無事認められたんですよ」
俺は渡された資料に目を落とした。これを生徒会に提出して、認められたってことなのか?いやあり得ねぇ。たしかに、「ゲイ研の必要性と意義について」というタイトルは、それらしいし、分厚い資料からは熱意を感じるが、これは熱意を感じるだけだ。
俺が生徒会役員だったら、ぜってい許可しねぇよ?
「読んでみてください」
いや読みたくねぇ。けど…ここで断るのもなんかアレだし。まあいっか。俺は表紙をめくって…………
「すまん瀬菜、吐き気が…」
俺はバサリと資料を落とし、その場にしゃがみこんだ。いやだって、1ページ目、目次の背景が、こともあろうかガチホモAVの写真ですよ。
もう無理。生理的に拒絶。資料を落とした拍子に別のページが見えたけど、男の写真が見えたよ?これを生徒会に提出するとか、狂気の沙汰だ。
――――でもこれなら、これなら生徒会に認められても不思議じゃないね。たぶん、一般の人は目次でアウトだから、最後まで読んだのはホモに耐性がある人ばかりだろう。そんな人達だったら許可しかねない。
いや待て俺。いくらなんでもおかしいから。部を作るんだから、先生だって通すだろ。先生が許可するわけが…
いま思い出したんだけど、あの先生、ノリが良いことで有名だけど、ホモって噂もあるんだった。
あのときは冗談だと思っていたが……もうやだこの学校。
「大丈夫ですか?」
大丈夫じゃねえ!お前のせいだからな!
吐き気でしゃべれないので、とりあえず首を横に振った。
「まあ、そういうわけなんで、せんぱいが知っている限りのゲイを集めてほしいんです」
どういうわけで!?
「あのなあ。俺だって一応受験生……いやそれ以前にぜってい協力しねえ!そもそも俺の知り合いにゲイはいねえよ?」
「……」
「わかったか?俺はもう行くから……って、なっ」
瀬菜が俺の肩をがっしりつかみ、耳にこう囁いてきた。
「協力してくれないなら、ここであなたにキスしちゃいますよ」
なんか背中に当たってる…。
おっぱいおっぱい。
「キスしちゃっていいんですかぁ?」
んな唐突に。意味分からん。
いや別にかまわないけどね。だってお前眼鏡だし、巨乳だし。てか脈絡なさすぎだろ!
「知りませんよ?」
何が?なんか瀬菜がちらちらと意味あり気に木がある方向を見ている。なんかいるのだろうか?そちらを見るとそこには……
「あ…」
木の端から、黒髪がはみ出ている。そっか、黒猫がつけてきてたんだっけ。いやいや俺には黒猫がいるのに、なにをしようとしてたんだろう。男として情けない。
ん…?この状況で瀬菜にキスされたら絶対ヤバい。たぶん黒猫がすごい傷つくにちがいない。いやてか殺されるんじゃね?俺。瀬菜、悪いがお前とキスはできないぜ。
「瀬菜、すまないが俺には黒n」
「あれ?何か勘違いしてますね?今のは脅しですよ。さて、キスされるのと、おホモだちを集めるの、どちらがいいですか?」
えっ、ただの脅しだったのか。てっきり告白イベントかと思っちゃったぜ。あははははww
そりゃあ黒猫を傷つけるくらいだったら、むしろおホモだちを連れてく……ってオイ。
「俺におホモだちなんていねえ!」
「分かりました、分かりました。あ、お兄ちゃん以外でお願いしますね」
「分かってねえ!?」
だめだこりゃ。
「やっぱりお兄ちゃんと…」
「意味分からないからな!」
俺はもうげんなりしてしまった。
―――数日後、昼休み―――
「こうさかせんぱ〜い」
「おお瀬菜、どうした?」
「単刀直入に言いますと…」
「ああ」
「部員が集まりません」
あたりめーだ。この学校にホモはいねぇ!てかいないでほしい。
「せんぱい、何か良い案はありませんか?」
「無い」
「即答ですか!?」
いや無理ですから。いないものは集まらない。あれ…でも…ゲイ研を認めた生徒会の中にホモがいるのでは?
……でも恐ろしくて瀬菜には言えない。
「お前さ、もしこの学校にホモが居たとしてもだ、そんな堂々と部活に入るか?だいたい、お前だって周りに腐女子だってばれちまうだろ?どうすんだ、そういうの。」
部活に入れば当然周りに知られてしまう。そこらへん、瀬菜は割り切ったのだろうか?
「え?………………きゃあああああああああああああ!!!」
「おい!お前………どうした!?」
「クラスメートにばれちゃう!」
「何を今更!」
「私って、結構熱くなるといろいろ忘れちゃうタイプで……ああ……どうしよう」
こいつマジで気づいてなかったの?ていうか、新設の部活を募集してたのって、1ヶ月前ですよね?1ヶ月ずっと熱くなってたのかよ!瀬菜さんマジパネェッス。
でも、物は考えようだ。これだけ1つのことに熱中して、あんな分厚いもん作れちゃうんだから、それはすげえよな。俺にはできねぇ。熱中しているものは少々アレだけど、決して俺みたいなやつがバカにできるもんじゃねえよ。
――いかん、腐女子に対する(というよりガチホモに対する)抵抗感が薄れてきた気がする。少々どころじゃねえよ。
「せんぱい、どうすれば…」
「いいから泣きやめ、どうせもう手遅れだ」
「……そんな真壁せんぱいみたいな冷たい突っ込みしないでください」
いや、みたいなっていうか、完全に真壁くんの影響だわ。
「くっ……分かりました、それはこっちでなんとかします。せんぱい、ゲイをよろしくお願いしますね」
「拒否」
「もう…そんなこと言うと麻奈実さんに……」
「それだけはやめて!?」
麻奈実に「きょうちゃんってほもなの?」とか聞かれた日には俺は腹を切って死ぬ。しかもただ死ぬのではない。唯一神……もういいか。
「では♪」
瀬菜、なぜお前は嬉しそうなんだ?
はあ……。もし井戸端会議で俺がホモだって噂になった時のために遺書でも書いておこう。
予鈴が鳴ったので、俺はそのまま教室に戻った。
その日の帰り道。黒猫はなんか用事があるっていうし、麻奈実も珍しく用事があるとか言って、今日は1人で帰っている。最近はいつも黒猫と一緒に帰っていたから、1人だけの帰り道ってのも新鮮だ。
そんなとき、唐突に携帯が震えだした。
ブー ブー ブー ブー
携帯を取り出して確認すると、なんとあやせからだった。
「もしもし?」
『あ、お兄さんですか。話は聞きました。今すぐ私の家に来てください』
「話?なんのことだ?」
なんか1つだけ心当たりがあるんだが……。
『知らんぷりしたって無駄ですよ。とにかく今すぐ来てください』
「あー、お前の家?公園じゃなくて?」
『公園はお巡りさんがいるから何もできないじゃないですか』
俺は何をされるの?
『では、ホモセクシュアルのお兄さん、さようなら』
うわっ。やっぱりだ。瀬菜→麻奈実→あやせかよ。死にたい。いっそ殺せ!てか情報伝達が早すぎだよ。
もう俺、一生立ち直れないかも。というより、俺の本能が、俺の一生が19年に満たないことを告げてるんだが。遺書、さっき書いとけば良かった。
俺がマジ泣きしながら歩いていると、いつのまにかあやせの家についていた。この緊張感というか恐怖はやばい。俺は門の前でさながら弁慶のように微動だにせずにいた。
ガキのころ、学校で悪さをして、そのまま家に帰って、いつ先生にバレて家に電話がくるかビクビクしている、あの気持ちだ。まあ今の例は実体験だけどね。
誰にでもあるよね、そういうの。
ガチャリ
突然後ろから手を押さえつけられ、手錠をはめられた。慌てて振り返るとそこにはあやせが。いやあやせさん、前回より荒っぽくありませんか?
「時刻1624、自宅前にて対象を確保」
あやせはなにかぼそぼそとつぶやいて、そのまま口になにか錠剤を押し込んできた。そのまま大量の水を飲まされる。
「ちょ…ゴボッ…いくらなんでも…ガボガボ」
なんか錠剤飲んじゃったよ。死ぬのかな、俺。
「お兄さん、ちょっといいですか?」
ガバッ
いきなり口をガムテープで塞がれた。
「もがっ…もがっ…」
ガムテを取ろうにも、手錠で手が使えないため取れない。そう思っている間にも、あやせは慣れた手つきで俺の顔にぐるぐるガムテープを巻いていく。完全に口を塞がれてしまった。なんでこんなに慣れた手つきしてんの?怖いから聞かない…いや口塞がってて聞けないけど。
「もがっ!」
俺は一瞬の隙をついて駆け出した。なんとかして逃げなくては。今すぐ病院に行って胃洗浄してもらわないと死ぬ。
「おいっ!止まれっ!」
気がついたらあやせが俺の手首を掴んでいた。
「あー、あやせ?」
「お兄さん、大丈夫ですか?目が怯えてますよ」
いやお前に怯えているわけだけど。
「はいほううら、もうあいやい(大丈夫だ、問題ない)」
「じゃあ足も巻きますね」
「もがっー」
俺の叫びをガン無視して、足首をガムテープで固定するあやせ。
結局体をガムテープでぐるぐる巻きにされてしまった。これがミノムシの刑か。
ミノムシの刑――江戸時代にキリスト教徒に対して行われた。キリシタンは体を巻かれ、俵のように積み重ねられ、キリスト教を捨てなければ火をつけられたと云う――が現代に戻ってきたのか!あれ…てことは俺は火をつけられるのか?
「ではお兄さん、車に乗ってください」
あやせが指差す先を見ると(体ごと転がらなくてはならない)、いつぞやのメルルコスプレ大会で見たワゴン車が止まっていた。俺はそのままワゴン車に乗せられた。あやせも乗り込んでくる。
「運転手さん、お願いしまーす」
あやせさんマジ怖え〜。俺はこのまま山に埋められるんだ、生き埋めだチクショー。
気がつくと周りは真っ暗だった。床に手をやると、剥き出しの床からコンクリートの感触が伝わってくる。とてもじめじめしていて、カビの匂いがする。
まるでコンクリートが全ての音を吸収しているかのような静けさ。目が覚めた時はさっきのが全部夢なんじゃねえかって思ったが、そんな希望的観測も一瞬で崩れちまった。
あれ、そういえばいつのまにか手錠とガムテープがはずされている。どうやら車の中で寝てしまったようだ。ああそうか、さっき飲まされた錠剤、睡眠薬だったんだな。
とりあえず何かないかと手を動かすが、コンクリート以外に手に当たるものはない。
「おーい、誰かいなイカ」
返事は無いとわかっているが、とりあえず声を出してみる。自分の声でもいいから、何か音がしないと、俺は孤独感と絶望感で泣いてしまいそうだ。
「おーい…………ぐすん」
やべ、涙出てきた。
「高坂……か……?」
幻聴まで聞こえる。こんな死に方あんまりだ。なんで?俺がなんか悪いことしたの?俺は平凡に生きてきたのに。
「……高坂だな?」
「ああ。お前は誰だ?俺を迎えに来たのか?」
「な!この…全部てめえのせいだ!」
バコッ
思い切り殴られた。頭がくらくらする。こいつ…
「この野郎!俺がちょっとボケたくらいでなんだその突っ込みは!」
バコッ
また殴られた。なんで?
「高坂!てめえが迎えとか突っ込むとか言うからだよ!」
「は?どういう解釈をしてんだよお前は」
もう分かったと思うがこいつは俺の親友赤城である。こう言うと実は最初から赤城がいることを知っていたように思われかねないが、俺も今知った。
「高坂!てめえが学校中に自分は俺とおホモだちですとか変な噂広めるからこんなことに!」
「俺は何も広めてねえ!諸悪の根源はお前の妹だ!」
「瀬菜ちゃんは悪くない!瀬菜ちゃん可愛いよ!」
「……」
呆れてものも言えないわ。
「ちょっと話は変わるが……赤城、なんでお前がここにいるんだ?」
「ああ。それがな。部活が終わって、下校しようとしたら、校門に黒髪の可愛い女の子がいたんだ」
ああ、あやせか。
「俺が素通りしようとしたら、あいつが、『あなたが赤城浩平さん?』って聞いてきたんだ。俺が、『そうだ』って行ったら、『このガチホモ野郎が!そのふざけた性癖をぶち殺す!』とか言ってきてだな……」
…………。あやせ、性癖はぶち殺すものではないだろ。日本語がおかしいよ。
「急に凶器で頭を殴られたんだ」
「俺より手荒い!?」
殴られたって?まさか俺より酷い目にあったやつがいたとは。
「何で殴られたんだ?」
「冬コミのカタログ」
………………………。俺も夏コミ経験者だし、一応カタログは知っているが…。あんな鈍器で殴られたのか?
「死にかねないだろ!」
「いや死ぬわけないでしょ」
「でも後遺症くらいは残るだろ!」
しかし冬コミのカタログか。冷静にやばいよな。いや待てよ?
「なんであやせがそんな物を?」
「あ?あやせ?」
「ああ、その女の子はあやせと言ってだな、俺の妹の親友兼俺のオナペッt……いやまあいいか」
「あんまり隠せてねえぞ……てか羨ましいなオイ」
「……」
なんかまずいことを言った気がする。気のせいだよね。
「で、あのな高坂、冬コミのカタログは俺が持っていた物だ。ちょうど参加サークルをチェックしてたんだ。いや、俺は別に行くつもりはなかったんだが、瀬菜ちゃんがどうしても行ってほしいって……。なんでも2人で分担するとか」
「っ…まさか……何日目に行くんだ?」
「1日目」
瀬菜って聞いた時点で察しはついていたが……。お前も良く行く気になったな。
「しかしその…あやせちゃんだっけ?よく俺のこと分かったな。やっぱり俺の顔がかっこよすぎたからかな?」
「801同人誌のサークルを眺めてるやつなんてお前くらいだ!」
お前は筋金入りのナルシストだな。
「同人誌じゃないって!俺が見てた団体は企業ブースだっつうの」
「変わらねえよ!」
こんな調子で、喉が枯れるまで突っ込んで、小一時間俺はホモじゃないと力説した後、俺たちは疲れからか、ついついうとうとしてしまった。
因みに俺も赤城も、身ぐるみ剥がされていた。つまり、外と連絡する手段はもうない。まあトイレはあるっぽいから、なんとか生き延びられる…と思う。
658 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 23:02:52 ID:GcFduaM6
大学の話をすると、
最近だとレポートの印刷は大学で無料で印刷出来ると思う。
少なくとも実家の近所の旧帝大は出来た(友達が行ってた)し、母校の私大も出来た(京都)。
Day2
「高坂…?」
俺は赤城のこんな呼びかけで目を覚ました。
「ふああ…。どうした赤城」
「これ…」
赤城が指差す先には……。
「桃の缶詰と水…か……」
どこのチリ鉱山?
「いったい誰だろう」
「あやせだな。あいつだって俺たちを餓死させるのは気が引けたんだろう」
「怖えええ!そんな女だったのか?」
「これで14日間生き延びろと。そういうことだろうよ」
「……高坂?まさか後から追加で31人来たりはしないよな」
「…………」
たぶんそれは無いね。ホモか桐乃に手を出す変態があと31人いるなら別だけど。
こんな言い方すると俺がホモか変態みたいだが、んなわけあるか!
ちなみに食事には2枚手紙がついていた。
『ガチホモのお兄さんへ。
あなたにはここで監禁生活を送ってもらいます。学校には桐乃から連絡させました。
…………中略…………
あと一週間で更正できたら、そこから出してあげます。一週間で更正できなかったら……その時は覚悟してください』
……。なんでお袋と親父が後一週間は旅行から帰ってこないことを、こいつが知ってるんだ?おい覚悟ってなんだよ。エロパロだったら「お兄さんをホモじゃなくすため!」とか言って俺とヤってくれるところだけど。
てか、あやせはリアルに俺と黒猫が付き合ってるって知らないのか?
「赤城、そっちには何て書いてある?」
「ああ…。なんか良く分からないが死ねってことらしい」
相変わらず酷いなおい。
まあそんな感じでまた1日が過ぎた。
Day3
いい加減、赤城に突っ込むのも飽きてきた。あ…いや突っ込むってのは、ボケツッコミの突っ込みだからな。勘違いすんなよ。
精神的にも辛い。俺の脳もようやく状況を理解してきた。これは酷い。まず普通にあやせは逮捕・監禁罪だ。思いっきり刑法220条にふれてるだろ。シャレにならねぇ。
……シャレじゃないんだろうな、これ。
あと今思い出したが、麻奈実にホモだと思われてるんじゃないの、俺。マジ死にたい。
Day5
新しい食事が届けられた。
「なあ高坂。今回はずいぶんマシな食事だな」
「ああ。たぶんあやせの手作り料理だな。」
「はあ?手作り料理に消費期限は貼ってねぇよ」
期待した俺がバカだった。
「まあ、これで腹一杯食えるな」
「そのようだな……」
昨日からろくに食べてない。7日は持つように桃の缶詰を割り振ったのに、なぜか2日で無くなっちまった。夜中に缶詰盗み食いしようとして、缶詰食ってる赤城と鉢合わせした時は爆笑したぜ。
「なあ高坂?お前いま何か持ってる?」
「全部あやせに盗られたよ」
せめて携帯さえあれば警察呼べるのに。
「俺は1つだけ持ってるよ?」
「な、何をだ!?」
「オナホ」
「…………は?」
「たぶんあやせちゃんとやらも、男からこれを取り上げるのは可愛いそうだと思ったんだろうな」
それは断じて違う。単に汚いから触りたく無かったんじゃないの?
「赤城、だとしても何のオカズも無いぞ」
「心配するな高坂、俺は箸と茶碗さえあれば脳内補完して妄想が可能だ」
「何をどうするんだチクショー!」
…………なるほどな。瀬菜が守備範囲広いのはきっと遺伝的な問題だな。
「なあ高坂、オナホ貸してやろうか?」
「いらねえよ!」
「そっか。ならいいや。ちょっと一発抜いてくるわ」
「おい」
「ちょっと箸と茶碗を貸してくれ」
……フォークとスプーン、箸と茶碗なんて誇張表現。そう思っていた時期が俺にもありました。
Day7
「赤城!今日がいよいよ最終日だぜ!」
「…………ああ…」
赤城の元気が無いのも無理はない。なぜならこの前から食糧の補給が途絶えている。補給を断たれたということは、あとはひたすら消耗していくのみである。特に赤城は、昨日、一昨日と抜いてるからなおさら消耗しているはずだ。
「赤城、起きろ、眠ったら死ぬぞ」
「………………ああ」
実は俺も結構欲求不満だ。だが、俺は抜いたりしない。思春期の中学2年生でもあるまいし、俺だって1週間くらい我慢できるっての。そもそも赤城が自制心なさすぎなんだよ。
今日が最後だと思うと、自然とツッコミにも力が入るな。これで普段の生活に戻れる。いつだが、「非日常」も悪くないと言ったけど、こんな「非日常」はうんざりだよ。
――そんな時だった。赤城があの言葉を発したのは。
「や ら な い か ?」
「アッーーー!」
室内に、俺の悲鳴が響き渡った。
こうなることも、瀬菜によって計算しつくされていたに違いない。
あやせによる監禁生活から解放され、今日はその翌日の放課後。俺はいま下駄箱の前で黒猫を待っている。
何故かって?黒猫に伝えなくちゃいけないことがあるからだ。
「せ、先輩!」
「よう、瑠璃……話がある」
「これだけ心配をかけておいて……でも……」
ガバッ
「会いたかったわ」
黒猫が俺の胸に飛び込んでくる。
でも黒猫……。今日は…
「瑠璃」
「ふっ、人間風情の癖をして私に心配をかけるなんて……」
俺は抱きついてくる黒猫を無理やりはがした。
「せ…先輩?……京介?」
黒猫は、何か怯えた目をして、いつもは2人きりの時しか呼んでくれないその名前を呼ぶ。
「黒猫……実は……」
本当にすまないと思う。でも……
「もうお前と付き合うことはできない」
これが本当の気持ちなんだ。
黒猫の目が大きく見開かれる。
「えっ?」
なにか救いを求めるような声。今のが自分の勘違いであってほしいと、そう思ってるに違いない。
「お前とはもう付き合えない」
黒猫はその場で固まった。そして、よろよろと後ずさり、下を向いて問いかけてくる。
「ど…ど…どうし…て…?」
「瑠璃」
俺は一拍おいて、こう言った。
「彼氏ができたんだ」
俺の名前は、高坂京介。近所の高校に通う18歳。
自分でいうのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である。所属している部活はゲー研とゲイ研という、マイナーな部活だし、趣味も、ちょっと変わったアレを除いては、特筆するようなもんはない。
放課後はだいたい彼氏と町をぶらつきながらだべったり、家でホモゲやったり、ガチホモAV見たり。
ときにはまぁ…掘ったりもする。
ただ、最近、ふと頭をよぎることがある。
俺の人生、どこかで選択肢を間違えたと。
Die Ende.
また俺の中に大きな黒歴史が生まれた希ガス
そせぶワロタ
Das Endeじゃなかったっけ?
糞、空気を吹き飛ばしやがったwwwwww
>>662 こ の ド あ ほ う ! ! w w w
なん……だと……
ミスたw
最後の最後までエロ展開を期待していたというのにwwwwwww
作者が学生だった頃は知らないが、今の世の中じゃ
ブラザーのA4モノクロレーザープリンタが8000円強で手に入るぞ
ランニングコストもインクジェットより格段に安いし
業者に頼むより確実に安い
細かいようだけどさ
----------------
で、機種名は?
>>633
怖いもの見たさで読んだ。
新しい扉が開いた気がした。
その扉の先を、僕は勇気を出して歩いて行こうと思う。
だが俺はそっと扉を閉めたw
>ぐぐれよw
白痴にも使える魔法の言葉だわな
お疲れだった・・・と言いたいところだがwww
>>673 まだ遅くはないんで帰ってくるんだ
「腹減った」でぐぐったときほどむなしいものはない。
桐乃たちが京介が「腹減った」でぐぐったキャッシュを見てどういう夜食を作るか興味あるな
>>676 カカクコムですぐ出てきたぞ
HL-2140
黒猫の妹と和姦するにはどうすれば良いですか
とりあえずラジオ体操に行って話しかけてみろ
そしたら俺が通報しよう
そのスキに俺は黒猫の妹ちゃんを
お前らが黒猫の妹ちゃんを狙っている間にブリジットちゃんは頂いていく!
685 :
sage:2010/12/21(火) 02:00:33 ID:i1Q+KjZK
SL66さん
個人的にはすごく良かったと思うけど・・・。
保科さんとあやせのオンナの闘いの続きが見たい。
個人的には桐乃が「やっぱりアンタでないとダメなの」とか言って
京介の前に現れたりしてもっと物語に絡むとうれしいんだけど。
あやせと平和にらぶらぶちゅっちゅするために他のヒロインを無理矢理排除したんだと思ってた
あの設定でオリキャラと三角関係は、、
糞スレ埋め
あやせは何がしたかったんだ
京介ガチホモ化して桐乃から遠ざけるため?
>>633 単に時代設定が古いんだろう
単線非電化路線がある頃の話だ
高校受験勉強のストレス解消に、京介をネタに初オナするが、
事の後に後悔しつつ、辱しめを逆恨みし、「必ず責任をとってもらうわ、、」と心に誓う黒猫希望。
691 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 11:44:00 ID:ia1PclTD
瀬菜は、男とつき合うきはないのか
「桐乃とお兄さんは血を分けた兄妹。舐めれば同じ味がするはずです」
693 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 12:38:13 ID:aKYRbz8w
>>692 「つまりお兄さんの精液は桐乃の体液も同然」
こういうことですかわかりません><
694 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 12:50:43 ID:cmTb5n0r
黒猫マダー?
そろそろ加奈子SSが来てもいい頃
696 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 13:53:01 ID:zqVbHzCE
>>692 高坂家コンプリートの為にお義父さんとお義母さんとも。
697 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 14:07:05 ID:ia1PclTD
京介は、結局誰のことが好きなんだ
698 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 14:13:55 ID:cmTb5n0r
みんな好き
あやせたんだろ
わざわざ言わせんな恥ずかしい
俺
女装した自分自身
顔はあやせが好きで
身体は沙織が好き
家事してれる所は麻奈実が好き
厨二では黒猫が好き
ほらまんべんなく好きでマルクス収まった
妹を除けばあやせが一番、ってモノローグがあるくらいだし
見た目の好みは桐乃1位じゃね?
でも性格は麻奈実が好き
それなのに黒猫と付き合う京介さんマジ鬼畜
一点が特化してても他がアレ…というよりトータルバランスに優れてる方を選んだんじゃね
桐乃ほどじゃないけど麻奈実よりは見た目が好みで
麻奈実ほどじゃないけど桐乃よりは性格よくて
沙織ほどじゃないけどかなかなよりは出るところ出てる
そんな黒猫をチョイスしたってことさ
京介の好みは
見た目は清楚な黒髪ロング、性格は麻奈美のような優しい性格
それでいて妹のような放って置けない雰囲気を持つ女の子
取り敢えず総合で黒猫がベストだったんだろう
麻奈実の性格は京介の好みなんだろうけど
女性陣の中で一番好きかと言われると違うんじゃないの
正直、一番最初に告白されたからだと思う。
それ以前から惹かれてた描写はあったけどね。
キスと告白で完全に決めたと思う。
711 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 17:22:16 ID:WNjhkLOc
アニメだと結局誰とも付き合わなかったな
アルバムの中身が気になる…
712 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 17:33:02 ID:WNjhkLOc
ツンデレ+ヤンデレは最強だと思う
京介が黒猫と付き合うことを桐乃から知るあやせタン
人生相談があると言って京介の部屋に上げてもらい、
色々あって京介に手錠をしたところで妹帰宅
抵抗できない京介に(ピー)する桐乃とあやせ
おっぱいは瀬菜が好みだろう
しかし同人ゲーム制作の時に、胸のないフェイトさんを
眼鏡をかけていたらやばかったと評してるんだよな京介
やはり眼鏡の有無がかなり重要なんじゃないだろうか
715 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 18:18:27 ID:dDP7fM/l
他の方も書いているが、黒猫が一番最初に明確な好意を示したからじゃ?
沙織でもお嬢様モードで告白すれば通るだろうし、真奈美だと、ドキドキイベントなしで婚約までいきそう。
あやせなら、葛藤はあるだろうが頷きそう。
加奈子、ビリジット、リア、桐乃は葛藤してどっちかに振れるだろうし。
フェイトさんでも、向こうから迫ってきて既成事実でも作られたらしょうがないで、付き合っちゃいそう。
しかし、フェイトさん、同人ゴロが出来るくらいのマネジメント能力等があるのなら、年齢的にも就職は出来ると思う(但し、大手とか定時にあがれそうな事務がいいとか贅沢を言わなければ)。
716 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 18:19:11 ID:dDP7fM/l
ブリジットの名前間違えました。
なんとなく電撃放つブリジットの姿が浮かんだ。
そういやアルちゃんの元ネタと思われるキャラ(いや元ネタだろうけどw)も電撃系の変換素質があったな。
レアな特典フィルムを手に入れるために何度も映画を見る桐乃と京介か
さてちょっこし投下
あまり需要ないかもしれんが加奈子・ブリジット物だ
ちょいエロありなんで、Yesロリータ!Noタッチ主義な人はスルー推奨
では3レス程使わせてもらうね
それは、またしても加奈子の臨時マネージャーとして駆り出された日の事だった。
「二人ともお疲れさん」
イベントが終了し、控室にブリジットと共に戻ってきた加奈子にタオルを渡しながら声をかける。それほど長時間の出番ではないとはいえ、強い照明の下で歌ったりアニメの再現シーンを演じた二人は、汗びっしょりだったからだ。
「なぁ、今日この後ヒマ?」
礼の一つも言わず(ブリジットはもちろん丁寧にお礼を言ってくれた)加奈子が声をかけてきた。
「ああ、特に用事はないけど」
「ならカラオケ行こうぜ。ちったぁ使えるようになったマネージャーの慰労会を開いてやる。お前の奢りでな」
「俺の慰労会なのに自腹!?意味わかんねぇし!」
そんなやり取りの末、俺達は三人でカラオケに行く事となったわけだ。
加奈子に連れていかれたカラオケボックスは、古びたビルに入っている個人経営とおぼしき店だった。しかし曲の種類も軽食メニューも豊富で、廊下の照明が薄暗い事をのぞけば悪くない感じだった。
受付からほど近い部屋に落ち着き、軽くつまめる物とドリンクを注文すると、早速加奈子がリモコンで曲番号を打ち込みだした。
「景気づけに派手な奴いくぜ!」
それから加奈子とブリジットは入れ代わり立ち代わり歌声を披露した。加奈子が上手いのは知っていたが、ブリジットも負けず劣らず上手いのは意外だった。普段会話している日本語よりよっぽど上手いじゃないか。
二人はひとしきり歌った後、ようやく小休止をとりドリンクで喉を潤していた。
「あの…マネージャーさんは歌わないんですか?」
空になったグラスをテーブルに置きながら、ブリジットが尋ねてきた。
「俺はあんまり歌うの得意じゃないんだ。けどお前らの歌が上手いから、聞いているだけで充分楽しいよ」
そう答えると、ブリジットは安心したように微笑んだ。
「そうですか。今日はマネージャーさんの、い…いろうかい?ですから楽しんで下さいね」
いい子だな〜、加奈子の人にたかるための与太話を真にうけて、俺を気遣ってくれるなんて…。感涙にむせんでいると、ブリジットは
「すみません、ちょっとお手洗いに…失礼します」
そう言って出ていった。礼儀正しい子だよな。おまけに可愛いし…年齢が後5つも上だったらやばかったかもしれん。それに引き替えこいつは…。ドリンクを飲み干し氷をバリバリとかみ砕く加奈子を見て、俺はそっとため息をついた。
「あんだよ、人の顔見てため息なんかつきやがって」
目ざとい奴だ。
「別に。それよりお前が飲んでるドリンク、メニューに載ってないな」
やや強引に話題を変えると、加奈子はニヤリと笑っていった。
「ああこれ?これはここの常連だけが知ってる裏メニューwなんならおめーも飲んでみる?」
メニューに乗らない裏メニューか…ちょっと興味ある。考えているうちに加奈子は、人の返事も待たずにそのドリンクを3つ注文した。…3つ?
疑問が顔に出たのか、加奈子はチラッと俺を見た後、ブリジットが座っていた席を顎で指し示した。その前に置かれている、空になっているグラスを見て俺は納得した。なんだかんだでこいつ、ブリジットには優しいよな。
「あいつも出すもん出したら、また喉が渇くだろうしな〜」
これでもう少しデリカシーがあればな…
沙織のパパが、仕事の拡張のためには警察官僚とのコネが必要との判断で沙織の見合いを仕組み、
その白羽の矢が立てられたのが実は京介で、そのまま見合いの直後になし崩しにホテルのスウィートルームで
ギシギシアンアンとなって、結婚式の時には新郎妊婦でしたというssをだれかプリーズ。
間もなくブリジットが戻ってきたが、なんだか様子がおかしい。首筋まで真っ赤にして、視線も定まらず心ここにあらずといった様子である。
「お〜いブリジットー、なんか面白いもんでも見たかー?」
加奈子がニヤニヤしながら尋ねる。どうやら心当たりがあるらしい。
「え…え〜と…あの、その……」
加奈子のからかい混じりの問い掛けに、ブリジットはさらに顔を赤くし、しどろもどろになった。そこに、注文したドリンクが届いた。
「ほら、お前の分のドリンクも注文しておいたから、それ飲んで落ち着けよ」
ブリジットはコクンと頷くと、グラスを持ち一息に飲み干した。それに釣られる様に俺も自分のグラスに口をつけた。
「ぶっ!?加奈子、これアルコールじゃねーか!!」
加奈子を睨むと、涼しげな顔して答える。
「ジュースだよジュース。ただしオレンジジュースに少〜しだけウォッカが混じってるけどな」
こ…このガキ…。それよりブリジット!
「おいブリジット!それはアルコールだ!」
慌てて振り返った俺の目に写ったのは、空になったグラスを持ったままみるみる顔を赤くさせていくブリジットの姿だった。
「さて…」
加奈子はグラスを置くと、俺の方へにじり寄るとニヤリと笑った。
「ここからはマイクを持ち替えて、本当の慰労会といくか」
そう言うなり俺の股間に手を伸ばしてきた!
「ちょっ!お前何してんだ!やめろって!」
慌てて振り払おうとすると、突然反対側から抱き着かれた。振り返るとブリジットがしだれかかっていた。
「お、おいブリジット!?」
ブリジットを引き剥がそうと悪戦苦闘している間も、加奈子の手はまるでマッサージをするかの様に、やわやわと俺の股間を揉みしだいていく。その手技に反応して、情けなくも漲る俺のリヴァイアサン…。
「やめろとか言いながら、アッという間にギンギンじゃね〜かw」
そう言いながら、ジッパーを下げると俺のリヴァイアサンを取り出した。
「おいおい、こいつは随分立派なマイクだな?あたしもこんなデカイの初めて見たぜ」
気がつくとブリジットも、顔を真っ赤にしながら俺の股間を凝視していた。そしてポツリと呟いた。
「前にお風呂で見たパパのは、こんな大きくなかった……」
当たり前だ。親父が実の娘と風呂に入って股間を漲らせていたら、家族会議すっとばして離婚協議に突入だよ!
そんな事を考えている間に、加奈子は俺のリバイアサンを弄り続けていた。舌を突き出し裏筋をツーッと舐め上げたかと思うと、亀頭部分だけを口に含むと舌先で尿道口を刺激する。沸き上がる射精感を堪えながら、俺は必死にに加奈子を止めようとした。
「か、加奈子、これ以上まずいからやめろって!店の人に見つかったら…」
「ああそれだったら大丈夫。この店はいわゆる『ご休憩』もできるカラオケボックスとして有名なんだ」
「は!?」
「おいブリジット、トイレ行った時に通ってきたほかの部屋の様子教えてやれよ」
加奈子に言われ、ブリジットはモジモジしながら語りだした。
「え、え〜と…その、他のお客さんが入ってる部屋から…あの、男の人と女の人が……している声が…………」
ブリジットは恥ずかしさから段々と声が小さくなり、顔を伏せ最後は聞き取れないほどになってしまった。
「まぁそういうこった。納得したところでさっさと続けようか」
言うなり加奈子は俺のリヴァイアサンをすっぽりくわえ込むと、口唇奉仕を再開した。
加奈子の口内は生暖かく、そして柔らかだった。さらに俺の様子を窺いながら、感じるポイントを探ってくる。そうして頭を上下させながら棹に舌を絡めてくる。
「か、加奈子…まずい。限界だ…!」
込み上げる射精感を必死に堪えながら、加奈子の口からリヴァイアサンを抜こうとあがく。
しかし加奈子は、早く射精しろと言わんばかりに頭の上下動を激しくする。さらに玉袋をやわやわと刺激し追い込みにかかる。
俺の快感を堪える呻き声と、ジュボジュボという口唇奉仕の音が部屋に響き渡る。
「マネージャーさん、かなかなちゃんのお口…気持ちいいんですか?」
不意に耳元で囁かれた。振り返ると、間近にブリジットの潤んだ瞳があった。
「私の口でも気持ちよくなって下さい」
そう言うなりブリジットは俺の口に唇を押し付けてきた。
「!?」
「ん…」
ブリジットの舌が俺の口をこじ開け、唾液を流し込んでくる。あまりの予想外の出来事に腰に入れていた力が一瞬抜ける。
(ヤバイ!)
慌てて力を入れ直そうとしたが間に合わず俺のリヴァイアサンは、精液を加奈子の口内に思う存分吐き出していた……。
「おめー、出すなら出すって一言言えよ!喉に入ってむせちまったじゃねーか!」
けほけほ言いながら加奈子が抗議してきた。
「すまない、つい気持ち良すぎて…って、一体これはどういう事だよ!ブリジットまで巻き込んで!」
「かなかなちゃんを怒らないで下さい。これは私がお願いしたんです」
「ええっ!?」
ブリジットの説明はこうだった。
何度も世話になったマネージャー(俺の事ね)にお礼がしたい。けれど男の人が喜ぶ事がわからないので加奈子に相談した所、今回の慰労会をお膳立てしてくれた…というわけだ。
「じゃあ、さっきのやたらハイレベルなキスも…」
「はい…かなかなちゃんが、マネージャーさんはHENTAIだから、キスしながら唾液を飲ませたら喜んでイッちゃうって教えてくれたから…」
加奈子、俺をどんな目で見てんだよ!
「事実だろうが〜、ブリジットにディープキスされてドバドバ射精したのは」
加奈子は、俺に睨まれてもニヤニヤしながら切り返してきた。
「あの…今度は私がお口で…しますね?」
気がつくとブリジットが俺の足の間にチョコンと座り込んでいた。
コンドハワタシガ?
いやいやいやいやいやいや!まずいでしょさすがに!十歳の娘にフェラさせるとか有り得ないって!
いくら俺だってそこまで鬼畜じゃないよ!?
でも………自分の足の間でブロンドの頭が小刻みに動き、それに合わせてポニーテールが揺れてる光景って最高だよね!
終
俺流の加奈子・ブリジットENDって事で…
この後京介は二人の正式なマネージャーとして就任して、あやせから軽蔑され疎遠になりながらも
二人と楽しくも爛れた日々を送ったとさ。めでたしめでたし
「兄貴っ‼どうしてわかってくれないのっ⁉
なんで行っちゃうのっ⁉どうして…、どうしてあやせの所にっ‼」
「桐乃。わかってくれよ…。
勝てないんだ、俺は、あいつに」
「ねぇ?何がいけないの?あたしのどこがダメ?兄貴のためならなんだってするよ?
教えてよ‼あたしは兄貴のために生きて行きたいの‼
今までも、そして、これからも‼
なにを…、なにをしたら行かないでくれる…?」
「………、お前の気持ちは嬉しい。
だけどな?ここに一緒にいたらお前まで危険に晒しちゃうんだよ‼
そんなの…、兄貴として、1人の男として考えられねぇ‼
だって…、俺はシスコンだからなっ‼」
そう言って兄貴は家を出て行った。
黒服の奴らに囲まれて。
原因は何?
そう、あやせ。あいつが死ねばいい。
殺してやろうか…、兄貴のために。
あたしの好きな人のために。
Bad End
ふと浮かんできた。
きっと誰かが電波を送ってくれたんだね。
ありがとう。
毎回空気読めない奴がいるのは狙ってやっているのか
前から気になってたんだけど、文章の途中にある<とかTはなんなの?
こんなSS書くんだ
頭がアレなんだろう
投下お疲れでした
最近気付いたんだけど俺ってけっこうロリコンかもしれない
これはGJと言わざるを得ないな
GJ!
ものすごく俺得
GJ
よかったら続きキボン
>>729 そうか…俺にはロリの嗜好がないからよく分からんがあまりこじらせないようにな
>>724 GJ! 加奈子モノとか変態の極みだな
加奈子は処女なのか否か、激論が交わされそうな内容だった
京介がマネージャーとして3年ぐらい仕事して、そのあと社長として独立し
既にファンがついている桐乃、あやせ、加奈子、ブリジットは移籍
会社の資金は沙織が出資して、沙織もセレブタレントとしてデビュー
巨乳タレントに瀬菜、アキバ系タレントに黒猫、リアの日本の芸能関係のマネージメントも行う
小規模ながら、敏腕社長シスドルマスターと化す京介
ただし所属事務所の女の子は全て彼のお手つきある。
12話見たけど原作とは違うんだな。
留学しない設定で誰が書いておくれ
>>736 そんな事務所の売れっこ全部引き抜いたら大きな力で潰されちゃうのが芸能界
>>737 PSP版はアニメ12話後の世界らしいぜ
じゃあんまりあやせにセクハラする京介は期待できないのかな
>>734 >>735 俺はロリコンじゃないって
前回のろりりんに続きたまたま今回もロリネタだっただけだって
その証拠に、加奈子から「デカ過ぎて裂ける」って止められた京介が、ブリジットの素股で我慢する
変態エピローグは、自制して削ったし…
>>741 お前のようなロリコンじゃない男が居るか!w
削ったエピも是非頼む!
ペドはロリコン言われたら否定するらしい
しかし、エロありに注意つけるってどうよ……
これってペドなのか
ロリの範囲内だと思ってた
りあさんじゅっさい
あやせがエロゲーの原典かつ聖典の源氏物語(近親相姦・幼女誘拐・拉致監禁・調教)を読んだらどうなるんだろうな?
調子に乗って慰労会アフター投下
別に
>>742、
>>743、
>>744に期待されたからじゃないんだから!
「ん……あはぁっ…」
椅子に座った俺の膝の上でブリジットが悶えている。俺と同じ向きに座っているので、悶えるたびにポニーテールに結わえられたブロンドの髪が揺れ鼻先をくすぐる。
俺のガチガチになったリヴァイアサンに、ブリジットは無毛の秘裂を押し付け腰を前後に動かし快感を貪っている。その姿は十歳とは思えぬ程淫らである。
あの慰労会以来、ブリジットは俺に異常な程懐いていた。いや懐いたというより性欲の虜になったといった方が正解か。事ある毎に『慰労会』を開きだがる。
今日も、近く行われるイベントのシナリオが届いたから読み合わせがしたいというので、ブリジットの部屋を訪ねたら30分もしない内にこの有様となった。
俺の上から聞こえる快楽に染まった声に誘われ、両脇から手を差し入れると、ブリジットのささやかな曲線を描く胸をやわやわと揉みしだいた。
「ひぅっ!お乳触っちゃダメェ〜。今触られたら気持ち良すぎて…おかしくなります…」
そう言いながらも、腰を動かす事を止めない。秘裂から溢れる淫水で、俺のリヴァイアサンはヌルヌルである。
今度は手の平を胸元で円を書く様に回して見る。既に固くしこっている乳首は、俺の手の平の動きに合わせ向きを変える。
「あぅん!ダメって言ったのにぃ……」
ブリジットは振り返り、目に涙を貯め恨みがましい瞳で俺を見つめる。そんな仕草もドキッとする程艶っぽい。思わず興奮を押さえ切れず秘裂に手を伸ばす。
「イィィィィィっ!!」
まるでスタンガンで打たれかの様に全身をガクガクさせると、がくんと力が抜け背中を俺に預けて来た。荒い呼吸をしながら時折ビクンと身体を震わせる様子に、俺のリヴァイアサンも限界までガチガチになっていた。
どうしようこれ…。帰りに加奈子頼んで抜いてもらおうか…。
結局、俺のリヴァイアサンはブリジットが処理してくれた。
「私のえ…えっちなお汁で汚したんだから、私がキレイにします」
なんてカワイイ事を言ってフェラを始めた。
しかし…ブリジットのつたないながら、一生懸命さが伝わってくるおしゃぶりを堪能しながら俺は考える。
まだ十歳の娘を性的に手なずけて、世間から見たら俺は救いようのない犯罪者だろうな。でも…世間から後ろ指指されようが、俺もブリジットも今幸せなんだ。ならそれでいいじゃねーか。
ブリジットがリヴァイアサンから口を離し、上目づかいに聞いてくる。
「私のお口、キモチいいですか?」
「ああ、気持ちいいよブリジット」
今度こそ終
多分期待していたエロじゃないと思うがこれが限界だ…
も〜絶対続きは書かないからね!
俺のリヴァイアサンが覚醒した
>>754のせいで目覚めちまったぞどうしてくれる
ブリジットかわゆすなぁ
俺ロリコンじゃないけど
>>754読んでリヴァイアサンがエラいことになったわ
親の言うことを聞かない息子を持つと苦労するぜ…ふぅ
758 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 03:12:23 ID:yo/Y88CD
十歳、金髪ポニーテール美少女の対面素股からフェラってもう完全に犯罪者だな。
そして、高校卒業を待って結婚。金髪美女の幼妻ですね。
うん、親父さんにぶち殺されるな(ブリジットの親父さんは確かかなりガタイがいい白人)。
759 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 03:13:02 ID:7OI8NU4s
>>758 >うん、親父さんにぶち殺されるな(ブリジットの親父さんは確かかなりガタイがいい白人)。
父「貴様がブリジットを傷物にした日本のクソガキか!」
京「まぁお義父さん、男同士あつちの部屋で話し合いましょう」
「オーオゥッ!!アォッ!」
ガチャ
父「Mr.キョウスケ、娘をよろしく頼むよ。それと…たまにはこっちにも顔を見せにきてくれ(ポッ)」
ってな感じかと…
>>759 「まったく…こんなにHになって…、国の両親が見たら泣くぞ」
ローターで秘部を責めながら、ブリジットの耳元で囁く。快楽で濁った瞳が机に置かれてる家族との記念写真を捉える。
「パパ…ママ……、ごめんなさい。ブリジットは…日本でHENTAIにされちゃいました…。すごく恥ずかしいのに…キモチよくって…ゴメンなさ〜い!」
ブリジットは写真の両親に詫びながら、激しく昇りつめていった……
エロいの書くの苦手なんだ…これでもう勘弁してくれ……orz
ふぅ
賢者になったと思ったらまだ愚者になったままだった
なんで京介のイチモツがリバイアサンで定着してるんだwww
リバイアサンじゃなくてハイパー兵器だよな。
>>754 マジ乙
加奈子需要ないのかな?もっと見たいとか言ってみる(;¬_¬)
京介「ブリジットは十歳だから本番ができなくてね。素股で我慢していたのさ。俺のハイパーリヴァイアサンにブリジットはメロメロになってるけどな。
おぅ、ブリジットのファザーはお怒りかい? いやブリジットのやつも悦んでいるんだ。……認めてくれないのかい。……ファザーも同じ経験をした方が分かるってもんだな。ふっ俺のリヴァイアサンは臨戦状態だぜ。oh…ファザー、イカした身体じゃねえか。さっさとやろうゼ」
その後、ファザーにブリジットとの交際を認めて貰ったぜ。勿論、ファザーとも交際しているけどなHAHA!
767 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 08:40:00 ID:8uFdzGTM
書き手さんへ
○陵辱・NTR・百合・ホモ・オリキャラなどの特殊嗜好モノ、
万人受けしないモノは投下前に注意書きをお願いします
調子づくなよへんたいども
10歳に欲情するなんて変態もっと書け
その10歳にすらプロポーションで劣る加奈子ェ……
これはまた素晴らしいHENTAIですね
10歳に欲情するのは雄として正常だから問題ない
あやせがストーカー被害にあってるって聞いた大介が京介に妹の送り迎えをさせるってとこまで考えたから後は頼んだ
いやむしろ、
桐乃がストーカー被害にあう → 京介が気付く → 桐乃「お父さんとあやせには言わないで」 → 京介、沙織にだけ相談。「俺が相談したこと、桐乃には黙っててくれないか? こんなの頼めるのお前くらいなんだ」 → 京介、沙織と共にストーカーについて独自調査 → 犯人はあやせ
だろ
>>773 そして、京介がなにやら沙織とこそこそ会っているのに気づいた
桐乃が兄貴をストーカー
無限ループ
いや待て、逆に考えるんだ
京介がストーカー被害にあう(下着が盗まれる等)→桐乃が気づく→桐乃「しょうがないから、あたしが調べてあげる」
→黒猫&沙織に相談→黒猫「あなた、そんなに兄の下着を他人に盗られたくないの?」桐乃「!?!?!?!?」→やんやかんやで犯人捕まえる
→そこには兄パンを被ったあやせが→和解し深まる友情(クンカー的な)
でしょ
あやせオチやめろw
瀬奈がストーカーにあう → 赤城が犯人
>>758 後背素股じゃないのかと思ったが、どうでもいいなと思い直した。
たまにはロリコンもいいよね!
あやせは桐乃のストーカーと意気投合しそうw
そういや、コミック2巻の夏コミでのメイドさんサークルの
京介と桐乃モデルにした近親相姦SM本に桐乃が怒る伏線見事に叩き潰されたなw
怒るどころか自分に似たキャラで喜んでるし
おっと本スレと間違えて誤爆した
スマン
エロパロだしたまにはエロ物も書くか…と投下したら、とんだロリコンホイホイになってしまった
投下後寝たら夢でブリジットが
「私はあんなにHENTAIじゃありません!」
って顔を真っ赤にして抗議してきたので近い内、お詫びに普通のSSを書こうと思う
エロなしで。お前らだって京介のリヴァイアサンでズボズボ突かれて、アへ顔晒してイキまくるブリジットとか見たくないでしょ?
現在イメージを纏めてる最中だけど、遊園地とかでほのぼのデートな内容にするつもり。
後、俺はロリ属性ないから。一番のお気に入りはあやせだし!
推敲中だったフェイトさんの奴どうしよう…替わりに誰か書いてくれねーかな…
>>782 >お前らだって京介のリヴァイアサンでズボズボ突かれて、アへ顔晒してイキまくるブリジットとか見たくないでしょ?
見たいですとても。
黒猫が「自分を造らなくては外も歩けない臆病者」って自虐するのってここのSSで読んだ気がするんだが・・・
なんだっけ?
SSが多くなるのはいいけど、一作ごとの記憶がごちゃごちゃになってきたwww
>>782 >お前らだって京介のリヴァイアサンでズボズボ突かれて、アへ顔晒してイキまくるブリジットとか見たくないでしょ?
全裸待機させていただきます
麻奈美ェ…
麻奈実な
麻の実と覚えよう
×麻奈美 ○麻奈実
美しくない麻奈実と覚えよう
うっ、麻奈実
>>785 それだ! ありがと〜
特典小説読んでからだとSSでも黒猫の心情が妄想できて面白いな
なんでって言われてもw
美しいってイメージ持たせたくなかったんじゃね。地味子だし
>>782 え?
リアルではどうか知らないが漫画やアニメではよくあるような
俺が使った例えは○実と○美ってキャラが存在する某漫画で簡単な覚え方として使われてたのをパクったもの
そういやブリジットは、日本で何処の学校に通ってるとか描写あったっけか
年齢的に小学校に通ってるのは推測できるんだが…
それにしても体重が43kgか…京介でもなんとか抱え上げるのが可能なサイズだな…
※NGワーオ:駅弁
わーお!
797 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 00:24:49 ID:uNFtn2LT
スレ違いかもしれないが何で桐乃は京介に恋愛感情を持ったんだろう
798 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 00:34:44 ID:HW710o3+
麻奈実の扱いのひどさったらもうね。
稀少な麻奈実ファンとして涙が止まらない。
まあ「不遇」というのも麻奈実のキャラ位置ではあるけどさ。
>>797 スレ違いだと思ったのに何でここに書いちゃうんだろうね?
ここは本スレの避難所じゃないんだよ
>>.799
分かってくれる人がいてこんなに嬉しいとは思わなかった
いや俺も嬉しいよ、もし別のマンガだったら恥ずかしいし
ブリジットちゃんに負けるな! リア!!
ほ
>>782 >>782 >お前らだって京介のリヴァイアサンでズボズボ突かれて、アへ顔晒してイキまくるブリジットとか見たくないでしょ?
ええ、そんなのでは無く、こんなのが見たいです
↓
《お前らだって京介のリヴァイアサンで「ズボッ!、ズボッ!、ジュボッ!」と突かれて、
ゴビュゥッ!、ビュグッッ!、ビュグル〜ッ!…、ビュルッ…」と中出しされて、アへ顔晒してイキ捲るブリジット》
「うっは…あんなデケーの良く挿入ったな…ブリジット、膣内(なか)と膣口(まえ)裂けてね?」
「ふあぁっ!、ひゃぁっ!、あはぁっ!…んむぅ、れるれる…こくっこくっ…」
加奈子がブリジットに興味半分心配半分で声をかけるが、
当のブリジットは京介の胸に背凭れながら、京介の逸物を根元まで飲み込み包み込んでいる…
首を仰け反り、上から京介が唇を逢せ舌を絡め唾液を流し込まれそれを飲み込んでる
御都合主義か超奇跡か、ブリジットの秘所は裂傷等など裂ける事無く、
まるで京介のモノに合わせようと「伸張」したかの様に…(それでもややキツキツ気味だが)
椅子に座り、繋がったまま上下に揺すってた京介がブリジットの両脚を広げクリと乳首を摘み
揺するスピードを上げ始めブリジットの首筋を甘嚙みする…
「ぷはぁ…ふぁっ!、あぁっ!、ひぁっ!、あ、あぁっ、あ…」
「出…すぞ…クゥッ!」
ゴビュゥッ!、ビュグッッ!、ビュグル〜ッ
「!?、んはああぁ〜〜〜ッ!(プシャァ―――ッ!)、あ…あぁ…(ビュルッ…)」
ブリジットは仰け反り叫び、潮を吹きながら絶頂した…
俺の胸に背凭れ、仰け反ったままのブリジットはだらしなく口を開け舌を出したまま
「ハッ…ハッ…ハァ…」と息も絶え絶えになっている
「な、なぁ、大丈夫か?、ブリジット?」
「…ハァ…ハァ…、だ、大丈夫デス…、マネージャーさん…凄かった…大好き…デス」
ブリジットは生気が欠けた瞳を潤ませて微笑んだ
初めて書いた…くそっ俺はロリじゃないんだ「姉・オッパイ・ママン・二穴」属性の筈なんだっ!!
どうしよう全く面白くない
面白くない場合はスルーで。
あと、今、468KB
>>805 う〜ん…京介とブリジットが本番に至る経緯が皆無なせいか、いまいち文章にのめり込めない
スペシウム光線をいきなりぶっ放すウルトラマンというか…エロシーンに対して「おおっ!」ってならず「ふ〜ん」って興奮できず醒めた反応になってしまう…
それと二人の動きの描写が薄いせいか、「セックスしてる」というより「セックスのポーズをとってるだけ」のように感じた
まぁ読み手のメンタルに訴えかける部分が大きいからエロって難しいよね…
んなこといちいち書き込むようなことでもないだろ
1レスのネタに何を望んでるんだお前は
810 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 17:57:06 ID:XhuV01BR
やおいだっていいじゃない
とりあえず抜いて頭冷やせよ
いやくさすつもりはなかったんだ
なんつーかもっとエロく出来る要素はあるのにもったいないな〜って思ったからから、つい思った事書きなぐっちまった…
>>805ごめんな
>>810にもあんたのオナニーライフにケチをつけたようですまない
京介がブリジットのロリまんこに生挿入して中出しする、それ以上何を求めているんだ
それを見ている加奈子の表情の動きこそ想像すべきものだろ
アナザーラインとしてブリジットルートとか加奈子ルート、その他etc
原作で書いてくれればみんな万々歳なんだけどなぁ。
それじゃラノベじゃなくてギャルゲーでやれって話になるだろ
いずれゲーム化するだろ
小ネタ投下します
820 :
小ネタ:2010/12/23(木) 22:53:16 ID:uHvpMKcD
「高坂先輩相談なんですけど……」
「おう、なんだ言ってみろ。俺は人生相談のプロだからな」
「……作画提供させてください」
……なーんだ真剣な顔で「相談」なんて言うからどっかの子猫さんみたいに『私と付き合ってください』とか言われるかと思ったぜ…………
「え?」
「…見るだけですよ!」
というわけでここは瀬菜の家である
なんで俺の家じゃないのかって?
そりゃあ家には桐乃がいるし
「今日あやせと加奈子来るから家にいないでよね」
なーんて言われちゃったら家にいてはいけない。下手をしたら埋められてしまう。
「お兄ちゃん今日部活ですし、親は日中仕事なんで誰も来ませんよ。
まあお兄ちゃんにばれて掘られちゃうってのもいいですけど。へへ」
ああ、もう帰りたい。腐女子ちょっと自重しろ。CGイベントでも全然勃たない。むしろ萎え萎えだ
821 :
小ネタ:2010/12/23(木) 22:54:29 ID:uHvpMKcD
「じゃあ服脱いでください」
「おう」
俺はベルトに手をかけるが
「いや、ズボンじゃないですよー。シャツ脱いで上ハダカで」
「なんで?」
「先輩をじっくり鑑賞するためです」
はあ。そうですか。
「脱いだのベットの上にでも置いてください」
「意外と肉付きいいですねーもっとやせてると思ってました」
「いいですねーいいですねー」パシャパシャ
……俺の裸をケータイで取るのやめてくれませんか
「じゃあ下も脱いでください」
俺はやけくそになって着てるものを全部脱ぎ、ベットの上に投げた
「全然勃ってないですねー。一度ビンビンに勃ってるのが見たいんですけど、どうやったら見れますかー?」
どうせビンビンでもおまえの脳内では赤城に掘られてるんだろ畜生
「おっぱい見せたら勃ってやってもいいぞ」
まあ無理だと思うけど
「…まあ…いいでしょう。」
え!?まじで!?
「でも、勃たなかったらホモ確定ですよ」
ニタニタしながら脱ぐのはやめてくれない?
頑張れ!俺のリバイアサン!!って念じる必要が…………なかったみたい
822 :
小ネタ:2010/12/23(木) 22:55:21 ID:uHvpMKcD
やっぱ生おっぱいはいいな。いままでエロ本とあやせのグラビアで抜いてたけど今日は瀬菜だな。おっぱいおっぱい。
「……先輩おっきいですねー!想像してたよりすごくおっきいです…25cmぐらいあるんじゃないですか!?
これだけおっきいとお尻の穴に入らないかもしれませんねー。」
まったくそのとうりだ。肉便器とか書いたの謝ってもらおうか
「うへへへへ。いままでお兄ちゃん×先輩だったんですけど、先輩×お兄ちゃんもいいですね
あっ…でもそれだと真壁先輩しか受けがいなくなる…ブツブツ……」
「ああああああああ!!やっやめろおおおおおお!!!!!俺の精神が崩壊するっ!!!」
「すっすいません!暴走してしまって…
でも……これだけ大きいとフェラするのも大変ですね……」
「おい、まて……見るだけじゃなっかったのか?」
「事情が変わりました。フェラの感覚とお尻に入れた時の感覚も情報提供させてください」
823 :
小ネタ:2010/12/23(木) 22:56:57 ID:uHvpMKcD
数日後
「高坂ぁああああ!!!!!てめぇ瀬菜ちゃんになにをしたあああ!!!!!」
やべぇ!ばれたか!?とりあえず何もなかったような対応を…
「うわっ!うるせえよおまえ!なにがあったんだよ!!」
「これが今までの瀬菜ちゃんが描いた同人誌。主に『俺×お前』
これが最新作『お前×俺』しかもおまえのちんk」
「俺の部屋でそういうこと言うんじゃねえ!
下にお袋いるし、となりに妹いるんだよ!!」
「お前のナニが今までの倍ぐらいでかいし、
精液おいしー→にがっ、
愛があるから痛くない。我慢できる→痛い!やめて!
とかほかにもいろいろリアルになってんだけど!!!!」
「だからなんで俺なんだよ!!!」
「瀬菜ちゃんのケータイにあったこれはなんだよ!!!」
こ、これは……おい赤城お前の瞳なんで光彩消えてん……
アッー!
以上です
なんでここまで来てエロシーン書かなかったんだよ!とか言わないでください
書いてみたらひどい内容になったので……
ひどい内容ってまさか赤城とのエロシーン書いたわけじゃないよなお前…
最近続々と黒歴史が生まれてる気がするが大丈夫か?
一番いいのを頼む
大丈夫だ、問題ない
京介x赤城も、ホモゲ部を深夜に買うような腐ったお姉さんに需要があるだろ。
つまり、問題ない。
いい加減エルシャダイネタ秋田
ちっとも面白くないからそろそろやめろよ
いい加減ホモネタ秋田
ちっとも面白くないからそろそろやめろよ
完全糞スレ化
はいじゃないが
言う程ホモネタ多いか?
いつものパターンに嵌りたくなければ変なのには触らないのが吉
それよりは瀬奈の下着の色って何だろうな
いままで白だと思ってたが最近赤でもいいような気がしてきた
本スレでなら多いな
ここではそういうのに過敏に反応する人がいるからあまりない
一連の流れを見るとやっぱりアフィ厨やニコ厨が多いんだな
煽り耐性やスルースキルがないのはそれが原因か
麻奈実は黒だよ
間違いない
触るなよ
絶対に触るなよ
おっと、投下するの忘れていた
そろそろみんなブリジットネタに飽きた頃だろうが構わず投下させてもらう
・ロリエロ風味ありなんで嫌いな人はスルー推奨
タイトルは「Eの後にDがくる?(序章)」とでもしますかね
では2レス程使用させて貰う
「なぁ、ブリジット。今度の休みにどこか遊びに行こうか」
俺のマネージャーも大分様になってきたある日、ブリジットはある雑誌の取材を受けていた。彼女は元々が美少女である事と礼儀正しい事で現場でも評判がよく、最近は徐々に「メルル」を初めとするコスプレイベント以外の仕事も増えていた。
取材の間、俺もブリジットの隣に控え様子を見守っていた。取材は順調に進み、そろそろ終わろうかと言う時インタビュアーの女性が、ブリジットにこう尋ねた。
「じゃあ最後の質問なんだけど、ブリジットちゃんは今一番やりたい事は?」
「そうですね…」
これまでの質問にハキハキと答えていたブリジットは軽く言い淀み、チラリと俺を見ると
「大好きな人とお出かけして、たくさん遊びたいです」
と答えた。それを聞いたインタビュアーは微笑んで軽くからかうような口調で問い掛けた。
「あらあら、それってデートって事かしら?」
「あぅ、それは…ナイショです…」
赤くなった頬を押さえ、蚊の鳴くような声で答えるブリジットに一同は好意的な笑い声をあげた。
「では原稿は来週頭にメールで送りますのでチェックの方お願いします」
「わかりました。ではよろしくお願いします」
編集部で今後の段取りについて軽く打ち合わせを済ませると、俺はブリジットを待たせているインタビュー会場だった応接室に向かった。
『大好きな人とお出かけして、たくさん遊びたいです』…か。学業に影響ないように配慮してはいるが、確かに最近忙しくなっている。たまの休みも俺との桃色遊戯に耽る有様だし…。いや、あんな娘に
『あの…その……また今日もいいですか…?』
なんて恥じらいながらお願いされたら…断れないよね?とは言えブリジットはまだ十歳だ。もう少し歳相応の楽しみを味あわせてあげるべきだ。
日頃の行いを(少し)反省しつつそう考えた俺は、応接室のドアを開けると一人で待っていたブリジットに向かい、開口一番冒頭の台詞を吐いたわけだ。
ブリジットはきちんと膝を揃えソファーに腰掛けていた。人が見ていなくても行儀よくしているところがブリジットらしい。これが加奈子だと人目が無いのをいい事に、パンツが見えるのも構わず片膝を立てながら電子タバコの端をカリカリとかじっているだろう…。
「いきなりどうしたんですか京介お兄さん…じゃなくてマネージャーさん?」
言い忘れていたが、最近ブリジットは俺と二人だけの時はこう呼ぶ様になっていた。とは言え、仕事中の時は公私の区別をつけるため以前の通りマネージャーと呼んでいる。それを忘れて名前で呼ぶとは、俺の提案がよほど意外だったのだろう。
「あの…さっきのインタビューの事なら気にしなくてもいいんですよ?マネージャーさんも最近その…」
そこでブリジットは口許を拳で隠し、赤くなりながら
「『お疲れ』の様ですし…」
最後の方は恥ずかしさからか、俺から視線を外して呟いた。
くう〜可愛いな、コイツは!いつまでも恥じらいを忘れない汚れのないお前でいてくれ!
『既にお前が汚しているだろうが!!』
そんなツッコミが聞こえた気がするが、気にしねぇ!
「そんなの関係ない。俺がブリジットと一緒に出掛けたいんだ」
ここで俺はわざとらしく深刻気な顔をして
「ああ、そうか…。ブリジットは『大好きな人とお出かけしたい』んだったな…。俺とはお出かけしたくないよな…」
スッと視線を逸らし、淋し気な表情を浮かべた。
「そ、そんな事ありません!」
ブリジットは飛び上がる様にソファーから立ち上がり、側に寄ってくると俺の腕をキュッと掴んだ。
「…行きたいです。お兄さんと一緒にお出かけしたいです!」
そう言いながら真剣な表情を浮かべ、俺を見つめてきた。
「それと、京介お兄さんは一つ間違っています」
そう言うと、爪先立ちになり俺の耳元に口を寄せ、こう囁いた。
「京介お兄さんは大好きな人じゃありません。私の『一番』大好きな人です」
ブリジット…自分が言った台詞に顔を赤くしてどうする。俺まで顔が熱くなってきたじゃねーか。こんな顔、人に見せられるか!
俺はブリジットの頭を抱くと自分の胸元に押し付け視界を塞ぐと、こう言った。
「じゃ今度の日曜日、俺とデートだ。いいな?」
胸元で、ポニーテールが微かに縦に揺れた。
まぁそんな訳で今度の日曜日、俺とブリジットは初めてのデートに出掛ける事になった。
続く?
※おまけ・あるいは同日夜の加奈子の一幕
「あぁ?デートォ!?あのロリコンとか?それであたしにどうしろって………服?デートに着ていく服を一緒に買いに行って欲しいと…」
加奈子は指で弄んでいた電子タバコをくわえると、携帯の向こうで激しく興奮している相手を宥めにかかった。
「分かった分かった、明日放課後付き合ってやるから〜。あいつの好み?あいつの事だ『何も着てないキミが一番好みだぜ』とかじゃね〜のぉw…冗談、冗談だって、そんな怒るなって。じゃあ明日渋谷にでも出て……あぁ、学校終わったらメール寄越せ。じゃあな切るぞ」
携帯を切ると、加奈子はベッドに倒れている男に声をかけた。
「お〜い、少しは回復したかぁ〜?」
男は弱々しい声で答える。
「ま…まだ…無理……」
「チッ、高々3発位で根を挙げやがって…、なぁ〜にが『若い子には負けない』だよ、この早漏野郎が!」
加奈子はベッドにはい上がると、男ににじり寄った。
「こっちは惚気に当てられ熱くなってんだ。せめて数こなして満足させろや!」
「か、勘弁してくれぇ〜!」
終
まぁプロローグというか予告編というか…
オマケの加奈子は、極小数の加奈子好きへのサービス…になったのかな?
ブリジットと京介のラブラブデートは次スレにて投下予定だ
エロは無しで行くつもり
一瞬NTRかと思ってビビった…
京介だよな?
>>844 俺にロリ属性無いのが逆に幸いしてるのかも
>>845 加奈子と一緒にいた男?あれは加奈子をナンパしてきたオッサンって事で
ラブラブな京介とブリジットとの対比として配置したの
847 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 02:42:18 ID:q+8ZMXAI
>>514 遅レスですが乙です。
両親のクズっぷりに、いっそ縁を切って京介が成功して見返して欲しいと思いました。
あやせVS保科でもハーレムでも面白そうで、wktk。
次回作も楽しみに待っています。
麻奈実に思い入れある人って少数派だよね?
NTRても何も感じなかったw原作でもサブキャラになってるし・・・
上げてしまった、下げ下げ
麻奈実はNTR感あるけど実際は違うしなぁ。
麻奈実は昔からの付き合い長すぎてアプローチかけそうにないから
カナカナ最高ぅぅぅうぅぅうううううううう!!!!!!はぁはぁ
851 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 06:12:50 ID:fjrgOQXW
>>846 加奈子はそんな誰とでもヤるビッチじゃないと思うの
NTR入れるならNTR成分ありって言ってください鬱になるから
ビッチでもカワイイ
麻奈実ェ…
マネージャさんにけなげに尽くす加奈子はどこですか?
こんな亀レスでヨイショとか、エロパロの書き手なんかにも信者みたいなのいるんだな
856 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 10:23:18 ID:5OB9Upey
続きが欲しいだけじゃね
「麻奈実に思い入れある人って少数派だよね?」がイタ過ぎて亀レスヨイショな部分はあんま気にならんかった
SS投下されないとすぐこういう流れになるな
イブだから皆イライラしてんのか? ただ実際不細工麻奈実とかいらねーし、消えてくれww
今日は桐乃が京介と渋谷でデートする日だろうが
いやいや黒猫が京介と桐乃とデートする日だろうが
2010年のイブは京介が麻奈実とデートしてるのを桐乃がストーキングする日だぜ
渋谷デートは来年な
黒猫のクリスマスネタが投下されると信じて全裸待機
サンタコスブリジットちゃんが京介とファックしてプレゼントに赤ちゃんあげちゃうSS待機
加奈子SS待機
ほ
なぁ参考までに聞きたいんだが、眼鏡が似合うコスプレって何があるかな?
俺の貧相な頭じゃ女教師とかOLくらいしか思い付かなくてさ…
図書委員
コス……プレ?
ゴスロリ
>>846 > 加奈子と一緒にいた男?あれは加奈子をナンパしてきたオッサンって事で
どういうことだお?
エンコーってことかお?(#^ω^)ビキビキ
>>868 え〜と…それって普通の学生との違いは何?せいぜい「図書委員」と書かれた腕章かネームプレート着けるくらいしか差別化できんような
>>870 ゴスロリって眼鏡似合うもんなの?
ちょっと性夜だし、あるキャラで京介とコスプレHする話でも書こうと思ったんだが…ゴスロリだと難しいな、知識もないし…
あぁ、相手はブロンドのロリじゃないよ、後普段眼鏡かけてない人っていったら誰だか分かるよね
性夜ならメガネ無しのサンタコスでいいだろ
>>872 テンプレ図書委員コスプレならありじゃね?
分かりやすい感じだといちごの東城(地味)みたいな。
おまえら…。
ナースと婦人警官と女医と研究員と風紀委員を忘れてるぞ?
メガネプレイの基本だろうに。
現在487KBなわけだが
じゃあ立ててこよう
. . . ――- .
/ ./: :, イ ` 、
/ : : : : : : {/ \{ :| \
i/ : :.:{:: : :ム≦ミxハ: :ト__メ ヽ
ノィ :_j:\l{ ん::::ハ! Nx≦ミ : } _∧__,
/ -、 ノ: ..:( | ..:{つ乂:ン ん::}}: リ 〉 〈
{{__/_,ノ / ..__.:.:r‐}:.:ノ __ ヒソノノ ⌒V`
`そ /. .:.(__ ` くム\ ( ヽ ⊂从 【俺の妹】伏見つかさエロパロ12【十三番目のねこシス】
〃 /´.:.:.:.:>ォ__j_}≧xァーく┬:チrーx
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293190574/ {:/ ` ..:..ヽ / ,{:.:.{.とぅノ:)
/.:.:./.:.:.:. イ:.:.:/\.:.:.:.:.:.:.:.. V_j人:..ヽ二フ
/:/:i/.、/ |:. / 丶: i:. }:.:...\人\_≧
ノイ :.|/\_ j:/,_斗匕_V}:./-x、ト ヽ: \
∧.:}下::ぅ厂 `下:::う厂}/__ノ i ヽ: \:〉
V} `¨¨ `二 U ノi ≧<⌒〉:ノ
. 人 /l__レく_ノ { 厂`i
 ̄ ̄てV}ハ-〈 厂 フ¨´
>>879 乙
さて客も帰った事だし埋めネタでも作るかな
「ご、ごくり。これが、先輩の枕…クンカクンカ!ああ、男子の匂い、、も、もう我慢できないわ、、」
「…おい黒猫、お前が作ったゲームのテストプレイに集中できないので、人のベッドの上でオナニーするのやめてくれないか。」
今日の創作活動を終え、私はパソコンの電源を落とす。
世間一般では今日は聖夜と呼ばれていた。
……何が聖夜だ、汚らわしい。豚共がやることといえば、せいぜい生殖活動に励むことぐらいだろう。
…………。
「…………嫌な女ね……」
私はいつもの自己嫌悪に陥る。
いつからだろう、クリスマスの日がこんなにも欝な自分を連れてくるようになったのは。
ただ、妹達は今日の日を楽しみにしていたようだ。
ささやかな特別な料理、手作りの飾り付けでもあんなに喜ぶなんて、全く子供というのは単純だ。
もちろん、ヒゲもじゃの不法侵入者の事も信じている。
私は最初からそのようなモノ、信じてなどいなかった。
大人びていたわけでも正体を見てしまったからでもない。
中学の二年生になる今まで、枕元に置かれるプレゼントなど貰ったことが無かったからだ。
けれど……私はあのヒゲもじゃは存在するのかもしれない、と今になって思う。
多くの人が存在するように振舞えば、実在しなくてもそこに“在る”のだ。
そして“それ”は人々をあのヒゲもじゃに変化させる。
私は昨日縫いあがったぬいぐるみを抱え、妹たちの眠る部屋へと足を向ける。
こんな呪われた私にも、変化をもたらしてくれるのだろうか?
いや、きっと妹達の寝顔を見れば、私にもなれる筈だ。
そして囁こう、Merry Christmas、と。
>>884 「……しょうがないわね。なら、あなたもオナニーしても良いわよ」
「は?」
ゴソゴソ
「ほら、私が授業で使った体操着よ。これを使いなさい」
「…………い、良いのか?」
>>886 「いいわよ。そのかわり…」
1 「射精す時は言ってね。全部飲んであげるから」
2 「射精すなら体操着にかけてね。今夜それを着て寝るから」
3 「射精す時はパンツの中で出しなさい。私の今履いてるショーツと交換してあげるわ」
あなたはどれ?
4 「射精しちゃダメよ、先輩」
鬼w
ぞくぞくするねぇ
クソッ
>>889のが面白いぇじゃねえか…
ちょっとクンカの里で瀬菜の下乳の臭いかいで修行してくるぜ
アニキャラ板で18禁ネタはほどほどにな
誤爆なのか見てるスレを勘違いしたのか
896 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 12:40:58 ID:lFBuQfAa
うい
「アニキャラ板で18禁ネタはほどほどにしていただけないかしら?」
「はて、ここはエロパロ板ですぞ?」
「……そ、そうだったかしら?」
OK、脳内変換終了
>>888 5 「(クパァ…)射精すならここよ…今日は『危険な日』だけど…」
6 「(ムニィ…)射精すならここよ…今日は『危険な日』だから…」
「兄さん、マジキチよ、マジキチ」
「しっ!聞こえるぞ。」
>>884 「だいたい、可愛い後輩がほぼ毎日ベットの上で無防備な体勢で待ち受けているというのに、全く手を出さないとは、意気地がない男ね。」
こいつ、何処まで本気なんだ?
「はっ?お前はどうなんだ?口先だけの耳年増で、本当に覚悟があるのか?」
「覚悟かどうかはわからないけど、、、」
黒猫は一瞬言葉を詰まらせたが、うっすら微笑みながら告白した。
「ここから帰ったら、いつもぐしょぐしょなのよ。」
>>885 相変わらず短いのに印象深い物を書くなぁ……。
GJ、心穏やかになった。
乙
うめ
;
こっちはもう終わりか
あと6kだがネタが浮かばん
ネタはあるが尺が合わん
このまま梅だけで1000まで行くのもまた一興。
まぁ容量的にきびしいとは思うけどね
……500kb目前とはいえ、1000行きそうってことはよっぽと雑談多かったんだな。
元から1000行くことも前からあったしSS投下は多いし賑やかでいいじゃないw
アニメ放送中だとどこでもこんなもんじゃね?
普通の投下率なら普通に1000まで行くから
雑談だって多いに越したことはないし、ここは恵まれてるよ
京介×瀬奈のSSはいつになったら読めるのだろうか
さて埋めネタ投下
・風俗ネタなんで嫌いならスルー推奨
・フェイト、京介物
では投下!
「住所はここ…だよな…」俺はメールに書かれてる住所を確認しながら、茫然としていた。
何故俺が道端で茫然となっているのかを説明しよう。話は数日前に遡る。
「もしもし京介君?お久しぶり」
携帯の着信相手も確かめず出たら、意外な人からの電話だった。
「お久しぶりですフェイトさん。夏コミ依頼ですね」
「そうね…。ところで京介君、今度の日曜日時間作れないかしら?ちょっとお願いしたい事があるんだけど…」
とりたて用事もなかった俺はフェイトと会う事を承諾した。そして後から送られてきたメールの内容に従い、今日ここにやってきたわけだが…
「ここって、やっぱり…アレだよな…?」
俺の目の前には「イメージクラブ Noel」という看板を掲げた雑居ビルがあった。いわゆるHなサービスが受けられるお店ってヤツ?
フェイトさん…住所を打ち間違えたのか?いや店の名前は合ってるんだよな。最初にメールを見た時てっきり喫茶店かなにかと思っていたが、まさかイメクラだとは…。
どうしようか途方に暮れていると、突然目の前の扉が開き、中年の男が顔を出した。辺りに人通りもないので俺はこの人に、近所に同じ名前の喫茶店でもないか尋ねる事にした。
「いや〜この辺でNoelって名前の店はウチだけのはずだよ」
「そうですか、ありがとうございました」
仕方ない、フェイトさんに改めて電話で聞くか…、そう思い携帯を取り出そうとした時、中年氏の独り言が耳に入ってきた。
「しかし高坂様は遅いねぇ、そろそろ予約の時間だというのに…」
驚いた俺は、まさかとは思いながら再び中年氏に声を掛けた。
「あの…ひょっとしてこちらのお店にフェイト…いや伊織さんって人いますか?」
「伊織…フェイト…、ああテスタロッサちゃんの事ね。貴方もしかして高坂さん?」
「ええ、まぁ…」
「ようこそ、お待ちしておりました!さぁどうぞ中へ」
そういうと中年氏は俺を店に引っ張りこんだ。店の中は照明が暗く、パーティションで区切られ狭っ苦しい印象を見るものに与えた。中年氏は小さなカウンター脇の小部屋に半身を入れると、中に声を掛けた。
「テスタロッサちゃん、3時から予約の高坂様ご来店です」
その声に応え小部屋から出て来たのは…フェイトさんだった…。
「一体どういう事なんですフェイトさん!用があるからと言われて来てみたらこんな店で、おまけにプレイ料金まで取られて…説明してくれますよね?」
プレイルームと称する二畳程しかない部屋に通された俺は、フェイトさんに噛みいていた。
「まぁ落ち着いて、騙す様な形になったのは謝るわ。とりあえず座ったら?」
フェイトさんはそう言って小さな丸椅子に腰を降ろした。部屋には他に椅子がなかったので、俺は仕方なく病院の診療台のような寝台に腰掛けた。
「大体フェイトさん、同人誌のプロデュースはどうしたんです?夏コミで出したの完売したって聞きましたけど。結構儲かったんじゃないんですか?」
「ああ、あれね…」
俺の言葉にフェイトさんはフッ…自嘲した笑みを浮かべると
「儲かるには儲かったんだけど、スタッフの一人に売上金持ち逃げされちゃったのよね……」
衝撃の発言に、俺は唖然とするしかなかった。どこまで不幸なんだこの人は…
「絵師さん達のギャラも売上から支払うつもりだったから困っちゃって、仕方ないからここに勤める事にしたの…」
「は、はぁ…それは災難でしたね…」
これ以上フェイトさんの転落人生劇場を聞いていたら、俺のライフがゼロなりそうだったので話題を変える事にした。
「と、ところで俺に相談って?」
「うん、それなんだけど…」
そう言いなからフェイトさんは足を組む。言い忘れてたが今日のフェイトは落ち着いた色合いのベストと白のブラウス、そしてベストと同じ色のタイトスカートという出で立ちだった。
まるで銀行の窓口嬢のようだったが、膝上20cm近くの超ミニスカートなのが窓口嬢との決定的な違いだった。
そんなミニスカで足を組んでるから、太ももの間から白いものがチラチラと…いかん!フェイトの下着を見て興奮するとかあってはならない!目覚めるな俺のリヴァイアサン!
そんな俺の葛藤も知らずフェイトさんは話を続ける。
「このお店って毎月の売上トップの女の子に、それほど多くないけど金一封が出るの。それで今月は私、もう少しでトップになれそうなんで…そんなワケで京介君に協力して欲しいな〜って」
「わ、わかりました。つまり俺はこの店に来た時点で役に立ったんですねじゃあ俺はこれで」
そう言って立ち上がろうとしたが、立ち上がったフェイトさんは俺の肩に手を置き軽く押し留める。
「あら駄目よ、少なくとも時間内はここにいて貰わなきゃ」
「そ、そうですか…じゃ話でも…」
するとフェイトさんはスッと顔を近づけながら囁いた。
「私、こう見えてもお仕事には真面目に取り組むのよ?」
「ま、真面目って…」
危険な気配を感じて俺は後ずさるが、その行動はすぐに背後の壁に阻まれた。するとフェイトさんは思い出したかのように、ベストの胸ポケットからメタルフレームの眼鏡を取り出し着用した。
「京介君はこうした方がお好みだったかな?」
そう言って妖しく微笑むと寝台に上がり、ベストのボタンを外しながらにじり寄ってきた。
その姿に魅入りながら、俺は自らのリヴァイアサンが目覚めていくのを感じた…
「ふぅ…」
店を出ると、既に日が暮れつつあった。腰も財布も軽くなった俺は、ゆっくりと歩き出す。
結局訳も分からず延長させられおまけに
「お店には内緒よ?」
と囁かれその…つまり……さよなら!キレイな俺!!
でもちょっと大人になった気分?フェイトさんがしてくれた超絶テクニックの数々を反芻しニヤつきながら俺は家路についた。
帰宅後、フェイトさんがこっそり忍ばせた「今日は素敵でした。また来て下さいね」と手書きメモのついた名刺が、桐乃に見つかり大変な事になるとも知らずに