【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合42

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466大人才人 涙5-8:2011/02/20(日) 17:39:00.45 ID:654hVVFz
「そうなの?」
「あぁ、そういう奴だってのは、俺が一番知っている。絶対に待ってんだよ。しかも、体調を崩した状態で、だ」
「…そんなに?」
キュルケは嘆息する
『ダーリンの帰郷の念に、火が付いちゃった。泣きたいのは私の方よ、バカルイズ』
「ルイズに似てるの?」
「……言動や行動はそっくりだ。ルイズより小さいがね」
「長い黒髪とセーラーって……」
「……あぁ、勘違いしちまった」
ふぅ、と溜め息を付くキュルケ
「ダーリン、今は戻りましょう」
「…嫌だ」
「ルイズの所じゃないわよ。私の部屋」
「…嫌だ、一人にしてくれ」
「駄目よ、今のダーリン、自分自身を壊しかねないわ。ダーリンの力、凄い上がってるのよ?拳は皮剥けちゃってるじゃない」
「こんなの屁でもねぇ」
「駄目ね、強制執行するわ」
そのまま、キュルケは才人を浮かせ、自分自身の部屋に運び込む

カタン
ルイズは物音に反応し、壊れた扉を飛び出しキュルケを確認する
「キュルケ!!サイトは?」
「先に部屋…あれ?まだセーラー着てたの?」
「キュルケも着てるでしょ?」
「あんたが問題なのよ。ん〜、言い辛いんだけど、髪の毛の色が元に戻る迄、ヴァリエールはダーリンに接触禁止」
「……何で?」
「何でも。其とダーリンは泊めるわよ。一人にすると駄目だから」
467大人才人 涙5-9:2011/02/20(日) 17:42:52.14 ID:654hVVFz
「一人じゃ駄目って…」
「ダーリン、自分自身を傷つけるのに、何の躊躇いも感じてない」
「サイトは前からそうよ?」
「その理由が、少しだけ解ったわ。とにかく、さっきの言いつけを守りなさい。解ったわね?」
パタン、ガチャ
ロックの施錠がかかり、物音もしなくなる
サイレンスもかけたのだろう
ルイズは、キュルケの言う通り、黒髪を見つめ、溜め息を付いた
「黒髪、嫌いなのかな?」
才人の居ないベッドの前に、ルイズは風呂に向かった

*  *  *
「ダーリン」
「……何で連れて来た?」
「だって、見てられないわ」
「なら…捨て置けよ」
キュルケは泣きたくなる
「ほ、ほら、私の部屋なら、酒もあるし、暇つぶしのジグソーパズルもあるし、フレイムも居るし……私も居るし」
最後に付け加えた言葉は、非常に小さい
「…悪い。気を使わせちまった」
才人がそう言って、背を向ける
キュルケはそのまま、才人の背後から豊かな胸をぶつけながら、抱き締める
「ダーリン。さっきみたいに、気持ちぶつけて良いのよ?」
「もう、大丈夫」
実際に、声は何時もの調子に戻っている
『あぁ、もう閉ざしちゃった』
「夕飯、食べた?」
「いや、食ってない」
「ちょっと待ってて」
キュルケは自身の夜食用とフレイムの夜食用の干し肉とパンとチーズを取り出し、ワインを添え、才人に差し出す
「フレイムの分じゃねぇか」
フレイムは火炎を吹き出し、反応する
「あげるって」
「良いのか?」
フレイムはこくりと頷く
才人は手を合わせ、食べ始める
キュルケはにこにこしながら、テーブルに両肘を付き、顎を両手に乗せ才人の食事を見守る
「ふぅ、ご馳走様」
「足りた?」
「あぁ、フレイムが食いしん坊で助かった」
「ふふっ」
キュルケは自分の事の様に嬉しくなる
「ねぇ、ダーリン」
「何だ?」
「私、まだお風呂に入って無いの」
「俺も入ってねぇな。入って来れば良いだろ?」
「ダーリン一緒に入ってくれる?」
「…入らない」
「シエスタにはやってるじゃない」
「…」
「まぁ、そう言うと思ったわ」
キュルケはゴソゴソと魔法石鹸を取り出し、才人に見せる
「此で身体を拭いて」
「ふぅ、了解」
キュルケはセーラーを脱ぎ、スカートを脱ぎ、靴下をショーツを脱ぐ
褐色の美の化身が才人の前に立つ
「お願い」
才人は水桶から水を別の器に入れ、手拭いを浸し、石鹸を付けて、キュルケの身体を拭き始める
468大人才人 涙5-10:2011/02/20(日) 17:45:32.66 ID:654hVVFz
顔を拭くと化粧が取れ、年相応の顔になる
背後に回り、腕、背中と拭いて行くと、キュルケから悩まし気な息が漏れる
「ん、ふぅ」
次に胸を拭き始めると、才人に身体を預け、手を添える
「ん、あ、上手。これも、待ってる人にやってたの?」
「…あぁ。アイツは、一人で風呂にも入れない。と言うより、一人で居るのを異常に怖がった」
「…そう」
「俺が仕事で遅いと、いっつも涙目で俺を待っていた」
「…そう」
「一人で寝られ無かった。一人だと、思い出すから嫌だと、いっつも泣いていた」
「…そう」
「俺以外の男には、一切近寄れなかった。男を見ると、完全に脅えて、常に逃げる様にしてたから、女子校に通ってた」
「…そう」
「俺に時間が出来て、学校に迎えに行くと、一目散に走りよって来て、俺の事を周りに自慢していた。何時も何処で見張ってるか解らない位の、即応振りだった」
「…そう」
「今は、俺はアイツの傍に居てやれない」
ポタ、ポタ
キュルケの身体に水が落ちる
キュルケが才人の顔を見ると、涙が垂れている
「ダーリン…」
「俺は…こんな所で使い魔なんて、やってる暇なんざ……無い」
「…」
「俺は、女のコに言い寄られる資格も無い」
「…何で、そんな風に決めるの?」
「事実だからだ」
そう言うと、才人はキュルケの下半身を拭き出し、キュルケは才人の指が花弁に触れるとビクンと跳ねる
「ひぅ!?」
「悪い、強過ぎた」
キュルケは首を振る
「違うの、良かったの。お願い、遠慮しないで」
才人はそのまま尻を拭き、両足を拭き取り終える
「はい、終わり」
キュルケは熱っぽい目で才人を見るが、才人は表情を消している
『駄目だ、後一押しね』
「ダーリン、次は私がやってあげる」
そう言うと、キュルケは才人の服を脱がし出す
才人は為すがままだ
才人を全裸にすると、汗をかいた猛烈な男の匂いが、キュルケを刺激する
『凄い匂い。でも、何か癖になりそ。モンモランシーがダーリンの匂いが好きってのも、頷けるわ』
今度はキュルケが手拭いを取り、才人を拭き出す
才人にやって貰った通りの順番でやる
顔を拭き、腕を拭き、背中を拭く
背中を拭く時に、思わず嘆息する
「改めて見ると、広い背中。惚れ惚れしちゃうわ」
才人とキュルケは背丈は変わらないが、やはり男女の違いは如実に出る
特に才人はしなやかに鍛えてるせいで、筋肉隆々ではなく、瞬間的に出す筋肉で、見た目以上の筋力を誇っている
469大人才人 涙5-11:2011/02/20(日) 17:49:41.11 ID:654hVVFz
一瞬に賭けるガンダールヴに取って、ゴテゴテしたパワー重視の筋肉は邪魔なのだ
才人にキュルケは密着し、胸から拭き、股間を念入りに拭くと、尻を拭き、両足を拭き取り終える
そのまま、才人の背中に引っ付いている
「ねぇ、ダーリン」
「何だ」
「…して」
「俺の息子に聞いてくれ」
才人の股間は反応してない
キュルケは才人の前に周り込み、才人をそのままベッドに押し倒す
トサッ
キュルケは妖艶な笑みを浮かべ、才人に聞く
「もし勃ったら、朝迄してくれる?」
「あぁ」
「約束よ」
キュルケから才人にキスをし、胸を密着させる
才人は胸が好きなのを存分に武器にし、また股間も密着させる
だが、キュルケは自分が高ぶるばかりで、才人がちっとも反応しない
「何でぇ?私、魅力無いの?」
「違う。俺が駄目だからだ。男は、精神状態に左右するんだよ」
「ふん、意地でもして貰うんだから」
キュルケは才人の顔に花弁を当て、自身は才人の股間に顔を埋める
「元気になってね」
キュルケは才人の息子に話しかけ、口に含む
ヌルリと口腔に迎え入れ、何とか立たせようと、舌と粘膜に絡める
ぴちゃっ
「っ!?」
思わずキュルケの身体がビクンとなり、危うく才人を噛みそうになる
「ふ〜、ふ〜」
才人がキュルケの花弁を愛撫し始め、キュルケは自分が一気に高ぶるのが解る
才人は陰核を丹念に指で刺激し、膣と陰唇をたっぷり舌でねぶる
「ん、ん、ん゛〜〜!?」
才人を口に含んだまま、先にキュルケは痙攣を繰り返す
「ふ〜、ふ〜、ふ〜(まだ、半分位?)」
キュルケは、丹念に才人の息子を舐め、とにかく勃起させるべく頑張るが、才人の攻めが更に続き、キュルケは上に乗ってるのに、ペースを完全に握られる
「ん゛ああ、もう駄目!!我慢出来ない!?」
キュルケはまた痙攣し、とうとう口を離してしまう
「……はぁ、素敵」
「キュルケのここ、凄い綺麗だな」
「本当に?嬉しい」
最早完全に脱力し、キュルケは諦める
才人が身体を起こし、キュルケの尻を持ち上げ、攻め始める
「え、やだ、ダーリン。恥ずかしいわ」
「ああ、恥ずかしがってる女のコの方が萌えるね」
ちゅぴ、ちゅぴ
才人がわざと音を立て、キュルケを攻める
「やぁ、音、立てないでぇ!?」
「綺麗だよ。キュルケ」
言葉とは裏腹に、尻は持ち上がり、才人を誘う
「はっはっはっ、駄目。またきちゃう!?」
ビクンビクン
470大人才人 涙5-12:2011/02/20(日) 17:51:18.17 ID:654hVVFz
キュルケが痙攣し、才人がキュルケの尻を膝立ちの位置迄降ろす
「はっはっはっ、あっ、やだ、イッたばかりなのに!?」
キュルケが痙攣してる最中に、才人は無言で息子をあてがい、一気に挿入する
ぬる
「あひっ!?」
いきなり挿入された感覚と絶頂の余韻で、キュルケは自身の平衡感覚が崩れ、何をしてるか解らなくなる
グチュグチュ
「キュルケが綺麗だったから、勃っちまった。約束通り、朝迄だ。恨むなら、自分の言葉を恨め」
「私、初めてだから」
「聞かない。痛いか?」
キュルケは首を振る
「じゃあ、覚悟しろ」
才人が動き出し、キュルケは自身の身体から、今迄感じた事の無い部分から、才人に花開き、強引に開発されて行くのを実感する
「やぁ、ダーリン少し休ませて。またきちゃう!?」
ビクンビクンと痙攣しても、才人は腰を振るのを止めない
「あっあっ、凄いのダーリン凄いの!!ひっ、いっ!?」
「出すぞ」
ドクン
才人の射精と絶頂が同時になり、キュルケは自身に才人の精が送られる感覚を、絶対の快楽と刷り込ませられる
「あっ、やだ。こんなの仕込むの?私、ダーリンの牝になっちゃう!?」
才人の射精を受け入れ、歓喜に打ち震える
才人は勃起が萎えない様に、射精が終わると覆い被さり、ゆっくりと動く
「良いか、キュルケ」
「はい」
「イク時は、必ず言うんだ、誰のでイクのか、誰のが欲しいのか。そして誰の牝なのか。自分が誰を誘惑したか、しっかり心に刻み込め」
キュルケは頭からの命令には受けた事は無いし、受けたら反発するだろう
だが、今は才人の言う事に従うのが、快楽だと仕込まされ始めている
「はい、私は才人のちんぽでイって、才人のちんぽが欲しい、淫乱な才人のメスです。才人の事を遊び半分で誘惑したら、逆に才人の虜になっちゃった、胸ばっかりの、お馬鹿さんです」
「どうされたい?」
「次は正面から、抱き締められたいです」
「いい子だ」
才人は一度抜きキュルケをひっくり返し、正常位で挿入する
「あぁ、良いの、いいのぉ!!」
才人を正面から抱き締め、脚を絡め、キスをねだる
才人は腰をゆっくり動かすが、キュルケがガンガンに押し付け、才人を貪欲に味わう
才人は胸を吸おうと考えたが、キュルケが決して抱擁を解かず、キスも止めない為、そのままの姿勢でフィニッシュ迄持っていく
キュルケは何度か痙攣すると、一際強く才人を抱き締め、才人の射精を感じる
ドクンドクン
471名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 17:51:30.50 ID:hw+FczFT
何処ぞの黒猫が撤退を開始しました。支援。
472大人才人 涙5-13:2011/02/20(日) 17:56:11.75 ID:654hVVFz
キュルケの身体が脱力し、ようやく才人は解放されると、胸の愛撫をやり始めた
ピチャピチャ
「やぁ、今、ダーリンのちんぽでイッたばかりなの。おっぱい弱いの、入ってる状態でやられたら、あっあっ駄目、だめだめだめ!?おっぱいでイっちゃう!?」
キュルケはまだビクンビクンと痙攣し、涙を溜める
「ごめんなさい、ダーリン誘惑してごめんなさい。だから、少し休ませて、お願い」
「駄目。俺がしたい様にする。キュルケが俺の獣性を解き放ったんだ。責任取れ」
また、かぷりと豊満な胸を食わえる才人。その眼は何時もの優しさではなく、暴力的な攻撃の眼、熟れた女を食い尽す、牡の眼をしている
「いやあぁぁぁ。ごめんなさいぃぃぃぃ」
キュルケは、歓喜の悲鳴を上げる
結局、キュルケは約束通り、朝迄たっぷりと愛され、自身の言葉をたっぷり後悔する事になった

*  *  *
朝日が差し込み、才人は眼を開ける
「ふあぁぁ、すっきりした。キュルケ?」
才人の腕枕で、完全に寝ている
才人がゆさゆさ揺すると、キュルケは眼を開け、才人の顔を恐る恐る覗き込む
昨夜の獣の様な才人ではなく、何時もの優しい瞳の才人だった
「……酷い」
「ごめん」
「初めてだって、言ったのに。優しくしてって、言ったのに。休ませてって、言ったのに」
息を吸い込み、涙を溜めて、更に言う
「ちっとも優しくしてくれないし、休ませてくれないし、私、10回イった以降は憶えてないわ」
「ああ、それ大体やってる時間の1/3だな」
「私、その三倍イってたの?」
「うん、もう凄かった。ずっとちんぽちんぽ言ってて、俺が抜けるとおねだりして、射精のたんびに矯声あげて。私はダーリンのまんこなのぉって」
キュルケは顔が真っ赤になる
身体を確認すると、確かに証が大量に注がれてるのを実感し、実際に精が足れて、才人を受け入れた実感が湧いて来る
「もう、あんなはしたない言葉、貴族に言わせないでよ?」
「ちょっと待て、俺はちんぽとかまんことか、言えと言ってねぇ」
キュルケは自爆し、更に赤くなる
「つ、次は優しくしてよ?」
才人は済まして言う
「手加減しちゃ駄目って、叫んでたの誰だっけ?」
キュルケは才人の下の枕を抜くと、才人にボフボフと叩き付ける
「この、この、一晩で私の誇りを、ひっくり返しちゃってからに!!私はセクシーだけど淫乱じゃない!!」
473大人才人 涙5-14:2011/02/20(日) 17:57:32.32 ID:654hVVFz
「あたた、ごめんごめん……キュルケ」
枕を振りかぶったまま、ぶっすぅとしながらキュルケは応じる
「何よ?」
「慰めてくれて……ありがとな」
キュルケは叩き付けてた枕を抱き抱えながら、ぽつりとらしくない言葉を言い出した
「……責任」
「へ?」
「責任取って!!」
才人は寝てた状態のまま、何故かがくりとベッドに沈む
「あ、いや、その」
「責任取れ、この馬鹿ぁ!!灼熱の相手見付けたんだから、責任取れ〜〜〜〜!!」
キュルケはわんわんわめきだす
「私の余裕も何もかにも、あんたの前じゃちっぽけで、お子様扱いするわ、妹扱いするわ、挙句の果てに、実際ベッドじゃ撃沈された。あんた以外考えられなくなった、責任取れ〜〜〜!!」
「ごめん」
「謝るな、この馬鹿ぁ!!あんたを知らなかった頃の私に戻せ〜〜〜!!」
その後、ベッドの上で手足を放り投げて暴れ始めたキュルケをなだめるのに、才人はたっぷり時間を使わされる事になった

*  *  *
474大人才人:2011/02/20(日) 18:07:40.79 ID:654hVVFz
投下終了なのね〜
大いなる意思は、俺妹は知らないのね〜きゅいきゅい
では、大人才人タクティクスなのね
今回はキュルケなのね
「……やられたわ。何あれ何あれ?本当にスタミナ無尽蔵なの?もう無茶苦茶にされちゃったわ」
「散々稽古したせいって言ってたけど、一人占めしたら、私のがやり殺されちゃうわ」
「だめだめ、一人占めなんか無理。毎日愛されちゃったら、私が持たないわ」
「全くヴァリエールったら解ってるのかしら?独り占めしたら後悔するのは自分よ?あの娘、対して体力無いじゃない」
「でも、一番心配なのは、結局、私達には本気で向いてくれそうにない事よね。あぁもう、何とかならないかしら?」

有り難うなのね〜

では、またの更新迄さよならなのね、きゅいきゅい
475名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 19:10:22.73 ID:CW7PSGJR
毎度毎度本当にGJ!
476名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 00:16:29.67 ID:26CpFPMQ


キュルケも落城
これで残りは、タバサ、テファ、アンリエッタ、ルイズの姉二人かw
477名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 11:28:32.10 ID:OL5M44Vo
毎度ながらGJ!
待ちに待ったキュルケ来た!
ありがとう!

>>476
待て、アンリエッタの母上様を忘れてるぞw
478名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 12:54:00.02 ID:h0/2pEYA
>>474
毎度毎度乙&GJでございます

>>477
それを言ったらカリーヌさんとタバサ母も忘れてないか?
479名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 15:28:59.04 ID:BRjTe4IW

ジル……故人はムリか
小ネタとやらに期待して、じっくり待ってます
480名無しさん@ピンキー:2011/02/22(火) 18:18:39.06 ID:OXDwUy9S
乙女は虚無にの人も期待してますよ
481名無しさん@ピンキー:2011/02/23(水) 23:05:26 ID:JG4iqjC4
ペ・ディ・キュ・ア!
482大人才人:2011/02/24(木) 18:46:02 ID:XQQhzWpy
イルククゥでシルフィードなのね〜
移転に暫く気付かなかったのね
きゅいきゅい

では、注意事項なのね〜
・大人才人番外編
・主要キャラ、一人も出ません
・とある、トリスタニアの酒場のお話
・6レス前後

では、反映次第投下開始なのね〜きゅい
483大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-1:2011/02/24(木) 18:48:25 ID:XQQhzWpy
副長ミシェルのぼやき
(プライバシー保護の為、音声を変えてお送り致します)
ええとですね、私の店には、何処ぞの副長さんが最近良く来るんですよ
トレビアン!
はっ、つい口癖が、いけないいけない
で、何故か私を指名するんしちゃうのよ。出来れば店のようせ……ゲフンゲフンを指名して欲しいのですけど、職場と変わらないから嫌だとか
まぁ、売上に貢献して下さるので文句も言えません
で、何かと言うと、その、隊長に対して大量に愚痴って帰るんですよね
中味を聞くと、はぁ、大変なのねとしか言えませんが。では、どんな愚痴か聞きたいですか?
なら、どうぞ。気をつけて下さい、酔っ払いの戯言ですから、真に受けちゃ駄目ですよ?
「だぁぁ、ムカつく〜〜〜あんの糞隊長〜〜〜!!」
ダン!!
ジョッキを荒々しく、テーブルに叩き付けちゃってます
「あぁ〜ら、どうしたの?ミシェルちゃん。今日も荒れてるわねぇ」
「もう、聞いてよマダム〜〜〜!!あんの糞隊長、人に面倒な仕事押し付けて、何やってるか知ってる?」
グビッグビップハァ
ちょっと、100年の恋も醒めちゃう様な呑みっぷりだわねぇ
彼氏居ないのかしらん?
「あらあら、穏やかじゃないわね、どんな仕事?」
「逢い引きよ、あ・い・び・き。私に指揮権ぶん投げて、自分は男の所に、国の金使って日参してるのよ!!」
あらあら、何処迄本当なのかしら?
「あらあら、穏やかじゃないわねぇ」
「でしょでしょ?あ、串焼き追加」
「毎度あり。で、どんな男なの?」
「黒髪の黄色い肌した、異国の変な男よ」
「あらま、異人さんなの?」
あらあら、彼氏居ないとしたら、悔しいのかしら?
「私は、ちょろっとしか見てないから、解らないんだけどさ、何かあの糞隊長が言うには、スクウェアメイジより強いとかって、もう夢中なのよ。な・に・が『恋なんざしない』よ!?バレバレだってぇの!!」
ダン!!
だから、ジョッキでテーブル叩かないで。一応頑丈に作って有るけど、ちょっと心配になっちゃうわ
「まぁまぁ、落ち着いて。で、具体的には何が変わったの?」
「信じられる?あの馬鹿隊長、何と香水付け始めたのよ!?香水!!」
「香水の何処が悪いのかしら?」
香水位、女性なら付けるんじゃないかしら?
「何言ってんの?オリジナルよ、オ・リ・ジ・ナ・ル。あんな匂い嗅いだ事無いわ」
「…オリジナルは高いわよねぇ」
484大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき:2011/02/24(木) 18:50:13 ID:XQQhzWpy
「そうなのよそうなのよ。あんの男なんざ興味有りません!!っで、通してたにも関わらず。何、今の状態?あり得る?絶対に有り得な〜〜〜〜い!!あ、スパークリングワインと揚げ物追加」
「毎度あり。えぇと、でも良い事じゃないの?」
「良い事な………もんかぁ!!あれほど誓ったのに、二人で究明して、誓いを果たそうと、お互いに汚れたのに………こんなの、こんなの〜〜〜〜!!」
「まぁまぁ落ち着いて、ね」
泣き出したミシェルちゃんにハンカチを渡すと涙を拭いたと思ったら、チーンって鼻迄かんじゃった
やだ、洗濯しないと使えないじゃない
「汚れたって、何したの?」
「アイツが容姿使って床仕事してる背後から、私が暗殺」
「アッハッハッハ、またまた冗談上手いわね、ミシェルちゃん」
「そうやって笑ってくれるの、マダムだけよ〜〜!!」
ひっしと抱き締められちゃった
何時もの事だけど、酔っ払いにも困ったモノね
「で、その隊長は今はどうなってるの?」
「以前より仕事がキレてるわ。私なんかが半日位かかる書類仕事を、帰って来てからたった30分で仕上げるのよ?信じられる?前から出来てたから、アイツを隊長にして私は副長で行こうって決めてたけど、最近半端無いわ。口っ惜しい〜〜〜〜!!」
「あらあら、恋する乙女のテンションは、仕事にダイレクトなのね」
「アイツは乙女じゃなあぁぁぁぁい!!あ、ありがと」
スパークリングワインをジョッキで貰って、グビグビやっちゃってるわ
「しかもね、その後に全部指示出してから退城すんのよ。何アイツ?ちっとも淀み無いなんて、信じられないわ」
グビグビ、プハァ
いやんもう酒臭い
何とかならないかしら?
「ん〜と、ミシェルちゃんは兵隊でしょ?肝心の腕の方はどうなの?」
「……私に恥を言えと?まぁ良いわ。この前逢い引きに行く前に久し振りに剣を合わせたんだけど、たった一合で叩き落とされたわ。その後、何て言ったと思う?」
「さぁ?」
「『才人相手とは違うな。楽すぎる』だって。私とアイツの剣技は、そんなに差は付いて無かった筈だぁ!!」
あらやだ。またグシグシと泣き始めちゃった
「まぁまぁ、なら、ミシェルちゃんも一緒に稽古したら?」
「私、男嫌い。女のコがイイ」
485大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-3:2011/02/24(木) 18:54:56 ID:XQQhzWpy
ちょっと、どん引きだわ。まさかこの娘、そっちの趣味なの?
「えっと、彼氏は欲しくないの?」
「欲しい……けど欲しくない。ジェラールみたいな男なんか、お断りだ」
「あぁ、グラモンの隊長さんじゃ、仕方ないんじゃない?」
「あんの、糞蝿。ウチの可愛い娘ちゃん達を毒牙に掛けようと、四六時中狙ってんのよ?何発銃弾ぶち込んだと思ってんのよ?」
「さぁ?何発位?」
「軽く100発はぶち込んでるわね」
「アッハッハッハ。そんなにやられたら、幾らメイジでも駄目でしょ?」
「グラモンの連中は、銃士隊の集中砲火食らっても平気な化物よ?」
まさかぁ、幾ら何でも無理有るわよねぇ?
「そうそう、ウチの馬鹿隊長の話に戻るんだけどさ、あの馬鹿隊長、虚無の曜日にランジェリーショップに付き合わされるのよ」
「あらあら、それって」
「勝負下着よ勝負下着!!もう、見るからにエロエロの選んで、こんなのどうだって聞いてくんのよ?やってらんないわ」
ケッて、やさぐれるミシェルちゃん
「もしかして……」
「気付いた?毎日備えてんのよ!!で、帰って来た時に溜め息付くののよ?そして小さく言ってんのよ?何て言ってると思う?」
「…さぁ」
「『今日も……駄目だった』……ですって。何それ何それ?ふざけんじゃ無いわよね。全部筒抜けだコンチキショー。聞こえない振りしてんだ!!」
バリバリ揚げ物を噛じるミシェルちゃん
あぁあぁ、どうしようも無いわ
「でねでね、アイツってば、シュヴァリエになったでしょ?殿下直々に、貴族の子女限定の処置を受けたんですって」
「そんなの有るの?」
「有るらしいのよ。どんなのか聞いたらさ、日々の手入れの手間が省けるだけだとか何とか」
「結構便利じゃないかしら?」
「そうよね、無駄毛処理とか面倒じゃん。本当女って面倒よね。男なんざ毛ボーボーじゃん」
まぁ、確かに女のコから見たらそう見えるわよねぇ
「髭を整えるのは大変よ?綺麗に伸ばすのも難しいみたいね」
「あ、そうなんだ。髪型を維持するのと同じで大変なのね」
あらあら、一応納得したみたい
「でねでね、あんの糞隊長。部屋が隣なんだけどさ、最近夜中に五月蝿いのよ」
「あら、どうしたの?」
「いや、どうも、一人でしちゃってるのよね。才人っ才人って、男の名前呼ぶのが聞こえて来ちゃうのよ?」
「あらあらまぁまぁ」
「馬鹿隊長〜〜〜〜!!アンタのオナニー筒抜けだぁ〜〜〜〜〜!!」
486大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-4:2011/02/24(木) 18:56:26 ID:XQQhzWpy
ちょっと、大声出さないでよ
皆、こっち見て笑ってるじゃない
「まぁまぁミシェルちゃん、落ち着いて、ね?一杯奢るわ」
パチン
私が指を鳴らすと、妖精さんがジョッキを持って来てくれて、空のジョッキと交換すると、がばりと掴んでゴックンゴックン飲んでる
水も用意しないと駄目ねぇ
パチン
水を持って来て、隣に置きましょ
それもゴキュゴキュ飲んでるわ
「ミシェルちゃん。そろそろ限界でしょ?」
「やら、まら飲む〜〜〜」
ガチャ
「すいません、ウチの副長来てませんか?」
「あらあら、妖精さん達いらっしゃい」
「あ、やっぱり居た。行きますよ、ほら。ウチラの寮には、門限が有るんですから」
「うぃ〜〜おまえらも飲め〜〜〜奢ってやるろ〜〜〜」
「はいはい、解りました。今度にしましょ、今度に。今帰らないと閉まっちゃいますよ?私達は竜騎士で出迎えしてくれる訳じゃないんですよ?」
「ジェラールれも連れれ来い。奴らら喜んで奢ってくれるお」
「その後前後不覚のまんま、頂かれちゃいますけど、良いんですか?」
「やら、もっろやさひいおとろがいい」
「なら、行きますよ。すいません、お代は?」
「きちんと最初に受け取ってるわ。ミシェルちゃんは律義なのよ。足りなかったら付けるし、余ったら返してるから、安心して」
「はい、解りました。失礼します」
ぺこりと会釈して、妖精さん達がミシェルちゃんを両肩で支えて、出て行きました
「……一番苦労してるのは、あの娘達じゃないかしら?」
私はそう思ったんだけど、どうかしらね?
皆はどう思う?

*  *  *
487大人才人:2011/02/24(木) 19:12:31 ID:XQQhzWpy
投下終了なのね〜
思ったより短かったのねきゅい
多分……続かないのね、きゅい

では大人才人タクティクスなのね〜
今回はまだ未登場のカトレアなのね
「あらあらまあまあ、私を出すのですか?照れてしまいますわ」
「酒場で供されてるスパークリングワインは、ワインを炭酸水で割ったもので、炭酸水は私のフォンティーヌ領の特産品になります」
「お父様ったら、私の事心配して下さってるので、特産品が産出する領地を私に与えて下さってるんです」
「それでも、ヴァリエールからすれば、大したモノじゃないんですよ」
「日本に於いては、炭酸水は圧縮した二酸化炭素を水に溶かして製造するのが一般的ですが、実は自然産出する事もある品物なんです。火山等の造山地帯を中心に、ちょっと離れた場所から産出されるらしいです」
「ですから、あんまり驚かないで下さいね」

有り難うなのね〜
たまには、いんたぁみっしょんを挟みたくなった大いなる意思なのね

では、次の更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
488名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 20:38:10 ID:K9fVpZr8

作中に登場してるのはスプリッツァーか

上司が色ボケするのは、部下には痛いよな、確かにw
489名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 00:04:20.60 ID:DgllsEU0
>>487
GJでした
個人的にはこの副隊長さんのも続けてほしいw
490名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 21:23:19.97 ID:xsqCtAMr
こくまろ
491大人才人:2011/02/27(日) 21:52:49.80 ID:8A/pVeu8
イルククゥでシルフィードなのね〜

では今回も頑張って更新するのね
きゅいきゅい

では、注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・謀略、本当の少女
・10レス前後、30分以上開いたら用事落ち

では、反映次第投下開始なのね〜
492大人才人 カタチ有る悪夢1-1:2011/02/27(日) 21:54:14.36 ID:8A/pVeu8
カタチ有る悪夢
深夜のトリステイン西部の海岸に複数の竜騎士が舞い降り、背中から複数の人物が降り立つと、そのまま移動を開始する
既に馬と馬車は用意されており、当人達が乗るだけだ
次のアルビオン大陸最接近日前に、タイミングを見て行動するために、竜騎士を用いている
アルビオン竜騎士は見習い時点から、常時訓練で夜間飛行と海水の大陸への運搬を行い、塩の供給を行っている為、お手のモノである
降りた人物達は一言も話さず、一糸乱れぬ行動で去って行った

*  *  *
「シェフィールド嬢」
「何でしょうか?サークロムウェル」
「私のお友達は、無事に降下出来ましたか?」
「勿論です。アルビオン竜騎士の技量なら、何の問題も無く夜間着陸に成功しました。ですが、良かったのでしょうか?」
「何がだね?」
「エルフの事です」
書類に目を通しながら、クロムウェルは応じる
「君なら解るだろう、シェフィールド嬢。情報が手に入らないのであれば、戦力として使う以外、無いではないか」
「確かにその通りですが、護衛としても優秀でしたでしょうに」
「今は、戦力の出し惜しみをする時ではない。何せ、女王の誘拐だ。個人単位で、最強の戦力を向けるべきだ」
そう言いながら、書類にサインをする
ロイヤルソブリン級新造艦艇の承認書である
流石に費用が掛かる為、会議でも中々ゴーサインが出なかったのだが、今回の艦隊壊滅で、失った艦の補充の必要が出来た為、ようやく承認されたのだ
通常型戦列艦では、トリステインに対抗が難しいと、結論が出た為である
最初から、長口径砲搭載の改修型である
「再編が済む迄の、謀略の一手に過ぎん」
「ふん、随分言う様になったものね。酒場で飲んだくれてたアンタからすると、別人じゃない。立場が今のアンタを作ったのかしら?」
平素の言葉遣いでシェフィールドは応じ、クロムウェルは特に感慨も感じずに応じる
「余の夢を叶えてくれたのはシェフィールド嬢だが、夢をこの手で掴み取る努力位、只の平民出身の司教風情でも、怠る積もりは無い」
「ま、勉強だけは出来てたみたいだから、政治も似た様な感じで、勉強したって訳ね」
「言いたい事は其だけかね?」
「えぇ、まぁ精々頑張りなさいな」
「無論だ。先ずは虚無の血統と王家の血を一つ手に入れる。アルビオンでもトリステインでも、どちらでも、だ。其で、シェフィールド嬢の後ろの人物と互して見せよう」
493大人才人 カタチ有る悪夢1-2:2011/02/27(日) 21:55:48.17 ID:8A/pVeu8
「我が主も、聞いたら喜ぶでしょう。新しい玩具がやっと噛み付いて来たと」
「……悪趣味め」
「机の下の女を退かしてから言うのね。この俗物。今回なんか、10歳位の子供じゃない。このペド親父」
二人して相手を嘲笑う
その笑みはどちらもどちらを取って喰らう、蛇が互いの尻尾を飲み込む様に、非常に似通っていた
シェフィールドが退室すると、少女を引っ張り出し、腰を打ち付ける
パンパンパン
少女は子供の敏感な感覚でアンドリバリの指輪で快楽を植え付けられ、既に涎を垂らしながら為すがままだ
獣の如く、唸り声しか出ない
「クククク、まだまだだ。聖地とハルケギニアを手に入れる路はまだまだ此からだ。そして、エルフもこうやって、組敷いて犯してやる。クククク、アハハハハハ」

*  *  *
「…と、言う訳なのです」
ノイズが少し混ざるが、明晰に反応が返って来る
「ほぅ、そうか。流石、我がミューズ。そのまま行うが良い」
「はい、ですが、最近の奴の女遊びは度が過ぎます。今回なんか、10歳位の子供ですよ?」
「其がどうかしたか?余もやるぞ?」
「主様?」
「欲求不満が溜っておる様だな。任務が終わった後、暫く余の寝室に寝所を定めたくば、捨て置け」
「は、はい!!喜んで」
ブツッ
ノイズが入り、通信が切れる
シェフィールドは欲求の溜め息をつく
「勿論でございます、主様。私は貴方様の、忠実なる使い魔でございます」

*  *  *
「ふぅ、飲み過ぎました」
アンリエッタは寝室で一人、手酌でワインを飲んでいる
政治は上手く行かない事だらけ、誰も彼もが好き勝手に動き、結果国の要らぬ混乱を招く様を呈する
あの、黒髪の使い魔にしてもそうだ
あれだけの能力、識見が有るにも関わらず、異邦人だからと明確に関与を否定した
だが、仲良くなったアニエスは、明らかに才人の肩を持っている
全てを報告する様にと命令を下しているのだが、どうも報告内容が薄いと言うか、抜け落ちな感じがする
特に決闘を見た後では、強く感じる様になった
アニエスは、才人が求婚すれば、二つ返事でウィと言うだろう。そのまま、銃士も辞める事も想像出来る
アニエス自体有能だ。餌を仕掛けた釣りで、餌だけかすめ取られた感じである
「アニエスの件は、策士、策に溺れると言った感じでしょうか?まさか、トリステインよりサイト殿を優先する様になるとは。アニエスも女だったのですね」
494大人才人 カタチ有る悪夢1-3:2011/02/27(日) 22:00:13.41 ID:8A/pVeu8
だが、肝心の才人がトリステインに振り向いてくれないのだ
なまじ頭が切れるせいで、何が出来るか予想出来る為、回避する傾向が高いのだろう
ハルケギニアに、足跡を残したくないのかも知れないと、アンリエッタは思い始めている
ああいう人材こそ、政策に必要なのに、マザリーニも頭を抱えてしまった
「あの御仁は、我等とは違う論理で動いております。我々の名誉や金など、本当に必要無いのでしょう。説得には、一番難儀なお方ですな」
「ですが、あのカガクは、更に上の事が出来ると、言ってるのですよ?」
「やはり、女以外では無理ですかな?」
アンリエッタは少し考えてから答える
「女でも難しいです。アニエスは篭落されてしまいました。次の一手だと、私の寝所位ですか?私も篭落されそうですが‥‥」
「…陛下、自身を使う事はお止め下され」
「あの方ならば、大切に扱って下さると思えるのですが。どうせ、政略結婚しか出来ぬ身です。せめて、初体験は優しい方に捧げたいですわ」
「陛下。本気で考えておるのですか?陛下は純潔を守らねば、実際の結婚が出来ぬのですよ?」
マザリーニが苦言を呈すると、アンリエッタはにこりと微笑み
「あら、ならば問題有りませんわね。そのまま王配になって頂きましょう」
「…陛下、幾ら何でも、要らぬ反感を買う行動を行いなさるな」
「では聞きますが、私に癒しを与えて下さる殿方が、他におられて?」
「まぁ、おりますまい。野心高き者や凡庸、愚鈍な男なら、数はおります。だが、あの御仁は、優し過ぎる。其でいて、理知を持ち冷徹だ。どうやれば、只の平民で彼処迄の男になるやら」
自分達には未知の科学、更に男性としての魅力、常に驕らず知を求め、鍛錬を重ねる姿勢、そして今回立てた武勲に、盗賊捕縛の手腕にヒュドラ退治の実績
彼が何気なく動くだけで、更に他のメイジにすら、真似出来ぬ勲功を重ねるだろう
貴族で有れば、どれだけの縁談が舞い込むか解ったモノではない
事実、気付いた女子学生やメイドには、将来を一方的に誓う発言迄出始めてると、アニエスからの報告が届いている
マザリーニとの回想を止め、一人ごちる
「まだ、三年前のが良かった。自分自身の恋だけ追ってれば良かったのに‥‥ウェールズ様‥‥う、う、うぅぅぅぅ」
形見の風のルビーをはめた手を愛おしく胸に抱き締め、泣く
495大人才人 カタチ有る悪夢1-4:2011/02/27(日) 22:03:43.12 ID:8A/pVeu8
表面上は立ち直った様に振る舞ってはいるが、一人になると思い出し、毎日泣いている
「私には、王位なんか重すぎます‥‥誰か‥‥私を‥‥それすら‥‥望め無いの?」
17歳の少女の苦悩を受け止めてくれる者は、王宮には居ない
母たるマリアンヌも、敢えて接触してこない。王位の苦労を押し付けた負い目かも知れない
一人の少女として接してくれたのは、亡きウェールズと、倒れた時に遊んでくれた、黒髪の使い魔だけである
他の者は全員、王族として一歩離れて接している
友人として、一番近いルイズですら、王位の重圧の苦悩は理解出来ないだろう
アンリエッタは、王宮と云う立派な鳥籠の中で、孤独だった
「ルイズが‥‥羨ましい」
アンリエッタの使い魔は、召喚に成功はしたのだが、短命種だった為、既に亡くなっている
召喚に成功した時は、はしゃいでルイズやウェールズに、手紙を書きまくったものだ
だからこそ、亡くした時のショックが酷くて、再度の召喚をする気が失せている
そのアンリエッタには無い、人の使い魔
優しく包み込んでくれる大人の男
何をやっても受け止め、全開で甘えても感情をぶつけても、肩をすくめ、微笑んで受け止めてくれる、自分だけの使い魔
間違った事をすれば、叱ってくれる良き導き手
そして、アンリエッタから見たルイズは、魔法が使えなくても前を見、何時も毅然としていたと記憶している
今のアンリエッタが欲しいモノ全てを備えた、唯一の親友
羨望と同時に嫉妬と、更に黒い感情が湧いて来るのを、首を振って誤魔化し、酒を流し込んで忘れようとする
何時しか、酒と涙の中で眠りにつくのが、アンリエッタの毎日だった

*  *  *
ルイズは起きた時、才人が居ない事に酷く落胆する
才人の居ないベッドは、なんて広くて寒々しい
嫌、実際に寒いのだ。初夏とはいえ、朝晩は冷える
才人の体温は高く、ルイズは安心感を得る
今はその、天然の暖房器具兼発情相手兼元気発生装置が無い
「良く………眠れなかった」
キョロキョロと辺りを見回し、溜め息をつく
才人が居ないと眠りが非常に浅い。喧嘩してた時に確信してたのだが、更に深めるハメになってしまった
「才人が来る前に戻っただけなのに……なんで?」
あの匂いと温もりが欲しい
早くキュルケの部屋から帰って来ないかとウズウズするが、自身の黒髪を見て一息つく
「……黒髪抜ける迄、駄目なんだっけ……朝食も会えないな……放課後迄我慢よね、サイト」
496大人才人 カタチ有る悪夢1-5:2011/02/27(日) 22:07:14.40 ID:8A/pVeu8
才人は居なくても、前日の分で水はまだある
準備をして朝食に出掛けた

*  *  *
サイトはキュルケの部屋から出ると、厨房で朝食を食べ、厩舎から馬を出し、馬に慣れる為、並足でかっぽかっぽ広場を回る
暫くすると、アニエスが竜騎士に乗って降りて来る
ザッ
「おはよう才人。今日は早いんだな」
「おはよう、アニエスさんと竜騎士殿。竜騎士殿は昨日と違う人みたいだけど?」
「初めまして、無冠の騎士殿。僕はルネ=フォンク。今回の補充で、早期登用された竜騎士の一人だよ」
少々太めの少年騎士が降りて来て、才人に挨拶を交わすと、才人は下馬し、ルネと握手を交わす
「俺は才人だ。宜しく、フォンク殿。無冠の騎士は止めてくれ」
「だって、此方に飛んで来る時に、シュヴァリエが才人に礼を欠いたら手討ちにしてくれるって、剣を後ろから喉元に当ててさ、マジで生きた心地しなかったよ」
思い出したのだろう、身震いするルネ
才人は聞いてアニエスに振り向く
「やり過ぎ」
「ふん」
アニエスはそっぽを向いている
「前の竜騎士はどうしたんだ?」
「逃げ出したんだと思うよ。配置転換願いが、受理されたんだと思う」
「……って事は」
「多分僕にやったみたいに、やったんだろうねぇ」
二人してアニエスを見、どちらともなく笑い始めた
「アハハハハハ、良し、賭けるか。フォンク殿が何日持つか、3日でどうだ?」
「ルネで良い、じゃ僕4日」
497大人才人 カタチ有る悪夢1-6:2011/02/27(日) 22:09:20.40 ID:8A/pVeu8
「負けた方は酒代奢りな」
「乗った。巻き上げてあげるよ、才人」
二人して腹を抱えて笑い続けると、アニエスが真剣で斬り掛り、才人が村雨で受け止める
キィン!!
「笑い過ぎだ二人共。新人、貴様の鍛錬もついでにやれと辞令が来ている」
「ちょっと、それ本当に?」
ルネが思わず問い返し、アニエスは書類を見せ、ルネは青くなる
「新人、貴様に休む暇は無い。いっちょ揉んでやる。そこの木剣を取れ、私と才人の両方の相手だ。言っておくが、才人の二刀は私なんかより変幻自在だぞ?才人、新型だ。受け取れ」
ひょいと新型の水剣を才人に放り、才人は受け取る
「何だいこれ?」
「肉体に触れた場合、打撃力に応じ、痺れを与える様にした改良型だ。あくまでマジックアイテムだからな。どうだ?」
才人は試しに素振りをして確かめる
「ん、大丈夫。何でだ?」
「致命傷与える事が出来ないからだろう。確認出来たから、旧型は回収するぞ」
「了解。しかし、上手く作るもんだな」
才人は感心する
「此で私も、お前の攻撃が怖くなった訳だ。やっと、フェアに出来るな」
アニエスは嬉しそうに言う
「そうなん?」
「貴様の素の実力を知りたいんだよ。あんなの見せられたからな」
「そういうもんかねぇ?」
才人は首を傾げてると、ルネが口を挟む
「あの」
「命令だ、返事は?」
「ウィ、隊長殿」
反論すら許されず、姿勢を正し、敬礼を返すルネ
そして、ルネは開始5分も経たずに気絶するハメになった

ガッ、ガガッ
才人がアニエスと剣劇を繰り返す
アニエスの額には戦慄の汗、才人は汗を流しながらも涼しい顔
「全く、お前はいつの間に・・・」
「師匠のお陰っしょ」
アニエスは木剣を両手で構え、才人は水剣を両手で十字に構え、ギリギリと鍔競りあう
才人が力をわざと抜き、均衡を崩したアニエスがガクンと才人に寄ると、才人が脚を跳ね上げ、アニエスの手を蹴り飛ばし、アニエスが両手を跳ね上げられ、木剣を飛ばすと、そのまま水剣を小手に叩き込む
ビシッ!!
「あぅっ!?」
アニエスが痺れた手を抱え、崩れ落ちる
「大丈夫?アニエスさん」
才人が慌てて近寄り、水剣を放り出しアニエスを抱える
「くっ、やはり男には敵わないか……悔しいな」
アニエスの顔には、自らの限界を知った悲痛の表情が浮かんでいる
「アニエスさん…」
「だが、越えたのがお前で良かった」
アニエスの顔には納得の表情が浮かんでいる
「で、アニエスさんの分析は?」
498大人才人 カタチ有る悪夢1-7:2011/02/27(日) 22:13:00.88 ID:8A/pVeu8
「そうだな、力,体力,瞬発力はお前の方が上だ。斬撃や体捌きで一々上をいかれる。だから、私が余計に体力を消耗するんだ。今みたいに、わざと鍔競り合われたりすると、完全に翻弄される」
「おまけに、斬撃が片手でも重い。正直受け止めるだけで態勢が崩される。しかも二刀だ。受けたと思ったら逆から斬撃が来る。正直、間合いに入りたくない」
「成程ね。剣技はもう良いかい?」
アニエスは眼を閉じ
「あぁ、此からは、私が学ぶ番だな」
「お手柔らかに」
「さてと」
アニエスは才人の腕の中で感触を楽しむのを止め、すっくと立ち上がり、ツカツカ歩くと、ズシンと死体を踏み付けた
「グヘッ!?」
「何時まで寝ている?貴様の稽古再開だ」
「ウ、ウィ」
ルネはガバリと立ち上がり、頭を振りながら、木剣を構える
「才人、一刀で揉んでやれ」
「あいよ。いくぞ〜ルネ。よいさぁ!!」
ブン
敢えて大振りで両手で上段から振り下ろし、ルネが受けやすい様にする
ガッ
ルネは両手で才人の斬撃を肩口辺りで受け止め、膂力で押し込められる
触れればビリビリ来るので、必死だ
「ウググググ、お、重いぃぃ〜〜」
才人は受け止めさせたまま、スッと引くと突きを放つ
パシャッ
「ギャン!?」
またルネはひっくり返ってしまった
「ん〜、やっぱり貴族は体力と反射神経が低いなぁ。衛士隊が半端無いんだな」
「衛士隊は、定時訓練も半端無いぞ?特にお前の訓練見てから、更に力が入ってる」
「…何か、余計な事してる気がする」
「まぁ喜べ。にしても、新人はまだまだ訓練が必要だな」
アニエスがツカツカ寄り、今度は用意してあった水をぶっかける
「ブハッ!?」
「頭は冷えたか?竜騎士なら騎乗が本領だろう?水剣持って騎馬で馬上試合だ。才人は騎馬は弱いから安心しろ」
「は、はい!!やっと……騎兵らしく出来る」
だが、チャージの最初の一合で、ランス形状にした水剣を払い様首筋に叩き込まれ、またひっくり返されるルネ
「何やってんだ、新人!!チャージで負けてどうする!!」
「す、すいません!!」
「トリステイン騎兵はチャージ出来ないと意味無いぞ?貴様の前任アベル=ガイドは、タルブ戦で陛下の前で立派なチャージを決めてみせた。後任の貴様も出来る様になれ!!」
「は、はいっ!!」
先輩竜騎士が出来た事が出来ないのは、後輩竜騎士の恥
ルネにもイッパシの貴族としての誇りと、竜騎士としての自負がある
才人に向かって真剣な眼を向ける
499大人才人 カタチ有る悪夢1-8:2011/02/27(日) 22:13:43.52 ID:8A/pVeu8
「悪いけど、騎乗で僕が負ける訳にはいかないんだ。叩き伏せさせて貰うよ、才人」
「おっし、頼むわ」
ダカラッダカラッ
お互い馬を走らせ槍が交叉し、騎士が馬上でひっくり返る
今度は才人だった

*  *  *
ルイズが朝、教室に顔を出すと、黒髪に皆が驚くが、魔法の染料で遊びで染めたと告白した為、特に騒ぎにはならなかった
セーラー服を着ていたのだが、やはり初日と違って、威力が下がっている
特に、タバサと被ってしまってるのが、非常に痛い
タバサも才人から貰ったセーラー服を纏っている
どうやら、相当お気に召したらしい
そんな中、キュルケが何時もの格好で、ギクシャクしながら入って来る
才人の精の匂いに人一倍敏感なモンモランシーがピクリと反応し、無言でキュルケの手を引っ張り、教室外に連れ出す
「ちょっとキュルケ、どういう事よ?」
「やっぱり、モンモランシーにはバレちゃうかぁ。結構香水で誤魔化したんだけどなぁ」
悪びれもせず、キュルケは答える
「だから、どうして?」
「ルイズの髪見たでしょ?」
「えぇ」
「あれのせいで、ダーリン思い切り落ち込んだの。捕まえてなかったら、学院飛び出してたわ」
「…本当に?」
「本当よ。だから私が慰めようとして、逆に虜になっちゃった」
モンモランシーはこめかみを押さえ、眉間にしわを寄せる
「ふぅ、何で私に振らないのよ?」
「ごめん、チャンスと思った」
「で、どうだった?」
「最っ高。モンモランシーが、首ったけになった理由が解っちゃった」
「あんたもか」
がくりと肩を落とすモンモランシー
「まぁ、私はガチで取り合いする積もりは無いわよ。でも、私にも回してね」
キュルケはウィンクをし、モンモランシーは溜め息で応じる
「解ったわよ。でも、今度の虚無の曜日は私に回してよ。冗談抜きで、我慢出来ないのよ」
「はいはい。でも、才人が他に約束してたらどうするの?才人って、虚無の曜日は私達が趣味に誘う為に、大抵連れ回してるじゃない?タバサは、才人だけは読書中でも部屋に入れるし。ルイズも乗馬訓練と称して、才人を独り占めする気満々よ?」
「才人には会ってから聞くわ。だからお願いね」
「はいはい」
両手を広げて肩をすくめ、キュルケは教室に戻り、モンモランシーが後に続く
教師が教室に入り授業が始まった

*  *  *
500大人才人 カタチ有る悪夢1-9:2011/02/27(日) 22:16:17.65 ID:8A/pVeu8
昼過ぎにアニエスと才人がベンチに座ってると、シエスタがやって来た
ルネは馬上試合で才人に余裕で勝ち越したのだが、休憩無しでぶっ続けた為、昼飯を食った後、バタリと倒れた
アニエスは、そのまま医務室にルネを才人を使って放り込み、邪魔者が消えたと内心喜び、気絶させたままにしている
もう一つの理由は、スタミナ切れで動かすと、帰りの足に竜騎士が使えなくなるせいもある
馬で帰るのは、才人との稽古後はアニエスでさえ、ご免被るのである
「あら、才人さんにシュヴァリエ、長い休憩ですね」
「そうでも無いぞ?才人が使い魔の飯作った後、新人とずっと稽古して、今しがた昼にした所だ」
「今日は才人さん、ミスヴァリエールの傍に行かないんですか?」
「あぁ、ちょっとな」
「そうですか」
そう言うと、シエスタは才人の左隣に座る
アニエスは、才人の右隣だ
アニエスのこめかみが一瞬だけピクリとしたのをシエスタは見逃さない
だが、シエスタは構わずに才人に話かける
勿論、しっかり密着しながらだ
「才人さん。プレゼントです!!」
「ん?何?」
「じゃあ〜ん」
シエスタが両手に出したのは、長い長い手編みのマフラーだ
「へぇ、シエスタ器用だねぇ」
「才人さんには負けちゃいます。ちょっと、巻いてみて下さい」
才人が受け取り、マフラーを首に巻く
アニエスはこめかみがぴくぴくしてるが、才人は気付かず、シエスタはちらりと視線を流し、アニエスだけに解る様に、ふっと表情を変える
「へぇ、こりゃ暖かいや。空の上は寒いからなぁ、助かるよ。シエスタ、有り難う」
「そんな……妻として当然の行為です」
頬をぽっと染めて、はにかむシエスタ
ギリ
奥歯をかしめる音が聞こえた様な気がするが、才人はマフラーの長さに気を取られ、無視する
「シエスタ、このマフラー長くないか?」
「そんな事無いですよ。これはこうするんです!!」
余った分を自身に巻き、そのまま才人にもたれかかる
「どうですか?」
「あぁ、成程ねぇ………ウ、ウグッ」
ギリギリとマフラーが絞め上げられ、血管が絞まり、才人が落ちる
「ちょっと、シュヴァリエ!!何するんですか!!」
「あ、いやぁ、つい」
501大人才人 カタチ有る悪夢1-10:2011/02/27(日) 22:17:00.88 ID:8A/pVeu8
アニエスは悪びれない
「ついで、才人さんを落とさないで下さい!!」
「……私は、不器用だからな」
「私は、才人さんに押し倒して貰った事なんか無いです!!」
アニエスは眼を見張る
「……知ってたのか?」
「貴族の皆様の行為の目撃なんて、私達メイドは日常茶飯事です。口が堅くなきゃ、メイドは出来ません」
「…悪かった」
シエスタはふぅと溜め息をつき、告白する
「私では、才人さんの背中は守れないんです」
「お互い、無いものねだりだな」
「ですね」
ぷっと二人は吹き出した

*  *  *
キュルケは授業の合間に、熱心に編み物をしてるルイズに近寄る
「あぁら、ルイズ。何やってるの?」
何時もより、キュルケの香水がキツイ
ルイズは露骨に顔をしかめる
「移るから近寄らないでよ。今日は香水キツ過ぎよ?」
「ちょっと、失敗しちゃったのよ。ご免して」
ルイズは黒髪を揺らしながら、一度編み物を机に置き、キュルケを睨む
「其より、ツェルプストー。あんた、昨日何も無かったでしょうね?」
「何が?」
「何がって、その、あの」
「きちんと聞いてくれないと、解らないわぁ。おーほほほほ!?」
手を口に添え、敢えて高笑いするキュルケ
明らかに遊んでいる
「ななな何がって、そそそその、ああああたしの使い魔と、ええええ」
ガチン
舌を噛むルイズ
「いひゃい」
「何、やってんのよ?ちょっと、編み物見せて………これ、前衛芸術?」
キュルケの眼には、編み物の様なモノが映っている
傍で、成り行きを見守っていたクラスメイトも、クスクス笑っている
どう見ても、オブジェにしか見えないのだ
モンモランシーが見て、呆れて口を挟む
「ねぇ、もしかして、才人にプレゼント?」
「ち、違うもん。使い魔には関係無いもん」
「そういう事にしてあげるわ。一々面倒いし。でも、努力は買うけど、使い物にならないわよ?それ」
「だ、大丈夫だもん。犬なら着てくれるもん」
「語るに落ちたわねぇ、ヴァリエール」
キュルケがからかい、墓穴を掘ったルイズが赤面する
ぷっ、くすくすくす
「わ、悪いよ。本人一生懸命なんだから」
必死に笑いを噛み殺そうと努力をし、失敗するクラスメイト達
そんなクラスメイト達に、水がぶちまけられる
バシャア
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
杖を振るった犯人を皆が睨むが、逆に睨み返される
「理由は解るでしょ?少なくとも、私は笑えないわね」
モンモランシーが言い
502大人才人 カタチ有る悪夢1-11:2011/02/27(日) 22:20:19.92 ID:8A/pVeu8
皆も引き下がる
少なくとも、真剣にやってる人間を茶化すのは良くない。しかも、後ろに居るのは、絶対に怒らせてはいけない使い魔だ
男子生徒は容赦無く吊され、女子生徒でも公衆の面前でお尻ぺんぺん位は、平気でするだろう
更に魔法衛士隊のド=ゼッザール隊長に決闘で勝利した様を、ギーシュが興奮冷めやらぬ体で、散々に吹聴してしまった
彼の前では、メイジと言えど、学生風情じゃ太刀打ち出来ないのだ
恥に、更に上塗りをされかねない
ルイズは居なくても、自身を守る絶対の守護者の存在を、こうやって実感する
以前なら、この後は馬鹿にされっぱなしだった
「ねぇ、ルイズ」
「何よ?礼なら言わないわよ?」
「別に要らないわよ。でもさ、才人にプレゼントしたいなら、もっとしっかりしたの、プレゼントしたいと思わない?」
「サイトの好みなんて知らないもん」
「そうじゃないわよ。才人は手作りでも喜ぶわよ。でもね、実際に着て貰いたいって、思わない?」
「やっぱり……着れないかな……」
ルイズはしゅんとする
「幾らダーリンでも、ちょおっと無理有るわねぇ」
キュルケが穏やかに否定する。やはり、現実は現実である
才人なら、多分穴を無理矢理開けて着るかもしれない
でも、サイズが合わないオブジェに首を絞められる様を、ありありとキュルケは思い浮かべる
「ほら、顔を上げてルイズ。私もお母様に、編み物や裁縫は、一通り仕込まれてるのよ。自分の赤ちゃんに、手編みを作るのは、淑女のたしなみだって。私がチェック入れるから、最初からやりましょ?」
「教えて……くれるの?」
ルイズは顔を上げ、モンモランシーを見る
「シエスタには、教わりたく無いんでしょ?あんたの気持ち、痛い位解っちゃうのよね。いやぁね、全く。ほら、毛糸なら何度でも出来るから、一旦解きましょ」
「う、うん。有り難う、モンモランシー」
「礼はきちんと出来上がってから言って欲しいわ。だって、ルイズは多分泣き入るもの」
モンモランシーが編み物の様なモノを受け取り、毛糸を解いていく。ルイズから見ると、するする解いていく
「ほわぁ、凄く簡単に解けるんだ」
「何言ってんのよ?あんたきちんと編み目やって無いでしょ?結ばれちゃってるじゃない。このっこのっ、ふぅ取れた」
するすると解くが、全て解くのに、昼休みを全て使うハメになった

*  *  *
才人が部屋に戻って来たのは、夕食前だった
503大人才人 カタチ有る悪夢1-12:2011/02/27(日) 22:21:35.62 ID:8A/pVeu8
扉の残骸を見て、幾分反省したのだろう
ルイズの顔を見るなり両手を合わせ、謝る
「ただいま。あ〜、ルイズごめん、昨日はどうかしてたわ。扉弁償する?」
「扉の交換費は経費で注文するから要らないって話よ。何で昨日あんな事したの?」
「どうかしてたんだよ」
「…そう(あたしには、まだ喋ってくれないんだ)」
「ルイズ、昨日は言わなかったけど、セーラー似合ってるぞ」
「そ、ありがと」
ルイズはそっけない
昨日あれだけの事が有ったのだから、素直に喜べないのだ
才人も承知している為、特に反応を返さない
「じゃ、飯に行こうか」
「そ〜の〜ま〜え〜に〜」
ゆらりと魔力を立ち上げ、ルイズはギロリと才人を睨み、才人は肩をすくめる
「うへっ」
「ツェルプストーとは、何も無かったでしょうねぇ?」
「具体的には?」
「まさか、ヴァリエールの記録更新をしてないかと聞いてるのよ」
「其なら大丈夫。なって無いよ」
「本当に?」
「本当本当。だって俺、ルイズの恋人でも旦那でも無いしね」
サッと杖を抜いたルイズは、何も言わずに才人にエクスプロージョンをお見舞いし、才人は扉の残骸事、吹き飛ばされた
ドゴン!!
その後、ルイズがズタボロになった才人を食堂迄引きずり、周りは何時もの事と気にせず、二人(?)で夕食を食べ、風呂上がりで部屋で寛いでいると、才人がライディングジャケットを抱え、ごそごそやり始める
ルイズは椅子の背もたれを前にして腰掛け、そんな才人を眺めている
「サイト、何やってるの?」
「あぁ、インナー外して、ベンチレーション開けてる。そろそろ暑いからね、夏仕様だ」
ジー
インナーのファスナーを外し、各部のベンチ部分を開放し、通気性を確保する
ルイズはそれを見て、びっくりする
「服に穴が開くの?」
「元々こういうデザインなのさ」
「誰が作ってるの?」
こんな機能を持った服なぞ見た事が無く、しかもジャケットの前を閉めると才人の逆三角形体型が強調され、ルイズは惚れ惚れするのだが、才人には言ってない
「elFだな」
「エルフ!?」
思わずびくりとして、椅子の背もたれに組んでた腕事、ずり落ちる
「ななななんで、サイトの国にエルフが居るのよ?エルフが、その硬い服を作ったの?」
「elFって名前のメーカーだよ。ハルケギニアのエルフとは関係無いよ……多分」
「多分って、どういう事?」
504大人才人 カタチ有る悪夢1-13:2011/02/27(日) 22:26:26.01 ID:8A/pVeu8
「最近、自信を持って言えないんだわ。あちこちに繋がりが繋がってそうでな。例えば、コイツには気付いたか?」
煤けてて、糸も解れて今まで気付かなかったのだが、腹脇の所に僅かに青白赤のトリコロールが残っている
そう、レコンキスタの旗だ
「レ、レコンキスタぁ!?」
ルイズは指をつきつけ、わなわな震えている
「サ、サイトって、レコンキスタだったの!?」
「嫌、違う。此はこのジャケットを製造したメーカーの本拠地の国の国旗だ。な、びっくりしたろ?」
ルイズはぶんぶん頷く
「だから、何か関係ありそうなんだよな。変な所で繋がり感じるんだわ」
そう言った才人の眼は、違う所を見ている
こういう時、ルイズから見た才人は、とても遠く見える
「じゃあ、サイトは謎を解くの?」
「いや、解らん。繋がりを示す物が多数出るなら、誰も知らないだけで、行き来が比較的容易なのかも知れない。今はまだ推測段階だ。一方通行かも知れないしね」
『行き来が……容易かも!?そしたら、何も気にしなくて良くなるじゃない!!』
「どうして、そう思うの?」
「例えば、ソウイルのバインドルーン。破壊の杖。零戦、そして村雨。更に俺。ルーン自体も、俺の方の世界にも有った気がする。ちょっと、詳しくないけどな」
「ふんふん」
「始祖ブリミルは降臨したんだよな?」
「うん、そう伝えられてるわ」
「つまり、何処からかやって来たって訳だ。なら、始祖ブリミルは、俺の様に俺の世界からやって来たとしたら、どうだ?」
ルイズは才人の顔を真剣に見る
「そっか、降臨したんだから、ハルケギニアとは違う何処かから、来た可能性が高いのよね」
「ま、過去の話だから、幾らでも装飾出来る所が、歴史の浪漫だな」
ルイズはくすりと微笑む
「何だか、過去の話がいきなり面白くなって来ちゃった」
「だろ?」
二人してクスクス笑う
才人はジャケットをハンガーを通し、壁のハンガーかけにかける
才人は、ハンガーをルイズから譲って貰い、日曜大工でハンガーかけを自ら壁に増設している
クローゼットに押し込むのは、当初ルイズが当たり前に反対し、こうなった
ただ、最近は何故かクローゼットに押し込まれてる時が多々あり、しかも、ルイズの香迄使われて、匂い付けされる時が良くある
505大人才人 カタチ有る悪夢1-14:2011/02/27(日) 22:28:05.63 ID:8A/pVeu8
ルイズによる、この男(≠使い魔)は自分のモノだと言う自己主張、マーキングである
才人は貴族のたしなみのせいかと、そこまで考えていない
「さて、寝るか」
「うん」
ルイズはクローゼットからネグリジェを取り出し、才人に渡す
「今日はこれ」
「解った………パンツは?」
「…い」
「い?」
「…要らない」
非常に小さい声でルイズは喋る
『何考えてんだろうねぇ、コイツは?』
才人は何も考えず、ルイズを脱がせ、ネグリジェを着させ、抱っこしてベッドの定位置にふわりと置く
才人からするとルイズは軽い
元の仕事で数十kgの物体を扱う為、全身に筋肉が付いており、稽古で筋力を更に付けてしまった為、女性は本当に軽く扱える
そんな才人にふわりと扱われ、ルイズはぽーっとなる
『あぁ、何でこんなに軽く扱えるのかなぁ。あたし、軽いとは言っても、一応一人分の体重有るのよ?』
才人が下着姿になり、ルイズの隣に来ると、ルイズは定位置から才人に腕枕をして貰い、身体を絡める
才人の動じない姿勢にはもう慣れたが、それでも、やはり心は軋む
『あたしを女のコとして、見て欲しいなぁ。何時まで、使い魔のまんまなのかなぁ』
そんな事を考えつつ、脚を意識的に才人に絡め、ストンと眠りに落ちて行く
そして王宮では事件が起きていた事を、この時点で、二人は知らない

*  *  *
506大人才人:2011/02/27(日) 22:35:34.69 ID:8A/pVeu8
投下終了なのね〜
抜き出しのせいで完全に読み違えたのね
きゅいきゅい
では、大人才人タクティクスなのね

今回は誰にしよう
ギーシュにするのね
「うわ、なんか僕が出るのすんごい久し振りだね」
「じゃあ先ずはエルフってメーカーは、バイク用品のフランスメーカーだよ。最初はラフ&ロードを設定してたんだけど、フランス繋がりでエルフに変更したんだって」
「まぁ、気になる人は調べてみてね。多分才人がどんな格好か理解出来ると思うよ」
「さて、段々きな臭くなって来た本編。僕は活躍の場が有るのかなぁ?」

有り難うなのね〜
では、またの更新迄さよならなのね
きゅい
507名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 22:38:25.46 ID:8A/pVeu8
あ、容量もうない
気付かなかったわorz
508名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:25:16.09 ID:QlP7zhjh

アニエス……ミシェルの苦労も知らないで。
509名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:35:30.21 ID:E+BU6/Ie
510名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:48:34.92 ID:9nUfyAOd
>>509乙なのね
511名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:52:47.76 ID:JyLvEE8o
>>509
苦しゅうない
512名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 01:52:48.58 ID:xeV8BTf1
元住吉マジ地元www
乙です!
513名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 17:08:29.03 ID:3w0RtLTi
乙です
アニエスはもう隊長やめてフリーになれ
514名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 19:31:01.33 ID:cAq/hEJX
いや、フリーになるくらいなら嫁になるんじゃないか?
515埋めねた
シルフィのちっちゃい冒険2
「…良し、新作が出来たのね〜」
とんとん
タバサの部屋で原稿を整理して、にこにこしてるシルフィード
「さてと、感想を誰かに聞かせて貰いたいのね〜」
何故かキュルケのセーラー服とスカートを纏い、寮を出てキョロキョロしながら適当に物色すると、一年女子の一団が通りがかり、シルフィードを興味津々に見ている
「水兵さん……ですか?」
「あ、丁度良いのね。え〜と、けちなろってりあ?」
「ケティ=ラ=ロッタです!!」
「そうそう。お姉様と同じ無い乳とお仲間達。ちょっと、感想聞かせるのね」
「胸が有るからって、馬鹿にしないで下さい!!」
プンプン怒るケティ
「まぁまぁ、良いから見るのね」
原稿をぱさりと渡し、促す
「もう、何なんですか?一体」
ケティは読み進める内に、段々赤面し、読み終わると黄色い悲鳴をあげる
「い、イケマセンわ!イケマセンわ!殿方同士だなんて、不純です!不潔です!汚れてます!………続きはありませんの?」
原稿を友人に渡すと、友人達も読み始め、同じ様に黄色い悲鳴をあげ始める
シルフィードは胸を張り、指を振り子の様にちっちっと振り、力説を始める
「ふ、これだから、下等な人間は困るのね。イルククゥみたいな古代種達にとって、作品とは自分で作りあげるモノなのね。ようこそ、創作の世界へなのね〜」
「…例えばどうしますの?」
ケティが聞くと、鼻息を荒くしたシルフィードが、ぐっと拳を握り掲げながら興奮しながら喋り出す
「妄想をかきたてペンに乗せて、あらん限りの欲望を文章にするのね!!作品とはエロにあり!!なのね!!」
何故か感動した面持ちでシルフィードを見てた一年女子達
ケティががっしとシルフィードの手を掴み、目から大粒の涙を足らして喋り出した
「目から大量の鱗が落ちました!!お姉さま、いえ、師匠と呼ばせて下さい!!」
「そうと決まれば善は急げなのね。さぁ、創作の世界にいざ出発!!なのね!!」
「「「「はい!!師匠!!」」」」

*  *  *
ガチャ
タバサが部屋に帰ると、何故か一年女子が4人とシルフィードが何処からか運んで来た机の上で、皆でかりかり書いている
鬼気迫る姿に開いた瞬間後退り、思わず杖を握り直す
「…何、してるの?」
「あ、お姉様お帰りなさいなのね。皆で創作活動なのね」
聞こえて来る音はペンの走る音と、不気味に呟く声

パタン
扉を閉め、タバサはキュルケの部屋に避難する事にした