そこはとあるお屋敷。
夏の朝、風は清々しく差し込む日差しは輝かしい。
燦々と降り注ぐ陽光が夏の盛りを報せるまでの静かなひと時。
緩やかな時間。
朝食後の優雅なティータイム。
給仕するメイドとそれを受ける年若い主人。
でもそれは今日に限っては少し違っている様だ。
「雛子、お茶のお代わりを」
「かしこまりました」
この二人何かが違う。
メイドの動きがぎこちないのはただ不慣れなだけだろう。
その様子を見てやたら主人がニヤついているのも、そのメイドを気にかけているからか。
何が違うと言うのか?
「遥人様、茶葉を取り替えますので少々お待ちください」
お代わりの要求を受けメイドが支度をする。
しかしその言葉に主人が反応を示した。
「雛子ちゃん、言葉使いがなってないわよ〜。最後に『ませ』をつけなきゃ。
はい言い直し」
言われメイドは面食らいながら言い直した。
「ええと、遥人様、茶葉を取り替えますので少々お待ち下さいませ」
「はい、良くできました。偉い偉い、メイドとしてちゃんと覚えておいてね」
主人は完全にメイドをあしらっている。
よくよく二人を見ると、その違和感の正体がはっきりしてきた。
主人の方は娘の様なのだが、何故か男装しているのだ。
まあ、これは服装の趣味と言えなくもない。
だがしかし、メイドの方だ。
遠目に見ては女性とも思えるのだが、仕種などを良く見ればそれが少年だと直ぐに見てとれる。
昨今『男の娘』なるものが認識されるようになって来ているとは言え、
格式に拘るお屋敷の使用人と言う仕事において認可されるものではない。
ならば何故なのか?
答えは男装の娘が謀った事に他ならない。
娘の名前は雛子と言う。
本来はこのお屋敷の使用人で、今メイドの姿をしている少年のお傍付きメイドをしている。
メイド姿の少年の方の名は遥人(はると)、この屋敷の子息であり、
本来は紛れもなく雛子の主人にあたる人物だ。
それがメイド服を着込み、本来は使用人であるはずの雛子の給仕をしていると言うこのおかしな光景は何故か。
訳は雛子と遥人が幼馴染であった事が起因しているのだ。
遥人は雛子の誕生日に彼女が望むものをプレゼントする事を約束したのだが、なかなか答えない雛子。
なかなか決められないとの答えに遥人も待っていたのだが、知らされないまま日にちは過ぎて行った。
そして雛子の誕生日である今日を迎えた朝、雛子の望みが伝えられたのだ。
なんとそれは遥人と雛子が立場を交換すると言うものだったのだ。
一日雛子が主人として過ごし、換わりに遥人がメイドとして雛子に仕える事。
それが雛子の望みだったのである。
雛子の一方的な押しにより名前も交換し、なおかつ衣類も下着に至るまで交換したのだ。
そして雛子はご主人様の立場と遥人をメイドとして扱う事をすっかり楽しんでいると言う訳である。
「だけど、雛子ちゃんは紅茶入れるの上手なのね。知らなかったわ」
「まあ、嗜みの一つって言うのだよ。俺が紅茶好きなのもあるけどね」
「ほうほう、それはお茶の時間が楽しみ楽しみ」
姿はともかくそのやり取りは仲の良い男女そのものだ。
「あっと」
不意に雛子がティースプーンをひっかけ床に落としてしまう。
だがそれを見てすぐ何かを思いついたようで含み笑いを浮かべた。
「ほら、雛子。ぼーっとしていないで拾わないか」
「あ、はい、只今お取り換えをいたします」
言われ遥人は反応し新しいスプーンを用意しテーブルにセットしたその途端だった。
バシッ
「はう」
「こら、雛子ダメじゃないか」
雛子に額を思いっきり叩かれた。
かなり痛い様で堪らず両手で額を抑えじんわり涙を浮かべうずくまる遥人。
その仕種が少し可愛いかったりする。
遥人にして見れば、どこにも粗相のない対応だったはずなのだが、何故叩かれたのか分からない。
「メイドは直接旦那様を見ちゃいけない」
雛子がわざと抑揚のない声で言う。
「本来ならその目を抉られても文句を言えないところさ」
「なんだよそれ。怖い事言うな」
そんな作法は聞いたことがない。
そしてその処罰に慄く遥人。
「ふっふっふ。 by黒執事」
「アニメかっ!」
どうやら、今の件は雛子が好きなアニメのシーンを真似て見ただけらしい。
思わずツッコミを入れる遥人もノリが良い。
「まあ、冗談はさておき。雛子ちゃんのこれからの仕事なんだけど、まずはここの後片付けよ。
調理室に下げたら朝食摂って良いから。食べたら洗いものね。その後は寝室のリネン交換。
次は奥様よりお預している温室お手入れね」
「あの温室って雛子が世話をしていたのか。
てっきり庭師の高井戸さんがしているものだと思ってたよ」
「温室だけは特別なのよ。
ずっと奥様がお世話をされておられたのだけれど、
私がメイドの仕事を専属でするようになってから任されるようになったのよ」
「そうだったのか。知らなかったな」
「さ、無駄話は置いて片付け片付け。しっかり働くんだぞ雛子」
所々素に戻る二人だが、立場交換の方も演じるのを忘れない。
「かしこまりました遥人様」
遥人の方はまだ雛子を自分の名前で呼ぶのが少し恥ずかしい様で、
恥ずかしさを隠すようにティーセットを食器のワゴンに乗せる。
「御用があればお呼び下さい」
ドアの前で退室の際の決まり文句を言いお辞儀をした後、遥人はそのまま部屋をでる。
雛子はその姿を見送り満足そうだ。
遥人はワゴンを押し調理室へ向かう。
調理室とは言ってもお屋敷の厨房とは違い簡易なもので、ほとんど遥人の為にある様なものだ。
使う人間も雛子がメイドの仕事を専属でするようになってからは、ほぼ雛子しか居ない。
このお屋敷では家族がそろって食事をするのは夕食時のみなのである。
朝は各々が自室などでとるのが通常だ。
同じお屋敷に住んで居ながらそれまで顔を合わせない事も多い。
少し寂しい事の様な気もするが、それも仕方がない。
実際の所はお屋敷が広すぎるために移動が大変なのだ。
遥人の部屋のあるエリアはホールや食堂がある場所よりだいぶ離れており、
そのエリア全体が小分けされた遥人の屋敷と言う感じだ。
小分けと言っても一通りの設備は整っており、作りが古い他は高級マンション並みなのだが。
「さて、洗いものか」
キッチンに立つ事などはお湯を沸かす以外にない遥人だが、
洗いものの仕方ぐらいは分かると言うもの。
メイド服の袖をまくると慣れない手つきで洗剤を付けたスポンジで洗いものをこなして行く。
実は食器洗浄機があったりするのだが、
遥人は解っておらずわざわざ手洗いをしてしまったのだ。
「あとは乾いたら棚に戻せばいいか」
洗いものを終えた遥人は、朝食をとる事にする。
この朝食は遥人を起こす前に雛子が用意したもので、
先程雛子に出した朝食も雛子が予め自分で作ったものを運んだのだ。
朝食は雛子に出したものと同じ、ロールパンにオムレツとジャーマンポテト、
サラダにオニオンスープ、デザートにフルーツのヨーグルト掛けといったメニューだ。
ただ雛子の趣味なのか、スープカップがデフォルメされたパステルピンクの熊の顔を模した形をしており少し照れる。
メモ書きに従い、ジャーマンポテトとオムレツをオーブンレンジで温める。
使い方が良く解かっていないようだが、温めボタンを押せば良いとの事でそれに従った。
後は火にかけたスープをカップに注いで準備を整え食事にする。
「いただきます」
いつもと違う場所で食べる朝食は不思議な感じだ。
そしてメイド服を着ていることが余計変な感じだ。
スカートの丈は長いので、よくあるスースーする感じと言うのは無いのだが布地が足に纏わりつく感じがするのだ。
布地も結構な重さがある。
これなら少々の動きや風ではめくれあがる事は無いだろう。
貞淑さをイメージしてデザインされているのか肌の露出がほとんどなく、首元も詰襟になっている。
ただパフスリーブの袖や大きく真っ赤なリボンタイが地味さを感じさせない。
レースとフリルがたっぷりのバッククロスの白いエプロンも相まっている。
いつも見ている雛子のメイド服だが自分がそれを着ているのを見ると遥人は本当に雛子になってしまった様な気がしていた。
そんな事を考えながら遥人が食べていると、突然調理室に雛子が現れた。
「おや?雛子ちゃんまだ食べてたの?そんなにゆっくりしてちゃ仕事は終わらないわよ」
言って流しの方を見た雛子は先程下げた食器が洗われているのを見てため息をつく。
「あのねぇ雛子ちゃん。どうして先に洗いものをしちゃう訳?
今自分の食べた分の食器はいつ洗うのかしら?二度手間になるでしょ。それに食器洗浄機使いなさいって」
その指摘に遥人は自分の手際の悪さに言葉がない。
「まあ、メイド初心者の雛子ちゃんだからしょうがないか。謝れば許してあげるわ」
そう言う雛子の表情は何かを企んだあの含み笑いだ。
左手を腰に当て右手の人差し指を口もとで立てながら言う。
「た・だ・し、かわい〜くご主人様に謝らないとダメよ」
遥人は知っていた。
雛子がそんな仕種をした時は必ず悪戯を思いついた時だ。
そして、その対象はいつも自分であった事を。
「か、可愛くってどんな?」
「そうねぇ、こう両手の指を組んで祈るように上目遣いでこう言うの
『お許し下さい遥人様。雛子は、雛子は遥人様の事をお慕いしております。
遥人様にだけを想い続けております。ですからどうかこのままお傍にお置き下さい』って感じでどうかしら?」
「ちょっと長いって。それに可愛いとか言うより思いつめてる感じだよ」
「まぁ確かに。じゃあ『もう雛子ってばドジっ娘さん♪遥人さまゴメンなさい。てへ☆』でウインクってのは?」
「いまいち感性が古くない?」
「むぅ古いとは何よ。古いとは。だったら自分が可愛いと思うのをやって見せなさいよ」
「えー、いやー、そう言われても」
「出来ないんだったら、さっきの両方やってもらうから。そしてそれを動画で保存して好きな時に楽しませてもらうから」
「うわ、横暴な」
使用人の仕事を放れた時の幼馴染である雛子の顔はいつもこんな調子だ。
だがいざ仕事となれば遥人に付き従いきっちりとメイドの仕事をこなし、一人で何でもこなせる万能さを発揮する。
オンオフのスイッチが確りとしているのである。
雛子はやると言ったらやる娘だ。
ここは遥人が自分で考えた可愛い謝り方をしなければ、
絶対に先程の恥ずかしい謝り方をさせられたうえに携帯で動画保存される事だろう。
遥人はそう考え意を決する。
「べ、別に悪いだなんて思って無いんだからね。
初めてなんだからしょうがないじゃない!初めてなのよ?初めて。私だって頑張ってるんだからね。
遥人さまはもっと私を労うべきよ。
そう、私は悪くないったら悪くないわっ! …でも、あの、気付かせてくれてありがと」
「おおっ♪ツンデレね。なかなかやるわね」
雛子は今のに大変満足した様だ。
対する遥人は渾身の台詞に恥ずかしさのあまり顔が真っ赤だ。
その表情が照れ隠しをした時のツンデレ娘そのものなので、さらに雛子は御満悦と言うものである。
「完成度高いわね。私を萌え殺す気なの?」
遥人は恥ずかしくて返事が出来ない。
「予想以上に良いものが見られたわ。これはもう永久保存版ね」
言って雛子は携帯を操作しデータをすぐさま保存し保護をかける。
「ええっ!ちょっ!?今の撮ってたの???」
慌てふためく遥人。
「当たり前じゃない。大丈夫これは私だけの至宝の品として門外不出よ」
「そういう問題じゃない、そんなの公開されたら100回は死ねるよ!」
「ふっふー、ご馳走さま〜。重畳、重畳」
悪ノリが好きな雛子だが今日は特に凄い。
遥人がこんなにはしゃぐ雛子を見るのは子供の時以来だ。
これも誕生日のお祝いの一つかとも思い遥人はもう諦める事にし、
さっさと食事を済ませようと、ため息とともにジャーマンポテトを口に運ぶのだった。
〜続く〜
取りあえず今投稿できるのはここまでです。
この作品書いていてすごい楽しいのですが、おいしいシーンとかフェチな要素とか全然入れてないんです。
自分だけ楽しくて御免なさい。
このお話は、美少年ショタの遥人がいじられまくると言った内容でずっと続きますのでw
温かく見て下さい。
438 :
407:2011/04/02(土) 05:06:45.33 ID:h/htC9tf
ヒヤッハー! 「そこはとあるお屋敷」の続き、ついにキターーッ!
テンションが自然と高まります。GJ!
「おいしいシーンとかフェチな要素とかなんて、人それぞれじゃない」byみつを
無理に一般的萌え・エロシーンを入れなくても、十分wktkできる作品だと思いますよ。
それと掲載許可、ありがとうございます。
修正版のお申し出も有難いのですが、さすがにココでメアド自体をさらすのは、ちょっと躊躇いますので……。
もしお手数でなければ、「星河丘学園」という単語をググッて出るSSブログの、筆者宛てにいただければ助かります。
439 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 22:11:49.91 ID:xtzOp0oK
ゆあ・ゆうじぁりーの続きが気になる
440 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 22:18:05.38 ID:P+lXaurA
逆に熟女との立場逆転ってアリ?
熟女と高校生男子が入れ替わって男子高校生がフィットネスクラブだスイミングスクールだエステだと忙しくしてる間熟女が高校生活エンジョイとか
ギャップがあって良いと思う。
ついでに家事の苦労と夜の営みまで体験してもらいたいですね。
あと近所付き合いの大変さとかも。
逆に男子高校生になった熟女にはジュネレーションギャップに戸惑ったり、
男子のアホな行動に面食らったりして欲しいです。
>>439 お待たせしてすいません。
思ったより長くなってしまってまだ時間がかかりそうです。
続きは書いてますので気長にお待ちいただけると。
気にかけて頂けると励みになりますので、頑張ります。
個人的には立場入れ替わりの他者視点が見たい。
肉体変化無し、本人の意志継続の状態で。
男性ホストと若妻の入れ替わりを夫の立場でとか。
妻の立場になったホストと喧嘩しながら、
ホストとして年上の女性を満足させなきゃいけない妻を慰めているうち、
妻の立場のホストが見せる女らしさにドキッとしたり、
ホストの立場の妻の仕事とは思えぬ女性への熱中ぶりに不安がったり。
だんだん慣れてきたころ、いつの間にか入れ替わりは戻ってるんだけど、
当事者たちは誰も気がつかず入れ替わった生活を続けてるとか面白いと思う。
個人的には
肉体と好みと名前だけ入れ替わるのもアリかと。周りの認識はそのままで
444 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 03:06:14.85 ID:CamIda5c
デブ女とスポーツマンの入れ替わり
運動ができないことをスポーツマンにバカにされたデブ女が仕返しとして立場を入れ替える
「スポーツマン」になったデブ女は100m走で他の男子に大差を付けて一等を取って体育の授業で大活躍
逆に「デブ女」になったスポーツマンは他の女子に大差を付けられてビリで体育の授業の笑われ者に
>>440 それなら高校生男子がフィットネスクラブやスイミングスクールの女子更衣室でハァハァして
女同士?の気安さで周りの女性に手を出してメロメロにさせるとかがいいな。
446 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 22:01:50.37 ID:CamIda5c
周りもみんな熟女なんだろうしそこで自分の母親と対面とか
もしくは最初から母親と入れ替わるとかも面白いかも
母親と入れ替わった状態で三者面談とか
正確にはTS物の範疇に入るんだろうけど、受験生と母親ネタで、
1)ガミガミ教育ママのせいで、ノイローゼになり痩せ衰える息子。
見かねた継父が特殊な皮を作り、妻を息子の、息子を妻の姿に
変えてしまう。息子になった元妻を、かつての妻の計画通りに
ハードスケジュールで追いつめる夫。心を閉ざした「息子」を、
今度は夫と「妻」は優しく見守ることにしたのだった。
2)受験生なのに性的なことで気が散り、勉強に集中できない息子。
見かねた母が、合格するまで息子のチンコを預かることに。
医者によって、息子のチンコ&睾丸が母に移植される。
煩悩の元がなくなって勉強がはかどり、無事合格した息子だが、
なぜかチンコを返してもらえず、幼馴染の女の子とともに女子
として高校に通うことに……。
という作品を昔読んだ気がする。
コレを、このスレ的に「立場交換」で応用すると、おもしろいかもね。
#原作者の人の許可をいただいたので、ブログで加筆修正! ……の予定なんですが、どの道エロエロな描写は掲載できないことに気付いた罠。
#せっかく書いたのに悔しいので、コチラに投下させていただきます。
#406の後半部に入るべき描写だと思ってください。
「美輝さん、ちょっとゴメン」
部屋の前まで来てドアを開けたところで、「和貴」は姿勢を変えて、右腕を「美輝」の両脇に通し、チャコールグレーのストッキングに包まれた脚に左腕をかけると、それを払うようにして、抱き上げる。いわゆる「お姫様抱っこ」の姿勢だ。
思った以上に「美輝」の体重は軽く、長時間はムリだが、多少の見栄を張ることはできそうだった。
「あ! か、和貴くん……」
さすがに驚いたのか「美輝」の酔いも少し醒めたようだが、それでも「彼女」は抵抗しなかった。むしろ、嬉しそうに「彼」の首に腕をまわしている。
「和貴」は「美輝」を抱いたまま、部屋の入口を通る。ドアは自動ロックなので、施錠を気にする必要はない。
「和貴」は、リビングに来ても「美輝」を降ろさず、そのままベッドルームまで運ぶ。そして、「美輝」を、ベッドの上にそっと降ろした。
「う……かずき、くん」
頭に血が回ったせいか、それまで以上に赤い顔で「美輝」はベッドの上で身じろぎする。
「あつい……の」
酔った勢いも手伝って、「彼女」が自ら誘うようにワンピースのボタンを外すと、胸元からチラリとブラジャーのラインが覗き見える。
「美輝!」
しどけなく乱れた「美輝」の格好に興奮を抑えきれなくなった「和貴」は、そのまま「彼女」に覆いかぶさった。気持ちを確かめるようにゆっくりと唇を奪う。「美輝」の唇も、それに応えていた。
お互いの唇が重なり求め合う中、「和貴」の舌が口の中に入ってきたときも、「美輝」にはもう、なんのためらいも尻込みもなかった。
「和貴」は、右手を「美輝」のドレスのすそへと這わせ、ストッキングに包まれた脚を愛撫し始める。
その一方で、左手で「美輝」の髪を撫でつつ、唇を頬の上に走らせ、耳たぶを軽く噛み、さらにうなじをチロチロと舐める。
「美輝」はもう、それだけで耐えられず、体をのけぞらせて声をあげていた。自らの耳に届くその声は、まごうことなく、発情した「雌」の声だった。
「和貴」の唇は、さらに位置を変え、鎖骨の辺りに舌を這わせる。同時に、右手は「美輝」のまろやかな尻や太腿などを優しく揉みしだき、左手は露わになったブラジャー越しに乳首をつまみ、刺激する。
すでに「美輝」の口からは、意味を為さない喘ぎしか漏れ出てこない。かろうじて時折「和貴」の名前を切なげに呼んでいるのが聞こえる程度だ。
執拗に「女の弱い場所」を攻めたてた後、さらには「和貴」は肌蹴た「美輝」の胸元からブラジャーをズラし、可憐なその桃色の蕾を露出させる。
そして、左手で片方の乳首をいらいつつ、舌先で逆の乳首を念入りに愛撫する。
「やっ……かず…く、ん……やめっ…て……あっ、あっ……あぅっ!」
それだけで、どうやら「美輝」は軽くイッてしまったようだ。
無論、それで終わりではない。
「和貴」は「美輝」のスカートをめくりあげ、履いているレースのショーツに指をかけ、ずり下ろす。
こうなることを予想、いや期待していたのか、今日の「美輝」はパンストではなくガーター&ストッキングなので下着を脱がせるのも楽だった。
ショーツの下には、「美輝」の秘部が隠されていた。
股間には、「彼女」の本来の性別を表す突起と球体がついているのだが、不思議なことに、これだけ感じているにも関わらず、そちらはほとんど堅くなっていない。
しかし……性器とアナルのあいだ、嚢部分の付け根のすぐ下あたりが、ヌルヌルとした液体で濡れているのだ。無論、カウパー腺液──いわゆる「先走り」ではない。
「ふふふ、やっぱり。ビショビショだ」
「あぁ……み、見ないで……」
「だーめ。美輝さんのこんな可愛いトコロ見れるのは、僕だけなんだから」
悪戯っ子のように笑うと、「和貴」は何もないのに液体が湧きだしていると思しき場所をペロリと舐め上げた。
「くひィンッ!!!」
それだけで、「美輝」の快楽のボルテージがMAX付近まで跳ねあがる。
「感度も良好っと」
「美輝」が何とか息を整えようとしている隙に「和貴」はスラックスとボクサーパンツを脱ぐ。
一見したところ、その股間の黒々とした茂みには、何もないように見える。だが……。
(あぁ……ナニか、ある!)
本能的に、「美輝」は目に見えないソレの存在に気づいたようだった。
「やっぱり、「美輝」さんにもわかるんだね。うん、コレが僕のモノだよ」
「和貴」が右手でソレをサッと扱くと、透明な液が「何もないはずの」場所から滲みだしているのが、「美輝」にはわかった。
(あれって……ペニス?)
信じ難いその事実を、快楽に蕩けた「美輝」の脳が理解しきる前に、「和貴」が「美輝」の下肢を大きく広げて、ソレを「彼女」の「穴」にあてがい、押し付ける。
ソレの先端から出た液と「美輝」中から湧き出る液とがヌチャリと混ざり合い、「目に見えないのに確かにある」熱い肉の先が、「美輝」の「存在しない膣口」を探り当て、押し込まれる。
ゆっくりと、「和貴」はその体重を「美輝」の中に向かってかけてくる。
「ああぁぁぁーーーっっ! う、ウソ!?」
何かが自分の体内(なか)に入ってくる感触に戸惑い、ほんの一瞬我に返った和貴だったが……。
「すごい……美輝さんの膣内(なか)、すごく熱いよ」
耳元でささやきながら、ゆっくりと「和貴」がペニスを押し進めていくと、コツンと「美輝」の奥にたどり着いた。
その瞬間、「和貴」の「男性自身」全部が「美輝」の「女性自身」にちょうどぴったり収まったのだ。
「はひィ!」
「ほら、美輝さん、全部入っちゃったよ? わかる?」
「うん……うんッ!」
例えようもない「充足感」、恋人との「一体感」に、たちまち「美輝」としての意識が強く喚起される。
「来て、和貴くん!」
下腹部から全身へと広がる快感に「美輝」は、知らず知らずそう叫んでいた。
「ははっ……うん、もちろん、もっと気持ちよくさせてあげるよ、美輝さん」
「和貴」の体がリズミカルな抽送を開始する。その動きによって「美輝」は自分が満たされるのを感じていた。
激しく、けれど決して荒々しくはない、体内を断続的に突き上げるその感覚に、「美輝」はいつの間にか涙を流していた。
けっして嫌だったからではない。むしろ逆だ。
(あぁ……わたしは愛されてる!)
愛する「男」に、「美輝」は犯され、貫かれていた。「美輝」のすべてが「彼」のもので、同時に「和貴」のすべてが「彼女」のものだった
「美輝さん……いいよ……すごくいい……もう、イきそう………中に出しちゃってもいい?」
「んあっ……あ、いい……いいわ! ああっ……そのまま出して……ああっ!」
もはや自分が何を言ってるのかすら、「美輝」にはわかっていない。
「和貴」の腰の動きが最高潮に達し、「美輝」もまた、「和貴」のペニスがもたらす刺激にすっかり染まり、絶頂に達しようとしていた。
「いくっ……美輝さんの中でイクっ」
「ああっ……あっ! あっ! ああ、ああぁぁぁぁーーーーーーッ!」
──どぴゅっ! びゅっ! びゅくっ!
「美輝」の「体内」に、「和貴」は「目に見えないペニス」を通じて大量の精液を放つ。
ほぼ同時に、ないはずの「美輝」の「膣」が、ぎゅっと収縮し、自らを埋めたペニスから最後の一滴まで絞りださんとばかりに締め上げる。
「あっ、ああんっ……ひぁぁぁぁーーーっ!」
噴き出した熱い液体が「胎内」を満たすのを感じるとともに、体全体をわしづかみするようなオルガスムが「美輝」の全身を貫き、その感覚は「彼女」の意識を真っ白に染め上げた。
その夜、「美輝」は幾度となく「和貴」の腕の中で、絶頂を極めることとなったのだった。
#以上です。どうにも拙い描写ですが、多少なりとも「おっき」していただければ、恐悦至極。
#「替玉お断り」もそのうち必ず書きまする〜
おお!ここがエロパロ板なのを思い出したw
GJ!
ところでこのスレもうすぐ限界ぽいね。
453 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 19:27:19.73 ID:CzAvI4n3
>>447 それもミスキャストの人だ
らんおうさん戻ってきてー…
変態ストーカーとハメられて学校中の笑われ者にされた男子生徒と首謀者の女子生徒の名前と肉体、立場を交換
首謀者は男子生徒の体で学校中から笑われ者に。(家族はそのまま)今までの人間関係崩壊。
1年後、元男子生徒が戻してやるよと交換。女子生徒は元に戻れて嬉しがるも、変態ストーカーという立場だけはそのままなので、結局後ろ指をさされ続ける人生に。(男子生徒は女子生徒の時の人間関係もそのままなので、女友達が増えた)
>455
>>名前と肉体、立場を交換
↑肉体まで変えちゃうのは、このスレ的にNGね。
名前と立場なら、ウン、いいと思う。
あともうひとつ変えるとしたら……そうだなぁ、性癖?
457 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 17:43:42.83 ID:u/xRQ6G6
pixivで見つけた女子高生力士という絵が該当っぽく見える
>>458 広義ではあてはまるかもね。「正義の魔法少女」の立場を奪って、相手を「悪魔女」におとしめてるようだし。
これで、悪コス着せられたヒロイン側が、ちゃんと意識はあるのに、体が勝手に悪女として行動してしまったりしたら最高なんだけどなぁ。
こーゆーケースって、悪墜ちというか、体に引きずられててすぐに心まで染まっちゃうけど、MC(マインドコントロール)ならぬBC(ボディコントロール)というか、
1)悪の衣裳(+呪いとか)の力で体(言葉や表情含む)が勝手に動かされる。
本人の意識は心の中で檻のようなものに閉じ込められて、自分の行動を見せられ、「やめてやめて」と叫んでいる
2)悪の首領に、「悪の女幹部」として忠誠を誓って、悪行を尽くし、あるいは首領の愛人として抱かれる「ヒロインの身体」。
本人(の意識)は少し弱り、目や耳をふさごうとするが、強制的に「残虐行為による興奮」や「セックスの快感」を知覚させられる。
3)半月もすると、本人の意識もあきらめムード。抵抗を止めて、外から流れ込む情報に身を委ねているうちに、「悪の女幹部」としての思考や趣味に、徐々に浸食されていく
4)ある日、再び自分の意思で動けるようになっていることに気付くヒロイン。しかし、ヒロインは今度は自ら首領の腕に身を委ね、部下達を指揮するのだった……。
……くらい手間暇かけてくれるといいんだが。
その一方で逆に、女幹部の中の人をやってた女性は、衣裳と立場の呪いから解放されて、正義の味方側に保護され、正気を取り戻す。
「これまでの贖罪がしたい」という意思を認められて、囚われたヒロインに代わって正義側メンバーとして戦うことに。
(しかし、それを目にしたヒロインは、自分の戻るべき場所を奪われたと感じて、なおさら悪に傾倒、とか)
──これなら、ちゃんと「立場交換」してるよね?
人によって定義は少しずつ違うだろうし、
細かいことにこだわらなくても、ぼんやり当てはまってて
話が面白ければそれでおk
>468、>459
あぁ……こういう展開で一作書いてみたいなぁ。
勝手に書いちゃってもいいものですかね? もちろん、名前とか細部はアレンジ・変更するつもりですが。
※原作者氏と共同で、「ありふれた日常」「そして日常な非日常へ」の加筆修正版をブログに掲載しました。
興味のある方は、「ありふれた日常・完全版」でググってみてください。
あーまじで誰か女の子と立場交換してーわ
>459 >460
どこまでが該当かというと判断難しいですよね。
でも完全な変化でないこの曖昧さがTS AR AP・・・
他には存在しないこの広い範囲が、自分の謎の
ツボを刺激していることは間違いないです。w
>>461 自分が言いたい本質は一つなので単刀直入にいきます。
私はとても読みたいです。待ってますw
464 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 20:41:40.40 ID:D1m71lyx
そういや立場逆転系のAVがあったな
服装も逆転してくれたら面白かったのに
466 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 23:17:19.26 ID:D1m71lyx
ナース 立場逆転でググれ
他にも男女の立場が逆転したAVとかもあったような気がする
ついに浄魔部隊エクサイザーズの秘密基地を突き止めた、悪の組織DUSTYの女幹部サブキュース。
しかし、近頃失態続きで功を焦った彼女は、組織に知らせず単身エクサイザーズの基地に潜入しようとして失敗。基地近くの採石場に追い込まれてしまった。
それでも幹部の意地を見せ、パールストームを気絶させ、捨て身の攻撃によってサファイアオーシャンとトパーズガイアまでも負傷で戦闘不能状態に追い込むサブキュース。
しかし、奮戦もそこまで。満身創痍に近くエネルギーも枯渇した状態で、唯一軽傷で残ったエクサイザーズのリーダー、ルビーフレイムとの戦いに勝ち目はなかった。
「これで終わりだ! エクソイズム・バースト・フルドライブ!!」
生身でも剣道のインターハイで優勝した経験を持つフレイムが、化焔剣レイヴァーテンを振り下ろすと、剣から龍の形をした炎が噴出し、螺旋を描くような軌跡でサブキュースを取り囲み、襲いかかる。
「きゃああああああぁぁぁーーーーーっ!!」
豊満な若い女性ではあるが、いかにもな黒いコスチュームとアーマーを着て、毒々しいメイクを施したケバい印象の女幹部は、意外に可愛らしい悲鳴をあげて、ついに大地に斃れた。
「グッ……やった……か?」
負傷自体は軽いとは言え、全エネルギーを放出する必殺技を出した直後だけに、全身に力が入らず、フレイムは片膝をついた。
「いやリーダー、それ負けフラグだから」
どんな時も軽口を忘れないオーシャンがツッコミを入れるが、幸いにしてサブキュースが「今のはちょっと痛かったわね」などと起き上がることはなかった。
「勝ったんですね、私たち……」
その事実が信じられないように、ポツリと呟くガイア。
当然だろう。DUSTYのサブキュースと言えば、実力はもちろん、搦め手からの嫌な作戦で散々彼らを手こずらせて来たのだ。あるいは伏兵でも……と思ったが、周囲に敵が潜んでいる様子もない。
「ったぁ〜、よくもやってくれたわね、オバさん……って、あれ?」
ようやく、「勝った」という実感を3人が噛み締めているところで、気絶していた仲間も目を覚ましたようだ。
「ストーム、お前なぁ……」
「こら、おちゃらけ男! あたしのことはパールって呼べって言ってるでしょ!!」
他の3人は変身中はコードネームの下半分を略称として呼び合っているのだが、パールストームだけは、「ストームなんて可愛くないから」という理由で、「パール」と呼ばせているのだ。
ちなみに、フレイムとオーシャンが男性、ガイアと「パール」が女性である。
「さて、サポート班を呼んで、俺達は基地に帰るか」
周囲に敵の気配がないことを確認したうえで、4人はexスーツのアクティブモードを解除し、パッシブモードに切り替える。
これは、いわゆる「変身」を解いてブレスレットを着けただけの状態で、一見生身の時と変わりなく見えるが、負傷や疲労が通常の10倍から100倍近い速度で治っていくのだ。
また、耐久力自体もある程度強化されてるため、時速60キロで走る車にはね飛ばされても「イタタタ」と呻く程度でケロリと立ち上がれるというチートぶりだ。
これのおかげで、4人は半年間にもわたるDUSTYとの激しい戦いにも耐え抜いてこれたのだ。
実際、数分前までは立つことすらおぼつかなかったオーシャンとガイアが、互いに支え合うようにしてだが、ゆっくり歩くことができるくらいには回復しているのだから。
「……ぅぅっ……」
いざ、4人が帰ろうとしたところで、フレイム──穂村憲一の耳が小さな呻き声を耳にした。 「! まさか!?」
すでに戦闘でのダメージが半分以上回復した憲一は、注意深く、サブキュースの死骸へと駆け寄る。
いや、それは「死骸」ではなかった。全身をエクソイズム・バーストの高温の炎に灼かれながらも、この女幹部はかろうじで生きていたのだ。
「あー、このオバさん、まだシブとく生きてたんだ。よーし、あたしがトドメを……「よせっ!」……えっ!?」
パール──珠城真奈実がブレスレットから彼女の武器である銃を出したところで、フレイムが制止する。
「どうするんだ、リーダー?」
「……捕虜として基地に連れて帰ろう。俺たちは、DUSTYのような無法者集団じゃない。敵とは言え、重傷で戦闘能力を無くした者をいたぶり殺すような真似はするべきじゃない。
それに、基地で武装解除したのち、尋問で情報を聞き出せるかもしれない」
オーシャン──蒼木洋の問いに対して、数秒の葛藤の後、憲一が下した決断に、他の3人も──まことは不満そうだったが──従う。
なぜなら、DUSTYに肉親を殺された憲一は、かの組織を他の誰よりも強く憎んでいることを知っていたからだ。
その彼が、私情を抑えて、エクサイザーズのリーダーとしてとるべき道を選ぶというのに、どうして異議を唱えられるだろう。
幸いと言うべきか、サブキュースは、ほぼ完全に意識を失い、また負傷のために戦闘能力は残っていないようだ。
それでも背負うのは首を絞められるなどの危険がある、ということで、憲一が彼女を両手に抱き上げて、基地に運ぶこととなった。
憲一の横で、洋とガイア──土萌英美は、女幹部の様子が暴れたりしないか、注視しつつ足を進めている。
(チッ……なによ、あのオバさん、ムカつく!)
密かにフレイムに憧れている真奈実としては、まるで「お姫様だっこ」のようなその体勢が羨ましくで仕方がない。
腹立ち紛れに足元の石を蹴り飛ばしたつもりだったのだが……。
「あら、これは……?」
それが大粒の赤い宝石が嵌った指輪であることに気づき、拾い上げる。
色味が紅玉(ルビー)のような明るいものではなく、やや暗めの赤なので、おそらくは柘榴石(ガーネット)なのだろう。
(そう言えば、あのサブキュースとか言うオバさん、ジャラジャラ沢山指輪してたっけ)
彼女は、それらの指輪にはまった宝石を使って様々な大規模な術を行使することを得意としていたようだ。
もっとも、宝石は1度使うと消費してしまうようで、最近はその数が大分減っていたのだが……。
(! なら、ここでコレをあたしが貰っちゃっても、わかんないよね?)
普段なら、さすがにそんな事はしないのだが、魔がさしたと言うのだろうか、自分でも理解できないイライラと衝動に突き動かされて、ついそんな考えに至ってしまう。
(どうせ没収されるくらいなら……)
「おーい、何やってんだストーム、行くぞ!」
「あたしをストームと呼ぶなぁ!!」
反射的に言い返しながら、真奈実はポケットにその指輪を突っ込むと、仲間を追って走り出した。
──ほんの一瞬、指輪に嵌められた宝石が鈍く光ったことに気づかないまま。
#一応、書き始めてみたけど……先生、書きたい場面になかなか辿りつきません!
<人物説明>
・穂村憲一(ほむら・けんいち)/ルビーレッド
真紅の「炎」の戦士。正義感の強い真面目な剣術家の青年。武器は剣。
養父母をDUSTYに殺され、義姉は行方不明だった。
・珠城真奈実(たまき・まなみ)/パールストーム
白き「嵐」の戦士。少し霊感が強いが、ごく普通の今時の若い女性。武器は銃。
・蒼木洋(あおき・ひろし)/サファイアオーシャン
青き「海」の戦士。飄々とした軽い性格。一応これでも僧侶。武器は槍。
・土萌英美(ともえ・えみ)/トパーズガイア
黄色い「地」の戦士。委員長気質な見習いシスター。洋の恋人。武器はハンマー。
・梓左矢香(あずさ・さやか)/ダイヤモンドエア
新たに加わる純白の「風」の戦士。清楚で控えめな性格の巫女さん。武器は弓。
・魔隷姫サブキュース
DUSTYの三幹部のひとり。黒衣に身を包んだ妖艶な女将軍。魔術師タイプ。
ついにエクサイザーズに敗北し、捕えられるが……。
・魔妾姫エシュベイン
サブキュースに代わる新たな女幹部。パッ見の印象はサブキュースそっくり。
ただし、性格はより攻撃的。また、術も使えるが鞭を振るう方を好む。
※真奈実のイメージは、「地獄先生ぬ〜べ〜に出会わないまま成長したイタコギャルのいずな」。決して悪い娘ではないが、短気で軽率、かつ物欲・名声欲も強い。ちなみに、それに対比して言うなら、左矢香は美奈子先生。
捕虜としてエクサイザー基地に連れてこられたサブキュースは、武装や鎧はもとより、全身にまとったその衣裳や装飾品に至るまでをすべて剥ぎ取られたうえで、医療部の特別室に監禁されることとなった。
もっとも、監禁と言っても、全身いたるところに1度から2度の火傷があるうえ、頭を強く打ったせいか本人の意識が戻らないので、ひとととおり治療を施したうえで、外から鍵のかかる部屋で質素なベッドに寝かされているだけなのが。
エクサイザーチームを指揮する司令以下数名は、基地を知られたことによるDUSTYの襲撃も警戒していたのだが、あれから24時間経っても、その兆候は見えない。
待機状態のエクサイザーズ達も、さすがに少しずつダレてきた。
もっとも、恋人同士でもある洋と英美は、これ幸いとふたりで部屋にこもってイチャイチャしているらしい。一応、ふたりとも聖職者のハシクレのはずだが……いいのだろうか?
憲一を狙う真奈実としても、この機会にぜひアプローチをかけたいところなのだが、肝心の憲一は……。
「まさか……左矢香姉さん!?」
捕えた敵の女幹部サブキュースを武装解除し、そのメイクもすべて取り払って素顔が明らかにしたところ、その正体は、憲一の行方不明の姉、左矢香だったのだ!
2年前、両親を亡くした憲一が中学生の頃から世話になっていた梓家が、何者かの襲撃を受けた。
幸か不幸か当時の憲一は剣道部の合宿で家にいなかったのだが、知らせを受けて家に戻ると、養父はすでに死亡。養母も手当の甲斐なく病院で息を引き取った。
そして、もうひとりの家族である義理の姉、左矢香は行方不明。
復讐に燃える憲一の前に現れたのが、国立浄魔研究所の所長、御堂博士だった。
博士は、梓家を襲ったのが謎の組織DUSTYであることを告げ、彼らを倒すのに力を貸して欲しいと、憲一に要請。無論、彼は即座に頷いたのだった……。
「あの優しかった姉さんが、どうしてDUSTYの幹部なんかに……」
「憲一くん。君も知っての通り、奴らは高度な洗脳技術を持っている。おそらく、2年前その高い霊力資質を見込まれて連れ去られた左矢香さんは、洗脳処理を受け、サブキュースとして働かされていたのだろう」
「くそッ、どこまでも汚い連中だ! 博士、姉さんの洗脳は解除できないのか?」
「無論、全力を尽くそう。うまくいけば、君のお姉さんを助けらればかりでなく、DUSTYの内部情報を詳しく知る絶好のチャンスだからね」
──と、そんなやりとりがあった後、憲一は未だ目が覚めない義姉につきっきりだった。
当然、真奈実としてはおもしろくないが、「ほとんど生存が絶望視されていた家族と、ようやく再会できた」憲一の気持ちがわからない程、KYではない。
仕方なく、基地内をブラブラして暇を潰すしかなかった。
そんな中で……。
「あれ? コレって……」
ファッションやスイーツ関連で趣味が合うため、割合仲がいい博士の秘書、緑丘恭子の部屋を訪ねた真奈実は、意外なモノを目にすることとなる。
「あ、マナちゃん、こんちわ〜」
レディススーツにネクタイを締め、タイトスカートを履いた恭子は、それだけなら大手企業のやり手OLに見えないこともないが、その上から糊の利いた白衣を羽織っている。
彼女は理工系の大学を優秀な成績で卒業した才媛であり、秘書業務の傍ら博士の助手も務めているのだ。
色々な意味で「濃い」メンツの多いこの基地では数少ない常識人なので、自称「普通のカワイイ女の子」である真奈実は、彼女とよく話をしにくる。
今日も彼女は美味しいカフェオレを入れてくれた。そのまましばし雑談する。
「そこの台に並べてあるのって、あのオバ……おっと、サブキュースのコスチューム?」
さすがに、想い人の姉をオバさん呼ばわりするのはマズいだろう。
実際、左矢香は憲一より2歳年上なので22歳。19歳の真奈実がオバさん呼ばわりする程の年ではない。どうやら、あのケバいメイクが彼女を5、6歳老けて見せていたらしい。
「ええ。DUSTYの、とくに幹部クラスの装備は、私達から見ても桁外れの代物が多いでしょう? 分析できれば今後の戦いの助けになると思って」
「へぇ〜、確かにそうだね。あ、でも昨日の戦いで、結構壊れたんじゃ……」
その割に、焼け焦げや破損の痕跡はほとんど見られなかった。
「それがね、スゴいのよ! 昨日の夕方ここに運ばれた時はボロボロだったんだけど、ひと晩経ったら殆ど直ってるの。どうやら、自己修復機能があるみたいね」
真奈実達が使用しているexスーツにも、多少の修復機能はついているが、あくまで「無いよりマシ」というレベルだ。もし、このDUSTYの装備の秘密を解明できれば、確かにより安全に戦うことができるだろう。
「で、何かわかったの?」
「うー、それがねぇ……」プルルルルッ!「……はい、緑丘です。え、今すぐですか? はい、了解しました」
チンっと内線電話を置くと、恭子は真奈実に頭を下げた。
「ゴメン、博士が呼んでるから行かなきゃ」
「大変だね〜」
「まぁ、その分、やり甲斐もあるけどね。マナちゃんは、それ飲んだらカップは適当にかたしといて」
パタパタと、あわただしく部屋を出て行く恭子。
中身が半分以上残ったカップを手に、所在なさげに辺りを見回した真奈実の視線が、それに止まったのは、はたして偶然だろうか?
「サブキュースの装備、かぁ……」
先ほどの恭子の話を聞く限り、悪の組織の産物ながら、なかなか大した装備のようだ。
実は、真奈実はふたつ程、自分たちが使用しているexスーツに不満があった。
ひとつは、その燃費の悪さ。
このスーツは、確かに桁外れの性能を持っているが、その反面非常に大量のエネルギーを必要とする。しかもエネルギー源は電力などのように簡単に補えるものではなく、着用者の生体エネルギーだった。
それゆえ、戦闘後や負傷後のエクサイザーたちは、華奢で小柄な英美でさえ、周囲がドン引きするほどの大量の食事を必要とする。
エクサイザーの4人の給料(一応、国家公務員なのだ!)が高めなのは、危険手当以外にこの食費手当がついてるからだというもっぱらの噂だ。
食べる端から消費するので、ダイエットの必要がないのはある意味利点かもしれないが、大食いキャラはどうも……と思う真奈実。
一応、緊急用として博士が開発した「ひと粒で800kcal」のエネルギータブレットもあるのだが、これがまた死ぬほど不味い。ある意味、究極の選択だった。
ふたつめは、「スーツのデザインがダサい」こと。
基地(研究所)の総責任者であり、exスーツの開発者でもある朱鷺多博士は、少年時代に80年代系特撮番組を見て育った人間で、自身の発明品にも当時の「古き良き戦隊物」的センスをしばしば盛り込みたがる。
あまりにアレな場合は助手を務める恭子が修正してくれるが、exスーツは最初期の発明品で、かつ戦いの中で長年増築を重ねたホテルのごとく後づけでバージョンアップしているため、根本的な改良にまで手が回っていないのが現状だ。
「だからって、全身タイツ+フルフェイスヘルメットはないわよね〜」
この件に関して、一番不平を漏らしているのは真奈実だろう。
そもそも硬派な憲一は機能性重視で格好にはあまりこだわらないし、洋はある意味博士の同類(マニア)だ。英美も、元が修道女見習いであったせいか、オシャレにいまいち疎いところがある。
恭子が気をつかって、ただの単色ではなく別の色でラインを入れたり、手袋とブーツは別の素材で作ったりはしてくれたが、シルエット自体が「全タイ+ヘルメット」という事実には変わりはない。
そんな彼女にとって、魔隷姫サブキュースのコスチュームは、ベース色が黒だということを差し引いても興味を覚えるに足る代物だった。
アンダーウェアに相当するのは、レオタードに近い形状のノースリーブの漆黒のボディスーツだ。ボトム部は際どい角度のハイレグ仕様で、逆に上半身は喉元まで覆うハイネックになっている。
特筆すべきは、その胸部でエナメルのようなラバーのような、あるいは昆虫の甲殻のような不思議な素材で出来た胸当てが付いている。
また、ちょうど左右の鎖骨の中間あたりが菱形にくりぬかれていて、下の肌──というか胸の谷間が見える形になっていた。
ボディスーツの上には、半袖の丈の短い軍服のような上着を着るのだが、この上着には黒の地に暗め赤のラインと金の縁取りがいくつか施されており、「幹部」「将軍」らしさを演出している。
しかも、布製に見えるこの上着自体が、防弾チョッキなどメじゃない高い防御力を持っていることは、これまでの戦いで実証済みだ。
パールの通常モードの銃撃が当たったくらいではロクにダメージを与えられなかったし、フレイムが振るう剣でも切り裂くことはできなかったのだから。
脚部については、まず太腿までの黒い網タイツに脚を通し、その後、ニーガードの付いたロングブーツを履く。
剥き出しの腕部の方は、左手は肘の上まである黒い長手袋を付けるので、肌が露出する部分はほとんどない。右手の方が、手首から肘までをアームカバーで覆う形なのは、利き手の細かい動きを阻害しないためだろうか。
ブーツと手袋&アームカバーは、胸当てと同様の不思議な黒い素材でできているので、防御力はかなり高そうだ。
ほかには、武骨なショルダーガードのついたマント(表が黒、裏が暗い赤)と、悪魔のような湾曲した角が左右についている額当てが置いてあった。
何気なく、ボディスーツを手に取った真奈実は、そのあまりの手触りの良さに驚嘆する。
最高級のシルク……いや、一度だけ友人に触らせてもらった高級ミンクの毛皮の手触りを連想させるソレは、ゴワゴワしたナイロンのようなexスーツとは雲泥の差だった。
誰もいないことを承知で、部屋の中をキョロキョロ見回す真奈実。
「──ちょ、ちょっと着てみようかな?」
好奇心に負けて、今着ている私服──サンドベーシュのジャケットと、オフホワイトのワンピースを脱ぎ始める。
部屋の主の恭子が博士の部屋に行った以上、おそらく1〜2時間は戻って来ないだろう。
それに、このボディスーツの特性を身を以て実体験してから、恭子や博士に進言すれば、exスーツの改良に役立ててくれるかもしれない。
……などと自分に言い訳をしていたが、客観的に見れば、真奈実のその心理は明らかに異常だった。
友人の部屋で、全裸になって、敵の女幹部が着ていた服に着替えようと言うのだから。
だが、目の前の衣裳に気を取られている彼女は、そのことに気づかない。
黒いボディスーツは、下着まですべて脱ぎ捨てた真奈実が手に取ると、胸元の切れ込みから頸部と腹部にかけてスッと自然に切れ目が広がる。
「ここから着るのかしら?」
一瞬躊躇ったものの、好奇心には勝てず、両脚を通し、腰までたぐり寄せる。
「ふわぁ……」
思わず嘆声のような呻きが口からこぼれる。
クロッチから下腹部にかけてが密着しただけなのに、その気持ちよさは筆舌に尽くし難いほどなのだ。
夢中で、両袖を通し、首のカラー部分の位置も調整すると、自然に前の切れ込みが閉じた。
「ハア……すごい」
先程以上の心地良さが体中を覆っている。
ボディスーツは、ピッタリと彼女の肌に密着し、皺のひとつも出来ていない。まるで皮膚に張り付いてしまったようだ。
驚くことに、ノーブラなのに胸当て部分がぴったりと彼女の乳房に密着して、ツンと幾分上向きに持ち上げているせいか、いつもより胸が大きくなったかのように見える。
ほんのり潤んだ目で、真奈美は残りの装備品にも視線を向けた。
「ここまできたら……他のも試してみないとね」
上着を着る。肩から二の腕にかけてが優しく包まれると感触が頼もしく、かつ一軍の女幹部にふさわしく背筋がピンと伸びた気がする。
網タイツとブーツに足を通す。こちらもボディスーツと同様の心地よい感触が彼女を魅了した。手袋とアームガードも同様だ。
さらにマントを羽織り、角付きの額当てを被ると、全身の装備の相乗効果か、それだけで彼女はイッてしまいそうな快感にうち震えた。
さすがに若い女性の部屋だけあって、壁に30センチ程の鏡がかけてある。彼女は、ブーツの踵をカツカツと鳴らしながら、鏡の前に移動して、自分の姿を覗きこんでみた。
「フフフ、妾(わらわ)はDUSTYの女幹部サブキュース。愚民どもよ、我が軍勢の前にひれ伏すがいい! ……なぁーんてね」
マントを翻し、右手を前に突き出す、見覚えのあるポーズをとってみたところ、まさにありし日のサブキュースそっくりに見えたのだが……。
(うーーん、何か、物足りないのよねぇ……! そうだ)
先程脱ぎ捨てたジャケットから、昨日拾ったガーネットの指輪を取り出し、右手の薬指にはめる。
「やっぱり、サブキュースと言えば、光りものよね〜」
そんなことを言いながら、満足げに深紅の柘榴石を眺めていた真奈実だったが、いつとの間にか、頭がボーッとしてくるのを感じていた。
「そろそろ……着替えない、と……」
名残り惜しげにマントと額当てを外したものの、そこから先は、どうしても体が動かない。
この気持ちのよい服を脱ぐことを彼女の体が拒否しているようだ。
「じゃあ……」
少し考え込んだのち、何とか上着だけは脱ぐと、そのままワンピースを身に着ける。
これで、一見したところ、彼女の姿は先ほどまでとあまり変わらないように見えた。もっとも、左手は黒い手袋に覆われ、足元もブーツを履いているのだが。
そして、脱いだ上着とマント、額当てを部屋の隅にあった大型のスーツケースに丁寧に畳んで入れる。
「早く……行かなきゃ……」
焦点の合わない目つきで、トランクを片手に恭子の部屋から出る真奈実。
おりしも、基地の厳戒態勢が解除された直後ということもあって、虚ろな目をした彼女が基地から出るのを咎める者はいなかった。
#ようやっと、白が黒に。次回は視点を移して元黒さん側の話です。
>>477 GJ!
なのだが・・・・・・スレ容量がいっぱいいっぱいだ
自分はレベルが足りなくて立てられなかった
479 :
名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 02:41:23.39 ID:66Nd1TWA
禁書のエンゼルフォールってこのスレド真中だよな
読んだ時はおおっと思ったもんだけど
収束後に地の文で「体がかすんで元の姿に戻った」的な事が書いてあって酷くがっかりした覚えがある
あれは結局回りくどい肉体変化か入れ替わりだったんだろうか
例外的に元のままの人間、巻き込まれてるけど自意識を保ってる人間、その他無差別立場交換とかなり美味しいのになぁ