■
現実逃避だと、サラは思った。
それもいいだろう。
逃避だろうが何だろうが、こうでもしないと絶望に押しつぶされてしまいそうだ。
幸いなことに、残酷な命令に背いたのは彼女だけではない。
解放軍のリーダーであるデニムが、共に死線をくぐり抜けてきた仲間たちが、
大切な存在であるヴォルテールがいる。
現実は、時間と共に受け止める。明日彼らと全員で話し合って、今後の方向を決める。
だから、今夜は現実を忘れて彼だけを感じることに決めた。
「……ッは」
長い口づけのあと、土の上に横たえられた。
屋外で交わるなど考えたこともなかったが、今はそんなことにこだわる余裕はない。
なんでもいいから、彼が欲しかった。
「ヴォルテール……」
昂る気持ちを抑えるように名を呼ぶ。
返事の代わりか、触れ合うだけのキスが降ってきた。
何度もついばむように唇を重ねていると、ゆったりとした服の裾の下に
武骨な右手が侵入してくる。
豊かな膨らみをそっと包み込まれ、サラの肩が揺れた。
手は柔らかな肌の上を滑るように撫でる。
「なんだか……」
「うん?」
「優しいね」
くすぐったい愛撫に、サラは目を細めて微笑んだ。
べつにいつもが乱暴というわけではないが、今夜はことさら、
彼の優しさが沁みてくる気がした。
「そうかな」
ヴォルテールは照れくさそうで、それだけしか返してこなかった。
代わりに、撫でるばかりだった手のひらに力がこもり、
わずかに主張を始めた胸の突起を指先でつままれる。
「……ん、ふ、ッ……う……」
必死に声を殺す。
仲間たちが眠る陣からは離れているが、大きな嬌声を上げれば聞かれてしまうかもしれない。
サラを追いかけてきたヴォルテールのように、いまだ眠れずにいる者が
ほかにいないとも限らないのだ。
サラは目を閉じ、自らの手で口を覆って喘いだ。
そうして快感に抵抗しているうちに、ヴォルテールの手は遠慮をなくし、
サラの上着を裾からまくる。
露わになった白い胸で、しっかりと膨らむ桃色の実が目立っていた。
「……たまらないな」
ヴォルテールは誘い込まれるように、その頂点に吸いついた。
弱いところを舌で転がされ、サラは緩慢に首を振る。
「ん……あ、はああ」
悩ましげな吐息を聞きながら、胸から離れた手はゆっくりと腹を滑り、
下腹部まで降りていく。
彼女の熱く疼く場所までもう少し。
「やッ」
反射的に動いたサラの手が、上着越しに厚い胸板を押す。
しかし、それは一瞬のことで、細い両手首は地面に押さえつけられた。
ヴォルテールの利き手ではない左手ひとつで、形ばかりだったとはいえ
抵抗は簡単に押さえ込まれてしまう。
戦場で力強く弦を引き絞るアーチャーの腕も、鍛え抜かれたナイトにかかれば
か弱い女性の腕力でしかないのだろう。
「こんなに濡らしておいて、嫌はないだろう」
「し、知らない……ふあッ」
下着の隙間から入ってきた指が、震えるくぼみの入り口を撫でる。
サラはか細いながら甲高い声を上げてから、真っ赤になって顔を背けた。
「へえ、知らない?」
ヴォルテール白々しく、驚いたような口ぶりでは囁いた。
「なら、教えてやろうか」
「ひッ、んう……ああ、あッ」
くぼみに指を突き入れられ、少し上に位置する充血した膨らみをこね回され、
散々に恥ずかしい場所をいじられたサラの顔は火照りきっていた。
それでもヴォルテールは刺激を止めず、くちゅくちゅ、と
湿った音が嫌でもサラの耳に入ってくる。
「ほら、わかるだろう。もうこんなになっているぞ」
「やあ……ヴォルテール、の、せいじゃないッ」
「そうだな。だから、ちゃんと責任は取るさ」
憎まれ口さえもあっさりとかわされ、なんとなく負けた気がした。
ただ、不思議と悪い気はしなかったが。
ヴォルテールによって下肢を包むものはすべて取り去られ、
しとどに濡れた秘所が外気にさらされる。
「ここをこんなにさせた責任を、な」
「何度も言わなくていいわよ……ばか」
呟く声は風にかき消されてしまいそうに小さかったが、ヴォルテールには
しっかり届いたようで、彼は苦笑しながら下穿きまでを脱ぐ。
サラに刺激され、物欲しげに漲った彼自身が露わになった。
「サラ」
白い額に張りついていた前髪をかき分けられる。
快感に翻弄された淫らな顔を余すことなく見られているようで、恥ずかしい。
けれど、ヴォルテールになら見せられる。
もっと、見てほしい。
そして、彼にも同じものを見せてほしい。
「……来て。お願い」
その言葉に、ヴォルテールはサラを貫いた。
「あッ……! く、う、ああッ」
サラの体が跳ねる。
もはや我慢できない。
快感が、抑えようとしても抑えきれない声となって次々にあふれ出す。
「みんなに聞こえるぞ」
「そんな、こと、言ったってッ……は、んん!」
突き上げられれば、喜悦の喘ぎを漏らすしかない。
ヴォルテールはサラの細い腰を抱き、唇同士でその嬌声を塞いだ。
「んんッ……ん、ふう……ん」
サラも懸命に応える。
唇を吸い、舌を絡め、濃厚なキスを重ねた。
しなやかな腕を伸ばして抱き締めた体は、屈強な筋肉に覆われている。
先ほど持ち出された思い出話のせいか、過去の、幼い少年の泣き顔が頭をよぎった。
あのひ弱な少年が、よくもこんなに逞しく成長したものだ。
お姉さんぶっていたサラを追い越すほどに、身も心も逞しく。
「くッ、サラ……」
そんな青年が、どこまでも愛しい。
快感に眉根を寄せる表情から、限界が近いことが感じられる。
サラも似たようなものだった。
鼻腔に届いていた土のにおいも、背中に感じていた落ち葉や小枝の感触も
どこかへ飛んで消え去り、すべてが彼で覆われていく。
「ヴォルテール……だめ、も、私……」
強い突き上げが、速さを増していった。
伴うように、サラも高みへ連れられていく。
「ああ、あ、んああ……ッ!」
サラの全身がわなないた。
ヴォルテールを求める心そのままに、ぎゅっと彼自身を強く締めつける。
彼の迸る猛りを体内で感じたのは、その直後だった。
■
星のない空はまだ暗い。
今からでも、睡眠は充分に取れるだろう。
汗が引いたころに、眠気が静かに忍び寄ってきた。
「ようやく、眠れそうだわ」
すでにまどろみかけているサラがこぼすと、困ったような笑い声が返ってくる。
「ここで寝るなよ」
「うん。……だけど、もう少しだけ」
このままでいたい。
甘えるような言葉を発し、より強く身を寄せる。
そうか、とヴォルテールも呟いてサラを抱き寄せ、それ以上何も言わなかった。
以上です。お粗末さまでした
このふたりって人によってイメージいろいろありそうだから、
なんかイメージ違ってたらすいません
いやいや、いいものをありがとう。
魔剣ヴォルテールオチじゃなくて安心したよ
>>425 一年越しのリクエストが叶うとは思わなかった
ありがとう
エロいし二人のやりとりもよかった、GJ
久々に来たら良いものが投下されてた
素敵な雰囲気、GJだ
>>425-428 ヴォル×サラ書いた者です
ありがとうございます! 少しでもお気に召していただけたなら嬉しいです
拙作が続いて申し訳ないのですが、DLCやってたら予想以上にデレたカチュアに
興奮して妄想した、運命の輪ベースのヴァイス×カチュア投下します
去年の夏にカチュア誕生日ネタを書こうと思いつつ放置してて
全然関係ない今の時期になってしまった……orz
闇竜の月十五日、王都ハイムは大変な賑わいを見せていた。
街は色とりどりの花の飾りや風にはためく国旗に彩られ、人々は歓喜の言葉を口にし合う。
そんな輝かしい大通りをゆっくりと通り抜ける騎馬隊と馬車の列は、
若き君主の生誕二十二周年を祝うパレード。
雨期だというのに雲ひとつなく晴れたこの日は、女王ベルサリア・オヴェリスの誕生日だった。
「たくさんの人々が未だ苦しい思いをしているのです。
そんなときに、なにも大々的に私を祝っていただかなくても」
当の本人は開催に難色を示していたが、この華やかな行事はヴァレリア全土に住む民衆の
結束を高めるため、また戦乱からの復興を諸外国に印象づけるためにうってつけなのだと
側近たちに説き伏せられた。
そのため、当日の午前中には式典、日中はパレード、そして夜は城内でパーティーが催され、
女王が公の場から解放されたのは夜更けのことだった。
「長い一日だったわ……なんだか、自分の誕生日じゃないみたい」
疲労を引きずりながらも、ようやく訪れた静かな時間にため息をつく。
その様子に苦笑しているのは、よく見知った顔だ。
「これも政の一種だろ。平和で何よりじゃねえか」
「そうね。楽しいことは楽しかったし、いいかな」
戴冠式からかなりの日数が経つが、未だに忙殺される毎日が続いている。
加えて、今日のための衣装合わせだの段取りの確認だの、準備にずいぶんと手間取った。
それでも、人々が自分の姿を見て活気づき、元気を出してくれるのならば安いものだ。
そういう立場であることを自覚しているから、今日はとりわけ、民衆の憧れる女王の姿を
しっかり演じきった。
しかし、ここは自室。
ナイトドレスの上にガウンを羽織ったプライベートな格好の彼女を見ているのは、
幼馴染の青年ただひとり。
演じる必要も、気を張る理由もない。
彼女がベルサリア・オヴェリスからカチュア・パウエルに戻れる、心地よい空間だった。
「ともかく、お疲れさん。飲み直そうぜ」
差し出されたグラスに赤いワインが注がれるのを見ながら、カチュアは頷いた。
つまみに、と幼馴染が用意した皿には、薄切りの肉と付け合せ程度の野菜が載っている。
「美味しそう。いただくわ」
「羊肉のローストだよ」
「へえ、羊のお肉」
「そう。今日の肉は腐ってねえから安心していいぜ」
そういえば、少し前にもそんな思い出話をした覚えがある。
彼がまたその話を持ち出したことが、なんとなく気になった。
意外とくせの少ない柔らかな味を舌に感じながら、そっと尋ねる。
「ヴァイス、もしかして未だにちょっと怒ってる?」
「そういうつもりじゃないさ。お前が悪いんじゃないし、いつまでも根に持つほどのことじゃ……」
言い淀んで、ただ、と台詞を繋げた。
「ずっと引っかかってたんだ」
「何が?」
「あの日、さ。何の日だったか覚えてるか?」
正面に座る彼に見つめられ、カチュアは首を傾げた。
時期すら雨期の頃だったような、という曖昧な記憶しかないのに、日付までは思い出せない。
「覚えてねえのかよ。お前の誕生日だっただろうが」
「そう、だったかしら」
呆れられたが、それでもカチュアにはぴんと来なかった。
平和だった子どもの頃には、ささやかながらいつもより少々贅沢な肉や魚の夕食を囲んで、
父と弟に誕生日を祝ってもらったものだ。
しかし、十九のときはそれどころではなかった。
祝ってもらう以前に、誕生日そのものの存在を忘れていたから。
「ヴァイス……あなた、あんな状況だったのにそんなこと覚えてたの?」
「一応、祝ってやろうと思ってたんだぜ」
喜ばせるつもりだったんだ、とヴァイスは照れ臭そうにこぼした。
弾圧され、町を焼かれ、家族を奪われて。
悲しみと憎しみばかりが増えていく中で、少しでも明るい話題が欲しかった。
「せめて誕生日くらい、ちゃんとしたモン食わせてやりてえな……なんてさ」
あのとき、絶対に食料を持ち帰ると意地を張ったのはそのためだ。
だが、思うような成果は得られなかった。
やっとのことで手に入れたのは、バクラム軍の残飯であり、ところどころ黒く変色して
蛆虫が湧いた羊肉。
カチュアが言い放った「人間の食べるものじゃない」という言葉はもっともだったかもしれない。
だからこそ、ヴァイスのプライドは傷ついた。
今なら、カチュアにもそのヴァイスの気持ちがわかる。
カチュアのために必死の思いで見つけてきた食べ物を、その本人に貶された少年の気持ちが。
「そりゃ、誕生日に腐った肉なんかもらっても全然嬉しくねえっての。なあ」
すっかり大人になった少年はけらけらと笑って、同意を求めてくる。
けれど、カチュアは笑わない。笑えなかった。
それどころか。
「お、おい? カチュア、何泣いて」
一滴の雫が白いテーブルクロスに染み込んでいく。
泣くつもりはなかったのに。泣いても、かえって気を遣わせるだけなのに。
慌てて涙を拭う。
「ごめん、ね……私、酷いことしたよね」
今になって思う。
カチュアには周囲の人々ほどヴァイスを厭う気持ちはなかったが、それでも気がつけば
弟を優先し、可愛がっていた。
冷たく接したこともあったし、ときには辛辣な言葉さえぶつけた。
ヴァイスにしてみれば面白くなかったはずだ。
それでも、彼はずっとカチュアを見つめ続けてくれていた。
肉親だと信じて疑わなかった弟を失うことが怖くて、そのうち弟にばかり構うようになって、
自分に向けられる眼差しには気がつかなかった。
気がつかず、酷いことを――
「ごめんなさい」
「いいってば。こうして笑って振り返れるようになったんだから、それでいいじゃねえか。な?」
ヴァイスの口調が、少し焦っている。
いつも強気に接していたせいか、泣かれると調子が狂うらしい。
カチュアは目を伏せて俯いた。小さく呼吸を整える。
「ほら、笑えって。泣くなよ」
「……誰のせいよ」
「だ、誰のせいって」
がたがたと、木製の椅子を引きずる音が聞こえる。
ヴァイスが席を立ったのだろう。
戸惑い気味に肩に置かれた手の感触に、カチュアは上目遣いになってヴァイスを見た。
「ヴァイスが泣かしたんじゃない。どうしてくれるの?」
涙はもう引っ込んだが、瞳はまだ濡れている。
その潤んだ双眸が、悪戯っぽく笑っていた。
一瞬張りつめた雰囲気を解すことに成功したようだ。
ヴァイスも安堵したように苦笑する。
「どうしてほしいんだよ? 女王様は」
「そうね……、慰めてちょうだい。うんと優しくしなさいよ」
「はいはい。まったく、上から目線の嫌な女だな」
「誰のことかしら、それ」
「さあ? ラヴィニスのことかな?」
「もう、ばかッ。その話は……」
若さと青さが口走らせた本音を未だに揶揄されるとは、あのときには思ってもみなかった。
蒸し返される恥ずかしさに抗議しかけたところを、くっと指先で顎を持ち上げられる。
目を閉じれば、普段の勝ち気な彼とは少しイメージの違う、優しい口づけが降ってきた。
しばらくは触れ合う唇の柔らかさに酔っていたが、そのうちに物足りなくなってくる。
「ヴァイス」
立ち上がって、ねだる代わりに囁いた。
「好きよ」
「俺だって……」
その先が聞きたい。
彼には素直でないところがある。
甘い行為の最中や酒に酔っていない限り、普段は茶化すばかりでなかなか言ってくれない言葉。
催促して、引き出した。
「俺だって、何?」
「……好き、だ」
ぎゅうと強く抱きしめられる。
「今日はお前の誕生日だったな。お前が生まれてきてくれて、よかった」
「……ありがとう」
しがみつくように、太い首へ手をまわして抱きしめ返した。
言葉はなく、何度も交わされる深い口づけ。
生き物のように蠢く舌が、カチュアの口腔を這い回る。
応えるようにカチュアも舌を伸ばし、絡め合った。
少しざらついた表面が触れ合うたびに、ぞくぞくと甘い痺れが背筋を駆けていく。
「……ッん、はあ」
唇がようやく離れ、カチュアは熱い息を吐く。
獣欲に火のついたヴァイスの目が、ぎらついているように見えた。
きっと、こちらの瞳も熱に浮かされたようにとろけているのだろう。
その証拠に、体の芯でくすぶる疼きが一向に収まらない。
「もっと」
このままでは、おかしくなってしまいそうだ。
足りない。
もっと。
「もっと……あなたが欲しい」
「くれてやるよ、いくらでも。その代わり、俺もお前をもらうから」
軽々と抱きかかえられてベッドに運ばれる。白いシーツは、火照った肌に程よく冷たかった。
ヴァイスがテーブルに置かれたランプの火を消して、シャツを脱ぐ。
灯りの消えた暗い部屋の中に現れた、筋肉のついた逞しい背中に目を奪われる。
男らしいな、と思った。
いつからそう感じるようになったのだろう。
年下の少年はずっと、強いて言うならば弟同然の存在であり、男性ではなかった。
服を脱ぎ捨て、デニムと一緒に泥だらけになって遊んでいた幼い姿。
暑い時期には、ゴリアテに面した海で泳ぎまわっていた元気な姿。
彼の背中などいくらでも見てきたはずなのに。
無意識のうちに見つめていると、振り返ったヴァイスと目が合う。
「もしかして、見とれてた? 女王様のすけべー」
「……ばか」
「見とれてたんだな。よし、俺にも見せろ」
ヴァイスは滑らかな生地の肩紐に手をかけた。
そのまま下着まですべて剥ぎ取られ、なんとなく心もとない感覚に襲われる。
一糸まとわない華奢な体は月明かりの下で白く輝いており、
カチュア本人の自覚を大きく超えるほど魅力的だった。
憎まれ口を叩いていたヴァイスが無言になったことに気づいて、彼を見上げる。
じっと見下ろしてくる熱い視線に、思わず頬を染めた。
「そんなに見ないでよ」
「無理言うな」
「無理、って」
カチュアの精一杯の抵抗をあっさりと却下し、覆いかぶさってくる。
「だって、すげえ綺麗だから」
「や……ッん」
輪郭をなぞるように、指先で首筋から鎖骨、胸にかけてそっと撫でられた。
それだけでも心地よくて、うっとりと目を細める。
「柔らけえな」
「あ……」
恋人の胸の膨らみは、ヴァイスの手にちょうど収まりがいいらしい。
両手の手つきは愛撫から、やがて優しく揉みしだく動きに変わり、カチュアは
艶めかしい吐息を漏らした。
官能を感じ始めたその表情を、ヴァイスが見ている。
羞恥心に火がつき、逃げるように顔を背けた。
「は……、うん」
口が薄く開き、吐息に混じった恥ずかしい喘ぎ声が漏れていく。
抑えようとして、きゅっと口を結んだところを見咎められた。
「なに我慢してンだよ」
「だって……恥ずかしいもの」
「もう聞いてるよ、何度も」
「やだ、言わないでよ」
「俺は聞きたいんだ、何度でも」
耳元で囁く誘惑。耳をなぶる吐息に、ぞくぞくと背中が震えた。
自己主張を始めた先端を指先で擦られ、弾かれる。
「あ、……んんんッ」
「相変わらず敏感だな、ここ」
「ヴァイスが……へ、変な触り方、するから」
「変な触り方されるのが好きなんだろ? こんなに感じてさ」
「なッ、そんな、ああッ!」
言い残した言葉は甘い悲鳴に変わった。
少しかさついた唇で柔らかく摘まれ、舌が踊るように舐め回していく。
一度声を上げてしまえば、あとは引っ込めようがなかった。
乳首を刺激されるたび、鼻にかかった喘ぎ声が勝手にこぼれ出てしまう。
「そう、その声。我慢するな、可愛い声なんだから」
力の抜けた両脚を、左右に割り開かれた。
反射的に閉じようとするが、間にヴァイスの体が滑り込んでおり、抵抗は許されない。
「隠すなよ。欲しくてたまンねえくせに」
「あうんッ……そこ、ああ」
ちゅぷ、と液体の音がした。
濡れている自覚はあったが、相手に知られたと思うと恥ずかしくてたまらない。
黄金のような色をした茂みをかき分けて、ヴァイスの指がぷっくりと膨らんだ大粒に辿り着く。
「ああッ! ひ、だめえッ」
触れるか触れないかという弱い刺激に焦らされ、かと思えば、痛みを感じない程度に摘まれ。
繊細な性感帯を執拗になぶられ、腰が跳ねる。
「やあ、あ、ヴァイス……!」
彼の名を呼びながら、軽く達してしまった。
弄られていた辺りが弛緩していく感覚と、そこから頭の先、つま先まで優しい電撃が
広がっていくような感覚。
目を閉じて余韻に浸りながら、肩で息をする。
「イッた?」
荒い呼吸に胸を上下させ、カチュアは小さく頷く。
「……でも……、まだ……」
体の奥は相変わらず昂っていて、もっと欲しいと貪欲に訴えてくる。
ヴァイスは嬉しそうに口の端を歪め、震える割れ目に指を這わせた。
「だよな。ここは物欲しそうにしてるもんな」
「ふあッ、あああ」
ひくひくと小さく収縮する入り口を通り越し、指がカチュアの中へ入っていく。
これから入ってくるであろうものに比べればずいぶんと細い指にも、ぬめる壁は絡みつく。
その壁をあちこち引っかかれ、カチュアは身悶えた。
「あ、やだッ、はああんッ!」
押し寄せる圧迫感と、物足りない快楽を求める切なさで、どうかなってしまいそうだ。
力の行き場を探してシーツの上を彷徨う手の甲に、固いヴァイスの手が重ねられた。
ためらうことなく手のひらを返し、指を絡めてきつく握る。
と、カチュアに入っている指が抜かれた。
「ん、ヴァイス……?」
「……本当に、可愛いよ。カチュア」
潤んだ瞳で見上げた彼の顔が降りてきて、口づけを交わす。
絡み合う舌が熱い。
唇が離れると、今度は太腿に当たる、熱く固い感触に気がついた。
「俺も、そろそろ」
「あ……」
ちらりと下を見やると、大きくなった彼自身が顔を覗かせている。
そういえば、今夜はしてもらってばかりだ。
彼を気持ちよくしてあげたくて、おずおずと手を差し出す。
が、触れそうなところでヴァイスが腰を引いた。
「今日はいいよ。俺が優しくしてやるんだろ?」
「でも」
「いや、いいんだ」
決まりが悪そうに苦笑する。
天を向くヴァイスのそれはすでに凶悪に成長し、膨らんだ先端は湿り気を帯びていた。
「今お前に触られると、その、アレだ。ヤバいかも」
ここのところ、激務に睡眠時間さえも削られている。
恋を楽しむ余裕も愛を確かめる暇も皆無に等しかった。
そのぶんが、こういう形になって表れているのだろう。
これはこれで、言葉以上に強く欲されている気がして嬉しい。
彼の苦笑いにつられるように、カチュアもくすくすと笑った。
「じゃ、触っちゃおうかな」
「うわッ、やめ、やめろって」
伸ばした右手を捕まれると、次の瞬間には簡単に両手首を拘束される。
こうして男女の体格差と彼の逞しさを見せつけられるのは、悔しいけれど嫌いではなかった。
ヴァイスがじっと見下ろしてくる。カチュアも黙って見上げ、見つめ合った。
額が触れそうな距離まで近づく。
「なあ。挿れて、いいだろ……?」
興奮した荒い息に紛れて、掠れた低い声が許しを請う。
囁きに呼応するように下腹部が甘く疼き、カチュアはゆっくりと頷いた。
「愛してる、カチュア」
「私もよ」
そのまま、ちゅ、と音を立ててキスを交わす。
触れるだけでよかった。
長々と唇の感触を味わっていられるほど、ふたりとも理性が持ちそうにない。
濡れきったカチュアのそこに、肉の塊が押しつけられる。
久し振りだからだろうか、ずいぶんと彼のものが大きく、きつく感じた。
「痛いか?」
「だい、じょ……ッく、大丈夫だから……」
正直なところ、えぐられるように痛かった。
しかし、徐々に彼が侵入してくるにつれ、別の感覚が波のように押し寄せてくる。
ひそめた眉は、最初こそ痛みの証拠で、今では快感の証拠にほかならない。
求めるように、カチュアはヴァイスを抱き寄せた。
「熱いな。お前の中」
「ヴァイスのだって、熱い……」
彼をすべて飲み込んだ穴が、まだ切なく震えているのがカチュア本人にもわかった。
このまま放っておかれたら腰が勝手に揺れてしまいそうで、顔を真っ赤にして声を絞り出す。
「お願い。動いて」
「ああ、わかってる」
汗のにじむ額にひとつ口づけを落とすと、ヴァイスはゆっくりと腰を打ちつけ始めた。
欲深く女を貪ろうとするその動きが、蠕動運動のようにカチュアに伝わり、絶え間ない快楽を
生み出していく。
その快感は稲妻に貫かれたように鋭く、どんな砂糖菓子よりも甘い。
「ふあ、ああッ! あん、ああんッ!」
羞恥心など遥か彼方に消え失せる頃には、女の悲鳴に我慢の色はなく、
男の動きは激しさを増していた。
太い肉棒の根本が顔を出しては、また深く沈みこんでいく。
それに合わせるように結合部の体液がかき回されて、ずちゅずちゅと卑猥な音を奏で続けた。
強烈な刺激に、体も意識もどこかに飛んでいってしまいそうだ。
白い腰をがっちりと掴む手が、そんなカチュアをヴァイスの傍に留まらせてくれる。
「ああ、あああッ、い、気持ちい……ッ」
「俺もッ、マジ、いい……カ、チュア」
「ヴァイス、んん……もっと、もっとッ!」
繋がった部分が、体が、心が、愛する人で満たされていくような感覚。
熱くて、愛しくて、ただそれだけでいっぱいで。
このまま溶け合って、本当にひとつになってしまいそうだった。
「だめ、だめええッ! ヴァイス、きちゃうの、きちゃ、ああああッ!」
限界を伝える言葉を必死で紡ぐ。
ヴァイスの呻き声が聞こえた。
彼も似たような状態らしく、獣のような腰使いにはもう遠慮がない。
愛される悦びか、生理的なものか、あふれる涙でぼやけた視界ではその愛しい顔すら
にじんでよく見えなくなる。
広い背中と黒い髪に手を伸ばし、抱きしめた。
応えるように、力強い二本の腕がカチュアの華奢な体を包み込む。
「愛してる……ッ」
どちらが叫んだのかはわからない。
あるいは、ふたりして声を揃えていたのかもしれない。
それくらいに何も考えられなくなって、ほぼ同時に達する。
「は……あ、ああ……」
体の奥に熱い精液が流れていくのを、カチュアは震えながら受け止めた。
二度、三度と、刻み込むようにヴァイスの腰が動く。
たっぷりと注ぎ込んで、ようやく、鍛え抜かれた肉体がカチュアの隣に落ちた。
絶頂を迎えた余韻の中で、呼吸も荒いままに唇を重ねる。
そうしてしばらく、寄り添って互いの体温を感じていた。
「いけね」
長い髪を梳くように撫でてくれる指の感触に陶然としていたカチュアは、
小さな呟きを聞きつけてまぶたを開ける。
「どうしたの」
「一番肝心なこと、言うの忘れてた」
「肝心なこと?」
改まって、こちらを見るヴァイスの目。
表情がどこかぎこちないのは、照れ臭さを押し殺そうとしている証だ。
「カチュア。誕生日、おめでとう」
言葉が出なかった。
たしかに言われていない。言われていなかったが、今さらすぎる。
「……おっそーい」
「いやあ、タイミング逃してな。だけど、ほら、ぎりぎりセーフだろ」
あと数分で、日付が変わろうかという時間帯。
わざわざ言葉にしてくれた嬉しさを、カチュアはあえて隠した。
代わりに、腕枕にしている彼の腕を指先でつねる。
もうひとつ素直な言葉が欲しくて、ほんの少しだけ意地悪をしてみた。
「いってえッ」
「だーめ。遅すぎ。誠意が感じられません」
「じゃあ何だよ……お誕生日おめでとうございます、遅れて申し訳ございません?」
「なに、その疑問系」
「ああもう、何て言えばいいんだよ」
「わからないの?」
眉根を寄せる彼を上目遣いに見て、微笑む。
「まっすぐこっち向いて、私から目を逸らさないで、好きって言って」
ヴァイスの頬が赤く染まるのを目撃できたのは、ほんの一瞬だけだった。
強引に引き寄せられる。
やはり、素面では口にできないらしい。
厚い胸板に視界を覆われて何も見えないが、精神的に優位に立っているのは間違いなく
こちらのほうなので、くすくすと笑った。
「素直じゃないわね。さっきまで散々言ってたくせに」
「……なら、もう充分聞いただろ」
「もう一回、今、聞きたいの」
「なんでだよ」
「だって、好きなんだもの。ヴァイスのこと」
少しの沈黙。
そして、彼の顔は見えないままでも、短い言葉がしっかりと聞こえた。
俺も好きだよ、と。
以上です。読み返したらなんか思った以上に少女漫画っぽいな……
お目汚し失礼しました
乙!
good job なかなかこのカプ見ないのでうれしい
ヴァイスの仕草やらに萌える日が来るとは///
カチュアのSっ気がもどかしい…でも許せる
ごちですた
そろそろ圧縮来るかな?
449 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 16:13:19.77 ID:/gxPwJ7x
なぜ過疎
ヴァイスもたまには報われなきゃな
保守がてら小ネタ
ネガティブなフォルカス×アロセールでごめんなさい
「ああ、いい、いいッ!」
白いシーツを握りしめて悶える女を見下ろし、熱い息を吐いた。
暗さにすっかり目が慣れた今なら、艶めかしく蕩けた表情もよく見える。
恥じらいの朱に染まった頬は、それ以上に情欲を色濃く浮かべていた。
「もっと……おねが、い」
ねだる彼女に応えようと、突き上げの速度を増す。
こうしてもう幾夜、肌を合わせただろうか。
その度に湧き上がる、劣情と、快感と、違和感。
違和感の正体はわかっている。
「くッ」
「ふあ、あん、――……ッ」
行為の最中に、名を呼んだことも、呼ばれたこともなかった。
違う名前を呼んでしまいそうだから。
二度と手に入ることのない愛を、求めてしまいそうだから。
似た者同士だと自覚しながら、傷を舐め合うように、繰り返し交わった。
「んん、そこ、あああッ!」
「ぐ、う……ッ」
記憶を振り払うかのごとく情事に耽る。
滑稽、かもしれない。
それでも構わない。それでいい。
こうしていれば、いつかきっと忘れられる。
痛みを。過去を。愛した人を。
時間が忘れさせてくれるはずだ。
その可能性に縋って、彼らは滑稽な夜に没頭し続けていた。
未だ、朝は遠い。
すべてを忘れてしまえる日は、それ以上に遠かった。
投下乙
好きで書いたんなら卑屈にならんでもいいんだぞ
フォルカスやアロセールは、想い人のことをすごく好きなのがいいよな
453 :
0/6:2012/04/18(水) 00:59:28.06 ID:kU2clKzj
・フォルカス×システィーナ
・純愛。甘い
・時系列はCルート組EDの前夜
・ゲームスタッフの「国政の中心に立つシスティーナを影から支えようと
フォルカスは考えた」設定を使用
454 :
1/6:2012/04/18(水) 01:00:07.27 ID:kU2clKzj
「ん……」
ハイム城内、高位文官が詰め仕事用に使う寝室で男女の影が合わさる。
「ぷは……はぁっ……んむっ」
唇をついばむようなキス、舌を絡める濃厚なキス。何度も何度も繰り返し、滴り落ちた唾液をすくう。
先に息があがってしまうのはいつも彼女の方で、彼の胸に額をこつんと落としてギブアップを伝える。
苦しそうに上下する肩を見て申し訳ないという気持ちと、真っ赤になった頬を見て可愛らしいと思う気持ち、
謝罪と愛情が合わさったなんともいえない感情を込めて、彼女を抱きしめ、頭をなでた。
「明日の出立の時間……何時ごろだったかしら」
彼女がぽつりともらす。
「ん? そうだな……昼前にはハイムを立つとして、挨拶回りもあるし、皆が勤務し始める時間から
バイアンたちと各部署を回ってそれからかな」
「そう……今日はこの部屋に泊まる?」
「システィーナさえよければ喜んでそうさせてもらうよ」
「私がフォルカスを拒むなんて……そんなことするわけないわ」
「そうか、そうだね。うれしいよ」
「……」
「……どうかしたのかい?」
先程から彼女の言葉の歯切れが悪い。
何かを言いあぐねているのだろうかと考えた彼は、それを促すように尋ねた。
「あ、あ……あの、ね、フォルカス……。あの……」
「うん」
「その、今日は……い、いつもより……たくさん、抱いてほしい……なって……」
言葉の最後は殆ど聞こえない程の小さな声になってしまっていたが、
彼女の言わんとすることは彼に伝わった。
意外だった。
このように求愛の情を示す割合は彼の方がずっと多い。
彼の愛を彼女が受け入れるか、場の雰囲気によってどちらからともなくか、
大抵はそのいずれかで行為に及んでいたため、彼女から彼を求める状況とはここしばらく無縁だった。
「だ……だめなら、いいの……」
慣れないお願いに対する返事に間が置かれたせいか、彼女がそんな言葉をつけたす。
「そ、そんなことないよ!」
「きゃっ」
慌てて肩を掴む手に力が入りすぎた。押し倒すわけでもあるまいし。
「あ、す、すまない」
「ううん……よかった、嫌われなくて」
そう言って、微笑みを返す。
「嫌うだなんて、それこそありえない。無用な心配だよ」
女性から情欲のままに求めることが卑しいだなんて、純粋で、少し幼い思考だ。
苦笑しつつ、しかしそんなところが魅力的なのだと彼は思った。
育ちがよく、心清らかで……可愛らしく、愛しい人。そして自分を愛してくれる人。
「……やはり、寂しい思いをさせてしまうんだね」
彼女の頬を優しくなでながら呟く。
彼女からのお願いは、意外だったとはいえ、その理由は察するに余りある。
彼女の理想とする国家を一刻も早く実現するために、王都を離れると決めた。
彼が彼女に贈る最大限の忠義であり、愛。
しかし物理的に離れてしまうことが、気持ちに何の影響も及ぼさないなんて、そんなわけはなかった。
彼自身も随分と葛藤した。何日も悩み続け、考え抜いた。
それでも彼は、理想の国づくりのために尽力するという彼女への誓いを重んじた。
455 :
2/6:2012/04/18(水) 01:01:00.77 ID:kU2clKzj
「フォルカスが負い目を感じることはないわ。あなたには感謝しているし、すごく頼りにしているのよ」
彼の手に自分の手を添え返して、彼女はそう告げた。
「本当はね、言うのを迷っていたの……。私が寂しいなんて素振りを見せたら、
あなたの決心が鈍ってしまうのではないかって」
「……」
「でも……でもね、フォルカスは一度決めたことを曲げるような人じゃないって思い直して……。
それに……あなたにもっと触れてほしいという気持ちを押し殺したままではいられなくて……」
「システィーナ……」
「も、もっとしっかりしなきゃとは自分でも思うんだけど……」
「そんなこと。きみは十分に確然としているよ」
「そう……?」
「僕だって寂しいのは一緒さ。できることならずっと君に触れていたい。
当たり前だよ、僕はきみのことを愛しているんだから」
「うん……」
「きみにもそう思ってもらえて、すごくうれしい」
「私も……私もうれしいわ」
「好きだよ、システィーナ。愛してる」
そっと彼女の肩を押す。強引にでなく、合図を送るように。
ゆっくりと彼女の体がベッドに横たわった。
彼女のワンピースをまくり上げると、布に隠されていた白い肌があらわになった。
すべすべとしたお腹やふとももをゆっくりとなでまわす。
自分だけが、彼女のそこを見ることができ、自分だけが触れられる。
ほんのわずかに息のあがった彼女の呼吸音が聴こえる。羞恥と期待が入り混じった表情が見える。
「……」
もっと。
もっと自分だけが聴ける声が聴きたい、自分だけが見られる顔が見たい。
彼の感情はみるみる高ぶっていった。
「ん……っ」
大きな手がふたつのふくらみをゆっくりと捕らえ、彼女が小さく声をあげる。
手の動きに合わせて形を変えるそれらは、少しずつ確実に、彼女に快感を伝達していった。
しばらくふにふにと感触を楽しむかのように動かしていた手を離し、覆っていた下着をずらし上げる。
中央の頂は、すっかり充血してその様を主張していた。
「ふぁ……っ!」
固くなった突起を口に含み、吸い上げ、舌で転がし、右手は下腹部をなでながら下半身の方へ移動させる。
彼女の声がひときわ甘くなった。
「あ……んっ、あ、う……」
胸への愛撫と同時にクレバスにそって布越しに指を前後させる。
しばらくそれを続けていると、やがて指先にじわりと湿り気が伝わってきた。
程よいところで彼女を生まれたままの姿へ返し、今度は直接刺激を加える。
「ひぅ……っ!」
つぷりと差し込まれた中指に、たまらず腰が跳ねた。
「……痛い?」
何度となく体を重ねていても、興奮した自分が彼女に負担をかけかねないという危惧を捨てられない
優しい青年が、いたわりの言葉をささやく。
「ううん、だ、大丈夫……」
「そうか、よかった。じゃあ……動かすよ」
こくん、と彼女の首が小さく縦に動いた。
456 :
3/6:2012/04/18(水) 01:02:32.97 ID:kU2clKzj
「あっ、や……んっ」
くち、くちゅ、ちゅくっ。
傷つけないように、それでいて気持ちよくなれるように細心の注意を払って指を上下させる。
水音が彼女の羞恥心を煽り、羞恥心が快楽を増大させ、快楽が愛液のさらなる分泌を促した。
あふれる雫を肉芽に塗りつけ、指の腹でくりくりと転がす。
「あんっ、そこ、は……ああっ!」
耐えるようにくぐもった喘ぎが、段々とそのトーンを上げて快楽のにじむ嬌声と化す。
「そっ……なに、された、ら……っ、あっ、い、いっちゃ……!」
親指で肉芽、中指で内側の弱点と、器用に二箇所を同時に攻められ、彼女が最初の臨界点を迎えようとしていた。
「いいよ、気持ちよくなって。大丈夫、今日はたくさんしてあげるから」
「で、でも……っあ! でも、フォルカ……ス、が……まだ、ぜんぜ……あんっ!」
自分ひとりが快楽を与えられている状況に問題を感じているらしい。
「いいんだ。僕がきみにしてあげたいんだから」
少なからず興奮しているとはいえ、なるべく理性の残った状態で彼女を悦ばせることに
彼は大きな充足を感じていた。
自分の直接的利益に関係なく相手に尽くすこと、その精神的な満足感を味わえる状況に。
「あっ、だめっ、だ……め、もうっ! あんっ! あっ……あ、ああああっ!!!」
彼女の体が弓なりに跳ねた直後、肉壁が彼の指をぎっちりくわえ込んで、ひくひくとわなないた。
「……可愛い」
最愛の人が自分の手で快楽におぼれていく様子を目の当たりにし、彼の口からそんな一言が無意識にもれた。
「……っ」
激しい羞恥心が彼女を襲い、目をぎゅっとつぶった拍子に目尻にたまっていた涙が一滴こぼれ落ちた。
「あっ、す、すまない、意地悪をするつもりではなく……」
言葉で責めたような形になってしまったことに、思わず焦って声が上ずった。
「ん……わかってる。ごめんなさい、あなたは謝らなくていいの」
彼の手を取り、自分の頬へ寄せる。
「あなたが私にわざと意地悪するわけないもの。
……それにね、あなたに愛しいと思ってもらうのは、すごく、うれしいの。……だけど」
「……だけど?」
「こ、こういう風に、可愛い、って言われるのは、やっぱり恥ずかしくて……。
やめてほしいっていうわけじゃないけど、それよりもね」
彼の手を握る力が、きゅっと強くなった。
「『愛してる』って言ってほしい……の。わ、わがままかもしれないけど……」
「システィーナ……」
愛おしさが込み上げ、彼女に覆いかぶさるようにして重なり、その体を抱きすくめた。
「わがままだなんて、とんでもない。僕もきみにたくさん伝えたいよ。
きみを愛している。愛しくてたまらない」
耳元で、そうささやいた。
457 :
4/6:2012/04/18(水) 01:03:41.68 ID:kU2clKzj
「今夜はきみからのお願いがたくさん聞けてうれしいな。
気にせず、何でも言ってほしい。まだ僕にできることはあるかい?」
「えっと……じゃあ、服……。肌を、重ねたいわ」
「ああ、うん、それもそうだ」
確かに、抱き合うなら肌と肌でお互いのぬくもりを感じたい。
一旦、体を起こして手早く身に着けていた衣服を取り払った。
「あっ」
途端、彼女ががばっと身を起こす。
「え?」
「あ、ううん。せっかくなんだし、私が脱がせてあげればよかったかなと思って……」
「い、いや、それはちょっと……。きみがそんなことをする必要はないよ」
「でも……」
与えられるばかりではいたたまれない、けれど積極的に攻められる程には成熟していない。
そんな彼女のできる数少ない奉仕のチャンスだったのに。
「その気持ちだけでうれしいよ。ほら、おいで」
彼女を引き寄せ、向き合う格好で自分の膝上に座らせて、額にキスをした。
しかし、いまいち納得のいっていない彼女の表情は変わらない。
「うーん……じゃあ、明日の朝の着替えを手伝ってくれるかい?
戦が無関係な普通の登城のための正装は久々だし、きみに見てもらえると安心だ」
苦笑を交えながら、提案をしてみた。
彼女の顔がぱっと明るくなる。
「ええ、もちろんいいわ。任せて」
にこにことした顔で弾んだ返答をしてもらえた。
本当に、自分の恋人はどうしてこんなにも可愛いのか。
愛しい気持ちがあふれてきて、感情の赴くままに彼女を抱きしめ、唇を重ねる。
「ん……んむ」
舌を侵入させ、口腔内をねぶりまわす。
おずおずと差し出される彼女の舌を絡め取って、くまなく愛撫を贈った。
「んん……っ!」
息苦しさに身じろぎする度、触れ合っている場所から快感が生まれる。
彼の胸板に押されて形を変えられているふくらみの中央、
彼の竿の上に乗るような形で押しつけられている花弁、
それらから甘い痺れが全身に流れて彼女に伝わった。
「は……っ」
彼の方も、いつまでも余裕を持ってはいられない。
媚肉の柔らかな感触、そこから伝わる熱、とろとろと自身の上に流れてくる蜜。
それらが合わさって肉欲がくすぐられ、下腹部に血液が集まる。
びくびくと猛っているのも、おそらく彼女に伝わっていることだろう。
「システィーナ……」
唇を離し、もう一度彼女の体を横たえる。
「平気……かな?」
彼女の秘所に自身の先端をくちゅりと当てがって尋ねた。
「あ、う、うん、だいじょぶ……だけど……」
「なんだい?」
「あのね、もっと近くに来て……ぎゅって、して、ほしいの……」
潤んだ瞳で懇願される。
断る理由はなかった。
「仰せのままに」
ふっと微笑みを返し、体を彼女の上に重ね、片手を腰に回して抱きしめる。
もう片方の手で彼女の手を取ると、健気に握り返してきた。
あたたかなぬくもりが、お互いに心地よかった。
458 :
5/6:2012/04/18(水) 01:05:10.21 ID:kU2clKzj
「力は抜いていてくれ」
耳元でそう告げると、ゆっくりと腰を押し進めた。
「……っ」
濡れて熱くなった肉襞が、歓迎するかのようにうごめきながら彼自身を包み込む。
快感と繋がった実感とがひときわ強く感じられるこの瞬間がたまらない。
「システィーナ……システィーナ、好きだ。愛してる。
僕の、可愛い人」
もう何度目になるのか、どんなに伝えても伝えきれない愛しさが言葉となって口からこぼれた。
「ん……っ、わ、たし……私、も……っ。んく、ぅあっ!」
ずぶずぶと奥まで進入し、肉壁をこすりながら引き戻す。
要所を刺激する度、嬌声があがり、肢体が跳ねた。
「あ、あっ! ん、おく、奥ぅ……っ! や、あっ!」
指では届かなかったところに待望の刺激が到来する。
理性が飛びかけて文章になっていない彼女の言い方では、思わず出てしまった言葉なのか
積極的なお願いなのかは判断しかねるものだったが、
その場所が大きな快感を与えているということには変わりなく。
彼女の腰をより一層自分の方へ引き寄せると、自身を最奥まで突き立ててそこを重点的に攻めたてた。
「あんっ! ふぁ、あ、ああっ!」
ずっ、ずちゅ、ぐちゅっ。
かき回す度に結合部から淫らな水音が漏れて響きわたる。
頭が白くとろけていく感覚。
熱と快楽に支配され、体の全てが甘美な快感を享受するための器官になってしまうような錯覚。
「あっ、フォルカス……っ、すき、なのっ……! んっ、あ、あっ! フォ、ルカ……スっ!!」
気持ちいい。愛おしい。
思考がただそのふたつだけに埋め尽くされる。
彼の名を呼び、彼の手を固く握って、彼の律動に身を任せる。
「んくっ、ぅ……あっ、あん! も……もぅっ、い、あっ! ふあ、ああんっ!」
じゅぷっ、ぐしゅ、ずぷっ。
突き上げる度に彼女の口からよがる声がこぼれ、瞳からあふれた涙が頬を伝った。
それがさらに彼の情動を煽り、より激しい刺激となってふたりをさらなる熱情の世界へいざなう。
「っ、シス、ティーナ……っ!」
「フォル……ぅあっ、あ、はぁ、あっ! ……め、も……だめぇっ!
わた、し、また……っんあぁん! あん! あっ、あんっ!」
共に悦楽の大波に飲み込まれ、絶頂への階段を駆けあがっていく。
何かに突き動かされるかのように腰が躍動し、柔らかで窮屈な彼女の体内に
何度も何度も打ちつける。より深く、激しく。
「ああぁんっ! んっ、く、ぁ……っあああああああぁぁっ!!!」
彼女の呼吸が一瞬止まり、直後に大きな叫び声と強烈な締めつけが彼を襲った。
「…っ!!」
極限までふくれあがっていた自身は、そこで限界を迎えた。
咄嗟に腰を引いて、快楽の海と化した蜜壷を抜け出した刹那。
全身を電撃のような刺激が貫き、硬直したかと思った直後、
びくんと跳ねた自身の先端から灼熱の白濁液が吐き出され、一気に弛緩する。
「あ……はぁ、あ……」
絶頂の余韻に身を震わせる彼女の、桜色に染まった肌に白い情熱が降りそそいだ。
459 :
6/6:2012/04/18(水) 01:06:07.28 ID:kU2clKzj
「はぁっ、は……っ。……ふぅ」
吐精後の虚脱感になんとか抗って呼吸を整え、身を起こす。
繋いだ手を解いてベッド脇の装飾棚に備えられているハンカチーフを取り、
彼女の隣に腰を下ろすと、
「……」
白い粘液を指ですくい取って、とろんとした表情でそれを見つめる彼女の姿があった。
それがやけに艶やかに見えて、そして、愛おしいと彼には思えた。
「いつか……」
「えっ?」
ぼんやりと見とれていた彼が、ふいにこぼれた彼女の言葉で意識を引き戻される。
「いつか、私たちも赤ちゃんを授かる……よね?」
「あ、ああ、そうだね。本当に全てが終わって、僕が帰ってきたら……」
結婚して、家庭を持って、新しい命を育んでいくだろう。
普通で、当たり前の……それは何物にも替えがたい幸せ。
「その子は……この国を好きになってくれるかしら……?
この地に生まれてよかったって、そう思ってもらえるかしら……」
「当然さ。そのために今、僕らが頑張っているのだろう?」
穏やかに微笑んで、彼女の手を取った。
「大丈夫だよ、システィーナ。きみの願った平和な未来はすぐそこまで来てる」
その日まで、自らの子種はまだその役目を果たす時ではない。
彼女の綺麗な指からそれを拭き取ると、彼は華奢な手の甲に口づけを贈った。
「……ありがとう、フォルカス。私の隣にいてくれる人があなたでよかった」
彼女が、はにかみと安堵の混じった笑顔を返す。
「そう言ってもらえて光栄だ。
さ、ちょっとじっとしてて。汚してしまったところを拭いてあげるから」
そう言って、胸からお腹にかけて布を滑らせる。
くすぐったさからか、時折身じろぎする彼女の仕草がなんとも可愛らしかった。
彼女に奉仕を続けながら思う。
自分こそ、彼女が隣にいてくれて幸せだと。
彼女のいる国に生まれてきてよかったと。
そう、心から。
「……こんなものかな」
あらかた拭き取り終わったところで彼がそう呟くと、彼女が身を起こした。
「それじゃ、今度は私に貸して」
「……え?」
一瞬、彼には彼女の言葉の意味するところがわからなかった。
「え、って……あなたも拭かなきゃ、でしょ?」
「え、あ、うん。……いや、そうではなくて」
そこで彼は理解した。
「き、きみがすることではないよ。汚れてしまう」
「? きれいにするために拭くのよ?」
きょとんとした顔で返される。
正論だ。
「し、しかしだな、きみに触れられたら僕は……」
またきみを抱きたくなってしまう、と言いかけたところで口をつぐんだ。
いつもと違って、今日はまだ続きがある。
たくさん愛し合うことを約束したのだから。
抱きたくなるも何も、元から抱く予定ではないか。
「……じ、自分以外の人に触られるのって、そんなに痛いの……?」
なんと言ったものかと逡巡する彼に、予想外の言葉が飛んできた。
「なるべく優しくするつもりではいるんだけど……それでも?」
「いや、そ、そういうことじゃないんだ。それは心配しなくていい。
そうじゃなくて、逆に、気持ちよく……なってしまうと思う、んだ」
心優しき恋人にいらぬ心配をかけさせてしまったことを恥じ、
できるだけ誠実に事実を告げる。
これはこれで別な意味で恥ずかしいのだが。
「そ、そう……なの?」
そのつもりがなくても、男性自身に触れるということがどんなことなのか改めて知らされ、
彼女の頬が赤く染まる。
「で、でも、私がしたいのはきれいにしてあげたいということだけだし……」
「い、いやいやいや! 気にしなくていいんだ、本当に!」
それでも何かをしてあげたいと思った気持ちを振り切れないらしい彼女を慌てて制し、
これ以上こじれる前にと自分でさっと拭き取ってしまった。
役目を終えたハンカチーフをベッドサイドに置いて、彼女を抱き寄せる。
「休息、そうだ、少し休息を入れよう、ね?
だから、そういうことはまたあとで考えればいいよ」
「……フォルカス、疲れてしまったの?」
彼女は本当に、どこまでも純粋で優しい。
「まさか。そういうわけではないよ。
でもこうしてただ肌を合わせている時の心地よさってあるだろう?
それも味わっておかないと、勿体ないと思うんだ」
それは、半分は誘導するための文言ではあったけれど、一方で本心でもある言葉だ。
「それは……そうね、あなたの言う通りだわ」
穏やかな笑みがこぼれ、彼女の体重が彼に預けられた。
彼女の素直さにはほっとする。
安堵という意味でも、癒されるという意味でも。
「あ、でも……眠ってしまいそうになるのは、ちょっと困るかも」
「そうかい?」
それは仕方ないのだから無理せず眠ってしまっていいと思うが……
と言いかけた言葉を彼は飲み込んだ。
約束したではないか。相手に破棄する気がないのにそれを違えるわけにはいかない。
「……じゃあ、キスをたくさんしてあげよう。
それなら大丈夫だよ」
そう言って、彼女の額にひとつ、口づけを落とす。
それからまぶた、そして頬。
そうしてキスの雨を降らせるうち、それが愛撫となって
再び互いの熱を交わらせはじめるまでに、そう時間はかからなかった。
フォル×シス キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
エロ甘で満足しましたありがたやありがたや…
育ちの良いふたりがお互いに気遣いながらの初々しい感じがすごいよかった!ありがとう。
GJ
ほのぼのしてて和んだ
あげあげ
465 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 07:54:49.98 ID:xIe0djmV
ほ
発売日から随分と出遅れてプレイしてたもので、最近やっと1周目クリア。
ハボリム×オズマにどうしようもなく萌えてしまい、二次創作探しをしてる内に此処へ辿り着きました。
TO運命の輪しかやってないニワカなのが申し訳ないんだけど、自分以外にもハボリム、オズマ、バール兄の関係性が好きな人が居て嬉しいなぁ。
表記的にはハボリム×オズマでも逆でもおkなんだけど、エロいのだとオズマ様が上側と言うか攻めなのばかり思い浮かんでしまいます。
ハボリム先生は視覚を塞がれてしまったせいで、オズマに対して欲情できなさそうなイメージが有る・・・。
31歳だけど随分と老け込んでしまってるし、肝心な時に勃たなそうなんだけど、流石に飛躍し過ぎだろうか。
なので夜はオズマ様の主導という感じ。
オズマ様はハボリムに優しそうだから献身的に奉仕するイメージ
468 :
466:
>>467 そうそうそんな感じです!
オズマ様、ほんとハボリム先生贔屓ですよねw
(オズに対しても別枠で特別扱いしてますけど)
此処は常駐すると言うよりは、たまに思い出した時に来るスレって印象を受けたので
レス付くとは思わなかった・・・