98 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:00:39.49 ID:wrogsBqR
キス…
口付け…
接吻…
キーンコーン…
ぐるぐると悩んでいる間に予鈴が鳴り、
俺と山田は教室に戻り席に着いた。
「……船橋君?」
穏やかな声で俺を呼ぶその人は
俺が所属している茶道部の部長…いや、
今は「元部長」だが俺の中で部長はずっと部長なのだ。
「あ、スミマセン」
昼間、山田に言われた事を黙々と考えているうちに授業も部活も終わり、今。
俺とその横にいる部長は、ある場所へと歩いていた。
未だに俺は、山田の言う「キス」について考えていたわけだが。
「今日は考え事が多いんだね」
「はぁ、ちょっと…」
俺が部長に恋してから1年以上経つが、
少なくとも今までそんな雰囲気にはならなかったわけで。
俺はキスなんてした事がないし、
間接キスに挑んだ事はあるが情けなくも失敗に終わった。
99 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:01:42.27 ID:wrogsBqR
考えているうちに目的地に到着し、俺達は足を止める。
ここは海の見える場所。と言えば聞こえが良いが、
早く言えば海辺に多く建つ倉庫の裏。
人通りなど皆無なこの場所は
俺と部長、二人だけの秘密の場所。
心優しい部長が腐れヤンキー2人を庇う為にここへ案内した事をふと思い出した
が、
そんな事は無かった事にしてしまおう。
うん、そうしよう。
「夕陽…キレイだね」
見ると、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
夕陽の光は空だけでなく、部長の横顔も薄いオレンジに染め上げている。
俺は夕陽よりも、夕陽を見つめる部長の横顔が綺麗だと思った。
部長の、形の良い唇を見て思う。
俺はキスをした事がない。
でも
部長は…?
100 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:03:25.46 ID:1JDC1u62
「部長」
「はい」
部長は夕陽から視線を外し、
俺の方を向いてニッコリと微笑んだ。
「部長はキスした事あるんですか?」
俺の質問に、部長の笑顔は驚いたような表情に変わる。
部長は普段からパッチリしている目をそれ以上に見開き、
口を少しだけ開け、ポカンと俺を見つめている。
「………」
「………」
少しの沈黙の後、部長は表情をいつもの笑顔に戻して
先程の俺の質問に否定の言葉を返した。
「ないヨ」
そして部長は、優しく俺を呼んだ。
「船橋君」
「ハイ」
「私ね、夢があるの」
「夢?」
「好きな人が出来たら、誰よりも先に…一番にこの場所を教えて…
ここで、二人で夕陽を見て……」
そこまで言うと、部長は一歩、俺に歩み寄る。
101 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:04:30.49 ID:1JDC1u62
そして両手をソッと差し出し、俺のゴツい右手をキュッと握ってきた。
白く小さな部長の手。
俺のとは明らかにサイズが違う。
真剣な瞳でジッと俺を見つめ、部長は言葉の続きを放った。
「…二人で夕陽を見て……ファーストキス…するの…」
そう言い終わると、部長は俯いた。
俺の手を握る部長の柔らかい両手はフルフルと震えている。
好きな人ができたら
誰よりも先に
一番に
この場所を教えて
二人で夕陽を見て……
…好きな人
部長の好きな人
…俺…か…
102 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:05:35.88 ID:1JDC1u62
「部長」
俺は極力優しく部長の頬に手を添え
俯く顔をこちらに向けさせた。
部長は拒みはしないものの、どもりながら俺を呼んだ。
「ふ…船橋君…」
「ハイ」
「あのね…私、もう部長じゃないよ…」
「……元部長?」
「そうじゃなくて…」
部長は頬を赤らめ、
少し戸惑った顔をして
また俺を呼んだ。
ただ、それはいつもとは違った。
「雅矢…クン」
名字ではなく、呼ばれ慣れない自分の名前を
他でもない部長に呼ばれ、
俺の口は自然に部長の名を呼んでいた。
「…姉崎さん」
「はい」
「キスしてもいいですか?」
「はい…」
103 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:06:47.01 ID:wrogsBqR
その返事を聞くと
先程フルフルと震えていた手を取り、自分の手としっかりと繋いだ。
部長を安心させるように。
そして、目を閉じる部長にゆっくりと顔を近付けていく。
俺の唇が1ミリ、また1ミリと部長の唇に近付いていく度に
心臓がドクドクと暴れる。
そしてついに、俺の唇と部長の唇が触れた。
チョン。と唇を触れたのを実感し、俺は部長の唇から自分のそれを離した。
「…あ…船橋君…」
「ハイ」
「え…えっと…」
何故かしどろもどろ、という顔をしてしている部長を呼び返した。
「部長」
「はっ…はい!」
「キスっていいですね」
「あ…うん、そうだネ」
その後すぐに部長を家まで送り届けた。
ファーストキスの後、至福と達成感に包まれながら見た
夕陽に染まる部長の表情は、嬉しそうだけど、少しむくれたように見えたのは
俺の気のせいだろうか。
104 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:07:52.56 ID:1JDC1u62
「と、いうわけだ!」
「………」
朝の通学路。
昨日起こった部長との体験談を自慢気に話す俺を
口をあんぐりと開けマヌケな顔で見ている山田。
「…どうした?羨ましいのか?」
そう聞くと、山田の激しい突っ込みに襲われた。
「と、いうわけだじゃねーよ!
少しむくれたように見えたのは俺の気のせいだろうかじゃねーよ!」
「え、なんで」
「部長、明らかにむくれてただろそれ!
チョンとキスしたってお前はキツツキか!
イマドキそんなん小学生だってしねぇよ!」
「えっ…そうなのか!?」
全く予想もしなかった事をまくし立てられ、
正直なところ俺は少しショックを受けた。
俺はキツツキ…
鳥…
鳥類…
105 :
雅×部:2011/07/03(日) 00:08:19.68 ID:1JDC1u62
「せっかくのチャンスにそんな小学生以下のキスとか…
さすがだわ、まークン」
「うるせー!
海辺で夕陽を眺めてファーストキスなんて
ロマンチックでロハスだろが!」
「ロハス関係ねーし!
…まぁ、次で挽回だな」
突然、山田が意味深な事を言い出した。
「次?」
俺がそう聞き返すと
山田はキョロキョロと辺りを見渡し、周りに誰もいない事を確認して
ポケットから財布を取り出した。
そしてその中から手の平サイズの四角い袋を取り出し、俺に渡す。
俺の手の平に乗せられた銀色の袋の中心には、
丸い形が微妙に浮き上がっている。
それを見て、俺は思わず声を出した。
「…お前…」
山田は照れたようにニヤリと笑い、俺の肩をポンと叩く。
「常に持っとけよ」
「…なんだコレ」
俺のその発言に山田は漫画のようにずっこけた。
そしてその後、俺はまたも山田にまくし立てられるのだった。
end
106 :
部×雅:2011/07/03(日) 00:13:14.84 ID:1JDC1u62
以上です
部長登場時の「船橋君?」の部分、
改行少なくて場面の切り替わりが分かり辛い事になっててすみません;
難産だったのですが、力不足で申し訳ない気持ちでいっぱいです
107 :
名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 05:28:19.74 ID:+pIwaqAc
GJ!!!!!!
この掲示板にもとうとう神職人が降臨したか。
力不足?とんでもない!!文才あんぜマジ!!細かい事ァ気にするな!
伝わるから大丈夫よ!!また是非SS投稿お願いします!(できればヤマカホ)
108 :
名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 19:15:15.09 ID:C8MZHWOu
うおおGJ
部長かわええ
続き楽しみにしてるぜ
109 :
名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 19:30:30.34 ID:4wbinAba
抜きに来たけど吐き気がする無理
まーくんと部長ktkr
可愛かった、GJ!
相沢と麻子はまだか
麻子とやんのは俺が先じゃ!!
113 :
名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 12:45:22.15 ID:l+sMK5XT
お茶にごすのSS投稿して!
藤林丈司
115 :
名無しさん@ピンキー:2011/09/16(金) 16:07:25.83 ID:mNSmoDg9
ほ
めぐ待ち
117 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/06(木) 21:34:41.72 ID:j7ZtdGy8
部長ーーー!
部×雅の続き読みたい
119 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/07(水) 10:26:40.81 ID:WsIT7sIa
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
120 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 22:04:04.50 ID:8VFSjCcM
保守〜♪
とう!(←女子高生)
はあっ!(←武道高校生)
どぅおりゃあ!(←ウマ番長)
いとうパーンチ!(←ウニ頭)
スーパーデンジャラスキィーーック!!(←主役)
(やられた音)(←谷川)
122 :
名無しさん@ピンキー:2012/01/09(月) 01:58:15.47 ID:i64NwyqI
(゜o゜)
真道と朝涼のエロが読みたい
俺も読みたい
俺も俺も
126 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/14(水) 09:30:16.22 ID:J/0GLj7a
保守〜♪
127 :
ホーリエ:2012/03/15(木) 07:44:51.23 ID:fM1k2lak
保守デス!
めぐ同人ないの?
129 :
名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 22:58:28.69 ID:EHWzA4Ty
相沢と麻子が同棲してヤリまくり
130 :
名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 01:44:29.54 ID:tFWC7D8/
保守ぅうううううううううううううううううううううううううう!!!
131 :
名無しさん@ピンキー:2012/06/17(日) 05:53:33.06 ID:MdJuC1hF
こんなスレあったのですか
今週の鋼鉄がものすごくエロ向きな題材だった件について
133 :
名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 05:58:00.26 ID:nJb10a+d
\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
七郎×朝涼希望
135 :
名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 06:52:15.04 ID:cjSspVLV
136 :
名無しさん@ピンキー:2012/10/09(火) 01:24:27.63 ID:rZb9amXc
保守〜♪
めぐ
「コンクリート詰められなくてよかったね」
自分の耳を疑った
よかった???
こいつは筋金入りのバカだ
バカだとは思っていたが
ここまでバカとは思わなかった
こんな絶望的状況にもかかわらず
なぜか笑いが込み上げてくる
そうだ
いまさらどう足掻いたって仕方ない
どうせ訪れる死なら
最期の限られた時間を大事にしたい
だってアタシはひとりじゃないんだから
「そうだな
コンクリート詰められたら身動きできないし
オマエに文句も言えやしない」
「文句!?なんで僕に?ぼ、僕なんかしたかな?」
「アタシの胸思いっきり触ってる」
相変わらずクールね
だって仕方ないじゃん
この光も差さない狭い空間で
いったいどうすれば二人の距離をとれるっての!?
天と地も右と左もわからなくなりそうだ
ただゆっくり沈んでいく
無言でいると息遣いだけが聞こえる
まとわりつく長い髪
触れる肌と肌
柔らかい胸の感触と鼓動
今までこんなに長いこと触れ合っていたことはない
動けば動くほど身体が密接していく
言葉とは裏腹に
彼女の胸はいっそう強く押し付けられてきて
どぎまぎしてしまう
「なんか言えよ
むっつりスケベか?」
「な、なにゆって、むっつりって、ヒドイよ」
「ヒドいのはテメーだ なんで来た?
オマエが来なきゃ こんな目にはならなかったのに」
そうかもしれない
僕が来なければ 命だけは助かった
「嫌だったんだ」
「ただマワされるだけだろ どうってことない」
「そんなわけない!!僕は嫌・・・!!」
思わず大声を出したら鼓膜が破れそうに痛い
動いた拍子にあちこち身体をぶつけた
「バカヤロー!!状況考えろよ!!」
声を潜めても口調は厳しい
「・・・ゴメン」
↓カプ当ててくれたら続けようかと^^
hosyu
ほ
西森作品の女の子はどうしてあんなに可愛いのか
エリリン
エリリンもしくは朝涼ください
メグ
夏帆