ヤンデレの小説を書こう!Part36

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462のどごし ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:00:41 ID:TClGu358
>>422
禿同
埋められる前に投稿行きます
463ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:01:55 ID:TClGu358
携帯のデジタル表記で九月一日の午前三時。大学生未満の学生なら確実に憂鬱な気分になるであろう今日、僕はこの前から続く憂鬱を作る原因に頭を悩ませていた。
暗い、光といえば月光ぐらいの自室のベッドの上で夏休みの内にあった事を思い出す。
あれから暇があれば僕か彼女の家にいた。それは彼女があれからずっと僕と一緒にいたという意味で。
彼女は家に帰り、眠り、朝食を済ませるとすぐに僕の家に電話を掛けてきた。携帯では確実性に欠けると判断したんだろう。
あれからたまにセックスはするけど、どれも僕は気が進まなかった。四日前なんかは外でやった。
映画を見に行った際に、小町が急にトイレに行きたいと言い出した。やたらと付いて来て欲しいとねだる小町に妙な疑問が浮かんだが、最近の小町の様子から考えて、今に始まった事ではないと思い僕は一緒にトイレに行く事にした。
男子便所に入ると、小町も一緒に入ってきて、そのまま一緒に個室に詰め込まれた。
彼女は最初からヤル気満々でトイレに誘ったのだ。
個室に入ると自ら乱暴に衣服を脱ぎ捨て、小町は僕を誘った。
僕はこんな所ではイヤだ、と言ったのだけれど、小町はもうに臨戦体制に入っていて、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。
『ここで大声出したら、誰も真治の言う事信じないよ?』
乱暴に衣服を脱ぎ捨てたのはそういうシチュエーションを作るためか。と感心してしまった。
その後僕はゴムを二回変えるまで彼女とヤり、放心状態で途中からの映画を見ていた。
もう僕は小町の事がよく分からなくなっていた。その中でも一番分からない事は、小町が僕の子を生む覚悟を決めた事だ。
彼女は思慮深い。それだけは確かだ。先のことなんか全然分かっていない僕よりもはるかに優れた視力の持ち主である事は付き合っている僕が一番良く知っている。
その小町があんな安い言葉に乗り、その場で自分の将来に関わる重大な決断をその場で安易に下したのが信じられない。
僕も状況に飲まれていたとは言え、小町は幾分冷静だったはずだ。
彼女は学校が始まってから一週間後に検査薬で確かめてみると言っていたけど、もしそれで反応が陽性であれば、それからどうするつもりなのだろう?
きっと彼女はその子供を出産するだろう。どれだけ反対してもそれを押し切って。
僕はその時どうなるのだろう?ここまで来てやっと自分の事に気が付いた。それに笑ってしまう。
彼女のその後についてばかり気がいってしまっていた。
僕はその場合、一人の人間の父親になる。
そうなったら、僕は家族からも白い目で見られるようになるのだろう。
『全部私の責任。もしもこれで子供が出来ても、真治は悪くない』
そんなわけが無い。僕が彼女の膣内に射精したという現実は誰が悪いとか、誰の責任だとか、そういう問題じゃないからだ。
放っておけば、そうなる事を知っていた。後は結果だけが残る。
受精し、妊娠する。僕と彼女の遺伝子を受け取った新しい命が出来るだけ。
素晴らしい事でも、奇跡でもなんでもない。
その命の誕生に喜ぶのはきっと彼女だけだろう。彼女の父親や母親は覚悟決めたとか、もうしょうがないとか、親らしい立派な言葉を彼女に掛けるのだろうけどきっと心の内では小町を呪うだろう。
彼らがあんな所に家を建てたのは彼女と自分達の幸せのためであり、彼女が子供作りのセックスに励むためではない。
子供は彼女の両親から快くは思われないだろう。
可愛くて、手塩にかけてきた自慢の娘が、学校では落ちこぼれのだらしなく自己管理も出来ない男に引っ掛けられ、結果として子供を作る。
親が親ならおろせ、と言うかもしれない。
僕はその時どれだけの人から、非難を浴びるのだろう。
両親、小町の両親、学校の皆、相手方の親戚、穂波の保育園の保母さん、……。
数えだしたらキリが無いぐらいの人達に聞いたことも無い非難を浴びるのだろう。
だって相手は自分より小柄で、体重もかなり差がある女性。抵抗できたならするべきだ。そういう付け入る隙も無い正論で僕の言い訳は論破され、非難されるのだろう。
そうだ、もう何もかも遅いんだ。
464ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:02:41 ID:TClGu358
九月に入ってもすぐに涼しくなるというわけではなく、緩やかに涼しくなっていくのが日本の気候だ。
四季があるのは珍しいのかも知れないけれど、猛暑とか寒波とかは勘弁願いたい。
僕は暑いのも寒いのも嫌いだ。極端な意見は人の判断を鈍らせるし、話を聞こうともしなくなる。なにより面白くない。
あれから眠れなくてシャワーを浴びてからケーブルテレビで映画を見た。
映画は『カッコーの巣の上で』。僕はこの映画を見たのは三回目だった。結構好きな映画で、自分で借りてきて見ていたのを思い出す。
ジャック・ニコルソンは僕のお気に入りの俳優だ。
しばらくして母さんと穂波が起きてきた。穂波は上機嫌ではしゃいでいる。小町が来ると昨日言っておいたからだろう。
時折「小町ちゃんまだかなぁ」と僕に確認してきたから間違いない。
今の僕の気持ちとは正反対だなと少し苦笑いをしてしまう。
「あんた」
母さんがコーヒーを置いて、それを機に話しかけてきた。
「あの子にいい加減な事するんじゃないよ」
「ん。分かってる」
いい加減な事とは避妊具をせずに性交渉したり、性交渉の一部始終をフィルムに収める事だろうか?
それならもう後の祭りだな。ここまで来ると他人事に思えてくる。
コーヒーを半分ほど飲んでから、ラップで口を塞ぎ、冷蔵庫に入れた。歯を磨きに洗面所に行くとインターホンが鳴った。
「ほなみが出る!!」
穂波はそう言って飛び出した。多分小町だろう。
時計を見ると約束の時間よりも十分早かった。歯を磨いて、ついでに顔も洗う。
鏡越しに見る自分の顔はいつもより老けて見えた。
「珍しく早起きしてると思ったら」
母さんが邪まな笑みを浮かべて僕を茶化す。
うるせえ、と言い捨てて足だけでスニーカーを履いて玄関を出た。
穂波と小町さんが夏休み前と同じように談笑している。穂波は小町とは夏休みの間にも遊んでいたからもしかしたら夏休み前より楽しい談笑なのかもしれない。
「おはよう、真治」
「おはよう」
出てきた僕に微笑みかける小町さんが少し不気味だった。
「それじゃあね、ほなちゃん」
穂波に見送られ、家を出るとすぐに小町が腕を組んできた。心なしかいつもより密着している気がする。セーラー服に僕の腕を押し付けているせいか、胸の形が少し変わっている。
「今日のお昼ご飯何にする?」
始業式と言うのは大抵昼前には終わる。翌日、もしくは来週から始まる新学期に備えて英気を養っておけよと言わんばかりの処置だ。
小町はそれを知っていて、今日の昼ご飯について僕に尋ねてきた。そういえば最近は一人で昼ご飯を食べた記憶が無いな。
「あのさ……、小町」
嬉しそうな小町に僕は今朝来たメールの内容をそのまま伝える。
「武藤君の退院祝いに行くの?」
しゅんと眉の端を下がり、腕を組んでいた力が少し弱まる。
「うん。夏休みのうちに誘われてたんだけど、平沢と僕の予定が合わなかったから……」
僕が言い終えると、小町は僕の表情を下から覗き込んできた。疑われているのだろうか?
そんな事を思いつつ、僕も彼女の顔を見る。
今日は髪を後ろで束ねていて、すっきりした感じに収まっている。
美人はどんな髪型も綺麗だなぁ、なんて呑気に思っていると小町は薄く微笑んでまた組んでいた腕に力を戻した。
「分かった、今日は我慢する」
時々、今でも彼女が狂おしいほどに僕を愛しているのが冗談だと思えてくる。出来すぎた人だけど、それが出来無すぎの僕にとっては重い。
ふと、彼女のお腹に視線が行く。
なぁ、そこに誰かいるのか?
465ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:03:48 ID:TClGu358
学校の始業式は円滑に進められた。
夏休み明けでまだ浮ついている生徒は教師に怒られたりしていたが、この炎天下の体育館の中に誰もずっと居たいわけも無く、校長も自慢の演説もナリを潜め、ものの三十分ほどで始業式は終了した。
「おい、神谷」
体育館用の靴を履き替えていると、平沢と武藤がニヤニヤとイヤラシイ笑顔を貼り付けてやってきた。
「男になったんだな、おめでとう」
平沢が肩を殴ってきた。何で分かるんだろう?
「何がだよ?」
「とぼけんじゃねえ、あの以前よりも増した女性の色気。間違いないだろ」
平沢はうんうんと頷きながら言う。何が間違いないんだろう。
「まあ、やったのは確かだけど……」
「ほらみろ!」
「すげえな、あの”可憐のマツコ”を落とすなんて」
武藤はなんだか感動しているみたいだった。
誰も小町の本当の顔を知らない。それが少し怖かった。高圧的で自分の行動に疑いを持たず、良心の呵責も存在しない。
「三組の高田夏休み明けに告るって言ってたけど、どうすんのかな?」
「知るかよ。ってか彼氏持ちの女に告る奴って大概性格悪いんだよな」
ふと教室、教室の角を見ると小町がこっちを見ていた。
僕は少し迷ってから、手を振った。小町はそれに笑顔で答える。
それから武藤と平沢に殴られたのは言うまでもない。

※※※

大腿骨と言うのを知っているだろうか?
股から膝までの間にある骨で結構な太さと、長さの骨だ。人体の中では結構な太さと頑丈さのある骨で、強靭な骨である事が知られている。
武藤が折ったのはその骨で、見事なほどに綺麗に折れていたらしい。
そのおかげで骨の接合も早く済み、退院も早く出来たらしい。
退院祝いの席で武藤の入院した病院にいた一人の看護師とのやり取りについて話を聞いた。
入院から二日目、ボルトを入れる手術からの全身麻酔が切れ、武藤はやっと現実の世界に帰ってきた。
しかし全身麻酔から目覚めるとメラトニンの分泌がよく働かない事があり、目覚めたその日はよく眠れないらしい。
武藤が目覚めたのは午後七時頃で親と少し話すとすぐに面会時間が終わり、いつもより早めの就寝をすることになったらしい。
しかしよく眠れず、かといって寝返りも打てず、三時ごろまで真っ暗な病室の天井を見ていると沸々と尿意がこみ上げてきた。
しかし術後で上手く体も動けず、武藤は渋々ナースコールのボタンを押した。
十分ほどで若い看護師が来た。茶髪交じりの黒髪で童顔の白衣がよく似合う看護師だったらしい。
彼女に尿意の事を告げると看護師はベッドに設置されていたカルテをペンライトだけで読み、武藤の病状を調べた。
看護師はニコリと笑うと、一度病室を出てからある物を持ってすぐに帰ってきた。
看護師が持ってきた物とは、尿瓶である。
武藤はエロDVDなので得た拙い知識でそれが何なのかを瞬時に理解すると、唾を呑んだ。
『ま、まさか!!高校生なら全員憧れる手取り足取りの白衣の天使の手コキが見れるのか!!』と思い一人興奮したらしい。
しかも看護師の手際が悪く、ズボンを脱がす時妙にその時の脱がし方がエロかったらしい。
武藤はまな板の上の鯉よろしく、もう完全に相手に任せていたらしい。
そして尿瓶にナニを挿入する際瓶の口が彼のナニに少しかすめ、彼のナニは病の床に伏せているというのに空気も読まず見事な勃起をかましてしまったらしい。
不幸な事は重なるもので、尿瓶の口は小さく三日ぶりにフルパワーを発揮してしまった武藤のナニは尿瓶の口を塞ぎ、さらに膨張し口から溢れ出ようと必死に大きくなっていった。
尿瓶の口から外せなくなり、今度は看護師が院内関係者にだけ渡されているPHSで外科にナースコールをするハメになったらしい。
外科医が来るまでの間、武藤は看護師からすっと励まされていたらしい。
「大丈夫です!皮は切らなくて済みそうです!!」
僕らはそれを聞いてファミレスで爆笑してしまった。
466ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:04:39 ID:TClGu358
武藤の話に大爆笑した後、平沢が僕に尋ねてきた。
「お前、藤松とのセックスはどうだったんだよ?」
僕は曖昧な笑顔を浮かべて、「まぁ、よかったよ」と言うだけだった。
「初めてはどこだよ?」と武藤。
「俺の部屋だよ」
おお、と平沢と武藤が驚きに近い声を上げる。
「結構な数こなしたんじゃねぇの?」
「まぁ、そこそこ」と僕。
すげぇな、と武藤が感心して僕の肩を叩く。平沢の方を見るとなんだかあまり楽しそうではなかった。
「しかし、神谷にあの子がゾッコンだとはな」
「ああ、そうだな」
僕は今、上手く笑えているのだろうか。少し自信が無かった。
目の前にあるメロンソーダには、入っていた氷が溶けて小さくなって浮かんでいた。
全然飲んでなかったんだな。と今になって気付いた。
「おい、神谷」
「うん?」
「この後、空いてるか?」
平沢が真面目な顔で尋ねてきた。
「は?」
「武藤これから通院がしなきゃいけねえんだ。まだ四時ぐらいだし、もうちょっと二人でブラつかねえか?」
武藤は携帯の時計で時間を確認してから、そうだったと僕に頭を下げた。
「じゃあ、そろそろ出るか」
とりあえず僕らはここで別れる事になった。会計を済ませ、武藤の後姿を平沢と二人で見送る。
「テキトーにぶらつくか。金もないし」
僕はその案に頷く。金が無いのはお互い様だ。
しばらく歩いて、駅のロータリーを出た。西日はまだ暑い。
「なあ」
「ん?」
「粕中行かねえ?久しぶりに」
「おう、いいね」
きっとどこでもよかったんだけど、僕らはそこへ行く事にした。僕らのかつての学び舎に。
校門は開け放たれていた。まあ部活動があるから当然なんけど、
「ひっさしぶりだな。覚えてるか?二年の時、松田が勉強ノイローゼになってナチスのプロパガンダになったときの……」
「ああ、校門に地図の表記で寺の記号書いた事件な。アイツあれから入院したらしいけど、どうなったんだろう?」
「知るかよ。生徒会長と部活の副キャプ掛け持ちしてて頭ぶっ飛んだ奴なんて今日日珍しいぜ?」
「真面目な奴だったんだよ、あいつ」
僕らは当時の思い出を語りながら当時とあまり変わらない廊下を歩く。
階段を五回登り、三階より上にたどり着く。古めかしい大きなドアが階段の途中を塞いでいる。
ドアノブを捻ると金属音がしてそれ以上回らなかった。
「ありゃ?」
「閉まってるか?」
掌を見ると埃の玉が付いていた。僕らが卒業してから一度も開かれていないらしい。
「ジャジャーン!」
掌の汚れを叩いて落とすと、平沢が鞄からポケモンの携帯の画面クリーナーストラップが付いた鍵を出した。
「久しぶりだな、それ」
「こんな事もあろうかと、常に忍ばせているわけですよ」
「絶対忘れてただけだよな、それ」
467ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:05:12 ID:TClGu358
屋上に出るといきなり強い風が吹いてきて、額に光っていた汗を落としていった。
「懐かしいな、ここも」
屋上と言うのは大概フィクションの世界では立ち入り禁止となっているので、分からない人もいるだろうが、結構汚い。
黒いカビに、苔なんてザラだ。寝転ぶなんてとんでもない。
僕らは学校で配られた保健室だよりのプリントを敷いてその上に座った。
西日はさっきよりも少し角度を鋭くしていた。
グランドからは部活動に励む後輩達の声が響いてくる。
「懐かしいっていいな。行く意味も無い場所に来る意味を作ってくれる」
少しセンチメンタルな気持ちになって、西日を二人で見つめる。このまま映画とかなら違うシーンに変わるのだろうけど、僕は少し恥かしいなって思い、臭いんだよ、と平沢にツッコんだ。
二人で少し笑ってから、また西日を見つめた。僕たちは臭いセリフも、大ボラも大好きだった。僕らは互いにロマンチストだったからだ。
「なあ」
「うん?」
少し間を置いた平沢は人差し指でコメ髪を掻くと、座りなおした。
「藤松となんかあったのか?」
そのセリフを聞いて、平沢の方を見た。平沢はまだ夕日を見ていて、西日が表情を照らしていた。
僕は俯いて、何でもないよ、と返す。
「ウソつくなよ。学校で藤松に詰められたんだ」
溜息を吐いて、平沢が続ける。
「もう、私と真治の邪魔しないで、ってさ」
僕は額に手を置いて、溜息を吐いてから平沢に何を言われたか聞いた。
「正直、邪魔者以外の何でもないってよ。アイツ俺が何か言ったら殴る気だったぜ、多分」
「そうか、ごめん」
いいけどさ、と平沢はバツが悪そうにそっぽを向いた。
「アイツとは距離置いた方がいいぜ、神谷。人の彼女にどうこう言うつもりは無いけど、恋人からの束縛は精神的にキツいぞ」
少し分かるような気がする。現に僕は今、ストレスで少し食が細くなってきているのだ。
「ああいう優等生タイプは特にそうだ。人を好きになるのが初めてな場合が多い。そういうのは初恋をどんな事をしても成就させようと必死になる」
「なんだ、やけに詳しいな」
「中学の時に付き合った村田がそうだった」
「あの委員長か。お前にしては随分地味な子と付き合うなぁ、と思ってたけど」
「毎日、朝と晩に無言電話、ストーキング皆勤賞なら俺でも折れるよ」
平沢は苦笑いを浮かべ、懐かしそうに遠い目をする。
「アイツはアイツで必死だったんだろうな」
平沢の呟きに僕はそうかもな、と頷く。
少なくとも、小町も僕との間には何よりも真剣なんだ。
『今はそう思うかもしれないけど、そうなった時はせいせいしたとか、なんであんな奴と付き合ってたんだろう?って思ってるよ』
それなのに僕は彼女にあんなことを言ってしまった。いくら冷静な彼女でも怒るだろう。
相変わらず、僕は大馬鹿者だ。
「なあ、平沢」
一言、どうしても平沢に聞きたいことがあった。
「んだよ?」
「村田とはなんで別れたんだ?」
その後の結末。平沢は人の気持ちを無碍にはしない。だからその後の事の顛末が僕にはどうしても気になった。
「親の都合で転校したって聞いてたけど、本当にそれだけだったのか?」
それから平沢は少し黙ってから、僕の問いに答えた。きっと言葉を選んでいたのだろう。
「村田も少し束縛がキツくてさ、俺が別れようって言ったら手首を切っちまった。それから入院して、精神病院の患者になった」
今でもたまに手紙を貰うよ、と平沢は何とも言えない表情を浮かべる。
そういえば村田は中二の三学期から転校が告げられる中三の始業式まで姿を見なかったのを、僕はここにきて思い出していた。
468ウェハース第十話 ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:05:42 ID:TClGu358
屋上でしばらく二人で黄昏てから学校を後にした。
それから近くにある公園で平沢と別れた。
結局、平沢には何も放さなかった。というより平沢が深く聞こうとしなかった。多分平沢なりの気遣いだろう。
全く、本当に人のいい奴だ。
僕はここに来てやっと平沢に言う覚悟が出来てきた。心の整理とでも言うか、久しぶりに頭がスッキリしてきたからだ。
まずはどこから話すべきなのだろう?
ビデオの事……からの方がいいのだろうか?
事の始めはアレからだし、多分そうだろう。
そんな事を考えながら帰路に着く。気付けばもう家の前の続く通りにいた。
早いもんだなあ、と思いながら家のリビングから出ている光を見る。
やけに騒がしいな。
今日、父さんは確か飲んで帰ってくるって言ってたよな。なら今家にいるのは穂波と母さんだけのはずだ。
何か不吉な予感がした。なんとも形容しがたいけど、確かにした。
鍵を開け、ノブを捻り、帰宅の言葉を告げる。
まず、僕を出迎えたのはリビングから飛び出してきた穂波。声の調子から見てかなり興奮している。
「おにいちゃん、おかえりー!!」
「おう、ただいま」
玄関の靴を見ると、コンバースの見慣れない靴があった。
「誰か来てるのか?」
うん、と穂波が頷きと共に答える。靴の大きさからして、多分女性だろう。
「小町ちゃん!!」
一瞬耳を疑った。するとリビングから誰かが出てくる気配がした。
その人は紺色のTシャツに色も生地も薄いロングスカートを合わせていて、見慣れた綺麗な黒髪を靡かせている。
僕と視線が合うと、穏やかな笑みをつくり「おじゃましています」と言いつつ近づいてきた。
穂波は僕から離れ、彼女の足に抱きつく。
「小町なんで……」
僕がそう呟くと、小町はまた微笑んでこう言った。
「おかえり、真治」
469のどごし ◆Nwuh.X9sWk :2010/09/26(日) 19:06:39 ID:TClGu358
以上で今回分は終わりです
ありがとうございました
470名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 22:05:00 ID:VJzMpKSP
>>469
GJ!!
毎回楽しみにしてます!!
471 ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 22:58:21 ID:Tlcr6hDO
>>469
GJ!!

一見して感情の赴くままに行動していそうで、実はその行動に一切に無駄がない小町さん……。
まさに、ヤンデレモンスターですね。
病んでいる事が常態というのは、ある意味で最も恐ろしいような……。


遅くなりましたが、迷い蛾の詩・第七部を投下します。
監禁・逆レイプなどの描写があるので、苦手な人は避けて下さい。
 陽神亮太が目を覚ました時、そこは彼の覚えのない場所だった。
 辺りは一面が闇に覆われ、今が昼なのか夜なのかも分からない。
 彼の周りを包む空気は、どこか湿っていて埃臭い匂いがする。
 分かっているのは、自分が椅子の様なものに座っているということだけだ。

(ここは……)

 辺りの様子を確かめようと、亮太はその場から立ち上がろうとした。
 が、直ぐに両腕や両足を押さえつけられるような感覚に襲われ、思わずその場で顔をしかめる。

「――――っ!!」

 暗がりでよく分からないが、どうやら自分は手足を椅子に縛りつけられているようだった。
 それも、ただ縛られているのではない。
 寸分の遊びも許さないほどに、しっかりと縄で椅子に固定されている。
 これ以上強く縛られたら、手足が鬱血してもおかしくない。

「あっ、気が付いたんだね、亮太君……」

 ヒタ、ヒタ、という階段を下る音と共に、聞き覚えのある声が亮太の耳に響いた。
 ぼんやりとした橙色の灯火が、徐々にこちらへと近づいて来る。

「ま、繭香……!?」

 薄明かりの中に見える、亮太にとっても馴染みのある少女の顔。
 だが、その瞳は既に、亮太の知る繭香のものではない。
 この部屋を覆う闇よりも更に深い暗闇に支配され、淀んだ視線をそのまま亮太にぶつけてくる。

「おはよう、亮太君。
 あっ……でも、今の時間だったら、こんばんはって言った方がいいのかな?」

「冗談はやめてくれよ、繭香。
 なんで、こんなことするんだよ!!
 こんなことして……いったい何の意味があるんだよ!!」

「冗談なんかじゃないよ、亮太君。
 私はただ、亮太君を元に戻してあげたいだけ……。
 だから、お薬を入れたお水を出して、亮太君をここに運んだんだ。
 お母さん、たまに眠れないって言って、お薬を飲むことがあったから……それを、ちょっと失敬したんだよ」

「薬を入れた水……。
 ま、まさか……!?」

 だんだんと、亮太の頭に記憶が戻ってきた。
 あの時、繭香が昼食と共に運んできた水。
 きっと、あれには睡眠薬か何かの類が混ぜ込んであったに違いない。
 それを飲んで眠ったところを、繭香はこの部屋に運んだということなのだろう。

「ねえ、亮太君……。
 それより……お腹すいてない?」

「なに言ってるんだよ!!
 こんな状況で、腹なんて……」

「あはは……。
 我慢しなくてもいいんだよ。
 亮太君、私がここに運んでから、もう丸一日と半分は寝てるもんね。
 お水に混ぜたお薬、少し効き過ぎたみたいだね」

「なっ……丸一日!?」

 なんということだろう。
 自分では気づかなかったが、どうやらかなりの時間、この部屋に拘束されていたようだ。

「なあ、繭香……。
 これ、何かの間違いだろ?
 俺に悪いところがあったら謝る。
 だから……これを解いてくれないか?」

「ごめんね、亮太君。
 悪いけど、それはできないよ。
 亮太君が元に戻って……迷わずに私を見てくれるようになるまではね」

「迷わずにって……何を言ってるんだ、繭香!!
 俺には、君の言っていることが分からないよ!!」

「可哀想、亮太君……。
 でも、安心してね。
 亮太君を迷わせる女は、ちゃんと私が始末したから……。
 だから、亮太君も、すぐに私だけを見てくれるようになるよね……」

 近くにあった箱のような物の上に燭台を置き、繭香が亮太の頬をそっと撫でる。
 予想以上に冷たい手に、亮太は背筋に冷たいものが走るのを感じて震え上がった。

 繭香は、自分を迷わせる女を始末したと言った。
 まさかとは思うが、あの繭香が人を殺したというのだろうか。
 信じたくはない、受け入れたくはない想像だったが、それでも亮太にも心当たりがないわけではない。

「なあ、繭香……。
 君が始末した女って、まさか……」

「あっ、気づいてた?
 そうだよ。
 亮太君の想像している通り……天崎さんは、私が殺したんだ」

「――――っ!!」

 屈託のない笑顔を浮かべながら、恐ろしい台詞を平然と言ってのける繭香。
 その、あまりに純粋すぎる頬笑みが、今は返って亮太の恐怖を助長した。

「そ、そんな……。
 だって……君は、あの時、理緒は先に帰ったって……」

「うん、そうだよ。
 天崎さんは私達よりも先に、ちゃんと『土に』帰ったの。
 だから、もう二度とこっちに戻って来ることはないよ。
 亮太君を迷わせて、私から奪ってゆくこともないんだよ」

 衝撃的だった。
 目の前にいる月野繭香が、同級生でもある天崎理緒を殺す。
 今の繭香の表情からは想像もできないことだが、嘘をついていないということだけは、何故かはっきりと確信できた。

「ねえ、亮太君。
 それより、さっきの質問なんだけど……」

 右手に持った皿を差し出しながら、繭香が再び尋ねた。

「亮太君、お腹すいてるでしょ?
 これ、夕食の残りなんだけど……よかったら、私が食べさせてあげようか?」

「勘弁してくれよ、繭香……。
 こんな状況で、食欲がある方がどうかしてる……」

「だめだよ、亮太君。
 ちゃんと食べないと、身体が弱って病気になるよ」

 自分から暗闇の中に拘束しておいて、今さら何を言い出すのだろう。
 そう言葉に仕掛けた亮太だが、直ぐにそれを喉の奥へと飲み込んだ。

 先ほどから、自分と繭香の会話は微妙に噛み合っていない。
 ここで何かを言ったところで、繭香はきっと聞き入れようとはしないだろう。
 もっとも、両手を縛られたこの状況では、食事をするにしても箸も握れないのだが。

「わかったよ、繭香。
 それじゃあ、食事をしたいから……両手の縄だけでも、外してもらえないかな……」

 別に腹など減ってはいなかったが、それでも亮太は敢えて繭香の申し出を受けることにした。
 食事をするふりをして、自由になった手で拘束を解く。
 我ながら古典的な手法だとは思うが、ここは少しでもチャンスに賭けるしかない。

 だが、そんな亮太の考えを見越したかのようにして、繭香は料理の乗った皿を、燭台とは別の箱の上に置いた。
そのままゆっくりと亮太に近づき、鼻と鼻がぶつかり合う程の距離まで顔を近づけてくる。

「大丈夫だよ、亮太君。
 亮太君が動けないのは分かっているから、私が亮太君に食べさせてあげるね」

 そう言うが早いか、繭香は皿の上に盛られている料理を口に入れると、それを細かく咀嚼した。
 そして、料理を口に含んだまま、椅子に縛り付けられた亮太の上に身体を重ねて口をつける。

「んっ……んんっ……はむっ……はぁ……」I

 繭香の口を通して、亮太の口の中にどろりとした物が注ぎ込まれた。
 甘酸っぱい、それでいて粘性の高い液体が口の中に流れてくる。
 繭香の唾液と息が混ざり、正直なところ、なにを食べさせられているのかさえ分からない。
 思わず吐き出しそうになるが、それでも繭香は自分の口の中にあるものを、強引に亮太の口内に流し込んでゆく。

「あっ……がっ……かはっ……」

 こちらの呼吸を無視して食物を流し込まれ、亮太は思わずむせ返った。
 しかし、それでも繭香は口による給仕を止めようとはせず、次々に料理を咀嚼しては亮太の口に入れて行く。

「んっ……んむっ……ちゅっ……ふぅ……」

 最初は口に咀嚼した食物を注ぎ込むだけだった繭香だが、その舌先は、徐々に亮太の舌を欲するような動きに変わってゆく。
 舌を絡め、歯茎の裏を舐めるようにして、繭香が亮太の口を犯す。
 それは、繭香が亮太に給仕を続ける程に強くなり、やがては食事そっちのけで、繭香の方から亮太をひたすらに求めた。

「あっ……はぁっ……亮太君……」

 耳元で、繭香の荒い息遣いが聞こえてくる。
 膝の上に乗っている太腿が熱くなり、繭香の指が、亮太のシャツのボタンを一つずつ外してゆく。

「ちょっ……何してるんだよ、繭香!?」

 これから自分が何をされるのか。
 それが分かった時、亮太もさすがに声に出して叫んだ。
 が、いかに叫ぼうと、抗おうと、両手両足を縛られていては何もできない。

 いつしか、亮太はシャツの胸をはだけさせられ、繭香もそれに合わせるようにして上着を脱いだ。

 上着の下には、繭香は何もつけていなかった。
 白い胸が露になり、燭台の灯りに照らされて妖しい雰囲気を纏っている。

「亮太君……。
 今、私が亮太君を、もとの亮太君に戻してあげるからね……。
 亮太君を迷わせる女のことなんか、全部忘れさせてあげるからね……」

 そう言って、繭香は自分の胸を亮太の胸に押しつけてきた。
 膝の上に乗り、亮太の身体を抱きしめるようにして、撫でるように胸を動かす。
 繭香の胸の先にある尖ったものが、亮太の肌の上を這いまわって刺激した。

「好きだよ……亮太君……。
 私には、亮太君しかいないの。
 亮太君しか、本当の私を見せられる人はいないの……」
 一つ、また一つと言葉を告げるたびに、それに合わせて繭香の動きも激しくなる。
 ただ抱きしめるだけでは飽き足らず、最後には亮太の頭を押さえ、再びその唇を求めて口を重ねてきた。

「ふぁ……ん……亮太君……」

 拒むことは許されなかった。
 給仕の時と同じように、繭香の舌が亮太の口を強引にこじ開けて入ってくる。

「ん……はぁ……。
 りょ、亮太君のことは……んちゅ……私が……愛して……あげる。
 私が……んん……亮太君を……癒やしてあげる」

 唇の裏、歯の裏、そして舌の裏。
 亮太の口内を余すところなく味わうと、繭香は名残惜しそうにして、その口を離した。
 そして、今度は亮太の首筋に舌を這わせ、その身体に流れる血を吸い出さんばかりの勢いで口づける。

「くっ……」

 皮膚を刺すような感触に、亮太は思わず声を上げて眉根を寄せた。
 そんな亮太を愛でるかのようにして、繭香はそっと首元に残る赤い痕に指を添えた。

「うふふ……。
 これが、私と亮太君の愛の証だよ。
 亮太君の瞳は、誰にも渡さないからね……」

 そっと、慈しむように触れながら、繭香の指と舌が、亮太の身体を撫でてゆく。
 首筋から胸へ、そして、胸から腹へと降り、最後は亮太の履いている制服のズボンへと伸びた。
 腰のベルトに手をかけて外し、ジッパーを降ろして、下着の上から亮太のものを包み込むようにして撫でる。

「嬉しい……。
 亮太君も、私のことを、ちゃんと感じていてくれたんだね……」

 先ほどからの行為で、亮太の下半身にあるものは、既に十分すぎるほどに大きく成長していた。
 こんな異様な状況下でも、身体だけは正直に反応してしまうのが情けない。
 が、いくらそう頭で考えたところで、理性だけで全てを堪えるのは限界に近かった。

 繭香の手が、亮太の履いているズボンを一度に引きずり下ろす。
 同様に、下着までも脱がせると、繭香は椅子に縛り付けられたままの亮太のものに、そっと手を添えて握ってきた。
 そのまま、未知のものに触れるかのようにして、ぎこちない手つきで亮太のそれを弄ってゆく。

 最初は触れる場所や力の加減を気にしているようだったが、やがてそれは、亮太の神経に快楽を与える部分を的確に刺激するようになった。
 触れる度に反応を確かめながら、繭香は確実に亮太の敏感な部分を捕えてくる。

「や、やめろ、繭香……。
 こんなことをしたって、俺は……」

「駄目だよ、亮太君。
 身体はこんなに正直なのに、無理をするのは心に毒だよ。
 それとも……自分に素直になれないくらい、周りが見えなくなっちゃったのかな……?」

「なに言ってるんだ、繭香!!
 周りが見えていないのは、むしろ……!!」

 そこまで言った時、亮太の背中を痺れるような快感が走った。
 恐る恐る下を見ると、なんと、繭香が彼女の手の中にあるものに、そっと舌を這わせていた。

「うっ……くぅ……」

 もはや、言葉さえ口にすることもできず、亮太はひたすらに繭香の行為に耐える他なかった。
 動きそのものはぎこちなかったが、繭香は様々な角度から、亮太の反応を確かめるようにして指と舌を動かしてくる。
 どこに、どのように触れた時、亮太の身体が最も反応したのか。
 それを探るようにして、絡みつくように亮太を攻めてくるのだ。

「んっ……ちゅっ……んはぁっ……」

 左手と口で亮太を愛撫しながら、繭香は右手で自分自身を慰めていた。
 まだ、下着の上から触れるだけだったが、それでも繭香の白い肌は、薄明かりの中でもはっきりと分かるほどに激しく紅潮していた。

 やがて、自分の手の中にあるものが十分に成長したことを知ると、繭香は自身もスカートと下着を脱ぎ棄てた。
 暗がりの中、燭台の炎に照らされた裸体が、亮太の精神を否応なしに魅了する。

 これ以上見てはいけないと思い、目を閉じて顔を背ける亮太。
 が、そんな亮太の顔を半ば強引に自分の方へ向けると、繭香は再び亮太の膝に身体を乗せてきた。

「ねえ、亮太君……。
 私も、もう我慢できないの……。
 だから……このまま一つになろう」

 そう言いながら、繭香は亮太のものを自分の花弁に当ててくる。
 そして、そのまま一気に腰を沈め、自らの身体の奥まで貫いた。

「はぁっ……あ、あぁぁぁぁっ!!」

 優しく包み込むような感触ではなく、きつく締め上げるような感覚。
 そして、その奥にある何かを突き抜けた時、繭香が一団と激しく身体を震わせた。

「――――っ!!」

 自分のものが繭香の破瓜を突き抜けたことが、亮太にもはっきりと感じられた。
 繭香は亮太の肩に手をついたまま、自分の肩を激しく震わせている。

 初めは痛みに堪えているだけかと思った。
 しかし、繭香は何ら躊躇いを見せず、亮太の上でゆっくりと腰を上下させてくる。
 痛みからくる涙なのか、それても嬉し涙なのか、犯されている亮太には皆目見当もつかない。

「ああ……亮太君、亮太君、亮太君、亮太君、亮太君……」

 ひたすらに亮太の名前を連呼し、繭香は目に涙を浮かべたまま身体を動かした。
 その瞳に涙を浮かべたまま、どこか焦点の合わない目で亮太との行為にひたすら耽る。
 時に優しく、時に激しく、そして時に温かく、繭香の中は亮太に刺激を与えていった。
 何度も、何度も、亮太の全てを包みこみ、食らい尽くさんばかりに貪欲に。

「うっ……あぁ……」

 亮太の口からも、思わず声が零れてしまった。
 暗闇の中、椅子に縛られたまま知り合いの少女に犯される。
 自分の意志とは関係なく、喜びを与え、同時に与えられる。
 あまりに非現実的なこの部屋の空気が、凄まじい勢いで亮太の脳を痺れさせてゆく。

「ねえ、亮太君。
 もっと、私と繋がろう。
 もっと、私と一つになろう。
 そうすれば、もう何も迷うことはないんだよ……。
 二人でいれば、苦しみも、悲しみも……全部喜びに変わるから……。
 私も、亮太君も……」

 激しく息を荒げながら、繭香が更に強く亮太を求める。

「だから、ずっと一緒にいよう。
 もっと強く……もっと深く……私の中で一つになろう……」

 あまりにも甘美で耐えがたい誘惑。
 その言葉に、亮太の理性はついに限界の淵を越えた。
 最後の力でなんとか抗おうとするものの、湧き上る衝動を抑えることができない。

「だ、駄目だよ、繭香……。
 こ、こんなことは……」

 そう、言葉にするのが精一杯だった。

 己の意志とは反対に、亮太は繭香の中に自分の欲望を全て吐き出した。
 その瞬間、繭香の身体が一瞬だけ大きく仰け反り、亮太の肩に爪が食い込む。

「ん……はぁぁ……」

 虚ろな表情を浮かべ、繭香は亮太と繋がったままの姿勢で天を仰いだ。
 身体の中に、熱いものが流れ込んでくるのが分かる。
 それこそが、亮太と自分が繋がった証。
 そのことを意識するだけで、なんとも言えぬ満たされた気持ちになれた。

「ふふ……あったかい……。
 亮太君が……私の中に……」

 燭台の火が、闇の中で妖しく揺らめく。
 その光に照らされたまま、繭香は果てたばかりの亮太の身体を、全身で感じながら抱いていた。
479 ◆AJg91T1vXs :2010/09/26(日) 23:08:51 ID:Tlcr6hDO
 以上で投下終了です。
 今回は、少し文章量少なめでしたが……。

 次回は、また水曜日辺りに投下します。
 だいたい、残り二話くらいで終わるかな?
480名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:15:18 ID:w9hbS43F
えぇー!あと2回で終わっちゃうんですか!?
とても好きで楽しみにしてたのに残念だなぁ…。でもこのクオリティーで投稿間隔が短くてすごく楽しませてもらえました

GJです!!
481名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:23:51 ID:nPllSZ6Q
うひょーーー
今日はss祭りじゃーーーー
482名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:36:42 ID:aGRBmMsn
破瓜って破れること自体を指す言葉だから
破瓜を貫くって文章おかしくない?それともそういう表現でもあってるのか?
483 ◆AJg91T1vXs :2010/09/27(月) 00:03:49 ID:92b/IsHz
>>482

ご指摘に感謝いたします。

辞書で調べたところ、どうも、私が言葉の使い方を間違えたようです。
以前の物にも誤字・脱字があるようですし……。
Wikiに転載された際は、こちらで合わせて修正しておきます。
484名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 00:46:32 ID:3+bEACx9
どんなバッドエンディングになるか楽しみだぜ!
485名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 02:02:54 ID:TjZqQsWQ
犯罪を犯すは正しい表現らしいし、日本語って難しいよなあ
これからも期待してます
486名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 02:24:51 ID:IVrIR6M/
きっと使用人ですら始末しそうな勢いですな
487名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 09:11:07 ID:/oY2mewm
そろそろ次スレか?
488名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 14:39:40 ID:FT2+qwzi
489名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 17:36:41 ID:Z6uqRqbu
泥棒猫を始末しちゃうヤンデレって結構多いけどさ、なぜ逮捕されないのだろう
日本の民警では彼女たちを止められぬということだろうか。
490名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 18:50:20 ID:Hyfd5DoU
愛の力か
491名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 18:53:05 ID:rHYUsS6c
最近埋まるペースが早いな
492名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 19:04:28 ID:EHybRHAh
ウェハースと迷い蛾がすごいペースでぶち込んできてるからな
493名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 19:17:22 ID:gp7hJ/+8
いいことだ
494名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 19:41:58 ID:IVrIR6M/
この勢いで「触雷!」「風雪」も更新して欲しいな
495名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 20:34:40 ID:SZwM5ysB
>>494
だな。楽しみだ。
496名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 21:00:24 ID:wCp2dfBa
はやくぽけもん黒こないかな
ポケモンブラッククリアしちまったが
497名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 21:54:37 ID:3bXMEPAE
ワイヤードはもう期待できないのか?
498名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:01:46 ID:Nmib0SRE
出来ない
出来ない
499名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:09:06 ID:6+oisVfH
ヤンデレの小説を書こう!Part37
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285592936/
500名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:09:19 ID:yX3kw+OS
そろそろ新スレ立てないとな
501名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:51:18 ID:WGLueRao
>>499

埋めネタ期待
502名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 22:57:00 ID:75qVLQ63
今回早かったな
503名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 23:00:25 ID:yX3kw+OS
GJ!
とりあえずwikiトップは変更しといた
504名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 04:58:04 ID:BF11IcwC
ヤンデレヤンデレ、テストテスト
505お弁当:2010/09/29(水) 05:09:14 ID:BF11IcwC
作品名:お弁当
短編SSです。グロテスクな表現も出てくると思われるので苦手な方は
読まないことをオススメいたします。
それでは、はじまりはじまり。

前編

私の大好きな海斗君。
大学に入学してからの三年間、私は海斗君に片思いをしていた。
海斗君は私のことなんて名前も顔も知らないのに。
でも、いいの。私は海斗君とお話ができなくても
その日大学内で海斗君を見つけることができたら幸せだったから。
講義室ではいつも海斗君の真後ろの席に私は座るの。
海斗君、講義中にうたた寝したら駄目だよ?
でも、そんな海斗君も可愛い。
あ、海斗君、今日のお昼は学食でAランチを食べるんだね。
私、海斗君がAランチを好きなの知ってるよ。
だから、私もAランチを頼むの。海斗君とそのお友達が座ってる席の
近くに座りながら私もAランチを食べるの。
ちょっと席は遠いけど……食べてるものは同じだし、距離は近いし
幸せだよね。
506お弁当:2010/09/29(水) 05:20:59 ID:BF11IcwC
作品名:お弁当

中編

私と海斗君が付き合えるようになったのは、友達の美砂のお陰だった。
美砂の彼氏の和弥君は海斗君とお友達だったの。
美砂と和弥君のお陰で私は海斗君とお友達になることができた。
今まで見つめていることしかできなかった海斗君が、今、目の前にいる。
携帯電話の赤外線で連絡先を交換して、私はずっとどきどきしていて
海斗君の顔をまともに見ることができなかった。

それから、私と海斗君はメールをして、電話をして、美砂や和弥君も混ぜて
四人で遊ぶようになった。たまに二人でも遊んだりした。
五回目のデートでやっと海斗君は私に告白してくれたの。嬉しかった。

だから、ね、海斗君。私、毎日海斗君のためにお弁当を作るね。
学食のAランチはね、学食のおばさんが作ってるから許せないの。
だって、海斗君に料理を作るのは私だけでいいじゃない。ね?
学食のAランチの内容はハンバーグがメインだったね。
ハンバーグもこれからは私が作るからね。
他の女が作った料理を食べるの、やだよ?
507お弁当:2010/09/29(水) 05:39:02 ID:BF11IcwC
作品名:お弁当

後編

ところで、海斗君。私ね、海斗君のことは何でも知っているの。
ごめんね、勝手に携帯電話見ちゃった。
だって、海斗君のこと何でも知りたかったんだから……仕方ないよね?

大学内を歩いていると美砂と出くわした。
「美砂、今日の講義はもう終わったし、これから美砂の部屋に行っていい?
もうすぐテストだし、一緒に勉強しない?」
「あー。そだね。一緒に勉強しよっか」
私と美砂は、美砂の部屋へ向かった。
部屋に入り、私は持ってたスタンガンをぐっと美砂の身体に当てた。
美砂はその場で倒れた。
私は料理の準備に取り掛かる。あらかじめ用意しておいたロープで
美砂の身体を縛って動けないようにした。口にはガムテープを貼った。
続いてロープと同じくホームセンターで購入したノコギリで
美砂のふくらはぎを切り落としていく。
美砂は悲鳴にならない悲鳴をあげる。だけど、そんなの知らない。
「……美砂が海斗君と浮気するからいけないんだよ」
私は海斗君の携帯電話を見た。海斗君と美砂のメールのやり取りは
ただの友達という関係ではないことはすぐに分かった。
それにしても、人間の足を切り落とすのにはなんて力がいるのだろう。
何時間もかかって、やっと足を切り落とすことができた。

翌日。私は海斗君を私の部屋へ招き入れた。
「おー、今日はハンバーグか」
海斗君、ハンバーグが大好きだもんね。
「でも、これ不思議な味がする……。あれ。今なんかジャリってした」
海斗君はそのジャリっとしたものを口から出した。
「これ、爪……?」
「不味くはないと思うよ。海斗君の大好きな女の子のお肉をミンチにして
作ったハンバーグだから」
私がにっこり笑ってそう言うと、海斗君はその場でハンバーグを戻した。
爪も一緒に吐き出される。美砂が毎日綺麗に整えてネイルを塗った爪。
その爪が今じゃお世辞にも綺麗とは言えない。
「美砂のこと好きだったんでしょ? なら、食べてあげて。
吐き出したりなんてしたら駄目だよ」
私は海斗君が吐き出したものをかき集め手で掬い海斗君の口に無理矢理突っ込んだ。

-BAD END-



ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
508名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 22:57:47 ID:kxGcJ7Yn
>>507
GJ
思わず「ひぃぃぃ」って言っちまった
509名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 09:07:16 ID:Clg0NTnt
                 \  nfj.!j)
           _   ∧_∧  ( _,,ツ ヽ .!  /
   _     ー    ( ・ω・)= l  |丶    / /
      ̄  n  _  (っ ≡つ)  /  )_       _
    _  ぎい、    /   )/ ∠,   <⌒> 
   ̄    \ `ー=ラ/`J  ィ,ノ )/   、 \
   _ ─  `ー‐-y   ミ゛/v⌒V   / i 丶 ヽ
 ─          /   ヾ,/   /   ./ !  ヾ
      ィ  /./ 、r' , ,)       /   i i   \
  ィ      / , /  ノ /           ヽ
        f´ r´.(  (、_      /    i  i
  / ∧∧ ./ j,   `ー、 )、_∧ m、
    ノ⌒ヽ/ ,ノ  /^ し'←ー‐、).(' ,)   i    i
   ( (  / く  //`V   , ヽ/ /
   r'r' ど,ッ‐' 「ょノ /、,  /゙\_ノ        ,-─、
   レメ       ( 永 .,ソ     ∧∧ i  / /_wゝ-∠l
    ∧∧      `y´ 人     イー、)    ヾ___ノ,. - >
  f⌒⌒k,)  /  ./ ,∧ )   ( t ハ   ,/|/(ヾY__ノミ
 ,「,「 r'ヽ\,    / ,ツ,ィ一'    从 ノ    {   rィ  ノ
,[/[/´∧∧    「 y´^       [ノ[ノ   i  k-‐彳ヾ、  ゝ、_,〃 frど`ヽ∧_∧
   ノ⌒ヽ)    じ'   ∧∧     ,...- ' ゙゙ (^Yヽ, ),," (ー==ニヽ )) ( ・ω・ )
  ( ( ノヽ_      _/ソ⌒ヽ)  , '´ヽ ヽ    ⌒ノ j! >ゝ(. 彡  (廴rぃィ⌒  ヽ
  _ノノ>    ∧∧  ( ( く  /   j´  `'ー、_ j ゝJ^ `J.     ̄ー=え l⌒ヽ )
  レ^´  ,厂/⌒ヽ)   に)>)  /`´      !ノ              'ー(__ムノ
       ( ( え,    く(´。丶
   ∧∧  rノノ      /  ゞ、 ヾ  ヽ
  ノ⌒ヽ) .L(´      /  vゞヽ  、うめ
510名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 09:08:18 ID:Clg0NTnt
うめてやんよ
 ∧_∧
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪
511名無しさん@ピンキー
        埋*'``・* 。
        |     `*。
       ,。∩      *    
      + (´・ω・`) *。+゚
      `*。 ヽ、  つ *゚*
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       ☆   ∪~ 。*゚
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