【戦闘】軍人や傭兵でエロ 3【休暇】

このエントリーをはてなブックマークに追加
630名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 02:35:18.55 ID:nkWvH0yp
技のリョウシ
力のエリー
631名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 14:14:27.54 ID:kQlPiyAC
戦火のナージャ、ソ連の女性衛生兵ってあんな格好していたのか…
厚着でエロに発展しづらい
632名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 15:12:41.75 ID:zs44RWpo
そこを北風と太陽のごとくどうやって剥いていくのかが楽しいんじゃあないか
633名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 20:42:51.85 ID:o22xYmWw
>>632
ヒロインがラストで乳を見せてくれる
634名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 21:19:41.34 ID:smv+Zit6
>>631
あのロリコン映画、まさかの続編かよ。
635名無しさん@ピンキー:2011/09/23(金) 15:57:53.75 ID:aEDx2xnI
保守であります
636名無しさん@ピンキー:2011/09/24(土) 23:16:21.26 ID:RGHF0a2Z
保守ネタ




士官学校を卒業したばかりの新人士官がこの辺境の部隊に配属されてくるらしい。
聞けば、貴族出身の娘という話だ。
軍も大手スポンサーの娘をないがしろにするワケにもいかず、この辺境の部隊に
擦りつけざるをえなかったのだろう。
金持ちが酔狂で士官を目指す。
よくある話だ。貴族がお遊び気分で軍に入隊する。そして3日とたたず除隊する。
しかも今度は『女』だ。もって12時間、長くて1日だろう。
誰もがそう考えていた。そう彼女がこの部隊に来るまでは……

彼女の名前はトマナ・ハイウェイ。金髪をアップにした中尉殿。
准尉の俺よりも階級が上なので上司となるのだろう。
特徴的なのがその身長だ。身長は何と150p、
そこいらのジュニアハイスクールのガキ共よりも低い。
そんなちびっ子が来たんで部隊の連中は大笑いだ。
その中でもロリコン趣味の奴が
「お嬢ちゃん、可愛いいねぇ、初潮はまだなのかい?」
と冗談半分に言った。次の瞬間、そいつの顔面に蹴りがめり込んだ。
鈍い音と共に倒れるロリコン。
「2日目だが……貴様の血よりは鮮明な赤だったぞ?ゴミクズが」
声は可愛らしい声だが体術は相当なモノだ。しかも、このガキ、靴に鉄板仕込んでやがる。
それからこの中尉は部隊を次々とシメていった。
まずはこの中尉殿が着任する前にたまたま乗り合わせたバスで尻を触った痴漢がいたので半殺しにした。
また着任した夜、早々に着替えを覗かれたのでその兵士に目つぶしを喰らわし、浴槽に沈めた。
危うく窒息死しそうになった兵士を助けにいった兵が殴られ、二人揃って放り出された。
その兵は中尉の華奢な腕のパンチなどと舐めていたら、意識が飛んだと証言していた。
そして、この上司の着任を知らない不幸なヤツが朝帰り。
朝礼に遅れてきたので、ちびっ子が理由を問うたところ「馴染みの娼婦とセックス――――」
半分も聞かずにアソコを蹴り上げ、貞操帯を着けて営倉にぶちこんだ。あいつ、発狂していないだろうか。
7日もたたない内に部隊はシメ上げられた。
「お前らの任務はなんだ!」
『イエス、マム。殺せ!殺せ!殺せ!』
とこんな具合に……が、このちびっ子中尉と俺、二人しかしらない秘密がある。
637名無しさん@ピンキー:2011/09/24(土) 23:16:48.83 ID:RGHF0a2Z

「教えてよ!ヘンリー君、どどどどうすればいいの!?」
………執務室でのこのヘタレぶり、これが本物のハイウェイ中尉だ。
「エッチな本が宿舎にあるなんて、あってはいけないことなんだよ!?」
「えー…あー…まぁ…いや…みな、男だから」
司令室に呼び出された俺はキンキン声に耳を塞ぎながらあいまいに答えた。
テディベアやら東方の白黒熊のぬいぐるみが置かれた部屋……ここに入れるのは俺しかいない。
「部隊で何があったの!?ねぇったら、ねぇ!ヘンリーさんにしか頼めないの!」
グスグスと泣き出す中尉。これが素というのだから参ってしまう。
「…中尉…それは中尉がいつも通りに言えば誰が買ってきたかはすぐわかる……つーか、
そんな繕った鉄仮面、いつかばれますぜ?そっちの方が重要かと…」
「うるさいな!もーッ!!」
ぷんすかと怒ってテディベアをぎゅっと抱き締めた。
「兵卒になめられたくないもん。私だって好きで厳しい上官をやってるわけじゃないのッ!!
それにヘンリー君だって手伝ってくれるって言ったでしょ?」
「いや…そ、それはそうだけど…」
なんでこんななんだよ……あー…俺は顔に手をあて、ガラにもなく中尉に告白した時の事を思いだした。

『ハイウェイ中尉…自分は、貴女のような士官に憧れていました。何でも言いつけ下さい。
中尉の為なら死ねます。ですから…その自分と…付き合って下さい』
『言いたいことはわかった…では条件がある――――――』

それが、これだ。――素の自分と付き合う、その手助けをする――――これって詐欺だろ!?
「ねぇ…ねぇ…あのエッチな本は誰が持ってきたの?教えてくれたら…いいことあるカモ?」
無理矢理、座らされ、その膝の上に跨って、中尉が囁く。
「や、やめてくれ。俺の理想を壊さないでくれ!俺は鉄仮面な中尉が好きなんだ!態度を変えないでくれ!
エロ本ぐらいでうろたえて…厳しくてクールな中尉が魅力的――――――」
「黙れ、准尉」
ビクッ――――――膝の上に座る中尉が声色を変えた。背筋に走る緊張感。ゾクゾクくる冷気に満ちた視線。
「……立場を弁えろ……貴様はここのゴミクズ共を束ねる立場かもしれんが、その価値はミジンコ以下だ。
が、私は『神』だ!私の命令は『神託』……この意味、わかるな――――――ミジンコ?」
チラッとこちらを見る眼。俺はその目に反射的に答えた。
「は…はッ!イエス、マム!」

あるエロ本を読んで思いついた。
638名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 10:47:13.95 ID:rFH6Vz0G
自分も鉄面皮な中尉が好きだけど素も可愛いなw
639名無しさん@ピンキー:2011/09/27(火) 00:16:06.48 ID:Qq7UDVTx
「ハンスと中身だけ入れ替わっちゃった!?」
「た、大尉!ど、どうしましょう!?」
いつもは凛としているシュルツーナがハンスに不安げな顔を向ける。
「うん、とりあえず元に戻る前に−−−−−−」
「戻る前に?」

「はっ、はっ、はっ!す、すごい!男のアソコってな、なんか攻撃的で
わかりやすい!き、気持ちいいよ!これじゃ毎日、自家発電しても
仕方ないな〜んっんっ!射精しちゃう!グググってあはっ!」
「んっあっ、お、女の人ってこんな…すごっ…包み込んで奥まで
突かれるのがっ!あうううっ!熱い、熱いのが中に!」

軍曹「ふ、不潔ですよ!二人とも!」(う、羨ましい!私も男の快楽を味わってみたい!)
640名無しさん@ピンキー:2011/09/28(水) 19:13:50.14 ID:NexNh34A
こういうのも悪く無いな
641 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/10/02(日) 03:22:13.24 ID:TfT4OnNl
保守
642名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 11:27:52.93 ID:EfpYyk2m
>>639
なぜかドイツ軍人でイメージされた
643名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 17:05:40.37 ID:fqcXIcme
とある飛行士〜というアニメが何か面白そうだな。
敵対する国の戦闘機、『震電』みたいでかっこいい。
あのタイプは某アニメでも見たけど人気あるんだな。

>>642明記されてないけど、保管庫読む限りドイツ
644名無しさん@ピンキー:2011/10/03(月) 16:05:02.10 ID:LkmeeNss
プッシャーエンテ式は実戦で活躍していないからこそ魅力がある
のかもね。

民間航空機でプッシャーエンテ式なものはイタリアのピアッジョ P.180
アヴァンティとかがある。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/ピアッジョ_P.180_アヴァンティ

性能諸元
最高速度:732 km/h
巡航速度:644 km/h
高度: 41,000ft
空虚重量:3400 kg
最大離陸重量:5,262 kg
1乗員、6名搭乗時の航続距離:2595 km
エンジン: Pratt & Whitney Canada PT6A-66 turboprops(850shp) ×2
645名無しさん@ピンキー:2011/10/10(月) 14:51:34.53 ID:jeshszNh
ふ〜ん
646名無しさん@ピンキー:2011/10/11(火) 21:44:44.63 ID:u+cVZotD
ファンタジー系の軍物成分が足りんな。
凛とした女騎士隊長と、それに従う中年補佐官の大人な関係とかいいよね。
647名無しさん@ピンキー:2011/10/11(火) 22:59:33.17 ID:9C7O/cot
そんなあなたに姉妹スレご紹介

◆ファンタジー世界の戦う女(女兵士)総合スレ 7◆
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292249974/
648名無しさん@ピンキー:2011/10/11(火) 23:54:13.84 ID:ofOMCBjv
強い女騎士と戦う名も無い一兵士のお話とかが好き
649名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 00:09:59.37 ID:n9nqljKx
>>647
なるほどそこの管轄になるのか。
となると、1にある「ファンタジー」でなおかつ「軍物」で「まさにこのスレ」な作品てどんなんだろう。
触手とかに襲われる新人女兵士を説教しながら助ける上官とかそういうのかそういうのなのか。
650名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:10:18.76 ID:C3gJ3Jgr
ファンタジー風な軍物
微エロ
長いので注意




かつて大陸を支配した王も、元を正せば大陸南部を拠点とした小国の君主であった。
軍馬に跨り、戦場を駆ける君主に常に付き従う者が二人いた。
一人は後に君主の妻となる女騎士。
もう一人は軍師として仕える、青年。
幼い頃より共に笑い、泣き、苦楽を共に過ごした親友であった。
やがて君主は大陸を平定し、強大な帝国を築く。
女騎士を正妻として迎え、軍師として仕えた青年も妻を迎えた。
帝国は益々、栄えるはずだった。しかし、君主は全ての頂点に立つ者として
『大陸に平穏を保たねばならない、再び戦乱の世に戻してはならない』という思いがあった。
いつの頃からか……誰かがこの座を奪うのではないか?…と君主は人の心を疑うようになった。
今、この座を奪われては、再び大陸は戦乱の世に戻ってしまう…と人の心を疑う思いが日に日に強くなっていった。
そして王の心が闇に閉ざされるきっかけを作ったのは皮肉にも、王の世継ぎが誕生した日だった。
側室を持たなかった王には待望の世継ぎであったが、生まれたのは元気な女の子であった。
さらに王妃の産後の容態が思わしくなく、そのまま帰らぬ人となってしまった。
赤ん坊を前に王は、一つの結論に辿り着く。

疑わしき者は全て消さなければならない。

そしてその日を境に謀反を疑われた者は全て処刑された。その中には無実の罪を問われた者の少なくはなかった。
あまりに度が過ぎた粛清に対して、かつて軍師は君主に諫言した。
しかし、もはや疑心暗鬼の塊と化していた君主はその軍師を筆頭にその一族郎党を全て処刑してしまった。
王は自ら親友を処刑した事で自責の念に駆られたのか、ようやく冷静さを取り戻したが既に時は遅く
王は臣下、万民から『魔王』と呼ばれ、恐怖の対象となると共に多くの怨恨を背負った。
時は流れ……剣と魔法がやや翳りを見せ始め、新たに鉄・火薬・蒸気が新しい文明を築き始めた時代
長年にわたる帝国の圧政と強引な併合政策に耐えかねた辺境の諸国や少数民族が各地で反発。
大陸には不穏な空気に包まれた。
651名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:12:30.50 ID:C3gJ3Jgr

「……有能な将校さんはこんないい部屋で寝泊まりできるのね」
朝の日差しが差しこむ部屋で若い女性がくるまったシーツから顔を出した。
「ははは、何度修理しても雨漏りする兵舎が懐かしいよ」
「贔屓だわ。とっても贔屓。同じ王に仕える身なのに」
「ルナは近衛騎兵団でも副長だからね、俺とは勲章の数が違うのさ……」
既にベッドから出て、制服を身につけた青年将校が水差しと2つのグラスを持って来た。
「……気兼ねなくシャワーが浴びられる貴方が羨ましいわ」
ルナと呼ばれた女性が半身を起こしてグラスを受け取る。
群青色の髪に赤い瞳が印象的な女性だ。何気なしに水を飲んでいるだけなのに不思議と見とれてしまう。
「私なんて身体を拭くのがやっとなのに……ん?…やだ」
青年の視線に気付いたルナはシーツから覗いている乳を隠し、顔を赤らめた。
「あ、ごめん……そんなつもりじゃなかったんだけど」
「もう……」
近頃は帝国内外で兵士の行き来が激しい。
その理由は帝国に反旗を翻す部族や小国によって帝国領内の街道が寸断され、物品の流通に支障が出ているからだ。
特に貴重な真水や塩などの供給がここ数日、滞っている。先に大規模な暴動が街道で起こったためだ。
さらに国境外の強制開拓団、少数民族及び、森林地帯のエルフ、地下探鉱のドワーフ達が同盟を組み、着々と軍備を進めているという。
また帝国内でも一部の者達がその同盟組織と内通しているという噂がある。果ては王の暗殺まで画策しているとか、ないとか…
「なら前線の部隊に転属するかい?ルーナンティ=エレオノーレ君。
我が第1歩兵連隊は君を歓迎するよ。毎日、乾燥豆のスープに塩漬け肉と水割り酒のフルコースで」
水を飲み干した女性は軽く笑って
「遠慮しておくわ。キース=フィリップマン少佐…………もう行くの?」
「ああ、新兵の訓練の時間だからね。シャワーは自由に使うといい。じゃ、また後で」
「ありがとう、いってらっしゃい」
652名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:15:17.15 ID:C3gJ3Jgr

「失礼致します。お呼びでしょうか」
「………入れ」
城内に設けられている塔の中で、最も高い塔の一室
城下が一望できる部屋の主にルーナンティは低い声で入室を告げた。
「ルーナンティ=エレオノーレ近衛騎兵副団長であります」
「………近くに寄れ」
暗い室内で椅子に座す男の声にルーナンティはゆっくりと歩み寄った。
「ここ最近、お前に命じた任務の報告書に同じ文字が記されている」
「い、いえ…そのような事は――――――あっ」
男はいきなりルーナンティの尻に指を食い込ませた。
「事細かに記されているが……要は『成果なし』と言うことだ。これが何を意味するか、わかるか?」
「じ…事実を述べているだけです…わ、私は―――んっ…く」
男の指がさらに下部に伸び、ぐっと上へ突き上げた。
「フィリップマン…とか言ったか…あの男は有能すぎるのだ。それに人徳もあるとあれば計画とやらに携わっているかもしれん。
風の噂では……私を暗殺する計画というではないか。
お前をあの男へ近づけたのは、暗殺計画に関わっているであろう者共を調べ上げるためだ。
それを命じて4ヶ月も経つ…それほど時間がかかっておるのには、他にワケがあるのではないか?」
「も、申し訳ございません。計画に携わっている様子は未だ、何も……」
「男と女……床を共にする中では寝物語に何を囁いているかわからんからな?」
男がルーナンティの眼を射抜くように睨んだ。
「特にお前は」
「わ、私は……あの者にそのような感情は……んっ…は」
男の手がさらにルーナンティを弄(まさぐ)る。
「我が血を分けた娘で無ければその首をとうに刎ねているところだ。あの男の下で股を開くだけがお前の任務か?」
「……断じて…そんな…心構えでは…」
「お前の身体には母親と同じように淫らな血が流れているのだ。
男を狂わせるセイレーンの血がな。その能力(チカラ)を使ってもこの程度とは……」
男はルーナンティを突き飛ばすと報告書の束を投げつけた。
宙を舞う紙の中でルーナンティは静かに言った。
「…母は貴女を愛していたと………ち、父上」
ルーナンティは目を閉じ、震える声で答えた。
「何だ、それは?」
しかし、男は殺気を帯びた声で答えた。
「――――――し、失礼しました。陛下」
「お前の存在は、私しか知らん。この世で私の血を正統に受け継いでいるのは第一皇女のみ」
「………はい」
「あと一週間の猶予を与えてやろう……その汚れた雌犬の身体をもって、忠誠を示せ。
もし計画にたずさわっていたとしてもあの男だけは生かしてやる」
その言葉にルーナンティは顔を上げた。
「舌を抜いて生かせておけば裏切りの憎悪の矛先は全てあの男に。お前もその方が楽しめるだろう?」
「……し、承知致しました。計画の首謀者、必ずや……」
「その言葉、努々、忘れるな……」
653名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:17:33.51 ID:C3gJ3Jgr

「………」
数日後、首都の郊外の娼館がひしめき合う地区をキースは歩いていた。
「ねぇん、将校さまぁん、お願い、私を買ってくれないかい?」
一人の街娼が腕を絡ませてきた。大きく開いた胸元を見せつけるよう言った。
「ああ……そうだな」
「ふふふ…『どれくらいで買ってくれる』?」
「『それ相応で』………ハンナ、集まっているか?」
「そこの角の酒場よ。あと1時間は巡回の兵士が来ないわ」
娼婦はボソとキースに呟くようにいうとさっと路地へと入った。
酒場のドアを3回叩き、さらに3回叩く。するとドアが開いた。
「遅いぞ、キース。お前が最後だ。皆、揃っている」
ドアを開いたのはルーナンティの上司である近衛騎士団長のハリーだった。
酒場に入ると帝国の名だたる将校と同盟組織の代表が集結していた。
「遠路痛み入る、この計画の責任者、キース=フィリップマンだ」
「前置きはけっこうです。時間が惜しい、本題に入って下さい」
どこかの少数民族の族長だろうか?どこか気品がある。美しい青い髪に尖った耳、エルフの女性だ。
「決行はこれより3日後の半月の夜だ。抜け道に精通しているというのは君か?」
キースの視線が一人の男性に向けられた。
「ああ。とある縁で開拓団のラズライト公に協力している者だ。あんた達よりあの城の構造を知り尽くしている自信はある」
男がテーブルに置いた詳細な城内地図を指し、言った。
「ここに兵舎がある。奥から2番目兵舎の屋根は新築でもしていなければ今も雨漏りがしている。
そして側溝を流れる水は地下水路に流れず、逆流して兵舎の床を水浸しにする…違うかい?」
「……君の素性に興味があるな。正解だ、王を討つメンバーに君が入っている事は心強い」
「王を討つメンバーは申し分ないが…皇女を討つメンバーの編成はどうする。
聞けば、あの王の力を受け継いでいるらしいではないか、生かしておくのは危険だ」
ドワーフの男が言った。これには近衛騎兵団長のハリーが答えた。
「そうしたいのは山々だが、皇女の部屋まで距離がありすぎる。我等、近衛隊の者でさえ
ここには近づけん。皇女直属の者達がガードしている。ここは確実に王のみに的を絞りたい。
王が死ねば、この強大な帝国をまとめ上げることはいくら皇女とて容易ではないだろう?
皇女を討つのは、盟約通りに各部族の代表で議会制を敷き、帝国から自由を取り戻してからでも遅くはない」
「帝国の残党をまとめる事は容易ではない………確かに、あなた方をみていれば納得がいきます」
先のエルフの女性が皮肉まじりに言った。
「耳が痛いが、そういう事だ。あとは――――――」
そして最後の会合が終わり、メンバーは別々に散っていった。
残ったのはキースと近衛騎兵団のハリーだけだ。
「いよいよだな……」
「………ああ」
654名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:19:26.04 ID:C3gJ3Jgr
二人は酒場から出て、城下にある兵士御用達の酒場に入った。
「こうしてお前と二人で話すのは久しぶりだ。近衛騎兵団は都の警備ばかりで暇でな」
葡萄酒が入ったボトルを置き、ハリーは上機嫌に言った。
「お前が近衛騎兵団に入る前に会ったきりか……確か2年も前だな」
「中尉から少佐に昇進、それに帝国勲章に乾杯」
「ああ…ありがとう…」
「辺境の平定じゃかなり武勲を挙げたそうじゃないか、聞かせてくれよ」
ハリーはキースのカップに酒を注ぎながら言った。が、キースは一口煽るとボソッと呟いた。
「………酷いもんだ」
「ん?」
「国境の外にいる部族は皆、敵に見えてくる。帝国の圧政と無理な併合が原因だ。
彼等は我々を憎んでいる。道ですれ違う荷馬車にエルフが潜んでいて毒矢で射かけてきた事もあった。
行商の女にピストルで頭を撃ち抜かれたヤツもいたよ。我々の黒い軍服は格好の的だ。
有翼人は槍、エルフは弓に森に仕掛けた罠で対抗し、ドワーフやホビットは鉄鍛冶で鍛えた鉄製の斧に剣。
獣人は切れ味の悪い石のナイフと格闘術で我々に挑んでくるんだ。
俺達は隊列を組み、マスケット銃の一斉射撃、大砲、騎兵の突撃…倒れても、倒れても彼等は向かってくる。
さらに最近では裸同然で強制開拓団にかり出された諸侯や民間人が敵側に加わった」
「……もともと王に逆らった諸侯に帝国内の貧困層の民間人だ……当然といえば当然だな」
「彼らはまずドワーフ達と同盟を組み、さらに獣人、ホビット、有翼人達と次々に同盟を結んだ。
今や鉄や火薬を毛嫌いするエルフまでもが銃や鉄製の武器を使い出し、戦火は広がるばかりだ………リセを覚えているか?」
「お前の副官のだった女だな……彼女は……残念だった」
キースは酒が入ったカップを一口煽った。
「花売りの子供が持っていたバスケットに爆薬が仕掛けてあってな…リセの脚ごと吹き飛んだんだ。
俺は必死で彼女の脚を探したよ。だけど見つからないんだ……俺はもう血まみれのリセを抱えることしか出来なかった。
リセが息も絶え絶えに言うんだよ……『帰りたい…故郷に帰りたい…』って…似たような兵は他にも大勢いた……
そうしてこちら側の報復が始まった。老人を殺して、女を殺して、子供を殺して……疑わしいヤツは皆、殺した。
『殺さなきゃ、殺される』って自分を納得させながら、町を焼き、村を焼き、しらみ潰しに殺したよ……」
キースは顔を覆った。リセの弔い合戦とばかりに敵の集落をいくつも焼き払い、皆殺しにした光景が、次々に浮かんでは消えて行く。
「もういい、もう終わった事だキース……お前のおかげで故郷に帰れた奴もたくさんいるんだ。お前は悪者じゃない」
「いや、俺の方こそすまん。悪い酒になってしまったな……そんなつもりで話したんじゃないんだ。
こんな戦は早く終わらせたいと思ってな…」
「だが、正直……辺境の平定からお前が戻った時、嬉しかったよ。よく生きて帰ってきてくれた」
「感謝するよ…戦友」
キースはふと言った。ハリーに耳をかすように身振りで伝えると
「ひとつ提案があるんだが」
「どうした」
「ルーナンティを………何とか逃がすことはできないか?」
「エレオノーレをか?冗談じゃない。無理だ。あいつは大した実績もなく王の命令で配属されたヤツだぞ?
王の息が掛かっているに決まっている。いくらお前とつき合っていると言っても……それは無理だ」
「……彼女を愛しているんだ。何も知らずにあんな王を守って死ぬなんて――――――
決行の前に何とか彼女だけでも」
「いいか、キース冷静になれ。あの女は俺の副官だ。監視役といってもいい。それに――――――」
失言だったのだろう。ハリーは言いかけた口を噤み、誤魔化すように酒を口に含んだ。
「それに?何かあるのか?」
不審に思ったキースが尋ねるとハリーは渋る様子を見せたが、キースの押しに根を上げ言った。
「エレオノーレのことで一つ気に掛かる情報がある……ただの噂らしいが……それでも聞きたいか?」
「構わない。話してくれないか?」
655名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:21:03.96 ID:C3gJ3Jgr

「…………どうにもならないのか」
キースは酒が回らない程度に話を切り上げ、自室へと戻った。
決行までの時間は教育隊での任務をこなすだけだ。指揮下にあった第1連隊には新たな指揮官が配属されているが
ただのお飾りにすぎない。何年もの間、戦場を共にした兵士や兵長達は自分の命令に従う。
決起の日は指揮官を消し、首都の主要な機関を制圧する手筈になっている。
「ルーナンティ……」
彼女と付き合うきっかけは些細な事だったような気がする…今思えば副官の……リセの事を忘れたかったからかもしれない。
ルーナンティの笑顔を見る内に癒されていくような感じがしたのは確かだ。
血まみれのリセの夢をもう見ることはなくなった。
だが、王を暗殺することによって再びルーナンティが死ぬような事があっては……
「くそ……」
苛立ちを隠さずにドアを開けた。頬を撫でる一陣の風……そこにいたのはルーナンティだった。
「キース、おかえりなさい」
「あ…ああ…すまない。君が来ているとは思わなくて……外で一杯やってきたんだ。どうしたんだ?こんな夜更けに」
明らかに動揺している、心臓の鼓動が何かを警戒するように脈打つ。戦場で何度か経験した事がある。
何かがおかしい、自分の身に危機が迫っている。だが、その何かがわからない。
その何かとは…まさか――――――
「キース」
その言葉に、キースは思わず声を上げた。心臓が鷲掴みにされるような声。
ルーナンティに圧倒されている?この声と優しく微笑みを浮かべた眼に見つめられただけで?
「抱いて下さい」
ルーナンティは後ろを向き、するするとスカート捲り、下着を着けていない臀部を晒した。
月の光に照らされ、色白の男を狂わせる女の肌はいつもとは違う妖艶な色気を漂わせていた。
例えて言うなら…セイレーンが持つという…魅惑の…否応なしに魅了されるという色気だ。
「ルナ……?」
「貴方が欲しくてたまらないのです」
こちらを振り向いたルーナンティの肢体。まるで神話で語り継がれるような女神がそのまま顕現したような美しさだった。
年相応に実っている乳房も、それを支える胸筋によって張り出し、その頂きでツンと慎ましくも存在を主張している桜色の突起。
大胆にくびれている腰から太腿の艶やかな曲線美、腹部にうっすらと浮かぶ腹筋は男性のような武骨なものではなく
股間部の淡い茂みへと続くなめらかな線を描いている。
「何も言わずに……キース」
それはまさに女神だった。女神には違いないが、誘う者を破滅へと導く深淵の女神、セイレーンの化身だった。

獣のようなセックスだった。
キースはルーナンティをベッドに押しつけ、むしゃぶりつくように身体を貪った。
尻に何度も何度も怒張を叩きつけ、ルナの髪、顔、口、項、胸、臍、股間、尻、脚…あらゆるところに唇をつけ、
己の欲望をぶちまけた。そのたびに上がる甘く、官能に溺れる嬌声。
その声が萎えかけた劣情を再び奮い立たせ激しく体内に吐き出した。
656名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:22:40.35 ID:C3gJ3Jgr
何を口喋ったかわからない。
ただひたすら彼女に言われるまま、なすがまま快楽に溺れていく。
再び、我を取り戻したのはルナを組み敷き、体内に精を解き放ち脱力した時だった。
ルーナンティがベッドの横で微かな動作を起こした。まどろみのような光景、こちらを振り向いた
哀しげなルナの顔と記憶の奥底に眠っていたリセの幻覚が重なった。

『……子ができた?』
『……友人の軍医に診てもらいました……確証はないのですが…たぶん』
関係をもって、1年たったある日の夜。一つのベッドの中で隣に寄り添うリセの言葉にキースは驚いた。
『すみません……面倒な事になって』
『なぜ謝るんだ?君はもうすぐ任期を終える……俺も行くよ、君の故郷へ』
『中尉……それって…!?』
『大丈夫だ。その子は俺との間にできた子だ。結婚しよう、リセ』

『あ…ぐっ…ふ…ち、中尉……無事ですか……』
『リ、リセ!?』
『あ、脚が痺れて……ぐっ…か、感覚がないの…』
『リセ…リセッ!』
『すみません……脚がこれじゃあ…もう故郷に帰っても…あ、あなたに迷惑を…ゴホッ、ゴホッ』
『何を言ってるんだ!一緒に帰ろうって約束したじゃないか…迷惑なんかじゃない
俺が君の世話をしてやる。どこへでも連れて行ってやるから!』
『あ…ありが…ありがと…キース…ああ故郷に…故郷に……帰りたい…』
「…クソッ!衛生兵!衛生兵!手の空いている奴は消火作業を急げ!』
『……キース…せめて…貴方の子を……生み…』
『リセッ!リセッ!リセェェェッ!!』

「う、うわあああああッ!リセッ!」
キースは頭を抱え、ルーナンティを突き飛ばした。
「きゃ!…キ、キース…?」
「俺に、俺に何をした!ルナッ!俺に何をしたんだ!」
キースは咄嗟にベッドの脇にあったペンを逆手に持ち、ルーナンティのその切っ先を喉元にあてがった。
「うっ……キ、キース…わ、私は何も……」
「ウソだ!何を聞いた!何を尋ねた!?言え!言うんだ!」
鬼のような剣幕のキースにルーナンティは意を決したように言った。
「キース……ごめんなさい」
「知ったんだな?………知ったからには君を生かしておくわけにはいかない!」
キースがペンに力を込めようとしたとき、どこから取りだしたのかルナの手にはピストルが握られていた。
「………大人しくしてください。私は貴方を殺したくない」
「俺を撃つ?君が?ろくな訓練もしていない君が俺を撃てるのか?」
「試してみますか?」
その瞳に恐れはない。かなりの修練を積んだ暗殺者の眼だった。
「君が刺客だったというワケか……」
657名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:23:27.32 ID:C3gJ3Jgr
「王は憂いているのです。魔王と悪魔とよばれようとも強大な力で大陸を支配しなければ、
また大小国がひしめき、大陸の覇権を巡って多くの血が流れた狂乱の時代に戻ることを憂いているのです」
ルーナンティはキースを諭すように言った。
「確かにそうかもしれない。だが、帝国の腐敗はもう手に負えないところまで来ている。腐りきっているんだ!
君は知っているか?帝国が定めた国境(くにざかい)の外でどんな事が行われているのか……
集落や村は焼かれ、略奪・暴行・虐殺の嵐だ!
女は見境なしに犯され、子供は奴隷商へ否応なく売られているんだぞ?
それでも黙ってみていろと言うのか?目の前で恋人が殺されても君は黙って見ていられるのか!?」
「………私には関係ありません。私にあるのは王への忠誠だけです」
キースはペンを離し、ルナから離れ言った。
「本気で言っているのか?君だってうすうすは気付いているんじゃないのか?帝国は間違っている
あの王が存在する限りにいつまで経っても大陸に平穏は訪れないという事を」
「違います!王がいなければこの大陸は再び混迷の時代に――――――」
キースはルーナンティの腕を掴み、激しい口調で言った。
「混迷の時代だって?そんな時代はもうとっくに通り過ぎている!今、虐げられている人々がこの時代をなんと
称しているか知っているのか?」
「そ、そんな事――――――」
「『暗黒』時代だ!どんなに光を求めても黒い闇にのまれ、決して光が見えない時代だと言っているんだ!
君は死んだ親の骸を喰らっている子供を見たことがあるのか!?その日を食う為に子供を奴隷商人に売る親を見たことはあるのか!?
この大陸は魔界そのものだ!そしてあいつは魔王!全ての元凶なんだ!今、あの魔王を倒すために大陸がまとまりつつあるんだ!
それでも君はあの魔王に味方するのか?魔王の尖兵として覇道の道を突き進むのか?ルナ!」
「わ、私は…私は……」
ルーナンティはピストルを下ろし、泣き崩れた。
「私は王から貴方の周辺を探り、計画の詳細を聞き出すように命じられました。
貴方を愛していた副官の女性との関係も何もかも知った上で貴方に近づきました
……で、でもそれは全て…この国の…この大陸の…」
「王への忠誠………それは王の血を受け継ぐもう一人の皇女としてか?」
「――――――っっ!?」
ルーナンティの動揺は明らかだった。
「本当だったんだな……君はあの王の……」
「だ、だったら…だったら何だというの!この国で王の血を受け継いでいるのは一人。
皇女様のみ。私は…私は存在してはいけない女なのです……」
「……セイレーンとの間にもうけた子…その力を使って俺を」
「私は最低の女です……でも…私は…貴方を…」
ルーナンティの手を持ち、ピストルを取り上げたキースはルナの身体にシーツを被せた。
そして身支度を済ませると、荒々しくルーナンティの腕を掴んだ。
「服を着ろ。俺はもう大事な人間を失いたくはないんだ。一緒に来てくれ!」
「で、でも…わ、私は」
「俺は………君を愛している……イエス…と言ってくれ」
ルーナンティはハッとして顔を上げた……そして俯きながら言った。
「……イエス」

深夜でもこの辺りは喧騒が絶えない。その合間を縫うようにして
キースはルーナンティを娼婦街のハンナの店へ連れて行った。
そして『この女性を計画の決行の日までかくまって欲しい』と願い、金を渡した。
『あんたの子種を付けた娘じゃないだろうね?』と念を押すような顔
が、フードをとったルーナンティの顔をみてハンナは声を上げた。
『あ…え…あ……その…お、お客を取ってくれない?い、1回だけでいいから!』
キースはハンナを落ち着かせ、俺の客人だぞ!とキッパリ断った。
『………もったいないねぇ…きっとウチの看板娘になれるのに…私でさえ見とれちまうよ』
と言ってうっとりした。セイレーンの血は男も女も見境はないようだ。
とにかく人目につかないようにしてくれ。と再度、ハンナに念を押し、金を上乗せした。
ルーナンティが言うに、王から命令された期間は7日間。まだ余裕はある。
翌朝、キースはハリーの元へ向かい、昨夜の一件を話した。
当初は驚いた様子だったが、話を終える頃には納得したようだった。
「あの王のことだ、事が発覚していたら俺の首はもう飛んでいただろう。
今、生きているのが何よりの証拠なのかもしれんな………よく話してくれた。
王の言った期限が7日間なのが幸いしたな」
「感謝の言葉もない…ありがとう、戦友」
658名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:24:36.31 ID:C3gJ3Jgr
(これで殺さずに済む……王を討てば全てが終わる。
帝国の歴史に幕を降ろすまであと2日。帝国が崩壊した後はしばらく混乱が続くだろうが
種族、民族の代表議会が招集されれば、自ずと鎮まるだろう)
キースはそんな思いを抱き、廊下を歩いていた。
ふと、顔をあげると対面から別の一団が歩いてくる。
皇女の一団だ。直属の部下と教育係のダークエルフの女性が見える。
年齢は12か、13だろう。幼いながらも覇王の威厳と風格を漂わせている。
キースは廊下の隅により、軍帽を脇に抱えて膝をつき頭を垂れた。
「……待て」
キースの前を通り過ぎようとしたとき、一団の歩みが止まった。。
「面をあげろ」
頭上から、冷ややかな声が響いた。
「は……」
キースは顔を上げ、皇女の顔を見た。ルーナンティと同じ紅い瞳。
が、ルーナンティのどこか儚げな紅い瞳とは違い、
凛と輝くその瞳には何者にも屈しないという強い意志が宿っていた。
「貴官、確か第1歩兵連隊の――――――」
「は、帝国陸軍第1歩兵連隊長キース=フィリップマン少佐であります」
「やはりそうか。帝国軍の精鋭たる功績、特に辺境での戦振りは聞いている」
「皇女様より直々のお言葉、光栄であります」
「聞けば…貴官は昇進と共に兵学校の校長に任命されるそうだな」
「は……」
皇女の言葉にキースは眼を閉じた。

思い起こされる戦場。
キースはリセの一件以来、周辺集落に潜伏していた敵勢力を掃討した。
当時の戦闘記録には大小、20を超える敵性部族を全て壊滅させた、と。
しかし、それは帝国側記録だ。それらの部族内にはもちろん帝国に敵対する者もいただろう。
が、そうでない者もいた。しかし、それらの見分けがつかない場合、どうすればよいのか?
その答えは、扱く簡潔だった。

『両方、葬ってしまえばよい。怨恨も残さないほど、徹底的に壊滅させる』

これがキースの出した答えであり、下した命令だった。
リセの死によって内に潜む修羅が心に取り憑いたのかキースは一切容赦しなかった。
キースの部下達も副官を死に追いやった爆破事件以来、怒りと憎悪を募らせていた。
反撃してくる者も、逃げる者も、命乞いする者も、子を庇う母も、皆殺しにした。
前線司令部からの報告にさすがの陸軍本部も難色を示した。
『やりすぎではないか?』『壊滅させた部族はよいとしても他の部族の反感が高ぶるにでは?』
『しかし、有能かつ部下の信頼も厚い。模範的な指揮官である』『他の功績も素晴らしい』『失うのは惜しい』
そして出された結論が
『本国に呼び戻し、最高の勲章を授与、昇進と共に兵学校の校長の席を与え、退役後は皇女の兵法指南役に』
であった。その報を聞く頃になってキースはようやく正気を取り戻した。
虐殺を楽しみ、金品や装飾品、捕らえた部族を奴隷商に売り、私腹を肥やす指揮官達。
滅ぼされた種族の集落で泣き叫ぶ年端もいかない少女達を犯す兵士達。
『敵性部族の掃討』『辺境平定』という大儀の箕(みの)に隠れ、
虐殺・暴行・略奪を繰り返す帝国の腐敗した汚泥に自らも浸かっていたことを悟った。
キースにとってリセの死は正邪の判断を狂わせるほど大きいものだった。
このままでは自分のような人間が……第二、第三の自分が生み出されかねない。
いや………帝国が存続する限り、途切れることなく生み出されるだろう。
それを断たねばならない。断つためには何をしなければならないか……
そういった思いを抱く者の組織にキースは密かに接触し、ある計画に荷担した。
そして帝国内で同じ志を持つ者達を続々と召集し、その代表となった。
659名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:26:17.30 ID:C3gJ3Jgr
「また退役した後は、私の兵法指南役に貴官が任命されるらしいな、よろしく頼むぞ」
「は、皇女様のそのようなお言葉……実に光栄であります」
「少佐が困っておられますよ…お話はそれまでに。陛下がお待ちです」
ダークエルフの女性がふふっと笑いながら皇女を嗜めた。
確か…ヘスタプリンという名前だったような……
「……わかっている。お前も兄に似てきたぞ。あまりうるさく言うな」
どうやら皇女は王に会うつもりのようだ。
キースは皇女の一団が去ると立ち上がり、踵を返して歩き出した。
「……親と子…か」
660名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:26:56.99 ID:C3gJ3Jgr
「陛下と久方ぶりのお時間、ティルフィードは嬉しく思います」
城内の一室で椅子に座る王に皇女は言った。
「うむ…………」
王は傍らに立つ長身のダークエルフに目配せをした。
ダークエルフは王の意を悟り、侍女を退室させ自らも部屋を出た。
室内に残るのは王と皇女の二人だけになった。
「……陛下?」
突然の人払いに皇女は訝しげな顔をした。
「取り繕った呼び方はよいぞ、ティル」
ふっと王は微かに口元を弛め皇女を愛称で呼んだ。
張りつめたような気が解かれ、皇女は微笑んだ。
「ありがとうございます、父上」
皇女は王の対面に座し、茶が入ったティーポットを持ち、王のカップに注いだ。
静かに流れる悠久の刻。王は眼を閉じ、静かに茶を啜っている。
皇女もまた何も言わず、その身を刻が流れるままに預けていた。
「ティル……もしお前に姉か妹がいたら何とする?」
ふいに王が口を開いた
「ティルに姉上か…妹ですか?」
「そうだ」
「姉上がいれば、良き妹として。妹がいれば良き姉であろうと思います」
「ふむ…実に面白味のない言葉だな、我が娘よ」
王は短く言った。だがその言葉は愛情に満ち溢れていた。
「父上が投げかけた話題に率直に答えたまでです。
それにティルがそういった冗談や洒落には疎い事は百も承知なハズです」
皇女は年相応の少女の言葉で王に言った。少々拗ねているような表情だ。
「……冗談や…洒落…か」
ふぅと息をつき、王は遠い眼をした。
「父上……?」
皇女は王の態度にもしや…と疑問をもった。帝国の頂点に立つ王ではあるが、新たな后もめとらず側室も持たない。
亡き母上に操をたてているのだ……と皇女は勝手に思いこんでいたが、それ以前になると話は別だ。
王が若りし頃に関係をもった女性がいないとは限らない。そう言った類の話は一切、耳に入ることはなかったが、
今になってそう言った者が名乗りを上げてきたのかもしれない…皇女は期待と不安が入り交じった表情で王の言葉を待った。
「儂にはティルフィード…お前しかおらぬ。儂と亡き后の血を受け継いでいる者は第一皇女であるティルフィードのみ」
「……父上、驚かせないで下さい」
皇女は安堵の表情を浮かべた。
「この広大な大陸を治め、帝国を維持するためには継承者は一人でよい。
継承権を巡って親族やその取り巻き共で骨肉の争いなど…愚かにもほどがある。そうは思わんか?」
「はい、父上の仰るとおりです。王たるものは大陸の平穏を保たねばなりません。
その本分を忘れ、土台を根本から崩すような行為は愚の骨頂でしょう」
その答えに王は満足したのか、頷き、身を背もたれに預けた。
長い沈黙、先ほどの静寂が室内に訪れた。その静寂の中、皇女がぽつりと言った。
「父上……母上はどのような御方だったのですか」
「………そう言えば、ティルには話してはいなかったな」
「はい……その…母上のお話を聞こうとすると…父上が悲しい眼をされるので…ですが、ティルはもう13になります。
あと数年もすれば母上が父上と婚儀を結ばれた年齢に………
そのような時に母上の思いが少しでもわかれば……無礼は承知の上です。どうかお聞かせ下さい」
「美しい女性だった……ティルのその紅い瞳は母譲りのものだ……共に戦場を駆け抜け、背中を預けあいながら
何度、死地を乗り越えてきたことか…………ティルや先の話に戻るが…もしお前に姉がいて、そのような行為を企てたとしたら何とする」
王の問いに皇女は一呼吸おき、凛として言った。
「仮にそうだとしたらティルは姉上を討ちます。己の信念に従って」
「そうか……」
661名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:27:52.09 ID:C3gJ3Jgr
数日後

「まずは部族の枠を超え、あの『覇王』を討った事に皆を代表して敬意をあらわしたい」
円卓にならんだ各部族の代表達がキースに眼をやった。
覇王を討ち、帝都の混乱に乗じて主要機関をキースの配下が素早く抑え、
暫定的ながら帝都内の治安維持を受け持つ形となった。
表立って動けないキースであったが、直属の第1歩兵連隊の動きは迅速かつ的確であった。
皇女の行方は未だ不明だが、大陸が帝国の支配から解放された報は瞬く間に諸国に伝わった。
そして大陸の代表を集めた評議会が密かに行われた。
出席者は有翼族、ドワーフ、エルフ、ハイエルフ、獣人、開拓団の代表、そしてキース達、帝国軍人だった。
「覇王の支配から大陸は解放された事を今日、ここに宣言する。
今まで散っていった同胞達、また今日まで圧政に苦しんだ全ての者達の働きが功を成した」
キースが評議会に集まった面々を見回し、言葉を続けた。
「今後、この大陸を治めていく評議会だが、暫定的ではあるが今この場にいる者達の
話し合いという形を取りたいと思う。皆の意見を聞かせてくれ」
キースの言葉にドワーフが言った。
「ワシ達は帝国に牛耳られていた地下鉱脈都市の自治をもらえればそれでよい。他は好きにしてくれ」
そう言って腕組みした。あとは何も聞かず、言わず、取り合わないというように目を閉じた。
「そう言うなら永遠に地下に潜っていてください。ドワーフの体臭に鼻が曲がりそうです。
それに勝手に木を切り出すなど……森が汚れ、ツリーフォーク達は怒り、妖精や精霊は歎いています」
「お高くとまって森のことばかり考えている長耳が何を言う?覇王軍を恐れて永久に森に
ひきこもっておればよかったものを……鉄製の鏃や武具を作った恩をもう忘れたか?」
「――――っ、と、とにかく今後、いかなる種族も私達の森から木を切り出すことを禁じます。
また木を切り出した事が発覚しだい、ハイエルフに対する宣戦布告と見なすと大長老からの言葉です」
ハイエルフが高慢な態度で反論した。
662名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 13:33:46.71 ID:C3gJ3Jgr
「お前達ハイエルフはいつもそうだ!高慢ちきでいつも多種族を見下している!
俺の子供は森に入って落ちていた木の枝を踏み追ったという理由で脚を折られたんだぞ!?」
獣人が立ち上がり、ハイエルフを指して叫ぶように言った。
「お気の毒に思いますが、我々は森の掟に従ったまで」
「何だと!?」
「しかし獣人族の部族紛争で森が荒らされるのも事実です。我々も渓谷や山に流れる
貴重な水源を奪い取られた。その問題は未だに解決していない。帝国を討つために協力はしましたが……
帝国亡き今、その罪が消えたとは言わせません」
有翼人の女性が獣人に向かって言った。
「人間達の開拓もそうです。山を崩し、森を切り開き、動物を殺す。
もっとも……多くの種族を奴隷として売買し、虐殺、略奪、暴行を繰り返した帝国軍よりはマシですが…」
円卓に座す各々の眼が一斉にキースに注がれた。いくら帝国の支配が無くなったとは言っても
部族間の対立や問題が解決したワケではない。各地に傷跡を残した帝国軍の問題もそうだ。
打倒・帝国という目的が達せられた今、なにとかこの評議会をとりまとめなければならない。
「各部族間の問題もそうだが、今ここで我々が仲違いする事は許されない。各々が自分の利益を
優先し、また多種族との協力・共存を考慮しなければ、この大陸は再び混迷の時代を迎える。
下手をすれば帝国が支配していた時よりも酷くなるかもしれない。それだけは阻止しなければならない。
これからの時代は我々、評議会の場において、対話することで解決の道を探りたい」
「私も貴方の意見には賛成です。東部にあるシールグランドは帝国打倒に尽力してくれた各種族に
支援を約束してくれています。また開拓団の自治区も可能な限り多種族との連携・協調の道を摸索しています。
互いを憎み、蔑み、武力で物事を解決する時代はもう終わりにしましょう」
そう発言したのは決起前の会合で顔を合わせたエルフの女性であった。
「……人間に感化されたエルフが何を言うのです。森の恩恵を忘れ、身も心も人間に売った貴女には――――」
「森から出ようとしないハイエルフの方々が外の世界をどう批判できるのです?
森を支えているのは大地です。その大地は誰にとっても平等なものではありませんか?」
さしものハイエルフも彼女の言葉には黙ってしまった
(大した女だなぁ……キース、俺は彼女に惚れちまいそうだぜ。エルフのワリにはいい身体しているしな)
側にいたハリーがキースに耳打ちした。
(冗談はよせ。彼女の横にいる男がこっちを睨んでるぞ、やめておけ)
評議会の重く暗い空気が幾分、軽くなったように感じた。
「帝都内の混乱は治まりつつある。辺境方面軍に主立った動きもないが
皇女を中心として帝国内の残党がまとまらない内に――――」
その時だった。会議室の扉が開け放たれ、なだれ込んできた兵士が小銃を構え一斉に射撃した。
マスケット銃の音と火花が飛び散った後、硝煙によって室内に霧が立ちこめたようになった。
視界が狭まり、悲鳴と怒号が飛び交う。
「ハリー、大丈夫か!?」
キースは小型のピストルを抜き、ハリーを捜した。
「ぐ……やられちまったよ。キース」
腹部を押さえ、ハリーは床に倒れていた。会議室では銃剣を構えた兵士と射撃から逃れた部族の
代表が応戦している。兵士の制服は東部方面軍の物だった。
帝都の混乱を察知し、前線から帰還した――――いや、帝都を掌握し、あわよくば覇権を握ろうと野心をもった者達が
骸にたかるハゲタカのように舞い降りてきたのだろう。
「腹だ……クソッ」
「起き上がれるか?ここから――――」
銃剣を構えて突っ込んできた兵士に向け、有無を言わず発砲した。
倒れた兵士に続けてもう一人の兵士が突っ込んできたが、ハリーが発砲し、よろけた所をキースが
ピストルの銃底で殴りつけ、サーベルを突き刺した。
ドワーフ達の戦斧が、有翼人の槍が、エルフのナイフが、獣人の拳が、兵士達をたたきのめしていく。
「裏切ったな!人間共!」
「狡猾な、下賤な蛮族が招集した評議に何の用意もなしに来たと思いますか?」
窓が割れ、火矢が次々と飛んできた。エルフの矢だ。カーテンや絨毯に火が燃え移り、数分もしないうちに
会議の場は火に包まれた。

ずっと前に書いて、お蔵入りしてもちまちま書き足した話
663名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 17:50:04.83 ID:niVFXth8
違うスレで見たことあるSSな気がするんだが…
記憶違いだったらすまん
664名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 18:28:56.41 ID:WOf6mp9/
ダン・フォースを覚えてる?
665名無しさん@ピンキー:2011/10/12(水) 23:35:33.80 ID:lSuBVMuJ
うむ
666名無しさん@ピンキー:2011/10/13(木) 01:06:40.67 ID:TIOUovvC
>>649
遅レスだが昔、PS1であったヴェルデセルバ戦記って設定が好きだったな
地球人が宇宙船の事故でどっかの惑星に不時着したらそこは
戦争真っ直中で、高速飛行船同士で空戦……初めは軍に所属して途中で
海賊になったりもできて…これってSFファンタジーで軍モノになるよね?
667名無しさん@ピンキー:2011/10/14(金) 07:36:25.40 ID:19hn2osK
ぱらみりっ!



何故か起きて早々このスレ見てたら
そんなタイトルが真っ先に頭に浮かんだ
668名無しさん@ピンキー:2011/10/14(金) 19:22:33.46 ID:FCSS6Vtj
どっちかって言うとみりぱろっ!じゃね
669名無しさん@ピンキー:2011/10/14(金) 20:18:18.62 ID:GDXMlB4t
>>667
パラミリタリーもこのスレの範疇か

確かジェーン年鑑では自衛隊はパラミリ扱いなんだよな
670名無しさん@ピンキー:2011/10/14(金) 21:35:00.75 ID:ZtKApx3O
IDF女性兵士とLF女性民兵の濃厚なレズプレイですねわかります
671名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 15:55:21.44 ID:xzX5b9Vj
けっこう前にこのスレで読んだと思うんだけど
女の皇帝だか国王だかに惚れてる将軍が、「戦争に勝ったら私を好きにしていい」って言われて活躍しまくるやつ残ってない?
他にも養成学校の女学生とか、野戦病院のナースとかとヤりまくる話
シリアスじゃなくてちょっとバカっぽい感じだった
保管庫見たけど無いんだ。datっつうの?持ってたら誰かくれないか
672名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 16:55:01.51 ID:mQ6FQPdV
>>669
マジかよ
673名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 19:07:05.71 ID:tR6sLUc3
>>679
マジ。
あと、海上保安庁なんかもパラミリ(準軍事組織)。
674名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 19:07:37.77 ID:tR6sLUc3
673は>>672へのレスねw
675名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 19:47:48.97 ID:k2gt0T8Y
日本は憲法上、軍の保有ができない
代わりに自衛隊という強力なパラミリが存在するのです
676名無しさん@ピンキー:2011/10/15(土) 19:56:27.16 ID:CuVw4nyF
>>671の話面白そうだな
自分も読みたい
677戦車兵:2011/10/16(日) 01:39:15.02 ID:/kpl1+7J
>>671たぶんこれだと思うけど…


帝国第6軍は極寒の地に包囲され、脱出が困難になっていた。

将:総統閣下、脱出の許可を!
総統(♀):ダーメ。救出部隊送るから、それまで死守してよ。
将:し、しかし!
総統:頑張ってくれたら君には私が直々にナースコスで十発、
各兵には本土の美少女看護学校を貸し切りで給与。やりたい放題ってのでどう?
将:じーくはいるあああ!さむくねぇああああ!野郎ども!
兵:じーくはいるじーくはいるじーくはああ!
総:みんな、大好きよ。頑張って守ってね♪
救出部隊到着を待つまでもなく、
重工業地帯を占領した第6軍はご褒美を受けるべく、本土に後送された。
総:あん、ん…先生、私の膣に注射して下さい。
将:じーくはいるじーくはいるじーくはいる!!
総:あん、あん、そんなに私に注射しないで!ん、ん、んん〜!

看護学校
生徒A:兵隊さん、注射の時間ですよ
兵士:は、は、はいいいっ!
生徒B:いっぱい、注射してね。ここにはお姉さんも妹も、人妻もあらゆる
ジャンルがいるから…今日はどんなプレイがいいですか?
生徒C:可愛がってくださいね♪
兵士:じーくはいるじーくはいるじーくはいる!!!
兵士一人につき、三人の美少女看護生徒。
戦意高揚した全軍は極寒の大国を占領し、一度失敗した島国を占領し、
大帝国を誕生させた。


大尉:………って事になったらいいなぁと思ってさ。どう?
ボクだったら、そこの女医師になってさ、眼鏡かけて、似合うと思う?
ハンス:は、はいい!似合いますよ大尉!絶対、似合います!
軍曹:……溜まってるんですか?あと、二等兵、不潔です。
曹長:あかんなぁ…ハンス、舐めたれば?一回、イケばもどるやろ
伍長:溜めすぎは身体に毒ってね……あ〜はやく救出部隊来ねぇかなぁ…
瓦礫と化した建物の影に隠れ、友軍、避難民を援護する砲塔に白帯を
塗った主力戦車でのお話でした。
678YELLOW TAILS:2011/10/16(日) 11:54:26.44 ID:LIqibual
この物語は一つか二つの素敵な嘘と百か二百のどうでもいい事実から出来ている
−矢作俊彦

はるか南方にアレクサンドリアの街の灯りを望む夜の地中海を、船団は粛々と進んでいた。
UGS8Aという無味乾燥な識別番号を付けられた船団を構成するのは新旧様々なタイプの輸送船とその護衛艦艇で、第69戦闘飛行中隊が間借りしている空母レンジャーもその中に含まれていた。
フットボール場のように平坦な飛行甲板の下で、海に向かって張り出した回廊の手すりにもたれ、一人の女が夜風にあたっていた。
女性にしてはびっくりするほどの長身で、脚が長く、尻の位置が高い。
オリーブ色のシャツを砲弾型に押し上げる胸の膨らみは40インチを下るまい。
プラチナブロンドの長髪は海風に煽られて海草のようにのたくり、瞳の色は猜疑に満ちた暗い光を湛えたペイルブルー。
唇は苦虫を噛み潰したように厳しく引き結ばれている。
別にこれといって気分を害するようなことがあったわけではなく、69中隊の指揮官であるシルヴィア・コスプレスキ大尉はいついかなるときも不機嫌そうな顔をしているのである。
鏡のような水面の向こうに黒々と横たわるアフリカの大地では、かの有名なエルウィン・ロンメル元帥率いるドイツ・アフリカ軍団とおまけのイタリア軍が好き放題に暴れまわり、猛烈に叩かれくたびれきった連合軍はエジプト国境に向け雪崩を打って退却している。
連合国軍中東方面軍司令部の悲鳴のような要請を受けて急遽派兵されることになった69中隊は夜明けとともにレンジャーの飛行甲板から飛び立ち、リビア砂漠との国境に近いビル・エル・ハムサの飛行場に展開することになっていた。
シルヴィアは首を傾けて甲板を見上げた。
細長い飛行甲板の後ろ半分には機体の後ろ三分の一をチームカラーである黄色に塗った69中隊のP−40Fが、猫が潜り込む隙間も無いほどの間隔で並べられている。
その名が示すとおりポーランド系であり、ヤン・ソビエスキー三世のもとウィーンを包囲するオスマン・トルコの軍勢を蹴散らした精強なポーランド騎兵の血を引くシルヴィアは、天駆ける鉄騎兵に乗って戦いに臨む興奮に子宮の疼きを抑えられなかった。
部屋に戻って自慰でもしようと格納庫甲板に降りたシルヴィアは、何の前触れもなく背後からの襲撃を受けた。
複数の腕が伸びてきて口を押さえ、腕を掴み、鋭く絞り込まれた柳腰を抱えて女戦闘機乗りの自由を奪う。
そして一瞬の混乱状態から立ち直り男たちの手を振りほどこうとした巨乳士官を、あっという間に備品倉庫の暗がりに引きずりこんでしまった。
倉庫の中は薄暗く、ペンキやグリースの匂いが充満していた。
「へへ、いい格好だな」
万歳の格好で両手を組まされ、仰向けの体勢で身体を床に押付けられた屈辱の束縛姿勢に固められたシルヴィアに、闇の中から声がかけられる。
「貴方たち…」
それは69中隊がノーフォークでレンジャーに積み込まれる際、空中戦での腕試しを持ちかけてきてボロ負けした第42戦闘飛行隊の面々だった。
679YELLOW TAILS
「この前の借りはたっぷりと返させてもらうぜ」
航海の間ずっとシルヴィアを付け狙い、人気の無い場所で一人になるときを待っていたのだ。
生意気な女将校を強姦し、所詮女は男に征服され、奉仕する存在なのだと思い知らせることで傷付けられたプライドを癒そうという魂胆であった。
「…好きにすればいいわ」
シルヴィアは力を抜いた。
抵抗しても勝ち目は無かった。
多勢に無勢であった。
「お前は俺たちの奴隷だ」
シルヴィアの傍らに膝をつき、顔を寄せてきた男が言った。
目に狂気に似た熱が浮かんでいた。
男たちの手が無造作に着衣を剥ぎ取っていく。
たちまち全裸にされた。
生唾を飲み込む音が幾つも重なった。
「凄ぇ体だ」
誰かがうめいた。
男たちは先を争って服を脱ぎ捨て、シルヴィアに挑みかかった。
何本とも知れぬ指と舌が熟れきった女体を這い回る。
腹に跨った男が荒い息づかいで乳房を弄びはじめた。
重力に屈することなく見事な形を保つ美巨乳が、男の乳責めを受けてグニグニと柔らかく変形する。
「ひあ…ッ!」
陵辱の予感に昂ぶり、敏感になっていた乳肉を荒々しく揉みしだかれ、思わず頤を反らして甘声を漏らしてしまう。
「無愛想な顔してる割には色っぽい声で鳴くじゃないか?」
銀髪の美人将校は10歳の誕生日に父親に犯され、それから毎日昼は父親に抱かれ、夜は客を取らされていた。
14歳の独立記念日にグリップにガラガラ蛇をあしらったコルトの六連発で父親の心臓を撃ち抜いたシルヴィアは、僅かばかりのドルを手にメキシコ行きの汽車に乗る。
ガーランド郡で人買いに捕まった住所不定の巨乳美少女は、一味に輪姦されたあとホットスプリングズの娼館に売ら、19歳の復活祭の日にブルーアイからやって来た保安官に保護されるまでにありとあらゆる変態プレイを仕込まれた。
開発されたシルヴィアの肉体は快楽に従順で、複数の男たちに玩具にされることにどうしようもない悦びを覚えてしまう。
尻の割れ目に舌を入れられ、こみ上げる肉悦にたまらず腰がくねる。
牝犬の性を目覚めさせられた美人将校が淫悦に身悶えるたび、発情した女体から香り立つ濃厚な性臭が男たちの鼻腔を擽る。
滑らかな雪肌に散った桜色が凄絶な色気を醸し出していた。