【女体化】TS系小説総合スレ【男体化】7話目

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492名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 17:13:37.28 ID:pkWmuPCm
>>490
最近、と言ってもここ数年来だけど、支援所にも読もうにもいた気がするぞ。
断筆はしてないと思う。少なくともネット上にはいる。
493名無しさん@ピンキー:2012/04/28(土) 22:06:19.06 ID:luAyHDPf
名義は違うけど、ピクシブあたりでも見かけた気が
494名無しさん@ピンキー:2012/04/29(日) 15:47:00.55 ID:DhQfit0m
>>493
巫女の日に巫女イラスト描いてた
495 ◆cW8I9jdrzY :2012/04/30(月) 23:52:22.58 ID:u3dtxieH
一本投下します。
属性は以下の通りです。

■オリジナル、連載物(二、三話ほど)
 入れ替わり(首のすげ替え)、学園風味、
 マインドコントロール、コメディ風味、やや鬼畜

今回はエロ無しです。よろしくお願いします。
496祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/04/30(月) 23:53:30.05 ID:u3dtxieH
「祐ちゃん、この問題はどうやって解いたらいいの?」
 座卓の向こう側から聞こえてきた声に、中川祐介は顔を上げた。
瑞希はシャープペンシルの尻を唇に当て、難しい顔で考え込んでいた。
「ええっと……ああ、これか。これは平衡定数を使って解くんだ。
 酢酸の濃度をC、電離度をαとして図を描くとわかりやすいぞ」
「え、それってどうやって描くの?」
「それはだな、こうやって平衡の式を書いて、この下に濃度を……」
 祐介は身を乗り出し、自分のノートを見せてやった。
瑞希は熱心な様子で祐介の説明を聞いていたが、
やがて軽くうなずくと解答に取り掛かった。
「うん、何とかできそうな気がする。さすが祐ちゃん、頼りになるなあ。ありがとう」
「いや、なんてことないさ。ここは一応、俺の得意分野だから」

 目の前にいる小柄な少女が見せた微笑にどきりとし、照れ隠しにそっぽを向く祐介。
今年で十七歳になる森田瑞希は祐介の高校のクラスメイトで、
彼が小学校に上がる前からつき合っている幼馴染みでもあった。
 幼い頃から人つき合いが苦手で友達の少なかった祐介にとって、
瑞希は常に自分のそばにいてくれる貴重な存在だった。
一方の瑞希も内気で臆病だったため、進んで級友たちの輪に入っていくことは
できなかったから、二人はいつも一緒にいた。
家が近くだったことや、小、中、高と同じ学校だったこともあり、
今や登下校から放課後、そして時には休日もこうして互いの家を訪ね、
共に過ごすのが当たり前になっている。
今日は日曜で学校の授業はなかったが、祐介はいつものように
瑞希を自分の部屋に招き、一緒に宿題に取り組むことにしたのだった。

「ふう、終わった。最後の方は難しい問題だったなー。
 解き方を教えてくれてありがとう、祐ちゃん」
「いいよ、気にすんなって」
 祐介はペンを放り投げ、盆の上のコーヒーカップに手を伸ばした。
半分ほど残ったコーヒーは既にぬるくなっていたが、
課題をやり遂げた達成感のためか、決してまずいとは思わなかった。
「ねえ、祐ちゃん。そっちに行ってもいい?」
「ああ、もちろんいいぞ」
「やったー。えへへ、祐ちゃんの上に座ろうっと」
 瑞希は立ち上がると、嬉しそうな顔で祐介の膝の上に乗り、体を預けてくる。
あどけない顔立ちに加えて、長い黒髪を子供のように頭の左右で束ねた髪型が、
高校生の彼女をまるで小学生のように見せていた。
男子として平均的な体格の祐介と並ぶと、とても同い年には見えない
というのが家族や友人たちに共通した見解だった。
(瑞希の髪、いい匂いがする……)
 鴉の濡れ羽色と呼ぶにふさわしい瑞希の艶やかな髪を撫で、祐介は目を細めた。
瑞希は高校生になった今でも、子供の頃のようなスキンシップを
頻繁に祐介に要求してくる。相思相愛の二人はいつしか男女の仲になっていたが、
祐介はどちらかといえば真面目で禁欲的な性格だったから、
自分から積極的に瑞希の体を求めることはしなかった。
だから二人の交際において、主導権はもっぱら瑞希の側にあった。
497祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/04/30(月) 23:56:15.24 ID:ABWHqnZh
「祐ちゃん、好きだよ。私、祐ちゃんのことが大好き」
「ああ、俺もだ。俺も瑞希のことが好きだ」
「嬉しい、祐ちゃん。じゃあキスしてくれる?」
「今か? わかった。こっちを向いてくれ」
 頬に紅を散らした瑞希に誘われ、祐介はそっと彼女の顔に手を這わせた。
目を閉じて瑞希の細い唇を自分ので覆い隠そうとしたそのとき、
不意に横から咳払いが聞こえた。
「あー、あなたたち……盛り上がってるところ悪いんだけど、ちょっといいかしら」
「お、お袋っ !?」
 祐介は飛び上がった。いつの間にか部屋の入り口に彼の母親が立っていて、
抱き合う二人を呆れた表情で見下ろしていたのだった。

「お、おばさん。こ、これは、その……いやあ、恥ずかしいよおっ」
「今さら何を言ってるのよ、瑞希ちゃん。
 あなたたち、普段はもっとすごいことをしてるじゃない」
「な、何のことですか? 私たち、そんなに変なことはしてませんけど……」
「んー? そうねえ……孫は楽しみにしてるけど、学生のうちに産むのは
 ちょっと早いんじゃないかって話。まあ、それは今はどうでもいいのよ。
 それより祐介、ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」
「何だよ。いきなりひとの部屋に入ってきて……」
 祐介は頬を赤くして母親を見返す。いくら双方の両親が公認している仲とはいえ、
実母の前で瑞希と触れ合うのには抵抗があった。
瑞希も耳まで真っ赤に染めて、祐介の胸に顔をうずめてしまっている。
「実はキッチンの電灯が切れちゃったのよ。
 今から自転車でひとっ走り行って、買ってきてくれないかしら」
「電灯? 別にいいけど、あれって普通の蛍光灯だよな」
「そうそう。型番はここに書いておいたから、急いでお願い。
 このままじゃご飯が作れないわ」
 母親はメモ用紙と紙幣を祐介に手渡す。
祐介は膝の上の瑞希を床に下ろし、出かける準備に取り掛かった。

「じゃあ瑞希、悪いけど行ってくる。すぐに戻るから、ここで待っててくれないか」
「ううん、私はそろそろ帰るよ。うちももうすぐご飯の時間だし……」
「ちょっと待ちなさい、瑞希ちゃん」
 席を立った瑞希を、祐介の母親が引き止めた。
「せっかく来てくれたんだから、もうちょっとゆっくりしていきなさいよ。
 おばさん、あなたにいろいろ聞きたいことがあるの」
「な、何ですか?」
「それがね、うちの祐介ってぶっきらぼうで口数が少ないじゃない。
 年頃の男の子だからしょうがないかもしれないけど、
 やっぱり一人息子が普段学校でどうしてるかとか、
 瑞希ちゃんとどんなおつき合いをしてるかとか、母親としては気になるのよね。
 だからその辺のこと、瑞希ちゃんに根掘り葉掘り聞いておきたいなって。
 ちょうど今だって、いい雰囲気だったし」
498祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/04/30(月) 23:59:13.56 ID:CE/yu/Wc
「は、はあ……でも、そういうのってちょっと恥ずかしいかも……」
「おい、お袋。瑞希に変なことを訊かないでくれよ。困ってるじゃないか」
 祐介は渋い顔で抗議したが、母は聞く耳を持たない。
「どうせキッチンの電灯を取り替えるまでお夕飯の支度はできないんだから、
 この機会に瑞希ちゃんを質問攻めにしておかないとね。
 ほら、祐介はぐずぐずしてないで、さっさと行ってきなさい」
「きゃあっ !? た、助けて、祐ちゃん……」
「お、おい、お袋……」
 瑞希の襟首をつかみ、やけに浮かれた様子でリビングへと去っていく母親に、
祐介は呆気にとられてしまう。このままでは、あまりひとに訊かれたくない
プライベートな質問をいくつも投げかけられ、瑞希が恥をかかされるのは間違いない。
「くそ、こりゃ急いで帰ってこないとまずいな。蛍光灯、蛍光灯……」
 メモに書いてある蛍光灯なら、最寄りのスーパーマーケットに置いてあるはずだった。
片道五分、往復十分。買い物の時間を入れても十五分はかからないだろう。
祐介は慌てて家を飛び出し、愛用の自転車を走らせた。

 三十分後、祐介は真冬だというのに全身汗だくで自転車を漕ぎ続けていた。
一月の太陽は既に落ち、暗い道路を街灯の頼りない光が照らしていた。
「はあ、はあっ……くそ、なんで俺がこんな目に……」
 運が悪いとしか言いようがなかった。はじめ、最寄りのスーパーマーケットに
行ったのだが、目当ての品はたまたま売り切れていた。
それから二、三軒コンビニに立ち寄ったのだが、そこにも蛍光灯はなく、
結局国道沿いのホームセンターまで出向く羽目になった。
かなりの距離があるうえに長い長い坂をのぼらなければならず、
ようやく店に着いたときには、祐介はすっかりくたびれ果ててしまっていた。
「はあっ、はあっ。とにかく買い物は終わったんだ。
 帰りは下り坂だし、随分と楽になるはず……ん?」

 ふと祐介の視線が隣の公園に向けられた。立ち並んだマンションの隙間にある、
何の変哲もない小さな公園だが、そこに見覚えのある少女の姿があった。
ちょうど向こうも祐介に気がついたらしく、こちらに駆け寄ってきた。
「あら、中川じゃない。ねえねえ、こんなところで何してんの?」
「げっ、加藤じゃねえか。お前、なんでこんなところにいるんだよ」
 祐介は面食らった。彼のもとにやってきたのは、クラスメイトの加藤真理奈だった。
女子にしてはかなりの長身で、祐介とほとんど背丈が変わらない。
派手に染めた茶色の髪が印象的な美少女だ。
冬だというのに裾の短いスカートをはいて、自分の長い脚を強調している。
「なんでって……ここ、あたしの家だもん。そんなの当たり前じゃない」
「げっ、そうだったか。道理で、どっかで見たような風景だと思った……」
 祐介はげんなりした声でつぶやいた。すぐ隣にある高層マンションが
真理奈の家だということを失念していた自分を、心の中で激しく叱責した。
(なんで日曜なのにこんなやつの面を見なくちゃいけねえんだよ、畜生。
 何かされる前に俺は帰るぞ。いや、今すぐ逃げないとヤバいって──)
 前に向き直り、挨拶もせず自転車のペダルを思い切り漕ぎ出す祐介。
一刻も早くここを離れて、家族と恋人の待つ自宅に戻らなければ。
499祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:02:52.84 ID:hwXj6eer
 ところが次の瞬間、祐介を乗せた自転車は金属の軋む不快な音をたて、
その場で盛大に転倒した。
「うおおおおっ !? い、痛えっ! な、なんだっ !?」
 地面に転がり、無様にのたうち回る祐介。
はき古しのジーンズは膝の部分がすり切れ、わずかに血がにじんでいた。
骨折や捻挫はしていないようだが、右膝のすり傷がじんじんと痛んだ。
 いったい何が起こったのか、事態を把握しようと顔を上げると、
真理奈がホルダーつきのキーを指でくるくる回していた。
それは祐介の自転車をロックするためのキーだった。

「お、お前か、加藤っ! いきなり鍵なんて抜きやがって、どういうつもりだ !?
 危ねえだろうがっ!」
「あんたこそ、人の顔を見ていきなり逃げ出すなんて失礼じゃない。
 いったいどういうつもり?」
 真理奈は腰に手を当て、不機嫌な顔で祐介を見下ろす。
祐介が逃げようとしたのを察知し、彼が気づかぬうちに
素早く自転車のキーを抜き取った手並みは、とても真っ当な女子高生のものではない。
まるでスリだと祐介は思った。
「なんで逃げるって、そりゃお前に関わるとロクな目に
 遭わないからに決まってるだろう。この疫病神がっ!」
「なんであたしが疫病神なのよ !? ひとを災害みたいに言わないで!」
「やかましいっ! 今だって、お前のせいで俺は
 思いっきりスっ転ぶ羽目になっただろうが!
 ひとにケガさせといてその偉そうな態度、少しは反省しやがれ! ノータリン!」
「今のはあんたが逃げるからでしょ! 逃げさえしなきゃ、
 あたしだってわざわざこんなことしないわよ!
 原因はあんたなんだから、やっぱりあんたが悪いに決まってる!」

 案の定、真理奈にはまるで反省の色がなかった。
抜群のスタイルを誇る美少女なのだが、残念なことに彼女は
常に周囲に迷惑をかけずにはいられないトラブルメーカーでもあった。
特に祐介とは相性が悪く、祐介は今まで何度も彼女に苦汁をなめさせされている。
学校の中でも外でも彼が一番会いたくない相手が、この加藤真理奈だった。
「とにかく、お前に関わると俺はロクな目に遭わねえんだ。
 頼むから今日はこのまま帰らせてくれ。この電球を早く持って帰らねえと、
 うちは晩飯が食えねえんだよ」
「そんなの、あたしの知ったことじゃないわね。
 ほらほら、この鍵を返してほしかったら土下座してお願いしなさいよ」
「てめえ……」
 辺りに緊迫した空気が漂う。二人が険悪な顔でにらみ合っていると、
公園から一人の女が出てきた。祐介の知らない顔だったが、
女は真っ直ぐこちらにやってくる。
500祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:05:16.49 ID:hwXj6eer
「どうしたの、真理奈ちゃん。そのコ、真理奈ちゃんのお友達? それとも彼氏?」
「いや、断じて友達でも彼氏でもないです。ただの学校のクラスメイトです。
 それも犬猿の仲って感じの」
「ふーん……君、こんにちは。私はちひろっていうの。斉藤ちひろ。よろしくね」
 女はそう名乗った。髪は黒に近い茶色のショートカット。
縁なしの眼鏡をかけ、膝丈の黒いワンピースとジャケットの上に
ベージュのコートを羽織っている。一見すると平凡な格好だったが、
祐介は思わずちひろという若い女の姿に見とれてしまった。
「……どうかした、君? 変な顔しちゃって」
「い、いいえ、何でもありません。俺は中川です。中川祐介。
 不運なことに、こいつのクラスメイトです」
 祐介は横にいる真理奈を指差し、ちひろに頭を下げた。
「何よ、その失礼な言い方は」と真理奈が頬を膨らませた。

「へえ、祐介クンか。ねえ、名前で呼んでもいいよね?
 祐介クンも私のこと、ちひろって呼んでいいからさ」
「は、はあ……ところで、斉藤さんは妊娠してるんですか?」
 明るく人懐こい笑顔を見せるちひろに戸惑いながら、祐介は訊ねた。
彼の注意を引いたのは、ちひろの豊かなバストのすぐ下に巻かれた細い帯と、
前方に突き出た大きな腹部だった。どう見ても妊娠している。
それも出産間近の妊産婦と思われた。
 こうして妊婦と向かい合うのは、祐介には初めてのことだった。
通行人の妊婦を遠くから眺めることはあったが、知り合いや親戚に
新婚の夫婦が少なかったため、妊娠している女性に近づく機会はほとんどなかった。
臨月と思しき巨大なちひろの腹部に見入ってしまうのも、無理のないことかもしれない。
「斉藤さんじゃなくて、ちひろよ。ちひろって呼んでって言ったでしょ」
「は、はい。ちひろさんは妊娠してるんですか?」
 問うと、ちひろはにっこり笑って自分の突き出た腹を撫でた。

「そうよ、いま妊娠三十八週目。
 予定日はもうちょっと先だけど、そろそろ産まれてもおかしくないわね」
「なのに、こんなところで立ち話をしてていいんですか? 寒いですし……」
「あはは、そうね。買い物の帰りに真理奈ちゃんに会って、つい話し込んじゃったわ。
 私、真理奈ちゃんと同じこのマンションに住んでてね。
 あのコ、ここに越してきたばかりの私に親切にしてくれたのよ。
 お店の案内をしてくれたり、荷物を持ってくれたり……」
「加藤が? ちょっと信じられません。
 こいつ、学校じゃすごい問題児なんですよ……あれ?」
 真理奈を指差そうとして祐介は困惑した。
つい今まで隣にいたはずの真理奈が、忽然と姿を消していたのだ。
きょろきょろと周囲を見回しても、見えるのは無残に倒れた祐介の自転車だけだった。
501祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:08:01.28 ID:Gdso+CwL
「あら、そうなの? 実を言うと、私もそうじゃないかって思ってたの。
 真理奈ちゃんって何となくトラブルメーカーって感じがするわよね。
 いつも面白そうなことしてそう。あはははは……」
「笑いごとじゃありませんよ。あいつのせいで俺たち、
 酷い目に遭わされてばかりなんですから」
「でも、あのコはホントは優しいコよ。ちょっと素直じゃないだけかなって、見てて思う」
「そんなわけありません。ちひろさんは学校での加藤を知らないから、
 そんなのんきなことが言えるんですよ。それにしても、あいつはどこに行ったんだ?
 俺の自転車の鍵を持ったままでいなくなりやがって……」
 倒れた自転車を起こし、祐介はぼやいた。早く家に帰らなくてはいけないというのに、
こんなところで道草を食うわけにはいかない。
ただでさえこんな遠くまで足を延ばして時間をかけているのだ。

「ねえ、祐介クン。籠に入ってるそれって、蛍光灯?」
「あ、はい。うちの電灯が切れちゃったんで、買って帰る途中だったんですよ」
「そうなんだ。ねえ、祐介クンのおうちってどこ?
 なんかキリっとしててカッコいいよねー。彼女とかいたりする?」
 あれこれと質問を投げかけてくるちひろに、祐介は困惑する。
どうやら、彼女はとても話好きらしい。
こんな真冬の日暮れ時に公園で真理奈と話していたのもそうだ。
初対面の相手とでも親しげに話せるのが、ちひろの特技のようだ。
人見知りの激しい祐介とは対照的だ。
「あ、あの、俺、急いで帰らないといけないんで、今日はこれで……」
「あー、引き止めちゃってごめんね。私、普段は家に一人でいるもんだから、
 たまに人と話すとついつい長引かせちゃうのよ。
 悪いクセだって自分でもわかってるつもりなんだけど……」
「え、一人暮らし? 旦那さんは一緒じゃないんですか」
 訊ねると、ちひろは少し寂しそうな顔をした。
「それがね、去年の暮れからヨーロッパに出張してるの。長期の出張だから、
 予定日にも帰ってこれないって言われたし……新婚なのに酷い旦那よね。ホント」
「そ、そうだったんですか……」
 なんと言えばいいかわからず、祐介は狼狽した。気まずい空気が辛かった。
気の利いたことの一つでも口にできたらいいのに、と切実に思った。

 急に黙り込んでしまったちひろを前に困り果てていると、
マンションのエントランスから真理奈が出てきた。
どこに行っていたかと思えば、なんと自宅に帰っていたという。
祐介は憤慨して腕を振り上げた。
「おい、加藤! お前、俺の自転車の鍵を持ったままだろう! 早く返せよ!」
「はいはい、わかったわよ。でも、わざわざ鍵を返しに下りてきてやったんだから、
 あたしに感謝しなさいよ? あたしは別に返さなくても全然困らないんだから」
「ふざけんな! おら、返せ!」
 真理奈が差し出したキーをひったくり、自転車に差し込む。
無事にロックが外れ、祐介の愛車は再び走れるようになった。
さきほど盛大に転倒したが、自転車に深刻な損傷はないようだ。
「それじゃちひろさん、俺は帰ります。ゆっくりお話しできなくてすいません」
「あら、いいのよ。また今度、うちに遊びに来てね。歓迎するわ」
「はい、わかりました。それじゃ……」
502祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:11:00.86 ID:Gdso+CwL
 今度こそ自転車のペダルを漕ぎ出そうとしたとき、祐介を異変が襲った。
 全身の力が急激に抜けていき、立っていることすら難しくなる。
祐介は自転車をその場に倒し、アスファルトの上に膝をついた。
目まいがして、頭がくらくらした。
(な、なんだ? いったい何が起きたんだ……)
「祐介クン、大丈夫っ !?」
 抗いがたい脱力感に苛まれる祐介のもとに、ちひろが駆け寄る。
しかし別の人物が彼女を押しのけた。真理奈だった。
「ふっふっふ……油断したわね、中川。この加藤真理奈様が、
 一度盗んだ鍵を簡単に返すと思った? 今のはあんたの不意をつくためのフェイクよ。
 あたしに背中を見せるとこういうことになるから、次からは気をつけなさい」
 やけに物騒な台詞を放ち、真理奈は祐介の前に立つ。
その手には楕円形をしたプラスチックの小さな容器があった。
強く握られてへこんだ容器の先端には、注射針のように細く鋭い針がついていた。
首筋にそれを突き立てられ、中身の薬液を注入されたのだと祐介は気づいた。

「お前、俺に何しやがった。その浣腸みたいなブツはなんだ……」
「大丈夫、死にはしないわ。実はこないだ新しい薬を手に入れて、
 人体実験をしなきゃいけなくなったのよ。せっかく格好の実験台がノコノコ
 あたしのうちまで来てくれたんだから、使わない手はないかなって。
 ちひろさんのおかげでスキだらけだったし」
 手に持った容器を二人に見せびらかす真理奈。
彼女の話によると、友人に怪しい薬剤師がいて、その友人はしばしば
危険な新薬を開発しては、真理奈に実験を依頼しているのだという。
 その実験台になるのがいつも真理奈の身近にいる祐介であり、あるいは瑞希だった。
人の心と体を変容させる不可思議な薬──祐介はこれまでに何度もその実験台にさせられ、
煮え湯を飲まされている。真理奈はそれをまた繰り返そうというのだ。
 突如として己の身に降りかかった不幸に、祐介は暗澹たる心地にさせられた。

「や、やめろ。俺は早く帰らなきゃいけないんだ。家で瑞希が待ってるのに……」
「へえ、今日は瑞希と一緒だったんだ。ちょうどいいわね。
 あの子にもこの薬の効果を見せてやることにするわ。ふっふっふっふ……」
 真理奈は不敵な笑みを浮かべて、祐介の前にひざまずく。目線の高さが同じになり、
二人はじっと見つめ合った。真理奈は悪戯に成功したときの子供のような目をしていた。
(畜生。これだからこいつと顔を合わせたくないんだ。
 いつもいつも厄介ごとばかり起こしやがって……)
 全力で逃げ出したい心境だったが、無念にも今の祐介には指一本さえ動かせない。
脱力感と痺れが全身に広がり、意識を保つことすら危うくなる。
ついに前のめりに倒れたところを、真理奈に抱きとめられた。
「おやすみ、祐ちゃん。せいぜいいい夢見てね。ふふふふ……」
 真理奈のにやけ笑いを最後に、まぶたが閉じて何も見えなくなる。
五感がほとんど失われていた。薄れゆく意識の中で、祐介は真理奈を散々に罵倒した。
それが罠にかかった彼にできる、唯一の反撃だった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
503祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:25:51.20 ID:GoGOt0mK
「起きて、祐介クン。君の家に着いたわよ」
「ううん……」
 体を揺さぶられ、祐介はようやく気がついた。うっすら目を開くと、
自分に手を差し出しているショートヘアの女の姿が見えた。
祐介は女を見つめ返したが、はたして誰だったか咄嗟に思い出すことができない。
霞のかかった頭が、思考することを拒否していた。
(あれ……俺、どうしたんだっけ。たしかお袋に買い物に行けって言われて、それから……)
 だんだんと覚醒するにつれて、五感が機能しはじめる。
どうやら、今の祐介は背もたれつきの椅子に座っているようだ。
体の背面を覆う柔らかなクッションの感触に、車のシートに座っているのだと気づく。
誰が締めてくれたのかまるで覚えがないが、肩からわき腹にかけ
しっかりとシートベルトを着用していた。

 自転車に乗って買い物に出かけたはずの自分が、いつの間にか乗用車の後部座席に
腰かけている。どうしてこんなことになったのか、祐介は頭を振って思い出そうとした。
ところがその前に、横から伸びてきた手が彼の手を引っ張った。
祐介は寝ぼけながらもシートベルトを外し、車外に出た。
とうに冬の陽は落ち、暗い道路を冷気が覆っていた。
 ずっと眠っていたからか、妙に体が重い。真っ直ぐ立とうとしても、
ふらふらとよろめいてしまう。まるで大きな荷物を抱えているような錯覚に襲われた。
「大丈夫? 祐介クン。危ないから転んじゃダメよ」
「は、はい……ありがとう、ちひろさん」
 口に出したことで、やっと女の名前を思い出した。この眼鏡の女は斉藤ちひろ。
祐介のクラスメイトである加藤真理奈のマンションに住む主婦で、
海外出張中の夫と離れて一人暮らしをしているという。
笑顔がよく似合う、話好きの明るい女性だ。
 ちひろは祐介の肩を支え、彼が無事に立っていられることを確認すると、
車のドアを閉めてロックした。おそらく、これは彼女の車なのだろう。
スカイブルーの軽自動車で、つい最近のCMで見たことがあった。

「ここは……俺の家? ちひろさん、わざわざ車で送ってくれたんですか?」
 祐介は目の前の住宅が自分のものだと気づき、ちひろに訊ねた。
ちひろはうなずき、蛍光灯の入った袋を祐介に手渡す。
 いつの間に着替えたのか、彼女はトレーナーとジーンズというラフな格好になっていた。
臨月で随分と腹が目立っていたはずだが、今はまったくそう見えず、
ごく普通の体型としか思えなかった。不思議なことだと思った。
「別にいいわよ。あそこから祐介クンの家までだいぶ距離があったし、
 私のせいで足止めしちゃったようなものだから。それに──」
「それに?」
「その体じゃ、自転車を漕いで帰れないでしょ?」
 と言って、ちひろは祐介の胸を指し示した。
祐介は何気なく己の体を見下ろし──次の瞬間、絶叫した。
「うわあああっ! な、なんだよこれっ !? 俺の腹が……胸が……!」
504祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:28:59.62 ID:ECqDAJhy
 祐介の視線の先にあるのは、黒いワンピースの胸元を押し上げている豊かな乳房だった。
どう見ても男の胸部ではない。体を揺らすたびにゆさゆさと弾む二つの大きな肉の塊が、
自らの重みに負けてやや下方に突き出していた。
 異常は胸だけではなかった。乳房の下には、さらに巨大な腹部が前に張り出していた。
太っているのではない。左右にはほとんど膨れておらず、前方にだけ突き出た
重々しい胴体は、肥満ではなく別の単語を祐介に連想させた。それは妊娠だった。
「俺の腹がこんなに膨らんで……これ、どうなってるんだ?
 ああっ、すごく重い……中で何か動いてる……」
 こわごわと自らの腹部をさすり、中に小さな命が宿っていることを祐介は理解した。
いつの間にか細長くなった指で表面を撫でると、腹の中の命がかすかに動く感触がある。
ずしりと重いこの腹は、祐介が母親になった証だった。

(俺、妊婦になっちまったのか? 一体どうして。
 しかもこれ、ちひろさんの服じゃないか? まさか、これって……)
 青ざめた顔をちひろに向けた。ダークブラウンのショートヘアが随分と高い位置にあった。
どう見てもちひろの方が、十センチ以上高い。先ほどまで祐介の方が高かったはずの身長が
逆転していた。あんなに突き出していた腹も、見事なまでに平坦になっている。
 妊婦だったちひろが、ラフな格好に変わって妊婦でなくなった。
しかもちひろが着ている服は祐介のものだ。反対に祐介はちひろの服を着て、
身重の体になっている。そして入れ替わった身長。
いったい何が起こったのか、祐介は全てを理解した。
「ちひろさん、ちょっとそこをどいて下さい。その車のミラーを見たいんです……
 ああっ! や、やっぱり! 俺の体が、ちひろさんのになってる……!」
 車のサイドミラーをのぞき込み、祐介は絶望に喘いだ。
決して当たってほしくない予想が的中したことを悟った。
祐介の顔の下に、マタニティウェアを着た妊産婦の体があった。
それは今日はじめて会った斉藤ちひろの肉体だった。
 祐介の首から下は、もはや十七歳の少年の体ではなかった。
ちかぢか出産を控えた三十前後の主婦の肉体になっていたのだ。
祐介の頭部と、ちひろの胴体が融合していた。信じがたい光景だった。

「おーっほっほっほ! やっと理解したようね、中川。
 今の自分の体が、ちひろさんのと入れ替わっちゃったこと」
 突然高笑いが聞こえて、祐介は戦慄する。
車の向こう側には加藤真理奈が仁王立ちしていた。
この上なく楽しそうな極上の笑みを浮かべて、変わり果てた祐介の姿をあざ笑っていた。
「か、加藤……これはお前の仕業かっ !?」
「ふん、そんなの訊くまでもないでしょ?」
 真理奈は祐介を見下し、ポケットからプラスチックの容器を取り出した。
卵型の容器の先には、注射針と思しき細い針が備わっている。
それは祐介が意識を失う前、真理奈が手に持っていた品だった。
505祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:32:26.04 ID:CCxWXASZ
「さっきも見せてやったわよね。これ、人間の体を粘土みたいに
 柔らかくしちゃうすごい薬なの。これをあんたの首に注射したら、あんたの頭は
 簡単に胴体から引きちぎれるようになるのよ。一番すごいところは、
 体がバラバラになっても死なないことね。あんたの首を胴体から引き離しても、
 別に死ぬわけじゃないの。仮死状態になるだけ。
 そんで仮死状態になった人間のパーツとパーツを合わせたら、
 逆にくっつけることができるのよ。わかる、中川? あたしはこの薬で
 あんたとちひろさんの首を体から引っこ抜いて、交換してやったの。
 だから、今は中川の首から下がちひろさんで、
 ちひろさんの首から下が中川になってるってわけ」
「ふざけんな……早く俺たちの体を元に戻しやがれっ!」
 祐介は真理奈に飛びかかったが、力と体格で勝る彼女には敵わず、
簡単に押さえ込まれてしまう。いくら元が男だろうと、
体が臨月の妊婦になってしまっては満足に動けるわけがなかった。

「くそ、放せっ! 俺たちを元に戻せっ!」
「こら、ちょっと落ち着きなさい。そんな体で暴れたらお腹にさわるわよ。
 今のあんたは妊婦さんなんだから、気をつけないとダメでしょうが」
「ふざけんなっ! くそ、俺の体があっ!」
 振り回した腕は細く、小枝のように華奢だった。
祐介は涙を流して、無力な己を恥じる。
地面に膝をついてめそめそ泣いていると、慌ててちひろが駆け寄ってきた。
「ま、真理奈ちゃん! 乱暴なことはしないでよ!」
「大丈夫ですよ、何もしてませんから。てか、暴れたのはこいつだし」
 真理奈はにやりと笑って一歩退く。ちひろは祐介の傍らにしゃがみ込み、
「祐介クン、大丈夫?」と訊ねてきた。
「だ、大丈夫です。大したことはありませんけど……ちひろさん、お願いです。
 俺の体を返して下さい。俺、こんなの耐えられません」
「うん、そうしたいのは山々なんだけど……私じゃ元に戻せないの。
 私もいきなり真理奈ちゃんに首を引っこ抜かれて、君の体にくっつけられちゃって……
 ごめんね、祐介クン。私のせいで君をこんな目に……」
「違います! 悪いのはあの厄病女神です!
 毎度毎度いらんことばっかりしやがって、畜生……」
「待ってて。今、元の体に戻してくれるよう真理奈ちゃんに頼んでみるから」
 ちひろはそう言って、すっくと立ち上がった。トレーナーとジーンズに身を包んだ
彼女の体はがっしりしていてたくましく、見上げると威圧感があった。
やはりちひろの首から下は男の体なのだと、祐介は改めて思った。

「お願い、真理奈ちゃん。私たちの体を元に戻して。これじゃ祐介クンが可哀想。
 私だって男の子の体は嫌だし、それに大事な赤ちゃんをひと任せになんてできないわよ」
「あら、そうですか? お腹が重くて大変だってぼやいてたから、
 せっかく入れ替えてあげたのに。男の体もなかなかいいもんでしょ?」
「ダメよ、真理奈ちゃん。早く私たちを元に戻して!」
「はいはい、わかりました。ちひろさんがそう言うんじゃ、しょうがないなあ。
 今、元に戻る薬を出してあげますね」
 あっさりと真理奈はちひろの説得を聞き入れ、先ほど薬を取り出したポケットに
再び手を突っ込んだ。ひねくれ者で祐介にとっては疫病神の真理奈だが、
年長者の言うことは素直にきくらしい。ちひろは安堵の表情を浮かべ、祐介に向き直った。
506祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:35:24.93 ID:MyDskIdb
「安心して、祐介クン。今、真理奈ちゃんが元に戻してくれるそうだから──
 きゃあっ !? な、何? ごほっ、ごほっ!」
 突然あがった悲鳴に、祐介はびくりとした。真理奈がポケットから
小さなスプレーの缶を取り出し、ちひろの顔に振りかけたのだ。
不意を突かれたちひろはまともに飛沫を浴び、激しく咳き込んだ。
「加藤っ! お前、ちひろさんに何しやがる!」
「あんたはそこで黙って見てなさい。とっても面白いものを見せてあげるから」
 真理奈はスプレーの缶をポケットにしまい、ちひろに手を伸ばす。
ようやく呼吸が収まったちひろは、やけに力の抜けた様子で立ちすくんでいた。
口を開けたまま、焦点の合わない目で真理奈を眺めて呆けていた。

「ふふふ……催眠スプレーの効果が出てきたみたいね。
 ちひろさん、あたしの声が聞こえる?」
「うん、聞こえるよ。真理奈ちゃんの声、とってもよく聞こえる……」
 ちひろは母に抱かれた子供のように安らかな顔で、真理奈に返事をする。
明らかに異常をきたしているのが、その表情からわかった。
また真理奈が何かしたのだと、祐介は直感した。
「加藤! お前、また妙なことを……今度はそのスプレーか !?
 それを吹きかけられたから、ちひろさんは……!」
「中川は黙ってて。まあ、どうせあんたの声は
 ちひろさんには届かないからいいけども。ねえ、ちひろさん?」
「んー、何? 真理奈ちゃん。私、今とってもいい気持ちなんだけど……」
 ちひろの虚ろな瞳には、もはや真理奈しか映っていない。
彼女の言うとおり、いくら祐介が呼びかけてもちひろは振り向こうとしなかった。
完全に真理奈の術中にあった。
「あのね、ちひろさん。ちひろさんはさっき、中川と入れ替わった体を
 元に戻してほしいって言ったでしょ? あれを撤回してほしいの」
「うん、いいよ。撤回する……」
「な、何だって !? 加藤、てめえっ!」

 祐介は立ち上がり、真理奈につかみかかろうとした。
だが、やはり無駄な抵抗だった。真理奈の術にかかったちひろが
祐介の両腕を押さえ、妊産婦になった少年を羽交い絞めにした。
「ち、ちひろさんっ !? 放してください、ちひろさん!」
「ダメだよ、祐介クン。真理奈ちゃんの邪魔をしちゃダメだよ……」
 祐介の声は、もはやちひろに届かない。
完全にちひろの心を支配下においた真理奈は、勝ち誇った邪悪な笑みを浮かべた。
「ふっふっふ……いい子ね、ちひろさん。じゃあ、これからあたしの言うことをよく聞いて。
 ちひろさんは不自由な妊婦の体が嫌で、そこにいる親切な中川祐介君に
 体を交換してもらったの。入れ替わったのはちひろさんの意思だから、
 ちひろさんは男になって万々歳ってわけ。元の体に戻りたくなんてない。
 それどころか、ずっとこのままでいたいと思ってる。OK?」
「うん、わかった。私、ずっとこのままでいる。元の体に戻してもらわなくてもいい……」
507祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:38:03.98 ID:MyDskIdb
 すっかり真理奈の操り人形と化したちひろは、彼女の言葉を一分の疑いもなく受け入れる。
真理奈はそんなちひろの姿にほくそ笑むと、大きく手を叩いて
「はい、催眠モード解除!」と宣言した。焦点を失っていたちひろの瞳に光が戻り、
彼女はやけに嬉しそうに自分の体を見下ろした。
「ふふふ、これが男の子の体……私、祐介クンと首から下を取り替えっこしたんだ。
 嬉しいなあ」
「ち、ちひろさんっ !? 何を言ってるんですか! 俺の体を返して下さい!」
 祐介は暴れたが、ちひろは彼の両腕をがっちりつかんで放さない。
やがて祐介の体はちひろの腕の中に納まり、優しく抱きしめられた。
「ありがとう、祐介クン。こんなにいい体を私にくれて。私、君の体を大事にするね」
「そんなの絶対に嫌です! 俺の体を返して下さいよおっ!」
「ダーメ。私も祐介クンも、もう体が入れ替わっちゃったんだから、
 一生このままでいるしかないんだよ。祐介クンは私の体で赤ちゃんを産んでママになるの。
 ほら、このコもそれがいいって言ってるよ」

 ちひろは大きな手のひらで祐介の腹部を撫でた。
その言葉に反応したのかはわからないが、三十八週目の孕み腹の一部がぽこんと盛り上がる。
祐介の子宮にいる赤子が、内側から腕を伸ばしたのだ。
「ふふふ……お腹の赤ちゃんも新しいママを歓迎してるね。
 祐介クン、頑張ってこのコを産んであげてね。
 このコはもう私の赤ちゃんじゃなくて、祐介クンのなんだから」
「こ、こんなのおかしいです……狂ってる!」
 あまりにも常軌を逸した事態に、祐介はおかしくなってしまいそうだった。
平凡な男子高校生の自分が妊婦と体を交換させられ、
子供を出産させられようとしているのだ。真理奈の罠にかかった哀れな祐介は、
肉体だけでなく男としての矜持も奪われようとしていた。

 そのとき、祐介の家の門が開いて、中から瑞希が飛び出してきた。
異変を察知して駆けつけてくれたようだ。瑞希の背後には祐介の母親の姿もあった。
「祐ちゃん、大きな声を出してどうしたの? わあっ、その格好は何 !?」
「み、瑞希……俺の姿を見ないでくれ。俺、女にされちまったんだ……
 それも、こんな大きな腹をした妊婦になっちまったんだ……」
 祐介はこれ以上ない羞恥に赤面する。幼い頃からつき合っている恋人に、
変わり果てた姿を見られるのは耐えられなかった。
瑞希だけでなく、祐介の母親も一緒になって興味津々の表情で祐介を観察している。
辛い仕打ちに涙がこぼれた。
 やってきた二人に説明を始めたのはちひろだった。
ちひろは己の姿と祐介の格好を比較し、真理奈の持ってきた薬物によって
自分たちの頭部を交換したことを、嬉しそうに語った。
「ホントに、祐介クンには感謝しないといけませんね。
 このコのおかげで、私は大きなお腹をかかえて苦しい思いをしなくて済んだんだから。
 お母様にもお礼を言わせてもらいますね」
 身勝手な感想を口にするちひろ。真理奈に操られているとはいえ、
彼女の不快な言動が祐介の母親と瑞希を激昂させるのは明らかだった。
「祐介の身体を返せ」と二人が騒ぎ出すのは想像に難くない。
また新たな騒動になるのではないかと思うと、祐介はどうしていいかわからなかった。
508祐介の妊娠・1 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:39:03.86 ID:MyDskIdb
 ところが、現実は残酷にも祐介の予想を裏切った。
ちひろの説明を黙って聞いていた祐介の母親と瑞希は、
やがて深く感心した様子でうなずき、口々に祐介を褒め称えたのだ。
「やるわねー、祐介。妊婦さんを助けるために自分の体を差し出すなんて、
 なかなかできることじゃないわよ。あんたみたいな立派な息子を持って、母さん嬉しい」
「祐ちゃん、すごい。祐ちゃんはこれから赤ちゃんを産んで、ママになるんだね。
 いつか私が祐ちゃんの赤ちゃんを産みたいって思ってたけど、
 そういうことなら私、祐ちゃんのことを応援するね」
「はああっ !? お前ら、何を血迷ってんだよ! 俺の体が盗まれたんだぞ!
 そんなのんきなこと言ってないで、早く俺の体を返すようちひろさんを説得してくれよ! 
 俺の体がこのままでもいいってのか !?」
 祐介が素っ頓狂な声をあげると、二人は口を揃えて
「うん、そのままでいい」と言い出した。信じられない返事だった。
祐介が肉体を強奪されたというのに、二人はむしろそれを喜んでいたのだ。

「祐介のお腹、すごいわねー。臨月なんですって?
 さっきから孫がほしいって瑞希ちゃんと話してたけど、
 まさかこんな形で授かるなんて思わなかったわ。うふふふ……」
「大丈夫だよ、祐ちゃん。私は祐ちゃんが男でも女でも大好きだから。
 これから祐ちゃんが赤ちゃんを産んでママになったら、私も育てるのを手伝ってあげる。
 えへへ、楽しみだなあ……」
「な、なんだ? お袋、瑞希……二人とも、いったいどうしちまったんだ?」
 虚ろな表情で笑い出した二人を見て、祐介は胸騒ぎを覚えた。
母親と瑞希の奇妙な振る舞いは、先ほど真理奈に催眠術をかけられた
ちひろとそっくりだった。もしかするとまた真理奈が──そう疑念を抱いていると、
祐介の家から唐突に真理奈が出てきた。真理奈は手にあの怪しい薬物の容器を持ち、
とても清々しい顔をしていた。
「よーし、これで中川のお父さんも洗脳完了!
 皆、頑張って祐ちゃんの妊婦ライフに協力してあげてねー。
 真理奈ちゃんからのお願い! てへっ」
「やっぱりお前の仕業かああああっ !!
 加藤真理奈、てめえだけは生かしちゃおけねえ! 絶対にぶっ殺してやるっ!」

 祐介は全身の力を振り絞って真理奈に飛びかかろうとしたが、
ちひろと母親、瑞希によってたかって押さえつけられてしまう。
無力な妊婦と化した祐介は、もはや為すすべもなかった。
「それじゃあ、あたしたちはこれで帰るわね。ちひろさん、車を出して下さい」
「ええ、いいわよ。ああ……祐介クンの体、とっても動きやすくて気に入ったわ。
 これならしばらく控えてた車の運転も、楽しくできそうね。
 祐介クン、ホントにありがとう。それじゃ、さよならーっ」
 真理奈とちひろは軽自動車に乗り込み、颯爽とその場を去ってゆく。
祐介はそれを止めることもできず、呆然と見送るしかなかった。
「お、俺の体が……これからどうしたらいいんだ。いったい俺はどうしたら……」
 新たな命が宿った孕み腹をかかえて、祐介は力なくうめいた。
マタニティウェアに包まれた若い妊産婦の肉体が、今の祐介の体だった。
祐介はただ女になっただけではなく、じきに母親になろうとしていた。
509 ◆cW8I9jdrzY :2012/05/01(火) 00:40:12.52 ID:MyDskIdb
以上となります。
続きはまた後日投下致しますので、よろしくお願いします。
510名無しさん@ピンキー:2012/05/01(火) 07:42:04.32 ID:H0MyVSKA
キてタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
511名無しさん@ピンキー:2012/05/01(火) 10:39:09.93 ID:mmR+vgQK
これは先の展開が読めないな
ハートフルコメディになるかもしれん
512名無しさん@ピンキー:2012/05/01(火) 20:09:28.99 ID:13gEY8fB
正座で待機してます
513名無しさん@ピンキー:2012/05/02(水) 18:28:25.75 ID:UxaWVdy5
ならば私は逆立ちでまちます
514名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 16:42:49.28 ID:LiSIy72E
どっかで花粉症で女体化して、自分が女だと意識するほど女体化がすすむみたいなの読んだんだけどだれかしらない?
515名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 18:36:42.38 ID:bqzMicVT
進行 花粉 女性化 でぐぐれ すぐ見つかったぞ
516名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 23:36:02.81 ID:LiSIy72E
>>515
サンクス
517ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:39:44.14 ID:Yd/jNab0
昔あったワンピ女体化スレって、もう生きてないよね?
自分で検索した限りでは過去ログしか出てこなかったので、ここに投下します。

需要あるかわかりませんが、ウソップ女体化です。
ビジュアルは尾田っちの公式性転換絵そのまんまを想像して下さい。
518ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:41:11.56 ID:Yd/jNab0
 “偉大なる航路”の後半の海――通称『新世界』を航海中の麦わらの一味は、とある無人島に辿り着いた。
 記録指針を引きつける磁気も安定していたその島は、一見して何の変哲もない、緑豊かな小さな島で、パンクハザードなどとは違って上陸に難はなさそうだった。
新しい島にはしゃぐルフィは、錨を下ろすのすら待たずに、腕を伸ばして島に生えている木を掴み、パチンコのバネよろしく跳んで行ってしまった。
「ルフィ〜!!! もう、またアイツは何も考えず飛んでくんだから……」
 毎度のことながら自由奔放すぎる船長の行動に溜め息を吐くナミ。
 島の沿岸に船を寄せて錨を下ろした頃には、ルフィの姿は鬱蒼とした森の奥に消えていた。
「ったく、しょうがねえ奴だ……おれが行って探してくる」
 真っ先に地面に降り立ったのはゾロは、そう行ってさくさく歩き出す。
「オイオイオイオイ!! お前一人で行く気か!? 止めとけ!! 行方不明者が一人増えるだけだ!!」
「てめぇはいい加減に己を知れ、迷子マリモ!!」
すかさず、ウソップとサンジが一斉にツッコミを入れる。
かくして、方向音痴な剣豪の迷子防止と島の偵察も兼ねて、ゾロ、ウソップ、サンジの三人が、森に消えたルフィを探しに行くことになった。
森には、見たこともないような種類の虫や、形は見慣れていても有り得ない大きさをした虫が多数生息していた。ムカデやらクモやら、いわゆるサンジの言うところの“気味悪い系のやつ”も多く、度々野太い悲鳴が上がった。
「なんだよサンジ、まだ虫嫌い直ってなかったのかよ」
「修行が足りねえな」
「うるせえ! おれは虫とかオカマとか、おぞましいモノは全般大っっっ嫌いなんだよ!!」
 その情けない姿を見て笑うウソップとゾロに、サンジは全力で怒鳴り返した。
 森に響いたその怒鳴り声の木霊が消えたのと、ほぼ同時くらいだった。不意に三人の頭上から、無数の羽音のようなものが聞こえてきたのは。
 不思議に思って空を振り仰いだ三人は、思わず一瞬硬直した。
 人間の身の丈くらいあるような巨大な蚊の群れが、いつの間にか三人を取り囲んでいたからだ。
 無数の蚊が一斉に飛びかかってきた瞬間、三人は散り散りに跳び退った。ゾロは刀に手を掛けながら、サンジは煙草をくわえ直しながら、ウソップは盛大な悲鳴を上げながら。
 次々襲いかかって針を刺そうとする蚊共を、ゾロの刀が両断し、サンジの蹴りが潰し、ウソップの火薬星が撃ち落とすが、何分、数が多すぎてなかなか片付かない。
519ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:41:54.06 ID:Yd/jNab0
「ぎゃああ〜っ!!」
 ウソップの口から、叫び声が上がる。驚いた残り二人がそちらに目を向けると、ウソップの背中に一匹の蚊が取りつき、その巨大な針を後ろから突き立てていた。
「ウソップ!!」
 一足跳びに近付いたゾロが蚊を斬り払おうとしたが、その刃が届くよりも先に、蚊の方がウソップから離れて飛び立った。
 ウソップはそのままうつ伏せに倒れ、気を失ったのか、動かない。
 一匹が獲物を仕留めたことで、目的を果たしてしまったのか――蚊の群れは、さっきまでの猛攻が嘘のように、ぴたりと襲ってくるのを止め、一斉に上空へ飛び上がると、そのまま遠くへ跳び去って行ってしまった。
「畜生、あの虫ケラども……!」
 憎々しげに空を睨みつけて、くわえ煙草を噛みちぎるサンジだったが、すぐに倒れ伏した仲間の方に向き直る。
「おい、マリモ! ウソップは無事か!?」
「ウソップ! 大丈夫か!?」
 倒れ伏したウソップを、ゾロが揺り動かす。
幸い息はある様子だったが、ウソップの縮れて広がる長い髪の間から覗く腕が、先ほどまでと較べて明らかに細いのが気になった。
血を吸われて干上がったのか――と一瞬思ったが、水分を失ってシワシワになっているわけでもない。むしろ前より柔らかそうな、瑞々しい質感にさえなっている。
「う……んん……」
 気が付いたらしいウソップが、呻き声を上げて身動いだ。その声も、妙に高い。元々声は高めな男だったが、それにも増して高すぎた。まるで子供か、女のように。
 やがて、むくりと起き上がったウソップの姿を見て、ゾロとサンジは息を飲んだ。
「お……お前……その身体……」
 絞り出すようなゾロの言葉に、首を傾げたウソップだったが、下を向いて自分の今の状態を確認し、叫び声を上げた。
「ぎゃっ!! また太った!? えっ!? でも胸だけっ!? 他ンとこはむしろ細くなってるよーな……ええええっ!?」
 狼狽えまくったウソップは、自分の股間を押さえて更に混乱した表情を浮かべた。
「な……な……ないっ!! お、おれ……女になっちまった〜!!!?」
 両手で頭を抱えて空を振り仰ぎ、絶叫するウソップ。
その上半身に唯一身に纏っているサスペンダーから、かなり豊かな乳房がぷるんと零れ出る。暑いくらいに温かい気候の島だったから、服装はいつものオーバーオールのみだった。
「……とりあえず上に何か着ろ」
 そう言ってゾロは自らの上着を脱ぎ、ウソップに差し出した。
「早いとこその乳隠さねえと、そこのエロコックにまた輸血が必要になるぞ」
 ゾロの親指が指す方へウソップが視線を移すと、“エロコック”ががっくりと地面に膝と片手を付き、もう片方の手で、鼻から迸る鮮血を抑えているところだった。
520ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:43:44.45 ID:Yd/jNab0
「……とりあえず、女の身体になった以外は、別段異常はねえのか?」
 ウソップがゾロの上着を身に纏ったことで、ようやく落ち着いたサンジは、鼻に詰め物をしながら、変わり果てた姿となった仲間に尋ねた。
「ああ……刺されたはずのところにも、痛みはねえ」
 背中を擦りながらそう言って、ウソップは頷いた。
 とりあえずルフィ捜しよりも、こんなことになってしまったウソップを、安全に船に帰してチョッパーに診せる方が先決だろうということになり、三人は元来た道を戻ることにした。
 ルフィならば、虫や獣に襲われたとしても無事に切り抜けられるだろうし、無人島ならば騒ぎを起こす心配もない。
(しかし……女になったってだけで、こうも変わるもんかね……)
 ウソップよりも少し前を歩いていたサンジは、後ろをちらりと振り返って、心の中で呟く。
 冷静になって、改めて見れば見るほど、女になったウソップは以前の姿とは似ても似つかなかった。
 瓜型に面長だった輪郭は、顎が華奢になった分だけシャープな細面になっており、かつてのどんぐり目は、形の良い切れ長な瞳に変わっている。
 急に見舞われた異常事態のせいか、浮かべる表情は暗いが、そうして伏し目がちになると、長い睫毛が頬に影を落として、神秘的な雰囲気すら感じさせる。
 元々厚めだった唇は、たらこ唇というよりは、ぽってりとセクシーな肉厚の唇、といった風情になっている。
 要するに、かなりの美人になっていたのだ。ウソップの癖に。特徴的な長い鼻は相変わらずだったが、それすらも、エキゾチックなアクセントに感じられるくらいだった。
 それにくわえて、ナミやロビンほどではないが、それでもかなりな巨乳で、引き締まったウェストと、ずり落ち気味のオーバーオールから覗く腰の括れには、たまらないものがある――
「前見て歩け、鼻血くん」
 ちらりと見るつもりが、いつの間にか後ろを凝視していたらしく、横を歩いていたゾロに肘で突かれた。
「誰が鼻血くんだ、誰がァ!」
 果てしなくムカついて蹴り掛かると、ゾロも刀を抜いてそれに応戦し、いつもの喧嘩が始まりそうになる。
「おめーらこの非常事態に何やってんだァ!!」
 不毛な喧嘩は、ウソップのツッコミと実力行使によって、即行で幕を閉じた。女ウソップの鉄拳制裁でも、ナミにボコられる程度には痛いのだ。
521ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:44:48.01 ID:Yd/jNab0
「はぁ〜、なんか、どっと疲れたよ。ちょっと休もうぜ」
 盛大に溜め息を吐きつつ、ウソップは近くにある岩に腰を下ろした。本当にヘバっているらしく、その顔には疲労の色が濃い。
「まだ大して歩いてねえぞ。女になって、体力も減ってんのか?」
 サンジが尋ねると、ウソップは怠そうに頷いた。
「……つうか、ガマ口鞄が重いんだよ。ポップグリーンやパチンコの他に、鉛玉とかハンマーとか、色々大量に入ってやがるから……。男のときは平気だったけど、女の体だとキツい……」
「ああ……鉛玉は確かにな」
 四次元かと思うほどなんでも出てくるウソップのデカい鞄は、前から結構重そうだと思っていたサンジは、その言葉に妙に納得した。
 しばらく岩に座り込んでがっくりと項垂れていたウソップは、不意に、何か思い立ったように顔を上げると、両手を組んで瞳を潤ませ、サンジに近付いていった。
「というわけだからぁ……お願いサンジくんv 鞄持ってぇv」
「ィよろこんでェ!! ……って、よろこぶかァ!!!」
 まるでナミを真似するようなウソップの甘え声に、一瞬騙され掛けるサンジだったが、すぐに正気を取り戻して怒りの声を上げる。
「いいかウソップ……おれがレディとして認めるのは、身も心も! レディである女性だけだ。いかにレディの外見をしていようとも、お前はウソップ……中身は男。おれは断じてお前をレディとして扱う気はねえから、そこンとこよーく覚えとけ」
 人差し指を突き出して断言するサンジに、ウソップは残念そうに口を尖らせる。
「んだよ、ケチー。……あ、じゃあ、あれだ。ちょっとだけオッパイ触っていいから、鞄持ってくんない?」
「ぶっほぉ!?」
 躊躇いもなくそう言いながら、前をはだけて豊かな胸を見せつけるウソップに、サンジは詰め物を飛ばす勢いで再び鼻血を噴き出す。
「ぐっ……おぉっ……そ、それは……」
 オッパイ触っていいオッパイ触っていいオッパイ触っていい……その言葉が頭の中でリピートされ、プライドと性欲の間で心がぐらんぐらん揺れまくる。
522ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:45:26.61 ID:Yd/jNab0
「……ンなことしなくても、鞄ぐれえおれが持ってやる」
 激しく葛藤するサンジを尻目に、ゾロがガマ口鞄をひょいと持ち上げた。
「ゾロ……」
 その行動に、ゾロを見るウソップの目が、媚びるのとは違う感じに潤む。外見の可愛さも手伝って、「優しいーカッコイイー」などとトキメいちゃってる女の子のような雰囲気にも見えた。
(ぐあ……なんかわからんが、この状況は無性に悔しい……!!)
 結果的に引き立て役になってしまったような気がして、サンジは思わず歯噛みする。
「でもゾロ、もともと刀三本も持ってるから、重いだろ?」
「あ? これは身体の一部みてえなもんだ。重さなんか意識したことねえ。……まあ、コックは包丁より重いモンは持てねえだろうから、無理すんな。貧血気味の鼻血くんは、労ってやんなきゃな」
「また鼻血くん言いやがったなコラァ!!!」
 あからさまに喧嘩を売っているゾロの言い種に、サンジのムカつき度は一瞬でピークに達した。
「その鞄を寄越せマリモ!! おれは単に、ウソップの分際でおれを誘惑しようとするかのよーな、見くびった態度がプライド的に許せなかったのであって! そんな鞄如きを持つのがしんどいとかで言ってたわけじゃねえ!! んな鞄くらい、指先一つで余裕で持てるわ!!」
「乳見た瞬間鼻血ブーした野郎に、プライドも糞もあるかよ」
「んだとゴラァァァァ!!! とにかく鞄はおれが持つ!! 持つったら持つ!!いいからさっさと寄越しやがれぇぇぇぇ!!!」
「なんだこのワケのわかんねえ喧嘩……」
 無駄に火花を散らしまくる二人の傍らで、ウソップだけが冷静にツッコミを入れるのだった。
523ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:46:54.17 ID:Yd/jNab0
 結局、鞄はサンジが持つことになり、ウソップを無事にサニー号まで送り届けた後、サンジとゾロは、今度はロビンと共にルフィ捜索に出た。
 ……この二人は、一緒にしておくには常にクッション役が必要なのである。
 ロビンがハナハナの能力で目を生やしたこともあって、ルフィはすぐに見つかった。
 ウソップは、その間チョッパーの診察を受けていたが、四人が戻ってきてから聞いた診察結果は、「今は元に戻す方法が見つからない」というものだった。
「ウソップが女になったのは、ホルモスキートっていう蚊の分泌物のせいなんだ。ホルモスキートは生まれたときはみんなメスなんだけど、クマノミみたいに、繁殖期になると群れで一匹だけオスに性転換して、他のメス達と交尾して繁殖するんだ。
その性転換に必要なのが、他の生き物から吸い取る男性ホルモンなんだよ。
あと、蚊って血を吸う代わりに、痒くなる成分の分泌液を血管に注入するだろ? あれと同じで、ホルモスキートは男性ホルモンを吸い取るのと同時に、女性ホルモンを注入してくるんだ。だから、刺された男は、女になっちゃうんだよ」
「じゃあ、ウソップのホルモンを吸い取った蚊をとっつかまえて、取り戻せばいいんじゃねえか?」
 単純思考なゾロの提案に、チョッパーは首を振った。
「その蚊を捕まえてきても、吸い取られたホルモンを取り戻すのは無理なんだ……ホルモンだけを吸い取るっていう、ホルモスキートの能力はすっごく特殊で、今の医術でそれと同じことをやろうとしてもできないんだ。
 ウソップの中の女性ホルモンを取り除くのも無理だし……」
 無力感からか、チョッパーはがっくりと項垂れる。
「注射とかで男性ホルモンをウソップの身体に注入して、少しずつ『男っぽい』身体にしていくことはできるけど……それをやっても、完全に男の身体に戻すことはできないんだよ……」
「ってことは……おれは一生このまま……」
 絶望感を滲ませた声で、ウソップが呟く。その場にいる誰もが押し黙った。
524ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:47:48.67 ID:Yd/jNab0
 そのときだった。
「あ! そうだ、イワちゃんだよ!」
 出し抜けに、ルフィが大声で言いながらポンと手を打った。
「イワちゃんなら、ホルホルの力で男を女にしたり、女を男にしたりできるんだ! イワちゃんに会えれば、ウソップを元に戻してもらえるぞ!」
「……イワちゃんイワちゃんって、それ、誰の話よ?」
 聞き覚えのない名前を連発され、ナミが首を捻りながら尋ねる。
「……!!! イワちゃんってまさか……あのカマバッカ王国の『イワ』のことか!?」
 その名前に心当たりのありまくるサンジは、忌まわしい記憶と共に彼の人物を思い浮かべ、冷や汗を浮かべた。
「サンジ、知ってんのか!?」
「お、おお……ちょっとな……」
「お前、そのカマバッカ王国ってとこに縁でもあるのか?」
 ウソップの質問に、サンジは全力で首を振った。
「縁はない!! 断じてない!!! ……が、お前等と再会する前に、ちょっとだけいたことはある……そこでイワと知り合った」
 本当は、そこでガッツリ二年間も修行し、縁はありまくりなのだが、あの忌まわしい日々の記憶を事実として認めたくないサンジにとって、その表現がギリギリの譲歩だった。
「そっか……! じゃあ、イワちゃんは今そのカマバッカ王国ってとこにいるんだな!? よーし、今すぐカマバッカ王国へ行こう!!」
「待ちなさい! 今すぐ行くって言ったって、ここからどうやってその国まで行くのよ!?」
 先走りまくるルフィを、ナミが一喝する。
 普通の海ならいざ知らず、ここは“偉大なる航路”。記録指針で島々の磁気を記録し、ログを書き換えながら、一つずつ進んでいくしかない海だ。
 例え船員の一人が行ったことのある島だとしても、おいそれとそこに辿り着けるものではない。
「ねえサンジくん……カマバッカ王国への永久指針は持ってる?」
「……持ってないです」
 そんなものは、例え持っていたとしても、とっくの昔に叩き割っていたことだろう。
「じゃあ……カマバッカ王国にいる誰かと、ビブルカードを分け持ってたりはしてない?」
「……してません」
 あの国にいる誰とも、そんな真似は死んでもしたくない。
「……じゃあ、少なくとも今すぐ向かうっていうのは無理だわ。記録指針の示す航路を進みながら、どこかでカマバッカ王国への永久指針を入手する。カマバッカ王国に向かえるのはそれからよ」
「なんか……エラい時間かかりそうだな……」
 あまりの先の長さに溜め息を吐きつつも、希望が見えた安堵感に、ウソップは微かな笑みを浮かべたのだった。
525ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:48:51.19 ID:Yd/jNab0
 その夜。サンジが明日の朝食の仕込みをしていると、地下のウソップ工場に引っ込んだはずのウソップが、キッチンに入ってきた。
 水でも飲みに来たのかと思ったが、ウソップはそのまま食卓に座り、何をするでもなくサンジの作業を眺めていた。
「……寝たんじゃなかったのか?」
「うーん……いや、今まで大人数で雑魚寝が当たり前だったからさ、あの部屋で一人で寝てると、どうも落ち着かなくてよ」
 そう言ってウソップは、食卓の上に両腕を投げ出して突っ伏した。
 とりあえず、当分の間ウソップは女の身体で過ごさなければならないことが確定し、それに伴って、生活上のルールも多少変更されることとなった。
 一番の悩みどころは寝場所の問題だった。麦わら一味の男性陣がルフィのような男ばかりなら、男部屋で雑魚寝しても問題はないだろうが、サンジのような男もいる中でそれはマズイ、というのがほぼ満場一致の意見だった。かといって、女部屋に入れるわけにもいかない。
 結果、彼の唯一の私的スペースである、地下のウソップ工場にボンクを設置して寝ることとなったのだ。
 だが、基本的に人と一緒にいたがる性質のウソップだ。一日目にして、その環境が嫌になったのだろう。
「はあ〜あ」
 わざとらしいほど深い溜め息を吐き、ウソップは椅子の背もたれに身を投げ出して、後ろで手を組む。当然そんなポーズをすると、豊かな胸が強調されてしまうため、サンジは思わずそこに目がいってしまう。
 船に着いてからウソップは、借りていたゾロの上着を返し、自前のTシャツを身に付けていた。肌剥き出しよりは遥かにマシだが、ノーブラ巨乳に薄いTシャツ一枚、というのもまた、それはそれでいただけない。乳首の形がくっきり浮き出てしまっていて、なんともエロいのだ。
ウソップの格好を見て、女性陣も「これはマズイんじゃ」という顔をしてはいたのだ。しかし、それでも流石に、元は男だった仲間に自分のブラを貸すのは嫌だったらしく、ウソップは、少なくとも次の寄港まではノーブラで過ごすことを余儀なくされていた。
 といっても、ウソップ本人は、それを全く気にはしていないのだが。
 付けて加えて今のウソップは、オーバーオールから、寝巻き代わりのボクサーパンツに履き替えていた。元々ウソップは、暑い日にはこれ一丁で寝ていたのだ。
ゆるゆるのボクサーパンツからは、当然ムッチリした太股は丸出しで、角度によっては、下手すると中身まで見えてしまいそうだった。中に別の下着は着けていないだろうし、足を開いて座られると気が気じゃない。
 ナミやロビンの色気が、露出するところはしても、本当に恥ずかしいところはしっかりガードする隙のないセクシーさだとしたら、ウソップのそれは、油断しっぱなしの隙だらけ、自覚なしの危ういエロさだ。
 そういうのが一番下半身を直撃してくれるんだよな、と思いつつ、なるべく平静を保ちながらサンジは仕込みを続けた。
526ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:50:51.55 ID:Yd/jNab0
 ウソップはなかなか部屋に帰ろうとはせず、サンジに向かって他愛もないホラ話をし続けていた。
 それにしても、顔立ちはどちらかといえば大人っぽいセクシー美人系なのに、口を開けばどこまでもウソップらしいアホ話ばかりなのだから、なんというか、残念な美女という感じだ。
 本当に女の子だったなら、そのギャップが可愛いと思えなくもないのだが。
「あ、そうだ。なーサンジー。なんで夕メシのとき、おれにデザート出してくんなかったんだよ。おれ、ちょっと期待してたのに」
「あ?」
 口を尖らせてブーたれるウソップに、サンジは片眉を跳ね上げる。
「それはお前、さっきも言っただろ。おれはお前をレディ扱いする気はねえ。
 おれはなあ、身体は女だけど心は男とか、身体は男でも心は女のオカマ野郎とか、そーいう中途半端なのはレディとして認められねえの。
 心も身体もれっきとしたレディじゃなきゃ、おれの愛は受けられねえと思え」
「いや別に愛はいらねえけど。デザートだけ欲しい」
 身も蓋もない口調でそう言い、テーブルの上に横向きに顔を伏せるウソップ。
「……あ、でもよ、サンジ。おれ今、案外、心も女になってるかもしれねえぞ」
「ああ? なんだそりゃ」
 テーブルに横顔を付けたまま、悪戯っぽく笑って言うウソップに、サンジは怪訝な表情を向ける。
「チョッパーに聞いたんだけどよ、人の気分とか心の状態って、ホルモン状態にかなり左右されるんだってさ。
 女性ホルモンが濃いときと男性ホルモンが濃いときで、男と女の見え方が全然違う、とかよ」
 顔を上げ、ついでに人差し指を立てながら、ウソップは船医から聞きかじった知識を披露する。
「……男性ホルモン濃いと女が良く見えて、女性ホルモンが濃いと逆、とかいうことか?」
「そーそー。わかってるじゃないのサンジくん」
 人差し指を振りながら、偉そうに言うウソップ。
「確かにおれも前と今とじゃさ、男と女の見え方変わってる気がするんだよな。
 ナミやロビンの胸見てたりしてもさ、普通にスタイルいいなーとは思うけど、なんかこう、ムラッとくるもんは全然感じないっつーか。
 多分、今あいつらの裸見たとしても、そんなコーフンはしねえと思う」
「てめェ、なんて罰当たりな発言を……」
 あまりに明け透けで身も蓋もないウソップの言い種に、サンジはぐる眉を顰める。
「んでさ、男の見え方もちょっと違うっつーか……ゾロなんか、5割増格好良く見えちゃったりしてさ。側寄ると、なんかドキドキしちゃったりするんだよな」
 ちょっと頬を赤らめて言うウソップ。女の姿だからいいが、男のままで言っていたら、ちょっとキモチワルイ台詞である。
「でも、男のときだったら、そんなん思うわけねえだろ? コレってやっぱ、身体だけじゃなくて心も女になってる、ってことだと思うわけよ」
 ビッと人差し指を突き出して、ウソップは力説した。
「なるほどねー……マリモで5割増っつったら、おれなら8割増ってとこか? おれの方が絶対、女の子ウケはいいからな」
 自信満々で宣うサンジに、ウソップは冷めた表情で片手を横に振る。
「いや、サンジにはそーいうの全く感じねえ。面白いくらいに全くトキめかない」
「バカ正直に失礼かコラァ!!」
 ぶっちゃけすぎなウソップの言葉に、思わずテーブルにドスッと包丁を突き立てるサンジ。
「わかった!! おれはもう絶対にお前をレディとしては扱わねえぞ! レディがマリモなんぞにトキめいて、おれは眼中ナシなんてことがあって堪るか!!!」
「いや、なんだそりゃ! 現実を受け入れろよサンジ!」
「うるせェ!!」
 吠えてサンジは、テーブルに刺した包丁を引き抜き、仕込みを再開する。
527ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:51:27.99 ID:Yd/jNab0
「なんだよ、結局ダメか〜。あーあ、女になって得できることなんて、サンジのデザート食えることくらいだと思ってたのによ〜」
 不満そうにブーたれるウソップだったが、すぐにまた、何か思いついたように表情を明るくする。
「じゃあ、やっぱアレだ。オッパイ触らせてやるからよ、明日からデザート出してくれ」
 事も無げに宣ったウソップは、べろりとTシャツを捲って豊かな胸を露わにする。
「いやどんだけ食いてェんだデザート!! 大体な、躊躇いもなくそーいうことする時点でレディとは程遠いっつーんだよっ!! ちったあ恥じらいというものを知れ!!」
 ツッコみつつも、やはり鼻血は噴いてしまうサンジであった。
「サンジにだけは恥じらい云々言われたくねえな」
「んだとコラ!? 誰が恥知らずのエロコックだって!?」
「別にそこまで言ってねえよ」
 怒鳴りつつも、サンジの視線は豊かなオッパイに釘付けだったりする。
「で、どうすんだ? ……触りたくねえの?」
 ウソップはサンジを挑発するように、片腕で軽く両の乳房を持ち上げて寄せて見せる。
「うっ……ぐっ……」
 サンジの中で、プライドとスケベ心が激しくせめぎ合うが――どちらに軍配が上がるかは、言わずもがな。
「さ……触らせて下サイ……」
「はじめっからそー言えばいいものを」
 サンジの敗北宣言に、ウソップはやたらと冷静な口調でそう言った。
528ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:53:48.63 ID:Yd/jNab0
「つうか……いいのか……!? デザート一つでこんなエロいこと……本当にいいのか!?」
 ウソップと向かい合って座り、既に両手を前に出してスタンバイしつつ、一応確認を取るサンジ。
「いいよ。たかが胸部についてる脂肪触らせるくらい、別にどってことねーし」
「色気の欠片もねえ言い方するなっ! やっぱお前、中身は絶対レディじゃねえ……」
 事も無げに言うウソップは、危機感ゼロな様子だが、実のところ、既にサンジの股間は相当ヤバいことになっていた。
 指先が柔らかなものに触れた瞬間、そこから軽い電流のような痺れが走り、サンジはごくりと喉を鳴らす。
 中身がウソップだとはいえ、レディの身体を乱暴に扱う習慣は、サンジは持ち合わせていない。
 痛いほど力を込めて揉むようなことは決してせず、形をなぞるように優しく撫で回しながら、少しずつ指を食い込ませて柔らかさを味わった。
「……っ……」
 愛撫としかいいようのない刺激を受ける内に、ウソップも次第に息を弾ませ、むずがるように身動ぎし始めた。
「ちょっ……やめろその無駄にエロい手つき……すげ、くすぐったい……」
 正確に言えば『くすぐったい』のではないだろうことは、ほんのり上気した頬と、潤んだ眼を見れば明らかだった。
「エロいことしてんだから、エロい手つきで当然だろが……じゃあなんだ、もっと乱暴に揉んで欲しいのか?」
 そう言ってサンジは、ぐっと力を込めて柔らかな乳房に指を食い込ませる。両の乳首を、指の間にきつく挟み込みながら。
「ひあっ……やっ、そこは触ん、なっ……」
 背中を反らせ、可愛らしい声を上げるウソップに、サンジは下半身がズキズキと痺れるのを感じた。
「そこってどこだよ?」
 既にコリコリに硬くなっている『そこ』をわざと摘んで捏ね回しながら、サンジは意地悪い口調で問う。
「やっ、あっ、乳首……弄るなって……あっ」
「そりゃねえな、自分でオッパイ触っていいとか言っといて。乳首なんてオッパイの中心じゃねえか、ここ弄るのが一番の醍醐味だろ?」
「や、やだっ……あっ……やだって……」
 拒否の言葉を発し続けるウソップの、声色はそれでもどこか甘く、ますます煽られたサンジは、乳房の片方を下から鷲掴んで、その頂きにむしゃぶりつく。
「ひっ……!? そ、そんなの、いいって言ってなっ……あっ、やぁっ……!」
 鷲掴んだ手で揉みしだいてその柔らかさを堪能しながら、じゅぅじゅぅと音を立てて敏感な場所を吸い上げる。もう片方の手は、変わらず指で硬く凝ったそこを刺激し続けた。
529ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:54:44.44 ID:Yd/jNab0
「手で触るのに限定するなんて言ってねえだろ? 口で触ってるだけだって、もう許可済みだ」
「そ、そんなん屁理屈だ……バカ、このエロコック……!」
 頭を振りながら、可愛らしいとしか言えない罵り言葉で抗議するウソップを、サンジはニヤニヤと眺めた。
「エロいのはお互い様だろ? それはお漏らしかい、お嬢ちゃん」
 ウソップのボクサーパンツの股間部分は、既にじっとりと湿って、色を変えてしまっていた。指摘されて初めて自分の状態を知ったらしいウソップは、下着にできた大きな染みを見て、耳まで真っ赤になる。
「……疼いて仕方ねえだろ? 悪かったな、放置してて」
 言って、内腿をつっと撫でてやると、ウソップは怯えたようにビクッと大きく身体を震わせた。
「や、やめろ、そっちは触っていいって言ってない! 絶対ダメだ!」
「もちろん、おれは触らねえよ」
 半ベソでぶんぶん首を横に振りながら、必死で拒否するウソップに、サンジはあくまで優しい口調で答える。
「自分で弄りな」
 そう言ってサンジは、ウソップの手を掴み、濡れている箇所へと導く。
「そっ……そんなのできるわけっ……」
「なに言ってやがる。ここで終わっても、どうせ後で一人でヤるんだろ? どうせなら今、ここでしろよ」
 サンジが空いた方の手で、唾液に滑る胸の突起を捏ねくり回すと、ウソップの身体がビクリと震えた。
「んっ……!」
「一人淋しくやるより、こっち弄ってもらいながらオナニーした方が、数段キモチいいぜ、ウソップ」
 サンジは、掴んでいたウソップの手の上に自らの手を被せると、その柔らかな手越しに濡れた場所を刺激し始めた。
「んんっ……や、だっ……っ……」
 手も腰も逃げようと動くが、指一つでも捕らえれば、ウソップの手がサンジの力から逃れられるわけもなく、もがく腰をどこまでも追いかけて、サンジはウソップの手に媚肉を愛撫させた。
「んんっ……はあっ……!」
 唇で乳首を捕らえてきつく吸い上げてやると、ウソップの背中が仰け反り、浮いた腰が刺激をねだるように自身の手に押しつけられる。
 その内に、重ねていた手をサンジは離したが、戒めを解かれてもウソップの手は自慰を止めなかった。
530ウソップ女体化:2012/05/05(土) 16:55:30.57 ID:Yd/jNab0
「はっ……ああっ……ぃっ……はぁ…………!」
 サンジが両手と唇を使って思うさま乳房への愛撫を始めると、自らを慰めるウソップの手の動きも激しくなった。布地越しに性器を擦っていた手が、いつしか下着の中へと忍ばされ、くちゅくちゅと卑猥な音を立てて割れ目を嬲る。
「……キモチいいだろ?」
 長い髪の間から覗く耳に唇を寄せて低く囁いてやると、ウソップの腰がヒクヒクと痙攣するように震え、一際甘い声が洩れた。
「んあぁっ……き……も、ち……いぃ……」
 嗚咽混じりに洩らされた声に、熱く滾ったサンジのモノが暴発寸前まで膨れ上がる。
 突っ込むわけにはいかねえだろうなぁ……と苦笑いを浮かべつつ、サンジはスラックスの前を寛げると、ようやく窮屈な場所から解放されたそれを、自分で扱き始めた。
 絶頂に近付いてきているためか、ウソップは、サンジのそんな様子にも気付かないほど、既に自慰に夢中になっている様子だった。
 サンジは自分のモノを扱く手を速めながら、空いた手で豊かな乳房を鷲掴み、先端を一際きつく吸い上げる。
「あああぁっ!」
 瞬間、悲鳴のような喘ぎと共に、ウソップの身体が激しく仰け反り、ビクビクと痙攣を始めた。きつく指を食い込ませた箇所からどっと蜜が溢れ、椅子の上に水溜まりを作る。
「はあ……はあ……」
 緊張していたウソップの身体から、かくりと力が脱け、ずるずると椅子からずり落ちる。
 絶頂の余韻のせいかとろんとした表情のウソップは、力なく床に横たわり、荒い呼吸に胸を上下させる。
 たくし上げたTシャツから未だに露わになっている乳房の上に、サンジは自らの白濁をぶちまけた。
「ひぇっ!?」
 呆けていたウソップも、流石にこれには動揺して妙な声を上げる。
「さ……最悪だ……ザーメンぶっかけられるなんて……」
「いいじゃねえか、オッパイぶっかけは男のロマンだろ。お前もイッたんだし……大目に見ろ」
 思いっきりブルーな表情を浮かべて嘆くウソップを、サンジはよくわからない理屈で丸め込んだ。


 翌朝の食卓で、意地悪い笑みを浮かべながら狙撃手にデザートを振る舞うコックと、ぶすくれた表情でそれを食べる狙撃手という、不思議な光景が見られ、事情を知らないクルーたちは皆首を傾げていた。
531名無しさん@ピンキー:2012/05/06(日) 11:57:27.46 ID:z4rea6h5
>>515
読んだ
くっそつまらなかった
532名無しさん@ピンキー:2012/05/06(日) 21:18:07.41 ID:maTjAtlo
このジャンルはハズレ8割、微妙1割、あたり1割だから
533名無しさん@ピンキー:2012/05/07(月) 19:39:41.90 ID:Q8VMC9xN
しばらく来てなかったら新しい作品が。

>>517
続きまってます!
534名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 05:07:28.22 ID:ttjRyN/q
超再現!ミステリーにて『ラブ・ケミストリー』を基にしたドラマが放映されました。
とはいえ最後に主人公の親友が女体化するだけでしたが。
小説の方は未読のため、どの程度女体化にまつわる話があるかは不明。
535名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 19:29:02.05 ID:JwHi9iiF
>>530
せっかく今のワンピでサンジがナミの体になっているんだからそのネタで一本
536名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 21:23:24.50 ID:Im5KmKXD
アクエリオンEVOLが男体化ネタやってるな。
薄い本が厚くなりそうだ。腐ネタでw
537名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 10:06:24.70 ID:fplkzjzo
なるかなぁ……
538名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 16:42:44.42 ID:8xzcErmi
むしろイヴの呪いが解かれたアルテア界で人口の半数がイグラー化して種族滅亡の危機を免れるとかの展開の方があり得る
アルテアの住人にしてみれば突然隣人や知り合いが女性化する訳だから、このスレ的にはおいしい展開かと
539名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 12:48:38.23 ID:qDB+5Gyj
むかし書いた短いネタがあったので、せっかくなのでここに。
540ぴったりなブラジャー:2012/05/20(日) 12:49:27.53 ID:qDB+5Gyj
「いらっしゃいませー!」
 ウェイトレスとして働き始めて三ヶ月が過ぎ、もうすっかり仕事にも、そしてこの姿にも馴れた。
 この不況で仕事を失い、レストランの求人に飛びついたはいいものの、働くなら女の子として、との条件をつけられたのだ。
 そして、女子制服と、ある不思議なブラジャーを渡されたのだ。

 ぴったりなブラジャー。そう言われた。
 装着すると、人間のほうがそのブラジャーにぴったりな体型になるのだそうだ。
 最初はからかわれているのかと思ったけれど、試しに家で着けてみたら、その言葉通り、65のDカップにぴったりなおっぱいと、それにふさわしい女の子が鏡の中にいた。
 ブラジャーを外せば、着けていた時間の半分くらいの時間が経てば男に戻れる。
 そして僕はウェイトレスとして働きはじめたのだが……

「新しいブラジャー、また大きいサイズだ……」
 ぴったりなブラジャーが効果を発揮するのは一ヶ月。毎月新しいのが支給されるのだが、そのたびにサイズがひとつずつ大きくなっている。
 別にブラジャーのサイズが大きいからといって、カップが余るなんてことは起こらない。
 ブラジャーのサイズに合わせて、ぴったりなサイズになるからだ。
 けれど、サイズが大きくなるにつれ、ブラジャーを外してから男に戻るまでの時間がどんどん長くなっているのだ。
 最近では女の子の姿のまま眠って、朝になってやっと戻る、なんてこともある。当然すぐに出勤、ブラジャーを着けて女の子の姿になる。
 Fカップまで大きくなった胸が揺れるのが気になって、先月は部屋着用のブラジャーを買い、プライベートでも女の子の姿でいることが多くなっている。
 先週の休日、どれくらいで男に戻れるのか時間を計ったら、着用時間のおよそ1・5倍だった。
 そして今回渡されたブラジャーはGカップ。
 これを着ければ僕はGカップのウェイトレスになる。
 単純計算すれば、女の子でいる時間は着用時間の二倍。男に戻れるのは休日だけになるだろう。
 いや――そうなれば女の子のまま、またぴったりなブラジャーを着続けることになる。
 その場合はどうなるのだろう?
 ぴったりなブラジャーを外している時間分は消化されて、足りなかった時間が累積するのか。
 男に戻らなければ外している時間がリセットされて、女の子の時間だけが溜まっていくのか。
 そもそも、このままいけば来月はまた大きいサイズが渡されて、男に戻るまでの時間も増える。
 やがて、僕は男に戻れなくなる日が来るのではないだろうか――?
 
 けれど、朝を迎えて、結局僕はGカップのブラジャーを着けた。
 胸がぴったりのサイズに膨らみ、胸以外の体型や外見も、それにふさわしいものになる。
 今の仕事を辞めるべきか、少しだけ悩んだけれど、僕はこの仕事や生活がけっこう気に入っているし、新しい仕事が見つかる当てもない。
 なら、そんな風にネガティブに想わず、もっと建設的に考えるべきだ。
 制服のブラウス、そろそろ胸元がきつくなるだろうなぁ……。
 そんなことを考えつつ、僕は今日もウェイトレスとして働くため、家を出発した。

おわり
541名無しさん@ピンキー
せちなかさんの瑞希のいたずらで抜いちゃった