【現在】ブラックラグーンVOL.13【ドライブ中】
書き込んでから数字が色々とおかしかった事に気付いた
>697
バカヤロウ、銀さんはダッチを差し置いて第二段だろうが。
第一段がレヴィとイチャイチャ出来るロックなのは固定っぽいが。
いや第二弾は張兄貴だろjk
トーチを忘れるな
じゃああれだ、出て欲しいキャラのAAでも貼るんだね。
/|
|/__
ヽ| l l│<ハーイ
┷┷┷
ラグーンってCRになってんのな
なんか凄く殺伐としていそう、もしくは脈絡のないギャグが不意に飛び出してきそう。
……殺伐かつ戦闘シーンが多すぎて、一般のパチンコ屋の客には敬遠される、でも、あの人なら……
そう、“殺意の女王”大竹みゆなら或いは……
或いは何だというのだ。
さくせん → いのち を だいじ に
※※ それ を えらぶなんて とんでもない ! ※※
さくせん → ガンガンいこうぜ
みんなガンガンいこうぜ!
ガンガンいこうぜ!をだいじに!
ガンガンやろうぜ!
あたしにガンガンいかせろ!
ロック「…最近のドラクエは過激だな」
仕事中岡島さん
・いのちをだいじに(自分だけ)
・みんながんばれ(自分以外)
夜間岡島さん
・ガンガンいこうぜ
・いろいろやろうぜ
こういうことか
岡島さんの予測不能なパルプンテに戸惑いつつもやはりかわせないレヴィ
ロックは昼も後衛、夜も後衛
つまり基本はバックということですねわかります^^
夜は自分にバイキルト、レヴィにルカニ(言葉攻め)かける岡島さん
夜島さん「レヴィの声は最高のベホマだよ」
レヴィ「? アホなこといってないでもっと腰振りやがれ」
って、向こうのが先に落ちるんじゃねーの、ここw
ガルシア「では、イニシアチブプロセスで《鎧袖一触(味方の与えるダメージが強くなる)》使います」
ロベルタ「私はマイナーで《フラッシュショット(射撃武器にリアクションさせない)》してメジャーでグレネードスカート(自分の周囲の敵に対してスカートの中から大量の爆弾をばらまくアレ。射撃武器にして投擲武器)を《法礫(投擲武器を15m先まで繰り返し飛ばせる)》します」
ロック「……《完全偽装(ほぼあらゆる事をごまかしたり騙したり出来る)》、俺は何も見なかったしここにはいない……」
バラライカ「《オーディン(特殊な能力を打ち消す)》するぞコラ」
で、ロックのフィギュアはまだか
単行本9巻ラストのそれでは10巻でまたお会いしましょーが腹立つぜ
さっさとでてこい糞野朗
ヘイヘイろっく〜
書き込みがすくないぜ〜
>714に出てくる用語が全部別々のゲームから来ている点について。
あいつら新すれ立てやがった
ロックのフィギュアをニューラインのレヴィたんの横に立たせたい
出来が悪いと何の変哲もない意味不明なリーマンフィギュアになりそうだな
>721
とりあえず、だいたいサイズが合えば何でもいいから髪の毛が黒いスーツの男を用意する。
レヴィのフィギュアに踏ませりゃもうそれだけでロックの気分になれるんじゃないかと。
……姐御やエダがうらやましそうに見ている気が。
エダ姐さんのやむにやまれぬ夜のお相手はやっぱリコなんだろうか
埋めます
*本番なし
然るべき時に死ね、このようにツァラトゥストラは教える。
──ニーチェ『このようにツァラトゥストラは語った』
あるいは私は、攫われたかったのかもしれない。
目の前で、私の大切なひとの後頭部がはじけ飛んだ。
「──しくじった」、それが彼の最後の言葉。
ぐらりと傾いだ体は、ゆっくりと神社の石畳に崩れ落ちていった。
破裂した頭からどろりとした血がとめどなく流れ出し、石畳を赤黒く染めた。
ひたひたと広がる血の池の中で、虚ろに開いたままの目は、もうどんな光も映していなかった。
レヴィ、と彼の命を絶ちきった女の名前を呼ぶ声を耳にしながら、私は呆けたようにその場にたたずんでいた。
私と相対していた男が、脚に刀を突きたてられた女の元に走り寄る。
オーライ……、……ロック、と切れ切れに返す彼女の声が、冷たい風にのって私のところまで届いた。
彼女の脚から突き出た刀に男が手をかけるのが、目の端に映る。
境内の空気をびりびりと震わせる女の悲鳴と、そして、ガランと石畳が硬く鳴る音。
女の脚から引っこ抜かれ、乱暴に投げ捨てられた刀が、くるくると回転しながら私の足元までやってきた。
荒い息をあげる彼女に、男は止血を施そうとする。
そんなふたりを尻目に、私は足元に転がった刀を拾い上げた。
ずしりと右手が重くなる。
もしや、私の大切なひと──今ここに倒れ伏している銀さん──の手のぬくもりが
残っていはしないかと思って握った柄はしかし、ただの冷えた木の感触しか伝えてこなかった。
私は鷲峰組の十四代総代を襲名していた。
高校も卒業していない小娘の分際で「総代」など、聞く人は皆笑うに違いない。
けれど、父も母もすでにいない私しか、継承権のある者は残っていなかったのだ。
組を存続させるためには、私しかもういない。
私が総代となり、そして狂ったロシア人の牙に引き裂かれた同輩に報いるべく、首魁を註する。
これこそが私の進むべき道。
鷲峰の家に生まれ、鷲峰の家に育った者の宿命。
狂ったロシアの狼、バラライカ。
見誤ったのは私たちだ。
狼は決して犬にはならない。
狼に食い荒らされ、もはや死に体となった私たちであっても、それでも今一度対峙し、そして──。
「──どうして、こんなことになっちゃったんでしょうね」
気が付くとつぶやいていた。
これしかないと、そう思って進んだ道だった。
最後まであの女に食らいついてみせることこそが、私たちの矜持。
背中は見せない。逃げたりなどしない。
それがたとえ負け戦であっても。
なのに、私たちの刃はあのロシアの狼の鼻先をかすめることすらできないまま、あっけなく道は閉ざされた。
目の前には、最後まで私に忠義を立ててくれたひとが躯となって横たわっていた。
覚悟していた結末だった。
私は死ぬことも、そして大切なひとを死なせてしまうであろうことも、覚悟していた。
──でも、決してそれはこんな形ではなかった。
「……俺も、そして君も、歪だったからだ」
脚から血を流す女に肩を貸した男の声が応えた。
「君の歪さは欺瞞にあった。逃げてもよかったんだ、
そうやって嘘をつきとおすくらいなら、いっそ走って逃げた方がましだってことに──
最後まで、気付けなかった」
「嘘をつきとおす」。そう男は言った。
『私たちは、生きるために、──戦っているつもりです!』
先刻私の口から飛び出したその言葉に一番驚いたのは、おそらく私だ。
仁義を通して美しく散ること。
それが私の選ぶべき道であり、また私自身の願いでもあるはずだった。
なのにどうして、あの場で「生きるため」などという言葉がこぼれ出てしまったのだろう。
男は言った。
『君は、銀さんと共に逃げるべきだった』と。
──「逃げる」?
男の言葉の残響が、空っぽの胸に響く。
ぼんやりと開いた目の先で、銀さんから流れ出る血が石畳の細い隙間をじわじわと伝っていた。
広がる血が、倒れ伏した銀さんの着物にまで染みている。
──「逃げる」……。
血溜まりに沈んだままぴくりとも動かない銀さんの背中をぼんやりと眺めながら、私は昨夜のことを思い出していた。
* * *
昨日の夜半過ぎ、私は銀さんの私室を訪った。
しんと静まり返った冷たい廊下を裸足で歩く。
両親が他界してから、この古びた日本家屋は殊更に広く感じられた。
先が闇に飲み込まれたように暗くなっている長い廊下を奥へ奥へと進み、ひとつの部屋の前で立ち止まる。
小さく息を吐いてからぴたりと閉じ合わされているふすまをぽすぽすと叩くと、中から声が返ってきた。
「──はい」
「銀さん、私です。雪緒です。……まだ起きてますか?」
ふすま越しに声をかけると、畳から腰を浮かせた気配がし、足音が近づいてきた。
一呼吸置いてから、すっ、と目の前のふすまが開く。
「──お嬢」
ふすまの向こうでは、鴨居に頭がぶつかりそうな高さから銀さんが見下ろしていた。
「どうしたんです、お嬢。こんな時間に──」
「眠れないの」
戸惑ったように眉を寄せる銀さんに、私はパジャマの上にはおったカーディガンの前をかき合わせて小さく笑いかけた。
「入っても、いいかしら」
部屋の中はうす暗く、天井の明かりは落として手元を照らす小さなランプだけをつけているようだった。
銀さんの背後に視線を伸ばすと、銀さんは一瞬迷ってから体を引いた。
「……どうぞ」
畳の上には抜き身の日本刀が転がっていた。
ランプの明かりをはね返し、鈍い光を放っている。
そのそばに、拭い紙や油の壜の載った四角い木の盆が置いてあった。
日本刀の手入れをしている最中だったのだろう、細長い柄の先に白い球体のついた打粉が、
盆の隅で使いかけになっていた。
「お邪魔だったかしら」
「……いいえ、そんなことは」
言いながらも、銀さんは戸惑いを隠しきれない様子で座布団を勧めてきた。
「どうぞ」
「ありがとう」
差し出された座布団に、私は膝を折って座った。
銀さんの私室に入ったことはほとんどない。
六畳ほどの和室をぐるりと見渡すと、古びた木の箪笥や座卓が目に入った。
先代である私の亡き父が設えたものを、銀さんは使い続けているようだった。
「……どうなすったンです、お嬢。こんな夜更けに」
銀さんは畳の上でじかに正座をし、遠慮がちに尋ねてきた。
いつもかけている黒いサングラスを外した彼の目には、気遣わしげな色が浮かんでいた。
「眠れないの」
先ほどと同じ言葉を繰り返すと、向かい合わせに座った銀さんの眉間に深く皺が寄った。
「……どこか、お悪いンですかい。──その……」
そこまで言って、銀さんは言いづらそうに言葉を濁した。
「その、お体とか」
決まり悪そうに視線を外した彼に、私は笑って首を横に振った。
「いいえ」
数日前にボウリング場であったことを、彼が今も気にかけているのは知っていた。
「いいえ、そうじゃないわ」
たちの悪い三下どもにボウリング場へ連れ去られてボロボロになった私を、銀さんは助けにきてくれた。
銀さんはすぐに彼ら全員を死体に変えた。
けれど彼は、制服のスカートをなくし、引きちぎられた上着だけを引っかけた無様な姿の私を
どう扱っていいのか分からない様子だった。
自分が来る前になにがあったのか聞いていいのか、悪いのか──。
ただ、こんなことにさせてしまった自分が許せない、そんな様子で繰り返した。
面目ねェ、お嬢。面目ねェ。遅くなっちまって申し訳ねェ、俺が、俺がもっと、──と。
喉の奥から絞り出すような声で呻いた。
私もまた繰り返した。
大丈夫、大丈夫よ、銀さん。私なら大丈夫。助けにきてくれてありがとう。ありがとう、銀さん、と。
「──本当ですか」
「ええ」
頷くと、銀さんはぐいと顔を上げた。
顔の半分がランプに照らされて、陰影が濃くなる。
「本当なンですか」
真実を見据えようとする目に、私は再度頷いた。
「ええ、本当よ」
銀さんは私から目を逸らさない。
その目を見て、私はきっぱりと告げた。
「銀さん、なんでもなかったの」
「お嬢……」
「なんでも、なかったのよ」
銀さんは眉間の皺を更に深くしてうつむいた。
「だから……」
「お嬢」
言いかけた私を、銀さんは遮った。
「『なにもなかった』とは、言ってくれねェんですか……」
両膝に置かれた銀さんの手は、ぎゅっと強く握りしめられていた。
「……銀さん」
私はほほえむことしかできなかった。
「大丈夫よ、銀さん。そんな顔をしないで」
大丈夫。
それは半分が本当で、半分が嘘だった。
あの日の後、体は数日間痛みを訴え続け、胸に巣くう不安は次の生理が無事に訪れるまで消えないだろう。
けれど、
「銀さん、本当になんでもないの」
実際に虐げられた私よりも深い傷を負ったかのような彼を、私は見ていられなかった。
私自身の痛みによるものよりもっと激しく、彼の痛みが私を苦しくさせた。
貴方がそんなに苦しむ必要はないのに。
貴方は私のヒーロー。
あの狂ったボウリング場の入り口に貴方の姿が見えた時、私の胸に広がった安堵が貴方に分かるだろうか。
その、言葉では言い尽くせないほどの安堵を、貴方に伝えるすべがあればいいのに。
畳のへりを睨みつける銀さんを目の前に、私は傍らに置き去りにされていた刀を取り上げた。
通常は取りつけられている木の柄を外された刀は、ひやりと冷たい金属の感触を伝えてきた。
目の前に掲げると、刀身がランプの光を受けて静かに輝いた。
すらりと伸びた刀は、何人もの血を吸ってきたとは思えないほど白く、なめらかだった。
握った手をそっとひねると、白い光が刃の上を渡る。
「……きれいね」
輝きに魅せられて思わずつぶやくと、銀さんが顔を上げた。
「──お嬢、危ないです」
銀さんの言葉を無視して、私は刃の上に指を寄せた。
縦にした刃に指をのせ、そしての尖った縁をすべらせる。
「──っ」
氷のようだと思った刃の感触が、急に熱に変わった。
「お嬢!」
熱ではなく痛みだ、と気付くよりも先に銀さんが動いた。
「お嬢、なにをするんです!」
私の手から刀を奪い取り、懐紙に手を伸ばす。
熱さが痛みに変わった指先には赤い線が走り、見る間にそこから真っ赤な血があふれ出してきた。
銀さんはぐいと私の手首を取ると、指先に懐紙を押しつけた。
白い紙にじわりと赤い血が染みる。
「なにをなさるンです、お嬢」
銀さんの指が、懐紙の上から私の指をぎゅっと押さえつけた。
「しばらく、押さえてねェと」
どれくらい、そうしていただろうか。
銀さんは私の指先をとらえ、私は向かい合って座ったまま銀さんに指先を預ける。
互いの視線は、触れ合った指先に落ちていた。
銀さんの大きな爪が私の傷口を押さえる。
長く節の目立つ指で、私の指先を挟みつける。
銀さんに取られた手首が熱い。
コチコチと、先ほどまで気にならなかった時計の秒針の音が大きくなる。
ひそめている呼吸の音までもが、彼に聞こえてしまいそうだった。
そっと銀さんが押さえていた懐紙をはずした時、その下の傷は細く赤い糸になっていた。
もう血があふれてくることはない。
「……止まりましたね」
銀さんは血が止まったのを確認すると立ち上がり、救急箱を取って戻ってきた。
「消毒しやしょう」
「ええ」
私の指の下に懐紙をあてがい、銀さんは消毒液をたらした。
「……染みますか?」
「いいえ、大丈夫」
無色透明な消毒液は私の指先を塗らし、懐紙へと落ちてゆく。
「……お嬢は」
銀さんがぽつりと言った。
「痛いって、言いなさらねェんですね」
それだけ言って、消毒液の蓋をぱちんと閉める。
「──ええ。だって、言ったって痛いのがなくなるわけじゃないもの」
指先に残った水分をそっと押さえる銀さんの指を見ながら、私は続けた。
「……それに、自分でやったことだわ」
銀さんは絆創膏を手にしながら小さく首を横に振った。
「お嬢、言って下せえ。……言っていいンです、お嬢」
「銀さん」
私は、私の手を取っている銀さんの手に、もう片方の手で触れた。
少しかさついた、大きな手だった。
「銀さんが握っていてくれるから、平気」
視線を上げた銀さんと、正面から目が合う。
私はその切れ長の目にほほえみかけた。
「銀さんがいてくれれば、私はなんだって平気なのよ」
先に手をほどいたのは私だった。
ぴくりとも動かない銀さんの手に添えた掌をそっと離し、もう一方の手もするりと抜く。
それでようやく、銀さんの手は思い出したようにゆっくりと下がっていった。
「──あ」
縁側の方へ顔を巡らせた私は、思わず小さく声をあげた。
その声で銀さんも私の視線を追う。
「雪だわ」
開け放たれた障子の向こう、床まであるガラスのサッシを隔てた外では、雪がちらついていた。
広い庭に面しているこの部屋からは、他の家の明かりも街燈も見えない。
墨で塗り込めたように暗い夜の中に、白い粒が舞っていた。
小さなかけらがちらちらと降り注ぐ。
「……きれいね。桜吹雪みたい」
私はぽそりとつぶやいた。
「私ね、雪は嫌いだったの」
銀さんも、私と同じように外へ目を向けていた。
「寒くて、寂しくて、嫌いだったわ」
白く降る雪は細かく、積もっている様子はない。
ただ白い欠片だけがどこからともなく降り注いでは消えていった。
「だから、『雪』ってつくこの名前も、あんまり好きじゃなかった」
でも、と続ける。
「──今は好きよ。雪も、この名前も、今は好き」
外から銀さんへと目を戻すと、銀さんはまだ外の雪を見ていた。
「俺ァ、……好きでしたよ」
静かに言って、それからゆっくりとこちらへ首を向けた。
「お嬢の産まれた日も、そりゃア見事な雪の日だったと聞きます。オヤジさんがつけなすった名だと──」
「ええ」
私は銀さんの目を見て頷いた。
銀さんは、ふ、と短く笑って目を細めた。
「俺ァ、好きでした。……昔ッからずっと、好きでしたよ」
その後に落ちた沈黙を、私はどうすればよかったのだろう。
しんと静まり返った部屋の中、私も銀さんも、ただ向かい合って座っていた。
時だけが、ふたりの間をさらさらと流れていった。
息苦しさを覚え始めたとき、銀さんがつと立ち上がった。
縁側の方へ足を進め、開け放たれていた障子をぱたんと閉じる。
私のそばまで戻ってくると、銀さんは片手を差し伸べた。
「さ、お嬢。……冷えてきました」
「……ええ」
その手を取って立ち上がると、銀さんは優しげな目で見下ろしていた。
「もう、お休みにならねェと」
「ええ、そうね」
「……駄目ですよ、お嬢。こんな夜更けに男の部屋なンざに来ちゃァ」
ぽん、と私の肩に手が置かれる。
私はその手の大きさを感じながら、小さく笑った。
「でも、銀さんだもの」
その言葉を彼がどうとったかは分からない。
私はふすまを開き、廊下へ出た。
「ねぇ、銀さん」
敷居越しに向かい合った彼に、私は言った。
「銀さんは、これからもずっと、私と一緒にいてくれるかしら?」
見上げた彼は、すぐに頷いた。
「もちろんです」
そして優しい目で笑った。
「ずっと、おそばにおりやすよ、お嬢」
自分の顔に、やわらかく笑みが広がるのが分かった。
「お邪魔してごめんなさい」
「いいえ、とんでもありやせん」
「お休みなさい、銀さん」
「ゆっくりお休み下せえ、お嬢」
私は静かにふすまを閉じた。
* * *
あの時、銀さんとの間になにも期待していなかったと言ったら嘘になる。
私はただの「総代」と「組員」以上の絆を、彼との間に望んでいた。
けれど私は、どうすればよかったのだろう。
つらかったと彼にすがりつけばよかったのだろうか。
すがりついて体を寄せ、貴方の手で忘れさせてほしい、と。
しかし、そんな直情に流されるような子供じみた人間になど私はなりたくはなかったし、
どうすれば直情に流されることができるのかももう、私には分からなくなっていた。
そして彼もまた、役割を心得ている人間だった。
私は、そんな彼の頑ななまでの忠義心と不器用さこそを、好いていたのだ。
一切の《そうあった》は、一つの断片であり、一つの謎であり、一つの恐ろしい偶然である
──創造者としての意思が、それに付け加えて、《しかし、そうあることをわたしは欲したのだ!》と言うまでは
昔の偉い哲学者が書いた本の中の一節だ。
うす暗い放課後の図書室で、私は本の中に救いを求めた。
私は「こうでしかない」自分の境遇を、「こうであった」と自ら欲することを望んだ。
「こうなるべきであった」、「これがよかったのだ」、と。
私は自由なる意思を持つ人間になりたかった。
自らの意思によって生きれば、すべての事々は肯定に変わり、そして自由な死を選び取れる。
そう、「然るべき時に死ぬ」ことができる。
──でも、私は間違っていたのかしら。
いま私の目の前に立つ男は、
『君は、賽子を投げてなんかいなかった、投げたつもりになってただけだ』
と言った。
『私たちは、生きるために、──戦っているつもりです!』
私のその言葉は、確かにこの男の言葉によって引き出されたものだった。
私は、選び取れていなかったのかしら?
自由なる意思をもつ人間には、なれていなかったのかしら?
自分で仕立て上げた虚像にしがみつく、ただの滑稽な小娘でしかなかったのかしら。
君の歪さは欺瞞にあった、そう言う彼の言葉を、私はぼんやりと聞いていた。
欺瞞。
そう、確かにそれは当たっているかもしれない。
けれど。
──だとすれば岡島さん、貴方は傲慢だわ。
貴方は私が自由な意思で選び取ってなどいなかったと、銀さんと逃げるべきだったと言う。
でも、それを今更言われたところで、私はどうすればいいの?
貴方がそう言った時、銀さんはすでに引き返せない戦いの中に身を置いており、
そして今は物言わぬ屍となってこうして横たわっている。
──貴方はそれでも、私につきつけるのね。私の大切なひとは、もういないのに。
私の視界の端に、彼の姿が映っていた。
ひとりでは立っていられない彼女に肩を貸した彼の姿が。
貴方は依然として大切なものを持ったままだし、大切なものを失う覚悟なんてなにもなかった。
そもそも「失うかもしれない」という可能性すら、貴方の頭の中にはなかったのではないの?
彼は彼女の腕と腰をしっかりとらえて立っていた。
ぴったりと体を寄せ合って立つふたりは、まるで一心同体のひとつの生き物のように見えた。
貴方は彼女と銀さんの決着がついたとき、真っ先に彼女の元へと走り寄ったわね。
走り寄って、抱き起こして。
私がその場を動けずにいることなんか、視界に入ってもいなかったでしょう。
もしかすると、私が喋り出すまで私の存在すら忘れていたかもしれないわね。
どうして貴方は彼女の元に駆け寄ったの?
──それは、彼女を失う覚悟なんか、これっぽっちもできていなかったから。
そうでしょう?
私は違うわ。
私は、覚悟していた。
私は死ぬつもりで、そして大切なひとを死なせるつもりで、ここに来た。
貴方とは違う。
きっと貴方は分かっていないのね。
貴方は依然として、「持っている」側の人間なのよ。
その大切さ、そして自分が「持っている」ことにすら、気付いていないのね。
『邪魔立てをなさるおつもりならば、残念ながら道は斬り拓くことに』
そう宣言した私に、貴方はこう言った。
『断る。君を犬死にさせる訳にはいかない』
なんて勇ましい言葉。
素敵な台詞ね。
でも、貴方は分かっていたのかしら、自分の言葉の意味を。
私を犬死にさせないということはつまり、貴方の大切なひとが死ぬということ。
そうでしょう?
私たちが一旦刃を交わらせれば、どちらか一方が地に倒れ伏すまで終わりがくることはない。
貴方は本当に、私をそこまでして救いたかったのかしら?
私のことなどすっかり忘れた風で彼女の元に走り寄る貴方が。
貴方は自分が「持っている」ことにも、持っているものの大切さにも気づいていない。
貴方の大切なひとは生きていて、私の大切なひとはもういない。
そうでありながら、私のなけなしの欺瞞を暴くのね。
それが「傲慢」でなくて、なにかしら。
──だから私は、貴方が嫌いよ、岡島さん。
私はハンカチを取り出し、手に持った刀にあてがった。
そして切っ先を自分の喉元に向ける。
「苦労をおかけいたしました。これにて一切の騒動、落着と相成りましょう」
彼は私を凝視していた。
ひどく痛ましいものを見る目で、私を見つめていた。
──そんな目で見ないで。私はそんなに「悲劇」かしら。
私は「あるべき」人間にはなれなかった。
借り物の思想に逃げ込んだだけの、未熟な人間だった。
それでも今こそが、私の「然るべき時」なのだ。
私は夜の中に生まれ落ち、そして闇の中へと消え去る。
そんな私の一生は、きっと悲劇に見えるのだろう。
けれど、輝かしいものもまた、闇の中にあったのだ。
闇の中にこそ、光があった。
私は何度やり直しても、この生を選び取るだろう。
──私の生は私のもの。決して貴方のものではないわ、岡島さん。
「──バラライカへ伝文を。
『何時か来る所にて、一足先にお待ち申しております』と」
私は切っ先を喉元に突きたてた。
鋭い刃がぷつりと皮膚を破り、急激に喉が熱く重たくなる。
「ロック! 見るな!」
最後に聞いたのは、傷を負った彼女の咆哮だった。
──ああ、岡島さん、貴方の大切なひとは、とても貴方に優しいひとなのね。
頭はがんがんと熱く、目の前は血の色に染まっていた。
口の中に温かく血が逆流してくる。
けれど、まだ浅い。
全身の体重を刀へのせると、刃先が勢いよく喉の奥まで刺し通った。
いつ倒れ伏したのかも、自分が今どうなっているのかも分からなかった。
ただ意識の切れ端で、銀さんの体温を感じた。
私の体を受け止めたのは冷たい地面などではなく、銀さんの体だったのだろう。
銀さんの体にはまだ温かさが残っていた。
初めて、胸の下で銀さんの体を感じた。
とても慕わしい体だった。
ぼやけた真っ赤な視界の中、銀さんの血に私の血が混ざっていった。
静まりかけていた銀さんの血は、私の血を呼び込んで、勢いを取り戻す。
赤く溜まった血の表面が、ぷつりと嬉しそうにふくらんだ。
『私はここから先も、一緒ですよ』
約束は守るわ、銀さん。
私はこれでよかったの。
「一緒に」、多分これだけが私の純粋な願いだった。
だから、これで、いいのよ。
──銀さん、ここから先も、ずっと、一緒に──
* * *
桜吹雪が舞っていた。
季節は春、満開の桜が花びらをこぼす樹の下に、ひとりの少女が立っている。
水色の絵の具をうすく刷毛でのばしたような空のもと、桜色の花びらが彼女の髪に耳に、舞い落ちる。
古い日本家屋の庭に人の気配はない。
少女の制服のスカートが風にはためき、長い黒髪がなびいた。
──あの少女は、……私?
少女の顔は、今の私よりも幼さを残していた。
少女は桜の下で、根が生えたように動かない。
ぼんやりと虚ろな目は、どこも見ていないようだった。
と、その時、声がした。
「お嬢」
はっ、と少女の目に生気が戻る。
少女が振り返ると、そこには長身の男が立っていた。
随分と探し回ったのだろう、男は体全体に焦りを滲ませて呼吸を乱していた。
その焦りを安堵の表情に変えて歩み寄る男に、少女はうっすらとほほえみかけた。
「銀さん」
「──お嬢」
男は少女のそばで立ち止まった。
言葉をつくろうのが下手な男を、少女は見上げた。
見上げて、笑った。
「──ひとりに、なっちゃった」
更に笑みを作ろうとする少女を見て、男は眉を寄せた。
男の眉間に、ぐっと苦悩が刻まれる。
「……そんなこたァないです、お嬢。学校には、沢山友達がいなさるじゃないですか。
これから先だって、お嬢はもっともっと沢山の人に会いなさるンです。
誰もお嬢をひとりになんかしやァしませんよ。
それから、もっとさきには誰かいい人と会って、所帯を持っ──」
「銀さん」
訥々と、それでも真剣に言いつのる男を、少女は笑顔で遮った。
「ねぇ、銀さん。銀さんは、ずっと一緒にいてくれる?」
「──お嬢」
桜の花びらに縁取られてほほえむ少女を、男は困ったように見下ろしていた。
「ねぇ、私、銀さんがいてくれれば平気よ。銀さん、ずっと、ずっと一緒にいてくれる?」
風にまかれて、ざぁっと花びらが逆巻く。
桜吹雪の中、男の顔がふっとゆるんだ。
「──ええ、お嬢がそう望むなら」
男はぎこちなく、しかし穏やかな顔でほほえんだ。
「お嬢がもういいと言いなさるまで、ずっと、一緒におりやすよ」
了
*作中引用部分:ニーチェ作・吉沢伝三郎訳『このようにツァラトゥストラは語った』(講談社文庫)
>>724-736 GJ!
いつもながら結構なお手前で
ゆっきーには銀さんと致して戴きたかったが、致さなかった部分も含めてこういう解釈なんだなと納得行く、素晴らしい作品でした
次回ご光臨も楽しみにお待ち申し上げます
>>724-736 ゆきおあんまり好きじゃなかったけど
こうしてSS読ませてもらうと切なくて好きになった
情景が想像できてきれいだ
神に感謝と敬礼
すげえ、読んでて原作の風景が自然と浮かんできた…
切ないけど感動した。こういう話大好きです
以前投下された日本編(特に岡島がレヴィを失っていたかも〜と考える下り)
とリンクしてるのがまた良い
2編を続けて読み直してさらに感動した。GJでした。
真夏に雪緒ちゃんとはまた粋な
ありきたりな言い方だけど銀さんもまた雪緒ちゃんに守られての銀さんだったわけで
そういう点でもロクレヴィと何から何まで似てて違うな
742 :
名無しさん@ピンキー:2011/07/11(月) 22:45:33.23 ID:96My7u/w
エロがない(涙
すごいの一言です。
本当に原作の風景が頭に思い浮かびました。
エロなどなくとも、普通の小説として楽しめるのはいいものです。
次の作品に期待します。ありがとうございました。
>>741ロクレヴィと何から何まで似てて違うって、うまいこと言うな
そういう意味で、雪緒と銀さんが致さなかったところもロクレヴィときれいに対になってるのか
神の作品は細部まで考え抜かれてて、ほんとすげーわ
どのキャラクターにも愛情感じるから大好きだ
あの二人は、どこまでもプラトニックなんだなぁ。
>>746 つNG設定
件のあの人にいちいち老婆心で何か言っても聞く耳持たないしスレの空気悪くなるだけなんだから、これですっきりだよ
設定すればイラっとしないし、精神衛生上もまじおすすめ
って書いてる自分が空気悪くしてる自覚あるからもう書かないけど、NGすればホントにイラつかないよ。