お姫様でエロなスレ13

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441ユゥとメイリン4 8/11:2011/11/16(水) 20:16:45.32 ID:GuTyUTgW

自分から手合わせしよう、と言うだけあって、メイリンはそこそこ強い。さすがにユイウ様ほど強くは
ないけれど。
斬撃に重さはなくとも、相手の弱点や隙を見逃さず、素早く正確に攻めて来る。いつもユイウ様が
言うような、力みと無駄のない理想的な動きというのは、こんな風に美しいものなんだ、と、メイリンの
剣技を見ていて思う。
そして最後には大抵、「手を抜くなー!! 真面目にやれっ!!」と本人に怒られてしまうわけなんだけど。
でも、どんなに怒られても、あの、実は白くて柔らかくてふにふにな身体に、刃の無い木剣とはいえ
打ち込むなんて、僕には到底出来そうも無かった。
そしていつも「虫ケラは死ね」などと言って問答無用で厳しいユイウ様だけど、こんなときは何故か
さりげなくメイリンの方を宥めてくれるのだった。


    *     *     *

メイリンの次兄、スゥフォン様から習ったのは、この国の在りよう。
あまたの州と、その中にある直轄地と地方王の所領。気候と風土によってどのように収量が変化するのか。
千差万別の耕地能力と耕作能力を査定して、その中で租税を徴収するための綿密な記録と、それを基に
した複雑怪奇なまでの計算式。
緻密に組み立てられた構造の中で、人の流れも財貨の動きも、文化の伝播すら管理されていた。それを
可能にする、膨大な数の高等教育を受けた官吏の存在、その手足となって働く、更に膨大な数の胥吏達。
その膨大な人々を支配するための、数々の論理と倫理。そして過去から学ぶための、気の遠くなるような
事例の蓄積。

スゥフォン様から習っていると、しばしばこの国のあまりの大きさに眩暈がする。大きければいいのか
というとそういう訳でもなくて、広い国土を余すことなく管理し、支配権を行き届かせ、違反を許さない
為にかなりの労力を費やしているのだった。
この国がこの形を保つために常に費やしている労力に比べれば、僕達の『クニ』を潰すときに動かした
力などは、ほんの小指一本分くらいだ。
僕らの『クニ』の行く末を決めた人たちは、このことを分かっていたのだろうか。


そして、メイリンから習ったのは──例えば、花のこと。
メイリンの部屋には、沢山の植物の図誌が置いてあった。メイリンは、そのほとんどを憶えているのでは
ないかと思うくらい、植物に詳しいのだ。
対生、互生、輪生、根生。それから、奇数羽状複葉、三出複葉、二回三回複葉、掌状複葉。草の葉の
広げ方にさえ、分類して名前がつけてあった。
花だって、雄しべと雌しべ、花弁と萼だけでなく、葯、花糸、柱頭、花柱、子房、花床、花柄などと、
細かく名前がつけてある。花弁の名前も、花の形状に応じて、舌状花冠、筒状花冠、側弁、唇弁、
上唇、下唇、、旗弁、翼弁、龍骨弁、仏炎苞などなど。ありとあらゆる形状、ありとあらゆる部分に
名前がつけて、分類してあった。
こんなことをしてなんの役に立つのかと問うと、
「命名し、分類し、明らかにすること。それ自体に価値がある。」
と返された。よく分からない。

一番吃驚したのは、イネの仲間の花についてだ。イネの仲間と言っても、そのほとんどは米や雑穀が
取れるわけでもない、畑の脇に生える雑草だ。そういう取るに足らない──と、僕達が思っている──
草についても、熱心に穂の花序を調べ、痩果を包む果胞の形状を調べ、根の形を調べ、場合によっては
その小さな花を分解して雄しべや雌しべの数を調べてあった。勿論、それこそ米粒より小さな花のこと
なので、虫眼鏡とかを使った気の遠くなるような作業になるんじゃないだろうか。
こんなにも役に立たない草を苦労して分類するなんて、とんでもない物好きがいるものだと思っていたら、
メイリンは「存外に役に立つこともある」と言う。シン国で行われている、イネとその仲間の『掛けあわせ』
のことだ。
異なる種類の植物でも、『あいのこ』を作ることがある。それは知っている。
それを利用して、この国では、新しい種類の植物を生み出す試みが行われていると言うのだ。
そのときに掛け合わせる植物は、あまりに遠い仲間であると掛けあわせが成立しない。近すぎると、
新しいものが生まれない。むしろ、遠方から取り寄せたような、ちょっと変わった(と言っても、同じイネ)
仲間だと、上手い具合に両方の長所を兼ね揃えた新しい品種が出来るとメイリンは語る。そのときに、
どのくらい近い仲間なのかを判断するのに、この目の奥が痛くなるような地道な研究が役立つのだそうだ。
442ユゥとメイリン4 9/11:2011/11/16(水) 20:18:46.31 ID:GuTyUTgW

メイリンの語るシン国の技術の話は、僕らの『クニ』の普段の生活からすると、荒唐無稽な夢物語に思えた。
シン国では一部の場所で、春に咲く花を冬に咲かせることすらできるのだと言う。それは仙術の類ではなく、
花の咲く条件を調べつくした末の特別な技術であるのだと彼女は語った。
本当にメイリンは花のことには何でも詳しくて、いまはこの国のお姫様でも、生まれる前はやっぱり花仙
だったんじゃないか、と僕は時々思ってしまう。

メイリンから物を教わるのは、いつも楽しかった。
メイリンの兄上、ユイウ様やスゥフォン様に教わるのが別に楽しくないわけではないが、彼らから教わる
ときはただひたすら知識なり技なりを憶えこんでゆくだけ。
でもメイリンとの時は、必ず一通り話し終えたときに、僕の話を聞いてくれる。
「見た目とか、部分の形状とかを文字と図だけで吃驚するほど細かく分類してあるけど、草ってそれだけ
じゃないんじゃないのかな。僕達は、草の匂いとか味とか、葉っぱに触ると手が切れるとか痛いとか、
何の動物がよくその実を食べるかとか、いつも水辺に生えてるとか、畑に生えてくると根っこが横に
広がって困るとか、草の汁が切り傷に聞くとか腹痛に効くとか、そういうことで憶えてるけど。」
「森に火入れをしたあと、真っ先に生えてくる草木もある。奴らの種は土に埋もれて、炎が来るのを
待っているんだ。そしてそういう植物は、大きくなると大抵燃え易い。」
とか、そういう、僕の育ってきた中で知ってる、何の変哲もないことを話したりする。お義理かも
しれないけど、メイリンが桂花山での暮らしのことを楽しんで聞いてくれると、途端にその話が
宝物のように思えたりするから不思議だ。
そんなことを話し合っていると、いつも知らぬ間に夜は更けた。

夜が更けると、それはいつだって僕とメイリンの時間だ。
その中には当然……その、『夜伽』だって含まれる。
『夜伽』をした夜は、抱き合って眠った。
『夜伽』のない夜は、瞼が重くなるまで語り合って、手を繋いで眠った。
冬の深まる中、暖かい誰かと眠るのは、メイリンの言ったとおり、とても、心地良かった。


     *     *     *

メイリンに深入りしちゃ駄目だ、と、一人のときは結構本気でそう思っているのだ。
でもメイリンは、僕がどんなに決心しても、笑顔一つで易々と打ち砕いてしまう。

「ただいまっ! ユゥ。兄上様達から出された『宿題』は終わった?」
メイリンは帰宅すると、真っ直ぐに僕のところへやってくる。いつも抜群の破壊力だ。
「あのね。」
メイリンは可愛くくふふ、と笑った。
「今日は学院で、先生からいいお菓子を頂いたの。こっそり持って帰ってきたから、あとで半分こしよ。
あ、一個しかないから、他の人には内緒ね。兄上様にもね。」
「一個しかないなら、普通に姫様がお召し上がりになったらいかがですか。」
他人の目があるのでそっけなく敬語で返すと、メイリンはぷくっと膨れ顔になった。
「もぉっ。なんでそういうこというかなあ、ユゥは。一緒に食べたいから、わざわざ持って帰ってきたのに。」

策略だ。
こんなに可愛いのは、何かの策略に決まっている。
そしてこんな策略を考え付くメイリンは、天才に違いない。

メイリンの持ってきたお菓子は、木の実を炒って糖蜜で煮絡めた餡がぎっしり詰まった焼き菓子だった。
メイリンはそれを油紙にくるんで、大事そうに持ってきた。
胡桃、松の実、椎の実。滋養のある大粒の実は、森の中でもご馳走だ。
それが綺麗にアク抜きされて、炒られて蜜に絡まって、美しい型の焼き菓子の中に納まっている。なんだか
上品に畏まった、芸術作品みたいだった。
それはそれとして、美味しいお菓子を食べるときの女の子っていうのは、どうしてこんなに幸せそうな
顔をするんだろう。整った顔をほくほくと緩ませて、時々驚いたりしながら菓子職人の健闘ぶりを讃えている。
僕は手元の菓子はひとくち齧ったままで、そんなメイリンをぼうっと見ていた。今のメイリンを少し齧ったら、
きっとどんなお菓子よりも美味しいに違いない。
舐めて、齧って、食べてしまいたい……。
443ユゥとメイリン4 10/11:2011/11/16(水) 20:20:48.04 ID:GuTyUTgW

「どうしたの、ユゥ。」
メイリンに声を掛けられてはっと我に返り、目を逸らす。
「食べないの? 美味しくないの? 気に入らなかった?」
くるっとした大きな瞳が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。
「いやあの、……こういうの、妹のユイに食べさせてあげたら、喜ぶだろうなあ、って思って。」
見透かされたみたいで動揺したのか、それとも木の実が森の冬を思い出させたからか、つい妹の名を口走ってしまう。

「ふむ、ユゥの妹か……会いたい?」
「えっ?」
メイリンがあまりにこともなげに言うので、ちょっと思わぬ話の展開に驚く。
「会えるの?」
それよりもまず、生きているのかどうか知りたい。でも、抵抗すれば容赦なく斬る、と言ったメイリンの
父親の声がよぎる。もし無事じゃないのだったら……知りたくない。
「会いたいなら、そのうち会わせてあげる。その……すぐにというわけではないけど、そのうちに。」
「生きて……いるの? 確かに? 妹と、それから…母さん、も?」
「生きているか、って? 勿論生きている。ウォン家の奥方と、娘のことなら、元気にして居られる。
首長家の者であるし、それなりの扱いをされている。」
知らないとは思わなかった、とメイリンは言う。僕がかなりの日数、あちらに留まっていたので、
その間のことくらいはとうに知っていると思っていたのだと。
何も聞かないのも、落ち着くまであちらにいたからだと思っていたのだと。
そしてメイリンは僕の母と妹に関しては、それなりに気に掛けて、報告を受け取っていたらしい。
僕が、メイリンの従者になってからは。
だから二人は、確かに元気だと彼女は言う。

「今、ユゥの一族は、地元の蒲州を転々として、河堰の補強の労役に駆り出されておる。
労役には食料が支払われる。衣服その他の物資も。だからそう気を揉むほどのこともあるまい。」
「でも、反抗すれば、容赦なく斬るって…」
「ちょっとした脅しだ。貴重な労働力を、そう簡単に斬る筈がないであろ?
ユゥの一族も、最初の労役以降は大人しく従っているようだし、もうそんな脅しの必要も無かろう。」
「最初の労役ってなに?! 何かひどい目にあわせたの?!」
僕が思わず声を荒げるとメイリンはちょっと驚いたような目でぼくを見た。
「あ…ごめん。大きな声出して。」
「よい。許す。……そうか、そこから知らぬのか。案ずるようなことではない。もっと早くに聞けば
良かったのに。」
僕はなんと言っていいか分からなくて、聞けなかった、とだけ言った。

「そうか。わたしがもっと、察してやらねばならなかったのかの?
ユゥが、自分の家族を案じないはずがないのにな。
わたしも知らぬこと、機密のことは言えぬが、母や妹のことくらい、気軽に聞いてくれればよい。
そのうち、おまえの妹にも会わせてやる。これと同じとは言わぬが、同じくらい美味しい菓子を、
妹にも食べさせてやろう。それでいい? ユゥ。」
「……有難うございます。」
僕は跪き、主としてのメイリンに臣下の礼を取ろうとした。そうするのがいい気がした。
奴隷の身分に堕とされたとは言え、メイリンのような立派な主人を持てて幸せだ。

「ちょっと待って、ユゥ。」
メイリンは手を地に付けようとする僕を押し留めた。
「礼を述べるのならば、もっとわたし好みにしてくれても良かろう?
ちゃんと立って、わたしの目を見て、わたしの名を、呼んで。」
メイリンは僕の手を取って立たせた。くるりと大きな瞳で、僕を見据える。

困る。どうしたらいいんだろう。
メイリンはどれだけ時間が経っても、要求どおりにするまで僕を許す気はないようだった。黙っている
僕を期待に満ちた目で見詰めている。
僕は漸く、躊躇いがちに彼女の名を呼ぶ。
「……有難う、メイリン。」
するとメイリンはふんわりと、お菓子よりも甘く蕩けるような笑みを浮かべた。
444ユゥとメイリン4 11/11:2011/11/16(水) 20:23:05.64 ID:GuTyUTgW

ああ。
僕が家族のことも、一族のこともなかなか言い出せなかったのは、本当はこれを恐れていたんじゃ
ないだろうか。
無視される方が、まだいい。冷たく突き放されるのも、人間以下に扱われるのも、既に覚悟していたことだ。
でも、こんな風に、優しく受け止められて、いい扱いをしてもらって、気遣ってもらったりしたら、
もうどうやって、好きにならずにいられるのか分からない。

でもメイリンはこの巨大な中華の国の、皇帝の血に連なるお姫様。僕はただ、彼女に拾われただけの奴隷だ。
いずれ、ふさわしい家格の男に……、そう、僕でない男のものになる。
そのときのことを考えると、心が壊れそうだ。
少なくとも今みたいな関係でいることは出来ないはずだ。僕が夫なら決して許すはずもないし、下僕と
しても……その、嫌だ。
どこか別の邸に移されるのか、メイリンが嫁いでいった後もこの邸に残されるのか、それとも単なる
護衛や従者として、他の男の妻になったメイリンを傍で守ることになるのか。

ここで生き抜く上で、メイリンは最大の脅威だ。可愛い顔をした暴力そのものだ。
今だって、彼女のことを考えるだけで、心臓が軋んで悲鳴を上げる。なのに、ずっと考えていたいだなんて。
いつかあっけなく棄てられるとしても、それでもなにかを捧げたくて仕方がないなんて、僕自身もどっか
おかしい。メイリンの毒にやられてしまっている。甘くて美味しい、仙界から来たような毒に。

ああ、還りたい。あの懐かしい故郷の山に。僕達の神様のいる森に。
そうすれば、どこか狂ったような僕の心も元に戻る。きっと戻る。

だから、いつか必ず還るんだ。




     ──続く──

注:吝嗇家=けち、胥吏=試験なしで現地採用される下っ端事務官
で読んでください。
445名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 20:25:06.67 ID:GuTyUTgW
以上です。
ちなみに、『父上様』は、いつかメイファに植物の知識を褒められて以来、
博士並みに(無駄に)植物に詳しく、娘もそのアオリを受けて植物マニアに、という設定。
素人ならドン引きするイネの花に関する講釈を聞いても「この子の前世は花仙かも!」
とうっとりしてしまうユゥ君もそれなりに大物。

今回書き溜めている分はここまでなので、また書いたらまた来ます。
筆が遅いので、多分忘れた頃にまた来ます。

446名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 20:30:46.54 ID:C1YddbrT
わあ、リアルタイムでネ申の投下に遭遇したのは初めて。
こんなに早く続きが読めて幸せです。
お疲れさま、忘れずに待っていますよGJ!!!!!
447名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 23:16:50.29 ID:DSbmlHcm
乙です。
 冒頭数行で、「ああ、三月無事だったんだ、良かった」と思ったのはきっと自分だけではないはず。

 ・・・ただ、植物マニア+お菓子でお盛んになる薬を盛られたという展開を想像した俺は吊ってくる orz...
448名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 02:24:47.52 ID:oxAC3zG/
メイリンは良い主人!
あとユゥの妹が気になる。
深読みしすぎかもしれないけど、このお話は逆光源氏?もしそうだとしたらユゥ君は得しすぎ!!
449名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 10:51:05.62 ID:rZZQV+22
皆可愛過ぎる。
GJ!
450名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 10:55:44.80 ID:Kz/f2Ncc
ユゥ君の気持ちがたまらんなあ
451名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 01:03:54.94 ID:JbL+4TFM
一夫多妻制が廃止された石油かなんかを輸出してる超ブルジョワ国で
王様の唯一の本妻を決めるべく48人の妻の中から総選挙する話とかは
どうだろう
452名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 04:30:11.83 ID:xGl2/XM5
自身の推し妻は選挙で振るわず涙目になる王様
金で投票券をかき集めて何とか推し妻を一位にする王様と、
同じく自分たちの推し妻を何とかセンター(正妻)にしようと暗躍する有力者
そしてそれぞれの推し妻を応援する国民たち

国民的・金と利権と純愛マネーゲームストーリー
453名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 08:25:18.55 ID:MI4bNnqz
金なんて使わなくてもいくらでも票の操作できるでしょw
454名無しさん@ピンキー:2011/11/26(土) 07:19:34.01 ID:/nT2s2bC
ユゥ君育成ゲームきぼんぬ
455名無しさん@ピンキー:2011/11/26(土) 11:41:13.41 ID:sYzOzbgH
レンとメイファの激しいセックス話もきぼんぬ
456名無しさん@ピンキー:2011/11/30(水) 20:29:41.19 ID:jsYwmFJ7
お姫様系の話を求めて本読んでたらちょっとオモロイ関係性のエピソードを見つけたので職人待ちのつなぎにでも。
単なる小ネタなんでエロくはないです。×な方はスルーお願いします。

登場人物はイギリス王ジョージ二世とその正妃キャロライン、同じくその寵妃ヘンリエッタ。

まーよくある話だけどたいていの場合、王の結婚はほとんど政略結婚で正妃とはほぼ義務のみの関係。
良くて共同統治者であって、恋愛やらセックスの楽しみは寵妃相手ってのがお決まりだったんたけど、

ジョージさんは、長身で金髪美女・頭も切れるキャロラインさんにベタ惚れだったらしい。
国事についても度々正妃の助言をあおぎ(そのため国の真の支配者は彼女だと言われた)、
その愛情の傾け方の度合いも当時には珍しく正妃>>>>>>寵妃だった。

正妃はかんしゃく持ちの王の扱いがうまくて、寵妃ヘンリエッタもまた何かにつけて
正妃を頼って相談したりと国王夫妻+愛人な三人の関係は良好だったとか。

で、ちょっとオモロイというのはキャロラインは王がヘンリエッタと別れようとするたびにそれを阻止したり、
ヘンリエッタの夫が妻を取り戻しにくると(王の愛人は人妻がデフォ)、
あらゆる手を使って宮廷内に彼女を隠して妨害してたとか。金を握らせて夫を黙らせたりとか。

これはヘンリエッタが温和で善良な女性だったらしいので、単にそういう人が寵妃でいる方が御しやすくて
良かったってだけの事だとは思うんだけど『正妃が寵妃を個人的に気に入ってた』とかだったら面白いのになーとか。
王に熱愛されながらも、王の寵妃とも百合百合「お姉様」な関係のお妃、みたいな。

ちなみにその後ヘンリエッタは最初の夫の死によって宮廷を去り(王様大喜び)、再婚した後は幸せに暮らしたとか。

ヘンリエッタが去った後もジョージは寵妃を幾人も迎えたけれど、やはり最愛の女性はキャロラインだったみたいで。

キャロライン臨終の床で「私が死んだら別の人をめとってね……」と言われるもジョージは
「何を言ってるんだ、正妃は君だけだ!愛人はまた作るけど!」と叫んで
瀕死の妃に「なんじゃそら」的なツッコミを入れられたそうな。

でも結局ジョージはその誓いを守って、妃の死後に迎えた寵妃のうちの
誰一人も正妃にはせず、その死後は遺言によってキャロラインの隣に埋葬されたとか。
それぞれの棺の横板を外して死んでからも傍に寄り添えるようにして。

なんかインテリクールビューティーなキャロライン妃が萌えるなーと思って。
457名無しさん@ピンキー:2011/12/01(木) 06:50:31.10 ID:hnWNrWts
フランスのルイ15世王妃マリー・レグザンスカみたいに、夫が女好きすぎて
自分の身がもたないから、夫が愛妾寵姫もつの歓迎した人もいるな。
エスカレートすると、夫が嫌いだからわざと夫に愛人をもつよう薦めたり
自分から愛人候補の女の子をみつくろったりする話も。
458名無しさん@ピンキー:2011/12/01(木) 21:23:59.54 ID:g8x1B/kW
>>457

下2行、皇なつきの「燕京伶人抄」を彷彿した。
459名無しさん@ピンキー:2011/12/03(土) 02:36:13.67 ID:m5x8rCF/
イングランドのウィリアム1世征服王の王妃マティルドは
最初ウィリアム1世が庶子の出ということで結婚を嫌がったという
そんなマティルドをウィリアムは髪を掴んで引きずり回し
何度も踏んづけたりして、無理やり結婚を承諾させたというが
いざ結婚してみたら仲むつまじい夫婦になったそうだ
マティルド、Mだったのかな……つまり夜も……ハァハァ
460名無しさん@ピンキー:2011/12/03(土) 07:20:08.11 ID:pjhZNp1n
昔は政略結婚がデフォだったから、初めて会った時が結婚式だったってケースも
結構あって、それでも仲良い夫婦は仲良かったりする。
見ず知らずの異性といきなり寝所を共にする姫君の戸惑いやらなにやら想像すると萌えるw
461名無しさん@ピンキー:2011/12/06(火) 14:19:01.38 ID:Od0ftPuv
初対面でヤるっていいなぁ
462名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 00:57:12.29 ID:9TXZRvBX
>>412続き
微エロ




大広間での晩餐会。何度目かの乾杯の後に続く室内楽の演奏。
ビシッとした正装に決めている大臣や盛装に着飾った婦人達。
小国だけどやるときはやるぜ…と豪勢に並べられた
香草を添えた直火焼きの獣肉に川魚の塩焼き、こんがり焼き上がったパンに
カリカリに焼いたベーコンと山菜のパエリア。さらには瑞々しいサラダに甘いスィーツ。
そして葡萄酒に発泡酒。まだまだ数え切れないくらいのごちそうがあった。
立食の形をとっているので大臣、高官達が歓談したり、帝国の王に挨拶したりしている。
でもボクは――――――
「……………」
貼り付けたような笑いを浮かべて、できるだけ皇子から遠ざかっていた。
皇子の名前はリュティス。
中性的な顔立ちなのだが、時折見せるキリッとした表情に仕草は
まぎれもなく男の顔だ。大陸でも特に珍しい紅い瞳が印象的だった。
立ち振る舞い、笑顔に、礼儀等々……さすが帝国の王家の血筋、申し分ない。
それはいい…いい、そう……とってもいいんだけど――――――
(川で裸見たからっていう理由でお金取った相手にどうやって接すればいい?)
『初めまして、ようこそヴァルズガイストへ。第一王女のスティアです♪』
なんて笑顔で言えるわけがない…今さら上品なお姫様を演じたところで何になるのだろう。
気まずい、気まずい、非常に気まずい。極度の緊張に楽しみにしていた料理も美味しくない。
味がしない、まるで鉛を食っているみたいだ。適当に理由をつけてさっさと奥に下がろう。
そう思った矢先に――――――
「スティア、お前もこちらに来て皇子に改めて挨拶せんか」
くっそ、マジで空気を読めよ!呼ぶな、招くな、笑うな、クソ親父!
しかもボクに喋るなとか言っていたよな、ええ?
463名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 00:59:57.07 ID:9TXZRvBX
「リュイナッツ様、リュティス殿下、こちらが第一王女のスティアです」
親父が上機嫌な顔で言った。酒臭い……クッソ、こいつ酔ってやがる。
「リュイナッ…ツさ…ま、リュティス…様…第一王女のスティアでしゅ――痛ッ」
ああ…噛みすぎて唇噛んじまった。やばい。
「こちらこそ。スティア姫、突然お邪魔してしまって申し訳ありません」
「初めまして。お会いすることができて光栄です、スティア姫。帝国第一皇子リュティス=ザ=ゼオンです」
あーあー…こんばんは、こんばんは。演技はばっちり決まっているよ。皇子様。
ボクは居たたまれなくなって、適当な理由をつけてテラスに逃げた。

「はぁ〜………」
テラスには誰もいなかった。まだ晩餐が始まって間もない頃だ。こんな時間にテラスに出てくる人はいない。
夜風に吹かれて少し気持ちが晴れた。あーあ…落ち着いたらお腹が減ってきたよ……
何か摘んで持ってくればよかった。
「よっと…」
ボクは煉瓦でできた太い手すりに腰を掛け、城下の明かりを眺めた。
いつもはぽつぽつとしかない明かりが今日はいつになく多い。
あ、そういえば今日は収穫祭の日だっけ…すっかり忘れていた。
いつもならお忍びで―――というか皆、顔見知りだけど―――祭りに出て、
なんやかんやと喋り、酒場で腕相撲したり、踊ったりして楽しく飲み食いしている頃だ。
「あーあー…もう、つまんないなぁ」
「そんな所に腰掛けていると危ないですよ」
ふいに後ろから声を掛けられた。声からして侍女のミーナかな?
幼馴染みのミーナとは同じ年齢で気が合う。二人の時は女友達みたいに話したりしていた。
「いいの。ボクは酔ってないし、落ちるようなヘマはしないもん。しかも落ちても平気だし」
手すりの下は森で様々な木々が生えている。余程酔っていない限り、木の枝に掴まる自信はある。
伊達に『武道』の名前を冠しているワケではない。体術を中心に剣、槍、弓、そして銃器の扱い。
余談だけど、銃は1発撃ってから次の弾込めに時間が掛かるのであまり好きじゃない。
「コレ、持ってきたけど…食べます?」
後ろから差し出された取り皿には晩餐での料理が小分けされていた。
「さっすがミーナ、ちょうどお腹が減っていたんだ。ありがと」
そう言って鳥のモモ肉を手で取ってはむっと食べるボク。
「はぐはぐ…ああ、美味しい…さすがは国内産の地鶏の蒸し焼き…
一年に数回しか食べることができない最高の味だ〜ほっぺが落ちそう♪」
「美味しそうだね。僕も持ってきた甲斐があったよ」
「もう、ミーナ…ボクの口調まで真似しな――――――」
「葡萄酒もどうですか?スティア姫」
料理が盛られた小皿を持って来たのは旧帝国の皇子様だった。
「…え、あーん、ゴホン……リュティス殿下には、ご、御機嫌麗しゅ…」
ドレスの裾を持ち上げて、微笑みかけるがうまくいかない。
「ははは、いいよ、いいよ、挨拶は抜きで。一緒に食べよう」
テラスに設けられているテーブルの上に料理を置いて、向かい合うように座ったボク達。
「あ……あの先日は…えっと…ごめんなさい。知らなくて…」
「ああ、そのこと…僕も申し訳なかったし…いいよ。でもお金を取られたのはびっくりしたけど」
「えーと…あ、あの…お返します。今すぐ、取ってきますから」
席を立とうとするボクを手で制して皇子は言った。
「それより僕はスティア姫と話がしたいんだ」
「ボ…あ、い、いや…そのわ、ワタクシ…と?」
噛み噛みの返答。
ああ…普段、使い慣れていない言葉遣いでのお話はかなり疲れるんですが
その意図を汲み取ったのか皇子は言った。
「僕も堅苦しい挨拶とか外用の言葉って疲れるし、普段の君と話をしたいな」
464名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:01:06.04 ID:9TXZRvBX
「はむはむ……そう言えばさ、ティスはどうしてウチに寄ったの?」
ボクは干し葡萄を摘みながら、皇子…いや、ティスに向かっていった。
ティスとは皇子の愛称らしい。素のボクを見てティスは満足そうだ。襟元を弛めて皇子様は答える。
「本当は予定になかったんだけど…父上が寄ってみたいって理由が大半
僕も興味が湧いた…っていう理由が残りの分、ヴァルズガイストには迷惑な話だったかな」
確かに7日間の粗食はもう勘弁して欲しい。晩餐会の御馳走は美味しいけどね。
「ううん、そんなことないよ。この国に来るお客さんはほとんどいないし、他の国には何かの外交でまわっていたの?」
「えー…あ、ああ…そう。色々な用事があってね…」
ティスの声が暗い。他の国で嫌な事があったんだろう。
「ね、ね…聞いてみたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ん、何?」
「ティス皇子ってさ、今まで何人くらい女の人としたの?」
単刀直入に聞いてみた。すると王子はこめかみに手をあてて
「………え、ええっとね、君は僕に何が言いたいのかな?」
苦笑しながらティスが言った。
ボクは自分がイメージしていた王子のプライベートについて言ってみることにした。
「皇子様って仕事中の侍女を後ろから襲って『ここがいいの?するするって入っていくはずだよ』
とか言って無理矢理したり、正妻は地位が釣り合う年上の女の人にしておいて
毎晩、毎晩、側室としたり、気に入った貴族の若い娘とか街娘に夜這いして種をつけるのが皇子の仕事なんでしょ?」
「……あ、あのね…何の本を読んだか知らないケド…君はすごく誤解しているよ。
そんなふしだらなことしたら皇位剥奪されて幽閉されるし、最悪の場合は死刑にされちゃうよ。
それにね、他の国は知らないけど、帝国では側室制度は廃止されているの」
「……へぇ…そうなんだ…」
あれぇ…あの本にはノン・フィクションって書いてあったのに。あれはウソか、畜生め。
「そうなの。それに僕はまだ誰とも結婚してないし、もちろんしていません」
その言葉を聞いてボクは身を乗り出し、眼を輝かせて言った。
「あのね、あのね、あのね!30歳まで1度もエッチしないと魔法使い――――――」
「そういう話題はやめてね」
ばっさりと話題を切られてボクはしゅんと意気消沈した。
「………スティア姫、君はこの国をどう思っている?」
ふいに皇子が真面目な顔をして言った。
465名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:02:33.05 ID:9TXZRvBX
「え…どうって……」
「ヴァルズガイスト国は好き?」
「この国?それはもちろん好きだよ。小さくても、何の特産品もない国だけど好き」
これは偽りのない本音だった。だけど皇子はなんだか冷たい眼をして言った。
「この国は山が多い、そのせいで耕作に適した土地が少ないなら山を切り崩せばいい。
山を削れば鉱石や水晶が出てくるかもしれないのになぜしないの?」
なっ……何を言い出すのかと思ったら――――――ボクは毅然として言った。
「山には動物が住んでいるし、時には獲物になる。皇子の言う通り山を切り崩したら
鉱石や水晶なんかが出てくるかもしれないし、出てこないかもしれない。どっちに転んでも
確実に動物の住む場所は無くなる。たとえ動物でも住む場所を追い出すのはよくないことだよ」
「だったら、民の税を上げればいい。そうすれば毎日、美味しい食事が食べられるし、
外交費も工面できるし、耕作技術者も呼べる。それに自然が多い国だし川も湖もある。
綺麗な真水は貴重だし、その利権を使えばそれこそ都市の1つや2つは丸ごと買い上げることができる。
湖や川のおかげで夏場でも涼しいだろうから湖畔の土地を別荘地にして貴族を誘致したり、
湖を開発して夏の行楽地にして、武術大会なんかも開けばこの国はもっと豊かになるよ。」
確かに皇子の言っていることは合理的だ。今の税率を上げれば、
国民の暮らしは一時的に廃れるだろうけどお城では粗食から解放される。
真水の利権を使って他の都市を買い上げれば国民の食事も満たされるし、土地も増えるだろう。
潤った財力で湖や川、夏には最適な避暑地として他国に宣伝し、別荘地にして、
湖を開発して行楽地にすればこの国はもっと豊かになる。残念だけど、戦争に使う武術は太平の世には不要な存在なのだ。
それはわかっている。わかっているけど……でもボクは我慢できずにいった。
466名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:04:12.33 ID:9TXZRvBX
「本気でそう思っているの?」
「逆に聞くけど君はそう思わないの?貧しい暮らしから解放されるのは君も含めてこの国の人達もだよ?」
「でもそれは動物や買い上げた都市の人達を犠牲にして得た暮らしでしょ?」
「君は自国の民と他国の民、どちらが大事なの?」
「そ…それは…ど、どっちも大事だよ。人と人とを天秤に掛けられるワケないじゃない!
それが帝国の皇子の考え――――――」
ボクは熱くなって声を荒げようとした時

「それが王たる者の使命だ」

皇子の紅い瞳がボクを捕らえた。背中が凍り付くような感覚だ。
蛇に睨まれた蛙のように動けないっていうのはこういった感じなのかもしれない。
「――――――って、これお祖父様の言葉なんだけどね」
ティスは笑っているけど、眼だけはボクを見据えたままだ。
ボクはその気を何とか払って、震える声で言った。
「そ、それは間違っている!そ、その考えは間違っているよ!」
「どうして?」
「そんなの決まっているよ。民があっての国じゃないか!みんなを蔑ろにして自分達だけ良い思いして!
他人を犠牲にして成り立つ幸福なんてボクは絶対にいやだ。そんな王は人の上に立つべきじゃない。
ボクはそんな王を絶対に認めない!それにこの国を避暑地?湖を開発?
冗談じゃない、自分の豊かな生活の為に誰かを、動物達を綺麗な湖を犠牲にするくらいなら!
今の生活の方がずっといい!100倍マシだ!」
ボクは声を荒げて言い切った。ここはテラスだ、
晩餐会の音楽にかき消されてどうせ誰にも聞こえやしない。
「ふふ…」
すると皇子は思ったかくすくすと静かに笑った。
「今、笑った?こっちは真面目な話をしているのに!」
「いや、ごめん、ごめん……僕も君の意見には大賛成だ。やっぱり僕の眼に狂いはなかった」
そう言って皇子はボクの手を掴み、眼を輝かせて言った。
「スティア姫、素晴らしい考えだよ」
「あ…え?……い、いや…」
ボクは拍子抜けした。これがさっきまで議論していた皇子なのか?まるで別人のようだ。
「スティア=ヴァルズガイスト第一王女、僕は君のことすっかり気に入っちゃった」
ま、真面目な顔でそう言われると、背中がむず痒くなる。
「ああ、そりゃ……どーも……アリガト…」
「あとは言葉遣いだけだよね。ま、そんなのどうとでもなるし…」
うんうんと何かに納得しながら皇子はボクを見た。
「何をブツブツ言っているの、はっきり言えばいいだろ」
腕を組んで思案に耽っていた皇子は視線をこちらに向けて言った。
「いや、僕さ……君をお嫁さんにもらいたいなって思って」
「はぁ?お嫁さん?」
ボクは思わず声を上げてしまった。この皇子様、何を言っているんだ?
「ボクを嫁にもらいたい?それって結婚したいってこと?冗談でしょ?」
「冗談?スティア、君は一国一城の主のお姫様だし年齢的にはクリアしているから問題ないよ」
「問題大アリだよ。かつての帝国の皇子とボクが釣り合うはずないじゃない。もっと大国の姫様と
結婚するのが当然でしょ?」
467名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:05:02.38 ID:9TXZRvBX
「僕は――――――」
皇子がボクの腕を取った。
「え、な、何を…ちょっとんッんん!?」
柔らかい唇がボクの唇に重なる。こ、これってき、キス!?
……何がど、どうなって!?
「んんぅ!ふッふはッ!ちょっ…皇子!ボ、ボク―――んうううッ!」
逃れようとして、一瞬唇が外れた……けど、すぐに掴まって今度は深いキス。
「――――――本気だよ」
あ、ああ……やばい、何か力が抜ける。な、なんで――――――
クラクラする思考を何とかしようとしているウチに皇子の唇が離れた。
「い、いきなり……何するのよ……」
「僕は本気さ…スティア……僕と結婚して欲しい」
「で、でも…そんな事、急に言われても…」
ボクは自分でも恥ずかしくなるほど乙女な声で俯いた。
「誰が何と言おうとも『否』とは言わせない。それが父上だろうとも母上だろうとも絶対に言わせないさ
もっとも――――――君が『否』だったら話は別だけど?」
あ、ああ…そんな顔して言われると…ヤ、ヤバイ…皇子はそう言ってもう一度キスしてこようとした
ボクはその唇に手をあてて言った。
「だ、ダメ……こ、これ以上…こ、ここテラスだし…誰かが来たら――――――」
「それは『肯定』って事でいいのかな?」
「う、ううう………だからここは、場所が、場所だし!」
「大丈夫。秘書官のティータに『魅了』の魔法使ってもらっているし、ちょっとした魔法なら僕にも使える
……この晩餐会で僕と君、このテラスの存在を希薄にさせる魔法をね」
ちょっとしたって……そ、それってものすごく複雑な高等魔法じゃないの?聞いたことないってそんな魔法。
童貞で30歳にならなくても、正真正銘の魔法使いだったんだ!

ああ…今、ボクはドレスの裾を捲り上げて、テラスの壁に背中を預けている。
立ったままでボクの足元にいる皇子から愛撫を受けている格好だ。
「下着……いいかな?」
「………あ…で、でも」
今日に限って紐パンだ。皇子がスルスルと紐をほどくとハラリと下着が落ちた。は、恥ずかしい…
両脚を開くとうっすらと茂ったアソコが丸見えだ。立ったまま晒すなんて…激しく恥辱。
皇子はボクのお尻に両手を回し、指を食い込ませた。ぐむにゅっと弾む弾力。
「は…あっ…あふっ」
顔から火が出る程恥ずかしいのに自分でも驚くほど変な声がでる。
鼻に掛かったようなイヤらしい声だ。
「んっ…ちゅ」
「あっ…んんぅ!」
皇子の舌がボクのアソコと突起をペロリと舐めた。
「綺麗だね……」
「な、舐めないで…き、汚いよ」
「川で洗っていたのに?とっても綺麗だよ、でもあまり生えてな――――――」
「そんな恥ずかしいこと言うなっ!」
ボクは皇子の頭部をガシッと押さえつけた。
「ハハハ、ごめん、ごめん……でも本当に綺麗だ」
皇子は片方の手で股間を股探りはじめ、一番敏感な突起を指で愛撫した。
「こ、こんな…いや…や、やめ……んんんッ!」
ひとしきりボクのアソコを堪能すると両肩を掴み、立ち上がった
「はっ……ん…ティス…?」
「初めてはココじゃイヤだよね。続きは君の部屋の方がいいと思う」
………う、うう……ここまでしておいて……もう!

続く

次回で完結
>>461初対面でエッチするところで切ってすいません。
468名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 20:08:58.18 ID:7IFxaKOV
待ってた!
王子様いきなり積極的だな! しかし寸止め・・・
続き期待
469名無しさん@ピンキー:2011/12/14(水) 13:20:05.24 ID:CtQqjWTg
王子様手馴れすぎてるw
ゼッタイ、あちこちの風光明媚な田舎国家でお姫様食い散らかしてるぞw
470名無しさん@ピンキー:2011/12/14(水) 22:19:44.68 ID:z1RcxaTh
男言葉の姫様可愛すぎる
471名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 14:06:56.89 ID:sxxZq7yq
投下します。『秘密の勉強会』のタイトルで全部で3レスです。

※注意
本格的な百合ではありませんが女同士による擬似フェラです。
472秘密の勉強会1/3:2011/12/17(土) 14:08:58.45 ID:sxxZq7yq
ドレスを身につけた女たちが二人、人払いした部屋の中で顔をつきあわせ
本を開いていた。一人は黒髪、非常に整った顔立ちの美女で名はアウラという。

切れ長の瞳の鋭さが人によっては冷たい印象を与えるかもしれない女性であった。
もう一人は金髪で名はエレノア。若草色のドレスにはわずかだがアウラよりも
質の良いレースがあしらわれている。つぶらな瞳に長い睫毛の愛らしい娘だ。
何より笑顔が華やかな少女であった。

二人の容姿はいずれも魅力的ながら全く似てはいなかったが、姉妹のような
睦まじさで一冊の本を挟んでいた。
まるで姉が妹にはまだ読めない外国語の物語を読んでやるかのように。



「よろしいですか、姫様。これが『口取り』といわれる行為にございます」
そう言ってアウラは本の頁を開き、挿画の一つを指差した。
「まぁ……」
エレノアは思わず柔らかな金髪を揺らしながら口元に手をあてて嘆息する。
その頁にある挿画には裸の女が、同じく裸の男の足と足の間に頭を入れ、
男根を口に含んでいる様が精緻に描かれていた。

外国語の物語などとんでもない。これは紛れもない春本であった。
だがそれを見やるアウラの美貌には羞恥の影など少しも存在しなかった。
淡々と横に書かれた、いかに女性が男根を舌で刺激し男性の欲望を
口内で受けとめるべきかの説明を朗読する。

エレノアは愛らしい顔を困惑で曇らせながらも挿画を真摯な瞳でみつめて言った
「これを、わたしもいずれは旦那様となるべき殿方にするのね」
「ご夫君が望まれるのであればですが」
「そう……ならばやはり嫁入り前の技芸のひとつとして修得しなくてはならないわね。
ええと、こうすればいいのかしら」
エレノアは挿画を見ながら鏡を片手にああでもない、こうでもない、と
舌の動かし方を研究していた。だが成果はどうにも芳しくないらしく
悲しげに眉を寄せると力なく嘆息した。

「駄目だわ……うまくできてるのか、そうでないのかすらもよく分からない……」
「お任せくださいまし、姫様」
すると女主人の嘆きをうけて侍女のアウラがその悩みを解決すべく、
音も立てずにすっと立ち上がると、戸を開けて部屋の外にいた端女を呼び止めた。
「わたくしの部屋にある物入れから、百合の刺繍のしてある袋を
持ってきてちょうだい。部屋の中にいる女官に言えば分かるから」

あまりにもあまりな会話をしているこの二人が何をしているのか、その発端は数ヶ月前にさかのぼる。
王女であるエレノアは年頃ということもあり、そろそろ結婚という話が出始めていた。
相手はまだ決まってはいないが候補はいくつかあるようで、父王とその大臣たちの間で
幾度となく話題があがっていることをエレノア自身も耳にしていた。

家庭教師も今までのように外国語や詩歌だけではなく『男女のしくみ』といった事を
合わせてエレノアに教えるようになり、婚姻とそれに付随する行為をエレノアも理解するようになった。
若い女官たちが笑いさざめきながらひそやかに話していた事の意味がはっきりとして
エレノアは得心していたが、半分坊主のような家庭教師の授業では男女の交わりの説明は
ただ書物のみで行われ、格式はあるが古びた言語で「神が祝福される夫婦の結合」などと
言われても、エレノアには実際の行為がいまいちピンとこないのであった。
473秘密の勉強会2/3:2011/12/17(土) 14:11:09.78 ID:sxxZq7yq
そうしてエレノアは乳姉妹であり腹心の侍女でもあるアウラに相談をしたのであった。
房事のことをもっと色々知りたい、と。
昔からアウラはこの年下の女主人に甘い。頼まれればなんだってするのが常であった。
アウラは房事にまつわる本や道具を集め揃えると、エレノア相手にそれを教材として
二人だけの勉強会を開くようになったのだ。
そして今日は口取り――すなわち男性器を口で刺激する方法を学んでいた。



袋を持ってこさせるとアウラは中から白い筒のようなものを取り出した。
艶やかに白く塗られたその筒は、長さとしてはせいぜい女の手のひらよりも
少し長いくらい。細長い円筒形をしているがその先が玉子のように丸みを帯びていた。

だが丸みを帯びているのは先端だけで、円筒部と先端との間にはくっきりとした
くびれがあった。それが何なのかを知らないエレノアはそれを見て無邪気な笑顔を浮かべた。
「あらなぁにそれ。お人形? かわいいわ」

「人の形を模したもの、という括りでいうならば人形と言えるかもしれませんね。
これはディルドー。性具と呼ばれる類の物です。よろしいですか姫様、これは
この本に描かれた男性器を模したものなのです」
「そんな、では殿方には皆これと同じものがついているの!?」

エレノアは渡されたディルドーをしげしげと眺めていたが、それを聞いて
衝撃を受けたように目を見開いた。そして侍女に言い募る。
「そんなの絶対おかしいわ。だってこれがついてるならわたしだって
気がついたはずよ。殿方はスカートではなくズボンを履いてるのですもの。
これがついてたら、すごく目立ってしまうわ。そうでしょう、アウラ」
「本物のこれは大きさが変わりますので」
「まぁ……伸縮自在なんて、殿方はとても器用なのね」
侍女はそんな事は一言も言ってはいないのだが姫君は大きな勘違いをした。

「……これは男性器の模型ですから、口取りの鍛錬をなさるにはこれが
あった方がやりやすいかと」
「ではこれを口の中に入れれば良いのかしら?」
ディルドーを掴んだまま、侍女にそう問うと教師役の女は首を振った。
「いいえ、いきなり口にお含みになるのは早すぎます。
まずは先端に唇をつけてくださいまし」
言われるがままにそうすると、侍女は次の手順をエレノアに説明した。
「そのまま先っぽを舌でちろちろと舐めて……そうです、その調子ですわ」
「ん……」
「どのくらいの時間そうするかは殿方の反応次第ですが、殿方の陰茎が
しっかりと固くなったら、もう口内に入れてしまって構いません」
エレノアは唇を開くと、思ったよりも大きいその道具を口に含んだ。
「いんけい」の綴りが気になってはいたが、口に物を入れているため喋れず、
尋ねることが出来なかった。

「口に含んだら、唇をすぼませて刺激を与えてください。
中で先端を舌で舐めることもお忘れなく。……けして歯を立ててはなりませんよ」
「うう……」
なかなか大変なようでエレノアは声を洩らしながらも懸命にアウラの指示に従っていた。
姫君の口の端から透明な唾液が一筋流れていく。
「次の段階に参りますわね。失礼いたします」

そう言って侍女は姫君の口の中に入った淫具を掴んだ。
それをゆっくりと滑らし前後に動かしていく。
474秘密の勉強会3/3:2011/12/17(土) 14:13:13.19 ID:sxxZq7yq
「う、……んんっ、あうあ、くるし……」
「鼻で息をなさるんです。そうゆっくりと、舌を動かして……
くびれた所がございますね。そこは舌で分かりますか?
その部分をなめるのです。まんべんなく、じっくりと」
「あ……う、う…っ」
上気した顔でエレノアはぴちゃ、ぴちゃと淫具を舐めていく。
その表情といい、口から出してまた挿れていく時にのぞく桃色の舌といい
それはいやらしく、見るものの劣情を誘うものだったが、姫君の口内を形として
道具で蹂躙する侍女は、あくまでかすかな微笑を浮かべたまま、エレノアの
技巧を教師らしく褒めたり助言するのみで、その表情を変えはしなかった。
そのため姫君も自分がどれだけ淫蕩な姿を見せているのか、はっきりとは理解してはいなかった。

「う……っ」
「もう、このくらいでよろしいでしょう」
アウラはそう言ってエレノアの口から淫具を引き抜いた。
透明な糸が唇と淫具との間をつないでいく。
懐から絹の手巾を取り出すと、アウラは濡れて光る淫具をすっとぬぐって包んだ。
エレノアもまた自分の手巾で唇をぬぐう。
「ねぇアウラ。わたし、うまく出来ていた?」
「もちろんですわ、姫様。初めて挑戦されたとは思えないほどの出来。
なにをなさってもお上手ですね、さすがわたくしの姫様」

アウラに褒められてエレノアは頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。
自分を褒めてくれるときのアウラの優しい微笑がエレノアはとても好きだった。
アウラは、尊敬はしているが遠い存在である両親よりも、他国に嫁に行ってしまった
姉妹たちよりもエレノアにとっては身近な存在だ。

「お疲れになったでしょう。お茶の用意をさせましょうね」
そういってアウラはわずかの間にエレノアが大好きな菓子も
用意した茶席を設けてくれたのであった。



夜の静寂の中、寝台で横になったままエレノアは今日の勉強会のことを思い出していた。
(わたしの旦那様になる方は口取りがお好きかしら?)

エレノアはいずれ自分が嫁ぐのは、誰にしろ顔も知らない男なのだということをよく分かっていた。
何が好きか、何が嫌いかも分からない。名前すら知るのは婚姻の少し前だろう。
上二人の姉もそうやって他国に嫁していった。父王の命令で。
それをエレノアは特に不幸だとは思ってはいない。王族としての努めだと割り切っていたからだ。

(夜の営みが上手くできれば、わたしの事を愛していただけなくとも
気に入ってはいただけるかもしれないものね。そうすれば――)

王族の女が嫁ぐ目的はただ一つ。
嫁した国で至尊の冠を受け継ぐべき子を生み落とすことだ。その国に、エレノアの
一族の血の楔を打ち込むことだ。エレノアはうつろに目を見開いて天井を見つめていた。

(きっと大丈夫……)

どこに嫁ぐにしろ、姉であり教育係であり友人でもある乳姉妹のアウラが
きっとついて来てくれるだろう。ならば、けして寂しくはなかった。

(だから、きっと大丈夫……)
エレノアはもう一度、そう胸の内で呟いて瞳を閉じた。

(おわり)
475名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 14:15:14.96 ID:sxxZq7yq
以上です。
>>456-460にあった昔のお姫様の話みてて、お姫様は政略結婚するにあたって
結婚前に性教育とか受けるのかなー、それって侍女とか乳母が教えるのかなー
悪ノリして過激なこと教える侍女とかいなかったのかなーとか思ってのネタでした。

読んでくれた人ありがとう。
476名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 16:05:54.70 ID:XUCWspSi
職人様乙です
エレノアが上品エロ可愛いくてツボだ
477名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 00:30:31.79 ID:xHZomjJV
>>475
おつおつ
すげえ好みな話だわ。アイデアがあればまたこういうの書いて欲しい


ところで保管庫の
http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
が消滅してるな。とりあえずWebArchiveでみれたけど放置でいいの?
478名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 14:41:51.96 ID:gIYZC5oW
>>475 おつ!
侍女はお姫様が淫具舐めてるの見て興奮してんだろうな
処女を傷つけない範囲でエロ調教を展開しそうな


保管庫はトップページが
http://www14.atwiki.jp/princess-ss/pages/1.html
になってる?保管庫自体は存在してるんだな
そろそろこのスレの容量もやばくなってるけど保管庫の中の人はまだいるんだろうか
あるいは保管作業できる人いる?
Wikiだけど、作業によってはロックかかってて俺にはよくわかんないんだ
479名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 14:56:17.03 ID:gIYZC5oW
連投ゴメン
というか、中の人がなんか作業してくれたっぽい?
11/19が最終更新でなんか保管SS増えてる
480名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 21:52:08.38 ID:a+7Whlzf
>>479
残念ながら管理人さんはしばらく音沙汰ナシです。
中華の国シリーズから私が作品を保管庫に勝手に増やしています。
481名無しさん@ピンキー:2011/12/19(月) 00:50:25.79 ID:voyjW0PY
>>480さん、ありがとうございます。
覇王の〜の作者ですが
孫娘が保管されてて嬉しかったです。
本当にありがとうございました。
482名無しさん@ピンキー:2011/12/19(月) 17:15:11.65 ID:J3zj+xlg
>>480さん乙です
483 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:09:46.17 ID:wxtxAmp+
オリジナルの姫陵辱物を投下します。
15レスくらいになると思います。
484 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:19:35.49 ID:wxtxAmp+
「そろそろかしら…………」
 教育係に読んでおくように言いつけられた小難しい退屈な本を閉じ、ナトダール王国の第一
王女、ネフェティアは立ち上がった。城の最上階の奥にあるネフェティアの私室には、商人か
らの貢物であるきらびやかな調度品や絵画、ドレスが、差し込む陽光をよりまばゆいものと変
えて室内を明るく照らしていた。
 もっとも、当の本人は、暑さからか分厚いドレスを嫌い、この時期は装飾も控えめな、袖の
ない薄手のワンピースを身につけることが多かった。
「…………」
 窓の外から裏庭を眺めると、退屈そうな顔をした兵士があくび混じりに城内の警備を行って
いるのが見えた。太陽が一番高くなったところであの兵士は食事に出かける……そして交代の
兵士がやってくるまでのわずかな間、裏庭に人はいなくなる。
 このときが、ネフェティアが城を抜け出す唯一の機会だった。
 城の近くにある森の奥には小さな湖があり、今日みたいな暑い日には、水浴びをするために
よくそこに足を運んでいた。一糸纏わぬ姿で、程よく冷たい水に浸かり汗を流す……想像した
だけで気持ちがさわやかになり、少しも待てなくなってしまっていた。
「……この格好なら、大丈夫よね」
 窓の外から顔を出すと、吹き付ける生暖かい風が額を撫で、長い金髪をなびかせる。遅れて
やってくる地面や草の湿った匂い……嗅いでいるだけで蒸し暑さを思い出し、額に汗が浮かん
でしまった。不快感を覚えつつも兵士の動向を窺い続ける。
「あっ、早くしないと」
 兵士が詰め所のほうに向かってのろのろと歩き出す、引き出しから銀でできた鍵を取り出し、
くるぶし辺りまであるワンピースの裾を翻させながら、ネフェティアは足早に裏口へと急いだ。

 ネフェティアが裏庭にたどり着いたころには、すでに兵士の姿は消えていた。周囲にも人気
はないようで、人も、花も、木も、城も……何もかもがが昼寝をしているみたいだった。
「………………」
 裏庭の一番奥まったところにある大きな茂みの向こう、ここにネフェティアとこれを作らせ
た大工しか知らない秘密の出口があった。一見すると外壁と同じ素材のレンガだが、レンガを
貼り付けただけの木の扉であり、その中は外と内を繋ぐトンネルになっている。
 人目を気にしながら、扉の鍵を外す。中に入り同様に扉を閉めて、四つんばいになってトン
ネルを進む。窓がないこの通路はじめじめとしていてどこか黴臭い。絹のハンカチで鼻を押さ
えながら出口へと這い進み、もう一つの扉を開いた。
 「んっ、今日もいい天気ね……」
 いい意味で言ったのではない。ぎらつく太陽の光は毒々しく、ネフェティアの真っ白な肌を
遠くから火で炙っているようだった。それでも城の中に閉じこもっているよりはずっとましだ
と、膝や肘を軽く払い、足取り軽く森のほうへと進む。

――――――――――――――――――――――――
 まばらに立ち並ぶ雑木林の陰でネフェティアの様子を窺う男が一人、足早に森の奥へと進む
彼女を一定の間隔を保ちつつ、足音を殺し後ろから付け回していた。
「……あいつの言ってた話は、本当だったのか」
 数日前、男はかつて城壁の補修を行ったという大工と一緒に酒を飲んだ。そのとき、酔った
大工はネフェティアから特別に金をもらい、隠し扉を作ったという話を男にぽろりと漏らして
しまっていた。
「それにしても、さすがは姫様だな」
 一人でいるゆえの警戒心なのか、ネフェティアは少し歩くと後ろを向いたり落ち着かない様
子できょろきょろと左右に視線を移す。男はその瞬間に、目ざとく彼女の顔を盗み見た。
 腰まである髪は純金を思わせる明るいブロンドで、降り注ぐ木漏れ日を反射しきらきらと光
り輝いていた。エメラルドグリーンの大きな目、小さく、筋が通っている鼻、朝露に濡れた花
びらと見間違えそうな薄桃色の瑞々しい唇、貝殻のように小さな耳……顔立ちはまるで精巧な
美術品のようだったが、湛えた笑みと薔薇色の頬が、彼女が血の通った人間であるとはっきり
と教えてくれた。
「…………」
 次に、男はネフェティアの首から下に目をやった。細くなだらかな肩幅、無骨さとは無縁な
小さな手と真っ白な指は、薄絹のヴェールをかぶせたようだった。
485 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:19:59.90 ID:wxtxAmp+
「たまんねぇな……」
 そして何よりも男の目をひきつけたのは、可憐な外見からは信じられないほどに大きく張り
出している乳房だった。左右の膨らみは大きな水晶玉でも詰まっているのかと思うほどに前に
張り出している。しかしそれは水晶玉とは異なり、呼吸するときでさえ上下にゆさゆさと揺れ
ており、触れなくても柔らかさが見て取れる。
 その一方で、ウエストは引っ込んでおり、強く抱きしめてしまえば折れてしまいそうだった。
お尻は、くびれた腰から急激なカーブを描いており、乳山同様、若さに溢れんばかりに前に飛
び出している。ボリュームゾーンにフィットしたスカート部分からは、かがみ込むと下着のラ
インが見えてしまうほどにむっちりと肉がついていた。
 男はさらに目線を下に移す。丈の長いドレスのせいで太ももの脚線美を見ることはできな
かったが、ネフェティアが歩を進めるたびに裾が風に煽られてめくれ、引き締まったふくらは
ぎや足首はその目におさめることができた。
 
「いい身体してやがるな、へへっ」
 彼女のお尻は、ドレスを破らんばかりに実りきった乳房より大きさではわずかに劣る。しか
し丸みを帯びてきゅっと上を向いた二つの山は、彼女が勢いよく地面を踏み込んだところでぷ
るんっと大きく上下に揺れて、そのたびに男の目が吸い寄せられてしまう
「……早くおっぱいも見せてもらいたいところだぜ」
 薄皮を纏った水蜜桃を思わせる尻も悪くなかったが、最も魅力的なのは乳房だろう。隠され
て見えない生乳はいったいどうなっているのか。蕩けんばかりの肉弾は純白のドレスにも負け
ないほどの抜けるような白さで、血管が青く、うっすらと透けているだろう。その頂点には色
づきかけた小さな木苺があるに違いない。
 そして実際に触ってみれば、激しい自己主張とは裏腹に指はあっさりと飲み込まれ、吸い付
くような汗ばむ肌は、同時に指を優しく押し返してくれるはずだ……ここまで想像したところ
で、男のペニスは今までにないくらいに勃起していた。
「早く触らせてもらわないと、身が持たないな」
 妄想だけで、ここまで股間を熱くしてしまうなんて、オナニーを覚えたての少年じゃないか
と、男は苦笑する。だが、ここまで興奮させられたことで、男はネフェティアに襲い掛かり青
さの残る美しい身体を自分のものにしたくなってしまった。
 幸いにもこの森に入り込む人間は、狩りを生業としている男以外はほとんどおらず、また、
ネフェティアに護衛がついている様子もない。お忍びで森の奥に向かっていると考えれば、万
に一つも隠し扉の存在が明るみになり彼女が城を抜け出せなくなる可能性もある。
 このチャンスを逃す手はない……男は少しずつ距離を詰めながら、ネフェティアを犯す機会
を窺った。

――――――――――――――――――――――――
 うっそうと並ぶ木々に囲まれた湖、木漏れ日が水面を照らし、一点の曇りもない澄み切った
水はそれを反射し、光を当てた鏡のようにまぶしく輝いていた。ほとりまで近づいて、水を手
ですくうと心地よい冷たさが手から腕へと伝わり、汗が引いていく。
「……誰も、いないでしょうね」
 普段から人がいたためしはないのだが、一応左右に視線をずらし誰かいないか確認する。聞
こえるのは風が葉を揺らす音と虫の鳴き声のみ……安心したネフェティアは、待ちきれないと
いわんばかりに袖と背中にあるドレスのボタンに一つ一つ手をかけていく。
 すべてのボタンを外し終えると、くるぶしまでのロングドレスがふわりと地面に落ちた。そ
れを拾い上げて折り目正しくきれいに畳む。
「…………」
 ブラとショーツも脱いでしまおうとしたとき、透明な水面に自分の身体が映し出されて、ふ
とそれに目が行った。赤ん坊の頭ほどある自分の乳房、細い腰からぱんっと蜂のように膨らん
でいるお尻、ネフェティアは自分の身体があまり好きではなかった。
 幼いころから、一国の王女として常に潔癖であることを求められてきた彼女にとって、兵や
従者、貴族から注がれる、異性の卑猥な視線は苦痛でしかない。
「こんなもの、なくなってしまえばいいのに」
 この前も、たまたま胸の開いたドレスを着ていたら、胸の谷間ばかりに目を向けられてすっ
かり参ってしまっていた。また、侍女も着替えや入浴を手伝うときに、彼女の乳房に不躾な視
線を送ることがあり、恥ずかしいやら不愉快やらで、いつの間にか風呂には一人で入るように
なっていた。
486 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:20:27.56 ID:wxtxAmp+
 それに、侍女の中には肉欲から城内で堂々と男と性交にふける者もいるということを小耳に
挟んだ、自らを律し、民の手本とならなければならない立場であるネフェティアにとっては頭
がくらくらするような話であった。
 そもそも、性欲とは無縁な自分ばかりがじっとりと這い回るような視線を一身に浴びなけれ
ばいけないのか、不条理な現実を呪ってしまう。だいたい…………
 ……やめよう、これ以上考えていたら気が滅入ってしまうと、ネフェティアは軽く頭を振っ
て、精緻なレースを設えたシルクのブラを外す。外気に晒された豊かな乳房が、ふるりと揺れ
る、それとおそろいのショーツも脱げば、毛の生えていない、閉じたスリットが湖面に映った。
 成熟した身体とはあまりにかけ離れた子供同然の秘所、毛が生えていないのはネフェティア
だけで、それもまた他人を遠ざける遠因となっていた。

 足の指先をそっと水に浸らせる、前に進むとくるぶしから膝、太ももと身体が冷水の中に沈
んでいった。
「んふっ……」
 さっきまでの暑さが嘘のように、ネフェティアの身体を涼しさが包み込んだ。むっと鼻をつ
く草木の臭いも、緩やかにまとわりつく湿っぽい風も、立ち上る地熱を吸い込み、何倍にも返
して吐き出す陽の光も、何も気にならなくなっていた。
 このときだけは、ナトダールの王女であるということを忘れられる、しゃがんで一気に肩ま
で潜ると、湖水と自分が一つになって溶けあうような気がして、爽快な気持ちよさが全身を包
み込んでくれた。
――――――――――――――――――――――――
 男は、近くの木陰から、ネフェティアの水浴びをする様子を絵に描けるくらいに綿密に観察
していた。生まれたままの姿になった彼女は、男の想像を上回る美しさだった。薄桃色の乳暈
はコインくらいの大きさで、ゆさゆさとたわむ乳房に比べると、不自然なほどに控えめだった。
 その頂点にある先端は、周囲よりも濃い桃色で、木苺というよりは色の薄い小粒なさくらん
ぼに近かった。これもまた、小娘のように控えめなたたずまいだった。
「あんなにいい身体してるのに、ガキみたいなマンコだな……」
 男の予想を大きく裏切ったのは、桃色の中身をわずかに覗かせた無毛の淫裂だった。おそら
く処女なのだろう、女性器とは思えないほどに楚々としており、犯しがたい雰囲気すら匂わせ
ていた。

 太ももに目をやろうとしたところで、ネフェティアが背を向けて水中に沈んでしまう。
「ちっ…………」
 再び立ち上がるのを待っていると、男の近くに彼女のドレスが畳まれているのに気がついた。
運のいいことに、それらは死角に置かれている。
「これだけでも、高く売れそうだな……」
 指触りのいい上品な絹のドレス、施されたレースは目を凝らすとひどく複雑な模様をしてい
た、他にも、大きな宝石のついた指輪やネックレスなど、装飾品はどれも王女としての格にふ
さわしいものばかりだった。
 しかし、小さく重ねられたブラとショーツがそれ以上に男の目を射抜く。小さな布にはふん
わりと彼女のぬくもりがまだ残っていた。男は生唾を飲みながら下着を広げる。
 ドレスと同じく色は白で、まさぐっていると細やかなレースが指に引っかかった。ブラの
カップは大きく、手で包み込めるかといったところだった。一方、同じデザインのショーツは
彼女の巨尻ではこぼれてしまうのではないかと思うほどにカットはきわどく、ヒップ部分の布
地は三角形に近かった。
 下着に顔を近づけた瞬間、水音が湖畔に響き渡る。ネフェティアが立ち上がったみたいだが、
まだこっちへ向かってくる様子はない。安心した男は、雫を滴らせる胸山、秘裂を舐め見つつ、
ショーツを鼻に押し当てた。
「ううっ……!」
 ほんのりとした温もりのすぐ後に、もぎたての果実と花蜜を混ぜ合わせたような甘い匂いが
男の鼻を強烈にくすぐった。ネフェティアの身体の匂いなのだろう、美しい彼女にふさわしい
芳香だが、それと同時に女体から発せられる生々しい汗の匂いも感じられた。
 きれい好きなのか、布地には汚れ一つないが、ここに来るまでに汗をかいており、ショーツ
はわずかに湿っていた。
「はあ、はあ…………っ」
487 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:20:50.90 ID:wxtxAmp+
 急ぎ足のネフェティア……尻からは汗がにじみ、割れ目から潤いがこぼれ、その全てが下着
に染み込み、一つの芳しさを作り上げる。想像しただけで男のペニスは鈴口から先走りを垂れ
流してしまう。
 興奮冷めやらぬまま、今度はブラに持ち替えて、カップの、おそらく乳首が当たっているで
あろう部分に鼻をこすりつけて深く呼吸をした。こちらは、濃厚なミルクを思わせる甘ったる
い香りが目立っていた。
 
 ちょうどカップのに鼻を押し付けて勢いよく呼吸をしながら、男は物陰から彼女の裸を舐め
回すような、疑り深い湿った目で観察する。
 ふっくらした濃い桃色の唇と、初々しさを残した清純な顔をみているだけで、徹底的に汚し
てやりたいという無償に倒錯した感情が男の心中にこみ上げてきた。特に、濡れた唇は、上唇
が薄いが下唇はやや厚くて、砂糖菓子のように甘くおいしそうに見える、思わずふるいつきた
くなるものだった。
 考えうるだけの清らかさを具現化したような顔とは違い、身体は純真無垢な妖精を感じさせ
る透明感の中にも、豊満な乳房やお尻は、生々しい肉を感じさせてくれる。
 身体を動かすたびに、何一つ欠点のない彫像のように優雅な曲線を描く身体を水滴が流れ、
張り詰めた皮膚に弾かれ、その滴が湖面に波紋を作った。ネフェティアが水に濡れたおかげで、
神々しさすら覚えてしまう丸みの頂点にあるチェリーは、シロップを浴びたように照り光り、
甘やかに息づいていた。
 あの巨乳からはこんなにいい匂いがするのか……と、そして、どんな触り心地なんだろうか
……与えられた快楽が、さらに別の妄想を生み、男を支配する。そして自分を慰めるために乳
臭さが残るカップにむしゃぶりつき、染み付いた匂いをすべて吸い取らんばかりに深く、短い
間隔で呼吸を繰り返した。
 視覚と触覚と嗅覚、この3つの刺激が否応なく男を高ぶらせ、ペニスは触れていないにもか
かわらず今にも射精してしまいそうだった。
「今すぐ襲うか……いや、待てよ……」
 物陰から這い出そうとしたところで男は足を止める。裸の彼女を襲うよりも、純白のドレス
を、ショーツを引き裂いて、強引に組み敷いた上で荒々しく処女穴を引き裂きたかった。微塵
の濁りも見えない、きらめく双眸を恐怖に彩らせたかった。咲きほころぶ艶やかな笑顔を悲し
みで塗りつぶしてやりたかった……ネフェティアを見ているだけで男の嗜虐欲はどんどん高
まっていく。
「……服を着るまで、待つか」
限界すれすれの性欲は、もっと近くで彼女の裸を見たいという衝動に変わった。身を隠せると
ころはないだろうかと探すと、ネフェティアの近くに小さな茂みを見つける。こちらを向いて
いないときを見計らって、男はしゃがんだまま茂みへと移動した。
「……これはこれは……」
 男は自分の幸運に心の底から感謝した。ネフェティアの艶かしい、たっぷりと肉のついた身
体が手を伸ばせば届く位置にあるからだった。ここまで近づいたにもかかわらず、油断してい
るのか気づくそぶりすら見せない。
 遠くからではわからなかった肌のきめの細かさ、臍近くにある小さなホクロ、さらにお尻を
突き出した瞬間に深い切れ込みからわずかに見えた桃色の窄まりなど、穴が開いてしまうほど
に鋭く、ねちっこい視線を男はぶつけ続けた。
「早く、ぶちこみてえな……」
 荒くなる息を押し殺そうと、ショーツとブラジャーに顔を埋めるが、匂い立つ花香がさらに
男の興奮を煽り、我慢汁は下着どころかズボンにまで染み出している。

――――――――――――――――――――――――
 水浴びをしている間、すぐ近くから視線を感じていた。さらに、きれいに折りたたんだはず
のドレスや下着が少し散らかっており、それがネフェティアの心配を煽った。
「そろそろ帰らないと、見つかっちゃうかも……」
 食事を済ませた兵士が戻ってくる前に城に帰らなければならない、不安を振り払いつつ下着
を身につけて、ドレスに袖を通した。
 その瞬間、不意に強い力で誰かに抱きすくめられた。振り向けば血走った目をした男が……
身体を動かそうとしてもびくともしない、それどころかどんどん奥まったところに連れて行か
れてしまう。
488 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:21:13.30 ID:wxtxAmp+
「きゃあっ…………!」
「静かにしろ!」
 男が食い締めていた口を大きく開けて、ネフェティアを睨みつけたまま荒々しく怒鳴った。
これに怯んでしまいもがくのを諦めてしまった。男は満足そうに歯を見せて笑い、ネフェティ
アの身体を大木の幹に押し付ける。
 「いいか、大人しくしてないとひどい目にあうぞ」
 怒気が込められた男の声、だがここでひるんではいけないとネフェティアは深呼吸をして何
とか落ち着こうとした。
 
「いったい何が目的なの?」
 声が震えそうになるのを抑え、なんとか凛としたふるまいを保つ。口調こそ取り繕うことが
できたが、必死に逃げ場を求める小動物のような目をしていることには気がついていない。
「お金なら、持っていませんわ。今ならあなたの非礼も許します……ですから、そ、そこをど
きなさい」
「そうは行かないな、俺の目当ては金じゃないんでね」
 男が見せる舌なめずり……捕まえた獲物の哀れな抵抗を馬鹿にするような下卑た態度にネ
フェティアの背筋に寒いものが走った。見下した笑みの男が一歩近づく、後ろは木なので後ず
さりはできない、左右に逃げようとしても足がもつれてうまく動けない。
 そして男の腕がにじり寄り、右手はネフェティアの乳房を、左手は尻を、それぞれ大きな膨
らみを正面から捉える。山の頂点に人差し指が宛がわれたかと思うと、一本、二本と指が増え
て、気がつけば触れた手のひらが円を描くように動き始めていた。
「想像以上だな……エロい身体しやがって」
 伝わる熱はすぐにおぞましさへと変わり、ネフェティアの内心で拒否感と嫌悪感が膨れ上が
る。だが、男に触れられたことなど一度もない彼女にとって、あまりに衝撃的な出来事だから
か、身体は痺れてしまったように動かず、声も出るのはかすれた吐息だけだった。
「このでっかい胸といい、プリプリの尻といい……やるために産まれてきたんじゃないの
か?」
 男の声は低く小さいが、ネフェティアの心と身体を縛り付ける鎖となっていた。抵抗の意思
を示せないのをいいことに、男は口元を歪ませながら、左右の手指を乳房に押し付ける。太く
短い指はだんだんと深く沈み乳肉の中に埋め込まれた。単に触れるだけではない、指と指の隙
間から肉がはみ出すほどの荒々しい接触に痛みすら感じてしまう。
「…………何をするの、やめなさいっ!」
 ようやく、それだけを口に出すことができた。仇相手の憎憎しい目で男を見上げ、身体をず
らそうとするが、男の手は執拗で、乳房から手が離れたのはほんのわずかな瞬間で、再び手に
余る左右の胸山を揉みこまれていく。もう男の目的はネフェティアにもわかっていた。この男
は自分に卑猥なことをしようとしている……侍女たちの生々しい会話が頭の中でぐるぐると響
き始めた。
「いいから大人しくしてろよ……あんまり騒ぐと……」
 男が笑う、風が吹き葉がかさかさと鳴り始めた。周りの木も一部始終を眺めていて、男を囃
し立てているようだった。普段は美しささえ感じる深い森も、今は、異常な状況からか得体の
知れない魔物の口に見える。
 
 それでも、ネフェティアは自分を鼓舞し続けた。自分は王女なのだから、こんなことに負け
てはいけない、立場のない民に好き放題されるなんてあってはならないことだ……こう思うこ
とで、男の手に翻弄され続けていた気持ちが、すっと落ち着いてくる。
「大人しくなんて……できるはずないわ、私を誰だと思ってるの!?」
 いつもと同じ声が出た、これなら相手も引き下がるだろう……そう確信した。
「ナトダールの第一王女、ネフェティア様だろ、それがどうした?」
「どうしたって、わかっているなら早くこの汚らわしい手をどけなさい!」
 男の様子がおかしい、てっきり諦めて逃げ出すかと考えていたが、顔色一つ変えることなく、
胸を揉み続けている。身を捩ったところで手のひらという檻から逃げられるわけでもなく、か
えって手に乳房を強く押し付けてしまい、それが男の興奮を高めているようで、手つきは激し
くなる一方だった。
「姫様だからなんだ? 許してもらえるとでも思ったのか?」
 酷薄な顔で、男は言葉を吐き捨てる。興奮で彩られた瞳は血走ったものへと変わり、ネフェ
ティアは眉根を寄せて目を閉じた。歪みきった男の顔など見たくなかったからだ。
489 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:21:38.80 ID:wxtxAmp+
 だが、視界を封じ込めたことで、逆に男の指の動きが手に取るようにわかってしまった。指
は軽く乳房の頂点をつついて、スプーンを押し付けられたプリンのように乳房を弾ませたかと
思うと、今度は手のひらをいっぱいに広げて山の裾野のほうからわしづかみにする。さらに手
を下に滑らせて半球を持ち上げてたぷたぷと弾ませる。そして今度は……いやになって目を開
けてしまった。
「くっ……いい加減になさい、これ以上の無礼は許しません!」
「助けでも呼ぶのか? いくら叫んでも無駄だぞ、この辺には誰もいないからな」
 確かに男の言う通りだった、この森で誰かに会ったことは一度もない。さらに、自分は内緒
でここに来ているのだから兵が助けに来る可能性もほとんどないだろう。
 だから自分で何とかするしかない、男の目は大きな果実ほどもある肉弾に一身に注がれてい
た。それに、そこに夢中になるあまりネフェティアを押さえつける力は弱くなっていた。逃げ
るなら今しかない……動き回る手が乳房から離れ、お尻へと向かったところで男を突き飛ばし、
背中に隠していた短剣を突き付けた。
――――――――――――――――――――――――
 ネフェティアの思わぬ抵抗に、最初こそ驚いた男だったが、よく見ればナイフを向ける手は
震えていた。使いこなせないのは目に見えて明らかだった。
「そんなおもちゃで何ができる? さっさとそれを捨てろ」
 白い手が差し出したナイフは、木漏れ日を反射して鋭い輝きを放っていた。豪華な装飾が施
されたそれには一瞥しただけで、男の目は襟元の白い肌、華奢な肩、玉のように磨かれた爪、
指先の細さに惹き付けられていた。
「こ、これ以上近づいたら本気で……」
 言いかけたところでナイフを叩き落とし、ネフェティアの頬を軽く平手打ちした。白磁を思
わせるすべすべした、水を含んだ豊かな頬の感触が手に残る。
「ひっ…………!」
「少し悪さが過ぎるんじゃないか? 次はないぞ……」
 ナイフを拾い上げるとそれをネフェティアの口元に寄せ、男は今まで以上に威圧的にささや
く。彼女の肩から力が抜ける、もう抵抗はないだろうと後ろに回した両手でお尻をむぎゅっと
揉み潰した。胸よりは若干小ぶりだが両手に満遍なくのしかかるむっちりとした重みと指を押
し返す弾力、さらには汗で湿ったシルクの生地……男は夢中になって薄皮に包まれた極上の生
尻をこね回す。
「こんな恥ずかしいパンツ履いてて……誘ってたんだろ?」
「うっ、ち、違う……」
 男の言葉を否定するが、ずいぶんと弱弱しくなった。糸のようにか細く、鈴のように心地の
いい声を聞きながら、スカート越しに三角形の布を引っ張って食い込ませ、お尻の中心に指を
向かわせる。布を隔てた先にある、息づく巨尻の温かさ、動くだけでふるふると揺れる肉の柔
らかさを存分に堪能した。
「っ、う……ぅ……」
 ドレスの上からでは我慢できるはずもなく、生地を摘んだ手を開いて、閉じて、を繰り返し
長い裾を捲り上げる。背中越しに見える、露になった尻は絶景だった。下着はよじれて大きな
お尻のほとんどを見せており、サイズ自体も小さいのか生尻に縁の跡がついていた。そこをな
ぞりつつ右手を盛り上がった尻肉に乗せた。
 男と密着しているせいか、お尻から伝わる汗の熱いぬめりを感じる。しかしそれが、肌と指
をいっそう強く吸い付かせ、自然と指の動きも激しくなっていく。
「でかい尻だな……パンツがきつそうだぞ」
 左手でネフェティアをきつく抱き寄せ背中を撫で回しながら、尻肌に押し付けた右手の匂い
をかげば、柔らかな甘い匂いが鼻先をくすぐった。伏目は、睫の濃さからか艶かしく見える。
 
 指すべてを飲み込まんとする蕩けんばかりのお尻、胸板に当たる豊穣な双球、全身から発散
される、気品がたっぷり乗った香り……大輪の花が開くだけ開ききっているような、匂やかな
色気の中にみえるあどけなさ……臍近くに押し付けたペニスはズボンの中でぐちゅぐちゅと溢
れた先走りが音をさせていた。
「お願い……許して…………」
「駄目に決まってるだろ」
 ネフェティアの見開いた目には、不安、恐れ、悲しみ、怒り……ありとあらゆる負の感情が
こもっていた、悪意のない懸命な哀訴を見れば、手心を加えたくなる者がいたとしても不思議
ではない。しかし男は違う、斜めにそそり立つ肉の槍で締まった腹を突きながら、互いの胸部
にできた隙間に手を滑らせ、再び乳房を揉みたくり始める。
490 ◆EqHQZWqzB.
「あっ、うう……こんなこと、絶対に……」
 指に引っかかることのないシルクの肌触りと、わずかなこわばりを指に伝えるブラジャーの
カップ、その次にたっぷりと重たそうに揺れる乳房があった。
 ネフェティアの整った顔を見ながら、乳房を握り、そして離す。手を緩めると圧力から解放
された果肉がふるんっと小さく弾んだ。幼い顔には、違和感すら覚えてしまうほどの巨大な肉
山。まさに母性の象徴であった。
「はあっ、う……気持ち悪い、やめて……」
 さらに、ただ柔らかいだけではなく、強めの弾力で乳房が指を跳ね返す。果物が熟さないま
ま大きく実ったような不自然さを感じるが、それゆえにもっと蹂躙してやりたいという征服感
が胸のうちにこみ上げてくる。
「やれやれ……姫様は文句ばかりだな、じゃあどこを触ってほしいんだ?」
「触らないで、こんなのふざけてるわ…………!」
 歯を鳴らしながら出したのは、消え入りそうな小さな声。男の反撃を恐れているのがあから
さまだった。手をネフェティアの頬にかざせば、びくっと彼女の肩が大きく跳ね、さっきまで
吊るし上がっていた大きな目元から、涙がぽろぽろと落ちてきた。
「……今度口答えをしたら、本気で叩くからな」
「………………」
 黙り込んだネフェティアを尻目に、男は二つの熱い肉の球体を、ドアノブを回す要領で揉み
上げていく。飲み込み、押し返す乳肉の息づきはより大きなものへと変わり、二枚の布から伝
わる熱はさらに温かさを増した。ネフェティアがどれだけ頭で拒否しようと、身体は男の愛撫
によって少しずつ花開こうとしていた。
「っふ、く……ぅ、ん……」
 さらさらとした、光の輪を作るほどに手入れが施された髪も、男が身体をもみくちゃにした
せいで、ほつれ、乱れ始めていた。男は長い髪を手櫛で整えてやりながら、ネフェティアの細
い顎を持ち上げる。
「そろそろだな……」
「……え、きゃあああっ!!」
 怪訝そうな顔はすぐに恐怖と狼狽に彩られた。男が強引に襟元からドレスを引き裂いたから
だった。陽に当たっているとは思えない雪白の柔肌、それが香油を塗りたくったように汗でぬ
らぬらと照り光っていた。カップに押し込められた胸はその大きさが強調されており、思わず
目を奪われてしまう。
「すごいな……」
 そして間髪入れずに二つのカップを繋ぐホックもちぎってしまう。二つに割った大きなメロ
ンのように見事な乳房が、ぷるんと揺れながらまろび出てきた。
 たっぷりと凝脂を乗せた、白い蒸し菓子……指で軽く押せば、ふかふかとした肌の柔らかさ
が心地よかった。その頂点にある乳首は、幼女のそれのようにほとんど成長していない。爪で
引っかいてみるとネフェティアが形のよい眉をしかめた。

「見ない、で…………」
 彼女の言葉など意に介さないといった様子で、男は顔を寄せると控えめな桜色の先端を口に
含んだ。唇で果肉を挟むと、乳肉とは違う固めの反発を感じる。尖らせた舌先を肉苺の形に
そって進ませると、ほんのりとした塩味と甘味が口の中に広がった。
――――――――――――――――――――――――
「ひゃうっ、く、ん……やめ……て、ぅ」
 突然の男の行動、その意味を理解できないで入るうちに乳首にむず痒さを覚える。胸やお尻
を荒々しく揉まれたときとは違い、じわじわと身体の内から何かを引き上げられるような……
心の中を無理矢理覗き込まれるような、変な気分になっていった。
 苦痛は薄い。だが、それが余計にネフェティアの嫌悪感と羞恥心を高めることとなった。鼻
の辺りがツーンとしてきたかと思うと、瞼を焼くほどの熱い涙が頬を、顎を伝い、無残に引き
裂かれたドレスに円いしみを作った。風景が涙の中で、歪みながら分裂し、男の野卑た顔もよ
く見えない。
「やだ、ぁ……離しなさい、んう」
 むき出しの乳房を隠そうとしても、男の手に邪魔をされてしまう。全身が燃え盛るような恥
ずかしさに、今度は頭がふらふらとして、後ろにある木にもたれかかった。男は構わずに、コ
インくらいの大きさの乳輪と、男の小指ほどの乳首に舌をなぞらせてくる。蛇や蛞蝓のように
くねる舌が当たった部分は、一瞬感覚が無くなって、その後すぐに甘い疼きとともに痺れが広
がった。
「何だ? もしかして……気持ちよくなったのか?」