ヤングガンガン連載中のファミレスバイト4コマ漫画WORKING!!の他
web上で連載中のブタイウラ/WORKING!!などの高津カリノ作品の総合エロパロスレです。
【スレ住人達のお約束】
・かりのん(現隠しページ)は簡単に見つかります。がんばって。
・旧隠しのログは現隠しのどこかにうpされてます。
・が箱はサイトのどこかにあります。
・同人誌、裏設定、隠し、旧隠しの話題のネタバレOK。
・うろん内のアドレスを貼るのと現在見られない画像のアップはやめましょう。
・801ネタはヤオイ板でお願いします。
・荒らし、煽り、誹謗中傷等はスルーでお願いします。
・sage進行でお願いします。
・エロパロ、恋パロ以外のパロの投下もOKです。
・絵はまとめサイトかまとめwikiの絵板に投下してください。
・投下された作品の転用、転載はやめてください。
◇前スレ◇【高津カリノ】WORKING!!エロパロNo.5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191422281/
___________________________
f
, ⌒ r ― ― -- 、 | 【YG版WORKING!!】 (通称犬組)
/ ` 、 | ヤングガンガン連載中の働かないファミレス4コマです。
l /ハルWVNwv ! |
| _l、┃ ┃ r´ _ < 【うろん版WORKING!!】 (通称猫組)
ノ ( ヽY r┐〃!ヽi/ノ | うろんなページ連載中のやっぱり働かないファミレス4コマです。
i i リー ゝ' -イ,. リ/ ! 犬組と微妙にリンクしてたりします。
!ハ | <)\‡‡jV〈 / |
ヽ`l .ノ | _|, Y . | 【サーバント×サービス】 (通称鯖)
、__ノ 「 ̄Τl ォ゙ ''i゛ | 増刊ヤングガンガンに掲載の公務員4コマです。
 ̄ ! |. | | |||""`ゝ、 |
リト‐-∪」l ノノミ | 【ブタイウラ】 (通称ブタ)
<三三三彡イー'. | うろんなページ連載中のサーカスしてないサーカス4コマです。
|::::| |::::| |
|::::| |::::| | 【がはこ】
l::/. ヽ::! . | 高津カリノと同一人物です。
ヽ___________________________
_.. 、, -―-- 、
, ´ ヽ
/ `、
l ./!_」_/ /!ハN_i__li 、 }
| !´ハV`j |ヽト´ハ/`l j | 3/25にはWORKING!!7巻が
、N ─‐ ―― |r‐y! ト 4/21にはアニメDVD1巻がそれぞれ発売されました
. lゝ〃 〃 ノ| | ン アニメイトさん、とらのあなさんなどでフェアも行われました
'へ. ヮ _ ィくヾ. l 詳細は
http://www.square-enix.co.jp/magazine/yg/introduction/working/ 〃 ノ `フiーェュ≦ト、〉、ヽ \_, さらには6/2にアニメDVD2巻が、6/23に3巻が出ます
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄!∠
| WORKING!! 7巻 |ノ
f~) ブック・イン・CD VOL.3 (ヽ
!ィ' DVD2巻発売中! {_ノ
-------! |-------
◇次スレへの引継ぎについて◇
450KB を超えたら残り容量に注意しながら投下してください。
480KB を超えたら次スレが立つまで投下は控えてください。
f  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| ☆外部サイトもよろしくねっ!! | _
| | 匚 ̄|┌(_・)
│ ○WORKING!!データベース | // l 、\ l´'‐┐ l`7 / 7
│
ttp://51209.web.fc2.com/ | ( ( 丿 ノヽ! _| l二 .| L /_/
│ ○高津カリノのパロディまとめwiki(関連スレログに過去ログがあります) | ヽ、二 / i´o ,‐┘ レ'´
│
ttp://wiki.livedoor.jp/gahako_uron/d/FrontPage | ` -―‐- 、
│ ○偽ヵ(お絵かき掲示板) | /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:..ヽ
│
ttp://netgame.mine.nu:10017/lpbbs/f1173696302/ | _/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::..゙、
ヽ_______________________________/ _.. -:':':"::::::::::::::::::::::.. :;;;;;;;;;;;;;;::..'、
彡 ,'^i /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ.;;;;;;;;;;::..゙、
| | /:::::::::/ ゙!::::::;、::∧::/ヽ;::::::::::゙i;;;;;;;;;;:::..'、
| ! i::::::::::√ ̄|/|/ V レ―-Yi:::::::::};;;;;;;;;:::トゝ
! l リ l:::::i ┃ ┃ 〉:::::!;;;;;;;;,:::i =―
| ! ハ:;;イ ┃ ┃ !::ソ;;;;;;;;;;:N ≡三
i. | '( | 〃 ┌┐ 〃 i^);;;;;;;;;;;;;::!−‐―
新スレ以降乙
新スレおめでとー。
DVD2巻の八千代さん店長トーク聞いてたら、佐藤さんが胃を痛めるのもよくわかった。
そして今号の佐藤さんも不幸が似合いすぎで。。。
だれかSSの中だけても幸せにしてやれないものか。
佐藤はヘタレだからなー
SSで幸せにしようとすると佐藤のキャラからブレてきちゃうんだよw
そうなんだよね
仕方ないから八千代視点で佐藤に惚れさせようとしたら
今度はきょーこきょーこ言って話が進まない
ぎょーむ連絡です
前スレ分のSSをまとめに収録させていただきました。
ただ、無題のSSについては無題で収録するわけにも行かないので、
やむなくこちらで題名をつけさせていただきました。
ご了承ください。
なんやかんやあって恋人になりましたから始める
奥の手すぎるな
↓前スレSSのキャラ組み合わせ一覧
ヒシン×リリザ
小鳥遊×山田
小鳥遊×伊波
相馬→妃
小鳥遊×伊波
長谷部×ルーシー
進藤×志保
進藤×志保
進藤×志保
進藤×志保
進藤×志保
山田×小鳥遊
小鳥遊×伊波
山田・松本・他
東田×宮越
足立×村主
足立×村主
杏子×小鳥遊
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
佐藤&八千代
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
佐藤&八千代
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
小鳥遊×伊波
途中からたかいな無双過ぎるw
とりあえず自分の中で、八千代の髪は佐藤が染めてることになってる
どこの美容師にも触らせたくないから一番きれいに染めてやると燃えてる佐藤に、
お役に立ちたい八千代が「佐藤くんの前髪切ってあげる」と裁ち鋏構えていればいいと思う
こうしてみるとすごいなw
集計(?)おつですー
>>11 「実験」「お見舞い」「男はみんな狼」を投下した者です。
まとめwiki編集ありがとうございました。
お手数おかけしてすみませんでした。
以降は題名つけるよう心がけます。
以下、名無しにもどります。
ええーい、進藤×志保がみたいです。お願いします。
アニメが終わるまではたかいな無双が続くようなキガス
特に9話はやばかったな
10話もやばそうだし、ネタには困らなさそうだw
まとめウィキの進藤志保みたら萌えた
元々好きだったけどイイネイイネ
たかいな純情路線でもかまわん、大好物だ
だが・・・・・エロくてもいいのよ?
桐生に拉致られて色々されちゃう話とか需要あるかね
無い
注意書きしてくれればなんでもいいんでない?
俺はいなみんは小鳥遊じゃないと嫌かな
読ませてもらう側なのに偉そうにすまん
組み合わせはなんでもいける
死にネタ・スプラッタ・グロ・ホモだけは勘弁な
相馬×女子全員
いなみんが拉致られて、犯られちゃいそうな状況で
→小鳥遊が助けに来る
→来ない
で2分岐する話を書こうとしてたんだが途中で止まってたりする・・・
種のエロを書く猛者はおらんのか
確実に需要はあるが、スレの雰囲気は真逆だからねぇ
パロディよりも特殊性癖向けの色が強いものは
その類のスレに持ち込んだ方が喜ばれると思うが
現によそのスレであださゆのちょっとした漫画
(もちろん特殊向け)を投下してる人がいたけど喜んでたよ
俺が
ぽぷらちゃん空気杉ワロエナイ
こんなとこまでキャラ対立厨か
うんざりする
こんな僻地までお疲れさんw
パロディは関係性を創作したらまずいのかな
例えば
そうた&姉妹、そうた×姉妹恋愛なしのエロは可で
そうた→姉妹、そうた←姉妹の恋愛描写が駄目?
妃・相馬以外の猫組・犬組を混ぜたカップリングは?
小鳥遊×宮越、東田×伊波みたいなシャッフルは?
それとも原作・アニメ基準のカップリング以外は空気呼むべきか
読むに耐える文章力があればいいんじゃない?というのが個人的なところ。
しかし一面識もない登場人物同士のカップリングはどういう風に話を作るんだ?
出会いから行為に到るまで全部書くとなると結構な文章量になると思うが。
そういう過程すっ飛ばしていきなり行為だけ書くつもりなら
そんなに読みたいとは思わないなぁ
イラストかなんかならともかく文章では
むしろ小鳥遊&東田の語らいとか見てみたい気がw
っていうかぽぷらちゃんのエロが普通に読みたい。
カップリングとか知らん。
趣味は人それぞれだからね
最初に警告出せば、それで十分だと思うよ
前スレのそまやま見ててもそうだったけど
このスレって邪道カプに厳しいよね
この流れでどうしてそうなる
あんまり不平不満ばかりいってると
SS流しにくいし風当たり強くなるからやめて下さい。。
ポプラドンの話が読みたいな
44 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 17:12:14 ID:U2jmzhHb
山田カモン!
当時居なかったんだが、
>>14の進藤×志保ラッシュは
WEB版で志保ちゃんが陥落したあたりなのかな?
前にたかなしを山田が拉致って屋根裏で逆レイプな感じの話を書こうとして挫折したのを思い出した
さとたねで「佐藤さんが八千代さんの事を好きなのは知ってる・・・
でもお願い・・・今夜だけは私を見て・・・」みたいなのはアリ?
あると思います!
たねの相手に小鳥遊や音尾さんをあてがうよりはまだマシ
最近住みついたんだが
このスレは公式カプ以外には厳しい雰囲気があるんかな
カプが決まっててそれが好きで見てる人が多いだろうからね…
嫌なら読まなきゃいいので自分が書きたいSS投下すればいいと思うけど
書く側からするとやりづらい雰囲気はあるかも
そういう人は頑張れ
SS職人を褒めちぎれとは言わないけど
好みのカプ以外排除するような事言うなよ
佐藤×たねとか相馬×山田を見てみたい俺みたいなんだって居るんだよ
「マシ」とか言われて投下したくなる奴はいないだろ
>>23>>30>>32>>41>>54 こういう事言われると正直言って困る
対立させたいんだろうけど
「邪道」カップル以外排除なんて誰もしてないじゃない
ちょっと被害妄想が強いと思うよ
しかもマシとかなんとか、小鳥遊や音尾の何が悪いんだよ
腹立つな
× 「邪道」カップル以外排除
○ 「邪道」カップル排除
>>57 対立させたいなんて思ってないよ
誤解させたならスマンが
前スレでそまやまが出た時やこのスレの序盤の雰囲気でそう思っただけ
むしろさとたね見たいわ
公式で無いであろうぶん、尚更ね
公式カプが萌え過ぎて他の組み合わせが出でこないってのもあるんジャマイカ
さとたねで想像してみたけど、身長差パネェ。
キスとかやりずらいだろうな。
>>61 たねがさとに「膝にのっけて?」とねだると余裕
アニメで確実に人は増えているんだから配慮は欲しいな
種の出番は欲しいがさとやちも崩したくない。貴方ならどうする?
…3人で仲良くナニすれば?
カップルはどうでもいい…
オリジナル男キャラ×女キャラでも全く構わない
しかし原作カップルに魅力があるからこそ、こだわる人もいるようだし
特定2次カップルだけ楽しみたいという人もいるみたいだね
話題もふらずに、思い通りにいかないからといって、
佐藤以外の男性キャラまで叩き始めるのは不愉快
今後も揉めるなら、スレ分けるか?
少し様子見て需要あるなら立てるよ
>>52さとやちは「佐藤にぽぷらあてがうよりマシ」
>>60-以下、平然とさとやち話開始
さとたね厨は腹立たないの?
本スレ名物「俺は困らないけど誰かが困っているはずだ!」の臭いがする
のっけられたSSに注意書きつけてあるのに文句いうあほは、排除すればよい。
誘い受けで、なになに需要ある?
にたいして、俺は見たくないとか、俺は見たいと反応があるのは普通かと。好みの問題だから結論出るわけないし。
テンプレになになに禁止とあるわけでなし、SS職人さんは出来上がったSSに注意書きつけて投下してくれればあなたが神様です。
あ、。。。 801だけあちらの板へどうぞになってた。。。
なんかモメてんなぁ
ワーキング中はよさげなフレーズや2828ネタが浮かぶのに土日ははかどらない不思議
いま書いてるのはたかいなだけど
そのうちさとたねも書くぜ
>>73 2chの様式美だろw
日曜深夜はゆっくり余韻に浸って、仕事中にネタを充実させるんだ。
75 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/08(火) 03:20:51 ID:64FG8vE/
保管庫に、小鳥遊×なずな
てあったっけ?
保管庫見ればわかるんじゃね?
さとたね妄想考えてみてたんだが、
佐藤さんがドンドンだめな人になってきた…w
振られた佐藤さんが種に慰められ、そのまま勢い任せでギシアンでぽぷらを種付ぽぷらに・・・
まあ定番だが
種まき佐藤
突然だがここで相馬→妃を投下してみる
注意書き
・エロは無い
・相馬のほぼ一人語り
・元ネタはサイトにあった今は無い落書きから妄想
・割と内容は暗め?
久しぶりにSS書いたから誤字、脱字があるかもしれない・・・
80 :
七つ星:2010/06/08(火) 21:25:51 ID:LALaGrVb
ふと休憩室にはいると、懐かしい感覚とらわれる
とても愛しくてそして重たくドロドロと矛盾した思いに
休憩室の中では佐藤君がいつものように煙草を吸っていた。
だがそこには彼が愛煙しているものではない
手にはいつものパッケージとは違う箱が見えている。
「佐藤君ここにいたんだ!」
「なんだ、相馬か」
俺が声をかけると佐藤君はひとりでいたかったらしく面倒くさそうに俺をみる。
この様子だとまた轟さんに惚気話を聞かされていたのだろう・・・
机の上にある頭痛薬が彼の心情を物語っていた。
だが今はこの話題に触れるとまたフライパンで殴られるのでやめとく
あれで殴られると痛いし、しばらく頭がガンガンするし
それよりも今の俺の好奇心は佐藤君をからかうより、彼の手の中にあるものに向けていた。
「どうしたの?
いつもと違う煙草を吸っているけど、煙草の種類変えた?」
「別に・・・ただ昨日たまたま煙草がきれて買いに行こうとしたら売り切れていたから
メンドくせーから適当に買っただけだ。」
「そっか・・・」
佐藤君は淡々と言いながら短くなった煙草を灰皿に押しつける、
煙草の煙は細くなりやがて室内の空調の風によって
すっと消えていく様子を俺はまじまじ見ていた。
「なんだ、煙草に興味あんのか。」
「うーん・・・ちょっとね。」
81 :
七つ星:2010/06/08(火) 21:26:56 ID:LALaGrVb
過去を思い出す・・・
いつもの場所といつもそこにいた彼女・・・近藤さんを・・・
「一本やる・・・」
「えっ?ど
うしたの、急に?
俺、煙草吸わないのを知っているはずじゃ。」
「さあな、単なるきまぐれだ。」
「それにライターなんて持ってないし。」
「貸してやる・・・あとで返せ。」
佐藤君は席を立って机の上に煙草一本とライターを置く
「俺は戻るからな
相馬・・・おまえも店が暇だからってぶらぶらしてねーで
頃合いをみて戻れよ。」
休憩室は俺ひとりだけになった。
佐藤君が言っていたように今日はとても暇なのは事実だ
それぞれ皆暇をつぶそうとそれぞれの場所をうろうろしていて
俺はたまたま休憩室に来たところ佐藤君と鉢合わせになっただけだ。
何もすることがないので机の上にある煙草に火をつけた。
煙草を別に吸いたいとも思わない、
ただ、この煙草の香りを彼女が纏っていたのを思い出す。
俺が高校生の頃、学校の屋上でいつも授業をサボっていた近藤さん、
素行も悪いし、年上の男とふしだらな関係を持っていたのも知っていた。
威圧的でいつも無愛想な表情をしている近藤さんに
俺はひどく興味を持ったのがすべての始まりだった。
近藤さんのことを知りたくて
いつも屋上に行っては彼女に嫌がられながらも一緒の時を過ごし
いろんなことたくさん話した。
82 :
七つ星:2010/06/08(火) 21:27:44 ID:LALaGrVb
彼女の事・・・
俺の事・・・
彼女の家族との関係・・・
俺の周りの人間関係・・・
彼女が関係を持っている年上の男に対する想い・・・
そして俺が彼女に対する想い・・・
知れば知るほど近藤さんに惹かれている自分がいた。
からかったり、冗談を言ったりしてとても楽しかった。
近藤さんも俺も決して実るはずない想いをそれぞれ持ちながら・・・
「・・・・あっつ!!」
掌から突然の熱さに過去から現在へ引き戻される。
握りしめられたこぶしの中を開くとその中には火が消えて折れた煙草が一本
煙草を灰皿に捨てるがやけに自分が冷静なのは過去にも同じ行為を
何度もやっているせいなのかもしれない。
彼女の口に咥えられた煙草を
俺は体に悪いからという理由でいつも奪って火を消していた
もちろん素手で・・・
当時、風紀委員をやっていたので
うちの学校の生徒が煙草を吸うのを注意しなければならない立場だったし、
それに煙草によって彼女の体に害を及ぼすのが嫌だったのか
自然と体が動いて何度も何度も同じ行動を繰り返した。
毎回、俺が火傷しながら煙草を止めようとした姿を見て近藤さんは煙草を止めた
理由は俺が火傷して熱い熱いって言っている姿がウザいからだと
それでも自分のために煙草を止めてくれたのは嬉しかった。
俺でも近藤さんの心を動かせることがわかったから
ふと窓を見たら空が茜色になっていたので
随分と時間がたっていた事に気づく
どうやら俺はかなり長い時間、思い出に浸っていた。
いいかげんそろそろ戻らないとね
佐藤君から借りたライターを手に持ち椅子から立ち上がると
厨房にいき佐藤君にライターを返して持ち場に戻った。
店内は徐々に人が多くなって騒がしくなっていくのを感じながら
俺の脳は過去の思い出から現在のやるべきことに移行していった。
83 :
七つ星:2010/06/08(火) 21:30:42 ID:LALaGrVb
・
・
・
・
・
・
近藤さんと今は疎遠になっている。
きっかけは彼女が失恋したことで俺たちの関係が大きく動きすぎたことだった。
別に嫌いになった訳ではない
それどころか時を重ねるごとに想いが大きくなっていた。
これからも俺は近藤さんに想いを寄せ続けるだろう
そして・・・
彼女とまた同じ場所で一緒に過ごせることを
いつもいつまでも願っている。
<終わり>
題名は英訳すると妃の吸ってる銘柄になる
ここまで読んで頂きありがとうございました
さとたねエロ投下しようと思ってるんだが、最後までヤっちゃってても問題ない?
SSとか初めて書いたしルールがよくわからんorz
問題なさそうならPCから明日の昼までにはお見せできるかと思う。
くれぐれも期待だけはしないでください。
>>84 さとたね、がちエロありとでも注意書きつけて、
NGワードがわりに、表題つけるか、トリップつければ良いかと。
あとはグロ、暴力、レイブ、百合、オリキャラ、ぼてばら、しょくしゅあたりは注意書きですかねー。
種「大丈夫だよー、あ、でも誘い受けは不可って相馬さんが言ってたから黙って投下した方が」
>>79 投下おつー、かわいそうまさんな感じですね。
風紀委員の相馬さんとかちと怖いなw
>>79 相馬切ない
結ばれて欲しいけど、原作じゃやらんだろうなぁ
89 :
七つ星:2010/06/08(火) 22:14:00 ID:LALaGrVb
誤字に気付いた・・・orz
「えっ?ど
うしたの、急に?
俺、煙草吸わないのを知っているはずじゃ。」
→「えっ?どうしたの、急に?
俺、煙草吸わないのを知っているはずじゃ。」だった
92 :
84:2010/06/09(水) 00:51:38 ID:of4De6Gv
>>85 ありがとです!
注意書きして投下します。
>>85 ファミレスで触手ってむしろ見てみたいわ
どんなシチュだか
偶然女性スタッフだけになったワグナリア
新鮮な食材を使おうと運び込まれてきた生きたタコが
実は火星人で(ry
生きたイカに某チョコレートを食わせたら
突然巨大化し(ry
自分がつくったケーキにヤられる華様…ハァハァ
火星人と杏子と醤油、というわけだな
たしかに最後は醤油かけて杏子さんが食って終わりな気がするが
宮越と伊波が殴って応戦
八千代がさばいて
杏子が食う
エロは…?
元ネタがあるのか
ぐぐってフイタ
スレの流れにちょっと和んだw
杏子ならもっしもっし喰ってくれるだろうて
取り合えず
>>94 は天才ってことで。
てか、醤油で食うまでの流れだれかそのまま。。。
と言い言い出しっぺだすとの法則がくるので言わない。
かたなし「えっ!先輩、彼氏いたんですか?!」
種「うんいるよ、でもどうして?当たり前じゃないの?私みたいなのに彼氏がいたらおかしいかな?」
かたなし「い、いえ・・・そんなことは・・・」
種「そうだよ!かたなしくん、彼氏がいるのなんて、全然普通なんだよー。今時、いない人なんておかしいよ!
例えば男性恐怖症の伊波ちゃんとか、杏子さん一筋の八千代さんみたいな人ならいないのも納得だけどねっ」
かたなし「そ、そうですよね!(先輩はちっちゃいだけで、常識的だし、可愛いんだから男が放っておかないか…)」
山田「ちなみに山田にも彼氏はいましたよ。散々弄ばれた挙句捨てられてしまいました。
なので男性はイマイチ信用出来ません。だから山田、今は家族の方が欲しいです。」
種「葵ちゃん、それは男運が悪いだけだよ!私の男友達に、女の子を紹介して欲しいっていう人がいるんだけど、
どうかな?伊波ちゃんと八千代さんは論外だけど、葵ちゃんならいいと思うな!これでもう淋しくないよ!」
山田「ほ、本当ですか…?山田を甘えさせてくれますか?大切にしてくれますかね?」
種「うん、小学校の頃からの仲良しなんだ。とっても優しい人だよ!」
山田「種島さん、ぜひ山田を紹介して下さい!」
種「じゃあ、今度Wデートしようか!」
山田「Wデート…ずっと憧れていました、素晴らしいです」
種「手稲オリンピア遊園地と、カラオケでもいこう♪」
山田「山田、昔は友達と良くカラオケに行っていたので得意です」
種「その後は〜、あ!葵ちゃんホテルとか行ったことある? …ってかたなしくん盗み聞きしてちゃだめだよ!早く伊波ちゃんの様子を見てないと!」
かたなし「す、すいません!(あぁ、聞きたくない事を聞いてしまった。やはり女性なんて・・・!
先輩だって、いくら小さくて可愛くたって汚れているんだ!やはり12歳までしか信じられないっ!畜生!)」
山田「山田ホテルは行ったことないです。彼氏の部屋か、車持ちの人とは車でしたりしていました」
種「へえー!車でするなんてすごいねっ!私は同級生か、一個上としか付き合ったことないよー」
山田「ふふっ、種島さん、お子様ですね。山田はなんと26歳ともお付き合いしたことがあります」
種「葵ちゃん、実は大人なんだね!私ももうちょっと年上の彼氏を作ろうかなっ」
佐藤「おい、お前ら。早く料理運べ。」
種&山田「はーい!」
リアル女子高生・女子大生バイトの会話がこんなだなー
つーか
昨日のアニメスレや漫画スレまとめみたいだな
山田や種島に彼氏がいたらこんな風ですよ。許せますか
てな悪意が見え隠れするんだが穿ち過ぎか?
単にスレ雑談が萌えたから書いてみたってなら申し訳ないが
ふむ、期待できる展開だな。
前置きしてない時点でお察しなんだが
このところ女キャラ・原作カップル叩きがあるから過敏になってるのかもな
山田と種島が名も無きモブキャラとカーセックス&乱交やるなら期待^^
後日――豊平公園駅 駅前にて
種「葵ちゃん、こちらが葵ちゃんにこないだ紹介した伊藤くんでー、こっちが私の彼氏の鈴木くんだよ!」
伊藤「こんにちは、葵ちゃん。想像してたよりずっと可愛いね!」
山田「は、初めまして、山田葵です…本日はよろしくお願いします。(!!! めちゃめちゃカッコイイです!山田の理想の彼氏です!)」
鈴木「初めまして。いつもぽぷらがお世話になっています。」
山田「いえ、お世話なんてとても、種島さんは私のお姉さんみたいな存在です。」
種「葵ちゃん、オーバーだよ!私だって届かない物を取ってもらったりしてるもんねー」
山田「嬉しいです。もっと頑張ります!やはり山田は誉められて伸びる子です!他の皆さんはわかっていません!」
種「確かに、ワグナリアの人たちはちょっと冷たいよね!私には優しいかたなしくんも、葵ちゃんには厳しいし・・・」
山田「全くです。でもいつもいませんが音尾さんだけは優しいと思います。山田ファミリーのお父さんです。」
種「確かにそうだね!また音尾さんのこと忘れちゃってたよー」
伊藤 (へー。なんかチョロい感じだな。それに、16歳って割にガキっぽいな…まぁ、セフレするには丁度いいタイプだな)
「所で、山田さんはどんなアトラクションが好きなの?」
山田「山田は乗り物酔いが酷いのでメリーゴーランドやジェットコースターは苦手です」
伊藤「へー、そうなんだー 僕も苦手なんだよね。 もしかして僕ら、趣味もピッタリだったりして!」
山田「そ、そうかも知れませんね、なんだか奇遇です!
(やはりとても素敵な人です。少し相馬さんに似ている気がしますが・・・運命を感じます、理想の彼氏です!)」
種「きっと二人は相性いいんだよ!今日はたくさん仲良くなれるといいねー!
ところで、デートといったらやっぱりお化け屋敷と観覧車だよね・・・
でも、オリンピア遊園地のお化け屋敷はもう飽きちゃって全然怖くないからどうしようかなぁ」
鈴木「本気であんな所に行こうと思ってたのか?冗談だと思って言わなかったが、こないだ閉園したぞ
それに、今はあそこは不良や若者のナンパスポットになってて、ちょっとした溜まり場だ」
伊藤「へー、それはそれで中々面白そうだね。みんなで行ってみようか?」
山田「みなさんがそうしたいなら山田はついていきます!」
種「いいね いいねー 早く行こうよー!」
鈴木「(確か遊園地のすぐ側に廃墟になったホテルがあったはず・・・もうすぐ日も暮れるし、適当に口説いて、そこで一発ハメるか・・・)」
109 :
84あひる:2010/06/09(水) 07:56:38 ID:PLLFi2Y/
さとたねいきます。
がちエロなのでご注意を。
ほのぼのエチのつもりで書いてるので、触手なんかは出てきませんw
SS初心者なので乱文でよければどぞ。
110 :
84あひる:2010/06/09(水) 07:57:53 ID:PLLFi2Y/
『クモの糸』
ワグナリア閉店後―
店内の片付けも終わり従業員たちは更衣室や休憩室に居た。
ぽぷらは掃除の片付けで遅れて更衣室に向かおうとしていた時にふと客席の上に掛かるキラリとした糸が目に入った。
「あれ?」
そのままぽぷらの足は誰もいない客席の方へと向かった。
「あんなとこにクモの巣できてるー」
客席のソファーの上で目いっぱいの爪先立ちで四苦八苦しながら箒をブンブンと振り回す。
「うぅー届かないよ」
ベソをかきながらもこんなことは日常茶飯事なぽぷらは早々に誰かに頼むべきだと判断して箒を置いた。
「まだ誰か残ってるかな?」
ソファーに上がる為に脱いだ靴を穿こうとしてふと、テーブルの上のボタンが目に入った。
ピンポーン
ピンポーン
「呼び鈴鳴らせば私が呼びに行かなくても誰か来てくれるよね。
あったまイイ♪
どうせなら背の高いさとーさんが来てくれるといいなぁ
さとーさんくらい身長があったら少しくらい分けてもらいたいよ。
いいないいな、羨ましいな、あんなにも背が高いなんて、」
「ほんと、さとーさんの身長、欲しい!!!」
「何が欲しいって?」
そこには私服姿でタバコを咥えた気だるそうな佐藤が立っていた。
「あっ、さとーさんだ」
「何が『あっ、さとーさんだ』だ。お前が呼び鈴鳴らしたくせに驚くなよ」
「あはは、そーだった」
「もうみんな帰っちまったぞ。今日は山田も小鳥遊家に外泊だそーだ。
お前が残ってると戸締りできねーから早く着替えてこい。
てか、こんなとこでひとり何遊んでたんだ?」
「遊んでなんかないよー!さとーさんにお願いがあってここにいたのっ」
「ん?何だお願いって」
「えーーと(なんだったっけ?)…そうっ!さとーさんが欲しいの!!」
111 :
84あひる:2010/06/09(水) 07:58:53 ID:PLLFi2Y/
げふぉっ
と大きく咳き込んだ佐藤は無言のまま固まる。
頭の中でぽぷらの言葉がリフレインする。
(さとーさんが欲しいの・・・さとーさんが欲しいの・・・欲しいの・・・ほしい・・・)
しばらく間があって
「さとーさん?おーい、どうしちゃったの!?」
ぽぷらの声でハッと意識の戻ってきた佐藤は、すっかり灰の長くなったタバコを口から外し「ふぅー」と大きく深呼吸すると、
「わかった」と小さく呟く。
手に持ったタバコを客席の灰皿に押し付け、ソファーにちょこんと座って佐藤を見上げているぽぷらに近づき、
唇を重ねた。
今度はぽぷらの方がフリーズする番だった。
ぽぷらが固まっている間にも佐藤の行為は優しいキスから深いキスへと変わっていく。
舌と舌が触れ合い絡み合って、その感覚に腰から背中に薄い電気が走るような感覚に思わず吐息のような声が漏れたぽぷらはようやく思考が戻ってきた。
「んぅ……な、な、な、なに??」
すでにソファーに押し倒された格好になっているぽぷらはテンパりながら、いつもの佐藤のからかい行為なの?と細い手足をジタバタさせた。
「なんだ種島。タバコ臭かったか?わりぃ」
「ちがうよー!そうじゃなくてー!」
「なんだ?キスなんてすっ飛ばせってゆーのか?」
仕方ねーなぁとぼやきながら佐藤はぽぷらの胸元のエプロンをずり下げ、ブラウスの前を開けると華奢な体に似つかわしくない大きな胸が現れた。
「えっ!? だ、ダメだよっ見ちゃ駄目」
「んー。見なくても触るからいいけど」
「もっとダメーー!!」
「キスもだめで、胸も触るなっつーても、さすがに挿れるだけってワケにもいかんだろ。こうゆうのも大事なんだぞ種島」
「んもー!なに言ってるのさとーさん」
ぽぷらの抗議も虚しく、佐藤は露になった胸をふにふにと触りだした。
112 :
84あひる:2010/06/09(水) 08:00:14 ID:PLLFi2Y/
「種島、お前ちびっこのくせに胸でかいな」
ぽぷらはいつもの様にからかわれたと思って反射的に反論する。
「お、おっきくないもん」
「ああ、そうだな。お前はちびっこだ」
「ちっちゃくないよー!」
「そうか。ならエロい身体だな」
「えええっちじゃないよー!!」
いろんなことで恥ずかしさいっぱいのぽぷらの顔はゆで蛸の様になっていた。
「ま、エロいかどうかは今から分かるけどな」
そう言ってぽぷらの膨らみの先端を弄びはじめた。
「ひゃあッ…あっん」
可愛い声をあげるぽぷらに満足そうな微笑をかすかに浮かべた佐藤はまたいつもの仏頂面に戻ると、柔らかな胸を刺激しながら、さっきよりも愛おしげにキスをした。
舌を絡み合わせながら、時より解放しては「ん・・・はぁ・・」と艶かしいぽぷらの息遣いに興奮してしまう。
唇から柔らかな胸の膨らみへと舌を這わせて、今度は舌で硬くなった先端を弄ぶ。
「吸っちゃ・・やだぁ・・・んあッ」
愛くるしい抗議の声に、返って行為はエスカレートしていく。
佐藤は片手でぽぷらの太ももを撫であげると、スカートの中に手を入れた。
湿った下着の上から柔らかな谷間を指で擦るように刺激すると、ぽぷらの身体がビクンッと反応した。
「さ・・さとーしゃん・・んぁ・・・だめ・・・」
その声を聴きながらもっと激しくぽぷらの大切な所を刺激していく。
「ぁあん・・ダメっ・・・おかしくなっひゃうよー」
「んん――ぁ・・あッ・・・・」
不意にぽぷらを刺激するのをやめ、佐藤がつぶやいた。
「種島、そろそろか?」
「なにぃが?」
とろんとした目のぽぷらが小首を傾げる。
113 :
84あひる:2010/06/09(水) 08:00:57 ID:PLLFi2Y/
「オレが欲しいか」
そう言うと佐藤は返事を待たずにぽぷらの下着を脱がすと、濡れてヒクついてるぽぷらに硬いモノをあてがった。
そのまま力をこめてぽぷらの膣内へと硬くなったモノがゆっくりと挿入っていく。
「さぁっ、さとーさんが、挿入ってきてるょお」
ぬぷっっと小さな音を立てながら静かなワグナリア店内に二人の身体が擦れあう音と、艶めかしい声が響き渡る。
「あああぁあン」
ぽぷらの高い大きな声に対し、佐藤は
「くぅ・・・はぁ・・・・」
と少しの吐息をもらす。
何度も抜き差しをしながら止まらぬ行為をひたすらくりかえす。
「さとーしゃんが・・・ぃいっぱいだよっ」
「はぁ・・こぉ・・・こしゅれてるよぉ」
「だめ…もぅ…なぃ……わかんなぃの…キちゃう」
「…ひゃあ!!」
小さな身体をよじせながら佐藤の腕をキツく握りしめる。
びくんッ ビクンと全身を痙攣させるぽぷらの絶頂のサインに、爪がくい込んで痛いのも気にせず佐藤はそれ以上の迫り来る快楽に浸っていた。
「種島…もぅ…俺も我慢できねぇ」
佐藤は限界ギリギリのモノを抜き、ぽぷらの上で解放した。
「くッ…」
放たれた悦楽は、ぽぷらの胸の膨らみと可愛い顔にかかった。
「ひゃっ」
「わりー種島。かけるつもりは無かったんだが」
佐藤は荒い息を抑えながら謝罪した。
114 :
84あひる:2010/06/09(水) 08:01:54 ID:PLLFi2Y/
ぽぷらは身体に掛かった白濁したモノをぼーっとしながら見つめていた。
「なんか、ねとねとするよー」
ぐったりとしているぽぷらは手で胸元を拭おうとして余計に手がベタベタになっただけだった。
「そんなもん触るな。俺の方が恥ずかしいだろーが」
「じゃあさとーさんが拭いてよー」
「わーったよ。今拭いてやるから待ってろ」
客席のナプキンを取ってぽぷらの顔に付いた白濁を拭いた。
「ちっ、紙ナプキンだと拭きずれーな」
「ねーねー、これ栄養あるのかな?カルシウムとか。色が牛乳っぽいし」
「あ?そんな訳…あるかもな」
「ほんとっ!?」
「言わば俺の分身だからな。背が伸びる成分だってあるかもしれんぞ」
「すごーい!」
そう喜んで手に付いた佐藤の液をペロペロと舐めだした。
「にがーい。でも良薬は口に苦しだね」
そんな様子を見た佐藤は妙な気恥ずかしさから少し顔を赤らめた。
「種島…本当に舐める奴があるか」
「えっウソなの!?ひどーい!いぢわる〜!」
舐めていた自分の手を握りしめ、ポカポカと佐藤の胸板を殴る。
「あーはいはい」
と佐藤が軽く受け流していると、二人の間に糸にぶら下がった小さな何かが降りてきた。
「・・・あーー!!!!!」
「ん?クモか」
冷静な佐藤に対して、目を見開いて固まっているぽぷらはそのクモを見た途端、佐藤に『お願い』するはずだった用事を思い出した。
「くものす・・・」
「あ?」
「誰かにクモの巣取ってもらうつもりでベル鳴らしたのに、何でこんなことになっちゃったのー!!??」
ぽぷらの絶叫が店の外までこだました。
そのあと――――
「お前が誘ったんだろ」
「佐藤さんのバカバカー」
と逆ギレしてくるぽぷらに対して、
「一度もクモの巣とってくれだなんて言わなかっただろーが」
とあしらわれながらも無事に佐藤に蜘蛛の巣をとってもらったとさ。
おわり
115 :
84あひる:2010/06/09(水) 08:06:48 ID:PLLFi2Y/
5分割にもなってしまって、長文失礼しやした。
たいしてエロくもなくて申し訳ない。
以上、読んでくださった方はありがとうです。
>>109 乙?
でも
>>104がまだ途中だぞw
少し待って投下してくれ
>>104は「オリジナルキャラと山田・種島が乱交します」程度の前置きをすべき
そして全部書き上げてから書き込んでくれないかな
色々うるさくいってすまんが…
あー、まぁ、どっちもどっちかと
脳内でイチャイチャ妄想を繰り広げてると
そのうちいなみんの妊娠、結婚まで行きそうで怖いw
まさか会社の人間もDB新規構築の資料を睨みながら
脳内ではたかいながちゅっちゅしてるとは夢にも思うまい…
案外周りは見てるからな
頑張って無表情を保つんだぞ
>>116 いやいや、
>>104 >>108 の流れだと
いつ投下くるかも読めないし、そこまで要求するのは酷かと。
そもそも、104だけの単発ネタにも思えたし。
>>104 とか、いいつつも大人なぽぷらちゃんに期待してるんで、気が向いたらぜひ追加の投下をお願いしますを
>>109 投下乙ー、久々にエロ分補完できたー。
>>104は荒らしだろ
これだけ時間たっても本人のレスがないのが妙
>>105>>107が図星だったんで50分かけて新しく書き足したんだとみた
ID変えて戻ってくる可能性も十分あるね
>>109は直前におかしなのが湧いたのだから様子を見て
投下前に一度リロードすれば良かったと思う
>>104は
>>109と偶然入れ違いになって消えたが
>>104が投下をやめていなかったらSSがごちゃ混ぜになってた
リロードすれば避けられるんだから
>>116の要求は高度なものじゃない
この流れェ・・・
お前さんのは特に注意書き必要な類だろ・・・
今も続けるのか終わったのかも分からないままだし
124 :
84あひる:2010/06/09(水) 19:08:34 ID:of4De6Gv
>>109の者だけど、
>>104はてっきり単発かと思ってろくに確認もせず投下してしまった。
初SSでテンパってたんだ。申し訳ない。
なれないことはするもんじゃないな。
ROMる側に戻るとするよ。
携帯から失礼しました。
本人乙
まぁ色々乙
アウトプットは色々難しい事もあるけど
楽しもうぜ、妄想を
そうだな
>>122 鈴木×種島
伊藤×山田
楽しみにしてる
予告めいた書き込みは嫌われるのわかってて書くぜ
妄想☆止ま☆らん
書き終わるの待ってろおまいら!俺が2828させてやる!!
小ネタ 足立×村主で
「む…村主さん、何、してるの……?」
「最近、氷だけじゃ驚かなくなってきたから……」
勤務上がりの足立と村主は、帰宅する前に、休憩室で寛いでいた。
そろそろ帰宅しようかと立ち上がり、壁に掛けられている時計を見ていたところ、村主に背後から抱きつかれたのだ。
「い、いや…驚いてないわけじゃないけれど」
「でも、前よりリアクションが薄くなったわ……落ちぶれたものね」
(な、何が…!?)
相変わらず意図の読めない行動に、足立は困惑するばかりだった。
「それにしても…足立君は、一応恋人である私に抱きつかれて、嬉しくないのかしら?」
「え、い、いや! そんなことはないよっ!
いつもの村主さんの行動のせいで、嬉しさよりも驚きの方が勝ってるなんてことないよっ!」
「……足立君も言うようになったわね」
しまった、と思ったときには遅かった。
後ろから抱きつかれている為、顔は見えないが、きっと怒っているのではないのだろうか。
なぜか、ここぞというタイミングでうっかりと失言してしまう足立は、こういうときの村主が、
どれだけ怖いか、身を以って知っていた。
…きっと、今回も何かしら反撃がある。そう思っていたのだが。
「…確かに私は押し当てるほどの胸はないわね。足立君は巨乳派だったかしら…」
「ち、ちが……」
「巨乳派の足立君は、乱暴だけど素直で優しい貧乳よりも、ちびっ子で可愛らしい童顔巨乳に惹かれちゃうんだわ。
そして、犯罪者に…………」
「な、何の話!?」
よく分からないが、このままだとヤバい。
彼女との付き合いも短いわけじゃない。この流れからいうと、別れ話に持っていかれかねない。
何か言わなければ……そう考えても、混乱する足立の頭はまともに回路が働いていなかった。
「お、俺は……」
「…? 俺は?」
「村 主 さ ん の 乳 が い い ん だ !」
「…………」
「…………」
「……足立君」
「はい…」
「……流石の私もドン引きだわ」
「……ごめんなさいっ」
表情は見えないが、蔑んだ目で自分のことを見ているだろう。
顔を手で覆いつくしながら、足立は自分の迂闊な言葉に恥じていた。
「でも、前にも言ったと思うけど」
不意に、ぎゅっと村主の抱きしめる力が強くなる。まるで、自身の胸を押し当てるように。
「足立君が『彼女だから』だとか、自身の欲望だけの為にとか…義務感や本能だけでそう言ってるんじゃないのなら…
………足立君の好きなだけ、……私の胸、触らせてあげる」
「えっ!?」
「……でも、この状況で誰かに見られたら、足立君は立派な犯罪者よね…」
「えぇっ!?」
今日も今日とて、彼女の意図が読めない足立君でした。
アニメ化告知→原作→Webの順番で入ったんだが、
足立×村主が好き過ぎて死ねる
アニメ自体は地域が地域で見れてないんだが、
猫組もアニメに出たりしないんだろうか
>>130 GJ!ナイスSF!(すこし、ふしだら)
WORKING!!の場合、直接的なエロより、これぐらいのほうが興奮する
>>130 さすが足立さん正論ですね
困らせたがりの彼女持つと大変だな
村主は構いたくて仕方ないんだろうねw
ワロタGJ
>>130 超GJ!
実は村主さんは蔑んだ目をしてたのではなく赤面してたに一票
>>131 伊東岳彦かよw
>>130 村主さんはきっと不安なんだろうなーって伝わってきた
136 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 00:42:59 ID:13/Nur/c
>>130 乙です。
小鳥遊宗太は将来どんな職業についているんだろうか・・・
個人的には何故か医者を思い浮かべた。自分でも理由はよく分からない。
意見があったらヨロです。
小鳥遊って文系科目が得意みたいだし、医者ってイメージじゃないな
小学校教諭とかじゃね?
せめて範囲が15歳までなら中学国語って線もあったが。
俺はかたなし君は将来幼稚園教諭か保育士になりそうな気がするな
逮捕は無理だろ
そこらへんの糞ロリペド野郎とは違うのだよカタナシくんは
>>139 待て
いなみんと首なしライダーの二人を嫁にだと…
羨ましすぎるぞ
たかなしの場合、新しく入学した児童の保護者からは
えらく不安視されて保護者会とかで叩かれるけど、
年長組の保護者から擁護されるという妄想。
大丈夫だよ
その頃には既婚者だろうから
うだうだしてても梢やなずなの策で結婚に持ち込まれそうだし
子供ができて我が子にべったりになる小鳥遊
ちょっと嫉妬のいなみん
>>146 なんという2424風景。
子供を作るところからぜひ詳しく!
裸になれるところから
症の伊波とのセックスはバシバシ殴られて軽くSMだな
縛りプレイ
佐藤が伊波と相談しあう的なシーンを見て小鳥遊や八千代が妬いちゃう
>>151 その組み合わせで相談しあえるような
性格と性癖を二人が持っていれば
そもそも何も問題にならないだろう
ですよねー
154 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 02:12:48 ID:J5W6srIo
SS初投稿となります。
注意書き
訳分からんストーリーになりました。
ちょっと痛い内容かも知れません。
他の方と比べると内容が酷いものになってしまいました。
突っ込みどころ、おかしいところも多いかも知れません。
発見できていない誤字、脱字があるかもしれません。
エロ(本番)ありです。
少々長くなりますが、全然気にしないという方はどうぞ。
155 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:16:11 ID:J5W6srIo
北海道某所、季節は秋の初旬
そしてここは小鳥遊家
「小鳥遊君・・・大丈夫?」
伊波まひるが心配そうに声を掛ける。
「大丈夫ですよ。それよりも、我慢して包帯を巻いてくれてありがとうございます。」
小鳥遊が伊波に告げる。彼の頭には、包帯が巻かれていた。
「いいの・・・コレぐらいしか私には出来ないから・・・」
「コレぐらいって・・・ここまで出来るだけでも物凄い進歩ですよ。」
小鳥遊は笑いながら伊波に話す。
「始めてあった頃なら、俺に治療なんて出来なかったですし・・・」
小鳥遊は伊波を励まそうと話す。
しかし、伊波の表情は罪悪感で沈んだままだった。
小鳥遊が自分のせいで怪我を負った・・・そのことに・・・
156 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:17:37 ID:J5W6srIo
▲▲▲
久しぶりに一人でバイトの帰り道、伊波は5人もの男に襲われた。
彼女自身も応戦しようとしたのだが、殴る前に押さえつけられ、伊波自身の怪力も恐怖で動けなければ意味が無かった。
「なんだ、貧相な体の女だな。」「贅沢言うなよ。それに顔はなかなかだぜ?」
「いいから早く犯っちまおうぜ。」「急かすなよ。」「安心しな、すぐ気持ちよくしてやるぜ。」
飢えた獣のような目をした男たちは、伊波の服を乱暴に剥ぎ取ってゆく。
ついに、伊波は下着だけの姿にさせられてしまう。
ついに男たちは、最後の布にまで手を伸ばしてきた。
絶体絶命。伊波は震えながら、祈ることしか出来なかった・・・
そしてすぐに、誰かが駆けつけてきた。それは、彼女がよく知っている人物だった。
小鳥遊宗太・・・彼女が思いを寄せている人物である。
小鳥遊は勇敢に男たちに殴りかかった。
5対1という状態であったが、
梢の教えた護身術がよいのか、小鳥遊が単純に強いのか、
小鳥遊が有利に相手を攻撃していく。
だが、・・・男の一人が背後から、小鳥遊の頭を鉄パイプで殴りつけた。
男は勝利を確信し、顔が笑う。
だが、その顔がすぐに絶望を直視したような表情に変化する。
小鳥遊は頭から血を流しながら、男をにらみつけた。
その眼から伝わるのは、完全なる殺意であった。
まるで蛇に睨まれた蛙・・・いや、より恐ろしいものを見ているのであろうか。
それから小鳥遊は、豹変したかのように男たちを攻撃していく。
一人には頭に回し蹴りを、一人には顔面に拳を、
一人には頭をつかみ壁にぶつけ、一人には喉を殴り倒れたところに膝蹴りを、
最後の一人には馬乗りした後ひたすら殴り続け、男たちを皆半殺しにした。
まるで怒り狂う凶獣のように・・・
終わった後、小鳥遊はすぐに伊波の元により、
「大丈夫ですか・・・伊波さん?」と一言声を掛けた。
震えながらも伊波が首を縦に振ると、
「よかった・・・」と笑顔を見せてくれた。
157 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:18:27 ID:J5W6srIo
▲▲▲
あれからすぐ伊波と小鳥遊は、すぐ近くの小鳥遊の家まで帰った。
家の電気は消えており、中には誰もいない。
机の上に姉たちがそれぞれの理由で外出すると手紙を書いており、
なずなも今日は友達の家に泊まることになっている。
伊波は今日母が家におらず、今日の出来事からか一人でいるのが心細く、何より伊波本人がお礼に治療をしたいと言い出してきた。
始めは小鳥遊が殴られる危険を感じ断ったのだが、彼女が強く頼んだのと、何より一人で居たくないと訴えかける悲しい瞳に小鳥遊が折れたのであった。
伊波は小鳥遊から救急箱の在り処を聞き出し、小鳥遊の頭に包帯を巻いた。
奇跡的にも、伊波が小鳥遊を殴ることなく済んだ。
幸い傷は浅く、大事に至るようなものではなかった。
伊波の服も破かれておらず、夜道のおかげで通行人から気づかれずにすんだ。
しかし、伊波の顔は相変わらず沈んだままであった。
「ごめんね、私がもう少ししっかりしていれば・・・」
「伊波さんの責任じゃありませんよ。5人相手じゃどうにもなりませんし。」
その5人を半殺しにした人物がよく言えるものだ。
しかし、小鳥遊は必死に伊波を励まそうとしているのはよく伝わって来る。
それでも、彼女の心の傷はいまだ癒えることは無かった。
「あの時・・・」伊波が口を開いた。
「あの時、小鳥遊が来てくれなかったら、こんな怪我をしなくても・・・」
「それだと、伊波さんがひどい目にあってたじゃないですが。」
「そうだけど・・・だけど・・・」声が震えだし、彼女の頬を涙が伝う。
「私のせいで小鳥遊が怪我して・・・」
「だから、伊波さんは気にしないでと何度も・・・」
「そんなの無理だよ!!」伊波が泣きながら話す。
「好きな人が傷ついていくなんて、耐えられないよ!!」
158 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:19:20 ID:J5W6srIo
晴天の霹靂・・・
少女の言葉が、静寂を生み出した。
「い、いなみさ・・・」
「変・・・だよね。最近はあんまり殴ってないけど、前は酷い位殴ってたんだし・・・」
「待ってください・・・」
「小鳥遊君は嫌いだよね。年増だし、小さくないし、暴力女だし・・・」
「だから、待ってください!!」
その声とほぼ同時に、少女の体を少年が強く抱きしめる。
「た、たかなしく・・・」少女は同様を隠せなかった。
彼なら、自分に抱きつこうものなら酷い目に会うと承知しているはずだ。
それでも、少年は少女を強く抱きしめている。
「自分でも変な感じでしたよ。伊波さんが山田と話してた時、すごく嫌な気分でした。」
小鳥遊が伊波を抱きしめながら話しかける。
「まるで、伊波さんを誰かに取られた気分でした。」
小鳥遊の口から出てくる声に、伊波はただじっと聞くしか出来ずにいた。
「多分・・・いや、絶対そうだと言えます。」
「俺は、小鳥遊宗太は、伊波まひるという女性が好きなんです。」
小鳥遊の言葉に、伊波は驚愕した。
恐らく自分には到底言ってくれない言葉を掛けてくれた。
不思議な気分だ。今までの殴りたい衝動が消えてなくなっていた。
代わりに小鳥遊を抱きしめたいという感情が、伊波に生まれた。
今、お互いがお互いを抱きしめあっている。お互いの体温を感じる。鼓動を感じる。
「伊波さんを守る為なら、こんな傷なんて喜んで作りますよ。」
「小鳥遊君・・・ありがとう!」
少女の顔に笑顔が戻った。
今日は最悪な出来事があった。だが、最高の出来事もあった。
お互いが想いあっている、それを知ることが出来た。
「小鳥遊君・・・」 「伊波さん・・・」
二人は抱きあいながら、お互いの顔を見つめあう。
そして二人の唇の距離がゼロとなった・・・
159 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:20:33 ID:J5W6srIo
▲▲▲
「何だが、俺たちすごい速度で関係が進んでますね。」
「あはは・・・言われてみれば確かに。」
今、二人は小鳥遊のベットの上で下着姿になっている。
「それでも、私はうれしい・・・たかなし・・・ううん、宗太君が私を想ってくれて・・・」
「俺もです、いなみさ・・・いや、まひる。」
小鳥遊が伊波の上に来る体勢となり、伊波の下着に手を伸ばそうとした。
「待って」伊波が小鳥遊に声を掛けた。
「一言だけ言わせて・・・」まるで親に甘える子供のような瞳で、小鳥遊を見つめた。
「あなたが、好きです。」
二人が口付けを交わす。深く、舌を絡ませた大人のキス・・・
初めての感覚が、二人をより求めさせた。
小鳥遊が伊波の下着を取り払い、伊波の素肌があらわになった。
始めは恥ずかしさから手で胸を隠していたが、
「とてもきれいだよ、まひる。」この言葉が、伊波にはとてもうれしかった。
小鳥遊の手が、伊波の胸に触れる。同世代の子に比べれば小さいかもしれないが、
それでも女性特有のやわらかい感触が感じられる。
「っん!」感度が高いのか、ちょっとした刺激に甘い声を漏らす。
「ふう、っうう!!」小鳥遊が胸の先端を甘噛みしてきた。
小鳥遊はしばらく伊波の胸を愛撫でし続ける。伊波の甘い声を楽しむように。
その後、小鳥遊の手が伊波の秘部に触れる。そこからは愛液が流れ出し、指に糸を引かせた。
「まひる・・・」小鳥遊が同意を求める。
「うん・・・お願い・・・」伊波がうなずく。
小鳥遊が自分自身を伊波の中に挿入していく。
伊波の顔が痛みで歪む。ようやく最初の一部が入りかけたとき、小鳥遊が伊波の耳に、
「愛しているよ・・・」とつぶやき、残りのすべてが伊波に侵入した。
伊波の中への侵入を拒む膜が破れ、女となった証がシーツに伝わる。
「やっぱり、痛かった?」涙を流す伊波に小鳥遊は声を掛ける。
「違うの・・・痛いけど・・・それ以上に嬉しいの・・・」
徐々に痛みが引き、小鳥遊が動き出す。その行為から伝わる刺激に、二人は徐々に酔いしれていった。
「まひる・・・俺・・・」終わりが近づく。
「うん・・・大丈夫・・・来て・・・」伊波にも長く感じた快楽の絶頂が近づいてきた。
そして、小鳥遊がすべてを開放したと同時に、伊波も絶頂を迎えた。
しばらくお互いを繋いでいたが、小鳥遊が自身を伊波の外に戻した。
そして再び口付けを交わした後、二人は深い眠りについた・・・
160 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:21:20 ID:J5W6srIo
▲▲▲
伊波が起きたときには小鳥遊は既に居らず、下から物音がする。
伊波が降りると、小鳥遊が既に朝食の準備を終えていたところであった。
「おはようございます、まひる。」小鳥遊が笑顔で挨拶する。
伊波は少し恥ずかしがったが、
「おはよう、宗太君。」と挨拶を返した。
「そういえば、私も宗太君も今日のバイトはお休みだったよね。」
「そうでしたね。では、二人でどこか出かけませんか?」
「それはつまり、でっデート・・・」
「恥ずかしがる必要ないですよ。昨日あんなことしたんだし・・・」
小鳥遊の言葉に、伊波がゆでだこのように真っ赤になった。
その後、二人は一緒に外出することにした。
特に目的があるわけでもない、二人一緒に出かける。
途中、小鳥遊が伊波に手を差し伸べた。伊波は笑顔でその手を握った。
伊波の表情に、もはや昨日襲われたときの恐怖は無い。
小鳥遊の表情も、昨日の凶獣のような恐ろしさは消えていた。
二人は今、同じ思いを抱いている。
“この人を、ずっと愛していきたい”と
161 :
同じ思いを:2010/06/13(日) 02:22:21 ID:J5W6srIo
▲▲▲
今朝のニュース
本日の朝5時に、重傷者5名が発見された事件について、青年たちは酷くおびえながら「俺たちが馬鹿だった」とうわ言のようにつぶやいており、警察側も解決するのは難しいとのことです。
「東田〜、なんかとんでもない事件が起きてるようだな。」
「宮越さんには関係ないでしょう。」
162 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 02:27:04 ID:J5W6srIo
SSは以上です。
もしも不快な気分にさせてしまったらすみません。
出来ればこれからSSを投稿する方は「こんな酷い作品でも投稿できるんだ」
と思って自信を付けてもらえたら幸いです。
調子がよければまたSSを作ります。それまでさようなら。
>>162 乙!
小鳥遊は伊波の騎士で、伊波は小鳥遊のお姫様ですね
可愛かったよ〜
正統派大好物です
次から、一行目に小鳥遊×伊波と断り書きをした方が良いかも
でもそんな卑屈にならんでも大丈夫よw
乙でしたー 実はってほどでもないけど強いな
何故東田w
>>162 なんで自虐するの?
なんで自分で酷いと思うものを投下したの?
投下前から言い訳してたらそりゃ…
SSを書いてる奴は堂々としてろ
でもSS初投稿はやっぱり緊張するさ
ここで叩かれたら二度と立ち直れんくらいに…
というわけで、
>>162GJ!
次はもっと自信持ってくれ
171 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 19:34:53 ID:J5W6srIo
SS投稿したものです。
どうやらそこまで酷評が無いようなので安心しました。
皆さんのアドバイスを参考に新しいSSを制作してみます。
しばらく時間がかかりますが、生暖かい目で待ってください。
172 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 22:38:46 ID:Vcp+dDIZ
がんばれー
生暖かい目って何www
がんばってね
小ネタ やっぱり足立×村主
「村主さん、じぃっと生クリームを見つめてどうしたの?」
「足立君……料理できるのよね」
「そ、そりゃまあ…ここでキッチンを担当しているぐらいだしね」
「お菓子作りも?」
「ここで出すメニュー程度のものなら……」
いつもの無表情で、じぃっと生クリームを眺める村主を怪訝そうに首を傾げる足立。
もしかして、また何か悪戯でも考えてるんだろうか?
ああいう時の村主さんって迂闊に声を掛けると、良いことがないんだよね…と、足立は内心愚痴を溢す
「あら……私がまるで扱いにくい女みたいね」
「そ、そそそ、そんなことは!」
というか、心読んだの!?とビクつく足立に、村主は若干呆れたように溜息をつく。
「そんな反応をされると、肯定しているのと同じよ…」
「ご…ごめんなさい!」
「否定しないのね……」
まずい。この流れからすると、心を抉る毒のある一言がぐさりと彼女の口から飛び出してきそうだ。
だが、そんな足立の心配を他所に、村主は自分の掌に生クリームを搾り出す。
そして、再び、その生クリームをじぃっと眺めた。
「ねぇ、巨乳好きの足立君」
「え! まだこの間のこと(
>>130)、引きずっていたの!?」
「……時々、足立君の迂闊な発言には、本当惚れ惚れするわ。ええ、無表情な私も少し険しくなっちゃうくらいに」
ひぃぃっ、お、怒ってる!
青ざめる足立をしばらく眺めていたが、村主は生クリームを手に馴染ませるように掌でこねる。
「冗談よ。それで、料理の腕にはそれなりに覚えのある足立君は……女の子を料理するのは得意かしら?」
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。あまりにも突拍子がなさすぎたからだ。
「人のことをあれこれ言う足立君は相当モテるのよね。一応、恋人である私からすれば複雑だけれど、
まさか女の子にモテないのに一応彼女である私に、色々と迂闊な発言はしないわよね?」
「あ、う」
マズイ。何がって、この流れがすべてだ。
目に見えて怒っている……のかどうかは分からないが、機嫌が悪いことは分かる。
「女の子を料理することが得意な足立君」
「もはや、確定事項!?」
「他の女の子を料理して、私を料理しないのはどういう心境なのかしら。今後の(別れ話の)参考として聞きたいわ」
「確定事項が増えた!? そして、自然に物騒な要素が入っていた気がするんだけど!」
心配性で、どこか頼りない足立だ。容姿はさておき、女の子をリードするタイプでもない彼は、
そんなに恋愛経験が豊富というわけではない。むしろ、乏しい方だと自分では思っている。
「お、俺は…前も言ったと思うけど、義務感や流れで村主さんと付き合おうと決めたわけじゃない…から。
村主さんも言ってたじゃないか。義務感とかそういうことで、き…キスとかされるの嫌だって」
「そうね」
淡々とした調子で呟く村主。いつもの無表情なので、その心の奥までは推し量ることはできなかった。
「でも、私は貴方の恋人よ」
一息切り、そして再び言葉を紡ぐ。
「恋人の貴方にされて嫌なことは、私を裏切ることよ」
一瞬村主の瞳から(もともとないが)ハイライトが消えたような気がしたのは、足立の気のせいだろうか。
だが、彼女の言葉は、それ以外のことは嫌じゃない――ということでもあり。
「うん、分かってる。村主さん、俺は、君のことが―――」
そう口にしようとしたその時、生クリームで塗れた指先を足立の唇に触れさせて、
次の瞬間、指先とは異なる柔らかい感触が彼の唇に広がり―――
「……甘いわね、やっぱり」
「あ、な、む…村主さん!?」
「…この間の、お返し」
彼女の家の玄関先でのキス。
それも思い出した上に、改めてに先ほどのキスの感触で、足立の顔は真っ赤になった。
落ちなし。出来るだけ原作の雰囲気を出そうと思ったが、難しいっ。
ピンクな時は、足立がリードなイメージ。……が、こういう結果になった!
そして、本当は生クリームで村主を女体盛り…みたいな落ちにしたかったが、
そこまで持っていこうとすると、どこか曲がってしまってこんな形に。
どうでもいいけど、この間ようやくSF(すこしふしだら)のネタが分かった気がする。
足立君が嘘つきまーちゃんで、村主さんが壊れたさーちゃんですね
…違ってたらごめんっ。
村主←これなんて読むの?俺ずっと勝手にすぐりって読んでた
>>174 乙〜
最後村主も真っ赤になってそう
クールなこと言いながらイタズラして、自分で照れるのっていつも村主だし
相手をより好きなのは村主じゃないかと思い始めてきたw
>>176 すくり、すぐり、むらぬし(古代朝鮮語で村長の意)
渡来人系の氏族に与えられた
1500年前からある苗字
むらぬしって読んでた
さゆりんなら読みはむらぬしさんだな
昔フィギュアのすぐりさんが世間で有名になったときにがはこがどっかに書いてた
ウラメシさん?
つーか登場人物紹介に読み方あるよ
足立村主はいい 両方かわいい
ここで空気を読まずに
『名前を呼んで』
の続きマダー?とか言ってみる
妄想は頭で出来上がってるのに書くのは時間かかるな〜
職業のものかきってすげぇ
SS書く人が増えてうれしいな。励みになります。
>>181で呼ばれた『衝動ごと抱きしめて』と『名前を呼んで』の作者です。
酉つけました。以後はこんな感じでよろしくです。
続けるとは宣言した以上、ちゃんと続きは考えてます!
なんだけど、リアルのWORKING!!がかつてない忙しさになってしまってて、
書く時間が取れなくて、書くに書けないんですね。
電車の移動時間でちまちまと話の流れだけは作ってて、
もうすぐそれが出来上がるんで、2週間くらいで書けると思いまする。
アニメの最終回に合わせる形で出せるといいかな、と。
っていうか、
>>181さんの言葉でちょっとどころじゃなくてすごい元気出たよ。
どんな場所でも待ってくれてる人がいるって素敵なことですね。
ありがとう。がんばります!
>>183 すごく楽しみにして待ってます!
自分もリアルWORKINGが辛いですが、このスレのSSをみて
ニヤニヤ成分を補充してやる気出してます。
頑張ってください!
しかしここのスレの職人さん達はレベルが高いすなあ
Σハードルアガットル
スレ停まってるんで別スレに投下した小ネタを転載
252 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2010/06/15(火) 20:39:30 ID:XKQ9UxfZO
二人が付き合ったら、やっぱり名前で呼び合ったりするんだろうか
呼び方は
「宗太くん」
「まひるさん」
かな
256 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2010/06/16(水) 18:30:04 ID:P0UrQuXJ0
>>252 結婚するまでは苗字で呼び合ってそう
259 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2010/06/17(木) 00:38:41 ID:opBIkzcWO
>>256 結婚式にて
たか「伊波さん、佐藤さんたちの演奏楽しみですね」
いな「もう伊波じゃないよ、小鳥遊くん」
たか「あ。そうでした」
いな「…ね、名前で呼んでいい?…そうたくん」
たか「は、はい…ま、まひる…さん」
いな「………////」
たか「………////」
CU「ほろびよ」
>>186 新郎新婦照れながら入場。伊波の熱気でケーキが溶ける→杏子が喰う
会場は山田ビルで、スピーチは音尾、写真は相馬が担当
佐藤はあの渋い選曲からいって「てんとう虫のサンバ」演奏
伊波父が号泣「切れろ、別れろ、離れろ、終わってしまえ」(流石にないかw)
伊波母「大人げない〜、素直に祝福なさいな〜」
長女「結婚と女性の権利とは!出産する権利とは!」
次女「ネタになるわぁ。介護よろしく…」
三女「一緒にお風呂入ろうね」
末っ子「(姉的なものが)増えた^^」
って感じで賑やかだろうな
佐藤八千代の結婚式時はあの刀でケーキ入刀すんのかね
スパーンと
ケーキ載せてる台までまっぷたつに
佐藤八千代は、キャンドルサービスが何故か途中から
八千代と店長が各テーブル回って飯食っていくイベントになって佐藤呆然
多分佐藤は先読みして、杏子に巨大ケーキと豪華料理用意してるよ
食っている間に式を早送りで終わらす
八千代は杏子を見ないように目隠しウエディング
逃げるように去っていく新郎新婦
招待客は相馬のビデオ巻き戻し鑑賞
めでたしめでたし
脳内再生余裕でした
小鳥遊×伊波と佐藤×八千代以外のキャラ、恋愛するイメージがまったく湧かないのはどういうわけかw
この二組以外だと、かろうじて真柴一号×梢ぐらいなものかなぁ。
まとめサイトにある昔のssを読んでみたけど
せつない話が多いのな
3、4年前にいた作家さん達帰って来て欲しいなぁ
あと、昔のほうがマイナーカップリングのSSが多いのが不思議だ
昔はマイナーカップリングが人気だったの?
マイナーだけど準王道扱いの榊×杏子が好きです
地味に東田×鎌倉、東田×村主は人気あった模様
新参なんだけど、ひがながは少ないの?
さとやち小ネタ
付き合ってる設定で親父に殴られる覚悟編
「さとーくん、お話があるの」
「ん?」
「今日病院いったら、デキたみたいなの」
「なにが」
「…赤ちゃん」
「ふーん」
「……」
「で?」
「わ、わたし、この子を産むわ! 女の子だったらあんずちゃんって名付けるの」
「そうか」
「それでね、この子が男の子なら、一緒に名前を考えてくれる人が傍にいてほしいの」
「お前の鳥頭じゃ、名前つけても忘れそうだしな」
「ひどいわ。さとーくんひどいわ! あんずちゃんは忘れないもの!」
「女でも男でもあんずは駄目だ。いいか、あんずは駄目だ」
「え…う……と、とにかく」
「なんだよ」
「だから、あの、あんずちゃんにはパパが必要で、男の子には名前が必要なの…」
「へえ。お前は何もいらないのか」
「ち、違、違うのー! さとーくん! 私がほしいの!」
「じゃあするか。結婚」
「…はい!」
そっけないけど佐藤真っ赤
あんずちゃんやりかねないw
「今日病院いったら、(杏子さんの子供が)デキたみたいなの」
「なにが」
「…(杏子さんとの)赤ちゃん」
って勝手に脳内変換してて三回読み直してからやっと普通に佐藤さんの子だって気付いた
わかりにくくてすまんw
佐藤って真面目だから「責任のとれない学生の内は手を出さない。子作りは結婚してから」と決めてそう
精々キス・ペッティング止まりで、後は忍耐で凌ごうとするのに
男の事情に疎い八千代が無意識に挑発行為繰り返して悲惨なんだろうな
佐藤の天国我慢大会たのしそー
って投下してから気づいた
杏子あたり八千代を孕ませるの容易な気がしてならない
逆に佐藤はなかなか八千代を満足させられなくて健気な佐藤きゅん萌え
佐藤だって人並みに性欲あるだろうがキングオブヘタレだからなぁ
まっさらに等しい八千代に手を出せるかね。ルースルート行きそう
佐藤×八千代の進展は佐藤の成長次第だな
いい男に育ってくれ佐藤
キスするにしても物凄い道のりがありそうだね…
小鳥遊×伊波の方が、先に恋のABC進めそう
タ「この間、伊波さんと口と口がぶつかったんですが、それ以来顔見ただけで逃げられるんです
こういう時どうしたらいいんですか?」
サ「俺に聞くな…!」←手を繋ぐのがやっと
とか
>>203で思いついたパロの更にパロ
「小鳥遊、伊波とはうまくやってんのか?」
「えぇ、何か……昼間、胸間違って触ったら殴られたんですが……夜故意に触っても殴られなかったんですよね
……釈然としない」
(間昼間の飲食店でそんなコアな話を聞かされた俺は一体どうすれば……もっとソフトな話をしたかったんだが)
ことりちゃんが可愛すぎてどうかなりそうだったので、TSの小ネタちょっと投下。
苦手な方はスルーして下さい。
ワグナリア。
北海道某所に存在する、変人たちが働く店として有名なファミレス。
梅雨入りし始めた外から店内に目を向けると、そこそこ忙しいのかフロア担当の店員が慌ただしく店内を動き回る姿を見ることができる。
テキパキと働くその姿には淀みがない。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
轟と書かれたプレートを胸にかけた、いい笑顔の店員さん、実に心が癒される。
カチャリ。
ただし帯刀。
台無しだった。
「あの、ご注文は……?」
「えーと、生ビール1つ」
まぁ別に刀くらいどうって事ないか、と気持ちを切り替えていつも通り注文。
それにしても、毎回同じものしか頼んでいないような気がする。
「決まった?」
「えと、ちょっと待って」
目の前でメニューを睨みながらむーむー唸っていた肉親が、やっと顔を上げた。
「じゃぁ……、パフェ下さい」
「はい。ご注文を繰り返します、生ビール中ジョッキが1つ、パフェが1つ。以上でよろしかったでしょうか?」
「おーけーおーけー、それでよろしく〜」
店員さんがペコリと頭を下げてキッチンに引っ込んでいく。
その後姿を見ながら、いやぁたいしたもんだわ、と一言。
「何が?」
小学生の肉親が、キョトンと首を傾げる。ううむ、可愛いやつめ。
アンタもいつも働いてるんだろうと告げると、手伝いくらいならねと答えが返ってきた。
いや、でも小学生でしょうがと言うと、指をチョンと突き出す。
指差された方向に目を向けると、チマチマと動き回る背の低い店員が。
「あの子も小学生だっけ?」
「違うよ、種島さんは高校生だよ」
そういえばそうだった。
種島さんと呼ばれた店員の背丈は、とても高校生とは思えないほど小さい。
まぁ目の前の小学生がでか過ぎるっていうのもあるんだろうけど。
というより、家の家系は全員背が高い。
と、
ガシャーン!
「ぎゃー! 山田またやってしまいましたぁー!」
キッチンのほうから大きな叫び声が上がり、ゴンっ! という頭を叩かれたような音が響く。
普通のファミレスなら客が動揺するが、そこはさすがに慣れたもので誰一人驚いた客はいない。うーむ、ファミレスとしてはどうなんだ?
「ありゃりゃ、山田さんまたやっちゃたのかな?」
かなも何も今の叫び声からして間違いないと思う。
おや? キッチンから見覚えのある店員が出てきた。
中ジョッキとパフェを乗せてこのテーブルに近づいてくる。
あの組み合わせは間違いなく先程注文した代物だろう。
「お待たせいたしました」
バイト中だからか、いつもは見せないような笑顔を浮かべてテーブルに注文の品を置いていく。その顔をもう少し家でも見せろっての。
小学生がパフェに目を輝かせている間に、店員がさっさとキッチンに戻ろうとした。
「ちょと待ちなさい」
「……何ですか、お・き・ゃ・く・さ・ま」
大きくため息を吐いた上で、殊更にお客を強調してくる。
ほほう、わざわざ愛する肉親のバイト姿を見に来てやったのに、そういう態度をとるわけだ?
ならばこっちもそれなりの態度をとらせてもらおう。
「おい店員、こっち来て酌しろ」
「……もう注がれてますけど」
「別にいいんだよ、こういうのは気分の問題なんだから」
「当店ではそのようなサービスは扱っておりません」
「だから臨機応変に対応しろっての」
「……はぁ」
ありゃ、大きなため息。人と話してる時にそれは不味いんじゃ?
店員はこめかみをグリグリ抑えながら、
「いい加減にしてよ、梢兄さん」
と、俺に告げる。あっさりとギブアップ宣言。
「兄がわざわざバイトに精を出す姿を見に来たんだから、もう少し話していこ」
「いや、バイトしてるんだから話しかけないで欲しいんだけど」
「えぇ〜何で〜?」
「何でって……」
はぁ、しょうがない、あまりこれを人前では出したくなかったんだけどね。
俺は常日頃持ち歩いてるアルバムに手を伸ばす。
「じゃあ、可愛い小鳥遊ことりちゃんの写真でも眺めてよっかな」
「兄さんお話しよう!」
ことりちゃんが顔色を変えて大きな声を出した。
うんうん、妹は兄に対して素直がよろしい。
なずなに席を詰めて貰い、ことりちゃんが正面に座る。
「今に見てなさいよ……」
少し涙目になりながら俺を睨む我が妹。
俺くらいにしか見せない表情。あぁでも駄目だって、人前でそんな姿を見せたら……。
すごく、ぞくぞくする。
にやっとした口元を見せると、ことりちゃんが怯えたようにビクっとする。
まったく、自分のそんな仕草が男にどんな感情を覚えさせるのかまったく分かっていないらしい。
そこらへんに関して、ここはじっくり教えてあげよう。
そんな事を思いながら、俺はビールに口をつけた。
投下終了。
またROMります。もっと投下あると良いですね。
>>209 ハァハァことりちゃんハァハァ
梢兄さんのハンターっぷりイイネイイネ!!
全員の性転換想像したら萌えたぎってきた
いなみんが女を殴る男だったらギャグにできない
>>212 いなみん♂が女と見るとびくびくおどおどするショタ系と考えてみた。
「こ、この職場ならあんまり背の高い女の人とか居ないと思ってたのにっ!」
「……好きで背が高いわけじゃないんですよ(怒)」
「ひぃいっ!」 ガクガクブルブル
*
「何が悲しくて兄さんの服を借りてデートなんか……」
「ご、ごめんね小鳥遊さん……」
「まぁ、今更グチグチ言っても仕方がありません。とりあえず場所を変えましょう」
「……あの、でも、かっこいいですよ?」
「嬉しくありません」
問題ないな
良いね
しかし後半やらないか臭がするので勘弁
おれはこっちのスレで問題ないと思う。
ここで明記されてるのは801のみ。
自分がいやだからって排除しまくると、あっさり過疎化するぞ。
801はそもそも板違いだから明記されているだけ
TSがなぜ別スレを用意されているか、そのジャンルの性質を考えてくれ
これが自治厨ってやつか……
別スレが用意されている、って
>>211がWORKING!!TS小説スレなら話はわかるが
あれは単にそのジャンル好きが集まるためのスレだろう
それとも属性単独スレが有るものは全部そちらに行けとでも・・・?
あとついでながら性別入れ替えネタは公式でも過去にはあったわけで(犬では無かったと思うが)
完全に忌避するのも違うんではない?
一応念のため
スレ立てろと言ってるわけではないよ
なぜかスレ分割を嬉々としてやる人をたまに見かけるので
>>219 TSスレの
>>1より抜粋
よーするに、
各作品スレに投下したら荒れそうなSSの避難場所だ!
嫌いな人にまで自分の趣味を押し付けない、紳士の為の社交場だ!
今回の場合「俺が嫌いだからどっかイケ」っていうID:JoRpV2ULの趣味をこっち側に押し付けられてるんだけどな
もとのSSには注意書きあったしなあ。
その後の雑談で延々と続きっぱというなら
そろそろこっちでと誘導もありかとは思うけど。
>>221 それはそっちを知ってる人の言い分であって
その理屈は漫画板にいる4コマ漫画作者のスレに出て行けと言うようなもんだよ
>>222 いやたぶん
>>211のスレ住民なんだろう
他所様に迷惑かけるなと言う同類への忠告だと
というように事情を察したので
此の話はこの辺で、後は当事者に任せようよ
>>221 少なくとも嫌ではない人がいる、
TSに類するモノを書いたからとすべての人が同類だと思わないようにということだけ知ってもらえれば
自治厨うぜえ
注意書きちゃんとあるんだから
嫌なら読まなきゃいいだろ
アホか
>>209乙
非エロで相馬山田っぽいの書いたんだけど投下したらマズイかな
何がマズいというのか……? さぁ、己を解き放ちなさい
それでは投下します
【注意】
・非エロだけど最後だけ相馬×山田っぽい
・単行本6巻の115品目(春菜さんが休憩室から脱出する回)の続き
・相馬さんのキャラ、口調が崩れ気味
・視点があっちこっちに飛んでますができるだけ気にしないでください
・初投稿なので読みづらかったらごめんなさい
230 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:14:16 ID:Apxgs/0p
忽然と春菜さんが消えてしまった休憩室。
相馬はかなり動揺したがそれでも今までに何回か経験したパターンでもあった。まだそう遠くへは行ってはいないはずだ。
急いで窓に近づくと鍵を外して開け、塞いでいる板に力を込めて内側からこじ開けようとした。
しかし何事にも器用な小鳥遊が塞いだそれはビクともせず、春菜さんがここから逃げたとは考えにくかった。
念のため轟さんと分担して更衣室も確認してみたが影も形もなかった。
会わなくて良かったとホッとしている音尾さんの横から、外から戻ってきた小鳥遊がおずおずと相馬に話しかけてきた。
「結局窓をふさいだのは何だったんですか?まるで台風でも来るみたいじゃないですか。もう外してきていいですか?」
「ええと、防災訓練みたいなものかな…うん、用はもう済んだから後で俺が外しておくよ。
轟さんもここはいいからフロアに戻って大丈夫だよ」
「じゃあ山田は最初の予定通り山田特製なっとうごはんを音尾さんに御馳走します!
山田のお母さん候補のおばさまに会わせられなかったのは残念ですがしょうがないです。
キッチンにさっき買った材料があるので準備してきます!」
「じゃあ僕も溜まった仕事の資料を確認しに事務所へ行こうかな」
231 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:16:38 ID:Apxgs/0p
ゾロゾロと人が出ていった後、一人きりになった相馬はこの奇跡の大脱出についてもう一度考えてみることにした。
入口は目張り、窓は塞がれていて隠れられそうなところも探したが見つからなかった。本当に不思議だ。
完璧な密室なのに。ネズミ1匹出られないのに。いっそ虫なら…
いや、春菜さんは人間だ。でも野生動物と同じようなものだし…
いやいやそれはありえない。しかし彼女は俺の理解を超えている…
変身能力やテレポーテーションや異常な怪力を持っていても不思議じゃない…
そう、怪力さえあれば力ずくで塞がれた窓から脱出できるのでは?でも鍵がかかっていたからそれも成り立たない…
って俺は何バカなことを考えているんだ?
焦るな、落ち着け、落ち着くんだ…と相馬は自分に言い聞かせた。
彼女はありえないほどの方向音痴だが、それ以外は一般的な女性と変わらない。
小学生並みの身長だったり、ファミレスの壁を壊せるほどの怪力だったり、帯刀してたり元ヤンだったりする訳じゃない。
必ず現実的な解決があるはずだ。きっと何か見落としている点があるはずなんだ。
ぶつぶつとつぶやきながら相馬はもう一度窓へ近づいて確認してみた。
やはり押しても叩いてもやはりびくともしない。
相馬は小鳥遊の万能っぷりに感心しつつ、これを自分で片づけるのは大変そうだ、
やっぱり小鳥遊君に「お願い」した方がいいかなあ、だって本当に台風が来ても大丈夫そうなくらい頑丈だからね…と
黒いキラキラを飛ばして困難を前にして現実逃避していた。
(待てよ…台風。そうか、わかった!)
真相に気付いた相馬はテーブルの上に椅子を乗っけてその上に登った。
そして天井のパネルをずらし、屋根裏へと上がっていった。
232 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:18:50 ID:Apxgs/0p
つまりこういうことだ。窓を塞いでいるのを見た春菜さんは台風が来ると勘違いをする。
そして「台風は南から来る」→「北の方へ避難しなければいけない」
→「北=上」→「屋根裏へ上がろう」という思考の飛躍をしたのだ。
…我ながらかなりトンデモな推理だと思う。間違っていたら謝らなければいけないくらいに。会えたらだけど。
屋根裏に上がった相馬は辺りを見回した。
一応女の子の部屋を“直接”覗くのはどうかと思うので山田さんが来てからは極力見ないようにはしているが、
それでもどこに何があるかはたいてい知っている。
(特に変わったところはなさそうだけど…)と相馬は布団がこんもりと盛り上がっているのに気づいた。
間違いない、きっと春菜さんが中に隠れている…!
そっと、そうっと。
物音を立てないように。
野良猫に近づくようにじわじわと相馬は布団との距離を縮める。
そしてゆっくりと掛け布団に手を差し込み、全力で引っぺがし後ろに放り投げた。
「春菜さん!見つけましたよ!さあ下に降りて……ってあれ?」
布団の中にあったのはダンボール箱。
しかも割れた皿やコップのたっぷり詰まったやつ。
(この前割った食器を屋根裏に持っていってたのは知ってたけど、こんな所に隠さなくても…)
残念ながらここには居なかったのかもしれない。推理は間違ってたのだろう。
(滅茶苦茶なこと考えてごめんなさい春菜さん…)
233 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:20:59 ID:Apxgs/0p
放り投げた掛け布団を片づけようと後ろを振り返ったが、そこに布団はなかった。
いつの間にか別の入り口が開いていて、どうやらそこから落ちたらしい。
(さっきは開いていなかったのに…おかしいな)
とりあえず覗いてみると、キッチンの入り口のあたりの天井に位置している。
高さがそれなりにあるので、さすがに一度降りないといけないみたいだ。
両足から布団に着陸。そして布団を抱えて振り返ると、
相馬さんのすぐ目の前に固まっている伊波さんがいた。
「う、上から降ってきた…」「うわっ!お、落ち着いて伊波さん…」
あまりに予想外な場所からの相馬の登場に衝撃を受けて思考停止した伊波さん。
しかし状況を飲み込みんできたのだろう、頭が少しずつ動き出し、
恐ろしい勢いで顔が赤く、そして拳に力がみなぎっていく。
相馬が逃げ出そうと心に決めた瞬間、会心の右ストレートが繰り出された。
「きゃああああああ!!」「ぎゃあああああああ!!」
相馬は布団ごと数メートルふっ飛ばされ、そのままの勢いで転がり、キッチンの冷蔵庫に衝突した。
伊波さんは「ごめんなさーい!」と半泣きで走って逃げていった。
234 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:24:50 ID:Apxgs/0p
キッチンでは山田が山田特製なっとうごはんを作っていたが、
そこに相馬が吹っ飛ばされてきたのでびっくりして作業を中断。相馬に駆け寄った。
「大丈夫ですか相馬さん?」
相馬は半泣きで答えた。
「布団がクッション代わりになったから直撃はしなかったけど冷蔵庫にぶつけた頭が痛い…
ついでに転がったから全身も痛い…」
山田が相馬の抱えている布団に気づき、不思議そうに尋ねた。
「あれ、そのお布団は山田のじゃないですか?なんで相馬さんが持ってるんですか?」
「ええと、これはその…そう、外に干してあげようかと思って…」
と相馬は誤魔化した。
「そうだったんですか!相馬さんは優しいです!
あとで相馬さんにも山田特製なっとうごはんを御馳走しますね!」
山田はこの掛け布団が自分の失敗を隠していたことも忘れて喜んでいる。
「じゃあそろそろ行くね…」
相馬はよろよろと立ちあがり、もう一度布団を抱え上げた。
と、丁度そのとき。冷蔵庫が急に開き、扉がちょうど相馬さんの後頭部に直撃。
「ぐふっ」と声を洩らしながら布団を上に放り出し、
ちょうど前に居た山田のところに倒れ込んだ。
さらにその上から布団がちょうどいい具合に2人の上にすっぽりと覆いかぶさった。
急にドアの開いた冷蔵庫。その中から出てきたのは、他でもない春菜さん。
「もう台風は過ぎていったのかしら…」
さすがの相馬も、「北→寒い→冷蔵庫」という理屈には気づけなかった。
そして春菜さんはすぐそばで布団に覆われている2人に気づくことなく、
自宅を探してまたどこかへと去ってしまった。
235 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:27:07 ID:Apxgs/0p
「葵ちゃん、どこー?」
フロアが忙しくなってきたので山田を探していた種島がキッチンに入ってきた。
「ここにも居ないみたい…ってあれ、なんでこんなところにお布団があるんだろう?」
しかもこんもりと盛り上がっている。おそるおそる近づき、めくってみる種島。
……そこには押し倒されている山田と覆いかぶさっている相馬がいた。
それをみた種島は血の気が引いて真っ青になった。そしてカタカタ震えながら言葉を絞り出した。
「相馬さんが葵ちゃんをお布団の中で押し倒してる…」
「誤解しないで!少し落ち着いて…」
「どうも兄候補を嫌がっていると思ったらそういうことだったんですか!山田今まで気付きませんでした!」
「山田さんも違うから!」
「兄と妹の禁断の愛…昼ドラ以上にドロドロで山田ワクワクしてきました!」
「勝手に話を進めないで!」
「けーさつ!!けーさつ!!」
「ああもう勘弁してよ…」
慌てて弁解しながら、誤解を解くのは大変そうだ、ていうか最近こんな役回りばっかり…
と相馬は心の中でため息をついた。思い通りにゃ進まない――
<おわり>
236 :
密室の真相?:2010/06/19(土) 23:28:51 ID:Apxgs/0p
注
・天井裏への入り口についてはドラマCD準拠。どこからでも出入りできます。
・ミステリっぽいのは書き手の趣味です。でも話の流れがご都合主義的過ぎたかも。まだ鍛錬が必要です。
・もちろん山田はノリで面白がっているだけで別に相馬さんのことが恋愛的な意味で好きだとは思っていません。
・最近相馬さんが伊波さんに殴られたり佐藤さんをからかって仕返しを受けたり山田に絡まれたり春菜さんを見つけてテンパってるのを見るとニヤニヤしてしまいます。サドでもなければホモでもないはずなのにどうしてでしょうか。不安で夜も眠れません。
どうもありがとうございました。ROMにもどります。
かわいそうまさんw
山田w なんでこんなに愛憎劇がすきなんだw
GJ
240 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 09:25:21 ID:txJq4G2f
なんという究極のかわいそうまさんw
GJすぎる
公園には数人の不良が倒れ、佐藤がボロボロになって座っていた。
足立は思わず、「佐藤!」と叫ぶと佐藤が力なく足立を見た。
「! 足立・・・」
足立はどういう状況なのかわからなかったが、佐藤が折れて壊れたギターを抱きかかえていたのが痛々しかった。
「これはいったい……」
「佐藤君……私がからまれているのを救ってくれたんです。それで……」
八千代が弁解すると佐藤が八千代の言葉を遮った。
「ちがうんだ……そんなカッコイイもんじゃないんだ。ギターにツバ吐きかけられて……カッとなって……キレただけ……
バカだよな……俺……なにやってんだが……なに……やってんだが……」
佐藤の目から涙がこぼれた。
「バカなんかじゃねーさ! それでいいんだよ」
「エ?」
「初めて買ったギターは真っ白なフライングVで買ったその日にケンカでたたき壊しました!
ロックンローラなんてそれでいいんだよ。佐藤カッコイイよ」
えっと……ブレーメンだっけ
ボーカルは本編に登場しないのか?
多分その佐藤を襲った不良はその後、村主さんの気まぐれで彼女の常連さんに襲われたと思う。
シュガーはアコギを持っているようだが
バンド組んでるぐらいだからエレキギターも持っているんだろうなぁ
新スレになって未だたかいな無しとか・・・泣く
上のほうで揉めたから公式カップル投下しにくいんじゃね
1、2スレのころから非公式カップルの風当たりは悪かっただろう
そりゃ仕方ないだろう
WORKINGの場合、原作カップルを変えるのはキャラ崩壊に等しい
キャラ・カップリング・原作を気に入ってるからエロパロ見たいのに…って気持ちはあるよ
原作カップルが絶大な人気を誇ってるのも原因だろうね
でも書きたかったら非公式カップルも勝手に書けば良いのに
うじうじと被害妄想するからウザかった
挙句に公式カップルを投下させない雰囲気を作った
それじゃ反感買うわな
誰だって、俺が好きなんだ、俺が萌えているんだ!って表現すりゃいい
読みたくないやつはNGするし、好きなやつは褒める
それが耐えられないなら2次サイト作れ
そういうマジレスも投下しにくくなるYOヤメテ><;;
アニメ終わったら過疎るの目に見えてるんだし
エロパロも今が旬
ふざけたエロ話に花を咲かせようぜ
うーん・・・
ちゅーしたら伊波が溶け、べろちゅーしたら伊波が蒸発
蒸発した伊波が雪となって降り積もり
小鳥遊は雪だるま伊波を作るのであった
「また会えたね、伊波さん…」
冬の間だけ2人は出会えるのでした
北海道は雪が多くて良かったEND
ここはひとつ陽平&梢でだな
>>254 往来で脱がせにかかる梢。自分も脱ぐ
「えっちしよ!」
「せめてベッドで……じゃない、女性と付き合うなら職探したいっす。ベルト外さないで下さい」
「なんで?私が養ってあげるからさー!」
「好きな人は自分の手で養いたいです。服返して下さい」
「きゃーっマジで?私愛されてるぅ!」
「え、違…」
「私待ってるわ、ダーリン!あなたが定職につくまで!」
「ありがとうございます…?」
ごめん難しかった
手錠だけじゃなくて
足枷に首輪
そして猿轡
それくらいして始めて伊波さんと小鳥遊くんはラブラブできるわけで
保管庫にあった小鳥遊×店長がけっこうツボだった
今は真柴2号で何か書けないかと考え中
…誰が相手になるんだろうorz
佐藤じゃね?「あんな男をお嬢に近付けさせてなるものか!」を妙な方向に転がせば。
猫組の田坂さん
初めて佐藤と二号が遭遇した時は何かフラグがあると思った
八千代に近づけさせないようにしてたら自分が惚れ血マッたとか?
非公式カプなら山田とかたなしの絡みが好きだ
か「山田ァ!!」
山「……小鳥遊さんに名前を呼ばれるとドキドキするんです」
佐(反射的に怒られるって思うからじゃないか……?)
こういうノリでひとつ。
>>248 ごめん、もう1ヶ月くらい書き途中で止まってる
がんがれ
超がんがれ
投下します。
ご注意:
・童話パロコメディ、エロなし。
・出演者は犬組の皆様。
・主役は伊波さんのはず。
・とくにカップリングはないけど良いですか。
それでは。
266 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 00:42:43 ID:xHym+Wnk
『いなゆき姫』
昔々その昔、ある王国にいなゆき姫というそれはそれは美しい、そして胸の無いお姫様がいました。
しかしそのお姫様には胸が小さいということの他に、とても大きな悩みがありました。
男性に恐怖心を抱くあまり、男なら誰彼構わず殴ってしまうという悪癖があったのです。
「ああ、今日も家来の男の人を殴り飛ばしちゃった」
いなゆき姫はこのように毎日男の人をついつい殴り飛ばしてしまうのです。
そもそもいなゆき姫がこうなったのはこの国の王様、つまり彼女の父親のせいでした。
娘可愛さに、幼いいなゆき姫にありとあらゆる手段を用いて男性は怖いものだと叩き込んだのです。
そしてそんな父親の溺愛振りも彼女の悩みの種でした。
「そうだ、お城から出て行こう。それで男の人の居ないところに行けばいいんだ。
そうすればきっと誰にも迷惑を掛けずに済むもの」
こうしていなゆき姫は密かに城から抜け出す決心をしたのでした。
同じ王国の同じ城に山田という下働きの娘が暮らしておりました。
彼女には日課がありました。それは自分の部屋に飾られてある魔法の鏡にある質問をすることです。
何を問い掛けているかというと……。
――――
「ちょっと待ってください! なんで山田が意地悪な魔女の役なんですか、鏡の精の佐藤さん!」
「そりゃあ、お前しか適役がいないからだろう」
「佐藤さんの方が意地悪です!」
「うるさい。俺は鏡の精なの」
「だったら店長はどうですか。店長の方が山田より似合ってます」
「そうかもしれんが、あいつの場合毒りんご食っちまうだろう」
「だったら、やち」
「……」
「なんでもないです。なんでもないですから怖い目で睨まないで下さい」
――――
「おほん。それでは気を取り直して」
「余計なことは言わんでいい」
「鏡よ鏡よ鏡の精の佐藤さん。この世で一番美しいのは」
「……」
「八千代さんですね?」
ブチッと何かが切れるような音がしました。
するとあら不思議。鏡の中から人が出てくるではありませんか。
「ま、待って下さい! 冗談です、冗談ですから出てこないで下さい!」
「黙れ」
「痛いです! 髪の毛引っ張らないで下さい!」
そして一頻り山田をいたぶり尽くすとどこかへ消えてしまいました。
「全く、酷い目に遭いました」
「本当だねえ。大丈夫山田さん?」
「あ、かわい相馬さん。今度は相馬さんが鏡の精さんですか?」
268 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 00:50:29 ID:xHym+Wnk
その頃城を抜け出したいなゆき姫は見知らぬ森を彷徨っていました。
「ここなら誰にも会うことはないと思うけど。これからどうやって生活していけば良いんだろう」
あてもなく歩を進めるいなゆき姫。すると森の奥の方から不思議な歌が聞こえてきました。
「「「はいほー、はいほー」」」
どうやらその歌声は男のものではないようです。しかも1人や2人ではありません
いなゆき姫はそうとわかると、声のする方へと進んでいきました。
進むにつれてその声はどんどん大きくなっていきます。
「「「はいほー、はいほー」」」
そして林を抜け開けたところに出るとその声は止みました。
「あんた誰」
そこにいたのは小さな、
「「「ちっちゃくないよ!」」」
小さな、
「「「ちっちゃくないよ!」」」
ちい、
「「「ちっちゃくないよ!」」」
「わかった、もうわかったから」
そこにいたのは7人の(小さな)種島ぽぷらでした。
「わたしはいなゆき姫。行くところがないの、助けてもらえないかしら」
七人のぽぷらは一ヶ所に集まるとなにやら相談し始めました。
そしてその相談が終わると、その内の1人のぽぷらがこういいました。
「良いよ。その代わりにお家のことを頼んで良い?」
「そんなことで良いならいくらでも」
そうしていなゆき姫と7人(小さな)ぽぷらの不思議な、そして楽しい生活が始まったのです。
「あの、ずっと歩いていてお腹空いちゃった。ご飯貰えるかしら」
「あ、丁度昼ご飯を食べてるところだったの。どうぞ」
そうやって差し出された御茶碗はとっても、
「「「ちっちゃくないよ!」」」
269 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 00:53:04 ID:xHym+Wnk
「まひるー! 何処だ、何処に行ったんだー!」
「お父さん、落ち着いて」
丁度その頃お城では姫がいなくなって大変な騒ぎになっていたようですがどうでもいいです。
山田は相変わらず部屋で魔法の鏡と向かい合っていました。
「鏡よ鏡よ、鏡の精の相馬さん。世界で一番美しいのは誰ですか?」
「それはいなゆき姫でございます」
――――
「そんな!」
「どうしたの山田さ」
「山田は相馬さんの妹です! 世界で一番相馬さんの妹です!」
「だから?」
「なのに伊波さんが世界一ってどういうことですか、相馬さん!」
「いや、何故そうなる」
「こうなったら伊波さんを葬ります。そうすれば山田は相馬さんの妹世界一」
――――
こうして怒った山田はいなゆき姫の命を狙うことにしたのです。
実は魔女だった山田は毒リンゴ(ただの眠り薬入りリンゴ)を用意して出かけました。
森ではいなゆき姫と7人のぽぷらたちはすっかり打ち解けて毎日とても楽しく生活していました。
「「「はいほー、はいほー」」」
「伊波ちゃんは男の人が苦手なんだね」
その中の1人が尋ねます。
そうなのです。いなゆき姫は男の人が怖くてつい殴り飛ばしてしまうのです。
「だったら簡単に家の扉を開けちゃ駄目だよ! 男の人かもしれないから」
「わかった」
そうそうぽぷらたちの家はとても変わったものでした。
テーブルやら椅子やらベッドやら家の中のあらゆる物がぽぷらサイズだったのです。
それもそのはずここは7人の(小さな)ぽぷらの暮らす家。
そんなある日のこと、ぽぷらたちは朝から仕事に出掛けていました。
今家にいるのはいなゆき姫ただ独りです。
270 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 00:58:22 ID:xHym+Wnk
そんな時訪問者が現れました。
コンコンと玄関の戸を叩く音。
「もしもし美味しいリンゴはいりませんか。決して怪しい者ではありません」
自分から怪しいと名乗る不審者は存在しません。
それでも人の良いいなゆき姫。ぽぷらたちも喜ぶだろうとリンゴを貰うことに決めたのです。
何より相手は男の人ではありませんでしたから。
しかしその相手は変装した魔女の山田でした。
毒リンゴでいなゆき姫を亡き者にしようとしていたのです。
ですがもともといなゆき姫は山田のことを知らなかったので全く変装の意味はありません。
「お1つくださいな」
「どうぞ、どうぞ。美味しいリンゴですよ。世界一美味しいリンゴです。
だから今すぐ食すべきです。さあお食べなさい」
「あ、でも種島さんたちが」
「いいから、いいから。山田のいうとおりにするのです」
「あれ、あなた山田さんっていうの? 何処かで聞いたことあるような」
お城住まいでしたからもしかしたら、いなゆき姫の耳にも山田の噂は聞こえていたのかもしれませんし、
そうじゃないのかもしれません。
「い、いいえ私はあなたの聞いたことある山田ではない山田です。だからリンゴをお食べなさい。ささっ早く」
パクリ。
急かされるままにとうとういなゆき姫は山田特製毒リンゴ(ただの眠り薬入りリンゴ)を食べてしまいました。
「ふっふっふ。掛かりましたね。それは山田の作った毒リンゴです。
これで山田は世界一です。それではさようなら」
山田の姿は森の奥深くに消えていきました。
「毒リンゴって?」
気付いたときにはもう遅く、いなゆき姫は深い睡魔に襲われるとパタリとその場に倒れ、
そのまま動かなくなってしまいました。
271 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 01:01:13 ID:xHym+Wnk
「「「きゃー! 伊波ちゃんどうしたの!」」」
ぽぷらたちが家に戻るとそこには倒れたままピクリとも動かない、いなゆき姫がおりました。
「「「伊波ちゃん、死んじゃったの? ねえ起きてよ」」」
みんなで力を合わせて体を揺するのですが反応がありません。
山田の仕込んだ睡眠薬はそれはそれは強力なものだったのです。
そうとは知らないぽぷらたちはいなゆき姫が死んでしまったと勘違いしてしまいました。
そしてガラスの棺を用意すると皆でいなゆき姫をその中に寝かせてあげました。
「「「可哀相な伊波ちゃん」」」
棺を囲んだぽぷらたち、それぞれ悲しみにくれています。
花を摘んできてはいなゆき姫の周りに供えてあげていました。
そんな時白馬に跨った1人の王子様の小鳥遊宗太が通りかかりました。
「ちっちゃい!」
馬から下りるといなゆき姫には目もくれず、ぽぷらたちの元へ駆けよってくるではありませんか。
「役得だ! ちっちゃい先輩が7人も!」
「「「ちっちゃくないよ!」」」
「いいえ、先輩はちっちゃいです!」
「それよりも王子様」
ぽぷらたちの1人が話しかけます。
「ああ、可愛いなあ。しかも小さい」
しかし王子様はぽぷらたちに夢中で話しになりそうにありません。
「どうしよう。これじゃあ、お話が進まないよー」
「ちっちゃい、可愛い。ああ」
するとそこにまた1人の男が現れました。
「俺は山田桐生。伊波さんがいると聞いてやって来たのだが」
その風体はただの旅人のようでした。
「伊波さん! これはいったい」
棺の中のいなゆき姫の姿にたいそう驚いています。
「「「わからないの。家に戻ったら倒れていたの」」」
「なるほどそういうことか。こういう時は王子様の口付けでお姫様は目を覚ますと相場で決まっているらしい。
ということで心配要らないぞ、ちびっこたち」
そういうとおもむろに棺の蓋を開け、姫の唇へと顔を近付けていきます。
272 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 01:04:26 ID:xHym+Wnk
「「「え?」」」
「痛たたた!」
「いたいけな眠っている女性に何をする気ですか、そこの旅人」
しかしそれは王子様の護身術であわやというところで防がれてしまいました。
「そちらこそ何をする! 俺はただこの美しい女性を助けようとしているだけだ」
「今どき王子の口付けでお姫様が目を覚ますなんて話流行ませんよ。
それにあんたそもそも王子様じゃないだろ」
「はっ、しまった。俺は行方不明の妹を探している途中だったんだ。ということでさらばだ。
あとは任せたぞ、王子様」
桐生は颯爽と森の奥へと去っていきました。
「なんだったんだ、あいつ」
「かたなし君!」
「ど、どうしたんですか先輩」
「かたなし君は王子様だよね」
「はい、一応そういうことになっているみたいですが」
「「「だったら伊波ちゃんを助けてあげて!」」」
ぽぷらたちはそろって王子様に懇願します。
「「「お願い、かたなし君!」」」
「そ、それって眠っている伊波さんにキスしろってことですか?」
「そうすれば目を覚ますって桐生君が」
王子様はとても困った顔をしています。
「「「かたなし君、お願い」」」
「……良いですけど」
どうやらぽぷらたちのお願いに根負けしてしまったようです。
正確にはそのちっちゃ可愛さに負けたのかもしれませんが。
「でもとても嫌な予感がするのはどうしてでしょう。
目を覚ましたとたんいきなり殴られるような、そんな予感がします」
「大丈夫だよ。きっとかたなし君なら大丈夫。だって王子様だもん」
「わ、わかりました」
王子様は棺に近寄り、いなゆき姫の枕元にそっと片膝をつきました。
273 :
いなゆき姫:2010/06/25(金) 01:07:13 ID:xHym+Wnk
「しかしこの人本当にヤバイのかなあ。顔も真っ赤だし血色も良さそうだぞ」
口付けを交わす必要が本当にあるのか疑問に駆られましたが、7人のぽぷらたちに囲まれ、
真剣な眼差しで一身に期待を受けていては引くに引けません。
「ええい、こうなったらやけだ」
覚悟を決めるとゆっくり顔を近付けていきます。
「というかそもそもなんで俺が王子様で伊波さんがお姫様なんだよ」
文句をいいながらも唇と唇の距離はどんどん短くなっていきます。
お姫様の顔の色も心なしかそれに比例してますます赤くなっていくように見えます。
そしてその距離がほぼ零となった瞬間奇跡が起こりました。
「もう駄目、我慢できない!」
いなゆき姫の右の拳が見事に王子様の小鳥遊にクリーンヒット。
王子様は空の彼方へと消えていきました。
こうして小鳥遊宗太は星の王子様になりましたとさ。
ちなみに目覚めたいなゆき姫は7人のぽぷらたちといつまでも仲良く暮らしていったそうな。
めでたし、めでたし。
――――
「鏡よ鏡よ鏡の精の相馬さん」
「……」
「世界で一番相馬さんの妹に相応しいのは山田ですよね?」
「……」
「もしもーし、鏡の精の相馬さーん。相馬さーん」
― 終わり ―
以上です。
ちなみに投稿は2回目です。
前スレで「最初の自覚」を投稿させて頂きました。
たかいなこないねー。
>>272 面白かった
更新まだかと何回もリロードしてた
原作と童話を綺麗にリスペクトしてるし会話面白いし
最高でした
みんな可愛いなw
童話になっても桐生は痴漢
まて、それを言ってしまうとタカナシも同類に…
いなみん的には嬉しいハプニングだから結果オーライですがw
>>274 GJ!
7人のぽぷらとはなんて小鳥遊天国ww
皆の絡みが面白かったです。
しかし乳はでかい
たかいなの二人が手を繋ぐまでを考えた。
他の男がいる状況なら、小鳥遊に抱きつける
→他の事に集中してればいいんじゃね?
→いなみんにバイブつっこむ
→「伊波さん、手を貸しますので普通に歩いて下さい。じゃないと周りにバレてしまいますよ?」
→「小鳥遊くんの意地悪…」
→手を繋ぐ
まではわかった。
キャラをよく理解してて上手いよな
ぜひ他の童話ででも書いてもらいたいわ
ここに載せていいのかな?
内容は宗太と泉姉さん
エロはない、微エロになるのかな
少しお漏らし描写あり
ひとまず投下します
『姉と病気と介護と宗太』
「宗ちゃん、ごめんねバイトも休ませて」
「気にしないで泉姉さん。姉さんは一人だと何もできないし、病気じゃしょうがないよ」
泉は昨日から体調を崩しており、今日は宗太が看護をしている。泉は元々身体が弱く、昔からよく風邪を引いたりしていた。決まって看病するのは宗太の役目だ。
「それじゃ姉さん身体拭くから」
宗太が洗面器にタオルをいれて少し弱めに絞る。泉はなすがままに宗太に手足を拭いてもらった。
「宗ちゃん、背中も汗で気持ち悪いの……お願い」
「うん、わかったから少し背中こっちに向けてもらえる?」
「うん……」
宗太は泉のパジャマを少しだけ捲くるとタオルを滑り込ませた。力を入れないで優しく背中をタオルでこする。
「どう気持ちいい?」
「うん。ちょとパジャマが邪魔だから脱ぐね……」
泉は突然宗太の前でパジャマのボタンをはずし始めた。宗太が『あっ』と思っているうちに泉はパジャマをするすると脱いでゆく。宗太の眼前には上半身に何も纏わぬ泉の姿があった。
「ね、姉さん!」
「あのね宗ちゃん、胸もべとべとして気持ち悪いの。ただ、恥ずかしいからそのまま後ろから拭いて欲しい……」
「う、うん」
思わず宗太は生唾を飲み込む。背中越しとはいえ目の前には上半身裸の姉。可愛くて小さいものが好きな宗太ではあるが、正直どきどきしているのも事実であった。
(何を考えてるんだ……泉姉さんは実の姉だぞ! 歳だってオレより上だし何より泉姉さんはでかいじゃないか)
宗太は邪な考えを払拭するように頭を少しふると改めてタオルを持ち直した。
「それじゃ拭くよ」
やや緊張した面持ちで泉の胸に手を回す宗太。どうしても体勢的に泉の背中に密着せざるをえず、それが宗太に邪な気持ちを与える。
(汗かいてるっていってたけど、姉さんの背中いい匂いがするな)
「宗ちゃん……少しくすぐったい」
宗太の鼻息を背中で感じていた泉が声を上げる。それは決して責めているわけではなく純粋にくすぐったからだ。
「あっ、ご、ごめん姉さん」
「ううん大丈夫、それより、拭いて欲しい」
「うん……」
とは言ったもののどうしていいかさっぱりわからない。何しろデリケートな部分だ。泉の胸の前で完全に宗太の手は止まっている。
「大丈夫、普通に拭いてくれればいいから」
そう言われて宗太はゆっくりとタオルを泉の胸に押し付けた。そのままなるべく刺激しないようにタオルを上下させる。タオル越しに胸の感触が宗太に伝わっていく。初めて触れる女性の胸。
(柔らかい……)
それが最初に思った率直な感想。宗太には存在しないパーツ。
泉の胸は決して小さくない。むしろ大きいほうである。下から持ち上げるように拭こうとするとその重量が直に伝わってくる。
見えないということが逆に感覚を鋭敏にさせているのではないかと宗太は思った。布一枚向こうにある胸の形が脳裏に浮かぶ。
「宗ちゃん、谷間もお願い。汗が酷いから……」
「あっ、うん」
慌てて手を谷間……と思わしき場所まで移動させる。そこを拭こうとするとどうしても腕に泉の胸があたってしまう。
「あっ……」
泉の口から切ない声が漏れる。宗太の腕が泉の敏感な場所に当たってしまったせいだ。
この反応が自分のせいだと気づいた宗太は慌てて手を引っ込めた。
「ごめん、姉さん」
「ううん、大丈夫。少しびっくりしただけだから……」
そうは言ったものの、泉の体には多分に肉体的な変化が表れていた。桜色の乳首はわずかに突起している。そんな変化を悟られるのが恥ずかしくて先を促した。
二人とも無言のまま身体を拭く作業が続く。時折宗太の腕が触れると泉が甘い声を漏らす。宗太が謝ってまた身体を拭く。
だいたい拭き終わった頃には変わりに宗太が汗にまみれていた。たいした労働ではないが、何よりも緊張が大きい。とにかく神経を張って作業をしていたものだからシャツがしっとりと汗をすっていた。
「ありがとう宗ちゃん。次は……脇も……」
(脇か……ならさっきよりも大分ましだな)
泉の右手を掴むとそのまま上に持ち上げる。少し首を傾けると泉の脇を見ることができた。
(ちゃんと手入れしてるんだな。姉さんのことだからあんまり手入れしてないのかと思ったけど)
「宗ちゃん……そんなに見ないで。恥ずかしいから」
その声にも非難は混じっていない。ただ弟に脇をまじまじ見られることに羞恥を感じてしまった。
「ごめん、すぐに拭くから」
泉の脇はしっとりと汗ばんでいた。念入りにタオルを上下させ脇の汗を拭い取る。
「こっちはこれでいいかな。ほらこっちも」
泉の手首を握るとそのまま上に上げさせる。
宗太はタオルをあてることをせずにそのまま少しだけ顔を近づけると、匂いを嗅いでみた。なぜこんなことをしたのか宗太自身にもよくわからない。
汗ばんでいるのだからいい匂いのはずはないのだが、別段臭いとも思わなかった。むしろ落ち着く匂いという印象だった。
(これが姉さんの匂い……)
匂いを嗅いでいたことを泉に気取られないように、急いでタオルを押し付けて汗を拭う。
「んっ……気持ちいい」
汗ばんだ身体が少しづつ清潔さを取り戻してくのが心地よい。宗太はさっきからかいがいしく働いている。
「ふぅ……こんなもんかな。終わったよ姉さん」
一通り身体を拭き終えた宗太が額の汗を拭う。
「ごめんね宗ちゃん。わたしばかりしてもらって……」
いつも宗太に世話をしてもらっているのが後ろめたい。今日だってまるで子供みたいだ……
「気にしないでよ姉さん。それに姉さんの世話をするのは嫌いじゃないからさ」
宗太は昔から泉には甘い。長女の一枝、三女の梢と違って生活力皆無の泉は宗太にとって庇護の対象になっている。泉は姉でありながら妹のような対象なのである。
(やっぱり泉姉さんは他の二人と違って可愛いな。背は確かに大きいけど、こうやってるとまるで子供みたいだよ)
「んっ、チャイムなったね」
ピンポーンと小鳥遊家のチャイムを鳴らす音がした。
「お客さんかな? ちょっと見てくるよ」
宗太は立ち上がると様子を見に部屋を出て行った――
――宗太が出て行ってから10分ほどたっただろうか。泉はベッドの上でもじもじしていた。
(どうしよう……おしっこしたくなってきちゃった。筋肉痛でわたし一人じゃ動けないし……)
宗太が戻ってこないことには用を足すこともできない。普段ならトイレくらいは泉一人でもいけるのだが、今は熱と筋肉痛がある。極度な虚弱体質な泉はろくに動くこともできない。
(宗ちゃんまだかな……)
我慢しようとさっきから太ももをこすり合わせるが、それで尿意が去ってくれるわけではない。
(宗ちゃん……)
「ごめん姉さんちょっと立て込んでて遅くなっちゃ……ってどうしたの姉さん?」
宗太が部屋に入って見たものは泉の泣きそうな顔。酷く辛そうにしてる泉だった。
「ね、姉さんどうしたの? 気分悪くなった?」
「違うの。おしっこがしたくて……ずっと我慢してたの」
今にも泣きそうな顔で泉が答える。
「わっ、待って! 今すぐトイレに連れてくから」
宗太が手を伸ばすと泉の身体がビクッと震えた。
「あっ! ダメっ宗ちゃん。今動いたら漏れちゃう」
「そんなこと言っても……どうしたら?」
すでに泉の我慢は限界まで来ていた。泉は今日一度もトイレに行っていない。
「宗ちゃん……もうダメっ」
弱弱しく泉が答える。それが合図となって――泉の堤防は決壊を迎えた。
最初は股間のところにじわりと染みができた。それが少しづつ広がり、やがて下着、パジャマ、二枚の布を超えて勢いの増したおしっこが放出された。
その軌跡は『y = ax^2 + bx + c』の法則に従い美しい放物線をえがき、ベッドの上をまたたくまに汚してゆく。
宗太はその光景をただ呆然と見守ることしかできず、泉は排泄による快感と実の弟に排尿を見られているという羞恥の中にいた。
広がってゆく染みは泉の臀部を濡らし、泉が座っている位置には一面の水溜りができていた。
部屋に響くのは十数秒ほどの排尿の音。後に残るのは泉の嗚咽。
「わたし……うっ……えぐっ」
「ね、姉さん」
呆然と立ち尽くしていた宗太が弾かれたように泉を抱きしめる。
「大丈夫だから」
「そ、宗ちゃん、ダメ離れて……宗ちゃんまで汚れちゃうから」
「そんなの関係ないよ。泣いてる姉さんはほっとけないし」
「でも、わたし漏らしたんだよ……28にもなって……」
「しょうがないよ。不可抗力だったんだし。ずっとそばにいられなかったオレも悪いし」
ことさら泉をなだめる宗太。泉をしっかり抱きしめて頭をなでなでする。
「宗ちゃん……ありがとう」
泣き止んだ泉はいくらか落ち着きを取り戻していた。
「ねぇ、宗ちゃんはこんな姉さんは嫌じゃないの?」
当然の疑問だった。泉は宗太に何もできない。いつも宗太の世話になっている。身体が弱いことを言い訳にしていつも宗太に甘えていた。そんな泉を宗太はいつも優しく包んでくれる。
「バカなこと言うなよ。大切な姉さんを嫌いになるわけないだろ」
「そっか……お姉ちゃん嬉しいな」
宗太に嫌われてない。それだけで泉は満足だった。優しい笑顔でにっこりと微笑む泉。
泉の笑顔に一瞬宗太はドキッとした。泉はあまり笑うことがない。間近で見る姉の笑顔は十分に魅力的なものだった。
(何を考えてるんだオレは……)
「さぁ片づけするから」
気持ちを切り替えるように宗太は言った。
タオルを敷いた上に泉を移動させると、シーツを外して洗濯機に放り込んだ。ベッドマットは染みをふき取ってからベランダにかけてある。
「一枝姉さんにばれないかな?」
「大丈夫だと思うよ。この天気ならすぐに乾きそうだし。後は姉さんだね」
泉はまだ汚れたままの格好でタオルの上にいる。
「姉さん、自分で脱げる?」
「ちょっと……きついかも」
「だと思ったよ……オレがしてもいいのかな?」
「うん……宗ちゃんなら平気だから」
「ふぅ……」
宗太は軽くため息をつくと脱がす作業にとりかかった。
泉のパジャマと下着を脱がす。腰に手をかけて躊躇しないで一気に脱がしにかかった。パジャマが少しずれて泉の下着が露になる。
(わっ、今日も黒の下着か)
泉は黒の服、下着を好んで穿く。一枝には『あんたその格好暑苦しいだけど』とよく言われたりしてる。
家族が女性しかいない宗太にとって下着程度で動揺することはなかった。ただ、その下着の下の部分……そこをはっきりと見たことはない。
泉に気を使って横を向きながら脱がす。さすがにこの行為は宗太にも恥ずかしい。むろん泉も同様で顔を赤くしている。
少し足首のあたりで手間取ったがそのままパジャマと下着を脱がすのに成功した。
「ふぅ、後は綺麗にしないとな……」
泉の秘所を綺麗にする。その行為にさすがに宗太は躊躇いを感じていた。
「わたしなら大丈夫だから、拭いて……」
泉の許可も出たので、宗太は意を決してタオルをあてがう。なるべく見ないように気を使おうとは思うが、見ないことにはうまく拭けない。なにしろデリケートな部分である。
タオルをあてがったもののどのように拭いていいのかわからない。
「あのね、やさしく拭いてくれたらいいから」
宗太が困ってるのをみて泉が助け舟をだす。
「う、うん」
少しだけタオルを上下させる。
「んっ……」
タオルの動きに合わせて泉の口から吐息が漏れる。かといって止めるわけにもいかず、そのまま少しづつ動かしながら拭いてゆく。
「あっ、んっ!」
さっきよりも一際大きな声が泉の声から漏れた。泉の一番敏感な場所にタオルが擦れたせいだ。
「ご、ごめん」
「んっ……平気」
平気とは言ったものの、泉の身体は研ぎ澄まされたように感覚が鋭敏になっている。少しタオルが触れるだけで声が出そうになる。声を押し殺すので精一杯だった。
宗太はなるべく刺激しないようにタオルを軽く押しあてるようにふき取ることにした。
「少し腰浮かせるよ」
お尻の下も汚れてしまってるので泉の腰に手を回すとそのまま身体を持ち上げた。
タオルを臀部にまわす。すると今まで隠れていた秘所がはっきりと露になった。ほとんど使われたことがないであろう、と宗太が思ったそこは桜色をしていた。何よりも宗太の目を引いたのは――タオルと泉のそこを繋ぐ一本の線。
銀色の糸が伸びていた。その線はぬめっとしていて、いやらしく輝いていた。タオルがある程度離れるとそのままぷつりと切れてしまった。
泉の声から感じていたであろうことは想像に難くない。ただ、濡れていたとは宗太も思っていなかった。
「宗ちゃん、どうしたの?」
宗太が泉の腰を持ち上げたまま動かなくなったので心配で尋ねた。
「あっ、ご、ごめん。すぐに拭くから」
慌てて泉の腰から下をタオルで拭きあげる。腰を持ち上げてるせいもあり、さっきよりもハッキリと泉のそこを見て取ることができる。
(これが女性の……)
泉のそこを綺麗だと思った。もちろん他の女性のを見たことがあるわけではない。それでもなお宗太にとって綺麗に思えたのである。
「その、泉姉さんのって綺麗だね」
ついそんな言葉が口を出てしまった。
「なっ、何を言ってるの? 宗ちゃん……そんなに見たらダメだから」
恥ずかしさのあまり泉の顔はさっき以上に真っ赤になる。
「宗ちゃんの……バカ……」
非難の声を上げてはみるが、決して嫌だったわけではない。ほんとに嫌だったら拭かせるはずがない。宗太が泉に甘いように、泉は宗太を全面的に信頼している。宗太になら見られてもいいと思ったのだ。
宗太はなるべく早く拭き終えると、代えの下着を持ってきた。泉に穿かせるとやっと人心地つく。
「ほら終わったよ」
お漏らしの後は綺麗さっぱりなくなっている。後はマットが乾いてから取り込んだら誰にもばれないだろう。
「色々ありがとうね、宗ちゃん」
「はは姉さんは気にしすぎだよ。もっと素直に甘えてもいいんだよ?」
宗太が泉の頭をそっとなでる。
これじゃどっちが歳上かわからないな……泉はそんなことを考えていた。
「それじゃ、もっと甘えてもいいかな?」
「どうぞ」
「今マット乾かしてるでしょ? だからしばらく宗ちゃんのベッド貸して欲しいの」
泉をお姫様抱っこすると宗太は自分の部屋まで泉を運び、優しく抱き下ろした。
ベッドに寝かせてシーツをかける。
「ねぇ宗ちゃん」
「ん、何?」
「あと一つ甘えてもいいかな?」
「どうしたの?」
「少しの間でいいから一緒に寝て欲しいな」
宗太は答える代わりに泉の頭を軽く撫でるとベッドに潜り込んだ。
「宗ちゃんが子供の頃、わたしが添い寝してあげたの覚えてる?」
「んー少し覚えてるかな」
「今じゃすっかり逆になったわね」
「そうだね。でも泉姉さんはいつまだてたってもオレの姉さんだよ」
「ふふ……ありがとう」
さっきとはまた違う泉の笑顔。不覚にもまた宗太はドキッとしてしまった。
「宗ちゃん、こっち向いて」
「ん?」
「もっとこっち」
「なに――」
泉が宗太のおでこにキスをする。唇が軽く触れる程度に。
「今日のお礼ってわけじゃないけど……それじゃお休み宗ちゃん」
おでこが熱い――そんな気がした。隣では泉が満足した顔で眠りにつこうとしている。
そのまま泉が寝付くまで宗太は見守るのであった――
拙いところも多々あると思いますが、感想をいただけたら幸いです
おー神に遭遇してしまった
泉ねえさん好きとしては最高でした
そのまま先に進んでもいいんだよ?
いきなり尿とか
…M字放尿もあったらもっとよかった
泉姉さん最高
いいね、いいねー
泉姉さんたまんね
かたなし君は自称小さいもの好きだけど
シスコン(梢&泉)入ってるから意外と年上に言い寄られると弱い
本音はお姉さんに甘えたい。そう信じて止まない
女装デートからの帰り道、一枝と梢に会ってしまい
女装で外出する変態な弟を矯正させると称して
自宅で小鳥ちゃんを(性的に)いぢめるパーティーが開催された。
なずなはこの状況にどう対応するのか?
生贄になった伊波さんの運命はいかに!?
ふぅ。。。妄想だけで晩ご飯いらないや
泉姉さんは不健康だがボディはもちもちなイメージ
投下します
・エロなしバッドエンド
・ちょっと病んでる佐藤→八千代
・佐藤がひどくて可哀想。八千代も可哀想。湿っぽいgdgd
苦手な方は「煙の歪み」でNGお願いします
297 :
煙の歪み:2010/06/28(月) 21:11:25 ID:KZrlOqQ1
どうして? 潤んだ瞳が訴えかけてくる。
どうしても何もない。関係を持ったのは間違だった。そう言ったはずだ。同じことを何度も言わせるのは馬鹿だ。馬鹿には腹がたつが、残念なことにあの女も馬鹿だった。あの女……彼女に似ていると思うと、目の前の女の馬鹿さ加減まで可愛らしく思えてしまうから重症だ。
さて、どうしたものだろう。
この状況は。
自分のベッドの上に半裸の女が座っている。心なしか青ざめ、責めるような表情で。
「…………」
ふーっと煙を吐き出すと、煙は霧のように広がり目の前を白く染めていく。現実が薄いベールの向こうに追いやられたような錯覚を起こした。
「まあ、そういうことだから、帰ってくれ」
「私、何か気に障ることしたの……?」
か細い女の声は優しげで、不思議と彼女に似ている。白い肩も、唇も、綺麗に染められた長い髪もよく知っている彼女のものとよく似ている。未だ触れたことのない彼女のそれとよく似ている。
だから選んだ。しかしどうかしていた。
「もう一度いうが、帰ってくれ」
迷惑だとハッキリ告げないと駄目だろうか。
似ているからと言って自宅に連れ込むなんて、本当にどうかしていた。いくら似ていても彼女ではない。彼女の代わりはいない。
「佐藤くん、どうして」
女が大きな涙を一つこぼした気がしたが、一瞬のことで気のせいだったかもしれない。
それよりも、どうしてこの女は名前を知っているんだ。知らない女だと思ってたのに面倒くさいことになった。
「……ああ、表札か」
「佐藤くん、いったいどうしたの? 私こういうこと初めてで、何が悪かったのかわからない。でもこれから満足してもらえるように頑張るわ。だから悪かった所を言って……?」
知らない女に親しげに呼ばれる筋合いはない。ないのだが、言い出せなかった。錯覚を起こしそうなくらい似ているから。この女は彼女じゃない。しかしよく似ている。
「気持ちの問題だから。悪いな」
「たった一晩で変わってしまったの? 好きだって言ってくれて、嬉しかったのに……」
「なに?」
この女、馬鹿だとは思ったが底なしの馬鹿か。
「言うわけがない」
「……勘違いしてごめんなさい。嘘でも嬉しかった。八千代って呼んでくれる声が好きだった。私、本当に佐藤くんが……」
視界を覆う煙草の煙。頭の中までが白く霞みかかって、女の言うことが理解出来ない。八千代?
「嘘も何も――あんたは轟じゃねーだろ」
そう言うと、女が呆気にとられた。零れ落ちる涙を拭いもせず、じっと目を覗き込んでくる。
「なんだよ」
頬に女の手が触れた。
「佐藤くん、私を見て」
「見てるだろ」
女が首を振る。
何を悲しんでいるのか分からない。
「佐藤くん何を言っているの。私は轟八千代よ」
「あんたは轟じゃない」
「どうしちゃったの」
「知っているようだから言うが、俺が好きなのはあんたじゃない。笑った顔があんたによく似ている別の女だ。こんなことになってしまったのは悪いと思ってる。だが俺は轟だけで手一杯だ」
「……私も佐藤くんが好きよ」
「すまんが他の女のことを思う余裕はない」
変わることのない、色褪せることのない思い。これは運命だ。
「どんなに思っても、轟は俺を愛さない」
四年、可能な限り近くにいた。一度も轟は振り向かなかった。今更振り向くわけがない、そうだろう。
「だからあんたは轟じゃない」
項垂れ嗚咽をこぼす女はやはり轟によく似ていて、哀れだった。胸に湧き上がるじりじり焦げ付くような焦燥感は似ているからだ。
この女が轟なら、かたく抱きしめて離さないのに。
この女が轟なら、抱きしめる腕をすり抜けていなくなってしまうだろう。煙のように。
だから震える肩をいつまでも見つめていた。
終
さとーさんかわいそう、、、
なんかもやもやしたw
面白いな、こういうのも
ノベルゲーのバッドエンドにありそう?
切ないね・・・
GJです!
SSが思ったように出来ない・・・
とりあえず作りたいものを作る感じでかんばります。
ところで、ファミレス内で深夜、怪談話をするネタはOKですか?
今製作中のSSが終わったら作る予定ですが・・・
>>301 夏だし全然アリ
その後で伊波さんが小鳥遊くんにすがりついてくるようなら俺得
SSを投稿します。
・小鳥遊×伊波
・長文になりました
・一部オリキャラ使用
・突っ込みどころ多数の残念文章力です
それでも構わない人はどうぞ
タイトルは「意地悪な神様へ」です。
「ごめんね、待たせちゃって。」
「いつものことじゃないですか。気にしないでください。」
伊波がワグナリア出入り口の小鳥遊に声を掛ける。
小鳥遊は当然のように伊波にマジックハンドを差し出し、伊波がそれを握る。
傍から見れば異様なこの光景も、最早見慣れたものとなっていた。
彼らの経緯は特殊なものである。
伊波はもともと男性恐怖症であり、目の前の男を殴る癖があった。
小鳥遊はこれを克服するために杏子から指名されてしまう。
最初は容赦ない拳に小鳥遊は何度も吹き飛び、怪我を負うことなどいつものことであった。
そんな彼女はある日を境に彼に好意を抱いた。
伊波の父に、小鳥遊からホワイトデーのお返しをもらったことがばれ、バイトをやめさせらされそうになった。自分にも非があると嫌いな女装をして小鳥遊は伊波の父を説得しようとした。そこで伊波の男嫌いの大きな原因が彼女の父が語り、小鳥遊は激怒した。
まさか、自分を一番嫌っているだろう男性がこんなことをするとは伊波自身思ってもみなかったことだ。そして、自分のために父を怒ってくれた小鳥遊に好意を抱いた。
今の伊波には、確かに男を殴りたくなる衝動に襲われることはある。それでも彼女は出来るだけその症状を抑えれるようになった。そして、ほぼ毎日小鳥遊と一緒にバイトから帰る。男嫌いを治す一環として・・・
コレが現在二人の関係である。
帰る間に小鳥遊と伊波は、取り留めの無い会話をする。その内容は小鳥遊の家族の話であったり、その日バイトであったことを話したりする。
しかし、小鳥遊は何か伊波に違和感を感じていた。
ここ1週間、なぜか伊波が落ち込んでるような感じがするのだ。
さらに、3日前の伊波はなぜか小鳥遊とともに帰るのを拒んでいた。本人は一人で帰りたいだけといっていたが、不思議でならなかった。一緒に帰るのは久しぶりである。
なにやら、嫌な予感がしてならない。
「伊波さん?」小鳥遊が声を掛ける。
「なっ、何!?小鳥遊君!?」伊波はあわてて返事をした。
「何かあったんですか?伊波さん、最近変ですよ?」
「べ、別に何も無いよ!?」ぎこちなく笑いながら答える。
不自然に思ったが、深くは追求しないでおこう、小鳥遊はそう考えた。
「ねぇ、小鳥遊君・・・」道も後半分になったところで伊波が声を掛ける。
「神様って、どんな人だと思う?」なぜそんな質問をするのか、小鳥遊には分からなかった。
「神様ねぇ・・・」小鳥遊なりの答えをあげる。
「まぁ、一番偉い人物じゃないですか?俺個人としたら、小さいものがたくさんいる世界を作ってくれたんで少しは感謝してますよ。まあ、本気で信じてるわけじゃありませんが。」
小鳥遊らしいと言えば、小鳥遊らしい回答だった。
「私は・・・」今度は、伊波が答えた。
「神様は、やっぱりいるんじゃないかな。それで、人のことを思っていてくれる人。でも・・・」
「でも?」
「時々、酷いいたずらをしてしまうの。人によっては些細なことだけど、とても意地悪ないたずらを・・・」
「いたずらですか・・・確かにそうですね。」小鳥遊の返事に、伊波がこちらを振り向く。
「俺の元に巨大な姉を3人も送りこんで・・・俺にとっては酷いいたずらですよ。」
ため息混じりに小鳥遊が答えた。
「ところで、何でそんなことを聞くんですか?」
「なっ、なんでもないの!ちょっと気になっただけ!」
伊波は少し赤面になりながら答えた。
その日、自宅で小鳥遊は伊波が気になっていた。
“神様って、どんな人だと思う?”
その言葉が、ずっと頭に居座り続ける。
彼女に何かがあった、彼女を苦しめる何かがあった、小鳥遊はそう思わずにいられなかった。
そうでなければ・・・・
あんな苦しそうな笑顔をするはずが無いのだから・・・
▲▲▲
「相馬さん。ちょっといいですか?」翌日、小鳥遊は相馬の休憩中を狙って話しかけた。
「どうしたんだい、小鳥遊君?今日は早上がりのはずだけど?」
微笑んだ顔の相馬に、小鳥遊はひとつの質問をぶつける。
「相馬さんなら、伊波さんが何か隠し事をしてることをしっていますよね?」
その言葉の後、相馬の表情が変化した。小鳥遊は確信を得た。
「なっ、何を言ってるんだい小鳥遊君。彼女の秘密なんて、知る前に俺が痛い目に会うだけだよ。」再び微笑んだ顔に戻る。しかし、もう遅い。
「誤魔化さないでください。相馬さんは知ってるんでしょう!1週間前から伊波さんがおかしくなった理由を!!」
小鳥遊は相馬ににじり寄った。相馬は後ろに一歩下がったが、出口は小鳥遊の方向にある。走って抜け出そうとしても、捕まるのが落ちだと判断した。
(しょうがない。卑怯だけど、こいつで説得するしかないな。)
相馬はおもむろに胸ポケットから何かを取り出した。それは小鳥遊にとって語られて欲しくない、過去の写真であった。
「小鳥遊君。悪いけど、知らないと言ってる人に食いかからないでほしいな。」
相馬今まで多くの人の秘密を知ってきた中で、人間がどのような生物かを知った。
知られたくない過去を暴露すると脅せば、大抵は言いなりになる。そのことに、相馬は罪悪感など持っていなかった。知られた人物が悪いと思っていたからだ。
だが・・・罪悪感が生まれた時があった。
あの時も、今と同じ罪の意識があった。忘れることなど出来ない。
そして、そのときの結果も覚えている。
小鳥遊の答えは・・・あの時と同じような答えであった。
「バラしたいなら、バラせばいいじゃないですか!」
“周りに広めたいんなら、広めればいいじゃないか”
なんで罪悪感が生まれたときに限って、こんな結果になってしまうのだろうか。どうして、君たちはそんなことを言えるのだろうか。
(どうして、君は彼女と同じ事を平気で言えるんだい?)相馬の心に、あの時と同じ疑問が生まれた。
「今聞き出せなかったら、取り返しのつかないことになりそうな気がするんです!!」
“今じゃなけりゃ、もう取り返しがつかなくなるんだよ。”
(なんで君は、彼女と同じようなことを言えるんだい・・・)
「一途だね、君も。」(俺や彼女と同じでね。)
小鳥遊の答えに、相馬は折れた。
「俺も君ぐらいの気持ちを持っていたら、彼女と離れることなんてなかったのにな・・・」
「相馬さん?」まるで何かを懐かしむように話す相馬を、小鳥遊は不思議に思えた。
「今から話すのは、伊波さんから口止めされてたことなんだ。」相馬が真剣な表情になる。
「君の正体が男であることが、彼女の父にばれたんだ。それに怒って、この町に伊波さんを居させることは出来ないって、本州の新しい転勤先に家族で引っ越すことが決まった。」
小鳥遊の頭の中が真っ白になった。伊波の元気が無い理由は、俺のせいなのか?
なんで言わなかったんだ?どうしてそこまでなるのだ?
「彼女の父が探偵を雇ったんだ。そしたら、君が女装してまで伊波さんを庇ったことが分かったんだ。一緒にバイトから帰ることもね・・・」
小鳥遊は、ただ相馬の言葉を聞くしかなかった。
「娘をドコにもやりたくない気持ちが行き過ぎた結果が・・・」
相馬が急に沈黙する。その視線の先には、伊波の姿があった。
「伊波さん・・・」小鳥遊が伊波に近寄る。
「・・・ごめんなさい。」伊波は、涙を浮かべながら逃げ出した。
小鳥遊は彼女の後をすぐに追った。
そうしなければならなかった。
▲▲▲
涙を浮かべる伊波に、小鳥遊はようやく追いつくことが出来た。
あたりはもう日が暮れていて、暗くなってきている。
「伊波さん・・・どうして、何も言ってくれないんですか・・・」
「言える分けないよ・・・みんなに引っ越すなんて・・・」
「でも・・・」小鳥遊が伊波に一歩近づく。
「来ないで!!」伊波が拳を作り叫ぶ。
「今来たら・・・絶対殴るから!だから来ないで!!」
涙を浮かべながら、伊波は小鳥遊に警告した。
「小鳥遊君だって、こんな暴力女の世話なんてしなくてもよくなるだよ・・・だから・・・」
「だから、何になるんですか?」小鳥遊が伊波の元に近づく。
「小鳥遊君!?」小鳥遊の行動を、伊波は理解できなかった。
小鳥遊が伊波に近づけばどうなるか、身をもって経験済みだ。
それでも、小鳥遊は足を止めようとはしなかった。出来なかった。
「俺は、別に殴られなくなるからいいなんて考えたりはしません。」
小鳥遊が伊波の射程距離に入る。
「俺は、伊波まひるという人に会えなくなるのがつらいだけです!」
小鳥遊は自分の思いを語り続けた。
「伊波まひるという人が、悲しい顔をするのがつらいだけです!話せなくなるのがつらいだけです!会えなくなるのがつらいだけです!このつらさに比べたら、殴られる痛みなんてつらくありません!!」
少年の言葉が、少女の衝動を狂わしていった。
そして、少年の両腕が少女を優しく包み込む。
「俺は、伊波まひるという人から離れたくないだけです!」
暖かい温もりを感じた。衝動が完全に狂い、彼を殴れなくなってしまった。
だが、その嬉しさが、より辛くさせてしまった。
“神様、あなたは意地悪な人です。
どうして今、彼を殴れなくさせたのですか?
どうして彼を、私が嫌いにしなかったのですか?
彼が私を嫌いならば、私も気が楽になるのに。
どうして、彼を好きにさせてしまったのですか?
どうして、私を彼にめぐり合わせたのですか?
離れることが分かっていたのなら、好きになりたくなかったのに。
どうして、私は彼を好きになったことに、
後悔できないのですか?
少しでも後悔できれば、諦める足がかりに出来たのに。
どうして、彼と離れなくてはならないのですか?
どうして、そんな運命にしたのですか?
神様、あなたは意地悪な人です”
伊波は小鳥遊に抱きしめられながら、すべてを語りだした。
伊波の父が探偵を雇ってまで自分たちのことを調べたこと。
小鳥遊と共に帰る毎日を知られてしまったこと。
その日、父が自宅へと来た。
父は娘が男に好意を持っていること自体が許せなかった。
そして、父は伊波のヘアピンをすべて捨てた。
小鳥遊に褒められてから集めだしたヘアピン・・・父には気に食わなかった。
とても悲しかった。自分の想いをすべて否定されてしまったことに・・・
その時の父の姿は、まさに狂っていた。強い狂気を感じてしまった。
本来ならば、すぐにでもバイトをやめさせられていただろう。しかし、父は辞めさせることはしなかった。
だが、それがより残酷な方法となった。日が経つにつれて、離れる苦しみが襲い掛かる。その苦しみに伊波が耐えられないことを、父は知っていた。
男を好きになってしまったからこそ、こんな苦しみを受けることになると知らしめるように。
恋すること事態が、罪であると言われるような重い罰。
「最初はもう一度、小鳥遊君を嫌いになろうとしたの・・・でも、そうしようとすればするほど、小鳥遊を好きになったの・・・」
だから、嫌いになってほしかった。彼が私を嫌いになれば、諦めることが出来ると思った。
だが、小鳥遊が自分を想っていることを知ってしまった。抱きしめられた衝撃が、小鳥遊を殴れなくさせてしまった。
嫌うことも、嫌われることも出来なくなってしまった。
「帰りたくない・・・」伊波が大粒の涙を流す。
「小鳥遊君から離れたくない!!」
二人は、ここで離れたら、一生会えなくなる気がした。
二人は、お互いを抱きしめた。絶対に離さないように・・・
▲▲
「キャ〜!!伊波ちゃん、今日泊まっていくの!?」
玄関にて、梢が二人を迎えた。
「入って入って!ちょうど暇だったのよ〜!!」
相変わらずのテンションの高さだ。
「お、お邪魔します・・・」伊波は少し戸惑いながらも、小鳥遊家にあがった。長女は家に居なかったが、次女は脆弱ながらも少ない力でこちらに顔を出してきた。
一瞬驚きを隠せない顔をしたが、すぐに一言掛ける。
「あなたが宗ちゃんの彼女だったのね・・・」
いきなりとんでもない事を言い出すものなので、宗太と伊波が赤面しながら「まだ違う」と否定するが、“まだ”に泉と梢が異様に反応してくる。
結局、なずなが来るまで2人は問い詰められた。
二人の気持ちは恋人同士と言えるが、恥ずかしさが強かった。
梢と泉には伊波が家に泊まる理由は説明していない。梢はそもそも言わなくても構わない人だろうが。
言うならば、家出という行為になるだろう。
それでも、彼女に悔いは無かった。
少しだけ山田の気持ちが分かる気がする。自分の家族に嫌気がすることに・・・(もっとも、父のみだが)
伊波は小鳥遊が用意した食事を彼らと一緒にとった。その間も、小鳥遊家の人々と会話が続いた。
皆、伊波を家族のように接してくれた。ときどき梢のセクハラ発言が来るが、そこは皆でスルーされた。
夕食後に湯船に浸かり、その後は居間で会話を続けた。
小鳥遊は後片付けも終わり、自室にてくつろいでいる最中であった。今日のことを振り返り、ため息が出る。
こんな事をしても、伊波の引越しを止める手段にはならない。むしろ、事態を悪化させるだけだ。自分はなんて無力なんだと、呪った。
それでも、抗いたかった。このまま運命を受け入れたくなかった。
だが、現実は非常だ。少年に迷いが生じた。このまま、彼女と一緒にはいられない。
ならば、いっそのこと彼女と別れるべきではないのか。そうすれば、問題にならずに・・・
「小鳥遊君?」
突如、伊波が部屋に入ってきた。
突然の出来事に、宗太が一瞬驚く。
「なっ、何ですか伊波さん!?」
伊波は、顔を真っ赤にさせながら口を開いた。
「一緒に・・・寝てもいい?」
思考が停止する。
最初は宗太が恥ずかしいからと断ったのだが、
「やっと小鳥遊君を殴れなくなったから、一緒に寝てみたいの。それに・・・」
「それに?」
「なんだか、安心して寝られるような気がするの・・・」
この言葉に折れ、宗太は伊波の要求を聞き入れることにした。
ベットの中に伊波が入ってくる。伊波の体温が高いせいか、とても温かい。
なぜだろうか?とても安心できる。
「ねぇ、小鳥遊君・・・」
「どうしました?」
「私、思ったんだ。別れることが分かっていても、一緒にいた思いでは消えない・・・だから本州に行くまで、ずっとこうしていたいの・・・」
「いいじゃないですか。俺も、伊波さんとこうしていたいですし・・・」
「小鳥遊君・・・」
「大丈夫ですよ。あなたが苦しんでる時は、俺が護りますから・・・」
そうだ。何を弱気になっている。
彼女を守りたいと思ったのは誰だ?
彼女から離れたくないと願ったのは誰だ?
俺は出来る限り抗い続けよう。それが無意味だとしても。
何も出来ずに、諦める選択はしない!!
抗って、抗って、もがいてみせる!
少年の決意は決まった。
宗太は自身の睡魔に身を任せ、深い闇へと落ちていった。
▲▲▲
宗太の目の前に、白い空間が広がっていた。
正確に言うならば、何も無い空間と言える。
あるのは一台のベンチと、そこに座るフードをかぶった男が一人だけ。
夢であると嫌でも理解できる。こんな変な夢を見ることになるとは・・・
「すみません。隣、座ってもいいですか?」
小鳥遊が男に声を掛けた。こんな空間で目が覚めるまで立ち尽くすのはどうかと思ったのと、せっかくだから夢の人物と話でもしようかと思ったからだ。
「いいですよ。特に誰かが座る予定も無いですしね。」男は答えた。
小鳥遊は男の隣に腰を掛けた。
男の声はとても優しく、不思議な安心感があった。
「何か、悩み事でもありますか?」男が尋ねてくる。
「分かりますか?」
「なんとなくですが、そんな気がしましてね。私でよければ、相談に乗りますが?」
「初対面の人にあれこれ話すのはどうかと思いますが・・・」
「ここはあなたの夢の中ですよ。問題ありません。」
どのあたりに問題が無いのかは気になるが、なぜかこの男は信頼できると感じた。
宗太は、男にすべてを語った・・・
「ほう、そんなことが・・・」
「運命が神様の作るものなら、とんでもない意地悪な奴なんでしょうね。俺の姉妹を巨人にしたし!何度も痛い目に会うし!年上の暴力女が好きになるし!!
そのひとが・・・苦しむ姿を、俺に見させる奴ですよ。」
男は時々うなずきながら、小鳥遊の話を聞き続けた。
「神様にあったら、ひとつ頼みたいものですよ。先輩の身長が伸びたっていい。あの姉妹から逃げられなくてもいい。俺がどんな目に合ってもいい。
だから、彼女をこれ以上苦しめないでほしい・・・それだけです。」
語り終えた後、小鳥遊は大きなため息をついた。
「あ〜あ!恨んでおきながら、結局神頼みか〜!俺って本当に調子のいい奴だな〜!!」
吹っ切れたように大声を上げながら、何も無い真っ白な空を見上げた。
それでも不満をさらけ出し、小鳥遊の心にあったもやもやが消えた。
まるで、この空と同じ、何も無い真っ白な空のように・・・
「なんだか、スッキリしました。不満も誰かに言ってみるものですね」
「良かったじゃないですか。」
「ただ、俺の言った不満が神様の耳に入っていたら、最悪な展開になるでしょうね。」
「心配要りませんよ。神様は、そこまで意地悪じゃないでしょう。それどころか、あなたに手を貸してくれるかも知れませんよ?」
「良くそんなことが言えますね。一度会ったことがあるのですか?」
「何を言っているんですか。会える事はありませんよ。」
「でしょうね。さて、そろそろ起きないとな。」
「それでしたら、目の前をまっすぐ進めばいいでしょう。すぐに目が覚めますよ。」
「・・・なんで知っているのですか?」
「夢の中の人物だから、それでお願いします。」
「・・・じゃあ、最後に聞きます。あなたは、何者なんですか?」
「フフフ、夢の中の人物か、フードの男ということにしてください。」
「・・・わかりました。それでは、さようなら。」
小鳥遊は男に別れを告げると、ひたすら前に進み始めた。
やがて視界が霞み、意識が遠のいていった・・・
▲▲▲
翌日
夕方・・・二人は居間にいた。
二人とも、今日は学校をサボっていた。
特別な理由はなかった。ただ、学校に行きたくなかっただけ。
このことに姉妹からの反論は無く、梢にいたってはむしろ青春と言って推奨した。
(一枝姉さんなら、猛反発の騒ぎじゃないだろうな・・・)
二人はただ会話をしているだけだった。
初めて会ったときのこと、自分の為に女装してくれたこと、女装でデートしてくれたこと、
桐生が伊波と話していたときの宗太の気持ち、伊波が始めて宗太に好意を持った時の気持ち・・・
《ピンポーン》
玄関から、インターホンが鳴った。
「あ、俺が出ますよ。」宗太は、すぐに玄関へと移動した。
「ハイ、どちらさまですか?」玄関を開けた瞬間・・・
「やはり、君だったか。」宗太の頭を、硬い何かで殴られた衝撃が襲った。
何かが倒れる大きな音を聞きつけ、伊波が玄関へとやって来た。
目の前に映るのは、倒れた宗太と、猟銃を持った自身の父であった。
「ダメじゃないか、男の家に勝手に上がったら。」
その表情は、笑顔だった。
狂気がにじみ出た、最悪な表情であった・・・
「待ってなさい。すぐに後始末を終えるから・・・」
父は銃を握り、宗太の頭に狙いを定めた。
「娘をたぶらかした罰だ。死ね。」銃が、宗太の頭に振り落とされた・・・
「やめて!!」伊波の声に、振り下ろされた銃が寸前で止まる。
「なんで、こんなことするのよ・・・」伊波の頬を、涙が伝う。
「どうして、人を好きになるのがダメなのよ・・・」涙をいくら拭おうが、止まることはなかった。
「お父さんの馬鹿!!この、人でなし!!!」
娘の悲痛な叫び・・・
だが・・・この言葉が、父をさらに狂わせた。
本来愛娘を殴るなど考えそうに無い父が、伊波に平手打ちを放った。
その一撃に、伊波が突き飛ばされる。
「まひる・・・お前はなんて悪い子なんだ・・・」
歪んだ愛情が、ここまで人を狂わせることが出来るのであろうか?
「せっかくバイトもやめさせないでいたのにな・・・」
否、狂気がひとりでに暴走をしている状態であった。
「お前には、お仕置きが必要だな・・・」
父の手が、再び伊波に危害を加えようとしていた・・・
「やめろ・・・」
突如、後ろから声が聞こえた・・・
「自分の思いどうりに行かないから、娘を打つのかよ・・・」
声の正体は、宗太であった。頭から血を流しながら、立ち上がり、父を睨みつけていた。
「あんたのせいで、伊波さんがどれほど苦しんでいるのか分かってるのかよ・・・」
その姿に、父は恐怖を感じた。
「子供は、親の所有物じゃないんだよ・・・」
狂気に支配された思考が、宗太の放つ恐怖に勝つことが出来ない。
「ふざけるな!この、大馬鹿親!!!」
宗太の怒りから放たれる恐怖が、狂気で支配された思考を完全に吹きとばした。
それでも、父は必死で抵抗しようとした。
「う、うるさい!君に何が・・・」銃を振り下ろそうとした直後、手に六法全書が直撃した。
「やれやれ、帰ってきたと単に事件が起きてるとは・・・」
こんな物を投げる人物は、長女の一枝しかいない。
「事情は知らないが、家の弟に手を出した以上、覚悟は出来ているだろうな!」
その迫力の前に、戦意を喪失していた父が走って逃走した。
「一枝・・・姉さん・・・」
「さて、事情を説明してもらおうか、宗太?」
▲▲▲
「はい、ご迷惑をおかけしました。それでは。」
一枝が電話での話を終えると、再びこちらを向いてきた。
「伊波さんは今日、明日と家で預かるよう頼まれた。」
電話の相手は伊波の母であり、何の連絡も無く家に泊めさせたことの謝罪と、今日起きた事件の話であった。このことに伊波の母は夫を自宅に呼んで相談するため、伊波を泊めてあげてほしいと言い出した。一枝は要望を聞き入れた。
「まったく、こんなことをさせるためにバイトをさせたんじゃないぞ。」
一枝はソファーに座り、宗太に話した。
「学校まで休んで、おまけに頭から血を流すし・・・」
幸い頭の傷は浅く、絆創膏を貼るだけですんだ。
「まったく、お前のような不出来な弟に説教する気力がでないな。」
そう言った後、一枝は六法全書で宗太の頭を叩いた。いや、叩いたと言えないほど軽く、代わりに優しさが伝わって来た。
「なにかあるなら相談しろ。私はお前の味方だ。」
一枝が宗太に話した後、
「心配掛けた罰だ、うまい食事を作れ。出来るまで部屋にいる。」
そう告げ、居間から退出した。
食事の時間、今日は泉と梢がいなかった。泉は編集者のところに泊まりこみで出かけたのと、梢はただ仕事終わりに飲みに行っただけであった。
最初こそ無言の食事であったが、なずなの働きによって明るい食卓に戻っていった。
それでも、伊波の顔はドコと無く落ち込んでいた・・・
食事後、伊波は宗太の部屋にいた。
宗太に言わねばならないことがある・・・との事であった。
「どうしたんですか、伊波さん?」
宗太が声を掛けた。
「・・・ごめんね。」
彼女の口から出たのは、謝罪の言葉であった。
「私のせいで、小鳥遊君に怪我までさせちゃったし・・・」
「伊波さんが謝らなくてもいいんですよ。それに、こんなの怪我に入りませんよ。」
宗太は伊波を励まそうとする。それでも、彼女の顔はいまだ曇ったままであった。
「でも・・・私がわがまま言って・・・それで・・・小鳥遊君が・・・」
伊波の瞳から、今にも涙が流れそうであった。
「ようやく小鳥遊君を殴れなくなったのに・・・それなのに・・・」
「伊波さん。」
伊波の言葉を遮るように、宗太がある行動をとった・・・
相手の頬に手をそえ、キスをしたのだった・・・
突然の行動に、伊波の頭の中は真っ白になった。
「言ったはずです。あなたが苦しんでる時は、俺が護りますと・・・」
「小鳥遊・・・君・・・」
「俺は、あなたのためならどんな痛みや苦しみだって喜んで受けます。伊波さんの笑顔が戻るなら、お釣りが出るほど安いものです。」
この言葉に、伊波は堪え切れなかった涙を流した。だが、その涙に悲しみは無く、彼女の顔に笑顔が戻った。
「小鳥遊君・・・ありがとう!」
二人はお互いを抱きしめあった。お互いの鼓動がしっかりと伝わる。
「でも、忘れないで。あなたが傷つく姿を、悲しむ人がいることを・・・」
「わかりました、善処します。」
再び口付けを交わす二人。お互いを求め合い、愛し合う、深いキスを二人は交わし続けた・・・
▲▲▲
二人は今、一糸纏わぬ姿となった。
最初、伊波は自分の体に自身が無く、恥ずかしさもあり胸を隠していたが、宗太にはそんなことは関係なかった。
彼の目に映るのは想い人の姿であり、その姿に女神が舞い降りたかのような美しさを感じた。
「綺麗ですよ、何よりも・・・」
伊波もうれしかった。想い人に綺麗と言われることが。
その先に進む恐怖はぬぐいきれてはいないが、それでも宗太を受け入れる覚悟を決めた。
三度目の口付けを交わし、宗太の手が伊波の胸部に触れる。
同年代の女子と比べると確かに小さいが、宗太の手には確かな優しさと柔らかさを感じ取った。その感覚は女性特有のものであり、女性としての美しさを表していた。
宗太はこの感覚を味わうように、優しく手を動かした。
「ふぁっ・・・あぁ・・・っ」
少し動かすだけで、伊波は敏感に反応した。発せられる甘い声に、宗太をさらに誘った。
触れて優しく動かすだけでなく、先端を摘み、甘噛みをするたびに伊波の口からは可愛らしい声が聞こえてくる。
「フフフ・・・」
宗太は微笑むと、伊波の秘部へと手を伸ばした。
「た、小鳥遊君・・・そこは・・・」
伊波が恥ずかしがり、足を閉じようとしたが、宗太の手はそれよりも早く触れていた。
「ひぅっ!」
指が動かされるたびに、感じたことのない快楽が伊波を刺激していった。
「んっ・・・うっ!」
立て続けに来る刺激に、伊波は耐えることが出来なかった。
「―ーーーーーーッ!!!!」
上体を反らせ絶叫した瞬間、蜜壷から大量の蜜が噴出した。
「ハァ、ハァ・・・」
伊波はシーツに身を沈めていた。
そんな伊波を、宗太は抱き寄せる。
「伊波さん・・・いいですか・・・」
これが、最終確認となる。己の純潔を守るか、想い人と繋がるか・・・もちろん、伊波の答えは決まっていた。
「うん・・・お願い・・・」
宗太は、自身を伊波の秘部へと付け・・・
「伊波さん・・・」
「・・・?」
「愛しています。」
そして、伊波の中へと侵入し、彼女を貫いた。
しばらく破瓜の痛みに耐えていた伊波であったが、やがてその痛みも消えた。
「もう・・・大丈夫・・・だよ・・・だから・・・もっと・・・小鳥遊君を・・・ちょうだい・・・」
涙を浮かべなら話す伊波に、宗太はその思いに答えた。
最初は優しく、少しずつ激しさを増しながら、二人は行為を楽しんでいく。
「あぅぅっ・・・ひぁっ、あぁっ・・・た、小鳥遊君・・・っ!」
「すみません・・・おれ・・・もう・・・っ!」
一際奥まで突き入れた刹那、宗太はすべてを解き放ち、伊波も同時に絶頂を迎えた。
宗太自身を引き抜いた蜜壷からは、解き放ったものと一緒に赤が混じる。
それは伊波が宗太に純潔を捧げた証であり、伊波が女へとなった証でもあった。
「小鳥遊君・・・」
子供のような瞳で・・・
「大好き・・・」
口付けを交わし、深い闇へと沈んでいった。
▲▲▲
目が覚めたとき、隣に温かいぬくもりを感じた。
(そういえば、伊波さんが寝てるんだよな・・・)
宗太は伊波を起こさないようにベットから抜け、着替えて下へと降りた。
一階に降りると、そこには一足早く一枝が座っていた。
「馬鹿者、不順異性行為をさせるためにバイトをさせたんじゃない。」
どうやら、秘め事はばれていたようだ。
「・・・まぁいい。お前に話さないとならないな。」
一枝は立ち上がり、宗太の方を向いた。
「昨日の電話の内容だ。それでな―――――――」
伊波家の前・・・
引越しの準備は着々と進められ、すべての荷物を運ぶ準備が出来ていた。
「ごめんなさいね〜。わざわざ手伝ってもらって。」伊波の母が、宗太に礼を言った。
「気にしないでください。力になれて何よりです。」
「それにしても、この街から離れるのは寂しいわね〜。」
母はさびしそうな顔をしたが、すぐに笑顔へとなった。
「元気でね、まひる。」
その視線の先に、伊波まひるがいた。引越し用の車の方ではなく、宗太の隣に・・・
――――母の伝えた電話の内容、それは伊波を小鳥遊家に下宿させてほしいとの事だった。
高校の転校手続きがうまくいかず、なにより友達と離れ離れになるのを不憫に感じた母が考え出し、
伊波が家出したときに頼るほどの家族なら問題ないと考えたからであった。
もちろん父は大反対であったが、完全に母に言いくるめられてしまい、下宿することが決まったのである。
二人は母の車を見送った後、お互いを見つめあった。
「それじゃ、帰りましょうか。」
「・・・うん!」
青空の下、二人はお互いの手を繋ぎ、帰路へとついた・・・
“意地悪な神様へ
神様、あんたはとんでもなく意地悪な奴だ。
離れなくてはならないと思わせて、実はそうでもなかったことにするのか。
おまけに伊波さんが家に住むことになるし、あんたは何を考えているんだ?
まぁ、一言言わせてもらう。
どうもありがとうございます。
ついでに、もうひとつだけ願いを叶えてほしい。
一生に一度の願いだ。先輩の身長が中学生並みに伸びてもいい。
どうか、伊波さんと一生、一緒にいられますように”
〜伊波家前〜
手を繋ぎ、幸せそうに歩く二人組みを、フードの男が見つめていた。
その表情は、とても優しい笑顔であった。
「あ〜!!やっと見つけた!!今まで何処にいたんですか!?」
走りながら、白い服の少女がやってくる。
「君か。何、ちょっと散歩していただけですよ。」
「散歩って・・・昨日も人の運命を勝手に変えちゃうし、自分の立場を分かっておられますか!?」
「私なりには理解しているぞ。」
「はぁ、とにかく帰りますよ。もう勝手に人の運命を変えないでくださいよ。」
「大丈夫ですよ。もう変えましたから。」
「・・・ちょっと待ってくださいよ・・・」
「大丈夫。二人が一生幸せになるように変えただけですよ。」
「問題は運命を容易に変更することです!!」
「おお、怖い怖い!」
「ちょっと!?どこへ行くんですか!!まってください!!」
「残念ですが、神様は意地悪な存在らしいので!!」
〜北海道、とある空港内〜
妹を探して北海道を探しまわったが、どこにも見つかる気がしない。
つまり、奴は本州のほうに逃げたに違いない。
ちょうど伊波さんも本州に引っ越すと聞いたからちょうどいい!!
あれ、でも伊波さん本州のどの辺りに引っ越すか聞いてないな・・・
まぁ、本州を歩き回ればいずれ会えることだろう!!
さらばだ、北海道!!!
妹を連れ戻した日に、また会おう!!!
以上となります。
残念文章力については笑ってください。
次に投稿するSSは
・怪談物(ファミレス内で怪談話大会・)
・未来の話(小鳥遊と伊波の子(オリキャラ)視点の話)
のいずれかを考えております。
それでは、次のSSで!!
投下おつー、GJでした。
どうなるかハラハラしたよ。
あの猟銃はホントににせものだったんだ。よかった。
あと、一枝姉△
GJ!
伊波父が悪人過ぎる気がするが、問題なし!
あと桐生ww
ひさびさのたかいなで、俺歓喜だったよ
ありがとう
すみません、SSを投稿したものですが
・エロあり
と入力するのを忘れていました。
GJ!
アニメ終わって過疎ってるかと思ったが、SS投下されとる!
職人の皆様GJです!
AT-X組はまだ10話が終わったところだぜ。
ほとんどの地域でアニメ終了
というわけで子ネタ投下
声優に興味ない人にはゴメンナサイorz
バキッ
「ご、ごめんなさいッ相馬さんっ!!」
「あーあ、また女の子を泣ーかせた」
「…」ブルブル
「ん、どうした相馬?」
ガタッ
「絶望した!理不尽に殴られた上に責められるファミレスに絶望したっ!!」
「おい…中の人が漏れてんぞ」
オチ無いんですよ
ゴメンナサイorz
松本さんてお尻で自慰するのが普通と思ってそう
>>326 将来女の子が絡む怪異にばかり首を突っ込んだり
池袋で暗躍したりしそうな相馬さんですね
>>328 池袋の方だとバーテン服着た佐藤君とか白衣着た小鳥遊も居るな
>>328-329 相馬は情報通で腹黒なあたり似てるな。
小鳥遊はメガネと特殊性癖ってところかねw
伊波さんは池袋ではアイドル。
電脳世界でもアイドル。
店長と音尾さんは実はカエル型の宇宙人だったりなw
八千代ちゃん、わかんなーい
松本は彼氏とかいるんだろうか
彼女の交友関係内に置いて「彼氏が居る事」が普通なのかそうで無いかで答えは変わると思う
普通普通で押し切られて寝ちゃって、のパターンは余裕で想像できる
「普通」という言葉に釣られて、一万くらいで春を買われる松本さん
「ぷっちょの容器」でググったら結果上位がオナニー関係だったので
普通だと安心してそれを前後に用いる松本さん可愛い。
ぽぷらちゃんが世界で1番可愛い
さとやちで非エロの御題をひとつくだしあ
ワックスをぶちまけろ!
やち「上から下まで白いのでベタベタだわ…。あら、佐藤くんどこ行くの?
出来たから投下しますよー
「佐藤くん、ちょっといいかしら?」
「さとーさんさとーさん! ちょっといい?」
「二人いっぺんに話すな」
相馬が休憩に入ってもなお暇でキッチンで煙草を吸っていた俺のところに何やら困った様子の八千代と少しはしゃいだ様子の種島がやって来た。
面倒な事を言ってこなきゃいいんだが。
「八千代、先に言ってみろ」
「あのね今フロアの掃除をしているんだけど中々ピカピカにならないの。どうすれば良いと思う?」
「そりゃ簡単だな。業者にまかせろ。よし次、種島」
何かぶっ飛んだ事を言われるかと思ったら意外にまともだったな。
まぁいい。ちゃっちゃと次だ。
「あのね、伊波ちゃんの髪型をイメチェンしようと思うんだけど何か良い案ある?」
「伊波の短さじゃ変えようがないだろ」
「それでも印象を変えたいと思う伊波ちゃんの乙女心だよ! さとーさんは好きな髪型ってある?」
「それはお前、もちろん……」
そこまで言いかけてハッと踏み止まる。
危ねえ。もう少しでバック長めの外ハネ、サイドは短めの内ハネ、って言っちまうところだった。
それが誰なのかは思わんし言わん。決して目の前に鳥頭のあいつがいたからではない。
「もちろん……?」
「何でもねえよ。伊波の乙女心よりも小鳥遊の体の方が心配だからアドバイスするとだな、そんなもんは整髪料をつけて適当にいじっておけ。以上」
まったく、二人揃ってくだらん事を言いやがって……俺がここで煙草を吸っている時点で大体の予想はつくがそんなに暇なのか今日は。
「あのー佐藤くん? 業者はまだ許可が下りないって音尾さんが言ってるの……」
「さとーさん、どんなの使えばいいのー?」
あー今日もここは平和だ。そう言えば足立のところはヤクザが来たり色々と大変らしいな。
「佐藤くん?」
「さとーさん?」
足立の奴、彼女が出来たからって最近バンドの練習にもあんまし乗らねえな。クソ、滅びろ。
「さとーくーん?」
「さとーさーん?」
「二人ともまだいたのか」
「だから、フロアの床をどうしたら綺麗になるか……」
「どんな整髪料使えばいいの……」
足立に彼女がいて俺は何も出来ず生殺し世界一に振り回されて、その腹いせにちびっこをいぢめる日々……
「さとーくん!」
「さとーさん!」
……それも嫌いじゃねえんだ。
「分かったから少し落ち着け。ぴったりの解決策があるんだ」
「なにかしら?」
「なんなのさとーさん?」
「そんなもんはな……」
ワックスをぶちまけろ!
どんな御題がくるかな? たかいなが多いから甘いさとやちにしてやんよ! と思っていたらこのザマだよ! フルボッコだよ!
>>343みたいなエロスにもならねえよ!
タネより先に八千代に聞くあたりが俺によし
あと
>>343系の話をかけばいいんじゃないかしら
きれいに落としたな
これは上手い落としかた。GJ
さとーさんは相変わらず不憫が似合う。
どっちもワックスぶちまけちゃ駄目じゃん
>>346 お題を素晴らしくきれいに消化しすぎワロタ
甘いさとやち超よみたい!
今日も今日とてさとやち非エロ御題plz
肩車とかどうでしょうか
ドッチが下でどっちが上かは任せる
肩車か。当然さとーさんが下になるよ。頑張ってみるわ。
「えぇと、冷蔵庫に氷は…製氷容器が無いわ…どうしましょう…」
轟八千代は困っていた。
「氷が無いと効果が無いわ……かといってこのままだとアレだし…」
看病に使おうと思い冷蔵庫を漁ったところ、肝心の氷が用意されてなかったのだ
保存されている食材も心許ない…
「仕方ないわね…起こして聞いてみましょう。」
本来であれば手を煩わせることなく済ませたい、しかしそれでは問題の解決には繋がらない
不本意ではあるが家主たる病人に確認することにした。
「佐藤君、佐藤君。氷が無いんだけど、近くにコンビニかスーパーあるかしら?」
WORKING!! パロディストーリー 「さとやちの休日」
書き終わったら投下予定、伊波さんの乳成長予想程度に期待頂ければ幸いです
出来た。イミフで荒いけど勘弁してください。
「佐藤くん、もうちょっと右……」
「こ、こっちか?」
ただいま俺はファミレスの一キッチン係にも関わらず絶賛、肉体労働中だ。
何のって? 何をどうしたか肩車の真っ最中で、もちろん下さ。
じゃあ何故かって? それは俺にも分からんし恐らく上に乗っている八千代にも分からんだろうな。
「どうだ八千代? 何か手がかりはあったか?」
「何も分からないわ。そもそも本当にここなのかしら?」
最初、肩車をする事が決定した時は誰がするか少し揉めたんだ。
小鳥遊なら喜んで種島を肩車するだろうし、相馬が山田をでも問題はないだろう。脚立を持ってきて俺一人だけでも問題はなかった。
なかったはずなんだが……気づいたら八千代が相馬に上手く丸め込まれていて俺も嵌められていた。
しかもあの野郎、キッチンに戻る間際に俺の耳元で 『轟さんのふとももを堪能するチャンスだよ?』 なんて言いやがって。
何とか背中に蹴りをくれてやったが、正直なところ、少し……いや、かなり意識してしまっている。
普段でも短めのスカートが脚を曲げる事によってより露出し、自分の顔を挟んで存在しているかと思うと……キッチンの制服、特に下がゆとりのある作りで良かったとつくづく思う。
「おい八千代。そろそろ疲れてきたんだが」
「ご、ごめんなさい。そうよね私重いから……」
「そんなんじゃねーよ。ただ体勢を直したいだけだ」
八千代が重い訳がないし、それを支え続けられないほどやわでもない。
ただ、これ以上この健康的なふとももに顔を挟まれ続けると気が狂って体がおかしくなっちまいそうだから小休止をいれたい。
「一旦降ろすぞ」
「ゆっくりお願いね」
そう八千代が言って俺が腰を下ろしかけた瞬間。
「あっ! ちょっとストップ佐藤くん!」
「え? あ、おいちょっ待て!」
八千代が俺にストップをかけてきた。だが、途中で止まれるはずもなく。
「佐藤くーん。すごい音がしたけど大丈夫かーい?」
「大変です相馬さん! もしかしたらバランスを崩した佐藤さんが八千代さんを支えようとしたけど上手くいかず、結果的に八千代さんが佐藤さんに覆いかぶさる形になっているかもしれません!」
「すごく説明的だね……」
どうやら一瞬だけ気を失っていたらしい。倒れた時に打ったのか、頭が少し痛む。
意識が戻ってくると同時にキッチンの方から相馬と山田の声が近づいてくるのが聞こえてきた。
そうだ、八千代は……?
「佐藤くーん……うわぁ大胆だね」
「想定外です! 覆いかぶさっているよりドキドキです!」
ああ? 何を言ってんだこいつらは。それよりも八千代は……
「あのーさとーくんだいじょうぶ?」
「俺は大丈夫だ……!?」
八千代は果たして、俺の腕の中にいた。
意識がはっきりしてきた俺が見た光景は、右手で八千代の頭を庇い、左手は衝撃を少しでも減らそうとしたのだろうか、俺の体に密着させるように抱き寄せられている八千代だった。
「佐藤くんやるね! 想いがなせる技だよ!」
「山田感動しました! 愛の力は偉大です!」
「お前ら、いいから戻れ」
ったく、いつまでもうるさい奴らだ。
写真を撮りつつ楽しそうに囃し立てていた相馬と山田を追い出した俺は不思議と冷静になっていた。
尚も抱きしめたままで、腕の中で顔を赤くしている八千代に話しかける。
「八千代、大丈夫か? どこか痛むところはないか?」
「だ、大丈夫、佐藤くんが守ってくれたから。さ佐藤くんこそ本当に大丈夫?」
「……頭を打ったみたいで痛いな」
「それは大変ね! ほら、こっち来て」
俺の腕の中から抜け出した八千代は休憩室の方へ向かい、椅子を横に並べ端っこに座るとぽんぽんと自分の膝を叩いた。
おい、それはあれか。いわゆるアレなのか。
「私のせいで佐藤くんに怪我させてしまって……こんな事しか出来ないけど……ごめんなさい」
しゅん、とうなだれる八千代。
ここまでされて断れる奴なんているのだろうか。
俺は起き上がり、ややふらつきながらも椅子に寝転がった。
横を向くと頬に八千代のふとももが当たって意識してしまいそうで、自然と上を向く形になってしまう。
「ふふっ何だか照れるわ」
「あぁ、俺もそんな感じだ」
上を向けば八千代は聖母のような微笑で俺の顔を覗き込んでいて。しかも無意識なのか、自然と髪まで撫でてきて。見間違えでなければまだ顔は赤いような気がする。
そんなだから生殺し世界一で鳥頭なんだよちくしょう。
「なあ八千代」
「なぁにさとーくん?」
「好きだ」
「え?」
返事を待たず、気だるい腕を上に伸ばし八千代の頭に添えると、俺はそのままその無垢な顔を優しく自分の顔に重なるように引き寄せた。
結局、何の為に肩車をしていたのかわかりません
それと最後は膝枕で終わるはずだったけど、
>>356を見て滾ったから少し加えました
良いんだ。甘いから良いんだよ
( ´-`)y━・~~
>>356の続きできたんで2レス程度使用して投下します。
佐藤潤は最近悩みを抱えている
「佐藤、腹減ったからなんか作って」
「佐藤君。あのね?きょーこさんがきょーこさんが…」
「お嬢、そいつは危険です!離れてください」
「佐藤君、最近疲れてるみたいだねー…写真、いる?」
「佐藤さん、あのその、ががが頑張ってください!?」
「佐藤さん、冷蔵庫に山田の納豆用空間用意してください!」
「あの、佐藤さん。最近仕事の合間に胃薬飲む量増えてないですか?」
「あー、気にするな。そのうち慣れる」
そう、バイト先の人間環境が悪化の一途を辿っているのだ
おかげで小鳥遊が指摘するように仕事中に消費する胃薬の量が3包/日から5包み/日に増えてしまったのだ
ちなみにヤチノロケ1回につき胃薬2包消費、種島弄り2回につき胃薬0.5包分消費抑制
タバコ1本につき胃薬0.2包分消費抑制となっている
元々タバコを吸う本数は決めているため種島を弄る回数を限界まで増やしたのだがこのままでは胃薬消費量が普段の倍になってしまう。
「仕方ない、少し減らすか…」
試行の意味を込めて胃薬の消費量を抑えてみることにした
〜1週間後〜
「佐藤君、なんだか顔色悪いけど、大丈夫?休んだ方が良いんじゃ…」
「相馬、お前が黙れば問題ないことだ。」
「あれ?色々と僕の所為にされてない?」
案の定佐藤の健康は危険水域に陥っていた
「いやマジでそれ危ないんじゃないかな?」
「どうせ明日は休みだ。一日寝てりゃ治る。」
「そう?ならいいんだけど…」
もうすぐ休憩入るしな…そんとき軽く寝ればなんとかなるだろ…
「こんなところか…小鳥遊、出来たから持ってけ…休憩入りまーす。」
「御疲れ様です。十分休んでくださいね」
小鳥遊はデカイの嫌いさえなけりゃ良い奴だ、そう考え何かをほざく相馬を蹴ってから控え室に行くと
「あら佐藤君、なんだか顔色が良くないわ?大丈夫?」
ある意味今一番会いたくない奴と休憩するはめになってしまった
「はい、お茶。」
「どーも。」
「体調よくないのにタバコ吸ってて良いの?悪くなったりしない?」
なんとか誤魔化してたつもりだが通じてなかったようだ
「八千代は鈍い癖に鋭いな…」
「失礼ねー、これでもきょーこさんのおかげで…」
やばい、地雷を踏んでしまったようだ。今日の休憩時間よ、さらばだ。
「……というわけできょーこさんは格好良くて素敵なの、って佐藤君、聞いてる?」
「…やっと終わったか……聞いてたよ」
聞くというか、まぁ見てたから話なんざ聞いちゃいないんだが…
いつもよりややライトなノロケだったが、この状況だといつも以上に来るな…
「本当に大丈夫なの?なんだか汗かいてるけど…」
「大丈夫だ、それよりお前、もう上がりだろ?片付けなくていいのか?」
「あ、そうだったわね。きょーこさんに挨拶してこなきゃ♪」
「おーいってこいいってこい。」
邪険に扱うことで八千代を送り出す。しかし疲れた…
「まだ休めるし…寝るか……」
目を閉じると急激に倦怠感が襲ってきた…これは、まずいちょうk……
「佐藤君、そろそろ休憩時間終わりよ?…佐藤君?佐藤君!起きないと相馬君が…やだ、顔あっついわ…」
佐藤はぐったりとしていた…胃薬で辛うじて維持していた体調が胃薬服用を抑えたことで悪化してしまったのだった
「おい佐藤、そろそろ仕事しろ、腹減ったぞ…八千代?」
「きょーこさん、佐藤君が、佐藤君が」
慌てふためく八千代をよそに、店長は佐藤の状態を淡々と確認していく…
「ふむ、これは仕事させるわけにはいかんな…相馬呼んで着替えさせるから八千代、家まで送ってやってくれ」
「あ、はい…分かりました…」
こうして佐藤は白藤の判断の下、八千代に伴われて帰宅と相成った
なお、八千代に色々と仕込もうとした相馬がキッチンの仕事過多と山田の仮病看病の懇願で手一杯になったことを併記しておく
できれば書ききって投下したかったんですが流石に眠くなったんで続きは明日夜にします…
先輩の成長程度に期待してくれると凄く嬉しいです、では
>>360 萌えた
前半台詞だけ読むとエロい
お題の人書き慣れてるのかな
萌えシチュ描くの上手いですね
>>363 期待
佐藤大丈夫か?w
gjや感想は本当に活力になります。ありがとうございます。
というわけで今日も御題plz
さとやち?w
とりあえずフリーでw
たかいななら口笛に反応する伊波(犬的な意味で)とトップブリーダー小鳥遊
さとやちなら.記憶喪失ネタが読みたい。記憶を失うのはどっちでも可
できた。テラムズスww
「おい小鳥遊、どうにかして伊波を引きずりだせ。お前の管轄だろ」
「そう言われましても……」
「ただでさえ今日はフロアスタッフが少ないと言うのに伊波がこうなったらどうしようもねえだろ」
「かたなし君ならきっと上手くやれるよ!」
「はぁ……じゃあ何とかしますのでお二人は戻っていてもらえますか」
そう言って先輩と佐藤さんを持ち場へ帰すと俺は、どうしたものかと一計を案じた。
どうして伊波さんが女子更衣室に立てこもってしまったのか。そこからもう一度考え直してみよう。
確か……伊波さんと先輩が話しをしていてそこに俺が入ってきて、そして大体いつもの流れ通りどれだけ近づけるか実験をして……
あぁ、それで結局は伊波さんが我慢できなくて俺を殴っちゃったんだよな。通りで頬が痛いわけだ。
そこまでなら今までと一緒なのに、今日は何で立てこもっちゃったんだろう。
「伊波さん、聞こえますか?」
「な、なに小鳥遊君?」
「どうしてこんな事してるんですか? 話してくれないと分かりませんよ?」
「それはだって……」
「だって、何ですか? こうしている間にも他の人に迷惑がかかっているんですよ」
「分かってるけど! でも……」
これじゃあ埒が明かないぞ。先輩や佐藤さんに言われたとは言え、伊波さんの担当とは言え、ここでこうしている間にもフロア二人が抜けて他の人に迷惑が掛かるっていうのに。
今までの俺なら嫌いな年増の事なんだから放っておけばいい、で済んでいたのに。
最近の俺は伊波さんの事になると放って置けなくなる……何故だ?
「そ、そうだ! 伊波さんは犬だからだ!」
「犬じゃないよ私!」
「いいや伊波さんは犬だ! 犬なら口笛を吹けば反応するはずだ!」
本当に我ながら何を言っているのかわけが分からない。伊波さんの事でこんなにも取り乱してしまうなんて!
やけくそになった俺は甲高い口笛音を二、三回、ピーピーと鳴らしてみた。
────ガチャ
開いた!?
伊波さんって本当に犬だったのか!?
「あ、あの! 言っておくけど犬だから出てきたわけじゃないから! 小鳥遊くんが犬犬、何回も言うから恥ずかしくて出てきたんだから……」
「え、あ、いや……」
「あの……ごめんなさい。もうこんな事しないから……」
「いえ……こちらこそ犬とか言ってしまってすみません」
伊波さんの言葉で冷静になった俺は心苦しくなってしまった。
理解できない。こんなにも伊波さんの事で自分自身が苦しくなってしまうなんて、どうかしてしまったんだろうか?
「取り合えず、戻りましょうか」
「迷惑かけてごめんなさい種島さん」
「ううん、そんな事ないよ伊波ちゃん。これからも頑張ろうね!」
「よお小鳥遊、上手くやったじゃねえか。さすが伊波担当だな」
「そうよ小鳥遊君。まひるちゃんの事、これからもよろしくね」
「担当、ですから」
休憩室を出てキッチンの方へ戻ってきた俺は佐藤さんと轟さんに声を掛けられた。
そう、担当だから。それ以外に意味はないはずだ。そうだよな、うん、そうだ。
俺はそうやって一抹の不思議な寂しさを無理やり押し込むように納得させた。
「それにしても小鳥遊、お前はトップブリーダーに成れるぞ」
「へ? トップブリーダー、ですか?」
「そうだ、伊波を犬と呼んだり挙句の果てには口笛で誘き出していたみたいだったからな。お前は伊波のいい飼い主だよ」
「もう佐藤くん! ごめんね小鳥遊くん、全部ここまで聞こえていたの」
という事はもしかしてあのやり取りも全て筒抜けだった……?
「おいどうした小鳥遊。顔が真っ赤だぞ」
「いえ、何でもありません……俺、テーブルのお冷回ってきます……」
まずいどうしよう全て聞かれていたなんて。
やましい事なんて何もないのに。
なのにこんなにも顔が熱くなるなんて。
やましい事なんて何もないのに。
あのやりとりを皆に聞かれていただけでこんなにも伊波さんを意識してしまうなんて。
テーブル回りを終えてからどんな顔で伊波さんを見ればいいんだ!
たかいなが難しいのか御題が難しいのか、恐らく自分の腕が悪いのですねw
前回に続き、今回は伊波が立てこもった理由がよくわかりませんw
>>376 ありがとう!
難しいお題にしてすまんかったが予想以上にいいねいいね!
自分の中で最大の萌えキャラ小鳥遊が萌え萌えだったw
文章がなんか好きだ、ありがとう
辻褄は脳内補完するから職人さんたちは好きに書いてくれ
次は克服のためにお互い下の名前で呼び合おうとかでいいんじゃよ?(土下座懇願)
完結までできたので投下します。
・エロなし
・八千代なのに大人
・ヘタレなのに積極的
な内容が含まれてます。アレ?と思う方は適当に流してください。
頭が痛い、胃が痛い、ついでに寒気もするし熱い
そんな異常な感覚に佐藤が目を覚ますと其処は何故か自分の部屋だった。
「あー……」
とりあえず意識をはっきりさせようと枕元に手を伸ばすと何故か手を握られた…
おかしい、この部屋には自分しか居ない、今日は誰かが尋ねてくる予定は無いはずだし…
とりあえずの疑問で佐藤が視線を向けると…
「佐藤君、起きた?」
「……何だ夢か。」
佐藤の脳は現実を認識できなかった。彼はこれを疲労の所為にしてそのまま二度寝に入ることに下
「佐藤君、佐藤君、氷とか無いんだけど近くにスーパーかコンビニあるかしら?」
この夢は妙に親切でリアルだ
「出て北側に二分程行けばコンビニが…一応生鮮品も置いてある…おやすみ」
「あ、はい。お休みなさい…」
きっと次に目が覚めたら八千代が戻ってくる、そういう夢なのだと決め付けて佐藤は再びの眠りについた
動けないのに眠れない、そんなじれったさに暫く身悶えていると額が急に冷たくなった
今度こそ佐藤が目を覚まし起き上がる…
「……なんで、居る」
外見はなんとか落ち着かせた、だが内心、お前は別だ、この現実に肝を冷やして混乱するがいい、絶対にだ
等と妙な思考に耽っていると…
「あの、佐藤君休憩時間に寝ちゃって、中々起きなくて起こそうと思ったら顔が熱くて、それからきょーこさんが来たり相馬君に着替えさせてもらって私がここまでつれてきたの。」
おかしい、部屋の住所をこいつは知らないはずだし第一鍵
「あ、御部屋の鍵は相馬君が荷物から見つけてくれて、タクシーも相馬君が手配してくれたの。」
「なるほど、よく分かった」
とりあえずあいつは休み明けに中華鍋だ、ゆで汁入りのパスタ鍋もありだな。
「で、お前の任務は終わったはずだ、もう帰ってもだいj」
「駄目よ、こんな時に一人で寝ても身体は良くならないわ!」
「いや、むしろ更に悪化しそうなんだが…」
「?なんで?」
ええ、そりゃ献身的な看病なんざされた日にゃ嬉しさと情けなさと普段の我慢他色々でそりゃ大変なことに
「そうそう。今おかゆ作ってたから、食べれそう?」
なん、だと…?
「はい、佐藤君、あーん」
「…………。」
佐藤潤20歳、現在ほぼ初めてのおかゆあーん体験に脳の処理が追いつかない、なおもオーバーヒートを起こしそうな状況に陥っている
「ほら、佐藤君。お薬飲むにしても何か口にしなきゃ駄目じゃない。はい、あーん」
コレ、ナンテギャルゲーデスカ?
「食欲無いのもあるが一人で食える、んなことせんでいい。」
「だーめ、こんな時こそ遠慮しないで私を頼って?お友達でしょ?」
「あー、お友達デスネ…」
痛恨の一撃!佐藤は結構なダメージを食らった!
ショックも含みで観念せざるを得なくなった佐藤は促されるまま蓮華を口に含んだ…
ある程度ぬるくなったおかゆはいい感じで喉を降りていく
「…んまい」
「素直でよろしい。一杯食べてね?まだまだ沢山あるから」
ふーふーとおかゆを冷ましてる八千代に内心脅威を感じながら佐藤は先ほどの言葉からある懸念を抱いていた
「聞いておきたいんだが、おかゆどの位作ったんだ?」
「え?きょーこさんの時を参考にお米4カップ分を…」
翌日の三食もおかゆで確定した
魂を削るふーふーあーんな食事が終わると流石に佐藤にも余裕が出てきた
「今夜寝て明日大人しくしてれば大丈夫だろ。八千代、もう帰っていいぞ?」
「え?あ、そのえっとね?」
……なんだろう、嫌な予感しかしない
「佐藤君の車、お店でしょ?それに…今から駅に行っても終電が…」
「…タクシー代なら出すぞ?」
「そんなもったいない。学生さんはお金がかかるんでしょ?」
「そりゃまぁそうだが、送れない程逼迫もしとらん。遠慮するな」
というかこの後に来る台詞が…
「それに、今の佐藤君を一人にするの、心配だし…」
どうにかして追い出さないと…
「……うち、布団コレだけなんだが…」
「人肌で暖めれば治りが早いんでしょ?」
ピシッ…
「そういうわけで、今夜は御世話します。」
「親御さんがしんp」
「きょーこさんのお家に泊まるってもう連絡しちゃったし…」
「わかい娘が男の部屋に泊まるなど非常識にもほd」
「潤君?」
「げほごほがふぐは!」
普段の天然さに心配からくる押しの強さにより結局…
八千代は佐藤の部屋に泊まることになった
「はい、お薬…」
「すまんな…」
市販の感冒薬と常備してる胃薬、頭痛薬(誘眠効果が無いもの)を慣れた手つきで口に含み水で流し込む
「お薬の飲み方、慣れてるのね…」
「まぁ、毎日世話になってるからな」
「何処か悪くしてるの?」
お前が原因だ、とは口が裂けても言えるわけが無い
「ところで佐藤君」
「なんだ?」
「勝手に泊まってくことにしてあつかましい御願いだとは分かってるんだけど…」
何も言うな、嫌な予感が現実になってしまうから
「お風呂借りていいかしら?」
「…もう好きにしてください。」
佐藤は轟八千代の無防備さに完敗した、そりゃもう完膚なきまでに
『ふんふんふんふ〜ん♪』
水音と共に聞こえてくるご機嫌な鼻歌が聞こえてくる
現在布団を頭から被っているが効果は全く無い。
むしろこのままでは篭った熱で再びダウンしてしまうだろう
「…俺は一体何をしたんだろうな」
ヘタレ4年の罪が主だと思われます、という謎の天声は頭の中で蹴り飛ばしておく
寝着なしでというのもあれなので八千代には最近着ていないTシャツと短パンを貸し出した
今も種島他フロア組から電話やメールが来て盛大に心配され、その直後に相馬から
「今日は御泊りコース?ちゃんとしっかりするんだよ!」
等と妄言満載の指針メールが届いた。相馬の分のみ早急に削除すると…
「お風呂、有難うございました。」
無邪気な雛女(ひなつめ)が行水を済ませて戻ってきた
正直に言おう、危険極まりない。
Tシャツはぶかぶかとはいえその分豊かな胸部が強調する形となり、短パンから覗く生足は健康的な白さで眩しく
額に張り付いた髪はしっとりとしていて妙な艶やかさを放っており
普段の天然ひよこ娘とはまるで印象が違う
「さ、佐藤君も汗拭いましょ?上脱いで。」
そのうえ天然由来の無防備な積極性は留まる事を知らず佐藤を蹂躙していく。
「…俺は無事に明日を迎えられるんだろうか…」
「怖いこと言わないの。にしても男の人の背中ってほんと大きいのねぇ…」
成すがままに背を拭かれる…全て自分で出来ると主張したのだがこの女はまるで退く事を知らない
まぁ前だけは交渉の末自分で拭けたのだが…
「なんだろう…いつも以上に疲れてるような……」
「無理が祟ったのね…今夜はゆっくり休んでね?」
はっきり言ってそれは無理です絶対に
「佐藤君佐藤君、こーゆーのって結構面白いわね」
「俺はとても面白くない」
「もう、御世話してくって決めたの、まだ怒ってるの?」
「いや、そっちはもういい。諦めたから」
「そうなの?」
主に俺の精神力について、だがな
「ね、佐藤君。」
「なんだ?」
「あったかい?」
「……」
現在軽く抱き締められた状態で背中に暖かく柔らかいものが当たっている。
足もこちらが曲げてるのに合わせて密着しており、身動きままならない
心拍はなかなか落ち着かず疲労がドンドン蓄積されていくのがよくわかる
「きょーこさんに看病してもらった時とかきょーこさんを看病する時はこんな風に一緒の御布団で寝るの。」
あの女、なんてうらやまけしからんことを!
「最近はきょーこさんも私も体調崩すこと無くなってきたんだけどね?」
「いい事じゃねーか」
「でも、ちょっぴり物足りないわ」
その物足りなさを埋めるために俺は生贄になったのか…
「…八千代」
「なぁに?」
理性を過剰動員して向き合う
「身近な奴であっても男を過信するな…」
「?どうしてそういう事言うの?」
こっちこそどうして、だ…
「お前の無防備さはな、危ういんだ」
言いながら今の全力で八千代を抱き締める
「え、あの…佐藤君?」
「分かるか?」
「えぇと…まだ寒いの?」
は?
「これじゃぁ駄目だったのね…よいしょ、と…」
八千代がそれこそ絡まるように抱き締めを強くする
「これでだいじょーぶね」
「…………」
いかん
「佐藤君?」
「お前…」
八千代のコレに安堵して気が抜ける…いや
「?」
「…アホ、鳥……」
溜まった疲れが緊張を超えたのか…
「もう、こんな時にそんなこといわなk……い…じゃ…い」
もうどうなっても知らん。そう開き直った俺の思考はすぐに途切れてしまった
「やっと寝たわね…」
フラットな表情で寝息を立てる彼…
まるで子供のような無邪気さを見せるその表情は何故かとてもいいものと思える
「アホで鳥って、失礼よ?潤君」
時折思い出したように言われることがあったが、流石に無いだろうと思う
「それにしても、、おっきいわね…」
かき抱く彼の大きさに妙な安心感を感じる。
「きょーこさんとは違う感じね…ふあぁ…」
私も眠くなってきたので彼の身を抱き締め直す
「お休みなさい…」
疲れていたのだと思う。私も落ちるように眠りについた
〜翌朝〜
柔らかな感触と妙な暖かさ、その心地よさに違和感を感じて目を開ける
「…な」
目前に穏やかな表情で眠る八千代が居た
具体的に言うと八千代が佐藤の身体に己を絡めて眠っていた
数分の葛藤と抵抗の後、彼女が目覚めるまで諦める他無いと理解した佐藤は
「………看病の礼だ。」
顔を寄せて彼女の唇に己のそれを乗せたのだった
〜休み明け〜
「佐藤さん、休みはゆっくりできましたか?」
仕込みをしていると小鳥遊がやってきた
フロアは今暇らしい
「あー、妙に肩が凝った」
「え、疲れが取れなかったんですか?」
「別の原因でな…それはそうと、14番呼んでるぞ」
「あ、はい。行って来ます」
残りのフロア担当は…そう思い目を向けると
「八千代さーん、昨日は何してたのー?」
「昨日?そうねぇ…お掃除とお洗濯をしたかしら」
「何処かに出掛けたりはしなかったの?」
「えぇ、そういうわけにも行かなかったのよ。」
「ふーん…」
「あら、ポプラちゃん、お客様よ」
「あ、はーい」
妙なタイミングで二人だけになってしまった
「佐藤君、体調はどう?」
「おかげさまでなんとかなった。」
「そう、よかったわね。」
お互い、少し沈黙してしまう
「色々と、手間かけさせちまったな、料理とか、掃除とか…」
「え?そんなことないわ、帰って散らかしてしまったし…」
八千代の顔が少し曇る…仕方ない
「そんなことはなかった、こっちはとても助かった。有難う」
「え?…よかった」
僅かに出ていた険が取れ、穏やかな笑顔になる。これが一番だろう…
「八千代ー、パフェ食べたーい」
「あ、今作りまーす!」
「程々にしろよ?」
「もう、分かってるわよ。佐藤君も、頑張ってね?」
「あぁ…」
八千代はパフェを作りに行ってしまった
「……もう少し進めるように頑張るさ」
だからこの決意は聞こえない。今はそれでいいのだ
なお、休日の仔細を聞き出そうとしてきたキッチンの馬鹿とフロアの半人前には瓶で保管しておいた部屋の空気を贈呈し、
鍋の湯を「ついうっかり」ぶちまけてしまったことで3日程黙らせることに成功したことを追記しておく
以上で終わりっす。
見直しはしっかりとしたはずですがもし誤字脱字など御座いましたら脳内で補完お願いします。
あと、俺的に八千代さんは意外と大人な考えもできる人だと思ってます。
では…
>>384 gj!
>>377 文章が好きとか、ふんバカじゃないの! あ、ありがとね!
>>378 それは他のたかいなの偉い方々に任せます><
それでは記憶喪失さとやちも書けたので投下します
「とてもおもしろかったわ」
「だろ? 俺も最初は何気なくテレビ点けっぱなしにしてただけだったんだけど、途中から気になりだして最後まで見てしまったんだよ」
バイトが終わった後、私達は潤君の部屋でレンタル店で借りてきた、あるDVDを見終わったところだった。
そのあるDVDとは、ある日ワグナリアで雑談をしていて、映画の話になった時に潤くんが話題に出した夜中に見たという映画のDVD。
潤くんはその時ちょうど大学の課題の真っ最中で、眠気覚ましにと点けていたテレビから流れてきたのがこの映画だったみたいで。
最初は聞き慣れないフランス語の台詞を聞き流していたらしいのだけど、半分を過ぎたあたりから気になりだして最終的にはラストまで見ちゃったみたい。
その話を聞いた私は潤くんが気になったものだから、とお願いしてレンタルしてきてもらった。
「最後に記憶を取り戻して自分の想いを告白するシーンなんて感動して涙が出ちゃった」
「へえ、お前の鳥頭でもそういうのが解るのか」
「もう、ひどいわ潤くん!」
「冗談だよ冗談」
そう言って柔らかく笑う潤くんに私はドキドキしてしまう。
いつか付き合う前に、潤くんの隣で私には見せない今のような笑顔を見られる人を想像して自己嫌悪をした事もあったけど。
今この笑顔は正真正銘、私だけに向けられていて、それが堪らなく嬉しい。
「夜中補整かなって思ったけど今見ても充分面白かったな」
「よなかほせい?」
「なんつーか……勢いみたいなそれでいてフワフワした感じだ」
「? そう?」
『よなかほせい』 を考えながらプレーヤーからディスクを出してケースに片付けている潤くんを見る。
ば、爆発したり襲ってきたりしないのかしら……
「なぁ八千代」
「なに潤くん?」
「あー……変な事を訊くみたいで悪いんだけど」
「うん?」
「俺が今の映画みたいに記憶がなくなったらどうする?」
沈黙。
うーん、どうするって言われても。そんなのきっと決まっているわ。
「潤くんは私が記憶喪失になっちゃったらどうするの?」
「守る。守って記憶を取り戻す方法を捜す」
「戻らなかったら?」
「そこからまた思い出を創っていけばいい。八千代、俺はお前の意見を……」
「私もそう。今、潤くんが言った事とまったく一緒よ」
でも一番は記憶喪失なんかにならない事よね。
だっていくらまた創っていけばいいって言ったって、今までの記憶がないなんてそれはやっぱり少し辛いわ。
「そうか……ありがとう八千代」
「ふふ、こちらこそ潤くん」
あれ? 普段ならすごく照れくさくて恥ずかしい事を言い合いをしたはずなのに、不思議と穏やかな気持ちで満ちているのはどうしてなのかしら?
もしかしてこれが 『よなかほせい』 ?
「じゃ、返却ついでに何か食いに行くか。何か食いたいものあるか?」
「ええと、杏子さんがいつもの店に榊さんといるらしいからそこでいい?」
「また店長か……まああの人もいるならいいか。よし行くぞ」
そうだ。
杏子さんと榊さんに訊いてみよう。
私達、さっき恥ずかしい事をしたけれどすごく幸せです、これって 『よなかほせい』 ですか? って。
さとやちのどっちも記憶喪失じゃない、付き合っている設定の変則的消化ですみません
一番のオチはこの話自体が夜中補整ってところですw
素晴らしい
>>384 ギャルゲ主人公ポジションに来ても鉄壁の理性w羨ましいんだか不憫なんだかww
2人の関係が進化したらこんな風になりそうだ
読んでる最中も読んだ後も2828でした
>>388 あま〜い!イチャイチャしやがってハァハァいいぞもっとやれ
しかしラスト一行待てw
凍りつく榊と杏子「おい佐藤恥ずかしいことってお前何した(ry」
どっちも面白かったですGJ!
ひさびさに来てみれば・・・
これが暇を持て余した神々の遊びかw
みなさんGJです!
さて行ってみましょうか御題plz
ワグナリアメンバーで海に出かけました
>>393 長くなりそうな悪寒
だが無理やりまとめてやる
デキマシタワー
「これって、もしかしてみんなで海に行った時の写真?」
「ん? あぁ、どこに置いたかと思ったらそんなとこにあったか。八千代はまだ貰ってないのか?」
「あれからまだ相馬君とシフト一緒になってないから」
バイト終わりにDVDを借りてきて潤君の家に着いて、潤君がお茶の準備をしている間に見つけたのは数日前にみんなで海に行った時の写真。
写真係だった相馬君が撮った写真にはどれもその人の個性がよく写されている。
「その時は大変だったな。いきなり種島がみんなで海に行きたいなんて言い出して」
「そうね、みんながお休みを一度に取れないからって店が終わった後に行ったのよね」
「何をするでもなく薄暗い中で水遊びしたり。近くのコンビニで花火を買ってきてやったりもしたな」
お茶を淹れてくれた潤君も一緒にアルバムを眺めていると、本当に様々な写真が収められていた。
「これはぽぷらちゃんと葵ちゃんが花火を持ってはしゃいでいるところね」
「こっちは店長と松本だが……相変わらずピースしか脳がねえな」
「見て見て。この小鳥遊君とまひるちゃん、暗くて判りづらいけど手を繋いでいるわ」
「あいつら何だかんだでうまくやってるな」
一ページ、また一ページとめくっていく毎にまるで昨日のように思い返される。
ただ……こんな写真撮ったかしら……? 暗くて気づかなかっただけ?
「大丈夫だ八千代。俺も恐らくお前が思っている事と同じだ。多分、夜で暗かったから気づかなかっただけだろ」
「そ、そうよね!」
自分の考えていた事を言い当てられてびっくりしたけど……そうよね、気づかなかっただけよね。
ゆっくりとめくっていたアルバムもそろそろ最後の一ページに差し掛かってきた。
「もう最後か」
「最後のページはどんなのかしら?」
「俺もそういえば貰って見ずにそのままだったから何が写っているかまではわからん」
期待に胸を膨らませながらめくった最後のページには。
「おい、どういう事だよこれは」
そこにあったのは私と潤君がみんなから少し離れた場所でキスをしている写真だった。
確かに少し離れた場所で二人きりになった時があったけど、まさか撮られているとは思っていなかった。
「相馬の野郎、今度バイトの時に覚えてろよ。さっさとしまえ。映画見るぞ」
照れくさいのか潤君は相馬君の悪態を吐いてDVDの準備に移ってしまったけれど、私は驚いたもののそれ程までは恥ずかしくもなかったりする。
まったく恥ずかしくないわけじゃないけど……だって私達はやましい関係でもないし、それに自分達のこういうシーンを客観的に見る機会ってあまりないじゃない。
それに。
相馬くんは他の人に見せびらかすような人じゃないと思うけど、私達もこんなにも仲が良いんですって言っているみたいで少し誇らしいような気分だわ。
え? 誰にって?
それは私達の写真の他に最後のページにもう一枚、同じようにキスをしているところが写っている二人の事よ。
「準備できたぞ。もうアルバムはいいだろ」
「はーい」
きっとラストページはこの潤君のアルバムと同じ写真になっているアルバムを持っているはずの、小鳥遊君とまひるちゃんの二人の事。
言い忘れましたが記憶喪失のやつと繋がっています
またもや逃げるような消化の仕方ですすみませんw
>>396さん、GJです!!
そんな消化の仕方でいいじゃないか。
読む側も作る側も楽しめるのが一番です。
私もSS作るほうですが、出されたお題を書く技術がありません・・・
だからとても羨ましい・・・
(意地悪な神様へ等は思いつきで出たネタを処理しただけです。)
とりあえず犬組メンバーで怪談大会の話を製作中です。
タイトルだけ『琶愚名怪談(ワグナ怪談)』に決まりました。
完成したら上げますので、それまでお待ちください。(長くかかります。)
長文、失礼しました。
>>399 ありがとうございます
>>398 自分は逆に書きたい物がうまく書けなくて困っています。一回投下してそれからも書いているのですが完成したりしなかったりで。
完成しても何か納得できなくて投下していなかったりします。
だから羨ましいですね
さて御題くださいな
山田、佐藤さんと八千代さんが両親だとうれしいですちう疑似家族ネタ
>>401 書いてみるから小学生の頃に先生のことをお母さんと呼んだエピソードを用意しておいてください><
今回は難しかった……
「山田、遂にわかりました!」
「何がだよ。ていうか働け」
平日の開店すぐ、昼食のラッシュの準備に追われている中で唐突に声をあげた山田に俺は、いつも通りの言動と慣れた風に返す。
「ふっふっふっ、佐藤さん。知りたいですか? 知りたいですよね!? 特別に山田が教えてあげましょう!」
「いいから体を動かせ」
「そんな事を言っていいんですか? 佐藤さんと八千代さんの事なのに」
「……言ってみろ」
準備が一段落ついた俺は、八千代がキッチンの近くにいないのを確認し煙草に火を点け、山田に続きを促した。
最近は特にうるさいからな。いちいち休憩室に行っていてはキリがないからここで吸うのを止められん。
俺が食い付いた事に気をよくした山田は、もったいぶるのも忘れずに尊大に切り出す。
「聞いてびっくりしないでください」
「しねえから早く言え」
「山田、佐藤さんと八千代さんが両親なのがベストだという事がわかったんです!」
「……お前、音尾のおっさん夫婦が良いって言ってなかったか?」
八千代の突飛な言動に慣れている俺は、それと同じように会話の雰囲気を読んで先回りをして山田に疑問を投げかけた。
「音尾さんも良いですが、種島さんからもっと良い事を聞きましたよ?」
「何だよ」
「私がここに来る前に佐藤さんと八千代さん、店長の事で軽く言い合いをしたらしいですね?」
「そんな事もあったか。あれは店長と甘やかす八千代が悪かったんだ」
「そう! それです! 山田、その時の様子を種島さんから聞いてこれだって閃いたんです!」
「はぁ?」
「まるで子育てでケンカするお父さんとお母さんのようだったと! これこそまさに山田の理想の両親像です!」
種島が何を言ったかと思ったらそんな事だったか。というか以前から思ってだが妙な部分に反応するんだな。
八千代はこいつの事気に入っているみたいだが俺はあまり慣れんな。担当の相馬は今日は昼からか……どうしたものか。
「さあ! 早く八千代さんと私についてケンカしてください!」
「……おーい八千代ー」
「はいはーい、なぁに潤君?」
「山田が仕事をくれって言ってるぞ」
「あらそう? じゃあこっちで一緒に杏子さんのお手伝いしましょ」
「え? ちょっずるいです佐藤さん!」
「じゃ八千代、後は頼んだ」
「潤くんも頑張ってね。それと煙草は休憩室か裏口でね」
ならばその気に入っている八千代に何とかさせようと山田を追い出した俺は注意された手前、煙草の火を水道水で消すと軽く溜息を吐いた。
いずれは今の山田の言葉を逆手に取って働かせるのも悪くはないか。山田の奴、俺達が付き合いだしてからやけに周りにいると思ってたがそういう事だったのか。
まぁ、八千代に免じて今後は多少の我侭は許してやらん事もない。
夫婦みたいだと言われて悪い気はしなかったからな。
自覚はあったけど相馬と山田が苦手なんだorz
もう寝よう…
先生をお母さんと呼んでしまい、からかわれた揚句に泣いて抗議したら凄くすまなそうに謝られました
GJですよ?山田が苦手とか謙遜ですよね?
>>405 GJ!
教育方針では揉めなかったが
日曜日遊園地連れていけと纏わり付く子供とあしらう父親佐藤と赤ん坊をあやす八千代ママのようだなw
よかったな山田
>>406 幼稚園の頃、園舎から運動場にいる先生に向かっておもいっきりおかーさーん! と叫んだことがあります
本当に山田と相馬は苦手ですね。キャラ的にもそうですし、設定でも山田の経歴とか相馬は妃や消失したうろん設定もあるので扱い難いのかなと
>>407 恐らくこの後に海に行くことになるので山田は喜ぶのではないでしょうかw
書き忘れた
今、帰ってきたばかりで遅くなりそうなので先に御題をお願いします
さとやちで髪の毛乾かすイチャコラ
>>410 その御題なら俺に任せておけ(バリバリッ
wktk
413 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 22:58:02 ID:NFK1shzb
上げてしまった…
投下します
「ほら潤君。こっち来て、ここに座って」
「だからタオルで拭いときゃ大丈夫だって」
「駄目よ。風邪引いちゃったらどうするの?」
「前から言ってるが今までそんなので引いた事はないから構わん」
「またそう言って。これからはわからないでしょ? だからね?」
「……わかったよ」
この家に私が来るようになってから使われ始めた、埃が被りっぱなしだったドライヤー。
聞くと、一人暮らしを始めた時に実家から持ってきたらしいけど、数回使ってそのまま置きっぱなしになっていたみたい。
それを見つけた私は綺麗に掃除し、やがていつ頃からだったか、お風呂上りの潤君の髪を乾かすのが習慣になっていた。
「熱くない?」
「大丈夫だ」
あぐらを掻いた潤君の後ろから風を送り始めて少し、頃合いをみて話しかける。
いつものやり取り。いつもの空気。いつもの安心感。
こうやってブローしながら手でブラッシングしていると、梳いた髪がその色の薄さとシャンプー後の髪質の良さのせいで透き通っているみたい。
絹のような髪、と言うのかしら? 私は癖毛で毛先が跳ねているから羨ましいわ。
「上手いな。気持ちいいよ」
「そう? ありがとう。でもそう思うんだったらもうちょっと素直に最初からブローされてくれると嬉しいけど」
「前向きに考えておくよ」
「お願いね」
何だかんだ言って潤君も気に入ってくれているみたい。
顔を見てみるとほら、気持ち良さそうに目を瞑ってされるがままになっていて、まるで子犬みたいでかわいいわ。
「八千代」
「なに?」
「今、変な事想像してだろ」
「え? あの、して……ないわ」
……何でばれたのかしら? 前を向いて目を瞑っていたはずなのに。
突然の事にしどろもどろしていると、潤君が呆れたように種明かしをしてくれた。
「前を見てみろ」
「……鏡?」
「薄目を開けたらニヤケ面が映っていたからな。何を想像していたんだ?」
「な、何も変な事なんか想像していないわ……はい、もうおしまい!」
「それならいいんだが。終わったか? くっ……ドライヤーされると眠くなるな」
ニヤニヤしていたらしい顔を見られた私は何とか取り繕うとブローを切り上げた。そんなに緩んでいたのかしら?
やっと開放されたと言わんばかりにあくびをしながら伸びをする潤君の顔は、気持ちよかったのか、今にも眠ってしまいそう。
「片付けてくるからきちんと上の服も着るのよ?」
「わかってるよ」
そう言って洗面台に片付けに行って帰ってきて、飛び込んできた光景はシャツも着ずにそのまま寝ている姿。
もう、話聞いていなかったのかしら? せっかく髪を乾かしたのにこれじゃあ結局、風邪引いちゃうじゃない。
せっかくもっとお話したりしようと思ってたのに先に寝ちゃって。
困って呆れたように布団を掛けてあげようとして、ふと気づいたわ。
何に?
起きている時からは殆ど見えない、まだ少し残る少年のようなあどけない顔によ。
それに気づくと後は釘付けで、今までの感情はどこかに行ってしまって。
もっと近くで見ようと一緒に布団を被って腕の中に入って、寝顔に顔を寄せて。思わず笑顔になっていて。
そのかわいい寝顔と腕の温もりに包まれながらいつのまにか、微睡みに落ちていったの。
結局またこの設定w
何か八千代が別人のような感じだけど、こういう裏というか大人な一面もあるかなという解釈。というかそうであってほしいかな
どうでもいい裏設定→実は一緒にお風呂に入っていて、先に佐藤が八千代の髪を乾かして、そのすぐ後という設定です
むしろいかにその裏設定が矛盾しないか勝手に気をつけながら書きましたw
>>416 ありがとうGJGJ!!
既に違和感なく生活感漂う2人にニヤニヤしました
つむじ見ながら分け目勝手に変えてみたりするんだ八千代
お疲れー
原作ではずっとあのままだろうサトヤチのパラレル未来を読めるのは、このスレだけ!
>>416 GJ!
お題だされて即興とかまじぱねぇっす
もしよろしければ、たかいなのピロートーク頼みたい
>>416 さとやちはぁはぁ
乾かしてる最中に背後からハグしろするんだ佐藤
書いてみたんで投下します
エロなし
公務員とホテル従業員
421 :
1/2:2010/07/15(木) 16:09:02 ID:mZxAy/di
くちびるにかみついたまま、少し引っぱると歯が見えた。規則正しく並ぶ白い歯はおいしそうだ。ちろっとなめたのは腹が減っているからではない。断じて。
「口、開けろよ」
「じゃれつく前に言うことがあるだろう」
「いいから開けろ」
あごをつかんで強く押しても、東田のやつは上下の歯をがんと開こうとしない。しかも一段高いところから見下すようなしせんを投げてくる。こうあつてきなヤロウだ。まったく。
「今回もガンバったんだからな!」
「頑張れば何をしても良いと? あり得ない。まずお前は謝罪をしろ。それから食べてくださいお願いしますと言え」
何にあやまるんだよ、こいつ時々イミわかんねー。
「まぁいいや。食え!」
「まぁ良くない。謝れと言っただろう」
「なんか知らんが、あやまればお前は口を開きバリバリ食うのか?」
このホットケーキを。
ずずいっと皿を差し出すと、東田のヤロウはホットケーキをケイベツの目で見て、せせら笑った。
言葉にしなくても分かる。「それがホットケーキ?」という目だ。バカヤロウ、これがホットケーキだ!
東田は腕を組み仁王立ちになった。レジ袋を下げながら、えらそーだ。
「良く聞け、そして理解し記憶しろ馬鹿娘。見ての通り、来る途中、俺はスーパーに寄ってきた」
「なに買ったんだ?」
「ホットケーキミックスを買うためだ。しかし今日に限って品切れだった。次にコンビニへ向かったがここでも品切れだった。三軒目も四軒目も。軒並み品切れになっていた」
「そりゃあ……、あー」
そりゃそうだろう。ここらへんで売られているホットケーキミックスは私が買い占めた。下ろしてもらったチョキン全部使っちまったから、バレたら怒られる。
ここは白を切ろう。
「そういうこともあるよなーザンネンだったなー」
にこにこ。こういう時は笑ってごまかすにかぎる。営業スマイルは得意だぜ。
東田が来る前にホットケーキの残がいを処分しといて良かった。フライパンもたくさんギセイになったし。
でも、そのかいあってちゃんとしたホットケーキができたんだから、よしとしようじゃないか。
「この話題終わり! な! ぼやぼやしてたらホットケーキが冷めちゃうだろう」
ぽん、と東田の肩を叩いてやると、払いのけられた。むかつく。
「勝手に終わらせるな。コンビニのひとの目撃証言によると、若い女がホットケーキミックスを大量に購入していったという話だが」
「へ、へえー、そうなんだー」
「……仕方ないから小麦粉とベーキングパウダーを買ってここへ来たら、昨日は無かったホットケーキミックスを使っているお前がいた。そしてその紫色の化学兵器を食らわそうとしてくる」
「きれいな色だろ。ホットケーキなんだぜ」
「さて問題です。昨夜ホットケーキを一緒に作ろうと言ったのは誰だった?」
東田は仁王立ちのまま、にっこりと笑った。
422 :
2/2:2010/07/15(木) 16:09:30 ID:mZxAy/di
「回りくどいやつだ。クイズは苦手だっつーの」
「クイズじゃない」
「お前が問題出したのになんなんだ。クイズだったりクイズじゃなかったり、どっちだよ」
「どっちもこっちもないわ」
……?
「どっちだけじゃなくて、こっちもないのか? こっちはどっちだ?」
「日本語で会話して下さい。頼むから」
「ごちゃごちゃうるせー!」
東田はりくつっぽいんだよ! りくつでメシが食えるか! 食えるのか? まあともかくそれは置いといてだ!
ホットケーキをビリビリやぶってひとくち口に含む。うむ、カタイ。
胸ぐらをつかんで引きよせると、東田が少しあせった顔をした。
「待て」
ええい、じゃまだ!
顔に押し付けられた手の平をはじき飛ばしてやると、東田はひるんだ。そのスキをぬって、やつの首に両腕を回し、カベぎわまで追いつめてやった。もう逃げれないぞ。
先週見た映画の暗殺者を意識してシブく笑いかけてやったら、東田は両手を上げた。
「……はいはい。降参します」
その心意気やよし! 食らえホットケーキ! パープルボンバー!
「でも待むぐっ」
うるさい。口でふさいでやると東田はさすがにだまった。
口の中のふしぎな味はあれににている。歯医者さんの苦いあれ。つめ物する時にぬられる消毒の味にそっくりだ。まあこれはホットケーキなんだけどな。
この方法で食べさせると、東田は嫌味をいわないしホットケーキ食ってくれるし一石二鳥だな。
合わせた口から苦いあれ味のホットケーキを東田にわたそうとすると、やつは器用に逃げまわった。こうさんしたっていったくせに、ウソかよ!
首をひねり角度を変えて、奥に引っ込もうとする東田の舌を追いかけた。ていうかもういい、苦いあれをここに置いておくぜ。食えよ。
東田の舌の下にホットケーキを置くと、ひと仕事終えた気がした。満足してくちびるを離そうとしたら、後頭部を押さえつけられた。今度は逆に東田の方が吸いついてくる。
「んう」
ぐいぐいと押し付けられるのは苦いあれ味のホットケーキ。
ず、ずりい。東田のやろう、口の中に置きざりにしたホットケーキをこちらに戻そうとしやがる。責任もって食えよ! 食えってば!
にらみつけてやったら、やつはおそろしいほど冷めた表情で「お前も食え」といっていた。言葉は発していないが分かる。
お、怒ってる……。
「……」
しょーがねーな。
前歯でがりっとホットケーキを半分にして、片方を自分の口に入れ、片方を押しこんでやったら、ようやくやつは納得したらしい。足の小指をぶつけたみたいな顔をしながら、頭を放してくれた。
「う〜このホットケーキ、じゃりじゃりする。かめばかむほど味が出てくる……」
我ながらなんてものを造りだしてしまったんだ。水をごくごく飲んでいたら、横からコップをうばわれた。
「そうか、じゃあ呑み込むことにする」
言いながら東田は水で流し込んだ。ちょっとは味わえよ。いやそれはかわいそうか。なんでもいいや、ともかくこれは失敗だったんだ。
「見た目は良かったのに」
「……消し炭ではなかったな。それは兎も角としてだ」
東田はテーブルの上にホットケーキと小麦粉とベーキングパウダーを並べた。
「ここに座れ」
「? いいぜ」
何をしたいのか分からんが、いわれた通りイスに座る。東田は重々しくうなづいた。
「手を合わせろ」
本当にイミわからん。とりあえず景気よくパーンと手を合わせてやった。これでいいのか。
東田はきびしくいった。
「謝れ」
「だから、なににあやまれってんだ」
不味いもの食わせたお前にか?
東田をちらっと見上げると、やつは絶対れい度の空気をまとっていた。
なんでまだ怒ってるんだ。そんなにマズかったようには思えないんだが。大量にホットケーキミックスを消費したおかげで、ここ数年の中ではましな味だった。
「すまんかった東田。でもさ、意外とイケただろ?」
「俺に謝れとはいっていない。そういうことじゃない」
「じゃあなんだよ。お前イミわかんねーよ」
むくれて言うと、東田はカッと目を見開いた。
「食・材・に・謝・れ」
「……ごめんなさい」
ホットケーキミックスさん、すみませんでしたぁ!
>>417 そこには下痢ツボを押されてトイレにこもるさとーさんの姿が!
>>418 そう言ってもらえると幸いです
>>419 デキマシタワー
珍しく休みで空は晴れ渡って久しぶりに君と二人きりで、なんて相手もいるはずなくて昼前に目が醒めて二度寝する前にスレ見たら御題が出てて、
次に起きてから書こうと思って目を閉じたら文が浮かんできて止まらなかったので速攻でパソコンを立ち上げましたw
短いけど2レスにわけますよー
>>420 リロードしていなくてもう少しで割り込んでしまうところで危なかった……
ひさしぶりにこの二人ですねgj
気を引き締めて投下します
「どうでしたかまひるさん?」
「恥ずかしかったけど……気持ち良かった」
「それなら俺も頑張ったかいがありましたよ」
宗太君の家に泊まって次の日の朝。
未だにベッドにいる私にコーヒーを淹れてくれた。普段から家事をこなし家族にも気をまわせる宗太君の思いやりと温かさが感じられるようなコーヒー。
眼鏡を掛けていない顔は私の一つ下なのにしっかりとした男の顔付きで、でも年相応な男の子の幼さもあって。
お姉さん達やなずなちゃんも多分、知らない顔。
私だけが知っていて、私だけに見せてくれる顔。
「それにしても驚きましたよ。まさかあの後すぐ寝てしまうなんて」
「う、だってしようがないでしょ……すごく疲れていたんだから」
「俺としてはゆっくり話でもしたかったですけどね」
「私もそうしたかったけど……」
ベッドサイドのチェストに体を軽く預けながらコーヒーを一口飲むと、ベッドに寝転がっている私に残念そうに言葉を掛ける。
ちょっとした優しいいじわる。
それに慣れない私の顔はきっと熱くて赤くなっているに違いなくて、思わず枕に顔を埋める。
「とは言っても結局、俺もあの後すぐ寝ちゃいましたけど」
「宗太くんだって寝ちゃってるじゃん」
「そりゃあれだけ気持ち良さそうに寝られていたらこっちも寝たくなりますよ」
「あ、ううぅ……」
「いい加減に慣れてくださいよ」
苦笑しながらゆっくりともう一口飲むと、不安定な体勢だった私の手から中身をこぼさないようにカップを取りチェストに並べて置き、ベッドに入ってきた。
咄嗟の事に私の体は反応して強張ってしまうけど、そんな緊張を解かすかのように宗太君の手が私の髪を梳かす。
優しくて、心地良くて、気持ち良くて。
いつも読んでいる恋愛小説だけの出来事だと思っていたけど、たまに見てしまう佐藤さんと八千代さんのような他人の大人の出来事だと思っていたけど。
実際は想像以上で。
「しかしそんなに良かったですか?」
「うん、すごく気持ち良かったよ。この低反発枕。外国製だっけ?」
「はい。そう言ってもらえるとバイトを頑張って買ったかいがありましたよ。やっぱり気持ち良い睡眠をしたいですからね」
「疲れていたのもあるけどぐっすりだったよ」
「まひるさんが散々、買い物で歩き回ったから疲れたんですよ」
「宗太君だって雑貨屋さんを見つけたら手当たり次第に入ってた」
「結果的に疲れたおかげで俺はまひるさんの可愛い寝顔が見られたから役得です」
「寝顔を見られるの恥ずかしいんだから……」
昼間にお出かけをして色々と見て回って、夜御飯も食べて帰る時に家に寄っていきませんかと誘われて。
お母さんはお父さんの単身赴任先に行ってていなかったし、宗太君の家も珍しく誰もいないからって。
山田さんや種島さんと泊まった時のようにお風呂を借りて、以前とは違って自分の足で宗太君の部屋に向かっていて。
宗太君がお風呂から出てきたら今日のお話でもしようとベッドで寝転がって待っていたら、疲れと枕の気持ち良さと宗太君の安心する匂いのおかげですぐに寝てしまっていた。
「まだもう少し寝ませんか?」
「うん。だけどお姉さん達は? 帰ってこないの?」
「一枝姉さんは仕事で泊まりこみ、泉姉さんは出版社のイベントに強制参加、梢姉さんは道場の合宿、なずなは学校の宿泊行事。だから本当に誰もいないんです」
「そっか、寂しいね」
「普段がうるさいくらいだからちょうど良いですよ。もっとも、姉さん達がいなくてもまひるさんがいてくれれば俺は楽しいですし」
「そそそそういう恥ずかしいのはやめて……!」
「そうですか? 俺は好きな人といられて楽しいですけど。まひるさんは嫌ですか?」
「私も嬉しいけど! ああもうおやすみ!」
そう言えば一枝さんとお話した時に言ってたっけ。宗太には女ったらしの才能があるって。
私が最初に好きになってこの気持ちを知らない宗太君の言動に一喜一憂していたのに、今ではその才能のストレートさにやられてしまう。
それは滅多に発揮されないけど。さらりと出される言葉や態度に私の思考回路が追いつかなくなってしまう時があるけど。
付き合っているからこその幸せだと感じる瞬間がある。
「? まぁいいか。俺も寝よう」
「…………」
「じゃおやすみ、まひる」
「! ……おやすみ……宗太」
例えばほら、こういう瞬間に。
枕のお話でした。性的な意味でのピロートークを期待していた人はすみませんw
このネタはいつかやりたいと思っていて、でもいつ御題で出るか分からないしカップリングもその時の都合だよなーと思っていたのですがこんなにも早く書けてよかったです。
前半:ピロートークキター!
後半:ってそっちの意味かー!
やっぱり小鳥遊ってイケメン紳士でかっこいいなぁ
らぶらぶ萌え萌え
なんだ、ただの祭か
>>427 なんという神w
まさかこんなに早くリクに応えてもらえるとは・・・
性的でなくても十分イチャイチャですほんとうにありがとうございましたw
というかほんとに祭り状態だなw
>>428 狙 い 通 り
アニメが終わってどこのスレでもピクシブなどの外部でも人が少なくなってきているので少しでも盛り上るようにと願いながら、微力ですが書かせて頂いています
もっと人が増えますよーに(種っこ風にw)
それでは御題くださいNa☆
さとやちで指を舐める
どっちがどっちの指を舐めるかで俺はズボンを下ろせば良いのか否かが激しく変わる
>>434 エロはないともっぱらの評判だから風邪を引く心配はない(キリッ
初代ミス生殺しの系譜から言えば
八千代がシュガーの指を舐めるのが一般的
これなら付き合う前設定でも十分ありうる
舐め合ってもいいと思ううの
ハードル上げすぎww
>>436 ……そこに気がつくとはやはり天才か…
はやくしゃぶらなきゃさとー君が死んじゃう!;;な八千代さんかな?
八千代の足の指をねっとり舐め上げる佐藤でもいい
恥じらう八千代がみたい
>>439 いや全然w
ただ大体
>>436に書いてある通り付き合う前で八千代がさとーの指を舐めているから、書いてる途中で本気でびっくりしただけw
>>440 マジエロスですよねー自分もやちの足の指の間をねっとりペロペロしたいですさとーさんでもいいや><
あ、全然エロくないので眠い人は無理せずに明日でも大丈夫ですよ^^;
見直しおわた投下します
「あ」
「どうしたの佐藤君?」
「なんでもない」
「……大変! 血が出てるじゃない!」
高校生組の賄いの仕込みに野菜を切っていた俺は、慣れに任せて無意識だったのが災いしたのか指先を切ってしまった。
怪我自体はどれだけ慣れたキッチンスタッフでもするものだし、俺も慣れていたから簡単に止血でもしようと傷口を眺めていたところを八千代に見つかってしまった。
こいつが関わってくるとピーチクパーチク騒ぐから出来れば穏便に済ませたかったんだが、時すでに遅しか。
「大丈夫だからいちいち来なくていい」
「駄目よ。傷口からばい菌が入っちゃうし食べ物を扱っているんだから。ほら、傷口を見せて?」
「わかったよ」
いつもなら傷を確認した後は水で流して適当に水気を取って絆創膏を貼るくらいなんだが、今回もそんなもんだろうと思う。
俺の指先を深刻そうな顔で見詰める八千代。
好きな奴に心配されて悪い気はしないが、指が落ちるほど深く切ったわけじゃないし、お前が原因でもないんだからそこまで思い詰めた顔はしなくてもいいだろ。
「八千代。気は済んだか?」
「……えい!」
放っておいたらそのまま何時間でも指を見ていそうな八千代に痺れを切らした俺は、努めて冷静に声を掛けた。
いい加減にしないとオーダーやら何やらが入ってくるし、賄いもタダで作っているんじゃないからみんなに悪い。
やがて、何かを決心したような顔で八千代は……俺の指を咥えた。
「……は? お、おい! お前何してんだ!」
「だっふぇ、ゆひさひのきふにふぁ、ふぉれがいひふぁんらから……」
「咥えながら喋るな! 取り合えず放せ!」
「んん、ふぁい。どう? 治った?」
「いや……そういう問題じゃねーだろ」
いきなりの展開に頭がついていかない俺は一瞬戸惑うも理性が何とか打ち勝ち、八千代にすぐさま止めるよう求めた。
これだけの事をしておいて傷は治った? じゃないだろ。何とも思わねえのか!?
俺はさっきから動悸が治まりそうにねえんだよ!
「悪りい。休憩室行ってくる」
「わ、私も……」
「いいから残れ」
「この途中のは……?」
「高校生組に訊いて急ぎだったら小鳥遊にやらせろ。あいつなら適当に上手くやれるだろ」
「オーダーが入ってきたら……?」
「まわらなくなってきたら呼んでくれ」
「あの……やっぱり私も……」
「いい」
自分が何をしでかしたかよく理解出来ていない様子の八千代に気付かれない内に、休憩室に移動して呼吸を整えたい一心で質問を切り上げていく。
その途中で雰囲気を察したのかおろおろとし出したが、それに構っていられるほど余裕はない。
一刻も早く煙草を吸って落ち着きたかったからな。
休憩室に入って椅子に座り、煙草に火を点けて大きめに吸い込んで一息。
まだ僅かに手が震えていて冷たい。情けねえな。
ふと、煙草を持っている指と反対側の、八千代が咥えていた傷の有る方の指を、灯りで透かすように上に持ってきて見上げて眺めてみる。
その指は八千代が咥えた後、特に拭いたりもしていない、そのままの状態。
血が止まっているところを見ると、ガキの頃から不思議だった唾液の有効性が働いているみたいだ。
そのまま煙草をふかしつつ、そう言えば煙草の葉は止血作用があるんだったか、かなり痛いらしいが等と考えながら眺めていると、ある事に気が付いてしまった。
この指、八千代の唾液が付いたままだよな……?
拭いた覚えはないし、何かに使った覚えもない。怪我をしているからと片手で煙草を出して、片手でライターを使って、片手で椅子を引いたはずだ。
どうすんだよこれ。気付いてしまったらずっと意識してしまうじゃねえか。
いやいや、舐めようなんて思ってないぞ。いくら何でも変態だろ。
おかしな葛藤と闘っていると、やがてジリジリと煙草が指元まで燃えていて熱い事に気が付き、我に返った。
「戻るか」
一人呟いて灰皿で煙草の火を消し、唾液を拭こうとティッシュに手を伸ばしかけた時、八千代が呼びに来た。
「さとーくーん、こっち戻ってもらえるかしら?」
「今戻ろうと思っていたところだ」
「あの、さっきはごめんなさい。唾で汚れたままだったわよね?」
そっちかよ。指を咥える事には特に何もないのか。
おかげ様で血も止まって変な気分まで催していたところだ。
ティッシュに伸ばしかけていた手を引っ込めると椅子から立ち上がり、八千代から見えない角度でキッチン服で指を拭き、一緒に歩き出す。
「血も止まったしもういいから」
「それなら良いんだけど……」
自分が何をしたかは解らないが、何か気の障る事をしてしまったんだと思っているんだろうな。
その通りと言えばその通りだが、かと言って先ほどの八千代の行動を諌めるほど小恥ずかしい事もない。
指を切る毎にこの思いをするのも体に悪いからやんわりと伝えておこう。
「お前の唾が汚いわけじゃない」
「え? ……うん」
「だから今度からは消毒液をぶっ掛けて絆創膏は貼ってくれ」
「……うん! わかったわ!」
何とか悟られずに希望を伝える事が出来た。
指の痛みも殆ど引いたし、今から夕食時だから気合を入れていくか。
安心した俺はそう考えながら通路からキッチンの入口に差し掛かった時、隣の八千代が声を掛けてきた。
「今からは気をつけてね」
「充分に気をつけるからお前も気をつけろよ」
「ふふふ」
「何がおかしいんだ?」
そこで少しいたずらっぽく笑った八千代を訝しがる俺に八千代は、より近くに寄ってきて誰にも聞こえないように囁いた。
もしかするとこいつは全部わかっててやったんじゃないかとさえ思うような事を。
「私が怪我をしたらさとーくんが舐めてね」
その日から生殺し世界一の鳥頭が怪我をしないように何故か俺が気をつけるようになったのは言うまでもない。
たまにはひねくれずに付き合う前設定。 しまった、舐めるじゃなくて咥えるになってしまった/(^o^)\
イメージとしてはさとやちスレの323辺り
付き合っていて火傷でちゅぱちゅぱさせると恐らくそのまま二人とも止まらなくなってしまうのでさとーさんに不憫になってもらいましたw
さとーさんは悶々としながらの不憫さがよく似合うww
なぜ俺は仕事直前なのにこんなに2828してしまうのか?
数日来ない間に公務員とホテル女、たかいな、さとやちと大量ですな
どの話もGJ!
448 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/16(金) 20:46:41 ID:tRzckljg
奥さん、お宅の子供さん、エロパロなんかに入り浸ってますよ(ローリー風に)
ということで御題ください
小鳥遊・伊波で
自転車二人乗り
今回は微妙かもです……
記号がごちゃごちゃしてて見難いです
「今日は楽しかったですね」
「うん。色んなお店に行ったしね」
日が暮れてすっかり暗くなった、宗太君と電車に乗って隣街までお出かけをした帰り。
最寄の駅に着いて改札を出た私達は今日の感想を話していた。
何となく帰りを切り出すのが名残惜しくてそのままいたんだと思う。
夜も遅くなってきているのを心配した宗太君は私に気を遣ってくれた。
「そう言えばまひるさん、お時間の方は大丈夫ですか?」
「うん。今日はお母さん、お父さんのところに行ってるから家に帰っても一人だし」
「そうですか」
「気を遣ってくれてありがとう。宗太君は大丈夫なの?」
「うちも珍しく誰もいないんです」
「そっか。お互い一人同士だね」
一緒にいたいけど気を遣って尋ねてみたものの家に帰っても一人のようだし、家で一人で留守番をさせるのは危ない。
このままここでずっと話をしているわけにはいかないし、かと言って今からどこかに行くのもまずい。
そんな事を考えているんだろうな。
せっかく今日はお互い一人なんだし、私も出来ればまだまだ一緒にいたい。
「……まひるさんさえよければ俺の家に来ませんか?」
「え? いいの?」
「はい。俺はいいですよ。まだ話足りませんし」
「じゃあ御言葉に甘えさせてもらおうかな」
「ありがとうございます。俺、自転車で来ているので取ってきますね」
宗太君の家か……ちょっと予想外だったけどまだ一緒にいたいって願いが叶っちゃった。
付き合い始めてから今日みたいに帰りに誘われて行った事は何回もあるけど、誰もいないのは初めてだから逆に緊張するなぁ。
誰もいない家に二人きりか……つまり、そういう事……なのかな?
いやいや! 宗太君も話がしたいって言ってたし!
でも男の人が夜に誰もいない家に誘うって、そういう事だよね?
ああー! 意識したら緊張してきた!
「おまたせしました、ってどうしたんですか? 顔色が変ですよ?」
「ひぃえ!? うん! 待ってないよ! 行こっか!」
「? そうですか? それじゃあ行きましょうか。あ、荷物はカゴに入れちゃってください」
「ありがと……」
変な想像をしている時に戻ってきた宗太君に変な目で見られながら買った服をカゴに入れる。
こういう気配りがさりげなく出来るのは、さすが女家族で生きてきたんだなと思う。
自転車を牽いているんだし、ちょっと重い物は自分で持とう。
これが私なりの精一杯の気配り。
「まひるさん、そっちも貸してください」
「え、いいよ。自分で持つ」
「それ重いでしょう。ほら」
その気配りも宗太君の前では簡単に見破られる程度のものみたい……
「ここら辺でいいかな。はい、後ろに乗ってください」
「いい、のかな。お邪魔します」
「ここからはあまり人通りがないですから」
駅を出て話をしながら並んで歩いていて周りが住宅街になり始めた時、止まって後ろの荷台に乗るように言われた。
いわゆる二人乗り。
男の人と自転車の二人乗りをする日が来るなんて昔の私には羨望でしかなかった。
それを今はこうして好きな人と出来るなんて。
「乗れましたか? スカート、巻き込まれないように気をつけてください」
「うん、いつでも動いていいよ」
「しっかり掴まっていてください」
荷台に横に座ってスカートをあの手この手で巻き込まれないようにまとめると返事をした。
動き出して落ちないようにと腰に手をまわして自分を支える。
「大丈夫ですか!」
「だいじょーぶ!」
スピードが出て安定し始めた頃、宗太君が風切り音に負けないようにこちらを向いて少し大きめに話しかけてきた。
宗太君の大きくて温かい背中に頭を傾けてコトコト揺れる自転車の振動に身を預けていると、疲れもあるのかどんどん眠くなってくる。
このままだと寝ちゃうかも。
「落ちますから寝ちゃダメですよ」
「はーい」
「もうすぐそこですから」
すぐそこ、の通り目を開けて見た事のある風景だと思っていると目的地の宗太君の家に着いた。
自転車を降りて宗太君がガレージに自転車を片付けているのを眠い目を擦りながら見ていると、何か重大な事を忘れているような気がする。
「そうだまひるさん。よかったらシャワーはどうですか? 昼間あれだけ動いていたら汗も掻いているでしょう?」
シャワー? シャワーね。はいはいシャワー……ええぇえ!? 眠気ですっかり忘れていたけど今ってかなり危ない状態なんだった!
家に誘ってシャワーって……ほぼ確定!?
きょ、今日は気合入れて可愛いのにしてきたけど……汗吸っちゃってるしシャワー浴びて脱いだら意味がないんじゃ? ……そうじゃなくて!
というか! もう片付け終わって玄関の鍵を開けてるし!
「あの! シャワーって!?」
「時間が掛かってもいいなら湯を張りますけど? 取り合えず用意しますから急いで中に入ってください」
「あ、ぁう……」
急いでとか言ってるし宗太君は多分その気だよね……どうしよう!?
あぁもう! どうするの!? どうなるの!? どうしたいの!?
答えてよまひる!
前回のピロートークでは話をしたかったと伊波んは言っていましたがこんなことも考えていたんですね
結局はお風呂に入ってベッドで寝転がっていたら眠たくなって一晩寝たら話をしたかったというところしか(都合よく)覚えていなかったみたいですがw
夏の暑い日中にさわやかな感じで二人乗りさせたかったなー川本真琴の1/2のイメージで
ではおやすみなさい
GJ!
二人乗りで伊波が小鳥遊にくっついてるのを想像するだけで
萌え死にそうになったw
出勤前にいいもの読ませてもらい、感謝です
God job!
あなたが神か
御題くださいyo!
ちょっと時期ずれてるけど、さとやちで七夕
>>458 時期ネタか
とりあえずググるところから始めようかな
できたー
「八千代、織姫と彦星は離れ離れにされたが俺はどんな事があってもお前を離さないぜ☆」
「まぁ潤君、私を抱きしめて! 宇宙の果てまで!」
みたいなのを想像していた方には先に謝っておくんだぜ!
日本の北海道のとあるファミレスに、とある男と女がいました。
その男、名をさとーさんと言い、キッチン担当で大層な働き者でした。
その女、名を八千代さんと言い、フロア担当でこちらも大層な働き者でした。
「12卓の和風御膳あがったぞ」
「はーい。あら、潤君が作ってくれたの? 頑張って持っていかなくちゃね」
「普通でいいからとっとと行ってこい」
「はいはい。行ってきます」
この二人見ての通り、好い仲でした。
しかしこの二人、男女の付き合いを始めてからというものの、あまりにも仲が良過ぎて仕事が疎かになり始めたのです。
「うわーまたイチャついてるね、佐藤君と轟さん」
「山田、いずれは相馬さんと共にあの二人の子供になりたいです!」
「とはいってもチーフが一方的に佐藤さんに話しかけていて、佐藤さんは仕事中だからと持ち堪えているようですね。あと山田、それはおかしい」
「佐藤さんと八千代さん、いいなぁ……私もいつかは小鳥遊君と……」
「はらへった」
主に周りが。
かたなし君、これなんかおかしくない?
全然おかしくありません! 首を傾げる先輩もかわいい!
……ええと続きだね。
暇な店でしたから最初こそ何とかなってはいたものの、遂にお腹を減らしたきょーこさんが怒ってしまいました。
「おい良い加減にしろ。私は腹が減ってしようがないんだ。佐藤、飯だ飯。八千代はパフェだ」
「はい杏子さん、ただいま。潤君、悪いけどお願いね」
「ちっ、分かったよ」
八千代さんはいつも通りにパフェを作り、さとーさんも釈然としない気持ちで御飯を作ってあげました。
なぜ釈然としないかと言うと、付き合い始めてからも今まで通り、いや、今まで以上に御飯を作ってあげていたのにいきなりこんな事を言われたからです。
何できょーこさんは怒っちゃったの?
二人の交際は認めたものの、大切な妹分があまり自分の世話をしてくれなくなったからじゃないかな。
けどさとーさんも今まで以上に御飯を作ってあげてたって言ってるよ?
うーん、店長にも色々と思う事があるんじゃないかな。でも大丈夫だよ種島さん。まだ気付いていないだけで店長にも好い人がいるから。
そうなの? 相馬さんって何でも知ってるね!
それで。
遂にその日がやってきてしまいました。
きょーこさんがさとーさんと八千代さんのシフトを何の説明もなしにずらしてしまったのです。
これには最初、当人達も困惑してしまいました。
が、別にシフトが一緒にならなくても会う時間は作れますし、寧ろ周りと八千代さんが仕事に身を入れられるようになるならそれでもいいんじゃないかとさとーさんは思うようになりました。
さすがさとーさん、お店やみんなの事を第一に考えているんだね!
ただの杏子さんのとばっちりでここまで考えられる佐藤さんもすごいね……杏子さんも二人が揃ってないとお腹が空くんじゃ……
さとーさんは自分の考えを八千代さんに話しました。勿論、周りの事やきょーこさんの怒りの事は伏せて。
理由も知らずにシフトをずらされた八千代さんはすっかり落ち込んでいました。
「なあ八千代。今回のシフトの事なんだけどな」
「うん……」
「みんな最近たるんでるだろ? それで一度しっかり考え直すように店長が組んだんだよ。だから俺達のシフトも別になったんだ」
「私が潤君のところばっかり行ってお仕事してないから……?」
「お前は充分チーフとしてやれてるよ。ただ俺が駄目だったのかもしれん」
「私のせいよ!」
「違う! お前のせいじゃない!」
「私!」
「俺だ!」
山田、限界です。何だか甘酸っぱくなってきました。屋根裏に帰ってもいいですか? もう当分の間デザートは要りません。
はは……仲良いね……駄目だよ葵ちゃん、帰らないでね……
これを陰から見ていたきょーこさんは、悲しみに明け暮れる八千代さんを見て不憫に思い。
また、二人を見ていたら甘い物を食べて満腹になったような気がして満足したので、これまで以上に御飯とパフェを作る事を条件に二人のシフトを以前よりもっと一緒に組むようにしました。
「潤君潤君! きょーこさんの御飯、一緒に作りましょ!」
「分かったからちょっと落ち着け」
その条件を受けた二人は今まで以上に仲睦まじく仕事に励むようになりましたとさ。
「恋人か……いいものかもしれんな」
ついでに、きょーこさんが恋愛に興味を持つようにもなりましたとさ。
最初はワグに笹があって願い事とか色々考えたのですが、調べれば調べるほどこんがらがってきたので方向性をかえましたw
それ以前に、北国での八月七夕はもしかすると自分の知っている七夕とは違うのかも知れないと思う部分もあり、こういった形にしてみました
GJ!!
榊さんときょーこさんのこれからが気になりますね
GJ!複数語り手が面白いw
さとやちの痴話喧嘩ハァハァハァご馳走さまです
榊杏子が発展するとしたらさとやちがくっついた後、
「白ちゃんもそろそろ身を固めたら?」
「食欲に理解があって私に惚れる男がおらん」
「(白ちゃんモテるのに、言い寄られたこと無いから誤解してるなぁ)男の好みってある?」
「食い物をくれて、グリーンピースに似てないやつ」
「……。その条件なら素質はあるんだけど」
「誰が?」
「……にゃー」
こうかな
GJですわ
織姫と彦星化するとは…あと種さまは本当に純真お方…
七夕だから短冊で
(……やっぱり佐藤君の幸せを素直に願わなきゃね)
そこには『大切な友達の想いが叶いますように』と書かれていた。
数ヵ月後、大切な友達の想いが成就するが、それはまた別の話
ちうのも描いてくださってもいいんじゃよ?(土下座懇願)
468 :
ミスした:2010/07/18(日) 00:18:00 ID:P23zrQec
佐藤くんはあれだ
この前、ゴセイジャーに登場した怪人の力を借りればいいんだ
>>469 八千代はプリキュアに変身すればいいと思う。日朝と声優つながり的な意味で。
ヒャッハー! 御題をよこせぇ!
変身すればいいじゃない! >御題
>>471 この漫画とまったく関係のない言葉www
だが書いてみせる
「この御題を断ってしまったが為に、これ以上誰かががっかりする姿を見たくない! みんなに少しでも萌えて欲しいんです! だから、見てください俺の、変身!!」
がんば
声優的な意味ではCD版の方が好きなんだがなぁっっと
御題・・・ねぇ・・・
まだ伊波が小鳥遊と付き合う前ぐらいの時、
二人で相合傘をする小説。
その出来事で二人にどんな心境があったか、
難しければ大幅な設定の変更ありでお願いします。
最低限、相合傘さへあればOKです。
かなりヤヴァイっす。今日ほど案が浮かばず纏まらず投げ出したいと思ったことはないですorz
書いたには書いたけど変身と関係ないしイミフです。
それでも呼んでやんよ(キタエリ繋がり的な意味」で)って方は生温い目でお願いします
では恥晒しします
「どうした八千代。何か気になるものでもあったか?」
「ちょっとこれを見てたの」
「変身ヒーローものか。見たいのか?」
「ううん。どんなのかなって見てただけだからいいわ」
「それじゃ探してたの有ったから借りて行くか」
バイト終わりに私達はレンタル店に来ていた。
お目当ては潤君が言っていた映画のDVD。
あまりにも褒めるものだから私もすごく気になって、わざわざ新聞で調べてもらった。
幸いにも有ったみたいだし、帰ってすぐにでも一緒に見たい。
「飯どうする?」
「夕方に食べちゃったしまだ空いてないわ」
「それならそのDVD見終わって返却に行く時でいいか?」
「そうね」
借りて車に乗って潤君の家に行く最中、借りたDVDはお店のバッグに入っているのを私が抱えて持っていた。
お腹は空いていない事もないけど、この映画に対する期待をスッキリさせてから御飯を食べた方がもっと美味しいと思うからちょっと嘘を吐いちゃった。
だって本当の事を話すとからかわれそうだし……
「ねえ潤君。さっきのDVDなんだけど」
「あのヒーローもののか?」
「うん。あれって見た事ある?」
「いや、違うシリーズのは確かガキの頃に見た記憶はあるが……やっぱり見たかったか?」
「それは本当にいいんだけどね。ただ……」
「ただ?」
「私も変身したいなって」
「…………熱でもあるのか?」
「ひどいわ潤君……」
赤信号で止まった車内で潤君はその大きい手を私の額に当てて心配そうに言った。
ここでいつもなら、言葉が抜けているだの言いたい事は全部言えだの言われるけど。
ハンドルにもたれかかってフロントガラスからにらめっこをするように赤信号を見上げながら続きを促してくれた。
「それで、どういう事なんだ?」
「うんとね、えっとね、私も変わりたいなって」
「も、とは?」
「みんなはいつかバイトを辞めてそれぞれの人生を歩いて変わっていくと思うけど、私はどうしたらいいんだろうって」
「店長に尽くせたらそれでいいんだろ? そう言ってなかったか?」
「そう、だけど……」
「八千代、お前はどうしたいんだ?」
「解らないわ……けど、寂しいの……」
思わず腕に力が入って抱いていたバッグに皺が寄る。
言いたい事が少しは言えた気がした。
溜め込んでいたわけじゃないけど、潤君と付き合い始めてから感じてきた自分なりの気持ちや考えが。
「以前のお前なら店長さえいれば良いって言ってたのにな。なのに今はそうやって自分の心情に戸惑っているんだ」
「……」
「それも一つの変身、変化だと俺は思う」
「そうかしら……」
「人は変わっていく。そのスピードはそれぞれで、変わらないものもある。でも、変わらなくていいものもあるんだ」
「……」
「俺だっていつかは卒業して就職する。でも八千代、お前とはずっと一緒にいたい」
「じゅんくん……」
「今はまだ俺も店長もみんなもいるんだ、そんなに急いで答えを出さなくてもいいんじゃないか?」
永い永い信号待ちの間。
街灯に照らされる、いつの間にか遠い目を道路に向けていた潤君の横顔とその言葉。
解ける腕の緊張。
「偉そうな事を言ってすまん。何の解決にもなってないよな」
「そんな事ないわ、ありがとう」
「八千代……」
やっと全てが解った。
潤君と付き合い始めて。杏子さんや美月さん達からほんの少しだけ距離を置いて自立するようになって。
その二つの環境に心のどこかでまだ慣れなくて気付かない内にズレが生じていたんだわ。
だけど今の潤君の言葉で気付かされた。
変わっていくならゆっくりでも良いし、変わらなくても良いんだって。
信号の色が青色になって車はやっと動き出した。
車の中はひどく静かで、穏やかで。
まるで今の私の心のよう。なんて言い過ぎかな。
これからは杏子さんと、美月さん達と、みんなと、潤君と今まで以上に心を通わせていきたいと思う。
ど う し て こ う な っ た
最初は
昼はファミレスのチーフ! 夜は愛刀を片手に悪い奴を懲らしめる!
その名は!?
魔法少女! ヤチヨ・ザ・リッパー!
今日もファミレスの(きょーこさんの)平和を守る為、ヤチヨは頑張る!
しょう、じょ……?
かたなし君、それ以上は言ったらアウトだよ?
みたいなのを考えていたのですがどうにもならなかったのでこうなりました…
<言い訳>
方向性は違いますが、別れ話の時のあださゆのような感じで。
今回やちは付き合い始めてから少しずつ出来ていた心のズレという殻を破った事でしょう。
というかもう今回みたいな思いは勘弁です。
もっとちゅっちゅらぶらぶなのを書けるように精進します。
ええやん、むしろあたしはこういうのを望んでたぜ GJ!
gj!
普通に良かったバカップルだったよ
みんなで旅行とか行くのも面白そう
神の降臨で祭り状態なこのスレの流れの中であえて言おう!
『名前を呼んで』の続きマダー?
エロいらんなこのスレ
妄想だけはしてるけど書くまでは。
ぽぷらちゃんと名前もないスタッフとのエロ同人的展開とか。
>>478 > しょう、じょ……?
> かたなし君、それ以上は言ったらアウトだよ?
大丈夫。どこぞの魔砲使いな魔王様だって、19歳になっても魔法『少女』だったんだからw
そもそも少年→青年のように、少女が成長したときに使う言葉ってあるの?
乙女とか
でも少年・青年は性別問わないよ
松本さんの話も読んでみたいな
高三なら普通男子と付き合ったことがある、と言われて焦る松本さん
とりあえずワグナリア男子陣で脳内シミュレート、みたいな
八千代と小鳥遊の鈍感さは殺人級だが
(前者は佐藤が、後者は小鳥遊自身が死ぬ)
佐藤と伊波もそろそろ少しは脈ありそうなくらいは気づけよ!
って感じがするよなあw
あのファミレスの不毛な関係っぷりは半端無いよな……
隣の支店では男も女も「付き合おう」だの「好きです」だの飛び交い合ってるというのに
あんな店が隣り合ってたら住民がもたんよw
>>489 あっちはあっちで、いつ人死にが出てもおかしくないがw
向こうはだれかの恋愛が進展するたびに死の香りが強くなる
魔砲少女は25歳になろうと大きいお友達の意向でひたすら百合路線になっていようとも自分の中では司書長ときゃっきゃうふふですyo
さてさて書く阿呆に読む阿呆、同じ阿呆でも書かなきゃ損々。 youたちも書いちゃいなよ!
御題くださーい
初キスは〇〇の味
5巻でオチを読めず八千代の携帯電話買いに付き合ったカワイソスな佐藤君とかどうだろう
497 :
1/3:2010/07/20(火) 00:00:42 ID:L5aQlQKn
久々に来たら、神作品が大量に…!やっほーう!
どうも、四年ぶりの640ID:Ozjs+ik5です。祝犬組アニメ化(遅)ってことで久しぶりにこしらえました。
小鳥遊×伊波です。
・エロ無し(すみません)
・ケンカEND
・ラブよりコメディー多め
・切ない青春に2828する方むけ
それでもよろしければどうぞ。
『勇敢な恋のうた』
「うーん、いいお天気!」
平日にぽっかり空いた休日。入れたつもりのバイトの予定も、シフトの都合で外されたらしい。
残り雪でぬかるむ正午過ぎの繁華街を、伊波まひるはいつになく浮かれた気分で歩いていた。(ただし、慎重に男性を避けながら。)
手にはカラフルな紙袋。
──えへへ、春物ゲット!
包みの中の淡色カーデは、いつぞやの夢の中で、バイト仲間の青年に褒められたそれにそっくりだ。
精算前に思い出していたら、ためらったかもしれないが──
「でも、もう買っちゃったもんね。」
きゃっ、とはにかんで目を瞑った瞬間、何かに軽く衝突する。
「あ、ごめんなさい! ボンヤリしてて──」
「いえ、こちらこs」
──オトコーッ!!!?
反射的に繰り出した拳から、鈍い手応え。
「ぐほっ!? な、い、伊波さ……?」
名前を呼ばれ、彼女はますますパニックになった。
「きゃーっ、きゃーっ! 暴行犯!?」
「あんただ!」
すかさず入ったツッコミに、彼女はようやく、目の前でうずくまる男をまじまじと見た。
どこかで聞いたような声。加えてこの、拳に馴染む殴り心地は──
「た、小鳥遊くん!?」
「いっそ違うと言いたい……」
膝をはらってヨロヨロと立ち上がると、小鳥遊は伊波の落とした紙袋を拾い、腕を目一杯伸ばして返してよこした。
「あ、ありがとう……
でも、どうしてここに?」
「立ち話をするより、場所を変えませんか。」
苦い顔ですぐそばのカフェを指差す小鳥遊。
「暴行未遂で捕まるのは御免です。」
こでようやく彼女は、さっきの悲鳴が派手に人目を集めたことに気がついた。
498 :
2/3:2010/07/20(火) 00:05:14 ID:L5aQlQKn
「ええっと、その、ホントにごめんね……。」
「いいですよもう。慣れました。」
──そんな投げやりに言われても、ちっともフォローにならない。
しょんぼりとミルクティーをかき回す伊波に、小鳥遊はようやく表情を緩めた。
「それより伊波さん、今日はお休みなんですか?」
「創立記念日なの。
平日で人通りも少ないから、お買い物しちゃおうと思って」
「そうですか……。まあ比較的安全ですね。」
──世の男性諸君が。
コーヒーを啜り、内心嘯く小鳥遊。まるでそれが聞こえたかのように、伊波はぷくっと頬をふくらませた。
「そ、そうよ。小鳥遊くんこそ、どうして──」
「学校付近で不発弾が見つかったそうで。急遽半休になりました。」
「び、微妙に嬉しくない理由ね。」
しばしカチャカチャと、茶器の立てる音だけが響く。
「えと、それで、お友達と待ち合わせ?」
必死で気まずい沈黙を破ると、小鳥遊は一瞬、針でつつかれたような顔をした。
「いえ、特には。
実はその、映画を見ようと……。」
「ふうん、どんな?」
広がりそうな話題に飛び付く伊波。
「ええと、まあ……なんていうか」
「一人で見るなんて、小鳥遊くんって映画好きだったんだねぇ。」
「いや、その、別に」
「今度封切りのサスペンス、アカデミー賞取ったらしいよ?
私、あんまり外出できないから、レンタルで見るのは好きで──」
「──サウサ。」
「え?」
彼女から微妙に目を逸らし、小鳥遊はあきらめたように口を開いた。
「こ、『小うさぎウサウサのぼうけん』……。」
「えーっと、もしかしなくても、可愛いウサギの動物映画?」
無言の肯定。
「小鳥遊くん──」
「……そんな目で見ないでくれませんか」
彼女は素直に手のひらで目を覆った。
「それは……男友達は来ないね……。」
「いいでしょう別に!
だって、こーんなちっちゃい白うさちゃんが、プルプルしながらタンポポを食べたりお昼寝したり……ああっ、可愛い!可愛いー!!」
「あの、わかったから、鼻血拭いて……」
──なんでこんなひと好きになっちゃったんだろ?
軽く眩暈を覚えながらも、伊波は持っていたポケットティッシュを差し出した。
きっと、この性癖さえなければものすごくモテるに違いない──自分なんか眼中にはいらないくらいに。
そう思い直して、ポジティブに受け止めることにする。恋する乙女は強いのだ。
499 :
3/3:2010/07/20(火) 00:08:06 ID:L5aQlQKn
「うん、まあ……私もああいうの嫌いじゃないし。」
前に見たペンギンの映画、面白かったし。そう言うと、小鳥遊はとたんに目を輝かせた。
「伊波さんあれ見たんですか! 可愛いでしょう? 可愛いですよね!」
「え、ええ。」
「いやあ、伊波さんには素質がありますよ!」
──なんの?
ツッコミたいのを激しく堪え、ごまかすようにカップに口をつける。一方、小鳥遊はうきうきとコートのポケットを探り出した。
「ちょうど良かった。実は一枚余ってたんですよ」
差し出されたのは、前売り券。
「えっ、え? 小鳥遊くん?」
「下の妹を誘おうかと思ったんですが、思案の末にやめました。」
“思案”の内容がめちゃくちゃ気になったが、それよりも、この展開は。
「この後お暇なら、一緒に見ませんか? 『子うさぎウサウサ』。」
──ええええーっ!!!
伊波の脳裏は真っ白になった。
生まれて初めての、男の人との映画観賞。しかも相手は片思いの彼である。
「さすがの俺も、一人は恥ずかしかったんで」
殴られても嫌わずにいてくれて、困ったときは力になってくれて、時々勘違いしちゃうくらいに優しい──
「小鳥遊くん! 私、一緒に、」
「今日なら空いてるだろうし、好きなだけ離れて座れますよ。」
──優しい、鈍感の唐変木。
「一緒に……。い、行かないもんっ。」
「へ? 伊波さん?」
ぽかんとする小鳥遊をよそに、伊波は蹴るように席を立った。
「ごめんなさい! また今度ね!」
「伊波さ……」
引き止めるように伸ばされた手を振り切って、往来へ飛び出す。
腰を浮かせたまま、小鳥遊は呆然と彼女の背中を見送った。
──……伊波さん、泣いてた……?
空っぽになった向かいの席には、伊波が忘れていったショップの袋が、寂しげにぽつんと残されていた。
以上です。
なんか寂しい終わり方ですんません。でも青春って甘いだけじゃないよね?的なものが書きたかったので…。
この後、仲直りして少しだけラブになる展開を、今必死に妄想してます。
続かなかったら申し訳ないっす。
では、お目汚し失礼しました。
501 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 00:31:58 ID:PzDWaUVW
いい。すごくいい。2828しまくり。
続きwktk
502 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 00:32:46 ID:PzDWaUVW
いい。すごくいい。2828しまくり。
続きwktk
見直ししている途中に大先輩キター
伊波んかわいいよ気付いてほしいんだよね! 伊波んー! いなみー! いやぁうあー!
続き楽しみにしています!
それでは投下します
時が止まった。
その表現が一番当てはまるだろう。
やってしまった。
その表現が一番当てはまるだろう。
「佐藤君……今のって?」
「あぁ、その……」
どこから説明しようか。
何故か八千代を肩車をしていた俺は降ろす時にバランスを崩し倒れてしまった。
八千代には怪我をさせなかったものの、その代償として頭を打ったんだ。
それに罪悪感を感じたらしい八千代は膝枕をしてくれていたんだが……
俺が馬鹿な事をしてしまったせいでこの事態になっている。
「なに? 言ってくれないと解らないわ」
「いや、だから」
今もなお膝枕を続行中の八千代は割といつも通りの表情で俺を上から覗き込んでいて。
今もなお膝枕をされている俺はした事の重大さと性急さ加減に混乱しながら八千代を見上げていて。
「佐藤君は私の事、好きなの?」
「すまない八千代。今お前の後ろにいる幽霊に……」
「私だってそうじゃない事ぐらいは解るわ」
さっきから顔色は変わっていないが怒っているのか……?
そりゃああくまで友達として好きな奴にあんな事をされて、幽霊をダシに言い逃れされたら怒るよな。
少し前の自分を殴ってでも止めてやりたい気分だ。
「さとーくん。あのね、私は怒ってなんかいないわ。怒っていないけど、何を思ってさっきの言葉を言ってあんな行動をしたか、それだけが知りたいの」
まるで小学校の先生ような言い方だな。
それなのに膝枕をされて八千代を見詰めた上でのこの状況で俺は、まるで他人事のように冷静だ。
諦観か? 達観か?
違う。
決意か。
今になってあの時の決意がこんな形で活かされるとは……タイミングを選べよ……
「頭、まだ痛む?」
「もう大丈夫、だと思う……」
話が変わった。いや、変えられたのか。
情けないな。
言う事言って、やる事やって。何も答えられなくて、話を変えられて。
「本当に? 無理しちゃダメよ?」
「ああ、大丈夫だって……ここまでしてもらっておいて悪いが、先に行っていてくれないか?」
挙句には看病をしてくれたのに、顔を見たくないと言っているのと同じ事を言ってしまった。
本当に情けねえよ。
何とか体を起こして椅子に体を預ければ変わらず頭の痛みが主張してくるがこの際、何でもないフリをするしかない。
座ったままの八千代が俺の顔を心配そうに見ているのが分かるが、今の俺には余裕なんて残っていない。
あるとしたら二重の自己嫌悪だけだ。
「じゃあ……行くわね」
「本当にすまん。俺もすぐに行く」
すぐ行くどころか帰りたい気分だ。その前に煙草と胃薬だが今回はどれくらい飲もうか。
致死量まで飲んでも足りないくらいだ。
八千代が立ち上がり休憩室から出て行こうとして……
立ち止まった。
振り返る事もなく、また歩き出す事もなく、少しだけ俯いて。
立ち止まっていた。
真意が量り切れない行動に堪えられず話しかける。
「やち……よ?」
「嬉しかった」
「え……?」
「初めて好きって言われて」
「……」
「杏子さんや美月さん達にも言われた事はあるけど、男の人にあんなに真剣に言われたのは初めて」
「……」
背中を向けたまま顔だけ上げた八千代は滔々と語り出した。
それは今まで聞いた事のなかった、まったく澱みのない八千代自身の言葉だった。
「それに」
「……それに?」
「初めてのキスだった」
言われた瞬間、ドキリとした。
あぁやっぱりか、と。そして、やはり取り返しのつかない事をしてしまったのか、と。
そう瞬時に読み取り、その後、瞬間。
振り返った八千代の表情を見て、またドキリとした。
「すごく嬉しかった」
こちらに体ごと振り向いた八千代の顔は。
今まで見た事のなかった、照れていながらも喜色満面に満ち溢れた表情だった。
「八千代……?」
「けど苦かったわ」
「な……にが?」
「私の初キス、苦かった。きっと煙草の味ね」
「!」
「ふふっ、じゃ私行くから。無理しちゃダメだけど早めにね」
八千代は最大級の笑顔と言葉で俺の心を蹂躙していった。
まるで嵐のように。
八千代が出て行き俺一人取り残された休憩室は静まり返っていて。
まるで嵐の後のようで。
どうすりゃ良いんだ? あの笑顔は? あの言葉は?
そういう事なのか? どういう事なんだ?
何も言わない俺に業を煮やしたと思っていたらいきなりのあれで……
……肝心の返事は?
焦って考えが纏まらん!
落ち着こうと胃薬を一気に口に含み噛み砕いて飲み下し、煙草に火を点ける。
半ば日課になっている一連の行動のおかげで条件付けのようになっている体は冷静を取り戻しつつあった。
キッチンやフロアの喧騒がやけに遠く鈍く聞こえてくる。
どういう顔で戻ろうか。
どういう弁解をしようか。
どういう意味なのか訊いてみようか。
早めにと言われたが、煙草はまだまだ燃え尽きそうにない。
流れの都合上、中途半端になってしまってすみません。
<言い訳>
肩車の続きです。キスさせておいてよかった…
八千代はこの時点で佐藤がほぼ好きだと予想した結果がこれですyo
八千代はこれまでにキスはさすがにしてないよね…?
佐藤も初キスにしようと思いましたが、度々言われる佐藤は童貞じゃない説とか足立みたいに今まで付き合った事がある説が人によって意見が様々なので省きました
もしかすると八千代はヘタレをも含めて佐藤を好きになったのかも知れないですね
>>507 GGGGJ!!「肩車」も好きですよ!
> 「けど苦かったわ」
> 「な……にが?」
> 「私の初キス、苦かった。きっと煙草の味ね」
ここに萌えすぎて蒸発するかと思いました…。GJ。
普通、唇が軽く触れたくらいじゃ味なんてわからないですよね
という事は佐藤も八千代も口を開k…後は分かるな……?
御題くださいー
猫組でも良いの? あださゆモノが読みたい今日この頃
では、あださゆ。テーマは花火でお願いしたいです
>>512 花火ですね。最近読み直してないから不安だけどやってみるよ
お題出遅れたんで妄想しとく
足立村主はブランコ
村主の気分次第で立ちこぎしたり、背中押したり、隣の席でぶらんぶらん揺れてたり。されるがままの足立
佐藤八千代はシーソー
重心が偏ってて、八千代次第で落ち込んだり浮上したり。無表情で心は千々に乱れる佐藤
小鳥遊伊波はすべり台
ストーンストーンストトトンと一直線に落ちてくる伊波を下で受け止める小鳥遊
相馬妃はジャングルジム
てっぺんにいる女王様に蹴落されてもあらゆる方向から這い登る相馬
進藤鎌倉は鉄棒
志保に鞭打たれながら連続逆上がりさせられる進藤。時々どS変貌、志保にポールダンスをさせる
東田宮越は砂場
泥団子を投げつける宮越、応戦する東田の熱きバトル。たまにベッド
あださゆ好きなのに…好きなだけじゃ書いてても物事は前に進まないのか…@見直し中
これはあれか。スランプかイマジネーションの枯渇か。
花火すらしてないってどういうことよorz
投下します…
「村主さん。よかったら今日の夜、花火しない?」
「花火?」
「そう。バンドの友達に誘われたんだけど、どうかな?」
「赤井君?」
「吉田は彼女と遊びに行くらしいから来ないけど……ほら、前に少し話しした同じ系列でバイトしているギターの佐藤っていう」
「良いけど……この時期、どこも人はいっぱいよ?」
「周りに家もないし人通りも少ないからここの近くの公園でやろうと思っているんだけど……?」
「あそこは今の時期は夜になると人がいっぱいいるわよ?」
「……とにかく、行けるってメール返しておくよ……」
事の発端は佐藤からのメールだった。
『花火するから付き合え』
『こっちも人を連れてくからお前も連れて来い』
『吉田は一身上の都合で来ない』
最初のメールを読んだ時は珍しいと思ったけど、二通目のメールで何となく事情が分かった。
直接訊けないから憶測だけど、彼女が花火をしたいって言い出して、人数がいた方が楽しいと思って声を掛けてきたのかなって。
根拠と呼べる程じゃないけど、付き合い始めの頃に少しだけ佐藤から聞いた事がある。
名前は確か轟さんだっけ、フロアチーフをしていて、フワフワしていて、多少人見知りなところがあると。
『分かった訊いてみる』
『大丈夫だって。あの公園で良いかな?』
『吉田に訊いたら彼女と遊びに行くって言ってた』
どんな人か見てみたいっていうのもあったし、勝手な気遣いかも知れないけどその轟さんの人見知りの部分が改善されればいいなって。
何よりも最近あまり村主さんと出かけたりしていなかったし、村主さんももし轟さんと友達になれたらいいなって。
そんな理由もあって、村主さんが良いって言っているからには俺に断る理由もないしOKした。
「よう足立、待たせてすまなかった」
「俺達も来たばっかりだから」
ラストまで入っていた俺達は遅れたと思っていたけど、公園に着いてもまだ佐藤達は来ておらず、やや遅れて来た。
佐藤達は離れた場所から車で来るから、同じようにラストまで入っていたら遅いのは当たり前か。
佐藤と俺が挨拶を交わしていると後ろの方から誰かが、佐藤に隠れるようにやってきた。
「あ、あの潤君。私……」
「いつまでも隠れてんな」
「でも……」
この人が佐藤の彼女か。確かにちょっとフワフワした感じかも。潤君なんて呼ばれているのか佐藤の奴。
初めて見た感想が何個か浮かんでくる内に、村主さんがどういう反応をしているのか気になって恐々と横目で見てみた。
一応ここに歩いてくるまでに説明はしているけれど、もしかすると嫌だったりしないかな……
「刀……」
「ですよね……」
「鎌倉さんのは見てるし持った事もあるけど、外で普通に帯刀されてると困るわよね」
「はは……俺もそう思ったよ……」
「安心して足立君。あの刀はまだ使わないから」
「まだって!? いずれはあの刀で俺を刺すの!?」
「だって初対面の人には流石に借りられないわ」
「そこの問題!?」
「うるさいぞ足立」
「そうよ足立君。もう人が結構いるから静かにね」
「そこ!? というか佐藤も止めてくれよ!」
ある意味いつもの俺達のやり取りに介入してきた佐藤にまで突っ込んでしまった。
落ち着きを取り戻してくると轟さんが佐藤に隠れずにこちらの様子を窺っているのが見えた。
きっと佐藤が何か言って聞かせたんだろう。そう考えると佐藤もやるよなぁ。
そう言えば俺達はまだ自己紹介もしてない。
俺にとって轟さんは友達の彼女くらいの認識だし、轟さんと村主さんにとって俺達は彼氏の友達とその彼女でしかないのか。
「ああそうだ。自己紹介くらいはしておくか。いいだろ足立?」
「う、うん。そうだね。初対面だし」
「よしじゃあお前からな」
「お、俺から……?」
「良いじゃない足立君。一番よ一番」
「そうだぞ足立。最初だから目立つし景気良く頼んだ」
………………
…………
……
「あ、足立……正広……二十歳です……」
負けた……
二人ともひどい……まさか佐藤と村主さんにこんな風に弄られるなんて……
「じゃあ俺だ。佐藤潤。二十歳」
「えっと、轟……八千代です。二十歳です。今まであまり同年代の人と友達になった事がないのでちょっと緊張してます……」
やちよさん、二十歳か。うちもそうだけどそれくらいの年齢の人って多いのかな?
この四人では村主さんだけ一つ下か。
「呼び方、轟さんで良いかな? 俺の事は足立で良いから」
「じゃあ足立君で……」
「歳が同じくらいだと名字+君なんだよ。良いか?」
「俺は構わないけど……」
轟さんが普段からそうなら俺は良いんだけど、と村主さんの顔色を見てみると……
「どうしたの足立君? 私は何も思ってないわよ?」
……また微妙な事になってる……
その人の呼び方とは言え、彼女と同じ呼び方はやっぱりマズイよな……で合ってるよな? 自惚れじゃないよな?
……後でフォローしておこう。
「じゃ、じゃあ村主さん!」
「村主さゆり、十九歳です」
「十九歳か。村主サンは俺らの一つ下なんだな」
「何て呼べば良いかしら……?」
「何でも良いですよ」
「じゃあ……」
この後俺は、フォローとかそんなのじゃ済まないレベルで氷風呂かドライアイスまみれかを選ぶはめになる。
でも考えように依っては例のダイナマイトスマイルよりも貴重なあんな顔の村主さんを見れたんだから、とも思う。
「さゆりちゃん!」
「え、は、え? 佐藤?」
「あー年下はそんな感じで呼ぶんだよな」
「足立君……」
「ごめんなさい村主さんごめんなさい!」
「ねえ何で謝るの? 私のさっきの呼ばれ方をされた時の顔が面白かったから謝っているの?」
「違うから! 違うから!」
「ね、ねえ潤君、私、マズイ事しちゃったかしら?」
「ん? 大丈夫だろ。足立が何とかするさ」
言った轟さんと佐藤を尻目に俺は村主さんの攻撃から自分の身を守っている。
誰かが悪いわけじゃないし、轟さんも悪気があって言ったわけじゃない。
この理不尽な攻撃も村主さんの照れ隠しだと思えば何とか……
だけどちょっと悔しいかな。
俺が俺自身でいつか見つけたかった村主さんのあの表情を、轟さんはいとも簡単に引き出してしまったのだから。
佐藤は煙草を吸いながら傍観を決めこんでいて。
轟さんはその佐藤にオロオロしながら寄っていて。
村主さんは指で俺の脇腹や背中を突付いてきて。
そう言えば花火はまだ始めないのだろうか。
消 え て な く な り た い
足立の喋り方おかしいよ
花火してないよ
その他色々と……犬組と違っていちゃいちゃさせれないorz
でもさゆりんとやちは仲良くさせたい。いつかそれだけはリベンジ
>>520 いやいや、八千代の人見知りっぷりが可愛くて良かったです。
佐藤とさゆりんタッグで足立をいじる所もナイスでした。やっぱりSキャラのオモチャにw
花火編も楽しみにしてます!
じゃ、息抜き代わりに
>>497-500『勇敢な恋のうた』の続きなどを。
引き続き小鳥遊×伊波、エロ無しすれ違ップルです。
アホみたいに長くなったので一旦切りました。
ここまで書いたからにゃあ次回でハッピーエンドにしてみせます。伊波さん泣かせちゃったし…。いなみんスマン。
523 :
1/2:2010/07/21(水) 01:03:15 ID:UhKQzqX4
『勇敢な恋のうた』(2)
人気のない裏通りまで駆けてから、伊波はようやく走るのをやめた。
塀にもたれて、乱れた息を整える。
──ばかばか、私のばかっ。 小鳥遊くんは悪くないのに、あんな態度を取っちゃって……。
近付くと殴られるのだから、彼が距離を取るのはむしろ当たり前だ。
まして、好きな人と一緒に映画を見るという、人生初めての大イベントになるはずだったのに。それもあっさり棒に振ってしまった。
──小鳥遊くん、きっと呆れてるよね。
別れ際の驚いた表情を思い出し、また涙が滲んでくる。
ハンカチを取り出そうとして、伊波はようやく、買い物袋をカフェに忘れてきたことに気が付いた。
そつのない小鳥遊のことだ。間違いなく明日、バイト先で返してくれるだろう。
とは言うものの。
「どんな顔して会えばいいのよう……っ」
込み上げる感情に耐え切れず、伊波は小さくしゃくりあげた。
誰もいない路地裏に嗚咽が響く。
と、不意に携帯が鳴り出して。
“着信:小鳥遊宗太”
──ごめんなさい……今、出られないよ。小鳥遊くん。
涙声を聞かれたくないし、優しい言葉をかけられようものなら、好きだと口走ってしまいそうで恐い。
鳴り続ける携帯を抱きしめて、伊波は静かに涙をこぼした。
524 :
2/2:2010/07/21(水) 01:05:25 ID:UhKQzqX4
──ったく、どこにいるんですか、伊波さん……!
繋がらない携帯を折り畳んで、小鳥遊はイライラと辺りを見回した。
確かにこちらの方向へ走っていったはずなのだ。
去り際の悲しげな横顔を思い出して、ため息がこぼれる。
何が彼女の気に障ったのかはわからない。わからないが、女の子にあんな顔をさせてしまうなんて──。
誘った直後は、間違いなく嬉しそうにしていたのに。
このままだと気になって映画どころではない。
──そういえば伊波さん、今日も俺のあげたヘアピンしてたな……。
「──あーもう!」
罪悪感だけじゃない胸の痛みに、小鳥遊は頭を掻きむしった。
再び携帯を取り出して、猛烈な勢いでメールを打つ。
「絶対に捕まえて、映画に連れてく!」
そしてもう一度、あのリンゴのように火照った、幸せそうな笑顔にしてみせる。
自分の気持ちを微妙に持て余したまま、小鳥遊はそばのガードレールへ乱暴に体を預けた。
ようやく鳴りやんだ携帯に、伊波はほっとすると同時に寂しくなった。
──勝手だなあ、私……。
手のひらで涙を拭い、深呼吸をひとつする。
ひとしきり泣いたらスッキリした。こうなった以上、一刻も早く家に帰って、瞼を冷やそう。
──いかにも泣きました、って顔じゃ、明日、小鳥遊くんに変に思われちゃう。
昨日はごめんね、急に帰っちゃって。そんなふうに、いつも通りに笑顔で話しかけるのだ。
そう決意して一歩踏み出した途端、伊波はギクリと足を止めた。
耳慣れたメールの着信音。
恐る恐る開いてみると、
From 小鳥遊宗太
Sub 忘れ物
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
現在××前。今すぐ来ないと家に届けに行きます。
「……っな、なんなのよもー! なんでこんなとこだけ律義なの!?
空気読んでよ小鳥遊くん!!」
ともあれ彼なら本当にやりかねない。
わずかにためらって、伊波は指示された場所へと駆け出した。泣き腫らした顔はもうどうしようもない。
──受け取ったらすぐに帰るんだから! ……ついでに、1〜2発殴っちゃったらごめんなさいっ。
さっきまでの反省はどこへやら。無意識に拳を握って、伊波は走るスピードを上げた。
長ダラダラとすみません。
あと、自分で書いてて小鳥遊コノヤロウと思いました。
次こそはラブを!…できるだけ頑張ります。
さすがにそろそろエロスが足りなくなってきた
よし、山田!服を脱げ!
ぽぷらちゃんみたいな属性がはっきりしてるのはエロ同人的にはわりと人気。
まあそれでも伊波さんが一番人気だと思うけど。
ぽぷらちゃんはエロ同人的には一流娼婦
>>525 行動がすごくらしい感じがするw
続き待ってます
>>525 がんがれ
超がんがれ
さとやちもいいが、たかいなも最高にいいな!
原作同様にやきもきするぜ!
>>520 照れ村主かわいいな〜
その調子で八千代にクールビューティ村主をオトしてほしい(女の友情的意味で
もし次があるとしたらお題は「所有印」でおながいします
>>525 伊波小鳥遊ハァハァハァ萌え!!
やべえさすがキャラ把握上手いw年季が違う
原作の休日にこんなことありそうだ。続き全裸で待ってます
お題予約
『バイト中に脚をくじいた伊波を小鳥遊が付き添って家までタクシーで送る。ただし付き合う前』
うわひでぇ。そんなんありか。ずっとリロードしてお題職人さんが来るの待ってたのに…
>>514もあるし
好きなのを拾ってもらえばいいのよ
じゃあ俺もいっとく。
『抜刀』
これでお一つ。
ども、640ID:Ozjs+ik5です。
思ったより早く書き上がったんで、良かったら待ち時間にどうぞ。
>>497-499、
>>523-524の続きです。
小鳥遊×伊波、今回はちょこっとだけラブあります。…たぶん。
>>532の所有印ができたから投下するよー
さとやちだけどねー
539 :
1/3:2010/07/21(水) 22:07:54 ID:UhKQzqX4
『勇敢な恋のうた』(3)
街灯にもたれて腕組みをしている小鳥遊を見つけ、伊波は急に歩調を緩めた。
なんと声を掛けたらいいのかわからない。涙の跡も見られたくない。
いっそのこと、そこから投げて返してもらおうか。そんなことを考えてまごまごしているうち、向こうが気付いてこちらへ走ってきた。
──と、とりあえず謝らなくっちゃ。
「あ、あの、小鳥遊く……」
「──遅い!!」
「ふぇっ!?」
「いつまで待たせるんですか。 もう映画始まっちゃいますよ!」
ぐいっと腕の時計を突き出され、思わず覗こうとかがんだ瞬間、コートの裾を押し付けられる。
「はい、ここを掴んでください。」
「ええっ!?」
「マジックハンドの代わりです。 ──いいから早く掴む!」
「は、はいっ!」
反射的に掴んでしまってから、伊波はようやく我に返った。
「で、でもあの、私、映画は、」
「だから時間が無いって言ってるでしょう? じゃ、行きますよ。」
「えっ、え? あのちょっ……小鳥遊くん!?」
有無を言わさず引きずられ、よたよたとついていく。物珍しそうに振り返る通行人の視線に、彼女はたちまち真っ赤になった。
「そうじゃなくて! あの、荷物! 返して──」
「ちゃんと歩いてください! 服が伸びる!」
「は、はい! ごめんなさ……あ、あれぇ!?」
540 :
2/3:2010/07/21(水) 22:10:27 ID:UhKQzqX4
小鳥遊のエスコートは完璧だった。
映画館に入るまで、しっかり男性を避けて歩いてくれて(二度ほど耐えられずに代わりに彼を殴ってしまった)、左右のみならず前後にも人のいない席を取ってくれ、最終的に、伊波は巨大なポップコーンを抱えてスクリーンの前に座っていた。
「あの、小鳥遊くん、これ……」
「強引に連れてきちゃいましたからね。 迷惑料です。」
自分のポップコーンをつまみながら、ひとつ空けた右横に腰掛ける小鳥遊。
──ご、強引だった自覚はあるんだ……。 でも、どうしよう、すごく嬉しい。
いつになく近い距離に緊張しながらも、伊波は赤くなった頬を押さえた。好きなだけ離れて座れる、などと無神経なことを言っておきながら、この気遣いがたまらない。
ふと視線を感じて振り向くと、小鳥遊が何やら満足そうにこちらを見て微笑んでいた。
「な、なに?」
「いえ、なんでも。 そろそろ始まりますよ。」
やがて鳴り響く開始のブザー、落ちる照明。間に合って良かったですね、と囁く想い人の声。
──ずるいよ小鳥遊くん、ますます好きになっちゃうよ……!
高鳴る胸を押さえて、伊波は必死にスクリーンに集中した。
「いやあー、可愛かったですね!」
「そ、そうね……。」
繁華街を離れ、いつもの住宅街にさしかかっても、小鳥遊はうわごとのように「可愛い」を繰り返していた。鼻には伊波があげたティッシュが詰まっている。
その彼のコートの裾を摘んで、トボトボとついて歩く伊波。
なぜ彼が妹を連れていかなかったのか、ようやくわかった──萌え方がヒドイ。
上映中も「ああっ」やら「ふおお」やら、小さく身悶えたり震えたり。挙句の果てに、クライマックスでは恍惚の涙と鼻血を流していた。
アクション大作ならまだわかるが、子うさぎのほのぼの映画なのである。
541 :
3/3:2010/07/21(水) 22:13:04 ID:UhKQzqX4
伊波は限界まで高まっていた恋心が、少しだけ萎れるのを感じた。
今日一日でどれだけ感情が揺れ動いたか、もう自分でもよくわからない。
──恋って疲れる……。
およそ高校生らしくない感想を抱いて、彼女は深いため息をついた。
「あ、そうだ。 はい、伊波さん。」
もうすぐ伊波家、というところで、小鳥遊は思い出したように彼女に紙袋を返してきた。
「ありがとう。
ごめんね、ずっと持たせてて……あれ?」
紙袋の中に、見慣れぬ包みが入っている。
「これなに?」
「どうぞ、開けてください。」
言われるままに取り出すと、中には。
「!──ヘアピン……」
四つ葉のクローバーと丸まった子兎が、かわいらしく象られている。
「映画館の売店で見つけたので、つい買っちゃいました。
今日の記念にと思いまして。」
そう言って微笑むさまは、まるで恋愛小説のヒーローのよう。──鼻にティッシュさえ詰まってなければ、だが。
「妹へのお土産のついでですから、気にしないでください。」
「…………………。」
「伊波さん?」
──ぽたっ。
ヘアピンを握った手に、ひとつ、ふたつ、雫が落ちて。
やがて堰を切ったように、ポロポロとこぼれ落ちる。
「ちょ、伊波さ、えっ? な、なんで泣、えええっ」
パニックになる小鳥遊をよそに、伊波は嗚咽をこらえて大きく息を吸い込んだ。
「……すき……」
震える唇が、はっきりとそう紡ぐ。
「──!──」
言い知れない感情につき動かされ、小鳥遊が口を開いた、その瞬間。
「っ、小鳥遊くんのそういうところ、好きだけど嫌いーっ!!!」
真っ赤な顔でそう叫ぶと、伊波は身を翻して猛然と駆け去っていってしまった。
「…………おーい。」
本日二度目の置き去りをくらって、しばし唖然とする小鳥遊。
ようやく事態を把握したところで、照れくささがどっと押し寄せて来る。
「好き……好きって、“そういうところ”ね。
ははあ、なるほど……?」
呟いてみても、彼女の意図がさっぱり飲み込めない。
少し伸びてしまったコートを引きずりながら、小鳥遊はのろのろと家に足を向けた。
あまりにも釈然としないが、当初の目的──映画に連れていく──に成功したのだからよしとする。
「そういうところ……」
意識せず赤らんだ頬を隠すように、彼はずり下がった眼鏡を指で直した。
「……どういうところだ?」
《おしまい》
そういうところだゴルァ!ざけんなゴルァ!ということで、これで終わります。
肩透かしをくった方はごめんなさいw伏線は全部回収できたと思いたい。
タイトルは某有名バンドの大昔のヒット曲から拝借しました。個人的に、たかいなのイメージなので。
ではまたなんか思い付いたら投下させてください。
お目汚し失礼しました。
>>538さん、なんか被っちゃったみたいですみませんでした!
>>542 うわあぁあ伊波ん良かったね! ちょっとずつ成長できてるよ!
こちらこそ前回といい割り込み寸前ですみません。リロードって大切ですよね。
というわけでいっくよー
「さとーさん、首のとこ赤いよ? 虫に刺されたの?」
「どこら辺だ? 虫に刺された覚えなんてないが」
「首の下の方だよ。アレルギー? キッチン暑いし汗疹かな?」
「痛くないし痒くもない。まぁ後で確認しておくよ」
いつにも増して暑い今日、キッチン服の前ボタンを二、三個外して煙草を吸っているところを種島が声を掛けてきた。
その内容は首筋に赤い点があるというものだ。
色々と原因の仮説を述べられたものの、そのどれにも心当たりはない。
虫刺されもアレルギーも湿疹の類も現時点ではないし、痛くも痒くもない。
後で鏡で自分で見てみりゃ判るだろ。
そう楽観視して種島が行った後も煙草を吸っていると相馬が出勤してきた。
こいつが来たって事は俺は休憩に入れるな。
「やあ佐藤君、おはよう。外もだけどここも随分と暑いね」
「火を使っているからどうしても暑くなるよ。この服は通気性が悪くてこもるから余計な」
「だからってボタンを外して着崩すのはどうかと思うよ……ん?」
「何だ?」
「え? あ、いや、佐藤君の首のところ。どうしたの?」
適当に挨拶を交わしていると、相馬も俺の首に興味を持ったようで何事かと訊いてくる。
種島と言い、相馬と言い、俺の首にそこまでおかしなものがあるのか?
「赤く点が出来ているんだろ? さっき種島にも似たような事を言われたよ。何でもないんだがな」
「痛かったり痒かったりしないの?」
「虫も肌荒れもアレルギーも身に覚えはない」
「へ、へえー……そうなんだ? 本当に何ともない?」
「くどい。それともお前はこれの原因が判るのか?」
「いやー……はは、ね? 鏡で見たらいくら佐藤君でも判るんじゃない? ついでに休憩に行ってきなよ」
随分と歯切れが悪く要領を得ない相馬に苛立ちながらも、俺は言われた通り自分で確認するのが手っ取り早いと休憩ついでに確認する事にした。
「潤君も休憩?」
「八千代もか」
「うん、ぽぷらちゃんが来たから」
「そうか。俺も相馬が来たからな」
休憩室に行くと、八千代も休憩していた。
種島と俺が話したのが種島が出勤してすぐだったから、休憩時間はほぼ一緒か。
「そうだ八千代。鏡持ってないか?」
「鏡? 姿見ならそこにあるけど?」
「ああ。ありがとう」
こういった客相手の商売だと更衣室だとか休憩室に身だしなみを整える為の姿見があったりするんだよな。
キッチン担当は大抵スルーしてしまうが、フロア担当だと一回立ち止まって見たりしているのだろうか?
姿見の前に立ち、服を捲り、首を突き出す。
普段ならボタンを掛けている為に隠れて見えない、首元の鎖骨の上辺りにそれは確認できた。
赤と言うよりは薄紅色の何らかの痕が。
そして俺は、これがどういう時に、どうやって出来るかも知っている。
しかし……身に覚えがない。
昨日の記憶を総動員させてみても、これが出来るような原因は見つからない。
だがこれってどう見ても……
「どうしたの潤君? ……あら? それ、痕になっちゃったの?」
「ど、ういうこと、だ?」
「だから痕になっちゃったの? って」
「八千代、お前が……?」
「なっちゃったと言うか、するつもりでつけたんだけど……」
お前がやったのかよ……しかし本当に身に覚えがないんだが……
そうか、だから相馬は判ったのか。
後でフライパンだな。サービスでよく熱しておこう。
「するつもりでって……いつ、どういう理由でだ?」
「昨日、髪を乾かした後で潤君が服も着ずに寝ちゃった時に。理由は……潤君があんな格好で早く寝ちゃったから?」
「そんな理由で……」
「案外、気付かないものなのね」
何事もないように言う、相変わらずの天然っぷりに頭が痛くなってきた。
通りで朝起きた時に半裸の俺にくっついて寝てたわけだ……謎が全て解けたよ。
謎が解けて……
今度はこのピヨピヨ頭に対して嗜虐心が芽生え始めた。
雰囲気を察したのか若干怯えている八千代に俺は続ける。
「ま、出来たものはしようがない」
「え、えぇ……」
そう、しようがない。
だが、このまま終わるのは面白くない。
「でもな八千代。俺はこれを種島と相馬に見られたんだ。種島は判ってなかったみたいだが、相馬は判ってただろうな」
「……」
死なば諸共、というほど物騒なものじゃないが。
俺と同じく恥ずかしい思いをしてもらおうか。
フロアの制服は首が見えやすいから簡単だろう。
「八千代。もうわかるだろ?」
「んっ……」
壁際にまで追い込み上から覆い被さるように耳元で囁くと、八千代は僅かに声を上げて身じろいだ。
その声
その顔。
その表情。
その仕種。
その全てが俺を焚きつけるんだよ八千代。
「無言は肯定だな」
しゅ、しゅるりとボタンホールに掛かっているリボンを解くと、汚れのない無垢な白色の首と鎖骨の大部分が露わになる。
前から思っていたがこの部分ってすげえな。何で男も女もこの部分だけこんなに開いてるんだ?
ボタンを外す手間が省けるから良いか。
「あの、じゅんくん……」
「どうした八千代?」
さて、休憩時間は後どれくらい残っているんだ?
痕をつけるだけと思っていたが、どうやらそれは俺の検討違いだったみたいだ。
どうやら八千代は生殺しの他に、天然仕立ての男殺しまで備わっているらしい。
この顔でここまで言われて痕をつけるだけで止まれる奴がいたら見てみたいよ。
「八千代?」
「じゅんくん……やさしく、ね……?」
それは不安と期待が入り混じった、八千代の本当の素顔だったのかも知れない。
所有印と言えばキスマークですよw
また言い忘れましたが、髪の毛乾かすやつと繋がっています。
痕をつけられた覚えがないと言う事は、佐藤君はあの日は一緒にお風呂に入ったはずなのにナニもしなかったんですねw
ナニもせずに寝てしまったから八千代に痕をつけられたのかも知れませんがww
IgUrerYUには生殺しキングの称号を授けよう
もう一本あるのをすっかり忘れていました。
小鳥遊独白で「実は寝たフリをして待っている」です
それは何でもない事だ。
目の前で人が寝ている。
休憩室のパイプイスに座って、体は机に寝そべりながら寝ている。
本当にただそれだけの事だ。
なのに、胸の鼓動が高まり、緊張し、動揺してしまうのは何故だろう?
唾液を飲み込む音が、薄っすらと掻く汗が、伸ばしかけた手が、全てが自分自身じゃないような気がするのは何故だろう?
撫でたい。
撫でてしまいたい。
短い髪をピンで留めたその頭を。
触れてみたい。
触れてしまいたい。
安らかな表情で無防備に眠るその顔を。
前回は途中で目を醒ましてしまい、しばらく出勤しない事態にまでなってしまった。
それを踏まえて反省した結果、三つの事が解った。
正確には解った事が一つと解らなかった事が一つと未だに解らない事が一つ。
解った事。
猛獣を手懐けた気分になってしまい、調子に乗ってしまった事。
解らなかった事。
何故、起きるまで撫でていたのか?
未だに解らない事。
何故、撫でてしまったのか?
目の前で寝ている人を時に犬に喩えてきたのは認める。
その喩えを盾に今まで湧き上がってきた様々な感情を抑えてきたのも認めよう。
だから解らなかった。
いや、だからこそ解らなかったのかも知れないな。
一人の人として意識して、起きるまで撫でていた事を。
それを踏まえて考えると。
未だに解らない事、何故、最初に撫でようと思ったのか、に説明がつかない。
本当に、寝ている時は殴らないのか? という理由だったのか?
そうだとしたら人として意識している他にどんな感情を俺は伊波さんに持っていると言うんだ!
熱くて寝苦しいのか、顔を赤らめながら眉間に少し皺を寄せて眠る伊波さんの頭上で所在なさげに手を浮かせたまま、俺の葛藤はまだ続く。
「……早く撫でてよ小鳥遊君……」
休憩時間に書いたものです。
一時間の休憩のうち、20分くらいは題材を何にするか悩みつつソリティアしていましたがw
8巻分を読んでいないので矛盾点や既刊分でも相違があるかもしれませんが目を瞑って頂けると幸いです。
それではおやすみなさい
>>549 IgUrerYUさんにはじらしキングの称号も授けたいです
ふぉー萌える! は や く 撫 で て !!
山田「山田もマーキングしたり撫でたりしてほしいです!」
佐藤「えっ!?」
いっそ撫で待ちに気づいた小鳥遊がほっぺチューで勝負を制する方向で
付き合っているの前提になってしまうが
ありがちな夜の生活体験談トークになると
佐藤や相馬に引かれそうなことやってそうなタイプな気がする>小鳥遊
梢や一枝の夜の生活を見てしまった事があるとかだと伊波んがんばれ
557 :
542:2010/07/22(木) 01:06:12 ID:zAIanwvI
書き忘れ
感想レスくれたみなさんありがとうございましたー
>>551 お題殺到ですねw「所有印」でお願いした者です。ありがとう
佐藤スイッチ入った( ゚∀゚)o彡°おpい!おpい!
八千代は小さな悪戯のつもりだったんだろうなw
お仕置きにキスマーク首一周させてネックレスにしてしまえw
さとやちは時々ズッコケながらちゅっちゅしてれば良いと思います
>>557 たかいなかわええ萌え!じれったい!萌え!
小鳥遊のイケメン⇔変態っぷりに笑ったwつくづく面白いやつだ。小鳥遊好きだわー
伊波も可愛い。確かに小鳥遊次第で気分が上昇したり下降したりエゴとエゴのシーソーゲーm
萌えました。ご馳走さまです!
最近豪華だな〜
書き込める?
うわー、やーっと書き込めたー!やほーい!
大変遅くなりました。
待っていらっしゃる方がいてくれたなら申し訳ありません。
週末泊まりで仕事や、PCのクラッシュ、アクセス規制を乗り越えて
ようやく『衝動ごと抱きしめて』『名前を呼んで』の続きを書き終えました。
ちょっと長くなってしまい、全部で23分割でお送りします。
楽しんでいただければ幸いです。
「おはようございまーす!」
ファミリーレストラン、ワグナリアのフロアスタッフの伊波まひるが着替えを済ませてフロアに元気よく声を響かせる。
「あ、伊波ちゃんおはよー」
それに応じたのは同じくフロアスタッフの種島ぽぷら。
「今日はお客さん来てる?」
伊波が聞くと、ぽぷらは苦笑しながら頭を振る。
それを見て、伊波もやっぱりかと思い、フロアを覗いてみると客の数はまばらだ。
夜前でそこまで多くない中途半端な時間帯であるとはいえ、
この調子だと今日もそこまでの忙しさは期待できそうにない。
とはいえ、まだまだどうなるかはわからないし、
男客がたくさん来たら、彼女としてはてんやわんやの大騒ぎになるので、
気を抜くことは許されないのバイトをする上での伊波なりの鉄則なのである。
「あ、そういえば小鳥遊くんは? 確かシフトには入ってたと思ったけど」
「えーっとね…」
伊波が自分の目が輝くのを悟られぬように、平静を装いつつ一番聞いておきたかったことを質問してみると、
ぽぷらはどう答えようかといった感じで軽く目をそらす。
伊波は歯切れの悪い彼女を不思議に思い、首をかしげるとますますおろおろとし出す。
と、そこにワグナリア店長の白藤杏子が通りかかったので、同じ質問を投げかけてみることにした。
「あ、杏子さん、小鳥遊くんってまだ来てないんですか?」
聞かれた杏子は特に何を気遣うでもなくこれ以上なく平素に答える。
「ん、今日はあいつ風邪でぶっ倒れたらしいから休みだ」
「え…」
その言葉の内容に伊波は息を飲み込んだ。
風邪でバイトを休むということ自体、大して珍しいことでもないのに、
まるでこの世の終わりのような顔になった伊波をそれ以上気にすることもなく杏子は
「八千代ー、腹減ったーパフェくれー」
とのんきに食べ物をねだりに行ってしまった。
それとは対照的に伊波は呆然とした表情で立ち尽くしていた。
「い、伊波ちゃん…」
心配そうに声をかけたぽぷらの声に伊波ははっとして笑顔で返事をしてみせる。
「あ、大丈夫だよ。ちょっと心配だなーって思っただけだから。
さあ、小鳥遊くんいない分、今日は忙しくなるぞー。頑張らなきゃ!」
無論、それが取り繕われてのものというのはわかりきっていたことだったのだが、
ぽぷらはそんな伊波に何も言うことができなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
「で、だからって何で私に聞くの?」
と不満そうに松本がぽぷらに質問し返した。
「うー…だって伊波ちゃんかわいそうで見てられなくて」
子供のようにしゅんとして俯いてしまうぽぷらを見て、高校生フロアスタッフとしてはワグナリアで最年長の松本麻耶は
何だか普通に返答しただけの自分が悪いことをしているような変な気分に囚われる。
「かわいそうだと思うならしっかり考える努力しなさいって」
「あうー、それはそうなんだけど、こうとっさに思いつかなくて…」
同僚思いは結構だとは思うのだが、いかんせんこういう部分が容姿と同じく子供で
松本は少し、というか毎度毎度彼女の相手をするときは苦労してしまう。
普通に子供と接するようにすればいいような気もするが、それだと高校生である彼女の否定になってしまうし、
何より間違いなく変態であるミニコンの小鳥遊と同列のような気がして嫌だったのだ。
「別にそんなすごいことを提案する必要とかはないわけよ。
そう、ごくごく普通なことをさせてやればいいってだけじゃない!」
どうにか話を松本が進めると、ぽぷらがやけに明るい表情でこちらを見つめていることに気が付いた。
悪寒が走るのを感じながら、松本は恐る恐る聞いてみる。
「な、何、その希望に満ち溢れた目は…?」
「え? だって松本さんが伊波ちゃんを元気にしてくれる方法考えてくれるんでしょ?」
「でしょ?って、え? それ本気で言ってるの? っていうか何で私がそんなこと」
「え…だめ…?」
「うっ……」
さっき以上にしゅーんとしてしまうぽぷらに松本はぎょっとする。
これでは傍から見れば誰がどう見ても自分が彼女をいじめているようにしか見えない。
いや、事情を話せば誰が来たとしても説得できるはず、そう、何も心配などいらない。
そう言い聞かせている最中、
「あーあー、松本、お前種島を泣かしてんのか、ひどい奴め」
佐藤がどこからか姿を現した。
「ひえっ!? すみません、決してそういうつもりじゃなかったんです!
ちょっとした物の弾みというかなんというか!」
突然のことに驚いた、人一倍プレッシャーに弱い松本はその場に土下座して謝りだすが、
ぽぷらがふるふると首を振って佐藤に事情を説明してやると、
佐藤は何のことはなかったかのように無表情のまま答えた。
「ああ、全部聞いてたから事情は知ってる」
「ちょっと! 性格悪すぎでしょ!」
さすがに怒り心頭に来た松本が食って掛かるが、佐藤は落ち着けと諭すように制する。
「何で自分の方が正しいように自信たっぷりなのかしら」
「いいか、松本。はっきりさせておくことが一つだけある」
「何ですか?」
「種島をからかう担当は俺だ」
「さとーさん!」
言った瞬間今度はぽぷらがぐわっと大きな声で飛び掛かろうとするが、
読んでいたのかぽぷらの頭に手を載せていた佐藤がまた落ち着けと諭すような声を出す。
「もういいです」
松本がどこか冷めた声で言うと、ぽぷらがえっと漏らしたので、振り返って心配ないと手を振ってみせる。
「伊波さんのところに行ってくるの。彼女もうすぐ上がりでしょ。今言っとかないとめんどくさいから」
「松本さん、ありがとー!」
ふん、と機嫌悪そうに休憩室に向かっていく松本を、佐藤とぽぷらは見送った。
「やー、よかったよかった」
「俺のおかげなんだから感謝しとけよ」
「さとーさんはわたしたちをからかってただけでしょ!」
そこでいきなりぽぷらの頭を掴んでいた佐藤の手に力がこもる。
「さ、さとーさんいたい! 痛いよ!?」
何事かとぽぷらは困惑するが、佐藤の次の言葉で今日何度目か知れないしゅんとした顔になってしまうのであった。
「お前らフロアの連中がさぼってたから、俺がレジ打つ羽目になった…」
「ご、ごめんなさい…」
◇◆◇◆◇◆◇
休憩室で、伊波が着替えを済ませて、あとは帰るだけになっている状態なのに、
何かもじもじと悩むようにしているところに松本が声をかける。
「伊波さん、何してるの?」
「はぅっ!?」
急に声をかけられて伊波は必要もないのにその場から飛び上がる。
「ごごごごめんなさい、すぐ帰ります!」
ついでになぜか謝ってばたばたと身支度を始める彼女に松本はため息をつく。
男性恐怖症で男を殴り飛ばす部分を除いては彼女はきっとこの店で一番男が求めるであろう
女の子らしさを兼ね備えているんだろうと松本は思う。
それは庇護欲を掻き立てる小動物のような所作や表情だったりするのだが、
悲しいかな肝心な男に対してはそれを見せるよりもまず拳が姿を現してしまうのだ。
よって、彼女に近づく男はよっぽどのバカかそれに近しい変人なわけだ。
それが結局のところミニコンの変態高校生か、と思うと、上手いことはまるところにはまったものだと
松本は苦笑してから、伊波を引き止める。
「別に追い出そうと思ってきたんじゃないから」
「あ、はい…そうですよね…」
何やってるんだろ私、と落ち込む伊波に、松本はごほんと咳払いをしてから、話しかける。
「えー、伊波さん、小鳥遊くんのことが心配なのよね?」
「へ?」
松本がそんなことを言ってくるなど思いもしていなかったため、伊波は上ずった声で答えていた。
その表情が驚きに驚きを重ねたようなもので、同僚の心配をするのが自分ではそんなに意外なのかと、
若干心外だと思いつつも、変態の心配をしているのが伝わるのが嫌だったため、そのことについては
あえて言及せずにおくことにした。
「だったら、その、何か、そう、普通にお見舞いに行けばいいじゃない」
「…実は私もそうしようかどうかずっと迷ってて」
「別にお見舞いなんてそんな大したことじゃないんだから行けばいいのよ、普通に」
「で、でもご迷惑かもしれませんし…」
「じゃあずっと心配したままで過ごすの?」
「それは…」
気持ちは決まりきっているのに煮え切らない伊波に対して業を煮やした松本は
あまりヒートアップしすぎないように諭すような口調で教えてやる。
「本人に必ず会わないといけないわけでもなし、元気かどうか聞けばいいのよ。
お見舞いって気持ちが大事なの。わかった?」
「は、はい!」
こういう返事をするときの伊波はまるで犬そのものだなと思うと、
以前小鳥遊がこの子を犬扱いしてばかりだったということが不思議ではないと思えた。
そういった部分がまた応援してやりたくなってしまって、
関わりたくないと思ってしまう部分とのせめぎあいになって毎度苦しんでしまうのだが。
「だったらさっさと行く!」
「はい!」
これ以上は関わっていると、最後まで面倒見たくなってしまうと松本は大きな声で指示を出して、
さっさと店から追い出してやることにした。
が、一つ思い出したように伊波を呼び止め、包みを差し出す。
「あ、とそうだ。これ、持って行って」
「え、これは?」
「いいから持って行って」
「あ、はい、わかりました。ありがとうございます、松本さん!」
「はいはい、じゃあお疲れ」
礼を言われて、それが妙に照れくさくなってしまい、手でしっしと追い出すようなしぐさを見せてやるが、
顔が赤くなってしまっており、悪いことにそれが伊波にばっちり目撃されてしまったため、余計に顔が熱くなるのを松本は感じた。
「お疲れ様でした!」
救いは最後のあいさつ以上、伊波が自分に話しかけることなくすぐに店を出て行ってくれたことだ。
店の勝手口から出ていき、軽やかな足取りで小鳥遊の家へと向かっていくのを
松本はやれやれといった様子でありつつ、どこか満足げな笑顔で見送っていた。
「おい、松本」
と、急に声をかけられたので振り向くとそこには杏子がなぜか物欲しそうな顔で立っていた。
何ですか、と聞けば杏子はすっと手を出してくる。
それで大体どういう用件かはこの店の従業員なら飲み込めてしまうのが悲しいなと松本は思った。
「さっき何か伊波に食い物やったろ、私にもくれ」
「犬みたいな嗅覚してますね店長って」
「何でもいいから早く寄越せ」
「残念ですけどもうないんで無理です。それに店の中じゃちょっとあれでしょうし」
「何だったんだあれ?」
「アジの開きの干物です」
「は?」
「風邪には魚がいいんですよ」
そう言って、松本はさっさとフロアに戻って行ってしまった。
「あ、杏子さん、どうかしたんですか、ぼんやりして」
杏子が大好きなフロアチーフ轟八千代が杏子を見つけて、小走りで聞いてくると杏子はどこか今更ながらに呟いてみせる。
「松本って変なやつだな」
それに八千代も全く動じることなく
「ええ、変わってますよね」
とごく普通のことのようにまっすぐに頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇
伊波が小鳥遊家の前にたどり着くと、今更ながらに呼び鈴を押すのは初めてだと気付く。
これで3度目だし、そんなものだよねと思いつつも、一人で勝手にはにかんでみたりしていた。
はっとした伊波はそんなことよりも小鳥遊の安否を聞かないと、と呼び鈴を鳴らす。
「はい、小鳥遊です。どちらさまですか?」
すると、聞き覚えのある声が返答してきた。
伊波がいまだ出会っていない小鳥遊の姉妹は1人しかいないのだから、
ほとんど聞き覚えがあることにはなるのだが、その中でも最も聞きなれている声だった。
「あ、なずなちゃん? 私、伊波です」
「え、伊波さん? ちょっと待ってください、すぐ開けます」
受話器を置くような音がしてからものの10秒ほどで小鳥遊家の戸が開けられた。
「伊波さん、いらっしゃい!」
「こんばんは、なずなちゃん。突然ごめんね」
「そんなこと気にしないでください、いつでも歓迎ですから!」
出てきた小鳥遊なずなは満面の笑みで伊波を迎えた。
体は伊波よりも大きいがこういった屈託のなさは12歳という年相応といった感じがして
アンバランスにも感じられるが、そういった面も含めてかわいく伊波には感じられた。
「小鳥遊くんの様子、どう?」
「まだ熱っぽいんですけど、多分山は越しました。顔色もよくなったし」
とにかく気になることをはっきりさせたかった伊波が質問をぶつけると、
にっこりと微笑み、なずなはゆったりと安心させるような口調で答えた。
それにほっとした伊波は胸をなでおろす。
ついでに
「そっか、じゃあ私はこれで…」
とそそくさと立ち去ろうとしたが、むんずと首根っこを掴まれて
「上がってってください! お兄ちゃんすごく喜びますから!」
玄関をまたぐことになる伊波。
「でも、大丈夫、かな?」
それでも遠慮気味に聞いてくるのでさらになずな笑みを強くして答える。
「伊波さんに会ったら、調子悪いのなんてどっかいっちゃいますよ! ね、早く早く!」
心からうれしそうか、楽しそうに言ってくれる彼女に伊波もさすがに断るわけにはいかないかと観念する。
そもそも小鳥遊に会いたくて来たというのも正直なところではあったのだ。
「じゃあお邪魔しまーす」
なぜか小声で言ってから伊波が靴を脱ぐと、またなじみ深い顔が出迎えてくれた。
「あれ、伊波ちゃんじゃん! どしたの?」
缶ビールを片手に小鳥遊梢が猛烈な勢いで近づいて伊波の肩を抱く。
その勢いに押されつつなんとか伊波はこんばんは、とだけ返事をしてみせる。
そんな伊波になずなが助け船を出す。
「もちろんお兄ちゃんのお見舞いだよ。ね、伊波さん」
「は、はい、心配だったので、どんな具合かだけでも聞きたくて…」
「そんな遠慮しなくてもいーって! 宗太呼んでくるからちょっと待ってて!」
事情を話すと、テンションが上がりに上がってしまった梢はむっはーと息を吐いて、階段を駆け上がって行ってしまった。
「もう、梢お姉ちゃんってば、はしゃいじゃって」
いつもながらに元気というか騒がしい人だなと伊波が苦笑していると、はたと気づいたように伊波がつぶやく。
「宗、じゃなかった、小鳥遊くんって部屋2階だったね、そういえば」
「あ、はい。どうかしました?」
前も来たから知ってるのにどうして?というなずなの問いに対して
伊波は照れたように頬をかきつつ返答する。
「大したことじゃないんだけど、私も部屋2階で一緒だなって…」
そう言う伊波の表情はとても柔らかく自分の家族にはあまりない顔だな、となずなは感じた。
同時に他のどんな女の人よりもかわいらしい顔をする人だなとも。
理由は考えなくても、もう察しはついていたのでなずなは自然と質問してみせていた。
「そういえば、さっき伊波さんお兄ちゃんのこと、宗太って呼ぼうとしましたよね?」
「へっ!?」
先刻口走ってしまった自分の言葉を掘り返された伊波は慌てに慌ててしまい、
言うべき言葉を全て取りこぼし、あわあわと顔を赤くしていく。
「そんな隠さなくてもいいですよ、私わかってますから」
伊波さんわかりやすいし、とは口には出さずに言葉をそこで切ると、伊波は
「え、そ、そうなんだ」
安心したような逆に怖いような妙な感覚にとらわれる。
そして上目づかいでおずおずと
「他の人も知ってるの?」
問うてくるので、なずなは、あー、伊波さんかわいい!と思いすぎて頬が緩んでしまうのをこらえつつ
「大丈夫です。お姉ちゃんにも誰にも言ってないですから」
優しくそう教えてやる。
「そっか…よかったぁ」
一息ついたところでなずながどうぞと居間へ伊波を招き入れる。
「梢お姉ちゃんは喜ぶだろうけど必要以上に騒ぐだろうし、一枝お姉ちゃんはいろいろ交際のいろはにうるさいですから」
なずなについて行きながら、その言葉を聞いていた伊波は黙ってくれてて助かったかも、と思っていた。
伊波が腰を下ろしたのを認めると、なずなは台所に向かって茶を出す用意を始めつつ、言葉を続ける。
「泉お姉ちゃんはお兄ちゃんに彼女ができたなんて知ったら、しばらく立てなくなって原稿も落として、最後には入院しちゃうかも」
まだ見ぬ次女の反応の大仰さに伊波は背筋に嫌な汗が噴き出るのを感じながら、本当に黙ってくれててよかった、と心から思うのであった。
それ以上、あまりその話を聞いていると気が滅入りそうだったので伊波は話を変えることにした。
「それにしても梢さん遅いね」
「お茶、どうぞ」
「ありがとう」
「確かに遅いですよねー…」
「どうかしたのかな?」
「まあ…多分……お兄、ちゃんに…じゃれつい…ふぇ…」
といきなりろれつが回らなくなったなずなを伊波がよく見れば、頭がこっくりこっくりと船をこぐようなリズムを刻んでいた。
「なずなちゃん…?」
そして、その言葉を皮切りになずなはぱったりと伊波に倒れこんできてしまう。
間違いなく伊波は、目を閉じて眠りに落ちてしまったなずなの顔を確認した。
「寝ちゃった…」
ふと時計に目をやれば時刻はもう夜の10時近く。
いくら大きくてしっかりしていても小学生だものね、と伊波は微笑むと、
体勢を入れ替えてから、なずなをおぶってやる。
「よいしょ、っと」
階段を上がってなずなを部屋のベッドに横たえてやってから、
すやすやと寝息を立てるなずなを見ると、伊波は自然と額を撫でていた。
妹ってこういうものなのかな、と思いながら。
彼女の部屋からそっと出て、伊波はついでなので小鳥遊の部屋へ向かうことにする。
しかし、部屋の前に梢がいることに気付く。
「梢さん、どうかしたんですか?」
伊波がそう尋ねると、梢がばつの悪そうな顔で笑う。
「あー、いやね、宗太ってばぐっすり寝てるみたいで、いくら声かけてもおきなくてね」
梢ががんばっても起きないのであれば、もうあとは寝かせておくべきだろうと思った伊波が
「そうですか、それだったら私」
帰りますね、と伝えようとしたのだがそれにかぶせるように梢が言葉を重ねてくる。
「よし! 私ちょっと出かけてくる!」
「え、あ、はい」
状況が飲み込めてないにも関わらず伊波は何となくそう返事してしまう。
そしてそうなればあとは流されていくだけだった。
「どこかで寝込んでるダーリンを看病すれば、きっと私に首ったけのはず!」
「あの…」
「というわけで、伊波ちゃん後よろしく!」
「はい。って…え?」
伊波が何を言っているのかを理解するよりも先に梢はさっさと家を出て行ってしまい、
廊下に残ったのは呆然と立ち尽くす伊波だけだった。
しばらくして、ええぇぇぇっ!?
と絶叫しそうになるのを、こらえて小鳥遊となずなを起こさないように努める。
どうしよう、と途方に暮れるが今は自分がここを頼まれた以上は放棄するわけにもいかないと伊波はこの場を守ることに決めた。
少し落ち着きを取り戻し、彼女は小鳥遊の顔を見ておこうかとドアに手をかけるが、不意に階下で電話が鳴った。
しばらくしても鳴り続けるので、伊波はとりあえず電話に出ることにした。
「は、はい…」
伊波が不安げな声で応答すると、受話器から大きな声が弾き出される。
「こら! いつまで待たせるんだ!」
「す、すみません!」
その声に驚いた伊波が咄嗟に謝罪すると、一転して電話口からの声が少し穏やかな声に変わる。
「ん? 誰だ?」
「あ、私、宗太くんのその…伊波まひるです!」
「ああ、君か。宗太のお見舞いに来てくれたのかな?」
「は、はい、そうです」
伊波のことをはっきりと思い出した一枝は安心させるために優しい声色で話すようになり、
それのおかげで何とか伊波も平静を取り戻すことができた。
「それはわざわざありがとう。宗太も喜んでるかな」
「あ、いえ、ぐっすり寝ていたのでお話はできてないんです」
残念ではあったが事実を伊波が伝えると、それがわかったのか一枝も申し訳なさそうな声で返す。
「あー、それは申し訳ない。ちゃんと伝えておくから安心してちょうだい」
「あ、はい、ありがとうございます」
と、そこで一枝がまた別の意味ですまなそうな感じで伊波に言葉を投げかける。
「それで本題なんだけど、伊波さんに伝えておいていいかな? あとで家の者に伝えておいてほしいんだ」
「は、はい、しっかり伝えておきます」
わざわざ丁寧に頼んでこられて伊波はまた流れに任せて、頷いてしまう。
それが泥沼と化す自分の状況だと理解しないまま。
「実は今日中にまとめておかないといけない仕事があるから、家には帰れないんだ」
「そうなんですか、大変ですね」
「ああ、家のみんなにそう言っておいてくれるかな?」
「って、今日帰ってこないんですか!?」
ワンテンポ遅れて驚いているので、一枝は何事かと思い若干気圧されるが、
彼女のデスクに置かれていた電話からコールが鳴り響く。
「あっと、クライアントから電話だ。申し訳ないけどよろしくね! じゃあそういうことで!」
「あ、あの一枝さん待って!」
一枝からの電話はそこで、ツー、ツー、という伊波にとって無情な響きに変わってしまう。
うそでしょ、と伊波は心底落胆する。
一枝に事情を話せば、この状況から脱することができると思っていたのに、
結局何も打破できておらず、むしろ孤立無援になったことがはっきりわかっただけだった。
しかし、こうなってくるといよいよ自分が残らないとどうにもならないのかもしれないと思い始めた。
小鳥遊が調子が悪いのに誰も動けないのでは、やはり心配でたまらず帰るに帰れない。
「しょうがないよね…」
そう呟くと、彼女は小鳥遊家に3回目のお泊りをさせてもらうことに決めたのだった。
そして、そこでようやく自分のことを伺い見る視線があったことに気が付いた。
それは小鳥遊でもなくなずなでもなく、伊波にとっては見知らぬ女性に見えた。
伊波はそういえばもう一人姉がいると言っていたことをようやく思い出す。
2度泊まったにもかかわらず、仕事でいっぱいいっぱいだとかいう理由で会うことのできなかった
泉さんだっけ、ときっちり頭の中で思考を終えてから、伊波から言葉をかける。
「あの…」
ちゃんと言葉を告げるより先に相対していた泉の方から伊波にしてみれば意外な言葉が放られる。
「あなた、あの時の世話してくれた子?」
そう問われて、何を言っているのだろうとしばしの逡巡の後、伊波は床に腰を下ろしている女性の
儚げというか、虚弱そうな雰囲気と、彼女の言葉づかい、というか使った言葉の『世話』ではっとする。
「小説家さん、ですか?」
「ええ、当たりよ…」
「ということは、世話焼いてくれる弟さんって宗太くん…?」
こくりと頷く黒ずくめの泉を見て、伊波はこれ以上なく納得できてしまった。
そもそも自分の近くに存在している強烈な姉と甲斐甲斐しい弟という話の時点である程度、気づけたようなと伊波は思った。
この小説家、泉もまた小鳥遊宗太の女難の一つなのだと。
もちろん伊波自身が最もひどい女難だとは本人が思っていたが。
そんな放射状に頭が動いている最中に泉の方から言葉をかけてくる。
「あなた、もしかして宗太の…?」
またしてもずばりな質問を唐突に放り込まれたと思った先ほどなずな以外は知らないと言われたはずなのに
伊波は言わなくてもいいことをするりと口から滑らせてしまう。
「えぇっと、わ、私、宗太くんとお付き合いさせていただいている伊波まひるです!」
「え…?」
お友達なの?と聞くつもりだった泉が聞いた返事はただでさえショックに弱い泉の頭を貫いた。
伊波が言ってしまったことを恥ずかしいなぁ、などと顔を赤く染めて、何を言われるか待っていたのだが、
いくら経っても何も言われないので不思議に思って泉を見やると、さめざめと泣いている泉がそこにはいた。
まさか泣くほどとはと思わなかった伊波は、というか何で泣くのか、それは自分が小鳥遊には釣り合ってないと言っているのか何なのか量りかねていると、
泉の方からどういうことかを説明してくれた。
「宗ちゃん…遠くにいっちゃうのね…」
慌てた伊波は泉に駆け寄ると手を握り励ますように力強く言い放つ。
「そ、そんなことないです! 宗太くん、お姉さんのこと好きですから!」
「でも私、迷惑かけてばかりで、宗ちゃんはきっと愛想を尽かしてあなたに…」
「それこそ心配ないですよ! 私なんて毎日宗太くんを殴ってばかりですもん!」
「え……?」
再びの爆弾発言とそれから生まれる沈黙。
ただ今度は泉は泣く云々よりも完全に困惑というか混乱に近い状態になっていた。
ついでに明らかに血の気が引いた顔をしていた。
伊波はしまったと思い、何とかしないといけないと何か言おうと考えるが上手く言葉にできずに時間ばかりが過ぎていく。
概算すると十数秒が経ち、それでも伊波がうーんとうなっていると、引いていたはずの泉の方から
伊波の体にしなだれかかってきた。
「ど、どうかしました!?」
調子でも悪いのだろうかと心配になる伊波に対して返ってきた泉の言葉は以下であった。
「お腹すいた…」
◇◆◇◆◇◆◇
伊波は台所を借り、ありもので泉に食事を振る舞い、落ち着いたところで自分の事情や付き合う経緯を事細かに話した。
泉はそれをこくりこくりと先生の話を聞くような生徒のような形で素直に聞き続けた。
「そう…いろいろとわかったわ…。それからごちそうさま」
泉がぺこりと頭を下げるのを見て、伊波はほっと息を吐いた。
「よかったです。わかっていただけて。あ、今お茶用意しますから!」
そして準備を始める伊波を見て、泉は弟が付き合うのはあの子ならきっと問題はないだろう、とは思った。
気立てはいいし、見た目も悪くない。申し分ないと言える。胸の膨らみが若干あれなのが気にはなったが。
だけれど、前の小さな彼女はどうなったのだろう。
伊波が彼女ならもうあの子とは別れたことになる。
だとすれば、宗太は自分の思っているよりもずいぶんと女性関係に明るいことになる。
全く興味がない、縁がないよりもいいことかもしれないが、あまりいい気分にはなれなかった。
いや、もしくは伊波と小さな子との二股になっているのでは。
まさかとは思うが、泉は我慢しきれずについ聞いてしまう。
「あの、伊波さん?」
「はい、何でしょう?」
「もし知っていたらでいいんだけどね…」
「あ、はい」
「宗ちゃんが前に付き合ってた子のこと知らないかしら?」
「え…?」
その言葉は伊波の胸に突き刺さる。それは伊波自身が意外だった。
考えたことがなかった。小鳥遊の女性の遍歴なんて、気にする必要はないと思っていた。
そもそも自分が初めての相手だと信じていた。
だが、いざ指摘されると、これ以上なく気になってしまう。
過去であったとはいえ、彼に好きな人がいた、そう思うと心がきゅっとすぼまったような感覚を覚えた。
だけど、伊波は答えないといけない、と思い言葉を考える。
別に難しいことではないはずだ。正直に答えるだけでいいのだ。
小鳥遊の前の彼女のことなど知りません、と。
しかし、思考と言葉は結び付かず、心の声の方が素直に姿を現した。
「伊波さん?」
自覚すらあやふやだった。
ただ漠然とした思いがあるだけだった。
嫌…。
それ以上はないし以下も以外もない。
だから泉に声をかけられて、そこでようやく自分が泣いていることに気が付いた。
「伊波さん?あの、どうしたのかしら?」
「あっ、いえ、何でもないです!大丈夫です!」
「でも泣いて…」
「それは、その目にゴミが入っちゃいまして、あはは…」
「そう…」
あの様子は何かショックでそれで泣いたのだろうことは考えるまでもない。
そしてそれは弟のことを思ってなのだということも疑いようもない。
触れてはいけない部分だったのかと思っていると、自分を捕えようとする何かをはねのけようとでもするように伊波が立ち上がる。
「わ、わたし、宗太くんの様子見てきますね!」
そう言うと、伊波は泉の制止も振り切って駆け上がる。
伊波が小鳥遊の部屋の前に着いても、頭が上手く働かない。同じところでぐるぐると回り続ける。
小鳥遊に自分以外に自分と同じかそれ以上の人がいるのかと。
ないと思いたい。自分だけを愛して欲しいと願っている。
そして、そんな自分がいたことに驚いてもいた。
ただそこにいてくれるだけでいいと思っていたが、そんなのでは満足できない欲に嫌悪感を覚えた。
その不安に駆られたからだろうか、小鳥遊の顔を無性に見ておきたかった。
そうやって独占欲を満たしたいのかもしれないことは否定ができなかった。
それに尚のこと嫌悪が増すが、抗えない衝動があることも確かでまた伊波の心がどんどんとざわついていく。
寝ている彼の部屋は当然真っ暗で見通しなど利きはしない。
伊波は携帯電話のライトをつけて、ゆっくりと彼へと近づく。
さすがにライトの光を直接彼に向けるわけにはいかないため、他へ向けて小鳥遊の顔がぼんやりと見える程度になる。
見れば少しは安堵できるかと思ったが、そんなことはなく、体に染み付いた男性恐怖症まで出てきてしまい、心は余計にごちゃごちゃになるだけだった。
「薄っぺらだな、私…」
自嘲して、伊波はもう帰ろうと思った。
小鳥遊が元気な顔さえ見られればよかったはずなのだ、元々は。
それを達した今、これ以上ここに残るのは邪魔にしかならない。
が、そこで引っ掛かった。
元気な顔、を果たして自分は見ただろうか。
もうすぐ治りそうな落ち着いた彼の顔を見た、そんな直前の記憶がない。
はっとした伊波は立ち上がり、部屋の電気をつける。
そしてはっきりと見た。
真っ赤な色で苦悶の表情を浮かべる小鳥遊を。
慌てた伊波は小鳥遊の額に触れる。
「熱い…」
どうしよう、どうしたらいいんだろう、伊波は戸惑う。
そこに泉がやってきて、小鳥遊の異変に気がつく。
そして、
「伊波さん」
と冷静な声色で話し掛けた。
その表情はとても凛としており、その場にいる人は皆その声に黙って聞き惚れるのではないかというような声だった。
それに引きずられる形で伊波は頷いた。
「は、はい」
「宗ちゃん、具合悪いみたいね、わかる?」
「はい、わかります! だ、だから何とかしないといけなくて…!」
「ええ、伊波さんあなたがやるのよ」
「え…」
泉からの提案は伊波にしてみればとんでもないことで、無力な自分では小鳥遊を助けるなどできるわけがないと
伊波はできませんと首を振る。
けれど、決然とした泉は伊波の肩をしっかりと掴み、両の瞳で伊波を捉え、自分の思いをぶつける。
「宗ちゃんの恋人なんでしょう? なら、好きな人に守られるだけでいいの?
それって不公平じゃないかしら? 本当に好きなら全力で宗ちゃんを守ってあげなくちゃ」
泉の言葉は荒れに荒れていたはずの伊波の心の奥深い場所に染み渡り、
だんだんと熱くなっていた頭と体をひんやりとさせてくれた。
だけど、芯から冷えたわけではなく、根っこの部分は温かみがあって、
その事実は伊波の心根に勇気を沸かせていた。
「泉さんの言う通りです…。私、宗太くんのこと守ってみせます! 命を賭けてでも!」
伊波が力強くそう告げるのを見て、泉は慈愛に満ちた表情でそれでいいのよと頷いてみせる。
「伊波さん…素晴らしいわ…。もう私に教えられることはもう残ってないわ…。というより…」
それを皮切りに泉はぺたんと体ごと床に倒れこんだ。
「え?」
「これ以上キリッとしてるの無理…宗ちゃんが心配で、そして階段上がるので疲れて死んじゃう……」
「ええぇぇっ!」
もはや本日何度目か忘れるほどに小鳥遊姉妹に翻弄される伊波であった。
◇◆◇◆◇◆◇
伊波は、部屋に置いてあったマジックハンドで小鳥遊の額に氷水をしみ込ませた布巾を載せる。
寝汗もひどかったので、時間はかかってしまったが拭いた。
けれど、何度呼び掛けても起きなかったため、薬は飲ませることができていない。
心配ではあるのだが、起きないものは仕方ないと、無理に起こすのはやめ、伊波はこの峠を越すのを待つことにした。
念のため、近くの病院についてはピックアップしておいたから、もしもの時はそこに頼ると決めていたし、
何より落ち着いて誰かに任せられるようになるまではずっと見ているつもりだった。
しばらくすると、ピピピッと電子音が鳴りだした。
小鳥遊の懐に入れておいた体温計だ。
見ると、37度4分と出ており、最初に比べて、かなり落ちてきてくれたことに安堵した。
よく見れば、顔色はまだ赤いながらも、先ほどまでのつらそうな顔は消えていて、息遣いも正常になっていた。
伊波がほっとしていると、不意に小鳥遊が声をあげる。
まだつらいのかな、と思うと、彼の言葉は予想していなかった内容で伊波は驚くことになる。
「まひるさん…」
自分の名前を呼ばれて、ついびくりとしてしまったが、霞がかかったような言葉遣いから察するにどうやら寝言であるのに違いないようだ。
呻くような彼の声に、伊波は自然、近づいていっていた。
「行ったらダメだ…そんなところ……」
私がどこへ行くっていうんだろう、と伊波自身もどこか熱に浮かされたように小鳥遊の言葉を待った。
「そんなやつのところに行かないでくれ…」
心が打ち震えた。
錯覚などではない実感と共に息を呑む。
「ずっと俺のそばに……」
そこまでで伊波は無意識に小鳥遊の頬に触れた。
そのまま刺激しないように大切に、宝物を扱うのと同じに撫でる。
それは男がどうという自分の壁の向こうにある、人を純粋に愛する気持ちだった。
だからだろうか。
触れれば触れただけ、撫でれば撫でるほどに小鳥遊が愛しくなる。
勘違いなのかもしれないけれど、小鳥遊の歪んでいた顔が緩んでいく、そう伊波には見えた。
ひとしきり触れたあと、伊波は額の布巾を思い出し、手近に置いていた氷水の入った桶につける。
その冷たさで、もしかしたら冷たいのが気持ちよかっただけなのかな、とも思うけれど、
今は自分が彼に触れていたから彼は笑ったのだと思うことに決めた。
◇◆◇◆◇◆◇
「う…ん……?」
小鳥遊が目を覚ますと、眠る前に感じていた全身のだるさ抜け落ちているのがわかった。体を動かす体力はあまり湧かないが、気分はむしろいつもよりもはっきりしていた。
そこで額に何かが載っていることに気付き、正体も理解する。
誰かが自分を看病するために使った布巾に触れ、それは誰なのかと思いをぼんやりと巡らせていると、誰かが部屋へと歩いてくる足音が聞こえてきた。
そして扉が開かれ、姿を現した人物に小鳥遊はただただ驚き、口をぱくぱくとする。
対して伊波は少年が起きたことに目を輝かせて、駆け寄ろうとするが途中でふらりと足をついてしまう。
「まひるさん! 大丈夫ですか?」
小鳥遊はそれを見て、身を起こそうとするが思ったよりも上手く体がついてこずに中途半端に体を浮かせる形で伊波を案じた。
伊波はそんな彼に微笑みかけてから、安心させるように声をかける。
「あ、うん、安心したら力抜けただけだから」
「そうですか、よかった…じゃなくて! 何でうちに?」
もっともな疑問だよね、と伊波は苦笑して、小鳥遊にこうなった事情を説明した。ひとしきり説明を聞き終えた小鳥遊はため息をつく他なかった。
「はあ…全く梢姉さんは…。すみません、ご迷惑かけて」
「いいよいいよ。気にしないで」
「でも、なずなも泉姉さんも世話になったみたいだし」
「なずなちゃんは寝かせてあげただけだし、泉さんは私を励ましてくれたし、大丈夫」
そこまで言って、伊波は顔がほころんだ。大変だった1日だけれど、楽しかった、と思えたからだ。
「姉妹がいるのって、こういうことかな…。そう思えて私はうれしかったもの」
まっすぐな笑顔で言われて小鳥遊にはそれ以上何も言えなかった。
「あ…そ、そうですか…」
単純に彼女の笑顔に見惚れてしまったからだが。
小鳥遊にとって少し気恥ずかしい沈黙を、一旦視線をよそにやった上で、自分自身の咳払いで破る。
そうすることで、冷静になるつもりだった。が、何か言おうと目線を戻すと、伊波の顔が目と鼻の先になっていた。
「えっ…」
また頭が騒ぎだすのを小鳥遊は自覚していた。が、今の状況になった理由もわからないし、彼女にとってこの距離は非常に芳しくないはずだ。
その二重の意味で焦り、それ以上に好きな女の子の顔が目の前にあることに心がついていかなかった。
そんな折、伊波の唇が動き、小鳥遊に言葉を投げ掛けた。
「咳出たけど、まだ調子悪いかな? つらい?」
「へ?」
「薬って飲んだ? って、今起きたんだったよね。じゃあじゃあ…」
甲斐甲斐しい恋人の言葉でようやく正気を取り戻し、彼女の意図を理解した。
「こういう時って他にすべきことあるかな?」
病人本人に聞いてしまう辺りがあわてんぼうの彼女らしいと微笑むと同時に、
まだ伊波と一緒の時間を終わらせたくないという欲求から教えるのと共に頼むことにした。
「おかゆ、食べたいです」
◇◆◇◆◇◆◇
伊波がおかゆを作るために階段を降りると、リビングに泉がたたずんでいるのがわかった。
「泉さん、宗太くん起きましたよ」
その言葉を聞いて泉はインクにまみれた顔をぱっと輝かせる。
「そう、よかった…」
「もう大分熱も引いたし、後は安静にしてれば大丈夫だと思います。」
笑顔で伊波が伝えると、泉はぺこりと頭を下げる。
伊波にしてみれば、それはかなり動揺させられることだった。
「ありがとう、伊波さん。あなたがいなかったら、宗ちゃんどうなっていたことか…」
泉にここまで感謝されるとは思っていなかった。
というよりも、感謝したいのは自分だった故に、そうされることに大きな違和感があったのだ。
「い、泉さん、そんな…顔を上げてください。私が宗太くんの看病できたのは、泉さんが私の背中を押してくれたからですから」
泉の意図がどこにあったとしても、それは嘘ではなかった。
だとすれば、泉に頭を下げる理由など存在しない。
常識というより、伊波なりの判断でしかないのは確かだが、彼女は心から泉に感謝していた。
「伊波さん…」
「泉さん、宗太くんのこと大好きですよね?」
聞きながら伊波は顔を赤らめる。
急な問いに泉は目を丸くしつつ、首を縦に振って肯定する。
「私、宗太くんが私以外の誰かを好きって考えたら、それはすごく嫌だな…そう思いました」
自嘲するように笑い、伊波は続ける。
「宗太くんの彼女は私以外でもなれるのに、すごく勝手だと思います」
泉は自分と近しい考えを伊波が持ったことに驚いていた。
恋人にこそ最大級の愛が注がれるとばかり思っていた。
「でも、泉さんは宗太くんが危ないと思ったらすぐ私に助けを求めたじゃないですか。
それこそ本当に相手のことを愛してる証拠です。だから、私は泉さんのこと尊敬します」
伊波は泉の顔のインクを拭き取りながら笑う。
泉はそんな彼女に眩しさを感じた。
伊波の言っていることは泉にとって、それほど正しくはなかった。
むしろ、好意的に思ってもらえるなど、奇跡じみた話だった。
何故なら、泉は弟の彼女だという伊波に嫉妬したからだ。
行動として今はまだ何もしていないだけ、快く思いなどしていなかった。
加えて、その相手に自ら世話をされ、あまつさえ弟の危機を目の前の少女に押しつけたのだ。
潔癖なわけがない。
だけれど、この女の子は言ってくれるのだ、微笑みかけてくれるのだ、心から。
だから錯覚する。自分は素晴らしい人間なのだと、伊波よりも優れた人物なのだと。
そして、泉は笑う。己のおめでたさ、無力さに。
いくら伊波が励ましてくれたところで、事実は何一つ変わらない。
何もしてやることのできなかった自分からは逃げることはできない。
なのに、この少女の言葉で救われている自分がいるとも感じていた。
自分のおかげで弟を助けられたのだと言ってくれる。
それが真実かどうかなんて、本人にしかわからない。
心を読み取るなんてことは誰にだって出来はしない。
だから信じようと思った。
まっすぐに私を見つめて笑いかけてくれる伊波まひるという、弟が選んだ恋人を。
「ありがとう、伊波さん」
そう言って、泉は伊波の体を引き寄せて抱きしめる。
「い、泉さん!? どこか調子とか悪いですか?」
いきなりの行動に伊波は動揺してしまうが、泉は穏やかな一言で大丈夫だ、と知らせる。
伊波は彼女がそう言ってくれても、困惑しっぱなしだったが、泉自身はどこか満ち足りていた。
泉は言葉を繰って、それを人に伝える人間だが、今はそうしようとは考えなかった。
というよりかは体が勝手に動いていた。
抱き締めた伊波の体は思った以上に小さく、きっと自分よりも力はあるのだろうけど、それでも頼りなく思えた。
貧弱ながら大きさだけはある泉の体もそう感じさせるのを手伝っていたが、泉本人は伊波がまだ子供なのだと思い知った。
当たり前だ。彼女はまだ高校生なのだから。
迷って立ち止まり、途方に暮れ泣いてしまう。
今だって自分は泣き虫で、家族に頼らなければ何一つ満足にこなせない。
けれど、それは自分だけではないのだ。
なんだかんだと逞しい姉妹に、芯からしっかりさせてしまった弟ばかり見ていて忘れていた。
誰だって弱い。一人きりで立っていられる人間なんて本当にいるかなんてわかりはしない。
実感で語ればいるわけがない。
もし存在しても、泉はきっとそう在りたいとは思わない。誰にもすがらない強さがあるということは誰にもすがれない。
誰ともつながれない。
そんな気がしたのだ。それはすごく寂しい人生だ。
こうして伊波を素直に抱き締めてやれるのは、彼女も自分も弱いからだ。
彼女の中にある小さな嫉妬を自分も持っているからなのだ。
だから、伊波を慈しみを持って包んでやれる。
「あ、あのっ、泉さん?」
手の中で、慌てる伊波に泉はにこりと微笑みかけてみる。
伊波にしてみれば、何がなんだかわけがわからないのだが、だからと言って説明してしまうのは野暮というかもったいなかった。
今は新しく見つけた自分が大切と思える人を愛でるだけでいいと思った。
◇◆◇◆◇◆◇
どうにか解放された伊波が粥を持って、小鳥遊の部屋に入る。
「待たせちゃってごめんね」
「いえ、大丈夫です」
半身を起こして小鳥遊は伊波を出迎える。
伊波は小鳥遊の前に腰を下ろして、粥の入った器を手に取り、そのまま粥に息を吹き掛ける。
それを見ていた小鳥遊はどきりとした。
いつものような殴られると覚悟する前のそれではなく、伊波の笑顔をまともに食らった時に生まれる衝動のそれだ。
伊波は普段、自分自身を女の子らしくないと嘆く。
けれど、今や小鳥遊の中では彼女以上に女性を感じる女性はいなかった。
その証拠が今の気分だ。
こうなるともはや殴られるというのはどうでもよくなる。
そんなことよりも思いついたことを試して、もっと深い楽しみを追求したくなるのだ。
だから、小鳥遊は伊波が手渡そうとした器を受け取らなかった。
伊波はどうしたのだろうと目をぱちくりさせる。
「宗太くん?」
小鳥遊は至極真面目な顔で提案した。
「まひるさんが食べさせてください」
「え?」
伊波は彼の真摯な目での頼みに戸惑い、聞き返す
彼女は言葉の意味がわからない人ではないはずだ、ただ驚いているのだ。
だから小鳥遊はもう一押しと言葉を重ねる。
「要するにあーんして欲しいんです」
「…………」
伊波の思考はよりいっそう停止へと近づき、やがて湯気が立ち上るのでは、と心配になるほど赤面する。
「あ、あ、あーんって、そそそんなことムリ!恥ずかしいよ!」
「いや、体が動かなくて自分じゃ食べられないんですよ。」
そんな体調の悪い人間が、そこまですらすらと頼みごとをできるはずがない。
などと伊波まひるという少女が思い付くはずもなく、その場でどうしよう、と真剣に悩みはじめる。
こうなってしまえばもはや、伊波を操ったも同然。
とはいえ、伊波は彼女なりの最後の砦を引き出す。
「ででででもでも!間違いなく殴っちゃうよ!しかも熱いお粥も持ってるから宗太くん火傷しちゃうよ!だから」
「いいんです」
「へ?」
好きな女の子にあーんしてもらえるという夢の完遂という、完全に下心な部分は口には出さず、小鳥遊は伊波に微笑みかける。
「まひるさんに殴られるなら本望ですから」
「あわわわ…」
伊波の最後の砦の門はあっさりと突破されるのだった。
そして、あっという間に最上階にまで到達していた小鳥遊の提案は伊波のいる扉の目の前までたどり着いていた。
「そ、宗太くん、何か強引だよ?」
「そうですか?」
「そうだよ、いつもはそんな風じゃないのに」
「だったら誤解してますね、俺のこと」
「誤解?」
「俺、そんなに心は広くないですよ。まひるさんは何があっても、誰にも渡したくないです」
「渡したくない…」
「さっき夢を見たんです。まひるさんが俺じゃない誰かのところに行っちゃう夢を」
どこか自分をあざけるように言う彼を見て、伊波はその言葉を自分に重ねた。
「……」
「今なら少しまひるさんのお父さんの気持ちがわかります。好きだから誰にも渡したくないんです。俺のことだけ見ててほしいんです」
伊波は驚いた。
自分と同じことを小鳥遊が思っていたことを。
そして、それは彼女にとって素直に喜ばしいことだった。
ずるい考えかもしれないのは自覚していた。
けれど、自分だけではない安心感、しかもそれが自分の想い人なのだ。
お互い気持ちが通っているような、そんな気がして、自然と笑顔がこぼれた。
「ま、まひるさん、聞いてますか?」
「あ、うんわかった。宗太くん、あーんして」
「え?」
突然そんな余裕を持って言ってくるものだから今度は小鳥遊が困惑してしまうが、
伊波は構わずにさじを差し出してくる。
「宗太くんから言いだしたんじゃない、ほら、あーん」
「は、はい、あーん…」
小鳥遊は従順にぱくりと粥を口に含むと、口をもぐもぐと動かす。
「どう? おいしい?」
「はい、もちろん。」
「よかったあ、あんまり作ったことないから心配だったの」
もう味よりもまひるさんが食べさせてくれたから、それだけで十分なんですけどね!
と言ってしまうと、恥ずかしさで拳が飛んできそうだと、小鳥遊は口をつぐみ、また新たに差し出される粥を頬張る。
伊波はそんな彼を見て、また一口、また一口とさじで粥をすくって食べさせる。
甘えてきた割にちょっと恥ずかしそうに口にするのは何なんだろうとは思いつつ、
そんな小鳥遊がかわいく見えて、もっとその顔を見ていたいために、彼の口へのリレーを続けた。
◇◆◇◆◇◆◇
二人にとっては夢のような時間が、器が空になると共に終わりを告げた。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
自分の言葉に対して、まっすぐに返答してくれた伊波の笑顔を見て、
小鳥遊は今更になって自分の頼んだこと気恥ずかしさに身悶え始める。
にっこりと目の前で笑う彼女の顔がまぶしすぎるというか、
わざわざ嘘をついでまで彼女の優しさに甘えようとした
自分のしょうもなさというか、馬鹿さ加減に穴があったら入りたい気持ちに襲われていた。
そんな彼の心など知る由もなく、伊波は手を伸ばす。
目を伏せていた小鳥遊はそのことに気づくのが遅れ、何の準備もできないまま彼女に額を触れられる。
「ま、まひるさん…?」
小鳥遊はその事実に驚くしかできなかった。
男性に『触れる=暴力』、であった彼女がこんなにも優しく自分に触れているのだ。
それに驚くなと言う方が無理難題であったが故、小鳥遊は金魚のように口をぱくぱくさせる。
そんな彼を見て、伊波は微笑むと、ゆっくりと彼をベッドへと横たえた。
「まだ熱あるみたいだね、宗太くん。あとはちゃんと休まないと」
「は、はい…」
今日までだって小鳥遊は彼女に翻弄ばかりされてきた。
けれど、こんなストレートに魅力的な振り回され方ではなく、あくまで彼女の世話を焼くという意味でだった。
それなのに、今はどうだ。
完全に立場が逆転している。
あまりこういったことをされること自体が彼にとって珍しいということも
動揺を加速させている要因ではあるものの、何にしても今の伊波は
小鳥遊にとって初めてのことを感じさせるばかりでどぎまぎする以外できずにいた。
「今日もバイト入れてるかもしれないけど、休まなきゃダメだよ?」
「あ、ええ、そうさせてもらいます」
小鳥遊が自分の忠告というか、気遣いをそのまま受け取ったことに安心すると、
伊波は自分の身の回りのものを片付け始めた。
「まひるさん、どうかしました?」
「うん、もう家に帰らないといけないと思って」
「あ……」
窓の外を見やると、もう空に日は完全に上っていた。
そのことで自分が本当にずいぶんと長いこと眠り込んでいたことを把握した。
伊波は荷物をまとめ、粥もトレーに載せて、部屋を出る準備を終えると、もうひとつ小鳥遊に釘を刺す。
「それから今日は家事もしなくていいからね。ベッドでじっとしてるんだよ?」
「え、でも……」
さすがに家事はしないといけないと思っていた彼が口を開こうとすると、伊波が先回りする。
「みんなの分のご飯も用意しておいたし、お洗濯とかもやっておいたから心配しないで。
何か問題があったら、泉さんが連絡くれることになってるし」
「そ、そうですか、何から何まですみません」
「何から何まで毎日ずっとやってるのは宗太くんじゃない。
私はちょっとだけ手伝っただけなんだから大したことじゃないよ」
けろりと言いのける少女に小鳥遊は、苦笑いを返すしかできなかった。
どこか頼りなくて自分がいないとダメなんだろうな、と思っている節が
心に隅にあったから、本当は余計にしっかりとしている面もある彼女に申し訳なさが募った。
「体の調子が悪くなったらすぐに誰か呼ぶんだよ?
心細かったら私に電話してくれてもいいし、とにかく自分だけで何とかしようしちゃダメだからね?」
それと同時に、いつも以上に心配性な彼女は可愛くもあり、自分のことを想ってくれていることがよくわかり、心地よかった。
「はい、約束します。ちゃんと今日は休みます」
「うん。それじゃ私、帰るね」
「はい、ありがとうございました、この埋め合わせは必ずします」
「もう、埋め合わせなんてそんなの…」
いらないと言おうとした伊波だが、今から小鳥遊から離れるのかと不意に考えがよぎってしまい、それはちょっと寂しい、そう思った。
そして、それは連鎖的にあることを思い出させる。
―私以外の人を見て欲しくない
傲慢な考えだとは思う。
だけど、自分だけじゃなく小鳥遊も同じことを思ってくれていた。
自分の嫌いな父の考えと根幹は似ていることはあまり認めたくはなかったが、それは事実なんだろう。
結局、親子だから似ちゃったのかな、と父との共通項を見つけると、何となく父との距離が自分の中で近づいた、そんな気がした。
小鳥遊も言っていた。
自分はそんなに心の広い人間ではない、と。
私もそうだ。他の何かを誰かに譲ってしまったとしても、
目の前の彼だけは、小鳥遊宗太という愛しい彼だけは自分のものでいて欲しい。
―だから
伊波の心が走り出したなら、相手をノックアウトするまではもうどうにも止まらない。
例え突き出すのが拳ではなく、唇だったとしても。
「まひっ…」
「……」
おもむろに近づいてきた伊波が何をしようとしているか量りかねている間、
小鳥遊は動くことができずいて、対する伊波の動きに迷いはなく、
ベッドに横になっている少年の唇と、膝を突き前かがみになった少女の唇はしっかりと重なった。
その時間が果たしてほんの刹那のことだったのか、それとも息苦しさを覚えるほど長かったのかはどちらも記憶できなかった、する気がなかった。
ただ重ねるだけのキスであったとしても、その時間は二人にとって特別で、
何事にも代えがたい大切なものだったからこそ、今この時の逢瀬を味わうことしか考えられなかった。
「……」
「……」
伊波がしばらくしてから唇を離す。
小鳥遊も彼女の感触がなくなってから、目をぱちりと開ける。
お互いがお互いをじっと言葉もなく見つめていた。
二人ともまだ夢を見ている、そんな気分だった。
甘い夢…、だけどこれが現実だというなら、もう一度、もっと…。
小鳥遊がそう考えて、身を起こして伊波に近づこうとすると、
「あ、お兄ちゃん、もう起きたんだ」
彼の妹、なずなが爽やかに声をかけてきた。
「っっ!!」
「……」
伊波はびくりとして反射的に小鳥遊から距離をとり、そのままの勢いで立ち上がるとドアの向こうまで駆けていってしまう。
「わ、私、今日はもう帰るね!」
「え、そうなんですか? もっとゆっくりしてってくれればいいのに」
「ご、ごめんね、学校はお休みだけど夕方からバイトあるからっ」
なずなに早口で告げると、伊波はドアから小鳥遊に半分ほど顔を向ける。
予想通り彼女の顔は真っ赤に染まっており、湯気でも出そうな勢いだ。
それでも律儀な少女は
「お、お大事に!」
見舞いの言葉を最後に残して、脱兎のごとき速さで小鳥遊宅を後にした。
なずなは、わー伊波さんって足も速いんだねー、と口にしていたが、
兄が何も反応を示さないことを不思議に思い、近づいてみる。
なずなが至近距離まで近づいてもさっきから視点が動いていないように見え、
大丈夫なのだろうかと手を振ってみせても、全くの無反応。
「お兄ちゃーん?」
耳元で声を掛けてもみたり、小さなぬいぐるみをちらつかせても無駄。
なずながうーん、と小首を傾げていると、あ、とある名案を閃いた。
名案というよりは単なる興味本位でもあったのだが。
「ね、お兄ちゃん、さっき伊波さんと何してたの?」
「え……?」
油の切れた機械のように固い動きで首をようやく動かした兄に、なずなは淀みない瞳で再度問う。
が、今度はなずなの中で何か確信めいたものが生まれたために聞き方を絞り込んでみた。
「お兄ちゃん、伊波さんと何かしたんでしょ?」
「あ…あ……」
妹の無邪気な質問で、思考能力がようやく戻ってくるが、
すぐに先ほどの伊波との出来事がリフレインされ、瞬間頭がオーバーヒートを起こし、ベッドに倒れこんでしまう。
そして結局熱がぶり返してしまい、それから丸二日間の間、布団に包まるのであった。
ちなみに伊波もその日のバイトを休むことになり、
ワグナリアのフロアスタッフは大露になってしまうのだが、それはまた別の話。
了
以上でした!
今回は伊波と小鳥遊姉妹の絡みをメインに書いたつもりです。
特に原作的にちゃんとは出会っていない泉が中心。
もっとドロドロでグログロな展開を期待した山田な人には
ちょっと残念だったかもしれません。
で、せっかく小鳥遊くんには風邪を引いてもらったので当然看病場面も。
というか元々は小鳥遊と伊波は今回絡まなくてもいいやと思ってたのですが、
寝込んでいる小鳥遊に伊波の方からキスするというシチュエーションを
妄想したら、それがもうエロくてエロくて。
キスした後に、
小鳥遊「ま、まひるさん、風邪うつったら大変ですよ?///」
伊波「そ、宗太くんの風邪、キスしたら吸い出せるかも…とか…思って…///」
とか言って二人が赤面してるのを妄想したらうあああああああああ、ってなって。
そういうネタ出しの結果、見事二人はキスまでたどり着けましたとさ。
自分がニヤニヤできるのを書くのが何よりのモチベーションですよね!
というわけでまた続きます。
自分がニヤニヤできるという本能に基づいて書こうと思います。
今回よりはずっと短くなる…予定。
投下時期は完全に未定です。すみません。
話の内容やら流れはもう出来上がってるのであとは文に起こすだけですが、
まだ仕事に追われてるので、まとまった時間がとれない状況なのです…。
内容は伊波に会えない小鳥遊がどんなことになるのか、という話です。
最近投下してる人がまた結構来ててニヤニヤさせてもらってます。
ありがとうございます!
ではまたー。
了の人キタ―――(゚∀゚)――――――!!!
GJです!GJですよ!
待っていましたよ!
たかいな最高ですね!小鳥遊姉妹との絡みも良かったです!
キスまでいったということは次は舌をからまs(ry
何にせよ次回も楽しみに待っています!
頑張ってください!
>>584さん、見事といわざるを得ない。GJだ!!
私もSSを書いているのですが、どうにもうまくいかなくて困っています。
それでも、書くことが楽しいので止められないものですね。
今回の2828分は補給しました。
続きを心待ちにしております。
>>584 実にけしからん、甘酸っぱくてけしからん!
>伊波の心が走り出したなら、相手をノックアウトするまではもうどうにも止まらない。
>例え突き出すのが拳ではなく、唇だったとしても。
このフレーズが大好きだ
この2828分は今を生き抜く糧になる! 伊波んどんどんノックアウトしちゃって!
こんな良作品の後で気が引けますが御題ください
さとやちで片方タイムスリップ
>>589 ?! タイムスリップだと…?
やってみるさ…
>>589 さとやちじゃないが
小鳥遊が過去にタイムスリップ
→幼女いなみんに遭遇
→めっちゃ懐かれる
→「わたし、しょうらいおにいさんさんのおよめさんになる!」
→それを見てた伊波父が危機感を覚える
→「男は狼なんだぞ!」と教え込む
なんてネタを思い付いたw
出来た…のか…?
今回も難産だったよー
そもそもタイムスリップしてないよー
それじゃーいくよー
「私、タイムスリップしたわ」
「よし病院に行こうか」
「ひどい!」
ここ、北海道でも猛暑日が続くある日の朝。
俺の部屋に泊まっていった八千代は起床して開口一番、トンデモ発言をかました。
昨夜の寝る瞬間の事はあまり覚えてないが、一緒に布団に包まって寝てたんじゃないのか? それなら例えどこかに行ってても分かると思うが……
ははぁ、どうせいつものアレだろ。
「言葉が足りんぞ」
「わ、すごい。よくわかったわね」
「お前なぁ……」
「それでね、ちょっと未来の夢を見たの!」
やっぱり、いつも通り言葉が足りなかった。
未だに何を考えているのか判らないときがあるが、何を言いたいのかは大分と判っているつもりだ。
しかしそれってタイムスリップでも何でもない、ただの夢だよな?
話の腰を折るとややこしくなるからこの際、それは置いておこう。
「それで? どれくらい先なんだ? 来週くらいか?」
「来週じゃなくって……うーん、三、四年くらい先かしら」
「ほー、そこそこ近いな。登場人物は?」
適当に相槌を打ちながら返事をする俺に八千代はまだ寝ぼけ眼といった具合。
今日は朝一からのバイトの為、身支度を整えつつ着替え初めると、昨夜八千代を見る為に使った鏡に映る自分に何か違和感があるような気がする。
何が、かは判らんが……まあいい。
今は自分の準備をしつつ、八千代にも準備をさせなきゃならん。
「ワグナリアの人達よ。みんなで私と潤君の部屋に集まって御飯を食べてたわ」
「そーかそーか、そりゃ良いな。よし八千代、遅刻するからそろそろ布団から出て着替えないとな」
「はーい」
のそのそと起き上がり洗面所に向かおうとしている八千代を脇目に先ほどの言葉を反芻する。
俺と八千代の部屋って事は同棲、あるいは結婚か? 一軒家じゃなくてここより広めの賃貸辺りが妥当か。
三、四年くらい先なら俺は働いていて、高校生組は大学の一番楽しい時期だな。
たかが夢のはずなのに意外に容易く想像が出来るのは、それだけ今のメンバーが気にいっているのかもしれんな。
「んー……んー?」
「うぉ、どうした? シャツに何かついてるか?」
「今日起きてから鏡見た?」
「鏡? 見たには見たが……それがどうかしたのか?」
「ううん、何でもないの。早く着替えるわね…………気付かなかったのかしら? それとも出来なかっただけ……?」
着替えも終わり準備万端で八千代待ちになった俺は煙草を吸っていると、注意が散漫していたのか戻ってきた八千代に接近されていてシャツの首元をじっくりと観察された。
最後の方は既に離れて着替え始めていた為に聞き取れなかったが、別にシャツが破れているわけでも汚れているわけでもない。
何が言いたかったんだ?
ふと奇妙な事に引っかかる。
タイムスリップ発言と言い、今の行動と言い、おかしくないか?
あいつがおかしいのはいつもの事だが……
そこじゃない、と煙草を吸いつつ平生を装いながら考えてみるが……となると暑さのせいか。
なるほど暑さのせいだな。
それなら俺がさっき鏡を見た時の違和感にも説明がつく……のか?
「おまたせ。さぁ行きましょう」
「おう。今日も暑くなりそうだから気をつけていこうな」
「? そうね? 潤君も気をつけてね?」
「キッチンは暑いからな。ボタンを外して対処するか」
「ダメよ? きちんと着なきゃ」
煙草が半分以下まで灰になった時、八千代も準備が出来たらしく出発の言葉を掛けられた。
部屋を出て玄関の鍵を掛けると暑さが一層、際立って主張してくる。
たった今怒られたがこの様子じゃ着崩しは確定だな。
車までの少しの間、何故か俺は八千代の見た夢の内容が頭から離れなかった。
十年や二十年でもなく、ちょっと先、か。
明日どころか今日これからの事も解からんと言うのに、生々しいような、良く言えば現実味があるような。
現実味か……
そんなものを感じるなら、する事は一つ。
八千代の夢見た光景を叶える、それだけさ。
「ねえ潤君」
「どうした? 忘れ物か?」
車に乗り込みエンジンを掛けクーラーから温い風が出てきたところで、八千代は髪をそれに揺られながら前を見たままぽつりと呟く。
まるで俺の考えていた事を知っていたかのように。
クーラーの風が涼しくなるまで窓を開けようとスイッチに手をかけ、そこで八千代が呟いて。
まるで俺はその言葉を待っていたかのように。
「さっき見た夢、潤君とみんなと一緒に叶うって信じてるわ」
「俺もだ」
俺達はどちらからともなく笑い出した。
何が面白かったのかは解からない。
俺が即答したからか、暑さからか、意味もなく、なのか。
解からないが、俺達がいつかゆっくりと共に行くタイムスリップの目標が生まれた瞬間だった。
うわあぁぁぁあ(ry
本当はタイムスリップさせたかったけど、前の増刊号を買っていなくて子供の頃の話がよく分からなかったのでこんな結果にorz
髪の毛乾かす(昨夜)→今回(朝)→所有印(昼〜夕方?)かもですが、微妙に痕に対しての反応が繋がりきれてないので続けて読むと違和感ありです
>>595 普段いるジャンルの定番なんだ>喧嘩の末家出、愛を再確認後帰宅
WORKINGでファンタジーネタ振られても困るわな…耳掃除にしておけばヨカッタ
辛い出産させてすんません
でも萌えました!冒頭で吹いたよ(w
さすが「よく見ている佐藤くん」八千代を読みきってる
佐藤ったら落ち着いて対処してますねw
使用前佐藤なら動悸息切れ目眩いで大変なことになりそうなイベント楽々クリアとは大人になったもんだ
幸せそうな夫婦漫才ありがとうございました!
>>595おつ
ほのぼのイイ!
こういうのも好きだよん
>>544に続くと思うとたまらん
何回も読み返した
>>596-597 優しい言葉のおかげでリア充と会話してギャップに疲れていた心が浄化されそうです…
これで安らかに眠れる…
勝手にお題
「期末テスト」
じゃあ俺も勝手にお題
『独占欲』
2学期期末テスト(氏名 宮こしはな)
[問題]
公正取引委員会が「放っておくとこの子全然駄目になっちゃうから見張ってるわね
市場を自分のものだけにしたいって気持ちは分かるけどダメよ今夜は帰ってちょうだいあたしもつらいの」
法律名を正確に答えなさい
[回答]
どく占よく
海にて
八千代「さとーくん、日焼けに注意してね?」
ハイハイ、オイル塗られて佐藤さん泳げない泳げない
便乗して勝手に御題
『座薬』
恋の病には正面座薬ですよね
東田と宮越のイチャイチャが読みたいであります
605 :
0/5:2010/07/25(日) 03:13:49 ID:EioBHtXd
八巻発売記念に八千代考察投下
・エロなし、いちゃいちゃなし
・佐藤について本気だして考えた結果、八千代の話になった
・一ヶ月前に書いたものなので、八巻と辻褄が合わないかも
606 :
1/5:2010/07/25(日) 03:15:21 ID:EioBHtXd
ある日の休憩室。八千代は落ち込んでいた。
「元気ないようだけど、どうかしたの?」
おもむろに相馬がそう切り出した。ニュースが終わった途端、テレビに興味をなくしたようだった。先程まで「今頃ネットじゃ炎上してるんだろうな」などと呟いては、薄ら微笑んでいたのだが。
「良ければ話してみなよ。話せば楽になることもあるしさ。仕事関係の悩みなら力になれることがあるかもしれない。安請け合いはできないけどね」
そう言うと相馬は破顔した。
「ほらほら、言ってみなさい」
つとめて安心させるような笑顔につられ、八千代も微笑む。元気づけようとしてくれている相馬の気持ちがありがたい。小さな声で八千代は打ち明けた。
「……実はね、佐藤くんが素っ気ないの」
相馬は「まさかそんな」と笑い飛ばした。そんな相馬に八千代は肩を落として言った。
「本当なのよ」
「天変地異の前触れかな。どんな風に素っ気ないの?」
「素っ気ないというか、避けられてるの。たぶん」
「避ける。佐藤くんが轟さんを、避ける。うん、それは君の勘違いだ。避けられてると思ってしまった原因を言ってみなよ。全部否定してあげるから」
相馬の優しげな声と柔らかな物腰に励まされ、八千代は説明した。
「目が合わないの。佐藤くんと」
つまりこういうことだった。
以前なら、八千代が佐藤を見ると、いつでも必ず包みこむような眼差しにぶつかった。しかし近頃、佐藤は意図的に視線を逸らす。無視するわけではないのだが、不自然な態度で佐藤は八千代から視線を外すのだった。
「嫌われてしまったのかしら」
「いやあ、それはないでしょ。ていうか轟さんはそろそろ気付いてあげても良いんじゃないかな。いくら俺でもこればかりは言えないし」
相馬は思案顔でそうごちると、最後には一人で納得して頷いた。顔の前で人差し指をぴっと立て、微笑む。
「相手のことを知るにはまず観察から。俺から轟さんに一つヒントをあげよう。今日は佐藤くんをよく観察すること。きっと仲直りできるよ」
「うん、分かったわ」
八千代は戸惑いながら頷いた。同じ歳なのに相馬は「轟さんはいい子だね」と言う。殊更年上振るわけではないが、相馬は「大人」の態度が板についていた。
八千代はペコリと頭を下げた。暗雲に一筋の光が差したような気分だった。
「相談してよかった、本当にありがとう」
「いえいえ、いつでもどうぞ。ちょっと野暮用行ってくるね」
心から感謝する八千代に、相馬はひらひらと手を振りキッチンへ向かった。
***
相馬がキッチンに入ると、疲れたのか佐藤が肩を回しているところだった。とっくに休憩時間なのに、頼まれごとでもしていたのだろう。背の高い後ろ姿を見ながら、相馬はくっと小さく笑った。
(佐藤くんって本当に良い人だ。轟さんと見つめ合えるようにしてあげたけど、佐藤くんどうするんだろう。想像するだけで笑……頑張れ佐藤くん)
相馬は既に何もかもを承知していたが、佐藤の意図を八千代に告げる気も八千代の苦悩を佐藤に告げる気も毛頭なかった。「大人」の態度が板につく相馬だが、子供のように面白い事を好む面がある、ということを八千代は未だ知らない。
「佐藤くん、そろそろ休憩にしたら?」
***
(観察といっても、ずっと見られたら佐藤くんだって困っちゃうわよね。仕事もあるし)
相馬が行ってしまうと、八千代はぽつねんと座りながら考えた。相馬は観察しなさいと言ったが、まさか仕事中に佐藤をじろじろと観察するわけにもいかない。なにかいい手はないだろうか。
(そうだわ!)
八千代は手を打ち、立ち上がった。
ロッカーからメモ帳とボールペンを取り出してくると、八千代は首を傾げた。ボールペンを口元にあてて少し考え、メモ帳に「佐藤くん」と書く。
「佐藤くん。佐藤くんは”金髪”」
呟きながら、メモ帳の「佐藤くん」の下に「金髪」と書き加えた。
(それから”背が高い””優しい”……前髪はどちら側が長かったかしら)
佐藤の姿を思い出しながら、「金髪」「背が高い」「優しい」の横に似顔絵を書き入れてみる。金髪が顔半分を隠していて、煙草を咥えていて、身長が高い割に姿勢が良くて、……。
(なんだか違う人のような、似ていないことも無いような)
完成した佐藤は特徴を掴んでいるような掴んでないような微妙な出来栄えだった。どこをどう間違えたのか、何かの漫画に出てきそうなキャラクターに見える。
記憶している佐藤情報を記録していくことにしたのだが、どうも上手くいかなかった。相馬との会話で浮上してきた気持ちが、再び沈んだ。
(私ったら、大切なお友達のこと、ちゃんと見てなかったんだわ)
避けられるようになってから、佐藤とはほとんど会話をしていない。視線が重ならないことが気まずい空気を作り、会話をさせ辛くしていた。
一度八千代は勇気を振り絞って佐藤に話しかけようとしたが、端正な横顔や顎のラインが断固として視線を合わすのを拒んだ。その時に八千代の勇気はしぼんで蒸発し、今は欠片も残っていない。
(お友達が出来るなんて奇跡みたいなことだったのに。私は浮かれてるだけで、ちゃんと大切に出来ていなかった。きっと佐藤くんは呆れてしまったのね。だから避けるようになったんだわ)
そこまで思考が到達すると、八千代は青ざめた。
今更気づいた。わかりやすく表現しないだけで、視線を逸らすのはクールな佐藤なりの意思表示なのかもしれない、ということに。
(佐藤くん、怒ってるかもしれない! 怒ってたらどうしよう……! 誰か――――杏子さん! 杏子さんだったらこんな時どうするのっ?)
***
『糞餓鬼が……っ。誰がババァだ』
あれは杏子がまだセーラー服を着ていた頃のことだ。絡んできた不良たちをぶちのめした後、杏子はきっぱりと言ったものだった。
『仏の顔も三度まで。二度あることは三度ある。なら二度目も許さん! 一度でもババァ呼ばわりしたやつは砂にしてやるから覚えてろ』
『白ちゃん、言ってることが滅茶苦茶だよ』
『とにかく私を怒らせたのが悪い。怒らせたやつは砂だ!』
怒りに瞳を燃やし、そう宣言した杏子は誰よりも強く美しかった。
***
八千代は途方に暮れた。杏子を怒らせた不良は砂になった。
(ということは佐藤くんを怒らせた私も砂なんだわ。佐藤くんは私を砂にしたいの? そうなのね、佐藤くん。気づかなくてごめんなさい)
八千代はメモ帳を握り締め、決意した。
(わかったわ、佐藤くん。私を砂にしてちょうだい、存分に! 覚悟は出来たわ、ええ――!)
とはいえ、もう佐藤と向きあう勇気が八千代にはなかった。
握りしめた似顔絵の佐藤は少し皺が寄り、へちょりと折れ曲がっていた。慌ててテーブルの上で皺を伸ばしてみたが、紙はヘロヘロになってしまった。
(まあ大変! 私ったらなんてことを……ごめんなさい、佐藤くんの似顔絵さん)
心の中で謝罪をする。似顔絵は責めることなく無言だった。
(そうだわ。佐藤くんも……)
思えば佐藤本人もそうだった。文句一ついわず、何時間でも八千代の話にじっと耳を傾けてくれる。話すことは杏子のことだけだった。四年も一緒に働いてきたというのに、佐藤とは共通の話題が他に無く、八千代は杏子のことしか興味がなかったからだ。
(でも今は違う)
今ではどうだろう、八千代には気にかかる人が増えた。興味のあることも増えた。それは浮き沈みしやすい情緒面を支えてくれた佐藤のおかげではなかっただろうか。
***
かつて八千代はたまごだった。苛めっ子に怯え、内に閉じこもり、たまごになっていた。その堅い殻を破り、守ってきてくれたのは杏子達だった。
それはこの上なく幸せなことだったが、八千代はしっかり自立した人間となり、杏子達へ恩を返したいと思っていた。思うだけで、中々自分の弱さや甘さから抜け出せない。
そんな八千代に、他の人が他愛もなくこなしていること――例えば友達と名前で呼び合うことだったり、携帯電話だったり――八千代にとっての新しい扉を開いてくれるのはいつも佐藤だった。
(そんな大切な人を怒らせてしまったんだわ)
八千代は申し訳なさで心がいっぱいになった。破裂寸前の風船のように、気持ちが自己嫌悪で膨らむ。
「……佐藤くん、ごめんなさい。似顔絵描けなくて、ごめんなさい」
膨らんだ思いが口をついて出た。似顔絵はぐりぐり目玉のまま答えない。
(これじゃ、全然似てないじゃない。佐藤くんの目はこう)
八千代は目を閉じ、心の中で佐藤を描くことにした。
佐藤は切れ長で優しい色をたたえている。優しいだけではなく、あたたかい。そして瞳の奥で何かが燻っていた。宿しているのは正体不明の激しさだ、と八千代は最近になって気がついた。
***
佐藤の瞳が熱を帯びている事に気づいたのは一週間程前のことだった。
それまで八千代は想像したことすらなかった。優しい佐藤が激情を持っていて、それが自分に向かって発せられているなんてことは。しかもその激情には、僅かに苛立ちが含まれているように見えた。
(怖い……!)
思わず八千代は怯えた。
感情の機微に聡い佐藤に、怯えは素早く伝わったのだろう。八千代の微かな震えを確認した途端、佐藤は控えめに離れていった。
***
608 :
3/5:2010/07/25(日) 03:19:59 ID:EioBHtXd
見たことのない佐藤の感情を八千代は怒りだと解釈したが、何が原因で佐藤は怒っていたのだろうか。いくら考えても八千代にはわからない。
佐藤が怒るからには正統な理由があるだろう。もしや気付かなかっただけで、長い間佐藤は怒っていたのかもしれない。そう思うと、八千代の胸は張り裂けそうになった。
(佐藤くん、本当にごめんなさい)
似顔絵に向かって頭を下げると、八千代は声に出して祈った。
「私、砂になる。砂になってサンドアートにでも使ってもらうわ。そしたら誰かのお役に立てるもの。だから佐藤くん、嫌いにならないで――」
「だから、嫌いにならないっての! ……砂??」
「!?」
突然のことに、八千代は驚愕した。腰を浮かし立ち上がりかけ、途中で固まる。
休憩室出入口には金髪で背の高い、佐藤本人が立っていた。佐藤は「しまった」というように口に手を当て、明後日の方向を見ている。
八千代は固まったまま、椅子に腰をおろした。
「いつからそこに」
「佐藤くんは金髪、のところから。一人百面相の邪魔できなくて見ていた、すまん。砂って何だ?」
どこか飄々とした佐藤の返答に、八千代は全身の血が顔や腕などに集まり、一瞬にして沸騰したかのように感じられた。
「きゃああああ!? 最初からじゃないの、忘れて! 違うの! これは! 違うのよ!」
「なにが」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「落ち着け、謝るな。謝罪する必要はない。意味もわからない。お前はサンドアートをやりたいのか?」
言いながら佐藤は休憩室へ入ってくる。そして長い腕を伸ばしてきたかと思うと「あ」の形に口を開いた。腕は八千代の肩に触れる寸前で硬直し、結局佐藤は触れることなく静かに腕を戻した。
そんな佐藤の一連の動きに八千代は哀しくなってきた。
「違うわ」
しょんぼりと首を振る。
「瓶詰めのサンドアートなら、佐藤くんとずっと一緒に居られるかなって思ったの。家の窓辺にでも置いてもらって」
「!」
八千代の言葉に佐藤は息を詰めた。目を見張り、完全に動かない。
指でつついても微動だにしないので八千代は少し心配になった。
「佐藤くん?」
「……いや違うだろ、俺。こいつだぞ? 罠でしかありえない。大体、意味が分からん。何で砂なんだよ阿呆か」
硬直から解けると、佐藤は頭を振った。深く深くため息をつく。大分、疲れているようだ。
(謝るなって言われちゃった。それに佐藤くん、砂は嫌なのかしら……。どうしましょう)
困り果てた八千代の脳裏に、相馬の言葉が蘇った。
『――よく観察すること!』
そうであった。相馬が言っていたではないか。「仲直りのヒントは観察」だと。
八千代はテーブルの上に身を乗り出し、佐藤を真剣に見つめた。
「……?」
佐藤はひるんだようだった。視線の先で赤く、赤く、赤く――ゆでダコのように赤くなっていく。病弱な佐藤は青ざめていることが多いので、こんなに血色が良いのは非常に珍しい。
(佐藤くん、まっか。なんだかちょっと、面白い)
「おい」
「なあに?」
「いや……」
大きな咳払いをしてから離れた場所に座り、佐藤は顔を背けた。テーブルに身を乗り出したまま、八千代は佐藤をつぶさに観察した。
(佐藤くん、髪の毛つやつやキューティクル)
八千代側からみると、真っ直ぐに伸びた前髪によって佐藤の目元は隠されている。煙草をくわえていない口元はかたく引き結ばれていた。全体的に紅潮しているところからみても、未だに収まらない怒りをこらえているようだ。
(あああどうしましょう。全然わからない)
八千代は焦った。こうして観察していても、なぜ佐藤が怒っているのかわからない。
(遠いからいけないんだわ)
ナイスアイディアとばかりに八千代は頷いた。立ち上がって近づいていくと、佐藤は肩を大きく震わせ、また彫像のように動かなくなった。
(佐藤くん、動かない)
佐藤の隣に座りなおすと、八千代は観察を続けた。テレビすらつけていない無言の室内には、レストランの方から物音が遠く響いてくる。こうも近いと、お互いの息使いまでが聞こえてきそうだった。
(佐藤くん、まつげ長い。肌もきめ細かできれい)
ファンデーションをつけているようには見えないが、基礎化粧でケアをしているのかもしれない。ほんのり紅潮した頬にはにきびひとつなかった。
(触ってみたい)
当初の目的を忘れ、次第に八千代は脱線していった。
609 :
4/5:2010/07/25(日) 03:20:37 ID:EioBHtXd
「いったい、なんなんだ」
「観察してるの」
「……そうですか」
八千代が短く答えると、佐藤は憮然と黙り込んだ。一度目を閉じると、今度は浅いため息をつき「頭が痛い」とぼやいた。佐藤の持病の一つは偏頭痛だ。
「本当に意味が分からん。説明しろっていっても無駄なんだろうな……」
「佐藤くん、まつげ触っていい?」
「たまにお前の頭を割って中身を見てみたくなる。その手をおろせ。自分のまつげで我慢しろ」
苛々とした様子で佐藤は伸ばされた八千代の手をとる。そして握りこんだままの指先を八千代の目元に近づけた。
その親しげな動作に八千代は嬉しくなった。にっこりと微笑みかけると、佐藤は我に返った。火傷したかのように慌てて手を離すと、佐藤はそっぽを向き一言いい捨てた。
「阿呆鳥」
そんな暴言を聞いても、もう八千代は哀しくなかった。
観察をしている内に、八千代は気づいたことがある。
佐藤は頬杖ついたり雑誌を構えてみたりして、食い入るような視線から懸命に逃れようとしていた。しかしこの場から一向に動こうとしない。八千代を拒絶する言葉もない。とにかく視線さえ合わせなければ、八千代が傍に居ても構わないように見えた。
「ねえ、佐藤くん。もしかして怒ってないの?」
意を決して尋ねると、佐藤は面倒くさそうに答えた。
「何を勘違いしてるのか知らんが、最初から怒ってねえ」
八千代は文字通り飛び上がって喜んだ。佐藤の両手をとり、ぎゅっと握り締める。
「そうだったの!」
「そうだったのです」
握りしめた手は素っ気無く振り払われた。じりじりと椅子ごと後退していき、佐藤は八千代から距離をとる。どうやら警戒されているようだ。まつげは大事だものね、と八千代は思った。
「良かった……。本当に良かった。私てっきり、怒らせちゃったのかと」
「下らんことで悩む前に先に聞け」
お前の阿呆さ加減には腹が立つと佐藤は言添えたが、八千代は聞いていなかった。胸をなでおろし、ほっと息をつく。
そういえば先程の恥ずかしい独白にも佐藤はちゃんと答えてくれたではないか。八千代は少し浮き浮きしながら問いかけた。
「さとーくん、私を嫌いにならないって本当?」
「ノーコメント」
「じゃあ、好き?」
げほごほと佐藤がむせた。煙草を吸っていないし飲み物もないのに、不思議なことだった。佐藤はたまによく分からない。
それでもいつもの関係が戻ってきた気がして、八千代はひっそり打ち明けた。
「私はさとーくん大好きよ」
「そーかよ……」
八千代が告げると、佐藤は脱力したようにテーブルに突っ伏した。
何やら佐藤は弱りきっているようだった。その広い背中を見つめながら、八千代は言葉を重ねた。
「さとーくんとお話したい」
佐藤に杏子の話をする。それは二つの幸せだった。大好きな杏子の話を聞いてもらうこと。佐藤に幸せをおすそ分けできること。この二つだ。何も持っていない八千代だが佐藤の優しさに報いたかった。八千代の感じる幸福を分けてあげたかった。
そして今では三つ目の幸せができた。佐藤と話をすることが、いつしか八千代自身の喜びにもなっていたのだ。
「さとーくん、大好き」
「……もう、煮るなり焼くなり、勝手にしろ」
佐藤は頑なに視線を合わせないまま、ぶっきらぼうに呟いた。
お前の言う事ならなんでも聞いてやるよ、と。
610 :
5/5:2010/07/25(日) 03:21:37 ID:EioBHtXd
***
一週間程前。
「佐藤くんさ、自分で気づいてるかな。最近、轟さんをとって喰いそうな形相してるの。急激に仲良くなったせいで、歯止めがきかなくなってきたんだろうけど」
「……」
「お、今『なら顔を合わせない』とでも考えてるのかな? 涙ぐましいなあ。でもそれじゃ轟さん哀しむよ」
「…………」
「だったら、この際告白しちゃえばいいと思う! 断られても意識してもらえる切欠にはなるし。蓋然性が高いかどうか試してみなよ。
このままでも十分面白いけど、次のステップは更に面白いと思うんだよね。俺にとって。ところで佐藤くん、そのバーナー何に使うの?」
「情けをかける気は一切ないが最期だからな。同僚のよしみで選ばせてやる。ベリーウェルダンと完全な炭どちらがいい」
「佐藤くん。俺、バーナー今使わない。いや、近すぎ。焦げる、焦げるったら」
「遠慮するな」
「なんだ、騒がしいな。なんか焦がしたのか?」
「これから焦げるところだ」
「ほー肉料理か。ご相伴にあずかろう」
「店長食えない、俺食えないよ! なにその待機の仕方」
「そうだぞ、店長。ナイフは右、フォークは左だ」
「うちはファミレスだ。厳格なテーブルマナーを必要とする店じゃない。気にするな」
「佐藤くん、照れ隠しはもっと大人しめに。店長が本気にするから」
「店長、焼き加減どうする?」
「根性焼きで」
「了解」
「君らが言うと洒落にならない。バーナーは人に向けてはいけないよ」
「二年、か。細かいやつだったが、今となっては良い後輩だったような気がする」
「遠い目して、なに物騒なこと言い出してるのかな。あと店長、そのソースなめても良いけど、俺にかけないで。
うん、店長みたいな女性に噛み付かれるのは中々イイんだけど、あれだよね、店長の場合完全に食欲だよね。俺を欲してるのは胃袋だよね。こらこら。店長、ロー(生肉)、俺はローだから」
「だから焼けばいいんだろ?」
「いやいやいや、そうじゃなくて……! ……!」
キッチンに相馬の悲鳴が響き渡った。
面白さの追求は時として命がけなのである。
合掌。
※この話の相馬は不死身です。杏子は人を食べません。佐藤の所持していたバーナーは実は燃料切れしていますが、人に向けるのは危険です。決して真似しないでください
途中焦って改行入れたので、どこか消えてるかもしれません。すみません
こんな話が書きたかった↓
・八千代…佐藤→八千代を恋心ではなく立腹と勘違い
・佐藤…八千代に欲望を見抜かれた上、恐怖を与えたと勘違い
どちらも相手に嫌われたんじゃないかとびくびく。根本的解決はしてない
八千代=間近で熱視線注がれたり愛を囁かれた経験がまったくなさそう+人付き合いがほとんどない
八千代は異性からの好意を正確に認識できないかもしれないな…という妄想でした
お粗末様でした
GJ! 佐藤が相馬にバーナー向けた時、いつ「汚物は消毒だ!」の台詞が出てくるかと期待してしまったw
燃料切れw
>>602 正確にはその姿勢から立てない、では
たってるから
だれうまww
人が大勢いる夏の海でローション代わりにオイルプレイか…ゴクリ……
伊波が男になれるとかでオイルをぬろうとして
殴られて石のように海面を飛ぶタカナシお願いします><
ヤーマダ行こう 次ーのにちーよう
むーかしみたいに 兄ーが来れば かわーぞこーに
沈めしかばね越えーて
精霊「あなたの落とした桐生は(ry」
山田「全部違います。拾わないでください」
精霊「失礼しました」
ずぶずぶ
桐生「「「いもうとぉお!!?」」」
葵と桐生って、普段どういう会話してたんだろうか
桐生が手を出しちゃったのが原因で家出した、って感じの話を
書こうとしてて途中でやめたことはあったりする
八巻読んでしまって書けるかどうか不安だけど御題ください
座薬
手が空いていたらこんなのもどうですか?
・人工呼吸
お好きな組み合わせでどうぞ。
裂ける床、熱風で舞い上がる砂埃
「打ってこい伊波さん!」
「ごめんなさい小鳥遊くんー!」
ドゴォオ!!
「小鳥遊くんもこれで終わりね…」
「いや…、まだやつは終わっちゃいないさ。見ろ」
「――こんなものですか。伊波さんの本気は」
「た、耐えた!?」
「ふ、もう以前の俺じゃないんです…」
「小鳥遊…一回り大きくなったな」
「店長、俺やっとわかったんです。俺が大きくなれば、相対的に周囲が小さくなる…そのことに」
「小鳥遊くんカッコいい…。そんなあなただから……わたし、全力で行きます!!」
「な、あれでまだ全力じゃないだと――!?」
たまにはこんなのも読みたいの
>>623 やだなにそれ凄い
てゆーか色々突っ込みたい
ファンブック買ってきたが…
なんというSS資料…
建物の内部、小物設定、全て網羅!原作をあれこれ探しながらめくるより楽!
書き手の皆さん、こいつは鬼使えますぜ…マジで
いやー難しいッス。ちょっと日があいちゃったし
言い訳は投下してからにしますので投下
ぽぷ→さとやち風味なので注意
『さとーさん、それなに?』
『ん? これか?』
『何かちょっとおかしな細長の、それ』
『これか? これはな、座薬だ』
『座薬……? 何でそんなものさとーさんが持ってんの?』
『普通の頭痛薬や胃薬じゃ効かなくなってきたから座薬に手を出してしまった』
『そっか、さとーさんは辛いんだね……』
『嘘だがな』
『嘘なの!? じゃあ何の為に持ってんのさ!?』
『それはな……お前に使う為だ!』
「きゃああぁぁっぁあああーーー!!!?」
「どどど、どうしたのぽぷらちゃん?」
「や、やちよ……さん……?」
自分の叫び声で目を醒ました私は、八千代さんが私の部屋にいる今の状況がよく分からないでいた。
確か、バイトしていたはずなんだけど……と振り返っていると気付いたのは体の異変。
頭がぼーとして、全身汗だらけで熱くて、呼吸が苦しくて咳が出てくる。
これってもしかして……
「大丈夫ぽぷらちゃん? 怖い夢でも見たのかしら?」
「う、ううん。それより何で八千代さんが私の部屋にいるの?」
「ぽぷらちゃん忘れちゃったのかしら?」
「何を?」
働かない頭で瞬時に必死に考えた結果、言わないでおこうとの結論。
流石に今の夢は彼女の八千代さんにも言えないもんね。
佐藤さんは私に感謝しなさい。えっへん。
「ぽぷらちゃん、バイト中に熱が出ちゃって今にも倒れそうだったから早退させて家まで運んできたのよ?」
「そうなんだ……」
「それで部屋に入ってベッドに寝かせたらすぐ眠っちゃって。そうしたらさっきのアレで……本当に大丈夫?」
「そうだったんだ。うん、大丈夫だよ。なんでもない」
そっか……そう言えば今日は朝から体調が優れなかったしフラフラしてたなぁ。
みんなに迷惑掛けちゃっただろうな。
これじゃあかたなし君に先輩としての示しがつかないよ……
あれ? 八千代さん、運んできたって……?
「あの、八千代さん……」
「そうそう、もう少ししたら潤君がおかゆ作って持ってきてくれわ」
「さとーさんもいるの?」
「いるわよ? だって潤君の車でここまで運んできたんだから」
予感は的中した。
八千代さんだけじゃ私の家は分からないし運べない。
当たり前と言えば当たり前だけど、やっぱり佐藤さんが一緒に来たんだ。
どうしよう。
こんな格好や部屋を見られたのかな。
もしかしたら手が掛かって面倒くさいと思われたのかな。
それで嫌われてもう構ってもらえなくなるのかな。
「八千代さん……私、さとーさんに嫌われちゃう……」
「何でそんな。もしかして迷惑を掛けたって思ってるの?」
「だって、だって、バイト中にこんな事になったら……」
「全然。誰も迷惑だなんて思ってないわ。もちろん潤君もよ?」
「……ほんとに?」
「本当。むしろいつも仲が良くて嫉妬しちゃうくらい」
そう言って笑う八千代さんはすごく綺麗で、私なんかじゃ敵わないと思うには充分で。
二人は付き合っていて、佐藤さんは佐藤さんだけしか知らない八千代さんを知っていて。
二人は好き合っていて、八千代さんはきっと八千代さんだけしか知らない佐藤さんを知っていて。
きっと二人は、私が知らない場所で、私が知らない事をして、私が知らない愛を囁き合っている。
私は佐藤さんが好きだった。
勿論、今でも。
佐藤さんに髪を弄られたり身長の事をからかわれたりは怒って。
でも私は構ってもらいたくて、すぐに佐藤さんの所に行っていた。
葵ちゃんに付き合えばいいと言われた時は内心ドキドキしていたけど、どうしようもなくて。
お子様だと思っていたのは本当だけど、構ってくれるところも好きだったから。
佐藤さんもお子様って言った時は、お子様をしていれば構ってもらえるから、それで良いんだと納得させた。
けれど。
いつからか、佐藤さんが好きな人は八千代さんだと気付いて。
いつからか、佐藤さんの隣には八千代さんがいた。
その時、私は失恋したのだった。
気持ちを言っていれば変わっていたかも知れないけど、単純にあの雰囲気や関係が好きで壊したくなかった。
だからか、今でも私は佐藤さんと距離を置けずに近くに行ってしまう。
それを、仲が良い、だけで済ませられる八千代さんには敵うわけがない。
「ぽぷらちゃんは本当に潤君の事が好きなのね」
「八千代さんは?」
「私も好きよ」
違うよ八千代さん。
私、八千代さんが思っているような好きじゃないよ。
それなのに何でそんな優しい顔をするの?
私、八千代さんに言わなくちゃ。
それはいったい何を?
「そろそろおかゆ出来る頃だと思うんだけど……」
「あのっ八千代さん……」
部屋の時計を眺めながら呟く八千代さんと、同時に聞こえてきたのは階段を上ってくる音。
その二つを聞きながらも勢いが止まらない私の声と、同時に聞こえてきたのは部屋のドアを開ける音。
解からないけど言わなくちゃ。
この熱くてどうにかなってしまいそうな体と心の真実を!
はいはいイミフイミフ
本当はもっと長いのかギャグにしようと思っていたのですが無理にまとめたらこうなりましたorz
ぽぷら難しいね。ぽぷさとやちも好きで前から書きたかったけど、いざ書いてみるとぽぷら→佐藤の心情を書くのが難しすぎて……
書くまでは何とかいけると思っていたのですが、それまでにさとやちでいちゃいちゃさせすぎたのが原因かもw
ぽぷさともいつかリベンジしたいです
8巻が色々良すぎて新たな妄想が止まりません
>>631 佐藤×伊波とか
M岸×一枝とか
佐藤×八千代の飲み会とか
確かに妄想が暴走しそうだ
小鳥遊<・・・
小鳥遊×桐生だな…
ギャグコメディーなら…
ことりちゃん×伊波
↑
桐生
でどうだ
>>636 小鳥遊「俺だけ地獄ですね」
伊波「じゃあ私も男装する!」
ことりちゃん×男装伊波←桐生「一人勝ち状態!!」
「百合男装受とは色物だな。だがそれがいい! 任せたまえ、どちらも幸せにしてやるさ!」
「ことりは貴様が大嫌いだと思いますよ」
「ははっ照れ屋さんだな! 奥ゆかしい女性も好きだ!」
「…立ち話もなんですから、パンとワインをどうぞ」
「情緒不安定君は意外と気がきくな。しかし何故パンとワインなんだ?」
「最後の晩餐ってご存じですか」
「小鳥遊くん怖いよ…っ!?」
迷走して煮詰まって御題を書く気力がないので自分で考えたのを投下してもおk?
>>638 お題もお題じゃないのも好きなの書けばいいさ
IDかっけー
ありがとう
いつもの世界観でいつもの短さです
投下
「あつい……」
「暑いな」
惰性で点けっぱなしのテレビには、今年一番の暑さでしょう、とリポートするさわやかなお姉さんとこの地域の快晴と三十度を超える天気図が映し出されていて。
クーラーの稼働していないこの部屋の気温は時間と共にぐんぐんと上昇の一途を辿っている。
窓を全開にして扇風機を最強にしていても汗は流れる事を忘れてはくれない。
暑いと言う割りに涼しげな潤君。
どうしてかしら? と疑問に思いながら顔を見つめていると、察したのか呆れたように答えてくれた。
「慣れただけだ。本当はすごく暑い」
「ど、どうして解ったの?」
「頭の上にクエスチョンマークと鳥がピヨピヨいたから」
「もう……」
実際に見えたんだからしようがない、と言わんばかりだけど、暑くてそれを言うのですら面倒くさいって感じ。
それなのに大きい体をのそのそと動かして私の後ろにくると、そのまま腕を前に回して抱きかかえた。
立てた足と足の間に納まると安心する。
部屋の中で二人きりなのと夏だという事で、普段より露出の多い部屋着の私達。
自然と肌と肌が触れ合う事になる。
「お前、冷たいな」
「そう? 自分じゃ判らないわ」
「冷たくて気持ち良いよ」
そう言ってもっときつく抱き寄せるのだけれど。
私の首と背中の境の辺りに顔を埋めるのだけれど。
「ショッピングセンターに涼みに行かないか?」
「人が多くて怖い……」
「一人じゃないだろ」
そのまま喋るからくすぐったくて。
その優しさがくすぐったくて。
「行く前にシャワー、浴びない?」
「水なら良い」
「そうね。準備するわ」
準備の為に解放されると、残るのは少しの寂しさ。
潤君が先に私を好きになったらしいのに、いざお付き合いを始めるとくっついてくる事なんてないから、さっきのような時間が愛しくもある。
はしたないと思われるかもしれないけど、好き合っている若い男女がくっついていたのだから、もうちょっとそういった雰囲気にならないのかしら?
ならないのか、しないのか、出来ないのか。
そういったところも含めてきっと好きになったのよね。
昔の私に伝えたいわ。
杏子さんの他にも好きな人が出来て。
その人に会えない時はとても胸騒ぎがして、杏子さん以外の人を大切に想う日がくるのよって。
信じられないでしょうね。
今でも杏子さんは大好きだけれど。
あの頃は杏子さんの事しか考えていなかったし、考えられなかったし、それで良かったのだから。
昔の私に自慢したいわ。
潤君という好きな人が出来て。
杏子さんといられる幸せと潤君といられる幸せの共存があるのよって!
「俺は後でいい」
体勢を変えて座り直して扇風機の風を自分に向けて、風で煙草が吸えないせいか仏頂面でテレビを見ながらぽつり。
恥ずかしいのかしら?
一緒にお風呂に入った事がないわけでもないのに。
お互いの裸を知らないわけでもないのに。
それなら、と湧いてきたのは親切心と悪戯心と愛情。
親切心は潤君に言い訳を。
悪戯心は潤君にからかいを。
愛情は私のストレートな本音を。
それらを我侭と言う名の勇気で以って、たった一言で。
「ねえ、一緒に入りましょ?」
壊れたクーラーと、再確認した幸せと、赤くなった顔と、二人で浴びる水のシャワーと。
そんなある夏の日の出来事。
さとやちで原点回帰というかなんというか
歌の一節を引用したので明文化しておきます。
>その人に会えない時はとても胸騒ぎがして、杏子さん以外の人を大切に想う日がくるのよって。
この部分を SWEET PAIN/globe から手を加えて引用しています。
こういった引用に対する考えは人それぞれだと思いますが、自分は肯定派でありパクリだと騒がれるのもアレなので明記しておきます
(あえ)なーい(時の)胸騒ぎー
小鳥遊「なくはない! 伊波さんは! これから小さくなる! 成長過程なんです!!」
伊波「やめて!! むしろ傷つく…っ」
そんなすい〜とぺいーん
>>643 GJ!ラブソングっていいよねん
相変わらずの男前八千代&乙女ん佐藤の幸せバカップル振り
イチャイチャしやがってもっとやれ!とてもいいと思います!
ニヤニヤ止まらんww
GJ!
気温が体温より高いときはくっついている方が涼しいかもしれないから、佐藤は試せばいいと思います
大学の実験だといえば誤魔化せます
>>644 自分なりの解釈でやっていきたいと思います
でもイチャイチャは忘れないw(キリッ
>>645 このやちなら、嘘を吐いている味(ry くらいはやりかねないww
本当にgjは励みになります。ありがとうございます
投下します
・相馬×妃
・リリカル&少コミ風エロ
タイトルは「プレアデス・チェイン」です
古今東西、星は希望の象徴だ。プレアデス星団――つまり昴は希望の塊と言っても良いんじゃないかな。
なんて寒い事を考える程度にはロマンチックな気分だ。なんたって星が落ちてきたんだから。
☆彡
(声は出さないんだね)
もう何度目だろうか。耐えるように彼女は唇をきゅっと噛み締めた。紅を差した赤く、瑞々しいくちびる。濡れたそれは官能的に侵入を誘う。
(柔らかそうだ)
思わず指を這わす。
「……った」
と、背中に爪を立てられた。
「痛いよ」
「知るか。触んな」
「触るな、って。そう言われてもねえ」
この期に及んで、慣れ合いを拒む胆力。いっそ感動する。
「次ちょっかいかけてきたら噛むから」
「わかった。噛んでほしいから、ちょっかいかけるね」
「この……っ」
絶句し、こちらを見上げる彼女はまるで毛を逆立てた猫のようだ。
決して心を預けまいとする、きつい表情を浮かべている近藤妃。今も昔も、彼女は孤高といっても差し支えないような存在だ。たおやかな高嶺の花というより、満天の星空、一つだけ暗い場所で強く瞬く、蒼い光り。それが妃だ。
そんな彼女が腕の中にいる。腕の中で次第に熱を持ち始め、しっとりと汗をかいている。いつもの冷めた態度はなりを潜め、憤慨した様子でしがみついてくる。
(ああ、悦いね)
彼女は悔しそうにくちびるを噛み、官能をやり過ごそうとしている。気持ちいいと認めることは屈辱である、とでも言うかのように。それでも彼女は繋がっている部分から意識を逸らすことが出来ないでいた。
(この状況で無視できるならそれはそれで凄いけど、)その事実が辛く耐え難いのだろう。妃から僅かな震えが伝わってくる。彼女の中心に穿っている自身がうずいた。
「近藤さんって猫みたいだね」
「うぜえ……。どうでもいいし疲れてきたんだけど。喋ってないで早く終わらせてくんね?」
「はいはい。仰せのままに」
腰を大きくグラインドさせる。動き出せば文句はないのだろう、たちまち彼女は息を呑み込み沈黙した。しかし不機嫌な表情は隠そうともしない。組み敷かれている現状に我慢がならないのがありありと察せられた。
(声、聴きたいな)
こういった行為には慣れてはいないが、最初で最後のチャンスとばかりに集中したお陰か、はたまた二回目は注視して触れていったお陰だろうか。彼女が気に入っていると思われる位置を発見した。妃はひたすら不快げに眉をしかめているだけだが、ソコだけ反応が違う。
(女の人の善がりって演技が多いって言うけど……、やってみなきゃわかんないよね)
妃の脚はすべらかだ。腰を動かしながら、白い内腿から付け根まですうっと指でなぞっていく。妃は訝しげにしているが何も言わない。
(さてさて、どうかな)
指が目的地に辿りつくと、ソコを軽くこすってみる。妃がびくりと震えた。
「――もういい。楽しむつもりはないんだから、余計なことすんな」
「わかってるよ」
小言を封じ込めるために軽く腰を突きながら、指でソコを弾く。腕の中から断続的に鼻声が甘く漏れた。
無意識の内だろうか自らも動き、指に腰を押し付けてきて官能を追いかけてくる。妃は面白い位、こちらの意のままにびくびくと反応した。同時にたわわな胸が汗を弾き、実にいい眺めだ。
「あはは、可愛い」
「……く、そ…った、れ!」
妃はぎりぎりと歯噛みし、鋭い眼光を向けてきた。褒め言葉のつもりだったのに、どうやら彼女は酷い侮辱と受け取ったらしい。微笑を浮かべると完全に逆上したようだった。面白い。
「じゃあ愛くるしい、かな。近藤さんは愛くるしい」
「――ざけんな、イチャつく気はない」
強気な口調はかすれていた。手の中でとろけるような白く熟れた胸を揉みしだき、その潤んだ瞳に唇を寄せる。が、彼女の手によって遮られた。
「……ちょっと。勘違いしてないか? 惚れた腫れたの世界じゃあるまいし。少なくともこっちはそういうつもりじゃないっつーの」
「えー。ここまで来たんだから、夢を見させてくれたっていいじゃない。俺を好きになってよ、近藤さん」
挿入をぴたりと止め、妃の耳に息を吹きかける。
「ぁ……っ」
(やばい)
きゅうきゅうと締め付けが強まった。限界が近づいた。彼女もまた、全身から物足りなさを訴えている。が、妃は屈しなかった。呼吸を整えながら、手厳しいことを言う。
「……問題外っ。不可能」
「あ、ざっくりきた。でもさ、希望をもてば不可能は可能になるっていうでしょ」
「言わ、ない…誰の言葉?」
「俺」
「馬鹿馬鹿しい、んっ」
吐き捨てた。妃は会話が面倒になったのか、自分から動き出そうとする。
「じゃあ、こういうのはどう? 人間は『プレアデスの鎖』を結ぶことは出来ない」
「冒涜、こんな、ことしてる…最中に、神の言葉とか、ねーよ」
「なんで? 子孫繁栄は人類の仕事。神様だって許してくれるよ。というか、はぐらかさないでほしいな」
妃の腰を持ち、彼女が動かないように固定する。こちらは限界に近いが、妃はもっと厳しい状況下のようだ。わずかでも官能を貪ろうと、腰をうねらせている。
「ね。近藤さんだってこうしてしまえば動けないでしょう。人間には出来ないことがある」
妃はもう話をする気がないようだ。固定している腕を引き剥がそうと懸命になっていた。不利な体勢、体格差、性差は歴然としている。妃は恨めしげに睨み上げてくると、腹にいっぱつ拳をくれた。
「動けっ」
「ちょ、乱暴だなあ……」
雰囲気の欠片もない。
なんだか不意に笑いがこみ上げてきた。
(でも、なんだってやってみなきゃ分からないよね。人間にできることは限られてるけど、限られた中で出来ることだってあるんだし)
今だって念入りに調べたら、妃は切なげに鳴いてくれた。そして物欲しげに見上げてくる。足りない、足りないと訴えている。一年前は考えられなかったことだった。不可能に思われたことが可能になったのだ。
この狂おしい思いが、いつか彼女の心を撫でることがあるかもしれない。彼女のかたく閉ざされた本心が明かされる、そんな日が来るかもしれない。
(なんてね。俺がこんな愚にもつかない事考えるなんて、やっぱり近藤さんはすごいな)
「俺を感じたいというのは近藤さんなりの愛なのかな」
「勝手に、期待してりゃ、いい。絶対、なびかない」
とはいえ、このお妃様は簡単に玉座から落ちてこない。穿って欲しくてたまらないくせに、口を開けば勝気な言葉しか吐かないから愉快だ。
「そうだと良いね」
「余裕、こいてんじゃ、ねー……」
「だって嬉しいからね。近藤さんがこんなに近い。近いっていうかもろ入ってるし。近藤さんの中って熱くて気持ちイい
「死ねっ!!」
「いたたた、痛いー離してー。髪抜けちゃうよ」
「なら、抱きしめんな、そっちこそ離せ」
「やだよ。それに今離したら困るのはそっちじゃないかな」
そう言うと妃は口惜しげにそっぽを向いた。
(まあ途中でヤめたら、こっちも困るわけですが。かといって、すぐ終わらせちゃうのはもったいない)
少し乱暴に動き出す。彼女との関係は強引なくらいが丁度いい。
いくつか見つけた彼女の好きなところを刺激する。自惚れでないなら、感じてくれていたはずの場所。妃が痺れたように跳ねた。
「――は、あ、っ、んあっんんん、ん、ん、あ、アア、」
(猫の鳴き声みたい。近藤さんは猫だね猫。チェシャ猫だ)
妖艶なお妃様が踊る。髪を振り乱し、稚子のようにだらしなく口を開けて、官能に喘いでいる。玉座から落ちてこないお妃様は、こちらが与える刺激によって、どうとでも乱舞した。
突起をひねれば身を縮こませ、突き上げればたやすく跳ね、つまめば甲高くすすり鳴いた。背中に回された指がかりかりと爪を立てくる。
「…ァ……、イい、」
鳴き声の質が変った。妃が、腕の中でかつてない程取り乱し、こちらの律動に合わせ腰を動かしている。壊れた玩具のように意味のない音を繰り返し、は、は、と息を弾ませている。
余程感じてるのだろう。既にこれ以上ないほど密着しているのに、スライドの為に僅かに遠ざかると、いやいやと首を振った。
(可愛い。でもそれだけじゃ駄目)
わざとポイントをハズし、周辺をなぶってやる。すると妃は絶望したようにこちらを見上げ、飢えを訴えてきた。そうじゃない、そこじゃない、と。素知らぬふりで動いていると、腰に脚が強く絡んできて、肩に回された腕が上半身を捕らえてきた。
(おやおや)
全身を彼女の上に押し付けられてしまった。これでは身動きできない。苦笑をこぼすと、妃は羞恥に全身を真っ赤に染めながら、ついに「もっ、と」と呟いた。微かな、囁くような声で。あの妃が。
(良く出来ました。それじゃあ、ご褒美)
しかし煽りたてられた嗜虐心は収まらない。
絡められた脚を一旦解き、豊満な胸に唇を落とす。突起を避けて、ちゅくちゅくと弧を描き吸いついていると、頭を抱えられてしまった。
妃の催促が嬉しい。可愛い。もう少し焦らしてやりたいが、とっくに限界だった。
「そう、まっ、――ッ!?」
予告なしに一気にがんがん突いてやると、妃は声を出さずに悲鳴を上げた。熱い内部が尚も締め付けてくる。何もかも忘れ、そこにしか集中できないほど熱い、苦しい、気持ちがイい。
妃の最奥を突き上げるたびに、こすり合わさった部分が卑猥な音を立てている。熱い吐息と共に発せられる鳴き声、絡みつく柔らかな肢体、彼女から感じる何もかもが、ただの一点へと駆り立てる。今度は止められそうにない。
☆彡
お姫様はキスで目を覚ます。じゃあ意地悪なお妃様はどうやったら目を覚ますんだろう。
(うちの子可愛い。うちの子可愛い。大事なことなので二回考えました。うちの子超可愛い。三回目考えましたがグレードアップしたのでノーカウント。うちの子家宝。自慢したい)
「相馬さん、こんにちは」
「やあ、小鳥遊くん……」
良いところにカモ…もとい、小鳥遊宗太が通り過ぎた。
「小鳥遊くん、小鳥遊くん。いいもの見せてあげる」
ミ☆。★
かつて、孤独な蒼い星を掴もうとしていた。逃げまわる彼女を追い掛け回して、ようやく星は落ちてきた。けれど彼女は彗星で、落ちてきたと思ったら去っていった。手痛い思い出を残して。
そして天に上った彗星は連星になっていた。プレアデスの鎖によって。
(途中までは計画通りだったんだけど……ま、これからだよね。俺は執念深いよ、近藤さん)
あの二つの星は俺のものなんだ。
>>647-750 わお、ヨブ記から引いてきやがりましたよ…Great Job!!!
切なくエロマンチックでアダルト。恐れ入った。痺れる憧れる嫉妬する。
この相馬なら必ず妃と復縁できるね!
乙でした!
ごめん、冗談w
絶対本編じゃ描かれないだろうけど
非常に相馬らしいナイスエロス乙でした
連投ついでに各キャラの初Hを想像してみた
たかいな…いなみん真っ赤、小鳥遊も必死で初々しさ超特急
さとやち…佐藤がリードしようと頑張るものの興味津々な八千代に段々ペース握られる
ひがみや…性行為について最中に色々聞きまくる宮越さんに東田ぐったり
あださゆ…さゆりん乙女回路炸裂で足立がいつもと逆の意味でたじたじ
読んで下さってありがとうござます!
>>651 個人的に相馬=神父(破戒僧)のイメージがあったので、こんな風になりました
妃は改心してないマグダラのマリア(?
>>654 どれもスゴくらしくて2828するwたかいな可愛いな〜
進藤志保は
「あらあら、貧乏人はキスの仕方も知らないのかしら?知識まで乏しいのね」(涙目の志保
↓
進藤ドS覚醒「スレた口きいてんじゃねーよ処女」
↓
しほが!なくまで!せめるのをやめない!ズギューン!!ギシギシアンアンってところでしょうかねw
8巻読んで佐藤にお持ち帰りされちゃう山田を妄想した
…ただし佐藤のキャラ崩壊は免れない
進藤と志保はちょっとした行き違いとか勘違いから喧嘩して
進藤が志保に乱暴して処女奪って
ふと我に帰って泣いている志保を見て気まずい感じになると予想。
良かったよ?
●恋人が胸を触らせてくれません
北海道/18歳/学生
付き合って二年になる恋人がいます。
彼女の男性恐怖症の治療目的で親しくなり、そのまま仲良くなりました。
最近ようやくスキンシップが可能になったので、先に進もうとしたのですが、胸だけを頑なに触らせてくれません。
小さいというか、ぶっちゃけ無いのをとても気にしているようです。
私は特に巨乳好きでもないので「そんなことはどうでもいい」と説得したら余計に拗ねてしまいました。
彼女が好きだし、胸どころかどこもかしこも触りたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
>>654から妄想した、よくある雑誌のお悩み相談パロでしたw おそまつ。
元640ID:Ozjs+ik5っす。いちいち名乗るのもアレなんでトリップ付けましたー。
「ま、まひるさん……」
「ダメ! お願いだからダメ!」
ベッドの上で頑なに拒否をするのは俺の可愛い彼女。
何故、彼女はそこまで思い詰めるのか、おさらいと探りをしてみよう。
バイト先で出会い、偶然か必然か、俺は彼女の男性恐怖症治療の担当に抜擢されました。
そこから紆余曲折があって男性やスキンシップに耐性が出来、いつのまにか付き合うようになりました。
余談ですが、彼女は俺が彼女の父親に説教をした時に惚れたらしいです。
俺ですか? 俺は、彼女が自分以外の男と楽しそうにしているのを見て心がモヤモヤしたのが今思えば初めだったのかも知れません。
そんな俺達ですが問題が出てきたのです。
俺だって若い男です。
彼女はよく分かりませんが、恋愛小説などを読んでいる為か、はたまた、スキンシップが出来るようになった為か、興味はあるみたいです。
そろそろ先に進んでも良い頃かなと思い、思い切って切り出してみました。
「まひるさん。いい……ですか?」
「うん……宗太君なら」
念の為に言っておきますが、何でもない時にいきなり切り出したわけではないですよ?
部屋に二人きりで『そういった雰囲気』になった時です。
そこからは緊張しっぱなしです。
キスは自分で言うのも何ですがよくしていますし、問題はさほどありません。
キスまでで止まるという暗黙の了解を打ち破る、この一点のみです。
キスが終わると次は? 経験が皆無の俺には難しいところです。
服を脱がすのか? もう一回キスなのか? 言葉を掛けるのか?
悩んだ結果、胸を触ってみる事にしてみました。
ですがそれは地雷だったのです。
「ちょ、ちょっと待って!」
「変な事してしまいましたか?」
「違うの! あの、その……」
「笑わないですよ」
「恥ずかしいの……胸、小さいから……」
これには焦りました。
しかし、こういう時にはまずは安心させる事が大事です。
俺は俺自身の考えと想いを伝えました。
「何を言っているんですかまひるさん。俺は胸なんて気にしません。まひるさんが好きなんです」
「宗太君が気にしなくても私は気にするの!」
「や、あの、まひる、さん?」
「私は小さいんじゃなくて、ない、の!」
「あのー……」
「友達にパッドをプレゼントされて馬鹿にしつつも着けてみたら意外に良くて悦に浸っていたら、部屋に入ってきたお母さんに見抜かれて心配されるような女なの!」
何かとんでもない話を聞かされたような……でもそこまで思い詰めていたのですね……
俺は男なのでよく分からないですけど、身長みたいなものなのでしょうか?
「大丈夫ですよまひるさん。だから落ち着いて……」
「なずなちゃんにパジャマを借りる時だっていつもいつも胸周りが……小学生に負けて……ひくっ、ううぅう」
遂に泣き出してしまいましたが、恐らくここら辺で冒頭に戻るくらいです。
俺には彼女のコンプレックスにしてやれる事もなく、掛けてやれる言葉もなく、そのまま続けられる雰囲気でもなく。
この日は泣き出した彼女の頭を撫でてあげながら抱き締め合って横になりました。
腕の中で泣き疲れて眠る彼女を見ていると、とても残酷な事をしてしまったようで罪悪感でいっぱいです。
これからどうすれば良いですか?
まさかこのままずっとお預けですか?
それともコンプレックスを二人で乗り越えられる日がいつか来るのですか?
触るだけでこれですから、服を脱がせた日には一体どうなってしまうのですか?
彼女は好きです。
寝顔を見ていると罪悪感以上に劣情を持て余して、胸どころかどこもかしこも触りたい気分です。
彼女を傷つけずに最後までいくにはどうすれば良いですか?
誰か御教授をお願いします。
イチャイチャさせたかった。反省はしていないし後悔もしていない。
伊波んはキス好きそう
小鳥遊はその伊波んを如何にキスで攻めるかという理由でキス好きそうw
ナイス妄想の連鎖
あまずっぺー!!
A.胸に一切触れずに着衣プレイ
お腹と背中をちゅっちゅ
>>664 ここは恋愛小説家に回答してもらいましょうか
愛とは、ためらわないことって誰なら言いそうかな
背景採掘場
ルース「愛とはためらわないことさ♪」
進藤「愛とはくやんでもくやんでもくやみきれないことさー」
爆発
SMクラブ ワグ○リア
種島・・・M担当。
やちよ・・・刃物でS担当。
まひる・・・殴りでS担当。
店長・・・店長。言葉攻めS担当だが、ほとんど仕事をしない。
たかなし・・・女装担当?
相馬・・・裏方スタッフ。面倒な客や893や警○への対応を担当。いろいろと裏を・・・。
佐藤・・・裏方スタッフ。
こう考えると、SMのお店ができそうだなwww
いなみんは本質はM
たかなしくんにいじめられたいだろうな
いろんな意味でw
>>671 八千代と伊波は一日も働くこと無く身請けされる幻のスタッフ
残るのは種と山田か
なんという犯罪臭
しかし一番人気はなんとなく気兼ねない気分で攻めれる松本
今日は松本脱がす作業に入るか
相手は桐生…
でも松本って基本M娘なのに、桐生にだけS娘だからなー…
「フツーに可愛い」って通常は失礼だけど、松本にとっては褒め言葉だし
あれは愛情の裏返しと思って良いのか?
だとしたら、
普通の人は痴漢プレイ経験済みとでも言えばのってくるのか?
物陰で罵りながらさせてくれるのか?
人が来たと言えば壁に手をついて必死で声を殺すのか?
声が抑えられなくなったら口塞いでってねだってくれるのか?
終わったあと「普通こんなことで好きになったりしないから安心したまえ」と言えば「黙れ白ラン」と涙を零すのか?
桐生×松本に興味津々です
2回くらいしか絡み無いのに
何故か妄想膨らむんだよなぁ、あの組み合わせw
うろん勢ではありそうであまり無かった女性上位の組み合わせだからではないだろうか
サブキャラだからじゃないの?w
1 伊波に執心中の桐生をみてもやもやする松本
2 他の女の子達に痴漢してるのを見て殴りたくなる松本
3 嫉妬を性犯罪者への嫌悪感だと思い込む松本
4 桐生を成敗しようとするが主将に敵うわけもなく返り討ちにされる松本
5 らめぇっんああっひぎい展開な松本
6 フツーの子より君が一番可愛いな!と言われてときめいちゃう松本
1へ戻る
松本は18歳で桐生は17歳だから、松本の進路によっては会う機会減るね
松本が受験or就職活動中、ナンパに勤しむ桐生
結果がすぐにでない勉強と恋(?)に振り回され、松本は情緒不安定になっていく
そんな時、桐生が脳天気に
「悩むくらいなら結婚すればいいじゃないか。進学しても就職しても女性は結婚するものだよフツー」
「その空っぽの頭にデリカシー詰めてから出直してきなさいよ」
桐生を一通り罵倒したらスッキリ
見事無難で普通な進路を歩むことが出来たのでした
という妄想をした
日曜深夜で誰もいない晒すなら今のうち投下
「はぁ……小鳥遊くん……」
自室でボロボロになった写真を見つめる伊波まひるはその写真に写る男性、小鳥遊宗太を想いながら溜息を吐いた。
もう何度目かわからない。
毎日毎朝毎晩、目覚めても、授業中も、バイト中も、そして寝る前も。
いつ如何なる時も宗太の事を考え、宗太のする事の一挙手一投足を想い、その全てが心を綺麗に満たしていった。
「最近は怖くて殴る事も少なくなってきたもんなぁ……恥ずかしいから小鳥遊くんは殴っちゃうけど……」
再び、ほぅと溜息を吐くとある言葉が浮かんできた。
告白。
写真を見つめていると毎回、必ずと言っていいほど浮かんではなかなか頭から離れてくれない言葉。
いっそうの事言ってしまおうか。
きっと大丈夫だよ。
自分で言うのも何だけど、ここまで男性恐怖症改善に付き合ってくれているのなら、もしかすると悪くは思われてないのかもしれない。
確証はまったくないけどそうであってほしい希望。
いや、ダメ。絶対にダメだよ。
今まで何回、改善する気はあるのかと小鳥遊くん本人に怒られたんだ。
種島さんにも治そうという気合がぬるいって一回怒られたじゃない。
だから多分。
やっぱり小鳥遊くんの性格的にも義理で付き合ってくれているだけだから、ただの暴力女としか思われてないよ、という絶望。
「……寝よう」
今のままでは考えて考えて考え過ぎても答えが出るわけがない。
それにこうなってしまった以上は繰り返しだ。
起きていてもしようがない。
明日は休日で朝からシフトが入っている。
こんな時はリセットしてしまうのが一番だ。
「おやすみ。そ、そう…た、くん」
夢の中でも会えるように、それが叶わなくても明日になれば会える宗太の名前を照れながらも確かめるように呟き、やがて微睡みに堕ちていった。
「おはよう。た、たかなしくん」
いつからか習慣になっている目覚めの挨拶を写真にする。
ただ昨晩と違うところは名前ではなく名字で呼んでしまうところ。
夜のあの不思議な高揚感とは打って変わって、朝になると冷静に戻ってしまい気恥ずかしさで誰も聞いていないのに名字に戻ってしまう。
けれど。
写真に写る宗太は笑顔のままで変わらない。
まひるはその笑顔を見つめる時、いつも背筋がゾクッとする。
そしてそれがたまらなく好きでもあった。
今日も小鳥遊くんに会える。
何を言われるのだろう。
褒めてもらえるかな、それともまた叱られるのかな。
殴ってしまわないように気をつけなきゃ。
小鳥遊くんは知らないだろうけど、小鳥遊くんの言う事ひとつひとつが私を一喜一憂させるんだよ?
「よしっ、バイトがんばろっ」
ワグナリアに着き開店準備をしているスタッフに挨拶を済ませていくまひるは無意識のうちに宗太の姿を探していた。
「おはよう伊波ちゃん。今日も頑張ろうね」
「おはよう種島さん。そうだね」
「おはようございます。先輩、伊波さん」
ちょうど休憩室を出たところにいた種島ぽぷらと挨拶をしていると、まだ来ていなかった宗太が走って合流してきた。
「お、おはよう小鳥遊くん」
「おはようかたなしくん!」
「おはようございます、伊波さん、先輩。今日は俺は遅い方ですね」
はぁはぁ、と宗太が息を切らせながら周りを見回すと、ほとんどのスタッフが開店準備を進めていた。
「あ! かたなしくん! そろそろ朝礼始まっちゃうよ!」
「え? うわっやばい! すみません着替えてきます!」
急いでロッカールームに入って行く宗太を後ろから見送ると、色々と細かな想いが溢れ出してきた。
髪、伸びてきてるなぁ。
時々、髪を梳くようにかき分ける仕種を目にする事がある。
その度に思うのは、恐らく切りに行く時間がないのだろうなという事。
家事全般をし、学校に行き、ほぼ毎日バイトして、そしてその帰りにまひるを送って行く。
作ろうと思えば作れる時間も責任感の強い宗太の事だから、きっと自分の事は後回しにしているのかもしれない。
申し訳ない。
その念に駆られる回数はちょっとやそっとではない。
ちょっとした自己嫌悪。
だが、まひるは。
宗太の髪をかき分ける仕種の時の指や顔が何故か『ことり』と重なってひどく艶っぽく思えて。
それも好きだった。
そしてもうひとつ。
服も、かっこいいなぁ。
最初は特に意識もせず、強いて言うなら普通の男子高校生らしい服装、そう思っていた。
しかし、好きになっていくと贔屓目なのか、次第に格好良いと思うようになっていった。
宗太が何かにお金を使っているだとか、そういった話をあまり聞かない。
バイトのお金はどうしているかは知らないが、たまに家計が苦しいと呟いているところを見ると倹約ややりくりをしているのだろう。
そんな宗太が服に数万も使っているとも思えず。
しかし宗太を見れば見るほど、着こなしにやぼったさがないように思えた。
女兄弟が、特に姉がいる男子は服や気遣いがそれとなく格好良いと誰かが言っていたような気がする。
気遣いについては思い当たるふしがある。
もしかすると梢あたりが服を買う時にアドバイスをしているのかもしれない。
すべてはただの想像なのに。
だが、まひるは。
見送る宗太の後ろ姿がスタイリッシュだと感じるのはすべてがすべて想像だとは思えず。
それも好きだった。
今のまひるには、宗太がどんな小さな行動でもどれだけ周りに気をつけて行動しているか、少し分かるような気がしていた。
さて、ちょっとした事が起きてしまった。
朝礼で店長の白藤杏子がまひると宗太に倉庫の整理を命じたのである。
開店早々にホールスタッフが二名も抜けるのは常識ではあまり考えられないが、このファミレスと店長に至っては別段珍しい事でもない。
何故この二人が選ばれたのか。
轟八千代はホールチーフ兼、自分のパフェ担当で手元に置いておきたかったのと、ぽぷらと山田葵では力仕事や高所作業が出来ない。
キッチンスタッフ両名は食事をたかるのに必要だ。
今日は学生組が揃っているので平日昼間のパートスタッフはいない。
この消去法の結果、まひると宗太が選出されたのである。
最もこの店長の場合、ただの気まぐれの線が濃厚であるが。
「では俺が荷物を取って中身を言っていきますので、伊波さんはそれを台帳に記入していってください」
「うん。重い物もあると思うから気をつけてね」
電灯が点いているとはいえ薄暗く、扉を閉めれば外の喧騒も聞こえない倉庫。
その中で二人きりという事実はまひるの心に否応なく火を点ける。
今、部屋の中で聞こえるのは。
宗太のダンボール箱を持ち上げる時のわずかに漏れる力み声とその中身を読み上げる声。
まひるの台帳にペンで記入する時の音と中身を確認するように反芻する声。
いつもならば雑談の一つや二つが出てくるものの、今日に限っては事務的な会話のみの不思議な静寂。
されどまひるは、まるで夢を見ているかのような、もしかするとそれ以上の言い難い幸福感や陶酔感、緊張感を持っていた。
これが所謂、惚れた弱みってやつなのかな? 弱み? 何が弱いんだろう?
小鳥遊くんは今のところ気づいてくれなさそうだし自分の気持ちを言えそうにもないけど。
それでもこの心地良さは決して弱さではないと思う。
「伊波さん? 聞いてますか?」
「えっ? あ、ごめん。ちょっと考え事しちゃってた」
「気をつけてくださいよ。どこまで書いてありますか?」
いつの間にか作業の事から意識が離れていたまひるは慌てて台帳にどこまで記入されているか確認しようとして、どこまで聞いていたのかすら分からない事に気が付き赤面してしまう。
それを見透かしているかのように宗太は続けた。
「聞いていなかったのに分かるわけがないじゃないですか。見せてください」
呆れたようにそう言うと宗太はまひるの手に持つ台帳に顔を寄せた。
そうすると台帳を確認していたまひるとの顔とも必然的に近くなる。
その差。
まひるのヘアピンで留めた左髪と宗太の少し長くなった右髪が触れそうな距離。
二人の息がぶつかりそうな距離。
まひるの心臓の早鐘が聞こえてしまいそうな距離。
宗太への感情が漏れ伝わってしまうんじゃないかと思うような距離。
それほどまでに接近していた。
「ええと……何だ、全部書いてあるじゃないですか。聞こえているならちゃんと復唱してくださいよ」
「あ、あの……ち、近い……」
「え? ああ、すみません。でもこれも訓練だと思ってください。最近は結構慣れてきているみたいですし、大丈夫ですよね?」
これくらいは、と言った宗太の顔はこの作業を始めてから初めて見た笑顔で。
ゾクリ。
不意にいつも写真を見つめている時のあの背中に走る冷たくも暖かい感情に襲われる。
でもまだ、それを上回る感情を完全に消し去る事は出来なくて。
「さあ再開しましょう。早く終わらせて戻らないとみんなにサボっていると疑われちゃいますよ」
「小鳥遊くん……ごめん!」
────やはり照れ隠しで殴ってしまうのであった。
それからは散々だった。
様子を見に来た八千代さんに発見されて嬉しそうに笑われるし、佐藤さんは小鳥遊くんを労わりながらもやっぱり隠れるように笑っているし。
恥ずかしかったけど二人がこの事で仲良さそうに話をしていたのは嬉しかった。
頑張ってください佐藤さん。そう言うと怒るけど。
あ、八千代さんが佐藤さんを名前で呼んでる。進展あったんだ。
その後は私も小鳥遊くんも少し休憩した後にホールに戻っていった。
何度か話が出来そうなタイミングはあったけど、その度に相馬さんにからかわれたり、何となく話しかけ難くてそれからはまったく話をしていなかった。
帰りに何か話が出来ればと考えていたけど、今朝遅刻しそうになって家族の夕食を作ってきていないので送っていけそうにありません、と謝ってきて早々に帰ってしまった。
落ち込んでいると、そんな様子を見かねた佐藤さんが種島さんを送るついでだから、と車で家まで送ってくれた。
やっぱり佐藤さんは優しい。
************
「はぁ……小鳥遊くん……」
そして私はいつものように自室で今日の反省をしながら写真を見つめていた。
小休憩の時にきちんと謝ったけど出来れば帰りにも謝りたかったなぁ。
小鳥遊くん、少し怒っていたけど諦めているようなあきれているような顔してたな……
毎日毎朝毎晩、目が覚めても、学校にいる時も、バイト中も、寝る前も。
どんな時でも小鳥遊くんの事が気になって。
頭の中、心の中、小鳥遊くんのする事でいっぱいで。
考え過ぎるほど考えてもう充分考えたぐらいなのにまだ全然足りないような気がして。
この事を小鳥遊くんに伝えられたらどうなっちゃうんだろう?
「……また堂々巡りになっちゃった。もう寝よう」
サイドテーブルに写真を置くと電気を消し布団に潜り込む。
だが少しして、薄暗がりの中でもぞもぞと布団から手と頭を出すと、写真と携帯電話を手探りで引き寄せ胸元で抱きしめた。
携帯電話のレコーダー機能を一回だけ再生するとその向こうから聞こえてくるのは、機械越しでもなく他の物に対してでもなく、いつか直接言われたい好きな人の『可愛い』という言葉。
「好きだよ、本当に大好きだよ宗太くん。おやすみ」
夢現の中でそれだけしっかりと呟くと満足したかのように深い眠りに堕ちていった。
──私、小鳥遊くんが好きなんだよ? だから夢の中でも私をドキドキさせてもっと好きにさせてね?
GJ!いなみんかわええw
>>690 WORKINGで初めて読んだSSだwすごい好きで何回も読んだっけなぁ
って、ふろ・・・え?ふろっぴー?え?w
GJ!
いなみん可愛いすぎるな
今週の仕事のやる気がでたよ
ありがとう
これは小鳥遊が悪いw(色んな意味で)
いなみん可愛いなー
気持ちが報われるといいね
694 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 05:30:42 ID:lYyxFIon
正直八千代さんしか興味なかったけどこのスレみてまひるもいいなとおもったww
なんだかんだでまひるもかわいい奴だなぁ・・・フヒヒww
8巻読んで思ったんだが
小鳥遊は私服でもカツラ+タオル詰めだけで女に見えるって事は
相当な女顔&ムダ毛ないんだろうか
特に後者は本人気にしてたりするかもね
ベッドでいなみんに言われて凹んだりとか妄想
腕とか脚はだしてないからわからないんじゃね?
顔は毎日剃ってればもんだいないな
つかベッドのなかでは伊波にそんな事気付く余裕は多分ないw
パイパンのたかなし君…ちなみに私は伊波ではありません
パイパン? のさとーくん……パイパンって何かしら?
>>699 早くかけよこっちは窓開けて全裸なんだぞ
色素的に考えると店長は濃い
いなみんがパイパンと聞いて
「伊波さん、綺麗ですよ。つるつるで」
「やだ…小鳥遊くん、あんまり見ないで…」
「何言っているんですか。俺が隅々までみてあげますよ」
「なんか…緊張するよ…」
「今更往生際が悪いですよ?触って確かめてもいいですか?」
「う、うん。いいよ」
「あれ?ここ濡れてますよ?伊波さん」
「え?やだ、そんな事ないよ!」
「ほら、自分でも触って見てください。びしょびしょじゃないですか」
「やだ…ホントだ」
「テーブル拭く時はちゃんと角までって言いましたよね?お客様がお水零した所拭けてませんよ?」
「ごめんなさい…小鳥遊君のチェック厳しいから緊張するよ」
704 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/04(水) 18:05:21 ID:2PhoHnoH
>>703うまいww
最初本当にエロいとおもってたらオチがwww
「さとーくんのここ、つるつるですごく綺麗ね」
「おい八千代……じろじろ見るな…」
「何で? こんなに綺麗なんだもの、全部見せてほしいわ」
「緊張、するな…」
「ふふ、触っても良い?」
「あ、あぁ」
「すごくスベスベね。それにとても大きいわね」
「そ、そうなのか?」
「さとーくんも自分で触って確かめてみて?」
「……本当だな」
「さとーくんの手と爪、すごく綺麗でツヤツヤね!」
「特に何も手入れはしてないんだがな」
あー、ギタリストのつめは結構きれいだ
厨房スタッフだけど八千代さんに褒められたいからこっそり手のケアを怠らない佐藤さんか…
いじましいな
卒業した伊波は警○官になり痴漢暴漢対策に配属された。
わざと男の気を引くような服装をして、街の暗くて狭い道を歩き、
襲ってきた人を殴り倒して、何人もつかまえて表彰されたこともある。
ところがある日、誘拐されてしまい、無理やりやられそうになった。
が男が入れるとギューっとあそこを締めまくり、男の息子が壊死させて逃げ延びる。
みたいなことを考えてしまった。あぁ、あほくさw
入れられてちゃダメじゃん
小鳥遊とのそういうプレイだからおk
ちょっと遅い時間だけど久しぶりに御題くださいお手柔らかにお願いします
シュガーの胸板に八千代が頬ずり
出来れば付き合う前
無理は言わないけど
お題の時点でwktkが止まらない
あい了解。付き合う前となるとあの設定かな
お題職人さんktkr
これは寝れない
すみませんかなりやっつけになってしまいました投下
「どうしたもんかな……」
営業が終わった店内の男子更衣室で一人、言葉に出してみる。
八千代を肩車して、転倒して、告白して、キスして、一悶着あった後。
結論から言うと、俺は八千代に何も訊く事が出来ていなかった。
俺のヘタレのせいなのか、タイミングが悪かったのか、はたまた雰囲気なのか。
忙しかった事もあり事務的な会話しかしておらず、また、何処か切り出しにくい空気もあったのかもしれない。
「二人切り……か」
ラストまでは確かにいたはずの他スタッフが事情を知ってか知らずか、いつの間にか俺と八千代に閉店作業を任せるようにして帰っていった為、残っているのは二人だけだ。
この良くも悪くも謀ったかのような組み合わせは、八千代に真意を訊くのには御誂え向きなのかもしれない。
終業後の店内で。
長年の片思いの末に、突発的とも発作的とも言える衝動で告白とキスをした男と。
それを曖昧とも取れる本音で以って返答した女。
だが、そのやりとりには肝心な部分がどこか抜け落ちていて。
そんな男女が二人切り。
「さとーくーん。お邪魔しまーす」
「おぅわ、何だ八千代。入ってくんな」
「女子更衣室と変わらないわね」
「何しに来たんだ。というかまず出ろ」
コックパンツから私服のパンツに着替え終え、上も替えようとコックコートとインナーを脱いだところでいきなり八千代が更衣室に入ってきた。
こいつはアホだがバカな行動は取らないと思っていたが。
そうこう言っている間にも八千代はどんどんと更衣室の中に入ってきて奥の俺の方まで距離を詰めようとしてくる。
「あのね、お話がしたくて」
「してやるから出てけよ」
「恥ずかしいのさとーくん?」
「はあ? ふざけている場合じゃ……」
「私は恥ずかしいわ」
……恥ずかしいなら何で俺に抱きついているんだ。
胸元に飛び込んできた八千代はまるでスローモーションで、ドラマのワンシーンのような感覚で。
突然の事に息と時が止まる感覚に襲われた俺は、何も対応が出来ずにされるがままになってしまった。
されるがまま?
上半身裸の俺の胸に頬を擦り寄せて深く呼吸をする八千代にされるがままで。
対応って言ったって。
胸で赤面している八千代に何をしてやれば良いのか。
「さとーくんさとーくんさとーくんさとーくん……」
「八千代」
「…………?」
俺の名前を連呼していた八千代が問いかけに反応しゆっくりと上を向くと、蒸気して惚けた顔が視界に飛び込んできた。
「なあ、どうしたんだ?」
「…………」
「解からないのか? 言えないのか?」
「……どっちも」
「そうか……」
この空間、空気、空虚、空白、思惑と当惑と困惑。
ただただ、八千代は俺に抑えきれない感情をぶつけてくる。
震える八千代の背中に回した腕を強めるでも抱き寄せるでもなく、そのままで。
真意なんて訊かずとも。
言葉じゃない、八千代なりの精一杯の表現はまだ少し続きそうだ。
御題は最高なのに妄想が働かないorz
本当に申し訳ないです。もっと早い時間じゃないと駄目ですね
この二人もどうなるのやら。もしかすると遂に付き合うんですかね
違う場所にアップする時はもうちょっと加筆修正しよう……
gj!!
いいぞもっとやれ!
本当早くくっつけよ!
この調子でエロパートまで書いちゃえよいや書いてくだry
ええのうええのう
次の御題出しても良いんだったら、
八千代に甘えるシュガー
若しくは
シュガーに甘えて欲しくて試行錯誤な八千代
でお願いしまつ。
…………お題めにゅー(ハイリスク超リターン)
・足立自らの意思でさゆりんぎゅー(葛藤、後日談含む)
・佐藤から八千代をハグ(落ち着かせる意味で→更なるハプニング)
・小鳥遊、伊波の夢(性的な意味で)を見る→翌日の遭遇率激アツ
ついでに夏関係のお題をおいてみよう
・花火大会
・お盆→幽霊
・夏バテ
あんまり強請ると書き手さんに愛想つかされるぞw
726 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 19:23:57 ID:S8m9xFsT
おいついた・・・。すっごく面白いwww
>>722さんがんばです〜
ようやくSSが完成しましたので投稿します。
・怪談系の話です。(あんまり怖くないかもしれません)
・もしかしたら(もしかしなくても)WORKING!!関係ないような話になったかもしれません・・・
・今回はカップリング、エロの両方ともなしです。
では、投稿します。
題名は「琶愚名怪談」です。
728 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:12:10 ID:esDLvuRE
・・・暗い密室に、蝋燭の灯りと、女子3人・・・
彼女達の表情は、皆真剣なものであった・・・
一人が語り、他の二人はただ、聞くしか出来ずにいた。
なぜなら・・・
「そこには、口から血を吐く女の姿が・・・」
「キャァァァァァァァァァ!!!」
プチ怪談話の最中であった。
悲鳴を聞きつけ、相馬と小鳥遊が来た。
すぐに部屋に電気がつけられる。
「・・・山田、いったい何やってんだ。」
「この前お客さんが忘れていった本で、再び怪談話です。」
「お前・・・また一人で屋根裏に居れなくなるぞ。」
「フフフ・・・山田を甘く見てはいけません・・・」
何故か、不気味に微笑む山田。
「あの後、山田はこの本で修行しました!この程度の怪談、怖くありません!」
「・・・ふ〜ん。」なぜか、悪い事を考えた様な表情をする相馬。
「今なら、どんな怪談も怖くありません!!」
「なら・・・この話も平気だよね。」
彼は部屋の電気を再び消し、蝋燭の火だけが灯された。
「そ、相馬さん!?いったい何を・・・」
「退出したければご自由に。後悔が無ければ、とっておきの話を始めます。」
その場に居た全員が、動かなかった。
否、動けなかったと言うべきか・・・
単純な好奇心が、そこにいた4人の足を止めたのであった・・・
729 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:15:09 ID:esDLvuRE
▲▲▲
「指切り君」
それは、多くの人が知っている「指切り」が元になった話・・・
それは、願いを叶えることを、“約束”してくれる子供の話・・・
それは、“約束”を守れなかった者の、戒めと末路の話・・・
ある町で、大人も子供も問わず、一つの噂が広まっていた。
ある道を「指切り君はいませんか?」と言いながら歩くだけ。
そうすれば、小さな男の子が、いつの間にか後ろに立っている。
その子に願いを言い、彼と「指切り」をするだけでいい。
其の時、彼の言い出す“約束”を、守らねばならない。
出来なければ、断ればいい。“約束”しなければ、それで終わり。
“約束”が守れるのなら、そのまま小指を出して、ある詩を歌えば良い。
皆が知ってるあの詩を・・・
ゆびきりげんまん、うそついたら
はりせんぼんの〜ます
ゆびきった
これですべて終わり。“約束”通り、願いは叶えられる。
“約束”を破らない限りは・・・
730 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:16:11 ID:esDLvuRE
たまたまその話を知っている、不幸な男性がいた。
彼は自分が企画したプランを、あろうことか同僚に取られてしまった。
自慢の企画らしくて、彼は大きくプライドを傷つけられた・・・
うなだれながら歩く彼は、気休めにはなると、その道に足を踏み入れた。
何かが変わるわけではない、噂は噂と思いながら、彼は言った。
「指切り君はいませんか?」
そうすると、突然後ろから気配を感じた。
振り向けば、そこには小さな男の子・・・
「君が・・・指切り君なのか?」男は指切り君に尋ねた。
指切り君は男に微笑みながら、頷いた・・・
「お願いだ!私の願いを聞いてくれ!!」男が頼んだ。
「どんな?」
「あいつを・・・私の企画を横取りしたあいつを・・・」
男の顔は笑っていた。
「 殺 し て く れ ! !」
「わかった」指切り君はそう言ったんだ。
「じゃあ、一つだけ“約束”を守ってね。」
指切り君の条件は・・・
「あなたがされたことを、あなたがしてはいけない。」
男は同意し、小指を出して、指切り君と約束した。
ゆびきりげんまん、うそついたら
はりせんぼんの〜ます
ゆびきった
731 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:17:43 ID:esDLvuRE
気づけば男は自宅で寝ていた。
「夢だったのか・・・」男は何気なくテレビをつけた。
そこに流されたニュースの内容は・・・
同僚が殺害されたものであった・・・
まさか、自分のせいで・・・最初はそう考えたが・・・
むしろ喜びの方が強かった。復讐がはたされたことに・・・
それから時が過ぎ、彼が新しい企画を考えていた時だった。
後輩のデスクにあった企画を見た。
その内容が使えると考えた彼は、こっそりコピーした。
明日には新しい企画として発表できる・・・彼はそう考えて帰宅した。
732 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:19:20 ID:esDLvuRE
そして、帰宅途中に・・・
ずっと後ろをついてくる気配を感じた。
彼は不安になり、後ろを振り返ってしまったんだ。
そこにいたのは・・・
見覚えのある小さな男の子・・・
指切り君の姿だった・・・
その表情はどこか悲しげであった・・・
「どうして・・・“約束”をやぶったの?」
そう・・・男は“約束”をやぶってしまった・・・
“自分がされたことをしてはいけない”という“約束”を・・・
指切り君は、すこしずつ男に近づいて来る。
「どうして・・・嘘をついたの?」
男は恐怖し逃げようとした!
しかし、逃げようと後ろを振り返ると、今まで違う方向にいた指切り君がいた・・・
何度振り返っても、その方向に指切り君が先回りしている。
男は意を決して指切り君を蹴ろうとした!
だが、その足は指切り君に受け止められてしまう。
まるで、子供とは思えないほどの力で・・・
そのまま男は地面に倒され、その上に指切り君が乗ってきた・・・
「どうして・・・」
指切り君は男の口を無理矢理開けだした。
そう、“約束”を守れない男は“あの詩”と同じ目に遭うことになった・・・
指切りげんまん、嘘ついたら
針千本飲〜ます
ゆびきった
翌日、ある猟奇殺人が大きなニュースとなった。
それは、一人の男性が・・・
千本もの針を飲ませれて、死亡したというニュース・・・
ゆびきりげんまん、
あなたは、“約束”を守れますか?
うそついたら
もし、“約束”を守れないのなら・・・
針千本飲〜ます
どうなっても、後悔しない様に・・・
ゆびきった
733 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:20:05 ID:esDLvuRE
▲▲▲
「はい、これでお仕舞い。」相馬は満足そうな顔で部屋の電気を点けた。
「どう?楽しんでくれた?」
現在の状況は・・・
種島と山田が青ざめながらフリーズ中であるのと、
伊波が泣きながら小鳥遊に抱きついている状態であった。
抱き付かれている小鳥遊の顔が青ざめているのは怪談よりもこっちのせいであろう。
「すみません・・・山田が調子に乗ったせいで・・・」
「なに、気にすることは無いよ。でも、怪談をするときには一つ覚えておいてね。」
相変わらずの黒い笑顔で、
「本当に怖い話には、悲鳴はないんだ。」
聞くことに必死になるから、悲鳴を上げる暇はない。
怖いとわかっていても、耳を傾けてしまう。
そして、いつの間にか・・・・
周りに意識が向かなくなる。
一つの“恐怖”に、心を奪われてしまうのさ・・・
相馬は少し笑うと、休憩室を後にした。
残された4人の間には、沈黙しかなかった・・・
734 :
琶愚名怪談:2010/08/09(月) 01:27:52 ID:esDLvuRE
以上になります。
今回は・・・すみません、自分でも恥ずかしいです。
ただ、「次回は怪談物」と宣言したため、無理やりでも書いてみた結果です・・・
WORKING!!関係ない話になってしまいましたが、どうかこれで許してください。
次はちゃんとWORKING!!に関係あるSS書くので、
今回の話は、ちょっとしたネタにでも使ってください。
それでは、次回作で会いましょう。
ここで伊波さんやぽぷらがSな話ってあったっけ?
ぽぷら「もーだめっこわい佐藤さんどこ!?」
佐藤「おい種島!落ち着け。放せ。」
ぽぷら「やだっ!放したら一人で逃げる気でしょ!?」
佐藤「逃げないから。まてまておい放せって!」
杏子「佐藤、種島、いるのか?」ガラ
佐藤「」
中の人繋がりで
山田「種島さんはSだと思います」
佐藤「ほう」
山田「伊波さんはMです」
佐藤「ほう」
山田「佐藤さんはLです」
佐藤「……」
山田「…LLでしたか?」
佐藤「さあな」
八千代「さとーくん、あの酔っ払いのお姉さんが言ってたんだけどスカルファックって知ってる?」
何か最近、佐藤×八千代にハマった。
さとー頑張れ。
>>734 GJ
だけどこわすぎて泣きかけた・・・
もう寝ることができない・・・
741 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/11(水) 06:51:12 ID:LPsc0AWe
アニメ録画してあって、何回八千代見てもかわいいと思う。自分より年上なのに・・・wアニメって素晴らしい!
八千代すっごい好きwエロパロがんばで〜す
>>741 > 自分より年上なのに・・・w
ここ21禁な
ちょっとウケた
745 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/11(水) 14:22:20 ID:LPsc0AWe
そうだ!おれは未成年DA!まぁ・・・その・・・反省はしているつもり
>>745 反省しているなら成長するまで来るんじゃないぞ
>>745 今はまだ、河原に落ちてるガビガビの本で我慢しときなさい。
今でも河原や、狭い空き地の茂みの中にガビガビの本とか捨ててあるのかな?
小六の時ガビガビのエロ本漁ってたのが姉にバレからかわれ
女子からは白い目で見られるのを苦に灯油で焼身自殺した俺の同級生がいたなあ…
しかも秘密裏で死亡記念という不謹慎なパーティ開いてて(出なかったが)
あれからもう十五年…嗚呼無情
カタナシは性欲処理とかどうしてるんだろうな…
うちも女系家族だからわかるが、高校生なんて、3日発散出来なきゃ頭おかしくなるだろ。
エロパロ的に考えれば
・梢に夜の寝技もみっちり仕込まれるカタナシ。
・普段から"介護"の一環と割り切って、淡々と泉と事に及ぶカタナシ
・お兄ちゃんのために急いでおおきくなったんだから(ry
とか、色々思いつくんだが。
一枝との絡みだけは思い付かないなw
梢の裸で無反応とかだから、ガチで性欲が無いかもしれん
実姉の裸に反応とか困るだろ…ぽぷらか伊波の着替えを目撃して、山田と相馬にたきつけられて
悶々としてryとかならなくもないだろうか
梢は男関係がフリーダムだし、一枝も×1なんだから一回くらいは目撃してそうな気がする
それが嫌悪感にいくかエロスにいくかは小鳥遊しだいだけど
ピンクって結構前から18禁じゃなかったっけ?
姉の裸なんて母親の裸と同様にそんな対象にならんのでは?
姉妹がいないから分からんが。
それとも小鳥遊は12才以下でないと……
なずな「お兄ちゃん、呼んだ?」
東田&宮越、投下します
・エロなし。色気なし
・本編より少し未来
・らくがきにて、宮越が東田のベッドで眠っていた所から妄想
ごろん。ごろんごろん。クッションを抱え横回転する。
二転三転するうちにシーツがよじれて、今日もまた布団がぺしゃんこになった。
「……もう何だってやれば良いですけど、ちゃんとベッドメイクしていって下さいよ」
ぐちゃぐちゃに荒らされたベッドを指し、東田は冷たく言う。あきれ返って叱責する気も失せたようだ。
「スカートめくれ上がってます。見たくないので今すぐ直して下さい」
(おめーはかーちゃんか)
東田は几帳面だ。部屋はいつも綺麗に整理整頓されている。
そんな東田が部屋を汚されて腹を立てるのは理解できるし、そう指摘されたら申し訳ない気持ちも勿論ある。
あるのだが、いかんせん、東田の態度ときたら「うだつの上がらない駄目息子を叱りつける母親」然としていて、気に食わない。
駄目息子としては、口を尖らせ、文句の一つも出るというものだった。
「今やろうとしてたのに!」
「そうですか。やるつもりはあったんですね。宮越さんへの評価が低すぎたようです。スミマセンでした。じゃ、さっさと直して下さい」
お約束の駄目な台詞を吐いてみたが、東田は乗ってこない。氷点下のままだった。
「……おまえ、言い方めちゃくちゃ冷めてーな。東田は夏でもれいぼういらず。くーるびず東田えこかーげんぜい東田」
「戯言ほざいて話を逸らそうとしないように」
東田はこちらを見ずに、学生鞄から教科書とノートを取り出した。時間割を見ながら教科書の入れ替えをしているようだ。
東田の時間割は一度見たことがある。授業時間が八時間目まであった。しかも毎朝小テストがあるらしい。東田が無慈悲な鬼となったのも頷ける。
「実は昨日、部屋の惨状に家族が青ざめていたんですよね。激し過ぎるとか、学生として良識ある範囲でとか何とか」
「それはすまん。でも、へやよごすのに学生かんけいあるのか?」
「さあ? 留守を狙って部屋に侵入する家族の事は正直どうでも良いです。でも帰る前にベッドメイクして下さい。言いましたからね」
「へーい」
「返事は『はい』」
「あーはいはいはい!」
乱暴に言い直す。
東田は何気ない様子で言い返してきた。
「いくら知能が低くても、行儀作法を身に付ける事は可能なんですよ。普段からの訓練次第ですが」
「東田うっせー! いやみ!」
ぼすん。
クッションを布団の上に叩きつける。
(なんかばかにされてる気がするんだよな! そりゃ東田よりばかだけどさ、先にばかにしたほうがばかなんだから、東田だってばかじゃん。
ばかの東田にばかにされるすじあいはないから、わたしはばかじゃねーし。ばかは東田だし)
ぼすん。
クッションを別のクッションに叩きつける。空気がぶわり散って、髪の毛がふわふわ浮き上がった。
(…………)
クッションを交互に潰し、ワンツーを入れてみる。
ぼすん。ぼすぼすごすがす。
へこんだクッションを三つ並べ、空気が入り膨らんでくるのを見計らって、また潰す。また膨らむ、また潰す……。
(…………!)
楽しくなってきた。
夢中で遊んでいると、東田から冷気がゆらり立ち昇った。
「ベッドを壊さないで下さい」
「なっ、おまえわたしを何だとおもってんだ。こわさねーよ!」
「どうだか」
「……うー」
クッションを抱きしめて、壁に寄りかかる。
温度のない東田の態度は妙に心臓に悪い。悪いことなどしていないのに、警察が傍にいると妙に後ろめたい気分になるのと似ている。
(東田はなんていうか……)
クッションを抱えたまま首を傾げる。
「いじがわるい……いんけん……いあつかん」
「宮越さん」
意地悪く陰険な東田が威圧感を放ちながらやってきた。
東田が片足を乗り上げた分、シーツに皺が寄り、ベッドが沈む。
敷き布団を通して東田の重量感が伝わってきた。その事に何故だかぎくりとする。
「な、なんだよ」
「良く聞いて下さい」
ぽん、と頭の上に東田の手の平が乗る。
「俺は今から勉強するので宮越さんの相手は出来ませんし、相手をするつもりもありません」
「わたしはどうすればいいんだ。むしか」
「この部屋では壊さなきゃ何やっても良いです」
「おー。じゃあ、あばれてやんよ。歌っておどってやんよ」
「ただし、くれぐれも俺の邪魔だけはしないで下さい。良いですね」
「む……う」
視線を合わせ、頭をぐりぐり撫でられた。まるで子供に言い含めるかのようだ。
(やっぱりばかにしてる。同い年のくせにだなー東田おまえなーなまいきなんだよ。
東田なんて、チョコ食ってくれて頭良くてしっかり者でめしおごってくれてあそんでくれて……むかつくやつだ! わたしはむかついている!)
腹を立てているのに、東田を上手く貶せない。それがまた腹が立つ。
(くやしい! 東田うっぜ、うっぜ)
クッションの角を持ち、上下に叩きつけた。
真正面にいる東田がクッションを片手で受け止め、にっこりと微笑む。
「宮越さん」
頭への圧力が強まり、クッションは遠くへ放り投げられた。
「邪魔はするな。言いましたからね」
「はい」
人間、素直が一番である。特に相手が怒っている時は。
東田は笑顔を貼り付けてはいるが、口調からは静かな冷気を放っており、漫画であれば斜体で「ゴゴゴ…」と効果音がついているように思われた。
そのゴゴゴ冷気がこちらの小鳩のようなハートをちくちく刺してくる。痛い。
「一応、確認します」
東田はベッドの上に乗り上げてきて、姿勢良く正座した。
「俺は今、何て言いましたっけ?」
と、東田にしては愛想良く聞いてきた。
釣られて笑顔で答える。
「聞いてませんでした」
「ははは」
東田は惚れ惚れするような笑顔を浮かべた。漫画であれば背景に点描と薔薇が浮き、舞い散る花びらがコマからはみ出す勢いだ。
「宮越さん」
ぎりぎりぎり。
「うぎいいいてええええ!!」
左右側頭部を力いっぱい締め上げられ、目前に鬼の様な形相の東田。
「……馬鹿な上に話を聞かないんじゃお手上げなんですよ、こっちは」
「いていてえええええ!! このっはなせ、はなせええ!」
「こうやって圧迫することで、拡散している脳細胞がせめて一箇所に集まると良いんですが。現実は孫悟空の輪でしかありませんね……」
「は、な、せ――!!」
どすっ!
「っ!」
じたばた暴れていると、東田がむせた。腹を押さえている。どうやら右膝が東田の腹に決まったようだ。
「……クリーンヒット……」
「――あああ! すまん。だいじょうぶか?」
「死にそうです」
(!?!!!)
「チョコ食うまえにしぬなっ! 見せてみろ!」
「……え、ちょっと宮越さん」
ばりばりー!
東田の胸ぐらを掴むと、ボタンとボタンの間に手を入れ左右に引っ張った。ボタンが弾け飛んだが気にしていられない。シャツをたくし上げると、腹が見えた。
「かんぶはここだな!?」
「ちが、待て」
「ちがうのか! どこだ!? どこがいたい!?」
「そうじゃない。止めろ、脱がすな! 大丈夫だから離してください」
腹をまさぐっていた両手が東田によって止められる。
何時の間にやら脚の間に東田の身体があり、東田は脚の下でぜいぜいと息を吐いていた。
事情を知らない人間が見たら、馬乗りになって東田をぶん殴っているように見えるかもしれない。
「とうとう、ころしてしまった」
「生きてる」
「よかった」
笑顔を向けると、東田も少し表情を和らげた。
「今更、宮越さんに蹴られた程度で死にません。それに死んでもチョコで死ぬか今死ぬかの違いですから」
「それもそうだな!」
「……」
東田はたちまち半眼になった。声を落とし低く呟く。
「……どっちにしろ宮越さんの所為ですね」
「わたしのせいか!」
「ええ、そうです」
「そうか、おまえがいうならそうなんだろうな。でもわたしにはころす気なんてなかったぞ」
「つまり宮越さんに殺意があってもなくても、俺は殺されるってことですね……」
東田はそう言いながら、脚の下から這い出そうともがいた。
(いもむし!)
反射的に東田の大腿を両脚で挟む。
もがくのを止めると、東田は眉をしかめた。この上なく迷惑そうだ。
「何するんですか」
「つい」
芋虫みたいな動きが面白かったから。
「……狩猟本能ですかね? 何でもいいですけど、離れてください。暑いんで」
ぎゅうと脚に脚を絡めているとその部分が熱を帯びてきた。服が汗で湿ってきたを感じる。なのに何故だか東田の上から離れがたい。
「早く降りてくれませんか」
「ふっふーん」
東田を見下ろすというのは中々良い気分だ。鼻歌でも歌いたくなってきた。
にやにやしていると、東田はクッションをお腹に載せた。そしてぼそり呟く。
「俺が『例の言葉』を言う前に降りてくださいね」
「れいのことば?」
「……宮越さん 重 い です」
「なんだとお!!」
「ぐはぁっ!」
クッションの盾はあまり意味がなかったらしい。東田は悶え、ばたりと気絶した。
「しんだ!」
「いや演技です」
東田はむくり起き上がった。
「さっきと同じ手に引っかからないで下さい。心配になってきます」
「こここれってかみつきちになんのか? じせいのくよむか?」
「過密基地……? 過失致死と言いたいんですか」
「それだそれ」
「二文字しか合っていない」
「二文字合ってたか。すげーじゃん」
「どこで育て方を間違えたんだろうか」
東田は額に手を当てると、深刻な様子でしばらく唸っていた。
(へんなやつ)
二つのクッションを両手でべこぼこ殴る。
「つーか、良く考えたら、まだおまえしんでねーな」
「かろうじて生きていますね」
「生きてるなら、ころしてない。わたしはむざいだ!」
「……疲れてきた」
東田はあられもない姿で項垂れた。
上着はいくつかボタンが残っていたが、糸が辛うじて布とボタンを繋げている様な状態で、触れば今にも取れてしまいそうだ。
内側に着ていたシャツは胸元までたくし上げられていて、地肌が露出している。
痛々しい東田の格好はまるで……
「内科けんしん受けたみたいだな。今日の東田はワイルドだぜ!」
と言ったら、また頭を締め上げられた。
吹いた
おバカな華ちゃん可愛いな
ウマーな続き待ってるぜ
GJ!
華様可愛いすぎるw
>無慈悲な鬼となったのも頷ける
噴いたwww
シャッフル妄想
東田&伊波 : 真面目コンビ。飼いならす東田。冷たく説教されて伊波泣く
小鳥遊&宮越 : ガサツさに苛立つ小鳥遊。気にしないでフリーダムな宮越
宮越がチョコを取り出した瞬間、東田が引き取りに飛び出してくる
九死に一生を得た小鳥遊は泣いている伊波を慰め、小さくない可愛らしさを再確認
足立&轟 : 柔和コンビ。墓穴掘りまくる足立。人見知り全開でリリザ化する轟
佐藤&村主 : 無表情対決。内心佐藤は怯え、村主は新しいおもちゃを発見する
疲れ果てる男たち
進藤&近藤 : 本編通り
相馬&鎌倉 : SとMだが2人ともひねくれてる為、相性最悪。相馬が淡々とからかい、鎌倉怒髪天
結論 : 元通りが一番
ぽぷら「……」
種島さんは・・・あれだ!
後にすばらしい出会いが・・・
あったらいいね・・・
言いたくないが、種以外の女もあぶれてる
769 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 21:08:51 ID:/IaWwB8g
山田はずれ
佐藤「うちのマスコットに何か御用か」
種島は父兄の佐藤が難関とか。
佐藤さんが棒役で、八千代さん、店長、種、山田を一気に相手するSS…
>>770 お前ら佐藤のことばかりだな
小鳥遊忘れないで下さい><
>>772 すまぬ。
佐藤が父親で小鳥遊が兄ですね。
>>772 小鳥遊君には未来の嫁がいるから問題なかろう。
佐藤にも未来の嫁がいるんですが
何故かいつも棒役=佐藤の不思議
音尾・小鳥遊・相馬は空気
>>775 その三人は性欲のカケラも無さそうだからな
嫁がいるのに、嫌いな店長・恋愛感情完全否定の種・苦手な山田を犯す佐藤は色キチですか…
性欲なら相馬
女好きなら桐生
種をこよなく愛する男なら小鳥遊
だと思うんだが
ただし
小鳥遊の愛の種類は違う
小鳥遊は伊波が好きで、種への愛はない
佐藤は八千代が好きで、種への愛はない
同じ条件なのに小鳥遊×種だけ否定するのって不公平
佐藤のキャラ崩壊はOKなのに小鳥遊のキャラ崩壊は駄目なの?何故?
そもそも砂糖に興味はないからどうでもいい
とりあえず砂糖が女の子と絡むといいと思う
小鳥遊の相手は○○じゃなきゃ嫌だから
普段あれな小鳥遊が結ばれると色々やばいから
年下はちょっと……やっぱ年上のお兄さんがいいよね!
お好きなのをどうぞ
素直に佐藤×種のカップル厨だから他は受け付けないと言えば良いのに
佐藤とセックルさせるのを正当化するために
佐藤のキャラ崩壊を容認する一方で
小鳥遊を否定する様な言い方がイラっとするんだよな
「こんなお子様嫌だ」「気持ち悪い」を都合よく忘れて
佐藤のキャラ崩壊がありなら小鳥遊のキャラ崩壊もありだろうに
どっちもなしだよ
バカなの?
ID:JdETYwo3
どっちもアリな俺の一人勝ちだな
>>774からの流れが過剰反応
小鳥遊がぽぷらの保護者面するのと、小鳥遊に嫁がいるの何か関係あるのか
それとキャラ設定を無視する人に
「お前本当に原作好きなの?」って言いたくなる気持ちもわかるが
佐藤を便利棒にしてOKの流れなんだから、小鳥遊・相馬・桐生・柴・峰岸も便利棒でOK
個人的に公式カップル以外読みたくはないがな
事に至りながら本命の顔が浮かんでしまい
「くそ…最低だな、俺…」
って自己嫌悪に陥りながらも場に流されてしまう
…みたいなシチュならキャラから逸脱しすぎないぜ
重たさは増すけど
そもそもどれだけの人間がシュガーを便利棒にしていいと言ったのか
本スレで公式カップル以外はノーマナー行為。妄想キモイと言われ終了
だがここは妄想する場所
>>786が小鳥遊・佐藤・相馬・桐生・柴・峰岸の誰でも構わない
反発する方が間違え。ここに来るべきじゃない
でも一言言いたい
ここで対決してる佐藤×ぽぷら/小鳥遊×ぽぷら好きの人らは空気読んで欲しい
ただでさえ、組み合わせが確定してる所に割り込むのは反発されるものだよ
みんな何カリカリしてるん?
原作があって、それを読んで展開や設定を妄想するための虹板だろ
王道カプだの公式カプだのにのめり込むのもいいし、別の組み合わせを妄想するのもアリ
カプ論が雑談や妄想のネタになるならともかく、自分の好み以外を否定するってどうなのよ
空気嫁とか勘違いも甚だしい
妄想のおもむくままに書けばいいと思うよ
昔エロで頑張ってた人いたのに
「エロいらねww」のスレだからな
>>789がいいこと言った
そういや、携帯版のトップページには21禁て書いてある不思議
結局たまたまスルースキルの無い連中が集まっただけだろ
>>789 おおむね同意だが
>ここで対決してる佐藤×ぽぷら/小鳥遊×ぽぷら好きの人らは空気読んで欲しい
対立してる馬鹿がいるから注意されたんだろ
佐藤×ぽぷらがいいなら小鳥遊×ぽぷらも良いよね(小鳥遊×ぽぷら派
↓
佐藤はいいけど小鳥遊はだめ(佐藤×ぽぷら派
佐藤×ぽぷら派は相手の嗜好を否定するな。逆の立場を考えろ
小鳥遊×ぽぷら派は延々噛み付いて大人気ないわ
喧嘩してるから捏造カップルの印象が悪くなっていく
そもそも佐藤×ぽぷらならいいという奴がどれだけいたのか
誰と戦っているのか
てかエロパロでカプ厨とかマジアホだろ
嫌なら見るな、文句言うなら自分で書け
これ常識な
良く読んでみた
こいつらが戦犯だな
小鳥遊×ぽぷらを否定(ID:B3cHYMsl ID:+6XkoRnS ID:sKQZ4usI)
激昂する小鳥遊×ぽぷら派(ID:JdETYwo3)
スレ的にはID:B3cHYMsl ID:+6XkoRnSがAHO
ID:JdETYwo3の方が正しいが同意したくない微妙さ
つーかどっちも馬鹿じゃないの…
うすうす変な流れになりつつあるなあ
と思ってたが、ついに暴発したか
ぶっちゃけ前スレからそういう空気あったよね
公式カプ以外は原作否定だ!的な
公式カプ以外を推すほうも推すほうで
パロディレベルでカップリングを楽しむならまだしも、公式を引き合いに出し始めるのが散見されるからお互いに摩擦がでかくなったんだろうな
問1
梢が八千代に話した猥談の内容を答えなさい。
(25点)
――が――で――して――なる
穴埋め問題
隠語のオンパレード
なにもかも卑猥ですね
人物、器具、動作、状態
かな・・・、意外性で他にもあるだろうし
センスが問われるな
>>800 酒+猥談+隠語=「花電車がC喫茶で女体盛りしてわかめ酒飲めるようになる」
猥談+隠語=「部屋持ちがダブルで三輪車してグロッキーになる」
ぐぐって調べたが死語かもしれない
何言ってるのかわかっちゃう人は深く反省してください
「宗太が伊波がくれた子猫の写真で●●●●して賢者になる」
あ、猥談になってないや。
どうもちょっと突発的にたかいなの話を書きたくなったので
予定にはない話を書いてしまいました。
私が書いている小鳥遊と伊波であることは間違いないのでそこはお察しください。
とある夏の夜、ファミリーレストランでのバイト中、外に出してある看板の電球を点けるために
伊波まひるが外に出ると、一つ大きな音が鳴り響いた。
どぉん、というお腹の奥までずんと響くようなその音に伊波が空を見上げる。
「花火…」
彼女が耳に、目にしたのは夏の夜空を彩る大輪の花火であった。
それを見て、彼女は素直にきれいだな、とひとりごちた。
しかし、同時に何とも言えない悲しみが胸の奥で生まれるのを自覚した。
いけないいけないと首を振って、彼女は踵を返してすぐに店内に戻り、裏へと戻っていく。
そんな彼女の様子を、同じバイト仲間であり、恋仲の小鳥遊宗太ははっきりと目撃していた。
同僚の種島ぽぷらと笑い合って料理を受け取って運びに行く伊波の顔にはもう先ほどの曇りはなくなっていた。
けれど、その後のバイト時間、小鳥遊の頭の中では同じ言葉がぐるぐるとまわり続けた。
―何であんな顔をしたのだろう
と。
◇◆◇◆◇◆◇◆
その日のバイトを終えての帰り道、小鳥遊と伊波はマジックハンドを挟みつつ並んで歩いていた。
伊波が学校であったことや、読んだ小説のことを話すのに小鳥遊が相槌を打つ、というありふれた会話。
だったのだけれど、何となく小鳥遊の返事が重い、何となくテンポもずれている。
そんな気がして、伊波から質問を投げかけた。
「宗太くん、どうかしたの? 何か元気ないように見えるけど」
「えっ、ああ、いや元気がないわけではなくて…」
他者への気遣いという意味では人よりも聡い伊波に指摘されると、小鳥遊は少し恐縮した様子で頭をかくしかできなかった。
同時に隠しても仕方ないと判断して、ずばり聞くことにした。
「伊波さん、花火って、どう思いますか?」
ずばりと思った割に微妙に遠回しな聞き方をしてしまった自分のノミの心臓を小鳥遊は呪った。
「え、うん。その、きれい…だよね」
が、思いの外、伊波にとってもその質問は答えにくいことであったようで歯切れが悪くなる。
とはいっても、完全に的外れではない答えであるわけで。
「そ、そうですよね、きれいですよねー」
「う、うん…」
ふと訪れる沈黙。その間、小鳥遊は自分の無能さを改めて呪った。
こちら側から振った話題なのにも関わらず気まずくしてそのままか!と顔を張り飛ばしたくなってしまう。
このまま回りくどい会話をしても、きっと核心にはたどり着けないだろう。
そう思った小鳥遊は今度こそはっきりと質問することにした。
「まひるさん、えっと、その、ですね…」
「は、はい?」
何故か緊張した面持ちで見つめてくる小鳥遊に伊波は自然赤面してしまう。
気持ちが通じ合っているといっても、恥ずかしいものは恥ずかしいからどうしようもないよ、
そう思いつつも、彼女はできる限り目線を彼に合わせようと努力する。
「バイト中、花火上がったじゃないですか。まひるさん、あれ見てましたよね?」
「あ…」
それで伊波はぴんと来たようで少しばつの悪そうな顔で笑う。
「見てたんだね、宗太くん」
「いや、その、すみません」
「謝らなくてもいいよ、全然大したことじゃないの」
「でも、何か悲しそうでした。俺でよければ話してくれませんか?
や、まあ、力になれるかどうかはわからないんですけど…」
そう言ってくれる自分の恋人に伊波は胸がうれしさであふれていくのを自覚して、頬がとろけていくのを感じた。
きっと人が見れば何をにやけてるんだ、と思われるかもしれないが、
我慢できないのだから仕方ないと言い訳して、その笑顔という矛先を小鳥遊に向ける。
「ま、まひるさん…?」
その笑顔の意図がいまいち読めなかった小鳥遊は彼女の笑顔に赤面しつつ、困惑もした。
そして、伊波はその笑顔のまま近場にあったコンビニを指差した。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「わあ、近頃の花火ってすごいねー」
「そうですね、ちょっと見ない間に派手なのが出てますね」
設置した樽型の花火から大きな火花が上がるのを小鳥遊と伊波は並んで眺めていた。
ちらと小鳥遊は伊波の顔を覗き見ると、彼女の笑顔は心からのものだと何となくわかってほっとした。
だけど、とどうしても余計な考えもちらついて、つい聞いてしまう。
「だけど、こんなのでよかったんですか?
花火って言ってもやっぱり打ち上げ花火とかに比べるとやっぱり見劣りするっていうか…」
伊波はそうやって自分を気遣ってくれる彼の気持ちにありがたさを覚えてにっこり笑い返して見せる。
「そんなことないよ。私すっごく楽しいよ」
「うーん、でも花火大会に行けるのが一番じゃないですか?」
「言ったでしょ、人がいっぱいいるから私じゃ行けないよ」
「それは、まあ…」
伊波には少し人と違った部分がある。
それは男性恐怖症で、男の人が近くにいるとつい殴ってしまうという少々扱いに困るもの。
本人も何とか治さねばということでバイトを始め、小鳥遊と二人三脚で快方へ向かわせ、
ようやくほとんど恋人としてあるべき隣に並んで立つというところまで来ていた。
ただし、それもまだ小鳥遊にだけのものであって、他の男性に関してはまだそこまで行けるまでにはなっていない。
そんな彼女は昔から花火大会に行きたくても我慢するほかなかった。
人が多く集まるということは男の人も多くいるということで、
そんな場所に伊波を連れて行けば阿鼻叫喚の大騒ぎになってしまうのは想像に難くなかった。
小鳥遊も少し考えれば、納得せざるを得ないとは思ったが、それでも何とかしたいと思うのも確かだった。
だからこそ彼は食い下がる。
「今度探してみますよ、あまり人が来ない花火大会。それなら見られるかもしれませんし」
そう言ってくれる少年に頬を緩ませて、体半分ほどの距離を伊波が近づく。
「うん、ありがと。だけどね、宗太くん」
小鳥遊の花火から火をもらって伊波が新しい花火に火を灯す。
それは煌々とした光をまき散らし、二人を照らす。
その明りに照らされた少女の笑顔に小鳥遊は見とれてしまい、目が離せなくなる。
「え、はい」
「私、ウソは言ってないよ?」
「ウソ?」
伊波のまっすぐな瞳にそう言われた小鳥遊だったが、すぐには彼女の意図が読み取れず聞き返す。
すると、伊波は顔を花火に向けた。
小鳥遊から見てその表情は赤く映った。
現実の視覚的に言うと、赤ではなく光彩豊かな光に照らされているだけで、
その一瞬が赤く見えただけなのかもしれないし、赤面症のきらいがある彼女だからなのかもしれないが、
それでも小鳥遊には伊波が少し恥ずかしそうにしているのは汲み取れた。
だから、予測できなかった。
「どんなすごい花火大会に行くよりも、こうして宗太くんと並んで花火してる方が…、私は、好き…」
「……」
彼女の口からこぼれる言葉が、声が、こんなにも自分自身の心の真ん中に打ち込まれるとは。
「い、行ったことないけど、それは多分絶対だと思う…」
「……」
継ぎ足される言葉がまたじんわりと胸に広がって、少年を唖然とさせる。
それは次第にうれしさとなり、段々と広がっていく。
「な、何か反応してよ、今の恥ずかしかったんだから」
「あ、え、その…いや、はい、すみません」
伊波にたしなめられるように言われて、小鳥遊はようやく言葉を返し苦笑した。
果たして本当にそれが苦笑だけの笑顔だったかは伊波の目にはわからなかったが。
「ふふ、宗太くんどうしたの? 何だか変だよ?」
それでも伊波にはそんな彼が愛しく思えて、素直な表情で微笑みかける。
その伊波の笑顔という、小鳥遊にとっての大輪の花火はついに小鳥遊の心にも点火した。
そして、二人が持っていた花火の火がふっと消えると共に暗闇が訪れる。
だけれど、その暗闇は驚きと甘美に満ちた幸せな時間だった。
「……」
「……」
そうして公園の風景の闇に紛れて重なっていた二つの影が離れるのは一体どれだけの時間を要しただろうか。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「び、びっくりしたよ…」
花火を片付け終えて再び帰り道を歩き出した伊波が隣に立つ小鳥遊に言うと
「何がですか?」
にこにことしながら逆に問い返す。
何だか遊ばれてる?と幸せな不満を抱いて、伊波が口をとがらせる。
「わかってて言ってるでしょ?」
「わからないから聞きました」
「ウソつき」
「伊波さんに言ってほしいですから」
「も…もう、ばか…」
ああ、完全に遊ばれてるなぁ、と苦笑いをしてしまうけれど、
きっとこれはあまりにも贅沢な苦笑いなんだろうなと伊波は思った。
こんなにも自分の心は満ち足りているのだから。
気を付けて歩かないとこぼれてしまいそうなほど。
「宗太くん」
「はい」
「また来年もいっしょに私と二人で花火大会してくれますか?」
そして少しだけこぼれた幸せが伊波の口からその願いになって小鳥遊という受け皿に届けられる。
恐らく自分自身の容量もいっぱいいっぱいだったのだろう、小鳥遊がそれを受け止めた瞬間、
耐え切れなくなって伊波を抱きしめようとして、人通りの少ない住宅街に小気味いい打撃音が一つ鳴り響くのだった。
了
まえがきでちゃんと言ってませんでしたね。申し訳ありません。
「衝動ごと抱きしめて」「名前を呼んで」「こっち向いてハニー」の作者です。
つまりは上記3点の続きなのが今回のお話です。
いや、本当はこれは書く予定になかったんですけど、夏か、花火かぁ、と思っていたら
はっとしてキーボードをたたいていました。
突発的に書いたものなので、別に私が元々書いていた話のキャラ設定を
続ける必要はないかなーと思いつつも、こっちの方がいろんな理由付けをしやすかったので
続きという形を取りました。
まあ、衝動的に書いたものなので、あまり凝った話にはしてません。
いつも大して凝った話じゃなくてベタなのを大仰に広げてるだけな気もしますが(汗)
とにもかくにも楽しんでいただければ幸いにございます。
そういえば8巻で登場したM岸さんと伊波さんが絡むことになったら
どんな絡み方というか結果を生むんだろうな、と最近妄想してます。
絶対2828する展開がそこにはあるはず。
最後に早くDVD5巻出ないかな、とつぶやいて今宵はこれで失礼いたします。
夏の暑さよりも、いなみんの熱さにやられたい作者でした!
いなみん可愛いなあいなみん
>>811 やっぱりアンタか!
伊波さんのかわいさは絶品
続き読みたいわ
>>811 ぃよっしゃああああああああああ!!!
盆休み明けでだるい体にたかいな成分補給!
最高です。GJです。あなたは自分にとって神です。
続きを楽しみにしています。頑張ってください。
エロパロwikiの「ごみ箱」に
自分の書いたSSも1つ入ってて凹んだ
そんなんあるのかw
見るの怖いな
ゴミ箱?ww
誰が作ったのそんなのw
元からある機能だと思う
以前ここに投下したSSで一人称間違いを発見した…恥ずかしい
「ごみ箱」じゃなくて「未整理」とか「未分類」にすればいいのにw
Livedoorwikiにアダルトカテゴリがないから已む無くなんよ
格ゲーで遊ぼう!inワグナリア
対戦カード
杏子(草薙)vs佐藤(八神)
柴一号(矢吹)vs柴二号(レオナ)
伊波(舞)vs小鳥遊(アンディ)
種島(アテナ)vs桐生(キム)
これで
KOFですかwww
面白そうだけどやったこと無いからな・・・
ギルティギアならかろうじて出来そうな・・・
(宣言しておきます。残念ながら、私ではKOFでもGGでも作れません。)
(理由は自分の力不足ゆえです。)
でも、実在するゲームを彼らにさせても良いのなら、少し考えてみようかな。
(ただし、格ゲ以外になる可能性も)
ちなみに現在SS製作中です。(制作速度遅です)
伊波の胸で舞だと…
投下します
・前半、梢→陽平 後半、佐藤→八千代
・よく「……」している間、佐藤は何を考えているのか
タイトルは「あたたかい光」
その日、駅のアーケードは大混雑していた。
歩いても歩いても人の波。
こんな時、人間を恐れる八千代なら誰かに縋りつくだろう。
(まあ、轟ならそうだろうな。予想範囲内だ。しかし……)
梢を見ると、真っ青になって震えていた。その視線は一点を捉えている。
十メートル程先のファーストフード店前。その店の入り口横に男女二人が並んで立っていた。
メニューを眺めている女の方は八千代。そして、もう一人。
「――ダーリンっ!!」
「げっ!?」
梢の怒号に、八千代の連れ――真柴一号は飛び上がった。
「あら」
ぼんやり店を選んでいた八千代も、梢に気づいた。彼女は真柴の左腕にしがみついている。
八千代は梢を見つけるとほやんと笑った。
「こんにちはー」
「はい、お嬢ちゃんこんにちは!」
梢は律儀に挨拶を返した。ただし不機嫌を隠さず、腹筋を生かした素晴らしい発声で。
ざわめく駅アーケードで、拡張機器を使わず注目を浴びるのはある意味凄い。
「おい、人が見てるぞ」
一応注意するが、梢は聞いてなさそうだった。
「ダーリンったら、私というものがありながら! 酷い!」
人の目が集まったことに八千代はびくびく怯え、真柴にますます密着した。男の腕に八千代の肢体がぴたりと張り付き、梢の片眉が跳ね上がった。
この暑さだ。八千代のワンピース生地は薄布であることが一目瞭然で、真柴にはありありと感触が伝わっていることだろう。
真柴に下心はなさそうだが、他の男が彼女の身体の感触を知っているとは――
(いや、この際、そんな事はどうだっていい)
真柴と八千代の二人は仲良く連れ立って歩いていた。その光景が目に飛び込んできた瞬間、腹の底で何かが沸騰した。
人ごみの中、怖がりの八千代、とくれば当然のことだったが。他の男の上腕に、八千代の細い指が絡みついているのは、見ていて気分が良いものではない。
不快指数が跳ね上がった。
(面白くねえ)
むっとしている間に、梢は突進していった。こちらをキョトンと見ている真柴と八千代の元へ、アスリート走りで辿りつく。
そして腰に手を当て、梢は真柴の前で仁王立ちした。
「ちょっと! ダーリンったら、浮気!? どーゆーことか説明!」
「へ!? 浮気って……?」
「どうみたって浮気じゃない!」
梢は目の前で組まれた腕をびしっと指さした。
「……?」
真柴と八千代は自分たちの腕を眺め、それから顔を見合わせた。
真柴と浮気という単語が結びつかないのだろう。八千代は思考が付いていっていないようだった。まだ、ぼんやりしている。
その隣で、八千代よりは頭の巡りが早いのか、真柴はみるみる青ざめた。
「まさか俺とおじょ……いやいやいや、ありえないっす! 浮気してる、してない以前に、俺は誰とも付き合ってないっすよ」
「じゃあその娘は何よ! 腕なんか組んじゃって酷い! 私のことは遊びだったのね!?」
「遊びって……そもそも始まってもいなければ本気でもなあああ泣かないで」
明らかな嘘泣きに、真柴は簡単に引っかかった。
右肩に担いでいた荷物を放り出し、左腕に張り付いていた八千代からするりと抜け出すと、梢に弁解を始めた。
「これはその、子供の迷子防止みたいなもので。お嬢はもう抱っこもおんぶも出来ないし」
「父親ぶっちゃってなによ! 待ち合わせしてデートしてたようにしか見えないわ!」
「そんな洒落たもんじゃないっすよ。職探ししてたらお嬢に会って、荷物持ちをしていただけで……信じてください!」
その気は更々ないだろうに、真柴は無駄に真摯だ。きりりと顔を引き締め、梢の手を取った。
彼にとって身の潔白を晴らすことと、梢の求愛に応えることはイコールではないのだろう。言葉の選択も微妙に間違えているが、気がつかないようだ。
アルコールによって「浮気していません。信じてください」イコール「君だけを愛している」状態の梢はころっと機嫌を直した。
「信じるわ、ダーリン!」
梢はぱっと顔を輝かせると、がばっと抱きついた。抱きつかれた真柴は特に抵抗もせず、されるがままだ。
「あの、どうしてここに?」
「よく聞いてくれました! この暑さを吹っ飛ばそうと思って、お酒とダーリンを探しにふらふらしてたのよ。そしたら偶然、南口で金髪の彼に会ってね。ちょっとからかってたの」
半ば呆れながら成り行きを見守っていたが、梢の台詞にはさすがに憮然となった。
(あれで「ちょっと」? しかし、これでやっと肩の荷が降りたな……)
ほとんど真柴にのしかかった体勢で、梢はあっけらかんと言う。
「そんなことよりカラオケ行きましょ。ゴムならあるしー」
「ちょっと何言ってるのか分かりません……。いや、現物出さないで! しまってくださいっす」
真柴は困り果て、八千代に声をかけた。
「あの、お嬢。この人どこかに置いてくるので、買い物続けていてください! ――で、小鳥遊さんのお姉さん。これじゃ歩けないっす」
「えへへ、逞しい足してるじゃなーい。男の人の身体ってイイわよねえ。ダーリンはお尻の形もベリグッ! もう私、ダーリンが望むなら、枯れるまでフェ――もごもご」
「勘弁してくださいっす! お嬢に変なこと聞かせたなんてバレたら、姐さんに殺される……」
やいのやいの賑やかに二人は遠ざかって行った。
八千代は真柴に振りほどかれた両手をじっと見つめていた。
「陽平さん、小鳥遊君のお姉さんと付き合っていたのね」
「……あれはちょっと違うんじゃね? 付き合っているというより、付き纏われているような」
「でもお似合いだわ。二人共、明るくて楽しいもの。お兄さんにお嫁さんが出来たみたいで、ちょっと淋しいけど……」
そう言って八千代は真柴達が去っていた方向を見つめた。
八千代に倣って人ごみを見つめると、ジュエリーショップの前で一際騒がしい二人組を発見した。
目を凝らすと、丁度、梢が真柴に抱きついたところだった。
(あれは指輪でもせがまれてんだろうな)
八千代にも見えたようで、彼女は楽しそうに笑った。
「陽平さんに良い人が見つかって良かった」
「淋しいんじゃなかったのか」
意地悪を言ってしまうのは先程の光景がまだ目に焼き付いているからだった。
なんだか苛々する。
そんな心情を知ってか知らずか、八千代はおっとりと口を開いた。
「そうね、淋しいわ」
「…………でもお前にはてんち」
「でも今は佐藤くんがいるもの」
「げほっ!?」
げほごほ咽ていると、背中に柔らかな感触がした。
「大丈夫? 佐藤くん、喘息?」
「……唾が気管に入っただけだ……背中さすらなくていい……」
(あつ……)
背中が熱い。触れられた箇所にはふんわり羽で撫でられたような感触が残っていて、燃えるように熱い。
何よりも彼女の言葉がいけない。内蔵と皮膚がかっと熱を持ち、喉がつかえる程だ。
『今は佐藤くんがいるもの』がエコーする。ぐるぐると頭からこびりついて離れない。
(何期待してんだ。いつもの思わせぶりだろうに、俺は阿呆か。阿呆だな、阿呆だ。分かってるっつーの)
この天然の前ではこちらまで調子を狂わせてしまう。自己フォローし軌道修正することも時にままならない。
「佐藤くん、具合が悪いのなら帰って休んだほうが」
「別に、体調が悪いんじゃない」
「そうなの……?」
八千代の心配げな視線とぶつかって心臓が跳ねた。
そういえば二人きりだった。
(話題、話題。何か話題を探せ)
二人きりを意識した途端、焦燥感が心身を支配した。にわかに会話をし続けなければならない、という強迫観念にかられる。
真柴が行ってしまったので、八千代が今頼りにしているのはこの場に一人しかいない。
彼女を安心させてやりたかったし、杏子の話をしていないという珍しい空気も大切にしたかった。
「……相馬に呼び出されたんだがな。十一時に南口。いくら待っても来ねー」
ようやく捻り出した話題はどうでもいいものだった。声も僅かに掠れていたような気がする。
今度は嫌な意味で、どくどくと鼓動が止まらない。火照った身体がすうっと冷たくなり、頭の中は飽和状態になった。
(って、なんだそのネタ振り! すぐ詰まる話題じゃねーか。最悪だ。俺って、すげーつまんねえ人間なんじゃね……)
「あら、佐藤くんも?」
内心果てしなく落ち込んでいるこちらを余所に、八千代はのほほんと口を開いた。
「私も相馬くんに呼び出されたのよ。十一時に南口で」
「――」
「でも急に来れなくなったんですって。だから買い物していたの」
「……そういうことか」
「さ、佐藤くん、怒った? なんだか怖いわ。怒ってる? 怒ったの?」
「別に」
相馬の意図なんて、余程鈍くなければ気づきそうなものだ。
しかしその余程鈍いのが八千代だ。
袖の肘辺りが引っ張られているのに気が付けば、いつの間に掴んだのやら、彼女の指がそこにあった。無意識の行動なのだろうと思うと、恨めしい気持ち半分、浮き立つような気持ち半分。
「佐藤くんはもうお昼食べた? まだだったら一緒に食べに行かない?」
「まだ」
放り出された八千代の荷物を拾い上げ、歩き出す。
袖を掴んだままの八千代もとことこと着いてきて横に並んだ。
「ありがとう、佐藤くん」
「いや……」
今の状況に既視感を覚え、数歩歩いて立ち止まる。
脳裏に、先程の光景が思い起こされた。真柴の腕に絡みつく八千代の腕。仲良さそうな二人の様子。
(実際、店長への嫉妬はお門違いだ。分かってるがどうにもならねえ。
さっきの一号と轟の間に甘い雰囲気が全然ないのだって、見て分かった。それでも腹が立った。あの時腕を組んでいたのが二号でも苛ついただろう。
そうだ、俺は一号だけじゃない。他の誰にも親友の座を渡したくないし、友達のままでいる気もない。轟の人間関係で一番近い人間でいたいんだ)
渦巻く感情に、思わず天を仰いだ。アーケード天井が見える。照明が眩しい。
(もっと広い世界を知って欲しいのは嘘じゃない。でも轟にとっての平和を切り崩し、傷つけてまで、広い世界に価値はあるのか。
店長達は轟に平和と笑顔を与えることが出来る。轟にとって価値があるのは狭くても幸せな世界じゃないのか?
俺には泣かせない自信すらねーし…………気が滅入ってきた。
そもそも全部、勝手な願望でしかねー。轟の交友関係に口出す権利もない。今のままでも充分じゃねーか)
「あ、あの電気消えそう。ちかちかしてるわ」
声が近くから聞こえたかと思うと、肩に軽い衝撃があった。
肩にぶつかったのは八千代の頭で、彼女は一緒になって天井を見上げていた。足元がふらふらと危なっかしい。
「阿呆。しっかりしろ」
八千代の額を裏手で軽く叩き、きちんと立たせてやる。彼女は不思議そうにしていたが、素直に従った。
「電気切れそうなの、駅員さんに教えてあげなくちゃ。か、か、改札口に、い、い…行って」
「そんなに怖いなら行かんでいい。ああいうのはちゃんとチェックしてる人がいるだろ、多分」
「そうなの。良かった」
胸をなで下ろす八千代は阿呆だったが、やはりどうしようもなく、それ以上に阿呆な自分がいた。
そっと、張り付いてくる姿は頼りなげで、掴まれている袖を振りほどけば、儚く消えていきそうな存在感だった。
(――くそ、弱気になるな!
そうだ、確かに俺は轟の交友関係に口出す権利なんかねえ。だが一番になろうと努力するのは自由だ。
そして広い世界で轟が傷つくなら慰めりゃいい。取り返しの付かないようなことからは守ればいい。
ただの友達だってそのくらい出来る)
不安そうな彼女を安心させる方法も知っていた。
(けど、口実がない)
懸命に考えてみたが、どれもいいアイディアではなかった。
その間にも八千代は人とすれ違うたびに、びくりと震え、背中に隠れた。
今にも消えそうな癖に、彼女に緊張感があまりないせいだろうか。どこかのほほんとした空気を八千代は纏っていた。
それでも、おずおずと後ろから袖が引っ張られているのは恐怖があるから。
彼女の顔からは笑顔が消えていた。いつ見ても魅了されてしまう、木漏れ日のようなあの笑顔がない。
(あー)
(口実なんかいらねえわ)
大きく息を吐いて、声を搾り出した。
「……ほれ」
八千代に向かって、右手を差し出す。
今度は掠れた声にならなかった。しかし結局「手をつなごう」という趣旨のうまい言葉は出てこない。
(だせえ。汗とかかいてねーだろーな、俺)
不安にかられて八千代を恐る恐る伺うと、彼女の表情は華やいでいた。
「手を握っていいの?」
「嫌じゃないなら掴まればいい。……」
言った端から後悔する。
しかし無愛想な態度も、つっけんどんな言葉も臆することなく、八千代は嬉しそうに手をとった。
「ありがとう。手を繋ぐのって夢だったの」
「友達と手を繋ぐのが、か」
全神経が繋いだ右手に集中する。八千代の左手はほっそりしていて、滑らかだ。
あえて自分から友達と言っておく。舞い上がりそうな気持ちを抑えきれなくなりそうだからだ。
小鳥遊には「何を考えているかわからない」と評された無表情さに今は感謝したい気持ちだった。
(……我ながら現金だな)
(轟も喜んでるし、友達でもいいんじゃないかという気が……いやだめだ弱気になるんじゃねえ。
でもこんなに喜んでるんだぞ。友達ってところが引っかかるが。まあ、なんだ、やっぱり可愛、)
ちら、と振り返ると、八千代は夢見る瞳でとろけるように微笑んだ。
思わず見惚れてしまう。切なくなるほど綺麗だ。
「ううん。違うわ。友達とじゃなくて」
彼女は呑気に言った。
「佐藤くんと手を繋ぐのが夢だったの。ありがとう、佐藤くん」
「礼には及ばな――」
『佐藤くんと』?
左手から荷物が滑り落ちた。
苦しいけど幸せも貰える佐藤君でした
タイトルは絢香「I believe」からの引用です
八千代にとって佐藤は希望の光だといいなと。
GJ以外の言葉が見つからない・・・
良いものを読ませていただきました!
目福ならぬ読福ということで!
inカラオケ
東田<嗚呼ー玉杯にー花うけてー
華<その歌、何いってんのかわかんねーよ
東田<黙ってろ
ミリ<ひがしーはT大生気取り…
妃<道民なら「都ぞ弥生」歌えよ
ミリ<「北海道帝国」大学だね……かっこいい…札幌都中央市大通区…
妃<北海道「帝国大学」な
さとーさん頑張れ
八千代と佐藤って見た目は今時の若者だけど、精神は古風だね
それに時々男女逆転してるように見える
忠義一途の武士八千代と、八千代を支える良妻賢母佐藤
杏子は殿様、柴兄妹は御庭番衆
山田は姫、種島はコロポックル、伊波は行儀見習中の娘、
小鳥遊は行司の家柄、松本は普通、相馬は謎
つまり時代劇パロディはまだですか
種っこは座敷わらしにしてやれよ
でなけりゃミジンコの精とか
なけなしの北海道らしさなのでは>コロポックル
八千代×佐藤希望。
八千代が佐藤を主導権握るか襲うかする。
無理か。
>>840 仲がいい友達とはコトに及ぶものとか、どっかの酒乱さんが吹き込んだりすればいい
事ってなぁに? 佐藤くん
で終わる予感
どこぞのかわいそうな人が
「轟さん、お酒を飲んだら親しい人に抱きつくのが常識なんだよ」
とか言いそうだな
酔っぱらったやちがそれを思い出してぎゅーっとか
あ、あれ?何故プロットになってるんだ…