1 :
名無しさん@ピンキー:
しばらく一乙で放置されるのもなんなので投下します。
「なあ、今度は何を錬成してるんだ?」
「...」
「今度俺にも何か錬成してくれよ。同じルームメイトだろ?なあ、頼むよ」
「...」
「..(けっ!!ガン無視かよ、このケチンボ)」
ギロッ!!
「ななななんだよ、俺は何も言ってねーぞ!?」
「..朝ごはん..食べてきます」
キィー..パタン
「..一体何があったってんだよ?錬金術師なんて錬金してなんぼだろ?何考えてんだ?あいつ..」
ハニートーストとカリカリに焼き上げたベーコン、カイワーレのサラダでいつもよりかなり早めの朝食を
済ませた後、ノームはぼんやりと食堂を眺めながらコーヒーをすすっていた。
朝早くから冒険に出かける学生のために食堂は夜明けと同時に開店しているが、その他の学生の
朝食ラッシュにはまだ早いせいか、人影はまばらだった。
今日は冒険の予定が無いノーム。一旦部屋に戻って、授業開始の時間まで二度寝しても良かった
のだが、ルームメイトのドワーフと半ば喧嘩別れ状態で出てきた手前、部屋に戻るのは気が重かった。
カップの底に薄く残ったコーヒーを暫く名残惜しげに眺めていたノームだが、意を決して飲み干すと
食器とトレイを下膳口に下げ、食堂を出た。
「ぃえあああああああ!!」
突然気合とも悲鳴ともとれる奇声が剣士科棟の方から聞こえてきた。戦士系の学科の朝は早い。
気候が良くなり日も長くなった今日この頃、早朝稽古が始まったのだろう。
(フェルパーさんも参加しているのだろうか?)
食堂を出たものの行く当てが無かったノームは、剣士科棟を覗きに行って見ることにした。
剣道場の中庭では二人の生徒が練習用の木刀を構えにらみ合っていた。ふよふよとタイミングをとるかの
ように上下に揺れながら浮遊するフェアリーと、肩で息をしながら中段の構えで相手を見据えるフェルパー。
道場の縁側の上ではロッシ先生が、稽古というには殺気がみなぎりすぎている二人を悠然と眺めていた。
一つ長く息を吐き呼吸を整えると、フェルパーは八双の構えに木刀を振り上げた。それを見て構えなおす
フェアリー。何かが身体に満ちるのを待つかのように動かないフェルパーの瞳孔がクワッと散大する。
「..ひぃああああああああ!!」
鋭い気合と共にフェルパーらしい俊敏な動きで間合いを詰め、真っ向から木刀を振り下ろすフェルパー。
すんでのところで見切っているのか、それとも単に風圧に煽られただけなのか、ふらふらとよろめきながら
木刀をかわすフェアリー。
すばやく向き直り、今度はすぐに八双の構えに入るフェルパー。一気に勝負をかけるつもりのようだ。
「きぃえええええええ!!」
フェアリーに立ち直る隙を与えずに再び一気に間合いをつめるフェルパー。木刀を振り下ろそうと一歩踏み込んだ
瞬間、その動きがぴたっと止まった。
「なああああ!!フェイントアルかー!!」
木刀が振り下ろされるタイミングを見計らって身体をかわしたつもりのフェアリーが一転窮地に立たされる。
「ぅるあああああ!!」
無防備なフェアリーに向かって、フェルパーの木刀が渾身の力で振り下ろされた。
「そこまでっ!!スフォリアの勝ちだ!!」
突然、道場の縁側の上でロッシが裁定を下す。
(えっ!?)
意外そうな表情で固まるフェルパーの首筋につんつんとスフォリアの木刀が当てられる。
(そんな、いつの間に..)
愕然とするフェルパー。
「両者別れ!!向かい合って、礼!!」
「ありがとアルね!!」
「..ありがとうございました!!」
(..今日もスフォリアさんに勝てなかった..)
悄然として道場の縁側へ引き上げてくるフェルパーの頭上からぱちぱちと拍手の音が降ってきた。
はっとして縁側の上を見上げると、いつの間に来ていたのか、ロッシ先生の隣でノームが穏やかに微笑みながら
手を叩いていた。
「粗茶ですがどぞアルね。熱いから気をつけルね」
「いただきます。身体が暖まります」
茶碗を配るスフォリアに軽く一礼をして一口お茶をすするノーム。
「突然お邪魔しまして申し訳ありません、ロッシ先生。まさかこんなに真剣な稽古をしているとは
思いませんでした」
「はっはっは!!いいってことよ。むしろどんどんうちの稽古を見に来て欲しいもんだ。仲間に見られている
という緊張感がさらに本人の力を引き出すってこともある。なあ、フェルパー?」
話を振られたフェルパーはというと、耳を伏せ真っ赤になって俯いて座布団の角の房をいじっていた。
「どうしたね?フェルパー。いつもならムキになって悔しがルね?」
「いえ..その..まさかノーム様が来ていただなんて..それにあんなみっともないところを見られちゃって..」
「何を恥ずかしがってルね。今日もいい稽古だったアルよ。クラスで一番怖い対戦相手、フェルパーアルね」
「でも..私今まで一回もスフォリアさんに勝ったことないし..それにあんなはしたない声を上げてるところを
見られただなんて..」
と、チラッとノームの方を見た後、両手で顔を覆ってしまうフェルパー。
「いえいえ、ああいうのを"裂帛の気合"と言うんでしょうね。見ていた僕の方が気圧されてしまいましたよ。
..どうですか?先生。剣士としてのフェルパーさんの腕前は?」
「..そうさなあ..」
顎をさすりながら、暫くフェルパーを眺めるロッシ先生。
「ここへ入る前は独学でやってたみてぇで、ちょっと変な癖がついちまってるな。ここで一から修行を積んだ
スフォリアに今一歩勝ちきれねぇのはその辺りが原因なんだろうが、稽古は熱心だし、"二の太刀知らず"
の心意気は悪くはねぇ。口で言って癖を直すのは簡単だが、今は好きにやらせて自分の考えでどこまで
やれるか見ているところだ。スフォリア如きに勝てないからといって、くじけて転科なんかするんじゃねぇぞ?
こら!!」
そう言ってカラカラと笑った。
「もう..先生ったら..」
真っ赤な顔のまま横目で先生をにらみつけ、自分の前の茶碗に手を伸ばし口を付けるフェルパー。
が、次の瞬間..
「ぶは!!ぅあっちいいいいいい!!」
「あちちちち!!なにしやがんでぇ、フェルパー!!茶碗落とすな!!」
「淹れてからずいぶん時間経つアルね!!どんだけ猫舌アルね!?」
「だだだ大丈夫ですか?フェルパーさん。お水、雑巾、お水、雑巾、あわわわわ」
「..本当にご迷惑をおかけしまして申し訳ありません..ノーム様」
「ううん、気にしないで下さい。フェルパーさんこそ舌、大丈夫ですか?」
ぼちぼち朝食ラッシュが始まりかけた学生食堂の片隅で、アイスクリームを舐めながらやけどした
舌を冷やすフェルパーと、それに付き合うノーム。
「はい、何とか..あーんもう私恥ずかしくて死にたくなります。ノーム様の前では本当にドジばっかり!!」
白衣と黒袴の練習着姿のままテーブルの上に突っ伏し、足袋に草履履きの足をパタパタさせて
身悶えるフェルパー。
実戦さながらの真剣な稽古中の姿とのギャップにノームの表情も思わず緩んでしまう。
「でも死なないでくださいね。お願いしますよ」
「はい..頑張ります」
むっくりと起き上がり、憮然とした表情で答えるフェルパー。今日は朝からついてないな、という
気持ちが包み隠さず顔に表れている。
(何とかご機嫌を直してやらないと..)
そう思ったノームは話題を変えることにした。
「..ところでフェルパーさんはどうして剣士科に入ろうと思ったんですか?」
「はい?」
突然の質問に目を丸くするフェルパー。
「ロッシ先生の話では以前から剣を学んでいたそうですが..」
「あー、その話ですか..」
少し気まずそうに目をそらし、苦笑いしながら頬を掻くフェルパー。
「ええと昔ですね、ガキ大将のバハムーンとか、上級生にいじめられてひねくれちゃった手下の
ディアボロスとかがいてですね、弟妹ともどもいじめられていたわけですよ」
意外な告白に今度はノームが目を丸くした。
「そこへどこからとも無く転校生がやってきたんですね、それも七人」
「ぷっ!!」
思わず噴き出すノーム。
「それ、一体どこの世界のクロサワですか?」
「あ、判っちゃいました?」
そう言って悪戯っぽく笑うフェルパー。
「...で、その子達とチャンバラして遊んでいただけなんです、実は」
懐かしそうな目をして続けるフェルパー。
「でも、それなりに真剣でしたね。"あいつら火を噴くから火を噴く前に一遍に叩きのめさないと
だめだ"とか、いろいろ戦法を研究しました。で、ある日田んぼの真ん中で弟がガキ大将軍団に
取り囲まれていじめられているのを見て、無我夢中でやっちゃったんです、物差し一丁で」
「..やっちゃったんですか」
「もう研究どおり、一気呵成にね。後で額をカチ割られたバハムーンの親が怒鳴り込んで
来たので、いやいやながら頭を下げたんですけど、翌日からはいじめられなくなったんです。
いつもいじめていたフェルパーの女の子に額を割られた上に親に告げ口して怒鳴り込んだと
噂が立って威張れなくなっちゃったんでしょうね。怪我をさせたのはやりすぎかな、と思いました
けど、連中を追い払った後泣きながら"姉ちゃん!!姉ちゃん!!"って抱きついてくる弟を見て
悪いことをした、という気は起こりませんでした。原点といえば、それが原点だと思います
..あ、乱暴者はお嫌いですか?」
急に不安げな表情になり、ノームの顔色を伺うフェルパー。
「いえいえ」
ノームは大きく首を横に振って否定した。
「そこで弟さんを見捨てるような意気地なしの方が嫌いです。フェルパーさんの強さと優しさ
の一端を見た思いがしました。いい話だと思います」
ノームの言葉に一瞬パッと顔を明るくしたあと、ほんのり赤くなって俯くフェルパー。
「..でも、強くなりたいのでしたら、剣士科ではなくビースト科という選択肢もあったと思うのですが..」
「うーん..」
ノームの問いにフェルパーは首をかしげてちょっと考え込んだ。
「それはそうですけれども..私は先祖返りして半野獣化してまで強くなりたいとは思いません。
知恵やプライドを捨て、目の前の相手を本能の命ずるまま力ずくでねじ伏せる強さにどんな
意味があるのでしょう?一生懸命考えて研究し、自分以外の誰かのことを思いつつ力を振るう..
そうでなければ、弟を助けたときのような充実感は得られないと思うのです。私もフェルパーですが、
種族としての私のフェルパーらしさは、本能的な強さではなく、もっと別のところで発揮されるべきだと
思うのです..」
ノームの目をまっすぐ見つめ、右手を胸に当て、一語一語自分に言い聞かせるように語るフェルパー。
その瞳にノームは釘付けになってしまった。
(..かなわない。僕はこの人に全然かなわない..)
「..ノーム様?どうかなさいましたか?」
フェルパーの問いかけに、はっと我に返るノーム。
「ごめんなさい。私ばっかり長々と話しちゃって..つまらなかったでしょう?」
「いえ、そんなことは無いです。またフェルパーさんに一歩近づけた感じがして嬉しかったです」
「そんな..」
そう言ってまた赤くなるフェルパーを、ノームは今まで以上に愛しく感じた。
「..ところで、このあとのフェルパーさんのご予定は?」
「私の予定ですか?ええと、午後一番に出て魔女の森経由でプルスケッタへ赴く予定です。仲間の
鍛練が目的なので帰る予定や目的地は決まっていませんが、一週間はかからないと思います」
「そうですか..」
俯いて何事か考えてたノームだが、やがて顔を上げて言った。
「あの、出発前にもう一度お会いできませんか?」
「え?ええ、構いませんけれども..」
期待と疑念が半ばする微笑を浮かべてフェルパーは答えた。
「それでは正午過ぎくらいに、裏門前で」
「..はい、お待ちしております」
自分の部屋に戻ると、ノームは自分の部屋の道具箱をひっくり返した。
(ドワーフの奴、勝手に持ち出していきやがったな)
先日錬成したばかりのバグナウとヌンチャクが無くなっているのに気づき、舌打ちをした。が、今は
それどころではない。部屋中に散らばった道具の山の中から一本の刀を探し出すと、それを
抱えて裏門へ急いだ。
息を切らせながら裏門へたどり着くと、一分の隙なく旅装を調えたフェルパーが待っていた。
「ノーム様!!」
「はあ、はあ、早かったですね、フェルパーさん..はあ、はあ..」
「そんなに慌てなくても..どうしたのですか?一体..」
「こ、これ、使ってください..」
と、息を切らせながら刀を一腰差し出すノーム。
「まあ、これを私に?」
差し出された刀を受け取り、鞘から抜くフェルパー。しばらく刀身を眺めたあと、一歩下がって
居合いの型を一通り試してみる。
「すばらしい刀です。"鬼切"ですね。ノーム様が錬成なさったのですか?」
こくりと頷くノーム。
フェルパーはしみじみと鬼切を眺めていたが、やがて鞘に収め、静かにこういった。
「ノーム様のお気持ち、大変嬉しゅうございます..が、今の私にこれを受け取る資格は
ございません」
意外な返事にノームは大きく目を見張った。
「ごめんなさい。突然こんなこと言うと驚きますよね..私の話をお聞きいただけますか?」
呆然としながらも、ノームは頷いた。
「以前、ロッシ先生はおっしゃいました。身の丈に合わない道具はやがて自分の身を
滅ぼすと。剣を手に入れたらその切れ味に目を奪われるな、まずはその剣の切れ味に
見合う相手がどのような相手か想像しなさい、想像がつかないなら、その剣を使うには
まだ早いのだと、そう教えてくださいました。さらに先生はこうもおっしゃいました。自分の
実力が上がれば、自分の実力に見合った道具と出会えるはずだ、と。使い手が剣を選ぶ
ように、名剣名刀も使い手を選ぶのだと」
そう言うとフェルパーは腰に下げた自分の刀を取り出し、ノームに渡した。
「私の刀です。見てのとおり、量産型の日本刀を私が自分で実験室で錬成したものです。
これ以上の刀とは未だめぐり合ったことはありません。つまり、学校での成績はどうあれ、
これが今の私の実力なのです」
鞘から刀を抜き、刀身を改めるノーム。錬成と強化を繰り返したせいか、きれいに輝いていた
はずの刃は濁り、刀身も幾分か痩せているように見えた。
「あなたほどの方が、いくらなんでもこの刀では..」
「はい。私自身そう思わないでもありません。実際この刀では攻撃力不足なので、前に所属
していた同級生のパーティから外されました。しかし新しい刀と出会うには、私にはまだ
何かが足りないのでしょう」
涙をはらはらとこぼしながら続けるフェルパー。
「今所属しているパーティは下級生ばかりのパーティです。他の同級生が広い世界に冒険へ
出て行く中、カッサータや古代の迷宮辺りをウロウロしているのは正直口惜しいです。でもこれは
剣の神様の思し召しなのです。下級生とともに行動し、弟のために物差し一本で立ち向かった
あの頃に帰りなさいと。そこに今の私に足りない何かがあると、きっとそういう思し召しなのです」
くすんくすんと鼻をすすりあげるフェルパー。そして無理やり作ったような笑顔をノームに
向けた。
「だから、ごめんなさい。せっかくのノーム様のご厚意ですがこれは受け取れません。ノーム様に
嫌われても仕方ないと思います。本当にごめんなさい」
そう言うとフェルパーは深く頭を下げた。
「..僕の方こそ心無いことをしてしまいました..ごめんなさい。フェルパーさん」
てっきり別れの言葉を切り出されると思っていたフェルパーは、思い掛けないノームの言葉に
驚いて頭を上げ、ノームを見つめた。
「僕はとんでもない思い上がりをしていました。たまたま成績が良くて、ノームだけの専攻科だ
という理由で錬金術科に入学し、パーティの役割の中で、自分の人生の中で、錬金術をどう
生かすかを考えることなく、自分の能力をおもちゃにして錬金を続けてきました..」
呆気にとられながらもノームの告白に聞き入るフェルパー。
「それなのに、たまたま良い刀を見つけて錬成できたからといって、フェルパーさんのお役に
立てたような気になって勘違いして..僕はとんでもない大馬鹿者だ!!その刀だって、僕よりも、
フェルパーさんに拾ってもらった方がよっぽど幸せだったろうに..」
「..ノーム様..」
「僕の方こそ大変な失礼をしました。だから、僕がフェルパーさんのことを嫌いになっただ
なんて思わないで下さい。むしろ、こんな愚かな僕を見捨てないで下さい。お願いします..
お願いします..」
と、涙をこらえるように堅く目をつむり、身を震わせ頭を下げるノーム。
「そ、そんな、ノーム様、頭を上げてくださいまし..」
慌ててフェルパーがその肩を抱え起こす。そしてしどろもどろになりながら言葉を繋げた。
「あー、えーっと、この冒険..いや今回はちょっと無理かな?その..近いうちに必ず良い刀の
素材を見つけて来ますから、その時は錬成をお願いいたします。よろしくお願いします」
「..はい。今からどれだけ修行できるか判りませんが、フェルパーさんにふさわしい
刀を錬成できるように精進します。だから..だから、必ず生きて帰ってきてください」
「はい..必ず..」
手を取り合い、至近距離で見つめあう二人。どちらからとも無く目を閉じ、やがてゆっくりと
二人の唇が重なりあった。
「せんぱーい!!フェルパー先輩、いますかーあ?」
フェルパーを呼ぶ声に、我に返って唇を離す二人。もじもじと照れくさそうにお互いを
見つめあう。-
「..行ってらっしゃい。フェルパーさん。刀をお返しします。百戦錬磨の良い刀です。きっと
あなたのことを守ってくれると思います。頑張って下さい」
穏やかに微笑みながら、フェルパーに日本刀を返すノーム。
「..行ってきます。ノーム様が錬成するのにふさわしい素材を見つけて帰ってきます」
同じように微笑みを返しながら、ノームに鬼切を返すフェルパー。
「せんぱー..あ、ここにいたんですか。みんな揃いましたよ」
門柱の影から人形遣い科の制服をまとったクラッズの少女が顔を覗かせた。
「そう..じゃ、少し早いけど出発しましょうか?それでは失礼します、ノーム様」
「はい!!..それでは、失礼します」
フェルパーに向かって元気に答えると、クラッズの少女はシルクハットを取って胸に当て、今度は
ノームに向かってぴょこんとお辞儀をした。礼儀正しいフェルパーの薫陶が行き届いているかのような
さわやかな振る舞いだった。
クラッズの少女はフェルパーの手を取ると仲間の方へと引っ張っていった。白銀の長い髪、すっと
伸びた背筋、リズミカルな足取りに合わせて小さく揺れる長いしっぽ。ノームの目にはフェルパーの
後姿がとてもまぶしく見えた。
(そろそろフェルパーさんたちが戻ってくる頃かな?)
実験室の壁に張られているカレンダーを見てノームがつぶやいた。フェルパーと別れて6日目。
その間ノームは自分のパーティ仲間と共に古代の迷宮や氷河の迷宮などで素材を集め回っては
実験室にこもり、実験室のジョルジオ先生や同じノームのヴェーゼ先生の指導の下、錬金術に
磨きをかけていた。
「最近良く頑張っていますね、ノーム君。さあ、一休みしましょう」
ヴェーゼ先生がティーポットとカップをお盆に載せて実験室に顔を出した。
「ほーんと。前は"クールな孤高の天才錬金術師"って感じだったのに、どんな心境の変化
なのかしら?」
実験室の台所で手を洗いながら意味ありげな視線をノームに向けるジョルジオ先生。
「..もしかして、恋なの?それなら先生、全面的に応援しちゃう」
肩を抱き、耳元で熱くささやくジョルジオ先生の問いに動揺のかけらも見せず答えるノーム。
「否定はしません。ある人のために役に立つ何かを作りたい、その人に認められるような物を作りたい、
そう思い立っただけです」
その言葉にヴェーゼ先生がおおーっ!!と目を丸くしていると、トレネッテさんがやってきた。
「教頭先生、こちらにおいででしたか。ジョルジオ先生も。ちょうど良かったです。プルスケッタ学園事務局
から緊急の回覧が回ってきました」
そう言って回覧板を差し出すトレネッテさん。覗き込む一同。
「魔女の森にて魔族が謎の大発生。生徒一般通行者中心に被害急増中。警戒されたし」
先生たちが顔を見合わせている中、ノームは席を蹴って立ち上がり、猛然と実験室を飛び出していった。
「あっ!!待ちなさい、ノーム君!!無茶をしてはいけませんよ!!」
背中越しに聞こえるヴェーゼ先生の忠告に後ろ手で応えながら、自分の部屋へと全速力で
戻っていった。
学生寮の自分の部屋の扉をバーンと蹴り飛ばすように開くと、ルームメイトのドワーフが
帰ってきていた。血相を変えて飛び込んで来たノームに驚きおののくドワーフ。
「わあああ!!ごめんなさいごめんなさい!!道具を勝手に持ち出したのは謝るから許して。冒険中手に入れた
もの全部あげるから、勘弁..」
「そんな話は後だ。僕が持ってる道具どれを使ってもいいから今すぐ武装して出発準備して!!」
「..へ?」
事情が飲み込めず、キョトンとしているドワーフの襟首を掴み、怒鳴りつけるノーム。
「いいかい?一度しか言わないから良く聞いて。"魔女の森で遭難している僕の彼女を助けに行くから
一緒に来い"わかったら復唱!!」
「魔女の森で遭難しているノームの彼女を助けに..って、なんだってー!?」
その頃、フェルパー一行はセミフレッド村を出るところだった。日は傾きかけてはいるが、戦闘を最小限に
抑えれば日が暮れるまでに初めの森の安全なところまではたどり着けるはずだった。この冒険中、
パーティの訓練の成果は上々だったが、フェルパー自身の思いは複雑だった。
(はぁ..今回の冒険でも良い刀は見つからなかったわね..ノーム様、がっかりするだろうな..)
足元をこしらえながら小さくため息をつくと、隣からクラッズの少女が覗き込んできた。
「どうしたんですか?先輩。ため息なんかついちゃって」
「ううん、なんでもないわ..。それより入山者名簿への記帳は済ませた?道具袋の点検は?帰還札と
けむり玉は誰でもすぐに取り出せるところにしまっておくのよ?」
「はい。大丈夫です。先輩のご指導どおりに、ほら」
そう言って道具袋を差し出すクラッズ。
「よろしい..ふふ、あなたもだいぶリーダーらしくなってきたわね。頼もしいわ」
「そんな..先輩のおかげです。私知ってます。本当は下級生に混じってこんなところにいる人じゃないって。
だから、今のうちにいろんなことを教えてください」
シルクハットで半分顔を隠しながら照れるクラッズの少女の頭をいとおしげに撫でるフェルパー。
「さあ、出発しましょう。日が暮れるまでに魔女の森は抜けたいわね」
「はい!!」
セミフレッド村の門を出る直前、フェルパーたちは白い布を被せられた担架の行列とすれ違った。
大方カイワーレ辺りに不覚を取ったのだろうと、大して気にも留めなかったが、もしその時彼女たちが
白い布の下を見ることが出来たのならば、その時点で出発を思いとどまったかもしれない。その時
担架に乗せられていたのは、腹を大きくえぐられ頭をものすごい力で叩き潰された、今までに見たことの
無いような凄惨な遺体ばかりだったからである。
その日の魔女の森は鬱陶しい霧雨だった。
多くの魑魅魍魎が蠢く魔女の森。それでもこの日は天気がすぐれないせいか、フェルパーたちは
モンスターたちに気取られること無く順調に歩みを進めていた。
(静か過ぎるわね)
帰路を急ぐ一行にとって、戦闘無しでこの難所を抜けられるのはありがたいことのはずだったが、
フェルパーには、視界が利かずモンスターたちにとって冒険者を餌食にするには申し分無い状況
でもあるのに、これほどまでに襲撃が無いのはかえって不自然に思われた。
あとゲート二つくぐれば魔女の森を抜けられるところまでたどり着いたときに、それらは現れた。
白く閉ざされた霧の向こうからひたひたと近づいてくる、山のように大きな黒い影..。
「そ、そ、総員戦闘準備。魔法壁展張します」
相手の圧倒的な存在感に気圧されたかのように上ずった声で、リーダーのクラッズが指示を出す。
「..先輩、相手の正体わかりますか?」
不安げに震える声で尋ねるクラッズに、刀を構え相手を見据えながら小さく首を横に振るフェルパー。
「ごめんなさい。わからないわ..前方止まりなさい!!これ以上近づくと攻撃します!!」
警告にも構わず近づく影。大きな影の腕らしき物が明確な敵意を持ってゆっくり振り上げられた。
「こ、攻げk「喰らえ!!サンダー!!」
クラッズの攻撃指示が下されるや否や、魔法使いのフェアリー渾身のサンダーが落ちる。
「ぃえああああ!!」
それを合図にフェルパーも未知の生物へ真っ向から切り掛かって行った。
先頭のグレーターデーモンが倒れて動かなくなったのは、フェアリーが放った八発目のサンダーが
炸裂した後だった。
(つ、強い..)
一体を倒すまでに、前衛は格闘家のバハムーンと戦士のセレスティア失い、後衛も魔法使いの
フェアリーの魔力が尽きかけていた。クラッズの魔法壁は一撃で砕かれ、樹上から狙撃していた
ヒューマンも有効打を与えられず、二人とも青い顔をしている。
倒された死体を踏み砕き、背後に控えていた大きな黒い影が前へ歩み出てくる。
「せ、先輩ぃ..に、逃げませんか?」
蚊のなくような小さな声でクラッズが切り出す。
「..良い判断です、リーダー」
自信無さげなクラッズを励まし支えるかのように、穏やかに丁寧な言葉で返事をするフェルパー。
「全員にけむり玉と帰還札を配ってください。一人でも発動させることが出来れば逃げられます。
私はここに踏みとどまり、時間を稼ぎますから、その間に..」
「そんな!!」
「私ならあと一撃には耐えられるでしょう。しかし後衛の皆さんに攻撃が及ぶとなると一度で全滅
しかねません。私が相手の攻撃を引き受けますから、早く..」
「先輩..」
なおも何か言いたげなクラッズの肩をぽんぽんと叩くと、身を翻しグレーターデーモンへ向かっていった。
「きぃえああああ!!」
迫り来るグレーターデーモンに真正面から切りつける。しかしグレーターデーモンは片腕で刀を
受け止めると、そのままフェルパーごと振り払った。きれいなバック宙で体勢を立て直したところへ
グレーターデーモンの長い腕が伸びる。
「..秘剣..つばめ返し!!」
好機とばかりにカウンターを繰り出すフェルパー。しかし、次の瞬間見たものは、砕け散る愛刀の
姿だった。
(そ、そんな!!)
一瞬の動揺。と、突然腹部に激痛が走り、口から鮮血がほとばしる。気がつくと、三体目の
グレーターデーモンの腕がフェルパーの腹を貫いていた。
「ぐ..は....ふ、不覚..」
身体を貫いた腕が引き抜かれると、フェルパーは雨で泥だらけの地面に崩れ落ちていった。
かすんで行くフェルパーの目に、フェルパーの名を泣き叫び駆け寄ろうとするクラッズと
それを引き止めるヒューマン、けむり玉を地面に叩きつけ発動させようとするフェアリー、そして
彼らに迫るグレーターデーモンの後姿が映った。
(ごめんね、クラッズ..ごめんなさいね、みんな..)
そして、帳が下りたかのようにフェルパーの視界が暗転する。
(ノーム様..せっかくクリスマスの夜に命を救っていただいたのに、粗末にしてしまいました..
約束を守れずに申し訳ありません..)
真っ暗な世界にノームの顔が思い浮かぶ。
(..一度でいいから..ノーム様の刀を振るってみたかった..あの時素直に受け取っておけば..よかった..な..)
頬を伝わる冷たい流れの正体が雨のしずくなのかそれとも自らの涙なのか。それを確かめる時間は、
彼女には与えられなかった。
ノームとドワーフがジェラートタウンにたどり着いたとき、町は混乱の坩堝であった。魔女の森に繋がる
ゲートからは遺体や重傷者を載せた担架が続々と運び込まれ、入れ代わりに眦を決した救助隊らしき
冒険者たちが突入していく。診療所の周囲には治療を待つ患者や遺体が並び、ロストした遺体に
すがり付いて泣き崩れる犠牲者の仲間や家族の姿もあった。
宿泊所では、飛竜便で届けられた各地の入山者名簿と到着者の照合作業が行われていた。しかし、
普段は入山者名簿に記入はしても到着時に届けを出すものは少なく、また手続きを軽視し入山者
名簿に記帳すらせずに入山したものも少なくないために、安否確認作業は難航していた。
「なあノーム、早く森に入らないと日が暮れちまうぞ?」
「いや、あのフェルパーさんのことだから、必ず名簿に記帳しているはず。むやみに森に入るのは
危険だ。ドワーフは到着者名簿の方を探して。僕は入山者名簿の方を探すから」
ノームは、フェルパーが魔女の森に入っていないことを願っていた。
(もしかしたら、日程が遅れてまだプルスケッタ学園やセミフレッド村にいるのかもしれない。
あるいは早めに森を抜けてパニーニ方面へ向かっているのかもしれない)
しかしノームの願いは程なくして打ち砕かれる。
「魔女の森 入山者名簿(セミフレッド口)
時刻:本日15:11 行先:ジェラートタウン 入山者:クラッズ(代表:クロスティーニ学園) フェルパー(同左)…」
がっくり肩を落とすノーム。到着者名簿を探しているドワーフの元へ向かう。
「だめだ。今日の三時過ぎに森に入ってる。ドワーフの方は見つかったかい?」
力なく首を振るドワーフ。
「..どうする?今からだと日が暮れちまって捜索どころじゃなくなるぞ。明日にするか?」
しばらく腕組みをして考えていたノームだが、何を思いついたか、道具袋から液体が入った
小瓶を二つ取り出し、右手と左手の甲にそれぞれの液体を塗りつけて、ドワーフの目の前に突き出した。
「嗅いでみて」
ノームが差し出した両手の甲を交互に嗅ぐドワーフ。
「ん?..右手が"想星恋慕"で、左手が"やさぐれ淑女"だな。それがどうかしたのか?」
答えを聞いて、ノームはにニヤッと笑った。
「さすがドワーフ、大正解。さ、行こうか」
ドワーフの首根っこをつまみ上げ、魔女の森へ通じるゲートへと向かうノーム。
「ちょっと待ておい!!俺は犬じゃねーぞ!!離せ嫌だやめろ馬鹿ヤローぉ...」
(そういえばクリスマスの夜も満月だったな..)
魔女の森を探索中、歩みを止め、ふと空を見上げたノームは思った。しかし、あの夜と違って、今夜の月は禍々しいまでに赤かった。
(..やめよう、縁起でもないことを考えるのは)
そう思い、軽くかぶりを振っていると、遅れていたドワーフがぶつくさ言いながら追いついてきた。
「あのなあ、お前さんは浮遊できるからそんなに疲れないんだろうけど、足で歩くこっちは大変
なんだからな?パワーには自信あるけど、その分燃費良くないんだからその辺りよく考えて..」
「..そこ」
「あん?..ぐぎゃああああああ!!」
一瞬ドワーフの毛が全部逆立ち、ぶすぶすと音を立てて焦げていった。
「..電気床なら早く言ってくれよ」
「学校出るとき言っただろ?"僕の持ってる道具何を使ってもいいから"って。魔女の森に行くのに
なんでタケウマも天使のカフスも身に着けないでくるかなあ..あったでしょ?道具箱に」
「や、やかましぃ!!..それにしても、腹減ったなあ..」
とへたり込むドワーフ。
「もう、しょうがないなあ..。はい、おにぎり」
道具乱舞で強引にドワーフの口におにぎり10個を叩き込む。
「お、おはへ、いいはへんにひろお!!」
「え?お茶?ごめん、持って来てないんだ。これで我慢してね」
そう言ってドワーフの目の前に差し出したノームの両手の指の間には、"筋肉増強剤J"が八本
きれいに挟まれていた。
「あが〜!!ほれはへはあめへ!!おへがひ!!」
涙目になりながら、おにぎりを詰め込まれた口をもしゃもしゃさせているドワーフを置いて、ノームは
周囲の探索を始めた。
-こつん-
何かが足に当たったような気がしたので、かがんでみる。よく見るとシルクハットのようだ。手に取って
みると真っ赤な布地に赤と白のアーガイル模様の帯が巻かれているシルクハット。ノームには見覚えが
あった。
背筋が凍る思いで目を凝らし、周囲を見渡してみると、広場の別の出入り口付近に折り重なって
倒れている人影があった。
「ドワーフ、ちょっと来て」
「あん?..うわ!!こりゃひでえ!!」
クラッズとヒューマン、フェアリーがお互いをかばいあうように倒れて死んでいた。
「..あっちからも嫌な臭いがするぜ」
そう言ってドワーフが顎で差した先には、散乱した真っ白い羽が月の明かりでぼぅっと浮かび上がって
おり、その中心では剣を握ったままのセレスティアと首のないバハムーンが倒れていた。
(フェルパーさんは?フェルパーさんはこのパーティにいるはずだ)
そう思い、さらに周囲を見回してみるが見当たらない。モンスターに発見されるのを覚悟でたいまつに
火をつけようとしたその時、ドワーフが何かを拾い上げた。
「なんだこりゃ?折れた日本刀か..」
ノームが慌てて駆けつける。
「待てドワーフ。捨てるんじゃない!!」
ドワーフから日本刀の残骸をひったくると、月明かりにかざして改めた。
-使い込まれて細身になった刀身と濁った刃-
(フェルパーさんの刀だ。間違いない!!)
「嗅げ!!そして探せ!!」
ものすごい形相で折れた日本刀をドワーフの鼻先に突きつける。
「は?だから、俺は犬じゃないって何度言えば..近い!!こっちだ!!」
ドワーフの後を付いて広場の隅へ向かうと、闇の中に、泥沼の中でうつぶせに倒れている人影が浮かび
上がってきた。
-白い東洋風の装束、細長いしっぽ、そして白銀の長い髪と特徴的な形の耳-
「..フェルパーさん..?」
ノームが静かに近づき、声をかける。そして肩を揺すり再度呼びかける。
「フェルパーさん、フェルパーさん..」
ピクリとも動かないフェルパーの傍に跪き、肩を抱いて、仰向けに起こす。
「!!」
うっすらと見開かれた焦点の合わない瞳、泥にまみれた白い頬、口元には赤い筋が
こびりつき、身体に目を移すと腹部には大きな穴が穿たれていた。
「..フェルパーさん..フェルパーさん..ふっ..くっ..う、あ、ああ..」
力なくもたれかかるフェルパーの頭を抱き、声にならない慟哭を上げるノーム。
残酷なまでに血の色をした月が不気味な静けさで二人を照らしていた。
粛然としてしばらくその光景を眺めていたドワーフだが、意を決したように口を開いた。
「で、どうするんだ?死んだといってもまだ回復不能なわけじゃない。行動するなら早い方がいいぜ。
雨も上がっちまったし、血の臭いが充満すればモンスターどもが死体をたかりにやってくる」
「..そのとおりだ」
服の袖で目元を拭いながら、フェルパーの亡骸を抱え、ノームが立ち上がる。
「パーティ全員をとりあえずジェラートタウンに運ぼう。診療所も一杯だろうけど、天使の涙を
沢山持ってきているからそこで何とかしよう」
「でも一度には収容しきれないな。どうする?」
「ドワーフはバハムーンを頼む。僕はクラッズたち3人を連れて行く。セレスティアとフェルパーさんは
二回目にしよう」
「いいのか?フェルパーってお前の..」
「構わない」
きっぱりと言い切るノーム。
「フェルパーさんが生き返った後、他の仲間が後回しにされたことを知ったら、きっと悲しむと思うから..」
唖然とした表情でしばらく口をぱくぱくさせ、何か言いたそうなドワーフだったが、結局観念したように
言葉を飲み込んだ。
「..そか..だったらなおさら急ごうぜ。お前のことだから、転移札帰還札もたんまり持ってきてるんだろな?」
「大丈夫。その辺は抜かりはない」
ふっと微笑を浮かべるノーム。ドワーフが何を言いたかったのかおおよそ見当は付いていたが、
一刻を争うこの時に、敢えて口に出さず不毛な論争になりそうなのを抑えてくれたドワーフの心遣いが
ノームには嬉しかった。
抱き上げたフェルパーをセレスティアの隣にそっと横たえる。
(..すぐ迎えに来ます。もう少しの辛抱です)
フェルパーのまぶたを閉じ、冷たくなった唇にそっと口付けるノーム。
「ひーぃ、生きてれば生きていたで態度でけぇし、死んだら死んだでクソ重てぇし、バハムーンて
ほんと世話の焼ける連中だな..。ノーム、こっちは準備OKだ」
「..わかった。今行く」
そして、フェアリーを腹の上に乗せたクラッズを抱き上げ、肩の上にヒューマンを担ぎ上げて
バハムーンを抱えたドワーフの隣に並び、帰還札を地面に叩きつける。
パン!!と乾いた音が響いた瞬間、周囲の景色が一転した。
ジェラートタウン診療所周辺の治療待ちの列に4人の遺体を並べると、今度は転移札を使い、
遭難現場へ戻る。
先程と寸分変わらぬ姿で横たわる二人の遺体を見て、ノームはホッと胸をなでおろした。
が、遺体の傍に歩み寄ろうとしたその時、二人の目の前に巨大な黒い影が立ちはだかった。
「うぎゃあああああ!!で、で、出たあ!!」
今までに見たことのない巨大な異形の怪物に腰を抜かすドワーフ。
(こいつが..フェルパーさんたちを..?)
立ち尽くしてグレーターデーモンを見上げるノーム。
「おおおおい、こいつはヤバいって。に、に、逃げようぜ」
「..もちろん、やりあう気は無いよ。でもフェルパーさんたちを残したまま逃げる気も無い」
そう言って道具袋からけむり玉を二つ取り出し、一つはドワーフに渡す。
「僕が助からなかったら後はよろしく。君がダメだったときは後は任せて」
そういい残すとノームは相手に向かって歩いていった。
大きく振り上げられるグレーターデーモンの腕。ノームもけむり玉を掴んだ右手を構える。
(こいつを前にして、フェルパーさん、どんな気持ちだったんだろうな..)
そして、ノームに向かってものすごい風切り音を残して腕が振り下ろされた。
(思ったほど速くないな..ギリギリ助かるかな?)
-ドン!!-
次の瞬間、ノームの首が千切れ飛んだ。同時に残されたノームの胴体がけむり玉を地面に叩きつけ、
発動させる。立ち込める白煙。むせ返るように吼えるグレーターデーモン。
濛々たる白煙が夜の微風に吹き流された後、広場にはグレーターデーモン一匹だけが取り残され、
ノームもドワーフも、フェルパーとセレスティアの遺体も消えうせていた。
「お前バカだ!!ほんんとバカだ!!どうしようもないバカだ!!」
ドワーフが半べそをかいているのを尻目に、ノームは吹き飛ばされた頭を胴体に乗せ、トントンと
叩きながら据え付けていた。
「..そんなバカバカ言わないでくれよ..結構傷つくんだから」
「じゃあもう一つおまけにくれてやる、このバカ!!..もうだめかと思ったぞ..」
「..なんかカラカラ音がするけど、とりあえず修理完了..と。では次の仕事に取り掛かりますか」
「..話聞けよ、まったく..」
深夜になっても診療所はフル回転で、彼らの順番は回ってきそうに無かったので、自前の天使の涙で
復活させることにした。
クラッズ、フェアリー、バハムーン、ヒューマン、セレスティア..遺体の口に天使の涙を含ませると、
次々と蘇っていった。
(フェルパーさん、今助けますからね..)
最後に静かに横たわるフェルパーの口に天使の涙をそっと流し込むノーム。
するとフェルパーの遺体から猛烈な白煙が吹き上がった。そして白煙が収まるとそこには白い
灰の山だけが残されていた。
(そんな..なぜ..?)
言葉も無く大きく目を見開き、自失状態になるノーム。何事かと覗きにきたドワーフやフェルパーの仲間
たちも状況を見て言葉を失った。
「ノームさん..ノームさん..」
石のようにずっと動かないノームにクラッズの少女が静かに話しかける。
「まずは、お礼を申し上げます..私たちを助けてくださってありがとう..」
「..」
「..その..どこからどうお話したら良いのか..昨日、魔女の森で怪物に遭った時、私は相手のことを何も
知らないのに、攻撃させてしまいました。最初の一体を倒すのにセレスティアとバハムーンを犠牲に
してしまって..そこで初めて逃げようとしたら、フェルパーさんが自分が時間を稼ぐから、と一人で
怪物に立ち向かわれて..」
次第に涙声になるクラッズ
「..でも、結局私たちは全滅してしまいました。フェルパーさんの犠牲を無駄にしてしまったんです..。
全部リーダーの私が悪いんです。フェルパーさん、年下で未熟な私の指示にも率先して従ってくれて、
そして後で付きっ切りで色々指導してくれたのに..でも私、全然それが生かせなくて..こんなことに..
ごめんなさい..ごめんなさい..う..う..」
ノームの傍らにへたり込み、泣き崩れるクラッズ。
「..諦めるには、まだ早いと思います..」
それまで固まっていたノームが口を開く。
「チャンスはあと一回しかなくなってしまいましたが、まだ蘇生の機会はあります。大事なのは、今
ここで僕たちが後悔しないような選択が出来るかどうか、だと思います..」
涙目でノームを見つめるクラッズ。一同の視線がノームに集まる。
「..僕はガレノス先生にお願いしたいと思います。今ここで僕たちがどうこうするより、先生に
お願いした方が、例えどんな結果になっても、納得できるのではないかと..僕はそう思うのですが..」
お互いの顔を見合わせたあと、頷きあう一同。
「..よし決定!!一粒残らず灰を集めてビンに詰めよう。先生が寝てたら俺がぶん殴ってでも起こしてやる!!」
ドワーフの一言でそれぞれが動き出す。
「..あの、その..ノームさん..」
真っ赤に目を泣き腫らしたまま、話しかけるクラッズの少女。
「本当に..ごめんなさい..フェルパーさん、ノームさんにとって大切な人..なんですよね?」
「..はい..大切な人です..」
穏やかな微笑を向けながら、ノームはクラッズの少女の頭を撫でる。
「でも、それは君にとっても同じことでしょう?大丈夫..大丈夫..なんとかなりますよ」
フェルパーの灰を一粒たりとも逃すまいとかき集める仲間たちを見ながら、自分自身に言い聞かせる
ようにつぶやいた。
「キシシシ..これはすばらしい灰ですね。純白を通り越して銀色に輝いていますよ。故人の人柄が
偲ばれる灰ですね..早速これを使って実験を..」
と言いかけたところで、14個の瞳から発せられる冷ややかな視線に気づくガレノス先生。
「..オホン。冗談はこれくらいにして、校医としては報酬さえ頂ければいついかなるときでも最善を
尽くします。キシシ..」
ノームとクラッズの少女がそれぞれ金貨が一杯に詰まった皮袋を無言で取り出す。
「..では早速手術に入ります。皆さんは待合室で待っていてくださいね..キシシ」
待合室で皆が所在なさげにしていると、何か思い立った様にノームが立ち上がった。
「ん?どこ行くんだ?付いていてやらなくていいのか、ノーム?」
待合室の長椅子に座り、腕組みをして目を閉じていたドワーフが薄目を開き、尋ねる。
「うん..大事な用事を思いついたんだ。実験室か自分の部屋にいると思う。手術が終わったら教えて」
「..ここにいるより大事な用なのか?」
無言で小さく頷くノーム。ドワーフはしばらくの間ノームの顔を見つめていたが、
「..自分の彼女の救出を一番後回しにするわ、大事な手術中席を外すわ、ノームの考えることは
さっぱりわからんな..。ま、好きにしろや」
そう言うとまた腕組みをして目を瞑ってしまった。
ノームは自分の部屋に戻ると、鬼切一腰と持てるだけの素材を持って実験室へ向かった。
錬金術師のノームは、本来なら実験室の道具を使わずとも錬金出来るのだが、今は時間が
無いのと、より錬金精度を高めるため、実験室を使うことに決めていた。
深夜にも構わず、ジョルジオ先生の部屋をノックする。
「..だあれ?こんな真夜中に来るなんて..寝不足はお肌の大敵なのよ?」
ピンク色のネグリジェにナイトキャップ姿のジョルジオ先生が、不機嫌そうな顔を出す。
「夜分遅くに申し訳ありません、先生。実験室を使いたいので、鍵を貸してくれませんか?」
「んもう..夜が明けてからにしてくれないかしら?」
明らかに不機嫌そうなジョルジオだが、ノームは少しもひるまない。
「先生のお手は煩わせません。それに先生は先日、僕を全面的に応援すると仰いました」
「..もう、しょうがないわね、そういうことなら。はい、鍵。後は何があっても自分で何とかするのよ?」
「ありがとうございます。失礼します」
実験室の電源を入れ、部屋から持ち出した道具や素材を作業台の上に並べる。
錬金用の釜が暖まると、まずは鬼切をくず鉄レベルにまで分解した。そして、自分の在庫を含め
膨大な数のくず鉄一つ一つの材質、重さ、形を吟味し、フェルパーが使っていた日本刀の感触と
剣道場で見たフェルパーの太刀捌きを思い出しながら完成品のイメージ通りの形に並べていく。
(フェルパーさんは言った。剣士は剣を選び、剣は剣士を選ぶのだと。そこで、僕が出来ることといえば、
フェルパーさんに選んでもらえる刀、フェルパーさん以外には使いこなせない刀を作ること..それには
教科書どおりのやり方だけではダメだ..)
並べたくず鉄を順番どおり粗末な鉄へ、粗末な鉄を鉄へと精錬し直す。そして、最後に
折れた鬼切を加え、錬金釜へ納めて扉を閉じた。
(フェルパーさん..)
閉じた釜の扉に額を押し当てると、ノームは一心に手術の成功を祈った。
朝もやが漂う中、ロッシ先生は生徒達の朝稽古を見るために生あくびをしながら剣道場へ
やってきた。
(んあ?誰だ?こんな朝早くに)
目を凝らすと、ノームが刀を一腰携えて、道場の門の前にたたずんでいた。
「こんな朝早くから何の用だ?朝稽古つけて欲しいなら、まだ誰も来ていねぇようだから、
俺が直々相手してやってもいいぜ?」
それには答えず、ノームはロッシ先生に刀を差し出した。
「..先生、この刀を見てくれませんか?」
「ん?鬼切か?どれどれ..って、おめぇさん、こいつは..」
鞘から半分抜きかけたところで、ロッシ先生はノームの顔をまじまじと見つめた。
「..もし良かったら、今から保健室にお付き合いいただけませんか?今、フェルパーさんが入院
しているんです」
ノームとロッシ先生が保健室の扉を開けると、ベッドを囲んでみんなが顔を揃えていた。
ベッドではフェルパーが静かに横たわっていた。
「キシシシ..手術は成功です。大分身体に無理がかかっていたようで難儀しましたが、あとは
しっかり養生して身体を固めれば、すっかり元通りです。会心の手術でした。キシシシ..」
台所で手を洗いながらガレノス先生は嬉しそうに報告した。
ノームはガレノス先生に深くお辞儀をすると、ドワーフやフェルパーの仲間たちに促されて
フェルパーの枕元へ行った。
「あ、そうそう。身体はまだプリンのように柔らかいですから、あまり強く触れないでくださいね。
下手するとへこんだまま固まってしまいますから気をつけてください。それでは私は寝ます。
皆さんごきげんよう、キシシシ..」
そう言い残して部屋を出て行くガレノス先生にみんな改めて深くお辞儀をした。
「..ノーム様..」
目に涙を一杯浮かべ、そう言ったきり、言葉が出なくなるフェルパー。
「..お帰りなさい、フェルパーさん..」
そう答えるノームの傍らからクラッズの少女がそっとハンカチを差し出す。
「ノームさん、フェルパーさんはまだ身体が固まっていないので身体を動かせないんだそうです。
だからこれで..」
ハンカチを受け取ると、ノームはフェルパーの目元の涙をそっと拭った。
幸せそうに眼を細めるフェルパー。
「..この度は、パーティの仲間ともども大変お世話になりました..その..なんとお礼を申し上げたら
良いのやら..」
「皆さんが無事で何よりです。あなたの喜ぶ顔が一番のお礼です」
その一言でフェルパーの顔がくしゃくしゃになってしまう。
「あ..う..あう..あうう..」
「ほらほら、泣かないで下さい。そのまま顔が固まってしまったら困ります」
ノームの冗談に、フェルパーは無理やり顔をほころばせた。
「..あの、こんな時になんですけれど..これ..」
そう言ってノームは、一本の刀を差し出した。
「これは..?」
「鬼切です。フェルパーさんが手術を受けている最中に打ち直しました。使ってくださいとは
言いません。でも、せめてお守りとしてそばに置いてくださいませんか?」
「で、でも..私..この間、あんな偉そうなこと言っちゃって..その..」
目を逸らし、困惑するフェルパー。
「なあ、受け取ってやんねぇか、フェルパー」
ノームの後からロッシ先生が口を挟む。
「その..なんだ、確かに俺はおめぇさんに"分を過ぎた剣は身を滅ぼす"とか、"実力が付けば
相応の剣と巡り合える"って教えたけどな、冒険に出てモンスターの遺体や宝箱を漁るだけが
剣との出会いなのか?..まあ、確かに俺はそういう事を念頭に置いて言ったつもりだったけどな。
最近は修行もせずに、金で何でも解決したがる連中が増えちまったし..」
そこで表情を改め、真顔でフェルパーを見据えるロッシ先生。
「だけどな、おめぇさんが普段から一生懸命稽古に励んで修行して、その姿に惚れこんで、おめぇさんの
ために刀を作りてぇ、使ってもらいたいってぇ奴が現れたとしても、それはおめぇさんにとっては出会いの
一つにはならねぇのけぇ?」
フェルパーは大きく目を見開き、ロッシ先生を見つめる。
「受け取ってやんな..。一足先に刀を見せてもらったが、素晴らしい出来栄えだ。そしておめぇさんの
師匠として贔屓目無しで言うが、今のおめぇさんにはこの刀を使う資格は充分にある。パーティ辞め
させられたことも、下級生の面倒見てることも、おめぇさんの苦労は俺には全部お見通しだ。今まで
本当によく頑張ったな」
「うわああああああ..あ、あ、あ..!!」
堰を切ったように号泣するフェルパー。
「..私、私、死ぬ時本当に後悔したんです..うっく..うっく..ノーム様の刀を一度でいいから使ってみたかった
って..あの時素直に受け取っていれば良かったって..。ひくっ..何故あの時あんなこと言って断ってしまったんだろう
って..だから..だから..」
「いいんです、いいんです」
ハンカチでフェルパーの目元を優しく押さえながら語りかけるノーム。
「..その、あの時の刀は単なる習作みたいなものだったんです。あの時フェルパーさんの話を聞いて、
今まで自分は真面目に物を作ったことが無いことに気付いて..。だから僕も、フェルパーさんが遭難したとき、
後悔で気が狂いそうになりました。毎日厳しい修行を積んでいるフェルパーさんの姿を見ていながら
僕は全然進歩が無かったじゃないか、と。あと一度でいいから、僕の仕事を見て欲しかった、と」
ひとしきり、フェルパーの目元を拭うと、ノームはフェルパーの目を見つめた。
「..今回はフェルパーさんのことだけを考えて作りました。今の僕の精一杯です。一度試してみて
くれませんか?」
「..はい..喜んで..」
潤んだ瞳そのままでフェルパーもノームを見つめ返した。
「..まあなんだ、実物見てもらおうじゃねぇの。ノーム、ちょっと貸せ」
ノームはロッシ先生に刀を渡し、フェルパーの枕元で一緒に眺める。
すらりと鞘から刀が抜かれる。
「..きれい..素敵な..刀です..」
「使ってみて気がついたことがあったら何でも言って下さい。一緒にこの刀を育てましょう」
「..はい..はい..」
フェルパーの視界が、今日は白くまばゆく塗りつぶされていった..。
始業時間となり、ロッシ先生やドワーフ、フェルパーのパーティ仲間は三々五々保健室から去って
いき、フェルパーとノームだけが残された。フェルパーのベッドの枕元には刀掛けが置かれ、ノームの
刀が飾られている。
「お体は大丈夫なんですか?」
ノームが尋ねる。
「はい。ガレノス先生の話だと後遺症も残らず、傷口もきれいに塞がったと。あとはじっくり固めるだけだそうです。」
「そう..それは良かったです」
穏やかに微笑むノーム。
「それで..あの..一つお願いがあるのですが..よろしいでしょうか?」
「ええ、何でもおっしゃってください。何ですか?」
なぜか目をそらし、真っ赤になるフェルパー。
「ええと..私、見てのとおり全く動けません。ですから、私はまこだ自分の体がどうなっているのか
見る事ができないのです。」
うんうんと頷くノーム。
「でも、体は動かないのですが、布団をかけられているとか、涙を拭われているとか、感触
自体はあるのです。ですから..」
少しためらったフェルパーだが、ノームの目を見て続けて言った。
「ノーム様にこの体を触っていただきたいのです。そうすれば今の私の体の様子を確かめる事が出来るのでは
ないかと思いまして..お願いできないでしょうか?」
フェルパーの言葉を理解した瞬間一気に頭の中が沸騰し、クラクラとめまいを感じるノーム。
「あの、鏡を持ってくるとか、そんな野暮な事はおっしゃらないでくださいまし。今は、
鏡に映った自分の姿より、ノーム様が触れてくださる感触とお言葉の方が信じられます..」
顔を真っ赤に染めながらも、真剣なまなざしで懇願するフェルパー。
「..ダメでしょうか?」
深呼吸を三回繰り返したあと、緊張した面持ちでノームは答えた。
「いいえ。フェルパーさんがそう望むなら..」
フェルパーが嬉しそうに微笑むのを確かめると、ノームはフェルパーの掛け布団の襟に
手をかけた。
無言で見つめ合う二人。
しばらくの静止と沈黙の後、ノームの手でゆっくりと布団が引きはがされて行った。
肩、胸元、両腕、腹、腰、太もも、足首..
やがてフェルパーの体全体があらわになる。
「...」
無言のまま、潤んだ瞳でノームを見つめるフェルパー。
「..確かに、傷一つ残っていません。きれいに塞がっています」
淡々と述べるノーム。そしてため息一つつくように、
「..とても、美しいです」
と付け加えた。
「..では、触りますね。右足から..」
「はい..よろしくお願いします」
そっとフェルパーの右足の甲に手を触れる。しかし想像以上に柔らかく、簡単にへこんで
しまい、ノームは慌てて手を離した。
「..どうかしましたか?」
「いえ、思った以上に柔らかくてびっくりしちゃって..大丈夫。行きます」
「はい..お願いします」
へこませた所が、ゆっくりと元に戻っている事にホッとすると、今度は産毛をなでるような繊細さで
足に触れた。
「..触れているの、分りますか」
「はい..はっきり、感じます」
頬を赤らめて答えるフェルパー。
「あの..遠慮なく、まんべんなく..お願いします」
その言葉に心臓が跳ね上がる思いのノーム。両手の指で体のラインをなぞるように撫でて
いった。
足の裏に触れる。
「あっ..」
フェルパーが反応する。
「くすぐったいですか?」
「はい..でも、嬉しいです。生きていることを実感します..」
「では、続けますね」
穏やかな微笑みを返しながら、ノームは続けた。
戦士系の学科の生徒とは思えないほど細く締まった足首からふくらはぎへと撫で上げる。
そして膝から細いながらもふっくらとした柔らかさを感じさせる太ももへと移って行く。
「はうっ!!」
フェルパーの声に思わず、びくっとして手を離すノーム。
「ご、ごめんなさい..その、私、殿方に触れられるのが初めてで..」
「大丈夫ですか?すこし休みますか?」
「..いえ、大丈夫です。落ち着きました」
やがて、太ももの付け根付近に到達する。
股間の森のあたりで、ノームが戸惑っていると、
「お、お、お願いします。手の届く範囲は出来るだけ..」
と、フェルパーの蚊の鳴くような小さな声が聞こえて来た。
深呼吸一つすると、ノームは覚悟を決めたように、両太ももの間の空間に指を慎重に潜らせて
いく。
森の中はかなりの湿り気を帯びていた。しかし、ノームには昨日の魔女の森のようなじめじめと
した陰気な湿気ではなく、熱帯雨林のような圧倒的な生命力を秘めた湿気のように感じられた。
太ももを圧迫しない程度まで股間の奥に指を差し込むと、ノームはゆっくりと指を鍵状に
曲げて行った。やがて秘裂と思われる部分に触れると、そのラインをなぞるように指を
抜き上げて行った。
「(んー..んんんー..)」
顔を真っ赤にして一杯一杯になりながらも、ノームに心配をかけまいと溢れそうな喘ぎを
押さえるフェルパー。やがてノームの指が下腹部まで出てくると、安心したかのように、
ほうっとため息を一つついた。
額にじっとり汗をにじませいているフェルパーに声をかける。
「大丈夫ですか。これ以上強くは、お体を..」
「は、はい..大丈夫です」
フェルパーの返事を聞くと、ノームは昨日まで大穴が穿たれていたウエストラインとへその
付近を撫でた。
「わかりますか?本当にきれいに塞がってますよ。おへそも無事です」
と、へその穴の周りをくるくると撫でてやると
「はい、分ります。くすぐったいです」
と、恥ずかしそうにフェルパーは笑った。
脇腹の辺りから脇の下へ向かって十本の指で撫で上げる。
「んーっ、ふーっ..」
フェルパーの呼吸が次第に荒くなり、顔の赤みも濃くなってくる。
乳房の隣まで来たとこで、乳房の下のラインをなぞるように体の中央部へ切れ込む。そして
乳房の周りを一周するように撫でると、乳丘の麓から乳頭へ向かって撫で上げた。
「ひゃあ!!」
ノームの指が既に固くなっているきれいなピンク色の乳首に触れると、フェルパーは
こらえきれなくなって声を漏らした。
フェルパーの乳首の周りをくるくると指で回す。
「ああ、ノーム様、ノーム様..私、私..もう..」
虚ろな目で、うわごとのように繰り返すフェルパー。ノームは手を止めハンカチを取ると、
フェルパーの額の汗と目元の涙を拭いながら、荒い息の合間に漏れるフェルパーの言葉を
うんうんと頷きながら聞いた。
フェルパーの呼吸が落ち着いてくると、ノームは胸元から肩へと手を回し、肩から
両腕の先へとなで下ろした。そして、うっとりとノームを見つめるフェルパーに、ノームは
ささやくように尋ねた。
「お顔にも触れていいですか?」
こくりと小さく頷くフェルパー。
両手を顎の両側に差し入れ、頬を伝って鼻の方へ向かって優しく撫でると、今度は髪の生え際
あたりに十本の指を並べ、まぶたの上を伝って顎に向かってゆっくりと撫で下ろした。
目を瞑り、恍惚とした表情のフェルパー。
最後に両耳を代わる代わる撫でると、ノームは静かな声でささやいた。
「これで、全てです、フェルパーさん。本当に、本当にきれいです」
「ありがとうございます、ノーム様。幸せです..」
ノームは、目を閉じながらフェルパーの口元に顔を寄せる。フェルパーも静かに
目を閉じながらそれに応じる。本当に軽く触れる程度の口づけであったが、昨日と違って、
ほんのりと暖かいフェルパーの唇と息遣いに、ノームも無上の幸せを感じていた。
フェルパーに優しく布団を掛けた後、ノームが自室に戻ると、ドワーフがいた。
「もう良いのか?」
「うん、疲れたから休むって」
「そか..。でも良かったな。これで一件落着だ。これ、返すよ」
そういうと、ドワーフは借りていた道具をノームに返した。
返された道具をノームはしばらく見つめていたが、
「ドワーフ、ちょっと」
と呼び止めた。
何事かと不思議そうな顔をするドワーフの腕や肩、背中を撫で回したあと、、
手の平の中で道具をこねくり回した。
「これ、ちょっと使ってみて」
言われるがままに、差し出された道着、クラブ、バグナウなどを身に着けるドワーフ。
「どう?」
「軽い!!こんなに使いやすかったっけ?」
空手の型を演武しながら軽く驚くドワーフを見て微笑むノーム。
「ちょっと寸法を取り直して形を直しただけなんだけどね..良かったらやるよ」
「いいのか?お前、他人のためには一切道具を作らない奴だと思ってたのに..」
「そうだったけど..でもそれは自分の道具を使った人が死ぬのが嫌なだけで..」
少しはにかんだような苦笑いを浮かべ、ノームは答えた。
「だから、絶対死なないでくれよ?..いや、死んでも良いけどロストは勘弁、ということで」
「..わかった。約束するよ」
微笑みながらドワーフが差しだした右手を、ノームは堅く握り締めた。
一週間後
剣道場の中庭では二人の生徒が練習用の木刀を構えにらみ合っていた。ふよふよとタイミングを
とるかのように上下に揺れながら浮遊するフェアリーと、肩で息をしながら中段の構えで相手を見据える
フェルパー。
「それにしても、回復がえらい早かったな。2-3週間はかかるんじゃなかったのけぇ?ガレノス先生」
道場の縁側で二人の稽古を見つめながら問いかけるロッシ先生。
「そのはずだったんですがねぇ。私にも原因が良くわからないのですよ。何らかの刺激で
再生活動が活性化したと思われるのですが..キシシシ..」
「これは、久々に知的好奇心が刺激される研究対象にめぐり合えましたね..
うーんなぜかしら、ううーんなぜかしら、うううーんなぜかしら..」
盛んに首をひねるヴェーゼ先生を見て、ロッシ先生はクックッと笑った。
「まあ、最終的な答えはわかってるけどな、なあ、ジョルジオ先生?」
「もっちろん!!それはこの世でもっとも強くて素敵なち、か、らのおかげね」
「..おっといけねぇ。こいつらちぃっと熱くなりすぎだ」
自分の世界に浸り身をくねらせるジョルジオ先生をよそに、ロッシ先生は木刀片手に縁側から
中庭へ飛び出していった。
一つ長く息を吐き呼吸を整えると、フェルパーは八双の構えに木刀を振り上げた。それを見て構えなおす
フェアリー。何かが身体に満ちるのを待つかのように動かないフェルパーの瞳孔がクワッと散大する。
「..ひぃああああああああ!!」
気合と共にフェルパーらしい俊敏な動きで間合いを詰め、真っ向から木刀を振り下ろすフェルパー。
カーン!!
鋭い音とともに、フェルパーが振り下ろした木刀が受け止められる。
「そこまで!!..勝敗はわかってるな、スフォリア」
フェルパーの木刀を受け止めたロッシ先生が呆然と浮かぶフェアリーに尋ねる。
「はい..参ったアルね..」
震える声で小さく答えると、地面にぺたんと落ちるスフォリア。
(..勝った?..私が?)
信じられない、といった表情でロッシ先生を見るフェルパー。
木刀を肩に担ぎ、トントンと肩を叩きながらロッシ先生は言った。
「もともとおめぇさんの剣は単純なんだ。相手よりも先に剣を当てたら勝ち。それだけ。だから、
フェイントなんて小細工なんざぁ考えずに、ひたすら剣先のスピードを上げることだけ考えりゃあ
よかったんだ」
フェルパーから木刀を取り、自分の木刀と較べてみせるロッシ先生。
「これはおめぇさんの刀に合わせてノームに作ってもらった練習用の木刀だろ?反りが少なくて
若干細身で、重心が少し先の方にある。俺が止めに入ってなけりゃ、今頃こいつの頭は..」
はっ、としてフェルパーが縁側の片隅に向かって振り返ると、そこではノームが穏やかに
微笑みながら手を叩いていた。
「..どれ、一休みするかい。スフォリア、お客人方に茶をお出ししろ」
「粗茶ですがどぞアルね。熱いから気をつけルね」
道場の板の間に座布団を敷き、輪になって座っている一同に、いつもより少し元気が無い
スフォリアがお茶を配る。
「今日は朝からいいもん見たぜ。生徒が一皮向けた瞬間を見るてぇいうのは教師冥利につきるってもんだ」
ロッシ先生がそういいながら、口元に茶碗を運んだ。
ガレノス先生、ヴェーゼ先生、ジョルジオ先生が同意したように頷く。
フェルパーはしばらくの間、稽古の後の心地よい余韻に浸っていたが、ふと思いついたように、フェルパーはお茶を配り終えたスフォリアに言った。
「あの..これからもお稽古にお付き合いお願いしますね」
「ふ、ふん。私だってこのまま負けてないアルね。明日はきっと一泡吹かせてやルね」
「はい、よろしくお願いします」
仲の良さそうなフェルパーとスフォリアのやり取りを微笑ましく思いながら、ノームは
お茶を口に含んだ。
(..あれ?このお茶すごくぬるい..)
そう思った瞬間、隣のフェルパーが吹き出した。
「ぶは!!ぅあっちいいいいいいい!!」
「あいやー!!フェルパーに出す茶碗間違えたアルねー!!」
「スフォリア貴様!!それはフェルパーへの意趣返しのつもりかぁ!?」
「誤解アルぅ!!ホント単純に間違えただけアルね!!」
「だだだ大丈夫ですか?フェルパーさん。お水、雑巾、お水、雑巾、あわわわわ」
以上です。ちょっとした続編もあるのですが、こちらは前スレの埋め立て用に
使います。話が前後しますがご了承を。
おつおつ!この二人早く結ばれれば良いのに…!
プリンみたいにビビったw
書く人によって世界設定が色々あって面白いよね
ところで気まぐれに今までのSSで出てきたキャラを数えてみたんだけど、
そういうのって需要ある?
長くなりそうだったらテキストにまとめてロダで頼むぜ
30 :
28:2010/05/21(金) 21:33:55 ID:34G+iFH/
前スレちょっと残ってるから貼り付けてくる
数えてみてもヒュマ男に殺意がわいたくらいなんだけど、
なにかの参考になれば幸いです
31 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 12:13:06 ID:2IUMSTrv
ちょっと質問いいですか?
自分がプレイしているパーティでSS書いても良いのでしょうか?
>>31 OK。
次スレからよくある質問を設置した方がいいな。
33 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 15:46:32 ID:2IUMSTrv
>>32 了解しますた。(・∀・)ゞ
次より、連載開始予定。
34 :
このろくでもない素晴らしき仲間達:2010/05/22(土) 16:29:00 ID:2IUMSTrv
どうも、名無し改め『ろくでもない素晴らしき仲間達』の作者です。
今回は小生のデビュー作品・・・・・のメインキャラ紹介です。
本編は次回以降になりますので、今しばらくお待ち下さい。m(_ _)m
注:かなりオリジナル要素が入るので、嫌な方はスルーして下さい。
カレン:バハムーン(女)・竜騎士
このSSの主人公格。小難しいことを考えるのが苦手で、考えるより先に動いてしまうタイプ。何故かパーティのリーダー格。キレるとブレスを吐く。
ちなみに、きょぬー。
ルルーシュ:ヒューマン(男)・レンジャー
カレンの幼馴染み。一人称は「僕」。手先が不器用なのにレンジャーになった理由は謎。
罠の解除や開錠はほぼ運任せである。そのため、パーティに入れるともれなくとばっちりが付いてきますww
クロスティーニに入学してカレンと再会した。
カオル:フェルパー(女)・剣士
カレンとは昔なじみで、よくイタズラをしては二人で親に雷を落とされていた。
戦闘では二刀流を駆使し、前衛で戦う。
普通のフェルパーとは異なり、初対面の相手に対してはよくある『人見知り』ではなく、『警戒』をする。
ちなみにひんぬーです
リーオー:ドワーフ(男)・格闘家
カレンのパーティー仲間のドワーフ。クロスティーニに入学するまではそれなりに知られたワルだった。そのため腕っ節も強く、喧嘩っ早い性格。戦闘スタイルも他の格闘家のような武術ではなく、喧嘩殺法なので傍目にも危なっかしい。
後述のアクセルとはことある度に殴り合いの喧嘩となる。
アクセル:エルフ(男)・精霊使い
カレンのパーティー仲間のエルフ。一族の中では所謂落ちこぼれで、他者を見返す力を得るために入学した。戦闘では参謀格としての役割も持つ。
先述のリーオーとは犬猿の仲であり、衝突するのは日常茶飯事。
アテナ:セレスティア(女)・魔法使い
カレンのパーティー仲間で、アクセルの姉弟子に当たる。
精霊使いとなった彼とは異なり、魔術一辺倒のスタイルを取る。
ポワポワした性格でいつも笑顔を絶やさないが、喜怒哀楽の哀をのぞいた三つの感情表現も笑顔のため、彼女と会話していると気付かぬうちに地雷を踏んでしまうことも・・・・・。
アレディ:ヒューマン(男)・戦士
かつて、世界を破滅から救ったとされる伝説のパーティ、『希望の六騎星』の一人。
すでに故人で、カレンの故郷には彼の銅像が立っている。
彼女を含めた全ての冒険者達のあこがれであり、目標でもある。
35 :
このろくでもない素晴らしき仲間達:2010/05/22(土) 21:27:14 ID:2IUMSTrv
書いて早々何ですが、訂正が。
カレンの学科は竜騎士ではなく、戦士です。
失礼しますた。
失礼を承知で言わせてもらうと
メジャータイトルの主人公と名前が同じなのはどうなのかな
まぁ俺は名前知ってるだけでギアス知らないんだけどさ
まぁそれは他にやってる人いるし今更気にならないが
名前ありだと種族等の判別がしにくいから気をつけるといい
38 :
このろくでもない素晴らしき仲間達〜第一章-1:2010/05/24(月) 08:20:01 ID:mMZ1HKi2
お待たせしました。『このろくでもない素晴らしき仲間達』、第1話をお送り致します。
では、どうぞ!
かつて、古のガイノス大陸は悪の権化、『絶対者』によって危機にさらされ、誰もが未来を絶望していた。
そんな中、立ち上がった六人の冒険者によって『絶対者』は封じられ、世界から絶望は消え去り、希望が戻って来た。
いつしか人々は尊敬と畏怖の念を込め、彼らを『希望の六騎星』と呼び、各地に六つの銅像を立てた。
そうして時は流れ、『六騎星』と『絶対者』の戦いがおとぎ話となって人々に語られるようになった頃、各地に冒険者を育てる場〜学園が作られるようになった。
そして、今日も冒険者を志す若者が、学園の門を叩く・・・・・―
第一章 〜持つべきモノは何じゃいな?
「はぁあ・・・・退屈だわ・・・・・」
その日、赤毛のバハムーンの少女―カレンはヒマを持て余していた。
「『アイツ』がいなくなってそろそろ三年・・・・・。ったく。誰の許しがあって、引っ越しするのよ・・・・・」
リンゴをかじりながら、窓の外を見るカレン。
村の中央にある広場には、一体の銅像が立っている。
両手剣を肩に担ぎ、鎧を身にまとったヒューマンの青年・・・・を象った。
「『希望の六騎星』ね・・・・・。下等生物に世界が救えるなら、苦労はしないって・・・・」
「ヤッホー、カレン。ヒマしてる?」
突然、窓の外から少女がヒョッコリと顔を出してきた。
月光のような銀髪と、透き通るような色白の肌が特徴的だ。
だが、彼女の頭の上には一族―フェルパーたらしめるネコ耳が付いている。
「っとわ、カオル!?驚かさないでよ・・・・。て言うか、ここ二階よ!?」
「ふっふっふ。フェルパーにとって、二階は一階も同然♪」
そのフェルパーの少女―カオルは持ち前の身のこなしで窓から中に入ると、イスに座った。
「んで、今日もあこがれのダンナを視姦していたの?」
「あ、あこがれって・・・・・あんな下等生物なんかに・・・・。まあ、冒険者としてはお手本にしたいけどさ・・・・・」
「ほうほう」
「あの両手剣、一度で良いからブン回して見たいわぁ・・・・」
「ガクッ!」
どうやら彼女、銅像の青年―ではなく彼のツヴァイハンダーに憧れていたようで。
「ま、そこはそっちの親父さん譲りってことで」
「ところでさ、カオル。アンタ、冒険者にはなりたいと思う?」
ふと、カレンが質問する。
「うーん・・・・・そうだねぇ・・・・・」
カオルは少し顎に手を当てて考えた後、語り始めた。
「そりゃぁさ、なりたいよ。去年だって、隣村のケイオスが学園に入学したし」
「それは野郎だからでしょ?私らは村から出るのにも一苦労なのに」
「「特に、『親父が』(『兄さんが』)・・・・・ねぇ?」」
頭を抱える二人。それもそのはず、カレンは父親に、カオルは兄に溺愛されており、もはや過保護とも言える状態だからだ。
「しゃぁない。今夜強硬手段を取るとしますか。ちょっと耳を貸して」
「こう?」
カレンに言われて耳を近づけるカオル。
「それでさ、ごにょごにょ・・・・・。はっ、ブアックショイ!!」
「みぎゃあ!?耳元でクシャミしないでよ!」
毛を逆立てて怒るカオル。そりゃ、当然か。
「ゴメンゴメン。じゃ、改めまして・・・・・コショコショ・・・・」
再びカオルの耳元で話し始めるカレン。
「えぇ!?大丈夫なの?」
「大丈夫だって。置き手紙を残してくんだし。じゃ、今夜、OK?」
「OK牧場〜」
そう言ってカオルは窓から飛び降りると、猫のように着地して去っていった。
「さてと、私も支度をするかな」
カオルが去ったのを確認すると、カレンも支度を始めるべく行動を開始した。
〜To be Continued〜
乙。タイトルで某CMの宇宙人が思い浮かぶw
しかし、エロまでたどり着かなくても、ある程度のかたまりで投下してくれないと
GJもwktkもしづらいというか…
あと、メール欄にsageって入れて書き込みしてほしい
40 :
このろくでもない素晴らしき仲間達〜第一章-1:2010/05/28(金) 15:11:57 ID:CdvbAyPO
>>39 遅筆で申し訳ないです。OTL
「えっと、地図におにぎり、あとは・・・・こんなもんかな?」
秘密の作戦を決行すべく、カレンはズタ袋に思いつく限りの道具を詰め込んでいた。
『オヤジが私の事を愛しているのは判るけど、それにだって限度って奴がある・・・・。私はもう子供じゃないんだから・・・・』
カレンはふと、自室の壁を見る。
そこには彼女が父親からプレゼントされたレイピアが立てかけてあった。
「こいつも、持って行くかな」
カレンはレイピアを腰のベルトに差すと、手紙を机の上に置き、窓から飛び降りた。
《ドシンッ!!》
しかし、カオルのようには行かず、盛大に尻餅をついてしまう。
「痛ったぁぁ・・・・。カオルの奴、なんたってこんな所から着地出来るのよぉ」
「答えは簡単。フェルパーだからです」
彼女の目の前には銀髪のフェルパー、カオルが立っていた。今にも吹き出しそうなのを堪えながら。
「何笑ってんのよ・・・・・」
「別に〜。・・・・・ウヒヒヒヒ」
「と、とにかく、行くわよ」
「了解。あーっ、苦しっ」
―――――
村からでてすぐの山道を、二人はたいまつを片手に進む。
「しっかし、昼にはよく通るけど夜はまた違った印象ね」
「昼間は霧がかかってるけど、夜は視界良好なりや」
「これで満月が出てればねー」
二人は下らない談笑を交わしながら、夜の道を歩く。
彼女たちにとっては初めての冒険だ。必然的にテンションも上がっていく。
だが、
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
二人の目の前に現れたのは、頭に剣の様な角が付いた魚型のモンスター―ささくれシャークだった。
「「・・・・・・・・・」」
「ギャオォオオ!!」
「どしゃーーーー!!」
「ギニャーーーー!!」
襲いかかるささくれシャーク、全速力で逃げる二人。
「ちょっとカオル!なんとかしなさいよ!!」
「んなこと私に言われてもー!!」
右へ左へ、縦横無尽に逃げ回り、ささくれシャークが追跡を諦めてもまだ走り続けた。
―――
「ど、どうにか・・・・撒いた・・・・みたいね・・・・」
「つ・・・・疲れた・・・・。にしても、ここはどこ・・・・?」
二人は肩で息をしながら周囲を見渡すが、見覚えのない地形だった。
「こんな時の為の地図・・・・・なんだけど・・・・・」
「?」
カバンに手を入れて探っている内に、カレンは顔が真っ青になっていく。
カオルはそれを怪訝そうに見ている。
「地図・・・・落として来ちゃった・・・・・」
「・・・・・どうする・・・・?」
「どうしましょうかね・・・・・・」
乙
そういう意味じゃなく何話かまとめた状態であげてくれって意味かと
そう細かく分割されると読みにくいよ(・ω・`
引退宣言
大作(注:言い過ぎました)のアイデアが頭の中に浮かんで、
死ぬほど考えてプロットを組み立てて書き始めたつもりだったのに、
なにかがおかしい!そう思った時、続きが書けなくなった。
いつまでたっても手がキーボードを打ってくれなくて、無理やり動かしてもまともな物が作れない。
出来上がったと思っても、推敲する度に「すべて選択(A)→Delete」の繰り返し。
頑張ってやり直しても、結局は削除地獄に嵌っていく。
馬鹿の一つ覚えみたいに同じシチュを言葉を変えて書き直すだけの、破滅の無限ループから抜け出したのは、
歴戦を重ねたヒロインを書いたつもりが、実は歴戦とは同じ戦いが繰り返されただけのことに過ぎないと気付いた時だった。
見事なまでに成長の無いヒロインの話を長々と投下した事が恥ずかしくなり、それがおかしい物の正体だと気付いた時にはもう手遅れだった。
俺が途中まで投下したSSにGJをくれた人たちには申し訳ないけれど、俺はもう書けなくなってしまった。
もう一度やり直そうとしても、途中まで投下した部分が破綻するだけ。
頑張っても頑張っても満足のいく続きが書けなくなってしまったんだ。
バイバイ、スレのみんな。
ろくでもないSSばっかり投下した上に、途中で投げ出してしまって申し訳ないと思ってる。
生みの苦しみに負けた書き手より……
まぁ、また閃いたらひょっこり戻ってきてくれ
歓迎するよ。……粗茶もだせないのが歯がゆいがな。
私の話は以上だ。ゆっくり休め
ね
こ
だ
い
す
き
誤爆スレからの転載だった気がする
45 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 14:32:23 ID:QzRIgKwZ
キャラスレ過疎ってるな このスレに移り住んだのか?
あっちは規制で書き込めないんだよなー
随分間が空きましたが前スレ
>>224の続きっぽい何かを投下します
エロ部分が少な目なのは御愛嬌
ディモレアの一件以来、各地の冒険者学校の交流は盛んになっていた。地下道を進む学生たちの中には、学校の垣根を越えたパーティも
珍しくない。
そんなよくあるパーティのひとつが、探索を終えてランツレート学院に帰ってきた。パルタクス学園の制服を着たドワーフの女子生徒は、
上機嫌に尻尾を振りながら早足で先頭を歩く。
「どーぉしておっなかっがへっるのっかなっ!」
「ドワちゃん、そんなに急がなくても、カレーはなくならないよ」
呆れたように微笑んでその後ろを追うのは、青い制服のクラッズだ。彼女にしてみれば何かと危なっかしいドワーフの面倒をみている
姉貴分のつもりなのだろうが、端からみれば必死に後をついて回る妹である。
「クラッズ、ドワーフ、僕たちの席も取っといてねー」
「カレーもなー」
のんびり歩いているフェアリーとヒューマンが、少しばかり小さくなった二人の背中に声をかける。ドワーフは振り返らずに、両手と尻尾
をブンブン振って軽く答えた。
調子に乗ってスピードをあげたドワーフに、小走りでついていくクラッズ。小さな二人は校舎に入り、あっという間に見えなくなってしまった。
ヒューマンはフッと息を吐いて、隣のノームの顔をのぞきこむ。ドワーフと同じ黒い制服に身を包んだノームは、凍り付いたような無表情
でドワーフたちの行ってしまった方を眺めていた。
「ノーム。あとで道具の鑑定を頼んでも良いか?」
「……」
ノームはガラス玉の目でヒューマンを見つめ、小さく頷いた。ヒューマンはそれ以上ノームにかける言葉もなく、なんとも言えない苦笑
を浮かべたのだった。
探索で腹ペコになったドワーフがカレーをおかわりして戻ってきたとき、ヒューマンはコホンとわざとらしく咳払いをした。彼がこういう
仕草をするときは、大抵重要な話があるときである。
「あー……食べながらで良いから、聞いてくれるか」
クラッズとノームは食べる手を止めて、ドワーフとフェアリーはカレーを口一杯に頬張りながら顔をあげた。
食べながらで良いとは言ったものの、口元にカレーがべったりとついたドワーフとフェアリーを見て一瞬言葉を失う。
ドワーフが口の中の食べ物を飲み込み、また目一杯に詰め込みながら話を促した。
「んぐ。ヒュマ、なぁに?」
「……あ、ああ。ええと、やっぱり、前衛を任せられる人をもう一人探したいんだ」
現状五人であるこのパーティでは、僧侶学科のヒューマンが前衛についている。彼はリーダーとして全員に指示を出しながら、傷付いた
者を素早く回復するのが主な役目だ。
そこに前衛として後衛を守る役割を与えられれば、ヒューマンの負担は増すばかりである。ドワーフのように体力のある種族ならばまだ
しも、ヒューマンの中でもやたらとひ弱な彼には、それはあまりにも重荷であった。
「さんせーい。手頃な人が見付かると良いねー」
ドワーフがパタパタと尻尾を振りながらふたつ返事で頷いたので、ヒューマンはほっとしたように表情を緩めた。ドワーフはそれきり再び
山盛りのカレーに集中してしまう。
代わりにフェアリーが食べる手を止めて身を乗り出した。
「前衛って言ったら、やっぱりドワーフと同じ戦士かな?」
「うーん。俺としては、魔法が使える人が良いかなって。とりあえず侍学科とかをあたってみるつもりだな」
すると今度はクラッズが嬉々としてスプーンを振り回す。
「じゃあさ、君主なんかは?後衛を狙ってくる敵も増えてきたし、いてくれたら心強いなー」
「君主がいたって修道士の僕の邪魔にしかならないね。いっそ忍者とかくの一とかはどうかな?」
フェアリーが反論すると、二人はヒューマンそっちのけで議論をする。今までその一人が見付からなくて五人編成だったのだが、そんな
ことはすっかり忘れて勝手なことを言っていた。
クラッズがあの学科が良いと言えば、フェアリーがこの種族は嫌だと文句をつける。結果まとまったのは、明るく愛想が良くて彼らの後輩
にあたる神女学科のヒューマンの女子生徒、ということだった。
そのあまりにも具体的すぎる注文に少し呆れたような笑顔を浮かべながら、ヒューマンが何でもないように言う。
「ああ、それから。明日あたりから空への門を目指そうと思うんだけど」
それを聞いた瞬間、確かに時が凍り付いた。ドワーフのカレーをすくっていた手とパタパタ揺れていた尻尾が止まり、今まで関係ないと
いうように黙っていたノームも、感情のこもらない目でヒューマンを見る。
クラッズとフェアリーも目を丸くして一瞬静まり返った。ヒューマンは皆のその反応に驚いて言葉をつまらせたが、気をとりなおすよう
に咳払いをする。
「コホン……今の俺たちなら、ラーク地下道を歩くことも、空への門に辿り着くことも、可能だと思うんだ」
それでも固まったままの一同に、ついにヒューマンが困惑の表情を浮かべたとき、フェアリーとクラッズから歓声があがった。二人は揃
って目をキラキラと輝かせ、身を乗り出してヒューマンに詰め寄る。
「うんうん、行こうよ!僕たちだって、もうだいぶ強くなったもんね!」
「ラーク地下道かあ……きっと凄い宝物が手に入るんだろうね!」
ヒューマンたちはあまり優秀な方とは言えない方ではあったが、それでもれっきとした冒険者である。やはり未知の迷宮に挑む不安より
も、好奇心が勝る。
賛同を得られたことでヒューマンも楽しそうに目を細めて、まだ見ぬ場所へ思いを馳せた。
「先輩から聞いたんだけど、空への門の景色はそりゃあもう凄いらしいんだ。雲に触れるんだっていう話で…」
「……あ、あのっ…」
「あ。そういえばさ、空への門にディアボロスの錬金術師が住み着いてるって話、知ってるかい?」
ドワーフが遠慮がちに何か言いかけたのを遮ってしまう形で、フェアリーが噂話をはじめた。
「何でも元は優秀なパルタクスの生徒だったらしいんだけど、今は空への門でずーっと怪しい研究をしてるって噂だよ」
フェアリーとしてはあまり気にならないのだろうが、やはりヒューマンとクラッズはディアボロスと聞いただけでちょっと嫌な顔をする。
そこでふとヒューマンは、ドワーフが耳と尻尾を垂らしていることに気が付いた。ノームも表情を凍らせて、虚ろな視線をさ迷わせている。
ヒューマンはそれを不思議に思いながらも、フェアリーの話を促した。
「はあ…。で、そのディアボロスはどうして探索をやめたんだ?」
「さあ?学園を追放されたとか、気が振れたとか、色々言われてるけど……全部噂だしねぇ」
そう言ってフェアリーは話を適当に切り上げた。「実際会ってみればわかるんじゃない?」と付け加えたが、ヒューマンは気のない返事
をしただけである。
クラッズもスプーンをくわえながら、まるきり興味がないといったようである。彼女の言葉には隠しきれない嫌悪感が滲んでいた。
「ふーん……まあ、でも、ディアボロスだもんね。暗いし、そのくせ好戦的だし、どうせパーティにも捨てられたんじゃ…」
「ディアボロスのことを悪く言うなっ!!」
怒鳴り声が誰のものであるのか、誰もが一瞬わからなかった。ノームがきつく拳を握り、目を吊り上げて、クラッズを睨み付けていたのだ。
初めて聞いたノームの怒鳴り声に、クラッズはただただポカンと口を開けている。それはヒューマンを含めた他の者も同様で、驚きに満
ちた四人分の視線がノームに集中した。
ノームはハッとしたように席を立ち、弾かれたように学食を出ていってしまった。彼女が消えてからしばらくして、ようやくクラッズが
口を開く。
「え……私、何か悪いこと言っ……え、あ、もしかして知ってる人、とか…?」
ノームが行ってしまった方に集まっていた視線が、ゆっくりドワーフに移される。ノームと同じパルタクス学園出身のドワーフは、耳と
尻尾を下げてただうつむいてしまった。
「ドワ…?」
ヒューマンの力ない呼び掛けにも、ドワーフは応えない。
何も語ろうとしないドワーフになし崩しにパーティは解散し、なんとなくぎこちない空気を引きずって誰もが部屋に帰っていった。
ヒューマンはひとつため息を吐き出して、自室のベッドに寝転んだ。ノームの怒鳴り声とドワーフの悲しそうな表情が何度も頭の中を廻る。
ドワーフとノームは素性こそパルタクス学園の生徒であるが、今では殆んどそちらに行くことはない。理由をきけばドワーフはカレーが
美味しいからだと答えるだけで、うまくはぐらかされてしまう。
パーティのあるランツレート学院に馴染んでいるのもあるのだろうが、近寄りたくないという雰囲気さえ出しているように思うのだ。ヒ
ューマンとしては彼女たちが話してくれるまでと、今まで深い事情は訊かなかったが……ひょっとしたらとんでもなく深刻な事情なのでは
ないだろうか。
そんなことを考えていると、控え目なノックの音がした。ゆっくりと三回ドアを叩くのは、ヒューマンの恋人の癖である。
ベッドからおりてドアを開けると、そこには不安そうにヒューマンを見上げるドワーフがいた。
「ドワ…」
「ヒュマに大事な話があるの。入っても良い?」
「……それは、パーティのリーダーに話があるのか?それとも、恋人に?」
「どっちでも。解釈はヒュマに任せるよ」
一瞬眉を寄せそうになったが、ヒューマンは彼女を招き入れた。ひとつしかない椅子をドワーフに勧め、自身はベッドに腰かける。
しかしドワーフは何も言わずに、ヒューマンの膝にちょこんと腰を下ろした。ふかふかのぬいぐるみのような体をギュッと抱き締めると、
ドワーフが小さな声で呟く。
「……ねえ、ヒュマ…」
ドワーフはヒューマンの手をとり、そっと自分の胸元に導いた。ヒューマンは何も言わず、ドワーフの制服をたくしあげて手を入れる。
ふわふわの毛並みに覆われた乳房をそっと撫でると、ドワーフは犬が甘えるときのような鼻にかかった声を出した。
「んぅっ……ヒュマぁ…」
自然とドワーフの尻尾が揺れて、ヒューマンの太ももをパタパタと叩く。偶然にも尻尾の付け根がちょうどヒューマンの股間のあたりに
触れていたため、ヒューマンのそれも僅かばかりの刺激を受けた。
ヒューマンがゆっくりと乳房を扱う間、ドワーフはただ息を乱しながらうつむいている。その吐息が湿っていることに気が付かない訳も
なく、ヒューマンはそれ以上激しくするのを躊躇っていた。
だが、やがてドワーフは自身の体を支えているヒューマンの手をとって、今度は秘所へと導いた。ヒューマンは促されるままにそこに指
を這わせ、スパッツの縫い目をなぞるようにすぅっと撫で上げた。
途端に、ドワーフの体がピクンと跳ねる。一瞬仰け反るように顔をあげたが、すぐに前屈みになってまたうつむいてしまう。
「うっく…!」
「ん、大丈夫か?」
「……っ、うん…」
ヒューマンの位置からはドワーフのそこは見えないが、既にじっとりと濡れているように思えた。もどかしい刺激がかえって興奮を煽っ
たのかも知れないとヒューマンは適当に結論付け、小さく尖った陰核を軽く引っ掻く。
ドワーフが甘えるように喉をならし、ヒューマンを尻尾でパタパタと叩く。ヒューマンとしてはあまり乗り気でなかったのだが、身悶え
るドワーフの姿をみているうちにもっと見たいという欲求がわいた。
スカートを大きくまくりあげ、スパッツの中に手を入れる。ドワーフのそこは熱く、ふわふわの毛はぺったりと濡れていた。
溢れ出る粘液で肌に張り付いている長い毛を掻き分けるようにどかし、直接秘裂をなぞる。ドワーフの体が強張って、一瞬尻尾の動きが
止まった。
陰核を押し潰すようにし、同時にもう片方の手で乳首を少し強く摘まむ。力無く垂れ下がった大きな耳がちょうどヒューマンの口と同じ
高さにあったので、ついでとばかりに噛んでみた。
「きゃんっ!?」
それこそ子犬のような鳴き声と共に、ドワーフの全身の毛がブワッと膨らんだ。批難するように尻尾でヒューマンをバシバシと叩く。
「おいドワ、怒るなよ」
「だって、びっくりしたんだもん…!」
ヒューマンは舞い散る抜け毛を気にしながらも、ドワーフに腰をあげさせた。スパッツと下着を脱がせ、自身はもぞもぞとズボンを脱ぎ
捨てる。
まろび出た自らの陰茎を軽く扱いてから、ドワーフの秘裂に先端を軽く擦り付けた。
天井を仰ぐように僅かに上体を倒したヒューマン。ドワーフは尻をやや突き出して、その膝に座るようにゆっくりと腰を下ろしていく。
「ふ、あ……ヒュマぁ…!」
ドワーフのそこがゆっくりと開かれ、少しずつヒューマンのそれを飲み込んでいく。先端部分が埋まったところで、ドワーフはひとつ息
をついた。
身長差のためか、あるいは戦士学科である彼女の体が引き締まっているからか、ドワーフの中はかなり狭い。十分に濡れているため熱く
ぬるぬるとしているが、それでも痛いくらいにヒューマンを締め付けてくる。
ドワーフも苦しいのか、尻尾と耳を下げながら荒い息を吐き出した。ヒューマンが何か声をかけようとしたとき、ドワーフは呼吸を整え
て再びゆっくりと腰を落とした。
「うっ、うう…っ!」
「ドワーフ、大丈夫か?」
「うぅ……っふ、うくっ…!」
ヒューマンが彼女の肩に手をかけると、ドワーフは歯をくいしばって嗚咽を噛み殺した。時間をかけてヒューマンのモノを全ておさめる
と、ドワーフはそれきり肩を震わせてうつむいてしまう。
かける言葉が見付からなくて、ヒューマンはそっと腰を動かした。ピクン、と彼女の中が収縮し、ヒューマンを締め付ける。
ヒューマンはドワーフの様子に注意しながら、しゃくりあげる声に合わせるようにゆっくりと突き上げる。
「んっく、ふ……う、うっ…」
喘ぎとも嗚咽ともつかない声を吐き出すと同時に、ドワーフの中がギュッと締まる。その声が段々と大きくなるに従い、ヒューマンは強く
腰を突き上げていった。
大きく揺さぶられるように体を揺らしながら、ドワーフはヒューマンの動きに合わせて締め付けてくる。
「はあっ、はあっ……ドワーフ……ドワ…!」
「んくっ、ヒュマぁ……うっ、あぁ…!」
ヒューマンもはじめはドワーフの腰を両手で支えていたが、遂にはドワーフの両腕を掴んで思い切り引き付けるように揺さぶった。ドワ
ーフも天を仰ぐように顔をあげ、だらしなく舌を出して息を乱している。
ヒューマンの体はじっとりと汗ばみ、ドワーフと触れている部分には彼女の毛がはりついていた。
ドワーフの体毛がクッションになっているのか、どれだけ激しく突き上げても肌のぶつかり合う音はしない。ただ粘着質な水音と獣のよ
うな荒い息遣いだけが部屋を満たしている。
「はあっ、はあっ!ぐっ、ドワーフ……出そう…!」
「あんっ、あぅんっ!ヒュマぁ……良いよ、中にぃっ…!!」
声と共に、ドワーフがギュッと締め付けてくる。ドワーフを強く抱き締めると、彼女の体は熱でもあるかのように熱かった。
「ドワっ、もう出るっ……う、ぐあっ…!」
ただでさえ狭い彼女の中が更に締め上げてきたので、ヒューマンはあっさり限界を迎えてしまった。ドワーフの中でヒューマンのモノが
何度も跳ねて、精を吐き出しているのを感じる。
「うああっ!ヒュマ、ヒュマのがあっ……ああ、あっついぃ…っ!」
ドワーフも気持ちが良いのか、尻尾の付け根のあたりをピクピクと震わせていた。弓になっていた背中が戻ると、疲れたようにぐったり
とヒューマンにもたれかかる。
ヒューマンはその小さな体を抱き締めて、そのままベッドに転がった。その弾みで、すっかり元の大きさに戻っていたヒューマンのそれ
がドワーフの中から抜ける。
しばらく言葉もなくドワーフを抱き締めていると、次第にドワーフの尻尾がパタパタと揺れはじめた。腕の中の暖かいドワーフと、一定
のリズムで揺れる尻尾の振動、心地好い疲労感と気だるさ。
ヒューマンがついうとうとしていると、不意にドワーフがガバッと身を起こした。突然のことに驚いて瞬きをしていると、ドワーフは真剣
な目でヒューマンを見据える。
「……どうした?」
「あのね、話があるんだ!」
ある種の気迫さえ感じるドワーフの様子に、ヒューマンも思わず身を起こす。何故かヒューマンはベッドの上で正座をして、同じく正座
したドワーフと向き合う。
「ヒュマに、お願いがあるの。パーティのことなんだけどね…」
ベッドの中で頭まで布団をかぶって、ノームはぼんやりと考え事をしていた。クラッズに酷いことを言ってしまったという後悔だけが渦
巻いている。
彼女の発言はごく一般的なディアボロス族へのイメージだ。それに、クラッズがディアボロスという種族に嫌悪感を持っているのは知っている。
また、事情を知らない者たちが彼に好奇と侮蔑の目を向けていることも、彼が良からぬことに手を出していることもノームは知っていた。
このままでは彼が本当に壊れてしまうだろうこともわかっていた。
だが、わかっていながら、ノームには何もできない。もはや彼女にはその資格がないとすら思っている。
「ディアボロス…」
何度思い出そうとしても、大きな手の温もりや優しい笑顔は、最後に見た彼の姿に塗り潰される。頬は痩せこけ、泣きはらした目は虚ろ
で、ノームやドワーフに一瞥をくれることもなくブツブツと何かを呟いていたディアボロスの姿。
彼を助けることができたのは、きっとあのときが最後だった。
「……ごめんなさい…」
自らを抱き締めるように体を丸めるが、決して涙はこぼれない。彼を思って泣くことさえ、彼女は自分に許していないのだ。
眠気が押し寄せてきた頭で、ふと近付いてくる足音に気付いた。バタバタとした足音はノームの部屋の前で止まり、けたたましいくらい
に元気なノックの音が響いた。
自分の部屋で明日の準備を終えてすっかり眠るつもりだった仲間を集めて、ヒューマンたちは学生寮のロビーにいた。
パジャマ姿で三角のナイトキャップまでかぶったクラッズが、眠そうに目をこすっている。
「ヒューマン、話って何?明日じゃ駄目なの…」
「ドワーフが今が良いんだってさ。……まあ、あんまり時間はとらせないよ」
「僕ももう眠い……ノームとドワーフはまだこないのかい?」
大きな欠伸を噛み殺しながら、フェアリーも時計を気にしている。消灯時間にはまだ少し早いが、早朝から探索に出ていたのでもう疲れ
きっているのだ。
「ノムちゃん、怒ってるのかなー…」
眠そうな目をノームの部屋がある方向へ向けて、クラッズがぼんやりと言った。ノームを連れてくると言ってドワーフが行ってしまって
から、もう随分たっている。
ヒューマンは眠気覚ましに熱いコーヒーを二人に振る舞い、不安そうな様子のクラッズの頭をポンポンと叩いた。
「心配すんなよ、ノームだって」「遅くなってごめんねぇ〜!」
ヒューマンの声を遮って、ドワーフの声とドタバタした足音が近付いてきた。ドワーフは何やらじたばたともがくノームを軽々と肩に担ぎ、
いつもの底抜けに明るい笑顔で尻尾を振っている。
ドワーフは不満そうなノームを席につかせると、自身もヒューマンの隣に腰掛けた。
「いやあ、ノームの説得に時間かかっちゃって!」
「ドワーフ、これはたぶん説得じゃなくて拉致って言うんだよ…」
眠気などすっかり覚めてしまったかのように呆れ顔のフェアリー。ドワーフは不思議そうに首を傾げたが、すぐに気をとりなおすように
尻尾をブンブン振り回した。
「まあ、何でも良いじゃん。それでね、話っていうのが…」
「待ってください、ドワーフ」
話はじめたドワーフを遮ったのは、他でもないノームだった。ノームは一度軽く息を吐き、ひとまずクラッズを見つめる。
感情のこもらないガラス玉のような瞳が向けられて、クラッズが緊張したように体を強張らせる。
「クラッズさん、先程はすみませんでした。ヒューマンさんやフェアリーさんにも、不快な思いをさせたことでしょう」
「う、ううん……私こそごめんね、ノムちゃん…」
そう言ってどこかぎこちなく笑ったクラッズの目には、隠しきれない戸惑いが浮かんでいた。ヒューマンとしても、このノームが自分か
ら発言するのを見たのはほとんど初めてである。
ノームは話したそうに尻尾を振るドワーフを軽く手で制し、今度はヒューマンに目を向けた。
「ヒューマンさん、私にもコーヒーをいただけますか」
「あ、ああ。どうぞ…」
ヒューマンが差し出した缶に入ったコーヒーを一口飲んで、ノームはほっと息を吐いた。思案するように目を閉じ、ゆっくりと開く。
「フェアリーさんが仰っていた空への門にいるディアボロスは、私たちの前のパーティの仲間で……私の、恋人です」
ヒューマンはドワーフから聴いていたので驚かなかったが、クラッズは目を真ん丸に見開き、フェアリーは息を飲んで気まずそうに頭を
かいた。
ノームは二人に構うことなく、淡々と話を進める。その様子に、ヒューマンは彼女が感情を抑え込んでいることにはじめて気が付いた。
「私たちのいたパーティは、パルタクス学園でもそれなりに優秀な方でした」
ドワーフはいつの間にか尻尾を振るのをやめて、じっとノームを見ている。
「ディモレアに関わったいくつかのパーティのひとつであり、あの事件でロストした生徒を出したいくつかのパーティのひとつでもあります」
ある日、彼女たちはラーク地下道中央でライフゴーレムの長女トロオと戦い、パーティの半分の仲間を失った。
ドワーフは首を撥られ、ノームは依り代のほとんどを破壊され、空への門の治療所で気が付いたときには、全てが終わっていた。姉御肌
のバハムーンも、お調子者のフェルパーも、聡明なフェアリーも、この世界のどこにもいなくなっていた。
そして、唯一生き残って空への門に皆を連れてきたというディアボロスは、すっかり心を閉ざしてしまっていた。
恋人であるノームにすら、彼は視線を向けることをもしないのだ。やがて彼は宿の部屋からも出てこなくなり、ノームやドワーフを追い
返すようになる。
「私たちは、夜毎気が狂ったように泣き叫ぶ彼を見ていられなくなり、かと言って今更パルタクス学園に戻る気にもなれず……こうして、
ランツレート学院に逃げてきたのです」
そう締め括るや、ノームは言葉を失うクラッズやフェアリーに向かって深々と頭を下げた。切り揃えた前髪が影を落としているので、ノ
ームの表情はうかがえない。
気が付けば、ドワーフも同じように頭を下げていた。こちらも表情はわからなかったが、ピンと上を向いた大きな耳が彼女の固い決意を
代弁していた。
「お願いします。ディアボロスを、このパーティに入れてください。私に、彼を助けさせてください…!」
「私も、お願い。彼の実力は保証するからっ!だから…っ!」
「……俺からも、頼む」
ヒューマンも頭を下げる。するとクラッズはわあっと声をあげて、突っ伏して泣き出してしまった。
「わ、私っ……うわあぁ〜ん!」
これにはドワーフもノームもびっくりしている。
「わたし、私っ!酷いこと、言っ……ぐすっ。ごめんね、ごめんねノムちゃあん…っ!!」
知らなかったとはいえ自身が言ったディアボロスへの偏見を失言だったと思ったのだろう。クラッズは鼻水混じりに謝罪を口にしたが、
流石に泣かれるとは思っておらず戸惑うノームとドワーフ。
そんな中、フェアリーがコーヒーに口をつけながらなんでもないような口調で言った。
「良いんじゃないかな。ディアボロスで錬金術師なら、前衛だって問題ないよね」
まるで他人事のようにそんな意見を述べるフェアリー。いまこの流れでの発言としては、随分とドライな言いぐさである。
「なんで今まで言ってくれなかったのかとかはこの際良いとして。ドワーフもノームも、僕たちの仲間なんだし、それならその仲間だって
そうであるべきだ。そうだろ?」
そう言って笑ったフェアリーに、今度はノームの瞳に涙が浮かんだ。つられるようにドワーフが涙ぐみ、ドワーフに触発されてヒューマ
ンも鼻の奥にツンとした痛みを感じる。ヒューマンの目の潤みはいつしかフェアリーにも感染し、それを見たクラッズが更に声をあげて泣く。
消灯時間の迫ったロビーでおいおいと泣く五人組は、傍目から見れば間抜けにも見えただろう。けれども五人は互いに結ばれた強固な絆
を感じて、いつまでもボロボロと涙を流していた。
「ありがとう……みんなぁ、ありがとう…!」
「ぐすっ、ヒューマンさん、クラッズさん、フェアリーさん……ドワーフも、ありがとう…!」
実際、ディアボロス本人がそれを承諾する保証はどこにもなかった。ドワーフには言わなかったが、ディアボロスの錬金術師にまつわる
あまり良くない噂もヒューマンの耳に入っている。だが、仮にその噂をドワーフやノームに伝えても、彼女たちはディアボロスを助けたい
と言うだろう。そしてその想いは、ヒューマンの中である種の確信ともなっていた。
ノームがディアボロスを、ドワーフがノームを助けたいと言ったように、ヒューマンもドワーフを助けたいと思う。またクラッズやフェ
アリーも二人を助けたいという気持ちでいてくれたことに、心から幸福を感じている。
仲間を永遠に失ってしまったこと。一度はディアボロスを見捨てて逃げてしまったこと。どちらも覆ることのない、彼女たちの残酷な
過去である。
しかし、彼女たちの隣を歩くヒューマンには一点の杞憂もない。今の彼女たちには、現実と向き合い、正面から戦うだけの覚悟がある。
それに、共に前に歩き出す、新しい仲間もいるのだから。
こうして空への門にいる彼の時計は、少しずつ動き始めようとしていた。永遠に訪れなかったはずの朝の訪れの気配を、彼はまだ知らない。
お粗末。続くつもりは多分ありません。
今回改行をアレしてみましたがいかがでしょうか?
もしもしなんでその辺の加減がわからん
続きを期待します。
続きはないのか……でも先行きは明るそうなのが何よりだなあ。
そしてドワ子がすごく可愛い。
改行はたまに妙なところで切れてるのが気になるかな。フェ アリーとか。
でも配分自体はいいんじゃないかと。
乙です
同じく続き読んでみたい
保守
またも間が空きましたが、続き投下します。お相手はドワ子。
今回の注意としては、調教要素あり。それと11〜12レス目にとても痛い描写あり。
それでは、楽しんでいただければ幸いです。
エルフが精霊使いに転科してからの、一行の活躍は目覚ましかった。数々の依頼をいともたやすく達成し、実技試験では誰よりも早く
迷宮を突破し、クロスティーニ始まって以来最速の記録を打ち立てた。もはや周囲に彼等と渡り合えるような者はなく、彼等はまさに
イノベーターだと噂されるようになった。
しかし、その声が肯定的なものであるとは限らない。むしろ、妬みや僻みからそう言われることも多く、まして、彼等は学園きっての
問題児である。今でこそ大きな問題は起こっていないが、細かいところでの諍いはしょっちゅうである。
バハムーンはヒューマンと見れば露骨に喧嘩を売り、ドワーフは主に学食で食事絡みの喧嘩を引き起こす。フェルパーはフェルパーで、
少しでも強そうな相手を見るとすぐにナイフを抜こうとする。もっとも、彼女はあまりに危険なため、常に誰か一人は付いているのだが。
そんな彼等を監視するという名目とはいえ、実質ではその三人の力を利用する形になっている風紀委員の三人も、今では彼等と
同じような目で見られることが多い。
この時に起こったことも、そんな現状を表すようなものだった。
「おい、あんた」
久しぶりに一人になり、何をするでもなく学園をぶらぶらしていたセレスティアは、突然後ろから呼び止められた。
「はい、わたくしですか?……おや、あなたは…」
そこに立っていたのは、以前バハムーンと喧嘩し、首を掻き切られた竜騎士の彼女であった。
「お久しぶりですね。その後、お変りはありませんか?」
「あったらここにはいないだろう。それより、ちょっといいか?」
「ええ、構いませんよ」
普段と違い、よそ行きの話し方で対応するセレスティア。だが彼女には、むしろその方が好ましく映った。
「……いきなりこんなことを言うのは失礼だとは思う。だが、あえて言わせてもらう。あんたら、あいつらを贔屓してないか?」
「贔屓、ですか。やはりそう映りますか?」
「あんたらも知ってるだろう。あいつらはどいつもこいつも、いつ退学になったっておかしくない問題児だ。だが、あんたら風紀委員が
一緒にいるおかげで、それを免れてる。違うか?」
「多少、言葉の認識にずれがあるような気はしますが、大筋では合っていますね」
セレスティアが言うと、バハムーンは露骨に顔をしかめた。
「……あんたらは、あいつらの問題行動も、全て黙認してる。あんたらは風紀委員で、しかも委員長と副委員長までいる。そいつらが
黙認してるとなれば、他の奴等は何も言えない」
「………」
「あんた、恥ずかしくないのか?」
まるでダガーを突き刺すように鋭い声で、バハムーンは言った。だが、セレスティアは困ったような表情を浮かべるだけである。
「あんたらは自分の利益のために、あいつらを利用してるんだ。あんな奴等、さっさと退学にでもなった方がよっぽど学園のためだ。
それを、仮にも風紀委員であるあんたらが肩を持ってやってるなんて、おかしいと思わないのか?恥ずかしいと思わないのか?」
その質問に、セレスティアは困ったように息をついた。そして少し考え、口を開く。
「やはり、そう見えますか」
「それ以外、どう見ろと言うんだ」
「確かに、その言葉の全てを否定はしませんよ。彼等には大分世話になっています」
セレスティアの言葉に、バハムーンの眉が吊り上がる。
「あんた……それを認めたうえで…!」
「『全てを』否定はしない、と言ったはずです。別にわたくし達は、それだけのために彼等と行動を共にしているわけでは、ありません」
落ち着き払った口調で、セレスティアは続ける。
「彼等を放っておけば、大きな問題が起こるのは目に見えていました。だからこそ、わたくし達は彼等を監視するため、行動を共に
することにしました」
「だから、それは口実…!」
「……あなたは、わたくし達の何を、どこまで知っていますか?」
口調こそ落ち着いているものの、その声には隠しきれない苛立ちが混じっていた。
「なるほど、あなたは良い方です。その身を犠牲にしてでも仲間を助ける竜騎士になれるのですから。ですが、あなたの信じる善は、
あなたの目を眩ませている。それには気づいていますか?」
「……何が言いたい?」
「あなたは彼等を、排除するべきものとしか見ておらず、またそうとしか見ようとしない。まして、あなたは彼に恨みがありますからね。
だからこそ、彼等と共にいるわたくし達を同じく悪だと思い込んでいる。それが、目が眩んでいるということ。それに……あなたは、
大きな勘違いをしていますよ」
「勘違い?」
「規則は、善では、ありません」
一つ一つを区切るように、セレスティアは言い切った。
「な、何…!?」
「その逆もまた然り。あなたはその身を犠牲にしてでも仲間を助けるのでしょうが、他人のために命を捨てることを求める規則は、
ありません。たとえば、死者の救出をしたければ、対価を払うことがこの学園の常識です。あなたのように善意の方が、無償で
助けることもよくありますがね。ですが、死者を放って探索を続けたとしても、この学園では罪には問われませんよ。なぜなら、
自分の身は自分で守ることが基本なのですから。他者のために自身を危険に晒すことなど、考えようによっては愚かですらあります」
その言葉に、彼女は何も言えなかった。
「死者を助けることを、当然と見るか、仕事と見るか、愚かと見るか。わたくしは、対価をもらえるなら喜んで引き受けますよ。
さて……ここまで言えば、あなたならわかってくれますね?うちの彼と違って、あなたは頭が良さそうですから」
最後に冗談めかして言うと、セレスティアは彼女に微笑みかけた。だが、バハムーンは苦りきった顔で、彼を見つめるばかりである。
「お前は、奴等の監視をしているなら、その力を利用するのも当然の報酬だ、と言うのか…!?」
「その通りです。でなければ、誰がわざわざ好き好んで、彼等と関わりを持ちますか?あなたのような善意の方なら、なおさら、ね」
反論の余地を次々に潰してくるセレスティアの言葉に、バハムーンは苛立ちの籠った溜め息をついた。
「……どうにも、お前と話していると調子を狂わされるな。怒るに怒れないところが、余計にまた、な」
「ですが、何もわたくし達だって、仕事だから一緒だというわけではありません。もちろん、様々な問題を引き起こしはしますが、
彼等は彼等で、いいところもあるのですよ」
「あんな奴等の、どこにそんなものがっ…!?」
「あなたも、ヒューマンの方と一緒にいるでしょう?あなたのような方が、どうして彼のような種族の方と?」
「そ、それはっ……な、仲間だから仕方なく…」
「わたくし達も同じですよ……いえ、でしたよ。では、なぜそんな嫌いな種族と一緒なのに、脱退を考えないのです?あんな下等で、
繁殖力しか取り柄のない出来損ないのような種族と…」
「貴様、私の仲間を悪く言うな!!いくら貴様といえどっ……あ…」
途中で気がつき、口をつぐんだバハムーンに、セレスティアはにっこりと微笑みかけた。
「わたくしも、同じですよ。わたくしには正直、あなたの仲間の良さは、わかりません。ですが、それはあなたも同じですよ」
そんな彼から目を逸らし、バハムーンは苛立ちを通り越して悲しげな溜め息をついた。
「……それでも、私は認めないぞ…。あんな奴等など、いない方が学園のためだ…」
「強情な方ですねえ。ですが、認めてくれなくとも、わかってくれればいいのです。わたくし達風紀委員は、決して私利私欲の為だけに
動いたりはしませんよ」
それ以上の会話はなかった。黙って去っていく彼女の背中を見送ってから、セレスティアは学食へと向かった。この時間ならば、既に
仲間達が来ているだろう。
中に入ってみると、果たしてドワーフがエルフに絡む声が響いてきた。
「ほんっと、てめえのハープはいつまで経っても下手くそなままだよな。いい加減、少しはうまくなろうと思わねえのか?」
「うるさいですわ!わたくしだって、毎日練習してますわよ!」
「結果の出ねえ練習に、何の意味があるんだよボケ。しっかも毎っ回、おんなじところで間違えやがって。薬指がしっかり
動いてねえからだ」
「これを弾くのは難しいんですのよ!あなたの武器のように、振り回せばいいというものではありませんわ!」
それこそ毎日毎日、よく飽きないものだとセレスティアは感心する。パーティを組んで以来、あの二人が喧嘩をしなかった日は、
それぞれが転科をしていた時ぐらいしかない。
「やあ、お二方。もう来てたんだね」
「ああ、セレ……副委員長。このけだもの、どうにかしてくれませんこと?」
「相変わらずだね君達は。ところで、他の三人は?」
「あ〜、バハムーンとフェルパーの野郎は、屋上で日向ぼっこだってよ。だからあの虫も一緒だろ」
学年が違うため、普段の生活においては問題児三人の動きは把握しにくい。こういうときは、これといって重要な役職に就いていない
フェアリーの身軽さはありがたかった。
「まあそんなことより、てめえはあたしの武器を振り回すだけって言うけどな、それこそてめえが物をよく見てねえ証拠だ。そんな目で
見てるから、てめえの武器もうまく扱えねえんだよ。下手くそが」
「人のことをそんなに言うなら、あなたはさぞうまく弾けるんでしょうね!?わたくしの武器も見ているんですから!」
「出たよ、馬鹿の得意技、『じゃあお前がやれ』。あたしはそんなもん使う気はねえし、てめえは出来て当たり前ってことがそもそも
わかってねえんだよな。ま、でもいいぜ?じゃあ貸してみろよ」
「さすが、イノベーターですわね!じゃああなたの素晴らしい腕前、とくと拝見させていただきますわ!」
売り言葉に買い言葉の様相で、エルフはドワーフにハープを渡す。大きな手でそれを受け取ると、ドワーフは全ての弦をポロンと
弾いてみる。
「……なるほどな。ま、いいだろ」
そう呟くと、ドワーフは静かにハープを奏で始めた。外見とは裏腹に、その指は恐ろしく繊細な動きを見せ、澄んだ旋律が流れ出る。
しかも、その曲はエルフが散々練習していた曲であり、彼女が間違ってしまうところさえ、ドワーフは間違えずに弾き切ってしまった。
一通りの演奏が終わると、最後にポン、と間の抜けた音を鳴らし、ドワーフはにやりと笑って見せる。
「てめえの演奏はいっつも聞かされてたしよ、そん時に指の動きも見てるからなあ。こんぐらい訳ねえや」
「っ…!」
「んじゃ、その上でもう一回言うぞ。下・手・く・そ」
「………」
差し出されたハープをひったくるように奪うと、エルフは黙って席を立った。その顔は真っ赤に染まり、怒りとも悲しみともつかない
表情を浮かべている。
「……何だよ、言い返さねえのか?委員長様よ?」
「……さすが、イノベーターですわね……どうせ、わたくしは下手ですわ…」
震える声で呟くと、エルフは食器を下げに行ってしまった。その後ろ姿を見送り、ドワーフはぽつんと呟く。
「……なーんだ、つまんね」
「あのねえ……言いすぎだよ。そりゃあね、君から見たら下手かもしれないけどさあ…」
「苛つくんだよ。下手くそなのに言い訳ばっかしやがって。何が悪いのかもわかっちゃいねえ。足りねえもんがあるなら、それなりに
することだってあるんだ。何が足りてねえのか分かってねえから、おんなじ失敗繰り返すんだ。あいつに一番足りねえのは頭の中身だ」
一気にまくしたてると、ドワーフは苛立たしげに溜め息をついた。そんな彼女を、セレスティアは呆れたように見つめる。
「……まあ、いいさ。それにしても、君は思った以上に器用なんだねえ」
「他の奴等と一緒にすんな。大体、あたしらドワーフに手先の技術で勝とうと思う方が馬鹿なんだ」
気のない感じで言うと、ドワーフは食事を再開する。だが、その勢いはやたら激しく、自棄食いをしているようにも見えた。
軽く二人前の分量を食べ尽くすと、ドワーフはホッと息を吐いた。そして、例によってスペアリブの骨を幸せそうに咥える。
「あーあ、食った食った。これ齧ってる時が一番幸せ…」
「好きだねえ。私の顎じゃ、それは無理だなあ」
「不幸だな、そりゃ。あ、ところでよ、この間のモンスターの襲撃あっただろ?あれの原因って何かわかったのか?」
「あれか…」
つい数日前、学園内にグロテスクワームが大量発生するという事件が起きた。当然、彼等は先頭に立って戦い、その力を存分に
見せつけていた。
盾と剣を使い、危なげなく最も安定した戦いを見せるバハムーンに、両手に大斧を持ち、一撃で敵を叩き潰すドワーフ。
そして狂気の笑みを浮かべ、その俊敏な動きで敵を翻弄し、切り刻むフェルパー。
その戦いは、まさに次元が違うと言うのにふさわしいものだった。だが、グロテスククイーンまでを倒し、学園を救ったとはいえ、
彼等を好意的に評価する者はほとんどいない。その力だけは認められているものの、それだけである。彼等を英雄と呼ぶ声もあるが、
そこには皮肉も多分に込められていた。
「これといって、まだわかってることはないよ。結界が、内側から破られてたっていうのが気になるけど…」
「ふーん……まさか……あり得なくはねえな。でも……まあいいか」
小声で呟くと、ドワーフは改めてセレスティアに顔を向ける。
「君も、やっぱり気になるのかい?」
「あー。もしそれ関連の課題が出たら、忙しくなりそうだからな。あたしさ、そろそろ盛りに入りそうだから、そういうの早めに
終わらせてえんだよ」
「ま、またはっきり言うね君は……まあ、その、今のところは進展もなさそうだし、気にしなくていいんじゃないかな」
「そっか、ならいいんだ。んじゃ、あたしは飯も終わったし、昼寝でもしてくる。んじゃな」
セレスティアの食事に付き合おうという気は全くないらしく、ドワーフは骨を咥えてさっさと引き上げてしまった。その後ろ姿を
少し寂しげに見送ると、セレスティアは一人で食事をするべく、料理を取りに行くのだった。
イノベーターでもあり、問題児でもあり、学園きっての実力者でもある三人のことは、今や学園中の誰もが知っている。そのため、
『あの問題児達』という言葉は、もはや彼等の代名詞にもなっているが、だからといって他に問題児がいないわけではない。
「最近、全然ヤッてねえなー」
白昼堂々、そんなことを呟くヒューマンの男子。それに対し、隣のクラッズが笑って答える。
「今年の新入生、ガード硬い子多かったもんねー。しかも無理矢理しようにもさ、ダンテ先生が担任じゃバレるとやばいしね」
「何人かいいのいたんだけどな、くそー。もうこの時期じゃ、それなりの強さになっちまってる奴多いし…」
「ま、少々なら二人がかりですれば、何とかなると思うけどね。忍者二人だし、ちょっとやそっとじゃ負けないもん」
問題児と一言で言っても、それには色々いる。二人は問題児ではあるが、学校側に気付かれないよう、うまく立ち回っており、
よって彼等が問題児だと知るのは、ごく一部の者だけだった。
「……あ、そうそう。今の時期だと、一部の奴等って狙い目じゃねえか?そろそろ盛り入るだろ?」
「あ〜、そういえばそうかも。種族限って見ると、狙いも付けやすいかな」
「狙い付けやすいって言えば、あいつらかな」
「あいつら?」
クラッズが首を傾げると、ヒューマンは笑った。
「ほら、あれだよ。一年の、問題児のあれ」
「あ〜、あのフェルパーとドワーフと、他おまけの」
「あのフェルパー、結構可愛くなかったか?落とせるもんなら落としてえけど…」
「いや、それはやめとこ。あの子、殺人狂だよ?血ぃ見るのが大好きで、強い相手殺すのが楽しくてたまらないって子だから、
いくら何でも危なすぎるよ。彼女落とす前に、僕達が命落としちゃうって」
クラッズが言うと、ヒューマンは残念そうに溜め息をついた。
「じゃあドワーフの方……も、危ねえ気はするよなあ。あいつにやられたエルフって、しばらく保健室から出られなかっただろ?」
「でも、案外いいかもよ?盛りの時期なら落としやすそうだし、あいつらなら少々いたぶったって、誰も何も言わないでしょ。
むしろ、それを望んでる人だっているんじゃないかな?」
「……言えてるかもな。ドワーフ相手ってのは初めてだし、楽しみっちゃあ楽しみだ」
二人は顔を見合わせ、にやりと笑った。
「んじゃ、それ確定で行くか。クラッズ、最初は任せるぜ」
「わかってるよ。君こそ、うまくやってね」
拳と拳をぶつけ合う二人。その顔は何とも楽しげで、まるでゲームでも始まるかのような、そんな表情が浮かんでいた。
数日後、ドワーフは昼食時にもかかわらず、一人で学園を歩いていた。セレスティアに言った通り、早くも発情期が来てしまい、
他の仲間とはあまり会いたくなかったのだ。
彼等がいなくなるまで、どうやって時間を潰そうかと思案していると、不意に後ろから声がかかった。
「そこの君、もしかして噂の英雄さんじゃない?」
振り向いてみると、そこには一人のクラッズが立っていた。しかし、いくら考え事をしていたとはいえ、声を掛けられるまで気配を
まったく感じなかったことに、ドワーフは些かの警戒心を抱いた。
「誰だてめえは」
「そう怒らないでよ。気配を隠すのは忍者の癖なんだから」
「ああ、なるほど。お前忍者なのか」
種族自体は、元々好きな相手である。隠密を旨とする忍者学科であると聞いて、ドワーフの警戒心は一瞬で消えた。
「んで、噂の英雄って、そりゃ皮肉じゃねえのか?」
「皮肉にしても何にしても、そう呼ばれてるのには違いないでしょ?」
「そりゃあ確かにな。ま、そうだよ」
クラッズは自然な動作でドワーフの隣に並び、揃って歩き始める。
「やっぱりね。ここだと、狂戦士とか上級学科の人って珍しいからさー」
「上級にもなれねえ、低能野郎ばっかりだからな」
「あはは。さすがにイノベーターともなると、言うこと違うね」
「事実だろ?ろくに才能もねえ、努力もしねえって奴多いしよ。そんなのはさっさと退学するかロストしちまえばいいんだ」
ドワーフにまとわりつくように歩くクラッズ。どこに向かっていたわけでもないのだが、たまに前に出る彼を避けて歩くうち、二人は
だんだんと人気のない校舎裏へ歩を進めていた。
「きついねー。努力してもできない人は?」
「才能ねえんだから退学すりゃいいんだよ」
「力相応のとこにいるって選択肢はないの?」
「ああ、それでも構わねえけどよ。そもそもそんな才能しかねえなら、最初から来……がっ!?」
突然、首の後ろに凄まじい衝撃が走った。体勢を立て直そうにも、気力を振り絞る間もなかった。
視界が赤から黒へと変わり、一瞬ぼやけた視界が映る。その中で、クラッズは無邪気な笑顔を浮かべていた。
はめられたと気付いても、もう遅かった。視界は黒く塗り潰され、やがて体の感覚がなくなり、そこでドワーフの意識は途絶えた。
埃の臭いが鼻を突き、ドワーフは目を覚ました。首の後ろがズキズキと痛み、その痛み以外はまだどこかぼうっとしている。
「お、起きた?」
聞き覚えのある声に、ドワーフはハッと顔を上げた。そして目の前のクラッズを見るや、鼻に皺が寄り、怒りに満ちた猛獣の顔になる。
「てめえ……何のつもりだ…!?」
「はは、怖いねー。とはいえ、その格好じゃあそこまで怖くもないけどさ」
言われて、ドワーフは自分の体を眺めた。着ていたはずの服はなく、すっかり裸に剥かれている。さらに、両足首は一本の棒に
縛りつけられ、開いた状態のまま固定されており、おまけに両腕も、その棒の中心に縛りつけられており、身動きのろくに
取れない状況となっていた。
「……手の込んだことだな。ここまでしねえと怖くて触れもしねえかよ」
「念のため、だよ。余計な怪我したくないし、させたくもないし」
「あたしが、てめえらに負けるとでも?」
言いながら、ドワーフは縄を外そうと体を動かすが、半端な前傾姿勢のままでは思うように力も出せない。
「はは、『てめえら』ね。やっぱ気付いてたか」
体育用具の影から、ヒューマンが姿を現した。そこで初めて、ドワーフはここが体育倉庫だと気付いた。
「たりめえだろ。そこのチビと並んで歩いてて、木の横通った瞬間に一撃食らってんだ。罠が仕掛けられてたわけでもねえ、でも気配も
感じさせねえ。となりゃ、忍者かレンジャーか、あるいは堕天使の仲間が襲撃してきたとしか考えられねえだろ」
「おーお、案外頭もよく回るんだな。さすが、イノベーターの称号は伊達じゃねえか」
見た感じでは、二人とも大した強さではないように見えた。だが、全身凶器の忍者が危険であることに変わりはなく、こちらは
縛られているうえに仲間もいない。
「……で?あたしをどうするつもりだ。盛りの相手でもしてくれるってのか?」
「あはは、わかってんなら話が早いねー」
「………」
こんな奴等に犯されるのかと思うと、強い不快感が湧きあがる。しかし、だからといって抵抗できる状況でもない。
「へ〜え……そりゃありがたいな。じゃ、舐めてやるからさっさとちんこ出せよ」
「お、君も乗り気?それじゃ、遠慮なく…」
言いながら目の前まで近づき、しかしクラッズは直前で立ち止った。
「……なんて、かかるわけないでしょ。君、噛み切るつもりだったでしょ」
「ちっ…」
「そんな殺気立った顔してたら、そりゃばれるよ。僕達だってさ、嫌がってる君と無理矢理するつもりなんてないし」
言いながら、クラッズはゆっくりと後ろへ回る。何を仕掛けてくるかと思った瞬間、彼の両手が胸を包んだ。
「んあっ!?て、てめっ……何しやが……んっ!」
クラッズの小さな手が、優しく胸を揉みしだく。強すぎず、弱すぎず、その絶妙な刺激に、ドワーフは思わず甘い声を漏らしてしまう。
「どう?気持ちいいでしょ?」
「こ、こんなの……全然、気持ちよくねえ……んんっ!」
「あははー、嘘言っちゃダメだよ。ほら、乳首もこんなに硬くしちゃってさ」
言うなり、クラッズはそこをきゅっと摘んだ。途端に、ドワーフの体がビクンと跳ねる。
「うあっ!?やっ……やめ、ろぉ…!」
見知らぬ、嫌いな男に愛撫される、強い不快感。だが、発情期に入ったドワーフの体は、相手から受ける刺激を正直すぎるほどに、
快感として受け取ってしまっていた。
「くそぉ…!てめえらになんか……あんっ!」
手先が器用な種族だけあって、クラッズの手は的確にドワーフの性感帯を刺激する。胸を捏ねるように揉み、指先で乳首をコリコリと
摘むように弄る。嫌悪感を上回る快感に、彼女の秘部は既にじんわりと濡れ始めていた。
「うあぁ…!あぅ、う…!」
それに従い、ドワーフの反応も変わっていく。敵意剥き出しの表情は鳴りを潜め、代わりに苦悶にも似た快感の表情が浮かんでいた。
「あはは、大人しくなったねー。正直に言ってみなよ、気持ちいいんでしょ?」
「うぅ〜…!うる、せぇ…!」
反論の言葉も、既に力が入っていない。それでも、ドワーフは彼を拒否し続ける。
「ほんっと、強情な子だなあ。ま、いいよ。もっと気持ちよくしてあげる」
クラッズの手が胸から離れる。しかしホッとする間もなく、不意に尻尾が撫でられた。
「ひゃっ!?てめっ……そ、そこ触んな…!」
ドワーフは慌てて尻尾を動かすが、クラッズはすぐにそれを捕える。そして尻尾を撫でながら、もう片方の手を秘裂へと伸ばした。
指先が触れると、くち、と小さく湿った音がし、ドワーフの体が跳ねた。
「うあぁ!や…!そこは……あっ!」
「ほらー、もう濡れてるよ。君だって、もっと気持ちよくなりたいんじゃないの?」
「くっ……あうっ!やぁっ!……そ、そんなこと…!」
理性すら飲み込みそうになる快感と戦いつつ、ドワーフは何とか答える。だが、限界が近いことは誰の目にも明らかだった。
それを見て取ると、クラッズはにやりと笑う。
「我慢しないでいいのにさ。ただでさえ発情期なんだから、もっといっぱいしてほしいでしょ?」
「……おーい、クラッズ。俺の番は…?」
そこに、さっきから二人を見ているばかりのヒューマンが声を掛ける。
「あーもう。慌てないでよ、まだこの子乗り気じゃないみたいだし」
「そうは言うけどよ……さっきから見てるだけ…」
「君はそうせっかちだからね。まあもうちょっと待っててよ」
その間も、クラッズの手は止まらない。尻尾の付け根をコリコリと刺激し、秘裂に指を挟み込んで前後に擦る。そこはとめどなく
愛液を滴らせ、ドワーフももはや声を出さず、ひたすらに歯を食いしばって耐えるばかりである。
「それで、どうかなー?そろそろ欲しくなってきたんじゃない?」
「うあぅ……はぁっ…!」
「……返事はなし、か。はは、それとも返事もできないかな?どっちにしろ、そろそろ次に移ろっか」
「次…?うあっ!?」
突然、クラッズはドワーフの腰を持ち上げた。手足を縛られているため、ドワーフはそのまま前のめりに倒れる。
「うあっつ!」
頬を床に擦りつけ、尻を高く持ち上げた格好になりつつも、ドワーフは何とか後ろのクラッズを睨む。しかしその視線は、
それまでのような強さは感じさせない。
そんな彼女に構わず、クラッズはズボンを下ろすと、ドワーフの尻尾を掴んで持ち上げた。そして、自身のモノをドワーフの秘部に
擦りつける。
「あっ!?てめ……やっ!あっ!」
短い声を上げ、ドワーフの腰が跳ねる。クラッズは先端で彼女の入り口を何度も擦り、その度にドワーフは嬌声を上げ、体を震わせる。
しかし、いつまで経っても挿入する気配はない。
「あんっ!やぁっ!……てめっ……どうして、擦るだけ…!?」
思わずそう言うと、クラッズはにやりと笑った。
「言ったでしょ?嫌がってる君とする気はないってさ。欲しいんだったら、欲しいって言ってみなよ」
「くぅ……こ、こいつら…!」
ドワーフはギリッと歯を食いしばった。こんな相手に自分から体を許すなど、考えただけでも虫唾が走る。しかし、状況は拒否することを
許してはくれない。
「別に嫌ならいいけどね〜?早く答えないと、やめちゃうよ?」
何度も何度も入口を擦られ、その度に強い快感が走る。もはや体の疼きはどうしようもないほどに高まり、またそれを口に出さなければ、
この拷問に近い責めが終わらないこともわかっていた。
しばしの逡巡の後、ドワーフは震える唇を開いた。
「……い……入れ、て……くれ…」
「ん?なんか言った?」
わざとらしく聞き返すクラッズに、ドワーフは一度唇を噛み締め、そして再び口を開いた。
「い、入れてくれよぉ!お前のちんこ、あたしの中に入れてくれぇ!!」
「ふふ……よく言えました。それじゃ、お望み通り…」
秘裂にしっかりとあてがうと、クラッズは軽く息をつき、直後思い切り腰を突き出した。
「うああっ!!あっ……こ、これぇ…!」
「くっ……君の中熱くて、すっごくぬるぬるしてる」
しばらくの間、クラッズは動かずに中の感触を楽しんでいた。やがて少しずつ、ゆっくりと腰を動かし始める。
「んっ……あくっ!ああっ!」
奥を突き上げられる度に、脳天まで突き抜けるような快感が走り抜ける。引き抜かれれば、無意識に離すまいと強く締め付け、
彼のモノをよりはっきりと感じる。指などとは比べ物にならないほどの快感に、ドワーフは縛られた体を震わせ、嬌声を上げる。
「あうっ!お、奥がぁ…!奥が、いいのぉ…!」
「あはは、素直になってきたねえ。じゃ、もっと強くしてあげるよ!」
「ふあっ!?あ、あああ!そ、それぇ!」
少しずつ、ドワーフの顔から理性が消えていく。とうとう落ち始めた彼女の姿に、クラッズはにやりと笑う。
動けないドワーフの中を、乱暴に突き上げる。パン、パンと乾いた音が鳴り、それに彼女の嬌声が混じる。ドワーフは動けないながらも、
必死に腰を動かし、何とか快感を貪ろうとしている。
動きがさらに荒くなり、クラッズがドワーフの腰をしっかりと掴む。いよいよ中に出されるかと思った瞬間、クラッズは不意に
彼女の中から引き抜いた。
「あ……ん…。ふえ…?どうして、途中で…?」
「あはは、危ない危ない。次いるのに、先に出しちゃあ使えなくなっちゃうもんね」
クラッズが言うと、いかにも待ちかねたようにヒューマンが近づく。
「本当に忘れ去られたかと思ったぜ。んじゃ、いよいよ本番だな」
ヒューマンもズボンを脱ぎ、ドワーフの後ろに回る。しかし、まだ入れようとはしない。
「……棒、邪魔だな。これ取るぞ」
「いいよー。でも手はまだダメだよ」
「わかってるって」
そう言うと、ヒューマンはドワーフの足の縄を解き、固定されていた棒を外す。しかし手だけは、まだしっかりと縛ったままである。
「そんじゃ、お楽しみだな。気持ち良すぎて気絶したりすんなよ?」
「何……んあぁ!さ、さっきより太いぃ…!」
ヒューマンはドワーフを抱き、前から挿入を果たすと、彼女を抱いたまま仰向けに寝転がった。そんな彼女の尻尾を、クラッズが
掴んで上げさせる。
「やっ……な、何を…!?」
「ふふ。せっかく二人いるんだからさ、両方塞いであげるよ。その方が、君も嬉しいでしょ?」
後ろの穴にあてがうと、クラッズはゆっくりと腰を突き出した。
「うあぁっ!?ま、待てっ……そんな、いきなりっ……うっ、あっ!あああああっ!?」
先端が入り込み、ドワーフは悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げる。同時に、クラッズはさらに強く腰を突き出した。
「あっ、が!いっ……うああぅ!」
慣れていない穴を無理矢理押し広げられる痛みが走り、同時に腸内へと何かが入り込んでくる感覚が快感に変わる。その感覚に
一瞬力を抜いた瞬間、途端に根元までが一気に彼女の中に入り込んだ。
「うあっ……きっつ…!」
「くぅ……あはは、こっちもきっついや。僕ぐらいだと、こっちの方がちょうどいいね」
「あ……かふ…!は、ぐ…!」
ドワーフは口をだらしなく開け、犬のように舌を突き出し、荒い呼吸をついている。慣れない刺激に、ドワーフは突き入れられた二本の
モノをぎゅうぎゅうと締め付け、それが二人の男に大きな快感を与える。
「それじゃ、動くよ。君ばっかりじゃなくて、僕達ももっと気持ちよくさせてね」
クラッズが腰を動かす。体勢がきついため、ヒューマンはあまり動いていないのだが、腸壁を隔てて二本のモノがゴリゴリと擦れ、
それだけでも十分の苦痛と快感をドワーフにもたらす。
「あぐぅ!は、腹ん中がぁ…!かふっ!尻が、焼けちまうよぉ…!」
痛みのためか、それとも快感を貪るためか、ドワーフはそれまで以上に二人のモノをきつく締め付ける。ただでさえ、お互いのモノが
彼女の中を狭め、十分なきつさになっているのだ。その上で締め付けられると、もはや軽く痛みを感じるほどである。
「さすが、狂戦士だなこいつ。すっげえ締めつけやがる」
「ここまできついのは初めてだね。んっ……これは気持ちいいや」
だんだんと、二人の動きが荒く激しくなっていく。ドワーフは縛られた両手でヒューマンの服を掴み、必死にその責めを耐える。
「うあぅ…!あんっ…!あ、ぐぅ…」
もはや、それまでの反抗的な態度など、見る影もなく消えていた。すっかりおとなしくなり、自分達の腕の中で従順に耐える彼女の姿は、
二人の目にはとても心地よく映る。
「くぅ…!僕、さっきしてたから、もう…!」
クラッズが切羽詰まった声を出し、同時に一層強く腰を打ちつける。
「もう…!くっ、出る!」
根元まで突き入れ、クラッズはドワーフの腸内に精液を注ぎ込んだ。その感覚に、ドワーフの体が震える。
「うあぁ……腹ん中にぃ…!出され、てる…!」
動きのなくなったクラッズの代わりに、今度はヒューマンがドワーフを突き上げる。
「やべ、俺も出そう…!」
「あっ!んっ!は、早く……出せ、ぇ…!精液……出せよぉ…!」
「言われなくても……うぅ、限界だ!」
最後に思い切り突き上げ、ヒューマンもドワーフの中に精を放った。腸内よりもはっきりとわかる感覚に、ドワーフは熱い吐息を漏らす。
「ああ、ぁ……あたしの中……いっぱいぃ…」
陶然と呟くドワーフ。そんな彼女を満足げに見つめながら、二人はしばらく余韻に浸っていた。
やがて、ヒューマンがゆっくりと腰を引く。彼のモノが完全に抜け切ると、ドワーフの秘裂が名残惜しげにヒクっと震える。
「ふー、なかなかよかったなあ、こいつ」
「だねー。僕はせっかくだから、このままもう一回しようかな」
ドワーフはしばらくうつむき、荒い息をついていたが、やがてゆっくりと顔を上げた。
「……もっとぉ……せいえき、もっと飲ませてぇ……ちんこ、なめさせてぇ…」
どこか遠くを見るような目つきで呟くドワーフに、ヒューマンはにやりと笑った。
「完全に落ちたな、こいつ。いいぜ、舐めさせてやるから、きれいにしろよ」
ヒューマンは立ち上がり、ドワーフの前に自身のモノを突きつける。クラッズはクラッズで、再び彼女の腸内を犯し始める。
「ああ……ちんこ、もっとぉ……せいえき、だしてぇ…」
呆けたように呟き、ドワーフは自身の愛液と精液に塗れたそれに舌を這わせる。先端を舐め、裏側を丁寧に舐め取り、キスをするように
軽く吸いつく。
「く……なかなかいいぜ。次は咥えろよ」
言われたとおり、ドワーフは口を開くと、彼のモノを根元まで咥えこんだ。
直後、グチュッとくぐもった、嫌な音が響いた。
「ぎゃああああぁぁぁ!!!!」
「え!?ど、どうしたの!?」
股間を押さえ、倒れるヒューマン。クラッズが慌てて彼女の中から引き抜いた瞬間、ドワーフは思い切り身を屈め、股の間から
クラッズの睾丸を掴んだ。
「あぐっ!?……がっ、あっ…!」
急所を強く掴まれ、クラッズの額に脂汗が浮かぶ。そんな彼に、ドワーフは口元から血を滴らせたまま、凄絶な笑みを浮かべた。
「やぁっと隙見せやがったな、馬鹿野郎どもが」
「あがっ……がっ…!そ、そんなっ……確かに、落ちたはずっ…!?」
「てめえら、エロ本の読みすぎじゃねえのか?てめえみてえな、体も心もひ弱な野郎と一緒にすんじゃねえよ。あるいは万年発情期の
ヒューマンなら、落ちたかもなあ。けど、あたしらドワーフを、ましてあたしを舐めんじゃねえよ。たかが快感で、落ちてたまるか。
そもそも、てめえらにヤられるなんて、不快以外何物でもねえんだよ。次のために覚えとけ」
そう言い、ドワーフは冷酷な笑みを浮かべた。
「……次がありゃ、だけどな」
プチンと、小さな破裂音が響いた。直後、クラッズの絶叫が辺りに響き渡った。
「あああああぁぁぁ!!!あがぁっ!!!ぐっ、があぁっ!あああぁぁ!!がっ……げぶっ、おええぇぇ…!」
あまりの痛みに嘔吐し、のたうち回るクラッズ。ドワーフはそれを冷ややかな目で見つめ、次に両手を縛る縄を見つめた。
「ふんっ!!」
思い切り力を入れる。たちまち縄はメリメリと悲鳴をあげ、やがてブツリと音を立ててちぎれた。両手が解放されると、クラッズと
同じく、股間を押さえて震えるヒューマンの髪を掴み、無理矢理顔を上げさせる。
「てめえのモンだ。てめえで舐めてな」
冷やかに言うと、ドワーフはヒューマンの顎を掴んで口を開けさせると、そこに噛みちぎった彼のモノを吐き入れた。
「がっ……げぁ…!」
「おっとぉ、吐き出すんじゃねえよ。てめえのもんなんだから、もっと大事にしな!」
笑みすら浮かべながら、ドワーフはヒューマンの口に手を突っ込み、それを喉の奥へと押しやった。手を離すと、ヒューマンは床を
のたうち、やがて呼吸困難を起こしたらしく、皮膚が紫色に変わる。そこで気を失ったらしく、ヒューマンの動きが止まった。
一瞬死んだかとも思ったが、恐らくは噛みちぎった部分からの流血で、喉を塞いでいたモノが小さくなったのだろう。耳を澄ますと、
微かな呼吸音が聞こえる。
気付けば、クラッズもあまりの痛みに失神しているようだった。それを見て取ると、ドワーフは自身の秘部を見つめる。
「……きったね」
そう呟くと、ドワーフはその場にしゃがみ、軽くいきんだ。
「んっ…!」
膣内と腸内の精液が押し出され、小さな音と共に溢れ出る。ある程度出したところで、膣内に指を突っ込み、残りの精液を掻き出す。
最後に手を振ってそれを振り飛ばすと、ドワーフは立ち上がり、床の精液を見つめた。
「……きったねえ」
もう一度呟くと、ドワーフは小さく息をついた。近くに捨てられていた自分の制服を見つけ、それを元通り着ると、全身の埃をはたく。
そして倉庫の扉を開けると、あとはもう何事もなかったかのように、学食へと歩き出した。
「だから、僕はその方がいいと思うってだけだよ」
「いや、俺は認めん。どう考えても俺の方がいいだろ!?」
「君の意見が万人の意見だとでも思うのかい?だから君は傲慢だってんだよ。僕にだって、少なからず賛成者はあると思うけどね」
「まあまあ、二人とも。そう熱くならないようにね」
「うるさい!じゃあ貴様は納得できるのか!?」
学食の中に、男三人の声が響く。彼等は昼食を終えた後も、特に予定がないため、そのまま中で話をしているのだ。
「副委員長、僕の意見だっていいよね?」
「うるさい、黙っていろ!ブルマの色が赤に限るなど、邪道もいいところだろう!?」
「君だって、紺以外認めないとか何様だよ。確かに紺色は基本中の基本だけど、普通すぎると思うんだよね」
そして話の内容は、『理想のブルマ像』だった。英雄だ問題児だと言われる彼等も、一皮剥けばただの男である。
「副委員長、それで副委員長はどうなんだい?」
「紺がいいだろ!?赤なんぞ邪道だろ!?」
「う〜ん、そうだなあ。私は……紺色もいいけど、赤もいいとは思うよ」
「……そんな日和見な意見言われてもな」
「そうだな、お前自身の意見は…」
「けど、色は特にこだわらないけど、私としては横に白いラインがついてるのがいいなあ」
予想外の答えに、フェアリーとバハムーンは何も言えなくなってしまった。
「……そうきたか、副委員長」
「白いライン……まあ、確かに悪くはねえが…」
「それと、私個人としては、いわゆるぴっちりしたショーツ型よりも、こう、だぶっとした奴の方が好きだなあ」
「あれがか?あれでは、尻の形が見えねえだろ?」
「ああ、君はスパッツとか好きだもんねえ。確かに、見えないね」
「なら、どうしてあんなのが?形が見えないなんて…」
「違うんだよ、あれがいいんだよ」
体をテーブルに乗り出し、セレスティアは静かに続ける。
「ラインが見えない。それはすなわち、想像の余地があるってことだよ。まずあのブルマを見て、中はどうなってるんだろうと
想像するんだ。お尻の小さい子なのか、それとも意外に大きかったりするのか……でね、前屈みになった時に、はっきり見えるんだよ。
こう、普段は見えないのに、ふと気を抜いた瞬間に見えるもの……私は、これが好きだね」
「……は、はぁ…」
「あんまりお尻の小さな子だと、それでも見えないことがあるけど、それはそれでいいものだよ。ああ、あのだぶだぶで隠しきれるほど
可愛いお尻なんだなあって……想像の余地があるっていうのは、無限の可能性を秘めてると言えるね」
「むう…」
「そしてね、ガードが堅い故に気を抜いてしまうってこともあるんだよ。あれ、お尻覆う面積が多いでしょ?それに裾が絞ってあるし、
だからね、裾とかあまり気にしない子が多いんだ。ぴったりしてると、結構裾に気を使う子が多いけどさ……いや、あの裾を直す仕草も
たまらないものはあるけどね。でも、あの一センチに足るか足らないかの白い色……あれはまさにこの世の楽園だよ」
静かでいて、この上なく熱い語り口に、もはや二人は声もなかった。
「……副委員長、あなたにはほんと、かなわないよ…」
「ああ……たかが色などで争っていた俺達が馬鹿だった…」
「いやあ、色ももちろん大切だと思うよ。それに、何が一番なんてないよ。各々が思う理想が、その人にとっての一番なんだから」
「や、参りました……でも副委員長、そんなにこだわりあるってことは、委員長にもブルマ穿いてほしいとか思っ…」
言いかけたフェアリーの口が、直前で止まる。同時にバハムーンも表情を硬くしたが、セレスティアは律義に答えた。
「委員長に?そりゃあ思うよ!いや、ほんと最高だと思うよそれは。委員長が穿いてくれたら……たまらないね」
「ふ、副委員長……あの、もうやめ…」
「いや、実際頼もうかと思ったことすらあるよ。でも……ねえ」
急に声を落とし、セレスティアは首を振った。
「そんなこと、できるわけないよ。委員長、ずっと頑張り通しでさ。その上で私のわがまま聞いてくれなんて、どうして言える?
私は委員長が好きなんであって、まずは委員長ありきだよ。それに、私は副委員長なんだから、委員長を助けることが仕事なんだしね。
何か頼むにしたって、仕事が全部片付いてからだよ」
言い終えると、セレスティアは背もたれに寄りかかった。その拍子に、背後の人物に頭がぶつかる。
「あっと、すみませ…」
「……ずいぶんと、熱く語るものですわね」
そこにいたのは、エルフとフェルパーであった。ただ、エルフは口調の割にその表情は柔らかく、フェルパーはあまりよく意味が
わかっていないらしい。
「ああ、委員……エル、じゃない、委員長。来てたんだね」
「まったくもう、これだから殿方は……いえ、いいですわ。でも副委員長、あまりそういう話はしないでいただきたいですわね」
「わかったわかった、ごめんよ委員長」
「んむー?何の話だったのー?」
「あなたは知らなくていいことですわ。さ、早く料理を取りに行きましょう」
二人が行ってしまうと、フェアリーとバハムーンは大きく息をついた。
「あ〜……心臓止まるかと思ったよ。副委員長、さすが天使だけあって、神がかり的なタイミングだったね」
「ああ、あれ?いや、私とっくに気付いてたよ」
「……え?」
意外な言葉に、二人は目を丸くする。
「君達さ、実家でエッチな本とか読んだことある?ああいうときって、一見熱中してるように見えて、実は気配にものすごく敏感に
なるでしょ?私だって、そりゃ話してる内容次第で警戒もするよ」
「お前にとって、ブルマはどれだけ性的な話題だ」
「かといって、あの場面で急に話やめても不自然じゃない?だから、一番穏やかに済むようにしたってわけ」
「……副委員長、すごいな」
「そうでなきゃ、副委員長は務まらないってね」
そこへちょうど、エルフとフェルパーが戻ってきたので、男達は話を打ち切った。あとはいつも通り、差し障りのない話で盛り上がる。
その話も盛り上がってきたところで、不意に割り込む形で声が掛けられた。
「おう、ずいぶん楽しそうだなお前等。やっぱ、あたしがいねえ方が楽しいか?」
そちらに顔を向けると、皮肉っぽい笑顔を向けるドワーフがいた。
「やあドワーフ。君、お昼とかこなかったけど、どうしたんだい?」
「あー?どうでもいいだろ、んなの。あたしの勝手だ」
言いながら、ドワーフは席につく。
「勝手をされては困りますわ。あなた達の行動を把握するのが、わたくし達の仕事ですのよ」
「ほー?じゃあてめえは、今日は仕事サボってたってことか。委員長の割に、大した根性だよな」
それに言い返そうとした時、エルフは何とも言えない違和感を覚えた。どこが、とはうまく説明できないのだが、どうにもドワーフの
雰囲気が、いつもと微妙に違っているのだ。
「ま、上に立つ奴としてはいいのかもな。上が率先してサボってんなら、下もさぞかしサボりやすいだろうよ」
「………」
エルフは何も言わず、その違和感の正体を探ろうと全神経を集中する。
「まただんまりかよ。まあいいけどな。……それよりよ、バハムーン」
「ん?何だ?」
不意に呼ばれ、バハムーンは顔を向けた。そんな彼に、ドワーフは当たり前のように言った。
「盛り来てるからよ、あとでヤろうぜ」
あまりにも直球な言葉に、場の空気が凍りつく。そしてやはり、それを真っ先にフェルパーが破った。
「やーっ!どうしてそういうこと平気で言うのー!?信じられないー!」
「ああ?てめえだって盛りん時はヤッただろうが」
「そ、その時はその時だもんー!それにそれに、私そんなこと言わなかったもんー!」
彼女の言葉を、ドワーフは鼻で笑う。その時、エルフの嗅覚は妙な埃臭さを感じ取った。
「ほーう、お前からそう言うとは思わなかったな。いいだろう、じゃあさっさと食って部屋に行くぞ」
「もうやだー!この人達大っ嫌いー!」
「君はほんと……元気だねえ」
「嫌ってる割に、その元気さはヒューマン並みだね」
「黙れ羽虫」
エルフのみ、その会話に参加せず、ただただドワーフを観察する。
なぜか、彼女の制服は薄汚れている。軽くはたいてはあるようだが、それでも取りきれない埃が薄っすらと付着している。そして、
それは体も同じである。おまけに、彼女の吐く息からは、僅かながらも血の臭いが感じられた。
明らかに、彼女の身に何かがあったのだ。しかも、それはただの喧嘩などではない。もしそうならば、彼女は喧嘩したことを一応は
報告するはずだし、そもそもこのような言動をとること自体が異常なのだ。
エルフは黙って席を立った。そんな彼女に、一行は思わず視線を向ける。
「委員長、どうしたんだい?」
「……ちょっと、お先に失礼させていただきますわ」
「どうしたんだよ?下手くそなハープの練習にでも行くのか?」
そう笑うドワーフを一瞥し、エルフは何も言わずに学食を出た。あの埃の臭いには、確かにカビの臭いも混じっていた。その臭いには、
一つだけ心当たりがある。
校舎の脇を通りぬけ、校庭を横切る。そして体育倉庫前に来ると、そこにかかっているはずの錠を確認する。
錠は開いていた。誰もいないことを確認し、扉を開ける。
途端に、血の臭いが流れ出る。一瞬たじろいたが、それでもじっくりと目を凝らして見ると、中に二人の生徒が倒れているのが見えた。
一人は死んでいるのか、それとも気を失っているのか、ピクリとも動かない。そしてもう一人はうずくまったまま、苦しげな呻き声を
あげている。
「これは…」
思わず呟くと、その内の一人、クラッズが顔を上げた。
「う……うぅ…。た……助け……て……苦……しい…!」
どこを押さえているのかと思えば、彼は股間を押さえて呻いている。もう一人のヒューマンも、股間から血を流し、おまけに口からも
血を流して倒れている。どちらも、ひどい重傷なのは一見して明らかだった。
正直なところ、エルフは幾度となく、ドワーフが誰かに痛い目に遭わされることを望んだ。付き合えば付き合うほど、嫌いな点ばかりが
目立つようになり、今でもドワーフのことは大嫌いなのだ。
だが、いざ実際にそれが起こってみると、エルフの中に浮かんでくるのは、決して歓喜などではなかった。それどころか、今彼女の
中にあるものは、抑えきれないほどの怒りだった。
「……自業自得、ですわね。できれば今すぐ、あなた達をこの場で葬りたいところですわ」
冷たい声で、エルフは言い放った。
「でも、校内での抜刀・魔法の詠唱は禁止。だからそれは叶わぬ願いですわ。だけど同時に、あなた達のような負傷者を助けろという
規則もないですわね」
止めを刺すが如く、エルフは吐き捨てるように言った。
「せいぜい、誰かが見付けてくれるのを祈るがいいですわ」
扉を閉め、鍵を掛け直す。それから踵を返すと、エルフは再び学食へと向かった。
戻ってみると、セレスティア以外の仲間は全員戻ってしまった後のようだった。エルフを見つけ、彼は軽く手を挙げて挨拶する。
「おかえり、委員長。ご飯の途中でいなくなるから、どうしたのかと思ったよ」
「ごめんなさい、ちょっと用事があったんですの」
席につくと、セレスティアは優しく笑いかける。
「そうなんだ。私、またドワーフが嫌になってどっか行っちゃったのかと思ってさ」
「………」
「ねえ、委員長」
不意に声の調子が変わり、エルフはセレスティアを見つめる。
「何ですの?」
「委員長は、ドワーフのこと嫌いだよね?」
「……嫌い、ですわね」
「だろうね。たぶんドワーフも、委員長のことは嫌いだと思うよ」
だからどうしたのかと、エルフは怪訝そうに彼を見つめる。
「でもね、だからって憎んでるわけじゃないよ。ドワーフ、あれはあれで委員長のこと、いい仲間だとは思ってるんだよ」
「何を根拠に、そんなことを…?」
「……ねえ委員長。ハープのあの曲、うまく弾けるようになったかい?」
セレスティアが尋ねると、エルフは少し不機嫌そうな顔になった。
「……まだ、難しいですわ…」
「良ければ、今ちょっと弾いてほしいな」
「どうして今…?ま、まあいいですわ。それなら、少しだけ…」
エルフはハープを取り出し、いつも練習していた曲を奏で始める。最初こそ調子も良かったが、山場に差し掛かる辺りからその表情は
苦しげになり、やがて最も盛り上がりを見せる部分で、ぺぃん、と間の抜けた音が鳴ってしまった。
「うっ…」
「……ねえ、委員長。今の失敗、どうしてだと思う?」
「え……それは、ただ……まだ、わたくしの練習が足りないだけ…」
「いや、それは間違ってないかもしれないけどね。……委員長、薬指使うの苦手でしょ?」
言われてみれば、確かにその音は薬指で弦を弾き損ねた結果である。
「ドワーフが前に言ってたこと、覚えてる?口は悪いけどさ、彼女、しっかり委員長のこと見て、その上でちゃんとした
アドバイスしてたんだよ」
「………」
「まあ、その、だからどうしろってわけではないよ。でも、ドワーフだって委員長のこと嫌ってばっかりじゃないってこと、それだけは
頭の隅にでも留めておいてほしいな」
それに対する言葉はなかった。よりにもよって、あんなことが起こった後でこんな事実を知っては、エルフの心は重くなるばかりだった。
結局、その日一日中、エルフの心は晴れることがなかった。
それから数日。一行はまたもほとんどの依頼を片づけてしまい、初めの森で鋭い針やモンスターの血を集めると言う名目でピクニックに
来ていた。
「いやー、やっぱりここがいいよねえ。ホッとする」
「だよねえ。色々思い出深いところだしね、ここは」
例によって、フェルパーは木の上で寝ており、バハムーンも日向でのんびりと寝ている。ドワーフはフライドチキンの骨をがりがりと
齧っており、エルフは一行から少し離れたところで、ハープの練習をしていた。
あれから、薬指を意識して練習するようになった分、今までつっかえていたところはきちんと弾けるようになった。だが、どうにも
音を外してしまうことが多いのだ。きちんと弦を押さえているはずなのだが、なぜか音が外れてしまう。
とにかく練習あるのみと頑張っていると、不意に誰かが後ろに立った。
「相っ変わらずだな。まだその曲練習してんのかよ」
「うるさいですわ、毛むくじゃら。わたくしのような凡人は、一朝一夕で弾けるようにはならないんですのよ」
「お、凡人だって認めたかよ。大した成長じゃねえか」
馬鹿にしたように笑いながら、ドワーフはエルフの隣に座る。
「……てめえ、それ貸せ」
「はい?また、お手本でも見せてくれるというわけですの?」
「ちげえよ。いいからさっさと貸せ」
ともかくもハープを渡すと、ドワーフはいくつかの弦を弾き、続いて一本一本を数回鳴らしてみる。
「……これ、ペグついてねえのか。おい、これの調弦の道具よこせ」
「え?」
「え、じゃねえよ。さっさとよこせ。それとも、まさか持ってねえとか言うんじゃ…!?」
「あ、ありますわよ!これですわよね?」
エルフが渡したのは、先端が輪を作って指を掛けやすくしてあるだけの、簡素な作りの道具だった。
「あー、こんなん使ってんのか。ちっ、道理でな……おい、何か棒。木の枝でもペンでも何でもいいから、さっさとよこせ」
言われるままに、エルフは普段使っているペンを渡した。ドワーフは輪の間にペンを通すと、それを使ってピンを回し始める。
「……あのなあ、お前、力とか筋力ってもん自体、野蛮だって嫌ってねえか?」
「それは…」
ない、とは言えなかった。
「嫌うのは勝手だけどよ、常に全力出さねえとピンも回せねえような状況で、どうやって微調整ができるんだよ。こういうのは、
余分なぐらいに力がねえと、微妙な調整ってのはできねえんだ。てめえに力がねえなら、こうやって道具をどうにかするぐらい考えろ」
言いながら、ドワーフは真面目な顔で弦の張りを調整していく。
「大体お前、これは楽器か?それとも武器か?」
「楽器ですわよ……武器でもあるけれど…」
「だよな。ぶん投げたりぶん殴ったり……粗雑な扱いするのは結構だけどよ、そういう扱いするなら手入れもしっかりやれよな。
衝撃与えるだけでも、弦の張りは変わるんだ。形が変わっちまえば、根本から音も変わっちまう。それに、弦の張り変えだって
ただじゃねえんだ。仮に一本5ゴールドだとして、二日置きに交換してりゃそれだけで年間910ゴールドちょいかかるんだ。
この14本を全部交換すりゃ、12740ゴールドだぞ」
ある程度の調律をこなしたところで、ドワーフは全ての弦を一つ一つ弾いてみる。その音は、今までよりずっときれいな音だった。
「いいか。武器にしろ楽器にしろ、これはお前の相棒だろ?道具ってのは、ただ使って、使えなくなったらおしまい、じゃねえんだ。
相棒なんだから、愛情を持って、愛着を持って、しっかり手入れをしてやるんだよ。道具は人と違って、絶対に持ち主を裏切らねえ。
手を掛ければ手を掛けた分だけ、それに応えてくれるんだよ」
およそ、ドワーフの口から出たとは思えないような言葉だった。だが確かに、彼女は暇があると、よく武器の手入れをしていた。
「……そもそも、お前は下手くそなんだからよ。てめえに腕がねえなら、道具で補うってのは恥ずかしいことじゃねえぞ。下手くそな
演奏垂れ流す方が、よっぽど恥ずかしいからな。ほら、返すぞ」
投げ渡されたハープを、エルフは慌てて受け取った。
「音が狂ってたんだよ。それじゃ、基本に忠実なほど、まともな音は出ねえ。今度は、うまく弾けるんじゃねえか?」
エルフは一つ一つ、音を鳴らしてみる。確かに、今度はすべて、思った通りの音が出せた。
「……器用、ですのね」
「こういうのいじるのは好きなんだよ。大体あたしらドワーフに、手先の技術でかなう奴なんかいるもんか。ま、そんな完璧な
調弦したって、使う奴が下手くそじゃあどうしようもねえけどな」
ニヤリと笑いかけるドワーフ。それに対し、エルフも挑戦的な笑みを返した。
「なら、練習の成果、お見せしますわ。凡人でも練習すれば、天才に追いつけるということ、証明してみせますわよ」
「調弦もできねえで、追いつけるもんかよ」
「あら、それは演奏を聴いてからにしてもらいたいですわ」
「じゃ、やってみろよ下手くそ。ちゃんと聞いてやるからよ」
最後にお互いの顔を笑いながら睨み合い、エルフは静かにハープを弾き始めた。
初めの森に流れるハープの音色。それはそよ風に乗り、森全体へと優しく響く。
困難を増していく一行の行き先。だが、全員が仲間と認めあった今、それらは彼等の足を止める存在たり得ない。
仲間のために笑い、泣き、怒る。たとえどんなに嫌いな仲間であろうと、それは変わらない。
共に歩く存在がいる限り、彼等は止まることはない。どんな困難があろうと。
それがたとえ、世界を巻き込む大事件であったとしても。
以上、投下終了。
にしても、調教モノは難しいな……精進します。
それではこの辺で。
新学期。
クラッズはクロスティーニで始まる新しい学園生活に、希望で胸を膨らませていた。
真新しい制服に学生かばん。腰に下げたダガーも誇らしげに意気揚々と登校する。
体育館で校長先生の話を聞いたあと、入学手続きを済ませ、掲示板で自分のクラスを
確認すると逸る気持ちを抑えつつ教室へ向かった。
(へへっ、これが僕の机か..)
自分の机に座り、教室内をきょろきょろと見回していると、隣の席にスッと人影が差した。
魔法使い科の制服に身を包んだセレスティアの女の子だった。
(..きれいだな)
クラッズの視線に気づいたのか、こちらに顔を向けるセレスティア。クラッズと目が合うと
にっこり微笑んで軽く会釈をした。真っ赤になって照れながら会釈を返すクラッズ。
(..楽しい学園生活になるといいな..)
そう思いながら机に両腕で頬杖をついて表情を緩ませるのだった。
翌日から早速授業が始まった。学園での講義や演習の合間に仲間を探しパーティを組んで
冒険へ出る。クラッズもクラスメイトの何人かから声を掛けられてはパーティを組んで冒険に
出かけたが、すばしっこい以外に特技が無い普通科のクラッズは、なかなかパーティに定着
する事が出来なかった。
一方隣の席のセレスティアは、入学当初から専攻科、それも魔法使い科ということもあって
引っ張りだこの様子だった。講義にもなかなか顔を出さないし、たまに学園内や近場の森で
見かけても、いつもどこかのパーティの仲間達に囲まれていて、とても忙しそうだった。
(..今日も来てないや..)
可愛くて優秀な魔法使いのセレスティア。主のいない隣の席に目をやってはため息をつく
クラッズだった。
「..ごめんね、クラッズ君。一生懸命頑張ってくれてるのはわかるけど、やっぱり普通科だと..。
せめて戦士かレンジャーだったら喜んで迎えるんだけど..」
その日クラッズは入学以来7組目のパーティからふられてしまった。
(ちぇっ..もうちょっと時間をくれれば戦士でもレンジャーでも転科できるのに..)
足元の小石を蹴飛ばしながら夕暮れの中庭を寮に向かってとぼとぼと歩いていく。
途中、広場のベンチに人影が見えた。魔法使い科の制服に翼のある背中。そっと近づいて
みると、隣の席のセレスティアだった。
「..こんにちは」
すこしためらいながら声を掛けてみる。
一瞬、背中がピクッと反応した後、ゆっくりと顔が向けられる。口元を押さえ、目が多少
潤んでいるように見えた。
「..どうしたの?」
クラッズの問いに俯きながらなんでもない、というように小さく首を横に振るセレスティア。
くすんくすんと鼻をすすり上げる音も聞こえてくる。なんでもなくは無いことは明らかだったが
クラッズにはどうしたらいいかわからなかった。
「..元気出してね」
学生かばんから女の子が好きそうなハニートーストを取り出すと、ハンカチに包み、
セレスティアの膝の上にそっと置いた。
びっくりしたような顔をするセレスティアに軽く微笑んで手を振ると、再び学生寮に
向かって歩き出した。
(あの子も色々苦労してるんだろうな)
ベッドに入り眠ろうとするたびに、夕暮れにたたずむ寂しそうなセレスティアの後姿が思い浮かんで
は気になって眠れなくなってしまうクラッズだった。
次の日以降、少しずつだがセレスティアが学園の講義に顔を出す機会が増えてきた。彼女は
魔法使い科の授業もあるので毎日会えるというわけにはいかなかったが、それでもクラッズには嬉しかった。
しかし、昼休みや放課後に中庭のベンチに一人たたずむ姿を見かけることもあり、それが少し
気になったが、今のところセレスティアとはただの隣の席同士というだけの関係だったので、詳しい話を
聞きだすことはクラッズには少し躊躇われていた。
「セレスティア?あの女はダメだ。使い物にならない」
そんなある日、食堂でクラスメイトたちと昼食を摂っていると、セレスティアのことが話題になった。
クラッズが内心驚きながらも素知らぬ顔で聞いている傍で、そのクラスメイトは続けた。
「あいつ根暗で仲間ともろくに口を利かないんだよ。おまけに魔法の精度が悪くて同士討ちやらかすし。
みろよ、このやけど」
腕まくりをしてやけどのあとを見せるクラスメイト。
「見た目可愛いし、いきなり魔法使い科だから期待してたんだけどなあ..がっかりだよ」
クラスメイトの愚痴にふんふんと頷きながら、クラッズはセレスティアの寂しそうな後姿を
思い浮かべていた。
「こんにちは。あの..君にお願いがあるんだけど..」
あくる日の昼休み、セレスティアが一人俯いてベンチに座っているのを見かけたクラッズは思い切って
声をかけてみた。
何事かと顔を上げるセレスティア。
「実は僕、まだ決まったパーティに入れなくて一人なんだ。普通科だし、とりえが無いからなかなか
使ってもらえなくて..。でもこのままだと経験も積めないし、転科も出来ないからとにかく冒険に
出たいんだ。だから、もし午後暇だったら森に連れて行ってくれないかなあ..」
しばらくクラッズの顔を眺めていたセレスティアだが、やがてゆっくりと俯いて拒絶するように
小さく横に首を振った。
「..うーん、困ったな。もう午後の予定が入っているの?」
やはり小さく横に首を振るセレスティア。
「だったら、頼むよ。そんなに深くまで森に入るつもりは無いから。こんなに天気もいいんだし、
気分転換のお散歩みたいな感じでいいからさ、行こ?」
そう言ってセレスティアの白くて細い手首を掴むクラッズ。驚いたような顔を見せたセレスティアだが、
抵抗するそぶりは無かった。さらに手首を引くとセレスティアはゆっくりと立ち上がった。
パッと明るくなるクラッズの顔。それを見たセレスティアの顔も少しほころんだ。
クラッズにとって、入学式の日以来の彼女の笑顔だった。
その日の初めの森はクラッズの言うとおり絶好の散歩日和だった。柔らかな木漏れ日を浴びながら
クラッズとセレスティアは森の中を探索していった。
途中がぶりんちょが襲ってきた。セレスティアに少しは良いところを見せようと、張り切ってダガーを
振るうクラッズだが、ぶんぶん飛び回る相手になかなかとどめを刺せない。次第にあせりを感じてきた
その時、背後から風を切る音がしてぱちんこの玉が飛んできた。
「きぃ!!」
短い悲鳴を上げてがぶりんちょが地面に落ちる。
クラッズが振り返るとセレスティアがぱちんこを抱えて不安げにクラッズを見守っていた。
「ありがとう。助かったよ。お見事お見事」
と拍手を送ると、セレスティアは一瞬嬉しそうな表情をした後、恥ずかしそうに赤くなって俯いてしまった。
そんな調子で探索を続けていると、木陰が気持ちよさそうな広場に出た。
「この辺りで休憩にしようか?」
セレスティアがにっこり微笑んで頷くのを見て二人は並んで一本の木の根元に腰を下ろした。
学生かばんを開きホットケーキを取り出す。半分に割り
「食べる?」
とセレスティアに差し出した。
「..君、魔法は使わないの?」
何気なく尋ねたクラッズの一言で、ちぎったホットケーキを口元に運ぼうとしていたセレスティアの手が止まる。
そして困ったような表情を浮かべると、ゆっくり手を下ろして俯いてしまった。
「あああ、でもあれだけぱちんこが上手ならこの辺りじゃ魔法は要らないよね、ははは..」
クラッズは慌てて取り繕ったが、楽しいピクニックが一気に気まずくなってしまった。
「..そろそろ帰ろっか?あんまり奥には行かない約束だったし」
すっと立ち上がるクラッズ。セレスティアも気を取り直したように立ち上がり、学園への帰路についた。
言葉も無く二人が歩いていると、ダストが3体現れた。
(これまた厄介なのが出てきたなあ..)
ヒール以外の魔法が使えないクラッズにとって、物理攻撃が効かないダストは難物だった。
ちらっと横目でセレスティアを見る。彼女も緊張した面持ちで相手をじっと見据えていた。
(..いや、彼女に甘えちゃダメだ。まずは自分が頑張らないと)
軽く頭を振って邪念を払うと、クラッズは敵に向かって駆け出して行った。
ダストの群れの中でむちゃくちゃにダガーを振るうクラッズ。背後からはセレスティアが放つぱちんこ玉
も飛んでくる。しかし、雲か霞を相手にしているかのようにまるで手ごたえが無かった。
(まずい..疲れてきた)
脚が止まった瞬間、クラッズはたちまちダストに取り囲まれてしまった。一撃のダメージは小さいものの、
文字通り嬲られるクラッズ。ダストの間で揉まれている最中、ぱちんこを抱えたままオロオロしているセレスティアと
目が合う。セレスティアは一瞬苦悩するような表情を浮かべたが、すぐに何かの決意を固めたように目を瞑り、
もごもごと口の中で何かを唱え始めた。そして薄目を開き、右手を差し出すとその先から炎の奔流がほとばしった。
1体..2体..。今までの苦戦が嘘のように簡単に消え去るダスト。
(..すげえ..実はやれば出来る子じゃん..)
そう思った瞬間、クラッズの視界が真っ赤に染まった。そして何事が起きたのか知る間も無く意識を失ってしまった..。
(つめたい..雨?)
自分の頬に降りかかる冷たい感覚でクラッズの目が覚めた。ゆっくり目を開けると、膝枕の上にクラッズの頭を乗せ、
しくしくと泣いているセレスティアの顔があった。
「..セレスティア?」
声をかけると、セレスティアははっとしたように目を見開き、そしてクラッズの頭に覆いかぶさるようにして彼を抱きしめた。
セレスティアの胸元の柔らかくも暖かい感覚に嬉しくも恥ずかしく戸惑っていると、耳元に彼女の小さな声が
聞こえてきた。
「かにな..かにな..」
(かにな..?蟹名?..)
言葉の意味はよくわからないが、とにかく謝っているんだろうな、と察したクラッズはセレスティアの肩をぽんぽんと
叩いて起き上がった。
地面にぺたんと座り込み、涙を流してしゃくりあげるセレスティア。
「ほんど、めわぐかげでまっだの..」
セレスティアと膝を突き合わせるように正対したものの、彼女の言葉がわからず困惑するクラッズ。
「..ごめん、何て言ってるのかな?」
恐る恐る尋ねてみると、一瞬ポカンとしたセレスティアだが、目を伏せてがっかりしたような表情を
浮かべて答えた。
「..わのこどばだば訛りこひどくてわがねべ..わりがったの..」
そう言って寂しそうに立ち上がろうとするセレスティアを、クラッズは慌てて押しとどめた
「ごめんごめん!!僕が悪かった。あの..言葉良くわからなくて勘違いするかもしれないけど、一生懸命聞くから
待って!!お願い!!行かないで!!」
クラッズの必死の顔をしばらく眺めていたセレスティアだが、やがて思い直したように座りなおした。
「..ええと..その..やっぱり君も今は一人なんだ?」
小さく頷くセレスティア。
「最初の頃だばみんな、わのごと魔法使いだはんでってパーティさかへでけだばって、やっぱ訛りのごと
笑われで..したっきゃもう、他の人どなんも話せねぐなってまって..」
うんうんと頷くクラッズ。
「..魔法もある程度、声力ねば抑え効かねでごさね、ぽそぽそった呪文だば、なも狙い決まねんで仲間さ
当たってまって..で怒られだらよげ声出せねぐなってまって..」
次第に涙声になるセレスティア。
「..今だばもう"仲間殺し"だの噂されで、だがらも声かげられねぐなってまったね..うっ..うっ..うっ」
と顔を両手で覆って泣き崩れてしまった。クラッズにはほとんど言葉の意味はわからなかったが、それでも
セレスティアが次第に仲間から、そして学園から孤立していく寂しさと悲しさは手に取るように理解できた。
「..だはんで、さきたクラッズささ声かけられたとぎだば、まんず嬉しがったね」
しばらくさめざめと泣いていたセレスティアが顔を上げた。
「もしがしたら、クラッズさとだばうまぐやれるんでねべが、と思って、わんつかだば期待してだんだばって
..やっぱしこったらごどさなってまって..」
一回大きくため息をついた後、吹っ切れたような自嘲気味の薄ら笑いを浮かべ天を仰ぐセレスティア。
「..もうさっぱど諦めついでまったね。わさは冒険者向がね。明日さでも学校辞めで田舎さ帰る..」
「学校辞めちゃうの!?」
何とか理解できる言葉の端々からセレスティアの決意を感じたクラッズは、セレスティアの両手をつかんで
叫んだ。
「だめ!!辞めちゃだめだよ!!」
「だばって、仲間どもまどもに話せねし、冒険さ出でも仲間ば撃ってまるし..わだっきゃなんの役さも
ただねって..」
「..役に立たないのは僕も同じだよ..」
俯いて話し始めるクラッズ。
「普通科で何のスキルも持ってなくて、たまにパーティに入れてもらって一生懸命がんばっても、
結局は普通科ってことでいらないって言われて..。なんでみんな僕がスキルアップするのを待って
くれないのかな?結局僕はその場限りの人数合わせの使い捨てなのかな?って、思ったりして..」
そして顔を上げ、真剣なまなざしでセレスティアを見つめた。
「だから、君が学校辞めるつもりなら、もう少し僕に付き合ってよ。言葉が通じないなら教えるよ。魔法が上手く
使えるようになるまで僕も君に付き合うよ。約束するからさ、君の訛りを僕は絶対馬鹿にしないって。同士討ち
喰らっても文句は言わないって..だから学校辞めるなんて言わないで」
「クラッズさ..」
見る見るうちに瞳が潤んでいくセレスティア。
「..そうだ、今度セレスティアの方言教えてよ。お互いにお互いの言葉を勉強すれば時間も手間も
半分で済むよ?だからさ、もう少し頑張ってみようよ..ね?」
そう言って立ち上がり、にっこり笑いながら右手を差し伸べるクラッズ。
「..わいは..涙っこ止まんねぐなってまったじゃ..どうすべ..」
嬉し涙に暮れながらその右手を取って立ち上がるセレスティア。
「..ねえ、セレスティアの言葉で"僕たち友達だよ"ってなんて言うの?」
「んと.."わんど、けやぐだね"って..」
「"わんど、けやぐ、だね"」
「ん..ありがどな、クラッズさ..ふふふ..」
夕日に照らされて黄金色に輝く道を踏みしめて、二人は学園への帰路をたどっていった。
その日の夜、クラッズは図書室で本を探していた。
(うーん、セレスティアの方言勉強するって言っちゃったけど、どこの出身か聞くの
忘れちゃったな..ま、いいや)
そう思いつつ、棚の上にある「全国地方方言全集」の一冊を取ろうと手を伸ばした。
(えい!!えい!!..あれ、届かないや..えい!!えい!!)
本棚の前で届きそうで届かない本に向かって飛び跳ねていると、その上からさっと白くて細い手が伸びた。
「クラッズさ..本気だったんだ..」
「あ、セレスティア」
振り返るとセレスティアが棚から取り出した本を差し出しながら嬉しそうに微笑んでいた。
そして、クラッズの耳元に口を寄せると、小さな声でささやいた。
「もし暇だば、わの部屋さ来ねが?ルームメイトだば冒険さ出でまて、今夜いねはんで..」
「..ええっと、部屋においでって言ってるのかな?」
にっこり笑って小さく頷くセレスティア。
「言葉っこ覚えるんだば、枕っこ並べて習うのが一番でごさね」
セレスティアが何を言っているのか良くわからなかったが、自分の顔が赤く上気していくのをクラッズは感じた。
「"どさ?""ゆさ!""だど?""など!""わも?""なも!くな?""いが!""はぐ!""まで!"..これ本当に日常会話なの?」
セレスティアの部屋のベッドに腰かけ、「全国地方方言全集第二巻」を読んでいたクラッズが目を丸くした。
そんなクラッズを見てセレスティアがくすくすと笑っている。
(やっぱり笑うと可愛いな、セレスティア..)
クラッズも釣られて笑い出す。
「意味わがねくてもおもしぇべ?まんず耳がら慣れでけへじゃ。話すのだばあどがら付いてくるはんで..。
せば、本の勉強だば今日はこごまでさすべ」
そう言うとセレスティアは自分の机の椅子から立ち上がり、ベッドに腰掛けているクラッズの隣に腰を
下ろすと、クラッズの膝の上から本を取り上げ、ベッドの枕元の棚に置いた。
しばらく並んで座ったままの二人。
「..ありがどな、クラッズさ..」
ポツリとつぶやくセレスティア。
「こないだもらったハニートースト、まんずめがった。あんときだばパーティ外されだばがりで、
どしたらえがわがらねしてだはんで、気さかげてもらって嬉しがったね」
そう言って体をクラッズの方にむけ、その両肩をつかんで目を見つめる。
「あんとぎのお礼、まだだはんで..えがったらもらってけねが?」
目を閉じながら唇を寄せるセレスティア。クラッズもゆっくりと目を閉じて彼女を迎え入れた。
(ん..くちゅ..はむ..ん..)
お互いの温もりと息づかいを充分に確かめ合った後、顔を離す。
クラッズの瞳をまっすぐ見つめながら、ぺろっと舌なめずりするセレスティア。普段の清楚な姿からは
全く想像できない艶っぽい仕草に、クラッズの心臓はときめいた。
セレスティアの右手がクラッズの肩から襟元へ伸びる。そして制服をゆっくりと脱がせ始めた。
クラッズも対応するようにセレスティアの制服に手を掛けた。
お互いの制服を脱がせ、下着姿になる。セレスティアがクラッズのパンツに手を伸ばそうとしたとき、
クラッズの手がそれを押しとどめた。
「あの..僕..クラッズで..その..他の人と比べると..あれだから..」
恥ずかしさで真っ赤になるクラッズに、セレスティアはやさしく微笑んだ。
「..なも、気にさねで..。おなごっきゃ、はどこの大きさで感じるんでねして、ハートの大きさで
感じるもんだはんで..」
そしてクラッズの頬を両手で包み、額と額を合わせ
「..クラッズさは、わの訛りこば嗤わねって言った。訛りこば勉強するって言ってけだ。だば、わも
クラッズさのこど、嗤うごとはなんもねって..」
そう言ってクラッズに口づけた。
唇を重ねつつ、セレスティアの手がクラッズのパンツの中に伸びる。クラッズの手もセレスティアの
背中にまわりブラジャーのホックを外した後、柔らかい乳房をもみほぐし始めた。
(ん..んー、はんっ..ん..)
お互いの息づかいが高まったところで唇を離す。セレスティアの白い頬は上気して赤く染まり、
薄い水色の目もうるうると潤んでいる。
「来てけ..わのこど、なの好ぎさして..」
どちらからともなく、静かにベッドに倒れ込む二人。
恥ずかしさに顔を背けながらも、仰向けになりゆっくりと脚を開くセレスティアの身体にクラッズの
身体が重なった。
「は...んっ!!」
セレスティアとクラッズの体格差はあっても、経験の少ないセレスティアにとってクラッズの身体は
充分に刺激的であった。
(はぁ..はん..んん..ぅん!!)
小さい身体を精一杯揺するクラッズに応え、より深く彼を感じようと、セレスティアもクラッズの身体を
両脚でしっかり挟み抱え込む。
「クラッズさ..クラッズさ..あっ..あん..クラッズさ..」
うわごとのように繰り返すセレスティア。
「ん..ん..セレスティア..好きだった..よ..初めて見たときから..ずっと気になって..ずっと心配で..」
「そんな..クラッズさ..わもクラッ..あ、あ、ああああぁぁ..!!」
クラッズの情熱が注ぎ込まれると同時に、セレスティアも高みへと達していった..。
「..セレスティア..めごいよ..セレスティア..」
並んで横になり、事後の気だるさにまどろみながらセレスティアの耳元でささやくクラッズ
「..わいは..」
達した余韻に浸りながらふっと微笑むセレスティア。
「もう..照れでまるべな..」
そう言って照れ隠し半分に腕と翼でクラッズをやさしく胸元に包み込むと、二人はゆっくりと
眠りに落ちていった。
「セレスティア!!なままどすのや?」
「これがらだね。一緒にくな?」
聞き慣れない暗号のような外国語のような言葉に、食堂にいる学生の生徒全員が声の主を捜した。
見ると、一年生の徽章を付けながらも魔法使い科の制服に身を包んだ美しいセレスティアと、
同じく一年生の普通科のクラッズが仲良くショーケースのメニューを眺めている。
「..あいつら、何話してるんだ?..つか、セレスティア、あいつ口きけたのか..?」
たまたま居合わせていた、以前セレスティアとパーティを組んだことのあるメンバーが、スープを
掬ったスプーンを取り落として呆然とする。
衆目を集める中、楽しく昼食を済ませた二人は、初めの森へ腹ごなしの午後の散歩に出た。
「そういえば最近、セレスティアの魔法精確になって来たよね?」
そう言うクラッズに、はにかんだように微笑んでセレスティアは答えた。
「ん。やっぱ呪文だば腹ん底がらがっつらど唱えねばまね。クラッズさど一緒だば、なも遠慮すること
ねはんで思い切って..」
と、言いかけたところに、ダストの群れが現れた。
お互いに顔を見合わせ、にっこり笑って頷き合う二人。そして相手に向き直ると、さっと
セレスティアの右手が挙がった。
「天地ば焦がす紅蓮の炎よ、わの意のままにやてまてまれぇ..ファイヤー!!」
呪文が高らかに詠唱されると同時に振り下ろされたセレスティアの右手から、
炎の奔流が狙い違わずダストの群れへと伸びていった..
どっとはらい
おまけです。
「わぁ..あれが"魔法の殿堂"ブルスケッタだが?クラッズさ」
魔女の森から出るゲートを抜けると、眩しい陽の光に輝く白亜の学び舎を指差して、
セレスティアが嬉しそうに尋ねる。
「うん..楽しみでしょ?セレスティア」
「がっぱど!!はぐ行ぐべし!!」
クラッズの腕を取って引っ張るようにせかすセレスティア。
「あはは。そんなに急がなくても学校は逃げないよ」
やがて二人はブルスケッタ学園の校門の前に立った。
「..学校辞めねぐて、ほんとえがった..」
感無量の面持ちでつぶやくセレスティア。クラッズの腕を掴んだ手にぎゅっと力が入る。
暫くブルスケッタに辿り着いた感動に浸った後、校門をくぐる二人。すると門柱の
影から声がかかった。
「..見慣れない顔だね。クロスティーニの生徒かい?」
振り向くとディアボロスの女生徒とノームの男子生徒が並んで門柱に寄りかかっていた。
「あたいはフラン。ここの図書委員。こいつはリモン。同じく図書委員だ。予め言っておくが
リモンはあたいのイロだから手を出すんじゃないよ」
「あ、クラッズです。クロスティーニから来ました」
と、ペコリとお辞儀するクラッズ。
「わはセレスティア。同じくクロスティーニの生徒だはんで、よろしぐな」
酷い訛りとは裏腹に、制服のスカートの裾を持ち上げて軽く膝を折り、洗練されたお嬢様
挨拶で返礼するセレスティア。
(けっ!!田舎者のくせにかっこつけやがって。これだからセレスティアは嫌いなんだよ!!)
心の中で舌打ちをするフランをよそに、リモンはセレスティアに駆け寄りその手を取った。
「懐かしい訛りだべなぁ..おめぇさんもイースト-ノーザンエリア出身だべが?」
リモンの訛りを聞いてセレスティアの顔がパッと明るくなる。
「んだ。わはツーガリア。リモンさは?わほど訛り酷くねみてだばって?」
「おらはモガミアだべ。こっちのクラッズさは?」
「わはクロスティーニの隣だばって、連れがこうだはんで、訛りこ覚えてまっだねはー」
セレスティアと同じく流暢な訛りでそう答え、セレスティアの服の袖を引っ張るクラッズ。
照れて真っ赤になって俯きながらそれを振り払おうとするセレスティア。
「わぁ、なんぼめんこいばぁ。ゆっくりしていってけなあ..」
そう言ってリモンはクラッズとがっちり握手を交わした。
(な、なんなの、こいつら..リモンまでセレスティアにデレデレしちゃって..)
一人蚊帳の外に置かれたフラン。しばらく呆然と立ち尽くし、三人の理解不明な会話を
聞いていたが、やがて思い出したように咳払いをした。
「オホンオホン..で、挨拶が済んだらそこの二人、後で図書室へ来な。ブルスケッタのこと
逐一教えてやるから..」
「なあ、宿はどうするつもりだべが?学生寮の部屋手配した方いべが?」
そんなフランをよそに、来客二人の心配をするリモン。
「わいは。ありがてじゃ..だばって料金なんぼすべが?」
不安げに尋ねるセレスティア。
「クロスティーニと変わらねべ。素泊まりはタダ。二食付きで100Gだべ」
ほっとした表情で顔を見合わせるセレスティアとクラッズ。
「だば問題ねでごさね。なもさねくても二週間は持つべ」
(何よ何よ..この田舎者どもが。あたいが言葉分からないからって..)
三人に無視された悔しさと訛りが理解できないもどかしさで、めらめらと嫉妬心が
燃え上がるフラン。
「..だども、セレスティアさ、鄙に珍しぐエレガントだのぉ」
フランの心も知らずに、セレスティアに穏やかで柔らかく親しげな視線を送るリモン。
「実家だば山持ちのりんご農家だど。あんまめぐて、一度喰てまればどったら天使様も
堕落してまるって噂の、"堕ぢるりんご"で有名なんだど」
誇らしげにに紹介するクラッズ。隣ではセレスティアがそれこそりんごのように真っ赤に
なって恐縮している。
「山持ち?いいどこのお嬢様だべなー。なんも冒険者さならなくてもいいべさ..」
リモンも久しぶりに故郷の訛りを聞くことが出来たせいか、すっかり二人と打ち解けて
しまった。
「..お・ま・え・ら・いい加減にしやがれ!!」
そう叫ぶや否や、目を三角に吊り上げ、訛り丸出しで談笑する三人に向かってブレスを
吐き出すフラン。炎に炙られ真っ黒に煤けながら、呆然とフランを見つめ返す三人。
「なによなによ..同郷だからって..初対面でいきなりべたべた仲良くしちゃって..」
次第に涙声になるフラン。
「ここはブルスケッタだっつーの!!訳のわからん訛り丸出しでおしゃべりするなっつーの!!」
「フラン..」
「寄るな田舎者!!」
申し訳なさそうに差し伸べられたリモンの手を振り払うフラン。
「なにさ..あたいだって何年この田舎者と付き合ってきたと思っているのさ?それが訛りが
同じだからって、一日でこんなに仲良くなられたんじゃ、あたいの立場無いじゃない!!」
「いや、悪かったなあ、フラン..仲間外れにするつもりは無かったべ?」
「うるさいうるさいうるさい!!」
謝ろうとするリモンに取り付く島もないフラン。
「お前ら田舎者は田舎者同士でそこいらの隅で小さく固まっていやがれ、ばっきゃろーぃ!!」
乱暴にそういい残すと、フランは学校の中に駆け込んでいってしまった。
「..フランさにはわりごとしてまったなあ..」
しょんぼりと俯くセレスティア。
「..わがクロスティーニで味わった寂しさ..今度はわがフランささ、やってまった..話っこ
通じね辛さ寂しさ、わが一番わがってるはずなのに..」
そうつぶやいてぽろぽろと涙をこぼした。
「おらもちょっとはしゃぎ過ぎてしまったべ」
申し訳なさそうに頭をかくリモン。
「..だども、あんまり心配しねえでけろ。あれはあれで根性ある奴だがらすぐに立ち直るべ」
「だばって、せっかくだはんで、フランさども仲良くなりてがったじゃ..」
フランが駆け込んでいった校舎を覗き込むクラッズ。
「..大丈夫だべ。こったらこどでひねくれでまるような奴なら、おらのイロは務まらねえべ」
リモンは、そう言ってにっこり笑って二人を慰めた。
「そのうちまたみんなで会う機会作るがらまがせてけろ。さ、疲れたべ?まず部屋さ案内すべ」
そして二人の肩を抱いて学生寮へと案内していった。
(ちくしょう..ちくしょう..今に見てやがれ、田舎者どもが!!)
その頃フランはドスドスと荒々しく足音を立てながら図書室へ向かっていた。
(あたいだって魔法には少し自信があるんだ。呪文を覚えることに較べたら
田舎訛りの一つや二つマスターすることなんて、朝飯前にもなりゃしないんだから)
図書室に入るとまっすぐに「全国地方方言全集」が並んでいる棚に向かう。
(ええと、イースト-ノーザンは第二巻か..明日の朝、あいつらに完っ璧な方言で挨拶して、
あたいの底力見せてやる!!リモンの前で農家の小娘如きにでかい面させるもんか!!)
空いている机の上に本を置き、椅子にドスンと腰かけるとさっそくペラペラとページを
めくり始める。
ふと脳裏に、あの二人と楽しそうに談笑するリモンの顔が思い浮かぶ。
(..あたいがお国訛りで話しかけたら..リモン、同じように喜んでくれるのかな..?)
リモンが驚き喜ぶ顔を想像して、頬を赤らめ表情を緩める。
しばらく生暖かい妄想の世界に浸った後、たまたま開かれていたページに目を落とす。
-基本日常会話シーンNo.11「街角にて」
"どさ?""ゆさ!""だど?""など!""わも?""なも!くな?""いが!""はぐ!""まで!"-
(..は?)
目が点になるフラン。果たして彼女の「明日の朝」はいつ来るのであろうか..
とっつぱれ
>>83 乙です。
読んでて勃ってたけど直後にチンコ萎んだwww タマガツブレチマウヨー
調教っつーとそれ一本の長編で過程を楽しむモノというイメージが。
他の長編に絡める場合はやっぱ性感帯開発とかそこらへんでしょうか。
二人とも乙です
>>83 相変わらず締めが素敵過ぎる
ドワさんのシーンは正直玉がキュッとなった・・・w
>>96 まず真っ先にお姉さんキャラとショタクラッズという組み合わせに反応してしまった
クラ男可愛いよクラ男、純粋で必至に走り回る感じがやばい・・・
やはり正統派クラ男はいいね
>>83 ドワ子GJ!“無理矢理犯っちゃって身も心も”は結構あるけど“前略返り討ち”はレアなので
ムリヤラーとしてハァハァしました。骨っ子ドワこ萌え。バハムーンとのラブファックも期待してます。
>>96 方言セレ子来ちゃった!堕ちるりんごw
100 :
このろくでもない素晴らしき仲間達―その3:2010/06/11(金) 08:54:55 ID:PrdxxRr9
うpが遅れてすみません。OTL
では、どうぞ
「はぁ・・・・・・」
「はふぁ・・・・・」
夜の山道を行く、二人の足取りは重い。
今歩いている道も初めて通る道なのか、それとも一度通ったことがあるのか、地図のない今となっては判るはずもない。
「ねぇ、帰ろうよ〜」
「何でよ?」
「やっぱりさ、夜に行こうなんて度代無茶だったのよ・・・・」
「クヨクヨするヒマがあったら、歩く!それに、いまさら戻れないわよ」
カオルの手前、口先では強がったカレンだが本心は彼女と同様だった。
《とは言え、このままウロチョロしていてもどうしようもないし・・・・》
すると、目の前に何かの影が現れた。先ほどのささくれシャークだ。
「ちょっ・・・・・またぁ!?」
「今度ばかしは逃げられそうにないね・・・・・。カオル、覚悟を決めるわよ!」
そう言ってカレンは腰からレイピアを抜いて構えた。
「ささくれシャークに!?大丈夫なの!?」
「私の見立てが正しければ、アレは小物。さあ、行くわよ!!」
カオルの心配を余所に、レイピアで斬りかかるカレン。
「チェストォ!!」
おおよそレイピアのそれからはかけ離れたモーションで斬りつけるが、ささくれシャークはそれをあっさりと回避して噛みつこうとしてくる。
「当たらないわよ!」
突っ込んでくるささくれシャークをカレンは横っ飛びに避け、背中をレイピアで斬りつけたが、分厚いサメ肌に弾かれてしまう。
「ぬぅ、だったらこれで!!」
大きく息を吸い込むカレン。その口から火の粉が滴った次の瞬間には、紅蓮の炎が吐き出された。
『ブレス』。バハムーンとディアボロスの固有スキルだ。範囲は使用者の力量に依存するものの、一体程度なら充分だった。
吐き出された炎はささくれシャークを包み込み、それなりのダメージを与えられたようだ。
「これなら、いける!!」
再びレイピアで斬りかかるカレン。しかし、ささくれシャークはこの瞬間を待ち望んでいた。レイピアの刀身に噛みつき、斬撃を止めてしまう。
「あっ、この・・・・・」
やってはいけないのに、カレンが力任せに引き抜こうとすると、乾いた音が鳴ってレイピアは折れてしまった。
「・・・・・・うそん・・・・・・」
「キシャァアアアア!!」
再び突進してくるささくれシャーク。
「くっ・・・・・きゃん!」
下がろうとしたカレンだが、石につまずいて尻餅をついてしまう。
「ガァアアアア!!」
大顎を開いて飛びかかるささくれシャーク。思わず身構えるカレンだが、自身が餌食になることはなかった。
「ゴベラッ!?」
いきなり飛んできた石ころがささくれシャークの横顔を直撃し、ひるませた。
「カレン、大丈夫!?」
石ころの飛んできた方向にはフェルパーの少女―カオルがライトスリングを片手に立っていた。
「ちょっ、カオル。アンタ今までどこに・・・・っていうか、そのスリングどっから?」
「家から持ってきた。私が援護するわ!」
カオルはライトスリングで再び石ころを投擲する。それはささくれシャークの鼻先に命中し、ささくれシャークは気絶した。
「カレン、今よ!!」
「よっしゃぁあ!!」
カレンは気絶したささくれシャークに馬乗りになると、柔らかそうな腹部にパンチを連打した。
技もヘッタクレもない素人の拳だが、バハムーンの馬鹿力で放たれるそれは威力だけならヒューマンの格闘家を上回るであろう。彼女は殴り続けた。気絶から覚めたささくれシャークがもがき初めてもまだ殴り続けた。
《メキョッ》
布に包まれた何かを踏みつぶすような音がしたかと思うと、ささくれシャークは白目を剥いて絶命した。
「はぁっ・・・・はぁっ・・・・やったの・・・・・?」
「みたい・・・・ね・・・・・」
緊張の糸が切れてその場に倒れ込む二人。視線の先には無数にきらめく星空があった。
「ぷっ・・・・フフフ」
「ク〜・・・・はっはっは」
初めて倒したモンスター。初めての冒険。『こんなに面白いのか』と思った二人は笑い出していた。
101 :
このろくでもない素晴らしき仲間達―第一章その4:2010/06/11(金) 08:56:23 ID:PrdxxRr9
結局、翌朝になってから村へと戻った二人は、カレンは父の癇癪玉、カオルは兄の抱擁とゲンコツで迎えられた。
カレンの父曰く、
『村中に頼んで探すのを手伝ってもらった』
とのこと。
そして二人はと言うと・・・・・
「そこでさ、私はレイピアを捨てて、素手で勝負を挑んだ訳よ。迫るモンスターを千切っては投げ、千切っては投げ・・・・・」
「いやぁ、十匹目までは数えてたんだけどさぁ・・・・・」
村の子供達に昨日の武勇伝(いささか誇張されてはいるが)を語っていた。
「すっご〜い」
「カレンお姉ちゃんカッコイイ〜」
「「いやぁ、それほどでも〜」」
わざとらしく謙遜する二人。完全に声がハモっている。
「ねぇねぇ、カレンお姉ちゃんと、カオルお姉ちゃんは、ぼーけんしゃになっちゃうの?」
ふと、ヒューマンの子供が口にした言葉。
それは2人との別れも意味する。
「「・・・・・・・・」」
よくよく考えてみたら、三年前に『アイツ』(カレンに言わせると)が引っ越してしまって以来、村の小さい子供たちの面倒を2人は見てきたのだ。
もっぱら遊び相手でしかなかったが、子供たちにとってはカレンとカオルは友達であると同時に姉貴分でもあったのだ。
「できるものなら、アンタたちと一緒にいたいわよ。でも、アンタたちが『希望の六騎星』の話を聞いてワクワクするように、私たちも憧れているのよ彼らに」
カレンは内心では多少なりとも迷いはあった。
冒険者はうまみも多いが、危険もそれ並みに多い。最悪故郷とは今生の別れとなってしまうこともあるからだ。
「たまには里帰りもするからさ。だから姉ちゃんたちがいないからって、泣くんじゃないよ。ね?カオル」
「そう言う風に受け取っとくわ」
「と言うわけで、アル。アンタが今日からこいつらのリーダーだかんね。しっかりやらないと、姉ちゃんたちが許さないよ〜」
カレンは目の前にいたドワーフの少年―アルの頭を頭を撫でた。
「うん!・・・・・・隙あり!!」
アルは元気よく返事をしたと同時に腕を振り上げた。
《バサッ》という音とともにめくれ上がるカレンのスカート。今日の下着は縞パンでした。
「こんのぉ、悪ガキャァー!!」
「はぁ。ダメだこりゃ」
もう何度も繰り返されたであろう、この追いかけっこも最後になると思うと、カオルは感慨を覚えずにはいられなかった。
――――
そして次の日の朝、カレンとカオルは再び村の入り口に立っていた。
だが、今度はコッソリ抜け出すのではない。
正々堂々、見送り付きでの出発だ。
「カレン。どうやらお前は、こうやって巣立っていく運命にあったんだな・・・・。だから、父ちゃんのことは気にせず頑張ってこい!!」
「応ともさ!!」
カレンの父は快く送り出す一方で・・・・
「カオル〜兄さんを置いて行かないでくれ〜」
「ああ、もう!いい加減私離れしてよ・・・・」
カオルの兄はまだ決心がつかず、抱きついて離れない。
「じゃあ、行こうか?カオル」
「ああ、ちょっと待ってよ。兄さん・・・離れてって・・・・」
三人がかりでようやく兄を引き剥がしたカオルは小走りで先に歩き始めたカレンに追いつく。
青く晴れ渡る空も、二人の少女を祝福しているように見えた。
102 :
このろくでもない素晴らしき仲間達―第一章後書き?:2010/06/11(金) 09:01:25 ID:PrdxxRr9
ロクデナシが現れた!!
はい、自分の初SSとなります、「このろくでもない素晴らしき仲間達」ようやく第一章が全てうpできますた。
短編を専門としていただけに詳しいルールなどを理解しておらず、ご迷惑をおかけしたのを謝罪します。m(_ _)m
それでは、次回をお楽しみに。
ロクデナシは逃げ出した!!
103 :
このろくでもない素晴らしき仲間達―第一章後書き?:2010/06/11(金) 20:44:43 ID:oebSUtk3
結局、翌朝になってから村へと戻った二人は、カレンは父の癇癪玉、カオルは兄の抱擁とゲンコツで迎えられた。
カレンの父曰く、
『村中に頼んで探すのを手伝ってもらった』
とのこと。
そして二人はと言うと・・・・・
「そこでさ、私はレイピアを捨てて、素手で勝負を挑んだ訳よ。迫るモンスターを千切っては投げ、千切っては投げ・・・・・」
「いやぁ、十匹目までは数えてたんだけどさぁ・・・・・」
村の子供達に昨日の武勇伝(いささか誇張されてはいるが)を語っていた。
「すっご〜い」
「カレンお姉ちゃんカッコイイ〜」
「「いやぁ、それほどでも〜」」
わざとらしく謙遜する二人。完全に声がハモっている。
「ねぇねぇ、カレンお姉ちゃんと、カオルお姉ちゃんは、ぼーけんしゃになっちゃうの?」
ふと、ヒューマンの子供が口にした言葉。
それは2人との別れも意味する。
「「・・・・・・・・」」
よくよく考えてみたら、三年前に『アイツ』(カレンに言わせると)が引っ越してしまって以来、村の小さい子供たちの面倒を2人は見てきたのだ。
もっぱら遊び相手でしかなかったが、子供たちにとってはカレンとカオルは友達であると同時に姉貴分でもあったのだ。
「できるものなら、アンタたちと一緒にいたいわよ。でも、アンタたちが『希望の六騎星』の話を聞いてワクワクするように、私たちも憧れているのよ彼らに」
カレンは内心では多少なりとも迷いはあった。
冒険者はうまみも多いが、危険もそれ並みに多い。最悪故郷とは今生の別れとなってしまうこともあるからだ。
「たまには里帰りもするからさ。だから姉ちゃんたちがいないからって、泣くんじゃないよ。ね?カオル」
「そう言う風に受け取っとくわ」
「と言うわけで、アル。アンタが今日からこいつらのリーダーだかんね。しっかりやらないと、姉ちゃんたちが許さないよ〜」
カレンは目の前にいたドワーフの少年―アルの頭を頭を撫でた。
「うん!・・・・・・隙あり!!」
アルは元気よく返事をしたと同時に腕を振り上げた。
《バサッ》という音とともにめくれ上がるカレンのスカート。今日の下着は縞パンでした。
「こんのぉ、悪ガキャァー!!」
「はぁ。ダメだこりゃ」
もう何度も繰り返されたであろう、この追いかけっこも最後になると思うと、カオルは感慨を覚えずにはいられなかった。
――――
そして次の日の朝、カレンとカオルは再び村の入り口に立っていた。
だが、今度はコッソリ抜け出すのではない。
正々堂々、見送り付きでの出発だ。
「カレン。どうやらお前は、こうやって巣立っていく運命にあったんだな・・・・。だから、父ちゃんのことは気にせず頑張ってこい!!」
「応ともさ!!」
カレンの父は快く送り出す一方で・・・・
「カオル〜兄さんを置いて行かないでくれ〜」
「ああ、もう!いい加減私離れしてよ・・・・」
カオルの兄はまだ決心がつかず、抱きついて離れない。
「じゃあ、行こうか?カオル」
「ああ、ちょっと待ってよ。兄さん・・・離れてって・・・・」
三人がかりでようやく兄を引き剥がしたカオルは小走りで先に歩き始めたカレンに追いつく。
青く晴れ渡る空も、二人の少女を祝福しているように見えた。
第一章―了
104 :
このろくでもない素晴らしき仲間達―第一章後書き?:2010/06/11(金) 20:46:33 ID:oebSUtk3
操作ミスしますた。OTL
先ほどのは無視しちゃって下さい。m(_ _)m
>>96 「どさ?ゆさ!」に思わず反応してしまいました。
セレスティア可愛いなぁ…
今の状態でセレスティアに話し掛けられてもフランみたいな態度を取っちゃいそうな…
と思う、リンゴの県出身者な私でした。
>>102 おつおつ。縞パンとはバハ子可愛いなw
しかしまあなんだ、期待はするがとりあえずメール欄にsageって入れるの覚えてくれ。
*今回は、フェル男とセレ子の話ではなく、クラ男とクラ子の話である。
ある夏の盛り、食堂でクラ男はだらけるようにうちわをあおぎながら机に突っ伏していた。
「あっついな〜、全然涼しくならないし、うちわであおいでもちっとも涼しくならないよ。」
そういう事を言いながら、うちわであおいでいるうちに、誰かがやってきた。
「おはよ〜クラ男君、本当に暑いね…。」
「おはよう、クラ子ちゃんまったくだよ。」
そういいながら、うちわであおぐのやめて、服でパタパタしていた。
「…あたしもやろうかな?クラ男君がしてる事を…」
「クラ子ちゃんも…って、ちょっと待ってよ!クラ子ちゃん、君は女の子なんだからそれしちゃ駄目!!」
「え〜…でも…」
「え〜でも、でも…とかじゃないって!」
「フェア子ちゃんもしてたよ?」
「…(フェア子ちゃん…女の子としての自覚がないの…?)」
フェア子がクラ男と同じ事をしてた事に少々複雑回帰になっていた。
「しかし、こういう時にはプールや海に飛び込みたいよ…」
「プールや海に飛び込み…あ、思い出した!」
「思い出したって、クラ子ちゃんどうしたの?」
「ポレンタ港の近くに出来たプール場って知ってる?」
「ポレンタ港の近くのプール場?ああ、そういえばどこでも情報掲示板にそんな事書いてあったね。」
「この前、買い物してたらくじ引きをやっていて、それでチケット2人分当たったの」
「それはすごいね!で、クラ子ちゃんは、誰と行く予定なの?」
「え?それはもちろんクラ男君とだよ」
「僕!?」
どうやら、クラ子はクラ男をプールに誘おうとしてるようだ。
「でも、クラ子ちゃん、君の準備が…」
「準備なら出来てるよ、水着だって用意してるし」
「その水着ってもしかして…」
「スクール水着だけど?」
「学校のプールじゃないんだから…」
「でも、フェア子ちゃんに聞いたけど、友達と一緒に言った時、スク水の女性が多かったよ」
「…あれ?今スク水ブームだったっけ?」
「スク水ブームかどうかは知らないけど、早く行こうよ」
「…飛竜を使っていくしかないね」
「楽しみだね、クラ男君」
「…そうだね」
スク水ブームかどうか疑問を思うクラ男だが、クラ子と一緒に飛竜でポレンタ港へと向かった。
クラ男とクラ子を乗せた飛竜はポレンタ港に着くと、役目を果たした飛竜はかき消すように消えてしまった。
クラ男とクラ子の前にはプール場が見える。
「ここが、新しく出来たプール場?」
「うん、そうだよ」
新しく出来たのか、まだ人は少ないがすぐには多くなってくるだろう。
「すぐに入れてよかったね、クラ男君」
「本当だね、もうちょっと多いかと思っていたけど」
そうして入場料を払い、2人は更衣室の前まで来ていた。
「じゃあ、クラ男君、また跡でね」
そういって、クラ子は女子更衣室に入っていた。
「僕も入ろう…」
クラ男は男子更衣室に入っていった。
場面変わって、プール場、ウォータースライダーや流れるプールなどいろいろなプールがあるので
結構広い。クラ男は男なので着替えが早い。
「結構広いなぁ…ん?」
クラ男が見渡すと見覚えのある2人を見かけた。遠くからだが…
(あれって、フェル男さんにセレ子ちゃん!?2人まで来ていたの!?)
−フェル男視点
「フェル男さん、次はウォータースライダーに乗りたいです」
「さっきの海の流れるプールといい、セレ子はんも結構過激なの好きなんやな」
「でも私は、フェル男さんと一緒ならどこでも…」
「へ、変ないうなや!(ノム子め、どっかでみとるなこら…)」
−戻ってクラ男視点
「クラ子ちゃん、遅いな…やっぱ女の子って着替えに時間かかるもんだな」
「お待たせー」
やっとクラ子がやってきた、いったとおりスクール水着である。何故か、手首にはいつものベルがあるが
「クラ男君、あたし…似合ってるかな?」
「似合っているよ、でもなんでベルあるの?」
「これ?大丈夫だよ、これベルに見えるけど、水耐性もあるし、結構軽いんだよ」
「そうなんだ」
「えーっと、ウォータースライダーや渦巻き型のプール…どれも楽しみだね」
「うん、そうだね、最初はどこに行こうか…」
−ノム子視点
(おい、フェル男!何やってるんだ!こういう時は『わいもセレ子はんと一緒ならどこでも』というもんだぞ!)
(そういうとは限りませんわ!こういう時こそ男の見せる所ですのよ!)
(お二人とも、流石にカップルだけであっていう事が違いますね…)
(な!?なんで私がこんな男とカップルですの!別に好きで付き合ってるわけではありませんわ!)
((図星ですね…))
((図星だな…ま、そういう所がエル子らしいけど…))
(ちょっと今何考えていましたの!)
((いいや、なんにも))
−戻ってクラ男視点
「なんか、知ってる人たちがいっぱいいるような気がするけど、気にせずに僕達は僕達で楽しもう」
「うん!」
2人は最初に向かったのは、ウォータースライダーだった。
「結構高いねー」
「バンジージャンプもできそうだよ。」
「次は僕達の番だよ。」
「ねえ、クラ男君も一緒に滑らない?」
「え!?それって…」
「いいからいいから」
「ちょっとま…うわーー!!」
ウォータースライダートンネルの中にクラ子と道連れにされるようにクラ男も滑り込んだ
「わーい、楽しいねークラ男君」
「僕は、楽しいかどうか、それどころじゃないって…うわっ!!」
楽しんでるクラ子とは逆にあお向けの状態ですべる事になったクラ男はそれどころじゃないが
「もうすぐ出口だよ」
「え!?ちょっとあっという間すぎるって!!」
バッシャーン!と音が鳴りクラ男がまるで浮かぶような形で飛び込むことになったが
「クラ男君、大丈夫!?」
「いや、僕は平気だから…」
クラ男の事を心配するクラ子。
「もしもクラ男君が怪我する事が会ったら私…」
「心配ないって、僕戦士だしこれぐらいは茶飯事だよ、それよりもクラ子ちゃんも落ち込まないで
君の元気のない姿は似合わないから」
「え、それじゃあ…」
「だから気にしてないって、クラ子ちゃん、次はどこに行こうか」
「…クラ男君と一緒ならどこでも」
「えっ!?」
「冗談だけどね…」
「やっぱりそうだよね〜」
「でも…」「ん?」
「何分の一かは…本気だよ」
「え!?もしかして…」
「ごめんね、今はいえない…」
「今は言いたくないならそれでいいよ、それよりも僕達がクラクタになるまで楽しもう」
「…うん!」
そういって、クラ男とクラ子の仲は深まったという…
−ヒュム男視点
(う、羨ましいですわ、私もヒュム男さんに対して素直になれたら…)
「どうしたんだ?エル子の奴…」
「羨ましがっているんでしょう?クラ子さんたちを見て」
どうも8スレ目の>34改め8-34です。一時期名前を間違えた事もありました
そのときは、8-36です。前スレでこの事を反応してくれた人、返事が遅れ申し訳ありませんでした。
今回はフェル男セレ子モノをお休みしてクラ男クラ子モノにしました。
もちろんポレンタ港のプール場はオリジナル設定ですけどね。
18禁モノ計画は進んでますけど、誰と誰になるかは未だに不明です。
それでは、失礼…
>>110 乙です。最近暑くなってきてるんでプール羨ましいw
ととモノ3出るようですね。2Gなんてなかった。
それでは続き投下します。お相手は最初にあっさりしすぎてたエルフ。
今回は特に注意なし。それでは、楽しんでいただければ幸いです。
風紀委員内において、エルフら三人の立場は楽なものではない。副委員長に委員長であるとはいえ、不信を招けば更迭させられる
可能性もある。そういう意味では、フェアリーは比較的気楽なものである。
才能ある問題児達と行動を共にし、優秀な成績を挙げる彼等に向けられる眼差しは、当然ながら羨望や嫉妬、軽蔑が多い。
だが、今更あの問題児を他人に任せることなどできない。そんなことをすれば、彼等はたちまち入学当初のように、大きな問題を
引き起こし始めるのは明白だった。また、もしそんな選択をすれば、中途半端に責任を放棄したと叩かれるのも目に見えている。
彼等には、立ち止まることは許されなかった。たとえそれが自身を破滅に追い込む道だとしても、進み続けるしかなかった。
とはいえ、彼等自身、立ち止まる気はない。今やあの問題児達は、ただの監視対象などではなく、気の置けない友人であり、大切な
仲間なのだ。それを見捨てることなど、彼等には考えられなかった。
「委員長。再三言っていることではありますが、どうして彼女達の退学を具申しないのです」
「ノーム、それはわたくしも再三答えていることではないんですの?その理由が、ないからですわ」
定期的に開かれる、風紀委員の会議。とはいっても、課題のためにどこか遠くの中継点にいる生徒も多く、参加人数はまちまちである。
この時は、委員長に副委員長、そして数人の委員がいるだけだった。フェアリーはサボりも兼ねて、フェルパーの監視についている。
「理由がない、と言いますが、そう言えるのが信じられません。あのバハムーンは、同じ生徒を殺害したこともあり、ドワーフは小さな
喧嘩を数多く起こしています。フェルパーに至っては、抜刀されたと訴える生徒が数多くいます。それで、理由がないと言えるのですか」
「あなたの仲間を殺害したことに関しては、彼に謹慎を与えていますわ。ドワーフは、あなたが言うとおり小さな喧嘩で、あえて
取り沙汰するほどのことでもありませんわ。フェルパーも抜刀するからこそ、常に三人のうち誰かが付き添っていますわ」
「抜刀すること、それ自体が規則に違反しているではないですか。喧嘩もそうです。それも一度や二度ならまだしも、数え切れないほど
それを起こしていて、なぜ何の処罰もなしなのです。それはあなた達が、自分の利益を守りたいがためではないのですか」
ノームだけあって、彼女は理詰めでエルフを追い込んでいく。だが、エルフは毅然とした態度を崩さない。
「あなたは、一体何のためにそれを訴えるんですの?学園のためでして?それとも、彼等が気に入らないからでして?あるいは、
その彼等と一緒にいるわたくし達が気に入らないからですの?」
「学園のためです。彼女達のような者を野放しにしていては、他の者に示しがつきません」
「そう、規則は厳正に守られるべきだ、と言うんですのね?」
ノームが頷くと、エルフは僅かに笑った。
「では、まずあなたの仲間のバハムーンから退学の具申をしましょう」
途端に、風紀委員室がどよめいた。
「なぜ、そうなるのです」
普段無表情な顔に驚きの表情を浮かべ、ノームは尋ねた。
「彼女は、以前こちらのバハムーンに、喧嘩を仕掛けていますわ。しかも抜刀までして、明らかに殺意を持った攻撃を仕掛けていますわ。
そんな問題を起こしたのなら、退学も当然ですわね」
「し、しかしそれとこれとは…」
「もちろん、彼を一人にしてしまったわたくしの責任もありますわ。だから、彼女を退学にしてから、わたくしも委員長をやめますわ。
それで満足でして?」
「いえ……ですから、その退学は…」
「厳正に規則を守れば、そうなりますわ。それはあなたが望んだことでなくって?」
「………」
思わぬ反撃に、ノームは黙ってしまった。他の委員も、固唾を飲んで成り行きを見守っている。
「自分の仲間だけは特別。でも気に入らない相手は退学にするべき。あなたが言っているのは、そういうことですわ」
ノームの目をまっすぐに見据え、エルフははっきりと言い放った。
「あなた、恥を知りなさい」
「っ…」
その言葉に、ノームは立ち竦んだ。そんな彼女を見据えたまま、エルフは続ける。
「規則は厳格に適用されるべき……それは、わたくしもそう思いますわ。でも、時としてそれは、道理に適わないこともありますわ。
先に仕掛けたのは、彼女。でも、返り討ちにあって殺された。そんな彼女に罰則を与えるなど、人の道に外れていると思いませんこと?」
「……はい…」
「それに対して、彼は正当防衛とも言えますわ。でも、謹慎を受けている。殺されそうになったのは、彼も同じですのよ」
「で、ですが……喧嘩両成敗、というのが規則…」
「でしたら、今からでも彼女に謹慎を課しまして?」
「は……いえ…」
すっかり委縮してしまったノームに、エルフは毅然と続ける。
「あなたのやっていることは、言いがかりをつけて嫌いな相手を陥れようとしているだけですわ。もちろん、そのすべてが言いがかりと
切り捨てられるものではないけれど、厳正に処分を科せと言いながら、相手によって処分が違うというのはいただけませんわね」
「………」
「あなたは、善の思考をしますわね。でも、善も過ぎれば悪と同じでしてよ。規則は厳正中立であるべき。仲間の恨みを、規則を使って
晴らそうなど、言語道断ですわ。それこそ、悪の所業ですわよ」
ノームは無表情に戻っていたが、唇をきつく噛み締め、震えるほどに拳を握っていた。
「もちろん、彼等に何の問題もないとは、わたくし達だって思っていませんわ。でも、四六時中、彼等を見張るなどということは
できないというのも、わかってくれますわね?わたくしはできうる限り、同じ学園の生徒を退学になどしたくありませんわ」
それで、話は終わりだった。以降は大した議題もなく、会議はこれといったこともなく終わった。
それぞれが、教室や寮に戻っていく。セレスティアは他の委員がいなくなったのを見計らって、エルフにクッキーを差し出した。
「お疲れ様、委員長」
「ええ、お疲れ様。いただいていいんですの?」
「どうぞどうぞ。疲れた時には、甘いものが一番だからね」
「ありがとう。では、いただきますわね」
クッキーを半分ほど齧る。サクッと小気味良い音が鳴り、口の中にふわりと甘みが広がる。
「紅茶もいるかい?」
「あれば嬉しいですわね。でも、なければわざわざ淹れてもらうほどほどでもないですわ」
「そうか、じゃあ紅茶はあとにしようか。……それにしても、委員長」
「ん……んく。失礼、何ですの?」
「さっきの、すごい力技だったねえ」
そう言い、微笑むセレスティア。一瞬何のことか考え、エルフは笑った。
「ああでもしなければ、納得させられませんわ」
「いや、私感心したよ。もし危なくなったら、私が何とかしようと思ってたんだけど……委員長、強くなったよね」
彼の言葉に、エルフは笑顔を返す。
「嫌でも磨かれますわ。常に神経を削られる者と一緒にいれば」
「ははは、いい砥石が三人もいるもんね」
「いいえ、四人ですわ。あの問題児三人と、いつも魔が差す妖精が」
「ああ、フェアリーね。でも、彼は彼でよくやってくれてるじゃない」
「それと、神経を使うということは、また別ですわよ」
「ま、それもそうかもね」
二人は同時に笑った。一頻り笑ってから、エルフはちょっとだけ真面目な顔になる。
「それでも、彼等は大切な仲間。それを失うわけには、いきませんわ」
「……ああ、そうだね委員長。私も、そう思うよ」
しばらく、二人は見つめ合った。そして同時に、からりと表情を変える。
「ふう。クッキー、おいしかったですわ。紅茶、いただいてもよろしくて?」
「いいよ。私もちょうど飲みたかったところだし。それじゃ、あとはのんびり、お茶の時間にしようか」
お茶の用意をするセレスティア。机を片づけるエルフ。二人はやはり、とてもお似合いのカップルだった。
それからしばらく後。フェアリーはフェルパーの監視をエルフに引き継ぐと、めぼしい装備でもないかと購買に来ていた。
ここ最近はオーブの争奪戦が繰り広げられているため、購買に入る装備もなかなかいい物が多いのだ。彼等自身、それに参加も
しており、忘却の迷宮では見事にオーブを奪取してみせた。だが、それ以外の場所は他の生徒に任せようという話になり、
参加したのはその一ヶ所だけである。
購買をふらふら飛び回っていると、その背中に声が掛けられた。
「お、なあおい、ちょっといいか?」
「ん?……おお、君は!」
それは、入学直後にバハムーンと乱闘事件を起こしたヒューマンだった。彼等とはその後も、望む望まないにかかわらず、
ちょくちょく関わりを持っている。
「やー、オーブの方はどうだい!?いや、その前に元気だったかい!?君達の話、結構聞くけど活躍してるんだね!」
多くのフェアリーの例に漏れず、彼もヒューマンは大好きだった。だが小さな者ならまだしも、クラッズサイズの彼に
まとわりつくように飛ばれると、鬱陶しさを通り越して身の危険を感じる。
「ああ、えっと……全部総括して『まあまあだ』って答えておくけど、とりあえず落ち着いて話そうか」
「あー、ごめんごめん!魔が差した!で、何?何か聞きたいことでも?」
笑顔で話すフェアリーに対し、ヒューマンは真面目な顔を向ける。
「立ち話もなんだし……あ、いや、立ち話でいいか……とりあえず、率直に聞く。あんたさ、なんであんな奴等と一緒にいるんだ?」
その質問に、フェアリーも表情を改めた。とはいえ、それは真面目な表情ではなく、少し困ったような笑顔である。
「ああ、それか。魔が差した」
「そんな理由かよ」
「冗談だよ、魔が差した。真面目に答えると、少なくとも建前上、あの問題児の監視。僕個人は、それに便乗した成績アップも狙ってる。
一応言っておくと、委員長と副委員長は違うからね。あの二人は真面目だから。ま、ギブアンドテイクってやつ」
「あんた、正直だな……わからなくはねえけど。でも、おかげであんたらの評判まで、ずいぶんひどいことになってるぞ。
それについては、何とも思わないのか?」
「別に。言いたい奴には言わしとけばいいさ。体も張らずに、『あいつらだけいい思いしてずるい』なんて言う奴等、僕は別に、
気にもならないね」
「あいつに聞いた通りだな…」
溜め息をつき、ヒューマンはフェアリーの顔を改めて見つめる。
「体張ってるとは言うけどよ、言うほど大変か?」
「バハムーンもドワーフも、僕は本来大っ嫌いなんだよ。おまけに、あの快楽殺人鬼の猫。全力で体張ってるよ。ほら、たとえばこれ」
言いながら、フェアリーは服をはだけて見せた。そこには、以前フェルパーに刻まれた傷跡が、はっきりと残っていた。
「うわ…」
「君、言えば変わってくれるのかい?常に死の恐怖が付きまとって、大っ嫌いな種族と一緒に冒険する覚悟は?それに、
もう乗り掛かった船だ。今更下りられるもんか。君はうちのバハムーンに色々と恨みがあるだろうけど、僕は君ほどには恨みもない。
嫌いではあるけど、いい仲間だ。君のことは好きだけど、だからといって仲間のことをとやかく言われる筋合いはないな」
一気にまくしたて、フェアリーは服のボタンを留め直す。ヒューマンはまだ何か言いたそうだったが、それ以上は何も言わなかった。
「……ま、僕だって最初は、あんなの退学になればいいと思ったさ。でも、魔が差したのかな。今はもう、本当にいい仲間だよ。
あのバハムーンとは、意外と趣味が合ったしね。ドワーフは喧嘩友達だし、フェルパーなんか慣れれば可愛いもんだよ」
「……理解したくないな」
「理解しなきゃ、やってられないよ。それと、旨みがなきゃ、ね。……話は、これで終わりかい?」
もう話すこともなかった。お互いに理解し合えないということは、どちらも薄々感じていた。
再び、それぞれの行動に戻る二人。彼等の道は、あまりにもはっきりと分かれていた。
僅か一週間ちょっと。たったそれだけの時間であっても、時に大きな変化を引き起こすには十分な時間でもある。
崩壊した校舎。荒れ果てた校庭。そこは辛うじて、拠点としての機能を残しただけの、まさに最後の砦だった。
「……夢みたい、ですわね」
ぽつんと呟くエルフに、セレスティアが答える。
「どっちかと言うと、悪夢……だけどね」
「ほんの数日前まで、わたくし達はただの学生でしたのに…」
「今や戦争に参加する、兵士の一人、か」
四つではオーブ争奪戦の決着がつかず、最後の五つ目のオーブ争奪戦。そのさなか、校長がダンテ先生に殺害されるという事件が
起こった。その目撃者であるパーネ先生も重傷を負ったという話だったが、蓋を開けてみれば彼女が首謀者だった。
異世界から来たというパーネとダンテ。ダンテとの戦いには勝利したものの、本性を現したパーネとは戦いと呼べるほどのことも
起こらなかった。結局、二人を取り逃し、倒れた彼等は他の生徒と共に救出された。
しかし、話はそこで終わらなかった。同じく、異世界から来たというニーナという女性から、その世界の危機を知らされた。そして、
その危機に陥れている者の中に、ダンテとパーネがいると言うのだ。この世には彼等の住む世界と、ニーナの住む世界、そしてダンテや
パーネの住む三つの世界があり、その中の一つが、全世界を手中に収めようと戦争を起こした、というのが今回の事件のあらましらしい。
ニーナの住む世界は、制圧目前となっている。彼女は援軍を要請するために、こちらの世界へ来たのだと言った。
話を聞く限り、こちらも無関係で済む話ではない。そのため、クロスティーニでは学園を挙げて援軍を送ることに決めた。
単に学園の依頼として、または義憤に駆られ、あるいはより効率的に稼ぐため。多くの生徒が、通称『裏の世界』へ行くことを決めた。
彼等も、その中に入っていた。と言うよりも、行かないわけにはいかなかった。飛び抜けた才能と実力を持ち、しかし多くの問題行動を
咎められる彼等が行かないと言えば、たちまち非難に晒されるのは目に見えている。それどころか、ここぞとばかりに彼等を退学に
追い込む動きがあっても、不思議ではない。風紀委員の三人としては、決して乗り気ではなかったが、状況は二の足を踏むことを
許さなかった。
そんな彼等とは別に、問題児三人組は裏の世界に来ることに関して、大いに乗り気であった。
「雑魚どもに俺達の力を見せつける、いい機会だろ?それに、パーネには借りもある」
バハムーンは、これを自分の力を見せつける、いい機会としか見ていなかった。そして、手も足も出せずに終わったパーネとの再戦を、
強く望んでいた。
「やっぱり、あいつが黒幕か。だろうと思ったんだよなあ。いいぜ、行ってやろうじゃねえか。あたしらをコケにした分、きっちり
落とし前付けてやろうぜ。」
だいぶ以前から、ドワーフはパーネがどこか怪しいと踏んでいたらしかった。彼女曰く、その疑念を決定的にしたのは人懐っこいパンナが
彼女に懐かなかったことであり、「動物とガキは、本当の悪人には絶対懐かねえから」らしい。
「いいね!行こうよ!戦争でしょ!?強いの、いっぱいだよね!?ね!?それでさそれでさ!全部殺していいんだよね!?
あははっ!んなー!すっごく楽しみー!ねえねえ!行こうよ!絶対行こうよー!んにーぅ!」
フェルパーは相変わらずである。ただただ純粋に強敵を殺すことを望み、それだけのためにクロスティーニに入学した彼女には、
むしろ裏の世界の惨状はおあつらえむきとも言えた。それに、彼女は魔女の森に悪魔が現れるようになって以来、事あるごとにそこへ
行こうと言い出すようになっていたので、風紀委員の三人としては裏の世界へ来る方がよほど楽だとも思えた。
怪物に変えられたコッパの救出など、元の世界でもやるべきことは多かった。しかし、それはフェルパーがいる限り彼等が請け負うわけ
にもいかず、また善の思考を持つ者が多い、何かと縁のあるヒューマンのパーティがそれを請け負ったことで、彼等は何の躊躇いもなく
裏の世界へと踏み込んだ。
元々がずば抜けた才能と実力を持つ者達である。彼等はたちまち裏世界の主力となり、瞬く間にマシュレニアの奪還を果たした。
パルタクスに戻ると報告もそこそこに、休む間もなく今度はランツレートへと進攻する。
魔法で敵の大半を眠らせ、残った敵を殲滅する。校舎内に侵入した彼等は、魔法剣士と召喚師、そして魔法使いの軍団と対峙した。
「魔法使い軍団は僕に任せろ!ジェラート、オリーブ!雑魚を寄せ付けないでくれ!」
「召喚師……相手にとって不足はありませんわね。おいでなさい、フェニックス!」
「アスペラス!……三人とも、たまには力合わせてくれないかい!?爆裂拳とか、色々あるだろう!?」
「うるせえ!あたしらに口出しすんな!」
協調性のなさは相変わらずである。仲が良いことと、戦闘で協力するということは、彼等にとってまた別の話であるらしかった。
今までに全員で力を合わせたことと言えば、二度目の実技試験で最終試練であるジョルジオに爆裂拳を放ったときぐらいである。
あの時の攻撃は人生最大の一撃だったと、全員が後に語っている。
「下郎め……踊り狂え!」
その時、召喚師軍団の一人が魔法を放った。威力自体は大したこともなく、彼等は難なく耐えきったが、直後バハムーンの様子が
おかしくなった。
「ぐっ……うぅ…!?俺はっ…!?どっちが、敵…!?うぅ……うおおおぉぉぉ!!」
雄叫びをあげながら、バハムーンはフェルパーに切りかかった。混乱していることは、誰の目にも明らかである。
「んにっ!?今戦う!?あははーぁ!!いいけど、遅いよ!遅すぎるよっ!あはははー!」
フェルパーは一歩間合いを詰め、彼の腕を膝と肘で挟み込み、その攻撃を止めた。だがそれだけに飽き足らず、もう片方の手で
ゴルゴンナイフを振りかざすと、何の躊躇いもなしにその腕へ突き立てた。
「ぐああっ!!」
「あっははーぁ!!んにゃお!!」
そのまま、掌までをざっくりと切り裂く。幸か不幸か、途端に石化の効果が発動し、バハムーンはただの石像と化した。
「おいおい、てめえ!何してんだよ!?」
「んなーん、私悪くないもんー。先に仕掛けたのあっちだもんー」
「だからって、カウンターまでするかよ!?ったく、やっちまったもんはしょうがねえけどよ……こいつはほんと、抵抗力ねえよな」
言いながら、ドワーフはダブルアックスを振り回し、魔法剣士軍団へ次々に致命傷を与えていく。
「まったくフェルパー、余計な手間を……委員長、ヒールお願いできるかい!?」
「わかってますわ!回復次第、終わらせますわよ!」
セレスティアがリフレッシュを使い、直後にエルフがバハムーンの傷を癒す。仲間が揃ってしまえば、あとはもはや敵ではない。
まさしく獣の如く荒れ狂う三人を相手に、無事でいられる相手など存在しない。人数差をものともせず、そのすべてを倒してしまうと、
全員を縛りあげてから死なない程度に回復してやる。これで、ランツレート奪還も達成した。
他にヤムハス襲撃などの任務もあったが、一行はユーノへの報告も兼ねて一度パルタクスへと戻った。
それが、今から数時間前の話である。連戦でさすがに疲れたのか、問題児三人はさっさと学生寮へ戻っていた。フェアリーはオリーブや
ジェラートと話をしている。
そして、エルフとセレスティアは、寮の一室にいた。どちらが誘うでもなく、気付けば自然と同じ部屋へと向かっていたのだ。
「……この世界の空も、わたくし達の世界の空も、あまり変わらないですわね」
窓から空を見上げ、エルフがポツリと呟いた。既に辺りは暗く、空には星々が輝いている。
「ああ、そうだねえ。意外と言えば、意外だね」
「この空を見る限り……本当に、どの世界も繋がっているのだと、納得できますわね」
太陽も、月も、星も、何一つ変わらない。そこだけを見るなら、まるで自分達の世界にいるかのようだった。
だが、視線を下げれば崩壊した校舎が映る。久しぶりの勝利に、多少は活気が戻ったとはいえ、やはり生徒の数はまばらで、母校である
クロスティーニとは雲泥の差である。ここはただの学園などではなく、戦場なのだ。
しばらく窓の外を見つめ、不意にエルフが尋ねた。
「副委員長」
「ん?」
「あの星々、いくつ見えまして?」
彼女が指さした先を見ると、紺碧の夜空に小さな星々が集まっているのが見えた。
「ああ、昴かい?んーと……5……いや、6個かな。もうちょっとあるかもしれないけど」
「あら、意外と見えないんですのね。わたくしには、14の星が見えますわ」
「そんなにあるのかい、あれ?委員長、目がいいんだねえ」
「フェルパーなら、もっと見えるかもしれませんわね」
少し笑い、エルフはセレスティアの手を取った。
「あの星は、わたくし達によく似ていますわ」
星を見つめながら、エルフは続ける。
「暗く、闇に閉ざされた夜空……でも、そこここにまだ、光る星が残っている。消えない希望、消えない指標。この地に残された
最後の砦に、多くの星々が集う。儚く輝く小さな星も、強く輝く大きな星も、みな仲間。わたくし達は、夜空に輝く六連星」
「むつら…?」
「昴の別名ですわ。わたくしのような種族でない者には、あの星は大体六つほどに見えるそうですわ」
「なるほど。まさに、私達にそっくりだね。多くの星の中で、特に目立つ六つの星、か」
セレスティアが言うと、エルフは笑った。
「もっとも……本当に大きいのは、あの三人だけですけれど、ね」
「そうかい?私は、私達自身もその資格があると思うけどね」
優しい笑みを浮かべ、セレスティアはエルフの手を握り返す。
「確かに、才能や実力じゃ、彼等には敵わないかもしれない。でも、彼等と共に、ここまでずっと歩いてきたことは変わらないよ」
「副委員長…」
「あの三人だけなら、今頃全員退学か、初めの森で永遠の眠りについてるよ。私達だけでも、きっと冴えないいち生徒として、今も
クロスティーニにいただろうね。でも、実際は違う。私達六人は、六人だからこそ、ここまで来られたんだよ。違うかい?」
優しく笑うセレスティアに、エルフも笑みを返した。
「ふふ。あなたはやっぱり、うまいですわね」
「お褒めに預かり、光栄だよ」
おどけるセレスティア。そんな姿もまた、エルフの疲れた心を癒してくれる。どんな戦場にいようと、どんな地獄に行こうと、
きっと彼は変わらずこうして、自分を気遣ってくれるのだろう。そう考えると、目の前の彼にたまらない愛おしさを感じる。
重ねた手をそのままに、エルフはそっと席を立ち、セレスティアの前に歩み寄る。
「副委員長……ううん、セレスティア」
エルフの呼びかけに、セレスティアは優しい笑みを浮かべた。
「わかったよ、エルフ」
それだけで、二人の間には十分だった。セレスティアも席を立つと、エルフを優しく抱き寄せる。
彼を見上げて微笑み、目を閉じるエルフ。そんな彼女に、セレスティアはそっと唇を重ねた。
軽く唇を吸い、しばしその柔らかい感触を楽しむ。だがエルフは物足りなかったらしく、不満げに鼻を鳴らすと、舌で彼の舌先をつつく。
それを受けて、セレスティアも積極的に舌を絡め始める。部屋の中に、二人の唾液の混じる音が淫靡に響く。
長い長いキスの後、二人は唇を離し、お互いの顔を見つめあった。
「君はいつも積極的だね」
「あなただから、ですわ」
再び、二人は唇を重ねる。強く抱き合い、舌を絡め、お互いの温もりを求めあう。
僅かに唇が離れたとき、不意にセレスティアが頭を抱き寄せた。
「あっ…!」
それに抗い、もう一度キスを求めようとした瞬間、その長い耳をセレスティアの舌がつっとなぞった。
「はぅ…!やっ…」
途端に、エルフの体から力が抜け、耳がピクンと動く。刺激から逃れるように動く耳を、セレスティアは優しく舐め、時に甘く噛む。
その度に、エルフは小さな声をあげ、熱い吐息を漏らす。
「うぁ……耳は、あまり…!」
「でも、君ここ好きだろ?」
「それとこれとは、話が別…!んっ!」
体ごと逃げようとするエルフを捕えたまま、セレスティアは執拗に彼女の耳を責める。最初はそれなりに本気だった抵抗も、徐々に力が
抜けていき、抗議の声も荒い息遣いへと変わっていく。
「んあぁ……セレス、ティア…!」
だんだん力が入らなくなってきたのか、エルフの足は震え、すっかりセレスティアに体を預けている。その反応に気を良くし、なおも
耳を責めていると、エルフが翼をくいくいと引っ張る。
「ん、どうしたんだい?」
羽根が抜けてないかと気にしつつ、セレスティアはそんな様子をおくびにも出さずに尋ねる。
エルフは潤んだ目で彼を見上げると、小さな声で言った。
「お願い……これ以上は、ベッドで……もっとゆっくり、感じたいの…」
「ああ、ごめんごめん。つい夢中になっちゃって」
そこでようやく、セレスティアはエルフを解放した。しかし解放されたものの、エルフは本当に腰が抜けてしまったらしく、その場に
へたり込んでしまった。
「おっと!エルフ、大丈夫かい?」
「あ、足が……もう、いきなりあんなにするから…!」
「ごめんごめん、そう怒らないで。きれいな顔が台無しだよ」
言いながら、セレスティアはエルフを一度翼で優しく包むと、横抱きに抱きあげた。
「……腕、震えてますわよ」
「魔法使い学科だし、力には期待しないで」
それでも何とかエルフをベッドに寝かせ、セレスティアは彼女の服に手を掛ける。同時にエルフも、彼の制服に手を掛けた。
お互いの服の留め具を外し、全て外すと自らそれを脱ぎ捨てる。ズボンとスカートも同じようにして脱ぎ、下着も脱ぎ捨ててしまうと、
二人はしばしの間、互いの体を見つめていた。
「こうしてゆっくり、あなたの体を見るのは久しぶりですわね」
エルフはそっと、セレスティアの胸に手を当て、それを腹へと滑らせていく。
「特にこの一週間、余裕なかったからねえ。私も、君の体じっくり見るのは久しぶりかな」
お返しというように、セレスティアも彼女の胸に手を這わせた。途端に、エルフの体がピクッと跳ねる。
「あっ…」
「だから、今日はゆっくり楽しもうか」
触れた手に力を込め、ゆっくりと胸を揉みしだく。エルフは吐息を震わせ、時折堪えきれずに嬌声を漏らす。
そんな彼女の姿を楽しみつつ、セレスティアはエルフの硬くなった乳首を指先で弄る。
「はっ、ん…!」
声を出すのが恥ずかしいのか、それとも癖になっているのか、エルフは口元を両手で覆い、必死に声を抑えている。あまり声を
聞けないのは残念ではあったが、そのいじらしい姿は可愛く映る。
うなじに舌を這わせる。エルフは小さく驚きの声をあげ、身を捩る。同時にへなっと垂れさがった耳を、セレスティアは再び口に含んだ。
「やっ……セ、セレスティア、またっ…!あんっ!」
耳と胸を同時に責められ、エルフの体が跳ね上がる。素直な反応を返す彼女に、セレスティアはより刺激を強める。
「んあぁ…!や、ぁ…!セレスティア……ま、待って…!わたくしだけ、先にっ……あぅ!」
渾身の力を込めて、エルフは何とかセレスティアを押し返す。無理矢理中断させられたセレスティアは不満そうだったが、
それを口に出すようなことはなかった。
「はぁ、はぁ……わたくしだって、あなたに、その……気持ちよくなって、ほしいですわ。だから……ね?」
今度はエルフが、セレスティアに身を寄せた。そっと胸に手を当て、それを胸から腹へ、さらにその下へと滑らせていく。
「うっ…」
指先が、既に硬くなったモノの先端に触れた。思わず呻くと、エルフは嬉しそうに笑った。
「ふふ。あなたももう、こんなになってたんですのね……こうして触れるのも、久しぶりですわ」
指を絡めるようにそっと握り、ゆっくりと扱き始める。反応を探るように、あるいは焦らすように、エルフはゆっくりとしたペースを
崩さない。
「くぅ……エルフ、できればもう少し…」
「わかってますわ。ふふ」
セレスティアの言葉に、エルフは扱くペースを僅かに速める。同時に親指を離すと、指の腹で彼のモノの先端を撫でる。急に強くなった
刺激に、セレスティアは思わず声をあげてしまう。
「うあぁっ…!エルフ、急にそんな…!」
そんな彼の様子を見て、エルフは妖艶に笑う。そして不意に手を止めると髪を掻き上げ、彼のモノを口に含んだ。
「くぅ…!エ、エルフ…!」
鈴口を舌先で刺激し、唾液をたっぷり絡めて全体を舐める。根元まで咥え込んでから強く吸いつき、そのままゆっくりと顔を上げ、
先端まで抜いてから再び根元まで咥える。
あまりに強い快感に、セレスティアは歯を食い縛り、シーツを強く握ってそれに耐える。その間にも、エルフはキスのような音を
立てつつ、彼のモノを口で愛撫し続ける。
喉の奥まで咥え込み、その状態で舌を動かし、拙いながらも全体を舐める。時には先端だけを咥え、唾液に濡れたモノを手で扱く。
「くっ……あぁっ…!エルフ、もういいよ…!こ、これ以上は私が限界来る…!」
相当に切羽詰まった声で言うと、セレスティアはエルフを押しのける。だが、エルフはそれを不満には思っていないようで、
むしろ扇情的な笑みを浮かべた。
「もう。そのまま口に出してくれてもよかったんですのよ?あなたのなら、全部飲んであげますわ」
「いや、魅力的な言葉だけどさ。二度も三度も出してちゃ、明日に差し支えるよ」
冗談めかして言いつつ、セレスティアは優しくエルフを押し倒す。エルフは期待に満ちた目で、彼をじっと見つめている。
エルフの腹に手を置き、下へと滑らせる。指先が秘裂に触れると、くち、と小さな水音が鳴り、エルフが小さな声をあげる。
「もう、こんなに濡れてるね」
「んんっ……だって、早くあなたのが……欲しいもの」
「ふふ。君って、ほんと二人だと積極的だよね」
セレスティアは足を開かせると、その間に体を割り込ませた。そして自身のモノを、彼女の秘部に押し当てる。
「……いくよ、エルフ」
「うん……セレスティア、来て」
グッと腰を突き出す。濡れそぼった秘裂は彼のモノをすんなりと受け入れ、そのまま一気に根元まで沈み込んでいった。
「うああっ!ああ、あなたの、で……いっぱい…!」
「エルフ、動くよ」
言いながら、セレスティアは既に動き始めていた。その動きは激しく、遠慮というものの一切ない動きだった。
「ああっ!んっ!あんっ!セ、セレスティアっ……激しっ……すぎ、ですわっ…!うああっ!」
荒々しく突き上げられ、切れ切れの呼吸の合間に何とかそう抗議する。しかし、その顔に苦痛の表情はない。
ベッドがガタガタと激しく揺れ、腰のぶつかり合う乾いた音と、結合部からの水音が部屋に響く。二人の体は熱気に赤く染まり、
流れる汗がシーツに染み込んでいく。
「ハアッ、ハアッ…!君の中、すごく熱い…!」
「やぁぁ……そんなこと…!んあうっ!あっ!い、言わないでぇ…!」
何かを求めるように、エルフが手を伸ばす。セレスティアはその手を握り、指を絡める。
「ハアッ……エルフ、エルフ!」
「セレスティア……ああっ!」
絡めた手をベッドに押し付け、セレスティアはキスを求める。そんな彼に、エルフは貪るようなキスで応えた。
さらに腰の動きが強まる。体の奥を荒々しく突き上げられ、欲望のままに求め合う快感に、エルフはあっという間に昇り詰めた。
「ああああっ!セ、セレスティア!わたくし、もうっ……あっ!も、もうっ、イって……うあ、あああぁぁ!!」
エルフの体が仰け反り、ガクガクと痙攣する。同時に彼のモノが強く締め付けられ、その刺激が今度はセレスティアを追い込んだ。
「ぐっ……エルフ、そんなに締め付けたらっ……う、あっ……もう、出る!」
一際強く腰を打ちつけ、一番奥まで突き入れると、セレスティアは思い切り精を放った。
繋いだ手を強く握り合い、二人はしばらくその余韻に浸っていた。やがて、エルフの体がゆっくりと落ち、同時にセレスティアも
大きく息をついた。
「はぁ……はぁ……エルフ…」
エルフが目を開けると、セレスティアの顔が間近に映る。そして彼の顔が、そっと近づく。
「ん…」
それに再び目を閉じて応える。ややあって、唇に柔らかい感触があった。
唇で触れ合い、軽く吸い、二人はしばらくじゃれあうようなキスを続けた。やがて、どちらからともなく唇を離すと、お互いの顔を
見つめ合う。
「……エルフ、好きだよ」
絡めていた指を優しく解くと、セレスティアはエルフの頭を抱き寄せた。
「わたくしも愛してますわ、セレスティア…」
翼をひと撫でし、彼の体を抱き締める。その温もりが、昂った心を優しく鎮めてくれる。
不意に、耳に甘い刺激があり、エルフは小さく悲鳴を上げた。
「やんっ……もう、セレスティア…!いたずらが過ぎますわよ」
「ごめん、あんまり可愛くって。もうしないよ、だから怒らないで」
そう言いつつも、再び耳に唇を寄せると、エルフはそれを察知したらしく、耳を垂らして逃げてしまう。
取り繕うように、セレスティアはエルフの頭を優しく撫でる。彼女も別に怒ってはいないらしく、ぎゅっと抱き締めることで応えた。
言葉より、行動より、何より確かな相手の温もり。それをお互いに強く感じながら、二人は抱き合ったまま、いつしか眠りについていた。
翌朝、二人はいつもよりやや遅れながら、壊れかけた学食へやってきた。仲間は既に全員来ており、ドワーフとバハムーンは相変わらず
一心不乱に食事をしている。
「おはよう、フェアリー。待たせて悪かったですわね」
「おお、委員長と副委員長。あの二人の食事が終わる前に来てくれて助かったよ」
「君とあの二人、相性悪いもんねえ」
二人の声に、フェルパーも振り向く。だが、彼女は二人を見ると、顔を真っ赤にして固まってしまった。
「……フェルパー、どうしたんですの?」
エルフが尋ねると、代わりにフェアリーが答えた。
「あ〜……実はさ、ゆうべ二人んとこ行ったんだよ。フェルパーがどうしても何か狩りに行きたいって聞かないから。したらさ、
部屋の前まで行ったら中の声が聞こえちゃってね…」
一瞬その意味を考え、理解した途端に二人の顔も赤く染まる。
「あ、ああ……タイミング悪いねえ…」
「きゅ、急に来るからですわ!だって、その、わたくし達だって…!」
そんな二人に、フェアリーは笑って答える。
「ああいや、僕はなかなかラッキーだと思ったけどね。委員長、結構いい声で…」
「……フェアリー」
「おおっとぉ、聞かなかったことにしてくれよ。口が滑……魔が差しただけだって」
「君はほんと、相変わらずだよねえ…」
その時、ドワーフが顔をあげた。その口にはやはり、骨付きステーキの大きな骨が咥えられている。
「お前も大変だな。そんな好き者の女と付き合ってるなんてよー」
「だ、誰が好き者でして!?」
「てめえだ、てめえ。お前等、しょっちゅうヤッてんじゃねえかよ。こっちの世界に来てまでとは、ほんと恐れ入るぜ」
「うるさいですわ!す、好きな方と愛し合いたいと思うぐらい、変わったことではありませんわ!」
「だぁから好き者だってんだよ。それにしたって、程度があるだろうがよ、程度が」
ドワーフの言葉に、バハムーンが顔をあげた。
「……お前も、結構求めてきてると思ったが?」
「だっ……てめ、うるせえんだよっ!」
体毛を膨らませながら、ドワーフはバハムーンの顔面に裏拳を叩きこんだ。
「……あなたも、人のことは言えないみたいですわね。しかも、ただ快感を求めるだけのあなたは好き者どころか、さしずめ淫乱と
呼ぶ方がよろしくて?」
「うっぜえ!じゃあてめえはどういう違いがあるってんだよ!?事あるごとにヤッてるてめえだって、淫乱って言えるじゃねえか!」
バン!と大きな音を立て、フェルパーが立ちあがった。顔は真っ赤に染まり、おまけに両手にはナイフが握られていた。
「もう、やーっ!どうしてそういう話ばっかりするのー!?信じられないー!」
「ちょっ……フェルパー、待て!ゴルゴンナイフは洒落にならないから!委員長もドワーフも、そんな話はよそでやってくれぇ!」
「うぅ……俺はなぜ殴られたんだ…!?」
「君は鈍いよ……そ、それより委員長、もうやめよう!フェルパーが危ないし、おまけにみんなこっち見てるし、私恥ずかしいから!」
「このけだもの!あなたもヒューマンみたいに、盛りが治まらないんですのね!」
「てめえこそ、エルフの癖にあたしらみたいな盛りがあるんだな!まったく、てめえとは仲良くなれそうだぜ!」
「二人とも、やめろってばーっ!」
世界が変わろうと、状況が変わろうと、何一つ変わらない彼等の姿。巨大な闇にも飲まれない、強い輝きを持つ六人。
その光は、世界をあまねく照らすようなものではない。しかし、確かにそこにあるとわかるほどの、力強い光。
闇に包まれたこの世界でこそ、彼等は強く輝いていた。まるで、自分の居場所を得たというかのように、強く強く光を放つ。
その姿はまさしく、星に似ていた。闇の中でのみ人々を惹きつける、夜空に光る星々に。
以上、投下終了。
細かい部分を描いてたらキリがないので、この先もクエスト関連は急ぎ足。
ちなみに次回でエロ分は終わってしまいますが、あしからず。
それではこの辺で。
乙です
舞台は殺伐としてるが1番和やかに見える話だったw
やはり2の中二王道ストーリーは上手く料理すれば凄く良いんだがなぁ
期待できないのは分かっているが3に期待ッ!
第二章―いざ行かん、学びの園へ!
「ここが・・・・クロスティーニ・・・・」
「私たちの通う『学園』かぁ・・・・」
村を出てから早数日。カレン達は冒険者養成学校の一つ、クロスティーニ学園の正門前に到着していた。
「にしても、門からして凄い立派ね。村長の家がウサギ小屋に思えてくるわ」
「ウサギ小屋はないでしょ。せめてウシ小屋にしてあげないと」
「あ、そうだったね」
カレンとカオルはいつものように談笑しながら校門を潜るって中に入った。
敷地の中には男女様々な生徒達が行き交っている。ヒューマンやドワーフはカレン達も村で見たことがあるし、フェルパーやバハムーンは互いの親だから言うまでもない。
しかし・・・・
「俗に『エルフ耳』って言うけど、エルフの耳ってホントに尖っているのね」
「でもって、ディアボロスとセレスティアは仲が悪いってのは本当みたい」
田舎育ちの悲しい性か、周囲をキョロキョロしつつ人間(?)観察を始めてしまう二人。
「イッエェーイ!!」
すると、歓喜の声・・・基、奇声を発するヒューマンの少女が目に入った。
蜂蜜色の髪を側頭部で一本にまとめ、それを青いバンドで固定した髪型が特徴的だ。
その反対側には赤いリボンが巻かれており、左右のバランスを保っている。
「新しい環境!新しい生活!楽しい学園生活の、始まりだよ〜っと♪」
性格も発せられた言葉の調子からして社交的だろう。
「うぅ。私・・・ああいうの苦手かも・・・」
フェルパーという種族は極端に人見知りをする。カオルもまた、例外ではない。
特に猫の面影が残るからか、犬のようなドワーフとは相性があまり良くない。
「そう?良いじゃないの明るくて。ハロー!」
そんなカオルをガン無視して、カレンはそのヒューマンの少女に歩み寄った。
「おっと!初めまして。あなたもここへ入学しに?私はオリーブ。よろしくね!」
カレンが近づいたのに気付くと、慌てて取り繕ったようにヒューマンの少女―オリーブは自己紹介した。
「私はカレン。で、こっちにいるのが・・・・。カオル?何やってんの?」
カレンも挨拶で返し、カオルを紹介しようと振り返ると・・・・
「うう・・・・。よろしく・・・・」
当の本人は植え込みの影からジッとオリーブを見ている始末・・・・。
「えっと・・・・まあ、そういうことで、改めてよろしく」
――――
「へぇ、カレンは『希望の六騎星』に憧れてここへ?」
「ま、そう言う所だね。すると、オリーブもそう言う理由でここに?」
「まあね♪私さ、前々からこの学園には見学の名目でちょくちょく遊びに来てるんだ。だから、ここには何人か知り合いも居るし、何処に何があるかとか、カリキュラムも網羅してるの!まあ、早い話が困ったことがあったら何でも聞いてね」
「そん時は頼りにしてるよ」
ベンチに座って三人は会話話に花を咲かせている。
「けどさイヤらしい話、冒険者って儲かる?」
すっかりカオルも打ち解けて早速得意の的外れトークを炸裂させる。
「それがね・・・・まさしく勝てばウハウハ、負ければ大損、最悪命を落としかねないのよ・・・・。あっ!そう言えばもうすぐ入学式始まっちゃうわ。一緒に行きましょう♪」
「いいねぇ!」
「反対の賛成!」
『女三人で姦しい』とは言うが、今の彼女たちはまさにそれだった。
入学式が行われる体育館へやってきた三人は、上級生の案内に従って所定の席に着席した。
『では続きまして、校長先生より新入生の皆様への祝辞です。では、ヴァシュラン校長お願いします』
司会進行のアナウンスの後、初老のエルフが壇上に上がり、演説を始めた。
『フォッフォッフォ。クロスティーニ学園へようこそ、新入生の諸君。先の紹介通り、ワシは校長のヴァシュラン。見た目はすっかりジジイじゃが、心はまだまだ若かりしあのころのままじゃ。諸君らも知っての通り・・・・―』
ヴァシュラン校長の演説は数十分にわたって続いた。この手の事は万国共通のようで。
『式が終わって、職員室で入学手続きを済ませたら、君たちは正式にこの学園の生徒じゃ。さあ、楽しい学園生活の始まりじゃぞい!』
――――
カレン達は入学手続きを済ませると、中庭に掲示されたクラス割表で自分達のクラスを確認していた。
「えっと・・・・私のクラスはっと・・・・。お、B組だ。カオルは?」
「んーと、私もBだよ!」
「やりぃ!ところで、オリーブは?」
「ウソッ!マジで!?あ、あり得ない・・・・悪夢だぁ・・・・」
見る見る顔が青ざめていくオリーブ。カレンが彼女の名前を探してみると、同じB組だった。
「なんで?同じクラスじゃん」
「それを加味しても最悪なのよ・・・。担任の欄見て・・・・。『あの』ダンテ先生なんて・・・・。はぁ、憂鬱だなぁ」
「まあ、決まった奴はしょうがないよ」
カオルはオリーブの肩を叩き、励まし半分諦め半分の言葉を掛ける。
「それもそうね。気を取り直しまして、教室に行きましょ♪」
「あれ?コッパにルオーテ・・・・」
教室に入ったオリーブの目線に、ドワーフとバハムーンの少年が入る。
ドワーフの方は赤いスカーフを首に巻き、手首に金属製の腕輪を着けている。額には何故かゴーグルが見受けられるが、ドワーフのトレンドなのだろうか?
一方のバハムーンは鋭い目つきと蒼天のような青い髪が特徴的だった。
「偶然だね〜。あんたらと同級とはね」
「・・・・そうなるみたいだな」
ルオーテ―と呼ばれたバハムーンの少年―は少し間を空けてオリーブの質問に受け答えした。
「むぅぅ・・・オイラ、パーネ先生ってひとのクラスが良かったよー!」
で、ドワーフの少年―こちらがコッパだろうか―は頭を抱えていた。理由はオリーブと似たクチだろう。
「あ、二人は私と地元が一緒で付き合いも結構長いのよ。目つきが悪い方がルオーテで、小っこい毛むくじゃらがコッパ」
「お前なぁ・・・・人が気にしていることを・・・・。ルオーテだ。まさか同じクラスに同胞がいるとは、これも何かの巡り合わせだな」
「私はカレン。よろしくね」
握手を交わすカレンとルオーテ。バハムーンどうし、相性は良さそうだ。
「オイラはコッパ。よろしく!っていうかオリーブ!毛むくじゃら言うな!」
「カオルよ。こちらこそ、お見知りおきを」
一見すると、こちらも友好的に見えるがカオルの方は一歩引いてしまっている。
「おら、席に着け、お前ら。ホームルーム始めっぞ」
五人が会話をしていると、一人の男性教師が教室に現れた。
鮮やかな赤毛の持ち主だが、頭に生えた二本角からディアボロスのようだ。
「おら、席に着けお前ら。俺がこのクラスの担任を務めるダンテだ」
赤毛のディアボロス―ダンテの指示で着席する生徒達。
「うわ、ディアボロス。ツいてないわね、カオル」
「もっと苦手だよ、あの人は・・・」
カオルだけでなく、オリーブやコッパも、いや、周囲の生徒の半数以上がイヤな顔をしている。
「顔合わせして早々だが、クラス委員を決めようと思う。・・・・オリーブ、お前がやれ」
「っぇええ!?」
いきなりの指名にオリーブは開いた口が塞がらないでいる。
「どうした?不満か?」
「不満も何も、立候補すら取らずに決めるんですか!?」
確かに、オリーブの言う事はもっともだ。本来なら何人か立候補を募るハズなのだが・・・・・。
「面倒だ。お前がやれ。どうせヒマなんだろ?」
「でも、私には図書委員の仕事も・・・・」
「反論を許したつもりはないが?とにかく、お前がやれ。いいな?」
「・・・・・はい・・・・」
「では、ホームルームは終了だ。各自、寮の部屋を確認しておくように。では解散」
「もう、何よ何よ!!ヒューマンがそんなに憎いわけ!?」
ホームルームの後、オリーブはケーキをヤケ食いしながらカレンとカオル相手に愚痴っていた。
「まあ、気持ちはわかるけどさ・・・・」
「何が『ちょくちょく見学に来ているから』よ!!だったら他の連中も一緒でしょうに!」
「はぁ。この先どうなっちゃうんだろ・・・・・」
ついに始まった楽しい学園生活・・・・・のはずが、どうやら早速暗礁に乗り上げそうだ。
〔以下、後書き〕
ロクデナシが現れた!
ロクデナシはじっと様子を見ている。
はい、さっそくですが第二章をうpしました。名無し改めロクデナシです。
第一章と比べてかなり短くなっちゃいましたが、今後ともよろしくお願いします。
エロは・・・・まだ先になりそうです・・・。OTL<ブンサイノナイジブンヲノロウゼ。
では、これにて。
ロクデナシは逃げ出した。
あ、書けた!パソ規制されて投下できず。しょぼん。
どれどれ・・・書けた!
誰得ジョルジオ先生モノ投下していいですか?
大してエロくないうえに本番も発射もなしなもんで終盤ぐだぐだなんですけど。
そうか、わかったありがとう!
あらン、ようやくお目覚め?あん、暴れちゃダメよん。
って言っても机にバッチリ縛り付けてあるから身動き取れないでしょうけど。
アタシが神秘の布から練成した特製のロープだもの、引きちぎるなんて無理無理。
食い込んで痛い思いするだけよん。女の子だもの、お肌にアトが残っちゃったらタイヘンでしょ?
……どうしてこんなことになってるかはわかってるわね?
ちょっとぐらいなら覗いても許してアゲルけどカメラまで用意するのはやりすぎよ。
こんなことしなくても相談してくれたら美しさの秘訣ぐらい教えてあげちゃうのに。おバカさん。
……そう、言い訳しちゃうワケ?
正直に謝ればお説教と筋トレ何十セットかで済ませるつもりだったんだけど
キツ〜イお仕置きが必要みたいね。大丈夫よ、痛めつけたりはしないから。
まずは邪魔な制服をチョキチョキ、ん〜、全部切り取って裸にしちゃうより
胸のところだけ切り裂いてはみ出させたほうが扇情的でいいかしらね。
ウフ、そんな顔しなくても帰るときにちゃんとキレイに練成しなおしてアゲルわよ。
アタシの恥ずかしいところを暴露しようとして失敗したんだもの。
アナタが恥ずかしい思いをするのは当然よね?
アナタ、ブラのサイズが合ってないわよ。コレもチョキン。
…って隙間にティッシュはいくらなんでもダメでしょ!?
そりゃ、サイズ合ってないハズよね。くすくす、んも〜ぅ、ケナゲで可愛いわぁ〜。
でも体に合わない下着はプロポーションを崩す元よ。これも後で練成してあげる。
こんなことしてるようじゃ、今のところ見せたり触らせたりする相手はいないのね?
こんなまぁるくっていやらしいおっぱいしてるのにもったいないわ。
乳首だって色素が薄いのに血色がよくて、男の劣情をそそるためにあるようなおっぱいよね。
な〜ぁに?触らないで?アナタそんなお願いできる立場だと思う?
……まぁ、いいでしょう。
指と舌でたぁっぷりいじめてアゲルつもりだったけど乙女心に免じて直接触るのはやめてアゲルわ。
……勘違いしないことね。お仕置きはまだ始まってもいないんだから。
ジャーン、アタシが開発した陰の人気商品、その名も「GJのコスメセット」よ〜ン♪
ノンノン、メイク道具とは根本的に違うアイテムよ。ラブコスメって聞いたことあるかしら?
あら、その顔はあるのね。その年で。まっ、悪い子。
さすがに使ったことがあるとは思ってないわよ。胸にティッシュ詰めてる子が誰と使うって言うの?
それにあっても関係ないわ。そんじょそこらの既存アイテムとは比べ物にならない効果だもの。
直接触らないって約束だから……そう、これがいいわね。どう?マニキュアにしか見えないでしょ?
間違えて爪に塗ったりしたらしばらく物も持てなくなるわよ。
こういう持っていて恥ずかしくないデザインってこの手の商品では結構重要なのよ。聞いてる?
……アレも嫌、コレも嫌って世の中そんなに甘くないの。
自分のしでかしたことの責任は取らないとダメなのよ。
キャップに付いた筆に薬液をたっぷり取って可愛らしい乳首に──塗り塗り塗り。
あら〜?勃っちゃったわよ、こんなにぷっくりふくらませてイケナイ子。
薬?やぁね、そんな短時間で効くわけがないじゃない。それに塗ってない方の乳首まで勃ってるのよ。
そのいやらしい反応はアナタの素の状態なの。大体薬が効いてきたらこんなもんじゃないんだから。
反対側にも──塗り塗り。いい表情よ〜、真っ赤に上気して本当にいやらしいったらないわ。
先端が弱いみたいだからもう一回追加してアゲル。塗り塗り。
声が我慢できてないわよ。ぬりぬりぬり。
さっきまで泣き喚いてたくせにこんな声をだしちゃうくらいだもの。
よっぽどココがイイのね。ぬりぬりぬりぬりぬり。
もちろん、ココだけじゃ済まないわよ。覚悟はイイ?ダメって言ってもやっちゃうんだけど。
……薄々そんな気はしてたけど、パンティどころかスカートまでタイヘンなことになってるわよ。
上と同じように切っちゃってもいいんだけど。
…イヤだ?やぁ〜ね、いやがるコトしないとお仕置にならないじゃない。
ふ〜ぅん、そう。そんなに言うなら切るのはやめてアゲルわ。アタシがやさしい先生でよかったわね。
パンティ、というよりコレはショーツね、年相応の清楚な下着に
恥ずかしい体液が染みてスッゴ〜クいい眺めよ〜♪
このけしからんショーツをどこまでずらすのがいいかしら?
拘束を解くつもりはないから抜き取っちゃうのは却下よ。
太もも?足首?間を取ってヒザにしときましょうか。
約束だからお肌には触れないように気をつけないとね。
では失礼するわよ。あらあら、こんなに糸を引いちゃって♪
こうなっていることはわかってたけど実際に目にするとまた格別なものがあるわ。
これだけビショビショだと自分でも滲み出す感触があったわよね?どう?恥ずかしいでしょう?
でもコレじゃぁ、付属の筆を使ったら薬液にイケナイ体液が混入しちゃうわね。
GJシリーズは保存料無添加だからそういうの良くないの。
こういうときのためにコスメセットには使い捨ての替え筆が入ってるのよ。気が利いてるでしょ?
しかもこの筆、軸の部分にスポイトが仕込んであるから
ビンに戻さなくても薬液が追加できるっていうスグレモノなの。各方面で大絶賛なんだから。
御託はいいから早く塗ってほしいって顔してるわね。そんなことない?
否定する気概があるのは良いことよ。いつまでその気概がモつか眺める楽しみがあるものね。
乙女たるものどんな時も恥じらいを捨ててはいけないわ。
心意気を評価して、このひくひくと涎を垂らし続けてる割れ目と真っ赤に腫れ上がった突起
どっちに塗りこんでほしいか自分で選ばせてア・ゲ・ル。
どっちもイヤはなしに決まってるでしょ。まぁ、選べないってコトだから両方行っときましょうか。
じっくりゆ〜っくり筆先で体液と練り混ぜながらなぞりあげて、先端で押し付けるように筆を止めるの。
ウフフ、もう声も出せないのね。そんなに舌を突き出してはしたないわ。
フリルをくすぐるように撫で進んで、突起をこねたり…
たっぷり薬液を流しながら単調な刺激で繰り返しなぞってみたり…何回も何回も何回も。
こうやって使う前提だから替え筆の穂先は付属のより太くやわらかくしてあるのよ。すごくイイでしょう?
ん〜、ちょっとスポイトにとりすぎちゃったかしら、結構たくさん使ったのにまだかなり残ってるのよね。
え?お尻はいやだ?や〜ぁだ、ラブコスメのことと言いアナタその手の本の読みすぎよ。
アタシ、女のコのそこをいじる趣味はないの。失礼しちゃう。他に入れる穴のない男のコはともかくねぇ。
でもせっかくだからご期待に答えて残りの薬液全部流しこんでアゲルわ。
筆が触れるたびにひくついて離れるときには腰をはねて名残惜しんで、
こんなところまでホンット〜にはしたないのね。
大事なところからイケナイ体液がこぼれてこぽって音がしたわよ。
自分でも聞こえた?それとも恥ずかしい声にかき消されたかしら?
──パシャリ。
そうよ。アナタが持ってきたカメラを使わせてもらってるわ。
全身と、顔と、胸元……顔の切れた体だけのショットも下品な感じでいいかしら。
ウフフ、こんな写真が出回ったらアナタ男子寮のオカズ女王になれるわよ。
実験設備を流用すれば自分で現像できるんだし局部のアップも撮っちゃおうかしらね。
ほら、もっと顔をしかめて嫌がって見せないと言い訳もできないわよ。
薬が効いてもう演技どころじゃなくなってきてるのね?
汗だくで、触れられてもいないのにガクガク痙攣して、すっごく切なげな表情。ドキドキしちゃう。
……演技どころかカメラ自体気にしてられないってカンジね。ちょっとつまらないわぁ。
……なぁに?よく聞こえないわ。さっきまでの嬌声くらいのおおきさで言ってもらわないと。
……早口すぎて聞き取れないわよ。もう一回言ってちょうだい。
……ごめんなさいね、聞き逃しちゃったみたい。なんて言ったの?
年頃の女のコがそんなおねだりをするなんてよっぽどこのコスメが気に入ったのね。開発者として光栄よ。
でも、そのお願いは聞けないわ。アタシは約束は守るオトコなの。アナタの肌には触らない。
何度おねだりしてもダメなものはダメ。アナタから言い出したコトよ。
え?そうね、アナタがアタシに触れる分には約束の対象外よね。
欲情で爛れた頭で考えたにしてはなかなかのアイデアじゃない。
いいわ、特別に男の楽しませ方をじっくり指導してアゲル。
上半身の拘束は解くけど下半身はそのままよ。
腕も机から離すだけですぐに後ろ手に縛りなおさせてもらうわ。
自由にしてたらアナタ自分でいじりだしちゃいそうだもの。
コレを見るのは初めて?アナタがあんまり乱れるからコスチュームからはみだしちゃったわ。
普段は幻惑の魔法で目立たないようにしてるのよ。
そうしないとココにばっかり目が行っちゃうでしょ?
そんなんじゃ磨き上げた筋肉を強調するために厳選したコスチュームが台なしだもの。
まぁ、ホントのこと言うとコレはコレで自慢の肉体ではあるんだけど。
じゃ、まずは先っぽのところを舐めてみて。
だめよ。あえぎすぎて口の中がカラカラに乾いちゃってるのね。
たっぷり唾液をからめてもう一度よ。そう、そんな感じ。その味を覚えておいてね。
そうやってある程度刺激したら次は裏筋に舌を這わせて。根元から先端まで舐めあげるの。
いきなりそんなに舌を押し付けるなんてなかなか大胆ね。ウフ、いいことよ。
舌をう〜んと突き出して尖らせてそっと舐めるのもいいわ。
アイスキャンディーから融けかけのしずくをすくい取るみたいに……アナタずいぶん筋がいいわよ。
もう一度、今度は緩急をつけながら……そのモノ欲しげな表情すごくいいわ。ゾクゾクしちゃう。
ん、ふ。その段差になったところ、ビクビクするのわかる?そう、気持ちいいの。とっても上手よ。
また先っぽを舐めて。さっきと違うのがわかる?そんなふうに先走りが滲んだら舌での刺激は及第点よ。
次は唇も使ってみましょうか。吸い付いたり、はさむように柔らかくくわえたり。
アナタ、ハーモニカは演奏できる?そう、そんなふうにたっぷりとくわえて押し付けながらすべらせるの。
そのまま先端をゆっくり口の中に吸い込んで。当然歯を立てちゃダメよ。
ん、ん、教えられる前から舌を使うなんて、なんてはしたないの。すごく素敵よ。
すぼめた唇で段差を刺激して。もうすこし口の中に唾液をためたほうがいいわ。
相手もぬるぬるして気持ち良いし、アナタもすべりが良くてラクになるはずよ。
……そういう時は喉の奥まで飲み込んで、
口蓋の固い部分と喉の柔らかい部分の境目で先端を刺激するといいわ。
あ、そんな急にしちゃだめよ、アタシはかまわないけどアナタがえづいちゃうわ。
だから言ったのに。
そうならないように気をつけてゆっくりと…苦しいでしょうけど、唾液があふれてきたのがわかる?
えづいて喉で締め付けられるのも男にとっては結構イイんだけど、相手のコがムセてたら
心苦しいを通り越して辛いと思うコも多いからオススメできないわ。
ちょっと苦しげなくらいだと逆に劣情を煽るけど…まさに今のアナタがそうよ。
だから喉はそのくらいにしてもっと浅いところを往復してちょうだい。
唇をリングにして、軽く吸いながら引きずり出すといいわ。ん、なかなか将来有望よ。
あん、奥はもういいったら。なぁに、アタシの反応が気に入ったってワケ?
ふふ、かわいいじゃない。
喉奥はね、男の側が我慢しきれずに腰を突き入れたり、そこで出しちゃったりしたときに危険なのよ。
だからコントロールが利くあいだしかやっちゃダメ。アタシは…ふふ、どうかしらね?
ソコよりも、唇でカリをいじってちょうだい。舌は亀頭をキャンディみたいに転がすのよ。
フフ、いきなりそんな風に言われてどこのことかわかるなんてやっぱりエロ本の読みすぎね。
いやらしい妄想を膨らませて夜な夜な自分の体を玩具にしているんでしょう?
そのときもそんなふうに腰をくねらせているのかしら?
固定されてないからもっとはしたなく振っているかしらね。
アナタなかなかかわいくて教え甲斐があるからずいぶん時間をかけちゃったわ。
でもそろそろお終いにしましょうか。
基本的なことは教えたし、それを組み合わせる応用力も申し分ないわ。
そんな顔してもダメよ。こういう指導の時には最後まで出さないのがルールなの。
精液の味は実践してからの、お・た・の・し・み♪
え?いや〜よ。教え子と関係を持つつもりはないの。
そんなことしたらミス・ビューティマッチョの称号に傷が付いちゃうわ。
どんなにおねだりしてもダ・メ。
アナタがつらいのはわかってるわよ。その為のお仕置きだもの。
あら、もうこんな時間。職員会議に行かなくちゃ。
ブラはこんな感じね。このほうがボディラインは格段に良いし
厚手のパッドを入れといたからボリュームもそんなに変わらないはずよ。
制服も胸に合わせてすこし改良しておくわね。
貞操の危機を感じるからロープはアタシが実験室を出た後でほどける様にしておくわ。
カメラはここに置いておくわね。
これまでに何を撮ってきたのか知らないけど現像する勇気があるならやってみなさいな。
脚までビショビショにして校内を歩き回るわけにもいかないでしょうから転移札も置いといてアゲル。
部屋に飛んで自分で慰めるのも、男子寮に寄って誰かを誘惑するのもアナタの自由よ。
ここには試験管とかフラスコとか面白いものがたくさんあるけど玩具にしちゃダメよ?
そうそう、もうすぐアナタと同じクラスの男子ばっかり6人のパーティが錬金に来ることになってるの。
あら、その中に好きな人がいるのね?
だったらちょうど良かったじゃない。不純異性交遊には目をつぶっていてあげるわ。
でもアタックのタイミングには気をつけるのよ。リンカン学校になっちゃうわ。
……あら、まんざらでもないって顔ね。
2、3日したら効果も切れるからそしたら結果報告に来なさいな。じゃね、チャオ〜♪
>>135のトリップが違うのは分割を入れる位置を間違えたからです。ごめんなさい。
公式の壁紙に写真風のがあったんでカメラ使いたいな、と。
それが何でジョルジオ先生になっちゃうんだろう…ごめんなさい。
謝罪はするが後悔はしていない!
>>139 何だろう…すごく楽しく読んだんだけど、この今の感覚を何と言えばいいんだろうw
エロいんだが笑いというか何か違うものが先行してしまうw
ではGJ先生が出ていった後の話しを(ry
お褒めに預かりありがとう。
>>141 1.おとなしく部屋に逃げ帰るはずが情欲に負けて転移失敗、男子寮の風呂場に飛んで濡れ着衣&泡プレイ(輪姦)。
2.準備室に逃げ込むが、玩具にした試験管がGJ作のあやしいマジックアイテムで
ゴムチューブは絡みつくわピンチコックに挟まれるわ駒込ピペットに吸い付かれるわの器具機械姦。
3.こらえきれずその場でいじり始めて男子PTに遭遇、正統派輪姦
4.準備室に逃げ込んで男子PTをやり過ごしたがGJに呼び出された想い人に発見されてしまい
ラブファック。GJGJ(ジョルジオグッジョブ)
好きなのを選んでください。書かないけど。知らない単語は検索。
2.が面白く書けそうだけどオチを付けられる気がしない。
どうもこんばんは。ようやく全体仕上がった。
というわけで続き投下します。お相手はドワ子。
注意としては、どっちかというとドワ子上位のドワ×バハ。そして尻尾を使った二穴あり。
あと、男としてはすっきりしないところで切れてます。
それでは、楽しんでいただければ幸いです。
死亡者数、37名。うち、ロスト15名。
裏世界への救援は自由であるといえ、実力に見合わぬ者が多く行ってしまった結果、このような残念な事態となってしまった。
今後、裏世界へ行く者には試験を課すべきか、検討する余地があるだろう。
なお、ロストの中には便宜上、ルオーテも含むものとする。
「たかがヒューマンの分際で……馬鹿か、あいつは」
「あんまり彼を悪く言いたくはないけど……種族はヒューマンでも、頭の中身はバハムーンだね」
正面から敵に突撃し、見事なまでの返り討ちに遭うパルタクスの生徒を見て、バハムーンとフェアリーがポツリと呟いた。
「まったく、あれが作戦と言えますの…!?」
「あれが作戦なら、このバハムーンだって司令官になれるぜ」
「当たり前だ、俺はあんな奴等とは違う」
「バハムーン、フェアリーのそれ皮肉……まあいい、とにかく助けよう!」
危うく失敗に終わりかけたヤムハス襲撃作戦は、一行の活躍によって辛うじて成功を見た。ドラゴンを主とする強力なモンスターには
さすがに手を焼いたものの、それらと正面からぶつかってなお、彼等は負けることがなかった。
この世界に来てからというもの、すっかり主力となった彼等を、英雄と呼ぶ声も多い。しかしながら、彼等はこちらの世界の者と
関わりを持とうとしなかった。
それもそのはずで、そもそも問題児三人はこちらの世界自体には興味がなく、ただパーネとの再戦を望んでいるだけである。また、
風紀委員三人からすれば、この問題児三人に問題を起こされたくはない。クロスティーニだけでも何かと面倒なのに、この上で
異世界との遺恨勃発などという事態になっては目も当てられない。なので極力、こちらからは異世界の住人と関わらないようにしようと
決めていたのだ。とはいえ皮肉なもので、そうしてあまり彼等自身が知られていないからこそ、英雄の呼び名には何の悪意も
込められてはいなかった。
後の始末を、一緒に来ていたオリーブやジェラートに任せ、一行はパルタクスへと戻る。そして、新たな任務である、ホルデアに現れた
謎のドラゴンとの戦いを請け負った。
ホルデアの中継点に向かう道すがら、エルフがポツリと呟いた。
「この任務……裏がありそうですわね」
「え?委員長、何を言い出すんだ?」
フェアリーが聞き返すと、ドワーフが舌打ちを返した。
「ちっ、てめえと意見が合うとはなあ。ま、思うほどには馬鹿じゃねえってことか」
「……んにー?どうしたの?ドラゴンいるんじゃないのー?」
「やれやれ……あのな、山よりでけえドラゴンが、どうして今まで目撃例もねえんだよ」
ドワーフの言葉に、四人は考え込んでしまった。
「そうですわ。それに加えて、どうしてそれが今になって現れたのか、というのも疑問ですわね」
「それだけじゃねえ。こっち側の兵士で、そいつを見たって話は一つもねえ。なのに、山より巨大なドラゴンとかいう、無茶な噂だけが
広まってる。いつ、誰が、どこでそんな噂を聞いた?見た奴が一人もいねえのに、どうしてそんな噂がたつ?」
「……ただの想像とか?誰かが魔が差したとか」
「おめでてえ野郎だな。いいか、これは戦争だぞ。偽情報がばら撒かれるとか、どうして考えねえ。つまりだ、敵にとっちゃ
四天王の最後の一人ってのは、バレてほしくねえんだよ。そいつが隠し玉、あるいは切り札ってことだな。じゃあどうして隠すのかって
言えば……答えは、おのずと限られる」
「敵は既に、こちらに潜り込んでいる。正体を隠し、敵に情報を流しているはず」
エルフが、ドワーフの言葉を継ぐ。
「重要な情報を得られ、こちらの信用のある立場と言えば、あの、ビットという生徒……恐らくは彼が、最後の四天王ですわ」
「ビットが!?委員長、そりゃ何かの間違いじゃないのかい!?」
「てめえはヒューマン相手だと、何でも色眼鏡なんだな。たとえヒューマンだろうが何だろうが、初めて会った相手を簡単に
信用するんじゃねえよ。あたしら以外、周りはすべて敵だと思え。じゃねえと、死ぬぞ」
ドワーフの言葉は、この戦争という状況下においては何より重かった。二人の言葉を確かめるためホルデアに向かうと、
やはりドラゴンなど存在せず、代わりに以前出会った生徒達が全員集められていた。
「……参ったな、委員長とドワーフの言う通りか」
「でもどうして、それがわかってるのに、わざわざ言われたとおりにここまで来たんだい?」
セレスティアの言葉に、エルフとドワーフが同時に答えた。
「正体を悟っていることを、向こうに気付かせないためですわ」
「残った奴がどうなろうと、これが任務だからだ」
二人は顔を見合わせ、そしてニヤリと悪意の籠った笑みを交わす。
「よかったぜ、何から何まで意見が合ったりしなくてよ」
「それはわたくしの台詞ですわ。獣と意見が合うなんて、まっぴらですわ」
「……ある意味、よく似てるんだけどねえ…」
ともかくも、罠であることがはっきりした以上、一行は即座にパルタクスへと戻った。予想通り、最後の四天王とはビットであり、
彼はユーノらを捕縛していた。彼が敵であるとわかった以上、一行は彼と剣を交えた。
戦い自体は、あっけないものだった。先陣を切ったフェルパーが、剣をかわしながら顔面に胴回し蹴りを叩き込み、よろめいたところを
ドワーフの斧が襲う。辛うじて受けた剣は折れ、文字通り吹っ飛んだ彼を、バハムーンのタージェが叩き落とした。
止めを刺そうと振り上げた腕に、間一髪でフェアリーが跳びつき、ビットは危ういところで命を繋いだ。よくよく話を聞いてみれば、
彼はもう戦意もなく、ここで死ぬつもりだったらしい。敵のスパイではあったものの、こちらに味方として接するうち、
情が移ってしまったらしかった。
そんな彼を、司令官であるユーノは許した。フェルパーは彼を殺したがっていたが、司令官が許した以上、それはできない相談である。
その代わりというように、一行は次々に任務を請け負った。死霊術師カテリーナを下し、一気に敵将バルバレスコに迫ったかと思ったが、
パーネの思わぬ裏切りにより、バルバレスコはモンスターと化した。
そのバルバレスコ討伐に向かう頃、元の世界からヒューマンら六人が遅れてこちらに到着した。彼等も最近は腕を上げており、今では
クロスティーニの中で二番目の実力を持つパーティとも言われている。
問題児三人は、彼等とひどく相性が悪い。特にバハムーンは、最初に喧嘩をした張本人であり、相手の仲間を殺した経験もあり、
今でもひどく恨まれている。まして、半数が善の思考をする彼等と、相性がいいわけがない。
だが、風紀委員の三人は別である。彼等がこちらの世界に来たと聞いて、エルフとフェアリーは彼等のところへ顔を出しに行った。
簡単な挨拶をし、現状を説明する。幸い、彼等はカテリーナやビットの依頼を優先的にこなすと言ってくれたので、こちらのパーティと
問題が起きそうな気配はなかった。
話も終わり、いよいよ任務に向かおうとすると、彼等の一人、クラッズの男子がちょこちょこと後をついてきた。
「あの、ちょっといい?」
「あら、どうしたんですの?何か言い忘れたことでも?」
珍しく笑顔を向けるエルフに、クラッズも笑顔を返す。
「うん、ちょっと聞きたいことがあってさ。あの……先輩は、どうしてこの世界に?」
その質問に、エルフは表情を改めた。
「……わたくし達が、元の世界に留まっていられると思いまして?それに、パーネ先生……いえ、パーネのこともありますわ」
「そう……僕は、この世界を純粋に助けたかった。僕だけじゃない、ヒューマンもバハムーンも、ノームだってそう思ってる。でも、
先輩は……そういうことは、ないの?」
「ない、とは言いませんわ。でも、それは数ある理由の一つ。ただそれだけで、動く理由にはなり得ませんわね」
「そっか……ごめんね、変なこと聞いちゃって」
恐らく、彼も善の思考を持っているのだろう。その顔には、僅かながらも失望の色が見て取れた。
「あなたの考えは、立派だと思いますわ。だけれど、わたくし達はそんな重荷を背負うのに、適した者ではなくってよ」
「………」
「ただ、己の求めるままに……何も背負わず、何も抱えず。そんな者達の集まりですもの」
「守るものがないのに、力だけを求めるなんて……そんなの、虚しいよ」
「自由な鳥は守るものもなく、背負うものもなく、だからこそ高く、速く、飛ぶことができるのですわ。あなたには、とても理解できない
ことかもしれないけれど……あなた達は、重荷を力に変えることができる。でもわたくし達は、重荷は重荷でしかない」
エルフの言葉に、クラッズはうつむいた。そして、ぽつりと呟く。
「……僕には、理解できないよ」
「しなくていいことでしてよ。あなた達には、あなた達の道が。わたくし達には、わたくし達の道があるんですもの。あなた達も、
わたくし達も、ただ、自分の信じる道に従うのみですわ」
彼と別れ、仲間の元へ向かう途中、フェアリーが呟いた。
「背負うものも、守るものもないからこそ、速く飛べる……か。身につまされるね」
その言葉に、エルフは思わず噴き出した。
「ふふふ。別に、あなたのことを言ったわけではなくってよ。確かに、ぴったりではあるけれど」
「委員長が噴き出すのなんて、初めて見たなあ。僕、そんなに面白いこと言ったかい?」
「いえ。ただ、自覚があるんですのね」
「まあねえ。委員長と副委員長見てたら、何の役職にもない僕の立場が、どれほど気楽なもんかってのはよくわかるよ」
相変わらず軽い調子ではあったが、その言葉は本心のようだった。
「守るべき世界、守るべきもの、守るべき何か。それが足を引っ張るものになるなんて、彼等はわかんないんだろうなあ。あとは、
守るべき規律、とかね」
「もう。意地悪ですわね」
「はは、ごめんごめん」
直後に続く言葉に、エルフも声を合わせた。
「魔が差した」
二人はお互いの顔を見つめ、同時に笑った。
「はっはっは、すっかり読まれてるなあ」
「あなたの口癖ですものね。嫌でも覚えますわ」
だが、少なくとも今年度の初めまで、彼のことなどほとんど知らなかったはずだった。むしろ、風紀委員内での問題児という認識しか
なかったはずなのだ。それが今では、こうしてお互いのことを誰よりも理解する間柄になっている。
性格も、力量も、何もかも理解しあえる存在。それがある限り、彼等は誰にも負けないという、強い確信を持っていた。
モンスターと化したバルバレスコを討伐した直後、突然巨大な塔が現れた。そこが最後の決戦の場だということは、全員が何となく
理解していた。
だが、すぐに乗り込むわけにはいかない。まだ人質の解放という任務もあり、それ以外の依頼も残っている。もっとも、雑多な依頼は
ヒューマン達が請け負っているため、一行は人質の解放を受け、トハス海底洞窟へと向かった。
そこで戦った、白氷の獣王は恐ろしく強かった。バハムーンが瀕死に追い込まれ、最強の召喚獣であるセラフィムすら容易く退けられた。
それでも、彼等は負けなかった。ドワーフの斧が敵の腕を叩き切り、フェルパーが喉元を切り裂く。フェアリーの矢が次々に
突き刺さり、エルフが回復し、セレスティアがビッグバムを唱え、元気を取り戻したバハムーンが止めの一撃を放った。
戦闘に勝利したとはいえ、一行の疲労は激しかった。そのまま神の塔へ行くことはさすがにできず、ポストハスで宿を取る事に決める。
「それにしても、君達って本当に強いねー。あんな化け物、よく勝てたね」
「いやー、僕達だって結構やばかったよ。魔が差したから勝てたけど、あんな化け物、二度と相手にしたくないね」
「魔が差したからって……一体どういう理由ですの」
宿には一行の他に、オリーブとジェラート、そして剣になっているルオーテも一緒だった。そしてフェアリーはこれ幸いと、大好きな
ヒューマンであるオリーブやジェラートと話をしていた。
「明日には、神の塔なんだよね。でも、君達と一緒なら平気かな?」
「はは、僕もそうだと願いたいね。ま、あんな化け物はもう出ないだろうけど」
談笑する三人の背中に、不意に声がかかった。
「んなーぅ。フェアリーフェアリー」
「……はい!?」
振り向くと、そこにはフェルパーが一人で立っていた。
「暇なのー。遊びに行こうよー」
「ちょちょ、ちょっと待てぇ!どうして君が一人なんだ!?一緒にいた委員長と副委員長は!?」
「だってだって、話ばっかりで退屈なんだもんー。ねー、何か殺しに行こうよー」
つまり、あまりに退屈なので、二人に黙って勝手に出てきてしまったらしい。
「……オリーブ、ジェラート、ごめん。僕はちょっとここで…」
「あ、ああ、うん。その、頑張って…」
仕方なしに、至福の時に別れを告げ、フェアリーはフェルパーを連れて歩きだす。
「殺しに行くったって、僕等二人で行くわけにいかないだろ。明日も明日だし、今日はじっとしてようね子猫ちゃん」
「んむぅー、何か殺したいのにー……部屋いても暇なのー」
「トランプぐらいなら付き合ってあげるから、今日は頼むから大人しくしてて、ほんと」
去っていく二人の背中を見つめながら、オリーブがぽつんと呟く。
「確かに、すごく強い人達ではあるんだけど……危ない人多いし、正直、あんまり仲良くなりたいと思うような人達じゃないよねえ」
彼女の言葉に、ジェラートも黙って頷いていた。
夕食も終わり、翌日の準備を済ませる頃には、もうだいぶ夜も更けていた。
バハムーンも部屋に戻り、準備を済ませてベッドに寝転んでいたが、やがてドンドンと乱暴なノックの音が響いた。
「入れ、鍵は開いてる」
「おう、少しは気が利くようになったかよ」
そんなことを言いながら、当たり前のように部屋へと入るドワーフ。
「いちいち鍵を開けるのも、面倒なんでな」
「いちいち鍵開けさせんのも面倒だから、ちょうどいい」
喋りながら、ドワーフはバハムーンの隣に腰を下ろした。そんな彼女の服に、バハムーンは早くも手を掛ける。
「うおっと、相変わらずせっかちな野郎だな」
「お喋りを楽しみに来たわけでもねえだろう」
「そりゃ、まあな。……おい、服が破れる。無理に脱がせようとすんな。あと、そんならお前もさっさと脱げ」
あまりに乱暴な手つきに、ドワーフはバハムーンの手を振り払うと自分から服を脱ぎ始めた。彼は彼で、言われたとおりにさっさと
服を脱ぎ始めている。
着ていた服をベッドの下に落とすと、バハムーンは先に脱ぎ終えていたドワーフを抱き寄せる。しかし、ドワーフはそこで彼の手を
掴んだ。
「おい、待てよ。ヤるときって、いっつもあたしがしてやるばっかりじゃねえか。たまにはお前が、あたしにしてくれよ」
「断る」
「だっ……おい、待てって!いつもてめえの好きにやらせてやってるじゃねえか!一回ぐらい、あたしの好きにさせろよ!」
「うるさい!黙っていつもみたいにしてればいいんだ!」
「ふざけんなてめえ!あたしがずっと、てめえの言いなりになると思うな!」
さすがに種族の差があり、力ではバハムーンに分があった。必死の抵抗をするものの、ドワーフはあっさりと組み敷かれてしまい、
バハムーンは彼女の両腕を封じて不敵に笑う。
だが、ドワーフは挑発的な笑みを返すと、肘で体を浮かせた。
お互いの顔が、吐息のかかるほどに近づく。初めて間近で見る顔に、バハムーンの動きが思わず止まった。
直後、ドワーフの顔が消えた。それと同時に、首に凄まじい痛みが走る。
「ぐっ…!?」
「……いいから、黙って従えよ。嫌だってんなら、このまま食いちぎるぜ?」
喉元に熱い吐息を感じる。それに答えられずにいると、首の痛みはますます強くなり、気道が圧迫されて呼吸すらも妨げられる。
「がっ……ぐ、が、ぁ…!
牙が首筋に食い込み、血が流れるのを感じる。どうやら本気らしいと悟ると、バハムーンは抑えていた腕を解放した。
首筋に相変わらず食いついたまま、ドワーフが体を起こす。そして、今度はバハムーンの体を押し倒すと、ようやく口を離した。
危うく死の危険を感じるほどではあったが、パタパタと振られる尻尾が、彼女にもう殺意はないことを示している。
「そうそう。そうやって最初から大人しく従えばいいんだ。あ、けど途中でいきなりやめた、とかはなしだぞ」
「気に食わんが、そんなことはしねえ。血が流れている以上、祖先の血に誓ったも同然だ」
「じゃあ安心だな。さーて、何してもらうかな」
ドワーフはにんまりと笑うと、再びバハムーンの首に顔を近づける。そして、先程の噛み傷をペロッと舐め、体を離した。
「ふふん……そうだな。いつも、あたしがお前の舐めてやってるだろ?だから今日は、お前があたしの舐めろよ」
言いながら、ドワーフは足を広げて毛を掻き分け、自身の秘部を広げて見せた。
「……仕方ねえな。だがその前に、一つ聞かせろ」
「あん?何だよ?」
「お前、俺の首にしろ骨にしろ、物を咥えたままでどうやって喋ってるんだ?」
「今聞くことじゃねえだろ。あたしは舌長いし、お前達とは体の作りが違うんだ。んなのいいから、さっさとしろよ」
ドワーフに急かされ、身を屈めようとすると、彼女は不意にそれを止めた。
「あ、待て。それじゃやりにくいだろ?こっち座ってやるから、そっちからしろよ」
そう言い、ドワーフはベッドの縁に座り直した。だがその表情を見る限り、ただの親切というわけでもないようだった。
それでも従わないわけにはいかない。バハムーンはベッドから降りると、一瞬躊躇ってから、ドワーフの前に跪いた。ただ、さすがに
両膝をつくのはプライドが許さないらしく、片膝を立てた状態である。
ちらりと、ドワーフの顔を見上げる。予想通り、彼女はバハムーンを満足げな目で見下ろしていた。
そっちは意識しないようにしようと心に決め、広げられたドワーフの秘部に目を移す。
関係を持つことは何度もあったが、こうしてまじまじと見るのは初めてである。思えば彼女の顔すら、あれほど間近で見たことは
なかった。
彼女を抱くときは、いつも自分の思うようにしか抱いていなかった。だから行為の間、彼女の浮かべる表情は泣き顔か、
苦悶の表情ばかりだった。
新たな表情を見られるのなら悪くないと、無理矢理自分を納得させ、バハムーンはドワーフの割れ目に舌を這わせた。
「んっ…!」
ドワーフの体がピクンと跳ねる。バハムーンは反応を探るように、ゆっくりと舌を動かす。
「んっ!はあっ!うぁ……あんっ!」
襞をなぞり、小さな突起をつつき、舌を中へ入れる。その度に、ドワーフは嬌声をあげ、体を震わせる。
奉仕するという意思もなく、知識も全くなかったため、どうすれば気持ちよくなるのかなど、わかるわけもない。だが彼女を見る限り、
悪くはないのだろう。その反応に気を良くし、バハムーンはさらに丁寧に愛撫する。
ドワーフとしても、この状況は非常に心地よかった。あの傲慢なバハムーンが、自分の前に跪き、奉仕している。おまけに、拙いが故に
ひどく丁寧な舌使いで、気分的なものを差し引いても意外なほど気持ちよかった。
「あふ……あぁ…!なかなか、いいぜ…!もうちょっと上……うああっ!そ、そこぉ!」
舌を動かす度、ドワーフは素直に反応する。立場としてはひどく面白くないが、しかし彼女の姿はそれだけでバハムーンに十分な
刺激をもたらす。
既に、ドワーフのそこはじっとりと濡れ、周囲の毛も黒く湿っている。奉仕させられているという不快感はあるが、自分の行為で
彼女が気持ちよくなっているのだと思うと、それ自体にはさほど悪い気がしない。
さらに刺激を強めようと、そこに口を付け、奥まで舌を突き入れる。
「うあっ!それっ……ああぁ!」
「ぶっ…!?」
突然、頭を掴まれ、思い切り押し付けられる。おまけに太股でがっちりと挟まれ、バハムーンは全く身動きが取れなくなってしまった。
「やべっ、それすげえっ……あっ!くぅっ!んっ……ふあ、ああぁぁ!!」
一際強く押し付けられ、同時にドワーフの体が震える。ややあって、足と手から力が抜けていき、頭に彼女の体重を感じた。
「はあっ……はあっ……っふあ、はぁ……おっと、顔汚しちまったか…?ま、気にすんな。意外とよかったぜ?」
どうやら軽く達してしまったらしく、ドワーフの声は少し間延びしている。しかし、その目に光る情欲の火はまだ消えていない。
「来いよ。やっぱ舌だけじゃ物足りねえ」
口元を腕で拭ってから、バハムーンは再びベッドに上がる。そしてドワーフに手を掛けると、彼女はその腕を振り払った。
「おいおい、誰がお前の好きにさせるっつったよ?お前はそこ座ってろ」
「……ちっ!」
「ち、じゃねえよ。黙って言うこと聞け。……今度は、絶対に動くんじゃねえぞ」
「誓いは守る」
ふて腐れたように答えるバハムーンを満足げに見つめ、ドワーフはいつかのように、彼の腰にまたがる。だが、すぐに入れたりはせず、
不意に彼の尻尾を掴んだ。
「うお……いきなりなんだ?」
「いやあ、別に。ただ、お前の尻尾って見た目ごつごつしてそうなのに、意外とつるつるだよな」
言いながら、ドワーフは掴んだ尻尾を指先で撫でる。微妙なこそばゆさを感じ、バハムーンは嫌がるように尻尾の先端を動かす。
「祖先の違いだろうな。中にはざらざらした奴もいる」
「へーえ。これ切ったら、やっぱりしばらく動いてんのか?」
「そこまで知るか。大体それこそ、今聞くことじゃねえだろう」
「それもそうだ。けどうるせえ、口答えすんな」
そっけなく言うと手を離し、代わりに彼のモノを掴む。そこは既に大きく硬くなり、ドワーフの手の中で熱く脈打っている。
「相変わらず、無駄にでけえよな。ま、これがいいんだけどよ……ん…」
ドワーフは秘裂を指で広げると、彼のモノをそこで扱くように擦りつけ、自身の愛液をたっぷりと絡める。やがて全体に塗り広げると、
いよいよそれを秘部に押し当てた。
「んっ……くっ、あ…!」
ゆっくりと体重を掛ける。小さな割れ目が広げられ、バハムーンの巨大なモノが少しずつ飲みこまれていく。
明らかに大きさは合っていないものの、バハムーンのモノには満遍なく愛液が塗りつけられ、また何度も交わっているだけに、
ドワーフが痛みを訴えるようなことはない。むしろ、その顔には今までに見たこともないような、快感の表情が浮かんでいる。
「うっ……あぁ…!はあっ、はあっ……すげえ、いい…!腹ん中、広がって……お前の、こんなよかったのか…!」
「く……おい、ドワ…!」
「動くな、馬鹿野郎!せっかく気持ちいいんだからよ……あうっ!ふあぁ……んんん…!」
さすがにきつくなってきたのか、ドワーフの呼吸は徐々に荒くなり、時々尻尾と耳が痛がるようにピクンと動く。
しかし、それでもドワーフは動きを止めない。やがて、バハムーンのモノを根元まで咥え込むと、ドワーフは大きく息をつき、
彼の胸に体を預けた。
「く……っはあ…!はあーっ、はあーっ……あつ…!さすがに、ちょっと痛え……けど、腹の奥いっぱいで……んう…!気持ちいい…!」
蕩けるような表情を浮かべ、自分に縋りつくドワーフを、バハムーンは持て余しているようだった。背中を抱こうか抱くまいか迷い、
しかし動くなと言われているせいもあり、結局は何もせずに上げかけていた手を下した。
ドワーフの方は、しばらく彼に縋りついたまま荒い息をついていた。少しずつ呼吸が落ち着き、強張っていた体が弛緩してくると、
彼女は自分から体を離した。
「はぁ、ん…!いいか、動くなよ……勝手に動いたら、食い殺すぞ…」
さらりと物騒なことを言うと、ドワーフは腰を動かし始めた。
「んんっ……ふあ、あっ!あんっ……んあぅ!」
腰を前後に動かし、時に左右にくねらせ、その度に一番奥がぐりぐりと刺激され、ドワーフに大きな快感をもたらす。バハムーンから
すればひどく物足りないのだが、言われたとおりに動いたりせず、ただじっと耐えている。
「ああ、あっ!すげえ、いい…!奥が、擦れてっ……ふあっ!気持ち、いい…!」
そんな彼とは裏腹に、ドワーフは欲望のままに快感を貪っていた。今までとは比べ物にならないほどの快感。それまでなら苦痛にしか
なり得なかった、凄まじい圧迫感すら、今は快感としか感じられなかった。
「んあっ!あっ!あっ!もっと、いっぱい……あん!もっと、気持ちよくしてぇ…!」
「……どうしろと…」
縋るように言われ、バハムーンは戸惑った。動くなときつく言われ、しかしもっと気持ちよくしろと言う。言葉もなく困っていると、
不意にドワーフの尻尾が、バハムーンの尻尾に重なった。どうやら偶然ではなく、意図的に重ねてきたらしい。
「これぇ……まだ、空いてるとこあるだろ…?これ、入れてくれよぉ…!」
その意味を一瞬考え、理解すると同時に、バハムーンはごくりと唾を飲み込んだ。
ゆらりと尻尾が動き、ドワーフの尻尾の裏側をなぞるように動く。そして付け根まで動くと、そこにあるもう一つの穴にあてがわれる。
「んんっ……あ、ちょっと待て…!これ……ふあ…!」
一度結合部に手をやると、ドワーフは溢れる愛液を指先で掬い、バハムーンの尻尾の先に塗り付けた。
「い、いいぜ……そのまま、中にぃ…!」
「……ああ」
先端が、僅かに入りこむ。一瞬の間をおいて、バハムーンは一気に押し込んだ。
「うああああっ!?」
悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げ、ドワーフは再びバハムーンにしがみついた。
「す、すごっ……腹ん中、擦れっ……擦れてぇ…!」
なおも奥まで入れようとするバハムーン。しかしそこで、ドワーフが尻尾を掴んだ。
「あぐっ……ふ、太すぎる…!それ以上は、やめろっ……壊れ、ちまう…!」
ドワーフは腰の動きを止め、しがみついたまま荒い息をつく。ややあって、体内の感覚を探るかのように、少しずつ腰を動かし始める。
「はあっ……あくっ…!バ、バハムーン……尻尾、動かせよ……それだけは、許してやる…」
言われたとおり、バハムーンはゆっくりと尻尾を動かした。途端に、ドワーフの体がビクンと跳ねる。
「うあぁ!!はぐっ……す、すげ、いい……な、中で、擦れてっ……バハムーン、もっと強く……う、うあああぁぁ!!!」
ドワーフの言葉を受け、バハムーンは尻尾を激しく動かし始めた。
腸内を荒々しく犯され、腸壁越しに尻尾と彼のモノがゴリゴリと擦れ合う。腰を動かすまでもなく、それはドワーフに強すぎるほどの
快感を与える。
「うああ!!は、激しっ……やぅ!んあ!バハムーン!すげえ、気持ちいいよぉ!!」
「くっ……なら、もっと激しくしてやる…!」
バハムーンとしても、それは思った以上に気持ちよかった。尻尾を入れた時から、ドワーフは彼のモノを強く締め付け、また尻尾を
動かす度に、自身のモノを刺激できるため、バハムーンは彼女への気遣いなど一切なしに尻尾を動かす。
「きゃう!やあぁ!こ、擦れるぅ!!腹ん中っ……あん!腹ん中、ぐちゃぐちゃになっちまうよおぉ!!」
両方の穴を同時に犯され、今まで感じたこともないような快感がドワーフを襲う。
「や、やばっ……バ、バハムーン!!あたし、もうっ!!やっ、ダメ!!掻き回しちゃっ……か、体、変にっ!!うあっ!!やっ、
よせっ、だっ、バハ……や、んぅ、ああああぁぁぁ!!!!」
切れ切れの悲鳴を上げ、一際大きな声をあげたかと思うと、ドワーフの体が大きく仰け反り、ガクガクと痙攣する。同時に、
膣内と腸内が激しく収縮し、バハムーンのモノを強く締め付けた。
その間も、バハムーンは尻尾の動きを止めない。だが、仰け反っていた体が落ちると、ドワーフはその尻尾を掴んだ。
「はぁ……はぁ……もう、いい……やめろ…」
「……仕方ないな」
自身ももう少しで達しそうだったため、バハムーンは不満そうだったが、渋々彼女の中から尻尾を引き抜いた。それが抜けきると同時に、
再びドワーフの体が仰け反る。
「んあっ!……やぅ…」
またも軽く達してしまったのか、再びバハムーンのモノが強く締め付けられる。しかし、その感覚を楽しむ間もなく、ドワーフは
腰を浮かせると、彼のモノも抜いてしまう。
「……おい、ドワーフ。俺はまだ…!」
「あん?あたしはもう十分楽しんだ。だから終わりだ。出してえってんなら、一人で出してろ」
服を身につけながら、ドワーフはそっけなく言う。そんな彼女に、バハムーンは舌打ちをしたが、すぐに人を見下したような笑みを
浮かべる。
「ふん、そうか。確かにお前の勝手をされるよりは、そっちの方がよっぽど気持ちいいかもしれねえな」
その言葉に、ドワーフも挑発的な笑みを返す。
「ほーお、じゃあよかったじゃねえかよ。これで大好きなオナニーがいっぱいできるじゃねえか」
「わかってるならさっさと帰れ、邪魔だ」
「言われなくても、んなの見たくもねえ」
「じゃあ出てけ」
「命令すんな」
「じゃ、出て行ってくれ」
「寂しくなっても泣くんじゃねえぞ。もう戻らねえからな」
「誰が泣くか」
「お前だお前。じゃあな」
最後に人を小馬鹿にした笑みを浮かべ、ドワーフは部屋から出て行った。
バタンとドアのしまる音が響くと同時に、バハムーンは大きな溜め息をついた。
「……ちっ、無理にでも引き止めるべきだったな……いや、だが誓った以上…」
一人ぼやき、バハムーンは額に手をやった。
「それでも、せめて一緒にいるぐらい……いや、今からでも…………いや、ダメだな、もう…」
大きな溜め息をつくと、バハムーンは一人のベッドの上で、がっくりとうなだれた。
一方ドワーフも、ドアが閉まると同時に笑みは消え、悄然とした顔で息をついた。
「……あー、失敗した。あんなこと言わねえで、手か口で抜いてやるべきだったかな…」
閉まったドアを横目で見つめ、音が出ないように寄りかかる。
「思えばキスすら、一回もしてねえもんなぁ……それぐらいしてやってもよかったかなぁ……そこまでしなくても、一緒にいてやる
ぐらい……いっそ今からでも、戻って一緒に……って、んなのできるわけねえよな……あんなの言った後で…」
天井を見上げて溜め息をつき、ドワーフはしょんぼりとうなだれた。
「今更、おせえよなぁ…」
ドア一枚を隔てたところで、二人は全く同時に同じ言葉を呟いていた。
その頃、エルフとセレスティアは同じベッドの上にいた。自分にもたれかかるエルフを、セレスティアは腕と翼とで優しく抱いている。
「……やっぱり、不安かい?」
「……ええ」
素直に答えるエルフに、セレスティアは優しく微笑みかける。
「大丈夫だよ、エルフ。危ないときは、私が守るから。私としては全世界より、君の方が大事だからね」
「もう、そんなことを言ってはいけませんわ」
とはいえ満更でもないらしく、エルフは笑いながら窘めている。
「はは、ごめんごめん。でも、私だけじゃない。みんなが一緒なんだ。きっと、勝てるよ」
「『きっと』と言う辺り、あなたも実は自信ないんじゃなくって?」
そう指摘されると、セレスティアは困ったように笑った。
「ははは、鋭いなあエルフは。まあ正直、私だって不安だよ。でも、みんないる」
僅かに、エルフを抱く力が強まる。そんな彼の翼を、エルフは優しく撫でた。
「ええ……そうですわね。でも、セレスティア……みんなの前で、弱音は吐けませんわ。だから、今だけは…」
「……わかってるよ、エルフ」
微かに震えるエルフの体を、セレスティアは強く強く抱きしめる。
どうしようもないほどの不安の中、お互いの温もりだけが、心を落ち着けてくれる。いつしか眠りにつくまで、二人はずっとそうして
抱き合っていた。
同時刻、フェルパーの部屋。彼女は退屈から早々にベッドに入り、安らかな寝息を立てていた。
その耳が、ピクンと動く。ややあって、さらにピクピクと耳が動き、フェルパーはうっすらと目を開けた。
「んに……フェアリー?」
カチャカチャと、ドアから音がしている。声を掛けると同時にカチャンと音が鳴り、鍵を掛けたはずのドアがゆっくりと開いた。
「さすが、よくわかるね。で、君はどこに……ああ、いたいた。ちょっと目、開けててね」
真っ暗な部屋の中、光るフェルパーの目を頼りにベッドに近づくと、フェアリーはそこに腰かけた。フェルパーも布団から這い出し、
フェアリーの隣にちょこんと座る。
「……んむー?フェアリー、どうしたの?」
彼女の問いかけに、フェアリーは大きな溜め息をついた。
「……なかなか、君にふさわしい男にはなれないね…」
「ん〜?」
首を傾げ、フェルパーは彼をじっと見つめる。
「……フェアリー、震えてる?」
フェルパーが言うと、フェアリーは自嘲の笑みを浮かべ、彼女を見つめた。
「……怖いんだ、明日が…。白氷の獣王みたいな化け物が、配下になってた……じゃあそれを従えてるのって、どんな化け物だよ…!?
そんなの、僕達が勝てるのか…!?怖いんだ……怖くて、たまらないんだ…」
震えるフェアリーを、フェルパーは不思議そうに見つめていた。やがて、その顔に全く空気の読めない笑みが浮かぶ。
「だよね!きっと、すごく強いんだよね!あははっ!楽しみだね!だってだって、そんな強いの殺せるんだよ!」
「……フェルパー、僕の話聞いて…?」
「聞いてるよ!ちゃんと聞いてるよ!でもねでもね!フェアリー、一個忘れてるよ!」
「え?」
思わずフェルパーの顔を見ると、彼女は若干の狂気を孕んだ、それでいて実に無邪気な笑みを浮かべていた。
「戦うの、フェアリーだけじゃないよ!私もね、戦うよ!みんなもいるし、白氷の獣王だって、ちゃんと勝てたよ!」
「……ま、まあね。でも、それのボスって…」
「ダンテ先生だってね!最初勝てなかったけど、今は勝てたよ!みんなね、強くなったし、フェアリーもすごく強くなったよ!だからね!
絶対勝てるよ!絶対殺せるよ!あはははっ!だからさ、楽しみにしようよ!明日になったら、すっごく強いの、殺せるんだもん!」
事の重大さをわかっていない、しかしあまりに無邪気な言葉に、フェアリーは思わず呆れた笑みをこぼした。
「……ははは、君はほんっと、変わらないなあ。逆に殺されるかもしれないとか、考えないのかい?」
「かもねかもね!でもね、死なないよ!みんないるもん!死にかけるぐらい強い相手なんて、ほとんどいないもん!だからね、すっごく
楽しみなんだよ!」
いつもと全く変わらない、いかにもフェルパーらしい言葉。彼女を前にすると、何だかそんなことで悩む自分が、ひどく馬鹿らしく
思えてしまった。
「……それもそうか!悪かったねフェルパー、こんな夜中に叩き起こして」
「ううん!いいよ!だって、フェアリーは……その……あの……私…」
「こんな僕でも、好きでいてくれるのかい?」
フェアリーが尋ねると、フェルパーは顔と耳の内側を真っ赤にしながら頷いた。それが、今のフェアリーにはたまらなく嬉しかった。
「ありがとな。まあ、魔が差したんだ。こんな弱音吐くのは、今日だけだよ。あ……でも、フェルパー」
「んにー?」
「その……今日、一緒に寝ていいかな?」
「えっ!?」
「あ、エッチなことはしないから。ただ、一緒にいたいんだ」
「あ、それならいいよ!二人で寝ると暖かいし、いいよね!」
嬉しそうに言うと、フェルパーは壁側に寄り、布団に潜り込んだ。フェアリーもその隣に寝ると、少し躊躇い、フェルパーの手を掴む。
顔を真っ赤にしつつも、フェルパーもその手を握り返し、恥ずかしそうに笑った。そして、二人は静かに目を瞑る。
明日には、全ての決着がつく。その結末がどうなるか、今は誰にもわからない。
多大な不安。そこからくる緊張。それはあまりに大きく、ともすれば押し潰されそうにまでなってしまう。
だが、それでも彼等は進み続ける。全てを終わらせるため、力を見せつけるため、自身の楽しみのため。
目的はそれぞれでも、彼等にはただ一つ、信じられるものがあった。
仲間と一緒なら、負けることはない。
たった一つの、それでいてこれ以上ないほどに大きな拠り所。ただ一つ信じられるものが為、彼等は歩き続けられる。
行きつく先に、何が待っているか。その答えが、近づいていた。
以上、投下終了。
前回言った通り、今回でエロ分は終わりです。
それと次回で一応終了。ただ終章まで入りきらなかったので、都合あと二回になります。
前の時みたいに、あまり日を空けずに落とそうかと思案中。
それではこの辺で。
をぉう、ほぼリアルタイムで拝見できるとは!GJです!
バハ男もドワ子もかわいいです。ヤることヤっといてこの初々しさはなにごとか。
GJです
決戦前夜の空気が好きすぎて困る・・・
守る者の為だろうと無かろうと確固たる意思で戦う姿は格好良いね
最後楽しみにしてます!
乙です。
結局のところ、円満とはいかないけど6人それぞれの気持ちを抱えて……か〜
最終回お待ちしております!
そういえばクリデとかいったか、あのウンコタレ……。
ゲームとはいえ素でマジギレしたのは初めてだったわ、アレ。
思い出したらまたゲンナリしてきたww
こんばんは。登場人物を殺傷することに定評のあるらしい俺参上。
以下注意事項。
しつこいようですがエロ分はなし。それから都合上、暴力描写や残酷描写も多めになるので注意。
それと、ここから一気に救いのない鬱展開へと突き進みますので、そういうのがダメな人はこの先を読まず、
各自幸せな展開を妄想してください。
それでもいいという方は、楽しんでいただければ幸いです。
一行の前にそびえ立つ、神の塔。それを見上げる一行の顔は、フェルパー以外ひどく硬い。
だが、そこに恐れの色はなかった。それぞれに決意と覚悟を胸に、一行は最後の戦いへ挑もうとしている。
「ついにここまで……来たんですのね」
「そうだね。ここで、全部が終わる……いや、私達が終わらせるんだ」
神妙な顔つきのエルフとセレスティアとは打って変わって、フェルパーはもう満面の笑みである。
「ねえねえ!早く行こうよー!この中、強いのいっぱいでしょ!?あははっ!楽しみだね!強いの、いっぱいいっぱいいるんだよね!?
んにゃーう!それ全部殺してさ!パーネ先生も、殺せるんだよね!?」
「まあ落ちつけよ子猫ちゃん。最後の戦いの前に、ちょっと感慨に浸る時間ぐらいくれたって、バチは当たらないだろ?」
そんな彼女を窘めるフェアリー。彼の顔にも、いつもの軽そうな笑みが浮かんでいる。
「さぁて、さっさと終わらせようぜ。もし失敗して死んでも、悔いなくあの世に行けるぐらいには頑張れよ」
「ふん。あの世なんて、あるもんか。そんなのは貴様等のように下等な種族が、死の恐怖から逃れるために作り出した幻想だ」
これまた、普段とまったく変わらないバハムーンにドワーフ。一行の、特に問題児三人には、恐怖などと言うものは欠片も
存在していなかった。
「お?お前あの世信じてねえのか。そりゃ不幸だな」
「どこが不幸だ」
「死んだらそれっきりってことだろ。ま、それも悪かぁねえが、ちっと味気ねえよな」
「……お前の言いたいことは、よくわからん」
「わかんなくていいぜ、この低能野郎」
「おいおい、君等。始まる前から死ぬ話なんてしないでくれよ。オリーブとかジェラートだって怖がるだろ」
「うるせえ、死ね羽虫」
いつも通りの言い合い。いつも通りの雰囲気。あまりの緊張感のなさに、セレスティアとエルフまでもが表情を崩した。
「……君達は、本当にマイペースだねぇ」
「ふふ。でも、おかげで救われますわ。確かに、ドワーフの言うとおり……何があっても、悔いの残らないように、全力で行きましょう」
協調性の全くない一行は、一度仲間達と視線を合わせ、そして大きく頷いた。
「さあ、行こう!」
セレスティアの声と共に、一行は神の塔へと駆けだした。そのやや後方を、オリーブとジェラート、そして剣と化したルオーテが続く。
内部は、思ったよりも狭かった。かなりの高さを誇る塔ではあるが、広さは地下道と比べるべくもない。
だが地下道と違い、人工の建造物だけあって、先に進むための仕掛けは複雑なものもある。一階を難なく突破した一行だったが、二階を
適当に探索して三階に上がると、その先の通路に進む扉がマジックキーによって閉じられていた。
「うわ、面倒な仕掛けだな……下の階に、何かあったのか?」
「そういえば、左右に道が分かれてましたわね。あのマジックキーのあった道へ、戻ってみましょう」
結局、彼等は二階へ戻り、もう一つの階段から三階へ上がり、その階のマジックキーを解除してからまたもや二階へ戻り、三階に戻ると
いう、ひどく手間のかかる行動を取らざるを得なかった。
その間も、モンスターが次々に襲いかかる。大して問題にしていないとはいえ、戦えば戦う分だけ、疲労は蓄積していく。
三階を突破し、四階へ上がる。そこは開けた空間に、移動床が所狭しと敷き詰められていた。繋がりを見出すまでにかなりの時間が
かかり、それでも何とか二つのマジックキーを外し、五階へと上がる。
階段を上りきった瞬間、一行はモンスターの群れに取り囲まれた。
「うっ!?」
「やばい、罠か!?」
後ろからルオーテの声が響いた。しかし、問題児三人に止まる気配はない。
「だからなんだ?ここは敵の本拠地だ。そんなの、はなから予想のうちだ!」
「でも、これはまずいよ…!こんなところで、消耗するわけには…!」
しかし、敵が待ってくれるはずもない。モンスターは一斉に襲いかかってきた。
直後、そのうちの一匹が吹っ飛んだ。
「え…!?」
「お前ら、約束しただろ?危ないときはおいらが助けてやるって」
そこにいたのは、表の世界に残っていたはずのコッパとティラミスだった。
「みんなは先に行って。大丈夫、今なら負ける気しないから」
「ち、てめえに借りなんか作りたくねえが……先に進むぞ!」
「ティラミス、コッパ、ありがとう!君達も気を付けて!」
モンスターの群れを二人に任せ、一行はさらに先へと進んでいく。
六階を突破し、七階を駆け抜ける。そして八階へと上がるとき、一行は階段近くに魔法球があるのを見つけた。
「あら?こんなところに魔法球…?」
「む、なぜこんなものがあるんだ?俺達に、尻尾を巻いて帰れとでも言いたいのか?」
「うーん、意図はよくわからないけど……今の私達には、必要ないものだね。とにかく、先に進もう」
八階はほぼ全域がアンチスペルゾーンであり、さらに移動床が行く手を阻む。とはいえ、すぐに大回りすれば避けられることがわかり、
この階も問題なく突破できそうだった。だが、ふとエルフの足が止まる。
「ん、委員長。どうしたんだい、そんな所で。お腹でも痛くなったかい?」
「いえ……ただ、気になるんですの…」
「んぬー?何がー?」
「魔法球は、わたくし達を帰るべき場所へと帰してくれますわ。でも、それを使えるのは本当にわたくし達だけでして?」
その言葉に、他の仲間は首を傾げる。
「委員長、いきなりどうしたんですの?それより、早く進んだ方が…」
「……オリーブ、ジェラート、次の階へ上がるとき、あなた達はわたくし達の間に入ってもらいますわ。嫌な予感がするんですの」
言葉の端々から、彼女がかなりの不安を持っていることが分かる。実際、ここは敵の本拠地であり、いくら慎重になったところで、
それに過ぎるということはない。そのため、一行は九階へ上がる前に、オリーブとジェラートとルオーテを間に、それぞれ前方と後方とを
警戒しながら階段を上った。
階段を上がりきる。だが、特に妙なところはなかった。
「……特に、何もないねー。風紀委員長、ただの杞憂だったんじゃ…」
オリーブが言いかけた瞬間、突然周囲にモンスターが現れ、一行を取り囲んだ。
「きゃあぁ!?な、な、何!?いきなり何ぃ!?」
「くっ……なんだこいつら!?いきなり出て来やがったぞ!?」
「やっぱり…!」
後方の敵を睨みながら、エルフは後ろの仲間に声を掛ける。
「あの魔法球、あれはモンスターの移動手段ですわ!この先、わたくし達は上階に控えるモンスターと、魔法球を使って移動してくる
モンスターとを相手にしなければならないということですわ!」
「ちっ、うざってえ…!じゃあ何か、俺達はこの先、後ろから追われながら登らなきゃいけねえのか!?」
「とはいえ、わたくし達がそれぞれ所縁のある学園にしか戻れないように、移動に制限はあるはずですわ。それに、あれを使うのは
これ以下の階に住むモンスターに限られますわね。となれば、全力で走り抜ければ、追う方も限界があるはず…!」
「けっ!じゃあさっさと、こんな群れ突破するぞ!ここにいても、無駄に体力削られるだけだ!」
言いながら、ドワーフはゴーグルをかけた。そして、両手の斧を振りかざし、敵の群れへと突っ込んでいく。
「ふん、今とやることは、ほとんど変わらないというわけだ。なら、話は早い!」
「あ、二人ともずるいー!私も私も!私も殺すー!」
先頭の三人は、一気に群れの中へと突っ込んだ。それを援護しつつ、後ろの六人もそれに続く。
だが、少し歩いた瞬間、一行は突然別の場所に放り出された。しかも、そこにもモンスターの群れが待ち構えている。
「うお!?ワープゾーンがあるのか!?」
「しかもこれを見る限り、飛ばされる場所は一定みてえだな。けっ、小賢しい真似しやがって!」
一行は先頭の三人の突破力を利用し、強引にその階の探索を進めていく。やがて、マジックキーを解除し、ワープを利用して
閉じられていた扉の前に出ると、一気に階段へと向かった。
しかし、敵の数があまりに多い。待ち構えている敵はまだしも、それの相手をするうちに、後ろからの追手が追いついてしまうのだ。
背後からの不意打ちほど、危険なものはない。
それでも何とか階段の前まで到着したとき、再びエルフの足が止まった。
「おい、馬鹿妖精!何してやがる!?さっさと来やがれ!」
「……みんな、先に行ってよくってよ」
「え……な、何言い出すんだ委員長!?」
驚いてフェアリーが尋ねると、エルフは毅然とした態度で答えた。
「このままでは、体力を浪費させられるのは目に見えてますわ。だからわたくしは、ここに留まって追手の相手を務めますわ。
みんなはその間に、ダンテとパーネを…」
「おいおいおい、委員長正気か!?あの数見ただろ!?一人で相手できると思うのかい!?」
「セラフィムがいますわ。だから、心配は無用でしてよ」
「いや、僕が言いたいのはそういうことじゃ…!」
「……大丈夫、私が委員長と一緒に残るよ」
そう言ったのはセレスティアである。
「おい、副委員長まで……後衛二人が消えて、どうしろって言うんだよ!?」
「道具は、まだいっぱいあるよね?それで何とか、凌いでほしいな。大丈夫、君達ならやれるよ」
「おい、いつまでも話してんじゃねえ!こうしてる間にも、敵増えてんだろうが!」
ドワーフが叫ぶ。彼女の言葉通り、遠くから敵が近づいてくるのが見えていた。
「私達には、君達みたいな突破力はない。でも、生き残ることにかけては、ご存知の通りしぶといからね。それに、団体戦も得意だ。
だから君達は、気にせず先に行ってくれ!」
それでも、フェアリーは決心がつかなかった。しかし、状況は迷うことを許してくれない。
「……わかった、もう時間がない。委員長、副委員長……絶対に、死ぬなよ!」
「わかってますわ。あなた達こそ、気を付けて!」
「てめえに心配されることじゃねえよ!てめえらは自分の心配だけしてやがれ!」
最後にドワーフの声が響き、一行は階段を駆け上がっていった。
それを見送り、彼等の姿が見えなくなると、エルフとセレスティアは集まりつつある敵を睨みつける。
「副委員長……あなたまで残ることはなかったんですのよ?」
「言ったでしょ?委員長は、私が守る。君一人残すなんて、できっこないさ」
その言葉に、エルフは呆れたように笑った。
「もう、こんなときにそんなこと……でも、ありがとう」
モンスターの群れが襲いかかる。それをかわしながら、二人は叫んだ。
「委員長、いくよ!」
「副委員長、援護は頼みますわ!」
神の塔、九階。仲間に未来を託し、二人の死闘が始まった。
「委員長達、大丈夫かな……頼むから、ほんと無事でいてくれよ…!」
「うざってえなてめえは!そんなに心配なら、てめえも下に戻りやがれ!」
「そんなこと、できるもんか!委員長達の行動を無駄にしないためにも、さっさと決着をつけよう!」
モンスターはさらに強くなる。それでも、一行の突破力は群を抜いており、むしろ後衛の二人がいなくなったことで、その動きはより
身軽になっていた。十階は大した仕掛けもなく、楽に突破する。そのまま十一階に到達したとき、不意にオリーブの足が止まった。
「……やっと思い出した。私、あの子に一回会ってる…!」
「オリーブ、どうしたんですの?」
「ごめん、みんなは先に行ってて!すぐ追いつくから!」
そう言い残し、駆け戻ろうとするオリーブ。その肩を、フェアリーが素早く捕まえた。
「おっと、待って!走って戻るなんて自殺行為だ!だからこれ、渡しとく!」
フェアリーは懐から帰還札と転移札を取り出し、彼女に持たせる。
「ジェラートのとこに飛べば、絶対に戻れるから!何にしろ、気を付けて!」
「うん、ありがとう!」
帰還札を使うオリーブ。その直後、階段をモンスターが駆け上がってきた。
「あっははーぁ!またいっぱい来たよ!ね!またいっぱい殺せるね!んなーぅ!」
「っと、待て待て待て!そんなの相手にしてられないよ!……くそぉ、結局突破した階からは、追手が来るんだな…!」
十一階は、妙に開けた場所だった。天井が異常に高く、ともすれば屋外と間違えそうなほどに開放感のある場所である。
「なら、さっさと駆け上がるまでだ。止まってる暇はねえ!」
「やれやれ、君は……言うほど簡単じゃないのは、君もわかってるだろ?」
「じゃ、他に何か案でもあんのか、チビ妖精」
言われたところで、フェアリーは何も言えない。既に、先頭の三人は敵からの返り血で全身真っ赤に染まっている。ドワーフのゴーグルは
そのためにつけていたのかと、フェアリーは今更ながらに納得していた。
「案があったら、もう実行してる。簡単じゃなくたって、やるしかないか!」
「結局はそうだよな。じゃあ、行くぞ!」
敵はさらに強くなっている。おかげで殲滅に手間取り、その間に追手に絡まれ、それを処理していると新たなモンスターが現れる。
これでも、エルフとセレスティアのおかげで、だいぶ楽にはなっているはずなのだ。しかし、追手はますます増えるばかりである。
幸い、この階もさしたる仕掛けはなく、壁の反対側に階段が存在していた。
階段に飛びこむ一行。しかし、フェアリーは直前で足を止めた。
「んに!?フェアリー、どうしたの!?」
「……みんな、悪い。先行ってくれ」
「おいおいおい、てめえまで残るつもりか?それとも、今更あいつらの加勢にでも行く気かよ」
「いや、あの二人は大丈夫。僕はここで、新たな追手の足止めをする」
そんなフェアリーに、フェルパーが駆け寄った。
「ダメー!フェアリー、一緒に行こうよぉ!強いの、一緒に殺そうよー!」
「あー、悪いねフェルパー。でも、そうもいかない」
「じゃあ私も残るー!一緒に殺すー!」
「ダメだ!フェルパー……僕は、君達ほどの力は、ない」
わずかに声の調子を落とし、フェアリーは続ける。
「でも、僕は君達よりすばしっこいし、そもそもがレンジャーなんだ。元々、団体戦に向く奴じゃないのさ」
「でもぉ…!」
「それに、ここ。天井は高いし、柱はいっぱいだし、まさに僕のために作られた階だよ。ここなら僕は、どんな奴にだって負けやしない。
最悪の場合、さっさと逃げるのにも適してる。だからフェルパー、君は先に進んで、ダンテとパーネを頼む」
「……わかった」
小さな声で言うと、フェルパーはこっくりと頷いた。
「でも、フェアリー、絶対帰ってきてね!君殺すのは私なんだからね!他のに殺されちゃダメだよ!」
「ははは、君にだって殺されやしない。だから気にしないで、先に進むんだ!」
「……せいぜい、死なないで足止めをしてろよ。貴様が死ぬと、俺達がきつくなる」
「やれやれ……君も変わらないね。ま、魔が差して優しい言葉なんか掛けられたりしたら、鳥肌もんだけどさ」
「ほざいてろ、羽虫が。だが、貴様には負けっぱなしだ。雪辱ぐらい、果たさせろよ」
そして、四人は階段を駆け上がっていく。残ったフェアリーは周囲をぐるりと見渡した。
「さて……と。お楽しみの時間だな」
素早く飛び上がり、フェアリーはその姿を消した。あとには、そこに誰かがいたという気配すら、残ってはいなかった。
ややあって、階段前にモンスターの一団が現れる。モンスターは周囲を見回し、誰もいないことを確認すると、階段を上ろうとした。
シュン、と小さな風切り音が響いた。直後、そのモンスターに矢が突き刺さった。
悲鳴を上げ、暴れるモンスター。矢は容赦なく降り注ぎ、やがてモンスターが動きを止めると、上から声が響いた。
「その階段を通るのは、別に自由だよ。でも、ただで通してやる気はないなあ」
小さな羽音を響かせ、フェアリーが舞い降りる。その彼に、モンスターは身構えた。
「ここを通りたいなら、その命、置いてけよ。ついでに、お金もね」
おどけたように言うと、フェアリーは目にもとまらぬ速さで飛び去り、再び姿を消した。
「はははは。じゃあ通りたい奴はどうぞ。かくれんぼしたい奴も歓迎さ。でも、ちゃんと見つけられないと…」
どこからともなく響く声。モンスターの群れは階段前を離れ、その声の主を探し始めた。
「君達、死ぬぜ」
突然、矢が放たれる。それに貫かれ、一匹のモンスターが息絶えた。
「さあ、見つけてみろよ!見つけられるもんならね!この先には、行かせない!」
姿はなく、ただ声だけが響く。姿の見えない襲撃者に、モンスターは明らかに恐怖していた。
それを陰で見ながら、フェアリーはほくそ笑んだ。
「さて……あとは、どのタイミングで逃げるか、だな。早めに頼むぜ、みんな…!」
小さな声で呟くと、フェアリーは柱の陰から飛び出し、さらに一匹を射抜く。そして注意がそこに向く頃には、フェアリーは再び
どこへともなく姿を消していた。
十二階へ到達した一行。しかしそこに現れるモンスターは、これまでとは比較にならないほど強い。
竜王やティアマット、コスモサウルスなど、強力なドラゴンが当たり前のように現れ、一行を苦しめる。
「さすが、ここまで来ると敵も半端じゃねえな。おいバハムーン、邪魔すんなって言って来いよ。あいつらお前の親戚だろ?」
「お前は犬と話ができるのか?」
「あたしは犬じゃねえ。ま、ちょっと納得したけどよ」
「あははー!でもさ、強いから楽しいね!こんなに強いの、初めてだもんね!」
それでも、一行の足が止まることはない。残ったのが問題児のみであり、ジェラートは非常に居心地が悪そうだったが、だからといって
戻るわけにもいかないのが辛いところである。
「おっと、マジックキーが必要か……隣のこれじゃねえのか。また、戻れってことか?」
「……気は進まないが、そうするしかねえな。くそ、面倒な仕掛けを作りやがって…!」
戦力が落ちているため、止まることはなくとも、一行の進みは遅い。だが、ここを僅か四人で探索していること自体、普通では
考えられないことである。しかも、戦闘においては実質三人である。もはや彼等は、一人一人がドラゴンとも対等に渡り合えるほどの
実力を身につけていたのだ。
襲い来るドラゴンや悪魔を薙ぎ倒し、元来た道を戻ってマジックキーを解錠する。そして再び引き返し、モンスターの死体の山を
築きながらさらに進攻する。
「くそ、思った以上に時間食ったな。おいお前等、まだ戦えるんだろうな?」
ドワーフの言葉に、バハムーンとフェルパーはそれぞれの笑みを返す。
「俺を誰だと思ってる。こんな程度、肩慣らしみてえなもんだ」
「うん!まだ殺せるよ!いっぱい殺せるよ!んなーう!あはは!でもねでもね、おにぎり一個もらった!しゃけおにぎり!」
「ああそうかい、なら問題ねえな。さあ、次だ!」
疲労でほとんど口を開けないジェラートを無視し、一行は十三階へと進む。ここまで来ると、もう相当に余裕がないのか、明らかに
格下のモンスターが随所に待ち構えていた。
「へっ、いよいよ頂上が近いみたいだな。こんな雑魚どもまで駆り出されてるなんてよ」
「ふん、こんな奴等、足止めにもなりゃしねえのにな」
「んん〜、つまんないー。こんなの殺してもつまんないー。早く上行こうよー」
決着が近い。一行は決意を新たにすると、敵の群れへと突っ込んだ。
弱い敵とはいえ、その殲滅には多少なりとも時間を取られる。あまり時間を掛ければ、いつドラゴン達が襲いかかるとも限らない。
バハムーンがブレスを吐き、敵の群れに穴を開ける。そこにフェルパーとドワーフがなだれ込み、残った敵の相手をする間にバハムーンと
ジェラートが駆け抜ける。その強引な突破を繰り返し、マジックキーを解錠する。そして、いよいよ十四階へ続く階段が見えた。
「敵は次か、その次か……いずれにしろ、決着は近いはずだな」
「ああ……あの残った馬鹿どもがやられねえうちに、さっさと行くぞ!」
「そうだね!早く行こ!んなー!それにそれに、早く強いの殺したいもん!」
そして一行は、階段を駆け上がっていく。その胸に様々な思いと、仲間からの思い、そして仲間への思いを、密かに抱きながら。
神の塔、九階。それまで響いていた激しい戦闘の音は消え、代わりに荒い息遣いと、何かを引きずるような、小さな音が響いていた。
「はあっ……はあっ……委員長、頑張れ…!まだ、死なないでくれ…!」
地面に残る、二筋の血の跡。それを辿れば、その先には大量のモンスターの群れがおり、さらにその先に、ボロボロになった二人の姿が
あった。
「くっ……死ぬな、委員長…!」
エルフは両脚を、膝の上から切断されていた。そうでなくとも、既に全身傷だらけになっており、もはやほとんど意識もないのか、
セレスティアの腕の中でぐったりとしている。
そのセレスティアも、無事ではない。全身血塗れで、左足はあらぬ方向へ曲がり、右の翼は半ばから折れ、それでも何とかエルフを
抱きかかえ、後ろへと床を這いずっている。そうして這い進む度、エルフの両足の切断面から零れた血が、床に二筋の跡を残す。
そんな二人をいたぶるように、モンスターの群れはゆっくりと二人を追いかける。エルフの召喚獣は、既にことごとく打ち破られ、
二人にはもう、力などほとんど残っていない。
やがて、セレスティアの背中が壁にぶつかる。目の前には浮遊するマジックキーがあり、その先には向こうの壁も見えないほどの、
モンスターの大群がひしめいている。
動きが止まったのに気付いたのか、エルフが薄っすらと目を開けた。
「委員長、諦めなるな…!絶対に助け…!」
「……副委員長…」
言いかけたセレスティアに、エルフが言葉を重ねた。
「わたくしは……ううん……わたくし達は、助からない……そうでしょう…?」
ビクッと、セレスティアの体が震えた。そして、エルフを抱く力が、僅かに強まる。
「……私は、卑怯者だよ…」
セレスティアが、ぽつりと呟いた。その声には、自嘲が多分に混じっている。
「私は……君を守ると言っておきながら…!何よりも、君が大切だと言っておきながらっ…!」
声は震え、エルフを抱く腕にギュッと力が入る。そして、セレスティアは罪を告白するが如く、言った。
「この土壇場で……私は、君と世界とを秤にかけた…!」
ぽたりと、エルフの頬に冷たいものが落ちた。それは後から後から、エルフの頬に落ち続ける。
「情けない…!約束しておきながら…!好きな子一人守れず……君を逃がすことすら、できやしないっ…!私にせめて……彼等のような
力があれば……君一人だけでも、助けられたのに…」
初めて見る、セレスティアの涙。うつむき涙を流す彼に、エルフはそっと手を伸ばした。
「……ふふ…」
頬に優しく触れる、温かい手。その感触に、セレスティアは目を開けた。
「わたくし、やっぱり……あなたが、委員長になるべきだったと、思いますわ…」
「え…?」
戸惑う彼に、エルフは優しく微笑んだ。
「だって、あなたは……これほど追い詰められた状況で、私情ではなく、使命を選んだ…。立派ですわ、セレスティア……だから、
泣かないで…」
「……君の優しさが、辛いよ…!私は……君を、騙したのに…!」
「そんなこと言わないで……わたくし、本当にあなたのこと、誇りに思ってますのよ…。だから、泣かないで……ね…?」
エルフの目は、嘘など何一つ言っていなかった。セレスティアは彼女の体を、痛いほどに抱き締める。
「……ごめんよ、エルフ…」
「ううん、謝らないで…。あなたは、何も間違って、いませんわ……謝ることなんて、ありませんもの…」
「そうか……わかったよ、エルフ…」
セレスティアは涙を拭うと、残った左の翼でエルフの肩を抱いた。
「……ありがとう…」
そして、二人は顔をあげた。モンスターの群れは、もう間近に迫っている。だが、セレスティアは不敵な笑みを浮かべる。
「さて……ここまで時間をもらえて、助かったよ。君達、私がただ逃げてたとでも思うのかい?」
その言葉を理解できるモンスターは、ほとんどいない。それでも、セレスティアは続ける。
「こんな狭いところに、それだけひしめいて……ここには私達の逃げ場も、君達の逃げ場も……衝撃の逃げ場も、ない」
言葉を理解できる数少ないモンスターは、その言葉に悪寒が走った。だがその真意を理解する前に、二人は動いた。
「エルフ……最後、いけるかい?」
「ええ……もう、狙いは定まらないけれど…」
「撃てればいいんだ。どこに落ちようと、もう関係ないさ」
どちらからともなく、手を握り合う。直後、最後の気力を振り絞り、二人は同時に叫んだ。
「倍加魔法陣!!」
二人の周囲に、巨大な魔法陣が描かれる。間髪入れず、二人は魔法の詠唱を開始した。
モンスターの群れはパニックに陥っていた。言葉のわかるモンスターは、この先何が起こるか理解し、逃げようとする。だが言葉の
わからないモンスターは、二人を殺そうとする。お互いが邪魔をし、モンスターは近寄ることができない。全てはセレスティアの、
目論見通りとなった。
何とか仲間の間をすり抜け、数匹のモンスターが迫る。詠唱は、もう完成直前だった。
「エルフ」
「セレスティア」
お互いを呼び合い、二人は強く強く手を握る。
ナイトセイバーが剣を振りかざす。同時に詠唱が完成し、あとは放つだけとなる。
剣が振り下ろされる。だが、一瞬遅かった。
魔法を発動させる直前、二人は同時に口を開いた。
「愛してる」
二人を中心に、その階全てを消し飛ばすほどの、二発のビッグバムが放たれた。
その頃、十一階では変わらずフェアリーの戦いが続いていた。しかしモンスターは際限なく現れ、フェアリーはだいぶ息が上がっている。
「ちっ……そろそろ頃合いか…!?それに、今の衝撃……委員長、副委員長、頼むから無事でいてくれよ…!」
柱の陰から飛び出し、モンスターを射殺す。そのまま別の柱の陰に飛びこむと、新たな矢を番える。
だが、見つかった。もうこの階にはモンスターがひしめき、隠れる場所などほとんどなくなっていたのだ。
「くっ、見つかったか!こりゃ、いよいよ頃合いだな」
隠れることができなければ、フェアリーに勝機はない。ならば、残った手段は一つだけだ。
攻撃をかわしざま、柱の陰を飛び出して階段に向かう。素早さだけなら、誰にも引けを取ることはない。あっという間に上階への
階段の前に辿りつくと、しかしフェアリーは一瞬迷った。
―――逃げる、か……死ぬのが怖いから…。
だがすぐに、今はそれどころではないと思い直し、フェアリーは階段に飛び込もうとした。
直前、その前にモンスターの群れが立ち塞がった。
「うおっとぉ!?やばっ、塞がれたか!」
ならば階下に逃げようと、すぐさま方向転換し、その場を飛び去る。だが、辿りついてみれば、そちらも既に塞がれた後だった。
その意味を理解し、フェアリーは引きつった笑みを浮かべる。
「おいおい、冗談じゃないぜ…!くそ、魔が差したんだなぁ……あんなの、気にしなきゃ…」
そこで、フェアリーは懐に持っていた帰還札と転移札のことを思い出した。迫り来る敵を横目に、フェアリーは懐に手を突っ込んだ。
「……あぁ、そうだった…」
あるはずの物はなかった。それも当然で、彼はオリーブにそれを両方ともやってしまっていたのだ。
モンスターが迫る。首に振られた剣をかわし、突進してきた相手の頭上を飛び越えて避ける。そのついでとばかりに、フェアリーは
上から矢を放ち、コスモサウルスの脳天を射抜いた。
背中に斧が迫る。一瞬早く気付き、何とかそれはかわしたものの、そこにゴアデーモンの追撃が襲いかかる。
「どあぁ!?く……ぐうぅ…!」
避けることはできなかった。咄嗟に左腕をかざしたものの、そんな細腕で悪魔の攻撃を防ぎきることなど、出来はしない。
肘から反対に曲がった腕を見て、フェアリーは半ば放心したように呟いた。
「ああ、左腕が……もう、弓は使えない…」
レンジャーにとって、それは死に等しかった。そこに、ゴアデーモンが突進する。
直後、フェアリーは自分から相手に突進した。両者がぶつかりあった瞬間、ゴアデーモンの動きが止まった。
「……だからって、逃げるわけにはいかないんだよねえ」
ゴアデーモンがばたりと倒れる。フェアリーはその口に矢を咥え、相手の喉を貫いていた。
「もう、僕に逃げ場はない。かくれんぼも終わりだ。でも、ただで殺せると思うなよ。弓がなくったって、僕はそう簡単に
死にはしない!」
さらに右手で二本の矢を持ち、フェアリーは次のモンスターに襲いかかった。ドン・オークに咥えた矢を突き刺し、
後ろから襲いかかったハナサボテンに、逆手に握った矢を突き立てる。
矢を抜き様、順手に持った矢を振り払い、新たに襲いかかってきたゴアデーモンの目を潰す。敵の間を縦横無尽に飛び回り、次々に
攻撃を加えるフェアリー相手に、モンスターはなかなか狙いが付けられなかった。
その背中に、フレイムバードが襲いかかった。すぐに気付き、フェアリーはそれを引き剥がそうとするが、相手は思った以上に
速かった。空中での機動でまくことを諦め、フェアリーは振り向きざまに矢を投擲した。
それは狙い違わず、フレイムバードを貫いた。しかしその直前、相手はファイガンを詠唱していた。
「ぐぉあ!」
紅蓮の炎がフェアリーを包む。素早く地面に身を投げ、辛うじて火を消したものの、彼の薄い羽は大半が焼失してしまった。
それを好機と見たのか、モンスターが一斉に襲いかかる。しかし、フェアリーはニヤリと笑う。
「く……ふんっ、飛べなくなったから楽勝、って?なめるなあ!」
機敏な動作で手近な相手に跳びかかり、瞬く間に矢を突き立て、その体を踏み台に次の相手へ跳びかかる。その動きは、まるで忍者と
見紛うようなものだった。
とはいえ、もはやフェアリーは限界に来ていた。息は完全に上がり、床に降り立った彼の足は震えている。
その上、彼にとって最悪の事態が起こった。
「ん…?な、何…!?」
階下から、大量のモンスターが上がってきた。それは今まで、エルフとセレスティアが抑えていたはずのモンスター達だった。
「おいおいおいおいいいぃぃ!!!こりゃあ何の冗談だい!?い……委員長……副委員長…!二人とも……死んじゃったのか…!?」
その顔に、絶望の色が広がる。顔は青ざめ、足の震えは激しくなり、それは呼吸にも伝染する。
だが、唇が笑みの形に持ち上がる。青ざめた顔に狂気の笑顔を浮かべ、フェアリーは叫んだ。
「ふ……ふふ、はは、はっはっはーぁ!そうこなくっちゃ楽しくないぜ!さあ、二人の次は僕が相手だ!殺せるもんなら、
殺してみやがれぇ!」
―――これで…。
まるで疲労など消えてしまったかのように、フェアリーはモンスターの群れの中へ飛び込んだ。矢を投げ、突き刺し、同士討ちを誘い、
さらには蹴りや突きなどの体術までを駆使して暴れ回る。
―――これで、僕は…。
新たなフレイムバードが現れ、ファイアを唱える。フェアリーは咄嗟に顔を庇い、直後、右手に弓を持つと、口で矢を番え、
フレイムバードを射抜いた。しかし、一度に殺せる数には限りがある。フェアリーが一匹を仕留める間に、その何倍ものモンスターが
増えていく。
「さあ、まだまだこんなもんじゃ、僕は死なないぞ!次はどいつだぁ!」
―――君にふさわしい男に……なれたよな…?
血だらけになり、それでも獅子奮迅の活躍を見せるフェアリー。だがその姿は、モンスターの群れの中に消え始めていた。
―――なあ、フェルパー?
もはや手に負えないほどのモンスターの群れ。フェアリーの小さな体は、いつしかその大群の中へと呑み込まれ、見えなくなっていった。
十四階は、ただただ広い空間だった。中心には泉と魔法球とが設置され、モンスターの姿はない。
「ここは控え室みたいなもんか?モンスターもほとんどいやしねえ」
「だね!あの魔法球でさ!きっと持ち場に戻るんだね!便利だね!んにゃー!」
「この様子を見る限り、次で最後か?邪魔がいねえのも好都合だ、行くぞ!」
それでも、モンスターが全くいないわけではない。三人は天使のカフスを着けると、ディープゾーンの上を走り出した。が、ジェラートの
足が止まる。
「ちょ、ちょっと待って!あなた達は浮遊してるからいいかもしれないけど、わたくしは…!」
「……フェルパー、そいつ抱えて来い。あたしはごめんだ」
「んー?いいよー。じゃあジェラート、じっとしててね」
「え、ちょ、待っ…!」
ジェラートの意向を聞かず、フェルパーは彼女を脇に抱えると、既に先を走っている二人の後を追う。さすがにディープゾーンは
モンスターも来られず、一行はあっという間にその階を駆け抜け、十五階へと上がる。
そこは最上階だった。その中心には玉座が据えられ、そこにパーネが座っており、隣にはダンテが控えていた。
「!?お前ら…!」
一行に気付き、ダンテが声を出す。
「ダンテ先生……パーネ先生も…」
そう呟くジェラートに、パーネは冷やかな笑みを浮かべる。
「あらあら……懐かしい顔ですわね、皆さん。また会えて嬉しいわ。ダンテ、あなたの教え子達ですよ」
「……!」
そう言われると、ダンテはパーネを睨んだ。
「俺は、こいつらとは戦いたくない!」
「……良いのですか?そのようなことを言って。あなたの妹がどうなっても、責任は持てませんよ…?」
パーネの言葉に、ダンテの顔が歪む。
「くっ…!」
「この間もそう……わざと急所を外して、あえて辛い言葉をかけて……あなたは優しすぎるのです」
二人の会話を聞く限りでは、どうやらダンテは妹を人質にされているらしかった。それ故、パーネの言うことには逆らえないのだろう。
パーネは妹を脅迫材料に、一行を殺せとダンテに命令する。それを拒否することもできず、ダンテは剣を構えた。
「ダンテ先生…」
「すまない…」
そんなダンテに、三人は呆れた顔を向けた。
「……あんた、弱えなあ。妹を人質にされて、逆らえないけど悪にもなりきれません〜ってか?余計なもん背負うと、大変だなあ」
「んん〜、ちゃんと本気でこられるのー?強いのに手加減とか、楽しくないからねー?」
その時、バハムーンが二人を押さえ、前に立った。
「俺は、少なからずあんたを尊敬してる。初めて戦ったとき、あれほど完膚なきまでに叩きのめされた相手なんて、それまでいなかった。
だが……今のあんたには、負ける気がしない。ドワーフ、フェルパー、ここは俺に任せろ」
「ええー!?私も殺したいのにー!」
「まあ、ここは譲ってやれよ。あいつが本気なのも珍しい。それに、殺しちゃまずいって奴もいそうだしな」
「む〜…」
渋々、フェルパーは頷いた。それを見ると、バハムーンはゆっくりと剣を抜いた。
「……行くぜ、『先生』」
二人が同時に地を蹴り、一気に間合いを詰めた。
ダンテの剣が一閃する。咄嗟に反らした顔の数ミリ手前を、白刃が切り裂いていった。
今度はバハムーンが剣を振るう。脇腹を狙った剣は、ダンテにあっさりと防がれる。しかし、バハムーンは笑った。
「剣で受けて、これは何で防ぐんだ?」
左手の盾が、唸りをあげて襲いかかる。剣を受けて、身動きの取れないところへの一撃。それは狙い違わず、側頭部に直撃した。
「ぐっ!」
ダンテが膝をついた。倒れなかったのは、バハムーンが手加減をしたせいなのだろう。
「ハァッ……ハァッ…」
「もはやあんたには、教えてもらうこともないな」
荒い息をつくダンテを横目に、三人はパーネへと視線を移す。
「さあ、次は貴様だ」
「さって、ようやくあたし達の出番だな」
「んにゃーん!こっちは殺していいんだよね!?ね!?あっはははーぁ!楽しみー!」
「わかりました。それでは、私が直々にお相手をしてあげましょう。来なさい、私の可愛い生徒達!」
まるで三日月のような鎌を振りかざし、パーネが襲いかかった。
フェルパーの首めがけて、鎌が迫る。それをゴルゴンナイフで受け止めると、もう片方のデーモンナイフがくるりと回った。
「んなぉ!」
「くっ!」
腕にナイフが突き刺さる。続く攻撃を下がってかわすと、そこにバハムーンのブレスが襲いかかる。
咄嗟に翼を羽ばたき、何とかその威力を弱めるパーネ。だが、いつの間にか後ろにはドワーフが回りこんでいた。
「うらぁ!」
「ぐうっ!」
斧の直撃を受け、さすがにパーネは膝をついた。戦いは、それこそ一瞬で終わってしまった。
「そ、そんな馬鹿な…!」
「馬鹿はてめえだ。あたしらにかなうつもりかよ?」
嘲笑を浮かべるドワーフ。三人は止めを刺そうと、再び武器を構える。だが、パーネが顔をあげた。
「しかし……まだこれからです…」
「あん?」
「見せてあげましょう。神の力を――」
パーネは懐から三つの石を取り出した。それが何かはわからなかったが、どう考えても嫌な予感しかしない。
「させるな!ドワーフ、フェルパー、殺せ!」
「言われなくても、そのつもりだ!」
「私が殺すー!」
しかし、一瞬遅かった。三人の武器が届く前に、パーネは三つの石を体内に取り込んだ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
次の瞬間、パーネの体が黒く輝いた。そして光が収まった時、一行は目を見張った。
「な……なんだこいつ…!?」
「おーっ!強そう!強そうだね!」
一対の悪魔のような羽根に、四対の黒い天使の翼。腕にかかった鎖は、背後の巨大な武器へと続いている。
「フフフフ……素晴らしい!想像以上の力です…!これが、石を備えた者に備わる神の力…!」
もはや原形も留めないパーネは、冷酷な笑みを浮かべて一行を見下ろした。
「さぁ、脆弱な虫達よ……来るがいい!」
圧倒的な力を感じ、一行は身構えた。それと同時に、足元から凄まじい衝撃が伝わった。
「おい、なんだ今の!?」
「まさか、あいつら……さっさとこいつを倒して、救出に向かうぞ!」
「んにぅ!殺すよ!あっははははーぁ!」
一行は同時に地を蹴った。バハムーンは剣を振りかざし、パーネの首を狙う。しかし、パーネはそれを容易くかわす。
かわした先に、ドワーフが待ち構える。両手の斧を同時に繰り出すが、パーネはそれを背後の武器で防いだ。
そこに、フェルパーが跳びかかった。だが彼女のナイフは、羽根を僅かに掠めたに過ぎなかった。
「ちぃっ、強えな…!」
「だねだね!でも、絶対殺すんだからー!」
「はははは!脆弱な虫達に、私が殺せるものか!」
「誰が虫だと?怪物の貴様に、言われる筋合いはない!」
パーネの武器が一閃する。危うくそれをかわしたものの、一行の目の前で石造りの床が爆ぜた。
「な、なんて威力だよおい!?こりゃ、食らったら危ねえな」
「次の攻撃の前に仕留めれば、そんな心配は無用だ!」
再び斬りかかろうとした瞬間、パーネの腕から槍のような雷光が放たれた。
「うおっ!?」
辛うじて身を投げ、それをかわす。直後、耳をつんざくような轟音が響いた。
「きゃあ!」
「ジェラート、てめえは下がってろ!ここはあたしらに任せとけ!」
言いながらジェラートを突き飛ばし、ドワーフは斧を振りかざす。右手の斧をパーネの頭に振るうが、あっさりとかわされる。
「かかったな、馬鹿が!」
間髪入れず、左手の斧を振り下ろす。到底避けきれる動きではなく、その一撃はパーネの体に直撃した。しかし、パーネは倒れない。
「なっ……化けもんが…!」
「じゃあこれは!?これはどう!?」
「いて!?」
ドワーフの体を無断で踏みつけ、フェルパーが跳躍する。まだ体勢の整っていないパーネの肩に、ナイフがぐさりと突き刺さる。
「そんなもの、効きはしない!」
「んにゃっ!?」
周囲に、ダイヤモンドダストが巻き起こった。だがフェルパーは、持ち前の俊敏さでそれをかわす。
「んにー!傷が治っちゃってるー!……あ、尻尾の毛が凍っちゃったー!」
「一気に叩かねえとダメってことか…!やれやれ、厄介な化けもんだ」
「これならどうだ!?」
バハムーンがブレスを吐きかける。巨大な炎は一瞬にして、パーネの体を包み込んだ。
その隙を逃すまいと、ドワーフが斬りかかった。だが、その瞬間。
「うわっ!?」
「調子に乗るな、虫め!」
パーネは怯んでいなかった。炎が消えると同時に、槍の付いた巨大な武器が襲いかかる。
ドッ!と鈍い音が響いた。
「え…?」
「う……嘘だろ…!?」
誰もが、目を疑った。目の前で巨大な槍が、ドワーフの体を貫いていた。
ずるりと、槍が引き抜かれる。それでも、ドワーフはなお立っていたが、やがて力尽きたように倒れた。
「ドワーフ!」
思わず、バハムーンが駆け寄る。そこにパーネが襲いかかろうとすると、横からフェルパーが切りかかった。
「まだ私がいるよ!んなーぅ!」
そちらに気を取られている間に、バハムーンはドワーフを抱き起こした。
「おいドワーフ!しっかり…!」
言いかけて、言葉が止まる。
ドワーフの左胸に、巨大な穴が空いていた。そこから助け起こした自身の腕が見え、バハムーンは言葉を失った。
「……く、そ……ミスっちまったぁ…!」
うっすらと目を開け、ドワーフが口を開く。
「喋るな!く……け、怪我は大したこと…!」
「がはっ!……は、は……笑わ、せんな…!これで、大、したこ、とねえ、なら……この世に、大怪我、なん、て、ねえ…!」
弱々しくも、ドワーフは笑う。その度に、口と傷口から血が溢れだす。そもそも、この怪我で僅かでも生きていること自体、奇跡だった。
消えかける生命を、彼女は驚異的な精神力で無理矢理繋ぎ止めているのだ。
「……あた、しは、もう……ダメだ…!」
「まだだ!すぐにあいつを倒し…!」
「残、念だけ、ど、よ……あいつ、は、死体をその、ままにす、るほど……甘く、ねえだろ…!ここまで、だな…」
もう死を覚悟しているのだろう。そんな彼女にかける言葉も知らず、バハムーンはただ彼女を見つめる。
「……なあ、バハムーン…」
「なんだ!?」
「もう、今しか言え、ねえ……だから、い、ま、言って、おく…」
再び、ドワーフは大量に吐血をする。それでも苦しげな呼吸の中で、ドワーフは口を開いた。
「あた、し……お前が、好きだ」
突然の言葉に、バハムーンの体は雷に打たれたかのように硬直した。
「お前、は、どうだか、知らねえけ、ど…」
ドワーフが、震える手を伸ばす。
「……あたしは……好き…」
少しずつ、ドワーフの目が閉じていく。もう、意識も消えかかっているのだろう。
かけるべき言葉が、浮かんでは消えていく。そのどれ一つとして声にならず、バハムーンはただ万感の思いを込めて、ドワーフの手を
力いっぱい握り返した。
ほとんど閉じかかっていたドワーフの目が、驚いたように開かれる。
バハムーンを見つめ、そして彼女は、満面の笑顔を浮かべた。その笑顔は天真爛漫で、彼女にとてもよく似合っていた。
不意に、ドワーフの手から力が抜けた。続いて笑顔が消え、ゆっくりと首が落ちる。
「ドワーフ…?」
もう、彼女は息をしていなかった。何の反応もなくなった彼女の体を、バハムーンは必死に揺さぶった。
「おい、ドワーフ!ふざけるな!起きろ!起きろよ!こんなところで死ぬんじゃ…!」
「んにゃー!バハムーン、危ない!」
悲鳴のようなフェルパーの声に、バハムーンは慌てて振り向いた。その視線の先では、パーネが巨大な武器を振りかざしていた。
余裕などなかった。バハムーンは咄嗟に身を投げ、急いで顔をあげた。
今まで自分のいた場所に、武器が振り下ろされていた。そこにはもう、何も残っていなかった。たった今まであった、ドワーフの体すら。
「……嘘だろ…」
呆然と、バハムーンが呟く。そんな彼をあざ笑うように、パーネが振り向く。
「フフフフ。さあ、次はあなた達の番です!」
その声を聞きながら、バハムーンは自身の左手を見つめる。そこには、彼女の体毛が数本、張り付いていた。
「……ドワーフ、約束する。俺はあいつを……必ず、この手で殺す」
直後、バハムーンは剣の刃を握りしめ、思い切り引いた。溢れる血が、瞬く間に刃を赤く染め上げる。
「祖先の血にかけて誓おう……お前の仇は、必ず討つ」
バハムーンは顔をあげた。その目は、まるで怒り狂うドラゴンの目のようだった。
「フェルパー……一度でいい、力を貸せ!」
彼の言葉を受け、フェルパーが隣に並ぶ。彼女の目も、今や獲物を見つめる獣のようだった。
「んにゃう!殺すんでしょ!?あいつ殺すんでしょ!?いいよ!手伝う!殺そう!絶対殺そう!」
「死になさい、虫達!」
パーネが突進する。二人は左右に跳び、横からフェルパーが跳びかかる。
武器の上を駆け上がり、パーネの顔にナイフを振るった。
それを翼で受ける。だが視界が塞がれた瞬間、フェルパーはその顔面に思い切り蹴りを放った。
「うっ!?」
思わずよろめく。さらにフェルパーは顔を狙って肘を叩き込み、膝で顎を打ち上げ、止めに顔面をナイフで切り裂いた。
悲鳴をあげ、パーネはフェルパーを振り落とす。そして彼女を潰そうとした瞬間、背中に凄まじい痛みが走った。
「なにぃぃぃぃっ!?」」
「敵が一人だと思ったか。これで終わりだ」
背中に突き立てた剣を、思い切り振り抜く。半身を切り裂かれ、パーネは悲鳴を上げた。同時に、その体が崩れ始める。
「馬鹿な……こんなはずが…!力を――力を取りこまなくては…!」
「ダンテ先生!」
その時、背後からオリーブと見知らぬ少女が現れた。それを見た瞬間、ダンテの表情が変わる。
「ミラノ…!」
その時、パーネの体からダンテ目掛け、無数の触手が伸びていった。
「っ!お兄ちゃん、危ない!」
「ダンテ、私の力になりなさい!!」
「くっ!……っ!!!」
パーネの触手は、ダンテを庇ったミラノの体を捕えていた。
「おに……い…」
パーネの触手がミラノの体を吸収していく。
「やめろぉぉぉぉぉぉっ!!」
一声叫ぶと、ダンテはパーネに斬りかかった。だがそれもむなしく、ダンテの体は剣ごとパーネに吸収されていった。
「ダンテ先生!!」
「アハハハハハハッ!!私は神!全ての世界を滅ぼし、新世界の神となる!」
その言葉と共に、無数の触手が飛び出し、その場にいた全員の体に絡みついた。
「ふぎゃー!?エッチー!変なところ触んないでー!」
「ちぃっ……あと一撃……叩き込めれば…!」
全身に絡みつかれ、もはや抵抗はできない。死を覚悟した瞬間、パーネに異変が起こった。
「ぐ……ぐああああああっ!!」
急に、絡みついていた触手の力が緩んだ。
「ダンテ……あなた…!!」
パーネの体に、ダンテの顔が浮かび上がった。
「ミラノ…」
直後、パーネの体から吸収されたはずのミラノの体が吐き出された。
「お前ら、今だ!俺達を斬れ!」
ダンテが叫ぶが、オリーブは首を振る。
「そ、そんなこと、できません!」
「馬鹿野郎っ!!いいから……やるんだ……頼む…!」
それでも、やはりオリーブは動けない。その時、バハムーンとフェルパーが動いた。
「どうせ、貴様にはできねえだろう。どけ、邪魔だ」
「バハムーン!私、先行くよ!」
フェルパーが走った。そしてパーネの顔に頭から飛び込むと、顎を掴んでそこを支点にぐるりと回転し、ぶら下がる。一見すれば、
そのまま締め殺そうとしているようにも見える。だがその両手には、鈍く光るナイフが握られていた。
「楽しかったよ、強かったから。でもね、もうそんなのどうでもいい。お前、ドワーフ殺した」
フェルパーは両手に、ぐっと力を込めた。
「死ね」
言い放つと、勢いを付けて首を切り裂く。そこへさらに、バハムーンが迫る。
「神だと…?笑わせる。貴様は神でも何でもない、ただの化け物だ」
剣を構え直し、バハムーンは冷酷な笑みを浮かべた。
「『あの世』で、ドワーフが待ってるぜ」
すれ違いざま、バハムーンは思い切り剣を振った。
「ダンテ先生ー!」
悲鳴のようなオリーブの声。それに構わず、全力で剣を振り抜く。
「あああああああっ!!」
バハムーンの剣は、その体を真っ二つに断ち切っていた。そして、パーネの体が再び崩れ始める。
「いやっ……いやだっ…!私は……神の力で…」
その言葉を最後に、パーネの体は光の粒子となり、霧散した。
「ダンテ先生…」
ぽつりと、オリーブが呟く。それを背中に聞きながら、バハムーンは剣を収め、左手を見つめた。
「ドワーフ……誓いは、果たしたぞ…」
血に塗れ、辛うじて付着していたドワーフの毛も、もはや落ちていた。
戦いは終わった。だが、失ったものがあまりに大きすぎた。
誰も、動く気力などなかった。だがそこで、フェルパーが叫んだ。
「バハムーンバハムーン!みんな、助けに行こうよ!まだ戦ってる!早く助けなきゃ!」
「っ!?そうか、そうだったな。フェルパー、急…!」
そこまで言った瞬間、階段から無数のモンスターが上がってきた。
「きゃあ!?こ、こんなにいっぱい…!」
途端に、フェルパーの動きが止まった。
「……うそ……うそだよ……こんなの、こんなの嘘だよぉ!!!」
叫ぶと同時に、フェルパーは階段へ走りだそうとした。バハムーンは慌ててその体を掴む。
「フェルパー、待て!」
「放して!!放してよお!!フェアリー、約束したぁ!!絶対死なないって約束したぁー!!!」
その言葉が、バハムーンの胸に突き刺さる。
「もう……諦めろ!!あいつらはもう、手遅れだ!お前まで死ぬ気か!?」
「放して!!放してよぉ!!放せぇー!!」
「ぐあっ!」
フェルパーはバハムーンの腕に、思い切り噛みついた。その鋭い牙は容易く骨まで達し、あまりの痛みにバハムーンは手を放しかけた。
だが、再び強く掴む。もう誰も、失いたくはなかった。
「オリーブ!ジェラート!帰還札ぐらい持ってるだろう!?さっさと逃げるぞ!!」
「わ、わかりましたわ!あ、オリーブ!ミラノを頼みますわ!」
どんどんモンスターは増えていく。一行は既に、最上階の隅まで追い詰められていた。
「放して!!放してぇー!!フェアリー!!フェアリぃーーー!!!」
「ぐああぁぁ……は、早くしろおおぉぉ!!!!」
「わかってますわ!いきますわよ!!」
ジェラートが帰還札を使う。直後、一行の姿はたちまち光に包まれ、消えていった。
死亡者数、52名。うち、ロスト22名。
多数の犠牲者を出した戦争も、ようやく終結した。なお、この戦いにおいて風紀委員長、副委員長、共にロスト。
至急、代わりの者を立てる必要があるだろう。
以上、投下終了。
縛りプレイはあんまり条件きつくすると色々辛い。
残りは近いうちに投下します。
それではこの辺で。
GJです
燃えと鬱が混ざっておかしなテンションに・・・
真面目な流れなのに新世界の神になる、で耐え切れず吹いてしまったOTL
乙。
あぁ、やはり……生き残ったのが2人だけとは……。
どんな縛り方してるのか気になります
あの塔、高エンカウントでうっじゃうっじゃ沸いてくる上に数もやたら多いからなぁ
180 :
二番煎じ:2010/06/29(火) 19:51:54 ID:Fbu75TCm
乙でした。
鬱というより泣けました…
だけどまだヤツが…!妄想が止まりませんw
神の塔をテレポルバグで一気に登った自分は外道。異論は認めない。
こんばんは。六月中に終わらせたいので最後いきます。
>どんな縛り方してるのか
項目が多いんで裏話スレにでも書いときます。
注意としては暴力表現がちょこちょこ。あと前回よりさらに救いのない内容です。
なのでそう言うのがダメな人は注意。ジュデロ砂漠の砂一粒分くらいはありますが。
それから注意とは違いますが、サブタイトルが入りきらないので冒頭に書くことにします。
では最終話、投下します。
流れ星の英雄 終章〜英雄の末路 咎人の栄光〜
裏世界の戦争も終結し、世界には平和が訪れた。
しかし、彼等の失ったものは大きい。今の二人には、ユーノやニーナの労いの言葉や、多くの者の感謝の言葉など、何の意味も
持たなかった。
ユーノへの報告や、ミラノの今後の処遇など、そういったものは全てオリーブやジェラートに丸投げし、二人は元の世界へと帰ってきた。
そして、数日が経過した。バハムーンは寮を出ると、ただ一人で初めの森へと向かった。
しばらく歩き、やがていつもみんなと過ごした場所へ出る。そこに、一人の生徒が座っているのが見えた。
「……フェルパー、まだいるのか」
「………」
返事はない。バハムーンは彼女の後ろに来ると、足元に視線を落とした。そこには、腐ったおにぎりが落ちている。
「……また食ってないのか。いい加減、おにぎりの一つぐらい食ってくれないか」
言いながら、バハムーンは腐ったおにぎりを捨て、新しいおにぎりを置いた。だが、やはりフェルパーは動かない。
彼女の前には、言われなければわからないような墓があった。やや大きめの石を並べてあるだけの、何とも粗末な墓が四つ、並んでいる。
「あいつらはもう……帰ってこない。あいつらはロストしたんだ。いい加減、受け入れろ」
その言葉に、フェルパーの耳がピクリと動く。そして、彼女はゆっくりと振り返った。
僅か数日で、見る影もなく痩せ衰えている。その目に光はなく、顔には悲しみの表情が張り付いている。
「……やくそく、したぁ…!フェアリーは、かえってくるもん…!」
「………」
今度はバハムーンが黙る番だった。うつむき目を瞑り、バハムーンは大きく息をつく。
「……俺だって、そう信じたい…。だが、もうエルフも、セレスティアも、フェアリーもドワーフも……死んだんだ…」
フェルパーは何も答えず、再び墓の方へ向き直った。もうかける言葉もなく、バハムーンも踵を返す。
「だから…」
振り向かずに、バハムーンは言った。
「俺はこれ以上、仲間を失いたくない。その気持ちは、お前もわかるだろ…?」
「………」
返事はなかった。歩き出そうとした背中に、フェルパーの声が突き刺さる。
「みんな……いっしょがいいよぉ…!いっしょじゃなきゃ……いやなのぉ…!」
バハムーンはきつく唇を噛み締める。そして今度こそ、学園へと歩き出した。
学園での二人の扱いは、大半が無視だった。というよりは、そうせざるを得ないのだ。元々が稀代の問題児であり、仲間を失った彼は
異常にピリピリしている。しかも、もうそれを止める風紀委員はいない。それゆえ、極力誰も関わらないようにしようというのが、
学園での暗黙の了解だった。
とはいえ、中には少なからず同情を寄せる者や、世界を救ったという二人に尊敬の念を抱く者もいる。
「あ、あの…」
バハムーンの背中に、小さな声がかかった。その声の主は、小さなクラッズの女子生徒だった。
「えっと……う、裏世界の戦争で、生き残った人ですよね!?私、その、そ、尊敬してます!」
生き残った、という言葉が癇に障った。バハムーンは振り向きざま、彼女の顔を思い切り殴りつけた。
「きゃあっ!?」
吹っ飛ぶクラッズ。近くにいたノームの男子が、慌てて彼女に駆け寄る。
「ど……どうしてぇ…!?う、うわあーん!!」
訳も分からず殴られ、クラッズは大きな声で泣き出した。そんな彼女にヒールを唱えながら、ノームはバハムーンを睨みつける。
「なんてことをするんですか。彼女は、ただあなたを尊敬していると言っただけじゃないですか」
「………」
バハムーンは何も答えず、踵を返し、寮へと帰って行った。
彼はもはや、入学当初以上の厄介者となっていた。このような暴力事件は毎日であり、しかしもう教師ですら、彼を止めることは
できない。戦争を生き延び、ダンテやパーネにすら勝利する彼に対抗できる者など、この世界には存在しなかったのだ。
当然、彼を危険視する者は多い。だが、止められるような力を持っているわけでもない。それ故に、結局彼は、そのまま野放しに
されているのが現状だった。
誰とも話さぬまま、一日が過ぎていく。翌朝、バハムーンは再び、初めの森へと足を運んだ。
フェルパーは、まだ座っている。おにぎりにはやはり、手を付けていない。
「……おい、フェルパー。一つぐらいは食えって言っただろう」
彼女は答えない。
「フェルパー、返事ぐらいし…」
肩に手を掛けた瞬間、フェルパーの体がぐらりと傾いた。そして、彼女はそのまま地面に倒れた。
「……フェルパー…?」
一瞬、何が起こったか理解できなかった。恐る恐る彼女の首に手を当ててみても、もはや鼓動は感じられなかった。
直後、バハムーンは彼女の体を抱き上げていた。しかし、半歩踏み出しただけで、その足が止まる。
腕の中の、あまりにも軽いフェルパーの体を見つめる。
彼女は、自分の意思でこうなったのだ。ならば、今更生き返らせたところで、再び同じ目に遭うのは目に見えている。それはつまり、
フェルパーを余計に苦しめるだけに過ぎないのだ。
「……馬鹿野郎……あの世に行けば、一緒になれるとでも思ったのか…!」
もはや物言わぬフェルパーに言うと、バハムーンはゆっくりと彼女の体を下ろした。そして、四つ並んだ墓の近くを手で掘り返し始める。
フェルパーの体がすっかり見えなくなった時、辺りはもう薄暗くなっていた。そこに新たな石を置き、バハムーンは立ち上がる。
「この墓に入ったのは……お前だけだな。あいつらは、別の世界で死んだ……それでも、墓が同じなら、一緒なのか?」
ゆっくりと、墓に背を向ける。そして、ポツリと呟く。
「一人、か……入学した頃に、戻っただけだ」
歩き出そうとして、バハムーンは再び呟く。
「なのに……懐かしくもねえ…」
重い足取りで、バハムーンは学園へと歩き出した。
学食で夕食を取り、寮へと帰る。その途中、行く手を数人の生徒が遮った。
「ちょっといいかい。最近、君の行動は目に余る。何もしてないのに殴られたって生徒が、あまりに多い」
そう話しかけるエルフには見覚えがあった。入学直後、ドワーフと喧嘩をした相手であり、同じイノベーターと呼ばれた同期である。
「君が荒れてるのは、僕達もわかってるつもりだよ。だけど、それにしたって限度がある」
そのノームにも、見覚えがあった。彼もやはりイノベーターであり、入学後すぐに錬金術師に転科したことで有名だった。
よく見れば、後ろに控えるディアボロスの女子生徒もイノベーターであり、他の三人はイノベーターではないものの、ここ最近よく
活躍を聞く生徒である。
「……邪魔だ、どけ」
そっけなく言うと、バハムーンは歩き出そうとした。その周囲を、六人が取り囲む。
「君のせいで、みんな迷惑してるんだよ。機嫌悪いのは勝手だけど、少しは周りのことも考えたらどうなんだい?」
「改める気がないというなら、僕達にも考えがある」
「喧嘩を売ってるなら、買うぞ」
「ノーム、待ってくれ。好き好んで喧嘩したいわけじゃない。……だから、誰彼構わず暴力振るうのをやめろって…」
「何をしようと俺の勝手だ。貴様如きが意見するな」
フェルパーの件もあり、バハムーンはひどくイラついていた。だが、彼等にそんなことが分かるはずもなく、エルフは苛立たしげに
溜め息をついた。
「は〜ぁ……まったく、なんで君が生き残ったんだか…!風紀委員の人達はみんな死んでしまって、残ったのが君とあの殺人鬼。
ドワーフは死んでくれたって言うのにさ…」
その一言は、バハムーンの逆鱗に触れるのに十分だった。元々、彼はバハムーンを怒らせるために、あえてそう発言したのだが、
誤算だったのは彼の力が、予想を遥かに上回っていたことだった。
バハムーンの腕が、エルフの顔を捕えた。
「ぐっ…!?が、ああぁぁ…!!」
「エルフ!?」
「なんて言った、貴様…!?その口、二度と利けなくしてやる!」
片手で顔を掴んだまま、バハムーンはエルフを持ち上げた。凄まじい痛みに、エルフは何とか彼の手から逃れようともがくが、
力の差は歴然としていた。
もう片方の手が、彼の口に伸びる。バハムーンは無理矢理指を突っ込むと、下顎をがっちりと掴み、そして思い切り引き裂いた。
「がはぁっ!!」
「うわああぁぁ!!エルフー!!」
周囲の生徒が悲鳴を上げる。そして、彼の仲間が一斉に襲いかかってきた。
ノームがダクネスを唱え、ディアボロスがシャインを唱える。それに構わず、手近なノームを捕まえると、その体を頭上に持ち上げ、
地面に叩きつける。後ろから蹴りかかったヒューマンの鼻を叩き折り、とうとう刀を抜いたフェルパーの攻撃をかわし、腕をへし折る。
「お前っ……ヒューマンは女だぞ!」
「だからなんだ!?同情でもしろと!?貴様等にかける同情などない!」
残るは、魔法使いのディアボロスと剣士のセレスティアである。二人は一瞬躊躇い、しかしやはり攻撃を仕掛けた。
セレスティアの剣を容易く止め、その体を掴む。そして詠唱を始めていたディアボロス目掛け、思い切り投げつけた。
一瞬で、イノベーター三人を含むパーティが壊滅した。動く相手がいなくなったのを確認すると、バハムーンは再び寮へと歩き出す。
後ろでは、聖術を習った生徒が懸命の治療に当たり、何人かは保健室へと走る。その中の誰一人として、バハムーンに注意を払う者は
いなかった。誰にも知られぬ悲しみを抱えたまま、バハムーンはただ一人、寮へと帰って行った。
翌日、クロスティーニはその事件の話で持ちきりだった。当然の如く、エルフがバハムーンに暴言を吐いたことは無視され、
彼の顎を引きちぎり、女にも構わず手をあげたバハムーンの凶暴性だけが語られている。
そんな校舎の、一つの教室の中。六人の生徒が、話をしていた。
「聞いただろ?昨日の話。あんなの、もう放っておけねえだろ」
「でもねえ……だからって、できることなんてないよ。僕達だって、最初あいつに全員で負けたじゃない」
クラッズの言葉に、ヒューマンは溜め息をつく。
「まあ、な……けど、だからって見て見ぬふりか?」
「そ、そうは言ってないけど…」
「そう言うからには、あなたには何か考えがあるのですか。まさか、退学に追い込むなどと言うのではないでしょうね」
ノームが言うと、ヒューマンは苦笑いを浮かべた。
「いやあ、そりゃあ無理だろ。お前が風紀委員長にでもなってたならともかくさ。にしても、なんでその話蹴ったんだ?」
「……規則は、厳正中立であるべき。そうなれない私は、長たる資格はありませんから」
「固い奴だな……まあいいけどさ。で……考えは、ないわけじゃない。でも、大きな声で言えることじゃない。だから、皆の意見を…」
「私は」
言いかけた彼の言葉を、バハムーンが遮った。
「聞くつもりはない」
「おい、バハムーン…!」
「私とて、あいつはこの学園からいなくなるべきだと思う。だが、お前の考えを聞けば……それが、私の予想通りならば……私は、
それに反対しなければならなくなる。だから、私は聞かない。もっとも……この私が反対するというのも、おかしな話だがな」
背中を向けたまま言うバハムーンに、ヒューマンは溜め息をついた。
「……そうか、わかった。他のみんなは…」
「僕も聞かないよ。何だか知らないけどさ」
「私も、遠慮しておきます。風紀を乱すような行為であれば、私はあなたを止める義務がありますから」
つまり、この三人は賛成ということだった。
「ねえねえ、ヒュマ。私は昨日聞いたけど…」
「ああ、君はいいよフェアリー。ディアボロス、君は?」
「……あいつを排除できるなら、何をしようと構わないと思う。俺は聞こう」
これで、全員の賛成を取り付けたことになる。ヒューマンは仲間の顔を見回し、頭を下げた。
「みんな……ありがとう」
「でも……ヒュマ、いいの?私が、代わりにやってもいいよ?」
「ありがとな。でも、いい。これは、お前に背負わせるべきことじゃないさ」
フェアリーの頭を撫で、ヒューマンは優しく言う。
「……じゃあ、ディアボロス。一応、君には聞いてもらおう。あいつ、最近初めの森によく行くだろ?」
小声で話し出すヒューマン。口調こそ落ち着いていたものの、その顔には罪を背負う覚悟が、はっきりと浮かんでいた。
それから、さらに数日が経過した。バハムーンは未だ、初めの森に通い続けていた。
もはや、フェルパーがいるわけでもない。仲間が待っているわけでもない。それでも、自然と向かう足を止めることはできなかった。
―――俺は、何をやってるんだろうな。
そんな自分自身をおかしく思い、バハムーンは自問する。そこに行くことに、もはや何の意味もないはずなのだ。
しかし墓の前に行くと、不思議と心が落ち着いた。怒りも、悲しみも、そこにいるときだけは、なぜか消えてくれるのだ。
―――俺自身、気持ちの整理がついてないのか……自分では、認めたつもりだったんだがな。
彼としても、このままではいけないという自覚はある。探索に出かけるわけでもなく、新たなパーティを探すでもなく、日々だらだらと
過ごし、ただここに通い詰めているだけでは、もはや学園にいる意味はない。
退学するか、あるいは再び冒険に出るか。今、学園では新たに出現した迷宮が話題になっている。近々、そこの探索が課題として
出されることは明白だった。自分を受け入れるパーティがあるかどうかは分からないが、少なくとも自分のような性格の者であれば、
あるいは自分を尊敬していると言ったクラッズのような者であれば、受け入れてくれるかもしれない。
だが、風紀委員の三人や、フェルパーとドワーフ以外の仲間を作ることにも、少なからず抵抗がある。このまま彼等との思い出を胸に、
学園を去るということも、悪くない選択肢に思えた。
そう考えると、やはり気持ちの整理ができていないのだろう。怒りや悲しみに染まった心で、まともな判断ができるはずもない。
であれば、こうして墓に通うのも、悪いことではないように思えた。事実、こうして毎日通うことで、僅かずつではあっても、気持ちの
整理がつき始めている。もう少しだけこれを続けていれば、何かしらの答えが出るような気がして、バハムーンの足取りはほんの少し
軽くなった。
―――もう少しだけ……こうしていても、いいよな。
甘えだとは分かっていた。しかし、こうしていなければ、悲しみに潰されてしまいそうだった。
そして、物思いに沈む彼は気づかなかった。木陰に潜み、自身を狙う存在があることを。
「ヒュマ……ほんとに平気?ちゃんと逃げられるよね?」
「大丈夫だってフェアリー。絶対に外さないし……戦うわけじゃない」
クロスボウを構え、狙いを付けるヒューマン。引き金を引けば、矢は狙い違わず狙った場所へ到達する。威力の高い弓よりも、彼はこの
確実性を選んだ。
狙いを定め、引き金を絞る。バハムーンはまだ気づいていない。
手に汗が浮かぶ。ヒューマンは大きく息を吐き、指に力を込めた。
「ん…?」
バハムーンが顔をあげる。直後、引き金が引かれた。
風を切る音。そして、鈍い音。
バハムーンの脇腹に、一本の矢が突き刺さっていた。
どんなに鍛えた冒険者だろうと、あるいはどんな新入生だろうと、毒は等しく死をもたらす。
バハムーンにとって不運だったのは、使われたのが威力の低いクロスボウであったこと。自身の鍛え上げられた筋肉が、矢の貫通を
許さなかったこと。そして、使われた矢に毒が塗りこまれていたことだった。抵抗力というものをほとんど持たないバハムーンが、
毒矢を体内に留めれば、その行く末など決まっている。しかも彼は、探索の用意など何もしていなかった。
「ハッ……ハッ……うぐっ…!げほ!」
咳と共に、血が地面に零れる。それでも、バハムーンは足を止めない。
「ぐっ……がふ…!ハッ……ハァ…!」
殺そうと思えば、バハムーンは襲撃者を殺すこともできた。だが、彼はそれをしなかった。
背中を見せるヒューマンとフェアリーにブレスを吐こうとし、結局はやめてしまった。それがどうしてなのか、自分でもわからない。
仲間の墓は、もうあと数歩というところまで来ている。なのに、そこまでがひどく遠い。
―――エルフ……お前はいつも、ドワーフと喧嘩していたな…。
ようやく一歩を踏み出した瞬間、景色が歪み、地面が波打つ。
―――厳正中立と言いながら……お前自身、それが出来ていなかった…。だが、だからこそ、嫌な感じがしなかった…。
胃からこみ上げるものを感じ、バハムーンは思い切り嘔吐した。
大量の血が、地面に撒き散らされる。それでもバハムーンは、再び一歩を踏み出した。
―――それに比べ、セレスティア。お前は誰に対しても、公平だった…。
息が苦しい。呼吸しているのに、それが肺に入っている気がしない。景色が点滅し、太陽はぼんやりとした光の玉になる。
―――だからこそ、お前にはみんな従った……お前は本当に、パーティの要だったな…。
一歩を踏み出す。途端に地面がなくなった。
何が起こったのか理解できなかった。気付けば、バハムーンは地面に倒れ、強打した鼻から血が噴き出していた。
平衡感覚がない。上がどこか、前がどこかもわからない。それでも顔を上げると、いくつかの石が並んでいるのが見えた。
―――俺はなぜ、こんなことをしてるんだ……魔が差した、か?フェアリー…。
足の感覚がない。手を伸ばす。前がどこかがわからなくても、伸ばせば前に進めるはずだった。
―――結局、お前には勝てないままだった…。
「勝ち逃げ……とは、卑怯、な奴……だ…」
いつの間にか、思ったことが声に出ていた。しかしバハムーンは、それにすら気付かない。
草を掴み、体を引きずる。石がほんの少し、近づいた。
「フェ、ル……パー、おま、え、も、勝手……だ…」
口の中に血が溢れ、吐き出す。泡立った鮮血が、土に染み込んでいく。
「自分、さえ……よければ、いいと……わ、かって、いた……つも、り、だったが、な……お前、と、あ、いつ、は、お似合い、だ…」
体の感覚がない。もう手を伸ばすこともできない。しかし、墓は目の前にある。
残った気力を振り絞り、バハムーンは手を伸ばす。
「……ドワーフ…」
届かない。指先には何の感触も残らず、もう体を動かすこともできない。
顔を地面に擦りつけ、残った力をかき集めて首を動かす。
僅かに体が動き、指先に何かが触れた。その感触に、バハムーンは全身の力が抜けた。
「俺も……お前、が…」
―――いや…。
口に出しかけ、しかし直前で留める。
―――お前は、俺に直接想いを伝えた。こんなところで何を言おうと、誰にも届かない。だからこの言葉は、墓場まで持っていく。
呼吸をする体力もない。しかし、もはやそれを苦しいとも思わなくなっていた。
胃や肺からは血が溢れ続け、口からとめどなく流れ出ていく。それに従い、体も冷たく、動かなくなっていく。
―――今は……俺も、あの世を信じる。必ず、お前に言おう。会って、必……ず……おま……え…………に………………
どこか満足げな表情で、バハムーンは目を閉じた。そしてもう、二度と彼が動くことはなかった。
「えっ?あの人も死んじゃったの?そうなんだ、ふーん……でも、さ。正直、ちょっとホッとしてるかな。だってさ、あの人って
すごく怖かったし、乱暴だったしねー。むしろよかったんじゃないかな……なんてね。あっ!でも私がこんなこと言ってたなんて
内緒だよ!?それじゃ、君達あの迷宮行くんだよね?受け付け、するよ!」
彼女の言葉を、責める者はいない。その言葉は、学園にいる者の本心を代弁したにすぎないからだ。
初めの森で力尽きていたバハムーンは、明らかに人の手によるものだった。しかし、その犯人が探されるようなことはなかった。
むしろ、生徒達はその誰とも知らぬ殺害者に、称賛の声すら送った。
やがて、新たな迷宮を攻略するパーティが現れた。ヒューマンとフェアリーにバハムーン、ディアボロスにクラッズなど、本来は
極めて相性の悪い者達でありながら、誰よりも仲がいいと噂されるパーティ。また、彼等は裏世界の戦争に参加した経験もあり、
それでも全員が生還していた。何より、彼等は善の心を持つ者が多く、とても人当たりのいい者達だった。
いつしか、彼等は英雄と呼ばれていた。同期にはイノベーターが数多くいたが、その一人も彼等のパーティには属していない。
それでもなお、学園随一の実力者となった彼等は、才能がそのまま結果に繋がるものではないと、多くの生徒に希望を与えた。
三つの迷宮を攻略し、裏世界の戦争に参加したパーティは、やがて裏世界を救ったパーティとされ、間もなく英雄と呼ばれた、
唯一無二のパーティとなっていった。
以前に英雄と呼ばれた生徒達のことは、いつしか忘れられ始めていた。その呼び名の、より似合う者達が現れたことを考えれば、
それも当然なのだろう。
彼等は、まさに流れ星のようだった。
突然現れ、その稀代の力を必要とされたときに強く輝き、走り抜け、そして役目を終えると同時に、消えていった。
彼等を記憶に留めるのは、彼等に直接触れる機会のあった者達だけであり、しかしそれすらも、今は消え始めている。
今、彼等の痕跡を伝える物は、初めの森に残る五つの墓だけである。しかしそれも、風雨に晒され、長い時間の経つうち、他の景色と
見分けがつかなくなっていった。
かつて類い稀な力を持ち、英雄と呼ばれた生徒達。役目を終えた今、もはや彼等の居場所は、どこにも残ってはいなかった。
死亡者数、7名。うち、ロスト−1名。
強力なモンスターの生息する迷宮の探索を行い、これだけの死者で済んだのは奇跡である。
また、神との戦いに勝利したことにより、ルオーテ、校長、ダンテが復活。
今月は奇跡の連続であり、これといった事件もなく、まさに平和そのものの月だった。
以上、投下終了。不定期でも何とか完結。
二ヶ月超のお付き合い、ありがとうございました。
それではこの辺で。
英雄の血で染まった赤い塔を思い出した・・・
皆の魂が再会出来ることを祈ります
お疲れ様でした
いろいろ感想はあるけど、書いたらさらに鬱になりそうだから
お疲れ様でしたとだけ
乙です。
死者に対してロストがやたら多いと思ったら縛りプレイだったのですね。
ドワ子が金に小うるさい理由が謎のまま残っちゃったなぁ。
最初から最後までドワドワ言ってすみません。
おつかれさまでっす。
ちと違うが世界樹2の30Fの副題を想起しちまった。
彼らに安らぎあらんことを……
最後のPTが俺のメインと全く同じでちょっとびびったw
-サッカーワールドカップ-
4年に一度行われるサッカーの祭典。世界中の市邑が選りすぐりの選手団を送り込み、
その技を競い合う。クロスティーニ学園でも、開幕一ヶ月前には人が三人集まれば
この話題で持ちきりとなった。校内の至る所で戦力分析と結果予想の議論が
戦わされ、普段は視線すら合わせないセレスティアとディアボロスが同郷と知った途端
肩を組んで故郷の歌を合唱したり、あれほど仲の良かったフェアリーとヒューマンが
お互い因縁のある地方出身ということで口を利かなくなったり、というような光景が
見られるようになった。
−初出場ザバイオーネ大金星!!優勝候補ポレンタ港無念!!カウンター一発に沈む!!-
学科種族問わずハイタッチを交し合って喜ぶザバイオーネ出身者達..
−伝統の堅守健在!!"氷壁"グラニータ、宿敵"砂嵐"カッサータを完封!!-
掲示板の影で一人静かに涙を流すカッサータ出身のエルフの女の子..
開幕すると授業も冒険も手につかなくなった生徒達が広場前の特設速報掲示板に集まり、
随時更新される故郷のチームの結果に一喜一憂していた。
食堂では、冒険のついでに試合を見物した先輩生徒達が、自ら目の当たりにした
スーパープレーを誰彼とも無く語り聞かせ、その周りでは実力不足で会場まで行けない
後輩生徒達が目を輝かせてその話に聞き入っていた。
「俺たちもサッカーやろう!!」
ここまで盛り上がると見ているだけでは物足りなくなるのが若者達の情熱。そこでクロスティーニ
学園生徒会体育委員会は、クロスティーニを訪れているパニーニ、ブルスケッタ両校の生徒有志に
協力を求め、クロスティーニ対パニーニ&ブルスケッタ連合の対校戦を企画した。体育祭以外では
存在しているのかどうかすら怪しいほど存在感が薄かった体育委員会だが、ここでは驚異的な
活躍を見せ、大量に応募のあった選手のセレクション、審判確保や会場設営などの運営管理、
生徒への広報などを三日間徹夜でやり遂げ準備を調えた。
対校戦当日。
その日はワールドカップ決勝戦の前夜に当たり、仮想決勝戦に見立てた三校の生徒達の熱気で
スタジアムは早くも燃え上がっていた。母校への熱いメッセージを書き連ねた横断幕や大旗が
スタンドを彩り、試合開始を待ちきれないサポーターたちが校歌を歌いながら飛び跳ねていた。
スタジアム上空では浮遊能力を持つ魔法使い科と賢者科の生徒達がボランティアでライトルを
唱えながら飛び回り、ピッチを明るく照らしている。
やがてその明かりが薄暗く落とされ、スタジアムに一時の静寂が訪れると、アイドル科の
DJヒューマンの渋い低音が響いた。
「ただいまより、2010サッカーワールドカップ記念対校戦、クロスティーニvsパニーニ&ブルスケッタの
試合を開始します。選手入場!!」
その言葉を合図に精霊使い科の女生徒達がハープで奏でるアンセムが流れ、正義と公正を重んじる
竜騎士科の主審と剣士科の線審を先頭に両チームの選手がスポットライトを浴びながら入場してくる。
「本格的だな、おいw」
「うん、俺も驚いた。うちの体育委員会もなかなかやるもんだなw」
規模は小さいながらも本物のワールドカップに勝るとも劣らない演出に、スタジアムにいる全員が
酔いしれていた。
三校の校歌の斉唱の後にピッチ上でキャプテン同士がペナントの交換とコイントスによるボール&エンドの
選択を行っている最中、DJヒューマンによる選手紹介が行われていた。
「..以上パニーニ&ブルスケッタチームのスタメンでした..続きまして、我らがクロスティーニ学園、
スターティングメンバーの発表です!!」
大地を揺るがす大歓声が沸きあがる。
「ゴォールキーパァ、背番号1!!クラ子ーぉ!!..クラ子!?..ディッフェンダー、背番号2!!フェア男ーぉ..フェア男!?」
スタンドからどっと笑いが起こる。
「クラ子がキーパーで、フェア男がディフェンス?マジ!?」
「親善試合だってば親善試合。あっちはアウェイの連合チームだし、このくらいのハンデは当然でしょ?」
身長が130cmにも満たないクラッズがどうやって高さだけで230cmもあるゴールを守るというのか?
ボールの直径ほどの身長しかないフェアリーがどうやってボールを蹴るというのか?
困惑するサポーター達の不安と心配をよそに、当のクラ子は自分の頭ほどもあるGKグラブを頭上で
ぽんぽんと叩き合わせながら、にこやかにスタンドの声援に応えている。
スタメンで多少のサプライズがあったものの、一通り選手紹介が終わると、両チームの選手たちは
それぞれのポジションに散っていった。
ピィーッ!!
キックオフ。
主審のホイッスルを合図に、真っ先に飛び出していったのはパニーニのFWクラ男だった。キックオフと
同時にクラッズ特有のスピード豊かな重心の低いドリブルで、虚を突かれたクロスティーニディフェンス陣を
切り裂いていく。
「ボール!!ボール!!僕のボール!!」
それに真っ先に反応したのはクロスティーニのFWドワ男だった。狂戦士の彼は文字通り狂ったように
ボールを追いかける。
「んもう!!これだから野獣は困りますわ。FWならおとなしく前線で待っていてくださらないと、システムも何も
あったものではありませんわ!!」
クロスティーニ左サイドDFのエル子が憤慨する。
「今からそんなに怒っていると、これから90分持たないよw」
笑いながら隣のクロスティーニのセンターDFのエル男がなだめる。
「それに良く見てごらん。彼も闇雲に追いかけている訳では無いようだよ。彼はきっと前世は優秀な牧羊犬
だったに違いない。さあ行こう。最初の戦場は君の担当エリアだよ」
「さあ、ここから先は通しませんわよ!!」
ドワ男に追い立てられ、巧みに左サイドに追い詰められたクラ男の前にエル子が立ちはだかる。足を止めた
クラ男を、エル子とエル男とドワ男の三人で取り囲む。ジリジリと包囲の輪を狭める三人。困ったように
周りを見渡したクラ男はリフティングでボールを軽く弾ませると、三人の頭上を越えるようなふんわりとした
山なりのクロスボールをゴール前に蹴りこんだ。
(いやぁああ..本当にボールが来ちゃったわ..)
クラ男がボールを蹴りこんだ先にはブルスケッタのFWフェア子がいた。
運動には全く自信の無いフェア子だが、ワールドカップのお祭り騒ぎに煽られて対校戦選手に応募したところ、
なぜか当選してしまい、そのままスタメンに起用されてしまった。当然サッカーは体育の授業以外経験は無い。
(ああ、これってきっと絶好球なのでしょうね..外したら皆さんにどんなお叱りを受けるか..)
場の雰囲気に流されて応募した自らの軽率さを後悔し、半分泣きそうになりながら、ボールに向かって自信なさげに
ぱたぱたと羽ばたくフェア子。彼女の身長と同じくらいの直径のボールがぐんぐんと迫ってくる。
(..やっぱりダメ!!怖い!!皆さんごめんなさい!!)
恐怖のあまり空中で頭を抱えてうずくまるフェア子。
「うぎゃ!!」
次の瞬間、フェア子の頭上で悲鳴が上がった。恐る恐る顔を上げてみると、フェア子と同じくらいの背格好の
クロスティーニDFフェア男が全身でボールを受け止めていた。
呆然とするフェア子のそばを、ボールと共に墜落していくフェア男。
「ナイスディフェンス!!サンキューフェア男!!」
クロスティーニGKクラ子がすかさず飛び出してきてこぼれ球を大きくクリアする。
「あ、あの..大丈夫ですか?フェア男さん..」
目を回して地面に伸びているフェア男を介抱するフェア子。
「だいじょびだいじょび..で、ボールはどこ?」
「さっき、味方の方が大きく蹴り出しましたわ」
「良かったー!!..でも僕たちフェアリーにはサッカーは厳しいなあw」
(私と同じくらいの背丈なのに、身を挺してゴールを守る真の勇気のあるお方..素敵!!)
フェア男の振る舞いに感動したフェア子は、フェア男に手を差し伸べ、立ち上がるのを助けた。
「あ、あの、フェア男さん..もしよろしかったら、試合の後、お時間とって頂けませんか?」
手を握ったまま俯き加減でフェア男に話しかけるフェア子。頬が真っ赤に染まっている。
「???別にいいけど..」
「..ありがとうございます。それでは試合後に、ゲート前でお待ちしております..」
軽くお辞儀をして、はにかみながらぱたぱたと自陣へと帰っていくフェア子。フェア男はボールが直撃
してほてった頬を撫でながら、ぼんやりとその後姿を見送った。
GKクラ子がクリアしたボールの落下点では通称「クロスティーニの剃刀」MFのノム男が待っていた。
(クラ子からのボールが到達するまで約2.42秒今の僕の位置座標はX=22.42mY=34.28m周囲の味方は
MFのディア男がフリーで僕のX=-3.20mY=-2.28m右サイドのフェル子がX=8.22mY=2.44m敵マーカーの
ドワ子が更にそのX=-0.98mY=1.56m前線にはFWバハ男がX=58.42mY=-1.85mで張っているがその半径
2.26m以内にマーカーが二人僕のキック力ではいずれかにカットされる確率が94%そこからカウンターで
敵FWクラ男に繋がる確率は67.87%バハ男を使ったポストプレーは選択すべきではない一方右サイド前方の
18.22m×24.18m範囲のフリースペースに蹴りこんで加速度8.7m/秒最高速9.7m/秒のフェル子と推定
加速度8.1m/秒最高速9.86秒を反応アドバンテージ0.2秒で競らせた場合フェル子がボールを確保する確率は
彼女のトラップミス確率13.11%を加味しても66.20%こちらの方がベターだな)..0.98sec.
「フェル子Let's Go!!」
0.98秒で計算を済ませたノム男がクロスティーニの右サイドMFフェル子に向かって叫ぶ。
「にゃっはー!!Sir Yes Sir、ノーム!!」すかさずフェル子が弾かれたようにスペースに向かって走り出す。
「あ、待ちやがれ!!」慌てて追いかけるパニーニ左DFドワ子。
(現在ボールは対地速度で6.23m/秒仰角52.0°で落下中これを先ほどのスペースにダイレクトでパスを出すには
僕の右足を右18.2°に開いて左34.2°の方向に向かって2.3cm/秒の速さで押し出すように当てれば77.62%
確率で通せるはず..)..0.24sec.
「いっけぇ!!」
ノム男がワンタッチでボールを裁くとぽっかり空いている無人のスペースにボールが転がった。それを追って
二人の駿足女サイドプレーヤーがプライドの火花を散らす。
「うおおお!!やるじゃんか、うちのおちびさんたち!!」
DFフェア男の特攻ディフェンス、GKクラ子の鋭い飛び出しとクリア、MFノム男の正確無比なダイレクトパスで
繋がった稲妻のようなカウンターアタックにクロスティーニスタンドが沸き上がる。
「待てったら待て!!この泥棒猫!!」
全速力で追いかけながらフェル子のシャツの背中を引っ張ろうと手を伸ばすドワ子。
「泥棒猫とは失敬千万!!しかし待てといわれて待つ泥棒はいなーい!!」
自分のシャツの胸元を引っ張って、背後のドワ子につかみ所を与えないフェル子。
「ぬぉーずるがしこい奴。こうなったら実力で抜き去るまで!!」
「でも残念でした!!私のかちーw」
間一髪でフェル子がボールを確保するとスタンドから拍手が湧き起こった。しかしそれを見届けたノム男が
小さくガッツポーズをしたことに気がついた者はスタジアム内には誰一人いなかった。
「さてと、泥棒猫としましては、このお巡りさんをどうやってぶち抜いてやろうかしら?」
ニヤニヤと舌なめずりしながらボールを両足の間でキープし、ちょこちょことフェイントを仕掛けるフェル子。
「へへ..そんな寒いフェイントに引っかかるかよw」
どっしりと低く構え、動じないドワ子。
「じゃ、こんなのはいかが?」
そう言ってさっと身を翻すフェル子。すばやく対応するドワ子だったがその時一瞬開いた彼女の股間を
フェル子は見逃さなかった。その股間を、フェル子がしっぽを使ってはたいたボールがスッと転がり
抜けて行く..。
「あ"ーっ!!どこまでも汚ねぇやつ!!審判ファールファール!!」
「ノーホイッスルプレーオーン!!"神のしっぽ"作戦大成功!!にゃっはっはー!!」
歌うような勝利宣言を残してドワ子の傍らをすり抜けると、フェル子は軽快なステップでゴール前へと
切り込んでいった
「ボール!!ボール!!僕にボール!!ニアにボール!!」
さっきまでクラ男を追いかけていたドワ男がいつの間にかゴール前に走りこんできている。
「..やらせない」
パニーニDFノム子がドワ男にぴったりマークに付く。
それを見たフェル子はゴール前にクロスボールを上げた。
「..どけ、雑魚ども!!」
クロスティーニ"不動の電柱"FWバハ男が厳しいマークをものともせずにジャンプする。
「高さでは負けない!!」
パニーニDFセレ男が純白の翼を羽ばたかせて飛び立つ。
「意地でもさわる!!」
セレ男と二人でバハ男を挟み込むようにブルスケッタGKディア子がボールに飛びつく。
(ボールには触れそうだが、シュートは無理だ..さて、どうしようか?)
空中で二人と競り合いながら、そう思ったバハ男の耳に味方の叫び声が聞こえた。
「スルーだ!!バハ男!!」
とっさに首をすくめ、ボールをやり過ごすバハ男。その先ではオーバーラップしてきたクロスティーニ
MFディア男が頭からボールに飛び込んでいた。
「行け!!ディア男!!ぶちかませ!!」
総立ちになるクロスティーニスタンド。
「いやぁあああ!!らめぇええええ!!」
頭を抱え悲鳴を上げるパニーニ&ブルスケッタスタンド..
-ボン!!-
突然鳴り響いた爆発音で、スタジアムは一瞬にして静まり返った。
「..あれ、みんなどうしたの?ボールはどこ?」
事態が飲み込めず、頭から滑り込んだ格好のままきょろきょろと辺りを見回すディア男の右角に、
つい先ほどまでボールだったと思われる粗末な皮がぶら下がっていた..。
「貴様!!ディアボロスのくせにヘディングとは何を考えてやがる!!」
「だから帽子被るなり、カバーつけるなり、角をヤスリで削るなりしておけって言ったっしょ..」
ディア男を取り囲んでぽかぽか殴りつける男性選手陣。
「あーあ、最近ボール品薄で高いのよねー。魔女の森がアレだから」
「..どうしよ、これ..錬金で再生できるのかな?」
破裂したボールをつまみ上げ、ため息をつく女性選手陣。
「いたいいたいいたい!!ごめんなさい、ごめんなさーい!!」
フルボッコにされるディア男を見て、事態を把握したスタンドからのブーイングがスタジアムを包んでいった。
「..もう、ほんと馬鹿ね。あなたもキーパーやればよかったのに。手が使えるんだから」
スタジアムの地下の医務室で、ディア男は診察台に腰を掛け、ディア子の手当てを受けていた。
「ごめん..でも君まで試合を抜けることは無いだろう?キーパーやりたがる人ってそんなにいない
から、君のチームの人だって困ってるんじゃ..」
ディア男の頭に包帯を巻きながら、小さく首を横に振るディア子。
「いいの。学校は違えど同郷同族の子が殴られてるの、見過ごせるわけ無いじゃない..ワールドカップ
期間中なんだし..はい、おしまい」
プレーが再開したのか、頭上からかすかに歓声が聞こえてくる。いつの間にかディア子がディア男の
隣に腰掛けている。
「..かっこよかったよ、さっき」
「え?」
「ボールに飛び込む瞬間の必死な顔..ドキッとしちゃった」
両足を所在なげにぶらぶらと揺らしながら、頬をほんのりと赤らめてディア男の顔を覗き込むディア子。
「あ、ありがとう..き、君だってかっこよかったよ。うちのバハ男に立ち向かっていくなんて。..その、
女の子に"かっこいい"って言っていいのかどうか分からないけど」
ドギマギしながら、頬をかくディア男。
「..ありがと」
ディア男の言葉に真紅の瞳を細めて微笑むと、ディア子はディア男の首へ両腕を回し、顔を近づけた。
「試合、再開されたみたいね..私たちもさっきの続き、しない?」
「さっきの続き..って?」
「あなたの"ボール"を私の"ゴール"にぶち込もうとしたその続き、よ」
そういうとディア子はディア男に口付け、そのままベッドに押し倒した..。
GJ!皆楽しそうで良いな
途中までフェア子かと思っていたら…w
部活とか委員会って響きがいかにも学園モノっぽくて好きだ
公式の生徒手帳メーカーがいつの間にかなくなっててちょっと悲しい
203 :
二番煎じ:2010/07/04(日) 02:32:01 ID:adZNRPrn
お久しぶりです、二番煎じです。
本当にお久しぶりです、二番煎じです。
自分の地域では海開きがようやくされました。
なので海です。
本番無し、エロ有りです。
ではどうぞ。
「まだ着きませんの?」
「見えて来ないなら、まだじゃないかなぁ……」
フェアリー達は森の道を進んでいた。
どうやらどこかへ行く途中のようだ。
「見えてきましたよ!」
「おぉ……!」
「海だー!」
ヒューマンが着くなり叫んだ。
それだけ何かを感じているのだろう。
「ようやく着きましたわね……。わたくしはもうへとへとですわ」
エルフが持っていた荷物を置き、日差しを避けるように木陰へと移動する。
「とりあえず、別荘に行こうカー?」
「そうだね、落ち着いたらまた砂浜集合で!」
クラッズが提案し、フェアリーが決定する。それと同時に皆が動くのは、もはやお約束のようだった。
「いや、それにしてもよくアイツが貸したよな」
別荘を見ながらヒューマンがボソリとフェアリーに耳打ちする。
どうやらヒューマンの友人から借りたようだ。
「一日1000Gの三日分先払いでOKしてくれたよ。おかげで財布はカラさ」
「はーっ、我が友ながらがめついとは、情けない……!」
ヒューマンが手で顔を覆い、俯く。
フェアリーは苦笑いすることしか出来なかった。
「さって、泳ぐぞー!」
「うっわ、ヒューマンが水着だと違和感あるネー」
「そういうお前は違和感なさすぎなんだよ!」
水着に着替えて砂浜に集まったフェアリー達の中で、ヒューマンとクラッズが無駄にはしゃいでいた。
「全く、はしゃぐのも程々にしませんと、痛い目を見ますわよ?」
エルフが本を片手に、横目ではしゃぐ二人を見る。
クラッズがそんなエルフに、ニヤニヤしながら話かけた。
「エルフもパラソルの下から出たラー?」
「わ、わたくしは大丈夫ですわ!」
エルフが慌てて本に顔を戻すと、セレスティアがそんなエルフを見て微笑む。
「エルフさんは日焼けが嫌なんですよね?」
「なっ、何を言ってるんですの!」
「なんダー、てっきり泳げないんだと……」
クラッズが予想が外れて残念そうな顔をしながらエルフを見る。
「だって……何故わざわざ肌を黒くしなければならないんですの?」
「まぁ、そう言いなさんな!」
「ちょ、手を離しなさいヒューマン!」
ヒューマンがエルフの腕を掴み、無理矢理海の方へと引っ張って行く。
そんな光景を笑いながら見ていたフェアリーに、クラッズが近付いて行った。
「やぁ、リーダー。目の保養中かナー?」
「いや、何を言ってるんだいクラッズ……」
フェアリーはハハ、と苦笑いしながら、ニヤニヤしているクラッズを見る。
「自分は純粋に海を楽しむよ」
そういうとフェアリーは微笑みながら、すでに水のかけあいをしているヒューマンとエルフへと顔を向ける。
「まぁまぁ、そう言わずにさ、小生が極秘に集めた情報を聞きなヨー」
「情報?」
クラッズは何処からともなく一枚の紙切れを取り出し、フェアリーの耳元へと近付く。
「エルフの胸は水着で寄せ上げしてるけど成長してないネー。どうだい、フェルパーの情報は欲しくないノー?」
「そ、それは欲し……じゃなくて!その情報、どうやって集めたんだい!?」
「食いついた食いついター。やっぱりリーダーも男だネー」
顔を真っ赤にしたフェアリーを見ながら、クラッズはヒヒヒと笑う。
どうやって情報を集めたのかはあくまで言わないつもりのようだった。
「フェルパーは当初よりもまだまだ成長してるネー、楽しみ楽しミー。因みにセレスティアは……」
ヒヒヒ、とまた笑いながらクラッズは話を続けようとする……が、その途中でクラッズの体が崩れ落ちた。
フェアリーは状況を瞬時に理解し、いつの間にか背後に居た人物に目を向ける。
「フェアリーさんもクラッズさんも、やんちゃは程々にしないと後悔しますよ?」
「黒い、黒いよセレスティア!落ち着いて!」
マイクをポンポンと手で叩きながら黒い笑みを浮かべるセレスティアを、フェアリーは必死に宥める。
「……なぁ、あいつらは何をやってるんだ?」
「ここからでは、流石に状況までは把握できませんわね……」
手を止めフェアリー達を見ていたヒューマンとエルフは、その光景を不思議そう見ていた。
皆がそれぞれ何かをしている。そんな光景を眺めながら、フェルパーは木陰で溜息をついていた。
「にゃぁ……皆楽しそうだなぁ……」
フェルパーは、指で砂に字を書き、それを消してはまた字を書く。それを延々と繰り返す。
そんな彼女の姿に一番に気付いたのは、セレスティアをどうにか説得し終わったフェアリーだった。
「あれ、フェルパー……?」
どうしたんだろう。そう思ったフェアリーはフェルパーの元へと飛んでいく。
「フェルパー!どうしたんだい?」
俯いていたフェルパーはびっくりしたように尻尾を膨らませ、声の主がフェアリーだとわかると落ち着いたのか、尻尾が元に戻っていく。
「フェアリー……?どうしたの、泳がないの?」
「それはこっちの台詞だよ!」
今日で何回目かわからない苦笑いを浮かべながらフェアリーはフェルパーの横へと腰を下ろす。
「うん、僕泳げないから……。水に入るのが怖くて……」
体育座りをしながら膝に顔を埋める。
そんなフェルパーにフェアリーはふと疑問が浮かんだ。
「でもフェルパー、雨とかシャワーは大丈夫だったよね?」
「水がかかるだけなら大丈夫だけど、入るってなると……足を入れるのも怖いから……」
フェルパーは顔を膝に埋めたまま答える。
一方フェアリーはそんな馬鹿な、といいたげな複雑な表情を浮かべた。
「そっか……よし!じゃあ、まず水に入る練習しよう!」
「だって……僕、恥ずかしいよ……」
それでもなお拒むフェルパーを見て、フェアリーは困った顔をしながら頭をかいた。
そしてキョロキョロと辺りを見渡し、そのあとでまたフェルパーに話しかける。
「大丈夫、自分は笑わないよ。それにあっちに岩陰もあるから、そこで練習しよう?」
「……フェアリー以外、誰にも見られないの?」
ようやくフェルパーが顔を上げ、フェアリーを見つめる。
それに応える様にフェアリーは笑いかける。
「陰になってるからね、大丈夫だよ」
「……絶対に、笑わないでね」
顔を赤くしながらフェルパーが立ち上がる。
フェアリーはそんな彼女の手を取り、ゆっくりと歩きだした。
岩陰に着くと、フェアリーが向こう側から見えないかを確認する。
確認し終えたところでフェルパーに向き直った。
「よし、じゃあまずは水に入ることに慣れようか?」
フェアリーが先に砂浜から海に入り、深さを確認したあとフェルパーに合図する。
「大丈夫?深くない?」
「大丈夫だよ」
フェアリーの言葉を聞き、フェルパーは恐る恐る水に足をつける。が、すぐに離してしまう。
「一気に入れば怖くないよ」
「でも……」
躊躇うフェルパーを見て何かを考え、考えがまとまった所でフェアリーが海から上がる。
そしてフェルパーに近付き、そのままお姫様抱っこをして抱き抱え、海へと入る。
「さて、いい?水に浸けるよ?」
フェルパーは困惑した表情を浮かべるが、やがて諦めた表情になる。
「……うん。」
力無くフェルパーは頷くがやはり怖いらしく、フェアリーに抱き着く。
胸を押し付けられ、フェアリーは若干興奮を覚えたがすぐに冷静さを取り戻し、そして一気にフェルパーを水に浸ける。と同時に背中に鋭い痛みを感じた。
「痛い痛い痛い!ふ、フェルパー、爪が!」
どうやらフェルパーが恐怖のあまりに強く抱きしめ、その結果爪が出たらしい。
「ご、ゴメンね!」
フェルパーが慌てて手を離し、海中の砂に足を着く。と同時にフェアリーが笑った。
「あー、爪は痛かったけど。なんだフェルパー、大丈夫じゃないか」
「あ……僕も気が動転してて気付かなかったよ」
お互いがお互いの顔を見合わせ、どちらともなく吹き出し笑った。
「怖いって思ってたけど、平気だったよー」
「怖いって思ってたから駄目だったんだね」
ひとしきり笑った後、フェアリーが微笑む。
「じゃあ……泳ぐ練習もする?」
「この際僕も怖い物を無くしておこうかな」
またお互い顔を見合わせ、同時に笑みをこぼした。
――『顔を五秒間水に浸けて……』
――『体の力を抜いて浮いてみようか』
――『手を持っててあげるから、足で水をかいて……』
『今僕、前に進めたよ!』――
「フェルパー、上達が早いね」
「フェアリーのおかげだよ」
さっきまで居た場所よりも少し深い所でフェアリー達は泳ぎの練習をしていた。
「もう日も暮れてきたし、そろそろ戻ろうか?」
フェアリーがほぼ砂浜の浅瀬へ移動し、フェルパーを待つ。
「そうだねー、あんまり遅くなるとエルフに怒られそうだもん」
フェアリーの後をついて砂浜に向かう。
だが、砂浜にでる前にフェルパーが砂に足を取られてしまった。
「にゃあっ……!」
「うわわっ!?」
フェルパーはフェアリーも巻き込み倒れ込む。
派手に水しぶきが上がったが、そのおかげもあってかフェアリーも仰向けに倒れ込んだだけで済んだようだ。
「あい、ててて……ん?」
自分のモノに違和感を感じて顔を上げるフェアリー。
そこにはフェルパーの豊かな胸が自分のモノを圧迫している光景が眼前に広がっていた。
「え、ちょ、フェルパー……!」
フェアリーはなんとか動こうとするが、フェルパーが居るため動けない。
更にフェアリーも健全な男である。既に手遅れだった。
「ててて……あ、ゴメンねフェア、リー……?」
フェアリーの腹に顔を埋めていたフェルパーが顔を上げる、と同時にどうやら気付いたようだった。
「フェアリー、コレ……」
「い、いいからまずどいて!これ以上はちょっと……!」
赤くなった顔を手で覆いながら小さい声で叫ぶ。
だがフェルパーは何かを決心した顔になり、その直後フェアリーの水着を一気に下げた。
「フェルパー、何やって……!?」
「いつもフェアリーにしてもらってるから……今度は僕にお礼をさせて?」
「いや、ちょっと意味が違あぁぁ!?」
有無を言わさずに、フェルパーは既に固くなったフェアリーのモノを優しく握り、そのまま水着から零れる胸の谷間へと滑り込ませた。
そしてそのまま両手でなるべく圧迫を加えながら、フェアリーのモノを扱き始める。「ふぇる、パぁ……!何処、でっ!こん、な……!?」
快感に耐えながらも浮かんだ疑問をフェルパーにぶつける。
フェルパーはというと、火照って赤みを帯びた顔をフェアリーに向け、ニコリと笑う。
「この前の『バハムーン事件』の時にやられて……その時かなー。どうかな?気持ちいい?」
フェアリーは退路が無いことを悟り、押し寄せる快感に耐えながら頷く。
海水とフェアリーの先走りによりクチュクチュと水音が響き始め、フェアリーのモノもいっそう強く鼓動しはじめる。
女性経験のないフェアリーに限界が訪れるのは遅くはなかった。
「フェルパー!い、イく……!」
「いいよフェアリー、僕が受け止めてあげるから……!」
フェアリーが一瞬苦しそうな顔をする。それと同時にフェアリーのモノが大きく膨らみ、そして白濁が吐き出された。
元々同種の中では体格が大きいため、フェアリーの大量の白濁はあっという間にフェルパーの髪、顔、胸一面に飛び散った。
「にゃぁっ……熱、い……!」
バハムーンに犯された時と似たような感覚。だが決定的に違ったのは、愛する人のモノということだった。
フェルパーは、胸の谷間でなおも白濁を吐き出しているフェアリーのモノの先を口にくわえた。
「うひゃっ!?」
「んちゅ、んむ……。けほっ、これがフェアリーの味なんだね」
フェルパーは、悪戯っぽい笑顔を浮かべフェアリーのモノを谷間から抜き、白濁を拭い始める。
「続きもしたいけど、今は駄目だからね?」
ある程度拭い終えるとそれを海水で流し、立ち上がる。
「またいつかしようね、フェアリー?」
「え?あっ……」
『今は駄目』の意味を理解し、そしてお互いに顔を赤らめる。
先にその場から逃げだしたのはフェルパーだった。
「……またいつか、か」
日も沈みはじめ暗くなっていく中、フェアリーは愛しい彼女との約束を呟きながら別荘へと歩みはじめた。
「いヤー、エルフも焼けたネー」
「馬鹿ヒューマンのせいですわ!」
「なんだよ、エルフだって楽しんでただろ!」
「まぁまぁ、皆さん喧嘩しないで下さい……」
別荘に着くなり、愉快な喧嘩が聞こえて来る。
皆が浴衣になっているところを見ると、シャワーを浴びた後らしかった。
「よお、フェアリー!遅かったな」
「いや、ちょっと道草してて……」
「あら、フェルパーと同じ理由ですのね」
クラッズが何故かニヤニヤしているが、フェアリーはそれを無視した。
「あれ、フェルパーは?」
「彼女なら今はシャワーを浴びてますよ」
ガチャリ。
セレスティアの説明が終わると同時に浴衣姿のフェルパーが広間へ入って来る。
「あ、フェアリーお帰りー」
猫独特の柔らかい笑みを浮かべフェアリーを迎える。
だがフェアリーはそんなフェルパーを見て固まっていた。
「お?随分早いな」
「シャワーだもんー」
「せめて浴衣くらいしっかりと着付けて欲しいものですわね」
フェルパーが着ている浴衣はしっかり着付けていないため、際どい感じに谷間が除いている。
それを見て、クラッズが固まっているフェアリーに歩みより、囁いた。
「このおっぱい星人メー」
「なっ!?」
この日、自分でも気が付かなかったフェチを気付かされたフェアリーだった。
211 :
二番煎じ:2010/07/04(日) 02:44:31 ID:adZNRPrn
ありがとうございます、二番煎じです。
久しぶりの書き物の為荒くなってしまった事、さらに本編とは関係ない小ネタになってしまった事をお詫びします。
不定期ですが、ちょくちょく帰ってきますね。
二番煎じは逃げ出した!
GJ!嫌な事件だろうにその時にやらされた技術をしっかり覚えてるとは
フェル子結構したたかな子だなw
GJでございます。
これが世間で言う上書きというものなのですね。
キャラスレなくなってるね。
七夕だからエロには絡めにくいイベントだけどあっちならなんかあるかと思ったのに。
っつってもうちのほうじゃ七夕は来月やるんだけど。
>>214 なくなってないぞおいw
しかもまさしく投下があったばっかりだ
mjd?もう一度探してくる!
投下って流れ星のひとじゃないか!
ありがとう
>>215!愛してる!
218 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 17:50:32 ID:OVxTklMx
エルフ♀がダンジョンが迷って触手モンスターのオレに犯される妄想を具現化する程度の能力
>>218 保管庫にモンスターに犯されるエルフはありますよ
こんばんは。
久しぶりにエロいやられかたをして発作が起きたので短めのモノを。
モンスターのチューリップによるフェアリー凌辱モノ。
注意としては鞭打ちあり、産卵というか種植え付けあり、二穴ありです。
当然の如くバッドエンドなので、苦手な方はご注意を。
それでは楽しんでいただければ幸いです。
「イペリオーン!!」
グラニータ雪原に、元気な声が響き渡る。直後、雪原の一ヶ所に巨大な光が現れ、続いて強い衝撃が辺りを襲う。
「えっへへー!楽勝楽勝!さーあ、次次ー!」
降りしきる雪をものともせず、元気に飛び回る一人のフェアリー。一見薄着ながらも全く寒そうにしていない辺り、恐らくは賢者らしく、
魔法で寒さを防いでいるのだろう。
「お、今度はいっぱい出たなぁー!それじゃあ……イグニスー!!」
モンスターの群れを見つけては、彼女は得意の魔法で次々に葬っていく。種族特有の素早さと、強力な古代魔法の前では、
雪原に住むモンスターなど敵ではなかった。
「ふーっ、結構倒したなあ。少しは強くなれたよねー。これでヒュマも、惚れ直してくれるかな〜……えへへ!」
フェアリーが一人でここにいることを、仲間は知らない。彼女は手っ取り早く力を得るため、たった一人でここに来たのだ。
「とと、ちょっと調子乗っちゃった……テレポルもバックドアルもできないやー。とりあえず……マプル!」
僅かに残った魔力を使い、現在地を確認する。出口までは少し遠いが、問題のある距離でもない。フェアリーは方角を確認すると、
さっさと出口に向かって飛び始めた。移動している間に魔力も多少は回復するため、彼女は事態をさほど重く見てはいなかった。
そろそろ出口が見えるという時だった。突然、足に何かが引っ掛かり、フェアリーの動きが止まった。
「きゃっ!?……もー、何?なんで飛んでるのに引っかか…」
何が引っ掛かったのか確認しようと首を巡らせた瞬間、フェアリーは思わず固まってしまった。
足に、緑の蔓が巻きついていた。蔓を辿って視線を下げると、その根元には巨大な唇の付いた植物があった。
「……う、うわわわわ!?気持ち悪い!!ちょ、ちょっと!放してよ!!」
慌てて足をぶんぶん振るも、蔓はしっかり巻きついて離れない。それどころか、蔓は少しずつ、しかし思った以上に強い力でフェアリーを
引っ張り始めた。
「わーっ、わーっ!!やめてよちょっと!ふざけないで、このキモ植物!!やめないと…!」
半分パニックに陥りつつも、フェアリーは僅かに回復した魔力を使って詠唱を始める。
「燃えちゃえ!!ファイア!!」
叫ぶと同時に火の玉が発生し、植物のモンスター、チューリップを包み込んだ。だがすぐに、フェアリーは自分が間違いを犯したことに
気付いた。
「あ……あれれ?き、効いてない…!?」
植物だから火が効くと思ったのが間違いだった。このモンスターは植物でありながら、火の属性を持っていたのだ。
もはや魔力は全く残っていない。ならばと太陽の杖を振り回そうとした瞬間、チューリップの蔓が唸りをあげた。
「い、痛ぁい!!」
パシィン!と乾いた音が響き、フェアリーの腕に真っ赤な線が浮かぶ。その痛みに、フェアリーは武器を取り落としてしまった。
「や、やめてよ!!ちょっと、やだ!!やめて!!いやだよぉ!!待って、待ってぇ!!」
フェアリーは必死に哀願するも、聞き入れられるわけもない。チューリップは全く感情を感じさせない動きで、再び蔓を振りかざす。
「きゃああぁぁ!!」
再び乾いた音が響き、フェアリーの制服の一部が破れる。そしてその下の肌に、真っ赤な線が浮かび上がる。
「痛い!!痛いよぉ!!やめて!!お願いもうしないから!!だからやめ……痛いぃ!!」
容赦なく、何度も何度も鞭のような蔓が振り下ろされる。それはフェアリーの腕といわず腹といわず、ところ構わず振り下ろされ、
その度に制服が破け、彼女の肌に真っ赤な痕を残す。
「やだ!!もうやだぁ!!このっ……放せぇー!!」
心を折られそうになりつつも、フェアリーはいっぱしの冒険者である。彼女は最後の望みをかけて、足に巻き付いた蔓に噛みついた。
その合間にも、蔓は容赦なくフェアリーの体を打つ。
「んぐぅぅ!!うぅ〜……ぐっ……ふぐ、ううぅぅ!!」
何度も体を打たれつつ、それでもなお噛み続ける。やがて、僅かに歯が貫通し、そこから少しずつ繊維を噛み切り、とうとうフェアリーは
蔓を噛み切った。
「きゃっ!!」
だが、既に体力がなかった。飛ぼうにも羽がうまく動かず、立ちあがろうにも体に力が入らない。
それでも、フェアリーは何とかチューリップに背を向け、無理矢理飛び上がろうとした。
しかし、遅かった。フェアリーの行動は、相手を怒らせるのに十分すぎるものだった。
新たに二本の蔓が伸び、ようやく飛び上がったフェアリーの右腕と左足を捕えた。
「あっ!?や、やだ!!やっと逃げたのに……い、いや!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさ…!」
勢いを増した蔓が、フェアリーの背中へしたたかに打ちつけられる。
「いっっ…!!」
もはや悲鳴すら上がらず、フェアリーは体を仰け反らせ、痛みに震える。そんな彼女に構わず、再び蔓が唸りを上げ、今度は彼女の
小さな尻を激しく打ちすえた。
「いぎっっ!!し、死ぬ…!!死んじゃうから、やめっ……がっっ!!や……ああぁぁやめてやめてやめてええぇぇ!!!」
自由な方の腕と足をばたつかせ、フェアリーは必死に逃げようともがく。しかしその行為がさらに相手を刺激し、蔓は容赦なく
フェアリーの体を打ちすえる。
「ひぐっ!!ぎっ!!あがぁっ!!」
制服が破れ、スカートが破れ、その下のショーツまでも破れてしまい、フェアリーの着ていた物はただのぼろきれへと変えられていく。
「痛……ぁ…!!し、死ぬ……ヒュマ、助け……あぐっ!!!」
背中も尻も真っ赤に腫れあがり、フェアリーは目にいっぱいの涙を溜めて、声も届かぬ仲間に助けを求める。そんな彼女にとどめを
刺すが如く、チューリップは一際勢いを付けた蔓を、フェアリーに思い切り叩きつけた。
「いぎゃああぁぁぁっ!!!」
凄まじい悲鳴が上がり、同時にしゃあぁ、と小さな音が響く。フェアリーの下の雪が、黄色みを帯びて溶けていく。
その時、不意にチューリップの動きが止まった。一瞬の間を置き、手足に巻き付いた蔓が引っ張られ、フェアリーはその巨大な唇の前に
運ばれる。
「うあ……ぁ……食べ……ない、でぇ…」
もはや抵抗する気力もなく、フェアリーはぐったりしたまま呟くように哀願する。事実、その姿はまるで、食虫植物に捕食される虫を
連想させた。
唇がゆっくりと開かれる。とうとう食われるかと思った瞬間、その中から巨大な舌が伸び、フェアリーの秘所をベロンと舐めた。
「ひゃあっ!?ななな、何!?何!?やめてよぉ!!そんなところ舐めないでぇ!!味見ならせめて違うところに……ひゃう!!」
驚きと恥ずかしさから、フェアリーは動く手足を何とか動かし、舌から逃れようとする。だがチューリップはそんな抵抗を意に介さず、
小さな割れ目を、背中を、太股を、尻を、じっくりと舐め回す。
「いや、ぁ…!き、気持ち悪いよぉ…!誰かぁ……ヒュマ、ヒュマ……助けてぇ…!」
唾液とは違う、妙にぬめり気のある粘液に塗れ、フェアリーは涙を流す。すると、チューリップは蔓を器用に動かし、フェアリーの向きを
変えると、今度は顔や胸を舐め始めた。
「うぶっ!!や、やだっ……ぶぇ!!こ、こんなのが初めてのキスなんて……んあ!」
柔らかい舌で舐め回されるその感覚は、フェアリーにとてつもない嫌悪感をもたらす。必死に首を振り、唾を吐き、空いた手で舌を
追い払うも、その全てが徒労に終わる。
やがて満足したのか、不意に舌が引っ込められる。その頃には、フェアリーの全身にはべっとりと粘液が付いており、服だった物が
僅かに肌に張り付いているだけだった。
チューリップが蔓を伸ばす。また叩かれるのかと、フェアリーは思わず身構えたが、その蔓はフェアリーの空いていた手と足をしっかり
絡め取っただけだった。
「あうっ!」
両手足を引っ張られ、フェアリーの体は大の字に固定される。ほぼ裸の状態で足を開かされ、恥ずかしさに足を閉じようとするも、それも
叶わない。
そんな彼女の前に、一本の蔓が伸びてきた。それはゆっくりと動き、彼女の腹に当たると、そこからすうっと下へ動いていく。
やがて、小さな割れ目に触れた瞬間。動きが止まった。
「ま、まさか…!い、嫌だぁ!!やめっ…!」
その意図を察し、抵抗しようとした瞬間。蔓が勢い良く伸び、フェアリーの秘部から体内へと侵入した。
「い、痛ああぁぁ!!!やだぁ!!こんなのやだああぁぁ!!!痛い!!痛いよおぉー!!!」
モンスターに犯された。その事実が絶望的な響きを持って、フェアリーに襲いかかる。フェアリーは泣きじゃくりながら必死に体を
動かそうとするが、非力な彼女には蔓を引きちぎることもできない。
「痛い!!痛いぃ!!だ、ダメぇ!!それ以上入んない!!入んないよおぉぉ!!やっ……ああぁぁ!!」
体内の奥まで無理矢理ねじ込まれ、激しい痛みが襲う。チューリップはそれ以上の侵入が不可能と見ると、やおらその蔓を
激しく動かし始めた。
「あぐぅっ!!や、やめっ……痛ぁ!!ダメダメやめてやめてやめてぇぇ!!痛いよ!!死んじゃうよおぉー!!」
蔓が激しく出入りを繰り返し、奥深くでうねるように暴れ、その度にフェアリーは耐え難い苦痛に身を捩る。これなら全身を
打たれていた方がよほどマシだったと、絶望的な思いで考えた瞬間、不意に蔓が体内で動きを止めた。
「ふえ…?やめ……て……くれ、た…?」
僅かな希望を込め、むしろそうであるように祈るが如く呟く。しかし、それもすぐに絶望へ変わる。
蔓の根元が、僅かに膨らんでいた。その膨らみは徐々に移動し、少しずつこちらへと向かってきている。
「な……何、それ…?ね、ねえちょっと、何するの!?それ、どうするのぉ!?いやあ!!やめて!!抜いてっ、もう抜いてよぉ!!」
腰を浮かそうとするが、そうしたところで奥深くまで入り込んだ蔓が抜けるわけもない。膨らみは目の前まで迫り、やがて秘裂へと
差しかかる。
「あうっ!い、痛ぁ…!む、無理だよぅ……は、入らないっ……入らないってっ……ひぎゃあっ!!」
ずるんと、膨らみが一気に体内へ入り込む。それはどんどんと奥へ入り込み、やがて蔓の先端部分から何かが飛び出すのを感じた。
「痛っ!?な、何!?チクって……い、痛い痛い!!や、やめて!!もうこれ出してぇー!!」
用事が済んだと見たのか、蔓がずるずると抜けていく。しかし、体内に残る痛い物体はそのままである。
「何、これぇ…!?うう……まさか、た、種…?」
だとすると、自分はこのモンスターの苗床にされたということになる。それに気付いた瞬間、フェアリーの顔が恐怖に引きつる。
「や……やだ、そんなのっ!でも……う、うぅ……出さ……ないと…!」
一度深呼吸をし、軽くいきんでみる。しかし、どうやらオナモミのような棘が生えているらしく、あまりの痛みにフェアリーはすぐ
力を抜いてしまう。
「痛いよぉ…!でも、種なんか……ヒュマ、ヒュマぁ、助けてよぉ…!」
叶わないと知りつつ、愛する者に助けを乞い、その姿を思い浮かべて勇気に変え、再び強くいきむ。
「あぐっ!!ぐうぅぅ〜〜〜…!!痛いっ……けど……負けないんだからぁ…!!」
幸い、棘自体はさほど鋭いものではない。少しずつ種は動いていき、それと共に襲う体内を引っ掻かれる痛みに耐える。やがて秘裂が
押し広げられる痛みが加わり、思わず力が緩んだ。
途端に、種は再び体内に入り込んだ。どうやら棘は、反対側には立たないように生えているらしい。
「うああっ!?くっ……負け……ない……からぁ…!!」
まるで出産でもするかのように、フェアリーは全身に脂汗を浮かべ、再び強くいきむ。棘だらけの種の先端が現れ、やがて半分ほどが
姿を現し、そしてずるりと抜け出て、雪の上に落ちる。
「っっっはぁ!!はぁっ……はぁっ……や、やったぁ…!」
疲れきった顔に笑顔を浮かべ、フェアリーはホッと息をついた。
直後、再び蔓が伸びた。
「え……う、嘘だよね…!?も、もうやだ!!もうやだぁ!!」
恐怖に青ざめ、必死に首を振る彼女をいたぶるかのように、蔓がゆっくりと割れ目に近づいていく。
「やだやだやだやだぁーーー!!!もうやだ!!!あんなのもうやだぁー!!!お願いだからやめて!!やめてぇー!!!」
必死の哀願も空しく、蔓は再びフェアリーの体内に入り込んだ。
「あぐっ!い……いや、だぁ…!もう、やだぁ〜…!」
絶望の表情を浮かべ、フェアリーはぼろぼろと涙を流す。そして、蔓の根元が膨らみ、動き始める。しかし、今度は様子が違った。
「え…?な、何それ…?う、嘘でしょ!?また膨らんでっ……ま、またっ……や、やだぁーーー!!!!」
蔓を通って、いくつもの種がフェアリーの中へ移動を始める。秘裂を押し広げ、一つが入り、すぐに二つ目が入り込み、三つ目が入る。
そうしていくつもの種がフェアリーの体内に植え付けられ、フェアリーの腹が大きく膨らんでいく。
「あがっ……かはっ!!く、苦、しっ……も、もう入らないぃぃ…!!お、おね、が……やめ、てぇ…!!」
元々小さなフェアリーの体に、いくつもの種が入り込む。体内の蔓は少しずつ抜け出ていきながら種を植え付けていたが、
やがて一つの種が入りきらず、ぼとりと雪の上に落ちる。フェアリーの腹は妊婦のように膨らみ、秘裂からは僅かに種の先端が覗く。
「うあぁ……おなか……いたいよぉ…!ヒュマぁ……みんなぁ……たすけて…」
涙で滲んだ視界の中、さらに多くの蔓が伸びるのが見える。そのうちの一本が、既に限界まで種を詰め込まれた秘裂へと伸びた。
「うあ、ぁ…!い、痛……あぁ…!!」
僅かな隙間を縫い、蔓が体内に入り込む。その蔓はある程度まで入り込むと、中を無理矢理広げようとするかのように、体内で滅茶苦茶に
暴れ始めた。
「ああっ……ああぁぁ!!!やめ……てっ…!!がはっ!!苦しっ……痛いぃ…!!」
だが、今度はそれだけでは済まなかった。その痛みに気を取られている間に、もう一本の蔓が後ろの穴に押し当てられた。
「え…?な、何考えてっ…!?そ、そこは嫌ぁ!!やだやだやだ!!そんなところ入れちゃダメぇぇ!!」
フェアリーの言葉など意に介さず、蔓がずぶりと腸内にめり込んだ。
「いぎっ……おなかっ……がぁ…!めちゃくちゃ……にっ…!いっ、ひぎいいぃぃ!!」
膣内のみならず、その腸内に入り込んだ蔓までもが暴れ出し、フェアリーは想像を絶する激痛にただただ悲鳴を上げる。
激しく出入りし、うねり、腸を破らんばかりに暴れ狂う蔓。その苦痛のさなか、フェアリーは新たな苦痛が加わるのを感じた。
「い……いやっ…!お、おしり……に、もぉ…!?いたぁっ……かはっ!くるしっ……やだ……もう、もうやだああぁぁ!!!」
膣内と違い、遥かに奥行きのある腸内には、際限なく種が送り込まれていく。その間も蔓は暴れ続け、その度に棘が当たり、腸内に強い
痛みが走る。そして無理矢理押し広げられた腸内を、種が満たしていく。
「お、おしり……おなか……やぶ、れ…!うあ…?まだ、つる……う、おえぇ…!」
もはや悲鳴すら上げられなくなった頃、口の中へ新たな蔓が入り込んできた。さすがに種を送り込むことはなかったが、それは喉の奥まで
挿入され、辛うじて呼吸はできるものの、それ以外の行動は全て封じられた。
もう、魔法を詠唱することもできない。助けを呼ぶこともできない。動くこともできず、フェアリーはこの膣内と腸内に詰め込まれた
種が芽吹くまで、こうして生かされるだけの運命なのだ。もっとも、その種が芽吹いた後の解放というものが、生きての話とも
限らないのだが。
―――こんなモンスターの……ヒュマ、ごめんね…。
彼女自身、そうした自身の運命を悟っており、頬には苦痛と絶望の涙が伝う。
助けが来ることもない。仮に助けが来たとしても、仲間にこんな姿を見られたくはなかった。
彼女の精神は、その絶望に耐えきれるほどに、強くはなかった。
―――この種が芽吹いたら……やっぱり、ママは私なのかな…?
そんな場違いな思考を最後に、フェアリーの意識は暗い闇の中へと消えていった。後にはただ、植物の苗床と化した哀れな妖精が一人、
呻き声をあげ続けていた。
以上、投下終了。
フェア子賢者は大人っぽい雰囲気だけど子供っぽくあってほしい。
それではこの辺で。
乙です
ふぅ・・・珍しくエロ特化な話だった
賢者子は見た目大人っぽいけど他職のフェアリーより性格幼そうなイメージだな
GJでした
相変わらずのハイクオリティ
賢者フェア子苗床エンドとか最高すぐる
229 :
195:2010/07/25(日) 16:22:55 ID:awwOxOhX
>>226乙でした
賢者でもなんかほっぺがぷにっとしてるからかな、子供っぽく見えるの。
やっぱ拡張ぼこぉひぎぃはたまらんね。背徳的で
『つまり、私ならラグナ使って使用可能な奇跡を確認し、
MP回復なら使うぐらいのことはしたろうってこと……
そうすれば、一寸先は闇を避ける事ぐらいはでき……たっ!?』
キャラにしゃべらせる妄想して、読みながらプレイしてたら
その子が不意打ちでカキピーに首飛ばされたぜ。
IE上で表示される状態だと改行がおかしいけれど
「ファイル」
「名前を付けて保存」
「ファイルの種類をテキスト」
「エンコードをutf 8」
にして保存してメモ帳なんかで開いたら読めそう。
酉外し忘れ酉外し忘れ……orz
今日中に死ぬ
238 :
195:2010/07/27(火) 13:33:15 ID:hHuqbTWt
>>195=232です。
みんなアドバイスありがとう。最近規制が酷く、書き込みも代行便り
なので、ロダ経由での投下になりそう。使ってるワープロ(=Pages)の
機能を調べてみて、html変換が可能ならhtml形式で、もしtextやdoc形式
の方が良ければ、そうするつもり。どういう形がいいだろうか?
「二度と来るな!!」は無しの方向で。次のクリスマスにくっつけなきゃ
ならない二人がいるのでw
>>234 つ天使の涙
直々の手直しありがとう。「読むのが面倒」というクレームが多かったら、
同じく死ぬつもりだったけど、生きる希望が沸いてきた。
改行の仕方も 参考になった。「他の人はあんな感じで区切って読んでるんだ」って。
今後ともよろしく。
ひょっとしてキャラスレdat落ち?
普通にあるけど、サーバーが変わったみたいだね
サンクス
ゲーキャラのサーバーも変わったのか
かわいらしいけどこれやんのは年齢が1/2〜2/3くらいの子供じゃないのか。
しかしかわいいから許す!
俺に死の自由はないようなので復活。二度と酉外し忘れなんてしないよ。
今回はまた久々にNPC。ディモレアさんにパーネ先生を苛め抜いてもらってみた。
注意としては、前回に続いてまたも触手による凌辱モノ。あとお尻を重点的に責めてます。
それと注意とは微妙に違いますが、ディモレアの言葉遣いがややうろ覚え……多少おかしくても大目に見てください…。
それでは楽しんでいただければ幸いです。
薄暗い地下道の中、彼女は目を覚ました。
「う……ここ、は…?」
頭の中はまるで靄がかかったようで、何も思い出せない。思い出そうにも、頭はほとんど動いてくれない。
ともかくも、何とか立ちあがる。同時に、地面にひらりと黒い羽が舞い落ちた。
自身の背中には、真っ黒な翼がある。傍らには三日月のような鎌が落ちており、それらを眺めるうちに、彼女は少しずつ記憶を
取り戻していく。
「私、は……なぜ、ここに……なぜ……元の姿に…?」
記憶の中では、彼女は確かに死んでいた。かつての教え子達に追い詰められ、ダンテやその妹を取りこんだものの、ダンテの裏切りに
よって動きを封じられ、そのままとどめを刺されたのだ。あの時、確かに三つの石を取りこみ、神の力を得たはずだったが、今はその力も
消えてしまっている。
「……ふ、ふふふ…。でも、私はこうしてここにいる。ならばまだ、チャンスはあるはず…」
「あらあら。誰かと思えば、パーネじゃない」
突然の声に、パーネは慌てて振り返った。するとそこには、想像だにしなかった人物が立っていた。
「いいざまねえ。人のこと噛ませ犬扱いしておいて、自分は神になったつもりで大失敗。あまつさえ教え子にやられるなんて。
堕天使っていうのは、面目が地に落ちた天使のことを言うんだったかしら?」
「……ディモレア…!」
人を小馬鹿にした笑みを浮かべ、皮肉に満ちた言葉を吐く悪魔。彼女はパーネ達がこの世界を本格的に攻める前に、その戦力を
計るため、一足先にこの世界へ向かわせていたのだ。彼女自身も相当な力を持つ者だが、さすがに元の世界の援護がなかったせいか、
こちらの世界の生徒に撃退されてしまっていた。
「あなたが……どうしてここに…!?」
「そんなの、私の勝手じゃない。大体あなた、ここがどこだかわかってる?」
言われてみれば、どうやら地下道らしいことはわかるのだが、一体どこの地下道なのかまではわからない。
そんな思考を読んだのか、ディモレアは妖艶に笑う。
「わからないのも無理はないわね。ここはハイント地下道。あなた達の知らない、隠された地下道よ」
「ハイント…?どうしてそんなところに…?」
「さあ、ねえ?せいぜい神とやらが、私の願いを叶えてくれた……ってところかしらね?」
「願い?」
「そう、願い」
相変わらず、ディモレアは妖艶な笑みを浮かべている。しかしパーネは、その瞳の中に潜む狂気を感じ取っていた。
「あなたが死んだ後のことを教えてあげる。あの後ね、あなたの可愛い教え子達は、自分の世界に現れた迷宮を攻略して、本物の神に
出会ってるの。そして、その神との戦いにも勝利した。そのご褒美かしらね?神は、あなたの大切なダンテや、校長のお爺ちゃんを
復活させた。もちろん、それはその奇跡を願った人がいるから。ここまで言えば、あなたにもわかるでしょう?」
「つまり、あなたが私の復活を願い、生き返らせた…」
「ご名答。裏切りまで計算に入れるあなたには、易しすぎる問題だったかしら?」
「でも、なぜあなたが…」
思わず言うと、ディモレアはスッと目を細めた。
「……それを、あなたが聞く?」
言いながら、ディモレアはゆっくりとパーネに近づく。言い様のない不吉な予感に、パーネは思わず身構えようとした。
その腕を、ディモレアは素早く捕えた。そして間髪入れず引き寄せると、パーネの口を自身の唇で塞ぐ。
「んうっ!?ぐっ…!」
慌てて押しのけようとするも、ディモレアの力は意外に強い。
ディモレアの舌が別の生き物のように動き、パーネの口内に侵入しようとする。慌てて口を閉じると、ディモレアは唇を強く吸い、
舌が歯茎をなぞった。その異様な感覚に、パーネは思わず悲鳴を上げそうになってしまう。
それを見計らったように、再びディモレアが強く吸い上げ、なおかつ彼女の舌に自身の舌を絡める。驚き、それを慌てて舌で押し返すと、
ディモレアは意外なほど大人しく舌を引っ込めた。勢い、今度は逆にパーネの舌が、ディモレアの口内に入り込む。
その瞬間、パーネのくぐもった悲鳴が上がった。
「んっ……んぐううぅぅ!!!」
痛みに震えるパーネに、ディモレアは妖しく笑いかける。
「あらあら、堕天使の癖にキスは慣れてないのね。キスをしてくれる相手もいなかったのかしら?」
パーネの舌を噛みながら、ディモレアはゆっくりと顔を引く。
「ふえあぁ…!」
舌を引っ張られ、パーネは舌を突き出し、目に涙を浮かべつつも何とかディモレアを睨む。
「あん、そんな可愛い目で見られるとぞくぞくしちゃう。ふふふ……いいざまね」
冷酷な笑みを浮かべ、ディモレアは顎に力を込める。途端にパーネの顔が歪み、大きな悲鳴が上がる。
「いあああぁぁ!!」
「このまま噛み切っても面白いかもしれないけど、それじゃあちょっと、ねえ?私の気を晴らすのには、十分じゃないわよね?」
「うぅ……は、はんえ……ほんあ…!?」
何とかそう口にすると、ディモレアの顔から笑みが消える。
「なんでって?当然じゃない。あなた、自分が何やったかわかってる?私を捨て駒扱いして、バルバレスコを道化にして……しかもよ?
それだけやっておいて、結局あなたの教え子にやられて計画失敗とか、ふざけてるにも程があるわ。せめて成功させてれば、まだ救いも
あるけど、これじゃあ私のやったことまで、全部無駄じゃない。さすがにそうなるとね、私もイラッとするわけよ」
変わらず舌を噛みつつ、ディモレアはパーネの服に手を掛ける。
「だからね……出来の悪い堕天使ちゃんには、ちょっとお仕置きしてあげなくちゃね」
「んうっ!?」
バリっと大きな音を立て、パーネの服が引き裂かれる。露わになった胸を隠す間もなく、ディモレアの手がそこに触れる。
「んんっ…!?んあっ!」
ディモレアの手が、ゆっくりとパーネの胸を揉みしだく。抵抗しようにも、変わらず舌は強く噛まれており、少しでも動けばすぐに
痛みが強くなる。
「ん、あっ!あ……あ、えっ…!」
「やっぱり大きいわねえ。誰に揉んでもらったわけでもないでしょうに、ね。ふふ」
痛みと快感に翻弄され、パーネは抵抗することもできず、ただ体をくねらせて身悶えることしかできない。
「はーっ、はーっ!はあっ……うあぁ…!」
「なかなか可愛い顔するじゃない。それに、そんなにくねくねしちゃって……それじゃあ、ここを触るとどうなるのかしらね」
言いながら、ディモレアはパーネと体を密着させると、右手を股の間へと滑り込ませた。
「うあっ!?や……やえ…!」
「ああもう、うるさいわねえ。少しお黙りなさいな」
「んんっ!?」
そう言うと、ディモレアは不意に唇を重ねた。一度パーネの舌を解放し、噛んでいた部分を労わるかのように舐める。
思わず口を開きかけると、ディモレアはそのまま舌を入り込ませ、パーネの口内を思うままに蹂躙する。
激しいキスと、胸への優しい愛撫。そして触るか触らないかの軽い秘所への愛撫に、パーネのそこはじっとりと濡れ始めていた。
「んんんっ……んあっ!」
ディモレアはその滲み出る液体を指に絡めると、小さな突起を軽く指で弾いた。途端にパーネの体が仰け反り、唇が離れる。
「はっ……はっ……ディ、ディモレア、やめなさ…!」
「……やめ『なさい』?」
ゾッとするほど冷たい声。直後、ディモレアはパーネの乳首を、ちぎれんばかりに強くつねった。
「いっ、痛!!痛い!!痛いぃ!!」
「まったくこの堕天使ちゃんは、誰に向かって口を利いてるのかしらね。もうちょっと自分の立場は分かってると思ったけど……あなたの
頭も、実力と同じで買い被りすぎたみたいね?」
言いながら、ディモレアは乳首を強く摘んだまま引っ張っていき、指の滑るに任せて解放する。
「うああっ!!くぅっ……ディモレア、あなたこんなことをして…!」
「……ほんっと、立場が分かってないみたいね。あなたは今、私にものを言える立場じゃないのよ」
「ひぐっ!!」
ディモレアはパーネの秘部に中指を押し当てると、何の遠慮もなしに一気に根元まで突き入れた。あまりの痛みに、パーネは体を
弓なりに反らし、体を震わせる。それでも、何とかディモレアを睨みつけ、パーネは弱々しい声を絞り出す。
「こ、こんな真似っ……あなた、あとでただじゃ…!」
「ふぅん、本っ当に立場ってものがわかってないのね、あなた。大人しくしてれば、散々辱めるだけで許してあげようと思ってたけど、
気が変わったわ。イき狂わせる代わりに……気が狂うほどの苦痛を与えてあげる」
「っ!?」
ディモレアの体が変形していく。下半身は人の形を失い、そこからいくつもの触手が現れる。
「なっ…!?そ、その力は失ったはず!?」
「一度失恋したからって、二度と恋ができないとは限らないわよ?……と、こんなことを経験のないあなたに言っても、理解できない
かしらね?取り戻すのに苦労したところとか、似てるんだけどね」
ディモレアは完全な異形と化していた。今の彼女は、かつてこの世界を危機に陥れた悪魔、キング・クリムゾンと呼ばれた姿になっていた。
その姿に気を取られている隙に、パーネの両足を触手が絡め取る。
「きゃあっ!?ちょ、ちょっと!やめなさい!」
必死に抵抗するも、その力は異常に強く、触手はパーネの両足を無理矢理開かせる。そして、そのうちの一本が秘部へと伸びる。
「んんっ!?や……やめ、てっ…!」
触手が秘裂を押し広げ、前後にゆっくりと擦る。僅かながらも湿り気を帯びていたそこは、触手が動く度にくちくちと小さな音を立て、
さらに熱い粘液を溢れさせる。やがて、触手全体に愛液が絡み、ぬらぬらと妖しく光るようになると、ディモレアはゆっくりとそれを
動かし、先端をパーネの秘裂に押し当てた。
「い……嫌!ディモレア、お願い!それはやめてぇ!」
「そう?そんなに嫌なら、やめてあげるわ」
驚くほどあっさりと、ディモレアは触手を離した。しかし、その顔には今までよりもさらに冷酷な笑みが浮かんでいた。
そして触手が動き、今度はもう一つの穴に押し当てられる。途端に、パーネはビクリと全身を震わせた。
「な、何を考えてっ…!?」
「嫌なんでしょ?だから、こっちで我慢してあげるわ」
「嫌ぁ!!そ、そんなところで……お尻なんて、絶対にいやああぁぁ!!」
黒く染まった翼を持つとはいえ、パーネもセレスティアである。そこに挿入されるとわかると、その抵抗は今までにないほど激しくなる。
そんな彼女を、ディモレアはそれこそ悪魔のような笑みを浮かべて見下ろす。
「そう、ここはもっと嫌なのね?わかったわ、それじゃあ……ここ、いっぱい可愛がってあげるわ」
触手にグッと力が加わり、先端がじわじわと入り込んでいく。小さな穴を限界まで押し広げられる激痛と、体内からの凄まじい圧迫感、
そして恐ろしいほどの嫌悪感に、パーネは悲鳴を上げる。
「嫌ぁっ!!嫌ああぁぁぁ!!!痛い!!痛い!!いやぁ!!お願い、やめて!!痛いっ!!もうやめてぇ!!」
パーネをいたぶるように、ゆっくりと触手が侵入していく。肛門が無理矢理広げられ、愛液の絡んだ触手はにちにちと小さな音を立てつつ、
狭い腸内を押し広げながら進んでいく。それに伴う異様な異物感に、パーネは身を悶える。
逃げようにも、両脚は既に拘束されている。それでも必死に逃げようと首を巡らせると、自身の武器である鎌が目に入った。
「ぐぅ……ううぅぅ…!」
痛みを堪え、必死に手を伸ばす。だが、指先がそれに触れた瞬間、ディモレアは笑った。
「何をおいたしようとしてるのかしら?」
「きゃあ!?」
とつぜん、両足が持ち上げられ、パーネは空中に逆さ吊りにされる。そんな彼女の目の前で、ディモレアは鎌を拾い上げ、彼女の目の前に
ぶら下げて見せる。
「これが欲しかったのかしら?でもね、人と遊んでるときに、別の玩具で遊ぼうって言うのは失礼じゃない?」
「あ……あぁ…!」
「それとも、これを入れて欲しかったのかしら?」
そう言って笑うディモレアに、パーネは恐怖にひきつった顔を向ける。
「ち、違っ…!」
「入れてあげてもいいけど……でも、これ柄も先が尖ってて危ないわね。まだ死なれても困るし、捨てておくわ」
無造作に鎌が投げ捨てられる。そしてディモレアは、再び冷酷な笑みを浮かべた。
「それにしても、入れて欲しいんじゃなかったら、あなたはあの鎌で何をするつもりだったのかしら?」
「それは…!」
「……悪い子には、お仕置きね」
逆さ吊りにしたまま、ディモレアは触手を激しく突き下ろす。
「きゃあああぁぁぁ!!!痛い!!!痛いぃぃ!!!」
あまりに激しい動きに、結合部には痛みに加えて灼熱感すら走る。辛うじて滲む腸液も、触手が抜け出ると同時に飛び散ってしまい、
潤滑剤となるものがほとんどない。
焼けるような痛みだけでも辛いのに、触手は体内の奥深くを強く突き、それこそ腹を突き破られそうな痛みが走る。おまけに、体内で
触手はうねるように暴れ、腸内を激しく掻き回される。あまりの激痛に、パーネは悲鳴を上げる。
「ディモレアやめてええぇぇ!!!お願いだからやめっ……痛ぁぁぁ!!!」
「さっきから『やめてやめて』って、あなたそれしか言えないのかしら?これはお仕置きよ?悪いことしたら、普通はなんて言うのかしら
パーネちゃん?」
「うあああぁぁぁ!!!痛いっ……痛いぃ…!!も、もうやめ……お尻、痛い…!!ぐすっ……壊れちゃう…!!お願い、やめ…!」
「な・ん・て・言・う・の・か・し・ら?」
「ひぐううぅぅ!!!」
一際強く腸内を突かれ、パーネは全身を強張らせる。全身に脂汗を浮かべながらも、パーネは何とか口を開いた。
「う、うぅ…!ご……ごめ…」
一度は口にしかけたものの、やはり屈辱と感じたのか、パーネはキッとディモレアを睨んだ。
「……くっ…!わ、私がどうして、あなたなんかに…!」
「あっそう。じゃあお仕置き続行ね」
再び、触手が思い切り突き下ろされる。今までよりもさらに深く入り込み、パーネはまたも悲鳴を上げる。
「痛っ!!いやああぁぁ!!!やめて!!やめてえ!!おなかが破れちゃう!!!お願い許してぇぇ!!!」
「許してほしかったら、なんて言うの?ほら、早く言いなさいよ」
もはや恥も外聞もなかった。ただその苦痛から逃れたい一心で、パーネは必死に声を絞り出す。
「うあぁぁ!!やめて……やめてぇ…!ご……ごめん、なさ…!」
そこまで言いかけた瞬間、突然ディモレアはパーネを解放した。突然のことに羽ばたくこともできず、パーネはそのまま地面に落ちる。
「うあっ!?」
「何か言いかけたかしら?まあいいわ。自分から謝れないような子には……もっときついお仕置きが必要みたいね」
「そんなっ…!い、いやっ!!ごめ……んぶぅ!?」
口を開いた瞬間、そこに触手が入り込んだ。それに気を取られた瞬間、今度はさっきよりも太い触手が肛門に押し当てられる。
「んぐっ!?ふあっ!!あえっ……んぐうううぅぅぅ!!!!!」
自身の腕ほどもあろうかという触手が、腸内に侵入する。あまりの痛みに、パーネは失神すら許されない。
「ほらほら、謝らなくていいのかしら?早く謝らないと、もっともっと痛い思いするわよ?」
言いながら、ディモレアはパーネの体ごと触手を持ち上げた。
「んぶぅっ!!!んうううぅぅぅ!!!」
口内と腸内に差し込まれた触手だけで持ち上げられる苦痛に、パーネは絶叫する。間髪入れず、触手は激しく出入りを始め、パーネの
苦痛はますます跳ね上がる。
喉の奥まで侵入した触手でえずき、しかし吐くことも許されない。肛門は限界以上に押し広げられ、腹の奥を突かれる度に強い痛みが
走り、引き抜かれるときには肛門が捲れ上がるような錯覚を覚えるほどの痛みが走る。
「んぐっ!!ぐっ!!!ぶえぇ!!!んっ……ぐううぅぅ!!!」
口内を犯す触手を両手で掴み、腸内を犯す触手に両足を絡め、パーネは必死に苦痛から逃れようとする。口内と腸内での宙吊りの
苦痛からは辛うじて逃れられたものの、それでも二つの穴を激しく犯される苦痛からは逃れられない。
「んぶっ!!ううーっ!!うえ……ああぁ!!」
「何か言いたいことでもあるの?はっきり言ってくれなきゃ、わからないわよ?」
「うえぇ、ああぁぁー!!」
パーネは必死に叫ぶが、口に突っ込まれた触手がそれを言葉にさせない。
「これだけされて、まだ謝らないなんて、強情な子ね。それじゃ、もっと強くしちゃおうかしら」
「んんーっ!!!んううぅぅー!!!」
とうとう、パーネは涙を流した。ディモレアの言葉に、パーネは泣きながら必死に首を振るが、ディモレアはそんな彼女を見て、ますます
楽しげに笑う。
「泣くほどお尻が気持ちいいのかしら?それじゃ、もっと気持ちよくしてあげなきゃいけないわねえ」
「んううっ!?んんんっ……んっ!!!」
パーネの腸内から、触手が引き抜かれる。ホッとしたのも束の間。再びそこに、触手が押し当てられる。その感触に、パーネはゾッとした。
太さ自体は、先程のものより細い。しかし今度は、二本の触手が押し当てられているのだ。
「んううっ!?んんっ!!んんんっ…!!」
抵抗する間もなく、二本の触手が腸内に突き入れられた。
「んぅああぁぁっ!!!!」
パーネが絶叫する。だがディモレアは構うことなく、その二本の触手を交互に出入りさせ、腸内を激しく犯す。
「んぶっ!!ぐっ!!んぐああぁぁ!!!」
「ふふ、いい声……正直に言うとね、前からあなたのこと気に入らなかったのよ。ほら、あなたって一応セレスティアじゃない?
私としては、セレスティアって嫌いなのよ。特に、あなたみたいな堕天使っていうやつはね」
パーネはあまりの苦痛に、ディモレアの声などほとんど聞こえていないらしく、ただただくぐもった悲鳴を上げ続ける。
「天使にも戻れない、悪魔にもなりきれない。ほんっと、半端な存在よね。だから詰めを誤って、部下に裏切られた揚句、教え子に
殺されたりするのよ」
そこで、触手の動きが変わった。一本は変わらず、激しく出入りを繰り返すが、もう一本が無理矢理広げられた腸内を進み、
さらに奥深くへと侵入していく。
体内で曲がり、うねり、どんどん中へと進む触手。その動きにやはり気遣いはなく、時折パーネの腹にぼこりと触手の形が浮かび、
居場所を表す。その度に、パーネは苦しげな呻き声をあげ、身悶える。
新たな触手が伸び、パーネの翼に巻きつく。すると、ディモレアは不意に、パーネの口に入っていた触手を抜いた。
「どう、パーネちゃん?いい加減、謝る気…」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
ディモレアの言葉を遮るようにして、パーネが叫んだ。そんな彼女を、ディモレアは少し意外そうに見つめ、そしてゾッとするほど
冷たい笑みを浮かべた。
「……何か言ったみたいだけど、早口すぎてよく聞こえなかったわ」
「そんなっ…!」
「それに、人がまだ喋ってるのに口挟むなんて、悪い子ね。その様子じゃ、まだ謝る気は全然ないんでしょ?」
「違う!!ディモレア違うの!!お願いもう許して!!ごめ……んぶっ!?」
開きかけたパーネの口に、再び触手がねじ込まれる。そしてさらに、今まで手をつけられなかった秘部へと触手が押し当てられた。
「んうっ!?んんーっ!!」
「あなたみたいな悪い子には、うんときついお仕置きしなくっちゃね。それにどうせ、初めてをあげる人の当てだってないんでしょ?
だから私が、あなたの初めて、もらってあげる」
「んんんっ!!!んんんんーっ!!!」
パーネは激しく首を振るが、ディモレアが聞き入れるはずもない。
押し当てられた触手は一瞬の間をおいて、一気に奥まで貫いた。
「んっっ!!!ぐっ!!!!」
全身を仰け反らせ、パーネの動きが止まる。弓なりに反った姿勢のまま、パーネはしばらく震えていたが、やがて頬に一筋の涙が伝った。
そんな彼女の姿を見て、ディモレアは楽しそうに笑った。
「あらあら、初めてが私じゃ気に入らなかったかしら?それにしても、その程度で泣いちゃうなんて、なかなか可愛いところもあるのね」
三つの穴に入れられた触手が、同時に動き始める。
喉の奥を蹂躙され、子宮を突き上げられ、腸内を掻き回される。もはやパーネの中には苦痛しか存在せず、それを止める手段も
持ち合わせていない。もうパーネの望みは、この地獄のような責め苦が早く終わることだけだった。
―――いつ……いつ、終わるの…?
そう考えた瞬間、ディモレアはパーネの体を引き寄せ、その耳元に囁いた。
「まだまだ、終わらないわよぉ?」
「っ!?」
「そんなに驚くこともないじゃない?男ならさっさと終わることも、女同士ならいつまでもいつまでも、じっくり出来るっていうのが
いいところなんだから。そうねえ……この触手が十本ぐらい入れられるようになったら、考えてもいいかしらね」
そう言い、ディモレアはゆっくりと空いた触手をうねらせる。しかし、それはどれもかなりの太さがあり、そんなものを十本も体内に
納めれば、確実に死んでしまうだろう。
「ふふふ。安心しなさい、死なせないから。お腹が破けようと、お尻と大事なとこが一つになるぐらい裂けようと、ちゃーんと回復して
あげる。仮に死んだって、しっかり生き返らせてあげるわよ。だからね、まずは十本入れられるように、頑張りなさいな」
これが神の罰なのだと、パーネは思った。
神の力を手に入れ、世界を我が物にしようとしたことに対する罰が、この現状なのだ。今の彼女には希望もなく、仲間もおらず、あるのは
筆舌に尽くしがたい苦痛だけである。恐らくは、このままこうしてディモレアの玩具として嬲られ続けるのだ。
「パーネちゃんも、早く自由になりたいんでしょ?それじゃ、口以外のところに触手追加しましょうか。もしかしたら、あんまり痛くて
死んじゃうかもしれないけど、ちゃんと生き返らせてあげるから、心配しないでね」
「んんんっ!!!ぐ……んぐうううぅぅぅぅ!!!!!」
「あらあら、おしっこ漏らしちゃって……あ、もちろん狂っちゃうのもダメよ?それもちゃんと治してあげるから、心行くまで
苦しんでちょうだいね」
狂うこともできず、気絶すらさせてもらえず、死すらも、今の彼女には許されない。この、体内を掻き回される苦痛を受けながら、
さらなる苦痛が襲いかかるのを待ち続けることだけが、彼女に許されたことなのだ。
つうっと、パーネの頬を涙が伝う。それは彼女が初めて流した、悔恨の涙だった。その涙は誰の目に留まることもなく、地下道の床に落ち、
石造りの床に染み込み、消えていく。
誰も知らない地下道の中。神の力を得ようとした堕天使が、悪魔に犯される悲鳴が響く。
逃げることもできず、神に救われることもなく、彼女の悲鳴はいつまでも、地下道の中に響いていた。
以上、投下終了。
ディモレアの元ネタの戦闘テキストがあまりにすごくてやった。今はすっきりしている。
それではこの辺で。
きたっ!魔触手の大陵辱きたっ!これでかつる!
あの人はいろいろと危険すぎるからなぁw
gj!
時に皆さんはととモノ3なるものを買いますか?
255 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 15:26:24 ID:jF1wi7Iv
>>254 むしろもう予約してます。
今からワックテカしてますよw
規制がひどくて書き込めない。(某食品系性戯の味方の口調で)
暑いうちに投下したいSSがあるんだ。
性戯じゃないです。正義です。
おかしい。携帯でそんな単語使わないのになんでだ。
ソフバンユーザーと見た
>>256 一旦ろだに上げて、そのアドレスを代行でうp。
つか、うちの方はもう鈴虫鳴きまくりの朝露降りまくり。ダッシュで投下するんだw
ととモノ3の職業の神主ってなんだよ?俄然やる気が出て来てしまったではないかw
260 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 22:17:38 ID:YQ61tnom
ゲームの内容知らずにドワ子目当てでこの板に来た俺にゲームの魅力を教えてください
キャラ
本当に知らないのなら手を出すべきではない。
知った上なら、お前のドワ子愛が試される
262 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 23:01:51 ID:YQ61tnom
声が・・・と言うのは聞いてますが、他に何か有りますか?
ゲームをやってみたい気持ちと浪人で勉強が出来ないという気持ちが・・・
予約しに行きます
一ヵ月後、そこにはドワ娘(♂)にすっかり鞍替えした
>>262の姿が!
264 :
262:2010/08/25(水) 21:13:57 ID:hBGrqVPK
265 :
262:2010/08/28(土) 19:20:29 ID:pvFg957L
待ちきれずに2を買ってきたんですがティラミスが可愛すぎでどうにかなりそう
そのうち体よくパシリとしてこき使われてる事に気づいて
顔を見るだけでイラッと来るようになる運命なのね……
それはご褒美だろks
俺マゾじゃないんで
マゾとサドって両立できるらしいゾ
もちろん俺はドSどえーす!
あのー、やんやんマチ子みてたらみなぎっちゃって
脱毛してもふらないドワ子という誰得SS書いちゃったんで投下していいですか?
しかも規制解除を待てないからってケータイ経由で。
どうもすみません、ありがとうございます。
1の話なんで2しかやってないひとに解説
エヌリックは最初からいる錬金術師です。SSには関係ないけどフェアリー(♂)
「で、ヒュマ子にそそのかされてエヌリック先輩特製の除毛クリームを使ってみた、と。」
「そそのかされたっていうか、好奇心に負けたと言うか、最近暑いしいいかな、って…」
突然部屋にやってきたドワ子がいうには、服の下がつるんつるんになっているらしい。
風呂上りにもかかわらず制服(さすがに戦闘用に強化したものではなく座学の時に着る標準服だ)
を着ているので見た目ではわからないが、インナーやジャージではカバーできないそうだ。
「好奇心なら脇腹とか内股とか隠しやすい所で小さく試せよ。」
「そのつもりだったけど!エル子ちゃんが悪乗りして胸からお尻から制服で隠れるところ
全部塗りたくっちゃうんだもん!もー生えそろうまで寮のお風呂使えないよー。」
ドワ子は体育すわりの膝に顔をうずめた。
断っておくが繁殖力の高い、言い換えれば性欲の強いヒューマンとは言え
いつもいつでもどんな状況にも欲情できるわけではない。
俺は特に性的な意味で許容範囲が小さいと言うか
自分でいうのもアレだがドノーマルなほうだ。
273 :
sage:2010/09/05(日) 02:09:59 ID:/GfXjiDb
ドワーフを恋人にしてはいるが別にケモナーというわけではなく、
絶対領域にチラ見えするエルフの白い肌やヒューマンの青痣にクラッとしたり、
絶対領域と言えばバハムーンの太ももにしっぽが巻きついて少し段になってるのが
柔らかそうでたまんねぇ、とか
ディアボロスの角やセレスティアの羽とこめかみの皮膚の境界が妙にいやらしかったり
もちろん女子限定の話だがイヤ待てよディアボロスなら男子でも結構…いやいやいや。
「ヒュマ君?」
「ごめん、なんでもない。」
つまり何が言いたいのかというと俺は別に変態性欲のケは無いんだけれども。
つまり何が言いたいのかというと俺は別に変態性欲のケは無いんだけれども。 落ちつかな気にもじもじするドワ子がやたら可愛らしく
落ち着かないのはきっと被服の下に普通あるべき体毛がないからで、
それってヒューマンで言ったら制服の下にぱんつ穿いてないようなモンじゃね?
かなりエロくね?
「触ってみてもいいか?」
返事を待ったりはしない。
俺の恋人は夜中に男の部屋に来ておいて触れる事を拒否するような面倒くさい女じゃない。
しっぽを踏まないように注意してドワ子の後ろに移動し、背中から抱きしめる。
服の上からでも、柔らかい皮膚の感触がわかる。
他の種族なら当たり前のことなんだがふかふかの毛皮に慣れた体には随分生々しい。
緊張のためか薄く強張っていたドワーフの体がビクンとはねた。
できるだけやさしく抱いたつもりだが毛皮の守りを失ったばかりの肌には刺激が強かったか。
なにしろ下処理もなしにドワーフのモフモフを溶かし尽す強烈な除毛剤だ。
薬品で肌が傷んでいる可能性もある。
「ごめん、痛かったか?」
「ううん、平気。びっくりしただけ。」
ドワ子の返事に安心し、再度腕に力を込め服越しに肌の感触を堪能する。
ぱたぱたと揺れるしっぽがくすぐったい。
くすぐられている腹も。抱きしめただけでこんなに喜ぶと教えられた胸の中も。
「なんでびっくりするんだよ。触っていいかって聞いたじゃん。」
「だって、ヒュマ君のことだからスソか衿元から手を入れてくると思ってたんだもん。」
いきなり服の中ってこいつの中で俺はどんだけがっついてるイメージなんだ。
しかしそう言われては期待に応えるべきだろう。
「スソからって言うとこうか?」
ドワ子が言ったのはおそらく上着のスソだろうが、あえてスカートに手をかける。
ふかふかの膝から厚い大腿筋にそって指を這わせる。
スパッツに乗り上げてから数センチ、スカートに隠れるかどうか、といったあたりで
指先に伝わる感触が変わった。ここからが『制服で隠れるところ』なんだろう。
「ふぇ、ちょ、まって。やだやだ。境い目のとこ、なでちゃ、やぁ〜」
肉球じみた大きな手でスカートをつかみ、押さえつけるがもう遅い。
その動作はむしろ、俺の手をスカートの中に誘い込むような形になった。
わざとゆっくりと指を動かし、すべらかなスパッツと、
その下に隠された毛皮と地肌の感触を楽しむ。
羞恥に耳の内側を真っ赤にして、息を荒げ涙目で身をよじるドワ子がたまらなく可愛い。
女の子とは言えドワーフが本気で暴れたらヒューマンに押さえられるわけが無いので
身をよじると言ってもプレイの一環みたいなものだ。
ドワ子のほうはわざとやってるわけじゃないだろうけど。
太ももの手触りとドワ子の反応を充分に味わってから、耳たぶのふちをくすぐるように囁く。
「ここは、いやか?」
こくこくと頷いてからドワ子はあわてたように付け足した。
「いやって言うんじゃなくて、え…っと、うぅ、恥ずかしいよぅ。」
「最初は布越しのほうが恥ずかしくないと思ったんだけど。」
「なんていうか…毛のあるところとないところを比べられるのが、恥ずかしいの。」
ドワ子はそういって本当に恥ずかしそうに耳を伏せ、スカートを握りしめた。
このまま押し倒して制服を引きちぎりたい衝動を押さえつけ、そっけなく訊ねる。
「ふーん、これが、そんなに?」
「ぅあ、や、やだ、って言っ…や、いじわる、やぁ。」
右手をスカートの中に残したまま、ドワ子のあごに左手をかけくちびるを重ねる。
薄いくちびるをなぞり、応えるように差し出された舌を強く吸う。
こぼれる吐息がすでに甘い。
「今度は直接さわるから、痛かったら言ってくれよ。」
できるだけやさしく響くように声をかけ、ドワ子の指をスカートからはがして俺の首に導く。
ドワ子は素直に後ろ向きに俺にしがみついた。
腕を上げたことで上着が引っ張られてスソが上がる。
リボンを緩め、衿元のボタンをはずす。
右手は衿元から、左手はずり上がったスソから制服の中に忍び込む。
そっと触れた肌は予想よりずっと薄くなめらかだった。
ひげの剃り跡や坊主頭を柔らかくしたような感触かと思っていたが本当につるんつるんで
体毛の存在など全く感じられない。
触れるか触れないかぎりぎりのところで手をすべらせるとドワ子が切なげに喉を鳴らした。
発達した腹筋に、柔らかいわき腹に、厚い胸板に、触れる場所を変えるたび甘い声が上がる。
「ヒューマンは産毛を剃るとその部分は感度が下がるってデータがあるらしいけどな。」
「ん、くふ。そんな、こ、と、知ら、ゃ!あ、あ、ふあぁ」
制服の下でうごめく手に合わせ、あられもない声を上げて身をよじる姿は相当刺激的で、
鏡に映してじっくり眺めたらきっと楽しいと思うのだが
男の部屋にそんなでかい鏡があるはずも無い。
ドワ子の体を肩越しにほぼ真上から見下ろす俺の位置からは
上着自体が邪魔になってウェストは見えないが、これも
正面からなら服が肋骨の近くまでめくれ上がっているのが見えるはずだ。残念すぎる。
「ドワ子、こっち向いて。」
薄く開いたくちびるに吸い付き、誘い出した舌を甘く噛む。
「むぐ?――っ!」
そうして声を封じた上で、胸板の上のささやかな突起をなぞりあげる。
ドワーフは妊娠してから乳腺が発達するのか、若い個体には他種族のようなふくらみはない。
しかしこの部分の感度はそう変わらないらしく、いつも俺を楽しませてくれる。
いや、他の種族どころか彼女以外のドワーフとも比べたことなんか無いけれども。
「んー!ん、んぐ、んー!んー!」
そこに指が触れるたびに、ドワ子はくぐもった悲鳴を上げ、俺の背中に指を食い込ませた。
普通ならそんなことをされたら背中が血まみれになりかねないが、
不自然な体勢のせいか爪が刺さることもなく、強い圧力とかすかな痛みを感じるだけで済む。
この姿勢、結構いい。
痛々しいほど勃ちあがったそれを強くさする。そっとつまむ。
刺激を強めるにつれ、ドワ子の反応はむしろ脱力したような緩やかなものになっていく。
あふれ出した唾液をすすり、舌先をくすぐる。
指の腹で押し込むように柔らかくこねると物欲しげに腰が揺れた。
「もう、脱がしてもいい?」
熱く潤んだ眼差しを伏せかすかに頷いたのを確認して、手早く服を脱ぎ、床に押し倒す。
ファスナーに伸ばした手をドワ子がさえぎった。
「あのさ、かなりへんてこになっちゃったから、がっかりしたらごめんね。」
「こんだけいじりまくって楽しんどいて
裸見たらがっかりするような男だと思われたことのほうががっかりだよ。」
「ごめん。」
元から別に怒ってはいないが、耳を伏せ怯えたように見上げられて悪戯心が芽生えた。
耳たぶを齧り、服の上から胸をまさぐる。
「嫌だ。許さない。」
甘い声を上げ荒く息をつくドワ子を床に残し、ベッドのふちに腰掛ける。
「お詫びの代わりにさ、自分で脱いでこっち来いよ。」
「え?!自分で、脱ぐの?ヒュマ君にされるのでも恥ずかしいのに〜」
「じゃ、スパッツは残してもいいよ。」
「じゃぁの意味がわかんないよ。」
ドワ子はそういいながらも、起き上がって上着のファスナーを下ろしだした。
体を重ねる時にはいつも俺が脱がしている。(当然俺の趣味だ)
ドワ子が自分で脱ぐところを見るのは初めてだが
恥ずかしげな表情と仕草が実に良い。たまらなく良い。
あらわになってゆく肌は色素が薄く、つやがない。
一言で言ってしまえば毛を刈られた羊の肌に近い。
「なんか、まぶしいというか、照れくさいな。」
「あたしは照れくさいどころじゃないよう。恥ずかしくて泣きそう。」
胸を隠す腕をほどいて抱き寄せ、平らな胸にほお擦りをする。
軽くひざを曲げ、もたれるように俺にしがみつくドワ子の胸が、
ちょうどベッドに座った俺の顔の高さにある。
筋肉に覆われた厚い胸板は、それでもきちんと柔らかくて、甘酸っぱい女の子の匂いがする。
舌を這わせると、びくん、と背筋がのけぞった。
「ふ、くぅ…ヒュマ君、舌、熱いよぅ。」
「たぶん中はもっと熱いよ。」
敏感な部分を口に含み、舌先で転がす。
「ひゃん!…ん、っ、く、ホントに、あ、つぅい…」
甘い嬌声が、すすり泣くような息遣いに変わる。
「ぅあ、待って、ねぇ。も、立って、られないよ。」
視線を下に向ければ黒っぽいしみの広がったスパッツとガクガクと痙攣するひざ。
立っていられないという言葉は大げさではないらしい。
体をずらしてベッドの上に場所を作り、視線で促す。
うつぶせに倒れこんだドワ子からスパッツをむしりとり、ベッドの下に放り込む。
改めてドワ子を眺めれば無毛の部分は、足は太ももの半ばまで、手はひじより少し上まで。
「あんまりみないでよぅ。」
「なんで?獣足のブーツと長手袋みたいでそんなに悪くないよ。
ってゆーかすっげーエロい。」
「嘘だぁ。」
「嘘じゃないって。ほら。」
ドワ子の左手を取り、俺の股間に押し付ける。
「うゎ、がちがち。」
なめし皮のような手触りの肉球できゅむきゅむと握られて、ソコから快楽が流れ込む。
「えへへ。これ好き。あったかくて気持ちいい。」
「うぁ…あんまりやると暴発するからおあずけ、な。」
「まだおあずけなんだ。あんまり激しくしちゃ、やだよ。――っ、ぅ、やだ、ってばぁ。」
背中にキスを降らせる。ドワ子は息を弾ませ、枕に爪を立てた。
背筋に沿ってなぞったときの反応がかわいいので
舌を這わせてみたいとずっと思っていた。
毛皮が唾液まみれになるからとドワ子にとめられていたのだが
いまならいける。心置きなくやれる。
「やっぱり背中弱い?」
「あっ、そんなこと、ん、んぅ、知らない。ぅあ、それだめ、だめ、ぁ。」
駄目だといわれた部分を強く吸い、跡を残す。
「痛くないか?」
「いたくない。つよくされるのすき。ぴりぴりしてきもちいい。」
ドワ子の言葉につい調子に乗っていくつもキスマークをつけてしまう。
寮の風呂は使えないと言っていたので問題はないだろう。たぶん。
高く突き上げられた白い尻と力なく揺れる褐色のしっぽのコントラストが艶かしい。
しっぽの付け根に指2本分ほどの無毛部分があるのが妙に卑猥だ。よくやった、エル子。
肩甲骨を舐め上げながら足の間に手を伸ばす。その感触に思わず指を止め、体を起こした。
「おまっ、エル子の野郎まさかこんなところまで!」
覗き込んだ秘部にも、毛がなかった。
複雑な形状をした関節部だけに一度や二度なぞったくらいで除毛剤が行き渡るとも思えない。
「ち、違うの!さすがにエル子ちゃんもそこは何もしなかったよ!
でも、ここだけ残ってるのもおかしいし、ヒュマ子ちゃんがそれじゃ卑猥すぎるって…
それで、隅っこで自分でね……」
風呂の椅子に座り込んでその部分に薬剤を塗りこんでいるドワ子を想像してしまい、
怒りに萎えかけていた箇所を煩悩が直撃する。
いらんことを言いやがってと思わないでもないが、
てらてらと光を反射する充血した秘裂を見ればヒュマ子GJと言わざるを得ない。
「ごめんね、ごめんね。えっと、こんなんだと、その…ヒュマ君は、イヤ?」
「ちょっと残念な気もするけど、これはこれでやらしくていいと思うよ。」
謝罪を繰り返すくちびるをふさぎ、人騒がせなその部分に指を埋め込む。
跳ね上がる体を空いた右手で押さえ込む。
突起を押し上げるようにかき混ぜると手のひらに愛液が滴った。
「あん、い、いや…。いやだ、ヒュマ君の手、汚しちゃってるぅ。」 なんだか今日のドワ子はずいぶん卑屈だ。
卑屈というと聞こえが悪いけど、正直なところむしろ、普段の元気で明るいドワ子、
こういう事をする時の恥ずかしそうなドワ子と、今夜のつるつるで自信を失ってるドワ子の
ギャップにかなり興奮してる。
「汚れてなんかないさ。ドワ子が俺のこと感じて気持ちよくなってる証拠じゃないか。」
抗議を込めて音を立てながら体内をまさぐる。
「だから、汚したなんて言うなよ。」
「ぃ、いやぁ、おとさせちゃ、や。あ、ぁぅあ」
舌先でドワ子の耳たぶを濡らし、音高くくちびるで拭いとる。
上下から水音を流し込んでやると、ぎちぎちと指が絞めつけられる。
腹側を強くなぞりながら指を抜くとドワ子の悲鳴にあわせて、しっぽの毛が波打った。
「今日はドワ子、嫌って言い過ぎ。本気じゃないってわかってても、ちょっと傷つくぞ。」
ドワ子の“いや”とおなじで、俺だって本気で言っているわけじゃない。
相手もそんなことはわっかていると、この行為をやめたりしないと
お互いに信じているから口にできる弱音。行為の前のピロートーク。
「もうやだ。いやなの。ヒュマくん、もう、ゆびだけじゃやだよう。」
挿入の前にドワ子の口から、いやじゃないよって聞きたかっただけなのに。
快楽に蕩けきって泣き出す寸前みたいな顔をしているくせに、
あえぎすぎて呂律が回っていないのに、脳髄がとけるような甘いおねだりに
とがめた言葉を使って来るとは侮れない。
「俺も。もう指じゃ我慢できない。」
腰をつかんでしっぽを背中側になで上げ、秘裂に俺のモノをこすり付ける。 無毛のソコはやわらかくぬらぬらと絡み付いて、そのまま達してしまいそうに気持ちいい。
数回繰り返したところで角度を替えてゆっくりと腰を押し入れる。
「ふゎ、あ、あつぅ。ヒュマ君、熱い、よ…」
「く…、ドワ子のが、冷たいんだよ。」
冷たいは言いすぎだがいつもならドワ子の中は焼け付きそうに熱いのに、
今日は明らかに俺のモノよりも温度が低い。
苦しげに息を吐くドワ子を胸に押し付けるように抱き寄せれば、触れた肌はさらに冷たい。
熱いのもやらしくて良いが、冷たいのもなかなか良い。
呼吸が落ち着くのを待って、腹と背中の間で窮屈そうに揺れるしっぽに手を伸ばす。
愛液に濡れた手で付け根の無毛部分をまさぐるとドワ子の背が弓なりにのけぞった。
声にならない悲鳴を上げ、ガクガクと痙攣して俺のモノを締めつける。
「ぐ、そんな、締めたら…っ!」
「ひぁっ、だって、しっぽ…くぅ、ヒュマ君、はげし…あ、は。」
こらえ切れないと言うようにドワ子が腰を振ると
結合部から水音に加えてぴたぴたと肌のぶつかり合う音がする。
何かにすがるように空をかきむしる手を押さえつけ、叩きつける様に動くと
パン、パンと乾いた音に変わる。うは、ホントにこんな音するんだ。
「あふ、ヒュマ君の、中でビクビクしてる。すご…やらし…」
「う、くぅ、も…イク。出すぞ、ドワ子…!」
搾り取られるような快楽に制御を失いかけた体が勝手に最奥を目指して暴れ精を吐く。
「熱!あついの、でてるぅ。はじめてだ、でてるのわかったよ…すごいやらしー。」
そんなこと報告してくれるお前がやらしいよ、と思うが背筋を駆け上がる快感に
阻まれて声も出なかった。
「も〜、なんでこんな奥に放りこんじゃうかなぁ?」 ドワ子がぷりぷり怒りながらベッドの下のスパッツに手を伸ばす。
こうやって無防備にお尻を突き出してるポーズが見たいから、なんて言えないよなぁ。
本人は気付いていないらしいが、膝から下と胸から上を床に押し付けた
“失意体前屈崩し”の姿勢は後ろから性器周辺が丸見えだったりする。
ようやくスパッツに手が届いたらしく、イライラと低い位置で揺れていたしっぽが
はねあがり、ぴこぴこ振り回される。
微笑ましい気持ちになったのも束の間。しっぽの動きで押し出されたのか
体内に残っていた白濁がこぽりとこぼれ落ちた。
この状況で理性を保てる男がどれだけいるだろうか?俺は無理だった。
「ドワ子ぉぉ!」
足首をつかみ、ベッドの下にもぐった上半身を引きずり出す。
「ひゃあん!なに?どしたの?きゃあ〜!」
肩をつかんで体を転がし、正常位の体制でのしかかる。
先ほどの行為でほぐれていたためか、ドワ子のそこはたやすく俺のモノを飲み込んだ。
「ひっ、いきなり…そんな、あぁん!」
反り返った背中に腕をくぐらせて強く抱きしめる。
体を離しているほうが自由に腰が使えるが、肌の触れる快感が勝った。
こすり付けるように動けばドワ子ののどがあえぐように反り返る。
爪が床をかきむしるカチカチという音が耳に心地いい。
「んく、まって、まってよヒュマく、ひゃんっ、ひあ…はげ、し」
「むり。ドワ子のなかぬるぬるですげー気持ちいい。もう止まんない。」
ドワ子は一足早くイッてしまったらしく、内部がぎちぎちと締め上げる感触から
絡みつくようなものに変わる。
──女の子の絶頂後は少し動くのを控えて余韻を残してあげましょう、
なんて書いてある手引書がよくあるが、無茶言うな、と思う。
本番で相手がイッてるってことはそれなりに行為が進んでいるのだから
こちらにも余裕があるわけがなく、それをさらに締め上げられるわけで。
さらに好きな女を満足させたという状況が自尊心をくすぐり、それよりなにより
ドワ子のエロかわいい表情が劣情を激しく刺激する。
「あふ、ヒュマくん、くっつきたい。ひぁっ、あ…しがみ、つきたいよぅ。」
俺は動きを止めず、無言でドワ子の手を取り、背中に導く。
固くしがみつくドワ子が愛しい。獣の爪が背中に突き刺さる痛みすら甘い。
一度出しているせいか絶頂寸前の狂おしい快楽が続く。今にもイキそうなのにイケない。
激しく突き入れるとドワ子の小柄な体が跳ね上がる。汗に濡れた肌がぴちゃと音を立てた。
「ひあ、これ、す…ご、あ、あ、あ、そんなしたら、またぁ!」
悲鳴とともに膣内が激しく収縮する。
白く爆ぜる意識の片隅に、背中を切り裂かれる痛みを感じた。
ま、爪が刺さったままコレだけ暴れたらそうなるわな。
「ごめんね、ごめんね。またやっちゃったよう。」
ドワ子がヒールをかけてくれたおかげで傷はふさがった。
ならば何故彼女が泣きべそをかいているかといえば、部屋の中にできた血溜まりのせいだ。
これは魔法じゃ消せないからなぁ。
初めての時にはコレに加えて、かきむしられた支給品の羽枕がぼろくずと化し、
部屋の中がセレスティア殺人現場みたいになったのもいい思い出だ。ちなみに今は
自費で買った羊毛の枕を愛用している。羊毛ならガワが破れても飛び散らないから。
「いいって。半分は俺が悪いんだからさ。」
痛いのも、こうなるのもわかっているんだが、ああいう場面でドワ子にしがみつかれると
求められてるという充足感があって断れない。けして痛みが快感にとかそういうんではない。
床の上にはとりあえず大きなタオルをのせて適当に足で踏んづけ、
ドワ子の体を濡れタオルで拭う。俺の体はこの際どうでもいい。
「こうやって見ると結構細かい痕が残ってるな。」
「かえってちいさいキズの方が残っちゃうよね。大きいのはすぐに魔法でふさぐから。」
毛皮に隠されていた皮膚は当然といえば当然だがキズだらけだ。
そこにキスマークと血痕がこびりついているのだからなかなか壮絶だ。
「まぁ、俺に言われたくないよな。」
俺の体は…野郎の体のことなんか聞いてもしょうがないだろうから俺のことは割愛する。
「毛皮で守られてる分と避けるのが下手な分で相殺くらいかな?あとは装備の差だよね。」
背中やひじ等見えない部分、手の届きにくい部分の血痕を拭ってやってから
ドワ子に濡れタオルを手渡し、目をそらす。
本当はじっくり眺めたいが、というかむしろ俺が全身拭ってやりたいんだが
なぜかドワ子が嫌がるのだ。
今夜は泊まってくんだろ?」
「んー、明日の装備整えなきゃいけないんだけど。」
「そんなもん、明日の朝でいいじゃん。」
話しながら体を拭い終わったドワ子から濡れタオルを受け取る。
これに顔をうずめるような趣味はないが(だって俺のも付いてるし)ドワ子がそこを拭った
タオルを手に持っているという状況に表情が緩む。
洗面所ですすいだタオルを絞りなおし、ベッドにもどると
ドワ子はすでに幸せそうな寝息を立てていた。…背中、拭いてほしかったんだけどな。
俺はため息をひとつ付いて、服を身に付け部屋を出た。
パルタクスは服の背中に血を滲ませて学生寮を歩いていても大して目立たない良い学校です。
入学は職員室で随時受け付けてます。美少女大歓迎。
俺たちの朝は早い。学食が開くと同時に駆け込まないと どれだけ待たされるかわからないので暖かい朝食を食べたければ早起きするしかないからだ。
お互いの起きる気配でほぼ同時に目を覚まし、もそもそと身づくろいをする。
「スパッツ洗っといたぞ。」
「え、まじで?恥ずかしいからあんまり触ってほしくないんだけど…一応ありがとう。」
「あと、これやる。」
「……ブラウンインナー?」
「だと装備品と重ね着できないから単なる茶色の五分袖Tシャツ。
昨日かなり体冷えてたからさ。ある方がいいと思って。
スソ長いからスパッツの中に入れとけば多少暴れても見えねーと思うし、
防御力はないけど毛皮の代わりくらいにはなるだろ。」
男としてはすべすべつるつる全く問題ないのだが、
冒険者としてどうしてもそのまま探索に行かせる気になれず、
あの後エヌリック先輩に頼み込んで作ってもらったのだ。
「うわぁ、ありがとー。服の隙間からおなか見えたらいやだなって思ってたんだー。」
こんなきらっきらの眼差しで見つめてくれるなら深夜料金を上乗せされた練成手数料を
払った甲斐があるというものだ。もっと見て。俺に惚れ直して。
「さっそく着替えてくるね!また学食で!今日もがんばろーねー!」
ぶんぶんしっぽを振り回しながら矢のような勢いで飛び出していってしまった。
着てるところを見せてもらえないのは残念だが、あきらめて顔を洗うことにする。
洗面台に差し込む朝日はドワ子に負けないくらい元気いっぱいだ。
今日も暑くなりそうだ。
あ゙ー、ごめんなさいすみません申し訳御座いません。
ageるわコピペミスで重複あるわ改行おかしいわトリップまで間違うし。
おとなしくうぷろだ使うべきでした。
独り旅で虚しく柿ぴーにころされてきます。
GJ!
服の下だけ脱毛ドワ子……いいな、夢がある。
ただ実物見たら噴き出してしまいそうで怖いがw
パイパンがいけるなら違和感を笑いではなくエロに変換可能です。たぶん。
GJ!
すっげぇエロエロだった!
しかしこんなところで失意体前屈を見るとはor2
GJ!
やんやんマチ子みてできたのがこれってアンタ変態だ。
ととモノ3の発売を聞いて一年ぶりに戻ってきてしまいますた・・・。
6スレ目でエル子鬱ENDな話書いた者です。
相変わらずNTRとか酷い内容しか書けないGOMIですがそういうダークなのも今需要
ありますでしょうか・・・あれば書いてみたいと思います。
すいませんお伺いを立てるチキンで _|ω・`)
ばっちこーい!
むしろ来て下さい
どんなマニアックなものだろうと需要だけならいくらでもある
やばいと思っても最初に注意書きいれる程度で大丈夫だと思う
失礼します。投下したいとは思うんですが、
携帯からで短いブツ切り、エロ薄い上に各キャラに名前付き(ヒューマンの名前がヒュム男とかではなく、ダイキとか)って止めた方が良いですか?
名前付きは好き嫌い分かれるんじゃない?
俺は種族とか把握しにくいから好きじゃないな
俺は逆にヒュム男エル子って呼び方されると萎える方だな。登場人物が多いと特に
名前を付けるなら最低限メディア上の有名キャラと被らないだけの独創性が必要だと思うけど、
それさえクリアできれば後は作者の好み準拠って事で良いんじゃないの?
301です。302さん、303さん、ありがとうございます。
今の所、話を投下する前に投下予告をして、そこに登場人物の名前・種族・性別を書き込みたいと考えています。
ちょっと試験的にやってみますので、感想をお願いします。
投下します。
この話では、各キャラに種族とは関係の無い名前が付けられています。
カナタ・ヒューマン・男。
ピコ・フェアリー・女。
ショウン・ノーム・男(名前のみ登場)。
幼い頃の記憶を探っても、僕はお父さんとお母さんの顔を思い出せない。
お父さんもお母さんも冒険者で、僕は家具職人のお祖父ちゃんに預けられていた。
たまにしか家に帰って来ないお父さんとお母さん。でも、僕は寂しくなんてなかった。
隣に住むフェアリーのピコと毎日遊び回り、隣の地区に住むショウン(ノーム男)と一緒にお祖父ちゃんの工房を手伝ったりしていたから、寂しくはなかった。
でも、そんなある日……
僕が8歳の時。
いつもの通りにピコとアチコチ駆け回り、疲れ果てたピコを抱き抱えるようにして僕は家に帰った。
すると、家には区長さんと見た事のないバハムーンの男女が訪れていて、お祖父ちゃんと話をしていた。
お祖父ちゃんは僕に気が付くと駆け寄って、僕を抱き締めた。
そのとき、僕はお祖父ちゃんが泣いているのを初めて見たんだ。
その日の夜。お父さんとお母さんのパーティメンバーだったらしいバハムーンの二人から、お父さんとお母さんががロストしたのだと告げられた。
続けたい
投下終わります。
すみません、なんか、微妙でしたね。何故か分割されてしまいましたし。
乙
是非とも続けて頂きたい
キャラ名に関してはキャラ少なければ名前付きでもいいけど
数多いと把握できなくなるし「ヒューマン」とか「フェアリー」とか
そういう呼び名にしてくれると個人的に嬉しい
真面目な話で「ヒュム男」みたいなのは気が抜けるから個人的に微妙かな
301です。ありがとうございます。
今書いてある分を投下させて頂きます。
枯れ木も山の賑わいということで、受け入れて頂けると幸いです。
題名は『冒険の彼方』……で、お願いします。
注意
この話では、各キャラに種族と関係の無い名前が付いています。苦手な方はスルーをお願いします。
カナタ…ヒューマン、男で主人公。
ショウン…ノームの男子でカナタの親友。
ピコ…フェアリーの女の子。カナタの幼馴染み。
311 :
冒険の彼方:2010/09/13(月) 23:35:04 ID:6Ia7hdrS
僕の両親がロストしてから6年が経った。両親不在の6年間に僕がひねくれなかったのは祖父ちゃんとピコ、そしてショウンが側にいてくれたからだ。
祖父ちゃんは仕事をしつつ、僕をよく構ってくれた。
ピコは少し疎ましいくらいに僕にまとわりつき、孤独に陥らないようにしてくれた。
ショウンは色々な書物を家から持って来ては知らない国の話、不思議な出来事を話して聞かせてくれた。
僕は感謝してもしきれない。いや、僕がこれからする事を考えると、僕は感謝することすら出来ていないかもしれない。
「祖父ちゃん……」
工房で家具に装飾の紋章を彫っている祖父に声をかける。チラリと振り返った祖父の瞳に映る僕は、旅装に身を包んでいた。
「祖父ちゃん、ごめん。親不幸たよね、僕は」
育ての親である祖父が、僕を家具職人にしたいことはわかっていた。でも、僕はお父さんやお母さんと同じ冒険者になろうとしている。
312 :
冒険の彼方:2010/09/13(月) 23:35:42 ID:6Ia7hdrS
「カナタよぅ、オメェは親不幸なんかじゃねぇさ」
不意に、祖父が口を開いた。
「自分の親の事を知りてぇってのァ、当然だわな」
祖父の言葉に、涙が溢れる。
「まあ、あれだ。愛されてたかどうか知りたいってェのなら、答えは出ちまってるけどな」
祖父はそう言うと作業の手を止め、工房の金庫から何か取り出した。
それは黒い革張りの箱だった。祖父の視線に促されて受け取ると、ズシリと重い。
「これは」
「6年前のあの日に届けられたモンだ。開けてみな」
恐る恐る開けてみると、中には拳銃が1丁と、薄汚い紙切れが入っていた。紙には銃の名前らしきP―08という文字と、取り扱いの説明が書かれている。
「オメェの親からのプレゼントだ。自分達で錬成したみてぇだな」
確かに、この手書きの説明書は父の筆跡だ。
「お父さん……」
「あと、俺が出来るのはこれぐらいか」
祖父は棚から磨石と硬石を出して持たせてくれた。
そして、手拭いで僕の涙をぬぐう。
「ほらほら。せっかくの旅立ちに涙は似合わん。涙を拭いていけ」
「ありがとう、祖父ちゃん」
僕は手拭いを受け取って首に巻いて、三度笠をかぶった。
313 :
冒険の彼方:2010/09/13(月) 23:36:27 ID:6Ia7hdrS
「祖父ちゃん、行ってくるよ」
「おぅ。気を付けて行けや」
祖父は仕事に戻り、僕は工房を後にした。
涙を落としても、足を止めはしない。
町の出口の門に差し掛かると、見知った人物が門に体を預けて立っていた。
「カナタ、君は一人で行くつもりかい?」
「ショウン……。お前もクロスティーニに行くのか?」
ショウンはゆっくり頷くと、門から体を離して言った。
「一人より二人の方が寂しくないだろ」
「僕はそんな寂しがり屋じゃあ……」
ない、とは言えなかった。
そんな僕を見て、ショウンは笑う。
「そういう強がりだけど正直な所、嫌いじゃない」
「フン。好きだって言い切れよな」
僕はそっぽを向いて町から出る。その後ろにショウンが続く。
「で、僕を退屈させない為の話題はあるんだろうな?」
「寂しがらせない為の話題ならね」
ショウンはおにぎりの具材についての小咄、豪華な弁当の具材についての話、ピザまんは肉まんかピザかの議論をして僕を楽しませてくれた。
314 :
冒険の彼方:2010/09/13(月) 23:37:06 ID:6Ia7hdrS
カナタが旅立った後のカナタの部屋。主のいないはずの部屋に、微かな物音がたつ。
カナタの祖父は気が付かないが、カナタの使っていたベッド、その上で一人のフェアリーがカナタの枕を抱き締めて泣いていた。
「カナタ……なんで、なんで行っちゃうのよぉ。カナタぁ」
彼女の名前はピコ。カナタの幼馴染みであり、隣に住んでいる。いや、カナタが旅立った以上はカナタのお隣さんではなくなっていたが。
「カナタ、ぐすん。カナタぁ……」
枕を抱き締め、泣いていたピコだが、やがてその様子に変化が起きた。
除々にだが、ピコは枕に体を擦り付けるように動き始めた。
「あぅ、くぅ。カナタ……」
いつの間にか泣き声は止み、代わりに雌の鳴き声が部屋に満ちていく。
「は、ぁん、っくぅ……」
体長40センチ程の妖精は必死に枕にしがみつき、胸を擦り付け、枕の角を秘所に当てがい、時にゆっくり優しく、時に激しく大胆に刺激していく。
315 :
冒険の彼方:2010/09/13(月) 23:37:58 ID:6Ia7hdrS
「あぁんっ! カナタぁっ!」
カナタが寝ている間にかいた汗や垂らした涎が染み込んだ枕に、ピコの愛液や涎が染み込み、新たなシミをつくる。
「くっ、ふぁああっ!」
『ソレ』を絶頂と呼ぶ事をピコはまだ知らなかったが、昇りつめる感覚は幾度となく経験していた。
「あ、あ……カナタぁ」
全身が震え、背が反って羽が極限まで開いていく。体が自分の物でないように感じる程の快感を感じながら、ピコはカナタの名前を呼び続けた。
「置いてかないで……。私も、一緒に……。行かないで……側に……」
ピコはカナタの使っていた枕を抱き締めたまま眠りに落ちた。
枕には愛しい相手の匂いは残っていても、すでに温もりは消えている。
その事は、此処にカナタがいないという事実をピコに突き付け、また、ピコにある決意を促した。
「私も……行く」
ただ一人取り残されたベッドの上で、ピコはクロスティーニを目指す決意を固めたのであった。
投下終了します。
読んで下さりありがとうございます。
でも、エロ薄くてすみません。
説明不足ですみません。
色々すみません。自分でも投下すると凄く恥ずかしいです。
でも、話を考えていると凄く楽しいです。こういう楽しみも、ととモノの魅力の一つだと私は思います。
GJ!
王道っぷりが俺得すぎです
剣と魔法と学園モノなんてベタなタイトルの割に
こういうベタな話ってあまり投下されて無い気がするな
それはさておき続き楽しみにしてます!
『冒険の彼方』投下します。
申し訳ありませんが、今回はエロ無しです。
注意
この話しは各キャラクターに種族とは無関係な名前が以下の通り付いています。
カナタ…ヒューマンの男。主人公
ショウン…ノームの男子。カナタの親友。
ピコ…フェアリーの女の子。カナタの幼馴染み。今回登場せず。
カレリア…フェルパーの女の子。人見知り。
「……そして遂に、『蒸すという調理方を使う以上はピザまんは肉まんの仲間』という結論に至ったわけだ」
「やっぱりそうか。そうだろうと思ったよ」
僕とショウンは話しながら歩いていた。話の内容は『ピザまんは肉まんかピザか?』
「ちなみに、この話の一番凄い所は、この議論を行ったのが数学博士と哲学の教授だって事だ」
「……本当に?」
「本当さ。だからこそ、記録にも残されているんだ。っと、見えてきた」
「……本当に食べ物の話題だけで辿り着いちゃったよ」
ここはクロスティーニ学園の正門前。遂にショウンと共にここまで辿り着いた。
住み慣れた町から丸5日。その間には退屈などする暇はなかった。
初めて体験する旅は刺激に満ち溢れ、危険と隣合わせだった。一人では途中で諦めていたかもしれない。
でも、つらい旅でもショウンがいたから楽しく乗り越えられた。ショウンがいてくれて本当に良かった。
「ショウン、一緒に来てくれてありがとうな」
「それはコッチのセリフさ。君の御両親にも感謝しないとね」
僕がショウンを助けた場合は、武器の性能に依る所が大きいけど。
「おーい! 君達新入生ー?」
二人で正門前にいると、校舎の方にいた女生徒が声をかけてきた。
「入学式、体育館だって。みんなで一緒に行こう?」
オリーブと名乗ったその少女も新入生で、僕達は彼女のグループと一緒に体育館へと向かった。
「……では、学園生活を楽しんでください」
「以上をもちまして、入学式を終わります」
フライドチキンが似合いそうな校長の話が終わり、短い入学式が終わる。
「こんな短くて良いのかな」
僕は式というともっと堅苦しいイメージがあった。
「入学式は毎週やってるらしいからね」
「毎週? 毎週3百人とか入学するの!?」 ショウンの言葉に驚いて周りにいる生徒達を見回す僕に、オリーブが説明を追加する。
「今回は特別に多いんだよ。一月ぐらい校長先生が留守だったから、顔合わせの意味もあって数週間の新入生を集めたみたい」
「……それでも多いなぁ」
「まあ、パニーニやブルスケッタに移る人もいるしね」
「あと、やっぱり冒険者ヤーメタって人とか、ロストしたりもして多少は減るみたい」
……ロスト。それだけはイヤだ。
図書委員の仕事があるというオリーブと別れ、僕達は10人ほどで職員室へ向かった。
「入学手続きが入学式の後ってさ…ウワッと」
「わぁ!」
隣を歩くショウンの方を向いていた僕は、誰かにぶつかってしまった。
「イタタ……」
ぶつかった相手のディアボロス少女は尻餅をついてしまった。
「ご、ごめん。大丈夫?」
「え? あ、うん」
ディアボロス少女に僕は手を差し出した。でも、なぜか彼女は僕を見つめたまま手を取らない。
「よっと」
仕方ないので手首を掴んで引き起こす。
「大丈夫? ケガはない?」
「あ、ありがとう」
ディアボロス少女は顔を伏せて走り去ってしまった。
「……うーん。怒らせてしまったかな」
「いやいやいや。カナタって鈍いよね」
ショウンはクスクスと笑う。
「ノームでもないただのヒューマンが、下心もなくディアボロスに手を差し述べられる。素晴らしい事だよ」
「種族で相手を判断するのは思考停止と変わるないって、僕の両親は言ってた」
ショウンは僕を持ち上げるけど、僕は記憶にある数少ない親の教えを守っているだけだ。
別に誇る事でもない。
喋っている僕達の横をクラッズの男子生徒が走り抜け、ソレを何人かのセレスティアが刃物を振り回しながら追い掛けて行く。
「確かに。物騒なクラッズやセレスティアもいるしね」
ショウンは小さく笑った。
入学手続きを済ませた僕達は、食堂に向かった。
「コレとコレと、それからコレもだな」
「ショウン、お前さ、どんだけ食べるの?」
食堂では、明らかにオーダーし過ぎなショウン。君はいつからドワーフになった?
疑問を向けると、ショウンはペロリと舌を出した。
「うぃふぁふ……味覚の精度を上げて見たんだ。試したくてね」
「最近食べ物の話題が多かったのはそのせいか」
ようやく、ふに落ちた。
僕達がテーブルに着き食事をしている間にも次々に生徒が食堂にやってくる。
堂々としたバハムーン、和やかなノームやドワーフの集団。
そんな賑やかな食堂の入り口に溜っている集団に気が付いた。
フェルパーの集団だった。
フェルパー達は食堂の雰囲気が苦手なのか、中々入って来ない。
それでもたまに、コソコソと一人で入って来る者がいたり、何人かで一塊りになって入ってきてはいた。
でも、よく見ると何人かは諦めて回れ右をして帰って行き、他の何人かは入り口付近でウロウロしている。
「フェルパーって本当に人見知りなんだね」
「カナタから見ればね。でも、彼等にはアレで普通さ」
見渡せば様々な種族が食堂にはいて、それぞれが好きなように食べている。
種族毎に普通のという感覚は異なるのだろう。
午後。僕達新入生は学園の設備を見学して回った。
学生寮、購買、実験室、保健室、図書室、職員室。
一通り見て周って食堂にやって来た時にはもう夕食の時間になっていた。
そこでクラスは解散。各自で食事という事になったのだけど、やっぱりフェルパーの生徒が落ち着かない様子でウロウロしている。
僕は、そのフェルパーの中で一番端っこにいた女生徒に声をかける事にした。
「君、一人なの?」
声をかけた相手、黒髪のショートカットのフェルパーはビクリと体を震わせ、
上目遣いに僕を見上げた。
ヤバイ。可愛い。
艶のある黒髪と漆黒の瞳が怯えたように揺れる様は、僕の心に住むナニかに火を着けそうだ。
「あのさ、僕の連れが大量に注文した食べ物の処理に困ってるんだ。同級生を助けると思って一緒に来てくれない?」
僕は少し強引に事を運ぶことにした。
少し目を避らしながら頼むと、フェルパーの女生徒はオズオズと頷き、僕に着いてきてくれた。
「あ、そうそう」
僕は肝心な事を忘れていた。
「僕はカナタ。普通科。これからヨロシクね」
自己紹介は大切だ。
「わっ、わたし……カレリア……戦士科……です」
カレリアの自己紹介は最後の方は声が小さくて尻切れトンボみたいだった。
僕がもう一度『これからヨロシク』と言って右手を出すと、戸惑いながらも握り返してくれた。
ショウンの居るはずのテーブルには、大量の料理とテーブルに突っ伏したオリーブ。
そしてバハムーンのルオーテ君が口を押さえてうめいていた。
「うぅ。せめてコッパが居ればもう少し減らせたんだが……」
「ごめん。メニュー上から下まで全部は流石に無理だったね」
ショウンのセリフに呆れながら席に着く。いったい幾ら使ったんだか。
「あほショウン、新たな協力者を連れてきたよ。……カレリアさん、紹介するね。コイツがショウン。」
「やあ。僕はショウン。見ての通りノームでレンジャー学科……アホじゃないからね」
「かっ、カレリアです。……よろしくお願いします」
二人が自己紹介をしあっている間に僕はルオーテに頼んで更に援軍を呼ぶ。
たまたま通り掛った同級生のドワーフとフェルパーが参戦。皆でうずたかく積まれた料理に立ち向かった。
「いやぁ、昨日は楽しかったね」
「……まだ胃が重いんだけど?」
翌日、僕は胃もたれと一緒に起きた。
ショウンは何かメモしながら『味覚って素晴らしい』と、言っているけれど、付き合わされる僕達は身がもたない。
顔を洗おうと共同の洗面所に行くと、昨夕のドワーフとフェルパーがいた。
「昨日はどうも」
「こっちこそごちそうさま」
二人とも胃もたれとは無縁そうだ。
「オイラはヴェンジャン。いつでも御馳走になるぞ」
昨夕は一人で料理の3割近くを平らげていたドワーフのヴェンジャンが小さい体を豪快に反らして余裕をアピールする。
あの体の何処にアレだけの料理が収まったんだろう?
ツンツン、と、僕は腕をつつかれてソチラに振り向くと、フェルパーがはにかんだ笑顔を見せる。
「僕、ビルグリムっていうんだ」
「うん。僕はカナタ。ビルグリム、今後ともヨロシク」
右手を差し出すと、ビルグリムはニパッと笑って飛び付くように握手をしてくれた。
しばらく3人で話していたけど、食事の時間がなくなりそうだと、二人は食堂に向かった。
その時、ビルグリムが不意に真面目な顔をして言った。
「昨日のあのコ、カレリア……さんはちょっと苦手だな」
「え?」
何で? と、訊く前に二人とも行ってしまった。
僕は首を捻って突っ立っていた。
「……ですから、破傷風や敗血症にならないために、小さい傷にもヒールは必要です。……キシキシキシ」
最初の授業は保健。担当の先生はガレノス先生で、全学科共通の授業だ。
今は負傷時の応急処置の教育中。
僕はカレリアの事を考えていた。休み時間に見ていたけど、ビルグリムだけじゃなくて他のフェルパーも彼女を避けているみたいだった。
「キシキシキシ……。では、カナタ君。この場合の処置はどうしましょうか?」
「はい。直接圧迫止血法で止血します」
「キシキシキシ……。そうですね。止血法にも種類があり……」
僕はカレリアの方をチラリと見てみた。
カレリアは勉強が得意ではないみたいで、ノートに書いては消し書いては消しを繰り返している。
ショウンの件での借りもあるし、僕はカレリアに勉強を教えようかと考えた。
うまくいけば僕のためにもなる。
担任のダンテ先生の話だと、僕みたいな普通科の生徒が一人で冒険に出るのは自殺行為らしい。
僕はショウンと組み、他にルオーテとコッパ、委員会の仕事が無い時ならオリーブも一緒に冒険に行くと約束してくれた。
でも、ルオーテもコッパも、それぞれに自分の目的があって冒険者を目指している。
いつでも一緒に来てくれるとは限らない。
だから、僕はカレリアに目をつけた。カレリアはクラスでも少し浮いてしまっている。
ここで僕が声をかけて勉強も見てあげるとなれば、カレリアは僕のチームに入ってくれるだろう。
即戦力となる戦士、しかも可愛いフェルパーの加入となれば、釣られて加入する人が出るかもしれない。
そうなれば、冒険はずっと楽になる。
「そうそう。来週は魔法使い学科の生徒が編入するとか。また賑やかになりますねぇ」
僕は、その魔法使いもチームに入ってくれないか考えをめぐらせるのだった。
投下終了します。
住人の皆様、お目汚し失礼しました。
運営の皆様、連投失礼しました。
Gj
フライドチキンが似合いそうな校長ってwww
>>328 GJ
ピコの事とか、続きが色々と楽しみだ
>>330 怒ると眼鏡を外してウェスタン・ラリアットを炸裂させるんですね
『冒険の彼方』投下します。
注意
この話は、キャラクターに種族とは関係無い名前を付けています。
キャラ名は以下の通り。
カナタ…ヒューマン・男。普通科、主人公
ショウン…ノーム・男。レンジャー科、カナタの幼馴染み。
カレリア…フェルパー・女。戦士学科。同族に避けられている。
ピコ…フェアリー・女。カナタの幼馴染み。
ヴェンジャン…ドワーフ・男。格闘家、大食らい
ビルグリム…フェルパー・男。格闘家
333 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 21:50:38 ID:pLDsAoNC
静謐な空間に、ペンを走らせる音だけが流れる。
図書室には僕とカレリアだけがいた。
他の生徒達はオリーブの『ダンテ先生に一泡吹かせよう!』という依頼に乗って体育館に行っている。
だから、図書室には僕とカレリアしかいないというワケだ。
今回は僕が無理矢理にカレリアの勉強を見ている状況だけど、カレリアは嫌がってはいない。
でも、僕が一緒に勉強をしている事に戸惑っているみたいだ。
さっきから見ていると、解らない所があると僕の方を見てくる。僕が教えてあげると嬉しそうにする。
解る部分については絶対に頼らない。
僕が休憩しようと席を立つと、途端に耳が下がって寂しそうな顔をする。でも、何も言わない。
で、僕が休憩から戻ると耳が立ち、表情も戻る。
どうやら僕は、カレリアのテリトリーでの活動を許されたようだ。
この場合のテリトリーは、精神的な距離も含む。多分、今ならパーティーを組もうと誘っても、手酷く断わられる事は無いだろう。
いくつかの設問を解いた所で、僕は意を決した。
「ねぇ、カレリア。僕とパーティー組まない?」
334 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 21:52:09 ID:pLDsAoNC
「!」
カレリアは僕の言葉に一瞬とても嬉しそうな表情をした。
でも、次の瞬間には悲しそうな表情になり、うつ向いてしまう。
僕もカレリアも黙ったまま暫く動かなかった。
この沈黙はいつまで続くんだろうと、僕が思い始めた頃になってカレリアがゆっくりと顔を上げた。
その表情は複雑な思いを浮かべていた。
何か言おうとしているけれど、決心が着かない感じ。
カレリアは口を開くけど、何も言わずに再び閉じてしまう。下がった耳と落ち着かない瞳、また下を向き始めた顔が、僕をじらす。
承諾の言葉も拒否の言葉も出ない。ここまで来たら我慢比べだ。
僕はカレリアが何か言うまで待つ姿勢を固めた。
暫く待って、ようやくカレリアが顔を上げて何かを言おうと――
ガラガラガラ
「っ!」
誰かが引き戸を開けて入って来た。
「お前達か」
「ダンテ先生?」
図書室に入って来たのはダンテ先生だった。
「お前達。体育館に転がってる奴らを回収しといてくれ」
「は? 体育館……」
どうやら、オリーブ達は返り討ちにあったみたいだった。
335 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 21:53:03 ID:pLDsAoNC
「いやはや。まさかあの人数で返り討ちに合うなんてね。ダンテ先生って強いんだね」
「うん。そう……だね」
夕方の食堂で僕とカレリアは向かい合って食事をしていた。
ダンテ先生により返り討ちにされた同級生達をガレノス先生と一緒に保健室まで運び、
目が覚めたオリーブから生徒達が凶悪無慈悲なダンテ先生の攻撃により殲滅される様子を聞いていたら丁度良い時間になっていた。
ショウンは未だ起きないから置いてきた。夕飯を奢ってもらうつもりのヴェンジャンが貼り付いていて、起きたら知らせてくれる。
「……」
「……」
僕達の間には再び沈黙が戻ってきた。僕は待つ姿勢に戻り、カレリアはまた決心が鈍ったのか、悩んでいる。
このままでは夕食を食べ終わってしまう。そう思い始めた時、カレリアが躊躇いがちに言った。
「あの、カナタ君。お願いがあるんだけど」
「うん。なに?」
「消灯後、屋上に来て」
カレリアは苦しそうにそう言って、僕の返事を待たずに席を立っていた。
「……リアル?」
少し考えてしまう。
恋愛? いや、ひょっとしたら、カレリアは僕の事を疎ましく思っていて屋上に呼び出したのかもしれない。
336 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 21:54:02 ID:pLDsAoNC
消灯までの時間、僕は暇を持て余した。課題は出ていたけど、普通科の課題は基本的な旅の知識……殆んどが算数と理科の範囲……だから、僕は軽く片付けた。
同部屋のショウンは戻らず、ヴェンジャンも来ないままで消灯時間をむかえ、僕はカレリアとの待ち合わせのために学生寮屋上に向かった。
月明かりの照らす屋上に、白いネグリジェを着たカレリアは唯一人立っていた。
その顔が少し驚いた表情を浮かべているのは多分、僕がしっかり制服を着て、念のためにダガーまで持っていたからだろう。
「ごめん。待たせちゃったね」
「ううん。私も今、来た所だから」
まるで恋人みたいな会話を交わしながら、僕達は歩み寄った。
「話しって、なに?」
「うん。パーティーへのお誘いなんだけど……」
これは断られるパターンかと思ったけど、それなら別に屋上に呼び出す必要もないし。
とにかく僕はカレリアの話を聞くことにした。
「私ね、人見知りだし、周りにうまく馴染めなくて困っていたの。そんな時にカナタ君が声をかけてくれて、嬉しかった」
まあ、そうだろう。だって、そういう人間を狙ったんだし。
337 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 21:55:13 ID:pLDsAoNC
僕の考えを知らずに、カレリアは話を続ける。
「……でも、私が同族にまで避けられる理由を知ったら、カナタ君も私を……」
話しながら、カレリアはいきなりネグリジェの裾を捲りあげ始めた。
「えっ!? カレリアさん?」
「カナタ君、これでも私を誘ってくれる?」
僕の戸惑いをヨソに、カレリアは真っ白いお腹が見える程に裾を捲った。純白のショーツに僕の目は釘付けになった。
下着がどうかしたのかと思いきや、カレリアは半回転して僕の方にお尻を突き出すような体勢になった。
形の良いヒップに思わす生唾を……。
「え?」
「やっぱり変、だよね」
形の良いヒップの少し上。ショーツの少し上。背中とお尻の境……。
そこに、猫耳と並ぶフェルパーの特徴たる細長い尻尾が……無い!?
代わりに、直径5センチ程のフワフワした毛玉が乗っていて、カレリアの脈拍に合わせるかのようにピクン、ピクンと小さく動いている。
(まさか、コレが?)
僕のいぶかしがるような視線にカレリアが頷いた。
「ウチの一族、みんな尻尾がこうなの。……変だよね」
瞳に涙を溜めているカレリアを見て、僕は……
338 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 22:02:20 ID:pLDsAoNC
サワ
「きゃっ!」
「あっ! ご、ゴメン!」
気が付くと、僕はカレリアの尻尾を撫でていた。慌てて手を放す。
「本っ当にゴメン! 悪気は無いんだ」
あれ? おかしいな。手を放そうとしているのに、逆に握ってしまうぞ?
「ひんっ! ちょっ、カナタ君っ!?」
変わった感触だ。外はフワっとした毛に覆われ、中心におそらくは骨だろうコリコリした感触がある。
「カッ、ナタ君!」
「ああっ! ごごごゴメン!」
涙目のカレリアに本気で睨まれた。慌てて理性を総動員、手を離す。
「ひどいよ。カナタ君」
「いやマジでゴメン! 可愛くってつい!」
「可愛くて……?」
両手をすり合わせ、頭を下げる僕に、カレリアが尋ねてくる。
「変だと思わないの? みんな、気味悪がって近付かないのに」
「いや、だって一族皆がその尻尾なら、変な病気や呪いってわけじゃなさそうだし、それに……」
僕は涙目を通り越し半泣きになっているカレリアの両手を取った。
「さっきも言ったけど、僕は可愛いいと思った! カレリア、僕達のパーティーに入って!」
「カナタ君!」
ガバッと、カレリアが抱きついてきた。
339 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 22:03:05 ID:pLDsAoNC
そのまま、僕に頬擦りをするカレリア。あの、締め付けがきついです。
「カナタ君、ありがとう」
「いえ、どういたしまして……」
「明日から、一緒に頑張ろうね!」
カレリアはニッコリ微笑んで言った。
翌日
「うぅ、戦士科のパワーを甘く見てた」
カレリアは僕の勧誘に乗ってくれた後、顔を赤くしてモジモジしながら部屋に戻った。よっぽど僕がカレリアを受け入れた事が嬉しかったのだろう。
僕も喜びを噛み締めながら部屋に帰ると、ショウンが寝ていた。朝になってもまだ寝ているので、僕は起こさないように外へ出た。
歩き出すと、あちこち痛みが走る。どうやら、昨日抱きつかれた時に痛めたらしい。
我ながら貧弱過ぎる。「どうかしたんです?」
「え? あぁ、パーネ先生」
急に声をかけられて振り向くと、パーネ先生が立っていた。
「辛そうですよ。顔色も悪いですし、呪いですか?」
隣のクラスの担任なのに、パーネ先生は僕のことを心配してくれている。
「いえ、呪いではないんですけど……あ、そうだ」
呪いで思いついた。もし、カレリアの尻尾が呪いなら、解呪のエキスパートであるパーネ先生は何か知ってるかも。
340 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 22:03:38 ID:pLDsAoNC
僕はパーネ先生にカレリアの尻尾の事を説明した。
「まあ、それは可哀想に……」
パーネ先生はしばらく考え込んでいたけど、やがて目を瞑り首を横に振った。
「残念ですが……私にも解りません」
「そうですか……」
「……ですが」
ガッガリしかけた僕にパーネ先生は微笑みかける。
「擬似的な尻尾なら、装備可能ですよ。丁度、一つ余ってますから差し上げます」
僕はパーネ先生から『尻尾(?)』を受け取った。
「では、頑張って下さいね」
パーネ先生は去って行った。
「……どうやって装備するんだ、コレ」
先生が去った後、僕は尻尾(?)を眺めた。
尻尾である。取り付け器具などは無く、尻尾のみである。いや、よく見ると、尻尾の一端はゴム製で、見慣れた形をしている。
「まさか、お尻に?」
僕は、パーネ先生の去って行った方向を眺めた。
先生、どうしろと言うのですか? まさか、お尻に挿す、なんて言いませんよね、先生?
僕は尻尾(?)を、倉庫の一番奥、誰も触れない位置に封印することに決めた。
341 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 22:04:39 ID:pLDsAoNC
(濡れてる)
カナタと別れたカレリアが部屋に戻って最初に行ったのは、下着を確認する事だった。
傍目に見ても分かる程に、下着は湿っていた。
「どうして」
今までも尻尾に触れられた事はあった。イジメられる時は大抵、尻尾を引っ張られたり掴まれたりした。
自分で触れた事も幾度かはある。だが、どの場合も気持ち良さとは無縁だった。
だが、カナタに触れられた時は違った。まるで電流が流れたかのように、全身に快感が走った。
「カナタ君……っ!」
カレリアは暗闇の中、ベッドに横になると自分の右手がカナタの右手であるのつもりで尻尾に触れた。
撫で、揉み、捩る。
尻尾に様々な刺激を与えていると、空いていた左手がいつの間にか胸を揉みしだいていた。
「あぅぅ、ひぅんっ!」
目はきつく瞑られ、息は荒くなり、右手は段々と尻尾から前方に移動していった。
一番敏感な部分を何度か往復し、しかし、唐突にその動きが止まる。
「フーッ! フゥーッ!」
息は荒いままで、閉じていた瞼がゆっくりと開かれた時――
「カナタ君が……欲しい」
闇の底から染み出すような声が響き、獣の瞳を持つフェルパーがいた。
342 :
冒険の彼方:2010/09/26(日) 22:05:48 ID:pLDsAoNC
「それはジパング・ボブテイルだよ」
朝の食堂の喧騒の最中、ショウンは山盛りの食事を処理しながら解答を示した。
「ジ……パングだと?」
「そ。幻の国ジパング原産の猫で、名前の通り短い尻尾を持ち、とがった耳、毛色に準じた瞳の色をしている。……どうだ?」
確かに、カレリアの瞳は髪と同じ黒色だ。
「なら」
「呪いや病気じゃないよ。立派な種族さ」
ショウンの言葉に僕はホッとした。この事をカレリアに教えてあげればきっと喜ぶだろう。
僕はショウンの肩を叩くと、拳を握り親指をビッ!と立てた。
「ショウン、グッジョブ!」
「どういたしまして」
その頃
職員室に生徒の一団がいた。どこか他の生徒とは違う雰囲気を纏い、周囲に緊張を強いながら自分達はゆったり構えている。
周囲の教師は彼等をイノベーターと呼んでいた。
そのイノベーターの一団に、魔法使い学科の制服に身を包んだピコの姿があった。
(待っててね、カナタ。すぐに追い付くからね)
ピコの編入、そしてカレリアの覚醒に、カナタはまだ気付いていない。
投下終わります。
ジャパニーズ・ボブテイルという猫の種類と、パーネ先生のくだりを書きたくてやった。
反省はしていない。
連投失礼しました。
あと、注意・前書きが長くなってすみません。
乙
まっすぐ可愛い落ちに収まらず吹いたw
そして修羅場になりそうな空気全開ですね
凄く楽しみです
ボブテイルフェル子とはまた新しい
そういや前にキャラスレでマンチカンフェル子とか話題になったこともあったな
ともかくもカナタ達の今後に期待
いよいよ明日ととモノ3発売だな。興奮して今日は眠れなそうだw
タカチホの○○(好きな名前をどうぞ)の部屋にて。
ギシギシギシギシ
○○「うっで、でるっ!」
ネコマ「にゃぁあん!あ、安全日だからなかにだしてぇンっ!」
押し入れ|<そこまでよぉ
ウヅメ「(ガラッ)安全日だからってむやみになかに出したらいけないわぁ」
ネコマ「( ゚д゚ )」
○○「( ゚д゚ )(ドプッドプッ…。)」
ウヅメ「あらら、○○ちゃんはそーろーなのね…。あなたたちはまだ若くて責任がとれない年頃なんだから、避妊はちゃんとしなさぁい。コンドームあげるから。あ、あとにおい消しも。」
コンドームを10個もらった。
置き型におい消しをもらった。
ウヅメ「じゃあねぇ。あ、もし何か夜伽で困ったことがあったら相談にきなさぁい…。手取り足取り教えてあげるわぁん。」
ウヅメ先生は部屋から出て行った。
ネコマ「…続きしましょうかしらン…。」
○○「…そうだね。」
トウフッコ「ドアが開いてたから勝手に入りますなの。新しいとうふができtごめんなさいなの!すぐにでていくなの!!でも鍵はかけとくべきだと思うの、そういうプレイじゃないかぎりなの!!!」
○○「…ウヅメ先生鍵あけたままでてったのか…。」
ネコマ「あのお色気過剰ボケババアぁあああ!!」
ウヅメ「鍵しめておくの忘れてたわぁ…。」
ウヅメ「先生の口調を勘違いしちゃった
>>347は謝らなくちゃならないわねぇン…。」
申し訳ない…orz
>>348 喋り方もネコマと被ってる部分あるからな、あの先生は
でも間違えちゃったあなたにはブーゲンビリアたんとちゅっちゅする義務をやろう
>>349 その弟とならチュッチュッしたいですけど駄目ですか(迫真)
もし駄目ならせめて縦ロールさんにしてください…。
冒険の彼方の者ですが、小ネタ投下します。
例の如く、キャラクター名はカナタとショウンです。2レス程消費。
352 :
小ネタ:2010/10/14(木) 05:42:22 ID:986S/e5r
小ネタの彼方
学生寮の部屋
「カナタ……僕はもう我慢できないよ」
そう言って頬を赤く染め、荒い息を吐きながらせまるショウンにカナタは恐怖を感じた。
「ショウン、やめろ! 僕達は男同士だぞ!」
「くっ。やっぱり性別の壁は越えられないか……」
ショウンは頭を垂れ、悲しげに部屋から出て行った。
大人しく引き退がってくれたと思ったカナタだが、その翌日……。
「え? ショウンが退学した?」
「ああ。急に退学届けを出してな」
カナタは担任のダンテ先生から、信じられない話を聞いた。
自分の拒絶が、ショウンを退学に追い込んだのだ。
カナタは激しく後悔し、自分を責めた。
数日後。一人になりたい、そう言ってカナタは校庭のベンチに座っていた。
どれだけの時間そうしていただろうか。気が付くと、すぐ隣に見慣れない服を着たノームの少女が座っていた。
「あの、どなたですか?」
「……ふふっ」
答えのかわりの微笑。その笑い方だけで、カナタにはわかった。
「まさか……ショウン?」
「うん。やっぱりカナタは分かってくれたね」
353 :
小ネタ:2010/10/14(木) 05:43:02 ID:986S/e5r
目の前の現実が理解出来ないカナタに、女になったショウンが笑いかける。
「ふふっ。3では男装少女とか、男の娘とかができるんだよ。あ、安心して。僕は入学時にちゃんと性別を女にしてるから。BPまで同じになるように入学しなおすの、大変だったよ。でもこれで――」
ずっと一緒にいられるね
そう言ってカナタに口付けするショウン。
ショウンの柔らかさに、カナタはショウンが女性になった事を実感し……
ショウンも気付いた。カナタも何だか柔らかい。
「え? カナタ、まさか」
「ごめん。僕も、僕が女だったら良かったんだって思って……」
そこに居たのは一度退学して入学しなおし、ヒューマンの美少女となったカナタだったのだ。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「とりあえず、いちごミルクでも飲みに行こっか」
「……うん」
後にこの二人は百合であり薔薇でもある最強タッグとして名を轟かすのだが、それはまた別の話である。
投下終わります。
3を手に入れて最初に思いついたネタなんですが、入学しなおすなら、3じゃなくても性別の転換は可能だと書いてから気付きました。
乙
いちごみるく強いせいで百合っぷるだらけだしいいんじゃないかな! かな!
ソフィアール「あなたは本当に素晴らしい生徒ですね…!」
ソフィアールは○○をギュッと抱きしめ…。
ソフィアール「あ、あら…。」
○○の股間のあたりが膨らんでいるのに気付いた。
○○「ご、こめんなさい…。」
ソフィアール「い、いえ、謝らなくていいんですよ!でもどうしましょう、わ、私のせいで…。」
ソフィアールはそっとその膨らみをなでた。
○○「っ…!」
ソフィアール「こんなに腫れてしまって…、いま治療しますn」
アーちゃん「ソフィアール先生、おやつのじかnアガシオン、復活!○○貴様、ソフィアール先生に手をだそうとは…。その股間の膨らみ切り落としてくれるわ!」
○○「ヒィー!」
ソフィアール「おちついて、アーちゃん!」
ソフィアール先生の服エロすぎじゃね?
>>354 GJ!
そういうノリがもうツボ過ぎて頭がラグナロク
ニヤニヤがとまらない
>>356 アガシオン復活すんなw
光ってる時からエロいとは思ってたが
クリアして倍プッシュとかまじエロいです
>>357 GJ
その調子でキャラスレにも絵を供給スル→ノ↑デス↓
ブーゲンビリアとジョルジオ先生から迫られる夢を見た、死にたい
>>359 ジョルジオ「セクスィーなのー♪」
ブーゲンビリア「キュゥットなの♪」
GJ・BB「「どっちが好きなの〜♪」」
リリィ「…あら、○○くん、またいらしたのですか?」
リリィ先生は○○の方をチラリと見た。 ○○「えぇ、不思議な花の種があったので」
リリィ「いつもありがとうございます…」
………
リリィ「…他に何か?」
○○「いえ、少しここにいてもいいですか?」
リリィ「いいですけど… どうして毎日のように保健室に花の種を持ってきてくれて、長い時間私のそばにいるのですか? …私なんかといると暗い噂たてられますよ…」
○○「保健室の居心地がいいからです」
リリィ「○○くんたらおかしな生徒ですね… 椅子が壊れてしまっているので、こちらのベッドに腰掛けてください…」
○○「わかりました、お借りし(躓く)わっ!」
リリィ「きゃっ…」
○○がリリィ先生をベッドに押し倒すような形になった。
○○「ご、ごめんなさい、すぐに離れま「……いで」えっ?」
○○はリリィ先生の顔を見た。目に涙がたまっていた。
リリィ「…離れないで…お願い…。」
○○「リ、リリィ先生…」
リリィ「…○○くん、私ね、好きなの君の事が…。冒険や授業以外は保健室にいて、私にいろんな話を聞かせてくれる君を、最初は物好きな生徒だなって思っていたの。…いつの間にか私も君が来るのを今か今かと待つようになって、ね」
○○「……」
リリィ「で、でももし君が来るのが、生徒たちから嫌われている私に対する同情なら…、わたしっ私…んっ!」
○○「(ギュッと抱き締めて口付け)」
リリィ「ぷはっ…、あ、あのこれってえぇっと…」
○○「リリィ先生…自分もずっと好きでした…」
リリィ「…ぐすっ…よかった…」
○○「…あ、あのそれと…」
リリィ「?」
○○「まだお昼ですし、この状態は非常にまずいかと…」
リリィ「あ、そ、そうですn「あーっ!」!」
レオ「リリィ先生が○○を冥府送りにしようとしてる!」
ブーゲンビリア「レ、レオ、違うわよっお邪魔してすいません」
レオ「○○を助けるぞ!うぉ「乙女戒拳!!」フガッ(バタン」
ブーゲンビリア「し、失礼しました
(保健室の外で大声で)あら、保健室しまってるわ…! あっそうそう今日はお出掛けしてるんだったわ!!何時帰るかわからないし、レオの怪我どうしようかしらー!!!」
リリィ「…○○くん」
○○「…はい」
リリィ「…離さないでね…」
○○「…はい! 冥府でもどこでも!!」
リリィ「…もぅっ、お仕置きが必要ね…」
そういうとリリィ先生は(省略、終了します)
一周目ドラッケン終わったが2よりNPCが魅力的に思えた
NPCで何か書こうかな
ドワ男「朝から視界に入ってくるんじゃねぇよ!長耳野郎!!」
エル男「視界に入ってきたのはそちらだろう、単細胞の犬が…!」
ドワ男「ガルルルッ!」
エル男「シッシッ!!」
エル子「ドワ男ー、おはよー!(ギュッ」
ドワ男「わっ、エ、エル子ちゃん、いきなり飛び付くのは危ないって言っただろ!?」
エル子「ドワ男の姿みたら我慢できなくて…ご、ごめんね…」
ドワ男「…あぁもう可愛いなぁ…、いつでも飛び付いてきていいや、そのたびに危なくないように抱き締めてやるよ!」
エル子「やったー!…あとね今夜…ね…///」
ドワ男「お、おぅ…///」
エル男「イチャイチャするなら別の所でやれ、ファック」
ドワ子「あ、あのエル男さん…おはようございます」
エル男「ドワ子じゃないか、おはようチュッチュッ」
ドワ子「も、もうエル男さんたら…、恥ずかしいです…」
エル男「いいじゃないかチュッチュッ、僕たち恋人同士なんだしチュッチュッ、誰も僕たちの燃え上がる恋の炎を消すことはできないよチュッチュッ!」
ドワ子「今日の夜、好きなだけキスさせてあげますから、ね…♪」
エル男「今日は君の可愛い鳴き声を聞きながら、秋の夜長を楽しむかな!」
ヒュム男「…」
バハ子「うわぁ…エル男うわぁ…」
ヒュム男「…でも珍しいね、あのカップルたち」
バハ子「確かにな…あたしたちみたいな組み合わせも十分珍しいがなー」
ヒュム男「ところで姐さん」
バハ子「ん、なんだ?夜のお誘いならバッチコイだぞ!なんならここで…」
ヒュム男「いやそうじゃなくて、どうして自分は姐さんにお姫様だっこをされているのでしょうか」
バハ子「好きだからだよ言わせんな恥ずかしい///」
ヒュム男「それ以上に僕、恥ずかしい思いしてるんですけど、男のなにかがズタボロなんですけど」
バハ子「ぐだぐだ言うと、ここで犯すよ?」
ヒュム男「あぁ、キスしただけで鼻血だして倒れてた姐さんはいずこへ…」
バハ子「…こんなあたしは嫌いか?」
ヒュム男「…大好きに決まってるじゃないですか言わせないでください恥ずかしい///」
バハ子「…まったく…///」
相性システムで
エル男が嫌いだけどエル子が恋人なドワ男
ドワ男が嫌いだけどドワ子が恋人なエル男
パーティーのまとめ役のヒュム男とバハ子(相思相愛で、だれからも嫌いの線を引かれてない)
今、こんなパーティーでやってます
実にすばらしい
とりあえず上から順にドワ男×エル子の夜の営みから書こうか、さあ
>>361 さぁ続きを書くんだ
どうでもいいけどフェルパーとドワーフは発情期があってもおかしくない
という妄想をしている
NPCの誰かさんは年中発情してるようなものだが…
>>365 年齢的に「初めての発情期」という甘酸っぱいシチュエーションが
不良バハ♂×淫乱セレ♀って需要ある?セレ♀攻めバハ受けで。
ドワーフの♂って異種♀の乳(というか生肌)に欲情できるんだろうかとは思ってた。
ドワ子はたぶん裸に剥いただけじゃ乳首見えないだろうしね。
何を思ったのか男の娘クラッズとディア子の二人旅してるよ
>>368 カータロがロクロのマワシ姿に興奮するらしいし、十分いけるんじゃないか?
てーかいつの間にか480kb超えてるんだな
そういえばととモノ。って生徒の年齢いくつくらいの設定なんだろう
オイロケアロマのクエで「生徒たちにはまだ早い」って書いてあったけど
>>371 当人の妄想次第だが、学園モノエロパロなら高校生が妥当じゃない?
あははっ☆携帯でせっかく長い文章書いたのに電源がプツンって切れちゃたよ☆
鬱だ…
>>373 ドンマイ。それ俺も古いPCで経験者だから同情するわ。
俺も書き込みスルーされて欝だ…
>>372 高校だとしても実年齢なんて種族でバラバラじゃないのか?
ヒュムとかフェルパー以外は100歳でも不思議じゃない。
>>371 1にあったスタミナは実は年齢を使ってはじき出されてる
確か、16歳で100、17になると98だったかな。
我が脳内のエルフメイドは主に付き添う為20過ぎで学生服来て入学
基本最初の学校選びは制服の好みからだよな。
俺は迷わず学院だった。
制服好みだしキルシュ可愛いからドラッケンにした
けどキルシュがまさかの百合百合だったという…
>>367 勿論。ここで需要のないカップリングはない。
むしろ供給が追いつかないんだ。さぁ、早く書いてくれ。
381 :
367:2010/10/19(火) 08:17:24 ID:mlOW+ePl
>>379 むしろそのほうが旨そうだと思う私は病気?イチゴミルクおいしいです
>>380 了解、実は昨晩ちと話が思い浮かんでな。キリのいいとこまで作ったら投下するから少し待ってろ。筆が進めば何とか今夜にでも
私がエロを書こうとすると、途中でエロなしネタになるのは何故なんだ…。
カーチャせんせ、エロが書けないよぉ…
>>382 そりゃ、溜まってないからじゃないか?
俺はエロパロ書くの数年ぶりだから上手く最後まで書けるか不安だ。
連投失礼します。
板のサイズが危なくなってきたし、そろそろ次スレ立てたほうがいいと思う。
更に、次の1のテンプレに、『480キロ越えた時点で次スレを立てる』ルールの追加を私は提唱しますがいかがでしょう?
>>378 フェルパー侍とクラッズ忍者を作りたかったんだ
490超えたあたりで次スレか?
>>387 畜生。みーライオンが邪魔して次立てられん
>>389 悪い、半角ならいけると思ってた。
次から気をつける
妄想パーティー作ってたらキャラが25人ぐらいになってた
>>393 ご、50人もつくって何を書くつもりだ!
待ってるぞ!!
>>394 旦那、だからって50Pは無いと思いやすぜ
新板も作って下さった方がいますし、こっちはもう埋めるだけかなー。談議や小ネタで500まで頑張ってみますかい?
リリィ先生マジ天使。ディアボロスだろうとこれは確定事項、異論は認めん
埋まりかけの今なら言える。
偶然嫁のととモノ2のデータを見てしまった。
他のキャラはキュラソーとかシードルとか酒の名前なのに
狂戦士♂だけ嫁のあだ名だった。爆笑した。
1のデータも見てみた。
スピノザとかニーチェとか思想家の名前が並ぶ中
やっぱりドワーフ♀だけ嫁のあだ名だった。
実際のところ嫁はちょっとドワーフっぽい。
ただし外見は普通課のバハムーンかディアボロス♂に似ている。
埋めネタに妄想でも晒すか。
タカチホ。
ディア男…折り紙士。冷酷に見える外見と無口のためか、近寄りがたい雰囲気がでてる。が、性格は優しく温かい。フェア子を助けて以来、常に二人一緒にいる。将来はフェア子との結婚を考えている。
フェア子…巫女/アイドル。少し子供っぽい口調だが、しっかりもの。ディア男に助けてもらって以来、常にそばにいる。同じく結婚を考えている。
ヒュム男…色々、主に忍者。世界を救った一人。タカチホで鍛えなおそうと転生した。ディア男とフェア子の探検に前衛として一緒についていき、二人の友人となる。
ちなみに、ディア男とフェア子が外でいたしてるとき、二人の見えないところで近づいてくるモンスターを全て倒しているらしい(チューリップの情報)。
>>398 ゲームはもちろんこのスレも夫婦で楽しんでいるんだぜ。
401 :
400:2010/10/22(金) 21:24:58 ID:nffYKUAn
だからこのスレはできれば明日中に埋まって欲しいんだぜ。
夫婦で愉しんでるのかそうかそうか
二人で読みながらその気になったらディスプレイ落としてベッドにインというわけだな
ならば協力しよう…(`・ω・´)
チューリップは俺の嫁
仕方ねえ
上の萌えスレで受けた影響をフルバーストさせてやる
>>404 具体的に何するつもりだい、旦那?
入学してすぐ身ぐるみはがして売りとばすと軽く小遣い増えるよな。
パー子「…ししゃもをください…一つだけでもいいので…」
○○「ししゃも?3つあるけどいる?」
パー子「あ、ありがとうございます!このご恩は忘れません!」
数日後
パー子「…あの時はありがとうございました。」
○○「あ、君か。」
パー子「母がししゃもが食べたいと言っていましたので、助かりました…。それで幸せな顔で昨日…。」
○○「えっと、そうか…ご愁傷さm」
パー子「違います、まだ亡くなってません!ええっと、幸せな顔で昨日わたしにこういったんです。」
『その人に恩返ししなくちゃならないねぇ…、そうだ、あんた、その人の嫁になれ』
○○「えっ、いやその、俺は嬉しいんだが、君の気持ちはどうなんだ?君がいやならしょうがないし、唐突すぎるし…」
パー子「私は嫌じゃありません!あなたのお嫁になれるなら嬉しすぎます!」
○○「え、あの、ちょ」
パー子「…末永くよろしくお願いします、旦那様…♪」
『ねこの恩返し』放送予定
>>406 乙
その後は砂糖吐くような展開になりそうだな
パー子が何かと思ったらフェル『パー』か。
1でひらめ作ろうかなぁ
>>408 3買ったときについてきた特典ブックの最後にある4コマのネタであったんだ。
しかし4コマのヒュム子とバハ子のブルマ姿のエロさは異常
知ってるかい、一般にスク水とはつるぺた向けと言われるが、むちましい身体の人が着用すしても身体に張り付くから違った意味で破壊力抜群だ。
つまりセレ♀に着せるとどうなる?…答え、俺が鼻血をふく
>>409 それ手に入れてないんだよなー。うらやま。
しかし新学科にジャーナリストか…うちの板に盗撮ネタが現れ始めるかもなー
ジャーナリスト科でハメ撮りとか、パティシエ科で女体盛りとか、アイドル科で枕営業とか
夢が広がりますなぁ
とりあえずプリンセス/ナイトのエル子にアンジェリカって名前つけてくる
あなたって本当に最低のクズね
>>414 その名前だけでググってみたらすぐにモデルっぽいの見つかって驚いた。何コレそんなに有名なのかヨ
モンスターで妄想すんならセイレーンか、またはうにうにーむ辺りかねえ?
次スレ盛り上がらないけど大丈夫かなぁ
>>417 皆こっちが埋まるのをまってるだけ…と、思いたいですねえ
>>416 マキガイガールの攻撃時のアニメをスキップせずに見てみ。
あいつら、肩からでてる目みたいなもの以外に、からのなかにちゃんと人間の目があるんだぜ…。
というか殻の中に隠れてる顔が意外とかわいいんだよな…。
>>419 何? それは是非とも拝見しなければなるまいなあ…。
あいつって確か、冥府の迷宮にしかいなかったっけ? どこで見たのか記憶曖昧で解らない
俺もどこにいたか忘れてしまった、スマヌ
3の販促とか特典にもスク水あんの?
1,2と水着着てたからあの子ら基本泳げるはずなのになんでディープゾーン駄目なんだろうな。
鎧とか着込んで荷物満載のまま泳げる方がすごいだろw
>>423 某フリーソフトだと泳げるけど荷物が多すぎると溺れてHPが減ったりするwww
ヒュマ男「クラ子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?復活したら覚えてrブクブク…」
クラ子浮遊装備「帰ったらお仕置きハアハア…」
セレ子「唯一のテレポル回復持ちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
注、クラ子以外実話orz
Wiz5でも泳げるぜ
女子パーティ作ってドラッケンプレイしてたせいでベルタが百合キャラにしか見えなくなった
プリシアナに転入したセレ男です。
制服がエロゲっぽいので転入してみたら野郎ばかりでした。
セレ男です。
校内を可愛い子が歩いている!と思って声をかけてみたらクラ男の娘でした。可愛いですが男です。
セレ男です。
ベコニアさん可愛いと思っていたらセルシオに心を寄せてました。鬱です。
セレ男です。
前に知りあったクラ男の娘と一緒に迷宮に行ったら可愛いフェアリーが倒れてました。急いで回復しました。また男の娘でした。鬱です。
セレ男です。
クラ男の娘とフェア男の娘に告白されました。
………
……
…
もう可愛ければ性別なんてどうでもいいよねハハッ
(ここから先はセレ男の涙だろうか、文字がにじんでいて読めない)
>>427 これはグッジョブ実にいい小ネタ。
しかし最近の我々にはGJが足りない気がするぜ
そういや、ヒロシって今どこで何やってるんだろ?
この間、笑点に出てたらしい
ついに消えそうな芸人ランキングからも消えたらしい。
>>421 海底洞窟で発見。なるほど、素顔が普通に女の子で吹いた。
図鑑で説明見て更に萌えた
3って1みたく人間の雑魚敵いる?2みたいに対人対戦はイベントオンリー?
人というかヒューマノイドは忍者とか人魚とかそこそこ。でも頭身が違うからどうだろう
ところで具体的な容量上限って512Kだっけ?
埋めネタでも投下しようかと考えてるんだけど
情報ありがとう
1の鉄の剣の戦士みたいなよそのパーティとの殺し合いは
もうやらないのかね。倫理的に問題あり?
2で普通に戦争やってたけどな。
受けないと思って止めてるんじゃない?
戦争だけどガチで殺しあったのって神となりし者くらいじゃなかったっけ?
3から初めて巻き戻る人もいるだろうなと思ってちょっと伏せてみた。
一応拠点一個に押し込まれるまで制圧されてるし、その下で踊らされてた奴らだってガチじゃないかしら
システム的には1PTしか用意せずにひたすらハクスラしてると稀に良くあることだが