GJ!!
続きがとても気になる
頼む、ティーナは幸せになってくれぇぇぇ…
ティーナの巻き返しに期待!
が…頑張れ
依存をとことんまで突き詰めたら最終的には一心同体ということになるのではない?
サイクロンジョーカーエクストリーム的なあれか
エヴァのラストのように皆で溶け合ってスープになればいいんだよ
>>649 いつまでも待ってるよ。
雰囲気大好きで楽しみにしてるから、また時間が空いたら書いて欲しいな…
犬猫ってあったから、勝手にDoc&Catの人だと思って書いた
違ったらごめん
>>754 あぁ、犬猫ってそういう意味だったのかw
此方こそ失礼しました。
失礼ついでに、夢の国投下しますね。
おかしい…。
私は選択肢を間違えたのか?
いや…私はしっかりとライトの前に立ち、歩いていたはず。
だからライトは今までノクタールという大都市で前を向いて歩いてこれたんじゃないのか?
それなのに――。
今私は宮廷にある私部屋へ戻って来ていた。ライトに帰れと言われて……ライトを力ずく無理矢理でも捩じ伏せる事もできたのだが、それをするとライトはもう、私のモノにならない気がした。
だから何もできずに帰ってきたのだ。
本来ならライトもこの部屋にいるはずなのに…。
ベッドへ腰掛け、頭をフル回転し考える。
何を間違った?どこで足を踏み外した?分からない…。
私はただ、ライトと一緒に居たかっただけなのに…。
「一緒に居たかった…?」
自分の考えに思考がストップする。
一緒に居たかった――おかしい……ライトをノクタールへ連れてきて時、そんなこと一ミリも考えていなかったはず。
ライトを自分の盾にすることだけを考えていた……だから私はライトの剣になり、絶対的なモノになろうと――。
なのに今、私はライトと一緒に居たいと考えた。
――私をライトの妻に迎え入れろ――
「私は……間違った…のか…」
あの時、私は選択肢を……大切な選択肢を間違った――ライトの剣になると誓ったのに女の幸せを求めてしまった――。
ライトを放したくない気持ちが溢れだし、前を歩く事を捨て、隣を歩こうとした――あわよくばライトの一歩後ろを歩こうと…。
「違うッ!!!」
鎧に手を掛け、急いで着替える。
「私はライトの剣…私はライトの剣…私はライトの剣――」
まだ間に合う。
ライトが私に愛想を尽かす前に誤解を解かなければ。
そう…まだ間に合う。
私はまだ弱っていない。
やはり、私はライトの前に立たなければいけない存在なのだ。
そうしなければ、ライトは私を見ない――強い私をライトは欲している。
「ははっ、大丈夫だ、まだ私はやれる!ライトだってすぐ私を見直すさ!私が吐いた嘘なんてすぐに忘れる!大丈夫だ!」
そう自分へ言い聞かせると、鎧を身に纏い、急いで部屋を後にした。
大丈夫――私はノクタール騎士団副長ロゼス・ティーナ。
ノクタールの戦神だ。
男にすがり付く様な神経は持ち合わせていない――。
ライトが望むなら前を歩き続ける。
それが本来あるべき姿なら、私は女の幸せなどいらない――――。
◆◇◆†◆◇◆
「なぁ…ハロルド。今日は確か他国船が、ユードで出店を開く日だよな?」
周りを見渡し呟いた。
ノクタールから船に乗り、ユードの港へと到着したのだが、何故か港に人が誰一人としていない。
この時間帯ならもう出店用のテントを張っていてもおかしくないはず。
それに俺達が乗ってきた船からユードの港で降りたのは俺とハロルド、ティエルだけ。
三年ぶりの故郷は何も変わっていなかった……と言いたいが、三年間の間に少なからず俺が知っている町ではなくなってしまったようだ。
「他国船は二年前からこの町へ滞在することは無くなりました…」
「はぁ?なんでだよ?」
ノクタールのような大きな都市以上にこの町での売り上げは良かったはずだ。
何故ならそれぐらいしか町人達は楽しみが無く、珍しいモノならなんでもかんでも買うからだ。
「この町で船を停泊させていると、ボルゾ達に襲われるからですよ…」
警戒したように一度周りに目を向けると、スタスタと歩いていってしまった。
「ボルゾに襲われるってなんだよ?ボルゾが船に乗り込んでくるのか?」
慌ててハロルドの後を追い、理由を問いただした。
「えぇ…その通りです。」
冗談混じりで言ったつもりなのだが、ハロルドは真剣な表情で返してきた。
「嘘だろ…?なんでボルゾが…」
「……それは、ボルゾを退治する人がこの町から居なくなってしまったからです」
「……」
俺のことか――。
「三年間で死者は120名…多分これからも増えていくかと…」
「120名!?」
静かな町中で俺は叫び声をあげた。
ありえない…俺が居た時は死者なんて滅多に出なかった。
一年に一人か二人。
二年間死者を出さなかったことだってある。
それが、120人もの人間が三年間で死んだのか?
「どうなってんだよ…」
確かに活気溢れる風景は消え去っている。
家の窓や扉は完全に閉められ、外からの接触を嫌っているようだ。
「みんな、貴方に頼っていたからですよ…町人はボルゾが町に侵入した時、逃げるしか方法を知りません…。誰も戦わず、逃げる。夜は当たり前のようにボルゾが町を徘徊してますよ?」
キョロキョロと先ほどから周りを気にしながら歩いているのはそういう訳か…。
俺は剣を持ってきているから、大丈夫だが、ハロルドは何も武器になるようなモノはもっていない。
「ハロルド」
「ッ……なんですか?」
後ろからいきなり肩を叩かれたせいか、全身をビクつかせ、俺の方に目を向けた。
目を見てわかる――怖いのだろう。
「俺の腰についてるコレは飾りじゃないぜ?ボルゾの一匹や二匹…いや、十匹でも余裕だよ」
腰にある剣をポンポンッと手のひらで叩き、ハロルドに笑って見せた。
「ふふ…そうですね、英雄が一緒なんです。大丈夫ですね」
やっとハロルドの顔から険しさが無くなった。
「英雄って呼ぶんじゃねーよバカ、お前は歩くの遅いから俺が前歩くぞ」
ハロルドの頭を軽く叩き、ハロルドの横を通り過ぎる。
「…すいません」
ハロルドの謝る声が小さく聞こえたが、聞こえないフリをしてハロルドの前を歩いた。
少しして、ハロルドがついて来る足音が聞こえてきたので、ハロルドから意識を反らし、前を向いて警戒しながら歩く事にする。
「お……さっそくか?」
町の開けた場所までたどり着くと、真ん中にある噴水で水の中に顔を突っ込んで水を飲んでるボルゾを発見した。
前にハロルドが言ってた……確か黒ヒヒって言われてるボルゾだ。
「三体か…ハロルドちょっとやってみるか?」
「えっ?な、何をですか?」
何をさせられるのだろう…そんな感じの表情だ。
えっ
「大丈夫だ…危険な事はさせない」
そう伝えると、カバンからボーガンを取り出し、ハロルドに手渡した。
「いいか…これであそこで呆けてるボルゾの頭を狙って射ってみな」
噴水にもたれ掛かってくつろいでいる黒ヒヒに指をさす。
「えぇ!?僕には無理だよ!」
俺の提案にハロルドが最大表現を使い力一杯驚いた。
「バカ、声がでかい!」
ハロルドの口を手で押さえ、物陰に隠れる。
ハロルドの声に反応したのか、一匹が此方に近づいてきた。
「向こうから近づいて来やがった…いいかハロルド、アイツの頭に標準を合わせて指を引くだけだ」
「ふぇくだけ…」
カタカタと震える手でボーガンを掴むと、此方に歩み寄ってくるボルゾへ向けた。
「まだだ…もう少し近づけろ」
「ふぁい…」
ハロルドの様子がおかしい……顔を確認する。
「ぶはっ、おまっ、なんつー顔してんだよ!」
真剣なのか俺を笑わそうとしているのか、鼻水を垂らしながら涙目のハロルドがボーガンを構える姿に俺のツボは激しく刺激されてしまった。
「ちょっと…笑わないでよ…」
「あっははははははッ!お前は何歳児だよ!お腹痛い痛い!」
「ライト笑ってる場合じゃないよ!来た、来た!」
俺の笑い声で俺達の存在がバレてしまったようだ。黒ヒヒが爪を立てて此方を睨み付けてきた。
「よしッ、やっちまえ!」
「う、うわあああああ!」
ハロルドの肩を叩き合図をだすと、悲鳴のような声をあげ、黒ヒヒ目掛けて矢を放った。
――グギャッ
矢を射られた黒ヒヒは小さな悲鳴をあげその場に倒れこんだ。
しかし、すぐさま立ち上がり突き刺さった矢を引き抜くと、此方を睨み付けてきた。
ハロルドが放った矢は頭ではなく、黒ヒヒの足へと突き刺さっていたのだ。
理由は明白…。
「おまえ目閉じてんじゃねーよ!」
矢を射つ瞬間、このアホは目を閉じて矢を放ったのだ。
「だって怖かったから…」
「分かった…分かったから鼻水をふけ」
ハロルドからボーガンを受け取り、黒ヒヒの前へ立つ。
「ったく…人様の町入り込んでこんな朝っぱらから優雅に日焼けでも楽しんでんのか?真っ黒のクセにどこ日焼けするんだ山猿」
ボーガンを黒ヒヒに向けると、まずはハロルドが攻撃した足とは違うもう片方の足へと矢を放った。
足に矢が突き刺さると先ほどと同じ様に黒ヒヒはその場へと倒れ込んだ。
「ふん!」
倒れている所へ駆け寄り、黒ヒヒの胸へと剣を突き刺す。
短い断末魔を響かせると、簡単に動かなくなってしまった。
仲間の断末魔を聞いた二匹の黒ヒヒ達が水を飲むのを辞め、此方へ向かってきた。
これも一匹と同じやりかたで、始末する。
「お〜い、ハロルド終わったぞ〜?」
隠れているハロルドに向かって安全だと伝えると、恐る恐る物陰から姿を現した。
「凄いです…貴方は本当に強くなられたんですね」
周りに転がる黒ヒヒを避けながら俺に歩み寄ってくると、どこか寂しそうな表情を浮かべ目を反らした。
理由は分かっている――俺もティーナが町に来た時、あまりの変わりように変な疎外感を感じたっけ…。
自分自身、三年前とは違い多少達観できる様になった。
「まぁ、これでも騎士団にいるからな。多少の事では驚かねーよ」
三年前の俺ならボルゾ三体はかなりキツかったはず。
「それもこれも、ティーナのおかげ…か…」
「え?なんですか?」
「いや、何でもない。それより早く行こうぜ」
ティーナの事は後々考えよう…今は早くホーキンズの家と教会へ向かわないと。
「ライト様だ!」
「ん?」
どこからともなく聞こえてきた声に歩く足が止まる。
町中ということもあり、声が響いてどこから聞こえて来たのか分からなかった。
仕方なく周りを見渡し、声の元を探す。
「ライト、あそこだよ」
ハロルドが俺の肩を軽く叩き、笑いながら指をさした。
ハロルドが指さす場所へと目を向けると、なんのへんてつも無い一軒家が建っていた。
その一軒家の扉から女の子が顔を出している。
さっきの声はこの子か…。
「ライト様!」
「ライト様だ!」
「戻ってこられた!」
「な、なんだなんだ!?」
一人の女の子が扉を開け出てくると、それを皮切りに締め切っていた民間の扉が次々開いていく。
中からはその家に住んでいるであろう人々が外に出てくる。
老若男女、皆何故か俺の方へとゾロゾロ歩いて…。
「ちょ、ハロルド助けっ!」
状況が分からず、集まってくる人々に戸惑っていると、大人達が群れる隙間から小さな子供達が飛び出し、俺の周りを取り囲んだ。
「ライト様、助けに来てくれたの!?」
「当たり前だろ!?だってあの伝説のドラゴンを倒したんだぜ?この辺のボルゾなんて相手にならないよ!」
「んなこと分かってるって!ねぇ、ライト様はどうやってドラグノグ倒したの!?」
目の前で子供達が俺の話で言い合いをしている。
微笑ましい光景なのだが、自分の事で盛り上がられると首筋がむずむずしてしかたない。
「ほらほら…ライト様も忙しいから後ろへ下がりなさい」
白髪のヒゲ面老人が人々を掻き分け、俺の前へと歩いてくる。
子供達は俺の話を聞きたいと騒いでいたが周りにいる親達が子供達を家に連れていってしまった。
「皆は家に戻りなさい。ライト様此方へ…」
老人が町人に家に戻るよう伝えると、ついてくるよう促す。
「……この老人誰?」
前を歩く老人には聞こえないよう隣を歩くハロルドに耳打ちする。
こんな老人知り合いにいないし、この町でも見たこと無い。
三年間の間に引っ越してきたのだろうか?
「あの人は町長さんですよ」
「マジか…?」
町長は確か黒髪だったはず…それにあんなにもシワ深くなかった。
三年間であれだけ老けたのか…。
――「さぁ、入ってください。そこに腰を掛けて…紅茶でも」
町長の家へと招待された俺達は、町長から出された紅茶に渋々口をつけた。
早くホーキンズ達の行方を調べたい…こんな所で時間を持て余すほど時間に余裕が無い。
こんな事をしてる間にホーキンズ達は――。
「大丈夫ですよ、手紙に守るって書いてあったじゃないですか」
顔に出てたのだろうか?
ハロルドに見通されたようだ。
「あぁ、そうだな…」
そうだ…ホーキンズが大丈夫だと言っているのだ…俺が信用しないで誰が信用する。
紅茶を一気に飲み干すと、それを見計らった様に町長が話しかけてきた。
「ライト様…町を離れられた貴方様に私から言える立場では無いのですが、お願いがあります」
「お願い…?」
「この町を救っていただきたい…ライト様に三年前しでかした罪は何よりも重い事は知っています。私を含めて町の皆が償っていかなければいけない罪だと…」
話し出すと涙をボロボロ流しながら深々と俺に向かって頭を下げた。
痛々しい…としか言い様がなかった。
「はぁ…分かりました。それじゃ、町の周りを一通り見て回ってみます。ボルゾが入ってくるのは外壁に亀裂があるからです。それをふさいだ後、ボルゾ達が町に入って来れないよう壁の上に鉄線を張れば、少しは安全になるはずです。町中にいるボルゾはすべて俺が……」
「?」
すべて俺が排除する…と言いかけた所で話すのを止めた。
もし、ここで俺がボルゾを退治して回ったら、俺が居なくなった時また同じ事を繰り返すんじゃないだろうか?
それは避けたい…。
「町の男を中央広場に集めてください…昼に町中にいるボルゾ達を一掃します」
「え…わ、分かりました」
それだけを伝えると、ハロルドの背中を押し、町長の家を後にした。
「中央広場に皆が集まるのはまだ時間がある…その間に教会へ行って何か手掛かりがあるか調べるよ…ハロルドはもう一度ホーキンズの家を調べてくれるか?」
「えぇ、分かりました。それではまた昼に中央広場で」
ハロルドと別れて、一人教会へと向かう。
時間短縮、二手に別れたほうが効率的だ。
それに三人を拐った犯人はホーキンズを拐いにワザワザ森を抜けてこの町へ来たとは考えにくい…。
だとすると、目当てはアンナさんかメノウ…。
アンナさんとメノウを守ろうとしてホーキンズも拐われた。
簡単に推理すればそうなる。
アンナさんの場合、アンナさんの家を調べなければいけないのだが、まず行き馴れた教会から調べたほうが推理も捗るはずだ。
ホーキンズの家はハロルドに任せるとして、後は聞き込み……聞き込みと言っても人間にじゃない――。
動物と会話できるティエルが今、空を飛ぶ鳥や町中にいる小動物に聞き込みをしているのだ。
神話の生物はなんでもありだな…と悪態をつきたくなるほど、役に立つティエルの能力に感謝しなければ――。
◆◇◆†◆◇◆
「……」
『ホーキンズになにかあったらしい……今からユードへ向かう。あと、机の上に薬があるからそれを火傷に塗っとけ。2日で治る秘薬だ』
テーブルにおいてある手紙を手に取り軽く読む。
片手でグシャッと丸め、床へ捨てるとライトのベッドへと腰掛けた。
私はどうしてしまったのだろうか?
自分自身でもおかしくなっているのが手に取る様にわかる。
ライトがユードへ向かった…なら私もユードへ向かわなければならない…。
いや、私がライトをユードまで追いかけると、今度こそライトの前を歩けなくなる。
私はライトを追いかけてはいけないのだ――。
当たり前の事なのに……辛い。
――確かに私はライトに嘘をつき、ノクタールまで連れてきた。
だが、それのどこがいけなかったのだろうか?
お人好しのライトは町の人間に何をされても一度謝られたら、すべて許すだろう。
それがなにより腹立たしい…。
そして今頃ライトはユードへ到着しているだろう…もしかしたら、もうライトはノクタールへ戻ってこないかもしれない…。
「そんなの…イヤだ…」
目から出てくるモノを顔をしかめて止める。
ライトはノクタールへ来てたくさんのモノを手に入れたはず。
それは名誉だ。
英雄になり、もうライトはライト本人だけのモノでは無くなっている。
ドラゴン殺しで東大陸全土にライトの名前が知れ渡っているだろう…。
すぐにノクタールの英雄から東大陸の英雄に変わる。
人とはそのようなモノだ。
ノクタールはライトを放さない……噂がライトを縛り付ける。
私が願ったことなのだが、知らない間にライトが私を取り残し、独り歩きしているようで孤独を感じてしまう…。
ライトは私のライトだ。
ノクタールのモノでも、東大陸のモノでも無い。
皆が錯覚するのは勝手だが、ライト本人が錯覚すると、私の場所が無くなってしまう。
だから、ライトに見合う私の立場を作り上げないといけない。
ベッドから立ち上がり、壁に掛けてある剣を手に取り握る。
「勝てる…勝てる…絶対に勝てる」
自分にそう言い聞かせ、ライトの部屋を後にする。
現在、ノクタール最強の騎士は私では無い。
ライトより前に英雄だと言われてきた人物がいる。
私の恩人でもあり、唯一私が尊敬できる人物。
だが、もういい――尊敬だの恩人だの…ライトが居れば何もいらない。
副長の座もいらない。
ライトがノクタールへ戻って来た時、ライトが私を誇れる存在になっていればいいのだ。
そう――私が騎士団のすべてを握れる存在に…。
◆◇◆†◆◇◆
「そう…なにも見てないの…分かった、ありがとね!」
木で羽根を休めていた野鳥さんに別れを告げ、飛び立つ。
一番高い木のテッペンに到着すると、そこに腰掛け、休憩することにした。
「はぁ…またか…」
ため息を吐き捨て、木に背中を預ける。
かれこれ二時間、空を飛び回っている…別に飛ぶ事に疲れた訳ではない…。
目撃者を求めて森や町に住む動物達に聞き込みをしているのだが、有力な手掛かりがまったく掴めないのだ。
森に住む皆なら絶対に知っていると思ってライトやハロルドに「私がホーキンズ達の居場所を見つけてあげるから感謝しなさい!」と偉そうに飛び出して来たため、“何も分かりませんでした”ではさすがに帰りづらい…。
多分期待して待っているだろう…。
「うわぁ〜、二人のキラキラした目が頭に浮かぶ〜!」
期待しないでって言っとけばよかった…。
「はぁ、どうしよ……………んっ?」
項垂れる私の頭の中に強い念を感じた。
「どこだろ…向こうかな?」
木から飛び降り念を感じる方へと向かう。
この感じ……ボルゾや私の仲間とは違う…だけど私に似てる…。
少し懐かしい様な感じだ。
「私の仲間かしら…」
それなら手伝ってもらおう…この土地にまだ妖精が住んでるなら、この土地の異変に敏感なはずだ。
「あそこだ!」
森を抜け、草原に変わる場所から強い念を感じる。
その場所へと降下し、周りを見渡す。
「……あっ」
少し離れた場所に、森を見上げて立っている者を見つけた。
人間の形をしている…だけど人間じゃない。
間違いなく、神聖な生物だ。
腰にまで届く程の銀髪…しかしその長い銀髪が不自然にならないほどの高身長。
人間には決して作れない、透き通る綺麗な衣服を身に纏っている。
神の涙と言われる私から見ても見惚れるほど整った顔。
絵になるとは今私が見てる風景の事だろう…。
「上等!」
神聖な者に向かって羽根を羽ばたかせる。
――?
森に目を向けていた神聖な者は、飛び向かってくる私にやっと気がついたのか私の方へと視線を向けた。
「ねぇ…貴女この土地に住んでるの?
「――」
頭を軽く横に振っている。
違う土地から来たらしい。
「あのね…あなたに聞きたい事があるの。7日前の満月の日、この森に異変は無かった?」
「――」
コクッと頷く。
「本当に!?何があったか教えてくれない?」
「――違う禍者――森に入って――」
リンとした表情を崩さず、私の目をまっすぐ見て独特な話し方で私に話してくれた。
なんでも一週間前、この森に森に住む禍者とは別の禍者が侵入したそうだ。
その禍者達が森から出てくる時、人間を担いでいたらしい――。
多分、その人間達がホーキンズ達の事だろう。
「それで、何処に行ったか分かる?」
「人間の乗り物――水の上――」
人間の乗り物?船の事…。
禍者が船に乗る?考えられない。
だとすると、普通の禍者と同じだと考えない方がいい…。
「何処にいったか分からないのね?」
「――」
コクッと頷く。
「そう、ありがとう!バイバイ!」
神聖な者に礼を言い、森に目を向ける――この森に侵入した禍者――。
この土地の禍者では無い存在。
嫌な予感がする――ものすごく。
……今の状況もかなり嫌な予感がする。
「……なんすか?」
恐る恐る後ろを振り返り、神聖な者へと目を向ける。
人形の用な顔が私を見ている。
そんなに私が珍しいなら、周りを飛び回ってやろうか!と言いたい所なのだが、今の私には無理だ。
なぜかと言うと、知らないウチに神聖な者の手の中に私が収まっているからだ。
優雅に飛び立ったつもりが知らないウチに神聖な者の手によって捕獲されていたらしい。
「――、――?」
「あの〜?もしもし?」
私の頭のくんくんと匂いを嗅ぎ顔を傾げている…。失礼な…私は毎日風呂に入っているのに……臭うのだろうか?
「――ッ――ッ」
「おひょおおおおおおおッ!?」
おもむろに両手で私を鷲掴むと、いきなり頭に吸い付いてきた。
「頭がッ抜ける〜!」
さすがに身の危険を感じた私は、羽に力をいれ、無理矢理手から飛び出そうとした――。
「放してやらんか、シュエット!」
どこからともなく聞こえてきた声に反応したのか、神聖な者の私を握る手の力が弱まった。
その隙をつき、手から飛び立つと急いで神聖な者が手が届かない場所まで浮上する。
下を見下ろし、確認すると空に手を伸ばし私を捕まえようとしている神聖な者が目に入った。
「へっ、へ〜ん!私はもう捕まらないよ〜だ!」
そう挑発すると、急いでユードの町へと向かった。
もう少し挑発して帰ってもよかったのだが、知らない間に神聖な者の右手にやたら長い武器が持たれていた。
あれで突かれたら私でも死んでしまう。
まぁ、私達には死ぬという概念は無いのだが……“戻る”と言ったほうが的確だろうか?まぁ、いい…とにかく私はまだ遊びたい。
「しっかし久しぶりに見たなぁ………エルフ」
そう…神聖な者の正体…それはエルフだ。
人間達がスケイプだと名付ける者達。
あんな完璧な人形エルフは見たことが無い。
エルフは人の手の届かない森の奥深くに住む住人。
中には人里に降りて人間に紛れ暮らしている種族もいるらしいが、基本エルフは人との関わりを持たない。
そのエルフがあんな場所で何をしていたのだろうか……?
「……まぁ、いっか」
今はライト達にホーキンズの事を教えなくては――。
ありがとうございました、投下終了します。
>>761 えっ、てなに?
今このスレを支えてくれてるのは
夢の国だね
GJ!!
GJであります
逃げてーアルベル様超逃げてー
ティーナがどんどん切羽詰まっていく…たまらんぜよ
ちょwww
アルベル様関係ないのにw
テラとばっちりwww
>>776氏の生産ペースには脱帽です!
これからも頑張って下さい
そろそろ次スレの季節だな
俺はもしもしだから無理す;ω;
保守
は
もうそんな時期か
>>784 _,...=.-、
,.-:::::::::::::::;::'::::ヽ、
r':::::::::::::::::_;:-‐'ヾ、::ヾ
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Tー、! ´ ,. ; 、 l_
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スレータ=テオッツ [Srata Teotts]
(1947〜 ブルガリア
789 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 14:25:41 ID:kdFiFfjT
うめ
うめ
791 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 01:18:55 ID:+PyZKSH+
うめ
うめ
はら
がぁ
現代社会は怖いものだ。
誰でも簡単に写真や動画を撮れて、世界中に発信させることができる。
安普請のアパートの階段をカンカンと音を立てて登り、一番奥の扉の前に立つ。
鍵を取り出した時には中から反応が聞こえ、ガサガサと音が聞こえた。
「……あ……い、いらっしゃい、夏君……」
「ん」
ふにゃりとした媚びる笑みを浮かべ、怯えたように声をかけてくる年上の女性。
秋に買い物袋を手渡すと、扉を閉めた。密室になると、秋がホッと息をつく。
まだ15才の夏樹と比べると、19歳になる秋穂はずっと大人の姿をしている。
大学進学に合わせて都内から山奥に越して来た秋穂は都会的な美しさがあった。
しかし、それも長い前髪と野暮ったい服装に隠れ、今は翳っている。
彼女が新天地で始めるはずの新生活は、数ヶ月持たず挫折させられた。
レイプされ、調教される様子を撮影された幾つもの動画ファイルによって。
大学に噂が広まると、秋穂は退学して住所も変え、引き篭もった。
その先で偶然知り合ったのが夏樹だった。
縋りつく秋穂を振りほどけず、夏樹はズルズルと面倒を見ている。
夏樹自身友人も少なく、頼ってくる秋穂を助けるのは悪い気分じゃなかった。
そして今日も、締め切った薄暗い世界で、退屈で平穏な二人だけの時間がはじまる。
みたいな非処女で鬱依存とかどーかなーと思いつつ埋め。