愛するが故に無理矢理…… Part4

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 その言葉を最後に映像が途切れる。後に残ったのは真っ黒な画面だけだ。 
 この状況に対応する手がかりを真っ先に失いサファイアは途方にくれたが、
だからといって手をこまねいているわけにはいかない。ルビーの顔色は真っ白で、
何かに必死に絶えているようにも見える。外傷はないが…。サファイアは
バシャーモをボールに戻し、ルビーの肩を抱くと声を掛けた。
「ルビー、痛いとうか?苦しいとうか?返事できる?」
「……」
 言葉はまったく聞き取れないが辛うじて返事はあった。意識はあるようだ。
見回すと近くの扉に『STAFF ONLY』の文字が見えた。すぐ隣がスタッフルームに
なっているようだ。医務室があるかもしれない。
「立てる?とりあえずそこの扉まで行くけ、あたしが支えるとよ」
「……って」
 幸いにも少しずつ息が落ち着いてきたようだった。何か言いたそうなルビーに
肩を貸すと、サファイアは安心させるように笑う。
「喋らないほうがよかよ…大丈夫、休めそうな所があると、とにかくそこまで行こ?」
「…先に行って…」
「こんなになってるのに置いてけないとよ」
 そう言った時、突然肩を突き飛ばされた。驚いて手を離す。サファイアがそのまま
その場に立ち尽くしたのに比べ、突き飛ばした本人はふらふらとその場にくずおれる。
ルビーは頑なにこちらを見ようとしなかった。
「…先に行けって言ってるだろ…!?」
 拒絶の言葉に、サファイアははっきりとショックを受けた。
 疑問より悔しさが先にたった。こんなになっても、あたしの助けは嫌とうか?
サファイアはこぶしを強く握り締めた。
「あ…あたし、あたしが」
 涙声は隠しようがなかった。 
「あんたを放っとけるわけないったい…!」
「サファイア…!」
 抗議の声を無視して強引にルビーを立たせると扉へ向かう。扉の奥は最低限の
明かりだけで薄暗かった。入った場所は廊下で、廊下に面して規則的に扉が
連なっている。いくつか小さな部屋があるようだった。
「ルビー、ちょっと待っとって…」
 医務室を探そうとルビーの背を壁に持たせかけて座らせ、立ち上がろうとする。
その時だった。
「…え?」
 腕が引っ張られて尻餅をつく。ルビーに腕を引かれたのだと認識する前に、
影が覆いかぶさってきた。片方の手は腰に回され、もう片方がサファイアの顎を
拘束する。
 唇がふさがれる。
「……!?」
 それをしているのがルビーだということはわかる。が、何が起こっているのか
わからない。頭の中が真っ白になっているうちに、ルビーの舌が唇を割り開いて
侵入してきた。
「ん!んうっ…!?」
 嫌悪感よりも驚きから顔を背けようと身をひねるが、すでに顎を掴まれていて
身動きが取れない。半ば強制的に開かされた口内をぬめった舌が這い回り、
彼女の舌に絡み付いて強く吸い上げる。
「――」
 背筋が震えた。拘束を解こうとルビーの肩を掴んでいた手が力を失う。いくら
身を退いても、腰を抱かれていては限界がある。逃げられず、首を傾けて必死に
空気を貪るが、それがさらに深く舌を入れられる事になった。
「っ、ふ、あ」
 ファーストキスとしてはあまりに激しいキスにサファイアは喘いだ。完全に密着した
身体がルビーのやや薄く硬い胸板の感触を伝えてくる。
「っく、う…」
 流されそうになるのを必死にこらえて胸板を両手で押しのけ、やっとのことで
身を離す。  
「ルビー、何…何ばしよっと…!?こげんこつ…!」
 駄目、と言おうとして目に入ってきたルビーの表情に、サファイアははっと身体を
硬くした。ガイルに操られていたリラと全く同じ、感情のない虚ろな瞳。サファイアが
いつも「綺麗だな」と思いながら見ていた紅い瞳には、今は何も映っていない。
「…ルビー、まさか、あんた…っ…!」
 サファイアは恐ろしい事態を想像し、それはほぼ正確な予想だった。抱きすくめられ、
サファイアは身をすくませた――これがこんな状況でなく、またルビー自身の意思で
あったなら、サファイアにとってこれ以上無い喜びだっただろう。でも、そうではない。
「操られてると…!?しっかりして、ルビー…っ!」
 呼びかけるが返事はない。リラもそうだった。親友のダツラに呼びかけられても
何の反応も示さなかったのと同じだ。  
「ルビー、気ぃしっかり持って!ルビー!」
 暴れ、ルビーの拘束を逃れようと躍起になる。しかし腰に巻きついたルビーの
左腕は一向に離れなかった。それどころか、右手でサファイアが腰に付けていた
ポーチのベルトをするりと外す。
 ポーチが床に落ちてわずかに音を立てた。
「……!」
 これから何が起こるのか、彼女にはわからなかった。知識が無いのだ。だが彼女は
持ち前の直感で、戦いとは全く別の『危険』を薄々感じ取った。
 これまで、自分は体力や腕力はある方だと思っていた。たった半年前はルビーとは
ライバルとして旅路を競っていただけに、それらに関してはルビーにだって負けないと
思っていた。
 しかしやはり男は男、女は女なのだ。純粋な腕力ではかなう筈がなかった。
(ルビーのこと、本気で殴ったりとか蹴ったりとか、するしかなかと…!?)
 手加減抜きで相手の腹を思い切り蹴り上げるくらいのことをすれば何とか
逃げ出せるだろう。でもそれではルビーがあまりに可哀想だ。サファイアは躊躇った。
 その時、ルビーがサファイアの上着の前中心のファスナーに手を掛けた。
驚くほど手早く、静かにファスナーを下げる。
 サファイアはその年齢にしては胸の大きさが控えめなことから、まだブラジャーを
着けていない。上着の下はそのまま素肌だった。
「や…っ!」
 羞恥から反射的に抵抗し、ルビーをはね退けようとする。一瞬揉み合いになり、
サファイアの指がルビーのニット帽に引っかかった。
 帽子が引っ張られて脱げ落ちる。サファイアの視線がある一点で止まった。
「――」 
 脳裏にまざまざと蘇った記憶が彼女の全ての抵抗を奪った。
 サファイアは一度だけ、ニット帽の下を見たことがあった。ルビーが自ら帽子を
取って見せてくれたその時の事を、彼女ははっきりと覚えている。
(あたしは――)
 自分がルビーを傷つけられるわけがない。彼に逆らえるわけがない。ルビーの頭、
右耳の上にざっくりと二本。刻まれているそれを見た時から決まりきっていたことだ。
 …あたし、どうしたらいいと?教えて、ルビー…
 ファスナーが下がり切る。はだけた胸元にルビーの手が伸びた。
「っあ!」
 びくんと震えて愛撫を受け入れる。その年齢からしてもまだ、サファイアの胸は
起伏に乏しい。その胸をゆっくりと揉みしだきながら、ルビーはもう一度
サファイアの唇にキスをする。その顔は虚ろな表情のままだった。
「――」
 堪え切れず、サファイアの目から涙が零れた。小さくしゃくりあげるサファイアの
肩から上着を抜き取った後、ルビーは自分の指ぬきのグローブが邪魔だったのか
触れていた胸から手を離してサファイアの身体に両手を回し、彼女の背中側で
グローブを脱ぎ捨てた。
 素手の掌が?き出しの首筋から肩に触れ、背中の線を伝って降りていく。
首筋を無理やり甘噛みされてサファイアは小さく悲鳴を上げた。
「ルビー…やめて…やめ…」
 ふっと視界が回る。気づくと床に押し倒されて天井を見上げていた。両腕が
押さえつけられていて動かない。露になった上半身を隠すことも出来ず、
相手の視線に晒される。
 震えが止まらない。子供の頃に戻ったかのように、かたかたと歯を鳴らして
サファイアは呟いた。
「…こわい…怖いよ…ルビー…」
『…こわいよォ…こわい…』
 その記憶は今でも自分の心の底にわだかまって離れない澱だった。もう二度と
聞きたくない声。だから自分はあの日、二度と人前で力を振るわないと決めたのだ。
それを今また聞いている。
(もう二度と、君を泣かせたくなかったのに…)
 ルビーはその声をひどく遠くに聞いていた。目を閉じ、耳を塞いでしまえば
消え去るとしても、そうする事は出来なかった。泣いている彼女を組み敷いて
いるのは間違いなく自分で、両手の中の柔らかな乳房の感触も現実のものだ。
 自分の欲望を止める事が出来ず、理性が働かない。これが仕向けられたもので
あることはわかっていた。ルビーは時たま自分でも悩みの種になることがあるほど、
プライドが高かった。自分に厳しく、理性が強く、また常にそうであるように
努めてきた。だからこんな卑怯な、屈辱的な策略には死んでも耐えてみせると
思った――相手が彼女でなければ。サファイアでさえなければ。サファイアの
涙声を聞いた時、そして見捨てられた仔犬のような顔を見た時、その決意は
あっさりと瓦解してしまった。
 自分はこれほど卑しい人間だったのだろうか。
「ふあっ…あ…」 
 乳首を弄ばれ、サファイアが上ずった声を上げる。顔を両手で覆い、視界も涙も
自分から遮っている。ルビーは彼女が自分と出会って以来、半年前の非常識すぎるほどの
無防備さから脱却しかけているのも、そして本当は自分と手をつなぐ事も照れるほど
純情なのも知っていた。その彼女にこの仕打ちは耐え難い苦痛だろう。
 健康的に日焼けしたサファイアのノースリーブの下は驚くほど白かった。彼女の
服はルビー自身が縫ったものだ。半年前に出会った時、ルビーは彼女の葉っぱと
ツタだけというあまりの格好に眩暈を覚え、その場で自分の服を作り直して彼女に
置いていった。そしてその約二ヵ月後、二人で海底洞窟に挑む折、彼は初めて
「彼女のための服」を作った。彼女に合う服はどんなものが良いか――時間は
限られていたものの、考えるのは楽しかった。今は色違いの碧いものだが、
これはその時のデザインだった。
 サファイアはもうこの服の日焼けができるくらい、これを着てくれている。
そんな、これまで長い間をかけて培ってきた信頼さえ失ってしまうのは
たまらなく恐ろしかった。その一方で、
「やあっ…嫌…いや…ふぁっ」
 乳首を摘んで捻り上げられるとサファイアの身体がぴくぴくと痙攣した。彼女の
あられのない姿と声に否応なく身体が疼く。自分の手が勝手に彼女のスパッツに
伸びるのを彼は空恐ろしい心地で見つめた。嫌がる彼女をこんな風に抱いて
いながら欲情できる自分がいることを、彼は認めざるを得なかった。

「っくう!?」
 茂みに滑り込んだ指の感触にサファイアが背筋をのけぞらせた。暴れる身体を
押さえつけられ、敏感な部分を探り出され、本人の意思とは関係なく嬌声を
上げさせられる。
「やだっ、やだあっ!あぁ、あああ!」
 ぬちゅぬちゅとした愛液の感触と、その粘液の中で弄ばれる幼い花芯がルビーの指を
刺激し、更に理性を奪っていく。同時に少女の痛ましい喘ぎ声が彼の心を引き裂いた。
 やめてくれ。何でもするから――お願いだ。そんなルビーの思いとは裏腹に、
彼の指はサファイアを更に攻め立てた。花芯を日本の指で挟みこみ上下に細かく擦る。
 悲鳴が一際高くなり、サファイアの細い腰が快感に跳ねた。少女が掌で必死に覆い
隠している顔。
「――」
 舌を突き出して喘ぎ、一筋の涎が伝う口元だけが覗いているその表情を、
許されないことと解っていながら――ルビーは見てみたいと思ってしまった。
 顔を覆っていた手を引き剥がして押さえつけた。目が合う。サファイアは泣いていた。
泣きながら、明らかに感じていた。ふるふるとかぶりを振っていたが、それが
やめてという意思表示なのか、達する直前の耐え切れない快楽によるものなのかも
見分けが付かなかった。
 押さえつけていた彼女の手首が引きつるように痙攣した。
「っ、は、ああああぁああああっ」
 熱い吐息を吐きながら達するサファイアの表情が瞳に焼きつく。その瞬間、
僅かに残っていたルビーの理性は完全に吹き飛んだ。
連投規制でさるさん出ました
このまま何度も引っかかると代理してくれる人にも厄介なので
すみません続きはまた今度orz