Sound Horizon 第2の地平線

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209とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:44:03.33 ID:sxsjDi8J
夜会のざわめきが遠く聞こえる客間の一室。
小さな明かり一つでは、室内の夜の色を払うには及ばず。しかし心地良い宵闇の中に、エリ
ーザベトとメルツの姿はあった。

「ごめんなさい、メル……貴方にまで恥をかかせてしまって」

長椅子に腰掛け、申し訳なさそうに謝るエリーザベト。そんな彼女に温かい紅茶を差し出し
つつ、メルツはいいんだよ、と柔らかく首を横に振る。
「僕の方こそごめん、今まで連絡もしないで急に……エリーザベトが驚くのも無理はないさ

薄闇の中苦笑を浮かべる彼の顔を、エリーザベトはじっと見つめた。
……綺麗だ、と思う。子供だった頃のまるで少女のような可愛らしさとは違う、年齢相応に
青年らしく成長した姿。端正な顔立ちは贔屓目を抜きにしても、見惚れるほど美しい。加え
てすらりとした佇まいに耳障りの良い声。このひとは、本当にあのメルツなのだろうか。
いや、それは今さら疑うべくもないのだ。一目見た瞬間に確信したことなのだから。
ただその……こうして二人きりになると、どうしたらいいのかわからなくなる。ずっと会い
たくて、だけど無邪気な子供の頃とは違うのだということを、強く意識させられた。
「……エリーザベト?」
茶器を受け取ったまま口も付けずに固まっている彼女に、メルツは小さく首を傾げる。
彼は自分を見ても何も意識しないのだろうか……、と少々恨めしい気になりつつも、誤魔化
すように紅茶を一口喉に流し込むエリーザベト。確か以前にも何度か、彼がお茶を淹れてく
れたことがあったのを思い出す。……ああ、あの頃と同じ味だ。彼女が好きだと言った淹れ
方。他の誰が同じ葉を使い、同じような淹れ方をしても、これと同じ味わいになることはな
い。
「……美味しい。ありがとう、メル」
「良かった。前、好きだって言っていたから」
にこりと微笑むメルツに、思わず頬が熱くなる。やっぱり憶えていてくれたのだ。
「メル……、やっぱり、メルなのね」
「え?」
「だって……私の知っているメルは小さな子供のままで……その、貴方がとても素敵になっ
ていたから。だから……」
勿論あの頃も素敵だったけれど、と付け加え、恥ずかしそうに俯くエリーザベトにメルツも
頬を赤く染める。一度だけ照れたように目を逸らした後、彼はそっとエリーザベトの髪を撫
でた。
「……君も。すごく綺麗になった」
言って金糸の髪を一房掬い、愛しげに接吻けるメルツ。それに、エリーザベトの顔が真っ赤
に染まる。
そう言えば、彼はこういうひとだった。基本的には人当たりが良くて温厚だけれど、時々驚
くほど気障なのだ。それも無自覚に。まして今や美貌の青年へと成長し、洗練した仕草でそ
ういうことをされると、様になりすぎていて参ってしまう。
「メ、メル……! も、もう、子供じゃないんだから、そんなこと……」
「そうだね、もう子供じゃあない。今度こそ……君を守れる」
強く意志を乗せたメルツの言葉。額面通りに受け取れば、その言葉は彼女にとって喜ばしい
ものであるはずだ。
しかし彼の瞳の奥に覗く、深い憂いの色の理由を、エリーザベトに窺い知ることは出来ない
。彼が自ら何を抱え、何を負っているのかなど。
……ただ、不意に思い当たることがあった。
彼と再会できた喜びばかりが先行して、思考の隅に追いやられていたことだったけれど……
彼は、ルードヴィング家の嫡男、なのだ。
210とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:48:24.85 ID:sxsjDi8J
姓が変わっていないことを考えると、もともとテレーゼがルードヴィングの血筋であったと
いうことだろう。そんな家柄に生まれついていながら、どうしてテレーゼとメルツはあんな
森の奥でひっそりと暮らしていたのか――メルツの特異な、白い髪と緋い瞳。晴れた日があ
まり好きではなかった彼。今思えばいつもどこか翳りがあった賢女の笑み。全ては邪推に過
ぎないけれども、もし、いつか耳にしたルードヴィングの醜聞が事実であったとすれば――……
そして、それをメルツ自身も知ったとすれば。世間の悪意、世界の作為、そういったものに
まるで触れずに育った少年が、どういった経緯かはわからないけれど貴族の世界へ足を踏み
入れて。汚れたその裏側を見て、それでもこうして自分の前に変わらない笑顔で立ってくれ
る――そこにいったい、どれほどの努力が隠されているのだろう?

「メル、」
「そうだエリーザベト。君に渡したいものがあるんだった」

無意識にか意図的にか、彼女の言葉を遮るようにメルツはぽん、と一つ手を打つ。
そして彼の従者から渡されていた鞄を探ると、中からは懐かしいものが顔を現した。
「この娘は、君に返すよ」
言って差し出されたのは、……あの日、彼女が彼に託したお人形。
ずっと彼と一緒にいたかった、その想いを預けたもう一人の『エリーゼ』――
「――――……」
差し出された人形を受け取る。年月の経過に伴い幾らか色褪せてはいたけれど、汚れたり傷
んだりしているところは見当たらない。大事にしてくれていたということなのだろう。
成長した今となっては小さくなったように感じる人形を、エリーザベトは優しく撫でる。幼
い頃はいつもこの娘を抱いて過ごしていた。メルツと出逢うまで、孤独だった彼女のたった
一人の友達。
「……貴女も……久しぶりね。また逢えて嬉しい……」
そっと人形を胸に抱くエリーザベト。懐かしく愛しい思い出と共に、この娘が彼と共に過ご
した日々の記憶も流れ込んでくるような気がした。きっとそんなのは、ただの思い込みに過
ぎないのだろうけれど。
「この娘はずっとメルと一緒にいたのね。……少しだけ羨ましいわ」
自分で渡しておいて勝手な話だと、自分自身に苦笑しながら呟く。こんなことを言われても
メルツだって困ってしまうことだろう。
……だが、予想に反して彼の表情は、困っていると言うよりも……ひどく、複雑そうに微笑
んでいた。
「メル……?」
「……羨ましがる必要はないよ、エリーザベト。僕たち、これからはずっと一緒だろう?」
一度だけ瞑目した後まっすぐにこちらを見つめてくるメルツに、エリーザベトはえ、と言葉
を詰まらせる。
そうだ、この人形を返してくれたということは、彼は約束を憶えていてくれたということで。
人形を抱く彼女の手に、メルツは自らも手を重ねた。
どきん、と、エリーザベトの心臓がひときわ高く跳ねる。燭台の火が一瞬揺らめいた。

「――愛してる、エリーザベト。……今度こそ、……ずっと、一緒にいよう」

少しだけ緊張したような、けれど真摯な緋い瞳。
小さく息を呑んだ声が自分自身のものであると自覚するのにも、数瞬の間を要した。

結婚の申し出があって、そのために彼はこの家を訪れた。そんなことはわかっていたはずな
のに言葉が出て来ない。代わりにすぅっと、エリーザベトの翠玉の瞳から透明な雫が零れ落
ちる。
211とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:51:50.62 ID:sxsjDi8J
「メ、ル」
「……ああ」
「ほんと、う? ……嬉しい……」
やっとそれだけを返すエリーザベトを、メルツは優しく抱きしめた。腕の中で一瞬だけ身を
固くした後、ゆっくりと彼の胸に体を預けるエリーザベト。耳を打つ彼の心音が、腕から伝
わるぬくもりが、どうしようもなく愛おしい。
互いの鼓動の音が重なるのを待つように――顔を上げた彼女と、彼の視線が交わる。そうし
て、ただ自然に二人は唇を重ね合わせた。
「ん……」
ほんの一瞬の、触れるだけの接吻。
けれども其れは確かに“永遠”が成った瞬間だった。
「愛してるわ……メル」
たった今触れ合った桜色の唇が、……いつか、どこかで聴いた響きを奏でる。だからだろう
か、陶酔という名の麻薬は、意外にもあっさりと効果を失くしてしまった。
『っ…………』
かぁっと赤面するメルツに、釣られるようにエリーザベトも頬を染める。
何だかとんでもなく気恥ずかしい――のだが、かと言って離れるのも名残惜しくて、見つめ
合ったまま固まってしまうメルツとエリーザベト。柱時計の振り子の音が、やけに大きく聴
こえる。
気付けば時刻は既に夜半だ。彼を招いたはずの夜会も、そろそろお開きとなる頃合だろう。
こういう時こそ自分がちゃんとしなければ。こほん、と一つ咳払いをして、姿勢を正すメル
ツ。
「も、もうこんな時間だね。部屋まで送るよ、エリーザベト」
少々ぎこちないながらも優しく微笑んで、メルツは彼女へと手を差し伸べる。……しかし、
返されたエリーザベトの手が握ったのは、彼の手ではなく服の袖であった。
「…………いや」
「え?」
「ず、ずっと一緒、なのでしょう? まだ行かないで……そばにいて、メル……」
薄明かりの中でもはっきりと見て取れるほど、真っ赤に染まった顔。俯いた瞳を縁取る金色
の睫毛が微かに震えている。
言葉を失い、メルツはしばし呆然とエリーザベトを見下ろした後――ゆっくりと、差し出し
たままになっていた手を下ろした。
「……その。……意味は……わかってるんだよ、ね?」
「……………………」
……こくん、と、小さな頷きが返ってくる。
それでもなお、彼は僅かに目を逸らして迷っていたようだったが、やがてそっと息を漏らし
て、袖を掴むエリーザベトの手を解いた。その手に指を絡めて、もう一度彼女のそばに屈み
こむ。
もう一方の手を熱い頬に添えて顔を上げさせれば、潤んだ瞳と視線がぶつかった。互いに何
かを言いかけるように幾度か口を開いては閉じ、結局言葉は出ないまま、静かに唇を重ねる。
……長い接吻け。
躊躇いや過去も未来も、今だけは忘れてしまうまで――





燭台の灯火も消えた部屋。明るい満月の光だけが差し込む窓辺には、ちょこんと人形が据え
られている。
ギシ、と、寝台を軋ませ、メルツは愛しい彼女をその上に横たえた。

「……恥ずかしいわ、メル……」

月光に仄かに照らされた白い裸体。一糸纏わぬ姿を隠すように両腕で覆い、エリーザベトは
ささやかな抵抗を試みる。それに小さく苦笑を漏らして、メルツはやんわりと彼女の腕を解
いた。
212とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:55:29.69 ID:sxsjDi8J
「そんなことないさ。……すごく、綺麗だ」
「っ……」
エリーザベトの頬が、ますますかぁっと赤くなる。そんな彼女に愛しげに、優しく接吻ける
メルツ。
「ん、ん……」
啄ばむような接吻けを幾度か交わすうち、為すがままだったエリーザベトも徐々に応えてく
るようになった。細い腕がメルツの首へと回され、より深く重ね合わせる。
「んんっ……、んっ……!」
唇の隙間から差し入れられた舌が、歯列をなぞり、口内へと潜り込んで、エリーザベトの舌
を捉えた。ぎゅうっ、と、メルツを抱きしめる腕に力を込めるエリーザベト。触れ合った舌
をおそるおそる絡ませていく。
「っん……んん……ふ、っ……!」
鼻に掛かったような吐息と、唾液が混ざり合う淫靡な音が室内に響く。だがもはや羞恥より
も、快楽の方が勝っていた。ただ舌を絡め合っているだけなのに、信じられないほど身体が
熱い。互いを求め合う想いと情欲が混ざり合い、夢中で唇を貪り合うメルツとエリーザベト。
「んんん……! ぁ、はっ……メ、ル……」
「っ……エリーザベト……」
ようやく唇を離すと、銀色の橋が二人の間に紡がれた。
荒く肩で息をつきながら、とろん、とした瞳で見つめ合う。誘われるように彼女の上気した
頬へ、首筋へと唇を降らせていくメルツ。
「あ……!」
そのまま唇を滑らせて、鎖骨から滑らかな曲線を描く胸元へ。ところどころ赤い痕を残しな
がら、柔らかな乳房に舌を這わせていく。先端まで到達すると、エリーザベトの身体がびく
りと揺れた。
「やッ……! あ、あ、メルっ……!」
ぷっくりと自己主張する頂点を舌で転がし、もう一方の胸は手で揉みしだく。少し汗ばんだ
肌は手のひらに吸い付くようで、たまらなく気持ちが良い。軽く力を込めればエリーザベト
の豊かな膨らみは、彼の手の中で思うがままに形を変えた。
「あぁ、あ、あっ……! だめ、メル……んっ……!」
小刻みに震える身体を強張らせて、エリーザベトは甘い悲鳴を上げる。誰も聴いたことなど
ないだろう濡れた声音が自分の名を紡ぐたびに、愛おしさでおかしくなりそうだった。今す
ぐにでも繋がりたい欲望を抑え込んで、するり、と彼女の下腹部へ手を滑らせる。
「メ、メル、そこはっ……」
「うん、……足、少し開いて」
メルツの言葉に、顔を真っ赤にしながらも、反射的に閉じてしまった足をこわごわと開いて
いくエリーザベト。本当に少しだけしか開けてはいないが、ひとまず片手を割り込ませるに
は充分だった。つ、と秘所に触れると、とろりとした蜜が指に絡み付いてくる。
「……エリーザベトって……こういうの、自分でしたこととか……ある?」
「っ……!!?! な、何を言ってるのメルッ……! ああああああるわけないじゃないそ
んなこと……!」
なおさら顔を赤く染めて訴える彼女に、そっか、とメルツは慌てて頷く。
経験もないのに触れる前からこれだけ濡れているということは、かなり感じやすいのかもし
れない。くちゅ、と湿った音を立てて、メルツはその奥へと指を埋めていく。
「んッ……! あ、あっ……」
 びくり、と、エリーザベトの身体が揺れる。指の半ばほど埋まったところで掻き回せば、
甲高い嬌声がこぼれた。
213とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:57:21.13 ID:sxsjDi8J
「ひぁぁあぁっ……! メル、ま、待って……刺激が、つよ……すぎてっ……!」
短く呼吸を繰り返しながら、懇願する瞳を向けるエリーザベト。しかしその内部はすっかり
蕩け、とめどなく溢れ出す愛液は寝台に染みを作っている。
「でも、ちゃんと解しておかないと後が辛くなるよ」
「んくっ……、で、でも、あぁぁぁ……!」
さらにもう一本、メルツの指が彼女の中へと入り込む。さほど抵抗なく二本目の指を飲み込
んだエリーザベトの膣内は、ひくひくと快楽に喘いでいた。
「メル、わ、わたしっ……もう、だめぇ……!」
接吻けをせがむように彼の首に腕を回すエリーザベト。それに応えて唇を重ね、メルツは愛
液に塗れた指を引き抜く。
「ん……、これだけ濡れてれば、大丈夫かな……」
トロリと蜜の糸を引く手でメルツは固く持ち上がった己自身を取り出す。かぁっと頬を赤ら
めるエリーザベトに苦笑しながら、ゆっくりと彼女の足を開かせた。濡れた花弁が口を広げ
る。
「…………挿れるよ? エリーザベト」
「あっ……、ま、待ってメル……!」
その入口に自身をあてがうメルツを、しかしエリーザベトは慌てて制止する。え?と困った
ように目を瞬かせる彼に、エリーザベトはごめんなさい、と謝りながら、
「あの、ね……その前に、お願いがあるの……わたしのこと、前のように、エリーゼって…
…呼んでくれないかしら……?」
「…………!」
それは彼女にとって再会した時から、ずっと言いたかったことだった。
公の場では仕方ないにしても、二人しかいない時であれば愛称で呼び合ったとしても構わな
いはず。だと言うのに二人きりになった後も、メルツは一貫して彼女を「エリーザベト」と
呼んでいた。彼女がいくら「メル」と呼びかけても。
決してエリーザベトと呼ばれるのが嫌なわけではない。ただ「エリーゼ」は特別なのだ。彼
だけが呼ぶ名前、メルだけのエリーゼ。
そんなささやかな願いに、しかし、メルツは返す言葉を失う。……彼にとっても、『エリー
ゼ』は特別であるがゆえに。
エリーザベトを愛している、その想いが揺らぐわけではない。しかしだからこそ、その響き
で彼女を呼ぶことには抵抗があった。そう呼んでしまった瞬間、自分は、いつかと同じ過ち
を繰り返してしまいそうで―――
「……それは……駄目だよ、エリーザベト。僕にとって……『エリーゼ』は、小さな子供だ
った君のままだ。今、一人の女性として愛している君を、同じようには呼べないよ」
「……………………」
彼女までもを傷付けてしまうわけにはいかない。
置き去りにしてきたモノに、せめて報いるためにも。
彼の言葉をエリーザベトがどう受け取ったかはわからない。ただ彼女は少しだけ恨めしそう
な目で、ちらりと窓際に座る人形を見遣った後、拗ねたように彼を見上げた。
「……やっぱり、あの娘はずるいわ……いつの間にかメルの『エリーゼ』は、私じゃなくて
あの娘になってしまったのね」
214とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 00:59:40.33 ID:sxsjDi8J
当たらずとも遠からず。……女の勘、というヤツだろうか?
苦笑しながら、メルツはエリーザベトの頬にちゅ、と接吻けを落とす。
「ごめん。……でも、君が誰より大切なのは本当だよ」
「うん……私もよ、メル。……あの娘だったら許してあげる。だから……」
続けて。
恥ずかしそうにそう言って、今度はエリーザベトの方から彼の頬へと接吻をする。うん、と
頷き、もう一度自らを彼女の蜜口へあてがうメルツ。
「努力はするけど……その、我慢できないくらい痛かったら言って。僕は男だから平気だけ
れど……」
「えぇ、……大丈夫。来て……メル」
期待と不安で揺れる瞳の、その瞼に接吻けて、メルツはゆっくりと彼女の中に男根を埋めて
いく。
「っ……!!」
まだほんの少し入ったばかりだと言うのに、背中に回されたエリーザベトの手が、ぎゅっと
服を握った。
初めて異性を受け入れる内部は狭く、侵入して来るモノを拒んでいるようにさえ思える。そ
の中を出来る限り優しく――彼女を怖がらせないように、押し進めていくメルツ。
「ひ、あっ……あぁぁあッ……!」
「……力、抜いて。余計、辛く、なるから……」
ぷちぷちと処女膜を破る感触が下腹部から伝わってくる。破爪の痛みに耐える涙を唇で掬い
、メルツはさらに深く腰を落としていく。血と愛液でぬかるみながらもきつく締め付けてく
る膣内は、彼女の痛みに反してどうにかなりそうなほど気持ちが良かった。自身が全て彼女
の中に納まると、メルツはそこでいったん動きを止め、はぁ、と大きく熱のこもった息を吐
き出す。
「っ……、大丈夫? エリーザベト……」
「え、えぇ、だ、だいじょうぶ……っ……!」
大丈夫なわけはないだろう、メルツが僅かに身動ぎをするだけでも、エリーザベトの口から
は悲鳴にも似た声が漏れた。点滅する理性を繋ぎ止めて、そのまま彼女が落ち着くまでしば
し待つことにする。
いや、あまりにも痛がるようなら、やはりもうやめた方がいいのかもしれない。自分の方は
何とか処理してしまえばいいし、自慰すら経験のない彼女に最後まで、というのは無理があ
るだろう。これからきっと機会はいくらでもあるのだ。今夜は繋がれただけでも、充分すぎ
る幸福だ。
「だ、だめ……! ちゃんと最後までして、メルっ……」
しかしそんな彼の内心を悟ったのか、懇願して来たのはエリーザベトの方だった。
彼女はふるふると首を横に振って、きゅっとメルツを抱きしめる。
「痛いけれど……いたくて、いいの。だってその方が、貴方と一つになれたんだって実感で
きるもの……貴方が、ちゃんと、ここにいるんだって……感じられるもの……
だから、わたしは平気……幸せ、なの。……貴方はそのまま、好きなように……動いて……」
そっと彼の頬に、エリーザベトの手が添えられた。どこか煽情的に潤んだ碧い瞳と甘く誘う
声音にくらりとしながら、彼女の額に接吻けるメルツ。
「……わかった。それじゃ……動くよ?」
小さく頷きが返って来るのを見届けてから、メルツは少しずつ注挿を開始する。
215とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 01:01:47.23 ID:sxsjDi8J
気を抜けば快楽のまま突き上げてしまいたくなる衝動を堪えて、彼女に負担をかけないよう
出来る限り優しく。それでもエリーザベトの表情は苦しげなものだったが、せめて痛みの声
だけは上げまいとしているのか、口許を押さえて耐えているようだった。そんな彼女がいじ
らしく、唇を重ねて舌を交わらせる。
「んんんっ……! ん、ちゅ、っ……ふぁ……!」
少しは痛みも紛れるのか、積極的に応じてくるエリーザベト。彼の唾液を飲み込んで、代わ
りに自身のそれを流し込む。溢れ出た唾液が細い顎を伝って垂れた。
「……く、ぅんっ……メル……メルぅっ……!」
そうしているうちに、エリーザベトの様子にも変化が現れてきた。表情からは幾らか苦痛の
色が和らぎ、声には甘い響きが混ざり始めている。メルツが少しだけ動きを大きくすると、
明らかな嬌声が唇からこぼれた。
「ひぁぁぁんっ……! やっ……あ、あぁ……! メル……あ、あつい、のっ……!」
結合部がじゅぷじゅぷと卑猥な音を奏でる。メルツが腰を動かすたびにエリーザベトは豊満
な乳房を揺らし、汗ばんだ身体を仰け反らせた。苦痛と快楽が交互に駆け巡り、抗い難い波
となって彼女の理性を浚っていく。
「エリー……ザ、ベトっ……」
「わ、わたし、メルっ……おかしく……なりそう……でっ……! っ……ぁ、ああっ……!」
強張る両脚を押さえ付けて、メルツはさらに深く奥を突く。限界が近いのは彼も同じだった
。熱に浮かされるように彼女を求めて、一気に昇り詰めていく。
「だ、だめぇぇッ……! メル、わた……っし、もうっ……!」
「ッ……僕もだ、エリーザベト……!」
言うと同時にエリーザベトの最奥まで突き上げるメルツ。意識が白く染まり熱が弾けるのと
共に、エリーザベトもまた絶頂を迎えた。
「あっ……あぁぁぁああぁぁぁあぁあっ!!」
がくがくと身体を痙攣させた後、くたりっ、と、彼女の身体から力が抜ける。
エリーザベトの中ですべて吐き出し、荒い呼吸を少しだけ落ち着けると、メルツもどさりと
彼女の横に倒れ込んだ。
「…………エリーザベト」
そのまま、隣に伏せる彼女を抱き寄せるメルツ。愛しい腕に抱かれて、エリーザベトは夢見
るように甘やかな微笑を浮かべる。
……幸せだった。メルツと再会できただけでも奇跡のようなのに、こうして想いと身体を重
ねて……本当に、何だか出来すぎた夢のようにも思える。けれどもこの確かなぬくもりは、
彼女を抱きしめる腕の力強さは、決して夢などではないのだから。
「……愛してるわ、メル……」
「僕もだよ、エリーザベト。……愛してる」
こつん、と額を合わせ、二人して小さく微笑い合う。
愛情、後悔、懺悔、切望……様々な感情が複雑に入り混じった、祈るような「あいしてる」
。胸の内に秘めたものはそれぞれ違えたとしても――いや、だからこそ誓おう。健やかなる
時も病める時も、死が二人を別つまで。
心地良い疲労感と安堵から、エリーザベトは穏やかに微睡みの中へと落ちていく。

 今なお眩い、あの日々さえも色褪せるほど。
 鮮やかな未来(ひかり)を夢に見て――――


* * *
216とても都合の良いめるへん:2011/06/23(木) 01:03:55.14 ID:sxsjDi8J
続きはまた明日投下します
次で終わりの予定ですが後はおまけのようなもので、エロシーンを含む本筋はここまでです
メルエリにしか用はねーよ、という方は以降スルーして下さい
217とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 00:53:53.87 ID:sj+ccG6U
昨日の続き
今回で最後となります
以下9レスほどお借りします
218とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 00:54:19.56 ID:sj+ccG6U
澄んだ木漏れ日。朝を告げる鳥の声。
大きな樅の木の向こうに見える、森の奥の一軒家からは、ささやかな団欒を感じさせる良い
匂いが漂ってくる。

「母さん。朝食が出来ましたよ」

毎朝のお祈りは、彼女の母の日課だった。
今日も祭壇の前で静かに祈りを奉げていた母は、娘の声で顔を上げる。振り返る母はすでに
年老いたと言っても過言ではない年齢だ。足腰の弱ってきた母を娘は優しく支えながら、共
に食卓へと向かった。
「どうぞ母さん。一緒に食べましょう」
「ああ、本当にすまないねぇ……私は一度はお前を捨てようとさえしたというのに」
食卓へ着くと、……母は、毎朝のようにそう懺悔する。忘れることは出来ない罪だと言うよ
うに。
「そんな……、母さんが悪いんじゃありません。それに、私は捨てられたりなんてしていな
い。つらいこともあったけれど、母さんといられて……ずっと幸せでした」
彼女がそれを初めて聞かされたのは、彼女が大人になったと言えるほどには成長してからの
ことだ。
傷付かなかった、と言えば嘘になる。けれども日々の暮らしを支える程度の収入を得るよう
になってからは、生きていくことがただそれだけでもどれほど大変なことかはわかっていた。
……飢餓の時代だったのだ。特に彼女たち親子は信仰する教えの違いから、謂われない罪で
虐げられていた。
貧しい家、女一人と子供一人で生きていくにはあまりにも過酷な状況――食べるものさえ満
足に得られない中で、母は娘を大きな町の修道院に預けることを考えた。
いや、預けるという言い方は正確ではない。修道院の近くに捨て、拾ってもらうことを期待
したというだけ。それでも、あるいは今の暮らしよりはましではないかと思えるほど、親子
の事情は逼迫していたのだ。
だが、町へと出かけるその前日……長く消息不明だった父の遺産が二人の元へと届いたのだ
った。
文字通りの現金な話だ、と言えばその通りだろう。しかしその遺産で彼女たちは離れ離れに
なることなく、共に助け合って苦難を乗り切り――今はこうして、慎ましくも幸せな生活を
送っている。今さらそんなことを恨むほど、娘は狭量な人間ではなかった。
「母さんの苦しみに比べたら、私の苦しみなんて大したことじゃない……母さんこそ、ずっ
と甘えてばかりだった私を怒りもせず、育ててくれたじゃないですか。母さんが罪を感じる
ことなんて何もないんですよ」
紛れもない本心だ。
娘にとって母と共に生きていくことが、どんな苦しみと引き換えても何より幸福なことだっ
たのだから。
罪を犯すことは誰にでもある。けれどもそれを正していける尊さも、人間はまた持っている
はずだ。
「ほら母さん。せっかく母さんが教えてくれたお料理なんですから、冷めないうちに食べて
下さい。母さんに食事の支度をしてあげることが、私の夢だったんですよ」
「ありがとう、私の愛しい娘……それじゃあいただこうかねぇ」
神に感謝し、二人は談笑しながら食事を口に運んでいく。

――――罪の祭壇に奉られた修道女も、火にくべられた魔女も其処にはいない。

ただ、どこにでもいるありふれた母娘の姿があるだけだった。
219とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 00:57:08.84 ID:sj+ccG6U
年齢不詳。性別も不詳。出遭えば不祥。正に人生の負傷。
胡散臭い女将が夜な夜な暗躍する宿屋、その名も≪黒狐亭≫という!

「おーい、女将さん。明日の朝の仕込みが終わったっぺよ」

宿酒場であること以上に癖が強すぎる女将の人物像と、看板娘のぞんざい極まる接客態度で
喧噪の絶えないこの店だが、泊り客も寝付いた深夜ともなればさすがに静寂がやって来る。
洋灯が一つ灯るばかりの薄暗い食堂に揺れる影。厨房から顔を覗かせた彼女は、雇い主兼
(不肖)保護者である女将に声をかけた。
「あら、ご苦労様。今日はもう休んでいいわよォ」
言ってひらひらと手だけを振って応える女将の目線は、手元の帳簿に注がれている。
ぱちぱちと算盤を弾く音、次いで数字を帳簿に書き込んでいく音。こういう時ばかり真剣そ
のものの女将の表情に、彼女は呆れたように嘆息を吐いた。
「そう言う女将さんはまーた銭勘定か。こんな夜中までやるごとねーっぺ」
「馬鹿を言ってんじゃないわよ、綺麗事だけで世の中渡って行けるほど生易しくはないんだ
からね。店が潰れたらアタシもアンタもおまんまの食い上げじゃないの」
言っていることはある意味もっともではあるのだが、でーんとふんぞり返る女将の日頃の態
度を見ていれば、素直に頷く気にもなれない。がりがりと頭を掻いて、彼女は女将の向かい
に腰かけた。
「オラは数字のことはよぐわがんねーけど……儲かってねぇのか?」
味は良いのに何故か怪しい肝臓料理と、温い麦酒が名物のこの≪黒狐亭≫。繁盛しているか
どうかまでは知らないが、客の出入りは決して少なくはないだろう。基本的には彼女と女将
の二人だけで切り盛りしてはいるものの、そろそろ人手を増やした方がいいのか、などとい
う話もある程度には忙しいのだ。
「まぁ、ボチボチといったところかしねェ。……増税なんて噂もあったみたいだけれど、お
流れになったらしいし」
頬杖を付き、ぱらぱらと帳簿を捲りながら答える女将。
書き込まれた数字の内容は、学の無い娘にはさっぱりわからない。田舎から売られ、この女
将に拾われて店で働き始め、辛うじて覚えたのは接客に関わる最低限の読み書き程度。それ
以上は女将も覚えさせようとはしなかったが……
「……なぁ、女将さん。それオラにも教えてぐんねーか?」
「はぁ? 何を言い出すのよいきなり……アンタみたいな田舎っぺに理解るわけないでしょ
うが」
「だーがーらー、これから覚えるっつって言ってるでねぇか。もし女将さんになんがあった
時、オラが出来ながったら誰がやるっぺ」
しっし、とばかりに手を振る女将に、しかし彼女は身を乗り出して食い下がる。思いも寄ら
ない彼女の積極さに、女将は些か面食らった。
……だってそれではまるで、彼女がいずれ店を継ぎたい、と言っているようではないか。
「まったく……縁起でもないこと言わないで頂戴。アンタに頼るくらいだったら店を閉めた
方がマシね」
「そっちこそ何言ってんだ。黒狐亭が潰れたらおまんまの食い上げってー言ったのは女将さ
んでねぇか」
だから――もしそうなったら、女将は彼女をどこか嫁にでも出すつもりだった。最低限の読
み書きは覚えさせたし、器量もまぁ悪くない。性格と訛りは多少問題になるかもしれないが
、貰い手がないということもないだろう。身寄りがなく仕方なしにここで働いているだけな
のだから、彼女にとってもその方が良いはずだと。
だと言うのに、この娘は――
「はん、……アタシの教育は厳しいわよォ?」
「ンなこととっくに知ってるっぺ。女将さんは金のことになると眼の色変わるがらな」
「わかってるならいいのよォ。そもそもアタシはそう簡単にくたばるつもりはないけどねェ」
「ん。それもわがってるっぺ」
にこり、と、やけに嬉しそうに笑う彼女に、女将はやれやれとばかりに肩を竦める。
胡散臭い女将と田舎臭い娘が毎日騒がしい宿屋、≪黒狐亭≫はまだ当分の間健在でありそう
だった。
220とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:00:39.62 ID:sj+ccG6U
昔々あるところに、雪白姫というそれは美しいお姫様がおりました。
真雪のように白い肌、黒檀のように黒い髪、血潮のように赤い唇。幼くして世界一美しいと
称されるに相応しい美貌の持ち主でした。物心つく前に実の母とは死別した彼女ですが、見
た目の可憐さに反して根性があったので、わりとたくましく生きておりました。
そんなある日、彼女がお城の廊下をてくてくと歩いているところ、後ろからぱたぱたと近付
いて来る足音がありました。誰のものかは経験上わかっていましたが、ここはあえて無視し
ておきます。すると足音はぱたぱたからずかずかに変わり、背後から彼女を呼び止める声が
聞こえました。
「雪白、雪白! 待ちなさい雪白!」
ここでようやくさらさらの黒髪をなびかせて振り返ります。彼女の視界に入って来たのは、
予想通りこの国のお妃さま、即ち彼女の継母でした。
「あらお義母様、ご機嫌麗しく」
「麗しいわけないでしょうが! 貴女、また家庭教師の授業を抜け出して森に遊びに行って
いたのですって?」
じろり、と睨む継母に、しかし雪白姫はどこ吹く風です。彼女にとって退屈なお勉強より、
狩人の爺やと一緒に森を散策していた方が楽しいことなのでした。
「だって、あの家庭教師って教えるのが下手なんですもの。細かいことを注意してばっかり
だし」
美しい黒髪の毛先をくるくると指に絡ませつつ、悪びれたふうもなくそう答える雪白姫。そ
れに継母はさらに眉間に皺を寄せ、語気を荒くする――かと思いきや、返って来たのは意外
な言葉でした。
「家庭教師のことではなく、無闇に森へ行くのはおやめなさいと言っているのよ。爺やと一
緒だと言っても、どんな危険があるかわからないでしょう?」
言って雪白姫を見る継母の眼差しは、子を諌める母そのものでした。
遠い記憶の中の母の面影が不意に揺らいで、雪白姫は思わず毒気を抜かれてしまいました。
くすぐったいような温かな感触にしばし視線をさまよわせ、やがて満面の笑みを彼女へと向
けます。
世界一美しいと称されるに相応しい、極上の笑顔でした。
「ふふっ……! じゃあ今度はお義母様にお花を摘んできて差し上げるわ! 世界で二番目
に美しい人にぴったりの、綺麗な花束を贈らせてもらうわよ?」
「えぇい、お黙りっ! と言うか貴女はひとの話を聞いていたの!?」
「あ、それともお義母様も一緒にいらっしゃる? 花冠の作り方、お義母様にも教えてあげ
るわ!」
くすくすと嬉しそうに笑いながら、雪白姫は華飾衣を翻して小走りに駆け出します。
「お待ちなさい、このお転婆娘っ……! そんなことでは素敵な王子様に迎えに来てもらえ
なくてよ!」
「いいわ、それなら私ずっとお城で暮らすから! お義母様がおばあさまになってもちゃー
んと介護して差し上げるわっ」
「キーッ! 余計なお世話よっ!!」
継母の金切り声を背中に聴きながら、悪戯っぽい笑みを残して駆けていく雪白姫。そんな未
来も悪くない、と、わりと本気で思いつつ。

――さて、そんな彼女が素敵な王子様に出会えたかどうかは、また別のお話。
221とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:02:40.96 ID:sj+ccG6U
「♪〜〜♪♪〜♪〜♪」

小気味の良い鼻歌と共に、ほうきで掃かれた落ち葉が舞う。
今にもくるくると踊りだしそうな……と言うかすでに身体を揺らしている義姉の姿に、妹は
小さく首を傾げつつ声をかけた。
「おねーちゃん、なにやってんの?」
「あっ、ちーちゃん。それがねー聞いて聞いてー!」
待ってましたと言わんばかりにキラキラと瞳を輝かせて振り返る姉。それでも幼い妹は、鬱
陶しがることもなく素直にうん、と続きを待つ。
「じゃじゃーん! かーさんが縫ってくれたんだよ!」
と、自らのスカートの裾を掲げて上機嫌に宣伝する姉。彼女が示した部分には、可愛らしい
林檎とパンのアップリケが縫い付けてあった。
「またやぶいたの?」
「うっ……おっしゃる通りです。ちょっとそこで引っかけて……あはは」
冷静なツッコミに笑って誤魔化す。見ての通り姉は元気が良く何事も一生懸命にやるのはい
いのだが、少々調子に乗りやすいのと落ち着きがないのが欠点だった。ぱたぱたと忙しなく
動き回るのは、逆に言えばそれだけ要領が良くないということでもある。ドジを踏むことも
少なくはないため、衣服の裾を引っ掛けて破くなど日常茶飯事であった。
そのたびに彼女の継母は、「もうちょっと落ち着けないのかい、この愚図!」と文句を言い
ながら縫い直してくれるのである。
「でもいいなー。あたいもムッティに付けてもらおーかなぁ」
「そうだねー。……あ、じゃあちーちゃんもお揃いにしよう、お揃い!」
「えー、やだ」
「ぐはぁ! なんというクールなお返事! うぅぅ、最近のちびっこはシビアですのぅ……」
しくしく、と肩を落とす姉に、しかし妹はきょとんとして目を瞬かせる。少女としては悪意
などまるでなく、純粋に思ったことを口にしたまでである。……まぁ、むしろその方が残酷
だ、という説もあるが。
「ところでちーちゃんはどうしたの? かーさんとお昼の支度してたんじゃなかったっけ」
「うん。ムッティがね、おねーちゃん呼んどいでって言ったから」
妹の返答に、今度は姉の方が首を傾げる番だった。そもそも彼女に庭の掃除を言い付けたの
は継母だったのだ。それが終わらないうちに呼び戻すとは一体どんな用件だろう。
「何だろ? 小麦粉が足らないから買って来いとか?」
「んーん、ちがうとおもう。お手紙がきてね、たぶんね、ファーティからだとおもうよ。ム
ッティ、読みながらにやにやしてたから」
「マジで!?」
ファーティ、という単語にめいっぱい反応する姉に、うん、と笑顔を浮かべて頷く妹。
彼女らの父は船乗りで滅多に家にはいないのだが、それでも何ヶ月に一度は顔を見せに帰っ
て来る。
物心つく前に母を亡くし、今の義母と再婚するまで父に育てられた姉は大変な父親っ子……
ミもフタもなく言えばファザコンであった。ちなみに妹は母の連れ子で直接の血の繋がりは
ないが、妹とて父の帰宅が楽しみでないわけがない。彼女たち三人が家族として暮らしてい
られるのは、父の存在によるところも大きいのだから。
「いつ!? ファーティ、いつ帰って来るの!?」
「わかんない。ムッティにきいてこよーよ」
身を乗り出して訊ねる姉に、ふるふる、と妹は首を横に振る。そっかそれもそーだよね!と
玄関扉を突き破る勢いで姉が走り出しかけたその時、がちゃりとドアが開いた。
「この愚図、庭掃除にいつまでかかってるんだい! もう昼ご飯が出来たよ!」
「かーさん!」
「ムッティ!」
腰に手を当てて呼びつける母に、姉妹はぱたぱたと駆け寄っていく。そしてエサを欲しがる
雛鳥よろしく、ぴーぴーとその周りでさえずる娘たち。
「かーさん、わたしもファーティからの手紙読みたい読みたい!」
「あたいもあたいもー。ムッティ、ファーティはいつかえってくるの?」
「っ、いつの間に……、まぁいいけどね。ほら二人とも、食べながら話すからさっさと手を
洗っといで」
『はーいっ!!』
ハモって元気良く応え、姉妹は共におさげを揺らして家の中に駆け込んで行く。嘆息と共に
苦笑を浮かべ、母は玄関の扉を閉めた。
222とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:04:18.57 ID:sj+ccG6U
美しく飾り立てられた城の大広間に、華やかな祝辞が次々と交わされる。
今宵は待ち望まれた王妃の懐妊、そして、この国の未来を担う王女の誕生を祝う宴だ。招か
れたのは国内外の王侯貴族や名誉ある者と、王国を守護する賢女たち。燭台の光に輝く黄金
の皿は、招かれた賢女の数にちなんで13枚――

「お招きいただき光栄ですわ、陛下」
「姫様へのお祝いに、美徳をお贈り致しましょう」
「わたくしは美貌を」
「それでは私は富を」
「では私からは――」

壇上の王と王妃、そしてその腕に抱かれた姫君に、賢女たちは神通力を用いて贈り物を授け
ていく。
その様子を壁際から見守る彼女もまた、宴に招かれた賢女の一人だった。名はアルテローゼ
……不吉と称される13人目の賢女である。冥府に通ずる力を司る彼女を生誕の祝いに招くの
は不適切ではないかと論議もされたが、その役割が王国とこの世界を守るのに重要な意味合
いを持つのもまた事実である。最終的には彼女もまた賢女なのだ、という王の一声によって
、他の12人と同様に招かれたのだった。
「ふふっ……貴女は何を贈るの? アルテローゼ」
「アプリコーゼ……」
そんな彼女に声をかけて来たのは、旧知の賢女であるアプリコーゼだった。親しいと言うほ
どの間柄ではなく、むしろ敵対関係と言ってもいいが、それは互いに実力を認めている証で
もある。敬遠されがちなアルテローゼに何かと絡んでくる物好きな相手だ。
「でも意外だわ。あなたはこういう場は苦手だと思っていたから、来ないんじゃないかと心
配していたのよ」
「ふん……無論、馴れ合いなどする気はない。……ただ、まぁ、私もこの国に住まう身だ。
姫の生誕を祝わないほど不義理ではない」
ふい、と顔を背けるアルテローゼに、アプリコーゼはくすりと笑みをこぼす。孤高の古薔薇
などと言われたりもするアルテローゼは、実際気位が高く物言いも高圧的だ。だがその半面
、義理堅く繊細な面も併せ持つことを彼女は知っていた。
「おぉ……よくぞ参った、アプリコーゼ殿、アルテローゼ殿」
「ようこそいらして下さいましたわ」
と、そこにやって来たのは王と王妃だった。まさかの主賓の登場に、慌てて姿勢を正す二人。
「これは、陛下……! わざわざいらして下さったのですか?」
「こちらからご挨拶しなければならないところを、申し訳ありません」
王の御前、さすがにアルテローゼと言えど頭を下げる。それに良い良い、と穏やかに応える
王。王妃の腕の中では、玉のような姫君がきょとん、と目を瞬かせて二人を見ていた。
「まぁ、可愛らしい……きっと健やかにお育ちになりますわ」
「さぞお美しく成長なさることだろう。この国の将来を任せるに相応しい気高い姫様となっ
て頂きたいものだ」
「ありがとう、アプリコーゼ、アルテローゼ。どうかこの子とこの国を、これからも守って
下さいな」
たおやかに微笑む王妃に、慇懃に頷きを返すアプリコーゼとアルテローゼ。それから顔を見
合わせると、それぞれ神通力の触媒たる杖を取り出す。
「では贈り物を授けますわ。わたくしは……そうですね、姫様が素晴らしい伴侶と巡り会え
ますように」
「ならば私は、その相手と結ばれ宿す御子に光を……」
杖の先で描かれた文字が瞬く光の欠片となって、王妃の腕に抱かれた王女に降り注いだ。こ
の国の永き繁栄を祈る瞬き。そこに、死の呪いなどどこにもありはしない――
「あら、ずいぶんと気が早いのねアルテローゼ」
「お前も人のことは言えないだろう……」
百年の眠りにつく城はなく、野薔薇に抱かれた姫もいない。
ただ輝かしく育つであろうその姫君に、果たしてどんな出逢いがあるのだろう?
223とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:06:55.15 ID:sj+ccG6U
眼下に広がる、風が駆け抜ける草原。夕暮れに朱く燃える丘。
彼は何を言うでもなく、ただ無言のままその光景を眺めている。深く、記憶の水底に沈むよ
うに……斜陽が陰を落とす横顔を、彼女もまた同じように無言のまま見つめていた。
夜気を含んだ風が二人のいる露台へと吹き込む。彼女の長い髪が夜風になびいて、ようやく
彼は椅子から腰を上げた。
「……風が冷たくなってきた。屋敷の中へと戻るとしよう」
重々しく立ち上がった夫を、しかし妻は腰かけたまま視線で追う。どうした、と振り返る彼
に、彼女はいいえ、と首を横に振って、
「何でもありません。……戻りましょう、あなた」
言って、白い華飾衣の裾を持ち上げ立ち上がる妻。夫に続き屋内へと足を向ける──が、不
意に彼女は足を止め、もう一度背後の丘へと振り返った。
落日の碧。どこまでも続くかのような赤い草原。
つられるように、彼もまたそちらへ視線を戻す。其れは決して、あの戦場ではないけれど――
「……あそこに、何かあるのですか、あなた」
置いてきたもの。残してきた想い。今なお忘れえぬ、果てない輝き。
けれども、それは。
「――何も無い。あの場所には、何もな」
応える声はただ平坦だった。だって、それはとうに決された過去。戻せない在りし日の残照
なのだから。
ふい、と踵を返し、青髭と呼ばれた伯爵は屋敷の中へと戻って行く。その去り際、背中越し
に、

「……だが、此処にはお前がいる。…………それでは不満か」

振り返ることもなくそう言い残し、立ち去って行く背中を彼女は思わず呆けたように見つめ
てしまった。……そんな言葉、このひとが言ってくれるなんて……思いもしなかったから。
黄昏に染まる赤い背中に滲む鉄と血の匂いも、内に抱く深い慟哭も。きっと一生拭えはしな
い。そしておそらくはその翳りを、彼が彼女に明かすこともないだろう。
――でも、信じよう。そうまでして貴方が守ろうとしてくれている場所を。振り向く必要さ
えなく、貴方が信じてくれた私を。
「いいえ……、充分です、あなた……」
二つの影が穏やかに寄り添う、夕焼けの窓辺。
224とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:09:01.39 ID:sj+ccG6U
* * *


「…………ん……」

……微かな物音が聞こえたような気がして、微睡みから意識が浮上する。
薄らと瞼を開け、視界に移る天井は、見慣れた自分の寝室のものではなかった。ぼんやりと
思考を巡らすことしばし、エリーザベトはやっと昨晩のことを思い出す。あ、と小さく声を
漏らし、おそるおそる傍らへと視線を移した。
「……メル……」
安堵の声。
彼女の隣で穏やかに寝息を立てる青年の姿に、エリーザベトはほっと胸を撫で下ろす。もし
あのことが夢だったら――そんな不安が氷解していくと共に、今度は羞恥が頬を熱くさせた
。そう言えば自分は何も身に着けていないのだ。
「あ……、な、何か羽織るもの……」
慌てて周囲を見渡すものの、ここは自分の部屋ではない。寝間着も替えの衣服もあるはずな
く、かと言ってこのまま裸でいるというのも恥ずかしい。……仕方なしに、エリーザベトは
とりあえずということでメルツの服を一枚拝借することにした。
「……やっぱり大きいのね。昔はほとんど変わらなかったのに……」
そんな当たり前のことを今さらのように感じて、彼女は小さく笑みをこぼす。それからもう
一度、寝台で眠ったままの彼に視線を戻した。
「こうして眠っていると、何だかあの頃のメルみたいなのに……」
寝顔は幼く見えるなどと言うが、どうやら彼にしても当てはまるらしい。無防備な表情は昨
夜の凛々しい青年のものと言うより、かつての優しい少年に近い。懐かしい面影に愛しさを
感じ、眠るメルツの瞼にそっと接吻けを落とすエリーザベト。
それから静かに寝台を抜け出して、窓際へと向かう。東の空はまだ薄暗く、日が昇るまで幾
らかの猶予がありそうだった。明け方の澄んだ空気は薄着の身には少々肌寒い。
「……あら……?」
と、そこで彼女は窓の一つが僅かに開いていることに気が付いた。道理で寒いはずだ……、
と納得して閉めたところで、エリーザベトは思わず首を傾げた。どうしてこの窓が開いてい
たのだろう?
眠りに落ちる前は、自分も彼も開けた覚えはない。メルツが夜の間に起きて、換気か何かの
ために開けたのだろうか……けれど、何か違和感が――

「あ、……えっ……?」

はっとして、エリーザベトはきょろきょろと辺りを見回す。だが、目当てのものは見当たら
ない。昨夜、確かにここに置かれていたはずの人形を。
「そんな……どうして……」
まさか窓から落ちてしまったのだろうか……?
もう一度窓を開けて下を覗いてみるが、この部屋は屋敷の二階。窓の外には木々があり、ま
して夜明け前のこの暗さだ。小さな人形一つを見つけ出すことは不可能な話だった。
「…………夜が明けてから探すしかないかしら……後できっと見つけてあげるから、待って
いて」
仕方なく窓を閉め、エリーザベトは寝台に戻る。
寝入ったままのメルツは、相変わらず起きる気配がない。人形の行方や窓のことを訊くのは
朝にならなければ出来そうもなかった。もう、と小さく頬を膨らませながら、彼女も再び寝
台の中に潜り込む。
……温かい。
あの娘のことは気掛かりだけれど……その温かさに包まれていると、すぐにまた眠気がやっ
て来た。うとうととしながら、エリーザベトは寝台の上に置かれた彼の手のひらに自分の手
を重ねる。
「……メル……、ずっと…………」
夜が明ければ。
朝になれば。
止まっていた刻が、やっと動き出すのだ――――
225とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:11:01.94 ID:sj+ccG6U





* * *


……そう、刻は此処から動いていく。
その後どれほど探そうとも、人形が見つかることはなかった。なぜなら人形はもう必要ない
のだから。
変わらないまま、“今”を繋ぎ止めるためのお人形は宵闇に消えるだけ。
夜明けの間際、まるで見えない手に導かれるように、ひとりでに開いた窓から『彼女』はふ
わりと身を投げ出す。
夜に抱かれ羽ばたいて、そして―――

「おかえり、エリーゼ」
「……タダイマ、メル」

彼らが眠る部屋を望む、木陰の枝の上。
迎える彼の腕の中に、少女は舞い降りるように還るのだ。

「――ご苦労様。どうだったかな、久しぶりに里帰りした気分は」
「別ニ、エリーゼニハ……『私』ニハ関係ノ無イコトダモノ。メルメルト離レテイルノガツ
マラナカッタダケ」
ぽふ、とメルヒェンの胸に顔を埋め、つっけんどんに答えるエリーゼ。そんな彼女に苦笑を
浮かべつつ、メルヒェンは優しく彼女の頭を撫でる。
「そうか、それは残念だったね。まぁ、私も君と離れているのは退屈だったけれど」
くすりと微笑って、メルヒェンはエリーゼの額に接吻ける。一瞬くすぐったそうにはにかん
でから、エリーゼは慌てて視線を逸らした。
「コ、コンナノデ誤魔化サレナインダカラ……! メルメルッテバ……何ヲ考エテルノヨ」
「何って?」
「ワザワザコンナ可能性ヲ探シ出スナンテ、馬鹿ゲテルワ。シカモアノ娘ダケナラマダ簡単
ダッタノニ全部ナンテ……屍揮者ノスルコトジャナイワヨ」
ぷく、と頬を膨らませ、エリーゼは横目でちらりとあの窓を見遣る。
すでに彼らとは分かたれたモノである二人にとって、こんな結末は何の意味もない。謂わば
紙の上の出来事だ。だと言うのに膨大な試行錯誤を重ねてまで七つ全て揃えるなんて、どう
考えても割に合うことではないだろうに。
「屍揮者は休業状態だが……まぁ、ちょっとした暇潰しさ、エリーゼ。どうせこの世には童
話(わたし)を必要とする喜劇など溢れ返っているんだ。その中の七つばかりが何事も無く
終わったところで、大した問題はないだろう?」
肩を竦めながらさらりと答えるメルヒェンに、エリーゼはしばし口を噤む。何となく釈然と
しないものがあるのは、少女の素因たる『エリーゼ』の感傷だろうか。
226とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:12:15.40 ID:sj+ccG6U
よくはわからないけれど――まぁ、彼がそう言うのならたまにはいいか、と考え直して、エ
リーゼは再びメルヒェンの胸に身を預けた。少女は彼と共に在るために生まれた、ただそれ
だけのことである。どうせこれからも二人で共に、永い夜の幻想を集め続けていくのだから
。カタチを変え、刹那の瞬きと成しながら。
「ジャ……ソウイウコトニシテオイテアゲル。ダカラ、ソロソロ森ニ戻リマショウ?」
ようやく悪戯っぽい笑顔を見せて、メルヒェンの頬に接吻けるエリーゼ。それに笑みを返し
て、唇で応えるメルヒェン。
「そうだね、もうじき夜明けだ。……ああ、彼女が目を覚ましたのかな」
メルヒェンの言葉に振り向けば、窓際にエリーザベトの姿が見える。人形がないことに気付
いたらしく、窓から下を覗き込んでいるが、こちらに気が付く様子はない。彼女にはこちら
の姿は視えないのだから、当然ではあるが。
「フゥン、道ガ違エバ聖女ナンテ言ワレルコトモアルッテイウノニ……ダラシナァイ。人間
ッテドウシテ愛ト性欲ヲ切リ離セナイノカシラネ?」
「おや。まだそんなことを言っているのかい、エリーゼは」
肩口にかかる髪を払いのけつつ呆れたように言うエリーゼに、メルヒェンはくすりと微笑を
浮かべた。それに彼女はむー、とむくれて、
「何ヨ。ダッテエリーゼハメルメルノコトヲ愛シテルケド、……ソ、ソノ、ソウイウコトヲ
シタイナンテ思ッタコト、ナイモン」
顔を赤らめて答える少女に、思わずメルヒェンはくつくつと笑いを噛み殺す。いやいや、も
しかして煽っているのだろうか、この娘は。
「ナ、何ヨモウ、笑ウトコロナノ!?」
「いや、すまないすまない。……ふむ、そうだね。後で教えてあげようか、エリーゼ」
「……? ドウイウコト?」
首を傾げる少女に意味深な笑みを返すと、彼女を抱き寄せてその場に立ち上がるメルヒェン。
……まぁ、少々当てられてしまったところもあることだし。せっかくだからこれを機会に、
彼の愛しいお姫様にもそのあたりのことを覚えてもらおうか。

「――――さて、それじゃあ帰ろう。イドへ到る森へ――――」

少女を抱き上げ、メルヒェンはくるりと半身を翻す。
真紅と漆黒の影がはためき、次の瞬間には、二人の姿は宵闇へと溶け消えていた――――――
227とても都合の良いめるへん:2011/06/24(金) 01:12:39.62 ID:sj+ccG6U
以上です
長々とスレ汚し失礼致しました
228名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 01:37:33.91 ID:hk+UB2Ut
乙!
こういうifハッピーエンドが大好きだから、思わず涙が出てしまった
229名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/27(月) 01:55:04.00 ID:8Gj+zAXt
乙です!
メルベト好きにはたまらんかったです
230名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 03:10:58.56 ID:KSkuRwCq
乙!
ぜひメルとエリーゼの話もお願いしたい…!
エリーゼを幸せにしてあげてくれ…
231名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 11:16:35.77 ID:6jNQLLdD
乙!やっぱメルベト好きだなあ
232名無しさん@ピンキー:2011/08/17(水) 14:31:26.77 ID:OXWmVOWU
メルベトを書きたいんだけど、メルは血が通ってないからやはり勃たないのかな。
こまけぇことは気にすんな!でやってしまうか
勃たせず本番なしにするかが謂わば最大の問題だ。
233名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 00:14:41.80 ID:c/fOTOiL
沈んでるのでちょっとage

ファンタジーだから死人でもやっちゃっていいんじゃないかと思うけど
立たないからさぁどうするかってのも見てみたい
234名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 06:58:05.06 ID:UAV4J+t4
人来ないしageでいいか

【死人戦争】を終えて、冥府の底で魂を差し出すミーシャと、その魂を貪るエレフなら妄想したことある。
後、どSなタナトスさんが死者となったミーシャにアメティストスとなったエレフの姿を見せて、「君ノセイダゾ?」と囁き続けるネタも考えた。
235名無しさん@ピンキー:2011/08/24(水) 23:57:04.49 ID:S7JwkgJJ
>>234領復でエレミシャ禿げ萌えたから読みたい
236名無しさん@ピンキー:2011/08/25(木) 05:13:24.15 ID:BODfUMV0
ミーシャのポテンシャルに辛抱たまらんくなったエレフお兄ちゃんをだね
237名無しさん@ピンキー:2011/09/04(日) 01:00:48.76 ID:blh9gQ7o
何か知らんがまた新たなバカッブル増えたな
少年とLos子
シャイターンとライラ
メルとエリザーべと
王子と雪城と野ばら
エレミシャ
イヴェ継子
青髭夫妻
238名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 21:25:09.60 ID:AM4aeITM
基準がわからん
239名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 00:55:43.36 ID:IRVVJqm2
240名無しさん@ピンキー:2011/10/18(火) 21:30:46.34 ID:gKLED/ca
age
241名無しさん@ピンキー:2011/11/18(金) 01:57:57.02 ID:JVtKTmo6
保守
242名無しさん@ピンキー:2011/12/11(日) 01:16:47.90 ID:bClnx3s4
あげ
243名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 01:21:06.61 ID:PkHocxb5
ほしゅ
244名無しさん@ピンキー:2011/12/24(土) 02:10:40.83 ID:gRu8qs6b
ミューフィーと3Pしたい
245名無しさん@ピンキー:2012/02/02(木) 22:10:29.42 ID:FgFaN+52
保守
246名無しさん@ピンキー:2012/02/18(土) 00:02:14.24 ID:miECou+b
ほしゅ
247名無しさん@ピンキー:2012/03/24(土) 17:56:19.13 ID:V2nDN6eC
ほしゅ
248名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 00:40:16.03 ID:hlSnJmQh
誰も見てない上に需要ないかもしれませんが・・・
ろまんが2巻の赤ローラン×シエルに激しく萌えたので、初投稿します。
あんまりエロくないです。幸せな光景が少しでも多くあればなって思って書いたので。

249赤ローラン×シエル:2012/03/25(日) 00:42:57.47 ID:hlSnJmQh
酒の酔いに身を任せた赤髪の男は少女の衣服を脱がせる。
少女は少しだけ躊躇いながらも、それを受け入れていくしかない。
しかし、その不安げな瞳は近くで眠る赤ん坊を見やった。
男のほうはそんなことを気にする様子もなく、露になりつつある柔らかな素肌に喰らいつく。
産後に女らしくなった体とは裏腹に、顔はどこかあどけなさが残っている。
それがまた情欲をそそるものだ。
男の手がすっかり膨らみきった胸に伸びる。
荒々しく揉むと薄紅色の先端から白い乳液が滲み出る。

「あっ・・・」

少女の口から吐息が漏れる。
男のもう片方の手が柔らかな大腿に伸びようとした時だった。

「・・・ふぎゃああああ!!」

突然赤ん坊の泣き声が暗い部屋に響き渡った。
少女は飛び起きて、すぐさまベビーベッドに向かう。

「どうしたの?大丈夫よ、よしよし」

少女は赤ん坊を胸に抱きかかえあやす。
父親譲りの鳶色の瞳を潤ませて、差し出された乳房にしがみつく。

「こいつに邪魔されたのは何度目だ?」

母親の胸に幸せそうに吸い付く赤ん坊を覗き込みながら、
男が呆れた声で言った。

「仕方ないわ。赤ちゃんなんだから・・・」
「俺が先にもらうはずだったのによ・・・」
「だから、別の部屋にして欲しかったのよ」
「・・・だけどよ、こいつが眠っている傍でするほうが燃えるだろう?」

男が少女の耳元で意地悪く囁く。少女は顔を真っ赤にする。

「そ、そんな・・・」

両親のそんな会話も知らない赤ん坊は、母の胸にしがみついたままいつの間にか眠っていた。

250名無しさん@ピンキー:2012/03/25(日) 21:46:19.92 ID:WAnKxe8a
>>248
GJ!!
赤ロラ×シエルは俺も好きなんで嬉しいw
251248:2012/03/25(日) 23:09:10.12 ID:hlSnJmQh
>>250
ありがとうございます!
このカプに萌えている人がなかなかいなかったので嬉しいです!
個人的に鬼畜ネタでも家族ネタでもいけるので、
美味しいカプだと思っています
252名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 23:37:56.09 ID:aSFsCKG+
保守
253名無しさん@ピンキー:2012/08/12(日) 04:12:51.74 ID:ivnUuqKA
保守
254名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 17:09:51.48 ID:RyLQfB7/
あげほしゅ
255名無しさん@ピンキー:2012/11/22(木) 03:35:30.61 ID:MaNn0FnA
誰かネタを・・・
256名無しさん@ピンキー:2013/02/09(土) 19:39:35.95 ID:NvrsICxt
新作まだー?
257名無しさん@ピンキー:2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:yUGbbd7m
まだこのスレ残ってたんだなw
258名無しさん@ピンキー
マキシだが新作来たな
木下夫婦もリヴァモア夫婦も仲良さそうで
夜の営み想像すると楽しい

しかしシェイマスだかウィリアムだかさんは
松葉杖のせいかマグロしか想像つかないw
元々、似非はマグロ多めなイメージだが
だってほら、冬は0歳児だしシャイタンは嫁がイケイケだしメルメルは少年時に死亡だし
普通に馴れてそうなのはイドさんくらい?
将軍は商売女には馴れてそうだ