スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part8

このエントリーをはてなブックマークに追加
463鏡W 奈落(貫く剣):2010/07/19(月) 13:25:11 ID:NsIy7tjZ
「今度姉ちゃんが居ない時、おいでよ」
「うん、そうするね」
「じゃ、また」
「バイバイ」
家の外に出て、勇気を見送る。
彼の姿が見えなくなった後、家の中に入り、玄関のドアを閉めた。

いつもより遅い夕食を取る。
ひとりで食べるのはとっくに慣れてるけど、今日はちょっと寂しいな。
勇気にもなにか出してあげればよかったかな?
でも、あんまり遅いと先輩に怒られちゃうし、しょうがないか。
(勇気は迷惑そうだけど、仲のいいお姉さんがいるのはやっぱりうらやましい)
あ。今日のコト、知恵先輩に聞かれるかも… ますます先輩には頭が上がらなくなっちゃうなあ。
今度はちゃんと正直に言おう。

後は歯ブラシして、お風呂入って、おやすみしよ。
今日はすてきな夢が見れそうだ。

湯船に浸かりながら、楽しい想像に胸をふくらませる。
まずは普通のデートをゆっくり楽しみたいな。
2人でいろんなトコ行きたいし、そもそも
あまりにも2人だけで過ごす時間が少なすぎた。
でも、もう焦らなくていいんだ。

浴室から出て、いつものようにバスタオルで髪や体を拭く。
さてと。ドライヤーで髪を乾かして。
私は洗面所の鏡を見た。
464鏡W 奈落(貫く剣):2010/07/19(月) 13:26:21 ID:NsIy7tjZ
ずきん。

……あれ。
胸が痛い。ずきずきする。どうしちゃったの、私?
身体の震えがとまらない。
歯がカチカチして、あれ、涙もとまらないよ。
本当に風邪でもひいちゃったのかな…?

とりあえず、居間に行こう。確か市販の風邪薬がまだ残ってたはず……
自分が映る鏡から背を向け、ドアノブに手をかけようとした。
しかし、ドアが開き、見慣れた廊下が見える事はない。
開けるより先に、ドアの横の棚に置いてあったモノが視界に入っていた。
お風呂に入る時は解いている、勇気がくれたリボン。

……そっか。
私もう、勇気とは幸せになれないんだ……
勇気の温かさが、痛いよ。苦しいよ。

それは、罪悪感という名の、痛み。
偽りのない優しさが、静かに責め続けていた。
それは治まる事なく大きくなり、私を呑み込んでいく。

確実に、大事なものを失った。自分で、自分の身体も、そして心も汚してしまった。
いや、それに気づかないふりして、ただ加藤を苦しめたいあまりに、
私、とんでもない恐ろしい事しちゃったんだ……
それはもう二度と、取り戻せない。

勇気と結ばれて、はっきりとわかってしまった。
こんな私はいなくなった方がいい。生きてるだけで、きっと勇気を苦しめる。

だったら………… 


(第4部 奈落(貫く剣) 完)
465464:2010/07/19(月) 13:29:00 ID:NsIy7tjZ
今日はここまで。理不尽に耐えれても、自分の犯した事には結局
耐えられなかったな……
5部は短いので次の投下でエピローグまで行くかもしれません。
466465:2010/07/22(木) 20:26:18 ID:bDp3vZvJ
最終部投下。今日で長編も最後。
467鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:26:55 ID:bDp3vZvJ
最後の事務手続きはあっさりと終わった。

これで榊野学園とは今日でさよならだ。叔母さんが
辛いだろうから代理で行こうかと言ってくれたけど、
最後くらいは自分がこれまで居た学校にお礼したいと思い、
こうして門をくぐった。

明後日からは叔母さんの家でお世話になる。
本籍が変わるのはもう少し先だが、引越しだけ先に済ませる事で話が進んでいる。
思い出の多い、今まで住んでいた町を離れるのは、やっぱり寂しいけど、
自分を取り戻すためには、必要な事なんだ。きっと。

私が編入する予定の学校も、部活動が盛んらしく、
バスケもそれなりに強いそうだ。
今はまだ身体を動したい気分じゃないけど、
落ち着いたら、また始めてもいいかも。

失ってわかる、平凡な日常の大切さ。
今の自分にはそれがよくわかる。…なんてね。
私らしくないかな。

そんな感傷に浸っていたところ、携帯が鳴った。
叔母さんかな?明後日の引越しの事についてだろうか。
そう思い、私は携帯を開いた。
468鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:27:31 ID:bDp3vZvJ

FLOM 喜連川 路夏

会って話したい事があるの。
来たくないならそれでもいいけど後悔するかもね。
あの場所で待ってる。


「何であいつが、私のアドレス知ってるのよ……」
七海か夏美達が教えたのか?
いや、七海は勝手に人のアドレス教えるようなヤツじゃないし、夏美達もあいつとは
何の接点もないはず。じゃあ一体誰が……

それより、何で喜連川が私にわざわざメールを送ってきた?
まさか、今になって仕返しでもしようと企んでるのか?
あれ以来私を避け、部活にも出ず、遠山達のオモチャになって屈したと思ってたが……
家の事でそれどころじゃなく、気にする余裕などなかったけど……
気味が悪い。

もしあの事をバラすつもりなら……
新しい場所でやり直そうって時に、これ以上のトラブルはもうたくさんだ。
とにかく、話とやらを聞く以外なさそうだ。
あいつの思い通り動くのが気に障るが、仕方ない。
469鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:28:23 ID:bDp3vZvJ
2

はたして、路夏は1人で、そこにいた。

「…久しぶり。ちょっとやつれたんじゃない」
「相変わらず汚い部屋ね。…こんな所でよろしくヤッてるつもり?」
遠山達の溜まり場は、以前乙女が路夏に暴挙を働いた時よりも、埃まみれで薄汚れていた。
窓に打ち付けてあった板の一部が外れ、釘がむき出しになったまま床に転がり、
いろんな物が無造作に捨てられ、ゴミ置き場のようだった。

「それで、話ってのは何なのよ?」
「…………」
「私をからかいに呼び出したんなら帰るよ」
「……ご愁傷様ね、加藤」
静かに路夏は話し出す。
感情を顔に出していた以前と異なり無表情で、
また、髪を結ばずそのまま下ろした姿も、乙女にはより不気味に見えた。

「何よ…… 私が家族失ってざまあみろとでも言いたいの?」
「私は根に持つ方だから。……いい気味だよ」
皮肉を言う路夏。
乙女は一瞬睨むが、口をつぐんだ。

「前みたいに突っ掛からないんだ?散々私をいたぶってたのに」
「もういい…… どうせもう会う事もないし、私は静かに暮らしたいの。
ほっといて」
「…………」
「心配しなくても、あの時撮った画像をばら撒くつもりはないわよ。遠山と松平も、
変に逆らわなきゃそのうちあんたに飽きるでしょ」
「……信用できない。私の知らない所で画像流すに決まってる」
「疑り深いわね。……わかったわよ。消せばいいんでしょ消せば」

路夏の目の前に乙女の携帯が突き出された。
無言で操作し、携帯写真のメモリーを開く。
そして、あの時の痴態が小さな画面に映し出された。
470鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:29:50 ID:bDp3vZvJ

削除しますか? YES/NO?
画像は削除されました。


「ほら、これであんたの心配の種もなくなった。……もういいでしょ、私まだ
他にも手続きしなくちゃいけないの」
これ以上この場にいたくない。乙女の顔からは嫌悪感が滲み出していた。
あの時のことを思い出させる以外にも、何か今までと違う――

「加藤…… あんたには全てを知る権利と義務がある。このまま転校するのは許さない」
「……どういう意味よ」
「あれ、私が全て仕組んだと言ったら?」
「あれって、何よ」
思わず乙女は聞き返したが、それが既に路夏を通して
真実という毒針に刺された事に、気づくのが遅かった。

「あんたの家族が死んだ事」
「はあ?何言ってるのよ。こんな時に冗談やめてよ」
しかし乙女の言う事に構わず、路夏は話し続ける。

「中学の時、あんたのお父さん、お母さんのお店のお客さんだったじゃない。
その事しゃべったら、青ざめた顔してたよね」
「今更そんな話聞きたくないよ… 私にあの時の事謝れっての?
ならゴメンなさい、私が悪かったです。これでいいでしょ?」
「あんたのお父さん、良い人だよね。お金をたくさん貢いでくれたんだから。お母さんに」
「やめてよ…」
「男の人って結構繊細なんだから、お家でもうちょっと労わってあげればよかったのにね」
「だからやめろってば!」
「その気になれば、私の事殺すくらい出来たのに、自分独りで勝手に人生終わらせちゃった」
「やめ……え?」
え…… 今、なんて……?
ねちねちと責める路夏を毛嫌いしながらも、彼女の今の言い回しに乙女は違和感を感じた。
まるで、父親が死ぬのを知っていたかのように思える口ぶりに。
471鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:30:26 ID:bDp3vZvJ
「あんたの苛めの事とか、私をレイプさせた事とかしゃべったら、ね。
無理もないかな。冴えないけど気の優しい人だったし。多分最初にお店に来たのもほんの
気晴らしだったんじゃない?」
「父さんが、あんたに……」
「きっと全てが信じられなくなっちゃって、魔が差したんだと思うよ。私と寝ても、
やっぱり本心では奥さんやあんたの事を想ってたんだろうね」
「……!? 嘘だ… 父さんがあんたなんかと関係するわけ…」
「同じような事、あの人も言ってたよ。信じるだけじゃどうにもならない事ってあるのに。
お母さんの事、身体使って客取ってるって、中学の時あんたバカにしてたけど、
私はその通り実行しただけだよ」
淡々と事実を話す路夏に、乙女は初めて恐怖を感じた。

わからない。こいつの思考回路がわからない。
私に嫌がらせする為だけに、自分の身体まで使ったって言うの?!
それで父さんが……
こいつ…… 人間じゃない…… 人の姿をした悪魔だ!!

「最初はただ加藤が苦しんでくれればって思ってたけど、ここまで酷い結果になるなんて、
私も思わなかった」
「じゃあ… あの放火の犯人って……」
「そ。私」
「あんた…… まさか最初からそのつもりで私の家を狙ったの!?」
「そーよ。今頃気がついたの?あの日、あんたの妹やお母さんがいたのは
誤算だったけど、まあ、運が悪かったとしか言いようがないね」

悪びれた様子のない路夏に、乙女は猛烈な不快感を覚えだした。
心は怯えから、憎しみに染まっていく。
元々は自分が蒔いた種である事も忘れ、目の前のこの女を殺してやる――
ただその一点に絞られていく。

「私、嬉しいの。あんたが変わらず私を見下してくれて」
「ふざけんなッ!この人でなし!!」
「それは加藤もでしょ?元々あんたがあいつら使って私を犯して愉しんでたくせに」
「だからって、可憐や父さん、母さんは何も関係ないじゃない!?私が憎いんなら
何で私だけ狙わなかったのよ?!」
472鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:31:46 ID:bDp3vZvJ
「大切なものを奪われ、壊される苦しみをたっぷり味わってほしかったの。
子供の不始末は親にも責任あるんじゃない?半分はあんたの自業自得だけど」
「ぐっ……!」
黙れ……! 悪魔の分際で私に話しかけるな!しゃべるな!!

「それに、最初から襲っても自分の事棚に上げて、私を恨んだでしょ?
加藤の事は、私、よおくわかってるから」
激昂した乙女は路夏の胸倉を掴み、殴りつけた。

「何すんのよっ!」
「あんたのせいで……うちの家族がめちゃくちゃになったんだ!……お前さえいなけりゃ……!」
あの時だってそうだ。学校で父さんの事暴露されて、どれだけ傷ついたと思ってるんだ……!
自分の部屋でどれだけ泣いたと思ってるんだ………!!

乙女は近くに落ちていた短い角材を拾い上げ、
路夏の頭に振り下ろそうとした。路夏はとっさに身体を横に開き直撃をかわしたものの、
彼女の膝にそれが当たってしまった。
「ぐわっ…… うぅ…」
痺れるような痛みに思わず路夏は硬直した。

彼女の呻き声に構わず、乙女は執拗に路夏の足を打ちつける。
バランスを崩し、路夏は仰向けに転んだ。
路夏は後ずさりしながら携帯を取り出し、連絡をとろうとしたが、
すぐさま腕を叩かれ、それを落としてしまった。
乙女はそれを蹴りつけ、携帯が路夏のそばから遠ざかった。

仰向けになった路夏の腹や胸を思いきり蹴り、踏みつけた。
角材で彼女の膝を再び打ち、それが折れると、その切っ先を向け、左の太ももに突き刺した。
「えあ…っ…う…あああッ!!」

数回ほど刺すと、今度は石灰入りの粉袋を投げつけた。
しかし、重みでその袋が破れて粉がもうもうと舞い、それがさらに乙女を怒り狂わせる。
次々とぶちまけ、投げつけた。
粉まみれになっても怒りは収まらず、力任せに路夏の首に手を掛け、絞めあげた。
その姿は以前のように見下す余裕などなく、悪鬼に支配されたかのようだった。
473鏡X 最後の日:2010/07/22(木) 20:32:45 ID:bDp3vZvJ
(……加藤とはずっと友達だから。忘れないよ)
「………!」
あの時誠に言われたコトバが何故か浮かんだ。

(伊藤……)
路夏の首から両手を離し、乙女はその場から立ち上がった。
ぜいぜいと荒い息を吐きながら、ぐったりとした彼女を見下ろす。

(喜連川路夏は、私の家族を皆殺しにした犯人ですって、訴えてやる)
とにかく、この部屋を出たい。
この忌わしい白い空間から、早く抜け出したい。
そう思い、出口に向かおうとした。

「…どこに……行くつもりよ」
咳き込む音に掠れた声。
それは無機質を通り越し、呪いのようだった。

「決まってるでしょ。警察に電話するのよ」
「そんな事したら……加藤だって、きっと捕まるよ」
「……構うもんか。あんたみたいな危ない奴を野放しにするほうがどうかしてる。
……もうこんな思いしたくないから、これからはせいぜい大人しく過ごすわ」

あははははは……
掠れた路夏の笑い声が響くが、もうどうでもよかった。
ただ部屋から出たかった。
「加藤って、本当に単純だよね…… 救いようがない……馬鹿」
「まだそんな減らず口叩くつもり?警察が来るまで大人しくしてろっての」

両足を負傷し、肋骨にも何本かひびが入り起き上がれない路夏に乙女は背を向けた。
今度こそ、二度と会う事もないかのように。

「なんで………レイプされた部屋にわざわざ……呼び出したと思ってんの……
ここは……あんたと、……罪を犯した私の……」
スカートのポケットから取り出されたモノ。
粉が舞って酷い視界の中、厳かな儀式のフィナーレの如く、
ソレを自由が利く指で弄り出す。

「死に場所」

そして火のついたソレを、天井に向かって放り投げた。


(第5部 最後の日 完)
474鏡 エピローグ:2010/07/22(木) 20:33:29 ID:bDp3vZvJ
エピローグ

「路夏、気分はどう?相変わらず夢の中は楽しいのかな」
椅子に座り、足利勇気は穏やかに語りかける。
いつものように。
呼びかけにも何も反応しない、眠り姫。

今日も路夏は眠ったままだ。
まるで君の時間だけ止まったみたいに。
夢の中で、裏切りや憎しみあいのない、理想的な学校生活でも送っているのだろうか。
とてもあんな事件を起こしたとは思えない、少女のままの顔だ。

……どうして、路夏の哀しみに気付けなかったんだろう。
僕はどこで選択を間違えてしまったのだろう。

もっと最初から素直になれていたら、きっとこんな事にはならなかった。

あれから4年経って、僕も大学生になった。
当時の事件の事も、世間からとっくの昔に忘れ去られてしまった。
姉ちゃんからは、事件の事も路夏の事も忘れなさいと忠告された。
絶対に辛くなるだけだから。自分のためにも。そして路夏のためにも。
僕も最初は、自分には背負えないと思い、忘れようとした。
475鏡 エピローグ:2010/07/22(木) 20:34:06 ID:bDp3vZvJ
路夏と対立した加藤は一家揃って、この世からいなくなってしまった。
爆風の衝撃で全身を強打し、救急隊に保護された時には手遅れの状態だったそうだ。
亡くなった両親の親族が訴訟を求めているが、路夏がこの調子で未定のままだ。
加藤と路夏は、互いの影を映しあい、でも決して交わらない鏡のような関係だったのかもしれない。
そしてその鏡は、粉々に割れたまま。

路夏のお母さんは責任を感じて、働いていたお店を辞めた。

あの爆発にも関わらず、路夏は奇跡的に一命を取りとめた。
しかし、衝撃の際に頭を強く打ち付けたらしく、未だに意識不明のままだ。
今後意識を取り戻す可能性は絶望的だと言われている。
目覚めてほしい気持ちと、でも目覚めないままの方が幸せかもしれないという気持ちが
せめぎ合って、僕は今日も過ごしてる。

「本当に、卑怯だよ……路夏……」
なにもこんな形で、僕を繋ぎ止める事、ないじゃないか。
愛されるのが、怖かったのかな。
僕の勝手な思い込みかもしれないし、今となっては、何もわからないけど。

やがて面会の時間が過ぎ、僕は『また来るね』と言い、病室を出る。


空だけが、青い。
携帯を取り出し、写真ファイルを開く。
機種は当時と違うけど、あの記憶の証は残したままだ。
あの時は恥ずかしかったけど、路夏と結ばれた後、僕の携帯で撮った2人の記念写真が
今のところ最後のメモリーになっている。
あの時の路夏は、本当に輝いていた。

僕は決して、忘れないよ。
好きとか嫌いとか愛してるとか、もうどうでもいいのかもしれない。
路夏という存在を忘れられない。


鏡  FIN
476あとがき:2010/07/22(木) 20:38:42 ID:bDp3vZvJ
ようやく終わりました。まあ、爆発ネタは完全にマンガです(苦笑)
原作やバレイズにもありましたが、あれはあくまでギャグだしなあ……
少し経ったら、また別のSSを投下しようかと思います。
それでは。
                  
                      mark
477名無しさん@ピンキー:2010/07/22(木) 21:21:33 ID:1H9lewx4
乙でしたー
路過の暴走と加藤家の災難にどんどんひきこまれていったぜ・・・

ふと気になったんだけど路過が放火した件ももう表沙汰になってるのかな?
真実を知った乙女は死んでしまったし。
まぁ、警察が路過の事を調べ上げれば色々分かりそうか。
478名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 11:53:05 ID:eciCxq+p
乙。本当に乙!
最初から最後まで引き込まれる良作をありがとう

>好きとか嫌いとか愛してるとか、もうどうでもいいのかもしれない。
>路夏という存在を忘れられない。

ここにマジで泣いた
何をもって幸せとするかは分からないが、このまま眠り続けているのが路夏にとっては一番なのかもな

新作も楽しみにしてるよ
479名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 15:44:06 ID:s8pXtW4I
大作乙でした
チキンハートな俺にはガクブルな展開だったけど、読み応えはあったよ!
でも、>>468の一行目でずっこけたことは、ひっそり呟かせて頂こう・・・。
(笑ったせいで、そんなに怖くなくなったんでw)
480名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 17:19:44 ID:Ji7ghWYk
>>479
今気付いた
FROMだよな?
481名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 17:52:16 ID:t54ninli
サスペンスみたいで面白かった。GJ!

>>477
遠山あたりが言ってるんじゃないかなぁ・・・。
前にこのスレにURLが貼られてたその他もろもろ氏の
12話アフターのSSで言葉がほぼ死亡の行方不明扱いになってたことをいいことに
言葉についてあることないこと言った乙女やレイパーみたく、路夏の意識が
戻りそうにないのをいいことに・・・・・・って可能性はあるかもしれない。


とくにこの鏡の場合、強姦の被害者は意識不明、依頼者は家族揃って死亡・・・だからあのSSの
場合よりその可能性は高いはず。

482丁字屋:2010/07/23(金) 22:09:04 ID:QXYdnUxl
>>476
乙&GJ!
なんというか、非常に激しい物語でした。

それでは「贄と成就」アフター
>>426からの続きいきます
483丁字屋:2010/07/23(金) 22:09:47 ID:QXYdnUxl

「桂さんは本当は澤永と付き合うのは、最初から嫌だった?」
桂が、一瞬の間の後、コクリと小さくうなずいた。

「ありがとう、わかったわ。
ごめんね桂さん、いろいろ質問したりして…」
「い…いえ…」
「それでね桂さん、今度はお願いなんだけど…」
「は…はあ…」

「私たちは今桂さんが受けてる現状は絶対よくないって思ってるし、何とかしてあげたいって思ってる
 ……ううん、必ず何とかする!
 ね、勇気」
「え?ああ、もちろんだ」
路夏にいきなりふられて一瞬戸惑うが、それでも僕はその言葉に力強くうなずく。
「は…はい、ありがとうございます」
桂は戸惑いながら、そうお礼を返してきた。

「だから桂さんはそれまでは、伊藤に近づかないで欲しいの」
「え?」
その言葉に桂が怪訝な表情になるが、路夏は更に続ける。
「桂さんは伊藤とずっと話をしてないんだから、すごく寂しいだろうし、伊藤と話をしたいってのは私にもわかる。
 だけど今の状況で桂さんが伊藤に近づこうとしても、結局邪魔されたり、ますます嫌な目に合わされるだけ…」
「……」
「でも今言ったように、そんな状況は私たちが必ず何とかする。
 そうしたら桂さんが伊藤ときちんと話し合える場も設けたっていい。
 だから…今は具体的にどうするって方法は見つかってないけど、それでも私たちを信じて、
 あとしばらくだけ伊藤に近づくのは我慢して」
路夏の言葉をじっと黙って聞いていた桂は、話が終えると、路夏と僕の方をはっきり見て
「わかりました」
そう言った。
484丁字屋:2010/07/23(金) 22:10:56 ID:QXYdnUxl

「い、いいのか?」
僕は思わず問い返すが、桂はそれに対しても
「はい」
とはっきり答えた。
「私、今ほんの少しだけ話しただけですけど、お二人が本当に真剣に私のことを心配してくれていることはわかります。
 だから私もお二人のことを信じて、言うとおりにします」
桂がそう言ってくれたことで話は決まった。

そしてこれからの連絡のためにお互いの携帯番号やメアドを教え合ったりしていると、昼休み終了の鐘がなった。
先に図書室を出ることにした桂に、僕は
「なあ桂、僕らのこと簡単に信じちゃって本当にいいのか?」
と尋ねた。

無論僕らには桂を騙すつもりなどはない。
だがこれまで桂は、友達と思っていた西園寺にも、恋人だったはずの伊藤にも
(伊藤のことについては桂は認めないであろうが)ひどい形で裏切られているんだ。
だから僕は、そんな桂がどうしてまだ親しいとまで言えない僕や、
今初めて話したばかりの路夏のことを信じると言えるのか、不思議といえば不思議だった。
だが桂は
「はい。さっきも言ったように、お二人が私のことを真剣に考えてくださっていることはわかりますから。
それに……」
「え?」
桂はその時僕を見て、いたずらっぽく笑った。

「それに…足利君が私のためにそんな格好までしてくれたんですから、信じないわけにはいかないじゃないですか」
「なっ?!」
路夏はそんな僕らの様に吹き出しながら桂に「私たちも桂さんの信頼に応えられるように頑張るからね」
と改めて言った。
桂も
「はい。よろしくお願いします」
と素直に答え、そして部屋を出て……出ていく前にもう一度振り返り、
「足利君、本当にかわいいですよ」
「なっ!?言うな!」
「うふふっ♪」
そんな楽しそうな笑い声と共に、本当に出ていった。
485丁字屋:2010/07/23(金) 22:11:31 ID:QXYdnUxl

桂の出ていったあと、僕らはしばらく黙っていたが、やがて路夏が口を開いた。
「勇気、桂さん、勇気のことかわいいだって」
「うん…」
「よかったね、勇気」
「うん…」
「うわっ、勇気ったらやっぱり女装した自分をかわいいと言われることの喜びに目覚めてたのね!?」
「え?ばっ…違う!」

そうじゃなくて、僕は4組の教室に桂を迎えに行った時にそのひどく暗く沈んだ顔を見ているからこそ、
さっきこの部屋を出ていく時に僕をかわいいと言いながら桂の見せた笑顔を見て思ったんだ。
えらく恥をさらした気もするし、路夏にさんざんからかわれたりもしたけど、
あんなに沈んでいた桂にあの笑顔を浮かべさせられたんなら、
それだけでこんな格好をした甲斐はあったって。

そんな僕の思いに応えるように、路夏が言う。
「わかってるって。勇気の気持ちは…」
「え?」
「桂さん…笑ってたもんね」
「ん…ああ…」
見ると路夏の顔はどこか悪戯っぽく、しかし優しく微笑んでいた。
その顔を見ると、からかわれたことも、気持ちを見透かされていることも気にならなかった。
ああ、今目の前で微笑んでいる女の子の子が僕の彼女なんだ。
それがとても嬉しく、そして誇らしかった。

だがその路夏の表情はすぐに陰った。
「でも、またあの教室に戻ったら桂さん、笑ってなんかられないだろうね…」
「ああ…」

そうだ。だからこそ、一刻も早く桂を苦しめている現状を何とかしてあげないと…。

486丁字屋:2010/07/23(金) 22:12:38 ID:QXYdnUxl

また短いですが、今回はここまでです。
次回は意外な展開が待っているかも?

487続あとがき(mark):2010/07/23(金) 23:03:54 ID:DB2xd4kD
言われてみれば、指摘どおり完全にイージーミス…
LじゃなくてRだった(汗)

以前感想出してた別の人も事言ってたけど、
やっぱしハード一辺倒だけでなく適度に緩急つけてるので、シリアスなんだけど
比較的読みやすいかと>丁字屋氏
そっちの路夏と勇気は道を誤らない事を願いたいものです。

>>477>>479
粉塵爆発の事件以外だと、放火は多分路夏の仕業だとわかるかと。
ただ遠山たちは黙して語らずでしょうね…
余計な事して「真相」が発覚されるのを嫌うでしょうから。

まあ参考にした元ネタの『魔王』自体突っ込み所満載ですが、
惹きつけるものがあったのは確かです。
見た事ある人には誰がどのキャラに当たるかわかるかと。

次の短編は平和路線なのでご心配なく(笑)。 
488丁字屋:2010/07/31(土) 20:34:13 ID:KX+SyjAO
「贄と成就」アフター
>>485からの続きいきます

いきなり○○シーンに突入?



489丁字屋:2010/07/31(土) 20:35:11 ID:KX+SyjAO

「でも、話してて思ったんだけど…
桂さんって本当に伊藤が好きなのね」
「ん、ああ…」
そう、桂の話を聞く中で、僕は…そしておそらくは路夏も、
恋人としても友人としても誠意があるとはとても思えない伊藤に対しての、
桂の揺らぎのない思いには、驚嘆さえ感じた。
そしてだからこそ僕は、伊藤に対しては強い怒りを感じていた。
きっと路夏も同じように怒りを感じているにちがいない。

だが路夏が次に口にしたのは…

「フフ、その伊藤が勇気とキスしてるって知ったら、桂さんどんな顔するかしら?」
「ぶっ!?」
な、何を言い出すかな!?路夏は?
「そしたら桂さん、勇気のこと、かわいいなんて言ってられないね」
「あ…あのね…」
「愛する男性の唇が、女の子ならまだしも男性に奪われていたなんて、
桂さん、そんなこと知ったらその辺に落ちてるバールか何かで勇気の頭をかち割っちゃうかもよ」
「あう…こ、こわいこと言うな!」

全く…そんなこと聞いたら、なんだか妙にリアルに、
女装した僕に桂がバールを振り下ろすビジョンが頭に浮かんだぞ。
これはまさか違う世界の僕の記憶?!
……なんて、まさかね。ははは…。
490丁字屋:2010/07/31(土) 20:35:46 ID:KX+SyjAO

「何よ勇気、本気にしちゃったの?冗談よ」
「あ…うん…」
つい、怖い気持ちになってしまった僕の様子に、路夏は
「本当に勇気ったらかわいいんだから」
そう言って微笑む。
「か、かわいいって言うな!」

僕はついむきになり、「
もう授業始まるし、着替える…」
と言いかけるが、路夏が正面から僕の顔をじっと見つめているのに気づき、言葉を止める。

「ろ、路夏?」
「勇気…本当にかわいい…」
その声も視線も、妙に艶を帯びているような気がして、
僕は路夏から目が反らせないままに息をのみ硬直してしまう。

と、不意に路夏が僕の唇に自分の唇を重ねた。
わずかな間のあと、唇を離した路夏は、再び僕をまっすぐ見つめてにっこり笑った。
「えへへ、勇気があんまりかわいいからキスしちゃった」
「あ…」

「ねえ、勇気はここで着替えちゃったら、もう女の子の格好はしないの?」
「そ…そりゃそうだよ」
当たり前だ。もうこんな格好なんかする必要はないんだから。
「もったいないなぁ」
「も…もったいないって言われても…」
「もったいないからもう一回キスしちゃお!」

路夏はそう言うと、さっきよりも勢いよく、僕の唇に自分の唇を重ねてきた。
だが、あまりに勢いよかったために…
あ、あ…
ドッスーン!!
という派手な音と共に僕らは重なって倒れた。
491丁字屋:2010/07/31(土) 20:36:19 ID:KX+SyjAO

僕の上に覆い被さるようになった路夏は、全くどいてくれる様子もなく、
やはりどこか艶っぽい眼差しで僕の顔をじっと見つめている。
「あの…路夏?」
「ん…何?」
「えっと、そろそろどいてほしいんだけど…」
「ふうん…どうして?」
「どうしてって……」
と、その時に午後の授業開始の鐘が鳴った。

「ほら、授業始まっちゃったし…」
「そっか。勇気は、私とこうしているよりも授業の方が大事なんだ?」
その拗ねたような甘えたような言い方が、なんとも可愛くて、
「そんなことない」
とつい僕は即答する。
路夏はその答えに満足したように微笑む。

「ふふっ、よかった。じゃあずっとこうしていよっ」
「い、いや…でもやっぱりずっとこのままってわけには…」
「うーん、そうよねえ。このまま何もしないってのも退屈よね」
「い、いや、退屈とかそういうことじゃなくて…」
しかし路夏はその僕の言葉をスルーして…
「じゃあエッチしよっか?」
「ええっ!?」

…とんでもないことを言い出した。

492丁字屋:2010/07/31(土) 20:36:55 ID:KX+SyjAO

「どうしたの?驚いたりして。
 あ、勇気は私とエッチするの嫌なんだ?」
と、路夏の声がまた拗ねたようになる。
「い、嫌じゃあないよ。嫌じゃあないけど…」
「けど…?」
「いくら何でも授業中に学校の図書館でってのは…。それに僕、こんな格好だし…」

そう、路夏とエッチすること自体はむしろ望むところだ。
だが、何もこんな時と場所と、そして僕自身の状況で…。
一体どんなプレイだよ?

だが路夏は
「ふふっ、こんな時と場所だからスリリングでいいじゃない?
それに私はそんな格好の…かわいい勇気とエッチしたいの」
と、相変わらず艶っぽい笑みを浮かべ、やる気満々な言葉を口にする。

「ちょ、ちょっと…なんか変だよ、路夏…」
「何よぉ、変なのは勇気でしょ。女の子の格好なんかして…」
「あうう…だから着替えるって…」
「だから着替えなくていいんだってば。私はかわいい女の子の勇気としたいの!」
「お…女の子って……」
「もう、勇気は私とエッチしたくないの?」
またもや拗ねたような甘えたような声を出す路夏の、魅惑的な誘いに、結局僕は抗いきれなかった。

「し…したい」
「素直でよろしい」
路夏はそう言ってにっこり笑うと手を僕のスカートの中に入れ、下着越しにお尻に触れてきた。
「うわっ、勇気ったら、下着まで女ものなんだ。本当に変態だね?」
「ち、違っ…。
 これは風でスカートがめくれたりした時に男ものだったらまずいから…!」
「ふうん…」

路夏は納得したのかしないのか曖昧な返事をすると、
今度は下着の中に手を入れて、じかにお尻をさわってきた。
「ふふっ、勇気のお尻、すべすべしてる。
 勇気がもしそんな格好で満員電車に乗ったら、
 すぐ痴漢さんに目をつけられて、こんなことされちゃうよ」
そう言いながら路夏は、僕のお尻を執拗に撫でたり揉んだりする。
493丁字屋:2010/07/31(土) 20:37:54 ID:KX+SyjAO

「あ…や…」
路夏の言葉と、さっきから上から抑えつけられてるような状態で、お尻をいじられていることで、
むずがゆいような気持ちいいような感触と、恥ずかしいような気持ちがない交ぜになって、
僕はなんだか本当に痴漢に悪戯される女の子みたいな気持ちになってくる。
…って、これはすごくまずい感情では?

すると路夏はそんな僕の気持ちを見透かしたように、
「ふふっ、勇気ったら自分が女の子みたいな気持ちになってきた?」
「そ、そんなこと…」
「そんなことない?」
「う…うん…」
「ふうん…」
路夏は曖昧にうなずくと、今度は僕のブラウスの胸のボタンを外す。

「ふふっ、勇気ったらブラジャーまでちゃんと着けて、やっぱり変態さんだ」
「だ、だって着けなかったら…」
「着けなかったら恥ずかしい?」
「は、恥ずかしいって言うか…」
そう、うちの学校の制服は、結構胸を強調するデザインなので、
ノーブラだったりしたら見るやつが見たらすぐわかってしまうし、
そんなことで変な目で見られることは避けたかったから…。

だが路夏は
「何が恥ずかしいのかしら!?」
と言うや、いきなり僕のブラジャーを剥ぎ取った。
そして胸がヒンヤリとした外気を感じ、自分の胸があらわになったことが実感されると、
何故か顔が熱くなり、ついきゅっと目をつぶってしまう。

「あれ?勇気ったら胸を見られて赤くなってるの?」
「え?」
そ、そんなこと…僕は男なんだからそんなことあるわけない。
「勇気ったら胸を見られて恥ずかしがるなんて、やっぱりもう心まで女の子なんだね?」
「ち…違う…」
「違うの?じゃあ何が恥ずかしいのかな?」
そう言いながら、路夏は今度は僕の胸にそっと触れてきた。
494丁字屋:2010/07/31(土) 20:38:37 ID:KX+SyjAO

「ふふっ、ぺったんこだ。
そっか、勇気は胸がちっちゃいことが恥ずかしいんだね?」
「そんなことない…。
 僕男なんだから胸がないのは当たり前……ひあっ!?」
路夏がいきなり僕の乳首を舐め、つい声を上げてしまう。
「あはっ。勇気の胸、ちっちゃいけど敏感なんだね?」
「い、今のは路夏がいきなり舐めるからびっくりしただけで……あ…あ…」
路夏は僕の言葉が聞こえないかのように、僕の乳首を左右交互に舐め、舌先で転がし、
軽く歯を立てたりする。
そうされていく内に、僕は痺れるような感覚に支配されていく。

「ふふっ、やっぱり感じてるんだ」
感じてる?そっか、この感覚って感じてるってことなのか?
胸で感じるなんて、勇気はやっぱり女の子なんだね?」
「そ、そんなこと…」
「でも…」
「ふぁっ!?」
路夏は再び僕のスカートの中に手を入れてきて、今度は下着越しに股間を撫でてきた。

「あれ?勇気ったら女の子なのにオチンチンがあるよ?変なのぉ」
「変じゃない。僕、男なんだから…」
「ふうん…こんなにかわいいのに、やっぱり勇気は男の子なんだ…」
「うん…」
495丁字屋:2010/07/31(土) 20:38:57 ID:KX+SyjAO

ふう、さっきから路夏が僕のことを女の子だなんて繰り返すせいで僕自身まで変な気持ちになりかけたけど、

やっと路夏もわかってくれたか……
…って言うか最初からわかってるだろ!?
と僕が心の中でツッコミを入れていると、再び路夏が口を開いた。

「まあ、でもよく言うもんね?」
「え?」

「こんなかわいい子が女の子のわけがないって…」

あうう…、もう路夏が何を言ってるのかさっぱりわからない……。

496丁字屋:2010/07/31(土) 20:46:03 ID:KX+SyjAO

今回はここまでです。

>>487
>そっちの路夏と勇気は道を誤らない事を願いたいものです。
何か別の意味で道を誤りそうですw

あとこれまでも速いペースの投下とはいえませんでしたが、
8月から仕事の都合上、更に投下ペースが落ちそうです(汗

497mark:2010/08/01(日) 19:36:55 ID:rLpLaBLc
短編コントを投下。(アニメ5話if) 一応泰介がメイン。
刹那が元ネタ知ってるのはご愛嬌(笑)。
クロイズキャラの救済も含めて。
498mark:2010/08/01(日) 19:37:45 ID:rLpLaBLc
BAD TOWN in SAKAKINO

泰介は自分の部屋でいつになく難しい顔をして分厚い本を読んでいた。

「ん〜。このマニュアルさえ読めば俺もモテモテになれると
思ったんだがなあ」
彼が読んでいたのは『恋愛必勝マニュアル』。
誠が全然役に立たないからと譲ってくれ、喜び勇んで読んだはいいが、
この本に書かれている事を幾つか試しても全く効果はなく、
少し気落ちしていた。

「いかんいかん。ここで諦めるから可愛い娘ちゃんが俺に
振り向いてくれないんだ」
努力の方向が間違ってる事など、一向に気付く気配のない
哀れなるロンリーチェリー、澤永泰介、16歳。

「せっかく誠たちが今度プールに誘ってくれたんだ、
なんとかして挽回せにゃあかんぜよ!」
鼻息荒く決心し、居間に降りる。

「お、姉ちゃん帰ってたのか。ん?何見てるんだよ」
「ああこれ?友達から借りたDVDよ。あんたも見る?」
「俺は今そういう場合じゃないの」
「かたい事言わない。あんた仮にも映研の同好会でしょ?
少しくらい見なって」
そういや、そんな同好会に在籍してたっけ……
だーれも顔出さない幽霊だけど。

結局断りきれず姉の美紀と一緒に、DVDを見る羽目になった。
内容は30年ほど前にやっていた派手なスーツを着た探偵物のドラマだ。
初めは古臭く感じそれほど興味を持てなかったが、段々とあるキャラクターに惹かれていた。
(お、なんだよこれ…… すげぇカッコいいじゃねえか……
飄々として、それでいて男の生き様をビンビンに感じるぜ……)

「…ん?そうか!この手があった!」
499mark:2010/08/01(日) 19:38:44 ID:rLpLaBLc
プール当日

(むっふふふー。俺に足りなかったのは、ハードボイルドさだぜ。
そうなんだよなー。考えてみりゃ今まで俺は、軟弱で軽すぎたんだ。
もっとこう、背中で男を語るような渋さが足りなかったんだよ)
どこから調達したのか、泰介は黒のタイトスーツにサングラス、ソフト帽、派手なカラーシャツ、ネクタイと
完全にドラマの主人公になりきったつもりでいた。

(まずは第一印象が肝心だぜ。9割は見た目で決まるというからな。
西園寺たちも少しは俺の事を見直してくれるだろう)
ここでポイントを稼げれば、高嶺の花である言葉やクラスの人気者である世界は
厳しくても、噂が広まって他の女子たちが注目してくれるに違いない。

(そうすれば、俺もオトナの階段のォ〜ぼるゥ〜♪
待ってろよ、まだ見ぬ俺のハニー達)
そんな都合の良い妄想たくましく、泰介はその時を待つ。

泰介がアクアスクエア前で誠達が来るのを待っていた頃、
遠山と松平はパチンコで大勝し、ほくほく気分でその近くを散歩していた。
「今日は随分稼げたぜ。あそこの台は結構狙い目だったな」
「ああ。朝から遠征した甲斐あったなあ。次もあの店行こうぜ」
「ん?おい見てみろよ。あれ澤永じゃねえか?」
「あ、そういやそうだな。なにやってんだあいつ?」
「仮装大会にでも出るのか?それにしても…はははは」

腹がよじれそうになるのをこらえながら笑う遠山たち。
そして、彼らは何かを思いついたような顔つきになった。
「ちょっとからかってやろうぜ。…ピ、ポ、パと」
500mark:2010/08/01(日) 19:40:07 ID:rLpLaBLc
同じ頃、誠、言葉、世界、刹那、光の5人がアクアスクエアに向かって歩いていた。

「澤永のやつ、先に行って待ってるって張り切ってたけど」
「はあー。まったく下心見えすぎなのよあいつ」
「誘ってくれって頼んだのは黒田だろ?なんで溜息つくんだよ」
光の微妙な女心など超絶ニブチンな誠にわかるはずもない。

「あれ…澤永さんじゃないですか?」
「あ、本当だ。なんであんな格好してんのかしら?」
(……なんとなく、想像はつく。ついでにあれは、偉大な俳優を冒涜してる)
「どうする?このまま行くの?」

「……他人のふりが賢明」
「そうだね。あいつと同類に思われるのは……ねえ?」
「西園寺さんと同じ意見です。失礼ですが、私もあの格好はちょっと……」

刹那のツッコミに、このまま泰介の所へ行くか決めあぐねていた世界や言葉も
同調し、彼を見捨てる事にした。彼に好意をもつ光は反対するのかと思いきや……
「予定変更してどっか別のとこ行こ」
女心と秋の空。
そして誠もこのガールズ達の流れに逆らう気など微塵もなく、一行は
泰介を置き去りにして去っていった。


「楽しかったね勇気。また一緒にプール行きたいな」
「うん。そうだね(姉ちゃんも粋な事してくれると思ったけど、
チケット代僕の小遣いから勝手に前借りしやがって……
でも、路夏が喜んでくれたからよかったかな)」
「あれ、あそこ何騒いでるのかな?」
「ん… ゲッ、何やってんだよあのバカは」

「だから、俺は怪しい者じゃないんだってばあ〜!」
「はいはいわかったから。話は交番で聞かせてもらうよ」
勇気と路夏が見たのは、不審者がアクアスクエアの入口付近にいるとの通報を受けて
ずるずると警官にひきずられる泰介だった。

(おしまい)
501500:2010/08/01(日) 19:43:52 ID:rLpLaBLc
ハードな話の息抜きになったでしょうか?今度は乙女・可憐姉妹話を投下するつもり。
長編のような殺伐さは一切ないので。

ある意味本編で見たかったシチュエーション(笑)。
路夏は結構積極的なのね>丁字屋氏
502名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 02:47:08 ID:WuOcap8v
規制解除キタ、ずっと感想書けなかったけど
路夏の復讐劇も贄と成就アフターも楽しみに読んでます。

いつかは自分もあんな話を書けるようになりたいです。
それと短編を投下します。
503名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 02:48:40 ID:WuOcap8v
ここはピュアバーガー、榊野学園の近くにあり多くの学生から愛用されているファーストフード店である
今そこに、二人の男子生徒の姿があった、田中と足利、身長は大きく離れてはいるが、
こう見えても同級生で中学時代からの仲である。
今日は勇気から相談があるといって田中を誘ったのである。

「悪いな、突然相談なんか乗ってもらっちゃってな」
「ん」(心配すんなって、どうせ暇だったし)
「じゃあ早速だけど、バスケ部で2組の喜連川路夏って娘知ってるか?」
「ん」(喜連川……、悪い、知らないな、どんな娘?)
「なんだ、知ってるのか、なら話が早い、実はさちょっと路夏の事気になっててさ」
「ん」(足利が誰かと付き合おうとしているのは、黒田から聞いてるけど)
「なんだよ、背が低い事は関係ないだろ」
「ん」(人の話聞いてるのか?)
「そういうこと、それで路夏に告白をしたいんだけど、この前にちょっと怒らせちゃって
どうしたらいいかってさ、謝っても聞く耳持ってないし」
「ん」(そりゃ、相手に納得してもらうまで、何度も謝り続けるしか、ないんじゃないのか?
もしくはプレゼントか何かを用意するとかどうだ)
「おいおい、なんだよひと気の無いところで襲い掛かって既成事実を作るって、
そんな事できるわけないだろ!」
「んんっ」(誰もそんなこと言ってねーよ)
「そりゃ確かに格闘技やってたからそれだけの技術はあるけど」
「んん」(格闘技の技術をそんなことに使うなーー)
「あとは僕のテク次第で路夏はまたコッチに振り向くか、さすが田中だな
そんな方法思いつかなかったよ」
「ん」(ああ、俺も足利がそんなこと言い出すとは思っても見なかったよ)
「そんなこと言われると照れるなぁ」
「ん」(照れんな!!)
「だな田中の言う通り善は急げって言うし、そうと決まれば早速路夏のよく通る
ひと気のない所をリサーチしないと、じゃあ僕は先に帰るや」
「ん」(ちょっと待て、そんなんでうまくいくわけ無いだろ)
「おごってくれるのか、さすが田中、太っ腹!」
「んんん」(人の言う事を聞けーーー!)

そういって勇気は田中を残してピュアバーガーを去っていった、
もちろん料金も払わずに、一人取り残された田中は追いかけられず
ただ、立ち尽くすしかなかった、そして田中にはある確証が生まれた。
足利のこの恋はどう頑張っても実らないということを……


おしまい
504丁字屋:2010/08/14(土) 19:30:52 ID:vU1Qjdsn
「贄と成就」アフター
>>495からの続きいきます
505丁字屋:2010/08/14(土) 19:31:53 ID:vU1Qjdsn

そんなこんなで、僕は今、路夏の胸で性器を挟み込むようにして擦られている。
俗に言うパイズリというヤツである。

学園祭以来路夏とはまだ三度目のエッチだが、パイズリされるのは初めてだった。
しかし小さめな身体に反してかなりボリュームのある路夏の胸での刺激は…
「どお勇気、気持ちいい?」
「う、うん…」
そう、すごく気持ちよかった。

「ふふっ、よかった。
でもうらやましいんじゃない?」
「え?うらやましいって何が…?」
だってぺったんこな勇気の胸じゃこんなことできないでしょ?」
う、またその話題か…。
僕は反論しようかとも思ったが、また会話が一方通行になりそうなのでやめておく。

それにそんなことよりも
「路、路夏…もう…」
そう、路夏の胸が与えてくれる快感に、僕の股間はもう限界だった。
それでも路夏は、休むことなく僕のイチモツを挟み込んだ胸を動かし続けて……

「うっ…」
「きゃっ!?」
その瞬間、僕自身から放たれた精子が路夏の顔にかかる。

一瞬ぽかんとしていた路夏は、頬についた白濁液を指で拭うとそれを舐めながら
「もう、勇気ったら、自分だけ気持ちよくなんてずるいよ」
そう拗ねたように言った。

「ご、ごめん…」
「ふふっ、でも勇気のはまだまだ元気だね」
路夏の言う通り、僕のイチモツはまだ固くなったままだった。

「じゃ、今度は私も気持ちよくしてね」
路夏はそう言うと下着を下ろし、自分の秘所を僕のイチモツにあてがうと、一気に腰を落としてくる。

そして、新たな快楽が僕と路夏を同時に貫いた。

506丁字屋:2010/08/14(土) 19:32:36 ID:vU1Qjdsn





午後の授業の終了まであと30分となった。

僕と路夏はすでに行為を終え、
授業をさぼっての校内でという背徳的かつ、一方が女装というややアブないエッチの余韻に浸っていた。
ちなみに僕はようやく着替えを済ませ、ノーマルな男子の服装に戻っている。

さて、もう今更授業に出ても仕方ないので、
僕と路夏は改めて桂の語ってくれたことを整理することにする。

507丁字屋:2010/08/14(土) 19:33:05 ID:vU1Qjdsn

まず澤永についてだが…

「勇気は桂さんはなんで澤永と付き合ってたと思う?」
「いや、さっぱりわからない」
そう、桂の話からわかったことは、桂自身澤永と付き合いたくて付き合っていたわけではないらしく、
桂はむしろつらいと思っていたらしいこと・・・。
ただ、それなら桂が何故澤永と付き合っていたかについては、
桂はそのことに触れられることをひどく恐れているようだった。

「ねえ勇気、例えば澤永が桂さんを脅して無理やり付き合ってってことはないかな?」
「いや、それは…」
たしかに、澤永は年中彼女が欲しいと騒いでるようなヤツだし、
はた迷惑ではっきり言ってバカだけど、根は悪いヤツではない。
いくら彼女を作るためでも女の子を脅すなんてさすがに考えがたい。
僕はそれをはっきり路夏に言う。

「そっか。うーん…。
 でも、例えば澤永が、桂さんが自分に気があるって勘違いして強引に迫って、
 伊藤のことで傷ついてて気弱になってた桂さんが、
 断りきれずに付き合う羽目になったとかならありそうじゃない?」
「ま、まあそれくらいならありそうかな…」
「あるわよ。
 だいたい澤永って人の気持ちとか全然わからないし、
 それだけじゃなくて、人の気持ちを勝手に決めつけたりするじゃない。
 最初に私が勇気と黒田さんが付き合ってると勘違いしたのだって
 もともとあはいつのせいなんだから」
「う、うん、そうだな」

「そうじゃなかったら、二人が付き合いはじめてから、
 澤永が桂さんに何か嫌なことをしてひどく傷つけたとか…」
「ん?」
「たしかに、澤永って勇気の言う通り悪い人間じゃないかも知れないけど、
 それでも自覚なしに相手を怒らせたり、傷つけるタイプだとは思うのよね」
「あ・・・うん、それはあるかもな…」

路夏は僕と付き合うようになって、僕と澤永が話している時に側にいることもあるし、
今のはそうした経験からの路夏なりの分析なのだろうし、かなり的確だと思う。
「ただ、桂自身がそのことについてはあまり踏み込まれたくない様子だったし、あ
 まり詮索しない方がいいかもな…」
「ん…そうね…」

508丁字屋:2010/08/14(土) 19:33:34 ID:vU1Qjdsn

そして次に伊藤のことについてだけど…

「本当に勇気の言った通りだったんだ…」
路夏は開口一番そう言った。

「伊藤のやつ、桂さんと付き合いながら、影で西園寺さんと関係を持って……」
「ああ…。それに今じゃ露骨に避けて、着信拒否までしてる」
「伊藤って、そんなヤツには思えなかったんだけどな…」
「路夏?」
「学祭の時に私が勇気にやきもき妬かせるために一緒に回ってって頼んだ時にも、
 嫌な顔一つしなかったし………でも、そうやって女の子みんなにいい顔しながら、
 一方で桂さんを裏切って傷つけてたんだ…」
「ああ、許せないやつだよ」

「だったら勇気、今度こそ前歯全部折っちゃう?」
学祭の頃以来に伊藤への怒りが再燃しかけてきた僕に、
路夏はそうイタズラっぽく問いかけ、僕は苦笑いで答える。
「……いや、やめとくよ」
「ふうん。やっぱりキスしたから情が移ったのかな?」
うわあ、またその話に行くんですか?

「ち、違うよ。
伊藤の前歯を折って桂が助かるならそうするけど、今は桂のことが先決だろ?」
「そっか。そうよね。
 じゃあ伊藤の前歯折っちゃうのは、桂さんのことが一段落ついてからだ」
「ろ、路夏はそんなに僕に伊藤の前歯を折って欲しいの?」
「安心して。勇気が傷害で刑務所に入っても、私は新しい彼氏を作って幸せにやってるから」
「あうう、ちっとも安心できないよ」
「あははっ。
 ……でも、伊藤のことはともかく、私、伊藤よりもむしろ西園寺さんの方が許せない…」

509丁字屋:2010/08/14(土) 19:34:02 ID:vU1Qjdsn

そう、最後は西園寺についてだ。

西園寺は桂に友達になろうと自分から近づき伊藤を紹介して、
二人が付き合うようになってからはその仲を応援するなんて言っておいて、
だが裏では桂の知らないところで伊藤と関係を持ち、
更にそれが発覚すると、今度は開き直ったように桂を遠ざけるようになった。
僕は学祭の頃、西園寺のことを、
桂の彼氏である伊藤を寝取って平気な顔をしているひどい女だと思っていたが、
僕が思っていたより遥かに非道い。

西園寺のしたのはもはや悪質な友人への裏切りであり、そして略奪だ。
路夏も同じように思っているのだろう。
だからこそ、伊藤より西園寺を許せないと言ったのだ。

その路夏がー
「でも、本当は私、西園寺さんって前から何となく嫌な感じがしてた」
「え?路夏は西園寺を知ってたのか?」
「うん。学祭の時に…」
「そっか。伊藤と一緒にいたんだから、西園寺とも顔を合わすよな」
「ううん。伊藤と別行動してる時に話したんだけど、私に対してずっとつんけんしてたのよね。
 伊藤は私と一緒に学祭回ることを、西園寺さんも納得してるって言ってたけど、
 私にそういう態度取ってたってことは、結局伊藤を信じてなかったってことでしょ?」
「あ…うん…」
まあ、あの頃は路夏もなかなか僕を信じてくれなくて苦労したものだが、それは黙っておくことにする。

510丁字屋:2010/08/14(土) 19:34:43 ID:vU1Qjdsn

「それと…」
「え?」
「あの時の3組では、伊藤と西園寺さんってずいぶん以前からの公認カップルって雰囲気だった。
 そう、周りが話している感じだと、二学期が始まってほとんどすぐ付き合ってたような…」
「え? だってそれじゃあ桂と伊藤が付き合い始めた頃から…
 いや、下手すりゃ付き合い始める前から西園寺は伊藤と付き合ってたってことに……まさか!?」
「そう、まさか…よね…。いくら何でも…」
そうだ。いくら何でもそれじゃあ…西園寺と伊藤は、最初から桂の気持ちを持て遊んでいたことになるじゃないか…。

もしそうだったとしたら、西園寺は桂に友達になろうなんて近づいた時から既に、
実は意図的に桂を傷つけようと、明確な悪意を持っていたことになる。
いくら何でもそんな…。
だが…。

そう、僕は思いだす…。
学祭の直前に、西園寺が自分の身体を餌にするようにして、
伊藤に無理矢理桂のことを嫌いだと言わせながらエッチしていたことを…。
それはまさに西園寺が示していた桂への悪意ではなかったか?

と、その時路夏が
「どうしたの?勇気、怖い顔して」
と訊いてきた。
僕は、さっき思い出していた西園寺の言動を路夏に話す。

511丁字屋:2010/08/14(土) 19:35:39 ID:vU1Qjdsn

路夏は、僕の言葉を聞き終えると、表情を強張らせながら
「信じられない…」
そう呟いた。

「ああ。信じられないかも知れないけど、でも本当なんだ。
西園寺は伊藤に抱かれながら本当にそうやって…」

「信じられない!
 勇気ってば伊藤と西園寺さんのエッチを覗いてたの?」
「え?」

「勇気って…他人のエッチを覗き見る変態覗き魔だったんだ!?」


……あれぇ?

僕、また何か地雷踏んだ!?


512丁字屋
今回はここまでです。

長い前振りだった割にエッチの本番はアッサリ終了であしからず(汗