ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。
○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの
お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。
主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。
■関連サイト
キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/ ■前スレ
キモ姉&キモウト小説を書こう!part27
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1264168160/ ■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
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・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
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・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
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・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
>>1 乙
>>前スレの588
GJ
姉の思いがいつか届きますように。
前スレピッタリ収まったな。
>>1 乙です
>前スレ558
なんというか「ザ・キモ姉」ですな。
7 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 16:20:02 ID:ezOxYQMu
SSの容量わかってるんなら次スレ立てて誘導してから投下しろクズ
そして時は世紀末
アタタタタ
兄の死環白を突く妹
そこを姉が連れ出すけれど最終的に幼馴染が兄をゲットする
その幼馴染が実の姉だった
親父が種馬なんですね
わかります
「身近な女性こそ至高」と弟に洗脳教育を施して自分に惚れさせようとした結果
弟は幼馴染み好きに育ってしまったキモ姉
そこで鏡に映った自分の女装姿に恋をした
ある日、死兆星を見てしまった弟
なにこの流れ、気持ち悪い……
なにこの鏡、気持ち悪い……
三つの鎖 17 後編です。
※以下注意
エロなし
血のつながらない自称姉あり
投下します
放課後、僕は吊るしてない方の手に鞄を持ち席を立った。
「幸一君。よかったら家まで鞄を持つよ」
春子が声をかけてくるのを僕は無言で首を振った。寂しそうな顔をする春子。
「幸一。夏美ちゃんが来とるで」
耕平が僕に声をかけた。教室の出口を見ると、夏美ちゃんが扉の端からひょこっと顔だけ出してこっちを見ている。ばればれだよ。
「ありがとう。行くよ」
「ほなさいなら」
「またね」
手をひらひらさせる耕平と考えによっては不吉極まりない挨拶をする春子に背を向けて僕は夏美ちゃんに近づいた。
「夏美ちゃん。どうしたの」
今日は何も約束をしていない。
「お兄さん。お願いがあります」
僕たちは廊下を歩きながら話した。
「明日にお父さんとお母さんが来るじゃないですか」
そう。明日、夏美ちゃんの家族と僕とで夕食を食べる。
「そのですね、二人に料理を作りたいのです。でも私はカレーしか作れません」
「カレー以外のお弁当はどうしていたの」
「オール冷凍です」
なにそのオール家電みたいな言い方。僕は心の中だけでつっこんだ。
「ですから何かお料理を教えてほしいのです」
明日は洋子さんと雄太さんの要望ですき焼きにしようと決まっている。
「すき焼きの他に何か足すのは難しいと思うよ」
「お酒のおつまみになるのでいいです」
お酒のおつまみか。うーん。
靴箱で履き替えて歩きながら僕らは話した。
「お刺身とかはどうかな?切るだけでできるよ」
「それどうなのでしょう。手作りって感じがしないです」
「じゃあローストビーフは?」
「難しそうです」
「いや、スーパーで買ってきてお皿に並べると簡単だよ」
「お兄さん!」
ぷりぷりと怒る夏美ちゃん。ちょっと可愛いかも。
「ごめんごめん。でもそうだね。できるだけ簡単でお酒のおつまみになる料理、か」
「明日牛肉はありますから、お魚か鳥とかどうですか」
「お肉ばかりだね」
脳裏に鳥の照り焼きが浮かぶ。僕が最初に覚えた料理。
「鳥の照り焼きなんてどうかな。それほど難しくもないよ」
「いいですね。それにしましょう」
乗り気な夏美ちゃん。
「でもお肉ばかりでいいのかな。もっと軽いサラダとかのほうがいい気がするけど」
「大丈夫です。お父さんもお母さんもお肉は大好きです。特にお父さんはお肉フリークです。焼き肉に行くといつも家族でお肉の奪い合いになります。いつもは温厚なお父さんもお肉が絡むと人が変わります」
夏美ちゃんと雄太さんと洋子さんの三人がお肉を奪い合う姿が脳裏に浮かぶ。
思わず笑ってしまった。
雄太さんほど大柄な人だとお肉を食べる量も相当なのかもしれない。
「分かったよ。明日はすき焼きと鳥の照り焼きでいこう」
「お願いします」
夏美ちゃんは僕の鞄を持った。両手に鞄を持ち僕の先を歩く夏美ちゃん。その小さな背中が浮かれているのが嬉しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夏美ちゃんの作った鳥の照り焼きはまあまあおいしかった。
一応自炊しているだけあって包丁の扱いは手慣れている。本人いわく「包丁よりもピーラーを持つ事の方が多い」らしいけど。
味見してサムズアップすると、夏美ちゃんも笑顔でサムズアップを返してくれた。
「残りはどうするの」
「今日の晩ご飯のおかずにします。明日また作ります」
作った鳥の照り焼きをお皿に移しラッピングする夏美ちゃん。
昔の光景が脳裏に浮かぶ。キッチンで僕に包丁の持ち方から教えてくれた春子。その料理を無言で食べる梓。
「あの、お兄さん」
夏美ちゃんが心配そうに僕を見ている。
「梓の事、ですよね」
正確には違う。
夏美ちゃんは調理に使った道具を洗いながらぽつぽつ話した。
今日は梓に話しかけても何も言ってくれなかったらしい。放課後もすぐに出て行って話しかけても睨まれるだけだったと。
夏美ちゃんの話を聞きながら僕は自問した。
梓が夏美ちゃんを階段から突き落とした事を伝えるか否か。
「あの、お兄さん」
夏美ちゃんが心配そうに僕を見た。
「その腕とほっぺたは」
それ以上何もいわない夏美ちゃん。それでも続く言葉は分かっていた。
梓に噛み千切られた頬と外された肩に鈍い痛みが走る。唇に感触が蘇る。吐き気を催すおぞましい記憶。恐怖と嫌悪に背筋が寒くなる。
「お兄さん!」
夏美ちゃんの声が遠い。
僕は深呼吸した。熱い息を吐き出す。頭が霞みかかった感覚。
「お兄さん。顔色が真っ青です」
僕の吊るしていない手を握る夏美ちゃん。小さな手から夏美ちゃんの体温が伝わる。ささやかなのに心強い温度。
「歩けますか」
大丈夫と言おうとして失敗した。自分でも思っている以上に消耗している。
「横になった方がいいです」
夏美ちゃんは僕の手を引っ張り歩き出した。僕は夏美ちゃんの手に引かれるままに歩いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「お兄さん。大丈夫ですか」
夏美ちゃんがコップを片手に言った。心配そうに僕を見る。
あの後、僕は夏美ちゃんのベッドに横になっていた。
「ありがとう。もう大丈夫だよ」
僕は体を起こした。少し横になっただけだけど、気分は楽になった。
夏美ちゃんからコップを受け取り口にした。アイスティー。梓の好きな飲み物。
僕は深呼吸した。不思議と気持ちが落ち着く。
「何でだろう」
「え?」
不思議そうに夏美ちゃんは僕を見た。
「自分でもよく分からないけど、気持ちが落ち着く」
「きっとあれです」
夏美ちゃんは片目を閉じて人差し指を立てた。
「そのベッドには私の匂いが染みついているからです」
空気が固体と化すような感覚。あまりに恥ずかしいというか痛いというかいたたまれない発言に動けない。どう反応すればいいのだろう。
夏美ちゃんは笑っている。素敵な笑顔。いや、空気に合っていない笑顔。
「夏美ちゃん。その発言痛すぎるよ。雄太さんより恥ずかしい事を言っているよ」
お昼の仕返し。夏美ちゃんはショックを受けたように固まった。
「お兄さんひどいですよ!お父さんなんかと一緒にしないでください!」
その言葉を雄太さんが耳にしたら泣くよ。
夏美ちゃんは顔を真っ赤にして僕に抱きついた。僕の腰に細い腕が回される。
僕の胸に顔をうずめて夏美ちゃんは呟いた。
「おしおきです。このままでいてください」
夏美ちゃんの柔らかい体。温かい体温が伝わる。
頭に血が上るのが分かる。
「でもよかったです。お兄さんが元気になってくれて」
夏美ちゃんは僕を見上げた。真っ赤な顔。恥ずかしそうにうつむく。
僕は固定していない腕を夏美ちゃんの背中に回した。あの時、僕に勇気をくれた小さな背中。僕を守ってくれた後ろ姿が脳裏によみがえる。
「お兄さん。あの」
夏美ちゃんが僕を見上げた。少し落ち込んだ表情。
梓の事。
「今は梓とあまり話さない方がいい」
今話しても話は平行線なだけ。それどころか梓を余計に刺激するだけになる。
最悪の場合、再び梓が夏美ちゃんを傷つけるかもしれない。
僕の背中にまわされる夏美ちゃんの腕に力がこもる。
「でも、何かしないと始まらないです」
夏美ちゃんは僕を見上げた。夏美ちゃんの小さな手が僕の頬に触れる。梓が傷つけた頬。ガーゼにそっと触れる。
「それにお兄さんが傷つくのも、梓がお兄さんを傷つけるのも見たくないです」
僕の頬に添えられた夏美ちゃんの小さな手が微かに震える。
夏美ちゃんの目尻に涙がたまる。
「僕はもう大丈夫。夏美ちゃんが勇気をくれたから」
あの時、手を広げて梓から庇ってくれた夏美ちゃん。小さな背中が何よりも頼もしくて嬉しかった。
もう逃げない。
涙をぽろぽろ落とす夏美ちゃん。悲しそうに僕を見上げる。
「やっぱり私のせいですよね」
落ちる涙が僕と夏美ちゃんを濡らす。
「違う」
僕は否定した。もし僕と夏美ちゃんの関係がなくても、いつかは破綻していた。歪な関係は長くは続かない。
夏美ちゃんの頬に涙がとめどなく伝わる。
「お兄さん。別れましょう」
言葉の意味を理解するのに少し時間がかかった。恐怖に鳥肌が立つ。
まさか。夏美ちゃんは知っているのか。
僕と春子の事を。
「これ以上お兄さんが傷つくのを見たくありません。梓がお兄さんを傷つけるのも見たくないです」
夏美ちゃんはうつむいて僕の胸に額をつけた。
「今は私と一緒にいない方がいいです。梓との関係の修復に専念した方がいいです」
僕の背中に夏美ちゃんの腕が回される。
別れるという言葉とは裏腹に、離さないというかのように抱きついてくる。
「お兄さんと梓の関係が良くなって、その時お兄さんがまだ私の事を好きって思ってくださるのなら」
背中に回される腕に力がこもる。ささやかな力。それでも僕はこの腕を振り払う事は出来ない。
「私は嬉しいです。きっと嬉しくて泣いちゃいます」
夏美ちゃんは顔を上げた。涙でぐちゃぐちゃの顔で精いっぱいの笑顔を向けてくる。
私は大丈夫だと言うように。
「嫌だ」
僕は夏美ちゃんを片手で抱きしめた。吊るした腕がもどかしい。
夏美ちゃんを離したくない。傍にいたい。いて欲しい。
「別れたくない。好きだ。夏美ちゃんが好きだ」
「私もです。お兄さんが好きです。傍にいたいです。傍にいて欲しいです。でも、そのせいでお兄さんが傷つくのは嫌です」
夏美ちゃんは僕の胸に顔をうずめて震えた。
「私何もできません。お兄さんを守ることもできませんし、お兄さんの怪我の治療もできませんし、料理はカレーしかできません。本当に足手まといです。それなのに独占欲は一人前です。お兄さんを一人占めにしたいです」
僕の背中にまわされた夏美ちゃんの腕に力がこもる。
「最初はそれでもいいと思っていました。付き合っていく中でお兄さんにつり合える女になれたらいいと思っていました。でも、そんな時間は無いです」
夏美ちゃんは腕をほどいた。一歩下がって僕を見上げる。
「私がお兄さんを守る方法は別れるしかないです」
違う。違うんだ。
全部僕の力不足だ。梓の事も春子の事も。僕がふがいないから、梓を説得できず、春子には脅迫される。
夏美ちゃんは悪くない。
僕は心の中で絶叫した。何もかもぶちまけたかった。自分の身に起きている事を全て打ち明けてしまいたかった。
「今すぐにとは言いません。明日はお父さんとお母さんも来ますし」
夏美ちゃんはにっこりと笑った。私は大丈夫と主張するように。
「でも、梓がお兄さんを傷つけるばかりなら」
僕を見つめる夏美ちゃんの瞳。強い意志を感じさせる綺麗な瞳。
「私、お兄さんをふっちゃいます」
夏美ちゃんははっきりと言った。声は微塵も震えていなかった。
胸に強烈な罪悪感と羞恥心がわきあがる。
非力なのは夏美ちゃんではなくて僕だ。春子に脅迫されるままに従い、梓には一方的に怪我をさせられて、夏美ちゃんに害が及ぶかもしれないのに夏美ちゃんの傍を離れられない。
夏美ちゃんは違う。僕と別れてでも僕を守ろうとしている。
僕は守っていない。守られているだけ。
「今日はもう帰ってください」
うつむいて夏美ちゃんはそう言った。
僕はかける言葉が無かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夏美ちゃんは鞄を持って玄関まで見送ってくれた。
マンションの夏美ちゃんの部屋のドアの外で夏美ちゃんは僕を見上げた。
「お兄さん」
鞄を渡しながら夏美ちゃんは僕を見た。
「明日の事を梓は知っていますか」
僕は何も言えなかった。まだ伝えていない。
色々あったのもある。それでも結局は伝える事が出来なかった。
夏美ちゃんが別れると言うのも仕方がないほど情けなさ。
「伝えると梓が、その、暴れそうだったら、明日は来なくていいです」
そう言って夏美ちゃんはそっぽを向いた。
「私がちゃんとお料理してお父さんとお母さんに御馳走します」
「行くよ」
僕は夏美ちゃんの頬に触れた。夏美ちゃんは無言で僕を見た。
「鳥の照り焼きだけだと物足りないよ」
「すき焼きもします。おいしいお肉をたくさん食べます」
「鍋奉行がいないとだめなんでしょ」
「…失敗した時はカレーにします」
脳裏にカレーを食べる夏美ちゃんと洋子さんと雄太さんの姿が脳裏に浮かぶ。
あまりにリアル過ぎて笑えなかった。
「心配してくれてありがとう。だけど、夏美ちゃんの傍にいたい。僕は夏美ちゃんの事を好きだから」
夏美ちゃんの頬が微かに赤くなる。
「だから」
それ以上の言葉は紡げなかった。
夏美ちゃんの唇が僕の唇をふさいだ。温かくて柔らかい感触。
唇を離した夏美ちゃんはうつむいた。どんな表情をしているのかよく分からない。
「それ以上恥ずかしい事言わないでください。頭が爆発しちゃいそうです」
夏美ちゃんは消え入るような声で言った。
「無茶だけはしないでください」
そう言って夏美ちゃんはドアを閉めた。
僕は立ち尽くした。
唇をなぞる。夏美ちゃんの唇の感触と温もりが残っていた。
嗚呼、幸一死亡フラグも夏美死亡フラグも見えてきちゃってるよー
投下GJです
GJ!カレーバカにしすぎw
あの女の匂い(カレー臭)がする……!
夏美ちゃんが健気過ぎだろ
GJ
確かに健気だ
だが、妹という存在に勝る者があろうか
姉に勝る存在は無い
「ならば姉にして妹たる双子が最強!」
と、雷鳴に吠える少女がいた…
そんなコンマ数秒の誤差も無く同時に産まれる事など…
キモウトやキモ姉と向き合うって死亡フラグだよな
幸一死亡のお知らせ
死亡フラグを乗り越えたらきっとそこにはハーレムが
寝てる間にキモウトの足指舐めて逆襲したい
前門の梓、肛門の春子か……
どっちに行っても幸一を待ち受けているのは修羅場だなぁ
前門…梓(Sっ気全開でぶっかけたり飲ませたり)
中門…夏美(普通にらぶらぶH)
後門…春子(鬼畜アナルファック)
全部の門カバー完了
S…サド
M…マゾ
L…LOVE
も全て揃ったな……
「巴ちゃん・・そこに座りなさい。大事なお話があるんです」
キモ姉の分類に入るであろう僕の某姉は畳の部屋で正座をしながら、静かに殺気を帯びていた。
尋常ではない空気に僕は大人しく姉の言う事に従う。
「巴ちゃん。これなにかな?」
姉が勢い良くテーブルに叩き付けたのは・・僕の秘蔵のエロ本であった。
「くらいやがれですぅ」
「姉よ・・人のプライバシーの侵害はさすがに酷いと思うぞ」
「いいえ・・他の女の子の裸を見て興奮しているなんて・・。年頃の男の子とはいえ、これでは私の大切な巴ちゃんが将来は強姦魔になるかもしれないわ」
「30%なるわけないでしょ。何を考えているのよ姉」
「お姉ちゃん以外の女の子以外で欲情するのは不潔なのよ。だから、今からお姉ちゃんが脱いであげるから・・巴ちゃんはデジタルカメラを持ってきて。今日からその写真をおかずにして抜いてくださいね」
「うん。全力でお断りするよ」
「がびょん・・・・」
「普段から見慣れている家族とか妹か姉の姿に萌える人間はリアルだろうが二次元だろうが当事者の僕には興奮しません。リアルでも萌えませんから!!」
「お姉ちゃんの裸で萌えられないからって・・幼馴染や妹モノや巨乳特集のエロ本ばかり集めていたのはそんな理由だったの?」
「肯定だ」
「ひ、酷いよ。巴ちゃん・・お姉ちゃんはどれだけ貴方の事を想っているのか知っているの? 実の両親を事故を装って生命保険目的で殺したり、
巴ちゃんに近付いてくる女の子の顔に一生に残る傷を付けたり、いろいろと大変だったんだから」
「何かとんでもない事を言っているみたいだけど華麗にスルーさせて頂きます」
ブラコンである姉が裏で腹黒いことを熱心に工作していたことを知っていたが、実の両親まで殺すか? 普通?
「女の子の興味あるけど、お姉ちゃんに興味がない=私と巴ちゃんのラブラブな生活の破綻の危機よ・・。これは何とかして対処しなければなりません」
「姉よ・・。自分の愛液をご飯の中に入れたり、俺の部屋に差し入れのコーヒを持ってゆくような真似だけは簡便な」
「ええっっ・・どうして知っているんですか?」
「姉の味がした」
「えへへへっっ・・。お姉ちゃんの愛液の味まで判別できるなんて凄いよ。これも日頃のお姉ちゃんが女の子の事をよく教えた成果だよね。もう、嬉しいよ」
単純に愛液を入れるところを目撃して背筋に悪寒が走っていたと姉の蔓延なる笑顔を見ていると真実を告げるのは酷である。
「で、姉よ愛液のことは目を瞑っていいからエロ本を返して」
「あははっはは・・これは処分させてもらいますね。巴ちゃんにはお姉ちゃん以外の女の子の裸を見た罰を受けることになるわ」
「まさか、姉よ・・。あれをやるつもりか!!」
僕が逃げる暇もなく、姉は軽々と小柄な体で僕を押し倒してきた。
「巴ちゃんの体が温かくて気持ちいいよ」
僕の胸元に姉の頬が擦り付けるように甘えてきた。すでに舌足らずの口調で上目遣いで僕を見ている。
「あ、あ、あの一応、姉と弟のスキンシップには限度があると思うんだけど」
「限界の壁を軽く越える灼熱の禁断の恋は誰も止めることができないわ・・」
「た、た、タスケテェェ!!」
「巴ちゃん巴ちゃんお姉ちゃんだけ巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん
巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん巴ちゃん」
こうして、僕は人として何か大切な物を奪われた・・。
>キモ姉の分類に入るであろう
語尾を推定にする必要すらなく間違いなく入ってます!
>>45 自分もそこの意味がよく分からなかったが
「梓には幸一のを舐めたり飲んだり掛けられたり、そういうプレイが似合うんだよ!」
という
>>43のある種の信念はひしひしと感じられた
聖水…
>>46 GJ!
この姉キモ過ぎる、てか危険すぎる
キモくない姉なんかいません!
短編を投下します
時期が少し外れている上に、短時間で作成したものなので、暇つぶしにでも見てください
52 :
とある兄の話:2010/03/08(月) 13:35:13 ID:MUybMQ0n
朝の台所に味噌汁のいい匂いが広がる
…日本人の朝食は和食、異論は絶対に認めない
文句のある奴はフリーダイアルに掛けてくれ
無駄なことを考えていると、そろそろご飯が炊ける頃なので、二階に上がる
ある部屋の前に止まりノックをするが、部屋の主が動いている気配がなければ、起きる様子も無い
ため息を一つ吐き、何の迷いもなくドアを開ける
家族とはいえ、許可も無く他人の部屋を開けるのはマナー違反だが、本人から許可を得ているので問題ない
部屋を開けると一人の少女がベットの上で惰眠を貪っていた
いつも通りなので、何の感動も無く相手を起こす作業に移る
左にフライパンを持ち、右にオタマを構えて打ち鳴らす
カンカンカンカンカンッ!!!! と鋭い音が部屋中に響き渡り、少しうるさい
かなりの大音量だが、どうやったらゲームの様にモンスターにダメージを与えることが出来るのだろうか…
そんなバカなことを考えていると、この部屋の主がのっそりと起き上がる
「んん…お兄ちゃん、うるさいよ…」
「恨むなら、自分の寝起きの悪さを呪え。朝ご飯が出来るから早く降りて来い」
「了解です〜」
まだ糸目だが、多分大丈夫であろう
このまま二度寝すると、今度はオタマから繰り出される必殺技が飛んでくるのを理解しているはずだからな
ここで俺の家族を紹介しようと思う
家族は妹の片瀬 月(かたせ つき)のみである
母親は俺が物心が付く前に亡くなってしまったらしい
片親になってからの父は必死に働いた
共働きだった為もあるが、母の死を振り切るためにも仕事に励んだのだろう
その結果、月の世話が俺に回ってきたのは言うまでも無い
しかし、無茶な行動が祟ったのか数年後、父は疲労からの病気により床に伏せることになる
俺が中学1年の頃に多額の保険金と月を幸せにしてやってくれと言う言葉を残し父は息を引き取った
俺はたった一人の肉親の月を大切に育て、共に暮らしてきた
そのお陰かは分からないが、朝に弱いや苦手な科目が多い、料理が下手などの欠点はあれども元気に育っていった
容姿は身内贔屓を差し引いても、高位であるだろう
その容姿と完璧じゃない所が合わさって、学校ではかなり人気があり、俺に紹介してくれと言う声が多かった
ちなみに俺はある一点を除いて、可も不可も無くを地でいくので割愛しておく
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
朝食を食べ終わり、学校への通学路を月と共に歩く
「…月よ。もう少し寝起きが良くなってくれば兄として嬉しいのだが」
「私が朝に弱いのは仕方ないじゃん。それにお兄ちゃんに起こしてもらうのは嬉しいから許して欲しいな。…出来ればもう少しやさしく起こして欲しいけど」
「却下だ。あの技が一番早い」
この会話から分かるように、俺と月の仲はかなり良い
53 :
とある兄の話:2010/03/08(月) 13:39:50 ID:MUybMQ0n
どれくらいかと言うと、何かと俺が居れば月も付いて来ることが多いくらいブラコンである
友人からは俺と月の仲はブラコンでは説明出来ないくらい異常とのこと
…少し考える
確かに俺と月の仲は相当良いが、それは家族愛、兄妹愛であるだろう
しかし、可能性が限りなく低いと思うが、もし月が俺に抱いている感情が家族愛ではなく、一人の異性としてなら…俺は月の想いに答えることはありえないだろう
兄妹で愛し合うことは茨の道だし、何より俺が月を妹意外として見ることが出来ない
俺は父と月を幸せにすると約束した
だからこそ月には人並みの幸せを送って貰いたい…
「お兄ちゃん!」
「うわっ!」
俺が考え事をしていると、月が俺の耳元で大きな声を出し、その声に驚いてしまう。
「無視しないでよねお兄ちゃん」
「悪い、それで何の話だ?」
「全く、ちゃんと聞いていてよね。今日は何の日でしょうか?」
…今日は……2月14日だから、そういえばお菓子企業の策略日か
「バレンタインデーか」
「正解。これがお兄ちゃんへのチョコだよ。夜更かしして作ったチョコだから味わって食べてね」
…朝に弱い癖に、何をしていることやら。
だが月からのチョコは正直に嬉しいので素直にお礼を言っておくことしよう
「ありがとな、月。そういえば俺以外に渡す奴は居るのか?」
そういうと月は俯いて黙ってしまったことを鑑みるに、俺以外に渡す奴は居ないのだろう
…兄としては微妙に複雑な気分である
「…お兄ちゃん以外に渡す奴なんて居ない」
「そうか…」
気まずい雰囲気から俺達は会話を転換し、学校へと向かった
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
…今日は月から貰ったチョコを除き全滅である
貰ったチョコが妹以外に無いことに多少のショックを感じつつ、家に向かうことにした
歩き出してから少し経つと、突然声を掛けられた
「ちょっと待って、片瀬君!」
振り返るとクラスメートの木村さんが居た
「どうしたの? そんなに慌てて」
「その、ね。え……っと。これを受け取って欲しいの!」
そういって差し出してきたのは、ハート型の大きなチョコレートである
…これは俺にも春が来たのかと考えるが、ぬか喜びの可能性も高いと心理的予防線を張っておく
そんな俺を嘲笑うかのごとく、木村さんはさらに衝撃の告白をしてきた
「それね、本命だから勘違いしないでね。その、答えはいつでもいいから。じゃあまた今度ね!」
と言って走り去ってしまった
後に残るのは呆然と立ち尽くす俺と、周りから奇異の視線を投げ掛ける人々だけであった
「俺の時代が来たかもしれないな…」
54 :
とある兄の話:2010/03/08(月) 13:46:22 ID:MUybMQ0n
家に帰宅後、木村さんにどんな答えを返すかを真剣に考える
…傍から見たらベットの上でゴロゴロと芋虫のように転がる姿であるため、冗談のようだが
とりあえず答えが見つからないので、夕飯の準備に取り掛かるとしよう
そろそろ夕飯が出来る頃合だが、月の帰りがかなり遅く心配してしまい、作り終えたら探しに行こうかと考えていると、玄関から月の声が聞こえ安心する
「お帰り。いつもより遅いから心配した…てっ、何でそんな服が汚れているのか?」
帰ってきた月は至る所に汚れが目立ち、まるで畑作業をしてきたようだ
「大丈夫。少し友達と公園で遊んでいたら、童心に返っちゃって。シャワー浴びてくるから。因みに今日の晩御飯は何?」
「あ、ああ。今日はお前の好きなビーフシチューだ。」
「本当に! ありがとうお兄ちゃん!」
そういって月は浴場の方に向かって行く
…まあいいか。煮込み終わったことだし、盛り付けておこう
そうして、あらかたテーブルに運び終わると、ジャストタイミングで月が上がって来た
晩御飯を食べながら取り留めの無いことを話していると、月は不意にたずねて来た
「お兄ちゃん。今日は私以外からチョコは貰った?」
「ん、ああ、一個だけ貰えたよ。今年もお前以外からは貰えないと思ったが奇特にも俺に渡してくれる人がいたよ」
そう答えを返すと月の表情が固まり、次第に俺でも見たことが無いくらい怖い表情に移り変わっていく
「そう、なんだ。誰から貰ったの、お兄ちゃん。クラスメート? 後輩? 先輩? もしかして彼女とかだったりするの?」
「く、クラスメートだよ」
月の様子があまりにもおかしく、つい返答に詰まってしまった
その後月はブツブツと呟いて、何やら思案しているようなので様子を見ていると、急に笑顔になって話しかけてくる
「そっか、よかったね」
「あ、ああ、今年も月以外に貰えないかと思ったけど、貰えてよかったよ。そ、そうだ月。明日からの土日の休日にどこか遊びに行かないか?」
月の様子が怖くなり、咄嗟に話を変える
それが功をそうしたのか、月の表情が普段に戻り一安心し
その後は特に問題は無かったが、あの時の月の様子はあまりにも異常だ。
しかし、これ以上考えると嫌な想像しかできないので、これ以上は深く考えず床に就いたのであった
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
…日常は常に続くもの。
自身はそう考えていたし、これからも続くものだと思っていた
だがそんな考えは、休日明けの学校のHLで見事に打ち砕かれてしまった
「…みんなに非常に残念なお知らせがある。実は、このクラスの木村が昨日遺体で見つかったようだ」
あまりの衝撃的な事実に呆然としてしまが、さらに話を聞いていると、木村さんは先週の金曜日から行方不明とのことだったのでさらに驚愕してしまう
…そうすると、あの日チョコを届けてくれた後、何者にか殺されたと言うことだ
「追って葬儀の日程などを連絡するから、皆も行ってあげてくれ」
俺は先生の話が聞こえないくらい愕然としていた
55 :
とある兄の話:2010/03/08(月) 13:50:32 ID:MUybMQ0n
「先輩、おはようございます」
この日は茫然自失なり、家に帰ろうとすると後ろから声が掛けられる
振り向くと、月の親友の崎野さんが居た
「あ、ああ、おはよう崎野さん」
「こんな所で何をしているのですか、サボりでしょうか?」
確かに今の俺の状態はサボりであっているが、そんな俺と話している崎野さんもサボりだとツッコムのは負けなのだろうか
「…今日は学校に居る気分になれなくてね」
「まあ、そんな日もありますよね。突然話が変わりますけど、もし先輩にとって大切な人が罪を犯したらどうしますか?」
本当に突然と何の脈絡の無いことを聞いてくる
だが聞いてくる崎野さんの顔はどこまでも真剣で冗談を言っているように見えないので、俺も真剣に考えることにする
…そして俺は十分に考えて答えを出し、それを崎野さんに伝えると驚いた顔をして、話を掛けてきた
「…先輩は強いのですね」
「強いわけじゃない。ただ優先順位がしっかりしているだけだ」
「それを世間一般では強いと言うのだと思います」
クスクスと笑いながら崎野さんはそんなことを言ってくる
「とても面白い答えが聞けました。それでは私は授業に戻りますのでお大事に」
やっぱりサボりかよと思いながらも、突然身を翻した崎野さんを見送る
だがそんなことよりも考えなくてはいけない懸案事項が出来てしまったので、俺はそちらを考えることにした
家に着いてから、俺は今日までの情報を整理した
偶然、自分に好意を抱いている木村さんが、チョコを渡した日に殺された
偶然、木村さんが殺された日に、月が汚れて夜遅くに帰ってきた
偶然、妹の親友の崎野さんは俺に対し、意味深な質問のを投げかけてきた
…ここまで偶然が続いたら、それはもう必然と呼んで構わないのではないだろうか
十中八九木村さんを殺したのは月で、崎野さんはその事実に予想しているのだろう
なぜ崎野さんは警察に届けないのかは知らないが、おそらく月の親友であること関係しているのだろうか
しかし、そんなことよりも俺は月に問わなければならない
これで自分の勘違いだったら嬉しいが、自身の本能がそれは可能性の低いことだと訴えている
これからのことを考えていると下から月が帰ってきた声が聞こえてきた
おそらく崎野さんに俺が早退したことを聞いて帰ってきたのだろう
丁度よい考え、下に向かうと月が話を掛けてきた
「どうしたの?さきちゃんからお兄ちゃんが早退したと…」
「そんなことはどうでもいい。木村さんを殺したのは月、お前だな」
月の言葉を遮り、言い訳が出来ないように断定的に告げる
そうすると月はビクッと硬直し、それが図星であること俺に伝える
「な、何を言ってるの、お兄ちゃん」
「惚けなくていい。何でそんなことをしたんだ」
56 :
とある兄の話:2010/03/08(月) 13:53:32 ID:MUybMQ0n
おそらく月は近いうちに警察に捕まるだろう
今回の月の犯行は計画的ではなく、突発的なものだから粗も出てくし、日本の警察もそんなに甘くは無い
月は俯いてプルプル震えていると、突然顔を上げて叫んできた
「仕方ないじゃない! あの女は私からお兄ちゃんを、私の世界で一番好きな人を、私の唯一を奪おうとしたのだから!」
…妹はやはり俺に異性としての感情を抱いていたようだ
心のどこかでそうじゃないと否定し、考えてこなかった現実が見事的中してしまった
「だってあの女は私に、妹の私じゃお兄ちゃんと結婚できない、妹は所詮妹だから恋人になれない、と言ってくるから!」
月の魂からの叫びを俺は静かに聞いている
「そんなこと分かっているわよ! お兄ちゃんが私のこと妹としか見ていない事実を! それでも私にはお兄ちゃんしか要らない! なのに、何で他の人お兄ちゃんと私の間に入ってくるの!」
月は涙を流し俺に向かって、そう訴えてくる
俺は静かに月を抱きしめ、落ち着かせるように頭を撫でながら、静かに告げる
「月、お前は馬鹿だな。何で茨の道だと分かっているのに自ら進んでいく」
「だって、だって、だって、だって…!」
どうすれば月を幸せに出来るのだろうか?
そんなことを考えていた自分は、もうすでに詰まれている事実に突き当たってしまった
父と約束し、妹の幸せを優先してきた俺は、すでに月に対し詰まれてしまっていた
月か、それ以外の全てかのシンプルな二択であると考え、俺は自身の考える最善を行動に移した
「時に月よ。イタリア、フランス、ニュージーランド、オーストラリア、ハワイ、ニューヨーク、住むならどこがどこがいい?」
「えっ?」
「呆けてないでしっかり考えろ」
しばらく考えようやく理解したのだろう
月は俺にさらに抱きつき、ごめんなさいと謝り続ける
その様子に俺はため息をつき、世の中ままならないものだなと考えた
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
〜視点変更 →崎野〜
周りの人達は私と月が親友同士だと思っているがそれは少し違う
私達は同類なだけだ、同じ血のつながった兄を愛してしまった異常な人間
お互いそれを察知し、敵になることは無いからこうして親友のような間柄になれたのだ
そして私が先輩に対し質問した数日後、片瀬兄妹も行方不明になった
ですが私は先輩や月はもう日本に居ないことを知っている
なぜならあの日、先輩は私の質問に対し『そうしたら誰も自分達を知らない場所、海外とかに逃げるよ。なぜかって? よくドラマで罪は償うべきだと言われるけど、
捕まってしまったらその人の人生はもう終わりだよ。だからその人が本当に大切なら俺はそうする。』と答えてました
先輩はその言葉どおり、全てを切り捨てて何処か遠い地に月と一緒に向かったのでしょう
私は月に、兄を手に入れたことを心中で祝福し、自分の兄も先輩みたいなら楽なのになと考えながら、愛する兄の元に向かう。
…夜の空を飛ぶ飛行機の中で一組の兄妹が肩を寄せ合って眠っている
その日は満月の夜だった
END
これにて投下終了です
他の方々が投下するまでの繋ぎとなれば幸いです
GJ
毎度おなじみ『発言小町』に気になるトピックがあったので紹介。そのトピックは“彼が妹から離れる方法”というタイトルで、
彼氏が妹のことばかりを構うらしく、デート中にも妹から電話が掛かってきて「ごめん、妹が…」とデートを途中で切り上げ帰ったり、
お泊まりを期待している日も妹を塾に迎えに行くという理由で無理になったという。彼女は来年には彼氏と結婚を考えているらしいが、
彼の考えではその新婚生活に妹も含まれているという。それを知った彼女は仰天ビックリ。二人だけのイチャイチャ生活ができないと
嘆(なげ)いているのだ。
しかし彼女21歳、彼氏23歳、そして妹は未成年。彼氏のとっている行動はおかしな事なのだろうか? このトピックのコメントを見てみると……。
・成人していない妹を放って結婚するような冷たい男と一緒になりたいの?
・あなたが子供すぎます。まだ21でしょう?まだまだ出会いはありますよ。
・妹さんには他に保護者がいない、未だ未成年者なのだから。保護責任が彼にはあるのでは?
・妹思いの優しい彼が、なぜシンデレラの意地悪姉さんのようなトピ主さんと付き合ってるのでしょう。
といった大人な意見が飛び交っている。彼女の身勝手な書き込みに対しての反論、そして結婚は早すぎではないのかという意見が出ている。
彼氏は両親がおらず彼氏が妹を面倒みなくてはいけないため、彼氏の取った行動はおかしなことでは無いといえる。彼女もそのことを
知っているはずなのだが、理解出来ていないのだろうか。
こんな身勝手を言い続けていたらいつか彼氏から見放されてしまいそうだが……。妹もこのような優しいお兄さんが居て幸せだろう。
http://getnews.jp/archives/50546
>・妹思いの優しい彼が、なぜシンデレラの意地悪姉さんのようなトピ主さんと付き合ってるのでしょう。
これ、その妹じゃないか?
むしろコメント投稿者が全部妹
妹離れしない彼氏 来年結婚したいのに妹が邪魔! の検索結果 約 367,000 件中
釣りすぎる
全国のキモウトたちが泥棒猫に辛辣な言葉を浴びせかけているのか
――な女。
心底憎悪すると同時に、感謝の念もついて来る。己の欲望のままに本性を曝け出
すなんて……「ありがとう」といいたかった。おかげで、兄が私だけを見てくれる
ようになった。“女”というものに疑念を抱いた兄が“家族”という私を、もっと
意識し始めた。
「……いけないいけない」
小さく自分をいさめる。今は兄のためにも悲しい顔でいないと……!
「香奈、どうしたんだい?」
それでも、気を抜くと頬が緩んでしまう。
「う、ううん!何でもないよ!」
「それより、……」一呼吸置いて言おうとした言葉は、ぶつかった視線と一緒に宙
を舞った。見慣れた兄の目。優しい兄の顔。顔も知らない親の代わりにずっと傍に
いてくれた、私だけの愛しい人。
そんな兄に近づいた害虫が許せなかった。憎かった。殺してやりたいとさえ思っ
ていた。でも本当に、本当に怖かったのは、兄が私から離れていく事。もし、そん
なことになっていたら……ダメだ、考えるな。カンガエルナ。
手を伸ばせば兄に触れるはずなのに、ひどく遠くにいるような気がする。
喜び、恐怖、愛情、憎悪、色んな感情が胸の中で抑えられないほどにぐちゃぐち
ゃに混ざり合っていることに、頬を伝う涙で気付いた。
「だ、大丈夫だよ!ちゃんとあいつには言っておいた。香奈と一緒にいれないなら、
君と一緒にいることはできないって……」
その言葉に弾かれるように兄の胸に飛び込んだ……距離も忘れて。そんな私を包
み込む暖かく大きな腕。頭を撫でてくれる大きな手。兄の全てが好きで、好きでた
まらなかった。ここが私の居場所。ここだけが私の居場所。自分でさえも止められ
ない想いが後から後から、溢れ出す。
兄の隣は私だけのもの。そう……私だけの。
真横にある心配そうに眉をひそめている顔に頬をくっつけた。短く生えた髭が私
の肌を、撫でるように突き刺すことですら愛おしい。
「きょ、今日、お兄ちゃんと一緒に寝たいな……」
心配そうな顔がすぐに笑顔になると共に頷いた。
兄の静かな寝息が聞こえてくる。
不安だった。私のせいで負担をかけていないかということが。
胸から聞こえる兄の心音はとても穏やかだった。
怖かった。私のせいで迷惑をかけていることが。
そんな兄の胸に頬を摺り寄せる。
嬉しかった。私を選んでくれた事が。
「お兄ちゃん……愛してる」
寝ている兄の胸で呟く。ふと、兄の腕の力が強まった気がした。途端に、心臓が
苦しいほどに音を立て始める。
「愛してる」
もう一度呟く。私の想いはここに辿りついた。違う。物心ついた時から、私の胸
に抱いていた想い。それほどに私は兄を……。
「病めるときも、健やかなる時も、私は絶対に誓います」
気持ちよく寝ている兄の顔に、私の唇が愛しい愛しい兄の唇に近づいていく。
「例えこの先に何があろうと、貴方を愛する事を」
>>59の記事を見て浮かんだ小ネタ
65 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 00:07:20 ID:Zp4QxuYp
>>59 これは間違いなく彼氏が悪いだろw
だから妹が兄をお仕置きせねば。
>>65 妹10歳身寄りなしで追い出せって言ってるんだから釣り確定
三つの鎖の作中でも言われてるけどどれだけスペック高くてもシスコンってだけで評価だだ下がりだよなぁ
ほんとに10歳ならそりゃ彼氏が正しいだろ…両親いねーなら。
だが惜しいな。これが高校生以上とかだったら立派なキモウトだったのに。
>>68 お前は素人だな。
キモウトに年齢は関係ないのだ。
だから5歳の幼女キモウトも24歳の大人キモウトもいける俺は玄人
次から短編投下。
ただ手コキしてるだけの話し。
1
その少女の髪は長く、天然のブルーブラックに艶めき、ツリ目がちの瞳は切れ長で微笑み、薄い色のぽってりとした唇は常に潤いを帯びている。
170を越える高い身長に、歩けば上下に揺れるバスト、僅かの肉も摘まめないウエスト、ムチムチとして引き締まったヒップラインと太もも。
黒いセーラー服と黒いタイツを身に纏い、街中に溢れる視線を釘付けにする。男と、女と、その両方。エロスと、尊敬と、その両方。
老若男女、全てを虜にし、全てのオナペットを兼ねる少女。
女なら貝合わせをして、愛液の本気汁でくっつかせて、ぬっちょぬっちょ吸い付かせて、クリも擦り合わせて、ベロチューして、悶え合って、むさぼり合う。
男なら手コキさせて、フェラチオさせて、パイズリさせて、アナルセックスに膣内射精。そんな妄想。
しかし、誰も彼女を捕まえられない。誰も彼女を恋人にはできない。
冷たい表情に低い声の、彼女の笑顔は誰も見れない。これからもずっと、誰からの交際も断るだろう。
何故なら彼女は……
「おねぇちゃん、ぁ、うぅっ……やめてぇ、オチンチ、んんっ、きもちよくっ、しないでぇっ」
「違うでしょ海斗(かいと)? オナホールでおちんちんをシコシコしないでください。ザーメンを搾り取らないでください……って、ちゃんと言わなくちゃ、お姉ちゃんわからないよ?」
彼女は、重度のブラコンでショタコンでサディストだったのです。
高校三年の彼女、雨雲 咲夜(あまぐも さくや)は、小学四年生の弟、雨雲 海斗の涙が、快感に耐えられなくなって泣き出す顔が堪らなく好き。
今日も、自室で机に向かい勉強している所へ後ろから忍び寄り、静かに腕を回して抱き着いた。
「ねぇ、カーくん……何してるの? お姉ちゃんと遊ぼ?」
「えっ、えっ!? あのっ、あのっ、宿題、してるから」
咲夜は弟の返事も待たずに幼い下半身へと手を伸ばし、半ズボンの金具とファスナーを一瞬で外してしまう。
海斗だけが知る甘ったるい声で囁きながら、ブリーフ越しにペニスを撫であげ、やわやわと揉みほぐして行く。
「宿題してるから、なぁに? 私の友達もね、カーくんの……ふふっ、おちんぽと遊びたいんだって。いいよね?」
こうなったらもう、唯々、我慢するしかない。
海斗は頬を耳まで赤く染めながらも、グッと歯を喰い縛り、右手にペンを持ち、左手はノートを押さえたまま。
せめてもの反抗として、感じてないフリで宿題をするしかないのだ。
「べ、べつに……ふんん、ぃぃ、ぐっ、か、勝手にすればいいじゃん」
しかしそんな強がりも、咲夜のサディズムを煽る増強剤にしかならない。ゾクゾクと全身を駆け抜け、より一層に興奮を高めるだけ。
「んふっ、お姉ちゃんね? そう言う態度……スキよ」
くちゅ、くちゅ、くちゅくちゅくちゅ……
ペニスはブリーフの前穴から引きずり出され、皮ごとカリ首を扱き立てられる。
柔らかくしなやかな中指と親指に挟み持たれて、溢れるカウパーが皮とペニスの間でクチュクチュ、クチュリ。粘着質な水音を鳴らす。
幼い男子児童の生殖器は、既に快楽の貪り方を知っていたのだ。鎌首をもたげて固く勃起し、ビクビクと熱を持って打ち震える。
「んぁ、っ、こんなのっ、ぜんぜん、きもちくねぇし!」
言葉は未だに強がりでも、ピンク色の吐息は湿り気混じりで、完璧に姉の手淫へと屈伏していた。
「そう? ならっ、こんなオチンポ要らないね? お友達に食べて貰おうねカーくん♪♪」
咲夜はペニスから一旦手を離すと、自らの胸元に差し入れ、谷間で挟み暖めていた肌色のオナホールを取り出す。
にちゃぁっ……
海斗の目の前で挿入口を拡げて見せ、今からこのクチで食べられちゃうんだよ? と教え込ませる。
「あっ、それヤダぁっ!! おちんちっ、たべないでぇっ」
泣いたって、叫んだって、誰も助けてくれない。助けてくれる筈の姉に犯されているのだから。
否貫通のゴム穴は人肌に暖めてられ、内部は満たされたローションが僅かに湯気立ち、無数のヒダとイボに絡み付いてペニスを待ちわびている。
にちゃにちゃと糸を引き、咲夜の力加減で自在に形と膣圧を変えて挿入欲求を誘う。
2
「ダ、メ、よ。ふふっ……それじゃ、いただきま〜す♪♪」
オナホールが逆さまに持ち直され、ペニスの鈴口と挿入口はイヤらしいキスをする。
そして、深く呼吸をすると、
「おねがい! おねえちゃんヤメ……いぎぃぃぃぃぃっ!!?」
ぢゅぷぢゅぶジュプゥッ!!
一息でペニスを飲み込ませた。
空気抜きされて凄まじいバキュームで吸い付くゴム肉は、子供の生器だろうとお構い無しにアクメへと導いて行く。
海斗は口横からヨダレを垂らし垂らしヤメるよう訴えるのだが、咲夜はそれを力ずくで押さえ付ける。
文字通りの力の差で、体格の差で、ペニス経由で輸送する快楽で。
「カーくん、もうダメ? もぅらめぇっ?」
ぐちゅにゅちゅ、ぐっちゅ! ぐっちゅ! ぐちゅ、ぐちゅぐちゅ……
咲夜は手首のスナップを巧みに使い、力を変え、角度を変え、リズムを変え、時にはグニグニと回転させながら扱く。
内部のヒダも応えるように裏スジやカリ首へとまとわりつき、きゅっきゅと締め付けてザーメンを搾り取ろうと脈動する。
「もっ、だめ、ダメっ、ダメぇぇぇっ!!」
少年のペニスに残された道は、射精しか存在しなかった。
あっ、あ、っと声にならない単音を吐き出し、徐々に身体を弓形に反らせて行く。
「ほらっ、イクときはイクって言うのよ?」
にちゅ、にちゅ、にちゅ、にちゅ、にちゅ、にちゅ!
ペニスを弄ぶ動きは激しさを増して急速に絶頂へと追い立てる。もう海斗には強がる余裕さえ有りはしなかった。ペンもノートも手放し、後ろで姉の制服を握り締めている。
そしてついに、精液は出口を求めて昇り詰め、痙攣は一際に大きくなった。
「ふぁっ、イク、イクっ! んぎぃっ、イクのっ、イッちゃうのぉぉぉっ!!」
ドピュッ! ドプドプッ、ビュルビュルビュルビュル……
「あっ、イッてるイッてる♪ 可愛いアクメ顔ね♪ んっ……ちゅっ」
だが、これで終わらない。咲夜は海斗が射精したのを確認しても、このまま復活させて再び搾り取る為、優しくペニスを扱き続ける。
気をやってる間に何度も唇を重ね、そこから沢山の愛してるを注ぎ込む。いつか、弟から愛してると言われるように。
そう、雨雲 咲夜はブラコンでショタコンでサディストで、弟の泣き顔が大好き。
そして、心から弟を愛している。
おしまい
76 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 20:20:17 ID:FMDdjzyr
こ れ は き も い
しかしこの人の文体はハッキリキモさがでてるな笑
カーくん…カーバンクルで想像してもーた。
転生wktk
>>75 すげータイトルだw
某関連?スレの方でもお待ちしております
>>76 冒頭数行の文体を読んだであ、これあの人だ・・・って分かるのがすごいと思うw
キモ姉たまんねェす
そして濃厚なヨダレ描写に期待
あまりにバカ長いので二つに分けて投稿します……
次で本当に完結です
そらとの情事から一日が経った。冬休み一日目、雪景色の街は昨日のどんちゃん騒ぎを終え、今すぐにも正月へとその頭を切り替えようとしている。
俺はそんな街の様子を見下ろしたあと、寝ぼけた眼で時計に眼をやる。短針は既に一〇の位置を少しばかり進んでおり、冬休み突入後一日で早くも生活が狂っていることに笑うしか無かった。
既に部屋にはそらの姿は無かった。
リビングの方にいるのだろう。俺はそう思いながら顔を洗いに洗面所へと向かう。
だが、扉を開けたときにふと違和感に気づいた。
家のどこからも物音が一つもしなかったのだ。
普通だれかいるはずなら何かしらの音がするはずだが、自分の立てる音以外はそれすら無い。
「そらー?」俺は無音のリビングに向かって呼びかける。
一秒。
二秒。
三秒
四秒目で俺は諦めて仄暗い廊下を光の点す方向へと歩いていった。
結論として、家の中には誰もいなかった。
父さんがこの時間帯にいないのは普通といえば普通だし、そらもきっと友達と遊びにいったのだろう。俺はそう自分に言い聞かせた。
昨日の情事も、そらの豹変もきっと関係ない。そう付け加えて。
「さて……」顔を冷水で洗ったお陰で、まだ重たげながらもなんとか意識が覚醒する。俺はそのまま流れるように食堂へ向かい、薄切りの食パンをトースターに突っ込む。
数分ほど経って、ちぃん、と小気味いい音を立ててトースターからきつね色の食パンが飛び出した。
思えば、一人きりの食卓と言うのも久しぶりなものだ。
「……あと三時間か」昨日言った約束の時間まで三時間。三時間もあれば二回は洗濯機が回せるし、その間に家の掃除も出来る。
でも、その前に着替えなきゃな。と、妙な笑い声をあげながら俺はジャムを載せたトーストを頬張った。
あと三時間。それが今の北見千歳のリミット。
三時間後、平凡な受験生の北見千歳は綺麗さっぱりいなくなる。
いや、もう平凡な受験生の北見千歳など昨日、いやとうの昔に消えてなくなっていたのかもしれない。
そらとの情事が、いや、そらの思いそのものが俺を平凡と言う生ぬるく、ひたすらに現実感の乏しい世界から引き放していたのだから。
そして、俺は三時間後にその平凡と言う世界を自ら捨てるだろう。
何よりも、そらのために。
俺の、怖がりで泣き虫な妹のために。
きっと、どこかで俺はそらに恋していたのだろう。
それが、昨日のそらの事で確実な恋へと変わって、俺に最後の一歩を踏ませる後押しになったのだ。
そらは周りが思ってるよりもずっと弱くて、寂しがりで、泣き虫で。そんなそらを守ってやれなきゃ、俺はそれこそとんでもないクズ野郎だ。
昨日の夜、帰ってきた父さんに俺は全てを打ち明けた。
そらが俺に恋愛感情をいだいていたことも、情事のことも。
その時の俺はとにかく一人でも多く、誰かにこのことを言いたかった。そして楽になりたかった。
父さんは終始沈んだような、憂うような表情で、まるで全てを見越してたかのようにため息を一つついて、沈んだ声で言う。
「千歳、そらは?」
「寝てる。なんかあったらしくご機嫌斜めなんだわ」
「そうか……」
それから数分ほど、重苦しい沈黙の時間が続いた。
そしてそれを破ってなぁ、千歳。と父さんは聞いてくる。その顔はいつもの父さんのように「狂った」表情は消え、今まで見たことも無い、刃のような涼しさと少しばかりの憂いを秘めた顔だった。
「お前は、そらのことをどう思ってるわけだ?」
「……そりゃ、いい妹だと」濁し気味に俺は答える。が、父さんはすぐにそれを遮った。
「そうじゃない、そらの気持ちにお前が応えられるか。だ」
また沈黙。時計の音だけが広いリビングに響きわたっている時間が何秒ほど過ぎただろうか。
俺はやっとのことで声を搾り出す。
「俺だって………応えたいよ…………そうじゃないと、そらが……壊れる」
「だけど、俺にそらを守れる力なんて無い。ってか?」
言いたいことを言われたのに戸惑いを隠せなかった俺をよそに、父さんは続ける。
「わかるんだよ。俺もお前と同じ大馬鹿野郎だから」
「じゃあ、父さんと母さんも……」
「まぁな。あまり大声で言えるようなことじゃないが」
父さんは、ため息を一つついて、また口を開く。
「あいつも相当なお兄ちゃんっ子でな。俺が釧路の家から札幌に就職に出るのも最後まで反対してて、札幌に出てきて最初の夏にあいつが俺のアパートに来て、その夜に泣きつきながら俺のこと襲ってきやがった」
自嘲気味にくくっ、と枯れ気味の声が漏れる。
「私は兄さんさえいればいいの、兄さんと一緒に入られるのが一番の幸せなの。って、もう鼻声で涙ボロボロ垂らしながら俺に詰め寄ってきて、その瞬間に、なぜだか美幸のことを絶対ない守ってやらないと。って気持ちになっちまった。そこからが運のつきさ」
「……で?」
「釧路の爺ちゃん婆ちゃんいるだろ?もうさんざん怒られた挙句に絶対に帰ってくるなって言われたよ。まぁ、どうも親父もお袋も前から美幸に妙なフシがあるってのはわかってたから多少の理解はしてもらえたがな」
だがな。と父さんは、口元を緩ませ、しかし真剣な眼差しのまま俺を睨む。
「別にお前が実の妹を好きになろうと構わない。この国には誰を好きになっちゃいけないって法律はないからな。
だが、周りは?世間体はどうなる?この国の法律は近親婚なんざ許さない。味方だってぐっと少ない。それどころか周りが敵ばかりになる。
俺も誰も知ってる奴のいない札幌で働きはじめたから、美幸と暮らせたんだ。だが誰も頼る人間のいないこの街で暮らして、そのせいで体の弱い美幸に負担もかけちまった。
それに仮にお前がそらと結ばれて、そのあとどうなる?進学は?就職は?お前の人生も滅茶苦茶になるんだ。これでもお前はそらと一緒に生きられるのか?」
父さんの口から吐き出される言葉、それは俺の抱いていた心配そのものだった。そらを思う気持ちと一緒に俺の中に渦巻き、俺たちの幻想のごとき恋愛を残酷な現実へと引き戻すもの。
そんなことはとうの昔にわかっているというのに。
「おれは……そらと」覚悟を決めて俺は声を絞った。だが、搾り出そうと思った言葉は肝心のその先が欠け落ちる。
何も言えない。不安が、恐怖が邪魔をする。ただただあ、とかう、とかうめき声を上げるだけ。
畜生、言えよ。と何度も心のなかで自分に向かって叫ぶ。が、体は何も応えない。
父さんは内心驚きながらも、まぁ予想の範囲内だったとでも言うような冷ややかな目でこちらを眺めている。
「父さん」ようやく、声が戻ってきた。情けないほど震えた声で俺は言う。
「一晩、待ってくれないか」
そして、今俺はその一晩を終えた。
俺はもう、答えを決めた。
「そらを……受け入れてみせる」
結局の所、もう何度悩んでもその答えしか出なかった。
どうしようもない不安も確かにあるといえばある。まだ心の何処かに重く淀んだ恐怖が残ってはいる。
だが、もし俺がそらを裏切れば、そらはきっと俺の抱く恐怖や不安なんかが現実となった時の傷よりももっと深い傷を負うことになるだろう。
そらを一生守って、一生付き添ってやる。それがそらの兄として、そらの愛した男として、北見千歳としてやらなければいけないコトだ。
『人を裏切るのは妹とセックスするようなものだ』
うるせぇ、そのヤった妹を追いて逃げ出すのはそれ以上の最低野郎だっつの。
俺はそらを見捨てて、てめぇのやりたいように生きる糞野郎になってたまるかよ。
「じゃ、行くか」
父さんの指定した場所。市電車庫側の近くの喫茶店。
そこに立ち寄るにはまだ時間があるが、本屋にでもよって時間でも潰せばいい。
窓の外に広がる街は昨日と同じように、てっぺんから爪先まで真っ白のままだ。夏タイヤの俺のバイクではまともに走れもしないだろう。
「まぁ、冬タイヤがあっても乗る気はしないけどな」
コートを羽織り、ソファの上においてあった鞄を肩にかけると、俺は家を出た。
いつも乗り慣れた陰気なエレベーターで一階に降り、くすんだ色のホールをくぐると、そこには眼に突き刺すほどに眩しい陽光と、透き通るような、冬特有の高い青空があった。
俺は表の電車通りへと足を進めると、電車通りの先にはもう新緑色の丸い電車の姿があった。俺は慌てて電車の方へと駆け出した。
『お待たせしました。三番ホームの手稲方面小樽行き、快速エアポート発車いたします』
アナウンスに続くようにしてホイッスルの音が薄暗いホームいっぱいに響き、しばらくすると列車のドアが閉まる。
そして空気の抜けるような音の後に、がくん、と電車が揺れる。
私は、徐々に加速してゆく電車のデッキで一人、溜息をつく。
その溜息はドアのガラスにあたると、すぐに白い露に変わっていった。
「ごめんね。兄貴」
勝手に関係迫ったりしてごめん。そりゃ兄貴の人生は兄貴が決めたいよね。たとえ妹でも、兄貴をどんなに愛してても、私なんかが勝手に自分の好きなようにしちゃいけないよね。
それに兄貴は実の兄が大好きな気持ちの悪い妹なんかと一緒に暮らしたくも無いよね。
私バカだから一晩考え直して、ようやく藍の言葉の意味がわかったの。
だから私は兄貴の前からいなくなるの。
そうすれば私も辛くなくて済むし、兄貴も気持ちの悪い妹と一緒にいなくてすむ。
そんな自虐的な、だが覆し難い事実を思いながら不意に私はコートのポケットに手を入れる。
ポケットのなかには手に収まるほどのすべすべとした四角い何かが入っている。私のパールホワイトの携帯電話だ。
「そういや、まだ酷いこと言ったの、兄貴に謝ってなかったな」
私は携帯電話を取り出すと、ぱちん。と折りたたんでる部分の付け根のボタンを押して画面を開く。
兄貴の黒い携帯電話とおそろいの白い携帯電話。かちかちと私の指は文字キーと使いすぎでメッキの磨り減った決定キーの間を踊る。
そして、私の意志に反したとても短い謝罪の文面が出来上がると、最後に一文を付け加えて、それを送信する。
しばらくして画面に浮き出てきたのは『メールの送信が完了しました』と言う無機質な文字。
私はそれが済むと携帯電話をコートのポケットに突っ込み、視線を窓の外に移す。
白く包まれた街の景色は、何故か私を酷く憂鬱にさせたのだった。
午後一時ちょうど。父さんの言ってきた喫茶店のボックス席で、クリームソーダをちびちびと飲みながらテーブルに頬杖をつきながら俺は窓の外の景色をじっと眺めていた。
黒や茶のコートの群れ、深緑色の路面電車、色とりどりの車。そのどれもが昼下がりの街をせわしく行ったり来たりを繰り返してる。
俺はこんなふうに世界は進んでいるんだと思う。淡々と、いろんなとこを行ったり来たりを繰り返していて。たとえその時間の中に誰かの劇的なドラマが孕まれていようと、まるで周囲はそれを気づきはしない。
結局、俺とそらの思いもそんな風に淡々とした世界の一ピースなのだ。
誰かが不用意に首を突っ込まない限りには誰も知ることの無い、ゆがんでいるようで実はきちんとパズルにはまる、この淡々とした世界のピース。俺とそらの恋がもし成就してもそんなものだろう。
この世界をぶち壊すようなマネさえしなければ、俺もそらもこの淡々とした世界で、何も変わらずに生きられるはずだ。
「すまん、遅れたな」
振り返ると、そこには父さんがいた。いつもの背広に、やつれた顔。ただし眼だけは凛とした、非常に鋭いものだった。
父さんは俺とは反対側の席に座ると、近くににいたウェイトレスを呼んで、なにやら注文をすると単刀直入、俺に訊いてくる。
「で、結局お前はそらとどうするんだ?」
「俺は……」昨日絞り出せなかった言葉は、何故か、驚くほど素直に出てきた。「そらと一緒に生きたい」
「例えそれが誰からも非難される道でもか?」
「それでもこの世界を全部敵にまわすんじゃないし、俺は覚悟できてる」
「学費と生活費は?おまえら二人が結ばれれば俺もお前らを家から追い出すし、俺は高校以上の学費なんて出さんぞ」
「俺がバイトして稼ぐ」
はぁーっ、と大きなため息を付いて父さんは呆れた。とでもいいたいのか手のひらで顔をぬぐう素振りを見せる。
「やっぱお前は俺の息子だわ……俺とおんなじコト言ってやがる」そして父さんはその頬を緩めた。「もういい、おまえらの好きにしろ。ただし、おまえらが高校卒業したら俺は何も手助けせんぞ」
その言葉で、俺は心の中につながれていたコンクリートブロックを百個も積み重ねたような重石が一気に無くなった、そんな感覚がした。
そして俺はそのまま何気なしに時間を見ようと、ポケットから携帯電話を出す。黒い、少し古い型の携帯電話をひらくと、新着メールを示すアイコンがぽつんと浮き出ている。
いつの間に受信していたのだろうか、マナーモードが入りっぱなしの携帯ではメールなど気づかないことが多い。
そのアイコンを選ぶと、すぐに受信メールが画面いっぱいに広がった。
差出人の欄には「そら」の文字。
タイトルの欄には「ごめんね」の文字。
昨日は酷いこと言ってごめん。
兄貴には兄貴にふさわしい人がいると思うから、昨日の私とのことは忘れてもいいよ。
さよなら、お兄ちゃん
「おい……何の冗談だよ」俺はすぐさま電話帳を呼び出してそらにつなぐ。だがいくら待っても虚しいコール音が続くだけだった。
「千歳、どうなってるんだ?」父さんが状況を飲み込めないとばかりに訊いてくる。が、俺ですら状況が解らないのにどう説明しろと言うのだ。
「多分、そらがなんか勘違いして出て行った」
父さんはそうか。と短く答えて、とん。と俺の肩を叩く。
「行ってこい」
「そうする」
俺はのみかけのクリームソーダを一気に煽ると、そのまま喫茶店を飛び出た。
そらがどこにいるのかすら解らなかったが、でも何故か外に飛び出してしまったのだ。
またポケットの中で携帯電話が暴れる。
多分電話の主はさっきと同じように兄貴だろう。
「折角邪魔な私がいなくなってあげるっていうのに、なんで電話するのかなぁ……」私は暴れる携帯電話を無視して、列車の振動に身を任せる。
列車の車窓は既に雑然とした郊外を通り過ぎ、眼前には灰色の空の反射のせいで暗い色をした、荒涼とした冬の海が広がっていた。
『次は小樽築港、小樽築港。小樽築港をでますと……』
無機質な車内アナウンスが車内にわんわんと響き渡る。
ここまでくれば小樽市街ももうすぐだ。
数分ほど海を眺めていると、またコートのポケットが震える。これで通算四回目の電話だ。
「もぅ……」
私は面倒くささと、ほんの少しの希望、そして急に沸き上がった兄貴の声の聞きたさを込めて、デッキへと出て行く。
がたん、がたんと断続的な列車の音と振動が直に伝わってくるデッキで、私は通話ボタンを押した。
「もしもし、兄貴?」
「そら……お前いま……どこにいる」はぁ、はぁ、と息を荒らげながらつよい語調で問い詰める兄貴。
「どこだっていいじゃん」
「いい訳あるか! あのメールの内容なんなんだよ!」
「いいじゃん、兄貴も邪魔な妹が消えて自由に恋愛出来るんだからさ」
「そら、お前昨日から何か勘違いしてないか?」
「うるさい、もういいの!」私はまた兄貴相手に怒鳴ってしまった。「こんな妹に電話してる暇があったら昨日の電話みたく藍と電話で話してなさいよ!」
『まもなく、小樽築港。小樽築港……』後ろで虚しく響くアナウンスだけが私の叫びのあとの沈黙を埋める。
私は、もう何がしたいのか解らなかった。
ただ、あれだけ好きだったはずの兄貴とは絶対に逢いたくはないと言う気持ちだけがふくれあがっていた。
「さよなら、兄貴」私は静かに電話を切った。
ぶつっ。と電波の断末魔の後に、ひたすらに虚しいだけのコール音が受話器から聞こえてくる。俺はすぐに通話を切ると、携帯をコートのポケットにしまった。
「小樽築港……」繰り返すようにアナウンスの駅名をつぶやくと、俺はそのまま雪の駅前通りを駆け出した。
電車で中心街まで行ったのがなんとかなったな。と変な関心を覚えながらも人通りを避けながら、灰色の町を走る。
そらの背後から聞こえたアナウンスの駅名が正しければ、多分そらは小樽行きの列車に乗っているはずだ。
「ってことは、あそこだろうな」
もう一年も前の初夏の日のツーリングの目的地で、そらのお気に入りの場所。俺にはそらの行きそうな場所などそこくらいしか思いつかなかった。
いつの間にかあんなに晴れていた空は重苦しい鉛色に変わり、雪がちらつき始めている。
「ああくそっ! 邪魔なんだよ!」喚きながら俺は人ごみを縫うように駅前通りを、せめて駅まで走ればきっとなんとかなるはずだと信じて俺は足を運んだ。
正直足は痛いし腹もズキズキする。息をするだけでも喉に氷を流し込んだような妙な悪寒が走る。
普段運動なんざしない俺にとってこんなに真面目に走ったのなんかマラソン大会の練習以来だ。
息がヒュウヒュウ漏れる。雪に足がとられそうになる。重いコートが枷のように俺の体力を奪ってゆく。
そして、交差点の真ん前で俺が不運にも足をついたそこはブラックアイス……つまり、中途半端に溶けた雪が再び固まったアイスバーンだった。
足の支えを失った俺は盛大に足を滑らせ、右半身を下にするようにしてその場に倒れた。
「あああ、こん畜生!」
立ち上がろうにも短時間の間に酷使された体が悲鳴を上げ、きっと普段なら立ち上がる気力さえ失っていたと思う。
それでも俺は、痛む体を無理矢理に起こして、再び灰色の駅前通りを走り出した。
やがて眼前に暖色系の巨大な駅ビルが迫ると、俺はさらに、今まで生きてきた中でこれ以上とないほどの力を振り絞って交差点と駅前広場を駆け抜けた。
私が隣町の駅前についたのは、三時を回った頃だった。
灰色の低い空からは雪がちらつき、この港町をアスファルトなど見せないようにと白く染めてゆく。
いっそ、こんなふうに私も、心の中を何も見えないように白く染めてくれればいいのに。そう思いながら私は駅前のバスターミナルに止まったバスを一つづつ確かめるように見渡してゆく。
「あ、あった」
バスターミナルの端で、すこし申し訳なさそうに止まっている紅白の古めかしいバス。私はそのバスの行き先表示をじっと見つめる。
「10系統おたる水族館行き、うん。これでいい」
バスはほとんど貸切状態だった。私の他には和服のおばあちゃんと、私より二歳ほど上なくらいのセーラー服の少女が乗り込んでいるくらいで、座席はどこもかしこもガラガラだった。
私が適当な席に座ると同時に、バスはガラガラと音を立てて駅前を発車した。
『お待たせいたしました。1番線から小樽行き普通列車、発車いたします……』
駅のホームには既に小樽行きの電車が発車の時を待っており、俺はそれに乗り込むと、携帯電話を取り出した。
電話帳を呼び出して、検索。目当ての人物が見つかるとすぐに通話ボタンを押す。
ほとんどコールが聞こえないままに電話はつながった。
「はい、里野です」
「俺だ、北見だ」
駅まで全力疾走したあとのひどく痛い喉で、俺は電話口の里野に言う。
「里野、お前そらに何を吹き込んだ?」
「え?」
「とぼけんな。こっちはお前が昨日なんか吹き込んだせいでそらが妙な勘違いして出ていったんだぞ」
「ああ……それですか。それなら……」里野の話をしばらく聴き続け、そして一分ほど経ったろうか。俺は里野の話を中断させる。
「いい加減にしろ」強く、怒りのこもった口調で俺はそういうと電話を切った。
投下終了です
GJ!
次で最後…
楽しみにしてます!
90 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 21:50:07 ID:rNwqulQx
種有り
ほ
92 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 02:00:57 ID:34dp2LW/
の
残りの分の投下です。これでこの物語もラストとなりました
「はーっ」手袋をはめてても、ほつれた毛糸の隙間から刺し込んでくる冷気で手がかじかんでくる。だからこうやって定期的に息を送り込んでいるのだが、それでもすぐにまた冷たさが戻ってくる。
結局終点でバスを降りたのは私一人だけだった。バスの運転手も乗り過ごしたのかい?とかすぐに折り返すからそのまま乗ってなさい。とか何度も何度も言ってきた。
しかし私はここでいいんです。とバスを降り、真冬の、シャッターの閉まった水族館にたどり着いたのだった。
もちろん、休業中の水族館なんかに誰が来るはずも無く、私は小高くなった水族館の前の階段の途中で、もう何時間もただひたすら座り込んでいた。
「寒い……」
そうは言うもののあたたかい飲み物を売る自販機など近くにはなく、ただ目の前には雪原と化した駐車場と、その奥にぽつんと場違いのように立ったバス停だけが写る。
「なんでこんなとこ来ちゃったんだろ」
冬の、こんな灰色の空の下、魚も見れない水族館にやってきた馬鹿な少女はつぶやく。
ここは夏に、兄貴と一緒にきてこそ楽しいのに、なんでこんなことやってるんだろ……。
「兄貴……」
あんなに酷いこと言っちゃったのに。私はもう兄貴と関わっちゃいけないって決めたはずなのに。なんで兄貴のことを思い出しちゃうんだろ。
ついさっきまでは、兄貴のこと大嫌いだったのに……。
ああ。やっぱ私、兄貴とは離れられないんだ。
兄貴のことが大好きで、兄貴に甘えるのが幸せで、兄貴と一緒にいないと、まるであの雪原の駐車場みたいに、心の中が真っ白になって、それがすっごい寂しくて……
「やっぱ兄貴がいないとダメだよ……私」
うさぎは寂しいと死ぬ。っていうのは嘘だって聞いたことがある。逆にうさぎは孤独に強くて、血縁じゃないうさぎと一緒に飼えば、縄張り意識が強すぎて殺し合いになるらしい。
きっといまの私はうさぎより手間のかかる動物なんだろうな。
兄貴がいないと寂しくてダメになる。でも兄貴が他の女の子に取られるのは絶対に嫌だ。
寂しがりで、嫉妬深くて、甘えたがりで……。
「なんだ」私は自虐たっぷりに笑ってみせた。「これじゃ犬じゃん」
雪はいつの間にか酷くなり、階段に座り込んでいた私の上にも、まるで帽子のような雪が降り積もっていた。
「寒い……」
寒い。
寂しい。
兄貴、会いたいよ。
「ったく、手間かけさせやがって」
寒くなりすぎて遠くなった感覚の向こうで、誰かが言う。
私はゆっくりと閉じていた目をあける。
そこには真っ白な雪原といは正反対の黒いコート。それを羽織ったよく見知った癖っ毛の男の人が立っていた。
「兄貴……」私は不意に歓喜の言葉が溢れそうになる、が、私の中の変な意地は、そこで私に素直になるのを許そうとはさせなかった。
「……なんで来たのよ」
「心配だったからに決まってるだろ」いつもと同じようなつっけんどんな口調で兄貴は言う。
「心配なんかしなくていいじゃない、こんな気持ちの悪い妹」
「……いいわけねーだろが」
「嘘つき、藍には私のこと気持ち悪い妹とか散々言ったって……!」
兄貴は手を額に付いて、やれやれと言う顔でもう片方の手をポケットに突っ込み、携帯電話を取り出した。
慣れた手つきでボタンを幾つか押して行くと、それを顔に近づける。
「北見だ。……うん、お前から説明しろ」繋がったらしき電話の向こうの人物にそう手短に告げると、電話を私に手渡す。
「俺が話すのも面倒だしややこしいから、とりあえず本人に聞いてみろ」
私は電話を受け取った。
「替りました、そらです」
『あ、そらちゃん?』
あっけらかんとした藍の子絵が受話器の向こうから響いてくる。
「……昨日の電話」私は低く、重い声で電話口の藍を問い詰める。「あれはなんだったの?」
『ああ、あれ……あれね』そして電話口からは罰が悪そうな声が帰ってくる。『あの電話の内容、全部ウソなの』
まさか、とは思っていたが、真面目そうで、絶対に変な冗談なんかつかないと思ってたそんな冗談言うはずがないと思ったのだが。
『いや、あんまりにも千歳さんとそらちゃんのレンアイが見てられなくて、ついひと押しのつもりで調子に乗って嘘ついたんだけど、どうも逆効果になっちゃったのかもって…………』
「…………か」
『はい?』
「馬鹿! 私全部信じちゃったでしょ! ただでさえ兄貴の将来奪っちゃたかもって思ってたときに変な嘘つかないでよ!」
私はいつの間にか叫んでいた。
いつの間にか声も鼻声になり、冷えた頬には暖かい滴がこぼれおちて、きっともう、私の顔はくしゃくしゃだったのかもしれない。
余計なことをしてくれた藍への怒りと、それと兄貴が私を遠ざけてくれてなかったと言う喜びが一気に涙と、叫びとなってやってくる。
『本当にごめんね。でも、千歳さんからはホントの事絶対に言うな! って言われてて……』
「……ぇぐ、ほんとの、こと……?」
藍はうん。と落ち着いた声で、流れるように話し出した。
『昨日のお昼ね、千歳さんに偶然会って、で、そのまま千歳さんの相談に乗ってたのよ』
私は鼻声でうん。うん。と頷く。
『千歳さん、そらちゃんのことでちょっと迷ってて、で、ウチのお兄ちゃんの話してあげたらその話聞かせろって。
うちのお兄ちゃん。お姉ちゃんに襲われて、お姉ちゃんから逃げるために自衛隊入ったら、結局それがお姉ちゃんと一緒に暮らすのに都合よくなっちゃったんだって話したら、俺もなろうかなって言い始めて……』
「うん……」
『で、自衛隊の試験受けるからお兄ちゃんに詳しいこと聞いてくれないかって言われたの。それでそらにあんま迷惑かけたくないから。って千歳さんに口止めされてて……』
「ありがと、藍」
『うん……でもちょっと私はお邪魔みたいだから電話切るね』
「うん……切ってもいいよね、兄貴」
兄貴はこくりと頷いた。
「じゃあね、ありがと。藍」
私は通話を切ると、兄貴に携帯電話を返した。
「兄貴……」
「バス待たせてるんだ、すぐ行くぞ」
そう言って兄貴は私の手を握る。
不思議と、冷たくなったはずの手がそこから温まっていく感じがした。
ほとんど貸切状態の古びたバスが、私たちを乗せたままかたかたと揺れる。
もうすっかり暗くなった外の景色が変わるたびに、車内アナウンスが次から次へと呪文のように知らない土地の名前を連呼してゆく。
「ね、兄貴」
「なんだ?」
そらははにかんだ笑みを浮かべてこっちを向く。
「兄貴さ、私とエッチする前から私のために将来投げだす覚悟だったんだね」
俺ははぁ。と溜め息をついた。
「藍がしゃべったのか」
「うん」
俺はそらをじっと見つめ直した。
ふわふわと跳ねたくせっ毛のロングヘア。
くりっとした目と小さめの鼻と口。
あまり成長していないが、ほっそりとしたしなやかな肢体。
いつからこう思っていたのかは分からないが、俺もそらのすべてが愛らしいと思っていた。
だからこそ俺は、そらを幸せにしてやろうと思ってきた。
そらに愛する人が見つかれば全力で応援してやろうとも思った。
その対象が自分だと知ると、襲いかかる不安と闘いながらも将来のためにもと藍にかけあって陸自の曹試験の話を聞き出したりもした。
「兄貴」そらの顔が突然迫ってくる。「大好き。愛してる」
そして、俺はそらに唇を奪われた。
柔らかいそらの唇と、恥ずかしげに頬を赤らめた顔に似合わない、ひどく情熱的な舌の動きに俺は最初戸惑ったが、すぐに俺も応戦を始めた。
んちゅ、ちゅぅ。と淫靡な音がバスのエンジン音にかき消されてゆく。
やがてそらが唇を離すと、そらはこれ以上にないほどの笑顔で、俺に言った。
「結婚はできないけどお嫁さんとして兄貴の赤ちゃんいっぱい産んで、兄貴が死ぬまでずっと一緒にいてあげる」
そして、そらは俺の手を固く握った。
これ以上ないほどに強く、痛いくらいに握られた手を俺に見せつける。
「もう絶対に離さないから」
「そりゃこっちのセリフだ」
「やっぱり兄貴、だいすき」
バスはやがて市街地に入った。もうすぐ他のお客も乗ってくるころだろう。
だがそれまで、俺はこうしてそらとの時間を味わっていたかった。
おまけの小ネタ
「千歳さん、そらちゃんって犬っぽいですよねー」
「ん、まーなー」
「兄貴ー兄貴ー。ってワンちゃんみたいになついてますし、千歳さん二期のあり草案人が寄ると威嚇しますし」
「その上結構嫉妬深いからなー」
「誰が嫉妬深いのよ」
「うわそら! いつの間に!」
「さっきから居たから……確かに犬っぽいのは自分でも認めてるけどさー」
「あ、認めてたんだ……」
「うん。だから今夜は兄貴をいーっぱいマーキングして、私の臭いを体中に付けてあげるね」
「はぁ……」
「なんなら首輪つけてワンワンプレイとか裸でお散歩プレイしてもいいんだよ♪兄貴ならどんな恥ずかしいこともしてあげれるし♪」
「それはちょっと考えておく」
というわけでこの話も完結です。今までお付き合いありがとうございました。
もしかしたら蛇足な後日談が出てくるかもしれません。
最後にこのスレのみなさん、ご声援本当にありがとうございました
っと
千歳さん二期のあり草案人>千歳さんに気のありそうな
でした。申し訳ありません
完結GJ
ハッピーエンドで良かったぜ
後日談もお願いします
GJ!
>>102 それは思った。結局千歳の事が好きな子っていうのは誰なのかとか
泥棒猫じゃないんだったら藍の性格変わったのは何でだったんだろうとか
疑問は色々残るけど何はともあれGJ!
ぐっじょ!
なんだが、出来ればコテは前書き後書きだけにして、コテの部分を作品タイトルにして欲しかった。
シリアスなシーンを読んでる時に、『ポン菓子製造機』がちょくちょく見えると気が抜けてしまう。
ポン菓子のことをバカにするのはこの俺が許さない
ホワイトデーのお返しに姉妹が体を求めてくるので
幼馴染みの家に避難する男君
しかし幼馴染みは、姉が催眠術を掛けて認識を狂わせた姉自身であった。
>>106 幼馴染が泥棒猫で彼女も男君を狙っているという展開しか思い浮かばない
109 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 22:40:44 ID:djefxq7W
種有り
>>108 おい、もうやめとけ。
それ以上言うと女さんが来るぞ
男クンをあの姉妹の魔の手から救い出せるのは私しかいない…ッ!
>>111 危なーい!!天井に魔王(男姉)がへばりついてるぞーーッ!!
俺が姉ちゃんと死んだ親父との間に生まれた子だったなんて!って話を考えてたけどスレチな気がしたので廃棄。
おもしろ雑談はスレを衰退させるからここでやれ
116 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:48:19 ID:k+/PDp8U
投下します。
以下、本編
117 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:48:50 ID:k+/PDp8U
彼らは、緩やかな坂を登る。
真新しい制服に身を包み、ぴかぴかのローファーで一歩一歩踏みしめて。
皆、その顔に多くの期待と、一抹の不安を浮かべながら。
そんな彼らを祝福するかのように、薄桃色の花弁が舞う。
校門から校舎まで続く短い坂道の両脇に、所狭しと植えられた桜の木は、少し満開を過ぎてしまってはいるものの、十本近くの桜が一斉に咲くその光景は壮観で。
この晴れの日に相応しい抜けるような青空と相まって、どこか幻想的ですらあった。
今日は、ここ、県立秀峰高校の入学式。
今日から高校生となる新入生の容貌は、どこかあどけなく。
同じように坂を、しかし慣れた足取りで歩く上級生達の中において、それなりに目立っている。
春の妖精が、風に乗って無邪気に踊る。
ゆらゆらと風になびく髪を抑えながら、一条明日香は今日から通う学び舎を感慨深げに見上げた。
秀峰高校は、所謂進学校というやつでそれなりに偏差値も高い。
部活などスポーツ面においては他校の後塵を拝するが、勉学という一点を見る限り、県外においても知名度は高い。
明日香は、正直そこまで成績が良くない。
勉強嫌いという訳ではなく、寧ろ授業は真面目に聞くし、予習復習等人並みかそれ以上の努力はしている。
しかし、不幸な事に彼女は物覚えが悪いようで、いくら勉強をしても、まるで穴が開いているかのように翌日には抜けきってしまうのであった。
故に、こうして秀峰の制服を着て立つために支払った努力は並々ならぬものであった。
そのせいか、じっと校舎を見つめる彼女の頬は赤く昂揚し、うっすらと目に涙すら浮かべている。
「明日香?」
急に立ち止まり動かなくなった明日香に、隣を歩いていた少女が訝しげな顔をして振り返った。
そして林檎のように顔を真っ赤にして、今にも泣きそうな明日香を見てぎょっとしたような顔をした。
「……もう、何、泣いてるの」
「……泣いてないもん」
ぐし、と明日香は洟をすすりながら、微かに震えた声で言う。
「涙、まだ流れてないから。だから、泣いてないもん」
「また、そんな子供っぽい理屈を……」
呆れたように嘆息し、片手で顔を覆う少女、小野桐香も明日香と同じ新入生である。
ショートカットにメガネをかけ、その奥にはともすれば怜悧ともとられる、聡明さを湛えた眼が今は呆れに細められている。
事実、桐香はかなり優秀で、受験の歳も明日香は彼女にお世話になりっぱなしだった。
いつか、お礼するからと明日香が言っても、桐香は、
「いいの。親友は見返りなんて求めないものなのよ」
人によっては青臭く、綺麗事のように感じられる事も、ほんの数日前までは中学生だったとは思えないほど大人っぽい桐香が言うと、やけにしっくりきてしまうのだった。
対して、明日香はかなり子供っぽい。
くりくりとしたまあるい瞳やツーテールの髪、少し天然の入った幼い言動などが総じて年相応、否、ともすれば未だ小学生かと間違われてしまいそうなほどである。
良く言えば可愛らしい、悪く言えばちんちくりん。それが一条明日香という少女であった。
可愛らしくぷぅと頬を膨らませる明日香を見ながら、この子は高校生になってもクラスのマスコットになりそうだ、と桐香は心中で呟いた。
良くも悪くも一向に変わらない明日香が、桐香にはとても好ましく感じた。
そして、いまだにふるふると大きな瞳に涙をたたえる明日香に、桐香はふと優しげな笑みを浮かべた。
「まあ、明日香の気持ちはわかるわ。頑張ったものね」
「だからぁ、泣いてないってば」
明日香は不満げに抵抗するが、桐香は素知らぬふりで言葉を続ける。
「お兄さんと同じ学校に通えて、よかったわね」
「……」
明日香は、先程までとは別の理由で顔を赤くし、数秒の後こくりと頷いた。
「あら」
その明日香の予想外の素直さに、桐香は思わず声を漏らした。
普通ならば明日香は、自分がブラコンであることなんて認めようとしないけれど、今日は驚くほどあっさりと認めた。
それだけ嬉しく、明日香にも思うところがあるという事なのだろう。
桐香も受験シーズンの明日香の頑張りようを良く知っていたので、茶化すようなことはせず、
「ほら、早く教室に向かいましょ。入学式に遅刻なんて、笑えないわ」
「……うん」
明日香も顔を上げて、漸く歩を進めだした。
視界を過る淡い桃色の妖精を横目に、これから始まる日々へ少しだけ心を躍らせながら。
118 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:49:48 ID:k+/PDp8U
†
入学式は厳かに行われる。
体育館の前方に座る新入生たちは、皆一様に緊張した面持ちで椅子に座し、式次第が消化されていく。
長いだけでとくに特徴のない定型化した祝辞にも、殆どの新入生が真剣そのものの表情である。
その偏差値の高さから、秀峰の生徒は例年真面目な生徒が多いのだ。
それに、この高校に入るために彼らの多くが1年近く勉学に費やしたのだから、感慨もひとしおといったところなのだろう。
とはいえ、真剣に聞いているのは新入生ばかりで、彼らの後ろに座す2〜3年生の面々はみな辟易とし、退屈そうにしている。
まあ、彼らは少なくとも1回は似たような内容の入学式を経験しているし、自分たちは主役ではないのだから仕方ないと言えば仕方ないのだろう。
一条隼人はぼんやりとそう思いながら、なんとなく新入生の後姿を眺めていた。
「なあ、隼人」
すると前席に座っている佐倉陽介が振り返り、ひそひそと呼びかけてきた。
隼人が声を出さずに目線だけで応えると、
「どうよ」
陽介の質問の意図が全く分からず、隼人は眉をひそめた。
「……何が?」
「だから、今年の新入生。どう思う?」
「どう思う、って……俺たちも二年前はあんな感じだったんだろうなぁ、とか」
隼人の答えに陽介は、何言ってるんだコイツと言いたげな顔をした。
「バッカ、お前、新入生女子のレベルに決まってんだろ」
「レベルって、お前な」
声をひそめていてもある程度の範囲には聞こえていたのだろう、陽介の隣に座る女子が嫌そうな顔で陽介を睨んだ。
何様のつもりだよ。彼女の心の声が、隼人には聞こえる気がした。
ったく、隼人は呟く。
「そんなの、後姿くらいしかまともに見えないんだ、判断のしようがないだろ」
「まあ、そうだけどよ。新入生代表の子を見る限りは結構期待持てそうじゃねえか?」
新入生代表。
「ああ、桐香ちゃんか」
隼人は十数分前の記憶を特に苦もなく掘りだした。
壇上で凛とした表情で原稿を読み上げる少女の姿は、確かに遠目から見ても可愛かった。
「なんだよ、隼人も既にチェックしてるじゃねぇか、名前まで」
「違うから。桐香ちゃんは妹の友人で、会った事があるんだよ」
特に昨年は、よく家で隼人の妹である明日香と一緒に勉強をしていた。
余り勉強のできるほうではない明日香がこの秀峰に入れたのは、桐香のお陰に他ならなかった。
「妹?そういや、お前2つ下の妹がいるって言ってたな。その子も今ここに居るのか?」
「ああ、まあな」
頷いて、隼人は新入生の中から明日香を探そうと試みる。
しかし、多くの後姿から明日香を見つけるというのはさすがに不可能であった。
ツーテールの女の子を探そうと思えば探せるかもしれないが、明日香の背中を見つけたとして意味を成すようには思えない。
妹の緊張した顔なら、今朝探す必要もなく見てきた。
「へえ、妹さん可愛いのか?」
興奮したように言う陽介にジト目を向ける。
「言っとくけど、何があってもお前にだけは、明日香はやらないぞ」
「何だよ、ケチー。今時シスコン何て流行んないぜ?」
「そうじゃない。お前の義兄になるのだけは嫌だって言いたいんだ」
「ええ、良いじゃないか義兄さん」
「呼ぶな」
隼人は寒気を覚えながら、陽介の足を軽く蹴った。
「友人の妹に手を出すとか、正直微妙だと思うぞ、俺は」
「うるせぇ。彼女持ちの隼人には童貞の気持ちなんて分からねえよーだ」
不貞腐れたように陽介。
彼女持ちでも童貞の奴が居てもおかしくはないと隼人は思う。
とはいえ、隼人が童貞という事ではないのだけれど。
そんな事よりも、陽介の隣の女子の隼人達を見る目が一層汚らわしいものを見るような目になっている事が、隼人には問題であった。
全部陽介のせいなのに、何故俺まで、と隼人は溜息をこぼした。
「後で紹介しろよ」
「絶対――」
嫌だ、と告げようとして周囲の生徒が急に立ち上がり遮られた。
隼人も慌てて立ち上がる。どうやら上級生が校歌を新入生にお披露目するプログラムらしい。
そろそろこの入学式も終わりが近い。
119 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:50:28 ID:k+/PDp8U
この後に授業は入っていないが、陽介のこの調子では、どうせ新入生女子の品定めに付き合わなければならないだろう。
別に付き合う義理はないが、今日は明日香と一緒に帰る約束をしていた。
妹と一緒に帰るのは抵抗があったが、恋人に言い含められて隼人は了承するほかなかったのだ。
陽介は隼人の妹に興味を持ったようだし、隼人に付いてくるのは間違いがなかった。
退屈ではあったが、この後の事を考えて隼人は憂鬱な気持ちだった。
†
帰り道。
未だ日も高いうちに隼人達は帰路を辿っていた。
麗らかな日差しにキラキラ輝く、宝石をちりばめたかのような川の流れる河川敷。この道にも、数本桜が植えられている。
相変わらず、日本人は桜が好きだな。
濃厚な春の香りを嗅ぎながら、隼人はぼんやりとそんな事を考えた。
「中々可愛い子じゃないか、お前の妹」
唐突に陽介が隼人の方に腕をまわしてきて、にやけながら耳元で囁いた。
その距離は、当然だが妙に近い。ぞっと隼人の腕に鳥肌が立った。
可愛い女の子にされるならまだしも、男にされても気持ち悪いだけだ。隼人にはそんな趣味はない。
「何度も言うが、お前にはやらないぞ」
陽介を引き剥がしながら、隼人がうんざりとしたように言うと、
「あー、はいはい。分かったよ、このシスコンめ」
「だから、それも違うと、どれだけ言えば――」
「――分かってるって。別に可愛いって言っただけだろ。狙ってるわけじゃないし、第一、俺のタイプじゃねえよ」
「……」
陽介の言葉に隼人はちょっとだけムッとする。
なぜか、そう、真正面から妹の事をタイプじゃないとか言われると不愉快な気持ちになってしまう。
その事を悟ったのか、陽介が意地の悪い笑みを浮かべた。
「なーにムッとしてるんだよ。シスコンじゃないとか言いながら、十分シスコンじゃねえか」
「……よし分かった。お前、さっきから喧嘩売ってるんだな」
隼人は拳を握りしめる。
半ば図星を指された事に対する誤魔化しと、今日の入学式のときからやけに絡んでくる陽介にいい加減苛々していた。
まずは一発。殴る権利はあるだろう、そう隼人は思っていた。
しかしこぶしを振り上げた所で、
「おーい、あんた達さっきから遅いわよ。何してるわけ?」
隼人と陽介の前方50メートル弱のところで、隼人の恋人である百川立夏が腰に手を当て、こちらを睨んでいた。
その両脇には明日香と明日香の友人である桐香がいる。
二人とも立夏同様立ち止まり、二人の様子を窺っていた。
「あいあーい」
陽介は暢気な声で、3人の元へと小走りに駆け寄っていく。
隼人も一つ嘆息し、少しだけ歩く速度を速めた。
120 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:51:54 ID:k+/PDp8U
†
「で、さっきは佐倉と何話してたわけ?」
隼人達は皆、秀峰から帰宅するために、上り下りの違いはあれど、電車に乗らなければならない。
秀峰最寄りの駅前は、そこそこに栄え、秀峰の生徒は電車に乗る前に良くそこで寄り道をしている。
それは隼人と立夏、そして陽介も例外ではなく、今日も今日とて駅近くの喫茶店に立ち寄っていた。
そして今日から秀峰の生徒である、明日香と桐香も同行していた。
立夏の問いに隼人はコーヒーカップをソーサーに置き、
「何って……」
立夏を一瞥し、そして少し離れた所に座る陽介達3人の姿を眺めた。
今日は入学式のせいなのかどうかは知らないが客が多く、5人同時に座れる席がなく、こうして別れて座るほかなかったのだ。
だからといって、別にこういう組み合わせで座る必要もなかったのだけれど、陽介が明日香と桐香を連れてさっさと席へ着いてしまった。
多分気を遣われたんだろう。隼人は思う。
別に、立夏と付き合いだして結構経つので、今更こんな風に気を遣われた所で、とも。
「ああ、成程ね」
隼人の視線を追って、立夏は何かを悟ったように頷いた。
「佐倉の悪い癖がまた出たってわけね」
「分かるのか?」
「まあ、それなりには。どちらかというと隼人よりも佐倉との方が、付き合い長いから」
ふーんと隼人は、陽介達を見たまま返事をした。
陽介が大げさな手ぶりを交えながら何かを話し、時折明日香と桐香がくすくすと笑っている。
隼人は正直自分よりも、陽介の方が女にもてるのではないかと思う。
隼人には女の子を楽しませるような話をする自信がなかった。
それに、陽介は女の子と仲良くなるために積極的に行動している。
対して隼人は、ナンパなんて論外であるし、合コンにも行ったことがない。
しかし、陽介に彼女が出来た事はなく、隼人にはこうして立夏という恋人がいる。
俺は運が良かったのかな。隼人はしみじみそう思った。
「なーに、妬いてるの」
考え込んでいる隼人の姿に何か勘違いをしたのか、立夏が嬉しそうな顔で言う。
「は?妬くって、一体何を」
「まーたまた誤魔化しちゃって。隼人よりも佐倉の方がウチと付き合いが長いって言ったから妬いちゃってるんでしょ?」
「あぁ、その事ね」
陽介と立夏は同じ中学校出身で、隼人は二人と高校に入学したあとに出会ったのだ。
といっても立夏も陽介と友人関係になったのは、隼人と付き合い始めてからで、立夏にとって陽介と付き合うなんて選択肢はあり得ないものであった。
過去の経験から、がつがつした男が立夏は苦手なのだった。
「別に妬いてねぇよ」
「もー嘘ばっかり。照れ屋なんだから」
隼人は否定するも、立夏は聞く耳持たず一人嬉しそうに悶えている。
それ以上否定するのも面倒くさくなった隼人は、
「まあ、いいけどな」
と呟き、コーヒーを一口啜った。
口の中に熱さ苦みが広がる。
もうそろそろ、ホットは辛くなりそうだな。隼人は、喫茶店の窓から空を見上げた。
穏やかな日差し。うとうとと眠くなってしまいそうな程には心地がよい。
あと少しすれば春はすぐに過ぎ、夏が来る。
「隼人ってコーヒー好きだよねえ」
「ん、そうか?」
121 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:52:35 ID:k+/PDp8U
「うん、それもブラックばっかり。苦くない?」
「そりゃあ、ブラックコーヒーが甘かったら変だろ」
言いながら、隼人は立夏の手元にあるカップをみる。
その中には、コーヒーが入っているが、隼人のようなブラックではない。
「苦いだけ物の、何処が美味しいんだか」
理解できないとでもいう風に、立夏は肩をすくめ首を振った。
こざっぱりとしたショートカットの髪が微かに揺れた。
「俺には、コーヒーの中に砂糖に牛乳だけじゃなく、チョコレートまで入れるほうが理解できないんだが」
隼人にとってそれは最早、コーヒーとは呼べない代物であった。
その甘さを想像して、げんなりとした顔の隼人を見て立夏はいたずらっぽく笑った。
「ねえ、それ一口頂戴?」
「は、お前苦いの、苦手だろ。なんで態々……」
「別にいいじゃん、減るもんじゃないし」
「いや、減るだろ普通に」
隼人のごく正論の反駁もやはり立夏は軽く流し、隼人のカップをかっさらった。
そして間接キスとかそんな者気にしていないとでもいう風に、否、寧ろ立夏はそれを狙っているのだが、カップを口につけコーヒーを一口含んだ。
「うえー、苦い……」
予想以上の苦さに、立夏は吐き出してしまいそうになるのを何とか堪えた。
目を瞑り、多くの勇気と英断をもって、何とかごくんと飲み込んだ。
そして、隼人をきっと睨みつける。
「何てモノ飲ませるのよ!」
「え、何、俺のせい?」
いくらなんでも理不尽に過ぎる。
「こんなの、人間の飲み物じゃないわよ」
「……コーヒー農家と店の人に謝れ」
「全く、この苦さは隼人の精液より――」
「――おい、ヤメロ」
「あいたっ!」
隼人は、不穏な発言をしそうになった立夏の頭を叩いてやめさせる。
「っつー、今結構本気だったよね!?」
「当たり前だろ。ったく、場所を考えろよ」
誰にも聞かれていなかっただろうか。隼人は、周囲をさっと見回した。
はたと、明日香と視線があった。
じっと隼人達の方を見つめていた明日香は、唐突に隼人と視線が合い、慌てた様に目を反らした。
隼人は嫌な予感がして、眉をしかめた。
――もしかして聞こえていた?
勘弁してくれ。隼人は小さく呟いた。
いくら子供っぽい明日香といえども、精液くらいは知っているだろう。
もし聞こえていたのなら、立夏の発言を理解していてもおかしくはない。
そして、明日香の反応から見て、聞こえていた可能性が濃厚だった。
明日香は顔尾を真っ赤にさせて、メロンソーダの入ったグラスに刺さったストローを含みぶくぶくしている。
なんだろう。心中で呟く。明日香には分からなかった。
ずきずきと胸が痛む。隼人と立夏の間に流れているものは、明らかに恋人同士のそれで。
その二人の空気が、何故か明日香の胸をちくちくと刺すのだった。更に胸やけの様な、もやもやと霧のようなものもかかっている。
隼人に恋人がいる事を明日香は知っていたし、兄に初めて恋人が出来た事を一抹の寂しさは感じこそすれ、祝福したつもりだった。
この気持ちは、その乗り越えたと思っていた寂しさがもたらしているのだろうか。
122 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:53:15 ID:k+/PDp8U
「明日香?」
物思いにふける明日香に隣に座る桐香が気付いて、声をかける。
「……ん?」
「どうかした?」
尋ねる桐香の顔は、心配の色が濃い。
「なんでも、ないよ」
明日香は僅かに首をかたむけ、目を細め、唇を軽く歪める事で笑みをつくって見せた。
けれど、桐香には明日香が無理をしている事がはっきりと分かった。
「ん、明日香ちゃん、どうかしたの?」
二人の対面に座る陽介が首を傾げた。
「いいえ、大丈夫ですよ。ただ、ちょっと疲れちゃって」
「あー、入学式緊張したんだ?」
「はい。わたしは桐香ちゃんと違って何もしてないんですけど……」
桐香は何かを言おうと口を開こうとして、健気に笑みを取り繕う明日香に、もう、と困ったような溜息をひとつ。
「明日香、はしゃいでいたものね」
「はしゃいでないもん」
「嘘ばっかり。朝なんてうれし涙流してたくせに」
「へえ、そうなんだ?」
「そうなんですよ。お兄ちゃんと同じ学校に通えて嬉しいって」
「ちょっと、桐香ちゃん!?」
明日香は慌てて桐香を咎めるが、時すでに遅かった。
陽介はにやりとする。
明日香は隼人とはまた違って、いちいち反応が可愛く弄りがいがあるな、と陽介は三角の尻尾とギザギザの羽をはやした。
「明日香ちゃんはお兄ちゃんの事、大好きなんだねぇ」
「ち、違いますっ」
「えー、だって今日ブラコンだってこと認めたじゃない」
「ぅえっ?そんなの、認めてないよぅ」
必死に否定する明日香の頬は、確りと赤く染まっている。
しばらくそんな遣り取りを繰り返すうち、とうとう明日香は耐え切れず、恥ずかしそうに顔を伏せてしまった。
桐香と陽介は顔を見合わせる。ニンマリと意地の悪い笑みを浮かべている顔を、お互い確認し合う。
「二人とも、意地悪です……」
「はは、明日香ちゃんは可愛いなあ」
「あら、明日香はあげられませんよ?」
桐香が意地悪っぽく片眼をつむって見せると、
「それ、隼人にも言われたよ」
あいつも結構シスコンなんだ、と陽介が大仰に肩をすくめてみせた。
「そうなんですか。良かったわね、明日香。大事にされているみたいじゃない」
「あうぅ、そんなの、別に……」
どうでも、いいもん。明日香の声は次第に小さく、尻つぼみになっていった。
伏せられた明日香のその表情は、微かだが確かな喜びに満ち満ちているのが見て取れた。
その明日香の自然な表情を見て、桐香は、ほっと胸をなでおろした。
明日香は何かに悩んでいた。それがどんなものなのか、桐香には想像する事も出来ない。
桐香は明日香の親友であると自負しているけれど、所詮は他人にすぎない。どれだけ、距離が近い関係でも他人の心を読むことなんて、出来はしない。
物思いにふける明日香の表情には、辛さとか寂しさ、哀しさ、切なさ、色んな感情がぐちゃぐちゃに入り混じっているように見えた。
そしてその悩みが解決したわけではない。問題の先送りに過ぎないという事は、桐香にだって分かっている。
明日香が相談してこない限りは、桐香に出来ることなんて殆どない。それが彼女には悔しくて、不甲斐なかった。
けれど、今、明日香は確かに幸せそうに笑っていて。
明日香の胸に幸いが過っているのならば。明日香を苦しめるものが、小さくなっているのならば。
今は、それでいいと、桐香は思う。
123 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:53:40 ID:k+/PDp8U
†
ずっと入りたかった高校に、合格した。努力が最高の形で報われた。
兄と同じ学校に通いたいと、中2の頃から思っていた。
待ち望んでいた日常。
兄と学校へ通って、家へ帰る。
桐香たちにはああは言ったけれど。明日香は、自分がブラコンである事くらい自覚している。
だから、これからの日々は明日香が求める、ささやかな幸いに満ち溢れているはずだった。
けれど。
その幸せで塗り固められたはずの日常に、わずかな剥離が覗いている。
それは周囲の塗料も巻き込んで、パラパラと大きく育っていく。
その剥離の正体が、原因が明日香には分からなかった。
穏やかな幸福の福音。
怖いほど満ち足りた日々が、目の前に待っているというのに。
この、漠然とした不安は何なのだろうか。
胸を過る、小さな痛みは何なのだろうか。
今はまだ小さく、微かな違和感。
兄と恋人の姿を見ていると、その違和感が大きく胎動し、成長しているかのように思えた。
124 :
幻日 第一話:2010/03/16(火) 00:56:36 ID:k+/PDp8U
投下終了。
三人称視点に挑戦してみましたが、違和感があるようなら1人称に戻したいと思います。
GJ
微笑ましい感じで始まった物語がどう展開していくのか楽しみです
三人称については、全く違和感なく文章に集中できましたよ
個人的にも三人称のほうが好みですし
自分の姉と同じ名だな…。
128 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 18:55:39 ID:BVcJw60B
自分語りしようぜ!
GJ!
覚醒していくであろう
明日香に乾杯!
130 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 22:36:40 ID:vz1qqOPZ
ある 進化 並外れた
後30分くらいしたら短編投下。
※グロ、触手、獣姦、ふたなり、姉弟以外のエロ、弟集団レイプ、内臓ファック。
この辺りが苦手な方は、タイトルか酉でNGをお願いします。
132 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 21:35:39 ID:xm393W5K
1
その瞳は赤く輝いて。その唇は赤く艶めいて。その舌は赤く長く、自信の頬に付着したザーメンをペロリと舐めとる。
響き渡る少年の呻き声にも棒立ちで微動だにせず、腕を組んで見下ろし、冷めた微笑みを浮かべるだけ。
産まれたままの姿で、産まれたままの姿の弟を拷問に掛けている。何故なら弟は犯罪者だから。姉はそれを罰する意味で拷問しているのだ。
罪名は『かわいすぎ』。ショタコンでブラコンでサディストの姉が、弟を拷問するには充分な理由である。
「うーっ! うーっ!!」
アイマスクで目隠しをして、ギャグを噛ませ、すっかり弛筋したアナルを犯したとしても、それは誰からも同意を得れる仕方の無い事。
足をM字の形に押し広げ、その状態でそれぞれの手首と足首をガムテープでグルグル巻きに固定しても、誰にも非難できない仕方の無い事だ。
弟は壁へ上体を預けるようにベッドで仰向けに倒され、ズドン! ズドン! と凄まじいピストンで直腸と前立腺を抉られている。
「そろそろさぁ……頷いてよ風斗? あんまり意地を張るようなら、お尻に疑似子宮つくって種付けしちゃってもいいんだよ? 四年生の、小学生男子児童の妊婦さんにしてもいいんだよ?」
カワイイ、だから犯す。好きだ、だから犯す。愛している、だから犯す。お腹が減った、だから犯す。トイレに行きたい、だから犯す。
この姉、霧野 地香(きりの ちか)にとって、七つ年下の弟、霧野 風斗(きりの ふうと)を犯す事は、それぐらいに当たり前の生理現象。
「んぐっ、うぅっ……ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ!」
風斗は頬を、全身を火照らせ、脂汗を流し、アイマスクに涙を染み込ませ、ギャグの穴からヨダレを垂らしている。
まるで射精しているかのような大量のカウパーを零れさせ続け、お尻の中ですら粘っこい腸液でぐちょぐちょ。
穴と言う穴から体液を垂れ流し……それでも微かな意識を結集して首を横に振る。
「ダメよ!! サッカー選手になるのは諦めなさいっ!! ふーとは私と仲良く暮らすのよね? もっと気持ちよくしてあげるから、ね? ねっ? あきらめようねっ?」
ズパン! ズパン! ズパン! ズパン! ズパン! ズパン!
淫液を纏わせて色黒くぬらめく、細かな突起が無数に存在する長い蛇の尻尾。
それが風斗の粘膜と前立腺を擦り上げ、S字結腸の内部まで侵入して、グネグネと容赦無く波打って暴れまわる。
「うんんっ!? ふっ、ぁ、ぁ、あっ、ふぁ、むぐぅぅぅぅぅっ!!?」
ズリュ、ずりゅりゅ、ズリズリズリズリ……
引き抜けばビチャビチャと湯気立った腸液を掻き出し、突き込めば腹の表面まで胃袋を圧迫して押し上げる、既に一時間以上も続く拷問ファック。
蛇の尻尾は数メートルも有り、地香の左腕から生えて自在に動く。腕を組んだ左腕の肘から先が、変化させた黒く長い蛇の尻尾なのだ。
それを存分に使い、超絶的な快楽と、果ての無い射精を実の弟に強要する。
「スキだよふーと……」
何故なら、姉は弟を愛しているから、愛し過ぎて同じ時代に生まれ変わった蛇だから。
地香は人間ではなく、欲しいモノを長い舌で絡め取る、愛欲と嫉妬の化身、蛇神なのだから。
『Heavy one chain』〜ザ ラストエスケープ〜
2
氷が溶け、雪が溶け、季節は再び春へと返り咲く。
犬も猫も子供達も久々の陽気に外を駆け回り、しかし蛇だけが家の中で引き籠る。
蛇は腰のラインまで伸びた黒髪を垂らし、学校に行こうと着替えた黒いセーラー服のままで、リビングのテーブルにだらしなく突っ伏していた。
「んっ、くちゅくちゅ、ちゅくちゅ、んぢゅ……ぺっ」
パックから種無しチェリーを一粒つまんで口に放り、舌と内頬で押し潰すように咀嚼した後、へたを蝶々結びにしてペッと吐き出す。
そんな行為を機械的に何度も繰り返し、テーブルの上に蝶の群れを誕生させる。
くちゅくちゅ。舌と、
ちゅくちゅっ。内頬で咀嚼し、
ぢゅ……ぺっ。へたを吐き出す。
やがて食べ尽くされ、だけれども蛇の爪先はチェリーを求めてカリカリとパックを引っ掻く。
天然の赤い瞳を虚ろに細め、溜め息をつき、ただただ、ボーッと、カリカリカリカリ。
「ふーとぉっ、なん、でよ……」
こうなった原因は数日前、風斗の一言が引き金。
──えっ、ボクが入りたいのはチェルシーだよ?
風斗がサッカー選手になりたいのは知っていた。毎日練習する姿を陰ながら応援もしていた。
だがそれは、日本のチームに入ると思っていたからなのだ。海外で有れば話しは別。何故なら地香は、日本から離れられないのだから。
第一形態の人だったとしても、
第二形態の蛇だったとしても、
第三形態の半人半蛇のラミアだったとしても、
そしてまだ誰にも見せた事のない最終形態だったとしても……
他にも様々な力を持ってはいるが、唯一できないのは日本から出る事。日本の、蛇の、神の、地香は、たったそれだけができない。
このままでは離ればなれになってしまう。だから尚更に焦っているのだ。昨晩も失神するまで犯し抜いたが、結局、風斗は首を縦に振らなかった。
「せつない、お姉ちゃんせつない。せつなくて、せつなくてぇ……」
だが、嘘でも首を縦に振らなかったから、
「せつなくて、ふふっ……あははっ♪ あはははははははっ!!! お姉ちゃん、笑いが、くふふっ、止まらないわぁぁあああ!!!」
地香はキレた。
バン! とテーブルを叩いて席を立ち、これから起こす惨劇を思い浮かべて笑い声を響かせる。
恋するお姉ちゃんはせつなくて 弟を想うとすぐ惨劇を起こしちゃうの♪
「はああぁぁっ、待っててね風斗? 今、お姉ちゃんが、イクからね?」
そして風斗の通う小学校へ向かう為、ブチ抜いたテーブルから、ズルリと両腕を引き抜くのだった。
3
静か。聞こえるのは、ペンを走らせる音に呼吸音。
四年二組の三時間目は社会のテストで、生徒は全員まじめに取り組んでいた。
「みんな、諦めずに最後まで頑張るのよ!」
その姿を見回りながら激励するのは、このクラスの女教師、高瀬 瑞希(たかせ みずき)。
赤みがかった長い髪を後ろでポニーテールに束ね、服は上下揃ってダボついたジャージ。
体型は引き締まっていて、三桁に届きそうな胸だけがアンバランスに飛び出ている。
身長は高く、顔は凛々しくも幼さが残る可愛さを併せ持ち。年齢は二十代半ばと若い。
しかし彼女は、副業のイメクラでアフターに誘われる事は有っても、彼氏と呼べる人は産まれてから一度もできなかった。
「後少しだから、見直し忘れないで」
何故なら彼女が好きなのは、年端も行かない少年少女だから。
少年少女が好きだから、小学校の教師となったのだ。汚れを知らない子供達を毒牙に掛け、自分好みのハーレムを築く為に。
だが実際にできるのは、適度なスキンシップタッチと、その感触を思い出してのオナニー。
柔らかな肌を撫で、温めたミルクのような匂いを嗅ぎ、自分を慰めるので精一杯。
彼女の理性が『それ以上』を押さえ込み、客に抱かれた自分が生徒、突いている客が自分だと脳内変換する事によって、『それ以上』の欲求を発散していたのだ。
そしてそれは……
──ペニスが欲しい。
瑞希に次なる欲求を産み出す。
──ペニスが欲しい。
「はぁっ……」
気が付けば落胆の息が盛れ、そんなのは絶対に無理だと自らに言い聞かせた。
──ペニスが欲しい。
願いが今日にも叶うと知らずに。
「はぁっ」
二つ目の落胆。その吐息は大きく教室中に届き、大丈夫? と言う子供達の視線を一身に集めてしまう。
慌てて瑞希はニコリと笑顔を作った……瞬間。
「ガラガラガラ」
聞き慣れぬ声と共に教室の前ドアが無造作に開かれ、
「ぴしゃり」
侵入を許した後に再び閉じられる。
にも関わらず、生徒も、瑞希も、誰一人としてそれを追及する者はいない。見とれているのだ。
鈍く輝く瞳が赤い残光を残して軌跡を描き、ゆっくり、ゆっくり、教台へ向かう。
長い髪を僅かに揺らし、美しく優雅な歩方で、タトン、タトン、ゆっくり、ゆっくり。
黒い髪に、黒いセーラー服に、黒いタイツに、黒い腹の内。霧野 地香の登場。
地香は教台に上がり、教卓に手を着き、生徒全員を視界に入れ、無表情で言葉を紡ぐ。
「これからみなさんには、命賭けで学校を脱出して貰います」
それこそ唐突に、理解させる気もない説明で、反抗すら起こせぬように唖然とさせる。
「おねえちゃんダメぇっ!!」
その中で一人、風斗だけが危険を察知して席を立ち、ヤメさせる為に走り寄るが、風斗の席は窓側の奥。地香のアクションを止めるには余りにも遠い距離だった。
4
地香のすべきアクションはたった一つ。
──バチンッ!!
自分の両手を、自分の目の前で、合掌するように合わせ叩くだけ。
それだけで……
「Heavy one chain,,,
(ヘビお姉ちゃん……)
1810 biohazard!!
(プレミアムバイオハザード!!)」
大気が一瞬にして震える。そして起こるのは、究極の逆成長。
「何したの? お姉ちゃん何したのっ!!?」
最初は校庭に生えた草木だった。
みるみる草は伸び、グラウンドの面積を侵食しながら増えて侵食し、木々は太く大きくなって、数えきれない程のツタを校舎にまでまとわり付かせる。
羽を休める鳥達は急激に骨格が発達して変貌を遂げ、始祖鳥の姿まで退化して鳴き声を上げていた。
プールの水は濁り、プールサイドは風化して崩れ落ち、砂になった足場を、溢れるプールの水がぬかるみの沼地に変えてしまう。
底を不可視にして、古代魚を泳がせて繁殖させる、プールだったモノ。最早、跡形も無い。
この学校だけが太古のジャングルへと、ムーの大森林へと『戻って』しまったのだ。
既に校舎の中にまでツタが入り込み、新たな植物を産み、更に細いツタを壁に這わせてビッシリとこびりつく。
電線は遮断され、携帯すら繋がらない密室の校舎。様々な生物もそこかしこに蔓延り出し、学校としての機能を完璧に終わらせていた。
実にこの間、たったの30秒。
「さて、頭の良いみんなはわかったかな? 冗談では決してありません」
天井にツタが這い、床でネズミが走り、机は腐食して粉々に。
ようやく事態を理解し始めた子供達は、表情を唖然から恐怖へと移らせて行く。
そんな中、誰よりも早く声を発したのは、
「フザケんな!! さっさと戻せよ、サッカーできなくなっちゃうだろっ!!!」
風斗の前席で、身長が130センチにも満たない男子生徒。
顔だけを見れば少女にも映る中性的な少年。上は裸で、脱いだTシャツを肩に掛け、下は黒いスパッツ。肌は小麦色に焼け、Tシャツを着ていた部分だけが白く浮いている。
平坂 蒼真(ひらさか そうま)、彼は風斗と同じくサッカーが好きで、将来は世界一のプレイヤーになる為に、毎日何時間も練習していたのだ。
そんな彼だからこそ、何よりも校庭が使用不可能になる事が許せない。
しかしそんな彼だからこそ、
「じゃあ、サッカーなんかよりも、ふふっ……素敵な経験をさせてあげるわ」
彼女の癪に障った。
地香は左手を頭上に掲げると、パチン! 親指と中指を擦らせて鳴らす。
5
刹那。蒼真の下、コンクリートの床が突然ヒビ割れる。
そしてその隙間から太いツタが飛び出すと、左右の足首にグルグルと巻き付いた。
「えっ……うわあぁぁぁぁあああ!!?」
更に天井からもツタが垂れ、こちらも左右の手首に巻き付き、バンザイの形に吊り上げてしまう。
蒼真は今、棒立ちで、バンザイした状態で、身体の自由を封じられてしまったのだ。
それだけじゃない。天井に這うツタからは、ピンク色でゼリー状の樹液が滲み出て垂れ落ち、蒼真の身体にヌチャヌチャと水音を立てて付着する。
「恐がってる恐がってる♪ 好きよ、そういう顔……くすっ、ふっ、あはははははははっ♪♪」
それは、意思を持っているかのように下半身へと流れてスパッツに触れると、瞬く間にパンツごと溶かしてしまった。
「ひっ!? ヤ、だ……見ないでぇぇぇぇぇっ!!!」
元々上半身は裸だった為に、蒼真はこれですっぽんぽん。しかも両手両足をツタに繋がれ、恐怖で縮こまった白い肌のペニスを隠す事もできない。
全身に視線を浴び、唯々ポロポロと涙を溢し、恥ずかしさと悔しさで下唇を噛み締めるばかり。
──パチン!!
しかしこの世は非情である。地香は蒼真の涙に満足すると、すぐさま二度目となる音を鳴らす。
次に天井から落ちるのは植物。500mlペットボトルサイズのウツボが蒼真の眼前まで垂れ下がり、パカッとフタを開けて中身を見せつける。
「ひっく、ひくっ……もっ、ヤメてよぉっ」
本来ならエサを捕食する為、虫を呼び寄せる蜜を蓄える筈の空洞。
だがこのウツボは違う。内部には柔らかな緑色の肉壁が存在し、媚薬の蜜を満たして蠢いている。
中央の細長い孔でペニスを咥え込めるのを、ヨダレを溜めて心待ちにしているのだ。
そう、この学校に生える植物は搾精植物。徘徊する生物は搾精生物。
どちらも雄からは精液を搾り取り、雌には快楽を与えて絶え間無いアクメに連れ回す。
「お姉ちゃんヤメてよ! 蒼真は、ボクの大切な友達なんだ!!」
これから蒼真はどうなってしまうのか……調教されている風斗だけが悟り、涙ながら地香にすがり付くが、『大切な』……このキーワードが地香のサド心をくすぐってしまう。
風斗のマジ泣きする顔が見たいと、妖しく微笑せてしまう。
「ん〜っ、何を言ってるの風斗? 風斗には、大切なお姉ちゃんが居るでしょ? だから……大切な友達なんて、壊しちゃうからね?」
──パチン!
三度目。躊躇(ちゅうちょ)など全く無い。
最初から決めていたのだ。風斗の親友である平坂蒼真、担任の高瀬瑞希、幼馴染みで風斗に恋心を抱いている月影 摩耶(つきかげ まや)、この三人は必ず堕とすと。
スミマセン。こっちの都合で、一度ここで区切らせてください。
後日残りを投下します。
注意書きは同じで、エロオンリー。
ふぅ、貴方の書くテキスト大好物です
おつです!
西尾維新厨の俺にはたまらない作品だw
141 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 00:21:16 ID:Wip8MFjp
142 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 03:13:23 ID:VxhN3JZA
shine
shine shrine
Gjとだけいっておくぜ!
>>137 なんでこんなにキモい文を書けるんだ・・・たまらんわ
147 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 23:43:37 ID:irxokY+D
さいこう
148 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 00:55:21 ID:D6mziyv2
投下します
以下、本編
149 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 00:56:35 ID:D6mziyv2
秀峰高校の原則。秀峰の生徒は、皆まじめな生徒ばかりである。
実際、偏差値が高く、入学試験が鬼の様に難しい秀峰には、自明の理として優秀な生徒が集まってくる。
彼らの目標は、よりレベルの高い大学へ進学する事に集約され、授業中は皆、真剣そのものの表情である。
教師の言葉を、一言一句聞き逃すまいとするかのように、あっという間に消されてしまう黒板の文字を映し損ねないように、じっと前を見据える。
その中で、隼人は退屈そうに目を細め、窓の外へと視線を向けた。
実は、隼人は、余り優秀な生徒ではない。
始めの方こそ秀峰に合格する程度には成績の良かった隼人ではあったが、高校の勉強に四苦八苦し、教師たちも落ちこぼれに対して時間を割く事などしないので、
あれよこれよの間に、ごろごろと転げ落ちてしまったのである。
今では既に諦めてしまったのか、授業を真面目に聞こうとしていなかった。
といっても、このピリピリと張り詰めた空気の中でさすがに居眠りをしてしまえるほど剛毅でもないようで、ただ退屈な時を、あくびを噛み殺しながら浪費している。
隼人のクラスには、隼人同様落ちこぼれてしまった生徒が一人いて、その生徒は机に突っ伏し堂々と眠りこけている。佐倉陽介である。
陽介のこの様子はクラスメートにとっても、教師にとっても慣れたもので、いびきをかかない限りは注意する時間がもったいないと無視を決め込んでいる。
窓の外は雨が降っている。
暗い空から、しとしとと降る雨はどことなく寂しさをにおわせる。
見ているだけでも憂鬱になってしまいそうな天気。それに隼人は、余り雨が好きではなかった。
濡れるからとかそういう理由だけに止まらず、雨は隼人の気持ちを沈降させる。
じくじくと肩が痛む。もうとっくの昔に治ったはずの古い傷。
勉強が好きではない隼人が、この高校を選んだ理由の一つ。梅雨のある日に失くしてしまったものだ。
隼人にとって、この傷の事に関しては今更思う所なんてないつもりだし、後悔もしていないと声を大にして言える。
けれど、隼人は、矢張り雨を好きになれない。隼人自身からだけでなく、何よりも明日香から奪っていった日の象徴だから。
何となく苛々してしまう気持ちを抑えながら、隼人は退屈以外の何物でもない時を過ごすのだった。
秀峰に入学して初めての授業。
名門校の秀峰らしく、教師の自己紹介や授業のオリエンテーションもそこそこに、早速本格的な授業が始まった。
といっても、高校1年のこの時期の内容はほぼ中学の延長のものと言っても良い。
実際、中学で3年間ずっと成績トップで、入学試験も主席合格し入学式に新入生代表として言葉を述べた桐香にとっては取るに足らないものであった。
明日香は大丈夫かしら。ふと気になって、明日香の座る席へと視線を向けてみる。
桐香の視線の先、明日香はあまり授業に身が入っていないようであった。
黒板の文字をノートに書き写す手も止まり、窓の外をぼんやりと見つめている。
桐香の位置からは明日香の表情をうかがい知る事は出来ないが、彼女の方が通常よりも皿理落ち込んでいるように見えて桐香は不安になる。
具合でも悪いのだろうか。
明日香は生理が重いらしく、度々テンションの低い日がある。
昨日の明日香の様子も気になるし、休み時間に声をかけてみよう――
そこまで考えて、桐香は一人苦笑する。
さっきからまるで自分が明日香の両親にでもなったかのようだった。
そこまで考えて、ああ、と桐香は何かを悟った。
明日香の見つめる先、窓の外では朝から雨が降り続けている。
明日香は雨が好きではない。
それは桐香もよく知っていたし、その原因についても推測ではあるが、悟っている。
そして、その原因が桐香の推測通りならば、桐香にできる事はかなり少なくなってしまうのだった。
少しだけ寂しさの様なものを感じながら、桐香も雨を眺める。
桐香も雨の日よりも晴れの日の方が好きではあるが、嫌いという訳でもない。
けれど、明日香は違う。彼女はかなり明確に雨を嫌っている。
明日香は窓の外を睨みつける。けれど、生来の彼女の顔のつくりのせいで、睨むと言うよりは泣きそうな顔になってしまっている。
睨みながら、彼女はいろいろな事を考える。
色々な事を考えるけれど、結局それは殆ど彼女の兄の事に帰結するのであった。
中でも彼女の心を大きく締めるのは、梅雨のあの日の事と、昨日から兄とギクシャクしてしまっている事だった。
150 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 00:57:22 ID:D6mziyv2
昨日、兄とその恋人の姿を見て感じた違和感。
それは一瞬の事で、今は形を潜めてしまったけれど、それ以来どうしてか兄との接し方が良く分からなくなってしまっていた。
兄と顔を合わせると、何故か胸に僅かな痛みが走るのも明日香を困惑させた。
一体あの違和感は何だったのだろうか。そして、明日香の胸をチクリと刺すものの正体は。
「うーっ……」
明日香は小さく呻いた。考えすぎで、知恵熱が出そうなくらいだった。
そして、そのくらい考えても一向に答えが出ない事も明日香をムシャクシャさせる。
明日香は余り、頭を遣って考える事が得意ではない。かといって、考えるよりも行動優先という訳でもないのだが。
要するに、彼女は要領が悪いのだった。
秀峰。秀峰高校。明日香は自然、自虐的な笑みを浮かべる。
こんなにわたしたちに向いていない高校はない。そう、明日香は確信している。
わたしたち。その中には、明日香はもちろんの事、兄である隼人も含まれる。
隼人もあまり成績が良くない。明日香とは違い物覚えは良いみたいだが、勉強するのが嫌いであるようだ。それは、妹である明日香がよく知っていた。
一方で、明日香は頭の回転がそもそも鈍い。馬鹿ではないのだが、努力して並みよりも少し上のレベル。それが明日香だった。
入学試験に際しては、才女である桐香に散々お世話になって何とか合格にこぎつけたのだ。
そして、それは高校に入ってからも変わらないだろう。
明日香は頼りっぱなしで心苦しくはあるが、桐香の手助けがなければ進級も危うい。
明日香自らが望んで選んだ高校ではあるが、これから先の事を考えると溜息の一つでもつきたくなる明日香であった。
考えすぎて、段々と考え事の内容が脱線してしまっている事に明日香が気付いたのと同時、チャイムの音が授業の終わりを告げる。
この音だけは、中学の時に聞きなれたそれと変わらないように聞こえる。その事に明日香は、安堵してしまうのだった。
「明日香――」
授業が終わり、直ぐに桐香は明日香のもとへと駆け寄った。
桐香は、声をかけながら、自分よりも小さくて華奢な背中を軽く叩こうとして。
「――よし、決めた!」
突然立ち上がった明日香に吃驚させられて、硬直してしまった。
桐香の周囲の生徒も、驚いた顔で明日香を窺うように見ている。
「って、あれ、桐香ちゃん?」
どうかした?固まっている桐香に気付き、明日香が首をかしげた。
その声に桐香は、はっとしたような顔をして、
「どうかしたじゃないわよ。それを聞きたいのはこっちの方。突然大声出して、吃驚しちゃったじゃない」
周りの人も。桐香が周りを眺めながら言うと、明日香は漸く周囲へと目を向けた。
そして自分が注目されている事に気付くと、
「あぅー」
小さく縮こまって、すとんと席にへたり込んでしまった。
机に突っ伏し、頭を抱える様にして顔を隠そうとしている明日香に、桐香はくすりとした。
周囲の生徒も明日香の小動物的な行動に、和んでいるようだった。
「明日香、顔真っ赤よ。ふふ、恥ずかしがり屋なんだから」
「そんなんじゃないもん。このくらいへーき」
そう言う明日香は、顔一面を赤くしている。
「でも珍しいわね、恥ずかしがりやで、人見知りの明日香があんな大胆な行動に出るなんて。まあ、でもクラスメートに大きなインパクトは与えたようね」
良かったわね。悪戯っぽく桐香が言う。
「だから、そんなんじゃないんだもん」
明日香が不満そうに頬を膨らませて、ぷいとそっぽを向いてしまった。
「あらあら、怒らないで、冗談なんだから。それよりも、何を決めたの?」
そう言うと、明日香は直ぐに桐香の方を向く。
こういう素直なところが可愛い、と桐香は思う。
「えっとね、ウジウジ考えるのはやめようって。決めたの」
「?」
明日香の短すぎる答えに、桐香はクエスチョンマークを浮かべた。
その様子に気づいているのか、気付いていないのか、明日香は続ける。
「どうせ、わたしがいくら考えたって答えは出ないんだから、それなら無理に考えない方がいいやって。そっちの方が、多分わたしらしいもんね」
明日香は桐香に喋っているようで、実はそうではない。彼女は彼女自身に対して言い聞かせている。
明日香が、無い知恵を振り絞って考えた所で良い考えが浮かぶとは思えない。
それなら無駄な事は考えず、成行きに任せてしまおう。
山積する悩みは、きっと時が来れば解決できる。今はまだその時ではないのだ。
151 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 00:58:10 ID:D6mziyv2
明日香は、うん、と頷いた。やっぱりこっちのほうがわたしらしい。
それなら、まず自分が取るべき行動、それは。
「お兄ちゃんと仲直りしなきゃ!」
「……何、お兄さんと喧嘩でもしたわけ?」
明日香のこの奇妙な行動は、それが発端なのだろうか。
桐香の言葉に、明日香は首を振った。
「ううん、喧嘩なんてしてないよ」
「そうなの?じゃあ、何で仲直りなのよ」
「うーん」
明日香は、人差し指を唇にあてて考え込むようなそぶりを見せる。
けれど直ぐに、
「何となく、かな?」
と、笑って見せた。
†
「は、交換日記?!」
高校の、昼休み。
普段は屋上で昼食をとっている隼人達だが、今日はさすがにそう言う訳にもいかず、教室の隼人の席の周りに集まって食べていた。
隣のクラスの立夏は、隼人の前の席の生徒に椅子を借り、弁当箱を隼人の席の上に広げてから、徐に、
「ねえ、隼人交換日記しようよ」
この言葉に、既に弁当箱を突いていた隼人は、眉をしかめ、素っ頓狂な声を出した。
「そそ、交換日記」
言いながら、立夏は自分の鞄の中から一冊のノートを取り出した。
そのノートには可愛らしいシールやら何やらが散りばめられて、ファンシーに飾られている。
いつもは丁寧な筆致の癖に、やけに丸っこい字で、でかでかと書かれた“こうかんにっき”の文字に隼人はげんなりとした。
隼人の隣の席の机に座り、パンを齧っていた陽介は、それを覗きこんで、
「へぇー可愛いじゃん」
ニヤニヤと、面白くてたまらないという風である。
「でしょー。友達に色々手伝ってもらったんだからー」
陽介の真意に気付かず、立夏は満面の笑みを崩さない。
「既に私の分は書いたから、今日は隼人の番ね」
はい、と立夏がノートを手渡してくる。
呆然としている隼人は、立夏の勢いに押されてファンシーなノートを受け取ってしまった。
そのまま、何となく表紙を開くと1ページ目に立夏の文字が並んでいる。
ざっと目を通すと、昨日の出来事がメインになっているようだ。明日香や、桐香の名前もぽつぽつ登場している。
「ちょっと、恥ずかしいから読まないでよ」
立夏が隼人の手からノートを取り上げた。
「は?読むなって、お前、これ読むために書いたんじゃないのか?」
「そうだけど。今、読まなくても良いじゃない。目の前で読まれると恥ずかしいの」
立夏は、空気読めよ、とでも言いたげな表情だ。
面倒臭ぇ。隼人は、心中で毒づいた。この年で交換日記とか、一体何の罰ゲームだろうか。
「……冗談だよな?」
「何が?」
隼人の疑問に、立夏は首をかしげた。
隼人は、立夏の手にある交換日記を指さした。
ああ、と立夏が得心いったという体で頷いた。
「何で?本気だけど」
即答である。
彼女の目も真剣そのもので、それが本気の度合いを表しているようだった。
爛々と輝く立夏に対して、隼人はどんより澱んでいる。それこそ、今日の空の様に暗雲が垂れこめている。
「何でまた、交換日記なんだよ。メールがあるだろ」
隼人が嫌そうな声で言う。
「そうなんだけどね」
立夏は頷く。確かに今の時代、伝えたい事があればメールで済ましてしまえば、あっという間である。
それなのに、敢えて交換日記という前時代的というか、子供っぽい事をする理由が、彼女にはあった。
でもね。と前振りを置いて。
「やってみたいの」
「……それだけ?」
何らかの理由があるのだろう、と踏んでいた隼人は拍子抜けである。
152 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 00:59:10 ID:D6mziyv2
対する立夏は、ムッとしたような顔で、
「なに、悪い?」
いや、悪くはないけど。隼人は、立夏の眼光に気圧される様に口ごもった。
「ほ、ほら、やっぱりメールの方が色々便利だし、交換日記の必要なんてないんじゃない、かな、と」
思うん、だけ、ど。抵抗の声も段々と、小さくなっていく。
「まあ、確かに今更って感じではあるよなあ」
さっきからずっと、ニヤケ顔で成行きを見守っていた陽介が口をはさんだ。
見ようによっては、友人である隼人に助け船を出したかのようにも見えるが、実際は既にパンを食べてしまい、暇になっただけである。
とはいえ、劣勢気味の隼人にとって助け舟であることには変わらない。
「そうそう、今更だよ、今更」
陽介の言葉を繰り返す。
「別にいいでしょ、流行とかどうとかバカらしい。交換日記にはメールにはない良い所があるんだから」
しかし、立夏は全く歯牙にもかけようとしない。
メールにはなくて、交換日記にはある良い所って何だよ。隼人はそう思うが、口には出せない。
出したところで黙殺されるのは目に見えているし、これ以上立夏の機嫌が悪くなるのはまずい。
未だ立夏と付き合うようになって1年近くであるが、隼人はずっと立夏の尻に敷かれる形であった。
立夏は、再度ノートを隼人に手渡すと、もう話は終わったと言わんばかりに昼食に集中し始めた。
持っているだけで恥ずかしくなるようなファンシーなノートを手に、隼人はこみ上げるため息を堪えて、代わりに肩を落とした。
昼食後、昼休みもあと十分近くを残すのみで、生徒は皆、次の授業の準備に取り掛かっている。
隼人も教科書を机の中から引っ張りだして、沈んだ表情で窓の外を眺める。
外は相変わらずの雨である。予報によると、今日一日はこのまま止まないようだ。
「良い感じに、沈んでるな」
背中にかけられた声に振り返ると、陽介の相も変わらないニヤケ顔。
隼人は、うんざりとした表情で、しっしと手で追い払う仕草をした。
「もうすぐ、授業始まるぞ。早く席に戻れよ」
「まーだ、あと10分もあるじゃないか。他はどうかはしらねぇけど、俺とお前は少なくともそんな真面目ちゃんじゃないだろ?」
「お前と一緒にするなよな」
隼人は、さも心外だという風で反論する。
「俺は授業中に堂々と寝たりはしない」
「はん、どうせ真面目に聞いちゃいないんだろ?そんなの七難八苦だよ」
「……多分それ、五十歩百歩だと思うぞ。数字すらあってないじゃないか」
「べっ、別にそれはどうでもいいんだよ。それよりも交換日記だよ、交換日記」
隼人の指摘に、さすがに恥ずかしかったのか陽介が話題を変えた。
すると今度は隼人が、嫌そうな顔になる。
ちなみに、件のファンシーノートは手渡されてすぐに隼人は、鞄の中にしまいこんでいる。
「まあ、百川さんの気持ちも分からないでもないけどな」
陽介の言葉に、隼人は顔をひきつらせて体をのけぞらせ、陽介から距離を離した。
「お前、そんなメルヒェンな趣味が……?」
「バッカ、ちげぇよ。百川さん、中学時代はガリ勉少女だったからな、そういう子供っぽい青春に憧れがあるんじゃねぇの?」
両目の前で人差し指をぐるぐるさせて、
「こーんなメガネして三つ編みだぜ、笑えるだろ?」
「成程ねぇ」
隼人は頷く。どうやら、立夏は高校デビューというやつを果たしたということだった。
さすがに陽介の言葉全てを信じたわけではないが、そう言う憧れがあったという話は真実とみても良いだろう、と隼人は思う。
そうすれば、今回の立夏のちょっとばかり強引な行動も頷けた。
ちょうどその時、昼休み終了のチャイムが鳴った。授業開始五分前である。
そろそろ、教師も教室にやってくるだろう。
「んじゃ、交換日記、頑張れよ」
そう言って陽介が自分の席へ戻って行った。
結局、終始隼人の癇に障るような笑みを浮かべたままだった。
何をがんばれって言うんだよ、その背中に向かって隼人は小さくつぶやいた。
そして、今日からあのファンシーなノートに日記を、それも人に見せる前提のモノを書かなければならないと思うと、隼人はキリキリと胃が痛くなるような思いだった。
153 :
幻日 第二話:2010/03/19(金) 01:01:25 ID:D6mziyv2
投下終了。
序盤なので展開が遅いです。すみません。
154 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/19(金) 01:32:44 ID:YMRH9J9p
頑張ってください
根気良く読ませてもらいます
GJ!
速さは気にしないでマイペースなのが一番だと思うんだぜ
埋めネタにしようと思いましたが投下しちゃいます。
ギャグ調のノリ・ロリ・複数・スカトロ(飲尿)描写があるので
苦手な方はスルー、もしくはNGでお願いします。
★これまでのあらすじ★
こんにちわ。牛山大悟の妹、牛山真白(ましろ)と申します。今回は私がエレガントにこれまでのあらすじをお伝えしようと思いますわ。
三つ子の私達+1の四人は秘密結社『TC軍団』からお兄様を守る性技、じゃなかった正義の味方なのですわ。
・・・・・・・・・えーと・・・・・・・・・・・・な、なのですわ!!
さあ、みんな集まれーっ! ソウカンジャーの時間だよーっ!
などというおかしなテンションにもなるってもんだ。コホン、こんにちは。前述にあった牛山大悟で御座います。
俺の境遇、世界観、用語解説などはもう5話目なので省略させていただく。
どうしても思い出せない! という人は
>>1にキモ姉妹SSまとめスレがあるのでそこを参照してみてほしい。
さてさて、今日はなんと俺たちの休日をお送りするぞ。このソウカンジャー休日システムについては初出なのでここで補足しておくこととする。
TC軍団は皆、ある共通のことがある。それはすなわち『生理』だ。
彼女達は全員、一月に一回同じ日に生理が来る。どういう理論かは分からないがそういうものらしい。
ということでその一月に一回は彼女達は動けない。その日をソウカンジャーの休日、と呼んでいるのだ。
ちなみにこの生理はうちの妹達も同じ日に来るらしいのだが、まだ誰も初潮を迎えていないため元気に活動出来るのだ。
刺客が来ない → 一日自由 → 俺がいる → セックル? → セックル!!
恐ろしいことに四人が四人ともこの思考回路を有しており、この日は俺にとっての休日にはなり得ないのが現実だ。
しかも生理前の女性は性欲が増す、と聞くとおりこの日の妹達に容赦の二文字はない。
文字通り精も魂も尽き果てる俺と、悪魔のように搾り続ける妹達。性技、じゃなかった正義の味方が聞いて呆れるぜ。
しかも今回から金美が満を持しての参戦を決め、三人でさえ手に余る状況が更に改悪されたというのも俺の鬱度がMAXな要因である。
前置きが長くなってしまったが、これから御覧になるシーンはエグい場面もノンカットである。
ロリが苦手、複数が苦手、スカトロが苦手、といった方は速やかに画面をスクロールする事をお勧めする。
「んおおおおおおおおっっっ!!」
思いっきり喘いだつもりだったのだが、その台詞は口を塞ぐ「柔らかいアレ」によって間抜けに響いてしまう。
そして俺の喘ぎがその「柔らかいアレ」にバイブレーションのように刺激し、ワレメからねっとりとした液体が口内に滴り落ちる。
「あっ、あっ、気持ひいいれふ大にぃっ!!」
俺の開いた口にすっぽりと収まるほど小さなワレメがグニグニと動く。そして次第にプルプルと痙攣し始めた。
「ああいっ! おあ、いっあんおえっ!! (金美(かなみ)っ! おま、一旦どけっ!!)」
「あー、あー、出る、出るですっ!!」
ぷしゃあぁぁぁぁぁ・・・・。
俺の口内は便所じゃねえんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
それでもその尿を吐き出さずにゴクゴク飲み干す俺。べっ、別にそういう趣味があるわけじゃないんだからねっ!!
早い話が飲まなきゃ俺が窒息してしまうってこと。
こうして粗相をしでかした後は恍惚の表情でしばらくフリーズしてしまう為、飲み干さないことには呼吸すらままならないのだ。
「んっ、んんっ・・・お、兄様っ、もっと・・・もっと激しく、っ・・・・!」
命懸けの顔面騎乗とは別に、俺の下半身ではもう一つのバトルが繰り広げられていた。
最早何回目になっただろうか、巨乳(注:小学生基準)を揺らしながら腰を振る真白が更にスピードを増した。
4人の中では一番発育の早い真白であったが、やはりそれでもキツキツの膣内は俺のモノを完全には飲み込むことはできない。
4分の3程度を包み込みながら必死に感じようとする姿は愛らしくもあり、背徳感もあり、色っぽくもあ・・・ないか。
「あ、はぁっ・・・! いいっ、は・・・激しいです、わっ、お兄様!!」
ガクガクと俺のピストンが激しくなるにつれ、真白の顔が更に上気していく。
念のため言っておくが俺は息苦しさから体が痙攣を起こしているだけなのであって、決して断じて激しく突いているわけじゃないんだよ。
・・・ホントだよ!!
とはいえ男の性(さが)、いや本能というべきなのだろうか。射精感が高まっていった事は否定しようが無い。
「んんっ、わかり、ますわお兄様っ・・・お兄様の怒りん棒がビクビクと脈打ってますわっ・・・」
「んーっ、んんっ、んうううううううっっ!! (アーッ、出るっ、出りゅううううううっっ!!)」
「何と、まだカナのおしっこが欲しいのですか!? ではしばしお待ちを・・・んっ!」
「んんんんんっっ!!? (ちょ、金美お前待てコラ!!?)」
「ああああっっ! わたくしもっ、わたくしもイってしまいますぅぅぅぅ!!!」
びゅびゅびゅっーー!! ぷしゅっっーー!! チョロチョロチョロ・・・。
何だこのやる気の無い擬音は。いやそれどころじゃない、口に広がるこの苦味は・・・!?
「ふぅ・・・。大にぃがカナのおしっこ大好きだったなんて・・・嬉しいです」
またやりやがったなこのやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
それでもゴクゴクと飲んでしまう自分が恐ろしい。これが生への渇望というやつか。
「はぁ・・・はぁ・・・あは、お腹の中があったかいですわ・・・」
中に出され、しっかりと俺のザーメンを飲み込んだ腹を真白は撫でる。何だよその妊婦みたいな仕草は・・・。
「んちゅっ。あ、真白終わった?」
「ったく、やっと交代かよ。アタシの番までに兄貴の体力減らすなよなー」
全く会話に加わっていなかった紅音(あかね)と栖桃(すもも)が顔を上げる。
この二人、今まで何をしていたかというとそれぞれ俺の右手と左手を使いオナニー的なことをしていたのだ。
右手担当の栖桃は俺の指をワレメに当てがいひたすら弄り倒していた。もっとも、栖桃からの要望で俺も適当に指を動かしてはいたが。
傍から見ると俺の掌に跨りビクンビクンと快感に浸っていたわけであるが、圧し掛かられる俺の掌は堪ったもんじゃないんだぜ。
左手担当の紅音は指を使わず、俺の手首あたりに激しくワレメを擦り付けていた。
そんでもって俺の乳首をチューチュー吸うもんだから妙な快感とくすぐったさが俺の身体を駆け巡っていた。テクニシャンである。
「はいはい、次は私がお兄ちゃんに中出ししてもらう番だよ! 真白は右手に行った行った!」
「あーくそ、ジャンケンさえ負けなきゃ今頃あそこにはアタシが・・・」
「負け犬がいくら吼えようが惨めなだけです」
「・・・おう、始める前に表出ろや金美」
「はぁ・・・まだお兄様のザーメンが中でトプトプしてますわ・・・」
はい、解説しよう。
3人の時からそうだったのだが、こうした複数でズコバコする際には公平を期してジャンケンでポジションを決めている。
一番勝者はティムポ、以下左手・顔・右手といったポジショニングを初期位置とし、中出し毎に時計回りで移動する。
今回の場合一番勝者の真白がティムポからスタートし、以下紅音・金美・栖桃のローテーションで中だしを行う。
一周で4回中出し。それが二周で前半戦終了。後半戦も二周回るのでトータル16回の中だしを行うことになる。
精魂ドリンクとか赤ひげ薬局とかそんなチャチな対策なんて無に等しいこの地獄のローテを、俺は『デンジャラス・ドリーム』って呼んでる。
直前のウナギ・ニンニク料理に加え、ドリンクがぶ飲み、合法薬剤をキメた態勢で臨むが、いつもラストは意識が飛んでいる。
今まで3人の12回中出しでコレなのだから、金美を加えた今回はマジで俺は死んでしまうのではないだろうか、と今更ながらに思うのだが。
「ひゃあぁぁん・・・んぎぃっ、いいっ! いいよぉ、お兄ちゃぁん・・・!」
真白より更に小さい穴を突きながら舌と両手で3人への対応も行わなくてはならない。
紅音は喘ぎ、金美は震え、栖桃は鳴き、真白はよがる。俺は一体何してんだろう・・・。最近考えるのはこんな事ばかりだ。
「んああああっ!! イグッ、イッぢゃうのぉぉッ!! あっ、あっ、あぁぁぁああんんッッ!!!」
お前本当に小●生か・・・とAV顔負けのイキっぷりをみせた紅音がヘナヘナと俺の腹の上に倒れこむ。
その小さなワレメの隙間から白いザーメンを漏らしながら紅音は余韻に浸っている。
「はぁぁぁ・・・やっぱり、お兄ちゃんはサイコーだね・・・」
そんな俺に休む暇など無い。顔の上で引き締まった尻を押し付けている栖桃も限界が近いようだ。
「あぁっ、兄貴ぃっ・・・! アタシもぉっ・・・!!」
青の縞パンから大量の粘液が漏れ出し、またも俺の口内を潤わせる。ネトネトの食感がこれまた何とも官能的だ。
ちなみにさっきからみんな大声で喘ぎまくっているが近所からクレームは来ないのかって?
大丈夫、俺の部屋は防音素材でできているから恥ずかしくないもん!
「さあ! さあさあさあ!! 次はお待ちかね、処女のカナの出番です!」
俺に跨る紅音をぶん投げ、早速挿入を試みる金美。っていうかちょっと待て。中出ししたこと無いのになんで金美はソウカンジャーに変身出来るんだ?
「いだい・・・っ。え? 変身ですか? まあ今はそんなことよりもお互いの快感を楽しむ時間です」
聞いたかい諸兄の皆さん。コレがこれからの日本を支えていく若者の台詞なんだぜ・・・。ってか「そんなこと」って・・・。
「あっ、見るです大にぃ。鮮血です! コレでカナも大人の仲間入りです!」
子供のようにキャッキャッとはしゃぐ金美。これで台詞と今やってることが子供っぽかったらどんなに良かったことか・・・。
「んんっ、こ、これが快感という奴ですかっ! あ、はぁ・・・なんだか、気持ちよく・・・なってきたです・・・」
金美の穴は小さすぎて亀頭の部分までしか入らなかったのだが、当の本人は十分気持ちよくなっているようだ。
やがて他の3人より若干早く絶頂に達する。
「イクですー!」
どうやら作者のイキ台詞のボキャブラリーが無くなったようだ。もうちょっと考えようぜ。
この後栖桃を消化し一周目が終了となる。俺はこの時点でヘトヘトだが4人はまだまだ満足していない。これからが本当の地獄だ・・・。
精力ドリンク等のドーピングが切れ始める2週目。最後の栖桃が終えた時点で俺は半分意識が飛びかけていた。
いつもならこれで7割程度を消化した事になるのだが、今回からはこれで半分。考えただけで血の気が引いていく。
「むぅぅ、お兄ちゃんかなり疲れてるねー・・・」
「っとにだらしねえな。普段から鍛えていりゃーこんくらい余裕だろうに」
「でも今回から射精回数が増えることですし、いつも通りとは行かないですわね」
「ならばカナにいい案があるです」
ボソボソと何やら話し込んでいる面々。だがハーフタイム中の俺にその会話の内容を聞くほどの余裕なぞ無かった。
そして後半戦開始の時刻がやってくる。ゆっくりと、俺は4人のほうへ向き直った。と――――
「愛する兄に、捧げる純血ッ!! ソウカンブラッドレッド!!」
「蒸れる股間に、魅惑のワレメッ!! ソウカンサーモンピンク!!」
「腿に滴る、卑猥な粘液ッ!! ソウカンジェルホワイト!!」
「一筋流れる、黄金(こがね)の聖水ッ!! ソウカンゴールドジュース!!」
『四つの心に八つの乳首ッ!! 近親戦隊! ソウカンジャー!!』(ドカーーン)
・・・・・・はい??
「モルダー、あなた疲れてるのよ」
え? え? 何、何て!?
「へへ、つまりだ、コスプレエッチってのもたまにはいいんじゃねえかと思ってな」
ピンクスパッツの栖桃が俺の萎えているムスコに跨る。ちなみに後半戦はさっきと逆周りとなる。
「ちなみに提案はカナです大にぃ」
ドヤ顔でピースをする金美。・・・いや、こんなことに使っちゃっていいわけ? そのザーメンパワーとやらを。
「ふふふ、いつもとはちょっと違った楽しみ方が出来ますわよ、お兄様」
右手を白スク水の胸元から突っ込み、肌とスク水で擦り合せる真白。これが中々気持ちいい。
「いつもは私達ばっかり楽しんでたよね。でもこれからは私達がお兄ちゃんを気持ちよくさせてあげる!」
小さな赤いブルマ尻が俺の顔全体を包み込み、ぐりぐりと動かす。あ、これも結構気持ちいいかも・・・。
そして左手には金美がスタンバイ。金色のオムツが俺の掌に触れる。
「えーと・・・、じゃあカナは大にぃの手におしっこを―――」
「んんんん!! (いらんわ!!)」
結局渋々と俺の指をしゃぶり始める金美。金のヨダレ掛けとオムツのコスチュームゆえ、違和感が全く無いのがすごい。
「うし。まずはこいつを勃たせねぇとな」
俺の萎えたムスコを手にとった栖桃はデロ〜リと満遍なくそれに涎を垂らしていく。
そしてグチュグチュと数回手コキで引き伸ばした後、スパッツで包まれた太股で挟み込む。
「ソウカンサーモンピンク奥義・スパッツ素股!!」
まんまじゃねーか! いや、突っ込んでる場合じゃない! スパッツのザラザラした感触と太股の柔らかさが上手くマッチしている・・・!
萎え萎えのムスコは次第に硬度を増してゆき、気がつけばスパッツの合間から亀頭がひょっこり顔を覗かせていた。
「おお、復活したみてぇだな。じゃあ後半戦行くか!」
みんなが俺のために・・・。そうだ、いつだってそうだったじゃないか。俺のためにTC軍団と命懸けで戦ってくれていたじゃないか。
そう考えると俺は急激にこの妹達が可愛く、愛おしく、大切な存在に思えた。ありがとう、みんな。
だからこそ俺は、この4人の妹達のために中出しをしなければならない。それが妹達を守ることにもなるのだから。
「よし・・・みんな!! 中出しするぞ!!」
俺の号令に4人の顔が花のように明るくなった。そうさ、今だったら何十発だって出してやれる気分だ! この妹達のために!!
その後、俺は3周目の紅音の時点で意識が飛んだ。中出しするぞ(笑)
おわり
以上です。
生理前は性欲が云々のあたりは聞いた話程度なので「ソウカンジャーだから」
と片付けて下されば幸いです。
163 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 09:28:29 ID:zrrckADf
age
>>162 このド変態のブタ野郎がッ!!(褒め言葉)
>>162 変態変態この変態!!
何ふつーに小●生に中出しするSSなんか書いてんだド変態野郎!
もっとやれ!!
ソウカンジャーwww
ここまで(変態的な意味で)突き抜けてると清々しさを感じるw
GJ
出たなwwww
毎度不謹慎ながら笑える
だれうま
三つの鎖 18 前編です
※以下注意
本番なし
血のつながらない自称姉あり
投下します
三つの鎖 18
私は教室の窓をぼんやりと見ていた。たくさんの生徒が校門から出ていく。
その中に幸一君と夏美ちゃんが歩いているのを見つけてしまった。
両手に鞄を持ちながらはしゃいでいる夏美ちゃんを苦笑しながら後追う幸一君。
幸一君の体調は良くなったようだ。足取りにふらつきは無い。
私はため息をついて立ち上がった。荷物をまとめて教室を出た。
自宅の自室に戻りパソコンの電源を入れた。
パスワードを入力し起動する。自作のツールを開いて夏美ちゃんの部屋に仕掛けた盗聴器からの音声を確認するけど、まだ帰ってきていないようだ。
私はため息をついた。何をやっているのだろう。
こんな事をしても何もならない。幸一君の心の中にいるのは夏美ちゃん。私じゃないのに。
それなのにこの前の幸一君との情事が脳裏に浮かぶ。
顔が熱くなる。激しい幸一君もいいけど、優しく抱いてくれる幸一君も良かった。
私は太ももをすり合わせた。切なくていけない気持ちで頭が一杯になる。
スカートの下に手を忍ばせたところでチャイムがなった。
窓から外を見ると、梓ちゃんがいた。座ってシロの頭をなでていた。
私は梓ちゃんを部屋に案内した。
飲み物と茶菓子を持って部屋に入る。梓ちゃんは私のパソコンを無表情に凝視していた。
もちろん対策は抜かりない。パソコンにはロックをかけている。
「梓ちゃんが来るのは久しぶりだね」
私は梓ちゃんにコップを渡した。梓ちゃんの好きなアイスティー。
「今日はどうしたのかな」
私の問いに梓ちゃんは答えない。
梓ちゃんはコップに口をつけた。梓ちゃんの白い喉がこくこくと動く。
私は気にしなかった。というより気にならなかった。梓ちゃんが私に家に来るのは本当に久しぶりだ。私は素直に嬉しかった。
ぼんやりとしている梓ちゃん。その表情からは何を考えているのか分からない。
梓ちゃんは時々ハンカチで顔をぬぐっている。暑いのかな。
私は窓を開けた。涼しい風が入り込む。
「梓ちゃん大丈夫?すごい汗だよ」
ぬぐってもぬぐっても汗が吹き出ている。私は梓ちゃんの額に触れた。手に伝わる梓ちゃんの体温は驚くほど熱い。熱でもあるのかな。
「春子」
梓ちゃんは私を無表情に見上げた。
「お風呂貸して」
私は驚いた。別にお風呂を貸すのは構わない。でも梓ちゃんの家は隣だ。別に私の家でお風呂に入る必要は無い。
「いいけど、何で?」
梓ちゃんは私の手を握った。熱くて小さな手。白い肌は微かに桜色に染まっている。
「春子も一緒にはいろ」
思わず私は梓ちゃんの顔を見た。いつも通りの無表情な顔。
恥ずかしいからなのか、熱のせいなのか、その頬は微かに赤い。
「いいよ!梓ちゃんとお風呂に入るの久しぶりだね!お姉ちゃん嬉しい!」
私は梓ちゃんを思い切り抱きしめた。梓ちゃんが一緒にお風呂に入ろうといってくれるのが嬉しかった。
「春子。うっとうしいよ」
梓ちゃんは不機嫌そうに言った。それでも私は嬉しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私は着替えを持って脱衣所に入った。梓ちゃんも私に続いて脱衣所に入る。
梓ちゃんの着替えは私のお古だ。サイズはちょっとぶかぶかかもしれない。特に胸が。
私は服を脱ぎ洗濯機に入れた。
「梓ちゃんのも洗濯するよ」
梓ちゃんはうなずいて服を脱ぎ始めた。
女の子私から見ても梓ちゃんは綺麗な体をしている。白くて透き通るような肌。控えめな胸のふくらみ。成熟した女の子の色気は無いけど、幼さと女性らしい曲線が絶妙に混ざり合った体は妖しい魅力を放っている。
可哀想だけど幸一君好みの体じゃない。幸一君自身も気がついていないかもしれないけど、幸一君はおっぱい星人だったりする。大きな胸が好みなのは間違いない。
仕方ないとは思う。小さいときから京子さんみたいなすごい胸の人がそばにいたのだから。私の胸が大きくなって幸一君が恥ずかしそうに意識するたびに私は幸一君をからかった。
「何をじろじろ見ているの」
梓ちゃんが不機嫌そうに私の胸を見ながら言った。
「ごめんね。相変わらず梓ちゃんは綺麗だと思って」
立派とは言わなかった。言えなかった。
「見てなさいよ。そのうち春子より大きな胸になるんだから」
私より大きい胸、ね。それは無理だよ。京子さんクラスじゃないと。
梓ちゃんが知ったら怒り狂うようなことを考えながら私と梓ちゃんは浴室に入った。すでに浴槽はお湯で一杯になっている。
「梓ちゃーん!お姉ちゃんが洗ってあげるね!」
私はスポンジにボディーソープをつけて梓ちゃんににじり寄った。
「じゃあお願い」
梓ちゃんは素直に椅子に座った。白くて綺麗な背中を私に向ける。
私は梓ちゃんの背中をスポンジで優しくこする。綺麗な背中だからもっと綺麗にしなくちゃ。
「梓ちゃん。髪も洗っていい?」
梓ちゃんは何も言わずに頷いた。
私はシャワーで梓ちゃんの体を流しながらシャンプーのボトルを手にした。手にシャンプーを出して梓ちゃんの髪の毛をわしゃわしゃと洗う。
梓ちゃんの髪の毛は長くてサラサラしている。つやのある綺麗な髪。
昔のことが脳裏に浮かぶ。私と幸一君と梓ちゃんの三人で一緒にお風呂に入ってお互いの体や頭を洗った。梓ちゃんの髪の毛を洗った回数は数え切れない。昔から梓ちゃんの髪の毛は綺麗だった。
懐かしい思い出。胸が温かくなる。何の障害も無く幸一君と梓ちゃんのそばにいられた幼い子供の時のかけがえの無い思い出。
シャワーで梓ちゃんの頭を洗う。泡が流れていく。
「はいおしまい」
梓ちゃんは立ち上がって私のほうを見た。相変わらず無表情に私を見つめる。
「春子。座って」
梓ちゃんはシャンプーの入ったボトルをつかんで言った。
座るってどこかな。
「今度は私が洗う。座って」
そう言って梓ちゃんは椅子を指差した。
私は驚いた。梓ちゃんは面倒くさがり屋だ。昔から一緒にお風呂に入ったときも自分から洗うことはほとんど無かった。洗うときも適当だった。
それなのに私を洗うと言ってくれている。
「お姉ちゃんをぴっかぴかにしてね」
私は椅子に座った。素直に嬉しかった。
梓ちゃんはまず私の頭にシャワーをかけた。私の髪の毛をお湯が流れていく。
シャンプーを手にした梓ちゃんが私の髪の毛を丁寧に洗ってくれる。私も髪の毛は長い。ちょっと申し訳ない気持ちになった。
私の頭を丁寧に流してくれる梓ちゃん。くすぐったい感覚。
次に梓ちゃんの手が私の背中に触れた。ボディーソープのぬるぬるした感触。
「あれ?スポンジは使わないの」
梓ちゃんは何も言わずに素手のままで私の背中をこする。くすぐったい。
次に梓ちゃんは後ろから私の前を触った。胸をつかむ梓ちゃんの小さな手。
「ちょっと梓ちゃん?」
梓ちゃんは何も言わずに私の胸をもむ。
「きゃんっ、梓ちゃん、くすぐったいよっ」
無言で私の胸をもむ梓ちゃん。そのまま梓ちゃんの手は私の太ももに伸びる。
触れるか触れないかの距離で私の太ももをなぞる梓ちゃんの手。私は思わず震えた。
そのまま私の太ももを撫でる梓ちゃん。ボディーソープのぬるぬるした感触に体が震える。
梓ちゃん手は徐々に私の体に伸びてくる。
「きゃっ、だめだよっ」
私の抗議を無視して梓ちゃんは私の太ももの付け根の割れ目をなぞる。
「春子って昔から同じシャンプーだよね」
梓ちゃんは私の耳に囁いた。梓ちゃんの熱い息に体が震える。
「う、うんっ」
昔、幸一君がいい匂いがするって言ってくれたシャンプー。それ以来、私はずっと使っている。
そうなんだと思ってしまった。私は幸一君がほめてくれたのが嬉しくてずっと同じシャンプーを使っている。あの時から私は幸一君が好きだったんだ。
私の考えをよそに梓ちゃんが私の膣の入り口を執拗に撫でる。
「ひうっ!」
梓ちゃんの指が膣に侵入してくる。大事なところを入り込む感触に思わず私は悲鳴を上げた。
身をよじって抵抗するけど、梓ちゃんの指は膣の奥へ奥へと侵入する。
「んっ、あっ、だめだよっ」
私は梓ちゃんの方を振り向いた。梓ちゃんの指が抜ける。無表情に私を見つめる梓ちゃん。その視線に背筋が寒くなる。
「もうっ。梓ちゃんどうしたのかな。お姉ちゃんびっくりだよ」
梓ちゃんは何も言わずにシャワーで私の体を洗ってくれた。
「ん、梓ちゃんありがとう」
私のお礼に梓ちゃんは何も言わなかった。その姿に表現しがたい不安を感じた。何で不安を感じたのか、私には分からなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お風呂から上がった私と梓ちゃんは部屋に戻って飲み物を飲んでいた。私はスポーツドリンクで梓ちゃんはアイスティー。火照った体に心地よい。
梓ちゃんは無表情に私を見つめている。私は居心地が悪かった。
今日の梓ちゃんはどうしたのだろう。久しぶりに来てくれたと思ったら一緒にお風呂に入ると言ったり、いつもらしくない梓ちゃんの行動によく分からない不安を感じる。
梓ちゃんは空になったコップを机に置いた。私の空になったコップをつかんで同じように机に置く。
「ありがとう」
私のお礼に何も言わずに梓ちゃんは私に抱きついた。私の胸に顔をうずめる梓ちゃん。
突然のことに私は動けなかった。何がなんだか分からない。
私の胸に顔をうずめた梓ちゃんは肩を上下させて大きく息をしている。梓ちゃんの吐く息が薄いシャツを通り越して肌に感じる。その熱さに鳥肌が立つ。
「ど、どうしたのかな?」
梓ちゃんは何も言わずに私の胸に顔をうずめ何度も深呼吸している。
先ほどの風呂場での出来事が脳裏によみがえる。私の体を撫で回す梓ちゃんの白い手。
まさか。梓ちゃんってそっち系の趣味だったの。
ちょっと待って。私に百合な趣味は無いよ。ていうか梓ちゃんは幸一君が好きじゃないの。
あまりの事に頭が混乱する。私にしがみつく梓ちゃんを引き剥がせないで呆然としていた。
「春子」
「ひゃい!」
思わずかんでしまう私。
梓ちゃん、お姉ちゃんね、ノーマルなんだよ。
そんな私の混乱をよそに梓ちゃんは私を見上げた。
「春子だったんだ」
「えっと、何がかな?」
「兄さんと寝たでしょ」
背筋に悪寒が走る。
私を見上げる梓ちゃんは相変わらず無表情。だけど、瞳は強烈な感情を放っている。
よく知っている感情。嫉妬と怒り。
「最近の兄さんは夜遅くに帰ってくることが多いわ」
梓ちゃんの言葉はあくまで平坦で起伏に乏しい。
それなのに悪寒が走るほどの強い感情を感じる。
「私ね、シロほどじゃないけど鼻はきくわ。私ね、兄さんが帰ってきたらいつも玄関で出迎えて抱きつくの。その時、兄さんの体からするの女の匂いが一種類じゃないの。これっておかしいよね」
背中に回された梓ちゃんの腕。熱い腕。
「一つはあの女の匂いだった。他は複数のシャンプーの匂いがするけど、同じ女の匂いだった。そのうち一つはどこかで記憶にある匂いだった。私も間抜けね。今日の朝まで気がつかなかったなんて」
足元の感触が無くなり視界が反転する。背中に衝撃。あまりの痛みに息が詰まる。
受身も取れずにもがく私に梓ちゃんがのしかかる。
「どういう事なの。何で兄さんから春子の匂いがするの」
梓ちゃんは私を見下ろした。奇妙な光を放つ瞳。その視線に体が震える。
「意味が分からないわ。あの女より先に春子と兄さんが付き合っているなら私が気がつかないはずが無い。仮に気がつかなかったとしても、あの兄さんが二股なんてするはずがないわ」
淡々と喋る梓ちゃん。私を見下ろす瞳は怒りと嫉妬が渦巻いている。
あまりの事に私は震えるしかできない。
「どうやって兄さんと寝たの」
私は何も言えなかった。言えるはずが無かった。
梓ちゃんは苛立たしげに私を見下ろす。
「言いなさい」
梓ちゃんの手が翻る。次の瞬間、頬に鋭い痛みが走る。
「言いなさい」
さらに私の頬を梓ちゃんの手が張る。
私は梓ちゃんの手を防ごうとしたけど、無理だった。梓ちゃんの手は魔法のように私の手をすり抜ける。
梓ちゃんの手は何度も私の頬を張る。頬がはれて熱を持つのが分かる。
あまりの痛みに視界がにじむ。
「強情ね」
梓ちゃんは無表情に私を見下ろした。
「想像はつくわ」
私の耳元に囁く梓ちゃん。震えるほど熱い息が私の耳を撫でる。
「兄さんを脅したんでしょ」
私は梓ちゃんを見上げた。そんな私を梓ちゃんはおかしそうに見下ろす。
何で分かったの。
「あの兄さんが一見不誠実な行動をとるとしたら、理由は二つしかないわ。他人のためか、騙されているか。最初は春子が騙しているのかと思った。例えば、春子が病気で余命短いから女の思い出が欲しいとか。
でもありえないよね。春子は昔から健康だもん。もし本当でも兄さんは必ず確かめるわ。抱いたら体に負担がかかるんじゃないかと心配してね。
脅したとしたなら納得できるわ。問題はその内容だけど。兄さんは自分のことで脅されても動かない。そもそもお人よしの兄さんに脅される材料はないし。動くとしたら、他人に被害が及ぶ場合。
例えば、あの女とか」
的確に事実に迫る梓ちゃん。私は震えるしかなかった。
「やっぱりそうなんだ。あの女のことで兄さんを脅したのね。内容は何かしら。あの女がいつも早い時間に登校するのと関係しているのかしら。でもあの女の普段を見ていると知られて困る深刻な隠し事ってのは想像つかないわね。
あの女も知らないような内容で兄さんを脅す。何なのかしら」
梓ちゃんの手が私の頬に触れる。信じられないほど熱い手。まるで梓ちゃんの感情がそのまま熱を持って私に触れているような錯覚を覚える。
震える私から興味をなくしたように梓ちゃんは顔を上げて部屋を見回した。ある一点に視線が止まる。棚の上のビデオカメラ。
「あのビデオカメラ、埃をかぶってないわね。そんなに頻繁に使うものだったの」
独り言のようにつぶやく梓ちゃん。恐怖が私を包み込む。
梓ちゃんは私の顔に顔を近づけた。目の前の梓ちゃんの瞳が私の瞳を貫く。
「それとも最近使ったのかしら」
体が震えるのを抑え切れなかった。
梓ちゃんは唇の端を吊り上げた。笑顔と気がつくのに少し時間がかかった。
「あの女を盗撮したのね」
梓ちゃんの言葉が突き刺さる。
「盗撮の内容は何かしら。あの女の排泄?お風呂?自慰?」
私は必死に体の震えを抑えた。
「それとも、兄さんとの情事?」
そんな努力は無駄だった。梓ちゃんの言葉に体が震える。
「へー。そうなんだ。兄さんとあの女の情事を隠し撮りして兄さんを脅して寝たんだ」
平坦で起伏に乏しい梓ちゃんの声。その裏には強すぎる感情が潜んでいるのを私は感じた。
梓ちゃんの手が翻り私の頬を打つ。今まで以上の痛みが走る。
「私の兄さんと寝たんだ」
梓ちゃんの両手が私の首を絞める。血管を押さえるのではなく、気管を絞める。息ができない。
私は必死に梓ちゃんの手を離そうとするけど、びくともしない。
「どこで寝たの。あのシャンプーがあるから多分この部屋で寝たのでしょ」
呼吸のできない苦しみに私は必死になって梓ちゃんの手をどけようとする。
その抵抗も意識が薄まりできなくなる。
「でも兄さんからは他のシャンプーの匂いもした。だったら他の場所でも寝ているわね」
梓ちゃんの手が緩む。私は必死に息を吸い込んだ。
「どこかしら。シャンプーが置いてあってシャワーを浴びられる場所。どこかのラブホテルかしら。繁華街にたくさんあるけど、あそこは人が多いから知り合いに会うリスクがある」
再び梓ちゃんの手が私の喉を絞める。息ができない苦しみに視界がにじむ。
梓ちゃんは私のことなど目に入ってないかのように喋り続ける。
「だったら人通りの少ないラブホテル。国道沿いでしょ」
梓ちゃんの視線が私の瞳を射抜く。
私は体が震えるのを抑え切れなかった。
「あたりみたいね」
梓ちゃんの腕が離れる。私は必死に梓ちゃんの下を抜け出した。
私は立ち上がり肩を大きく上下して呼吸した。喉を絞められた痛みと呼吸できなかった苦しみに体がふらつく。
「裏切り者」
梓ちゃんは冷たい視線を私に向けた。
「何がお姉ちゃんよ。私を裏切って。兄さんを脅迫して」
梓ちゃんの声は震えていた。
「私、春子の事嫌いじゃなかった。今まで迷惑もかけた。それでも私と兄さんのために色々してくれた。それなのに私と兄さんを裏切ったんだ」
梓ちゃんの言葉が胸に突き刺さる。
覚悟していたはずなのに、自分でもびっくりするぐらい胸が痛い。
「ねえ。どうだった?何も知らない私を騙しながら兄さんに抱かれるのは。気持ちよかったでしょ」
梓ちゃんから強い感情が伝わる。
嫉妬。怒り。悲しみ。憎しみ。そして裏切られたやるせなさ。
「お、お姉ちゃんは」
言葉の途中で梓ちゃんは私の頬を思い切り張った。
私は無様に床に転がった。肩を震わせ私を見下ろす梓ちゃん。
「何がお姉ちゃんよ!ふざけないで!」
震える梓ちゃんの声。私を見下ろす梓ちゃんの目尻に涙がたまる。
「何でなの!何で騙したの!何で裏切ったの!」
涙が梓ちゃんの頬を伝う。そのまま床に落ちる涙。
私の中で形容しがたい感情が荒れ狂う。
「お姉ちゃんも幸一君が好きなの!」
気がつけば私は叫んでいた。
「お姉ちゃんも幸一君が好きなのに!梓ちゃんはずっと幸一君を独り占めしてたじゃない!ずるいよ!梓ちゃんは妹なのに!いつもそばにいられるのに!お姉ちゃんだって幸一君のそばにいたいのに!」
荒れ狂う感情のままに私は叫んだ。
「梓ちゃんだって同じ事をしたじゃない!幸一君を騙してそばに縛ったじゃない!お姉ちゃんも同じことをして何が悪いの!」
目頭が熱い。涙がとめどなくあふれる。
そんな私を梓ちゃんは冷ややかに見下ろした。
「そうなんだ」
冷たい梓ちゃんの言葉が私に降り注ぐ。
「確かに私と春子は姉妹ね。だって姉妹で同じことをしているもの」
梓ちゃんの言葉が私に突き刺さった。
私の胸で荒れ狂う感情は一瞬で静まった。
同じ。梓ちゃんと同じ。
分かっていたのに、分かっていたはずなのに、梓ちゃんの言葉は私を打ちのめした。
「二度と兄さんに近づかないで。あの女の情事を盗撮したデータが流出しても私はどうでもいい」
梓ちゃんはそう言って私に背を向けた。
入り口のドアに手をかけ私を背中越しに冷たく見つめる梓ちゃん。
「じゃあね。お姉ちゃん。二度と話しかけないで」
梓ちゃんは吐き捨てるように言って去っていった。私はその背中を見送ることしかできなかった。
私の可愛い大切な弟と妹。幸一君と梓ちゃん。ずっと一緒にいた大切な二人。
分かっていた。こんな結末がくると。それでも私は幸一君のそばにいたかった。
それなのに涙が止まらない。
梓ちゃんは私を軽蔑し、幸一君は私を哀れむ。
こんなはずじゃなかった。私が望んでいたのは昔みたいに三人で仲良く楽しくいたかっただけなのに。
私は一人、部屋の中で泣き続けた。泣き続けるしかなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私は春子の部屋を出て階段を下りた。
この家には幼い頃から何度も来た。その度に春子ははしゃいで歓迎してくれた。春子が私の家に来たときも春子は嬉しそうだった。
私は春子のことが嫌いではなかった。確かにうっとうしい位に構ってくるし、年上ぶって接してくる。それでも嫌いじゃなかった。
春子は知らないと思う。私がどれだけ春子に感謝していたか。
兄さんが春子に告白したことを知ったとき、私が感じたのは怒りでも嫉妬でもなかった。感じたのは恐怖と絶望だった。
その時の春子はまだ中学一年だったけど、美人でスタイルも同世代の中では圧倒的だった。
白くて透き通るような肌、長くて艶のある髪、美人だけど親しみやすい笑顔、綺麗で子供のように輝く瞳、モデルのような身長、大きな胸。
さらに性格もいい。お茶目な性格で誰からも慕われ好かれる。文武両道で家事万能。
私が勝っているものは何も無かった。
子供の時からいつか兄さんは春子のことを好きになるのではと恐れていた。
そして兄さんが春子を好きになったら、勝てないと思っていた。
でも、春子は兄さんをふった。付き合わなかった。
私がどれだけ安心したか、春子も兄さんも知らない。
昔からうっとうしいとしか思わなかった春子に多少なりとも親しみを感じた瞬間だった。
これは私にしては極めて珍しい出来事だと思う。私は同年代の女の子の友達はいない。兄さんが私の女友達に惹かれるかもしれないと思うと友達など作る気になれなかった。できたのは夏美みたいに話しかけてくる子だけで、長続きする事は無かった。
そんな私だけど春子とは安心して一緒にいられた。どれだけ魅力的でも、兄さんに気が無い。兄さんを奪われる心配が無い。
今までも春子は私のそばにいて世話を焼いてくれた。私が家事を始めた頃も、料理や掃除などを親身に教えてくれた。春子自身が忙しい中で、時間を作っては私に会いに来てくれた。
兄さんが私に構ってくれない中、春子が来ても苛立たしいだけだったけど、そんな私に春子は笑顔を向けてくれた。
私が兄さんにひどい事をしても兄さんは私から離れなかった様に、春子も私が行ったことを笑って許してくれた。春子を入院させても、兄さんを傷つけても。
春子は兄さんと同じ私を裏切らない存在だった。
私は春子のことが嫌いではなかった。
嫌いではなかった。
玄関にシロがいた。私を見ると心配そうに見上げてくる。
「何よ」
「わう」
私の声にシロは悲しそうにほえた。
まるで悲しまないでと言う様に。
シロは私に近づいて体を摺り寄せた。
思えばシロとも長い付き合いになる。友達のいない私にとって、ある意味では一番の友達なのかもしれない。
「シロ。あなたのご主人様のとこに入ってあげて」
シロは心配そうに私を見上げた。
「私はいいから。はやく行ってあげて」
ここからでも春子の泣き声は聞こえてくる。悲しそうにすすり泣く春子が脳裏に浮かぶ。
「じゃあねシロ」
私は腰を落としてシロの頭を撫でた。シロは悲しそうに私の頬をペロペロ舐めた。
もう二度とここに来る事は無い。そう思うと少しだけ寂しく感じた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕は玄関の前で立ち止まった。
ドアの取っ手をつかみ深呼吸する。梓は僕が帰宅すると玄関で抱きついてくる。これから明日の夜に夏美ちゃんのご両親から招待されている事を告げないといけない。
覚悟を決めてドアを開けた。素早く靴を脱ぎ、家に上がる。
梓はやって来ない。
僕は違和感を感じた。靴を見ると梓のはちゃんとある。いるはずなのに梓は来ない。
もしかしたら寝ているのかもしれない。僕は階段を上り梓の部屋の扉をノックした。返事はない。
「梓。入るよ」
ドアを開けて中を見るけど、誰もいない。
どこにいるのだろう。
僕は一階に下りてリビングに入る。電気は消えていて薄暗い。
明かりをつけると梓がいた。
声をかけようとして躊躇ってしまった。梓の様子がおかしい。
ソファーの上に体育座りに座ってぼんやりとしている。手には扇子が握られている。昔、梓の誕生日に僕と春子がプレゼントした品。
梓はぼんやりと宙を見つめていた。幼い子供が泣き疲れたような表情。今までに見た事のない頼りない梓の表情。
僕は意を決して口を開いた。
「梓」
何の変化もない梓。ぼんやりと宙を見つめたまま。
僕は近づいてもう一度声をかけた。
「梓」
梓はびくりと震えて僕を見た。
泣きそうな顔。まるで道にはぐれた子供が家族に会った時のように安心した表情。
「兄さん」
梓は僕に抱きついた。背中に梓の細い腕が回される。
僕は引き離そうとしてやめた。梓は震えていた。背中に回された腕が非力な力で抱きつく。
いったい何があったのか。
「兄さん。抱いて」
梓は震える声で僕に囁いた。
僕は首を横に振った。
「梓。僕たちは兄妹だ。それに」
最後まで言えなかった。梓が僕にデコピンした。
「変態シスコン。そんな意味で言ったんじゃないわ」
久しぶりに聞く梓の罵倒。
「ぎゅってして欲しい。それだけでいい」
そう言って梓は僕の胸板に顔をうずめた。梓の震えが伝わる。
本当なら引き離さないといけないと分かっている。僕と梓は兄妹だ。こんな事はいけない。
それでも僕は梓を引き離せなかった。
僕は固定していない腕を梓の背中に回した。そっと抱きしめる。
震える小さな背中。梓はこんなに小さかったんだ。
「梓。いったい何があったんだ」
梓は顔を上げた。今にも泣き出しそうな表情。
うつむき、梓は口を開いた。
「春子と、喧嘩した」
今日の朝の事が脳裏に浮かぶ。あの事で何か話したのだろうか。
「兄さん」
梓は顔を上げて僕を見た。目が合う。梓の瞳は今にも涙が零れ落ちそうだった。
「兄さんは春子のことをどう思っているの」
胸に鈍い痛みが走る。
春子。僕にとって複雑すぎる存在。
昔からそばにいてくれた。何かあったとき、困ったとき、いつも助けてくれた。家族以外で一番身近で親しみを感じているのは間違いなく春子だった。僕に多くのものを与えてくれたお姉さん。
そして僕から色々なものを奪った人。脅し、夏美ちゃんを裏切る行為を強要する人。
「とても難しい。春子は僕にとって家族以外では一番身近で親しい人なのは間違いない。それでも、春子は僕にとって何なのかは、僕にも分からない」
僕は正直に答えた。
「春子のことを面倒くさいとか思わないの」
「思わないよ」
「春子の事を嫌いになった事は無いの」
ある。嫌いなんてレベルじゃない。春子のことが憎かった事もある。怒りを感じた事もある。感情に任せてひどい事をした。
それでも。春子は僕の姉さんだ。
「春子には感謝している。今までいろいろ助けてくれた。春子のおかげで梓とも仲直りできた」
春子に感謝しているのも本当だ。春子がいなかったら、今の僕は間違いなくいない。
あれだけの事をされても、嫌いになりたくない。
「兄さんは、春子にひどい事をされたり言われても、春子の事を嫌いにならないの」
僕は首を横に振った。
「春子は僕のお姉さんだから」
梓は顔を上げた。僕を見つめる瞳が子供のように頼りない光を放っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
兄さんは本当に馬鹿だ。
春子に脅迫されているのに、嫌いたくないなんて。
兄さんはお人よしの馬鹿だ。
でも、私も兄さんの気持ちは分かってしまう。春子を嫌いになりたくないという兄さんの気持ちが。
私も春子を嫌いになりたくない。
兄さんにとって春子が一番身近で親しい人であるように、私にとっても春子は家族以外では一番身近で親しい人だ。
嫌うほうが難しい。たとえ春子の行った事が私にとって一番許せない事でも。
私は顔を上げて兄さんの顔を見た。頬にはガーゼが張られている。今日の朝、私が噛み千切った頬。
「兄さん。ごめんね」
兄さんは少し驚いたように私を見た。
私は兄さんの頬にそっと手を添えた。
「怪我させてごめんね」
兄さんは優しく微笑んだ。
「もう痛くないから大丈夫だよ」
私は兄さんの胸に顔をうずめた。背中に回した腕で兄さんに抱きつく。
兄さんは私の背中に腕を回して、優しく抱きしめてくれた。
ずっと昔から考えていた。何で私は兄さんを好きになったのか。
今の兄さんならたいていの女は惚れるぐらいの魅力はある。でも、昔の兄さんは少なくとも男としての魅力は乏しかった。春子に影響されたのか能天気で明るいけど、お馬鹿な人。
それでも私は兄さんを好きになった。
最近になってその理由がなんとなく分かった気がする。私はただ単に、私を裏切らない存在が欲しいだけなのかもしれない。
兄さんは何があっても絶対に私を裏切らない。この裏切らないとは、私の言う事を何でも聞くという意味ではなくて、何があっても私を大切にしてくれるという事。
今もそう。兄さんに怪我をさせても、兄さんは私を優しく抱きしめてくれる。
だから春子に裏切られてこんなにも悲しいのかもしれない。春子も兄さんと同じで、私が何をしても絶対に裏切らなかった。
だからあれほど夏美を恐れた。私に向けてくれたその優しさを奪われそうだったから。
でも、今はきっかけなんてどうでもいい。兄さんが欲しい。兄さんのそばにいたい。兄さんを誰にも渡したくない。
私は顔を上げた。兄さんは痛ましそうに私を見つめていた。
「兄さん。ありがとう。もう大丈夫」
私は兄さんの腕をすり抜けた。兄さんと一歩距離をとる。
「今日は私が晩御飯を作るわ」
兄さんの肩は綺麗にはずしたし、綺麗にはめた。実際のところ、兄さんが腕をつっているのは固定する事によって後遺症のリスクを下げるためであって、今でも動かせるはず。
でも、やっぱりひどい事をした。ちょっとやりすぎた。
「しばらく家事は私がする。兄さんは治療に専念して」
兄さんはちょっとびっくりしたように私を見た。何よ。少し腹が立つ。
でも、仕方ないか。私が兄さんにしたことを考えると。
よし。今日は兄さんの好きな食べ物にしよう。
「今日はお魚にするわ。竜田揚げにする」
私は笑って兄さんを見た。兄さんも笑ってくれた。
「その代わり明日は鳥の照り焼きにする」
私の好物。鳥料理の中でも一番好きな料理。
私はキッチンにあるエプロンをつかんだ。よし。今日は腕によりをかけておいしい晩御飯にしよう。
兄さんは申し訳なさそうに私を見る。
「明日の晩御飯はいい。外で食べるから」
私はエプロンを落としてしまった。
「どこで食べるの」
私は兄さんを見た。きっとにらみつけていたのだと思う。
それでも兄さんは目をそらさなかった。綺麗な目で私を見つめる。
「夏美ちゃんの家で。ご両親に招待された」
兄さんのこういう所は本当に男らしい。変に隠したりごまかしたりしない。
それが何よりも悲しい。
「そう」
私はそれだけ言ってエプロンをつけた。手は嫌になるぐらい震えていた。
「僕は梓の気持ちにはこたえられない」
大好きな兄さんの言葉が頭に響く。
胸が痛い。
「分かってる」
「梓」
「分かってるわ!」
私は叫んでいた。声はどうしようもないぐらい震えていた。
「お願いだからそれ以上言わないで。お願いだから」
兄さんは首を左右に振った。
「これだけは言わないといけない」
私は兄さんを見た。強い意志を感じさせる瞳が私を射抜く。
「次に夏美ちゃんを傷つけたら、許さない」
私は目をそらした。兄さんは本気だ。
兄さんは悲しそうに私を見た。それ以上は何も言わなかった。
私のお姉ちゃんは最低な人だ。一番許せない方法で私を裏切った。
兄さんも最低な人だったらよかったのに。そうだったら私を抱いてくれたかもしれない。兄さんの都合のいい女でいいからそばに置いてくれたかもしれない。
「ご飯ができたら呼ぶわ」
兄さんに部屋を出て行って欲しかった。泣いてしまいそうだった。
「分かった」
兄さんはリビングを出て行った。私の気持ちを察したのだろう。こういう事はよく分かってくれる。
でも、私の想いには応えてくれない。
私は涙をこらえられなかった。泣きながら晩御飯を作った。泣きながら兄さんの好きな料理を作った。
夏美も春子も大嫌いだ。
GJ!
春子かわいいよ春子
梓と兄さんの情事が見たくて仕方ない
GJ
God Job !
まさに神職人による投下だ。
で、もちろん梓とはハッピーエンドで終わるんだよね?
投下します。
一年以上間が空いての第4話となります。
第1話〜第3話については、まとめサイトなどを参考にしてください。
風呂からあがった文雄は無言だった。
統治郎や叶絵への罪悪感が、自己嫌悪の感情が、そして千鶴子への恐怖と全てを任せてしまった安堵の思いが、次々と湧き出て胸の内をかき乱した。
憔悴しきった兄に、千鶴子もそれ以上は語ることなく、居間のソファに座らせて茶を一杯勧めた。
千鶴子の淹れた茶を飲んだ文雄は、頭をかすかに揺らしたかと思うと、そのまま眠りに落ちてしまった。
「あなたにこういったものを飲ますのは本意ではないのだけれどね……」
千鶴子の手には、睡眠薬の小瓶が握られていた。
「文雄さん、今回だけは許して。あなたの身を案じてのことだから」
精神が不安定に揺れている今、文雄には自傷や、あるいは自殺の可能性すらあると千鶴子は考えていた。
千鶴子にとって、それは何としても防がねばならないことだった。
脱力した文雄の体をどうにか寝室まで支えて歩き、ベッドに寝かせる。
静かに寝息を立てる文雄の顔をしばらく見つめると、千鶴子はその唇に軽くキスをした。
「約束をしたからには、頑張らないといけないわね」
千鶴子は携帯電話を取り出すと、美山叶絵にメールを出した。
夜の十時、美山叶絵は自宅近くの公園にいた。
遊具も何も無い、ただ広い地面の一角を、外灯がぼんやりと照らしている。
叶絵はその明かりの下で、小さな体をさらに縮みこませるようにして、一筋の影を地面に落としていた。
「一人で来たようね」
不意に響く声に、叶絵は体を震わせた。
暗闇から浮き出るように、長髪の少女が姿を現した。
「澄川さん……」
同じ学校の同じ学年の生徒だから、名前を聞いたことはあったし、顔も何度か見たことがあった。
が、昼に廊下ですれ違う時に見る姿と、今目の前に居る少女とでは印象がまるでちがっていた。
外灯に照らされた前髪の影から覗く目の光が、叶絵の体の奥から本能的な恐怖を呼び起こした。
「用件はわかっているわね」
「お、お兄さんのことですね」
千鶴子からの静かな問いに、叶絵は思わず声が上擦る。
叶絵も覚悟はしてきたつもりだった。
数時間前に、自分と養父が蹂躙した青年。
その妹からの呼び出しのメール。
内容は簡潔で、文雄に不利となる画像や映像を所持しているなら、千鶴子の保管している叶絵のそれと交換して欲しいということ。
そして、一人で来なかった時は必ず今の叶絵の生活を破綻させるという、明確な脅しの文面があった。
友好的な話し合いになるわけはないと思っていたが、目の前に居る同い年の少女から発せられる威圧感は異様なものであった。
「こちらはこの通り、あなたと美山作蔵の情交の映像のオリジナルを用意したわ」
「私も、あなたのお兄さん……澄川文雄さんの写真の入ったカメラを持ってきました」
「あなたとの交わりの最中で撮られたものね」
「……はい」
叶絵が答えたその一瞬、千鶴子の表情が悲しげに曇った。
二人はそのまま、すんなりと、互いの持ち物を交換した。
「……文雄さんとの交わりは、良かった?」
千鶴子は受け取ったインスタントカメラを仕舞いながら、叶絵に問いかけた。
「え……」
「気持ち良かった?」
春の夜風になびくスカートの裾を抑えながら、静かに聞いてくる。
叶絵は千鶴子の意図が読めぬまま、思った通り答えた。
「私は……好きでああいったことをしているわけではないですから。……辛かったです」
「そう」
千鶴子は頷く。
「好きでないのに、やらなくてはいけなかった。そういうことを言うから、文雄さんも夏江さんも、あなたのことを誤解して、助けようとしてしまうのよね」
「……?」
「好きでもないのに、あの男とああいった行為をするのは、脅されているからだ。いや、体の悪い養父を見捨てられないからだ。優しい娘だ、可哀想だ、とね」
「私は本当に、好んで義父のもとにいるわけでは……」
「わかっているわよ。あの男の遺産が目当てなんでしょう? 『美山』叶絵でいる利点と言ったらそこだもの」
千鶴子の言葉に、叶絵は体を強張らせた。
「あれで資産家ではあるものね。養子で居れば、余計なことを遺言状に書かれない限り、全て自分のものになる」
「何を……」
「責めているわけではないのよ。告発するつもりもない。ただ、あなたはやり方がよろしくないと言っているの。
あなたが更に大きな目的のために今の状況を受け入れているということに思い至らなかった文雄さんも、それを伝えなかった私も悪いけれど、中途半端に情けを誘ってしまうあなたの態度が今回の事態を招いてしまった一因でもあるのよ」
無感情な声色で、淡々と紡がれる千鶴子の話に、叶絵は口調を尖らせた。
「何を言っているのか、意味がわからない」
「そう。なら私の妄想ということにしましょう。あなたは夏江さんに、あなたなりの思惑があってあの家に居ることを伝えておくべきだった。いっそはっきり遺産目当てだと言ってしまってよかった」
「そんな……そんなことを言ったら……」
「軽蔑される? でもそれを一番最初に伝えておけば、あなたと美山作蔵が肉体関係を持っていることを、夏江さんに知られることは無かったのよ。恐らく夏江さんは、これまでと同じようにはあなたを見ることはできないわ」
「……」
「まあ、所詮は私の妄想なのだけれど。あなたにとって、夏江さんは特別なのでしょう? ああいった姿を晒したくはなかったのではないかしら」
夜の風が二人の間を抜けた。
遠くから、電車の走る音が小さく聞こえてきた。
「……したいの」
「?」
「何がしたいのよ。それを言って、答えを聞いて、どうしたいのよ。そうよ。私はお金目当てであの最低な人間に体を売っている女よ。本当、最低より最悪な女よ」
叶絵の両の目から、涙が溢れ出る。
嗚咽とともに、怨嗟の言葉が搾り出された。
「最悪……せめて、統にいと同じ立場になって……それで、また昔みたいに……過ごしたいって……なのに……あんたたちが……」
叶絵は千鶴子を睨み付けた。
「どうしてそっとしておいてくれなかったのよ! あんたと、あんたの兄さんが余計なことをするから……!」
「確かに、夏江さんはあなたのことを諦めかけていた。文雄さんのお節介もまた、今回の大きな一因ではあるわね」
「そうよ! 勝手に近づいてきて、セックスまでさせられて! あんたみたいな変な妹に責められて! 本当いい迷惑よ! 何なのよ……どうして私が……」
激昂する叶絵にまるで臆することなく、千鶴子は近づく。
その白い手がすらと伸び、叶絵の右腕を掴んだ。
そして、どこまでも静かな、澄んだ声で言った。
「文雄さんのことを悪くは言わないでね。結果は散々だったけれど、戦おうとした文雄さんが、何もせずただ幸せを待っているだけのあなたに非難されるのは不快だわ」
それにね、と千鶴子は続けた。
「あなたが今生きていられるのは、文雄さんがあなたを救うことを望んでいたからなのよ」
「な、にを……」
「私が、あなたに今夜こうして会ったのは、文雄さんが一番望む形で全てを終わらせるため。そうでなければ、文雄さんを傷つけ、穢したあなたを許すはずがないでしょう」
「え……?」
「人間に関わる悩みを消す一番単純な方法は、その人間を消してしまうことだもの。あなたと美山作蔵を殺せば、文雄さんはしばらく悲しんでも悩まなくはなるわ。私にはその選択肢もあったのよ」
冗談で言っているのだろうか。
そう思わせるほどに、千鶴子の口調は単調だった。
ごく自然に、叶絵と作蔵を殺すと言ってのけた。
「そ、そんな簡単に、人を殺せるわけないじゃない」
「簡単よ。方法さえ知っていれば、幼子だって人を殺すことはできる。難しいのは、その後の処罰を逃れることのほう」
「それは……言うだけなら誰だってできるけど……」
ふ、と小さく千鶴子が笑った。
叶絵は逃げ出したい衝動に駆られたが、それを許さないとばかりに、右腕を掴む千鶴子の手に力がこもった。
「文雄さんがあなたを救おうとしたからには、私はあなたを救わなければならない。文雄さんが目覚めたとき、笑顔で居られるように。文雄さんが望んだから、あなたは生きていられるのよ。それを忘れないことね」
「何を……勝手な……」
叶絵の抗議の意志はしかし、次の千鶴子の言葉で掻き消えた。
「でも、美山作蔵は別よ。あなたが最良の状況に至るためには、あの男を殺す必要があるわ」
「え……?」
「間抜けな声をあげないで。わかりきったことでしょう。あの男が死ねば、遺産は現時点で養子のあなたのもの。遺産が手に入れば、夏江さんと無理に距離を置く必要も無くなる。
夏江さんの家でお世話になってもいいし、これまで通り別に住んでも、普通の付き合いができるでしょう。夏江さんがあなたを今までのように心配することも無くなるから、文雄さんにあなたのことで相談が行くことも無くなる。
文雄さんの心の傷は残るけど……作蔵が死んで、陵辱した張本人であるあなたが全てを忘れると言えば、これ以上傷が深まることもない。現状から見て、最善の解決でしょう」
「それは……そうだけど……」
「あなたも、あの男が心臓の病で死ぬことを待っていたのでしょう?」
「そう……だけど」
「なら協力しましょう。あの男が自然死するのを待つのは、あなたの最終的な目的にも悪影響を及ぼしうるわ」
「え……?」
「知っているとは思うけど、相続の第一順位は配偶者にある。あんな男でも、何かの拍子に新しい女と再婚しないとは限らない。そうなると、あなたのこれまでの忍耐は完全に意味を失うのよ」
「……」
叶絵は押し黙ってしまう。
千鶴子が口にすることは全て正しかった。
叶絵の真の目的も。
作蔵さえ死ねば全てが解決してしまうのだということも。
そして、作蔵の死を待つことで付きまとう、新たな相続人の発生の可能性も。
常に叶絵の脳裏を捉えて離さない、心配事の一つだった。
「あなたにとっての幸せが別にあるというなら、言ってちょうだい。そうでないなら、私はあの男を殺すわ。今夜中に」
叶絵は涙で汚れた顔のまま、千鶴子を見た。
にわかには信じ難かった。
自分と同い年の少女が、自分を虐げ続けたあの男を殺すと言っている。
まるで近所に買い物にでも行くかのような気軽さで。
「どうやって、殺すの? 相手は、大人の男の人なんだよ?」
「心臓に病気を抱えているのでしょう? なら、心臓発作で殺すのが一番でしょうね。警察も医者も不審に思わないわ」
「だからそれをどうやって……!」
叶絵の問いを受けて千鶴子は、夜風の吹く中、息を深く吸い込んだ。
「いい香りよね」
「え……?」
「鈴蘭よ。ちょうど今の時期に花を咲かせるの」
それがどうしたというのか。
疑問符を浮かべる叶絵の表情を見て、千鶴子はまた小さく笑った。
「叶絵さん、あなたは仮にも一家の食事を任されているんでしょう?」
「え、ええ。まあ……」
「食卓に飾ってはいけない花、というものを厳しく教えられるものだと思うのだけど。最近の人は違うのかしらね」
千鶴子は公園の隅を見やる。
暗闇の中、鈴蘭の白い花が風に揺れるのが見えた。
「鈴蘭の花言葉は『きっと幸せに』。……大丈夫、上手くいくわ」
叶絵の手を引いて、千鶴子は歩き出した。
叶絵とともに美山家に向かう道すがら、千鶴子は叶絵にいかにして美山作蔵を殺すか、その方法を教えた。
ごく簡単なもので、先ほどの公園から拝借した鈴蘭の根茎をおろし金でおろし、その汁を味に濃さのある茶や酒に混ぜる、というものだった。
「実際にやるのは、あなたよ」
「私が……?」
「ええ。あなた自身の幸せだもの。自分で掴みとってみなさい」
実際のところ、作蔵を殺害する実行犯を叶絵に任せる理由はいくつか別にあった。
一つは、叶絵を完全な共犯にしておかないと、千鶴子の身の安全が確保されないという理由。
また一つは、作蔵を殺すために千鶴子が美山家に侵入すると、万が一作蔵と叶絵が謀っていた時に危機的な状況に陥ってしまうという理由だった。
「鈴蘭の根茎のエキスを入れるところを見られなければ、まず失敗はしないから、大丈夫よ」
「うん……」
「あの男は、寝る前に晩酌をするのでしょう?」
「うん。テレビを見ながら、ずっと」
「なら、いつも通りに準備なさい。私は居間を覗けるところで見ているわ」
しばらく歩くと、二人は美山家の前に着いた。
門をくぐる叶絵を、千鶴子は無言で見送る。
不安げな表情で振り返る叶絵に、千鶴子は小さく語りかけた。
「もし失敗してもまだ別の手はあるから、堅くならずにね。殺そうなんて思わないでいい。健康の秘薬のおろし汁を飲ませる、くらいの心持ちでいなさい」
先刻までは恐怖の対象だった千鶴子の落ち着いた声色が、今は頼もしく感じられた。
叶絵が家にあがると、古い木の廊下がきしりとなった。
家の奥からは、作蔵が風呂に入っている音が聞こえてくる。
用意をするなら今しかないと、叶絵は台所に向かった。
公園から持ってきた鈴蘭の根茎は四つ。
もし一杯で倒れなかった時のために、多めにとったのだと、千鶴子は言っていた。
(本当に、こんなことで……?)
酒のつまみを用意するついでの手間で、叶絵は鈴蘭のエキスを絞り上げる。
家事を任されているだけあって手際はよく、数分もかからなかった。
やがて、作蔵が風呂からあがる音がした。
「おい! あがったぞ! 酒持ってこい!」
「……はい」
こんな人でも、自分を拾ってくれた恩人であることは確かだ。
酷い目に遭わされ続けてきたのは確かだが、本当に良いのか。
叶絵の心が迷いに揺れた。
用意した焼酎は匂いも強い。
根茎のエキスが入っているとは気付かぬまま、作蔵は簡単に飲み干してしまうだろう。
千鶴子の言が正しければ、それで作蔵は死ぬ。
自分がこの男を殺す権利など、あるのだろうか――
「おい! 早くしろ!」
「は、はい……!」
「相変わらずのろいな、お前はよ」
結局、美山作蔵の命運を決したのは、彼自身の横暴さだった。
迷う叶絵の心の内など知らず、作蔵は立ち尽くす叶絵の持ったグラスを奪い取ると、作蔵はそれを一気に飲んでしまった。
「ああ、うめえ。おい、すぐにもう一杯用意しろ」
「あ……」
「なんだ? とろとろしてると、今夜は尻の穴をほじくっちまうぞ?」
下卑た笑いを浮かべながら今の畳に腰を下ろす作蔵。
叶絵の用意した二杯目の酒を飲み出してしばらくして、変化は表れた。
「ん……おあ……?」
胸を押さえて、作蔵は息を荒くする。
額にじわりと汗を浮かべて、叶絵を見た。
「……と、いけねえ。発作かな。おい、叶絵、薬だ。早く……用意しろ……早くしろ!」
怒鳴りつけられ、叶絵は反射的に走り出す。
隣室の薬棚から、医者から処方されていた薬を持ってきた。
「よ、よし。早く用意しろ。早く……な……」
「は、はい。待ってください、お義父さん」
慌てて薬の入った袋を開く叶絵の肩に、静かに手が置かれた。
様子を見て家に上がってきた千鶴子だった。
「自分の持病の発作と勘違いしているようね。ちょうどいいわ」
「え……?」
「その薬は、こう手に持ってね」
千鶴子は叶絵の手に、白い粉末の入った小瓶を握らせる。
「見せびらかすだけにしておきなさい。ほら、お義父さん、見えますか、てね」
千鶴子に促されるままに、叶絵は薬を手に持ち、作蔵に見せるように掲げた。
「薬、を……」
胸を襲う激痛に顔を歪めながらうめく作蔵と、叶絵の視線がぶつかる。
叶絵はそこから一歩も動かず――
「お、お前……俺を……」
「お義父さん……」
「くそったれが……」
作蔵の顔が絶望に沈んだ。
虚空にある何かを掴もうとするかのように、作蔵の腕が弧を描き、次の瞬間、作蔵は床に倒れ臥した。
体を痙攣させながら、小さくうめき声をあげ続ける。
数分もしないうちに、美山作蔵は苦悶の表情のままで絶命した。
二人はその様子をただ見ていた。
「最後の表情、凄く悔しそう……いえ、悲しそうだったわね。この男なりに、あなたのことを信じていたんじゃないかしら」
「……」
「信じていた娘に裏切られる。相当な絶望感だったでしょう。最後に、良い復讐になったわね」
さて、と後片付けをするべく台所に向かう千鶴子。
「鈴蘭は生ごみと一緒に捨てておくわよ。万が一持病以外であると指摘されたら、卓上のコップに鈴蘭を活けていたことにして、その水を誤飲したという方向にもって行きなさい。あとは……」
千鶴子が次々と指示を出すも、叶絵は立ち尽くしたままで動けずにいた。
「こんな……簡単に……」
呟くと同時に、大粒の涙が一粒零れ落ちる。
その涙が何なのか、叶絵自身にもわからなかった。
「おはよう、文雄さん」
翌朝、目覚めた文雄を迎えたのは、千鶴子の穏やかな笑顔だった。
「お、おはよう」
この妹もこんな表情を見せることがあるのかと驚いたのも束の間、文雄の脳裏に昨日の記憶が鮮明に蘇った。
(そうだ、俺は……)
美山家での失敗、叶絵との交わり。
そして、浴室での千鶴子との約束。
瞬間的に陰鬱な気持ちに落とし込まれた文雄の背中を、千鶴子が優しくさすった。
「どうしたの? 顔色が優れないわよ」
「当たり前だろ……」
「なあに? まさか、お父さんとお母さんがいないから寂しい、なんて子供みたいなこと言わないでしょうね。今日の朝食は私が腕によりをかけて文雄さんの好きなものを作ったから、元気を出して」
「……そういう問題じゃなくてさ」
「じゃあ、なにかしら?」
文雄は思わず千鶴子の顔を見た。
わかっていないはずがない。
昨日のあの出来事を、浴室でのやりとりを、千鶴子が覚えていないはずがない。
なのに――
千鶴子は小首を傾げて、相変わらずの微笑を文雄に向けていた。
「……文雄さん、よほど夢見が悪かったのかしら」
「え……?」
「少しうなされていたものね。でも大丈夫。どんなに悪くても、夢は夢だもの。今日これからのあなたを苦しめるものは、何もないわ」
「千鶴子、お前……」
「さ、朝食にしましょう。着替えたら降りてきてね」
「……」
「なあに? 着替えられないなら、私が脱がせてあげてもいいけど?」
「いや、大丈夫。すぐに行くよ」
「ん……」
千鶴子は文雄の頬に軽くキスをして、部屋を出て行った。
ごく自然に、兄の頬にキスをしていった妹。
『私と取引してくれるなら、あなたに降りかかる災難は全て排除してみせる。今回のことも、明日の朝には一夜の夢だったとなるように消し去ってあげる』
昨日の千鶴子の言葉が、思い起こされた。
「やっぱり、俺は……」
文雄は両の手で顔を覆い、肩を震わせた。
千鶴子が昨夜のうちに何をしたのか、あるいは何もしなかったのか、文雄は聞くことができなかった。
尋ねることで昨日の自分の失態を詳細に思い出すのが怖くて、できるだけその話題には触れないようにした。
千鶴子も昨日あったことを話すことは一切無く、不思議な雰囲気のまま朝の時間は過ぎていった。
ただ、千鶴子が自分を気遣ってくれていることは自然伝わってきて、それについては文雄は純粋に感謝するところだった。
二人とも何事も無い、いつも通りの朝を演じ、そのまま学校に向かった。
教室に入った文雄は、先に来ていた統治郎を見て気まずい思いに襲われた。
昨日何があったのか聞かれたら、どう答えよう――
叶絵とのことを話すわけにはいかない。
自分にうまく言い訳ができるだろうか。
一瞬で様々な考えをめぐらせた。
が、そんな文雄の心中はお構い無しに、統治郎は大きな体を揺らして近づくと、がしりと両手を握った。
「やった。やったよ。どうにかなった」
「ええと、何がだ?」
満面の笑みを浮かべ、握った手を激しく上下に振りながら、統治郎は答えた。
「叶絵のことだ。うまい具合にいきそうだよ」
「何か動きがあったのか?」
「ああ。今朝叶絵から連絡があってな。昨日の夜、あの美山作蔵が亡くなったんだ」
「……!」
統治郎の言葉に文雄は衝撃を受ける。
思い浮かんだのは、妹の顔だった。
「……亡くなったのは、どうしてなんだ?」
「前に叶絵も言っていた、心臓の持病だそうだ。心臓発作で逝ってしまったらしい。人の死を喜ぶなんて不謹慎なのだろうが、今度ばかりは喜ばずにはいられんな」
統治郎は苦笑いしながら、叶絵が葬儀のことなどで手伝って欲しいと伝えてきたこと、遺産相続についての相談や後見を頼んできたことを話した。
「しばらく忙しくなりそうでな。今日も一時間目を終えたら早退だ」
「なんだ、それなら今日は来なくても良かったんじゃないのか?」
「いや、文雄には世話になったからな。何としても今日、お前に直接礼が言いたかったんだ」
統治郎は大きな体をぴたりと伸ばし、深々と礼をした。
「ありがとうな、文雄よ。俺はこの感謝の気持ち、生涯忘れんぞ」
「やめてくれ。俺が何かしたわけじゃない」
「いや、俺が叶絵と関わり続ける勇気を持たせてくれたのは、お前なんだ。心を保たせてくれたのはお前なんだよ」
「統治郎……」
親友の言葉は文雄にとって大変嬉しいものであると同時に、強い罪悪感の源となった。
あの家で叶絵と関係を持たされたことは、墓まで持って行く秘密となるだろう。
(そう……俺は結局迷惑をかけただけで、何もしていない。やったのは……あいつだ)
千鶴子の言う通り、一夜の夢となってしまった。
美山作蔵が死ぬことで。
昼休み、文雄はすぐに第二図書室に向かった。
厚い扉を開けると、ひんやりとした空気が流れ出る。
窓から入る陽光に照らされる読書席には、いつも通り誰もおらず、ただ一人、千鶴子が貸し出し席に座って本を読んでいた。
「あら、文雄さん、随分と早いのね。ちゃんと昼食は食べたのかしら?」
「さすがに、のんびりと昼食を食べている場合じゃないだろ。千鶴子、お前……」
ごくりと、文雄は唾を飲み込んだ。
「殺したのか、美山作蔵を」
「また突然ね。どうして?」
「今朝、統治郎から話があった。美山作蔵は亡くなったそうだ。……お前の言っていたとおり、俺が寝ている間に全て解決したよ」
「そう。それは運が良かったわね。不摂生な生活をしていたようだし、普通の人よりは亡くなる可能性は高かったんじゃないかしら」
「千鶴子……!」
声を荒げる文雄を、千鶴子はひたと見据える。
やがて小さくため息をつき、口を開いた。
「そうね。文雄さんに隠し事をしても良いことはないって、この間で懲りたしね……」
立ち上がり、扉の前まで歩き、鍵を閉める。
そして、くるりと振り向いた。
「殺す手伝いをしたわ。あくまで、手を下したのは、叶絵さん自身よ」
「……!」
心の準備はしていた。
が、実際妹の口からその言葉を聞いた文雄は、ぐらりと地面が揺れたかのように感じた。
「千鶴子……お前……なんてことを……!」
「私としては、一番良い結果になったと思うのだけれど、問題があったかしら」
問題あるに決まっているだろう。
数日前の文雄なら、そう叫んでいたかもしれない。
だが、千鶴子の言うとおり、美山作蔵が昨晩死んだことが、関わった全員に良い結果をもたらしたことは明らかだった。
その恩恵を、文雄本人も強く受けていることを、何よりも自覚していた。
「結果は……そうかも知れないが……」
「文雄さんがこういったやり方を嫌うのはわかっているわ。だから、全て夢だったと思っていて欲しかった」
「夢だなんて、思えるわけないだろう」
自分は千鶴子ほどには強くない。
それはわかっている。
しかし、全てに背を向けるほど弱くあるつもりはなかった。
「千鶴子、お前は、何とも思っていないのか? 人を一人、殺してしまったんだぞ? 犯罪なんだぞ?」
「犯罪であることが明るみに出ると困るけど、それに対する対策は充分にしたつもりだから」
「そういうことを言ってるんじゃない! お前には、罪の意識とか、そういうものは無いのか……?」
「今回に限って言えば、無いわね。法律の中では犯罪に分類されるけれど、悪いことをしたとは思っていないもの」
「……!」
「だってそうでしょう? あの男が死んで、不利益を被る人がいたかしら? 叶絵さんも、夏江さんも、そして文雄さんも、皆が利益を得ているじゃない」
「……美山作蔵本人は、不利益を被っているだろう」
「そう……それはそうね。文雄さんが、あの男の幸せまでを望んでいたと言うのなら、それは私の力不足だったと謝るしかないわ。ただ、文雄さんと夏江さんと叶絵さんの全員が幸せになるには、あの男を犠牲にするしかなかった。ねえ、文雄さん――」
千鶴子は一歩、二歩と文雄に近づき、その手を握ると、自分の胸に押し当てた。
「他に方法があったと思う? 本当に、あの男の幸せまで望んでいたの?」
「あの男の幸せまで望んでいたなんて言うと、それは嘘になる。けど、皆に利益があるからと言って、簡単に人の命を奪っていいわけないだろう? そんなのは、皆が楽しいからという理由でされるいじめと変わらない。
何もできなかった俺が言えたことじゃないが、許されることじゃないんだよ。殺すまでしなくても、叶絵ちゃんをあの男から引き離せば済んだ話じゃないか」
「叶絵さんは、美山家の養子でいることで、美山作蔵亡き後の美山家の財産を手に入れることを狙っていたわ。そのために、たとえ毎日犯されてもあの男の傍にいることを選んだ。
あの子の最大の目的がそこにある以上、叶絵さんを美山作蔵から引き離すことは解決方法にはなり得ないのよ」
千鶴子の言葉に、文雄ははっと表情を変えた。
以前聞いた統治郎と叶絵のやり取りを思い出す。
「そうか……美山叶絵でいるというのは、そういう意味でのことだったのか。それがわかっていたからお前は、俺と統治郎に叶絵ちゃんと関わるのをやめろと言ったんだな」
「ええ。彼女にしてみれば、今更引き離されたところで、今まで耐えてきた苦労が水の泡になる。それこそ、不幸になるだけだわ」
「なるほどな。やっぱりお前はすごいよ」
いつも物事の奥の奥まで見通してしまう洞察力。
自分とは違った力を持つ妹に、文雄は素直に驚嘆の念を抱いたが、それでも納得はできなかった。
「でも俺は……お前のやり方が正しいとは思えない」
「そう」
「叶絵ちゃんの目的がそうであったとしても、遺産を諦めるよう説得して、美山作蔵から解放すべきだったんだ。殺人という十字架を背負わせるくらいなら、そうすべきだった。お前になら、それができたんじゃないのか?」
「どうかしらね……。まあ、これが一番叶絵さんの協力を得やすいだろうと思っていたことは否定できないわ。それに、私なりの目的もあったから」
「目的?」
「文雄さんは、口封じに叶絵さんと関係を持たされたのでしょう? それはつまり、今後の人生において、文雄さんが美山作蔵と、可能性は低いけれど叶絵さんにも脅される要素を残したことになる。
その要素を完全に消し去るために、あの男を消したかった。もう一人の当事者である叶絵さんに手を下させることで、こちらも叶絵さんに対する脅しの要素を手に入れることができるから、一石二鳥だったのよ」
「……!」
「確かに、夏江さんと叶絵さんのことだけを考えるなら、叶絵さんをどうにかして説得する方法もあったのかもしれない。でも、私なりに文雄さんのこれからのことを考えて、最善の策はこれだと結論付けたのよ」
「お前は……お前って奴は、本当に……!」
文雄は千鶴子の胸に当てられていた手を振り払った。
怒りの表情を浮かべて、千鶴子の肩を掴むと、力任せに本棚に押し付けた。
「俺がそんなことをいつ望んだ!? 俺はそこまでして自分を守りたいなんて……」
言いかけて、文雄は口をつぐんだ。
そして、弱々しく首を振った。
「いや、俺が悪かったんだな。自分では何もできなかった。お前に助けを求めたのは、俺なんだ。今更お前のやり方をどうこう言う権利なんて無いんだよな……」
「いいえ。言いたいように言ってくれていいのよ。対等の取引相手として、文雄さんは私に意見する権利があるわ」
「取引、か」
昨晩の、浴室での千鶴子とのキスを思い出す。
文雄の首の付け根の噛み傷が痛んだ。
「そもそも俺があんな約束をしたから、お前は犯罪者に……」
「どうかしらね。あの約束があったから、ここまでで済んだとも言えるわ」
「……?」
「忘れてしまったかしら。言ったでしょう。あなたの倫理観の拒むところのただ一つを受け入れるだけで、他の全てを守ることができると」
倫理観の拒むところ。
その言葉の意味をわかったうえで、文雄はあの時千鶴子との取引に乗った。
忘れるわけは無かった。
「私の感情に任せれば、叶絵さんも美山作蔵と一緒に殺してしまっても構わなかった。そうしなかったのは、文雄さん、あなたとの約束があったからよ。
あの約束があったから、私はできる限りあなたの望むまま終わらせようとした。けど、美山作蔵を殺してしまったのがどうしても許せないというなら、私は約束を守りきったとは言えないわね」
「俺との約束がなかったら、叶絵ちゃんも殺していたというのか?」
「まあ、そうなるわね」
「何でお前は……そんなことを普通に考えられるんだよ」
「まったくリスクが伴わないなら、何か他人の関わる困難が起きた時にその対象を殺すことを考える人は、意外と多いんじゃないかしら。
それに、私もむやみに人を殺したいわけじゃないのよ。今回は全ての目的を同時に果たせる、費用対効果に優れた方法だったから、そうしただけのこと」
「お前は、俺や父さんや母さんや、統治郎や叶絵ちゃんを殺すことで目的が果たせると思ったら、そうするのか?」
「文雄さんを殺すなんてないわ。私の人生の楽しみが無くなってしまうもの」
「じゃあ、他の人たちは殺すのか?」
二人の視線が合わさった。
暫しの沈黙の後――
「さあ。どうかしら」
千鶴子は言葉を濁した。
だが、それだけで文雄には充分だった。
はっきりとした否定の言葉を口にしないということが、この妹の明確な意思表示であるということを、理解していた。
苦々しい表情を見せる文雄に対し、千鶴子は静かな瞳で問いかけた。
「私を警察に連れて行くの?」
「……」
「それとも、私がこれ以上人を殺す前に、私を殺す?」
「そんなこと、できるわけないだろう……」
「じゃあ、どうするの?」
「どうすれば……その考え方を改めてくれるんだ?」
文雄の問いに、千鶴子は目を伏せる。
肩から長い黒髪がさらりと流れ落ちた。
「私は文雄さんのように、皆の幸せを考えることはできない。自分のことをどうにかするだけで精一杯なの。どうしようもない、自分勝手な女なのよ」
でも、と千鶴子は続けた。
「欲しいものを手に入れるためなら、そんな自分勝手さを押し殺すことができるわ。さっきも言ったけれど、昨日の約束……」
あなたの倫理観の拒むところのただ一つを受け入れるだけで、他の全てを守ることができる――
「私は今回守りきることができなかったから、文雄さんはあの約束を無かったことにできるわ。でも、あえて約束を継続することもできる。
そうすることで、私にこれからも文雄さんの望む全てを守らせることができる。……約束を反故にするしないは、文雄さん、あなた次第よ」
「脅すのか、俺を」
「……」
「他の全てを守る……まさか千鶴子、お前から守るの意味だったなんてな」
はは、と文雄は力なく笑った。
それきり何も言わなかった。
千鶴子は肩を抑えていた手をはずし、そっと兄の体を抱きしめた。
「納得していただけたなら、今日の私の好奇心、満たしてもらえるかしらね」
「……」
「拒まないということは、好きにしていいのよね」
千鶴子は顔を上げ、文雄の唇にキスをした。
そのまま文雄の足に自らの足をかけ、冷たい木の床に押し倒す。
千鶴子が覆いかぶさる形で、二人はごく近い距離で見詰め合った。
「……どうして、俺なんだ?」
「私にとって文雄さんは特別興味を引く存在なのだと、何度言えばわかってもらえるのかしら」
「だから、どうして俺なんかに興味を持つんだよ?」
「だって、文雄さんは私と全然違うんだもの。人間、自分と異なるものに興味を持つのは当然でしょう」
「異なるものに嫌悪を感じる人間がいるということを考えたことは無いのか?」
「……ふふ。嫌われたものね」
文雄の言葉に、千鶴子は小さく笑った。
「いいじゃない、嫌いでも、体を合わせるくらい。セックスって気持ちいいらしいわよ」
「俺とお前は、兄妹だろう……?」
「兄妹での結婚は法律で禁じられているけど、セックスまでは禁じられていないわよ」
「それでも、駄目なものは駄目なんだよ」
「普段生意気な、何かと嫌がらせをしてくる妹を徹底的に懲らしめるいい機会だと思うけど」
「……」
無言で目を逸らす文雄に、千鶴子はため息をついた。
「どうあっても、文雄さんから抱く気にはなってくれないのね」
「約束は守る。それでいいだろう」
「そうね。そういう……関係だものね」
再び千鶴子は文雄にキスをした。
ちゅ、ちゅ、と口腔を吸い上げる音が、昼の図書室に響く。
無反応の文雄に関係無しに、千鶴子は文雄の唇を貪り、次第に呼吸を荒くしていった。
やがて唇は離れ、混ざり合った唾液が細く糸を引いた。
「あくまで文雄さんから動く気は無いのね。……まあ、いいわ」
言って千鶴子は立ち上がり、数歩下がって床にとんとお尻をついた。
一体どうしたのかと文雄が身を起こすと、そこには脚をわずかに開き、スカートを捲くって下着を露にする千鶴子が居た。
純白の下着には、可愛らしい刺繍が一つ。
千鶴子はいつも通りの無表情で文雄をしっかりと見つめながらも、その頬には微かに朱がさしていた。
「お、お前、何を……」
「以前、文雄さんのを舐めてあげたわよね」
千鶴子は、見せ付けるように腰を前に突き出し、長いスカートを脚の付け根まで捲り上げた。
「私のも舐めなさい」
「……!」
「今日はこれで満足してあげる」
千鶴子の瞳が潤みを増す。
白い肌が、雪原に血が滲むように、赤く染まっていった。
その様子が、平然とした様子の千鶴子の心の高まりを表しているようで、気付けば文雄も鼓動が早まるのを感じていた。
千鶴子の両膝に手を置き、脚をさらに開かせる。
誰にも見せたことのない千鶴子の局部が、目の前にあった。
「千鶴子……」
吸い寄せられるように顔を近づけ、文雄は千鶴子の下着越しに舌を這わせた。
舌の先に感じる、女性器の凹凸。
今、確かに、実妹の性器を愛撫している。
文雄はちらりと千鶴子の顔を見た。
千鶴子はぎゅっと目を閉じ、スカートをしっかりと握って、小さく身を震わせていた。
美人で優秀だと評判の妹。
生意気で、人を人とも思わない妹。
その妹が今、自分の舌で性感を得ている。
文雄の心の中にあった自己嫌悪の感情が、散々悩まされてきた妹への征服欲の高まりに打ち消された。
文雄は夢中になって千鶴子の性器を舐めていた。
「は、あ……文雄さん……あぁ……」
小さな喘ぎとともに、すぐに千鶴子の下着にじわりと愛液が染み出る。
ねっとりとした汁が下着に浮き出る性器の型をますますはっきりとさせ、文雄はその稜線に沿ってほじくるように舌を動かした。
テクニックも何も無い、ただ獣のように貪るだけの愛撫だが、それで千鶴子には充分だった。
「ふぅう……ああ! も、もっと! 直接……直接舐めて……」
眉根を寄せ、消え入るような声で懇願する千鶴子。
スカートを捲り上げたまま、右手で下着を横にずらした。
薄い陰毛の生えた性器が文雄の目の前に現れる。
ぴたりと閉じた千鶴子の性器は、べっとりと愛液に濡れ、時折陰唇がひくひくと動いていた。
「ああ……」
吐息とともに、千鶴子は顔を逸らす。
が、すぐにその顔を跳ね上げた。
文雄が、千鶴子の肉芽に吸い付いたのだ。
そこが女の敏感な部位であることは、文雄も知識として得ていた。
ちゅちゅちゅ、と回りに粘つく愛液とともに、クリトリスを吸い上げる。
「あ! 文雄さん……! ああ……! く……んう……!」
千鶴子は性器を文雄の顔に押し付けるように腰を跳ね上げ――
「く……! ぅうん……!」
背筋をぴんと伸ばし、開いた脚をがくがくと震わせた。
そのまま、千鶴子は崩れるように床に倒れこんでしまった。
兄と妹、二人の荒い呼吸が、薄暗い図書室に響く。
文雄の目の前には、まるで強姦されたかのような乱れた服装で、美しい髪を床に散らす千鶴子の姿があった。
時折体を震わせる千鶴子を見て、文雄は不思議な充実感を感じていた。
自分には手におえない、強烈な知恵と精神の持ち主である千鶴子も、一人の女だった。
そして、自分の手で、いとも簡単に屈服させることができてしまう。
それを知ってしまった充実感。
しかし、そのような精神の高揚も長くは続かなかった。
何と無しに自分の頬を拭った際、手の甲についた透明の愛液を見て、文雄は一気に現実に引き戻された。
「あ……」
小さくうめき声をあげ、艶かしい妹の肢体を呆然と見る。
その場を動くこともできず――
ただ静寂が、空間を支配した。
「……文雄さん?」
どれくらい経っただろうか。
千鶴子が静かに呼びかけた。
「……後悔しているの?」
「何をだ……?」
「今、私とこんなことになってしまったこと。あの夜、私と取引をしてしまったこと。そもそも、夏江さんと叶絵さんの問題に関わってしまったこと。後悔している?」
「……」
雲に隠れていた日が射したのか、これまでで一番強い日差しが、窓から入り込んできた。
きらきらと空気中に舞う塵を輝かせながら、光は二人を照らした。
「文雄さんは自分を責めるのでしょう。情けないと言うのでしょう。でも、私は文雄さんに後悔して欲しくないわ」
「お前が言うことか」
「確かに、張本人の私が言えたことではないけれど……あなたの心が夏江さんと叶絵さんを救ったのは紛れも無い事実だから、胸を張って欲しいのよ」
「心が、か。結局力が足りなかったんだよな、俺には」
「そうね」
自嘲に満ちた文雄の呟きを、千鶴子は否定しなかった。
しかし、その口調はごく柔らかなものだった。
「でも、いいじゃない。足りないなら、これからは私を使えば」
「千鶴子を……?」
「文雄さんはこの先も誰かに頼られ、傷つくことがあると思う。だから、もし誰かを助けたいと思ったら、遠慮なく私を使ってちょうだい。
文雄さんの意志を実現するための道具の一つと割り切ってくれていいわ。文雄さんがこうやって一日一回私を満たしてくれるなら、私は文雄さんの意に沿うよう動くから」
「それは……」
「脅し、脅される関係より、お互い利用しあう関係の方が良いと思うけれど」
言い終えたところで、昼休みの終わりを告げる鐘の音が、遠くから聞こえた。
「……昼休みが終わってしまったわね」
千鶴子は乱れた服装を整えながら、ゆっくりと身を起こした。
「文雄さん、少し授業は置いておいて、一緒にお弁当を食べましょうか。……いえ、一緒に食べませんか?」
いつも通りの無表情に、いつも通りの落ち着いた声で。
赤くなったままの頬を見せないように、千鶴子は文雄に頭を下げた。
今回の投下は以上です。
まさかのノスタルジア…。
まさかのリアルタイムGJ!!
ちょっと過去作から読み直してくるっ
一番続きを期待してた作品だ
猛烈に感動してる
GJ!!!!!!
うおおおおおおおおおお超GJ!
続きがめっちゃ気になってましたよ!
千鶴子いいよ千鶴子
205 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 20:09:08 ID:3javiZ3c
「空の境界」観たんだがすごいな
最強チートの彼女に、養子行ったり全寮制の学校までして「実妹」から抜け出そうとする兄貴大好き妹、準チートの職場上司。
果てに実娘は母親殺して主人公を奪い取ろうとする始末・・・
GJ
素晴らしいですぞー
え?
ちょっとまって
おれが今見てるのは保管庫なのか!?
やべえええええええええええええ
待ってましたああああああああああああああああああ!
GJ!!!!!!!!!
>>180 GJ
久々に一話を読み返してみたら…何とも切ないなぁ
>>200 こちらもGJ
気長に待ってみるものですな
209 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 22:59:06 ID:38l/iqLm
ノスタルジア投下とは
たまげたなあ
武闘派キモウト→頭脳派キモウトのスーパーコンボだなw
GJ! 噛んだ後からこの後の展開が気になっていたんだ
待っていた甲斐があったもんだな。帰ってきてくれてありがとう!
来た来た来た来たぁあああああ!!
これが神職人なんだよ!
GJ!!
214 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 05:02:52 ID:O5aJkIy7
千鶴子は落ちついた妹だな
必要以上に世話焼きだと好みだ
さて、次に来るのは妹か姉か、それとも・・
破壊者だな
>>200 GJ!
っていうか、これはレベル高いなー。ひとつだけ抜きんでてる感じ
また近いうちに投下お願いします
他の作品との比較いかんぞ
>>200 GJ!
「今回の」ってことは…次もあると勝手に期待させて頂きます!
GJ!
何というか、待ってみるものだな
他の職人さんも待ってるぜ!
>>220 ノスタルジアのレベルが高いのは事実だろ
>>223 すまん。俺が言いだしたんでこんなこと言うのは気が引けるが、荒れそうだからその話題はやめよう
ノスタルジアが来なくなるのだけは勘弁だから
>>180、
>>200 まとめてで悪いけど、GJ。
ないこの調子で、他の最近休んでる長編組も帰ってきてくれたら、うれしいんだけど……
>>224 その発言が計算なのか、天然なのかは知らないけど…
もう言い訳も謝罪もいらないから、アナタはなにも発言しないで。
なんだっけか、桔梗のなんたらとか未来のなんたらとかだな……
228 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 14:55:20 ID:oXOeGa+P
有個性 強個性
>>227 あと桜のなんたらとか贖なんたらとかもな。
タイトルなんだっけなぁ。投下されたら思い出せる気がするんだが…
>>229 >桜のなんたら
桜の網じゃね?
で贖なんたらは失念したが確かレディースのばあちゃんがいたよな…
俺は未来の待ちだ
ノスタルジア、次も早く頼む
いままでROM専でしたけどss書きました
未熟な点ツッコミどころも多いですが、なにとぞお付き合いください
歴史上の人物が勝手に動かされるのは我慢ならんって人は回避推奨です
―――キンッ ザッ
金属同士の擦れ合う音が響く。
草葉も眠る丑三つ時。師走の冷風吹き荒ぶ竹林にて、動く影二人分在り。
近辺に民家は無く、其の為、場は深い暗闇を纏っており、唯一、頼れるのは、月明かりである。
一方は、苦無を右手に構え、もう一方は頭上を通す形で刀を帯びている。
前者は黒尽くめの布を全身に纏っており、腰には鎖鎌を携帯している。
相手との距離間、間合いの変化によって武器を使い分けると言った変則的かつ合理的な戦闘方法は、単純な様で、容易には真似る事の出来ない技能である。
近遠武器の持ち替え、其の瞬間の見極め。
一瞬どころか刹那すらが命取りと成り得る、戦場(イクサバ)である。未熟者が真似よう物ならば、首が飛ぶ。
恐らくは、この忍の者は――戦闘する忍としては最高位である――中忍。
其れに対する後者は白銀の兜、白銀の鎧、白銀の籠手。美の象徴とされる淡白を身に纏う、武士。
勝手知ったる得物の刀身の蒼が闇夜に溶け込み、この異様な空間をさらに異質な重みで染め上げてゆく。
だが前述した通り、白の武士の其の構えは両手共に上に上がっている為、脇腹から胴以下は無防備である。
また、両腕に着けている籠手が左右の視界を奪っている。
一見、不利に見えるが――否。
多対一ならば兎も角、一対一である。左右の視界など、むしろ邪魔となる場合がある。
そして頭上に刀を振り上げている、と言うことは重力に逆らうことなく振り下ろせるのだ。
詰る所、剣技最速の業。且つ、一撃必殺の業。
疾さに於いて一日の長のある手錬の忍を相手にしている為、この構えは間違いでは無い。
死を背景に、勝ちを奪いに行くこの姿勢を選択した白の武士、こちらも恐らくは戦慣れしている。
黒の者が重心を僅か一寸程、前方へとずらし、腰を曲げた前傾姿勢を取る。
白の者はまるで息すらしていないかの様に微動だにしない。
「……」
「……」
先に動けば殺られる。
且つ、先に動かなければ殺れない。
この理不尽な矛盾を制し続けた者、それこそがこの戦国時代での強き者。
黒き忍が、動く。
大地を蹴り、風よりも疾く翔る。白の武士との最短、真直線を一、二間。
狙うは横腹。装甲の薄い部分を突く。苦無の刃は仕込み猛毒。掠り傷すら死傷へ化す。
白の武士が上方から、一陣の風を向かい撃つ。その無慈悲なる切っ先は蒼光となり、風の速度を上回る。
頭上からの、自身を超える殺意に気づかず、黒の忍は右腕を後方から加速させ、目標である脇腹を突く。
――と、見せ掛けて後ろに飛び退き、懐に隠し持っていた手裏剣を投げる。
そう、これが本命である。勿論、毒付。
刀を振り下ろし、逆に防御手段の無くなった肩から上、顔面に向かって加速する手裏剣。
通常の人間ならば、この距離では避ける事は適わない。
しかし、白の武士は尋常ではない反射速度で上体のみの動きでそれを避け、更に間合いを詰め、先程薙いだ左下に構える刀の刃を上方へと持ち直し、股間から胴を真っ二つにする勢いで斬り上げる。
黒の忍は躯に刃の当たると同時にそれより速く頭上高くへと飛び上がった。
着地点に選んだのは竹。右手で幹を掴み、右足で自身を固定する。竹は十分に育っていた為、撓(シナ)る事はなかった。
「くく、やっぱ強ぇわ……。普通の武士ならもう二ケタは殺してる時間だぜ?」
「……」
黒の忍は一切挑発に乗る様子の無い白の武士に向かってふん、と鼻でせせら笑った後、懐から取り出した小刀を逆手に持ち、勢いを付けて相手に向かって飛んだ。
白の武士もそれを迎え撃つ。
刃と刃が交差する――
――その中間に、一人の男が割り込んだ。
男は、武士の蒼刃を足で地面に叩き落し、頭上より降りかかる忍の毒の塗られた小刀を、直接触っても害の無い鍔(ツバ)を狙って拳で殴り飛ばした。
最も怪我人の出ない方法でかなりの兵(ツワモノ)二人の戦いを止めた、この男。その強さたるや、天下一品級である。
「お前ら……」
黒の忍、白の武士は互いに目を潤ませ、頬を高潮させ、肩をわなわなと震わせる。
それは男に殺されるかもしれないという『恐怖』からか?
自身の命と同等である得物を楽々と弾かれたという『羞恥』からか?
目前に迫っていた"死"から逃れられた『安心』からか?
否……。
「お兄ィ!」
「……おにいちゃん」
その震えは、愛する者(アニ)が自分を護ってくれたという『愛情』からであった。
『戦国ふぃーばー 〜嫁が欲しい、切実に〜』
時は戦国。
ここ甲斐の国はある一人の男によって治められていた。
「で?なんで争ってたんだよ」
そう。武田信玄、その人である。先程の戦いを諫めたのも信玄である。
ちなみに今年で25歳になったが、一国主で在りながら未だに子を一人も成していない。
これは国主としてはとても珍しい。普通ならば、もう5,6人ほど子供が居ても良い頃である。
というか、情事すら行ったことが無い。
これは本当にヤバい。現代に例えるなら、アルテマホーリーなどお茶の子さいさい級の童貞である。
兎も角、奇跡の存在である。あるいは何者かの陰謀によって一切の性交渉を持たずしてこの歳まで生き永らえたのか。
真相は神のみぞ知る、と言ったところであろうか。
「お兄ィのお嫁さんに、どっちがなるか。決めてたんだよ」
「……」
兄の至極真っ当な質問に悪びれ無く答えたのが板垣のぶ。17歳。活発。黒の忍者。
のぶの返答の無垢さを頷くという行為で二次関数的に加速させたのが飯富トラ子。16歳。無口。白の武士。
三人共苗字が違うものの、母親が同じであった為に、兄妹だという。異父兄妹である。
「ふざけんな。お前ら妹だろーが」
「妹である前に、女だ!」
「妹は妹だ!」
「じゃあ私を女にしてくれ!!」
「断る!アホか!」
「せっかくお兄ィも"男"になるチャンスなのになァ」
「うっせ」
「あ。お兄ィ、顔赤くなってない?」
「なってねぇよ」
「なってるし」
「……トラ、お前からもなんか言ってやってくれ」
「とらは、おにいちゃんのおよめさんになりたい」
信玄は、泣きたくなった。
――――――――
「ともかく、だ。お前らは貴重な戦力だ。
少なくとも、甲斐の国では5本の指に入る。だから、死ぬような争いごとはやめろ」
信玄の発言が終わると、妹達は泣き出した。悲しいことに信玄にはそれが嬉し泣きだと言う事が瞬時に理解できた。
と同時に、『やっぱ言わなきゃ良かった』と思いつつも『言わなきゃまた殺し合いしちゃう』というある種のジレンマを抱えてしまいそうだったので、信玄はもう考えないことにした。
三十畳はあろうこの部屋の奥の襖が不意に開いた。側近の者である。
「御館様。評定(ヒョウジョウ)の時間で御座います」
「うむ。ご苦労。すぐに参ると伝えてくれ」
すっ、と側近は襖を閉じて去っていった。評定とは、現代風に言えば会議の事である。
信玄は武田を治める国主。なので毎週行われているこの評定も本来纏めなければならないのだが……。
「おい、のぶ。トラ。聞いたろ。評定だ。行くぞ」
「うぃー」
「……」
長い長い廊下を歩き、評定の行われる部屋が近づいてきた。それにつれて、人口密度が高くなってきている。
周辺には中に居る家老や武田の配下の武将の側近がズラリと並んでいるからだ。
だが威厳を示す為に敢えて、信玄はそれらの会釈に目もくれずに襖の前まで来て、堂々と開いた。
「甲斐が国主、武田信玄。あい仕った」
信玄が畳に足を踏み入れる。奥に細長い部屋の両端に並ぶ家老達は頭を下げ、その間に信玄は自分の席まで歩いてゆく。
席に着くと同時に、全員が頭を上げる。のぶとトラは俺の両端に座らせる。
「これより第二十八回、武田評定を始める」
信玄の側近が高らかに宣言した。
見渡せば、老人、老人、老人、老人。平均年齢60は下らないであろう。
信玄を見る目は、やはり若造を見る目に他ならない。信玄はこの席に着く度に、百を超える数の屈辱に耐えねばならないのだ。
事実、これまでに信玄の代になってから二十七回耐えてきた。
信玄は生まれつき耳が良い。なので、先代から仕えている配下の老将達の小声が聴こえてしまう。
『なぜ武田信玄は子を成さぬ』『信玄は妹離れも出来ぬのか』『他国を攻めないのか』
今日もその様な小声が聴こえて来ている。
事実、信玄には大きな実績が無かった。それは痛いくらいに身に染みている。
トラ子が信玄の和服の袖をきゅ、と握った。のぶはそこかしこに睨みを利かせている。
信玄の側近が、いつもの周囲の雰囲気を察して不安な顔をして信玄の耳元で囁いた。
「評定を閉じましょう……」
このやり取りは今まで、二十七回繰り返されてきた。何の議論もせぬまま、解散する。それだけを。
しかし、今日は違う。信玄は心の中で力強く呟いた。
信玄は側近と妹達にしか聞こえないくらいの小さな声で言った。
「いや、提案があるんだ」
瞬間、のぶとトラ子の目がぱぁ、と輝いた。反対に、側近は不安の色を濃くした。
信玄は立ち上がった。
「皆の者、随分と時間が掛かったが――」
周囲の目が、信玄に集まる。期待の目で見ているものは果たして、何人いるものか。
信玄は肺に酸素を送り、次の言葉を発した。
「川中島を――上杉家を、攻める」
場がざわめく。というのも無理は無い。
なにせ、川中島を支配しているのは天下に名を轟かせている毘沙門天・上杉家である。
先代武田、信玄の父の代の時は武田は周囲の武家に勝っていたが、信玄が国主となってからはその地位を他国に奪われていた。
信玄は、上杉家を倒せば、また武田家に天下が舞い降りると考えた。
「無理じゃ!!」
家老の一人が声を荒げて反論した。
信玄は冷ややかな目で一瞥し、「大丈夫だ」とだけ言った。
場のざわめきは留まる所を知らない。むしろ、信玄の今の態度を見て、内乱でも起こりそうな勢いであった。
「俺は、武田家当主だ。俺に従えない奴はここから出て行け」
ざわめきが一応は止まった。部屋から出て行く者は居ない。
なぜなら、出て行けば謀反と見なされ、武田家つまりは甲斐から追い出されるということだからである。
他国に出奔する勇気の有るものはいない、と信玄は予想しての発言であったが、まさしくその通りであった。
信玄は、周りが焦りを見せている中、自分だけは強くあろうと強く念じた。先代の様に、強く、逞しくあろう、と。
「皆の者、案ずるな。作戦ならちゃんと用意してある。
戦の令は2日後だ。各自、準備しておけ。……まずは、信濃にいる村上家を駆逐する」
評定は信玄の発言を最後に幕を閉じた。
先ほどの評定の結果は、場の混乱は無くなりはしなかったが、先代を髣髴とさせるその発言の力強さに一同は圧され、一部の者は信頼を回復しつつあった。
それだけで、もし戦が負けたとしても得た物は大きい、と信玄は少し考えたが、すぐにその考えを捨てた。
攻める時にはトコトン攻める。
森の中の一本の木に火を放つと、森全体を燃やし尽くす様に、勢いに乗れ。
それが武田家の信条であった。
評定での緊張を解す為、信玄は天守閣に来ていた。
ほんの数畳程度の、他に比べれば狭い場所ではあるが、そこからは立派な城の外壁や城下町の活気のある賑わいを見渡すことが出来る。
俺は国主なんだ、と自分に言い聞かせている様で、信玄はあまりこの場所に来ていなかったが、今は無性にそこから覗く広大な甲斐の景色を眺めたい気持ちになっていた。
大きく開かれた、窓の縁に手を置き、信玄はしばらく感慨に浸っていると、のぶとトラ子がやってきた。
「こんなトコにいたんだな。探したぞ」
「……あぁ」
「あんなデケェ事言っちまってビビっちまったのかィ?お兄ィ」
「それは、ない。……と、思う」
信玄は遠くの空を眺めながら、のぶに背中を向けたまま返答をする。
のぶは軽く溜息を吐いて、「やれやれ」と言いながら信玄の背中に抱きついた。
トラ子はそれを見て一瞬呆気に取られた様な表情をした後、ハッとして信玄に自分も抱きつきに行こうと考えたが、自分の姉であるのぶの顔を見て、足が止まった。
のぶの頬には一滴(ヒトシズク)の涙が、流れていた。
「ね、お兄ィ……作戦なんて、ホントは無いんでしょ」
「……あるさ」
「嘘だったら、レイプするぞ」
「あのな、兄貴に向かって――」
「5秒以内なら許す。5、」
「すまん、嘘だ。実は作戦など無い」
「バァカ。やっぱねーじゃん。つか早ぇよ。どんだけレイプされたくないんだよ」
口では悪態を突いてはいるが、のぶの瞳は先程より更に潤んでいる。
信玄を抱いているのぶの手に、力が篭る。
「親父や友達……私の大事なひと達は、みんな戦で死んでいったんだ」
「うん」
「お兄ィまで死んじゃったら……私、きっと、すごく悲しいぞ」
「そうか?」
のぶは信玄の背中に頬擦りして、酷く泣き出してしまいそうな自分の感情を信玄の匂いで掻き消す。
戦になんか行くな、と言いたくなったのを喉の奥に飲み込んで、愛の言葉を紡ぎ出す。
「うん……好きなんだ……お兄ィのこと」
「そか」
トラ子は姉に対して強い劣等感を感じていた。先んじられた、という取り返しのつかない後悔が胸部への痛覚となって現れる。
今現在、のぶはトラ子の三歩程先に居る。物理的にも、心理的にも。
だが、トラ子は二人を遠くから見ることしか出来ない。勇気が、足りない。何かを言おうとしても口の端すら動いてくれない。
「…………っ」
信玄は窓の外から視線を外し、天守閣の内側に向き直った。
のぶは信玄の胸に顔を押し付ける形となる。トラ子の胸の痛みが強くなる。
「俺は負けない。明後日の信濃での駆逐戦でも、その先の川中島にいる上杉家にも」
信玄は力強く言った。それはまるで自分に言い聞かせている様でもあった。
「なぜなら―――」
信玄はスッと拳を高く突き上げる。
「上杉謙信ちゃんと俺は結婚するからだ!!」
「「はぁ!?」」
投下終了です。
続きはいつか投下します
240 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 20:07:31 ID:oXOeGa+P
濃い つよい
戦国系美少女モノで上杉謙信が美少女(でも電波)なのは説明不要で問答無用の前提条件になってるなーww
硬派なものだと思ってたら、いろいろとぶっ飛んでたな
>>137の続き。
後10分くらいしたら投下します。
※グロ、触手、ふたなり、姉弟以外のエロ、弟レイプ。
この辺りが苦手な方は、タイトルか酉でNGをお願いします。
6
事態を把握した生徒達は次々と教室から逃げ出し、学校中から悲鳴を響かせる。
教室に残ったのは、ツタに捕らえられた蒼真。捕らえた地香。それにすがる風斗。そして、ノドを鳴らし、瞬きもせずに、犯される生徒を見守る、教師失格の瑞希。
「ふんん……ぁ、ヤメ、てぇっ」
生ける肉壺と化した搾精植物は股間まで滑り下り、べっちょりと濡れる孔で蒼真のペニスを取り込もうとするのだが、
ぱちゅん!
恐怖で縮こまったペニスは硬度が無く、捕食されず肉に打ち付けられるばかり。
ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん!
少し引いては、柔らかな肉をぶつける。その繰り返し。しかしその繰り返しで、蒼真のペニスは熱を持ち、徐々に鎌首をもたげていく。
ぐちゃり、べちゃりと肉が押し付けられる度に媚薬の蜜が塗りたくられ、蒼真の意思とは関係なく勃起させられてしまうのだ。
そうなってしまっては、柔肉にペニスを咀嚼されるしかない。くちゅり……ウツボの口が、孔が、幼い男性器の先端に密着する。
「おね、ひぐっ……がいだからぁっ、うぅっ、ボクのチンチンたべないでぇっ!!」
年端も行かない小学生男子児童がマジ泣きしている。許しを求めている。
その姿が一瞬だけ風斗に見えてしまい、地香は僅かに心が痛み、
「ふふっ、はははっ、はああぁぁぁっ……童貞卒業、おめでとう♪」
風斗に見えた事によって、何倍も興奮する。
──パチン!
四度目。
「ぁ、あっ、うわああぁぁぁぁぁあああ!!?」
ネットリとした肉壁がペニスに絡み付き、ミミズに似た細長い内ヒダが皮を優しく剥きながら根元まで包み込む。
微かにヒリヒリした痛みと、途方もない快楽。蒼真は植物に童貞を奪われ、初めての感覚に……精通へと導かれて行く。
ジュプジュブ、グチュグチュにちゅ……
「やっ、おもらししちゃう。オシッコもれちゃうよぉっ!!」
ヌメるヒダは恥垢を丁寧に撫でてこそぎ落とし、粘膜の剥き出しになったカリ首の周辺をコリッ、コリッと引っ掻いて刺激する。
更には、唾を溜めたフェラチオのように激しく水音を立てて前後に動き、経験した事の無い挿入感で少年のペニスを追い込む。
既に蒼真の顔は耳まで真っ赤。ヨダレを垂らしながら歯を喰い縛り、目をギュッとつむって『おもらし』を堪えていた。
しかしその身体は微妙に前傾姿勢となり、足は内股になって、誰からも蒼真が絶頂寸前なのが見てとれる。
「ぃ、い゙っ、ゃ、やっ、ああああっ!!? みないで、みないでぇぇぇぇぇっ!!!」
そしてついに限界は訪れた。
ずぢゅぅ〜〜〜〜〜〜〜っッ!!!
ウツボの外観がベコッとヘコむ程キツく締め付けてバキュームを開始し、尿道まで登り詰めた精通ザーメンを物凄い勢いで吸い上げる。
「ゔにゃあぁぁぁぁぁあああ!!!? でるっ! でるぅぅぅぅぅっ!!!」
どぷどぴゅぅっ!!! びゅるびゅるびゅる!! ビュクビュクびゅくびゅく……
初めては植物の口の中。射精の痙攣が終わるまで肉筒に扱かれて後戯までされ、気持ちよく精通を迎えてしまう。
7
「ほんと、初体験で中出しできるなんて、幸福者よアナタ?」
地香の笑いは止まらない。力が満ちてくるのだ。この原始空間、学校での絶頂、アクメは、全て地香のエネルギーへと還元される。
そのエネルギーがこれから先、風斗を完堕ちさせる為に使われて行く。
その消費したエネルギーを回収する為に、地香は惨劇を引き起こした。
そう、惨劇。太陽の拝めない灰色の空。野太い始祖鳥の鳴き声。連なる犬の遠吠え。
更に、未だ脱出する事の叶わない校舎に響き渡る、子供達の終わらない悲鳴。
「ちょっと、なんなのよもぅ!?」
悲鳴は届く。授業をサボって職員トイレに隠れていた、繋がらない携帯を握る女生徒の所まで。
大庭 詠美(おおば えいみ)。彼女は休み時間から個室に入り、下着とハーフジーンズを脱いで洋式トイレに腰掛け、音量を消した携帯アプリで遊んでいたのだ。
もし急に女教師が来てバレても、携帯さえ閉じれば誤魔化せる。お腹が痛くて立てなかった、音を聞かれるのが恥ずかしかった、その言い訳で乗り切れると踏んで。
「夢よ、こんなの絶対に夢!!」
身体が震える。結局は教師に見つからなかったが、今は見つかりたいと思っている。シャギーの入ったショートカットを何度も左右に揺らし、これは夢、これは夢、自己暗示をかける。
そして深呼吸。これは夢、これは夢。これは夢!
「出て、みよっかな?」
気分は最悪、思考はグルグル、それでも冷静になったフリをして携帯を畳む。
──外に出てみれば、ぜんぶ解決する。
その考えに至り、小学五年生、今年から高学年になった少女は、パンツを穿こうと華奢な腰を上げた。
「えっ、えっ? えっ!?」
腰を上げ、違和感で振り向き、そこで動けなくなる。
動けなくしていたのは肉のツタ。細く柔らかく、だけれども強靭で赤黒い肉触手がトイレ便座の中から二本伸びており、詠美の太股にそれぞれ巻き付いていたのだ。
戸惑っている間にも、三本目の肉触手が排水口から伸びて来る。てらてらと妖しく艶めき、ネバつく粘液を纏わせて、陰毛すら生えてない詠美の股ぐらへと忍ぶ。
「んんっ……ちょっと、まさか!? ヤダッ、だれか助けてぇぇぇっ!!!」
ここまでされれば、さすがに自分がどのような立場かがわかり、慌てて必死で助けを求めるのだが、学校がこんな状態では助けなど来る筈も無い。トイレで虚しくコダマするだけ。
くちゅり……
触手の先端は尻のすぼまりを撫で、粘液をじっくりと浸透させて行く。
「ママ、たすけて、ママぁっ……」
その粘液は、塗られた場所の感度を高めて熱を持たせる媚薬。
挿れられたくないと力を込め、キュッと閉じたとしても、気付けば柔らかくトロけて、パクパクと穴を開閉させてしまう。
それに例外は無く、詠美のアナルも全く同じ。肛門のへりはコリコリに固くなって膨らみ、シワはだらしなく伸びきって中から熱い腸液を漏らす。
「ぅぅ、やめ、てっ……そこっ、あなたの、ひあっ!? んっ、お家じゃないよぉ」
口ではイヤイヤ言っていても、身体は火照り、顔はすっかり上気してできあがっている。
8
ずちゅぢゅっ……
クリトリス程の突起物に覆われた細い触手が、より細くキツい粘膜の穴を押し拡げて進む。
ビチビチとウネり跳ね、行き止まりまでの腸壁に容赦なく摩擦を繰り返す。
「ぁぁ、ああっ、ぁぁあああ!!!」
突き挿れる時は激しく荒々しく、結腸までいっぱいいっぱいに触手をブチ込んで子宮を押し上げ、
抜く時は優しく宝物を扱うように、突起で敏感なヒダを引っ掻きながら、触手を肛門の手前まで引き戻す。そのストロークをズチャ! ヌヂュッ! ジュプッ! 何度も、何度も。
やがて詠美の声は小さく単音になり、身体は甘く痺れて力が無くなって行く。
「ぐっ……」
しかし、ここで詠美は崩れなかった。人一倍の負けん気とプライド。その全てを集めて自分を奮い立たせる。
──私は、どんな奴にも私を好き勝手させない!!
そんな強い思いが彼女を動かした。
「コノヤローっ!!」
上体を前傾させ、足の間から手を回し、触手をアナルから引きずり出す為に両手で握り締める。思いっきり、ギュゥゥゥッと。
だが、それが良くなかった。
ドプドプドプドプゥッ!!
触手は掴まれる寸前に奥まで到達しており、そこで握り締められた為、慌てて先端に空いた小さな穴から大量の体液を放出してしまう。
「へっ、う、そっ……ウソっ!? ナカにぃっ、ナカにだすなぁぁぁっ!! うわあぁぁぁぁぁん!!!」
吐き出されたのはドロドロとした白濁の汁、触手の内部を流れる媚薬の原液。それが狭いS字結腸を真っ白に染め上げる。
本来なら絶対に届かない場所にナカ出しされ、詠美のプライドは打ち砕かれ、迫り来る未知の感覚に屈伏してしまった。
握り締めていた触手も手放し、前傾姿勢のままダランと下に垂れている。
ずっぢゅ! ずっぢゅ! ずっぢゅ! ずっぢゅ! ズヂュヂュ……
「ちくしょ……うぁ、きもち、いいよぉ……んっ、んんっ、あんっ! あんっ! あんっ!」
そして再び行われるピストン輸送に、詠美は涙を流しながら喘ぎ声をあげた。
「ふふっ、元気の良い贄だこと」
満ちる。少女が泣き叫べば泣き叫ぶだけ、アクメに達すれば達するだけ、地香の力は回復して行く。
学校中の少女は、少年は、全てが地香を潤す贄なのだ。
「んむっ、ちゅっ、むぐぐっ、んんんっ!!?」
勿論、目の前で四肢を捕えられている蒼真も贄の一人。
ペニスを搾精植物に咥え込まれ、口には新たな肉ツタが入れられてフェラチオを強要され、特濃樹液を体内に注がれている。
それは無尽蔵に精製が可能になり、射精しても数秒で玉袋がパンパンに膨らむ。永遠に終わらない搾精行為。
「蒼真、くん……」
その様子を、自身の体を抱き締め、内股をモゾモゾと擦り合わせ、熱い吐息で見詰めるのは、クラスの女担任教師。
地香が現れた時から動きもせず、逃げもせず、犯される生徒を教室の隅から眺めていただけ。
興奮していたのだ。年端もいかない子供が、自分の生徒が、力ずくで犯されている。その光景に、瑞希はジャージが変色するほど愛液を溢れさせて興奮していた。
9
ならば尚の事、地香は確信が持てる。
「ねぇ先生、取り引き……しましょうか?」
この交渉は必ず上手く行くと。
「とり、ひき?」
声に誘われて振り向き、瑞希の目に映るのは二人。
黒い髪を無風の中ではためかせ、黒いセーラー服で全身を包む少女と、その少女に後ろから羽交い締めにされ、細長い舌でチロチロと頬を舐められている少年。
「そう、取り引き。貴女が風斗の担任である間、体育の授業でサッカーをしない……それだけで、風斗を犯させてあげるわ。貴女に今宵限りの男性器をプレゼントして、好きなだけ射精させてあげる」
天井から垂れ落ちるゼリー状の液体で、少年の服だけが溶けている。
上半身は裸になり、下半身は未だに半ズボンを穿いているが、床から伸びたツタが半ズボンの裾から入り込み、少年の身体を定期的にビクンビクンとのけ反らせた。
ツタが少年の『ドコ』に入ってるのか、数メートル離れた位置の瑞希にも理解できる。
「んくっ、そんなこと……何を言ってるのっ!? 私は聖職者よ? それに男性器が生えるなんてそんな……バカバカしい」
大きくノドを鳴らせてツバを呑む。
瑞希が長年夢見ていた叶わぬ願いが、目の前にブラ下がっているのだ。しかもほぼノーリスクで。
だから、どれだけ自分に聖職者だ大事な生徒だと言い聞かせても、そんなモノはストッパーにすらなりはしない。
「まぁ信じなくても良いわ。代わりに私が、風斗のキツくて温かくて、とっても気持ちいいトコロを犯すから。貴女は股でも濡らして、手放したチャンスを悔やんでなさいな」
この少女なら、願いを叶えてくれると心がわかってる。
そのペニスを使って、ツタが前戯してほぐしてる穴を犯して良いと言っている。
子供を、小学生を、生徒を、犯せる。
──ごめんねみんな。駄目な先生でゴメンね。
欲望に負け、瑞希は完全に堕ちた。
「まって!! 取り引きするから……私に、チンポを頂戴っ!!」
ペニスを求めて叫ぶ。
嘘でしょ? と言う風斗の表情を見返しながら、一歩、一歩と、薄ら笑いを浮かべて近付いて行く。
「ふふっ、そうこなくっちゃ♪」
対する蛇の瞳は赤から金へ。ツタを抜いて風斗を解放し、後ろから背中をポンと押しやる。
風斗はバランスを崩し、トッ、トッと、つまずいて前のめりに進み、
「わぷっ!?」
豊満な胸の谷間に顔をうずめて抱きすくめられた。
風斗が見上げれば、頬を赤らめ、瞳をウルウルと揺らす女の表情をする瑞希。
瑞希が見下ろせば、そんなことしないよね? と瑞希を疑わない風斗。
そんな生徒と教師に届く、悲劇を刻む指の音。
10
「大丈夫よ風斗くん」
「ほんとう先生?」
教師は生徒を優しく抱き締め、聖母の微笑みで不安を取り除く。
「ええ、大丈夫よ風斗くん」
「よかったぁ〜、先生までオカシクなっちゃったかと思ったよ」
瑞希がゆっくりと頭を撫で、頬を撫で、肩を撫で、腰を撫で……た処で風斗は異変に気付く。
腹部を『徐々に膨らむ何か』がグイグイと突いて来るのだ。
「大丈夫、優しくするからね?」
「ふぇ? えっ!?」
変化は一瞬。瑞希のクリトリスはたくましく肥大化し、太く長く熱く、血管すら浮かび上がらせて20センチ程の肉杭に変わる。
それがジャージ越しに幼い柔肌へと密着して、早く暴れまわりたいと先端から透明な男汁を漏らす。
身体の準備は完了し、後は精神面の充実。
「あっ、そうだ風斗くん……ママって、呼んでみくれないかな?」
「ママ?」
二人の禁忌性が高ければ高いだけ、そのセックスは興奮する。例えば姉と弟で、例えば女と犬で、例えば夫が居る女性とのゴム無しセックスで。例えば……母と子で。
瑞希が婚姻可能年齢で結婚して、妊娠して、子供を産んでいたとしたら、その子は風斗と同じ年齢になっている。
だから瑞希は、より興奮できるシチュエーションを考え、プレイを考え、生徒を利用した。
──この女の子みたいにちっちゃくてカワイイ小学生が私の子供。いつもお尻をフリフリして実母を誘惑するイケナイ子供。
そう妄想して、疑似ペニスをフル勃起させて、
「ええ、今からエロすぎる風斗に、ママがお仕置きするからね?」
聖母は初めてのレイプに心踊る。
息子を押し倒し、半ズボンとパンツを太ももまで脱がせ、クルリと……膝を立ててヒップを突き出す形にひっくり返す。
「わわっ!?」
母親の服は樹液で溶け、マリアのような上半身と悪魔のような下半身で息子にのしかかった。
胸の谷間で頭を床に押さえ付け、腰を両手で掴み、すっかりフヤけて弛筋した尻の蕾に、できたてホヤホヤのペニスをあてがう。
にゅちっ……
「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ! お、お、おっ、おっ!!」
興奮と荒れる呼吸で口は閉じれなくなり、舌をダランと垂らしてヨダレも一緒に垂れ流し。
そして1ミリ、2ミリ、ぐちちちちちっ……カリ首までが少しずつメリ込んで行く。
「ひっ!? ヤメてママぁっ、おちんち、いれないでぇっ」
風斗は涙ながらに訴え、何とか腰をクネらせて逃げ出そうとするが、それは瑞希の欲情を余計に呼び起こすだけだった。
「はぁっ、はぁっ、ダメよ! このエロ穴にぃっ、ママチンポ挿れちゃうのぉっ♪♪」
「ゃ、やっ……ふぎぃぃっ!!?」
ぱぁん! と肉をぶつけ合い、腰を打ち付け、腸液のローションで満たされた穴へ、残っていたシャフト部分を一気に挿入する。
その瞬間、風斗の腸内は異物を押し返そうと頑張って締め付けるのが、弛筋して力の抜けた腸圧では、意思とは逆に心地よい快楽をペニスへ与えてしまう。
「おほぉぉぉおお!! このオスマンコすごいっッ、ママチンポをギュウギュウしめつけてくるぅぅぅぅうう♪♪♪」
初挿入で、こんな極上のペニス搾りを味わってしまった瑞希はたまらない。
淫らな言葉で喘ぎ、長いポニーテールを振り乱して、女性器からプシャプシャと飛沫を撒き散らす。
「ふえぇぇぇぇぇん!! ぬいてよぉっ!!」
パン! パン! パン! パン! パン! パン!
もう、止められない。
瑞希は初めてとは思えない激しいピストンで風斗の前立腺をえぐり突き、昇り詰めて来る射精感に一層うごきを早めて身を捩らせる。
11
自分の教え子をオナホ代わりにしてハメ回す事が、こんなにも気持ちいいのか?
今まで客を相手にしたセックスでは味わえなかった幸福感が、一突き、一突き、ゴツン、ゴツン、ペニスを行き止まりまで挿し込む度に、内臓ごと結腸を押し上げる度に全身を包んでくる。
「くるクル来るー!! 新鮮ザーメンのいっぱつめっ、種付けアクメきちゃうぅぅぅっ♪♪ 中出しナカだしぃっ、チンポアクメぇぇぇっ♪♪♪」
そしてついに、瑞希にも初射精の時がやって来た。ぐぐっと体重を掛け、右手で風斗のペニスを上下に扱き出す。
くちゅくちゅクチュクチュクチュ……
風斗も体内で痙攣するペニスが何を意味するのか分かってはいるが、強弱をつけた巧みな手淫は、僅かに抵抗する心を丸ごと削り取ってしまう。
「ゃ、やっ、やだ、ヤらぁっ!! いぎっ……やああぁぁぁぁぁぁあああ!!?」
ぶびゅるっ!!! ドピュどぷっ!! びゅるびゅるびゅる、ビュクビュク、トクトクとくとく……
「くふぅぅっ♪ 聖職者ともあろうものが、うんんっ!? 何てハシタないスケベアクメをっ、ぉっ、おほっ♪♪」
瑞希は射精の感触に酔いながら背中を反らせ、大量の白濁を教え子のアナルへと注ぎ込む。
既に入らなくなった分は短い破裂音を鳴らして逆流してるが、そんなのはお構い無しに長い射精は続いている。
「ふぇぇっ、ふぇぇぇっ……」
中出ししながらも次なるアクメを求め、瑞希は腰のグラインドを再開するのだった。
「ふふっ、もう獣ね」
瑞希が堕ちて一時間が経過し、今は蒼真が被害者。
十回もの射精を幼い体で受け止めた風斗は、ハァハァと大きく胸で呼吸し、泡立った精子をアナルから零れさせて床の上に転がっている。
──後は月影 摩耶。
順調だった。ここまでは地香の計画に何の狂いも無い。
高瀬瑞希は堕ちた。平坂蒼真も、ペニスをお尻の穴に挿れないと言う簡単な契約で堕ちた。風斗とサッカーをしないと約束した。
だから蒼真と瑞希の行っているセックスは、風斗としていたものより普通と言える。きちんと瑞希の穴に、蒼真のペニスが入っているのだから。
ただ、入っている穴は異常も異常。地香により成人男性の腕ほどに太くさせられた瑞希のペニス。その先端に空く五百円玉ほどの巨大な鈴口。そこに蒼真のペニスが根元まで差し込まれている。
「来ないわね……」
その交わりを冷めた目で眺めながら、一匹の蛇は月影摩耶の来訪をじっと待っていた。
12
決して曲げられないモノがある。
決して赦せない事がある。
決して見過ごせない光景がある。
惨劇の校舎を一人、一人の少女が駆け抜ける。
──待ってて、マヤがみんなを助けるからっ!!
少女の名は月影摩耶。
そして今は、スクール水着を身に付け、白いニーソックスに白い上靴を履き、ピンクに変色したツインテールをなびかせる三代目触手ハンター、ラブリーマヤ。
ラブリーマヤは、地球侵略を企む触手超人達から街を守る正義の味方なのだ。
これまでにも、
ディルドマンJr.。
タコ男。
ヘビ男。
http://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original2343.html ザ・バラ男。
http://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original2343-1.html そして、死闘を繰り広げた触手将軍。
数々の強敵を葬って来た。
だから今回も、そんな触手超人が起こしたのだろうと考えていたが、それにしてはオカシ過ぎる。
何本も触手をブッタ切り、何匹も触手生物をブッ飛ばしたが、超人の姿が見えないのだ。校舎を何周も回ったが、見つかるのはブッタ切ってもブッタ切っても再生している触手。
一度は生徒を助けてたとしても、数分後には違う生物に犯されているのだ。それではキリがない。
故に心を修羅にして生徒の悲鳴を振り切り、教室を片っ端から確認していった。
「フーくん……」
そして、これが最後。四年二組、後ろ側のドア前。大好きでずっと片思いしてる幼馴染み、霧野風斗が勉強をする教室。
マヤは緊張を押し殺し、深呼吸で気持ちを落ち着けて気合いを入れ、勢い良くドアをスライドさせた。
させた瞬間、金色に輝く瞳を見た瞬間……
「あれっ?」
視界はガラリと移り変わる。気付けば体育館で、フリースローシュートを撃つためにジャンプしていた。
微かに疑惑を覚えるが、流れる動作で放ったシュートがゴールネットに吸い込まれると、そんなのはどうでも良くなってしまう。
頭の隅、そこに小さく埋め込まれた言葉、『月影摩耶は五体満足で帰して貰う代わりに、霧野地香を普通の女子高生にしか思えない』。その言葉が浮かんで消えた。
「まっ、こんなもんね!」
マヤがシュートを決めるとチームメイトから歓声が上がり、それと重なるように授業終了のチャイムが響き渡る。
この小学校は、今日も無事に終えて行くのだ。つまりは、今日起きた事は誰も知らない経験してない。
全ては、地香の心の中に。
「もう少しでできるから、お皿を出して風斗」
「はーい!」
夕方、地香は制服の上からエプロンを羽織ってキッチンに立ち、トントンとサラダ用の野菜を切り、コトコトとカレーを煮込む。
今日の惨劇を正確に覚えているのは、引き起こした張本人のみ。何故ならその張本人が、惨劇の起きる寸前まで時間を戻したからだ。
例外で平坂蒼真、高瀬瑞希、月影摩耶、この三人は契約した内容だけ無意識下で覚えて実行されるが、それだけ。
風斗をサッカーから徐々に離し、海外に行かせないよう協力する、礎(いしずえ)で贄。
そして今日の出来事に、大切な意味など特に無い。
こんな面倒くさい方法を選んだのだって、単に風斗の泣き顔を見て解消する、ヘビのストレス発散法なのだから。
「大好きよ風斗」
地香は幸せそうに弟を見つめると、赤い瞳を細めてニコリと微笑んだ。
以上です。
さすがに引かれると思った獣姦や内臓ファックを削る為に時間あけました。
GJっす!タイトルが洒落だといま気付いたw
妹の雛乃がやけに鼻息荒く何かに見入っていた
賃貸物件のチラシのようである、まだ高校生だというのに気が早いやつめ
あんまりにも一生懸命見ているものだから、俺はなんだか微笑ましい気持ちになって、いったいどんな家を見てるのかと雛乃に気づかれないように後ろからチラシを覗き込んでみることにした
____
メゾンキモスはキモ姉、キモウト大歓迎!
愛しの弟orお兄ちゃんと愛の逃避行に出たまではいいもののどこに住もうか迷っているそこのあなた
近々なかなか振り向いてくれないイケズな弟orお兄ちゃんを監禁して自分のものにしようとしているそこのあなた
当アパートではそんなあなたに素敵な生活をプレゼントします
全部屋完全防音!家具、バスルーム、各拘束具、薬品、洗脳装置完備!
もちろん警察にアシのつかないように監禁を隠蔽するサービスも徹底しております
家賃月3万!!、入居資格はあなたの弟orお兄ちゃんを愛する気持ちだけでOKです
あなたのご入居をお待ちしております!!
____
俺はすべてを悟ると忍び足でその場から離れ、自室のクローゼットから旅行用のバックを引きずり出す
そして妹に見つからない遠い異国の地に旅立つことを決め荷物をまとめた
以上です
わっふるわっふる
257 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 22:47:40 ID:q9r57lx5
メイン
259 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 03:17:32 ID:OXkixZx3
守る 守った 持つ
妹の靴下はむはむしたい
使用済みの靴下をか? 流石にないわ……。
それよりも妹のおしっこ直飲みだよな
小ネタ投下いきます。
四月も目前だというのに、随分と寒い夜だった。
雨はいつしか雹へと変わり、車のフロントガラスの上で弾ける。
こんな時に限って、我が家の乾燥機は故障してしまい、
私は家族の衣類を後部座席に詰め、コインランドリーへと向かっていた。
車を駐車場に止め、駆け足でコインランドリーに駆け込む。
中は無人で、乾燥機は一つとして回っていない。
衣服を全て押し込むのに、計三台分の乾燥機を使い、
それぞれに小銭を入れる。
スイッチを押すと、地鳴りのような音と共に
それらはすぐさま動き出した。
同時に、「ひっ……!?」という悲鳴と共に一人の少年が、
別の乾燥機から飛び出してきた。
呆気にとられる。
少年の目には、キュッと口を一文字に結ぶ私が、
さぞかし阿呆な中年男に見えただろう。
しかし彼にも、もちろん私にも、この瞬間はそのような
些細なことを気にする状態にはなかった。
少年は一種異様なくらいに怯えていたし、私もまた、
少年の突然の登場に、危うく溢れかかった悲鳴を抑えつけるので
精一杯だったのだ。
恐らく、十数秒の沈黙であったのだろう。
だが、私には随分と長く感じられ、「一体何と声をかけるべきなのか」
ということに思考を巡らせる頃には、声をかける機会すらも失っていた。
まず、少年が口火を切り、
「驚かしてすみませんでした」
と私に頭を下げる。
つられて私も、こちらこそ申し訳ない、と言葉を返す。
まだ声変わりのしていない、例えるならば、羽毛のような声だ。
顔つきも相応に幼く、非常に可愛らしい。
男と女の性差の、ちょうど中間に位置するような姿だった。
そんな少年がこんな夜遅くに、それも乾燥機の中で、
一体全体何をしていたのか。
頭に浮かぶ疑問は、ちょうど私の横で踊る洗濯物のように、
ぐるぐると渦巻く。
改めて少年の姿を見つめると、髪はべっとりと頭に貼りつき、
衣服もそこかしこが汚れている。
なるほど、と私は一人頷く。
「もしかして、家出でもしたのかな?」
私の問いに、少年はびくりと身じろぎした。
返事は無くとも、肯定を貰ったようなものだ。
寒さもあるのだろうが、不安そうに震える少年を見て、
私の世話焼きな生来の気質が、首をもたげ始めた。
そばに設置されていた自動販売機のボタンを押し、温かい茶を取り出す。
少年にそれを差し出し、ここは寒いから、と私の車へ連れて行く。
あの大量の衣類が乾くには、まだまだ時間を要する。
その間、少年には私の話相手になってもらおう。
もちろん、家へ帰るように説得もするつもりであった。
※ ※ ※ ※ ※
暖房の効いた車内で、私達は色々なことを話した。
少年は今年、小学校を卒業したばかりだという。
着のみ着のままに家を飛び出し、宿泊施設を利用する金銭も年齢も
有していなかった彼は、あてもなく街中をさまよっているうちに、
このコインランドリーにたどり着いたのだった。
少年はもう一週間も、ここに寝泊まりしていて、驚くべきことに、
乾燥機の中で睡眠をとっていた。
「故障中の乾燥機が一つだけあって。あの中、とても暖かいんです」
そう言って恥ずかしそうに微笑む少年に、私はますます憐憫の情を
掻き立てられる。
「そろそろ、お家へ帰った方がいいんじゃないのかい?
きっと、親御さんも心配しているだろう」
何度目かの私の言葉に、彼は表情を暗くする。
「家は、嫌です」
それだけ言って、黙り込んでしまう。
―――児童虐待。
こんな言葉が、私の頭をよぎる。
もしや、少年は本来なら無償で降り注ぐ愛情すら与えられずに、
いよいよをもって、家から逃げだしてきたのではないか。
だとしたら、私はとんでもない拾いものをしてしまったことになる。
たとえ、専門の施設に駆け込んだところで、虐待された児童の皆が皆、
救われるとは限らない。
「お父さんやお母さんは、いつも恐いのかい?」
これに対して、意外にも少年は首を振り、「全然」と答える。
「でも、お姉ちゃんは、恐いです」
何かを思い出したようで、少年の顔はみるみる青ざめていく。
「お姉さんは、君を怒鳴りつけたり、殴ったりするのかい?」
私がそう尋ねると、彼はまたも首を振る。
「お姉ちゃんがそうするのは、他の女の子です」
この返答に、私は混乱するばかりだ。
「僕が女の子と話をすると、お姉ちゃんは女の子をぶつんです。
僕が女の子と遊ぶと、お姉ちゃんは女の子に、大きい声で怒鳴るんです」
ようやく、私にも合点がいった。
「お姉ちゃんが僕にするのは、全身を触ったり、舐めたり、
無理やりトイレに入ってきて……その……」
言葉を濁し、少年は落ち着かない様子で座り直す。
つまり君と―――と言いかけたところで、私のポケットが盛んに震えだす。
ポケットから携帯電話を取り出すと、画面には、
家族の名前が表示されていた。
洗濯物が乾ききるには充分過ぎる程の時間で、この電話は、間違いなく、「遅い」というお叱りの電話であろう。
ちょっと失礼、と少年に告げて、私は電話の相手に弁解しながら、
再びコインランドリーへと踏み入る。
洗濯物を急いで取り込み、もうすぐ帰るから、と言いおいて電話を切った。
とりあえず、少年は私の家へ連れて行こう。
もっと詳しく事情を聞いて、彼を説得し、何とか日常に
送り返してやらねばならない。
待たせたね、と車のドアを開くと、既に少年の姿は見えなかった。
すっかり冷たくなったお茶の缶と、「ありがとうございました」
と、曇ったフロントガラスにおそらく指で書いたのであろう礼の言葉が
残されていた。
周囲を見渡しても、もう影も形もない。
彼は旅立ってしまった。
少年から楽園を取り上げてしまったことに、私は罪の意識を
感じずにはいられなかった。
※ ※ ※ ※ ※
それから数日後、我が家の乾燥機は未だ直ることなく、
私は再びコインランドリーへ出向くことになった。
やはり、少年の姿は無かった。
衣服を乾燥機に投げ入れ、スイッチを押す。
少年の寝ていた乾燥機を見つめ、私はしばらくもの思いにふけっていた。
ふと視線を流すと、いつからいたのか、一人の少女が乾燥機の蓋を開け、
中をのぞき回っている。
そして、かつては少年の寝床であった乾燥機に顔を突っ込み、
あっ、と叫び声を上げた。
「見つけた! 見つけた!」
少女は興奮気味に、そう呟いて、足早にコインランドリーを去っていく。
彼女の手には、ハンカチが一枚握られていた。
どんどん小さくなるその背中を見つめ、私は思う。
少年は、数日の内に見つかってしまうだろう。
かつて、私がそうであったように。
私一人になったコインランドリー内に、着信音が響き渡る。
携帯電話を耳に当て、もしもし、と応答する。
―――兄さん、15分おきに連絡してください、と言ったでしょう。
涼しげで、それでいて、威圧感のある声音が耳に飛び込んできた。
かつての少年は、結局逃げきれず、今や分刻みで
生活を支配されているのだった。
―――パパ、早く帰ってきてね。
電話が、今度は娘の声を運んでくる。
「ああ、すぐに帰るよ」
そう言って電話を切る。
洗濯物が乾くまで、あと4、5回電話をかけなくてはならないだろう。
―――つまり、君と私は、同じ境遇なのだな。
あの夜、言いそびれてしまった言葉を思い出しながら、
コインランドリーの出口に目を向ける。
もう少女の姿は無かった。
少年の乾燥機に近付く。
乾燥機の中に頭を差し入れ、肘を曲げ、肩を押し込む。
それ以上どう頑張っても、私の体が入ることはなかった。
「諦めるしかないのだよ」
自然とそんな言葉がこぼれる。
私の呟きは、狭い乾燥機の中を反響し、ぐるぐると渦巻く。
電話はすぐに鳴りだした。
終
ニュース見てなんとなく書いてしまった。反省してますノシ
>>268 GJ
あの広島家出少年の話をここまで発展させるとはすごいですね
>>268 これは上手い。短い中によくここまでスマートにまとめられるな
文体も整っていて読みやすくレベル高いわ。惜しみなくGJと言わせてもらう
このスレはレベル高い書き手がよく来るなぁ
272 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 03:46:37 ID:HUlr7PYb
ってかそんなにいうなら
今の書き手を言うと荒れるだろうが
昔にいた書き手でレベル高かったの誰よ
>>273 _,、-‐‐'ー- 、,_ヽ_
/ ,、 -‐ ''"´;: ; ヽ
/ / ,、‐''"´´ ;: ;;`ヽ
/ (/ ,、-‐''"´´ _, ,丶
i (ゝ /, , 、ー''"、´ _ヽ
| /'''_ー-<___, -'´ lー''"ノ ヽ. , へ、 _
、 'l { `ヽ;ー-、-,ー‐,r''1 ; ;ヽ<''ヘ ヽー---‐'''"""""
r、 iヽ ヽ' `' .|、 ,. | |
{λヽ.ヽ ,,ソ ヽ-' t' __ノ ,______
\ゝ、iヽー '`ー'''`1´ ~ヽ、、、/~  ̄ ̄,~"=
、‐'''''ヽ `'ヘ.',ヽ , 、 { ,、- '´
/ \ ヾ ヽ⌒ヽ ヽ { , ‐、_ /
. | ゛‐-ー'.,!\\__ `ヽ. ,、 / `'´ ,
、 / / | \ \゛、ー'>' ノrー' ´ | , /
r; / / |\,_\ `""´r''| ト、 | | /
i / | フ 丶、___ノヽ. |/ / /
rヽ\ ( | ,ヘ | | ヽ \ ‖/
ここはあんまり作者褒めると嫉妬して暴れ出すアホがいるからなあ
それぞれの作者にファンはいるんだし
全員褒めまくればいいんじゃないか?
ムツゴロウさ〜ん
今更ながら保管庫の綾シリーズ読んだんだが読み進めるのに異常に時間がかかってしまった
感情移入のしすぎかなあ
他の人を貶しながら持ち上げる、とかしなければ積極的に賞賛するべきナンダヨ
たまに「この人だけレベルが違う」とか「断トツで面白い」とかそういう発言は他を貶めてることに気付かない人がいるけど
だよね
レベルが違うとかじゃなく大好きですって言えばいい
ここのスレの書き手さん全員大好きだ!
>>272はゴミクズでFA
さぁ、作家達の投下待とうか。
うむ
週末は投下率高いはず
わくわくだー
284 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 15:08:32 ID:czi0q8aj
うむ
春休みは厨房だらけだ
わくわくだー
永遠のしろまだかなあ
もう諦めたほうがいいかもね
某スレの作品も止まってるから、もう飽きてしまったんじゃないか
287 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 22:30:27 ID:HUlr7PYb
>>282もゴミクズでFA
さあ、作家達の投下を待とうか
長編書いてる作者さんを応援してるぜ。
よく訓練された我々キモ姉妹スレ住人は長編完結には
スレ一つ分の賛辞も惜しまない
正しくは掌短長編全ての作品を書いている作者を、だな。
個人的見解をあたかも総意のように書くべからず。
290 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 03:55:31 ID:0Z8jsjWb
こういうのが増えてきて、掲示板って廃れてくんだね。
長編って完結してなくても続きを投下してほしいものですか?
完結してから投下すべき?
どっちでもいい
完結までのある程度の見通しがあればいいんじゃね?
長編と呼んでいい長さのものを書き通した後に投下しようと思っても
途中でモチベーションが尽きる可能性が高いよ
最後まで書き上がってから投下しないと
ほぼ確実に途中で投げ出すことになる飽きっぽい俺に隙はなかった
もちろん書いてる途中で飽きることもあるので
ハードディスクの中には未完のSSが何十本も
昨今の国内に於ける近況に鑑み、また市井の風潮を考慮し致し方なく断腸の想いで筆を折る事もある
と、山本有三も路傍の石「筆を折る」で書いている
途中で終わっても各人が勝手にエンドを考えりゃいいべ
297 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 20:13:19 ID:BDfN74x1
濃い
精子のことですねわかります
「お兄ちゃん、しりとりしよっ♪ えっとね、大好き♪」
「……キモい」
「い? 妹のオッパイ♪」
「いらない」
「妹のフェラチオ♪」
「おととい来やがれ」
「レイプ中出し大歓迎もちろんお兄ちゃん限定♪」
「いい加減にしろ」
「ろ……ロリ妹のつるつるマ○コ♪」
「子供に用はねえ俺は年上萌え」
「えーっ、ひどいよ、お兄ちゃん!」
「はい、お前の負け。ほら、さっさと部屋から出ていけ」
「ぶーっ! 次こそ勝って、お兄ちゃんに処女膜破いてもらうんだから!」
「いや勝とうが負けようがそんな約束しねーし」
「じゃあ、私が負けたから脱ぐね♪」
「脱ぐな! はよ出てけ!」
「妹の次回リベンジにご期待下さい♪ ロリエロい妹とエッチできるのはお兄ちゃんだけ♪」
「一生処女でいやがれ!」
どっとはらい
朝からなにしてんのよwww
GJ
ちょっと幸せな気持ちになった
里奈はお兄ちゃんのマゾペットです。
家の中ではいつも四つん這いで、ボールギャグを嵌めた口からよだれを垂れ流して生活しています。
オッパイはお兄ちゃん好みにもっと大きくなるように重りのついたピアスを乳首につけられています。
ほかに身に着けているのは首輪と犬耳カチューシャと白のニーハイソックスです。
いつも濡れ濡れのマゾ調教されたオ○ンコは丸出しで、よだれと同じで愛液も垂れ流しです。
里奈はお兄ちゃんの姿が眼に入ったときは、犬みたいに仰向けに寝転がって絶対服従のポーズをとります。
そのとき両脚はM字開脚の格好にして、よだれまみれのマゾオ○ンコを浅ましく晒します。
そうしてお兄ちゃんに躾けてもらうのを待つのです。
マゾペットの里奈はお兄ちゃんにどんな酷いことをされても全てが快感です。
そして締まりのないマゾオ○ンコから卑しいマゾオ○ンコ汁をますます溢れさせてしまうのです。
お兄ちゃんは様々に手を尽くして里奈を嬲りますが、とりわけ言葉責めは執拗です。
『お前エロい乳に育ってきたな。エロいことしか考えねえから、栄養が脳みそより乳に回ったんだな』
『学校で同級生に制服越しにデカ乳を視姦されてマゾマ○コからよだれ溢れさせてんだろ』
『誰が飼い主かもわからねえのかよ。チンポついてりゃ何でもいいのか、ド淫乱マゾが』
『マン汁垂れ流しの締まりのないマ○コに用はねえよ。お前なんかただの便器だ肉便器』
哀れなマゾペットは人格すら否定する言葉をぶつけられ、涙とマゾオ○ンコ汁を溢れさせます――
「……なあ、里奈。俺はお前の望み通り彼女と別れたし、やることもやった」
「えへっ♪ お兄ちゃん、獣みたいだったね♪ あんまり激しくて里奈、壊れちゃいそうだったぞ♪」
「その上、まだ俺を陥れたいのか? 家族共用のパソコンのデスクトップに妙なテキストファイルを貼って」
「読んでくれたんだ? 里奈の私小説♪」
「俺じゃなくて親父がな。それでいきなり殴られた。見ろ、この頬の痣」
「えーっ、ひどい! パパってば許せない!」
「お前が書いたと知ったらもっとショックだろうけどな」
「それでどうしたの? お兄ちゃんと里奈のご主人様とマゾペット関係をカミングアウトしたの?」
「するかそんなデタラメな妄想。勝手に人の名前をかたるウイルスにやられたって誤魔化した」
「パパがパソコン弱くてよかったね。そんな都合のいいウイルスあるわけないじゃん」
「ウイルスにやられたのはエロサイトでも見たんだろうって結局怒られたけどな、クソッ!」
「うちはフィルターかかってるから見れないのにね。ちなみに管理者パスは里奈だけが知ってまーす」
「俺がお前以外でヌかないようにってか。それで俺は殴られ損かよ」
「殴られついでにカミングアウトすればよかったのに。妹に中出ししちゃいましたって」
「できるかアホ! 親父に殺されるわ! お袋は心臓止まるわ!」
「それは困る。里奈が学校行ってる間、赤ちゃんの面倒を見る人がいなくなる」
「誰の赤ちゃんだ? いや聞きたくもないから言わんでいい。というかマジ妊娠だけは勘弁」
「勘弁してあげるね妊娠だけは♪ だからたっぷりお尻に注いで♪」
「せめてお前が普通のブラコンだったらな……。どうしてこんな変態なんだ……」
どっとはらい
キモいぜGJ
マゾ妹かぁ・・・
俺はどっちかというとS妹の方が好m
>>304 一応書いてみた。あんまSになんなかったけどw
急いで書いたから誤字脱字あったらすみません
「ふう・・・」
時刻は深夜。
妹に見つからないようにこそこそと自慰を終えた後、僕は気怠るい余韻に浸っていた。
彼女は今、僕の衣服に女の体臭が付いていないかチェックする作業ーーーもはや恒例になりつつあるーーーを行っている最中のはずだから、少しはのんびりできる。
が、まあ早めに行動するに越したことはない。
「・・・紗那に見つからない内に、さっさと片付けるか」
そう呟いた矢先。
「兄さん」
氷の様に冷たい声と共に、部屋の扉が開け放たれた。
流れるような黒髪に、人形のように整った容姿、突き刺すような瞳。
紗耶だった。
僕はとっさに机の上のエロ本を隠そうとしたが、間に合うはずもなく。
彼女はつかつかと僕に歩み寄る。
「・・・何をしていたか、なんて聞く必要もありませんね」
「い・・・いや、これは、その、」
「言い訳も弁解も説明も謝罪も不要です。即刻、然るべき処置をとらせていただきます」
彼女はそう言うと、僕のズボンに手をかけて一気に脱がせた。
露出した僕の陰茎を、穢らわしいものでも見るかのようにねめつける。
まあ実際、先ほど出した精液で汚れているのだけれど。
穢れと汚れは違う。
紗耶はただ洗うだけでは満足しない。
「”禊”が必要ですね。こちらへ来てください」
そういうと彼女は僕を風呂場へと連れていく。
何のためらいもなく自分の衣服を脱ぎ捨て、僕の服も脱がすと、腰を屈めた。
そして、
「・・・じゃあ、始めます」
半勃ちの僕の性器に口づける。
最初は優しく、徐々についばむ様に。
最後には喉の奥まで使ってしっかりと咥え込む。
そして、吸う。
バキュームフェラとでも言うのか―――喉を使って、舌をすぼめて、口蓋で挟んで。
そのころには既に、僕の性器は完全に硬度を取り戻している。
堪えきれず、僕が声を漏らすと、紗耶は嬉しそうに微笑む。
良かったですね、ちゃんと「悪いモノ」が出ていってる証拠ですよ、と。
程なくして、僕は紗耶の口の中に精を放った。
紗耶は瞳を細めてそれを飲む。
少しずつ、咽下してゆく。
「ん・・・ふふ、これで『悪いものはおなかの中へ』入れました」
艶やかで、どこか妖しげな笑み。
「次は・・・私のも、ちゃんと綺麗にしてください」
そう言うと彼女は立ちあがって、自分の秘所を僕に見せつける。
申しわけ程度生えている陰毛は、次から次へと湧き出てくる愛液でぴったりと張りついていた。
僕が思わず目を逸らすと、紗耶はふふ、と笑みをこぼして、僕の上にまたがった。
そして、それを僕の口に押しつける。
「んっ・・・ほら、何ぼーっとしてるんですか。早く舐めてください」
僕は黙って―――というか黙らざるを得ないのだが―――舌を動かす。
初めは円を描くようにゆっくりと。次第に激しく。
「はぁ・・・っ、兄さん、私っ・・・」
紗耶は既に濡れていたせいもあってか、すぐにでも果ててしまいそうな雰囲気だった。
仕上げに充血しきった陰核を甘噛みすると、かん高い声を上げてのけぞり、僕の上に倒れこんだ。
どうやら果てたようだ。
僕はほっと一息ついて、彼女を抱きかかえて風呂に浸かることにした。
大分温くなっていたので、追い焚きをする。
ややあって、腕の中の紗耶が目を覚ました。
「ん・・・に、兄さん?」
「おはよう」
よく眠れた? と茶化すと、紗耶は頬を赤らめて、別に寝ていたわけではない、というような趣旨のことを小声で言った。
「今日はもう疲れただろ。早く寝よう」
「嫌です」
僕の提案は即刻却下された。
「まだ、兄さんのをもらってないです」
そう言うと、紗耶は僕の腕の中でくるりと向きを変えて、僕の上にまたがった。
まだするのか。
僕は少し呆れつつも、彼女に身を任せた。
紗耶はまず、僕の萎れた性器をどうにかしようと思ったようで、足の裏で亀頭を挟み、擦り始めた。
「兄さんはこれが好きなんですよね・・・あ、ほら、もう硬くなってきましたよ。兄さんはほんと、変態ですよね。仕方ないから、妹の私が面倒を見てあげます」
僕が妹の足コキで興奮する変態なのは事実だが、それをして興奮している紗耶も充分変態だったりする。
「ふ、ふふ・・・そろそろ、挿入れたいんじゃないですか?」
紗耶はそう聞いてきたが、実際のところ紗耶が早く挿入れて欲しいだけだったりする。
が、それは言わぬが花ということで、僕は黙って首を縦に振った。
「ふ、ふふふ、そうですか。じゃあ、じゃあですね、『紗耶の子宮にたっぷり中出しして孕ませたい』って言ってください」
「紗耶の子宮にたっぷり中出しして孕ませたい」
コピーアンドペーストするように、無機質かつ正確に僕は繰り返した。
「『僕は紗耶の奴隷だ。紗耶がいないと生きていけない』」
「僕は紗耶の奴隷だ。紗耶がいないと生きていけない」
「『愛しています』」
「愛しています」
「兄さんっ・・・!」
紗耶は感極まったように嗚咽を漏らしながら、僕の性器の上に腰を下ろし、ずぶ、と挿入れた。
「くっ・・・」
僕しか知らない紗耶のそこは、熱くうねりながら、きつく締め付けてきた。
「き、きもちいい・・・ですか?」
紗耶は息も絶え絶えに訊ねてくる。
僕は肯定する。
「じゃ、もっと、きもちよく、します・・・っ」
紗耶はそう言うと、拙いながら腰を振り始めた。
「ふぁ・・・あっ、あっ・・・っ、」
黒髪を振り乱し、盛大に湯を跳ね飛ばしながら僕と交わる。
僕も抑えが効かなくなり、肉付きの薄い尻を掴んで、腰を打ちつけ始めた。
「やっ、駄目、兄さん、きょ、今日は私、わたしが、」
僕は無視して上体を少し起こし、つんと尖った乳首をついばむ。
ちなみに胸は揉むほどないので揉まない。
「しょ・・・そこは駄目、駄目ですっ・・・あっ、にい、さんっ」
紗耶の口の端から涎が垂れ、僕の頬に付着する。気にしない。
「そろそろいくよ、紗耶」
僕の言葉が聞こえているのか定かではないが、彼女はコクコクと肯いた。
「くっ・・・」
僕はひときわ強く腰を打ちつけて、紗耶の奥深くに精を放った。
「・・・紗耶。起きてる?」
腕の中の少女に問いかけるも、返事はない。
もともと今日は忙しかったようだから、疲れて眠ってしまったようだ。
僕は溜息をついて後片付けをし、彼女の体を拭いて寝巻きを着せ、布団まで連れてゆく。
自室に戻るのも面倒だったので、僕はそのまま彼女の布団に倒れこんだ。
温かく、柔らかい存在を背中に感じながら、僕は眠りに落ちた。
以上です
>>309 S妹GJ!
まさか
>>304のリクに答えてくれるとはw
お陰様で俺の愚息が疼いたので紗那ちゃんに抜いてもらってくる!
まさかのGJ
GJです
Sな妹に目覚めてしまいそうです
三つの鎖18中編です。
今回で一旦の区切りがつきます。
※以下注意
エロなし
血のつながらない自称姉あり
投下します
次の日の朝、梓は部屋から出てこなかった。
体調不良だから休むとドア越しに言った。
昨日の夜、梓は僕に何も言わなかった。僕が何を言っても涙を流すだけで何も言わなかった。
京子さんが僕の肩のテーピングをしてくれた。今日は腕を吊らないことにした。今日の夕方に夏美ちゃんの家にお邪魔する。腕を吊ったままだと心配をかける。
朝食は京子さんが手伝ってくれた。
父と京子さんの三人での朝食。いつもとおり静かな食卓。
食後、僕と父はリビングでお茶を飲んでいた。京子さんは洗面所で歯を磨いている。
「幸一」
父が僕に声をかけた。いつもとおりのポーカーフェイス。何を考えているのか分からない無表情な顔の中で、瞳だけが力強い光を放っている。
「梓とは仲良くしているのか」
脳裏に涙に濡れた梓の表情が浮かぶ。
「まあまあかな。以前より良くなったよ」
半分は嘘だ。梓は僕と二人きりのときは露骨に迫ってくる。
でも、そんな事を父に言えない。言えば梓は遠方にやられる。今まで会ったことのない親類に預けられるだろう。梓が遠方に追いやられるとどうなるか。過去のように再び荒れるに違いない。
いや、それだけではすまない。柔道の稽古で父の同僚の方たちと知り合った時に、父の仕事ぶりを聞く事ができた。父は優秀で厳しい警察官らしい。冷静で冷徹。梓が僕にしたことを知られると、父は冗談抜きで梓を逮捕しかねない。
父は僕を無表情に見つめた。何を考えているのかはその表情からは読み取れない。
「幸一。梓は母親に似ている」
僕は驚いた。僕が覚えている限り、父が僕の生みの親の事に言及したのは初めてだ。
もう一つ驚いたのは梓が母親に似ているという事だ。梓はどう考えても、少なくとも見た目は父に似ていると思う。いつも無表情なところや鋭い目元なんてそっくりだと思う。
「僕を生んでくれた人ってどんな人だったの?」
父は微かに目を伏せた。まるで過去の記憶に思いを馳せるかのように。
「哀れな人だ」
微かな違和感。父の言う意味が僕には分からなかった。相変わらずの無表情に微かに表情が浮かんだ気がしたけど、どんな表情かは分からなかった。
「もし梓の事で何か悩みがあれば、いつでも言いなさい。言えないと思っている事でも心配ない」
父の言葉が胸に突き刺さる。
今の梓の事や春子の事を相談すればどうなるだろう。
言えない。
「ごめんねー。お化粧に時間がかかっちゃった」
京子さんがリビングに入ってきた。相変わらず若々しい。四十代に届く年とは思えない肌の張り。
僕と父を見て京子さんは不思議そうな顔をした。父は湯飲みを置いて立ち上がった。
「行ってくる」
そう言って父は鞄を手に立ち上がった。
「あらいけない。もうこんな時間ね」
京子さんは時計を見て慌てたように鞄を持った。
僕は二人を玄関まで見送った。
「誠一さん。ネクタイが曲がってるわ」
京子さんは父のネクタイを直した。白くて細い指。ふと梓の手が脳裏に浮かんだ。
「幸一君。梓ちゃんをお願いね。今日は早く帰ってくるから」
「今日も遅くなる。頼む」
そう言って二人は出勤した。
僕はキッチンに戻り、おかゆを作った。梓の体調が心配だ。昨日の事がショックで寝込んでいるのかもしれない。
お盆を持って階段を上る。梓の部屋の扉をノックした。返事はない。
「梓。入るよ」
扉を開けると、閉め切られた部屋に特有のむせた空気が流れる。
僕は机の上にお盆を置き、窓を開けた。澄んだ朝の空気が入り込む。ベッドの上で梓は布団を頭までかぶっていた。白い指が布団の端からのぞく。
なぜか京子さんの指先が脳裏に浮かんだ。
「梓。おかゆを作ったよ。食べられる?」
僕は布団の上から梓を揺さぶった。
突然、白い腕が出てきて僕を布団の中に引きずり込んだ。僕の背中に腕が回される。
目の前に梓の顔がある。泣きそうな表情で僕を見つめている。
「好き。兄さん」
梓は震える声で僕に告げた。僕の足に梓の素足が絡まる。
僕は布団を跳ね除けて起き上がろうとしたけど、起き上がれない。梓の手足が僕に絡みつく。
「お願い。抱いて」
耳元に梓の囁き。梓の吐息が熱い。
僕は梓の肩に手を当てゆっくりと押した。そこで初めて梓は何も着ていない事に気がついた。慌てて視線をそらす。その隙に梓は僕に抱きついてきた。
「梓。はなして」
背中に回される梓の腕に力がこもる。
梓は悲しそうに僕を見た。今までに見た事ないような儚い表情。
「私じゃだめなの」
僕は首を横に振った。
「梓は僕の大切な妹だ。それに僕には恋人がいる」
「兄さんが夏美のことを好きなのは知っている。わかっている」
梓の目尻に涙がたまる。
「兄さん。兄さんは私を大切にしてくれた。私に妹としての思い出をたくさん与えてくれた」
背中に回された梓の腕が震える。
「私、兄さんのことをあきらめる。妹で我慢する。もう何も言わない。だからお願い。一度だけでいい。私を女として扱って。妹だけじゃなくて女としての思い出をください」
梓は僕を抱きしめた。服越しでも梓の柔らかい体と熱い体温が伝わる。
僕は梓をゆっくりと引き剥がした。
梓の気持ちは嬉しかったけど、それをはるかに越えて悲しかった。
僕たちは兄妹なのだから。
「ごめん。梓の気持ちには応えられない」
僕はベッドを降りた。梓は上半身だけ起こして僕を見た。
梓の上半身が露になる。透き通るような白い肌、小ぶりだけど形のいい胸、まとめられていない艶のある黒い髪はほつれている。まだ大人になりきってない子供の幼さと大人になろうとしている女性らしい曲線が混ざり合って妖しい魅力を放っている。
血のつながった妹なのに、思わず見とれてしまった。
「何でなの」
梓の声に僕は我に返った。
涙が梓の目尻からぽろぽろ落ちる。落ちた涙が滑らかな梓の肌を伝って落ちた。
僕は梓に背を向けた。
ドアのノブを握り梓の部屋を出ようとした。慰めの言葉をかけようとは思わなかった。それは梓に失礼だと思ったから。
梓は妹ではなくて一人の女の子として僕に接してきた。だったら僕も男として梓をふる。
「お姉ちゃんを抱いたのに、何で私を抱いてくれないの」
何も言わずに部屋を去ろうと思った。それなのに、梓の言葉は僕の足を止めた。
梓の言葉に頭が真っ白になる。
久しぶりに梓がお姉ちゃんという言葉を口にした。
梓の指すお姉ちゃん。
春子。
後ろからひたひたと素足で歩く足音と気配がゆっくりと近づく。
あまりの恐怖に息が詰まる。
「兄さんは脅されたからお姉ちゃんを抱いたの」
僕のすぐ後ろで足音は止まった。
梓の気配をすぐ後ろに感じる。息遣いすらも感じる。
動こうとしても、根が生えたように足が動かない。
「私、お姉ちゃんと同じことはしない。もう兄さんを傷つけたり脅したりはしない」
梓の吐く息が首筋に当たる。
「兄さん。お姉ちゃんに脅されているんでしょ」
梓の細い腕が僕の腰に回される。背中から梓の体温が伝わる。
「兄さんが望むなら、お姉ちゃんを殺してもいい」
梓の言葉に背筋が凍える。
「だって兄さんは脅されてひどい事をされているのでしょ。だったら私が兄さんを守る。兄さんにひどい事をする女は、例えお姉ちゃんでも殺す」
本気だ。
淡々として抑揚に乏しい口調。
それでも梓の気持ちが伝わってくる。
本気で僕のために春子を殺すと言っている。
「兄さんは何も考えなくていい。私が兄さんを守る。だからお願い。一度だけでいい。私を女にして。女として扱って。女としての思い出を与えて」
梓の細い腕に力がこもる。
ぽたりと、涙の落ちる音がした。
僕は梓の腕をほどき、梓のほうを振り向いた。
白い裸身が目に入る。梓は僕を見て笑った。泣き笑いだった。
梓は僕の胸に顔をうずめた。
「梓。お願いだ」
僕は梓の背中に腕を回した。梓の滑らかな背中の感触が手に伝わる。
「お願いだからそんな事を言わないで」
ずっと春子と一緒に育った。
一緒の時を過ごした。
そばにいてくれた。
励ましてくれた。
勉強を教えてくれた。
料理を教えてくれた。
家事を教えてくれた。
辛かった時、笑顔を向けてくれた。
春子にどれだけ助けてもらったか、言葉に尽くせない。
たとえ今は脅され、夏美ちゃんを裏切ることを強制されても、嫌いになれない。
ひどい事をされても、殺されていいなんて思えない。
一緒の時を過ごしたのは梓も一緒だ。
梓が生まれた時から一緒だった。
血を分けた大切な妹。
その梓に、人殺しなんてして欲しくない。
例えそれが僕のためであっても。
梓は顔を上げて僕を見た。不思議そうに僕を見上げる。梓の頬に僕の涙が落ちる。
「兄さん?何で泣いているの」
梓は僕の顔に手を延ばした。頬に梓の小さな手が触れる。
その手が僕の涙をぬぐう。
「梓も春子も、僕にとっては大切な人だ。大好きな妹と姉だ」
梓に傷つけられても、春子に脅されても。
二人を嫌いになれない。
僕の大切な姉と妹だから。
「兄さんの馬鹿」
梓は小さな声で言った。梓の頬を涙が伝う。
僕は学生服の上着を脱いで梓の肩にかけた。梓は学生服の襟をつかんで悲しそうにうつむいた。
涙が床に落ちた。
「兄さん。一つだけ教えて」
梓は顔を上げて僕を見た。
いつもよく見る梓の無表情。瞳だけが悲しげな光を放つ。
「もし私と兄さんが兄妹じゃなかったら、兄さんは私の恋人になってくれた?」
「分からない。梓と兄妹じゃないなんて想像もつかない」
僕は梓を見た。僕の学生服の隙間から梓の白い肌が見える。裾からは細くて柔らかそうな素足が伸びている。
「でも、梓の裸には見とれてしまった」
そう言って僕は目をそらした。
「血のつながった妹なのに。ごめん」
梓は微かに笑った。柔らかい微笑み。
「この変態シスコン。妹の裸に見とれるなんて」
「反論できない。ごめん」
「いいわよ。私も変態だもん」
梓は肩にかけられた僕の学生服に顔を押し付け深呼吸した。
「私ね、兄さんの匂いが好き。いつも兄さんの洗濯前の服を持ち出して匂いを嗅いでいたんだ」
梓は苦笑した。
「私たち、おあいこだね」
僕も苦笑した。そこまで変態じゃない、一緒にしないでと思ったけど、言わなかった。
二人で笑ったのは本当に久しぶりだったから。
梓は僕をまっすぐに見た。
「好き。大好き。兄さんの何もかもが好き」
澄んだ瞳が僕を見つめる。
「愛してる。誰よりも兄さんを愛してる。お願い。私を兄さんの恋人にして」
梓の目から涙が伝う。
血の分けた妹の願い。血のつながった兄と添い遂げること。
歪んでいるけど純粋な願い。
僕はハンカチを手に梓の目元をぬぐった。
「ごめん。梓の気持ちにはこたえられない」
僕は梓に背を向けた。
兄妹。僕と梓は血を分けた存在。
結ばれる事は許されない。
「兄さんの馬鹿。絶対許さないから」
後ろから梓の声。
梓の声は微かに震えていた。
「学校はどうするの」
少ししてから梓は答えた。
「休むわ」
「そう。何かあったら連絡して」
僕は梓の部屋を出た。
閉めたドアの奥から泣き声が聞こえた。
胸が張り裂けそうな悲しい泣き声。
それでも、僕は振り返らなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕は遅刻した。
梓のご飯を作った分、遅れた。鳥の照り焼きを作って食卓に置いておいた。偽善と分かっていても、そうしてしまった。
一時間目の途中から僕は教室に入った。クラスメイトの視線が突き刺さる。
教師に寝坊と伝えて僕は自分の席に座った。
耕平はドンマイという風に軽く手を挙げた。
春子はちらりと僕を見た。
僕は驚いた。春子の顔は少し腫れていた。
梓の顔が脳裏に浮かんだ。春子と喧嘩とはこの事なのかもしれない。
一時間目が終わった休憩時間に、僕は春子の席に近づいた。
「幸一くん」
僕に気がついた春子が泣きそうな顔で僕を見た。
近くで見るとはっきりと分かる。春子の顔が微かに腫れているのを。
「それは」
僕の言葉に春子は微かにうなずいた。
それだけで僕たちは理解しあえた。
ぱたぱたと足音が近づいてくる。
夏美ちゃんの足音。
「お兄さん!」
扉がガラッと開いて息を弾ませた夏美ちゃんが入って着た。
そのままの勢いで僕に近づく。
「あの、その、ぜぇはぁぜぇはぁ」
肩で息をする夏美ちゃん。
春子は夏美ちゃんを見て笑った。
「夏美ちゃん。どっからどう見ても変態だよ」
「は、ハル先輩。すいません」
春子は立ち上がった。
「春子。どこに」
「もう。女の子が席を立つときに質問しちゃだめだよ。お手洗いに行ってくるだけ」
春子は笑って教室を出て行った。
僕は夏美ちゃんの袖をつかんで目配せした。夏美ちゃんは何も言わずにうなずいた。
二人で教室を出て人気の少ない階段まで移動した。
「ハル先輩の顔、もしかして」
夏美ちゃんは言いにくそうに僕を見上げた。
僕はうなずいた。
「何があったかは聞いていない。今日のお昼休みにでも詳しく聞こうと思う。だからごめん」
お昼には春子と二人でいる。
夏美ちゃんは笑顔で許してくれた。
「いいです。気にしないでください」
お昼に春子から詳しい話を聞こう。
そしてその場に夏美ちゃんが同席していると、詳しい話しをできない。
ごめん。僕は心の中で夏美ちゃんに謝った。
「あの、お兄さん、その」
夏美ちゃんは言いよどんだ。頭を振り、僕をまっすぐに見た。
「梓とは大丈夫でしたか」
今日の朝を思い出す。あれは大丈夫といえるのだろうか。
でも、梓は笑ってくれた。
「大丈夫だよ。見てのとおり怪我もないでしょ」
僕は昨日吊っていた肩をすくめた。本当は固定して吊るした方がいいけど。
「だから今日の夜にお邪魔するよ」
夏美ちゃんの顔が輝く。
「あの、本当にいいんですか」
「うん」
「本当の本当ですか」
「本当の本当だよ」
夏美ちゃんの目尻に涙が浮かぶ。
「ぐすっ、本当ですか、ひっくっ」
僕はうなずいた。夏美ちゃんの目尻から涙がぽろぽろ落ちた。
「ひっくっ、ぐすっ、ひぐっ、無茶、ぐすっ、してないですか?」
「もう大丈夫」
僕は夏美ちゃんを抱きしめた。僕の背中に夏美ちゃんの腕がまわされた。
夏美ちゃんは僕の腕の中で子犬のように震えた。その背中をそっと抱きしめる。小さいけど、あの日僕に勇気をくれた背中。
「もう、ひっくっ、お兄さんとっ、ぐすっ、梓が、ひぐっ、喧嘩しないですか」
「分からない。でも、梓はきっと分かってくれる」
夏美ちゃんは顔を上げて僕を見上げた。涙がとめどなく夏美ちゃんの頬を濡らした。
「梓は僕の妹だ。きっと分かってくれる」
僕はハンカチで夏美ちゃんの顔をぬぐった。
予鈴が鳴る。
「放課後に迎えに行く」
「ひゃい」
夏美ちゃんは涙でぐちゃぐちゃの顔でうなずいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
お昼休みに僕と春子は校庭に向かった。
この学校の校庭は広くてベンチも多い。日差しをさえぎる木も多くて夏が近づく今でも涼しい。他にもお昼を食べている生徒は多い。
僕たちは他の生徒と離れたベンチに腰を下ろした。
「梓と何があった?」
僕は単刀直入に尋ねた。
春子はうつむいて何も言わない。春子の手が微かに震えている。
「ばれたの?」
何かを言わなくても春子は分かったようだ。
顔を上げて僕を見る春子。今にも泣きそうな頼りない表情。
「梓に言われた。お姉ちゃんを抱いたんでしょって」
春子は目を見開いて僕を見た。口元を押さえ震える。目尻に涙が浮かぶ。
「お、お姉ちゃんね、昨日ね、梓ちゃんに全部ばれちゃった」
涙がぽろぽろと零れ落ちる。
僕は何も言わなかった。春子が自分からばらすはずがない。きっと梓は何か感づいて春子を追い詰めたのだろう。
「そ、それで、ひっくっ、梓ちゃんにっ、ぐすっ、二度と話しかけないでって」
見ていてかわいそうな程春子は涙を流す。
哀れな春子。あれほど梓の事を好きで大切にしていたのに。
これだけの事を春子にされても、憎しみよりも哀れみの気持ちを感じてしまう。
春子は僕を見て目を見開いた。胸の前で手を握り締め震える春子。
「…だっ」
「え?」
小さな春子の声。何て言ったか聞き損ねた。
「やだっ!」
春子の声が校庭に木霊する。
遠巻きに僕たちに視線が突き刺さる。
「そんな目でお姉ちゃんを見ないで!」
春子は肩を大きく上下して荒い息をついく。
脅えたように僕を見上げる。
「春子。落ち着いて」
春子は僕の言う事を聞いていなかった。春子は僕の胸に顔をうずめ背中に腕をまわした。
「お姉ちゃんを哀れむみたいに見ないで」
春子の涙がぽろぽろと僕のシャツに零れ落ちる。
僕は春子の震える背中と頭に腕をまわした。小さな背中そっと抱きしめる。
「お姉ちゃんねっ、分かっていたよ。いつかこんな日が来るって。梓ちゃんにも幸一君にも嫌われる日が来るって」
春子は顔を上げた。涙に濡れた春子の顔。
「こんな事いつまでも続けるのは無理だって分かっていたよ。幸一君は立派だもん。梓ちゃんの鎖が幻だったみたいに、お姉ちゃんの鎖も幸一君はすり抜ける事は分かっていたよ。それでも、その日までは幸一君のそばにいたいの」
僕は春子の頭をゆっくりと撫でた。
「ひどい事をしてもされてもいい。幸一君と梓ちゃんに嫌われても憎まれてもいい。幸一君のそばにいたい。そのためなら他の何もかもどうでもいいって思っていたのに」
春子の涙は止まらない。
「それなのに、梓ちゃんに嫌われたのが、こんなに悲しいなんて。分かっていたのに。自業自得なのに」
春子は僕をぎゅっと抱きしめる。離さないでというように。
「幸一君に憎まれてもいいと思っていたのに。それなのに何でなの。何でお姉ちゃんに優しくするの。何でお姉ちゃんを哀れむの」
僕の服をぎゅっと握る春子の手。
「ひどい事をされるよりも、嫌われるよりも、憎まれるよりも、優しくされるのが一番つらいよ」
震える春子の背中を、僕はそっと抱きしめた。
春子は泣いた。僕にしがみついて、子供のように泣きじゃくった。
昔は逆だった。僕は寂しい時によく泣いた。父さんも京子さんも来られなかった授業参加、梓と二人きりの夕食、運動会の後に楽しそうに帰る家族達を見ながら梓と手をつないで帰った日。
寂しくて仕方がない時、僕は部屋で一人で泣いた。梓の前では泣けなかった。
そんな時、春子は来てくれた。家に来て僕を抱きしめてくれた。寂しくて泣きじゃくる僕を優しく抱きしめてくれた。
春子は僕の姉さんだった。それは今も、これからも変わらない。変われない。
「無理だよ」
僕の言葉に春子は泣いたまま。
「姉さんを嫌うなんて、僕には無理だよ」
最初から無理だった。僕が春子を嫌う事も、春子が僕を脅し続ける事も。
ずっと昔から僕たちは仲の良い姉と弟だった。
今でもそれは変わらないし、変われない。何があっても。
「いつかは分からないけど、梓は姉さんをゆるしてくれる。姉さんが僕と梓を助けてくれたみたいに、僕も姉さんと梓が仲直りできるように協力する」
春子の目的が何であれ、春子は僕と梓の仲直りのためにたくさんのことをしてくれた。
何度も三人で食事に誘ってくれた。
何度も三人で遊びに行く計画を立ててくれた。
何度も料理や家事を教えてくれた。
梓に嫌われていると思っていた頃、一番つらかった頃、春子は何度も僕を励ましてくれた。そばにいてくれた。
「お姉ちゃん、幸一君と梓ちゃんに最低な事をしたよ」
春子は泣きじゃくりながら僕を見上げた。
「もう、嫌なんだ」
「え?」
「大切な三人で傷つけあうのは、もう嫌なんだ」
春子の顔が悲しみに染まる。
「姉さんも梓も、大好きで大切な姉と妹だから」
僕はハンカチを手に春子の涙をぬぐった。
今日、三人の涙をぬぐった。
梓に夏美ちゃんに春子。
三人の涙の重さは変わらない。
三人とも僕にとって大切な人。
春子は僕の胸に顔をうずめた。
「ごめんね。こんなお姉ちゃんでごめんね」
僕の服を春子はつかむ。微かに震える白い手。
「お願い。お姉ちゃんにね、もうちょっとだけ時間をちょうだい。あとちょっとだけ。そうしたら、最初から始められる。幸一君のね、お姉ちゃんに戻れる」
春子は消え入るような声で囁いた。
僕を脅迫し続けた春子が初めて僕の言う事に耳を貸してくれた瞬間。
春子は分かってくれた。
もう、夏美ちゃんを裏切る事も、春子を傷つける事も、しなくていい。
大好きで大切な人同士で、傷つけあわなくていい。
まぶたの裏が熱くなる。視界がにじむ。
僕の涙が春子の頬に落ちた。
春子はハンカチを取り出して、僕の目元を拭いてくれた。春子自身も泣きながら僕の涙を拭ってくれた。
僕たちは泣きながらお互いに涙を拭いた。
涙は止まらなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
放課後、僕は夏美ちゃんの教室へ向かった。
夏美ちゃんの教室をのぞくと、夏美ちゃんは頬杖をついてぼんやりとしていた。
切なそうな表情。胸が締め付けられるような悲しい瞳。
僕は声をかけられなかった。夏美ちゃんの横顔がびっくりするぐらい綺麗で見とれた。
立ち尽くして見つめる僕の視線に気がついたのか、夏美ちゃんは僕の方を振り返った。途端に切なそうな表情が消え、明るい笑顔が浮かぶ。
「お兄さん!」
夏美ちゃんの声に僕は我に返った。夏美ちゃんはパタパタと僕に近づき、僕の手を握った。
小さくて温かい手。頬が熱くなるのを感じた。
「行きましょう!」
夏美ちゃんは僕に笑いかけて歩き出した。見ているだけで幸せになれそうな明るい笑顔。
僕は夏美ちゃんに引っ張られるように歩いた。
「まずは買い物に行きましょう!お父さんとお母さんからお金を渡されています。極上のお肉を買って来いって言ってました!」
夏美ちゃんは嬉しそうに買い物の話をする。どこのお店においしいお肉があるか、野菜はどこで買うか、普段は買えない高級なお肉の事。
「ビールも忘れちゃだめだよ」
「そうでした。お父さんもお母さんもお酒を好きですから、忘れたらすねちゃいます」
洋子さんと雄太さんの好きなビールの銘柄を夏美ちゃんは生き生きと話した。いつも家の冷蔵庫にあったから覚えているらしい。二人とも同じビールが好きらしい。
僕の父と京子さんが脳裏に浮かぶ。父は全くお酒を飲まない人だ。京子さんも嗜む程度。
夏美ちゃんは僕を引っ張りながら嬉しそうに今晩のすき焼きの事を話す。
幸せそうで明るい屈託ない笑顔。
その笑顔に僕は見惚れた。
「お兄さん?」
夏美ちゃんが不思議そうに僕を見た。
「何でもないよ」
夏美ちゃんは僕の手をぎゅっと握りしめた。
「私がいます」
僕を見上げる夏美ちゃん。
先ほどとは違う真剣な眼差し。落ち着いた大人びた表情。
「きっと大丈夫です」
梓の事も、春子の事も。
僕は夏美ちゃんの手を握り返した。
「…ありがとう」
夏美ちゃんの言う通りにきっとなる。
いつかまた、梓とも春子とも、仲良くなれる日が来る。
きっと来る。
僕の手を引っ張る夏美ちゃんの手。小さくて温かい掌。
その温もりが嬉しくて心強い。
風が吹く。僕は上を見上げた。
天気は良くない。どんよりとした曇り空。
それでも、きっといつか晴れる。
いつか皆との関係も、きっと良くなる。
「お兄さん?」
夏美ちゃんは不思議そうに僕を見た。
「何でもないよ」
僕は微笑んだ。夏美ちゃんも笑ってくれた。
梓とも春子とも笑い合える日が来る。
いつか、きっと。
お疲れさまでした。面白かったです。
長い間お疲れさまでした。
首を長くして待ちます。
>>320 投下おつかれさまです。
いつも楽しく読ませてもらってます。
リアルが忙しかったり
創作するのが大変だったりするのかな?
ともかく、しっかり休んでいつか18 後編をぶっぱなしに来てください。
待ってます。
乙
親父は何を伝えたいのだろう
そして、幸一の楽観的で前向きな希望がクライマックスの前振りにしか思えない
GJ、続きはいくらでも待つよ
10話前編の耕平視点の最後によれば後々周囲にも知れ渡るような事が起こるのにまだそうなっていない
だからこの後何か致命的な事件が起こるのは間違いない
それとその後の結末を見届けぬ事には…
GJ!
ここで一回安心させて最後に落とすなんてしないよね!?
327 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/31(水) 02:54:12 ID:09CPyoCG
目立つ
キモ姉に拉致られたい
兄or弟が海外に留学することになったらどうなるんだろう?
着いて引っ越し荷物を開けてみると……だと思う
>>331 どうやって税関突破するんだよww
X線で走査されたらっひとたまりもないだろww
その油断が一生の失敗となることを……
>>332は……まだ知らないのであった……
この国の書類上、私たちは兄妹ではありません。
これで結婚できますね。。。
やっと規制が終わった…
>>320 GJ
ここで終わっても全然いいと思う
これ以上何かあるとかいくらなんでも幸一が可哀そう
でも続きは気になる
待ってます
>>335 何か短編であったよな
異母兄妹で結婚できるとか
日本だって古来腹違いはOKなんだぞ
さすがに両親同じだとNGってことで皇太子棒にふった皇子もいたらしいけど
平安鎌倉ぐらいまではかなり性的に自由だったはず
異母兄妹といわれるとφなる・あぷろーちを思い出す
血縁の濃さを考えてみたが
両親のうち片方だけが違うと丁度従兄弟と同じ濃さになるから
それなりに正当性はあるな
>>337 明鐘はキモ化の才能あると思うんだがなぁ……
いかんせんそれを発揮するのが別キャラのルートなんだもの。
明鐘本人のルートはただ甘えるだけで、かわいいけどキモくなかったなあ
女にお尻をスレで、ふたなりキモウト出てた!
>>342 エロゲのおまけに自分でシーン作れるやつがあったから
キモ妹にありがちなシチュを入れてみた
永遠のしろ来ないかなあ
いきなりですいません投下いたします
ひらがな多くて読みにくい場面もありますが許してください、使用です
初姉ものなんで勝手がわかりませんでしたががんばったつもりです
新居に移る準備を整えて俺が家を出ようとすると道を塞がれた
例によって姉貴である
「何処行くのよ彰人」
つっけんどんな言い方に、背が小さいくせに人一人射殺せそうな目
家の横暴女の登場だ
「どこって、新居だよ、引っ越すって話したろ」
俺はそう短く言って姉貴の横を通って家を出ようとする
と、視界に姉貴の顔(というか頭のてっぺん)が映った、回り込まれたらしい
「駄目よ彰人、アンタは家にいなさい」
幼いが険のある姉貴の声
俺は心の中で舌打ちした
こいつはいつもそうだ、俺が何かしようとすると邪魔することしか考えねえ
俺は無視して姉貴をどけるとドアノブに手をかけた
しかし俺がドアを開くことはなかった
「ウソだよね?・・・・彰人?」
姉貴が、泣いていた
『あの』姉貴が
俺は驚愕でドアを開けられずにいたのだ
「ごめんね、ごめん・・・お姉ちゃん意地悪しすぎたよ
だからやめよう?お姉ちゃん優しくなるよ、優しくするもう照れたりしないよ
昔みたいに仲良くしようねそれでずっと二人でいようよ出て行かないでよ
今日のご飯はちゃんとお姉ちゃんが作るからほらお姉ちゃんの作ったご飯大好きだよね彰人はだから・・・・」
だけどそれも一瞬のことで
俺は何かを言い続ける姉貴を残して、住み慣れた家を出て行った
___________________
一人、玄関にうな垂れるようにしてドアを見つめている
大事な大切な唯一の絶対の存在に『置いて』いかれた彼女は何をするでもなくドアを見つめている
彼女はこの盛大な『意地悪』が終わる時を待っているのだ
今にも弟が帰ってきて、自分に『仕返し』をした旨を伝えて、今日は二人で『仲直り』をするのだと
だから彼女は待っている
帰ってくるはずのない弟を待っている
「ウソだよ」
長い沈黙を破り、彼女は呟く
彼女は立ち上がり、自室へ向かった
夢遊病者のようにふらふらと、足取りはおぼつかない
自室の宝物箱の中にある沢山のビデオテープのひとつを引っつかみ、強引にビデオデッキに挿入していく
「あきひとあきひとあきひとあきひと」
リモコンの再生ボタンを押しながら彼女はずっと画面に魅入る
このビデオは彼女の精神安定剤だった
どんなに嫌なことがあっても、どんなに苦しい時もこれを見るだけで彼女の心は安定するのだ
砂嵐の後、幼い少年の姿が映る
『おねえちゃん・・・』
少年は自転車ごと転んでしまったようで、涙目になりながら姉の名前を呼んでいた
「あきひと・・・」
彼女の顔がふっと優しいものに変わる
それは誰にも見せない彼女の本当の素顔だった
いつも吊り目気味な瞳は柔らかく綻び、冷徹なまでに白い頬は朱に染まる
この少年に『おねえちゃん』と呼ばれることが彼女にとっての誇りだった
「あきひと、あきひと、あきひと」
何度も何度も、彼女は大事な弟の名前を呼ぶ
そして画面に映る少年は、幼い姉に頭を撫でられて無邪気に笑っていた
『僕ね!おねえちゃんをお嫁さんにする!』
画面の中の小さな少年は、幼い姉と約束していた
拙く幼い、結婚の約束
しかし今画面に魅入っている彼女には、何よりも大事な約束
「そうだよね・・・あきひとは、アイツよりおねえちゃんのほうが好きだよね・・・」
彼女の瞳は濁っていた
純粋で一途だからこそ、濁っていた
「約束したもんね」
幼い頃の、大切な大切な約束が、あの女との約束に劣るはずがない
彼女はいつしか立ち上がり、歩き出していた
弟を『迎え』に行くために
あれ、俺どうしたんだっけ?
「あきひと、あきひと」
あきひと?彰人か、俺のことだな
誰だよ俺のこと呼んでるの
「ごめんね、おねえちゃんあきひとにいじわるしすぎたよね」
意地悪?お姉ちゃん?ああ、姉貴のことか
いつもいつも気まぐれに殴ってきたり俺の恋人からの贈り物をことごとくぶっ壊したりムカつくったらない
そんな姉貴が俺にしおらしく謝るなんて正直驚くな
「あたしね、ただあきひとに構ってほしかったんだよ?だけど、照れくさかったんだ」
構う?
冗談じゃねえ姉貴みたいな横暴女に構ってたら身がもたねえよ
「でもね、それじゃだめなんだって気がついたよ」
そうそう、姉貴はもっと穏やかになるべきだよな、折角可愛い顔してるんだし
「これからはね、おねえちゃんにいっぱい甘えていいんだよ?」
は?甘える?
気持ちわりぃな、そんなことするもんかよ
「おねえちゃんがいっぱいいじわるしちゃったから、すねちゃったんだよね」
拗ねてねえよ
気持ち悪いって言ってんだろうが
「だからあんな人と一緒に暮らすなんて酷いウソおねえちゃんについたんだよね」
あんな人?一緒に暮らす?
そうだ、思い出した
俺は恋人と同棲するために家を出ようと思ってたんだった
あいつ、新居で待ってるのかな
俺みたいな冴えない顔で、特に取り柄もないやつを、初めて好きになってくれたやつ
一緒に暮らそうって言ったらすごく嬉しそうな顔してたっけ
そういえばそろそろ新居に行かないと
「あきひとはあんなところ行かなくていいんだよ」
そんなわけにはいかねえだろ、あそこには俺の恋人がいるんだし
「あきひとはずぅっとおねえちゃんと一緒にいるんだよ」
だから姉貴なんかと一緒にいたくねえんだって
「・・・お薬、もっと必要だね」
薬?いらねえよ、具合なんて悪くないし
「だめ、あきひとは病気なんだよ」
病気?
いや健康そのものだって
「だめ、お薬使わないとあきひとの病気がもっと酷くなっちゃうよ」
痛えな
薬って注射かよ
「えへへ、あきひとちっちゃい頃から注射苦手だったもんね」
頭撫でんなよ、ガキじゃないんだからさ
でも、なんかすげえ久しぶりだな、姉貴に頭撫でられるの
「そうだね、昔は『おねえちゃんおねえちゃん』ておねえちゃんの後ろばっか着いてきてたのにね」
やめろよ、恥ずかしいな
ああちくしょー、でもなんかすげえきもちいいな
「あきひとの気が済むまで撫でてあげるね」
ああ
うん、たのむわあねき
「『姉貴』じゃないよ」
あれ、そうだっけ?
「おねえちゃんはあきひとの『おねえちゃん』だよ」
おねえちゃん
「うん・・・おやすみ、あきひと」
あれ?おれなんかわすれてなかったっけ?
「ううん、なんにも忘れてないよ」
そうだっけ?なんかすごくだいじなやくそくがあったきがするんだ
「あきひとはなんにも約束なんてしてないよ」
そっか
おねえちゃんがいうならきっとそうなんだな
「うん、あきひとはね、もうおねえちゃんのこと以外なんにも考えなくていいんだよ」
かんがえない
「そうだよ、あきひとのして欲しいことは全部おねえちゃんがしてあげるから、考える必要なんてないんだよ」
うん、じゃあ、そうする
おねえちゃんがいうんだもんな
それがただしいにきまってる
くちびるがふさがれてくるしいけどおねえちゃんがしているんだからただしいことにきまってる
おねえちゃんの『した』がおれのくちのなかをうごいてるけどおねえちゃんがしてることだからただしいにきまってる
なんだか『いちもつ』がきもちいいけどおねえちゃんがしてるんだからただしいんだ
おれの『りょうて』と『りょうあし』がいつのまにかないことも
おれがなぜか『ないてる』ことも
ぜんぶぜんぶただしくて、おれはなにもかんがえなくていいんだ
以上です
すいません、三回のつもりが余話が入ってしまいました
『約束の代償』を含めこれが二回目の投下になりますがモットーは前回より『病む』を掲げて書きました
今回が前回より怖くなっていれば嬉しいです
乙
ハイセンス
355 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 00:31:42 ID:GBxqiWV2
妹+ヤンデレ=キモウト
なら従妹+ヤンデレではどういう呼び方になるんだろう
358 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 04:14:56 ID:2Y2NFZ4n
>>348 乙。キモくてよかったよ。
ただもう少し文章に句読点を入れると読みやすくなるかも。
そういう演出だったんじゃなければの話だけど……
フラクタルまだかな
桔梗の剣とか未来のあなたへとかどこいっちゃったんだよう……
全裸待機しすぎて冬越えちゃったよ……
>>361 >>362 俺も待ってるんだぜ。きっともうすぐやってくるさ。
ただ指くわえて待ってるのもあれなんで小ネタでも投下してみる。2レス消費。
364 :
5月日記:2010/04/03(土) 19:23:45 ID:JN1ENM5r
5月10日(月)
学校から帰ってきたら、姉貴が俺のパンツだけを履いてヒンズースクワットをしていた。恥ずかしいからやめてほしい。
5月11日(火)
夕飯を食べていたら、姉がテーブルの下から足でいたずらをしてきてウザイ。
ウインナーをくわえて変な顔でしてくるからチャーハンを噴いてしまった。カーチャンに叱られた。
5月12日(水)
風呂から上がって部屋に戻ったら、姉貴が布団に潜り込んでいた。最近姉貴がおかしい。
5月13日(木)
久しぶりに友達と学校帰りに遊んだ。帰り道で携帯の着歴を見たら姉貴の件数が35件あった。
帰ったら姉貴がメチャクチャ怒って何をしてたのか聞かれまくる。お前はカーチャンか。
5月14日(金)
最近日記の内容が姉貴のことばかりになっている気がする。
先月の日記とかを読み直してみると、やはり姉貴のことばかりだ。というか姉貴は大学にちゃんと行っているのだろうか?
5月15日(土)
朝起きたら、ベッドの中に姉貴の下着が散乱していた。寝る前にはなかったので、もちろん姉貴の仕業だ。
文句を言おうと姉貴の部屋に行ったら、姉貴は全裸で紅茶を飲んでいた。最近姉貴がおかしい。
5月16日(日)
朝からぐーたら過ごしていたら、姉貴が全裸で部屋に乱入してきた。家の中でも服を着てほしい。
自称裸族と言っているが、大きくもない胸を見ても不憫にしか思わないので(マジックで塗り潰されている)
5月17日(月)
反抗期で喋らなかった妹が久しぶりに俺に話しかけてきた。少し嬉しい。
姉貴に比べて妹は常識人だ。間違っても姉貴のようにはならないでほしい。
5月18日(火)
授業中に姉貴からメールがひっきりなしに来てウザイ。無視してたら電話がかかってきた。無視してたら着歴がヤバい。
昼休みに電話を取ったら泣いていた。大学のトイレまでティッシュ持ってきてとかマジふざけんな。
5月19日(水)
寝込みに姉貴から奇襲を受けるも難なく三角締めで撃退する。いい加減服を着てほしい。
最近姉貴がおかしい。
5月20日(木)
学校帰りに妹と会って一緒に帰る。クレープを奢ってあげたら喜んでくれた。最近妹がかわいい。
家に帰ったら姉貴がまた全裸でシャドーボクシングをしていた。最近姉貴がおかしい。
5月21日(金)
久しぶりに映画を見に行った。全米が感動しただけあってなかなかの超大作だった。
映画が終わって隣を見たら姉がいた。びっくりした。
365 :
5月日記:2010/04/03(土) 19:27:30 ID:JN1ENM5r
5月22日(土)
妹に勉強を教えることになったが、妹の機嫌が悪かった。昨日の映画が原因らしい。
観たかった映画だったらしく、俺と姉貴が先に観たのが許せないらしい。年頃の女は難しい。
仕方ないので妹と一緒に観に行った。2日連続で観に行くのは初めてだった。
映画が終わってふと隣を見ると、また姉貴がいた。最近どこにでも現れる気がする。
5月23日(日)
姉貴とキン肉マンについて語っていたら喧嘩に発展した。
ウォーズマン大好きな俺、バッファローマン大好きな姉貴、意見が合わないのは仕方ない。
途中妹がやってきてネプチューンマンが一番と言われて更に悪化。結局一日中テレビでキン肉マンを三人で観続けた。
5月24日(月)
学校帰りに姉貴と偶然遭遇した。外面は良いので姉貴は目立つ。腕を組まれて帰ったので余計に目立って恥ずかしかった。
途中妹とも偶然遭遇し、妹とも腕を組んで帰ることになった。しばらく近所では誰にも会いたくない。
5月25日(火)
最近妹もおかしい。過去の反抗期はどこへやら、今では姉貴と同じく部屋によくやってくる。まあシカトされるよりはマシだ。
しかし暑いと言って肌を露出するのはけしからん。特に風呂上がりに下着姿で部屋に来られても目のやり場に困る。
カーチャンに相談したいが現在ネパールに旅行中だ。親父もいつ帰ってくるのだろうか……。
5月26日(水)
久しぶりに懐かしいゲームをしたら、パーティーの名前が全部姉貴の名前だった。無駄にレベルが高いので悔しかった。
妹に俺の秘蔵コレクションを見つけられた。妹の視線が痛い。
5月27日(木)
最近俺の下着が行方不明になってばかりだ。男を狙う下着泥棒ってどんだけ変質者なんだよ。
姉貴と妹に下着泥棒に気をつけろと言ったら妹の様子がおかしかった。問い詰めてはいけない気がした。
5月28日(金)
クラスメートに告白された。きっと罠に違いないが、弛んだ頬が戻らなくて困る。
珍しく姉貴と妹が揃って外泊した。一人きりの家は少し寂しい。今夜は一人でラピュタ祭りだ。
5月29日(土)
やはり罠だった。一日で電話越しネタバレとかしばらく立ち直れそうにない。姉貴と妹が慰めてくれた。
5月30日(日)
最近姉貴と妹がおかしい。俺の歯ブラシを間違えて使ったり俺の下着を間違えて履いたり。
とりあえず風呂に入ってる時に間違えて入ってくるのはやめてほしい。
明日ようやくカーチャンが帰ってくる。
ふ、普通に面白いじゃん!
GJ、GJ!
ぜひこんな調子の短編とか、姉or妹視点の日記を書いてくれ
367 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 01:20:05 ID:Kzok0WXd
これかなり面白いよ
ただの日記なのに続きが気になる
368 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 02:47:28 ID:iWO0e+MN
厨房の自演は分かりやすいな
(キリッ
GJ
>>姉貴は全裸で紅茶を飲んでいた
想像して吹いたwwww
371 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 13:51:41 ID:Kzok0WXd
最近姉貴がおかしい
に吹いた
どう考えてもおかしいよ、行動に脈絡なさすぎ
また小ネタ投下します。3レス使用。
373 :
姉ダイアリー:2010/04/04(日) 15:41:02 ID:qkifLmii
5月10日(月)
弟の使用済み下着(ボクサーパンツ・黒)を入手。興奮して頭に被って小躍りしたら、タンスの角に足の小指をぶつけた。痛い。
冷静になろうとパンツを履いてスクワットをしていたら弟に見つかってしまった。あのゴミを見るような視線もたまらない。
5月11日(火)
夕飯時に弟をこっそり誘惑してみる。足で弟の股関を触りつつ、ウインナーをくわえてエロさをアピールしてみた。
弟は興奮したのか、チャーハンを噴いて母さんに叱られた。チャーハンをぶっかけられて私も興奮した。マニアックね、弟。
5月12日(水)
弟のベッドに潜り込んで待っていたのに弟が入ってこなかった。待っている間で8回イッた。
5月15日(土)
最近弟が心配だ。これだけ何年もアピールしているのに襲ってこないのはどういうことだろうか?
インポでないことは確認しているのに、私の裸を見ても勃起しないのは何故だろう。
試しに弟が寝ている隙に、私の下着(使用済み)をありったけ布団の中に突っ込んでおいた。好きなだけオナッてほしい。
下着がないので全裸で過ごすことにした。弟が興奮して襲ってきた時に全裸なら都合が良いし。
弟が部屋にくるまで紅茶を飲んで待つことにしよう。
5月16日(日)
弟が一向に襲ってこないので、積極的に女の魅力をアピールするために全裸で弟の部屋に行った。
弟が可哀想な人を見る目で私を見るものだから、つい濡れてしまった。弟はSに違いない。
5月18日(火)
今度からちゃんと確認してからトイレに入ろう。
5月19日(水)
弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟
弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟
弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟弟
5月20日(愛らぶ弟)
昨夜の記憶がない。何かに失敗した気がする。負けてはならない。姉たるもの常に弟に勝る存在であらねばならないのだ。
強くなるためにボクシングを覚えよう。弟のボクサーパンツを履いただけで世界最強になった気がした。
5月21日(愛してるよ弟)
弟と映画を観た。映画というより弟を観ていた。どうして弟の横顔はこんなにイケメンなのだろう。
正直見ているだけで3回イッた。
374 :
姉ダイアリー:2010/04/04(日) 15:42:27 ID:qkifLmii
5月22日(妹死ね)
我が家には妹という名の愛らしい赤の他人がいるわけだが、まあ姉より優れた妹など存在しないのが宇宙の法則である。
そんな妹だが、最近弟に急接近してきて始末しようかどうか悩んでいる。
今日も弟と一緒に映画を観に行くという私の二番煎じな愚挙を犯したわけだがどうしてくれようか……。
5月23日(バッファロー)
いくら弟といえど、バッファローマンだけは譲れない。カツラだけどヘルメット超人よりはマシだ。
それにしても妹が許し難い。弟の隣に座ってベタベタしている時の顔がカワイイのも憎たらしい。
妹のジュースに下剤を入れてやった。トイレットペーパーのないトイレで絶望を味わうがいい。
5月24日(弟のパンツ58枚目)
弟と一緒に帰る至福の一時を妹に邪魔される。本当にどうしてくれようか。
5月25日(弟の乳首を吸いたい)
妹がツンデレだったというのは知っていたが、ちょっともうツンデレとか古いと思う。計算ずくでやっていたに違いない。
弟の部屋から弟のワイシャツを着て出てきた妹の可愛さに殺意が湧いた。男心をくすぐる方法を心得てやがる。
悔しかったので裸で弟の部屋に飛び込んでやった。弟は姉の所有物なのよ。
5月26日(おねーちゃん最高)
姉という至高の存在は唯一無二の究極的なものである。これは宇宙創世の頃からの常識であり、銀河の果てまで常識として知れ渡っている。
ブッダも釈迦もキリストも、ナポレオンも関羽もローマ法王もディカプリオも家康も孫悟空も認めている。
学会でも姉の偉大さと宇宙の法則について証明され続けているわけで、姉とは素晴らしい存在であることはもはや言わずもがなである。
つまり弟は思う存分姉である私に甘えさせるべきであり、姉である私に甘えてもいいのだ。
むしろ姉の偉大さと崇高さをより深く知り、悟りを開いて私の開いた股を受け入れたりするべきなのだ。
という内容の論文(原稿用紙約八百枚文)を提出したら教授に怒られた。長すぎたかな?
5月27日(ちょっと裏にこい、妹)
弟のパンツは姉のもの。この常識を妹に叩きこんでやる。
5月28日(殺)
珍しく妹と意見が合った。チャゲアスみたく二人でヤーヤーヤーとか歌いながら標的を殴りに行った。
5月29日(ハァハァハァハァ)
しょんぼりしている弟が本当に可愛い。弟を慰めながら自分を慰めたりしてパンツ濡れっぱなしだった。妹、お前は邪魔だ。
375 :
姉ダイアリー:2010/04/04(日) 15:44:04 ID:qkifLmii
5月30日(母さん、今度はスペインね)
母は尊敬する良い親であるが、さすがにそれとこれとは別である。姉は邪魔者には容赦しないのだ。
父は今頃タンザニア辺りで何をしているのだろうか?
5月31日(弟のパンツ60枚目)
弟が風呂に入っていたのにうっかり間違えて入ってしまった。姉だって間違えたりするのよ、弟。
お詫びに背中を流してあげたり頭を洗ってあげたりと楽しい一時だった。
だが妹、テメーは駄目だ。弟と風呂に入るのは姉だけの特権よ。
6月1日(弟の寝顔だけで丼三杯目)
弟が学校に行っている間が不安で股関が落ち着かない。
弟には悪い虫がしょっちゅう寄ってくる。思春期の弟に悪影響を及ぼす存在がうようよいる場所に弟が一人きりでいるのだ。
ああ、考えただけで不安になる。弟は無事だろうか?
6月2日(キャッキャウフフ)
弟のパンツを被ったり履いたりして一日を過ごす。弟の下着と衣類に囲まれながらフィーバーしているだけで幸せになれる。
フィーバーしすぎて弟の部屋に全裸で飛び込んだら、妹が半裸でフィーバーしていた。お前もか。
6月3日(弟会議)
交渉決裂。姉より優れた妹など存在しないということをもう一度叩きこんでくれるわ。
6月5日(また失敗)
弟が熟睡している時は布団に侵入しても起きないのだが、ナニかしようとすれば起きてしまう。
そんな時の弟は機嫌が悪く、パロスペシャルの餌食になったりジャーマンの餌食になったりしてしまう。
今日で通算172回目の失敗だ。ただちょっとチンコ舐めたいだけなのに……。
6月6日(妹のくせに生意気だ!)
妹ばっかり弟に優しくされて妹はずるいと思いまーす! 弟はもっと姉に優しくすべきだと思いまーす!
6月8日(弟最高!)
弟に私のおっぱいを揉ませてみた。土下座して泣きながらお願いしたら揉んでくれた! 超気持ちイー!!
プライド? 姉のプライドは世界一ですがなにか?
6月9日(弟記念日)
今日は弟の誕生日! 弟が地球に生誕した奇跡を祝う日であり、私が一年で一番本気を出す日だ。
とりあえず媚薬入り生クリームで全身をコーティングして、リボンで全身を縛って甘い姉をアピール。
弟の欲しがっていたパソコンに姉データを詰め込んでプレゼント。更に弟のためにおこずかい『百万姉円』も用意した。
妹は不慮の事故で入院しているし、両親は不在。二人きりの甘い夜ね。
さあ、弟。思う存分かかってきなさい!!
投下終了です。調子こいてまた書いてすいません。ROMに戻ります。
うん。
これは面白いな。
いい
絶望の世界っぽい
ID:qkifLmiiの頭がおかしすぎるw(褒め言葉)
しかし俺は妹派
続きを待つ
本懐を遂げたら、姉が逆腹上死しそうな勢いです。
GJ!
妹編も気になる
大変面白い。ぜひキモウト編もよろしく
ちなみにお前らの想像だとこの姉貴はどんな姉だ?
髪の長いキリッとした身長170くらいの美人姉と中学生に見えるロリ姉で全然イメージ違うだろ
385 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/06(火) 03:24:51 ID:zgtZbKXm
チャゲアスでワロタw歌詞もそれっぽいw
もっと激しく斬りつけてください!出来れば回転ノコを希望します …だっけ?
誰か保管所更新してくれる者はおらんかね
義理だけど。龍が如く4にキモウトが。
規制のせいか過疎ってるね
この隙に幼なじみの家に遊びに行こうかな
行ってもいいですが、家には誰もいませんよ?
>>390お兄ちゃんがストーカーしてるから、
幼なじみちゃんはセキュリティーの堅い病院に、入院しちゃったのよ!
そして目標を見失った空虚感溢れるお兄ちゃんの心は、
おはようからおやすみ中まで私が埋めるわっっっ!
まじかよ糞箱買ってくる
ゲハでキモウトネタはさすがに出来まい
小ネタ投下します。
たまにはキモ姉ものでいきます。
私、薬学部3年・大道寺麻美!!
ごく普通のJD(女子大生の略)な私には何にも変えられない大切な人がいる。
私の可愛い可愛い可愛いかわいいかわいいくぁあいいkわいいかwあいあkwあい@………ゴクン……ふぅ。
私の可愛い弟・正幸のことだ。
7つ離れた弟は今年で中学2年生。
サッカー部でレギュラーを取ったと嬉しそうに報告してきた先日のことを思い出すだけでヨダレが垂れてしまう。
もうとにかくやる事なす事可愛くって仕方がないのだ。出来ることなら24時間ずっと引っ付いていたい。
でもそれは無理な話。私も弟も今は学生であり、将来のために勉強をしなければならない身だ。
だから朝、駅で別れる弟を見送った後はとても憂鬱になってしまう。まるで体が引き裂かれたかのような感覚。
涙で視界は曇り、このまま線路に落ちて死んでしまいたいとさえ考えてしまう。
そんな時、私は『友達』に助けてもらう。
トートバッグからドラッグボックスを取り出し、震える手で蓋を開けるとそこには色とりどりの友達が私を励ましてくれていた。
『おはよう、麻美ちゃん! 今日も悲しそうな顔をしているね』
「うん、悲しいの」
『元気を出して麻美ちゃん! 僕達がついてるよ!』
「うふふ、うん。ちょっと元気出た」
『フレーフレー、あ、さ、み! 頑張れ頑張れ、あ、さ、み!!』
『負けちゃ駄目よ麻美ちゃん! ほら、今日も私達が力を貸してあげるから!』
「み、みんな……うん! 私、今日も頑張るよ!」
私はボックスからお友達の一人、リタリン(注1)を数錠取り出し口の中へ入れる。
『俺に任せな!』
そう言ってリタリンは威勢よく手を振りながら私のお腹へ消えていった。
『次は僕だ! 今日も力を貸すぞ!』
『待って! 私だって麻美ちゃんの力になりたいの!』
「みんな……!」
トレドミン(注2)が、レキソタン(注3)が、私の中に入り力をくれる。
そして最後に残ったアナフラニール(注4)も優しく微笑みかけてくれた。
『麻美は一人じゃないよ! 僕達は友達じゃないか!』
「うん……うんっ……!」
私の大切な友達。弟とはまた少し違った彼らとの絆が私に勇気とエネルギーを与えてくれる。
そうd、今日も一日がんばrう。だttとmだちがwあーs@だhゆmmさいwpkいたばばばbbbbbbbbbbbbbbbb
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bbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb
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★★大道寺麻美のワンポイントメモ★★
(注1)リタリン……どんなに鬱っててもモリモリ元気が沸いてくるの! 日本では合法よ。
(注2)トレドミン……効力は薄いけど副作用はほぼ無し! 安心の抗鬱薬よ。
(注3)レキソタン……精神を安定させるのならコレが一般的! 入手も簡単なのもポイント♪
(注4)アナフラニール……抗鬱薬の中ではちょっときつい方かな? 用量を守って服用してね。
サッカー部に所属している弟はいつも帰りが遅い。というわけで私は弟が帰ってくるまでは暇なのである。
「寂しいなぁ……グスン、恋しいなぁ……」
弟の部屋、弟の布団でオナニーしながら私はただひたすら帰りを待つ。
夕食の準備もお風呂の準備も整っている。あとは弟が帰ってくるだけなのに。
「ああ……正ちゃん、正ちゃんの枕クンカクンカ……。んっ、だめっ……止まらないよぉ……」
結局弟が帰ってくるまでに3回達した私だったがまだまだ足りない。やっぱり弟そのものが欲しい。
「おかえり正ちゃん」
部活から帰ってきた弟は見るからにヘトヘトだった。
荷物を玄関に置き、私の肩に捕まるようにしてリビングへ移動する。
「ヤベーわ……。テスト明けで全然練習してなかったから体中が痛い……」
どうやら部活で散々しごかれたようだ。ここは姉として疲労困憊の弟を介抱するのが当然だろう。
「ま・さ・ちゃん♪ だったらいいものあるよ!」
近くに置いてあるドラッグボックスを漁り、私は弟にエペリゾン(注5)を手渡す。
だが弟はうんざりした顔で私と薬を交互に見るとプイッと視線を逸らした。
「あのな姉ちゃん、前々から言ってるけど姉ちゃんは薬に頼りすぎだよ。完全に中毒になってるじゃねーか」
「そ、そんな中毒だなんて。あっ、ほら、エペリゾンも言ってるよ。私を飲んで元気出して≠チて」
今度は手で目を覆う弟。はぁぁ〜、と大きくため息を吐くその仕草も可愛らしい。
「だめだこりゃ……。あーもーなんか眩暈してきたわ……」
「眩暈!? 眩暈がするの!? だったらほら、トラベルミン(注6)もあるからコレと一緒に―――」
「いい加減にしろよッッ!!」
ついに弟は怒鳴りだしてしまった。赤い顔で私を睨み付け、ヨロヨロと立ち上がる。
「ああもうウンザリだッ!! 薬を飲むなら一人で飲めよ! 俺を巻き込むな!!」
「あ……わ、私はただ……」
「もう寝るから! こんな薬ばっか見せられちゃ食欲も沸かねぇよ!!」
激しく叩きつけるようにドアを閉め、弟は自室へ戻っていった。残された私は自然と涙が溢れる。
眼と股間から溢れ出した涙が衣服を湿らせる。え? 股間? ああ、私はMだから。
「うう……今日は正ちゃんの大好物のハンバーグを作ったのにな……」
弟は14歳。まだまだ思春期真っ盛りで難しい年頃だ。こういうこともあるだろう。
「ぐすっ……後で謝りに行かなきゃ……」
一人寂しい晩餐をしているとドアが開き、弟が入ってきた。私と目を合わせず席に着く。
「……ちょっとだけ、食欲沸いたから」
その瞬間、私はエフィドリン(注7)を過剰摂取したときのように心が沸いた。顔を赤らめる弟がなんともいじらしい!!
「すぐに温めるね!!」
お手製のハンバーグにご飯、それとドグマチール(注8)を添えて弟に持っていく。
一発ぶん殴られたが食事は残さず全部平らげてくれた! 嬉しい!!
★★大道寺麻美のワンポイントメモ★★
(注5)エペリゾン……強張った筋肉をほぐしてくれるから、スポーツマンな君は熟考の余地あり!
(注6)トラベルミン……眩暈をよくするそこの貴方! 一錠試してみてはいかが?
(注7)エフィドリン……いわゆる一種の興奮剤のことね。キタ━━━(゜∀゜)━━━!! ってな感じになるわ。
(注8)ドグマチール……食欲がない時、そんなあなたの役に立ちたい!
なんなんだあれは。
なんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよ
なんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよ
なんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよ
なんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよ
なんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよなんなんだよ
わたしきょうおくれてかえった。
いえのまえでおとうととおんながたっていた。
たのしそうにおしゃべりをしたあとくちびるとくちびるがくっついた。
わたし、ひきかえした。
えきまえのTSU●AYAにはいった。
さっきソラナックス(注9)のんだ。
きっとそろそろおち着いて考えることが出来ると思う。あ、だんだん落ち着いてきた。
結論。十中八苦あの女は弟に擦り寄る女狐だろう。
私しか知らない弟の唇の味を味わったなんて。許せない。テトロドトキシン(注10)あたりでぶち殺してやろうかしら。
いや、それよりもまず優先すべきは弟の事だ。万が一あの女に惚れでもしたら大変な事になってしまう。
私というものがありながら他の女に惚れる、なんてことはまずは無いだろうが念のためだ。
「どうしよう……どうしよう……どうやって正ちゃんの心を……」
店内をウロウロとしているうちにいつの間にか子供向けのDVDコーナーへ来てしまったようだ。
ふと視線を移し、一際目立つ場所に置いてあるDVDを手に取る。
『近親戦隊ソウカンジャー 第1姦』
「近親……ソウカン……」
頭の中で何かがはじけた気がした。コレは、今の私に最も必要なものなのではないのだろうか、と。
パッケージの裏にはこの作品のキャッチフレーズが書いてある。その言葉が私の心に染み入ったのは言うまでも無いだろう。
――― ガチロリ? 妹? だから何? 愛の前では法など無力 ―――
私はトートバッグを確認する。
ベンゾジアゼピン(注11)が、エビオス錠(注12)が私にガッツポーズをした。
コクリ、と一つ頷いて私は駆け出す。もっと速く、もっと高く!
正幸。お姉ちゃんね、今帰ったら貴方にいの一番に伝えたいことがあるの。
薬漬けセックスも気持ちいいものなのよ≠チて――――――
おわり
★★大道寺麻美のワンポイントメモ★★
(注9)ソラナックス……落ち着かない時ってあるよね。でもコレならそんなのもへっちゃらだゾ!
(注10)テトロドトキシン……よく水に溶けるから殺りやすいの。効力は青酸カリの850倍なんだって! 凄いよね!
(注11)ベンゾジアゼピン……催眠状態になって「細けぇことはいいんだよ!」状態になるのだ!
(注12)エビオス錠……精欲向上! すごい! ドッバドバやぞ! ドッバドバやぞ!
終わりです。
薬物の説明は曖昧なので信じない方がいいかもしれないです。
これはひどい(褒め言葉的に)
GJ
薬ネタ自重しろwwww
邪な感情を薬で抑え込むなんてなんて健気なキモ姉なんだろうか(違う)!
ともかく薬依存属性持ちのキモ姉のダメさ加減がなかなかえがった。面白かった。
あとどっぱどぱってワクワクする語感だよね
>>397 GJ!毎日のようにエビオス錠を飲んでいた中学時代を思い出したぜ…
>>394 買ったばかりのゲーム機に夢中の兄とそのせいでかまってもらえない兄大好きな妹
1日2日と日は経てど一向に兄は飽きる気配を見せない
『こんなものさえなければ』
そう思いつつも買ってきた日の兄の笑顔を思うと壊してしまうこともできない
同時に兄の顔を思い出しただけで濡れてきてしまう
「ぁぁ…兄さん…兄さん」
自分を慰める妹
だが治まらない
ふとあのゲーム機が目に入る
兄が触れたコントローラー…
…こうですか?わかりません
ていうかこれはキモウトではないか
弟の爪の垢を煎じて飲みたがる姉
薬を常備しすぎだろwwwwwwww GJ!!
>>397 キモイヨキモイヨ-GJ
>>403 X箱とかPS3とかWiiだったら兄と一緒にプレイすればいいんじゃね?
携帯ゲームしかもラブプラスだったら手遅れなので叩き壊したのち逆レイープ
実力行使あるのみ
ひょっとしてその兄がやってるゲームってPS2版みずいr
いやなんでもない
おっぱいおっぱいおっぱいいいいいいい
友達がキモウト対策で「女の子には興味ない」と言ったら…
一週間かけてねっとりしっぽりぐっちょりと
おにゃのこの味を覚えさせられましたとさ
>>397 イッちゃってるね(笑)
GJです
でもソウカンジャーのDVDって、キッズコーナーではなくカーテンで区切られたコーナーでわ…
キモウトは勇気を出して主人公に告白するが
激しく拒絶され、事実を知った家族からも軽蔑され家を追い出されてしまう。
それから数カ月後、主人公は不慮の事故から記憶喪失になってしまう。
そこに、どうしても心配になったキモウトがお見舞いに来るが、
主人公はその姿を一目見て恋に落ちる。
キモウトもそんな兄を見て、私はあなたの彼女だと嘘をつく。
そして、しばらく二人でつかの間の恋人生活を送る(さまざまな情報操作をしつつ)
しかし、ある日突然主人公は記憶が戻って・・・
みたいな話を文才ある人誰か書いてください
とりあえず三月のライオンでも見ようず
>>399 弟「パネェwwwパネェwwwww」ビクンビクンッ
マンションからフライした窪塚○介みたいな弟を想像したわ
先着一名様に豪華キモ姉妹をプレゼント!
誰でもいいからうちの姉妹達を嫁に貰ってくれ!
(それぞれ姉と妹を揃えております)
@甘え系キモ姉妹
→→「弟くぅ〜ん♪ なでなでしてあげる♪」
・甘やかしてくれます。(妹の場合は甘えます)
・巨乳です。
A束縛系キモ姉妹
→→「ふふふ、兄さんが私以外の女と会話するなんて許さないからね」
・離れていると一分毎に電話が鳴ります。
・女の人と喋ると部屋に監禁されます。
Bダメ系キモ姉妹
→→「うう……お姉ちゃん、弟くんがいないと生きていけない……」
・兄(弟)に強く依存しています。
・何をやらせても失敗します。
Cツン系キモ姉妹
→→「バカッ! お兄ちゃんなんか大っ嫌い!!…………チラッ」
・目が合えば罵声が飛んできます。
・でも彼女を作ろうとすると妨害してきます。
D電波系キモ姉妹
→→「ジョムジョム神のお告げでは私達が結婚することで世界は救われる」
・訳のわからないことを言ってきます。
・前世や来世では恋人同士だったようです。
Eクール系キモ姉妹
→→「最低ね兄さん。きっとこの先私以外の女には見向きもされないんでしょうね」
・感情を表に出しません。
・口喧嘩が非常に強いです。
F猟奇系キモ姉妹
→→「あはははははははははは弟に近づく女はみんな●してやるるるる」
・基本的に強行手段を使います。
・逃げ出すのなら足の一本は覚悟しておいて下さい。
Gお嬢様系キモ姉妹
→→「兄様、契りを結びとう御座います」
・温和で礼儀正しいです。
・一度スイッチが入ると止められません。
>>415 そのハーレムはとりあえず2番がヤンデレ化するぞ
あ、1番の姉はもらって行きますね
なんでお前ら『そんなキモい姉妹いらねぇ』って発想がないんだよ……
俺はみつあみメガネの図書委員な普通の姉妹がほしかったなぁ
全てのキモ姉妹が貰われていって安堵した
>>414だった
が数日後、
>>414の家の前には8組の姉妹の姿が…
「よお、兄弟!今日も帰ってくるなり自家発電態勢か」
「おい姉妹、携帯で2chは自分の部屋でやれ、
人の布団の上に寝転がってすなっ!」
「視覚に頼った二次元だけでは飽きるだろうと思い、
若い娘の体温と香りを布団に移してやっておったところだ、ケッ」
「温くていらん臭いがして生々しくて萎えるわ、
さっさと退去しる!クソッ」
「激しく励めよ!じゃなpgr」
っつう思春期の少年少女らしい言葉のキャッチボールが大事だ。
姉か妹がいたらモテそう
キモウト、キモ姉がいたらもっとモテそう
姉は俺が生まれた時には既に故人だったがキモ姉だったかもしれないと思うとゾクゾクする
>>421 不謹慎かもしれんが恐らく名前を変えて監視してると思われ
423 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/09(金) 21:32:04 ID:y2KZDkfR
マジか。この世界のどこかにまだ見ぬ妹が…ちょっと市役所行ってくる!
ナマ足魅惑のお姉ちゃん!
キモ姉がキモウトに転生……その発想はなかった
このスレは凄いな
住民が全員荒らしだ
初めて聞いた。それは凄いな
429 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/10(土) 04:49:23 ID:YE+09yXT
何を今更www
兄が弟として転生するのはあった気がする。
お姉さんぶる妹ってのは至高だと思うんだ
>>403 >>411 nice plot...
俺も晒してみるか
小学生の頃からそれなりに学業はこなせるが、友達をつくるほどのコミュニケーション能力はなく、会話が弾むのは家族だけ。
そんな典型的ぼっち症候群の兄は、警察官or医者になる頃には自分が幸福になるのを諦め、
他人を幸せにすることにささやかな喜びを感じる人間になっていた。
一方、ただひたすら兄の幸せを願ってきた依存系キモウトは、常識人の兄に迷惑がかかるのを恐れて自分の心を押し殺し、
ひっそりとした大学生活を送る。
どちらかが相手の心を察すれば一瞬即発という危うい状況で兄の献身的な態度に惚れ込んだという女性が現れる。
まさか自分にも幸福が訪れるとは!と大はしゃぎして社会人になるまでの心情をキモウトに打ち明ける。
一足先に想いを伝えていれば献身的な人生を送ろうと諦観していた兄は受け入れてくれたという事実に衝撃を受けるキモウト。
兄を盗られた怒りと想う気持ちと祝ってあげるべきだと訴える理性の狭間でキモウトは…
みたいな電波を誰かもの好きな方がいたらssに変換してくれません?
昔、友達に「お兄ちゃんが居るから」が
口癖のヤツが居た
>>430 保管庫にあるレインカーネイション(英語表記)だと思うよ!
801板へどうぞ
兄、女、弟
↑こんな3人きょうだいがいるとして、女が兄×弟でハァハァするとしたらこれってキモ姉妹?
いや、キモいにはキモいがそうではなくだ
過去にホモの流れで荒れたのに、またやろうってのか?
んじゃまあ話題を変えて…
想いの対象がキモ姉→弟(キモ兄)→普通の妹とかはどうだろう?
姉と妹は逆でもいいけど
書き方によっては相当面白くなるかもね
姉は弟萌え、弟は妹萌えで妹はクールとかね
妹の性格をいじってみても良いし
441 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/10(土) 23:28:07 ID:YUMK1gUO
派手
442 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/10(土) 23:56:13 ID:YUMK1gUO
すっご いっぱ
ん?
sageような
いつもの人でしょ
sageてるのみたことないけど
ちょい質問
男1女3の割合の兄弟で、
3姉、2姉1妹、1姉2妹、3妹の4パターンだったらどれがいい?
SSのネタにしてみる
個人的には
1姉2妹
3妹か1姉1双子1妹
2姉1妹
1姉2妹
みなみけをこの視点で読んでいたことに気づいた
>>447 姉双子妹いいかも
時間かかるかもしれんが書いてみる
452 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 21:38:49 ID:ikV+OEFk
待ってるだよ〜
自重しろ
まあ落ち着け
457 :
451:2010/04/13(火) 05:37:50 ID:n0A6BEnP
SSとか全然自信ないけどやってみる
458 :
花鳥風月:2010/04/13(火) 05:39:15 ID:n0A6BEnP
母親は僕が12歳のときに亡くなった。
4人の子宝に恵まれ、父親がいないこと以外は何不自由なく生活していた僕らを突然襲った悲劇は、5年経った今でも忘れられない。
女手一つで4人の子供を育てていくことがどれだけ大変か、それが何となく分かったのは最近である。
親孝行の一つもできずに死んでしまった母を思うと、いかに自分が愚か者であるかがわかってしまい自己嫌悪に陥ってしまう。
それと同時に、物心ついたときから行方が分からない父を激しく憎んだ。
母は僕たち4人に見守られ、笑いながら息を引き取ったが、最期の台詞は僕らに向けられたものではなかった。
―――あなた……
父が今どこにいて、何をしているのかは分からない。ひょっとしたら生きてさえいないのかもしれない。
母も、姉弟の中で唯一父の記憶を持つ姉も父のことを語ってはくれなかった。
無理やり姉に問いただしたこともあったが、父の所在は姉にもわからないという。
ただ父の話をする時、姉の顔は酷く悲しそうになる。そういうわけで、僕は次第に父のことを聞くのはやめた。
今の僕には大事な家族がいる。それだけで十分なのだ、と自分に言い聞かせ、父のことは心の奥にとどめておくことにした。
母の死から、僕らは4人での生活へと移っていった。
親戚からは一人だけでもうちに来ないかと誘われたが、姉は4人一緒にいることと、母の記憶が残るこの家を捨てることは出来ない、
と親戚からの誘いを断り、高校を中退して働き始めた。
その姿は僕ら3人には母の代わりに思え、幼いながらも僕達は自分にできることを手伝い始めた。
そんなこともあってか、今では僕らは同年代より大人びた人間へと成長した。
ではここで僕ら姉弟を紹介しておこう。
僕らの長姉・天地 結花(あまち ゆか)。
現在23歳、とある中小企業でOLをしており、働き始めが早かったせいかそこそこの給料を貰っているようだ。
自らの家庭事情を社長および社員が知っている為か、残業は殆ど無く飲み会などにも滅多に行かない。
清楚な振る舞いと器量の良さから、様々な男性から告白ないしプロポーズを受けているが、首を縦に振ったことは一度も無い。
僕ら3人を立派に育て上げるまでは結婚など考えられない、というのが姉の口癖である。
3人のうち、僕ともう一人は双子である。
双子の姉(妹)・天地 美鳥(あまち みとり)、そして僕・天地 風太(あまち ふうた)。
小さい頃は何をするにも一緒で、片方が離れるとどちらともなく泣き喚いたという程、仲はいい。
現在もべったりではないが、基本的にはよく行動を共にしている。
普段は僕に対して姉のように振舞うが、急に妹のように甘える美鳥は一緒にいて飽きが来ない。
流石にアルバイトまで僕と同じ所にしたのには驚いたが、同時に心強くなったのも事実だ。
僕自身は女系家族で唯一の男ということもあり甘やかされて育った為か、もの静かで競争意欲に欠ける部分がある。
そういうわけで、気が強く負けず嫌いの美鳥とは中々相性のいいコンビだったりする。
最後に末の妹・天地 菜月(あまち なつき)。
末っ子ながら落ち着いた振る舞いと冷静な判断力、そして高い学力と我が家の家事を取り仕切るスーパーガールである。
現在13歳。がしかし知能的には姉弟4人の中でトップクラスであり、菜月の言うことには僕は頭が上がらない。
美鳥とは相性が悪いらしく喧嘩が多いが、比較的僕には良く懐いてくれている。
滅多に笑うことはないが頭を撫でてやると気持ちよさそうにする為、こういうところは歳相応なのだと思う。
459 :
花鳥風月:2010/04/13(火) 05:40:32 ID:n0A6BEnP
そんな僕ら姉弟は、一般の人たちとはほんの少し違うだけのごく普通の家族だと思っていた。
こんなささやかな幸せがずっと続く、と僕は無意識に思っていたのかもしれない。
4月某日、放課後に手渡された一通の手紙を機に、僕達の関係は少しずつ歪になってゆくことを僕は知るはずがなかった。
「天地君、はいこれ」
とある公立高校の2年B組に所属する僕は同じクラスメートの来嶋 那海(きじま なみ)から一通の手紙を受け取る。
「……? 来嶋さん、これって」
「家に帰ったら読んで。それじゃまた明日」
手早くそう言い残すや否や、鞄を持って教室から出て行ってしまう。
普段から無口なほうではあるが、同じ図書委員ということもありクラスの女子の中では最も多く話す相手だ。
(これって……もしやラブレターってやつか?)
人生17年、家族以外の異性からアプローチを受けたことがなかった僕はすっかり舞い上がってしまった。
何となくこれは秘密にしておいたほうがいい、と自己解釈をして美鳥が迎えに来る前に手紙を鞄に突っ込んだ。
しばらくすると、ホームルームを終えた美鳥が教室に入ってきた。これから揃ってバイトに行くのである。
「お待たせ。じゃあぼちぼち行こうか」
美鳥は2年H組で、僕の教室からはかなり遠い。待ち合わせは昇降口にしようと何度か提案したが、美鳥はわざわざこの教室を選んだ。
そんなわけで、僕らはクラスメート達から何度もからかわれている。
やれおしどり夫婦だの、やれ通い妻だの、やれ禁断の愛だの……。
言われるたびに僕はゲンナリとするが、美鳥はまんざらでもない様な顔をするので余計に被害が拡大してしまう。
そして今日も、何人かにからかわれながら僕らは揃って下校した。いつまで経ってもコレには慣れない。
「今日のバイトのシフトって何時からだっけ?」
「えーと、17―22だったかな。今日はリーダーの加藤さんが―――」
他愛もない会話をしながら電車に乗り込む。この時間は近隣の高校との下校時間と重なる為、車両が満員状態になる。
人の波に流されながら、僕らはドア側の角へ滑り込んだ。扉が閉まり発車する。
「ほら風太、もっと寄りなよ」
美鳥が腰に腕を回して引き寄せる。胸から膝までが密着し、お互いの吐息が交差するほど近づいた僕らは傍から見れば恋人同士に見えるのかもしれない。
こういった密着は日常茶飯事であるが、美鳥は同年代に比べて発育が良いほうなので欲情はせずとも意識はしてしまう。
「美鳥、くっつきすぎじゃ」
「えー? 今更恥ずかしがる間柄じゃないじゃん。そ・れ・と・も、ムラムラしちゃった?」
「いや、そうじゃなくて……。周りの視線が痛いんだよ」
肉付きが良く、明るく美人は美鳥は学校内外関わらず男の視線を集めることが多い。
似たような顔つきの僕は逆に全然モテないところを見ると、この顔は男受けのするタイプなのだろう。
たしか一回、道端で太ったおじさんに女装してほしいと舐めるような視線で言われたことがあった。
というわけで、僕らの密着状態は周囲の生徒(特に男)に奇異や嫉妬の目で見られることになるのだ。
「ふぅん、私は特に気にならないけどなぁ。どうせならもっと見せ付けてもいいかなってくらいだし」
言うが早いか、電車の揺れに合わせて更に身体を密着させ、柔らかな肉体をグリグリと擦り付ける。
男としての本能か、胸や太ももの感触が快感を呼び下半身に血が溜まってゆく。
「ちょっ、美鳥っ! 待って!」
「まあまあ、もうちょいで駅に着くんだしそれまで、ね」
悪魔の微笑みを見せ、その動きを止める事はしなかった。だんだんと下半身の肉棒が硬度を増していく。
(くそっ……からかって遊んでるのか!? こっちはもう限界だってのに……!)
結局、駅に着く頃には僕は硬くなったアレを押し付ける形になってしまい、バイトの間はずっと美鳥とは口をきかなかった。
460 :
花鳥風月:2010/04/13(火) 05:41:45 ID:n0A6BEnP
「だーかーらー、ゴメンってば! ほらこのとーーり!」
バイトの帰り道、美鳥はしきりに謝ってきたがその顔はなぜかニヤニヤしていた。とても誠意が感じられない。
「まあ、ほら、あれだ。風太も男子高校生なんだからアレは生理現象なんだって。風太は何も悪くないからさ」
そんなことを言っても僕は立ち直れない。何より実の家族に欲情してしまった自分に一番腹が立っていたのだ。
「それにしても……私でも風太を興奮させることができるのかー……。なんなら割り切ってさ、今夜から私が風太の性欲処理を―――」
「大きなお世話だっ!!」
からかっているのかマジなのか、一体どこに実の双子同士で愛し合う奴らがいるというのか。
そうこうしている内に家に到着した。古めかしい外見だが、母との思い出が残る大事な家である。
「ただいま」
若干立て付けの悪くなったドアを開けると、パタパタと足音が近づいてきた。
「お帰りなさい、兄さん」
妹の菜月である。エプロンをかけ、菜箸を持っているところを見ると晩御飯を温めなおしてくれていたようだ。
姉譲りの綺麗な顔立ちと黒縁の可愛い眼鏡が上手く組み合わさり、何とも知的な印象を与えている。
「今炒め物を温め直してるから。少し待っててね」
「ん、ありがと菜月」
わしゃわしゃと頭を撫でてやると子猫のように目を細める。何となく先ほどのイライラが解消されていったように感じた。
「おいこら菜月、美鳥お姉様には挨拶は無しかい?」
そんな僕らの間にズイッと割って入る美鳥。何というか、絶望的に空気が読めていない気がする。
撫でられるのを中断された菜月はムッとした目で美鳥を睨みつける。やはりこの二人の相性は最悪なようだ。
「挨拶して欲しければ先に挨拶するのが常識でしょ。馬鹿なの? 死ぬの?」
「死ぬのはあんたよ菜月。どうやら年上に対する礼儀がなっていないようね」
「年は上でも馬鹿だもん。正直礼儀って単語が美鳥から出たのが信じらんないレベル。拍手ならしてあげるけど」
「……なるほど。どうやら拳をもって躾をしないといけないらしい。眼鏡は外しておいたほうがいいわよ」
いつも通りの展開。毎度毎度帰宅のたびにこのやり取りは行われており、僕は黙ってリビングへ行くしかない。
どうせこの後の収拾は姉がつけるのだから。
「あんた達、ガチマンがしたいなら表でやってちょうだいな。なんなら朝までどうぞ」
結花姉の登場によりこの戦闘は一旦幕を閉じる。なんだかんだで家の中で最も強いのは結花姉なのだ。
「私は別に戦いたいわけじゃないわ。半知的生命体に対する好奇心が疼いてちょっとコミュニケーションを取っていただけよ」
「ねえ菜月、賭けをしましょうか。あんたが今夜安眠できるかどうか」
晩御飯と風呂を終え、僕は自室へと向かった。今は確か美鳥が風呂に入っている。
隠さねばならないわけではないが、何となく一人で読みたかった。今日、来嶋那海から貰った手紙を。
僕と美鳥は同じ部屋を使っているため、一人になる時間はこういった時しかない。
鞄を弄り手紙に手を掛ける。と、不意に部屋の扉がノックされた。
「兄さん、勉強を見てもらいたいんだけど……」
菜月だ。最近はほぼ毎日何かしらの問題を僕に見せに来る。
頭がいいくせに頻繁に僕に教えを請うのはどういうわけなのかは分からないが、無碍に追い返すわけにもいかない。
「ん、入っていいよ」
パジャマ姿の菜月が入ってくる。僕が菜月くらいの頃は、こんな時間まで勉強なんてしていなかったと思う。
それでも学年で上位の成績だったのだから、菜月が学年で1位の秀才というのも頷ける話だ。
「遅くにごめんね。この連立方程式の問題がよくわからなくて……」
「ああ、これはな……」
そんなに厄介な問題でもないのだが、秀才というものは逆にこういった平凡な問題に躓くことが多いのだろうか。
なるべく分かりやすく教えてやり、菜月が理解をすると頭を撫でるのはお約束事項だ。
(ひょっとして僕に撫でられたい為に毎晩部屋に来てるとか? ……はは、まさかな)
目を閉じ、頭を僕の胸に預けた菜月は小さな小動物のようだ。その姿に胸が熱くなった。
461 :
花鳥風月:2010/04/13(火) 05:43:54 ID:n0A6BEnP
「はい、そこまで。もう電気消すから」
いつの間にか部屋の電気のスイッチに手をかけていた美鳥がパチッと音を鳴らす。
部屋の電気が消え、僕の机の蛍光灯の光に照らされるのみとなった僕はフッと我に返った。
「ほらほらほらほらどいたどいた! お子ちゃまはおねんねの時間ですよー」
僕に体重を預けていた菜月を引き剥がし、抵抗を受けながらもグイグイと強引に部屋から追い出す。
「はいお休み、また明日。文句なら太陽さんに言ってくれ」
バタン、と扉を閉めベッドに倒れこむ。あまりのスピーディな展開に僕はポカーンと口を開けていることしかできなかった。
と、机の上に菜月のノートが目に入った。これって明日学校で使うんじゃ……。
「何もあんな強引に追い出すことないだろ。このノート置きっぱになっちゃったじゃないか」
「菜月ならノートがなくても大丈夫よ。なんたって脳に直接書き込んでるからね」
やれやれ、と大きくため息を吐きノートを持って部屋を出る。後ろで美鳥が何か言っていたが無視した。
菜月はもうベッドに入って寝ていた為、ノートを菜月の鞄の上に置いて部屋に戻った。
と、ベッドに倒れていたはずの美鳥が僕の机の前で何かを見つめている。
「美鳥?」
「風太、コレ何?」
美鳥が見つめていたのは放課後に来嶋那海から貰った手紙だった。
さっき取り出そうとした際、鞄から少しはみ出た状態で放置してしまったのだろう。
「もしかしてラブレター?」
「いや、分からないよ。僕もまだ中を見てないし」
「私にも見せて」
女の子は色恋沙汰に興味津々とはよく言うけれども、美鳥もその例に漏れなかったようだ。
何よりそのラブレターを見つめる目が怖いくらいにマジなのだ。見ているこっちが引いてしまうほどに。
「私にも見せて」
もう一度、今度は若干命令するように言い放つ。もはやノーとは言えない雰囲気である。
「わ、分かったよ」
封をあけ便箋を取り出す。花模様の可愛らしい便箋に女の子っぽい文字でこう書かれていた。
『 天地君へ
ごめんなさい、突然のお手紙に驚いたと思います。
失礼とは思ったのですが、学校で天地君がよく話してくれたのでそちらの家庭の事情は知っているつもりです。
そこで、私の祖母が経営する本屋さんでアルバイトを募集しているのですが、
お給料も天地君が今やっている飲食店より多少多めに支払うことができるそうです。
仕事内容については私が一から教えるので心配は要りません。
興味を持ってくれたのなら、明日の放課後に詳しい内容を教えようかと思います。
来嶋 那海 』
「アル……バイト?」
美鳥の瞳が揺れる。僕はというとラブレターじゃなかったのがホッとしたやら残念やら、と複雑な心境である。
「行くことないわ」
吐き捨てるように美鳥が言い放つ。便箋を封筒に戻し、僕の机に放り投げた。
「今のままで十分でしょ。風太じゃ断りづらいだろうから明日私から言っておくわ」
「なっ、待ってよ! 結構いい話じゃないか。個人的には凄く興味があるんだけど」
美鳥の視線が突き刺さる。完全に怒っている時の顔だ。一体何が不満なのだろうか。
「駄目よ。明日私がはっきりと断るわ」
口答えをしたら噛み付かれそうな雰囲気を察し、僕は黙って布団に潜った。何故だか胸騒ぎがして、その夜は中々寝付けなかった。
462 :
451:2010/04/13(火) 05:46:04 ID:n0A6BEnP
とりあえず
>>451の設定で書いてみた
続きはまったりと待っていてほしい
GJ。
続きはお茶でも飲みながら待たせて貰おう。
全裸でな
出だしのつかみは結構良いんでない。すらすら読めるし癖のある文章でもないと思う。
ここからどう関係が変化していくか見ものだな。期待してます
GJです。
それぞれの姉妹のキャラが立ってて、今後の展開が楽しみです。
466 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 23:01:05 ID:f/PN6M+/
GJ。
ゆったりと楽しみに待ってる
首を長くして待ってるぜ
正直ツボった。
双子は(・∀・)イイ!!
Wiki更新キタ━━(゚∀゚)━━!!
蝶変態超変態が俺の中で一番好きだ
裏話として東大行って東大のキモ姉妹に入れ知恵されて今にいたるみたいな妄想が浮かんでしまった
471 :
悪質長男 第一話:2010/04/16(金) 22:04:02 ID:M9q0pEZY
初書き込みで初投稿です。滅多にネットに繋げないので更新は不定期です。
僭越ながら、読んでくれると嬉しいです。
*注意
主人公は個性派(重要)
姉妹丼
エッチシーン一切無し(超重要)せいぜいワイ談が在る程度。
472 :
悪質長男 第一話:2010/04/16(金) 22:05:47 ID:M9q0pEZY
第一話
その学園には二人の姉妹姫がいる。
姉の名は麗華。高等部三年生。
伸ばした髪は地毛でありながら赤みがかっていて、ちょっとした癖っ毛でもある。美人、聡明、学力も申し分ないうえに、それをひけらかす事をしない奥ゆかしさ。
それはまるで異国の王女様。
妹の名は玲。高等部一年生。
姉とは対照的に凛と引き締まる表情。完全に黒いストレートな髪をポニーテールにして纏めてある。無表情ではあるが、運動神経は並みの者とはケタ外れである。所属は空手部、剣道部。
例えるなら戦国時代のやんごとなき身分の姫。
姉は名の通りの麗しさで近づくのも躊躇わせ、妹もまた鉄の仮面が他を寄せ付けない。
二人して誰の愛の告白も受け付けない、高根の花。
しかしそんな二人と仲が良い男子がただ一人居た。
赤の他人。学年が違えば接点も無し。強いて言えば苗字が同じだけ。
彼の名は怜二。
自称、完璧で不死身で紳士。
客観的評価は
お調子者で辛辣で、悪質。
473 :
悪質長男 第一話:2010/04/16(金) 22:06:17 ID:M9q0pEZY
「おはようございます、麗華様、玲ちゃん」
「あら、おはよう」
「・・・ん」
一人の女子学生の挨拶に姉妹姫が答える。
玲は無口なので大抵御喋りするのは麗華の方。
世間話を始めるが、そこに駆け寄る男の影が一人分。真っ赤な薔薇束を捧げて、
「麗華様、今度こそお付き合い願えますか!?」
大きな声で誠意ある感じな告白を。
彼は王子と言う名で男子一のイケメン。
が、服装は白鳥の頭飾りの付いたバレリーナのそれだった。
(えー?)
麗華がとても困り果てた顔に変わった瞬間、断る間も無く男子の集団がリンチに掛かる。
彼らは非公認の姉妹姫のファンクラブである。二人が高根の花故告白できずにいる者、またはふられた者の集団。ちなみに後者が半数以上。
活動内容は行動記録。隠し撮り写真集の創刊。愛のポエム作成などなど・・・
・・・・・・・・要するにストーカーだった。
「「ストーカーでは無い!」」
否定しただと・・・・・!?
さて、済んだとばかりに散っていく男子の中心にはボロボロの王子。それをあるクラスメートが見下ろしていた。
「あはは。『告白は白鳥の舞作戦』は失敗だったか。あはは!」
「お、おにょれ・・・必ず成功する作戦を立てろと言っただろうが・・・怜二」
この嘲笑している少年こそが怜二だった。
顔は王子ほど眉目秀麗というわけでもなく、痩せ細い外見だし、怖い顔でもないが、表情が獰猛なそれに変わるととてもとても個性的である。
王子が麗華に告白する為、彼女と仲が良い怜二に告白方法を相談したというのがこれまでのあらすじ。ちなみにこれは玉砕も含めて130回近く繰り返している。
別のクラスメートが王子に質問する。
「どうしてそんな恰好してんの?」
「麗華様の御心を掴むには、既存の告白方法では駄目だと言う話になって・・・げほっ・・・斬新な告白方法を検討した・・・あ痛てて」
「・・・・・どおしてバレリーナに辿り着いた?」
答えたのは怜二だった。
「こいつは告白に成功する言えば何でもする変態だからさ」
・・・怜二・・・質(タチ)悪ぃ・・・・・・・
男子全員の呟き。
悪質を噂される怜二が悪いのか、倫理感が欠けた王子が悪いのか、どちらを指摘するべきか、断言できるものはいなかった。
474 :
悪質長男 第一話:2010/04/16(金) 22:07:02 ID:M9q0pEZY
「怜二―!ちょっと来なさい」
麗華に呼ばれて玲二が勝ち組の表情で応える。寄る間も話す間も嫉妬の視線がえらく突き刺さる。ストーカーグループはもちろん、非加入の者や女子までもが。
「「待て!我々はストーカーでは無い!」」
さいですか。
で、麗華は呆れ顔で不敵な怜二と向かい合った。
「いい加減、男子をけしかけるのも止めなさいって聞き分けられませんか?もはや告白が日常の一部になっています」
「聞き分けられませんっす。面白いのに」
「私が面倒です。それに、男子と親しくするのは貴方一人で十分です」
「そう言わないでくださいよ。先輩、友達いないんすから」
「「し、失敬な!!」」
麗華のみならず周りの女子もハモった。微動だにしなかったのは怜二と玲だけである。
「おっと、男友達の意味っすよ?」
「いや、それでも貴方は同性の友達すらいないでしょう?普段から女の子ナンパしているからだと思いますよ。今からでも止めたらどうです?」
「止めたところで麗華先輩と仲良しだったら、男友達できませんっす。先輩を取るか男友達か。正に両刃の剣、薔薇に棘っす」
「あらあら。まるで私が悪いみたいに・・・」
取り巻きの女子達が愉快そうに騒ぎ出した。
「でしたら麗華様は魔性の女ですわね」
「あの怜二君さえ奔走させるし・・・」
「麗華さま素敵!魔性―!」
「こら、よしなさい」
麗華の傍に居る怜二も「あはは」と笑い、いきなり顔を麗華の耳に近づけ、囁く。
この時彼女は頬染めて動揺するが、
「魔性は本当だよね。・・・猫かぶり」
「せいっ!」
ごすっ!っと麗華の拳が鳩尾に炸裂して、怜二は倒れた。
しかし周囲の人間の目は、とても微笑ましいものだった。
「本当に羨ましいよね、怜二君は」
「あの麗華様が冗談で人を殴るくらい、仲が良いんですもの」
威力は冗談ではない、と怜二は叫びたかった。が、今は痛みでそれ所ではない
皆して怜二が倒れているのは芝居だと思い込み、助けてもくれない。これも麗華が醸し出す幻想と言うか、フィルターと言うか。
麗華含む女子達はさっさと校内に入ってしまった。残ったのは、怜二と玲くらい。
今まで我関せずだった玲がようやく、倒れている彼を気にしてくれた。
「・・・大丈夫?」
「うう・・・なんてええ子や。麗華が羨ましいな、こんな妹を持って」
麗華は自分本位で猫かぶりで横暴。それが怜二にとっての彼女の評価だった。
「妹・・・?そうだ、玲」
「?」
「お兄ちゃんて呼んで」
「??・・・・・・・・・お兄ちゃん」
「いぃやっっっほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜うぅ!!」
復活。
彼は実に、単純な男だった。
475 :
悪質長男 第一話:2010/04/16(金) 22:07:53 ID:M9q0pEZY
そんな仲良し三人組にも変化が訪れる。
きっかけは怜二と、とある中年の婦人が出会ったからだった。
その日はなんて事無い下校道。
怜二は学生鞄を引っ下げ、婦人は買い物袋を手提げにしている。
本当になんてことは無い。横断歩道の信号を二人だけで待っていた、のではなく向かい合っていた。
少年は婦人の赤みがかった髪を観察しながら。
「・・・こんにちは」
挨拶。きょとんと婦人も無言で会釈。だが、その目は怜二の顔の向こうに見える面影を見ていた。少年もまた、婦人の顔から連想する一人の少女を思い浮かんでいた。
「一つ聞ききしてもよろしいですか?」
怜二が一方的に捲くし立てる。婦人が相槌を打つ。
「何でしょう?」
問いかける少年の顔は、不敵だった。
「・・・・・もしかして、僕の母親ですか?」
怜二は父子家庭で、母親の顔も名前も知らない。せいぜい父親から話を聞いていた程度。だからこれはただの勘。
それでも怜二がこの婦人に興味を持ったのは、その人の自分を見る目が、誰を見ているかわかってしまったから。驚愕と戸惑いと、懐かしむ表情。
「・・・・・・!」
婦人の顔が崩れていくサマを、怜二は面白そうに見ていた。
確信は、それだけで十分だった。
麗華と玲が、母親と怜二が向かい合っている所を見かけるのは、もう少し経ってからだった。
メール覧にsageを入れて下さい
Wiki更新乙ですー
姉妹丼ってエロ無しでも成立するんだっけ…?
>>475 乙。これは血は繋がってない設定?
それとも実は兄妹(姉弟)でしたってオチ?
GJ!
続きを期待
さっき見たら三つの鎖がホームページで更新されてた
作者何やってんだwww
>>479 え、18話後編UPされてたってこと?
前編しか見当たらないが…
ここが最速っていつも言ってたから
それはないと思うけど
18話の前編を読むんだ
最後で急展開が……
本当だ。編集をミスったのか?
とりあえず急展開杉ワロタ
読んできた。確かに急展開でびっくりしたけど、続いてて嬉しくもある
あちらだといつでも修正できるからとりあえず上げてみたのかもしれないね
俺の梓が…ついに……!!
そうとは限らんよ?
とっつぁぁぁぁあああああん
雄大ェ…
ウソをつくなああああーーーーッ!!!
この前、初めて彼氏の家にお邪魔したら彼の妹さんが私の事を凄い形相で睨んできました
戦国フィーバーの続きが読みたいでござるの巻
お兄ちゃん大好きな妹の可愛い嫉妬ぐらいいいじゃないか
そのうち義妹になるんだし
…嫉妬で済めばいいがな
494 :
彼氏の家で:2010/04/19(月) 14:47:33 ID:J4EtzPD/
UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
「む。」
はるかなる虚数空間の旅を経て届いたペケペケ星人の通信信号を受信した。
メスシンニュー チューイセヨ
まずい。まずいぞ。このままでは蓮兄に危険が!
どうやらジャガイモをシンシアかメークインか悩んでいる余裕はなさそうだ。
すぐさまスカラー波を発信し、スパイツールを起動させた。
今日、私はついに蓮君の家にあがることができた。
「ここが蓮君の部屋かあ。思ったよりきれいだね。」
「ああ。妹がよく勝手に掃除してるんだよ。ほら、そこに写真なんかも飾っちゃって。
あと、妹フィギュアブロンズver.とかわけのわからないものも…。」
机の上の写真立ての中から、黄色のリボンで髪を結んだツインテールの女の子が笑っている。
「これが空美ちゃん?可愛いわね。」
写真を手に取り、まじまじと見る。
この子が未来の義理の妹―――うふ、うふふふふふ。
「…ちゃん?…ちゃん?大丈夫?」
蓮君が心配そうに私を覗きこんできた。
いけないいけない。思わず自分だけの世界へ行ってしまっていたようだ。
「ううん。なんでもないの。」
「それならいいけど。そうだ、俺、紅茶入れてくるから待ってて。」
そういって蓮君は部屋を出て行った。お部屋チェックのチャンス到来だ。
ドアが完全に閉まるのを確認すると、持っていた写真立てを元の場所へと戻す。
私は目を疑った。
写真の空美ちゃんの目が、ギョロギョロと動き回っていたのだ。この写真、動くぞ!
なにこれ気持ち悪い。怖いと思いながらも好奇心が勝って写真を凝視し続けた。
そのうち、回転していた目玉はこちらを向いて止まった。こっちみんなぁぁぁぁ!
「きゃあ!」
私は大声を上げて後ろに飛び退いた。
「どうしたの?」
ちょうど蓮君がお茶を入れて戻ってきたところだった。
「しゃ、写真の目が動いたの!それでこっちを見てきて。」
「妹の写真が?別に何ともないようだけど。」
写真を差す私の指は震えていた。
「こっちを見ている写真はね、どこから見てもこっちを見ているように見えるんだよ。」
「そ、そうじゃなくてね。」
やはり、自宅に雌の侵入を許してしまっていた。蓮兄も困ったものだ。
SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
アカッシックレコードから奴の解析結果が届いた。
名前は鬼頭春海、蓮兄のクラスメイトで成績優秀、校内彼女にしたいランキング第一位か。
彼女としての既成行為はまだなし。
未来予測は…、家事万能、控えめで夫を立てる性格で、近所付き合いも良好、三人の子供にも死角なし。
危険だ。危険すぎる。こんな女が社会的に許されるはずがない。
即行、排除しなければ!
495 :
彼氏の家で:2010/04/19(月) 14:48:36 ID:J4EtzPD/
「あ、砂糖持ってくるの忘れた。取ってくるね。」
そういって蓮君はまた部屋を出ていった。
よくわからないが嫌な空気が部屋を漂っている気がする。何故だろう。
ギギギギギギ
後ろで何か金属音のようなものがする。
恐る恐るゆっくりと首を回す。
視界の端で、ブロンズフィギュアの腕がギシギシと動いているのが見えた。
さっと振り返るのをやめて前を見る。
なにあれ。見間違いよね。うん、間違いに決まってる。
そう、思い込ませて勢いをつけてもう一度振り返る。
棚に乗っていたそれは、何故か棚の下に立っていた。
しかも、少し大きくなっているような気がする。
また振り返るのをやめる。何かの呪?どうしよう。どうするの?どうするの私?!
こうやってパニックを起こしている間にもそれは私に近づいているかもしれない。
なんとかしなければ!意を決してさっと踵を返す。
「へ?」
そこには何もいなかった。
ふう。
ほっとして深いため息をつく。
とん。
次の瞬間私の左肩に何かが乗った。
視線を肩にやるとそこにはメタリックな手が。
後ろを向くとそこには私と10cmほどしか背丈が変わらない金属質の女の子が鬼のような形相で睨んでいた。
間違いない。写真の子、空美ちゃんだ。
しかし、写真のような明るい笑顔はそこになく、刃物のように鋭い歯がキラキラと光っていた。
「タチサレ。タチサレ。タチサレ……。」
男性の声より低いその声は直接私の頭の中で鳴り響いた。
「い、いやー!」
私は一目散に部屋を出て階段を駆け下る。
蓮君がどうしたのと顔だけ出してこちらを伺うのも気に留めず、靴をはいて家の外へと飛び出した。
どんっ!
勢いよく飛び出したせいで玄関先で誰かとぶつかって転んでしまった。
「ご、ごめんなさい。」
私は謝りながら、ぶつかった相手を確認する。
「大丈夫ですか?」
そこにはあの空美ちゃんが買い物袋をぶら下げ立っていた。
笑顔で空いている方の手を差し出し、私が立ち上がるのを手伝ってくれた。
「はじめまして。もうお帰りですか?」
「ええ、まあ。」
「そうですか。」
彼女はニコニコと笑っている。
どうやら本物の方はまともそうだと私は思った。
しかしそれを裏切るように彼女は背伸びして、私の耳元で囁く。
「次はありませんよ?」
もう一度彼女の顔をみると、それはまさしく先ほど見たあの形相だった。
私は悲鳴をあげるのも忘れて、全力でその場から逃げ出した。
なんと
ホラーすぎる
妹怖い妹怖い
このスレでは初めての投下です。
姉弟モノで基地外成分ありとなっています。
あと、続きモノの予定ですので中途半端な終わり方をします。
さらに今回投下分はエロ無しです、ご容赦ください。
501 :
姉と弟。1:2010/04/19(月) 23:47:17 ID:Kaw9ZtDj
「姉貴!また勝手に俺の部屋を漁っただろ!?」
先月から高校生になった少年――氷川太郎は、姉の氷川舞に詰め寄る。
それを受け、舞は平然とした顔で、
「え?それがどうかしたの?」
と言った。
その返答に苛立ちを増した太郎は、先ほどよりも声を大きくする。
「姉貴と同じ高校に入ったら、もうこんなことはやめるって約束しただろ!」
それに対し、理解できないといった顔で舞。
「……タローちゃんが高校生になったからこそ、だからこそ、お姉ちゃんはむしろ今までよりも厳しくタローちゃんを見守らなくちゃいけないのよ」
そして大人が子供に言い聞かせるように、
「タローちゃんにはまだよくわからないかも知れないけれど、世の中は危険な誘惑でいっぱいなのよ。お姉ちゃんはタローちゃんをそんな誘惑から守っているの」
言い終わると舞は太郎の頭を優しく撫で始めた。
ちなみに舞は高校二年生で太郎と年は一つしか違わない。
更に身長差もかなりなもので、太郎の179cmに対して舞は148cmしかないのである。
なので、軽くつま先を立て精一杯腕を伸ばし太郎の頭を撫でる童顔の舞は、おしゃまな小学生にしか見えない。
「や、やめろよなっ!いつまでも俺の事を子供扱いすんなっ!」
太郎は声を荒げると踵を返し、自分の部屋のドアを開けその中へと消えていってしまう。
「タローちゃん……」
哀しげな声が舞の口から漏れた。
小学生の頃、舞はこんなに可愛い弟がいる自分はなんて恵まれた人間なのだろうかと思っていた。
舞はいつもどこへ行くにも太郎を連れて歩き、太郎もそれを喜んでいた。
しかし舞が中学にあがり太郎と学校が離れると、自然と二人の心の距離も離れた。少なくとも舞はそう感じていた。
なので舞はその分を埋め合わせる為に家では出来る限り太郎と触れあう事にする。
具体的には、まず、毎日必ず一緒にお風呂に入るようにした(今までは週に2、3回程度だった)。
次に、それまでは別々だった子供部屋をひとつにする事を両親に提案した。
それは弟の非行防止にもなるし、勉強も私が教えるからと。
弟はイマイチ納得していないようだったが無理やりに押し切った。
そうこうしている内に太郎も小学校を卒業する。舞は『あぁ、やっとまたあの頃に戻れる』そう思い歓喜した。
しかし、その喜びも長くは続かない。
――太郎の身長が急激に伸び始めたのだ。
すぐに、背の低い舞は太郎に身長を抜かれた。それでも最初、舞はその変化を歓迎していた。
『タローちゃんは私の為に男らしくなっていってるんだ!』
だがそれも舞が中学三年、太郎が中学二年の秋までだった。
舞は、学校の廊下で並んで歩く太郎とおそらくはクラスメイトであろう女を見てしまった。
ただ、弟が、私以外の女と歩いている。その事実だけでも許せない、許してはいけない。
だけどそれだけではない。
弟とその女の身長差だ。
当時の太郎の身長は170cm、横に並んだ女は約160cm。
自分と。舞と並んでいる時とは何かが違っていた。
――そう、まるで二人がお似合いの彼氏彼女であるかのように見えたのだ。
502 :
姉と弟。2:2010/04/19(月) 23:49:17 ID:Kaw9ZtDj
舞は自分をこんなに小さく産んだ両親を心の底から怨んだ。
いくら太郎という素敵な弟を作ってくれたからといって帳消しになりはしない。
こうして舞は、心の中で両親に感謝をする事をやめた。
そんな舞も高校生となり、またもや弟とは離ればなれに。
――この頃から舞は、太郎の抜けた体毛、血をふいた紙、切った爪などの収集を始める。
白い体液も手に入れたかったが、同じ部屋を使っていることがあだとなり、それは叶わなかった。
太郎の痕跡をポケットに忍ばせ堪える高校生活、そんな時分、太郎は舞の想像を超えた暴挙に出る。
なんと太郎は、舞とは違う高校に行きたいなどと到底舞には理解できない事を言い始めたのだ。
これには舞も驚き、怒り狂った(それを表情に出すことは無かったが)。
愛し合っている二人が特に理由もなく、別々の場所に通う必要は無いはずなのだ。
表面上は冷静に、しかししつこく同じ高校に行くよう諭す舞についには折れた太郎は、その代わりにと三つの条件を舞に出す。
一つ、部屋を別々に戻すこと。
二つ、部屋に自分の許可なく入らないこと。
三つ、人の入浴中、浴室に侵入してこないこと。
舞はそれらの条件を即座に呑んだ。
初めから守る気などはさらさら無かったが……。
――そして太郎は舞と同じ高校に通い始めた。
太郎が怒って部屋に閉じこもってしまいやることが無くなった舞は、夕食までの時間を自分の部屋で『タローちゃんグッズ』を眺めながら過ごすことにした。
「ふふ、別々の部屋なのは寂しいけど、タローちゃんのこのお汁が手に入るようになったのは棚ぼただったな」
呟きながら手に持ったカピカピの紙を鼻に近づけ、スーッと深くその香りを吸い込む。
「あぁ……、タローちゃんの匂い……、素敵……」
何度も何度も嗅ぎ続けていると、下半身がピリピリと痺れたような感じになる。
だが、彼女はオナニーをしない。
自分の何もかもを太郎の為に取っておきたかったからだ。
今後、たとえオナニーをするとしても、それは太郎に「俺に見せつけるようにオナニーしろ」と言われた時だけ。
そう決めていた。
精液の付着したティッシュを心ゆくまで堪能した舞は、それを大切そうに密封式の透明な袋に入れると次に太郎の爪の入った小瓶を取り出す。
蓋を外し、手の平に小瓶の中の爪をいくつか取り出すと、まずは親指の腹でその感触を楽しむ。
舞は、太郎の足の親指の爪が特に気に入っていた。
その大きさ、ザラザラとした固い感触、独特で深く乾いたような匂い……。
これらの爪には太郎の古くなって切り離された魂の一部が宿っているのだと舞は考えていた。
半年前の爪だから、半年前の魂の一部が。
「つまり過去のタローちゃんが私の手の平の上にいるのと同じことなんだよね……、こうして、いつまでも変わらずに私と……」
この上ない安らぎを感じる。
「そういえば、タローちゃんの集めてた漫画で似たような事をしている人がいたっけ」
あちらは自分自身の爪だという違いはあったが。
彼も、私のように過去を懐かしみながらその爪を口に含んだりはしたのだろうか?
舌でさんざんなめ転がし、前歯で軽く噛んだことは?
唾液とあわさる事によってより濃厚になった匂いを嗅いだことは?
……あの漫画が、舞は何故か無性に読みたくなっていた。
503 :
姉と弟。3:2010/04/19(月) 23:51:45 ID:Kaw9ZtDj
舞、太郎、母親三人での夕食が終わると、すぐに太郎は自分の部屋に戻っていった。
「ねぇ、舞。また太郎と喧嘩でもしたの?太郎、何か機嫌悪そうだったけど」
母親は二階にある太郎の部屋のあたりを見つめながら尋ねた。
「ううん。別に、喧嘩なんてしてないよ」
この馬鹿は突然何を言い出すかと思えば私とタローちゃんが喧嘩をした?喧嘩をしたかだって?
それに『また』?『また』と言ったのかこの女は。
タローちゃんが本当は照れているだけだということがわからないのだろうか?……まぁ、わかっていないんだろうな。
所詮は『結婚』なんてイカレた事をした惨めな売女だ。頭蓋の中に四十過ぎのおっさんの汚い精液が詰まっているのだ。
「そう、それなら良いけど」
母親は立ち上がると、テーブルの上に置かれた食器を流しに持って行く。
「あ、お母さん、私も手伝うよ」
舞は母親が一度には持ちきれなかった食器などを手に取りながら腰を上げた。
洗い物を済ませ、浴槽に湯を張ると舞は階段を上り太郎の部屋のドアをノックした。
「タローちゃん、お風呂沸いたよー」
「あー、わかったぁー」と太郎。
少しの間をおき、
「ちょっとさ、部屋、入っても良いかな?」
舞はそう言うと太郎から返事をもらう前にドアを開けた。
「おまっ、俺は入って良いなんて言ってないぞ!」
「ああ、うん、でも良いんでしょ?」
「全っ然、良くない!」
「見られて困るものでもあるの?」
「別にないけど、これはプライバシーの問題だから!」
「プライバシーの意味は?」
「……確かあれだろ、自分の私生活を守る権利とかそんな感じだろ」
「お姉ちゃんが部屋に入るとタローちゃんの私生活は脅かされるの?」
「……いや、何もそこまで言うつもりはないけどさ」
「じゃあプライバシーの問題じゃないじゃん」
太郎の顔が苦虫を噛み潰したそれになる。
「と、とにかく、勝手に人の部屋に入るのはやめてくれよ」
「入る前に確認はしたはずだよ?」
「だから入って良いとは言ってなかっただろ!」
「そんなにお姉ちゃんが部屋に入ると都合が悪いの?」
「そこまでは言ってないってさっきも言っただろ!」
「ならなんで入っちゃダメなの?」
「入るなとは言ってない!俺が許可してからにしろって言ってるんだ!」
「わかった、じゃあ許可して」
「だーかーらー、入ってから言っても遅いんだって!」
「だったらお姉ちゃんはどうすればタローちゃんの部屋に入れるの?」
「何度も言わせんなっ!俺が入れと言ったら入れ!」
「わかった、入れって言って」
太郎は頭を滅茶苦茶にかきむしる。
「あーーーー!もういいよ!入れ入れ!」
504 :
姉と弟。4:2010/04/19(月) 23:56:37 ID:Kaw9ZtDj
「うん、入りました!」
満面の笑みで舞。
「……はいはい、それで何の用?」
呆れ顔で太郎。
「ちょっとタローちゃんの漫画読ませてもらおうかなぁーって」
「漫画ってどの漫画?」
「ほら、前にタローちゃんが『最悪なんだけど格好良い敵役が出てくる』とか何とか言ってお姉ちゃんに読ませてくれたのがあったでしょ?」
「あぁ、……でもあの漫画、絵が気持ち悪いからあまり好きじゃないって言ってなかったっけ?」
「うん、そうなんだけど、何だか急に読みたくなっちゃって」
「まぁ、それは良いけど、前に読ませたのはそいつが出てくる四部の途中からだったよな?今回は最初から読む?」
「四部って?」
「あれは一部二部三部四部って主人公を替えながら続いてんの」
「へぇ、そうなんだ。ああ、でも別に最初からは読まなくて良いの、タローちゃんの言ってたキャラが気になるだけだから」
「……ん。じゃあ少し待ってろ」
部屋のクローゼットを開き、中の衣装ケースに詰めた漫画本数冊を取り出しパラパラとページを捲る太郎。
「あー、ここからだな。でっと……」
更に数冊を確認し、計12冊の漫画本を床の上に積み上げた。
「え?こんなにあるの?」
「あるよ」
「四部の途中からなんだよね?」
「そうだよ」
「無駄に多くない?」
「いや、多いけど面白いから無駄ではないよ」
「はぁ……、ま、いいや。じゃあ借りてくね」
「おお、別に急いで返さなくても良いからな」
「はーーい」
部屋から出て行こうとしている舞の後ろ姿を眺める太郎。
「……姉貴が少年漫画ねぇ……」
小さく呟く、すると、
「ん?何か言った?タローちゃん」
舞は閉じかかったドアの隙間から顔を覗かせる。
「いや、特に何でもないよ」
「……そう?」
舞が出て行くと、今は完全に閉じられたドアを見つめながら、これまた小さく太郎が呟いた。
「……やっぱ、可愛いよなぁ、姉貴」
太郎は幼い頃からいつも一緒にいて頼れる姉の舞に強い憧れを抱いていた。
端的にいえば『好き』だった。
しかし、当時それはあくまでも肉親としての『好き』であり、姉を異性として見るような事はなかった。
――太郎が中学にあがり、舞の身長を追い越すまでは。
とりあえず今回はここまでで。
読んでくださった方、ありがとうございます。
GJ!
姉貴がいい
GJ!!
続き続き!!
GJ。
期待します
まさかの展開だな
これは珍しい
相思相愛か?
先が気になるな
兄貴はブサイクだから女にモテないんだよ。他人が不快に思うから、もう外に出るなよ?
告白された事もあるからブサイクじゃ無いって?
じゃあ、何ですぐにフラれんだよ。からかわれてるだけだっての。
おいおい泣くなよ兄貴、男の子だろ?大丈夫、俺だけは傍に居てやるからさ。
いいか?これからは俺が全部世話してやっから。兄貴は絶対に部屋から出るなよ?
>>511 ショタ兄貴と俺っ娘巨乳妹で再生されました
お久しぶりです。では投稿させてください。
>>511 GJ!俺っ娘もいいな
wikiで未来のあなたへを読み返した
切ねぇ
その日の教室はいつも以上に騒がしかった。
この騒ぎは怜二がノコノコとやってきた途端、一気に膨れ上がった。瞬く間に囲まれ、質問攻めに遭う。
「怜二、ついにやりやがったな!?」
「姉妹姫の一家がおまえん家に引っ越したのは本当か!?」
「それは職員室で明らかなんだぞ!」
「義姉妹なのか!?同棲なのか!?」
「怜二君答えて〜〜〜!」
一方で怜二は、怯み一割と九割の(どうせ囲まれるなら女子onlyがよかったな〜)という、どちらかと言うと呑気な思考のまま追い詰められたが、なんとか持ち堪えてクラスメートを押し返す。
「姉妹になったのが正解だね。いや、“なった“はおかしいかな。正真正銘血の繋がった兄弟なんだから」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・!?
唖然として黙ったクラスメートに向けて怜二は続ける。
「昔々ある夫婦が離婚しました。それが父子家庭の俺の親父、母子家庭である麗華や玲のところの母。その親が仲直りしてまた再婚したのでした。めでたしめでたし」
説明が終わると、よかったね、良い話だね、と和やかに。
だが空気の読めない王子が不服そうに指を突き立てる。
「し、しかし!姉妹姫と同じ屋根の下であるのは事実!」
「何を怒っているんだい、王子?僕らは兄弟、本来は当前だった事さ。そして美人の姉、可愛い妹。彼女らの兄弟である僕はつまり・・・」
ハーレムか!?
自慢か!?
穏やかな心から一転、ボルテージが上がっていく男子一同。
羨ましそうに、あるいは嫉妬を持って怜二を睨む女子一同。
そんなクラスメート全員に怜二は言い放った。
「僕も美形の仲間である証明!!」
「「「そっちかよ!!!!!!??????」」」
クラスの心が一つになる奇跡が今ここに。
「ええ、違う?さすがに麗華や玲とそっくりとは言わないけど、あいつと同じ親から産まれて同じ血を持っているんだ。多少は似た顔付きしてると思わない?」
「思わないし」
「似てないし」
「って言うかおまえが麗華様や玲ちゃんの兄弟であるのがまだ疑問」
三者三様の返答に、怜二はつまらなそう。
しかしある女子が最後の意見に意見した。
「でもでも、兄弟になる男が怜二君だっただけマシじゃない?」
「そうね、他の男子だと麗華先輩、嫌がるわよ?」
今度は怜二を除いた男子がつまらなそう。
「あ、そうだ。二人の私生活ってどんな感じ?」
ふと閃いて出てきただけの質問が、怜二に視線を集中させた。
「・・・・・・・・・・」
そこで彼はいきなり泣き出した。予想外の反応に全員が面を食らう。
「いやぁねぇ・・・。麗華が家に来た時、何て言ったと思う?」
誰も答えられないので、続きを待った。
「・・・・・・・『貴方が弟だなんて認めません!』」
「「「!!!!!!??????」」」
二度目の沈黙。二人の仲が良好に見えていただけに、皆もショックを受けた。
「母子家庭だったからな。家に父親と同年代の男がいるのに抵抗があると後から考えたけど、本当に男嫌いが相当なものだったからかも知れない・・・・」
男の涙にもらい泣き、同情、憐み。全米が泣いた(嘘)。廊下で盗み聞きしてた奴らも泣いた。(真実)
誰かが怜二の肩に手を置いた。王子だった。さらに彼はもう片方の手を差し出した。
「今日からおまえも我々の仲間だ。麗華様に振られてもお守りしたい、騎士精神が集いし・・・・そう、姉妹姫ファンクラブ」
「王子・・・」
涙の男二人の包容。
ボーイズラブではありません。念の為。
朝日に照らされた美しい友情は、
「男臭―――い」
怜二が突き飛ばして終わった。
「じ、じゃあ・・・玲は?」
「ああ。あいつは以前通りで仲良いままだ」
「そっか。よかったね」
「うん。せっかくのリアル妹だから、『お兄ちゃん』で呼んでもらった」
「「「「貴様あ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
羨望と嫉妬が爆発した男子達の攻撃を、怜二は高笑いしながら避け切ってみせた。
「あっははは!別にいいでしょう?僕は完璧で不死身で紳士で、シスコンなのさ」
女子一同(((シスコンが増えてる・・・・・・・)))
夜。
「お兄ちゃん・・・・」
ノックの後、玲が兄の部屋に入ってきた。
その時怜二は机でエロ本を読んでいたが、玲には毒だと思ってベッドの枕の下に隠した。ただし呑気に堂々とした態度で。だから裏表紙は玲には一瞬だけ見えたが、大人なのでスルーする。
余談だが、その本は突然紛失する事になる。しかしそれはまた別の話。
さて、何用かと怜二が尋ねると、
「・・・一緒に勉強したい」
と返ってきた。シスコンの彼には効き過ごせない台詞とシチュエーションだ。
早速卓袱台を用意して二人で囲む、かと思いきや玲は怜二に体をくっ付けてきた。
デレデレの彼が「どうした?」とまた尋ねる。
「・・・ごめんね。姉さん、まだ拗ねてるみたいで・・・」
「いいさ、こんなのは時間が解決してくれる。それに君が懐いてくれているだけでも、とても嬉しいさ」
本心からの言葉。
「・・・私は・・・・姉さんみたいな事は・・・しない」
笑顔満点で怜二は玲の頭を撫でた。撫でられながらも無表情な玲が続ける。
「私・・・お兄ちゃんの傍にいる。・・・これからずっと傍にいる・・・。私は妹・・・。同じ屋根の下なのは当たり前・・・」
撫でる手が止まる。
無機な瞳の奥、いやさらに奥、黒い空間に小さな灯火がチラつく様な・・・・・・・・
「何所にいても一緒・・・・・。学校・・・当たり前。街の外・・・・当たり前。いつでも一緒・・・当たり前。誰がお兄ちゃんに寄ろうが・・隣は私・・当たり前・・・。私は妹・・・。誰にも文句は言えない・・・言わせない・・・。そうでしょう・・・?」
笑った。
あの、玲が。
歪に口の端を曲げて。眼は灯火という表現では物足りない。 鬼火だ。
その笑みに怜二は鏡を見ている様な錯覚を覚え、(兄妹なんだなー)と、ちっとも緊張感の無い心境で見つめ返す。
「・・・・・・・」
でもまあ玲が言った台詞については、深く追求すると都合が悪くなりそうだったので、怜二はただ笑い返してスルーする事にした。
「そうだ玲、『お兄ちゃん』って呼ぶのは大変でしょう?長いから。君は姉を『姉さん』って呼んでるから、『兄さん』の方がしっくりくるんじゃない?」
「でも・・・・喜んでくれるならその方が・・・・」
「君は文字数が少ない方が呼び易くて良いんでしょ?それに、僕はもう『お兄ちゃん』飽きたし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
玲の兄は、やっぱりタチが悪かった。
投稿 終わりました。
520 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/21(水) 23:48:50 ID:FTPTBGBw
目立っている
521 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/21(水) 23:49:30 ID:FTPTBGBw
派手
522 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/21(水) 23:57:33 ID:FTPTBGBw
派手 モテる
男の方が姉妹よりキモいパターンは珍しいな
続きに期待
悪質ってのは鬼作さんみたいな奴かと思った
愛する人を守るって大変ですよね。昨日もお掃除に大忙しでしたよ。
分かる。将来を誓った俺らの間に入るなっつーの。なぁなぁ、お前は何回ヤッた?
ボク!?ボク達はまだ、二人みたいなそういう関係じゃないから!……キ、キスまでs
違う違う、牝猫を何匹殺った?って聞いてんの。
ああそっか、あー恥ずかしい……ボクはね、まだ二匹だよ。
満面の笑みで言うなよ。でも二匹かぁ、あんたは?
私は自分の手を汚した事は無いですけど“勝手に”死んでくれたのは6匹?ほどです。
おおコワっ。モテる兄貴を持つと大変だねぇ。その点、俺のは心配いらねーからなぁ。
監禁してますもんね。外に出すとモテモテですし。
いいなぁ。ボクもマネしたい。
ブ、ブサイクが勝手に引き籠っただけだっつーの!俺はしょうがなく世話してだな…
しょうがなく?あなた、将来を誓ったって言ってませんでした?
まあまあ、そういう事にしておこうよ。
そうね。そういう事にしておきましょう。
>>525 GJ!だがねえ、結託するのはキモ姉妹だけとは限らんからねえ。
兄弟や泥棒猫が結束したら厄介だぞ。
兄1「我々の貞操をみすみす近親に渡してなるものか!」
兄2「そうだ!俺が愛しているのは女2だけだ!」
兄3「俺が妹3とヤッたら天国の女3に申し訳が立たない……」
兄1「おいおい、落ち込むな、というのは無理があるけど、間違っても後を追ったりするなよ。
故人の菩提を弔って生きるって生き方もあるんだから」
兄2「でも気持ちはわかるな。俺だって女2が妹2に殺されたりしたら生きていける自信ないな」
兄1「おいおい、そうならないようにするための集まりだろ。
互いの愛する人と貞操を守るために全力を尽くすんだ!」
兄3「ああ。お前らに俺みたいな苦しい思いはしてほしくないもんな!」
>>527 で、実は兄1は妹1から懐柔済みで、兄2と3を妹2と3に引き渡すべく工作中なんだな
昨日、弟の部屋行ったんです。弟の部屋。
そしたらなんか妹がベッドめちゃくちゃにして座れないんです。
で、よく見たらなんか体操着持って、お兄ちゃんの匂い、とか言ってるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、体操着如きで普段来てない部屋に来てんじゃねーよ、ボケが。
体操着だよ、体操着。
なんか右手は股間にあるし。弟の部屋でオナニーか。おめでてーな。
よーし私いっちゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前な、体操着やるからその席空けろと。
弟の部屋ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
机に向って座った弟といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。子供は、すっこんでろ。
で、やっと座れたかと思ったら、妹の奴が、お兄ちゃんと結婚する、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、結婚なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、結婚する、だ。
お前は本当に結婚したいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、結婚って言いたいだけちゃうんかと。
弟通の私から言わせてもらえば今、弟通の間での最新流行はやっぱり、
監禁、これだね。
監禁した後洗脳。これが通の計画。
監禁ってのは一緒にいる時間は多め。そん代わり愛情が少なめ。これ。
で、そのうちに洗脳。これ最強。
しかしこれを知られると次から弟にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前ら妹は、どこかのイケメンでも食ってなさいってこった。
乙
兄貴視点かと思ったらもう一人キモ姉がいたでござる
お前らってことは複数か…
532 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 18:48:42 ID:68Wd5aeT
スレチかもしれないがキモママ対キモウト対キモ姉で家族で殺し合いとか駄目ですかね?
っ「未来のあなたへ」
>>529 GJ吉野家行きたくなった
俺もキモ姉妹に洗脳されたい
535 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 20:15:01 ID:XmwqcoGD
537 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 21:31:13 ID:W87OJhlh
メイン 当たる 強い
今日の読売新聞の人生案内からキモ姉の香りがしている件
>>529 GJ
やべえwww
久しぶりにゴルゴ思い出したわwww
>>532 東○まんがまつりみたいに実際は戦わなかったりせずに共闘するんですね
男装して男子校にまで乗り込んでくるキモ姉妹ってどうよ
>>541 だったら主人公を女装させたほうがいいのでは
妹ならアリだと思うがメリットがないよな
泥棒猫もいないし
泥棒猫もいないし
せいぜい兄貴がハラハラするぐらいか
キモウトというよりもラブコメちっくな内容になりそうだな
ちょっと俺得かも知れない
何らかの事情で男装して男子校に通ってる女の子と
その秘密を知ってしまった男君が仲良くなっていってる事にキモ姉妹が気付いた
とかにすれば一応キモ姉妹がわざわざ男装して男子校に来る理由付けはできる
女さんが男子校に通う理由・男君がどういうきっかけで秘密を知ったのか・キモ姉妹がどうやって気付いたのか
この辺の設定を考える必要があるけど
547 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/24(土) 19:47:41 ID:qZ+lzVvs
その辺は、男装少女萌えの保管庫が参考になるよ
男君が大勢学校の友人を家に招いた日があってその中に男装さんが混じってた とか?
そうなると男君より先にキモ姉妹の方が気付くのもありだな
仲良くなる前に手をうたないと、みたいな
ブラザーコンプレックス、俗に言うブラコンというのをご存じだろうか?
兄弟に対して恋愛じみた感情を抱く事らしい。正確には違うのかも知れないが、本筋ではないから
間違っていてもお許し願いたい。
ブラコンといっても読者の幸運なる99.9%にとっては、架空世界の出来事かせいぜいうわさ話、要するに
他人事だろう。だが残念なことに僕は、残り0.1%に属している。一つ下の妹が少々…いや、かなり病的な
レベルのブラコン故に。
小さい頃から、よく僕について歩く妹ではあった。女の子なのに一人称が僕なのも、僕の真似をしたのが
始まりかも知れない。しかし、長じてからの妹の行動は、そんな可愛いものでは済まなくなってきた。
姉妹のいる男性諸君。あなたの姉妹が自慰する姿を見たことはあるだろうか? ある人はごく少数だろうし、
あっても大抵は不幸な偶然の産物だろう。僕の妹は違う。僕の帰宅時間に僕の部屋、僕のベッドの上で、
全裸で僕の下着を抱えて悶えているのだから。帰宅した僕の面前で、絶頂する姿を見せつけたのだから。
僕が驚きのあまり硬直していると、妹はベッドから起き上がると、自らの愛液にまみれた腕で僕に抱きつき、
耳元で囁くように愛を告白した。
やりたい盛りの筈の僕だが、裸の女の子に抱きつかれても「その気」にはならなかった。本能は近親を避ける
というのは本当だったようだ…いや、反例が僕に抱きついているか。
かといって冷静を保てた訳じゃない。「ぼ、僕たちはきょうだいだよ…」と芸のないセリフを口にして
妹の体に毛布をかぶせ、自分の部屋に戻らせるのがやっとだった。
そして妹のリミッターは吹き飛んだ。
風呂やベッドに乱入してくるのは当たり前。僕の留守中には部屋に入り込んであちこち探し回ったり、僕のベッドで
……していたり。恋愛感情という次元を明らかに超えていた。兄妹という問題を除いても、これではストーカー
そのものだ。
そして限界点がやってきた。僕がクラスの女の子と付き合っていると誤解(ああ、幸か不幸か誤解だ)した妹が、
刃傷沙汰に及ぼうとしたのだ。何とか誤解を解いて未然に防げたが、妹が刃を収めたのは、「誤解」だと納得したから
でしかない。本当に僕に恋人が出来たら、そうでなくても事が起きる前に誤解を解くことが出来なければ…流血は必至だ。
事ここに至り、僕は両親に全てを話した。
驚愕した両親だが、僕の必死の訴えと、何より妹自身が実にあっさりと自らの異常な思慕を認めたため、事の次第を
信じるしかなかった。故に僕の提案を割合あっさりと受け容れてくれた。
提案とは、僕が妹の前から姿を消すという単純なものだ。僕は遠くにある全寮制の男子校に入学し、卒業まで
家には帰らない。両親は僕の居所を、絶対に妹には教えない。万一知られても、男子校に入ってはこれまい。
3年間の冷却期間を置けば、妹の心境も変わるだろう。
僕は親元を離れた。
そして…騒がしくも平穏な男子校での一年が過ぎ、春が訪れた。
入学式を終えた新入生が、列をなして寮に向かってくる。卒業した先輩に代わる、僕の新しいルームメイトも
あの中にいるはずだ。どんな奴かな? 先輩が僕にしてくれたように、出来るだけ親切に、そして仲良くやって
行きたいものだ。
などと思っていると、ドアがノックされた。ドアを開けると真新しい制服に身を包んだやけに華奢な一年生が
……いや、お前は……
ルームメイトは顔を上げると微笑んだ。
「探したよ…お兄ちゃん」
−−−−−「妹・ルームメイト」 FIN−−−−−
流れとはちょっと違うシチュで書いてしまいした。ごめんなさい。
ハイレベルの作品に慣れたスレ住人諸兄の許容範囲に入れたか、
戦々恐々としつつ上梓させていただきます。
Good Job!
これ、普通に面白いかも
GJ気が向いたらこの設定で書いてくれ!
GJ!居所を探し出す執念がもう、これぞキモウトだな
この後が気になる
いや、十分上手く雑談中のネタを活かしてる
自然な流れすぎてじゃあ仕方ないなと思ってしまったw
GJ
妹が男子校に潜入できた事情や両親をどう攻略したのかが気になるが
それは連載を待つとしよう
GJ!
で、続きは?
557 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/24(土) 23:54:43 ID:gE1zhK3C
派手 抜いた 大物
558 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 01:40:48 ID:jk25FFJX
全裸待機、全裸待機
sageようぜ
・・・ふう・・・
>先輩が僕にしてくれたように、出来るだけ親切に、そして仲良くやって行きたいものだ。
変な想像をしてしまったオレなんて死んでしまえばいいんだッ!!
その先輩ってのが男装女子で男君に惚れたとか?
それなら俺は全然イケるぜ!
>>550 読み終わってかなり経ってから、わずか1レスしかない文字通りのSSだと気付いた。
この短い文章でストーリーを完結させ、与えられたお題をクリアし、描写不足や
詰め込み過ぎを感じさせないとは。
短編の名手というのは、貴殿のような書き手をいうのだろう。恐れ入りました。
>>562 訳ありの生徒を何も聞かずに受け容れる学校で、
男子校と言いつつ、実は結構な数の女生徒が…ですか。
もう男子校でも何でもないな
>>564 流石にそこまでのつもりで言った訳じゃ・・・・
というか、そこまで行くと
>>565の言う様に男子校でも何でも無くなるしw
567 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 23:23:14 ID:tG1G6URX
濃い 好かれてる 派手 上 良い 有る
これは何でしょう?お題にしろということ?
私立輝母学園、表向きは男子高だが知る人ぞ知る共学の学園なのであった。
主人公は妹から離れるため男子校への進学を希望したが、この学園を勧めたのは彼の母親であった。
表向きは親として兄妹を離そうとしながらも、その裏では妹の願いを成就させようと画策していたのである。
父親や主人公を欺きつつ計画を実行するのにこの学園はうってつけだった。
>>568 キモ姉妹に捕まった奴のダイイングメッセージだな・・・おしあわせに
うーん、学校規模で性別偽らせる理由が必要になるとややこしくなるなあ…
性差廃絶主義で男女共用制服の学校だから
服装では男女の見分けがつかない、とかならまだわかる
それ、男装キャラを出す下地にはなるけど
キモ姉妹から逃れようとした兄弟が結局捕まるって展開をやるにはアウトじゃね
普通に女子が入ってこられる学校じゃ兄弟の逃亡先になりえない
というか男子校ならこの先って、主人公が
「こいつ女です」
と学校側に申告すれば、キモウトはつまみ出されてめでたしめでたし?になっちゃう。
これをどう回避すべきか悩んでます。
とある女装キャラ漫画で女が男を追い出すのに失敗して逆に脅された話があってな
まして、男が女を追い出そうとしたら性的暴行とか何とかで縛られるのがオチじゃないだろうか
連行するまでは上手くいっても学校側が姉妹とグルだったら終わりだしな
まぁマリアホリックみたいに瓜二つの男女の双子で身体測定のときだけ
入れ替わるとか出来ればなんとかなるがそれにはキモ兄弟がいるからな…
576 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 08:23:16 ID:h35HYFQQ
兄「ルームメイトは、女ですストーカーです追い出してください!」 学校理事「却下!」 兄「へ?」
学校理事「君の妹は、キモウト枠だわネ」
兄「きキモウト枠?」
学校理事「私は、この学校の理事だけど全国キモウト同盟の会長でもあるのよ.お.に.い.ち.ゃ・ん」
兄さん見ぃつけた。もう、探しちゃったじゃないですか。
ゴミを持ったまま消えてしまって。私、心配したんですよ?
さぁ兄さん、汚いモノをさっさと捨てて帰りましょう。
…もうソレは兄さんの彼女じゃなくて、ただの蛋白質の塊ですよ?
え?どうやって私が殺すんですか?自殺ですよ。兄さんも見てたでしょう?
洗脳?可哀想な兄さん、まだ頭が混乱してるんですね。
そんな自殺女、早く忘れて帰りましょう。これでわかりましたよね?
兄さんを愛せるのは私だけです。わかったらゴミなんか捨てて帰りますよ?
そう、偉いですね兄さん。でも帰えったらお仕置きですよ?
四レス、小ネタ、二次創作に近い。 投下
……ある筈もない夢を見た。
碧い海。乱反射する光。見上げれば競い合うような色の空はどこまでも遠く。
しかし香りも音もない世界で。
故に夢だとわかる。
そんな世界で、彼女は笑みを浮かべていた。いつもの笑顔だ。僕は答えようとはするのだが、なぜだか声は出なくて、ただ困ったようにジタバタとする。
彼女はそれでも優しく微笑んでいて、僕はそんな彼女に伝えなければいけないことがあるのを思い出した。
けれど、伝える手段はない。
夢だから、幻想だから、どうしたって彼女に僕の思いが伝わることはないのだ。
そして、毎日これを繰り返すから、僕はとうとう彼女に何か言うのをあきらめ、僕は立ち尽くす。仕方ないんだ、と諦めて。
初めてこの夢を見たときは起きて泣いた。けれど今では、涙も出てこない。
これは成長だろうか? 変化だろうか?
ああ、そろそろ夢が終わる。彼女が白く消えていくのが見えた。
ため息をつく。それは二重の意味だ。ふがいない自分と、
「ロリコン」
妹に対して。
/
小さな海辺の町、日向。
本当は高校に進学したら他県にいこうと考えていた。東京でも大阪でもなるべく騒がしいところに出て、この苦い記憶を消してしまえなくとも、紛らわせてしまおうと考えていたからだ。
高校デビューという言葉もある。外に出て、少し悪いことをして、怠惰な生活を送って、すべてを忘れる。そういうことを夢想していたのだ。
夢から逃れるために夢想とは皮肉だが、それだけ昔のことを思い出すのはいやでたまらない。
だから絶対にどこかに行こうと思っていた。あんなことがあるまでは――。
「あめみやくん」
「……」
「ねえ、雨宮くん!」
「え」
「どうしたの、ぼーっとして」
「ごめん、なんでもないよ」
家計を助けるため、僕は週に四日ほど近所のレンタルビデオ店でバイトしている。
今声をかけてくれた女の子は新嶋このかさん、同じ学園のクラスメイトで、バイト先を探していたときに紹介してくれた親切な人だ。
「疲れたの?」
「いや、そんなことないよ。新嶋さんこそ、疲れたんじゃない? この時間だし、少し休んでてくれていいよ。自分ひとりでも何とかなるし」
この店は個人経営の店なので店内もさほど広くない。ほとんどコンビニと同じ広さだ。
「そういうわけにはね。一応、オーナーの娘だから」
「しっかりしてるね」
クラスで委員長をしている彼女は、長という文字にふさわしくしっかりとしていて、仕事に対しても細かく丁寧だ。評判もよく、クラスではリーダー、なんてあだ名があるくらいだ。
「今日、バイト終わったら家でご飯でも食べていかない?」
「そうしたいのは山々だけど」
「ああ、しずくちゃんに怒られちゃうか」
「怒られるっていうか……」
「やめておいたほうがいいですよ、このかさん。ロリコンを家にいれると何をされるかわかりませんから」
涼しげに罵詈雑言を吐くのは僕の妹。
しずくは義理の父親の娘で、歳はひとつ違いだ。流麗な長い黒髪ときれいな肌も合って、昨年から同じ学園に通い始めて彼女は人気もあるようなのだが、
本人は「男は毎日オナニーしてるから触りたくない。声もなんか、はあはあ言ってそうでキモイ」と、とりつく島もないようだ。
「これ、借ります。『あにれい2』」
しずくがここに来るのは久しぶりだ。前はここにちょくちょく来ていたが、ある日を境に来るにこれなくなってしまった。たまに僕がビデオを適当に選んで借りて帰るのだが、
しずくの好みには合わないようで、ほとんど不満をぶつけられる。
どういうビデオがいいんだろう、そう思った僕はしずくの持っているビデオを見た。
新嶋さんが貸し出しの受付をするためにカウンターに行きながら声をかける。
「あにれい? そんなのうちにあったっけ」
「『兄にレイプされた妹2』ですよ。略してあにれい」
「しずく、なんていうビデオを……アダルトのコーナーには入っちゃだめだっていつもいってるだろう」
「いいじゃない。お兄ちゃんも一緒に見るんだし、私が借りたほうがいろいろ面倒なことにならなくてすむでしょ。なんならこっちの、『あにはら』も借りる? 『兄に孕まされた妹―お兄ちゃんやめて―』
どういうビデオだよ。いくらいつも一緒に見てるとはいえ、そういうビデオを妹と一緒に見たくはないぞ。
「兄に犯されちゃう妹のビデオだよ。鬼畜だよね、男って」
「そういうのにばっかり興味を持つから、男は汚いなんてイメージがついちゃうんだよ」
「だって、汚いでしょ。精液のついたてで触られたい女の子がいると思う? ねえ、このかさん」
「そこで私にふられても」
なんでもはっきりしているのはうちの妹の長所だ。……短所でもあるが。
「レンタル料は兄の時給から三倍の料金を引いて置いてください」
「なんだよそれ」
「ロリコンの人が何かを消費するときは通常の値段の三倍かかることになってるの。ロリコン税」
親の再婚には僕もしずくも反対した。そのせいもあってかしずくは僕のことをあまり快く思っていない。微妙な年頃だったというのもある。
物心もついたころに、いきなりこの人が新しい家族だ、などといわれても気味が悪いだけだろう。
僕のほうも、正直妹はあの子だけで、代わりなんかいらないと思っていた。
「新嶋さん、お金は本当に僕の時給から引いておいていいから」
「あー、うん」
でも、それももう過去の話だ。
「たまには、ね。お兄ちゃんに甘えさせてやらないと」
「そのセリフこのビデオを借りるときに使われても、しまらないよ」
……少なくとも僕は。
「しずくちゃん、帰りはどうするの」
新嶋さんが苦笑いをしながら、話を変えた。
「……兄を待つことにします」
「それはいいけど。しずく。翡翠はどうしたんだ」
「……いやな事件だったね」
「いやいや、何言ってるんだ。もしかして家に一人で置いてきたのか?」
「だってもうあの子寝たから」
「寝たからって、起きたときに一人だと困るだろう。翡翠を一人にしちゃだめだ」
「……ロリコンは犯罪だと思います」
「え」
「いえいえ、何でも」
しずくはため息をついて肩を落とす。僕がちらりと時計を見て、あとどのくらいの時間か計算しようとすると、
「じゃあ、雨宮君、今日はもう上がっていいよ」
と新嶋さんが声をかけてきた。
「でも」
「いいよ、どうせ今日はもうすぐお父さんも来るし。翡翠ちゃん一人じゃかわいそうだしね」
食い下がろうとは思ったが、それ以上にやはり幼い子をよる一人にするのは心配だった。
「……じゃあ、お言葉に甘えてもいいかな? もちろんオーナーが来るまではいるから」
「いいよ、別に今からでも」
「いや、こんな時間にお店に女の子一人にするのは危ないから」
いくらしっかりしているとはいえ、それとこれとは別問題だ。
小さな店だが変な輩が来ないとも限らない。そうでなくとも、この店は個人経営ということを利用してアダルト関係のビデオがたくさんあるのだ。
「じゃあ、私もお言葉に甘えちゃおっかな」
「うん」
「すみません、私のせいで」
しずくがそういうと、新嶋さんは大丈夫大丈夫、と胸をたたいた。大きな胸が揺れる
「……このかさんって胸大きいですよね」
それを見ていたかのように、しずくが続けた。いさめようと思ったが、僕が何か言うとまたからかわれそうなので黙っておいた。
「え? 何急に」
「いえ、なんとなく」
「しずくちゃんもそこそこあるでしょ」
「八十一です。お兄ちゃんは知ってるよね」
知ってたら大変だ。
「私は……言わないよ?」
新嶋さんが僕をチラッと見る。もちろん、その判断は正しい。
「九十ぐらいですか?」
「言わないって」
「九十……お兄ちゃん、九十もある人はホルスタインだって言ってたけど、このかさんもホルスタインに入るの?」
「九十もないよっ、八十九だよ!」
あー……早くオーナー来ないかな。
終了
gj
587 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 21:41:36 ID:h35HYFQQ
「おにーたん大チュキ」「お前はずっとこのままでいてくれよ…」
私の兄は極度のロリコンだ。 私は兄に愛してもらいたい一心で成長に良い食物は一切搾らなかったしホルモン抑制剤もマメに投与した
おかげ様で私は18にもなって身長が130pも無い。
その成果かどうやら兄は私のパンツでオナニ−をしているようだ
私達は、相思相愛の筈だが何故か兄は、私を避けていた。
ある日私は業を煮やして兄の部屋に乗り込んだ…
キ妹「兄さんどうして兄さんは私を避けているのですか?」
「お前を傷つけたく無いからだ」
キ妹「傷つけたく無い?妹だからですか?」
「妹だからとかじゃあ無い」
キ妹「じゃあ何故!兄さんは、ロリコンよね、私でオナニ−をしてるのも知ってますよ!」
私は兄さんの股間に手を伸ばした 「…止めろ!」
キ妹「何が止めろですかそんなに勃起させて」ヂーッ
キ妹「」 そこで見たものは、なんとハリー・リームス(米巨根俳優)並みの物だった
「だから妹だからじゃ無いといってるんだサイズが合わないだよ!」
キ妹「くっ!しかしにに兄さんの為なら…南無三…」ピシィ〜〜〜!!
キ妹「ウギャ〜!!!」
キモウトは断末魔の叫びと共に膣内裂傷で3ヵ月入院しましたとさ
>>585 GJ。長編で読みたいんだぜ…
>>587 おいwこのタイミングでなんてネタを入れてくるんだ!
思い付きで書きました。
あまり期待しないで下さい。
590 :
白愛:2010/04/26(月) 23:30:30 ID:TMWQTUOg
関東地方のとある高校。
現在は日が沈み始めた夕方で、一般的な学校の鐘の放送が鳴り響き、時限の終了を知らせていた。
ホームルームでの担任のつまらない明日の予定やら反省会やらが終わると、生徒達は放課後に入り始めた。
部活に行く用意をする者、授業の補習に行く者、自宅への帰路に向かう者、あらゆる生徒が各々の時間を過ごそうとする。
その中、自宅への帰路に向かう者の中に、一人の少年が。
学校規定の衣服はしっかりと一切何も乱れずに着用しているのだが、少しだけ普通とは違う所があった。
それは少年の頭、髪にあった。
髪形自体は特におかしな部分は無い。
長くも無く短くも無くの微妙な長さの黒髪。
その黒髪の中に、白銀に輝く数本の髪が、漆黒の中に一筋の線を作っていた。
彼は才堂 黒真(さいどう くろま)。
変わった髪をしているが、彼は何も不良と言う訳ではない。
至って普通の高校生二年生だ。
垂れ目気味の穏やかな瞳、ゆったりとした顔の輪郭、一見すると、男の子らしい風貌の女の子に見間違えてしまう程。
その優しげな空気を纏っている黒真は、自分の鞄に教科書や筆記用具を放り込むと、席を立って帰ろうとした。
「黒真〜!」
そんな黒真を、呼び止めようとする声が響く。
彼の後ろから、小走りで近寄って来る女子生徒が一人。
「ちょっと何一人で勝手に帰ろうとしてんのよ! 今日は駅前にオープンしたクレープ屋に行くって約束じゃない!」
少しだけ怒りが混じったその声に、黒真はギクッとした反応をした。
首を後ろに向いて振り返ると、そこには茶色の混ざった長い黒髪を、ポニーテールにした少女が居た。
黒真とは対照的な吊り目をしており、意志の強さをその瞳で表している。
「い、いや……舞夏。今日は無理だよ」
その彼女、四季野 舞夏(しきの まいか)を見て、黒真は困り顔で返答した。
彼女は黒真との幼馴染であり、高校に入った今でも休日には何処かに遊びに行く程の間柄。
そんな黒真の言葉に、元々気の強い舞夏はさらに顔を顰めた。
「はあ!? だって一ヶ月前から約束してたじゃない! 駅前に新しいクレープ屋が出来るから開店したら行こうって!」
「何度も言わせないでよ。僕ん家、一週間前から父さんと母さんが海外に行ってるから、早く家に帰って妹の面倒見ないといけないって」
一ヶ月の約束とそれより後の急用。
後者を取る黒真に、いつもの舞夏なら胸倉を掴むところだったが、「妹」と言う単語に勢いを失った。
「妹…………真白ちゃんね」
急に静かになった舞夏に、黒真は頷く。
「ごめん。親が帰って来たらちゃんと埋め合わせするから」
両手を合わせて彼女に謝ると。黒真はいそいそと教室から出て行った。
黒真は急ぎ足で家へと着いた。
才堂家は和風建築の家で、周りを二m程の塀で囲み、その塀の内部には池のある庭が広がっている。
家と言うよりは屋敷に近い。
才堂家は市内では少しは名の知れた伝統ある家柄なのである。
門をくぐり抜け、黒真は帰宅した。
「ただいま」
玄関に入り一言言い放つも、何も返事は帰って来ない。
だが黒真は下駄箱を見て、すぐにこの家にはもう一人、才堂家の人間が居ると分かった。
(良かった。真白は何処にも出掛けてないようだね)
純白の女性用の靴を確認し、黒真は安堵の息を吐く。
彼には才堂 真白(さいどう ましろ)と言う妹が居る。
妹は病弱と言う訳ではないが、とある身体の事情で一日のほとんどを家に籠って生活している。
両親が不在の今、妹の真白の面倒は、黒真が看なければならない。
黒真は居間に鞄を置くと、すぐに真白の部屋へと向かった。
二階に上がり、真白の部屋の前に着くと、軽くノックをした。
「真白、帰ったよ」
「はい、兄様。どうぞお入り下さい」
鈴のような声が中から響き、黒真は襖を開けて部屋へと入る。
そこには、畳の中央に静かに正座をしている、白銀の着物と白銀の髪をした少女が居た。
591 :
白愛:2010/04/26(月) 23:32:49 ID:TMWQTUOg
彼女が黒真の一つ下の妹、真白である。
何処までも静かで、何処までも儚い空気を纏う少女。
一番の特徴である、腰まで伸びている白銀は、何も髪を染めている訳では無い。
これが先程言っていた、彼女のとある身体の事情である。
彼女は生まれた時、身体のホルモンバランスに異常が起こったのだ。
その結果、髪が色素を失ってしまい、日本人特有の黒髪では無く、白に近い銀髪になってしまったのである。
色素は紫外線から身体を守るモノ。
その色素が無い真白は、紫外線を直に浴びてしまうと髪が急激に傷んでしまうのだ。
故に彼女は一日のほとんどを家で過ごし、学校も通うことが出来ず、家庭教師を雇って勉学に励んでいる。
外出する際には日傘と帽子は必須である。
それでも頻繁の外出は止めるようにと言われている。
「春香さんは?」
「四季野さんは一時間前に帰られました」
二人が話している人物は、四季野 春香(しきの はるか)。
舞夏の四つ上の姉で、真白の家庭教師をしている。
「そっか」と黒真は呟くと、真白に近付いて手を差し伸べた。
「ほら、早く髪を洗わないと。行くよ」
黒真の言葉に真白は静かに微笑むと、差し伸べられた手を両手で握った。
「はい、今日も宜しくお願いします。兄様」
そうして二人は、家の浴室へと向かった。
才堂家の浴室は温泉と言う程の規模では無いが、それでも人数人は一度に入れる位の広さを誇っていた。
現在その浴室には、黒真と真白の二人が居る。
真白はその細い身体にタオルを巻き付け、木製の椅子に座っている。
黒真は学校の制服のままで、シャツとズボンの袖を捲り、妹の後ろでその白銀に煌めく髪を両手で丁寧に洗っている。
色素が無いため髪が傷みやすい真白の髪は、毎日しっかりと手入れしないといけない。
昔は頻繁に髪を洗っていたが、今は朝に一回、夕方に一回のペースで収まっている。
いつもは母が洗っているのだが、両親が不在の今は黒真がその係である。
「はい、流すよ」
「分かりました」
髪を洗い終え、桶に入ったお湯でゆっくりと流していく。
元々見惚れてしまいそうな程綺麗な銀髪だが、水に流される様を見ると、より幻想的に煌めいた。
「本当、日の光が駄目ってことを除けば、好きなんだけどなぁ……」
ポツリと、黒真が漏らすと、真白は顔を振り向かせた。
「兄様は、私のこの髪だけがお好きなのですか?」
少し不安げな気持ちが混じっていることに、黒真は気付いた。
「そんなこと無いよ! 真白だって大好きだよ!」
あたふたと慌てる黒真の様子を見て、真白はクスッと微笑み、彼の背に両手を回して抱き付いた。
「あ、こら……制服が濡れちゃうよ」
「すぐに乾きます。大丈夫ですよ」
黒真の勢いの無い叱咤をあっさりと流した真白に、彼は「しょうがないな」と言ってその頭を撫でる。
その兄の手の感触に真白は目を細め、さらに力を込めて抱き付いた。
最近になり、身体つき(特に胸)がより女性らしくなった身体を押し付けられ、黒真はより慌て出した。
「わっ!? 駄目だって真白! 離れて!」
「ふふ、それこそ駄目です」
こんな二人のやりとりは最早日常茶飯事であった。
592 :
白愛:2010/04/26(月) 23:33:26 ID:TMWQTUOg
二人は互いに愛情を持って接していた。
黒真は勿論家族として、真白を大切な妹として見ている。
だが真白本人は、その愛情の形が違っていた。
(兄様、私は兄様を愛しています)
その愛情は、一人の女として、一人の男に向ける愛情。
(この世に生を受けた時から、私には兄様しかいませんでした)
体質のせいで、真白は今までほとんど外部の人間との関わりが無かった。
(どのような時も、兄様は私を助けてくれました)
彼女が七つの時、家に遊びに来た黒真の友達が、初めて彼女を見てお化けだと言い放ったことがあった。
(例え、自分が傷つこうとも、顧みずに私を助けてくれました)
言い放たれた言葉に、真白の涙を見た瞬間、黒真は怒り狂って友達に殴り掛かった。
(兄様は私の為なら、いつだってどのような犠牲も厭わなかった)
友達も黒真にお返しと言わんばかりに殴り返し、最終的に駆け付けた両親によってその場は治まった。
(だから、今度は私が兄様に御礼を返します)
いつの時も、黒真にとってどんな重要なことがあっても、それよりも大切なのは真白であった。
(私に出来ること。それは私と言う存在そのもので、今まで沢山傷ついた兄様を癒して差し上げること)
その黒真の行為がより一層、真白の愛を深く重くさせてしまった。
(兄様、愛しています。この身朽ち果てようとも、この愛は枯れることなどありません)
もう後戻りは出来ない程に、この愛は真白に刻まれている。
(だから、兄様も、真白を愛して下さい)
そして、次に彼女はこの愛を、眼前の兄に刻み込もうとしていた。
593 :
白愛:2010/04/26(月) 23:35:10 ID:TMWQTUOg
終わりです。
勢いで書きました。
だもんで多分続かないかもしれません……。
594 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 00:04:01 ID:bEC7mOHg
>>585 >>593 長編じゃないなら長編みたいな書き方すんなよ
なんなのこいつら
特に593は投下するんなら間をあけろ587に失礼だろうが
お前が一番失礼だ
まずはsageろ
文句はそれからだ
まあまあ落ち着いて
>>594 >小ネタ
>思い付きで書きました。
あまり期待しないで下さい。
おまえは何を見てたの?
>>594はツンデレ。
続きを期待する気持ちを素直に表せない。
>>594「べ、別に私は続きが読みたいとかGJだなんて言ってないんだからねっ!」
っていうか、このスレは兄弟(キモ姉妹の攻略対象)がツンデレなケースが多いような気がする。
あっさり受け入れたら話が成り立たないから?
603 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 18:57:22 ID:djNLHu13
メイン 主役
そりゃ常識やらなんやらで一旦抵抗してその後受け入れたらツンデレに見えなくもないけど
割と本気で姉妹の事嫌ってたりあくまで姉妹愛以上にはならなかったりで
本当にデレるパターンはそんなに多くないんじゃない?
だからこそ最終的にキモ姉妹が暴走するんだし
605 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 19:19:23 ID:djNLHu13
メイン 主役 当たる
ノスタルジア来ないかなあ
607 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 21:20:21 ID:upMJxp1n
このスレいいなあ〜 平和で荒れてなくて…シミジミ
嫉妬スレ酷くて…山本君とお姉さんの作者こっちにこないかな〜
あそこまだ荒れてんのかよ
どうしようもないな
女狐の不幸で今日も飯がうまい!メシウマ!
男「……な、なんだこのスレは……
せっかく、せっかく女さんから逃げきれると思ったのに……」
姉「いらっしゃい、弟」
妹「ゆっくりしていってね、兄さん……」
611 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/28(水) 13:17:53 ID:FsPe3LC3
当たる
〜☆もしもシリーズ
もしも兄がGと呼ばれる男だったら キモ「お兄様〜♪」
G「……用件を…聞こう…か」
キモ「わ、私は、お兄様を愛してます」
G「……これ以上俺の狙撃の時間を奪うのは…止めてもらおうか」
キモ「ま、待ってお兄様〜!!」
G「……」ズキュ−ン!!
キモ「…い、いきなり…こ・殺す・んかい」
残念SSに成らず!
もしも兄がとんちんかんの抜作先生だったら
キモ「お兄様〜♪」
抜「…いきなり尻見せ!!」
キモ「…」 抜「前見せ〜!」
キモ「マア…お兄様可愛いオチ〇◆食べちゃいたい♪」カプ
抜「うわ〜食べられてしまったのだ〜♪」
キモ「勝手に胃袋に入るな〜!!!」
残念SSにならず 結論やはり兄叉は弟は草食系エロゲーキャラが一番のようだ。
失業中の生き抜きにハローワークから送ります。…orz
生き抜け。いや、大まじめに。
614 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/28(水) 19:05:40 ID:FsPe3LC3
もてる モテる 勝ち
兄弟と合法的に結ばれるために他人を殺して成り代わる
そんなキモ姉妹が見たいものだ
その正体を知った時の兄弟の脱力感たるや半端ないな
で、幸せな結婚を迎えハッピーエンドになった10年後に「いつから気付いてました?」
「さあなぁ」「最初はわからなかったよ、でも〜」となって、本当のエンディング。
殺された誰かさんには悪いけど、幸せな終末を迎えるキモ姉やキモウトがいても
良いと思うんだ。
お前さんの妄想を具現化しても‥いいんだぜ?
>>618 ありがとうございます。
早速あの忌々しい泥棒猫となり替わってきます。
だが、思わぬ落とし穴が。
顔を変え、戸籍を奪い、指紋まで変えた徹底ぶりが裏目に出て、某半島の
工作員と間違えられ…
621 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 17:13:13 ID:2Lq1lwMo
がんばれ
同好の士を探してキモ姉妹同士で戸籍を入れ替えれば桶
世の中には自分のそっくりさんが3人は存在するという
キモウトが自分と全く血縁の無いそっくりさんを見つけた時どう思うだろうか…
兄「ごめん、妹と同じ顔じゃ異性として見れない…」
気持ちはよくわかるが
妹とそのそっくりさんのどちらにブン殴られても仕方ない断り方だな
625 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 22:08:38 ID:2Lq1lwMo
派手 主役 当たる
まあなま暖かい目でスルーしてやれ
他のスレでも見るし見たらNGするといい
よく見ると前のと続いてる気がして少しずつ意味を見いだし始めてる自分が怖い
630 :
あの日…序章:2010/04/30(金) 21:54:30 ID:MF/zMeJw
「ねえ龍君本当に桃ちゃんのこと何とかしょうとする気あるの?」
香坂澪は放課後の教室でクラスメイトで幼馴染みの神里龍に呆れたように問いかけた。
「あのなぁ〜何とかしょうと思わなきゃ〜委員長に相談なんかしねぇって!」
龍は肩を大きく竦めて溜め息をついた。
二人が話しているのは龍の妹の神里桃香の事だ。
桃香は俗に言うブラコンと言う範疇を大きく越えていた。
登下校は勿論寝る時もお風呂もトイレ以外全て一緒の状態だ。
両親も心配して部屋を別々にしたりお風呂を一緒に入るのを禁止したりするのだが
全て無駄に終わった。 一度龍を全寮制の学校に転校させた事が在ったが桃香が狂ったように暴れた上に
何十qも離れた龍の学校まで二日間掛けて乗り込む始末だ。
最近では、両親も諦め気味状態である。
ただし龍も高三だ将来の事を考えたら何時までも一緒とゆうわけにはいかないのだ。
「桃ちゃんは、はっきり言って可愛いし、結構モテるのよ」
「知ってる、男からの告白を全て断っている事もな」
澪は眉を寄せて大きな溜め息を一つ吐いた「シスコンさん御結婚は何時ですか?」
澪のからかうような言葉に龍も少しムッとした表情で黙り込む。
「結局龍君次第だと思うわ…」「解ってる…」…その時…
「お兄さんこんな所にいたんですか?」
噂をすれば妹の桃香だ「あら?澪さんも一緒だったんですか」
「桃ちゃん最近野球部の安里君の告白断ったんだって?今回何回目?」
澪の問いに桃香は嘲笑ったような表情で答えた。
「私は兄さん以外の人は興味は無いですし兄さんの横にいるのは、私だけでいいんです。」
桃香はさも当たり前のような表情だ 「まあ澪さんは、昔からお世話になっていますから私のいない間だけは構いませんが」
「あら・・ありがとう」澪は、困惑と嘆息が入り混じったような複雑な微笑みを浮かべた。
「さあ‥お兄さん遅くなるので帰りましょう」
桃香は龍の手を引っ張った「わかった・・委員長明日な」
二人は教室を後にした。
龍と桃香は、一緒に歩く時は常に手を繋いでいる。
龍としては平凡な自分と比べて妹とはいえ色白で薄茶の綺麗なセミロングの髪の美少女と
手を繋いで歩くのは気恥ずかしく思えるのだが龍は桃香に逆らう事は出来なかった。
631 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/30(金) 23:24:58 ID:pahKYLva
凄く覚えられてる
632 :
あの日…序章:2010/04/30(金) 23:50:08 ID:MF/zMeJw
下校時、もうだいぶ日が落ちてきている夕日に映る桃香の幸せそうな微笑みに
自分の妹ながら龍は時折桃香にドキリとさせられる時がある。
龍が呆然と桃香を見つめていると桃香が上目使いに微笑みを返す
「お兄さん澪さんと何を話していたんですか」
桃香の問いに龍は、焦りながら「べ、別に何でもないよ!」と答える。
桃香は、龍の手を自分の手に押し当て目を伏せて妖艶な微笑みを浮かべる。
「マア…何を話そうと・・“お兄ちゃん”と私はあの日から永遠に一緒だもん」
桃香の満微笑みに龍は俯きながら「あ・
・ああ」と顔を伏せた
「約束…いや、誓いだもんね“お兄ちゃん”!」桃香は龍をじっと見詰めた。
〜〜8年前
休日の小学校の運動場に幼い少女の叫び声が木霊する。
「嫌い、おにいちゃんなんか大っ嫌い!!」
周囲で遊んでいる子供達や座ってお喋りをしている大人達が一斉に視線を向けた後
「ああ、いつものことかと」苦笑いした。
少女は気にしてない風で顔を真っ赤にして
ある少年をキッと睨みつける。
睨みつけられた少年は、肩を竦めて隣のもう一人の少女の顔を見る。
「桃ちゃの大嫌いは、大嫌いの反対の意味だもんね」少女は桃香に微笑む。
「み、澪ちゃん、違うよ、本当に大っ嫌いだもん」
澪は、ニコニコしながら「本当に大っ嫌いなら龍君本人の目の前で言わないって!」
澪は気安げに桃香の頭を撫でる。
龍も苦り切った笑いを浮かべて
「お前俺の事好きなのか?」「…好きじゃないもん」
桃香は先程の勢いも無く俯き拗ねた表情で足元の土を蹴る。
「大体なんで澪ちゃんと遊んだ位でそんなに怒るんだよ!」
「澪ちゃんとふたりっきりで遊んでるおにいちゃんなんか、嫌い、…大っ嫌い…大っ嫌い!」
目尻に涙が浮かんでる八歳ながら大した迫力だ。
龍は、苦笑いを浮かべて「分かった、分かった、仲間外れにはしない、一緒に…」
龍が言い終わる前に「違う!! 」「は?」
澪が見かねたように口を挟み「桃ちゃんもふたりっきりで龍君と遊びたいだもんね〜」
「…う・ん…」桃香は顔を真っ赤にして俯いている。
「は?澪ちゃんが先約何だけど…」
澪は、困惑と嘆息が混じった複雑な微笑みを浮かべて
「いいって、いいって、この間も桃ちゃん三日も口利かなくて龍君大変だったでしょ」「澪ちゃん…」
「はあ〜桃香これっきりだからな!二度と同じ事言うなよ」
桃香はコクリと頷くが了解した顔では、ない。龍は大きな溜め息を吐いた
しえん
投下乙
なんだが、書きながらの投下は控えてもらいたい
メモ帳あたりに書いてからコピペすればいいと思うよ
635 :
あの日…序章:2010/05/01(土) 01:17:46 ID:FA6+54dj
龍はウンザリしていた毎回誰かと遊んでいると桃香が現れ
遊び相手に女の子がいるだけで怒り、叫び、拗ねる。
「桃香の奴このぶんだと将来ストーカーになっちまうかも…」
龍は、自分の想像でふと背筋が冷たくなった。
そおいえば悪友の剛志が最近女の子の着替えを覗いてクラス中の女子から総すかん
をくらったらしい「女子ってHな事するとすぐ怒るんだよナァ〜」
とシミジミとぼけていた。
妹には嫌われたくたいがここは、少し無茶をしてでも…
龍は密かな決意をした。
「おにいちゃんどこ行くのぉ」「保健室」
休日だが清掃用具置き場の窓から校舎に入る事が出来るのだ。
〜保健室〜
「今日は、俺が桃香を看てやるよ、簡単に言えばお医者さんごっこだ…」
「…」桃香は、俯いて耳まで真っ赤にしている。
「大丈夫だよ、俺がちゃんと観て桃香を治してやるよ」
そおゆうと龍は桃香の着ている服を脱がそうとする。
「おにいちゃん…はずかしいよぉ!?」 だけど龍は脱がすのを止めずに、
「桃香は、今は患者さんなんだから言う事聞かないと駄目だよ」
「うん‥おにいちゃん」桃香の着ていた服は、全て脱がされ、保健室のベットの上に寝かされてしまった。
「おにいちゃん……」恥ずかしくなって、大事な所をかくそうとするけど、
「駄目だよ〜患者さんは大人しくしないと〜」
そう言って龍は、桃香の手を頭の上にもっていきタオルで縛ってしまった。
身動きが出来なくなり不安そうに震えてる桃香に
「じゃあ診察を始めるょっ」そう言うと桃香の胸に聴診器を当てた。
「ひゃあ、つめたいよぉ…」思わず逃げようとするが両手を縛られていて身動きがとれない。
「う〜ん…」龍は唸りながら聴診器で胸やその周囲を当てて行くがその内わからなく
なったのか直接手で桃香に触れた。
「ひゃあ・・はぁぁ」
龍の微妙な手付きか、桃香は甘い声を漏らすようになった。
龍も興奮してきて手を止めて桃香の小さな胸に吸い付いた。
ちゅぱ…「やあぁ・・おにい・やぁ…らめぇ・・あぁ」
「駄目だよ、これは、診察なんだから」 クスリと笑って口で乳首を吸い続ける龍
ちゅぱ…レロ…ちゅ…「あっ、あぁ…」
段々と桃香の未成熟な体が紅潮して汗とアソコから汗以外の液体も滲み出してきた
桃香が甘い声を漏らすようになると龍は
「もっと検査しないとね…」
そう言って胸から秘部へ手を下ろしていき…
636 :
あの日…序章:2010/05/01(土) 02:24:17 ID:FA6+54dj
くちゅ、くちゅ…。 「ひゃあ、おにいひゃん…そ、そこはぁ・・はううっ!?」
桃香は半分涙目になりながら止めてとお願いするが龍は執拗に指を桃香の小さく狭いアソコに出し入れしてゆく
「はぁ、はぁ・はぅぅ…」
いつの間にか目を大きく見開き口から涎が零れていた。
(なに…?おにいひゃん・き、気持ちいいよぉ)
いつの間にか抵抗を止めてされるがままになっている桃香。
龍も興奮して訳が解らなくなっていた、いつのまにか自分のズボンとパンツを下ろして
勃起したモノを桃香のアソコに擦りつけていた。
「おにいちゃん…ずっと、ずっと桃香と一緒にいてくれるよね」
龍も興奮していたので思わず「あ・ああ・も桃香」と答えていた。
「ひゃあぁ…はぅ・・おにいちゃんのお〇ん〇んが、あたってる・・き気持ちいいよぉ」
今考えたら挿入はしてなかったかもしれない
龍は初精前だったし桃香も、初潮はまだだったし痛がってもいなかった。
「あぁ、んんっ」龍はひたすら腰をうごかし桃香は快楽を貪る。
「うぁ…くっ…」 「おにいひゃん、桃香こわいよぉ…おかしくなるよぉ!」
お互いの性器が擦るたび快楽が溢れ出す
「も桃香、桃香」龍は桃香の小さな可愛い唇を貪る。
「んんっ、んんっ、ふあぁぁ!!」
その瞬間桃香は幼い躯をビクンビクンと痙攣させた。
そのまま悲鳴のような声を上げると二人はぐったりとなった。
「おにいちゃん…離れたら駄目だからね、桃香はおにいちゃん…の…お嫁さんになる」
「桃香、ずっと一緒だ…」
小学五年生で勿論性体験も自慰もしたことの無い龍はこの時快楽に酔いしれていた。
この日の誓いが後に大変な事になるとは、知らずに…
まだ馴れていないものなのでご迷惑かけました。
ロリ物が書きたくて勢いでやりました…
orz
駄文なので続きの希望は無いとおもいますが
生存中には、なんとか…もう少しましな物を…
と考えているのでまったりとお待ち下さい。
つまんね
>>636 俺得なSS投下乙〜
続き楽しみにしてます。
欲を言えば、次はもちっと書きためてからが良いかと。
GJ
8年後のキモウト具合に期待。
>>636 幼い頃の約束(束縛)とか大好きですGJ
……まあそれはいいんだけど、途中でレスあったように、書きながらの投下は控えたほうがいいかと。
さすがに最初と最後の投下時間が4時間半以上とか、読むほうも辛いし。
は?
批判するぐらいなら自分はもっと面白いのを書けるんだろうな?
sageてから言いなされ
うまい料理屋があったとしても、注文してから料理が出るまで4時間経つなら……
って話だろ
妄想プロット読みたい
あれ?sageてたのか、珍しい
>>643 てか4時間厨房独占したらその間他の人が調理できないから困る
って話だよね
キモウトに足を舐めさせられたい
647 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 23:20:09 ID:QHeSYDSV
派手 天才 強い
>>641 そういう問題じゃなくね
他人も使う場所を長時間押さえるのは考えものってだけっしょ
読ませてもらってるとはいえ、同じ場所を使うならマナーは守ろうってことなんじゃないの
>>646 むしろ自分がキモ兄だという自覚はないのかい?
キモ兄死ねっ!!
ツ、ツンデレなんかじゃないんだからね!(ドキドキ・・・・///////)
>>641は
>>637に対して言ってるんじゃないのか?
エロパロ板では書きながらの投下は好まれない
なんて当たり前のことに対して言っているのなら失笑ものだけど
お前らそんな顔真っ赤にして言い合いしてる暇あったらSS考えて投下しろよ
(´・ω・`)
>>653 レス読む限りじゃ割と冷静に対処してるように見えるけど?
それとも『顔真っ赤にして』キリッ
ってしたい年頃なのかw
寝起きの悪い僕である。目覚まし時計は3つ使い、携帯のアラームまで使ってようやく起きるのが毎度の事だ。
布団の中の心地よさは母親の胎内に似ているんじゃないかと思う。きっと妊娠中の女性のお腹の中には布団が入っているのだ。
そう考えると、なるほどと納得できる。赤ん坊は安らかな気持ちでぐっすりと母親の胎内で熟睡しているのだ。さぞかし良い夢を見ているのだろう。
胎内回帰願望が僕の深層心理にあるのかないのかは知らないが、正直赤ん坊が羨ましい。
できることなら人生の半分は布団の中で暮らしていたいと願うそんな僕なのだ。つまり朝に弱いのは当然のことなのである。
しかし現実は甘くない。毎日朝はやってくるし、眠りは覚めてしまい起きなければならない。なんということだろうか。実に許し難い。
これはきっと世界の陰謀だ。でなければ、布団業界の陰謀に違いない。僕を貶めようとする卑劣な罠だ。
こんな怠惰な願望と奇妙な妄想に囚われるのは全て布団が悪いのだ。だって心地良いんだもん。
そんなわけで、僕は朝起きるのが苦手だ。目覚まし時計は必需品である。
そんな僕でも目覚まし時計を使うことなく夢の世界から抜け出す時がある。
そんな場合はというと、要するに目覚まし時計以外のもので起こされるのだ。
布団ではない重さと温かさ、くすぐったい腹部と胸、足に絡みつく何か。嗅ぎなれた香水の匂い。動かしにくい手足。
そんな時は嫌でも目を覚ます。不快感と危機感、本能的な何かが僕の意識を強制的に覚醒させるのだ。
そんなわけで、僕は今日も目覚ましを使うことなく目を覚ますことになったわけだ。
――僕の眠りを妨げる犯人は、きっと母親の胎内に布団がなかったのだろう。
夏目燿(なつめ あき)が息苦しさとくすぐったさで意識を覚醒させ、うっすらと目を開くと、布団が盛り上がっていた。
燿はぼんやりとした頭でしばらくそれを眺めた後、その膨らんだ布団を捲り取ろうとして、両手が縛られている事に気がついた。
万歳をするようにベッドの両端に縛られているらしく、いくら動かしても外せない。ぼんやりとした意識が急速に覚めていく。
不意に、腹部を撫でられた。胸の辺りに固い重みと、息を吹きかけられたようなくすぐったさを感じる。布団の中の侵入者に、燿は欠伸ではなくため息を吐いてから声をかけた。
「……姉さん、何やってんのさ?」
そう呼びかけると、もぞもぞと動いていた布団がピタリと止まり、ゆっくりと盛り上がっていく。
布団から顔を出し、燿の胸の上に侵入者の顔が露わになる。
端正な顔だ。顔全体のパーツ一つ一つバランスが良く、形も良い。きめ細かく透けるような肌にはシミ一つない。赤みがかった長い髪は絹糸のようだ。
目を奪われるほど整った顔の女を見て、燿はうんざりしたような顔で「やっぱり姉さんか」と言った。
「おはようからおやすみまであなたの生活をサポートする人生のグッドパートナー、翠(みどり)姉さんです。グッモォニン、燿。今日も良い天気よ」
燿の顔を覗きこむようにして、夏目翠(なつめ みどり)は極上の笑顔でそう言った。
「……オーケー姉さん、わかったから布団から出てくれ。そして下着と服を着て縄を解いてくれ」
うんざりしたような顔で、うんざりしたような声で、うんざりしたようなため息を吐く弟を見て、翠は頬を膨らました。狙ったような表情だが可愛らしい。
燿の言った通り、翠は一糸纏わぬ姿である。布団を剥がして露わになった肢体を見ても、燿はため息しか出ない。
余分な脂肪のない人形のような細い肢体。透き通るような白い肌。細く伸びた手足。形の良い乳房。顔も体も人形のように出来過ぎている。
確かに美しいと思う。自分の姉ではあるが、客観的に見ても美人だ。しかし燿はそう思うだけで、それ以外の感想を持たない。
――なぜなら、見慣れているからだ。そして姉だからでもある。姉に欲情するのは燿にとって有り得ないことなのである。
全裸の美女が自分の布団の中に潜り込んできても燿にとってはただの侵入者であり、安眠を妨害する全裸の邪魔者でしかない。
「もうっ! 朝っぱらから不機嫌そうな顔しないの。眉間にシワを寄せてる燿のそんな顔、お姉ちゃん見たくないぞっ!」
「誰のせいだと思う? ねえ、誰のせいだと思う?」
愛嬌のある翠の顔に拳を叩きつけたくなるが、両手が縛られているため燿は我慢するしかない。
「つーかさ、どうして何度も裸で俺の布団に潜り込んでくるわけ? しかも寝てる隙に縄で縛るとかさ」
燿がそう言うと、翠は燿を見下ろして、残念そうに、呆れたように盛大にため息を吐いた。
「はああぁぁ〜……わかってないわね、燿。ダメよダメ、全然ダメ。燿、女の子ってものを全然わかってない」
「なにが?」
殴り飛ばしたいのをぐっと堪え、燿は聞き返す。
「女の子はね、寝る時はシャネルの5番だけしかつけちゃいけないのよ」
「マリリン・モンローかよ!? つーか質問の答えになってねえ!!」
朝日を全身に浴びて輝くような笑顔で言う姉に、燿はとりあえずツッコんだ。
良い反応ね流石私の弟ねと言いながら、翠はベッドから降りるとカーテンを開き、窓をガラリと全開にした。
「ほら、見なさい燿。今日も世界中が私と燿を祝福してくれているわ。
小鳥の囀りも木々の青葉も車の排気ガスも隣のペス(柴犬♂)も大五郎さん(82歳)も、隣家の朝食の秋刀魚の匂いもみんな私たちを祝福してくれているわ」
「頼むから全裸で窓を開けないでくれない? あとさっさと服を着て縄を解いてくれない?」
「もう、しょうがない子ね燿ったら。お姉ちゃんがいないとダメなんだから。本当に世話の焼ける弟だわ」
こめかみが痙攣するのは燿の我慢が限界に近い証拠である。やれやれと首を振りながら(少し嬉しそうな顔で)もったいぶった素振りでゆっくりと翠が両手の縄を解く。
両手両足の拘束を解かれ、上半身を起こしてから燿はあることに気がついた。スウェットが捲れ上がり、下はパンツが見えるまで下げられていた。
色々と考えながらスウェットを着直して、未だに全裸のままの翠に振り返る。
「ありがとう、姉さん」
「いいの、気にしないで。弟の世話をするのが姉の務めなんだから」
にっこりと笑いながらそう言う翠を見て、燿は翠と自分、そして背後の距離を確認した。
――後ろはベッドだから大丈夫だな。
翠は後ろを向いて縄を片付けている。燿は静かに一歩踏み出して、翠の真後ろに立つ。翠は形の良い尻を小さく振りながら、まだ縄を弄りながら話している。
「でもね、でも世話をしてもらったら姉である私を抱きしめてキスをするのが弟の義務だと思うの。
私としてはディープなキスが良いわ。もちろん五分以上よ。その先も燿が望むなら姉さん大歓迎よ。燿の子供なら全力で妊し」
腰に手を回す。開いた両足に力を入れ、思い切り持ち上げ――倒れるような反り返る。
「ふんッ!!」
「んふぇあっ!!」
盛大な音が室内に響き渡る。ジャーマンスープレックス――かの有名なプロレス技である。
燿はベッドにひっくり返っている翠にすぐさま振り返ると、近くに落ちている縄で翠の両手両足を縛りあげた。
「いたたた……あ、燿? そんないきなりハードなSMプレイは姉さんちょっと予想外よ」
「大丈夫だよ、優しくするから」
そう言いながらもきつく縛りあげる。四本の縄で厳重に縛ると、タオルで目隠しをしてトドメに口にガムテープを貼り付けた。
「ふっも、おふ? おもふもんももおもんおもむもおもももうも。もう、おふ?
(ちょっと、燿? いくらなんでもこれはやりすぎだと思うの。ねえ、燿?) 」
ベッドの上に美人芋虫が一匹。事情を知らない者が見れば驚愕すべき格好である。
頬を赤らめながらくねくねと悶え、ふもっふふももーと言っている翠に布団を被せると、燿は静かに部屋から出て行った。
「おはよう兄さん。早速だけど助けて」
「おはよう藍(あい)。朝っぱらからそんなとこで何してんだ?」
リビングに降りて燿が目にしたものは、正気を疑うような光景だった。
愛らしい容姿の少女である。艶やかな長い黒髪の少女である。可憐な少女である。そして、燿の妹である。
姉に負けず劣らずの美しい少女だ。背中まである長い黒髪は真っ直ぐに伸び、前髪は目の上で切りそろえられている。
ガラス細工のように繊細な、人形のように可憐な少女が――リビングから見える庭で十字架に張り付けにされていた。
パジャマ姿の少女の首には『不届き者です。餌を与えないでください』と書かれたプラカードがぶら下げられている。可憐な少女には似合わない内容である。
燿は指で眉間を押さえて数秒ほど考えたあと、とりあえず少女――妹を助けてやることにした。
夏目藍(なつめ あい)――燿の二歳下の妹である。
「ありがとう兄さん。兄さんが見つけてくれなかったらあの変態に火炙りにされるところだったわ」
「……やっぱり姉さんの仕業か。つーかいつからこんな目に遭ってたんだ?」
「昨夜からよ。あの変態性欲大魔神にキッチンで襲われて気がついたら……」
手首の縄の痕が痛々しい。涙を堪えて藍は燿の胸に顔を埋めて震えている。燿は藍の頭を撫でながら、優しく声をかけた。
「原因はなんなの? まさか理由もなく姉さんが藍にそんなことするわけがないだろ?」
燿は言ってから気づく。あの姉に限っては常識というものが存在しないということを。
「あの変態に青酸カリを飲ませようとしたのがバレ……たわけじゃないのよ。ただ兄さんにしつこくまとわりつくのを注意したら突然襲いかかってきて……」
桜の蕾のような少女の唇から青酸カリという言葉が聞こえた気がするが、燿は気のせいだと思うことにした。
きっと自分には予想もつかない二人のやりとりがあったのだ。姉妹は本当は仲が良いのだ。ただ少し互いのコミュニケーションが一般のそれとは違うのだ。
自分の胸に顔をうずめ、鼻を押し付けて激しく呼吸をする妹を見ながら自分にそう言い聞かせていたが、いよいよ碧の様子が尋常ではなくなってきたので引き離す。
藍は残念そうな顔をしたが、すぐに普段の表情に戻った。。
「そういえば、あの変態大魔神のせいで朝食の準備が。急いで作らなきゃ」
「朝食なら僕が用意しておくから、藍はシャワーを浴びて学校に行く支度をして。急がないと遅刻しちゃうから」
燿が起きる時間は遅い。今回は翠のせいで早起きすることになったが、それでも一時間にも満たない程度の差だ。
簡単な朝食でも作るのに時間は多少かかる。朝食の準備と食事、学校へ行く支度を藍が今から全部しては間に合わない。
藍は少し迷ったが、申し訳なさそうにお礼を言うと、急ぎ足で風呂場に向かう。
ベランダからリビングに戻った燿は大きな欠伸をして、朝の簡単な献立を考えながらキッチンに向かった。
「わかってない! わかってないわ燿! っていうか酷いわ!」
「なにが?」
「ハードSMプレイかと思いきや放置プレイっていうのは斬新よ。一体何時何が起きるのかハラハラドキドキしたわ。
でもね、放置されすぎると興奮より不安しかないの。放置プレイってのは絶妙な焦らし加減が必要なのよ!
なのに燿ったら放置しっぱなしで朝食食べてるじゃない! いくらなんでも待たせすぎよ酷いわ。っていうか私の朝食はどうしたのよ!!」
「っていうかよくあの縄を自力で解いたね。あ、姉さんの朝食は無いよ」
「兄さん、それ以上喋ると馬鹿が移るわよ。露出狂は放っておいて朝食を済ませましょう」
「だいたい磔にしておいた小娘がなんで燿と優雅な朝食を食べてるのよ。弟と食事をしていいのは姉だけという世界のルールを知らないの?
わかったらひよっ子はさっさと庭に出てミミズでも食べてなさい!」
「……いい加減服を着ようよ姉さん」
「ダメよ兄さん、変態と会話をしたら変態が移るわ」
「言ってくれたわね小娘が。挽き肉にして肉屋に売りつけてあげるから表に出なさい」
眉を吊り上げて指の骨を鳴らす翠とそれを無視してトーストにジャムを塗る藍を横目に、燿はコーヒーを飲みながら考える。
父が居ればなんと言うだろうか。やはり姉の痴態を叱るだろう。いや、無口な父は新聞を読み続けて何も言わないかもしれない。
母はどうだろうか。きっと2人に注意するだろう。そして父が食事中に新聞を読むのも注意するだろう。
平凡な家庭の朝の食卓というものを想像――いや、思い出してみる。やはり昔はそんな感じだったなと燿は過去の夏目家を懐かしんだ。
夏目家の現在はというと両親は不在である。父も母も海外出張してなかなか帰ってこない。父に至ってはかれこれ二年も顔を見ていない。
母は先月帰ってきたのに二週間足らずでメキシコに行ってしまった。次に帰ってくる時はお盆らしい。
両親不在ではあるが夏目家は不自由なく、これといった苦労もしていない。金だけは余裕があるのだ。
しかし家族とはこういうものではないのではないかと燿は考える。裕福に暮らしているが、多少貧しくても家族揃って生活するのが一番なのではないか。
しかし自分たちが裕福に生活できるのは両親が海外で一生懸命働いているからである。こればかりは否定できないので考えは堂々巡りになってしまう。
なんだかなあと考えながら、やはり両親には家に居てほしいと思う。でなければ自分が二人を止めなければならないからだ。
時計を確認すると、そろそろ家を出なければ遅刻してしまう時間帯だ。ふと、燿は言っておくことを思い出した。
「あ、そういえば今日遅くなると思うから夕飯は二人とも先に食べといてね」
その一言で、二人の喧騒が止んだ。
一気に食卓が静かになる。牛乳を口に運ぼうとしたまま止まる藍。未だに裸(パンツと靴下だけは着用している)のまま立っている翠。
トーストをコーヒーで流し込み、ごちそうさまと言ってから席を立とうとした燿は二人が硬直したまま自分を凝視していることにようやく気がついた。
「ん? どうしたの二人とも」
「……遅くなるというと、何時くらいになるの?」
牛乳の入ったコップを持ったまま、藍が平坦な声で尋ねる。
「んー……遅くても8時前には帰ってくるかな」
「どういうことかしら。遅くなる理由をこの姉に説明してちょうだい」
裸のまま(パンツと靴下は着用している)燿の前の椅子に座り、どこから出したのかメガネを掛けて翠が質問する。ちなみに伊達メガネである。
「まあ用事っていうか友達と遊ぶだけだよ。ほら、この前家に遊びに来た遠見と赤城たち。二人とも知ってるでしょ?」
「兄さんと仲の良い友達ね。椎茸みたいな人と玉葱みたいな人だったわね」
「ああ、あの将来に希望を見いだせそうにない路傍の石ころのくせに燿と仲の良い二人ね」
酷い言いようである。
「そんなわけだからさ、今夜は夕飯はいらないから」
燿はそう言うと自分の食器を持ってキッチンに向かうと、今度は冷蔵庫からいくつか適当に見繕って翠の前に置いた。
「これで朝食作って自分で食べてね。それじゃ学校に行ってくるから。藍も急がないと遅刻するよ」
「ま、待って兄さん。一緒に行くわ」
慌てて牛乳を飲み干して食器をキッチンに置き、燿の後を追いかけて藍が玄関に向かう。
リビングに一人残された翠は目の前の食材を眺めたまま、玄関のドアが閉まる音を聞いた。
「ゆゆしき問題だわ……」
食パン、ジャム、納豆、卵、ご飯、イカの塩辛、ひじきの和え物、牛乳、ヨーグルト、バナナ。あと調味料にケチャップとマヨネーズ。
翠の前に置かれた品々である。テーブルの中心には大きなボウルにサラダが残っている。
翠は品々を見つめながら腕を組んで、もう一度「ゆゆしき問題だわ」と言った。
「燿が私をほったらかしにして友達と遊ぶなんて。1日は24時間しかないのよ。学校に行っている間離れているだけでも我慢しているのに遅くなるなんて耐えられないわ」
トーストを焼いて目玉焼きを作り、かき混ぜた納豆をトーストに塗りたくり、その上に目玉焼きを乗せてケチャップをかける。
「きっと友達に無理矢理付き合わされているのね。燿ったらキリストより釈迦より優しいから路傍の蟻にも優しくしてしまうのね。
でも燿はもっと私に優しくするべきだと思うわ。弟が姉に優しくするのは大宇宙の法則であり国家の誕生から決められているルールなの。
嗚呼、昔はあんなに甘えん坊さんだったのに……」
ミキサーに牛乳とバナナとジャムを入れ、ヨーグルトとひじきの和え物も投入する。
「まさか友達に誑かされたのかしら。悪い友達に唆されている可能性は否定できないわ。神に唾を吐くが如き愚か者が燿の身近にいる可能性もあるわね」
ご飯をレンジで温めてその上にイカの塩辛を乗せて、ついでにマヨネーズをたっぷりとかける。
この間僅か二分半。カップラーメンができるより早かった。
独り言を呟きながら作った料理(らしきもの)をテーブルに置き、翠はふと表情を曇らせた。
「そういえば今日遊ぶのはさっき言っていたカブトムシとバッタだけなのかしら?
燿の言い方だとそのほかにも誰かいてもおかしくないわ。心配だわ、嗚呼、心配で心配すぎるわ……」
――遠見と赤城たち。“たち”と言っていたわね。
二人だけとも受け取れるし、二人とその他とも受け取れる。
「まさか……女も混じってるんじゃないでしょうね……。ダメよダメ、姉さんそれだけは許さないわ」
翠は鼻息荒く席から立ち上がると、後片付けもせずに自室へと戻った。
ちなみにテーブルにあった料理(とは言いにくいもの)は、作る時間より早く食卓から無くなっていた。
ところでどうでもいい話だが、翠は一つ勘違いをしていた。
燿が用意した材料はあくまで『適当に選んで好きに食べて』という意味である。つまり自分の朝食は自分でなんとかしてという意味だ。
しかし翠は別の意味で捉えた。
――この僕が姉さんのために選んだ材料を使って最高の料理を作って食べてね。
と解釈したのだ。
ゆゆしき問題とは二つの意味であった。一つは朝食のこと、もう一つが燿のことだった。どうでも良い話である。
そんなわけで、夏目家のリビングには緩やかな空気だけが微かに残った。
投下予告がなぜか書き込まれてなかったけど投下終了です。
以前書いた日記ものの続きみたいなものです。妹妹言ってくれた方々、妹編はこれで勘弁してください。
ナルホドこの間の姉日記の方ですか… 日記もいいけどこちらもイイ…続編期待します。
しかしリアルで俺だったら直ぐ3Pだが女の家族居ないので解らんが…そんなに身内の女は、欲情しないのか?www
665 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 10:26:21 ID:hhdHGne4
sage忘れでした
>>663 GJ!続きを待ちます
ひよっこは庭で〜の言い回しが個人的にツボでした
>>664 男の家族や母親に欲情しないのと同じ感覚だと思うんだ
姉の胸を見るたび欲情してますが何か
669 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 19:22:47 ID:Gh/rZpGq
主役 当たる
新作か
首を長くして後編を待ってるぜ
ぶるあ
673 :
姉と弟。5:2010/05/02(日) 22:00:23 ID:RJcgIXC0
「ほら、タローちゃん!早く学校行くよ!」
「ちょっ、ちょっと待てって!お姉ちゃんっ」
――太郎、中学一年の春。この時、まだ太郎は舞の事を『お姉ちゃん』と呼んでいた。
「もー!また遅刻しちゃうでしょ!」
ワタワタと慌てて教科書を鞄に詰め込んだ太郎の腕を引っ張って家の玄関まで来た舞は、
「これからは寝る前に次の日の準備をすることっ!」
そう言って、軽く太郎の額にデコピンをした。
今ではほとんど同じ高さになった姉の目を恨めしく見ながら太郎は、
「昨日はお姉ちゃんがお話がしたいって言って深夜まで俺を付き合わせたんだろ……」
「それとこれとは関係ないでしょ?」
シレっとした顔で舞。
「あ、あるだろ!」
「寝る前に次の日の準備をしておくことと、それと、何の関係があるの?」
「そっちじゃなくて遅刻の話だよ!」
「そうそう、遅刻するから急がなきゃだね!」
舞は、靴を履いた太郎の腕に自分の腕を絡ませると玄関の扉を開け、
「いってきまぁーす!」
急ぎ足で学校へと向かった。
――それから数ヶ月後、季節が秋になる頃には太郎は舞よりも背が高くなっていた。
その変化の中で太郎は、今まで『姉』として好きだった舞を『異性』として意識し始める。
だが、これはあくまで太郎の認識である。
舞は、それよりもずっと前、太郎が小学二年の時から自分を女として好いているのだと思っていたのだ。
原因は小学二年の太郎が舞に言ったあるセリフにあった。
「お姉ちゃん、大人になったら結婚しようね」
舞はすぐに泣き笑いの表情になり「もちろんだよ!」と返事をした。
しかし、そのすぐ後、太郎は知る。
「僕、大人になったらお姉ちゃんと結婚するんだ」と語った太郎に担任の教師が、
「残念だけどね、姉弟では結婚出来ないんだよ?」
そう教えたからだ。
更にはクラスメイト達からも、
「お姉ちゃんと結婚なんて気持ち悪ぅ」
不味いものでも食べたような顔で馬鹿にされた。
学校が終わり、舞との下校中、泣きながら太郎は舞に姉弟では結婚出来ない、ごめんなさいと繰り返した。
舞はその瞬間から『結婚』というものに悪感情をいだくようになった。
何故、本当に好きあっている私たちが結婚出来ないのだろうか?
姉弟であるという理由だけで。
今まで結婚に憧れを感じていた舞だからこそ、裏切られた反動も大きかった。
弟を泣かせた糞以下な制度が『結婚』、私たち姉弟を祝福しない最低な契約が『結婚』、
お互いを真の意味で信頼しあえない豚共が涎を垂らしながら喜んでするのが『結婚』。
舞にとっての『結婚』は、脳をウジ虫に食い荒らされた犬畜生の作り出したイカレたモノだという事になった。
こうして舞の心に大きな変化をもたらせた太郎の結婚発言は、当然太郎自身にも作用した。
太郎はより強い結婚への憧れ、そして『姉』を『異性』として見てはならないという戒めを持ったのだ。
そして幼い記憶の中で持ったことすら忘れていたその戒めが、中学生になった太郎を苦しめる。
『姉を異性として意識してはならない』『姉とは結婚出来ない』『姉と結婚したいなんて言う奴は異常者だ』。
そんな中で太郎は舞の呼び方をお姉ちゃんから姉貴へと変えた。
これが太郎なりのけじめの付け方だった。
674 :
姉と弟。6:2010/05/02(日) 22:01:41 ID:RJcgIXC0
――太郎が中学二年になり、その半分が過ぎた頃、太郎と舞の身長差は20cm以上にもなっていた。
勉強もスポーツもそこそこ出来、顔も悪くない太郎は結構な数の女子から告白をされるようにもなった。
……ホモなんじゃないかと噂が流れるほど、太郎はその全ての告白を断ったわけだが。
どんなに可愛い子の告白も、姉の顔がチラついてしまい到底受ける気にはなれなかったのだ。
太郎にとって、姉以上に魅力的な女性は存在しなかった。
『このままではマズい』
そう思った太郎は中学三年、姉とは違う高校に行こうと考える。
これはすぐに舞の反対に合い流れてしまったが、その事に安堵している自分を感じ太郎はそれをひどく嫌悪した。
湯に浸かり、ボーっとしていると色々な事を思い出す。
それも、大抵は嫌な思い出ばかりだ。
太郎は湯船の中の湯を両手ですくうとバシャリと顔にかけ、思考を切り替えようとする。
「入るよー」
脳天気な声と共に浴室に侵入してくる舞。
舞はペタンと風呂用の椅子に座ると、シャワーで身体を流し始める。
ババッっと素早く顔を背けた太郎が、
「あ、ああ、姉貴っ!風呂には入ってくるなって言っただろ!」
大声を出すと、
「えーーー?何てー?シャワーの音で聞こえなーい」
狼狽える太郎に白々しく返す舞。
律儀にシャワーの音が止むまで顔を背けながら待っていた太郎は、
「も、もう一緒には入らないって約束しただろ……」
シャワーの音が無くなったせいか、より裸の姉が近くにいることを意識してしまい小声になりながらも言った。
そんな舞がいる方向とは逆の壁を向いて縮こまる太郎の顔に手を伸ばし直に触れると舞は、
「今までは毎日一緒に入っていたじゃない」
太郎を自分の方に向かせながら言う。
やけに色っぽく。
「そっ、それはそうだけど……、今はもう、高校生だし……」
少しだけ抵抗をした後、すぐにされるがままになった太郎は姉の顔だけを見るようにしながら言葉を返す。
「それを言うなら、中学生で一緒に入っていたのもおかしかったんじゃないの?」
舞は太郎の濡れた頭を撫で、微笑みながら言った。
「中学の時に一緒に入りたいって言ったのも姉貴だろ……」
「でもタローちゃんは嫌がらなかったでしょ?」
「何度もやめろって言った……」
「タローちゃんが、本当のホントに嫌だったらお姉ちゃんも少しは考えるけどね」
言いながら湯船の中に入り、太郎に身体を寄せる舞。『ザー』っと湯船から湯が溢れ出す。
「あったかいねぇ」
太郎の開いた脚の間に収まり、男らしくなった胸板に頭を預けて深く息を吐く舞。
太郎はそんな舞の無防備さ(わざとやっているのだが)に胸の鼓動が早くなり、その音が舞に聞かれていやしないかとヒヤヒヤする。
舞は背こそ低くて胸も控えめだが、腰はしっかりとくびれているし、お尻もポテンとして非常に可愛らしい。
何よりも全身がマシュマロのようにフワフワモチモチしているので、ただ触れているだけでも太郎はドキドキだ。
それに姉弟まったく同じボディソープ、シャンプーとリンスを使っているはずなのに、姉からは頭がどうにかなりそうな程の甘い女の香りがしてくる。
更に、舞がお尻を動かす度にその柔らかな桃肉が太郎の股間に擦れ、必死で意識を逸らしていないとすぐさま勃起してしまいそうになる。
姉を異性として見ないように努力をしているつもりの太郎にしてみれば、この時間は大変につらいものだった。
……あとでこっそりと姉の裸体、匂い、柔らかさを思い出しながらオナニーをしているのだからまったく無駄な足掻きではあるのだけれど。
「ねぇ、タローちゃん」
舞は呟くとまたお尻の位置を少しずらす、それが上手いこと太郎のアレの先を刺激した。
「あっ……」
大きくなった太郎の先端が腰に当たり、思わず声も漏らす舞。
675 :
姉と弟。7:2010/05/02(日) 22:03:25 ID:RJcgIXC0
何かを言おうとして黙り込んでしまった舞の頬がどんどんと紅くなっていく。
舞は太郎の精液の付いたティッシュを嗅いだり、全裸で風呂に侵入したりは出来るが、こういう事にはまだまだウブだった。
生まれて今まで太郎一筋、男性アイドルやイケメン俳優をも素通りして過ごしてきたのだから当然といえば当然である。
普段の気の強さもなりを潜めてただただ俯き紅くなる。だが決して太郎の男性な部分から離れようとはしない。
そんな舞に、太郎は、
ふおおおおおお!かかかかか可愛いよォ!可愛すぎるだろ俺の姉貴!ふぉう!
ああ、あああ真っ赤っかだよぉ……、俺のおちんぽで姉貴のプニプニほっぺが真っ赤っかになっちゃってるよぉ……
あッんッ!おっお尻動かしちゃらめぇ!んふァ!らっらめぇッ!いあっ!いあっ!
おっ俺たち姉弟なんだからねっ!あっ、おっ……おっお尻ぃいいいいいいいいいい!気持ちいい!気持ちいいです!はい!
で……でもでもでもっ!姉弟でこんな事いけないんらからぁ……ハァンッ!波打っちゃう!そんなに腰を動かすと俺のおちんぽ波打っちゃうから!
くそぅ……、い〜い匂いらなぁ……、姉貴の匂いに溺れて俺ちゃん酔っちゃんちゃん……
うわああああ、姉貴の柔らかフニプニボディたまらないのだ!もうこうなったら姉貴の水分を含んでペッタリとした髪の中で窒息死するしかない!
おもいっくそスーハースーハー嗅いで嗅いで嗅いで嗅ぎつくしての窒息死は名誉の戦死です!
ぐぬおおお、姉弟でなければ!姉弟でさえなければ今すぐ抱きしめて顔全体を舐め回して俺エキスと姉貴エキスをごっつんこでファンタジーは常にそこにある現実なのに……
ふわっ!エエッ!?今、この娘、肩の部分で俺の乳首にダイレクトアタックかましてきましてよ!?ナニッ!?そんなやり方も出来たのっ!?
追加注文!追加注文お願いしますとか思ってたらおちんちんにも刺激がきたああああああああああ!
「ね、ねぇ、タローちゃん……」
「ん?どうした姉貴」
頬を紅く染め小さく声を出した舞に、同じく頬を染め小声で尋ねる太郎。
「そろそろ、あがろっか……」
ポツリと舞。
「そ、だな」
頷くと太郎はタオルで股間を隠しながら別のタオルで身体を拭き、パジャマに着替えると浴室をあとにした。
その後、自分の部屋に戻った太郎が姉をオカズに全力でオナニーをしたことはあえて言うまでもない。
次の日の朝。
太郎が目覚めると、何故かベッドの中には舞がいた。
「あれ……?なんで……?お姉、ちゃん……?」
寝ぼけ眼で状況を確認する太郎。と、
「へ?俺、パンツ履いてない?」
自分のお尻を触りながらベッドに散乱する丸まったティッシュを眺めること数十秒。
「うわああああ!」
そ、そうだ!昨日はオナニーしてそのまま寝ちゃったんだ!
て、ていうか姉貴に絶対オナティッシュ見られたよな、うわ、恥ずい!
慌てて精液の付着したティッシュ数枚をゴミ箱に捨てる太郎。
そしていまだ太郎のベッドで眠り続ける舞に目を向けた。
「おーい、姉貴ー、朝だぞー」
小さく声をかけるが起きる気配はない。
あどけのない寝顔だ。それにとても幸せそうな……。
無意識に太郎は、そんな少女の寝顔を見せる舞の頬に唇を触れさせる。
『ハッ』と我に返り、舞から顔を離した時にはもう遅かった。
「ふひひ……、タローちゃんからチューされちゃったぁー」
ベッドに横になりながら顔だけを太郎に向ける舞。物凄いにやけ面だ。
「あ、姉貴……、起きて……」
驚きたいのか泣きたいのかわからないような情けない顔で後ずさる太郎。
「高校生になってからタローちゃん、なぁーんか冷たいから心配してたけど……」
「良かった」嬉しそうに呟くと、太郎にキスされた頬を大切そうに手の平で覆う舞。
幸せそうな姉を見て太郎は、
ま……、まぁいいか。でっ、でも姉弟でキスなんて本当はダメなんだからねっ!今日はサービスなんだからっ!そもそも俺の部屋に勝手に入ってベッドにまで無断で侵入するだなんて――
などとゴチャゴチャしたことを考えながらも、隠しきれない笑みを浮かべていた。
今回はここまでで。
読んでくださった方には感謝を。
次はもう少し早く投下します。
乙
このキモウト(キモ弟)はもう駄目だ…
投下予告です。エロ無しです前の作品とあまり間が空いて無いですがご容赦を
679 :
キモウトレイ:2010/05/03(月) 00:53:17 ID:cG+AEQaF
俺は、木網大太35歳独身で失業者だ。
金無し、職無し、女無し…身寄りも無し
本来なら物語にも成らない人生だが…
「お兄ちゃん〜♪」
こいっは、木網宇都13歳…えっ妹がいるのかって?確かにいる…
享年13歳そうこいっは、幽霊なのだ…
「お前イキなり現れるなと言ったろう!」
「予告して現れる幽霊なんて居ないよぉ」
こいっのお陰で現在オナ禁中だ、AV借りて来たらいきなりdiscが破損するし
エロ本見てたら本が燃え出す始末だ…
俺は、全うな感覚なんか持ち合わせてもいないので本来なら宇都を襲ってやりたい
が肉体が無いのでそれも出来ない
まあ宇都を喜ばすだけなのでこのことは、言えないが…
宇都は、一生のほとんどが病院だった。黒髪で色白、アイドル並みの美少女と言う
のが病院内の評価だったらしいのだが
何故かそんな美少女が死後まで俺にこだわるのか俺には、さっぱり解らない
理由無き偏愛、それがキモウトなのだ…と誰か言ってたッケ
680 :
キモウトレイ:2010/05/03(月) 00:54:56 ID:cG+AEQaF
「さて、俺コンビニでも行って来る」
「お兄ちゃん、ちゃんと栄養の有るもの採らないと駄目だよ!」 「幽霊に家事なんか出来ないだろう」 「うん…」落ち込んだ宇都を無視して店に向かった。
PM7:00いっものコンビニに寄る時間だ
家からコンビニの道のり…「チョットあなた!!」…またこいっか…
いっも絡んで来る占い師の菅井キン似のバーサンだ。
「はい?」「あなたに、今夜不吉な事がおきます」…ハア、またか…
「あのネエ…失業者で彼女もいない…コレ以上結構ですけど…ハ・ハハ」
そう一言吐き捨てると俺は、バーサンを無視してコンビニに向かった。
「いらっしゃいませ〜」高いソプラノボイスが店内に響く。
最近入った夜勤のお姉さんだ…チョットギャル系の入った茶髪だが笑顔がとても
可愛い。現在の楽しみの一つだ
しかし慌てて弁当を買うような俺では無い、慎重にレジの方を見ると…
いた!オーナーの無愛想親父だ。あの親父いっもレジを占拠して中々離れない。
フフフしかし俺は、知っている後数十分もすれば親父はレジ裏の事務所に
引っ込む筈だ…彼女の柔らかな手の感触をゲットするまでは…
681 :
キモウトレイ:2010/05/03(月) 00:56:16 ID:cG+AEQaF
俺は辛抱強く待った。キタ〜親父がレジ裏に引っ込んだ。
このチャンスを逃す俺では無い、幸いにレジに人も並んでいない。
俺は素早くレジに向かった。
「ありがとうございます。唐揚げ弁当ですね」ウーン可愛い…
「温めますか?」勿論だ…俺のアパートにはレンジなど無い。それからもう一つ
彼女が後ろを向いている間彼女のうなじ、肩、お尻を十分堪能しなければ…
俺が呆けていると…
「は〜いそれでは380円になります」
いかん…俺は気を取り直して財布から千円を取り出した。 「620円のお釣りで〜す」
くぅ〜たまらんこの手の感触、家だと宇都が居るし公園のトイレでオナニーでもと
にやけて考えていると…
いきなりドーン!!とゆう衝撃と共にレジの棚から
煙草がボトボトと一気に落ちてきた諏訪、地震か?と考える暇も無くレジの後ろの
重そうな棚が一瞬グラリと揺れたかと想うとドガシャーン!!
と言う音と共に彼女に襲いかかった。
「キャー」と言う悲鳴を最後に彼女は動かなくなった
682 :
キモウトレイ:2010/05/03(月) 00:57:20 ID:cG+AEQaF
その後直ぐ救急車がかけっけて来て幸いに彼女に命の別状は無いみたいだ。
俺も簡単に警察に事情を聞かれたが直ぐ帰された。
帰り際オーナーの親父が 「これで三人目か、だから夜勤の子にレジを任せるのは、嫌だったんだ」
と呟いたのが気になったが…
俺は家路の道をトボトボと歩いていると
「あなた!」またあの占い師のバーサンだ、今は電波女の相手をしている気力が
無かったので無視して通り過ぎようとすると。
「あなたは、霊に取り憑かれています。常に監視されてますね」「!!」
霊だと?しかし宇都はアパートから動けないはずだが…
俺は全速力でアパートまで走った、そおいえば会社の面接の時お茶を出してくれた
女の子が可愛いナァと思ったら引きった笑いを浮かべて逃げてゆく面接が終わった
後きずいたらズボンのチャックが全開だったとか、よくあった。
今まで怪我してやめたコンビニの女の子達も…
俺は乱暴に扉を開けると、「宇都、テメェ」「あらお兄ちゃん遅かったわね」
「みんな、みんなお前の仕業だったんだ」
俺はいつの間にか小さく肩が震えていた
683 :
キモウトレイ:2010/05/03(月) 00:59:11 ID:cG+AEQaF
「あら?何の事」「ふざけるな!!コンビニの女の子達も面接の時も!!」
宇都は焦るでも無く嘲笑うような笑顔で
「今頃気づいたの?おめでたいお兄ちゃん〜♪」
「しかしお前地縛霊でアパートから動けないはずじゃあ…」
「あはははは〜誰が地縛霊って、私はアパートに取り憑いてるのでは無くて
お兄ちゃんに取り憑いてるの♪」
「お前…」 「お兄ちゃんに近づく泥棒猫はみんな抹殺してあげるわ」
俺は愕然となりその場で固まってしまった。
宇都は、優しく俺の肩を抱き呟いた。
「でもね、お兄ちゃん、お兄ちゃんがこちらの世界に来たら私達は永遠になるの…
それまで私がお兄ちゃんをちゃんと監視しなきゃ〜」
俺は薄れ逝く意識の中で有るはずの無い宇都の感触を感じた…
終了です。続きは、プロットはあるのですが…まあその内に 改行の感覚がまだ解らなくて申し訳ありませんでした。
>>684 GJ
これは携帯から書き込んでるのか?
改行がところどころ怪しいなw
>>684 誤字多いよ
きずいたら→気付いたら
そおいえば→そういえば
GJ
キモウトレイじゃなくてキモウトイレて見えた
>>688 お兄ちゃんの●●を採取しようとトイレに潜んでいるのですね
「今日から私はお兄ちゃん専用の便器になるからおしっこしたい時は私に言ってね!あと大きい方も」
「そんな妹になったら兄ちゃん本当に死にたくなるから止めて…」
「ご、ごめん…じゃあ性処理肉便器になるから!」
「それも駄目!」
>>676 このキモウトとキモ姉、いい
GJ!
幽霊のキモウトもおもしろい
GJ!
保管庫の管理人様ご苦労様です。エロパロ板の中でもヤンスレとここは、SS数が現在進行で増えているようですが
保管作業頑張って下さい。
ここの保管庫は、かなり見やすいと思います管理人GJ
現在職人様方は、GW休暇中か……w
SSの投下があるまで妄想でも垂れ流すとしょう。w
上のレスで蝶娘の話が出てきたが、逆レのパターンとして鱗粉で麻痺させ口から
蝶のストローの様な物が出てきてチュパチュパ精液を吸い取ると言うのは、いい考えだ
昆虫で言えば蛍もいいけど実際アニメ等で出てくる蛍は、綺麗で儚いキャラが多い
ので逆レには、結びつけにくい…
ただ実際の生物界では味が不味くて嫌われてるらしい(鳥とか)
テントウ虫もSS未登場だが肉食らしいので面白いかも…
タ〇ク〇と言うキャラがいるので電波女と言うキャラにして
「〇〇様のお〇ん〇は、私の好物のアブラ虫の匂いがします…」
とか…キモイ?
鳥類では、孔雀も面白いタカビーでS女にしてみては、どうだろうか…
まあ学園ものだけダナ
魚類は、難しい積極的なマグロってゆうのもナアW
保管庫の鯱SSは面白かったけど…
そう言えば昔みた映画でキャットピープル?と言う猫ではなくて黒彪女が出てくる
映画があったが確かセクロスした後
相手の男を喰い殺さないと人間体に戻れ無いと言う筋書きだったと
記憶していたがあの時の女優は、良かった…
おっと…お客さんのようだ今日は、これで失礼
ごめん書き込み間違えた本当にごめん
どこのスレに書き込むつもりだったのか一目瞭然なレスすぎるw
>>693 ナスターシャ・キンスキーか
最近見かけない気がする
キモイトコってあんまり見ないな
扱う作品はたまにあるが、別にいるキモ姉妹に対する泥棒猫ポジションに
なりがちかも。いとこ結婚OKの日本の場合、近親タブーに抵触しないので普通に
結ばれちゃうか、あるいは単なるストーカーと変わらないかになるのも難しい。
さあこい埋めネタ
出よソウカンジャー!
お前、俺の兄貴に色目使ってた女だろ?はぁ?とぼけんなよ牝豚。大人しくしてろ
あぁん?何のクスリかって?知るか。黙って飲め。おらっ
いや、マジで知らねえよ。貰いモンだし。なんか足がつかないヤツらしいんだけどよ。
やっぱり、持つべき物は友達だな
どうして?お前に言っても分かんねぇよ。まぁ、一言で表すなら愛……かな。へへへ////
ん?本当かどうかは関係ねぇよ。疑わしきは罰する、ってな。もう観念して逝きな
元はと言えばお前が兄貴を……悪い、ちょっと電話来た
もしもし?あぁ兄貴か。おい、部屋から出てねぇだろうな?…よしよし。いい子だな
大丈夫、もうすぐ帰るよ。ああ…うん、うん。………俺も///
なんだよ、兄貴が先に切れよ。やーだ。うるせぇバカ///もう切るからな!
あれ?まだ“いた”の?もう“いった”と思ってたよ。じゃあ俺、帰っから。バイバーイ
そこでいとこと入れ替わるキモウトですよ
僕「お姉ちゃん、このオムライスなんだかお姉ちゃんの唾液と血液の味がするよ」
姉「そりゃあ入れているもの、当然よ」
妹「もうっ!コウお兄ちゃん!なんでユマお姉ちゃんの唾液と血液の味がわかるのよっ!?」
僕「そりゃあ毎朝摂取しているもの」
父「おいおい、普通毎日摂取していたとしても血と唾の味なんてわからないぞ、だってこれオムライスだもの」
母「コウ君、将来はソムリエかな」
妹「ちょっと、お父さんお母さん!コウお兄ちゃんとユマお姉ちゃんの関係はスルーするの!?」
父「いいじゃないか、近親相姦くらい。なぁ母さん」
母「ええ。というか母さんと父さんも実は兄妹なのよ」
僕「道理で結婚もしていないのに名字が同じなわけだ」
姉「伝統みたいなものなのね」
妹「もーう!この近親相姦一家っ!」
家族一同「ははははは」
706 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 20:48:03 ID:cXbinkFb
主役 当たる
707 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 22:20:38 ID:cXbinkFb
メイン 超守る 超守った 強い 特殊
日本語でぉk
「はぁ……、はぁ」
男の喘ぎが夜の静寂に響く。ここは彼の家の庭である。
深夜に大の男がハアハアいいながらスコップを手に仁王立ちしている姿は、自宅であれどあまりにも奇異である。
だが、彼には為さねばならない使命があった。例えご近所さんから奇異の目で見られようともやり遂げなければならないことが。
「俺を襲おうとしたのはこれで何度目だ?」
彼の前方、地面から顔だけ出している少女がいる。美しい顔立ちをしているが、埋められている状態では酷く不気味である。
その少女は彼の妹で、兄である彼に狂信的なまでの愛情を示し、隙あらば兄の貞操を奪おうする、俗に言うキモウトである。
もう数十回を数えた妹の襲撃についに彼の堪忍袋の緒がついに切れたのだった。
初めのうち、本当に幼少の頃は妹に好かれることが嬉しくてたまらなかった。
兄妹仲良く笑いあって、その微笑ましい姿に両親が笑って、彼の家は笑いが絶えなかった。
そんな幸せだったときに思いを馳せて、彼は必死で涙を堪えていた。
もう戻れない幸せな日々。失って初めて気づくその大切さ。
その後悔の念も相まって、とうとう妹に体罰をすべきだと確信したのだった
「もうやらないと誓約書にも書いたよな。もしも俺に危害を加えるならどんな罰も受けるって言ったよな」
「…………はい」
「俺がお前のことを気遣って何もしないと思ったか?生憎、もう容赦をする気はない」
「おにいちゃん、ごめんなさい……」
「今日は一晩このままでいてもらう。明日の朝、反省してるようなら出してやる」
妹の瞳には涙がたまっていた。今にも泣き崩れそうな顔をしている彼女に、以前の彼ならば簡単に絆されていただろう。
だが、これは妹の常套手段である泣き落としであることを彼は既に経験から看過していた。
何度も何度もこの手に騙されてきた彼にとって、その涙は決して快いものではなく、心が冷えていくのを感じた。
ーー朝も同じように俺を騙そうとするなら昼まで延長してやる。
そう心に誓って彼は庭を後にした。
710 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 19:50:38 ID:xVYkfoie
解
弱気キモウト萌
文字通りの埋めネタとは…
ていうかキモウト相手によく地面に埋めるまでに至れたな
キモウトが持ってた薬を逆に飲ませたりetc
てか続かへんの〜?
むしろキモウト相手にここまでやってしまったらこの後どうなることか…
キモウトは、イケナイ快感に目覚めてしまった!
最近何故か彼女が全然俺に構ってくれない。
寂しいから「でかくて鬱陶しいかもしれないけど(俺は190cmある)たまには構ってください」ってメールを送ったら
間違えて姉ちゃんにに送っちまったあああああああああ
十分後に送信履歴確認して気付いたあああああああ
姉ちゃんから返信は無かったあああああああああああ
でも今日の晩飯は俺の好物で食後に居間でゴロゴロしてたら体が痺れてきたあああああああああ
姉ちゃんがこっちを濁った目で見てきてうわああああああああああああ
718 :
埋め:2010/05/06(木) 22:05:19 ID:RZT46Rwx
今日から一人暮らし。
小綺麗なマンションのやや狭い一室で僕は一人ダンボール箱を開けていく。
「あっれ……?これはなんだっけ」
いくつかあるダンボール箱の中に、表面に何も書かれていないものが一つあった。
「ま、とりあえず開ければわかるか」
僕はダンボール箱に貼られたガムテープを一気にはがす、と。
「じゃじゃーーーん!お姉ちゃんでーす!」
中からは、何と姉が現れた。
「ね、姉ちゃん!?」
僕は驚きのあまり床に座り込んでしまう。
「えへへ、びっくりしたでしょ?」
ぺろりと舌を出して可愛らしく微笑む姉。
あぁ……、この表情は本物の姉だ。
「ゆーくんが一人暮らしなんてお姉ちゃん許さないんだからね!ぷんぷん!」
わざとらしくブリッコぶるのも、……まさしく僕の姉、その人だった。
「姉ちゃん……」
「ん?なぁーに?」
僕は姉の顔を見ないよう、床に視線を向けながら、言った――
「姉ちゃん。姉ちゃんは、もう、二年も前に……、死んでるんだ」
「え?」
姉の声は驚愕に震えていた。
「なんの……、冗談……」
「本当なんだよ!本当なんだ!」
姉が息をのんだ音が聞こえる。あぁ、顔を見ていなくて良かった。
きっとその顔は捨てられ腹を空かせた子犬のソレだろうから。
「姉ちゃんは、……僕が入った後の風呂の湯を、全部飲んで……、飲み尽くして……」
「死んだんだ……!」僕は絞り出すように言った。
「そっか……、私、あの後で死んじゃったんだ」
寂しげな姉の声。
「死因は……、弟萌え……、だね」
言いながら、姉は僕の頬に手のひらで触れた。
「でも良かった、これでもう死なないんだね、私」
両手を使い、僕の顔を上げさせる姉。その顔は愉悦に染まっていた。
「死んでもずうううううううううううううううううううううううううううううううううっと一緒だよ、ゆーくん」
僕の将来が確定した瞬間だ。
埋めようとしたのに埋まらなかったそんな経験があなたにもあるのではないだろうか。
スレを埋めようとしたのに500kBに届かない。
おっぱいに顔を埋めたかったがまな板だった。
嫁にお小遣いを減らされ、満たされないままの財布。
きっとあなたも足りないことへの理不尽さに憤りを覚えているに違いない。
かくいう私にもお兄ちゃんとの間に埋めることのできそうもない溝が存在している。
無論、精神的なずれという意味だ。
長年の努力にもかかわらず私の欲求は満たされないままだった。
ずっと心も体も持て余す日々を過ごしてきたのだ。
だが、今日私は重大なヒントを得た。
心理的な距離は物理的距離も大きく関与するという事実だ。
幸運なことに、私は胸が大きい方だから顔を谷間に埋めることだってできるし、
複数の穴にお兄ちゃんのモノを埋めて満足させることだってできる。
強行手段に打って出て、物理的に色々と埋めてしまえば精神的にも色々と埋まって、
お互い分かり合えるようになるはずだ。
そして私の方はずっと前から覚悟を決めているので、何も問題はない。
そう考えれば、お兄ちゃんと私が身も心も一つになるのはもはや時間の問題ではないか。
思い立ったらすぐに実行するのが私の性分だ。
薬などを使うことも考えたが、後々のことも考えて最初は穏和に済ませることにした。
うまくいけば埋めるどころか、産めたりとかして・・・。
そう思うと顔がにやけてくる。
渾身の色目を使い、自室で勉強しているお兄ちゃんに擦り寄った。
「お兄ちゃん、わたしを埋めてぇ〜」
怪訝な顔で私を見つめるお兄ちゃん。
何か間違えたのだろうか。
数十分後、私は庭に首だけ出して埋められていた。
>>719 埋めようとしたのに埋まらなかったそんな経験があなたにもあるのではないだろうか。
スレを埋めようとしたのに500kBに届かない。
おっぱいに顔を埋めたかったがまな板だった。
嫁にお小遣いを減らされ、満たされないままの財布。
きっとあなたも足りないことへの理不尽さに憤りを覚えているに違いない。
かくいう私にも、妹との間に埋めることのできそうもない溝が存在している。
無論、精神的なずれという意味だ。
妹を理解しようという度重なる努力も、虚しく消え果てるばかり。ひょっとしたら
彼女の心理と世間の常識の間には、因果地平が居座っているのかも知れない。
私はずっと、良識と家族の常の板挟みとなる日々を過ごしていたのだ。
そして今日も、私はヒントを求め続けていた。
心理的な距離を詰めるには、まず相手を理解するべきと書物には書いてある。
もっともだ。だが、アレを理解するのは容易なことではない。異界の邪神と交流する方が
容易かも知れないとすら思える。彼女でなくても彼方の女なのだなぁ、と無意味な感慨に
浸りつつ、書物を読み進めていると、妹がやってきた。
異様な表情を浮かべている。目尻が下がりきっている。時々ヒクヒクと顔の筋肉が痙攣して
笑いに似た表情を形作る。そして瞳が潤みきっている…。
反応に迷う私に向かい、妹が口を開いた。
「お兄ちゃん、わたしを埋めてぇ〜」
呆然と妹の顔を見つめていたのはどのくらいの時間だっただろう? 数秒か?、数時間か?
そして硬直した時間の中で私は諦めた。済まない、妹よ。お前を理解することは私には不可能だ。
せめて理解出来ないままでも、お前の望みを叶えよう。
……私はスコップを取り出した。
#パクリご容赦を
721 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/07(金) 01:31:28 ID:rbIiHdhZ
死ね
乙
723 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/07(金) 09:53:36 ID:LgMxl32m
バッボイ
ウメロウメロ
725 :
埋めネタ:2010/05/07(金) 13:48:49 ID:a4W/WZRS
「おはよ〜お兄ちゃん…」
「眠そうだな…昨日の夜(珍しく襲いに来ないで)何かやってたのか?」
「昨日は「あに」ソン三昧を聞いてて…」
「アニソン三昧って…1日中アニソンを流し続けるっていうあのラジオ番組か?」
「私が聞いてたのは兄を愛してやまない妹達が兄の音声を編集して作った歌、「兄ソン」を投稿する番組「兄ソン三昧」だよ。
特番で朝から16時間放送してて…最後まで聞いてたらそのまま寝ちゃったの…」
(公共の電波で本当にそんな番組が!?)
書いた後で
「キモウトなら聞き終わった後、体が高ぶってるからそのまま襲いにいくだろ」
と思ったけど最初から書き直すのが面倒だったので…
そりゃアンタ
いくら兄の音声の編集とはいえその兄の声は自分の兄のじゃないだろ
共感はできても興奮まではいくまい
まあ…自分の投稿作品が採用されてたなら話は別だろうが
727 :
埋めネタ:2010/05/07(金) 17:30:24 ID:87AGBDAp
なあ、妹よ。
なぜウチの庭がこんなに掘り返した跡だらけなんだ。
というか前より盛り上がってないか?
泥棒猫を埋めた?
お前いくら野良猫でもそれはいかんぞ。
まったく、変な事ばかりしやがって。
そういえば、あいつからメールの返事が来ないな。
せっかく付き合い始めたんだから、もうちょっと構ってくれてもいいだろうに。
おや、地面からなにか出てるな。細い、……髪か?
新スレ、結構濃いめの長編が連投されだした。嬉しい。
でもまだこっちの前スレが埋まってないのも、虚しい。
というわけで、結構好き勝手に投下してみる。
埋めネタ投下。タイトルは『らくえん』。兄妹もの2レスで、大体4.9KB。
……パクリじゃないよ、リスペクトだよ。(もしくは改悪とも言う)
------------------------------------------------------
ある朝目が覚めた時には、父も母もすでにいなかった――
妹と僕が招かれたのは、『楽園』という場所だった――
そこには『僕ら兄妹』と似たような連中が、何組もいた――
やがて『楽園』に疑問を抱いた僕達は、そこから逃亡した――
脚が軋む……腕が動かない……喉も掠れてまともに声が出ない。
そして何より疲労困憊。もう今すぐにでも倒れてしまいそうだ。
僕はいま、ある場所――いや、ある人物から逃げている最中だ。
他にも何人か一緒に逃げ出したけど、彼らは無事なのだろうか?
僕と妹の居た、あの場所の正しい名前は知らないし、知りたくもない。
ただアイツは――僕の妹はそこを『楽園(スレッド)』と呼んでいた。
楽園――確かに妹にとっては、楽園どころか天国に等しい場所だろう。
けれど僕にとっては、奈落や冥府のような場所でしかなかった――!!
「……っはぁ……っはぁ…………」
僕達に逃亡のチャンスが訪れたのは、今期の『楽園』が近々終焉を迎えるからだ。
どうやら『楽園』は一定期間で寿命を迎え、隔離閉鎖される仕組みであるらしい。
その前に新しい『楽園』を創り出し、そこに移動する――のが通例となっている。
僕は今回、その移動の隙をついて、なんとか妹の目を盗み、逃亡に成功したのだ。
だが甘かった。『楽園』は来る者は拒まないが、去る者は決して許さなかった。
移動するパレードから抜け出した者には、即座にそれぞれ『追手』が放たれた。
その『追手』は『楽園』の管理者ではなく、逃亡者それぞれの『相方』だった。
共に逃げた仲間にもそれぞれの『相方』が追いすがり、そして僕にも当然――
「うふふ♪ おにーさまつーかまーえたっ♪」
突如背後から、僅かに思春期を抜けない、可愛らしい少女の声が聞こえた。
けれど僕にはその声音が、世界を滅ぼす魔獣の舌舐めずりにさえ聞こえた。
ここで僕は自尊心を捨て、力の限りに走れば、逃げられたのかもしれない。
けれど彼女に首を――全身を締め付けられていては、それは不可能だった。
僕の妹――血の繋がった、愛すべき家族――であるはずの、愛らしい少女。
けれど今は、ただ嫉妬と愛欲に狂い壊れた、忌まわしきオンナでしかない。
実の兄を男として愛するために、彼女が払った犠牲に、僕は目を瞑れない。
けれど彼女はそんなことなど関係なく、僕を強引に愛し、弄び、苦しめた。
「私を1人にして、何処かへ行こうだなんて――許せませんわ」
彼女がここまで狂ったのは、あの忌々しい『楽園』の存在を知ってからだった。
それまでは妹も、僕にべったりくっつく重度のブラコン――程度の存在だった。
僕もそれを甘んじて受け入れていたため、僕の傍らにはいつもいつも妹がいた。
いつか僕か妹に恋人ができて、お互いが離れるまでは、現状をよしとしていた。
けれどあの頃を境に、彼女は兄を異性として愛するように、変質してしまった。
彼女が初潮を迎え、泣いていた時に、その緋色の意味を教えてあげた瞬間から。
男女の性差を覚えた彼女が、僕の夢精の痕跡をその目で見てしまった瞬間から。
それまでの漠然とした愛情が、より鋭く堅く、重いものに研鑽されてしまった。
「あの『楽園』に居れば、私たちは永遠に、誰にも邪魔をされませんから――」
僕がそれに気付いた時は、すでに妹は覚悟を決め、その意思は揺るがなかった。
それでもなんとか、妹の目を覚まさせようと奮闘したが、全て徒労に終わった。
何もできないまま、ついに妹はあの忌まわしき場所のことを、知ってしまった。
イカれた近親相姦(インセスト)の乙女たちが集まる、あの『楽園』のことを。
それからの妹の行動は、悍しいくらいに迅くて、そしてあまりにも狂っていた。
僕と少し手も仲の良かった全ての女性の服を、銃弾で赤く黒く塗りつぶし――
両親含む全ての親類縁者の首を、農耕用の鎌で刈り取るように刎ね飛ばし――
最後に僕達の生まれ育ったその村を、住民まるごと全て炎で焼き尽くした――
「私は絶対に、貴方を裏切りません。貴方を永遠に、愛し続けます。だから――」
僕の正面に移動した妹が、笑顔で僕に語る――と同時に、腹部に鈍痛が走った。
僕が驚いてそちらに目をやると、ナイフ――の形をした鉄の塊が刺さっていた。
確かこのナイフもどきは、あの『楽園』の名産品――非致死性の護身用武器だ。
血が出ない代わりに、鈍い刃先から迸る薬物によって、全身を弛緩させられる。
僕の身体から、全ての抵抗力が失われた。と同時に頭の中が割れるように傷みだす。
そして膝から崩れ、地面に倒れ――そうなところで、妹に抱えられた――気がした。
意識が遠のく。妹の愛らしい表情と笑い声が、僕の知覚範囲(せかい)を支配する。
最後の瞬間に、幼い頃の妹との記憶が駆け巡り、今の妹に重なったような気がした。
「さあ、私たちの『楽園』へ還りましょう、お兄様……?」
― They are kept, and the paradise is repeated again. ―
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以上、投下終了。
とうとうやっちまった、ずっとやりたかったALL幻想楽団ネタ。
元ネタを知らなくても、一応読めると思うんだけど……やりすぎた?
数スレ前の話題になるけど、箱庭の兄妹(被検体だけど)は大好物です。
というわけで、新しい『楽e……じゃなくて、次スレで逢いましょう。
(これで、なんとか500KBまで到達、できたかなぁ?)
730 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/07(金) 19:28:22 ID:+DhYtxKu
埋め
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うめぼし
埋め!埋め!もいっこ埋め!
貴様の尻を八つ裂きじゃー!!
私が弟の心の隙間を埋めてあげるよ・・・
もうそろそろお別れだな