ヤンデレの小説を書こう!Part28

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663名無しさん@ピンキー:2010/03/31(水) 22:54:27 ID:vlIPwrVI
sageは知らないし、意味のわからないもの貼り付けるからガキは本当に不愉快
664名無しさん@ピンキー:2010/03/31(水) 23:21:02 ID:oHpA6tRz
ここは18禁だということをたまに忘れてる人が居る
665名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 15:57:48 ID:YJrkMOuD
sageろ 無意味に芝生やすな vipでやれ ガキは来るな
666名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 18:37:55 ID:E3e/lANn
投下します
エイプリルフールネタ
5レス消費
エロ無し

NGワード 彼女は嘘つきである
667彼女は嘘つきである(1/5):2010/04/01(木) 18:38:37 ID:E3e/lANn
「俺はお前が大嫌いだ」

嘘をついても大抵のことがその日だからと許される日、エイプリルフール。
だから、適当な嘘を彼女に言ってみた。
特に深い理由は無く、強いて言えば嫌いといったらコイツはどんな顔になるのか見て見たかっただけかもしれない。

しかし特に面白い反応を見せることはなく、彼女は穏やかな笑みを浮かべたままだった。

「その発言は今日が何の日か把握した上で、受け取ったほうがいいのかな?」

やはりコイツは気づいていたか。
あっさりと嘘を見抜かれて気まずげに頭を掻きながら、ふと気づく。

嫌いというのが嘘というのならば、先程の発言はお前のことを好きだと言ったことになるのではないのか。

適当に言ったことが相当恥ずかしいことだったと気づき、頭を掻く手が止まってしまった。
顔に血が集まってきているのを感じる。

「おや、何をそんなに照れているのかい?」
「別に照れてなんかねーよ」
「ふむ……どうやら、君は勘違いをしているようだ」
「は? 何をだ?」

彼女は心底愉快そうに唇を歪めながら答えた。

「嘘を、だよ」

……嘘というものは、本当のことの逆のことをいうことではないのか。
考えが顔に出ていたのか、彼女は全部お見通しとでもいうかのように頷いた。
その様子は出来の悪い生徒に優しく教えようとする先生の様、というよりもそのものだった。

「先ほどの君の照れっぷりから見るに……」
「だから照れてなんか無いって」
「どうやら嘘とは真実とは逆のことを言うもの、とでも思っているようだね」

はい、その通りです。
そんな風に素直に認めることが恥ずかしかったので、口を閉ざした。

「うんうん、その勘違い大いに結構。そのおかげで君は率直に好意を伝えると羞恥心を感じる
 可愛らしい人間だということが分かったからね」

「……うるさい。お前は俺の勘違いを正したいんだろ。だったらそんなことは関係ないだろ」
「あはは、これは失礼。では言うが、嘘とはそもそも……」

彼女はそこで言葉を止めてしまった。
某クイズ番組の日本国民の大半の方が知っている司会者のようにニヤニヤしている。
……今の自分はそんなに面白い顔をしているのだろうか。

数十秒後、満足したのか彼女は口を開いた。

「嘘とは真実でないことだよ」
668彼女は嘘つきである(2/5):2010/04/01(木) 18:39:21 ID:E3e/lANn
「……散々焦らして、結局はそれだけかよ」
「ああ、それだけだ。しかしそのおかげで僕はいいモノを見れたね」
「もう勘弁してください……」

なんであんな軽はずみな発言をしてしまったのか。
数分前の自分をぶん殴ってあの発言を無かったことにしてしまいたい。

「ふふ……旬なネタを使うのならもっと勉強をしてくるのだよ」

いつも見ている彼女の笑みも、今は恥ずかしくてとても見れない。
コイツの面白い顔を見るつもりが逆に見られてしまうとは。
何とかコイツに一泡吹かせたい。
……そうだ、嘘とは真実でないことを意味するのならば。

「俺はお前のことが大好きだ」
「うん、僕も君が大好きだよ」

……これは、嘘だ。
わかっている。
わかっているのに、顔のにやけが止まらない、止められない。

「やっぱり君はここが足りてないんだよ、ここが」

彼女は笑いながら俺の頭を指差している。

「愛の告白の返礼、というには不十分だが僕なりに旬のネタを使ってみようか」
「何をするんだよ」

「僕はこれから嘘しか言わないよ、いいね?」

一体何が来るのだろうか。
いつも自分をおちょくっている彼女だから、予想も付かないものが来るだろう。

「ああ」

ゴクリ、と唾を飲む音は彼女に聞こえてしまっただろうか。

かくして、彼女の”嘘”が始まった。
669彼女は嘘つきである(3/5):2010/04/01(木) 18:39:48 ID:E3e/lANn
「僕は君のことをよく知らない」

いや、それはないだろう。
コイツとの付き合いは長い。
趣味特技性癖何を知っていてもおかしくは無いはずだ。

「僕は君のことをよく知っている」

……待て。
知らないが嘘で、知っているのも嘘だと?
矛盾してるぞ。
抗議の視線を送るが、彼女は微笑んだままだ。

「僕は君のことを憎んでいる」

「僕は君のことを愛している」

何がなんだか分からない。
二律背反を続けて言われている。
全部嘘だとしても辻褄が合わない。

「僕は君に嘘をついたことが無い」

「僕は君を欺いたことがある」

「僕は処女ではない」

「君は童貞ではない」

「君は人を殺したことがある」

「僕は人を殺したことがある」
670彼女は嘘つきである(4/5):2010/04/01(木) 18:40:17 ID:E3e/lANn
「……はい、ここまで」

彼女は両手をパンパンと鳴らして、ネタの終わりを告げた。
……結局なんだったんだこれは。
全く分からない。
最後あたりは何か物騒だったし、一体何がしたかったんだ。

「僕は最初に嘘しか言わないって言ったけど、あれ嘘だから」
「なぬ」
「僕は真実と嘘を混ぜつつ話したんだよ。
 さて、ここで問題です。僕が話した中でいくつ嘘があったでしょう」
「なんだよそのネタ…… そもそも何個話したか忘れたし」
「十だよ。なんなら最初から話そうか」
「いや、いい。憶えている」

たしか俺を知っているか、好きか嫌いか、嘘をついたことがあるか、処女か童貞か、人を殺したか……
大まかに分類すればこんな感じになる。

まず最初の三つの分類。
これは簡単だ。
コインの表裏の関係のようなものだったから。
一方が真実であるなら、もう一方は真実になりえない。

よってまず嘘が三つ

次に処女か童貞かだが。
……これはたしか両方とも”〜ではない”と言っていたはずだ。
とりあえず、俺は童貞だ。
認めがたいが、事実である。
そして、コイツも処女であろう。
コイツとの付き合いも長いが、異性と付き合った話は一度たりとも聞いたことが無い。
だから、多分、おそらく、きっと。

よって嘘が二つ追加される。

最後に人を殺したかどうか。
俺もコイツも人を殺したことは無いはずだ。
そもそも殺したのなら今頃刑務所にいるだろう。

よってこれまた嘘が二つ追加される。


つまり、嘘は合わせて七つだ。
671彼女は嘘つきである(5/5):2010/04/01(木) 18:40:52 ID:E3e/lANn
「わかったぞ。嘘は七つだ」
「そう。君がそう思うんならそうなんだろうね」

悩んで答えた割には彼女の反応は投げやりであった。

「あれ、間違ってた?」
「うーん、まぁどっちてもいーかなー」
「なんだその適当な反応は! 謝れ! 真面目に答えた俺に謝れ!」
「あはは、ごめんごめんーメンゴメンゴー」
「フザけんな!」

握りこぶしを作って殴るジェスチャーをすると、彼女は笑い声を上げながら逃げ出した。
それにおもわず苦笑を浮かべながら、俺も追いかける。

傍目から見れば青春を謳歌している微笑ましい若造共、とでも映っただろう。
俺も、今俺青春してるなー、となんとなく感じていた。



ちなみに答えを知ったのは最期のとき。
彼女はたった一つしか嘘をついていなかった。

”僕は君に嘘をついたことが無い”


もう先は無いというのに、何故こんなときになって、”俺”が戻ってきたのか。
否、今だからこそ戻ってきたのか。
死ぬということが確定しているから彼女が戻してくれたのか。

首をゆっくりと回す。
鉄格子の付いた窓の外に広がる景色を見て思う。

―――木しかねえ。ここは、というか俺はどれだけ社会から隔絶されてるんだよ……


生きている間は、彼女に束縛され続けた。
彼女を殺した後は、ここで彼女の夢を見続けた。いや、見させられた。

そして今。
枯れ果てた身体を、ベッドに縛り付けられている。

多分、俺は数時間後には彼女がいる場所へと逝くだろう。
そこでも束縛されるのだろう。
672名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 18:44:43 ID:M5Oms+tq
GJ!初めてリアルタイムの投下をみた。
673名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 20:01:42 ID:IXaA3P89
GJ
674名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 20:03:51 ID:rf26WvgG
Gj
誰かがエイプリルフールネタをやってくれると思ってた

>>672
ちゃんとsageような
675名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 22:13:42 ID:O5vqj+A4
age
676名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 22:48:54 ID:cH7j/MZ6
age
677名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 22:51:10 ID:VetrLi8E
test
678名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 23:28:34 ID:JboBdCUA
主人公:春休みになりこのスレの作品を全て見尽くした上で新しい投下がないか一日中ネットサーフしている
ヒロイン:学校が休みなので主人公と会えなくなる
主人公の部屋の監視カメラには一日中PCに向かう主人公の姿が写り
スレを荒らして家の外に出そうと奮闘するが
春休み最後の日4月1日になってしまい…



まで設定思い浮かんだが前投下された作品と被りすぎるし
無理矢理エイプリルフールに繋げても何も思い浮かばなかったorz
679名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 01:38:50 ID:ad9m7o0T
じゃあ来年のエイプリルフールまでには完成させとくんだぞ
680 ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:01:48 ID:b1B6QUqu
初めまして。
本当なら昨日投下予定だったんですが、
今から投下します。
681イントロダクション  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:04:20 ID:b1B6QUqu

既に白い輝きを失った淡い午後の日差しが、カーテンの隙間から部屋に入る。
射しこんだ一筋の光は空中に漂う小さな埃が舞う様を美しく映しだし、
机の上に置かれた写真立てを煌めかせる。
その遙かな天からの光に導かれるように一人の女が机に向かって歩を進め、
写真立てを手に取った。
女は一体いつまで見入っていたのだろうか。

「あ、あの……お母さん。」
「……!」
「お線香、無かったから買って来たんだけど……。」

女が突然横から呼びかけられて振り向くと、
其処には小学校に上がるか上がらないかくらいの年齢の男児が居た。
その少年は彼女を心配そうに見つめている。
「そ、そう。ありがとう。一人でお買い物に行けたの? 偉いわね。」
女は何気ない動作で写真立てをテーブルに置くと、
その少年に向けて笑顔を作り、頭を撫でた。
しかし少年は照れたり喜んだりする様子も見せず、
ただ母親を心配そうに見つめている。
少年は母親に問う。
「その写真一体何なの?」
「何でもないわよ。」
「教えてよ。前に聞いたときも教えてくれなかった。」
「別にどうでもいいじゃない。対したことのない昔の事よ。」
話を逸らし続ける女に、業を煮やしたのか少年は
「じゃあ、どうして泣いてたの?」
682イントロダクション  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:08:44 ID:b1B6QUqu

「――っ。」

女は固まった。
しばし黙り込んだ後、苛立ちを露わにして少年を叱り始めた。
「……ねえ、そう何度も聞き出そうとするのはやめなさい!
 これは言いたくないことだってことくらいわかるでしょ!?
 いい!? ちゃんとその場の空気を読みなさい!
 いつもさんざん言ってるでしょうが。
 そうじゃないと――」
ここで女は言葉を詰まらせた。
怒りで強張らせた顔から力が抜け、ゆっくりと悲しそうに目を細めていった。
そして声をとても静かなものにして、少年を諭し始める。
「そうじゃないとね、周囲と衝突ばかりして、
 結局は自分も、周囲も、何もかも不幸にしちゃうんだから。
 だから、わかって……ね?」
女は少年の頭に手を載せた。
「……」
「とりあえず早く部屋に戻りなさい。」
「……わかったよ。」

怒られた少年は部屋を出て行き、中には女だけが残される。
彼女はため息をつき、
自分の息子につい苛立ちをぶつけてしまったことを悔いた。

わかっている。
あの子は、自分勝手なんかじゃない。
私のことを心配している。
だからさっきはあんなに食い下がったのに、
私は苛立ちをぶつけて――
683イントロダクション  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:10:22 ID:b1B6QUqu

――でも。
しかし仮にそれが無くても、こうなる当然のことかもしれない。
この写真を人に見せびらかしたことはないが、
仮にそうしたなら誰もが興味を引かれて説明を乞うのではないか。
私は再び写真を手に取った。

この写真は、とある部屋で夕方の黄昏時に撮られた物だ。
窓が中央に来るように撮影されており、外の地平線の少し上にある夕陽は、
あと一二時間も経てば沈んでしまうだろう。
それは日中の直視できない程の眩しさを主張する白い日光より、
遙かに光量を落とした柔らかな微光である。
太陽という星の命の輝きが、この空から徐々に潰えようとしているからだ。
だが日中よりも輝きを失ったが故にむしろ神々しさは増し、
光は所々に浮かぶ雲を輝かせ、空を金色に染め上げている。

部屋の中は照明がつけられておらず、
薄暗い部屋の壁は窓から差し込んだ夕日の茜色にほのかに染められている。
そんな中、写真の中心に二人の人物が居た。

窓から差し込む夕陽の影響は、特にその二人の被写体に顕著に現れている。
背後の地平線の少し上に浮かぶ夕陽がちょうど二人の間にあって重なり、
逆光となっているのだ。
カメラの自動調整がきちんと働き、
逆光の影になった部分が見えるように明るくしていなければ、
彼らは光に完全に覆い隠されていただろう。
それでもなお、光に包まれ若干薄暗く映る二人の姿は儚さを秘め、
どこか危うさがあった。
だが反面、神々しさを秘めた橙色の微光は
二人と重なり包みこむ後光になった。

ここに一つの宗教画が生まれたのだ。

684イントロダクション  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:13:03 ID:b1B6QUqu

言葉が無くともこの写真一枚で本質を説明出来ていた。
レンズは何もかもを凝縮し、一枚の写真に嘘偽りの無い真実を捉えていた。

この写真が撮られた時点から先のこと、この二人に訪れる未来までも。

何時どこで撮られ、そして彼らは何者なのか、
そんなことを何一つ知らなくとも、
これを見た者に二度と戻らない時間への感傷を与える一枚だった。
写真に封じ込められた過去のこの一瞬が、
額縁を手に取る私の心に、かつてあった時間を鮮やかに蘇らせる。

夕陽に照らされながら、ベッドの上で無邪気な笑顔を浮かべる少女。
とても薄い硝子細工のような美しさがあった。
そして彼女の視線の先に居るのは、一見すると無表情に見える、
だがよく見れば安らかな表情を浮かべる高校生らしき少年。
彼は確かにあの時、微笑んでいた。
写真の中の光景という過去に確かにあったものの一部を使い、
頭の中に仕舞われてる記憶を、再び広げ、思い描く。

「――っ。」
私は奥歯を噛み締めた。
この記憶は今のように意図して思い出そうとしなくとも、
いつも遠慮無く私の脳裏に現れる。
そしてその度に私はいつも――

でも今日は特別だ。
だから避けることなく、思い出そう。
誰も知らなくとも、私だけは真実を知っているのだから。
覚えているのだから。
だから戻ろう。
再び浸ろう。
しばしの間だけ、遠い追憶の日々に。

そう。金色の光に照らされた、あの場所へ――――

再び、過去の世界が蘇った。

685真野 司  ◆Thmxzr/sD.HF :2010/04/02(金) 04:25:18 ID:b1B6QUqu
投下終了。

他で書いている作品がそろそろ終わりそうなので、
今回よりこちらに投稿させて頂きます。
長期連載になりますが、最後まで必ず完結させる所存です。
どうぞよろしく。

あとタイトルは選びかねているので、まだ未定です。
686名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 04:59:28 ID:k2k9Qga+
687名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 06:39:40 ID:NyxklM3i
>>685
GJ!
まさかこちらでもあなたの作品が読めるとは。。嬉しい限りですわ


では早速、全裸待機します
688名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 13:35:47 ID:5i0tq52N
GJ
689名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 14:41:01 ID:e5arQ2Xa
なかなかよかった
690名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 15:40:51 ID:iffxIxwa
たった今、実際に体験した話なんだけどさ。
ケータイの某オンラインゲームやってたら、知らないプレイヤーに
『○○くん/久しぶり/戻って来た/んだ/ありがとう』
とか言われたんだ。
俺、そのゲーム…つうか、ケータイのオンラインゲーム自体初めてだったし、人違いだろうと思って
『たぶん/ひと/ちがい/かな?/ごめんね』
(↑定型文を連ねてのチャットなのでこういう言い回しになる)
て言って、パーティ申請も断って、気まずいし足早にフィールドに出ようとしたんだよ。
そしたら何か
『え?』
『なんで』
『逃げる』
『の?』
『ねえ』
『ねえ』
『ねえ』
『ねえ』
とか言って延々追いかけ回されてさ……
リアルでヤンデレはマジ勘弁orz
つか、始めたばっかりなのに、怖くてしばらくログイン出来ねえw
SSなら間違いなく萌えてるんだろうけどなw
691名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 20:08:37 ID:gewMcKan
へー
692名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 23:40:48 ID:qryOtGOO
>>690
戸締まりはちゃんとしとけよ
693名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 00:19:31 ID:VXI9niC3
>>690
部屋に盗聴器類がないか調べたほうがいいと思う。
694名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 00:26:28 ID:FCNm1Qiq
>>690
カーテンは閉めとけよ
695名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 01:58:27 ID:8REiSFa8
まぁ惨事にはヤンデレなんてのは存在しないわけで…
メンヘラしかいないだろjk
696名無しさん@ピンキー:2010/04/03(土) 15:58:00 ID:BrVNTM6c
>>690
それなんてS県月宮?
697 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:16:31 ID:TxU08vCn
投稿します
698赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:18:18 ID:TxU08vCn
「赤ちゃんができたの」


午後6時、誰もいない教室。教卓越しに俺の目の前に立っている、小柄な女子生徒はそう言った。
静寂。正午から降り始め、今はもう土砂降りとなった雨の水音と、俺自身の息を飲む音だけが聞こえる。

「………冗談、だよな?」

俺は静寂を裂き、喉の奥から搾り出すように小さく喋る。
だが背中には冷たい、嫌な汗の感触。心拍数がしだいに上がっていくのがよくわかる。

「本当よ。今、三ヶ月だって」

彼女−朝霧 湊はしかし俺の目を、光を宿していないような瞳でじっと見つめてそう答える。
愛おしそうに自らの腹部をさすり、頬を赤らめながら湊は微笑んだ。

「私、産むよ。先生との子供」
「な、なにを…」
「名前、何がいいかなぁ? 先生も一緒に考えてね?」

その言葉を聞いて俺は、今すぐにこの空間から逃げ出したい気持ちに襲われた。
だが膝が笑って、動けない。湊は教卓に手をつき、つま先立ちになって顔を近づける。
今時珍しい、日本人形のような美しい黒髪。パーツの一つ一つが無駄なく洗練され、思わず背筋がぞくりとしてしまいそうなくらい美しい顔立ち。
体の無駄な部分には脂肪はまったく無い。しかし女性特有の膨らみはしっかりと有しているその身体を、俺はよく知っている。
なぜなら俺は、朝霧 湊の担任であり…同時に、生徒…湊と身体の関係を持ったからに他ならない。

「先生の名前は十六夜 刹那。私は朝霧 湊。…うーん、二人の名前からとるのは、難しいね」

呆然と立ち尽くすだけの俺を残したまま、湊は語る。

「うふ、先生も一緒に考えてね? この子の名前」

冷や汗は掌の中にもかき、体感気温が5度は下がったような感覚だ。
仮にもしあの時、あの瞬間に戻れるなら、俺は全力で俺自身を止めただろう。
だが実際にそれは不可能なわけで、取り返しのつかない事態であることを嫌でも実感させられる。
湊の双眼は限界まで開かれ、食い入るように俺の顔を見つめる。まるで「逃がさない」と言わんばかりに。
なぜだ。どうしてこうなった。…決まっている。出会ってしまったから。
俺と湊との距離が近すぎたから。そして、互いに惹かれあってしまったから。

699赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:19:34 ID:TxU08vCn

######


2009年、9月1日。夏休みも明け、さっそく授業が始まる。学生にとっては憂鬱な日(少なくとも、俺にとっては)だが、教員という職に就いて四年も経ってしまえば、自由気ままに過ごす学生たちを見て懐かしくもあり、うらやましいと思えてしまうものだ。
俺は今年度は1年5組の担任に割り当てられている。相も変わらずガキくさい生徒の集まりであるが、今年度はさらに、本校歴代でもトップクラスの成績を誇る女子生徒が一人。…ただし、授業態度は最悪。
毎時間決まって耳にイヤホンを差して机に突っ伏して眠るそいつは、曜日によって髪型を変えることでも有名だった。
だが提出物、定期テストはすべてパーフェクト。ゆえにケチのつけようがない。
昔とは変わってしまった成績付けのシステムのせいで、関心意欲態度が悪くても他が完璧なら5、最悪4が取れてしまうのだ。これもゆとり教育の賜物か。
それだけでなく、変装して登校している現役アイドル、なんてのもいる。こいつは授業態度も成績も中の上くらいで、才女サマに比べればまだ可愛いげがあるってものだ。
そして9月からは、外部からの編入生が我がクラスにやってくる。そいつこそが朝霧 湊である。
湊は朝早くから職員室に訪れている。今日一日の流れを簡単に説明してやり、ホームルームの時間になったら一緒の教室まで向かう手筈だ。
一応湊には、どの部活動に入りたいか、などと世間話レベルで尋ねてはみた。もし入部するなら、いろいろと根回しをしてやらなければならないからだ。
だが湊はよりにもよって、「茶道部に入りたい」と答えた。
残念ながら茶道部は俺が赴任する直前に廃部になった。しかし、茶道部室はそのままで残っており、十分な清掃、茶葉などがあれば一応は再開できる。
湊は以前までいた高校でも茶道部に属しており、どうしても続けたい、と懇願してきた。さらに面倒なことに、その話を副校長が聞いていたのだ。
副校長はわりと情にもろく、お涙頂戴さえすればイエスマンと化すのは周知の事実、暗黙の了解である。そうなればたとえ部員が湊だけだとしても、茶道部の復活は確定。顧問は…おそらく俺になるのだろう。
頭をぽりぼりと、痒いわけでもないのに掻き、ため息をつく。俺は英語教師だ。なのになぜ日本の和の文化をレクチャーせねばならんのだ。
いや、別にレクチャーをするとは限らないが……まあ担任だし、諦めることにした。

そうしているうちにホームルーム開始のチャイムが鳴る。だがチャイムから5分は遅れて開始されるのはこの学校ではごく当たり前である。

「んじゃ…行くとしますか、朝霧」
「は、はいっ」

5組の1時間目は英語。俺は教材と出席簿を抱え、職員室を後にした。

ホームルーム。

朝霧には廊下で少しだけ待ってもらい、俺はかしましい生徒共に、席につくよう促した。

「こら水城、さっさと座れー。桐島がいいかげん迷惑そうにしてるぞ」
「ちぇっ……真司、また後でねぇ」

我がクラス随一の問題児が渋々と座席に戻ったのを皮切りに、クラスの騒がしさは終息を迎える。これがいつもの風景だ。

「今日はみんなにいい報せだ。今日から転校生が、うちのクラスに仲間入りする」
「せっちゃーん! それ女子か?」

いかにも女好きそうな、軽薄そうな見た目の男子生徒がそう尋ねる。

「まあ見ればわかるだろ。…朝霧、いいぞ」

俺は廊下にいる朝霧にドア越しに声をかける。朝霧はゆっくりとドアをスライドさせ、一歩一歩に緊張の色を見せながら教室内に入ってきた。
同時に男子生徒たちの、息を飲むような声、ため息が聞こえる。さっきの軽薄そうな男子生徒も、言葉を失ったようだ。
それもそうだろう。28年間生きてきて、色んな女を見てきた俺でさえ、思わず眼鏡がずり落ちそうになってしまったのだから。
700赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:20:29 ID:TxU08vCn

朝霧 湊は今時にしては珍しい、どこまでも"和"が似合いそうな美少女だった。
その漆黒のビロードのような髪はひとつひとつ、毛先まで美しく、肌は陶磁器のような白さと赤ん坊のようなみずみずしさ。
くっきりとした顔のパーツは一瞬、西洋人形を連想させる。だが柔らかく微笑む姿と、凜とした背筋、姿勢と合わせて全体を見ると、やはりドレスよりも着物が似合いそうだ。
俺でさえついちらちらと目が向かいがちなのに、たかだか10代の男子高校生がカッコつけて口説き文句やジョークを飛ばしたりもできるはずがない。

「私の名前は、朝霧 湊です。みなさん、よろしくお願いします」

ごく普通の挨拶を済ませた湊。ちょうど秋津の後ろの席が空いていたので、ひとまずそこに座るように促した。
うちのクラスには二人、いや三人といない一般女子同士の組み合わせ。ばか共の集まりのクラスで、うまくやってくれればいいが(まあどうせすぐ席替えなわけだが)。


同日、放課後。どうやら朝霧は今日一日の授業をつつがなく終えたようだ。
朝霧はホームルームが終わると生徒たちの好奇の目をなんとか振り切り、俺の元へやってきた。
そのまま俺達は職員室まで戻り、茶道部室の鍵をとって部室へ下見に向かう。
開錠してドアを開けると埃臭い空気が溢れてくる…と思ったのだが、中は意外と綺麗にしてあった。
どうやら本校の事務員は、四角い角を四角く掃くことができるほどの人材のようだ。
上履きを脱ぎ、狭い畳部屋に上がり込む。部屋の隅に置かれている壷のようなものは、湯を入れておくものなのだろう、と素人の俺でもわかる。
その壷でさえぴかぴかと光沢があり、抜目なく磨かれたのだと察した。これなら、簡単な下準備で明日からでも開始できそうだ。
準備の仕方なぞわかるはずもないが、そこは朝霧に教えてもらえばいい。どうせ顧問など、名前だけのポジションなのだから。

「わぁ…すごく落ち着きます」
「そんなに気に入ったのか、この部屋が」
「はいっ。これなら明日にでも、先生に美味しいお茶をお出しできますよ」

朝霧は、邪念など微塵も感じられない、無垢な笑顔で俺にそう言った。

「そうか。それなら、明日が楽しみだな」
701赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:21:32 ID:TxU08vCn

そうして翌日へと話が飛ぶわけだが。
やはり朝霧はホームルームが終わるとまっすぐ俺のもとへやって来て、茶道部室へと手招きする。
鍵は朝霧に預けたし、朝霧は唯一の部員にして部長。勝手に始めればいいものを、と言ってみたが、

「一人でお茶なんか飲んでも楽しくないですよ」

キッパリと、反論されてしまった。
結局朝霧は俺が職員室に教材と出席簿を置きに行く時でさえついて来て、職員室から出るやいきなり俺の手をとって茶道部室へと小走りで向かった。
そんなに楽しみなのか、茶を飲むのが。と言ったら朝霧は

「先生にも茶道の楽しさを知ってもらいたいんです」

と言い返した。
別に俺はそんなもの…と言いかけたが、あまりにも無邪気に微笑むものだから、口をつむるしかなくなってしまった。

朝霧は茶道部室に入るとすぐ、俺に楽な恰好で座るように促してきた。
正座でなくてもいいのかと尋ねたが、楽な恰好の方が美味しく飲めると言われ、なんとなく納得した。
朝霧は早速、慣れた手つきで準備をする。茶道具と、おそらくお抹茶の入っているであろう筒と、茶菓子らしきものが鞄の中から出した風呂敷から現れる。
例の壷の中を一度、水道の水でさっと洗い、それから2Lペットボトルのミネラルウォーターを鞄から出し、壷の中へどぽどぽと入れる。
壷はどうやら電子ポットのようなものらしかった。数分待ち、朝霧は抹茶を椀に少しだけ入れ、杓で湯を入れて、泡立て器のようなアレでしゃかしゃかと泡立てる。
それが終わると朝霧は椀を畳に置き、すっ、と俺に差し出した。
これは、もう飲めるのか。なにぶん素人なもので、それすらわからない。だが朝霧はただにこにこ笑いながら俺を見つめるだけだ。
沈黙は肯定、と俺は勝手に解釈し、椀を持って口元へ運んでみた。
抹茶の濃い色と、意外と少ない湯の量が、口に含んでもないのに苦味を連想させる。だから俺は、最初のひとくちはがっつかず、少しだけにすることにした。

口の中にはたちまち抹茶のほろ苦さと、良い香りが広がる。なるほど、これは安物のブラックコーヒーなどとは比べものにならないほど、格段に美味い。やはり最初のひとくちの量を抑えたのは正解だった。
ほど好い苦味が口の中に広がると今度は、甘味が欲しくなった。なるほど、この練り菓子はそのためのものか。
多分そのまま食うよりも、抹茶を一口飲んでから食べた方が甘味がより深く広がるだろう。スイカに塩、トマトに砂糖を盛るような感じか。逆の味がするものを少し食べてから、あるいはそれを一緒に食すと味が際立つのと同じだ。

「どうですか、先生?」

朝霧はなおも笑顔を絶やさずに俺に尋ねた。俺は用意された練り菓子のひとつを手に取り、ひとかじりしてこう答えた。

「結構なお手前で、ってやつか?」

それからしばらくは、午後の陽気とほどよく暖かい空間で色々なことを話した。
以前の学校での朝霧のこと。俺のちょっとした昔話。うちの高校について。気がつけばあっという間に5時になっていた。
そろそろ切り上げるか、と俺が持ち掛け、朝霧はそれに同意。部活の日割などの話は結局忘れていたが、明日以降でも構わないだろう。
今日のところは朝霧をさっさと帰すことにした。
702赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:23:03 ID:TxU08vCn

######

茶道部の活動日は毎週水曜に決まった。以前あった茶道部の活動日は月水金だったのだが、なにぶん部員がたった一人。
顧問の俺を入れても二人。それに俺も仕事があり、そんなに暇なわけではないので、週一回にしたのだ。まあこの辺は、部員が増えてから調整してもいいだろう。
と思ったものの、早くも2ヶ月が経とうとしていた現在、部員は相変わらず一人だけだ。
ハロウィンを三日後に控えた水曜日。俺はいつものように湊が立てる抹茶を飲み、和菓子をつまむ。
抹茶を回し飲みする、という事を知った時は少し驚いた。それまで俺は、一人分ずつ煎れるものだと思っていたから。だが、それももう慣れた。
湊はいつも俺に先に飲ませ、それから自分で飲む。それはもはや当たり前の風景となっていた、と思ったのだが、

「そういえばこれって、先生と間接キスしてるんだよね」

などとぬかすものだから、つい眼鏡がずり落ちそうになってしまった。

「こ、高校生にもなって、そんなもんいちいち気にするなよな。俺がガキの頃なんか、ペットボトルの回し飲みなんて当たり前だったぞ」
「嫌、ってわけじゃないんだよ? ただ、前の高校の茶道部は女子生徒しかいなかったから…ちょっと、どきどきしたというか…」
「今"も"女子生徒しかいないだろ?」
「もー、それは言っちゃだめだよ」

湊の話し方は、俺に対してはずいぶんと砕けたものになった。
俺がもともと、敬語を使われるのが苦手だったので、気軽に話せばいい、と湊に言ったのがきっかけだ。
それからは湊の表情はさらに柔らかくなったと思う。堅苦しさも失せ、今みたいにけらけらと笑う姿は、快活でとても好印象だ。
その笑顔につい俺も、目が惹かれてしまう。湊が俺の視線に気づく前に目を反らし、俺は練り菓子を手にとる。
甘味を口に含むと、今度は眠気が襲ってきた。なにしろ、茶道部室の中はほど好い湿気と温度、畳の香りが合わさる癒し空間。眠くなるのも無理はない。
実際、今までに何度か昼寝をしたこともあった。その時は湊が適当な時間で起こしてくれるのだが。

「わり、ちょっと寝るわ」
「うん。あ、膝枕してあげよっか?」
「ありがたい誘いだが、遠慮しとくよ。…おやすみ」

こういう時、畳というものは便利だ。フローリングの床と違って、身体が痛くならないからな。
心地好い温度の中俺は畳に横たわる。そのまま意識が夢の世界に落ちるのには、さほど時間はかからなかった。
703赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:24:06 ID:TxU08vCn

######

石鹸だろうか。良い香りが鼻につく。身体も妙に暖かく、ずしりとなにかの重さがかかっていて、心地好い。
眠りから覚めると部室内はなぜか薄暗かった。窓の外を見ると、太陽は沈んでしまったようだ。
…っておいおい、今何時だよ? 俺はポケットから携帯を取り出し、サブディスプレイで時刻を確認してみる。…7時、だと?
慌てて俺は、身体を起こそうとする。その時ようやく、身体に、特に左腕にかかる重さの正体がわかった。

「…湊?」

なるほど…湊も眠ってしまったのか。まあ仕方ない。俺だけ寝といて、湊に「寝るな」とは言えないからな。
とは言え、湊に起こされるのを期待していたのは確かだ。そこは自業自得か。とりあえず、帰らないとな…。

「あ…先生、おはよ…」

湊が目を覚ましたようだ。むにゃむにゃと眠そうに喋る湊もまた、なかなか可愛らしい。…一応言っておくが、単純に褒めただけだぞ?

「今何時ですかぁ…?」
「7時だ」
「しち、じ…えっ! 先生、大丈夫なの!?」
「あー、気にするな。どうせ運動部の奴らもまだ残ってるだろ」
「そうかぁ…ごめんなさい」
「謝るなって…いてて」

どうやら湊は俺の左腕を枕にして眠っていたようだ。肩から先の感覚が麻痺していて、動かそうとするとじーん、と痺れる。
おいおい、こんなもん枕にしたって、安眠は保証しないぞ?
というか、部室内は電気が点いておらず、真っ暗だ。うっすらと湊のシルエットは見えるが、その美しい黒髪は今はステルス機能を発揮している。

「湊こそ大丈夫か? 首、寝違えたりとかしてないか?」
「平気だよ。むしろ、よく眠れた」
「はは…そうかい」

とりあえず俺は部室内の電灯を点けるために立ち上がった。しかし寝起きで眼がぼやけ、暗闇なのもあって、スイッチがなかなか見つからない。
壁にそって手探りすれば見つかるだろう、と俺は考え、壁に近づこうとする。だが…

「っ!?」

何かに蹴っ躓いて、バランスを崩してしまった。
どさっ、と倒れ込む。ぎりぎりで床に手をつき、畳との正面衝突の回避には成功した。
704赤と緑と黒の話 第一話 ◆BaopYMYofQ :2010/04/03(土) 23:24:46 ID:TxU08vCn

いったい何に蹴っ躓いたんだ? 俺は足元をちら、と見てみる。
徐々に暗闇に目が慣れてきた今なら、判別が可能だ。どうやら湊の鞄に蹴っ躓いたようだった。
ふぅ、とため息をつき、右手に力を入れて立ち上がろうとする。左手は未だ麻痺しているため、なるべく右手に意識を集中した。
すると、右手の先につるつるとした感触を覚えた。上質の絹を触ったときのような感覚だ。だがこの部屋にはそんな布はなかったはず。ただひとつだけ、心当たりがあった。

「…先生?」

俺の真下から、俺を呼ぶ声がする。その時俺は、初めて今の状況を把握した。
倒れ込んだとき、ちょうど湊を押し倒したような格好になってしまったのだ。
俺は慌てて、湊の上から離れようとする。だが、ぱっちりと見開かれた湊と、目があってしまう。その瞳の奥に潜む何かに吸い込まれそうな気がした。
ふっ、と湊が優しく微笑んだのがわかった。俺は、無意識のうちにその口元にゆっくりと顔を近づけ…口づけてしまっていた。

「………………………悪い」

謝るくらいなら最初からするなよ、と自分に言いたい気分になった。たぶん、湊もそう思っているのだろう。
そんなことより…俺はいったい何をやってんだ。相手は生徒で俺は教師。しかも半ば強引?にキスするなんて。

「いいよ」

だが湊は笑顔を崩さずに、そう言った。

「嫌じゃなかった。先生だから、いいよ」
「何言ってんだ。そんなのいいわけ−−−」
「いいの。ねぇ、もう一度…」

…なんだと。誘っているのか、俺を?
…いかん、乗ってはいけない。俺は教師だ。そんなこと、してはいけない。
たとえどんなに湊の唇の感触が気持ち良かったとしても、してはいけないんだ。俺は必死にそう自分に言い聞かせ、自制を試みる。
そうしなければ、もう一度口づけてしまいそうだったから。

「…もう帰るぞ」

そう吐き捨てるのが、俺の精一杯だった。
だが今ならはっきりとわかる。俺の、そして湊の人生が変わってしまったのは、紛れもなくこの瞬間なのだと。
705名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 00:53:59 ID:cOUseuUy
GJK
706名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 08:14:26 ID:6nPGgkQk
転載
17 名前: 赤と緑と黒の話 第一話 ◆ BaopYMYofQ 2010/04/04(日) 00:02:54 ID:bKoNhfMMO

投稿終了のカキコミをしようとしたら「合言葉はみーライオン」と出て、いくら同意して戻ってもだめでした。


>>704
これはこの先が怖くて素晴らしい
ついでに容量やばいから次スレ立ててくる
707名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 08:17:02 ID:6nPGgkQk
ヤンデレの小説を書こう!Part29
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1270336603/
708名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 22:57:42 ID:usnSCH9z
さようならPart28
709名無しさん@ピンキー:2010/04/05(月) 19:02:48 ID:gnurtDkw
お前だって十分楽しんだだろ?
710名無しさん@ピンキー:2010/04/06(火) 21:41:40 ID:An0AM2ag
711名無しさん@ピンキー:2010/04/07(水) 00:41:01 ID:L/AuOVkP
彼が行方不明になって一週間が経った
携帯は五日前から電源が切れている
が、三日前から家に変な手紙や無言電話が来るようになった
そして昨日あの女が来た
彼と幸せに暮らしていると言っていたが持ってきた彼の手紙は所々赤くなっていた…
震える字体で一行目から逃げてと書かれていたその手紙は何行かあの女に消されているが彼の思いがふんだんに込められていた
あの女に彼の解放を求めたところ
今日……
ドン!
「…やっとビッチを始末できます。待っててくださいね?ふふふふふ…」

多分私の命が尽きるのだろう
彼はあのおんn
712名無しさん@ピンキー
     , --Λ-- 、__
    ( > <    `ヽ、
    ,`= ====、_     )   新スレに移動ですよ〜
   / イ  / | 、 ,   `ヽ_,ノ ヽ,
   レ L_/-,_|」Vヽ-,_ヽi  ヽ, i _
    (`,`(i ,i    i''''-,._ L__iノ i// ̄ ` 〜 ´⌒/
    イ.i"`´   .i、_ノ´ ,イ  //  病み   /
    (人 i - , _ "" (Y. //─〜 , __ ,─´                 , -- 、_
     Yイヽ 、_ノ_,,, イノ .//| .|.                 , -- 、_   i・,、・ /
   [>ノイ´ヽ人_, イ(イノ// | |           , -- 、._  i・,、・ /   ゝ____ノ
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