【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part24.5【改蔵】

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326266:2010/07/12(月) 19:16:07 ID:1bpulvGJ
以上でおしまいです。
失礼いたしました。
327名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 11:38:18 ID:83AjG/To
GJなんだが既視感が…
保管庫に似たような話なかったっけ
328266:2010/07/13(火) 20:15:13 ID:Xx3uNOBz
うーん、そうですか……
保管庫で卒業絡みの望カフな話があった気がしますが、そこまで似てる作品があったんですねぇ……
今回のSSは(あくまで客観的評価ではなく私個人の手応えとして)よく書けたんじゃないかと思っていたので、
正直、少しガッカリしています
329名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 20:25:57 ID:UhXcs14e
卒業はけっこう題材だし、被ったことをそう気にすることはないんじゃない?

そういえば進級をテーマにした話は読んだことがない気がする
ループを抜け出した瞬間、って点ではある意味卒業より重要かも
330岸谷 新羅ψ ◆i85SSHINRA :2010/07/14(水) 04:54:57 ID:r2gm+tL2 BE:2390699467-2BP(1072)
望と新羅

岸谷 新羅へ置き換えた後、新羅の方が望より性能では優れている事が分かる。
新羅の加速性能は電車並みの加速性能を持っています。

望=DML30HSH(440馬力)、DW9.4(変速1段、直結1段)だろ。
新羅=カミンズ DML30HZH(840馬力) DW30H(変速2段、直結4段)

エンジン音では新羅の方はキハ110系のような音を発する。
トルクコンバータの構成は望は1段3要素(2相形)だが、新羅は1段3要素
(外向きタービン形)のため、ストールトルク比では新羅の方が断然上です。

望には無い機能としては、コンバータブレーキ機能、CCS装置を備えています。
最終減速比は二人とも同じで、約3.750と高めに振られています。
331岸谷 新羅ψ ◆i85SSHINRA :2010/07/14(水) 05:02:19 ID:r2gm+tL2 BE:512293133-2BP(1072)
新羅のエンジンは大出力の軽量エンジンで、エンジンの乾燥重量は、
望のDML30HSHの約4,000kgに対し、新羅のDML30HZHは約2,954kgとなっている。
332h-getash:2010/07/14(水) 19:55:38 ID:FfD8/q32
266さん卒業SS、GJです。
二人の距離感がいいですね。

自分も書いてきました。
望カフのエロ無しです。
333h-getash:2010/07/14(水) 19:56:37 ID:FfD8/q32
『失踪の日々』



『私は今の生活に疲れてしまいました。
 どこか遠い地で残りの人生をひっそりと暮らしていきたいと思います。
 どうか探さないでください…                    
                                 望 』

「こんなもので良いでしょうか」
望は自分の書いた文章を読み返して、教壇に置く。
そのあと少し辺りを見渡して人がいないか確認する。
「常月さん…いますね」
「はい、ここに」
望に呼ばれるとまといが何処からともなく現れる。
一体どうやったらここまで上手く隠れれるのかいつか聞いてみたいものだ。
だが今の望の目的はそれではない。
「朝、お茶を淹れすぎたんですけど飲みますか?」
「ありがとうございます」
まといが望に貰ったものを受け取らない訳があるはず無い。
望の予想通りまといは嬉しそうにお茶を飲み干す。
飲み終えてしばらく経った後、まといは謎の眠気に襲われ、眠りについてしまう。
「旅立ちパックの睡眠薬がこんな所で役に立つとは思いませんでした」
まといが完全に眠りについたのを確認して教室を後にする。
望の苦労の日々が始まろうとしていた。


望の思惑通り教室はざわめいていた。
原因はもちろん担任である望がやって来ない事である。
「一体先生は何しているの!」
時間通りにやって来ない望にとうとうしびれを切らし、千里が声を荒げる。
確かに、千里程ではないが他の生徒達も待っているのにうんざりしている所であった。
そして例によって例のごとく、また可符香が教壇に置いてある紙に気がつく。
「先生はまた取材でお休みです」
「またかよ!」
千里がツッコミをした後に智恵が教室に入ってくる。
「という事なので、出席だけでも取りますね」
久しぶりの出席を取り、その日の自習は望の話で持ち切りになった。
話の結論はまぁいつか帰ってくるだろうというところに落ち着き。誰も望の心配をする人は
出てこなかった。
「そういえばまといちゃんは?」
「先生の紙の横に『先生を探す旅に出ます。』っていう紙があったからきっと探しに行ったんだと思うよ」


望がいなくなってから二週間ほど経ったころ、いつも通り賑やかな2のへの教室を遠くから
見つめる影があった。
「何で誰も心配してくれないんですか!」
そんな普通少女が言いそうな事を言ったのは失踪した望、張本人だった。
失踪したのは気紛れだったが、ここまで気にも止められないと面白くない。
「絶望した!薄情な生徒達に絶望した!
 いいですよ、こうなったら探しに来てくれるまで絶対に戻りません!」
半分逆ギレ気味に望は2のへ生徒達を見張り、帰るタイミングを計る事にした。
334h-getash:2010/07/14(水) 19:57:12 ID:FfD8/q32

「ねえ、あれから二週間経ったけど、先生いつまでやってるんだろう」
奈美が退屈そうに言う。
望のいない2のへはいつもと比べ、大人しくなっている為に、多少刺激が足りないものがあった。
もちろんいつもと比べるとだが…
「あと一週間もしたら食べる物でも無くなって帰ってくるんじゃないかな?」
あびるが答える。
そんな2のへメンバーが話し合っている中、可符香だけが窓の外を眺めていた。
窓の外でこそこそとしている影を発見したあと、視線を外して何事も無かったように装う。
「可符香ちゃんはどう思う?」
全員がそれぞれの予想を言い終わり、最後に残った可符香の考えを求める。
「うーん、あの調子だったら当分戻って来ないと思うよ」
「随分具体的だね、もしかして知っているとか?」
望の様子を全て知っているような可符香の返答に奈美は首を傾げる。
「いやだなぁ、あくまで予想ですよ。いくら私でも見ていないものを知っている訳無いじゃないですか」
可符香は笑って言う。
奈美は「そうだよね」と納得してそれ以上深く追求しなかった。


…望が失踪してから三回目の日曜日…
「皆さん楽しそうですね…」
望は今、遊園地のベンチに腰かけていた。
みんなで遊びに来ていた2のへ一行についてきてここまで来たのである。
「遊園地で一人なんて悲しいですね…」
望は今の状況に溜息をつく。
手に持つ双眼鏡の先には楽しそうに笑う生徒達。
もう少し心配してあげてもいいのでは…と本人じゃなくても思ってしまいそうである。
「今度はお化け屋敷ですか…あまり得意じゃないんですけどねこういうの」
と言いつつもノリノリでお化け屋敷に入っていく。
何だかんだで望は遊園地を満喫していた。

…お化け屋敷内部…
「暗いですね…」
暗い通路を道なりに進む、恐る恐る歩いていると何かが横に来て、一瞬だけ光が現れる。
「う、うわーーーーー!!!!」

「さっき…先生の声が聞こえなかった?」
出口のすぐそこまで進んでいた奈美が尋ねる。
「気の性じゃないかな。失踪中の人が遊園地に来ないと思うよ」
それにあびるが答える。
「あれ?可符香ちゃんカメラ持って来てたの?」
「うん、自分が写ってる写真が無かったら後でいじけちゃうかなって思ったから」
「誰が?」
「目の前にお家があるのに帰ろうとしない迷子さんです!」
「……?」
可符香の言葉の意味を理解することが出来ず、奈美は首を傾げる。
だが途中で考えるのを止めて次のアトラクションに向かった。
335h-getash:2010/07/14(水) 19:57:40 ID:FfD8/q32


……っとそんな事もありながら殆どのアトラクションをあらかた乗り終わり、ベンチに座って
休憩をしていた。
「私達こんなに写真撮ったっけ?」
奈美がフィルム数残り僅かのカメラを見つめて言った。
「私達は乗るの優先してたけど、カメラ使ってた可符香ちゃんが時々ふらっといなくなった
 りしてたからそういう時に何か写してたんじゃないかな?」
「うん、そうだよ」
晴美がそう言うと可符香は頷く。
そのあと可符香は急にベンチから立ち上がりカメラを手に持ってみんなの前に立つ。
「それじゃあ最後にみんなを撮ってあげる」
「可符香ちゃんは写らなくていいの?」
千里がこの状態では可符香が写らない事に気付いて言う。
「大丈夫だよ。それじゃあはい、チーズ!」
可符香はそう言いながらカメラのシャッターを下ろした。


「おや…もう皆さん帰るようですね」
望は生徒達がそれぞれに散らばっていくのに気付く。
「…………?」
最後に残った人影がゆっくりとこちらに近づいてくる。
その人影がある程度近づいたころ、それが誰なのか理解する。
「風浦さん?」
呼ばれた事に気付き、可符香は小走りになる。
それから一分もかかることなく可符香は望の元に辿り着く。
「どうして私がここにいる事に気付いたんですか?」
「いやだなぁ、先生そういうの苦手なので簡単でしたよ。
 数日前に先生が教室に帰って来た時から気付いていましたよ」
「要するに初めからですか…」
上手く隠れていたつもりだったが可符香に対しては意味はなかったらしい。
「ところで先生はもう見つかってしまった訳ですけど、まだ隠れているんですか?」
「そうですね…ある意味今日で十分楽しみましたし…」
「あっ、先生の写真もちゃんと撮ってありますよ!」
可符香はカメラを取り出して望に見せる。
「時々見えたフラッシュはそれでしたか…」
望はお化け屋敷や他に思い当たりのある場面を思い出す。
その時、望はある事を思いつく。
「風浦さん、そのカメラちょっと貸してください」
「いいですよ」
望は可符香からカメラを受け取ってフィルム数を確認する。
カメラには残り1と表示されていた。
「風浦さん、ちょっとこっちに…」
「…………?」
望はよくわからないまま近づいて来た可符香をカメラを持っていない方の手で抱き寄せる。
「せ、先生!?」
「はーい、撮りますよ」
カシャッという音の後にフィルムの巻かれる音がする。
「私の見たところ風浦さんはカメラに一度も写ってなかったですよね?」
そう言いながら望は可符香を抱き寄せていた腕を離す。
可符香は嬉しさと恥ずかしさから顔を赤くしながらコクリと頷く。
「私もまともな写真がありそうには思えませんし、これで大丈夫ですね」
望は可符香にカメラを返す。
「それでは風浦さん、明日学校で会いましょう。まだ夕方ですけど気をつけてくださいね」
望はそう言って学校に戻っていった。
「先生、また明日…」
336h-getash:2010/07/14(水) 19:58:12 ID:FfD8/q32


…翌日…
清々しい朝だった。
目覚めもかなり良く、何故だか体も軽く感じる。
「やっぱり学校にいかないというのは結構寂しいものでしたね」
望はそんな事を呟きながら教室の前に立つ。
「おはようございます!」
ガラリと音を立ててドアを開く。
「先生!」
(ああ…この反応を待っていたんですよ)
「おはようございます、皆さん少しの間いなくなっていましたが……」
言葉の途中でズドンッ!という音を立ててスコップが望のすぐ横に突き刺さる。
「はいっ!?」
もちろんスコップを投げつけたのは千里である。
だが何故こんな事になっているのか望には全くわからない。
「先生…昨日遊園地に来ていたらしいですね…」
「何故それを!?」
「先生…これ…」
望が疑問の言葉を出した瞬間、奈美が一枚の写真を見せる。
その写真は例の望と可符香のツーショット写真だった。
「なっ!?現像するの早すぎる気がするんですが…」
「知り合いのところで頼んだら優先してやってくれたんです」
望の疑問に可符香が答える。
「それにしてもそんなに早く出来るものなんですか!?」
「みたいですね」
可符香はこの状況を楽しんでいるらしく表情は笑顔であった。
そんな会話をしているうちに、千里が望に接近して来る。
「そうですか…失踪はこの為の口実だったんですね」
「誤解です!結果的にそうなりましたが決してそんな疾しい気持ちでやった訳では…」
「ゆるさ…ぬ!」
「い…いやーーーーー!!!!」
再度スコップを構え始めた千里を見て望は走り出した。
この状況を誰もが顔を青くしながら眺めていたが、可符香だけは楽しそうに笑っていた。
後ろに迫る千里から逃げながら望は叫んだ。
「この反応は私の求めていたのと違います!」
その悲痛な叫びは学校中に響いたという…
337h-getash:2010/07/14(水) 19:58:47 ID:FfD8/q32
以上です。
それでは失礼しました。
338名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 23:04:10 ID:RpV8NCb8
久しぶりに来たら、いっぱい投下されてて嬉しいな

書き手のみなさん乙です!

339名無しさん@ピンキー:2010/07/15(木) 09:01:55 ID:pmQXeiaN
望カフ祭りワショーイ
ここのところ活気付いてるし
そろそろ次スレのことも考えはじめねばならないか
340266:2010/07/18(日) 22:15:40 ID:neWPsLQr
書いてきました。
久藤君×マリアでエロなしです。
それではいってみます。
341266:2010/07/18(日) 22:16:13 ID:neWPsLQr
人を惹きつける要素というのはまあ色々あるだろうが、『話上手』なんてのは誰もが頷くところだと思われる。
人間は言葉の動物、円滑なコミニュケーション、楽しい会話はそれだけで人に潤いを与える。
彼、久藤准もそういった言葉のやり取りを得意としている人間だ。
「でさ、それからずっと親と話せてなくてさ」
「仲直りしたいんだ?」
「えっ?いや…そんな事……ないと思うけど……やっぱり、そうなのかな?」
「少なくとも、ちょっと寂しそうに見えたから。たぶん、親だって同じ気持ちなんじゃないかな」
「そう…かな」
「今はケンカしたばっかりで互いに声を掛けづらい雰囲気になってるだけで、話してみたら案外って事もあると思うよ」
「うん。そうだね。今日、学校から帰ったら、ちゃんと話してみる」
「それがいいよ。きっと向こうももう一度話すタイミングを待ってる」
「ありがとう。なんだか少し楽になったな。やっぱり、久藤君って凄いね」
ペコリと頭を下げた女子に、准は優しく微笑んで見せる。
彼はとかく言葉に関しては凄まじいまでのセンスを持った少年だった。
先程の女子も話している最中、親と仲直りしたいという本音がそこかしこに見え隠れしていた。
だから、准はなるべく彼女にそれと意識させないように、自分の素直な気持ちに気付くよう言葉を掛けていったのだ。
ただ、これは久藤准という言葉の天才の、真の才能の余録に過ぎない。
「あ、そういえばさあ、昨日やってたテレビで世界のピザなんてコーナーがやっててさ……」
「………ピザ…」
話が一段落した所で別の女子が振ってきた話題、そこに含まれていた言葉が准の脳裏にひらめきを与える。
キラリ、瞳を輝かせ、すっくと背筋を伸ばし、朗々とした声で彼は語り始める。
「…『カルロおじいさんのピザ』」
「ああっ!久藤君がまたっ!!」
「どうしていつもこう突然スイッチが入っちゃうのよ!!」
彼の真の才能、それは物語を生み出す事である。
ふとしたきっかけからインスピレーションを得て、即興で語り始める物語の数々はどれも聞く人の涙を誘わずにはおかない感動ストーリーばかり。
そしてそのあまりの破壊力ゆえに一度語り始めたこの天才ストーリーテラーを止められる人間は皆無である。
「ちょ!久藤、ストップだ!ストップ!!」
慌てて駆け寄る木野国也の声も今の准には聞こえない。
やがて、彼が紡ぎ出すストーリーに誰もが魅入られ、クラスの全員がただじっと准のお話を聞くだけの状態となる。
………その筈だった。
「チョット、ソコ通るヨーッ!!!」
元気いっぱいに教室に響き渡った声が、准の声をかき消した。
それでも気づかずに話し続けていた准の頭を跳び箱の要領で押さえ付け、褐色の影がその上を飛び越えていった。
「こらーっ!マリアちゃん、止まりなさいってばーっ!!」
制止の声も聞かず、その少女、関内・マリア・太郎は机の上を飛び石の要領で渡って、窓から外へ飛び出して行く。
「ちょ…ここ二階なのよ!?」
マリアの無謀な行動に思わず悲鳴を上げる者もいたが、彼女は校舎の壁を蹴り向かい側に植えられた木の枝に見事につかまった。
彼女がするすると樹の幹を滑り降りていくのを見届けてから、教室の一同はゆっくりと後ろを振り返った。
そこには、マリアの足場の一つにされて、床に思い切り倒れ込んだ准の無残な姿があった。
「…く、久藤くん、大丈夫!?」
心配げに語りかけるクラスメイトの声を遠くに聞きながら、霞む意識の片隅で准は呟く。
(……ああ、まただ……どうしたんだろう、最近のマリア……)
彼の脳裏には、最後に視界に映ったもの、マリアの天真爛漫な笑顔が何故か少し陰りのあるように見えていた……。
342266:2010/07/18(日) 22:16:46 ID:neWPsLQr
実のところ、ここ最近、准の周囲では同じような事が立て続けに起こっていた。
彼がクラスメイトと会話をしているとき。
図書室で本を読んでいるとき。
准がごく普通に過ごしているそんな瞬間に、いつも唐突にマリアは現れる。
大抵は勢い任せにその場に突っ込んで来て、准のいる方に全身でダイブ。
そしてそのまま、来たときと同じ勢いでそこから走り去ってしまう。
そんな訳で、ここのところのマリアの襲撃の為、准はいくらか疲れ気味だった。
「………ん?……ああ、またやられちゃったのか……」
消毒液のにおいと、窓から差し込む西日のまぶしさの中、うっすらと目を開けた准はその体を気怠げにベッドの上に起こした。
「えっと…確かあれは昼休憩の事だったから…そっか、午後の授業、まるまる寝ちゃってたのか……」
野生児マリアのパワフルさは体格では彼女を上回る准を軽く圧倒してしまう。
それに上述の通り、このところのマリアの襲来のお陰で、准は疲れていた。
だが、当の准にそれを気にする様子はない。
彼が考えていたのは、マリアの事。
気絶する前に見た彼女の笑顔の事だった。
彼には一見いつも通りのマリアの笑顔が何か不自然なもののように見えた。
本当に言いたいこと、伝えたいこと、そんなあれこれを裏側に隠したつくりものの笑顔のように……。
「でも、わからない……マリアは何を伝えたいんだろう?どうしてあんな事を繰り返すんだろう?」
だけど、悩めば悩んだだけ、准の疑問は深まるばかり。
今のマリアがおかしい事に疑いはない。
以前から元気すぎるぐらい元気な少女ではあったけれど、最近の彼女の行動は少し度を越していた。
マリアは賢い。
ちょっと人には言えないルートでこの学校にやって来た彼女だったけれど、その適応力は目を見張るものがあった。
時折口にするシニカルな言葉、物の見方など、その辺の高校生などよりずっと達観している節もある。
そんな彼女が自分のやっている事を理解できていない筈はないのだけれど………。
「駄目だ……やっぱり、分からない…」
深くため息をついて、准はもう一度ベッドに横たわる。
マリアの襲撃を受けた昼間も、クラスメイトからの相談を受けていた准。
相手の話の中から、その人の訴えたい事、大事だと考えている事、そういったものを汲み取れる准はクラスの仲間達にも頼りにされていた。
そういう役回りを彼自身、自覚してもいた。
「だけど、駄目なんだ……それじゃあ、足りない………あの娘の、マリアの気持ちには触れられない……」
しかし、今は言葉をかわさなければ、相手の心に近づく事の出来ない自分が、ひどくもどかしかった。
と、そんな時である。
「おーっす!」
ガラガラと勢い良く扉が開けられて、聞き慣れた声が保健室に響き渡った。
「あ……木野…」
「お、やっと起きたな、久藤」
ベッドの上の准の姿を認めて、ニッと明るい笑顔を浮かべる馴染みの友達、木野国也。
その明るい表情が准に少しだけ元気をくれた。
(このままじゃいけない……)
自分一人で悩んだところでドツボにはまり続けるだけ。
だけど、誰かが悩み続ける自分にほんの少しでも力を貸してくれたなら……。
准は決めた。
マリアの事を国也に相談しようと。
343266:2010/07/18(日) 22:17:18 ID:neWPsLQr
「ふーん、マリアが変ねえ……」
「うん。多分、何か伝えたい事があってやってるんだと思うんだけど……」
学校からの帰り道、准は国也に最近のマリアについて考えていた事を話した。
准の話を聞き終えた国也は腕を組んでしばし考え込む。
「確かに、最近はちょっと元気が過ぎると思ったけど、良く気づいたな、久藤?」
「そりゃあ、何度も吹っ飛ばされたり、気絶させられたりしたからね……」
国也の言葉に、准は苦笑いで答える。
「でも、本当に分からないんだ。マリアに変化があったのなら、当然その原因だってある筈。だけど、僕にはどうしてもそれが分からない……」
「久藤……」
力ない言葉に、俯きがちな視線。
普段の准が見せる穏やかな微笑みを知る国也には、その心中の痛みを感じ取る事が出来た。
(そっか、辛いのか、久藤………だけど、久藤にも分からない事なのに、俺に言ってやれる事なんて……)
思わず言葉を詰まらせた国也だったが、ふとある事を思いつく。
それはあまりに単純で、多分、いつもの国也なら口にする事を躊躇っていたかもしれない。
ただ、元気をなくした友人の姿が、その躊躇いを振り切らせた。
「なあ、久藤。いっそ、いっぺん捕まえちゃったらどうだ?」
「えっ?木野、何を…?」
「いや、だから、マリアを取っ捕まえて、真っ向から向きあって話を聞いてみたらどうなんだよ?」
確かに、それでマリアの気持ちを聞き出せるなら、これ以上手っ取り早い方法もないだろう。
だが、しかしである。
強引に捕まえて、無理やり話を聞き出そうとする。
そんなやり方でマリアがその胸の内を明かしてくれるだろうか?
むしろ、彼女の心を閉ざしてしまう結果になるのではないだろうか?
「木野……それ、ちょっと乱暴じゃないかな?」
准が問い返す。
だが、国也も何の確証もなしにこんな事を言った訳ではなかった。
「あのな。久藤、お前、肝心なこと忘れてないか?」
「えっ?」
「アイツが現れるのは誰の所だよ?他でもないお前のとこだろ?」
「あ………」
マリアの気持ちを、胸の内を、真意を………。
そればかりに気を取られていた准がすっかり失念していた事。
彼女はそれを誰に伝えたいのか?
「アイツはお前と話したい。だけど、どう話していいか分からないから、あんな事になっちゃうんだよ。
それなら、お前のやる事はひとつっきりだろう?」
「うん……」
国也の言葉に深々と肯いてから、准はマリアの笑顔をもう一度思い出す。
そうだ。
いつだって彼女の眼差しはまっすぐ自分の方に向けられていたじゃないか。
「わかった。やってみるよ、木野……」
マリアが何かを伝えたがっているのと同じように、自分だって彼女と言葉を交わして、その心に触れたい。
俯いていた顔を上げた准の胸には、確かな決意が宿っていた。
344266:2010/07/18(日) 22:17:48 ID:neWPsLQr
翌日、学校。
授業から解放された生徒達でごった返す廊下を、褐色の影が駆け抜けていく。
「…………」
細身でしなやかな体を活かして、ある時は人と人の間の僅かな隙間をすり抜けて、ある時は股下を潜り抜けるなんて大技も使いながら、
誰よりも早く、まるでジャングルを駆ける獣のように、マリアは走り続ける。
(今日は准、ナカナカ見つからないナ?)
右に左にせわしなく動く瞳が探しているのはただ一人、久藤准の姿だけだ。
かれこれ何日ぐらいこんな事を続けているだろう?
正直、その行動の意味するところを、マリア自身も理解していなかった。
ただ、気がつけば准の姿を求めて、校内を全力で走っている。
彼女自身にも抑えられない衝動が、マリアの瞳を、脚を、全身を、准を探し求めるその行為に没頭させていた。
それだというのに、いざ准の姿を見つけると、その衝動はモヤモヤした曰く言い表わし難い感情に変化して、
戸惑うばかりのマリアはそんな自分をどうする事も出来ず、ただ脱兎の如くそこから逃げ出す事しか出来なかった。
それでもマリアは准を探す。
あの微笑が見たくて、あの優しい声が聞きたくて………。
だけど、それ以上にやりたい事、してもらいたい事がある筈なのに……。
「そういえば、久藤は?」
「ああ、何か知らないけど、さっき急いで図書室に行ったな」
そしてついに、偶然すれ違ったクラスの男子の会話の中に、マリアは准の名前を見つける。
(図書室……ッ!!!)
マリアは廊下の先の階段の前で急停止、そのまま図書室入り口がある二階へと全速力で階段を駆け上がって行った。
件の男子生徒……木野国也はそこで足を止め、携帯を取り出す。
「なあ、さっきので良かったのか、木野?」
「ん、ああ、バッチリだったぜ、芳賀」
ニヤリと笑った国也は携帯のメール画面を開き、あらかじめ用意していた連絡用のメールを送信する。
「後はお前次第だ。上手くやれよ、久藤……」
345266:2010/07/18(日) 22:18:26 ID:neWPsLQr
四段飛ばしで階段を駆け上がり、まっしぐらに図書室へ。
勢い良く開いた扉の向こうで、マリアは目を凝らして准の姿を探す。
「見ツケタ!!」
そして、図書室の奥まった所、本棚に図書を戻している最中なのだろうか?
こちらに背を向けた准の姿が見えた。
「准……っ!!!」
一歩、二歩、三歩……っ!!!
悲鳴をあげる他の生徒達の声など気にせず、机の上から机の上へと八艘飛びにジャンプを繰り返し、マリアは准との距離を詰める。
もう少しで准は目の前。
マリアの胸の中にあのモヤモヤとした感情が湧き上がる。
それを振り切るように一際大きなジャンプで、マリアは准に飛びかかる。
その時だった………。
「マリア……」
「エッ!?」
くるり、まるでこのタイミングで来るのが分かっていたかのように、准がマリアの方に振り返った。
「准……!?」
振り返った准は、マリアを迎え入れるように大きく両手を広げる。
マリアはその突然の行動に、頭が真っ白になってしまい………。
「あっ………」
「待ってたよ、ずっと………」
そのまま、准の腕に小さな体をまるごと抱きとめられてしまった。
弾丸のように飛び込んできたマリアの体を受け止めるのが精一杯だったのか、准はマリアを抱きしめたままその場に座り込んだ。
「准……准………マリア、ずっと……」
「僕もマリアと話したかったよ」
准の腕に抱き締められて、マリアの胸のモヤモヤは押え切れないほどに膨らんでいく。
胸がドキドキして、准にまともに見られている事さえ照れくさくて、いつもはポンポンと出てくる筈の言葉が形になる前に溶けて消える。
ただ、それでも分かる事があった。
ずっと、この温もりを求めていた。
ずっと、この腕に抱き締められたかった………。
マリアの腕がおっかなびっくり、おずおずとした動きで准の背中に回される。
やがて、少女の細腕にぎゅっと力が込められて……
「准、ゴメンネ……マリア、いっぱい迷惑カケタ……」
「いいよ。構わない。今はそれよりも、マリアがこうして傍にいてくれる方が嬉しいよ」
「…………ッ!!!!」
准が頭を撫でてやると、マリアは准のシャツに思い切り顔を埋めて、より強く彼と密着した。
(准と一緒……スゴク嬉シイヨ……)
それが、マリアを一連の行動に駆り立てた、その動機だった。
マリアは利発な少女だ。
遠い異国にあってもその元気を失う事なく、新たな環境に難なく適応してしまう。
物事を見つめる眼差しは他の生徒達よりずっと鋭く、理解力もかなりのものだ。
だけど、ただ一つ、彼女には足りないものがあった。
それは………。
(そっか、甘えたかったんだね。マリア………)
ぎゅっとしがみついて離れないマリアの背を撫でながら、准は思う。
彼女の故郷、銃弾が飛び交い、常に飢えと死が背後から追いかけてくるジャングル。
その過酷な環境の中では、決して経験できなかった事。
それが『誰かに甘える』という事だった。
(そういえば、マリアの方から遊んで欲しいとかお話を聞かせてほしいとか、言われた事なかったっけ……)
准はマリアや交達の相手をして遊ぶ事も多かったが、マリアから何事かをせがまれた事は全く無かった。
それも道理である。
彼女は『甘える』事、人を頼る事を知らなかったのだから。
だけど、マリアがそれを知らなくても、彼女自身の心が誰かの手の平を、ぬくもりを求めていた。
それが、マリアを動かしていたモヤモヤの正体。
(だけど、僕だって同じようなものだ。こうして触れてみるまで、マリアの気持ちに全然気づけなかったんだから……)
手で触れて、温もりを伝え合って、そうやって初めて伝わる感情がある。
言葉では表わしきれない気持ちがある。
この図書室の片隅で准が抱きとめたのは、心も体もひっくるめたマリアの全部なのだろう。
「マリア……」
「准、大好キダヨ……」
それからしばらくの間、縋りつくマリアの背中を、准はずっと撫で続けていた。
346266:2010/07/18(日) 22:19:05 ID:neWPsLQr
それから一週間後……。
「改めて言うのもなんだけど、あの時はありがとう、木野。たぶん、僕一人じゃ、マリアにどうしてあげる事もできなかったと思う」
「ああ、まあ、そりゃいいんだけんどな……その、久藤?」
「何?」
「何ダ、クニヤ?」
学校からの帰り道、国也は隣を歩く准の笑顔と、その背中にひっついたマリアの笑顔を交互に見てため息を一つついた。
そう。マリアはあの一件で学習したのだ。
「世の中ハ持チツ持タレツ、人ニ甘エル事モ大切ダヨ!」
あれ以来、マリアは准にぺったりとくっついて離れない。
隙があれば彼の背中におぶさり、こうして心ゆくまで准と過ごす時間を満喫している。
しかも、准の方も満更では無さそうだというのだから、国也は頭を抱えるしかない。
「別に良いと思うけどな。僕もマリアといると楽しいし」
「頭が固いゾ、クニヤ!!」
「へいへい、お前らがそれでいいんなら、そうなんでしょうよ」
学校からの帰り道、アスファルトに伸びる影は二つ、楽しげに響く声は三つ。
色々と言いたい事はあったけれど、マリアと准、二人の幸せそうな笑顔を見ていると、
これはこれで良いじゃないかと、国也もそんな気分になってしまうのだった。
347266:2010/07/18(日) 22:19:48 ID:neWPsLQr
以上でお終いです。
マリアの出番がいまいち少なくてすみません。

それでは、失礼しました。
348名無しさん@ピンキー:2010/07/19(月) 08:45:15 ID:lNEXdIYx

自分みたいなマイナーカップリング好きにはたまらない
349h-getash:2010/07/19(月) 22:27:33 ID:Pe7/B/jv
どうも。
また書いてきました。
望カフの話です。
350h-getash:2010/07/19(月) 22:28:25 ID:Pe7/B/jv
何の変哲もない小さな民家。
ここでは一人の少女が退屈そうに畳の上をごろごろと転がっていた。
「最近特に面白い事もなくて退屈ですわ…」
心底詰まらなそうに少女が呟く。
ここ最近、特にやる事も無くて暇の絶頂を迎えていた。
「倫様、望坊っちゃんをからかいに行ってはいかがですかな?」
時田が提案を出すが、倫はそれを聞いて顔をしかめる。
「お兄様をからかいに行くだけというのはもう飽きてしまいましたわ…」
暇を潰すには兄である望にちょっかいを出すのが一番楽な方法なのだが、そう何回も同じ事を
繰り返していては流石に飽きてしまう。
「そうと言いましても、他にお暇を潰せる事など…」
時田は少し困ったように首を捻る。
倫の退屈を少しでも紛らわせようと時田はテレビをつける事にする。
次々とチャンネルを変えていき、面白そうなものがないか探す。
「少し止めてくれ…」
倫はある旅館のCMが目に止まった。
何も言わずにそれを見ているといきなり立ちあがる。
「時田、お父様とお母様は家にいないよな?」
「はい、お二人ともお忙しい身で御座いますから…」
親が二人ともいない事を確認すると、倫はニャマリと笑う。
倫の考えている事を大方理解した時田は早速準備に取り掛かる。
「流石だな時田、察しが良くて助かるぞ」
「ホッホ、主人の手助けをするのが執事の役目ですからな」
時田は楽しそうに笑って言った。
こうして倫の迷惑な暇潰しが始まった。


「……という訳で実家に友人を呼んでお泊まり会をしようかと思っているのですが」
倫は提案を望に説明をする。
「何でわざわざ私の所に来るんですか…」
あまり巻き込まれたくない望は、何でいちいち報告しに来るのかと尋ねる。
乗り気でない望の態度を倫は予想していたらしく、望を無理矢理引き入れる作戦を練って来ていた。
「あらお兄様、友人というのはお兄様の生徒達の事ですわよ」
「そんな事は分かっていますよ」
望は小さく溜息をつきながら言う。
倫は望をじわりじわりと追い詰めるような声色で囁く。
「いいのですか?お兄様が大切に保管しているあれが生徒達に見つけられても…」
「残念でしたね倫!そういう物は私にしか分からない場所にちゃんと…」
「お兄様のお部屋のタンスの裏にある隠し扉の事でございますか?」
「な、何でそれを!?」
誰にも教えていない筈の隠し場所をズバリ言い当てられ望は硬直する。
その瞬間、時田がわざとらしく大きめに咳払いをした。
望は固い動きで時田の方に振り向く。
「時田…あなたですか…?」
「壁紙の裏に隠した程度では私の目は誤魔化せませんぞ」
得意げに言う時田に望はガックリと項垂れた。
完全優位に立った倫は楽しそうに笑う。
「ではお兄様、拒否権はございませんので言う事を聞いてくださいませ」
「わ…わかりましたよ…」
望は死ぬほど嫌な予感がしたが言う事を聞くしかなかった。
351h-getash:2010/07/19(月) 22:29:35 ID:Pe7/B/jv
「とりあえずお兄様はここで暫くお待ちください。私は他の準備がございますので」
倫はそう言うと何処かへと走っていった。
「坊っちゃん、私は別にあの写真は見られても特に困る物だとは思いませんが…」
「何だか恥ずかしいので見られたくないんですよ…」
 それに時田があの時、勝手に写真を撮らなければこんな事には…」
望は溜息をつきながら呟いた。
「そう言いながら長い間大事に保管していたのは何処の誰で御座いましょうな」
「ぐっ……そうですよ、私ですよ…!」
時田に痛い所を突かれ、望はやけくそ気味にそう言った。
「彼女は坊っちゃんとあの頃から本当に仲がよろしくて、実にお似合いで御座いますよ」
「からかわないでください!!」
時田が茶化すと望は顔を赤くして首を横に振った。
(ふむ…やはりどちらも素直になるのが苦手なご様子で…これは少し背中を押して差し上げましょう。
 それにしても坊っちゃんは、早く写真を見せればいいものを……相変わらずのヘタレで御座いますな…)
頭の中でかなり酷い事を思いながら、時田は一瞬だけ黒い笑みを浮かべた後、ある作戦を練り始めた。


…お泊まり会当日…
電車内部
「そういえば先生の実家に行くのも久しぶりだね」
可符香はお見合いの時の事を思い出して言う。
「第二集ぶりなのな…」
マリアがニヤリとしながら呟く。
「いや…それ私達は理解しちゃだめだから…」
マリアの発言に顔を青くしながら奈美が反応する。

「……どうして実家に帰るだけで交通機関一つを貸し切らなきゃいけないんですか…」
望は殆どがガラ空きの席を見てガックリと項垂れる。
気まぐれでどれだけの金が動いたのか、想像するだけで頭が痛くなってくる。
望は現実逃避をするために、窓から外の景色を眺める事にする。
暫くすると、時田が小さめの箱を持ってきているのが窓に写った。
嫌な予感がして振り向いて見ると、時田はその箱を倫に渡している所だった。
「さて…それじゃあ一つゲームをするか。ちなみに強制参加だからな。
 この箱に人数分の紙が入っている、そのうち一つは当たりがある、それを引いた奴には
 少し面白いものをやろう…」
望は倫の説明を聞いて、特に危ないものではなさそうだと安心する。
箱からそれぞれ一枚ずつ紙を引かれていく。
「私、何も書いてないよ」
「あっ、私もだ…」
千里とあびるが紙を開いて倫に見せる。
「残念だがハズレだな」
倫がそう言うと二人は少し残念そうな顔をする。
最後に可符香が箱から紙を取ると、時田が一瞬ニヤリと笑う。
倫だけがそれに気付き、不思議そうな顔をした。
352h-getash:2010/07/19(月) 22:30:04 ID:Pe7/B/jv
「あれ…?可符香ちゃん、もしかして当たりじゃない?」
奈美が可符香の持った紙に小さな○が書かれているのに気付く。
「本当だ、うーん…別に当たるつもりはなかったんだけど」
「確かに可符香ちゃんがこういうの当てたりするのは珍しいよね」
いつも物事を外から操る可符香が、こういう風に中心に来るのは稀な事だった。
今回も傍観者でいる為にわざと紙を引くのを最後にしたのだが、予想外な事に引き当ててしまった。
「おや、当たりはお前か…まぁ偶には珍しい事があった方が面白いな」
倫は思った以上に面白い事が起こったと表情を輝かせる。
可符香はどうして当たったのだろうと疑問に思いながら首を傾げる。
こういう事に関しての運はかなり良い方のだと思っていただけに、意外な結果に少し戸惑っていた。
「さて…当たりのお前には景品をやるのだが、ここで言うのは少し面白くないな…」
倫はそう言うと、可符香を連れて隣の車両に入っていった。
「何だろうね景品って…?」
あびるは閉じられた隣の車両へのドアを見つめながら言う。
「きっと凄いおいしいお菓子とかそんなんだよ、いいなぁ〜」
奈美が羨ましそうに呟く。
「奈美ちゃんなら嬉しいだろうね…」
その凄いおいしいお菓子とやらを食べている想像をしているのか、幸せそうな顔をしている奈美を見て
あびるは半ば呆れながら呟いた。

隣の車両…
「まさかお前が当たるとは、偶然にしては少し出来過ぎなような気もするが…」
倫は前に立つ可符香を見つめながらブツブツと呟く。
倫の言っている事がよく分からない可符香は首を傾げる。
「おっと…すまんな、こっちの話だ……。さて本題に入るが面白いものというのはだな………………」
「…えっ!?」
面白いものの正体を聞いた可符香は驚きの声を上げる。
倫は可符香の声に珍しいものを聞いたと満足しながらうんうんと頷く。
「ちなみにさっき言ったように強制だからな。…まぁ断る道理も無いと思うが」
可符香がまだ驚いているうちに倫は逃げ道を潰すように言う。
「それに…嫌では無いんだろう?」
「う…うん…」
倫の巧みな誘導に可符香はまんまと嵌る。
「基本必要なもの以外は全部一人分しか用意しないからな、その間の時間をどう使うかはお前次第だ
 あと無いと思うが向こうから何かしてきた場合はこちらからは手を出さないから自分で判断するんだぞ」
「倫ちゃんは例えば何に使うの…?」
「例えば?そうだな………うっ…!!? ま、まぁ人それぞれだ!!!」
可符香の質問に倫は何か良からぬ想像をしたらしく、顔を真っ赤にして話を逸らす。
倫の考えた事が分かったのか可符香の顔も真っ赤になる。
「そ、そうだった!入ったらタンスの裏をよく調べてみろ!…じゃあこの話は終わりだ!!」
倫はそれだけ言うと逃げるように走って行った。
その後、心を落ち着かせる為に可符香は十分、倫は三十分の時間を催した。
353h-getash:2010/07/19(月) 22:30:30 ID:Pe7/B/jv

…糸色家到着…
「うむ…思ったより時間が掛ったな」
倫は窓から暗くなった外の景色を眺めて呟く。
「まぁお泊まり会なんてものはこのぐらいの時間からが丁度良いか、荷物は時田が運んでおくから私達は夕食でも…」
「待ってました!」
倫が言葉を言い終える前に奈美が表情を輝かせて走り出す。
他の人達もその後を歩いてついていく。
「では、頼んだぞ時田…」
「分かっております、可符香様の荷物でしたな…」
時田は他の荷物を大部屋に運ぶよう使用人に指示した後、可符香と望の荷物を持って大部屋とは別の方向へ
歩いていった。

「いただきまーす!」
奈美は言うと同時に食事を次々と平らげていく。
それはかなりのスピードにも関わらず、全て綺麗に食べられていた。
「……お兄様…あいつはこんな役回りでしたか…?」
「本当に何処でどう間違ったんでしょうかね…。とにかく私はまたダイエットに付き合わされるのは御免ですよ…」
二人は奈美の食べっぷりを若干引き気味になりながら眺めていた。


食事を終えた後、一同は風呂に入り広間で寛いでいた。
「浴衣まで用意しているなんて、何だか旅館みたいだね」
奈美は色んな意味でかなり満喫したのか、楽しそうに言う。
倫も思った以上に楽しかった事にご機嫌な様子だった。
(まぁお楽しみなのはこれからなんだがな…)
倫は可符香に視線を向けてニヤリと笑う。
「さて、大部屋に布団を敷いてあるからそろそろ移動するか」
倫がそう言うと殆どの人がぞろぞろと大部屋に向かって行く。
「お前はあっちだぞ」
倫は可符香に近づいて大部屋とは別の方向を指差した。
可符香は何も言わずにコクリと頷くとゆっくりと歩いていった。
(ふむ…あの様子では昼のあの事をまだ引きずっているな…)
倫は可符香の顔が微かに赤くなっているのに気付いていた。
(まぁ…私も同じ状況になったらああなると思うがな…)
頭に思い浮かぶあまりよろしくない想像を振り払う為に、倫は首を横に振る。
「倫は何処で寝るんですか?」
可符香と入れ替わるように望が現れる。
「私は大部屋に行きますわ…お兄様はご自分のお部屋でお休みください」
「大部屋にするんですか。そういえば大部屋に風浦さんがいませんでしたが…」
確認しに大部屋に入った時、可符香がいなかったのを思い出す。
「お兄様のお部屋で寝させるつもりですが」
倫はさらっと流すようにとんでもない事を言い放つ。
「へぇ…そうなんですか………へっ!?」
頭の中が一瞬麻痺して、自分の妹の言った事を理解するのに時間が掛った。
「一体何のつもりですか!」
「何って…それが昼のゲームの景品ですわ」
「私が安心していた裏では、そんな内容で始まっていたんですか…」
もっと注意して見ているべきだったと望は項垂れる。
「ちなみに…どんな状況になっても絶対に受け入れてもらいますのでそのつもりで…」
「分かりましたよ…どの道私に拒否権は無いんですから…」
諦めたように望は溜息をついて呟く。
「さて…なかなか面白いものが見れそうですわ…」
望がぎこちない様子で部屋に向かったのを確認すると倫は大部屋に入っていく。
「あっ、倫ちゃん。可符香ちゃん知らない?」
「あいつなら昼のゲームの景品を楽しんでいる所だ」
「……………?」
奈美は倫の言葉の意味がよく理解できなかったが、特に気にする事は無かった。
354h-getash:2010/07/19(月) 22:33:21 ID:Pe7/B/jv


望が倫と話をしている間、その先の望の部屋では…
「確かタンスの裏とか言ってたよね」
望の部屋に入った可符香は倫の言っていた事を思い出してタンスを見つめる。
試しに持ってみるともう使われていないのかタンスの中には何も入ってなく、可符香一人の力でも
簡単に動かす事が出来た。
タンスの裏には、破れた壁紙の奥に隠し扉がある。
可符香は倫の言っていたものはこれだと思い、扉を開ける。
中には一枚の写真だけが入っていた。
「これって…あの時の…」
写真の中では少年と小さな女の子が楽しそうに笑い合いながら手を繋いでいた。
その少年と女の子は誰がどう見ても望と可符香だった。
可符香は幼い頃に出会った、優しいお兄ちゃんの事を思い出す。
あの時の可符香は一緒に遊んでくれたその人に幼いなりの特別な感情を抱いていた。
だから何も言わずに別れてしまった時は一晩中悲しみに暮れて泣いた。
そのくらい大切な人だった。
「あの人は先生だったんですね……」
今の自分が望に抱いている感情とあの時の感情が合わさり、想いがより強いものへと変わっていく。
可符香は暫く顔を赤くしながらボーっとしていたが我に返ると写真を自分の鞄の中にこっそりと入れ、
タンスを元の位置に戻して何事も無かったようにし、部屋から出てドアの前で望が来るのを待った。


(ま、まぁ布団は一枚だけらしいですが、風浦さんなら別に何も起こらない筈ですよね…?)
『何も起こらない筈』この単語を何回頭で言ったか分からない。
内心動揺しまくりの望はそこまでの距離がある訳でもないのだが、自分の部屋までの道がかなり長いものに感じられた。
やっとの事自分の部屋に着くと、部屋の前に可符香が立っているのを見つける。
「あっ、先生……あの…その……」
(な、何か私の思っていた反応と違いますよ…
 風浦さんならもっと余裕ありそうな反応すると思っていたんですが…)
望の予想とは真逆に、可符香は望を見ると恥ずかしそうに顔を赤くして俯いてしまった。
その違いから望も何だか変に意識してしまい、顔を赤くする。
「と、とりあえず入ってください」
「はい…」
355h-getash:2010/07/19(月) 22:33:47 ID:Pe7/B/jv

部屋の真ん中に敷かれている布団の数は倫が言っていた通り一つだけ、それに枕が二つ置かれている。
「先生、先に入ってください」
「えっ…はい…分かりました」
望はコクリと頷き、布団に入って横になる。
そんな数えきれないほどしてきた事をこんなに緊張しながらやった事は今までもこれからも無いだろう…
可符香は少し落ち着いてきたのか望が布団に入った後、恐る恐る布団に入っていく。
一枚の布団ではやはり小さく、二人が入る為には嫌でも密着をしなくてはいけなかった。
暫くこの状態でいる事にしてみたが、両者とも一向に眠気が訪れる事は無い。
(こんな状況で眠れる訳ないじゃないですか…)
視線を横にずらすとすぐ目に入る可符香の姿。
意識するなと言う方が無理な話だった。
「先生、眠れませんね…」
「はい…そうですね…どうしたらいいでしょうかね…?」
望は困ったように言う。
可符香は望の質問を聞いて少し黙り込んだ後、意を決し望の方に体を向けていきなり抱きついた。
「ふ、風浦さん!!?」
「えへへ…何だかいつもより先生が近くに感じれて嬉しいんです…」
望の胸に顔を埋めながら可符香は言う。
「いつになく素直なのもそれが原因ですか」
「そうかも知れませんね」
望は微笑むと可符香を優しく抱きしめ返す。
可符香は少し驚くが、すぐに望に微笑み返した。
「風浦さん、ちょっとこっちを向いたままにしててください」
「………?」
可符香は言われるまま望の顔を見つめている状態を保つ。
望はそのまま顔を近づけて可符香に唇を重ねた。
「ふえっ!?」
突然の事に可符香の顔が真っ赤に染まる。
「せ、先生、いきなりはずるいですよ!」
「まぁ良いじゃないですかこんな時くらいは…」
望は可符香を強く抱きしめて言った。
「先生、急な事でよくわからなかったのでもう一回してください」
可符香は少し恥ずかしがりながら上目遣いで望を見つめる。
「これ以上何かやったら抑えられなくなってしまうかもしれませんよ?」
そんな事を言っても何も変わらないと分かっているのだが望は可符香に言う。
「私……先生なら…いいですよ…」
「風浦さん……」
望は可符香の覚悟と不安の入り混じった言葉を聞いて、優しく可符香を呼ぶと、もう一度唇を重ねた。

356h-getash:2010/07/19(月) 22:34:19 ID:Pe7/B/jv

二回目のキスから二人の奥に秘めていた感情が急激に高まり、互いを求めるように何度もキスを繰り返した。
唇が重なる度に体温が急激に高まる。
次第に物足りなくなり、前よりも長く、舌を絡め合い、更に濃厚なキスを交わす。
「んむっ……せん…せ……んんっ……」
可符香はとろけるような甘い声を上げる。
その声を聞く度に望の理性が崩れていき、行為を更に激しいものにする。
望は絡みつく可符香の舌を楽しみつつ、浴衣の上から乳房を包み込むように触れた。
「ひぁ……ああっ………んあっ!!!」
体温の高まった望の手が触れ、浴衣の上からでもその熱が伝わり、可符香の体がピクンと跳ねる。
その間に望は浴衣をずらし乳房の小さな先端をこねまわす。
先ほどよりも強い刺激に可符香は大きく反応する。
望は乳房を手の平で激しく揉みしだき、可符香に更なる快感を与える。
「ああっ……せっ…せんせ………せんせぇぇぇ!!」
「風浦さん愛していますよ…」
「わ…わたしも……です!……んんっ…ふわぁぁあああ!!!」
二人は愛しい相手の事を呼び合いながらお互いの想いを確かめ合う。
もうお互いの世界には自分と相手しかいない、高ぶる感情と相手の想いで興奮が増していく。
望は遂に可符香の浴衣を脱がせて一番敏感な部分に触れる。
「ふあっ……せんせいそこは…!!……ひぁあああ!!!!」
望の指が触れた瞬間、可符香の体中に電流が走るような快感が襲い頭の中が真っ白になる。
望は可符香を更に激しく責め立て、白い首筋に舌を這わせた後、耳を甘噛みする。
「んあっ……せんせ…ひあっ!!…そんなにしたら……おかしくなっちゃいますよぉ…!!!」
大きな快感に体を震わせ、夢中で声を上げる。
可符香が声を上げる度に望の興奮も更に増していき、彼女に対する行為も更に激しいものになっていく。
「っ…!!せんせい…せんせい!!……ふぁぁあああああ!!!!!」
望の立て続けの行為によって、可符香は軽い絶頂まで至ってしまう。
体から力を失い、倒れこむ可符香を望が優しく抱きしめる。
「風浦さん、大丈夫ですか?」
少しやり過ぎてしまったかと望は心配しながら可符香を見つめる。
可符香は望に微笑みながらコクリと頷く。
「大丈夫ですよ先生…私、とっても嬉しいんです。
 こんなに先生の近くにいられる事なんて、絶対に出来ないって思っていたから…」
ずっと素直になれなかった気持ちを、勇気を持ってぶつける事が出来た。
そして望は優しく自分を受け入れてくれた。
可符香はその事実がこれ以上ないくらいに嬉しかった。
「だから先生も我慢しないでください…もっと近くにいて欲しいんです」
「風浦さん……」
望は可符香をギュッと抱きしめた後、軽いキスをする。
可符香は望の体温を感じて安心したように微笑んだ。
357h-getash:2010/07/19(月) 22:35:04 ID:Pe7/B/jv

少し経った後、望は可符香を仰向けに寝かせて、大事な部分に大きくなった自分のモノをあてがう。
「んっ…先生…来てください……」
望はゆっくりと前に腰を突き出して、可符香の中へ入っていった。
「風浦さん……っ…!!!」
「あっ…くぅ……せんせい…の…入って……すごいあついですっ!!」
身に襲いかかる快感と痛みの入り混じった感覚の中、可符香は望の一番近くまで来れた事による幸福感を感じる。
望は腰を振る速さを徐々に速めていく。
「んぁ……ひうっ…せんせ………せんせぇええええ!!!!!」
自分と相手の粘膜同士が擦れる度に、熱く焼けるような刺激が二人を快感の渦に溺れさせるように襲いかかる。
望が腰を動かすと、嬉しさと快感が可符香を責め立て、目元に涙を浮かべながら切なげに声を漏らす。
そんな可符香の声が耳に入る度に、望の可符香に対する愛おしい感情が高まっていく。
求め合うように口付けをし、舌を絡ませ唇を離した後も唾液による銀色の糸が二人の唇を繋ぐ。
快楽の虜になった二人はお互いの手を合わせ、指を絡ませながら更に動きを激しくしていく。
「風浦さんっ!!……風浦さんっ!!!」
「せんせいっ!…すきです……だいすきですっ!!!」
次々と襲いかかる強烈な快感により、二人の視界に火花の様なものが飛び、周りの物が見えなくなる。
だが二人は繋がり合っている愛しい人を見失う事は決してない。
握り合う手が、聞こえる声が、お互いの存在をはっきりと感じ合い、繋ぎ合わせる。
もはや二人の間を遮る物は何も無かった。
「せんせ……わたし…もう…!!」
「風浦さん…私もそろそろ限界です……!!!」
「…きてくださいっ!…さいごまでいっしょにっ!!」
限界が無いように感じられるほど高まり続けた熱も遂に限界を迎え、二人の動きが一気に加速する。
今まで溜まっていた熱が溢れだし、二人を絶頂まで押し上げる。
「風浦さんっ!!…愛していますっ!!!……風浦さんっ!!!!」
「せんせいっ!!!……せんせぇえええ!!!!………ひぁぁああああああ!!!!!!」
絶頂を迎え、果てた二人はパタリと布団に倒れこむ。
望はまだ絶頂の余韻が残り、頭がくらくらしていたが、傍にいる可符香を優しく抱きしめる。
可符香もそれに応えるように、望の背中に腕を回した。
二人はそのままお互いの体温を感じ取りながら眠りについた。

358h-getash:2010/07/19(月) 22:35:29 ID:Pe7/B/jv

…翌日…
「なんか先生と可符香ちゃん…いつもと雰囲気違わない?」
「え?…いつも通りだと思うけど?」
遠くで他愛もない会話をしている望と可符香を眺めながら千里がそう呟いたが、それを聞いた奈美は別段疑問に
思う事は無く、いつも通りだと言う。
「よし…そろそろ帰るぞ」
「はーい、ほら千里ちゃんも行くよ」
千里が謎の違和感に首を傾げていたが、奈美に言われ思考を中断する。
「よしこれで全員だな…」
倫が全員いる事を確認すると全員を電車に乗せた後、近くにいた時田に耳打ちをする。
『時田…お前昨日のゲームの時、何かしただろ』
『ホッホッホ、バレましたか』
時田は特に焦る事なく、正直に認める。
『出来過ぎてると思ったんだ、写真の事を話題にした後、偶然あいつが当たるなんて』
『昨日言いました筈ですぞ、主人の手助けをするのが執事の役目だと』
『ハァ…全くお前は優秀な執事だな…』
倫は時田に若干呆れながら呟く。
「倫、時田、もう電車が出ますよ!」
「そうですわね…それじゃあ帰りましょうか」
倫と時田は望に呼ばれ、電車に乗りこんだ。


…後日…
望はいつも通り宿直室で平和な日々を過ごしていた。
「先生!」
「風浦さん、どうしたんですか急にやって来て」
宿直室のドアを開けて入って来たのは望の愛しい少女、風浦可符香だった。
望は突然の訪問に首を傾げていると、可符香が手に袋を持っている事に気付く。
可符香はご機嫌な様子で宿直室に入って来て机の前に立つと、袋から写真立てを取り出す。
その様子を望はよくわからないまま眺める。
可符香は写真立てを机の上に置くと、今度は一枚の写真を望に見えないように取り出す。
写真を飾り終わると可符香は嬉しそうに笑って、望の隣に座る。
何を飾ったのか気になった望は写真立てを自分の方に向けた後、驚きの表情を浮かべる。
「なっ、何でこれがここに!?」
「先生の部屋から持って来たんですよ」
望の疑問に可符香は答える。
「そうなんですか…やっぱりこういうのは見つかってしまうものなんですね…」
恥ずかしさから顔を赤くしながら望は呟く。
そんな様子の望を見て可符香はニコリと微笑むと望にキスをした。
「先生、あの時から、そしてこれからも…ずっと大好きですよ!」
359h-getash:2010/07/19(月) 22:36:12 ID:Pe7/B/jv
以上です。
それでは失礼しました。
360名無しさん@ピンキー:2010/07/19(月) 23:27:22 ID:yHa4dX//
作品単体としてはGJ ちゃんとセックスしてるお話のカフカは可愛い
ただ望カフものはやや食傷気味ではある
最近同じ書き手の同じような作品が続いていたしね
このカプは二人の関係性がどの書き手も似たようなものになってしまうのが不思議
普段はカフカの手のひらの上、たまに先生が攻めてみたりするけど最後はやっぱり一発食らう、みたいな
ある種の書き手の趣向や願望や理想を刺激するキャラでありカプであるということかな

>>347の266
たまにこういうマイナーカプがあると息が抜けて楽しい GJれす

容量もいっぱいだね次スレも楽しみ
361名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 01:08:25 ID:Vntdnt7f
またすぐに規制やらなんやらで過疎ることもあるかもしれんし
溜め込んでおくのが良いのさ
362826:2010/07/20(火) 22:02:45 ID:Etv/2rmy
先の絶望想会でSS未満の妄想と思い付きを垂れ流した代物を無料配布したのですが、
余りにも貰われなく(1部だけ……)可哀想になったので、その中で比較的まともな一編を投下します。
死ネタがあるので注意

『奇妙(ふしぎ)な重眼鏡(ちょうめがね)』

「ねえ先生、眼鏡を交換してみませんか?」
「どうしたんですかいきなり」
「たいした意味はありませんよ。ちょっと思いついただけです」
「別に構いませんが。特に断る理由もないですし。……はいどうぞ」
望は眼鏡を外し、晴美に手渡す。
「付けてみましたけど、どう? 可愛いですか?」
「見えないです……眼鏡がないので」
「あっゴメンなさい。そう言われればそうですよね」
その瞬間、晴美は何か思いついたのかニヤリとした。
「それじゃあ先生、顔をこっちに寄こしてください」
望は頭の位置を少し低くして、言われた通りに顔を晴美の方に向けた。
自分の方に向けられた望の顔に、晴美は素早く眼鏡ではなく自分の顔を持っていく。
視界が悪いためか、反応が遅れた望は避ける間もなく唇を奪われた。
「なっ何をするんですか!」
望は顔を赤くして叫んだ。
「別にいいじゃないですか。それよりハイ、眼鏡をどうぞ」
同じように頬を赤らめ、そっぽを向きながら晴美は眼鏡を差し出す。
望は釈然としない様子で、またキスされるのではないかと警戒しながら自分の顔を晴美の方に預けた。
「今度こそちゃんと掛けてくださいね」
「分かってますよ」
そう云って藤吉晴美が糸色望に眼鏡を掛けた刹那、彼の膝は崩れ落ちるように折れ曲がった。
此れに付随し、瞬く間に上半身も後ろに倒れ込み、後頭部が地面に叩きつけられる。
あたかも質量を持つかのような、鈍く暗い音がした。頭部と地面の衝突音。そして――頭蓋が砕ける音。
「あっ、ごめんなさい。私の眼鏡はちょっと重いんでした」
おどけて舌を出す藤吉晴美に彼は応えない。
虚空を見つめるその瞳の奥には、無明の闇が広がるのみであった。

363名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 22:06:27 ID:y6o5TURN
…ごめん。これをどう評価しろと?
364名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 22:14:48 ID:Etv/2rmy
死ネタ=可符香が絡んでくるだろうなー、という予想を裏切る藤吉さんの起用
中盤の恥ずかしげな展開と終盤の人が死んじゃう展開のシュールな落差
…………みたいな?
ゴメンなさい。解説が必要なギャグほど恥ずかしいものはありませんよね!
365名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 23:31:33 ID:Kw7rc2wv
ジワジワ来る
366名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 23:52:55 ID:y6o5TURN
それをやるにはもうちょっとお話にボリュームが必要なのでは…。
流石に唐突すぎる気がするんだが。
367岸谷 新羅ψ ◆i85SSHINRA :2010/07/21(水) 07:47:44 ID:P60uHNIh BE:3187598887-2BP(1072)
重いって、硝子製の眼鏡なのかな。確かに、硝子製の眼鏡って重たいですよね。
私の眼鏡は二つ持っており、いつもの縁あり眼鏡と、オーバルの縁無し眼鏡とを使い分けています。
368名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 19:33:38 ID:nbASCvgL
俺は普通に楽しめたけど
369名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 23:30:08 ID:d+LUh1df
>>365
>>366
>>368
ありがとー
参考にしたり励みにしたりする
370名無しさん@ピンキー:2010/07/22(木) 22:09:24 ID:SDy4MtP4
何だか>>369が素直で可愛い
371名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 00:31:14 ID:CjQ/DBJm
晴美かわいいよ晴美
372名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 01:27:33 ID:EyEO6t73
藤吉SSは書く人が少ないから出しとくだけで喜ぶ奴がいるわけだな
373名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 16:18:01 ID:08FyCTC2
霧まといあびるカエレめるめる千里マ太郎奈美晴美倫大草加賀さん真夜智恵先生可奈子根津丸内ことのん
を書く人も少ないから皆さん喜ばれるチャンスですよ!
もちろん可符香もね!
374名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 23:57:26 ID:xDCI/h7e
先週のマガジンに載った話の先生と倫が数日過ごした別荘のくだりでいろいろ妄想できそうだな。
自分には文章力も妄想力もないから文にするのは無理だけど…
375名無しさん@ピンキー
あれは良いエピソード。倫様のブラコンさが輝いてた。