煩悩の十二国記*十三冊目

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401名無しさん@ピンキー
>>396-398
GJ!
402名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 20:19:53 ID:TPXuMqFM
おおっ! WCを見るのに夢中でこのスレをのぞいていなかったけど投下が
乙であります。GJ!であります
403名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 21:37:21 ID:Y7i7cV0+
>>402
ほうほう、トイレをのぞくのに夢中だったわけですね。
で、次回作は蓬莱の温水便座を作らせようと思った陽子に、景麒が「私が舐めて差し上げましょう」と
言ったばかりに、二人で雪隠詰めになってしまい、そこへ延主従が入ってきて…。
404名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 22:04:40 ID:TPXuMqFM
のぞくのではなくて見るのに夢中なのです
う〜む この温水トイレは美しい!
このトイレは艶が良い、このカーブがスバラシイ!
色が独特だ とタンノウしております
405名無しさん@ピンキー:2010/06/30(水) 21:42:17 ID:sT5jJbSQ
>>404
便器はTOTO派?INAX派?
王宮の厠は、やっぱり呪をかけて水洗にしてるのかなw

で、雲海に垂れ流しで、地上の民はその雨で作物を育ててw
406名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 13:32:56 ID:OUuf+67i
それを慈雨といいますw
407第二SS書庫司書 ◆3DJh6.leUA :2010/07/08(木) 00:15:44 ID:Jm1/Gt01
雑談の合間にちょっと相談。

少し時間が取れそうなので、この際1〜5スレも
収録不可の明記がないSSを収録しようかなと思ったんですが
何か問題ありますかね?
408名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 01:56:38 ID:1zL1PVJY
>>407
出来るならお願いしたいです。大変だろうけど。
書庫が一つだと読みやすいし。
409名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 10:38:49 ID:drPeDWR1
私も同意ー
410第二SS書庫司書 ◆3DJh6.leUA :2010/07/08(木) 20:58:21 ID:T0TUZnqZ
それでは取り合えず初代スレから作業開始しますね。

ただご存知のように特に初代はカオスな状態なので
まとめる際に色々ミスるかも知れません。
その場合は都度指摘して貰えれば直します。

あと初期の頃は無題が多く、今まで以上にSSの区別が付きにくいです。
もし1つでも仮題案とかある人がいたら、
適宜提案して貰えると泣いて喜びます。
411名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 21:25:46 ID:1zL1PVJY
>>410
編集有り難いっす。
それにしても人様の作品に題名つけるのは難しいね。
自分文才ないし。でも無題ばっかだと読みにくい。
一言内容添えるとかは?
「景麒、ストレス発散のお手伝い」みたいな(一応257さんのやつ)
サザエさん調?
412第二SS書庫司書 ◆3DJh6.leUA :2010/07/09(金) 00:19:10 ID:QOmXA7lG
>>411
>一言内容添えるとかは?
これも結局題を付けるのと変わらないので、自分には無理ですねー。

>「景麒、ストレス発散のお手伝い」みたいな(一応257さんのやつ)
そこまで辿り着いたら使わしてもらいますノシ
(一応目次で、職人さんが明記した題とは区別して表記するので、
閲覧する人にも便宜的な仮題だと判って貰えるかと)
413名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 22:21:03 ID:jpqRhPn/
なんか、395さんが続きを。っておっしゃってくださったので
調子に乗って書いちゃいました。
元々続編なんて考えないで書いてたから
つじつまが合わなくても許してください…。
と、言い訳してみる…。

桓陽からの…浩陽です。
414謀 −浩×陽:2010/07/13(火) 22:32:51 ID:jpqRhPn/
夜は更け、月は真上より少し東に傾いている。
乾いた空。物音ひとつ聞こえない。
すべてが寝静まったような空気の中。
灯りの点る冢宰の執務室。かたり。
椅子をひき、立ち上がる音。
窓辺に寄り月を見上げ、溜め息をつく。
気を抜くと溢れる想い。
甦る声。乱れた息遣い。桓魋を求める指…。
あの日、お互いの想いに気づきながら、
それでも王として、臣下として、
その想いを封じ込めた二人を
少しでも救おうと謀っただけなのに…
気づかない様にしていた己の胸の内を
はっきりと自覚してしまった。
―主上。
口の中で呟く。
もう何日も同じ想いに悩まされる。
乱され、恍惚とした彼女は美しかった。
夢中で彼女を抱く桓魋が妬ましかった。
―主上…。
今度は声に出して呟く。
どのくらいの時間、月を見上げていただろう…。
ふと、視線を落とす。
窓の外、暗く広がる園林に白い影が見える。
眼を見開き、誰何する。
白い夜着を纏った赤い長い髪の…。
―主上!?
先ほどまで、瞼の上で淫らに抱かれていた
愛しい女王が自分と同じ様に月を見上げている。
415謀 2−浩×陽:2010/07/13(火) 22:34:39 ID:jpqRhPn/
静かに、足早に主の元へ駆ける。
「主上、そのようなお姿でいかがされました。
こんな時間に護衛も付けておられない様子。
不用心過ぎます。」
声を落として諫める。
「浩瀚か…。だめだよ、遅くまで仕事してちゃ…
早く寝ないと。」
「主上…。」
若き女王は口の端を上げ、少しだけ笑う。哀しげな表情。
―そんな顔を…。
「どうか…なさいましたか?」
浩瀚から視線をそらす。
「なんでもないよ。私も…もう寝るね。おやすみ…浩瀚。」
踵を返し歩き出す。
浩瀚は思わずその袖を掴んだ。
ぴたり。歩みを止めるが、振り返らない。
浩瀚に背を向けたまま沈黙した。
「主上…私にはお話くださいませんか?」
陽子は少し思案して、
自分の袖を掴んでいる浩瀚の指をそっとはずした。
「…ありがとう…でも大丈夫だから…。」
再び歩き出そうとした陽子を乱暴に引き寄せると、
自分の胸にかき抱いた。
「浩瀚…?」
「貴女の…憂いの訳を知りたいのです。
貴女に…哀しい顔は似合わない。」
416謀 3−浩×陽:2010/07/13(火) 22:36:09 ID:jpqRhPn/
両腕で陽子を包み込む。
さらりと緋色の髪を撫でた。
黙ったまま浩瀚に身を預ける陽子。
「教えてくださるまで離しません。」
翡翠の瞳を見つめ、問う。
その視線を避けるように陽子は浩瀚の肩口に額をつけ、呟いた。
「浩瀚は…私のこと好き?」
予想外の問いかけに内心驚いたが、すかさず返した。
「当然でございましょう?」
尚も問う。
「それは、私が王だからか?」
「は?」
陽子は溜め息を落とす。
「…なんでもない。」
「なんでもない訳ないでしょう?主上…?」
顔を上げ、浩瀚と眼を合わせ、逸らす。
「…。」
「誰かに…何か言われましたか?」
陽子は口を開き…何かを言おうとして…
小さく溜め息をついただけで閉じた。
「主上?」
「…この前のこと…覚えてるんだ…その…桓魋と…。」
―香の効きが甘かったか…。
浩瀚は心の中で舌打ちする。
「桓魋に…もう触れないで欲しいと言われた。」
=私が貴女に触れることは罪深きことです…。
禁軍将軍として、このまま罪を重ねる訳にはいきません。=
「後悔していると…私を…王を抱いたことを…。」
=私は臣下の分を侵してしまいました。
…この罪を後悔しています。
…貴女は、私が気安く触れてはならない方なのです。=
417謀 4−浩×陽:2010/07/13(火) 22:41:24 ID:jpqRhPn/
「…私は…ただの女であることは許されないのか?」
「…。」
「教えて…浩瀚…私は…王以外の者にはなってはならないのか?」
両目を瞑り、はらはらと涙をこぼす。
「主上…。」
「…ごめん。浩瀚も困るよね。忘れてくれ。
…桓魋のことは責めないで欲しい。」
そう言って身を翻す。
―桓魋にそれができないというのなら…。
とっさに陽子を封じ込める。
「…離せ。」
低く声を落とし、身体を捩る陽子。
浩瀚は逃がさない様に陽子の身体をきつく抱いた。
―私が貴女を…。
顎を捕らえ上を向かせると強引に口付けた。
「ふっ…ぅ…。」
舌を割り込ませ、歯列をなぞる。
陽子は身じろぎを止め、浩瀚の袖を掴んだ。
口腔を蹂躙し、唇を離す。
「ご無礼致しました。
しかし私は貴女に触れたかったのです…。」
「…。」
「…貴女を恋しい女性だと意識してしまいました。」
陽子を抱きしめ、耳元で囁く。
「…もう一つ。お許し頂けるなら…
貴女の御身を私にお授けください。
貴女を愛しているのです。」
「…浩瀚。」
418謀 5−浩×陽:2010/07/13(火) 22:42:43 ID:jpqRhPn/
陽子は突然の告白に戸惑っているようだったが、
しばらくして、そっと浩瀚の胸にしがみついた。
浩瀚はそれを肯定と判じて、陽子を抱き上げた。
そしてそのまま歩き出す。
陽子は黙って浩瀚の首に腕をまわし、身を預けた。
―桓魋の事など…考えられなくして差し上げます。
自分に与えられた房室の寝台に陽子を降ろす。
唇を重ねて、右手で陽子の額から頬を撫でる。
右手を更に降下させ、首筋から鎖骨、夜着の袷に手を掛けた。
押し開き、肩に口付けを落とす。
陽子の身体がビクッと跳ねる。快感ではなく…罪悪感に。
傷ついた彼女の心につけ込んだ。
彼女は流されて自分に身を任せているだけだ。
浩瀚にはその自覚があった。
心は後からでもいい…彼女の身を手に入れたかった。
「…貴女は…ただ私に身を委ねてくだされば良いのです。」
陽子の罪悪感を取り除くように声を掛ける。
こくり。と頷いて瞳を閉じると、涙がこぼれた。
帯を解き、夜着を開く。袖から腕を抜き、晒された素肌。
浩瀚は着ていた官服を脱ぎ、
自分の体と、その素肌とを直に合わせる。
熱を持った身体を両腕に閉じ込めた。
何度も口付けを落とし、
舌を、指を、陽子の褐色の肌に這わせる。
その度に跳ね上がる身体。
息が粗くなり、か細い嬌声があがる。
「…はっ…ん…あ…ゃ…はぁっ…。」
赤く染まる頬、潤んだ瞳、震える唇。
419謀 6−浩×陽:2010/07/13(火) 22:45:19 ID:jpqRhPn/
これだ。
浩瀚は確信する。
この表情を自分だけのものにしたかったのだ。
浩瀚の指先が陽子の下腹をつぅ…となぞる。
臍の廻りを撫でそのまま真っ直ぐ下に降りた。
緊張で固く閉ざされた秘所を唾液で濡らした指で割る。
「ぁ…ん…。」
尖りに指の腹を這わせる。ゆっくりと。何度も。
みるみる溢れてくる蜜に指を浸す。
ちゅぷ…。
ひくひく痙攣する粘膜。誘う。奥へと。2本の指が中を蠢く。
「や…ぁ…。」
顔を手で覆い、上気した表情を隠す。
その手首を掴み、その顔を露わにする。
「や…見ないで…。」
陽子は浩瀚からの視線を避けるように顔を背ける。
半分開いた唇が悩ましい…。
「私を…見てください。」
浩瀚は秘所にさし入れた指を引き抜き、己の口に含む。
「だめ…。」
尚も舐め尽くす。ぴちゃぴちゃと音をたて舌を執拗に使う。
「…浩瀚だめ…恥ずかしいよ…。」
陽子は浩瀚を見上げる。
もう一度、指を差し入れ、内を掻き回す
「あぁ!…やぁ。」
強い刺激に悲鳴を上げる。
浩瀚の指は陽子の体験したことのない感覚をもたらす。
「…待って浩瀚…おかしいの。
私…おかしくなっちゃいそう…だめ…だめぇ…。」
小さく悲鳴をあげて、達する。
420謀 7−浩×陽:2010/07/13(火) 22:46:48 ID:jpqRhPn/
「…こうか…ん…。」
それに応えるように浩瀚は陽子を抱きしめる。
「…達して、しまわれましたね?」
陽子は眼を見開き、顔を赤らめる。
そして恥ずかしそうに視線を落とし頷いた。
その仕草が愛しくて、浩瀚はまた陽子に口付けをする。
それに遠慮がちに応える陽子。
舌を絡ませる。吸う。歯をたてる。
舐める。唾液を混じらせる。
段々、積極的に、情熱的になる口付け。
浩瀚は陽子を寝台にうつ伏せに寝かせる。背骨をなぞる指。
後ろから両手を差し入れ、胸をわし掴む。
頂をゆっくりと人差し指の腹で嬲る。
柔らかだったそれは刺激を受け固く尖る。
「ん…。」
鼻にかかったような小さな吐息。
背中に舌を這わせると、身体はビクビクと反応する。
陽子を後ろから抱きしめ、耳元で呟く。
「…主上。私を…受け入れてくださいますか?」
ここにきて最終判断を陽子に委ねる。
浩瀚は拒絶の可能性も覚悟しながら、それでも陽子の心が
今は自分に向けられることを確信していた。
「…抱いて…ただの女として私を抱いて欲しい。」
顔を寝台に臥せたまま、呟く陽子。
浩瀚は陽子を抱く力を強めた。
「…ありがとうございます。」
421謀 8−浩×陽:2010/07/13(火) 22:47:45 ID:jpqRhPn/
すっかりと濡れそぼった陽子の秘所に
後ろから己の自身をあてがう。
ぬるぬると入口を先端で嬲ると、陽子は腰をくねらせる。
誘うように、くっ。と腰を持ち上げた。
そこをゆっくりと侵してゆく。
「あぁぁぁ…。」
―…なんという…。
浩瀚は、想像以上の感触に驚きながらも、
貫くことが止められない。
突けば突くほど、増幅する快感。
ふと視線を陽子に向ければ、
彼女もまた、快感に寝台の敷布を掴み、
四つ這いのまま浩瀚を受け入れ続けている。
「あっ…あっ…あっ…あっ…あっ…。」
貫く度にあげられる嬌声。
「主上…。」
冷静沈着。自分を評する言葉だと思っていたが、
こんなに冷静でいられないなど…。
この身体も。声も。表情も。
すべて自分が乱れさせているのだと思うと、誇らしかった。
浩瀚は自分の終わりを自覚する。
速度を上げ、陽子を揺さぶる。
「あ…あっ…あっ…こう…かん…もう…もう…。」
言って、陽子は身体を震わせ、達した。
内壁が蠢く。
浩瀚もその刺激に耐えきれず、
陽子の胎内に欲情の証を放出する。
422謀 9−浩×陽:2010/07/13(火) 22:51:36 ID:jpqRhPn/
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。」
息があがる。心地よい倦怠感。
後ろから身体を抱きしめたまま、
浩瀚は陽子の表情を伺う。
陽子は浩瀚の視線に気付き、
浩瀚に顔を向けると、口付けをねだった。
それに応え触れるだけの口付けを落とす。
「…あのね、浩瀚…
はしたないって思わないで欲しいんだけど…
浩瀚に抱かれるのは…すごく気持ちいいって思った。」
「…。」
「…だから。浩瀚が嫌じゃなかったら、
また、抱いてくれないかな…。」
「…主上。」
浩瀚は陽子を抱きしめる。
「貴女を…抱いても良いと。
私を受け入れてくださるとおっしゃいますのか…。」
頷く陽子。
「…ならば。ならば今度はもっと、
気持ちよくして差し上げます。」
浩瀚は陽子に顔を見られないように
陽子の顔を己の胸に抱き込むと、
口の端をにぃと上げ嗤った。
しかし途端にいつもの怜悧な顔に戻る。
―もう…誰にも渡さない。

      ―了―
423名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 11:55:56 ID:UQ0q6rVR
真っ黒な浩瀚大好きだ!
424名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 20:45:36 ID:tcuo/B18
おおっ〜週の半ばに投下があるなんて

ぜいたくだぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

とっても乙であります
425名無しさん@ピンキー:2010/07/15(木) 19:41:14 ID:cPNm140d
いつの間に投下が!
GJ!
426名無しさん@ピンキー:2010/07/15(木) 19:51:32 ID:ZMXrsyh0
GJ!
なんてエロい浩瀚殿…イイぞもっとやれ!
427395:2010/07/19(月) 01:58:09 ID:83G2XT5z
>>413
作者様有難うございます。そして続きを…とわがまま言ってすみませんでした。
桓陽ラブラブを想像してたのですが、まさかの浩陽で黒いw
でもそこが良いですねGJ!
有難うございました。名無しに戻ります。
428413:2010/07/20(火) 22:10:21 ID:8I384DrV
すみません。”桓陽の続き”だったんですね…。
桓陽ラブラブ…その手があったか…。orz
そっちの線もいけたら書いてみます…が、あまり期待しないでくださいね。
読んでくださってありがとうございました。
429名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 22:43:38 ID:oWlI7bdw
何か期待できそうなレスが
Waku
430名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 00:21:19 ID:x49JIovD
自分は浩陽好きなので有り難いっす。

第二SS書庫司書さんへ
着々と収録作品が増えてて嬉しいです。
お疲れ様です。ありがとう。
431名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 23:28:56 ID:mv3S9nzI
書庫増えてますね!嬉しいです!

第二SS書庫司書さんへ
お疲れ様です。丁寧に整理されてて、とても見やすいです。
ありがとうございますm(__)m
432第二SS書庫司書 ◆3DJh6.leUA :2010/07/28(水) 07:11:42 ID:fEHf7sy5
>>430-431
有り難うございます。
今回追加したPHP部分はともかく、基本的に手間はかけてないんですけど
見易いと言って貰えるのは嬉しいです。

ちなみに無題SSの仮題は常時募集なので、気が向いたら宜しくです。
433428:2010/08/01(日) 13:35:38 ID:S7uR8vNH
428です。
桓陽のラブラブっぽいものを書いてみました。
あまりエロではないですが投下します。
434桓×陽 逢瀬1:2010/08/01(日) 13:49:47 ID:S7uR8vNH
−ダンっ。
床に勢いよく倒れ込む。
−ガランガラーン。
手にしていた鉄鑓が転がる。
夕暮れの演習場。
ひとしきり訓練で汗を流した桓魋は何も考えず、
床に両手両足を投げ出して目を閉じる。
肩で息をする。吸って、吐いて、吸ったとき、
彼女の香りがした。
目を開ける。
自分の顔を覗き込み笑う、愛しい彼女。
身体を起こそうとすると、彼女はそれを阻み、
桓魋の胸に頭を寄せ、抱きついてきた。
桓魋は困ったような声で呟く。
「…汗、かいてますから…。」
陽子の肩をとん、と叩き、離れるように促す。
「…うん。桓魋の匂いがするね…。」
それでも陽子は腕を廻し、尚もしがみつく。
桓魋は薄く笑って抱き返す。
「…なぜここに…?」
耳を当てた胸から直接響く桓魋の低い声。
「桓魋に…逢いたかったから…。」
桓魋は、腕を持ち上げて、陽子の緋色の髪を梳く。
「…あぁ。気持ちいいな。」
頭を撫でる桓堆の大きな手。
「誰かに…。浩瀚様に見られたら…大変だ。」
一向に大変そうではない言い方で桓魋は笑う。
「…桓魋でも浩瀚は恐いの?」
上体を起こし、横たわったままの桓魋を見下ろす。
桓魋は苦笑しながら言う。
「あの方を恐がらないのは太師くらいですよ…。」
「…確かに。」
二人で顔を見合わせて笑う。
桓魋の手が陽子の頬に触れる。
陽子はその手を包み込むように自分の手を重ねた。
435桓×陽 逢瀬2:2010/08/01(日) 13:51:18 ID:S7uR8vNH
「…怒らないの?」
遠慮がちに問う。
「…怒られることをなさっているのですか?」
桓魋が目を見開き、わざと驚いたふうを見せる。
「…大僕をつけずにここまで来た。」
「あぁ。」
桓魋は上体を起こし、くつりと笑う。
「…でも、そうでないとこんなこと出来ませんからね。」
頬に手を添えたまま、桓魋は首を傾げ、
陽子の唇に自分のそれを重ねた。
触れる。離れる。
「…ん。」
陽子の唇から漏れる吐息。
「…離したく…なくなりますね。」
桓魋の指が陽子の濡れた唇をなぞる。
陽子はその指を捕らえ、口に含む。汗の味。暖かい指。
「…主上。」
その言葉に、陽子は口から指を離し、拗ねた表情で抗議する。
「今は…陽子。」
二人でいるときは極力、王であることを忘れたいらしい。
この少女のささやかな抵抗。
「陽子…。」
「うん…。」
一転、優しげな笑顔で答える。
「貴女は…本当に可愛らしい方だ。」
もう一度、首を傾げ陽子に口付ける。唇を舌でなぞり、甘噛みする。
「あ…。」
快感に吐息が漏れる。その開いた唇の隙をついて舌を割り込ませた。
陽子の舌を絡め捕り、舌先をちろちろと嬲る。
「ぁ…ん。」
桓魋は陽子の腰を引き寄せ、背中に指を這わす。
「…くぅ…。」
陽子の両手は桓魋の胸に抱かれ、動かすことができない。
桓魋の皮甲に握り締めた拳を当てる。
それに気付いた桓魋が、身体を離す。
436桓×陽 逢瀬3:2010/08/01(日) 13:53:01 ID:S7uR8vNH
「…桓魋?」
急に束縛を解かれ、不安げに桓魋を見上げると、桓魋は苦笑する。
「…こんな場所で…。こんな格好で、
貴女にこれ以上触れることは出来ません。」
陽子の顔が強張る。
桓魋は、その頬を撫で、耳元に顔を近づけると
「…後で陽子の部屋を訪ねてもいいですか?」
と、囁いた。
陽子が眼を見開くと、更に続ける。
「…湯浴みを済ませて参りますので、
陽子は人払いをお願いしますね。」
陽子は頬を赤く染め、桓魋の言葉に頷く。
「…では、お部屋までお送りしましょう。」
そう言って陽子の腕を引き、立たせると少しだけ乱れた服を整える。
髪を梳き、身体を離したところで、
陽子を必死に探していた大僕が現れた。
「…危ないところでしたね。」
そう言って笑う桓魋に、陽子は拗ねた表情を見せる。
「…続きはまた後ほど。…虎嘯、お疲れさん。」
近づいて来た大僕に声を掛ける。
虎嘯は苦笑して言う。
「…陽子…お前逃げ足が早すぎるぞ。」
「…ああ。すまない。部屋に戻るよ。」
虎嘯は笑う。
「…では。」
桓魋が拱手する。
口元をにこりと上げ、瞳は陽子を真っすぐに見つめている。
陽子は顔を赤らめると、ぷいと背け、歩き出した。
虎嘯は不思議そうにそれを眺め、
桓魋に向かって腕を上げ、踵を返した。


―了―
437名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 14:23:22 ID:3Yyjw9Vm
おおっ! 投下乙であります 
ただ、ウレシイけど続きをもっと読みたい
438名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 18:01:51 ID:5FIuM4WC
>>433
いつもGJ!

>>437
つ、続きを…と言う絶妙な所で切り上げて
読み手を悶えさせるのもワザですぞw
良い子にして正座で天啓を待ちなされ
439名無しさん@ピンキー:2010/08/04(水) 13:30:01 ID:eZsQkJ5c
近所に楽陽開発という会社があってそれ見るたびに十二国思い出してしまう
と、ほしゅがわりにつぶやく自分であった
440名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 22:04:34 ID:/JxPvz6T
こう暑いとエロ妄想もできん・・・
441名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 15:16:56 ID:iMw9bOSH
エロ妄想
麟タンの白き乳房を手のひらに納め、やさしく・・・・・
442名無しさん@ピンキー:2010/08/23(月) 22:31:37 ID:aH2BFPQi
ほ〜しゅ〜
443名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 09:12:54 ID:L4povjZS
444浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:50:03 ID:+JPhTX2U
さみしくなってきたこのスレに、
甘め浩瀚×陽子を投下いたします。
よろしければ、お読みください〜。
445浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:51:56 ID:+JPhTX2U
真夏の深夜。

身を隠した太陽を名残惜しむような蝉の鳴き声が、まるで耳鳴りのように響き、
慶国冢宰、浩瀚は項に浮かんだ汗を手のひらでいささか乱暴に拭った。
心なしか湿気を含む紙面に指を滑らせ、緩慢な仕草で次項へと捲った。

むせ返るような暑さは周りの空気さえも奪うようで、
彼は少しでも籠る暑さを逃がすように襟元に手をやり、空気を送るように衣服を揺らした。

裁可を下す冢宰印を押し、次の書簡へと手を伸ばす。
緩やかに書状に目を通し、内容を把握すると、彼は微かに目を見開き、それから口元を微かに綻ばせた。

―――海客の官吏への登用の案件。

それは、彼の主、慶国国主、景王陽子が長年待ち望んだ書状であった。
勅命により海客への差別制度を失くしたとは言え、それは形だけのものであり、
実際には民や官吏の心に長年植えつけられた差別意識を撤廃するにはあまりにも弱いものだった。

『…何か、実際的な例がほしい。常世の者も、異郷からの来訪者も、同じ人間には変わらない事を示す、
何か確定的な事例が…』

そう呟いて、類稀なる美しさを誇る翡翠色の瞳を曇らせていた彼女を想う。

――――国を愛するあの少女の、笑顔が見たい。
脳裏に思い描くだけで蕩けそうな、その僥倖を。

書状を手に持ち、扉に向かおうとして、浩瀚ははっと我に返る。
――――このような夜遅くに、わたしは主上の私室に向かうつもりか……。
446浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:52:23 ID:+JPhTX2U

あの女王の事になると、常の怜悧な思考力を失ってしまう自身に軽い苦笑を漏らし、
また卓上に山脈を連ねる書状へ向かおうとした時であった。

扉の向こう側に気配を感じた。
浩瀚はすかさず引き出しの中の短剣に手を伸ばしつつ、険しい表情で、誰だ、と訊く。

「…すまない、私だ」

低く心地よく響く女声に、浩瀚は目を見開き、襖を纏いながら扉へと近づいた。
―――わたしが、この声を聞き違えるはずはない…。

扉を開けると、すまなそうに眉根を微かに寄せる、
その顔でさえも麗しい彼の主が立っていた。
「…主上…」
「ごめん、どうしても分からない案件があって…」
そう言って軽く肩を竦めながらひとつ書簡を持ちあげる陽子に、浩瀚は軽く吐息をつき、中へと促した。

「―――お伴は付けられていないのですか?」
若干厳しい声音に、陽子は微苦笑しつつ、中の長椅子へと腰をおろした。
「そうだよ。こんな夜遅くに起こしたりしたら、悪いだろう」
およそ王とは思えない発言に、浩瀚は軽くこめかみを揉む。
「何度も同じ換言を申し上げるようで非常に心苦しいのですが―――……」
「わかってる、分かってるんだけどな。王だって一人で出歩きたくなる時もあるし、ここは見逃して……」
そこまで言い、口を噤んだ主に、浩瀚は首を傾げる。
陽子の視線は浩瀚の執務机の上にある、ひとつの案件に目がいっていた。

「―――…これ…」
陽子の目先にあるのは、先ほどの、海客に関する書状だった。
吸い寄せられるように見つめる陽子に、知らず微笑が漏れた。
この真っ直ぐな瞳に、自分はとても弱い事を、浩瀚は知りぬいている。

「主上の努力の、賜物にございます」
どうぞ御手に、と言いつつ、卓上から持ちあげた書簡を、恭しく陽子に差し出した。
俯いた陽子の表情は知れなかったが、書簡を持つ細い指先が微かに震えているのを見てとり、
浩瀚はどうしようもなく、愛しさがこみ上げた。

―――このまま、抱きしめてしまいたい…。

突き上げるような衝動を唇を噛み締めて強引に押し殺すと、
浩瀚はできるだけ身動きしないよう陽子の言葉を待った。
447浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:53:12 ID:+JPhTX2U

陽子の指先が、ゆっくりと文字を辿る。
瀟洒な料紙に流麗な文字で書かれた文章を、
まるで聖域のように、ゆっくりと触れていった。

やがて、文言の最後まで指先が辿り着き、陽子は震えるような吐息を漏らした。
俯いたまま顔を上げない陽子に、若干不審に思った浩瀚が声をかける。
「―――…主上……?」

ぴくり、と肩を揺らし、それから陽子はゆるりと顔を上げた。
浩瀚は、この世のどの宝玉の輝きにも勝るふたつの翡翠が、美しい透明な膜に覆われているのを見た。
陽子は、吸い込まれそうなほど奥深い透明な光を弾く瞳をゆっくりと瞬かせる。
まろやかな頬を、一筋の雫が、ゆっくりとなぞっていった。

浩瀚は、思考の全てが奪われるのを知る。
――――はじめて見る、主の涙。
それを記憶に残す事ができた、その意味を―――………

陽子はゆるりと首を傾げ、そしてふっくらとした唇を、三日月形に象った。
「……ありがとう、浩瀚」
凍りついた浩瀚が、視線だけを微かに動かす。
「努力をしてくれた、誰もに言いたい………」
陽子はふわりと微笑んだ。
「だけど、お礼を、貴方に最初に言えて良かった、………浩瀚」
この世の何よりも魅力溢れる唇が自身の名を呼んだ瞬間、彼の理性は、吹き飛んだ。

448浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 13:54:45 ID:+JPhTX2U

陽子の指先が、ゆっくりと文字を辿る。
瀟洒な料紙に流麗な文字で書かれた文章を、
まるで聖域のように、ゆっくりと触れていった。

やがて、文言の最後まで指先が辿り着き、陽子は震えるような吐息を漏らした。
俯いたまま顔を上げない陽子に、若干不審に思った浩瀚が声をかける。
「―――…主上……?」

ぴくり、と肩を揺らし、それから陽子はゆるりと顔を上げた。
浩瀚は、この世のどの宝玉の輝きにも勝るふたつの翡翠が、美しい透明な膜に覆われているのを見た。
陽子は、吸い込まれそうなほど奥深い透明な光を弾く瞳をゆっくりと瞬かせる。
まろやかな頬を、一筋の雫が、ゆっくりとなぞっていった。

浩瀚は、思考の全てが奪われるのを知る。
――――はじめて見る、主の涙。
それを記憶に残す事ができた、その意味を―――………

陽子はゆるりと首を傾げ、そしてふっくらとした唇を、三日月形に象った。
「……ありがとう、浩瀚」
凍りついた浩瀚が、視線だけを微かに動かす。
「努力をしてくれた、誰もに言いたい………」
陽子はふわりと微笑んだ。
「だけど、お礼を、貴方に最初に言えて良かった、………浩瀚」
この世の何よりも魅力溢れる唇が自身の名を呼んだ瞬間、彼の理性は、吹き飛んだ。

449浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:14:20 ID:+JPhTX2U
あーすいません、同じのを投下してしまった!(大泣)
続きいきます。
450浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:37:31 ID:+JPhTX2U

強く、彼女の細い腕を引き寄せて、腕の中に閉じ込める。
一瞬何が起こったか分からなかった陽子は、然る後、頬を染めて浩瀚の胸を押した。
「こ…、浩瀚…!何を…」
顔を上げた瞬間、間近に迫ってきた怜悧な顔に、陽子は固まる。
そのまま、柔らかい唇が、押しつけられた。

浩瀚は柳眉を寄せ、長年渇望し続けていたその唇を貪った。
押しつけていた唇を僅かに離し、陽子が息をつく間も与えず、抱きしめる腕を組みかえた。
想像以上に華奢な腰と背中を強く引き寄せると、衣服越しでも分かる柔らかな胸が自分に当たるのが分り、
浩瀚はたまらなく興奮した。

燃える激情に身を任せ、陽子の唇に親指を這わせ、陽子が微かに唇を開いた隙を縫って、
素早く舌を熱い口内へと滑らせた。
外気の暑さと相まって、体の火照りは加速度を増す。
陽子が鼻から漏れるような意味をなさない声を漏らすのを聞いて、それが劣情を促した。
次から次へと口内に溜まる唾液を陽子の口へと流し込むと、陽子の体が怖い程に強張るのを感じた。

――――もう、どうでも良い。今、この瞬間、愛する少女を腕の中に閉じ込めておけるのならば、
たとえ不興を買おうとも、この命さえ惜しくはない……。
451浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:49:48 ID:+JPhTX2U

濡れた唇を離し、抱きしめた腕はそのままに、浩瀚は床に陽子を押し倒した。
「…浩瀚っ!やめ―――…」
抵抗をするために発せられたその言葉は、続きを為す事はなかった。
浩瀚は再び陽子の唇を奪い、柔らかな感触を充分に堪能しつつ、陽子の帯を、すばやく解いた。
袷から指を差しいれ、すっと鎖骨をなぞる。
その感触は、驚くほど滑らかで、浩瀚は唇を微かに離し、うっとりとした吐息を吐いた。
「浩瀚……。どうして………」
鼓膜を響かせた声音に、浩瀚は目線をずらし、陽子の潤んだ瞳を見返した。
拒絶を孕む、その眼差し。
胸が、どうしようもなくかき乱され、呼吸さえもままならなかった。

浩瀚は、何かを言おうと唇を開き、それから、嗚咽をこらえるように陽子の首筋に顔を埋めた。

―――どれ程までに嫌がられても、もう、止められない…。

浩瀚は首筋に這わせた右手を、陽子の衣服と共に一気におろした。
驚愕を含む、大きく息を吸い込む音が聞こえたが、構ってなどいられなかった。
目の前にあらわれた乳房に、その輪郭を、なぞっていく。
「…嫌だ、浩瀚っ!」
手首を掴む細い指先を逆に掴み返し、浩瀚は意を決して、その瞳を覗く。
「……お厭とお思いでしたら、わたしの机の方へ」
唐突な言葉に、陽子は硬直し、浩瀚を見返す。
「上から三段目の引き出しに、短剣が入っております。もちろん、冬器です」
掴んだ細い手首を持ちあげ、爪先を軽く噛む。
「それで、わたしを、―――…殺して下さい」
一対の翡翠が、緩慢に見開かれる。
「何を…、言っている………」
452浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 14:58:30 ID:+JPhTX2U

浩瀚はうっすらと微笑んだ。今にも壊れそうな、これ以上ない不器用な笑顔でそっと囁く。
「それ以外に、わたしを止める術はない。―――…貴女になら、命を捧げてもいい。…いや、捧げたい…」

浩瀚は陽子の耳元にそっと唇を寄せ、吐息を吹きかけながら囁く。
「流れるわたしの血潮が、わたしが貴女を愛した印となるのなら…、
そのようなもの、いくらでも………。――――――わたしの、陽子」

壮絶とも言える告白を受けた陽子は、凍りついた。
―――小言を言いつつも、いつでも優しく自分を教え導く、大事な兄弟子であり、
何者にも代えがたい、大切な臣下。
王朝を支え、国を共に開いていこうとする、かけがえのない仲間。

それが、その彼が、自分を――――………。
親子以上に歳の離れた、彼が。そんな馬鹿な。自分は単なる小娘。
王と言う肩書を持つ、まだ雛に過ぎない……

―――愛………?
分からない、わからない、わからない………。

言葉を返せなくなった陽子を、浩瀚は再び愛し始めた。
耳元から首筋へと唇をはわせ、鎖骨のくぼみで強く吸い上げる。
赤い証が、強烈に脳裏に焼きついた。
453浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 15:13:09 ID:+JPhTX2U

あらわになった胸の双丘に、ついばむような口づけを降らす。
左手で腰を強く抱き、右手で柔らかな乳房を揉みしだく。
乳房を底から掬いあげるように強く捏ねあげ、その頂を吸い上げると、陽子が高い声をあげた。
彼女の太ももから膝にかけて力がこもるのを見てとり、彼女が感じているのを知る。
それが男に猛烈な興奮を呼び、浩瀚は突起の周りを舌でぐるりと焦らすように舐めとった。
鼻から漏れるような陽子の声と、微かに上下に揺れる腰が、
陽子の意志とは別な所にある官能を呼んでいるように思えた。
もう一度くるりと乳首のまわりを舐めとってから、舌先で突起を強く押した。
「や!」
ぶるりと陽子の腰が強く震え、拒絶とも取れる高い声を発した。

―――それさえも甘美に聞こえるのだから、わたしも病みきっている…。

どこか他人事のように考えながら、胸への愛撫を続け、腰を抱いていた腕を放ち、
陽子の腰から下を隠す衣服を脱がし始める。
抵抗するような陽子の腕が自分の手首を掴み、それを無視しつつはぎ取っていく。
その絡みつくような手と手の攻防が妙に艶めかしく、浩瀚は陽子の細い指を自身の腕に感じ取っていた。

「い、やだぁ…!浩瀚!やめて……!」
「―――やめません」

浩瀚は陽子の腰を持ち上げ、官服を一気に抜き去る。
生まれたままの姿になった少女が、恥じらいと驚愕に、
細腕で必死に自身の体を隠すのが、たまらなく扇情的だった。
454浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 15:51:47 ID:+JPhTX2U

浩瀚は陽子の腰を持ち上げ、官服を一気に抜き去る。
生まれたままの姿になった少女が、恥じらいと驚愕に、
細腕で必死に自身の体を隠すのが、たまらなく扇情的だった。

浩瀚は片手で陽子の両腕の手首を掴み、陽子の頭上へと組敷いた。
わき腹や太股に何度も手を這わせ、触れるか触れないかの強さで撫でつけた。
必死に顔の向きをそらす陽子の首筋が妙に艶やかで、浩瀚は陽子の首筋を舐め上げる。
同時に足の付け根をくっとなぞると、陽子が腰を浮かし、両腿を擦り合わせた。

その反応を目ざとく見つけた浩瀚は、陽子の左足の腿を持ち上げ、その秘められた女の場所を目にする。
「やあ――!!」
陽子の絶叫が響きわたる。

―――嫌か、それほどまでに。
当然だろう、と冷静な自分が囁く。
そして惑う意志に関係なく、熱い自分の唇が、陽子の女の場所に吸い寄せられた。

ひどく官能的な湿った音が、男と女の鼓膜を震わす。
陽子は、もはや驚愕で思考回路が凍りついていた。
そして、何よりも、全身を貫く、得も言われぬ感触……。

意味を為さぬ言葉が、次から次へと唇から洩れていく。
形容し難い痺れるような官能に、自身の意志とは関係なく腰が揺れ、何度も男の顔に自身の恥部を押しつけてしまい、
それがたまらない程の羞恥を自分に覚えさせる。
455浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:01:05 ID:+JPhTX2U

やがて、遠慮を失くした男の指が自身の穴に入り、中をかき乱す。
不秩序に蠢くその指に、思考を、動きを、全てを封じられる。

女の嬌声。
男の吐息。
湿り気を含んだ音。

全てが、熱い空気に溶けていく。

浩瀚は着衣を乱し、やがて自身の中心で女を貫こうとする。

―――男は、不意に女の顔を見た事を後悔した。

涙に濡れた美しきかんばせはぐしゃぐしゃになり、常の凛とした空気を孕む柳眉は、
激しく歪んでいた。
男が世界一愛している女性の瞳は、失意と混乱にかき乱された色をともしていた。

――――罪悪感を植えつけるには、充分の………。
456浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:01:26 ID:+JPhTX2U

何を、と浩瀚は鼻先で笑う。
脳裏で分かりきっている事だった。
―――この方を傷つける。
―――嫌われるだろう。
―――憎まれるだろう。
―――この世で最も尊い女神を、わたしは汚すだろう………。

何を今更、と思う。
ここまで充分に傷つけた。
死んでも本望だったのだろう?
………嫌われても、想いを遂げたかったのだろう?

―――何を…、後悔している………。
―――何を、戸惑っている。

願うな、後悔するな。
そんな資格は、お前にはない。
欲する資格など、わたしには、ない。

――――嫌われたくないと、愛されたい、と………。この期に及んで……

未練がましく、それでも、想う。
――――この女神を、わたしに、くださいと。

457浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:19:26 ID:+JPhTX2U

手を止めた浩瀚に、陽子はうっすらと目を開けた。
そこには、怜悧と称される冢宰の、見た事もない表情があった。

今にも瓦解しそうな男が、そこにはいた。
陽子は瞠目した。
―――人が男女の情愛と呼ぶものを、今の自分がこの男に持てるとは到底思えないけれど。

傷つけられた。
ここまでめちゃくちゃにされた。

それでも………?
陽子は一瞬目を瞑り、それからひたりと浩瀚の瞳を捉えた。
そこには、凛呼なる少女の本性が、少しだけ戻っていた。

「…怖い、のか?」
びくりと浩瀚の肩が震えた。
「ここまで、わたしが嫌がるのも構わず…。
剣をもって殺せなどと、そんな事をわたしができる訳がないのに、この、卑怯者!」

浩瀚の表情からは、何かが崩れそうなのがありありと浮かんでいた。
構わず、陽子は叫び続ける。

「今更後悔か?懺悔か?謝れば許されるとでも?
私は怒っている。どうしようもなくお前に怒っている。
それだけじゃない。怖かったし、嫌だったし、翻弄された。惑わされた。それを今更覆せるとでも?
そんな傷ついたような顔をして、許されるとでも?―――ふざけるなよ!」
458浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:19:48 ID:+JPhTX2U

叫んだあとから、恐怖と羞恥と混乱に唇が震える。
それを飲み込むように、陽子は唇をかみしめた。

「………わたしはお前を愛さない」
小さく、だが決然とした口調に、男の瞳が揺れた。
「傷つけられた。怖かった。やめてほしかった。―――絶対にわたしはお前を愛したりはしない」

そして陽子は男の頬を、両手で包む。その翡翠の光を燈す双眸は、この世のものとは思えないほど、美しかった。

「―――だけど、嫌えない。私はお前を嫌えないんだよ、浩瀚」

陽子は浩瀚の頭をその細い両腕で抱え、小さく呟いた。


―――――おいで、馬鹿。


459浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:20:54 ID:+JPhTX2U


こんなに優しい声音は、今まで聞いたこともなかった。
もう、いいか、と男は想う。
身を貫く愛しさに身をまかせ、少女の体を貫いた。
「いたい………!」
悲鳴をあげつつも、まるで外界から身を守る胎児のように、自分の頭を抱えたままの陽子が、
この世の誰よりも、狂おしい程愛しかった。

まるで自分は海を漂う船のようだ、と思った。
人を乗せず、寂しく波に身を任せる、それでも包まれる陽光と波の音に孤独を持っていかれる、ただ一艘の船。

海に揺られるように、浩瀚は陽子の粘液に包まれて揺れながら、必死に嗚咽をこらえた。
愛しい、愛しい女神。

漏れ出る声音は、楽園の楽曲か。

謝罪は、もう届かない。
想いは、もう届かない。

それでも、このどうしようもない心地よさに、一縷の希望を見出してしまう自身の惨めさに、
男は、泣けてしまう程、―――溺れたのだった。

460浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:54:27 ID:+JPhTX2U

身を離したあと、身動きひとつしない陽子を、浩瀚はじっと見つめていた。

―――御衣を、掛けて差し上げねば……。

体全体に纏うけだるさを押し切るように、浩瀚は腰をあげた。
ちらばる陽子の衣服を、まとめていく。

壊れ物に触れるようにそっと陽子の体に襖をかけようとしていた浩瀚は、陽子の頭が緩慢に動いたのに、
動きを止める。
泣き濡れた陽子の瞳が、浩瀚をひたりと捉える。
たまらず、浩瀚はその場にひれ伏した。
「―――罰を。何か、罰をください!」

陽子は浩瀚の手元からゆっくりと自身の衣を引き抜き、身を起こして体に纏い始めた。
緩やかな溜息が、その唇から洩れた。
「―――わたしは、理由なくとも、お前を殺す事が出来る。
この国には、私を罰する法は、ないからだ」

陽子は衣を整えつつ、感情の起伏の掴めない声音で続けた。
「では、ここでお前を殺せば、天は私を罰するかな?
今まで幾人もの民の命をこの手から零していった、この私を、
臣下の一人を手にかけた程度で、罰するのかな?」

陽子は身をかがめ、自身の足元にひれ伏す男の耳元に、囁いた。
「―――私はお前を愛さないよ、浩瀚。…絶対に…」


――――それが、お前へ与える、唯一の罰則。
461浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:55:27 ID:+JPhTX2U


陽子は意識的に声音を変え、いつもの調子で言った。
「これはもらっていくよ、浩瀚」
思わず浩瀚が顔をあげると、件の書簡を陽子が手にしていた。

「どうあっても、この国を愛するお前を、私は嫌えそうにないからね」


扉に近づき、書簡を手にして陽子は浩瀚を一度振り返る。
唇が、口早に動いた。

――――音は届かずとも、その言葉は、男に届く。



―――愛さずとも、嫌わないよ、浩瀚。





女神の優しい声音に、男は一人、涙を流した。





462浩瀚×陽子:2010/08/29(日) 16:56:18 ID:+JPhTX2U

<<終わり>>


すみません!構成がめちゃくちゃでー!
お目汚し、失礼しましたー!

(脱兎)
463名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 20:42:53 ID:8u8vmOPg
きゃあああ職人さんがいらっしゃったあああ
GJ!
464名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 23:54:19 ID:32myEEno
ヘタレ浩瀚っていいですね。
この後も読んでみたいかも…
読み応えありました。GJです!
465名無しさん@ピンキー:2010/08/30(月) 23:06:16 ID:yDl+rL3c
おおっ! 知らぬ間に投下が〜乙であります。GJであります
続きはありますか? Wakuteka
466名無しさん@ピンキー:2010/09/01(水) 23:14:14 ID:vnNUbIO/
スんバラシイ
猛暑でもいい事があるようですね。感謝、多謝
467名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:40:41 ID:eJ44Ir3b
陽子かっけー
468名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 19:37:04 ID:v8UpCHGg
469名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 20:41:44 ID:0cc7UtGm
しゅ
470名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 23:01:02 ID:A/S6Usmh
じょう
471名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 23:45:45 ID:YBeeN8wu
472名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 01:46:11 ID:TFrbi97r
473名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 15:18:33 ID:Cm6LLMLQ
tes
474名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:04:14 ID:SkQ3UxiE
475名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 03:41:02 ID:Q87PNm5S
476名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 19:44:02 ID:NBiN/rXf
477名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 22:54:37 ID:9LrwiCM3
478名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 13:15:22 ID:f07rz2WA
479名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 01:53:31 ID:owcSPi83
480名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 20:15:33 ID:YLfACvJ0
481名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 22:47:02 ID:eMl+r/G9
482名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 20:18:17 ID:+HV/05BJ
483名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 21:53:00 ID:IPQw6S/i
484名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 21:58:46 ID:OVzJdJXi
485名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 00:59:00 ID:5zruX0Vq
486名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 14:47:42 ID:vK9sGEOB
487名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:46:19 ID:bYPkGbRl
488名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:53:27 ID:1jjHYjnl
489名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:20:26 ID:RND0MV8T
490名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 01:30:26 ID:QXWlioqK
491名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 03:30:30 ID:n70awdyR
492名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 11:38:02 ID:3tb3wEeX
493名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 13:30:00 ID:TDNdllVM
494名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 14:27:56 ID:Y6CXcoGQ
495名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 14:02:10 ID:dr2kTWiK
496名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 03:44:06 ID:NL4x+Y+T
(-人-)
497名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 03:16:36 ID:S86ALPwT
チーン
498名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 03:17:06 ID:8CuI3OPT
ちょww
499名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 00:50:15 ID:WRFH019J
最近職人さんいらっしゃらないね。
自分で書くにも文才無いしな…
500名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 00:51:56 ID:J4+ImCzv
結構規制あったようだからね〜
投下したくてもできない→過疎って感じか