ベルサイユのばらでエロパロ

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171名無しさん@ピンキー
>>57-92, >>114-140, >>144-159を書いた者です。
「登場人物が皆バカだ」「童貞臭がプソプソ」などの嬉しいご感想をありがとうございました。またふと思いついたので、アニメネタで4つめの投下をします。
基本AO、それとA×娼婦のニコルです。アンドレ非童貞バージョンです。よろしくお願いします。

「オスカル。どこにいるんだ? 寝る前のショコラだぞ」
「…こっちだ、アンドレ。ちょっと来てくれ」
寝室の方から呼び声がする。
なんだ、こんな時間に俺を寝室に呼ぶと俺がおばあちゃんに怒られるのに。困ったやつだ。
アンドレはそう思いながらショコラを居間のテーブルに置き、寝室に入ってゆく。
ベッドにはオスカルが夜着姿で座っていた。暗くて表情はよくわからない。
「こっちに来て、私を抱いてくれ…」
「なんだよ、急に」
アンドレはちょっと照れくさそうにベッドに腰を下ろす。左手をオスカルの背中に回して、オスカルの左腕を軽く掴んで抱き寄せた。
「これでいいのか?」
「…そうじゃない」
「え?」
「…男が女にするように抱いてほしいんだ」
アンドレの体がびくっと痙攣した。はじかれるようにベッドから立ち上がると、オスカルの顔をまじまじと見つめた。
「…フェルゼン伯の結婚だな」
王妃との醜聞が露わにならぬようにと帰国していたフェルゼンは、つい最近またフランスにやってきた。
今回の来仏は結婚相手を探すためだと本人も公言している。
オスカルはうつむいて涙を浮かべていた。ひどく気まずい空気が二人の間に流れる。
「おまえだって、女の一人や二人、抱いたことがあるのだろう?」
嘲うように問われてアンドレは苦い顔をした。
「…ある。1年ほど前だが、パリで娼婦を買った」
172名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:51:05 ID:FpkxUFCy
 −こいつ、いつの間に−
さすがにこれにはオスカルも驚いた。しかし素知らぬふうをして話を続ける。
「だったら、別にいいだろう?」
アンドレは床に跪いて、オスカルの両手をそっと握った。見上げるような形で顔を見つめ、優しい声でオスカルをなだめ始めた。
「オスカル、フェルゼンが結婚するからってやけになっちゃだめだ。
誰か男と寝ておけば、フェルゼンの結婚の時に自分の心がさほど痛まずに済むかと思っているんだろう?
相手は誰でもいいが、俺だったら少なくともひどいやりかたで抱いたりはしない、おおかた俺を誘った理由なんてそんなとこか?」
オスカルは無言で頷いた。
アンドレは穏やかな声でなおもオスカルに声をかけ続ける。
「そんなことをしても、心はよけい悲鳴をあげるだけだ。いいか、俺がパリの娼婦を買ったのは、ある貴族の令嬢を愛してしまったからだ」
思いがけない打ち明け話に、オスカルは驚いて顔を上げる。
「もともと全くの身分違いさ。しかもその令嬢は他の男に恋をしていて、どうせ俺には目もくれないと絶望していた。
だが、娼婦を買ってもなんの慰めにもならなかった。いや、つらい思い出になっただけだ」
「驚いたな。そんな話は初めて聞いた。想いを懸けている令嬢は、美しい人か? 人柄は? 教養は?」
オスカルはついフェルゼンに投げかけたのと同じ質問をアンドレにした。
「…美しい。少なくとも俺の目には誰よりも、いや人間の女とは思えないほど美しい。教養も素晴らしくある。
しかし、人柄は最低だ。特に使用人に対しては血も涙もない振る舞いをする」
アンドレは寂しげにうつむいた。
「そんな美貌と教養を鼻にかけた、傲慢な女が好きなのか?!」
「おまえは人を愛するということの意味が分かっていない」
アンドレにぴしりと言われてオスカルはひるむ。アンドレがそこまで心を寄せている令嬢がいるとは全く知らなかった。
しかし、どこの令嬢だろう。オスカルは忙しく考える。
美貌を謳われている令嬢は数多くいるが、顔は好みの問題だろう。とりあえず無視する。
教養に関しては、サロンで才媛と評判を取っている何人かが候補に挙がるが、そもそも貴族の令嬢は侍女などに手厳しいものだ。
だめだ。全然絞り込めない。
173名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:51:31 ID:FpkxUFCy
「オスカル。わかってくれ。今おまえがしようとしていることは、ただの自傷行為だ」
「おまえは私をその令嬢の代わりにすればよい。今の私にはそれで十分だ」
「そんなことができるわけないだろう」
「…おまえは、自分だけパリで安娼婦を私に隠してこそこそ買ってたくせに、そういうことを言うのか!」
「…わかった」
とうとうアンドレは折れた。だれか他の男のところに行かれるよりはましだった。
「だが、俺はおそらくおまえが考えているほど優しくはないよ」
オスカルから目を背けてそう言うアンドレの顔は、蝋燭の陰影で何か別人のようにオスカルには見えた。
アンドレはオスカルの両肩に手を置き、額にそっと口づけをした。
「こういうことは、途中でやめたいと言ってもだめだ。いいか?」
オスカルの目をのぞきこんだ瞳の中に、小さな妖火がともっていた。
 −滅多に怒らないアンドレが、深く静かに怒っている−
オスカルは後悔した。しかし、先ほどのやりとりを思い出すと、今更撤回は出来ないと思った。
唇が首筋にまで下りてくる。そのまま抱きしめられてベッドに倒れこんだ。左腕できつく抱きしめながら、アンドレの右手は夜着の釦をひとつひとつ外す。
唇はうなじから肩口へと降りていった。
怖い、と思う。生まれて初めて、オスカルはアンドレを怖いと思った。
アンドレは怒っていた。そしてそれ以上に手ひどく傷ついて哀しかった。
 −俺はフェルゼンの代わり、か…?−
今からどんなに愛を込めて口づけしても、優しく愛撫しても、それは全てフェルゼンの代用品なのか。
睦言を語りかけても、それは空しく彼女を通り過ぎるだろう。
 −俺の気持ちはどうなる−
自分の服を脱ぐつもりにはなれなかった。本当は直接肌を合わせたい。合わせてみたい。
しかし、それをすれば自分が愛している相手がオスカルだということが分かってしまいそうで怖い。分かってしまえば何もかもが終わる。
愛を抱いていることが許されるのは、それを告げずに隠し続け耐えていることの代償だとわきまえていた。
174名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:51:55 ID:FpkxUFCy
パリの安娼婦と同じように扱うわけにはいかないのはわかっていた。
あの時、敵娼の女は金を受け取ると服を脱いでベッドに仰向けになり『どうぞ』と言って膝を立て脚を開いた。
アンドレはなるべく最低限の場所にしか触れないようにし、女の肩を抱きながらできるだけ手早く事を済ませた。
ただそれだけのことだったのに、欲求を満たした瞬間の自分に対する嫌悪感は今でも心にしこりを残している。

オスカルを抱きしめると、形の良い唇が半開きになって震えているのが目に入った。
キスしてしまいたい。切実に思う。
しかし、ここに口づけてよいのは、真実愛し合っている者同士だけだろう。
じっとオスカルの顔を見つめているアンドレの視線とは裏腹に、オスカルは目を伏せて体を硬くしていた。
 −怯えているのだ−
無理もない。好きでもない男を相手に処女を散らそうというのだ。
やや小振りではあるが形の良い乳房をそっとなでてみた。そのたびにオスカルの体がぴくんぴくんとはね、喉から「くっ」という喘ぎ声が漏れた。。
おそらく、記憶もない幼児の頃、もう顔もおぼろげになった母の胸に甘えた時以来だろう、女の胸にこうやって触るのは。
下から掬うように乳房を掌で持ち上げ、乳首を摘みたての野苺を咥えるようにして舌で転がす。
その柔らかさと滑らかさがアンドレの体の芯を熱く硬直させた。
アンドレがいつまでも服を脱がないことにオスカルは不安がった。
自分が考えていたのは何かが違う。それは未経験ゆえの誤解だったのだろうか。なぜ、肌を寄り添わせてくれないのだろう。
そうすれば自分のこの脅えも少しは和らいだのだろうに。
アンドレが自分に与えているキスの場所が少しずつ胸からみぞおち、そして臍の周りへと落ちていった。
膝を軽く立てさせられて、広げられる。アンドレの頭が脚の間に滑るように入ってゆく。
 −あ…何を…−
175名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:52:24 ID:FpkxUFCy
そういう愛の行為があるというのは、噂に聞いて知っていた。でも、アンドレがそんなことをするはずがないとどこかでオスカルは思っていた。
しかし、唇がつけられたかと思うと、もっとも敏感な部分が音を立てて吸われた。オスカルの喉が痙攣し、くっ、くっ、という喘ぎが絞り出される。
熱い舌が今まで何者の侵入も許したことのない扉を探り当てる。蜜のほとばしり出る場所。舌を差し入れようとすると、華奢な抵抗がある。
これを舌で破ってはいけない。アンドレはオスカルから体を離し、キュロットの釦を外した。そしてそこから硬直した熱い肉塊を取り出した。
オスカルはそれをちらりと見てしまった。見慣れぬ形は根源的な恐怖を呼びさまし、しかも予想より遙かに大きい。
脅えのあまり思わず後ずさりし、思わず
「いや…」
と口走ってしまった。
 −なぜ、この時になって、今更…!−
アンドレの中に哀しみにまみれた怒りがこみ上げてくる。
オスカルは白い左足首を捕まれて、大きく上へと持ち上げられた。
「ひっ…!」
オスカルの喉の奥から声にならない音が漏れる。
 −こうなったら、苦痛の悲鳴も上げられないほど、残忍に犯してやる−
そうすれば、二度と男に抱かれたいなどとは思わなくなるだろう。
オスカル。俺のオスカル。この先、誰にも触れさせたくない、俺だけのオスカル。

 −俺は一体何をしているんだろう。大好きな、小さい頃からの一番の宝物に−

情欲に押さえつけられている良心が、息も絶え絶えに呻いている。
一方肉体は、オスカルの脆くて柔らかいところを壊すために、もうこれ以上はないというほど昂ぶっていた。
血気に逸ったものを叢に押しつけると、炎のような体の火照りとは裏腹に、なぜか手が震る。
体がそれ以上先へと進むことができない。
今までずっと無言でいたが、血まみれの心が呟かずにはいられなかった。
「愛している… 愛して…いる…」
176名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:52:46 ID:FpkxUFCy
ようやく言葉が口から出た。その言葉が素通りしているのは分かっている。
オスカルは俺の言葉を、どこかの令嬢に向けられたものだと誤解し続けているだろう。
でも、言わずにはいられない。
アンドレはオスカルの頭を両手で抱え込むようにして、何度も同じ言葉を繰り返した。
「愛している、愛している…」
 −オスカル、おまえだけを−
「愛している、愛している…」
 −オスカル、その唇で俺に同じ言葉を言ってくれ−
「愛している…」
 −オスカル、お願いだ、フェルゼンではなく俺を愛してくれ…−
決して答えが返ってこない嘆願、その絶望がアンドレを包んだ。

「オスカル、だめだ。やはり、俺にはできない…!」
アンドレは泣き崩れてオスカルの脇の下に両腕を差し入れ、きつく抱きしめると両方の乳房の間に顔をうずめた。
そして、あえぎながら狂おしく頬と唇をこすりつけた。
オスカルは自分の胸にあるアンドレの頭をそっとなでた。
「…すまなかった。おまえはその令嬢を心から愛しているのだな」
「ああ、そうだ、その通りだ…心から…心から…!」
アンドレは涙でオスカルの胸をすっかり濡らしていた。
「…悪かった、もういい…」
オスカルは少し体を起こし、アンドレの頭を抱きしめた。
177名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:53:09 ID:FpkxUFCy
しばらくすると、アンドレは身繕いしオスカルにきちんと夜着を着せた。
そしてベッドに腰掛けると、オスカルの金髪をまるで子どもを相手にでもするように大きな手でなで始めた。
普段通りの彼に戻って、いつもの優しい声でオスカルに話を始めた。
「オスカル、聞いてくれるかい? 俺が買った哀れな娼婦の話を。
俺はその時、今のおまえのように報われない恋で自暴自棄だった。誰でもいいから女を抱きたかった。
酒場で娼婦がいる場所を教えてもらって一人で行ってみた」
アンドレはそこでちょっと言葉を句切った。
驚いたことにその娼婦は王妃によく似ていたのだ。しかし、それはいろいろと誤解を招きそうなので言わないことにした。
「教えて貰った場所は、パリの下町でも最も不潔なところで、その一室におまえや俺と同じぐらいの歳の娼婦がいた。
彼女が『一晩でたったの10スウ。前払いが決まりです』と言う様子で、俺はすぐにわかった、彼女の心は壊れているのだと。
しかも、彼女は目が見えないようだった。10スウを受け取ると、何度も指でなで回してから、『はい、頂きました』と言っていた。
俺はなんてひどい男だろう、本当にたったの10スウだ、彼女に恵んでやってそのまま帰っても良かったはずだ。
だのに俺は愚かだった、彼女を抱けば、令嬢のことは忘れられると信じ込んでいたんだ。
彼女は喜びの吐息も苦しみのうめき声も全く出さなかった。ただ、仕事が終わるのをなんの感情もない顔でじっと待っていた。
彼女がここまで壊れてしまったのは、男達が10スウずつ払ってしたことだ。そしてその中にはもちろん俺も含まれている。
俺と彼女の間には、全く愛などなかった。分かち合ったのは壊れた心だけだった。
男達が買ったのは、彼女の体などではなく、壊れた心だったんだよ。
客の中には彼女を抱いたことを自慢話にしている輩も多かっただろう。
でもね、そいつらも俺と同じく、本当は壊れた心を受け取って、自分を傷つけてしまっていたはずだ。
彼女を抱いたことで俺があの令嬢のことを忘れられたかって?
とんでもない。その令嬢と自分の住んでいる世界の差をますます思い知らされただけだ。
ああ、なんて言ったっけな、彼女の名は。本名ではないのだろうけど確かニコル…
オスカル… オスカル…? もう寝たのか?」
オスカルは優しいアンドレの声を聞いているうちに、いつしか眠っていた。
アンドレはオスカルに羽布団を肩までかけると、頬に小さくキスして部屋を出た。
178名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 16:53:34 ID:FpkxUFCy
数年後。
首飾り事件裁判を傍聴するため、連日オスカルとアンドレはパリ高等法院で傍聴席にいた。
ニコル・ド・オリバが証人として呼ばれると、誰もがその顔の王妃そっくりなのにどよめいた。
オスカルも驚愕のあまり、隣に座っているアンドレが真っ青になっていることに気がつかない。
裁判が進むに連れ、最初証人だったはずのニコルも起訴された。
ニコル。
盲いた目と壊れた心で、俺に愛がなんなのかを鋭く指し示したニコル。
彼女は今もあの不潔な一室で娼婦を続けていたのだ。
どうか無罪であってほしい。アンドレは連日の傍聴席で彼女のために祈りを捧げた。

判決が読み上げられる。
「ニコル・ド・オリバ。無罪」
傍聴席から拍手と歓声が上がる。アンドレは立ち上がり、誰よりも大きく拍手を送った。
(了)

#ニコルが盲目というのはアニメの設定です。コワレキャラとして、一時期昭和アニメ板でその魅力が話題になりました。
原作にはアンドレが10代で娼婦を買って脱童貞という裏設定がある、という話を目にしたことがあるので、それをちょっと入れてみました。
だが、なんだか余計童貞臭がするような気がするんですが。どんなもんでしょうか、ヤッてすらいませんが。
アニメのアンドレの魅力については、小黒祐一郎氏が下記URLで語っています。
http://www.style.fm/as/05_column/365/365_034.shtml
アニメのアンドレは19話以降だと、原作とはまた違った魅力(自律的、行動的、控え目だが世話焼き等)がありますので、未視聴の方は何かの機会にぜひご覧ください。
なお、ホスト規制中です。これを貼り付けてくださった、pink難民板の方に感謝いたします。